衆議院

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第13号 平成28年4月22日(金曜日)

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平成二十八年四月二十二日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 西村 康稔君

   理事 亀岡 偉民君 理事 平  将明君

   理事 武井 俊輔君 理事 中根 一幸君

   理事 平井たくや君 理事 緒方林太郎君

   理事 後藤 祐一君 理事 佐藤 茂樹君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      石崎  徹君    岩田 和親君

      大隈 和英君    岡下 昌平君

      神谷  昇君    木内  均君

      木村 弥生君    北村 茂男君

      高木 宏壽君    武部  新君

      中川 郁子君    中山 展宏君

      長尾  敬君    ふくだ峰之君

      藤井比早之君    牧島かれん君

      松本 洋平君    宮崎 政久君

      若狭  勝君    大串 博志君

      木内 孝胤君    小宮山泰子君

      近藤 昭一君    鈴木 義弘君

      高井 崇志君    古本伸一郎君

      中川 康洋君    濱村  進君

      真山 祐一君    池内さおり君

      島津 幸広君    伊東 信久君

      河野 正美君

    …………………………………

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   島尻安伊子君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   内閣府大臣政務官     高木 宏壽君

   総務大臣政務官      古賀  篤君

   文部科学大臣政務官    豊田真由子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大島 一博君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中川 健朗君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   森本 浩一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 長屋  聡君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           生川 浩史君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官)          神代  浩君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           星野 岳穂君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     木村 弥生君

  北村 茂男君     中川 郁子君

  若狭  勝君     藤井比早之君

  阿部 知子君     近藤 昭一君

  柿沢 未途君     木内 孝胤君

  江田 康幸君     中川 康洋君

  河野 正美君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     大隈 和英君

  中川 郁子君     北村 茂男君

  藤井比早之君     若狭  勝君

  木内 孝胤君     柿沢 未途君

  近藤 昭一君     阿部 知子君

  中川 康洋君     江田 康幸君

  伊東 信久君     河野 正美君

    ―――――――――――――

四月十二日

 歳入庁の設置による内国税並びに労働保険料及び年金保険料等の徴収に関する業務の効率化等の推進に関する法律案(第百八十九回国会衆法第三一号)の提出者「今井雅人君外六名」は「今井雅人君外五名」に訂正された。

同月十五日

 マイナンバー制度の廃止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四二四号)

 同(池内さおり君紹介)(第一四二五号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一四二六号)

 同(大平喜信君紹介)(第一四二七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一四二八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四二九号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一四三〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四三一号)

 同(清水忠史君紹介)(第一四三二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四三三号)

 同(島津幸広君紹介)(第一四三四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一四三五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四三六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一四三七号)

 同(畠山和也君紹介)(第一四三八号)

 同(藤野保史君紹介)(第一四三九号)

 同(堀内照文君紹介)(第一四四〇号)

 同(真島省三君紹介)(第一四四一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一四四二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一四四三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一四四四号)

 国の保育・教育・子育て支援施策の拡充に関する請願(阿部知子君紹介)(第一四五一号)

 特定秘密保護法を速やかに撤廃することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四五二号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一四五三号)

 同(大平喜信君紹介)(第一四五四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四五五号)

 同(清水忠史君紹介)(第一四五六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四五七号)

 同(島津幸広君紹介)(第一四五八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一四五九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四六〇号)

 同(藤野保史君紹介)(第一四六一号)

 同(堀内照文君紹介)(第一四六二号)

 同(真島省三君紹介)(第一四六三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一四六四号)

 同(本村伸子君紹介)(第一四六五号)

 特定秘密の保護に関する法律の撤廃に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四九二号)

 同(大平喜信君紹介)(第一四九三号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一四九四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四九五号)

 同(清水忠史君紹介)(第一四九六号)

 同(島津幸広君紹介)(第一四九七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一四九八号)

 同(畠山和也君紹介)(第一四九九号)

 同(真島省三君紹介)(第一五〇〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五〇一号)

 同(本村伸子君紹介)(第一五〇二号)

 戦時慰安婦問題の最終解決を求めることに関する請願(藤野保史君紹介)(第一五七〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五七一号)

 レッド・パージ被害者の名誉回復と国家賠償に関する請願(清水忠史君紹介)(第一五七二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五七三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案(内閣提出第三二号)


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの平成二十八年熊本地震によりお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員の御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

西村委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

西村委員長 内閣提出、特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大島一博君、内閣府大臣官房審議官中川健朗君、内閣府政策統括官森本浩一君、総務省大臣官房審議官長屋聡君、文部科学省大臣官房審議官生川浩史君、文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官神代浩君、経済産業省大臣官房審議官星野岳穂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩田和親君。

岩田委員 改めまして、おはようございます。自民党の岩田和親でございます。

 改めまして、熊本を中心とした九州での地震に関しまして、亡くなられた方にお悔やみを申し上げ、そして被災された方々にお見舞いを申し上げたいというように思っております。

 私が住んでおります佐賀県も、隣地といいますか、地震の揺れも大変ひどかったわけですけれども、二回目の揺れのときは、ちょうど私は佐賀市の自宅で寝ておったところでありまして、大変大きな揺れにびっくりしたところでございました。

 佐賀県では、今まで震度三とか四でもめったにないような、そういう地域でありましたので、皆さん大変驚かれて、不安がっておられたわけでありますけれども、大きな目立った被害というものはないと承っております。ですので、佐賀県の人たちに、とにかく熊本を中心とした被災された地域に何かお手伝いできないか、そういう声をたくさんいただいているわけでありまして、改めて、国、地方そしてまた民間も通じた形で復興に向けてしっかりと取り組んでいくことを皆さんと共有したいというふうに思っております。

 それでは、本日、特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案につきまして、質疑を進めさせていただきたいと思います。

 まず、日本の科学技術イノベーション政策の戦略について、総論的に伺ってまいりたいと思います。

 果たして日本は世界における科学技術の先進国かという問いに対しまして、国内外を問わず、多くの人が肯定的な答えをされると私は思っております。

 そのことを象徴的にあらわすのが、ノーベル賞における実績であると考えます。二〇一四年の赤崎先生、天野先生、中村先生による物理学賞、一五年の梶田先生による物理学賞、大村先生による生理学・医学賞と、二年連続の受賞、また、今世紀における自然科学系のノーベル賞受賞者の人数が世界第二位という成績は誇るべきものであります。我が国の今日までの科学技術における蓄積によるものだと、先人たちの御努力に敬意をあらわしたいと思います。

 一方で、その現状や将来を不安視する声もあります。

 論文に関してでありますが、世界の総論文数に占める引用された回数というような統計がありまして、そのトップ一〇%に入っている我が国の論文の割合というのが、世界全体の八・五%しかないというデータがあります。イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、こういった国が優位にありまして、日本は、中国にもおくれをとって、韓国に追いつかれそうになっているということです。すなわち、論文の質、量ともに国際的地位が低下してきているという現状であります。

 また、今日までのICTの進展をリードしてきたのは、アメリカを中心とした研究機関や企業であります。また、最近最も注目を集めている分野と言えます人工知能、AIに関しても、日本はおくれをとっていると心配されています。

 今の時代は、情報通信技術の進歩等により社会や経済の構造が大きく変化していく大変革時代とも言われております。例えば、現在、多くの人がスマートフォンを持ち、いつでもインターネットにつながることが当たり前の社会となってきましたが、果たして十年前にこのような社会を予想できたでしょうか。同様に、今後とも革新的な科学技術が誕生し社会が大きく変化し続けていく中で、五年後、十年後を予想することは極めて難しいことと考えます。

 しかし、だからこそ日本は、このような大変革時代の未来を切り開くトップランナーとなるために大胆なチャレンジをすべきです。最新の科学技術の動向や社会経済のニーズを的確に把握する、また我が国の置かれている現状を客観的に分析する、そしてスピード感を持ってその状況に応じた戦略を描いて果敢に実行していくといった力強い取り組みが必要だと考えます。

 このような背景のもと、本年一月に第五期科学技術基本計画が閣議決定されました。これは、今後五年間の我が国の科学技術イノベーションの方針を示す重要な位置づけにあります。この基本計画に基づき、産学官、関係府省などが一体となって取り組みを推進することが望まれます。

 そこで、第一期から第四期計画までの取り組みによる成果についてどのように分析、評価されているのか、お示しをいただきたい。そして、何が現在の課題として残っており、それを踏まえ、第五期基本計画ではどのような取り組みを行うこととしているのか、説明をいただきたいと思います。

島尻国務大臣 第一期の科学技術基本計画が策定されてから二十年を迎えます。これまで、世界最高水準の人材が結集する研究拠点やあるいは大型共同利用設備の整備などを通じまして、世界に冠たる成果を上げてきたと考えております。具体的には青色LEDやiPS細胞など、国民の生活や経済に大きな変化をもたらす科学技術の成果が上がっていると考えております。

 まさに今、委員から御披露いただきましたけれども、今世紀に入りまして我が国の自然科学系のノーベル賞の受賞者数が世界第二位である、これは、世界の中で我が国の科学技術が大きな存在感を有しているあかしでもあるというふうに考えております。

 こうした実績を生み出してきた反面、もちろんさまざまな課題も存在しております。例えば、研究者等の若手が能力を十分に発揮できる研究が整備されていないのではないか、我が国の科学技術イノベーションの基盤的な力が近年急激に弱まってきているのではないか、あるいは大学改革のおくれなどから産学官の連携がいまだ本格段階に至っていないということなどが課題として挙げられております。

 このような課題を踏まえまして、第五期の科学技術基本計画におきましては、若手を初めとする人材力の強化、大学改革と資金改革の一体的な推進、オープンイノベーションの推進とベンチャーの創出を強化していくこと、そして国立研究開発法人の橋渡し機能強化、これらの取り組みを掲げまして、それらを強力に推進していくこととしております。

 今後、この第五期基本計画の実行に向けまして、科学技術イノベーション政策の推進に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

岩田委員 ありがとうございます。

 この第五期の基本計画では、新しいコンセプトというものが示されていると聞いております。超スマート社会を未来の姿として共有し、その実現に向けた一連の取り組みをソサエティー五・〇として推進していくというような文言があるわけですが、超スマート社会やソサエティー五・〇、このようなキーワードはまだまだ耳なれないものであろうというふうに感じます。

 このような先進的なビジョンを国民が広く共有するためにはさらなる努力を期待するわけでありますが、超スマート社会というのはどのようなものであるのか、できるだけわかりやすく、イメージしやすいように説明をしていただきたいと思います。また、ソサエティー五・〇というものの今後の取り組みを伺いたいと思います。

島尻国務大臣 今お話に出ました超スマート社会でございますけれども、これは、現在の情報社会の次に来る新しい未来の経済社会の姿でございまして、この概念を国際的に発信していくために、ソサエティー五・〇と総称しております。

 このソサエティー五・〇でありますが、地域、年齢、性別そして言語といったさまざまな違いを乗り越えて、あらゆる人の多様なニーズに対応できる、人々が生き生きと快適に暮らすことのできる社会というものでございます。

 そして、ドイツのインダストリー四・〇というものがこれまで、今も提唱されているわけでありますけれども、産業面での変革にとどまらず、社会の課題を解決し、そして人々の暮らしをよくしていくという意味を込めた概念がソサエティー五・〇でございまして、日本としてこれを自信を持って発信していきたいと考えています。

 具体的には、情報通信技術を駆使し、そしてサイバー空間と現実社会を高度に融合することで、地方における自動走行車による移動手段の確保でありますとか、あるいは分散型エネルギーの活用によるエネルギーの地産地消などを実現して、人々の暮らしに新しい価値観を生み出していくものでございます。このために、複数のシステムの連携協調を実現するプラットホームの構築と、それからAI等の基盤技術の研究開発を強化していきたいと考えております。

 今後とも、産学官そして関係省庁と緊密に連携をとって、世界に先駆けたソサエティー五・〇の実現に向けて総力を挙げて推進していく所存でございます。

岩田委員 御説明いただきましたけれども、一般の方々にはなかなか簡単には浸透しないというのが正直な現実なのかもしれませんが、ぜひわかりやすくこういうふうなビジョンというものを示していただきたいということを重ねて申し上げておきます。

 次に、研究開発投資について質問をしたいと思います。

 第五期基本計画の中では、政府研究開発投資目標として対GDP比一%、二十六兆円という目標が掲げられております。科学技術振興において、政府研究開発に係る投資、予算、こういったものは目標を持ってしっかりと確保していくことが基本であり、不可欠であることは言うまでもありません。

 日本のノーベル賞の実績においても、特に梶田先生のニュートリノ、また山中先生のiPS細胞などは国の十分な支援がそれらの研究の基盤となっていたと思います。また、さきの四月十九日にその山中先生が安倍首相と面会をされて、科学技術予算拡充の要望をされたとも聞いております。

 現在の厳しい財政状況の中であっても、我が国の未来にかかわる政府研究開発投資また関係する予算、資金を確保していくこと、これをまずもって要望しておきたいと思います。

 加えて、民間企業と大学や国立研究開発法人の共同研究についても促進していくべきだと思います。

 共同研究のさらなる促進によって産学連携が深まってそれぞれが持つ知識や技術が相互活用される、その結果、大学や国立研究開発法人の研究開発資金の獲得、企業の収益性向上につながり、さらなる研究開発への投資を生み出すという好循環が期待をされるところです。

 このような共同研究にどのように取り組んでいくのか、お示しください。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、政府の研究開発投資というのは未来への投資でございまして、これが呼び水となって新しい民間の研究開発投資というものを呼び込む、そういう性格のものであるかと思います。

 民間企業と大学、国立研究開発法人との共同研究の促進といった産学官連携活動の強化は極めて重要でございます。グローバル競争がますます激化し、知識や技術の全てを個人や一つの組織だけで生み出すことが困難となっている中で、企業において組織の外の知識や技術を積極的に取り込んでいく、こういうオープンイノベーションの推進が求められております。

 このため、民間企業と大学、国立研究開発法人等の本格的な連携とベンチャー企業の創出、強化などを通じまして知的資源の流動性を高めて、世界を先導する我が国発のイノベーションの創出を促進して、世界で最もイノベーションに適した国の実現を目指してまいりたいと考えております。

 そういう意味で、国立研究開発法人に関しましては、民間企業との共同研究、受託研究等が促進される仕組みを整備強化いたしまして、企業からの共同研究の受け入れ金額を第五期科学技術基本計画の期間中に五割増加するということを基本計画の中に掲げておりまして、これをしっかり実現してまいりたいと考えております。

岩田委員 産学官の連携についてはまた後ほど質問で触れたいと思いますけれども、特にここでは、先ほど御答弁をいただきましたように、民間の資金というものをしっかりと活用していく、このことをぜひお願いしたいというように思います。

 次に、ここから特定国立研究開発法人の法案について幾つか質問してまいります。

 本法案は、国際競争力強化のため、国立研究開発法人の中でも世界水準で競争できるトップレベルの実績を持つ法人を特定国立研究開発法人と位置づけ、世界最高水準の研究開発成果をつくり出し、かつ、その普及や活用をするための業務運営に関するさまざまな特例を講ずるとされています。

 この点、平成二十七年十二月に総合科学技術・イノベーション会議にて決定された「特定国立研究開発法人(仮称)の考え方について《改訂》」におきまして、理化学研究所、産業技術総合研究所、物質・材料研究機構の三法人が特定国立研究開発法人として選定されました。

 さまざまな観点から検討された結果だと思いますが、なぜこの三法人が選ばれたのか、その優位性について、検討のあり方も踏まえて、具体的に説明をいただきたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたように、昨年の十二月に総合科学技術・イノベーション会議において決定されました特定国立研究開発法人の考え方、改訂におきまして、選定の基準、考え方を示しております。

 二つのカテゴリーに分けて選定をいたしておりまして、学術論文の被引用数や国際特許の出願件数などの国際ランキングをもとにしまして、一つは、世界水準で総合力にすぐれた法人として理化学研究所と産業技術総合研究所、また、日本が強い分野で卓越した法人として物質・材料研究機構を対象法人候補といたしました。

 具体的には、総合的な研究機関の選定に当たりましては、論文の被引用数の世界ランキングの総合順位が上位二十位程度までに位置するもの、それから論文の被引用数の研究分野別の世界ランキングが三分野以上で百位程度以内に入るものという要件を理研と産総研が満たすことを確認いたしました。

 また、特定分野で卓越した研究機関の選定に当たりましては、論文の被引用数の研究分野別の世界ランキングが一分野で十位程度以内に入るものという要件を物材機構が満たすことを確認いたしました。

 加えて、研究成果の実用化の観点から、国際特許出願件数の世界ランキングが上位二十位程度までに位置することという要件も加えまして、産総研、理研、物材機構、それぞれが要件を満たすことを確認いたしました。

 このほか、成果の社会経済への貢献に向けた取り組みであるとか、多様ですぐれた人的資源や成果最大化のための体制を備えていることについてもあわせて考慮した結果、特定国立研究開発法人として選定をしたということでございます。

岩田委員 この法案によりまして特定法人が世界レベルで競争するための環境整備がなされるわけでありますが、この特定法人だけが頑張るというものではなくて、日本の科学技術に関するあらゆる組織や個人などが一丸となって強力に推進をしていく、それが重要だというふうに考えます。

 まず、国立研究開発法人におきましても、特定となる法人以外で二十四法人あるわけですから、これらと連携した取り組みを進める必要もありますし、そしてまた産官学の連携、この言葉のもとで、さきに質問しました共同研究を初めさらに高いレベルでの連携を期待するところであります。

