衆議院

メインへスキップ



第15号 平成13年6月5日(火曜日)

会議録本文へ
平成十三年六月五日(火曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 保利 耕輔君

   理事 奥谷  通君 理事 塩崎 恭久君

   理事 田村 憲久君 理事 長勢 甚遠君

   理事 佐々木秀典君 理事 野田 佳彦君

   理事 漆原 良夫君

      荒井 広幸君    今村 雅弘君

      太田 誠一君    左藤  章君

      鈴木 恒夫君    棚橋 泰文君

      谷川 和穗君    西川 公也君

      増原 義剛君    松宮  勲君

      山本 明彦君    吉野 正芳君

      渡辺 喜美君    枝野 幸男君

      日野 市朗君    平岡 秀夫君

      水島 広子君    山内  功君

      山花 郁夫君    上田  勇君

      山田 正彦君    木島日出夫君

      中林よし子君    植田 至紀君

      徳田 虎雄君

    …………………………………

   議員           相沢 英之君

   議員           金子 一義君

   議員           長勢 甚遠君

   議員           根本  匠君

   議員           山本 幸三君

   議員           上田  勇君

   議員           漆原 良夫君

   議員           谷口 隆義君

   議員           井上 喜一君

   法務大臣         森山 眞弓君

   法務副大臣        横内 正明君

   政府参考人

   (警察庁刑事局暴力団対策

   部長)          岡田  薫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制

   部長)          房村 精一君

   法務委員会専門員     井上 隆久君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月五日

 辞任         補欠選任

  熊代 昭彦君     西川 公也君

  中川 昭一君     増原 義剛君

  西田  司君     今村 雅弘君

  藤井 裕久君     山田 正彦君

  不破 哲三君     中林よし子君

同日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     西田  司君

  西川 公也君     熊代 昭彦君

  増原 義剛君     中川 昭一君

  山田 正彦君     藤井 裕久君

  中林よし子君     不破 哲三君

    ―――――――――――――

六月五日

 民事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出第六九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 債権管理回収業に関する特別措置法の一部を改正する法律案(山本幸三君外三名提出、衆法第二一号)

 商法等の一部を改正する等の法律案(相沢英之君外六名提出、衆法第二六号)

 商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(相沢英之君外六名提出、衆法第二七号)




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

保利委員長 これより会議を開きます。

 山本幸三君外三名提出、債権管理回収業に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本日、政府参考人として警察庁刑事局暴力団対策部長岡田薫君及び法務省大臣官房司法法制部長房村精一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田正彦君。

山田(正)委員 自由党の山田正彦です。

 きょうは、サービサー法の改正案について質疑をさせていただきます。

 このサービサーの債権回収制度、これができてから既に二年四カ月になるわけですが、実際の運用においては順調にいっているかどうか、業者等は今どういう状況にあるのか、そういった実態についてお願いします。

横内副大臣 お答え申し上げます。

 サービサー法の施行後の実績、順調にいっているかどうかという御質問でございます。

 現在、サービサーの許可会社は四十八社となっております。サービサーの業務実績につきましては、昨年の末に、当時の許可会社四十一社を対象に実態調査を行いましたけれども、その結果によりますと、取扱債権額は約十九兆円、このうち八〇%に当たる十五兆円が金融機関の貸付債権であります。そして、回収額は約八千百億円に及んでおります。

 実績が順調かどうかという御質問もありましたが、今申し上げました実態調査の結果の数字はサービサー法の施行後二年未満のものであるということを考えますと、サービサーは全体として非常に活発な業務を展開しており、その業務実績は順調であるというふうに考えております。

山田(正)委員 私も、実務として弁護士をやっておりますと、消費者金融等によってお金を借りた人が返せなくなって、大変暴力的な取り立て等々によって自殺者等々もかなりあるわけなのですが、サービサーに回収取り立てがかわってから、貸金規制法違反行為のような取り立て業務、違反するようなおそれ、違反したような例、そういったことは今までになかったでしょうか。

    〔委員長退席、奥谷委員長代理着席〕

横内副大臣 サービサーに対して、いろいろな苦情が寄せられてはおります。これまでの苦情件数は五十六件でございます。そういう苦情の中には、サービサーが法律の定める行為規制に違反をしたという苦情も含まれております。

 法務省といたしましては、そういうような苦情があった場合には、関係者や当該サービサーから事情を聴取するなどいたしまして、事実関係の調査を行っているというところでございます。

 そういった調査を行っておりますけれども、現在までのところ、サービサー法の行為規制に違反したと認定したような事例はないということでございます。

山田(正)委員 苦情があったということでしたが、具体的にどういう苦情がありましたか。

横内副大臣 お答え申し上げます。

 これまでにありました苦情の件数は五十六件でございますけれども、その苦情の主な内容は、例えば、債権者ではないサービサーから請求を受けたけれども、サービサーということに対する説明がなかったというような苦情とか、あるいは、繰り返し電話による請求を受けているという苦情、それから、金融機関等の債権をサービサーが回収行為を行うことができるのかというような苦情でございます。

 大半は、このサービサー制度の理解不足等によるものが多いというふうに聞いております。

山田(正)委員 私が聞いたのでは、これから先何度も何度も電話しますよとか、あるいは、職場の方に電話しますよ、そういう苦情があったかに聞いていますが、そういう事実はなかったですか。

房村政府参考人 お答え申し上げます。

 苦情の中には、そういう何回も電話による請求を受けたというようなものもございます。そういう行為規制に違反していることが疑われるような苦情につきましては、先ほど副大臣からも申し上げましたけれども、係官を派遣いたしまして、直接債務者等から事情を聞く、あるいはサービサーに行ってサービサーからも事情を聞く、サービサーには債務者との交渉記録をつけるようにという義務がかけられておりますので、そういう交渉記録の提出を受けてこれを確認する、そういうような作業をして違反行為の有無を法務省として調査しております。

 幸い、現在までのところ、そういう行為規制に違反するような態様の行為がなされたという事例はございません。

山田(正)委員 何度も何度も電話すると通告したり、あるいは職場に行かざるを得ませんとかと言うのは、行為規制違反に当たりませんか。そうなれば、厳重な処分をする必要があるんじゃないですか。

    〔奥谷委員長代理退席、委員長着席〕

房村政府参考人 申し上げましたように、債務者からそういう違反行為があるのではないかと疑われるような申し出があった。それについて、例えば交渉回数について残されている記録を調べるというようなことをいたしまして、そういう多数回にわたり執拗に請求したというような事実は認定できない、そういうような調査結果に基づいて、最終的に、具体的なその当該事案については行為違反はなかったというぐあいに認定したものでありまして、委員御指摘のように、本当に多数回にわたり何度も請求をしたり、あるいは職場に押しかけるというようなことをすれば、これは行為規制に違反することになろうかと思っております。

山田(正)委員 私が聞いたのでは、そういう行為規範に違反するような行為があったというふうに聞いておりますが、いずれにしても、これからいわば債権回収の範囲、いわゆる一般の町の登録業者等のすべての債権も来るわけですから、そういった意味ではかなり厳しい状況になっていく。そういう意味では、この行為規制については、さらに一層厳しい取り締まりを十分にしてもらわないといけないのじゃないか、それはひとつ銘記していただきたいと思います。

房村政府参考人 このサービサー法が制定されるときも最も懸念されたのが、ただいま委員から御指摘のあったような違法な取り立て行為がなされるのではないかという点にあったように聞いておりますし、所管しております法務省としても、そういうことが絶対ないように今までも十分注意してきたつもりでありますが、今後もより一層の努力をしていきたいと考えております。

山田(正)委員 次に、この改正によって、いわゆる登録ノンバンクの貸付債権、登録している町金と言われている業者等々の債権譲渡を受けて、それを回収することがこれからできるということになるのですが、私ども実務をやっておりますと、町の登録業者、いわゆるサラ金業者とか町金業者というものは、本来ならば、貸付先のいわゆる明細、いつ貸し付けてどのようになったかというのをすべて記載し、登録し、記帳義務等々があるわけですが、実際にはやっていないところがかなりある。それは貸金規制法違反だといえば違反ですが、本当に違反しているかどうか一件一件監督官庁が調べているわけじゃない、実態はかなりいいかげんなものである。そういったところの債権を譲り受けたとして、その債権についてのいろいろな調書、いわゆる金銭消費貸借書がでたらめであったり、保証人の記載もでたらめであったり、あるいは受取利息等の金額についてもうその記載を書いてある。そういうことは町の登録業者に多々あるわけなのですが、その辺はどう考えておられるか。提案者の山本議員に、その辺どう考えてこの法案を対処されているか、お聞きしたい。

漆原議員 山本議員に御質問ですが、私からお答えさせていただきます。

 貸金業者の貸付契約に係る債権の譲渡を受けた場合、譲り受け人は、貸金業法二十四条二項による十七条の準用によって、債務者への書面の交付が義務づけられております。サービサーが貸金業者から貸付債権を譲り受ける場合にも、当然この義務を果たすことが求められております。

 したがって、その前提として、当該貸付債権の譲渡人から、貸付債権の発生、消滅の経緯あるいは弁済履歴等の情報を承継して、これら承継した情報に基づいて元利金の残高を計算するということになろうかと思います。

