衆議院

メインへスキップ



第14号 平成28年4月27日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十八年四月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 西村 康稔君

   理事 亀岡 偉民君 理事 平  将明君

   理事 武井 俊輔君 理事 中根 一幸君

   理事 平井たくや君 理事 緒方林太郎君

   理事 後藤 祐一君 理事 佐藤 茂樹君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      石崎  徹君    岩田 和親君

      大隈 和英君    岡下 昌平君

      勝沼 栄明君    神谷  昇君

      木内  均君    北村 茂男君

      高木 宏壽君    武部  新君

      中村 裕之君    中山 展宏君

      長尾  敬君    ふくだ峰之君

      福山  守君    牧島かれん君

      松本 洋平君    宮崎 政久君

      若狭  勝君    阿部 知子君

      大串 博志君    柿沢 未途君

      小宮山泰子君    鈴木 義弘君

      高井 崇志君    古本伸一郎君

      江田 康幸君    濱村  進君

      真山 祐一君    池内さおり君

      島津 幸広君    河野 正美君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   国務大臣

   (宇宙政策担当)     島尻安伊子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   石原 伸晃君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   加藤 勝信君

   外務副大臣        木原 誠二君

   財務副大臣        坂井  学君

   文部科学副大臣      義家 弘介君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   内閣府大臣政務官     高木 宏壽君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 浜田 省司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 緒方 俊則君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房公益法人行政担当室長)      岩田 一彦君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   武川 光夫君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           村田  隆君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  種谷 良二君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    沖田 芳樹君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    吉井  巧君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     大橋 秀行君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           横田 真二君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 菊池  浩君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (文化庁文化部長)    内丸 幸喜君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   村田 善則君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           福田 祐典君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           大角  亨君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           山北 幸泰君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 亀澤 玲治君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   参考人

   (原子力委員会委員長)  岡  芳明君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     福山  守君

  大隈 和英君     中村 裕之君

  若狭  勝君     勝沼 栄明君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     若狭  勝君

  中村 裕之君     大隈 和英君

  福山  守君     石崎  徹君

    ―――――――――――――

四月二十六日

 人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案(内閣提出第四一号)

 衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案(内閣提出第四二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案(内閣提出第四一号)

 衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案(内閣提出第四二号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として原子力委員会委員長岡芳明君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官浜田省司君、内閣府大臣官房審議官緒方俊則君、内閣府大臣官房公益法人行政担当室長岩田一彦君、内閣府政策統括官武川光夫君、警察庁長官官房総括審議官村田隆君、警察庁生活安全局長種谷良二君、警察庁警備局長沖田芳樹君、消費者庁審議官吉井巧君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長大橋秀行君、消防庁国民保護・防災部長横田真二君、法務省大臣官房審議官菊池浩君、外務省大臣官房参事官飯島俊郎君、文化庁文化部長内丸幸喜君、文化庁文化財部長村田善則君、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長福田祐典君、農林水産省大臣官房審議官大角亨君、農林水産省大臣官房審議官山北幸泰君、環境省大臣官房審議官亀澤玲治君、防衛省整備計画局長真部朗君、防衛省地方協力局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池内さおり君。

池内委員 日本共産党の池内さおりです。

 熊本、大分を襲った今回の地震の直後に家が倒壊する中で、避難指示も出されて、住民は非常に混乱をし、どうすればいいかという不安を募らせていたと思いますし、今もそうだと思います。被災した方、あるいは避難生活をされている方の不安を少しでも和らげていくことも政府の重要な役割だというふうに思います。

 正しい情報を迅速に発表する責任が政府にあると私は思いますが、官房長官はどのように考えますか。

菅国務大臣 政府としての立場でやはりできるだけ確かな情報を迅速に被災地の皆さんに送るということは、極めて重要だというふうに考えております。

池内委員 今回、大きな地震が断続的に続いているということで、指定避難所の建物そのものに倒壊の危険が増して、避難所から出される人々が多くいらっしゃいます。危険な避難所から退避をするということは重要だと思うんですけれども、その後、行く先をフォローし切れていないという方々も大勢いらっしゃる。

 また、今回の地震では、子供がいるからとか持病があるからと集団での避難生活というのに気兼ねをしたり、屋内が怖いということで、地震の恐怖から車中泊をされている方々も多くいらっしゃいます。こうした避難所以外の場所に避難している方には情報や物資が十分に届かないという声が私のところにも届いているんです。

 こうした方々に迅速に情報と物資を届ける、こうした人員や手段の確保が急がれなければならないということ、私はそう思うんですけれども、河野大臣は防災担当大臣も兼ねていらっしゃるので、きょうおいでですので、この点をちょっとお伺いしたいんです。

河野国務大臣 今回は、確かに指定避難所以外に避難されている方も大勢いらっしゃいますし、また余震に対する恐れから車の中で寝泊まりをしているという方も随分いらっしゃっているようでございます。

 行政といたしましては、国、県、市、あらゆるレベルでそうした方を把握するように努めておりますし、また行政のツイッター、フェイスブック、ホームページといったものでそうした方にもさまざまな情報を提供するように努力しておりますが、やはりそこには限りがございます。

 今、政府といたしましては、さまざまなNGO、NPOと連携して情報の提供あるいは物資の供給といったことを広く行っているところでございます。また、専門家のさまざまなチーム、今、JMATですとか保健師さん、薬剤師さんのチームも現地に入っていただいております。また、循環器学会のような専門家のチームも入っていただいておりますので、そうした方々に、指定避難所だけでなく、それ以外の避難所あるいは車の多くとまっている駐車場などを回っていただいて、そこで情報提供をしたりニーズを吸い上げたり、あるいは必要な物資を供給したりという支援をしていただいているところでございますので、我々としては、あらゆる手段を使ってそうした方に情報あるいは物資を提供してまいりたいと思っております。

池内委員 ぜひ進めていただけたらと思っています。

 さらに、今回の地震では、十四日の最初の地震直後から、混乱に乗じて、ツイッター等のソーシャルメディアを通じて被災した方々の不安をあおる目に余る流言飛語があふれ返ったというふうに認識しています。

 総務省と警察庁はどんな流言飛語があったかつかんでいるか、その中身をお答えください。

種谷政府参考人 お答えいたします。

 警察といたしましては、今回の地震に関連いたしまして、ツイッター等において、地震のせいでうちの近くの動物園からライオンが放たれたですとか、熊本の朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだですとか、イオンモール熊本が火事になったですとか、川内原発で火事、大津町で強姦事件が多発しているといった、事実と異なり不安感をあおるようないわゆるデマが流布された状況を把握しているところでございます。

大橋政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省といたしましても、報道等で報じられている内容については承知をしておりますけれども、それ以上の詳しい内容等については承知をいたしておりません。

池内委員 電気通信事業者を所管する総務省がこうしたデマツイートをつかんでいないというのは怠慢じゃないかということを私は指摘したいと思います。

 そこで、今、警察庁から説明していただいた内容について真偽を一つ一つ確認したいんですけれども、熊本の動物園からライオンが逃げ出した、これは本当ですか。

種谷政府参考人 お答えいたします。

 警察といたしましては、インターネットで流布された、ただいま申し上げました情報については、そのような事実は把握しておらず、デマであったと判断しております。

池内委員 イオンモール熊本クレアが火事というのは事実ですか。

種谷政府参考人 ただいまも答弁させていただきましたように、先ほど答弁いたしましたような情報につきましては、それらのような事実は把握しておらず、デマであったと判断しております。

池内委員 では、熊本の朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ、これは事実ですか。

種谷政府参考人 ただいま申し上げましたように、そのような事実は把握しておりません。

池内委員 全て事実ではないと。

 取り上げた三つを私は確認しましたけれども、具体的にまた警察庁に確認しますが、いつ、どういう対応をしましたか。

種谷政府参考人 お答え申し上げます。

 災害の発生時にこうした意図的にデマを流すような行為は、いたずらに混乱を招くとともに不安をあおるものであるということで、極めて問題であると認識しております。

 警察におきましては、住民からの情報提供ですとかサイバーパトロール等を通じてこういったデマの流布の状況を把握した上で、避難所におけるチラシの配布ですとか、ツイッター等によりまして被災者に対する正確な情報の提供、行政機関等の信頼できる情報源で真偽を確かめて行動していただきたいとの注意喚起といった取り組みを講じているほか、警視庁のほか他県警察から派遣された女性警察官等が避難所を今巡回して防犯指導ですとか相談対応等に当たるなど、被災者の方々の不安感を払拭するための取り組みを進めているところでございまして、こうした取り組みを通じて被災者の方々の安心の確保に努めているところでございます。

池内委員 指導員などの配置というのはぜひともやっていただきたいし、リツイートしないようにとか情報源を確かめて、そういう呼びかけも大事だというふうに思うんですけれども、ただ、今回の最初の地震があった十四日の夜、デマツイートが本当に飛び交って、あっという間にネット上にあふれ返った。

 こうした動きに一番最初に対応したのは、心ある市民とか、あとヘイトスピーチに対するカウンター活動をしている皆さんでした。みんな大変なときにこんなうそはやめてほしい、そんなツイートはデマだ、事業者に削除依頼を出しましたと、一つ一つのデマツイートに対して、一つ一つ打ち消すための行動を皆さん起こされていた。中には、イオンモール熊本クレアが無事であることを証明するためにわざわざ現地の方が撮影しに行ってツイートをして、いや、無事ですという情報を発信していた方もいらっしゃった。その結果、デマツイートが徐々に鎮静化していったという経過をたどりました。これは市民の良識のあらわれであって、私は本当にすばらしいことだというふうに思う。

 その一方で、やはり行政が果たす役割というのが明確にあると思うんです。被災した方、あるいは避難生活をされている方の不安を少しでも和らげる、これは政府の重要な役割であって、その一つに正しい情報を発信していくということがやはりあると思うんです。

 今回は、繰り返しますけれども、市民の良識、この対応で比較的早くデマツイートが収束をしていった。でも、場合によっては取り返しがつかない事態だって考えられ得る事態だったというふうに思うんですね。

 そのため、やはり市民の良識に委ねることを基本としながらも、デマの内容に応じて行政機関が、事実関係を確認した上で、これは違う、こういうツイートはしないでください、デマなんだ、流言飛語だと迅速に発表していくことが大事ではないか、サイバーパトロールもそのように活用してこそ効果があるというふうに思いますが、河野大臣のお考えはいかがですか。

河野国務大臣 警察を初め行政機関はさまざまな情報を今回も流しておりますが、ツイッターのアカウントのフォロワー数は、決して行政が多いわけではございません。

 インターネットの社会というのは、むしろ行政などの制約がない、自由な中でつくられてきたのがインターネットであり、それをインフラとしてさまざまなことが起きているわけでございますから、少なくともそこで流されたツイートは今回のようにインターネットの中で良識ある方が打ち消しをしていく、そうやってこのインターネットというのは進んできたものでございますし、それを制約するというのは必ずしも効果的でもありませんし、うまくいくものでもありません。

 ツイッターのような匿名の人が情報を流すことができるサービスには当然一定のリテラシーが必要とされるわけでございまして、利用する方はそれをわかって御利用していただかなければならない。インターネットの社会というのは、国境もありませんし、誰がどういう情報を流すのも自由という世界でございますから、その中で正しい情報は何なのかということをより分ける能力も当然に一人一人に求められることになっております。

 行政はさまざまな努力をしないわけではございません。行政は努力をいたしますが、全て行政にそうしたことを求めるのは筋違いだというふうに思います。

池内委員 私は何も、自由な社会を制約せよとは言っておりません。自由な社会を守るためにも、事実でないと明確なことに対しては、行政がきちんと正確な情報発信をすべきだということを求めています。

 きょう私が確認したように、ライオンが動物園から出たとか朝鮮人が井戸に毒を投げ込んでいるなどということは事実でないと警察自身が認識していたわけですから、こうした問題を行政の責任としてちゃんと公表せよ、きちんと情報提供せよということを私は求めています。

 その意味で、次に行きますけれども、現代というのは、まさに秒単位でツイートが拡散をしていく。政府のしかるべき部署が毅然とした態度で正式にやらなければ、その間にもツイッターでは、例えばイオンが火事だ、いや火事じゃないという双方の市民の間でのやりとりがあふれ返るわけです。

 今回でいえば、例えば火事だとすると総務省消防という官庁がありますし、朝鮮人が毒を投げ込んだといえば警察の所管になると思いますけれども、そうしたところがやはり正しい情報を発信していくということが住民の不安を打ち消していくことにもなると思うんです。やはり現場はどっちを信じればいいのというふうになりますので、不安をあおられる。

 同時に、流言飛語によってもちろん被災者も、そして被災者を救おうとしている救援組織や職員、自衛隊、支援者も振り回される、こういう影響があるということをしっかりと認識して、警察に限らず、流言飛語の内容によって、担当する行政機関がやはり一つ一つ打ち消す情報発信をしていただきたいということは重ねて求めておきたいと私は思うんです。

 ところで、今回、朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだという流言飛語は、決して許されない人種差別的発言であって、ヘイトスピーチそのものだというふうに思います。

 この発言のもとをたどれば、関東大震災のとき、口伝えとか張り紙で朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ、朝鮮人が放火をしたということにやはり行き着くわけです。関東大震災では、自然発生的な流言飛語というより、むしろ警察など行政機関の側が主導してこのデマが広がって、それに意識的に便乗した人たちを中心に、実際には何の罪もない朝鮮人、中国人、社会主義者が虐殺をされました。世界的に見ても、本当に非常に深刻なヘイトクライムに拡大をしていった。

 そして今、私は、こうした出来事というのは、決して過去のもう終わった話じゃないという恐怖さえ覚えるわけなんです。朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだという今回も流れてしまったデマは、今回の地震だけじゃなくて、広島の土砂災害のときにも繰り返されました。明らかに関東大震災のデマを模倣して今やられているというふうに思うんですね。

 私は、この朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだというのは、ライオンがおりから逃げ出したとかイオンモールが火事だというものとは本質的に違う、大目に見たり見逃していては大変なことになる悪質きわまりないものだというふうに思うんです。

 こうした言説の根底には一部の日本の人々の心に拭いがたい人種差別意識がある、そのあらわれだというふうに思います。こうした本当にどす黒い差別、偏見というものが目に見える形で顕在化して露呈した今回のデマとか、またヘイトスピーチを垂れ流しているデモなどに対して政府自身がやはり厳しく対処してこなかった。こういうことは許しちゃならないんだ、この立場に立って対応していくことが求められているというふうに私は思うんです。

 国連の人種差別撤廃委員会から日本政府になされた勧告について、改めて真摯に受けとめる必要があるというふうに思っています。二〇一四年九月二十六日の人種差別撤廃委員会からの日本の第七回、第八回、第九回定期報告に関する最終見解では、ヘイトスピーチ及びヘイトクライム、第十一パラグラフでどのようなことが言われているか。読み上げていただくだけで結構ですので、お願いします。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一四年九月に公表された、我が国の政府報告に対する人種差別撤廃委員会による最終見解におきましては、ヘイトスピーチ及びヘイトクライムに関し、次のとおり記述されております。

  委員会は、締約国内において、外国人やマイノリティ、とりわけ韓国・朝鮮人に対し、人種差別的デモ・集会を行う右翼運動や団体により、差し迫った暴力の扇動を含むヘイトスピーチが広がっているという報告を懸念する。また、委員会は公人や政治家による発言がヘイトスピーチや憎悪の扇動になっているという報告にも懸念する。委員会は、ヘイトスピーチの広がりや、デモ・集会やインターネットを含むメディアにおける人種差別的暴力と憎悪の扇動の広がりについても懸念する。さらに、委員会は、これらの行動が必ずしも適切に捜査及び起訴されていないことを懸念する。

以上でございます。

池内委員 その上で、委員会は締約国に五点にわたって具体的な措置をとるように勧告していますが、この五点を読み上げてください。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの最終見解におきましては、次の措置をとることが勧告されております。

 (a)憎悪及び人種差別の表明、デモ・集会における人種差別的暴力及び憎悪の扇動にしっかりと対処すること。

 (b)インターネットを含むメディアにおいて、ヘイトスピーチに対処する適切な措置をとること。

 (c)そのような行動について責任ある個人や団体を捜査し、必要な場合には、起訴すること。

 (d)ヘイトスピーチを広めたり、憎悪を扇動した公人や政治家に対して適切な制裁措置をとることを追求すること。

 (e)人種差別につながる偏見に対処し、また国家間及び人種的あるいは民族的団体間の理解、寛容、友情を促進するため、人種差別的ヘイトスピーチの原因に対処し、教授法、教育、文化及び情報に関する措置を強化すること。

以上でございます。

池内委員 既にもう何度も私たちが今生きている社会というのは、国連の人種差別撤廃委員会が懸念していたようなヘイトスピーチの広がり、デモ、集会やインターネットを含むメディアにおける人種差別的暴力と憎悪の扇動の広がりといった問題に直面をしている。

 今回も、震災という多くの市民、国民が不安の中にあるときに、この不安と混乱、こうした心のすき間につけ入るような最悪の形と内容で発生をしています。私は、このことは決して軽視してはならないというふうに思うんです。デマの広がりで中国人や朝鮮人、社会主義者を虐殺したという経験を、ほかでもない私たち日本人が持っているということだと思うんですね。

 日本政府は国連の人種差別撤廃条約の四条を留保していますけれども、この特定の人種や民族に対する常軌を逸したヘイトスピーチは、差別をあおる暴力そのもの、ヘイトクライムにもつながりかねない重大問題というふうに捉えて、断固として禁止をしていく、その意思を私は政府が明確にすべきだと思います。

 今、参議院の議員立法で在日外国人への人種差別を禁止する法律案というのが提出されていますけれども、政府がやはり決断をすべきではないのか。

 菅官房長官にお伺いいたしますが、議員立法の審議がどうなろうとも、その結論を待つことなく、政府自身がヘイトスピーチを断固として禁止する、この決断を明確にすることが求められていると思いますが、いかがですか。

菅国務大臣 一部の国や民族を排除しようという言動や人権差別は当然あってはならないことだというふうに考えております。

 そうした言動、差別への対応としては、現行法の適切な適用のほか、教育、啓発や人権擁護機関による救済手続等により差別等の解消につなげていく、ここが極めて重要であるという認識を持っております。また、政府としては、一人一人の人権が尊重される豊かで安心できる成長した社会を実現するために、教育や啓発活動の充実にも努めてまいりたいと考えております。

 今御指摘をいただきました立法についてでありますけれども、与野党それぞれの議員提出に係る法案が国会で審議中であると承知しておりまして、政府としては、国会での議論の状況というものをしっかりと見守ってまいりたいと考えます。

池内委員 繰り返しますけれども、やはり肝心なのは政府の決断だと。社会にもう既にあらわれている差別的現象には、その具体的なあらわれに対してやはり厳しく対処していくことが求められているということを指摘して、きょうは次に行きたいと思います。