 大企業、中小・ベンチャー企業、大学、国立研究開発法人等の公的研究機関にそれぞれ存在するイノベーションに必要な人材、知識や技術、資金などは、相互に連携をしてフル活用していただきたいということであります。

 我が国が一丸となって科学技術イノベーションをさらに強力に推進していくための体制についてどのように考えているのか、その中で総合科学技術・イノベーション会議と特定国立研究開発法人が果たす役割はどうなっているのか、ここも含めて説明をいただきたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘がございましたように、イノベーションを起こすためには、分野や組織の壁を越えまして、多様な人材が出会って切磋琢磨していくということが不可欠でございます。

 このため、大企業にとどまらず中小企業やベンチャー企業、大学、公的研究機関といった各種主体がそれぞれの強みを連携、融合させて、相乗効果を生み出しやすい仕組みや環境を構築していくということが重要であろうかと思っております。

 こうしたイノベーションを生み出しやすい仕組みや環境を構築するためには、分野間や組織間の交流の障壁となっている諸制度や組織文化の違いを乗り越えて、柔軟な制度運用によって相互の触発を促進していく、そういうことが求められているかと思います。

 特定国立研究開発法人は、総合科学技術・イノベーション会議の定める基本方針に沿いまして、複数の機関が共同で研究開発を進めるオープンイノベーションを促進するということになっておりますが、そのためには研究開発活動の迅速化や柔軟性の確保が不可欠でございまして、これらを阻害している隘路の解消を図ってまいりたいと思います。

 さらに、基礎研究のみならず実用化を見据えまして、民間や大学のみでは対応できない研究開発を加速させられるイノベーションシステムの構築に向けて政府一体となって取り組みを強化していきたい、こういうふうに考えております。

岩田委員 時間の関係もありますので、ちょっと駆け足に質問を進めていくことをお許しいただきたいと思います。

 先ほど御答弁の中でもいただきました若手研究者の育成、確保について質問していきたいと思います。

 今回、特定法人が世界的にトップレベルの研究者を獲得する、こういうふうな方針、それができる制度もできたわけでございますけれども、それだけでは日本の科学技術イノベーションが将来にわたって安泰だと言えるわけではないというふうに思います。

 答弁にもありましたように、若手研究者をどれだけしっかりと育成、確保することができるのか、これは国の大事な方針として位置づけるべきだと考えます。

 ことしの三月に開催されました自民党の党大会のゲストスピーカーにノーベル賞受賞者の梶田先生がお越しになったわけでありますが、恐らく大臣もお話を聞かれたと思いますけれども、そこでも、テーマは自由ですよという中であえて先生が触れられたのが、まさに若手研究者の現状と待遇改善についてというふうな内容であったわけでございます。

 この点について、我が国の研究開発を担っていく若手研究者の育成、確保について、現在の課題認識と今後の取り組みについてお伺いします。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 科学技術イノベーションの重要な担い手は、若手研究者でございます。イノベーションを創出して我が国の持続的発展を支えていく上で、その活躍は不可欠でございます。

 一方で、今御指摘がございましたように、若手研究者のキャリアパスが不透明で雇用が不安定な状況にあって、自立的に研究を行う環境も十分に整備されていない、こういう御指摘がございます。

 このため、科学技術基本計画におきましては、若手研究者のキャリアパスを明確化するとともに、キャリアの段階に応じて高い能力と意欲を最大限発揮できる、そういう環境を整備していきたいと考えております。その一つとして、本年度から卓越研究員制度という新しい仕組みを創設いたしまして、若手支援の強化を図ることとしております。

 今後とも、我が国の科学技術イノベーション力を持続的に確保していくため、若手研究者の育成と活躍促進に向けて、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

岩田委員 ぜひこの特定法人には頑張っていただきたいと思いますが、ここでちょっとあえて一つ聞いておかなければならないのは、いわゆる理化学研究所におけるSTAP細胞問題であります。

 理化学研究所は我が国を代表する研究機関であって、その科学技術の水準の高さに関しては疑うところはないわけでありますが、国の科学技術イノベーション政策推進において重要な役割を担っていただくためには、単に技術力だけではなく、組織ガバナンス、コンプライアンスなど、国民の信頼を得るに足る体制がなければならないということを改めて申し上げておきます。

 問題が明るみになって約二年が経過するところでありますが、この問題を受けての理研改革について、現在の取り組みを簡潔にお答えいただきたいと思います。

生川政府参考人 STAP細胞問題を受けまして、理化学研究所におきましては、外部の有識者から成る研究不正再発防止のための改革委員会の提言を踏まえ、平成二十六年八月に理研改革に関するアクションプランという計画を策定し、改革に取り組んできたところでございます。

 具体的には、過半数の外部有識者から成る経営戦略会議の設置等による経営への外部の目を入れる仕組みの構築、研究不正の防止を実効あるものとするための研究コンプライアンス本部の設置、実験データの記録、管理方法の点検や研究倫理教育を徹底するための研究倫理教育責任者の設置などに取り組み、ガバナンス改革や研究不正の再発防止策を進めてきたところでございます。

 これらの改革の実施状況につきましては、外部有識者委員会であります運営・改革モニタリング委員会において確認、検討され、昨年三月の時点で、理研改革に道筋がついたとの評価をいただいたところでございます。また、文部科学省としても、独立行政法人通則法上の業務実績評価において、理研の改革について着実に取り組みが進められているということを確認いたしております。

 今後も引き続き理研の全役職員が一丸となって改革の取り組みを継続し、取り組みの実効性を高めていくことが重要であるというふうに考えております。また、文部科学省としてもしっかりとフォローアップをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

岩田委員 時間でありますので、最後に大臣に決意を伺いたいと思います。

 この法案によって体制強化が図られるわけでありますが、今後の科学技術イノベーション政策の推進について、決意を伺います。

島尻国務大臣 安倍内閣が掲げます世界で最もイノベーションに適した国に向けまして、本年一月に閣議決定した第五期科学技術基本計画に基づいて、超スマート社会の実現に向けた取り組み、ソサエティー五・〇を推進することとしております。

 また、この特定国立研究開発法人制度を創設するということによりまして、我が国の成長戦略の一環として、特定国立研究開発法人が我が国のイノベーションシステムを強力に駆動していく中核機関としてオール・ジャパンでの研究開発活動を牽引し、知財、人材、知それから資金の好循環システムを牽引する橋渡し役として我が国全体の成長、競争力の向上に大きな効果を上げることを期待しているところでございます。

岩田委員 質問を終わります。ありがとうございました。

西村委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 おはようございます。公明党の濱村進でございます。

 本日は、特定国立研究開発法人の特措法ということでございますが、まず冒頭に、九州、熊本、大分で起きました地震でお亡くなりになられた皆様の御冥福を心よりお祈りするとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げたい、このように思うところでございます。

 私も兵庫県に住んでおりますが、二十一年前、阪神・淡路大震災のときに非常に多くの皆様がお亡くなりになり、そしてその中で皆さんが必死になって次の生活をしっかりつくっていくということに取り組んでこられたわけでございますが、東日本大震災も含めて、そうした知見が積み重なりつつあるところではございます。しかしながら、これは与野党を問わずしっかりとまた取り組んでいかなければいけないことが数多く残されていると思いますので、しっかりと我々も取り組んでまいるということを冒頭に申し上げて、質問に入りたいと思います。

 きょうは科学技術イノベーションということでございますが、先ほどもございました、日本を世界で最もイノベーションに適した国にしていく、この力強い宣言はしっかりと進めていただきたいし、私もそのために何ができるかというふうに思っておるわけでございます。

 そこで、イノベーションというのは何なんだろう。

 私はずっとずっとこのイノベーションということについては少し研究をしておりまして、まず、三つぐらいの要素があるのかなと。一つには世の中にまだないもの、もう一つには賛否両論があるもの、そして三つ目には実現可能なもの、こういった要素があれば恐らくそれはイノベーションなんだろうというふうに言われていると思っております。

 そういうことから鑑みると、今、日本はまさに、経済成長のためにもしっかりとイノベーションを起こしていかなければいけない、そういう環境にあるわけでございまして、そのための科学技術のイノベーションというのは非常に大事で、どうやってビジネスに反映していくかというところに落とし込むのもすごく大事なんですが、そのためには核となる要素技術あるいは基礎研究、こうしたところがしっかりと足元として存在しなければいけない。この足元をしっかりと推進していくという意味で、今回の特措法は非常に重要であるというふうに思っておるわけでございます。

 この二十八年度から第五期の科学技術基本計画が開始されました。この推進に当たりまして、特定国立研究開発法人には科学技術イノベーション政策の中でどのような役割を果たしていくことが期待されるのか、大臣にお伺いできればと思います。

島尻国務大臣 第五期科学技術基本計画では、世界的にオープンイノベーションの取り組みが進みつつある中で、国内外の人材そして知、資金を活用して新たな価値の創出とその社会実装を迅速に進めていくことが国の競争力を左右するという考えに立ちまして、世界を先導できる我が国発のイノベーションが次々と生み出されるシステムの構築を戦略的に進めることとしております。

 このシステムを構築していく上で、特定国立研究開発法人は、みずから世界最高水準の研究開発成果を創出いたしまして新たなイノベーションの種を持続的に生み出すということとともに、産学官の人材、研究、資金等の結集する場を構築し、産学官の橋渡し機能を発揮するということでイノベーションシステム全体を牽引していく中核機関としての役割を果たすことが期待されていると考えております。

濱村委員 オープンイノベーションを促進し、そしてそれを担う人材をしっかりと育成していく、非常に大事な取り組みであるというふうに認識いたしました。

 その上で、この法案では日本再興戦略や科学技術基本計画などの国家戦略との連動性を向上させるとしているわけでございますが、今後策定される基本方針においては特定国立研発法人に対してどのような方向づけをしようと考えているのか、確認をしたいと思います。

森本政府参考人 お答えいたします。

 特定国立研究開発法人における研究開発等につきましては、第五期科学技術基本計画等の国家戦略の実現のため、我が国全体の科学技術イノベーション政策の司令塔である総合科学技術・イノベーション会議の方針のもとに、政府全体で取り組んでいくことが必要でございます。

 そのため、この法案におきましては、特定国立研究開発法人は、国家戦略との連動性を高めて我が国の科学技術水準の著しい向上を図り、国際的な産業競争力の強化を実現するため、三法人に共通の指針としまして、政府全体としての基本方針を定めることとしております。その内容といたしましては、法律において、研究開発等の促進の意義や基本的な方向、政府が講ずべき措置、法人の体制整備等を盛り込むこととされています。

 今後、政府において検討した後、閣議決定を行う予定でございますが、例えば合理的で迅速な調達など、研究開発等の実施の円滑化のために政府が講ずべき措置であるとか、我が国の競争力強化に向けた、特定国立研究開発法人を中心とした大学や産業界等との連携による研究開発等を促進するための環境整備などについて言及することを想定しております。

 これらは、基本方針のもとに定められる中長期目標が主務大臣によって定められますが、これを通じて特定国立研究開発法人に対して具体的に効力を発揮する、こういうことになります。

 よろしくお願いします。

濱村委員 推進体制という意味では、しっかりとこれを社会実装していくという部分にまで目をぜひ向けていただきたいというふうに思うわけでございますが、日本の産業の国際競争力の強化という点では、特定国立研究開発法人だけではなくて、大学や産業界の行う研究開発も重要な役割を果たしているわけでございます。これらの関係者の皆様としっかりと連携しながら、分野とかセクター間の枠を超えて密接な連携や適切な役割分担を図ることによってオール・ジャパンで世界トップレベルの研究開発成果を生み出すことがイノベーションの実現だというふうに考えております。

 その中で、特定国立研究開発法人は、みずから世界最高水準の研究開発を行いながら、大学と産業界のハブとして産学連携の中心的な役割を担うことを期待しているんですけれども、大臣の見解をお伺いできればと思います。

島尻国務大臣 まさに委員の御指摘のように、民間企業、大学そして国立研究開発法人との共同研究の促進といった産学官連携活動の強化は大変重要だというふうに考えています。

 グローバル競争が激化をし、知識や技術の全てを個人や一つの組織で生み出すということが困難となっている中で、企業において、組織外の知識や技術を積極的に取り込むオープンイノベーションの推進というものが求められております。

 特定国立研究開発法人が産学官連携の中心的な役割を担って、大学と産業界をつなぐ橋渡し機能の強化、そして国内外のすぐれた研究者の結集、さらにはクロスアポイントメント制度などによるセクター間の人材交流を推進することによってイノベーションシステムを強力に駆動できるように、積極的に取り組んでいきたいと考えています。

濱村委員 ありがとうございます。

 先ほど岩田先生からも少し質問があったんですが、なぜこの三法人なんだというような話がございました。特定とついていない国立研究開発法人もあるわけでございまして、少しちょっと先ほどの話ともかぶりますが、この三つの法人についての妥当性については先ほどありました。一方で、この三法人以外についてはなぜ指定しないのかというところについてもちょっと確認したいなと思うんですね。

 なぜかといいますと、例えば、オープンイノベーションという意味では情報通信研究機構、NICT、こうしたところも、例えば音声翻訳技術とかは非常に普及をしていますし、そしてまたスマートフォンとかでもその技術が活用されているという状況もございます。あるいは、宇宙航空研究開発機構、JAXAについても、本当に今、衛星も飛ばし、しっかりと結果を出しているわけでございますが、なぜ対象に入らなかったんだろうというふうにも思ったりはするわけでございます。

 その点をちょっと、どういう理由があるのか、確認させていただければと思います。

森本政府参考人 御指摘いただきましたように、特定国立研究開発法人制度は、我が国の科学技術イノベーションが世界と競争するに当たりまして、世界最高水準の実績と実力を持った極力少数の法人にまず対象を絞った上で、いわば特区的に新たなルールのもとで運営することによって、イノベーションを阻害している隘路の特定や解消を図っていこう、こういうアプローチをとったものでございます。

 もとよりイノベーションは関係者が総がかりで実現するものでございますので、民間企業、大学、国立研究開発法人が人材や知恵を結集して初めて世界に伍するような研究開発ができるようになるのは、御指摘のとおりでございます。

 論文の被引用数や国際特許出願の件数を基準としておりますけれども、これを基準として選定された対象三法人が牽引役となりまして、ほかの機関と連携して相乗効果を生み出して全体のイノベーションの仕組みを強化していきたい、こういうことを考えてございます。

濱村委員 わかりました。恐らく、これを特区的にしっかりとやって成果を出して、その上でさらに力強く推進していくということであろうかというふうに思います。

 そういった一方で、今ある国立研究開発法人についてお伺いしたいんです。

 調達の柔軟化とかクロスアポイントメント制度の普及については、普通の、要は特定とつかない一般の国立研究開発法人にもしっかりと適用させていっていただきたいというふうに思うわけでございますが、この普通の国立研究開発法人に対する制度的隘路の解消に向けては具体的にどのような貢献が可能になるのか、御確認させていただきます。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げました科学技術イノベーションの創出には、すぐれた人材の確保が不可欠であります。委員御指摘のとおり、クロスアポイントメント制度を最大限に活用して、大学と産業界等との間の垣根を低くして、相互の人材交流によって連携を強化して研究開発等を促進することが極めて重要ではないかと考えております。

 また、特に産業界との協力を進める上で、激しい国際競争の環境下におきましては、研究開発に必要な資機材について合理的な迅速な調達を行うことが死命を制することになるというふうに認識しております。このため、合理的な調達を実現し、スピード感あふれる研究開発等を推進することが不可欠であろうかと思います。

 それで、ほかの研究開発法人との関係でございますが、今般、内閣府に新たに国立研究開発法人イノベーション戦略会議という組織を設けました。これは、研究開発の現場における直面する課題を吸い上げまして、制度面、運用面から情報収集をしたり、あるいは関係機関への働きかけを行ったりして、まず特定国立研究開発法人において先行的に新しいルールの適用を行って、その後ほかの法人にも広げていく、こういうことで制度の運用面における改善に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

濱村委員 国立研究開発法人イノベーション戦略会議をしっかりと推し進めていただきたいと思いますが、人材を垣根なく活用していくということは非常に大事で、そういう意味では、私は、いわゆる兼業禁止規定、そういうのはなくしていったりとか、あるいはコワークする体制づくり、こうしたものを非常に強く進めるべきだというふうに従来より訴えておりますので、ぜひそういった点も含めて措置をしていただきたい、このように思うところでございます。

 最後に、人材育成についてお伺いしたいと思います。

 世界最高水準の成果を創出するということでございますので、世界トップレベルの研究開発を担うことができる人材を確保していかなければいけない。そうなりますと、研究者の皆さんというのは、世界最高といいながらも、給与に関しては、果たしてそれに見合ったものを提供できているのであろうかというような話もございます。

 実はこの法案では研究者の給与に対しては特例が盛り込まれているわけでございますが、卓越した人材、研究者がしっかりと集えるような拠点にしていくことがこれで可能になるのかなというふうにも思うわけでございます。そうはいっても、現行制度の中においても法人が自主的に定めることが可能になっているわけでございますので、現行制度と比較しても、この法案で特例を置く意味というところはどういった点にあるのか、確認をしたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度におきましては、独立行政法人の給与等の支給の基準は、国家公務員、民間企業の給与等、法人の業務実績や職員の職務の特性及び雇用形態その他の事情を考慮するということになっております。これは、国内の水準を念頭に置きまして給与等を考慮するということが含意されているのではないかと認識しております。

