衆議院

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第19号 平成16年4月23日(金曜日)

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平成十六年四月二十三日(金曜日)

    午前九時二十五分開議

 出席委員

   委員長 柳本 卓治君

   理事 塩崎 恭久君 理事 下村 博文君

   理事 森岡 正宏君 理事 与謝野 馨君

   理事 佐々木秀典君 理事 永田 寿康君

   理事 山内おさむ君 理事 漆原 良夫君

      左藤  章君    佐藤  勉君

      桜井 郁三君    田中 英夫君

      竹下  亘君    中野  清君

      西村 明宏君    早川 忠孝君

      平沢 勝栄君    松島みどり君

      水野 賢一君    森山 眞弓君

      保岡 興治君    山際大志郎君

      泉  房穂君    稲見 哲男君

      加藤 公一君    鎌田さゆり君

      河村たかし君    小林千代美君

      小宮山洋子君    辻   惠君

      寺田  学君    中井  洽君

      松野 信夫君    上田  勇君

      富田 茂之君    西  博義君

      古屋 範子君    川上 義博君

    …………………………………

   議員           河村たかし君

   議員           中村 哲治君

   議員           山花 郁夫君

   法務大臣         野沢 太三君

   法務副大臣        実川 幸夫君

   法務大臣政務官      中野  清君

   最高裁判所事務総局総務局長            中山 隆夫君

   最高裁判所事務総局民事局長

   兼最高裁判所事務総局行政局長           園尾 隆司君

   最高裁判所事務総局刑事局長            大野市太郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小島 康壽君

   政府参考人

   (司法制度改革推進本部事務局長)         山崎  潮君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          寺田 逸郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           清水  潔君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       伍藤 忠春君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    塩田 幸雄君

   法務委員会専門員     横田 猛雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  保利 耕輔君     竹下  亘君

  松島みどり君     西村 明宏君

  柳澤 伯夫君     田中 英夫君

  枝野 幸男君     稲見 哲男君

  辻   惠君     寺田  学君

  上田  勇君     古屋 範子君

  富田 茂之君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 英夫君     柳澤 伯夫君

  竹下  亘君     保利 耕輔君

  西村 明宏君     松島みどり君

  稲見 哲男君     枝野 幸男君

  寺田  学君     辻   惠君

  西  博義君     富田 茂之君

  古屋 範子君     上田  勇君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案(内閣提出第六七号)

 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)

 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(河村たかし君外四名提出、衆法第一九号)

 総合法律支援法案(内閣提出第六九号)


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     ――――◇―――――

柳本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案並びに河村たかし君外四名提出、刑事訴訟法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 各案につきましては、去る二十一日質疑を終了いたしております。

 この際、内閣提出、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案に対し、塩崎恭久君外七名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。佐々木秀典君。

    ―――――――――――――

 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

佐々木(秀)委員 ただいま議題となりました修正案について、提出者を代表して、その主な趣旨及び概要を御説明いたします。

 第一は、裁判員等に対する接触規制に係る保釈等の取り消し事由について、原案は、「接触すると疑うに足りる相当な理由があるとき」としておりますところ、本修正案は、「接触したとき」と変更するものであります。

 第二は、裁判員等による秘密漏示罪について、原案では「一年以下の懲役」とされている懲役刑の期間を「六月以下の懲役」とするとともに、「裁判員又は補充裁判員の職にあった者」の処罰を、金銭対価を得る等の悪質な場合を除き、罰金刑に限定するものであります。

 第三は、裁判員の参加する刑事裁判の制度を円滑に運用するために、国は、そのために必要な環境の整備に努めなければならないとするとともに、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、所要の措置を講ずるものとするとの条項を附則に加えるものであります。

 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

 以上で、提案理由の説明を終わります。ありがとうございました。

柳本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次に、内閣提出、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対し、塩崎恭久君外七名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。漆原良夫君。

    ―――――――――――――

 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

漆原委員 ただいま議題となりました修正案について、提出者を代表して、その主な趣旨及び概要を御説明いたします。

 第一は、被告人または弁護人が、開示された証拠の目的外使用の禁止規定に違反した場合の措置について、本修正案は、被告人の防御権を踏まえ、複製等の内容、行為の目的及び態様等の諸事情を考慮する旨の条項を加えるものであります。

 第二は、検察官請求証拠の証明力判断のために開示され得る証拠の類型のうち、検察官請求証人の供述録取書等について、原案は、当該証人の証言予定事項と同一事項のものに限るとしておりますところ、そのような限定を削除するものであります。

 第三は、検察審査員等による秘密漏示罪について、原案では「一年以下の懲役」とされている懲役刑の期間を「六月以下の懲役」とするとともに、検察審査員等であった者の処罰を、金銭対価を得る等の悪質な場合を除き、罰金刑に限定するものであります。

 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。

 以上でございます。

柳本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 この際、河村たかし君外四名提出、刑事訴訟法の一部を改正する法律案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があれば発言を許します。野沢法務大臣。

野沢国務大臣 本法律案については、政府としては反対でございます。(発言する者あり)

柳本委員長 静粛に願います。

    ―――――――――――――

柳本委員長 これより各案及び両修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、河村たかし君外四名提出、刑事訴訟法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柳本委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、塩崎恭久君外七名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柳本委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柳本委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、塩崎恭久君外七名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。下村博文君。

下村委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 政令又は最高裁判所規則において裁判員制度の細目を定め、また、実際に裁判員制度を施行するに当たっては、例えば、守秘義務の範囲の明確化や裁判員にわかりやすい立証・説明等の工夫等、円滑で、制度の趣旨が十二分に活かされる運用となるよう、国会における論議を十分に踏まえること。

 二 附則第二条第一項の規定を踏まえ、国民の理解を十分に得て、国民が自ら進んで裁判員として刑事裁判に参加してもらえるよう、関係省庁間において的確に連携協力するなどして、裁判員制度の趣旨やその具体的内容の周知のための活動を十分に行うよう努めること。

 三 裁判員制度の円滑な実施のため、必要な予算の確保を含め、本法施行前における準備を十分に行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

柳本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 塩崎恭久君外七名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柳本委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 次に、内閣提出、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、塩崎恭久君外七名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柳本委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柳本委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、塩崎恭久君外七名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。永田寿康君。

永田委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 政府は、最高裁判所、法務省及び日本弁護士連合会による刑事手続の在り方等に関する協議会における協議を踏まえ、例えば、録画ないし録音による取調べ状況の可視化、新たな捜査手法の導入を含め、捜査又は公判の手続に関し更に講ずべき措置の有無及びその内容について、刑事手続全体の在り方との関連にも十分に留意しつつ検討を行うこととし、本委員会は、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律施行までに実質的な論議が進展することを期待する。

 二 本法第二百八十一条の四及び五の解釈については、国会での論議を十分に斟酌すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

柳本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 塩崎恭久君外七名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柳本委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、両附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。野沢法務大臣。

野沢国務大臣 ただいま可決されました裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案のそれぞれに付する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。また、最高裁判所にも本附帯決議の趣旨を伝えたいと存じます。

    ―――――――――――――

柳本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

柳本委員長 次に、内閣提出、総合法律支援法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官小島康壽君、司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務省大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、文部科学省大臣官房審議官清水潔君、厚生労働省大臣官房審議官金子順一君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長伍藤忠春君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局中山総務局長、大野刑事局長及び園尾行政局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

柳本委員長 速記を起こしてください。

 漆原良夫君。

漆原委員 おはようございます。公明党の漆原でございます。

 総合法律支援法案、きょうは、私のこの法案に対する最後の質問になります。そこで、この法案に対する私の思いを少しお話しさせていただいて、さらに、きょうは実川副大臣を中心に議論をさせていただきたい、こう思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 今日の我が国が直面している諸課題を解決するためには、我が党は、活力みなぎる安心・はつらつ社会を構築しなければならないと考えております。そのためには、規制緩和を初めとする社会経済の構造改革を確実に進めていく必要があります。社会の複雑多様化、国際化の進展などに伴い、法律による解決を必要とする紛争が増加しております。規制改革が進み、事前規制型社会から明確なルールと自己責任原則に貫かれた事後監視・救済型社会へと大きく転換する中で、国民の権利利益の保護に欠けることのないよう、機動的できめ細かいセーフティーネットを構築していかなければならないと考えております。

 そこで、司法の果たすべき役割が重要となり、利用者である国民の視点に立って、身近で頼りになる司法を実現しなければならない。今般の司法制度改革は、このような背景のもとで、司法制度を抜本的に見直す百年に一度と言われる大改革であります。その中でも本法案は、司法制度をより国民に身近で頼りがいのあるものとして、ともすれば国民から縁遠い存在であった司法を国民に近づけるための重要な法案でございます。

 公明党は、政治や行政からいわば置き去りにされた市民に対して、これまで、法律相談を初めとした草の根の市民相談を行って、市民の法律上、行政上の紛争解決に対する方向性に取り組んでまいりました。また、国民の裁判を受ける権利を保障する観点から、民事法律扶助法の制定の推進、予算の増額など、民事法律扶助事業の拡充に力を入れてきたところであります。

 実は私も、政治の世界に入る前に、昭和四十六年に弁護士登録をしましてからずっと、二十五年間、法律相談を各地で担当してまいりました。今も続いておりまして、これはもう、法務大臣御出身の長野県の山間部を中心に、弁護士を連れて、それから税理士を連れて、隔月でありますけれども、土曜日の夜と日曜日の昼間、出張市民相談というんでしょうか、ずっと当選以来続けてまいっております。

