衆議院

メインへスキップ



第6号 平成15年4月9日(水曜日)

会議録本文へ
平成十五年四月九日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 山本 有二君
   理事 佐藤 剛男君 理事 塩崎 恭久君
   理事 園田 博之君 理事 吉田 幸弘君
   理事 河村たかし君 理事 山花 郁夫君
   理事 漆原 良夫君 理事 樋高  剛君
      石田 真敏君    大島 理森君
      金子 恭之君    左藤  章君
      笹川  堯君    下村 博文君
      中野  清君    林  幹雄君
      平沢 勝栄君    保利 耕輔君
      星野 行男君    保岡 興治君
      吉野 正芳君    鎌田さゆり君
      中村 哲治君    日野 市朗君
      水島 広子君    山内  功君
      上田  勇君    木島日出夫君
      佐々木憲昭君    保坂 展人君
      山村  健君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   法務副大臣        増田 敏男君
   法務大臣政務官      中野  清君
   政府参考人
   (警察庁長官官房長)   吉村 博人君
   政府参考人
   (法務省大臣官房長)   大林  宏君
   政府参考人
   (法務省大臣官房付)   中井 憲治君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    横田 尤孝君
   政府参考人
   (法務省保護局長)    津田 賛平君
   政府参考人
   (法務省人権擁護局長)  吉戒 修一君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  増田 暢也君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局国
   際社会協力部長)     石川  薫君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月九日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     石田 真敏君
  保岡 興治君     林  幹雄君
  吉川 貴盛君     大島 理森君
  吉野 正芳君     金子 恭之君
  不破 哲三君     佐々木憲昭君
同日
 辞任         補欠選任
  石田 真敏君     小西  理君
  大島 理森君     吉川 貴盛君
  金子 恭之君     吉野 正芳君
  林  幹雄君     保岡 興治君
  佐々木憲昭君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案(内閣提出第一〇一号)
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
山本委員長 これより会議を開きます。
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長吉村博人君、法務省大臣官房長大林宏君、大臣官房付中井憲治君、刑事局長樋渡利秋君、矯正局長横田尤孝君、保護局長津田賛平君、人権擁護局長吉戒修一君、入国管理局長増田暢也君、外務省総合外交政策局国際社会協力部長石川薫君及び厚生労働省医政局長篠崎英夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。
佐藤(剛)委員 自民党の佐藤剛男でございます。
 「人権尊重の町づくり」というのが私のポスターに載っけているあれです。人権尊重派であります。その意味におきまして、当委員会において理事の方々の大きな貢献のもとで議論が非常に深められているということについて、理事の一人でもありますが、敬意を表したいと思いますし、この委員会があるいは日本国が、今イラクで戦争が起きていますけれども、本当に人権擁護をきちんと考えているのか。
 人権問題というのを日本は外交の一つの大きな柱にすべきだと私は提言しているんだけれども、外務省、きょうは局長来ていますね、なかなかぴりっとしたことがない。外務大臣は私の通産省の直轄部下でありますが、何で上司が大臣にならないで、部下がどうなっていく、いや、それは非常に優秀な方でございますから、非常に立派にやられておられる。
 しかし、この問題というのは、国際連合の中に、説明、質問、まずそこから外務省から聞きますが、国連の中においてきちんとした条約があるわけだ。その条約に基づいてそれを、私は資料配付をお願いいたします。そして、その条約に基づいてまたプロトコルというのがあって、そしてそういう中で、例えば北朝鮮なんというのは入っているんです。拉致というのは反人権尊重の、全くの逆なんですね。僕は青いあれをつけていませんけれども、個人として闘っているんです。
 そういうあれですから、きょうはちょっと外務省の方に風当たりが強いかもしれないけれども、私は外交官としまして、給料も外務省、六年間食べさせていただいた。ケニアにもいましたし、ウガンダにもいましたし、マラウイにもいましたし、ソマリアにもいましたし、ザンビアの大使館の一等書記官を若いときやっていた。大使を入れて六人のときやっていた。一ドル三百六十円のころやっていた。うちの子供はケニアで生まれまして、アフリカよ栄えろという願いを込めて、栄利香という名前をつけた。
 皆さんは行ったことがないかもしれないけれども、アフリカあたりだと、足をちょん切られたり、手をちょん切られたりしている人たちがたくさんいる。これは拷問だ、犯罪だのあれで、刑罰の形で、いざりになったり何しているのがいるんです。
 そういう人権をきちんとやろうじゃないか、それを国際的にやろうじゃないかということで国際連合というのはできていて、お手元に配ってありますけれども、そういう中でどういう条約があるのかというと、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約というのがあるんです。いいですか。それと、これに基づいて、プロトコルというんだけれども、議定書というのがあって、そしてそれに基づいて、ちゃんと委員会というのを国際連合の中に置けるんです。北朝鮮というのは入っているんです。入っているんでしょう、それをきちんと確認するからね。
 それで、拉致の問題についてだって、これはちゃんと委員会に通報してやれば、国際連合には、人権委員会といって、ここに書いてあるとおり、高潔なる人間十一人で構成されているんです。そういうことをやったことがあるのかないのか。人権問題というのは、明治の監獄法から根拠を置いてやっているが、根が深いんです。日本はそれに対して非常に劣っているんです。
 そこで、まず外務省に、そんなプライベートな話をしてもしようがないからあれですけれども、まずお聞きしたいのは、お配りさせていますが、この拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約、それからこれに基づくプロトコルに入っているんです。日本はどうなっているのか、北朝鮮はどうなっているのか、拉致の問題は片っ方でできるのか。
 それから、本件のような、これから、イラクで今戦争をやっているのは、ちょっとしたそのやり方でも、捕虜違反、条約違反だと言ってやるんです。日本は、僕は拉致問題についても、北朝鮮は入っているんだから、国連に争いの問題として、当然委員会にやるべきだと思っているんです。そこら辺の動向がどうなっておるのか。だれが答弁するんだ、これは。
石川政府参考人 お答え申し上げます。
 北朝鮮の件についてのお尋ねに……(佐藤(剛)委員「北朝鮮だけじゃないぞ」と呼ぶ)はい。まず、そこの点から申し上げたいと存じますけれども、人権委員会等で決議の採択、そういったことに対して、我が国は、共同提案国になる等、積極的に対応させていただいております。
 また、外交政策において人権を……(佐藤(剛)委員「人権委員会にちゃんと北朝鮮問題というのは出してあるのか。ちゃんと争い問題として提訴してあるの。いつやったの」と呼ぶ)決議案を昨年秋の……(佐藤(剛)委員「ちょっとその問題は重要だから。委員長」と呼ぶ)
山本委員長 佐藤剛男君。
佐藤(剛)委員 要するに、北朝鮮が入っている、まずこれを聞きますよ。人権、これには入っているんだね、配ったものの中にはちゃんと出ているんだから。(石川政府参考人「はい」と呼ぶ)まずそこから、いつ入って、いつになっておるのか。
石川政府参考人 大変恐縮でございます、きょう通告いただいておりましたところに今の御質問は特になかったものでございますから、追って、いつの年月日というのは御報告させていただきたいと存じますが、人権委員会の中で、我が国が北朝鮮との関係についていたしましたことを御報告させていただきたいと存じます。
 これは、昨年秋の国連におきまして、北朝鮮における拉致による拉致問題等につきまして、我が方代表大使が発言をし、また拉致ということを含む人権の決議につきまして、共同提案国として……(佐藤(剛)委員「告訴したのね」と呼ぶ)決議案を採択させていただきました。
佐藤(剛)委員 それは重要だから。
 人権、この条約の第何条に基づいてやっておるのか。僕は通告していないと言われているけれども、あなたは、この人権の担当部長だろう、担当局長か。人権の問題をやっているんだろう。その問題、一切の問題を聞くぞと僕はあれしているんだから、そのぐらいのことは当然理解してここに答弁してくれ、時間がないんだから。
石川政府参考人 お答え申し上げます。
 これは、人権委員会の一般討議におきましての決議案でございまして、第何条に基づくという告訴ということではございませんが、しかし、拉致を含む問題が人権の問題であるということにつきまして、国連全体の総意としての決議ということをなされた次第でございます。
佐藤(剛)委員 いや、そういうことを言っているんじゃない。ちゃんと提訴したら、向こうで人権委員会といって十一人で構成するというものができているんだから、高潔な人間じゃないとできないんだから、あなたならできるかもしれないけれども。真剣にその問題を考えて、これはもう何カ月以内にやらなきゃいかぬという結論になっているんだから、どうしてそういう筋道の正論の通らない、日本は国連を中心主義にやっていると言っていたんでしょう。そうでしょう。そういう手続で条約に入っていながら、きちんと、何もやっていないじゃないか。国連決議がありましたなんて、そんなの当たり前の話だ、そんなことは。それをよく調べて、また通報。きちんとしなかったらとめちゃうよ、これ。
 それから次に、この条約のところで、第十一条、これは本件に関係する話なんだけれども、監獄法関係についてきちんとした措置をやらなきゃいかぬ、国内法で、こういうふうに書いてある。いいね。そうでしょう。
 それから、さらに、配ってありますけれども、このプロトコルの格好で、「規約第四十条に基づき締約国から提出された報告の検討 人権委員会の最終見解」、日本に対して一九九八年十一月十九日、この資料です、これに基づいて、これを見てください、日本に対する勧告だ、簡単に言いますと。二十七というものを見てください。僕はわざわざ四角に囲んだんだ。
 それで、その中で、「委員会は、日本の行刑施設の制度の多くの側面に深い懸念を有しており、」深い懸念というのは英語でシリアス・コンサーンというんだ、これは非常に重大なる言葉なんです、言葉としてえんきょくに言うんだけれども。そういうものを有しており、「これらは、規約第二条」それから「第七条及び第十条との適合性に」、コンプライアンスというわけだ、「重大な疑問を提起するものである。特に、委員会は、次の諸点に懸念を有する。」a、b、c、d、e、fと書いてある。fをごらんなさい、「革手錠等、残虐かつ非人道的取扱いとなり得る保護措置の頻繁な使用」、これ出ているでしょう。
 これについて外務省は、国内においてどういう措置をとっておるのか、法務省に対してどういう見解をちゃんと示したのか。僕はそういうことをよく知らないが、きちんとやって措置をしていればこういう問題は起きていないんだろう、少なくとも。
 そういうことをきちんと、要するに日本の外交というのは、この間、今一つのあれなんだけれども、私は外交官の禄を六年間いただいているから、決して外務省が憎いんじゃなくて、外務省にたくさん友達もいるし、きちんとした外交をやってもらって、川口外務大臣しっかりやっておられるから、僕は尊敬しているんだけれども、外交官がしっかりやっていないと、僕はアフリカの、君、日本人だれもいないマラウイのところ、ソマリアなんてところに行って、今の東アフリカ外交をつくってきたんだぞ、一等書記官で。それから、ジュネーブにおいて今国際連合がやっているこの拷問問題の人権委員会のところに三年間いたんだ。在ジュネーブ政府代表部筆頭参事官というんだ、首席参事官だ。そういうことまでやって、いろいろやってきたから、僕はこの問題を国際的な問題から取り上げている。
 なぜか。日本のシステムを、明治のときの、一九〇八年、監獄だの何だのというような、中に入っている人の人権も何もわからないときに、守られていないときに、それが延々として続いて、百何年続いておる。これは私はおかしいと思っている。直さなきゃいけないと思っている。それを直さなきゃいけないと思っているのが、国際連合でもきちんとできて条約に批准されたものが中の国内法ができていないというのは、外務省の国内的なやっている怠慢以外の何でもないじゃないか。
 それについてどういう措置を、ここまで言われていながら、何年も言われていながら、やったのか。だれからだれに、ちゃんとそこのことを、局長と局長がちゃんとやったのか、大臣と大臣があるのか。国内立法というのはどこにも出てこない。ここから出てくると、きちんと直せということだよ。監獄法も直せ、直してきちんとやれということですよ。日本は国際的な条件に該当しないということを言っておる。答弁。
石川政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、人権委員会の最終見解というものにおいて先生御指摘のとおりの指摘がなされた次第でございます。
 九八年十月に、我が国が、我が国の状況につきまして報告書を提出して、その審査ということが行われて、今御指摘の最終見解ということで公表されたわけでございますけれども、本件につきましては、法務省を含めまして、それぞれの事項の所掌官庁に情報提供を行わせていただきました。
 また、革手錠について等、具体的な指摘があるわけでございますけれども、この革手錠に関する同委員会の見解に対する対応につきましては、法務省におかれましてしかるべく検討がなされてきたものと承知しております。
佐藤(剛)委員 きちんと、どこからどこへやったのか、責任問題を追及している、役人の。僕も役人をやっていたからあれだけれども。
 日本というのは、情報でもそうだけれども、情報を横に流さない、上げない。しかし漏らす。漏らして横に流して、上げない。だから、私はこれから一つの問題として法務省の文書規程の問題も申し上げようと思っているけれども、これはまたこの問題として、大臣、みんな御存じですか、大臣、御存じですかといって、それは先生方質問されるけれども、私の場合は役人をやっていたからわかるんだけれども、大臣に上がるのは限られているんだ。だから、大臣に上がっている限られている中において、みんな現場の局長だの何だのがやれるような処置になっている。
 そういうふうなことで、それで上がらないから大臣の首をとろうとかなんとかいって、それまではあれだというようなことはやめて、きちんと、この問題というのは国際的な観点で、直せるようなら直して、刑務所の空気を、窓を外にあけなきゃだめだ。過去の刑務所じゃだめなんだ。あすの刑務所をつくらなきゃいかぬ。人権擁護というものを日本はしっかりとやってくれているという国、あの国に行けば安心だ、そういうことをやろうと僕は言っているんですよ、人権擁護の町をつくると書いているんだから。僕は福島の福島一区なんだ。福島一区のところの部分においては、全部モデルの刑務所を、そしてさらに矯正施設もやる。
 うちの家内は、局長は御存じだけれども、横田局長はあれだけれども、更生保護の、やっているんです。みんなボランティアがそういう更生保護をやっているんですよ。その更生保護についてもすごい、また法務省というのは金も余り出さない、人ばかり使って、非常に立派な人たちですよ、だけれども、予算というのをきちんともう少しとらなきゃいかぬ。それから、施設も、更生保護施設も非常に古くなっちゃっている。
 ですから、これについても矯正局長が保護局長のころ僕は申し上げて、福島を人権擁護の町にするから、ちゃんと予算もきちんととるから、今度は保護の面について、矯正施設、今ひどいんですよ。全国を歩いて、小さいのばかりですよ、十人か二十人ぐらいしかいられない。それで、心あるお寺さんの人が理事になって、善意に頼って今やっておる。これはもたない、もう。これから外国がどんどんふえるし何もふえるということで、これからはやはり、そういう意味で僕は質問したいんです、全体の一環として。
 だから、その初めとしての人権擁護の国、日本をつくり、誇りある日本をつくろう。日本の外交の思想は何だ、今。それをやらないと、そのためにあなたが外務省の中におる。私は人権擁護局ぐらいのものをつくってもいいと思っているぐらいの思想なんだ。人権擁護庁があってしかるべきだと思う。私は、法務省の外局に人権擁護庁をつくって、外務省も来て、警察庁も来て、第三者も入れて、そういうふうな形をやっていく時代に来ているので、私は一矯正局の問題だとかそういう問題ではないと思っておる。だけれども、もう一回繰り返すよ、もう一回答弁。
 第一点、この条約に基づいて、北朝鮮は批准しているんだから、それについて人権委員会に提訴をしたのか。国連で、君、スピーカーか何かにして決議しましたというのじゃだめだよ、そんなの。委員会というのは、特殊委員会があるんだから、その委員会というのはWTOのパネルみたいな、パネルで勝ったか負けたかというのをやるんだから。それはきちんと、当然、あなたは部下に任せて、あれだけじゃないんだろうから。
 大体、外務省というのはすぐまた一年なり二年でかわるから。かわれば、国内だけでかわるんじゃなくて、外国に行っちゃうんだから。だから、そういうことだからつながらないんだ、この外国のところ。
 国際的な観点で刑務所をつくる、そのためには全部前向きの格好の、法律も直す、それは時間がかかるかもしれない、この国会でできないかもしれないが、できるだけやる。そして、委員会はこの問題について、火、水、金という問題について園田筆頭が理事会で言っておられるんだけれども、法律についてはきちんと、たくさんあるんだから、ひとつこの問題はこの委員会の問題として、人権擁護の問題は一日ぐらいとるぐらいの気持ちで、一般質問の水曜日あたりをとって、火、金はきちんとした法律をやる。
 こういうふうなことで、もう法務委員会のかなえの軽重が問われるんだから、法務委員会のかなえの軽重が問われるということは、日本国がだよ。今、私の、また福島、福島と言って恐縮ですけれども、福島の新聞は、この問題というものについて非常に真剣に考えていますよ。どこもそうだと思いますよ。日本というのはきちんとしたことをやっておるのかどうかと。
 外務省、ちょっとそこら辺を、こういうふうになっている、こういう実情になっているというのを、あなた、もう少し言葉しゃべって、きちんとやりなさい、専門家なんだから。
石川政府参考人 人権外交をしっかりやれというお言葉、しっかり受けとめさせていただきました。
 もとより、委員御指摘のとおり、人権は普遍的な価値であると私ども認識しておりまして、各国における人権の擁護、促進は国際社会の正当な関心事項であるという考えを持っておりまして、国際社会における人権の擁護、促進のための国際協力の推進を外交政策における重点施策の一つとして位置づけております。
 先ほど、アフリカについてのお話をちょうだいいたしましたが、例えばスーダンとも、アフリカではスーダンとも二国間の人権対話を実施させていただいたところでございます。(佐藤(剛)委員「スーダンに行ったことあるか」と呼ぶ)私自身はスーダンはございませんが、アフリカにやはり在勤させていただいておりました。もう一つの人権問題があり得るザイールという国におりましたのですが、例えば、スーダンとの二国間の人権対話では、女性の人権等につきましてかなり突っ込んだ話をさせていただいております。
 また、人権はいわゆる人間の安全保障の実現のための重要な要素と認識しております。(佐藤(剛)委員「わかっているから、そんな、時間ないんだから、結論だけ言いなさいよ。北朝鮮が入っていて、それに対して委員会が提訴しているのか。答弁来るのか」と呼ぶ)
 北朝鮮について申し上げますと、B規約には御指摘のとおり入っております。他方、国家通報という制度については北朝鮮は入っておりませんので、その委員会については提訴をしておりません。したがいまして、私どもとしましては、総会決議というところからまず行動をとらせていただいた、そういう次第でございます。
佐藤(剛)委員 ちょっと待って。僕が配りました条約及び統計、権利に関する国際条約の中に朝鮮人民共和国は一九八一年九月十五日に入っているじゃないですか。
石川政府参考人 委員御指摘のとおり、この条約自体には北朝鮮は入っております。
 他方、国家同士の通報制度というものについては、各条の受け入れ宣言というのがございまして、その点については北朝鮮は受け入れ宣言をしていないと承知しておる次第でございます。
佐藤(剛)委員 いや、条約があって、プロトコルがあって、そういう体系になっているのはわかった上で質問しているんだけれども。それでは、プロトコルに入っているのは何カ国あるの。その条約自身に入っているのはここに書いてあるとおりだろう、配ったとおりの。
 それで、条約に北朝鮮が入っていて、拉致の問題だけを、拉致はけしからぬですと本会議だけで言ったなんて、そんなことで外務省、済ますつもりなのか。ちゃんと、きちんとやるというのなら、訴えるところがあるんだから、裁判所なんだから、世界の中の。そういうふうなところに、人権委員会というのは、君、国連の、書いてあるだろう、ここに、条約読んで。君ら、専門家だろう。僕はかつては専門家だったけれども、僕らはもう今政治家になっているけれども。
 だから、そこのところをきちんと、君、実行するかどうかだろう。どうして放置していて、君、国内の中に反映させないんだ。国内立法をつくらなきゃいかぬのだろう。批准したんだろう、日本は。何で国内立法やらないんだ。怠慢以外、何でもないじゃないか。答弁。
石川政府参考人 委員、大変恐縮でございますが、国内法との関係の御質問と理解してよろしゅうございますか。(佐藤(剛)委員「そうです。国内立法について、条約をつくった以上、革バンドだのというのはいかぬとなっているんだから、それについてきちんと、国内法の立法の方の整理をやらなきゃいけないというふうに私は考えるんだよ。一九九八年」と呼ぶ)
 それでは、拷問等禁止条約と国内法という点についてお答えさせていただきたいと存じます。
 まさに委員御指摘のとおり、この条約は、各締約国が、条約上に言う拷問を刑法上の犯罪とするとともに、裁判権を設定すること、そのような犯罪を引き渡し犯罪とすること等について定めております。
 我が国におきましては、公務員による拷問の禁止につきましては憲法第三十六条によって規定されております。また、この条約に定義されている拷問に当たる行為につきましては、刑法等に規定された既存の罰則によって処罰を確保することができる、また、その他の本条約上の義務についても、現行の法令上によって履行可能であるという判断のもとで、この条約の締結に際しましては、国内法を新たに整備する必要はないと判断されたと承知しております。
佐藤(剛)委員 そういう紋切り型の答弁を、君、聞いているんじゃないんだよ。いいかい。
 僕は、そういうことだったら、それでは、日本が入って、何カ国入って、何が入っていて、そのプロトコルに何カ国入って、何して、それで外務省が中心になって、法務省だの関係省庁、法務省だけじゃ無理なんだから、警察庁の代用監獄、拘置所の問題があるんだから、留置場の問題があるんだから、そういうものとの何か協議会か何か開いたのかというの。そこのところを聞いているんだよ。
 あなたのところで言っているのは、英語か何かしゃべって、それでそれきりで終わっちゃって、国会にも報告しない、何もしない。そうだろう。国会に出てこないんだから。批准というのは、君、内閣の権限なんだから、イニシアルはそのときの大使の権限なんだから。きちんとしたものが出てきて国内立法になるんだから。そうでしょう。答弁。
石川政府参考人 まず、我が国が結んでおります人権条約について御報告をさせていただきます。
 社会権規約、それから、今御指摘いただいております自由権規約、これを通例B規約と呼んでおりますが、この条約、それから女子差別撤廃条約、児童の権利条約、そして人種差別撤廃条約を締結しております。
 この条約の締結につきましては、条約の趣旨、目的、必要性、それから今御指摘をちょうだいしております国内法制との整合性等を十分に勘案した上で、その取り扱いにつき検討を行わせていただき、締結が適当であると考えられるものについては、その締結について国会に承認をお願いしてきておるところでございます。
佐藤(剛)委員 時間ばかりかかってむだだから、もう国際社会部長、帰っていい。それで、今度資料要求するから、僕が言った質問について、きちんと持って、説明を当委員会にしなさい。そんなことができなかったら、国際社会部長の役割はない、そんなものは。
 僕は、外務省というのはしっかりやって、外務省中心にそういう国内立法をきちんとやって、いいですか、革バンドというのはだめだと、こう言っているんだから。それ以外に、僕が四角に書いたところ、みんなそれは法制化しなさいよ、きちんと。そうすると、必ず監獄法の問題が出るの。改正問題が出るんです。
 それから、そのときと同時に、いわゆる留置場、三日間、無罪と推定されている人を捕まえて調べる、取り調べをしているところ、いわゆる代用監獄にするというものがありましたよね。そうでしょう。だから、そういう実際に刑を受けている人たちが入るのは刑務所。そうじゃなくて、無罪を推定される被疑者、被告人もその拘置所というんだから。それはわかっているね、この違いは。拘置所と留置場と刑務所の違い。だから、そういうふうなものもずっとあるわけです。だから、僕は警察庁にもちょっと聞くけれども、そういう問題について事実関係をきちんとしなさい。それから、拉致というのを人権と考えなさい。あなたのところの仕事なんだよ、外交的には。いいね。
 それから、その問題について、どういうふうな形をやったのか。総会のところで、君、意見言うなんて、言わない方がおかしいんだ、そんなこと。当たり前の話だ。それより、ちゃんと、きちんと訴えて、それに対して人権委員会に調査させるんです。
 そんな拉致の問題だけきょう言うんじゃないが、そういうものを含めた、人権擁護の尊重をする、日本というのは人権擁護のすばらしい国だ、あそこに行ったら大丈夫だ、捕まってもきちんとやってくれるというようなことの、国が誇りある国家につくらなきゃだめだ、二十一世紀というのは。
 それには、外務省がしっかりしなきゃだめだ。あなたがしっかりしていないというんじゃないんだ。しっかりしているんだけれども、いろいろこの問題についての問題意識が不足しているから。その問題について、きちんと今の事実関係を、北朝鮮問題を批准している国はどうだとか、どうだとかという文書を出しなさい、説明の。それを次回のまたあれにまぜていいですから。きょうは一々とめていると、ほかのところ、質問できないから。はい、帰っていいです。
 それから次に、厚生労働省に聞きます。
 どうも本件の問題をいろいろ探ってみますと、変死という言葉が出るんですね。それで、変死をしている人たちというのは、私の推測も含めてだけれども、お医者さんがいなくなっちゃった後の、夕方の五時から朝方の九時ですね、そこに亡くなっているんだ。
 まず一つ聞きます。法務省だか警察庁だか、どこの担当なのか知らないが、変死とは何ですか。どういう定義にしているんですか。
樋渡政府参考人 お尋ねの変死でございますが、もう委員の方は十分御承知のことでございますでしょうけれども、説明させていただきますと、一般的な用語といたしましては、犯罪によることが具体的に疑われるというような意味で用いられることも多いものと思われますものの、刑事訴訟法上の厳密な定義としましては、変死者とは、不自然死で犯罪による死亡ではないかという疑いがある死体をいうというふうにされております。
佐藤(剛)委員 僕の感触では、変死というのは、要するに自然死ではないんじゃないか。それで、自殺のように首つっているのを見えている人たちというのは、これは自殺というんですかね、刑事局長。
 それで、私は、変死が多い、変死が多いというのは、変死というのは百科事典、広辞苑しか出ていないんでしょう。変死というのは刑法にあるんですか。ほかに行政刑法ではあるんですか。
樋渡政府参考人 変死という用語自体は刑事訴訟法に記載されております。
