第5号 平成28年3月11日(金曜日)
平成二十八年三月十一日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 西村 康稔君
理事 亀岡 偉民君 理事 平 将明君
理事 武井 俊輔君 理事 中根 一幸君
理事 平井たくや君 理事 緒方林太郎君
理事 柿沢 未途君 理事 佐藤 茂樹君
青山 周平君 穴見 陽一君
石川 昭政君 石崎 徹君
岩田 和親君 大隈 和英君
岡下 昌平君 神谷 昇君
木内 均君 木村 弥生君
北村 茂男君 助田 重義君
武部 新君 中村 裕之君
中山 展宏君 長尾 敬君
ふくだ峰之君 牧島かれん君
松本 洋平君 宮崎 政久君
山田 賢司君 若狭 勝君
阿部 知子君 大串 博志君
岸本 周平君 小宮山泰子君
高井 崇志君 玉木雄一郎君
古本伸一郎君 江田 康幸君
濱村 進君 池内さおり君
島津 幸広君 河野 正美君
鈴木 義弘君
…………………………………
国務大臣 岩城 光英君
国務大臣
(内閣官房長官)
(沖縄基地負担軽減担当) 菅 義偉君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(行政改革担当)
(国家公務員制度担当)
(消費者及び食品安全担当)
(規制改革担当) 河野 太郎君
国務大臣
(海洋政策・領土問題担当)
(クールジャパン戦略担当) 島尻安伊子君
国務大臣
(経済再生担当)
(社会保障・税一体改革担当)
(経済財政政策担当) 石原 伸晃君
国務大臣
(一億総活躍担当)
(女性活躍担当)
(再チャレンジ担当)
(少子化対策担当)
(男女共同参画担当) 加藤 勝信君
法務副大臣 盛山 正仁君
農林水産副大臣 伊東 良孝君
内閣府大臣政務官 牧島かれん君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 澁谷 和久君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 檜垣 重臣君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 田中 勝也君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 福井 仁史君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 武川 光夫君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 武川 恵子君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 種谷 良二君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 辻 裕教君
政府参考人
(法務省人権擁護局長) 岡村 和美君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 佐藤 速水君
政府参考人
(農林水産省生産局農産部長(政策統括官付)) 天羽 隆君
政府参考人
(農林水産省生産局畜産部長) 大野 高志君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 多田 明弘君
内閣委員会専門員 室井 純子君
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委員の異動
三月十日
辞任 補欠選任
大串 博志君 泉 健太君
同日
辞任 補欠選任
泉 健太君 大串 博志君
同月十一日
辞任 補欠選任
池田 佳隆君 穴見 陽一君
高木 宏壽君 石川 昭政君
後藤 祐一君 玉木雄一郎君
同日
辞任 補欠選任
穴見 陽一君 助田 重義君
石川 昭政君 木村 弥生君
玉木雄一郎君 後藤 祐一君
同日
辞任 補欠選任
木村 弥生君 中村 裕之君
助田 重義君 山田 賢司君
同日
辞任 補欠選任
中村 裕之君 高木 宏壽君
山田 賢司君 池田 佳隆君
―――――――――――――
三月十一日
国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律案(第百八十九回国会衆法第二四号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○西村委員長 これより会議を開きます。
議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。
本日で東日本大震災から五年を迎えます。
改めてお亡くなりになられた方々を悼み、深く哀悼の意を表しますとともに、被災地の一日も早い復旧復興を祈念いたします。
これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。
全員の御起立をお願いいたします。――黙祷。
〔総員起立、黙祷〕
○西村委員長 黙祷を終わります。御着席願います。
――――◇―――――
○西村委員長 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官澁谷和久君、内閣官房内閣参事官檜垣重臣君、内閣官房内閣審議官田中勝也君、内閣府大臣官房審議官福井仁史君、内閣府政策統括官武川光夫君、内閣府男女共同参画局長武川恵子君、警察庁生活安全局長種谷良二君、法務省大臣官房審議官辻裕教君、法務省人権擁護局長岡村和美君、農林水産省大臣官房総括審議官佐藤速水君、農林水産省生産局農産部長(政策統括官付)天羽隆君、農林水産省生産局畜産部長大野高志君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○西村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。
○阿部委員 民主党の阿部知子です。
冒頭の、東日本大震災でお亡くなりになられた方々への御慰霊に加えて、私ども国政を預かる者がその教訓を深く生かして取り組んでいくことをお誓い申し上げて、私の質問の一問目に入りたいと思います。
まず、きょうは、各大臣の所信を伺うということで、六つの大きな区分けを用意してございます。頑張ってやっていきますが、もしも最後まで行かなかったら申しわけありません。お許しください。
まず、一問目でございます。
現在経済産業委員会にかかっております、再処理等に関する拠出金をめぐる法案並びにその対応に関しましてお伺いをいたします。
三・一一はあわせて原子力発電所の事故をもたらしたものですが、同時に、原発というのは必ず始めがあれば終わりがございまして、使用済み燃料をどうしていくかということで、我が国では再処理という方針を専らといたしております。
そして、今回、電力の自由化等に伴いまして、必ずしもこれまでのような積み立てていく方式では賄い切れない部分が出るやもしれないという懸念もこれあり、拠出金方式にかえていくという法案が提出されております。
しかし、私がこの法案を拝見いたしますと、そもそも再処理を継続すべきかどうかという基本的な議論がなく、また、日本は現在約四十八トンのプルトニウムを持っておりまして、これも世界的には問題が指摘されておる。さらに、この制度設計にあって拠出金を一体どの程度と見積もっていくのかなどについても、この制度設計の中には、MOX燃料となってプルトニウムとウランを合わせてまた燃やす場合に、一体再処理に幾らかかるか等々の試算がございません。
基本方針が確定されているのか、余剰プルトニウムと言われる問題が生じないか、そして拠出金の額の算定など、いずれをとっても、法律的に見ても極めて精度を欠くものと私は思っております。
さて、この制度の中で新設される認可法人は、皆さんのお手元にも資料でございますが、五十八条、業務困難な場合の措置という中に、拠出金によって必要な費用が賄えない場合も含まれるというふうに説明されておりまして、これでは、拠出金でうまくいかなくなったらこの認可法人は解散ということが最初から織り込まれておりますが、そういう理解でよろしいのか、担当に伺います。
○多田政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘の再処理拠出金法案でございますけれども、先生の方から御説明いただきましたけれども、私どもの法案の目的でございますが、電力の小売全面自由化が来月の一日から始まります、こうした新しい環境のもとでも使用済み燃料の再処理、この再処理と申しますのは、ウラン、プルトニウム、もう一度使える資源を取り出してそれを軽水炉で使おう、こういうものでございますが、これが滞りなく実施できますように必要な体制を整えることを目的としているものでございます。
したがいまして、今御指摘いただきました五十八条でございますが、この五十八条の規定が適用されることがないように、制度を適切に運用していくことがまず何より大切かと思っております。
その上で、この五十八条にございますように、経済事情の著しい変動、天災その他の事由によって業務の全部またはその大部分を行うことができなくなった場合でございますけれども、仮にそのような場合であっても、直ちにこの五十八条を適用するということではなくて、まずはその要因を分析した上で、可能な限りほかの方策で事態の改善を図っていくべきものと思っております。例えば、今回の法案の中で盛り込ませていただいておりますけれども、短期的な資金不足であれば新法人が借り入れを行うとか、さまざま、別の方策がまずあってしかるべきかと思っております。
こうした方策を講じてもなお事態の改善が図られない場合にこの五十八条の規定が適用されるものと考えられておりまして、その場合、結果的に、ここで引用していただいておりますように、規制委員会の方に提出させていただきましたように、賄えない場合も含まれ得るということでございます。
○阿部委員 御答弁でお伺いしたかった部分は、拠出金が賄い切れない場合も含まれ得るという部分でございまして、私は、これは極めて重要な制度的な問題点を持っていると思います。
引き続いて河野大臣にお願いしたいと思いますが、資料の二枚目をお開きいただきますと、これは、日本原燃のいわゆる財務諸表を私が取り寄せたものでございます。
日本原燃はもともと再処理事業を中心に行っておりまして、売り上げのところを見ていただきますと、約二千五百七十四億が再処理事業として計上されておりますが、現状、御承知のように、再処理は行われておりません。
さて、再処理事業による売り上げとは何なのかということを調べるために、次のページの資料を見ていただきますと、製造原価明細書というのを入手いたしました。ここには製造原価として約二千五百六十億が立てられておりますが、先ほど申しましたように、再処理は動いておりませんので、何を製造原価とみなしているかというと、その下にございます経費の主な内訳、減価償却費となってございまして、一千四百四十一億が計上されております。何もつくっていない、製造原価として何が計上されているだろうと見ると、減価償却、すなわち日本原燃の持っている設備などの減価償却にほとんど、六割が使われている。
電力会社から積立金というか基本料金はもらう、何もつくらない、建物を含めて減価償却に全部、六割を使っている。普通の事業で考えると極めていびつ。普通は、何か物をつくって、それを売って売り上げと称するわけです。
こういう構図をとっておることは、実は私以上に河野大臣はお詳しいので、あえて御説明するまでもないかと思いますが、もしもこういう事業が、これは明らかに今でも行き詰まっておりますけれども、この先、行き詰まってまいりました場合に、五十八条で、拠出金不足になった、ではこの認可法人はやめちゃうよと言われたら、後は電力料金に上乗せしてさらに国民負担にするか、税金で出ていくしかないわけです。
これまでの行政レビューというのは行われたものの、後追いにはなっていると思うのですが、こういう計画を、計画として極めてリスクの多いものを事前評価すべきではないかと私は思っておりますが、河野大臣の御所見をお聞かせください。
○河野国務大臣 行政事業レビューで事前評価せよというのは、一つの見識だと思います。
この件につきましては、残念ながら行政事業レビューでも取り上げておりませんし、私の所掌でもございませんので、今、閣僚として答弁する立場にはございません。
○阿部委員 私は、明らかな国民負担になることが、どう見てもこの原燃の財務諸表からは、誰が見ても明らかだと思うんです。
これは民間事業者なので、会計検査院とかも入りませんし、何のチェックもなく、ただツケだけは国民負担に来るということで、この点は、確かに所掌ではないという大臣の御答弁はそのとおりだと思いますが、国民負担という点では極めて問題が大きいと思いますので、何らかの形で政府の一体的な対応を私は求めていきたいと思います。
菅官房長官、予告してございませんが、今の点はいかがでしょう。
○菅国務大臣 委員からそうした御指摘があったことを受けとめさせていただきます。
○阿部委員 今、三・一一後、原発をどうするかということはもちろん、燃やせば必ず出てくる使用済み燃料の置き場、再処理をどうするかなど多様な問題を抱えて、これは国の将来に深くかかわるものでございます。
きょうは、もう一問、菅官房長官にお願いをしたいと思います。
実はエネルギー基本計画では、この再処理ということは既定方針のように掲げられておりますが、その一方で「中長期的な対応の柔軟性を持たせる。」という表現もございます。
大臣のお手元、四枚目の資料にも置かせていただきましたが、使用済み燃料の処分方法は、今は再処理ということが専らですが、直接処分ということも選択肢に入れるべきだということをおっしゃっておられますので、そこを見せているものであります。
さて、こうした非常にスケールというか規模の中長期的にわたる問題に対して、誰が一体その方針を定めていくのかということで、今、政府の中でもエネルギー・環境会議等々がございませんし、この再処理をめぐっての方針は、原子力委員会などがプルトニウムの長期管理の問題からも意見を述べておられますが、一つのさらにまた中立的な立場から、第三者的な立場から、例えば日本学術会議などに使用済み燃料の処理処分の選択肢に関しての意見具申を求めるような方向を検討していただきたいと思うんです。
ちょうど、今月末にはワシントンで核セキュリティーサミットがございます。政府からも御出席のことと思いますが、日本が四十八トンのプルトニウムを、国内には十トンですけれども、持っておることは、アメリカのジョセフ・ナイ等々もこの再処理をやめるべきだという具申をしておられて、国際的な問題であると思います。
日本が、より客観的に世界からもこの方針をどうすべきかを問われたときによって立つ根拠にもなると思いますので、学術会議などの第三者評価をお考えいただけまいかというのが菅官房長官への御質問です。
○菅国務大臣 委員は既に御承知のとおり、我が国では、この核燃料サイクルは、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の量全体を減少させる、あるいはその放射能レベルの低減などの観点から、自治体や国際社会の理解を得ながら推進していく、ここが今の基本方針であります。そして、この方針は、エネルギー基本計画で閣議決定をいたしております。
そしてまた、その検討に当たっては、総合エネルギー調査会に設置された審議会において、海外の有識者や需要家あるいは供給者からヒアリング、これは十七回ほど行っております、そして議論も行いました。さらに、エネルギーに関係する各分野の行政に責任を持つ閣僚による会合も行い、そして徹底した議論も行っております。
そういう中で、このエネルギー基本計画は、将来の幅広い選択肢を確保する観点から、直接処分について調査研究を進めるということになっております。
いずれにしろ、現在、関係省庁で取り組んでいるところであります。
○阿部委員 今の官房長官のお答えの審議会等々は政府が任命しますので、第三者性というのが薄いと思います。それから、原子力委員会であっても、三条委員会ですので政府からは独立いたしておりますが、正直なところ、あの事故後の原子力委員会の位置とかあり方はもう一度確定されていかねばならない。それゆえに、私は、さらに第三者性を持ったものとして学術会議ということを例えばで申し上げました。そういう方向も御検討いただきたいことをさらに念を押しまして、私の意見とさせていただきます。
官房長官にはここまでで、お時間をありがとうございます。どうもありがとうございます。
引き続いて、一億総活躍担当の加藤大臣にお願いをいたします。
ここのところ、政府にあっては、出生率一・八なども含めて、女性に活躍してほしいということに意を尽くしておられると思いますが、その中でも特に、私は今回、女性にとってその尊厳を根本から否定される性暴力の問題についてのお取り組みをちょっとお伺いしたいと思います。
性暴力、性被害、レイプ、強姦などの場合に、女性が駆け込み寺的に、その傷を負った身体あるいは心をどこに助けを求めるかというときのワンストップ支援センターというのがございます。主には医療機関がその窓口になって、七十二時間以内の避妊とか、あるいはカウンセリングとか、警察への連絡とかをいたしております。
ちなみに、国連でも、女性約二十万人に一カ所のレイプクライシスセンターの設置が勧告されております。日本では、第四次男女共同参画において各都道府県に最低一カ所という目標は挙げられておりますが、現状の二十五カ所は全て、モデルケースとか、予算も裏づけがいつまであるのかわからない、あるいは大阪のSACHICOのように、自分たちのお金を持ち出してやっておられます。
私はこのワンストップ支援センターの拡充は大変よい取り組みと思いますが、その一方で、予算の問題が必ず生じてまいります。加藤大臣にあっては、この予算づけについての意気込みをお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 今委員のお話がありましたように、昨年十二月の閣議決定の第四次男女共同参画基本計画で、ワンストップ支援センター、現在二十五カ所でございますけれども、これを各都道府県に最低一カ所設置することを新たに成果目標として掲げておりまして、地方公共団体の取り組みの促進など、ワンストップ支援センター設置促進に一層取り組んでいきたいと考えております。
これまで御指摘のように財政的な援助そのものはなかったのでありますけれども、平成二十六年度から開始した性犯罪被害者等のための総合支援に関する実証的調査研究、いわばこれを使いながら取り組みの促進を図ってきたところでございます。