 ヘイトスピーチに関連して、三月二十七日、東京都新宿区の大久保駅周辺で行われた右翼系団体によるヘイトスピーチデモに抗議をしていた市民が、現場警備に当たっていた警察官に首を絞められて全治約一週間の頸部挫傷という暴行を受けるなどという事件がありました。この事実経過はどうなっていますか。

沖田政府参考人 お尋ねの三月二十七日のデモはいわゆる右派系市民グループによるもので、現場では、デモに抗議する多数の者がデモの進路となる道路上に寝そべり、座り込み、立ちどまるといった道路交通法に違反する行為をしておりましたことから、警視庁におきまして、道路における危険を防止し、交通の妨害を排除するため必要な措置を講じたものと承知しております。

 こうした警備措置の過程で警備に当たる警察官によりけがを負わされたとして、三名の女性から、警備に当たった警察官を被告訴人とする告訴状が新宿警察署に提出されたところでございます。

 告訴状によりますと、その概略は、警察官に衣服をつかまれて持ち上げられ、地面に打ちつけられ傷害を負った、警察官に両肩を突かれて後方に転倒させられ傷害を負った、警察官に首を絞められ、ガードレールに押しつけられ傷害を負ったとされているものと承知いたしております。

 警視庁におきましては、事案の解明に向けて必要な捜査を行っているところでございます。

池内委員 私も当日の写真を見ましたし、実際に三人の女性たちからお話も聞いています。

 参議院では、このように加えて答弁されていますよね。「ある警察官が複数の人を歩道に戻そうとして、それは女性だったわけでありますが、その女性の肩に手を伸ばしたところ、結果的に女性の首に当たってしまい、そのまま歩道まで押してしまったもの」というふうに聞いておると。

 私があの写真を見た限り、たまたま首に当たってしまったなどということが通るような写真ではなかった。本当に誠実じゃない答弁に私は納得がいかない。本当に怒りを感じています。明らかに暴行で、行き過ぎだというふうに思う。

 決して身内に甘くしないで、捜査中ということですけれども、厳正に捜査していくということを河野大臣に求めたいと思います。

河野国務大臣 その事案につきましては、警視庁で今、厳正に捜査中と伺っております。

池内委員 決して身内に甘くならないようにお願いいたしたいと思います。

 警備のあり方を見ると、警察というのは一体誰の安全を守っているんだということがずっと疑われるような事態が進んでいるというふうに思います。

 先日、河野大臣は参議院の方でヘイトスピーチについて、「人々に嫌悪感を催させ、あるいは差別的感情を発生させる極めてゆゆしきデモであったというふうに思っております。 特定の民族や国籍の人々を排除するような差別的発言あるいは人種差別というものがあるのは極めて許し難いことであり、やはり一人一人の人権がきちんと尊重される、そういう社会をつくるべく我々は目指していかなければならないというふうに思っております。」このように述べていらっしゃいます。

 そうであるならば、やはり、その極めてゆゆしきヘイトスピーチデモはやめてほしいと抗議をしている心ある市民をこそ守るべきだと私は思います。

 これは、差別、偏見といった心の病ですよね。日常、ふとした出来事の中で具体的な行動となって目に見える、顕在化する問題だと思うんです。全ての人がそうした自分の心とやはり向き合って自覚して、それぞれが乗り越えていかなければならない問題だというふうにも思います。

 同時に、私が今回非常に懸念をするのは、今回の警察の案件が、個々の警察官の心にある偏見や差別、ヘイトスピーチをしている側に共感していたために起きた暴力だったのではないか。もしそうだったとしたら、これは看過できない重大な問題だと思います。

 先ほど触れた関東大震災のときには、むしろ警察官がデマを流布し、起きてはならない虐殺へとつながっていきました。現在、そんなことは起こらないと私も思います。けれども、一つ一つの問題を看過せずに、日常に存在している大小の差別、偏見、常にこういった問題が頭をもたげてくるわけですけれども、そのたびにやはり対処をしないといけないと思うんです。

 私は、今回の事件は、単なる警備上のちょっとしたトラブルなどという認識ではいけないというふうに思います。とりわけ警察官には、人権を守るという意識を一人一人徹底していただかなければならない。先ほどの河野大臣の御答弁というのは、私は本当にそのとおりだと思います。大臣のような認識に現場の一人一人の警察官が立たなければならない。

 そのためにも、警察官に対して、今現在起きている人権課題についての人権教育、単なる一般的な人権教育じゃなくて、今現在私たちが直面している課題についての教育をしっかりとやっていく必要があると思いますが、大臣、いかがですか。

河野国務大臣 現在の法令下では、デモの申請があった場合に、その当事者の主張の内容いかんにかかわらず、不許可事由がなければ許可しなければならないものというふうになっております。

 こうしたデモが行われている場合に、警察は、円滑な交通の確保ですとかあるいは周辺の安全の確保といったことをやらざるを得ません。その状況の中で違法行為があれば、それは誰が行ったものであれ、その違法状況を解消することをやらなければならないのが警察の職務でございます。

 そうした中で、警察はこれまでも、人権に対する教育ですとか関係法令に関する教育というのをやってまいりました。あるいは、デモの現場でどのように対処したらいいのかという教育もやってきたわけでございますが、委員おっしゃるように、最近こうした憎むべきヘイトスピーチあるいはそれを行うデモというのが行われるようになってきた現況に鑑み、それに沿った適切な教育をしっかり警察の中でもやっていくように指導してまいりたいと思います。

池内委員 ぜひともよろしくお願いいたします。

 政府には重い責任があると思うし、政府の対応で多くの市民、国民が励まされるという関係にもあると思います。ヘイトスピーチは許さないという断固とした態度がどうしても必要だと思います。やはり警察は、ヘイトの垂れ流しをとめようと必死で抗議している市民を守る視点でしっかりと人権教育をやっていただきたいし、求められているというふうに思うんです。

 今回私がこの問題を取り上げたのは、まさに先ほどから述べているように、東日本大震災や広島の災害のとき、そして今回の九州を中心とする大きな地震、こういう災害のたびにやはり過去をほうふつとさせるような人種差別的な言動が流布される、こうしたことが目に見える形で顕在化する、そのたびに私たちはやはり、だめだ、こういうことは許さないんだと明確に政治が態度を表明していくことが大事だというふうに思うから、今回この問題を取り上げさせていただきました。

 決して黙って見過ごさないんだ、我々は一人一人が尊重される社会をつくるんだということを私たち自身がやはり発信していかなきゃならないということを私にも言い聞かせて、今回、これで質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 民進党の阿部知子です。

 私も、先ほどの池内議員と同様、熊本、大分における震災被害の中でも、特に、被災者である女性たちあるいは子供たちへの支援がどうであるかということでお尋ねをしたいと思います。

 四月十五日の日に男女共同参画局より、今回の被災に対して、「男女共同参画の視点からの避難所運営等の災害対応について」という依頼文書が熊本県あるいは熊本市宛てに発出されております。災害の都度、同じ避難所で特に女性は着がえやあるいはトイレなどにも気兼ねをしなければなりませんし、また睡眠というのも、暴行等の起こってはいけないことが懸念されるので十分睡眠もとれない等もろもろの問題がこれまでも指摘されておりました。

 加藤大臣にお伺いいたしますが、今回の被災、発災にあっては、内閣府としてどのようなお取り組みをされて、現状の御認識、今後に生かす点など、どうお考えでしょう。

加藤国務大臣 まず、答弁する前に、熊本の震災で亡くなった方に対して哀悼の意を表したいと思いますし、被災されている方々に対してお見舞いを申し上げたいと思います。また同時に、さまざまな方々が救助あるいは支援に当たっていただいておりまして、敬意を表させていただきたいと思います。

 今お話がありましたように、現時点でも避難所に避難されている四万人を超える方々がいらっしゃいます。そして、そういう中において、男性、女性、またそれぞれのさまざまなニーズがあるわけでありまして、そうしたニーズの違いということを十分認識しながら対応していくことが必要だというふうに思っております。

 委員のお話の中にもありましたけれども、発災翌日の十五日に私どもの方から熊本県と熊本市に対して、避難所の開設、運営管理、物資の供給、衛生、保健、生活環境の整備において、特に女性や子育て家庭に配慮すべき事項について通知を発出させていただきまして、また、こうした適切な措置を講じるとともに、民間団体等との連携にも留意していただきたいということを要請いたしました。

 そして、この発出した通知は熊本県災害対策本部において説明が行われた上で被災市町村にも周知をされ、熊本県では、本通知に基づき、きのうから女性や子供の家庭のニーズや避難所の状況調査が行われているというふうに承知をしております。

 私どもとしても、男女共同参画センターあるいは災害ボランティアとして現地で被災者支援を行っている民間団体等から、被災地における女性や子育て家庭等のニーズ、あるいはそうしたニーズに配慮した非常にいい展開をしている、そうしたお話、ノウハウを情報収集して、被災地あるいはそれぞれのところに情報も発信をしていきたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、関係府省、被災自治体、民間団体と連携して被災者支援にしっかりと、また私ども男女共同参画という立場を含めて取り組んでいきたい、こう思っております。

阿部委員 今回、男女共同参画局には大変御尽力いただいておりますし、必ず教訓として生かして、このことが定着することを私も願っております。

 大臣の御答弁にもございましたが、四月二十五日に男女共同参画センターが避難所でチラシを配っておられます。どういうチラシかというと、トイレには一人で行かない、女性や子供が性被害に遭わないように周囲の人たちも気を配ってほしいと。トイレが暗いところにある場合、あるいは細いところにあったりして、そういうところでこれまでも性被害というものが起きておりまして、あわせて、今回は、もし万が一そういうことがあった場合には熊本県警本部のレディース一一〇番に通報してほしいということも加えられております。

 私は、十日たって後のことではありますが、大変に今後の教訓になりますし、こういう取り組みをもっと早期に、当初は混乱期でありますが、より早いお取り組みをお願いしたいのと、あと、やった後の点検が必要だと思います。これも、男女共同参画局からチェックリストというのがつくられておりまして、例えばトイレはユニバーサルトイレが設置してあるか、あるいは、やはり女性の方がどこでもお手洗いはたくさん人が並びますから、災害の仮設トイレあるいはトイレの利便がどうかなども、極めてトイレは重要です。

 女性活躍の中でもトイレの問題が取り上げられておりますが、ふだんから震災があり得ることを思って、女性トイレの充実というのは災害時にも生きてまいりますので、今回の災害から学んで、ぜひ通常の中でもユニバーサルトイレあるいは女性トイレの設置、昔国会には女性のトイレがなかったそうでありますが、男女活躍は当たり前な時代、しかし、いろいろな面で不利益、不利を抱えた女性たちを積極的にエンパワーしていただきたいと思います。

 続いて、河野大臣にお伺いいたしますが、警視庁の方では、女性警察官を中心とする、きずな隊というのをつくって配置しておられます。この件について、今後の取り組みも含めて、河野大臣に御認識を伺います。

河野国務大臣 これまでのさまざまな災害の中で、避難所あるいは被災されている方の御相談を受けるというような形で、女性警察官が非常によかったというお話をいただいておりますので、今回の熊本地震におきましても、警視庁から、きずな隊と名づけた女性警察官を、それから九州管区の福岡、佐賀、長崎、鹿児島の各県警から、特別生活安全部隊と称しまして、総計で四十四名の女性警察官を現地に投入いたしまして、防犯指導ですとかあるいは避難所の相談に当たっております。

 一つは、警察官がいるということで防犯に大きく役立っておりますし、また避難されている女性の方からは、女性警察官に話を聞いてもらえるだけで心が安らいだり、あるいは不安に思っていること、特別なニーズを女性警察官に伝えることによってそれを吸い上げることができるというふうに、非常に役に立っていると思っております。

 きずな隊と熊本県あるいは各自治体とも緊密に連絡をとり、あるいは看護師さんなどほかのチームとも緊密に連絡をとりながら避難所のニーズをしっかりと今後とも吸い上げていってもらいたいと思いますし、警察庁としてもしっかりバックアップするよう指導してまいりたいと思います。

阿部委員 今、河野大臣の御答弁にもございましたように、特別生活安全部隊という形で配置をしていただいている。そして、先ほどの池内さんの御質問、大変悲しむべき流言飛語もございますけれども、やはりその場で、フェース・ツー・フェースで被災者に向き合って不安を吸い上げ、さらにNGOなどの皆さんとの連携もつくっていくようなこと、このきずな隊から多くを学んで施策に生かしていただきたいと私からもお願い申し上げます。

 加藤大臣にもう一つお伺いいたしますが、平成二十五年の六月に災害対策基本法が改正をされまして、この中で福祉避難所というものが位置づけられました。介護を必要とする方、弱者、子供、妊婦さんなどについて、一般のところにおられますと、どうしても災害関連の死亡になったり負荷を負いやすい。あるいは、子供であると、子供の泣き声がうるさいと言われて、お母さんたちは自分も被災者なのに子供を抱えておろおろするということがあって、私も大変、もちろん皆さん大変ですけれども、ここを何とかしたいと思ってまいりました。

 たまたま私は先週金曜日、被災地に入らせていただきましたが、御船町というところでは、子育て支援避難所というものを従来の子供の福祉会館のようなところの一角につくられまして、そこに、臨月の妊婦さん、すぐ赤ちゃんが生まれそうなお母さんとか、あるいは、たまたま普通の仮設所にいてポットで足をやけどしてしまった十カ月の坊や、これも避難所ではそういう危険の防止ができませんで、しかし、お母さんは文句も言えない。でも、本当に夜も眠れない状態だったと。その子を抱えて、子育て支援避難所が、これは御船町が工夫をしてつくられたわけですけれども、あって、本当にほっとされた御様子のところでお話を伺いました。

 大臣は、これから政府の中で、災害対策本部のさまざまなところで御発言と思いますから、福祉事業所の現状、その中でも、わけても子育て支援避難所という、これは新しい、文章の中では規定されていても、実際的に今回初めて可能になり、そこにまた、日ごろから子育て支援のボランティアをやっていらっしゃる、あるいはここを委託運営されている方たちも駆けつけて子供とお母さんを守っておられました。つらい震災の中でも、ぽっと明かりが差すような空間であったと思います。

 こうしたことも情報を集めていただいて、そしてふだんからそういう子供たちのスペースというものを、地域の中にも子育て支援スペースが大事ですから、つくっておくことが災害時にもそのように使っていけるということでありますので、繰り返しになりますが、ぜひ災害対策本部の中でこういう男女共同参画、子供たちの視点も御発言いただきたいが、いかがでしょう。

加藤国務大臣 避難されている中で、特に小さい子供さんを抱えて避難されている方々は、周囲への配慮を含めて、本当に、ただでさえ避難をしているというストレスの中でそういったこともあるということをよく我々も認識して対応しなきゃいけないと思っております。

 御指摘がありました、災害対策基本法に基づいて、避難所での生活において特別な配慮を要する者のため市町村が福祉避難所を設置する場合においてはその対象に乳幼児も位置づけられているわけですが、一般的には、どちらかというと、高齢者施設を使って、高齢者の方々がメーンになっている事例が多いのではないかというふうに私は認識をしております。

 そういう意味で、御船町のように子育て支援避難所というのを今、子供の福祉会館ですか、多分そういうところを活用しておやりになっている、大変先進的な取り組みだというふうにお聞きをさせていただきました。

 今はちょっとまだ我々が入る段階ではないと思いますが、落ちついた状況になった段階においてこうした取り組みの実態とかそのやり方についていろいろと我々も調査させていただいて、今後にもぜひ役立たせていただきたい、こう思っております。

阿部委員 日本は、地震、自然災害の多発国であります。そういうことに対して、ハードもソフトも備えていく。ハードは建物もやはり必要ですし、ソフトは地域の力とか行政の力でありますので、重ねてお願いをしたいと思います。

 さて、もう一問、性暴力のワンストップ支援センターについて加藤大臣にお伺いいたしたいと思います。

 これは、これまでも私がこの委員会で取り上げさせていただきましたので、内容については繰り返しをいたしませんが、この間、四月二十一日に発出されました、男女共同参画会議女性の活躍に対する重点方針専門調査会でも、重点政策事項の素案としてこの性暴力支援センターのお話が出てまいります。

 しかし、この前も指摘いたしましたが、今は調査研究費でやっておられて、これとて内閣として大変いいお取り組みと思いますが、今後、果たして本当に各県でできるだろうか。これを、加藤大臣は調査をこれからかけるとおっしゃっていましたが、たまたま四月二十六日の新聞には、自公で、与党でPTを立ち上げられて、ワンストップ支援センターについて強化をされていきたいということでありました。

 大臣にはこの段階でどこまでの御発言がいただけるかわかりませんが、私は、これは迅速に、クライシスのセンターですから、可及的速やかに性暴力の問題は対策していかなければいけないと思いますので、今後の予算獲得に向けた党を挙げた、あるいは党を超えたお取り組みについて、大臣の決意のほどを伺います。

加藤国務大臣 昨年十二月に策定いたしました第四次の男女共同参画基本計画において、ワンストップ支援センターを各都道府県に最低一カ所設置するということで、昨年十一月には二十五カ所でありましたが、現時点で二カ所ふえて、今は二十七カ所というふうに承知をしております。

 その上で、今、男女共同参画会議の専門調査会において、女性活躍加速のための重点方針二〇一六というのをこの五月下旬に策定いたしますが、それに向けて議論をしていただいております。

 その中で、このセンターに関しては、個々のセンターの運営状況をさらに調査するとともに、未設置の地方公共団体については、その理由も含めて把握し、地方公共団体の支援のあり方を検討すべきであるということで今議論をされておりますが、そうしたものが重点方針二〇一六に当然盛り込まれていき、それに基づいて、今後、我々として、支援のあり方についてしっかり検討していきたいと思っております。

 また、並行して、今実施しております実証的調査研究事業を今後についても継続できるように引き続き検討させていただく中で、最初に申し上げた、少なくとも各都道府県にまずは一カ所設置できるように取り組ませていただきたいと思います。

阿部委員 前回もお示しいたしましたが、やはり費用がかかるということですね。しかし、物事には機運というものがあって、今は、性暴力支援センターについて、与党の中でも、また政府にあってもお取り組みを加速しようということであります。

 私ども民進党においても、そうしたことを加速するためには立法措置も必要ではないか、例えば性暴力支援センター支援のための法律、そういうことも考えさせていただいております。

 こういう男女共同参画には、別に与党も野党もないと思います。本当に女性たちが安心して活躍できる社会をつくるために、私どもも野党として努力いたしますし、また大臣にあっては与党でいらっしゃいますから、ぜひ積極的に打って出ていただきたいと思います。

