衆議院

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第4号 平成28年3月9日(水曜日)

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平成二十八年三月九日(水曜日)

    午後三時三十分開議

 出席委員

   委員長 西村 康稔君

   理事 亀岡 偉民君 理事 平  将明君

   理事 武井 俊輔君 理事 中根 一幸君

   理事 平井たくや君 理事 緒方林太郎君

   理事 柿沢 未途君 理事 佐藤 茂樹君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      石崎  徹君    岩田 和親君

      大隈 和英君    岡下 昌平君

      神谷  昇君    木内  均君

      北村 茂男君    高木 宏壽君

      武部  新君    中山 展宏君

      長尾  敬君    牧島かれん君

      松本 洋平君    宮崎 政久君

      若狭  勝君    阿部 知子君

      大串 博志君    岸本 周平君

      小宮山泰子君    後藤 祐一君

      高井 崇志君    古本伸一郎君

      江田 康幸君    濱村  進君

      池内さおり君    島津 幸広君

      河野 正美君    鈴木 義弘君

    …………………………………

   国務大臣         岩城 光英君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄基地負担軽減担当) 菅  義偉君

   国務大臣

   (海洋政策・領土問題担当)

   (クールジャパン戦略担当)            島尻安伊子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (社会保障・税一体改革担当)

   (経済財政政策担当)   石原 伸晃君

   国務大臣

   (一億総活躍担当)

   (女性活躍担当)

   (再チャレンジ担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   加藤 勝信君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   内閣府大臣政務官     高木 宏壽君

   農林水産大臣政務官    佐藤 英道君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  田中 勝也君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤原 章夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         佐藤 速水君

   政府参考人

   (農林水産省生産局農産部長(政策統括官付))   天羽  隆君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           大野 高志君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  真部  朗君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

三月三日

 マイナンバーの中止に関する請願(清水忠史君紹介)(第五〇五号)

 同(真島省三君紹介)(第六〇二号)

 国の保育・教育・子育て支援施策の拡充に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五一一号)

 同(池内さおり君紹介)(第五一二号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第五一三号)

 同(大平喜信君紹介)(第五一四号)

 同(岡本充功君紹介)(第五一五号)

 同(笠井亮君紹介)(第五一六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五一七号)

 同(斉藤和子君紹介)(第五一八号)

 同(志位和夫君紹介)(第五一九号)

 同(清水忠史君紹介)(第五二〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五二一号)

 同(島津幸広君紹介)(第五二二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第五二三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五二四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第五二五号)

 同(畠山和也君紹介)(第五二六号)

 同(藤野保史君紹介)(第五二七号)

 同(堀内照文君紹介)(第五二八号)

 同(真島省三君紹介)(第五二九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五三〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第五三一号)

 同(本村伸子君紹介)(第五三二号)

 同(堀内照文君紹介)(第五三七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六〇一号)

 マイナンバー制度の廃止を求めることに関する請願(真島省三君紹介)(第五三八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六三七号)

 同(池内さおり君紹介)(第六三八号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第六三九号)

 同(大平喜信君紹介)(第六四〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第六四一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六四二号)

 同(斉藤和子君紹介)(第六四三号)

 同(志位和夫君紹介)(第六四四号)

 同(清水忠史君紹介)(第六四五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六四六号)

 同(島津幸広君紹介)(第六四七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六四八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六四九号)

 同(畑野君枝君紹介)(第六五〇号)

 同(畠山和也君紹介)(第六五一号)

 同(藤野保史君紹介)(第六五二号)

 同(堀内照文君紹介)(第六五三号)

 同(真島省三君紹介)(第六五四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六五五号)

 同(宮本徹君紹介)(第六五六号)

 同(本村伸子君紹介)(第六五七号)

 マイナンバー制度の中止と利用拡大の取りやめに関する請願(真島省三君紹介)(第六三六号)

同月九日

 国の保育・教育・子育て支援施策の拡充に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第八〇四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官澁谷和久君、内閣官房内閣審議官田中勝也君、法務省大臣官房審議官金子修君、文部科学省大臣官房審議官藤原章夫君、厚生労働省大臣官房審議官吉本明子君、農林水産省大臣官房総括審議官佐藤速水君、農林水産省生産局農産部長(政策統括官付)天羽隆君、農林水産省生産局畜産部長大野高志君、防衛省整備計画局長真部朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方林太郎君。

緒方委員 民主党、緒方林太郎でございます。

 この内閣委員会、所信質疑、野党トップバッターということで、石原大臣、岩城大臣そして佐藤政務官、よろしくお願いを申し上げます。

 最初にまず、特定秘密保護法からスタートさせていただきたいと思います。

 先般の予算委員会で安倍総理が、階議員の質問に対しましてこういう感じのことを言われたんですね。情報提供を外国から受ける、そのときにユア・アイズ・オンリーと書いてあれば、これについては、その人の個人を特定するような情報のところについては、これはそもそも会計検査にも必要ないだろうから、こんなものは出す必要がない、会計検査院に出さない情報の例としてそういったことを挙げておられました。

 聞いていて、ちょっと何かおかしいなという気もしたんですけれども、ユア・アイズ・オンリーと書けば、そういう特定秘密の少なくとも提供者の個人情報についてはすべからく特定秘密になるということでしょうか。

岩城国務大臣 お答えいたします。

 二月二十九日の衆議院予算委員会において安倍総理が言及されましたユア・アイズ・オンリーとは、外国機関や人的情報源などから、情報の内容や情報源を第三者に知らせないという前提で提供された情報という趣旨であると認識、理解をしております。

 そこで、特定秘密保護法第三条第一項は、行政機関の長は、当該行政機関の所掌事務に係る四分野二十三項目の法別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものを特定秘密として指定するものとしております。

 総理が述べましたユア・アイズ・オンリー、この情報が直ちに特定秘密に指定されるという趣旨のことを述べたとは認識しておりませんが、この三つの要件に該当するかどうかは行政機関の長が判断するものであるところであります。

 情報の提供元が第三者に知らせないという前提で情報を提供したことは、その三つ目の要件である要秘匿性にかかわるものである、このように認識をしております。

緒方委員 安倍総理はそういう感じのことを言っていないんですね。特定秘密の文脈のところで、ユア・アイズ・オンリー、提供する側がそう指定してしまえば、それは安全保障に著しく支障が生ずるというようなものの例として挙げておられるわけでありまして、安倍総理の言っていること、私はこれを虚心坦懐に考えてみて、間違っているというふうに思いますが、岩城大臣、いかがですか。

岩城国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたとおり、この三つの要件に該当する、とりわけ三つ目の要件ですね、情報の提供元が第三者に知らせないという前提で情報を提供したことは、三つ目の要件である要秘匿性にかかわるものである、このように認識をしております。

緒方委員 安倍総理の答弁を見てみると、重要なことは、その名前を提供した側がユア・アイズ・オンリー、あなただけですよというのを超えて日本が行っているということになればその後は一切そうしたものが提供されないということになれば、我が国の安全に著しい障害が生じるおそれも出てくるというようなことを言っておりまして、今の岩城大臣のように、それを日本の国が主体的に判断するというのではなくて、相手の指定行為があれば、それによって特定秘密になるというような趣旨のことを安倍総理は言っているわけです。多分それは間違っていると思うんですよね。間違っているということでよろしいですよね、岩城大臣。

岩城国務大臣 お答えをいたします。

 先ほどと同じお答えになってしまいますけれども、あくまでも、特定秘密の指定はそれぞれの行政機関が主体的にするものだと考えております。

緒方委員 安倍総理は間違っていなかったというふうに思いますか、岩城大臣。

岩城国務大臣 総理のお話しになられたことにつきまして私も確認をしておりませんので。文脈の中ではそういったようにおとりになるのかもわかりませんが、私としましては、先ほど言いましたとおり、情報の提供元が第三者に知らせないという前提で情報提供したこと、これは三つ目の要件である要秘匿性にかかわるものである、このように認識をしております。

緒方委員 これは予算委員会での議事でありまして、きちっと質問通告もいたしております。間違っていないなら間違っていないで、一度そこで確認をさせていただきたいんですけれども、安倍総理大臣が言ったことは間違っていなかったということでよろしいですね。

