衆議院

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第7号 平成28年3月18日(金曜日)

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平成二十八年三月十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 西村 康稔君

   理事 亀岡 偉民君 理事 平  将明君

   理事 武井 俊輔君 理事 中根 一幸君

   理事 平井たくや君 理事 緒方林太郎君

   理事 柿沢 未途君 理事 佐藤 茂樹君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      石崎  徹君    岩田 和親君

      大隈 和英君    岡下 昌平君

      神谷  昇君    木内  均君

      北村 茂男君    白須賀貴樹君

      高木 宏壽君    武部  新君

      中山 展宏君    長尾  敬君

      ふくだ峰之君    福田 達夫君

      牧島かれん君    松本 洋平君

      宮崎 政久君    若狭  勝君

      阿部 知子君    大串 博志君

      岸本 周平君    小宮山泰子君

      後藤 祐一君    篠原  孝君

      高井 崇志君    古本伸一郎君

      江田 康幸君    濱村  進君

      池内さおり君    島津 幸広君

      河野 正美君    鈴木 義弘君

    …………………………………

   国務大臣

   (少子化対策担当)    加藤 勝信君

   内閣府副大臣       高鳥 修一君

   厚生労働副大臣    とかしきなおみ君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   内閣府大臣政務官     高木 宏壽君

   文部科学大臣政務官    堂故  茂君

   厚生労働大臣政務官    三ッ林裕巳君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      岡本 直之君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        武川 光夫君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   中尾  睦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           伊原 和人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           保坂  伸君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     福田 達夫君

  牧島かれん君     白須賀貴樹君

  阿部 知子君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  白須賀貴樹君     牧島かれん君

  福田 達夫君     武部  新君

  篠原  孝君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房日本経済再生総合事務局次長岡本直之君、内閣府子ども・子育て本部統括官武川光夫君、財務省理財局次長中尾睦君、厚生労働省大臣官房審議官吉本明子君、厚生労働省大臣官房審議官伊原和人君、経済産業省大臣官房審議官保坂伸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高井崇志君。

高井委員 おはようございます。岡山から参りました高井崇志でございます。

 きょうは、同じ岡山の先輩であります加藤大臣に初めて質問できるチャンスということで、楽しみにして参りました。

 ただ、去年の十月に加藤大臣就任以来、私は去年から内閣委員会に所属していたんですが、なかなか臨時国会が開かれなかったということで、加藤大臣もどの委員会に所属するかも決まらずに、閉会中審査が一回あったんですけれども、そのときも加藤大臣は呼べないということで、ちょっとそこは大変残念でありますけれども、ようやくきょう、そのチャンスをいただきました。

 きょうは子ども・子育て支援法でありますが、やはり何といっても加藤大臣が所掌する一億総括社会の話をぜひお聞きしたいと思います。

 ただ、いろいろ質問通告すると、加藤大臣というのはいろいろ所掌が、特に厚生労働省と重なっていたり、あるいは石原大臣の分野と重なっていたり、なかなか大臣に直接答えていただく通告が難しくて、最初にお断りしておきますと、少し通告していないこともあると思いますが、大きな方向性の考え方を聞きたいということもありますので、そこはちょっと御了承いただいて、ぜひ大きな方向性から加藤大臣の考え方をお聞きしたいというふうに思っております。

 私は、新三本の矢の特に第二、第三の矢、希望出生率一・八それから介護離職ゼロというのは、このことを掲げていただいたということは率直に評価をしております。この間、NHKの「日曜討論」にも出させていただいたときも、そのことは申し上げました。

 ただ、やはり問題は、方向性はいいにしても、どうやってそれを実現していくのかという具体的なところはまだまだ甚だ不十分だと考えておりまして、きょうのテーマであります子ども・子育てということでいえば、第二の矢の希望出生率一・八をどうやって実現していくかということであります。

 これはもう何度も言われて、大臣も耳にたこができるぐらい言われていると思いますが、ハード整備ではだめなんだ、保育所をただ幾らつくっても、保育士の数が足りない、間に合っていないと。潜在保育士と言われる方はたくさんいるけれども、実際に保育士のなり手がいない。

 その原因は何かといえば、最大の原因はやはりお給料が安過ぎる。ほかの産業と比べると、これもよく言われていますが、約十万円の差がある。これは厚生労働省の二〇一五年の月給の比較ですけれども、全産業を平均すると三十三万三千三百円であるものが、保育士は二十一万九千二百円と、十万円以上の開きがあるわけであります。

 まず最初にお聞きしたいんですが、この保育士の給与を今の全産業平均並みに、十万円強だと思いますが、アップしようと思ったら一体幾らの財源が必要と試算されるのか、お答えください。

武川政府参考人 お答えいたします。

 保育士の給与を全産業平均にするための金額については、政府において試算、公表したことはございません。

 ただ、子ども・子育て新制度の施行に当たりまして、量的拡充と質の向上について検討した際、私立幼稚園、保育園等、認定こども園の職員給与の改善として、三%の改善を行った場合は五百七十一億円、五%の改善を行った場合は九百五十二億円と試算したことがございます。

 議員から事前説明の際にお示しいただきました算定式で仮に計算いたしますと、保育士の人数を現在四十七万五千人というふうに置きまして、一人当たり十万円、十二カ月の費用がかかるという計算をいたしますと、所要額はおおむね五千七百億円程度となると考えております。

高井委員 五千七百億円という、やはり相当な金額であります。

 今、政府においては、報道によれば、五月の一億総活躍プランに、約四百億円ぐらいの財源が必要になるけれども、二%の引き上げを検討されているとちょっと聞いています。これだと大体四、五千円ですね。今、十万円足りないと言っている中で四、五千円の金額では、これは焼け石に水だというふうに私は思います。しかし、その焼け石に水でも四百億円かかって、財源のめども立っていないということであります。

 大臣、済みません、これは通告をしていませんけれども、この問題、非常に財源が必要な、今の話だと、十万円だと五千七百億円、そして数千円上げるだけでも四百億円ということですが、こういった財源を捻出する見通し、めどというのはあるんでしょうか。

加藤国務大臣 まずその前に、委員から、これから春に取りまとめを予定しておりますニッポン一億総活躍プランで、別に二%ということを議論していることは何らございません。

 ただ、一方で、民主党と自民、公明の三党合意の中で処遇改善五%。三%は既にやっておりますので、この二%というのは、例の〇・三兆円の財源を見つけてやるということで、これはいずれにしても宿題だということは私ども認識をしておりますが、その辺を踏まえてこれからしっかり議論していきたいと思っております。

 また、財源についても、具体的にどういう形で処遇改善を行っていくのか、それによって財源が変わってくるわけであります。そこで私どもは具体的な方向性を出したいと思っていますから、したがって、財源の担保がなく具体的な方向性にはならないんだろうと思っていますので、その辺も踏まえながらこれからしっかり議論させていただきたいと思います。

高井委員 諸外国、よく比較されるというか例に出されるのはスウェーデン。ここは、保育所への申し込みがあると、自治体に保育所を確保する義務が課されるということで、だから、待機児童というのは、そもそもそういう概念すらないという国であります。

 そう言うと、いやいや、あそこは消費税が二五%だからできるんだ、そういう答えがよく返ってくるわけですが、それももちろんあるでしょうが、一方で、見落とされがちなのは、実は高齢者の年金の水準の引き下げであるとか、あるいは医療費を抑制するための受診の制限とか、そういった、まさに高齢者世代の方に少し我慢をしていただいて、そして次世代を担う子供たちにもっともっと予算を振り向けていこう、こういう大きな考えのもとにスウェーデンという国は成り立っているわけであります。

 私は、そろそろ我が国もこういった世代間の予算の配分の見直しという、これは非常に大きな方向性で、なかなか質問通告しても誰が答えられる分野でもないと思いますが、一億総活躍社会を実現しようというまさに総理から直命を受けて担当されている加藤大臣に、大きな方向感として、こういった考え方についてどう思われるか、所見を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 これまでも、スウェーデンを初めとしたヨーロッパ諸国等と比べて、社会保障に占める高齢者への割合と、子供を中心に家庭に対する割合は日本は低いんじゃないか、こういう指摘を受けているわけであります。また、他方で、日本の場合には高齢化がかなり進んでいるという実態もあろうかと思います。

 これからの議論においては、これは総理も申し上げていますように、社会保障の関係費も聖域ではなく、常にこれは見直しをしていかなければならないというふうに思っておりますけれども、それとは別に、先ほどの〇・三兆の財源はしっかり確保しながら、それも実施をしていく。それから、さらに新たな議論も出てくるわけでございますので、それに対する財源も、いろいろと我々としてもやりくりをしながら、しっかりと確保するよう努力をしていきたいと思っております。

高井委員 通告外の質問を二問続けましたけれども、加藤大臣に答えていただきました。

 きょうは、私、追及型の質問というよりも提案型の質問でぜひいきたいと思っておりまして、次は通告させていただいています。これも本来は加藤大臣の所掌外でありますけれども、ぜひ加藤大臣に聞いていただきたいし、お願いしたいということで、質問します。

 実は、保育士のなり手がいないというのは、給料だけではない。もちろんお給料がたくさんあればあるにこしたことはないけれども、実はもう一つ、非常に勤務が大変だ、残業も多い、お給料の割に労働時間も長い、ここが非常に問題になっています。この部分は、私は、要するに、お給料を上げるのは財源を見つけるという大変な作業がありますけれども、残業を減らすというのは工夫の仕方で幾らでもできるんじゃないか。

 私が一番注目しているのはITなんですね。私はITをずっと専門でやってきたんですけれども、このITを使って保育士の業務負担を減らそうと。実は厚生労働省もそういうことを考えていただいて、補助金が補正予算でできたんですけれども、問題は、その中身をもっとよくしたい、ブラッシュアップしたい。

 どういうことかというと、ITの予算というのがついて、保育所にパソコンを導入したり、あるいはサーバーを導入したりする補助金がついたんですけれども、しかし、パソコンとかサーバーが入っても、保育士さんは、それだけではやはり勤務時間は減らない。

 私が注目しているのはスマートフォンです。今、保育士さんは多分、ほぼ全員スマートフォンを持っておられるし、また保護者、親御さんも、お子さんがいる世代だとほとんどもう持っていると思うんですね。

 ところが、いまだに保護者と保育士のやりとりは紙の連絡帳なんですね。それから、保育園の中での業務の報告なんかも紙だし、あと、例えば子供がちょっと病気になった、きょうはおくれますとか休みます、こういう連絡も全部今は電話でやっているのが実態だそうです。

 そうすると、電話を受ける側に一人、朝の時間、張りついていなきゃいけない。それから、かけるお母さん、お父さんも、地下鉄の中では電話ができませんから、わざわざ駅でおりて電話をかけると、ほかに連絡もあってつながらない。こんなのは、スマホで、携帯でメール一本でやれば、地下鉄の中でもできるし、それから保育士さんも、別に張りついていなくてもいいわけです。

 スマートフォンなり携帯なり、こういったものを活用することをもっともっと普及すれば、これは私が実際保育園を百以上回ったという方からアドバイスを受けて聞いている話なんですけれども、保育士さんもぜひそういうのをやってほしい。

 しかし、これは政府だけじゃなくてやはり保育園側にも問題があって、保育園の園長がそういう理解がないとなかなか進まない。しかし、それをただ黙っていても一向に進みませんから、やはりこれは政府として音頭をとるべきだ。

 実は、これは予算委員会の分科会で厚生労働大臣にはお聞きをしたんですけれども、なかなかいい返事がいただけていなくて、ぜひ加藤大臣、今の話を聞いてどう思われるか。そして、これを厚生労働省に提案というかアドバイスというかしていただいて、とにかく保育士さんの業務負担を減らす努力を加藤大臣のリーダーシップでとっていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、保育の現場の困難さの中に、冒頭申し上げた賃金を含めた処遇改善の問題、あるいは休みがとりにくい等の問題と加えて、やはり業務負担が大変重たいというお話を私も聞かせていただいております。

 もう委員御承知のように、これまでも、保育士が事務処理や会議出席、休憩の時間を確保できるように加配される休憩保育士の人件費を評価していくとか、あるいは研修を受講するときに保育士のかわりに保育に従事されるための研修代替保育士を加配するとか、そして先ほど御指摘がありました二十七年度補正予算でも、保育士業務の負担軽減のためのICT化あるいは保育補助者の雇い上げの補助、こういうことをさせていただいております。

 さらに、スマートフォンの活用等のお話もありました。私も、保育園でのそういう活用例は余り承知しておりませんけれども、介護施設ではそうしたスマートフォンをうまく使って情報を共有化し、かなり効率的に、そしてそのことが働く方の業務負担を軽減しているという事例も承知をさせていただいております。

 まさに、そうしたICTの活用等を通じて業務の軽減を図り、そして労働の負担が軽減されるとともに、保育士の方々がやる子供さんとの相対する時間をしっかり確保していくということは非常に大事だと思っております。

 ただ、どういう事例がうまくいっているかというところもあろうかと思いますので、よくその辺は私どもも実態を把握させていただきたいと思いますし、また、委員から、こういう保育園でこういうやり方があるぞということがあれば、ぜひ御提案をいただければと思います。

高井委員 日本保育協会というところの平成二十六年度保育士における業務の負担軽減に関する調査研究報告というのを私は読ませていただいて、それを見ると、保育士さんの事務的な仕事の時間というのは平均七十二・九分かかっているそうです。それから、半分以上の方が家に持ち帰ってやっている。これが本当に現実だと思うんですね。

 とかしき副大臣もきょうお見えですので、せっかく予算をつくっても、本当に現場の声を聞くと、やはりちょっと使い勝手がという声が上がっていますので、厚労省の方に聞くと、いやいや、そんなことはないとおっしゃるんですけれども、やはり現場の声を直接聞いていただいて、せっかくの予算ですから、ぜひ使い勝手のいいものにしていただきたいと思います。

 それでは、きょうはちょっと資料を配らせていただきました。長々と九ページにもわたる対談録で恐縮なんですが、十一月六日の、サイボウズという会社の青野さんというまだ四十三歳ぐらいの若い社長ですが、この青野さんと小室さんとの対談録なんです。私は実際に聞いていて非常に感銘を受けたので、きょうは全文を紹介させていただきました。

 その二ページ目をちょっと見ていただきますと、この青野社長というのは、ベンチャー企業で、仕事が大好きだった。長時間労働は当たり前だった。ところが、子供が生まれる前のスケジュールを見ると、月曜の午後六時半から定例会議が入っていて、八時から経営会議、そして翌朝の朝八時からも事業戦略会議、よくこんなので頭が働くな、今ではそう思うけれども、当時は当たり前のようにやっていたと。ところが、子供ができて、それからは半年間、四時に退社する。ベンチャー企業の社長が四時に退社して大丈夫かと思うわけでありますが、しかし、大丈夫だと。それは、時間が半減した、でも、半減すると、限られた時間の中で何ができるか、自分の仕事は何だろうかというのを物すごく考えたと。

 それは、ちょっと変な例えですけれども、インベーダーゲームという昔はやったゲームで、一番後ろにあるUFOを撃ち落とせば高得点がとれるわけです。その手前の、ここに書いてあります雑魚キャラを撃ち落とすのではなくて、UFOを撃ち落とす、これが大事なんだと。自分にとってそのUFOは何だろうかと考えたら、意思決定と価値観の浸透だ、企業の価値観を社員に浸透させる、この二点だけ社長はやればいいんだというふうに思ったらできるようになったと。

 さらに、もう一つ言っているのが、もっと驚いたのが、育児、家事に参加することで、これまで会社のことしか知らなかったのが、医療とか教育とか自治体の動きとか、そういったことまで知れるようになって、そのことが会社にとってもプラスになったと。

 これは社長の話でありますけれども、会社全体に通じることもできると思うんですね。長時間労働は諸悪の根源だと。

 その次の三ページ目を見ると、小室さんという方も、ベンチャーを立ち上げた方ですけれども、残業ゼロで、有休消化一〇〇%をやって、九年間増収増益だと。ですから、長時間労働じゃなくてもできるわけです。

 ところが、我が国というのは、非常にまだまだ長時間労働が続いていて、私は、このことが育児、子育て、希望出生率をふやすということにおいても非常に重要だと思いますが、労働時間短縮や育休をとれる環境をつくる、あるいはワークシェアとかワーク・ライフ・バランス、こういったものはどのように取り組みを考えておられるのか、お聞かせください。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 質問の御答弁の前に、先ほど御提案いただいたことをしっかりと厚労省でも検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。

 さて、長時間労働のお話でございますけれども、御指摘のとおり、仕事と育児の両立を図っていく上では、長時間労働の是正、働き方の改革はとても重要であると考えております。

 私も、実はILOの本部に行って日本の女性の社会進出についての話し合いをしていたときに、日本の場合はどこが一番問題だと思われますかと質問したら、一番最初に出てきたのが長時間労働と言われました。

 ということで、私たちの国も、労働の時間で評価する、今そういうのがスタンダードになっておりますけれども、これを生産性で評価するというふうに今後少しずつ変えていく必要があるのではないか、このように考えております。

 厚生労働大臣の方も、この問題に積極的に取り組もうということで、実は大臣を本部長といたしまして、長時間労働削減推進本部の決定に基づきまして、昨年の一月から、月百時間超えの残業を把握した全ての事業場に監督指導の徹底、さらに昨年の四月から、複数の労働局にまたがる過重労働に係る事案等に関する特別チーム、これは「かとく」というんですけれども、これを東京と大阪の労働局に新設させていただきました。

 実は、この「かとく」は、この間「ガイアの夜明け」でも取り上げていただきまして、今、あちこちの企業で実績を上げているところでございます。

 また、現在提出しております労働基準法改正法案では、働く人の働き過ぎを防止するために、企業に対して、働く人の意見をしっかり聞いて、年に五日の休暇を指定することを義務づけるとか、中小企業における月六十時間超えの時間外労働に対する割り増し賃金率の引き上げ、現行は二五%ですが、これを五〇%にまで引き上げていただくということを行おうというふうに考えております。

 さらに、今国会で御審議いただいております雇用保険法等改正法案におきましては、育児休暇の取得促進を積極的に手がけていこうということで、有期契約労働者の育児休業取得要件の緩和等の改正を行う、有期契約の労働者の方々が育児に対しての時間を確保することがなかなか難しいということで、ここら辺にも配慮していこうというふうに考えております。

 ということで、働き方改革や育児・介護休業法の改正等を進めていくことによって職場の環境整備にしっかり取り組んでいきたい、このように考えております。

高井委員 先ほどの対談録に戻るんですけれども、七ページをちょっとごらんください。

 今度は小室さんの発言なんですけれども、三年間だっこし放題という安倍政権の政策、だっこし放題はつらいんです、わかりますかと。それから、女性、女性と言い過ぎて、これも女性が優遇されることで、何かげたを履かされてその地位に来たかのように思われる、これは頑張ってきた女性ほど嫌なことですと。小室さんが言うから説得力がありますよね。

 その下の線を引いた、ここが非常に重要なところです。子供が生まれた方、一人目を持った家庭、一人お子さんが生まれた家庭で、二人目、三人目にいかなかった要因って何だろうかというのを調査したときに、五年間追跡調査をしたら、その後、二人目を持ったか否かに一番影響を与えていたのが、一人目が生まれたときの夫の帰宅時間だったんですと。これで、うわあと青野さんが、会場じゅうがおお、なるほどと。私も本当にそのとおりだなと感じました。

 実は、女性の労働時間の短縮や育休の取得ということがクローズアップされがちですが、やはり男性側の労働時間短縮や育児休暇取得が非常に重要だと考えます。しかしながら、日本は、男性の有償労働時間というのがOECD二十九カ国の中で最も長いということであります。

 これはぜひ改善をしていきたいと考えますが、政府としてはどのような取り組みを考えておられますか。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 男性の長時間労働は、育児や家事の分担を困難にすることから、少子化の要因として大きく挙げられております。

 夫の平日の家事、育児時間別に見た第二子以降の出生の割合を見ますと、やはり家事、育児時間を全くしない夫ですと、なかなか第二子以降のお子さんを産みにくいというのがデータでかなり出ておりまして、家事、育児を全くしない方ですと第二子以降の出産をなさったのが三九・五%、もし夫が四時間以上協力していただくとこれが七七・八%というふうに数字がはね上がってまいります。ということで、男性がいかに育児や家事に協力をしてくださるかということが少子化対策の大きな一つとなります。

 ということで、先ほどからの繰り返しになりますけれども、長時間残業を徹底的に監督指導して、そしてこれを強化していくこと。あと、働き過ぎの防止は、先ほどお話ししましたように、労働基準法改正法案を国会の中で今審議していただいているのが現状でございます。

 このほかには、イクメンプロジェクトというのを実施させていただきまして、男性の仕事と育児の両立を推進していこう、もしくはそれを積極的に応援するイクメン企業アワード、そしてさらに、上司を表彰していこうということでイクボスアワード、こういったものも実施させていただきまして、職場の環境整備を図らせていただいております。

 実は、厚生労働省でもこれを積極的にやっていこうということで、私もこの間参加したんですが、子供が生まれたお父さん方、お子さんがお生まれになった職員の方とその上司の方に集まっていただきまして、お互いに決意表明をしていただいて、環境づくりに尽力をしてくださいというふうにお話をしますと育児休業の取得率がはね上がってまいりまして、始める前は、平成二十六年、一二・一%でしたが、この活動を始めてから二六・七%ということで、倍以上の取得率に変わりました。

 ということで、本人の意識と周りの環境とをしっかりそろえてあげることが、男性の育児休暇、育児に関する時間を確保する上では大きな力となりますので、これからも積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。

高井委員 今お答えいただいたとおり、まさに職場の環境とか風土とか、周りの空気だと思うんですね。政府が幾らいろいろな政策とか補助金とかを出すよりも、やはり企業風土というか、これを変えるのはなかなか大変ですけれども、しかし、これは誰かがやらなきゃ、民間が勝手に盛り上がるということじゃありませんから、政府がぜひここは音頭をとって、これは厚労省だけじゃなくて加藤大臣にも、非常に一億総活躍社会のキーポイントだと私は思っていますから、本当はちょっと聞きたいんですけれども、もう時間がありませんのでお答えは結構ですが、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、もう一つの問題で、不妊治療支援。

 これはまさに希望出生率一・八を目指す最もダイレクトな、子供を産みたいと思っているのに、いろいろそういった医療的な問題で授からない、しかし、治療を受ければ授かるという方は多いんですね。

 実は私も不妊治療をしておりまして、いろいろ話をすると、私もやっていた、私もやっていたと、余り大っぴらに皆さん言いませんけれども、やっている方は潜在的にたくさんいます。しかし、物すごくお金がかかる。一回五十万近くかかります。

 これは今、保険の適用がないんですね。助成金はあるんですけれども、今回、一億総活躍社会、加藤大臣が就任していただいて、これも非常にふやしたと。百五十億ぐらいですか、かなり目玉として新聞なんかにも出ているんですけれども、しかし、注意していただきたいのは、実は二年前、平成二十六年度に減らしているんですね。今まで回数制限は十回までだったのが六回に減っているし、それから年齢制限というのが入って、四十三歳未満になってしまったということなんです。ここは、私は、一旦減らしておいて今回ふやしてそれが目玉だと言われても、ちょっと釈然としないものがあります。

 この点は厚生労働省に三回か四回聞いていますので、きょうは厚生労働省にはもう聞きません。ぜひ、この不妊治療支援、平成二十六年度に減らした分はまずもとに戻して、さらにもっと力を入れる、それから、やはり根本的には保険の適用をやるべきだと私は思いますけれども、加藤大臣の考えをお聞かせください。

加藤国務大臣 まず、先ほどの男性側の育児参加が促進できるように、まさにそれはしっかりやっていかなきゃいけないことだろうというふうに思っております。

 そして、今、不妊治療のお話がありました。本当に、今不妊治療に当たっておられる御夫婦の方、また、不妊治療の費用も大変でありますけれども、実際不妊治療をするときに、仕事とやった場合には非常に大変だということを先般私もお聞かせいただきまして、その御苦労を共有させていただいたところであります。

 今回の補正予算等の対応は先ほどお話があったところでありますけれども、その前に見直しの話がありました。これはちょっと私の直接の所掌ではございませんけれども、当時は、有識者の検討会において、年齢別の不妊治療による分娩割合や妊娠、出産に伴うリスク等の医学的知見に基づいて議論を行われて、先ほど委員が御指摘になったような話になっているというふうに承知をしております。

 したがって、これはどこまでやるのが有用なのかどうか、かなり医学的な知見に基づいて話をしていくのがやはり大事なんだろうなというふうには思っております。

 それから、保険適用については、一部は既に保険適用になっているのは御承知のとおりだと思いますけれども、その他の治療については、まさに有効性がどうなのか、安全性がどうなのか、いろいろな課題もあるようでありまして、慎重に検討すべき問題だというふうに考えております。その点も踏まえて、厚生労働省において、今後保険適用するかどうかを含めて検討されるんだろうと思います。

 ただ、いずれにしても、不妊治療に当たっておられる方々の思い、そして、今申し上げた、働きながらそれを実施していることの大変さ、その辺をよく共有しながら我々も政策を進めさせていただきたいと思います。

高井委員 時間が参りました。用意した質問の半分しかできなかったんですが、引き続き、これは本当に加藤大臣と厚労省の連携が非常に必要だと思いますので、また質問させていただきます。

 どうもありがとうございました。

西村委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。民主党の大串博志でございます。

 きょうは、子ども・子育て支援法の改正案ということで議論させていただきます。

 今、待機児童の問題等々、一億総活躍の名に値するような政策になっているのかということも含めて、大変に議論になっております。この辺を含めて加藤大臣と議論させていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

 私は、質問の流れとしては、基本的には、最後には法案のことを質問させていただきますけれども、まず全体像として、子ども・子育て支援、特に今大きな問題になっている待機児童の問題に関して、全体的な政府のスタンス、方針を確認させていただきたいと思います。

 というのは、全体的な私の受け取り方として、私自身も内閣府の政務官を昔やっていたときに、社会保障・税一体改革担当でございました。そのときに、子ども・子育て新システムを立ち上げるということで、内閣府に縦割りの子ども・子育てに関する行政を一元化して、子供の目線から何が一番いい提供体制なのかということをつくっていこうということで一生懸命やってきた。今は子ども・子育て新制度ということになっていますけれども、その結果、大臣は子ども・子育て新制度の担当大臣としていらっしゃるわけですね。そういった形の中で、待機児童問題も含めて本当に子供のためになる形に、真なる真剣さをもってなっているかというところは確認させていただかなきゃならぬなと私は思っているんですね。