 引き続いて、河野大臣にお伺いいたします。

 これも先回お尋ねしたことの確認に重なる部分ですが、性暴力ワンストップ支援センターに行かれますと避妊とかあるいは検査の処置を受けなきゃいけないが、この費用をどうするか。この前大臣は、この費用は必ずしも被害届を必要とするものではない、ただし、警察官とどこかで会ってもらわないとこれができない、私の質問と参議院の山本香苗議員の質問をあわせて要約するとそのようになっております。

 確かに、警察庁の立場からは、犯罪性とか情況証拠の確保ということでこの費用の負担ということも一部考えて医療的な処置に係る費用を出しておられる側面もあるかと私は理解しますが、しかし、被害者支援という観点から見ると、ワンストップ支援センターのようなものがしっかりと確立すれば、その中のスタッフの一人が警察官と対応することによっても被害者の状況というのをお伝えもし、医療的な負担もかなう部分があると私は思います。というのは、被害者がもう一度警察官に話すというのは、フラッシュバックがございますし、本当につらいことであります。

 このあたりも、大臣、今度犯罪被害者の対策は大臣のところに移りますし、なお、この間、私も何度も取り上げておりますので要点は御存じと思った上で、さらに今後のお取り組み、もう一歩進めていただけまいか。その同じワンストップ支援センターの中の人材は、それぞれに訓練され、能力をお持ちであります。そういうところから聴取するという可能性については、どのようにお考えでしょう。

河野国務大臣 犯罪があったというところを認定する必要がありますので、警察がお話を伺わせていただいているわけでございます。

 犯罪があったかどうかの認定をワンストップ支援センターのスタッフに求めるのはなかなか難しいというふうに思っておりますので、むしろ、ワンストップ支援センターときちんと連携がとれて人間関係もしっかりしている警察官が、これは何も制服を着たお巡りさんが行くわけではありませんし、そういう被害者にきちんと寄り添える女性の警察官が、ワンストップ支援センターのスタッフの方々と一緒になって被害者に心理的、精神的に御負担にならないようにお話を伺わせていただいて、しっかり犯罪のあったということを認定させていただく必要がやはりあるんだろうと思います。

 警察といたしましては、お話を伺う女性の警察官をしっかりとそういうことができるようにトレーニングしていく、あるいは支援センターとしっかりと信頼関係をつくっていく、そうした心理的な負担を引き下げるためのさまざまな努力をしてまいりたいというふうに思っております。

阿部委員 大臣の所掌のお立場からはそうだと思うんですね。

 そこで、私どもは、被害者への支援策として、犯罪認定、あるいは警察による、これは再発防止に結びつきますから意味があるんですけれども、そういうスキームとは違う部分で、被害者支援のための予算が出るようなスキームも必要と考えております。

 私は、大臣のお立場からはそこまで、恐らくそうなると思います。それゆえに、このワンストップ支援センター、そしてそこで当然受けられる医療等々についての支援策も含んだ立法が必要ではないかと考えております。また、そうしたことを論じさせていただきたいと思います。

 引き続いて、保育園問題で伺います。

 この委員会でも、企業主導型の保育事業について、賛成はいたしましたが、懸念の点も幾つか述べさせていただきました。

 最近報道されておりますものの中に、いわゆる企業内保育所の、日本橋にございますキッズスクウェアというところで、うつ伏せ寝で子供さんが死亡されました。保育というもののイロハのイでございまして、うつ伏せ寝で置いておいて、泣くからと、二時間も他の部屋に隔離されていた。これは企業内保育所だからとは申しませんが、しかし、この保育士さんの資質とか、そういうノウハウをまだ御存じなかったのだと思います。

 ちなみに、これまで政府の集計でも、昨年の三月から十二月までで十四人死亡事例があって、うち七人がゼロ歳児、お二人が一歳児で、大半がうつ伏せ寝であります。危険が重々周知されていてもいいのに、また起こる。

 そして、企業主導型保育所のどこにお金、補助金を出していくかということで、公募団体というのが募られまして、先週金曜日にその公募が締め切りとなりました。

 この公募団体は実は、もともと事業所内保育所というのは小規模保育事業のB型といって、A型よりも簡単に言うと基準が甘いものですが、さらに、公募団体がある事業所内保育所を指定するときに、場合によっては公募団体の裁量の中でさらに緩めてよいかの記載がございました。

 私は今でも、本当に技能を持った人が子供を扱わないと危険と思っております。基準によりがたい特別の事情があると公募団体が認める場合においては、基準を標準として公募団体が定める基準によることができるというのは、ちょっと私はいかがかと思います。お考え直しをいただきたい。いかがでしょう、大臣。

加藤国務大臣 まず、うつ伏せ寝によって亡くなったお話がございました。そうしたことがないように、重大事故の再発防止のための検証と事故防止等のためのガイドラインというのをつくらせていただいて、事業者、あるいはそうした事案が残念ながら発生した場合の対応も含めて、さらにこのガイドラインにのっとって徹底をしていかなきゃいけないというふうに思っております。

 それから、今お話がありました企業主導型保育園の実施要領でありますけれども、これはまだ検討中ということでございまして、今、途中の段階であります。

 基本的には、企業主導型保育事業の設備、面積基準については、認可の事業所内保育事業の基準を遵守していただくことが原則であります。ただ、これによりがたい場合、特別の事情があると公募団体が認める場合には、当該事業実施者との間で公募団体が個別に定める取扱規則によることができるという仕組みを想定しております。

 ただ、ここで申し上げているのは、認可事業所内保育事業の基準を満たし切れない場合にはそれを補完する必要があるだろうということでございまして、そういったことについて、実施事業者側に講じていただくべき措置の内容について個別の事案ごとに内閣府と協議をしていただいて、その上で対応していただきたいというふうに思っておりまして、それを踏まえたような形の実施要領にもしていきたいと思います。

 いずれにしても、具体的な運用に当たっては、質の確保には十分注意していきたいと思います。

阿部委員 残念なことに、死亡事故は昨今ふえております。昨年末までで十四で、ここのところ立て続けに起こったもので、十六もいっております。昨年度の集計が十七。

 本当に子供の命にかかわることの基準でありますので、安易に緩められることのないよう、またその公募団体が、これからどこがそれをなさるかがわかるでしょうけれども、どの団体を選ばれたか、そういう公募団体の審査過程も公開をしていただきたいと思いますが、お時間がないので、この御答弁は求めず、私からの要望といたします。

 先ほど、河野先生には失礼いたしました。

 最後に、原子力委員会委員長にきょうはお越しいただいておりますので、二問お尋ねをしたいと思います。

 一週間ほど前に経済産業委員会で再処理に関する法案が通過をいたしまして、本来であれば、電気事業者は出てくるプルトニウムについて利用計画というものを立てて、これを原子力委員会が認めるということでなされるべきものでありますが、今回は、利用計画が出せないことはやむなしということで、原子力委員会ではこれをお認めになりました。

 今、日本の核セキュリティー状況に対して、核分裂性プルトニウム三十二トンで、世界から懸念の目が向けられております。原子力委員長にあっては、少なくとも、実際に再処理過程が始まるまでには計画の提出を必ず求め、またその審査もきちんとしていただきたいと私は思うんです。例えば、周辺住民が反対しているから実際にはMOX燃料を燃やせないところが出てきていたりしたら、計画はあっても燃やせません。原子力委員会にあっては、単に机上のペーパーで減る予定とかでは済まされないと思いますが、いかがでしょう。

    〔委員長退席、中根(一)委員長代理着席〕

岡参考人 原子力委員会といたしましては、我が国のプルトニウム利用に関する基本的考え方を十数年前に作成いたしまして、電気事業者にプルトニウム利用計画を公表することを求めて、確認を毎年してまいりました。

 今後も、原子力を取り巻く環境を踏まえまして、プルトニウム利用計画について公表された段階で、その妥当性について厳格に判断、確認してまいりたいと存じます。

阿部委員 失礼ながら、そうした通り一遍の御答弁を求めたものではなくて、実効性の担保を含めて御判断なさいますかということでした。

 追加で、では、出てくるプルトニウムと、処理できる、MOXで燃やす、これはバランスをとって、燃やす分だけしか処理しないというふうになさいますか。済みません、一問お願いします。

岡参考人 おっしゃるように、利用目的のないプルトニウムは持たないというのが基本方針でございます。その中で、今おっしゃったことについても確認をしていく。

 それから、先日御審議いただきました再処理の法案につきましても、まず、経産大臣が中期計画を認めて、それについて原子力委員会の意見を聞くということになっておりますので、そのプロセスを詳細に確認いたしまして、原子力委員会の役割を果たしたいと存じます。

阿部委員 世界の目が注がれております。私は、厳しく審査していただきたいと思います。

 終わらせていただきます。

中根(一)委員長代理 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 民進党、緒方林太郎でございます。

 定足がそろっていなければとめてくださいと言うつもりでしたが、二十人ぴったりだそうでありまして、慎重にやっていきたいと思います。

 きょうは、公益法人という切り口から、十五分質問をさせていただきたいと思います。公益法人の担当大臣は河野大臣でありますが、お忙しいということでありますので、きょうは参考人だけでやらせていただきたいと思います。

 公益法人日展について取り上げさせていただきますが、平成二十五年十月、朝日新聞で、日展五科、書の篆刻部門で不正疑惑、有力会派への入選数の事前配分、さらには金銭の授受があったということで報じられました。中心には、日本芸術院会員である日展顧問の存在があったと言われています。

 その後、第一次第三者委員会で、日展五科においてはそのような事実があった、このような慣行も存在した、そして篆刻以外の書でも不正疑惑の可能性が示唆をされた、そういった内容でした。

 これを踏まえて、平成二十六年四月、内閣府は日展に対して、公益認定法に基づきまして、今後の改革の方向性等について報告要求を行った。

 しかしながら、同時期の平成二十六年四月に、日展は独自の内部調査委員会を設置して、最終的に同内部の調査委員会では、平成二十六年六月に、日展五科での不正疑惑に、中心人物であったとされる日展顧問の関与はなかったという報告を出しました。これは、日展が設けた第一次第三者委員会とは全く異なる結論を出したということであります。いわば、身内かばいのもみ消しに当たるというふうに思われます。

 これに対しまして、内閣府は再度日展に対して報告要求をして、結果として、内部調査委員会の結論を日展側は取り消した。

 平成二十六年については、日展は、こういったさまざまな事情を踏まえて、文化庁の後援もつかなかった、文部科学大臣賞もなかった、内閣総理大臣賞もなかったということだと思います。

 そして、これと軌を一にして、日展は、平成二十六年七月に改革方針を取りまとめて、一年にわたり実施してきたとされています。

 これを踏まえて、昨年八月、昨年の日展については、文化庁は日展に対して、不祥事以来とまっていた文化庁の後援そして文部科学大臣賞を許可し、その後、内閣総理大臣賞も許可をしたということであります。

 おおむねこの事実関係で間違いないかと思いますけれども、確認いただけますでしょうか、文化庁。

内丸政府参考人 お答えさせていただきます。

 文化庁は、平成二十五年十月の報道以来、先生御指摘のように対応を進めてまいりました。平成二十六年七月には、日展から、新理事長選出とともに、第三者委員会の提案に沿った審査体制、組織運営に関する改革案を決定した旨の報告を受けております。その後、改革案の進展を促しつつ、先生御説明のように対応を進めてきたところでございます。

緒方委員 内閣府も、おおむねこのような認識でよろしいですか。

岩田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生の御指摘のとおりでございます。

緒方委員 そうなんです。大体こういった内容でありまして、これをベースに話を進めたいと思います。

 そういう中、私は実はこの件を昨年の予算委員会の分科会で取り上げたんですけれども、それを踏まえてかどうかわかりませんが、昨年八月、私のところに投書が来ました。

 ちょうど、昨年、日展に対する文化庁後援、文部科学大臣賞を決める前後のときの話でありましたが、内容としては、引き続き、偉い先生に対する謝礼金の禁止が徹底できていないんじゃないか、門下生の方が先生に対して例えば日展で賞をとるための謝礼金とかとった後の謝礼金とか、そういうことの謝礼金の禁止が徹底できていない、そして事前下見の禁止も徹底できていないというような内容のものでありました。

 いずれも、日展改革の過程で変更された日展規則で禁じられている行為であるというふうに理解していますが、確認したいと思います、内閣府。

岩田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの件につきましては、昨年の十一月に、私どもの方から公益社団法人日展の事務局に対しまして確認をしてございます。

 その答えを御紹介いたしますと、後に第二回日展の審査員となります者に対して当該日展において特選を受賞することとなる者がお祝い金を渡したということ、それから当該審査員は審査員になる前の平成二十七年七月二十日に錬成会と称する会を開催したこと、それは事実であるということでございます。

 ただ、金銭の受け渡しにつきましては、別の個展に関するものであって、当該日展の作品指導や謝礼を意味するものではないということ、それから御指摘の錬成会につきましては、従前から実施している作品研究会であって、特に日展を意識した企画ではなく、錬成会の開催自体、審査員になることが決まる前から決まっていたものであるという回答を聞いているということでございます。

緒方委員 実は答弁がちょっと先に行っちゃったんですけれども、謝礼金の禁止とか事前下見の禁止というのは、内閣府が報告要求をした後のさまざまな改革の中で進んできた日展規則の中で禁じられているというふうに理解をしてよろしいですね、内閣府。

岩田政府参考人 謝礼金等といたしましては、委員になった者については禁止されているということでございます。

緒方委員 そうなんですね。審査員になった者については、謝礼金を受け取ってはいけないとか、これはいい、これは悪い、そういうような事前下見をすることも禁じられているということでありましたが、先ほど内閣府の岩田室長の方から答弁がありましたけれども、しかしながら、謝礼金はだめだけれども、別の目的であればお金の授受をすることがあたかも問題ないかのような、そんな話であり、そして建前を異にすれば事前に下見をすることも行われている、そういう返事が日展から返ってきたということでありました。

 これは事実上、せっかく改革をしているんですけれども、改革をした規則とかを脱法のように解釈していて、謝礼金はだめだけれども別の目的であればお金の授受をすることは構わないとか、名目さえ異なれば事前の下見をすることも引き続きやって構わないということになるとき、実は改革は貫徹されていないのではないかというふうに思うわけですが、内閣府、いかがですか。

岩田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、事実関係として現実にそういう授受があったかどうかについて認定してございませんので、そこはちょっと仮定の議論になりますけれども、趣旨として改革の方向に反しているということは言えると思います。

緒方委員 ぜひこれは確認をしていただきたいんですね。

 私は別に芸術の中身に立ち入って何か言いたいとかいうことではなくて、芸術界、特に今回でいうと日展五科、書の篆刻の部門からスタートしたわけで、特に書壇の世界ですけれども、こういったところで、例えば日展で入選をとったら謝礼金百万円だ、特選をとったら一千万円だというようなことが巷間よく言われるんですね。実際に、これがきつい、苦しいという人にも私は会ったことがございます。そういうお金が飛び交うような書壇、お金が飛び交うような芸術界というのはよくないと思うので、なので、これを正したいという思いから、きょう質問をさせていただいているわけでございます。

 先ほど事実関係が確認できないということでありましたが、仮に先ほど室長が言われたような話が事実であるとすると、公益法人のコンプライアンスとして非常に問題が多いと思います。事実関係を確認していただけるということでよろしいでしょうか、室長。

岩田政府参考人 委員御指摘の趣旨を踏まえまして対応したいと思います。

緒方委員 そして、文化庁は、昨年の日展に後援を出しました。

 先ほど言ったような事実関係、私は余り事実関係をつまびらかに言っておりません。これは個人の特定に当たるので、私は細かくは言わないようにここではいたしております。個人の誹謗中傷に当たるかもしれないし、事実関係が確認できていないということでありましたが、言っておりません。

 ただ、私は、文化庁には事実関係を事細かに説明いたしております。それは昨年の八月です。八月の段階で文化庁には事細かに説明をしている。その段階で文化庁からどういうお答えがあったかというと、ある意味出所不明の文書であり、出所不明の情報であり、日展の審査プロセスに影響するので、現時点で具体的に調べるのは控えたいというようなお話でありました。それは私は理解いたします。しかしながら、結果として、昨年の十一月に調べてみたら、今、岩田室長が言われたような状況でした。

 実は、この日展の問題が最初に起こったとき、平成二十五年十月に起こったときに、当時の下村文部科学大臣は、この件、日展の中にうみがあるのであれば、うみを出し切るまで改革をやり切るというふうに言いました。

 現在、今の日展の状態というのは、当時の下村文部科学大臣が言われたような、うみを完全に出し切った状態だというふうに思われますか、文部科学省。

内丸政府参考人 お答えさせていただきます。

 文化庁としましては、競争的な環境と申しますか、そういうものがやはり多くの切磋琢磨につながって、文化全体の振興につながっていくというふうに考えております。

 そういう意味で、審査体制については非常に、私どもとしましては、日展について、従前からいろいろとお話しさせていただいているところでございます。

 二十六年七月二十八日に取りまとめました改革案に基づきまして、組織の運営また日本美術展覧会の審査体制についての改革を進めてきたというふうに理解しております。

 また、日展におきまして、その改革案で示されました事項というのが全て実施されて、日本美術展覧会におけます審査につきまして公正に実施される体制は整ったのかなというふうに認識してございます。

 また、昨年開催されました、改組されました新たな第二回の日展の審査において、審査員行動基準の違反についてはなく、審査は公正かつ公平に実施されたと報告は受けております。

 ただ、先生がおっしゃいましたように、今後とも、文化庁としましては、本件についてもしっかりとフォローしていきたいと考えております。

緒方委員 ちょっと文化庁と内閣府の間に温度差があるなという気がいたしますが、体制は整った、昨年の日展に何も問題がなかったと報告を受けているということでありました。

 もう一度お伺いをいたします。文化庁として、現在の日展はうみが出切った状態だというふうに思われていますか。

内丸政府参考人 この間の日展における改革への対応という意味においては、進捗があったものと理解をしております。

 ただし、日展自身もまだ改革案というふうに申しておりますので、引き続き、これについてはさらなる向上を目指してやっていくということなのかと思っております。

緒方委員 最後に、一つ質問したいと思います。

 日展問題の渦中であります平成二十五年十二月に、当時の顧問弁護士が当時の理事長に意見書を出しています。私は今ここに持っていますけれども、あえて配付いたしませんでしたが、理事会でも配付された資料だというふうに聞いています。この顧問弁護士は、先ほど言った、その後の身内かばいのための内部調査委員会を主導した人物だとも聞いています。

 その顧問弁護士が当時の理事長に意見書を出した中には、いずれにせよ、疑われなければいいのだと。疑われないようになっていればいいとか、文化庁は日展に好意的であるけれども内閣府はそうでもないとか、そういった表現が出てきます。これは日展側の本音だと思うんですよね。内閣府は公益法人という観点から見ていて結構厳しいぞ、しかし、文化庁はなれ合いが可能な組織だ、そういうふうな雰囲気が日展の中にあるんじゃないかと思うんです。