 紛争に巻き込まれた市民が抱える悩みというのは大変切実なものがありまして、そのような市民が、全国どの地にあったとしても、紛争の解決に向けた道案内を確実にしてもらえるような社会を構築すること、泣き寝入りをする人が一人もいなくなる社会をつくり上げていくことが我が党の願いでありまして、私自身の願いでもあります。

 この総合法律支援法は、あまねく全国において国民が法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供を受けられる社会を実現することを目指して行われることを基本理念としております。身近な司法の実現を目指して、我が党を初め関係各機関や団体がこれまで行ってまいりました取り組みを、今度は国の責務として結実させたものでありますから、我が党としても、この法案を速やかに成立させて体制の整備を進めていかなければならない、こう考えております。

 そこで、質問に移りますが、国民に身近な司法を実現する上で何よりも先に取り組まなければならないのは、弁護士が全くいないとかあるいは一人しかいないとかいう、いわゆる弁護士ゼロワン地域の解消、司法過疎地域の解消でございます。これまでにも、法曹人口の拡大が図られ、司法過疎地域の対策として、日本弁護士連合会において、ひまわり基金公設事務所の設置等の取り組みが行われてまいりました。

 しかしながら、弁護士ゼロワン地域は、なかなか解消されておりません。この司法過疎地域では、司法が依然として国民にとって手の届かない存在であるために、さまざまな問題が起きております。いわゆる司法過疎地域における法律サービスの提供の現状から、どのような問題が生じているのか、どのように認識しておられるのか、副大臣にお尋ねしたいと思います。

実川副大臣 先生、これまでの経験等を踏まえて、過疎地域における現状ということで御質問だと思いますけれども、司法過疎の問題につきましては、総合法律支援構想の検討を進める中で、司法制度改革推進本部事務局におきまして、有識者懇談会を開催いたしております。

 これは、先生御承知のように、昨年の六月五日に片山鳥取県知事を含めまして開催をいたしております。その中で、司法過疎の地域におきます法律サービスの現状、また、司法のニーズ、司法過疎克服のための取り組みの現状、また課題などにつきまして、御意見をいただきました。

 この会議におきましては、司法過疎地域では、やみ金融あるいは悪徳商法がはびこり、地域一帯が被害に遭う、そういうケースもございました。身近に相談できる専門家がいないため、事件屋に解決を依頼し、また、本来司法の場で解決されるべき問題が埋もれている、そういうこともございました。また、紛争を公正なルールのもとで迅速に解決することが社会的コストの軽減になるはずだ、そういう御意見もございました。さらには、民間のボランティアによります取り組みには限界がある、そういう御意見をいただいたところでございます。

 また、推進本部事務局が行いました司法ネットの整備につきましての意見募集につきましても、同様の御指摘をいただいておるところでもございます。

 これらの指摘などから、法による紛争の解決に必要な情報やあるいはサービスの提供が受けられる社会の実現がより一層求められているものというふうに考えております。

漆原委員 実際、この法律相談を担当してみますと、簡単なことを知らないために、本当に簡単なことを知らないために、何日も何日も悩んでいらっしゃる方がいっぱいいるわけですね。ですから、そういう意味では、ぜひとも幅広く法律相談が受けられるような体制が整ってもらいたいと思うし、また、今よく二割司法と言われている。国民の二割の人しか司法を利用していない。それは、弁護士がいないとか費用が高いとか時間がかかるからという、これはいろいろな問題があるんですが、ぜひとも二割司法の解消ということも、この法案の成立によって大きく進んでいくだろうというふうに私は期待をしております。

 そこで、司法過疎地域というのは、法律による解決が必要となる紛争が少ない地域じゃないんですね。司法過疎と呼ばれる地域でも、法律家に対するニーズは極めて高いものがある。このようないわば埋もれたニーズにこたえるため、司法過疎地域の速やかな解消が求められております。

 そこで、支援センターの事務所を設置するに当たり、司法過疎の実情にはどのように配慮されているのか、副大臣にお尋ねしたい。

実川副大臣 日本司法支援センターの地方事務所におきましては、民事法律扶助あるいは国選弁護人の選任に関する業務を担当すること等に照らしますと、少なくとも全国の地方裁判所本庁所在地には事務所を設置する必要があるというふうに考えております。

 これらに加えまして、いわゆる司法過疎の問題を解消することが国民に身近な司法を実現する上で重要な課題でございます。

 そこで、支援センターの事務所配置等に当たりましては、各種のニーズ、あるいはまた地理的条件などの地域の実情に十分配慮しながら、司法過疎地域の解消に向けて効果的かつ効率的な対策が検討される必要があるというふうに考えております。

 さらに、常勤弁護士を駐在させる事務所を設置することが難しい地域につきましても、地域の実情に配慮しつつ、常勤弁護士を巡回させること、あるいはまた地方公共団体と連携してサービス提供を行うことなどさまざまな工夫を重ねまして、日本弁護士連合会等の取り組みとも連携を図りながら、司法過疎地域の解消に向けて努力していくことになるというふうに考えております。

漆原委員 今副大臣から巡回という言葉が出ました。事務局長もそうお答えされております。

 私は大変重要なことだと思う。県の県庁所在地にしか事務所はできないと思うんですよね。離島だとか遠いところから法律相談に来るわけになかなかいかない。そこで、巡回をしていくというのは大変重要な役目だと私は思うんだけれども、ぜひとも休みを利用してもらいたいんです。土曜日だとか日曜日だとか、休日に巡回してもらいたい。

 要するに、仕事を休んで来るというのは大変な負担なんです。だから、法律的な紛争の主体はだんなさんでも、だんなが休めないから奥さんが来るわけですね。そうすると、伝聞でしか聞けないものだから、本当の法律相談にならないんです。そういう意味では、仕事を休んで法律相談においでよというのは、なかなか地方では難しい実情にあります。

 したがって、土曜の休みの日とか、あるいは日曜日だとか、休日、特に巡回の場合はそういう休日を利用する、こういう方向性に進んでもらいたいなと思っているんですが、大臣、どうですか、これは。急に大臣に振って申しわけないんですが、そういう方向性を考えてもらえないでしょうかね。

野沢国務大臣 委員がかねてから私の郷里、本当にこれは過疎地でございますが、これを含めまして大変な御努力をいただいていることを感謝いたしておりますが、この法案の趣旨は、まさにそういった過疎地についてもかゆいところに手が届くというところに非常にいい意味があると思っております。巡回を含めまして適切な対応をとって効果が上がりまするよう、運営に大いに工夫を凝らしてまいりたいと思います。

漆原委員 大臣、どうもありがとうございました。

 総合法律支援法案では、支援センターは契約により弁護士を確保して、その弁護士が法律サービスの提供を行うこととされております。そして、弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現するということを使命として、場合によっては、国や政府を相手として市民の利益や権利を守ることが責務とされております。したがって、支援センターに所属する弁護士の独立性を保障することは、これはとりもなおさず市民の権利利益を擁護することに大変不可欠な要素だろうというふうに私は考えております。

 そこで、お尋ねしますけれども、支援センターの弁護士等の独立性を保障する必要性についてどのように認識しておられるのか、また、そのためにどのような措置が本法案に講じられているのか、副大臣にお尋ねしたいと思います。

実川副大臣 御指摘の独立性また措置という御質問でありますけれども、弁護士等の職責が個々人の権利利益を擁護することにある点にかんがみますと、その職務の独立性を確保することは大変重要であるというふうに考えております。

 そこで、本法案におきましては、弁護士等の職務の特性に常に配慮しなければならないものとした上で、支援センターとの間で契約をしている弁護士等の職務の独立性を明記し、具体的な職務活動につきましては支援センターの指揮命令を受けないこととしております。

 また、有識者等により構成される審査委員会を設けまして、契約弁護士等に対する契約解除等の措置に関しましてはその議決を経ること、このようにしております。

漆原委員 この点は先回事務局の方にも私は申しました。二十九条の第八項、そして三十五条の第二項。これは、センターが弁護士に対して、「懲戒」という言葉を使っている、「(懲戒を含む。)」という括弧書きになっているわけですね。これは紛らわしいし、削除すべきだということを申し上げたんですが、いささかも弁護士の独立性に対して疑義の生ずることのないようにしっかり運営をしてもらいたいということを申し上げておきます。

 センターの運営なんですが、私、今から六年ぐらい前になりますか、オーストラリアに行きまして、そこでリーガルサービスセンターに行ってまいりました。そのとき、本当に明るいんですよね。非常に明るい感じの事務所でございまして、私一番心配しているのは、職員が、相談させてあげる、相談に応じてあげる、場合によっては、法律扶助してあげるということで、何か来た人を見下すような態度になることを物すごく心配している。弁護士会のやっていた法律扶助事業でも、女性職員が多いんだけれども、そういう職員がどうもいらした依頼者というのか申込者に対して高圧的な態度をとっていたということを何カ所かで私は耳にしている。今度は独法になるんだけれども、そういうことがあっては断じてならないと思うんですね。