佐藤(剛)委員 それで、私がこの問題、委員の先生方、理事会を通して理事の先生方に聞きますと、どうも刑務所制度と医療制度の問題がある。大体、お医者さんがいないときに死んでいる。大体、自然現象といって、潮の満ち干に生まれる死ぬというのは決まっているんです。赤ん坊が生まれるときは潮が満ちるとき、潮が引くときには人間が死ぬんです、大体、確率論でいって。それでそれを見てみますと、変死というのがこれだけ多いのは、そのときにお医者さんがいないんだね、無医村になっている。
 そこのところをまず確認したいと思いますが、横田矯正局長、今までの情報の、検視では、私のあれですよ、名古屋の大学と連携していますと。ところが、名古屋の大学の先生は、お医者さんは常勤でもない人たちがたくさんいるというのは、この委員の先生が質問されていたでしょう、お金も取り過ぎているじゃないか、それから実際に本気でやっているのか。それで、私はそこは名古屋だけを絞って言いますが、ほかにもある。この間の、おとといかな、東京新聞のあれには、横須賀のが出ていましたけれども、専門医でない人が出ている。
 それで、私は見ていくと、普通の、一般の人たちだって、日曜日の、お医者さんがいなければ、地域の医師会が代替の歯科はどこどこでありますよとか、内科医はどこでありますよと、あれに書いているじゃないですか、町民に教えているじゃないですか。それで、体が痛くなって、胃が痛くなって、心臓が漏れているときに、お医者さんもいない、呼んでもいないと、だれがやっているんですか。今までの答えだと看護師なんでしょう、看護師というんだ。そういう人たちが、医療行為もできない人たちがいて、監獄の中でですよ、当然、今危篤ですと言って、親に、親族の人にも連絡しているんだと思うけれども、親族の人立ち会いでやっているんですか。それとも、危険なときにはどこか近くの病院に行っているんですか。
 全体でいろいろなあれがあるかもしれないけれども、地域によって違うかもしれないけれども、私は、医療の制度と刑務所の制度というのは、この委員会の一つの課題としてもしてほしいし、また、この問題について、関係当局、厚生労働省、それから法務省がしっかりとしたワーキンググループでもつくって、それから医師会の協力を得て、大学のあれとも協力を得て、それぞれの地域において、内科医のところに緊急に行く、それからあるいは、歯科医のところに行ったってしようがないんだから、別に。腹が痛くてもう死にそうだ、それで朝起きてみると死んでいたというところで変死だというふうにされているんじゃないかと私は思っているんですよ。
 僕は何も法務省に肩持とうとしているんじゃないですよ。問題は、医療システムがきちんとないから、サラリーマンみたいじゃないの、九時から行って五時になって。そんなことで、痛いと言って、看護所の中にいるんだよ、密室なんだよ。そういう人たちは、絞首刑になる人だってきちんとやっているじゃないですか。それを知らないで、何か痛いとか、要求のあれを見ると、どこかがぐあいが悪くなって、あるいは中へ入ってストレスがあってうつ病になったり、いろいろなケースがあるんだろうと思う。
 そうすると、常駐させる制度がなければ、例えば八王子にありますよね、医者の、そこら辺の実態もあれしたいが、そうじゃない軽い、そこのところに行くにはよっぽど重くないといかぬらしい、八王子は。軽い人たちが名古屋とかに行っておるらしい。ところが実際には、そこの名古屋で死んでいるんだ、この十何年間。こんなばかなことないでしょう。
 そういうことで、厚生労働省はどういうふうな見解を、皆さんは、僕が言っているのは、協議会をつくりなさい、ワーキンググループ、そして監獄と医療の問題、医師会に協力を得なさいと。文部省の、官立だったら、僕は、委員長、参考人で、名古屋大学の医学部長、それもお呼びしたいと思いますが、お願いしたいと思いますが、理事会で御審議いただきたいと思います。
山本委員長 はい。
佐藤(剛)委員 医療の問題について、私は、監獄の問題、監獄法の改正問題とともに、問題を提起したいと思います。
 感想でいいよ、今のところには、これだと言えないだろうから。厚生省は何にもやっていないんだから。
山本委員長 まず、佐藤君の申し出につきましては、理事会でしかるべく協議いたします。
 厚生労働省篠崎医政局長。
篠崎政府参考人 ただいまの先生からの御質問で、例えば刑務所の施設内で十分な医療を行うことができず、緊急を要するような場合につきましては、これは、刑務所側から要請があったときには医療機関としてこれを受け入れ、医療の提供に努めているというふうに承知をいたしております。昨日も、御連絡がございましたので、幾つかのところには電話で聞いてみましたところ、おおむねそういうように体制が整っているんではないかというふうに承知をいたしております。
 今後、受刑者に対する救急医療体制の整備につきまして、法務省の方で検討が進められるというふうに聞いておりますけれども、具体的に御要請があった場合には、厚生労働省としても、必要に応じて適切に協力をいたしたいと思っております。
佐藤(剛)委員 医政局長の篠崎さんの、僕は非常に信頼している公務員でありますし、僕はひとつ、あなたが在任中に、六月ぐらいだとみんな人事異動があっちゃうんだろうから、そこのところでひとつ路線をしいておいてください。
 それでひとつ協議会をつくって、ワーキンググループをつくって、この問題についてやるというのを、矯正局長、それから政務官、副大臣、そのために行っているんだから、副大臣も、政務官も。きちんとフォローアップする、政治がきちんとそれをやるというのはあなた方の務めなんだからね、政務官も、副大臣も、お願いしますよ。それを一つお願いしておきます。それでこれを、こういうふうになりましたというのを、反映を当委員会に、委員長、報告させていただきたいと思います。どういうグループをつくった、そして、そういうのがある。
 私は私として、この委員会の中において、参考人として、医者派遣の問題、それから医者が常勤でどうなのか、それから帰っちゃった後の、不在の人たち、いわゆる変死とか不審死とか言われるわね、司法解剖されると。不審死というのは、僕は、刑法で、刑事訴訟法にもないと思いますが、刑事局長、不審死というのは、このついでに僕も理解したいんだけれども、ありますか。
樋渡政府参考人 私もすべての法律を知っているわけじゃございませんが、私の記憶にある限りでは、法律用語としてはないと思います。
佐藤(剛)委員 そうなんだと思いますよ、私も見たことないし。しかし、今、新聞だの何だのは、変死と同時に、あわせて、変死というのは、変死がこれだけの数になっちゃったから、百も。ですから、変死が、死因がはっきりしないので事件性があるとして司法解剖された受刑者、そして新聞用語なのかどうかも知りませんが、それを不審死という。
 拉致というのもそうなんですね。拉致罪というのはないんだから、刑法に、行政法にないんだから。北朝鮮がやったのは拉致でしょう。広辞苑を見ないといかぬ。拉致というのが、意思に反して連れていくことと書いてある。縄をもってやるか、米の俵袋をかぶせて、副大臣、副大臣のところに入れ込むか。それで、北朝鮮に持っていっちゃうのを拉致。
 僕は、拉致の問題について、ライフワークで、今の金正日の前のお父さんのころから、一九八〇年のころから調べていますけれども、大学ノートで五十以上ありますよ。ところが、警察庁発表だと十一件ぐらいが拉致と。警察庁発表が拉致なんだ。拉致というのは難しい字で書いてあって、テレビでも言っているけれども、あれは新聞用語であり、テレビ用語であり、辞典用語である。
 政務官、突然だけれども、御存じですか。拉致というものはそのようなものになっていて、変死もそうなんだ。だから、私は、変死という言葉自身をも分析しなさいと。
 それで、小泉総理に、小泉改革の中に、一つに、言霊の改革をやりなさいと僕は言っているんですよ。言霊というのは、日本人というのは、言霊ですね、言葉に魂があるんだ。これは奈良時代から来ているんですよ。それで、どういうことかというと、それは言った瞬間にそれが実現しちゃう、だから言わないで黙っている、言いたいんだけれども黙っている、そういう歴史をたどってきているんですよ、言霊の。だから、私は、あえて、監獄なんということもそうなんですよ。刑務所という言葉だって、みんな嫌がるんですよ。
 刑務所の誘致を、僕は、福島では刑務所拡張してモデルのあれにしましょう、住民と交流をしましょう。住民交流センターをつくって、みんな住民もやって、刑務所の刑務官というのは銃剣道もやるし、僕は銃剣道の会長をやっているんだけれども、柔道をやったり、空手をやったり、剣道をやったり、子供同士の集まりをやる。だから、福島の刑務所の近くの町会長の人たちというのは、そういう刑務所の交流センターをつくってください、子供たちがみんなで交流しましょう、刑務官だけが別で行動するのはやめましょう、こういうことを注文を受けているぐらいであります。だから、日本一のモデル刑務所をつくろうと思って、一生懸命私はあれしている。
 さらに、それだけでは終わらないので、この問題は、結局、人権擁護の問題というのは、掘り下げていくと社会復帰の問題まで出るんです。先ほど言いましたように、保護局長の仕事だけれども、この中で指導官というのだけれども、社会復帰しそうな人のところに、社会復帰しそうな人を保護司だ何だというのはあれしているけれども、せめてもう少し叙勲を易しくというのじゃないけれども、法務省の叙勲する藍綬褒章も厳し過ぎる。ほかの省に比べて厳し過ぎますよ、僕もいろいろあれしているけれども。もう少しダラ幹にしろとは言わないけれども、あれだけの、本当に、ボランティアに任せてやっている法務政策じゃだめですよ。それはきちんとやる。ですから、せめて若くして、十年前倒しぐらいにして、甘くできなければ七十歳でもらう人を六十にするとか、そのぐらいの形を考えるのが、大臣、そういう仕事だろうと僕は思っておる。御答弁をいただけませんが、そういう問題も抱えておる。
 ですから、一気通貫で捕まえること。それから、外国の人たちも入ってくる。だから、出入国管理、今度難民の問題が出てくる。既に、イラクのところになったらクルド族が入ってくる。来ますよ、いろいろと。ですから、私は、やはり避難民のセンターというのを、アサイラムセンター・イン・ジャパンというようなものをどこかに、今、品川のJRのところ、借りてやっていますよ、あれも返さなきゃいかぬでしょう。そうすると、そういう人たちが来たことにやらないと、イラン、イラク人、私はあれですけれども、名古屋の刑務所にも行きましたけれども、その人たちがみんないますよ。
 福島の刑務所というのは、刑務所長も立派で、みんなしっかりして、私の意思に沿ってではないけれども、モデルになっていますよ。みんなよくやっていますよ。だから、今度は女性の刑務所も置きましょうと言っている。そして、女性の刑務所の人たちもあれして、そのトランスペアレンシー、やっていることが外から見えるようにする。ああ、刑務所というのはああなんだな、よくやってくれているんだなと。そうすると、もう二度と戻らないであろう。二度と戻ってきちゃいけませんという刑務所をつくるんだから。そういうことをみんな、各地が、政治家がやらなきゃいけないし、いかぬと思っております。
 ですから、私は、監獄法というのを、監獄という言葉は言霊なんです。名前を変えなきゃだめだ。刑務所というのも、刑務というのも僕も名前を変えたらいいと思う、もっとわくわくするような。刑務官というのは、これから非常に重要なことなんだから。よく競売のところで、執達吏なんて言っている。僕はそれも直せと言っているんだけれども、競売士ぐらい、何というのかな、あれは国家公務員で請負みたいなことをやっておるから、小さなものについては摂行しないんです。東京あたりは五十数人しかいない。そうなんですよ。賃金一銭ももらっていないんだから。副大臣、そうなっているんですよ。
 だから、やらなきゃならぬことは山積みあるんですよ、法務省には。それをやるために、副大臣、政務官、行っているんだから、きちんと、優秀な局長というのは法務省にはぴかぴかのがそろっているんだから。若いときに、僕も法務省の検事をやるつもりだったの。僕も三十五年の司法官だから、十五年の司法研修所なはずですけれども、回り回って、通産省から、今、しがない政治やっていますけれども。
 そういうことをしっかりとやってもらわないと、これじゃ国家が滅びちゃうよ。国が滅びるというのは五つの条件がある。いいですか。
 それで、きょうはたくさんありますよ、たくさんあるんだけれども、とりあえず、もう時間が来ちゃったから終わりにしますが、国を守ること。それから、きちんとした治安。今、治安が乱れている。それからもう一つは、きちんとした外交をすること。それから第四は、民族の誇りを教える教育をすること。第五が、きちんとした司法。司法に対する信頼関係が、今度名古屋刑務所の件によってなくなってきちゃった。だから僕は怒っているんです。
 司法改革というのは、そういう意味において重要だと思う。司法に対する国民の信頼。裁判は迅速的にやる。サリンのあのおじさんは、七年もたってまだ刑も受けられない。こんなばかなことはないでしょう。迅速な裁判をするという法律が出ているんだから。この委員会は法律の審議をきちんと、やる日にちは、三日のうち二日はやる。そこら辺は、我が尊敬している河村代表が……(発言する者あり)理事会の話です。そういう意味であります。
 以上でございまして、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
山本委員長 次に、河村たかし君。
河村(た)委員 河村たかしでございます。
 まず、きょうは、名古屋事件が主ですけれども、僕は、これからもっと大きな大変な真実を、本当に、特にホース事件もそうですけれども、はっきり言いますけれども、私は本人に会っていますので。それから、九月事件も名古屋拘置所まで行きまして、渡邉さんというんですけれども、本人に接見しております、二回。だから、本当にこの事件があったのかということを、今までの流れとは異なるかわからぬけれども、相当の、僕なりに勇気を持って、真実はどこにあるかと。もし、これが冤罪だったら、これは大変なことだからね、言っておきますけれども。これは大臣、冤罪だったら大変なことですよ。そこのところをきょうはちょこっと、入り口のところぐらいを触れたいというふうに思っております。
 そういうことで、僕らは、この事件で知っとるというのは、検察の報告書と、調査委員会というのがありますけれども、基本的には捜査の方となっていますから検察ですよね、それからマスコミ、これだけなんですよ、聞いているのは。
 それで、自民党の皆さん、委員長もそうだけれども、肝心な相手方の意見を全然聞いていないんだよ、これ。全く聞こえていません。受刑者は受刑者で割としゃべる人はいますけれども、刑務官の皆さん、全く聞いていないじゃないか、これ。こういうことで、すべて事実を、検察の言っておることはすべて真実だという前提でことわりが進んでおるんですよ、これ。
 ちょっと森山大臣に聞きたいけれども、名古屋刑務所へあなたは行かれましたかね。
森山国務大臣 一度行きたいと思いまして計画いたしたのでございますが、日程がやりくりがつきませんで、まだ行っておりません。
河村(た)委員 ちょっとこれは悪いけれども、森山さん、あなた、この刑務官の皆さんは給料がないことを知っていますか、起訴された人たちが無給であることは。
森山国務大臣 処分の対象になった者は、停職その他、給料がないことは承知しております。(河村(た)委員「給料はどうですか」と呼ぶ)ないことは承知しております。
河村(た)委員 それだけの処分をしておきながら、言っておきますけれども、検事は検事ですけれども、あなたの処分ですよ、それ。そうでしょう。どうですか。
森山国務大臣 私の責任でやったことでございます。
河村(た)委員 現場に行っていないんですね、現場に。
森山国務大臣 はい。残念ながら、現場に行く時間がございませんでした。
河村(た)委員 時間は本当にないんですか。先週の例えば土曜日、日曜日、何をやってみえたんですか、それじゃ。
森山国務大臣 地方選挙が始まっておりまして、私、栃木県の自民党の県連会長をしたりしておりますものですから、地方選挙の関係で一日じゅう、二日間続けて動いておりました。
河村(た)委員 地方選挙は僕らでもあるんですよ。私も自分で本当に給料を払っている秘書が出ていますよ。これは新人でですよ、二世でも何でもないのに。だけれども、私は現場に行きましたよ。それで、消火栓というのがどこにあるか見ましたよ、そのホースをかけたのが。本当はそこで放水させてほしいと言いましたよ、私。なぜかというと、それで一人は逮捕されてほかの別件ですけれども、もう一人起訴されて、家族の給料が全部奪われているんだよ、生活権を。
 なぜあなたは行かないんですか。そっちの方が重要なんですか、選挙の方が。
森山国務大臣 できるだけ早く時間を見つけて行きたいとは思っております。
河村(た)委員 行きたいじゃなくて、申しわけないと言ってくださいよ、あなた、悪いけれども。
 いいですか、本当に。八人の人をこういう目にさせているんですよ、こういう目に、これ。それは、今言いましたように、あなたの処分だよ。現場に行って見ないということを謝らなくていいんですか、これ。だめですよ、そんなことは。むちゃくちゃだよ、そんなことが通るんだったら、本当に。
森山国務大臣 そのような処分を受けられた方々にはお気の毒だと個人的には思いますが、申しわけない、家族の方にもそう思います。しかし、残念ながら、御存じのような事件が起こりまして、それの責任ということで、いろいろな立場に当時おられた方々に対しては公平な処分をしなければいけないということで、大変残念ながらせざるを得なかったということは理解していただきたいと思います。
河村(た)委員 悪いけれども全く理解できぬ、これは。そうでしょう、委員長も自民党の皆さんも。
 こんなの、いいですか、事件は大変大きな事件なんです。だけれども、それが、彼らが本当に責任があるかどうか見るために現場に行って、本当にこのホースの水圧で本当にこういう死が、その因果関係があるんだろうか、それから、ほかのいわゆる革手錠事件もそうじゃないですか、本当に彼らがどういうところでこういうことをやったんだろうか、それを見なくてあなたはお気の毒なんて言えるの、これ。
 ひどいよ本当に、森山さん、これはひどい、悪いけれども。謝ってくださいよ、ちゃんとここで。
森山国務大臣 関係者については専門の人々が捜査をし、また公判に今かかっているということでございますので、その行方を見守らなければいけないと思いますし、私個人としては、先ほど申し上げたように、できるだけ早く時間をつくりまして参りたいというふうに思っております。
河村(た)委員 これはもう半年ぐらいたっているでしょう。どうですか。
森山国務大臣 ことしの一月の終わりごろでしょうか、行きたいというふうに考えていたわけでございます、そのとき既にいろいろな事件が表に出ておりましたものですから。しかし、その後時間がいろいろやりくりがつきませんできょうに至っておりましたことはまことに申しわけないと思いますが、事件そのものについては、今申し上げたように公判にかかっていることでもあり、そちらの方にお任せするほかないというふうに考えています。
河村(た)委員 あなた、間違っていますよ。公判と違うんだよ、あなたが処分したんだよ、言っておきますけれども。あなたがこのことの裁判長だったんですよ、言ってみれば。裁判だったら実況見分するじゃないですか、裁判長が。なぜしなかったんですか。――後ろでがたがた言うんじゃないよ。ちゃんと本人の意見を聞かせろよ。
森山国務大臣 お言葉ではございますけれども、私が個人的に調べてあるいは考えて決めた処分ではございませんで、関係者がお互いに相談をして、あるいはその監督者、指導者が監察をいたしまして、そして公判にいくべき者はいきましたし、また、そこまではいきませんが処分に遭う者もあったわけでございまして、私が個人的にそのようなことを監察し決めたというわけではございません。
河村(た)委員 普通ならだめだよ、これで、こんな時点で。こんなこと、私が決めたことじゃない、担当者がやったんだからなんて。これはとめてもいいよ、本当に。これはだめですよ、言っておくけれども。あなた、自分の判で処分したんだよ。何を言っているんですか。裁判長が、いや、これはみんな検事や弁護士が言っておることですからそれで決めましたなんて言っても通じるわけないんだよ、言っておくけれども。大変な職務放棄ですよ、これ。
 ちょっと相談してくださいよ、こんな答弁、これは、一応。ちゃんとやるから、いいから。ちゃんとやりますよ。ちょっと相談してよ、これ。ひどいよ、これは本当に。(離席する者、発言する者あり)
山本委員長 それでは、大臣、再答弁をお願いします。(河村(た)委員「委員長、僕がまず質問します」と呼ぶ)
 河村たかし君。
河村(た)委員 それでは、担当者が決められたということですから、大臣、あなたはそれが真実であるかどうか、乙丸さんが水をかけた、それによって直腸が切れて死に至った、そういうことを真実であると確認しなかった。それをうのみにして、そのこと自体をどなたが決められたか知らぬけれども、内部で言ったことを全部真実だとして処分された、そういうことですね。真実だという確認をしなかったということですね。
森山国務大臣 真実であるかどうかを確認するというのは、最終的には裁判所がやってくださることだというふうに思います。
河村(た)委員 いや、それは違うんですよ。あなたはあなたで自分で処分せにゃいかぬから。そうですよ。両方あるんだから。裁判は裁判ですよ。あなたはあなたで処分しているじゃないですか。(発言する者あり)何を言っているんだ、停職というのは処分だろう。国家公務員法による処分なんですよ。何を言っているんですか、とんでもない。
大林政府参考人 お答えさせていただきます。
 今のお尋ねの件の処分につきましては、国家公務員法七十九条二号に規定する、刑事事件に関して起訴された場合に該当するということでございまして、その事実自体があったかなかったかではなくて、検察庁において、刑事事件に関し起訴された場合に休職、こういう事実でございます。
河村(た)委員 何遍もそういうインチキはやめてくださいよ。そのときは国家公務員法で「休職することができる。」と書いてあるんですよ。うそを言うんじゃないよ、悪いけれども。必ずしも休職じゃないんだよ、これ。「休職することができる。」国家公務員法七十九条ですよ。違うんだよ、当然じゃないんだよ。「できる。」と書いてあるんだ。
 どうだよ、大臣。ここでちゃんと正直に言ってくださいよ、私は真実であるかどうかということを確認しなかったと。
 では、国家公務員法はどうだよ、大林さん。
大林政府参考人 今の条文上の書き方としては、委員御指摘のとおり、「できる。」という表現を使っております。しかしながら、法務省としては、これは休職処分が相当だ、こういうふうに判断したものでございます。
河村(た)委員 そんな、勝手に条文を解してどうするんだよ。悪いけれども、あなたは国王か立法府か。だめですよ、そんなもの。どういう権限があって、勝手にそんなことができるんですよ。それでは、はっきり国家公務員法を変えて、休職とすとしたらどうですか。だめですよ、そんなもの。ここもまた終わりですよ、こんなことを言っておったら。
 だから大臣、そんなのはよそに聞かぬでもいいから。後ろも黙っておればいいんだよ。大臣、あなたが自分で処分したんだから、私は、そういうふうに上がってきたので、そのまま真実としてそういうふうに休職にしましたとここで言ったらどうですか。そういうことなんでしょう。
森山国務大臣 今官房長が申し上げましたように、国家公務員法第七十九条第二号というのがございまして、職員が刑事事件に関し起訴された場合には、これを休職することができるということを決めております。
 この規定は、必ずしも起訴された職員が有罪であることを前提とするものではございませんが、身柄拘束中の者は当然職務には従事できないというわけでありまして、そうでない場合であっても、起訴されたまま職務に従事させることは、公務に対する国民の信頼をさらに失わせ、かつ職場秩序を乱すおそれがあることから休職処分とすることができることにしたというわけでございます。これらのことは、国家公務員法の今申し上げた条文によって決まっているわけでございますので、私個人がどのように考えるということは別の話だと思います。
 私個人といたしましては、刑事事件について起訴されたという事実はやむを得ない事実でありますので、それに基づいてこのような処分をしたというのは正しかったと思います。
河村(た)委員 検察に行ったんだから全部それを信ずるということだけれども、それはあなた、通らないよ、言っておくけれども。
 だれが考えたって、特にホース事件なんて、本当かどうかぱっとおかしいなと思うよ。それを一切確認せずに、現場にも行かずに、いいですか、これがもし間違っておったら、責任というのは余り関係ない、事実は。だけれども、ほとんどの人が実際やめているから。政治的責任になったらもっと軽くやめていますよ、みんな。だから、それはそれできちっとせにゃいかぬですよ。もし違っておったら責任をとってやめますね。
森山国務大臣 私といたしましては、この一連の事件によって起こりました行刑に対するあるいは法務行政に対する不信というものを払拭して、新しい行刑施設、行刑の方策を決めていくことが責任だと考えております。
河村(た)委員 そんなことなら、悪いけれども、死刑執行書に判を押してはいけません、何遍も言いますけれども。
 将来頑張れば済むというんだったら、人間の可能性は絶対に絶ってはいけない。いいですか、こういうことは重いんですよ。幾ら罪を犯した人間だってチャンスはあるという考え方はあるんだよ。
 あなた、自分だけは逃れよう、自分だけが将来頑張ればいいと言っているじゃないの。これはどう思いますか。
森山国務大臣 自分だけが頑張ればいいというふうに言ったとおっしゃっておりますけれども、私だけがというわけではなくて、私が先に立って関係者一同、特に法務省全体が反省の上に立って、新しい行刑の方針、政策を打ち立てなければいけないというふうに思っておりますので、それを申し上げたのでございます。
河村(た)委員 いろいろなお立場で言っておられるんだろうから、私も本当に言いにくいです。高齢者は大事にする人間ですから言いにくいけれども、しかし、ちょっといかぬよ。
 それと、何遍も言っておきますけれども、後でまたちゃんと聞きますけれども、みんな給料なしなんですよ。家族の生活権をみんな奪っちゃった。それが真実かどうかということは、自分でまず出向いて、あなたは職員を守る義務があるでしょう、刑務官を。これはどうですか。
森山国務大臣 私も、以前に何カ所か刑務官の働いている場へ行きまして、刑務官が大変難しい仕事をこつこつと地道にやっている人が圧倒的多数であるということはよく承知しておりまして、刑務官の職場の条件が少しでもよくなるようにということは一生懸命考えているつもりでございます。
河村(た)委員 では、これはまだ延々と続くと思いますが、大臣、悪いけれども、やはり、ホースで本当に人が死ぬんだろうかというのをみずから水を出してやってくださいよ。いいですか。やらないといかぬよ、これ。私は、やらせてくれと言ったんだけれども、その場でちょっとやらせてもらえなかった。これはやはり当然の義務だもの。人を一人罪人にするというのは大変重いことですよ。
 では、その実験をみずからの手でやるということを、そのかわり水圧も昔のままに復元せにゃいかぬよ、水道の栓を直しているから。それを約束してください。
森山国務大臣 やれるものならやってみたい、やらなければならないと思いますけれども……(河村(た)委員「やりますと言わにゃいかぬですよ」と呼ぶ)やりたいと思います。
河村(た)委員 一応、これはこうしまして、それから、刑事局長にもう一回約束してほしいんだけれども、あなたにも別に個人的に恨みはありませんが、例の、拘置所に今おられる渡邉さん、それから、本人も名前がいいと言っていますからここで言いましょう。在宅起訴された高見さんです。高見さんと私は何遍も会って、本人から聞いております。今言っているのは全部又聞きじゃありません。
 今、僕は名前を言ったから、彼らがこういうことで絶対に不利にならないように、やはり検察の権力というのはすごいからね、大臣、わかるでしょう。僕らと話すのはやはりすごい勇気が要るんですよ。絶対に不利にならないように、そういうことはないということをきちっと答弁してください、二人とも。
樋渡政府参考人 御本人たちの刑事責任につきましては裁判所で明らかになることでございますし、御本人たちがどういうことをおっしゃいましても、そのことで検察、法務の中で不利益になるというようなことはございません。
河村(た)委員 では、今の、悪いですけれども、今と同じ答弁でいいですから、大臣も。今、言ったでしょう。わかったでしょう。やはり本人、すごい勇気を持ってしゃべってくれているんですよ、僕に。一人は面会室の中です。立会人もおりますし。それからもう一人の方は在宅ですけれども、在宅なりにやはりいろいろな恐怖があると思います。だから、今言ったように、僕たちにそういうことを語ることによって不利にすることは絶対にないと大臣からも答弁してください。
森山国務大臣 それは当然のことだと思います。
河村(た)委員 ありがとうございます。