 文化庁はばかにされていますよ。なれ合っているから文化庁は、まだ改革が貫徹されていないにもかかわらず、昨年の日展に対して後援を出したんじゃないですか、文部科学大臣賞を出したんじゃないですか、そして内閣総理大臣賞を出したんじゃないですか。いかがですか。

内丸政府参考人 文化庁としましては、厳しく日展にこの間向き合ってまいりました。また、全ての審査過程における外部審査員の導入ですとか、審査員による事前指導や下見の禁止など、日展における改革への取り組みについても促しながら、公正かつ公平な審査が実施される体制が確保されるように厳しく対応したところでございます。

 今後とも、日展の改革が着実に実行されて、一定の公正かつ公平な審査が引き続き実施されるように対応してまいりたいと考えているところでございます。

緒方委員 最後に一言だけ。

 日展をめぐる問題というのは、実は昭和三十年代から国会の中で議論されています。もともと日展というのは官展でした。官製の展覧会でした。しかし、これが民間団体になったのも、国会で議論が行われ、そこで指摘があったことを踏まえて改革が行われた。

 この数年、せっかく改革の機運が高まったんですけれども、今回指摘したようなことがまた続くようでは、またこれから五十年後とかにまだ同じことをやっているというようなことが続くのではないかと危惧いたしますので、これを機会に改革を貫徹することを文部科学省そして内閣府の方に求めまして、私の質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

中根(一)委員長代理 次に、河野正美君。

河野(正)委員 おおさか維新の会の河野正美でございます。

 休憩前最後になりますけれども、今、多分ぎりぎりの人数しかいないと思いますので、ぜひ着席のままよろしくお願いいたします。

 先日来、子供の貧困について超党派で議員連盟が設立され、関係の各団体等々からヒアリングを行っているところでございます。本日は、この問題に関して、幾つかの調査結果をもとに質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、山形大学の戸室健作准教授の研究によれば、生活保護費を下回る収入で暮らす十七歳以下の子供さんがいる世帯の数について、過去二十年間の推移を調べてみたところ、一九九二年には約七十万世帯だったのが、二〇一二年には約百四十六万世帯に倍増していたことがわかったということであります。この間、少子化により、子育て世帯数は約千二百九十三万から千五十五万世帯まで減っているところでありますので、十七歳以下の子供さんがいる世帯に占める貧困世帯と言われる割合は五・四%から一三・八%へと三倍近くふえたということになります。

 まず最初に、この研究成果について政府の認識を伺いたいと思います。

武川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の調査研究では、十七歳以下の子供がいる世帯のうち、生活保護費から医療扶助を除いたものを最低生活費と定義いたしまして、それ以下の収入しか得ていない世帯の割合を子供の貧困率としております。就業構造基本調査を用いてこれを算出したところ、全国の子供の貧困率が、一九九二年から二〇一二年まで二十年で五・四から一三・八へ増加した等の結果が得られたものと承知しております。

 この調査結果は、学術的な立場から一定の仮定のもとで、実態の把握が難しい子供の貧困状況に対し分析を行ったものとして一つの参考になると考えております。

 一方、政府といたしましては、子供の貧困対策大綱において二十五の指標が書かれておりますが、その際の子供の相対的貧困率は、国民生活基礎調査を利用し、OECDの算定方式に基づいて算出したものを用いております。この子供の相対的貧困率も長期的傾向としては緩やかに上昇しているところでございまして、政府としては、大綱に沿って総合的な施策をしっかりと推進してまいりたいと考えております。

    〔中根(一)委員長代理退席、委員長着席〕

河野(正)委員 都道府県別にその割合を見ますと、地域差が著しいということもわかります。沖縄県の三七・五%を筆頭に、大阪、鹿児島、福岡、北海道というふうに続いており、西日本に貧困世帯の割合が高い傾向が見られます。九州では、佐賀県以外は全て全国平均を上回るといった結果になっています。

 こうした子供がいる世帯の貧困世帯割合が地域によって差が生じている状況について、政府の認識を伺いたいと思います。

武川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の調査結果では、都道府県別の子供の貧困率のデータが載ってございます。それでは、関西以西と東北以北において子供の貧困率が高いということが示されていることは承知いたしております。

 一般論といたしましては、子供の貧困の状況や実態につきましては、地域によってさまざま実情が異なるものと考えられておりますが、政府としては、子供の相対的貧困率の算定に当たって国民生活基礎調査を用いておりまして、その調査方法によりますれば、個別の都道府県の統計上有意な貧困率を算定することは困難とされております。

 政府といたしましては、二十七年度の補正予算におきまして、各地方自治体が貧困の状況にある子供や家庭の実態等を把握するために活用できる地域子供の未来応援交付金を創設しておりまして、それによって地方公共団体が地域における子供の貧困の実態、実情を踏まえた対策を企画立案、実施できるよう、必要なサポートを行ってまいりたいと考えております。

河野(正)委員 続きまして、国連児童基金、ユニセフは、今月、「子どもたちのための公平性」と題する報告書を発表しております。欧州連合、EU、経済協力開発機構、OECDに加盟する四十一カ国を対象に、底辺に置かれた子供たちが平均的な子供たちからどの程度取り残されているのかを順位づけしたもので、格差が先進国の子供たちの間にどのような影響を与えているかを明らかにしたものであります。

 その結果、日本は、子供の相対的所得に関する底辺の格差の順位が四十一カ国中、下から八番目で、学習到達度においては下から十一番目となり、格差が大きい方の国というふうな位置づけでございます。

 この報告書について、政府の受けとめはいかがでしょうか。

武川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のユニセフの報告書につきましては、これまでOECD等が発表してきた相対的貧困率の国際比較だけではなくて、さらに加えまして、各国の貧困の程度、具体的には、最貧困から一〇%の層に当たる子供の世帯所得が所得分布の中央値に対してどの程度の比率であるかに着目した新たな分析であると認識しております。

 子供の貧困に関する実態は見えにくく、捉えづらいものと言われておりますが、政府といたしましては、子供の貧困対策に関する大綱で二十五の指標を掲げておりまして、まずは、これにより実態を把握した上で、この指標の改善に向けて大綱に掲げた施策を着実に実施していく、施策を進めるに当たって、今回の国際機関の研究もしっかりと参考にしてまいりたいと考えております。

河野(正)委員 この報告書におきましては、やはり国の政策が大事であるということで、五つにわたって政府の取り組みを提言しています。世帯所得の改善、学習到達度の向上、健康的な生活習慣の促進、支援、主観的な幸福度の重視、公平性を幸福度の課題の中心に位置づけるなどといったものであります。

 これまでの貧困対策よりもさらに包括的な支援が求められていると思いますが、こういったことを踏まえて、政府の認識を伺いたいと思います。

武川政府参考人 お答えいたします。

 社会の担い手となるはずの子供の未来が貧困の連鎖等によって閉ざされるということは、社会的損失につながると考えております。

 子供の貧困対策は、子供自身ひいては我が国社会の未来への投資であり、国を挙げて取り組んでいく課題であると考えております。

 政府といたしましては、平成二十六年八月に閣議決定いたしました子供の貧困対策に関する大綱に基づきまして、当面の重点施策として、教育支援、生活支援、保護者の就労支援、経済的支援に取り組むとともに、子供に関する全ての政策分野、児童虐待、青少年育成支援と密接に連携し、おっしゃるように、子供の貧困対策を総合的に、包括的に推進することが必要と考えております。

 また、これを受けまして、昨年十二月には、ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクトで、第二子以降の児童扶養手当の加算額の倍増、奨学金の充実、さまざまな資格取得のための資金対応などの多方面にわたりまして、貧困対策を大幅に充実することといたしております。

 今後とも、この大綱に盛り込まれた施策を着実に実施することで子供の貧困の解消に努めてまいりたいと考えております。

河野(正)委員 この報告書の巻頭に、子供の貧困問題に我が国で取り組んでこられた首都大学東京の阿部彩教授のレポートが掲載されております。

 その中では、平均や割合にとどまらず、一番厳しい状況にある人々がどれくらい厳しいかという指標で事実を分析することで、新たな側面が浮き彫りになったというふうにしております。

 これまで我が国では、貧困問題はどちらかというと発展途上国で起こっている問題で、日本は比較的平等な社会であるという認識が強かったかと思います。しかし、子供の貧困について、その実態を調べると、子供の貧困問題が我が国の政策課題の上位に上るべきテーマではないかというふうに思います。加藤大臣の認識を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 今、国内での分析あるいはユニセフの分析もお示しがありました。また、子供の貧困に関する二十五の指標の一つであります子供の相対的貧困率、これも、長期的な傾向としてはおおむね緩やかに上昇しているということも承知をしております。また、今非常に子供の貧困は社会問題ということでいろいろ取り上げられており、また、民間においては、教育支援あるいは子供食堂等、さまざまな展開もなされているところでございます。

 まさに、日本の次の時代を支えるのは子供たちであります。その子供たちが、生まれ育った環境によって将来が左右されるということがあってはならないわけでありまして、貧困の状況にある子供たちが健やかに育成される環境を整備していくことは、当然政治としての責務だというふうに思います。

 政府においては、二十五年六月に子どもの貧困対策の推進に関する法律、これは議員立法でございますが、全会一致で成立を図っていただきました。これを受けて、子供の貧困対策に関する大綱を策定いたしまして、子供の貧困対策を総合的に推進しているところでございます。

 さらには、今超党派でもいろいろ御議論をいただいているということでございます。そういった議論も踏まえながら対応していかなきゃいけない。

 私自身も、先般、子供食堂を見せていただきました。やはりそこでお話を聞くと、貧困ということだけではなくて、さまざまな問題がそこに凝縮をされているというふうに私は認識させていただきました。そういう中で、主催者やボランティアの方々が、いろいろな困難を抱えている子供たちを見守って支えている、まさにそういう社会をつくっていくことが必要だというふうにも感じたところでございました。

 いずれにしましても、この問題に、我が国の次の時代を担う子供たちをしっかり育んでいくという観点から、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

河野(正)委員 私は、精神科の医師として働いておりましたけれども、十年以上、県立高校の校医もさせていただいておりまして、それは心のケア担当でしたので、さまざまな、本当に貧困あるいはそういった問題で悩む子供たちを見てまいりました。中退しなければならない、学業を断念しなければならないという子供たちもたくさん見てまいりましたので、本当にそういった実態を把握していくことが大切だというふうに思っております。

 このような観点もありまして、現在、政府が官民一体で進める子供の未来応援国民運動、子供の未来応援プロジェクトというのも期待されるわけでもありますが、この基金が、なかなか寄附が集まらないなど、思うような成果が上がっていないという声も聞かれてくるわけであります。

 これまでのプロジェクトの成果や課題、それを踏まえた今後の取り組みについて、大臣に伺いたいと思います。

加藤国務大臣 子供の貧困対策を、国民の皆さんの幅広い理解のもと、また協力のもとで、官公民の連携で進めていくということで、昨年十月から子供の未来応援国民運動を進めさせていただいて、その一つは、今御指摘があった子供の未来応援基金の創設、そして、子供の未来応援国民運動のホームページ等を通じて、支援情報ポータルサイトあるいはマッチングサイトを通じた情報の発信を行っております。

 基金に対しては、さまざまな機会に募金の活動をするとともに、これに御協力、御理解いただいている企業もふえてきております。

 今後は、この基金を踏まえて、草の根で支援を行っているNPO等を公募した上で、具体的な支援を行っていきたいというふうに思っているところであります。

 いずれにしても、子供の貧困対策というのは、幅広く、政府のみならず、地方公共団体、民間、あるいはNGO、NPO等、さまざまな方々が連携して取り組んでいく必要がございます。

 地域における交流、連携事業であるフォーラムを既に東京、大阪で開催させていただいております。また、きょう夕刻には、子供の未来応援国民大会を、国民運動に協力いただける全国団体等にも集まっていただいて開催することにしておりまして、こうした活動も通じてさらにその取り組みの拡大を図っていきたいと思っております。

河野(正)委員 時間がなくなってまいりましたので最後に大臣に伺いたいのですが、先ほど、東北より北あるいは関西以西と、地域差もあるということを答弁いただきましたところです。こういったこととして、やはり、国として地方自治体の取り組みをしっかりと支えていくことも必要ではないのかな、地域格差もあるわけでございますので。そういった観点で、地方自治体の取り組みをどのように支えていく考えか、大臣に伺いたいと思います。

加藤国務大臣 まさに子供の貧困対策を初め、地域の実情に応じて具体的な政策を展開していただくその主役は地方公共団体であります。

 地方公共団体では、子供の発達、成長という時間軸のつなぎ、それから教育と福祉という分野のつなぎ、さらには、関係行政機関、地域、あるいはNPOという主体のつなぎ、こういったことに向けて地域ネットワークを形成して、さまざまな事業を展開していただきたいと思っております。

 平成二十七年度補正予算において、地域子供の未来応援交付金というのをつくらせていただいて、実態の把握、それを踏まえた支援体制の整備計画、さらには人的等のネットワークを活用するための体制整備、そして先行的なモデル事業の実施等の支援をすることにしております。

 また、加えて、地方自治体等において先進的な事例を集めてこれを横展開するなどによって、地方自治体における取り組みを国としても積極的に支援させていただきたいと思っております。

河野(正)委員 時間が来ましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

西村委員長 午前十一時五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時八分開議

西村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮崎政久君。

宮崎(政)委員 自由民主党の宮崎政久です。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、国連から我が国政府に対して、沖縄県民は日本の先住民族であるとして、さまざまな措置を講ぜよと勧告を受けているという問題について取り上げたいと思っております。

 二〇〇八年、平成二十年十月以降、国連から日本政府に対して複数回にわたって、沖縄県民が先住民族であるとして勧告がなされております。委員長のお許しをいただいて資料を配付しておりますので、資料の一及び二をごらんいただければと思います。

 資料一は、自由権規約に関連する勧告であります。上段の方は二〇〇八年のもの。下線部分を読みますが、締約国というのは我が国のことであります、締約国は、国内法によって琉球、沖縄の人々を先住民族として明確に認め、彼らの文化遺産及び伝統的生活様式を保護し、保存し、促進し、彼らの土地の権利を認めるべきである。

 二〇一四年の下段の方も下線を引いてありますが、締約国は、法制を改正し、琉球及び沖縄のコミュニティーの伝統的な土地及び天然資源に対する権利を十分保障するためのさらなる措置をとるべきであるという趣旨のことが勧告されているわけです。

 政府は当然この事実を知っているというふうに理解しておりますが、政府の立場、沖縄県民は先住民族であるというふうに認めているのかどうか、お答えいただきたいと思います。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄に住んでいる人々は、長い歴史の中で特色豊かな文化、伝統が受け継がれていると認識しておりますが、政府として先住民族として認識している人々は、アイヌの人々以外には存在いたしません。

 この立場は人権条約の委員会に対しても説明してきており、これらの委員会の最終見解や勧告等によって、かかる日本の立場が変更されたということはございません。

宮崎(政)委員 そもそも、これはどういう手続で行われているものなのか、この勧告というのは何なのかということをちょっと教えていただきたいと思っております。

 日本は国連加盟国であります。この自由権規約委員会、資料の二の方には、先ほど読み上げませんでしたが、人種差別撤廃条約に関連する資料をおつけさせていただいております。二〇一〇年、二〇一四年と二つ書いてあるわけであります。この両委員会から出ている勧告に従う必要があるのか。そして、その勧告というのは国内法的、国際法的にどういう効力があって、我が国はこれを受けることによってどのような制約を受けることになるのか教えてください。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 人権諸条約の委員会は、それぞれの条約の規定に基づき設置されており、条約の締約国の政府から提出される報告書の検討や勧告などを行う任務を付与されております。

 例えば、先生御指摘の自由権規約委員会につきましては、我が国も締約国である自由権規約第二十八条の規定に基づき設置され、第四十条四の規定に基づき締約国の提出する報告を検討するとともに、委員会の報告及び適当と認める一般的な性格を有する意見を締約国に送付することとなっております。

 これらの委員会による最終見解や勧告等は法的な拘束力を有するものではございません。

宮崎(政)委員 県民の中にもさまざまな考えの方がおられるでしょう。日本は民主主義国家ですから、さまざまな言論も自由もあっていいと思っています。ただ、多くの沖縄県民、ほとんどと言った方がいいんじゃないのかもしれないですけれども、先住民族だと思っていませんし、ましてや、一億三千万人の日本人が、沖縄県民というのは先住民族なんだというふうに思っている人はいないと私は思っています。

 そういう私の個人的な考え、そして多くの国民の皆さんと同じ立場であると思っていますが、まことに失礼な話じゃないかなというふうに思うわけです。言ってみれば、私の家に勝手に入り込んできて、うちは三人子供がいるわけですけれども、この子供の一人に向かって、君たちは兄弟だと思っているかもしれないけれども、兄弟じゃないよというふうに勝手に言われているんじゃないか、こういう印象すら受けるわけであります。

 先ほども申し上げたように、日本人全体が恐らく知らない、皆さんは知らないと思いますけれども、知らないばかりか、言われている沖縄県民もほとんど知らないというような状況で、勝手に先住民族として扱われているということなわけであります。

 今、法的拘束力がないという御答弁でありましたけれども、私たちにしてみたら、政府に、勝手なことを言わせないでくれ、責任を持って、事実と異なるようなことを言わないでくれというふうに抗議をしてほしいんですよ。この民族分断工作と言ってもいいようなことを放置しないでほしいと私は思っています。

 この勧告は国益にかかわる大きなリスクがあると思っています。資料の一の、先ほど読み上げましたが、二〇一四年、平成二十六年八月の勧告には、再度読みますが、こう書いてあるんです。締約国、これは我が国ですね、締約国は、法制を改正して、琉球及び沖縄のコミュニティーの伝統的な土地及び天然資源に関する権利を十分保障するためのさらなる措置をとるべきだと言っているわけです。

 尖閣諸島を含む沖縄の土地、天然資源がどこに、誰に帰属するのかということを問題にされかねない話であります。

 改めて言うまでもないことですが、沖縄、尖閣諸島を含めて、日本の国土であります。当たり前のことに、あえて疑問を差し挟まれているかのような印象が拭えないですね。沖縄というのは、紛れもない日本であります。

 民俗学者の柳田国男という人がいます。方言の研究が有名であります。京都から生まれた言葉が同心円のように周囲にどんどんどんどん広がっていくので、都から遠く離れたところでは、例えば東北と九州で同じ言葉が残っている、方言周圏論というのを彼は研究して日本の民俗学を打ち立てていった人でありますけれども、沖縄でも全く同じような言語があるんです。