 いろいろ事実確認をさせていただくその前に、ちょっと私、この流れの中で、今回、予算委員会なんかでも、例えばあの、「保育園落ちた日本死ね!!!」というようなブログの書き込みもありました。あるいは総理が本会議で保育所を保健所と読み間違えるようなこともあった。そういったこともいろいろ含めて考えると、さっき申し上げたように、本当に全政府を挙げて、困っている皆さんの目線から、それと同じような熱さで取り組んでいただけるかというと、ちょっと心配なんですね。

 そうこう思ってきょうの質疑に立とうと思っていたら、きょうの朝の新聞、これは通告していませんけれども、済みません、大臣、ちょっとやはり御意見をお伺いしなきゃならぬ。

 自民党の務台俊介衆議院議員、きのうの国会内で開かれた会合、東京一極集中問題を取り上げる議員連盟の会らしいです、これは私、趣旨は賛同します。ただ、その中で、保育園落ちたの話に触れながら、東京を便利にし過ぎると、ますます東京に来て子育てをするから、東京にいるとある程度コストがかかり不便だとしておかないといけないんだと、ある意味、待機児童の問題が都心部であるのも仕方ないじゃないかと言わんばかりの発言に聞こえるような発言でありまして、これは報道になっています。

 このような感覚で議論が与党の中でなされるとすると、私は非常に心配だなというふうに思うんですね。これから与党の中で待機児童の問題に関して新たな議論を始められるとも聞いています。こういった中でこういう雰囲気が本当にあるのかないのか、大臣自身御所見としてどういうふうに思われるのか、お伺いさせていただきたいと思います。

加藤国務大臣 私も報道でしかその内容を承知しておりませんので、そのもの自体にコメントするというのは、全体を見ておりませんからいかがかなと思いますけれども、ただ、まさに東京一極集中を是正していくというのは、委員も私もどちらかというと中山間地域を中心としたところで政治活動をさせていただいておりますので、非常に大きなポイントだというふうに思っておりまして、それはしっかり取り組まなければいけない。

 しかし、現下問題になっている待機児童という問題、これを放置していいというものでは全くありません。それからもう一つは、東京の状況を悪くして地方に来てもらおうというのではなくて、地方で若い方も含めて住みやすい状況をつくっていく、あるいはそういう状況をしっかりと広報していく、そういうことによって一極集中を是正していくというのが本筋ではないか、私はこう思っております。

大串(博)委員 このような発言は是認できないという立場でいらっしゃるということでよろしゅうございますね。ぜひ、そういうふうな感覚と考えでいていただきたいなと思います。

 といいますのは、大臣は一億総活躍担当の大臣でもいらっしゃいます。一億総活躍という大きな枠の中で、安倍政権は今走っていらっしゃいます。その中で、一億総活躍の大きな柱は、一つは介護離職をゼロにしていこうという大きな目標と、もう一つ、希望出生率一・八とおっしゃっている。それはそれで、そういうことだなと私は思います。そういう方向を目指されるのは私も是としたいと思います、必要なことですから。

 ただ、今、待機児童の問題を大きな問題として、例えば、国会の中で「保育園落ちた日本死ね!!!」というあの言葉が取り上げられたときに、総理大臣の第一端のリアクションは、誰が書かれたものだかわからないからコメントできないという、私もその現場で聞いていて、ちょっと冷淡だなというふうに思うような発言でしたよ。それに対して、子育て中で保育園に入園することを求めていらっしゃる全国の多くのお母様方が声を上げていらっしゃるという非常に熱い現状を踏まえて考えると、例えば一億総活躍における希望出生率一・八に直結する対策等々をつくられていらっしゃいます、このフォーカスの当て方が果たして十分なんだろうかという気も私はするんですね。

 十一月の末にまとめられた対策の中では、希望出生率一・八に直結する対策として幾つもいろいろなことを述べていらっしゃいますけれども、これは一つ一つの内容はいいと思いますよ。しかし、待機児童解消に関しては、待機児童解消加速化プランに基づいて四十万人から五十万人に整備量を拡大するということが書かれていて、それに尽きるような気がするんですね。あと幾つか、今回の企業側の取り組みのことなんかも書かれています。ただ、果たしてこれで全体の取り組みとして十分なのかという点に関する疑問がやはり私はあるんですね。

 どうですか、大臣、一億総活躍の担当、大枠を決められる大臣として、子ども・子育て支援をすると柱の中に入れられた、その子ども・子育て支援の柱の中で待機児童対策は十分な光と力を与えられていますでしょうか。どう思われますか。

加藤国務大臣 今、委員は緊急に実施すべきところということでお挙げになられたと思いますが、その前に、検討すべき方向性の中においては、保育人材の育成、確保ということも申し上げさせていただいているわけでございます。

 いずれにしても、私どもは政権についてから、この待機児童の問題は大変大きな問題だということで、待機児童解消プランということでこれまでよりスピードアップして、当初では五年間で四十万、それをさらに十万上乗せする、また、その一部に、今回提出させていただいている法案を成立させていただくことによって対応していこう、こういうふうに考えているわけであります。

 ただ、御指摘にあるように、器をつくればサービスが出るというわけではなく、やはりそこで保育サービスを提供していく主体は保育士の方々でありますので、そういった皆さん方が誇りを持って働いていただける、また、そうした方々をしっかり確保していく。そのためにも大きなポイントというのは、先ほど現場での労働を軽減ということも御指摘がありましたけれども、やはり賃金を含めた処遇ということだ、こういうふうに私どもは認識をしております。

大串(博)委員 待機児童をなくしていくための取り組みをぜひしっかりやっていただきたいと思いますけれども、私自身は、これまでの政府の活動を見ていると、本当に十分なことを、必要な真剣さというか深刻度を持って担当されているのかなというところが疑問なものですから、幾つか確認させていただきます。

 例えば、今お話にもありました一億総活躍の中で、整備拡大量を四十万人から五十万人、二十九年度末までにふやすということなんですけれども、四十万人から五十万人にふやすことで待機児童がゼロになるという根拠はどこにありますか。

加藤国務大臣 私どもの基本的な考え方は、女性の就業率がふえていくという中において、特にゼロ歳から二歳の保育所に預ける人の割合もふえていくであろう、これがこれまでの趨勢ですね。それを見きわめながら、さらに十万プラスで五十万という数字を想定させていただいているところでございます。

 ただ、お話がありますように、これまでもそうやってやってきながらも、逆に、去年はちょっと別として、待機児童数は減ってはいますけれども、当初の計画どおりに仮に設備ができたからといって、それによって待機児童が全く解消したということにはなかなかなっていないという事実はあるんだろうと思っております。

 したがって、そこは常に状況を見きわめながら適切に対応していくことが必要だろうと思っております。ただ、今の段階で、我々が見据えた中で三十二年度を想定し、三年前倒しでそういった水準にまずは取り組むべきだということで緊急対策等を、またそれを踏まえた補正予算等を出させていただいているところでございます。

大串(博)委員 今なぜ私がこれを聞いているかというと、資料を配りました、これは厚労省からもらった一枚目の資料なんですけれども、保育所の定員、整備量ですね。これはずっと十五年から数字を挙げてもらっていますけれども、ふえてきています。民主党政権のときも自民党政権のときも一生懸命、整備拡大量を常に一定程度保ってふやしてきているんですね。

 一方、待機児童数はなかなか減らないんですね。二万人台前後、ちょっと少なくなったときもありますけれども、二万人台前後でやはり推移する。つくっているのに待機児童はどうしても存在する。これはやはり一定の原因とか理由とかをしっかり確認しながらやっていかなきゃならない話だと思うんです。

 だから、四十万人から五十万人に整備量をふやしました、実は、待機児童をゼロにする今回のプランの中では、まずは四十万人をつくったときも、これによって待機児童をゼロにするんだと総理ははっきりおっしゃっているんですよ。四十万人で待機児童はゼロになるとおっしゃっているんです。

 今回、各市町村を調べられて去年の九月にまとめた資料で、四十五万人に各市町村の整備量がなっているということで、恐らく余裕を持って五十とされたんだと思いますけれども、総理は、四十万人の段階で、これで待機児童はゼロになるとおっしゃっているんですよ。こういう数字を、これが何でゼロになるというふうに言えるんだろうか、五十万人もそうですけれども。

 政府の方から資料をもらいました、四十五・六万人というところまで整備量がふえてきているというところに関しての、各市町村にヒアリングをされた資料を見せていただきましたけれども、これで本当にゼロになっているという確認になっているのか、私はよくわからなかったんですよ。その辺は、本当にこれでゼロになるのかということでの確認なんですか。

加藤国務大臣 四十五・六万人というのは、各市町村から、それぞれの地域においてのいわば保育のニーズですね、将来のニーズ。そういったものをお聞きさせていただいて集計した数字が四十五・六万人ということであります。

 加えて、先ほど申し上げましたように、これから女性の就業率が上がっていく、そういったことを勘案して、私どもは、まず五十万ということを目指していこうということで、受け皿の整備、またそれに必要な保育士の確保、これをまずは進めていきたい、こういうふうに考えているところであります。

大串(博)委員 もう一度お尋ねしますけれども、今、市町村のニーズを踏まえて四十万人とし、四十五・六万人という数字が出ましたとおっしゃいましたけれども、私が見るに、市町村がこれから二十九年度末までに保育量をこれだけ拡大しますよという数字を合計されただけであって、これをもってして全市町村における待機児童がゼロになるという数字ではないんじゃないですか、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 たしか、私の承知しているところでは、三十二年度におけるこのぐらいの整備が必要だという形、その整備が必要だというのは、やはりその地域における保育ニーズを踏まえて各市町村が御判断をされた数字、そういうふうに認識をしております。

大串(博)委員 ちょっとお尋ねしますけれども、大臣、混乱しないでください。

 今回のポイントは、二十九年度末までですね。二十九年度末までに五十万人にふやして、その五十万人で待機児童をゼロにするという目標でいらっしゃるじゃないですか。三十二年というのは関係ないですよね。二十九年度末までに待機児童が各市町村においてゼロになるという調べなんですかという質問なんです。

加藤国務大臣 いや、ですから、その三十二年度末を念頭に、それを三年前倒しで二十九年度に実施しようという形で示した数字だ、そういう意味でございます。

大串(博)委員 そこで、きちっと聞きますけれども、本当にこれは、市町村が出された、二十九年度末にこれだけ拡大しますよ、集計してみたら約四十五・六万でしたと。これをもってして全ての市町村において待機児童がゼロになると各市町村は言っているんですか。そういう調べになっているんですか。

加藤国務大臣 そこまで、どういう形で調査票に書き込んでいるかまでちょっと私は承知をしていないので恐縮でありますけれども、それぞれの市町村において、その地域における必要なニーズを踏まえて必要な整備量をはじいている数字だ、こういうふうに承知をしております。

大串(博)委員 そこなんですよ。この四十万人、五十万人という最も注目された数字でさえ、本当に各市町村で二十九年度末までにこれなら待機児童がゼロになりますよといった数字かどうかというのを大臣はお答えにならないじゃないですか。そのくらいのある意味不確かさでこの問題に取り組んでいるんですかというあたりから、私は、本当におかしいな、本当に待機児童の問題に真剣なのかなというところに疑いがある、半身じゃないのかなという感じがするんですよ。いかがですか、大臣。

加藤国務大臣 基本的に、待機児童あるいは保育ということに関しては、もちろん国でもありますけれども、市区町村もその責任を持ってこれまでも対応されているわけでありますし、今回の待機児童の問題も、これは地域によって相当いろいろな状況が違っておりますけれども、抱えているところはまさに市区町村、現場の中で大変御努力をいただいている。

 まさにそういう背景の中で、どれだけの必要性があるかということをお聞きして出てきた数値だということでございますので、それぞれの市区町村において、そのニーズをしっかり踏まえながら必要な整備量をはじいておられるものだ、こういうふうに思います。

大串(博)委員 答弁もなかなかはっきりしないので、委員長にお願いします。

 この四十万人あるいは四十五・六万人という調べが、本当に各市町村が二十九年末までに待機児童ゼロとなる数字として集められているのか、ここは今の大臣の発言からいうと、私ははっきりしなかったんですね。そこは、まず理事会できちんと確認できる資料を出してもらうように、ぜひ理事会でお取り計らいをお願いしたいと思います。

西村委員長 理事会で協議します。

大串(博)委員 それで、四十万人、五十万人というこの受け皿整備でさえ、私は、こんなふうに非常に不確かだと思っているんです。なおかつ、この四十万人、五十万人に対して担い手がしっかり確保されるのか。大臣、この問題がございますね。先ほど来、高井さんからも話がありました。多くの方がそれをおっしゃいます。私もそれは非常に心配しています。

 それは、先ほど来話があったように、保育士の皆様の処遇が非常に厳しい状況にあるから、全産業平均と比べて十一万低い。こういう中で、資料をお配りしましたけれども、二十九年度末までに六・九万人プラス二万人、計九万人程度の所要人材が本当に確保できるのか、そういう政策になっているのかというところは非常に心配なんですね。

 今回の子ども・子育て支援は、大臣、これまで社会保障・税一体改革という形の取り組みをずっと政府はしてきていますけれども、これとは整合的なものですか。

加藤国務大臣 その整合的という意味、税と社会保障一体改革というのはいろいろな要素が入っておりますけれども、その中でも、少子化対策等は入っておりますし、また、それに資するという意味においてはその路線に乗ったものだ、こういうふうに思っております。

大串(博)委員 社会保障・税一体改革の中で、子ども・子育て、量的な拡充と質の向上ということで、消費税財源から七千億円、それ以外の財源から三千億円ということでやっていただいています。やはり、それと軌を一にしているということだと思うんです。

 その中で、私たちは、本当にこの待機児童解消のためには保育士の皆さんの確保に全力を図らにゃいかぬ。そういう観点からすると、処遇の改善、待遇の改善というのは喫緊の課題だというスタンスでおるんです。恐らく政府の皆さんもそうだと思います。

 その場合に、この社会保障・税一体改革の流れもくんで、その中で、今申し上げている〇・七とか〇・三の中で処遇の改善に当たるものはどういうものがありますか。

加藤国務大臣 処遇改善という中で、保育士等の五%の処遇改善については一兆円のメニューにも盛り込んでおりまして、平成二十九年度までには所要額九百五十二億円程度が必要だというふうに思っております。そのうちの三%分は既に実施をさせていただいておるということでございます。

 それ以外にも、実施しない〇・三兆の中には、職員配置の改善とか、そういったまさに保育に係る質の改善というのがかなり入っている、こういうふうに認識しております。

大串(博)委員 これから困難な課題があると私は思うんですよ。というのは、社会保障・税一体改革という消費税財源がこれからふえてくる。一年後に消費税が上がるかどうか、今やわかりませんけれども、その中でも、今、七千億円の消費税財源をもって三%の処遇改善が行われる、残り二%だと。残り二%は、これから財源を消費税以外のところから持ってこようとして考えている三百八十一億円。三千億円の中の三百八十一億円をもってして残り二%をやっていこうと。

 今、政府が新しい財源を探さなければならないニーズとして、子ども・子育てに関しては三千億というのがあるんですね。これは消費税財源以外ですよ。今、八%まで消費税を上げましたけれども、八%の消費税の中で一〇%分を取り込んでいこうということで三%上がっているわけですよね。さらに、今回、軽減税率で六千億の財源を政府は探していかなければならない、こうなっている。

 さらに、先般、参議院の本会議の質疑の中でも、待機児童問題、処遇の改善も含めてどうするんですかと問われて、総理は、待遇の改善は非常に重要だ、だから、新たな取り組みを、この春にもまとめる一億総活躍プラン、大臣がまとめられるわけですね、そのプランの中でもやっていかにゃいかぬというふうにおっしゃっているんです。

 そうすると、つまり、もう三番目の財源のニーズ、先ほど高井さんもおっしゃいましたけれども、六千億円の軽減税率の財源を見つけなきゃならぬ。さらには、子ども・子育ての残りの三千億円のニーズを探していかなきゃならぬ。それでもプラス二%の処遇改善にしかならない。さらに、それに加えるところの、処遇には十万円という大きな差がありますから、それを満たしていく財源を見つけていくということになる。これは一体可能なんですか、大臣。

加藤国務大臣 処遇改善のみならず、一億総活躍を推進するために、またさまざまなニーズも出てくるんだろうと思っておりまして、それぞれの財源、先ほど、これまでも総理が御答弁されておりますように、既存の予算をしっかりと見直しながら、あるいは、これからより一層経済の成長等を進めていく中でどういった形で安定的な財源を確保していくのか、そういったことをしっかり見きわめながら、必要な財源を確保していきたいと思っています。

大串(博)委員 これは、相当腹を据えて取り組んでいただかないといけない課題だと私は思うんです。先ほどのように、四十万人、五十万人で本当にゼロになるのかというところを確保しているのかさえ不明確のような状況の政府の取り組みで、本当に私は大丈夫かなと思うんです。

 今回の法案、事業主負担を求めながら、より支援事業を加えていこうと。私は、これはいいと思います。この制度は、事業所の中での保育所をふやしていこう、そのために事業主負担を求めながらということ、これはこれで、私たちも是とします。

 ただ、今申し上げた、担い手をどうふやしていくのか、あるいはふえていただけるのか、支えていくのかという観点がこの法律の中にはないんですよ。そこの目線がないからみんなやはり不安なんですね。だから、私たちはこの法案の中において少し修正があってしかるべきじゃないかなというふうに思っています。

 どういう修正かというと、今回は事業主負担を求めながら両立支援を追加して、事業所内における保育量をふやしていこうということでありますけれども、これに加えて、質の高い教育、保育その他の子ども・子育て支援の提供を推進するために、幼稚園の教諭や保育士及び放課後児童健全育成事業に従事する者等の処遇の改善に資するための施策のあり方並びに保育士資格を有する者であって現に保育に関する業務に従事していない者の就業の促進その他の教育、保育その他の子ども・子育て支援に係る人材確保のための方策について検討を加え、必要があると認めるときには、その結果に基づいて所要の措置を講ずると。大まかにですよ、大まかにこういった人材確保に関して所要の措置を講ずるというようなくだりがやはりこの法案の中にはあった方が私はいいと思っているんです。

 大臣に対して、この点に関しての御所見を求めたいと思います。

加藤国務大臣 今委員お読みになったのは現行の法文ですか。(大串(博)委員「現行です」と呼ぶ)だと思うので、それを前提にちょっとお話をさせていただきます。

 というような現行の法文がございます。それを踏まえて、平成二十七年度の当初予算では処遇改善等加算の三%分の対応、あるいは人事院勧告に伴って国家公務員給与改定について引き上げ等々を行ってきているところでございまして、保育士不足の要因として、給与を含め、先ほどから申し上げております待遇の問題が十分あるということは我々も認識をしておりますし、ニッポン一億総活躍プランの中において具体的で実効性のある方向性、対策をしっかりと示していきたいというふうに思っております。

 そういう意味で、委員からは、多分、先ほどお読みになったところをさらに前向きに修正すべきだという御意見なんだろうというふうに思いますが、政府としては、まずはこの法案を御審議いただきたい、こういうふうに思っております。

大串(博)委員 済みません、私の言い方がはっきりしませんでした。

 その条文が今あるので、それに加えて、子ども・子育て支援に係る人材確保のための措置を講ずるものとするという、ここの部分が非常に大切だと私は思っているものですから、そこを加えるという修正を提案したいなと私たちは思っているわけです。これは非常に重要だと思う。

 そのときに、さらに大臣にお尋ねしたいんですけれども、私たちはこういうふうな修正を提案したいと思っている。人材確保のための措置を講ずる。人材確保の措置といってもいろいろあると私は思います。いろいろあると思いますけれども、現下の状況においては、処遇の改善、待遇の改善がやはり一番の肝ではないかと私は思うんです。

 人材確保のための措置を講ずるという観点においては、処遇の改善、待遇の改善が一番重要なんだというような認識を大臣は共有されるかどうか。これに関する答弁をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 先ほども御答弁させていただきましたけれども、今ある規定の中にのっとっても、これまでも処遇の改善には努めさせてきていただいたということでございます。

 それから、やはり保育士の確保という観点に立って、賃金を含めた処遇改善というのは非常に重要なポイントであるということは我々も認識をしているところであります。

大串(博)委員 この処遇の改善というのが、今回は事業所内保育の整備を促進する、これはいいと思います。一方で、全体の待機児童に関する対応を考えていく際にはやはりマストだと私は思うんですね。ですから、今回私たちは修正も提案しようと思いますし、この修正の意図するところは、人材確保のための措置を講ずるものとする、そこは処遇の改善であるという認識に立って、ぜひ大臣には取り組みをより強化していただきたいなというふうに思うんです。

 といいますのは、私は今、全体を通じて、きょう少し議論しましたけれども、やはり、子ども・子育て、待機児童対策に対して、政府のこのスタンスというのはちょっと心配な感じがするんですね。

 きょうは時間がなくて取り上げられませんでしたけれども、例えば、今回の事業所内保育の増加に関して言っても、資料三につけさせていただきました。これで二十九年度末までに五万人分の整備量をふやしていこうということなんですけれども、今、事業所内保育所は七万人ですよ。

 資料三を見ていただきますと、平成十年から資料は始まっていますけれども、五万人が七万人ぐらいに、ずっと今二万人ふえてきているんですね。これを一挙に、あと二年間でこの政策だけをもって五万人ふえる、これは非常に高いハードルだと思うんですね。やっていかなきゃならないですよ。やっていかなきゃならないけれども、非常に高いハードル。こういったことをぽんと、割と軽くという言葉はよくないですけれども、出されているところに、私は非常にまだまだ不安を感じるんです。

 だから、この問題は、先ほど来指摘しましたように、待機児童はなかなか減っていないという過去の流れに即すると、よほどの取り組みをしなければならないということを御認識していただいて取り組んでいただくことをお願いして私からの質疑は終わりますが、どうぞ一言お願いします。

加藤国務大臣 委員御指摘の、これまでの事業所内保育は、正直言って十分な補助等があったわけではない中で行われていると。今度は企業主導型ということで、拠出していただいたお金も活用しながらそれなりの手当てができていくことで、少し様子が変わっていくんではないかというふうに思っております。

 それから、では、今四十五・六を整備すればゼロかという御指摘も先ほどありまして、それを前提に聞いているのかというお話もありましたけれども、いずれにしても、毎年四月の段階で各市町村に今後の先行きを確認しながら、それを踏まえていくわけでありますので、その結果としてまた四十五・六がどういうふうに動いていくのかということも出てくるかと思っておりまして、そういったことにもしっかりと対応していきたいと思っております。

大串(博)委員 終わります。ぜひ腹を据えてお願いします。

西村委員長 午前十一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時一分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時十五分開議

西村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。木内均君。

木内(均)委員 自由民主党の木内均です。

 今回の子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案につきましては、アベノミクス新三本の矢のうち第二の矢、夢を紡ぐ子育て支援と、一億総活躍社会の実現に向けての具体的施策を展開していくことを目指しており、大いに評価をさせていただきます。スピード感を持って進めることが肝要であると考えております。

 今国会では、「保育園落ちた日本死ね!!!」との匿名ブログが取り上げられ、実際に、保育園落ちたのは私たちだとの活動もございました。一億総活躍、働きたい人が安心して働ける環境整備には、待機児童解消の問題は喫緊の課題です。

 今回の法改正は、企業主導型保育事業を新設し、待機児童五万人の受け皿をつくるということで、大いに期待をいたしております。しかし、幾つかの懸念がございますので、順次質問をさせていただきます。その懸念が十分払拭していただける答弁をお願いしたいと存じます。

 最初に、待機児童解消加速化プランでは、計画を二年間前倒しいたしまして、平成二十九年度末の受け入れを十万人プラスの五十万人としております。この五十万人で待機児童解消が完全に実現をするのかどうか。

 計画では、平成二十九年度末の一、二歳児の利用率を四八%と見込んでおります。これは裏返せば五二%は家庭等で保育をする、育児をするということになるわけですが、極端な例かもしれませんけれども、サービスがどんどん充実をしていくことによって入園希望者が出てくる、そしていずれは全ての一、二歳児が入園を希望する、一、二歳児を持っている母親の皆さん、家庭の皆さんが社会に出て働くという決断もあろうかと思います。

 この利用率見込みの根拠について、まずお伺いをいたします。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお話がありましたとおり、待機児童解消加速化プランでございますけれども、当初、平成二十五年に目標値を立てましたときは四十万人ということで、これは当時の市町村が把握した潜在需要を積み上げたものでございます。これが既に、直近で集計をいたしますと、整備量の見込み値は四十五・六万人分ということになっておるわけでございます。

 さらに、今回、四十万から五十万ということで上積みをした理由でございますけれども、保育の利用率につきましては、女性の就業率と相関関係があるということを踏まえまして算定したものでございます。実際、平成二十六年で、女性の二十五歳から四十四歳の就業率は七一%ということでございますけれども、今後これを七六%まで引き上げるという目標を設定しておりまして、これを考慮いたしますと、その際の一、二歳児の利用率が四八%、これは現状ですと三八%でございますが、それが十ポイント高まるというようなところまで見越して、今回五十万というような設定をしたものでございます。

木内(均)委員 今御答弁をいただきましたが、根拠があって女性の就業率を七六%と見込んでいる。これはかなり高い数字だと思いますね。そのときに五十万人の受け入れをつくっていくということですから、その整合性については納得をさせていただきました。

 ところで、現在、現行制度のもとで事業所内保育の利用者数は一体何人いらっしゃるのでしょうか、現行制度から今回の企業主導型保育事業への移行はできるのかどうか、また現行の事業所内保育への補助はどうなっているのか、お尋ねをいたします。

武川政府参考人 お答えいたします。

 認可外の事業所内保育の入所児童数は、厚生労働省の集計結果によれば、平成二十七年三月時点で七万三千七百九十二人でございます。

 待機児童の解消に向けまして、平成二十九年度末までに整備する保育の受け皿を四十万から五十万に上積みするという目的でつくっておりまして、このうち企業主導型保育事業は最大五万人程度の保育の受け皿を確保することを目的といたしておりますので、既存の事業所内保育所を支援の対象とすることは考えておりません。

 また、既存の事業所内保育について、現在は雇用保険による助成制度がございまして、整備費につきましては一定の上限額の範囲で、例えば大企業については、助成率三分の一、運営費につきましては年額千三百六十万円の上限で、乳幼児一人当たり三十四万円を助成するなどの仕組みになってございます。