岩城国務大臣 総理がお話しされたことは間違っていなかったというふうに認識をしております。

緒方委員 かなり踏み込んだ答弁だったと思いますが、この件はもう一度議事録を精査させていただいて、次の質問をしていきたいと思います。

 特定秘密保護法と会計検査院の関係についてなんですが、何度か岩城大臣の答弁が揺れ動いたりしてよくわからなかったので、もう一回確認させていただきたいんです。

 会計検査院に情報を提供することは、それがどのような情報であっても日本の安全保障に著しい支障を生じることはないというふうに認識をしておられますか、岩城大臣。

岩城国務大臣 会計検査院から資料の提供を求められ、それが特定秘密に当たる場合には、各行政機関の長は、当該特定秘密を利用し、または知る者の範囲を制限すること、当該業務以外に特定秘密が利用されないようにすること、その他の政令で定める特定秘密の保護のための措置を講じることなどの要件を満たしているかを確認した上で特定秘密を提供することになりますが、会計検査院においては、この保護措置が適切に講じられるものと考えております。

 また、従来から、会計検査院においては、検査の目的に照らして、必要かつ十分な範囲のものとなるよう実務上の調整を行った上で資料を提供してきたものと認識をしておりまして、特定秘密の提供に際しても、その実務上の調整の過程で我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないことは確認できると考えております。

 したがいまして、会計検査院法第二十六条の規定により会計検査に必要であるとして求められた資料について、会計検査院に提供することにより我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれが生じるとは想定しがたく、特定秘密保護法第十条第一項第一号の限定が具体的に適用され、その結果、特定秘密の提供が行われないことはおよそ考えられない、そのように思っております。

緒方委員 全ての答弁に、想定されないとか考えられないとか、若干の主観が入っているんですね。私が聞いたのは、会計検査院に情報を提供することは、それがどのような情報であっても我が国の安全保障に著しい支障を生じることはないというふうに言い切れますかということを聞いております、岩城大臣。

岩城国務大臣 先ほどもお話を申し上げましたとおり、特定秘密保護法第十条第一項第一号は、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときに限り特定秘密を提供する旨規定をしております。

 したがいまして、会計検査院に必要な資料を提供することにより安全保障に著しい支障を及ぼすおそれが生じるとは想定しがたく、特定秘密保護法第十条第一項第一号の限定が具体的に適用され、その結果、特定秘密の提供が行われないことはおよそ考えられない、このように考えております。

緒方委員 想定しがたいとか、およそ考えられないという言葉なんですが、その言葉は、私も役所にいたのでよくわかるんですけれども、そういうためを残す言葉を置くときというのは、大体例外を想定させるんですね。およそ考えられないということなんですが、およそ考えられないだけであって、ないとは言い切っておられない。そして、想定しがたいと言うんですけれども、それは、普通の役所用語で言うところで、あり得ることも例外的にあるんだということを想定して答弁を書かれているんだと思います。

 そう考えると、会計検査院への情報の提供というのは、どのような情報であっても我が国の安全保障に著しい支障を生じることはないというふうに言い切れますかという問いにもう一回戻るわけですが、岩城大臣。

岩城国務大臣 従来から、会計検査院から会計検査に必要であるとして求められた資料の提供により我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれが生じると認められず、提供が行われ続けてきました。その実務の蓄積は十分に重いものと認識をしております。この取り扱いを覆すような事態はおよそ考えられず、また、内閣官房と会計検査院の間で従来の取り扱いに変更がないことが確認されております。

 そして、過去一貫して会計検査院に資料が提供されてきた背景には、会計検査院が会計検査という憲法に定められた重要な機能を果たすものであること、会計検査院においては、会計検査に必要な資料をその範囲に限って限定的に利用し、厳格な管理が行われるものであることなどの事情があるものと理解をしております。

緒方委員 この件はまた引き続きやっていきたいと思います。

 もう一つ、我が国の安全保障に著しい支障を生じるおそれがないと考えている、そういう見解なんですが、私、実はこの見解について二つの可能性を連想いたしまして、会計検査院に提供すること自体がイコール無条件に安全保障に著しい支障を生じさせないということなのか、それとも、特定秘密を会計検査院に提供することはイコール安全保障に著しい障害を生じない、絶対に生じないとまでは言えないんだけれども、会計検査院という組織は漏えいをしないような組織だから大丈夫だ、そう信じているからなのか。いずれでしょうか、岩城大臣。

岩城国務大臣 何度も同じお話になってしまいますが……(発言する者あり)お聞きになっていただけますか。

 特定秘密保護法第十条第一項第一号の場合における特定秘密の提供は、行政機関の長が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときに限り行われます。

 この限定が具体的に適用されるかどうかは、特定秘密の内容、入手の経緯のほか、保護措置の度合いなどによるものであり、一定の特定秘密の提供が当然に我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすというものではございません。

 また、特定秘密保護法第三条第一項では、特定秘密の指定の三要件の一つとして「その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの」という要件が規定されておりまして、特定秘密全般が、漏えいすれば我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれのある情報であります。

 今申し上げたことを前提にお話をさせていただきますと、特定秘密一般の会計検査院への提供に対するお答えと同様となるわけであります。秘密事項について、会計検査院から検査上の必要があるとして提出を求められた際にはこれに応じて提供を行うという従来の取り扱いについて、特定秘密保護法の施行により何らの変更を加えるものではなく、特定秘密であることを理由として検査上の必要があるとして求められた資料の提供がなされないという問題はおよそ生じない、このように認識をしております。

緒方委員 私の質問は、そういう法律の基本のところではなくて、もう少し下がって、もっと基本のところで、会計検査院に情報を提供する、特定秘密を提供しないことはおよそ考えられないというふうに言われました。それはなぜなのかということをお伺いしておりまして、会計検査院に提供すること自体がイコール無条件に安全保障に支障を生じるおそれが絶対ないということなのか、それとも、そこまでは言えないんだけれども、会計検査院というのはすごくしっかりした組織で、安全保障に支障が絶対生じないとまでは言えないんだけれども、漏えいをしない組織だから、だからそれを信じて大丈夫だというふうに言っているのか、どちらなのかということをお伺いしております、岩城大臣。

岩城国務大臣 会計検査院から資料の提供を求められまして、それが特定秘密に当たる場合には、各行政機関の長が、当該特定秘密を利用し、または知る者の範囲を制限すること、当該業務以外に特定秘密が利用されないようにすること、その他の政令で定める特定秘密の保護のための措置を講じることなどの要件を満たしているかを確認した上で特定秘密を提供することになりますが、会計検査院においてはこの保護措置が適切に講じられるもの、このように考えております。

緒方委員 私、金曜日にもう一回時間がありますので、議事録をよく見させていただいて、再度質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは石原大臣もお呼びしておりますので、残り十分ですので、石原大臣にお伺いしていきたいと思います。

 昨日閣議決定をされましたTPPの関連国内法でありますが、これは、TPPという国際条約を国内実施するために必要なことが過不足なく、パーフェクトに盛り込まれたものだというふうに石原大臣はお考えですか。

石原国務大臣 委員の御質問の問題点は、TPP協定を実施する上で国内法が十分にカバーしているのか、そしてそれのなされたものが提案されているのかという質問だと理解をさせていただいたんですけれども、これは、TPP協定は条約に準ずるものでございますので……(緒方委員「条約に準ずるものじゃなくて、条約です」と呼ぶ)条約に準ずるもの、条約でございますので、要するに国会の批准ではなくて承認を求めるということになっております。そして、協定を実施する上で不可欠なものとして関連する国内法を一括して提出させていただいた。

 具体的にどんなものがあるかということは、重立ったものは関税でございますね。それ以外にも、議論をさせていただきましたけれども、著作権の保護期間の延長等々の知財の改正案、あるいはTPP協定による農業への影響に対応するためのいわゆる農業の経営安定化に資するもの等々でございまして、私どもは、それが委員の御質問のとおりカバーすると考えるからこそ提出をさせていただいたわけでございます。