 例えば、昆虫のトンボというのがいますけれども、トンボは、最も古い言葉では、古事記でアキズというふうに表現をされるそうであります。これがどんどんどんどん同心円状に広がっていって、東北の岩手県や宮城県ではアゲズというふうな方言の言葉が残っている。そして、どんどんどんどん九州の方に行くと、宮崎県や鹿児島ではアケズと言う。沖縄の古い方言では、昆虫のトンボのことをアーケージューと言うんですね。同じなんです。

 つまり、こういう古事記に記された言葉、万葉言葉も沖縄には残っていて、言語一つとってみても、日本語を使う日本人が古来から沖縄に住んでいるということであって、私たち沖縄県民は紛れもなく日本人でありまして、先住民族ではありません。政府には、国連に抗議をして、こういう承服できない勧告を撤回させてほしいと思っています。

 資料の三をごらんいただきたいと思います。

 資料の三は、沖縄県の豊見城の市議会が昨年の十二月二十二日に、先住民族だという勧告を撤回させてくれという議会決議をしております。上から四段落目、「しかし、」というところから始まるところでありますけれども、「しかし、私たち沖縄県民の殆どが自分自身が先住民族であるとの自己認識をもっておらず、県民の知らないところでこのような勧告が出されているのは甚だしく遺憾であると言わざるをえない。」こういうふうに指摘をしています。全くそのとおりだと思います。

 沖縄には、さまざまな困難な問題が今もありますよ、これは。基地の問題、戦争を踏まえた歴史的なさまざまな問題。基地の問題なんかは、過重な負担を解消してほしい、もっと日本国全体で分かち合ってほしい、何とかそういうことが解決に結びつく行動に結びついてほしいという思いをふつふつと、百四十万県民みんな持っています。

 歴史という意味では、誇るべき文化も持っています。私自身も、実は、沖縄では琉球王朝絵巻といって、中国の冊封体制だったときに、冊封使が首里城に来たときに、王様に認めるよというふうにやった絵巻の行列儀式というのを復元したものがありまして、私も初めて参加したのは二十年前ぐらいになりますけれども、そんなものに参加して、中国から来た役人さんの格好をして行列を歩いたりみたいなことをしています。大人も子供もこんなことをやったりして、文化を大切にして、誇りに思って保存している。

 でも、そのこととこの問題は全く違うんです。全く異質なものでありますので、放置することなく、しっかりと対応してもらいたいと思っております。

 既に、資料の一と二で示したように、四回も勧告されているんです、同じような趣旨で。これが累次にどんどんどんどん積み重ねられていってしまうということになると、しかも、承服できない勧告が出たにもかかわらず、抗議もしない、撤回も求めないということになれば、これがあたかも既成事実であるかのようにひとり歩きすることも考えられないでしょうか、国際社会で。どうか、そういう取り組みをしてもらいたいと思っております。政府としての見解をお聞かせください。

    〔委員長退席、中根(一)委員長代理着席〕

木原副大臣 お答え申し上げます。

 宮崎委員、長らく沖縄の問題に取り組んでこられた立場から、大変熱い思いで今御質問をいただきました。また、豊見城市議会の皆様の熱い決議も我々として受けとめております。

 改めてこのプロセスを申し上げますと、まず、締約国、日本から報告をする、それに対して、予備審査も含めて本審査、審査をして、勧告なり最終意見というものが提案をされるということであります。一旦出た勧告あるいは最終意見というものにつきましては、その全体あるいは一部を正式に撤回させるというプロセス自体は国連の中には存在をしていないというふうに承知しています。

 ただ、今申し上げた一連のプロセスは一回で終わるものではありませんので、また次のプロセスが来たときに、私も、政府の立場と異なる意見あるいは勧告、あるいは我が国の実情を正確に反映していない勧告、意見につきましては、これまでも事実上の撤回あるいは修正をするようにそのプロセスの中で働きかけを行ってきておりますし、これからもしっかり行っていきたいというふうに思います。

 そして、今御指摘をいただいたこの豊見城市議会からいただいた決議も、その過程の中でしっかりと反映をさせていただきたいというふうに思います。

 また、委員は、恐らくこのプロセスの中だけではなくて、もう少し幅広にさまざまな手段をとるべきでないかという思いを持ちながらの今の御指摘であろうというふうに思います。

 どういったことができるか、真剣に、そして前広に検討してまいりたい、このように思っております。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。

 このプロセスが、今、木原副大臣が御説明いただいたようなものであるということは理解しているんです。だから、今までも、次のプロセスのときに政府の見解を述べるということをやってきている。

 ただ、私が申し上げたいのは、いま一度検討してもらいたいと思っているのは、それでは足りないんじゃないかと。承服できないんだから、出たときに、これが例えば、委員会のプロセスであるかどうかは別にして、これはけしからぬよということで抗議をする、その意思を表明する、こういうことが私はあってしかるべきではないかと思っております。

 ですから、ぜひ政府としての取り組みをまた御検討いただきたいと思っている次第でございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に、質疑の順を変えて、官房長官にお越しをいただいておりますので、先にその質問に入らせていただきたいと思います。

 ちょっと質疑の順番を変えさせていただきまして、普天間飛行場の危険性除去に伴う代替施設の建設に関連する、いわゆる辺野古の埋め立てに関連する訴訟について、沖縄基地負担軽減も御担当いただいております菅官房長官に質問させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 三月の四日に和解が成立をしたわけであります。私は、この和解の成立を歓迎しておりますし、ありがたいことだというふうに思っております。四月の十二日、二十年前、橋本龍太郎総理とモンデール駐日大使との間で、普天間飛行場の返還を今後五年から七年のうちにと合意をしてから、ついに二十年が経過をした。もう解決してもらいたい、もう終わりにして普天間を返してほしいというのが、我々の偽らざる心境であります。

 この和解は、普天間飛行場の危険性除去のために、国と沖縄県知事が延々と訴訟を継続することを回避して、普天間の危険性の除去に向けて大きな前進になるものだと私は理解をしております。

 和解をしていただきました。きょう、資料の四として、和解条項のポイントを配らせていただいております。既に周知のことだと思います。

 全部で十項目で和解条項が成立をしておりますが、非常に簡潔に申せば、一項で、今やっている裁判はいずれも取り下げる。二項で、埋立工事は直ちに中止をする。三項で、国から沖縄県知事に対して埋立承認取り消しに対する是正の指示をする。そして、県知事はこれを承服しないわけでありますので、国地方係争処理委員会に申し出るというところから始まって、四項以下の手続に従って是正の指示の取り消し訴訟、すなわち埋立承認の是非を問う訴訟を行う。そして、八項を飛ばしまして、九項にあるように、訴訟の結果が出ます、この結果に対しては、国も沖縄県知事もこれに従って、その後もお互いに協力をして誠実に対応する。一方、この司法手続と並んで、八項にあるように、円満解決に向けた協議は協議でしっかりとやってくださいというものであります。

 和解でありまして、和解には勝者も敗者もありません。和解というのは、訴訟の当事者がお互いに譲り合う互譲の精神で行われるものでありまして、どっちかだけ、一方だけに全面的に有利な内容であれば譲り合ったことになりませんので、双方が知恵を出し合って、お互いに譲り合って、合意をして、歩み寄って、解決に向けてともに前進をしていく合意というのが和解です。これは、私も弁護士を二十三年もやっていますけれども、一般民事訴訟であっても、どの訴訟形態であっても同じです。解決に向けてともに前進をしていくためにお互いが譲り合うものであります。

 では、この裁判の和解で、ともにどういう解決に向けた前進があったのか。これは、九項に示されているところに一番大きなものがあるわけです。つまり、国と沖縄県知事が、次の裁判所にステージを移した訴訟をして、その裁判で判決が確定をした後は、互いに協力をして誠実に対応するということであります。解決に向けてともに前進という内容をお互いに合意し合ったわけです。

 次の裁判が終わっても、お互いに、別途に裁判を延々と起こされるということであれば、これは終わりなき訴訟合戦をやるということでありまして、この和解の意味は何もなくなっちゃう。また、大きな目で見れば、政府と一地方自治体である沖縄県が訴訟を延々と続けているというのが好ましくないということは、よくわかるところであるものであります。

 繰り返しですが、和解というのは裁判所に無理強いされてするものではありません。お互いにこれでよしと文言調整もした上で、成立をさせていくものです。

 裁判所の和解勧告があった時点では、双方お互いに和解は難しいんじゃないかと言われていた。これは、あえて和解にしっかりと踏み切った政府の考え、見解、立場を聞かせてもらいたいと思っております。

    〔中根(一)委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 まず、政府の基本的な考え方であります。

 我が国を取り巻く安全保障環境というのは極めて厳しい状況にあるということは、国民の皆さんも承知のことであります。そうした中で、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険除去を考えたときに、辺野古移設というのが唯一の解決策である、そしてまた、仲井真前知事からいただいた埋立承認、これについては何ら瑕疵はなく、行政判断は既に示されている、そういう考え方に変わりはありません。

 しかし、そうした中にあって、裁判所から和解勧告がされるという新たな状況が発生をしました。既に工事も始まっているわけでありますけれども、そういう中で、今委員から御指摘がありましたけれども、このまま国と沖縄県との間で訴訟合戦を延々と繰り広げていくべきではない。また、双方にとって望ましい結果ではない。そういう中で、今委員がお示しをされました裁判所の和解案を政府は受け入れることにしたところであります。ですから、当然、政府が今行っている埋立工事も中止をしているところであります。

 そして、政府としては、和解条項に従って、今、訴訟と並行で話し合いも実はしております。そして、結果として司法の判断が示された場合には、先ほど説明をされておりましたけれども、その判断の主文のみならず、それを導いた理由の趣旨に従ってお互いが協力していく、そういうことになっていますので、判断が出るまでの間に、懸命に沖縄県と話し合いをさせていただきながら、そしてまた、同時並行でこの訴訟の中においても国の立場をしっかり述べていきたいというふうに思いますし、結果として判断が下された暁には、それに誠意を持って対応していきたいというふうに思っています。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。

 和解条項を見ますと、迅速を旨にやるということが盛んに示されています。三項と五項、六項に一週間以内で次の手続に移るという項目があるんですけれども、これは、法定期間は三十日以内のものであります。四項では係争処理委員会の審理判断、七項では最終の裁判、これも、迅速にやれるように双方協力してということを、裁判所に命じられたのではなくて、お互いに合意して和解しているという条項であります。

 答えられる範囲で結構でありますけれども、当然これは最高裁まで争われるというふうになると思っておりますが、判決確定までどういう時間的な感覚で進んでいくというふうに予測をされているのか、教えてください。

真部政府参考人 和解の内容に従いました手続につきましては、まだ始まったばかりでございまして、判決確定までどのくらいの時間を要するかということを具体的に申し上げるのは難しいかと思っております。

 いずれにいたしましても、政府といたしましては、和解条項に基づきまして国地方係争処理委員会や裁判所の審理が迅速に行われるよう、全面的に協力してまいる所存でございます。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。

 このような和解でなかなか珍しいというか余り見られない、これだけ何度も何度も迅速に迅速にということが条項の中に入ってくるものも珍しいと思います。今政府参考人の方からも御説明がありましたけれども、私ども地元としてもぜひ早い決着を見ていただきたいと思っておりますので、そのお取り扱いをぜひよろしくお願いしたいと思っております。

 そして、一番の和解の肝は九項にあるわけであります。九項をどういう理解をして和解したのかということについてお聞きしたいというふうに思います。

 是正の指示の取り消し訴訟をやることになるわけです。是正の指示の取り消しですから、要するに、是正の指示というのは、埋立承認を取り消したことに対して、それを是正してくれということですから、取り消しはだめですよという趣旨の是正の指示が出るわけであります。そうすると、この裁判で対象になるのは、是正の指示の前提となった埋立承認、それ自体の適否というのが正面から司法判断の対象になってくるわけです。

 そうすると、例えば係争処理委員会の判断についても、どっちが勝つかわかりませんからということで、県側の主張が通った場合、国側の主張が通った場合、分けて五項と六項に記載をされているという状況です。裁判所の判断も、当然これは裁判所が判断をするものですから、どういう結論になるかということを今ここで決めることはもちろんできない。

 ということになると、埋立承認自体が否定されるという結論になった場合には、もはや辺野古での埋め立てができないということになって、それに従って誠実にやるという理解でいいのか。そしてまた、埋立承認が是認されるということになれば、訴訟の相手方である沖縄県知事に対しても、その趣旨に従って互いに協力して誠実に対応することを政府として求めていくということになる、そういうことでいいのか。ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

真部政府参考人 まず第一点といたしまして、裁判所が提示をしまして、国、沖縄県の双方が合意しましたこの和解条項につきましては、御指摘のとおり、訴訟合戦を延々と繰り広げるような関係となることを避ける、これを意図したものというふうに理解をいたしております。

 その上で申し上げますが、司法の判断を予断してお答えするということについては現時点で困難だと思っておりますが、この和解条項におきましては、判決で司法の判断が示された場合には、その後も判決の主文及び理由の趣旨に従ってお互いに協力して誠実に対応することを確約すると示されておるところでございます。したがいまして、当然にこれが厳守されることになるものというふうに考えております。

 政府といたしましては、判決で司法の判断が示された後も、普天間飛行場の危険性を除去する、そして沖縄県の基地負担を軽減していく、この国と沖縄県の共通の目標に向かいまして全力で取り組んでいくことになるものだと考えております。

宮崎(政)委員 この和解に従った次の裁判が行われる、平たく言えば、本質的な部分でこれはファイナルアンサーになるということで、そこで決着をすることになる、そもそもの埋立承認自体の是非が問題になるから。

 もう終わりにしてもらいたいという思いの中で私が今回の和解の成立を歓迎しているのは、いつ終わるかわからない、延々と訴訟をやり続ける、例えばわずかの修正が出たときに、修正の手続がまた必要だ、また必要だから印鑑がどうだというふうなことで、またこれも新しい裁判になるみたいなことを延々と続けていっても、宜野湾市民は置いてきぼりなんですよ、その中では。だから、もう終わりにしてもらいたい、決着をつけて。

 私は、裁判所のやることですから、これは行政なり立法機関なりがとやかく推断をする話ではないということをよく理解しております。ただ、裁判所で和解をしていずれかの結論になっていったとしても、しっかりとこれに対応していこうという決意のもとで潔い和解を今回していただいて、それはやはり、私たち宜野湾の人間から見れば大きく解決に向かって前進をしてくる、一時期工事がとまるようなことがあっても、もう決着をつけてくれるんだという意味での思いが非常に強くあります。だから、私はこの和解の成立を歓迎したいと冒頭申し上げたわけであります。

 官房長官に先ほどもお答えをいただきましたが、この手続を進めていただいて、私たちは早くこの普天間の問題を終わりにしたいと思っています。再度、これに取り組む御決意を聞かせていただきたいと思うんです。

菅国務大臣 まさに普天間飛行場は、住宅あるいは学校、そうしたものが飛行場と隣接している、世界で最も危険な飛行場だとも言われております。そういう中で、二十年前に、先ほどお話しいただきましたけれども、当時の橋本首相とモンデール駐日大使の間で、まさに危険除去なんだ、そして固定化を避けるという形で合意した。二十年間、進んでこなかったわけでありまして、いろいろな方が、沖縄県も国も何回となく話し合いをする中で解決できなかった。結果として、安倍政権の中で埋立承認を知事から正式に頂戴しました。

 それと同時に、政府としてはやはり現在の普天間飛行場の危険除去というものを一日も早く解決しなきゃならない、そういう意味で、三つの機能のうちの二つの機能ですね、空中給油機を山口県の岩国に移設することに成功しました。そして、緊急時の発着の飛行機についても、そこは九州で受け入れること、ここも了解をいただいています。さらに、今残っているのがオスプレイですけれども、オスプレイの整備工場は木更津に決まりました。

 いずれにしろ、今回の和解条項に従って判断が一日も早く示されることによって普天間飛行場の危険除去、固定化というのは絶対避けたい。そういう意味で、私ども、全力で頑張ってまいりたいと思いますし、また現在、この和解条項に基づいての訴訟、それと同時に沖縄県との間の協議、こうしたことも真剣勝負で進めていきたい、こういうふうに思っています。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。

 この問題、返還合意から二十年でありますので、ことしで解決に向けて大きく前進ということであってもらいたいと思っておりますので、官房長官、どうぞよろしくお願いいたします。

 官房長官、以上で結構でございます。ありがとうございました。

 次に、話をかえさせていただきまして、一億総活躍実現のためのNPO法人の活動に関連する質問をさせていただきたいと思っております。

 一億総活躍社会実現のためには、ともに助け合う社会、さまざまなつながりの中で、特に地域の中で団体の活動が広がっていくことが不可欠でありまして、NPO法人というのは、その一翼を担うという意味で非常に重要な存在であります。

 また、国や地方の財政にも制約が大きくなっておりまして、民間の知恵、資金、技術でイノベーションを創出していくということも必要である。現下、アベノミクスで金融緩和をしている。この民間滞留資金というものを社会全体でどうやって次の社会問題解決に使うかというようなことで、NPO法人の活動も進める。

 その中で、さまざまな原資も含めて、寄附に使う、寄附というものも醸成させながら、寄附文化をしっかりつくっていくということも我が国にこれから求められている大きな政策課題ではないかなというふうに思っています。

 日本人はキリスト教的な施しをするという宗教的な思想背景を余り強く持っていない、それが寄附が余り進んでいない理由の一つであるとよく言われています。ただ、今回の震災対応でも多くの寄附が集まっている。特定をすれば、例えば野球の、阪神に在籍していた赤星という選手が、盗塁をするたびに車椅子をプレゼントするみたいな、寄附をすることに対して社会的な理解が深まっていった。

 寄附の文化を醸成していくということも政府として取り組んでいく非常に重要な措置だと思っています。寄附文化を醸成すること、また、ちょっと重ねて、さまざま税制上の措置をとっていくことの必要性みたいなものに関して、これからどういった取り組みをするべきとお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

高木大臣政務官 宮崎委員におかれては、NPO法人の活動に御理解いただいて、活動の活発化に積極的に取り組んでいただいているものと承知しております。

 NPO法人については、東日本大震災からの復興の過程でも、社会的課題の解決に責任を持つ存在として非常に大きな存在であったと認識しております。そして今、政府の重要政策であります一億総活躍社会の実現には共生社会というものをつくっていくことが不可欠でありますが、共生社会の担い手としても重要な存在であります。そして、その活動を支える寄附の充実に向けた機運の醸成を図っていくことが必要であります。

 昨年、日本で初めて、民間非営利組織、企業及び行政等の多様な主体が協力し合って、十二月を寄附の普及啓発活動等に集中して取り組む寄付月間といたしました。この期間中にさまざまな取り組みが実施されたわけでありますが、政府としても、企画検討の段階から積極的に参加し、情報発信などを通して推進してきたところであります。