木内(均)委員 引き続き、現行制度と今回の制度の違いについてお伺いをいたします。

 地域内の一般の保育所から企業主導型保育所に園児が移ってくる可能性はあるのかどうか。そして、そういったことが可能であるということになると、もう既に既存の保育所に通っているわけですから、当然園児数の減少等の影響が出てくるわけですけれども、こういった影響は考えられるのかどうか、お伺いをいたします。

高木大臣政務官 木内委員にお答えをいたします。

 企業主導型保育事業の創設の目的でありますが、一億総活躍社会の実現を目指す中で女性の就労が拡大する傾向が見込まれる中、保育の受け皿のさらなる拡大というものが急務となっております。また、夜間、休日勤務のほか、短時間勤務の非正規社員など、多様な働き方に対応した仕事と子育ての両立に対する支援というものも求められております。

 本事業の特色としては、週二日程度就労などの多様な就労形態に対応した保育サービスも対象とすること、複数企業による共同利用を可能とするなど柔軟な実施を可能とするといったことが挙げられており、この企業主導型保育事業の創設により、多様な就労形態に対応した保育サービスの拡大を支援することになると考えております。

 既存の保育所に対する影響についてでございますが、本事業は、市町村の取り組みを補完し、五十万人分の保育の受け皿拡大を実現しようとするもので、全国的に待機児童が増加している中、保育の受け皿のさらなる拡大が急務となっている状況下、入所児童の移籍がゼロとは言えませんけれども、本事業の実施により既存の保育所に経営上の大きな影響が生ずるとは考えておりません。

木内(均)委員 さて、今回の企業主導型保育所の受け入れ園児の年齢についてお伺いをいたします。

 ゼロ歳から二歳児の三号だけに限るのか、あるいは三、四、五歳児の二号だけに限るのか、それとも三号、二号ともに受け入れていくのかをまずお伺いいたします。

武川政府参考人 お答えいたします。

 今回検討しております企業主導型保育事業につきましては、企業主導の柔軟な働き方を支援するためのものでございまして、その対象となる児童の年齢につきましては特に制限を設けることは考えておりません。

木内(均)委員 今の答弁ですと、三号、二号ともに受け入れるということで理解をいたしました。

 その次に、今度は保育料の設定についてお伺いをいたします。

 これは企業が自由に決めていいのか。こういうことになってくると、万が一、一般の保育所、既存の保育所に比べて保育料を安く設定された場合、先ほど高木政務官から、大きな影響はないと考えているという答弁がありましたけれども、安く設定をされた場合はそちらに流れるということは懸念されないのかということをお伺いいたします。

武川政府参考人 お答えいたします。

 まず、保育料の設定に当たりまして大きな影響となります企業主導型保育事業における運営費の助成でございますが、公定価格ではなく、補助金として各事業者に支給され、また事業者が実際に徴収する利用者水準については、事業者の裁量で設定いただくことを想定しております。

 しかしながら、その運営費補助につきましては現行の子ども・子育て支援新制度の小規模保育事業者と同等の水準を想定しておりまして、また一方、利用者負担につきましても、既存事業と同等の負担を求めることを前提といたしております。利用者負担を安く設定するということも可能ではございますが、その分は結局事業者の負担がふえる構造になっております。

 また、本事業は、周辺の市町村ということではなくて、当該事業者の従業員を対象として実施されるものでございまして、周辺の保育所の経営に重大な影響を及ぼすとは考えておりません。

木内(均)委員 周辺の既存の保育所への影響はないという答弁をいただきましたし、また今、保育所の入園料の設定も理解をいたしました。

 今度は監査についてお伺いをいたします。

 今回の説明で、設置に当たり、市町村の関与なく、企業の柔軟な取り組みに対応という説明があるわけですけれども、保育所の適正な運営に関する監査というのは一体どこが行うんでしょうか。また、万が一不正受給があったとき、こういったときにはどうやって対処するんでしょうか。

高木大臣政務官 委員の御懸念は、保育の質をどう確保するのかということであると思います。私も、保育の質の確保は大変重要であると考えております。

 この企業主導型保育事業は、児童福祉法に根拠を持つ認可外保育施設であり、保育サービスの質の確保の観点から、児童福祉法の体系のもとで規制を受けるものであります。

 具体的には、企業主導型保育施設は、認可外保育施設として都道府県の指導監督を受けることとされております。このため、設置に当たっての都道府県知事への届け出義務、施設の運営状況の報告義務、都道府県知事による報告徴収、改善等勧告、閉鎖等命令、虚偽報告等や閉鎖等命令違反への罰則等の規制が課せられることになっております。

 また、当然、整備費の助成、運営費の助成といった補助金として各事業者に支給されるわけですから、補助金の適正な執行というのは大変重要になってまいります。この観点から、公募団体による現地調査を通じた不正受給の防止や、事業者に対する是正措置命令、義務違反に対する助成の取り消し等を行うことを想定しております。

木内(均)委員 あと数点ありますので、簡潔に質疑をさせていただきます。

 次に、設置基準はどうなっているんでしょうか。面積、人員配置、トイレの数等の施設は現行の基準を緩和して設置を認めるとなると、劣悪な環境のもとでの保育所開設ということの可能性も考えられます。

 さらに、設置認可受け入れまでの流れはどうなっているんでしょうか。平成二十九年度中に新規設立をしないと、施設整備補助金を受け取ることはできないんでしょうか。

 さらに、先ほどの答弁の中で、現在、事業所内保育は七万三千人余という答弁がありましたけれども、今回五万人の受け皿をつくっていくということでありますが、これを超えた場合、打ち切りがあるのかどうか。

 さらに、この五万人の受け皿に関して地域設定はなさるのかどうか。

 以上、お願いいたします。

武川政府参考人 お答えいたします。

 まず設置基準でございますが、認可外保育施設の指導監督基準や、現行の子ども・子育ての事業所内保育や小規模事業の基準を参考に、同様の一定の保育の質が担保されるようにしてまいりたいというふうに考えております。

 続きまして、受け入れの流れでございますが、まず、事業者が整備費に係る助成金の申請を行いまして交付決定をいたします。その後、児童福祉法に基づきまして認可外保育施設として都道府県知事への届け出を行い、その後、利用者が直接企業の事業者に申し込み、契約することとしてございます。

 続きまして、五万人を超えた場合ということでございますが、当面は、しっかり、二十九年度末までに必要となる五万人の保育の受け皿を確実に確保できるよう努めてまいりたいと思っております。

 また、実施地域でございますが、これは都市部であろうと地方であろうと、保育事業を実施したいという企業のニーズがございますれば、その限りにおいて事業の申請を行うことが可能でございます。

 以上でございます。

木内(均)委員 時間が来ましたので、最後に一点だけ要望させていただきますが、企業の側からとってみると、わかりやすい説明というのが大事だと思うんですね。園児を一体何人受け入れるから、それ掛ける一体幾ら来るんだよというようなわかりやすい説明をぜひしていただきたいということを最後にお願いしまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 民主党の岸本周平です。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、委員長初め理事の皆さん、ありがとうございます。

 そして、何より、加藤大臣、きょうは本当にうれしいです。大蔵省の一年先輩で、公私ともに大変御指導いただきました。深夜遅くまでの御指導もいただきましたし、本当に、こういう立場で加藤大臣に質問できるのは感無量であります。

 その上で、きょうは、子ども・子育ての所管大臣として、本質的な御議論をさせていただきたいと思いますし、所管がいろいろありますので、本来加藤大臣の所管ではない案件もありますので、その辺は所見なり御感想なりでも結構だと思いますけれども、むしろそこは、リーダーシップを振るわれる一億総活躍の担当大臣としてそれぞれの所管の大臣に、こういう議論があったからやってくれよというような形でぜひリーダーシップを発揮していただきたいという意味も含めまして、きょうは加藤大臣と議論をさせていただきたいと思っております。

 まず、きょう議論になっております事業所内保育を含みます地域型の保育事業は、小規模保育それから家庭的保育さらには居宅訪問の保育、これは本当に画期的な制度であると私は思います。例えば、小規模保育でいいますと、実施初年度に、それだけで何と千六百五十五カ所も設立をされる。いかにそういう需要があったのかということだと思います。大変大きなポテンシャルを持っております。ですから、こういう制度ができた。

 しかし、一方で、運用の問題、それから、まだ制度が不備でありますので、実際に現場でやっていらっしゃる方々からすると、もっともっと改善してほしい、こういう意見もあるわけであります。

 例えば、居宅訪問型の保育一つとりましても、現状は、障害児でありますとか一人親あるいは離島、非常に対象が限定されております。また、定員も一対一ということであります。居宅訪問で、近所であれば一対二でもひょっとしたらできるかもしれない。一対一ですから、その辺が大変使い勝手が悪い。

 さらに、保育事業全体が、これは日本政府の行政の問題でもあるんですけれども、どうしても施設整備が中心になります。箱物中心の発想が抜け切らないんですね。施設をつくればいいと。

 しかし、今問題になっていますように、幾ら保育所をつくっても、働く保育士さんがいなければ話にならないわけでありますけれども、例えば、居宅訪問する病児保育には援助がないんですね。非常に問題があると思います。

 それから、これは保育関係の規制ではありませんけれども、例えば建築基準法の規制があります。百平米の壁というのがあるんですね。皆さん御存じでしょう。百平米を超えると、そこで事業をやりますと、住居じゃなくて施設になるんですね。そうすると、その部屋だけじゃなくて、建物全体にスプリンクラーの設置が必要になるんです。大変なことなんです。

 小規模ですから、お金のない事業者がやるとなると、借りるわけですね。大家さんに、済みません、今度小規模保育をやるので、百平米を超えているお部屋を使うので、建物全体にスプリンクラーをお願いしますなんて言えません。ですから、小規模保育を都市部でやる方は、百平米以下の物件しか対象にできないんですよ。物すごく事業機会が減っている。

 これはもちろん建築基準法の問題ですけれども、そこまで目くばせをしていただいて、そういう規制も大臣のリーダーシップで変えていただくような、きめ細かな運用というのが大事になってくると思います。

 まず、運用の問題の中で第一番目にお聞きしたいのは、いわゆる地域型保育の中で、これは厚生労働省では通達上家庭的保育事業等と呼んでいるもので同じなんですけれども、連携施設を確保する必要があります。つまり、預かるのはゼロ歳から二歳までですから、三歳以降は当然受け皿がないと困りますとか、例えば給食なんかでも、連携する施設があればいいよねという意味の連携施設であります。

 全国小規模保育協議会の調査によりますと、この連携施設がない小規模認可保育所は三二%、三分の一もあるんです。実際に、連携施設がないと加算が認められません。この加算というのもまたくせ者でして、介護関係もそうですけれども、これも先生方は御地元でお聞きになっているとおり、いろいろな加算がありますから大丈夫ですよ、介護報酬もふえましたよと。うそですよ。加算なんかとれないんですよ、要件が厳し過ぎて。この連携施設加算も、加算があってもようやく普通の経営ができるぐらいの金額なんですけれども、連携施設がないと加算がないから、事業経営は物すごく厳しいんです。三分の一も連携施設がないんですね。だから、加算をもらっていないんです。

 しかし、一方で、厚生労働省の通達によれば、連携施設のあっせん、調整を市町村がやりなさいと書いてあるんですね。やりなさいとは書いていないんです。これまた日本の役人の、ねえ、加藤先輩、よくないところなんですよ、そうするのが望ましいと通達に書いているんですね。あっせんするのは市町村がやるのが望ましいですねと書いてあって、完全に自分の庭先だけ掃いているわけですよ。多分、いや、地方自治ですからと言うんですね。まさに腰が引けているわけですよ。それはぜひ、また大臣のリーダーシップで変えていただきたい。

 しかし、実際上は、厚労省は市町村に、まさに公的施設、自分の持っている施設だったら連携施設になってあげなさいよ、そういうことでもいいわけですね。あるいは、なかったらあっせんしなさいと書いてあるんですけれども、実際に聞くと、この三割のもらっていない、連携施設のないところは、市町村が全く非協力的です。しかも、厚生労働省の省令によれば、義務規定なんですね。連携施設を持たなきゃいけないんですね。なんだけれども、市町村が協力してくれない。

 これが今の状況なので、これについての御見識、どうなっているのか、どうしたいのか、ぜひお聞かせください。

加藤国務大臣 委員のまず最初のお話として、やはり縦割りであるとどうしても見るべきものが見えないということは確かにありますので、いろいろな、まさに事業者であり、利用者であり、そういう視点に立って常にチェックしていくという姿勢は大事だというふうに私は思います。

 その中で、今、小規模保育事業の連携施設の関係のお話がありました。地域型保育事業は子ども・子育て支援新制度の中でしっかりと位置づけさせていただいている、それは御評価いただいてありがたいと思っております。

 これは、都市部において、特に待機児童の八〇%以上がゼロ歳から二歳だということで、その待機児童の解消を図っていく、他方で、人口減少地域では身近な地域での子育て支援機能を確保する、両方の目的を踏まえながら、〇―二歳の子供を対象とする事業として位置づけられているわけであります。

 ただ、問題は、ゼロから二歳でありますから、三歳以降どうするかというのは大変大事なことであります。

 そういう意味で、小規模保育事業等を行う事業者に対しては、利用乳幼児に対して保育をきちっとやってほしいということがまず第一。そして次に、満三歳に達する児童に対して必要な教育または保育が継続的に提供されるよう、連携協力を行う連携施設を適切に確保するということが求められているわけでありまして、またそれに対して、各市町村に対して、役所的だという御指摘がありましたけれども、積極的な関与、役割を果たすよう求めている、こういうたてつけになっているわけであります。

 しかし、大事なことは、やはりどうつないでいくか。そこで切れてしまうと、今度は三歳児におけるまた新たな待機児童ということが出てくるわけでありますので、その辺も含めて、制度がスタートしたのが昨年の四月からということでございます、厚労省においてはことしの四月時点での連携施設の設定状況について調査をするということでございますので、そうした実態をしっかり把握しながら、それから先行きどうなっていくのかということも想定しながらしっかりと対応していきたいと思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 その調査の際に、厚労省がやるんですけれども、その結果が出ましたら連携施設を持てないところの市町村名がわかるでしょうから、内閣府で調べて、そこの市町村は何をやっているんだという牽制的調査をぜひやっていただきたいとお願いをしたいと思います。

 今の御説明の中にもまさに〇―二歳児のお話がありましたので、何で地域型の保育事業が〇―二歳になっているのかというのは、三歳以降になれば幼稚園が当然手を挙げてくれるだろうというのもあったのと、それから、何より待機児童の八割が〇―二歳なんですね。それはそうなんです。だから、〇―二歳で集中的にやりましょう、非常にきめ細かい対応をしましょうと。三歳児以降は、多分幼稚園も手を挙げるだろうという読みもあったと思います。

 ところが、残念ながら、幼稚園が手を挙げてくれなかった。三歳のところは余り来なかったんですね。それはそうかもしれない、余りインセンティブがありませんから。しかも、都内では、したがって三歳児以降の待機児童もどんどんふえてきているわけであります。

 そこで、例えばそこは、これから地域型の保育事業を進めていく中で、〇―二歳に本当にこだわる必要があるんだろうかという問いであります。

 というのは、現在でも、預かっている子が三歳児になったときに、預かるところがなかった場合は特例適用で預かることができます。気の毒ですよね。急にお母さんが仕事をやめるわけにいかない。三歳児をでは預かりましょうとなると、これまた役所的なんですが、定員を食っちゃうんですよ。三歳児が一人残ると、〇―二歳児が入れないんですね。

 これもまさにしゃくし定規で、一人か二人ちょっと三歳児を、これはあきを待っている間ですから、三カ月なのか半年なのか、そのときに定員にカウントしてまさに〇―二歳は排除するというような運用は何とかならないのか。そこはせめて、三歳児を預かるのであれば、その分の定員は食わない、少し弾力的にやっていくという運用の措置ができないのかということ。

 それから、そもそも、三歳から五歳対象の地域型を制度上つくられたらどうか。そうすると、すごくいいことがあるんです。同じ方ですよ、〇―二歳の保育所があります、三―五歳の事業所が少し離れた場所にあります、どっちも認可ですから、まさに連携施設になることもある意味可能になってくるんですね。そうすると、一石二鳥ということもある。

 大臣に聞きたいんですが、運用上の弾力措置と、地域型でも三―五歳だっていいじゃないのというような制度的な改正について、二点、お伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 今委員最初にお話がありました、私どもは連携施設として保育所、認定こども園、幼稚園というのを想定しているわけでありますけれども、保育所については適宜今新設をしているわけでありまして、その中には当然、三歳児以上も定員としてふえていくという部分があります。それから、認定こども園について、今、特に幼稚園からの移行等の普及促進も図っております。また、さらに幼稚園については一時預かり等の事業の取り組みを促進する、そういった形での連携というものもしっかりこれから取り組んでいきたいというふうに思っております。

 その上で、今、特例のお話がありました。

 確かに、もう少し融通をきかせてもという気持ちは、お話しになるのはわからないわけではありませんけれども、しかし、そこは大事な子供さんを預かっているわけでありますから、やはり厳格に、定員はしっかり遵守をしていかなければならないというふうに思います。

 ただ、小規模保育事業や事業所内保育事業については、利用定員を超えた児童の受け入れを認めているというところはあります。ただ、利用定員を超えて利用する子供を含めたトータルの利用子供数に応じた人員配置等が求められているということでありまして、そのためには少し余裕を持った人員配置をしているか、あるいは追加的な人員配置ということが求められるわけであります。また、家庭的保育事業などは、非常に小規模でありますから、なかなかその余地はないんだろうというふうに思っております。

 今、三歳から五歳に特化したというお話がありましたけれども、他方で、一歳から二歳、ゼロ歳から三歳未満は足りないわけでありますから、やはりそこは全体として対応していく必要があるんじゃないかなと思います。

岸本委員 ありがとうございます。

 完璧な御答弁なんですけれども、前半については、そうなんですけれども、現場では、幼稚園は預かってくれないし、なかなか来てくれないんですよ。お役所の方が書いたきれいなポンチ絵はそうなっているんですよ。ここにいる議員の諸兄あるいは先輩に言うのはお釈迦様に説法なので言いませんけれども、違いますでしょう。現場は違うんですよ。霞が関の机の上でポンチ絵をパソコンでぱちぱちぱちとたたくのと、現場は違うんですよ、皆さん。

 これをもうちょっと、加藤大臣、よろしく。御理解されていると思いますので、これ以上は申しません。

 それで、それこそ今回の法案の対象になっています企業主導型の事業所の保育所について議論していきたいと思うんです。

 全体に、地域型もそうなんですけれども、特に事業所の中でつくる保育所の一番のメリットは何かというと、私が現場へ行って聞いている範囲で言うと、市町村を通さないのがメリットなんですね。市町村を通すと保育所はできないんですよ、本当に。市町村は保育所をつくりたくないんですね、基本的には。だって、将来、少子化で減るんですから。少子化で子供が減っていく。

 もちろん、ある程度女性の就労率は上がるでしょう。七八%、八〇%、そうすべきです。どんどん預かるべきです。いずれ、どんどん縮小していったら、ひょっとしたら、あきが出るかもしれない。過剰な投資はしたくない。それもわかります。首長さんからすれば、過剰な投資はしたくない。何しろ、保育士の確保ができない。ですから、これを自治体の壁と言うんです。自治体は、絞って絞って絞って絞るだけ絞ろう、こういうことであります。

 だから、要件さえ整えれば、市町村をパスしてすぐに保育所ができる。これはすばらしいことなんです。ここはさすがに霞が関の皆さんも市町村がやる気がないのに気がついていて、どうぞ、自由にやりましょうということになっているわけです。

 ところが、これまた市町村は、これは全体の話ですよ、そうなると、初期投資の補助つきの公募みたいなのをやるんですね、初期投資の補助をしますと。それで集めると、当然、都市部では初期投資の助成がないとなかなか事業上間に合いませんから、結局、トータルの保育所の数のコントロールは市町村ができちゃうんですね。

 それから、当然上乗せというのがあります。都市部では上乗せ補助がないとやれません。上乗せ補助をすることによって、またここで市町村は過剰なコントロールができちゃうんです。過剰規制ができちゃうんですね。

 ともかく、役人というのはあの手この手で規制するのが好きですから、過剰規制して窓口を締める、こういうことですから、それを避けるためにやるこの事業所内の保育所というのはすばらしいわけであります。

 しかし、首長さんたちの心配もわからないことはないので、例えばつくった保育所施設に将来的にあきができるということであれば、これはちょっと法体系が違うんですけれども、障害児のデイサービスができますよというようなことをきちんと位置づける。今でもある程度はできるんですけれども、あいているところの定員の活用はできるので、それをきちんと位置づけて障害児デイとか、つまり、あきは出ないんですよ、出ても大丈夫ですよというような形をつくっていくのも一つの手だと思います。

 それから、さっき言った弾力化ですね。定員以上に子供を預かる弾力化も、これも地方自治体の許可制ですから、やらない地方自治体がありますからね。これは本当に調べていただきたいぐらいですけれども、その辺の官僚の皆さんは知っていると思うけれども、自治体が嫌がって、弾力化をやらないんだから。現場はそうなんですよ。そういう意味では、ぜひ事業所内保育を進めていただきたいと思います。

 ただ、これもまたお釈迦様に説法ですが、事業所内保育所のモデルは、これは地方型ですよね。私のような和歌山で、車で通勤するママさんにとってはベストなんです。だけれども、東京で、丸ノ内線でぎゅうぎゅう詰めの中で赤ちゃんを連れていく人たちにとっては結構大変。実際そこが、利用者がふえていかない理由の一つでもあるんです。だから、事業所内の保育所というのは地方型のモデルなんです。

 だとすれば、居宅訪問型の保育が物すごく限定がありまして、今使い勝手が悪いんです。まず、居宅訪問型の保育の要件を緩和する。待機児童全部オーケー、障害児とか一人親とか言わない、まずオーケーにするというような要件緩和をした上で、例えば事業所、企業型主導で居宅訪問型保育を認めていく。そうすると、まさにマイカーで通勤できない、電車で通勤するところへ居宅訪問型の保育を事業所ができちゃうわけですね。人数が少なくてもできます。施設は要りません。あるいは、ある程度の中堅企業でもニーズは少ないかもしれない。そういうところは居宅訪問でやるとすごくニーズとマッチするのではないかと思いますけれども、その辺について御所見があればお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 まず最初に、今回の企業主導型、地方型、もちろん地方でも活用していただければと思います。ただ、事業所内ではないんですね。別に事業所内でなくてもいいわけでありますから、それは設定の自由性があるんだろうというふうに思っております。

 それから、居宅訪問型の保育を企業主導でという話がありました。

 今回、仕事・子育て両立支援事業においては、認可外の居宅訪問型保育という定義になりますけれども、利用の支援をするための企業主導型ベビーシッター利用者支援事業、これはこれまでもやっていたわけですけれども、そして今年度はつなぎで、一般会計にして、今回少し枠も大きくしてそれを実施するということにしているわけであります。

 それから、今お話がありました居宅訪問型保育事業は、子ども・子育て支援新制度の中に位置づけて、地域型保育事業としてやっているわけでありまして、これは国それから地方公共団体によって実施をする、こういうことになっております。

 今回の企業主導型の保育に関しても、経済界、事業主ともいろいろな議論がありました。そういう中で、今回のことについての理解を得てここに運びをされているというのが今の状況だということだけ申し上げておきたいと思います。

岸本委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それから、病児保育というちょっと限られた分野の話になるんですけれども、ぜひ加藤大臣に御理解をいただきたいと思いまして、病児保育の議論をさせていただきたいと思います。

 安倍総理は、施政方針演説でも病児保育の充実というのを約束されています。これはすばらしいことだと思います。これは本当に高く評価をさせていただきたいと思います。

 厚労省も病児保育の強化策を打ち出しておられますので、すばらしいことだと思いますが、それは、例えば施設をつくるときの補助であったり、施設に看護師を置かなくてもよいというような要件緩和ということですが、厚労省の発想はあくまでも施設なんですね。

 今、病児保育で一番数が多いのは病院併設型といいますか、お医者さんがいる、看護師さんがいるところがほとんどであります。それはそれでいいんですけれども、逆に言うと、病児保育をやるところの中心が病院併設型だと、ふえないんですね。発展性が全くないんですね。それで天井が決まっちゃうわけです。病院の数で決まっちゃうわけです。小児科医のいるところと決まっちゃうわけです。

 そうではなくて、先ほどから議論しておりますように、居宅訪問型の病児保育というものについてもやはりできる限り応援をしていっていただきたい。ほとんどないわけです。パーセンテージでいうと、病院型が八四%ですから、ほとんど病院型。そうじゃなくて、もう少し訪問型のサービスということについて御理解をいただきたいということであります。

 実際に、御存じのとおり、NPOのフローレンスが、最初にやったところでありますけれども、大体、一日平均四十件、病児を預かっていらっしゃる。四十件ですからね。普通、施設では平均二件ぐらいですから、NPOが二十施設分を一日でやっていらっしゃる。だけれども、助成はありません。そういう意味では、ぜひそういうところにも着目してほしい。

 地方公共団体は結構、東京都はもちろん、皆さん必死ですから、区によっては、渋谷、北、文京、足立、千代田などは病児保育にバウチャーを使っていますね。利用者に対して病児保育を利用するときのバウチャーを配る、これは物すごくいいアイデアだと思います。

 ですから、国はこの十年来施設型にこだわってこられましたけれども、そろそろ発想を変えていただきたいということであります。と同時に、利用者バウチャー、利用者補助というものを取り入れていって、訪問型の病児保育についてもぜひ応援していただきたいと思うのでありますが、大臣の御感想をお聞かせいただけますか。

加藤国務大臣 子育てをしながら働いておられるそれぞれの御家庭においては、病児保育に対するニーズは大変高いし、しかし、利用する機会を得ることがなかなか難しいという状況はよく認識をしております。

 地域子ども・子育て支援事業の中でも運営費に対する支援が行われておりますし、その財源としては事業主拠出金も充てられている、こういう仕組みになっておりますので、今回、事業主拠出金の引き上げによる財源によって事業の拡充をしている。先ほど委員からも御指摘がありました病児保育の施設整備に、また箱物かとおっしゃるかもしれませんが、補助をする、あるいは、調子が悪くなった子供さんを迎えに行く、送迎に当たる、そうした看護師さんを雇い上げる費用を補助する、こういった施策をさせていただいたところでございます。