そして、現時点でも必ずしも国において予算措置するということではございませんけれども、しかしながら、こういった取り組みを進めていくときに、地方公共団体の取り組みを促進していく。地方公共団体ごとに、先ほどお話がありましたセンターのつくり方もかなりばらばらでございますので、そうした実情を見ながら、必要な予算措置ができるよう、引き続き検討し、努力していきたい、こう思っております。
○阿部委員 加藤大臣のお手元に、資料五枚目ですけれども、大阪のSACHICOと先ほど御紹介いたしましたが、阪南中央病院というところが中心になって設けたワンストップ支援センターの経費の試算がございます。
ここは、二十四時間三百六十五日のホットラインと、それから救急外来のように受け付けて、普通の産科の外来とは別途に受付を持っている。その大半は、正直言って、医者の給与も含めて全部病院の持ち出しであります。
そして、そうやって持ち出している分以外にも、いろいろなところの寄附などで賄われているお金で実際は運営されておりますが、例えばそこに支援員として、駆け込んでこられたときの受け皿になる方を配置する。お一人配置した場合でも、二十四時間三百六十五日、あとコーディネーターといって、児童相談所、警察あるいはカウンセリング等々とコーディネートするなどの費用を計上いたしますと、支援員がお一人でも三千二百六十万円パー・イヤー、毎年毎年これだけお金がかかる。非常に熱心な取り組みで、いろいろな方の寄附とかで辛うじて成り立っておりますが、ずっと負担をかけている現状であります。
これは支援員二人を置けば五千万円ということで、では都道府県がそれだけのお金を用意できるのか。まして、御存じのように、今、産科医療は大変に人手不足であります。ここは、手厚い支援を行うことによって、逆に、駆け込み寺なのですから、そのときに処理されないと犯人も捕まえられない。妊娠をされてしまう場合もあります。極めて重要な事態と思います。
私は、こうした試算をお出しするのは、これは一カ所ですけれども、政府にあってもぜひ、単に相談窓口だけやっていれば事が済むのではないのです、そのとき緊急に介入して支援していただかないとなりません。
大臣として、改めて必要経費等々を、いろいろなところから情報を集めてみるというおつもりはないか。もう一度お願いします。
○加藤国務大臣 今御提示のありました大阪のいわゆるSACHICOというお取り組みは、ワンストップ支援としては先駆けとしてやっておられて、これまでもいろいろな方々、まさに性犯罪、性暴力被害者のために本当に御尽力をいただいている、敬意を表したいと思います。
また、先ほど実証的調査研究を申し上げましたけれども、二十六年、二十七年度もこれを使いながら、決して金額的に多くはありませんが、支援はさせていただいているところでございます。平成二十八年度予算においても、そうした所要の金額、先ほど申し上げた性犯罪被害者等のための総合支援に関する実証的調査研究を計上しておりますので、まずこれをうまく活用しながら進めていくとともに、先ほど申し上げました、それぞれの取り組みの様子はばらばらでございます。まずは、全国に向けてそれを拡大していきたい。そういう中で、どういった対応が必要なのか、我々、よく情報も収集しながら検討を進めていきたいと思っております。
○阿部委員 一刻も待てない女性たちがいるということをぜひ念頭に置いていただきたいし、プラスこれは社会的損失が非常に大きい問題です。
ちなみに、アメリカの試算ですが、性暴力、性犯罪による社会的損失ということで、約十二・七兆円が支出されている。計算の仕方はいろいろあります。最近は、それをやらなかった場合の社会的損失はどうかというようなことを試算していく仕組みも随分整ってまいりましたので、今大臣のやっておられる実証研究に加えて、社会的なコストとして計上してみるということもぜひやっていただきたい。
というのは、予算をとるに際しても、やはりこれだけの社会的コストなんだ、ロスなんだ、それならば事前に予防的にやった方がもっと御本人も幸せ、社会もよりよいものになるということになりますので、この点、試算していただくことはいかがでしょうか。
○加藤国務大臣 現時点ではそうした研究は行っておらず、また、内閣府は平成二十六年度に男女間における暴力に関する調査を実施して、内容はもう御承知のとおりですから申し上げません。
また、第四次男女共同参画基本計画では、「女性に対する暴力の実態が的確に把握できるデータの在り方を検討するとともに、社会における問題意識の向上や効果的な施策の立案・展開に資する調査研究を実施する。」、こういうふうに盛り込んでございます。今の委員の指摘も踏まえながら、この検討をしっかり進めていきたいと思います。
○阿部委員 次に、河野大臣にお願いいたします。
今回、犯罪被害者等の問題は、内閣府から警察の方に所管が移されてまいります。今私がるるお話しした性暴力、性犯罪でも、例えば警察の方から避妊に係ります費用とかそうしたお金は出るのですけれども、でも、それは、あくまでも被害者の方が警察に届け出ないといけないわけです。実は、性犯罪、性暴力に遭った被害者が警察に届け出る率は数%と言われております。そういたしますと、費用負担も、被害者でありながら負担もかかる、傷を負う、非常に問題が大きいです。
私は、内閣府全体から警察庁に行ったときに一番懸念いたしますのは、この費用負担。御本人じゃなくて、例えばワンストップ支援センターから警察に連絡があればその費用負担も妥当性を鑑みて考えるくらいの、ほんのちょっとの改善なんだと思いますが、御検討いただけまいか。
○河野国務大臣 おっしゃるように、警察で今、公費でそうした費用の負担をさせていただいております。警察に御相談いただければ、警察の方でそうしたことが認知できますので、費用負担をさせていただいております。被害届の必要はございません。御相談しやすくするために女性の警察官を配置したり、あるいは人目につかないような部屋や車を用意したりということはさせていただいております。
今度は総合調整を警察が担うことになりますので、今おっしゃられたように、どこかに御相談いただければきちんと対応できるような体制を各省庁と連携してやってまいりたいと思いますので、それについては積極的に取り組んでまいります。
○阿部委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
あと、加藤大臣には、これは御質問ではなくて、覚えておいていただきたいのでお話をいたしますが、今年度の予算で、地域少子化対策強化に関する事業というのが地域少子化対策重点推進交付金として、いわゆる婚活支援ということで、三十億計上されております。昨年度は、河野大臣の行政レビューで、これは余り使い勝手がよくない、余り役立っていないということが指摘されて、名前が少し変わって、ここに三十億です。
私が先ほど言った一カ所五千万であっても、ワンストップ支援センターを全国に持っても二十三億です。このお金を、単に額だけで比較するものではございませんが、緊急性に鑑みて予算をそこに振り分ける、組み替えるということも可能ですので、私からの指摘とさせていただきます。よろしくお願い申し上げたい。御答弁は求めません。済みません。指摘と思って受けとめていただければ。
引き続いて、加藤大臣にお伺いをいたします。
私は、実は当選以来ずっと問題にしてきていることがございまして、それは女性の活躍に深く関係することでありますが、男性の皆さんはもちろんのこと、多くの国会議員がお気づきでないのが、いわゆる国保、国民健康保険に加入している女性たちに対しての施策の格差でございます。
大臣のお手元に、カラーになっておりまして、「国保の女性はこんなに不利!?」というペーパーが横のグラフになっております。
ここには国民健康保険と他の組合健康保険など被用者保険に入っておられる女性の差が余りにもあるということを指摘させていただいておりますが、出産育児一時金というのは分娩費用のことです。これはどんな場合でも出ます、国保からでも組合健康保険からでも。でも、その後の出産手当、これは御本人、お母さんに行くもの。傷病手当、これもない。お産で病気されても、これもない。育児休業給付金、これもない、雇用保険から出ておりますから。プラス、例えば産休、育休、八週とか言われましても、保険料は払い続けなければならない。特に産休ですね。産前産後の休暇は当然ながら女性が産むために保障されるものだと私は思いますが、それでも保険料の減免はない。ないない尽くしが国保でございます。
その生い立ちから考えると、被用者がいない、雇用主がいないなどの構造的な問題がありますが、女性が総活躍していただくためには、例えばその方が国保であれ組合健康保険であれ、これだけの差がついたら活躍できない。例えば、多くの国では、育児休業中のお金が国から出れば、今のような被用者かそうでないかという問題はございません。
そこで、大臣にお伺いしたいのは、今、国保の女性といっても、昔みたいに自営業だけじゃなくて、非正規の女性が非常にふえております。非正規雇用は女性が六割ですから。そういたしますと、二〇〇〇年に出たILOの母性保護条約、第百八十三号というのがございまして、日本は十六年たっても批准しておりませんが、このILOの母性保護条約においては、女性の被用者、雇われている方全て、非正規であっても最低十四週の出産休暇と公費による所得の三分の二の負担ということが、二〇〇〇年からILOで推奨されておるわけです。
日本もぜひこのILOの百八十三号条約を批准していただきたいが、大臣が総活躍ということをおっしゃっている担当者ですので、御答弁をお願いします。
○加藤国務大臣 今、ILO第百八十三号条約、いわゆる母性保護条約ということでありますけれども、それを含め未批准の条約につきまして、第四次の男女共同参画基本計画においては、「世界の動向や国内諸制度との関係を考慮しつつ、締結する際に問題となり得る課題を整理するなど具体的な検討に着手する。」ということでございます。
今、所管は厚生労働省、御承知のとおりだと思います。国内法等の整合性、これまでは例えば育児時間をどう扱うか等々お話をさせていただいていると思いますけれども、こうした検討すべき点があって、慎重な検討が必要だというふうにされているものと承知をしております。
あと、今委員からその前にいろいろと御指摘があった問題も含めて、保険制度は、歴史の中でいろいろでき上がってきて今日に至っておりまして、それぞれいろいろ議論もありますし、それから、今、厚生年金も含めて、被用者に関する範囲をどう広げていくか、これも漸次広げていくということでやらせていただいております。
そういうことも含めながらやはり検討していくべき課題なのではないかな、こう思います。
○阿部委員 今の大臣の御指摘もさようでございますが、私がいかにも、余りにもと思うのは、例えば産休、当然産前産後保障されている休暇の間も保険料を払い続けるわけです。収入は、働いていないから当然ありません。こういう状態で一・八とか言われても、産めないじゃんと。日本死ねではありませんが、産めないじゃないですかという指摘を私はしたいんですね。
国保という形式に、先ほど申しました非正規の方が、今女性が多いわけです、自営業の方も多いけれども。この状態がずっと放置されていて今少子化が問題にされるというのは、余りにも、手当てすべきところを手当てしないで数値だけ挙げていると私は思えてなりません。もちろん、所管は厚生労働省であることも存じています。ただ、内閣として、あるいは内閣官房として、全体にこの国の女性たちが本当に健やかに産み育てることができることを保障する国であってほしいので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
ちなみに、お手元の資料の次には、国保に一体どのくらいの年代の出産可能なというか、二十歳から三十九歳までの女性たちが加入しているかというと、約二百七十万人でございます。これは国保連合会の方からいただいた資料でもありますので、国保の二十歳から二十九歳の女性が百二十万人、そして三十歳から三十九歳の女性が百四十七万人おられます。
この方たちは、妊娠しても保険料は払い続けて、その後、出産手当もなく、育児休暇も有給ではとれないわけです。このことを放置して一・八はできないと私は思います。ちなみに、生まれてくる子の約一五%が国保の中で生まれておりますが、周りがカバーしているということでもございます。
あわせて、私はもう一点、これからはどんどんSOHOなどの、スモールオフィス・ホームオフィス、女性起業家が育ってくると思いますし、育ってほしいと思います。この場合も、やはり国保でございます。そうすると、片方では女性の起業とか女性活躍とか言われながら、保険ではこんなに差がついて、産むときにどうするよという問題がまた生じてございます。
この点についても、EUの指令というのがございまして、二〇一〇年七月、自営業従業者における男女均等待遇実現のために、自営業であっても女性に係る産前産後の手当の支給などを出しております。日本はまだ二段階、非正規の問題と、本当に自営業で頑張っていただく女性に対しての支援が社会的に必要と思います。
二〇一〇年七月のEU指令を内閣官房としても御検討いただきたいが、いかがでしょう。
○加藤国務大臣 今お話がありますように、非正規の立場で、通常の雇用者の健康保険等に入っておられない方、自営業者あるいは家族従業者、そういった方も含めて、全ての女性が安心して子供を産み育てられる環境整備というのは喫緊の課題であるというふうに思います。
一方で、自営業者等が加入する国民健康保険におけるそうした産前産後休業中の所得保障について、これは議員も前に厚生労働大臣とかなり御議論されているので余り重ねることは申し上げませんが、さまざまな課題があるというふうに承知をしております。
いずれにしても、そうした環境整備、まず、非正規の方は、ある意味では雇用保険、あるいは通常の正規の方と同じような形の保険制度にどうやって移行していくのか。それから、自営業者に関しても、自営業者は特に起業ということもございます。その辺も、今我々も女性の起業支援をしっかり進めようとしているわけでありまして、今御指摘の点も含めて、これからしっかりと検討していかなきゃいけないと思います。
○阿部委員 保育園の問題にしても、こうした健康保険の問題にしても、制度的になければどうしようもないということなので、ぜひこの内閣を挙げて、女性活躍や出生率の向上に努めようということを実際に見せていただきたい。強く要請します。
次に、もう一つ、国保の大きなジレンマというか問題があって、それは、国民健康保険だと、お子さんの数がふえるほど、人頭税方式に保険料がふえていくということです。一・八人産みたくても、次の子を産みたくても、保険料は高くなっちゃうよということです。
ちなみに、名古屋市の試算、平成二十七年度の名古屋市のケースをお出ししてありますが、これは、四百万円の自営業者として算定いたしまして、賦課対象所得は二百万円として計算をいたしてございます。年間保険料は、現状ですと四十六万五千三百四十六円。これが、もし十八歳未満の子供の保険料を今のように人頭税方式にしないといたしますと三十六万三千七百十円。十万円の保険料の差ができております。
これは各地区で計算もいたしておりますけれども、特に名古屋の例を挙げたのは、名古屋市議会から、子供に係る国保の人頭税方式を、均等割と申しますが、改善してほしいという要請があって、実は、次の社会保障のいろいろな改革の中で、多子世帯への保険料のあり方というものも検討されると思います。
ちなみに、私もこれは厚労委員会で何度も取り上げておりますから、国保の子供たちの保険料を他の組合健保と同じように無料にするのに一体幾らかかるか。大臣、これを御存じでしょうか。
○加藤国務大臣 厚生労働省の試算で、仮に国保の十五歳未満の被保険者に係る均等割保険料を免除する場合の財政影響について、粗い試算だということでありますけれども、約六百億程度になると承知しております。
○阿部委員 実は、これは民主党政権のときも伺って、塩崎さんにも伺って、今、加藤大臣にも伺って、私は小児科医ですので、そのお子さんのお母さん、お父さんがどんなお仕事の職分であれ、子供は同じだと思うんです。
そこで、子供が国保にいるゆえに保険料を負担しなきゃいけないなんということは絶対ないと思うので、ぜひ改善をお願いしたいと思っております。いかがでしょう。
○加藤国務大臣 これまでも、今議員も相当議論されているわけでありますから、国民健康保険というのはどういう仕組みなのか、どういう趣旨なのかということはもう十分御承知のところだというふうに思います。
端的に言えば、その中に単身世帯あるいは世帯人数が多い世帯、この声をどう図るかというような観点も含めて、今は均等割と所得割、少なくともそれについて保険料を取る、こういう仕組みになっているというふうに承知をしているところでございます。
今、国民健康保険の改革ということで、平成三十年度から、自治体の責めによらない要因、子供の被保険者数も含めた軽減措置というようなことも議論されております。そういったことを含めて、地域における対応といったことも生まれてくるのではないかな、こういうふうに思います。
○阿部委員 実は、加藤大臣も重々御承知のように、団塊ジュニアが出生年齢にあるうちというのは時限があるわけです。そこをきちんと見越して施策していただかないと、遅きに失すると思います。それでもやらないよりはいいですが、今一・八人に本気でしたいなら、私はぜひこれを提案いたしますので、政府として御検討いただきたいと思います。
長い時間、お待たせいたしました。岩城大臣にお願いいたします。
岩城大臣は、特定秘密保護法の担当のお立場でいらっしゃいます。特定秘密保護というと、国民や市民の知る権利と行政が秘匿しなきゃならない情報との間で常にあつれきを生じるものでございますが、今、全世界六十九カ国の政府が加入するまでに至っているOGP、オープン・ガバメント・パートナーシップ、開かれた政府を推進する国際イニシアチブというものがございます。これはアメリカなども入っておりますし、具体的には、加入国が開かれた政府であるためのいろいろなアクションプランを策定していくということで、特定秘密保護法成立以降、国会の情報監視審査会のあり方を含めて透明性の確保ということはずっと課題でありますので、このOGPへの加入ということも含めて御検討いただきたいが、いかがでしょう。
○岩城国務大臣 お話のありましたオープン・ガバメント・パートナーシップは、透明性の向上、市民の力の強化、汚職防止、ガバナンス強化のための新たな技術の活用を目指すものである、このように承知はしております。
オープン・ガバメント・パートナーシップへの参加につきましては、特定秘密の保護だけではなく、情報公開等さまざまな観点から検討がなされるべき事柄である、そのように認識をしております。