緒方委員 もう一度、今、少し長く答弁されたので、簡潔に御答弁いただければと思います。

 私も外務省で国際法局条約課におりましたので、国際条約があって、それを国内で実施するために国内実施法というのを用意する、それは、はいと一発で答えてくれればそれでいいんですけれども、今回出したTPP関連国内法は、TPPという国際条約を国内で実施する、そして条約で決められた義務を一〇〇%履行するためのものが全て盛り込まれているということでよろしいですね。

石原国務大臣 TPP協定というものがございまして、それに対して、先ほども御答弁をさせていただきましたとおり、不安を持たれていらっしゃる方もある。今まさに、農業の経営を安定化させる、攻めの農業を行う、その上で必要なものを提出させていただいたと御答弁をさせていただいたところでございます。

緒方委員 必要という言葉がございましたが、十分なものでありますでしょうか。必要十分だということでよろしいですね、石原大臣。

石原国務大臣 緒方委員の必要十分ということが、何をもって必要十分とされるかということは私は存じませんけれども、私どもは、必要であり、そして、この法案によって、TPP協定によって不安を抱いている方々、あるいはTPP協定を実施する上で必要なものを盛り込ませていただいたところでございます。

緒方委員 私が編み出した言葉ではありませんで、大学受験で数学を受けるときとか、よく、必要条件と十分条件があって、両方満たしていれば必要十分条件ということなので、あえて聞いているんです。

 必要だということまでは言われましたけれども、必要かつ十分であるというふうに認識をしておられますか、石原大臣。

石原国務大臣 緒方委員が何を求めていらっしゃるのか私にはちょっとわからないんですけれども、私どもは、国内に対して必要である対策が含まれている、そういうものをしっかりと出させていただいたと御答弁させていただいております。

緒方委員 何か、そこで十分だということをあえて口に出して言わないというのは、邪推をされますよ。

 もう一度聞きます。今回出している、昨日閣議決定をしたTPPの国内関連法は、TPPという国際条約でさまざまな義務があります、これを実施するのに必要でかつ十分なものであると認識をしておられますか、石原大臣。

石原国務大臣 私、質問の趣旨がよくわからなくて本当に恐縮なんですけれども、必要であるからこそ法案として取りまとめさせていただきました。法案に必要である以上は、それが不十分であるならば、不十分なものは提出しないというのは当然のことでございます。

緒方委員 概念上、必要というのと十分というのは全く違う概念でありまして、必要だというのは、必要なものを押し込んでいく。それはそうなんですけれども、その結果として十分なものかどうかということですが、不十分なものではないということでしたので、十分だということだと思います。

 必要十分なものだとすると、ここからが実は重要でありまして、今、アメリカでも大統領選が起こっています。そして、大体、通商協定をアメリカが国内で実施するときに、国内実施法をアメリカは上げてきます。その中によく入ってくるのが承認という手続、サーティフィケーションということですが。これは何かというと、アメリカの大統領は、こういう通商協定の批准書を交わすときに、相手の国が十分にその通商協定に合致した措置をとっているかどうかを判断した上で、それが判断できるのであれば批准、発効の手続を行っていいということが通例入ります。

 そして、その過程で、相手の国の国内法制が不十分なときに、相手の国の国内法制を、おたくの国内法制はまだまだ十分じゃない、合致していないというふうに指摘してくることが、実はこれは過去にも例が何度もございます。そして、それによって国内法の改正を迫られた国もございます。オーストラリアでは、発効の一週間前、もうちょっと短い期間のところで、著作権法の改正を追加的にすることを迫られています。

 私が今なぜ石原大臣に必要かつ十分かと聞いたのは、将来的にアメリカが国内の承認そして批准の手続をするときに、日本の国内法措置が不十分だ、だから、もう少しこの部分とこの部分とこの部分を改正しない限り発効させないぞというときに、それをまさか受けるということはないですよねと。今回上がってきた法律だけで、国内法だけで必要かつ十分だと先ほど言われました。ということは、これから、アメリカだけじゃないと思いますけれども、ほかの国がこのTPPの国内実施法について、日本が国内法も通し、条約も承認した後に何か言ってくるときに、まさか日本として何か追加的な国内法措置をとることは絶対ないですねということを聞いています、石原大臣。

石原国務大臣 結論から申しますと、委員が御指摘されましたとおり、アメリカにサーティフィケーション、認証ですか、そういうものがあるということは承知しておりますけれども、今回のTPP協定の三十章の五条、効力発生でございますが、「全ての原署名国がそれぞれの関係する国内法上の手続を完了した旨を書面により寄託者に通報した日の後六十日で効力を生ずる。」と記されております。

 これはどういうことかと申しますと、もう委員はおわかりのことだと思いますが、寄託国はニュージーランドでございます。ニュージーランド政府に通報して六十日でその効力が生じる。その場合、日本も含めて各国とも必要な関係法律を整備いたしますと、今回で申しますと、昨日閣議決定をし、国会に提出させていただいた協定並びに法律が国会を通って、私どもが日本国としてニュージーランドに通報すれば締結の手続が終了するということだと考えております。

 このため、関係法律の整備内容をアメリカが何か言ってきたとしても、協議するということは協定上想定されていない。ですから、委員の御懸念は当たらないものだと思っております。

緒方委員 協定上の問題では実はないんです。これはアメリカの国内法の問題でありまして、もう質疑時間が終わりましたのでこれで終わりますけれども、そうではなくて、アメリカの国内法上、大統領は批准書を寄託する際に、寄託することができる条件として、相手国が、この場合でいうと日本であり、その他の国全部だと思いますが、その他の国がこのTPP協定に全て合致した措置をとっていると判断するとき、そのようなときに大統領は批准書を寄託することができるということでありまして、条約上、全ての国が批准書を寄託すればその六十日以内とか、それのかなり手前のところのアメリカの国内の手続であります。

 ただ、質疑時間が終わりましたので、これは続きをやらせていただくということで、私は終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 そう名乗って質問するのもあとわずかかと思うと悲喜こもごもでありますけれども、本題に入ります。

 岩城大臣、予算委員会のやりとり、あるいは先ほどのやりとりを拝聴しておりまして、私は一つのことを思い出すんですね。

 ちょうど与党をさせていただいたときに沖縄密約問題というのがございまして、当時の財務大臣を務めておられました菅さんのもとでいっときお仕事をさせていただきましたが、結局、沖縄財政密約というものが存在したということを四十年の歳月を経て日本国政府として認めたんです。

 この財政密約の中身は本題じゃありませんのではしょりますけれども、要は、当時の自民党政権が一刻も早く沖縄を取り戻すために、あの左ハンドルを右ハンドルに戻すために、ドル通貨から円キャッシュに戻すために、何よりも、沖縄の子供たちが修学旅行へ行くときにパスポートが要るという時代から取り戻すための当時の政治の高度な判断だと私は理解したんですよ。

 したがって、当時の菅さんには、歴史の針を逆戻りさせて、あのときの自民党が間違っていたということだけはステートメントを出さないでくれと実は頼みました。時の外交の最高責任者である総理や外務大臣や大蔵大臣がぎりぎりの判断の中で、財政密約なるもの、円キャッシュする際に金利をつけないという密約だったんですね、それは本題じゃないんですけれども。私は、むしろ問題は、その密約は残念ながら大蔵省地下書庫には残っていませんでした。これは、アメリカのナショナルアーカイブに財務省職員を派遣させて探してきたら、実はアメリカの文書として出てきたんです。

 当時のやりとりですけれども、政治が判断し、役割を終えたものについては、たとえ最高機密であっても公開すべきであるという、かの国の判断というのは、やはり民主主義国家としての一日の長があるなというふうに思って感慨深いものがあったことを、今やりとりを聞いて思い出しました。

 法が施行されてから既に四百四十有余件の特定秘密対象文書を法律が指定されているというふうに承知していますけれども、今、各省の状況を見ますと、意外と、事業官庁というんでしょうか、例えば外交に関する事項でも、総務省や経産等々に対象文書があるんですよ。したがって、検査院にかかわる話、例えば、サブシディーズが何か出ているとか、ある特定の案件によって租特があるとか、事柄によっては検査院の検査対象になる可能性が全くないと言い切れるかどうかということが先ほど来のやりとりであり、かつてのココム違反じゃありませんけれども、やはりそういう場合は国民の知る権利に付すべきじゃないかという際に、私は、きょう一点だけ質問します。