 他方で、世界最高水準の研究開発成果を創出してその普及、活用を促進するという観点からは、国際的に卓越した能力を有する人材が必要不可欠となります。このため、国際水準の報酬、給与等の支給が求められているところでございます。

 世界的な人材獲得競争に打ちかつため、この法律におきまして規定を明確化いたしまして、給与を初めとした処遇面の改善を図って、国際的に卓越した人材の受け入れ環境を整備することによってすぐれた人材を確保しやすくしようということを特例として定めているものでございます。

 このことによりまして、研究開発に係る国際的な頭脳循環に対応して報酬、給与等において必要な措置をとることができることが明確となって、国民、社会に対する説明責任も、法令上の根拠を用いて明確な形で行うことができるようになると考えております。

濱村委員 最後に、リサーチアドミニストレーターについてお伺いしたいと思います。

 私は、研究者はどちらかというとやはりI型人材なのかなと思うんですが、リサーチアドミニストレーターというのはT型人材なのかなというふうにも思ったりするわけでございます。

 私自身もT型人材を育成するような大学の学部を卒業しておりますので、こうした分野を充実させていくのは非常に大事だというふうに思っておるわけでございますが、リサーチアドミニストレーターについても、今回さまざま位置づけられているというわけでございます。

 国家戦略との連動性を高めて研究開発の成果の創出、普及、活用の促進を図るということに目的がされているわけでございますが、多様な人材育成や活用について本制度が整備されるということで、リサーチアドミニストレーターの育成、活用についてはどのような効果が期待されるのか、確認したいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 イノベーションを起こしていく上におきまして、研究開発機関におきまして高度な知の創出と社会実装を推進するために、研究開発プロジェクトの企画とか管理を担ういわゆるプログラムマネジャーであるとか、研究活動全体のマネジメントをしようとするリサーチアドミニストレーター、さらには技術移転の人材や大学の経営の人材といった多様な人材が必要となってまいります。

 そのため、特定国立研究開発法人制度におきましては、研究者はもちろんのことでございますが、これらの研究支援人材、イノベーションを担う人材につきましても、報酬、給与の支給基準を定める際に、国際的に卓越した能力を有する人材を確保する必要性を考慮することができるようになります。

 この制度の整備を通じまして、国際的に卓越した多様な人材が高度な専門性を生かしながら適材適所で能力を発揮できる、そういう環境の整備が可能となって、世界最高水準の研究開発成果の創出、普及、活用、こういったものが期待できるのではないかと考えております。

濱村委員 大いなる期待を申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

西村委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 おおさか維新の会の河野正美でございます。

 十五分間の時間でありますので、早速質問に入りたいと思います。

 質問をたくさん用意しておりますので、どこまで行けるかわかりませんが、頑張ってやってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 独立行政法人を創設することが決まったのは、一九九八年、平成十年六月の中央省庁等改革基本法制定にさかのぼるのかなと思います。その後、いろいろ議論がなされてきたというふうに思いますが、研究開発業務に見合った法人のあり方などについてどのような議論が行われてきたのか、政府の見解を伺いたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人制度は、中央省庁等改革の柱の一つとして平成九年十二月の行政改革会議の最終報告におきまして提言が行われ、この提言に基づいて創設された制度でございます。

 その制度の趣旨は、行政機能の減量、効率化等のため、国立の試験研究機関、美術館、病院など、一定の要件を満たすものを国とは別の法人格を持つ法人として設立し、当該法人に当該事務及び事業を担わせることで業務の効率性等の向上を図るということにあったと承知しております。

 行政改革会議の最終報告書では、独立行政法人化の検討に当たりまして、各業務類型ごとに留意すべき点が掲げられておりまして、試験研究につきましては、「直接行政活動に携わるなど特別な業務に当たるもの及び政策研究機関を除き、原則として独立行政法人化を図る。その際、可能な限り統廃合を進める。」、それから、独立行政法人化に当たりましては、「研究機関間で柔軟な資源配分等を図る必要性等を勘案し、複数機関を括り法人格を付与することを検討する。」といった点が掲げられていたと承知しております。

河野(正)委員 見直しをしてこられた中で、独立行政法人の運営が始まった後に、研究開発にかかわる独立行政法人の運営に問題が生じてきたというようなことから、こういった新たな制度をつくっていこうということだと思いますが、その経緯についてもお聞かせいただきたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 科学技術イノベーションを推進するに当たりまして、我が国全体の研究開発力の強化を図るために、超党派の議員立法によりまして、平成二十年に研究開発力強化法が成立いたしました。また、平成二十五年に、我が国の研究開発力をさらに強化してイノベーションの創出を図るために、研究開発力強化法が議員立法で改正されまして、研究開発を行う法人が世界最高水準の成果を創出するために、政府が必要な法制上の措置を講ずるものとする旨の規定が新たに追加されたところでございます。

 この背景といたしまして、独立行政法人制度の中では、給与面での制約があって優秀な人材の確保が難しいであるとか、調達の観点からの課題があるとか、こういう研究開発の現場が直面する課題を解決して、世界最高水準の研究開発等を行って最大の成果を創出するための運営を行うことを可能とする、そういう新たな制度の創設に向けた規定が盛り込まれたものだと承知しております。

河野(正)委員 今御答弁いただきましたように、研究開発力強化法等々によっていろいろ議論がされてきたんだというふうに思います。

 これまでの議論の経過を踏まえて、組織のあり方の議論にこれぐらいかなり時間がかかってきたということでありますが、なぜ時間がかかってきたのか、政府としての認識を伺いたいと思います。

森本政府参考人 独立行政法人通則法に規定されます国立研究開発法人、これが今制度として確立されているわけでございますが、研究開発の特性を考慮して研究開発成果の最大化を第一目的とする法人として、ほかの独立行政法人とは違うものとして類型化が行われました。

 さらに、国立研究開発法人のうち、国家戦略に基づいて世界トップレベルの成果を生み出すことが期待される法人については、国と法人が一体となって科学技術イノベーション政策に取り組んでいくということで、新しい特定国立研究開発法人制度を創設しようということで今回法案を提出させていただいている次第でございます。

河野(正)委員 本法案では、独立行政法人制度のもと、今お話があった特定研究開発法人という枠組みを新たに設けるということであります。

 議論の過程で、例えば平成二十五年十一月に出された「成長戦略のための新たな研究開発法人制度について」という研究開発法人制度創設に関する有識者懇談会報告書では、独立行政法人制度とは異なる新たな法制度を創設すべきという意見が出されています。

 独立行政法人制度のもとに位置づけることについて賛否両論あったのだと思いますが、なぜ独立行政法人制度に置くこととなったのか、お聞かせください。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、研究開発型の法人の扱いでございますけれども、法人の長のリーダーシップのもとで自主的、戦略的な運営を行うようにすることが必要だろう。それから、ミッションとしましては、研究開発成果を最大化していくというミッションがございます。

 こういったものを実現していくためには、国からまず使途が特定されないような資金を得ることは有用だろう、それから、複数年度にわたって繰り越しが行えるような仕組みというのも非常に有用であろうということで、中期目標管理型の運営費交付金制度の仕組みを導入している独立行政法人制度というものが最適な枠組みであるという結論に至りまして、独立行政法人の一類型としまして、国立研究開発法人として位置づけているものでございます。

 その中で、特定国立研究開発法人制度といいますのは、国立研究開発法人制度のうちで特に世界トップレベルの成果を生み出すことが期待される法人ということでございますけれども、これにつきましても、やはり国の科学技術政策に係る研究開発を実施する機関だということで、運営の透明性とかガバナンス、PDCAサイクルなど、こういったものが必要でございます。

 ということからいたしますと、特定国立研究開発法人につきましても、独法制度の基本的な仕組みであります目標管理とか運営費交付金、ガバナンスといったものを適用させた上で、さらに特例措置ということで、大臣の強い関与など特別の措置を講じていく、こういったつくりにしたものでございます。

河野(正)委員 問題は、独立行政法人とされた研究開発組織をどうするかということではなくて、我が国の科学技術政策の目標、理念のもと、国としてはどのような組織を設けることが必要なのか、そうした議論だと思います。

 我が国の科学技術力を高め、イノベーションを進めていくために設けられる特定研究開発法人という新たな枠組みがふさわしいと考える理由について、島尻大臣の見解を伺いたいと思います。

島尻国務大臣 第五期の科学技術基本計画におきましては、世界的なオープンイノベーションの取り組みが進みつつある中で、国内外の人材、知そして資金を活用して新たな価値の創出とその社会実装を迅速に進めていくということが国の競争力を左右するという考えに立ちまして、世界を先導できる我が国発のイノベーションが次々と生み出されるシステムの構築を戦略的に進めることとしております。

 その中で、特定国立研究開発法人制度の意義については、世界最高水準の研究開発成果が創出されて新たなイノベーションの種を持続的に生み出すとともに、産学官の人材、研究そして資金などの結集する場を構築して橋渡し機能が発揮されて、イノベーションシステム全体を牽引する中核機関を創設するということで、我が国の科学技術イノベーションシステムの改革を実現するというところにございます。

 本制度の創設によりまして我が国の研究開発力の強化が図られて、世界で最もイノベーションに適した国の実現に向けて、人材、知、資金の好循環の仕組みが強化されるということを期待しているところであります。

河野(正)委員 医療分野について若干お聞きしたいと思います。

 我が国の今後の成長戦略を考えていく上で、医療関連分野は大きなポテンシャルを持っているというふうに思っております。特定研究開発法人として指定される理化学研究所が医療分野の研究の最先端を担っていることは理解できますが、医療にかかわる研究開発法人は、平成二十七年に新設された日本医療研究開発機構や六つのナショナルセンターなど、多岐にわたるかと思います。

 医療分野の研究や技術開発力を高めるためには、現状のように研究開発法人にとどめるのがよいのでしょうか。むしろ、特定研究開発法人に位置づけることで、より医療分野の研究開発力を高めるのではないかと思いますが、政府の見解を伺いたいと思います。

森本政府参考人 医療分野は、健康長寿社会の実現に向けて非常に重要な分野であるということを認識しております。

 その中で、日本医療研究開発機構につきましては、研究資金の配分機関、いわゆるファンディングエージェンシーでございますので、理研とか産総研のような、みずから創造的業務を実施する研究機関とは少し性格を異にしております。そういう意味で、今回は、創造的業務をみずから生み出す、そういう機関を対象として選定をしたということでございます。

 それで、論文とか特許とかさまざまな指標に照らしまして、こういう分野、これから世界情勢も変わりますし、それから分野の重要性、こういったものも推移していくと思いますので、今後、この法律の施行後適当な時期に、施行状況を勘案して、対象法人の範囲を含めて、制度のあり方について検討を加えて、必要な措置を講ずるということを附則にうたっておりますので、御指摘の点も含めて、改めて検討してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 医療分野では多くの研究開発法人が存在します。

 本法案が成立した後に、医療分野の研究開発力を高めイノベーションを進めるための研究開発組織のあり方についてどのような課題があるのか、政府の見解を伺いたいと思います。

大島政府参考人 医療研究分野の研究開発につきまして、御指摘いただきましたとおり、理研ですとか六ナショセンなど国立の研究開発法人もございます。加えて、大学、民間機関などの研究機関もありまして、多岐にわたっております。

 こうした中、これまでは文科省、厚労省、経産省、ばらばらに研究開発を助成してきておりまして、基礎から実用化まで切れ目なく支援するという体制ができていないという課題がございました。

 このため、一昨年、健康・医療戦略推進法等を整備いたしまして、内閣を司令塔として、総理を本部長とする健康・医療戦略推進本部を設置しました。それから、同本部で決定した医療分野研究開発推進計画というのをつくりまして、これに基づいて研究開発を戦略的に推進することとしております。

 昨年四月には、日本医療研究開発機構、AMEDと呼んでおりますが、を設立いたしまして、国の研究費を集約して、基礎から実用化まで切れ目ない研究体制を一体的に行う体制をつくったところでございます。

 こうした新しい推進体制ができましたので、今後の課題としましては、このAMEDを中心に他の研究機関ともしっかり連携しながら、我が国発の医薬品あるいは医療機器の研究開発を進め、成果を実際に出していくということが課題であると考えております。

河野(正)委員 私も大学院に行かせていただいて、僕は医学部でしたので、患者さんを診ながら、そのデータをとっていろいろな研究をしてきましたし、また、動物実験をされる先生とかをたくさん見てまいりました。そういった中で、やはり若手の研究者の育成というのが大事であるなというふうに思うわけでございます。

 さまざまな制度、奨励金等がありまして、今年度から卓越研究員制度というのもあって、制度の改善充実は進んでいるとは理解しておりますけれども、若手研究者にとって厳しい環境であることは変わらないと思います。

 本法案では、特定研究開発法人の長が多額の報酬を受けられるというようになります。海外からいわばスタープレーヤーを招くことも重要であるということで、それは否定しません。

 しかし、我が国の若手研究者の置かれた研究環境をより充実させることも、我が国の研究人材の土台を上げてしっかりとした土壌をつくっていくということで必要だと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

島尻国務大臣 委員御指摘のように、まさに科学技術イノベーションの重要な担い手というのは若手研究者でございまして、イノベーションを創出して我が国の持続的な発展を支えていくという上で、その思い切った活躍を後押ししていくということが不可欠であると考えております。

 このため、第五期科学技術基本計画におきましては、テニュアトラック制度の導入の促進を初め、若手研究者のキャリアパスを明確化するとともに、キャリアの段階に応じて高い能力と意欲を最大限発揮できる環境を整備していくこととしております。

 御披露いただきました卓越研究員制度の創設も含めまして、本年度から若手支援の強化を図ろうというふうに思っております。

 今後とも、我が国の科学技術イノベーション力を持続的に確保していくために、若手研究者の育成と活躍の促進に向けて、各省と連携して取り組んでいきたいと考えています。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 将来世代が希望を持って研究に励めるようにしっかりとやっていっていただきたいと思います。

 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

西村委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民進党の後藤祐一でございます。

 きょうは、松本副大臣と酒井政務官は災害の担当と科学技術の担当が重なっていて、当然、熊本地震の対応ということで、そちらに専念いただくということではないかと思いますので、島尻大臣、いろいろと、本来は副大臣、政務官が答弁するようなことも大臣にお願いすることがあると思いますが、よろしくお願いいたします。

 条文に即して幾つかお伺いしたいと思います。

 まず、七条、主務大臣の要求という規定がございます。

 これは、特定国立研究開発法人に対して、内外の情勢に著しい変化が生じた場合に、こういったことをやってくださいということを求めることができるとありますが、これは、こういう分野についての研究をしなさいということはやっていただいていいと思うんですけれども、例えば、こういう分野の研究をしなさい、ついては、こういう分野は撤退しなさいとか、この組織とかこの予算はやめなさいとか、そういったことまでこの措置要求で、七条で認めることになってしまうと、独立行政法人制度のまさに自律性という根幹にかかわってしまうと思うんですね。

 この七条で措置を求めることができる対象を限定すべきだと思うんです。ここに書いてあるように、「著しい変化が生じた場合」だとか「迅速に行うことが必要である」といった条文に書いてあることはわかるんですが、こういう分野の研究をしなさいというのはやっていいと思うんですけれども、逆に、こういうのをやめなさいとか、そういったネガティブな方の要求というのはしてはならないというふうに理解してよろしいでしょうか。

 この七条の制約、こういったことはやってはいけないということについての基準を具体的に示していただきたいと思います、島尻大臣。

島尻国務大臣 今の御質問は、七条の措置要求を定める趣旨についてのことというふうに思っております。

 法人の活動を規定している、今の研究の内容いかんもこの中に含まれるというふうに思いますけれども、中長期目標及び計画の変更については、各省の研究開発に関する審議会の意見を聞くなどの手続を経ることによって通例三カ月以上かかる、時間がかかるということでございまして、国内外で画期的な成果が創出された場合など国内外の情勢に大きな変化が生じた場合に、即時に対応することが難しいというふうに考えております。

 このような場合等におきまして、主務大臣が法人に対して迅速な対応を要求することで、その成果の創出、普及、そして活用に遅滞なく取り組んで、世界に先駆けた実用化が可能となるというふうに考えているところでございます。

後藤(祐)委員 そういう趣旨はわかっているんですが、その上で、だから、こういう分野のことをほかの国におくれないでやってくださいというのはやっていただいていいんです、七条に基づいて。

 ですが、資源は有限ですから、ついては、こっちはやめなさいとか、ここの人は首にしなさいとか、この組織は廃止しなさいとかというのはやってはまずいんじゃないんですか。そういうことはしないということを約束していただけますか。

島尻国務大臣 独立行政法人通則法第三条において、法人の自主性が十分に配慮されなければならないとされているほか、本法案によりまして、研究開発等の特性への配慮というものが定められております。

 これにより、主務大臣は、独立行政法人の自主性及び研究開発等の特性を損ねない範囲でのみ措置要求を行うことができるとされております。

後藤(祐)委員 これは通告してあるので、ちゃんと答えていただきたいんですが、そんなことができると、独法通則法そのものがおかしなことになってしまいます。

 こういったことを研究としてやってほしい、ついては、こっちはやめなさいとか、この予算は廃止しますとか。いや、中期目標を変えるときにそういったやり方があるのはもちろんなんですよ。でも、これは突然何か急ぐ場合の話ですよね。急いでこれをやらなきゃいけないといったときに、新たに追加するのはいいんですよ。ですが、ついては、あなたは首ですとか、ここの組織はやめなさいとかというのは、それはやっちゃいけないでしょう。そこはちょっと明確に言ってくださいよ、大臣。