 しかしながら、サービサーが、弁護士法の例外として債権の譲り受けを業として行うものであり、通常の者以上に法令遵守が強く求められる立場にあることを考えますと、サービサーに利息制限法の制限利息に引き直し義務を確実に担保させる、遵守させるための措置を省令等で定めることも十分検討に値するというふうに考えております。

 また、監督官庁である法務省において、立入検査などの際に、取り扱っている債権の内容だとか、請求の有無だとか、請求額及びその根拠等について、ヒアリングや客観資料の調査を行うことはもちろんのこと、債務者や原債権者からの反面調査を適宜行って、サービサーが当該規制を遵守しているかどうか適切に監督することによって行為規制は十分有効に機能するというふうに考えておるところでございます。

山田(正)委員 十分に担保したいという御答弁でしたが、実際に、登録業者であれば、町金あるいはどんな業者でもそういう債権を譲り受けるということになれば、我々実務の扱いをやっておりますと、帳簿もつけていない、実際には領収書も渡さない、そういう業者がまだかなりおります、現実に。実際に借金苦で三万からの人が自殺しておりますから、現状はかなり厳しい状況にある。それなのに、サービサーがそのまま譲り受けて、それを信じてどんどん取り立てに来られるということでは、一般の債務者にとってはさらに大変なことになるのじゃないかという懸念がしますので、言ってみれば、ノンバンク、町金、登録業者であったらどんな債権でも譲り受けるというのではなくて、サービサーが譲り受ける債権については、同じノンバンク、登録業者であっても、いわば本当にあらゆる書類がそろっていて間違いのないもの、あるいは、例えば、過去にいろいろな問題を起こした業者ではないものとか、そういう何らかの絞りを、その対象全部、登録ノンバンクであったら何でもやるというのではなくて、もうこの法案はそのまま通るわけですから、一つの行政指導としてでもその規制をかけなければいけないのではないか、そう考えますが、大臣、さっき来たばかりですが、いかがでしょうか。

房村政府参考人 ただいま委員の御質問にありますように、登録ノンバンクの債権の中には利息制限法の制限利息を超過するものが多く含まれているのは事実であろうと思います。また、その中には必ずしも十分な記録がないものもあるのではないか、こう思いますので、法務省としても、ただいま御指摘のような登録ノンバンクの貸付債権全般をサービサーに扱わせることとした場合に、制限利息への引き直しをした上で請求するという行為規制を今回の法案でかけております。その行為規制が守られるための何らかの規制といいますかガイドライン、そういったものを考えていく必要があるだろうということは御指摘のとおりだろうと思っております。

山田(正)委員 確かに、今、商工ローンと称している業者等においても、利息制限法の計算は、我々が開示請求いたしますと、一応やってまいります。ところが、その式、いわゆる計算の始めというのが、もう既に十年前から貸しているのに、一たん貸して、返して、貸して、返してというのを続けてきておりますが、一番最新の、最近一年か半年ぐらい前からの分を計算して、これで利息制限法の計算は終えて、これだけ元利が残っております、これが通常だ、そう考えていいと思うのですね。

 そうなれば、確かに、法の規制においては、いわゆる利息制限法の計算書もいただきました、金銭消費貸借書もいただきました、領収書等についての控えもいただきました、書類は全部そろっているから、サービサーとしてはそれで回収しますと。ところが、実態においては、既に十年も前からの取引の八年分ぐらいは隠されたままで移譲されたということは、裁判例でも出してくるのはほんの一部しか出してきませんから、十分あり得ることなのですが、それについては、単に利息制限法で計算したものがあるからそれでいいというものじゃない。それについては何らかの法的規制が必要なのじゃないのか。それをどうお考えでしょうか。

山本(幸)議員 委員御指摘の点は、今回の法改正をする場合におきまして一番問題になったところでありまして、特に、日弁連と最終的な詰めをやりましたときに、最も懸念が示されたところでございます。我々も、当然の懸念であるし、これはきちっとしなければいけないと思って対応いたしました。

 そのために、行為規制で利息制限法以下に引き直してしか請求できないという規定を法律に置いておりますが、それを担保するために、貸金業法ではそういう証拠書類等をちゃんと残さなければいかぬということになっているわけですが、これが守られていないことがあり得るということでありますので、それはきちっと、サービサーがそれを買い取って請求する場合には、これは本当に過去にさかのぼっても利息制限法以下のものですよということを証明できるという確信がなければそれができないというようにしたいと思っております。

 そのために、最終的に日弁連と話をしましたときに、それは省令あるいはガイドラインということで担保いたしましょうと。貸金業法であるわけですが、それだけじゃ足りないということでありますので、サービサー法をつくる以上は、サービサー法のところでもそういう義務を、手続として省令、そしてまた詳しくはガイドラインでやりましょうということで私どもも応じまして、日弁連の皆さん方も一応御了解いただいた。今、法務省において、その文言等の最終的な詰めをやっているという段階でございます。

山田(正)委員 十分その辺は気をつけてやるということですけれども、利息制限法等については、確かに、これまでのサービサーではそういったものについては引き受けていなかったけれども、これから先はそういった債権も引き受けるということは、大変複雑だし、かつ立証等についても大変なことになるし、それだけに十分な規制をしていただかなければいけないと思います。

 同時に、債権の中にいろいろなものがあるわけですが、貸し金債権だけじゃなくて、請負債権であれ、売買、貸借の残代金であれ、そういった債権までもし引き受けるとすれば――これは引き受けることができましたか、そういう債権は。まずそれからお聞きします。

山本(幸)議員 このサービサー法では、基本的に与信機能というところに注目しておりますので、金融機関、ノンバンク、それからSPC、法的倒産ということでありまして、逆に外れているのは何かといいますと、通常の事業会社が有する売買債権とかあるいはゼネコン等の請負代金債権、こういうものは除かれておりますので、一般の事業会社のそういう債権は外れているということであります。

山田(正)委員 そうしますと、工事請負代金等についてはよく争いがあるわけなんですが、この部分の工事を頼んだのにしていなかったとか、あるいは追加工事分は頼んでいなかったとか、そういういろいろな抗弁権があります。そういった抗弁、債務者側として十分主張できる権利といったものが、債権を譲り受けて債権者がかわることによって、事実上の訴訟の中で、そういったことは知らなかったとかいった形で、実態においては非常に不利益を受けるような場面が出てくるのではないのか。そういう懸念を持ちますが、その点はいかがでしょうか。

漆原議員 特に企業が倒産したような場合に、倒産処理の中で、工事請負代金だとかいうものが入ってくる可能性があります。その際に、今御指摘の抗弁の切断があるかないかという問題になるわけですが、債権譲渡をされたからといって人的抗弁が切断されないわけでございますから、そこのところは、従来の原債権者であろうが、サービサーが譲り受けた場合であろうが、抗弁権としては当然付着している。それを従来と同じように主張していくことになろうかと思います。特に債権譲渡によって法的不利益を受けることはないというふうに考えております。

山田(正)委員 そういったところは十分担保しているということで安心したいとは思っておりますが、十分にそういった面においての注意は払ってもらった上で、最近よく民事再生とか破産とか、あるいは会社更生も一部ありますが、そういった中で、債務者にしてみれば、債権はある程度大幅にカットしてもらって、いわゆる債権を放棄してもらって、そして何とか支払える範囲で払っていこうと、いわゆる破産にならないで。

 今大変な数の破産が毎年毎年ふえ続けておりますが、そういう意味では、債務整理というのは非常に柔軟にやっていかなければいけないと思うのですけれども、例えばあの整理回収機構等々についても、いろいろ私も交渉したことがありますが、サービサーと直接やったことはありませんけれども、一たん譲り受けた債権については、例えば十億で譲り受けたとする、実際には五千万で買ったかもしれない、しかし、その債権については五千万で買ったとしても十億からなかなかおりない。少なくとも譲渡してもらった債権の金額ぐらいで、あるいはそれに少し上増しするぐらいで任意整理あるいは民事再生の債権額として交渉に応ずるとか、そういったことをしていただければと思うのですが、なかなか実際には厳しいようです。

 その点について、この法律をつくるに当たり、破産、あるいは破産を避けるための民事再生、あるいは任意整理、そういった場合におけるサービサーの弾力的な運用と申しますか、そういったことについては検討したことがありますか。

山本(幸)議員 私は、サービサーを育てていくということの大きなポイントに、そういうことをぜひやってもらいたいというように思っているわけです。つまり、民間のサービサーが育つことによって、通常簡単に放棄してくれないようなものも、買い取るときの値段等の関係でいえば、かなり柔軟に対応し得るというように思っているわけです。

 私もいろいろな企業等の実情を聞いたりいたしますけれども、すべてがうまくいくということにもなっていないことは御指摘のとおりだと思います。特に整理回収機構、RCCはかなり厳しいと聞いておりますが、他方、ほかの民間のサービサーは逆に極めて柔軟に対応してくれるというように聞いております。

 これは余り一般的に言えるかどうかわかりませんが、現実に私が聞いた話では、十数億の債権があったのだけれども、銀行とやりとりしているときにはにっちもさっちもいかなかった。特定調停法をそこは使ってやろうとしたわけですが、一部の銀行だけがなかなか応じない。そのほかの銀行はほとんど応じて、国税当局もいい、調停委員会もいいのじゃないかというところまでいったにもかかわらず、一、二行がだめだと。そのうちの一行は十数億の債権を持っていて、結局一年ぐらいやったのですが、なかなかうまくいかないと困っていましたところ、その銀行は民間サービサーにさっとバルクセールしまして、そしてその結果、今度サービサーと対応し出したらあっという間に話がついて、もう数十万円の単位で話がついたということであります。恐らく、ただみたいな値段で売ったのだろうと思いますけれども、そういう意味では、むしろ民間サービサーが活躍する場面が多くなってきた方が従来よりもフレキシブルに対応し得る。そういう意味で、債務者にとっても大変助かるのじゃないかというように思っております。