いずれにいたしましても、政府としましては、行政の透明性の向上に最大限努めてきているところであります。
今後とも、特定秘密保護法の適正な運用を積み重ねていく中で、常にその改善に努め、特定秘密の取り扱いの客観性と透明性の一層の向上を図ってまいりたいと考えております。
○阿部委員 今、直接的にはOGPに余り踏み込まれませんでしたが、ぜひ御検討いただきたいと思います。
最後に、河野大臣にもう一点お願いいたします。
いわゆる公益法人を監査するお立場であられますので、その点について。
日本ライフ協会という公益財団法人がございます。これは、御高齢者からの預託金を、おひとり暮らしでお亡くなりになった後、自分の死後の処理をしてほしいというような御高齢者の思いを集めて成り立っていた公益法人でありますが、お金の一部流用という形で、公益法人の中で立入調査ということになった初めての事案かと思います。
私は、この事案を見ておりますと、そもそもNPOで始まって、公益法人になって、そして大きくなったんだけれども、運営についてはなかなか透明性が担保できなかった。
公益法人を監督する立場から、スタッフも、果たして公益法人の監督のためにどのくらいおられたのか、この問題が見落とされてしまった背景などはどうお考えか、どんな改善点をお持ちか。お願いいたします。
○河野国務大臣 公益法人改革の趣旨は、それまで監督官庁が箸の上げおろしまで細かく見るというものから、自主、自立性を高めていただこうというところが大きな狙いの一つでございました。
今回の事案についてはまことに遺憾に思っておりますが、やはり公益法人の制度をつくったということは、公に関することを官がやるのではなくて民の力でやっていただく、それを引き出そうというのが狙いだったわけでございますから、事後チェックはしっかりやってまいりたいと思いますが、一義的には、この公益法人の理事あるいは監事といった役職の方がきちんと責任を持ってこの運営に当たっていただくということが大事だと思っておりますので、そうした趣旨をもう一度徹底して広報してまいりたいというふうに思っております。
せっかくつくった制度でございますので、行政が余りここに深く、箸の上げおろしをもう一度言うようなことは避けたいというふうに思っております。
○阿部委員 私は、その点もそう思います。ただしかし、事務局体制も弱いと思います。大臣はよく聞いていただいて、また改善点があれば、よろしくお願いします。
終わらせていただきます。ありがとうございました。
○西村委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 民主党、緒方林太郎でございます。
前回に続きまして、質問をさせていただきたいと思います。
前回、TPPと国内関連法ということでお伺いをさせていただきました。大臣、必要であるということと十分であるということの違い、御理解をいただけていると思いますが、よろしいですね。
TPPの関連国内法、今回、十一本の法律をまたもや一括法かという思いがあるわけでありますが、あの十一本の法律の中で、大臣、前回の答弁は少し混乱されていたと思うんですけれども、TPPの関連国内法の中には、TPPの義務を実施するために必要なものというのと、義務に対応するものではなくて、TPPによって生じる影響に対応するものというのが分かれているというふうに私は思いますけれども、大臣、その認識でよろしいですか。
○石原国務大臣 具体的な改正内容でありますけれども、今委員が御指摘されたように、十一本の法律の改正を予定させていただいております。
関税に関し、原産地手続及びセーフガードに関する手続等の規定の整備に関する法律案は、関税暫定措置法、EPA申告原産品法等々でございます。これが主に関税率等々の変更を行っているものでございます。
そのほか、委員が御指摘されましたような、後段のいわゆる対策でございますね、そういうものも法律案として準備をさせていただいているところでございます。
○緒方委員 対策に当たるものというのはどれでしょうか、大臣。
○石原国務大臣 例えば、農業の経営安定対策に関しまして、牛や豚のマルキンの法制化等、こういうものは対策の重立ったものの一つであると認識をしております。
○緒方委員 そのとおりです。畜産物の価格安定とか、砂糖、でん粉の価格調整、さらにはALICにかかわるもの、このあたりは恐らく国内対策に当たるものだというふうに思います。
それぞれ、一本一本が重要な法律だと思います。著作権法の話もある、そして地理的表示の話もある等、いろいろそれぞれ重要な法律だと思います。今回、一つの一括法にまとめてありますが、それぞれの法律の重要性に鑑みれば、一つ一つに換算して相当の十分な審議時間を確保すべきだというふうに思いますが、石原大臣、いかがですか。
○石原国務大臣 重要な法案については十分な御審議をしていただくというのは当然のことでありますが、どれだけの時間、どのように御議論をいただくかというのは、当委員会あるいはTPPの特別委員会ができましたらそちらで取り計らわれることになると承知をしております。
○緒方委員 その国内関連法ですが、先般も説明させていただきましたが、大臣は、今回の関連国内法、TPPの義務を満たすために、そして対策を行うために必要かつ十分なものである、そういう御答弁でございました。
であるとすると、もう一度お伺いしますけれども、今後、日本が、例えば批准書を寄託します。その後、他国が手続を進めるに際して、特にアメリカのサーティフィケーションの仕組みを念頭に置いておりますが、もう一度説明しますと、アメリカのサーティフィケーションの仕組みというのは、相手国がTPPに十分に合致する措置をとっている、そう判断されるときにアメリカ大統領は批准書を寄託することが許されるというような内容になっております。
これは、裏を返すと、アメリカの国内実施法の中では、TPPの相手国の国内法が、少なくとも合致している、そして、場合によっては、アメリカから見たときに合致しているかどうかというところを見て、発効の要件の前提となる批准書の寄託を行うということでありますが、今回の国内法制度以上に、例えば、アメリカから指摘をされて追加的な国内法を講ずるということは絶対にないというふうに石原大臣に言っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○石原国務大臣 委員の御指摘のサーティフィケーション、この間も若干議論をさせていただきました。いわゆる認証に関する部分でございますけれども、アメリカでは、自由貿易協定の国内手続において、相手国が必要な措置を講じたかどうか大統領が判断しなければならないという規定が設けられている。
その件につきまして、委員は、この規定があるから、アメリカが再協議等々、満たしていないというようなことを大統領が言って、そういうことをやってくるんじゃないかという御懸念から御質問をされているのかなと今感じたのでございますが、そういうことには、再交渉に応じるようなことはございません。
○緒方委員 済みません、石原大臣、少し混乱をされておられまして、協定の再交渉の話を私はしているんじゃないんです。それは、これまでも何度も政府の累次の答弁で、再交渉しないと答弁されていることはよく存じております。
そうではなくて、協定自体は変わらないんです。けれども、それを国内で実施する法律について、アメリカは、彼らの国内実施法において、この国はTPPの義務を十分に満たせていない、だから、本当に発効させたければ、国内法のこことこことここを改正してくれないかというふうに言ってくるわけでありまして、これは再交渉の話とは違います。
日本の国内法においてそういう指摘が来るときも、日本は絶対に受けないということでよろしいですか。
○石原国務大臣 これは、前回も御答弁させていただいたわけでございますが、多分委員は御承知の上で御質問をされていると思うんですけれども、要求に応じなければアメリカは締結に応じないのではないかという御懸念からこういうお話になっているんだと思うんです。
しかし、この間、TPPの協定書の中で私が読ませていただきましたけれども、そこの部分に書いてあったことを要約して申しますと、各国とも必要な関係法案を整備して通報することで締結の手続が終了すると。それはどういうことかというと、関係法律の整備内容を他国と調整するということは想定されていない。これからTPPの委員会ができましたら、その中で議論をされるということでございます。
○緒方委員 そういうことじゃないんです。(発言する者あり)今、後ろからも、そうじゃないというふうに言っていますが、アメリカというのは特殊な国で、アメリカの国内実施法の中において、これからTPPを締結する相手の国がしっかりと国内措置をとっているかどうかを彼らなりに判断して、そしてその上で条約を締結する、TPPを締結すると言っているんです。
実際にこれは、先般も申し上げましたが、オーストラリアとアメリカのFTAにおいて、オーストラリアが一旦国内措置が終わり、そしてオーストラリアがもう準備万端ですと言ったところで、アメリカからオーストラリアの著作権法はまだまだ不十分だと言われて、オーストラリアは米豪FTAが発効するその直前に著作権法の改正を突貫工事でやらされているんです。それと同じことが生じるんじゃないかという懸念。
これは別に、大臣が言われたように、それぞれの国が国内法を整備して、そして批准書を寄託すればその六十日後に成立、そのとおりなんです。しかし、その手前のところの話でありまして、アメリカの国内実施法の中にはそういう特殊な規定が盛り込まれるんです。そういうものを受けないですねということを聞いております、大臣。
○石原国務大臣 アメリカが特殊な国だという意味が私には御理解できません。
○緒方委員 いや、他国が国内措置をしっかりとっているかどうかということを判断するような国内法をつくるのは、恐らくアメリカだけでしょう。いや、日本でも、それは石原大臣が、そういう他国の法律をしっかり見せていただいて、それがきちっとしていなければ日本国の政府として批准書を寄託しないという法律を上げるなら別ですけれども、我が国はこれまでそういうことをやってきておりません。しかし、アメリカはそういうことをやる国なんです。そして、過去にもそういう実績があるんです。
ということは、我々が心配しているのは、日本が国会承認も終わった、全部終わった、けれどもアメリカが、まあ、新政権になってからだと思いますけれども、そのところで日本の国内法のこことこことここはTPPの義務を満たしていないと自分たちとして判断するから、改正してくれなければ自分たちは批准書の寄託をしないというふうに言ってくるんじゃないかという懸念があるから聞いているんです。
大臣、答弁になっていないんです。もう一度、国内法の追加的な改正を受けないということを確約ください。
○石原国務大臣 委員の御指摘は、アメリカは特殊な国であるから、TPPというマルチの国際経済連携協定で自我をこれから通してくるのではないかという御懸念だと聞いているわけであります。
ですから、そういうことはないと私は答弁させていただいているわけでございます。
○緒方委員 そうではないんです。実際に、これまでの累次の通商協定の実施法にサーティフィケーションということで、サーティフィケーションの中身はもう既にブリーフを受けていると思いますが、そういう手続が入ってくる、そして、その手続を使って国内法の追加的な改正を求めてくることが過去にもあったんです。だから、その追加的改正を日本が受けることは絶対ないですねということを聞いています。
では、もう少し単純に話を聞きましょう。今回の国内法が通ってしまえば、日本はそれ以上に追加的な国内法の改正は絶対にやらないということでよろしいですね。
○石原国務大臣 何度も御答弁させていただいておりますとおり、ニュージーランドに報告をした段階でその国内法の手続というものは終わっているんですね。そのものに対してアメリカが物を言ってくる、そういうことは想定しておりません。
○緒方委員 いや、想定していないと言いましたが、実際に過去の前例が、そういうことがあるから心配しているんです。
批准書を寄託するのは、これは日本の行為です。けれども、その国内法がどうであるかということは、別に批准書を寄託した後でも国内法を改正することは手続上は可能なんです。そういうことを、批准書を仮に寄託するとか、もっと言うと、国会承認した後に追加的に国内法の改正をすることはないですねということを聞いているんです。もう一度。
○石原国務大臣 何度も御答弁をさせていただいておりますように、そういうことは想定していないから、ないのであります。
○緒方委員 想定されるから聞いているんです。
大臣、アメリカの国内法、ちゃんとブリーフを受けていると思います。アメリカの通商協定の実施法においては、アメリカが批准書を寄託する前に、相手の国が国内法措置をきちっととっているかどうかをチェックして、それが確約されているときにのみアメリカは批准書を寄託すると言っている。その過程で、何度も言いますけれども、過去に、相手の国に対して、アメリカに批准書を寄託してほしければ、発効させたければ、こことこことここを変えろという前例があったから聞いているんです。想定されないんじゃないんです、想定されるんです。
私の質問はもっと簡単でして、今回出す国内関連法が国会を通ってしまえば、それに追加的に国内法の改正をすることはないですねということを聞いています、石原大臣。
○石原国務大臣 同じ答えになるんですけれども、想定していない以上、要はないわけでございます。
○緒方委員 想定していないというのがそもそも読みとして甘いと思うんですね。実際に過去にあっているわけですから。
では、大臣にお伺いしましょう。質問のやり方を少し変えます。
アメリカは、このサーティフィケーションの仕組みを使って日本に国内法の改正を要求してくることは、少なくとも大臣の判断ではやってこないというふうに思っているということですか、大臣。
○石原国務大臣 何度もお話をさせていただいておりますとおり、サーティフィケーションを使って過去のEPA等々でアメリカが他国に対してそういうことをやったという記事は承知しております。
しかし、今回のTPP交渉はマルチの協定でございます。ある意味ではガラス細工であります。ですから、そういうような事態は想定しておりませんし、そういうことはないと御答弁をさせていただいているわけであります。
○緒方委員 別に二国間であろうがマルチであろうが、このサーティフィケーションの仕組みというのは成立し得るわけでありまして、今回も恐らく入ってくると思います。
では、これは入るか入らないかというのはわかりませんけれども、これまでの累次の通商協定を見る限り、サーティフィケーションの仕組みは入ってくるんです。今、大臣はないと言われましたけれども、アメリカがそういうサーティフィケーションの仕組みを使って日本に国内法の改正を要求してくることは、大臣はないと思っているということですね、石原大臣。
○石原国務大臣 今、言葉尻を捉えるわけではございませんが、委員があるかないかわからないとおっしゃられたとおり、我々は想定していないから、ないと答弁をさせていただいているわけでございます。
○緒方委員 大臣、その想定していないというのは、サーティフィケーションという仕組みが入ってくることを想定していないのか、それとも、サーティフィケーションという仕組みがあるけれども、それを使ってアメリカが日本に法律改正を追加的に要求してくることがないと思っているのか、いずれですか。
○石原国務大臣 サーティフィケーションという仕組みがあるということは承知もしておりますし、過去においてアメリカがそのような行為に及んだということも承知をしております。
しかし、今回のTPP協定においては、マルチの協議で、譲るべきところは譲り、守るべきところは守っているわけですから、ガラス細工の協定なんですね。そういうことはないということをアメリカのカトラーさんも話しているということは承知しております。
○緒方委員 大臣、協定の話と関連国内法の話を完全に混乱しておられます。私は、協定の中身の再交渉とか、ガラス細工でできているとか、そんなことは一言も聞いていないんです。
そうやってでき上がった協定を国内で実施するときに、その国内実施法が、今回十一本上がってくるものの中で、大臣は必要十分だと言われた、そして過不足なくやっているということでした。なので、アメリカがそういうことをやってくることを想定していないと言っていましたが、読みが甘いと私は思いますし、私の質問は、もう一度戻りますけれども、そういうサーティフィケーションの仕組みを使って、アメリカから日本の国内法のこれがおかしいというふうに言われたとしても、そういうことを受けて国内法の追加的な改正は絶対に行わないですねということを聞いているんです、大臣。
○石原国務大臣 何度もお答えしておりますとおり、私は別に混乱していなくて、丁寧にお答えさせていただいているわけであります。
そういうものを想定していない以上は、ないわけであります。
○緒方委員 済みません。これは、すごく権威のあるインサイドUSトレードという記事の中にあった、USTRの次席法務顧問が言っている、ジョージタウン大学でのロースクールのイベントで話した話なんですけれども、大統領がサーティフィケーションの仕組みを使うことで、批准手続の完了の通知を文書送付することを延期することになると。大統領がそういうサーティフィケーションの仕組みをサーティファイするまで、批准手続の完了の通知を文書送付することを延期することになる、それは仕組みとしてそうなんだということを言っているわけです。
なので、やはりサーティフィケーションの仕組みで、アメリカの大統領は、他国の手続をしっかり見た上で、そしてアメリカの大統領がサーティファイする、そういうことの仕組みになっているんです。だから聞いているんです。そして、その中で、他国の法律の内容をしっかり見てやるんです。だから、我々は今心配を持って聞いているんです。
大臣、これは非常に重要なところでありまして、TPPの特別委員会での審議に入る大前提ですよ。大前提です。今回閣議決定をした国内関連法十一本の改正をもって、日本としてはTPPの義務を果たすのにパーフェクトな対応をしたのであるから、それ以上に、外国からそのサーティファイする仕組みを通じて何か言われたとしても、国内改正法を追加することはないですねと、さっきからずっと同じことを聞いていて、大臣の答弁はずっと、想定していないとかガラス細工だとか、全然違うことを言っているんです。
大臣、もうちょっと私の質問を理解してください。そして、これは重要なところですよ。大臣、答弁ください。
○石原国務大臣 何度も御答弁させていただいておりますけれども、想定していない以上は、ないわけであります。