 私の行ったところのオーストラリアは、本当に利発な、優秀な女性がいまして、大変明るい感じで応対をしておられるのを目の当たりにして、日本もぜひともこの支援センター、そういう、だれでも明るく迎えるというふうな運営にしてもらいたいなというふうに思っております。その辺もあわせてお願いをしておきます。

 そこで、支援センターの業務の公共性から考えてみますと、国民からはその業務が公正中立、適正に行われているという信頼感がなければならないと思うわけですね。そして、支援センターの扱う業務内容が利用者たる国民のプライバシーにも直結するものでありますから、これを取り扱う支援センターの役職員に対しては、守秘義務や倫理保持などの点できちんとした対応がなされる必要があると私は思います。

 支援センターの役職員等の倫理保持についてどのような措置がとられているのか、お尋ね申したいと思います。

実川副大臣 支援センターの役職員の今御指摘にありました倫理保持につきましては、支援センターの業務の公共性などから、役職員の秘密保持義務を定めるとともに、役職員は、刑法その他の罰則の適用につきましては、法令により、公務に従事する職員とみなすこととしております。

 そのほか、支援センターにおきましては、その業務の公共性にかんがみまして、職員に適切な研修、さらに教育を行うことなどをして倫理保持を行っていくことになるというふうに思います。

漆原委員 その点、しっかりしていただかないと、この事業はうまくいっていかないので、そこのところはしっかりやっていただきたいと思います。

 この支援センターの業務内容にかんがみますと、やはり担い手の中心となるのは弁護士だろうというふうに思います。そうすると、支援センターの業務運営は、日本弁護士連合会の意見が十分に反映される必要があるというふうに思います。法務大臣がこの法案に規定された権限を行使するに当たっても、適宜日本弁護士連合会の意見を聞く、これを適切に反映していくことが必要だと考えております。

 法務大臣がこの法案に規定された権限を行使するに当たって日本弁護士連合会の意見を聴取することについて、副大臣はどのようにお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。

実川副大臣 支援センターにおきます法律サービス提供の主な担い手は弁護士でございます、これは御指摘のとおりでございますけれども。支援センターがその業務を円滑に運営するためには、適時日本弁護士連合会の意見を聴取し、さらには協力を得ることが必要であるというふうに考えております。

 また、法務大臣が支援センターに対しましてこの法案に定められた権限を行使するに当たりましても、この点について十分に配慮するべきであると考えております。

漆原委員 次に、法律扶助についてお尋ねしたいんですが、権利関係が複雑化している現代社会においては、権利を有する者が裁判でその権利を実現するためには、高度な法律知識や訴訟技術を必要とする場合が多くて、その代理人に要する費用、すなわち弁護士費用等をみずから負担しなければなりません。この費用を負担することが困難な者は、裁判を受ける権利が保障されているといっても、権利の実現に非常な困難を来すことになって、実質的に見れば、憲法が定める裁判を受ける権利を保障されているとは言いがたい現状になると思います。

 民事法律扶助制度は、民事紛争の当事者が資力に乏しい場合であっても、民事裁判等において自己の権利を実現することができるようにするために弁護士費用の立てかえ等の援助を行うものでありまして、裁判を受ける権利、これを実質的に保障する意義を持つものでありまして、私は極めて公共性の高い制度であると考えております。

 このような観点から、我が党は、冒頭に申し上げましたように、民事法律扶助の法制化の推進や、あるいはその拡充に努めてきたところであります。

 ところで、ついこの前、財団法人法律扶助協会の専務理事の藤井さんという方が参考人として意見を陳述されておりました。この総合法律支援法ができることによりまして、民事法律扶助事業の質が変わったんだ、こういう評価をされておりました。

 どういうことかといいますと、民事法律扶助法は、従来、まあ現在の法律ですね、民事法律扶助法は、指定法人という手法を採用したため、国は、民事法律扶助事業を民間の事業と位置づけている、そして予算の範囲内で指定法人に対し費用の一部を補助するという構成になっている。そのとおりですよね。しかし、本法案ができますと、本法案はその構成と違って、総合法律支援の実施及び体制の整備に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を国が有するとして、国の責務としてこの実施体制の整備を位置づけている。その中に法律扶助事業が入っているわけですね。

 そういう意味では、民間の事業として位置づけられており、国が援助するという構成から、国が法律扶助事業を行う、そういう体制に変わったんだというふうに認識されて、法律扶助事業の質的変換ということで大変評価されておった。

 私もまさにそのとおりだと思うんですけれども、副大臣にお尋ねしたいんですが、民事法律扶助制度の拡充という観点から、この総合法律支援法案はどのような意義を有するのか、また今後の扶助の拡充についてはどのように考えておられるのか、御意見をお尋ねしたいと思います。

実川副大臣 今回のこの法案の意義、また扶助の拡充についてのお尋ねだと思いますけれども、総合法律支援の実施及び体制の整備は、民事、刑事を問わず、あまねく全国におきまして、法による紛争の解決に必要な情報あるいはサービスの提供が受けられる社会を実現することを目指して行うものでありまして、国民がより利用しやすい司法制度を実現するという民事法律扶助の理念に伴いましてこれを発展させたものと言うことができ、この構想を実現することは、民事法律扶助の充実につながるものというふうに考えております。

 さらに、民事法律扶助事業自体につきましても、専属の事務職員を抱えます支援センターが同事業を担うことは、組織あるいは基盤また事務処理体制の強化に資するものでありまして、さらに、センターの常勤弁護士等の活用等によりまして、一層迅速で、また効果的な援助の実施が可能になるものというふうに考えております。

 また、同事業のさらなる拡充のあり方につきましては、センターの体制を整備また発展させていく中で、国民の理解を得ること等に留意しつつ、引き続き検討されるべき課題であると考えており、今後とも、同事業の適正なあり方を見据えつつ、民事法律扶助事業の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

漆原委員 事務局にお尋ねしたいんですが、藤井参考人はこう言っていました。この法律扶助事業については、積み残しになった部分があるんだと。

 どんなことかというと、一つは、民事法律扶助の拡充という観点から、対象事件、対象者の範囲、利用者負担のあり方等が先送りになった。

 それから二番目に、国費による当番弁護士制度。逮捕されたときが一番つらいわけですね。公的弁護制度、刑訴の改正でできますけれども、これは勾留されてからですね。逮捕段階はつかない。今、弁護士会が逮捕段階で当番弁護士制度ということで扶助事業をやっておるんですが、国費による当番弁護士制度が積み残しになった。

 三点目、これは少年事件。公的付添人制度、これに対する扶助事業が先送りになってしまった。

 四点目、犯罪被害者支援。本法案でも犯罪被害者支援がセンターの業務内容となっておるんですが、しかし、それは情報提供にとどまっているわけですね。もっともっと犯罪被害者のために総合的にやらなきゃならぬことはいっぱいある。継続的な相談だとか、刑事告訴だとか、あるいは法廷の傍聴、あるいは意見の陳述支援だとか、刑事手続における和解だとか、マスコミ対策だとか、いっぱいあるんだというふうにおっしゃっていました。

 こういうものが積み残しになっているんだけれども、どのような議論がなされたのか、今後どのような方向性になるのか、事務局にお尋ねしたいと思います。

山崎政府参考人 まず、基本的な考え方でございますけれども、今御指摘のような課題、これがあることは私ども承知をしております。

 ただ、今回は、とにかく組織としてきちっとしたものを立ち上げて、その中できちっとした、まず法的なサービスができること、これを最優先にしたいという考え方から、その将来課題については引き続き継続して検討していくということの位置づけで、今回、とにかく組織をきちっとつくって、安定的な運営ができるようにということで、これが可能になったときにまた検討を加えてさらなる充実をしていく、こういうようなことを考えたわけでございます。

 この中で幾つか別途検討しているものもあるわけでございまして、例えば、犯罪被害者の援助についてどのようなものを行っていくか、これはこのセンターで行うもの以外にもいろいろあるわけでございますので、そういうものを含めて、今法務省の方で研究会等を設けて検討しているということでございます。

 それから、公的付添人の関係等につきましても、私どもの検討会の中でもいろいろ議論はいたしましたけれども、これは少年審判全体のあり方に大きく影響をするということから、それを含めて検討をしていこうということで、これも別途、法務省の方で今検討を進めているわけでございます。

 そういう形で、別途検討会を設けてやるものと、それから、この運営の中で将来拡充を導入していくもの、先ほど、被疑者弁護の拡充の問題それから法律扶助の関係の範囲の拡充、こういう点につきましても、その運営を経ながら、将来の拡充についても、その中できちっとした対応をしていきたいということを考えているわけでございます。

漆原委員 初めから全部の要望を備えたものをつくり上げろといっても難しいと思うんだけれども、まず必要最低限のものから立ち上げて、検討を加えてさらに拡充していくというやり方、これはもうやむを得ないと思うけれども、ぜひともそういう方向で進んでもらいたいというふうに思います。

 最後になりましたが、何といっても心配なのは、法律、法案ではないんです、お金の問題なんです。どんなにいい法案をつくったって、これは予算がないと、結局、何回も言っているけれども、絵にかいたもちになる。ここは我々政治家が頑張らなきゃならぬところなんだけれども、副大臣にも頑張ってもらいたい。