島尻国務大臣 本法案は、特定国立研究開発法人による研究開発等を促進するということを目的としていることから、研究開発成果の創出、普及、活用に関する措置のみが要求可能であるということでございます。

後藤(祐)委員 ちょっと中途半端ですが、これは通告してありますからね。そんなことまでできてしまうとすると、この七条はすごくオールマイティーな規定になってしまって、大変懸念をいたします。

 何か、もうちょっとはっきり言えるところはありますか、事務方。はっきりしたことを言えないんだったら、やめてください。では、はっきりしたことが言えるなら。

中川政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの措置要求を行う際の要件としては、本法案第七条の規定において、迅速に行うことが必要であると認めるときでなければならない旨が明記されております。いわゆる緊急時のみに当該規定による措置要求が行われる、この趣旨にのっとってですね、ものが明記されているところでございます。

後藤(祐)委員 はっきりしたことが言えると言うから答弁をお願いしたんですが、これということは。

 ということは、逆に言うと、こういう分野を研究してくださいと七条に基づいてやった場合に、ついては、こっちはやめてくださいとか、あなたは首ですとか、この組織はやめてくださいと言うこともできるということですね。できるのかできないのか、はっきり言ってください。事務方でいいです。

中川政府参考人 繰り返しでございますが、本法案は、特定国立研究開発法人の研究開発等を促進する、このような目的に合致しているものしかやりませんので、研究開発成果の創出、普及、活用に関する措置のみが要求されるというものでございます。

後藤(祐)委員 はっきりは言えないところが、これから、与党の方でもちょっとこれはしっかり詰めていただきたいなと思います。

 続きまして、五条、改善のところに行きたいと思います。

 業務運営の効率化といったことを中長期計画に定めているのが今の独法通則法ですが、今回の特定研発については業務運営の改善及び効率化という形になっております。配付資料の一枚目でございます。

 これについて、改善という言葉は当たり前のことであって、例えば、地方独法は全て改善という言葉が入っています。あるいは国立大学病院でも法律上入っています。ということからすると、特定研発以外の独立行政法人についても、改善というのは本来、もともとあってしかるべきで、入れるべきではないかという中で、これは与党とも議論をしてまいりました。

 まず、改善であって効率化でないもの、つまり、今、一見するとできないように見えるものというのは、現行の独法通則法三十五条の四第二項第五号というところで、「その他業務運営に関する重要事項」というもので全部読めるのでしょうか。

 もうちょっと言うと、今、配付資料で三枚目、四枚目に、効率化と改善のベン図があります。効率化に入らないけれども改善には入るというものは、全て「その他業務運営に関する重要事項」で現行も読めているのでしょうか。まず、それを確認したいと思います、島尻大臣。

島尻国務大臣 国立研究開発法人の業務運営の改善は、独立行政法人通則法第三十五条の四の第二項第三号の「業務運営の効率化に関する事項」または同項第五号の「その他業務運営に関する重要事項」において読むことが可能でございます。

後藤(祐)委員 そうしますと、今回の改善というところを五条でくくり出している部分は、現行で既に可能であった、つまり「その他業務運営に関する重要事項」で読めていたもののみがくくり出された、効率化の方からくくり出された部分もあると思いますが、現行可能なものを確認までにくくり出して規定した確認規定にすぎないのであって、今回の改善が加わったことによって新たに可能になるものはないという理解でよろしいですか。

島尻国務大臣 今回の法案第五条第二項は、特定国立研究開発法人については、中長期目標に業務運営の効率化に関する事項とあわせて改善に関する事項も必ず記載しなければならないこととする法的効果を生ずるものでございます。

 これに対して、他の国立研究開発法人等については、改善に関する事項を記載するということを必ず求められているわけではなく、この点において特定国立研究開発法人とは異なることから、法案の改善に関する事項はいわゆる確認的な規定ということではないということでございます。

後藤(祐)委員 確認規定ではない。つまり、新たに可能になることがあるということですね。現行法では可能ではないけれども、この法改正で可能になるものが概念上あるということですね、島尻大臣。

島尻国務大臣 ですから、今回の法案第五条第二項は、特定国立研究開発法人については、中長期目標に業務運営の効率化に関する事項というものとあわせて改善に関する事項も必ず記載しなければならないこととする法的効果を生ずるものでございます。

後藤(祐)委員 今の法律でできないことで、この法改正によってできることはないということでよろしいですね、今の答弁とは別に。大臣に聞いています。これは全部通告していますから。

西村委員長 ちょっと事務的にまず答えて、その上で大臣に答えてもらいます。

中川政府参考人 ただいま後藤先生から二つの問いがございました。

 まず一つ目は、業務運営の改善について、現行独法通則法で読めるか。これは、「その他業務運営に関する重要事項」あるいは「業務運営の効率化」、どちらかにおいて読むことが可能であると先ほど大臣が答弁申し上げたとおりでございます。

 一方、これが確認規定であるのかという御質問でございました。ここについては、先ほど御答弁申し上げましたように、改善に関する事項について、今回の法律の趣旨に鑑み、必ずそれを記載しなければならないという法的効果を新たに生ずるものでございます。したがいまして、他の国立研究開発法人については、改善に関する事項を記載することを必ず求められているわけではございませんので、この点において特定国立研究開発法人とは異なることから、法案の改善に関するこの事項は、いわゆる確認的な規定ということではございません。

後藤(祐)委員 今の答弁の整理の方がわかりやすいので、最初から、大臣、そういうふうに答弁してくださいよ。

 逆に言うと、改善については必ずしも記載しなくてよい独法と、必ず記載しなきゃいけない地方独法、国立大学病院、そして特定研発という整理だということですよね。

 なぜ改善についてはほかの独法は規定しなくていいんですか。きょうは総務省から政務官にお越しいただいておりますけれども、特定研発以外の国の独法について、改善について中期目標の中に書かなくていい理由は何でしょうか。

古賀大臣政務官 直接のお答えになるかわかりませんが、現行の通則法の規定で、業務運営の改善に関する事項というのが読めるということでありますので、そういう意味では、改善を書かなくていいというか、そこで書けることにはなっております。

後藤(祐)委員 質問に答えていません。

 なぜ書かなくてもいいんですか。

古賀大臣政務官 済みません、質問の御趣旨がいまいちわかりませんが、業務の効率化の中で改善も読めるところもありますし、あるいはその他の業務運営に関する重要事項の中で書けることになっておりますので、そういう意味で、書かなくていいという趣旨がわかりませんが、書けるということでございます。

後藤(祐)委員 特定研発、地方独法、国立大学病院については、改善について書かなきゃいけないという解釈だということは、さっきはっきりしました。しかし、それ以外の国の独法については、その他重要事項で書いてもいいけれども、でも書かなきゃいけないというわけではないという違いだという答弁がありました。

 なぜ、その他の国の独法については、改善について書かなくていいんですか。

古賀大臣政務官 書かなくていいという御表現ですけれども、まず、特定国立研究開発法人においては、国際競争の中で世界最高水準の研究開発の成果を創出して、普及、活用の促進を図るということで、特にその業務運営の改善が求められているところであります。一方で、書かなくていいと委員御指摘されましたけれども、効率化あるいは重要事項の中で各独法が判断をして書くというふうに認識をしております。

後藤(祐)委員 質問に答えていないんですが、こんなところはこだわるところじゃないと思うんですね。現実に、現行既にある中期計画でも、多くの国の独法は書いているんですよ。

 改善についてはうちは知りませんというのは、私は本来あるべき姿じゃないと思っていて、このあたりを、配付資料の二枚目なんですが、私は、独法通則法本体にこの改善をそもそも書くべきではないかということを主張させていただいてまいりました。与党側とも交渉してきて、一定の共通理解に達して、この後修正案として提出をさせていただく予定のものを今、二枚目で配付させていただいております。まだこれはそういう状態のものということを前提に、本日配付資料として認めていただいたものでございますので、まだこれは決まったわけではないんですけれども。

 仮に、第五条の検討規定、つまり、独法通則法の改正そのものを今回の特定研発法の附則か何かで改正するのはちょっと難しいということで、この五条の検討をして、それを受けて独法通則法そのものの改正についてちゃんとやってほしい、二段階でやってほしいということで共通理解に達しているわけでございますが、ちゃんと二段階目をやっていただくことをこの場で確認するというのも、その共通理解の前提、もう一つの条件なんですね。それを今議論させていただいているんです。

 この二枚目の附則の検討、第五条の中で、関連する制度のあり方について検討し、その結果に基づいて、所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずるというふうになっております。これは読みようによっては、特定国立研究開発法人の範囲を含めという言葉が入っているので、三つだけじゃなくて、四つ目、五つ目はどうなんだということを議論するのは大いにやっていただいたらいいと思うんですが、そこにとどまることなく、今申し上げた五条の改善のところについて、独法通則法の中に、国の独法全体について、改善についてもちゃんと規定しなきゃいけないという形にすることも含めて検討して、必要な措置を講じていただくということでよろしいでしょうか。

 これは総務省になるんじゃないでしょうか、担当としては。

古賀大臣政務官 今委員がお話しされましたこの資料の修正案についてでありますけれども、修正案附則の第五条は、特定国立研究開発法人制度の施行の状況を勘案しまして、関連する制度のあり方について検討し、その結果に基づいて、所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずることを法的に明確にしたものと認識しておりまして、その対象として通則法も排除されているものではないというふうに考えております。

 通則法につきましては、平成二十六年に独法の改革の集大成として改正が行われまして、平成二十七年四月から新たな制度がスタートしているところでありますけれども、今後、特定国立研究開発法人制度の施行状況を踏まえた検討の中で何らかの改善すべき点が見出され、これに通則法が関連する場合には、通則法の改正の要否を検討することとなると考えております。

後藤(祐)委員 進歩した回答だと思います。これは、与党の平井理事、中根理事を初めとして、御尽力の中で、当初はそういう考えではなかったと私は理解しておりますが、柔軟に対応していただいた結果の答弁だと理解いたします。

 検討したからいいやではなくて、実際に、政務官は財務省の出身でいらっしゃいますよね、まさに、各独法がきちんと、組織あるいは研究のあり方、あるいはほかの独法も含めて、組織のあり方を改善し続けるというのは当然のことであって、これを一律に規定するということは、これに規定することで誰か困るということは現実にはないことだと思いますので、ぜひ、これを加える方向で検討を進めて、法改正をしていただきたいというふうに思います。

 幾つかそれに関連するものがありまして、給与の特例というのが六条でございます。

 先ほど若干審議であったようですが、今も次官以上の給料というのは制度上は可能になっています。「その他の事情」というところで可能になっていますが、先ほどの答弁ですと、この「その他の事情」というのは、主に国内の給与を念頭に置いたもので、国際的に卓越した人材を採ってくるという意味においては、国際的な水準といったものも云々というような答弁がありましたが、別にこれは、国際的な水準も含めた、国際的な卓越した人材を採るという意味でも、現行制度上、この「その他の事情」で既に可能であるということでよろしいですか。これも通告してありますよ、大臣。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のとおり、ここについては現行法で可能ではございますが、本法案の趣旨は、国際的に卓越した能力を有する人材を確保する必要性、これがほかの国立研究開発法人と比較して、より高いと考えられるため、報酬、給与の支給基準を定める際に考慮すべき事情の代表的な例示として、そうした人材を確保する必要性を特に明示的に規定したものということでございます。

 これにより、特定国立研究開発法人は、研究開発に関する国際的な頭脳循環に対応して国際水準の報酬、給与等を定めることができることが明確となり、国民、社会に対する説明責任も、法令上の根拠を用いて明確な形で行うことができる、こういうものでございます。

後藤(祐)委員 現行でも可能であり、かつ、これを確認的に規定したものだということでございましたが、だとすれば、特定研発に限らず、ほかの研究開発法人であっても当然そうであって、現行も可能であり、そして、これらも認めるべきなんですね。

 ただ、私は、三つの特定研発がそういう国際的に高い人を採ってくるために予算を特につけてあげるというような判断をするのは、それは政府の中の裁量としてやったらいいと思いますよ。ですが、例えば四つ目以下のところで、総枠は余りいじらないけれども、人数が少なくなっても高い人を採りたいということは、当然あってもいいんです。

 ですから、予算制約についての程度問題というのは予算査定方針にすぎないのであって、四つ目以下の研究開発法人だって現行もできるんですから、確認規定として、この六条に当たるものを、独法通則法の中の研究開発法人について、独法通則法の中で規定すべきだと思いますが、これはどっちになるんでしょうか、独法通則法ですから、総務省古賀政務官、お願いします。

古賀大臣政務官 独法通則法についてでありますけれども、五十条の十の第三項で給与の定めがあるところであります。「その他の事情」というところでそういったことが読めるということでありまして、特定国立研究開発法人以外の国立研究開発法人についても、適切に説明責任を果たしていただいた上で、国際的に卓越した能力を有する人材確保の必要性に応じて報酬、給与の水準を設定することは可能だというふうに考えております。

後藤(祐)委員 ですから、それを独法通則法の中で、特定研発以外の研究開発法人についてもきちんと同じような規定を法律上置くべきではありませんかということを聞いています。

古賀大臣政務官 済みません、ちょっと重なる部分もありますが。

 ですから、現行法で読めるということで、あえて通則法を改正して新たに規定を置く必要はないというふうに考えております。

後藤(祐)委員 現行で読めるから規定する必要がないのであれば、この六条も必要ないということになってしまうので、今の答弁は大変問題だと思いますね。

 そういう理由でいいんですか。これはむしろ大臣に聞きます。

島尻国務大臣 この第六条の報酬、給与の特例については、人件費の確保を目的としたものでは必ずしもありませんけれども、特定国立研究開発法人による研究開発等の特性を踏まえて、国際的に卓越した人材を確保する必要性を特に明示的に規定することによって、国際水準に照らして人材獲得に必要な人件費を獲得する必要性も、先ほどおっしゃった予算編成の過程において考慮されるものというふうにも認識をしております。

 また、研究開発に関する国際的な頭脳循環に対応して国際水準の報酬、給与等を定めることができることが明確となり、国民、社会に対する説明責任も、法令上の根拠を用いて明確な形で行うことができるものになります。

 これら二つの理由を勘案いたしまして当該規定を置くものでございまして、頭脳獲得競争における研究開発、現状の裁量が大きく広がるというふうに期待をされます。

 他の国立研究開発法人への展開についても、三法人における経験を踏まえて検討を進めていくということを期待しております。

後藤(祐)委員 予算制約と説明責任の回避なんですね。これはきのう、事務方から説明いただきました。

 要は、物すごく高い給料の方を採っちゃうと、それで結果が出なかったときに、何であんなのを採ったんだとか言われるのを非常にちゅうちょして、だから高い人を採ってこないというのが現実には起きていることで、法律にこれを書くと、そこにちゅうちょなく採れるんだという、これは非常に積極的だと思います。

 予算制約については、三つとその他に多少差があっていいと思うんです。ですが、それは法律に書くことではないと私は思う。説明責任の回避のために法律に書いてあるんだからいいだろうという話は、これは四つ目以降の研究開発法人においても同じであって、差はないんです。

 ですから、これも含めて、先ほどの附則の五条に基づいた検討の中で、説明責任の回避の方であれば差は実は余りない話だと思いますので、政務官、これも含めて積極的な検討をしていただくことをお約束してください。

古賀大臣政務官 この場の委員初め皆様方の御議論、御審議、御指摘を踏まえて、しっかりと検討していきたいと思います。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 時間が短くなってきましたが、あと八条、特性への配慮というところで、配付資料の一枚目の一番下ですが、研究開発等の特性を常に配慮するのが特定研発で、その他の研究開発法人は十分配慮と。十分配慮には入らないけれども、常に配慮になると新たに入ってくる具体的なことというのは何ですか。

 これは、事務的に聞いたときには、ハイリスク・ハイリターン型の研究開発なんかが、常に配慮だったら多少成果が出ていなくても引き続き認められやすいというような説明がありましたけれども、それを言ったら、例えば、相模原というところは私の選挙区なんですが、私の選挙区の隣にJAXAというのがあるんですけれども、「はやぶさ」プロジェクトなんて、あんなものはハイリスク・ハイリターン以外の何物でもないわけです。

 つまり、四つ目以降の研究開発法人にもハイリスク・ハイリターンのものというのはいっぱいあって、そこというのは余り差がないんじゃないか。つまりこれも、研究開発の特性に常に配慮という形は研究開発法人全てにそうすべきだ、独法通則法の改正をすべきだというふうに思いますが、これについて総務政務官の御見解をいただきたいと思います。

古賀大臣政務官 今、後藤委員がお話しされたいわゆるハイリスク・ハイリターン、JAXAもそうだというのは、そういった一面はあるというふうには認識をいたしております。

 しかしながら、この法案につきまして、やはりきっちりと開発法人を定めて、そしてハイリスク・ハイリターンな研究にしっかり挑戦していただこうという趣旨の中で、今回、常に配慮ということの規定を置かせていただいたというふうに認識をいたしております。