 鍵を握るのは独立公文書管理監だと思いますよ。この管理監がどれだけ中立に、かつ国民の知る権利の立場に立って機能するかどうかだと思うんですけれども、既に管理監が特定秘密への指定に関して異議ありという事案は、この四百四十三件のうち一件でもありますか。

岩城国務大臣 指摘があった件数は三件だと承知しております。

古本委員 他方、この四百四十三件にぶら下がる文書というのは、何万件の法律、文書がかかわるというふうに仄聞いたしております。そうすると、管理監がどれだけ優秀な方でも、あるいは法曹経験者であったとしても、多分、法文のヘッダーといいますか、あるいは文書のヘッダーというものがないと検索するのが大変だというのも仄聞しております。

 ですから、きょうはまず要望にとどめておきますけれども、独立公文書管理監がきちっとワークできるようにぜひ担当大臣としても見ておいていただきたいんですけれども、それは約束してください。

岩城国務大臣 おただしのありました独立公文書管理監、この立場においてしっかりとチェックができるような体制をつくっていくために努力をしていきたいと考えます。

古本委員 大臣、どうぞ。もしあれでしたら、お休みいただいて結構です。

 それでは、続いて、きょうは敬愛申し上げます加藤大臣に来ていただいておりまして、やはり今や風前のともしびの消費税、当時、党派は違いますけれども志を一にして、苦楽をともにさせていただいたことを思い出さずにはおれない、いろいろな内外の事情になりつつあるように感じております。

 子ども・子育て分野に消費税の財源を充てるということは、あまねく国民全体の理解を得る上で大変崇高な理念であり、これまで政治が国民に御負担をお願いすることから逃げてきた、そこから逃げないぞという判断をしたという意味では、大変歴史に刻んだ社保・税一体改革だったと私は思っているんですね。

 まず、そのことに異論はないと思いますけれども、少し感想を聞かせていただけますか。

加藤国務大臣 当時、私どもは野党という立場でございましたけれども、民主党、自民党、公明党、三党において、消費税を増税するということ、そしてそれをどういう形で使っていくのか、要するに税と社会保障の一体改革をどう進めていくのか、そして、その中でも特に子育てに関してどう取り組んでいくのか、まさに議論をしながら三党合意ができたということを今もしっかりと思い出させていただいております。

古本委員 ありがとうございます。

 きょうぜひ議論をしたいテーマは、特別養子縁組の話なんです。

 与党の皆さん、御党の中でもその議論があるやに、超党派でこの広がりがあるやに理解をしておりますけれども、連日、親が子供を虐待する、我が子を親があやめる、もう聞くにたえないニュースがない日はありませんね。やはり、これは親自身の貧困であり、子供の貧困。この負の連鎖をどうやって断ち切るかというのが眼目です。

 特別養子縁組制度はなぜ日本で広がらないのか。それを広げるためにはどうすればいいか。そして、今、ゆえあって施設で過ごしておられる子供たちが約八割以上、家庭でもって育っている子供たちが二割、実親が育てられない場合のケースですね、ざっくり言うとそういった現状にあるというふうに理解しています。

 きょうは、各省、担当の厚労、文科に来ていただいていますので、まずは大問題だなと思っているところからいきたいと思うんですが、文科省、きょう、来てもらっていますね。文科、いいですね。まだ質問していません。

西村委員長 まだ座ってください。

古本委員 積極的な姿勢は評価しますよ。まだ何も聞いていません。

 学校給食なんです。

 加藤大臣、肌でそう感じていましたけれども、改めて数字をもらって驚いたんですけれども、学校給食が唯一の食事だという子供は、今、小学生六百五十万人中、何万人ですか。要するに、家で御飯を食べない子ですね。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 先生今お話しいただきました学校給食だけしか食べていないというお子さんの数でございますが、恐縮でございますが、それは今手元にございません。

 一方、朝御飯を食べているかという調査はしてございまして、これに対して、余り食べていない、全く食べていないというふうに答えた子供の数は、小学校につきましては四・四%、中学校につきましては六・六%というふうな数字になっているところでございます。

古本委員 朝御飯を抜いてきている子供ですね、今お答えいただいたのは。

 学校給食というのは学校給食法に基づいて実施をしているというわけなんですけれども、今、初等教育局長からいわゆる告示が出ていますね。この告示によれば、原則として毎週五回、授業の日のお昼御飯に実施と書いていますね。したがって、土日はない、夏休みもない。その間、毎朝朝御飯を抜いている子供たちは、夏休みになった途端に朝御飯は出ているんですか。出ないですよ。それは、教育現場の先生方も把握されていると思うんですよ。

 この学校給食法、目的は健康保持ですよ、こう書いてある。「健全な食生活を営むことができる判断力」と書いてある。「明るい社交性及び協同の精神」と書いてある。だって、集団で食事するんですから。給食係もやる。非常にとうといことなんです。

 朝御飯を抜いてきている子に朝御飯を出してあげたらどうですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 学校給食につきましては、学校給食法に基づきまして、適切な栄養の摂取による健康の保持増進や食育を通じた望ましい食習慣を養うことなどを目標として、主として昼食時において学校において提供されているものでございます。

 そして、これにつきましては、今先生が御指摘になりましたように、文部科学省の告示がございまして、その中で「学校給食は、年間を通じ、原則として毎週五回、授業日の昼食時に実施されるものとする。」というふうな規定になっておるわけでございます。

古本委員 文科省、もうちょっと真剣にやった方がいいですよ。僕はこれは大問題だと思って丁寧に通告していますからね。しかも、きょう、安倍内閣で子供の貧困、少子化を担当されている加藤大臣にお出ましいただいているんですから、いろいろ議論すればいいじゃないですか。

 六百五十万人のうち五%が食べていないとしたら、給食費というのは四千五百億円と聞いています、これは親御さんの負担ですね。ざっくり言えば、払えない親御さんがいることを前提とすると、四千五百億円の五%を出せば、夕食が出るじゃないですか。あるいは朝食を出そうと思ったら、もうちょっと出せば出るじゃないですか。財源は幾らですか。五パー掛ければいいですよ。約二百億から三百億。

 加藤さん、国費であと二百億から三百億出せば、朝御飯を毎日抜いてきている子が学校のランチルームで言うならば朝御飯が食べられる。言うならば、放課後保育、児童保育で遊んだ子が、「夕焼け小焼け」が流れたらそこの学校給食ルームに行けば、その仲間たちと一緒に学校夕飯が食べられる。

 今、子供食堂が大変注目されています。でも、多くの子供食堂は月に数回なんですね。毎晩やるわけではない。NPOの方々も大変です。

 そして、加藤さんがまとめておられる子供の貧困対策大綱、よく読ませていただきました。学校というプラットホームを軸にいろいろ考えようと書いてくださっています。まさにランチルームがあるんじゃないでしょうか。

 これは費用の問題なのか、給食を出してくださる補助員、調理員の皆さんの労働力の問題なのか。だったら、NPOの人に出てきてもらって手伝ってもらったっていいじゃないですか。

 五%もの小学生が朝御飯抜きで来ている、これを何とかしませんか、大臣。

加藤国務大臣 今御指摘ありました子供の貧困対策については、今お手持ちにあります子供の貧困対策に関する大綱を平成二十六年の八月に閣議決定させていただきました。その中に、教育支援、生活支援等々を総合的に推進していく、そして、学校での食事の提供については、この大綱における「教育の支援」の中で、子供の食事、栄養状態の確保を行うこととされており、厚生労働省、文科省において、現在の学校給食費の補助や学校給食の普及充実、そして食育推進を図っているところであります。

 今、文科省からも、学校がやっているときの昼食以外はなかなか難しいというお話がありました。他方で、学校で給食とは別に朝食を提供する事業を実施している自治体という例も決してないことはありませんし、また、毎日というわけではありませんけれども、一般は子供食堂は夕方が多いんですが、朝食を提供する子供食堂を運営している民間の団体の例もあります。

 特に、成長期にある児童にとって朝食をとることは、健康な心身を育むだけではなくて、生涯にわたって健全な生活習慣、生活リズムを確立していく上においても極めて重要でありまして、第二次食育推進基本計画では、朝食を欠食する子供の割合をゼロ%にするという目標も掲げているわけであります。