 それに加えて、こうした事業主拠出を使って、訪問型の病児保育等へのバウチャー制度等の御提案もありました。

 これは、先ほどの訪問型そのものに対する議論と一緒でありますけれども、事業主にどこまで、どういうことを求めていくのかというこれまでの議論の経緯もあり、今回は先ほど申し上げた企業主導型の保育園に関してこうした形で拠出をお願いしたということでございまして、今後の検討課題の一つでもあろうかと思います。

岸本委員 ありがとうございます。

 特に病児保育の居宅型というか訪問型というのは、事業所にかかわらず、こちらはまさに消費税のアップ分で国費を入れてトータルでやっていただきたいという思いで申し上げたので、確認をしておきたいと思います。

 あと一問だけ、一億総活躍の御担当大臣としてお聞きしたいと思います。

 今まさに病児保育、たまたま病気になったお子さんの保育の問題を取り上げましたが、例えば障害を持っておられるお子さんは、年を経れば小学校に行き、中学校に行かれるわけでありますけれども、そんな中で、実は医療的なケアが必要な子供さんたちがおられます。例えば鼻からチューブで経管栄養が必要なお子さん、あるいは人工呼吸器をつけなければいけないお子さん、そういう方々。例えば、胃瘻で胃に直接栄養をとっていらっしゃるお子さんも入りますね。そういう特別な措置の必要なお子さんたちを医療的ケア児といいます。医療的ケア児の皆さんも、義務教育を受ける権利は当然ありますね。親も受けさせなければいけないのであります。

 これは、基本的に支援学校に行かれる場合が多いわけであります。支援学校へ行くには、普通、どこの地域もそうですが、支援学校はバスが送り迎えをしてくださいますけれども、そういうチューブが入っていますとバスに乗れないということであります。親御さんが送り迎えをしなければいけないとなると、なかなかそうでない家庭もありますので、そもそも学校にも行けないということになっています。義務教育が受けられない。もちろん、制度の中にはいろいろ、やはり日本は先進国ですから、まさに居宅じゃないですけれども、おうちに来てくれて先生が教えてくださるという訪問教育という制度があります。

 ただ、これも財政の問題なのかわかりませんが、週約三回、一回が百八十分というのが全国の平均です。つまり、週三回、三時間。東京は週三回、二時間です。週三回、二時間しか医療的ケアの子供さんは義務教育の勉強を教えていただくことができないという状況であります。これは、一億総活躍の考え方からすると、大変残念なことではないかと私は思います。

 ですから、例えば訪問看護とか居宅介護というサービスがあります。今、訪問看護とか居宅介護というのはそれぞれ要件が決まっていますから、当然、学校ではこういうサービスはできないわけであります。しかし、もしも訪問看護とか居宅介護のサービスをこの医療的ケアの必要な子供たちのために学校で提供できれば、その子たちは毎日学校へ行ける、学校で授業を受けることができる、友達と一緒に勉強できる。この先進国日本、世界第三位のGDP大国の日本で、そんなこともできないのか。

 これは法律を変えればいいんです。もちろん厚生労働省所管の法律であります。しかし、厚生労働省を、きょうは副大臣も呼んでいません。言ったって、官僚答弁しかしないからです。

 本当に大した人数ではありません。金額的な問題ではほとんどないと思います。まさに訪問看護と居宅介護のサービスを医療的ケアの子供たちのために学校でサービスできるような法改正を、大臣、一億総活躍のためにぜひお願いします。

加藤国務大臣 公立学校において医療的ケアを必要としている子供さんは、文科省は毎年調査をしているようでございますが、平成二十六年度の調査では、特別支援学校において七千七百七十四人、公立のいわゆる普通の小中学校と言っていいんだろうと思いますが、九百七十六人ということになっているわけでありますし、多分その背景には学校に通えていない方々もいらっしゃるんだろうというふうに思います。

 また、訪問看護及び居宅介護そのものは、今お話がありましたように、法律において居宅において行うものというふうになっているわけであります。他方、医療的ケアを必要とする児童生徒等の教育環境の充実を図るため、二十八年度予算案においても、医療的ケアを実施する看護師の配置に必要となる経費の一部を補助するといった予算が計上されているというふうに承知をしているところでございます。

 ただ、いずれにしても、この四月からは障害者差別解消法も施行されて、合理的な配慮等も求められていく、こういう時代になってきているわけであります。

 また、我々も、一億総活躍ということで、障害や難病がある方々も活躍できる社会ということでございますので、今御指摘がありました医療的ケアを必要とする子供たちに対してどういう支援をしていけばいいのか、よく関係省庁とも連携をとりながら検討し、必要な対応をしていきたいと思っております。

岸本委員 大変前向きの答弁、ありがとうございました。

 本当に心の温かい加藤大臣のリーダーシップを期待して、質問を終わります。ありがとうございました。

西村委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 民主党の阿部知子です。

 本日は、子ども・子育て支援法の改正案として、企業の拠出による、企業内とは限らない保育所の充実を図るという改正で、ずっとお話を聞いていると、仕事、子育て両立というワーズはたくさん出てくるんですけれども、もともとは中心は子ども・子育てですので、視点を、今の岸本先生のお話は子供にかなりフォーカスを当ててくださいましたが、私もぜひ子供というところにフォーカスを当てて御質問をしたいと思います。

 先ほど、四十万人から五十万人に保育の受け皿をふやしていく、これは、それこそ働く女性もふえられましたし、試算も伺いました。どうしてそのように試算されて五十万人にされようとしているのか。でも、これとても、もしかして昔から、保育ということを考えると、保育に欠ける子という言い方をして、実は、働いていなくてもいても、お母さんたちが子育てのためにいろいろなサービスを利用できるというのが一番肝ですので、単に働いていて、就業率が何%といって数を出していくというのは、私はそもそもそこからちょっと疑問であります。

 私自身は働いてきたし、そのときに保育所というのはあってありがたかったのですけれども、正直言うと、今むしろ、いろいろな理由で働いていない、あるいは働けない、仕事につけないこともあるお母さんたちが子育て上の悩みを深く抱えている時代ですから、ここはよく視野を広く持っていただきたい。

 その上で、四十万人を五十万人にふやそうと思ったけれども、地方で積み上げると四十五万人ちょっとくらいしかいかないので、残る五万はもう企業にやってもらおうか的な算定というか考えが背後にあるんじゃないかなと思って、果たしてそれでいいんだろうかと私は思います。

 そもそも、この事業所内になくてもいい企業型保育所に関するニーズというもの、これは、企業側にも事業所内保育に預けておられるお母さんたちにも、あるいは一般の、今「保育園落ちた日本死ね!!!」のお母さんたちにも聞かれたのか。すなわち、ニーズの把握について、単に計算上、足し算引き算の五万じゃなくて、やはりニーズをきちんと把握して施策するというのが必要ですので、加藤大臣にお伺いいたしますが、いかがでしょう。

加藤国務大臣 先ほど、まず働いていないお母さん方、あるいはどちらかが働いていない家庭に対する対応等のお話がありました。まさに今回試算をしているのは、あくまでも、昔は保育に欠ける、今は必要なという言葉になっていると思いますけれども、そういう子供さんを対象にして計算しているからそういうことになるんですが、それだけでいいとは全く思っておりません。

 むしろ、委員とも、多分前のときは一緒に視察をさせていただいたような記憶もありますけれども、やはり、都会のマンションの一室でずっと子供と向き合う中、なかなかストレスもあって詰まってしまっている。そういう意味では、子供サポートステーションとかいろいろな取り組みをされている、これもしっかり展開していかなきゃいけないというのはまさにそのとおりだというふうに思います。

 それから、今回の企業主導型保育について、ニーズは調査しているのかという意味においては、直近において調査していることはございません。

 ただ、経済界ともいろいろ議論をし、やはりこういう必要性を我々が申し上げ、もちろん企業側も拠出をするわけですから、必要ないものは拠出をしない。そういう意味では、企業側もそういったニーズを感じておられるのでこの拠出に応じていただいたのではないかというふうに思います。

 ただ、別にこれは、本来認可保育園で対応すべきものをこっちに振り向けるということではなくて、昨年の秋に発表した段階では四十五万六千でありました。ことしの四月の時点でまた改めて対応してまいりますから、そういった意味でのいわゆる認可保育園等の需要がふえていくということになれば、当然それはそれとして対応していくべきだというふうに思います。

阿部委員 私はずっと小児科医をやっていて、子育てをめぐる風景が、非常に今お母さんたちは追い込まれていると思います。虐待も、正直言って、日本は児童虐待が少ない国だと私たちは学生時代に教えられたんですね。でも、気がついてみれば、今、児童相談所に行く件数だけでも八万。それは、必ずしもお母さんが仕事をしていたりしていなかったり、いろいろあると。

 子育てを孤立させない社会というのが基本ですので、大臣、いい御答弁をいただきましたが、例えばいわゆる就労していなくても保育園をもっとオープンに利用できるとか、そういう場はすごく必要だと思います。もちろん、地域のいろいろな日だまり事業も必要ですけれども、保育の専門家がいて保育のアドバイスをしてくれてという場は、これから実はますます必要になりますので、ぜひ広い視野を持って、三ッ林先生も、お兄様も小児科の先生でしたし、お願いをしたいと思います。これは小児科医のみんなの願いだと思っておりますので。

 その上で、今大臣、直近の調査はないんだとおっしゃっていただきましたが、確かに、私が内閣府からいただきました資料というのを見ると、事業所内保育に関するニーズの調査は二〇〇三年と二〇〇五年であります。今は二〇一六年であります。この間に、子ども・子育て支援法もできて、いわゆる幼保の一元化、一体化、こども園なども進捗してきて、地域型の保育も、さっきの小さなサイズで行う保育も充実させてきて、本当にお母さん方にとって、お父さん方にとって、あるいは事業主にとって果たして何がいいかというのを、やはり直近の、今、本当に保育問題でこの国会は揺れておりますから、改めて、サンプル調査でもいいですし、加藤大臣にしていただきたいです。

 これは、保育の実情をつかまえる上で非常に重要となっております。その中で事業所内保育を希望される方がどのくらいあるかであります。

 ちなみに、私は否定的な意味で言っているんじゃなくて、私自身も病院勤務でしたから、事業所内保育があって大変助かりました。地域の保育所にはまず入れません。働き続けようと思ったら事業所内保育所が必要でした。

 だから、今、大半の事業所内保育所は病院がやはり多いと思いますけれども、その実情。お母さんたち全体の、今、保育園が足りない声。そして、事業所内保育が役立つ場合と、そうではなくて、例えば、私もそうでしたが、そこに入るために引っ越しました。もう自分の居住を移す。

 それから、三歳になってやっと公立の保育園に入れましたが、今だと、事業所内保育所に入っていて、それがいわゆる待機点数にどのようにカウントされるかということまで気にしなきゃいけない。すごく厳しくなっています。

 だから、本当は何が一番よいことなのか、改めて、大臣が子ども・子育ての担当者になられましたので、保育問題は本当に大事だと思いますから、調査をしていただく。事業所内保育のニーズも含めてですが、いかがでしょう。

加藤国務大臣 これはあくまでも一つのツールということでありますし、先ほど申し上げましたように、経済団体等とも話をする中で、そうしたニーズを事業主側も感じて、これに賛同していただいているということだと思います。

 阿部委員おっしゃるように、この事業所内保育がどうのこうのというよりも、まさに今の待機児童であり保育に対する実態がどうなっているのか、特に、全国というよりもこれはかなり地域差もあります。その辺も含めてしっかり実態を把握して、それを踏まえた適切な対応をとっていくというのが王道だと思っておりますので、我々もそういった形で対応したいと思います。

阿部委員 全体を把握すると同時に、特に今回問題になっている事業所内保育について、利用者側からのニーズはどうかということで、あるだけのデータで、今のものではありませんが、かつての二〇〇三年、二〇〇五年ので拾ってみましても、大臣のお手元に資料が、一枚目はニーズ調査で、それに、もうちょっと細かな、中まで読み込んだものをつけてございます。

 実は、この当時の一番多いニーズは、二枚目、おめくりいただきますと、短時間勤務制度とかフレックスタイム制の導入ということをみんな、お母さんたちは希望しておられました。これは今、大分違うと思います。

 下の方に託児施設の設置運営というのがあって、これは下の方に入ってまいります。要するに、当時のニーズの上は短時間とかフレックスで、下から二番目、休日勤務の免除のちょっと上が託児施設の設置運営。二枚目のペーパーの下の方です。

 そして、それにプラス、三枚目を見ていただきますと、では、なぜ院内の託児所等々のニーズがさほど高くないのか、こういうデータになるのかというと、ニーズがないというところで託児施設の設置運営というのを見ると、四四%がニーズがない。これは、同じ調査の中を読み込んでいくと出てくるんですね。

 ニーズがないと言われちゃうと、他の措置のニーズが高いでもなく、ニーズはあるが会社の負担が大きいでもなく、そもそも、ニーズがないと出てくることは、さっき申しましたような通勤距離との関係とか、今であれば、地域の保育園に入りたいときにどんな加算がつくかとか、もうお母さんたちは、次も次も次も考えてやっていかないと、子育てというのは一瞬で終わりませんから、こういう数値が出るんですね。

 この点もぜひ大臣には把握していただいて、もちろん、企業、経団連でもいいです、聞いていただいても、あるいはヤクルトなども事業所内保育をやっておられますので、助かります。助かる人もあります。

 でも、また同時に、もっと大きいニーズがそっちにあれば、そっちも含めて拡充していかないとこの問題には応えられないので、重ねてお願いをいたします。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、企業主導型の保育所によって全て待機児童の問題が解消するとは我々も全く思っていないわけであります。

 ちょっとこれは古いあれですけれども、今御指摘があった三ページ目、ニーズはあるが会社の負担が大きいということがありました。こういった声には、今回の助成を手厚くすることによって応えていくことができるのではないかなというふうに思います。

 それから、先ほど申し上げましたように、今は、それぞれの市区町村等からお話を聞く中で、四十五万六千という数字が出てきております。また、ことしの四月の時点のことを改めてお聞かせいただきながら、そうした数字が多分ふえていくんだろうと思いますけれども、そういったものに対してはしっかり対応していかなきゃいけないというふうに思っております。

    〔委員長退席、中根(一)委員長代理着席〕

阿部委員 今の、ニーズがないの続きを少し細かく見てまいりますと、どうしても従業員規模の少ないところの方が、ニーズがないという比率が高いんですね。ニーズがあるというところは大規模なところ。それから、これまでも例えば事業内保育所だと愛知がやはり断トツで、二百何カ所ありますね。

 ですから、工場が集積しているとか、あるいは私の勤める病院関係とか、やはりかなり業種による差があるし、それから病院でも、実はこれは本当に不公平なことと思いますが、最初は看護師さんのお子さんしか入れずに、医師不足になってやっと医師の子供が入れて、今はパラメディカル、コメディカルの人が入れないんですね。

 私としたら、同じ病院を支えていながら、片一方で検査技師で働く女性の子供さんは入れないとなっていて、これが、病院側の負担、事業所の負担の問題も私はあると思うので、今回のことは全否定はしません。でも、さらにもうちょっと深掘りした調査をぜひお願いします。この御答弁は結構です。

 私がもう一点懸念いたしますのは、果たして事業所内保育所というのは、先ほど来のいろいろな御答弁を聞きますと、区分としては認可外保育所の扱いだと。では、今まで事業所内保育所に入っていて、地域型保育、これは市町村の認可を受けた、地域の子も入れた保育で、あるものは五千人くらいで、ほかの七万四千人余りは認可外保育なので、待機児童としてカウントされておりました。待機児童というカウントに入れるときに、地域型保育までは実は待機児童にならないんですね。企業内保育の認可外保育は待機児童カウントになると思うんですが、今度できる企業型拠出の保育園は、果たして待機児童カウントはどうなるんでしょうか。

吉本政府参考人 お尋ねでございますが、今般の企業内保育につきまして、その質の確保につきましては、現状の地域型保育相当を考えておりますので、現時点では待機児童にはならないというような形で考えております。

阿部委員 私は、そこに大きなごまかしと申しますと、今までだったら事業所内保育所は待機児童としてカウントされて、政府の施策の対象になりました、待機児童を減らそうと。今の御答弁だと、今度できる企業内保育所は、これまでの区分でいうと地域型保育所に近い。例えば保母さんの数とかなんとかをそうしますから、これは待機児童ではありませんというカウントになるんですね。

 そうすると、大臣、何が起こるかというと、ここで、今度の企業内保育所に入っていると、実は、待機児童にカウントされないために、三歳から普通に地域の保育園に入るとき、物すごいハードルになっちゃうんです。今までの企業内保育所は一応それでも待機児童にカウントされて、次に三歳になったら入ろうかと待ち構えるんですよ。これで結局保育は切られちゃうんですね、つながらなく、ぶつ切りに。

 私は、せめてカウントとしてはこれは待機児童にするべきだと思うんです。国が、これは待機じゃないんだ、すなわち、ある質を担保しているからと、ここを勝手に決めちゃうわけです。今の厚労省の御答弁もすごく断言的じゃなくて、ちょっと心配なくらいですけれども、確かに、何回も厚労省とやりとりしたら、これは待機児童じゃないとおっしゃるんですね。

 私は、やはりその考え方は、そこは考え方ですから、もし政府がそういうふうに置かれれば、これから各自治体も全部そうなっていきます。考え直していただけまいか、いかがでしょう。

加藤国務大臣 待機児童の話と、それから今言った三歳からの連携の話と、幾つかの論点があったというふうに思います。

 まず、企業主導型の保育事業にどういう要件を求めていくのか。大体これまでも御説明しているところでありまして、既存の地域型の小規模とほぼ同様な水準だと。ただ、まだ若干努力義務的な部分もございます。しかし、我々としては、ほぼそれに近い水準のものをしっかり求めることによって、そこにおける保育がしっかりとした質によって提供されるようにまずは努力をしていかなきゃいけないというふうに思います。

 その上で、それとの関係にもなろうかと思いますけれども、そこの部分をどう待機児童として見るか見ないかというところは、少し議論をさせていただかなきゃいけないと思います。

 ただ、いずれにしても、先ほどほかの委員に対する御答弁にありましたけれども、別に、今回の企業主導型保育園は三歳未満と決めているわけではありません。それ以上も対象になり得るわけでありますから、ちょっとその辺の実態を見ながら、ただ、三歳未満が大変ふえれば、今度連携の問題というものもまた出てくるわけでありますので、そこはよく配慮しながら対応させていただきたいと思います。

阿部委員 私は、御答弁が明確じゃなくて残念です。今までは、認可外保育園では必ず待機児童にカウントされたんです。これは大事な施策なんです。これで曖昧化する一穴を開くんだと思ってしまいます。

 待機児童対策というのは本当に国を挙げてやらないと、私は国の未来がないくらいに思っていますので、ぜひ、まだお話し合いの余地があるならば、ここはあくまで認可外保育園です。先ほど自民党の議員の先生がとてもいい質問をしてくださいましたが、誰が管理監督するのといったら、都道府県であります、区分は認可外だ、いわゆる許認可じゃないんだということでありました。それはそれであり得る策だと思いますが、ただ、その場合に、そこに入っているお子さんについてはあくまでも待機児童扱いで臨むというのが、待機児童対策上も絶対に重要になります。

 あわせて、実は、では、ここの保育の質は誰が担保するのか。都道府県の場合は立入調査とかもあって、それはそれでいいんですけれども、市町村がやっているものあるいはほかの認可のものよりは、その管理監督といいますか、保育の質の担保のためにどんな仕組みがあるかということを、これも私は厚労省とも内閣府とも随分話しましたが、とても不安です。

 なぜならば、補助金を配るときに、公募団体というのをこれから募る、公募団体を募って、ここに補助金を渡して、ここの公募団体がこことこことここの企業と分けていくとおっしゃるんですね。

 でも、この公募団体は、スタートのときは、例えば保育士さんの数とか、いろいろ要件とか、ほぼほかの認可に並ぶようなところにお金をつけることにはなるでしょう。ところが、普通に認可の保育園でも起こり得ないことではないですが、途中で保母さんがやめられる、あるいは、器があっても保育士さん不足で今はフルオープンできていないところもある。企業だって、今、恐らく、企業の側にヒアリングしていただければ、保育士さんの確保に四苦八苦、派遣とかを使っておられるところもあると私は聞いています。

 そうなってくると、子供は自分からこの保育が不十分だとは言えないわけですから、絶えずその質の担保のために、いわば認可と認可外という区分をつくって、満たせば認可にしていこう、認可外の子はなるべく認可に入ってもらおうという仕組みがあるわけです。

 まず、大臣、この公募団体というものが補助金の配分以上のことをできるとお思いになりましょうか。いかがですか。これはほとんどどの文面にも出ていないんです。公募団体がお金を配るそうです。でも、この法案の説明にも全く出ていなかった。私はとても不安です。それは保育の質までずっと見続けられるものでしょうか。いかがでしょう。

加藤国務大臣 今回の企業主導型保育事業の執行については、団体に委託をして、その団体において補助対象施設の選定や補助金の交付、あるいは事業実施状況の確認、補助金の執行に関する監査、あるいは事業実施者や保育事業者に関する研修等の業務を担っていくということを想定していて、それにのっとった公募団体をこれから外部の方を入れた選定委員会で、まあ手を挙げていただかなきゃなりませんが、決めていくということでありますので、やはり今申し上げたような業務はしっかり担っていただきたいというふうに思います。

 その上で、委員からお話がありました認可外か認可かというのは一つのメルクマールだと思いますけれども、我々は、この認可外の中においてもこれまでの地域型に近いサービスをしっかり提供できる、そういった事業所ということを考えているわけでありますので、その辺の担保がどうとれるかという御指摘もございました。

 その辺も踏まえながら、しっかりとした質を提供するということにまずしっかりと取り組んでいきたいと思います。

阿部委員 大臣がそう思っておられることは私は信頼していますけれども、例えば認可団体が全国で一カ所だったら、企業は日本全国に広がっているでしょう。今、地域型保育についても、認可をするときに地方自治体とかを、かませていると言うと変ですけれども、そこにやっていただいているのは、目が届くようにということなんだと思うんですね。幾つ出てくるかわからない認可団体、それがとても全国規模の企業をカバーできるとは思えませんし、この点については、法案提出段階で、私はもう少し保育の質ということについての形を見せるべきだ、本当に子供は、何が起きても子供からは言えないのですね。今、認可外保育所では、乳幼児の突然死症候群とかがやはり多いです、事実として。すごく懸念します、チェックができないのではないかと。

 もちろん、自分のところに働いている人のお子さんだから、大事には思ってくださるでしょう。そう信じていますけれども、事が起こってからでは遅い。規制というのは全てそうなんだと思います。起こってから、後手に回ったら安全が守れないから、先んじてやるということなんだと思います。

 大臣にもう一つ、事業所内保育について、実は私ども民主党で今保育所問題の対策本部をつくってヒアリングをしましたときに、あるお母さんがおっしゃったんですね。事業所内保育ってありがたいところもあるんだけれども、自分が連れていって、自分が連れて帰って、自分が働いて、自分が帰って家事をして、全部女性の側に来ちゃうと。こういう問題もあるんですね。

 これからはイクメンもつくろうとか両立支援しようと言っているのに、多く、私も自分で経験しましたけれども、やはり自分で連れていって、自分で連れて帰って、間で自分で仕事して、自分、自分、自分と全部来るんですね。そういう問題もございます。保育の質の問題もございます。

 さて、これからどんなスピードでこれを、幾つぐらいとかいう試算、あるいはその途中での点検をどうなさるんでしょう。大臣に伺います。

加藤国務大臣 予算上では、まず拠出金に関しては、二十八年度はプラス〇・〇五%ということで、トータルとしては、事業主の拠出金の率は〇・二%まで引き上げて八百三十五億円の財源を確保する。他方、支出の方については、まず四万人分の整備費ということで約四百八十八億円、また、整備が終わったところが逐次開園をされるわけでありますから、その関係の運営費で三百九億円をこの関係で計上させていただいているところでございます。

阿部委員 それは書いてあるからわかるんですが、幾つぐらいずつ、一年目はこのくらいできるだろう、二年目はこのくらいだろうと、やはりここ三年の事業を。その後企業側も見直すと言っていますので、何かすごく不確かな気がします。

 三ッ林先生、お待たせしました。ここでぜひ伺いたいのは、実は、事業所内保育であれ、民間保育所であれ、あるいは公立の保育園であれ、保育士不足というのは喫緊の課題であります。政府にあっても、保育士の処遇改善を含めていろいろなお取り組みを平成二十五年度、二十六年度にやってございますが、それについての成果あるいは検証などについて厚生労働省側の御所見を伺います。

三ッ林大臣政務官 阿部先生にお答えいたします。

 待機児童の解消に向けて、保育の担い手である保育人材の確保は喫緊の課題であります。保育士の給与引き上げ等の処遇改善は、人材確保を図る上で重要な課題であると考えております。

 平成二十五年度、二十六年度においては、子ども・子育て支援新制度の施行に先立って、保育士等処遇改善臨時特例事業により、二・八五%相当の処遇改善を実施したところであります。

 本年二月に公表した平成二十七年賃金構造基本統計調査によりますと、保育士の給与水準は、この事業の実施前である平成二十五年と比べ、年収ベースで約十三万円の改善が見られております。

 このほか、平成二十五年度より、保育士・保育所支援センターによるマッチング支援、修学資金貸し付け等の保育士等の確保対策を強化しているところであります。

 これらの保育士等確保対策については、時間を置いて効果が出てくるものと考え、その効果等について徐々に検証可能となっていくものと考えております。

 保育士数、常勤換算におきましての増加幅について見ますと、平成二十四年から平成二十五年は一万人、平成二十五年から平成二十六年は一・四万人と、増加幅が拡大しております。

 子ども・子育て支援新制度におきましては、消費税財源を利用し、公定価格上三%相当の処遇改善を行ったところであります。また、平成二十七年度補正予算及び平成二十八年度当初予算案において、保育補助者の雇い上げ支援等新たな対策を数々と盛り込んでおります。

 今後さらに、この春に取りまとめるニッポン一億総活躍プランの中で、具体的で実効性のある待遇の改善策を示してまいりたいと考えております。

阿部委員 御丁寧な答弁をありがとうございます。

 先ほどの、十三万円上がったという数値ですが、私、他の職種も計算してみて、それと比べて多いか少ないかというところがありますので、また厚労委員会で引き続き質疑させていただきます。