後藤(祐)委員 ちょっとよくわかりませんね。

 では、はっきり言いますよ。現行の十分に配慮には入らず、今回の特定研発で常に配慮という言葉が規定されたことで新たに可能になることというのは何ですか。そして、その新たに可能になることは、四つ目以降の研究開発法人でなぜ認めてはいけないんですか。

島尻国務大臣 研究開発の特性に常に配慮する規定が設けられることで、研究開発の重要性や特質がより重視され、業務運営においてこれにふさわしい手法やルールが適用されるということが期待されます。

 例えば、長期的な研究の継続が欠かせず、結果を予見することが困難で、成果が出される確実性が高くない研究開発テーマやプロジェクトについては、研究開発の特性に常に配慮されることでより挑戦しやすくなるというふうに考えています。

後藤(祐)委員 今、後段の方で答弁された部分は、特定研発以外の研発でもまさにそうじゃないですか。常に配慮してあげてくださいよ。実際、国立大学法人には明確に、常に配慮となっているんです。教育だとかそういったことにちゃんと配慮というふうになっているんですね。

 では、常に配慮と書いちゃうと困ることは何ですかということなんです。そうすると、予算査定の面で、効率化とこういう研究をやらなきゃいけないという、お金がない中でこういう研究もやりたいというバランスをどこでとるかといったときに、常にか十分かで違ってくる話なんだとすれば、要は、しょせん予算査定方針の話でしかないのか。あるいは、それ以外に、常にと書いてあることで定性的に何か可能になることがあるのか。予算査定方針にすぎないのであれば、それは別に予算査定方針として書けばいいのであって、今、島尻大臣がおっしゃったようなことというのは、四つ目以降の研究開発法人でもぜひ認めてあげなきゃいけないことではありませんか。

 大臣、もう一回ちょっと答弁していただけますか。

島尻国務大臣 今の御質問は、法人の事務及び事業の特性に十分配慮では読めず、特定法人による研究開発等の特性に常に配慮で初めて読める事象を特定法人以外に認めてはいけない理由は何かということだというふうに思っております。

 特定国立研究開発法人以外の国立研究開発法人に対して、研究開発の特性である長期性、予見不可能性、不確実性などに配慮することを認めていないわけではございません。特定国立研究開発法人の方が、予算の配分や目標設定、評価の仕方等において、研究開発の特性がより考慮されやすくなるという趣旨でございます。

後藤(祐)委員 認めていないわけじゃないわけですから、常に配慮してあげればいいじゃないですか。

 結局、予算を初めとしたリソースの配分において、より認められやすいということにすぎないのか、それ以外に何かあるんですか、どっちですか。

中川政府参考人 先ほど大臣から申し上げましたように、特定国立研究開発法人の方が、予算の配分のみならず、目標設定、評価、多々そういう面がございますので、こういうものにおいて研究開発の特性がより考慮されやすくなるという趣旨でございまして、この常に配慮するという規定は、将来的な成功の見通しが不透明であってもこういうことを実施していく、社会情勢等を踏まえて研究開発の内容や連携協力体制を随時見直していくことを意図するものでございます。

 今回、この法案では、世界最高水準の研究開発成果の創出の必要性に鑑み、政策的意図を持って措置するものであるため、このように法律において定めることによってそれがより促進されるものと期待しているということでございます。

後藤(祐)委員 政務官、いろいろ議論があります。私は、予算配分は特定研発が優先的であっていいと思うんです。ですが、定性的にこういうことを可能にする。法律というのは、ここまでやっていいですよということを授権するのが法律なんです。それは広く認めてあげて、自由度を与えるというのが独法制度の根幹なんです。それをちゃんと合理的にやるとか効率的にやるとかというのを見るのがまさに評価制度であり、まさに政務官は財務省出身でもあるし、やるべきことであって、予算査定方針は閣内でしっかり決めてくださいよ。

 ぜひ、きょうの議論を踏まえて総務省できちっと評価をした上で、独法通則法の改正案をきちっと出していただくことを御要望申し上げまして、私の質問を終わります。

 いろいろと御協力いただいたことに改めて感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

西村委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。

 まず、冒頭ではございますが、熊本県、大分県、九州地方を見舞いました地震により、多くの被災された方、お亡くなりになられた方々に心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 今回のことで、全国どこでも巨大な地震、大規模な地震というものが起きるんだということを改めて実感しております。

 そこで、ちょっと通告にはないんですけれども、閣内のことでございます。

 激甚災害の指定を早急にするべきだと思っております。閣内において大臣にもぜひ御協力いただきたいと思います。

 民進党からはかねてから、非常災害対策本部、もちろん河野大臣も一生懸命本部長として頑張っていると思いますが、震度七という記録になかった、こんな、同じ場所で二回も起こるということは今までなかったことでもあります。この規模の大きさから見ても、やはり総理大臣にも本部長になっていただき、陣頭指揮を改めてとっていただきたいと考えております。

 ぜひ閣内におきましても大臣の御協力をいただきたいと思いますが、この点に関しましてどのようにお考えか、お聞かせいただけないでしょうか。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

島尻国務大臣 小宮山委員の思いに私も大変同感するところもございます。

 閣内、政府挙げてできることは全てやるという中で今進めているところでございまして、私も閣僚の一人としてしっかりとこれは対応していくということを考えているところでございます。

小宮山委員 ぜひ、対応していただいたのか、いただいていないのかわからないところではございますが、改めてお願いしたいと思います。

 そして、この一週間、月曜日のTPP特別委員会の開催、ここにも河野大臣はお見えでございました。国会においても今さまざまな委員会が開かれております。きょうも、いつもであれば分館でやっているこの委員会も本館の会議室を使わなければならないほどに委員会が立っている。それぞれの委員会で恐らく、関係があると思われるところは防災担当の方々をお呼びになられて、その関係の質問をされたりしていると思います。

 でも、今、国会でやるべきことというのは、やはり激甚災害の指定を内閣ではしていただき、そして支援のためには、ある意味、この問題に関して触れるような場はない方が本来はいい。一週間、正直言って、委員会質疑等がこんなに立て続けに行われるということにも違和感を感じてなりません。国会議員として、この点に関しましては、本当の意味で政府も国会も一丸となって対策をとるべきだということを改めて指摘させていただきたいと思います。

 そこで、本日は、特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法の中身に入りたいと思います。

 世界最高レベルの基礎研究、応用研究を行っている国立研究開発法人を特定国立研究開発法人に指定して、研究成果による科学技術水準の向上により、豊かで安心して暮らすことができる社会の実現へつなげようとする特別措置法でもあります。

 対象となる三法人、理化学研究所、産業技術総合研究所、物質・材料研究機構はいずれも、国内のみならず国際的に見てトップクラスの研究機関とは思いますが、そこで取り組まれている全ての研究が一様に最高レベルであるとまで言い切ることは難しいのではないでしょうか。また、これら三法人以外の研究機関にもトップレベルの研究テーマ、研究者、研究チームが奮闘しているからこそ、物づくり日本の礎になっていると私は認識をしております。

 そこで、法律の目的で、産業競争力を強化するとともに、国民が豊かで安心して暮らすことができる社会を実現することなどに触れられておりますが、これら表現から感じられる研究は、応用研究、実用化研究といったニュアンスが強いのではないでしょうか。これら表現に加えて、基礎研究の意義についても記述、触れられていた方が妥当ではないかと考えております。あわせて、法人単位で指定し、特別の措置を規定することの妥当性は何か、お聞かせください。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘がございましたとおり、国民が豊かで安心して暮らすことができる社会を実現するためには、科学技術の水準の著しい向上を図って、経済社会情勢の変化に対応して産業競争力の強化を図ることが重要でございます。

 このためには、応用研究や実用研究はもちろんのことでありますけれども、イノベーションの源泉となる基礎研究がまさに新しい種を生み出していく源でございます。したがいまして、この基礎研究を着実に実施することで世界最高水準の研究開発成果の創出を図っていくということが重要であると認識しております。

 こうした認識に基づきまして、本法案の目的には科学技術の著しい向上ということを入れておりますし、先ほど来御議論がございますように、研究開発の特性の中に長期性、予見不可能性、不確実性、これがまさに基礎研究の備えている大きな特徴であるというふうに考えております。

 したがいまして、基礎研究の重要性をないがしろにしているということでは決してございません。

小宮山委員 ないがしろにしているわけではないのはわかってはおりますし、基本の基本でありますから当然重要だとは思いますが、やはり基礎研究の意義というものは入れた方が適切だったのではないかというふうに感じております。

 本法案起草に至るまでのさまざまな議論の中で、新たな研究開発法人に対して、大学や企業とは違った役割を担うものと位置づけられております。

 大学での研究も、理学部などの基礎研究、工学部、薬学部、農学部、医学部、歯学部などさまざまなところで応用、実用化研究が行われております。企業においても、基礎から実用化まで、それぞれの専門分野、そのほかの分野についてもさまざまな研究が現実に行われています。

 特定国立研究開発法人に指定する法人がとにかく特別な機関であって、特別扱いするために出された条件をもとにした論議になっているのではないかと推測される条件も随分出ているような気がいたします。

 例えば、論文被引用数世界ランキングの総合順位が上位二十位程度、論文被引用数世界ランキングで、研究分野別に三分野以上で上位百位程度以内、論文被引用数世界ランキングで、一研究分野において十位程度以内、国際特許出願件数が世界ランキング上位二十位程度、成果をベンチャー企業などを通じて社会経済へ貢献していることなどを挙げられております。

 このうち、論文被引用数などにおいては、法人規模が相対的に大きければ上位に数えられやすい指標でもあるのではないかとも思いますし、新法人の検討当初の二法人である理化学研究所と産業技術総合研究所が評価が出やすい指標であるというふうにも捉えられます。

 また、研究者の人数当たりの論文被引用数とか国際特許出願件数といった視点に立てば、同程度以上の実績を上げている研究機関やチームも当然ながらあるのではないか、この条件でやると選ばれる研究者の日本人の割合が激減する可能性もあるのではないか等、さまざまな想像をめぐらすことが可能になります。

 今回とられる特別の措置は本来、研究開発法人であればいずれの法人にも同様に設けられるべきと考えておりますが、見解はいかがでしょうか。

島尻国務大臣 国立研究開発法人は、国家的または国際的な要請に基づき、基礎・基盤的研究のほか、実証試験、技術基準の策定に資する技術開発、他の研究機関への資金配分などのミッションに取り組む組織でございます。

 こうした多様な役割や特性を有する国立研究開発法人は、各法人がミッションを果たす上でふさわしい制度のもと、各法人の自主性及び自律性が生かされた活動が行われる必要があると認識をしております。

 このような認識のもとで、本法案は、世界最高水準の研究開発成果の創出が特に見込まれる国立研究開発法人を選定し、我が国のイノベーションシステム全体を強力に牽引する中核機関に位置づけて、国家戦略との連動性を高め、効果的に科学技術イノベーションを推進する体制を構築していくものでございます。

小宮山委員 一部のトップクラスの研究機関をさらにレベルアップ、強化していくということ自体の重要性は私も否定はいたしません。しかし、同様のことは大学への支援にも通じることだと思っておりますし、国立大学運営費交付金、科学研究費など、世界の各大学との競争の先頭に立っていくところに多くつけているというのも特徴かと思います。

 研究開発においては、ほかの国立研究開発法人の研究者も、大学などの教育機関に付随する研究者も、企業など民間の研究者も皆努力をしております。この三法人が勝ち組となって、そのほかは蚊帳の外となるような、そんな法案の趣旨にある産業競争力の強化は、国民が豊かな社会の実現に果たしてつながるのでしょうか。

 トップを引き上げる政策を行うときには、まずボトムアップこそが本来重要な政策だと思います。日本全体の割合でいえば、例えば、企業となりますけれども、〇・三%の大企業には利用しやすいさまざまな制度もありますが、九九・七%を構成する中小零細、個人企業では、情報へのアクセスや手続上の問題など、研究開発への補助金、雇用関係への助成金などを生かすことができなかった事例は多々見受けられます。

 また、近年では、地方大学の出身者がノーベル賞を受賞するという事例はたくさん起きております。私の地元のことでありますが、地元の川越高校卒業の、そして埼玉大学を卒業されました梶田博士も、昨年ノーベル物理学賞を受け、最近のトレンドは地方大学出身ということも言われるようになりました。

 基礎研究、実用化研究を推進する上でもボトムアップの視点が必要である、トップの三法人には特別優遇するが、あとのところは自助努力でやってくれでは国全体の底上げには結びつかないと考えます。優秀な人材、研究の海外流出に拍車をかける結果になるのではないかと危惧をしております。

 ほかの国立研究開発法人、さらに大学や民間企業での研究も含めて、柔軟な発想が研究者の能力を発揮させ、そして、そういった制度を整えるのが政治だと考えております。

 このボトムアップを図るような施策はどのようなことをお考えなのか、お聞かせください。

島尻国務大臣 小宮山委員御指摘のように、やはり研究機関の研究者が能力を発揮しやすい環境を整えるのは大変大事だというふうに私も考えております。

 我が国が、産業構造及び国際的な競争条件の変化、そして急速な少子高齢化の進展その他の経済社会情勢の変化に対応して、産業競争力を強化するとともに、国民が豊かで安心して暮らすことができる社会を実現するためには我が国の科学技術の水準の著しい向上を図ることが重要と認識をしております。

 このような認識のもとで、先般閣議決定されました第五期の科学技術基本計画におきましては、科学技術イノベーションの基盤的な力の強化に向けまして、人材力の強化あるいは知の基盤の強化を進めることとしております。

 御質問の具体的な施策でございますけれども、例えば高度人材やイノベーションの創出を加速する多様な人材の育成、確保、分野や組織、セクターなどを超えた人材の流動化、そして研究開発活動を支える施設あるいは設備などの強化や共用の促進、またそれを支援していくことなどによって、研究者が能力を発揮しやすい研究の整備というものを推進していくこととしております。

小宮山委員 今、島尻大臣がおっしゃられたのは、具体的というよりか、今まで言われてきたことかと思いますし、具体的というほどには具体的な事例ではなかったという指摘もさせていただきたいと思います。

 そうはいっても、結局、手続の煩雑さといったものによって本来の研究というものがどうしてもうまく遂行できない、そんな研究者も随分いるんではないか。

 過去に、ノーベル賞を受賞された方が議運委員長の招きによって講演をする、それを聞く機会がございました。その中で、やはり研究費など、そういったさまざまなことをして研究費を集める努力をされているというお話もした。また、研究助手の方々に対しての身分保障、安心して、そして安定した研究ができる環境が日本はないというようなお話、提言を随分とされておりました。この点に関しましても指摘をさせていただきたいと思います。

 さて、法律案の七条における主務大臣の要求では、主務大臣は、研究開発その他の対応を迅速に行うことが必要であると認めるときは、特定国立研究開発法人に対して必要な措置をとることを求めることができるとされており、特定国立研究開発法人はその求めに応じなければならないものとされております。

 似通っているものでは、研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律では、非常事態における安全確保のための措置であるのに対して、本法案では、研究開発そのものに対して、主務大臣の要求に応じなければならないとされております。

 研究開発は、安全確保の措置と異なり、要求どおりに結果が出るといった性質のものではないと考えております。求めに応じることを義務づける規定は強過ぎるのではないか、本規定起草までの議論と経過の説明を簡潔にお願いしたいと思います。見解を求めたいと思います。

 また、あわせまして、主務大臣が専門家である可能性は低く、誰がどのように判断を行って主務大臣による必要な措置の要求に至るのか、見解を求めます。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人制度におきましては、法人の自主性、自律性を重んずるというその制度の趣旨から、大臣の法人に対する一般的な指揮監督権というものを排しております。

 大臣関与につきましては、法人の業務の性格等を踏まえまして、必要最小限のものに限定した上で、個別の法令において特別の関与に関する根拠規定を定めている、こういうことでございます。

 この法案では、このような個別の法令における大臣関与と同様に、世界最高水準の研究開発の成果の創出並びにその普及、活用の促進を図るという法案の目的を踏まえて、厳しく限定された要件を置いておりまして、特定国立研究開発法人の業務運営に特段の混乱とか萎縮というのをもたらすものではないのではないかと考えております。

 もちろん、主務大臣が特定国立研究開発法人に対してこの条文に基づきまして要求を行う場合には、その理由等について必要な説明責任を果たさなければならない、こういうふうに認識しております。

 それからもう一つの、必要な措置の要求を専門家でない方がどうやって出すのかということでございますが、主務大臣は、法人に対して中長期目標を指示するという立場にいらっしゃいます。特定国立研究開発法人に対する迅速な対応を要求する場合にも、その者は当該法人の主務大臣とすることが適当ではないかと考えております。

 この当該要求に当たりましては、主務大臣が必ずしも持ち合わせていない最新の知識とか専門的な情報、こういうものを補うためにも、国際的な情勢に応じて、当該法人を初め総合科学技術・イノベーション会議、あるいは他省庁、有識者、さまざまな情報のソースから情報を入手し、そして事前に調整を図るということになるのではないかと認識しております。

小宮山委員 例えばですけれども、大臣、もし大臣がこのような措置を要求する立場であったとして、何十年かしてから、結局あれは余り必要でない研究だったと。もちろん場合によってはですよ。全ての研究が実を結ぶわけではないことを考えると、政治的判断を間違えるということもあり得るんだと思います。そういうことにおいては、この要求に関しては全て情報を公開できるようにしなければならない。