山田(正)委員 私は、民事再生も特定調停も、それぞれ現実にやって経験しておりますが、確かに銀行とか回収機構とかというのは厳しいものがあって、なかなか調停あるいは民事再生もうまくいかない面も多々あるわけです。このサービサーに至って、本当にそういう意味で柔軟にやり、かつ銀行等も不良債権を早く一掃して解消していく、そういう形でのうまい運用ができれば最もありがたいと思っておりますが、特に山本議員が一生懸命やられた特定調停においては、実態においては、実務ではうまくいっていないんじゃないか。もう少しいろいろな意味で最高裁にしても法務省としても検討いただきたい、そう思っているところです。

 私の質問時間が参りましたので、終わります。

保利委員長 次に、木島日出夫君。

木島委員 日本共産党の木島日出夫です。

 提案者にお聞きをしたいと思うんですが、債権管理回収業に関する特別措置法は、九八年十月、いわゆる金融特別国会において、金融機関が有する不良債権の実質的処理の促進等を図ることを目的として議員立法で成立したものであります。

 当初、自民党から提出された法案は、サービサーが取り扱えることのできる債権、いわゆる特定金銭債権の範囲が現行法に比べてはるかに広かったわけでありますが、それに対して、当時の野党であった民主党、平和・改革、現公明党であります、それから自由党から、対象債権を限定せよという修正案が提出されまして、自民党、民主党、平和・改革、自由党の四党協議の結果、四党共同修正案が現行法のようになって成立したものであります。

 そこで、端的に二つの点についてお聞きします。

 一つは、四党協議により自民党案がどのように絞り込まれたのか、二つは、そのように絞り込んだ立法趣旨はどのようなものだったのか、改めてお聞きしたいと思います。

山本(幸)議員 御指摘のように、この現サービサー法は、平成十年八月五日に、自由民主党による議員立法としてまず国会に提出されたわけであります。

 当初の自民党案では、特定金銭債権というのは、金融機関あるいは農協及び保険会社の有する貸付債権、それからリース・クレジット債権、それから貸金業者の債権を含むと。ただし、これは、政令で資本金のところで少し絞ろうかということは考えておりました。

 それから、それに類するものとして政令で定めるものというふうに考えておりまして、政令においては、信用金庫連合会等、協同組織金融機関の連合会組織、あるいは政府関係機関、あるいは農協等、それから特定目的会社の有する金銭債権、あるいは債権発生時点において特定金銭債権であったものなどを政令で入れようということで、当初の原案があったわけであります。

 それに対して、与野党の折衝がありまして、特に問題になったのは、貸金業者の有する貸付債権については、すぐにすべてを対象にするというのは問題があるんじゃないかと。特に、金融機関の不良債権処理ということが当時としては一番最重要課題ということであるから、そこに限るものならいいけれども、それ以外を今すぐにすべて認めるとはいかがかということがございました。したがいまして、貸金業者の有する貸付債権については、金融機関と特殊の関係のある貸金業者で、不動産担保つき事業者向けということだけに限定された経緯があります。

 それから、特定目的会社、SPCの有する債権もまだ時期尚早ということでありました。

 あるいはまた、発生時点において特定金銭債権だったものはすべていいじゃないかというふうに考えていたわけでありますが、これも、金融機関の有していたものだけに限ろうというようになったわけでございます。

 そのことで現行法の体系になったわけでありますが、そういう意味では、とりあえず始める場合には、貸金業者の貸付債権は、金融機関の不良債権処理と直接関係するものから始めよう、あるいはまたSPCについては、まだ十分な実績がないということだったということで、将来の課題とされたと思います。

 そういう意味で、とりあえず弁護士法の特例として始める以上は限定されたものからやろう、私どもとしてはできるだけ広く、そのやりとりがありまして、最終的に現行の範囲に限られたということになった次第であります。

木島委員 どうも、なぜそのように絞ったのか、趣旨がもうひとつ定かでありませんが、自民党の皆さんから見ると、せっかく広い法案を出したのに野党三党によって狭められた、ここはひとつ小さく産んで大きく育てようという気持ちで妥協されたのかもしれませんが、野党三党がなぜ絞りをかけたのか、やはり理由があったはずだと思うんです。そこはもうやめます。しかし、今回の改正法案は、それを一層、当初の案のように広げ切ったという修正案ですね。

 現行法によりますと、五年後をめどに、実施状況等を勘案して検討を加え、必要な措置を講ずるとあるんです。本法律が施行されたのは九九年二月一日でありますから、まだ二年ちょっとしか経過していない。

 そこで、提出者と法務大臣、法務省にそれぞれ同じ質問をいたしますが、現行法では五年後見直そうと。しっかり現状を把握してから見直すべきかどうか検討しようという法律なのに、今緊急に対象債権を拡大しなければならない理由はあるんでしょうか。なぜなのでしょうか。二年間の実施状況をどのように勘案し、どのような検討が加えられて本修正案が出てくるんでしょうか。これは提案者に対する質問。

 法務省には、法務省として、これは議員立法でありますが、今直ちに改正しなきゃならぬ理由はあると考えておるのか。法務省として、二年間の実績状況の把握、検討はしているのか。それぞれお答えいただきたい。

上田(勇)議員 今木島先生からお話がありましたように、木島先生も私も、当初の修正のときに協議に参画をさせていただいたわけであります。

 今木島先生の方から、そのときの、いわゆる対象債権等を絞り込んだ経緯についてはお話があったのでありますけれども、それと、その修正にあわせまして、五年をめどにその見直しを行うということがつけ加えられたわけでありますけれども、その附則第七条の趣旨というのは、私は、五年に至らないからサービサー法の改正を禁止するというものではなくて、それはむしろ、五年が経過していなくても、その必要性がある、またその制度の定着状況等を勘案すれば、必要があれば早期に改正することも求めているものだというふうに理解をしております。

 今、施行後二年二カ月が経過をいたしまして、サービサーも既に、先ほど法務省の方からもお話がありましたけれども、四十八社に増加をした。その取扱債権額も、昨年末現在で十九兆円余りに及んでいる。その間、各社とも、債権回収過程においては適正な業務を行いつつ、不良債権の実質的な処理や債権の流動化を促進するという立法目的に十分にかなった活動を展開しているのではないかというふうに認識をいたしております。経済社会における必要不可欠なインフラとして既に定着しているというふうに考えているわけでございます。その後の経済社会情勢の変化に対応いたしまして、サービサーの活動領域をさらに拡大してもらいたいというような要求もあり、そのために、今回、取扱債権の範囲等についての現行の法規制を早急に改正をしようということで提案に至った次第でございます。

 以上でございます。

房村政府参考人 お答え申し上げます。

 法務省としてこのサービサー法の実施状況についての把握ということでございますが、先ほど提出者からもお述べになられましたが、法務省として、このサービサーがどのような活動をしているかということを把握するために、昨年暮れに、当時の許可会社四十一社を対象にいたしまして調査をいたしました。その結果、当時、取扱債権額が約十九兆円、回収額が八千百億円ということでございます。実は、昨年の六月にも同じような調査をいたしまして、当時は三十六社で取扱債権額が約十三兆円ということでございましたので、非常に取扱債権額の伸びも大きい。そういう意味で着実に活動を広げておりますし、非常に大きな役割を果たしているのではないかと考えております。

 また、その活動の状況として、当初懸念されました違法な取り立て行為等がなされていないかという点については、先ほども御説明しましたが、苦情等を受けた場合には直ちに調査をする、あるいは定期的な立入検査をする、提出された事業報告書を精査するというようなことで、その業務が適切になされているかどうかを十分見ているところでございますが、幸い、違法、不当な回収業務を行った事例は現在のところありませんし、各社とも適切な業務運営を行っているというぐあいに認識しております。

 ところで、改正の点でございますが、平成十二年の三月末に閣議決定されました規制緩和推進三カ年計画において、現行サービサー法の取扱債権の制限について、債権管理回収業の実情や社会的ニーズ等を調査し、その結果を踏まえて検討を行い、所要の措置を講ずることとされました。それを受けまして、法務省におきまして、ユーザー等からのヒアリング、例えば、関係省庁として金融庁、財務省、経済産業省、日銀、あるいは日弁連、全国銀行協会、クレジット産業協会などの業界団体、それからサービサーそのもの、その他事業団とか銀行、関係するところから、有識者などを含めまして、数多くのヒアリングを行いました。

 そのような実情調査の結果、法務省といたしましても、金融機能の再生強化のためには現行のサービサー法の取扱債権の範囲を拡大する必要性があるという認識を有するに至っております。

 その間、金融機関の不良債権処理の必要性等が大きくクローズアップされ、与党三党においていち早く本改正案を取りまとめるに至ったということでありまして、法務省としても、そのような法改正の必要性はあるという認識でおります。