 ありがとうございます。

中根(一)委員長代理 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 柿沢未途でございます。

 冒頭、ちょっと通告外の御質問をさせていただきたいと思います。

 「保育園落ちたの私だ」ということで、国会を取り巻いて、二万七千の署名がたちどころに集まりました。それを塩崎厚生労働大臣にお渡しされた、「保育園落ちたの私だ」のママさんたちときのう会う機会がありました。

 実は私も、東京の江東区ですから、豊洲なんかに高層マンションがあって待機児童が激増している、こういう地域におりますので、保育園の待機児童の問題は、いわば議員として地域活動をやっている上での直面をする日常的な課題の一つであります。

 もう何年も前ですけれども、ある方から待機児童の相談を受けました。保育園に入れないと、地元の江東区議会議員の方に御相談をされたんだそうです。まず最初に言われたのは、ポイント制だから、ポイントを上げるために、あなた、一番確実な方法は、離婚してください、離婚して一人親家庭になればポイントが上がるから、形式的な離婚で結構ですから、離婚して申し込んでいただければ入れる可能性が高まります、こういう話をされた、こんなことをしなければいけないんですかという御相談を私にしてきたのが、もう何年も前の話で、こうやって国政上の課題にも再び大きく取り上げられるに至った、こういうことを今改めて思い返しているところであります。

 こうした状況に追い詰められて、いわゆる保活をやって、何園も何園も回って入れない。あるいは、一人目、二人目が別々の保育園になってしまう。こういう状況になっているママが私の江東区でも多いですし、全国では本当にああいう切実な声を上げるまでになっている。

 この状況について、まず加藤大臣の基本的な御所見を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 待機児童問題というのは前からずっとというか、ここずっと我々も認識をしてきたわけでありますし、特に昨今、ポイント制等はありまして、今のお話はやや極端かなと思って聞いておりましたが、しかし、そのぐらい子供さんを抱えている方々が、特に仕事をされ、次に復帰をしよう、保育園に預けようという方々が、本当にそこに大変な関心、時にはストレスを感じておられるということは私も承知をしておりますし、よくお話を伺っているところでございます。

 そういうこともあって、私どもが政権についたときに、まず待機児童の解消を加速化していこうということで、平成二十五年度から二十九年度において、当初の二年間で二十万、残りの三年間で二十万、トータル四十万の受け皿をつくっていこうということから取り組み、先般の十一月の緊急に実施すべき対策の中で、さらに十万を加えたということであります。基本的にこの問題は大変深い問題でもありますし、しっかりと対応していかなきゃならない。

 また同時に、やはり将来を担う子供さんを育てていく、ある意味ではそこで教育をしていく、そういう機関でありますから、そういったことにもしっかりと配慮しながら、そうした意味での充実を図っていかなきゃならない、こう思っております。

柿沢委員 それで、私、これを取り上げるのはとても残念な気持ちでもあるんですけれども、きのう、自民党の党内の会合で、務台俊介議員がこういうことをおっしゃっています。保育園落ちたの声があるけれども、東京を便利にすると、ますます東京に来て子育てしようとする、ある程度、東京にいるとコストがかかって不便だ、こういうふうにしない限りだめだと。さらに、この保育園落ちたというブログについても、保育園に入りたくてやっているのか、安倍晋三総理が嫌いでやっているのかわからない、こういう話をされたのだそうであります。こうして大きく報道もされています。

 務台議員は私もよく存じていますけれども、長野の御出身だと思います。東京の都心部で働くママたち、あるいはパパだってそうですけれども、どういう苦しみを今この待機児童の問題で味わっているのか、悩みを感じているのか、わかっていないんじゃないですか。

 こういう言葉が出てくることを私は大変残念に思いますし、もし仮に加藤大臣がそうした気持ちを、大臣は岡山出身の方だと伺っておりますけれども、そういうふうに感じていることはついぞないだろうと思いますけれども、改めて、この発言についてどう思われるかお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 先ほど高井委員からも御質問いただいたんですけれども、直接その言葉を聞いていない、新聞は読ませていただきましたので、一つ一つについてコメントするというのは控えたいと思いますが、ただ、やはり、まさに今、もちろん地域の偏在はありますけれども、そこで子供さんを抱え、そして仕事に復帰しようと思いながら、その子供さんを預けることのできる保育園がないということに大変苦しんでおられる方々がおられる。そのことに対して、我々はできる限りの対応をしていかなきゃいけない。これは、先ほど申し上げた、当初から我々はそう思っておりましたし、今、一層その思いを強くしているところであります。

 それからもう一点、もちろん、私の選挙区はどちらかというと中山間地域が多いところであります。決して待機児童という問題はそう多くあるわけではありません。しかし、たしか一極集中の議論の場だということでありましたけれども、都会のレベルを下げて地方に来てくれというのではなくて、やはり我々は、地方のよさを磨き上げ、そしてそれによって、若い方も含めて地方に来るように努力をしていく、これが本筋じゃないかな、こう思います。

柿沢委員 ありがとうございました。

 子ども・子育て支援法であります。

 これは、事業所内保育所を二〇一七年度末までに五万人、三千二百カ所に当たる、典型的な保育施設と同じだけの受け入れ容量をこの事業所内保育でカバーしよう、こういう話であります。

 大変意欲的なのは私はいいと思いますし、また、やることについては賛成なんですけれども、本当に現実的な目標なのか。大都市東京二十三区の待機児童を多く抱える江東区選出の衆議院議員として、私はこれを聞いて、やはり、果たして現場のことがわかっていらっしゃるのかなというふうに、とても疑問に感じる面もあるんです。

 先ほど来お話が出ておりますけれども、私は門前仲町ですから、地下鉄東西線に乗るんです。地下鉄東西線というのは東京で一番混んでいる電車です。朝七時五十分から八時五十分までのまさに通勤の時間帯、特に千葉方面から向かってこられる、都心に通勤される、そうした皆さんで、木場駅から門前仲町駅の間は混雑率二〇〇%ですよ。こういう電車にゼロ歳児を抱えてママと子供が乗って、そして子連れ出勤して、事業所内保育に子供を預ける、こんなことは私はほとんどの場合難しいんじゃないかと思います。

 これで、待機児童が多いのはやはり大都市部ですから、そこで五万人の受け皿をつくろうというのは、私はやはり非現実的ではないかと思いますけれども、それについてどう考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 先ほどからもそういった観点に立った御質問を頂戴しているところであります。

 今、既に、これはある商社でありますけれども、そこはフレックスタイム制を使って、早く子供さんを連れて預けている、そういう形で事業所内保育を運営しているところもあるというふうに承知をしております。

 ただ、委員御指摘のように、確かに、満員電車で子供さんを連れていく、それから、保育所の場合には、寝具等も持っていかなきゃいけない、時には洗濯で持って帰らなきゃいけないというようなことも正直あるわけでありまして、そういった意味から考えると、先ほど申し上げましたように、事業所内である必要はないんですね。

 ですから、それぞれの事業所、一つの企業でも結構です、それから、幾つかの企業が一緒になって、社宅があれば社宅の近くにそうした施設をつくるとか、さまざまな対応の仕方はあるのではないかなというふうに思います。

柿沢委員 いや、私は、五万人という目標を掲げているからこそ、本当にできるのかなと思うんです。

 事前のレクもいただきましたので、そういう意味では、例えば、住んでいるところの近くに複数の事業所が寄り集まって事業所内保育所として開設をする、こういうやり方もあるんですよという話も聞いています。また、社宅の話もそれはあるでしょう。

 しかし、今はどんな企業だって、社員の住まいというのは、例えば借り上げのマンションみたいなことになっていたりして、社宅というスタイルがこの東京のど真ん中でどれだけ残存しているかなということも思います。また、事業所複数が、事業所から離れたところで共同で事業所内保育所として開設をする、責任分担はどうなるのかということも含めて、なかなかそれが広がるということが想像しづらい。それで五万人ですから、本当にできるのかなということをやはり私は思います。

 ここは根本治療も必要なところではないかと思うんです。そもそも、満員電車が当たり前のようにあって、それが前提でいろいろな制度を組まなければいけない、ここにも問題があるんだと思うんです。二〇〇%の満員電車に乗って一時間かけて通勤する、こういうことが当然のように行われている日本のワークスタイルそのものをやはり変えなければいけない。

 今、労働生産性をどう上げるかという議論が並行で行われているわけですけれども、朝七時台から満員電車に乗って一時間半も揺られて、座れもしないでぎゅうぎゅう詰めになって九時前に出勤したら、もうそのときに疲労こんぱいですよね。労働生産性が上がるどころの話ではないと思うんです。

 ましてや、こういう形で遠いところから都心に通勤をする、やることは、パソコンに向き合っていたりして家でもできる仕事だったりするわけですけれども、こういう形で自分の住んでいる地域から切り離されることによって、男性も女性も地域活動から切り離されて、ワーク・ライフ・バランスということが成り立たない要因にもなっていると思います。

 そういう意味でいうと、私は何年か前にママさんBPOというのを見に行ったんですけれども、これは、一流企業の総合職を育休で休んでいるとか、あるいは退職したママさんが、パソコンでできるスキルを使って、子供を横に置きながら、家のパソコンで総務系のビジネス・プロセス・アウトソーシング、BPOを受けるというやり方です。給与計算とか、労務手続とか、帳票管理とか、顧客データの伝票とか、こういうことの入力作業などを家でやるわけですね。

 そうすると、自分の子供は自分で見られて、なおかつパソコンに向き合っている、こういうことができるようになる。そして、通勤という行為は必要ない。ママさんからすれば、自分が持っているそうしたITのスキルを低下させない、維持することにもつながるということであります。

 最近では、駅中に近い形で、住んでいる住宅地の最寄りの駅の近くに、そうした子育てママさんに集まっていただいて、託児スペースを設けながら、家でやると集中しませんから、図書館に行くような感覚で仕事をやってもらうコワーキングスペースをつくるとか、こういうビジネスモデルも今広がっているわけです。

 私の感覚でいうと、こうしたことを広げていくことが同時並行であった方が望ましいのではないかと思いますし、こうした取り組みについて、では、国がどう支援しているかといえば、恐らくベンチャービジネスに対して経産省が支援するようなやり方しか存在しないと思うんですね。

 私は、感度が非常に鋭敏な大臣だと加藤大臣のことをお見受けさせていただいていますので、ぜひこういう方向性についても、事業所内保育所というだけでなくて、考えて進めていただくということが望ましいのではないかと思いますが、御見解をお伺いします。

加藤国務大臣 柿沢委員からお話がありましたように、特にテレワークですね、あるいはさまざまなICTを活用したそれを実践されている方に私もお話を聞くと、やはり往復の通勤時間二時間、三時間をまずカットできて、その分子育て等に使える等々、いろいろなお話を聞かせていただいてしっかりと推進すべきだというふうに思っております。今のBPOというやり方もあろうかと思います。あるいは、企業そのものがもっとテレワークを積極的に進めていただく。あるいは、サテライトオフィスみたいなやり方もあるのかもしれません。

 いずれにしても、こういったことを先般の緊急に実施すべき対策の中でも、長時間労働を是正し、テレワークやフレックス制などによる多様で柔軟な働き方を推進する旨を盛り込んだところでありまして、こうしたことをより具体的に、さらにそれが普及していくために何をすべきか、しっかりと研究しながら必要な対応をとっていきたいと思います。

柿沢委員 ありがとうございました。

 ずっと私はこの質疑をやっていて、加藤大臣の真後ろの秘書官、女性の方ですけれども、まあ、自画自賛するようで恐縮なんですけれども、うんうんと聞いている感じがして、やはり実感があるのではないかなというふうにお見受けさせていただいております。

 事業所内保育の問題にもう一回戻りますけれども、事業所内という形でやることに内在する問題がちょっとあるんじゃないかなと思うんです。

 つまり、働いている皆さん、就労者のワークスタイルに合わせて事業所内保育を用意するとなると、例えば二十四時間営業のスーパーなんかもあって、そこにパートさんが来る、そうすると真夜中に子供を預けなきゃいけない、こういうケースが出てくるわけですよね。もしかしたら、そのニーズというのは一人か二人ぐらいしかないのかもしれない。しかし、事業所内で保育をやりますよということであるとすると、保育者をそこに置かなければいけない。

 つまり、事業所内保育所というのは、場合によっては極めて採算のとれないというか、なおかつ、夜に保育者を集めようと思えば、ただでさえ都市部は保育士が足りないんですから、これは相当高い条件を提示しなければそもそも保育者も見つからないということになる。

 そういう意味で、この事業所内保育というのは、もしかすると、通常の保育園、保育所以上にはるかにコストパフォーマンスの面から採算が悪いものになってしまうのではないかというふうに思うんです。

 そういう中で、ワークスタイルに合った柔軟な事業所内保育、保育の受け皿というものが本当に可能になるのでしょうか。伺います。

加藤国務大臣 週二日程度のパートで働いている方や、あるいは土日、夜間勤務等、多様な就業に対応できるというのが一つのメリットだということは、先ほどから申し上げております。

 したがって、そうしたニーズに対応していくというためにも、例えば延長保育とか夜間保育を行う場合には必要な加算を行っていく。あるいは、これは実施主体の判断にもよりますけれども、利用定員の一部については地域枠として保育認定を受けている者の子供等の受け入れを可能にするというようなことも想定をしておりまして、事業所、事業者のまさに工夫によって、児童の例えば平準化をするとかいったことができる仕組みにはさせていただいているところであります。

 また、実際、企業はいろいろな意味でノウハウを持っておられますので、そういったノウハウも発揮していただいて効率的に運用していただけるのではないか、こういうふうに期待しております。

柿沢委員 事業所がうまくやってくれるみたいな御答弁なので、果たして本当にそうなるのかなということを感じます。

 今、地域枠の話を少し御言及いただきましたけれども、事業所内保育所、大都市になれば、その周辺の地域、事業所が立地する地域にも待機児童が存在する、こういうことになります。今申し上げたように、事業所内の就労者のみ相手にするのであれば、そこに保育サービスの受け入れ余裕みたいなものが生まれてくる可能性があって、その外側に必要としている人がいる、ここにサービスがある、サービスとニーズとがミートしないというか、場合によってはもったいない話になる可能性があると思います。

 今、仮に事業所内保育の容量がこのぐらいで地域枠はこんなにどんとあるというのは、余りこれまでの事業所内保育のあり方としては想定されてこなかったと思います。しかし、この地域枠というのを柔軟に広げていくことが、総体としての、保育サービスにどこにもリーチできないという一番困っている人たちを助ける方法になると思いますけれども、その点について御所見を伺います。

加藤国務大臣 これはあくまでも事業主の拠出をいただいて運営しているわけでありますから、九九%地域枠というわけには多分いかないんだろうな、今想定しているのは半分程度かなということを想定しているわけでありますけれども、今、御指摘もいただきながら、その辺の設定についてはよく検討させていただきたいと思います。

柿沢委員 保育を必要としている方々というのは、もちろんフルタイムワーカーのみではない、場合によっては専業主婦の方も、ある種レスパイト的に一時預かり、こういうことが必要になってくる場合もあるわけです。

 スポット型のニーズであるとか一日限りとかいうことも含めて、そういう意味で、定員いっぱいぎゅうぎゅうという形で必ずしも全ての時間帯に運営をするわけではないということがこの事業所内保育の場合は出てくる可能性があると思いますので、その辺精査をして、ニーズがあって供給があるのにミートしない、こういうことがないように、ぜひ運用をお願いしたいと思います。

 東京二十三区においては保育士の有効求人倍率が六倍になった、こういう状況が言われているわけですけれども、改めて、保育士の東京二十三区における求人倍率の推移について、まず御答弁をいただきたいと思います。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 東京都内二十三区、それから統計上島嶼部も入っておりますが、そこにおける保育士の有効求人倍率でございます。

 求人倍率がピークになる一月時点で比較いたしますと、直近の二十八年は九・三三倍ということで、前年に比べまして一・七九ポイントの上昇という状況になっております。

柿沢委員 九倍ですよ、九倍。保育士の確保が本当に厳しい、困難な状況に今あるわけです。

 今、私たちは、国によって保育士の給与について、きょう月額五万円に決まると思いますが、かさ上げするということを法案として提出させていただきたい、こういうお話をさせていただいております。二%ということが政府のプランとして聞こえてくるわけですけれども、ちょっと先を急ぐ関係で、この質問については割愛をさせていただいて先に進みます。

 私は、いろいろ考えていくと、東京の都市部、私の地元の江東区のようなところで待機児童を解消していくためには、土地を確保して施設型の保育をたくさんつくるということは、やはりいろいろな意味で限界に来ているんじゃないかと思います。

 そういう思いを抱いて、また、さっき出た病児保育のNPO、フローレンスの駒崎君が発案をして、二〇一〇年に江東区の東雲のキャナルコートというURが開発した再開発のエリアの中ででき上がったのが、おうち保育園という小規模保育であります。

 キャナルコート東雲というのは、五十階建ての高層マンションなんかがあって、全体で一万五千人、六千戸がそこに住んでいるという、新しい、開発された町であります。そこのURが建てた公団のマンションの一室を利用して、皆さん、家庭的保育といっても、家庭環境というのがそもそもマンションなわけですから、そのマンションの一室の家庭的な雰囲気を再現しながら、例えば九人を三人の保育士で見るとか、こういうスタイルです。

 これのいいところは、開発して一万五千人住人ができる、子育て世帯がみんな住むとなると保育ニーズはどんと急増するわけですけれども、一定の年数を経ると、いきなりそこは急減をしてしまう。その保育サービスを吸収し、また必要がなくなればビルド・アンド・スクラップが、ある種余りコストをかけずに容易に行える、そういうよさがあると思います。ましてや、マンションの空き物件のようなものを利用できるとすれば、小規模なものを星の数ほどつくるということが可能かもしれません。

 人材確保の問題はあるにせよ、やはりこういう小規模保育をたくさんつくるということが都市部の待機児童の受け皿としては最も有効ではないか、こういうふうに私は思いますが、加藤大臣の御所見をお伺いさせてください。

加藤国務大臣 小規模保育事業でありますけれども、今年度からスタートいたしました子ども・子育て支援新制度の中においても地域型保育事業として位置づけて、また新たに地域型保育給付の対象としたところであります。

 今お話がありましたように、土地の確保が難しいこうした大都市において、既存の建物を賃借して対応できる、また機動的な待機児童対策を講じることが可能だというふうに思っておりまして、既に二十四年の七月の時点において小規模保育事業は千六百五十五カ所、二万五千という数にもなっているわけであります。

 来年度予算においては、小規模保育事業についても整備そのものも補助するという形にさせていただいておりまして、こうした小規模の事業所をうまく活用しながら、それぞれの地域に合った対応をしていきたいと思います。

    〔中根(一)委員長代理退席、委員長着席〕

柿沢委員 これは本当に強力に推進をしていただきたいというふうに思います。

 先ほど申し上げたとおり、「保育園落ちたの私だ」のママさんたちと、きのうお会いする機会がありました。同席をされていたのが、同じように声を上げた保育士の女性の皆さんでありました。保育士が足りないというわけなんですけれども、実は、この現場の保育士さんから言われたのは、今保育士をふやすためにどんどんペーパーテストで保育士が合格をして、現場の経験がないままそういう人たちが入ってくると。

 現場では、その保育士さんは配置基準にカウントされるわけです。入ってくるんですけれども、一方で、現場を支えているのは、補助者と言われるような、場合によっては資格を持っていないベテランの人たちがやっていて、ペーパー保育士さん、言ってはなんだけれども、そういう人たちが入ってくるとか、そういうちょっといびつなというかアンバランスな不思議な状況が現場では生まれている、保育士資格があるからいいというものでもないんです、こういうお話をされて、私も同じ話を別のところで伺っていましたので、やはりそうなのかなというふうに思いました。

 先ほどお話が出た小規模保育、家庭的保育が国の制度となるに当たって、一つのモデルとなったのがイギリスのチャイルドマインダーです。百年以上の歴史を持つ家庭的保育のスペシャリストとして、特に女性のキャリアとして、イギリスの職業能力評価制度であるNVQ、ナショナル・クオリフィケーション・フレームワーク、今はQCFですね、御存じですね。こういうものにも位置づけられている立派な資格制度です。

 このイギリスの協会の認定を得て、同じトレーニングプログラムでチャイルドマインダーを養成している団体があります。この間、有資格者二万人を養成し、しかも、日本でその人たちが二十年間無事故で保育サービスを継続的に提供しておられます。しかし、これは保育士資格ではありませんので、保育の現場では無資格者、いわば補助者としてしか活動できないわけです。言葉は悪いですよ。言葉は悪いですけれども、ペーパー保育士が優先されて、経験とスキルのあるチャイルドマインダーは、そこにいるのに活躍の場、門戸が開かれていないわけです。そして、政府は足りない足りないといって頭を悩ませているわけです。私は、これは何かがおかしいんじゃないかと思うんですね。

 やはり、民間の子育てサービスに従事してきたこういうチャイルドマインダーのような保育人材をもっとリソースとして活用する、そういう方策を講じるべきじゃないかと思いますが、最後に御答弁をいただきます。

加藤国務大臣 基本に、保育は保育士が担当するという仕組みになっているわけでありますし、また、保育士に対してはその要請があり、資格というものがあるわけでありますから、やはりそこはきちんとしておかなければならないんだろうというふうに思います。

 ただ、現場の声を聞かせていただきますと、やはり、若い保育士さんだけではなかなか難しくて、世代のバランスをうまくとっておく必要があるとか、いろいろなお話も聞かせていただいております。

 今チャイルドマインダーのお話がありましたけれども、これも保育における実践的な職員、人材育成を目的とした民間資格として、イギリスにおける職業資格を参考として一部の企業においてそうした認定が行われて、今言われた数の方が認定を受け、また実際、保育ないしその周辺の場においてその仕事を担っておられるんだろうというふうに思います。

 今、昨年四月から施行された子ども・子育て支援新制度においては、小規模保育の保育事業者等として、国の定めた一定の内容を満たす研修を受講した者を保育事業者等として活用できるようにする子育て支援員の認定という仕組みがあります。その辺の中身、チャイルドマインダーに求められているものとどういうふうにダブるのかダブらないのか、ちょっと承知をしておりませんけれども、そういったものとうまく結びついていけば、子育て支援員の研修は都道府県、市町村が委託等として実施をしておりますので、結びついていけるという可能性もあるのではないかなということを、今委員の御質問を聞きながら考えていたところでございます。

柿沢委員 現場は残念ながらそうなっていないというのが実情なんですけれども、また続編で、いずれやらせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、島津幸広君。

島津委員 日本共産党の島津幸広です。

 初めに、大臣に伺いたいんですけれども、保育というのは単に子供を預かるだけではないと思うんですけれども、保育とは何かということについて、大臣の見識をお聞かせください。

加藤国務大臣 児童福祉法上、養護及び教育を行うことと定義されておりまして、特に人間形成にとって極めて重要な乳幼児期において、生命の保持及び情緒の安定を図り、心身の健康の基礎を養うこと、同時に、自然や社会の事象や言葉への興味、関心を育てることによって創造力への芽生えを養うといったことを目指して行われているということだと思います。

島津委員 全く同感なんです。

 保育所というのは、単に子供を預けるだけじゃなくて、社会福祉のための施設でありまして、全ての子供が健やかに育つ権利を満たす、そして働く保護者の権利や保育士の皆さんの権利も満たす、いわゆる国民の生存権を定めた憲法二十五条だとか、働く権利を定めた憲法二十七条に基づいて、国がつくることを決めた施設なわけです。

 それでは、今回の企業主導型保育とはどういうものか、これまでの質問と重複することもありますけれども、具体的に確認したいと思います。

 まず、企業主導型保育はどこが運営するんでしょうか。

武川政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育事業は、事業主拠出金を財源として実施するものでございますから、事業の実施主体についても、拠出金を負担している事業者を対象とするものと想定しております。

 具体的には、拠出金を負担している事業者みずからが企業主導型保育事業を実施する場合、事業者が保育事業者に運営を委託するような場合、複数の事業者が施設を共同設置するような場合が考えられると思います。

島津委員 事業者が運営するということでよろしいですね。

 そうしますと、委託会社が保育する場合もあるんですけれども、今回の企業主導型保育は認可外なので災害共済給付金制度の対象になりません。

 そうすると、子供がけがをした場合には誰が責任を負うんでしょうか。

武川政府参考人 お答えいたします。

 保育施設におきまして、子供が安心、安全で健やかに育つことが重要であり、事故はあってはならないと認識しております。

 企業主導型保育事業において不幸にもけが等の事故が生じた場合には、一口に言って、いろいろなケースがあると思われますが、一義的には保育施設の設置運営者が責任を負うものと考えております。

 ただ、例外といたしまして、例えば保育士等に重大な過失や故意がある場合とか、あるいは外部から不法侵入があった場合とか、そういった場合は例外的なものだと考えております。

島津委員 次に、地域型事業による事業所内保育所は、市町村が指導監督します。一方、雇用保険事業による事業所内保育所は、都道府県の労働局男女雇用均等室が年一回点検に入るわけです。

 それでは、今回の企業主導型保育は、どこが指導監督し、どのような監査をしていくんでしょうか。

武川政府参考人 お答えいたします。

 今回の企業主導型保育事業は、子ども・子育て支援法に基づく仕事・子育て両立支援事業の一環として行われるものであると同時に、児童福祉法の認可外保育施設としての位置づけがございます。このため、子ども・子育て支援法に基づき、内閣府におきましては、事業主拠出金に基づく補助金を一元管理し、事業費の適切な執行を監督することになります。

 また、二点目の、児童福祉法に基づき、企業主導型保育施設は、認可外保育施設として都道府県による指導監督を受け、設置に当たっては、都道府県知事への届け出義務、施設の運営の報告義務、また都道府県による改善等、勧告、閉鎖等の命令、虚偽報告等や閉鎖等命令違反への罰則が科されております。

 さらに、児童の利益を保護する緊急の必要があると認められる場合におきましては、厚生労働大臣により報告徴収等、改善等、閉鎖命令等を行う権限が付与されております。

 児童福祉法を所管する厚生労働省と緊密に連携をとりつつ、適切な運営を図ってまいりたいと思っております。

島津委員 具体的に例えば年一回監査に入るだとか、そういう点ではどうなんでしょうか。

武川政府参考人 そこにつきましては、今後の制度設計で考えてまいりたいと思っております。

島津委員 次に、保育の基準です。これはどうなっているのか、お答えください。

武川政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育事業の設置基準につきましては、認可外保育施設の指導監督基準や、現行の子ども・子育て支援新制度による事業所内保育事業や小規模保育事業の基準を参考にいたしまして、一定の保育の質が担保されるような基準を定める予定でございます。