 これは通告しておりません。しかし、そのときの主務大臣の責任というものは大変重いですし、そこに至った過程は、やはり先ほどから独法のさまざまな問題点もございます、全て情報は保存をし、後日公開をする。そして、失敗があった、その中から後世が学ぶことがきちんとできるように情報を保存し、その指揮命令をした、提言をした、その分野に至るまで全て情報が公開できるように、そしてそれが公開にたえるようなものであってほしいと思います。

 ぜひ、これは法律の部分ではないかもしれませんが、大臣のイニシアチブでこの点はそろえるということをお約束いただけないでしょうか。

島尻国務大臣 この当該要求に当たっては、おっしゃるように、主務大臣が必ずしも持ち合わせていない最新の知識とかあるいは情報等、こういったものを補うために、情勢に応じて、当該法人を初めCSTI、あるいは他省庁の関係機関と十分に事前に調整を図って判断していかなければならないというふうに思っております。

 その上で、やはり主務大臣としての責任が大変重いということは認識をしておりますし、その場その場でどういった議論が行われたかということはできるだけクリアにしていかなければならないというふうにも考えております。

小宮山委員 公文書の保存期間は五年でもございます。研究が五年で終わるとは限りません。そういった意味においても、その保存期間を過ぎたものもぜひ保存するようにしていただけないでしょうか。改めて大臣にお伺いします。

島尻国務大臣 繰り返しになりますけれども、やはりこの当該要求に当たっては、しっかりと主務大臣がその責任のもとで果たされなければならないものだというふうに思っておりますし、繰り返しになりますけれども、そこに至るまでの議論についてはできるだけクリアにし、説明の責任が果たせるように努めていかなければならないというふうに考えております。

小宮山委員 考えているのであれば、それを実行に、形にしていただきたいと思います。

 時間の限りがございます。多くの政府参考人の方にも来ていただいておりますが、最後の質問は、人文科学、社会科学分野の学術研究、基礎研究についてお伺いさせていただきたいと思います。

 本法律検討の参考ともなる諸外国の研究機関において、ドイツのマックス・プランク協会やスペインの高等科学研究院では、人文学、社会科学、人類学などの分野に関しても研究範囲としております。

 近年、人文系の国立大学などの縮小議論や廃止案、削減案などが散見されます。国際競争、国際的論文発表、ありとあらゆる面で日本語以外の英語を初めとした外国語のもとで議論され、また産業発展に科学技術の発展が求められていることは間違いございません。

 しかし、教育においても、研究あるいはそのもととなる物事について考える、思考することに当たって基本となるのは母国語たる日本語でもあるし、自然科学の究極の先は哲学などに行き着くのではないでしょうか。昔も今も、この点は真理として変わらないのではないかと思います。

 人文科学、社会科学の分野のような研究分野もある種の基礎研究となり得ると思いますし、この分野が深まることによって研究も深まるのではないかと考えております。

 人文科学などいわゆる文系分野の大学を初めとした研究が軽視される傾向に大きな懸念を感じておりますが、この点を充実させていくのか、この点に関しまして政府の見解をお聞かせください。

生川政府参考人 お答えいたします。

 人文学、社会科学は、人間文化、社会を研究対象とし、人間の精神生活の基盤を築くとともに、社会的諸問題の解決に寄与するという重要な役割を担っているというふうに認識をいたしております。

 人文学、社会科学の振興につきましては、大学共同利用機関法人人間文化研究機構におきまして、人間文化に関する総合的研究と世界的拠点の形成に取り組むとともに、多くの研究者や機関が参画をする組織的な共同利用、共同研究拠点について、人文学、社会科学の拠点形成への支援を行っているところでございます。

 また、従来から、科学研究費助成事業によりまして、人文学、社会科学を含む全ての分野にわたり、研究者の独創的な発想に基づく多様で質の高い学術研究を推進してきているところでございます。

 さらに、人文学、社会科学に特化した施策でございます、課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業という事業がございますが、これにおきまして、この分野の共同研究の先導的なモデル形成に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、このような施策を通じて、人文学、社会科学の振興に文部科学省としてもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、この点に関しましては、さまざまなことにつながっていく基礎となると思います。そういう意味では、人類の豊かな社会づくりというのにも大きく寄与すると思いますので、御努力いただくことを改めて私からも御要望いたします。

 さて、時間がなくなりまして、本当に多くの方に来ていただいて質問できなかった点、申しわけなく思いますが、新しく特別な法人ができるわけであります。この点がしっかり成果が出るようなことを願ってやまないのですけれども、やはりさまざまな、今、熊本、大分を中心にした本当に震災が起きております。政治において、やはり過去の歴史に学ぶ、失敗を繰り返してはならないということは多くあるかと思います。研究開発の分野でも、さまざまな事件、事故も起こっております。この分野に関しましても、ぜひ歴史に学び、そして哲学や人間にさらに目を向けていただくこと、そのことに注視していくことをお伝えさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平委員長代理 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 民進党の鈴木義弘です。

 熊本の地域の皆様方に、心からお見舞いとお悔やみを申し上げたいと思います。

 先日、政府は、エネルギー・環境イノベーション戦略を発表しました。地球温暖化対策として、CO2の削減に技術的に取り組むために、省エネルギー、蓄エネルギー、創エネルギー等、インパクトの大きい革新的な技術、大きな削減ポテンシャルが期待できる技術、中長期を要し、かつ産学官の総力を結集すべき技術等が有望分野とされています。

 研究開発体制の強化で、CSTI、総合科学技術・イノベーション会議が統括し、一体的に本戦略を推進する体制を強化するとしているんですが、果たして、内閣や政権がかわったとしてもこのプロジェクトを推進することができるのか。また、推進する人がかわるんですよね。この総合科学技術・イノベーション会議のトップになっている人たちは、三年の任期でかわっていきます。先ほども議論になっていた、いろいろな社会的、世界の情勢が変わったときに、変えられるかという話ですね。でも、中長期でこれはやらなくちゃいけないというふうに言い切って発表しているわけです。

 その人、財源、体制の維持をどういうふうに考えているのか、まず大臣にお尋ねしたいと思います。

島尻国務大臣 まさに、今、鈴木委員の御指摘は私も全く同感でございまして、内閣や政権がかわったとしても、気候変動対策という地球規模の課題に対して日本としてしっかりと推進できるようにすべきということは、私は全く同感でございます。

 COP21で言及されました二度目標を実現するためにはイノベーションというものが不可欠でございまして、エネルギー・環境イノベーション戦略に基づく長期的な取り組みが重要でございます。

 本戦略は、従来の延長線では達成できない困難な課題に果敢に挑戦していくという観点から、有望な革新技術を特定いたしまして、長期的な研究開発の推進の方向性を取りまとめたものでございます。

 御指摘のあります人あるいは体制につきましては、CSTIの有識者議員は八名おりますが、産学それぞれの立場からしっかりと継続的に関与いただきつつ、各大学、研究機関、産業界そして政府が一体となって取り組むことができる仕組みの構築が重要というふうに考えております。

 さらに、財源についてでございますが、限りある財源をいかに、さらには有効に使っていくかということが重要でありまして、科学技術基本計画あるいは科学技術イノベーション総合戦略に基づく課題の重点化などを通じまして、中長期的視点からしっかりこれらを確保していくというところをしっかり頑張っていきたいというふうに思っています。

鈴木(義)委員 では、それを誰が担保するのかということなんですよ、一番の問題は。

 それと、きょうの議論を聞いていたり、この三法人を指定するに当たって、結局、税金を投入して研究開発していくのに力点を置いていこうとするのか、予算がないから民間の資金を活用していこうとするのか、そこの問題なんです。民間の資金を活用とすれば、全部ひもつきになってくる。それを独法がやっていいのかどうかという考え方なんです。

 それを広く進めていこうというふうにやっていくのがこの法律なんでしょうから、民間の資金をどんどん入れることによってひもつきになりますよ。国内だけじゃなくて海外の企業からも資金提供してもらって運営していきましょうという考え方で三つ指定しているんだと思うんですけれども、まず、とりあえずそれを先にお尋ねしたいんです。

 政府がそういう考え方に立っているかどうかということですね、予算がないから。だから、公的なお金を入れるということは、逆に言えば、みんなの幸せのためにお金を使うということなんです。でも、一企業で百万でも一千万でも補助金をもらえる、助成金をもらえるというふうになれば、そこの企業に利益供与するという話になるわけです。

 だから、どちらの考えでこれからやっていこうとするのか、それをまずお尋ねしたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 今の、国から出る予算による、いわゆる基盤的経費と呼ばれている、運営費交付金を初めとするしっかり基盤を支える経費と、それから外部から競争的な環境の中でとってくる競争的資金、この二つが研究開発法人における大きな財源でございます。それに加えまして、今おっしゃったような民間企業からの受託研究であるとか共同研究、財源は大きく分けてこの三種類があろうかと思います。

 これらのバランスでございますが、特に長期的な視点でやっていかなければいけないものは基盤的経費でしっかりと支えていく、それから、短期的あるいは中期的な観点で課題の解決をする、あるいは大学や研究機関のポテンシャルをうまく活用してそれを事業化、実用化につなげていく、こういうことにつきましては民間の資金も積極的に導入していくということで本格的な産学連携が促されるのではないか、こういうバランスを全体としてとっていくことが重要かと思います。

鈴木(義)委員 では、個別に、三つの団体についてちょっとお尋ねしたいと思います。

 まず初めに、産総研。

 中鉢理事長ともう一人が民間のメーカーの役員の経験者なんですけれども、ほかの理事さんは研究所の関係者か省庁からのOBさんなんです。

 産総研の中長期目標があるんですけれども、これを経産省の名前で掲げているんですね。これは、法律でそういうたてつけになっているんだと思うんです。

 この中長期目標に掲載されている事項は、どの団体でも計画として通用する内容になっているようにしか見られないんです。アバウトなんです。言っている意味はわかりますよね、通告書を出していますから。

 では、産総研のオリジナルというのはどこからくるんだという話なんです。主務大臣が方向を決めるのは結構なことなんですけれども、その文章を見ても、この三団体、どこに当てはめてもできるような文章のつくり方になっているんです。では、産総研のオリジナルは何なのかということです。その後の理研もそうです。物質・材料も同じです。当てはめられちゃう。そこでどうやってイノベーションが起きるのか不思議でならない。

 もう一つ、二十七年度の第四期の中期目標の五年間は橋渡しの役割を強調しているんですけれども、当たり前だと思うんですね。だって、自分のところで商品化して、それを売っていくわけじゃないんだから。

 では、第三期の中期目標期間の事業報告を見ても、中期計画と中期実績の報告があるが、どれだけ橋渡し役に役立ったのかということです。

 どのぐらいの件数が例えば工業所有権を取得したのか、また、秘匿にしなければならないんだったら、国際標準としての戦略で事業展開したのかどうか、そのぐらい考えてやらなければ、日本は技術立国日本だと思ったら大間違いですよ。

 今はノーベル賞をとっている人が日本人から何人かここ何年か出ていますけれども、これが二十年先、三十年先まで、毎年毎年日本人がノーベル賞を受賞できると思ったら大間違いだと私は認識しているんですけれども、今のお尋ねについて、まず初めに、これは政府参考人。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、産総研の中長期目標については、独立行政法人通則法に基づきまして、主務大臣である経済産業大臣がそれを定めておりますけれども、他方で、独自性にも関係しますけれども、この中長期目標を達成するための取り組み内容を定めました中長期計画、あるいはそれを受けて毎事業年度ごとに作成される年度計画というものはそれぞれ、これも独立行政法人通則法に基づきまして、産業技術総合研究所がみずから作成しているものでございます。

 それにつきまして、独自性はどういうものなのかということでございますけれども、産総研につきましては、他の国立研究開発法人に先行いたしまして、「日本再興戦略」改訂二〇一四におきまして、革新的な技術シーズを事業化に結びつける橋渡し機能の強化ということに取り組むこととされておりまして、それを受けて、現在の中長期目標を受けた計画におきましては、橋渡し機能を強化するということを最大のミッションに掲げておるところが独自性と考えてございます。

 特に、産総研におきましては、民間企業からの資金獲得額というものを最も重要な目標として掲げて取り組んでおりまして、こういう面につきましては、民間企業からのコミットメントを得て研究開発を行うという非常に難しい分野でございますが、そこに取り組んでいくということで独自性が高いと考えてございますし、また、技術のマーケティングの力を強化するということを明確に打ち出しているところも独自性を出していると理解しております。

 もう一つの御指摘でございます、そういった橋渡し機能の役割ということが具体的にどういう成果かということでございますけれども、具体的には、例えば平成二十六年度までの第三期の中長期の目標期間におきましても、例示は幾つかございますが、例えば夢の革新素材と言われております単層カーボンナノチューブを大量生産する技術の確立、これによって共同研究先の企業が工場の建設に至りました。あるいは、大幅な省エネを実現いたします炭化珪素パワー半導体につきましても、同じく共同研究先の企業が工場建設に至った等々、橋渡しの革新的な研究開発の成果というものが生まれているところでございます。

鈴木(義)委員 ここは内閣委員会だと思うんですね。内閣の中で科学技術を担当しているのは島尻大臣だと思うんですけれども、結局、何を申し上げたいかといったら、その統括を全部この内閣府がきちっとできているのかということだと思うんです。その計画をして、今私が質問して答弁が明確な答弁ではなかったんですけれども、一つの事例を挙げられましたけれども、だから、結局、結果をきちっと出すということだと思うんです。

 研究開発はいろいろな分野がありますから、研究開発をしようとする人は、誰もやっていないことをやりたいんです。誰かがやっていることをやるんじゃないんです。誰もやらないことをやりたいんです。だから、評価が難しいんです。

 だって、そうじゃないですか。対比する人がいるんだったら、この人と比べたらどうなのというふうに結果が出るのに、何がいいかがわからないから、対比をする誰かがいればいいですよ、だから評価の仕方が難しいんです。結局、税金を投入してやるということは、いつかきちっと結果を出さなくちゃいけないだろう、そういう評価でやっていかなくちゃいけないし、それを統括するのが内閣府なんだと思うんですね。

 そこについて、もう一度大臣の方から御答弁いただきたいと思います。

島尻国務大臣 おっしゃるとおり、内閣府として、科学技術政策の司令塔としてしっかりとこれはやっていかないといけないというふうに思っているところでございます。

 今回の特定国立研究開発法人の対象三法人につきましては、CSTIの意見を聞いて、政府が研究開発等を促進するための基本的な方針を定めるとともに、これに基づいて中長期目標あるいは中長期計画が定められることになります。

 このように、この特定国立研究開発法人制度は、CSTIの会議が対象三法人の目標や計画に関与する制度となっていることから、その事務局である内閣府として、対象三法人の目標や計画について確認をすることとしております。

 なお、他の国立研究開発法人に対しましては、CSTIが中長期目標の策定及び評価に関する指針の案を策定し、この指針の案が、総務大臣が策定する独立行政法人全体の指針に適切に反映されることとなっております。

 CSTIの事務局でございます内閣府といたしましては、特定国立研究開発法人のみならず、国立研究開発法人全体について目配りをしつつ、適切な制度の運用に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 ちょっと順番は違うんですけれども、物質・材料研究機構の役員さんは、橋本さんという理事長さんなんですけれども、総合科学技術・イノベーション会議の議員にもなっているんですね。これは同じ人がやっているんですよ。この団体だけなのかもしれないんですけれども、よっぽどたけた人なんだと思うんです。

 科学技術に関する内外の情勢に著しい変化が生じた場合において対応できるようにこの法律をつくったんだというんですけれども、これは同じ人がやっているんですよ。何かちょっと矛盾していませんか、大臣。どちらでも。

豊田大臣政務官 先生御指摘のとおり、物材機構の現行役員につきましては、橋本理事長が大学で、ほかの三名の理事が同校の職員あるいは省庁職員であることは事実でございます。

 一方で、これらの役員につきましては、これまでも、みずからの御研究活動のみならず、各種プロジェクトのリーダーや所属機関の責任者としてさまざまな研究開発のマネジメントや、海外を含みます学界などのネットワーク活動などを積極的に行ってきておりまして、内外の情報収集やこれを踏まえた組織のマネジメントなどに関しましても十分な実績、経験を有しているものというふうに認識をしております。

 また、先生御指摘の橋本理事長につきましては、市場を意識いたしました酸化チタン光触媒の実用化に先鞭をつけ、また東大の先端研の長としまして組織マネジメントを行い、また科学技術振興機構などの各種プロジェクトのプログラムディレクターなどを務めまして、豊富な研究マネジメントの経験を有するのみならず、先生の御指摘のような、政府においてもさまざまな議員を務めるなど、産学界の幅広いネットワークを有しているところでございます。

 こうした観点から、先生御指摘の、科学技術に関する内外の情勢に著しい変化が生じたような場合でも迅速な対応ができる体制になっているというふうに認識をしております。

鈴木(義)委員 おととしまでは、総合科学技術・イノベーション会議は予算を持っていなかったんですよ。おととしから予算がつくようになって、五百億あるんです。そこで方向づけを出す議員でいながら、一つの団体の理事長をやっているというのは矛盾していないかということですよ。そうでしょう。

 まだ私は幾つも指摘していないので、私が指摘した、指摘したと言われると、では、それは答弁を含めて一緒にお願いしたいんですね。

 世界最高水準の高度な技術は、ある意味において、それを分析、解析できる機器があって初めて世界最高水準だと言えるんです。

 この三団体の分析機器の稼働率がどのぐらいなのか。すばらしいものをつくりましたと。目に見えるものだったらいいんです。目に見えないものだったらどうするか。それを分析、解析していかなくちゃいけない。それを三法人ばらばらでやっていても意味がないだろう。