木島委員 今答弁がありましたが、資料によりましても、サービサーが取り扱った債権件数、債権額は急増している。昨年六月末で約六十五万件ですか、約十三・六兆円、昨年末で約百四十六万件、約十九兆円と大変な急増ぶりですが、問題は、その不良債権と言われるものの、サービサーに、取り立てに回った具体的な中身がどのようなものかというところだと思うのです。

 そこで、三つの観点から数字が把握されているかどうか、お聞きいたします。提出者の方がこういう数字をつかんでいるかどうか、あるいは法務省がつかんでいるかどうか、お聞きします。

 一つは、サービサーに、取り立てに回った不良債権の内訳として、金融機関の貸付債権は何件あって幾らなのか。もう一つ、現行法で許されている金融機関系ノンバンクの事業者向けかつ不動産担保つき債権の件数、債権額は幾らなのか、何件なのかというのが一つ。

 二つ目の分類ですが、債務者の方ですね、不良債権として取り立てられる側の債務者の方の分類を把握しているのか。大企業に対しては何件、幾らか、中小企業に対しては何件、幾らか、そして個人に対しては何件、幾らか。そういう目で切ったときの不良債権、回収に回った不良債権の分類をつかんでいるのかという点。

 そして三点、私がこれから質問するに最も大事な観点なんですが、金融機関の貸付債権の不良債権、分類別債権件数と債権額をきちっと把握しているのかという問題であります。

 これは、銀行法によっても、あるいは金融再生法によっても観点が違うのです。銀行の自己査定の観点も違うので、不良債権という概念は非常にあいまいであり、多義なんですが、少なくとも銀行の自己査定による、いわゆる要注意先債権、破綻懸念先債権、あるいは実質破綻先債権、破綻先債権、この四分類、これが自己査定の場合のいわゆる不良債権の中身ですが、それぞれ回収に回った債権の四つに分けた件数と金額、そういうつかみですね、実態の把握をしているのか。しているとすれば御報告願いたい。

 かなり立ち入った質問でありますが、その三つの観点からの実態把握についての現状の認識を答弁いただきたいと思うのです。

上田(勇)議員 お答えいたします。

 幾つかにわたる御質問でございますので、順を追ってお答えをさせていただきます。

 まず、先ほど法務省の方からもありました、昨年末の実態調査におきます百四十六万件、十九兆円の内訳でございますけれども、金融機関の貸付債権が約三十六万件で全体の約二五%になります。約十五兆円で、全体の八〇%に相当するものでございます。金融機関系のノンバンクの事業者向け不動産担保つき貸付債権が約二千件、全体の〇・一%に相当いたしまして、これが約一兆五千億円で全体の八%となっております。

 次に、いわゆる債務者の分類についての御質問でございますけれども、これについては、この法務省の調査では債務者の分類については調査を行っておりませんので、その内訳は私は承知していないところでございます。

 さらに、金融機関の不良債権の分類方法と、分類の定義ごとの債権者及び債権額についての御質問でございますけれども、先ほど委員の御質問の中にありましたけれども、不良債権の金融機関の分類というのは、銀行法に基づくリスク管理債権あるいは金融再生法に基づく再生法開示債権というふうに、各金融機関の自己査定によるものとなっております。それぞれこうした定義が異なっておりますので、そうした金融機関の自己査定で、各金融機関が適正な償却、引き当てを行うために、貸し出し等について、債務者や保全の状況等を踏まえて回収可能性に応じて分類しているということでございますので、こうしたものについてサービサーがどのぐらいの不良債権を扱ったかというのは十分調査されておりませんので、ちょっと承知していないところでございます。

 以上です。

木島委員 そうすると、法務省が基本的な調査をしているのですが、法務省の調査対象にのっていないので提案者としてもわからないと確認していいですか。山本さん。

山本(幸)議員 おっしゃるとおりでございます。

 ただ、そういう分類をどうするかという話については、これは銀行の方の経営上重要な話としてあるのだろうと思いますが、これをサービサーに売るときには、今度サービサーの方から見れば、それは銀行経営の話と別のことですから。サービサーにとってみれば幾らで買えて幾らで回収できるかという判断をするところが大事なところでありますので、同じ考えをサービサーに求めるというわけにもちょっといかないだろうと思いますので、そういう問題意識で分類をしているということはないと思いますし、そういう調査もできていないということであります。

木島委員 実はこれは銀行の方を調べればわかるはずの問題なので、一番肝心かなめの調査が抜けている。実質上、金融機関からサービサーに回収のために譲渡された、また取り立てを委託された債権が、破綻している債権なのか、実質破綻している債権なのか、破綻懸念があるだけの債権なのか、もっと緩い要注意先債権なのか、そこをしっかり見ないとこれは大変な問題が起きるということをこれから時間の許す限り指摘したいのですが、私は、提案者の方も法務省の方も、一番大事なところの調査が抜けているというふうに指摘をしておきたいと思うのです。

 九八年十月に、我が党は本法案に反対をいたしました。その主な理由は、金融機関の貸し手責任を問う立場からであります。

 私は、九八年十月二日の衆議院金融安定化に関する特別委員会で、我が党提出の金融機能の正常化に関する特別措置法案の提案理由の趣旨説明において次のようなことを言いました。これはサービサー法にも関係する部分であります。金融機関の不良債権処理、破綻処理問題の解決に当たって最も重要なことは、金融機関を自己責任・自己負担の原則にしっかりと立たせることだ。乱脈経営の結果、経営危機を引き起こして国民の預金を危うくしたり、貸し渋りや資金回収で企業の動脈を断ち切るなどのあの当時の、三年前の銀行業界の姿というものは、公的金融機関として、銀行業界の本来の公共的役割を投げ捨てたものだ。その無責任な体質を大もとから正すことが大事だ。こういう立場から問題を投げかけたわけであります。

 そこで提案者にお聞きしますが、金融業界、とりわけ銀行、これの根本的な、社会的な責任は、資本主義ですから、貸し手としての責任を全うすることではないか。

 今十年越しの大変な不況のもとで、日本の企業は苦労しております。特に、中小零細企業は六割が赤字だと言われております。なかなか金利が返せない、元本の繰り延べも金融機関にお願いしている状況であります。銀行に返せないから、公的資金を借りて、何とか銀行からの返済の督促を待ってもらっている、それが現状ですよ。

 そういうときに、そういう金融機関の中小零細企業に対する貸出金は、いろいろな分類がありますが、大体要注意先になります。破綻懸念先になりますよ。金利減免なんかやっていれば破綻懸念ですよ。そういう銀行の中小企業に対する貸出金を、安易にサービサーに対して資金回収のために債権譲渡する、取り立てのために委託をするということは、一番大事な、金融機関としての企業の動脈、これを断ち切ることになってしまう。

 ですから、安易なサービサーへの資金回収のための債権譲渡、取り立て委任は、銀行の公的責任、貸し手としての一番大事な、金融機関としての責任を放棄することにつながりやしないか、こう私は一番懸念しているわけですが、提出者の御見解を聞かせてください。

山本(幸)議員 先生御指摘の、銀行が貸し手責任をしっかりとらなければいけないというのは、私は全く同感であります。これまで何となく、借り手が責任一〇〇%で、貸し手の責任はゼロというような風潮が一部にありましたけれども、それはおかしい。やはり今日の状況を招いたのは、銀行が、本当は買わなくてもいいような土地を、買いなさいよ、融資するからねというような話で来たり、むしろ融資を勧めて、そしてその結果、地価が暴落したりして、中小企業が、中小企業だけではありません、大企業もそうですが、非常な困難に陥っている。そういう状況になったときに、今度はみんな返せと、回収を急ぐような行動をとっているというのは、銀行は非常に問題がある、むしろ貸し手責任を自覚すべきだ。

 私の、貸し手責任を自覚すべきだというのは、端的に言えば、責任は半分半分で、債権者と債務者、銀行と債務者がお互いに話し合って、アメリカでまさにプロジェクトファイナンスのときにやられているように、担保物件を処分すればそれで終わり、あとは債権放棄だというくらいのことを本来やるべきだというのは、私は個人的な信念として考えております。ただ、担保の価額とかあるでしょうから、そこは企業との話し合いにおいて、では再建した場合にどこまで返せるかなというところの話は当然つけて、お互いに歩み寄るのが一番いいなというように思っているわけであります。

 したがって、債権放棄というのは、貸し手責任をとるという意味では非常に意味のあることだというように私は思っているのですが、しかし、銀行がそれを認めて企業が再建できるというような状況に必ずしも来ておりません。むしろ銀行はなかなかあきらめない。そして借り手の方も結局、では利息が払えるところだけ払っておいて、あとはずっと先延ばししていこうかというような状況が続いてきたのだろうと思います。

 そういう意味では、銀行がさっとそういう処理をしてくれればいいのですが、なかなかいきませんので、いかない結果、結局銀行のバランスシートにも不良債権として残る、あるいは企業の方にも過大な債務として残るという状況が続いて、これをそのままほっておけば、新しい信用創造は起こらないし、企業の方も新しい投資行動が起こらないということで、じり貧になるという悪循環が続くわけであります。

 そこで最近は、やはりバランスシートから落とさなければいかぬではないかという話になりまして、これは銀行のバランスシートから落とせばいいだけが不良債権処理だとは思わないのですね。同時に債務者のバランスシートからも落とさなければ、実体経済を救うという意味からいえば、むしろ債務者のバランスシートからどうして落とすかということを考える必要があるので、私は、その点は木島先生と同じような問題意識を持っていると自覚しております。