 ある意味では、この法案をつくって国民にお約束をしたわけだから、僕も時局講演会では、こんなのができますよと言って一生懸命しゃべって宣伝するんだけれども、予算がつかないと、あれ、見かけ倒しだなというふうになりますね。そういう意味では、大臣及び副大臣には、これから閣内にあって財務省と大バトルを展開してもらわなきゃならないんだけれども、私どもも全面的な支援を申し上げます。

 副大臣の決意を聞いて、質問を終わります。

実川副大臣 委員御指摘の財政上の措置でございますけれども、私も大変大事だというふうに承知をいたしております。

 運営主体となります日本司法支援センターでありますけれども、法務省におきましては、これまで予算を確保してきた民事法律扶助事業関係の業務に加えまして、法による紛争解決制度の有効な利用に資する情報提供の充実強化の業務、あるいは国選弁護人の選任に関する業務、またいわゆる司法過疎地域におきます法律事務に関する業務、さらには犯罪被害者の支援に関する業務等、幅広い業務を担当することを予定しております。

 法務省といたしましては、これらの業務を効果的かつ効率的に処理するため、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えており、今後、運営上の詳細とあわせまして、検討を重ねてまいりたいというふうに考えております。

漆原委員 ぜひ頑張ってもらいたいということを申し上げて、質問を終わります。大変ありがとうございました。

柳本委員長 御苦労さま。

 保岡興治君。

保岡委員 自由民主党の保岡興治でございます。

 今般の司法制度改革について、責任与党である自由民主党の一員として、非常に司法改革を重視して、仲間とともにいろいろ政治のリーダーシップを発揮してきたと自負いたしておりますが、今般の総合法律支援法のほか、司法制度改革に関する幾つかの質問をさせていただきたいと思います。

 まず、本日の審議の議題となっております総合法律支援法案に関する質問でございますが、今般の司法制度改革の根幹、これは国民にとって身近で頼りがいのある司法を実現すべしという要請があるものと思いますが、司法制度改革推進本部の本部長、これは小泉総理ですが、司法は高ねの花という言葉で比喩的に、司法が国民から非常に縁遠い存在で敷居が高いという趣旨のことを指摘されております。

 具体的に言いますと、法的な紛争の解決方法に関する情報、これが非常に入手が難しい、身近に弁護士等の法律専門家がいない、そのために相談ができない、そのような法律専門家がいても経済的な事情からなかなか依頼がしにくい、一体幾らかかるのかわからないなど、司法へのアクセスの障害になる問題が、非常に日本の社会にはまだまだ山積みされていると思うのでございます。

 したがって、国民にとって身近で頼りがいのある司法の実現のためには、まず司法へのアクセスの障害となっている問題を抜本的に根っこから解決するということが必要で、このために、小泉総理も、あまねく広く、全国どの町でも市民が法的な救済を受けられるものとして司法ネットの整備を要請されたということでございます。

 自由民主党におきましても、総合法律サービスの提供と司法アクセスポイントの設置は司法制度改革の重要な課題であると考えまして、この課題について、司法制度調査会に司法アクセス等プロジェクトチーム、杉浦正健さんを座長にいたしまして、昨年の三月から検討を開始しまして、昨年六月には中間取りまとめを行いました。そして、昨年十二月には司法ネット構想の骨子をまとめ、この二月には最終取りまとめをして、司法制度改革の推進本部等の検討会と平仄、足並みを合わせながら、この制度のために努力をしてきたわけでございます。

 そこで、司法制度改革の原点に立ち返って問題意識を申し上げて、この関係で幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げたように、国民にとって司法はこれからは身近なもの、国民の支持、理解が本当に大切であるという観点があると思いますが、法務大臣に、この法案の、総合法律支援の意義を、まず決意として伺ってみたいと思います。

    〔委員長退席、漆原委員長代理着席〕

野沢国務大臣 今委員から、司法制度改革の本質的な意義、目的等について御意見をいただきましたが、私が昨年、法務大臣を拝命いたしますときに、小泉総理から特命をちょうだいしておりますが、その第一が、司法制度改革を推進してほしいということでございました。自来、半年間、努力をしてまいりましたが、今ここにこの法案の仕上げともいうべき御審議をいただいておりますこと、まことに光栄でございまして、また、推進本部の副本部長としての役割を含めまして、大変その責任の重さを感じておるところでございます。

 我が国におきましては、内外の社会経済情勢が著しく変化している中で、法による紛争の解決が一層重要になっていることは委員今御指摘のとおりでございますが、総合法律支援構想は、このような背景のもとで、司法を国民により身近なものとする、そして民事、刑事を問わず、あまねく全国において法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられるような総合的な支援の実施と体制の整備を行おうとするものでございます。

 総合法律支援構想におきましては、その中核となる運営主体として日本司法支援センターを設け、このセンターが、既存の各種相談窓口や弁護士会、裁判外紛争解決機関などと連携協力しながら、まず第一に法による紛争解決制度の有効な利用に資する情報提供の充実強化の業務、二つ目に民事の法律扶助事業関係の業務、三つ目に国選弁護人の選任に関する業務、四つ目がいわゆる司法過疎地域における法律事務に関する業務、五つ目に犯罪被害者の支援に関する業務などの業務を一体的に行おうとするものでございます。

 このように、総合法律支援構想は、国民にとって身近で頼りがいのある司法制度の構築を目指すものでございまして、今般の司法制度改革の中でも極めて重要な意義を有するものと考えております。

保岡委員 そこで、先ほど漆原先生からもいろいろ全般的なお話がございまして、その中にも触れてありましたが、私は、観点をちょっと絞りまして、犯罪被害者支援について副大臣にお伺いをしたいと思います。

 犯罪被害者というのは、今の司法の中で位置づけあるいはそれに対する支援というものが非常に薄くて、どちらかというと、加害者である犯罪者の人権面に配慮したいろいろな制度としてつくられている。そういうために、憲法でも加害者の被告人や被疑者に対する憲法保障というものはきめ細かくされているんですが、被害者保障支援、刑事手続の中における被害者の位置づけというのが全くないと言ってもいいぐらい、もちろん一般的な規定の中に読み込めないことはないかもしれませんが、そういう扱いが私たちの日本の司法全体に、あるいは関連の政府の施策にあらわれている、そのように思います。

 過日、犯罪被害者の方が総理に直訴されまして、私は杉浦正健先生と二人で伺いましたら、総理が非常に、いたく被害者の訴えに感銘というか本当に心を震わされまして、直ちに法務大臣に指示するというようなことがございまして、政府の方も、先ほどの漆原委員に対するお答えでもいろいろ検討が始まっているかに伺いましたが、この犯罪被害者の支援、これが総合法律支援の重要な柱としての位置づけが必要なことは論をまたないわけでございます。

 そういった意味で、総合的な犯罪被害者支援策と日本司法支援センター、これの役割というものがとても大事だと思うんですが、副大臣、いかがでございましょうか。

実川副大臣 先生御指摘がございました犯罪の被害を受けた方あるいは遺族の方は、突然の不幸に大変大きな肉体的また精神的な負担を受け、みずからの利益の保護あるいは権利の実現のためにどうすればよいか、途方に暮れてしまうのが実情ではないかというふうに思います。支援センターでは、犯罪被害者の方が置かれております状況を十分に念頭に置きながら、その支援のために積極的に取り組んでいくことになるというふうに考えております。

 すなわち、支援センターでは、犯罪被害者のためにさまざまな取り組みをしている組織あるいはそれらの緊密な連携関係を構築しながら、個々の犯罪被害者が受けておられます心身のダメージあるいはそれらに配慮しながら、そのときに最も必要な援助が受けられるような集約した情報を速やかにかつ懇切丁寧に提供することになります。

 また、各地の弁護士会あるいは弁護士連合会と提携いたしまして、犯罪被害者問題に精通した弁護士を犯罪被害者に紹介し得る体制を整備することも予定されております。

 また、必要な場合に応じましては、民事法律扶助制度も活用しながら、問題となっております事案に応じた適切な弁護士から必要な法的サービスが受けられるようにし、損害賠償等の実現あるいは刑事手続への適切な関与が図られることになるというふうに考えております。

保岡委員 犯罪被害者の支援ということは、我が自民党でもプロジェクトチームをつくりまして今検討を始めたところでございます。政府の努力と相まって、従来の施策の位置づけとは根本的に違う位置づけを政治のリーダーシップあるいは政府の努力で実現していかなければならないと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

 それから、この支援センターの設置でございますが、これはいわゆる司法過疎地域の解消を目指すという位置づけも大変大きいと思うのでございますが、その点については当然重視した努力が今後期待されていると思います。

 同時に、必ずしも過疎地域にのみならず、先ほど申し上げたように、司法が国民から非常に遠い存在を近づけるんだ、法の支配というものを、法によって生活を守り、あるいは生活のあり方、産業のあり方を含めて、やはり国民が国民のあり方をしっかり美しい立派ないいものにしていく、公正な社会、透明な社会を実現していくための、非常に国民にとって身近な支援組織としての意義があると思うんですね。

 そういうことで、私は、単なる過疎地域解消というイメージのみならず、そういった国民に最も身近なところでいろいろな関係者が協力して、特に法律サービスを担う関係の方々が協力して、従来、努力を、国民の立場で頑張ってきておられる、いろいろな相談にあずかってきた団体や関係者と連携するということがとても大事だと思いますが、そういう観点、どういうふうにこの組織を広め配置していくか、その考え方を伺いたいと思います。