○緒方委員 内閣府の方に申し上げたいと思いますが、多分質問の趣旨はわかっていると思います。大臣にもうちょっとブリーフしてください。お願いいたします。
以上です。
○西村委員長 次に、小宮山泰子君。
○小宮山委員 民主党の小宮山泰子でございます。久しぶりに内閣委員会で質問させていただきます。
また、本日、委員会冒頭にも、東日本大震災から五年目を迎え、黙祷していただいたこと、そして私自身も、本当に被災後に入らせていただき、多くの犠牲があり、その方々の御冥福と、そしてお見舞いを改めて申し上げ、国会としても、議員としても、一人の日本人としても、多くの方々がさらに生活を再建されることを心から願っております。
いまだ十七万四千人からの避難者が出ておりますし、また県外に五万人から避難をされている。福島からは、子供の将来を考え、また健康を願い、いまだに母子避難など、さまざまな困難の中、暮らしがなされております。少しでもその皆さんに私たちも寄り添いたいというふうに思っております。
さて、質問に入らせていただきますが、三月八日は国際女性デーでありました。二十世紀初頭のアメリカでの運動が起源と言われますが、国連で、一九七五年、国際婦人年に最初の国際女性デーが実施され、一九七七年、国連総会にて、三月八日をインターナショナル・ウイメンズ・デー、国際女性デーとして決議されました。
三月七日の日には、女性差別撤廃条約の実施状況を審査する国連の女性差別撤廃委員会より最終見解も示されました。
最終見解の中で、日本に対しての勧告として、前回、二〇〇九年の勧告以降の取り組みを認めるものの、夫婦別姓や再婚禁止期間など含めて、過去の勧告への対応がいまだ不十分であると指摘もされました。
国内の取り組みや事実と異なる誤った認識も見受けられる部分もありますならば、しっかりと意見を表明していくのも必要ではないかと思っております。また、言うまでもございませんが、逆に、条約批准国として、なお不断の取り組みを重ねていくことも怠ってはならないと考えております。
そこで、前回の内閣委員会で法案質疑の際、選択議定書が未締結となっていることに関して、当時の有村大臣に御所見を求めました。有村大臣からは、外務省の所管であり、外務省を初め関係省庁との連絡でどのように進められるかということに私も傾注したいという答弁でございました。
私は、女性の活躍について所管する大臣が置かれ、また内閣委員会において質疑、答弁の機会がある中で、ほかの大臣、ほかの省庁がやっているから注視するというのは、何か他人事に聞こえてなりませんでした。そして、違和感を感じたものです。女性の活躍を所管される大臣として、もっと積極的に率先していただきたいと当時考えておりました。
そこで、改めて、女性活躍担当大臣の任にある加藤大臣より、選択議定書が不採択であることについての御見解、御所見をお尋ねしたいと思います。
○加藤国務大臣 御指摘の女子差別撤廃条約の選択議定書は、条約に定める権利の侵害に関する個人通報制度を主として規定しているというふうに認識をしております。
昨年十二月に閣議決定いたしました第四次男女共同参画基本計画において、「早期締結について真剣に検討を進める。」というふうにされているところでございます。
今委員のお話にもありました、所管は外務省ということでありますが、を中心に、さまざまな課題、例えば日本の裁判所の判決と委員会の見解、これは法的拘束力はないわけでありますが、その辺をどうするのか、あるいはこうした通報への対応の仕組みをどうするのか等々、さまざまな課題があるというふうに承知をしておりまして、今、各方面の意見を踏まえながら検討中ということでございます。
共同参画計画にも「真剣に検討を進める。」と書いてありますので、その検討状況、我々の立場としては注視するということでありますけれども、よくそれを、しっかり検討が進んでいくように促していきたいと思います。
○小宮山委員 選択議定書の中身を考えますと、やはりまだまだ検討は必要なのかもしれません。これを、ほかの大臣や省庁だからといって逃げることなく、正面からしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
さて、女性の性商品化や労働力など、人身売買、人身取引について、昨今、日本人も被害に遭っているという記事が多く見られるようになりました。
この問題について伺いたいんですが、実は官房長官の答弁をいただくところでもございます。お戻りになってからしたいと思います。ちょっと順番を先に進めさせていただきたいと思います。
三月八日、国際婦人デーということもあり、国会、院内においてもクオータ制度推進の会合が複数開催されました。
前日である三月七日に最終見解を公表した国連女性差別撤廃委員会においても、日本の国会議員など主導的な立場における女性議員の少なさについて批判的意見も出されております。
議員に占める女性の比率が高い、言いかえれば男女比率がより半々に近い国においてしばしば見受けられる方法に、いわゆるクオータ制の導入が挙げられます。私もIPUの国際会議等に行ったときに、ほかの国の女性議員から、何で日本はこんなに少ないんだ、早く制度を入れたらいいのではないかということを勧められた経験がございます。
議員になる女性がふえることがイコール女性の活躍をあらわすものと端的に捉えることはできませんが、今の現状は、多様な意見を反映させるには不十分だと言わざるを得ません。
そこで、国会、都道府県議会、市町村議会や首長など、選挙によって選出される議員、首長における男女比率について、並びに、一部に導入を求める声も上がっているクオータ制に対し、また女性の立候補者数がそもそも少ない、そのような社会の現実、背景についてどのように考えているのか、またこの改善に関し、女性活躍担当大臣の御所見がありましたらお聞かせください。
○加藤国務大臣 我が国の政治分野における女性の参画状況は、今委員の御指摘もありました国際的な比較をしても、下院、一院制における女性議員比率は、平成二十七年十二月、九・五%、百九十カ国中百五十四位ということでありまして、日本における女性活躍の総合的な指標を下げている大きな要因の一つであるというふうにも認識をしております。
そうした国会議員、女性議員の女性候補者が少ない理由としては、出産、育児と政治活動との両立がなかなか難しい、伝統的な男女の役割分担に係る意識、あるいはロールモデルがなかなか多くないということでそうしたものが不足している、こういったことがあるんだというふうに思います。
政治分野における女性の参画拡大は非常に大事なポイントだというふうに思っておりますし、先ほど申し上げた第四次男女共同参画基本計画においても、衆議院議員及び参議院議員の候補者に占める女性の割合を平成三十二年までに三〇%とする目標を、政府が政党に働きかける際に示す努力目標とするというふうにも定めております。
これに基づいて、政府としては、各政党に対して、行動計画の策定、情報開示等に向けた自主的な取り組み、あるいは両立支援体制の整備等、女性議員が活躍しやすい環境の整備、こういったことについて積極的に働きかけをしていきたいというふうに思っております。
今、政治のクオータ制度のお話がございました。
クオータ制度については、もう議員御承知のとおり、大きく、法令によって、性別による議席を割り当て、政党に候補者の一定割合の代表比率を割り当てる、そういうやり方のものと、法令によるものではなく、政党がいわば自主的に党規約等によって候補者の男女比率を定めるなどのやり方があるというふうに承知をしております。
男女共同参画会議においては、法令によるクオータ制度の義務化については、憲法の平等原則との関係において慎重に検討すべきじゃないかとされているわけでありますけれども、先ほどの第四次男女共同参画基本計画に基づいて、各政党には、候補者の一定比率を女性に割り当てるクオータ制も含め、自主的なポジティブアクションを導入するということに向けての検討を要請していきたい、こういうふうに思っております。
○小宮山委員 ありがとうございます。
クオータ制など、そういった多様な価値観というものが議会に入ること、そして社会というものが成り立っていくことを私たち議員や議会がしっかりと受けとめられる、そういった議論をしなければならないんだと思っております。
そして、つけ加えるならば、女性が議会等に参画できないその背景には、本日一番最初の質疑に立たれました阿部委員の方からもありましたが、やはり経済的な格差、選挙にかけたり、そういった費用が出せない。また、社会的になかなか、発言をする、決定権を女性に持たせるのはまだ厳しい。また、女性自身も決定権を持つということにちゅうちょがある。それをすると、いろいろなことが言われます。
私も、二十年前の県議会時代のときには随分と言われたものであります。当時は自民党で県議会でしたけれども、朝から本当に余り品のよくないお話が飛び交っている中に、六十四名いた中で一人だけ女性でございました。本当につらい経験もいたしました。
こういったものを一つ一つ取り除き、男性であれ女性であれLGBTであれ、一人一人の個性を認められるような、そんな豊かな日本にしていただくために不断の努力をまた大臣には続けていただきたいと思います。
さて、本題にまた戻りますけれども、女性の性商品化、人身売買、人身取引について質問させていただきます。
米国の人身売買報告書では、日本について厳しい指摘を続けております。二〇一五年七月二十七日公表の報告書においても「日本は、強制労働および性的搾取の人身取引の被害者である男女、および性的搾取の人身取引の被害者である児童が送られる国であり、被害者の供給・通過国である。」との記述があります。報告書では、日本人女性の人身売買被害者についても、「日本人、特に、家出した十代の少女や外国人と日本人の間に生まれて日本国籍を取得した児童もまた、性的搾取の人身取引の被害にさらされる。「援助交際」という現象や、さまざまな形態の「JK(女子高生)ビジネス」が、日本人児童の買春を依然として助長している。」など、指摘がされています。
女性の問題は人権の問題につながります。女性が尊厳を持ち、家庭や職業を持ち働ける社会は、障害や病気、宗教、人種、LGBTなど、それぞれの存在を社会が認め合える差別のない社会に重なっていくと考えております。年間二千万人を超える訪日観光客、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが開催される日本のグローバルスタンダードに適した環境を整えなくてはなりません。
そこで、人身売買、人身取引の事犯の現状についてお聞かせください。
○種谷政府参考人 お答えいたします。
警察が人身取引事犯として計上しておりますのは、いわゆる人身取引議定書に定義されているところの、売春等の性的搾取等の目的で、暴力、詐欺等の手段を用いて人を獲得、輸送する等の行為を行った事犯でございます。
この定義に当てはめますと、平成二十七年の警察における人身取引事犯の検挙は、売春防止法違反、入国管理法違反など四十四件、四十二人で、前年と比較いたしまして十二件、九人の増加となっております。また、警察が保護や支援をした人身取引の被害者は四十九人でありまして、前年と比較して二十五人増加しているところでございます。
特徴といたしましては、日本人女性が出会い系サイトを悪用した売春を強要されたり、外国人女性がホステスとして稼働を強要されるなどの事案が目立っているほか、児童が被害に遭うケースも見受けられ、依然として憂慮すべき状況にあります。
このため、警察としては、引き続き、関係機関、団体との連携を図りながら、人身取引事犯の的確な把握及び取り締まり、被害者の保護や支援に努めてまいる所存でございます。
○小宮山委員 今報告された人数ですけれども、世界のデータなどを見ると、実際に検挙される率というのは本当は一部しかない、氷山の一角であるというふうに言われております。NGOの調査によります。
また、私も、この件に関しまして警察庁の方から本当にじっくりヒアリングもさせていただきました。残念ながら、まだ現在ある法律でしか人身取引などを捕まえることができない、そういう中でなるべくさまざまな形をとって努力していることは認めますが、この点の法整備等も必要なのではないかとヒアリングをしながら感じたものでもございます。
また、人身取引の支援をされているNGOや弁護士さんなどのさまざまな記述を見ても、日本においても人身取引の取り締まりがもっとできて、人権が守られる、救われる方をふやせる、そういった法制度の必要性も求められております。
そこで、こういった事件、そして被害者をなくすことは大変重要だと思っております。女性活躍担当大臣並びに国家公安委員長より、この件につきまして御所見をお聞かせください。
○加藤国務大臣 今委員のお話がありましたように、人身取引の被害者の多くが女性であり、女性の活躍を考えていく上でもこれにしっかりと取り組んでいかなければならないというふうに思っております。
第四次男女共同参画基本計画においても、女性に対するあらゆる暴力の根絶に関する分野の一つの項目として人身取引対策の推進を位置づけ、防止、撲滅そして被害者支援などをしっかり進めていくということにしております。
また、内閣府では、女性に対する暴力をなくす視点で、人身取引に関する国民の意識啓発にしっかりと引き続き努めていきたい、こう思っております。
○河野国務大臣 人身取引は、被害者の心身に著しい苦痛をもたらす重大な人権侵害でございます。昨年度、検挙人員、検挙件数あるいは被害者数、いずれも増加しているということを重く受けとめて、徹底した取り締まりと、支援団体、関係団体と幅広く連携をした被害者の保護、支援といったことを積極的にできるよう警察を指導してまいりたいと思います。
○小宮山委員 また、こういった問題の中においては、やはり表現の自由と児童ポルノの問題といったものも入っております。次々と新手の手法も見られます。例えば、JKビジネス問題が指摘される中、クールジャパン戦略担当大臣の所見をお願いいたします。
日本が、かわいいという言葉はあるかもしれませんが、その中で、結局、性的に見るような、それは女児も男児もそうです、そういった被害者を出さないためにも、こういった部分からもしっかりと見守らなきゃいけないと思います。
この点に関して、クールジャパン担当大臣の所見をお願いいたします。
○島尻国務大臣 御指摘の問題に関しましては、違法なコンテンツを扱わないというのは当然でございます。
ただ、一方、委員の御指摘にもございましたけれども、漫画やアニメなどのコンテンツ産業というものは表現にかかわる問題でございまして、表現の自由とのバランス、あるいは社会通念上許される範囲を考慮する必要があるというふうに思っております。
ある企業は、販売する商品の選定に当たりまして、業界の倫理基準よりも厳格なガイドラインを策定し、適切に社内審査を通ったもののみ取り扱っている、そういう企業もあるというふうに聞いております。
いずれにいたしましても、私としては、多くの外国人にクールだ、クールジャパンについてはいろいろな御意見もあるということは承知しておりますけれども、そう受け取っていただけるような我が国の魅力を発信する、そして日本に好意的なイメージを持つ外国人をふやすようにまた努力していきたいと考えています。
○小宮山委員 大手ゲームメーカーが、アメリカだったと思いますけれども、そのコンテンツが人種差別だったりさまざまな問題に係る、日本では問題がなかったものでも、海外に行くとその地域の方々の心証を傷つけるというようなことで、全ての販売をそのときやめて修正したというふうに聞いております。
日本で確かに育ったかわいいやクールジャパンの感覚というものが世界に合わない、そして、日本に来たときに、いまだに車内づりやさまざまなところで女性の裸の姿とかいったものが大量に掲示されている、こういったことも世界じゅうではなかなかあり得るものではございません。
そういったことも含めて、本当にマナーのいいというんでしょうか、どの国の方が見てもクール、格好いい、すてきだと思えるような、そんな政策、またしっかりとその点の基準も含めて担当大臣には御検討いただき、そして日本が本当の意味で世界からいかがわしく見られないような、そういったコンテンツをつくることにもぜひ努力をしていただきたいと思います。ありがとうございます。
そこで、この人身売買、人身取引は、さまざまな分野に重なってまいります。先ほど河野公安委員長からも関係省庁と努力するとありましたけれども、本当に、通報する、相談ができる電話番号など、さまざまな番号が各省庁にございます。窓口は政府としてもさまざまつくってはいるけれども、なかなかそこに、必ずしもアクセスができない。
特に、場合によっては日本でドラッグ漬けにされて働かされていたり、また、家出をしてきた人が優しく受け入れられて、そこで人身取引に出されて、でもこの人はいいからといって逃げ出さない、さまざまな状況が現実には起こっているそうです。また、監禁され、逃げ出そうとしてもできない、逃げ出すことも諦めてしまっているような、そんな状況に置かれた方々をしっかりと救える、そのための取り組みというものは、本当に政府として全力を挙げていただきたいと思います。
そして、特に女性に関してはシェルターやDV、さまざまなところで支援の方策が、都道府県においてもさまざま努力をされていますが、例えば外国人男性の被害者、語学ができない、労働力として入れられた方々に関しては、まだ、シェルターなども含めて、避難する、身柄をちゃんと安全に確保できる場所というのも大変少ないと聞いております。
このための日本でのさまざまな支援体制、そしてこの人身売買、人身取引を撲滅するために政府として今後どのように取り組んでいくのか、その決意をお聞かせいただければと思います。
〔委員長退席、平委員長代理着席〕
○菅国務大臣 委員からいろいろ御指摘をいただきましたけれども、まさに人身取引は重大な人権侵害であるとともに深刻な国際問題であって、その対策については、政府の重要課題の一つとして取り組んでいるところであります。
今日まででありますけれども、政府は、平成十六年に関係省庁の局長による連絡会議を開催して、人身取引対策行動計画を取りまとめてまいりました。それに基づいて行ってきたわけでありますけれども、平成二十六年の十二月に、局長級から閣僚級に上げまして、人身取引対策行動計画二〇一四をまず関係閣僚会議で決定して、その後に、関係閣僚で構成する人身取引対策推進会議を開催いたしました。
そして、毎年この年度報告というものを求めておりまして、ここの関係閣僚の推進会議の中で、各省庁から、その一年間の取り締まりの実績だとかあるいは問題点、そうしたものを提出していただいて、全体として必要であれば、これは省庁横断的なものが非常に必要でありますので、そこはしっかり対応するような形にさせていただいております。しっかり対応していきます。