 具体的には今後定めます実施要綱等において定めていきたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、しっかりと保育の質が確保できるようなものを考えていきたいと思っております。

島津委員 そうしますと、これまでの既存の基準でも定員二十人以上と小規模とは格差があるんですけれども、厚い方の基準でそろえていただいて、しっかり質を確保していただけるということですね。今後検討しますけれども、そういう方向で検討しているわけですね。

武川政府参考人 お答えいたします。

 現在検討しておりますのは、子ども・子育て支援新制度の事業所内保育事業の小規模型と言われるものに準じて考えております。

島津委員 小規模はA型、B型とあるんですけれども、どちらなんでしょうか。

武川政府参考人 お答えいたします。

 定員十九人以下の小規模型と申しまして、いわゆるB型でございます。

島津委員 B型といいますと、保育に携わる職員は、全員が保育士である必要はなくて、半分以上でいい、園庭もなくてもいい、こういう基準です。しかも、この基準というのはゼロ歳から二歳の基準で、今回は五歳児まで入所を前提にしているわけです。ゼロから二歳児にとっても低い水準を三歳―五歳にまで当てはめるということであり、保育の質の水準低下というのは避けられないと思うんです。

 次に、具体的に、保育サービスも二十四時間可能というふうになっています。

 二十四時間保育というと、子供にとってどういう保育なのか。私、どうもいま一つイメージが湧かないんですけれども、具体的にはどんな保育を想定しているんでしょうか。

武川政府参考人 お答えいたします。

 二十四時間保育と申しますのは、二十四時間預けっ放しとか、ずっと一人の子供さんがいるということではなくて、一応、企業主導型保育事業は、夜間、休日勤務もございますし、短時間の非正規社員なども預けることができますので、多様な働き方に応じたきめ細やかな保育サービスを提供するとしております。その中で、二十四時間保育も一つの形態として考えられております。

 このような二十四時間保育につきましても、保育施設の中での生活のリズムは、あくまで子供の健康に配慮して、子供さんの通常の一日の流れ、例えば朝には朝御飯を食べ、昼御飯を食べ、夕食を食べ、睡眠をとるというようなことを考えております。

島津委員 夜勤の保護者の場合、夜預けますよね。当然それは、起こして遊ばせたりお散歩に行くわけではありませんから、寝かせると思うんですよ。そうしますと、保護者が夜勤を終えて朝迎えに行く、家に連れて帰って、保護者は寝るわけなんだけれども、では、そのお子さんはどうするのか。一緒に寝るのか、それとも起きているのか。それとも、寝るから子供を見られないから預けっ放しにするのか。その辺がわからない。

 子供にとって二十四時間保育というのはどうなるのか。

武川政府参考人 先生のおっしゃるようにお母さんが家に帰って寝られることもあるかもしれませんが、子供さんにとっては、通常の同年代の子供さんが送るような一日の生活スケジュールで保育され、また家庭でも育てられるということだと思っております。

島津委員 通常に生活と言いましたけれども、親御、保護者が見られないからやはり保育所が必要なわけで、子供さんのリズムが崩れるということはなかなか否定し切れないと思うんです。

 そもそも育児休業法などでは、乳幼児を持つ親については深夜労働の免除などが申請できることになっています。深夜でも預けられることを売り物にしていく保育所をつくること自体がやはり本末転倒と言わざるを得ないと思うんです。

 それでは、一時預かりというのは、子供にとってはどういう保育になるんでしょうか。

武川政府参考人 お答えいたします。

 今回の企業保育事業は、夜間、休日勤務や、また短時間の非正規社員などの多様な働き方に応じたきめ細やかな保育サービスを提供することとしております。

 今おっしゃった一時預かりということでございますが、例えば短時間のパートタイムで働く場合の父兄にとりましては、短時間の一時の保育ということも一つの形態と考えております。

 このように、一時預かり、一時保育についても、子供の心身の状況に配慮しつつ、例えば他の標準保育時間を受けている子供さんと一緒の園内の一日のスケジュールでその該当する保育の時間を過ごすことになると思います。

島津委員 その該当する時間を過ごすと言うわけですけれども、保育というのは、冒頭大臣もおっしゃったように、やはり子供の健やかな成長ということで系統的にしっかり見ていかなきゃいけないわけで、なかなか子供にとっては大変なことだと思うんです。

 時間がありませんので幾つか質問を省きますけれども、既存の事業所内保育は、先ほどから議論がありましたけれども、七万人が利用しています。しかし、ここは、事業主の経費削減によって、委託された保育会社が撤退する、あるいは保育士が不足する、保育の質が低下するなどの問題が起きています。義務づけられている避難訓練もやられていない、こういう事態も生まれています。

 事業所内保育所の財政基盤、事業所の財政基盤が弱いと保育の質が低下しているという問題、おそれがあるんです。運営がこのように大変になっていて、運営費の補助が求められているけれども、しかし、これらの既存の事業所内保育所は今回の補助事業を利用することができない。

 もちろん、私、待機児童を解消する上で事業所内の保育所を否定するわけじゃありませんけれども、ここまで聞いてきて、見た限りでも、市町村が関与しない企業主導型保育では保育の質が低下するという不安はやはりあります。拭い切れない。柔軟で多様なサービスの実施を従来以上に打ち出しているわけですけれども、労働者に、企業に都合のいい柔軟で多様な働き方を強いて、子供たちの健やかな育成が犠牲にされる、こんなことで本当にいいんでしょうか。

 冒頭確認した保育所の役割を果たすために、児童福祉法第二十四条一項には、市町村の保育実施の責任が明記されています。これは先ほど大臣に確認しました。どのような保育施設でも、公的な責任を貫く必要があることを指摘したいと思います。

 次に、このように保育への公的責任が求められるのは、子供の命を預かる施設でもあるからです。

 保育施設における事故はどれぐらい発生しているのか、とりわけ死亡事故の件数を、認可と認可外の別でお示しください。

吉本政府参考人 保育施設におきます事故報告集計によりますと、平成二十六年に自治体から報告のありました保育施設における重大事故、これは死亡事故を含みます……(島津委員「死亡事故だけでいいです」と呼ぶ)死亡事故だけでよろしいですか。

 死亡事故だけにいたしますと、十七件でございます。このうち認可保育所が五件、認可外保育施設で十二件といった状況でございます。

島津委員 十七件で、認可五、認可外十二。認可外の死亡事故が多いわけなんですけれども、施設数、児童数では認可の方が桁違いに多いわけです。そういう割合で考えると、発生率は認可の八倍、認可外で死亡事故が起きている。

 この事故原因、そしてその原因をつかんでどのような対策を立てているんでしょうか。

吉本政府参考人 こうした死亡事故などの重篤な事故が発生いたしました場合には、これまでも、市町村におきまして再発防止の検証が行われるようにお願いをしてきたところでございます。

 このたび、子ども・子育て新制度の施行に向けまして、内閣府を中心にいたしまして、教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会を一昨年より設置いたしまして、事故の発生や再発を防止する措置について議論をいただいてきたところでございます。

 昨年十二月に最終取りまとめがなされまして、そこでは、一つには、事故の予防、発生時の対応に関するガイドラインを国が策定すること、再発防止のための地方自治体による事後的な検証の実施、また重大事故が発生した施設、事業所に対して事前通告なく指導監査を行うことなどについて提言をいただいたところでございます。

 また、これらの取り組みに加えまして、国におきましても、事故報告の集約、傾向分析、再発防止の提言などを行うための有識者会議を設置することによりまして、こうした事故の発生、再発防止に努めてまいりたいと考えております。

島津委員 先ほどの件数は直近の調査のものなんですけれども、死亡事故というのは、この年だけじゃなくて、さかのぼってずっとあるわけです。

 この事故に対して、今いろいろ答弁がありましたが、実際に国として、当然事故の原因もつかんで、死亡事故が起きないように対策を立てなきゃいけないわけですから、それを掌握してどういう対策を立ててきたのか。これまでやってこなかったんですか。どうでしょうか。

吉本政府参考人 これまでも、自治体からの報告をいただきまして、それを取りまとめまして課題の分析、再発防止に役立てていたところでございますが、それがきちんとシステムとして、地方公共団体も含めた形になっておりませんでしたので、ただいま申し上げましたとおり、新制度の施行を踏まえまして、きちんとした仕組みづくりをして徹底してまいりたいということでございます。

島津委員 やはり死亡事故の場合には、原因不明というのもありましたけれども、いろいろ難しいということで、どうしてその子供が死亡したのか、どういう事例なのかというのを国がきちんと掌握して初めて対策が出るわけですから、やってこなかったんですよ。それで、新制度になって検討会を立ち上げて、そこで議論してやっとまとめた、こういう状況なんですよ。

 二〇一〇年三月の衆議院厚生労働委員会で、我が党の高橋千鶴子議員が保育所施設の死亡事故を取り上げました。当時は民主党政権だったんですけれども、厚労大臣は、今後発生する事例については今までより詳細な報告を都道府県に求めていって実態掌握に努める、安全性の向上の推進を全力で進めていくと答弁していました。

 にもかかわらず、死亡事故は減らない。この質問をした翌年、二〇一一年から一四年まで六十八人もお亡くなりになっている。その毎年の死亡事故の件数というのは、この十年間だけを見ても変わらない。そして、認可よりも認可外が多い。こういう分析をしてこない。余りにも無責任じゃないですか。

 これは通告していませんけれども、大臣、担当大臣として、なぜこういう原因を掌握してこなかったのか。どうでしょうか。

加藤国務大臣 預けられている親御さんの立場から、元気な姿で送った子供さんが変わり果てた姿で帰ってくる、やはりあってはならないことだというふうに思います。

 今も、二十六年度も十七件ということでありました。今、厚労省からもお話がありましたように、新支援制度の中においては、それを分析し共有化していくという形でその防止に努めていく、また努めていきたい、こういうふうに思っております。

島津委員 やはりこれまでの取り組みは不十分だということを率直に反省して、きちんと対策をとっていく必要があると思うんです。

 私は、今回の法案審議に先立って、静岡県の浜松市と静岡市で認可保育園の保育士さんたちから話を聞いてきました。子供たちを寝かしつけた後、定期的に一人一人の状態を確認するという話でした。子供が昼寝するときには保育士さんは忙しい中でも連絡帳を書いたり、そういう貴重な時間なんだけれども、しかし、実際にはそういうことをやらなきゃいけないから十分できないけれども、子供たちのことを考えてやっていると言うんです。

 厚労省の死亡事故集計でも、死亡事故の事例と留意すべき点として「睡眠に当たっては、子どもの確認、点検、仰向けに寝かせるなど、一人一人を確実に観察する配慮が必要。」、こう書いてあります。

 認可外は、専門職である保育士の基準が認可よりも少ない。もちろん全てがそうだと言いませんけれども、こうしたケアが不十分にならざるを得ない。これは死亡事故の件数を見たって歴然としているんじゃないでしょうか。どうでしょうか。

吉本政府参考人 死亡事故の発生件数につきましては、先ほど来お話があるとおりでございます。

 その原因と施設の類型、その関係を分析することは難しいというふうに思っておりますけれども、認可保育所と認可外保育施設におきましては、御承知のとおり、職員とか設備等の基準が異なっておりますので、一般的に申し上げれば質の確保の点での差というのはあるというふうに思いますが、それ以外にもさまざまな要因があるのではないかというふうに考えております。

島津委員 質の差があるということなんです。

 先ほど紹介した高橋議員の質問でも、そしてまたその翌年、参議院の予算委員会で我が党の田村智子議員が同じ質問をしているんです。待機児童を減らすということで、保育施設の基準を緩めて子供を詰め込む、そして公立保育所を減らして株式会社の参入を進めるなどの規制緩和をしていった、こういう中で保育施設の死亡事故がふえていることを指摘したのに対して、当時の総理も厚労大臣も、保育の質の確保が必要と繰り返し答弁していました。

 今回の企業主導型保育は、こういう痛ましい死亡事故をなくすためにも、保育の質をしっかりと確保すべきだと思うんです。具体的には、子供たちのケアが十分できる、こういう保育士の配置をすべきだと思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。

加藤国務大臣 今回の企業主導型保育事業においても、提供される保育の質というのをしっかり担保していくことは、委員御指摘のとおり、大変重要だというふうに思っております。

 具体的には、保育士等の職員の人員配置については、現行の子ども・子育て支援新制度における事業所内保育事業やあるいは小規模保育事業の基準を参考に基準を定めていきたい、こういうふうに思っております。

島津委員 先ほどの確認ではB型を基準ということですが、やはり質の問題では、大変低いというか十分でないものにならざるを得ないと思うんです。

 死亡事故の防止はもちろん、冒頭大臣が述べた保育の理念を実践するためにも保育士の役割は大きいわけです。保育所を整備しても保育士が集まらず開園を延期した、保育士がやめたために定員どおりの子供を受け入れられない、こういう話を聞きました。

 待機児童解消に向けてこれから多くの保育士が必要になるわけなんですけれども、しかし、保育士の平均勤続年数は、全ての産業に比べて短くなっています。全産業が十二・一年に対して、保育士は七・六年です。やめていく理由というのは、賃金が低い、忙しくしているが圧倒的に多いわけです。

 新卒の保育士さんというのは、意欲、希望を持ってやってくる、仕事に来る。しかし、現場では、人手不足で忙しい、子供にきちんと向かい合えない。先ほどからもありましたけれども、日々の保育とともに記録をつける、保護者との連絡帳を記入する。朝夕は、保護者とも会話して子供たちのことを伝えたりする。教材の準備、休日も会議とか研修とか、本当に忙しいんです。

 実は私の妻も保育士で、民間の認可保育所で年長児を担任したときなどは、早出のときでも帰ってくるのは夜遅いですよ。毎日のように仕事を持ち帰って、卒園を控えた年度末なんかになると、いつ寝るかわからないぐらいに本当に忙しく働いていました。それなのに、給料は本当に低かった。

 こういう状況ですから、新しく入った保育士さんは、一年たつと、踏みとどまるのか、それともやめていくのかという。ですから、一年で半分がやめるという話も伺いました。

 大臣、保育士がやめていく、こういう状況を改善するためには何が必要なのか、改めて。

加藤国務大臣 今委員から、奥様の話も交えて、保育士の方々の直面している問題の御指摘があったというふうに思っております。

 今、保育士不足の要因としては、仕事に非常に責任がある中で、大変重労働である。御指摘の中にありましたように、保育園での勤務時間ではおさまらずに、家に帰って児童に対する書類を作成し、あるいはさまざまなイベントがあればそれに対する準備をする、それに応じて給与は決して高くないということでありまして、処遇、待遇の問題がそこにあるというふうに認識をしております。

島津委員 浜松市で、四月に開園を控えた保育園で保育士を募集したら、保育士資格を持っている方が面接に来たそうです。その方は、以前保育所で働いていたそうなんですけれども、働くのはいいんだけれども担任は持ちたくない、八時間勤務でなくて、六時間だとか四時間、補佐的な仕事にしてほしいというふうに希望したと聞きました。子供が好きで、保育も嫌いな仕事でないけれども、責任を持って働くのは懲り懲りだということなんですね。

 保育士資格を持っている人はたくさんいるんだけれども、職業としては選ばれなくなっている。賃金の引き上げとともに、今大臣がおっしゃいましたように、忙しいという長時間過重労働の解消がどうしても必要なんです。

 しかし、今の保育基準のままでは問題は解決しません。例えば、四歳から五歳児は、子供三十人に一人という配置基準がありますよね。この基準で、現場はどうなっているのか。

 先ほどの浜松市の保育園で聞きましたら、保育士の皆さんは口をそろえて言いました。十五人に一人でも足らない、一人一人に本当に目が届くためには十五人以下に必要だと。みんな一斉にトイレに行くわけじゃない、右向け右にという保育はできないと。もっともだと思うんです。散歩の際には、外での体験というのは子供たちの成長にとって非常に重要なことなんです。しかし、三十人に一人の保育士では、とても散歩にも行けない、保育の幅が限られてしまうと言うんです。

 子供の排せつというのは健康のバロメーターなんです。この子はいつもなら何回おしっこをするんだけれども、きょうは全然出ていない、あるいはその逆もある。このように子供の状態はわかるんです。紙おむつを使用する保育所もありますけれども、布おむつにこだわる保育所もある。やはり排せつを掌握できないのは恐ろしいというふうに言っていました。

 でも、紙おむつは捨てるだけですけれども、布おむつは洗濯が必要になる、その配置も必要になるんです。独自に配置するとどうなるのか。いい保育をしようと思ったら、配置基準を上回る保育士や職員が必要になる。そうしますと、公定価格が決まっているために、増員した分はその保育所の持ち出しになる、職員へのしわ寄せになる。結局、給料が下がるという話なんです。

 大臣、いい保育をすると賃金が下がる、こんなおかしなことはないと思うんですが、どうでしょうか。

加藤国務大臣 今回の予算の対応の中でも、補助的な方を入れているといった場合に対する対応等はいろいろと進めさせていただいているところでありますが、ただ、いずれにしても、処遇の改善についてはしっかり取り組んでいかなきゃならないというふうに思っておりまして、この春に取りまとめるニッポン一億総活躍プラン、具体的で実効性のある待遇の改善策をしっかりと示していきたい、こう思っております。

島津委員 配置基準の改善も公定価格の引き上げも、ぜひ早急に実施してほしいと思います。

 多くの保護者は、できれば家の近くで就学前まで安心して預けられる保育所で保育を受けさせたいと願っているんです。認可外の保育所には、本当にひどい保育所があると聞いてきました。居酒屋の一角にある、たばこのにおいがする、コンビニの跡につくられた保育所で駐車場がないから、あけたらすぐ大通り、ドアの先はそういう状況。

 都内だけで二万人以上もいる認可保育所に入れなかった児童の緊急対策を進めながら、地域の保育所の整備、認定保育所、とりわけ公立の保育所をふやすことが待機児童の解消の対策の中心にならなきゃいけないんです。そのことを求めて、時間ですから、質問を終わります。

西村委員長 次に、池内さおり君。

池内委員 日本共産党の池内さおりです。

 昨年四月から子ども・子育て支援新制度が鳴り物入りで始まって、一年がたちました。スタート時に内閣府、文科省、厚労省の共同名でつくったパンフレットがありますけれども、私は、改めてこのパンフレットを読ませていただきました。

 この中で、新制度は、保育の量と質の両面から子育てを社会全体で支えて、最も身近な市町村が中心となって進めるというふうにされています。また、「一人目はもちろん、二人目、三人目も安心して子育てできるように、待機児童の解消に向け教育・保育の受け皿を増やします。」というふうに書かれてありました。

 新制度では、教育、保育の場がふえて、良質な保育がなされるというふうに書かれている。ところが、実際には、こうしたバラ色の宣伝とはかけ離れたさまざまな問題が起きています。

 まず初めにお聞きしたいと思います。

 一年がたちました。政府として、現場ではどのような問題が生まれているか、つかんでいますか。

武川政府参考人 お答えいたします。

 子ども・子育て支援新制度につきましては、消費税率の引き上げが延期される中にあって、量的拡充はもちろん、消費税の一〇%への引き上げを前提とした質の向上も全て実施するために、必要な予算を確保し、安定した財源のもと施行することができたと考えております。

 新制度は、これまでと比べ大変大幅な制度改正であったことから、内閣府、厚労省、文科省が連携して、全都道府県を訪問するとともに、運営上の課題等に関する情報交換、意見交換等を行い、状況の把握に努めてきたところでございます。

 この過程で、保護者の就労状況等の変更などによる支給認定区分の変更など、地方自治体における事務量がこれまでと比べて増大したということや、各種加算の認定事務のおくれによる事業者への支払いの遅延といった問題点の指摘をいただいたところであり、例えば支払いの遅延については、暫定的に施設型給付の支給を行い、加算の認定が行われた後に遡及して適用するなど、柔軟な対応を行えるようにしたところでございます。

 こうした実務的問題点に加えまして、さらに別の視点におきましては、子ども・子育て支援新制度に対する大きな期待がより高まり、保育の受け皿の拡大に努力しているところではございますが、なお一部の地域におきましては施設整備を上回って入所の申し込みがふえている状況もあり、保育の受け皿の確保、保育人材の確保が課題と考えております。

池内委員 私のところにも本当にたくさんの切実な声が届いています。何より待機児童の問題はやはり深刻で、働きたいけれども働けないという声はあふれています。妊娠中だけれども、今から保活をしないと入るところを見つけられないということで、大きなおなかを抱えて駆け回っているお母さんにもお会いしています。

 さらに、既に利用されている保護者からも私はたくさんの声を聞いています。

 ある方は、パートだったことから、保育時間は一日に八時間の短時間の保育で認定をされた。けれども、預け先の保育所が八時間の時間帯を八時から十六時というふうに設定しているので、勤務が早いときなどは、七時から十五時の八時間預けていても結局設定時間におさまっていないので、追加の料金を毎日のように払わなければならない。

 かつては、保育時間というのは一律で十一時間でした。新制度では、保護者の就労状況に応じて保育時間に短時間と標準時間というのが入って、施設ごとに八時間の時間帯を設定している。その時間帯を外れれば、利用者は延長保育として扱われていくということになります。

 保護者の中には、パートタイムの勤務時間がシフト制で、きょうは九時から十七時だけれども、あしたは七時から十五時というように、毎日、勤務のあり方というのはばらばらな場合があります。

 さらに、短時間で一旦は預けたけれども、直後に正社員の仕事が決まった方もいらっしゃって、仕事面でフルタイムに切りかわるチャンスを得たのにもかかわらず、このお母さんは、その月には十一時間預けて毎日三時間分の延長保育料を払い続けるのか、それとも仕事をやめるのかというとても苦しい選択を迫られたというふうに私はお話を聞きました。まさに子供か仕事かという選択を迫られて、大変な思いをされている。

 親は、大切な子供の親であると同時に、私は、この社会で仕事をして自分らしく生きていくことを求めている一人の人間だとも思います。子供に安心した保育環境を保障して、そして自分自身も安定した仕事で働きたい、これは、性別を問わず、当たり前の願いだというふうに私は思うんです。

 また、どうしても保育施設に入れなくてやむなく幼稚園に入ったという保護者からは、夏休みなど長期の休みは保育がされない、一時保育を利用せざるを得なかったという声も聞きました。

 圧倒的に保育が不足している、こうした声というのは本当にたくさんあふれているのではないかと思うんですけれども、もう一度お聞きします、実態について政府はつかんでいらっしゃいますか。

吉本政府参考人 ただいまいろいろお示しいただきました例も含めまして、特に都市部におきましては、いわゆる保活によって御苦労されている保護者の方々がたくさんいらっしゃるということは承知しております。

 そうした中身をきちんと把握していきたいというふうに思っておりまして、保育所の利用に当たっての困難さ、改善点等について国民から幅広い意見を伺えるようにホームページを活用して意見募集を行うこと、そしてまたいわゆる保活につきまして実態調査を行うこととしております。そうした御苦労されているような点を明らかにさせていただきまして、今後の施策につなげていきたいというふうに考えているところでございます。

池内委員 そういうことはぜひやっていただきたいなと思うんですけれども、やはり一年たっているのに、これほどお父さん、お母さんが全国で声を上げられているのに、余りにも実態の把握という点がおくれているのではないか、そして、実態を把握してこそ本当に必要な策も打てるというふうに私は思います。

 四月一日から調査をするということも聞いていますけれども、やはり待ったなしの課題ですし、子供の成長は日々進んでいって、ぶつ切りでは語れない、本当に大事な国の未来そのものだというふうに思うんです。入れなかった保護者だけでなくて、既に利用している保護者そして保育現場の皆さんの声を正確に、誠実にちゃんと向き合ってつかんで矛盾をなくしていく、そういう責任こそ政治がやるべきことではないかというふうに私は思います。

 どうするつもりですか。

吉本政府参考人 ただいま、早急に調査を開始できますように、その対象者ですとか手法それから実施項目について早急に詰めをしているところでございます。

池内委員 よろしくお願いしたいと思います。

 私の住む東京都の北区ですけれども、待機児童が一昨年までは二桁でした。ところが、昨年からことしにかけて急増しています。なぜか。それは、他の区と比べて競争率が低くて、少しでも入りやすいところへということで、北区に引っ越しをされてくるお父さん、お母さんが急増しているためだというふうにお聞きしました。その結果、去年とことしは三桁の待機児童となってしまった。

 こうした状況をどのように思いますか。保育所に入りたいがために引っ越しまでしなきゃならない、こうした実態をどう思いますか。

吉本政府参考人 希望される保育所になかなか入れなくて、保育所に入るためにさまざまな御苦労をされているといった一例として重く受けとめたいというふうに思います。きちんと実態を把握して、改善策を考えてまいりたいと思っています。

池内委員 さらに、北区のある保育園でお話をお聞きしてきました。そこでは、待機児童の急増という問題とともに、保育所に見学に来る保護者がふえているという声がありました。多少自宅から離れていても、二次希望、三次希望、中には五次、六次と、あらゆる希望を出さなきゃいけない。申し込み時には第十まで書かせている場合があります。大体そうです。

 そもそも保護者は、これだけ待機児童がいるという中ですから、希望の保育所に入れないかもしれないという大きな不安を抱えながら、どこに入れるかは全く未知数だけれども、子供を預ける場所はやはり自分の目で確かめたい、ちゃんと現場に行って見てみたいということで、忙しい時間を割いて幾つもの保育所に見学に駆けずり回っている。

 私は、こうした現象から伝わってくるのは、保護者は決して、子供を預けられればどこでもいいとは考えていないということだと思います。保護者は、子供の成長、発育を守っていきたいと願っている。

 同時に、保育現場も大変で、本当に多くの負担がかかっています。保育士の皆さんも、保護者が忙しい時間を割いて来てくれたからやはり丁寧に相談に乗りたい、施設も見学してもらいたいということで、保護者の時間に合わせて見学に付き添っている、保育所の説明をしている。そうなると、そもそも限られた数の保育士が、説明で来た親御さんの対応でとまってしまう。そうすると、保育所の安全的な運営、子供たちの安全がないがしろにされる局面が生まれざるを得ないという嘆きの声だったわけです。

 これは本当に切実だと思いますが、対応を考えていらっしゃいますか。

吉本政府参考人 いわゆる保活によりまして、保護者のみならず、保育所の保育士等にも負担がかかっているといった御指摘だというふうに思います。

 保育所におきましては、きちんと保育士が保育サービスの質の確保をしなければいけないという一番重要なところがございますので、そこが損なわれることがないように、質の確保については徹底をしなきゃいけないというふうに思っております。