 民間においても、例えば書き損じたはがきだとか切手、あるいは衣服や本などを寄附するもったいない寄附、あるいは寄附つき商品、クラウドファンディングといった創意工夫のある取り組みが実施されておりまして、こうした取り組みも寄附文化の醸成に資するものと認識をしております。

 政府としても、今後も民間等と連携して、寄付月間のさらなる充実、それから教育現場における寄附教育の推進等によって、NPO法人等への寄附充実のための機運の醸成にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。

 私は地元沖縄で、更生保護協会の理事長というのをずっと長いことやっていまして、これは刑務所から出た人とか少年院を出た子たちの支援をするんですが、やはりなかなか資金の手当てができない。

 イギリスなんかでは、ソーシャル・インパクト・ボンドということで、こういった人たちに使う事業を民間投資家から出資してもらって、政府が、KPIをしっかりとって、成果が上がった、できたところにはプレミアムをつけて償還するという制度がありますので、ぜひ、こういったこともこれから私たちの社会の中で形成していく必要があるかなと思っている次第でございます。

 最後になりますけれども、文化財の活用についてお聞きをしたいと思っております。

 きのうですけれども、馳文部科学大臣から文化財活用・理解促進戦略プログラム二〇二〇の策定というのを公表していただいたことに触れました。これは、文化財を観光振興に欠かせない貴重な資源として使うと書いてあるわけです。まず前提として、文化財を観光資源として活用することに、何か法律上の制約というのは大きいんだと思うんですけれども、どういう制約があるのか簡潔に御説明いただければと思います。

義家副大臣 この制約についてですが、復元等に伴って史跡等の現状変更等が必要な場合には、文化財保護法の規定に基づき、文化庁長官の許可が必要になるなどの一定の制約があるところであります。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。

 確かに、文化財でありますので、後世につなぐという意味で、毀損があっちゃいけないということもよく理解はできるところでありますが、活用もしていかないといけない。

 私の地元の沖縄ですと、琉球王国のグスク及び関連遺産群というのがあるんですね。これでいろいろいっぱいあるんです、座喜味城だ、中城城だといってあるんですけれども、今行くと城壁しかないんですよね。その城壁しかないところで、一回行った人がもう一回見に行きたいかというと、なかなかこれは難しいということになってくると思います。

 ただ、そこに例えばプロジェクションマッピングをしていくみたいなことであればできるんじゃないかというような気もしますし、例えば首里城みたいなものであれば、正殿の前に大きなお庭、これは方言でウナーと言うんですけれども、ウナーという庭があるんです。そこでは、先ほどちょっと申し上げた、冊封使というのが来たときの、王様に謁見をするときの儀式みたいなものが行われていた。こういうものを見せていく、見ていただくことによって、生き生きとした文化財の活用と観光資源としての利用ということができると思っています。

 私は、文化財というのは、いずれも歴史的、文化的な背景があるから文化財になっているわけで、文化財として指定されているわけであって、国民にも観光で来た外国の方にも、文化財本来の価値を理解してもらうようなこと、観光関連で利用することもまた文化財の保護と言えると思うんですけれども、こういった形での、今回大臣からも公表されていたものを含めて、文化財の活用についての方向性というんでしょうか、政府の決意を聞かせていただきたいと思います。

義家副大臣 御指摘いただきましたように、現在、守りの文化から攻めの文化という形で、観光振興にいかにつなげていくかというプロジェクトを文部科学省内でも進めております。

 文化財を毀損せずに活用するユニークベニューの例として、重要文化財を結婚式場として利用したり、あるいは史跡においてオペラを上演したりする取り組みのほか、世界遺産姫路城におけるプロジェクションマッピングや、史跡、天然記念物である屋島における城門遺構CG復元作成作業等が行われているところであります。

 文化庁といたしましても、文化財をより一層活用することは最重要であるという認識のもとで、委員御指摘の、文化財活用・理解促進戦略プログラム二〇二〇を策定したところであります。

 具体的には、日本遺産を初めとする地域の文化財の一体的活用、国内外に向けたわかりやすい解説の充実、多言語化、適切な周期による修理や、次の修理までも文化財を美しく保つ美装化、三つ目として、文化財を開催場所として活用、先ほど申し上げたユニークベニューなどをした文化イベントの積極的な開催等であります。

 今後とも、地域の声やあるいは委員の声等も生かしながら、より強化して、実効性のあるものに育て上げてまいりたいと思っております。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。終わります。

西村委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 民進党の大串でございます。

 早速質問に入らせていただきますが、まず、その前に、一つ苦言を呈させていただきたいと思います。

 きょうの午前中の質疑でも、あるいは先ほどの休憩後の質疑のスタート時でも定足数を足りていないということが多々ございました。与党・政府の皆さんが一体となって政策運営を前に進めていこうとされている強い気持ちがあられるのか、私は疑問に思いますね。

 一般質疑だからいいのかということかと思いますけれども、この後には、人工衛星あるいはリモートセンシングの法案の提案理由説明となっています。これも、宇宙利用、安全保障そして産業、科学技術と、安倍内閣にとっては極めて重要な案件だと思うからこそ、提案理由説明もお受けしようということで私たちも考えているわけでございます。きょうの質疑が流れて、この提案理由説明が流れてもいいのかとこっちが思ってしまうような状況がこの午前中も何回かありました。

 このことに関してはぜひ委員長からも善処方いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

西村委員長 本日は各委員会が開かれておりますのでやむを得ない面はありますが、各党ともに、特に与党理事におかれては定数確保、しっかりと確保するようにしてください。

大串(博)委員 各委員会が同時に開かれているのはわかります。これも、与党の皆さんが、いろいろな法案を今回出されていて、それに対応したいと要求されます。それも私たちはわかります。国にとって大事なことだなと思うからこそ、いろいろな委員会の御要望に応じながら私たちも来ているわけです。各委員会で人がまたがっているのは私たちも同じです。ですから、ぜひ真摯に、政策を前に進めていきたいのであればそういう態度で臨んでいただきたいというふうに申し上げさせていただきたいと思います。

 さて、質問に入らせていただきますが、まず、熊本地震に関連することであります。

 おととい、私、実は熊本に行ってまいりました。現地を視察してまいりまして、大変な状況だというのを非常に目の当たりにしました。亡くなられた皆さんにお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆さんにお見舞いを心から申し上げたいというふうに思います。そして、どうやって支えていくのかということを真摯に考えなきゃならぬなということは、皆さんと同じに感じたところでございます。

 それだけ非常に大きな影響を我が国全体にも、そして固有の地域にも及ぼしかねないこの熊本地震でございますけれども、これに関して、経済、景気に非常に大きな影響を与えるかもしれないという感じも私はしました。実際、九州の方は、観光なんかも含めて、当該地だけじゃなくてかなり幅広く影響が出てくるかなという感じもしております。

 そういった中で、補正予算を編成する等々の指示も総理から出ているわけでありますけれども、まず一つ確認させていただきたいのは、前回私が質疑の中でたださせていただいて確認させていただいたことの流れの中でありますけれども、消費税の問題です。

 来年四月からの消費税引き上げに関しては、今回熊本地震が起こり、まだ予断を許さないという時期にありますけれども、消費税に関する政府のスタンスは変わりないということなのか、この点は菅官房長官に御答弁をいただきたいと思います。

菅国務大臣 総理が繰り返し国会等で答弁をしておられますように、来年四月の消費税率一〇%への引き上げについては、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り予定どおり実施する、その方針には変わりありません。

 私たちは、経済の好循環を力強く回していくことによって景気を回復するという状況をつくり出していくことがまず大事だというふうに思っています。

 今お話しいただきました熊本地震でありますけれども、これにつきましてはまだ余震が継続的に発生しております。政府としては、非常災害対策本部を設置して、警察、消防、自衛隊、さらには海上保安庁、医療部隊、現在、三万人体制で行方不明の方の捜索や被災地の生活支援を実施し、全力で取り組んでいるところであります。

 そして、先ほど委員からの発言もありました特に観光については、熊本県だけでなくて九州周遊全体に影響を及ぼす可能性がある、そういうことも政府として承知をしておりまして、できる限りそうした影響を最小限に抑えることができるように、そうしたことも今全力で取り組んでいるところであります。

大串(博)委員 今おっしゃいましたように、まだ余震も続いておりますし、避難をされている方々も多うございます。これから状況も見えてくるところもまだあるかとも思います。

 そういった中で、今おっしゃいましたように、来年四月からの消費税に関しては、リーマン・ショックやあるいは大震災級のことがない限り予定どおり引き上げていく予定であるということでありました。

 先般、この委員会では、リーマン・ショックとはどういうものかというような話の議論をさせていただきました。石原大臣とも議論をさせていただいて、現下の経済状況は非常に厳しいのではないかという見通しを私は述べながら、今の状況はリーマン・ショック級のものと言えますかということをお尋ねしたところ、石原大臣からは、リーマン・ショック級とは言えないのではないか、こういうふうな流れの御発言がございました。

 さて、翻って今回の熊本地震でありますけれども、今回の熊本大地震も非常に厳しい状況が現地ではあります。これが、私もなかなか判断に悩むところではありますけれども、総理がおっしゃっている大震災級と言われるものに当たるという理解なのかどうか、現段階での判断を官房長官にお尋ねしたいと思います。

菅国務大臣 委員も現地を視察されて、現地がどのような状況であるかということをつぶさに見てこられたというふうに思っています。まさにこの避難生活、いまだに五万人を超える方が避難所で生活をいたしております。現地においては、倒壊をした家屋、そのごみも山のような状況が続いているということであります。

 政府としては、まさに復旧対策に今全力を挙げているところであり、そうした熊本県の現状を打開するために補正予算案を提出させていただいて、野党の皆さんにも御協力いただく、そして迅速に成立をさせて、とにかく被害に遭った皆さんに安心していただく、そして復旧工事は迅速に行う、そういうことで今全力で取り組んでおりますので、今お尋ねがありましたことについてお答えをさせていただくような段階ではない、このこともぜひ御理解を賜りたいと思います。

大串(博)委員 常に状況は変化します。経済状況もしかりです。経済状況に関しては、先般のこの委員会での私の質問に対して石原大臣は、リーマン・ショック級の状況かというと、当時と今が同じ状況だという認識は持ち合わせておりません、こういうふうにはっきりおっしゃいました。

 今、熊本地震がいわゆる大震災級かということに関しては、菅官房長官は、対策を今しっかりやっている、よって、大震災級かどうかを判断する状況ではない、御理解をいただきたいというような発言でございました。すなわち、リーマン・ショックか大震災か、そうでなければ消費税の引き上げは予定どおり行っていくんだというある意味の考え方からすると、大震災に当たるかどうかというのは今のところまだ判断を留保されているという理解でよろしいですか。

菅国務大臣 その判断をするまでというよりも、まさに現場の捜索救助活動、生活支援に私ども政府挙げて全力で今取り組んでいる段階でありまして、そしてまた補正予算案もお願いをさせていただいて、何としてもこの現状を一日も早く解決する、そこに現時点においては全力で取り組んでいる、そういう段階でありますことをぜひ御理解いただきたいと思います。

大串(博)委員 もう一度御答弁をお願いしたいと思いますけれども、御努力をされているのは本当によくわかります。私たちも補正予算も含めていろいろな議論に御協力していこうというのは、きのう、私たちの岡田代表も党首会談の中で申したとおりです。

 その中で、今、消費税の来年引き上げの一つの考え方たる大震災級には熊本の大地震は当たらないとまでは今の段階では判断していない、そういう理解でよろしいですね。

菅国務大臣 当たるとも当たらないとも、そこまで、今、生活の救援対策に全力で取り組んでおりますので、そこの状況についてお答えをさせていただくような余裕がないというんですか、今は復旧のために全力で取り組んでいる段階であるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

大串(博)委員 そうすると、今は判断をするような状況、余裕がないという言葉をおっしゃいましたけれども、状況ではないということでありましたけれども、その流れからすると、論理的に言うと、今後の状況次第においては大震災級と判断する余地が残されているというふうに私は解釈いたしますけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。

菅国務大臣 これは、今回の地震が発生する前からも同じような議論、いろいろなところで私は呼ばれてお答えをさせていただいておりますけれども、リーマンや大震災級、そうした大きな変動がない限りにおいては予定どおり行う、そういうことをお答えさせていただいています。

 今、この熊本の地震がどうかという委員のお尋ねの中で、今まさに復旧、救助捜索に私どもは全力で取り組んでいますので、そのことが当たる当たらないという判断をするような余裕は全くないということであります。

大串(博)委員 そこのところはまだ判断の余地があるということだということで理解させていただきました。

 その上で、今回の熊本地震ですけれども、総理から補正予算の指示が出ております。先ほど申しましたように、私たちもしっかりと弾込めにも協力し、議論させていただきたいと思います。私は今、政調の代理を預かっているので、与党の皆さんとも具体的ないろいろな議論をさせていただきたいと思います。

 きょうは財務省からも坂井副大臣に来ていただいておりますけれども、私、一つちょっと気になるといいますか、お尋ねしたいなと思ったのは、どのくらいの規模になるかこれからまた考えられるんだと思いますけれども、財源をどうされるのだろうか。

 しっかりとした支援策を組んでいく必要があると私は思うんです。それは思います。一方で、日本の財政状況を考えると、そこら辺の目くばせも一定程度私たちは忘れることはできない。

 実際、民主党政権下で、東日本大震災のときに第一次補正、第二次補正、第三次補正と組みました。あのとき、第一次補正は四、五兆円規模でしたけれども、御案内のように、赤字国債を出さずに歳出の見直し、子ども手当とか高速道路の無料化とか、私たちとしてはこれをやりたいなと思っていた政策を見直すことによって財源を出したんですね。非常に厳しい決断でありました。しかし、被災、震災が第一、かつ財政にも目くばせしながらということでやったんです。二回目の補正は、御案内のように、決算剰余金を使いました。

 そういうふうに、赤字国債に頼らずに、自分たちがやりたいなと思った政策も少々我慢しながら、財政状況にも目くばせしながら、できるだけの規模の十分な補正予算をつくっていったという経緯があります。

 今回、財源のことも当然いつか議論しなきゃならなくなるわけですけれども、その辺に関して、今どういう御検討状況なのか、お聞かせいただきたいと思います。

坂井副大臣 今回の補正予算は、総理の指示にありましたように、被災者支援に要する経費それから熊本地震復旧等予備費という二つの予算を計上するものでございます。

 この熊本地震復旧等予備費につきましては、把握できる被害額や過去の震災における対応額等も参考にしつつ、当初予算の予備費等と合わせて十二分の備えをするという観点から検討していくものでございますが、これらに必要な予算額そして今御質問の財源につきましては、今後速やかに検討してまいりたいということでございます。

大串(博)委員 なかなか今の段階ではまだ答えは出ていないということだと思いますけれども、非常に悩ましいところでいらっしゃると思います。やはり十分な規模も確保しながら、しかし財政状況にも配意しながらということで、先ほど申しましたように、私たちのときには、マニフェストに書いた子ども手当や高速道路無料化、これだけは私たちとしてやりたいと思ったものを我慢しながらやったという経緯があります。そういったことも含めて、今後いろいろな議論をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほども申しましたように、この大地震はやはり経済に大きな影響を与える可能性があるという視線で対策も打っていかなければならないというふうに思います。月例経済報告なんかにも、今回は「熊本地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある。」という記述も政府の態度として加えられましたね。これは正しい態度だと私は思います。これからの状況をよく見ていただきたいというふうに思いますが、それほど景気の状況は予断を許さないと私は思っているんですね。

 そういったこともあって、先般、総理から予算の前倒し執行という話がございました。公共事業等、前倒しできる、前倒しの性質に値するものに対して、八割程度が契約済みとなることを目指して上半期にやってくださいということですけれども、これは景気に対する備えということでありました。

 私が思ったのは、ぜひ石原大臣にお尋ねさせていただきたいんですけれども、この間も私の質疑のときにちょっと頭出しさせていただきましたけれども、予算現額で十二・一兆円の八割が上半期で契約済みとなるということなんですね。そうすると、下半期でいうと、十二・一兆円の八割がもう既に契約されて、残りは少ししか残っていない、つまり二割分しか残っていない。ざくっと言うと、十二・一兆円の八割ですから、十兆円弱ぐらいが契約済みになっていて、下半期には二兆円強しか残っていない、こういうことになるわけですね。

 約十兆円近くの落差があるわけです。十兆円近くというと、GDP比でいうと二%近くのいわゆる公の需要が落ちるということが生じるわけですね。ここは、今の経済状況のことを考えると、やはり経済財政担当大臣として何がしかのことは当然考えておかなければならないのじゃないかなというふうに思うんです。

 GDP比二%分の落ち込みというと、なかなか並みの対応ではできないと私は思いますよ。普通であれば補正予算を組むとか、今回は地震のための補正予算ですけれども、景気そのものに対する補正予算を組むとか、そういったことを考えなきゃならなくなると思います。

 一方で、いろいろなスケジュールを考えると、上半期にそれだけの執行をしようということですから、下半期に切れ目なく財政が出ていくということを考えるのであれば、補正予算を組んで国会に出していくという期間は夏、八月、九月にならざるを得ないんじゃないかと私は思うんですよ。

 ところが、そういう声が全く今聞こえてこない。むしろ衆議院を解散するかどうかみたいな話になって、七月以降の先の話が全く聞こえてこないんですね。経済運営としては、菅官房長官、私はちょっと残念な感じがします。やはり継続的に、先行きも含めて、どういうふうな経済対策を安倍政権が打たれるのかということはしっかり見据えた形でアナウンスしていただかざるを得ないと思うんですね。

 この辺に関して経済財政担当大臣としてどういうふうに考えていらっしゃるのか、無策なのか、御答弁いただきたいと思います。

石原国務大臣 お答えさせていただく前に、熊本地震でお亡くなりになられた方に対して私からも哀悼の誠をささげさせていただきたいと思いますし、また御避難を余儀なくされている方々にも心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 そして、大串委員が御指摘されましたように、月例経済報告で、熊本地震の経済に対する影響というものは注視していかなければならないということを書かせていただきました。長官との御議論の中で規模をめぐって地震の評価の話がございましたけれども、これにはもう少しお時間を頂戴いたしまして、その評価というものを、影響ですね、させていただきたいと思っております。

 そんな中で、経済対策のお話が出てまいりました。

 前倒し執行につきましては、大串委員は財務省にも長くいらっしゃったからもう御存じのことだと思いますが、十二兆円の中の通常ですと七割程度のものが、一割上乗せして八割の執行となる。

 早期実施ということはもちろんですけれども、やはり二十八年度の本予算についても効果を発揮させていくということが重要で、まだ現実に全て動き出したわけではないということもぜひ考えの中に入れていかなければならない。実際に、本当に契約ベースから実質の工事に移って、またその工事が完成することによっていろいろな影響が出てくる。