 では、委員長、刑務官ですね、名前を言えば、在宅で来れる方は高見さんです、高見さんを参考人でお呼びいただけるように、お願いします。
山本委員長 後刻理事会でしかるべく協議させていただきます。
河村(た)委員 そうしたら、次は、きょう、手元にちょっと入管の資料がありますけれども、配りましたけれども、私のところにないんだけれどもな、これ。
 入管について、いろいろな事件が、一々読みますと物すごい量がありまして、これをひとつ、委員長、資料、きょう午後になると言っていますけれども、これもやはり同じ法務省ですので、ぜひ、前、理事会でやりましたように、きちっと、ここにありますようなことを資料を提示いただけるように、これは別に理事会でやらぬでもいいと思いますけれども、お命じいただけますか。
山本委員長 これは、たった今配付された資料でございますので、中身を検討し、その後理事会で皆さんで十分協議をいただきたいと思います。
河村(た)委員 では、一応、それはそれで結構でございます。だけれども、きょう午後持ってくると言っていましたから、それはそれでお願いをするということにしましょうか。
 それで、あと、給与のことを言いましょうか。ちょっとダブりますけれども、この刑務官の皆さん、今無給なんですね。無給ですよ。これは今まで、法務省の場合、慣例としてこういうことですか。これは質問通告してありますけれども。
横田政府参考人 お答えいたします。
 起訴休職された者については、先例としては、すべて法務省の場合は無給になっております。
河村(た)委員 事実が、一応、僕ははっきりしないというふうに思っていますけれども、免職に次ぐ重い処分だよね、これ。そうですね、無給。そうですか、一応、ちょっと聞いておきましょう。
横田政府参考人 ただいま申し上げましたように、無給でございます。(河村(た)委員「重い処分」と呼ぶ)重いといいますか、国公法上の規定に基づく処分でございますので。
河村(た)委員 慣例はそうですけれども、ここに、先ほどちょっと話になりました国家公務員法では、「休職することができる。」と書いてありますね。それから、休職者の給与については「それぞれ百分の六十以内を支給することができる。」と書いてありますね。ですから、別に、給料を払ってもいいわけだ、これは。そういうことですね。あえて無給にした。法文上は給料を払ってもいいということですね。答えてください。
横田政府参考人 委員おっしゃるとおり、百分の六十以内を支給できるというのが法律に定めてございます。その中で法務省は、本件につきましては無給としたわけでございますが、これはやはり、本件が刑務官らの職務義務違反だということがほぼ明白であると考えること、それから本件の各事案が刑務官が受刑者を死傷させたという悪質かつ重大な事案であるということ、それから起訴になっておりますし実際には何ら職務に従事していないわけですから、これに対して給与を支給することは到底国民の理解を得られぬのではないかという判断でございます。
河村(た)委員 私も相当な勇気を持ってこれはきょう質問しておりますから、今までの流れとは違いますから、正直言いまして。しかし、これが本当に冤罪だったら、全員かどうかわからぬけれども、僕は本当にこれを晴らしてやろうと思っています、これを、彼らの恨みというか苦しみを。
 それで、では、もし違っていたら、だれが、どういうふうに責任とりますか、これ。生活権を奪ったんですよ、みんな。給料なしですよ。だれが、どう責任とりますか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 責任とおっしゃいますと、これは違法ということが前提になると思いますが、本件の事案につきまして、起訴休職処分になった者が無罪判決を受けた場合でありましても、起訴休職の処分自体が適法になされている以上、起訴休職処分がさかのぼって違法になるということはないものと理解しております。
河村(た)委員 となりますと、これは大変ですね。大変ですよ、これ。無罪判決を受けても、さかのぼって休職処分が間違いであったということにはならない、これは大変なこと。だから、よほどの自信を持っていろいろな調査をされたということだな。彼らが間違いなくこういうことをやったと。特にホース事件に、またやります、まあそういうことで。
 では、どうしましょうか。ちょっと時間があれですから、まず、保健助手にちょっと飛びますけれども、大阪における保健助手の当直について、特に大阪刑務所の保健助手、これについては、当直根拠、法律上の根拠、それから給料を支払う根拠、これはどうなっていますか。
横田政府参考人 まず、当直勤務をさせたことでございますが、これは大阪刑務所長の職務命令でございます。(河村(た)委員「法律上の根拠はないね」と呼ぶ)ないということはございません。(河村(た)委員「どこにあるんですか」と呼ぶ)これは、人事院規則による一般の宿日直ということになりますので、その中で行っております。
河村(た)委員 これは違うんだよ。あなた、間違いだよ。大変なことだよ、それ。
 では、宿直の金、一般のところから出ていますか、一般当直から。
横田政府参考人 失礼しました。大阪刑務所の場合には超過勤務の扱いにしております。(河村(た)委員「違うじゃないの」と呼ぶ)ですから、超過勤務の手当を支給しております。訂正いたします。
河村(た)委員 超過勤務と当直と違うじゃないですか。いや、訂正でできませんよ。それでは、もともと当直していないんですか。
横田政府参考人 ただいま申し上げましたように、大阪刑務所につきましては超過勤務でございますので、当直とは異なりますが。
河村(た)委員 では、現実に当直していますか。保健助手は当直をしていますか。
横田政府参考人 先ほどから申し上げておりますように、当直ではございませんが、夜間勤務はございます。
河村(た)委員 うそを言うなというんだよ。それを当直というんだよ。どうですか。夜間勤務と当直とは、一体何なんですか。何なんですか、一体。
横田政府参考人 本人の勤務時間として夜間勤務しているわけでありますので、当直というのはまた別の、当直というのは、勤務時間法という法律がございまして、十三条の第二項において、公務のため臨時または緊急の必要がある場合には、正規の勤務時間以外の時間において職員に勤務を命ずることができるという規定がございますので、これによって夜間の勤務を命じているということでございます。
河村(た)委員 とにかく、次のことがありますので、またこれは毎週やりますから次に残しますけれども、はっきり言いましょうか。それは違法な当直をさせていたんですよ。給与も違法な支出をしていた。
 いいですか。前回、矯正局長ははっきり認めたよ、中井さん、正直なんですよ、あの人。顔つきを見ておると大体わかる、正直な方だ。認めたんだよ、ちゃんと。なぜそういう違法なことをしておったか。違法な予算の執行をしておったわけですよ。では、これは次にします、あなたがむちゃくちゃだから。
 では次は、これは九月事件の渡邉貴志さん、この間もちょっと聞きましたので、繰り返しになるけれども、彼が答えたところは、彼が罪に問われている、私はそうは思わないけれども、核心的なところは、「渡邉が「もう一段」などと、更に狭い円周となる穴に尾錠の爪を入れるように指示」したというくだりで、これは前回の会議録です。僕が渡邉さんに、あなたはもう一段締めろということを言ったのかと言ったら、とんでもないことでと。これは渡邉氏が、本人が僕に言った言葉ですけれども、検事が、検察官が取り調べ中に、看守長が言ったこととすれば、より適正な職務執行になるから、こうしてくれと言われて、仕方がないとして認めた、こういうふうに彼は言っているんですね。彼にとって――それから、ビデオを見せてください、ビデオ。これはぜひ、約束ですから。
山本委員長 理事会でしかるべく協議をさせていただきます。
河村(た)委員 これは、そのビデオであれできますけれども、前半部と後半部があって、後半部のところには彼は関与していないんです、渡邉さんは、出ていない。前半のところなんです。前半のところで、もし彼が罪になるなら、もう一段締めろと彼が言ったかどうかというのは極めて根幹的なことなんだ。彼は、言っていない、こういうふうにしてくれというふうに検事に言われたと言っているんですよ。こういう捜査をしたんですか。
樋渡政府参考人 御本人がそういう主張をもしなされているとすれば、まさしく公判での争点になるところでございますので、公判で明らかになっていくものと思われます。
河村(た)委員 何遍もそんな話をしておりますけれども、悪いけれども、捜査というのは聖域じゃないのよ、言っておきますが、捜査中のことであっても。
 これは、事実を究明しようというのは委員会の広い仕事で、委員会というのは、全国民の作業を議員が税金をもらってここへ出てきてやっておるということです。その中の一つのあらわれ方が、これは検察の皆さんがやる。全体的な大きい流れというのは、この委員会で明らかにしなきゃだめだ。こういうところは根幹的なことなんですよ、全体的に、この真実を追求する上において。そう思いませんか。
 だから、これはこれで、こういうことをしているとか聞いたらどうですか、検事に、こういうことを聞いたのかと。
樋渡政府参考人 要は、捜査上の内容についてのお尋ねであろうかと思うんでありますけれども、検察当局が、専ら刑事手続におきまして、被告人の刑事責任追及の目的で与えられております権限を行使して行いました具体的な捜査活動や証拠関係を公判廷以外で明らかにしますと、関係者の人権、プライバシーを侵害するおそれがあるだけでなく、裁判官に予断を与えたり、関係者の通謀等による証拠隠滅のおそれも生ずるなど、具体的事件の捜査、公判に不当な影響を生じさせるなど考えられるものでございます。
河村(た)委員 後で言いますけれども、それは違うことを皆さん認めているんですね。
 福岡地検次席検事による捜査情報漏えい事件、これは後でもうちょっと、もう一つテーマがありますからそのときに言いますけれども。もしこれでだめなら、やはりこれは歴史に学びましょうよ。僕は、検事は正義の代弁者と信じたいけれども、歴史はそうじゃなかった、やはり裁判官も、検察官も。時には抑圧者であった、だから、いろいろなコントロールができた。それは、検察官の皆さんもそういうことが絶対起きないようにというのは最大のテーマだと思いますね、やはり。だから、絶対聖域にしてはいけないわけだ、これは。
 これは次のテーマにしまして、それから、革手錠で今回、五月、九月、この事件が起きたんですけれども、過去、これは、たしか平成十四年、百何件使っていますよね。そういうところで事件というのは起きているんですかね、果たして。
 だから、これはぜひ委員長、資料として、革手錠を使用した場合に本当にこういうことが、内臓破裂とかそういうことが起きているのかどうか、そこをちょっと資料提供をお願いできませんか、過去十年。
山本委員長 理事会においてしかるべく協議させていただきます。
河村(た)委員 それじゃ、次は高見さん。これは、ホース事件で在宅で起訴されております。私も何回か本人にお会いして、名前を出して本当にいいかと、いいです、ぜひ言ってくださいと言っていますから、だから私は言うんです。私は背番号にも反対しておりますし、プライバシーを非常に大事にする方ですけれども、本人の了解は得ましたから、これは言います。
 それで、その放水の核心は、やはり蛇口の水圧ですね、水。水をかけたことによって、故意も要りますけれども、それは、故意も要る。この点も問題があるんです、実は、懲らしめ目的というのは問題がある。本当に死亡ということが起きたか、この因果関係ですよね。特に、中の直腸の傷が切れたかどうか。
 となると、どう考えたって、あそこの名古屋刑務所の現場の消火栓でそれを調査すると思うんです。されましたか、これは。
樋渡政府参考人 捜査当局におきまして、起訴する前の捜査の段階で適切に捜査していると思います。
河村(た)委員 何ですか、それは一体。調査したということですか、それは。
樋渡政府参考人 失礼いたしました。適切に調査といいますか捜査をいたしまして、その水圧等々の実験もしております。
河村(た)委員 しておるんですね、やはり。
 いいですか。これはマスコミの皆さん、初めて出てきた事実ですよ。今言われておる豚でやったとかいうのは、あれは何でかわかりませんけれども、あれは場所が違いますね、局長。
樋渡政府参考人 ホースの水圧の実験結果等、これは技術者に依頼してやったということは前にも答弁をしておりますところでございますし、そういう死因に関しまして、それで死が生ずるかどうかということは、当然に捜査機関において実験等をしているというふうに思います。
河村(た)委員 ここは大変重要なところですから、これは。何人かの人間が犯罪人になるかどうかという瀬戸際なんですよ、大変重要なところですよ、これは。また、これは無罪だったら大変なことですよ、言っておきますけれども。
 だから、もう一回確認しますが、要するに、あの水圧で本当に肛門の中の方までああいう裂傷が生じるかどうかということは、あの現物で調査しなきゃわからない。絶対的なことですよ、これは。だから、それは調査したんですね、その水道の栓で。
樋渡政府参考人 まさしく立証のポイントでございますので、具体的な証拠につきまして、私の方でお答えするわけにはいきませんが、そういう結果が生じることは間違いないという捜査結果は得ているはずでございます。
河村(た)委員 答えないよ、これ。答えない。
 矯正局長、では、あなたは矯正局として、これは処分せないかぬでしょう。処分しているんでしょう、無給まで。当然調べているね、あなたはあなたの立場で、同じホースで。いいですか、大事なところはそこですよ。殺人事件でいえば、本当のピストルであったか、おもちゃのピストルであったか、ないし空気銃であったか、これで人が死ぬかどうかというのは致命的に重要なところなんですよ。だから、ほかのホースでやっちゃ絶対いけないんだよ。当然ですよ、これは。
 では、当然あなたやりましたね。
横田政府参考人 お答えいたします。
 私あるいは矯正当局としては、しておりません。
河村(た)委員 矯正はしていない。していないのに、本当に検事の言うことを全部うのみにして、真実であるということであれだけの処分をしちゃったわけだな。
横田政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、国公法上の起訴休職に伴う給与の無給ということは、被告人らが起訴されたという事実を基礎にして処分しているものでございます。
河村(た)委員 さっき言いましたけれども、何遍も言っておきます、議事録に残りますから。これは確認しておりますけれども、大林さんもそうだけれども。当然じゃないんですよ、法律上の根拠はできると書いてあるんだよ。
横田政府参考人 大変失礼ですが、誤解を与えたとすれば申しわけないことですが、私は、できるという規定に基づいてしたという趣旨でお答え申し上げました。
河村(た)委員 では、よっぽど確信があるんだ。よく放水の実験もせずにやったね、あなた、これ。とんでもないことだよ、そんなの。僕ならやらないよ、僕が小さい会社の社長であっても絶対に。それは、かわいい従業員じゃないですか。あなたにとってはかわいい刑務官じゃないの。どう思うんだよ、一体。
大林政府参考人 先生の御趣旨はわかるんですが、先ほども矯正局長から申し上げたとおり、本件が重大な事案である等の種々の事情を勘案して、このような処分をしたものでございます。
河村(た)委員 重大はわかっているよ。だから与党も協力してここまでやっているんですよ、これ。重大だからこそ真実をはっきり追求せないかぬのじゃないの、重大だから。どう思うんですか、大林さん。矛盾しておるよ、あなたの言っておること。申しわけなかったと言ってくださいよ。
大林政府参考人 先ほどから申し上げておりますように、本件は起訴された、これから裁判があるわけでございますが、起訴というのは重大な行為だと私どもとらえております。これに対して、法務省として、このような処分を行使したものでございます。
河村(た)委員 謝るつもりはありませんか、矯正局長、自分で調査しなかったことを。
横田政府参考人 先ほど申し上げましたように、また官房長も申し上げましたように、起訴されたという事実をもとにしての処分でございます。
河村(た)委員 だめだ、これは。情けない。僕はもう強烈な使命感を持って真実を追求したいと思う、これは。
 私の今の持っている感覚では、悪いけれども冤罪だな、これは。本当に大変なことになるよ、これ、なったら。言っておきますけれども、大臣、大変なことになるからね、これ、これが冤罪だったら、ということですよ。やはり本人の意見も聞いてほしい、言いましたけれどもね、これは。
 それから、乙丸さん、乙丸さんは懲らしめ目的で放水したと言われておりますけれども、乙丸さんとこの当該受刑者の方と、懲らしめ目的を持つような人的接触のある方でしたか。
横田政府参考人 矯正局として把握しているところでは、本人と特段人的なつながりはございません。
河村(た)委員 よく聞いておいてくださいよ、皆さん、これ。記者の方も、いいですか。
 懲らしめ目的で放水したと言っていますが、書いてあるんです、きちっと。彼は何の個人的つながりもなかったということを今答弁しましたよ。どこで懲らしめ目的が発生するんですか、これ。どうですか、局長。
横田政府参考人 懲らしめ目的といいますのは、これは刑事処分の起訴状の記載の事実でございますので、私ども矯正当局としてお答えする限りではないと思います。
河村(た)委員 刑事局長に聞きましょう。
樋渡政府参考人 懲らしめ目的でかかる犯行を実行したというふうに報告を受けておりまして、そのことが目的であったかどうかというのも、これもやはり裁判で明らかになるというふうに思っております。
河村(た)委員 委員長、本当に、本当にお願いします。党派のどうのこうのじゃなくて、わかったでしょう、今、全然人的関係のない人だったと。なぜかというと、彼は副看守長だから、乙丸さんは上だったんですよ。その人をなぜ懲らしめ目的でと、それも答弁できないと言っているんだ、これ。
 聖域なんですか。私たちは、それでは検察官の言ったことを全部信用するしかないんですか、委員会は。そんなことならやめた方がいいよ、これ、そんなことなら。かえって罪人をつくっていくばかりになっちゃう。そうでしょう。そうじゃないはずなのに、国会というのは、非常に大きい負託を受けているわけですよ。これはぜひお願いしたいこと。
 それから、血のついたパンツが、パンツないしこれは下着とかいろいろな表現がありますけれども、これを見たという初め報告があったけれども、それは虚偽であるというふうに中間報告に書いてありますね。これはどういうことかというと、こういうことです。血のついたパンツというか、これは本人に聞きましたら違うんですね、いわゆるパッチというかメリヤスというか、もも引きみたいなものなんです。そこに先に血がついていたということになると、放水の前から出血していたということになるんです、これ。わかりますか、放水の前から。だから、放水によって出血した、それはさらに出血が多くなったかどうかそれはわかりませんけれども、放水の前から出血していたということになるんですよ、これ。
 そういう報告が一たんは上がって、しかし、中間報告によるとそれはうそだと書いてありますけれども、よく調べましたね、これは、当然。何人かの人に当たりまして、本当に血のついたパンツを見たかどうか、パンツというかパッチですね、見たかどうかということを、当然調べましたね、これは。矯正局、やってちょうだい。
横田政府参考人 この今先生がおっしゃいました中間報告、これは法務省の行刑運営に関する調査検討委員会において、所要の調査をした上で中間的な結論を取りまとめたものでございます。(河村(た)委員「どういう調査を」と呼ぶ)これは、所要の関係書類、関係者の話を聞くとか、そういったことをやっております。
河村(た)委員 では、その調査の内容を明らかにするようにやってください。
山本委員長 理事会でしかるべく協議いたします。
河村(た)委員 そこも、今若干言えませんか、何人に聴取したとか、言えませんか。
横田政府参考人 不正確なお答えをしては申しわけありませんので、後日、調べた上でまたお答えいたします。
河村(た)委員 これは当然会議録も出ますので、全国民の皆様にもお願いしていかなきゃいかぬ。やはり、流れが違うんですよね、今言っていること。私も相当な決意を持っています、これは。刑務官の暴行を犯行というふうに断定されております。犯行と書いてあります。だから、真実は本当に何であったかということを、いいですね、これ。
 戻りますが、刑事局長に、これは重要なところなんですね。だから、こちらは調査をしていないと言いますが、放水実験を、現物のですよ、現物の。では、どういう放水実験がなされましたか、豚でやったとかなんとか言っていますけれども、これはどうなっているんですか。何回実験をしたんですか。
樋渡政府参考人 たびたび同じことを繰り返して本当に申しわけないと思うのでありますけれども、これはまさしく争点でございまして、これは裁判で明らかになるものと思っております。
河村(た)委員 いや、私はこれはもうとめてもいいんですよ。これをやっておったら、もうやらない方がいいですよ。ここは核心だから。
 いいですか、捜査であっても――一つ読みましょうか、福岡地検の例。これはこの間ですよ、例の裁判官の話ですけれども。
  本調査は、その主要な部分が刑事事件の捜査と重なっているため、調査結果の公表に当たっては、特に脅迫等事件関係者のプライバシーや捜査公判への影響に配慮しなければならないが、本件が検察や司法全体の在り方に対して強い疑念を生じさせている以上、可能な限り広く結果を公表するのでなければ到底国民の信頼を回復することはできない。
  そこで、以下、本件に対する国民の疑念の一つ一つに答える形で、調査の結果を明らかにしていくこととする。
こういうふうに言っていますよね、あの事件では、捜査であっても。
 これと比べて、どうなんですか、あなた。こっちは何ですか、それじゃ、これは重要でないと言うんですか、今回の刑務所事件は。
樋渡政府参考人 法務省としましては、同じ姿勢でやっておりまして、その捜査結果のできるだけ詳細なところをここで明らかにしていこうということで努力をしているわけであります。
 しかしながら、具体的な証拠はどうなっているのかということを問われますと、これはまさしく裁判で明らかにすべきだということで、結論は、そういう捜査の結果こういうふうになったということは、できる限りにおいて詳しく御報告申し上げているつもりでございます。
河村(た)委員 証拠というより、水が本当にそれだけの水圧があったかどうかなんて、わかるでしょう。放水実験をみんなやっておる、これは大前提ですよ、言っておきますけれども。なぜそれを言わないんですか。
 もうちょっと具体的に聞きましょう。
 では、先ほどちょっと言われたけれども、現場でやったんですね。途中まで答えられたから。途中でえらい伝統的な答えに変わってしまったけれども。名古屋刑務所の当該消火栓を使って放水実験をやられたかどうか。それから、豚で放水実験をしたと言われておるけれども、あれは名古屋拘置所であって、別のところであった。名古屋刑務所と名古屋拘置所は違いますから。別のところであったか。これはどうですか。
樋渡政府参考人 しつこいようでございますが、証拠の具体的な内容は御勘弁願いたいんですが、結果といたしましては、放水実験を依頼いたしまして、一平方センチメートル当たり約〇・六キログラムの水圧であったという結果は得ております。そして、豚であるかどうかは別といたしましても、そういう実験結果により、直腸内に傷ができるという実験結果を得ております。
河村(た)委員 そんなことなら、言うなよ、悪いけれども、刑事局長、〇・六キロだなんて、どこでやったかも何にもわからないのに。強烈な予断を与えるじゃないですか。どこで何が〇・六キロなんですか、これは。何なんですか、一体。現場で本当のものでやったのか。ある殺人事件が起きたときに、ピストルであったのか、本当のその銃だったのか。それも言っていないのに、法務省、ひどいよ。では、取り消しなさいよ、これは全部。
樋渡政府参考人 誤解を与えたとすれば申しわけございませんが、先生も御存じのあの消火栓にホースをつないだそのものの水圧を技術者に測定してもらった結果でございます。
河村(た)委員 では、その豚でやったというのはどちらでやったんですか、今、その場でやられたというのを認められたけれども。豚でやったという話がありましたが、あれはどこの消火栓でやったんですか。
樋渡政府参考人 したがいまして、それはそこまでいきますと、この当時の具体的な証拠の内容になっていくものでありますから、御勘弁願いたいと思います。
河村(た)委員 それはだめだ。そういう豚というのだけで。だれがリークしたんだよ、それは。何でわかったんだよ、豚だけが。刑事局長、なぜ豚だけがわかったんだよ。いいですか、マスコミの皆さん、名古屋刑務所でその消火栓で実験をしたというのは初めてわかった事実ですよ、これは。豚だと何でわかったんですか。
樋渡政府参考人 マスコミがどのような取材をされたかは、私どもにはわからないということであります。
河村(た)委員 とにかく、豚で放水実験をやったのは真実ですか。
樋渡政府参考人 しつこいようでございますけれども、そこまでいきますと、本当に証拠の内容にわたるものでありますから、御勘弁願いたいと思います。
河村(た)委員 では、時間もありませんから、お願いしたいのは、今刑事局長は認めたから、名古屋刑務所の当該消火栓、私は一遍見ています。保護房があって、ちょっと向こうにありますよ。そこで実験したということを認めましたから。これは悪いけれども、捜査云々というよりも、非常に重要なことだからね。わかるでしょう、これは当然。これについての当時の状況、それから、これは大臣も行くと言っていますけれども、委員会でこれはやはり検証しましょう。本当に当時どういう水圧であったか、現物で。これを約束してください。
山本委員長 理事会でしかるべく協議させていただきます。
河村(た)委員 では、ちょっと時間ですので、この辺で。
 それから、最後に一つやろうか。
 では、せっかく時間がありますから、これは大臣に。中間報告の一ページの上から六行目、「当委員会では、森山法務大臣から、職員の人権意識の欠如が生じた原因、人事配置や」云々とあります。これは「職員」と書いてあるね。法務本省の皆さんは職員なのか、何ですか。この「職員」というのは、下手したら現場の刑務官のことを言っているんじゃないの。これはどういう表現ですか。
森山国務大臣 現場の刑務官だけではなくて、法務省全体の職員というふうに私は考えております。
河村(た)委員 では、これは書き直してください。約束してください。普通、職員と言った場合は、そういう言い方はしません、悪いけれども。これは現場の職員という意味なんです。普通はそういうことですよ。皆さんそう思っていますよ、これを読んだ人たちは。
森山国務大臣 それは理解の仕方だと思いますが、私としては、いろいろな段階のいろいろな場所で働いております法務省の職員という意味でございます。
河村(た)委員 では、少なくとも、現場の刑務官だけではなくて、法務大臣も含む全員のということですね。(発言する者あり)法務大臣は職員じゃないんですか。では、法務事務次官は職員じゃないんですか。事務次官は職員じゃないんですか、これ。どうですか。
森山国務大臣 次官以下、みんな、大きな意味の、広い意味では職員だと思います。(河村(た)委員「大臣は違うの、あなたは」と呼ぶ)大臣は違うかもしれません。(河村(た)委員「あなたは違うの」と呼ぶ)違うようです。
河村(た)委員 まあいいけれども、これはどういうことかというと、こんなことは余り、ばかでもないけれども、非常に重要なのよ、実は。ずっと私は、言っておきますけれども、伝聞で聞いていないし、おかしいなと思ったんだ、今度の事件は。社会の流れが大きく、刑務官の暴行ということでだあっと振れてしまった。
 それで、何か現場の人間が――それと、あなた、表現はちょっと、何だったかな、現場か何か、職員か何かが、看守がなぜこういうことをしてしまったんだろうかということに思いをいたし、そういう表現を使ったことがあるよね、何かで。そうでしょう。ありますね。それは思い出せませんか。
森山国務大臣 そのとおりであったかどうかは私も記憶いたしておりませんけれども、似たようなことは申し上げたかもしれません。
河村(た)委員 そういうことで、どうも、革手錠もそうですけれども、何遍も話があったけれども、あれは使用を認めているんだよね、実は法務省自体が。そういうような構造の中で起きたことで、私はまだ全部確信を持っていませんよ、いろいろなことに。だけれども、どうも現場の看守さん、特に先がた聞いた、調書のところでもそうだけれども、看守長を初めとする、そういうところに、彼らが行き過ぎたんだという、何かそういうドラマをつくったんではないかということで、そうだとすれば大変な法務省の失態だということです。
 だからといって、日本じゅうの、全体の暴行があったことは事実ですから、暴行は処分されているけれども、そういう問題とは違いますけれども、名古屋刑務所事件についてはそんな気持ちを非常に強く持っていまして、これは、徹底的に真実追求を委員会としてお願いしたいと思います。
 以上です。
山本委員長 次に、山花郁夫君。
山花委員 民主党・無所属クラブの山花郁夫でございます。