○小宮山委員 しっかり対応していただきたいと思います。
島尻大臣、ありがとうございました。
さて、障害者差別解消支援地域協議会の設置について、続いて質疑をさせていただきたいと思います。
障害者の期待を背負って、来月、四月から施行される障害者差別解消法について、その実施体制に関して質問をいたします。
解消法で禁止する障害者差別の問題、合理的配慮について紛争が生じた場合、解消法独自の紛争解決の仕組みをつくらず、既存の相談機関等を使うこととなっており、この点について、当事者の方々、関係の方々から不安が上がっていると聞いております。
今までは、差別であると思った件について相談しても、たらい回しになったり、相談自体を諦めたりすることが多かったそうです。この問題を補うための一つの方策として障害者差別解消支援地域協議会を設置できるような法体制になっておりますが、全国の自治体における設置に向けての動きが低調との報道もございました。
そこで、障害者差別解消支援地域協議会が、現時点でどの程度、何カ所ぐらいの自治体によって設置される見込みがあるのか、伺います。また、今後、設置推進のための予算措置や取り組み状況などについてもお聞かせください。
○武川(光)政府参考人 お答えいたします。
来月施行される障害者差別解消法におきましては、地域の実情に応じた差別の解消のための取り組みを主体的に行うネットワークとして障害者差別解消支援地域協議会を組織できる旨を記してございます。
お尋ねの、現在の設置に向けた取り組みでございますが、地方公共団体におきまして、都道府県と政令指定都市について現在調べておりまして、その八割以上が設置に向けて具体的に取り組んでいるという状況にございます。
また、内閣府といたしましては、これの設置をさらに進めるために、これまでも地域協議会の在り方検討会やあるいはモデル事業をやったり、地方にアドバイザーを派遣したりしておりましたけれども、来年度におきましては、十分な予算を確保するとともに、年度当初に前倒ししてこれらを派遣して、実効性が上がるようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○小宮山委員 また引き続き質問しますけれども、最終的には、障害者差別解消に対しては、やはりそれぞれ症状も違います、対応の仕方というのも大変専門性を求められてくるんだと思います。
そのようなときに、ADR、裁判外紛争解決手続や消費者被害救済委員会のような仕組みも必要ではないかという意見もございます。この点に関しましてどのような考えをお持ちなのか、お聞かせください。
○加藤国務大臣 委員御承知のように、障害者差別解消法第十四条において、国及び地方公共団体は、障害者等からの相談に的確に応じ、紛争の防止または解決を図ることができるよう必要な体制整備を図ることとされております。
これについては、行政肥大化防止等の観点から、必ずしも新たな機関を設置するということではなくて、既存の機関等の活用、充実を図っていきたいと思います。
ただ、そこにおいて担当する職員の方がしっかり障害ということを認識して適切な対応をしていかなきゃならないわけでありまして、法の趣旨及び対応要領の徹底、障害のある方から話を伺う機会を設けるなど各種の研修をいたしまして、それぞれ対応する職員の方の障害に関する理解の促進を図っていきたい、また障害に知見のある方を相談窓口に配置するというようなことをしていきたいと思っております。
それから、今お話がありました地域協議会でありますけれども、障害者の状況を適切に踏まえ、関係機関の連携による差別解消に向けた取り組みの中の中核として期待をされるわけでありますが、地方公共団体の中には、地域協議会にあっせん機能を設け、さらに、あっせんによっても事案解決が困難な場合には、審議の結果、知事に勧告を要請できるとする紛争解決の機能を設ける事例も検討がされているということでございます。
私どもとしては、そうしたそれぞれの地域の状況を広く共有することによって、まずは地域協議会の設置、そして機能の充実をしっかり図っていきたい、こう思っております。
○小宮山委員 現在、議員立法でございますけれども、成年後見制度の利用の促進に関する法律案を準備しております。この中でも、やはり今現実に障害をお持ちの方で利用している方々が、なかなか不備がある点を指摘もされています。そして、自分たちの意思というものがある、それを確認する、海外ではもうこれをするのは当たり前になっているにもかかわらず、日本はそういった法体系になっていない、そんなことも見かけます。
ぜひ、共生社会の担当大臣といたしまして、こういう障害をお持ちの方々、難病をお持ちの方々も、もしこの法案が通りましたら、内閣府の方に協議会が設置されます、しっかりと、必ずそういった当事者の方が入り、どの方にも使いやすい制度になるように御配慮いただければと思います。
うなずいていただいておりますので、通告はしておりませんが、もし何かあれば。
○加藤国務大臣 まさに、また後で御質問もあるかもしれませんけれども、対応指針をつくるときにおいても、そういった障害の団体の方々からもお話を聞きながら進めさせていただきました。
やはり実態に即応した形で対応していくことが大事なことだというふうに思っておりますので、よくそうした皆さん方の声をしっかり聞きながら対応させていただきたいと思います。
○小宮山委員 ありがとうございます。
さて、解消法が施行されますと、多くの方にもっと周知をしなければならない。特に、民間の方々についてはやはりもっと知っていただきたいという思いがございます。
その取り組み状況をまず簡潔にお聞かせいただき、引き続いて、また、民間事業者に解消法の周知を進める必要も恐らく実施をされてから出てくるんだと推測されます。具体的に、他省庁とも協力をしながら周知活動を行う予定はあるのか、障害者団体を交えて引き続きさまざまな事業者に対する周知活動を行うべきか、大臣にもお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 今御指摘がありますように、施行を円滑に進めていくためにも、民間事業者の方々に周知をし啓発を図っていくことが大変重要だというふうに思います。先ほどちょっと申し上げましたが、対応指針においても、そうした障害者団体のみならず事業者団体の方からも話を聞きながら、そうした機運も盛り上げさせていただきました。
また、事業を所管する各府省において、各事業者団体等を通じて各事業者に周知を行っていく事業者向けの説明会を開催しておりますし、また内閣府においても、障害者差別の解消に向けたフォーラムを今年度でいえば十回開催させていただき、またリーフレット、ポスター等さまざまな手段を通じて事業者への周知を図っていきたいというふうに思います。
御指摘がありますように、法の施行というのは、ゴールではなくて、むしろそれからスタートするということであります。施行後も、法の趣旨が事業者はもとより国民一般の皆さん方にもしっかりと浸透していくよう、障害者団体を初め関係者の意見も状況状況でよく聞きながら、政府全体でしっかりと周知啓発に取り組んでいきたいと思います。
まさに、障害のある方も活躍できる社会、それが一億総活躍社会ということですから、その実現に向けてしっかり取り組みをさせていただきたいと思います。
○小宮山委員 私がなぜこの質問をするかといいますと、昨年、国会を包囲した、政府提出の安全保障法制に対して抗議をする十万人近くの方が来られました。
その中で、私自身も、見守り隊の国会議員有志の一人として現場にいさせていただいたときに、たまたまなんでしょうけれども、若い警察官が、知的障害を持つと思われる女性に、ここをどけとどなりつけて威嚇をしているところに出会わせました。それを受けて彼女は、逆に動けなくなるほど萎縮をしていました。その結果、本当に動けなくなり、さらにどなられるという悪循環を招いておりましたが、たまたま数十分前に私は彼女に別のところで話しかけていたということもあって、両方に声をかけて、少し安全な場所に移動してもらったんです。
でも、そのときに、彼女がいなくなった後に、実は私、この若い警察官に、こういうときにどなりつけたら余計萎縮するから配慮してほしいと頼んだんですが、頼んだら、かえって私自身がにらみつけられた。職務に物すごく忠実に行われていたんでしょうけれども、私も、これが警察官で、障害者のことを理解していないんじゃないか、接したことがないんじゃないかという非常に悲しい思いもしておりました。
また、現場には多くの高齢者や視覚障害者の方も来られておりました。そして、気分の悪くなった高齢者が市民団体の用意した救護所に行こうとするのを、柵を乗り越えるなと言って阻む姿。
また、三十代ぐらいでしょうか、女性の方が、気分が悪くなったと言って付き添いの方と救護所に行った。ほどなく回復をされたようでありますが、まずそこの救護所に行かせるための押し問答も相当長くいたしまして、私も支援をさせていただいたんですが、それがわかっていた、これもまたそこそこ若い警察官がそれを見て、すぐ治ったじゃないかと言って、私の脇を通るときにわざと聞こえるように話していく。
後で、治療した方にその女性のことを私も聞きました。急激に気分が悪くなる、でも水を飲んだり少し安心すれば治るものであります、女性にはよくある症状だというふうな説明を受け、納得いたしました。
こういった女性特有の体調の変化など、そういった高齢者のこと、特にこのときは夏の暑い、まだ残暑厳しい時期であり、救護所はつくれましたけれども、給水所の方は残念ながらたしか置けなかったり、そんなような場所。また、土地柄もそうですけれども、トイレなども数が少ない中での出来事でありました。
私は、その若い警察官の少しリーダー格というんでしょうか、その場を仕切っている方に、障害を持っている方、高齢者やそういった女性にはぜひ配慮してほしいということは依頼をしたんですけれども、そういった声があの中でしっかりと、これは警察発表の三万人のエリアの中でありますので、ちゃんと委員長の方には届いているんでしょうか。非常に疑問に思いました。ぜひ合理的配慮を。
また、経験のない、接したことがない方にはなかなか理解できない、また外から見たら難病の方などは本当にわかりづらい、そういった方々に、やはり私たちの生活やさまざまな安全を守っているまずは警察官の方は、行動指針などがこの問題に関しては出されているはずです。それについて、実は質問通告はしておりませんけれども、河野国家公安委員長、ぜひ取り組みについてお聞かせいただけないでしょうか。
○河野国務大臣 そうした状況について警察がどのような取り組みをしているか、しっかり確認をしてまいりたいと思います。
○小宮山委員 あわせて見ますと、このときには常総市の台風の被害があっておりましたので、見守りの弁護団の方がある警察官とお話ししたら、午前中はそちらの応援に行って疲れたところ、また国会に投入された。さらには、何度行っても、何十台と、バスというんでしょうか、警察の青いバス型の車両が出ておりまして、ずっとエンジンを吹かし続けていたのですね。これに関しては、正直、いる方々も気持ち悪くなられるんですけれども、職務としてその前に立っていらっしゃる警察官の方たちも、本当に労災じゃないかと思うような状況でありました。
これについては、私たちからも改善要求のペーパーを実は警視庁の方に何人かでお持ちいたしましたけれども、そういったところもぜひちょっと見守っていただきたい。
先進国で、国民が自由な表現をし、そして発議をすること、つい先日も保育園落ちたの私だと言って立たれた、そういった国民の声ができる、先進国としては当たり前の国でいていただきたいと思います。ぜひ、国家公安委員長になられました、この点に関しても、自由な表現ができる、そういう国でいられるように努力を続けていただくことを要望いたします。
さて、時間がもうなくなってまいりましたので、特定秘密の保護に関しまして御質問を続けていきたいと思います。
その前に、前提条件となりますが、公文書管理のあり方について現在どのようなことが検討されているのか。やはり公のものであります。
前回の質疑のときに古本委員の方からも質疑がありました、アメリカの公文書館では残っているけれども、日本はいまだに密約の問題は、まだこれを了承しているものではないと。当時、私自身も外務委員会の筆頭理事をしておりまして、当事者の方からもお話を聞いたり、国会で参考人も来ていただきました。そういう意味においては、公文書管理について、そしてその情報公開に関しては、日本はまだまだ整備が進んでいないと感じております。
この点につきまして、資料類の公開のルールについても検討の対象とするのかどうかも含めて、河野大臣、お考えをお聞かせください。
○河野国務大臣 公文書というのは、民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、国民が主体的に利用し得るものであるという法にうたわれた精神をしっかり体現してやってまいりたいと思います。
今、法律の五年後の見直しを含めた検討をやっておりますので、しっかりとそうした法の精神に基づいたものになるようにやってまいります。
○小宮山委員 特定秘密保護法に関する資料、そういったものに関してはいかがでしょうか。
○河野国務大臣 特定秘密に指定されているものは、公文書館には移管をされません。特定秘密が解除された後に移管をされたものは、同様に行政文書として公開に供していきたいと思います。
○小宮山委員 ありがとうございます。
指定されたものは移管されないということでありますので、この点に関しては担当大臣に引き続き伺ってまいりたいと思います。
時間でございますので、河野大臣におきましては、どうぞ退席を。
さて、特定秘密保護法施行後、昨年十二月で一年が経過いたしました。この中で、昨年暮れには、憲法上の会計検査院の役割の重要性が認識され、従来どおり、すなわち検査院から資料提供の要請があった際には、特定秘密にされる情報においても提供をするということが内閣官房から通知が出されています。
二十七年中の特定秘密指定件数は、その中で、新規指定分は六十一件の純増となっております。今後も指定件数は増加の一途をたどるのではないか、その点に関して大臣の御見解をお聞かせください。
○岩城国務大臣 お話がありましたとおり、平成二十七年末時点における特定秘密の指定件数は十一行政機関で計四百四十三件であり、二十六年末時点と比べまして六十一件増加しております。二十六年末から二十七年末までの間に指定の解除はなかったため、新規指定分がそのまま増加したものであります。
今後の特定秘密の指定件数の動向につきましては、現時点で確定的なことは言えませんが、指定件数が増加することもあり得るものと考えられます。
いずれにいたしましても、政府といたしましては、今後とも、特定秘密保護法の適正な運用を積み重ねていく中で、常にその改善に努め、特定秘密の取り扱いの客観性と透明性の一層の向上を図ってまいりたいと考えております。
○小宮山委員 現在は、指定解除や公開により後の検証が行えずに、公文書管理期間の関係でも廃棄も可能だというふうに捉えることができます。また、今大臣からの答弁がございましたが、年月がたてば秘密にされる件数は当然増加をしていくんだろうと推測されます。
情報公開に向けて、米国などと同様に日本も、特定秘密に関する公文書は保管、指定の解除の後にしっかり公開ができるように管理制度を整備するべきだと考えております。このために法整備なども改めてしなければならない。先ほどの河野大臣の答弁からもですが、通常のものと違い、やはり公開されない期間が長くなる場合、それぞれによって違う。その中で、公文書としての保存期間が過ぎるものもあり得ると思います。後世に、この情報は特定秘密にしっかりと資するものであるとしっかり認められるような、そんな対応も必要かと思います。
そのために法整備をするべきと考えるのか、そのために努力をされる決意があるのか、大臣の所見をお聞かせください。
○岩城国務大臣 先ほど河野大臣からも答弁がありましたとおり、特定秘密である情報を記録する文書も、特定秘密保護法の運用基準にも明記されておりますが、公文書管理法の適用を受けます。したがいまして、保存期間が満了した文書は、歴史資料として重要な公文書に該当する場合には国立公文書館等に移管され、該当しない場合も、廃棄する際は内閣総理大臣の同意を得ることが求められます。
その際、我が国の歴史を後世に伝える上で歴史資料として重要な公文書を確実に国立公文書館等へ移管するため、国立公文書館の専門職員の専門的、技術的助言を活用することとしております。
また、特定秘密保護法及び運用基準では、指定の有効期間が通じて三十年を超えた特定秘密である情報を記録する文書を含む行政文書ファイル等は、保存期間満了後、全て国立公文書館等に移管するものとされております。
このように、公文書管理法と特定秘密保護法に基づきまして、特定秘密である情報を記録する文書も歴史的な検証に資するよう適切に管理されることになると考えます。特定秘密の記載された文書についても公文書管理法等により他の文書と同様の管理が行われるものでありまして、現時点で何らかの法的措置が必要だとは認識しておりません。
〔平委員長代理退席、委員長着席〕
○小宮山委員 指定された方が歴史的文書なのかを決めるというのではなく、これは後世の方が歴史的な文書かどうかを判断してもらえばいいんだと思います。その点は大きく私とは見解が異なります。引き続きこの点に関しましては議論させていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○西村委員長 次に、池内さおり君。
○池内委員 東日本大震災と福島原発の事故から五年という節目の年を迎えました。改めて、犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災者の皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。
また、原発再稼働推進ありきで除染と賠償の打ち切りなどということは断じて許されないことです。国と東京電力の責任で、戻りたい人も戻れない人も、全ての被害者の生活となりわいの再建を支援することができるように、私も全力を尽くしていきたいというふうに思います。
きょうは、性暴力の問題で質問をします。
昨年の暮れに閣議決定をされた第四次男女共同参画基本計画では、第七分野として、女性に対するあらゆる暴力の根絶を掲げています。女性に対する暴力について、「犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害」というふうに定義をしています。これはとても大切な定義だと思います。その立場からあらゆる施策も展開されるべきだというふうに私は思います。