 委員の御指摘のとおり、やはり熊本も含めて景気の状況をよく見て、そして前倒ししているものがどういうふうに社会に役立っていくのか、どういう経済影響があるのか、こういうものをもう少し見させていただいて、委員が御指摘のように、それ以外にも下振れリスクというものは世界経済の中にあるわけですから、そんな中で今委員が御議論をされているようなものは議論の俎上に上がってくる、こんなふうに理解をしているところでございます。

大串(博)委員 もう少し先を見ながらということで、私はわからぬでもないですけれども、明らかに下半期になると、さっき申し上げたように、GDP比で二%近いギャップが生じるわけですよ。これに対して今何のアナウンスもされないというのは、私は経済政策としていかがなものかなというふうに思います。

 政治のスケジュールと絡めて言うと、先ほど申しましたように、今回、参議院選がある、参議院選はダブル選挙かとも言われている、そういった中で、それ以降の政策運営のアナウンスメント、流れが全く見えてこないんですね。解散は総理の専管事項ですから最後までわからない、これはあっていいことだと私は思いますよ。あっていいことだと思いますけれども、それによって経済政策の先行きが見えなくなるというのは、私はいかがなものかなという感じがするんです。

 経済を第一にするというふうに安倍総理がおっしゃっているのであれば、私は、今の態度は矛盾しているのではないかなということを思います。この点を指摘させていただきたいというふうに思います。

 次に、TPPの関連で特に農政の話をさせていただきたいと思いますので、菅長官、石原大臣そして坂井副大臣、こちらで結構でございます。ありがとうございました。

 TPPの話、農業の話で、伊東副大臣に来ていただいて、ありがとうございます。

 TPPを受けて、あるいは受けなくてもそうですけれども、今の農政を見ていると、これは「農政新時代」、今回のTPPの合意も受けて、いわゆる総合的な対策も打ち出されたことを受けてこういうパンフレットもつくられて、いろいろな施策を打ち出されていらっしゃいます。これはこれとして受け取らせていただきたいというふうに思います。

 ただ、私がちょっと心配しているのは、ややもすると、攻めの農業という言葉を言われますけれども、そちらにのみ走り過ぎて、広い視点を失っていないか。例えば、私の地元の話でいうと、私は佐賀県なんですけれども、比較的戦略的にいろいろなことを考えてきて、二毛作も行い、やってきたところなんですね。集約化、大規模化、法人化、こういったことが攻めの農業ということからすると推し進められていくわけです。私が非常に懸念しているのは、それが余りにそちらの方に偏り、進み過ぎると弊害をもたらさないかということ。

 例えば、今私が非常に心配しているのは、集落営農をつくってきました。効率化の一段階としてやってきた。それが、今聞くと、集落営農を法人化しないといけないというような大変なプレッシャーを現場の方々、農家の方々が受けていらっしゃる、これが感じられるんですね。しかも、聞いてみると、集落営農を法人化していかないと経営所得安定対策の補助金も助成も受けられない、それとリンクしていると農家の方は受け取られて、これはいかぬ、法人化していかなきゃ、でも、なかなか法人化するのは自分たちには手が届かない、どうしたらいいものかと非常に悩んでいらっしゃるんですね。この辺は明らかにする必要があると思うんです。

 経営所得安定対策も含めて、いろいろな政策、集落営農が法人化していく、そういった意味で企業化していく、これは条件化、リンクしているんでしょうか。

伊東副大臣 大串委員の御質問にお答えをいたします。

 国として集落営農の法人化を強制しているというわけではありませんが、集落営農の経営体としての発展を図っていく上では法人化は望ましい方向である、このように農水省としては認識をいたしているところであります。

 このため、集落営農組織がみずからの発意で法人化に取り組む際には、法人化に必要となる定款の作成や登記費用等の経費に対する助成、わずかでありますけれども、四十万円ほど行っているところであります。

 また、今お話しの点でありますけれども、集落営農が経営所得安定対策に加入するに当たりましては、平成十九年度、この制度導入時から法人化計画の策定を義務づけていたところでありますが、この要件を昨年度、二十七年度から見直しを行ったところであります。これは、将来法人化することが確実であると市町村が判断すればよいということでございまして、いつまでに法人化するという計画を作成する必要はなくなったもの、このようになっているところであります。

大串(博)委員 審議官に答弁いただきたいんですけれども、事実関係だけ端的に答えてください。経営所得安定対策は、集落営農が法人化することが条件ではないですね。

山北政府参考人 今副大臣から御説明いたしましたように、十九年当時はそういう意味ではいつまでに法人化するという法人化計画の策定を義務づけていたということでございますが、二十七年度からそれを見直したということでございますから、そういったものを義務づけているものではないということでございます。

大串(博)委員 今言ったような方針をきちんと現場の方にコミュニケートしてほしいんです。現場の方では、あたかも経営所得安定対策を受けるためには法人化しなければならないかのごとき中で非常にプレッシャーを農家の方が受けられて、今おっしゃった自主的に法人化されるという流れになっていないんですね。そうなると、非常に不健全な、よくない影響が農家の方々に心理的にも経営的にも出てきている。ここはぜひ留意願いたいというふうに思います。

 一方、集落営農の皆さんが法人化していく流れの中で、いろいろな土地の動きも出てきます。土地の動きの中で、一方、集落営農に加入していなくて、若手の方々等を含めて、自分でやっていこうということで認定農業者となって四ヘクタール以上、あるいは法人化して頑張っていこうという方々もいらっしゃるんですね。

 この方々がいろいろなところから土地を受けられながらやっていらっしゃる。そこと集落営農との関係でいうと、ちょっとこれもなかなか悩ましい問題が出てきていて、集落営農が法人化していこう、そっちの方に土地を預けようと。よって、認定農業者、個人の方に預けていた土地をちょっと集落営農の方に持っていくよ、こういったことの判断をされる方も出てきているやに聞いております。

 これは個々人の判断ですから、どっちがどっちかというふうに言うことはなかなかできませんが、集約化し、法人化し、大規模化していこうという政府の方針はわかります。この方針は、しかし、集落営農を通じて法人化という方向でやっていこうとするのと、あるいは個人、認定農業者が規模を大きくして法人化していく、その流れと、双方、どちらでも、政府としては頑張れる方で頑張っていただきたい、どっちがどっちだというものではないという理解でよろしゅうございますか。

伊東副大臣 お答えいたします。

 基本的には、今、大串先生がおっしゃられたようなことで、公平に扱われるべきものと考えているところでありますが、農業の農地利用の担い手への集積、集約化が非常に大切だということでありますことから、各都道府県に農地中間管理機構を整備してきているところであります。

 貸付先の決定ルールを含む事業規程を作成し、都道府県知事の認可を受けることとなっておりまして、そのルールにつきましては、地域農業の健全な発展を旨として、公平かつ適正に貸付先を決定するものでなければならない、このように決まっております。これは機構法の第八条で決定されているところであります。

 また、この機構の事業規程には、農地の借り受けを希望している者の規模拡大または経営耕地の分散錯圃の解消に資するものであることが一つ、また既に効率的、安定的な経営を行っている農業者の経営に支障を与えないことが二つ目、そして三つ目として借り受け希望者のニーズを踏まえて公平、適正に調整することなどが貸付先決定ルールの基本原則として定められているところでございます。

 また、機構の貸し付けは、法律上、機構が農用地利用配分計画を定めまして、都道府県知事の認可を受けて行われることになっておりますことから、貸付先の決定ルールに即して公平かつ適正にこの点につきましても行われているもの、このように解釈をしております。

大串(博)委員 なかなか実態がそこに即応していないんですね。すなわち、今申し上げたように、土地の移動というのはなかなか難しいものです。その人その人、個々人の考え方もあられましょうし、難しい面があります。

 ただ、一方で、中間管理機構をつくったときに、人・農地プランを重視するという修正を私たち野党側からも申し上げて、入れていただきましたね。そういったことを通じて、集落営農であれ、認定農業者、個人の方であれ、その地域に根差して頑張っていこうという経営体となり得る方々をきちんと選んでやっていけるような体制を政府側からきちんと目をかけて指導していただきたい。

 そうじゃない現状が現場ではやはりある。それがやはりそごを来して、うまくいかなくなるケースがある。そこのところはぜひ、地元ともよく話していただいて、正しい形に進んでいくようによろしくお願い申し上げ、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 公明党の真山祐一でございます。

 私の方からは食の安全について御質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず冒頭、熊本、大分を中心とする地震に関連いたしましてお聞きさせていただいた後に、食の安全について御質問をさせていただきたいと思います。

 熊本、大分を中心に発生いたしました地震も、二週間になろうとしている状況でございます。私は、今現在福島県に在住をさせていただいておりまして、あの東日本大震災の折も福島県に在住をさせていただいておりました。地元に戻りまして皆さんのお声を聞きますと、東北の皆さんは五年前の自分たちの姿を見ているようで、やはり熊本、大分の皆さんの何か力になりたい、また、東日本大震災の教訓が今回の震災支援の中で生かされているんだろうか、そういった思いで、人ごとに思えず見守っている、また、何か支援ができないかと考えあぐねている、そんなお声をたくさんいただきました。

 当然、今回の地震災害と東日本大震災というのは、地震、津波そして原発事故で複合災害でございましたので、単純に比較できないのは重々承知でございますけれども、そういう中でも、いろいろな生かされた教訓というのはあったのではないかというふうに私は思っているところでございます。

 例えば、水、食料、また燃料、こういった分野は早期に政府としても対応いただいておりまして、避難所間のミスマッチというのはあるやに聞いておりますけれども、全体の総量としては十分な量がある程度確保されているという状況もあると思います。

 また、今回の災害の中で車中泊の問題がたくさん報じられているわけでございますけれども、車中泊は、東日本大震災を経験した方からすると、何でそんな状況になっているんだろうという率直な疑問を抱いておりました。

 考えてみますと、東日本大震災の折は、いろいろな要因があってやはり燃料が全く届かないという実態があって、車中泊をすることすらできなかったわけでございまして、そういう意味でも、そういった燃料が行き届いているというのも一方で反面的に見られるんじゃないかというふうに考えているところでございます。

 河野大臣におかれましては、この内閣委員会の所信の中でも、東日本大震災やその後に起きた災害の教訓を踏まえ、災害対応能力の向上に努めるというふうに述べていただいております。

 まだ災害の全く落ちつかない状況の中で、大変お答えしにくいこともあろうかと思いますし、また本委員会の所管の範囲の中で構いませんけれども、この熊本、大分地震において東日本大震災の生かされた教訓、またこれからの復旧復興に向けた御決意を河野大臣にお伺いさせていただきます。

河野国務大臣 今度の熊本地震は、発災直後に非常災害対策本部を立ち上げまして、また、その本部のもとに被災者生活再建支援チームをつくりました。その中で、省庁の垣根を越えて、また切れ目ない支援をきちんとやる体制が早く整ったというのは非常にいいことではないかと思います。

 また、これまでの教訓を踏まえまして、とりあえず国からプッシュ型で大量の食料と水を送らせていただいて、ある程度現地で水、食料が行き渡った段階で次の必要なニーズ、プル型に切りかえるというオペレーションもそれなりにうまく転換できたのではないかというふうに思っております。

 また、発災直後から、全国知事会を初めとして、次に例えば家屋の応急危険度判定が必要になってきて、そこにたくさんのマンパワーが必要になるだろう、そのための人材を投入する用意があるという申し出もいただきましたので、それぞれの自治体から必要な人材を早急に送り込んでいただいて、先手先手に手を打つことができたというのは大きいことではないかと思っております。

 今回の特徴といたしましては、車中泊をされている被災者の方が非常に多い、また、指定された避難所以外に避難をされている方もかなり多いということがございまして、なかなかそこは行政が当初把握し切れなかった部分もございますが、さまざまなNGO、NPOが入っていただいて、あるいはその後に看護師さん、歯科医師さん、薬剤師さん、あるいは医師会によるJMATのチームなどが入っていただいて、そうしたところにもきちんと巡回をしてニーズを酌み取ることができた、また情報を発信することができたというのは、これは今までの積み重ねと言ってもいいんではないかと思います。

 特に物資の輸送等につきましては、さまざま、企業、自治体間で結んできた協定が役に立った部分というのはあると思いますし、また、避難所のニーズを酌み上げるというところで、情報システムを使った新しい試みというのもやらせていただくようになりました。これまでのさまざまな積み重ねの上に今日があるかなと思っております。

 大変多くの方が被災をされておりますので、そうした方が一日も早く安心してもとの生活に戻れるように、政府としては最大限努力をしてまいりたいと思っております。

真山委員 ありがとうございました。

 想定される課題に対して先手先手で手を打っていただいております。引き続き御尽力いただきますようお願いいたします。

 一点だけ、具体的なことをお聞きさせていただきたいと思います。

 避難所における食事の提供についてお聞きさせていただきますけれども、現在はパン、おにぎり、カップ麺、レトルト食品が主でございますけれども、災害救助法では、一人当たり一日千八十円の食事提供が可能であり、弁当の提供も可能であります。昨年の常総市の水害の折にも一部聞かれた問題ですけれども、そうした運用が可能であることを現場の避難所運営の方がわからなかったためか、数週間、また一カ月近く、避難所でパンやおにぎりだけの食事をせざるを得なかったという話も聞いております。

 こうした状況に対応するために政府の被災者支援チームを送り込んでいるというふうに認識しておりますけれども、避難の長期化が想定されることから、避難所における食事の提供状況について確認していただきたいと思いますし、また、被災者の方は、不満を言うことがぜいたくを言うことと思って言いづらい面もあろうかと思いますので、ぜひ、政府の積極的な取り組みによってこういった状況を、今後、これからのテーマになろうと思いますけれども、改善していただきたいと思いますので、こちらは政府の答弁を求めさせていただきます。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 災害救助法が適用されました災害につきましては、発災後に職員を派遣いたしまして、被災県と共同で災害救助法の説明会を市町村向けに開催いたしまして、避難所運営に関します国庫負担の基本的な仕組みを初めとしまして、被災者に利用可能な制度の周知を図っていくことなど、被災者に対します応急救助が適切に実施されますように説明、助言を行ってきております。今回の熊本の地震におきましても、四月二十日と二十二日、二回説明会を行っております。

 また、発災後、二十四時間、昼夜を問わず対応できる体制を国としましても組みまして、県からの問い合わせを受ける、そういったふうなことにしていっております。

 内閣府といたしましても、今後とも、こういった取り組みによりまして、災害救助法の救助内容等につきまして周知徹底に努めていきたいと考えております。

真山委員 迅速に対応はいただいておるかと思いますけれども、やはり、多分、内閣府防災担当の方々、職員の皆さんは大変そのあたりをよくわかっていらっしゃると思いますけれども、現場の自治体の職員などは初めての経験でございまして、ぜひ丁寧に対応いただきたいと思います。

 それでは、テーマをかえさせていただきまして、食品の安全についてお聞きをさせていただきたいと思います。

 先ほど申しましたとおり、私は福島県でございまして、やはり放射性物質のリスクコミュニケーションについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、東日本大震災から六年目に入りましたけれども、この原発事故による福島県の多くの農林水産物への風評被害、実害も含めて、それは今も続いておりまして、各自治体、さまざまな団体、また生産者の皆さんがさまざまな努力を重ねられているのが現状でございます。

 そこでお聞きさせていただきますけれども、現在の福島県における食品の放射性物質の検査体制とその検査結果について、厚生労働省に伺います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 食品中の放射性物質の検査につきましては、国が定めたガイドラインに基づき、地方自治体におきまして、食品の品目ごとに、放射性物質の検出状況や生産、出荷等の実態に応じまして、計画的にモニタリング検査を実施しております。福島県におきましては、これらに加え、米の全袋検査などにも取り組んでいると承知をいたしております。

 福島県におけるこれまでの放射性物質の基準値を超過している食品の割合の推移でございますが、平成二十四年度四・〇%、平成二十五年度一・五%、平成二十六年度〇・七三%、平成二十七年度〇・一七%であり、減少傾向にございます。

真山委員 今、米のことについて触れていただきました。福島県産の米については、全量全袋検査といって、全て検査をしたものが出荷されております。そういった検査だけではなくて、田んぼの土壌の除染、カリウムの散布等による吸収抑制対策、出荷段階での先ほどの全量全袋検査、また食事に回る手前で陰膳検査ということで、さまざまな検査であったり取り組みが実施されているわけでございまして、先ほどの全量全袋検査は、平成二十七年産米は一千四十七万点を全量全袋検査しまして基準値超えはゼロという状況でございました。

 次に、消費者庁にお伺いをさせていただきますけれども、消費者庁におきまして、食品と放射能に関する消費者理解増進チームが、風評被害に関する消費者意識の実態調査、平成二十五年以降、七回にわたりまして実施をされておられますけれども、その調査結果について消費者庁としてどのような分析、評価をされているのか、お伺いさせていただきます。

吉井政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁では、委員御指摘のとおり、平成二十五年の二月から、風評被害に関する消費者意識の実態調査を半年ごとに実施しております。

 この調査によれば、特定の産地の購入、例えば福島県産の購入でございますけれども、それをためらうというふうに回答した者が減少するなど、これまでの消費者の理解の増進のための取り組みが一定の成果を上げているものと評価できる結果となっております。

 ただ、一方で、事故から五年を経過いたしまして、消費者が食品中の放射性物質に関する情報などを得る機会が減少しておりますことから、例えば、放射性物質の検査が行われていることを知らないというふうに回答した者が増加をするなど、検査等に関する知識や理解の度合いの低下が見られたところでございます。

 消費者庁では、先ほど厚生労働省の方から御説明がありましたとおり、放射性物質の検査結果や私どもの意識調査、こうした結果なども踏まえまして、今後とも関係府省庁が連携をいたしまして、食品中の放射性物質に関する意見交換の開催、正確な情報提供等々を行いまして、消費者の皆様の理解の増進に努めていくことが重要であると考えているところでございます。

真山委員 先ほど言いました検査結果、ふえていないではなくて、ふえているんですね。つまり、知らないという人がふえているのが実態でございます。

 次に、海外の状況についてお伺いをさせていただきます。

 今現在、輸入規制を行っている国がありますけれども、その多くは科学的根拠にはなかなか乏しい内容でございまして、厳格な検査体制を行っている福島県の立場からすれば、到底納得のいくものではございません。

 我が国の農林水産物の食品に対する輸入規制の状況及び規制の撤廃、緩和に向けた海外に対する情報発信の取り組みについて、農林水産省に伺います。

大角政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴います、諸外国・地域におきまして、我が国産の農林水産物、食品に対し、放射性物質に関する輸入規制が設けられたところでございます。

 こうした輸入規制に対しましては、さまざまな機会を捉えて、科学的データに基づき撤廃、緩和するよう求めてきた結果、規制を設けている国・地域の数は、事故後の五十四から現時点では三十七にまで減少しているところでございます。