 そのときにサービサーが、銀行がそれを処理するときに受け皿になるようにできるだけしておくということは、私はサービサーが鬼の取り立てみたいになるとは思っておりませんで、むしろ逆で、民間サービサーが、ビジネスの観点から銀行から譲り受けて、早く債務者との間の話し合いをやって、必要な債権放棄なり処分をするということを促進できるというように思っているわけであります。

 したがいまして、最終処理の形には、サービサーへの売却とか、あるいは再建計画に基づく債権放棄とか法的整理とか、いろいろあるわけですけれども、それは、債務者の状態を見ながら適切に、それぞれ必要に応じてやっていくということでありますので、サービサーに扱わせるから、売却するから、これはもうおかしい、金融機関として責任を放棄するとも考えませんし、あるいは債務者にとって苦しいことになるとも言えないと思います。むしろそうではない方にサービサーは貢献してくれるものだというように期待して、ぜひ御理解賜りたいと思っています。

木島委員 貸し手責任がある、貸し手の銀行と借り手の企業とが半分半分だ、銀行と債務者がよく話し合って担保処分なんかを合理的にやったらいいと。

 それなら、サービサーなんかに取り立てのために債権譲渡しないで、銀行が、回収というのは本来の業務なんですから、みずから債務者と顔を合わせてよく話し合う、そして本当にこの債務者が立ち直れるのかどうか、どういう経営をやれば立ち直れるのか、よく経営指導もする。そういう中で、債権回収がどうできるのか、どうすべきなのか、担保をどう評価するのか、それを話し合うところにこそ、いわゆる銀行の貸し手としての責任がある。銀行経営のノウハウを持っていますから。

 サービサーに譲渡しちゃったら、期待をしていると今山本提案者は言っていましたが、サービサーというのは債権回収のための会社ですから、貸し出すための会社じゃないですから、取り立てだけですから、期待はできないわけですよ。

 私が国会図書館から勉強させていただいたところによりますと、こういう数字です。現在、銀行の自己査定、金融再生法に基づく資産査定の状況、そして銀行法のリスク管理債権、三つ、ちょっとずらっと述べます。現状、こういう数字ですよ。

 日本の銀行の自己査定、二〇〇〇年九月現在では、要注意先が八十七兆円、破綻懸念先が十五兆円、実質破綻先と破綻先債権が八兆六千億円であります。

 次に、金融再生法に基づく金融庁の資産査定の報告によりますと、若干概念が違うのですが、要管理債権、これは、自己査定の要注意先のうち、返済が三カ月間おくれている企業、貸し出し条件緩和をしている企業への貸出債権を金融庁は定義づけておりますが、これが九兆円。危険債権、これは銀行の自己査定の破綻懸念先債権とほぼ同意義でありまして、この危険債権が十五兆三千億円。そして、破産更生債権、これは銀行の自己査定で言う実質破綻先、破綻先とほぼ同一概念で、これが八兆六千億円。そういう状況です。

 もう一つの観点、銀行法によるリスク管理債権によりますと、三カ月以上の延滞債権、貸し出し条件緩和債権が九兆六千億円です。延滞債権、これはまあ銀行の自己査定で言う実質破綻先とほぼ同意義になるのでしょう、これは十八兆円です。それから破綻先債権が四兆円。そういう状況です。

 そうしますと、今、いろいろな定義の仕方がありますが、要注意先債権あるいは破綻懸念先債権あるいは延滞債権、これらは、企業は生きているのです、現に命がけで企業経営をやっている中小企業の皆さんです、大企業もあるでしょう、この不況の中で必死になって頑張っている企業、特に中小零細企業に対する貸出債権なんです。生きている債権ですよ。金融機関の役割というのは、このような企業をつぶすんじゃなくて、本当に生かすことにあるんじゃないか。

 今日の不良債権というのは、もう決してバブル時代の乱脈経営の結果じゃありません。それはほとんど終わっています、処理は。その後の十年間の、私に言わせれば、自民党中心の失政によって、消費税を値上げしたり、いろいろ国民負担増の政治をやった、国民の所得が目減りした、消費が伸びない、消費不況ですから、それに基づく不況の波をかぶっている。また、外国からの湯水のような工業製品、農産物の輸入の増大によって日本の企業が苦しんでいる。そういうところですから、このような破綻懸念先や要注意先や延滞債権は、つぶすんじゃなくて、安易にサービサーに送り込んで回収するんじゃなくて、サービサーにこのような債権が送り込まれたら破産するということですよ、倒産させられるということですから、そういうことじゃなくて、安易にサービサーに譲渡し回収に入るんじゃなくて、金融機関の社会的責任を全うすべきじゃないか。逆に言いますと、サービサーに安易に譲渡してしまうことは、金融機関の社会的責任の放棄じゃないか。

 今回、こうした権限をさらに拡大する、青天井のようにしてしまうという法案ですが、果たして本改正法また元法に金融機関の社会的責任をきっちり全うさせる歯どめというのはかかっているのですか。

山本(幸)議員 サービサー法は、先ほどのお話からのちょっと経緯がありますが、おっしゃるように、金融機関が貸し手責任を感じて、そして債務者との間でうまく話し合いがつけば、これが一番いいにこしたことはありません。しかし、現実はなかなかそういうふうにいかない。それは、もともとの債権金額が大きいですから、金融機関としての責任もあるわけであります。

 これをではどう処理するかということをずっとやっていきますと、長期間かけていろいろな交渉をしながらずるずると引きずっていくということにならざるを得ない。しかし、そうすると銀行経営に影響を及ぼすということでありまして、そのときに、サービサーという間に立つ事業者がいれば、金融機関から見れば当初の元本よりは低い値段で当然サービサーに売るわけですから、サービサーから見ればなるべく安く買った方がいいという市場原理が働いて、サービサーに移るわけですね。すると、サービサーから見れば、もともとの元本の金額ということで考える必要はないわけでありまして、銀行から譲り受けたときの実際の金額で、後は回収ということで、債務者との間で話し合いを進めて、それよりも上回る形で回収できればいいわけですから、私は、サービサーがむしろあった方が、銀行にそのまま置いておくよりも、そういう処理は進むというふうに思っております。

 したがって、サービサーというのは、銀行、金融機関だけを救うということだけでやっているわけではありませんから、特別に法文上そういうことを明確に書いておりませんけれども、サービサーの行為規制とかあるいはいろいろな罰則等でその監督をしっかりやるということを、また、きちっと法務省において不測の事態が起こらないように警察庁と相談しながらやるということにおいて、むしろ懸念されるようなサービサーの取り立てというようなことは防げる。

 そして、サービサーがより重要な機能を果たしていけば、それは銀行にとっても、これはむしろ自分たちが直接やって長引くよりはいいではないかという話になってくるわけで、当然、そういう銀行の責任もむしろ果たされるようになるというように考えています。

木島委員 それは根本的に違うのですよ。サービサーがどういう回収をやるか、丁寧にやるか、債務者の意向を聞いてやるか、そんな問題じゃないのですよ。

 銀行がサービサーに債権を譲渡するということは、銀行と債務者の関係、融資関係、企業を生かすという関係、これを断ち切るということなんですよ。ですから、それをやっちゃいかぬと私は言っているのですよ。

 ニッセイ基礎研究所は、今日、小泉内閣がやろうとしている不良債権の二、三年での償却、直接償却をやったらどうなるか、研究結果を発表しています。約二十二兆円の不良債権を直接償却すると、恐らく、日本で七万五千の中小企業が倒産するであろう、そして、百三十万人の失業者があふれ出るであろう、六兆八千億円の所得の減少になるであろうと試算をしております。

 ドイツ証券の試算でも、直接償却、これでやったら約百一万人の失業者があふれ出るであろう。破綻先、破綻懸念先企業の雇用者が一〇〇%失業したと換算しますと、要するに直接償却というのは切り落とすことですから、そういう数字が試算されております。

 第一生命経済研究所の試算でも、破綻先、破綻懸念先債権約二十四兆円が直接償却されたら、簡単に言えばサービサーに回っていったらということですよ、百十一万人の完全失業者が生まれ出るであろうと試算をしているのです。

 やはり、こんな政治をやったらデフレを一層進行させることになりはしないか、サービサーの権限拡大、サービサーが一生懸命やればやるほど、銀行から不良債権を譲り受ける枠が大きければ大きいほど、そういう状況を生み出すことになりはしないかということを、厳しく私は指摘しておきたい。

 最後に、時間がもう迫っておりますから、一点だけ。

 今回の法改正によって、利息制限法違反の債権まで取り立て行為の対象にいたしました。なぜこれを対象にするのでしょうか。これは、利息制限法違反の貸し出しを助長することになりはしませんか。貸し手のモラルハザードにつながりませんでしょうか。その危険を指摘して、もう時間ですから答弁はいいです。

 こういう問題を持っているのがサービサー法であり、サービサー法の今度の改正による拡大なんですよ。そして、それを装置として使うことによって、小泉内閣がやろうとしている不良債権の直接償却という意味なんですよ。ですから、私は、法務大臣としては、こんな法案は議員立法されようとも法務省としては認めないという立場に立ってほしかった、立つべきだと思うのですが、法務大臣の所見だけ最後に求めて、質問を終わります。