その施策を展開する上でも、まず第一に必要なこと、それは女性に対するあらゆる暴力の実態、女性に対する人権侵害の実態について正確につかむことだと思います。既に内閣府は、一九九九年から男女間における暴力に関する調査を行って、昨年三月に二〇一四年度の報告が公表されています。この調査で、男性から無理やり性交された女性がどれくらいいたか、そのうち、未成年のうちに被害に遭った人はどれくらいいましたか。
○武川(恵)政府参考人 お答えいたします。
御指摘の平成二十六年度の調査でございますけれども、この調査におきまして、女性千八百十一人がサンプルでございますが、これまでに異性から無理やりに性交されたことがあるかを聞いておりまして、一回あったが三・七%、二回以上あったが二・八%で、被害経験のある女性は六・五%となっております。
また、そのうち未成年の割合がどのぐらいかという御質問でございまして、御指摘の調査におきまして、異性から無理やりに性交されたことがあったとお答えになった方六・五%、百十七人につきまして、その被害に遭った時期を聞いております。小学生以下が一一・一%、中学生のときが二・六%、中学卒業から十九歳までが二三・一%となっておりまして、未成年者が四割弱となっております。
○池内委員 十五人に一人、しかもほぼ四割が未成年のときに被害を受けています。
重要なのは、この調査が、全国五千人の二十以上の男女を無作為に抽出し、そのうち女性千八百十一人からの回答を得たもの。特定の人を対象にしたものではないということです。
この調査は一九九九年度から三年ごとに行われていますが、無理やり性交されたと答えた女性の割合はそれぞれどうなっていますか。
○武川(恵)政府参考人 御指摘の調査、過去のものをさかのぼりますと、平成十七年度が七・二%、平成二十年度が七・三%、平成二十三年度が七・七%、平成二十六年度が六・五%となっております。
○池内委員 一度限りの現象ではないということだと思います。いつ調査をしても同じような結果が出たということは、日本社会では恒常的にこうした状態が続いているということを示しています。人数に換算すれば、日本の二十以上の女性の人口は、二〇一四年度の推計で五千三百六十五万六千人です。その六・五%といえば、三百四十八万七千人にも上ります。何度調査をしても同じような比率が出てきていて、この人数は決してとっぴなものではなく、実態に即したものだと私は思います。
私は、率直に言って、非常に驚きました。とても恐ろしい実態だと思いました。政府、社会を挙げて克服をしていかなければならない問題だというふうに思いますが、官房長官はこの数字をどのように受けとめられますか。
○菅国務大臣 性犯罪というのは、女性に対する暴力の中でも、その人権を著しく踏みにじる最も許してはならない行為で、多くの被害者の方が今おられることを深刻に受けとめております。
政府として、性犯罪の根絶に向けて、加害者と被害者を生まないための若年層を対象とする教育、さらには、女性に対する暴力を容認しない社会の環境をつくっていく、このことも大事だというふうに思っています。
また、性犯罪への対処、未然防止のための性犯罪に関する罰則のあり方、このことについても見直しを行うとともに、また関係の法令がありますから、その法令を厳正に運用し、そしてまた適正で、かつ性犯罪捜査を推進し、そして事件として挙げて罰則を受けてもらう、そういうことをしっかり行うことがまず大事だというふうに思います。
また、被害者に対しては、被害直後から相談を受けて、迅速にかつ適切に医療的支援さらに心理的支援などを提供することによって被害者の心身の負担の軽減を支援する、このことも大事だというふうに思います。
被害を訴えることをちゅうちょせずに必要な相談を受けられる体制、被害者の心身回復のために被害直後及び中長期の支援が受けられる体制の整備、こうしたことを図っていくことも大事だというふうに思っておりますので、今委員から指摘をされました数字、そうしたものが完全になくなるように努力をしてまいりたいというふうに思います。
○池内委員 ぜひ、積極的に取り組んでいただけたらというふうに思います。
性暴力の被害というのは、本当に見えにくい被害だと思います。誰かに相談したかという問いに、誰にも相談しなかったと答えた人が六七・五%。被害が顕在化していないということだと思います。なぜ相談しなかったかといえば、恥ずかしくて誰にも言えなかったが三八%、その他、二〇%以上を占めた回答は、自分さえ我慢すれば、思い出したくない、自分にも悪いところがあった、相談しても無駄だと思ったというような回答が続きます。
無理やり性交などという、性暴力であり、性犯罪にさらされてもなお、被害者が自分を責めて沈黙を強いられている。多くの方々が沈黙を強いられているということに私も心が痛みます。
性暴力をやはり社会から根絶しないといけない。そのためにも、ぜひとも国を挙げて取り組む必要があるというふうに思うんです。
今、私は、緊急に必要なことというのは、現に被害を受けた人に寄り添うことだと思います。一つは、被害を受けた女性たちに対して、やはり、あなたが悪いのではない、被害者なのだという、この強烈なメッセージを国が発信していくことが大事だというふうに思いますが、加藤大臣、どうですか。
○加藤国務大臣 また後でも議論させていただくだろうと思いますけれども、そのためにも、政府としてワンストップ支援センターの設置を促進していくということが必要だというふうに考えておりまして、今の箇所をさらにふやして、各都道府県に最低一カ所を設置するという目標を掲げて、まずは相談しやすい環境をしっかりつくっていくということが必要だと思います。
それから、今お話がありましたように、相談に対するちゅうちょする思い、それを、そうではなくてきちんと相談してほしい、そういった呼びかけをしっかりしていくことも大事なんだろうな、こう思います。
○池内委員 ぜひとも、国を挙げて、あなたは悪くないというメッセージを発信していただきたいというふうに思います。
同じ内閣府の調査で、男女間の暴力を防止する必要な対策、体制、このために何が必要であるかと聞いたのに対して、どのような回答が一番多いですか。
○武川(恵)政府参考人 御指摘の調査におきまして、男女間における暴力を防止するために必要だと考えることを聞いた結果でございますが、まず、一番多かったのが、被害者が早期に相談できるよう、身近な相談窓口をふやす、これが六九・四%で最も多く、次いで、家庭で保護者が子供に対し、暴力を防止するための教育を行うが六四・六%などというふうになっております。
○池内委員 私も、性暴力の被害者を支援する上で、ワンストップ支援センターというのはとても大事だというふうに思います。とりわけ、病院拠点型のセンターというのが大事だというふうに思うんです。
先ほど阿部議員も御指摘をされていましたけれども、国際的にもその役割というのは重視されていて、例えば、国連「女性に対する暴力に関する立法ハンドブック」の中では、このような性格を持つ支援センターは人口二十万人に一カ所が最低基準だと言われているし、その基準からすると、日本には各地に五百カ所あってもおかしくないという水準です。余りにもやはりおくれているのではないかというふうに思います。
私も、昨年末大阪のSACHICOを視察させていただきました。すごく心に残ったのは、やはり、被害を受けた女性たちが、それこそ自分の体は自分のものであるということ、この当たり前の権利を奪われた女性たちがもう一回自分の人生を自分の足で歩んでいくということはとても大変なことで、そういう被害を受けた女性たちが来院したら、まず、相談窓口でどこに自分が座るかというのをその人に決めてもらうんだというふうに説明を受けたんです。そういうところから自分で自分の人生をやはり決めていくということを、病院拠点型であるからこそ最初から最後まで支援ができるということを私はとても痛感しました。
なので、やはり二十四時間体制、病院拠点型、長期間継続的に支援をということが求められていると思うんです。被害は時間と場所を選ばないので、電話開設だけとかではなくて、やはり被害の実態に見合う支援が求められているのではないか。
SACHICOの例にもあるように、予算的な手当てや制度的な手当てというのはどうしても必要だと思うんです。先ほどの答弁でも、加藤大臣もその点はお認めになると思うんです。
阿部議員も指摘をされていましたけれども、支援員の配置というのも大事だし、同時に、その前提となる支援員の育成に係る費用、これもとても大事だと思います。医学教育における性暴力に関する講座の導入なども現場の方々は求めていらっしゃいます。さらには財政状況も、先ほど阿部議員も指摘されていましたけれども、診療報酬の体系の見直しもぜひやっていただきたいと思います。
この点は、加藤大臣は厚労大臣ではないので担当大臣ではないとは私もわかっているんですけれども、やはり男女共同参画の推進のための大臣として、各省庁にぜひ働きかけていただきたいと思いますが、いかがですか。
○加藤国務大臣 今お話がありました、先ほど阿部委員からもありました大阪のSACHICO。最初にスタートしていただいた、そして、二十四時間三百六十五日体制でそうした方々の相談、支援に当たっていただいておる。また、今の委員からの御説明のように、非常にきめ細かい配慮があるなということを改めて実感させていただきました。
今、そうしたセンターに対する財政措置というのは基本的にしていないわけでありますが、モデル事業等を通じて促進させていただいている。こういったことを通じて、二十万人につき一カ所という国際機関の話もありますけれども、まずは、国内で各都道府県一軒、しっかりとこれを実施していきたいと思っております。
それから、それを展開する中で、やはりそれぞれの地域、SACHICOのように病院中心型もあります、相談中心型もあります。いろいろな実情も聞きながら、必要な対応にどういうものがあるのか、しっかりと研究しながらそれに対して対応していきたいと思っております。
○池内委員 ぜひ、設置目標も掲げて推進していただきたいんですが、いかがですか。ちゃんとこの時期までにこれだけつくるという設置目標、どうですか。
○加藤国務大臣 基本的には各都道府県ということでありますけれども、この第四次の男女共同基本計画は五年間になりますから、少なくともそこにおいては具体的目標として各都道府県一軒と言っておりますから、それはしていかなきゃいけない。
委員はそれじゃ遅いということかもしれませんが、できるだけそれぞれが前倒しというんでしょうか、早期に設置をしていただけるよう我々も働きかけをしていきたいと思います。
○池内委員 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
もう一つは、加害者を減らす措置です。
内閣府の調査では加害者についても行っていて、その結果は、大多数の人が、交際相手、元交際相手、配偶者、元配偶者、親、兄弟、それ以外の親戚など、面識のある人から被害を受けている。私は、女性たちに対して無理やり性交を迫るというのは、夫婦であっても親子であっても犯罪行為であるという認識が絶対に必要だというふうに思います。その認識がなければ、無理やり性交された人が三百万を超える、こんな悲惨な実態はなくならないというふうに思います。
先日発表された国連女性差別撤廃委員会の総括所見の中でも、近親姦、強姦の定義の拡大、婚姻関係におけるレイプなどを犯罪と規定するように求めています。今、刑法の強姦罪の改正の議論が進められていますけれども、非親告罪化の議論はもとより、配偶者間強姦についても検討する必要があると思うし、暴行、脅迫要件の緩和、被害者が年少者である場合の公訴時効の廃止、停止、こうした問題についても改正を急ぐべきだと思いますが、どうですか。
○盛山副大臣 池内委員から御指摘がありました件につきましては、昨年の十月九日に、性犯罪に対処するための刑法の一部改正について、法務大臣から法制審議会へ諮問したところであります。この審議会の議論をまず見守りたいと思います。
そして、昨年十月の諮問というのは、昨年の八月に取りまとめられた性犯罪の罰則に関する検討会の報告書の内容を踏まえたものであります。
この検討会におきましては、御指摘の、配偶者間においても強姦罪が成立することを明示する規定の新設、強姦罪等における暴行、脅迫要件の撤廃または緩和、年少者に対する性犯罪についての公訴時効の撤廃または停止のほか、女子差別撤廃委員会の最終意見で指摘された事項、すなわち、近親姦を明示的に処罰する規定が設けられていないこと、いわゆる性交同意年齢が十三歳であることなどについても論点として取り上げられ、さまざまな観点から議論が行われたものと承知しております。
これらの論点につきましては、同検討会において、法改正をすることに慎重な御意見や、法改正をするべきでないとの御意見が多数であったことなどから、今回、法制審議会に諮問しなかったものでございます。
いずれにせよ、これらの事項については、同検討会における議論をも踏まえ、法改正の要否を含めて慎重に検討すべき問題であると考えております。
○池内委員 ぜひとも検討をお願いしたいと思います。
ここでテーマがかわりますので、菅官房長官、結構です。ありがとうございます。
女性に対する性暴力の問題で、私は見過ごすことができないというのは、やはり年少者、とりわけJKビジネスの名で女子高生が被害にさらされているということだと思います。
昨年秋、国連のマオド・ド・ブーア・ブキッキオ児童売買、児童買春及び児童ポルノ国連特別報告者が来日をして、日本国内で調査を行って記者会見をしました。そのとき、この報告者が、女子学生の一三%が援助交際を経験していると述べたことが大きな問題になりました。外務省が十一月二日に、根拠がないとして発言の撤回を申し入れた。私も、根拠のない数字をあげつらうということは正しくないと思います。けれども、JKビジネスが多くの少女たちを巻き込んでさまざまな問題を起こしているということは事実だと思います。
それでは、一体、この一三%は事実無根と抗議した日本政府は、いわゆるJKビジネスにかかわった少女たちがどれくらいいるとつかんでいるのか。つかんでいないとすれば、実態調査を行うべきではないか。加藤大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 内閣府では、被害者数そのものは把握をしておりません。
ただ、内閣府においても、さまざまな民間団体等ともいろいろと意見交換もさせていただいております。そういった場所を通じて実態把握に努めていきたいというふうに思います。
ただ、今委員御指摘のように、さはさりながら、やはり状況というのは把握しないと適切な政策は打てないというのは、そのとおりだというふうに思います。ただ、こういったものをどういうふうに把握すればいいのかというのは、正直言って、普通の調査とはまた違う。また、国がやる場合でありますから、それはそれなりにいろいろと考えていかなきゃいけない点があるんだと思います。
そういったことを含めて、把握をする必要性は十分共有していきたいと思いますが、どういう形でやればいいのか、しっかり勉強させていただきたいと思います。
○池内委員 私も、ぜひとも実態をつかんでいただきたいというふうに思っています。
そこで、警察庁に聞きます。
JKビジネスとはどういうものか。愛知県警ではどのように述べていますか。
○種谷政府参考人 お答えいたします。
いわゆるJKビジネスについては、女子高生等の少年の性を売り物とする新たな形態の営業でありまして、大規模な繁華街等を擁する大都市を中心として、例えばリフレですとか散歩等と称して、さまざまな形態により出現しているものと承知しております。
これらの営業につきましては、女子高生等が児童買春等の犯罪の被害者となる危険性が高くて、少年の保護と健全育成の観点から憂慮すべきものであると認識しております。
警察といたしましては、これまでも、これらの営業に対しまして、労働基準法ですとか児童福祉法等を適用して取り締まりを行っているところでありまして、引き続き、実態把握に努めながら、これらの業務に従事している女子高生等に対する補導を推進するとともに、違法行為については厳正に取り締まってまいりたいと考えております。
○池内委員 愛知県警のホームページの該当箇所をちょっと読み上げていただけないですか。
○種谷政府参考人 お答えいたします。
愛知県警におきましては、ホームページで「JKビジネスってなに?」ということで定義をしておりまして、JK、女子高生と称し商品化し、十八歳未満の少年の性を売り物とする営業形態の総称ですということで、JKビジネスの例として、ガールズ居酒屋、リフレ、見学クラブ、撮影、お散歩、観光案内等が例示をされているところでございます。(池内委員「どんな危険があるか」と呼ぶ)
その下に、「どんな危険があるの?」というふうに書いておりまして、「十八歳未満の少年がJKビジネスで働いたりすることは、不特定多数の客から性の対象として見られ、児童買春やストーカーの被害に遭うなどの危険性があります。また、安易な気持ちで近づいた結果、重大な犯罪に巻き込まれることも考えられますので、この種の営業に関わらないようにしましょう。」というふうに書いてございます。
○池内委員 少女たちは、性暴力の被害に遭うことなどない、言ってみれば普通のバイトだと思って、気軽な気持ちでこのJKビジネスに接近をしています。しかし、実際には客に性行為を求められることはよくあることで、愛知県警のホームページでも言っているように、客の要求によって、容易に性行為にまで行き着いている。
私は、数年前に錦糸町で、家出をしてきた十六歳と十七歳の少女二人に出会いました。私にはこれはとても衝撃的な出会いでした。二人とも、家族関係がうまくいっていなくて家に居場所がない、不登校で、学校に行っても居場所がないと。私に会うまでの二日間、一体どこで何をしていたのかと聞いてみると、声をかけてきた男性の家に泊まって望まない性交を強要されていたと。
二人に出会ったその日に、私は、安心して温かい布団で寝てもらいたい、ぐっすり眠ってもらいたいという思いから、自分のアパートに連れて帰って一晩一緒に過ごしたんですけれども、彼女たちと夜通し話すと、その少女は、肩から手首まで、また膝下、ぎっしりとリストカットの跡が幾重にも刻みつけられていて、皮膚がかたくなっていました。その子のバッグの中には、勉強したいと言って、国語の教科書や数学、英語の教科書が入っていたわけなんです。こういう少女たちが、今、行き場所がない。誰に出会うかによってその後の人生が大きく変わってしまうような社会は、私は異常だというふうに思うんです。