池内委員 さらに、パート勤務ということで保育所に入れなくて、他の認可保育施設などもとにかく必死で探し回った方、あちこち回ったけれども自宅から通える範囲には入れる施設がなくて、やむにやまれず幼稚園に入ったという方がいらっしゃいます。そうなると、幼稚園は夏休みも春休みも受け入れてもらえないんですね。幼稚園自体が休みになってしまう。しかし、その間、保護者の仕事は休みにはならない。せっぱ詰まった保護者は、保育所の一時保育にお願いして子供を預けるしかなかった。こういう保護者が本当にふえていると思います。

 本来的には、一時保育というのは、保護者の出産と病気と冠婚葬祭などのほか、育児疲れで子供からちょっと距離を持ちたい、そういうときに緊急的に使うものなわけですけれども、しかし、現実は、当座のしのぎで、保護者にも子供にも、そして一時保育を受け入れる保育所の方にも大きな負担がかかっているということなんです。

 私は、問題の本質というのは、やはりゼロ歳から五歳までを一貫して預けられる公立の認可保育所が少ないことだ、ぶつ切りにしているからこそ問題があるというふうに思うんですね。

 ゼロ歳から五歳までを一貫して預けられる、しかも、ちゃんと行政が責任を持つ公立の認可保育所をつくっていくということが私は大事だと思いますが、この解消のための方策をいかがお考えですか。

武川政府参考人 お答えいたします。

 先生が言われたような、共働き家庭の子供が幼稚園に入園されている場合に、夏休みの間、その子供の預け先に苦慮されるケースがあるということは承知しております。

 こうした場合に、近隣の保育所等における一時預かり等の事業を利用するという対応策も考えられますが、この問題は、そもそも、共働き家庭において、保育所に入ることを第一に希望されているにもかかわらず入所できずに、やむを得ず幼稚園に入園されている状況が背景にあると考えております。

 したがいまして、この問題の基本的な解決策は待機児の解消にあると考えており、今般の企業主導型保育事業による五万人の保育の受け皿の拡大を含め、一刻も早く待機児童の解消に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

池内委員 私、都内のある区の担当者にもこの話を聞いたんですけれども、今後開設が予定されているさまざまなところも含めて、小規模保育事業というのが七カ所そこにはあるそうなんですよ。そのうち二カ所しかその後の連携先というのが決まっていないという訴えだったんです。残りの五カ所の事業所では何をやっているかというと、小規模事業所みずから、三歳を受け入れてもらえそうなほかの保育所を独自に探しているということであったんですね。

 これでは、小規模事業所の職員も大変だし、保護者も不安だし、区の担当者の方は今後連携先の施設は決めていくという問題意識はお持ちだったわけですけれども、やはり連携先となると、各保育園にも、もう既に二歳児の子供たちがそれぞれ定員いっぱいでぱんぱんに入っているわけで、新たに確実に受け入れがされるという保証はどこにもないという状況です。もう目いっぱい。

 こういう状況の中ですので、小規模とか家庭保育によって〇―二歳というのをふやせばふやすほど三歳児の壁はどんどん高くなると思うんですけれども、年がたつごとに高くなるこの壁にどう対応するんですか。

吉本政府参考人 小規模保育につきましては、都市部におきましては、待機児童の八〇%以上を占めます〇―二歳児の待機児童の解消を図るという観点、また人口減少地域におきましては、身近な地域での子育て支援機能を確保するということで創設され、その整備に努めているところでございます。

 この先、連携施設を設定していない、できないケースにつきましては、まず、市町村が定員のあきのある保育所等を探して利用調整をする、また、利用調整を行うに当たっては優先利用の対象としていく、さらに、例外的にではありますけれども、小規模保育事業で受け入れるといった対応を考えていかなければならないと思っています。

池内委員 以上で終わります。ありがとうございました。

西村委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 おおさか維新の会の河野正美でございます。

 私どもおおさか維新の会は、昨日、松井一郎代表、片山虎之助共同代表名で、安倍総理大臣に対して、「“今すぐ”待機児童「ゼロ」作戦」と称した提言書を提出させていただきました。ただいま議題となっております子ども・子育て法改正案につきまして、こういった党内での議論も踏まえまして、おおさか維新の会を代表して三十分間質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず、待機児童解消に向けた取り組みでございます。

 政府は、平成二十五年、待機児童解消加速化プランを策定し、平成二十五年度補正予算、平成二十六年度当初予算から緊急プロジェクトを実施してこられました。意欲のある自治体を強力に支援し、二年間でできる限りの保育の量の拡大を図って待機児童解消を目指すものとされております。

 保育の量もふえて目標も達成したようですが、平成二十七年四月時点の待機児童数は二万三千百六十七人となり、前年度と比べて千七百九十六人ふえてしまいました。つまり、保育の量はふえたものの、申込者もさらにふえたことによって、結果として待機児童もふえたものというふうに思われます。

 これまでの取り組みの結果とその成果、課題について政府の認識を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、中根(一)委員長代理着席〕

吉本政府参考人 これまで、待機児童解消加速化プランに基づきまして取り組みを進めてきたところでございますが、二十五、二十六年の二カ年で、目標を上回る二十一万九千人分の拡大を達成したところでございます。また、二十九年度までの五年間の合計では、四十五万六千人の受け皿拡大を見込んでいるところでございます。

 一方で、ただいまお話がございましたように、待機児童数がふえたといった状況にあるわけでございますが、これは、女性の就業が進んだこと、あるいは求職活動中なども含めて申し込みができるようにすること、そうした申し込みの要件を緩和したことなどが相まちまして申込者数が大幅に増加したことが要因というふうに考えております。

 さらに、今後二十九年度末までの整備目標を上積みいたしまして五十万人としたわけでございますが、この実現に当たりましては、二十七年度補正予算また来年度の当初予算案におきまして、一つは施設整備費の上積み、また、新たに小規模保育の施設整備補助を創設すること、また、賃借料加算の大幅な改善、さらに、ただいま御審議いただいております企業主導型保育サービスの創設、これらに取り組み、受け皿のさらなる拡大を進めていきたいというふうに考えております。

 さらに、こうしたハード面の強化に加えまして、その担い手となる保育人材の確保が重要な課題でございまして、就業促進、離職防止など、総合的に取り組んでまいりたいと考えております。

河野(正)委員 党内で本法案を議論しました際に指摘されておりますが、対策を進めれば進めるほど、保育の需要を掘り起こして供給が間に合わない状況となっていると思います。

 また、自治体では、独自の工夫を進めて保育サービスを拡大すると、その評判が周辺地域にも伝わって住民を呼ぶことになり、先ほど来お話があったと思いますが、供給が追いつかない状況を招きがちとなっております。むしろ、対策に消極的な自治体の方が問題が顕在化しにくいというような皮肉な状況も生まれているのかと思います。

 自治体はこのようなジレンマに直面し続けていて、むしろ国全体の取り組みがジレンマ解消につながると思いますが、政府の認識はいかがでしょうか。

吉本政府参考人 待機児童解消を目指す上では、各自治体が、その地域の実情に応じまして、潜在的なニーズも含めて把握した上で受け皿の整備を進めていくことが大切だというふうに思っております。

 子ども・子育て支援新制度におきましては、法令上求められる基準を満たした場合には、自治体はそれを認可しなければならないといったような仕組みになっておりますので、ニーズがあるにもかかわらず受け皿を整備しないといったことがないように、改善が図られるものというふうに考えております。

 また、自治体の取り組みを支援いたしますために、待機児童解消加速化プランに参加する自治体につきましては、従来よりも、施設整備、改修に係る費用の補助率を引き上げまして、二分の一から三分の二に引き上げているところでございます。

 こうしたことによりまして、保育を必要とする自治体のニーズに十分応えられるように対応していきたいというふうに考えております。

河野(正)委員 おおさか維新の会は、待機児童問題を早急に解決するために対策を取りまとめまして、先ほどもお話ししたように、昨日政府に提出させていただきました。これが冒頭述べました「“今すぐ”待機児童「ゼロ」作戦」でございます。保育士の処遇を大幅に改善するため、五年をかけて一カ月九万円の増額を目指すとともに、保育サポーター制度を導入し保育士の負担を軽減する、また、地域と時間を区切って児童一人当たりの面積基準を緩和して受け入れ児童数をふやすということによって、待機児童をゼロにしていこうというものでございます。

 まず、加藤大臣の受けとめをお聞かせいただきたいと思います。

加藤国務大臣 今内容をお話しいただきましたけれども、「“今すぐ”待機児童「ゼロ」作戦」を提出いただいたところでございます。

 認可外保育施設の改修に対する補助も含めて、かなり幅広い視野に立った意欲的な提言であるというふうに感じておりますし、御提言をいただきました保育士の処遇改善、保育サポーター制度、児童一人当たりの面積基準の緩和など、度合いはちょっと別としても、これまで私どもが取り組んできた方向性においてはかなり一致するところが多いのではないかというふうに思っております。

 私どもとしても、今回の提言も真摯に受けとめさせていただきながら、保育の質をしっかり確保しつつ、また財源も確保しつつ、待機児童ゼロに向けた取り組みをしっかりと進めていきたい、こういうふうに思っております。

河野(正)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 保育の受け皿をふやす取り組みは、先ほど述べた待機児童解消加速化プランでも進められてきました。しかしながら、保育士の待遇が、先ほど来もお話がありましたように、全産業の平均給与よりも大きく低い状況にある。このため、必要な人材の確保が難しい状況にあると思います。全産業の平均給与三十万円に対して二十一万円ということで、先ほどのように、我が党は五年間で九万円の引き上げを検討させていただいたわけでございます。

 保育士さんたちは、我が国の未来を担う子供たちの育ちを支える重要な役割を担っておられます。子供たちの健やかな成長に寄り添う存在であり、そうした保育士の皆さんの待遇を改善することは、我が国の将来への投資である、必要なものであるというふうに考えます。今こそ大胆に改善すべきというふうに思いますが、政府の見解を伺いたいと思います。

吉本政府参考人 保育士の確保は非常に重要な課題だというふうに考えておりまして、保育士がなかなか確保できない理由の一つといたしまして、その給与水準の低さが挙げられているところでございます。専門職である保育士の処遇を改善していくことは、人材確保を図る上でも大変重要な課題だというふうに考えております。

 このため、二十七年四月から、新制度におきましては、消費税財源を活用いたしまして、処遇改善等加算としまして三%相当の改善を行ったところでございます。さらなる処遇改善につきましては、この春に取りまとめられます一億総活躍プランに向けまして、実効ある待遇の改善策を検討してまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 私は医師として医療現場におった人間ですけれども、我が国は少子高齢化社会を迎えたという中で、こういった安心して子育てができる少子化対策の基本である問題であるとか、あるいは高齢者対策としての医療、介護の分野への財源の投入が極めて少ないのではないかな、いびつな状態ではないかなと思いますので、ぜひ検討をいただきたいと思います。

 今後、少子化が進むことは確実であり、認可保育所を新しく開設することに対して、経営の持続性という観点からはちゅうちょされる保育事業者の方も少なくないというふうに思います。新たに大きな箱をつくってしまいますと、近い将来、少子化が進み子供が少なくなったときに、その設備をもてあましてしまうリスクがございます。

 したがいまして、新規施設を建てるよりも、小規模保育や今回の法案が対象とする事業所内保育所やベビーシッターなど、多様なサービス形態を整えて提供していくことが重要ではないかと考えますが、政府の見解を伺いたいと思います。

吉本政府参考人 ただいまお話にもございましたとおり、きちんと待機児童解消に向けて受け皿を拡大させていくためには、従来の認可保育所を施設整備していくといった手法に加えまして、賃借形態で受け皿を拡大していく、あるいは、小規模保育、三歳未満の者を対象とした保育を拡大していく、さらに、今般の企業内保育、こうしたさまざまなメニューの活用が必要だというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 また、新規の開設が進まない理由として、地域の反対運動というのもあるようでございます。子供の声がうるさいとか静穏な住環境が脅かされるなどの声によって、地元で反対運動が起きてしまうという例もあるようです。

 私の地元の古賀市におきましても、保育所の建設を計画した段階で周辺住民から反対運動が起こり、保育所の園庭を高さ三メートルの壁で囲むことになったという事例があったようです。極めて多くの負担もかかってくる。

 このように、保育所を新しく建設する際に、せっかく建設しようと思っても地域の方々から反対を受けてしまう。非常に厳しい問題だと思いますが、こういったことに対する政府の見解を伺いたいと思います。

吉本政府参考人 御指摘のとおり、保育所設置に当たりましては、周辺住民の方々との調整の結果、防音壁を設置しなければならないといった事例も生じてきているというふうに承知しておりまして、これにつきましては、今年度の補正予算におきましてその設置費用を補助することといたしているところでございます。

 一方で、保育所は地域に開かれた社会資源ということで、地域の理解を得ながら、保護者や地域社会の皆様方とともに子供を育んでいくことが必要だというふうに考えております。

 そういう意味では、散歩などの機会に地域のさまざまな人とかかわるなど子供が豊かな体験を得ることは重要でございまして、地域に保育について理解や親しみを持って見守られる環境をつくっていくことが望まれているところでございます。

 そのためには、まず保育所や市町村などがそうした環境づくりに努力していくことが重要だというふうに考えておりますし、政府としても、そうした取り組みを支援いたしまして、社会全体が子供に優しい社会になるように努めてまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、子育てする、子供を育てていくということはやはり将来の日本を背負っていく方たちを育てるということでありますので、いわば迷惑施設といって位置づけてしまうのではなくて、しっかりそういった啓発活動も含めて頑張っていただきたいと思います。設置補助をするだけで、高い壁をどんどんつくっていくのが政策でもないと思いますので、よろしくお願いいたします。

 我々は、待機児童が多い地域に限って、五年間の特例措置として、保育資格がなくても保育に関する知識や経験を持つ人を保育サポーターに認定して保育所に配置する取り組み、児童一人当たりの面積基準を緩和することで、新しく箱は建てなくても受け入れられる児童をふやす提案をしております。ある程度規制緩和をしてあげることによって、こういった解消ができる。

 ただ、質の低下を懸念する声があることは十分に理解できることでございます。しかしながら、現に保育を必要としているのに保育所に入ることができない家庭が多くいらっしゃることを考えると、厳しく限定した範囲の中で規制緩和することもやむを得ないのではないかというふうに考えますが、政府の見解はいかがでしょうか。

吉本政府参考人 保育の質を確保いたしますためには、やはりその担い手の質の確保といったことが重要でございまして、そのためには保育士が中心となって保育を担っていくといったことが重要だというふうには考えております。

 一方で、お話がございましたように、保育士の確保が非常に難しいといった現状にあるわけでございますので、これに対しましては、一つは、時限的な対応というようなことで、朝夕におけます保育士の配置要件を弾力化することなど、あるいはまた子育て支援につきましては、保育士以外の一定の研修を受けた子育て支援員といった方々など多様な人材の活用を行いたいというふうに考えているところでございます。

 さらに、二十七年度の補正予算また来年度の予算におきましても、保育士の業務負担の軽減のための保育補助者、これらの手当てについても支援を行っているところでございます。

河野(正)委員 事業所内保育所についてお尋ねをいたします。

 今回、企業主導型保育事業が新設されます。これまでの事業所内保育所に対する国の支援策が十分利用されてこなかったという判断から、今回新たな仕組みを導入することになったのかなと思いますが、なぜ現在の制度が利用されてこなかったのか、その検証も必要であると考えます。その理由や原因をどのように分析されているのか、伺いたいと思います。

加藤国務大臣 認可外の事業所内保育の入所児童者数は、平成二十七年三月時点で七万三千七百九十二人、四千五百九十三施設となっておりますけれども、その整備や運営に対する公的支援というのは、雇用保険事業によるものなど、かなり限定されていたということが事実でありまして、そういった背景もあるというふうに思っております。

 今回の企業主導型保育事業は、そういった意味での認可保育所並みの充実した補助を行うということになっておりますので、そういったことを通じて最大五万人分の保育の受け皿としてしっかり活用していきたい、こう思っております。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 企業主導型保育事業は待機児童の受け皿拡大の一環として位置づけられていますが、果たして本当に待機児童解消に貢献するのかどうか。

 待機児童が発生している自治体は、大都市部や地方の拠点都市が中心となっていると思います。大都市部、特に東京圏は通勤事情も過酷であります。とても子供と一緒に通勤するということは考えにくいのかなというふうに思います。

 例えば、東京郊外から満員電車に子供を乗せて通勤する。想像しただけでも、親も大変ですけれども子供さんも本当に大変じゃないか。あるいは、その周辺に乗り合わせた方々も気を使って、非常に厳しい、大変な、みんなが苦労するような状況になるのかなと想像いたします。

 待機児童の減少に結びつくのかどうかという疑問もありますし、むしろ通勤で利用する最寄り駅の近くに保育所を整備しておいた方が利用者のニーズが高いのではないかと思いますが、政府の考え方はいかがでしょうか。

加藤国務大臣 現状でも事業所内保育所は、先ほど申し上げましたけれども、そうした状況の中で、特に待機児童が多い大都市部に多く設立、設置をされている傾向にあります。

 また、今委員御指摘のようなことは確かにあろうかと思いますけれども、中にはフレックス制度、あるいは時差出勤などを活用しているという例も承知をしております。

 また、パートを含む女性雇用者の約四割が事業所内保育所を利用したいというような希望が、ちょっと古いデータではありますけれどもございますし、事業所内保育のメリットとして、子供が近くにいるので、何かあってもすぐ会いに行くことができるといった声もあるところであります。

 今般の企業主導型保育事業というのは、別に企業の敷地内に限定されているわけではございません。例えば、複数企業の共同設置で駅前につくる、あるいは社宅近辺に、あるいは社員が集中して住んでおられるようなところに保育所を設置するなど、企業の創意工夫を生かした運営が可能な仕組みになっておりますので、そういった意味でも、この企業主導型保育事業は大都市部においても十分御活用いただけるんではないか、こういうふうに考えております。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 時間もありませんので先に進みますが、今大臣おっしゃったようなことで、病児保育という問題がございます。

 病児保育については、これまでは事業費のみが対象だったものも、整備費も追加される形となりました。子供は急に病気になるものであります。したがって、今大臣答弁いただきましたように、近くに子供がいるということも安心なんでしょうけれども、勤務中に子供の突然の発熱などで呼び出されたりすることも少なくなく、そうしたときに病児保育事業が受け皿として機能し、これは非常にニーズも高いんではないかなと思います。

 ただ、病気の子供を保育に預けることが子供にとって本当によい環境だと言い切れるんだろうかという疑問もあります。病児保育もセーフティーネットの役割を担う意味で重要であるとともに、子供が病気のときは勤務を休める、そうした職場環境、働き方のルールを整える必要というのがあるんではないでしょうか。

 病気の子供を預けて心配しながら仕事をする、不安を抱えたまま仕事を続けるよりも、こういうときは思い切って休んで子供の面倒をしっかりと親が見る、こちらの方が自然な考え方かとも思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

吉本政府参考人 病児保育の推進とあわせまして、やはり働き方についての方での、柔軟な働き方ができるようにといったことも必要なことだというふうに思っております。

 特に、小学校就学前の子供につきましては、病気、けがが多いということでございまして、親である労働者が仕事を休んで世話をしなければならないという場合もあるというふうに考えております。

 そこで、育児・介護休業法におきましては子の看護休暇という制度を設けておりまして、これは小学校就学前の子供一人につき年五日、二人以上であると年十日といった形で使っていただけるものを用意し、これは企業に制定を義務づけているところでございます。

 なお、今国会で御審議いただいております雇用保険法等の改正法案におきましては、子の看護休暇の取得単位を、今一日単位なんですけれども、より柔軟に、半日単位でもとれるようにといったことで、改正案に盛り込ませていただいているところでございます。

河野(正)委員 子供さんが病気になったときぐらいはしっかりと休んで親が見ると、子供も親も双方安心できると思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、待機児童問題に改めて注目を集めた、保育園落ちたというブログがございます。その切実な表現が衝撃的だったのか、大きく報道されているところであります。そして、このブログに触発されたのか、同様の、子育てで苦しい心情の発信が盛んに行われているように思います。

 そういったブログを見ていますと、その中の一つに、「障害児産んだら人生終わったから、日本死ねっつーか死にたい」というものがあるようです。要約すれば、重度の障害を持って子供が生まれてきたために、医師や保健師からは、こういう状態の子供を産んで働いている母親はいないと言われて、人工呼吸器や経管栄養の子供は保育所で預かってもらえず、生まれる前に思い描いていた共働きなどあり得ない状況となり、失ったものが大きい、苦しい気持ちが切々とつづられているようです。

 実際、ある調査によれば、障害児の母親の常勤雇用率は五%と、健常児の母親と比べて七分の一となっている結果が見られます。子供の障害の有無で選択肢が大きく変わってしまう、障害児の親は極端に選択肢がなくなる、そういう社会で本当にいいのかどうか。これが政府の掲げる一億総活躍社会ということにどうかかわってくるのか。総活躍と称する以上は、こういった例にもしっかりと国として対応していくべきと考えますが、加藤大臣の見解を伺いたいと思います。

    〔中根(一)委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 一億総活躍社会、申し上げましたように、難病や障害を抱えている方々も、誰もが夢や希望を持ってそれに向けて一歩前に進めていける、こういう社会だというふうに思っております。

 今のブログを読ませていただきましたけれども、そうした方々を含めて、子供さんのケア、そして、例えば障害のある子供さんを抱えている方の就労、そういった点も含めて、安心して生活できる環境づくり、あるいは、まさに労働に取り組んでいける環境づくりにしっかり取り組ませていただきたいと思います。

河野(正)委員 昨年十一月、茨城県教育委員会の委員の方の発言が問題となっております。茨城県内の特別支援学校を視察した経験をもとに、妊娠初期にもっと障害の有無がわかるようにできないんだろうか、茨城県はそういうことを減らしていける方向になったらいいなどと、県の総合教育会議で発言をされています。

 このような言葉は、既に社会で暮らしている障害者の皆さんを傷つけるだけでなく、みずからは障害者にはならないと、いわば他人事のように捉えていることも問題ではないかと考えます。不測の事故に遭遇したり病気にかかったりして、私たちは誰でも障害者になり得るというふうに思います。だからこそ、どんな境遇であっても誰もがその持てる力を生かして暮らしていける社会を目指すべきだと考えます。

 改めて、一億総活躍担当である加藤大臣の見解を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 昨年の茨城県教育委員の御発言の指摘がございました。

 詳細を全部知っているわけではございませんけれども、教育委員なりしかるべき立場のある方々は、少なくとも、障害があり、それぞれそうした中で御努力されている方々に対してしっかりとした配慮をしていただきたいというふうに思いますし、そういう意味では、その発言を見る限り、そうした配慮がなされていない、そういう感想を得たところでございます。

河野(正)委員 現在、障害児を受け入れる保育所は、わずかでありますがふえてきているようであります。ただ、地域の首長さんや事業者の方針など、いわば人によるところが大きい印象もございます。一地域の努力に終わらせることなく、国全体に展開させていくべきではないかと考えます。

 例えば、今回の事業主拠出金の使途に障害児保育の拡大を追加することはできないんでしょうか。障害児の親だから就労できない現状、先ほど来お話ししましたけれども、社会にとっては大きな損失であります。大臣の見解を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 御承知のように、保育所における障害児の受け入れに伴う保育士の加配については、平成十五年から一般財源化して、地方交付税の中で措置されているということになっております。

 また、子ども・子育て支援新制度においては、障害児に関する子育て支援として、市町村計画における障害児の受け入れ体制の明確化、利用手続における受け入れ可能な施設への委託またはあっせん、地域子ども・子育て支援事業における障害児対応の充実などを講じることとしております。

 今御指摘がございましたけれども、事業主の拠出のあり方というのはこれまでもいろいろ議論をされてきた経緯があるわけでありまして、そうした中で、今回は、企業主導型の保育園事業に対して事業主拠出をいただくというところまで議論が進んできたというのが今の状況でございます。

河野(正)委員 今お話に出ました今回の事業主拠出金の拠出金率の上限引き上げは、雇用保険料率の引き下げとあわせて実施され、全体として事業主の負担が生じないように配慮されているものと理解しておりますが、この間の事業主団体との交渉の経過あるいは結果について伺いたいと思います。

武川政府参考人 お答えいたします。

 経済団体との途中のやりとりにつきましては、相手方のある話でございますので詳細については差し控えたいと思いますが、拠出金を活用して行う事業の内容、規模、必要な拠出金率の上げ幅、また、新たな事業所内保育所の整備スケジュールなどを内閣府、厚生労働省、経済団体の三者で相談してきたところでございます。

 具体的には、内閣府、厚生省におきましては、待機児童の現況に鑑みまして、保育の受け皿確保について企業の協力が必要であること、また、企業主導型の保育サービスの導入によりまして、多様な働き方に対応する保育サービスの提供を促す必要があるということを申し上げました。

 他方、経済団体からは、事業拠出金につきましては、企業の自主的な取り組みに対し用いること、整備量の上限を設けること、また、経済団体の意見を反映するための協議の場を設けるようにという御意見がございました。

 こうしたやりとりを通じまして、経済団体からも御理解をいただきまして、今回提出させていただく子ども・子育て支援法におきましては、新たに仕事・子育て両立支援事業を位置づけたということと、事業の実施に当たる財源といたしまして事業主拠出金率の上限を引き上げるということで御了解を得たところでございます。

河野(正)委員 拠出金率は段階的に引き上げることが決まっておりますけれども、平成三十年度以降は今後の協議に委ねられているというふうに思います。

 法律で定められているプラス〇・一%の上限の引き上げが既定路線という理解でよいのかどうか、また、雇用情勢の悪化により雇用保険料率の引き上げが議論された場合、拠出金率の引き下げの可能性が高まるのかどうか、伺いたいと思います。

武川政府参考人 お答えいたします。

 本法案につきましては、仕事・子育て両立支援事業に要する費用に充てるため、法律上、事業主拠出金率の上限を現行の〇・一五から〇・二五へと〇・一%引き上げることといたしております。また、拠出金率の引き上げは、事業の見通しを踏まえまして段階的に実施することとし、平成二十八年度は〇・二、二十九年度は〇・二三と予定しております。

 こうした拠出金率の引き上げによりまして、平成二十九年度末までに五万人の保育の受け皿を確保すべく取り組むものでございまして、現在お尋ねの平成三十年度以降の拠出金率の水準につきましては、実施状況を踏まえ、経済団体とも協議の上決定するということでございます。