森山国務大臣 金融機能の再生強化のためにサービサーの取扱債権を拡大するということは、ことしの四月に政府・与党で取りまとめました緊急経済対策にも盛り込まれていることでございまして、この改正法案は、その趣旨に沿うものであるというふうに考えます。

木島委員 大変そっけない、大変問題ある発言にこれからなるであろうと私は思うことを警告いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

保利委員長 次に、植田至紀君。

植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。

 淡々とお伺いしたいわけですけれども、まず、今回の改正に当たって、いわゆる債権の回収にかかわって、与党の方では、ネガティブリスト方式とポジティブ方式、両案を日弁連さんの方に提示して意見を聴取したやに伺っております。恐らく、ネガティブリスト方式ということでいけば、手間をかけずに対象を判断できるようにという、言ってみれば取り立ての効率化を目指しているのだろうなと推察もしておったのですけれども、最終的にはポジティブ方式でいくということになったわけですけれども、まずその理由からお伺いできますでしょうか。

山本(幸)議員 委員御指摘のとおり、本改正案の立案作業におきましては、私ども、当初はネガティブリスト方式でいった方がいいのじゃないかなという考えもありまして、そういう議論を始めました。それは、サービサーというものが根づいてきて、むしろこれから金融機能の健全化、再生に寄与し得る、そして、ほうっておいていろいろな問題が起こるよりは、法務省の監督下にむしろ上げて、そういう業務を見ていた方がおかしなことにならないで済むということが、この二年ちょっとの経験から問題もないということで感じられてきましたので、取扱債権を最大限拡大するにはその方式がいいのじゃないかという考えを持ってきたわけであります。

 ただ、そういう意味では、業界の方もぜひそうしてもらいたいという意見が強かったわけでありますが、日弁連を中心に、ネガティブリスト方式だと、では何をネガティブにするのかということで、非常に難しい、あるいは、ネガティブ方式にするというのは、原則このサービサーが扱うものはあらゆる債権に及ぶということでありますので、弁護士法の特例というよりは、サービサー業法という形になるではないか、そこまで現段階で行くのは問題だ、時期尚早ではないか。

 そういう議論がありまして、私どもも両者の意見を聞きながらいろいろ検討したわけでありますが、現下の経済情勢から見ればできるだけ迅速に、そしてそれぞれの立場の方々が納得できるような形で成立させた方がいいというように判断いたしまして、日弁連さんの意見を入れて、ネガティブはやめてポジティブにしよう、しかしできるだけ業務上幅広く取り扱えるようにということで、今日の案になった次第でございます。

植田委員 今の御説明をお伺いいたしておりますと、いわばサービサー法というのが、許可制度を実施することで、弁護士法七十二条の一定領域を限定的に解除するという意味での特別措置法だということですから、その意味ではポジティブ方式が基本原則になるだろうと思われますが、ただ、今ネガティブにしたかったとおっしゃっておりましたけれども、そうなってしまうと、特別措置による債権回収業者ではなく、一般の債権回収業者も広く網がかかることになりますから、一般の業法の性格を有する。そういう意味で、サービサー法の弁護士法の特例としての性格を根本から変えてしまうことになるでしょう。それはやはり現状においては時期尚早だ。そういう日弁連さんを含めた御意見を踏まえて、今回こういうふうにネガティブの方は断念してポジティブを採用した、そういうことでございますね。

 そこで、ではネガティブリストでいったらちょっといろいろと困難性が伴うなという点についてお伺いしたいわけですけれども、実際、時代の進展によって拡大する債権の種類を特定していくということは、どんどんしんどく、難しくなってくるだろうと思うわけですが、それら債権について、個別的にサービサーへの回収委託が相当であるかを判断するというのはやはり容易ではないというふうに思うわけですけれども、そういう意味で抽象的なネガティブリストでは、リストの作成の意味というものが減殺されるのじゃないか。そういう意味で、そうした作成の困難性というものはどのように認識されているのか、そういうことを認識されたのかどうなのかという点はいかがでございましょうか。

山本(幸)議員 そこは、ネガティブとして何を持ってくるかという判断の問題になるわけですね。

 もう本当に限定的なものだけをネガティブにすればいいじゃないかという判断からいえば、明らかに問題になる債権についてだけ外すということだけ書けばいいという立場もありますし、定型的に、既に係争になっているとか、そういう問題の債権だけ外すとかいうことだけ書けばいいのですが、それだけじゃだめだ、やはりそういうおそれの蓋然性が強いものはネガティブにしなければいけないのじゃないかという立場をとれば、それが広がるということでありまして、まだ、関係者の共通認識といいますか、合意をどのネガティブのレベルでしたらいいかという判断がなかなか難しかったということであります。

 私なんかは、できるだけネガティブは少なくして、定型的に問題のあるものだけ外せばいいじゃないかと個人的には考えておりますけれども、そこまではちょっとひどいじゃないかという意見もありましたので、そういう意味で譲らざるを得なかったという感じでありますが、おっしゃるようにその価値判断がありますので、そこはもう少し実績を踏んで、共通の理解が生じてくるのを待つしかないかなということだと思います。

植田委員 ほんまはネガティブにしたいんやけども、いろいろ意見があったのでポジティブにしたという正直なお話ですが、実際ネガティブリスト方式にした場合、債権回収、貸し金回収の権限というのが、いわゆる弁護士の取締役以外のサービサーの社員に託されることになるじゃないかというような問題とか、今回はポジティブ方式になっていますけれども、ネガティブになった場合そういうこともありますし、また現状のサービサーの運用においても、民事暴力の排除というのは必ずしも徹底、これは後で警察さんの方にもお伺いしますけれども、反社会的なそういう暴力団等の勢力の介入を招くおそれというのも私は危惧するわけですけれども、その辺については、どんな議論ないしどういう御認識をお持ちなのでしょうか。

山本(幸)議員 暴力団を排除するというのは、ポジティブであろうがネガティブであろうが、決して許してはならないという立場で一緒でありまして、どちらの方式だから難しいということはないと思います。どちらにしても、これは徹底しなければいかぬ。

 そこは、当初の原案の立案の過程から、少し内輪の話になりますが、法務省と警察庁の間で、過去の経緯から見れば、警察の権限というのをそこまで入れるのかという議論はあったのですが、私どもは、この業法については警察庁の関与をできるだけやはり強くして、決して問題が起こらないようにしなければいかぬということでやったわけでありますので、その点は特に問題にならなかったと私は理解しております。ただ、ネガティブにするリストづくりが、価値判断が絡むために極めて難しかった。

 それから、先ほど申し上げましたけれども、やはり業法的なものになるというところがまだ時期尚早だというふうに判断したということであります。

植田委員 よくわかりました。

 引き続いて、事実関係等々ちょっとお伺いしたい点がございますが、今の現行法の運用の中で、具体的にどんなトラブルがあったかということについてでございます。例えばリストアップに際して瑕疵が生じた例であるとか、役員であるところの弁護士と会社が実際に対立するような、そういう事例が現状では生じているのかいないのか。そうした問題はないのかということについてお伺いできますでしょうか。

房村政府参考人 ただいま御指摘の、取締役として入った弁護士の方と会社とが、会社の業務に関して対立をしたりというようなことは、私どもとしては承知しておりません。

 私どものところに来ますのは、請求を受けた人から電話等で苦情が入ってくるということが多いわけでありますが、その大半は、要するに、今までの債権者と違う人から請求された、一体どうなっているのだ、こういうようなものが中心でございます。先ほどもお答えしたのですが、行為規制に違反するおそれがあるものについては必ず調査をしておりますし、その結果は、幸いそのようなことは今まで生じておりません。

植田委員 役員である弁護士が適切な職務を果たしていなかった、そういうケースはあったのでしょうか、なかったのでしょうか。

房村政府参考人 取締役に就任する弁護士の方の適格性につきましては、法務省として許可をするに当たりまして、日本弁護士連合会の意見も聞いた上で、この許可をしております。そういう期待にこたえて、現在まで、取締役に就任された弁護士の方は、的確にその職務を遂行して、業務の適切な運営に貢献していただいているものと認識しております。

植田委員 いずれにしても、弁護士法七十二条の一定領域を限定的に解除しているわけですから、弁護士の関与の意味を薄れさせてはならない。そういう意味で、一層そういう運用をする必要があると思うわけです。

 事前にいただいた資料の中で、サービサー会社が現在四十一社あるというふうに伺っております。これも事実関係だけですけれども、まず、本法によりますと、常務に係る取締役を一名以上会社に入れなければならないとあるわけですが、その実態。それと、四十一社あるサービサー会社の中で、社長ないし代表取締役、社長さんが弁護士である会社というのはどれくらいあるのだろうかということをお伺いしたいと思うのです。

 といいますのは、中坊公平さんが本法制定のヒアリングの中で、社長自身が弁護士である必要性について述べられたということを伺っております。その御意見についてもどういう御認識かということも含めてお話しいただけますでしょうか。

房村政府参考人 実情でございますので法務省の方からお答えいたします。

 まず、会社の数でございますが、現段階では四十八社になっております。昨年末で四十一社でございましたが、その後、ふえております。

 それでまず、弁護士の関係でございますが、代表取締役が弁護士であるサービサー、これは一社ございます。ただ、これはちょっと特殊でございまして、株式会社整理回収機構、いわゆるRCCですね、これがサービサーでございますので、そこが代表取締役が弁護士をしている、こういうことでございます。それ以外の会社は、もちろん必ず取締役に弁護士が入っております。複数の弁護士が取締役に就任している会社も、先ほどのRCCは非常に多くて六名も入っておりますが、それ以外にも二社が取締役弁護士が二名おります。