 資料配付をお願いしていますので、よろしくお願いをしたいと思いますが――ちょっと待っていてもらえますか。
山本委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
山本委員長 速記を起こしてください。
 暫時休憩し、再開は、十一時十五分をめどといたします。
    午前十時五十七分休憩
     ――――◇―――――
    午前十一時十五分開議
山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。山花郁夫君。
山花委員 山花郁夫でございます。
 資料配付について、済みません、私も少し不手際があったようで、おわびを申し上げます。御尽力いただきまして、ありがとうございました。
 当委員会におきまして、かつて一度、私の質疑の際に、質疑が紛糾をいたしまして、休憩になって、そのままとまったことがございました。そのときの、何が原因だったかということについて、ひとつ区切りをつけておかなければいけないと思っております。
 矯正局からの、当時中井局長でありましたけれども、お話をいただいていたときに、死亡帳について、本省で実は持っているんじゃないかということを申し上げまして、いや、そうじゃないということで、全部ファクスで送られてきたんだ、そういう説明をいただいていたんですが、実際はそうではなくて、部分的には持っていたのがあったという話で、それが後から訂正があったんですが、ただ、その説明について、なお承服しがたいところがあるわけであります。
 資料としてもお配りしていただいておりますけれども、四月一日に、「行刑問題に関する資料(修正・追加分)」という、こういった大部なものをいただきましたが、そこに出ていることです。
 資料としてお配りしたのですと、一枚めくっていただくと、(4)のところにそのときのことが書いてあるわけです。「同日、名古屋矯正管区の職員は、調査の過程で、平成五年から平成十年まで六年分の死亡帳を含む関係資料をコピーし、当該写しを参考までに矯正局にファックスで送信しようとしたが、機械の調子のせいか、順調に送信できなかったことから、確実に矯正局に届けるためには持参した方がよいと判断し、当日出張可能であった同矯正管区の職員が矯正局に出張し、これを持参した。」と。
 要するに、五年から十年までの分については、ファクスで送ってきたんじゃなくて持参をしたのだという説明なんですが、ただ、この後の説明が、本当に大丈夫かしらという話ですね。
 つまり、ファクスの調子が悪かった、機械の調子が悪かったというんですけれども、当然一台しかないわけはないと思いますし、ほかにあったんじゃないかということ、これは理事懇談会の席で申し上げましたが、その説明のつもりなんだと思います。「なお、」ということで、「同矯正管区の職員は、名古屋刑務所や同矯正管区に他のファックス機器があることは承知していたが、順調に送信できない原因が、送信側、受信側、途中の回線の状況などのいずれであるか分からないこともあって、他のファックス機器による送信を思い付かず、」というんですよ。「確実性を第一に考え、持参させて届けることとしたものである。」
 これ、ちょっと何かばかにされているような気もするんですけれども、だって、これ、もし本当にこんなことだったら、緊急の際どうするんですか、矯正局と刑務所との間の何か資料のやりとりについて。もうちょっと納得のいくような説明をしていただけないでしょうか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 なかなか委員には御納得いただけないようでございますけれども、私ども、この点につきましては、いろいろ調べたんですけれども、やはり従前のお答えのとおり、名古屋刑務所の死亡帳の十年分につきましては、現場の施設から矯正局に取り寄せた経緯、これはもう述べておるところで、改めて申し上げますと、名古屋刑務所に調査に出向いた名古屋の矯正管区の職員が、平成五年から十年までの六年分の死亡帳、これを、関係資料をコピーいたしまして、そしてその写しを矯正局にファクスで送ろうとした、ところが、機械の調子のせいか、順調に送信できなかった。
 確実に、これは大事なものですし、それから誤送信などあっても、これはまた大変なプライバシーの問題もあるし、大変なことですので、これはやはりさっと持っていった方が安全確実だというふうに判断したということで、その判断そのものが間違っていた、あるいはそれはおかしいんだということには、私もまたいろいろ話を聞いているんですが、それはそれで納得できるというふうに思っているんですが。
山花委員 ただ、ちょっと書き方として、これは書面で残っていますから、「他のファックス機器による送信を思い付かず、」なんというのはちょっといただけないと思いますよ。
 ですから、これがもし本当に職員の人がそんな状態だとすると、それもそれで問題な気がしますよ。だって、一台調子が悪い、送ろうとしたけれども送れない、ほかにあっちにもあるかもしれないけれども、さあどうしましょうという話じゃないですか。
 これは要するに、今回のケースだけじゃなくて、これが本当だとすれば、ほかの折に資料を本省に送らなければいけない、矯正局に送らなければいけない、そういうときに、機械の調子が悪いから送れませんという、では新幹線でも乗って行きましょうかという話じゃないですか。
 この部分については、訂正されるなりなんなり考えた方がいいんじゃないですか、これは。書面でこんなものが残っていますけれども、いかがですか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 ここにも、先生からきょう御配付くださいました資料にありますように、何といっても順調に動かない原因がよくわからないので、結局、「思い付かず、」というのは、思いつこうという余地さえ全くなくて、すっと、短絡的と言うとおかしいんですけれども、とにかく非常事態というか大変な事態だと恐らくその職員は思ったと思うんですね。せかされているというふうに思ったと思うんです。早く持ってこいとか、確実に持ってこいとか言われているというふうになって、思いつく、つかないという以前に、新幹線で持っていこうという気持ちになったんではないかなと私は推測をしているんですが。
山花委員 これだけのことで余り時間をとろうとは思いませんけれども、ただ、ちょっとこの表現はいただけないと思いますよ。今後、今後というか、これを今すぐ削除するの何のとはお答えできないにしても、ちょっと検討いただきたいと思います。
 ところで、私はそれより以前に持っていなきゃいけなかったものだと思うんですけれども、仮にこのとおりだとすると、少なくとも死亡帳については、それまで全く取り寄せられていなかったという話なわけです。つまり、名古屋の事件がいろいろと起きていて、今回、こういう指摘があって初めて取り寄せたということですけれども、死亡帳というのは、例えば今までの矯正局からの御説明ですと、それだけで、どういう状況で死んだとか、あるいは革手錠を使われていたんじゃないかとか、保護房で死んだとか、わからないんだ。だから、被収容者死亡報告であるとか、身分帳であるとか、視察表であるとか、そういうのを見なければわからないんだというような説明を受けておりましたし、それはそれでそのとおりなのかもしれません。
 ただ、今まで御提出いただいた資料などを拝見いたしますと、死亡帳の記載からも、まれにですけれども、保護房に収容していたということが書かれているものもございますし、また、被収容者死亡報告であるとかそういったものがすべて、例えば、死亡帳に書かれていることが被収容者死亡報告にすべて網羅されているかというと、必ずしもそうではないものがあったり、あるいは、死亡帳に書かれていることと、後ほど川越の少年刑務所の件についても議論させていただきたいと思いますけれども、あれなどは死体検案書と書かれているものが異なっていたりであるとか、そういったケースが散見されるわけであります。
 そうだとすると本当に、要するに、今回、この法務委員会で資料の提出要求があって初めて取り寄せたんだとすると、矯正局として、今まで死亡帳を取り寄せていなかったということについて、きっちりと反省なり総括をすべきであると思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
横田政府参考人 本件が問題になるまでは、今先生おっしゃったように、矯正局にはなかった、本省でとっていなかったということは事実でございます。
 今おっしゃいましたし、また今回のいろいろな出来事を振り返ってみますと、今先生がおっしゃったように、今後、死亡帳の取り扱いをどうしたらいいか、あるいはその死亡帳に書かれているデータをどのようにするかということについては、改めて検討してまいりたいと思います。
山花委員 過日、同僚議員からも指摘がございましたけれども、私も、今回の件があって知り合いの検事の方であるとか、お話を伺いましたら、余り、刑事局長も従前から御存じだったわけではないという率直な御答弁がございましたけれども、検事の方だからといって死亡帳なるものの存在をみんな知っているということではむしろなくて、知らない方が普通のような印象を受けております。
 ただ、矯正局には、例えばかつて刑務所の所長をやられた方であるとか、そういう方がいらっしゃるわけでして、逆に、自分が在籍していたときに刑務所の中で、自殺であれ病死であれ、どういう形であれ、亡くなった方がいれば判を押すことはあるわけですし、当然知らなければいけないものなわけです。
 それについての情報が、結局、こういうものがありますよという情報がなかったのか、あるいは、あったのに、いやそれは大した書類じゃないんだということで取り寄せていなかったのか。その点については、まだ横田局長はなられたばかりでありますけれども、その点についても精査をしていただきたいと思います。
 もし知っていたのに言わなかったという話だとすると、それもそれで問題があると思いますし、知っていたけれども、よく知っているがゆえに、いやあれに書かれていることは大した話ではなくてということであったとしても、現に出てきたものを突き合わせてみるといろいろ違うことが書かれているケースとかあるわけですから、その点については、どこで情報がとまったのか、あるいはどこでどういう判断がされたのかということについてまた報告をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
横田政府参考人 御指摘の点につきましては、これから調査をいたします。
山花委員 ところで、死亡帳の点についてはこれで一たん切らせてもらいますが、マスコミなどにも出ておりますし、参議院の法務委員会でも問題となっておりましたけれども、府中刑務所で文書が紛失をしておりますね。中には、身分帳のうちの視察表であるとか非常に重要なものがなくなっているわけです。そして、これも行刑問題に関する資料の中でも報告がございますけれども、これが紛失なのか、あるいは故意によって何か抹殺されてしまったのか、そういうことについて疑念が残るわけです。
 特に、身分帳については、当初、保護房収容中の死亡案件五件について、私ども法務委員会のメンバーが出してほしいというふうな要求をしたのに対して、プライバシーの問題があるという話で出せないということだったではなかったでしょうか。行刑問題に関する三月七日に出していただいた第一次資料の中で、これは与野党一致して出してほしいということで要求した資料です。
 その中で、保護房収容者の死亡の五件のうちの身分帳を出してほしいというふうに言ったんですけれども、答えは「提出できない。」と。何となれば、
  被収容者身分帳簿は、個々の被収容者各人ごとに作成されるものであるところ、その内容は、当該被収容者の行刑上のすべての事項が記載されているものであって、具体的には、当該被収容者の名誉、プライバシー等に直接関係する事項を始め、処遇上参考とすべき事項、関係者の個人的な秘密に属する事項及び行刑当局のみが知り得る施設の適正な管理運営上必要な事項がほとんどであり、これらは職務上知り得た秘密に属するものであり、その内容が開示された場合には、当該被収容者や関係者の名誉、プライバシー等が著しく侵害されることとなるばかりでなく、被収容者の施設に対する信頼関係を失墜し、ひいては行刑処遇の円滑な実施が困難となるなど、施設の管理運営全般にわたって支障を生ずることとなる。
これだけ大事なものだと言っておきながら、なくなってしまうというのはどういうことなんですか。
 つまり、二月二十日の時点でなくなっていることがわかったということのようですが、もうかれこれ一カ月以上たつじゃないですか。調べるといったって、いつまで調べるつもりなんですか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 ちょっと説明させていただきたいのですが、現在も、この調査といいますか、身分帳全件当たっている最中でございます。
 めどということなんですが、確かに先生おっしゃるとおり、紛失したといいますか、見当たらないということがわかりましてから相当の期間がたっていることは事実でございます。その期間に新たなまた不見当というか見当たらないというケースが見つかったということで、これはもう全部当たらなければいけないということでやっているところなんです。
 実情なんですが、実は、府中刑務所では、収容者の出所あるいは死亡により終結した身分帳簿が約一万七千冊ございます。それから、在監中の被収容者の身分帳簿が約三千冊ございます。結局、約二万冊の身分帳簿を保管しているのですが、身分帳簿というのは、事件に、人によって随分違うのですけれども、人によっては膨大な記録になるんですね。一人一人についてつくりますので、一切合財の書類がまとまりますので。物量も相当なものですし、これを全部めくっていって、あるかないかとやっているわけで、実のところ、現在、連日十名程度の職員が毎日、執務時間の終了後やっているんです。しかし、なかなか、それだけの膨大な作業でございますので、一日百冊程度調べるのが実情なんですね。
 御承知のように、やはり職員も今大変な状況でございまして、これは言いわけだというふうにおしかりを受けるかもしれませんけれども、とにかく一生懸命やっていますし、こうして新たに出てくることによって、本当にこれは何だったんだろうということが、出てくることによって数がふえるそれから範囲が広がっていくことによって、一体これは何だということがまた新たな問題になりますので、やはりこれは全部やった上でないとなかなか結論は出ないのじゃないかということでやっていますので、もうしばらくお許しいただきたいというところでございます。
山花委員 ただしかし、参議院の方では、三月に質疑があったときに、月内にでも場合によっては刑事告訴も一つの選択肢だぐらいの話があったと思いますけれども、四月に入って、まだこれからも探すということですか。何か後退しているんじゃないですか、それは。
大林政府参考人 今御指摘の答弁、私がしておりますので、ちょっと事情を申し上げますと、御承知のとおり、府中の、要するに対象となった五件のうちの一部がないということで非常に問題になりまして、あの時点では私ども、一部、要するに対象の一件がないということの理解でございました。それで、その一件だけがないというのもおかしいということで、私の方で犯罪性が認められればということで告発のことについても言及したわけでございますが、今、資料等でお出ししているとおり、合計九件について見当たらないものが出てきております。そういう事情がありまして、それが故意によるかそれとも過失によるかということが非常に見きわめられないような状況にございます。
 ですから、ちょっと私の方で早急にという答弁を申し上げたのですけれども、今の現状、そういうこともありますので、もうしばらく御理解いただきたい、こういうふうに考えております。
山花委員 故意によるか過失によるかわからないということなんですけれども、ということは、当初、官房長がお答えになった時点では、刑事告訴も一つの、告発も一つの選択肢みたいなことを言われていたわけですから、当初は故意によるものであるという疑いの方が強いという認識だったのでしょうか。
大林政府参考人 今も御説明しましたとおり、あの時点におきまして、五件の保護房死亡事案ということが対象になりまして、その中の一件がないということはやはり不自然である、私どもそういう感覚でおりました。
 ただ、今申し上げたとおり、多少の事情は変わってきている。しかしながら、私どもの基本的なスタンスとしては、犯罪性が認められるなら告発はする、これは告発という形になると思いますけれども、そういう気持ちは変わっておりませんので、結論について、もうしばらく御猶予願いたい、こういうふうに思っております。
山花委員 ただ、今回の件は非常におかしいんですね。なくなっているケースについても不自然な感じもいたしますし、また、これについて個別にお話を聞くと、いや、身分帳というのはいろいろ動くこともあるので、例えば、府中に入っていた人が一回出所します。また再犯を行って違う刑務所に入ることになった。そうすると、今までの、どういう行状であったかとかそういうことについての資料が今度、府中から例えばAという刑務所に行くこともあるでしょう。その際に紛れたかもしれないという可能性についても聞いておりますが、ただ、本当にそれで違う人のものと一緒に行ったんだとすると、資料をもらった方が、いやこれは違いますよと慌てて返すと思いますし、ましてや死亡している件については身分帳は動かないわけですよ。
 府中で何年の何月に亡くなっている人については、後から手が入ってどの部分だけ抜いてという作業はないはずですから、そうだとすると、この府中での死亡案件についての視察表がないというのは極めて不自然なことだと思います。
 ただ、調べていったら、ほかにもないものが次々と出てきたというようなお話ですけれども、もしそうだとすると、それはそれで、私は府中の刑務所は二回ほど行って余り悪くは言いたくないですけれども、管理体制、本当にそんなことでいいのかという問題になると思いますよ。いかがですか。
横田政府参考人 原因がわからないので軽々に言えませんけれども、まことに先生のおっしゃるとおりで、やはり管理体制がどうだったのかということが問題になり得ると私は思っております。
山花委員 ただ、なくなったということがわかったのが二月二十日なんでしょうけれども、それ以前に間違いなく存在していた時期はあるわけですよね。いつの時点まであったのかということは聞いておりませんか。
横田政府参考人 まだ現実にはっきりしておりません。
 仕組みについてちょっと御説明させていただきたいのですが、御承知のように、身分帳簿といいますのは、いろいろな部署部署でつくられた書類が受刑者ごとに一括してまとめられるわけですけれども、ですから、まず、それぞれの各部署でつくられた書類が庶務の名籍係というところに集まるんですね。その過程で、そもそも各書類をつくった、もともとつくった部署が名籍係に書類を出したかというところが一つ問題になります。
 それから今度は、名籍係が仮に全部受け取ったとして、ではこれを今後編綴する過程で、間違いなく受刑者の中へ一括でとじたかどうかというのが一つ問題になるんですね。それから、名籍係はきちっとやった、今度、保管したときに、では保管庫の中でどうなったのかという、いろいろな段階で物を見ていかなければなりませんので、今のところはとにかくあるかないかを探している段階ですので、その上で全容がある程度つかめましたら、全体がわかってくると、一つの考え方というか見方というのがまた出てくるのではないか。そういう観点でまた調査をしなければいけないなというふうに思っているところです。
山花委員 今のお話ですと、二月二十日の時点になって初めて欠落していることが発覚して、要するに、当該受刑者が死亡されてから、その時点から追っていって、すべてが一たんそろったかどうかを調べてみなければわからないというようなお話ですけれども、それだとすると、とうにそんなことは調べがついてもいいぐらいの時間はたっていると思いますよ。つまり、本当は、ある時点ではちゃんとそろっていて、それがどこかのタイミングでなくなったと考えるのが自然なんじゃないですか。
横田政府参考人 委員のお考えというのはよくわかります。ただ、そこはまだ本当にわからないんです。
山花委員 府中の、府中のと申しますか、保護房で亡くなられて、過去三年で五件ある、こういうことは既に従前から指摘があったわけで、その指摘に対して、資料を出す出さないは別です、府中の刑務所として、そういう資料があるかどうかについて点検をされていると思うんですが、その際には、なかったという話はないわけでして、したがって、これはもう一回ちゃんと調査をしてほしいんですけれども、どこかの時点であることは確認されているのではないかと思うわけです。
 つまり、この二月の二十日前後になって突然、府中でこういう件があるじゃないかということを国会の中でだれかが言い出したというのなら、今の説明もまだわかりますよ。ただ、この件については、もう昨年来ずっと言われている話なんですから、それについて全く点検すらされていなかったというのは常識的には考えづらい。ただ、点検をした上で、いや、これはちょっとプライバシーにかかわることで出せないという、それはありだと思いますよ、いいとは言いませんけれども。
 ただ、全く今までそういうこともなく、突然消えてなくなったというふうに考えるのは、むしろ、その方が不自然ではないかと思いますので、改めてその点についての報告を求めたいと思います。答弁を一応お願いします。
横田政府参考人 私も、やはり整理して考えなければいけないと思っておりますので、そのあたりはきちっと整理をして、また御報告を、できることをいたします。
山花委員 それと、横田さんに文句を言ってもしようがないのかもしれませんが、この「行刑問題に関する資料」ということで、先ほど日にちを申し上げましたけれども、出てきたのが三月七日なんですよ。二月の二十日にはなくなったことがわかっていたんですよね。何でそういうことを報告しないんですか。プライバシーだ何だ、いろいろ、一般論で出せないという話をしていて。
 少なくとも、これは、与野党一致で出してほしいということを院として決めて、保護房収容者の死亡の五件ということで、府中についても出すようにということを理事会で決めて、身分帳ということで入っていたわけですよ。これについて、少なくとも、我々はそれに対して一般論でしか説明を聞いていないですけれども、何ですか、これも隠していたという話じゃないですか。
横田政府参考人 最初に見つからないということがわかった時点で、よく調べて正確なところを御報告しなければならないということで、期間がかかったというふうに聞いております。
山花委員 局長になられる前の話ですけれども、ただ、それもいいとも思いませんよ。少なくとも、具体的にこれを出してほしいと言って、その時点で、見当たりません、理由についてはこれから考えなければいけないという説明があってしかるべきだと思いますよ。
 大臣、突然振ってあれですけれども、今のこういうことについていかがですか。そういうことについてはちゃんと指導していただきたいと思いますけれども。いかがでしょう。
森山国務大臣 刑務所の中の管理体制を初め、全体として、いろいろと先生が不審に思われる点もあるかと思います。それらについては、誠実に調査をして御報告申し上げるようにしたいと思います。
山花委員 この点については、とりあえず以上にしたいと思います。
 その次に行きます。川越の少年刑務所の案件であります。本日配付をいたしております資料のA―4というのとBというものであります。
 もう既に新聞報道で出ているものですけれども、川越の少年刑務所で平成七年に亡くなられた、この死亡帳がA―4の資料ですけれども、これを見ますと、平成七年の十時十分ごろ、保護房で、突然倒れているおかしな状態で見つかっていて、十一時に死亡確認、「死因は、吐物吸引による窒息死。」とあるわけです。ところが、一枚めくっていただいて死体検案書を見ますと、左側の(16)というところでしょうか、「外因死の追加事項」ということで、死亡の確認の時点が八時五分ごろになっていますね。死亡帳は、十一時に死亡確認となっております。
 この死亡帳と死体検案書を突き合わせますと、矛盾する点も出てきますし、これはだって、見ると、明らかに何かおかしな話ですよね。暴れているところを押さえられた際、吐物を吸引した、吐いたものを吸い込んで、その上の方を見ますと、「吐物吸引による窒息」、要するに、それで窒息して、それが原因となって死んだんだと。A―4の方に行きますと、「吐物吸引による窒息死。」とはっきり書いてあるわけです。
 つまり、常識的な感覚からすれば、これは、暴れているところを押さえられて、その際に少し戻してしまって、それがまた気管支か何かに入ったんでしょうか、それで窒息して、それが原因で死んだというわけですから、恐らく制圧行為などがあって、それによって死んだという話のように見えるんですけれども、この点について、既に報道などでも報じられておりますが、御報告をいただきたいと思います。
横田政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、この死体検案書によりますと、被収容者が亡くなったのは午前八時五分となっております。傷害が発生したときも同時刻となっておりますが、この時刻は、川越少年刑務所の当時の記録によりますと、被収容者に革手錠を使用した時刻と一致するものであります。
 当時、本件につきましては、業務上過失致死容疑によりまして、埼玉県の川越警察署等による捜査を経まして、当時の浦和地検、現在、さいたま地検ですが、当時、浦和地検川越支部に事件送致されまして、嫌疑不十分で不起訴となっているというふうに承知しております。
 現在、本件を含めまして、過去十年の死亡案件につきまして、死亡帳関係調査チームによる徹底した調査を行うこととしておりますので、その結果を待ちたいと思っております。
山花委員 これは七年のものですから、業務上過失致死ですと、刑法の二百十一だから、五年以下の懲役で、公訴時効五年ですから、既に時効にかかっているケースだと思います。したがって、例えばそのチームで検察官を入れるとか入れないとかいう話がありますけれども、検事の方が見ても、もうこれから立件しようという話のものでもありませんし、また、当時、地検が一生懸命調べて嫌疑不十分だったものを今から調べても、ある意味、何がわかるだろうかというような話だと思います。
 ただ、死亡帳関係の調査チームですか、主たる目的としているものは一体何なんですか、副大臣。
 これは、つまり、私が申し上げたいのは、今回のケースで、例えば検事の方がこういう死亡帳をいろいろめくって調べるとします。検事さんなりの職業意識に基づいていろいろ調べられますから、そういう目で見れば、これはおかしいとか、いろいろ出てくるかもしれません。ただ、今回のこのケースだって、自分が検事だというそちらの意識で見れば、もう七年のだからいいじゃないかという話にもなりかねませんし、また、本来、事件かどうかということを確定させて、場合によっては、これだって嫌疑不十分という話ですから、恐らく、訴訟を維持することが可能かどうかということから、検事の方も、これは難しいんじゃないかという判断だったのではないかなと推測をいたします。
 ただ、そのこととは別に、刑事事件として検察が訴訟を維持できるかどうかという話とは別に、矯正行政として、これは暴行があったんじゃないか、それに起因する致死事件じゃないかということはきっちりと調べる必要があるんではないかと思います。
 もう釈迦に説法だと思いますけれども、例えば、これは民事事件ですけれども、お金の貸した借りただって、本当に貸し借りがあったって、ちゃんと証拠があって、証言とかいろいろな状況があって、それで立証できなきゃ裁判で勝てないわけです。
 こういう事件があって、まあ言いたくはないですけれども、恐らくは刑務官の、故意とは言いませんけれども、制圧行為があって、それに起因して亡くなられているケースだと強く推定されるケースなわけです。したがって、当時、革手錠の使用の事件だということですけれども、それが適正であったのかどうか。恐らく適正じゃないと思いますよ、こんな結果が生じているわけですから。
 そういったことについて、起訴できるかできないかという話ではなくて、どういう状況だったのか、そして、もっと言えば、名古屋だけが特殊なケースだったのではなくて、ほかの刑務所でも類似の事象というのがあったのではないか、そういうことも調査の目的にしなければ、本当の意味でのこれからの矯正行政のあるべき姿というのは見えてこないと思うんですけれども、ここのところ、その死亡帳関係の調査チームですか、どういう目的でやられているのか、また、どういう方針でこれから進めていくつもりなのか、御答弁いただきたいと思います。
増田副大臣 お答えをいたします。
 死亡帳調査班の目的ですが、先生のお話と私の考えていることと大体同じだと思いますが、過去十年間に行刑施設内で死亡した被収容者につきまして、刑務官等の違法な暴行等により死亡した疑いがないかどうか、これを解明し、その結果を行刑運営に関する調査検討委員会に報告をし、疑いを払拭できない事案については検察庁に通報し、さらなる真相解明を可能とすることにより、国民の行刑に対する信頼回復に資することというのが基本であります。