実川副大臣 事務所の設置の必要性ですけれども、先生今御指摘のとおり、まず、当該地域、その近辺におきます弁護士等の法律専門職者の数でありますとか、支援センターにおきましての対応が必要な刑事事件あるいは民事法律扶助事件その他の事件の発生状況、さらには当該地域におきます事務所を設置した場合の業務運営の効率性、さらには地域からの要望あるいは支援などの実情を総合的に勘案しましてから判断されるものと考えております。

 これからの実情を勘案した結果、ゼロワン地域でない地域にも事務所が設置されることを考えられている、このように思っております。

保岡委員 多少抽象的な御答弁の感がしないわけじゃないんですけれども、ぜひこの支援センターの趣旨を、本当に、先ほど漆原議員が言われたように、絵にかいたもちあるいは羊頭狗肉のたぐいにならないように、やはり予算措置等十二分に手当てして、司法を国民に近づけるという、ある意味で司法が非常に重要性を増している今日、これに対するしっかりした対応を心から期待しておるところでございます。

 それから、きょうは少し司法改革全般について質問したいので、そちらの方にちょっと質問を移したいと思います。

 今申し上げたように、この総合法律支援というものも新しい司法の重要性と国民との結びつきをしっかりしていこうという根幹にかかわる制度ですね。そういうふうに、今度の司法制度改革全般にわたって、司法制度改革の基本あるいは哲学、物の考え方というものがあると思います。

 若干古い話になるわけですが、平成九年の一月に、私が自民党の政調の筆頭副会長を務めておりましたときに、当時の橋本内閣は、行革、規制緩和などといった六つの諸改革というものを打ち出しまして、我が国の社会システムの改革に乗り出そうといたしておりました。これは今日も続いておるわけでございますが、行革、規制緩和ということを一言で言えば、事前調整的な行政の役割、こういったものを自己責任と透明なルールというところに移していこうということでございまして、自由で濶達な国民の営みを尊重するが、ルールに基づいて、ルールをよく理解して、その中で公正ですばらしい国民生活や活動をつくり上げる、そういった新しい時代の基本インフラ、あるいは国家インフラと言ってもいいんでしょうか。

 司法というのは、御案内のとおり、単に国内の管理だけじゃなくて、世界に調和して、世界の中で活躍するあらゆる分野の日本の国民、あるいは世界と共同していくルールというものを担う司法というものが、非常に、行政にかわって国の発展を確かにリードしてきた、官主導の、明治以来の行政の重要なお役割ですが、この時代の大きな転換は、行政から司法へ、あるいは行革の出口は司法に実を結ばせるというところに大きく動いているという国づくりの根幹の観点があるということを私は考えていかなければならないんだろうと思います。

 加えて、先ほど国際化と申し上げましたけれども、インターネットの普及、あるいは国際化、あるいはいろいろな技術が科学技術の進歩で進んでいる、あるいはそれは医療分野でも進む、あるいは著作権、コンテンツという分野で、世界が文化を共有し、そして文化的にも栄えていく、精神文化も充実していくというようなことを考えても、いずれもこれは、そこで起こってくる衝突、いろいろな利害の衝突、こういったものを解決する司法の重要性、あるいはそういうものを未然に、法を理解しておいてもらって、あまねく法を国民や世界の共通なインフラとして、財産としてしっかり日本が手にして、そして紛争に持ち込むことなく未然に紛争を防ぎ、立派な活動を行っていくということのためにも司法のインフラというものは極めて重要なものであって、そういった意味で、二十一世紀の新しい世界に乗り出す、我が国の社会にとって不可欠な要素という位置づけを司法に、だからこそ三年間で集中的、総合的に、全体の司法を国民のものに、国民に近いものに、そして機能するものにということで努力を始めたものと思う次第でございます。

 そういった意味で、質、量、あわせて飛躍的な司法の人的体制の充実強化、それと司法に対する一層の国民の支持と信頼ということが司法制度改革の基本であり哲学であろう、国づくりの大事な視点であろう、こう思うわけでございます。

 その点を踏まえて、我々も司法制度改革審議会の設置を党として提案して、二年に及ぶ真剣なる御議論も行われ、私たち自由民主党の司法制度調査会もそういった審議会の設置等を提言した責任もありますから、政府の審議会の検討と並行して、国民的論議のもとに、二十一世紀の司法制度の姿、司法制度改革の方向性を検討させていただいてまいったわけでございます。

 そして、司法制度改革審議会の意見の提出、それから推進法の成立、推進本部の設置、推進計画、そして、このたび連続してこの委員会にも提出されております関連法案の審議と成立ということにつながっているわけでございますが、いよいよことしは司法制度改革の総仕上げの年でございます。こういった認識は、法務大臣も一緒になって、党でお力添えいただいて、ここまで進めてきた立場でおられまして、法務大臣に就任されて、本当に野沢大臣でよかったなと思っておるところです。大臣の決意を改めてお伺いしたいと思います。

野沢国務大臣 ただいま委員がこの司法制度改革のそもそもの御提案者の一人として、この淵源をたどっていただきました。そのお話の中でもございましたように、これからの日本の社会のあり方をしっかりと見据えまして、まさに自由な国民の皆様の活動を保障しながら、そして、しかし、結果責任をしっかりとるという中で、日本の将来の発展と活力が呼び起こされると強い御決意をお述べいただいた次第でございます。一連の委員の御指導に心から敬意を表するものでございますが、この司法制度改革が成就いたしますと、静かではございますが、大きな日本の社会の根本的なありようを変えるほどの力を有するものと私は理解をいたしております。

 このことによりまして、まさに日本が、明治の大改革、そして、終戦後の大きなまた変化に加えまして、今こそまさに第三の私は開国のときを迎えているのではないかと。これは内外ともにそのことが言えるのでありまして、国際化を含めましての大きな、外国とのおつき合いを一層円滑に進めるということ、そしてまた、国内的には国民の皆様の創意工夫を十二分に発揮できるような法体系、社会制度を構築いたしまして、日本の本来の活力がこれによって呼び起こされる、まさにその基盤をつくるのがこの司法制度改革ではないかと理解をして、この衝に当たることができましたことを大変光栄に存じておる次第でございます。

 今回の司法制度改革に当たりましての審議会の意見が非常にそれを集約して表現しておりますので、少し御紹介をいたしたいと思いますが、司法制度改革の三つの柱としては、委員先ほどから御指摘のとおりでございますが、第一が、国民の期待にこたえる司法制度とするため、司法制度をより利用しやすく、わかりやすく、頼りがいのあるものとすることでございます。

 今国会での提案といたしましては、例えば労働審判制、あるいは知財高裁の設置、さらには刑事訴訟法の改正、さらにまた、本日御討議いただいております総合法律支援の法案、これらがこれを具体化する一つの法案と考えております。

 また、二つ目は、司法制度を支える法曹のあり方を改革しまして、質量ともに豊かなプロフェッションとしての法曹を確保する。これにつきましての既に実績がございまして、法科大学院がおかげさまでスタートをしておりまして、この成り行きが大変楽しみになっておるような次第でございます。

 そして、今回は、裁判官、検事の皆様が弁護士実務を経験するということを具体化して、より実務に明るい、常識、今までもこれはもちろんあったとは思いますが、常識に富んだ法曹の担当者を養成する、これが今回提案をされております。

 第三の動きといたしましては、国民的基盤の確立のために、国民が訴訟手続に参加する制度の導入等によりまして司法に対する国民の信頼を高めるということで、裁判員の参加する裁判制度、先ほど御可決をいただいたところでございます。

 これらの三つの柱を実現しまして、司法機能の充実強化を図ることによりまして、国民により身近で、速くて、頼りがいのある司法を実現することこそが今般の司法制度改革に求められる最も重要な課題であると認識しておりまして、これにつきまして私も全力を挙げて取り組む決意でございます。

保岡委員 そこで、今大臣も最後に触れられました裁判員制度でございますが、おかげさまで、先ほど裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案、採決されて本委員会で成立したところでございます。関係者の御努力に心から敬意を表するものでございます。

 裁判員制度の導入というのは、国民の司法参加の新たな制度として、先ほど来申し上げております司法制度改革の中でも大きな、大転換を図る契機になるものであると私も思います。今般の司法制度改革の中でも極めて大きな柱ということが言えると思います。そこで、このことは、必然的にまた国民に新たな負担、大きな努力をいただくということを内包した制度でもあるわけでございます。

 このことは、国会議員の中にもさまざまな御意見がございまして、私が会長を務めております自由民主党の司法制度調査会においてもさまざまな議論が交わされました。最後まで、もめにもめたわけでございます。また与党間におきましても、裁判員制度のあり方を議論する場を特に設けまして、あるべき制度の姿について激論を重ねました。この委員会でも、右から左までいろいろな観点の御意見があったわけでございますが、本当に当委員会におきましても、与野党間で政府案に対する修正協議が調って、なお一層国民の理解と支持を得るために、いい裁判員制度に近づいたんじゃないか、そういうふうに思っておるところでございます。

 もちろん、裁判員法案については、今後、首尾よく本会議できょう緊急上程になるようでございますが、本会議で衆議院で成立しまして、参議院審議が順調にいくことを期待しておりますが、問題は、法律成立後が極めて大切で、大変だなと改めて思いを深くしているところでございます。裁判員制度は全く新しい制度でございますし、また先ほどから申し上げたとおり、国民の負担というものを内包しております。しかも、裁判という被告人の人生を、時にはその生命の帰趨まで決する場でございまして、また被害者の思いを受けとめる場にもなるわけでありますし、そういう厳しい、厳粛な場に国民が立たなければならないという極めて重い責任を国民に求めるものでもあるわけでございます。