 しっかり、子供が朝食をとることを初め、健全な生活習慣が形成されるよう取り組んでいきたいというふうに思いますし、やはり基本は、それぞれの家庭において朝食をとれるような生活支援とか、そういった必要な施策を関係省庁と連携をとりながら対応していきたい、こういうふうに思っております。

 加えて、NPOの関係で、今申し上げた取り組みをされることに対する支援としては、今現在、官公民の連携プロジェクトである、子供の未来応援国民運動というのを展開しております。今、基金を集めているところではございますけれども、そういった基金も活用しながら、朝食あるいは子供食堂、こういった展開をしていくNPO等への支援といった仕組みも考えていきたい、こう思っております。

古本委員 きょうこの場で御英断というわけにはいかないでしょうけれども、今お話の中にあった、自治体によっては少し朝食を出すということを、それぞれの市教委で、あるいは市長の判断で、政治判断でやろうと思ったらできるという先例を言っていただいたと思うので、ぜひこれを広げていきたいなと思いますし、小学校に通学させてもらえていない、そこまでの貧困の子供もいますよね。そういう意味では、学校というのは、ある意味、子供たちが頼る一番のプラットホームではないんでしょうかね。

 私は、そのNPOの皆さんもとうとい活動、子供食堂をやっておられると思いますけれども、学校で朝御飯が出れば、学校で夕御飯も出れば、本当に、孤食、一人でお弁当を買ってきて食べている子だってたくさんいますよ、この子たちが友達と一緒に食べる。そこに、先生一人、どうせ先生も残業しているんですから、一緒に入ってもらえばいいじゃないですか。私は、これは強く提案しておきます。

 これは、各党のどうのこうのとかじゃないですね。日本の将来を左右する子供たちが、五%、実に三十二万人が朝御飯を食べていない。夕飯を食べていないというのを調査していないと言いましたよね。実はこの調査は学習調査でやっておられるんですけれども、夕飯もとっていない子も調べるように、大臣、指示してくれませんか。ぜひ調べるべきです。

加藤国務大臣 私が指示関係にあるかどうかというのはありますけれども、やはり子供の貧困の実態というのは、正直言ってなかなかわかりにくいところがあります。今回も、そうした別途予算を確保して、これは、国がというよりも市町村で把握していただかなきゃなりませんので、そうした貧困の実態をしっかり把握して適切な計画を立てていただく、こういう予算も確保しているところでございますので、引き続き、実態の把握ということもまずそのスタートでありますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。

古本委員 今、文科省、安倍さんに一番近い側近の加藤大臣が、実態を調べるべきと言っているんですから、現に持ち帰って、ちゃんと調べなきゃだめですよ。ぜひ、次回は夕食も調べてください。

 次に、厚労省、お待たせしました。

 先日、NPO法人の、茨城にありますBabyぽけっとさんにお邪魔してきました。代表の岡田さんという方が、もう本当に肝っ玉母さん的に東奔西走して、予期せぬ妊娠、希望しない妊娠をした方々の実質駆け込み寺になっています。そして他方で、多年不妊治療で御努力されて、もう心身ともに疲れ果てている方々がたどり着くのがそういった民間のあっせん施設であるということもつぶさに見てまいりました。

 現在、我が党では、田嶋要座長をリーダーに、この特別養子縁組制度をもっと広げられないかということを調査研究していまして、今国会でぜひ議員立法化したいなというふうに思っています。与党の方も同じような動きをされているようなので、いいものが合体できればいいなと思っているんです。

 そのときに、今、給食のやりとりを聞かれたらわかりますように、結局、自分が育てられない、そして出産の道を選択した方々がたどり着くのは、やはり児相であり、そして、赤ちゃんであれば乳児院であり、児童養護施設であるという、一連のプロセスですよね。

 冒頭、いわゆる養子縁組ができた人等々の比率も少しだけ、里親も含んで二対八ぐらい、あるいは一対九ぐらいという数字を紹介しましたけれども、育てられないというふうにお母さんが、実親が乳児院に預けた場合、そのまま乳児院から児童養護施設に行く可能性というのはどのくらいあるんですか。あるいは、そこで特別養子縁組が見つかって家庭で育つという道をその赤ちゃんが選べる、その可能性はどのくらいなんですか。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 何らかの事情で乳児院に入所された児童につきましてですが、二十五年度の統計によりますと、まず、乳児院への入所措置が解除されるケースというのがあります。それは、家庭に戻られる、あるいは、今お話がありました養子縁組といったようなケースでございます。全体、解除されるケース千七十四名のうち、家庭に戻れられる方が九百五十七名、そして養子縁組に行かれる方が五十二件ということになっております。

 そのほか、残り一千五十七件ほど、一旦入所されていますけれども、その措置を変更するといったケースがございまして、そこから退所されるということですけれども、その行く先といたしましては、里親が二百二十四、ファミリーホームが三十一、一方で児童養護施設が六百八十四ということで、割合で申し上げますと、施設の方が六五%、里親、ファミリーホームを合わせました割合でいいますと二四%といったような状況でございます。

古本委員 大多数が施設にということになるんですけれども、私は、施設の皆さんも大変御努力をなさっていると思いますよ。思っていますけれども、厚労省の児童家庭局長名で各都道府県知事、児相設置市市長に対して出ています里親委託ガイドライン、この中の二番で明快に高らかにうたっておられますね、里親委託優先の原則。つまり、全て子供は家族で、家庭で育つ権利がある。子どもの権利条約にも書いていますよ。全て子供は施設で育つ権利があると書いていない。家庭で育ちたいんです。

 施設の各論の細かな話にきょうは入りませんけれども、フライパンを振る姿を見せることもしなきゃいけないぐらい、御飯というのはぼこっと出てくるものだと思っちゃう話も聞いたら、胸が詰まりますよ。そして、集団でお風呂に入る。保育士の皆さんが服を着てお風呂に入れるので、大人の裸を見たら泣き出すと聞いて、涙が出ますよ。だって、施設は親が裸でお風呂に入れることがないからですよ。施設型から家庭型にどうやって変えるかなんです。

 私、鍵を握っているのは、乳児院が、入っておられたときにもっともっと実親と向き合って、児相は特別養子縁組制度があるということを働きかけるべきじゃないですか。なぜやらないんですか。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話がありましたように、いわゆる社会的養護を必要とされる児童につきましては、まずもって家庭に近い環境での養育が重要だということで、里親委託優先の原則、これをきちんと定めているところでございます。

 また、乳児院から、今申し上げました措置変更する場合にありましても、できるだけ早い時期に家庭的な環境で養育されることが不可欠ということで、里親への措置変更よりも今は児童養護施設への措置変更が多いわけですけれども、原則として里親委託への措置変更を検討するといったようなことを明記いたしまして、そのような方向で実施できるようにといったことには努めているところでございます。

 あわせまして、里親委託あるいは養子縁組につきましては、現在も児童相談所が県で一つの業務として実際に行っているところでございますけれども、まだまだ不十分だということがございますので、今般検討しております児童福祉法の見直しにおきましては、そのあたりを都道府県、児童相談所の業務としてきちんと位置づけまして、より強力に進められるようにということを検討しているところでございます。

古本委員 きょうは法務省にも来てもらっていますね。

 民法八百十七条の二、特別養子縁組制度が規定されていますけれども、これは、世界的に見れば、世界の常識は特別養子縁組であって、日本的普通縁組というのはむしろ余りないというのを、諸外国の事例も含めて今ワーキングで勉強しているんです。

 この規定がある中で、いわゆる監護期間という問題がありますね。六カ月間の監護の期間を経なければ、養子縁組が家裁の方で認めていただけない。八百十七条の八であります。特別養子縁組を成立させるためには、養親となる者が養子となる者の六カ月以上の監護をした状況を考慮、つまり六カ月間の期間があるんですね。