 そして、お尋ねにもございましたが、時効との関係ですが、その関係について、どうなんだ、検事はそのように考えるだろうというようなお話がございましたが、公訴時効が完成していると見込まれる事案が仮にあるとした場合におきましても、御指摘のとおり、捜査権の発動はもはやいたしかねる場合もあり得るかもしれませんが、このような場合があったとしても、調査を行い、その結果を今後の法務行政に生かしてまいりたい、このように考えております。
山花委員 そこはしっかりやっていただきたいと思います。
 ただ、ただというか、ちょっと話が戻りますけれども、この死亡帳についてなんですけれども、川越の少年刑務所のこの死亡帳、大変不審な点がございまして、一つは、死体検案書と死亡帳との死亡時刻が随分乖離をしているんですね。死体検案書は、八時五分に傷害が発生してという書き方なんですけれども、死亡帳の方は、十時十分ごろに心肺停止状態で発見された、こういうふうになっているわけですよ。つまり、傷害が発生したとき、少なくともこれは全然時間がずれているわけですし、革手錠の使用案件だったということもあるわけです。
 それと、この川越の死亡帳について、これだけじゃなくて、大部になりますので資料としては配付をいたしておりませんけれども、前後を見ていくと、みんな手書きなんですよ。これだけワープロ打ちだか何かされていて、ましてや、事件性があったものについてこういう状況になっているというのは大変不自然な気がするんですけれども、この部分、手書きじゃなくて、何でこんなになっているんですか。何か、ワープロか何かでプリントアウトしたのを張りつけているというようなことなんですか、これは。
横田政府参考人 お答えいたします。
 委員お尋ねの、この川越少年刑務所の死亡帳の作成経緯につきまして調査いたしましたところ、御説明申し上げますと、当時の川越少年刑務所の医務部の職員が、当該死亡帳の「病名 病歴及び死因」という欄に記載すべき内容を診療録に基づいてワードプロセッサーを用いて作成した上、医師がその内容を確認の後に押印しました。そして、それを庶務課に回付しました。そして庶務課では、担当職員が、死亡帳に氏名などの必要事項を記入して、医務部から回付された用紙を死亡帳の該当欄に貼付して、その職員の私印をここに、割り印みたいにしてありますけれども、押して、決裁に付したというふうに聞いております。
 ただ、このような取り扱いというのは、今先生がおっしゃったように、どうしてなんだろう、そういう疑義を招きかねないことは事実でございますので、このようなことはしないようにということは既に指導済みでございます。
山花委員 つまり、この部分はワープロ打ちされたものが張りつけられているということのようですけれども、ただ、もう既に「行刑問題に関する資料」でいただいているところでも、これから注意しなければいけないということで書かれていますが、本来は、だって、これは「法務技官 医師」とあって、医師がここに署名して、病名及び病歴、死因というのも、本来は医師が全部自分でやらなきゃいけないはずのものですよね。
 これだけじゃなくて、ほかにも何かそういうものがあるやに聞いていますけれども、それは今後注意していただきたいと思います。ただ、今回のこのものについては、ですから、何か極めて不自然な印象を受けるものですし、これはどう見ても、例えばA―4の方の死亡帳では、「十時十分ころ第五舎新保護房第一室において診察したところ」と、十時十分に診察したんだと書いてあって、死体検案書の写しを添付とか書いてあって、死体検案書の方を見ると何かちょっと違うようなことが書いてあるということなわけですから、それについて、やはり何か後から貼付されたんじゃないかとか、まあ改ざんされたとは言いませんけれども、でも、それぐらいの疑いもあるかもしれないものですから、これについてはまたしっかりと調査をしていただきたい、このように思います。
 ところで、保健助手の問題についてはまた同僚委員がいろいろと質疑されると思いますけれども、問題、違う点に変えていきたいと思います。
 過日、「行刑運営の実情に関する中間報告」であるとか、あるいは「行刑問題に関する資料」だとか、いろいろいただきましたけれども、この「行刑問題に関する資料(修正・追加分)」というものがございますが、この中で、特別調査チームによる調査ということで、十五年四月一日、矯正局特別調査チーム及び行刑運営に関する調査検討委員会の調査班の調査活動についてという部分があるんですけれども、この部分、本当はこれ全部についてと申し上げたいところですけれども、だれの責任においてこの中身はつくられているんですか。どなたか、当局で結構ですが。
森山国務大臣 御指摘の行刑問題に関する資料は、一連の名古屋刑務所における事件の国会における真相解明及び今後の行刑改革の議論にお役に立てるために、当委員会の理事の方々のお求めに応じて提出させていただいたものでございます。もちろん、これは法務省として作成したものでございまして、その最終的な責任は私にあるということになるわけでございます。
山花委員 今回のこの報告の中で、書きぶりについて大変気になることがございます。
 と申しますのも、今までいろいろ、ちゃんと調査しろとか資料を出せとか申し上げてきましたので、御努力いただいたことはそれはそれとして評価はいたしますが、先ほど河村委員からもいろいろと具体的個別の刑事事件に関する話が出ておりまして、刑事局長も答弁に大変苦慮されていたようであります。ただ、この報告書には、つまり、法務省として出している報告書にどう書かれているか。
 ある部分だけ紹介しますが、「特別調査班は、発足後直ちに、特別調査チームによる上記調査の結果を受け、更に刑事局等からも資料を得ながら、一連の名古屋刑務所事件の原因について、同チームと協同して調査分析を行った。」とあります。「調査の結果は、次のとおりである。」と書いてあります。
 この中で、「犯行状況」ということで、「平成十三年十二月十四日午後二時過ぎころ、乙丸副看守長、岡本副看守長、高見看守部長ら舎房区及び警備の担当職員は、受刑者Xの転房と保護房への消防用ホースを用いた放水を行うため、保護房に赴いた。」から、つらつらと罪状について、先ほどの〇・六キログラムの水を、ズボンをひざ付近まで引き下げて、臀部をむき出しにして、その状態で放水したんだとか、事実を認定しちゃっているじゃないですか。これは書き方として問題はありませんか。
 つまり、検察側の冒頭陳述によればこういうことであるという報告ならまだわかりますよ。「調査の結果は、次のとおりである。」ということですから、これは法務省として、法務大臣の責任において事実を認定しちゃっているじゃないですか。だから、さっきの河村さんみたいな質問も出るわけですよ。
 書き方については、私は別に弁護士じゃないけれども、乙丸さんとか前田さんの弁護士だったら、こんなことを書かれたら怒りますよ、法務省としてこうであると。裁判所だってまだ認定していない。さっき刑事局長は、いや、いろいろ個別の事案について言うと裁判に予断も与えるしと、極めて当たり前のことを言われていましたけれども、法務省全体として見れば、こんなむちゃくちゃな文書を出しているんですよ。これは釈明してください。
大林政府参考人 御説明いたします。
 今の資料関係につきましては、私の方が法務委員会あるいは法務の理事会、理事懇に出席させていただいて、委員の先生方からの御要請等も踏まえて、それでまとめたものでございます。
 やや言いわけがましくなりますけれども、資料につきましては基本的に、法務省としてはできるだけの事実をオープンにする、それから議員の先生方についてはできるだけ資料を早く出すということで努力してまいりました。
 そういう点もありまして、全体として見た場合に、通常の白書的な厳密な推敲はやっていませんので、やや不統一な部分があらわれたりしているところもあるとは思いますけれども、そこは御理解いただきたいと思います。
 それから、今の委員の御指摘につきましては、確かに、おっしゃられるように、基本的には冒陳の内容を前提として書いたものであると思います。ですから、そこで、河村先生からも御指摘がありましたように、刑事裁判で本来は全部明らかになる問題だとは思います。しかしながら、その前提として、事実関係を全部すべて、内容については言えませんというのもいかがかと。これは、先ほども言いましたように、わかる範囲のものは出して御批判をいただくというのが私どもの方針でございます。
 ですから、そういう点で、山花委員がおっしゃられるように、そこにやや矛盾があるのではないかとおっしゃられるのは私もわかりますけれども、それはそれで私どもの調査のチームが入手したものとして記載した。ですから、最終的な問題はやはり裁判で確定される、これは当然のことでございますが、その点を御理解いただきたい、こういうふうに思います。
山花委員 しかし、そういうことでしょうか。刑事局長、被告人は有罪判決を受けるまでは無罪と推定されるんじゃないですか。いかがですか。
樋渡政府参考人 おっしゃるとおりでございます。
山花委員 刑事局長、済みません、もう一言。
 それはやはり人権にかかわる問題ですよね。つまり、何条のという話ではありませんけれども、刑事手続上の人権という意味では、無罪推定原則というのは刑事手続上の人権ですね。
樋渡政府参考人 何人も裁判で有罪と確定されなければ罪に問われないということでございますから、それは、個人を罰するためには裁判をしなければならないという大前提でございます。もちろん人権でございます。
山花委員 そうですよ。だったら、ちゃんとこれは検察官の冒頭陳述によるとと書いてくれないと、今官房長いろいろ言われましたけれども、それははっきり言って法務省の人権意識の低さをあらわしているという話ですよ。刑事手続上の人権を全く無視しているじゃないですか、この書き方は。
 調査チームとして確かに、「刑事局等からも資料を得ながら、」とは書いていますよ。書いているけれども、この書きぶりは、「調査の結果は、次のとおりである。」調査チームとしてはこのように調査してその結果はこうだと書いてあるじゃないですか。いいんですか、こういうのは。
大林政府参考人 私の御説明で、冒頭陳述のみではございません。基本的には刑事局を通じて入手した資料もございます。そこの問題なんですが、ただ、御承知のとおり、起訴状は非常に簡潔な事実しか書いていません。その場合に、起訴状自体は検察庁から記者発表するわけでございますけれども、基本的に私たちは、いろいろな議論の資料というかそういうものを御提供していろいろ御批判を浴びたいということで、私たちのできるだけの入手した資料に基づいてそういう記載をしております。
 ただ、最終的に、裁判に基づいているものではないのでここまで書くのはいかがか、そういう御批判であればそれは甘んじて受けざるを得ませんが、私たちの気持ちとしては、できるだけ私たちの調査班が入手した資料を書いたということで御理解いただきたいと思います。
山花委員 私は、書いている内容について文句を言っているんじゃないですよ。書き方がこんなことじゃいかぬでしょうと言っているんですよ。
 こういう報告が詳し過ぎていけないとかそういうことを言っているんじゃなくて、法務省という名前で、先ほど大臣も御答弁ありました、究極的には私の責任だと。そういう文書の中で、冒頭陳述だけじゃないにしても、例えば検察官の主張はこうだとか、そういう断りもなく調査チームとして事実認定をしているわけじゃないですか。これはまずいんじゃないですかと言っているんですよ。いかがですか。
大林政府参考人 御指摘のとおり、具体的なニュースソースを明らかにできないものはございますけれども、確かに先生おっしゃるように、正確性を欠くんじゃないかとおっしゃられればそのとおりだと思います。今後のものには気をつけたいと思います。
山花委員 ともかく注意していただきたいと思います。例えば、そういう断り書きを書くとか、こういう嫌疑があるとか、こういう嫌疑で今公判中であるとかそういう書き方をすればいいのに、これは全部断定しているんですよ。そこは注意をしてほしいと思います。
 ちょっと、時間がなくなってきましたので、次に行きます。
 厚生労働省の方、ずっと、呼んでいてあれですね、済みません。時間がなくなってきましたので、先ほど佐藤先生からも質疑があったのと重複するようなところがあるんですけれども、今回の、死亡帳だけをめくっていても、すべてのことはよくわからないんですが、ただ、法務省が持っている施設の中で、医療刑務所もございますし、また、医療刑務所ではないけれども、医療重点施設ということで、例えば札幌、宮城、府中、名古屋、広島、福岡、この六つは医療重点施設ということで、お医者さんの数がたくさんいたりとか、器材についてもある程度のものがそろっていたりという施設があるわけです。
 ただ、例えば、過日議論になりました横須賀の刑務所、これは医療重点施設じゃないところで、例えば脳腫瘍の方がいたり、大阪の刑務所で舌がんとか多臓器不全で亡くなっていたりとか、大阪で胃がん、がん性悪液質であるとかがん性胸膜炎、金沢の刑務所で肝硬変、金沢の刑務所で肝がん、肝硬変、岐阜の刑務所で肝硬変、C型慢性肝炎とか高血圧症、C型肝炎、三重の刑務所で胃がんの疑い。こういった、何でこんなところにこういう人がいるんだろうという方が結構あるんです。その個別のケースを追っていけば、もしかしたら外部で治療を受けていたケースもあるかもしれませんけれども、そういうのがかなり散見をされますね。つまり、本当にこれで医療体制が十分なのかという疑いがあるわけです。
 また、横浜の刑務所には、肺結核の人がいたりとかするんですよ。結核というのは、こんなところにいていいんですかね。本来は医療刑務所なりなんなりというところにいなきゃいけない人だと思うんですけれども。
 ただ、先ほど佐藤先生の御議論にもございましたけれども、結構お医者さんの方が受刑者を診るのを嫌がったりだとか、法務省も人材の確保には苦慮されているようであります。この点については、別に批判をしているわけではなくて、法務省も大変だということのようです。
 例えば、弁護士さんだって、民事事件と比べて刑事というのは、余りお金にもなりませんし、いい仕事ではないということで、余りやりたがらない人が多いです。ただ、日弁連は、それでもしっかりとそういうことでフォローアップしなきゃいけないというので、例えば国選弁護のための人だとか、あるいは当番弁護士というので、そういう人のためにフォローしようということで、社会的な使命を果たそうという活動をしているわけです。
 こうやって見てくると、大変医療にも問題があるようにも思いますけれども、ただ実際、これはどこだとは言いませんけれども、例えば、診たがる人がいないので、ある刑務所では歯医者さんの治療で、今、したいんですというと五カ月待つそうです。五カ月ですよ。あるいは、あるところのお医者さんなんかは、刑務所というのは非常に楽な仕事だ、あそこは、大して出勤しなくたって、判こだって適当に押せばいいんだしということを言っている人も実際にいたりするんですよ。
 しかし、本来は、医療が必要な人に対しては、好き嫌いはともかくとして、やはりやらなければいけないというのは医師の倫理としてあると思いますし、厚生労働省として、先ほど佐藤先生の御議論というのは、例えば何かワーキングチームをつくってとかいう話がありましたけれども、そういうこともやっていただきたいと思いますし、また、その地域の医師会の方にやはりこういう実情についてわかっていただくような広報活動などもやっていただきたいと思うんですけれども、そういった取り組みについて、やっていただけるかどうか、方針、簡単な見通しだけでも御答弁いただきたいと思います。
篠崎政府参考人 先生御指摘のように、医師の確保あるいは緊急を要する、そういうような場合に、外部の専門医療機関との連携については、私どもも、刑務所とその所在する地域における医療機関との連携は非常に大事なことだと思っております。
 先ほども御答弁申し上げましたけれども、法務省の方で刑務所における医療体制を、検討会を設けて、立ち上げられるということでございますので、具体的な御要望に応じて、最大限御協力を申し上げたいと思っております。
山花委員 ありがとうございます。よろしくお願いをしたいと思います。
 もう時間がなくなりましたけれども、最後にちょっと申し上げたいことがあるんですけれども、これは法務省全体にかかわることだと思います。
 「行刑運営の実情に関する中間報告」ということで、これは三月三十一日にいただいたペーパーです。先ほど河村委員からも指摘があったものですけれども、きょう配付した資料を一枚めくっていただきますと、「はじめに」とありますが、三段落いきまして四行目の終わりから、「そして、その結果などを踏まえ、」ということで、「早急に実施すべき再発防止策として、革手錠の廃止、人権擁護局による情願案件の調査、被収容者死亡報告の保存期間の延長、行刑施設内における死亡案件の公表の拡充などの施策を決定した。」とありますよ。
 いや、法務大臣うなずいていらっしゃいますけれども、いいんですかね。いや、この人たちが勝手に決定しちゃう話なんですか。
 それともう一つ、私は何か悪い冗談かと思ったんですけれども、「行刑問題に関する資料」の一次で、法務大臣は、私がこれから情願なども全部見るように頑張りますと一生懸命言われていましたけれども、いや、悪い冗談かというのはそのことを言っているんじゃなくて、ここに書いてあることです。
 一枚めくっていただいて、いいですか、調査検討委員会というのは大臣より偉い人たちみたいですね。一番最後のウのところです。「大臣による情願全件閲覧の件を了承」とありますよ。あなたのやっていることについては、この人たちから了承をいただいた、「当委員会においてもその意向を了承。」とあるじゃないですか。どうなっているんですか、法務省というのは。
 一言、法務大臣、感想だけ伺って、質問を終わりたいと思います。
森山国務大臣 調査検討委員会の委員長は事務次官でございまして、その事務次官は私のすぐ下の部下でございます。その事務次官が、事務的な必要もあり、関係者の人たちの意見を取りまとめるというのがこの調査検討委員会の形式でございまして、私も、メンバーではありませんが、できるときは出席するという形でやっております。
 その席で、今、最初にお読みになった幾つかのことは、私がやるということを自分で決めまして、決定いたしたわけでございまして、その表現ぶりが上手かどうかというのは、私もよくわかりませんけれども、実際には、私が自分でやり、それを事務方が協力するというやり方でやっているわけでございます。
山花委員 時間ですので、終わります。
山本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。
 きょうも質疑の時間をいただきまして、ありがとうございました。
 行刑問題の集中審議ということで、法務省の関係者の皆様方、そして委員の先生方に対しまして、心から敬意を申し上げます。
 さて、この行刑事件につきまして、私は前回も質疑させていただきました。ポイントを三つ申し上げたわけであります。一つ目は、真相解明をすること。一体何が起こったのかを明らかにするということ。そして二つ目は、再発防止のための制度の改革、システムの改革をいかにしていくか。そして、その改革をするに当たっても、優先順位をつけて、すぐにできること、そして、長期間かけて大きな問題で議論をし、大きく改革をしていかなくてはいけないということを申し上げました。そして三つ目が、政治と行政の責任をどのようにとるか明らかにすること。国民が納得いく責任をどうとっていくか。以上三項目を提示させていただきました。
 しかし、その前提として、それ以前の問題として、私は、大変恐縮でございますけれども、国会での大臣の虚偽の答弁についての責任問題がうやむやになっていると思えてならないのは私だけではないと思います。
 そもそも、振り返りますれば、去年の秋でありますけれども、大臣は去年の十一月の時点で、この死亡事件をめぐりまして、国会の答弁ではこういうふうにおっしゃいました。捜査をしている最中なので、全容がわかった上で報告をし、処分をしたいと発言をしていたにもかかわらず、ことし二月に入ってからの記者会見におきましては、聞いたばかりだ、知ったのは逮捕直前であるとの認識を示されたわけであります。それに対しまして、私も予算委員会に所属をしておりますので、予算委員会でもその審議の推移をずっと見守っていたわけでありますけれども、矛盾しているのではないかと指摘されて、問題になりますと、ついうっかりしていて覚えていないと大臣は答弁をなさったわけであります。
 法務大臣の答弁には一貫性がなく虚偽があるとの指摘にどのようにお答えになられますでしょうか。
森山国務大臣 名古屋の事件というのは、残念ながら続いて起こりまして、昨年の十一月の時点では、初めの二つしか表に出ておりませんでした。そのために、その事態を明らかにした上で処分をしたいということを申し上げたのは、その二件についてが頭にあったわけでございます。
 二月になってから、初めて聞いたと申しましたのは、初めて聞いた内容が、ホースによって結局死に至らしめたというようなことがあるとは信じられませんでしたし、そういう事態があったということを初めて聞いたという意味でございまして、それはまた秋にお話ししたときとは違う内容のことを言ったつもりでございます。
 したがいまして、一貫性がないというお言葉は、確かにおっしゃった先生もたくさんいらっしゃいましたけれども、私としては、自分が申したことは、それぞれ対象が違うわけであり、格別うそをついたとか揺れたとかということはないというふうに自分では感じております。
樋高委員 その十一月の答弁の時点では、捜査をしている最中なのでと。今大臣おっしゃいましたけれども、別の案件であったということが念頭にあったようでありますけれども、改めて伺いますけれども、さはさりながら、答弁自体がどうも取り繕っているような形の印象をどうしても受けてならないわけであります。
 本当は大臣は御存じだったのではないかというふうに指摘する声も大きいんですけれども、いかがでしょうか。
森山国務大臣 印象としてぶれていたというふうな感じであるというお話でございましたが、印象というのはそれぞれ人によって違いますから、どのようにおとりになるか、その先生によって感じは違うと思いますけれども、私は常に、自分の知っていることあるいは自分の感じたことを、そのとき一番はっきりと、うそなく申し上げているつもりでございます。
樋高委員 局長から報告が上がっていないということ自体、もちろん大変な問題でありますけれども、少なくとも去年の十一月、十二月にわたって質問をした委員の先生方、私はもう全部議事録を拝見、精査させていただきましたけれども、いわゆる今回のホース事件、十二月事件を想定して質問をなさっていらっしゃるわけでありまして、それに対して大臣が捜査中でありますからということを言っていたということは、やはりそのことを知っていたのではないかというふうに疑いを持たれても仕方ないのかとも思いますけれども、いかがでしょうか。
森山国務大臣 正直申しまして、本当に存じませんでした。
樋高委員 大変恐縮に存じますけれども、やはり大臣、答弁自身がずさんであるというふうに、残念ですけれども、申し上げなくてはならないというふうに思います。
 そして、前矯正局長は、いわゆる受刑者死傷事件で引責をなさったわけでありますけれども、私は、この議論をずっと振り返りまして思いますのは、前局長お一人のせいにして終わらせようとしているような印象も私は受けるわけであります。前局長は、自分の判断で報告をしなかったんだというふうにおっしゃっていたわけでありますけれども、もちろん相応の責任をとらなくてはいけないのは、それは当然でありますけれども、お一人で責任をすべてかぶるのは無理があるというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。
森山国務大臣 前矯正局長におきましては、私に対して重要な事項を報告しなかったということで、訓告処分を受けましたし、また、私及び官房長に対して死亡帳について誤った説明をいたしまして、その結果、私及び官房長に国会対応を誤らせたというようなことで、二度までも重い処分を受けるに至っておりまして、今後の矯正行政の立て直しを進めていく上では人事の刷新が必要であると考えて、交代してもらったものでございます。
 一人で引き受けるというお話がございましたが、そのような局長としての責任を感じていただいて、そして、非常に人事上の変化もありまして、大変今反省していただいておりますし、現在は局長ではございませんが、官房付という立場で、その当時のことをいろいろ調査するのに協力をしていただいております。
樋高委員 法務省として、本来、行政機関としてみずから自浄能力を先頭に立って発揮していかなくてはならないという大きな責任がある一方で、去年からの議事録もずっと拝見させていただきましたけれども、私のような者から申し上げるのは大変僣越ではありますけれども、どうしてもやはり緊張感が欠如しているということを申し上げざるを得ないということを、私は印象として持っておりますことをまず御指摘申し上げたいと思います。
 それでは、中身に入ってまいりたいと思いますけれども、前回、副大臣、増田先生と議論させていただきましたけれども、巡閲官情願についてであります。
 この巡閲官情願、二年に一度行っているということでありますけれども、この法的根拠、どういったところにあるんでしょうか。
増田副大臣 巡閲官情願は、監獄法第七条におきまして、法務大臣情願とともに規定されております。被収容者が施設の処置に対して不服があるときに行われるものでありますところから、法務大臣情願が書面で行われるのに対しまして、巡閲官情願は、巡閲官に対して書面または口頭で行うことができるとされております。
 いずれも法的には請願の一種でありまして、申し出に対する応答義務はないとされておりますが、実務上は、必要な調査を行った上、申立人に対しまして裁決結果を告知する運用を行っているものと承っております。
樋高委員 それで、その巡閲官情願、本省の課長さんクラスの方が現地に赴いて直接ヒアリングをなさるということでありますけれども、これは二年に一度ということでありますが、これは、今実態としてどうなんでしょうか。大体、法律では二年以内ということでうたっていると思うんですけれども、やはり二年に一度行われているんでしょうか。
増田副大臣 お尋ねがございましたように、巡閲は刑務所等に対して少なくも二年ごとに、二年間に一回行うとされております。その際、被収容者は、巡閲官に対しまして、先ほど申し上げましたように、書面または口頭により情願を行うことができる、このように実はされておりますので、二年に一回かということでありますが、現状はそれで行っております。
樋高委員 それで、私も前回もちょっと申し上げたんですけれども、すぐにできることはやはりすぐにやっていこうじゃないかというふうに思うのでありますが、これはやはり期間が長いんじゃないかというふうに思いますけれども、増田副大臣、どう思いますか。
 やはり私は、期間はできる限り、極力、もちろん全体が全体、全部が全部とは申しませんけれども、例えば、名古屋ではこういう事件が起きたわけですから、名古屋だけでも、まず、例えば二年を一年八カ月にしたり、一年半にしたり、もしくはできれば一年にしたり、そういう努力をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
増田副大臣 私的なことを申し上げて恐縮ですが、私の頭の中にも委員と同じような認識なり感度が実はあります。
 そこで、巡閲官制度の頻度を含めた情願制度全体のあり方、さらには被収容者の救済申し立て制度全体のあり方につきまして、今後なされるでありましょう行刑改革会議での議論を踏まえてしっかりと検討してまいりたい、このように考えております。
樋高委員 その行刑改革会議で議論するのは大いに結構なことですし、やらなくちゃいけないんですけれども、そうではなくて、すぐにできることを、あってはならないことですけれども、今現在もしかしたら暴行事件が発生しているかもしれない。であるならば、やはり責任ある行政として、別に増田副大臣個人を責めている話じゃなくて、組織として、日本は法治国家としてやはり法に基づいて世の中が運用されているわけでございますから、やはり責任ある立場としてこういうふうにできることをすぐやるべきだという視点で私は申し上げているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
森山国務大臣 今までにも、すぐにできることはなるべく早くしようということで、幾つかのことを決めて実行いたしております。
 例えば大臣情願の話でございますが、これも、従来は矯正局が開いていたのでございますけれども、私自身がまず開いて中身を見るということにいたしまして、既にもうかなりの数を見ております。そのほかにも、例えば同じ情願の処理の面で、必要なものは矯正局ではなくて人権擁護局に処理を依頼する、指示するということも私の決定でやらせてもらっております。
 また、六カ月以内に革手錠を廃止しようということも決めまして、今、その代替用品を鋭意検討しているところでございます。
 また、被収容者死亡報告の保存期間を三年から十年に延長しようということも決めたわけでございます。