 このようなところからしますと、より一層厳正な判断が得られる裁判を実現していくためには、当然、制度に対する国民の深い理解がなければなりません。制度の意義もよく理解していない国民に負担を求めるというようなことはあり得ないことでありまして、被告人にとっても、そのような裁判員に裁かれるということでは、単に不運で済まされる問題ではない。国の治安、秩序というものの根幹にかかわる刑事司法の機能というものをなお一層充実強化する、そういう方向に持っていかなきゃいけない。決してその機能を損なうような制度にしてはならない。そういうことを思うと同時に、また一方、国民の理解、支持という点を考えれば、本当にわかりやすい、迅速な、国民の負担にならない、本当に円滑に裁判員が裁判に参加できるようにするいろいろな措置、予算、そういったことが、先ほどのこの委員会のこの法案に関する、あるいは刑事訴訟法等の一部改正に関する附帯決議でも、与野党一致で議決しているところであろうと思います。

 長いようで短い施行までの期間にどういう努力をするかということが極めて重要だということでございますが、この点について、啓発活動、予算措置も含めて、実施に向けての責任の果たせる運用体制について、法務大臣の決意を伺いたいと思います。

野沢国務大臣 今御審議をいただいております法案は、今委員御指摘のとおり、さまざまな問題をまだ内包しておりまして、これを実施に移していくためには、具体的にこれを、規則あるいは政令を含めた実行のための段取りをしっかりと整える必要があろうかと思います。そしてまた、それを支えてまいります法曹の皆様の準備あるいは教育の問題、それから国民の皆様に対する、理解がいま一つまだ十分ではないという御指摘もございまして、この辺に対する広報活動等も大々的に行わなければならないと考えておるところでございます。

 昨日、私も東京地方裁判所の刑事裁判の現場を二つほど実は見学させていただきまして、関係者のお話も伺ってきたわけでございますが、なかなか現場の実情は、この制度を持ち込むといたしますと、相当いろいろな面でまだ改革をしていかないと、これが具体化するまでには容易でないなという実感を持ったような次第でございます。

 今も申し上げましたとおり、当事者の皆さんの、まずは認識、意識を変えるということ、それを具体的に運用するルールづくりとそれを保証する構造、いわゆる施設の改革を含め、また必要な予算、国民の皆様の何よりもの理解、協力が不可欠ということでございますので、これを一層心して総合的に取り組んでいかなければならないと痛感をしてまいりました。

 今後とも、委員の、また積極的なる御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたしたいと思います。

保岡委員 陪審制度を導入した昭和の初めの日本政府も、この啓蒙普及に相当なお金をかけています。今のお金に直すと、五、六年でしたか、数年の間に二十億ぐらい投入するというような大変な努力をしております。

 そういったことで、先ほど来、単なる一制度の誕生というのみならず、国民のための司法、国民による司法、国民の司法というものを実現する大きな意義を持っている裁判員制度、それを担っている制度ですから、相当努力を傾注していかなければならないんだろうと思う次第でございます。

 なお、また、お話がございましたとおり、当事者、裁判官であれ、弁護士であれ、検事であれ、本当にわかりやすい争点の整理というものを徹底してしなきゃいかぬ。例えば、筋弛緩ですか、何か殺人事件がありましたね。あれは百五十六回、二年九カ月かかった。これはモデル的な集中審議でやってもこうかかっている。こういうものが裁判員制度に導入されてきたら、一体どうなるんだろう。やはり事案の争点を相当きちっと整理して、証拠もきちっと整理して、かつわかりやすく、裁判員の関与する法廷に持ち込まなければならないということだろうと思います。

 そのためには、裁判官も弁護士も検事も、わかりにくい法律、あるいは事案のわかりにくい本質から、刑事司法の機能、要するに一般予防、個別予防も含めて、きちっと確保するに必要最小限度の事実と証拠をいかにピックアップするかということはすごい努力が必要なんだろうと思います。そしてまた、わかりやすく裁判員に説明するには、よほど本質がわかっていないと、裁判官は素人に説明できない。物すごい能力を試される、問われるという結果になるんだろうと私は思います。よほど、法曹三者初め関係者の勉強も研究も必要だと思いますので、ぜひそういう観点の御努力をお願い申し上げる次第でございます。

 それから、一方、国民が司法というものを受けとめていくためには、やはり何といっても、司法教育というか、初等中等教育から、法の意味、新しい二十一世紀の日本における司法の意義というものをわかりやすく、国の国家構造として、国際的な広がりを持って、ルールの中で生きていくために、和の精神も大事で、日本の伝統文化も大事にしなきゃいけないということを一方にしっかり言いながら、またそれをしっかりかみしめながらも、司法を身近にしていく司法教育というのは、学校教育法上非常に重要だと思いますが、この点に関して、法務省で努力して、あるいは政府全体として努力しなければならない点だと思いますが、いかがでございましょうか。

    〔漆原委員長代理退席、委員長着席〕

野沢国務大臣 まさに委員御指摘のとおり、この制度が国民の皆様に受け入れられて定着していくためには、今の大人だけが理解するというわけではもう不足であると思います。学校の教育の段階から、そして、逆に日常生活を法的なマインドで処理をしていくという習慣、慣習が本当に身につくような形で定着させることが極めて重要であろうかと思います。

 したがいまして、今の教育のあり方を抜本的に見直す中で、小学校、中学校、あるいは高等学校、そして、ひいては大学から、今回設立しました法科大学院におきます実践的なやはり取り組みの中から、国民の皆様が全体として、なるほど、法律というものはこのように使えば便利で、しかも公平で、しかも効果が上がるものだということを実感しながらこれを展開することが極めて重要であろうと思っております。

 したがいまして、そういった観点から、法務省におきましても、昨年七月に法教育研究会を発足させておりまして、部外の識者の方々にそれぞれいろいろな立場から御意見をちょうだいしておるところでございますが、国民の皆様が日常生活で十分な法意識を持って行動し、法を主体的に利用して、自己表現、討論、合意形成ができる力をふだんから養う方策についても議論がなされているところでございます。

 今後とも、本研究会におきまして、文部科学省とも連携しながら、国民の皆様が法や法的な考え方を身につけられるような教育のあり方を開いてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。

保岡委員 我々、司法改革を始めるときに、やはり新しい時代の司法の重要性、ルールと自己責任という基盤をつくっていく、国家基盤、国民基盤をつくっていくということの中で、やはり日本の伝統と文化、日本の紛争解決の文化というものもやはりよく考えなきゃいけないだろう。橋本総理が、私が平成九年の予算委員会で質問させていただいたときに、この司法改革の初めに当たって、私は、必ずしも訴訟社会になっていく日本というものがいいとばかりは言えないと思います、こういうことを言っておられます。司法改革の重要性、新しい司法改革をスタートするに当たって、総理の見解ですが。

 私も、そういうことを踏まえて、いわゆるお上主義の日本では、政府関係がやるあるいは司法当局がやる裁判の中での調停みたいなものは非常にうまく機能しているんですね。世界が見に来て、すばらしい制度だ、いろいろな、法だけじゃなくて、法に対する事実の当てはめで法的効果を求める裁判だけじゃなくて、すべての事情を勘案してその中から新しい問題を解決する筋道、原理を見出していくという、これはすごい制度だということで外国も注目をしているぐらいですが、そういった意味で、これの司法改革の中にも、国際基準を受け入れた仲裁法の制定とか、新しい時代の労使関係の調整のための労働審判法も審議が始まっている、また成立を見たところでございます。

 こういうADRですね。もちろん、究極の紛争解決手段たる裁判も大事ですが、究極な解決手段としての裁判のみならず、多様な紛争解決手段、これも非常に重要だと思いますが、ADR等の検討など、大臣の所信を伺いたいと思います。

野沢国務大臣 今、委員が日本の社会の根本的なマインドの問題についてお触れになったわけでございます。

 私も、日本の社会は、いわゆる聖徳太子が言った十七カ条憲法の第一にございます、和をもってとうとしとなすといった伝統のもとに、比較的違った価値観に対する寛容性というものが日本文化の根本にあったのではないかな、こう思うわけでございますが、反面、やはり自分の主張をしっかりと主張する中で、いわゆるディベート、討論を尽くし、主張を尽くした上で、そして相手の言い分も認めた中から、結果として決まったことを尊重するという、いわば西洋型の民主主義決定のルール、正反合の考え方が取り入れられた弁証法的な解決については必ずしも日本人は習熟していなかった、こういう流れがあったのではないか、これは私自身の私見でございますが、考えておるわけでございますが、その意味で、これからの司法制度改革で望むべきは、議論は尽くし、そして主張は主張し、そしてそれを救済する多様な手段を駆使しながら効果を上げていく、そして結果として国民の皆様が総体的に幸せになるということが望まれるわけでございます。