 この六カ月の期間という問題と、乳児院で、実親が、私はもう育てられないという判断で悩んでおられる親御さんがいて、そして思い切って、もう誰かに託そうという判断をするときと、この判断をしてから六カ月間実際に監護したという時間があるんですけれども、きょう、一つ法務省に確認しておきたかったのが、今、与党のワーキングで、実は、これは実親の許可が要りますね、実親の承諾、特別養子縁組に出すという実親の承諾が要るわけなんです。その承諾を、新たに三カ月間承諾できない期間を設けようという動きが研究をされているというのが情報として入ってきているんです。そうすると、これは、民法の六カ月の話とは、その三カ月というのはまだ実態をよく御存じないと思いますけれども、かぶってくるんじゃないのかなと思うんですね。

 つまり、三カ月間の承諾期間を別途設ける必要はなくて、なぜなら六カ月間の監護期間があり、その間に実親が心が揺れ、やはり私が育てると言った場合は、特別養子縁組は話が流れるんです。この六カ月という期間がある限り、実は、新たに三カ月間を設けてしまうと、まだ与党で出ていませんので、議員立法の話ですからあれですけれども、結局、預けたときに、乳児院でさらに三カ月間、宙ぶらりんの期間がふえるだけだと私は思うんですよ。

 まず、法律的には何か感想があれば。

金子政府参考人 お答えいたします。

 現行法を前提に御説明申し上げます。

 まず、実際の養親の候補者にお子さんを預けて、六カ月間その様子を見るんですけれども、民法上は、それをするために同意が必要というふうにはしていませんので。同意がなくても、養親となるべき者に監護期間を六カ月確保するために預けることは、同意は要らないということになります。

 他方、同意は、養子縁組が最終的に裁判の形で形成されますけれども、それまでの間は同意は撤回できるという仕組みになっているということでございます。

古本委員 それは大事なところなので、確認ですよ。つまり、六カ月間の監護期間に入るに当たり、養子縁組を組むよという同意なしにも監護期間としてカウントできるんですね。(金子政府参考人「そう」と呼ぶ)ということは、事ほどさように、三カ月間の不同意期間なるものを新たに設ける意味は法的に余りないということですよね。

金子政府参考人 その不同意期間というものの趣旨が、私はいま一つよく把握できていないのですけれども、不同意であっても監護の六カ月間を確保することができますので、その意味では、先生の御指摘のとおりかというふうにお伺いしました。

古本委員 厚労省、これは議法といえども関係省庁に与党の先生方も根回しするでしょうから、今、物すごい重要なポイントなんですよ。

 実は、現場で、日々、もう駆け込み寺的に、予期せぬ妊娠をしたお母さん方が、例えばBabyぽけっとさんの岡田代表のところに駆け込むわけですよ。駆け込んでくるお母さん方は、そこから新たに新生児が三カ月間の実親同意をとってはいけないという条項が与党側から仮に出てきたら、実は、その三カ月間というのは、また待機が始まるんですよ、産んだ後に。この三カ月というのはぜひやめてもらいたいと現場の最前線の声で出ていますので。

 法的には、実は監護期間の六カ月間を経たら裁判所も判断できる、しかも、それはお母さんの気持ちが変わればその話をほごにできるという期間だという法的な裏づけも今確認をとれましたので、いよいよそこは注意しておいていただきたいので、どうぞ、注意しますと、今答えてください。

吉本政府参考人 ただいまの先生のお話は承りました。

 私どもとしても、実親の意向の確認方法、タイミングというのは非常に重要なところだというふうに思っております。

 関連で一言だけ申し上げさせていただきますと、私どもも、先ほどの里親委託ガイドラインのところで、望まない妊娠で保護者が養育できないといった意向が明確な場合については、妊娠中からの相談それから出産直後の相談に応じて、特別養子縁組を前提とした委託の方法が有効だというようなことも示しているところでございます。

古本委員 実は、実際に特別養子縁組をなさった親御さん、実子として戸籍に入って、今、大変幸せに過ごしておられる方にもお会いしまして話を聞きましたら、結局、児相にも相談に行ったんですって。そうしたら、児相からは、乳児院に一旦入ってしまった子供というのはなかなか養子縁組できない。それはなぜかといったら、実親がそれで行方不明になるケースもある。家裁の審判ということになったら、そんなところに出てくるのは嫌だといって、調わないというふうになっちゃう。

 だから、私は、赤ちゃんがおなかにある段階で、そういう道があるんだという情報を差し上げて、お母さん自身が、万やむを得ませんよ、自分のおなかを痛める子なんですから、やむを得ずですけれども、この子を育ててくれる親がいるのなら託したいというのを、社会全体できちっと仕組みをつくっていく。今もあるんですけれども、余りにも民間のそういったBabyぽけっとさんやいろいろなところに甘え過ぎですよ。ぜひ児相もそういう問題意識を持ってやってほしいなということを言うんですけれども。

 きょうは、同時に、どうしても確認しておきたいことに、母体保護法のこともお尋ねするわけなんです。

 母体保護法の第十四条には中絶のことが書いてありますね。中絶なさるには二つの要件のうち一つに当たらなきゃならない。一つは、妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれがあるものの場合、指定医が判断でできる。もう一つが、暴行もしくは脅迫によって抵抗できなかった状態で妊娠した場合。この場合だけ認められる。こういうことでありますが、年間で何件ぐらい中絶はあるんですか。なぜならば、同第二十五条で、理由を付して都道府県知事に指定医は報告義務がありますよ。いかがですか。

吉本政府参考人 人工妊娠中絶の件数でございますが、平成二十六年度の総数といたしましては、十八万一千九百五件でございます。

古本委員 続いて、理由は。一番目、二番目の理由のうち、どちらの方が多いんですか。

吉本政府参考人 一つ目の母体の健康上によるところのものが十八万一千六百九十一、暴行、脅迫等によるものが二百十四といった状況でございます。

古本委員 つまり、お母さんが希望しない妊娠をした場合に、身体的または経済的理由により妊娠、分娩ができないという場合に認められる、そちらの方が大半ですね。

 この民間団体のブローシャーには、「産んで下さい大切な命。輝く未来の宝物。」と書いてあるんですね。

 それで、実は、若いお母さんにもお会いしたんです。母子寮を併設されていましてね。物すごく迷ったけれども、赤ちゃんがおなかを蹴ってくるので、この子が産んでほしいと言っているんじゃないかと思って産むことを決心し、特別養子縁組で養親をBabyぽけっとの岡田代表さんが探してくださるということで、今待っているという話を聞きました。

 私、勉強して驚いたんですけれども、産婦人科医会が出しておられるこの指定医師必携の、日本産婦人科医会、公益法人の中絶同意書のひな形が載っているんです、大臣。これは、配付資料にしていなくて恐縮でした。母体保護法十四条により、人工妊娠中絶を受けることを同意します、名前と住所だけです。ほかは何にも書いていないです。

 ここに、厚労省、特別養子縁組という道がありますよ、一呼吸置きませんかという情報提供あるいは紹介をするということが何とかできないんですか。余りに無味乾燥ですよ。

吉本政府参考人 ただいまお話のございました指定医師必携でございますけれども、これは、日本産婦人科医会が策定している同意書のひな形だというふうに承知をしております。

 母体保護法第十四条で規定されているところは、中絶の実施に当たっては、本人及び配偶者の同意を得るといったことを確認するための書面として、産婦人科医会の方でつくられているというような状況でございます。

 確かに、私どもといたしましても、望まない妊娠をされた方に、特別養子縁組といった手段があるということをお知らせすべきだというふうに考えておりまして、もちろん、何らかの形で児童相談所等へのお話があれば、そちらからいたしますし、今度、妊娠期からずっと子育てを包括的に支援する子育て世代包括支援センターというものを全国展開していこうというようなことにもしておりますので、そういったところを仲介にいたしまして、医療機関にもそうした情報提供をしていただけるようなことをお願いしていくことができるのではないかというふうに考えております。

古本委員 今、審議官がおっしゃったのは、和光市の事例なんかはそうですよね。子育て世代包括支援センターに、医療機関、保健所、児相、子育て支援機関、民間機関などなどから情報を集めて、保健師やソーシャルワーカーさん、助産師さんなんかが総合相談ワンストップサービスみたいな、大変いいことだと思うんです。