 その一方で、我が国にとって主要な輸出先国・地域でございます台湾、中国、香港などにおきましては、輸入停止を含む輸入規制が今なお講じられているところでございます。

 輸入規制を講じている国・地域に対しましては、これまで、農林水産物、食品や海洋のモニタリングデータを提供しつつ、二国間あるいはWTOのSPS委員会の場等で再三にわたり規制の撤廃、緩和を働きかけてきたところでございます。

 さらに、ことし一月にEUが一定期間基準値の超過がなかった産品を規制対象から除外したこと等の情報提供も、外交ルート等を通じて行っているところでございます。

 また、風評被害を払拭し現地消費者の信頼を回復するための取り組みもあわせて実施しており、例えば、本年二月から三月にかけまして、香港のメディアを通じ、東北三県を含む日本の農林水産物の持つ魅力を発信したところでございます。

 引き続き、あらゆる機会を捉えまして、科学的な根拠に基づき輸入規制の撤廃、緩和を行うよう粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。

真山委員 そうした状況があることを今答弁いただいたわけですけれども、河野大臣にお伺いをさせていただきます。

 食品の安全性に関するリスクコミュニケーションの強化については、所信の中でも触れていただいておりまして、福島県を取り巻く食の安全、食の安心と言ってもいいかもしれませんけれども、その状況を、生産者の側また消費者の側、さらには海外の状況も含めて今確認してまいりました。

 福島県の農林水産物に関するリスクコミュニケーションがまだまだ必要であることは言うまでもございません。むしろ、六年目に入りまして風評被害が風化によって定着してしまっているような感もあるわけでございまして、そうした現実が国内にも国外にもあるのが現実でございます。

 こうした福島県に関する放射能の、食品のリスクコミュニケーションの強化について今後どのように取り組まれるお考えか、お伺いさせていただきます。

 あわせて、ちょっと二問目、次の質問も一緒にお答えいただければと思います。

 今後のリスクコミュニケーションのあり方について、原発事故、この放射性物質の福島県での取り組み、リスクコミュニケーション、これまでたくさんいろいろやってまいりました。しかし、なかなかこうした科学的根拠を提示しても理解が得られない、そうした実態もあるわけでございまして、まさに風化と風評との闘いの中でございますけれども、これまでの取り組みの一つ一つ、そして、評価機関である食品安全委員会が要請に基づいてこの評価をしたわけでございまして、それをもとに、厚生労働省や農林水産省、関係する省庁が管理機関としていろいろな施策を行ってきたわけでございます。

 こういったことも、未来志向で前向きに、今後のリスクコミュニケーションはどうあるべきかというところでしっかり総括をし、教訓を残していくべきだと考えておりまして、前段で言いました福島県のリスクコミュニケーションの強化、そして今後のリスクコミュニケーションのあり方について、河野大臣の答弁をお願いいたします。

河野国務大臣 東日本大震災から少し時間がたってさまざまなものが風化しているという御指摘は、ある面そういうところもあるんだろうと思います。

 食品中の放射性物質については、もう極めて低水準で、健康に影響のあるレベルではないということを、やはり国民にもう少し改めてしっかりと周知徹底していく必要がある、丁寧に説明していく必要があるんだろうというふうに思っております。科学的な知見に基づいた正確な情報をまず発信し続けるというのは、これは本当に大事なことでございますし、さまざまな場面で丁寧な意見交換をやってまいりたいというふうに思っております。

 消費者庁でも、科学的にこうした食品の安全の問題、放射性物質について解説をするQアンドA集をつくっておりますので、これを積極的に広めてまいりたいと思っております。

 また、今後の食品のリスクコミュニケーションのあり方でございますが、これはやはり、一方的に情報を出すだけではなくて双方向のコミュニケーションが大事だということと、何かそこで合意形成をするのではなくて、合意形成はもう少し先なんだけれども、きちんと情報のやりとり、意見のやりとりをする双方向のリスクコミュニケーションをやっていくことが大事だということが、消費者庁が行いました消費者の意識調査というようなものを踏まえて、やはりより効果的なのではないかというふうに考えておりますので、きちんと手間暇をかけた丁寧な説明に努めてまいりたいというふうに思っております。

真山委員 時間となりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

西村委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井でございます。

 私は、旧維新の党に所属しておりましたので、IRを推進するという立場でございました。ただ、IRを進めると同時に、ギャンブル依存症対策をしっかりやらなきゃいけないということで、これまでも何度か質問してまいりました。

 このギャンブル依存症対策の、実はギャンブル依存症の約八割がパチンコに起因をするということでありまして、先般、三月三日の日に私は質問主意書を出させていただきましたけれども、ちょっとそれに対する回答がなかなか十分ではなかったので、きょうはお時間をいただいて、ギャンブル依存症、特にパチンコの問題についてお聞かせをいただきたいと思います。

 まず、厚生労働省の発表によりますと、ギャンブル依存症の疑いのある日本人は五百三十六万人もいる、そのうち八割がパチンコ依存症だというデータがございます。これだけパチンコ依存症が増加した背景には、一人当たりの消費額が大幅に増加している、つまりパチンコの射幸性が大きく影響しているのではないかと考えますが、パチンコの射幸性の向上とパチンコ依存症問題の深刻化、この関係について警察庁はどう考えておりますでしょうか。

種谷政府参考人 お答えいたします。

 パチンコ営業につきましては、営業の行われ方いかんによっては客の射幸心を著しくそそるおそれがあることから、風営適正化法において必要な規制が行われているところでございます。

 御指摘のパチンコの射幸性と依存症との関係につきまして警察としてお答えする素材を持ち合わせておりませんけれども、いずれにせよ、パチンコへののめり込み問題への対策につきましては、その必要性、重要性を業界自体が理解をして積極的に推進することが重要であるというふうに考えておるところでございます。

 業界団体では、パチンコに対し問題を抱える者からの電話相談を受ける機関として、リカバリーサポート・ネットワークを設立いたしまして、この取り組みが広く認知されるよう広報啓発活動を行うなど、各種対策に積極的に取り組んでいるものと承知しておるところでございます。

 警察といたしましても、それらの対策を含めて、パチンコへののめり込み問題への対策について継続的に要請等を行っているところでありますけれども、引き続き業界を適切に指導してまいりたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、中根(一)委員長代理着席〕

高井委員 警察も、射幸性が高まらないようにということでパチンコのルールをつくっているわけです。

 しかし、去年の、遊技産業健全化推進機構というところが実施をした遊技機性能調査の結果によりますと、全国百六十一店舗、二百五十八台を調査したうち、検定機と同じ性能の遊技機は一台も発見されなかったと。つまり、ルールを守っていた遊技機、パチンコ台は一台もなかったという結果が報告をされているんですが、この結果は、大臣、知っていましたでしょうか。

 あわせて、この遊技くぎの傾きを不正に変更して射幸性を向上させるという改造がパチンコ業界に蔓延していた、市場に適法な遊技機はほとんど存在していなかったということを証明する調査結果だったのではないかと考えますが、大臣はどのように受けとめておられますか。

河野国務大臣 この結果は極めて問題のあることだと思います。おっしゃいましたように、型式検定を受けた性能と全く違うものしかなかったというのはあってはならないことだと思いますので、これはゆゆしき問題だというふうに思っております。

 関係団体が、早急にこれは全て回収をすると言っておりますので、警察としては、まずこれがきちんとやられるように監視をしていきますと同時に、機構がこれから抜き打ちで性能の調査をするということになっておりますので、違反がないように、そこはしっかり見てまいりたいと思います。

 また、よもやないとは思いますが、万が一にも同じようなことがあった場合には、型式検定の取り消し、これはメーカーに対してでございます、あるいは、ホールに対しては、営業停止処分を含めた行政処分を実施することを含め、厳正に対処してまいりたいと思います。

高井委員 予想以上に力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 これだけ不正改造が蔓延している現状においては、風営法に定める、著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準というのに違反して、高い射幸性のパチンコ遊技機が多数設置されている可能性が高いと思うんですね。

 ただ、このような中で、業界の健全化のために警察の職員の皆さんが、日常の監視、取り締まりというのが大事だと思うんですけれども、この日常の取り締まりというのを、風営法に定める基準に適合しているかどうかということを確認する手段というのがあるんでしょうか。あと、警察の職員だけじゃなくてパチンコのユーザーの皆さんも、そのルールにのっとっているのかというのを確認できればよりいいと思うんですけれども、そういった方法は今あるんでしょうか。

種谷政府参考人 お答えいたします。

 風営適正化法は、同一型式の遊技機につきまして、同法に規定する技術上の規格に適合するか否かについて都道府県警察があらかじめ検定を行うという制度を設けておりまして、警察においては、検定の段階で技術上の規格に適合するか否かを確認することとなっております。

 また、当該型式の遊技機が設置される場合においては、パチンコ営業者は都道府県警察の承認を受けなければならないということとなっておりまして、当該承認申請の段階で確認することができることとされております。

 また、警察職員は、風営適正化法の規定により、パチンコ営業者の営業所に立入検査をすることができることとされております。

 警察といたしましては、これらの権限を適切に行使するなどして、適正な遊技機による営業がなされるよう努めてきたところでございます。

 なお、風営適正化法上、ユーザー、お客さんにおいてパチンコ遊技機が風営適正化法の規格に適合するか否かを確認することができるという制度はございませんけれども、著しく射幸性が高いと思われる遊技機に関して警察に通報等を行うようなことはできるわけでありまして、そのような場合には警察による対応を促すということになるわけでございます。そういったことは可能であるというふうに考えております。

高井委員 今の御答弁ですと、検定を受けているから大丈夫なんだと。しかし、これは、検定を受けたものが実はその後改ざんされて納入されていたというのが多分あの調査の結果だと思いますし、また、警察の職員が立入検査できるということですが、立入検査したところで、その機械がちゃんとルール、出玉の比率が決まっているわけですけれども、その率にどうやって適合しているかというのは調べようがないんだろう。あと、ユーザーも、余りにも出ない、この機械はおかしいからといって通報するというんですけれども、なかなかそれも現実的ではないなと私は思います。

 私は、ぜひ御提案申し上げたいのは、こういった業界ぐるみで改造が繰り返されるようなことを防止するためには、やはり業界だけに任せるのではなくて、第三者であるパチンコユーザーも含めてチェックする仕組みが必要だと思います。

 現在のパチンコ遊技機は、私はこういう例えをするんです、スピードメーターのない自動車じゃないかと。つまり、スピード違反をしているかどうか、運転している、車に乗っている人はわからないんです、メーターがないんですね。つまり、出玉がどのくらい出るかというのをチェックしようがない台が今全て置かれている。これはやはりおかしいのではないか。

 ですから、パチンコ遊技機についても、著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準という警察が決めている基準に違反しているかどうかを、パチンコユーザーであっても簡単に判別できるモニタリング装置、自動車でいえばスピードメーターですね、これをつけるべきじゃないか。

 これはそんなにお金がかかるものではない、ある人に聞いたら一台五千円ぐらいでできるとも聞いていますので、こういう装置をぜひつけることを義務づける必要があるんじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。

種谷政府参考人 お答えいたします。

 著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機による営業がなされることのないように出玉を監視するための装置、委員おっしゃったところのスピードメーターに相当するようなものを導入することも、技術的には一つの方法ではあるというふうに考えられるところであります。

 他方、風営適正化法はパチンコ営業者等の風俗営業者を規制する法律でありまして、お客さんにおいてパチンコ遊技機が風営適正化法の規格に適合するか否かを確認することができる制度を設けることというのは想定してございません。現時点において、お尋ねのような装置を法律で義務づけるということは考えていないところでございます。

 いずれにしましても、警察としては、風営適正化法に基づく権限を適切に行使するなどして、適正な遊技機による営業がなされるよう努めてまいりたいというふうに考えております。

    〔中根(一)委員長代理退席、委員長着席〕

高井委員 大臣にお聞きしたいと思いますが、パチンコメーカーの業界団体である日工組というところがありますが、ここは、現在問題のある遊技機の自主回収を段階的に進めていくと。先ほど大臣は、早急にというか、かなり力強くおっしゃっていただいたんですが、段階的に。私、ちょっと雑誌とかをいろいろ読んだら、何か、何年かかけてというような表現をしている雑誌もありました。こういった方針だと。

 しかし、不正に改造された、射幸性が高くなった遊技機が市場に大量に出回っているということがこの調査によって明らかになったわけでありますから、警察としては、業界のこうした取り組み、段階的にというような対応を黙認するということであれば、これはパチンコ依存症問題を放置、拡大することにつながるとも考えるんですけれども、大臣の見解はいかがでしょうか。

河野国務大臣 違法な機械が大量に出回っていたわけでございますから、かなりの量があるというふうに承知をしておりますので、一遍にというわけにはいきませんが、これは最大限速やかに撤去するというのは当然のことだと思いますので、団体にもきちんとそれはやらせるように指導してまいりたいと思っておりますし、今後は、まず、機構にきちんと抜き打ちでチェックをしていただいて、違反があれば、先ほど申し上げましたように、メーカーに対しては型式検定の取り消し、ホールに対しては営業停止を含む行政処分を科すという警察の意思を明確に出していきたいというふうに思っております。

高井委員 実は、質問通告したのはもう終わってしまったんですが。

 それでは、ちょっと時間があるので、最後に、ぜひもう一度大臣にお聞きしたいんです。

 先ほど私が御提案したスピードメーターに相当するものですね。やはり、どう考えても、スピードメーターのない車でスピード違反を取り締まるというのは矛盾している。これは誰が聞いてもおかしいと思うと私は思うんですが、現実に、今のパチンコ台というのはそういう状態になっていると思います。

 今局長が答弁されましたけれども、別にユーザーが逐一チェックしなくてもいいですけれども、警察が巡回したりしたときにすら、今の状況ではこのメーターがないとチェックしようがないと私は思っていまして、ぜひメーターをつけること、多少パチンコメーカーの負担になるかもしれませんが、そのことによってしっかりルールが守られ、そしてギャンブル依存症がなくなっていくことが、ひいてはパチンコが社会的に認知され業界の発展にもつながると考えるので、ぜひこのメーターの設置というのを前向きに検討いただきたいんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

河野国務大臣 自動車は、運転している人がスピードがわからぬとどうにもならないというふうに思うんですね。スピードメーターのようなものだとおっしゃいましたが、お客さんがスピードをチェックするのかどうかというのは正直よくわかりません。御質問の答弁の打ち合わせをしているときにも、これは一体どういうものなんだろうというのをちょっと私も考えておったんです。

 ただ、何らかの形でパチンコ台が適法の性能のものかどうかというのはチェックをする必要がありますし、手間がかかるのではチェックがなかなかできませんから、何らかの方法できちんとチェックができるようなものである必要はあるんだろうなというふうに思っております。

 余り前向きな答弁にはなりませんが、この問題は極めて大きな問題だと認識をしておりますので、警察もやる気でございますので、しっかり対応してまいりたいと思います。

高井委員 十分前向きな御答弁をいただいたと思います。

 本当にこのメーターはそんなに難しいものじゃないし、専門家がいいと提案していますので、ぜひ大臣も前向きに研究していただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

西村委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

西村委員長 次に、内閣提出、人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案及び衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。島尻国務大臣。

    ―――――――――――――

 人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案

 衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

島尻国務大臣 ただいま議題となりました人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案及び衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 まず、人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 近年、人工衛星やその打ち上げ用ロケットの小型化と低価格化が進み、宇宙活動への参入障壁が下がってきたことから、民間企業の宇宙活動が進展し、新産業やサービス、雇用機会の創出等が期待できる状況となっています。

 今後、民間企業による人工衛星等の打ち上げや人工衛星の管理といった宇宙活動が進展する中で、これらの活動に関する基準を明確にし、事業リスクを低減することで予見可能性を向上させることや、人工衛星等の打ち上げに伴うリスクに対する公共の安全の確保、万が一の損害が発生した場合に被害者の保護を図ることが求められるようになります。

 このため、我が国における人工衛星等の打ち上げ及び人工衛星の管理に関する国の許可制度や、これらに起因する損害に対する賠償に関する制度を設けることを規定する本法律案を提出した次第です。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、人工衛星等の打ち上げについては、その都度許可を受けなければならないこととするとともに、許可申請処理の迅速化のために、ロケットの型式認定制度、打ち上げ施設の適合認定制度を設けることとしています。

 第二に、人工衛星の管理については、人工衛星ごとに許可を受けなければならないこととしています。

 第三に、内閣総理大臣による監督を規定し、法律の施行に必要な限度において、許可を受けて人工衛星等を打ち上げる者などへの立入検査、必要な指導、助言及び監督ができることを規定しております。

 第四に、人工衛星やその打ち上げ用ロケットの落下等による第三者への損害について、人工衛星等の打ち上げや人工衛星の管理を行う者の無過失責任とするとともに、人工衛星等の打ち上げに係る許可を受けた者に対し、民間の損害賠償責任保険契約の締結等の損害賠償担保措置を講ずる義務を課し、当該措置では埋めることができない損害を賠償する場合については政府が補償することとしています。

 次に、衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 人工衛星に搭載された装置により地球表面を観測した衛星リモートセンシング記録は、農業、防災、社会インフラ整備等の幅広い分野で活用が期待されることから、民間事業者による利用が急速に拡大しております。

 一方で、高性能な衛星リモートセンシング記録は、悪用の懸念のある国や国際テロリスト等の手に渡ると国際社会の平和の確保等に支障を生ずるおそれがあるため、民間事業者が衛星リモートセンシング装置を使用する能力を持つ国では既にこれを適切に管理するための法制度整備がなされています。

 こうした中、我が国においても衛星リモートセンシング記録の利用の拡大を踏まえ、当該衛星リモートセンシング記録の悪用を防ぐとともに、これを利用する新たな産業やサービスを振興するための基盤となる制度が必要になっています。

 このため、衛星リモートセンシング記録の適正な取り扱いを確保するために必要な事項を規定する本法律案を提出した次第です。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、高性能の衛星リモートセンシング装置の使用を許可制とするとともに、不正な衛星リモートセンシング装置の使用を防止するための措置、使用終了時の措置を講じなければならないこととし、許可に係る受信設備以外の使用禁止、許可に係る軌道以外での機能停止等の義務を課すこととしています。

 第二に、衛星リモートセンシング記録保有者は、認定を受けた者や特定取扱機関に適正な方法により行う場合等を除き、衛星リモートセンシング記録を提供してはならないこととしています。

 第三に、衛星リモートセンシング記録を取り扱う者は、衛星リモートセンシング記録の区分に従い、衛星リモートセンシング記録を適正に取り扱うことができる旨の内閣総理大臣の認定を受けることができることとしています。

 第四に、内閣総理大臣は、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれがあると認める十分な理由があるときは、範囲及び期間を定めて、衛星リモートセンシング記録の提供の禁止を命ずることができることとしています。

 以上が、人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案及び衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

西村委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.