JKビジネスなどにからめ捕られた少女たちの相談に乗ってさまざまな支援に取り組んでいる、一般社団法人Colaboの代表仁藤夢乃さんにお話を伺うと、二〇一四年度、八十四名の少女から相談があったということで、そのうち、JKビジネスにかかわる少女が五十八名、個人売春を経験したという少女が二十三人、あっせん者のもとで管理売春をさせられていた少女が十七名。彼女たちの多くが、家族から身体的、精神的また性的虐待を受けていたり、ネグレクト、親の自死、家庭の経済状況悪化、家に居場所がなくなって、町にあふれてきている。
問題は、こうした少女たち、町をさまよっている少女たちに誰が声をかけるか、ここで運命が分かれているということだと思います。
仁藤さんは、帰るところがなく町をさまよっているときに、宿と食事を与えてくれるという人に話しかけられて、その人が悩みを聞いてくれたり、また、ほかにも同じような状況の同世代の女の子たちが楽しく働いているよなどというふうに言われたら、やはりついていきたくなるのは自然なことだろうというふうに指摘しています。
きょう食べるものがない、きょう寝るところがない、そんなときに声を上げられない少女に対して声をかけるのは、そういう少女を利用しようとする大人たちだ、具体的にはスカウトと呼ばれる人物であり、店長であり、店のオーナーだというふうに仁藤さんが指摘しています。
彼女はこういう業界の人々のことを裏社会の人たちというふうに呼んでいますけれども、こうした関係性の貧困の中にある子供たちに、裏社会が居場所や関係性まで提供している、そして彼女たちを引きとめるために、お店を居場所にどんどんしていくわけですね。
私は、こういう少女に声をかけるという仕事というのは、本来、JKビジネスなどに少女がからめ捕られないために、国がやる、政治がやる仕事だというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 今、池内委員の生の体験のお話を聞かせていただきました。
まさに、居場所というのは大変大事なことなんだろうというふうに思います。一時的な保護という意味においては、配偶者暴力相談支援センターとか個人相談所というのが、被害の状況において必要な場合には一時保護を行っているというのがあります。また、実際、配偶者暴力の被害者のさまざまな年齢の方が保護されているというふうに承知もしております。
またさらに、このJKビジネスの被害少女の避難については、民間の団体においても取り組んでいただいているということでございます。正直言って、まだ全体を我々は把握しているわけではございません。そういった民間の団体の取り組みなどもしっかりと見せていただきながら、この問題の奥深さといいますか、状況というものをしっかり勉強させていただきたいと思います。
○池内委員 やはり、今ある受け皿ではなかなか子供たちの居場所になり切らないからこそ、こういう実態があふれているんだと思うんです。
その点で、私も驚いたんですが、店のスタッフというのは、居場所づくりのために本当に並々ならぬ努力をしています、携帯を買い与えたり、美容院代を出したり。こうした形で、どんどん逆らえない形、あとは、人間関係をシャットアウトさせていって、とても狭い人間関係の中に囲い込んでいくことなど、住まいを提供するかわりに働かせるわけですけれども、少女が抜け出せない状況というのをやはりいろいろとつくっているわけです。
私はいつも怒りを感じるんですけれども、こうした性暴力の問題となると、その問題を聞く側の方に、もう既に偏見が埋め込まれていることがとても多いというふうに思うんです。JKの問題も、少女の貞操観念の問題とか素行が悪いとか非行の問題というふうにやはり現場でも捉えられがちで、私は、それ自体が偏見だというふうに思います。子供たちが置かれている困難な実態とは全くかけ離れた偏見だと思います。
少女たちは、知らない人との性的接触を求めているのではありません。少女たちは、衣食住を、きょう寝る場所を、そして温かい人間関係を求めているんだということを強調したいと思います。
ある少女は、実の父親からの性虐待から逃れるために、地方から首都圏に逃げてきたそうです。首都圏の民間の方々とつながることができて、首都圏の警察に相談に行ったそうです。すると、その警察官から、被害が実際に起こった場所に自分のお金で戻って、その場所の警察に被害届を出せというふうにあしらわれたそうです。
私は本当に、ここに表社会と裏社会の決定的な違いがあるということを言わないといけないと思います。裏社会の人々は少女に、住所地に戻れ、居住地に戻れなどということは決して言いません。学校や家庭に頼れなくて、関係性もなくて、貧困の中にいる少女たちに、やはり裏社会というのは、居場所、関係性を、あの手この手で本当に居場所にしていく。
私は、個人に合ったメニューをやはり準備できる、そういう体制が子供たちを守っていく第一歩だというふうに思うんです。仕事や食事を提供し、やりがいと仕事を持たせて、学習支援まで実は店側はやっているということなんです。
なぜ、裏社会の大人にできていることが表社会の私たちにできないのか、仁藤さんは鋭くこのように問いかけています。私は、政治に携わる者にとって、この言葉というのはとても重い問いかけだと思いますが、大臣はこの問いかけをどのように受けとめられますか。
○加藤国務大臣 ちょっと今の警察の例は、また担当大臣にもお話をしておきたいというふうに思います。
いずれにしても、まず、それぞれの被害の、あるいは被害を受けそうな方々にどういう形で対応していくのか。先ほど申し上げたようなことで、我々もいろいろさらに勉強していきたいと思います。
もう一つは、そういうことが起こらないような状況というものをつくっていく必要がある。そのための研修ということで、若年層に対して指導的な立場にある人を対象とした、あるいは相談員を対象とした研修もしながら、そうした要望、あるいは、もし万が一そういうことになればどういうところに相談に行くのかといったことについてもしっかり周知を図り、また、被害者の支援を行う民間団体ともよく連携をとりながら、あるいは各関係省庁とも連携をとりながら、しっかりと対応させていただきたいと思います。
○池内委員 やはり、子供を都合よく利用する、もうけの対象にするという社会は、私は異常だと思います。子供が助けてと言えない社会はおかしいと思うんです。
やはり、誰もが温かい人間関係の中でこれまで育まれて生きてきたと思うんです、ともに笑ったり泣いたりという。時には厳しくちゃんと叱ってくれる大人の存在が、ここにおられる議員の皆さんにもそれぞれいたというふうに思うんです。こういう当たり前の社会に変えていかないといけない。子供の六人に一人が今貧困状態にあって、関係性の貧困、きょう寝る場所がない、衣食住を求めているというこの現実に、私も向き合っていきたいと思います。
私は、今二つのことが求められていると思うんです。一つは、JKビジネスなどそのものをやはり規制すること。もう一つは、JKビジネスなどに女子高生がからめ捕られていかない対策をするということ。
七日に公表された、国連の子供の買春、児童ポルノに関する特別報告者による日本に関する報告書。出されましたけれども、この中で、十代の女子が従事するJKビジネスなど、性的搾取を促進したり、つながったりする商業活動の禁止というのが勧告をされました。
国連の指摘、国としても本当に早急に対策を講じるべきだというふうに思います。加藤大臣と、また、ただいま到着されたばかりですけれども、河野大臣にもこの質問を聞きたいんですけれども、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 昨年の第四次男女共同参画基本計画においても、児童買春等の子供に対する性的な暴力や売買春について、関係法令を厳正かつ適切に運用し、取り締まりを一層強化するということにされているところでございます。
また、仄聞いたしますと、愛知県の青少年保護育成条例においては、女子高生をJKと称して商品化し、性を売り物にする営業形態を包括的に規制することを目的として、平成二十七年七月からそうしたものも施行されているというふうにも承知をしております。
こうした規制などを含めてどういう対応があるのか、しっかり勉強させていただきたいと思います。
○西村委員長 大臣は質問を聞かれていなかったので、もし答弁を求めるのなら、もう一度質問してください。
○池内委員 済みません。
七日に公表された国連の勧告に関するのですけれども、児童ポルノに関する特別報告者によって、日本に関する報告書の中で、十代の女子が従事するJKビジネスなど、性的搾取を促進したり、またそれにつながったりする商業活動の禁止が勧告をされました。
この国連の指摘に、国としても早急に対応すべきではないかという質問です。
○河野国務大臣 御指摘の報告書の中には、いわゆるJKビジネスという記載がございますが、やや正当な根拠に基づくものではない記載があるというふうに承知をしております。
いずれにいたしましても、このJKビジネスにつきましては、女子高校生などが児童買春の被害者となる危険性があることから、極めて憂慮すべきものだというふうに認識をしております。
警察といたしましては、こうしたJKビジネスと言われているものの実態把握に努め、労働基準法、各種法令を適用して取り締まりを行うと同時に、こうした業務に従事している女子高生に対する補導を行っているところでございます。
引き続き、こうした犯罪の取り締まりを積極的に進めるよう警察を指導してまいりたいと思います。
○池内委員 ブキッキオ氏の報告の中の一三%という数字、正確でないものを使うというのは私も間違っているとは思うんですけれども、そもそも実態調査がないということは重大な問題なので、最初の質問にも戻ってしまうんですけれども、ぜひとも内閣府による調査を求めていきたいというふうに思っています。
からめ捕られないための施策という点ではどうかといいますと、警視庁はヤングテレホンセンターなども持っていて、平日の受け付け時間は八時半から夜八時、土日は夕方五時まで。少年センターというのも都内に八カ所あって、受け付け時間は朝八時半から夕方の五時十五分までということなんですね。
私は、これらの対応が全く無駄だとはもちろん思わないわけなんですけれども、同時にサイバー補導なども、今おっしゃられましたが、これも、ただ警察は補導した後に家族に連絡するということが大体基本的な対処だというふうに聞いています。家が居場所になっていない子供たちを家庭に戻しても、やはりそれでは問題は解決しないというふうに思うんです。現実にこうした少女たち、性暴力の被害を受けるような少女たちに真に寄り添おうとすれば、窓口が二十四時間あいている必要があるし、いつでも駆け込めるということが大事だと思います。
それだけじゃなくて、積極的に町に出て、働きかけて、少女たちに出会う努力、そして食事をとる場所、寝る場所を提供するという体制が、やはり今求められているというふうに思うんです。
何度も繰り返しますが、彼女たちを利用しようとする側は、そうした体制をばっちり持っているということなわけです。私は、ここに、どうして表社会ができないのか、この問いかけへの答えがあるというふうに思う。
先ほど紹介したColaboなど民間の人たちは、まさにこうした、本当に二十四時間三百六十五日、地方だろうと何だろうとすぐに飛んでいくという体制を持っているわけなんです。
行政自身が積極的にこうした体制を整えていく、民間の団体の知恵も力もかりていく。そのためには、応分の支援、資金的援助、人的援助も惜しまない、そういう体制が必要だと思いますが、大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 先ほどとややダブってしまうところがあろうかと思いますけれども、私どもとしてできること、まず各地域にセンターを設置するなどなど、しっかりと進めさせていただきたいというふうにも思います。
また、あわせて、今お話がありましたその実態、どういう状況にいるのか、まずはそういったこともしっかり把握しながら、我々としてできること、それから、やはりどうしても、さっきお話がありましたように、実態がわかりにくい、それから実態を話しにくい、いろいろな状況があるんだと思います。そういった点に関しては、NGOの団体等が非常にきめ細かい対応もされておられるわけでありますので、そういった団体ともよく意見交換、連携もとりながら対応させていただきたいと思います。
○池内委員 仁藤さんはこういうふうに言っています。買春する側というのは、少女にどれほど断られ続けても、粘り強く、何人にも声をかけ続けるそうです。そうした執念に、今夜眠る場所を求めているその少女に差し出された買春者のおにぎりたった一つに、今私たちの社会は負けている状態だと。私は、この言葉に本当に大きなショックを受けました。
裏社会のスカウトと呼ばれる人々は、例えば、キャリーケースを一人で引き歩いて夜の町をさまよっているような少女に声をかけたり、ネットカフェで寝泊まりしている少女を見つけては誘ったり、SNSを通じて家出を希望する少女を見つけて迎えに行ったり、地方の少女であれば飛行機のチケットを送ってまで呼び寄せているということなんです。
こうした裏社会のスカウトを上回るほどの表社会のスカウトを養成していく、配置が全国に急がれるのではないですか。大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 今、それぞれの対応で、例えば警察等においてもそうした対応もされているんだろうというふうに思います。
ただ、その辺の連携がどういうふうになっているのか、その辺も含めて、私ども、関係省庁とよく連携をとりながら、そして、先ほど申し上げました、民間ともよく意見交換をしながら、まさにそうした魔の手よりも早く手当てができるということの御質問だというふうに思いますので、そういった対応ができるように、さらに引き続き対応させていただきたいと思います。
○池内委員 ぜひお願いしたいと思います。
ある少女は、ツイッターで、女子高生にお勧めバイトを紹介するというアカウントにフォローをされて、それをきっかけに初めてやったバイトがJKお散歩だったということなんです。店舗で受験勉強まで教えてくれる、そして待機時間に勉強ができるということで、気軽な気持ちで足を踏み入れた。ほかのバイトの経験もその子はないそうなんです。あくまで性行為などを求められることのないバイトだというふうに思っていた。しかし、仁藤さんがその危険を伝えると、こういうことがあるかもよということを伝えると、彼女は、今すぐやめたいということになって、仁藤さんと相談しながらさまざまな対応をしていったということらしいんです。
入り口は、今やもうインターネット、SNSです。身近に繁華街がなくとも、スマホ一つ持っているだけで、全国各地の子供たちがこうしたいわゆる裏社会の入り口にもう既に立っているという認識が大事だというふうに思います。
私は、国と自治体がいつでも、スマートフォンなどを通じて、生活上の相談など、気軽にLINEなどで助けてと言えるような体制が今求められていると思いますし、同時に、寝る場所がない、食事が食べられない、こうした子供たちが駆け込むことができる、住所地など関係なく、自分の家に帰れとか自分が住んでいる場所のシェルターに行けとか、そういうことを言わずに、逃げてきた子供たちをきちんと受け入れていくことのできるシェルターが求められていると思いますが、加藤大臣、この点いかがですか。
○加藤国務大臣 まさに周知ということでありますけれども、相談しやすい体制等の整備については、そうした相談窓口の所在ということをしっかりと周知していく。あるいは、先ほどもお話がありましたけれども、相談番号の周知や相談しやすくするための工夫、夜間や休祭日における相談対応の実施等、こういった方策をしっかり検討していきたいと思いますし、また、まさにインターネット時代、アプリとかサイトとかいったものは、相談しやすくするための工夫の一つだというふうにも思っております。
そうした相談しやすい環境の整備あるいは支援については、しっかりとまた関係省庁とも連携をとりながら、また、民間団体ともよく連携をとって対応させて、被害者に対して、どうやったらそうしたところに踏み込まないのか、そしてまたどういう支援が効果的なのか、その辺をしっかり検討しながら対応を充実していきたい、こう思います。
○池内委員 周知という点は本当に急がれているというふうに思うんです。
今、高校生に対する啓発ということで、法務省がことし、全国の高校一年生全員に対してこのパンフレット、「あなたは大丈夫? 考えよう!インターネットと人権」というパンフレットを配付したと聞いています。これにかかった予算が幾らで、印刷した部数がどれだけか、そして毎年配るのか、答えてください。
○盛山副大臣 委員が今御指摘いただいたのは、このパンフレットだと思います。
法務省の人権擁護機関では、インターネットを悪用した人権侵害をなくそうということを啓発活動の年間強調事項の一つとして掲げておりまして、各種啓発活動を実施しているところであります。
そして、本年度は、高校生向けのインターネットと人権をテーマにしたこの啓発教材を作成しまして、全国の高校一年生に配付の上、各種啓発活動で活用しているところでございます。予算としては、この教材にかかった予算額は約千四百七十万円ということになります。
委員から御指摘の、これからどうするのかということでございますけれども、インターネットをめぐる問題が重要な人権課題であることを踏まえつつ、これを含めたさまざまな人権課題に対応する必要があることから、引き続き、人権状況を注視しつつ、適切な啓発活動を実施してまいりたいと考えています。
啓発活動の内容についても、きょうの池内委員の御指摘も踏まえながら、充実した内容にすべくこれから検討を進めていきたい、そんなふうに考えています。
○池内委員 一千四百七十万円という予算は決して国家予算としては巨額であるというふうには私は思わないので、ぜひ毎年配っていただけるように、現場からも、ぜひ増刷してほしいという声も届いていますので、行っていただきたいと思います。
そしてJKビジネス、そしてこれから触れるAVビデオなどの危険を啓発するページをつくっていただきたいということを私も要望しましたが、検討いただけるということで、ぜひやっていただきたいと思っております。
きょう取り上げたいテーマのもう一つは、アダルトビデオと性暴力の問題です。
膨大な量のアダルトビデオが今流通をしています。そこで流されている女性の映像のうち、果たしてどれだけの人たちが自分の選択で自分の意思で出演しているのか。
長らく信じられてきた言説があります。AVには被害者などいない、女性は皆同意のもと撮影に応じているし、それ相応の対価も得ているのだから問題はないと。私は、それは本当だろうかというふうに思います。とりわけ裏ビデオと言われるものとか、インターネットを通じて配信されている画像というのがどうなのか。