 ただ、大臣、今のやりとりの中で、僕は女性じゃないので気持ちはわかりませんが、本当に予期せぬ妊娠をしたとはいえ、相手がいて、もしかしたら一緒に育てようと言ってくれるかもしれないとか、本当に相手もわからないような妊娠もあるかもしれませんね。いろいろなケースがあるので、これはステレオタイプには言えませんけれども、やはり、女性が最後に相談に行くというか駆け込むところは産婦人科ですよ。だって、妊娠しているかどうかの検査も含めて、産婦人科の先生ですよ。

 そこの先生が、この同意をとるときに、ただ一言、特別養子縁組というのがあるよ、あるらしいよ、一度考えてみたらどうかの一言がなぜ言えないんですか。言っている先生もいますよ。でも、これをレギュレーションでやっていこうよということをやったっていいじゃないですか、大臣。

 これは十八万人ですよ。子供たちの命を守れたかもしれない。十八万人。二百数十件というのは余りにむごたらしいお気の毒なケースなので、そこはそんなことは言っていません。圧倒的大多数は、経済的理由や、パートナーが突然直前になって、育てられないと言ってみたり俺の子じゃないと言ってみたり、いろいろなケースがあると思いますよ。

 あるんだけれども、もし社会全体が育んでくれるのなら私はこの子の命を世の中に産んで育ててあげたいと思っている実親に、ただ一言、特別養子縁組制度があるんだというインフォメーションを出すというのは僕は大事なことだと思うんですけれども、いかがですか。

加藤国務大臣 今御議論を聞かせていただきまして、望まない妊娠というお話をされていました。

 その中にはまさにいろいろな事情があるので、一概にこうだというやり方がいいかどうかというのは確かにあると思います。しかし他方で、やはりそうした状況におられる方に対して、どういう選択肢があるということに対してそうした情報が提供され、相談、場合によっては支援をしていくという体制は当然必要だというふうに思っております。

 先ほど厚労省からお話がありました子育て世代包括支援センターというのは、まさにそういう趣旨も踏まえたものだと思います。当然、その中にはお医者さんという立場の方の参画もあるんだと思っておりまして、今委員がおっしゃっておられるように、やはり大事なことは、その方の状況に応じてしっかりとした支援の手が差し伸べられる、こういう状況をつくっていくことだというふうに思っておりますので、そういった方向に向けてさらに必要な検討、対応を考えていきたいと思います。

古本委員 ちょっと時間が来ちゃったんですけれども、大臣、実は、その親御さんたち、産んだお母さんたちは、例えば学生さんだった場合、妊娠の事実がわかると、高校生なんかは退学させられるという話も聞きました。

 あるいは、これから大学へ行って勉強したかったんだけれども、たまたまボーイフレンドとの間に赤ちゃんがそういうことでできた、だけれども、ここで産んだら大学に行けないと。なぜなら、大学に託児所なんかそうめったにないからですよ、それで社会から応援してもらえないからですよ。もっともっと世界のスタンダードを考えたら、ママさん女学生がいたっていいじゃないですか。じいじとばあばが育ててくれる人ばかりじゃないですよ。女学生がたった一人で赤ちゃんを育てながら大学へ通うって、いかしているじゃないですか。そういう社会って多様な社会じゃないですか。

 私、このケースはある意味ポジティブなケースですけれども、他方で、また次回に、厚労省に譲りますけれども、そのBabyぽけっとの岡田さんのところに駆け込むお母さんに一つの特徴がありまして……

西村委員長 古本君、時間が来ていますので簡潔にお願いします。

古本委員 お箸一つ持てないというのがあるそうですよ。つまり、親の教育、そのお母さん自身の、そこから入り込まないといけない危機的な日本の状況だと思っているので、負の連鎖をぜひ断ち切るように、また大臣の御指導を仰ぎたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

西村委員長 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 柿沢未途でございます。

 二月二十九日の衆議院予算委員会で我が党の江田憲司議員より、普天間基地の移設問題について、総理秘書官を経験した、そのときの経験についても語りながら、総理、官房長官に御質問をさせていただきました。

 そのときに、今まさに訴訟になっている、その提示された和解案の受け入れについても言及をしていたと思います。そのときには御答弁でおくびにも出さなかったわけでありますけれども、そのわずか四日後、三月四日に、沖縄県との急転直下の和解に踏み切られたわけであります。

 この和解合意に、本当に急転直下だったと思いますけれども、私自身も報道を見てほうと非常に驚きましたけれども、こうした形で踏み切ったことについて、まずその理由についてお聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 私もあの予算委員会に同席しておりまして、江田委員の質問について、当時、橋本総理の秘書官として大変活躍をされた、そうした経験の中で言われたんだろうなということを思いながら聞かせていただいておりました。

 まず、現状をちょっと御理解いただきたい。

 政府とすれば、安全保障が厳しい中にあって、抑止力の維持と、普天間飛行場の危険除去、固定化を避けるために唯一の解決策が辺野古移設である、こういうことに変わりはありません。そういう中で、二十五年の末に当時の仲井真知事から埋立承認の許可を受けて、そのことに法的瑕疵はない、そういう思いで今取り組んでいたところでありました。

 そういう中で、このままいきますと国と沖縄県が訴訟合戦を延々と続けるのではないかな、そういう中で裁判所から和解勧告という新たな状況が生まれました。総理も、もう既に工事が始まっています、この和解案の中で、一旦工事を中断しなきゃならない、そういう部分もあります、そういう中でまさに熟慮した結果、国と沖縄県の将来のためにこの和解案を受け入れることを実は決定したということであります。

柿沢委員 この和解ですけれども、合意の調印をするわけですね。

 ちなみに、調印というのは今週中にも行われるというのが当初の報道でありましたけれども、いつ行われることになっているのか、もしわかったら教えてください。

菅国務大臣 裁判所で沖縄県側の弁護士と国側、政府の訟務局長が会いまして、その時点で、裁判官立ち会いのもとに和解が成立したというふうに受け取ります。ですから、特別、署名するとかそういうことはないということです。

柿沢委員 はい、わかりました。

 一月二十九日に裁判所が示した和解案、これが政府にとって予想外に厳しいものだったということが背景にあったのではないかというふうにも報じられています。

 この和解案を裁判所が示した際に、一九九九年の地方自治法改正で国と地方公共団体が対等、協力の関係になる、これが期待されていたにもかかわらず、現状は改正の精神に反する状況だ、こういう指摘を受けて、しかも、今後も訴訟合戦が続けば国が敗訴するリスクが高い、こういうことを裁判所に指摘されているわけですね。国が勝ち続ける保証はありませんよ、こういうことが言われているわけです。

 要するに、このまま突っ込めば敗訴のリスクがあったからこの際和解せざるを得ない、こういう状況に追い込まれたのではありませんか。

菅国務大臣 そうしたことは全く考えませんでした。

 それは、先ほども申し上げましたけれども、二十五年末に仲井真前知事が埋立承認をした、そうした中で行政判断を既に下されている、そしてそれについて法的瑕疵はない、そういう思いでありました。

 ただ、そういう中で裁判所からの勧告、和解案を受けたわけでありますので、そういう意味で、熟慮に熟慮を重ねた結果、総理としては、沖縄県との間の中で今回の和解案に基づいてもう一度仕切り直しをさせていただこうと。

 ただ、和解案の中にもありますけれども、まさに辺野古移設は政府としては唯一の解決策、そのことについては変わらないということを、この和解が成立した後に総理も申し上げております。

柿沢委員 私は、国家の安全保障にかかわる問題について、一自治体の意思でそれが左右されるという状況は本当は好ましくないと思います、国家の安全保障にかかわる話ですから。

 しかしながら、この辺野古移設の合意というのは、ここまで、政府とアメリカと沖縄と、そういう意味では本当に対話を重ねて、いわばガラス細工のようにつくり上げられてきた、こういうものだというふうに思います。

 私は江田さんじゃないですけれども、よく江田さんが言いますけれども、名護市長があのときに、辺野古移設を受け入れた総理官邸で言った言葉が残っていますけれども、当時は橋本総理、総理が普天間の苦しみを心より受け入れてくれたことに応えたい、そのかわり、私は腹を切る、介錯は妻、遺言状は北部山原の限りない発展だ、こういうふうに辺野古移設の受け入れを表明し、そこで市長の辞任を表明されたわけであります。