 また、お尋ねのございました将来の雇用保険料率の引き上げとの関係でございますが、本法案におきます拠出金率の引き上げは、雇用保険料率の引き下げと法制的、政策的に直接リンクしたものではございません。将来的なそれぞれの料率の変動につきましては、個々の制度の状況に応じて検討されることとなると考えております。

河野(正)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、検討についても十分公開していただいて、広く意見を求めた上でやっていっていただきたいと思います。

 繰り返しになりますが、我が党が提案いたしました「“今すぐ”待機児童「ゼロ」作戦」の内容も考慮いただき、少子高齢化社会の中でしっかりと子ども・子育て対策をしていただくよう期待しまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 速記をとめておいてください。

    〔速記中止〕

西村委員長 速記を起こしてください。

 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 改革結集の会、鈴木義弘です。

 私は埼玉県の出身なんですけれども、浦和の県庁に県会議員のときに通っていたときに、ガラス越しに小さな子供が私の顔をじっと見るんです、通りを歩いていて。それは、規制緩和によって駅前保育も可能になった今の現実の姿なんだと思うんですけれども、子供から、ずっと目を合わせるように見詰め返されるんです。

 一九九〇年の合計特殊出生率一・五七がショックだということで少子化傾向が注目を集めて、九四年からエンゼルプラン、県会のときもエンゼルプランからちょうど新エンゼルプランに移行の時期だったんですね。これで五カ年事業がスタートして、はや二十二年がたちました。なかなか効果が見えてこないから、今回も子ども・子育て支援法の一部を改正する法案を提出されたんだと思うんです。

 お手元に配付をさせていただきましたのは、内閣府からネットで流してもらっている一覧表なんです。言葉は変えていますけれども、いろいろな。どちらかというと、大人の側から見た子育て支援なんです。子供の意見はほとんど反映されていないんじゃないかなと私は思うんです。

 その辺の問題の要因がさまざまあるんでしょうけれども、この二十二年間、いろいろな施策をやってきていながら少子化がとまらなかった。時代背景が違うとか、世界情勢が変わったとか、価値観が多様化したとかというのはあるんでしょうけれども、もともとの認識がちょっとずれていたんじゃないかなというふうに私は思うんです。大臣に御所見をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 御提出していただいたように、一九九〇年の一・五七、これはたしか前のひのえうまのときの水準も切ってしまったといったときだったというふうに記憶をしております。

 それから、今や、ここに御披露いただいたように、さまざまな子育て支援を進めさせていただきました。二〇〇三年には議員立法で少子化社会対策基本法も成立して、その大綱も策定し、また育児休業制度等の雇用環境の整備、保育サービス等の充実と、これまで一つ一つ制度というのをつくり上げてきたんだというふうな認識はしております。

 しかし、出生率そのものを見ると厳しい状況が続いておりまして、その背景には、未婚化、晩婚化、一方で、結婚されている御夫婦の中での子供の数も少し低下傾向にある、こういうふうに認識をしております。

 そういったことも踏まえて、今回、希望出生率一・八の実現ということで、若者の雇用の安定と待遇の改善、結婚、妊娠から子育ての各段階の負担、不安を解消するための支援の充実、また待機児童解消のための保育サービスの整備等々を強化していくということでございまして、引き続き、ニッポン一億総活躍プランに向けて、若者の雇用、経済的な基盤がしっかり安定して、そしてまた仕事と子育ての両立を図る環境づくり、さらには結婚から妊娠、出産、子育てに至る切れ目のない支援をするというようなことについて必要な取り組みの検討を深めていきたい、こういうふうに思っております。

鈴木(義)委員 検討を深めていって、一つ、次の質問に入ってくるんですけれども、平成十年のときに、厚生白書の中に、三歳神話、これが神話じゃないんですというような記述が掲載されていました。乳幼児期における母親の就業が子供の成長に与える影響の報告書は目にするんですけれども、内容は、母親を子育てから解放させる根拠にしか見てとれない文章だったと私は記憶しています。働きたいのに子供がいるから働けない、だから保育所をつくってサポートしてあげるんです、こういう話なんです。

 二十二年間にわたっていろいろな施策を打ってきたとしても、今、脳科学がすごく解明されてきている時代になりました。ゼロ歳児から一歳、二歳、三歳、思春期、それ以上と、脳の発育段階に応じて、人間がどういう育ち方をすればいいのかというのが少しずつわかってきているわけですね。

 この当時はまだ三歳神話は、三つ子の魂百までというふうに私たちは育ってきたんですけれども、それがやはりきちっと解明できてきている時代なんだったら、少し子供の側に寄り添った施策に変えていった方がいいんじゃないか。

 子供と親を引き離して、働けばいいんだという価値観じゃなくて、子供と二歳までは一緒にいた方がいいとか、一歳まで一緒にいた方がいいとかというような考え方に基づいた施策を打っていく方が、この二十二年間いろいろな環境整備をしてきたけれども、その中のニーズは、働くために、まあ、それはいろいろな家庭の事情があるでしょう、御夫婦で育てる方もいればシングルで育てる方もいらっしゃる。でも、ニーズがあるから、それに全て応えようとして施設整備からソフトの整備をずっとやってきても、特殊出生率は上がっていかなかった。それをまた延長線上でずっと行うというのは、私は、もう限界に来ているんじゃないかなと思います。

 これは、医療の中での脳科学もきちっと捉えて、やはり、この年代のこの年のときにはどういう環境で子供を育てた方がいいのかがわかっているんだったら、そこにシフトしていくべきだと私は思うんですけれども、今まで子育ての支援事業の中で科学的な知見に立ってやっているのか、今までこの二十二年間でいろいろな調査研究をしてきたのか、お尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、御指摘のあった平成十年の厚生白書の三歳児神話、子供は三歳までは常時家庭において母親の手で育てないと子供のその後の成長に悪影響を及ぼすということについて、少なくとも合理的な根拠は認められないとの記載があったというのが今のお話だったというふうに思います。

 また、その白書においても、周りの支えを受けながら多くの手と愛情で育むことができれば、母親が一人で孤立化の中で子育てをするよりも、子供の健全発達にとって望ましいということだと思います。

 子供をどういう形で育てていきたいか、もちろん、親御さんが子供のことを考えながら、また自分たちの置かれた状況の中でいろいろ判断をされていくんだろうというふうに思っておりまして、私どもとしては、そういったさまざまな選択肢がとれるような環境をつくっていくということが非常に大事ではないか。そういう意味で、全ての子供が健やかに成長できるよう、多様な子育てメニューを整えていきたいというふうに思っているところでございます。

 調査研究というほどかどうかあれですけれども、関連する調査研究、厚労省の委託研究においては、温かい保護者のもとで育てられると子供の豊かな情緒の形成が保障される、他方で、父母の育児に対する不安やいら立ちの感情が乳児に否定的な影響をもたらすといったような調査があるということは承知をしております。

鈴木(義)委員 この白書の中で、戦後の高度成長期を通じて男女の役割分業が確立していく過程で、欧米における子供の発育。これはアメリカからスタートしているんですね。社会が荒れちゃっていて、これはどうするといったら、やはり子育てをきちっとしていった方がいいんじゃないかといって、専業主婦で、なるべく子供さんが近くにいてお母さんが育てていた方が社会的な秩序が安定するんじゃないかという、そこから来ているわけですね。専業主婦を大事にする時代もあった。

 それが今度は、景気が悪いから働け働けと。その時代に翻弄されている。子供も産んで、また社会に復帰して働けと言っているんです。一億総活躍というのは、私はそういうふうにしか受けてとれないんですね。

 だから、一歳から二歳の間はお母さんがそばにいて、もしストレスがあったり子育てに悩むんだったら、それはサポートしてあげればいいんです。男にはどうにもならないことが、お母さんにはできるんです。そこのところがきちっと脳科学の中でわかってきたんだったら、それを一つの基準にして、いろいろな家庭環境があったとしても、どうでしょうか、その子の将来がどうなるかというのを考えて施策をやっていった方がいいんじゃないかなと思うんです。

 一つの考え方で、これはなかなか難しいかもしれないんですけれども、子供を産んで働いてもらうということであれば、せめて三歳までは、休職中に雇用保険から母親に給付をするような制度をつくるとか、職場復帰をきちっと保障するような制度にするとか、それを、三歳はちょっとどうかなと思うんですけれども、せめて二歳台まではお母さんのそばで子供は育ってもらった方がいいんじゃないかと私は思うんですけれども、そういったお考えがおありかどうか、お尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 先ほどのお話の中で、別に私どもは、こういう働き方、こういう生き方が活躍だということで、それにはめ込んでいこうという考えは全くないところでありまして、それぞれの方が、しかも、前から申し上げておりますように、職場だけではなくて、家庭や地域でそれぞれ活躍できる状況をつくっていきたい。

 中には、子育てに専念したいという方もいらっしゃると思います。また、子育てをしながら仕事をしていくということを、子供のことも考えながらも希望されている方も当然おられるわけでありますので、そういった方々の多様な希望に対応できる仕組みをつくっていくことが必要じゃないかなというふうに思っているところでございます。

 育児休業の三年のお話がありました。

 雇用保険の育児休業給付に関しては、労使のコンセンサスで今のような形になっているわけでありまして、この期間についても、子が乳児期である期間が、親である労働者の職業生活と育児との両立が時間的にも労力的にも最も難しい時期であるということから、子が一歳に達するまでということで認定されているというふうに思っております。

 これをさらに長くするということに関しては、やはりさまざまな御意見があるというふうに思っておりますし、また、保険料で育児休業給付を払うということになりますと、財源の問題も出てくるのではないかなというふうに思っておりまして、慎重な検討が必要ではないかなと思います。

鈴木(義)委員 おかしいですよね。雇用保険は、二十八年度の法制、今回の通常国会で、税率というより納める金額を減らす形になりますでしょう。雇用保険を下げるんですよ。企業側と労働者側の、千分の幾つという数字、ちょっと細かい数字を忘れましたが、それを下げるんです。下げるとなって、過去にはいろいろな問題がありましたけれども、そういうふうにするんだったら、その財源を充てればいいだけの話じゃないですか。

 私たちも、親に育てられたり、おじいさん、おばあさん、私はひいおじいさんに育てられた一人です、そうやってこの世に生まれ育って、今日議員活動をさせてもらっているんですけれども、やはり仕組みを変えるべきだと私は思うんですね。労使間といったって、やはり働く者は弱い立場だ。また、景気がよければどんどん企業もサポートしてくれるでしょうけれども、これが、景気がどんどん落ち込んでいけばそういったこともできないといえば、では、それは誰が預かるんですか、こういう話になります。

 民主党政権のときに、子育て支援の一環として、婚外子にも子供手当を出すというフランスの制度をまねして、子ども手当制度がスタートしたと聞いております。スウェーデンでは、国民的な議論を踏まえた中で、二歳まではお母さんのもとで育てた方がいいだろう、こういったことをきちっと確立しているんです。

 政治の場ばかりじゃなくて、やはり国民を巻き込んだ中で、だから、どういう方向で日本は子育て支援をしていくべきなのかというのを、国が方向を出せばいいのか、それとも都道府県にお任せするのか、地域の事情によって違うと思うんですけれども、そういったことをやる時期に来ているんじゃないかということです。

 多様なニーズがあるから、それに応えられるような制度をつくっていけば、それで子供がハッピーで親御さんもハッピーなのか。そこのところはわからない。だから悩むんです、ストレスがたまるんです。昔は、二代、三代、四代の世代と一緒に暮らしていたから、先人の知恵を私たちは授かってきて、そういう家庭ばかりじゃないのはよくわかります、だから、逆に一つの方向を示したらどうだろうかという考え方です。

加藤国務大臣 それぞれ国によって歴史と文化が違う中で、それぞれの制度というのはつくられているんだろうというふうに思いますし、先ほど答弁させていただきましたように、我が国も、これまでの議論の積み重ねの中で今のような仕組みになっているというふうに認識をさせていただいているところでございます。

 これからどういう形で子供さんを育てていく、あるいは働き方と両立をさせていくのか、さまざまな議論があろうかというふうに思います。

 ただ、私どもとしては、やはり一億総活躍社会の理念というのは、それぞれの方々のありようの中でそれが発揮できる形を実現していきたいということで取り進めさせていただいているというところでございます。

鈴木(義)委員 去年、文科委員会で質問させてもらったとき、アメリカの財団で、小さいときにきちっとした教育を受けて大きくなったときに、四十、五十までどういう所得水準にあるとか、どういう仕事についているか、四十年、五十年かけて調査研究しているんです。日本でもそういったことをきちっとやって、科学的データに基づいて方向性を出した方がいいんじゃないかというふうに下村文科大臣に当時お尋ねしたら、日本では難しい、こういうふうに言われたんです。

 難しいからやらないでいいのかということなんです。だから、今いろいろなニーズがあって、施策を打って計画を立てて遂行していくんですけれども、情緒的な話だけでかわいそうだとかニーズがあるからだけじゃなくて、もう少しきちっとした根拠に基づいて日本の子育てのあり方というのが問われかけている時代だと私は思うので、最後に御答弁いただいて終わりにしたいと思います。

加藤国務大臣 今、アメリカ等では、特に四十年、五十年、六十年とかけて、ずっと時間を追った調査があり、またそれが、例えば教育におけるどういうありようがいいかとかそういったものに反映されている、それに比べて我が国は余りそういうものがないという御指摘であり、また、当時の下村大臣とのやりとりだったのではないかなというふうに思うところでございます。

 いずれにしても、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、一億総活躍というのは、それぞれの方々の希望が実現できる、その状況をつくっていくということでもありますし、また、もちろん、それぞれの方が子供さんのありよう、あるべきことを考えながら選択をされていく、その選択というものが実現できるようにしっかりと努力をさせていただきたいと思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。終わります。

西村委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうの質疑の最後のバッターでございますので、よろしくお願いいたします。

 本日は、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、待機児童問題について御質問をさせていただきたいと思います。

 私ども、自民、公明の安倍政権のもとで、平成二十五年、二十六年度の二カ年で合計約二十一・九万人の保育の受け皿拡大を達成いたしまして、さらに待機児童の解消を目指して、待機児童解消加速化プランに基づきまして、平成二十五年度から二十九年度末までに五十万人分の保育の受け皿を確保する、そういう取り組みを今進めているところでございます。特に、昨年の十一月の一億総活躍社会の緊急に実施すべき対策に基づいて整備目標を前倒しして、上積みして四十万人分から五十万人分といたしました。

 今回の法改正で、企業主導型保育事業が創設されまして、事業主拠出金を財源として、事業所内保育を主軸とした企業主導型の、多様な就労形態に対応した保育サービスの拡大を支援するための仕組みを創設することになったわけでございますが、こういう待機児童解消加速化プランに基づいた取り組みの中で、今回は大変意義のある法改正ではないか、そのように私は考えております。

 ただ、そのやさきに、匿名ブログから広がった待機児童問題が今、社会的に問題となっております。政府と自治体、そして我々国政に携わる政治家も、待機児童の解消を求める切実な声を真剣に受けとめて、あらゆる知恵を絞って対応していかなければならない、そのように考えます。特に、保育園を探す人たちに寄り添いまして、待機児童を抱えて困っている親の問題をいかに解消できるか、きめ細かい対応が必要であると考えます。

 そこで、まず最初に、現下の待機児童問題について、加藤大臣に総論的に伺います。

 この所管の、関係しているもう一つの省である厚生労働省の塩崎大臣は、保活の実態調査をする方針を示すとともに、厚労省のホームページで待機児童問題について意見を募集されると発表されております。

 加藤大臣も、「十五日の記者会見で、五月にまとめるニッポン一億総活躍プランを巡り、保育士の給与引き上げを検討する考えを示した。」と日経には報道されているわけでございますが、この機会にぜひ、加藤大臣、現下の待機児童問題に対する認識とそれに対する対策、そしてそのことをニッポン一億総活躍プラン、これは五月か六月にまとめられるんだと思うんですが、この一億総活躍プランへの反映について大臣としてどのように考えておられるのか、最初に伺いたいと思います。

加藤国務大臣 佐藤委員におかれましては、副大臣として、まさに待機児童解消プランの策定、そしてその実施に大変取り組んでいただいて、当初の二年間で二十万という、これはそれまでの数字に比べてかなり高いハードルだったと思いますけれども、それをさらに上回る結果を出していただいていることに対して改めて敬意を申し上げたいというふうに思います。

 そういう中で、今、私ども、待機児童の問題は、当初からまさに待機児童解消プランを策定した、そして先般の緊急対策においてさらにそれを十万上積みして、しっかりと、しかもスピード感を持って取り組むべき課題だというふうに認識をしております。

 しかし、そういう中で、器をふやしていくと同時に、やはりそこで働く保育士の方の確保というのは大変重要な問題でありまして、それなくして待機児童の解消にもつながらない、こういうふうにも思っているところでございます。

 四十万から五十万に積み上げたことに伴いまして、約九万人の保育人材の確保が必要だということも我々試算をさせていただいているわけであります。そういう意味において、保育士不足の要因としては、これまでもこの委員会で議論させていただきましたけれども、働くことにおける大変なハードな部分もあるということ、また重い責任を持ってそれを一生懸命対応していただいているにもかかわらず、決して処遇がそれに伴っていない、賃金を含めて処遇の問題があるというふうに考えているところでございます。

 この春に御指摘になるニッポン一億総活躍プランを策定していきたい、こう考えておりまして、その中におきましては具体的で実効性のある待遇の改善策というものをしっかりと示していきたい、こう思っております。

佐藤(茂)委員 時間が十五分と限られておりますので次々に行きたいと思うんですが、昨年九月に公表されました、昨年四月一日時点での保育所等の定員や待機児童の状況によりますと、待機児童数は全国で二万三千百六十七人でございます。その内訳を見ますと、待機児童数の多い都道府県というのは、大都市を有する都道府県に多くなっているわけでございます。

 政府におかれては全国を視野に一般的な取り組みをされてきたわけでございますが、やはり個々の地域的な特性に応じて、自治体とも連携して、しっかりと打てる対策を打っていかなければいけないのではないか。

 特に我々が今注目して、まず最初にヒアリングをしておりますのは東京都でございます。東京都は待機児童数が七千八百十四人で、何と全国の三三・七%ですから、待機児童数というのは、約三分の一が東京都に集中しているわけでございます。さらに、全国で待機児童数が五十人以上の市町村数百十四のうち、世田谷区の千百八十二人をトップに、東京で三十五の自治体にも上っているわけであります。

 そこで、本日、東京都の待機児童解消対策を取り上げて質問させていただきたいと思うんです。

 きょう、お手元に、二日前に東京都の担当の方々と意見交換したときの資料の抜粋をつけさせていただいております。

 資料一をごらんください。

 この左側の真ん中のグラフでございますが、東京として、二十九年度末の待機児童解消を目指して、区市町村の需要を踏まえて、きちっと聞き取りをして、保育サービス利用児童数の四万人増を達成することを掲げ、進めておられます。右の表の一番下にありますように、平成二十七年四月で一万二千六百二人分の整備をされた。一万二千人分の整備目標を達成されまして、順々に予定を上回る受け皿をつくっておられるんですけれども、それでも七千八百十四人。その要因としては、左上に書かれておりますが、東京の場合は、出生数の増加であるとか人口流入による就学前児童人口の増加、そして女性の社会進出による保育ニーズの増大があって、整備しても整備してもなかなか追いつかないんです、そういう声を聞かせてもらったところでございます。

 意見交換の中で、東京としてもできるだけのことはやってきたつもりであるけれども、ぜひ国の方としても御検討いただきたい、そういう項目を何点か伺ってまいりました。

 時間が限られておりますので、何点かお聞きしたいと思うんですが、その一点目は、東京都というのは、多様な主体による保育所緊急整備事業として、株式会社等の参入を促進することによって保育サービスの一層の拡充を図るために、現在、国の施設整備費補助の対象とならない法人である株式会社やNPO法人の保育所の創設、増改築、定員増を伴う大規模修繕等に対して、都独自に補助を行っているということでございました。そして、例えば資料一に掲載されています右の表の認可保育所、二〇一五年四月の百六十施設増のかなりの部分は株式会社につくっていただき、参入していただいている、そういうことでございました。

 ですから、株式会社等またはNPO、そういう参入希望が非常に高いことを踏まえて、国として、こういう株式会社やNPO法人の施設整備費補助の拡充ができないか、ぜひ政府の見解を伺いたいと思います。

吉本政府参考人 ただいまお話にございましたように、現状では、保育所の施設整備費につきましては、その設置主体を社会福祉法人等とさせていただいているところでございます。

 一方で、新しい子ども・子育て支援制度のもとにおきましては、施設整備に要する費用の補助を受けずに自己所有の建物で保育所等を設置する場合におきましては運営費に減価償却費加算を盛り込みまして、これにつきましては設置主体の種類を問わず加算できるような仕組みとしているところでございます。

 また、今年度補正予算からは、小規模保育の施設整備につきましては新たに補助にすることにいたしまして、株式会社等も対象に加えております。

 ただいま東京都からのお話がございましたけれども、私どもといたしましても、東京都や他の自治体からもお話を伺いまして、よりよい制度になるように努めてまいりたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 ちょっと拡充したところですので、ぜひその実施状況も見ながら検討いただきたいと思うわけであります。

 二点目に、保育所整備のための国有地の活用ができないかということを改めてお聞きしたいと思います。

 東京都に特徴的な問題として、施設整備を進める上での課題としてまず一言目に高額な土地代、こういうことが出てきます。保育所を整備する用地が足りないので、国有地等を何とか低廉な価格で提供していただけないか、そういう点でございます。

 昨年十一月に取りまとめられた一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策の中で、新三本の矢の三本目の「「介護離職ゼロ」に直結する緊急対策」の中には、介護のためには、具体的に、「用地確保が困難な都市部等において、賃料減額といった国有地の更なる活用や用地確保に係る負担を軽減するための支援を充実させ、」云々、そういうようになっておりまして、介護施設については、国有地の活用等について促進されることになりました。伺ったところによると、現に介護施設については、都内だけでも八十五カ所程度、国有地の活用がされつつあるということでございます。

 しかし、保育施設についてはそういうスキームがございません。しかし、保育所の方が介護施設に比べて広い土地は必要といたしませんし、ビルの一室やフロアをお借りして事業ができる、そういうコンパクトさというのも特徴でございます。

 保育の受け皿の拡充に向けて、保育施設の整備に向けて国有地の活用等も認めていくべきではないかと思うんですが、まず財務省にお伺いをしたいと思います。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 社会福祉分野につきましては、これまでも、優先的売却でございますとか、定期借地権による貸し付けを通じ国有地の活用を積極的に進めてきたところでございます。

 特に保育所につきましては、平成二十五年四月に取りまとめられました待機児童解消加速化プランを踏まえ、これまでに介護施設の二倍近い件数の国有地を提供してきております。

 委員の御指摘にございました介護施設につきましては、保育所と比べて国有地が十分活用されていなかったこともあり、昨年十一月に一億総活躍国民会議で取りまとめられました緊急対策におきまして賃料減額といった国有地のさらなる活用とされ、国有地の減額貸し付け等の負担軽減策を講じたところでございます。

 今後とも、保育所も含め、必要な社会福祉施設の整備に国有地が有効に活用されるよう、積極的に対応してまいりたいと考えております。

佐藤(茂)委員 今ありましたように、保育についてさらに進めていただきたいなというふうに考えるわけでございます。

 加藤大臣にもぜひお伺いしたいのは、そういうところの推進についても、プランの中身をしっかりと、さらに前向きに検討されていってはどうかと思うんですが、大臣の見解を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 これまでの介護と保育についても公有地は活用し、またさらに活用できるようにしていくというのは、今財務当局からお話がありました。

 まず、私ども、先ほど東京都のお話がございましたけれども、待機児童の数は地域によって差があることから、特に待機児童が集中している例えば東京都などとよく連携して対応策をしっかりと検討していきたいというふうに思っております。また、それらを踏まえて先ほど申し上げたニッポン一億総活躍プランに反映をさせていきたい、こう考えております。

佐藤(茂)委員 もう質疑は終了したのでやめましょうか、お互いのために。これぐらいに質問をとどめ置かせていただきたいと思います。

 大変ありがとうございました。

西村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西村委員長 この際、本案に対し、中根一幸君外四名から、自由民主党、民主・維新・無所属クラブ、公明党、おおさか維新の会、改革結集の会の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。緒方林太郎君。

    ―――――――――――――

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

緒方委員 ただいま議題となりました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 第一に、政府は、質の高い教育、保育その他の子ども・子育て支援の提供を推進するため、財源を確保しつつ、幼稚園教諭、保育士及び放課後児童健全育成事業に従事する者等の処遇の改善に資するための所要の措置並びに保育士資格を有する者であって現に保育に関する業務に従事していない者の就業の促進その他の教育、保育その他の子ども・子育て支援に係る人材確保のための所要の措置を講ずるものとすることとしております。

 第二に、その他所要の規定を整理することとしております。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

西村委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。池内さおり君。

池内委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案に反対、修正案に賛成の討論を行います。

 本改正案で実施される企業主導型保育施設は、民間事業者に委託して運営することとされ、市町村は関与せず、責任の所在も、設置する企業側にあるのか、委託された運営側にあるのかも明確ではありません。

 さらに、保育の質についても問題があります。施設基準について、ゼロから二歳児までの子供十九人以下を預かる小規模保育施設に課されるB型が基準とされています。これは、既存の事業所内保育事業や雇用保険財政から事業所内保育施設設置・運営等支援助成金を受けて運営されている事業所内保育施設の場合と比べても低い基準です。五歳児まで預かることを前提としていながら、園庭も調理室も必置とはされていません。これでは、子供の健やかな成長を保障することはできません。

 さらに、保育サービスも、二十四時間、一時預かり、延長保育など、柔軟で多様なサービスの実施を従来以上に打ち出されています。そうなれば、子供の健やかな育成よりも、保護者に柔軟で多様な働かせ方を強いるための道具としても使われる可能性も否定できません。本来、乳幼児を持つ親については育児休業法で深夜労働の免除などが申請できることとなっており、深夜でも預けることができるなどを売りにすること自体、本末転倒と言わなければなりません。

 待機児童の解消のためには、そして児童福祉法の目指す保育を実現するためには、公立の認可保育所を増設する、この本道を進むしか道はありません。

 以上が、本法案に反対する理由です。

 なお、修正案は、保育士等の処遇の改善、人材の確保について、より実効性を高めるものであり、賛成するものです。

 以上、討論を終わります。(拍手)

西村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、中根一幸君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

西村委員長 次回は、来る二十三日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十六分散会


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