 今委員御指摘の、いわゆる裁判外の紛争解決手続というのもその意味では極めて大事であると思いまして、法律で解決する恐らくその周辺、もしくは、山に例えればすそ野の部分が非常に大事なところではないかと思うわけでございます。そのために、国民の皆様の御期待にこたえるためには、裁判外の紛争解決手続、いわゆるADRにつきましても機能の充実をしっかり図っていくことが大事であろうかと思っております。恐らく、半分以上といいますか、大半の問題はそういった手続の中で問題が解決される可能性のあることも多いと思いますので、みずからの希望に合ったそういった手段、手続を自由に選択できる社会にする、これが非常に重要であろうかと思います。

 今国会にも、個別の労働関係紛争につきましては労働審判制度を導入するための労働審判法案を出しておりますし、これを速やかに成立させていただきたいと思っておるところでございますが、昨年はまた新仲裁法案を御審議いただいております。これも一つの実績を今積みつつあるところでございますが、さらに国民の皆様が安心して質の高いADRを利用できる環境を整えるためには、これらに加えまして、司法制度改革審議会意見でも指摘されておりますように、総合的なADRの制度基盤の整備が必要であると考えておりまして、司法制度改革推進本部といたしましては、できる限りこれを早期に法案化いたしまして御検討をいただきますよう、今鋭意検討を進めておるところでございます。

保岡委員 ぜひ、臨時国会に間に合わせて、ADR基本法が審議できるようによろしくお願い申し上げます。

 お上主義の強い日本は、やはり権威のあるところに行かないと納得しないということがあって、当面は認証制度などを利用する、そして、徐々に国民みずから自由にいろいろな多様な紛争解決のシステムをつくっていける流れをどうやってつくるか。後ろには、きょうは隣接法律専門士の先生方もたくさん、この審議を見学においでになっていますが、そういう方々の協力を得て、国民をこういう点でも身近な司法ということに導いていくというか、国民に参加していただく場をつくり上げていく必要があるのではないかと思う次第でございます。

 時間もなくなってきたので、ちょっと質問もはしょらなければなりませんが、特に、知的財産の関係の高裁の設置の法案が成立したわけでございますが、この点については、我が党も司法制度改革の調査会がスタートしたときから四つの委員会の一つに位置づけて、日本の国家戦略として、これからは知的な創造物というか思考の成果を産業や文化につなぐ、特許とか、あるいは経済活動に必要な商標とか、あるいは文化活動に決定的に重要な著作権の問題等々、知的財産の保護、管理、活用というものに全力を挙げる体制をつくらなきゃいかぬ。これは、日本が物づくりの国家として生きていくために根幹的な、決定的な要素だということが言えると思います。国際競争力を持ち、今日の豊かさを維持しようと思ったら、これを本当に戦略的に、抜本的に、集中的に努力する国家の決意が必要だ、私はそう思っておるわけでございます。

 そういった意味で、知財戦略というものが、政府でも推進本部で、司法改革の延長線上で生まれたけれども、もっと広い広がりで政府の中で一気に集中的に総合的な施策が積み上げられて、あっという間にこのところ施策が進んでいると評価を受けているところでございます。

 しかし、それにしても、まだまだ足りない点がないだろうかという観点から、ぜひ、この知財戦略本部の推進の事務局の方から、司法の方にこんな努力をしてほしいということがあったら、端的にお答えをいただきたいと思います。

小島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生ただいま御指摘がございましたとおり、我が国産業の国際競争力を強化し、経済社会の活性化を図っていくためには、国家戦略として、知的財産を国富の源泉として創造、保護し、活用していくことが極めて重要でございます。特に、司法制度は、この知的財産の適正な保護という観点から重要な役割を担うものであり、いわば知的財産戦略の生命線と言えるものであります。

 こうした観点から、昨年の国会におきましては、民事訴訟法の改正により、特許訴訟についてその専門的な処理体制を強化するために、東京高裁の専属管轄化や専門委員制度の導入などの改革が行われました。また、今国会におきましても、知的財産高等裁判所の創設、裁判所調査官の権限の拡大等による専門的処理体制の一層の強化、秘密保持命令の導入等による侵害行為の立証の容易化などの諸制度改革を行うための法案が提出され、既に衆議院で御審議いただいたところでございます。

 これらは、知的財産をめぐる紛争の専門的処理の充実や紛争処理の迅速化を促す画期的な制度改革として、司法のユーザーである産業界を初めとする知財関係者からも高い評価を受けているところでございます。

 また、知的財産戦略を国家戦略としてさらに強力に推進していくため、来る五月二十七日には、総理を本部長といたします知的財産戦略本部会合を開催し、知的財産推進計画のさらなる強化を検討することとしております。

 今後とも、知的財産の保護のかなめとなります司法制度には知的財産戦略の強力な後ろ盾となっていただきまして、知的財産立国の実現に向けて最大限の努力を傾注してまいりたいと考えております。

保岡委員 今度できることになった東京高裁の中の設置でありますが、独立した知的高等裁判所という名称もしっかり持った組織、これは十七名の裁判官で構成されるということになっていると思います。これは、恐らく、八つの高裁の中でも最大級の裁判官の数を持つ存在になっていると思います。

 そういった意味で、将来は、やはり内外にもっとアピールする、さっき言った国民にもアピールしていかなきゃいかぬ。教育にも戦略的に織り込んでいかなきゃいかぬ。世界にもアピールして、知財立国日本の姿を象徴するものとして、知財高裁をさらに充実強化する。そして、人材養成のとりでにもしていく。あるいは、特許庁等の審判との結びつきをもっと強化する。したがって、場合によっては、アピールするためには建物をつくってアピールする。これは、明治政府が、不平等条約を改めるために、建物を次々立派なものを建てて、司法省もすばらしい建物を、世界の一流の建築家に頼んで、あのれんが建ての、今残っている重要文化財の建物を建てて内外にアピールした。

 こういう、知的高裁を新たに独立させて、しっかりした建物に入れて内外にアピールするというようなことも含めて、将来、充実強化をしていかなければならないと思いますが、この点について法務大臣と最高裁に見解を伺います。

野沢国務大臣 委員、今大変力を入れて御説明いただきましたとおり、日本の今日までの発展は、資源がない、エネルギーがないという環境の中で、まさに知的財産の積み重ね、そして物づくりによって世界に日本人の英知がそれぞれ貢献できたということにあると思いますが、実態を見てみますと、なかなか、この知的財産というものに価値を見つけて、これを保護し、またこれをさらに活用するという点からは、今まで必ずしも十分ではなかった。

 東南アジア等に旅行をしてみますと、大変あちこちでいわゆる模造品、コピーのたぐいが横行しておる状況でございまして、これは何とかしなければいけないという思いに私も駆られていたところでございますが、今回の司法制度改革の一連の動きの中で、この知財問題に関するルールづくり、特に裁判所の設置ができますことが、極めて、私は、今後の日本の発展、将来を見据えた日本のありようをまさに保障する大きな一つの力になるのではないか、こう考えておるところでございます。

 そこで、政府といたしましては、知的財産立国の実現を内閣の重要課題にしているということで、この法案の成立に大いに期待をしているわけでございますが、この中で、今お話しの裁判官の方々に加えまして、専門委員制度の創設等を行いまして、一層その裏づけをはっきりさせるということ。それから、この実現のためにも、これから一層この制度が円滑に機能するために、東京高裁の中ではございますが、独立性を十分担保して、自由な議論ができ、諸外国と比しても決して遜色のない活動ができるように、しっかりと運用を進めてまいるつもりでございます。

園尾最高裁判所長官代理者 知的財産権訴訟の重要性、そしてそのための基盤整備の重要性につきましては、裁判所といたしましても、これまでの改革の過程で十分に認識をしておるところでございまして、知的財産権訴訟の裁判が迅速でかつ充実したものになるように努力を重ねているところでございます。

 昨年は、民事訴訟法の改正により、知的財産権訴訟の管轄の集中、五人合議制の創設、専門委員制度の創設等の大幅な制度改正が行われまして、本年四月から施行されるということになりましたので、これを受けまして、ことしの四月に、東京高等裁判所に知的財産専門部四カ部の代表者で構成される大合議法廷を設けますとともに、高度な専門技術の研究に携わっておられる大学教授や、あるいは公的研究機関の研究者という方々の中から、知的財産関係の専門委員を合計約百四十名任命いたしまして、専門技術者による補助体制を整備する等の措置を講じました。

 裁判所といたしましては、法改正の趣旨を十分にそしゃくいたしまして、その効果が最大限に発揮されますように、できる限りの努力をしておるところでございます。

 今国会におきましては、ただいま御指摘の知的財産高等裁判所を創設するということや、あるいは知的財産権訴訟の審理における営業秘密の保護の強化策等を内容とする法案が提出されておりまして、これによって、知的財産権訴訟の審理の一層の充実、迅速化を図るという強いメッセージが内外に示されるものと認識をしております。

 裁判所といたしましては、これらの一連の制度改革の趣旨を踏まえまして、知的財産権訴訟のより一層の充実、迅速化を図っていきたいというように考えております。

保岡委員 野沢大臣と園尾行政局長から、力強い、知的財産高等裁判所等の政策推進の意義を伺いました。ぜひ、これを将来とも、先ほど私が申し上げたように、将来にもっと努力をしていく、さらなる決意を固めて、国家国民のために、未来のために、御努力を賜りたいと存ずる次第でございます。

 政府としても、WHOのTRIPs協定のみならず、世界に先駆けて知的財産基本条約みたいな世界のルールをつくることを視野に入れた、世界特許なども視野に入れた世界戦略をやはりあわせて推進していく必要があろうと思う次第でございます。