 ここまでやってくれた、沖縄の気持ちをわかってくれた、こういう積み重ねがあってこそこうした決断に至った、これがまさに普天間基地の問題の歴史なわけです。

 そういう意味でいうと、これから協議をされるということですけれども、この協議についても、このように沖縄の側が理解をし、そして今申し上げたような気持ちに至る、こういう姿勢を政府として持たなければいけないと思いますが、今後の対話のあり方についてお伺いをいたします。

菅国務大臣 国の基本的な気持ちというのは、今御指摘をいただいたそうした考え方と全く同じであります。

 と同時に、橋本元総理とモンデール米国大使が普天間の危険除去、固定化を避けるという形で合意をされてからもう二十年です。その間にさまざまな、政府の皆さんあるいは地元の皆さんがまさに積み重ねて積み重ねてきた結果が辺野古移設、今お話がありましたけれども、そうしたものでありました。

 しかし、その合意も、県知事と地元の市長の合意をいただいて閣議決定をした後も遅々として進まない状況でもありました。そして、政権交代の際に、まさに最低でも県外という話もありました。そういう中で、私ども、政権を奪還させていただいて、やはり普天間移設に全力で取り組んできました。

 そういう中で、今回、裁判所の和解案を受け入れて、お互いに訴訟合戦をすることなく、和解条項に基づいてこの問題を進めていこうということを、私どもも一旦工事を中断するという決断をさせていただいて、これを受け入れたということであります。

柿沢委員 橋本龍太郎総理の時代と国の基本的な考え方は同じだ、対話の姿勢は同じなんだ、こういうお話をされました。そして、政権奪還後、この問題に全力で取り組んできたということなんですけれども、当初は対話の門戸も閉ざしていたやに記憶をしておりますし、どちらかというと、政府はむしろ全力で強行突破に取り組んできた、こういうことだったのではないかというふうにすら思えます。

 ましてや、今度協議に入るということであるわけですけれども、しかし、和解を表明されてからわずか三日後に、しかも協議そのものが始まらないうちに、国土交通大臣によって沖縄県知事に対する是正指示が発出をされているわけであります。これはもちろん和解案に入っている中身ですよ。しかし、これから協議しようというときに、いわば不意打ちでこの是正指示を出した形になってしまっている。

 現に、翁長知事はこれによって態度を硬化させていて、誠意を持って協議したいと安倍総理は言ったはずなのに、入り口でこんなやり方をされて大変残念だということをおっしゃっています。また、県議会の答弁で、改めての訴訟で敗訴した場合でもやりようは幾らでもあるんだということで、全力で阻止するかのようなことを言っている。

 結果的に、和解して協議しようというのに、のっけから横っ面を張り倒してしまって、非難の応酬に逆戻りをしている、こういう状況になってしまっているんではないかと思います。ましてや、辺野古が唯一の選択肢であるということを殊さら安倍総理も、また官房長官も強調されているわけであります。

 こんなタイミングで、なぜ、是正指示を協議前に出す、こういう決定をされたのか、政府の真意を伺いたいと思います。

菅国務大臣 これはぜひ委員にも御理解をいただきたいんですけれども、和解条項をごらんになっていただいたと思います。和解条項は、大きく分けて三つなんです。

 一つは、現在行われている国と県の訴訟合戦について、三つの訴訟を一旦白紙に戻して、翁長知事による埋立承認の取り消しの是非を争う一つにすること、そのための手続が定められております。

 具体的には、国土交通大臣は沖縄県知事に対して埋立承認取り消しに対する是正の指示を行い、こう書かれていますから、知事はこれに不服があれば国地方係争委員会に審査の申し出を行って、委員会の判断が出た場合には、所定の手続を経た上で、最終的には沖縄県知事が国土交通大臣に対し是正の指示の取り消し訴訟を提起する、こういうふうにされています。

 これらの日程を迅速にするために、和解条項には、審査の申し出や訴訟の提起まで定められた期間を三十日以内から一週間にしなさい、また、国土交通大臣と沖縄県知事は、委員会及び裁判所が迅速な審査や判断をされるよう全面協力すべきであるということも書かれています。

 さらにその上で、是正の指示の取り消し訴訟の判決が確定するまで、普天間飛行場の返還及び埋立事業の解決に向けた協議を並行して行う、このようにも書かれています。

 そして、第三番目としては、司法で判断が示された場合は、国も沖縄県も判決に従い、お互いに誠実に対応する、そういう和解条項が裁判所から私どもに示されたものでありますから、それに基づいて今行っているところであります。

 お互いの話し合いが終わってからじゃなくて、このことを並行して進めていく、そういうふうに和解条項の中で示されて、国もそのまま和解条項に従って判断をさせていただいたということでありますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。

柿沢委員 いやいや、裁判所の和解条項に沖縄県も全面協力しろと書いてあるから、いきなりある種、こういうことは合意のもとでプロセスを進めていくことが大事だと私は思うんですよ。その上で進めていくことについて、沖縄県としても異論を差し挟むことは和解した以上はできないはずでありますから。

 そうであるにもかかわらず、こんな相手の態度の硬化を招くような、そうした状況を生み出したことについて、何ら問題はないということなんですか。これは、今後まさに先ほどおっしゃったような姿勢で対話と協議を重ねようということからすれば、出だしから大変つまずいていると言わざるを得ないと私は思いますけれども、いかがですか。

菅国務大臣 今申し上げましたけれども、いわゆる裁判所が提示した沖縄県と合意した和解条項は、国と沖縄県が、是正の指示から始まる、そして翁長知事による埋立承認の取り消しの是非を争う訴訟に向けた手続をまず進めるとともに、その訴訟の判決ができるまでの間にこの埋立事業の解決に向けた協議を行う、この両者を同時並行に行うということが和解案でしっかりとうたわれているんです。それに基づいて、沖縄県も和解に応じたというふうに思っております。

 あくまでも和解条項に定められた手続を行っておるもので、沖縄県も合意の上でありますから、その意味では、今回の是正の指示は沖縄県との対話の窓を閉ざすものではない、こういうふうに考えます。

柿沢委員 これは両当事者がある問題ですから、私は、率直に申し上げて、出だしのあり方としては大変残念な状況に早くもなっているのではないかと言わざるを得ないと思います。

 島尻大臣にもお見えをいただいていますので、こうやってやってはいるわけですけれども、協議は、結局は辺野古が唯一の選択肢だということになっていて、なおかつ是正指示を速やかに出して、どっちかというと沖縄側の反発も招いている、こういう状況になっているわけです。

 私は、これを見ていると、七月に参議院選挙があります、島尻大臣も選挙の洗礼を受けるわけですけれども、この選挙までの間、はっきり言えば、沖縄が静かになってくれればいい、こういう時間稼ぎにこの和解を利用しているというふうに見られても仕方がないのではないか、こういうふうに感じられます。

 島尻大臣御自身は、こういう辺野古移設の反対論に対しては、これは責任のない市民運動だ、私たちは政治として対峙するというふうに、かなり厳しい口調で切って捨てた経過があります。

 しかし、一転、協議を進めていこう、こういうことになりました。対話を進めていこうというスタンスになるとすれば、さっき言ったような、政治として真っ向から対峙する、こういう姿勢は変化をされるということでいいのかどうか、ぜひお伺いをさせてください。

西村委員長 島尻大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお答えください。

島尻国務大臣 私も、国会に出していただきまして、この基地問題等をつぶさに見てまいりました。中には、政権の交代もあって、進み方にいろいろなものがあったということは認識をしておりまして、ただ、それを全部含めた上で、今回の和解協議、県と国が和解に向けた協議をするというのは、私は、問題解決に向けて大変いい進み方だというふうに思っております。

 私は、専ら沖縄振興を担当する大臣としては、沖縄の明るい、本当の意味で県民に喜んでいただける、こういう沖縄振興に尽力していきたいというふうに思っているところでございます。

柿沢委員 これで政府の姿勢の変化というのを感じることができるのかなと、いささか首をかしげたくなります。

 岩城大臣にも御通告をさせていただいて、緒方委員の続きをするつもりだったんですけれども、残念ながらちょっと時間が足りなくなってしまいました。大変失礼いたしました。

 終わります。ありがとうございました。

西村委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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