 取締役に弁護士が必ずついてほしいということをサービサー法が要求しておりますのは、会社の内部から債権回収等についての適正な運営を担保する、こういう趣旨でございます。したがいまして、もちろん代表取締役が弁護士であるということもその方法であると思いますが、要するに、適切な監督がなされる体制が整えられておれば、それは代表取締役でなくても構わないのではないかというぐあいに考えております。

山本(幸)議員 これは、個人的な意見になるのかもしれませんけれども、中坊さんがそういう話をされたことはあったと思いますが、その結果、今代表取締役社長さんに弁護士がなっているのは整理回収機構だけなのですね。そのほかは、そうでありませんで、通常の取締役と。

 いろいろなそういう再建等をやろうとしてる企業の話を聞きますと、そういう中で一番厳しいのは整理回収機構なんですね。RCCなんです。融通がきかないのです。私は、弁護士さんが社長さんになって、融通もきかないで、債権放棄にも応じないというようなことがごりごりやられるよりは、やはり経済の実態というものをわかっている人が経営に当たって、そして、こういう債権者との間では、法律上の問題というよりは、その前に、企業を生かすためにはどれだけのところで手を打った方がいいとか、そういう判断がむしろフレキシブルにできるのは、そういう経済の実態がわかった人が経営に当たっている方が進むのではないかなと、個人的には思っております。

植田委員 経済のわかった弁護士の方に社長になっていただければいいのでありまして、ちょっと何かやぶをつついて蛇を出したような質問をしてしまったような気がいたします。

 それで、また幾つか事実関係ですけれども、特に暴力団員等の参入にかかわってなんです。実際、この法律でも、そうした実態を否定できないということで、そうした排除も一つの大きな眼目としてとらえていると理解します。といっても、この法律が制定されて以降もそうした暴力団員等の介入の事例等があったやに聞いておりますけれども、その辺の実態については、具体的に調査なり、また掌握されておられるのでしょうか。

房村政府参考人 このサービサー法では、暴力団排除を徹底しようということから、許可に当たっては、警察庁の協力を得まして、その意見を聞いた上で法務大臣が許可をするということにしております。

 幸い、今までのところ、暴力団が関与をするような形での許可申請がなされた事例はございません。暴力団員がサービサー設立に藉口しておどすとか、そういうことがあったのは一件ございますが、これも、もちろんのことながら、許可申請等までは行っておりません。私どもも、その点は非常に気を使っておりまして、立入検査等の際にも、そのような暴力団員の関与がうかがわれないかということに力点を置いておりますし、また、現実に暴力団員等が関与した場合には、必ずや取り立て行為にあらわれるわけでありますので、苦情の聴取の場合にも、そういう点には意を用いております。

 そういう意味で、現在においては、暴力団排除というのは貫徹しているというぐあいに言って差し支えないと思います。

植田委員 一件とおっしゃいましたけれども、恐らくこの事例なんでしょうか。

 もう答弁はいいですから、うなずくだけで結構なんですが、たまさか、いろいろと検索していましたら、昨年の五月二十九日の毎日新聞で、右翼団体の構成員等が、世田谷の休眠会社を買い取って債権回収会社に名義を変更して、法務省の債権回収監督室でサービサーの許可申請手続の指導を受けていた、そして、その後、このお二人が暴力行為で逮捕されて、サービサーの許可申請手続が中断している、こういう記事を見たわけですけれども、この二人は、調べに対して、裏で会社を仕切るつもりやったと供述しているようなんですけれども、この事例なんでしょうかね、その一件というのは。

房村政府参考人 そういうことだと思っておりますが、許可手続が中断と申しますが、先ほども申し上げましたように、許可申請には至っておりません。

植田委員 いずれにしても、こうしたウの目タカの目でねらってはる人がいることは事実ですから、その辺は細心の注意は払っておられるとは思うわけですけれども、警察庁の方もお願いしておるわけですけれども、実際、幸い、いろいろな暴力団員等の事例の中で、サービサーが事前に警察庁に相談した結果、それを阻止できた、そうしたこともあるというふうに聞いております。

 そういう意味で、サービサーが警察庁にそうした要請をしたときの対応方がどうなっているのか。また、個々の警察ごとにばらつきがあってはあきませんから、統一的な指導ができるマニュアルなりガイドラインというものが作成されているのかどうなのか。また、サービサーに対する警察からの暴力団関係者に対する情報の提供についてどうなっているのか。また、日常のサービサーと警察との協力、連絡等の体制がどうなっているのか。その点、細々しますけれども、ちょっとお願いできますでしょうか。

岡田政府参考人 サービサー業界からの暴力団の排除というのは大変重要な眼目だと思います。

 一般論として、債権回収の世界には暴力団がいろいろな形で介入するということは事実でございますので、そういうことを踏まえて、この法律において、警察庁長官による援助の規定を置いているところでございます。

 警察庁では、十一年の二月の法律の施行以降、この規定に基づきまして、現在まで三十六件ほど援助を実施いたしております。

 私どもの方では、援助の円滑な実施のために、庁内に援助の申し出を受ける担当者を指定しております。それから、この規定の趣旨を徹底するために、各都道府県警察に対して通達を出して、担当者の研修なども行っております。また、現場の警視庁の方では、債権回収会社の幹部を招集しての協議会を開催して、活動実態に関する情報交換なども行っております。

 警察といたしましては、今後とも引き続き関係機関、団体と緊密に連携をいたしまして、債権管理回収業からの暴力団の排除を徹底してまいりたいと思っております。

植田委員 実際に、例えば競売の手続等々でも、偽計、威力の行為までは及んではええへんけれども、いろいろな形で問題が出てくる。そのことについて全国的に果敢な取り締まりが行われてきたかどうかという点についてはやや疑問を持つところもあるわけですけれども、実際に、サービサーの幾つかからも、サービサーでない者による組織的債権回収が公然と行われているのでその取り締まりを徹底してほしい、そういう要望も来ていると聞いております。

 そういう意味では、特にサービサーでない者が紛争性のあるような債権回収を業とする実態が一方であるとするならば、言ってみればこの法律が構築している仕組みそのものが崩壊することになると思うわけですけれども、その意味で、そうした弁護士法、サービサー法の違反に係る摘発等々も今まで以上に積極的にやっていかぬことにはあかんやろと思うわけですが、その点は御見解をお伺いいたします。

房村政府参考人 委員御指摘のとおりでありまして、やはり適正なサービサーの行為を私どもが監督すると同時に、弁護士法に違反するような行為についても、これは厳正に取り締まっていく必要があるというぐあいに考えております。

植田委員 話を変えますけれども、先ほども議論のありました特定の金銭債権の範囲にかかわってでございます。

 これは提案者にお伺いするわけですが、先ほどの議論でもありましたけれども、少なくとも当時もこの件については議論があったと。当時の提案者の杉浦議員の方も、質問に対して、議事録を引っ張ってみますと、対象債権の範囲については立法の過程で非常に問題になった大きな部分と吐露されておられますし、金融機関の債権に絞るべきだという考えは議論の中でもあったというふうにおっしゃっておられるわけです。

 その結果、共同修正として提案された現行法というのは範囲を限定したというわけですけれども、今回それが全部拡大しているという点は、まず、いかなる理由で、いかなる議論があってそういうふうにされたのか。また、この件にかかわって、当然、サービサー協会であるとか日弁連の御意見も、ヒアリングも伺っておられるようですから、どんな意見が出されていたのか。その点について御答弁をお願いいたします。

上田(勇)議員 お答えいたします。

 今委員のお話にありましたように、今の現行法が議員立法として成立する過程におきまして、今御紹介いただいたような経緯で対象となる債権が絞り込まれたわけであります。一つには、そのとき金融機関の不良債権の処理というのが喫緊の課題であったということと、初めての業態であるのでいろいろと懸念される、心配される向きも多かった。

 そういう意味で、対象とする債権を限定的に絞った修正案で成立をさせたわけでありますが、法施行後もう二年数カ月が経過しておりまして、その間、サービサー四十八社がそれぞれ法律の趣旨にのっとった適正な業務を行っているということ、特に違法行為等がその中で起こっていないということ、また、取扱債権の範囲についても、今の経済社会情勢の中からもっと拡大するという要請があることなどから今回この対象を拡大したわけでありまして、前回は含まれておりませんでしたノンバンクの有する貸付債権全般も含めておりますし、二つ目としては、いわゆる資産流動化法上の特定資産であります金銭債権も含めておりますし、さらに、倒産手続中の債務者が有する金銭債権等を今回特定金融債権として新たに含めて追加しているわけでございます。

 以上です。

植田委員 今御答弁でもありましたように、そもそもの立法の趣旨というのは、喫緊の課題になっている金融不良債権の処理ということですね。それと、債務者保護、暴力団排除の観点に照らしたときに、やはり必要な範囲というものを私は原則にすべきじゃないかと思うから聞いておるんですけれども、実際、そういう観点からすれば、金融不良債権処理の障害となっているノンバンクの貸付債権については私は妥当だろうと思います。ただ、ノンバンクの一般の貸付債権まで拡大するということは私としては首肯しかねるわけです。