 各団体の生い立ちがみんなばらばら、違います。それで、独法をつくるときに統廃合したりしたんだと思うんですね。ですから、そこの文化が各団体で違うんだと思うんですけれども、世界ナンバーワンのスペックというんですか、分析とかそういうものを、だから、効率化というのはそういうところだと思うんです。

 例えば、この先に出てきてお尋ねしたいんですけれども、ちょっと前に話題になったポスト「京」の開発。これも新しい機種を開発する、着手するんだというのが話題になったんです。これは、商業化して初めて意味が出てくるんだと思うんですね。

 世界で最速のコンピューターをつくりました。すごいんです、いろいろなシミュレーションをするんです、地震に対応できるように、何かあったときに、気候変動のときにも対応できるように、すばらしいことなんです、何千億もかけてつくった。では、このコンピューターは売れたのかといったら、どこも買う人がいない、コストパフォーマンスが合わないから。だから、次にポスト「京」をつくるといったときには、商業ベースに乗せていこうとして開発するのかということです。

 だから、先ほどお尋ねしたように、橋渡し役をするというのがこの三つの団体であれば、理研に今、ポスト「京」というより、「京」があるんだと思うんですけれども、それを売っていかなければ意味がないだろうということです。

 だから、ナンバーワンになったとか世界最高水準ですばらしいだろうといっても、それが売れなければ意味がない。それが実用化に近いところにいるこの三つの団体の役割なんだと思うんですけれども、あわせて、大臣、政務官でも、ちょっとお尋ねしたいんです。

豊田大臣政務官 ポスト「京」の商用化でございますが、開発参画企業、具体的には富士通株式会社におきまして具体的に検討しているというふうに聞いております。

 なお、「京」の商用化につきましては、富士通が製造、販売いたしましたFX10が十六カ所に、またFX100が六機関に納品をされているというふうに承知をしてございます。

 そして、このスーパーコンピューター「京」でございますが、ここは、競争力のあるスーパーコンピューターとして、例えば医療ビッグデータの解析によります個人ごとのがんの予防、治療あるいは戦略の実現、また観測のビッグデータを活用いたしましたリアルでピンポイントな豪雨予測の実現、またナノスケールでの特性を予測いたしましての次世代のデバイスの設計といったような、世界を先導する成果を創出することで社会的また科学的な課題の解決に貢献することをまた引き続き目指してまいりたいと思っておりますので、御指導をお願いいたしたいと思います。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(義)委員 先ほどお尋ねした、同じ人が違う役職をやっているというところもあわせて御答弁いただきたいと思うんです。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 総合科学技術・イノベーション会議の有識者議員は、議員個人として科学技術に関してすぐれた見識をお持ちの方を選んでいるということでございます。したがいまして、個別の所属機関を代表する、そういう立場で任命されるものではございません。

 一方で、学界とか産業界等からそれぞれの分野の第一線で活躍されている方々が選ばれることなので、結果的に、会議の審議テーマあるいはプロジェクトの推進におきまして対象となる活動に関係する立場というのがあり得る、それが利益相反との誤解を生じさせかねない場合があるというのは、御指摘のとおりでございます。

 これまでも我々は、そういう危険性といいますか懸念を払拭するために、運営上、非常に注意を払っております。具体的には、事前に自分がどこと利益相反があるのかということをあらかじめ申告していただいたりして、そのときには審議に参加しない、あるいは評決に参加しない、こういうことを徹底しております。

 そういう形で我々としては対応しておりますので、御指摘の点については、懸念がこれからも生じないよう運用してまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 日本人というのは人の気持ちをおもんぱかるというのがすごく好きな民族だと思うんですね、相手の立場をとか、その人物を。それとあと、権威に対してはすごくおもねる。ですから、何々先生がそこにお座りになっていると、その人の弟子さんたちが大体ピラミッドをつくるんですよ。研究開発なんか特にそうだと思いますよ。何々先生に師事された、だからここにいます、あそこにいますと、みんな横のつながりを持っている。

 だから、前にもお尋ねしたかもしれませんけれども、これは文部科学委員会で発言したと思うんですけれども、日本人がアメリカの工科系の大学で博士号を取るのはどのぐらいいるんですかというのが文部科学省の科学技術白書というのに、平成二十二年か三年版ぐらいのところに載っています。中国の方が四千人ぐらいいます。韓国が千百人。日本人が二百人。それは、人数が多いとか少ないとかじゃなくて、人的ネットワークが構築されてしまうということなんです。だから、日本もそういう意味で大きく変わっていかないと、今は科学技術立国だと思っていてもやられますよという警鐘なんです。

 だから、今御答弁いただきましたけれども、すばらしい方なんだと思います、私はお会いしてお話ししたこともないんですけれども。でも、そういうふうにやって懸念をされるのであれば、今後、次に選任をされるときには、わざわざ気を使わなくてもいいようなポジションで一生懸命、一〇〇%、一二〇%働いてもらって能力を発揮してもらった方がいいんじゃないかと思うんですけれども、大臣、最後にちょっと御答弁いただきたいと思うんです。

島尻国務大臣 御指摘のところに関しましては、やはり誤解を与えないような対応というのが大事かというふうに思っております。

 他方、今回のこのような特措法を通じても、やはり我が国の科学技術を高めていくという中にあって、我が国の国際的なプレゼンスを高めていくことをしっかりと進めていかなければならないというふうに思っているところでございます。

 鈴木委員におかれましては、常日ごろから科学技術に対する御指導をいただいておりますので、また引き続き今後ともよろしくお願いしたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 次に、このパンフレットをいただいたんですけれども、三つの団体で、わかりやすいからということで、特許の出願や論文の引用数を実績として団体のランキングや評価することを日本はよくしているんですけれども、出願じゃなくて、実際そのうちどれだけ利用されているのかということですね。千本特許を出願しましたというよりも、その特許を使って幾つ製品をつくったのか、その特許を利用されたのかということをベンチマークにした方がいいと思うんです。それと、なおかつロイヤリティーがどのぐらい入ってきているのか。

 先ほど申し上げましたように、研究分野で仕事をされている方は、誰もやらないことをやるんです。だから、特許を出せば、誰もやっていないんだから特許になるんです。それがどこまで実社会に役立つのかということなんです。そこを評価としてやらないと。大学は別です。アカデミックなところを追求していくのが大学だと私は思っていますから、そこは、特許でランキングをするしないというのとはまた別だと思うんです。

 ただ、こういった産業界に近いような三つの団体は、産業として芽を出していって実を結ぶということが最終目標だと思うんです。だから、特許を出すということとか引用されているということは、アカデミックの世界ではいいとしても、そうじゃないんだと思うんですね。それをこのパンフレットで実績として声高々に載せられている。それを違う視点にしていかないと、実際は、先ほどから何回も申し上げていますように、産業競争力を持たせるためにイノベーションを起こそうとしているということなんです。だから、今までとは違った指標を示して、研究開発にいそしんでいる人たちに喚起を促すということを今回の法案で出しているんだと思うんです。だから、給料ももっと大幅に上げてもいいでしょう、もう少し自由度を上げてもいいでしょう、そのかわり結果をきちっと出してくれ、そういうことなんだと思うんです。

 どうですか、大臣、それは。御決意というのかな、目標をきちっと変えてもらいたいということなんです。

島尻国務大臣 御指摘のように、研究開発力をあらわす指標というものは、特許の出願数あるいは論文の引用件数のみではかられるべきものではありませんで、特許の実施許諾数あるいは特許料収入なども要素の一つだというふうに認識をしております。

 今回の特定国立研究開発法人の対象三法人につきましては、委員の御指摘の指標も含めて、より多面的な指標で評価が行われていくように検討してまいりたいと思っています。

鈴木(義)委員 こういう公式な委員会で検討すると言うと大体検討しないのが常なんですけれども、ぜひ検討していただきたいというふうに思って、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、池内さおり君。

池内委員 日本共産党の池内さおりです。

 私は、まず初めに、熊本地震で犠牲となられた方々に心からお悔やみを申し上げます。また、避難所などで不安な毎日を過ごされている被災者の皆様にお見舞いを申し上げるとともに、救助、救援のために日夜を分かたず奮闘されています消防、警察、自衛隊の皆さん、役場の職員、医療関係者、ボランティア、こうした方々にも敬意を表します。

 一日も早い生活再建のために国を挙げて全力を尽くす、日本共産党もそのために力を尽くしていく決意です。

 質疑の方に入ります。

 提案理由の中にいろいろあるんですけれども、我が国の科学技術の水準の著しい向上を図ることが重要、世界最高水準の研究開発の成果の創出並びにその普及及び活用の推進を図るために、世界最高水準の研究開発の成果の創出が見込まれている物質・材料研究機構、理化学研究所、産業技術総合研究所を特定研究開発法人に指定するというふうにしています。

 大臣にお伺いしますが、特定研究開発法人に指定をしたら、どうして世界最高水準の研究開発の成果が得られるのか、まずお答えください。

島尻国務大臣 この特定国立研究開発法人の業務運営につきましては、より国家戦略との連動性を高めて行うこととしております。このために、主務大臣や総合科学技術・イノベーション会議、CSTIは、本法案の対象法人の研究開発等を促進するために必要な措置を講じることになります。

 具体的には、本法案に基づきまして、対象法人による研究開発等を促進するための基本的な方針の策定、そして国際的な水準で卓越した人材の確保、主務大臣の要求に応じた研究開発等の迅速な対応、長期的、挑戦的な研究開発等への配慮がなされることなどによりまして、対象法人と国が一体となって研究開発等を推進することとしております。

 これらの措置により、対象法人において世界最高水準の研究開発成果が創出され、その普及や実用化が促進されていくというふうに考えております。

池内委員 内閣総理大臣が基本計画を定めたら研究成果が飛躍的に向上するなどというのは、私は、どこかの国の指導者ならばいざ知らず、誰も信じないというふうに思うんです。

 私は、日本の研究水準を引き上げるためには、それを阻んでいる根本的な問題点を大胆に解決しないといけない、それこそ大切だと思います。

 そこで、具体的に聞いていきますけれども、今回、特定研究開発法人に指定される予定の産総研の論文数について、推移を述べてください。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 産総研の論文数の推移について、同研究所が個々の研究者の登録をもとに集計した数値を御回答申し上げます。

 平成十三年、三千七百六十二本、平成十七年、五千二十八本、平成二十年、四千五百九十五本、平成二十三年、四千二百五十六本、平成二十六年、三千五百四十四本。

 以上でございます。

池内委員 二〇〇五年をピークにして、今お話しいただいたように、発表論文数というのが低下をしています。これは、三つの研究機関特有のことではなくて、国立大学でも同様のことが起こっています。二〇〇四年をピークに発表論文数が低下していると。

 国立大学協会の政策研究所がまとめた報告書を読んでみると、世界の中で唯一日本だけが、二〇〇二年ごろから論文数が停滞、減少して、二〇一二年では世界の五位にまでなりました。これは、人口の多寡がありますので単純に比較できないので、人口百万人当たりの論文数で比較をしてみると、日本は世界で三十五位になってしまいます。到底、先進国とは言えない状況だというふうに思うんです。ちなみに、先日シャープを買収して話題になった台湾は日本の一・九倍、韓国は一・七倍もある。日本の停滞というのはもう明らかだと思います。

 大臣、なぜこのようになったか。

島尻国務大臣 研究開発力をあらわす指標は、論文数のみではかられるべきではない、論文の質はもとより、特許や企業等との共同研究の数なども重要な要素だというふうに考えております。

 委員御指摘の我が国の論文数に関しては、二〇〇〇年ごろから横ばい傾向でございまして、また、引用回数が各年、各分野で上位一〇%に入る論文数についての指標でございますトップ一〇%の補正論文数も、同じく横ばい傾向でございます。

 しかし、諸外国に比べて論文数の伸びが十分でないという指摘があるということは承知をしておりまして、その原因はさまざまな要因があり得るわけであります。例えば、中国などの新興国の台頭による国際競争の激化、あるいはグローバル化の進展によります欧州の国際共著論文の増加などが考えられます。

 このように国際競争が激化している中で、世界における我が国の存在感をさらに発揮していくために、特定国立研究開発法人制度を初めとする科学技術イノベーションのシステム改革というものを推進していくことで、我が国全体の研究開発力の強化というものをしっかりと図ってまいりたいと考えています。

池内委員 今、さまざまな要因があるとおっしゃったわけですけれども、やはり現場の困難に向き合う政策でなければ意味がないと思います。

 今回法案に示されているような、政府が研究課題を押しつけたり、思うような成果が上がらなければ責任者の首を切る、こうしたことでは私は両立しない、前進しないと思うんです。

 国大協が政策研究所の研究でこのような表題の研究をされています、運営費交付金削減による国立大学への影響・評価に関する研究。この中を見てみると、こうした今の現状になってしまった結果、原因というのがさまざま語られていますが、公的研究資金が先進国で最も少ないこと、博士課程修了者が先進国で最も少ないこと、G7主要国に対する論文数の国際競争力の低下は、一九九八年ごろから始まった高等教育機関への公的研究資金の相対的減少から約四年のタイムラグを経て、二〇〇二年ごろから顕在化した、このように指摘をしています。

 もう一度大臣にお伺いしますけれども、研究力の低下には、公的資金の減少、運営費交付金を減らしてきたという国の責任が大きいんじゃないでしょうか。

島尻国務大臣 科学技術関係予算につきましては、科学技術基本計画に政府研究開発投資の目標を掲げまして、その確保に努めてまいりました。

 年度によって多少のばらつきはあるものの、第一期から第四期の基本計画期間中の科学技術関係予算の実績総数で見ると、実績総数自体は増加傾向にございます。また、大学及び研究開発法人への運営費交付金につきましては減少傾向にございますが、研究や教育を支える基盤的経費が果たす役割というものは大変大きいというふうに認識をしております。

 第五期基本計画では、政府研究開発投資の目標といたしまして、経済・財政再生計画との整合性を確保しつつ、対GDP比一%を目指すとしたところでございまして、その目標達成に向けて、科学技術関連予算の確保にしっかり努めていきたいというふうに思っております。その際、PDCAサイクルを機能させて、予算の質というものを高めていくことも重要だと考えております。

 特に、運営費交付金につきましては、各機関の一層効果的そして効率的な運営を可能とするための改革を進めて、確実な措置を行うように努めていきたいと考えています。

池内委員 今大臣も、運営費交付金というのは基盤的経費で大事だというふうにおっしゃったので、ぜひこれは減らさずに、拡充の方向で今政治が責任を果たすべきだというふうに思います。

 文科省が行った調査で、科学技術の状況に係る総合的意識調査、いわゆるNISTEPの定点観測では、研究開発に係る基本的な活動を実施する上での基盤的経費が十分でないという認識が急激に増したという結果が示されています。そして、それは公的研究機関においてとりわけ甚だしい。どのような声が上がっていますか。

神代政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねいただいた調査は、科学技術・学術政策研究所が第四期科学技術基本計画期間中の科学技術やイノベーションの状況変化を把握する目的で、研究者や有識者の意識の変化を継続して調査してきたものでございます。

 今お尋ねのございました基盤的経費の状況につきましては、十分ではないという認識が急激に増加しております。

 その理由の例として、学長裁量経費の重点化により基盤的研究費が減額されたこと、運営費交付金の大幅減額に伴い固定費を切り込まざるを得ないこと、施設の維持費のみで研究費は捻出できないこと、実験活動維持のために必要な額を下回っていること、コピー代や郵便代だけで経費はなくなってしまうことといった声が研究者から上がっているところでございます。

池内委員 今お答えいただいたように、本当に惨たんたる状況だと思います、日本の研究者が置かれている状況。コピー代や郵便代だけで経費がなくなってしまうなどという痛切な声まで上がっている。私は、やはり今求められているのは、上から目線の政治じゃなくて現場の実態に応える姿勢だと思うんです。

 ノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授は、近年自然科学の分野で日本人がノーベル賞を連続受賞しているということを問われて、このようにお話しされています。

 最近の受賞は誇らしいことですけれども、注意しなければいけないことは、受賞は現在の日本の科学の水準をあらわしているものではないということです、多くの受賞が二十年、三十年前の研究の成果によるものです、世界の科学雑誌などに発表された研究論文の数、中でもインパクトある論文で見ると、印象としてはアジアのほかの国に追い越され、中国の方が先に行っている、やはり中長期の計画を立てて研究への支援というものをしっかりやらなければいけないときだと思いますとおっしゃっている。

 その上で山中教授は、今は競争に傾き過ぎていて、数年単位で成果を出さないと研究費もそれから自分の身分さえ保障がされない、小さなことでもいいから短期的に成果を出さないとだめということになっている、日本の雇用では、研究者は教授や准教授などの形で比較的安定した地位にありますが、研究支援者のほとんどは大学のポストがなくて、国の競争的な資金で数年単位で雇用されている、そうしたことが安心して研究に打ち込めない要因だと指摘をされている。

 大臣、日本を代表するこの研究者の指摘を科学政策担当の大臣として重く受けとめるべきだと思いますが、いかがですか。

島尻国務大臣 委員の御指摘、この内容について、例えば、三法人の研究職全員の正規職員化に踏み出すべきではないかといった……(池内委員「それは次の質問です。受けとめなので。山中教授の発言、受けとめ、どうですかという質問です」と呼ぶ)