 それから、行刑施設における死亡案件のうち、被収容者の間における殺傷行為等による死亡とか、保護房収容中及び革手錠使用中並びにこれらの解除後おおむね一週間以内に亡くなったもの、あるいは職員による制圧等の行為中及びその制圧等の行為後おおむね一週間以内の死亡、あるいは自殺、作業事故、食中毒、その他事故による死亡、今申し上げたもの以外で司法解剖された死亡などについては公表することということも決めました。
 また、刑事局におきまして、行刑施設から被収容者死亡に係る通報を受けた事案の資料送付を全国の地方検察庁から受けまして、とりあえず過去三年間の案件について精査し、必要があると認められたものがあれば、検察庁に連絡して再捜査の要否について検討を依頼すること、以上のほか、過去十年間の約千六百件に及ぶ死亡事案について不審な点はないか十分に精査いたしまして、必要があると認められるものは所要の調査を行うなどを決めたわけでございます。
 これらに加えまして、行刑施設における医療の実情についても、先ほど来お話がたびたび出ておりますが、所要の調査を行いまして、しかるべき方策をつくるための参考にしなければならないというふうに考えております。
樋高委員 その努力はよくわかりますけれども、まず巡閲官情願なんですけれども、副大臣、これは、法改正しなくても、巡閲官情願のいわゆるインターバルを短くするということは可能ですよね。いかがですか。
増田副大臣 大臣からお話がございましたが、実は、二年に一回を縮めることはできるというので、当面その努力をしながら、行刑改革会議、それからもう一つは、今、特別なチームをつくりまして、全国で約千六百を対象に調査や何かを始めております。
 そういったもろもろのこと、当委員会でのいろいろの議論、これらが、私は、少なくともこれだけ時間がたてば、一つの特殊社会だと思いますけれども、あの刑務所の方々にも情報として行き渡っただろう。したがって、その観点に立って、今言った巡閲官情願、これを制度的にどうするかというのはそちらの体系に任せたい、傍らの者に任せたい、あとは、大臣と、もちろん大臣の補佐をしながら、詰まるものは詰めたいというような考え方でおります。
樋高委員 行刑改革会議にかけるということは、私に言わせしめれば、それは先送りそのものじゃないかと私は思うわけなんです。
 もちろん、おっしゃる意味もよくわかりますし、そのぐらいきちんと精査をして、どういう意味をなすのか、情願制度そのもののあり方を考えて、また、その背景にある今までの歴史的な経過から、問題点からすべて洗い出して、その上で考えるという意味もよくわかりますけれども、そうではなくて、今すぐできることの一つとして、まず、人がその現場に行くということを頻度を高くすることによって、またこういう問題の再発を防げる大きな改革の一歩になるのではないかという意味で私は申し上げているのであります。
 だからこそ、行刑改革会議にかけるのは大いに結構なことですし、それはそれで当然同時並行でやらなくちゃいけないけれども、やはり極力、本省なりさまざまな人が地域地域にあります刑務所、拘置所に行って、外部の人が行って、そこでさまざまな案件を直接拾い上げるということが、今までどうしても、二年に一度だと本当に忘れたころです。本省の課長さん、役人さんも、二年前に行ったことなんか忘れてしまうぐらいでありまして、本省の役所の方であれば、二年もすれば役職がどんどんかわっていきますから、その役職についたときに一回行くかどうか程度しかないわけでありますから、その頻度の問題を私は言っていると同時に、役所の、本当にこの問題の再発を防ぐんだという決意のほどを私は伺っているわけなんです。
 だからこそ、巡閲官情願をその会議でまた議論するのも大いに結構だし、それはそれでやっていいと思います。それはやるべきです。しかしながら一方で、前回も申し上げましたとおり、いろいろな予算的な措置だとか人が足りないとかもちろんありますけれども、それを政治のリーダーシップでもってぜひ乗り越えていって、別に、これができたからといってすべてが解決しないこともよくわかっておりますけれども、ぜひ意気込みを世の中にもPRしていただきたい。私、余りにちょっとシンプルな言い方をし過ぎるかもしれませんけれども、その思いを、それだけ法務省は本気でやっているんだということをぜひ外にアピールしていただきたいし、結果を聞いているわけじゃなくて、そういうふうに努力をしたいし、そういうことが望ましいぐらいのぜひ前向きな答弁をいただきたいと思います。
森山国務大臣 御指摘のとおり、行刑改革会議、これからやりますけれども、その議論が終わって結論が出るまでを待たなくても、できるだけ早い時期にできるものは早くした方がいいというふうに、私も全く同感でございます。そうすることが法務行政への信頼を回復する一つの道であろうと思いますので、もちろん、御指摘のとおり、予算とか人員とか、いろいろ乗り越えるべき山はたくさんございますけれども、できるだけ実行可能なものから早く改善措置をやっていきたい、最大限の努力をいたしたいと思います。
樋高委員 大臣、本当に、最大限の努力とおっしゃっていただいたのはありがたいんですけれども、この巡閲官情願、今までのペーパーではなくて、私、何を言いたいかといいますと、やはり、人同士の直接の触れ合いの場を、刑務所の中に入っていらっしゃる方と接触を持つということによって、大臣情願、いわゆるペーパーですとあくまで書面上の話ですけれども、その機会を、ぜひ、行刑改革会議の議論と同時並行して、言ってみれば、巡閲官情願によって問題点をその場で吸い上げるだけじゃなくて、行刑改革会議の議論にもどんどん生かしていっていただきたいという意味で私は申し上げているわけなんですけれども、大臣、もう少し踏み込んでぜひお答えいただけませんか。
森山国務大臣 おっしゃるお気持ちもよくわかりますし、私もほとんど同感でございます。ですから、先ほど申し上げましたように、最大限の努力をして御趣旨を生かしていきたいというふうに思います。
樋高委員 全国の刑務所、拘置所、今さまざまな真相解明されておりますけれども、事件が起きたところ、優先順位をつけて、ぜひ本当に、例えば二年というインターバルを一カ月でも、二十四カ月待たずに二十三カ月で行く、二十二カ月で行く、それをやはり実際に行動に移していくということが私は望まれるし、それがなくてはならないし、その責任が課せられていると思いますし、それがまた、今まで百年放置されてきた今までの矯正行政を改革する大きな糸口になっていくのではないかということを踏まえた上で私は申し上げているわけであります。
 そして、前回もちょっと申し上げましたけれども、自分なりの私案、樋高個人の考え方なんですけれども、具体的な改革の柱を申し上げさせていただきました。
 前回四つ申し上げたんですが、一つ目は、保護房全体の監視をしようじゃないか。要するに、ビデオ記録をきちんと撮っていきましょう。そして二つ目は、刑務官不足の問題、増員をしなくてはならない。三つ目は、刑務所医療の独立性の確保をしなくちゃいけない。もちろんこれも議論がありますけれども、これを申し上げました。四つ目が、刑務官の労働基本権の確保ということを申し上げたわけでありますけれども、これも、保護房全体の監視ということで、私が尊敬しております増田副大臣と前回も議論させていただきましたので、ちょっと続きとして申し上げたいんです。
 前回、副大臣の答弁の中では、いわゆるビデオできちんと記録をする、保護房、独居房に入られた方々、革手錠使用中はビデオを撮影しましょうということもひっくるめまして答弁をいただいて、客観的事実を担保する方法として大変有効であるという御答弁をいただいておりますけれども、今現在、全国の保護房の数、大ざっぱな数字で結構です。それと、そもそも、ビデオ監視カメラが設置済みの数を含めて御報告をいただいて、そして私は、保護房全体に、全部に、録画設備を緊急に全国に配置すべきだというふうに考えておりますが、それについての御所見を伺いたいと思います。
増田副大臣 計数ですから、端的にお答え申し上げます。
 保護房は、全国の行刑施設の中で、百八十九庁のうち百七十八庁に設置されております。その数は四百八十八室であります、部屋であります。したがって、どのくらいの率かというと、約九四%ぐらい設置されております。
 設置しないというのがはっきりしないというのは、交通刑務所の関係で市原がはっきりこれは開放ということになっています。それ以外には小さな支所が全部で十ほどある、このように承っております。
 以上です。
樋高委員 それで、ビデオ監視カメラの設置済み数、四百八十八の保護房があって、そしてビデオ、いわゆる録画ができる設備が設置してあるのは何カ所でしょうか。
増田副大臣 行刑施設には携帯用ビデオカメラが全庁に整備されております。また、監視カメラにつきましては、全国の行刑施設の保護房四百八十八のうち四百三十四室に設置され、設置率は部屋からいいますと八九%、こういうふうになっております。
 いろいろ御発言の中で出てきている話なんですが、保護房内にビデオカメラを設置することについて、より綿密なことができるから全部やれというような御趣旨だと思います。そのことについては可能な限り引き続いて努力をしていきたい、このように思います。
樋高委員 今、八九%はもう設置済みだ、ですからあと残り一一%ということでありますけれども、携帯用ビデオ機器でも当然録画が可能なわけですから、やはり保護房収容期間中の録画を義務づけるべきだというふうに私は思いますし、多くの声を聞かれるんですけれども、今現在はそれはなさっていないでしょうか。
増田副大臣 現在は義務づけておりません。
樋高委員 では、大臣、この際義務づけられたらいかがでしょうか。
森山国務大臣 義務づけるのは簡単なんでございますけれども、その後、これを保存して、後々の資料として使うということになるわけでございましょうが、それの保存が非常に大きな分量になりまして、なかなか難しゅうございますので、さらにもっと進んだ技術を使って小さなものにして保存するということができるようになればなおいいかと思いますが、そういうことについても検討していきたいというふうに考えています。
樋高委員 大臣、義務づけ簡単だとおっしゃるのであれば、私もこの間横須賀刑務所を視察してまいりましたけれども、倉庫があって、それぞれの行刑施設によってそれぞれの保管庫の大きさ等々も違うと思いますけれども、これは本当に、私さっき申しました、巡閲官情願、すぐできることじゃないかというふうに申し上げたことと同じことでありまして、ビデオ記録は、やろうと思えば本当にできると思います。
 むしろ、仮にそこで本当に暴行事件のようなことが何も行われていなければ、またそれを逆に立証することにもつながっていくわけでありますし、また、ビジュアルに、映像として撮っておくことによって、やはりそこで本当に真実が映像でわかるということは、私は物すごく今の時代にあって当たり前のことであり、むしろなされていない方がおかしいと思います。
 本当に保管の倉庫ぐらいつくったって十分いいんじゃないかなと思いますし、今、ビデオテープだけじゃなくて、MDというんでしょうか、すごく小さくされた設備があって、それを実際に使っているところもあるようでありますし、また、横須賀なんかは、保護房に入られてから、一週間後に自動的に上塗りされていく、上書きされていくということでありますけれども、何かちょっと工夫すれば十分に対応は可能だと私は思います。
 やはり、保護房をビデオできちっと撮っていさえすれば、後で、本来国会というところは、こういう事件の真相解明も当然必要なんですけれども、そうではなくて、もっと前に向かって、後ろ向きな議論をする、後ろ向きな議論とは言いませんけれども、より日本をよくするため、より法務行政、法律にまつわるさまざまな問題をもっともっとよくするために、もっと前向きな議論の方に私は労力を費やせるんじゃないかというふうに思うから申し上げているのでありますけれども、やはりビデオの記録をぜひ撮るように、ぜひ御検討いただけませんでしょうか。いかがでしょうか。
増田副大臣 先に結論を申し上げますが、一生懸命検討し、努力をしていきます。
 そこで、一応計数的な話なんですけれども、御理解をこの際賜っておきたいなと思うのは、保護房内をビデオ録画で監視するというのは、手続の適正を担保する方法としては、もちろんおっしゃっているように大変有効であります。
 被収容者が多数で、ビデオ録画時間の合計が相当長時間に及ぶことが考えられます。記録媒体の保管場所、先ほど来話が出ておりますが、これが大変苦慮するという実情、事実上、実務上の問題点があります。仮に保護房内を二十四時間録画するとした場合には、二十一時間連続録画が可能なビデオテープが一年間に約二千四百本程度必要になる、こういう計算になってまいります。
 そこで、もちろん大臣先頭に努力はしてまいりますが、直ちにすべてのビデオテープを保管するところはどうかというと、今のところ、物理的に直ちにというわけにまいりませんので、努力を傾倒してまいりたい、このように思います。
樋高委員 努力はもちろんわかりますけれども、やはり、だからこそ困難を乗り越えるように努力をしていただきたいわけでありまして、現実問題、現実的になかなか難しいこともよくわかっている上で私は申し上げているわけであります。
 こういう問題を、やはりきちんとビデオを保管を義務づけてしまいさえすれば、それがもしなかったとすれば、隠ぺいそのものだということもまたある意味ではっきりしますし、また、それが残っていれば、その後、例えば司法の、司直の手に渡って、裁判が行われるときには本当に物証になるわけでありますから、やはりきちっと映像として残しておくということを私は強く要望させていただきたいというふうに思います。
 そして、二番目の点なんですけれども、刑務官不足の問題なんですけれども、前回さらりと申し上げましたが、この調査検討委員会の資料でもありましたように、職員一人当たりの被収容者数ということで、いわゆる職員一人当たりの被収容者数が日本は四・一人だ、それに対して、アメリカは三・一、カナダは一・一、フランスは一・九、イギリスは一・六。
 そもそも、被収容者の方々が急増したのはわかります。急増してきたのもわかります。一方で、全体の行革の流れの中で、なかなか刑務官の人員をふやせなかったこともわかります。しかしながら、ここの調査報告書にも書かれてありますとおり、平成八年から、いわゆる収容率が八割が一番適正なんだというふうにここに書かれてあります、この中間報告の中に。平成八年から既にもう七年間にわたってある意味で放置されてきたという、この責任も私は重要なんじゃないかなと。
 要するに、例えば平成十三年から十四年になったときに被収容者の方々が倍になったわけじゃないわけでありまして、もちろん曲線としては急カーブでありますけれども、徐々にやはり多くなってきているわけですから、これはやはり行政が先手を打って、定員の八割が一番適当ということをもう文書としてなっているわけですから、それが平成八年当時だったんだそうでありますので、やはりその時点できちっと今まで打ってこなかった責任というのは私は免れないのじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
森山国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、被収容者の数がどんどんふえておりますのに、それを扱うべき行刑施設の職員についてはなかなかふやすことができないというのが現実でございました。
 しかし、ことしは、大変その実情はややわかっていただきまして、二百四十三人の増員を認めていただいた。今の定員削減の時代に大変画期的なことだということで、感謝はしているのでございますけれども、減員の数を差し引きますと百二人の純増ということでございまして、一万数千人の全体の中では本当に気持ちだけというようにしか私には思えないので、このようなさまざまな問題が出ております背景には、過剰収容というものもございますし、刑務官の負担の増ということも一つの原因であると思いますので、何とかして増員をさらにしていきたいというふうに考えております。
 外国の例などを見ますと、できれば今の倍ぐらいあれば少しは楽かなという気がするのでございますが、また、人数だけふやしてもだめでございまして、施設も少しゆとりがないといけません。そうなりますと、施設もふやしていかなければいけないということで、施設を誘致することを歓迎してくださる市町村がたくさんあって、しかも住民の方々も御理解をいただくというようなところがたくさんあって初めて実現可能だと思いますので、いろいろな問題がございますけれども、一生懸命に努力していきたいというふうに考えています。
樋高委員 平成十四年の被年末収容人員ということで、六万九千五百二名、そして刑務官の方々が定員が一万七千強でしょうか、ということなのでありますけれども、では、刑務官の適正定員、どのぐらいの数だと、今一万七千強でありますけれども、どのぐらいの人数いるべきだというふうにお考えなんでしょうか。
森山国務大臣 にわかに何人ということを今申し上げるのは大変難しいのでございますけれども、先ほども申し上げましたように、御指摘ありましたような国際比較ということを考えますと、その中でも日本というのは非常に負担の多いということが数字にあらわれておりますので、せめて国際水準並みにいきたいというふうに思っています。
樋高委員 今回の行刑事件の一つの要因が、やはり労務過剰もありましたでしょうし、また、名古屋の執務環境の悪化ということでここに細かく書かれてありますけれども、やはり人をふやして、そして刑務官の方々を、いわゆる職務が執行ができるようにするためには、すぐにはできないわけでありまして、やはり先んじて、前倒しで手を打っていかなくてはいけない。にもかかわらず、私が先ほど申しましたように、平成八年の時点で、もう既にいわゆる収容定員の八割を超えたという時点で手を打っていかなくちゃ人の養成も間に合わないわけでありまして、今すぐにでも手を打っても間に合わないけれども。
 今、純増では百二名ということでありまして、この問題について危機意識を覚えるのは私だけでないと思いますし、またさまざまな犯罪もこれからふえていくと思います。やはりこれは、政治家である大臣、副大臣、政務官がリーダーシップを発揮していただいて、先々を見てしっかりと手を打っていただかなくてはいけないというふうに思うから申し上げているわけであります。
 そして次に、刑務所医療の独立性の確保ということでありますけれども、刑務所の中にお医者さんの宿舎もあって、そこに住み込んでいた。それはなぜかというと、今までは、同じ塀の中というか、すぐそばにいて、夜中に何か起きたときにすぐに対応できるようにということもあるでしょうし、また、もちろん脱走されてはならないでしょうからという意味もあると思いますけれども、なぜ今まで施設に常勤の医師を配置するという体制でやってこられたのかについて、まず伺いたいと思います。
森山国務大臣 行刑施設の医療につきましては、診療の対象が被収容者でありますことに伴いますいろいろな専門的な配慮が必要でございます。被収容者の身柄の確保及びプライバシーの保護の観点から、施設内において診療が行える体制を維持する必要があること、非常時に登庁できる医師を確保する必要があるなどの理由から、施設に常勤の医師を配置するというやり方で今日までやってまいったわけでございます。
 医療体制のあり方につきましては、私が先日つくると申し上げました行刑改革会議にお示しする行刑運営に関する調査検討委員会の中間報告の中にも、あえて課題として含めるよう指示いたしましたところでございまして、御指摘の点を含め、十分に検討してまいりたいと考えています。
樋高委員 そこで、考えていただきたいのは、そういうふうにしているという意味はわかりました。わかりましたけれども、今指摘をされているのは、仮に不審事案が中で発生をしても、どうしても身内をかばおうとしてしまうのはこれまた人情でもあって、隠ぺいをしてしまおうという意思がどうしても働いてしまうのじゃないか。もちろんそんなことがあってはならないんですけれども、さはさりながら、すぐそばで、例えば刑務官の方の官舎もあって、そのすぐそばにお医者さんが家族で一緒に住んでいて、本当に近所のつき合いも当然しながら同じような職務に携わっていらっしゃる。そんな中にあって、同じ一つの形成された町の中で医療が行われているということは、余りにちょっと閉鎖性が過ぎるのではないか。
 私は、少しはやはり外からお医者さんを入れて、そうすれば、定期的にお医者さんが中に入ることによって、こういう事案が発生したときにはよりわかりやすくなるでしょうし、つまりオープンにしてほしいという意味で申し上げているんですが、そうすることによって、またお医者さんの数の確保もできる、そして医療の質の確保も、私は最新の医療でできるのではないかと。刑務所の近くにもお医者さんはたくさん住んでいらっしゃるんじゃないかと私は思うんでありますけれども、この部分について、いかがお考えになりますか。
森山国務大臣 刑務所の中の医療につきましては、おっしゃるとおり、大変いろいろな問題がございますので、行刑改革会議におきましてテーマとして取り上げていただこうと考えておりますし、また、それとは別に、できることがあればできるだけ早く、先ほど来おっしゃっているような考え方を取り入れまして、なるべく早く手を打ちたいというふうに思っておりますが、行刑改革会議のメンバーにも専門のお医者さんに入っていただきまして、その専門のお立場からアドバイスをいただき、またお助けを願いたいというふうに考えているところでございまして、おっしゃるような問題点は、私も十分認識しているつもりでございます。
樋高委員 私の改革の私案でもう一つ、五番目が、拷問等禁止条約の選択議定書の批准、これはまた次の機会にさせていただきまして、今おっしゃいました行刑改革会議につきましてなんでありますが、その会議のたたき台として、この三月三十一日に出されたいわゆる調査検討委員会のこれをたたき台にしましょうよということでありますけれども、この間も議論しました。
 大臣としては年内にできれば方向性を見出してほしいということでありましたが、この中間報告みたいなのは、今後その行刑改革会議では随時出されていく予定なのか。そして、一番最初、別にそのとおりにならなくていいですから、できれば例えば夏ごろまでに、まずちょっとある程度の形を出していこうとしているのか、していないのか。それとも本当に、仮に二年なら二年間会議をして、最後で初めて出してそれでおしまいなのか。
 ちょっと、もう少し詳しくその行刑改革会議、もちろん先のことはわからないでしょうし、これからスタートしたばかりだという話かもしれませんけれども、大臣がこうしてほしいという要望で結構です。おっしゃっていただきたいと思います。
森山国務大臣 先生が既におっしゃいましたように、これから始まる会議でございますので、実際に今から私が、具体的にこうこうするべきであるとか、したいとかいうことはなかなか言いかねるんでございますけれども、例えば、過去十年間の行刑施設内での被収容者が死亡した事件の約千六百件については、当然その行刑改革会議のテーマにもなると思いますけれども、今スタッフをそろえまして全国一斉に調査をいたしておりますし、早目に、その件についてはその調査が終わりました時点で御報告を申し上げることができるだろうと思います。そのほかにもいろいろテーマごとに折々出てくる報告書があるかもしれませんし、その節はできるだけ早く先生方にも御報告しなければいけないと考えております。
 できるならば、全体の調査報告書もそんなに遠くない将来に、ある程度のめどがつくような方向を示していただきたいと考えておりまして、大変お忙しい先生方ばかりですので、余り長期間お引きとめするのはどうかとも思いますので。
 そんなような意味で、内容については特に何の自信も確信もないわけでございますけれども、できるならば、ことしいっぱいくらいに方向がある程度わかるようになればありがたいなというのが私の感じでございます。
樋高委員 ぜひ、大臣の私的諮問機関というたしか位置づけだと思いますので、それは大臣がいついつまでにと、今オフィシャルに言えないだけなのかもしれませんけれども、きちんとした期限を切っていただいて、しっかりとした改革のビジョンを一刻も早く打ち出していただきたいというふうに思います。
 どうもありがとうございました。
山本委員長 次に、木島日出夫君。
木島委員 日本共産党の木島日出夫です。
 四月一日に続きまして、名古屋刑務所で起きた事件に関して、事実関係をお聞きいたします。
 私が要求をいたしました資料が、先日、法務省から出てまいりました。その資料から一部を抜粋いたしまして、本日、この委員会への提出資料として配付をさせていただきたいと思いますので、委員長のお許しをいただきたいと思います。
山本委員長 どうぞ。
木島委員 資料1を見てください。名古屋刑務所での一連の暴行陵虐致死傷事件の最初の事件であります消防用ホース水の放水による致死事件、この暴行が行われたと起訴状の公訴事実に記載されています平成十三年十二月十四日午後二時二十分ころの諸記録のうち、既に提出されております処遇票と題するものの部分がこの資料1であります。
 事件が起きた平成十三年十二月十四日の午後十二時四十五分「視察不能である」、午後一時「視察不能である」、午後一時十五分「視察不能である」、午後一時三十分「視察不能である」、午後一時四十五分「視察不能である」。そして問題の時刻、午後二時であります。「「あー」と大声を発している」、こういう記載があります。二時十五分「「あー」と大声を発している」、こういう記載があります。問題の時刻、二時二十分ですが、「視察可能となったが、本人出房中」と記載があります。問題の同じ時刻、二時二十分には「保護房一室へ転房する」と記載があります。十分後の午後二時三十分には「「アーッ」と大声を発している」、一部閉ざされておりますが、何とか室からと。
 それで、お聞きします。処遇票はだれが何を根拠に記載したのでしょうか、この部分について。
横田政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねの処遇票でございますが、これは、名古屋刑務所におきまして、テレビのモニターというか監視卓で、勤務する職員が戒具使用中または保護房収容中の被収容者の動静をモニターテレビに映し出されました映像を通して視察し、その状況を少なくとも十五分に一回の割合で記録するために使用している、そういうものでございます。
木島委員 今、テレビモニターで映像を監視していた者が十五分に一遍ずつここに書き込んだとおっしゃいましたが、それは処遇票なんですか。
 後で聞きます資料2を見てください。動静視察表と題する文書、こちらは違うのですか。間違いないですか。大事なところですから、正しい答弁をお願いします。
横田政府参考人 お答えします。
 動静視察表は、名古屋刑務所におきまして、戒具使用中または保護房収容中の被収容者の動静を直接居房に赴き視察した職員が、その状況を少なくとも十五分に一回の割合で記録するために使用している、そういうものでございます。
木島委員 それでは、資料2を見てください。
 名古屋刑務所において、保護房に入れられている者または戒具使用を受けている者に対して、直接担当職員が赴いて受刑者の動静を見て、十五分ごとに書き込んだのが資料2の動静視察表だという答弁でありました。問題の時刻について、ではどういう記載があるかとまた調べてみましたら、このとおりであります。
 問題の平成十三年十二月十四日、午後十二時三十分から四十五分、一時、一時十五分、一時三十分、一時四十五分までは、いずれも「視察不能である」と書き込みがあります。二時には「「あー、あー」と大声を発している」、二時十五分には「「あー、あー」と怒鳴り続けている」、二時二十分、一部伏せられておりますが、開房し保護房特何室へ収容する、二時三十分「房内を徘回し「あー、わー」と叫んでいる」、二時四十五分「毛布をかぶり、うつぶせで「あー」と叫んでいる」、三時「毛布をかぶり、うつぶせで体を小刻みに震わせている」、三時十五分「毛布をかぶり、うつぶせで体を」、記録はいただいているのですが、配付資料はここでとめてありますが、こういう状況であります。
 では、聞かせてください。この資料2の動静視察表は直接職員が赴いて見聞したことを書き込むものだと。だれですか。伏せられているから名前を言えないのですか。言えないのであれば、少なくとも、この事件で今起訴されている乙丸、高見、岡本、これらの人物かどうかだけは答弁してください。
横田政府参考人 この動静視察表、当時の作成者は起訴されている被告人ではございません。
木島委員 三月三十一日に法務省から提出をされました中間報告によりますと、こういう記載があります。「犯行状況」の平成十三年十二月十四日午後二時過ぎころの記述でありますが、長文は略しますが、「その間、処遇部門事務室においてモニターで保護房の状況を監視していたC看守は、音声として、受刑者Xの悲鳴や消防用ホースによる放水の音を聞き、異常な事態が生じていると感じたが、これを見て見ぬふりをした。」こういう大変重大な記述が報告されております。
 そうすると、資料1をごらんください。この処遇票の午後二時十五分あるいは二時二十分あるいは二時三十分、この時期の記述、「「あー」と大声を発している」、「視察可能となったが、本人出房中」、「保護房一室へ転房する」、「「アーッ」と大声を発している」、これらは中間報告のC看守の記述だと聞いていいのですか。