 というのは、一般消費者に対して小口の貸し付けを行っておる業者の債権というのは、不良債権の処理とはこれは基本的にかかわりないん違うかと。そうなってくると、本来の立法の趣旨とも関係がないじゃないかと私は思うわけですね。

 そういう意味で、今回の改正案で、事業を行う者に限るという事項を撤廃したということについては私は納得できないわけですけれども、なぜこれを取っ払ったのかということについての御説明だけお伺いします。

山本(幸)議員 今日の経済金融社会におきまして、ノンバンクの重要性が高まっているわけですが、不良債権処理も喫緊の課題になっておるわけです。このときに、ノンバンクの不良債権処理をやるときに、事業者向け、個人向けで貸付債権として変わりがあるわけではないわけでありまして、個人向けも当然不良債権になっている分もあるわけです。そういうものを処理していかないといけない。そしてまた、それが金融機関にもつながっているということが現実としてあります。

 それから、実態的に、そういう処理をするときに、通常は銀行そしてノンバンクを一緒にバルクセールでやるのですね。そのときに、これは事業者向け、これは個人向けで、個人向けだからだめだというようにするわけにはいかないという経済的な実態があるものですから、これはそういう二つの理由で、区別をする必要はもともとないのじゃないかというように判断した次第であります。

植田委員 あと、時間がありませんから、言い置くだけ言って終えたいと思うのです。

 これも先ほどありましたけれども、もう一つ今回の改正案の大きな問題は、利息制限法違反の貸付債権の履行の要求を禁止した行為規制を撤廃する、そして範囲を引き直すということにしたわけですけれども、これについては、少なくとも多重債務問題の解決を困難にしますし、消費者である一般国民の利益にも反しますし、そしてひょっとしたらこうした問題が大きな社会問題になるだろうということも私は非常に危惧しております。

 ここは後で反対討論でさらっと言うわけですけれども、それだけ申し上げまして、時間がありませんので、以上で終わります。

保利委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

保利委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。木島日出夫君。

木島委員 私は、日本共産党を代表して、債権管理回収業に関する特別措置法、いわゆるサービサー法改正案に対し、反対討論を行います。

 本法は、一九九八年のいわゆる金融国会で、金融再生トータルプラン関連六法案の一つとして自民党が議員立法で提出したものでありますが、我が党は、金融機関が不良債権の回収、処理をみずから行わずサービサーに委託、譲渡することを認めれば、安易な債権回収につながり、その結果、金融機関のいわゆる貸し手責任を免罪することになり、まじめな借り手を苦境に追い込む危険があるとして反対をいたしました。

 本改正法案は、回収のためサービサーに譲渡できる対象債権を全面的に拡大するだけではなく、利息制限法違反の債権まで取り立て行為の対象とするものであり、利息制限法違反の貸し出しを事実上容認することになります。

 政府は、本年四月六日に出した緊急経済対策で、金融機関が抱える不良債権の最終処理、すなわち直接償却を促進するために、破綻懸念のある債務者などを切り捨てていく方針を提起してきました。不良債権の早期最終処理によって多数の中小企業が倒産の危険にさらされ、百万人を超える失業者を生み出す懸念が各方面から指摘されています。小泉総理は、倒産する企業が出てくるかもしれないなどと人ごとのように言いますが、とんでもないことです。

 本改正案は、まさにその破綻懸念先債権を含むいわゆる不良債権を取り立てのためにサービサーに譲渡することを促進するもので、銀行の貸し手責任を免罪し、中小企業などと当該金融機関との取引関係を断ち切っていくものであります。それは、長引く不況の中で経営と雇用を守るために必死の頑張りをしている我が国の多くの中小零細企業に死刑の宣告をすることにほかなりません。

 我が党は、このような法案を断じて認めるわけにはまいりません。

 以上で、私の反対討論を終わります。(拍手)

保利委員長 次に、植田至紀君。

植田委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、債権管理回収業に関する特別措置法の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。

 現行法については、これまで弁護士にしかできなかった業務を許可制度をとることにより民間業者に解禁し、そのノウハウを最大限利用することで、いわゆる不良債権の実質的処理を促進するという立法目的に沿い、サービサー各社も現在活発な業務を展開していると認識するものであります。

 しかし、改正案には重大な問題があると言わざるを得ません。

 第一に、特定金銭債権の大幅な拡大です。

 そもそも、取扱債権の拡大については、本法制定時の国会審議においても議論が集中したところであり、審議において、立法の趣旨と債務者保護、暴力団等排除等の観点から危惧や懸念が寄せられていたところです。そのため、与野党共同修正案として提案された現行法では、サービサーが買い受けたり委託を受けて競売にかけたりできる債権の種類を限定したものであります。

 第二に、事業を行う者に限るとした現行法の規定を撤廃する改正案は、立法の趣旨ともたがうものであり、ノンバンクの一般貸付債権にまで拡大することは、一般消費者の保護の観点からすれば重大な問題であります。

 第三に、高利の利息を利息制限法の範囲に引き直した上で利息、元本の請求を可能とする改正案は、元本の再計算の困難性を考慮したとき、多重債務者の解決を困難にし、消費者である一般国民の利益に反し、大きな社会問題を生む危惧があります。

 さらに、今回の改正によって、情報公開が不十分な会社や弁護士法第七十三条を潜脱する会社が出現する危険性についても指摘せざるを得ません。

 以上の理由により、私ども社民党ではこの改正案には反対するものであります。

保利委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

保利委員長 これより採決に入ります。

 山本幸三君外三名提出、債権管理回収業に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

保利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、田村憲久君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び自由党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。佐々木秀典君。

佐々木(秀)委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    債権管理回収業に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、この法律の施行に当たり、次の事項につき格段の配慮をすべきである。

 一 サービサー制度が国民経済の健全な発展に資することを目的とするものであることにかんがみ、回収業務に従事する者に対する研修の実施など、制度の趣旨・内容について、関係者等に周知徹底されるよう努めること。

 二 サービサーが取り扱う特定金銭債権が、貸金業の規制等に関する法律に規定する登録貸金業者が有するすべての債権に拡大されたことに伴い、債務者保護と業務の適正確保の観点から、サービサーに同法第十七条等に規定する債務者への書面の交付を遵守させるとともに、利息制限法に規定する適法利息に引き直す義務を確実に遵守させるよう努めること。

 三 暴力団関係者の参入を排除する方策を一層徹底するとともに、弁護士法第七十二条に違反する代理者又は媒介者等から金銭債権の譲渡又は回収の委託を受けることを禁止する趣旨が徹底されるよう努めること。

 四 回収に当たり債務者等の抗弁権の行使を阻害しないことなど、回収業務の適正な運用がなされ、かつ、本法第十七条及び第十八条に規定するサービサーの業務に関する規制が遵守されるよう、十分な指導監督を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

保利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 田村憲久君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

保利委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森山法務大臣。

森山国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと思います。

    ―――――――――――――

保利委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

保利委員長 次に、相沢英之君外六名提出、商法等の一部を改正する等の法律案及び商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 両案について、提出者より趣旨の説明を聴取いたします。金子一義君。

    ―――――――――――――

 商法等の一部を改正する等の法律案

 商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

金子(一)議員 ただいま議題となりました商法等の一部を改正する等の法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 この法律は、会社をめぐる最近の社会経済情勢にかんがみ、自己株式の取得及び保有制限の見直し並びに株式の単位に係る規制の見直し等を行うものであります。その要点は、次のとおりであります。

 まず、自己株式の取得及び保有制限の見直しにつきましては、第一に、自己株式の取得を原則として禁止し、例外的に特定の目的のための取得のみを認めている点を改め、一定の制限のもとに、取得目的にかかわらず、自己株式の取得を認めることといたしております。

 第二に、取得した自己株式を相当の時期に処分すべきこととしている点を改め、会社は、取得した自己株式を期間、数量等の制限なく保有することができることとしております。

 第三に、自己株式の処分等について、保有する自己株式を取締役会の決議により消却することができることとするとともに、取締役会の決議により売却処分をすることができることとし、この売却処分の場合には、新株を発行する場合と同様の手続を経るべきこととしております。

 第四に、自己株式の取得及び保有制限の見直しをすることに伴い、消却目的による自己株式の取得方法等につき商法の特例を定めた株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律を廃止することとしております。

 次に、株式の単位の見直しにつきましては、第一に、株式の大きさに係る制限等を撤廃し、会社が株式の大きさを自由に定めることができることとしております。

 第二に、額面株式の制度を廃止し、無額面株式に統一することとしております。

 第三に、株式の大きさを引き上げるための暫定的かつ過渡的な制度として導入された単位株制度を廃止することとするとともに、会社が定款によって一定の数の株式をもって一単元の株式とする旨を定めることができる単元株制度を創設することとし、この場合には、株主は、一単元の株式につき、一個の議決権を有することとしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。

 続きまして、商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 この法律は、商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴い、証券取引法等の関係法律について規定の整備を行おうとするものであります。

 証券取引法につきましては、自己株式の取得や処分の際に相場操縦やインサイダー取引が行われることを防止すること及び自己株式の取得に関するディスクロージャーを充実することを目的として、所要の措置を講ずることとしております。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。

 以上であります。

保利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十三分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.