二〇一五年の九月に、AVに出演を強要された女性が契約不履行として損害賠償を求められた裁判で、損害賠償の必要はないとする、とても注目すべき判決が出されました。
ちょっと事件の概要を紹介したいと思います。
この裁判の当事者となった女性は、ある繁華街の駅頭でスカウトマンから、タレントにならないかと勧誘をされた。Aさんは、普通のタレントだと考えて、わいせつな行為をするとは想定をしないままに営業委託契約書に署名捺印をしました。当時は高校生で、保護者の同意もなく、契約書のコピーも本人には渡されませんでした。普通のタレントとして扱われると思っていたら、最初からわいせつな仕事をさせられた。その後も、契約書の存在を盾にわいせつな仕事をさせられて、プロダクションの一存でAV撮影も強行されてしまいました。
女性は、やりたくないと懇願をしたけれども、既に契約が成立しているので、もし従わなければ違約金が生じると、高校を卒業して進学をしていた彼女には到底支払うことができない金額を示されて、彼女はやむなく応じざるを得なかった。撮影の一日目には数名の男性によって性行為を繰り返し強要された、そのショックで放心状態にあるときにAV出演の契約書に署名捺印をさせられたということです。
その後もAVの撮影が続いて、もうやめさせてほしいと何度も懇願したけれども、聞き入れてもらえなくて、あげくに、AVに出演しなければ一千万円の違約金が必要だとおどされて、AVの撮影に従事をさせようとしたわけなんです。
女性は出演を拒否して、こうした女性の救出、支援を行っている民間団体、PAPSという団体ですが、自力で探し当てて相談をしたわけなんです。相談を受けたPAPSは直ちに契約解除の通告を行って、プロダクション側から女性に損害賠償請求を行った。けれども、そのプロダクション側の要求が認められずに今回女性は救われた、こういう案件です。
この判決は、こうした状況に置かれている多くの女性たち、恐らく沈黙を強いられている女性たちにとても大きな励ましとなったと私は思います。なぜなら、この判決以降PAPSに寄せられた相談が、二〇一三年には一件だったものが、二〇一五年には十二月七日までに七十九件もの相談が寄せられて、三月三日に国際人権NGOヒューマンライツ・ナウが記者会見で公表して、さらにふえているんです。三月二日までに百三十一件に達したということです。私はこれすら氷山の一角だというふうに思いますけれども、これを見ても、いかに多くの女性たちがAVの性暴力被害を受けてきたかということがわかるというふうに思います。
重ねて言いますが、判決は、AVへの出演は、原告、これは芸能プロダクションのことですけれども、この原告が指定する男性との性行為をすることを内容とするものであるから、被告、これは女性の方です、この意に反して従事させることが許されない性質のものである、このように決して、契約解除が正当であるというふうに述べました。
これは本当に私は画期的な裁判だったと思います。契約書があるからAVへの出演は拒否ができない、多額の違約金を払うことができないのでやむなく出続けなければならないというふうに沈黙をずっと強いられてきた、声を上げることさえもできなかった女性たちにとって、本当に大きな力となる判決だと思います。
河野大臣と加藤大臣にお伺いしたいんですけれども、私は、現に被害を受けている女性たちが、本来違法であったはずの、この無効となるべき契約破棄に立ち上がることができるようにしていくためにも、新たな被害を生まないというためにも、この判決の趣旨を広くポスターなどで国民に広報すべきだというふうに思うんですけれども、いかがですか。
○加藤国務大臣 御指摘の判決あるいは類似の事案があることを多くの方が知るということで、同様の契約がある、あるいは、その契約を結果的に結んでしまった、それによって大変苦しんでおられる女性を減らしていくということは、大変大事なことだというふうに思います。
女性に対する暴力をなくす運動の取り組み、あるいは内閣府が行う研修事業等においても、この事案は、そういう契約というのは全く無効なんだ、縛られるものではないんだということでありますから、そういったことをしっかり周知するというようなことも検討していきたいと思っております。
○河野国務大臣 本人の意に反するアダルトビデオへの出演の強制は、これはあってはならない、女性の尊厳を踏みにじるようなものだと思いますし、そうした行為の中で違法行為があれば、法と証拠に基づいて、警察は厳正に取り締まってまいりたいと思っております。
残念ながら、警察にはそうした相談件数がいまだ多くないものですから、警察に御相談をいただきたいと思いますし、女性警察官を配置したり、あるいは人目につかないような車や部屋を用意したり、相談しやすい状況をつくってまいりたいと思いますので、警察としても厳正に対処してまいりたいと思います。
○池内委員 通告はないんですけれども、法務副大臣、何か一言ありますか。
○盛山副大臣 まずは、その契約自体に、違法性ということもベースにあろうかと思います。それを含めた上で、とにかくあってはならない行為であると思いますし、私たち法務省は人権という観点で関係するわけでございますけれども、今のような話、あるいはほかの人権侵害に対しても、我々として、どのような政府としての取り組みをしているのか、あるいはこういうような人権侵害に対してのおそれがあり、どういう対処をしていくのか、そういうことをどういう広報ができるのか、また検討を進めていきたい、そんなふうに思います。
○池内委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
私は、今回裁判で明らかになった例をもとに今話を進めてきたわけですが、外形的に存在するように見える契約にどれほど被害者が縛られているかということは、私は強調したいと思います。
この契約は、事業者にとっては錦の御旗です。だからこそ、今回この裁判は事業者が起こしています。加害者が起こした裁判で、見事に加害者が負けたというのが今回の裁判です。被害者は、被害の実態も性暴力であって言い出しにくい。その上、契約と暴力に縛られて沈黙をさせられている。
私は、本当にお門違いだと思いますけれども、この加害者、事業者の側が、違約金などと我が物顔でこの裁判を提訴できてしまったということを思うと、背後に莫大な違約金を実際に支払っている被害者も相当数いるのではないかというふうに想像します。被害者の中には、もちろん男性もいます。今まさに被害の中にある人にとって、また孤独に悩んでいる人に、国がやはり情報を発信していくということ、これが本当に力になるというふうに思うんです。
三月三日に記者会見した国際人権NGOのヒューマンライツ・ナウ。この調査では、ほかにも本当に生々しい事例が報告されています。私は、きょう全部言うわけにはいかないので、資料として配付しておりますので、ぜひ、この国の現状、今の性暴力被害の実態に、皆さん目を通していただきたいというふうに思います。
この判決を広く国民に知らせるということは、被害者本人が被害から抜け出すということのためにも、もちろん言うまでもなく大事なんですけれども、本来、被害の相談に乗る専門的な職業の人たち、こうした人たちにとっても重要だということを言いたいと思います。
これまで、被害者が弁護士に相談に行っても、多くの弁護士は、外形的な契約行為が整っているからということを理由に引き受けないことが多かった。
この裁判の当事者の女性は、もちろん逃げたわけですけれども、芸能プロダクションが自宅まで追いかけてきて、実力で身柄を拘束しよう、奪還しようとしたそうなんですね。この案件で警察に相談に行ったら、何と警察からは、双方から話を聞いた後で、契約書があるんだったら仕方がない、あなたは契約しちゃったんでしょう、だったらこの芸能プロの要求に応じてあと二本出たらどうかというふうに言ったそうなんですね。とんでもないと言わなければならない。被害者を守るべき立場の人でさえ、今こうした認識なわけです。
女性に対する暴力、性行為の強要は犯罪である、人権侵害であるという認識にやはり立つべきだというふうに思いますが、加藤大臣、河野大臣、それぞれいかがですか。
○加藤国務大臣 さっきのは、そうした契約は無効であるということなんですが、その以前として、本人の意に反した、そうしたビデオに出演をさせ、またそうした行為を強いるということは、これは全く人権侵害じゃないかなというふうに私は思って聞かせていただきました。まさにそういった観点から対応していかなきゃいけないと思います。
○河野国務大臣 まことに申しわけございません。きちっと警察がこうした案件に対応できるように、全国の都道府県に対してしっかりと通知、指導してまいりたいと思います。
○池内委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
繰り返しになりますが、今回、業者側の提訴で問題が明るみになった。被害を受けた人たちは、今も、体も心も痛めつけられて沈黙を強いられているということです。
先ほど裁判の例で紹介した女性というのは、本当に幸運です。自力でPAPSにたどり着いた。これ以上もう出たくないということで、AV出演を取りやめることができた。
私は、PAPSの経験とかColaboの経験に共通しているのは、危機介入の手法が本当に大事だというふうに思うんです。問題が起きたときに、その時点で即座に濃密に関係を、かかわりを保っていくし、持っていく。相談機関の都合、例えば何時から何時までの開設窓口じゃなくて、やはり相談する側の都合に合わせて、相談したいという方々のオーダーメードで被害に向き合っていくことが必要だというふうに思います。
PAPSは事務所もなくて、少ない人数で相談活動に駆け回っていて、大体深夜にメールが来るそうなんです。緊急事態である場合がほとんどで、メールが届いてすぐプロダクションの事務所に駆けつけて、契約解除の意思を伝えて、販売の中止を求めていく。相談メールには本当にすぐ反応を返さなければ、それこそ物すごい決意でメールを送っている被害者にとってみれば、一日、二日待たされちゃったら、次に同じ気持ちで立ち上がれるかといったら、そう簡単ではないということなんです。
PAPSの支援者の方から私も聞いたんですけれども、一つ事例を紹介したいと思います。
都内の大学に通うBさんの事例ですけれども、これは、新宿駅で芸能界のスカウトと称する男性に声をかけられて、せめて写真だけでも撮らせてと言われて、スタジオに連れていかれた。学生証と保険証のコピーもとられた。仕事は選ぶことができるし、裸にならないグラビアもあるから心配要らないなどと言われて、長時間の拘束から解放されたいという思いもあって、彼女は契約書にサインをしました。
数日後、電話がかかってきて、AVの出演が決まったと突然聞かされた。Bさんは何度も電話でお断りしますというふうに伝えたけれども、これまでかかったお金、三百万円を支払ってもらうなどというふうに言われて、数日後、改めて断りの電話を入れたら、そこまで言うなら話し合おう、解約に向けて事務所においでというふうに言われたそうなんですね。そして、事務所に行った。
しかし、到着すると、その場で何とレイプをされて、一部始終を動画に撮られて、このビデオをもとにおどされて、その後AVを強要されたということなんです。ひどい撮影では、二十数人の男性に次々とレイプをされて、その動画が今も配信をされているということなんです。
このBさんは、一度はPAPSにつながりましたが、その後、連絡が途絶えています。どうなったかわかりません。
被害者は本当に生きていけないぐらいのつらい思いをしています。自己肯定感も失うし。こうしたぎりぎりの状態の支援というのは、何度も繰り返しになりますが、やはり国が責任を持ってやるべきではないですか。大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 繰り返しての答弁であれなんですけれども、今のお話、被害者の支援を行っている民間団体、その取り組み、これまでも情報交換等は行ってきておりますけれども、さらに密接に連携をとりながら、どういう対応をしていくことが、今お話しになったような事態を防げるのか、あるいは事態の深刻化を抑えることができるのか、そういった観点から対応させていただきたいと思います。
○池内委員 私は今、事例を紹介して、やはり危機介入、すぐにということを求めたわけなんです。
私がさらに求めたいのは、女性がAVによる性暴力から逃れるという意味では、一旦映像がインターネットに流れてしまったら、もうほぼ永久的に世界じゅうの人々に閲覧をされて、世界じゅうの人々の目にさらされるということにあります。視聴されるたびに、被害者はレイプをされ続けていると言っても過言ではない。
PAPSの相談でも、あした、あのコンビニのコーナーに自分の裸の写真が出てしまう、何とかとめてもらいたいという、本当に緊迫した相談が持ちかけられています。
こうした意に反する場合、動画の回収、販売の差しとめを行って、被害の拡大を防いでいくということが至急求められているというふうに私は思います。ぜひ加藤大臣にイニシアチブをとっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○加藤国務大臣 これまでも、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律あるいは児童ポルノ法というものもありました。これについて厳正な取り締まりにしっかり努力をしていかなきゃならないと思いますし、また、インターネットサービスプロバイダーによるブロッキング等の自主的な取り組みも支援をしていかなきゃいけません。
しかし、実態問題として、一度流通したコンテンツの削除というのは非常に困難になっているという状況があります。これを踏まえて、一方で、インターネットの自由性というのはもちろんあるわけでありますけれども、それを踏まえて、どういう対応ができていくのか、しっかりと勉強させていただきたいと思います。
○池内委員 ぜひとも、いろいろ難しい中でも、こうした回収の施策を進めていっていただきたいというふうに思います。
裁判で訴えられて、見事勝利をした女性の手記をちょっと紹介します。
駅付近とかのスカウトマンを禁止してほしい、禁止と言ってもやりたい放題なので、きちんと法律をつくってほしい、若者を守る、プロダクションやスカウトの取り締まりについても、しっかり考えてほしい、何でも若者のせいにするのではなくて、どうかこれらの仕事がもうからないようにしてほしいというふうに訴えていらっしゃいます。
JKビジネスでも、誰に声をかけられたかが運命の分かれ道だというふうに私は言いましたけれども、勧誘に関する法規制も極めて大切だというふうに思っています。内閣府、警察を初め、政府一丸となって取り組む課題だと思いますが、河野大臣、加藤大臣、いかがですか。
○河野国務大臣 勧誘が法に違反をしているならば、厳正に取り締まるというのは当たり前のことでございますが、今お話しいただきましたように、この問題の一番の取っかかりがそこにあるんだとすれば、もう少し何ができるか、加藤大臣を初め政府内でしっかり検討してまいりたいと思います。
○加藤国務大臣 重複になりますけれども、警察あるいは人権擁護機関というのもございます。そういった機関ともよく連携をとりながら、そうしたスカウトの対応に対して、もちろん法違反があればそれに対して断固たる対応をすべきでありますけれども、そうでない場合も含めて、どういう対応があるのか、適切な対処をどう推進していくのか、男女共同基本計画の中にも盛り込んではいますけれども、それを具体的に進めさせていただきたいと思います。
○池内委員 具体的な施策を進める上でも、JKビジネス、AVにかかわる性暴力被害に対しても、私は、やはり実態把握が大事だと思います。この点もぜひ進めていただきたいんですが、いかがですか、大臣。実態把握。
○加藤国務大臣 今のはビデオのことなのかもしれません。その前に、そもそもJKビジネスそのものの実態把握というのもお話がございました。
どういうふうにやればいいのかというところを先ほど申し上げました。その辺を含めて、しっかり研究させていただきたいと思います。
○池内委員 きょうは、大体質問させていただきたいことは網羅できたと思います。ありがとうございます。
性暴力というのは、私はやはり、魂の殺人とも言われるほどの甚大な人権侵害だと思います。性的自己決定権というのを奪われて、そして被害を受けるということは、何も女性だけの問題じゃないし、男性も、そしてあらゆるセクシュアリティーの人にとって極めて重い犯罪だというふうに思います。
私は、きょう、JKの問題も取り上げました。
やはり、みずからの欲望のままに子供を利用する社会であってはならないというふうに思います。そして、子供たちを社会の主人公というふうにしっかりと捉えて、上から目線で何か教え込むということではなくて、今子供たちが生きている世界を大人の側がやはり理解をする、大人の側が、目の前にいるその子にだからこそかけられる言葉をみずから身につけていくということが大事だというふうに思います。
そして、私はきょう、刑法の問題も指摘をしました。
今回、百年ぶりの刑法改正ということになると思います。この改正が真に女性の未来を開くものになることを私も求めます。
現在の刑法が制定されたのは一九〇七年で、これは言うまでもないことなんですが、その当時、国会議員にも、裁判官にも、弁護士にも、女性は一人もいませんでした。私も、刑法の中での幾つかの類型が性暴力として本当に制限された形でしか規定されていないということに大きな問題を感じています。日本国憲法が制定された後も刑法が改正されなかったということは、やはり急がれる課題だというふうに思っています。
女性自身が発言権を持ったのは戦後のことです。ことしは、参政権獲得七十年でもあります。
私自身は、国会に送り出していただいて、いろいろな法律を読む中で、刑法や売春防止法を読む中で、決して法律が女性の味方ではないということは痛感をしてきました。同時に、議員となって、これまで以上に幅広い方々、民間団体の方々といろいろなお話を聞かせていただく中で、多くの女性たちが、本当に大き過ぎる絶望をのみ込みながら、それでも諦めないで歩んできた闘いの歴史にも触れることができています。
今後、やはりあらゆるセクシュアリティーにかかわらずみんながお互いを尊重し合える社会に変えていくためにも、私はこの課題にこれからも取り組んでいきたいということを述べまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○西村委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
次回は、来る十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三分散会