横田政府参考人 そのCという、ここにCと表記されている者もそのモニター監視していた者の一人でございます。(木島委員「だから、その者がここに書いた本人か、そういう質問」と呼ぶ)
 ちょっと済みません……。
木島委員 資料1の報告者が伏せられています。しかし、あなた方が既に三月三十一日に当法務委員会に提出した中間報告では、「モニターで保護房の状況を監視していたC看守は、音声として、受刑者Xの悲鳴や消防用ホースによる放水の音を聞き、異常な事態が生じていると感じたが、これを見て見ぬふりをした。」と。
 だから、Cがモニターで見ていた、モニターから音も聞こえたというのがあなた方が我々に出した報告書ですが、この問題の処遇票には私が先ほど指摘したような文言が書き込まれているのですが、報告者が伏せられているから、この報告者はC看守イコールかと聞いているんですよ。
横田政府参考人 お答えします。
 同一人物でございます。
木島委員 では、モニターは有効に機能していたということですね。
 そのモニターは今検察に押収されているから当委員会には提出できないというのが法務省の今の態度でありますが、そのモニターを見ていたのは何人でしょうか。調査は進んでいますか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 この監視そのものの担当は一名でございます。ただし、その周辺にも、これは事務室の中でございますので、いるということでございます。
木島委員 この事件があって、翌日、死亡してしまいました。その間このモニター監視に直接関与できる人物は部長も含めて何人なんでしょうか。そのモニターを実際見た人物、何人いたと、あなた方は調査を終わっていますか。
横田政府参考人 現時点で特定まではしておりません。
木島委員 とんでもない話ですね。この報告によると、モニターを直接監視していたC看守が異常な事態が生じていると感じたがこれを見て見ぬふりをした、C看守一人の隠ぺいのように記述されています。
 しかし、この記述から見て明らかです。モニターには絵も映っている、絵だけじゃない、音が出ていると私は初めてこれで知りました。モニターから音も聞こえる。受刑者Xの悲鳴が聞こえた、消防用ホースによる放水の音も聞こえた。翌日彼は死んでいます。そのモニターにアクセスできた人間が何人いたのか。決定的じゃないですか。処遇部長はともかくとして、監視にアクセスできる職員全員がこのモニターを見ていたのは当たり前でしょう。そうすると、全員が隠ぺいしたということになるんですか。その調査も済んでいないなんというのは、何ですか、この中間報告は。答弁してください。
横田政府参考人 先ほど申し上げたとおりで、何人かいたということでございますけれども、その特定ができていないということです。
木島委員 矯正局はこのモニターを検察に押収される前に見ていますか。前の矯正局長は見ていますか、このモニター、検察に押収される前。
横田政府参考人 お答えいたします。
 このモニターは録画されておりませんので、見ておりません。
木島委員 録画されていない、どういうことですか。録画されてないなら押収されようがないじゃないですか。ナンセンスだよ。録画してあるから検察が押収したんだろうが。だから、この委員会に提出できないと言って、法務省は報告しているじゃない。
横田政府参考人 先ほど先生御指摘の時間帯のビデオ、ビデオといいますか、その録画はない、その前に汚物を投げたりしていたときの状況は録画されているということでございます。
木島委員 委員会に出さない理由はないじゃないですか、そんなものだったら。
 では、改めて聞きましょう。いいですか、平成十三年十二月十四日、起訴状によれば、二時二十分にホース水をかけているんですよね。あなた方の三月三十一日の中間報告によれば、モニターを見ていたC看守は、音も聞こえた、受刑者の悲鳴が聞こえたと言っているわけだ。そうしたら、そのときは有効にモニターは機能していた。では、それは確認していいですか。今はどうか知らぬ。そのときは有効にモニターは機能していたと。間違いないね、この中間報告でそう書いているんだから。
横田政府参考人 お答えします。
 その当時は有効に機能していたと考えております。
木島委員 いつまで有効に機能していたんですか。いつから有効に機能しなくなった、消えたんですか。
横田政府参考人 お答えします。
 カメラが機能不能というか、あるいは機能不全になったということはないと理解しています。ただ、当時、カメラにちり紙を張りつけたりとか、そういったことがあって、録画というか、そういう面での有効な機能がされていなかったということはあるというふうに承知しております。
木島委員 全然答弁になっていない。
 この資料1に書いてあるじゃないですか。二時には「「あー」と大声を発している」、二時十五分には「「あー」と大声を発している」、二時二十分には「視察可能となったが、本人出房中」、あなた方の報告書にはこのような、音声も入っていた、悲鳴が入っていたというんでしょう。翌日死んだでしょう。殺されたと言ってもいいかもしれない。重大事件、モニターどうしているというのはすぐでしょう。名古屋刑務所長以下すべての幹部が、モニターにどう映っているか、真っ先に注目するのは当たり前じゃないですか。どうなっているんですか、それ。
 いや、一々裏からだめだよ。そんなの調査済みのはずなんだから。そこが報告されていなかったら、本当にこの中間報告、何たるかということだ。
横田政府参考人 カメラは当時は作動していたと考えますけれども、それが録画されたビデオはないということでございます。
木島委員 それでは一体、この三月三十一日の中間報告は何ですか。何を根拠にこういう文章を書いたんですか。「モニターで保護房の状況を監視していたC看守は、音声として、受刑者Xの悲鳴や消防用ホースによる放水の音を聞き、異常な事態が生じていると感じた」。
 これはまさにモニター、モニターで見ている場所は保護房とはえらい離れたところでしょうが。はるか離れたところでモニター監視しているその人が、映像を見えるかもしらぬ、そして音も聞こえるというんでしょう。まあ、映像はわかりません。米粒などを塗りたくって、映像は見えなくなってしまったかもしれません。しかし、音が聞こえる、悲鳴が聞こえた。
 そうしたら、まず、翌日死んでしまったんだから、刑務所長以下名古屋刑務所の幹部から、モニターはどうしている、映像は映っていなかったかどうか、音はどうなっている、そういう作業をやったはずですよ。やらないはずないんですよ。答弁してください。やらないはずないですよ、行政の責任者として。
横田政府参考人 先ほど申し上げましたように、この状況の録画されておりませんので、先生がおっしゃられるような状況には至らなかったということでございます。
木島委員 録画されていないのが仮に真実としても、受刑者の悲鳴が聞こえ、消防用ホースの放水の音が入ったでしょうが、聞けばわかるでしょうが、そんな異常な事態は。保護房の中で水の音なんか聞こえるはずないじゃないですか、ふだんなら。
横田政府参考人 お答えします。
 調査結果によりますと、この処遇票記載者あるいは先ほどのC看守というものは先生御指摘のような事情を認識しているわけですけれども、それが幹部に伝えられていなかったということでございます。
木島委員 この資料1からも明らかなように、処遇票の問題の当日、二時二十分には、消防用ホースで放水して、受刑者の肛門目がけて猛烈な勢いの水が放出させられたという記載が脱落している。うその事実が記載されている。これはもう明らかなんですが、私は、モニターが、こういう形で音まで入っていたんですから、機能していると今答弁しましたね、名古屋刑務所は、上から下まで全部その事実を知っていたと思わざるを得ないじゃないんでしょうか。それは常識じゃないですか。
 法務大臣、今、私と矯正局長とのやりとりを聞いて、そしてこの資料1の処遇票の記述を見て、そして法務大臣、あなたの責任で当委員会に出した三月三十一日付の中間報告を見て、今の論戦を聞いて、どう思いますか。名古屋刑務所はもう上から下まで、少なくとも十二月十四日の日か、死んだ直後か、すべてもう、モニターの音は聞いている、異常な事態が音から聞こえている、百も承知の状況だと推測せざるを得ないんですが、法務大臣、どういう印象ですか。
森山国務大臣 刑務所長は知らなかったようでございます。
木島委員 そんなこと、信じられますか。モニター、生きているというんですよ。翌日死んだんですよ。モニターはどうなっているんだと見るのは当たり前でしょう、刑務所の最高幹部なら。そんな報告、信じられますか、あなた。刑務所長のそういう報告、信じられますか、大臣として。あなたの最高の幹部の、幹部下僚として、そういう報告があなたになされているんです。信じられますか、この事態、大臣。
森山国務大臣 刑務所長として当然知るべきであったと思いますが、知らなかったという話を聞きまして、それ自体が非常に問題だと思っておりました。
木島委員 所長だけじゃないと思うんです、私。部長以下最高幹部どうか、少なくともモニターを監視している部屋の全員どうかと。知っていて当たり前ですよ、こんなもの。
 資料1の処遇票、大臣、見てください。もう一つ変な記述がありますよ。二時四十五分「視察不能である」、三時「視察不能である」、三時十五分「視察不能である」、三時三十分「視察不能である」、その下に、時間をさかのぼるんです、三時二十八分、二分前、保護房拘禁解除、病棟Fへ。
 こんな、三時三十分前に、三時二十八分にこの受刑者は保護房をかえられているんですよ。それなのに、三時三十分「視察不能である」、ナンセンスじゃないですか、これは。二本棒で確かに消されて、何か隠ぺいされている。これは何ですか、この消してあるのは。これを見たら、この視察表がもううそ、でっち上げだというのは一見明々白々じゃないですか、当時から。平成十三年十二月十四日、十五日、死んだ日の処遇票を見れば、何だこれはと。三時三十分なんというのは、この受刑者は別の保護房に行っていたじゃないか、それなのに、三時三十分に視察不能であるなんて書いてある、こんなでたらめな処遇票は何だと大問題になることは明々白々だ。どうなんですか。
横田政府参考人 今先生御指摘の三時三十分、視察不能であるということが見え消しになっている理由については、把握してございません。
 なお、この処遇票は上の方に決裁に上がっておりません。
木島委員 決裁のことを聞いていません。じゃ、これはだれですか、報告者の欄は。こんな、三時三十分なんかにこんなことを書き込んだ報告者はだれですか。それと、この「視察不能である」の横が消されているのは何ですか、これは。
横田政府参考人 この消されている部分は印鑑でございます。
木島委員 だれの。
横田政府参考人 記入者の印鑑でございます。
木島委員 だれですか。
横田政府参考人 先ほどの中間報告にございますC看守でございます。
木島委員 私が言いたいのは、今になって初めて、下部の、実際にやった乙丸らやこのC看守がうそをついていたというので上司は全部知らなかったなんという報告書ですが、あなた方の中間報告は。そんな、もう当日から、平成十三年十二月の死んだ直後からこういうインチキだというのはもうわかるんじゃないかと。こんなのがわからないような法務省だったら、その法務省の下には検察もあるんだよ、日本の法治はがたがたになりますよ。
 資料2、動静視察表、これを見ますと、ここにも完璧に、消防用ホースによる放水という暴行陵虐実行行為が消されていますね。消されてはいるけれども、二時から二時十五分、こういう、「大声」とか、「怒鳴り続けている」とか書いてありますが、二時二十分、開房し保護房特何とか室へ収容する、二時三十分「「あー、わー」と叫んでいる」、そして二時四十五分、三時、こういう、毛布をかぶって「うつぶせで「あー」と叫んでいる」。
 これは、どういうことを推測できますか。私は、今日、肛門に裂創があって、それが原因で死に至ったということなんでしょうが、あの検察の起訴によると。悲鳴という言葉がさっきあったでしょう、音声として、悲鳴が聞こえたと。そうすると、私は、消防用ホースによって水をぶっかけられ、肛門裂創の受傷を受けて、物すごく痛がったんじゃないかと思わざるを得ないんですよ。もう痛くて痛くて、もうどうしようもないんで、ワーワー叫んだり、毛布をかぶってもワーと叫んでいるという、その痛みの表現がここにはしなくも書き込まれているんじゃないかと思うんですが、矯正局長うなずいていますが、どう読みますか、これを。隠ぺいはしましたけれども、消防用ホース――またそれ、あなた、帰りなさいよ。
 この文言から何が読み取れるかというのを私は聞いているんですよ。隠ぺいされた文言ですよ、ホースによって水をぶっかけたという基本的な事実を隠した報告書なんですが、隠し切れないものがここから見えるじゃないかというのが私の質問です。矯正局長、どう思いますか。この記述からそういうのをうかがえませんか。
横田政府参考人 これは、現在、いろいろなことがわかった時点で結局考えることでございますので、そのような観点からすれば、先生がおっしゃられるようなまた考え方もあろうかというふうに思います。
 しかし、また一方では、この動静視察表に書かれていることがどこまで真実かということもやはりあると思いますので、この点について現時点で私がどう思うかということについてお答えいたしかねますが。
木島委員 現時点じゃないんです。翌日死んでいるんです。保護房で革手錠もはめられていた、そんな受刑者が、病気状態ではないですよ、この一件記録、全部私読んでみたら、元気いっぱいですよ、彼は。こんな人間が突如として死んでいるんですよ、翌日。その死ぬ前の日の出来事がこう書かれているんでしょう。痛みの表現というのは見れないですか。
 もし正常な感覚の持ち主だったら、私は、刑務所長以下、名古屋刑務所の幹部は、もうこの二つの記述だけで、監視カメラの音も聞けば、ホースによる放水という、そしてかなり痛がったというようなことはもう翌日見抜いて当然、そういう事件だったんじゃないかと。今日どうかじゃないです、翌日です。そう思えませんか。大臣、そう思いませんか。
横田政府参考人 ただいまの御質問でございますが、翌日死んでいること、これは客観的事実でございます。しかし、この動静視察表の記載をどう読むかといいますのは、これは、いろいろなことがわかった現時点においてこれがどう思えるかということであると私は理解しておりますし、そうしますと、先ほど述べましたように、この動静視察表がどこまで真実が書かれているかという点についてはっきりしていないというふうに思っているところでございます。
 先生、ちょっと先ほど言い落としたんですが、ビデオもある、音も聞こえたとおっしゃるんですが、実は、先ほど来申し上げておりますように、録画はされておりません。それから、実は音の録音もされておりませんので、これもまた、上の方がそれを認識したという前提には立ちにくいわけです。結局、それは上に伝えられなかったということでありまして、今回の調査結果におきましても、やはり、所長ら幹部までこれは知り得る状況になかったというふうに考えております。
木島委員 録画もされていない、音も入っていない。いつ消されたんですか。最初から入っていないんですか。だれかがいつか消したんですか。そんなものを検察は何で押収するんですか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 そもそも録画及び録音がされていなかったというふうに思われます。
木島委員 そのくらいにして、次に移りましょう。
 資料の6、1から3まで、縫合手術をしたときの診察録です。この三枚しか提出されませんでした。これで何がわかるんですか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 提出した、縫合手術した十二月十四日付の「保護房中診察」というところ以下の記載でございますが、これによってわかりますことは、おおむねでございますけれども、まず、保護房収容中に行った直腸診で肛門に裂創を認めた。これは絵がかいてありまして、五時に裂創ということが書かれております。これは角度を示すわけです。そして、手術による縫合が必要ということで手術が行われたということが、まずここからわかります。
 それから二点としては、この手術の時間は、十二月十四日十六時十五分から十七時五分の五十分間でございます。このカルテの中間に入っておりますが、これは麻酔記録で、血圧であるとか脈拍であるとか、あるいは点滴だとか、そういうことが二枚目のグラフのような表には載っております。
 それから、もう一つわかりますことは、診断としては、肛門直腸裂創というものでありまして、肛門と直腸の境界部分ぐらいまでの粘膜の裂創があると書いてあります。そして、これを吸収性の縫合糸で縫合しまして、筋層との間に、ペンローズドレーンという言葉がここに横文字で書いてありますけれども、これは排液管だそうですが、そういうものをここに留置したということでございます。
木島委員 別途資料で、もう時間がないから私から言いますが、名古屋刑務所長から名古屋矯正管区長あて、平成十三年十二月十七日速報(保護房解除後の被収容者死亡事案)追報第一号というものの中に、「肛門から約十二センチメートル入った直腸に裂孔がある」という記載があります。今示した資料6―1から3の診療録から、肛門から約十二センチ入った直腸の裂孔という事実は認められますか、られませんか、教えてください。
横田政府参考人 お答えします。
 この診療録の記載からは認められません。
木島委員 資料6―1の右下から二行目のところに、「括約筋までいっているか?」これはどういう意味ですか。
横田政府参考人 先ほどのカルテの十二月十四日の五時に裂創という略図がついている部分の右下のところに、「裂けている 括約筋までいっているか?」と。これは、肛門から直腸内に至るその奥の部分ではなくて、表面的な部分の、括約筋まで裂創が及んでいるかどうかということをこの医師が書いたというふうに読み取れます。
木島委員 司法解剖して初めて、肛門から十二センチ奥のところに裂創があったということがわかったと。そうすると、法務省は今、矯正局は、この縫合手術の時期には、肛門から十二センチ奥の裂創は、このお医者さんは見つけることができなかった、そして死体解剖した後見つかった、そして、死因はむしろその奥の方の傷によるものだと。大きくはそう見ているんでしょうか。
横田政府参考人 お答えします。
 おっしゃるとおりです。十二月十四日の時点の医師の診察では、あくまでも、そのときにわかったのは、肛門部の裂創が肛門の出口から直腸方面に向かって三センチ程度奥まで及ぶ、括約筋まで至っているかどうか、こういう記載がある程度の認識でございます。
木島委員 私はここで刑事裁判をやるつもりは全くありません。それは国会の本分ではないと思います。
 しかし、そうすると、やはり医療問題が出てくるんじゃないか。まだ受刑者が生存中の縫合手術のときに、奥行き十二センチのところにあった裂創をなぜ発見できなかったのか。あるいは落ち度があったのか。発見してそこまできちっと手当てをしていれば、変な細菌が入らずに彼は死ななくて済んだ、そういう状況があるだろうか。
 そうすると、全く事実はわかりませんが、医療過誤というような様相もこの事件は秘めているのか、そんな印象すら持つんですが、法務省はどう見ていますか。
横田政府参考人 これは、解剖医も、こんな奥まで傷があるかどうかはわからないことがあっても不思議ではない、そういう趣旨のことを言っているとたしか記載があったと思いますが、そういうわけですので、先生の御質問に直接にお答えするのはちょっと、お答えいたしかねますが。
木島委員 答えにくい質問なんでしょうね。
 私は、何でこんな質問をしているかというと、この縫合手術をしたときのお医者さんの診察はやはり問題だったんだろう。肛門の表面上の裂創を二つ発見して縫合手術までした、しかし、奥行き十二センチの裂創は見つけることができなかったとすれば、それはやはり医療問題が出てくるんじゃないか。
 逆に言うと私は、そのお医者さんの医療ミスがもしあるかもしらぬなと、名古屋刑務所としてお医者さんの医療行為ををかばわなきゃいかぬ。乙丸たちの消防用ホースによる放水というとんでもない異常な事件もかばわなきゃいかぬ。そして、縫合手術があった、しかし死んじゃった。そうすると医療行為もかばわなきゃいかぬ。二重の事実を隠ぺいしなければならない動機がこの事件に働いていたんじゃないかと、これはうがち過ぎかもしらぬけれども、私はそう思わざるを得ないんですよ。
 それで、名古屋刑務所長以下、全員がもうこの事件は知り尽くしているけれども、法務大臣には、法務本省には報告できなかった、うその報告をせざるを得なかった、そこら辺のところに真相が隠れているんじゃないかと思えてならないんです。そこまであなた方がえぐらなかったら、刑務所の体質、変わりませんよ。
 あと三分しかありませんから、資料の7、1と2を示します。
 これは、平成十三年十二月十五日付で、名古屋刑務所庶務課長補佐の山本剛大さんが久保勝彦刑務所長あてに出した、司法検視が実施されたことについての報告と題する文書であります。
 名古屋地検の検察官が立ち会って司法検視が行われました。非常に事細かい質問が検事から発せられ、お医者さんが回答をしています。全部出さずに一部抜粋をいたしました。資料7―2を見てください。大変重要な質問を検事はしています。「肛門部等を傷つけた理由は本人から聞いたか。」根本的、決定的な質問です。これに対する医師、名前が全部伏せられておりますが、「手術前、興奮して暴れていたため、直接本人から聞くことはできなかったが、保護房の構造上、肛門・直腸の損傷の程度から、自分の指で傷つけたものと推測される。」これが検視のときの検察官の質問に対する医者の回答です。こんなでたらめな回答は、検察官ならもうたちどころに見抜けるはずです。こんなのあり得ないですよといういかがわしい文書なんですが、このような報告がなされたらしいと。
 それで、私、法務省に質問なんですが、この資料7の文書の一番トップのところ、右上に、非行政文書という判こが押されていますね。これはどういう意味なんですか。わかるでしょう。行政文書じゃないんですか、これは。
横田政府参考人 ちょっと、確たるところを確かめておりませんので、わかりませんけれども、恐らく、最初これは作成者がその人のメモ的なものとして作成して、そのためにこういうような表示をしたのではないかという、これは一つの推測ですが。
木島委員 もう私の時間は終わりなんでしょうけれども、これだけの疑問を持って検察官が検視に立ち会っている。私は、この次から、地検がどんな立場でこの事件を見ていたのか、ちょっと質問したいこともありますから、次回に譲ります。
 まだまだたくさんの疑問がある。それは、全体的には法務省、刑務所全体としての隠ぺい体質だと思わざるを得ませんので、やはり真相解明しなければ刑務行政なんか変わらぬわけですから、必要な資料はきちっと出していただいて、真摯に答えていただくように、きょう答えられなかった分はしっかり調査して、次回の私の質問にきちっと答えられるようにしていただきたいということだけきょうは申し上げまして、終わります。
山本委員長 次に、保坂展人君。
保坂委員 社民党の保坂展人です。
 今、イラクで多くの人たちが亡くなっているそのときに、我々法務委員会で、死亡帳をめくるとわかりますけれども、遺骨も引き取り拒否というような、非常に弱い立場の受刑者一人一人のケースをしっかり検証するという大切な議論だと思っております。
 名古屋刑務所について一点だけお聞きをしたいのですが、四月七日提出をされた法務省からの資料で、先ほどの木島議員の続きにもなるかもしれませんけれども、大変驚いたのは、やはり、法務大臣あての情願を大臣が直接目にすることがなかったので、これから読むことにしたいということでありましたが、しかし、平成十三年の七月二日に、保護房に四カ月入れられているということについて不服があるということで、情願を出したいという願いを出して、ですから、ここに内容を書かれるわけですから、完全に秘密というわけじゃないですね。そして、しかも七月九日になぜか、必要がなくなったので取り下げたいということで、これは看守が立ち会いのもとに、シュレッダーで切ってしまう。それで、二回目も、十二日に出ていますが、即日おろされる。
 これは、情願を見ればいいというだけの問題ではなくて、まさに、情願として出そうとしたことをなぜシュレッダーにかけて捨ててしまわなければいけないのか。しかも、チェックのもとに。極めて重大な件だと思います。この資料を見て非常に驚いたわけですが、大臣としてどう受けとめられましたか。
森山国務大臣 私もこれは大変大きな問題だと思いまして、さらにその実情を調べるように指示いたしました。そういたしますと、十二月事案の被害者の情願の取り下げにかかわりました当時の処遇部門の首席矯正処遇官及び前田という主任矯正処遇官などから事情を聴取いたしまして、彼らが申しますのは、次のとおりでございました。
 その首席矯正処遇官らは、日ごろから、受刑者の言動などから、情願申し立てをしたいという考えがあるとわかりますと、その受刑者と会って、受刑者が何を不満に思い、どういうことを希望しているのかということを、自分が直接聞けるものなら聞いて、現場で解決できるならば解決したい、その方が早く片づけられて、本人にとってもプラスではないかという考えを持っていた人だそうでございます。
 第一回目につきましては、首席矯正処遇官が被害者と会いまして、その不平や希望を聞きましたところ、本人が希望しておりますのは、競馬の月刊誌で「優駿」という雑誌があるそうですが、それを買いたいということを訴えたいんだと言ったそうでございます。それで、処遇官の方は、そういうことであれば、生活態度を改めれば購読再開も可能であるよということを回答いたしましたら、それでは取り下げますという意思を表明したのだったそうでございます。
 作成されておりました情願書は、被害者がみずからシュレッダーで廃棄したわけでございますが、要するに、情願書というのは取り下げ後のものであっても職員に内容を知られるべきではない、知られないようにするべきであるということで、本人がシュレッダーによって廃棄したという話でございました。
 二回目につきましては、被害者が前田主任に対しまして、同じ雑誌の購入を認めてくれるならば情願を取りやめるということを申し立てながら情願作成を願ったのだそうでございます。首席矯正処遇官は、被害者にその真意を尋ねましたら、やはり先ほど申した「優駿」という雑誌が買いたいのだ、どうすれば購読を再開させてもらえるかということを聞いたんだそうでございまして、直ちに許可するのは難しいけれども、生活態度を改める旨の決意を文書にすれば、将来「優駿」の購読を許す方向での証拠ともなるから、その旨を書きなさいということを言いましたら、被害者は誓約書を作成して提出すると同時に、情願を取り下げるということを申し出たそうでございます。
 いずれにいたしましても、私は、情願という非常に重要な機会を、何の方法にせよ、取りやめさせるとか、あるいは廃棄させるというようなことは、決して趣旨に沿わないことでありまして、あってはならないことだとは思いますが、このケースの実情を調べてもらったところ、そのような話でございました。
保坂委員 これは一点だけと思いましたけれども、今の大臣の答弁を聞いて、競馬が好きで、「優駿」という雑誌が欲しいな、入れてもらえないと。だけれども、この方は、四カ月保護房に入れられたということを訴えたかったわけでしょう。そして、雑誌だけ入れられても、死んだら、いないんですよ。読めないんですよ。その重大結果。しかも、そういう大変な中身を持つ申し出を、雑誌でどうかというふうにやっていた可能性もあるじゃないですか。
 ですから、そういう調査が上がってきても、やはり一歩距離を置いた答弁をしていただかないと、重大結果ですから、雑誌が欲しくて取り下げたんだなんということを仮にも大臣が言ってはだめですよ。それだけで資質を疑いますよ。そういうことが報告で上がってきたとしても、大臣はどう考えるのかですよ。
森山国務大臣 先ほども申し上げましたように、どのような理由にもせよ、情願という大事な権利を抑えるようなことはしてはならないというふうに思います。
保坂委員 あめをやるから重要なことは言うなというようなことは、あってはならないんですね。しかし、本当にこの体質が名古屋だけにあったのではないだろうということを、これから限られた時間ですが、やっていきたいと思います。
 まず、中井官房付に、前矯正局長に伺いたいんですが、前回ちょっとお聞きしたときに大変私気になったのは、死亡帳の存在を知ったのは昨年の十月、国会における資料要求があったときに、中井前矯正局長は認識されたと。その際、前回、大臣官房審議官にも来ていただきましたが、御本人はされていないんですが、しかるべく担当課が中井矯正局長にそのときに説明をしたはずだというふうに発言をしています。
 その際、書式を示されたのか、あるいは現物の一部を見せていただいたのか、御記憶はありますか。どういう形で認識されたんですか、十月に。
中井政府参考人 現物は見ておりません。書式も見ておりません。
保坂委員 そうすると、大変に疑問がわいてくるんですけれども、書式も見ていない、中身もよくわからないというものは、刑事局長も前回お答えになったとおり、正直言って死亡帳ということまでは知らなかった、現場の刑務所で亡くなった方の変死の司法検視に行く経験はあっても、そういうことをお答えになりました。