 そうですね。あらゆるところで、ノーベル賞を受賞された研究者の先生方のお声も聞きます。やはり研究開発をするのは人でございますので、そういう皆さんが研究開発しやすい環境をつくっていくというのは大事だというふうに考えています。

池内委員 ならばこそ、やはり、そういうことがちゃんと反映される法案にしていただかないといけないし、学問研究の発展というのは、どこまでも研究者自身の自主性、創造性に委ねられるべき領域だというふうに思います。繰り返しますけれども、今回の法案は、目先の成果だけを求めて現場をないがしろにするものだということは重ねて指摘をします。

 研究費を削る、そして外部資金に頼るということになれば、短期的な成果を求められるようになってしまう。そういう中で、研究体制が長期的な研究にたえるものでなくなっているということなんだというふうに思うんです。その具体的なあらわれが、研究に携わる職員の非正規化の問題。

 そこで、また具体的に聞きますけれども、今回、特定研究開発法人に指定をするそれぞれの研究機関の研究体制はどうなっているか。研究職の総数、そのうち任期つき職員と非常勤職員の人数及び比率をお答えください。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 特定国立研究開発法人の対象である三法人における研究者の総数、研究者のうちの任期つき職員数、非常勤職員数及びその比率について、各法人が集計したことしの一月一日時点の数値をお答え申し上げます。

 まず、物質・材料研究機構につきまして、研究者の総数は千二百十六名、うち任期つき職員数は二百六十名で二一・四%、非常勤職員数は五百名で四一・一%でございます。理化学研究所につきましては、研究者の総数三千四百十五名、うち任期つき職員数二千四百三十七名で七一・四%、非常勤職員数は六百四十六名で一八・九%でございます。産業技術総合研究所につきましては、研究者の総数は四千二百九十四名、うち任期つき職員数三百三十八名で七・九%、非常勤職員数は二千三十六名で四七・四%でございます。

池内委員 お答えいただいたとおり、政府が最も評価をしている研究機関の研究体制が、そのほとんど、九割に迫る勢いで任期つきの非常勤研究者で支えられているという状況です。こうした実態が、研究論文数の減少という現在の深刻な結果に結びついているという認識が大事だと思います。

 構造的とも言える問題を解決することなしに、何だか高額な報酬を条件に外国からすぐれた研究者を招聘しても、安定的な研究の成果というのは上がっていかない、わかり切っている問題だと思います。日本の科学技術水準の向上は望めないと思います。

 文科省にお伺いします。

 昨年、文科省の科学技術・学術政策研究所が博士人材追跡調査というのを行っています。その調査で、博士課程修了者のうち、大学、短大、高専、公的研究機関等に就職した人がどれくらいいて、その人たちの任期制雇用の割合がどうなっているか。また、民間に雇用された人の雇用形態がどうなっているか、お答えください。

神代政府参考人 お尋ねいただきました追跡調査でございますが、科学技術・学術政策研究所が二〇一二年度の博士課程修了者を対象に、一年半後の二〇一四年秋時点の雇用状況等をアンケート調査したものでございます。

 雇用先については、大学及び公的研究機関等アカデミアへの就職者が約六割で、民間企業は約三割となっております。アカデミアの場合、約六割が任期制の雇用でございます。また、民間企業への就職先ですが、従業員数五百人以上の企業が六割強を占め、就職者の九割弱が正社員または正職員として雇用されているという状況でございます。

池内委員 今お答えのとおり、アカデミア、研究分野に進んだ若者というのは任期制が六割で、その一方、民間に進んだ人たちというのは九割近くが正社員になっている。こういう雇用状況のもとで、若い優秀な人材が研究者の道を選択しないという大問題が起きています。

 文科省のNISTEP定点観測の中で、望ましい能力を持った人材が博士課程後期を目指しているかという問いがありますけれども、その回答はどうなっていますか。

神代政府参考人 望ましい能力を持つ人材が博士課程後期を目指しているかという点でございますが、これについては、そうではないという認識が継続して示されております。

 その理由としては、就職状況の好転により就職を選択する学生が増加したこと、優秀な人材は修士課程から企業へ就職し、それ以外の人材が博士課程後期に進学する傾向があること、経済的理由によって進学を断念する事例が見られること、キャリアパス不安から優秀な人材が博士課程後期への進学を敬遠すること、一般学生で博士課程後期を目指す学生がほとんどいないこと、専門医制度との競合が見られること等が研究者から挙げられております。

池内委員 リアルな声だと思います。若い優秀な人材が研究者の道では食べていけない、生活できない、研究職の道へ進むことをためらっておられる。そして、実際にその道を選ばないという傾向がずっと続いているということ。さらに、任期制、非常勤などという細切れの雇用形態は、研究の多様性や独創性をも阻害している実態があるということを指摘したいと思います。

 同じくNISTEPの定点観測の中で、過去十年の大学と公的研究機関における研究者の行動の変化という項目では、どのような回答が得られましたか。

神代政府参考人 お尋ねの過去十年間における研究者の行動の変化についてでございますが、設けられた選択肢に対しまして、短期的な成果が出ることを強く志向する研究者、成果が出やすい研究や論文数を重視する研究者、細切れに成果を発表する研究者、この三者につきましては増加を選択する傾向が見られ、また、研究成果として論文以外のアウトプットを出す研究者が増加を選択する傾向が見られました。

 その一方で、長期的な研究戦略を重視して研究テーマにじっくりと取り組む研究者については減少を選択する傾向が見られたところでございます。

池内委員 短期的な成果を強く志向して、本当であったら継続的に自分の分野を深めたいという研究者はたくさんいらっしゃいますけれども、それでは食べていけない、評価に対応するために研究の成果を細切れで発表する、こんな事態まで生まれている。

 私はとても深刻だと思うし、大臣にお伺いしますけれども、研究者がこうしてじっくり研究できない、日本の科学技術の発展にとって憂慮すべき事態だと思いますが、いかがですか。

島尻国務大臣 イノベーションを起こしていくという意味で、これは人がやるということでございます、やはり若手の人材育成ということは必要でございまして、その点につきましてはこれからもしっかりと対処していきたいと考えています。

池内委員 若手の人材育成が大事だとおっしゃったので、実際の声を紹介します。

 若手、中堅研究者が独立した研究を実施する際に障害になることは何かと問われて、同じこの調査ですけれども、出た声が、短期間の成果が求められるため、みずから発案した研究テーマに挑戦することができない、大型プロジェクトによる任期つき雇用のため、研究テーマを自由に設定できない、雇用が不安定であるため、みずから発案した研究テーマに挑戦することができない、こういう回答が公的研究機関を含めて上位三つを占めている。これは共通しています。

 私は、実際に、研究に携わっている任期つきの研究者のお話を聞きに行ってきました。雇用が五年で一度切れて、違うプロジェクト研究の中で雇用してもらっているのですが、最初の五年間でやっていたことを継続することができなくなってしまった、自分の実績をできるだけ積み重ねて、いずれパーマネントの研究者になりたいと思うんだけれども、五年ごとの雇用ですから、せっかく積み重ねても継続できずに捨ててしまわなくてはならない状況があり残念だと語っていらっしゃいました。

 現在は、外部資金の予算で雇用してもらっているために、以前やっていた実験や研究には参加ができない。いずれ仕事がなくなる研究者というのは本当に深刻で、何とか改善する道筋を見つけないと、これが三十年続いたら一世代ですから、研究者は滅んでしまいます。研究者だけではなく技術者なども、結局技術が継承できなくて滅んでしまう。昔のことを知っている人がいなくなったらどうなってしまうんだろうと、現場の研究職の皆さんのお話を私は聞いてきました。

 大臣にお伺いしますけれども、政府が科学技術の水準の発展を本当に推進しなければならないと考えているなら、この雇用の非正規化の問題を解消して、運営費交付金もふやすし、大胆に正規職員をふやしていく、こういう方向性を目指すべきではないですか。

島尻国務大臣 先ほどお話の中でございました、何度も繰り返しになりますけれども、やはり人材の育成は大事である。

 今回の第五期科学技術基本計画の中でも、特に若手の人材をどう育成していくか、それから女性の研究者をどうふやしていくかというところも一つ項目に掲げさせていただいたところでございます。この基本計画を実現すべく、一つ一つ対処して頑張っていきたいというふうに考えているところです。

池内委員 私は、やはりこうした非正規化の問題は、安定した研究ができるという改善なしには問題の本質的な解決というのは果たされないと思うんです。日本の基礎研究というのが本当にだめになってしまうところまで来ているんじゃないかと危惧をしています。

 京都大学の山中教授は、基礎研究の重要性を問われて、このように述べました。

 多くの科学技術の新発見、いわゆるブレークスルーは、出そうと思ってもできるものではありません。セレンディピティー、これは思いがけない発見をする能力というそうなんですけれども、この能力は、研究から偶然に生まれて、思いがけない展開をして、それが画期的な成果につながるというものが多いというふうに指摘をされています。

 さらに、二〇〇八年にノーベル化学賞を受賞した下村脩博士のエピソードも紹介したいと思います。

 下村博士の功績というのは、クラゲから光るたんぱく質のGFPを発見したことによるということは本当に有名な話だと思うんです。この細胞の発見によってがん細胞の転移の様子がわかるようになったし、iPS細胞などの重要な発見もこのGFPなしにはあり得なかったと。もっとも、下村博士御自身は最初からこうしたことを意図していたわけではなくて、博士が目指したのは純粋にクラゲの発光原理の解明だった。そのために、十七年間もかけて八十五万匹のクラゲを用いた壮絶な研究を行っていらっしゃる。その過程で発見されたGFPがたまたま細胞観察に応用可能であったために生物学の革命が起きたということだったと思います。

 なので、目の前の今重要に見える課題だけに取り組むことが研究ではない、一見すぐには役立たないような基礎研究の厚みなくして学問の進展はないというふうに思うんですけれども、その事実をこの事例は雄弁に語っていると思うんですが、大臣、いかがですか。

島尻国務大臣 おっしゃるとおり、基礎研究の継続ということは大変大事だと思います。いつブレークスルーするかわからない、過去に私もいろいろな研究者とお話をさせていただいておりますけれども、百十三番元素の発見等いろいろあったわけでございまして、そのチームの皆さんとお話をする中で、本当に日々日々気の遠くなるような研究を続けていらっしゃる。これがある日突然表に出る、これが大発見につながるということでございまして、やはり基礎研究というのは大事だというふうに私も認識をしております。

 なので、委員御指摘の、やはり人材をどう育てていくか、しっかりと対応していくという中で、先ほどもお話をさせていただきましたけれども、第五期科学技術基本計画で、例えば大学及び公的研究機関に対して、ポストドクターなどとして実績を積んだ若手研究者への任期を付さないポストの拡充を求めているところでございます。

 政府としては、特定国立研究開発法人が、他の公的研究機関に先駆けて、若手研究者の競争的な環境を図りつつ、雇用の安定性の向上、あるいは若手研究者が自立的に研究を行う環境の整備に取り組むということを期待しているところでございます。

池内委員 大事なことは、トップダウンじゃなくて、政府が研究課題を押しつけたりせずに、やはり研究者の皆さんの自主性とか創造性に現場が委ねられることだと思います。そして、基礎研究にしっかりと取り組むことができるように、安定的な運営費交付金をふやしていくということが必要だと思います。

 今提出されている法案というのは、こうした理念、研究体制とは全く異なる、科学技術の発展には到底寄与しないものだということを強く指摘して、質問を終わります。ありがとうございました。

西村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西村委員長 この際、本案に対し、平井たくや君外五名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ、公明党、おおさか維新の会の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。中根一幸君。

    ―――――――――――――

 特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中根(一)委員 ただいま議題となりました特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 第一に、特定国立研究開発法人の研究者等の給与その他の処遇については、優秀な人材の確保並びに若年の研究者等の育成及び活躍の推進に配慮して行うものとすることとしております。

 第二に、政府は、この法律の施行後適当な時期において、この法律の施行の状況を勘案し、特定国立研究開発法人の範囲を含め、関連する制度のあり方について検討し、その結果に基づいて、所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずるものとすることとしております。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

西村委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。島津幸広君。

島津委員 私は、日本共産党を代表して、特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案に反対する討論を行います。

 本来、科学技術の発展は、研究者の自主性、創造性に委ねられるべきものです。それを安倍内閣の科学技術振興策に丸ごと動員し、その司令塔である総合科学技術・イノベーション会議直轄の実施機関に改変しても、成果が得られるとは考えられません。

 本法案は、総理を議長とし、財界、大企業の代表者が直接参加する総合科学技術・イノベーション会議のもとに、物質・材料研究機構、産業技術総合研究所、理化学研究所の三つの研究機関を置き、産業界が目先の利益につながる研究に予算、人材等を集中させようというものです。

 これでは、真の意味で、将来のイノベーションにつながる基礎的研究の基盤を弱体化させ、日本の科学技術の未来に大きく禍根を残すことになります。

 法案第四条では、世界最高水準の研究開発成果の創出が見込まれない場合には、法人の長を解任することができるとしています。こうしたやり方こそ、科学技術の発展に最も反するものと言わなければなりません。

 また、法案第七条は、主務大臣が法人に対し、具体的な研究の促進や中止などの措置を求め、法人は、前項の規定による求めがあった場合は応じなければならない、こう規定しています。研究を政府の統制のもとに置く、このようなやり方にも反対です。

 研究者及び将来研究者を目指そうとする若者が安心して本格的な研究に打ち込める環境を整備することこそ、政府の責任であることを強く指摘しておきます。

 なお、修正案についても、冒頭に指摘した科学技術の発展と、研究の本来あるべき姿に鑑みて、賛成できるものではありません。

 以上、反対討論といたします。(拍手)

西村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、平井たくや君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、平井たくや君外四名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ、公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。

 一 本法の運用及び今後の独立行政法人制度の見直しに当たっては、一定の共通的規律を設けることで透明性・適正性を確保すること等を目的として独立行政法人制度を創設した行政改革の趣旨に反することがないよう、十分留意すること。

 二 特定国立研究開発法人による研究開発等を促進するための基本的な方針の策定や同方針に基づく中長期目標の策定に当たっては、本附帯決議を踏まえるとともに、法人の自主性及び自律性を最大限尊重すること。

 三 特定国立研究開発法人が取り組む基礎研究が、イノベーション創出のためには重要であることに鑑み、特定国立研究開発法人の長の解任に関する特例及び主務大臣の要求の規定の運用に当たっては、これを濫用することなく、特定国立研究開発法人の自主性及び自律性が損なわれないよう最大限配慮すること。

 四 特定国立研究開発法人については国家戦略との連動性を高める観点から総合科学技術・イノベーション会議の関与が強化されていることに鑑み、主務大臣は、特定国立研究開発法人の評価の結果に係る総合科学技術・イノベーション会議及び独立行政法人評価制度委員会の意見を次期中長期目標に適切に反映させること。

 五 独立行政法人通則法における特定国立研究開発法人以外の国立研究開発法人の役員の報酬等の支給の基準について、当該基準に係る規定が本法の施行により反対解釈されることなく、役員のうち世界最高水準の高度の専門的な知識及び経験を活用して遂行することが特に必要とされる業務に従事するものについて国際的に卓越した能力を有する人材を確保する必要性を考慮して定めること。

 六 独立行政法人通則法における特定国立研究開発法人以外の国立研究開発法人の職員の給与等の支給の基準について、当該基準に係る規定が本法の施行により反対解釈されることなく、専ら研究開発に従事する職員のうち世界最高水準の高度の専門的な知識及び経験を活用して遂行することが特に必要とされる業務に従事するものについて国際的に卓越した能力を有する人材を確保する必要性を考慮して定めること。

 七 国際的な頭脳獲得競争の中で、科学技術イノベーション創出力強化に不可欠な優れた人材の養成・確保のため、研究人材及び研究支援人材に係る適切な人件費の確保に努めること。

 八 我が国の産業競争力の強化に向けて、特定国立研究開発法人が中心となり、大学、産業界等との連携による研究開発等を促進するための環境を整備するとともに、特定国立研究開発法人が本法で求められる世界最高水準の研究開発の成果の創出等の使命を十分に果たせるよう、必要な予算の確保に努めること。

 九 独立行政法人の基礎研究に対する取組が軽視されることのないよう、長期性、不確実性、予見不可能性、専門性等の研究開発等の特性を踏まえて、適切な資源配分を図ること。

 十 研究開発における外部資金等の積極的な受入れを促進する観点から、毎年度の運営費交付金の算定に際して、経営努力による収入の増加を積極的に評価すること、次期中長期目標期間への繰越しを幅広く認めること等によりインセンティブを最大限機能させるなど、独立行政法人制度の運用の改善に努めること。

 十一 独立行政法人における公正性、透明性が確保された合理的な調達の実施の重要性を勘案しつつ、特定国立研究開発法人による研究開発等の促進を図るため、迅速かつ効果的な調達ができるよう取り組むこと。

 十二 特定国立研究開発法人が、我が国のイノベーションシステムを強力に駆動する中核機関として重要な役割を担うことを踏まえ、科学技術イノベーションへの社会的な信頼や負託に応えるため、研究不正の防止体制を整備するなど、ガバナンスの一層の強化に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

西村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。島尻国務大臣。

島尻国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

西村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

西村委員長 次回は、来る二十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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