 そうすると、中井さんは、どうしてその死亡帳の存在を広げるのはだめだという判断をそこでしたんですか。中身がわからないものについては判断できないじゃないですか。官房付にお願いします。だって今、中井さんの答弁について聞いているんですから。
中井政府参考人 前に委員の御質問にお答えしたと思うんですけれども、当時の私の認識といたしましては、過剰収容が非常に厳しくなっておりまして、現場に負担をかけたくないという気持ちが非常に強うございました。それで、基本的なスタンスといたしまして、本省にある限りの資料で対応したいという気持ちが強うございまして、本省にあるもので四年分の死亡案件がわかるわけでございますので、それでとりあえず対応したいと。その余の部分につきましては、たしか委員の御質問にお答えしたと思うんですけれども、私のスタンスとしては、例えば検察等で、犯罪性があるのであるならば、個別案件としてそれについては対応したいというのが私の気持ちだったわけでございます。
 ですから、そのように対外的にも発言いたしましたし、国会でのお尋ねにもそう答えてきた、こういう経緯でございます。
保坂委員 中井さん、もう一問。名古屋の百二十人をごらんになって、どう感じましたか、率直な感想を聞かせてください。三月になって名古屋の百二十人分をごらんになって、どう感じたか。これは、現在じゃなくて前矯正局長だった中井官房付に聞きます。――いや、個人でどう感じたか。(中井政府参考人「御趣旨がよくわからない」と呼ぶ)
 いや、だから、前から言っているんですけれども、名古屋の百二十人を見れば、これは、こういうものがあるということを国会に報告しないとかいうことは非常にまずかったなというふうに感じるのが常識的な線なのかなと私は思うんですよ。例えばそういうふうにお感じになったのか、あるいは、死亡帳とはこういうものだったのかというふうに思ったのか。見た瞬間どう感じられたのか。
中井政府参考人 やはり、死亡帳自体は、これも前に委員に申し上げたと思いますけれども、特段秘匿すべきものでもございませんし、監獄法施行規則にも書かれておりますし、私どもの法務省のホームページでも公開しているものでございまして、私自身は、問題は、調査の手順といたしまして、とりあえず過去四年分の問題と、当時は、あわせて保護房における致傷事案、例えば病院移送事案等も実はお尋ねがあったわけで、これを両方やりますと、結局のところは一件一件の身分帳簿に当たらなきゃいけないというような現場の負担ということを考えまして、結論から申しますと、思慮が足りなかった、かように思っている次第でございます。
保坂委員 これ以上はやめますが、なぜ答弁を求めているかというと、私は本当に疑問に思っているんですよ。中井さんが、矯正局長として死亡帳の存在を十分知りながら、これはだめだ、これは国会に出すな、あるいは要求議員に言うなという判断をしていたとは到底思えないですね、今の答弁を聞いていても。だって、書式も見たことないんですから。
 それが、たしかホームページに載っているというのは後づけの話であって、私は、百二十人の名古屋のを見たら、やはりびっくりしましたよ。こういう形で、この百二十人すべてが、もちろん病死の方もいらっしゃいますけれども、これはどうなっているのかなというのが結構あったじゃないですか。それについての率直な感想を求めただけなんですが、これは、これからさらに伺っていきたいと思います。
 官房長に伺います。実は、来週から行刑改革会議の議論が始まると聞いております。監獄法改正をにらんだ抜本的な議論を行うというふうに聞いていて、法務大臣の方も、そこに非常に期待をしている、あるいは大きな仕事をしていただきたいというお話でございますけれども、死亡帳の存在と内容を確認し、与野党を超えて個々具体的なケースの検証もし、また、かなり骨太の議論も、本日もまたこれからも展開しよう、いわば国会の役割と行刑改革会議の議論をどのようにかみ合わせて位置づけているのか。官房長、どうですか。
大林政府参考人 御案内のとおり、行刑会議は、民間の方の経験なり知識なりを反映して、それで行刑のこれからの改革を大胆に進めていこうという趣旨でございます。
 今おっしゃられる国会の、今度は調査の問題とか、いろいろな御意見をちょうだいすると思います。これは、あくまでも国会の、私たちとしてまたそれなりの改革をしていかなきゃならぬという覚悟でおりますので、やはり並行して、私たちとしては、両方について、できるだけの御協力をしていきたい、こういうふうに考えております。
保坂委員 といいますのは、資料で、大変汚い、これはちょっと恐縮なんですが、私のメモしたものも入った、死亡帳の岐阜と新潟のケースをきょう配らせて、少し検証していきたいと思うんです。
 なぜ今、私がそれを聞いたかといいますと、これはやはり、素早く終わると思ったら、これだけやるのも一時間半近くかかったんですね、これはどうですか、どうですかと。行刑改革会議の委員の方にはマスキングをすべて外して提出される予定だということをちょっと聞いたことがあるんですけれども、それだけ重い情報ですね。これは、私の方は、どんな方なのかとか、遺族の関係等一切見ないようにして、全部口頭でこれは書き取ったものでございます。これは答弁は要りませんけれども、だから、しっかり行刑改革会議の方もやっていただきたいと思います、国会の方も頑張るということでございますけれども。
 一つ、済みません、ここの議論に入る前に、法務省から、大変労力がかかったと思います、死亡帳一覧表というものが昨日出てまいりました。これによって、司法解剖の六十八件と司法検視四百八十五件ですかね、一件ふえていますけれども、これが報告されています。
 私が、これを見ていて、一つ、初めてなるほどなというふうに気づかされたことがございます。これは検察官通報という欄がございまして、検察官に通報したかどうかですね、ここがカウントされているわけですね。これは九百三十四通報したと、引き算すると六百五十九はしなかったのかということになるのかなと思いますけれども、間違いないでしょうか。
横田政府参考人 間違いございません。
保坂委員 矯正局長、明治の時代の監獄法施行規則に事細かに書かれている規則上、司法検視をやるかどうかの判断、これは検察官が行うのではないかと私は理解していたんですが、必ずしもそうじゃないんですね。検察官に知らせるかどうかの裁量は行刑施設の側にある、こういうふうに解釈しているんですか。
横田政府参考人 監獄法施行規則の百七十七条で、通報は検察官及び警察署に通報という規定がございます。検察官及び警察署に通報というふうに記載がございます。
保坂委員 では、ここはこれから見解を求めていきますので、しっかり議論していきたいと思います。
 司法検視をするかどうかですね、問題は。やはり、この司法検視をして検察官が出てきて見る場合と、電話で受けて、それは病死ではないかということで来ない場合とあるわけですね、死亡帳を見ていると。検察官通知があった九百何十件を見ていると、そのどっちかなんですよ。そもそも、行くか行かないかの判断はできないんですね、連絡がなければ。その点だけ指摘しておきます。
 今回の、矯正局長、二番目ですが、これでもう一つ発見をいたしました。保護房で収容という記載があったのは全部で五件ですね。山形が四十歳の方、大坂拘置所が三十三歳と三十七歳の方、鹿児島は何と二十七歳、これはいずれも急性心不全ですね、いずれも。皆さん若いんですね、四十歳以下と。これはどうですか、金属手錠、革手錠など、制圧の有無など、事件性など見えていますか。
横田政府参考人 まず最初ですが、この保護房の記載が認められた件数は、この最新の一覧表では八件になると思います。
 それから、後段のお尋ねでございますけれども、これは死亡帳調査班というものがこれから調査をいたしますということです。
保坂委員 それでは、ちょっと個別的な問題に入っていきたいと思います。
 ちょっと岐阜刑務所の方を調べてみようと思いました。なるべく小さな規模で、どうなっているだろうかということです。それで、資料の一枚目を見ていただきたいんですが、ちょっと汚いメモで恐縮ですけれども、これは二人続けて、四十三歳と四十歳の受刑者が亡くなっていますね。一人は敗血症性ショック、汎発性腹膜炎。革手錠の疑いなどあるのかなというちょっと気もするんですが、もう一人は急性心不全ですね。初めの人は司法検視が例のケースで行われていない、二番目の人は急死であるのに処遇部長が所長検視を代行して、そもそも、ここに「なし」と私書きましたけれども、決裁欄自体がないんですね、この死亡帳の書類の中に。下の方に「なし」と書いてありますね、四角、げた判があって、そこに責任者の決裁の印鑑を押していく決裁欄もないんですね。これは何かわかることありますか、ここで。
横田政府参考人 お答えします。
 これは取り急ぎ調査いたしましたところ、委員が御指摘の決裁欄がないものというのは、岐阜拘置支所の事案でございまして、支所長みずからが検視をしているということでございますので、特に決裁欄がないというふうに理解しております。
保坂委員 さて次に、平成七年十一月に亡くなった、これは、年齢を明かしてもらってやはり見えてくるものは違うんです。これは二十一歳なんですね、この方。この死亡欄には、御嵩拘置所だそうですが、急性心不全、気管支ぜんそくと二つしか書かれていないんですね。そして、副検事の方が来て司法検視を行っておりますが、不自然死を疑う所見はなしと判定をしています。
 これはにわかに信じがたいんですね。二十一歳の若者が、ぜんそくにより急性心不全でいきなり亡くなるのは自然死だとみなしているのかどうか、これはどうですか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 このケースにつきましても、取り急ぎ調査いたしました。それによりますと、調査の結果では、独居に収容中の二十一歳の刑事被告人が、七年の十一月三十日の午後二時ごろですけれども、その居室内において、便器に座ったままの状態から苦しそうに倒れ込み、職員の呼びかけにも反応しないため、救命措置を施すとともに、二時十分、救急車で外の病院に搬送し、治療を実施したものの、その日の午後七時五十七分に死亡が確認されたということでございました。
 この事案につきましては、保護房及び革手錠の使用はない、そして、岐阜地検の多治見支部に通報いたしまして、そこの検察官による司法検視を受けているということでございます。
保坂委員 身体の成長も、二十一歳というとまだ成長している。精神的にはまだまだ若くて青年ですね。少年から大人へなりたての年齢でございます。ぜんそくも大変症状が重いわけで、ぜんそくで亡くなる方がありますね。ただ、その場合、慢性気管支炎とか、かなり相当ひどい状態になって亡くなっていくということが多いかと思うんです。
 次のケース、下の方に目を通していただきたいと思います。
 次のケースは、急性心筋梗塞と書かれてあります。ところが、その下の欄に、一番下の死因のところ、これは急性心筋梗塞による死亡とされたと書いてあるんですね、ちょっと読みにくいんです、コピーですから。されたと書いてありまして、されたとは医者は書かないんですね。診断した場合には、急性心筋梗塞と診断したと書くんじゃないかと思います。これは医者が書いていないんじゃないですか。どうですか。
横田政府参考人 このケースについては、ちょっとまだ調査しておりませんでした。至急わかる範囲内で調べてみます。
保坂委員 次に行きます。
 平成十二年になって、七月二十日に肝硬変、C型肝炎で死亡のケースですが、これはちょっと医療の問題、先ほどの、もしぜんそくで二十一歳の若者が突然便器にしゃがみながら亡くなるのならこれは医療の問題もあると思いますが、この方の場合も、六月に下肢浮腫が出てきて、七月になると腹が膨れて、黄疸を認めた。ところが、ここで病院搬送の決断をしていないんですね。点滴をしていたが容体悪化と。結局、病院に送ったが、その日の夕方に亡くなっています。つまり、死ぬ段階でようやく病院に入る。出るのは霊安室経由で遺体として。こういうケース、この後ずらっと、やっていくと、すごく多いんですよ。
 入院費用というのは、実は名古屋のけがをされた方、あれは何か、たしか六十何万円とか書いてあって、先ほど聞いたら、受刑者は被保険者の資格が切れるらしいですね、国民健康保険でも、いわゆる医療保険の被保険者でなくなる。というと、全額、一〇〇%の医療費を国費で見なきゃいかぬ。ここを惜しんでいるということはないですか。本来は、こうやっておなかが膨れてくる前ぐらいにやはり病院に連れていきませんか、普通は。どうですか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 おっしゃるように、行刑施設に入所中の被収容者につきましては、健康保険法あるいは国民健康保険法等の法律の規定によりまして、収容期間中は保険給付、療養の給付等は停止されるというふうに承知しております。したがって、受刑者が疾病にかかったという場合には、これは国費で治療するわけですが、その国費を惜しむということはございません。やはり必要な適切な治療を行うということでやっております。
保坂委員 お言葉を返すようですが、医療は発達していますよね。私も、一昨年父を亡くしましたけれども、かなり容体がよくなったり悪くなったりで、大分病院にお世話になりました。保険があっても、かなりの、相当額を払いますよね。それから、保険がなければ、相当容体の悪い方、高齢の方が、幾つも悪いですね、腎臓が悪かったり、何カ所も悪い、あるいは、透析しているとか、心臓もおかしくなった、そういう方だと、これは一〇〇%でやると、かなりかかるんですね。一月百万を超えるんじゃないですか。一年入院していたら一千万を超えちゃいますね。これはやはり何かブレーキがかかっちゃうんじゃないかなという気がしますね。これは制度の論議ですから、後でやりたいと思いますが。
 その次を見ていただきたいんですが、平成十三年の九月三日、解離性大動脈瘤と診断された、これは三十八歳、若いですね。病院に搬送されたが、その日ではなくて、翌日死亡と。これは何か、有形力の行使というか、革手錠とか何かあったんでしょうか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 これにつきましては、取り急ぎ調査した結果がございますので、申し上げます。
 この三十八歳の受刑者が、十三年九月二日の午前二時五十六分ころ、室内で寝て苦しがっておりましたために、午前三時四十一分に救急車で外の外部病院に搬送いたしました。そして、そこの医師によりまして、解離性大動脈瘤であって、設備の整った病院で専門医の診察及び治療を受ける必要があるという診断がございましたので、専門病院に転院させましたところ、この転院先の病院の医師によりまして、急性大動脈解離という診断がありまして、緊急手術がございました。そして、その後も治療が行われたのでございますけれども、呼吸停止状態となって、その日の午後一時三十分に死亡が確認されたということでございます。
 これにつきましても、保護房への収容あるいは革手錠の使用の事実はございません。また、司法検視が実施されているという報告を受けております。
保坂委員 ここに資料をつけておきましたけれども、岐阜刑務所は、規模が小さいということもあるのか、医者は三人いらっしゃるんですけれども、しかし、いらっしゃる一人の方は、月曜日に一時から五時まで、木曜日に一時から五時まで、金曜日に一時から五時まで、四時間勤務ですね。一時に来て五時にはお帰りになるという形です。そしてもう一人の方は、月曜日には十一時から一時という変則、火曜日には八時半から一時、水曜日も同じです。この三日しか来ません。この二人だけなんですね、内科は。だから、循環器系の病気だとかそういう急病はこの二人が診るしかないんですが、ここにいた確率というのはほとんどないんじゃないかと思うんですね、この時間等を見ていると。後で検証して教えてほしいと思います。
 次に進んでいきたいと思います。
 新潟の例も挙げておきました。これは平成九年一月二十五日、食道静脈瘤破裂、肝炎で亡くなった四十四歳の方。この方は、一月初めに、顔面蒼白、けいれん発作を認めているんですね。検査によって、著しい貧血を認められた。普通なら、この時点で病院に移すべきでしょう。しかし、一月二十一日の静脈瘤破裂までその判断がなかった。そして、四日後に大量吐血するまで病院に送られなかったというケースで、やはり判断が遅い。やはり最終的にもうだめだということになって、ようやく病院に向かうということになっていたのではないか。
 そして、これは指摘しておきますが、検察事務官に五時に司法検視を実施するかどうかをもう依頼しているんですね。その後、所長検視を行っているんですね。ですから、何か順序がおかしいのかなと。やはり行政検視をしたり所長検視を行って、その所見を持って検察庁に情報を上げて、検察官がそれをやるかどうかを決め、連絡をしてくる、こういう形になっていないということも指摘をしておきたいと思います。
 その次に、平成十年九月二十八日に脳幹梗塞の疑いで死亡した四十九歳の方、この方についてだけちょっと答弁してください。午前七時二十七分、本人が亡くなっていたと。頸部で辛うじてはかれるくらい、呼吸もわずかに確認できることと書いているんですけれども、これは本当なのかという疑問を私は持っているんですよ。
 というのは、実はもう亡くなっていたんじゃないか。つまり、夜中にうめき、そして苦しがり、しかしながら、何の処置もなされない。そして、朝、事切れてしまう。そして、事切れているところをいわば発見する、こういうことになっていませんか。しっかりこれは調査してほしいと思うんですね。大変そこが疑われる事案だと思います。
横田政府参考人 今委員から、しっかり調査をしてください、そういう御要請がございましたが、取り急ぎ調査した結果だけ申し上げますと、この件は、新潟刑務所病舎において、原因不明の小脳性失調及びパーキンソン症候群の疾病により休養、経過観察中の被疑者が、平成十年九月二十八日午前七時二十分ころの朝食喫食時に意識障害を発症した。そのため、救急車で外部病院に搬送したものの、その日の午前八時十八分、この病院の医師によって死亡が確認されたということで、これにつきましても、保護房、革手錠の使用はございません。司法検視が実施されているという報告があります。
 この件、あるいはこれまで先生いろいろ御指摘くださった死亡帳に書かれている事案につきましては、先ほど申し上げましたように、死亡帳調査班というものを立ち上げて、これが鋭意調査をするという体制になっておりますので、それによってまた結果が出るというふうに考えております。
保坂委員 では、これを見ていただければわかるんですが、筆跡が、同じ方が書いているんじゃないかと思うんですよ、この病名、病歴、死因のところ、変死の司法検視の欄、それから備考に至るまで。同一人物、しっかり丁寧に、きれいに書かれているんですが、同じ方が書かれているんじゃないでしょうか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 これは実は、これも急ぎ調査した結果でございますが、平成八年から九年当時、府中刑務所におきましては、検察官による司法検視の必要がないとされた事案につきましては、ここでは所長検視を実施するほか、念のために、処遇部門次席矯正処遇官も次席検視を実施したということです。したがって、同じあれでしょうけれども。
 しかしながら、このような運用ということは不適切だと考えますし、紛らわしいということで、平成十年以降は取りやめているということでございます。
保坂委員 それでは、新潟―5と6というのを並べてありますから見ていただきたいんですが、平成十三年の三月三日に亡くなった方ですね。これは、呼吸器感染症ということで亡くなっていて、六十六歳の方ですが、司法検視の末、司法解剖まで行われているんですね。六十六歳の方。新潟―5というものですね。並んである新潟―6の方は、この方の方は、「出血性ショック」と書いてありますよ。胃潰瘍のせん孔、汎発性腹膜炎により病院移送となったが死亡したと。この方の場合、初めてここで急死ということなんです。
 両方同じ急死なんですが、何か基準があるんですかね、司法解剖に至る。これは刑事局長ですかね、どうですか。
樋渡政府参考人 突然のお尋ねで個々具体的なことを了解しておりませんが、司法検視の結果、やはり死因がまだ不明である、自然死か犯罪による死亡であるかどうかわからないという場合には、司法解剖をするということになると思います。
保坂委員 突然だったかもしれませんけれども、これは、総括して法務大臣に伺います。
 これは、二〇〇〇年に、超党派の、与野党合意して児童虐待防止法という法律をつくりました。大変まだ不十分ですが、この秋見直しを迎えますが、その際に、虐待というと、たたいたりあるいはいじめたり、言葉によるいじめも入ります。その中で意外と見落とされてきたのは、ネグレクト、つまり、放置をする、何もしない、これだと思います。
 今ずっと見てきましたけれども、どうでしょうね、亡くなる日に病院へ搬送される、あるいは亡くなる前の日に。あるいは、その暇もなく病舎あるいは舎房の中で事切れる。これは、やはりネグレクトと言われても仕方がないケースも検証すれば出てくるんじゃないか。こういうことのないように、やはり根本的に転換しなきゃいけないんじゃないかと思いますよ。つまり、病院というのは死ぬために行くところじゃないんです。病院は、蘇生するため、つまり、命長らえるために治療があるわけですから、そこはちょっと責任ある答弁をいただきたいですね。
森山国務大臣 もちろん、病院に入るのは治療して回復するためでございます。ただ、行刑施設におきましては、多くの場合一人ではございませんで、夜でも、刑務官が、定期的に各舎房を巡回したり、受刑者の動静を綿密に観察しておりまして、その動静に異常が認められる場合には、声をかけて反応を見るというようなこともいたしますし、必要に応じて直ちに状況を上司に報告して指示を仰ぎ、適切な措置を講じているということに承知しております。刑務官が受刑者の動静の異常を認識しながら何らの措置も行わずに放置するというようなことは考えられないというふうに思っておりますし、中には、いわゆる突然死など予測のできない事態によって残念ながら死に至ってしまう事例もございます。
 しかしながら、こうした事例ばかりではなくて、行刑施設においては、刑務官による異常の早期発見とその後の迅速な処置によって、受刑者の救命に至ったり、容態の悪化を防止した事例も数多く認められるわけでございまして、おっしゃるような問題がないようにこれからも十分気をつけたいと思います。
保坂委員 前回大臣にお願いをした、要請をした、確定死刑囚で冤罪を訴えておられる御老人ですね、そうして、東京拘置所は新しくできた集中治療室、二つベッドがありますが、大変真新しいベッドに横たわって、私、面会をしてきました。前回お話ししたとおりですけれども、その方の病状を、東京拘置所から車で七、八分のところに新葛飾病院という、これはつけてありますが、院長の清水陽一先生、東京拘置所の医師団の責任者と大分やりとりをして、集中的な、国会で議論になって大臣がしっかり取り組むという答弁をされたこともあって、六名のチームで大変よく治療したということで数値がよくなってきた、問題はこれからだとおっしゃっているんです。
 ここに書いてあるように、一番最後のところにあります。結局、今透析をしているんですが、シャントというのをつくっていないんですね。これは、やはりつくらないと安定しない。
 それから、その後、リハビリ、理学療法士によるベッド上の筋力強化とか、ポータブルトイレから歩行へと、つまり、ずっと横たわる寝たきり状態にしかできないですよね。これは東京拘置所を責めるつもりは全くありません。それは無理ですよ、今の体制で。
 ですから、これはもう、監獄法四十三条ですか、を適用して、この先生のところでは、八十代、九十代のオペの例もあります。腎臓透析しながら心臓の手術などもされている。大変難しい患者をチームで抱えている病院ですよ。というところで、例えば、ここで警告されているんですけれども、このままいくと、確かに数値はよくなったんだけれども、抗生物質の反作用で、やはり何らかの感染症で事切れてしまうだろうというふうに言われているので、回復はしないですね。再審請求して、弁護団の方も頑張っていて、何とか口をきいていましたよ、頑張る、頑張ると聞き取れる声で言っていました。だから、まだ回復の余地はある。
 ですから、感染症で亡くなって司法解剖に至った例もあったでしょう。だから、これは判断していただいて、これはここまで出ているわけですから、ぜひ前向きに、しっかりしたチーム医療が受けられるように、そして本人の自力歩行まで行く、回復が目指せるような態勢ができる医療機関に移送するということをしっかりやっていただけないですか。
森山国務大臣 以前にもこの委員会でお答えいたしましたように、東京拘置所の被収容者につきましては、常勤医によりまして医療措置が実施されておりまして、施設内で適切な医療措置が今行われているというふうに思います。
 もしこれができないような場合には、外部の医療機関への通院や近隣矯正施設に勤務する専門医の共助等によって対応することになっておりますが、本人の病状の推移とか年齢等を考慮しながら適正な病状管理に努めるように、同拘置所に指示をしたいというふうに思っています。
保坂委員 医療についてきょうは集中的に取り上げましたけれども、府中刑務所で九件なくなりましたよね。そのうち、大きくなくなったものが三件あるそうですね。この三件、いずれも、私が見るに、みんな急死なんですね、共通点があるんじゃないかという気がいたします。しっかり調査をしていただきたい。
 つまり、三件というのは、九件の中でたくさんなくなっているものが三件あるというふうに聞きました。その三件はいずれも急死である。その点だけ答弁を求めて、終わります。
横田政府参考人 この件につきましては、先ほど山花委員の御質問にもお答えしましたように、現在調査中でございますので、保坂委員の御趣旨を踏まえながらさらに調査を進めてまいります。
保坂委員 終わります。
     ――――◇―――――
山本委員長 次に、内閣提出、法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。森山法務大臣。
    ―――――――――――――
 法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
森山国務大臣 法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 法曹の養成については、法科大学院における教育が、司法修習生の修習との有機的連携のもとに法曹としての実務に関する教育の一部を担うものとされ、かつ、関係する機関の密接な連携及び相互の協力のもとに、将来の法曹としての実務に必要な法律に関する理論的かつ実践的な能力を備えた多数の法曹の養成を実現すべきものとされております。
 この法律案は、このような状況にかんがみ、国の責務として、裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員が法科大学院において教授、助教授その他の教員としての業務を行うための派遣に関し必要な事項について定めることにより、法科大学院における法曹としての実務に関する教育の実効性の確保を図り、もって法曹養成の基本理念に則した法科大学院における教育の充実に資することを目的とするものであります。
 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、法科大学院設置者は、裁判官または検察官等を教授等として必要とするときは、最高裁判所または任命権者に対し、派遣を要請することができるものとしております。
 第二に、最高裁判所は、裁判官の同意を得て、裁判官が職務とともに教授等の業務を行うものとすることができることとし、当該裁判官は裁判官として受ける報酬その他の給与を減額されず、法科大学院設置者がその教授等の業務の対償に相当するものとして政令で定める金額を国庫に納付するものとしております。
 第三に、任命権者は、検察官等の同意を得て、検察官等が職務とともに教授等の業務を行い、または専ら教授等の業務を行うものとして、検察官等を派遣することができるものとし、法科大学院における法曹としての実務に関する教育が実効的に行われることを確保するため特に必要があると認められるときは、必要と認められる範囲内で、当該検察官等に対し給与の一部を支給することができるものとしております。
 第四に、法科大学院において教授等の業務を行う裁判官及び検察官等について、国家公務員共済組合法、国家公務員退職手当法等の特例について所要の規定を置いております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
山本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま議題となっております本案審査のため、来る十五日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る十五日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.