 さて、もう時間がわずかになってしまいましたので、法科大学院について若干、いろいろ、開設の状況や今後の教育の充実について伺いたかったんですが、おいでいただいていて恐縮ですが、ちょっと質問の時間がなくなってしまいましたので、また改めてということにしたいと思うのでございます。

 この法科大学院における人材の育成、法曹養成の一部を大学院という学校教育の機関にゆだねた、文部省の所管の学校教育法の中に位置づけた、このことはとても大きな意味があるということを文部省や我々は深く自覚していかなきゃいけない。これは、三千人程度の合格者ということであれば、法務省の管轄できちっと三千人の養成機関をつくっても、そこで集中した方が養成それ自体としては的確だったかもしれない、そういう意見もこの検討のプロセスで随分と出てきた意見でございます。

 あえて文部省の所管にしたのは、高等教育の改革の起爆薬にこれを使っていく。そしてあわせて、物事の本質、社会の本質、人間の本質、そういったものを、高い教養と志、あるいは人間性、そういうことも含めて社会に役立つ人間をつくっていこう、高度の職業専門者を養成していこう。それは、学校教育の中に位置づけたことは、裾野を広く、初等中等教育からそういう物の考え方を教育して、それを社会の接点として、結節点として、この法科大学院を位置づけた。

 国民のための司法、国民による司法、この司法改革の大理想を実現するために国民の教育と結びつけたんだということを文部省によくわかっておいていただいて、予算面その他、法務省はもちろんのことでありますが、関係省庁、政府一体となってこの目的のために国家としての努力をしていかなければならない点を指摘させていただきたいと思います。

 時間でございますが、先ほど漆原さんからも、小さな司法、二割司法の話がありましたが、ますますその役割が増しているわけでございます。そして、国家戦略としても重視しなければならないわけであります。行政が一つの時代の使命を転換して変えていく中で、行政は小さく、小さな政府でありますが、しかし、そのかわりに、事後のルールと自己責任の世界をしっかり支えるインフラとしての司法というものはますます国際的な広がりの中で重要性を増していくということで、やはり人も予算も確保していかなければならないと思います。

 今後、先ほど大臣が言われた、ADRの基本法の問題、被害者の問題も、法整備を含め基本法の検討など、いろいろ、憲法改正にまでつないでやっていかなきゃならない。行政訴訟も四十年ぶりの改正が終わりましたが、実体法の改正も含めて、これから、中央から地方にという行政の新しいあり方の中で、国民に身近な行政、情報開示、こういったものと相まって行政訴訟改革の第二弾、第三弾を考えていく必要もある。

 また、国民にわかりやすい法文のあり方として、やはり、従来、お役人や専門家、官吏にわかる法律から国民にわかる法律に変えないと国民の司法にならないじゃないかということもありますから、そういうことも政府で考えなきゃいかぬ。

 また同時に、これは、外国人が日本に投資したり、外国との取引、外国との調和の中に日本が生きていかなきゃならぬということを考えたら、日本の法文の英訳化などという大事な仕事も政府には大きな期待がかかっているものだと思います。こういった時代の転換期には立法の洪水でございます。特に、法をつかさどる法務省や関係省庁の、司法関係のルールを整備していく立場のニーズはますます高まってくるんですね。

 これは明治のときに不平等条約を改めるために憲法以下一気に国内の体制を整えて、だから日本はアジアにおいて近代国家の道を真っすぐに歩めた。もっとも、大事なところで富国強兵の強兵を誤って国家破綻の憂き目を見たんですが。そこからも立ち上がって見事に、世界の経済の、半分とは言わないけれども、四割を日米で占める、豊かな国になったという立場を考えると、やはりこういう時代の変化とすごい勢いで進んでいくことに対応する立法のニーズというのは怒濤のように起こっているんですね。

 この法務委員会でも、平成元年、法案提出が一番国会で少なかった年なんですよ。終戦直後は一国会三百本も処理している、土日もやったというぐらいでした。それが平成元年に百本を切るんです、一国会処理。御案内のとおり、百七十八本、今国会に出ているんですよ。成立も百三十何本、昨年に成立したと思うんですよ。臨時国会だけで七十本も出ているんですね。法務委員会なんかは平成元年は成立が二件ですよ、委員会で。去年なんかは十四本も成立しています。一本の法律は、従来なら七本分ぐらいを一本に集約して審議しているような状況ですよ。

 こういうことに対して、やはり日本政府も立法体制を真剣に考えて、国家戦略として。それに準じて人も配備しなきゃならぬし、いろいろな研さんも、外国に学ぶものも学んで、世界の中の日本をつくり上げていかなきゃならぬ。

 そういった意味で、私は、言論の府である国会の審議のあり方も問われていると思うのでございます。

 以上、申し上げまして、皆様方のこの司法改革にかけておられる情熱、大臣を初め、委員長を初め、皆様方の御努力に心から敬意を表して質問を終わります。ありがとうございました。

柳本委員長 御苦労さまでした。

 松野信夫君。

松野(信)委員 民主党の松野信夫でございます。

 私の方からも、現在議題となっております総合法律支援法につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 この法案も、国民の司法に対する信頼とか利用とか、そういうものを高めるという観点、司法制度改革の中でもやはり中心的な法案ではないか、このように考えておるところであります。

 しかし、こういう、司法制度を高めようと一方ではそういうふうに審議をしている中で、大変残念な事件が発生をしているわけであります。もう新聞でも連日のように報道がなされておりますが、いわゆる日歯連、日本歯科医師連盟の方の中医協を舞台とするいわゆる疑惑の事件が発生をしているということであります。

 報道によりますと、日歯連の方は、この三年間だけでも十五億ないし二十数億の巨額の政治資金をばらまいているんではないか、こういうような報道もあるわけで、大変ゆゆしき問題であります。臼田さんという日歯連の会長も逮捕されたわけですけれども、これは一方では中医協のメンバーでもあるし、また医道審のメンバーでもある。医道審というのは、ある意味では医療の場における法務省、取り締まりをするような立場にあるわけで、そういう立場の人が逮捕されるという大変大きな問題ではないか、このように思います。

 こういう疑惑について、やはり今度は、本物の法務省の方がしっかり適切、厳正に対処してもらいたいというふうに思いますので、まず、その点について大臣の御所見をいただきたいと思います。

野沢国務大臣 大変遺憾な事件が発生をいたしておりまして、政治に対する国民の皆様の信頼を損なうということになりますと、まことに残念なこととわきまえております。

 私ども政治に対する、国民の皆様が本当に御理解をいただき、御信任をいただく。私は、何よりも政治家として心がけるべきことは、国民の皆様の信義、信頼を損なうことがあってはならない、信なくば立たずと先哲の教えのとおり、これからも取り組んでいかなければならない。そのために必要な改革なり、また手当ては十分した上で、しっかりした国政の場を構築していかなければならないと考えておるところでございます。

松野(信)委員 そうしますと、中医協、この日歯連の疑惑についても、厳正、適切な捜査をするというふうに理解してよろしいですね。大臣、お願いします。

野沢国務大臣 個別の事件につきましてのコメントは控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、こういった事案がもうできるだけなくなっていくことがこれは理想でございますが、残念ながら、こういった事案が出てこないような努力もやはりあわせて行っていかなければならない、これがまた立法府である我々の責任ではないかと思っております。

松野(信)委員 そうした点で、ぜひこの問題について厳正に進めていただきたいな、このように思う次第であります。

 報道によりますと、相当の金額をばらまいているというようなことですので、やはり日歯連と妙な形で癒着でもされるということになると、それこそ法務省の威信にもかかわるということになるのではないか、こういうふうに思いますので、大臣、副大臣、そして政務官、それぞれにお尋ねをしたいと思いますが、ここ五年間の間に、今問題になっておりますこの日歯連、日本歯科医師連盟から政治献金あるいはその他の供与等を受けておられるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

野沢国務大臣 日歯連とは、献金、パーティー等一切関係がございません。

実川副大臣 日歯連からパーティー券また寄附等は一切ございません。

中野大臣政務官 日歯連からは献金等はございません。

松野(信)委員 そうすると、法務省の大臣、副大臣、政務官とも、日歯連とは一切のかかわりを持っていないというふうにお聞きしてよろしいですね。

 それでは次に、この総合法律支援の問題について議論を進めたいと思いますが、この基本理念、法文にも一条、二条あたりに記載がされているわけですけれども、特にこの民事法律扶助に関しましては、二〇〇〇年に民事法律扶助法が制定、そして施行されたということで、補助金あたりも大幅にアップされ、平成十六年度では四十億円ぐらいが予算化される、こういうようなことで、民事法律扶助についてはかなり手当てがなされてきているように思います。

 しかし、この総合法律支援法が成立されるということになると、この民事法律扶助法の方はわずか四年で廃止をされる、こういうことになるわけで、せっかくの法律が廃止されるということで、それまでの何か目的とか理念とかいうものにかわるようなものがあるのかどうか。そして、この法案の基本的な理念というものは、従前のこの扶助法あたりの理念というのが引き継がれるのかどうなのか。根本的な基本理念について大臣にお伺いしたいと思います。

野沢国務大臣 民事法律支援、これにつきましては、しかるべき実績は上げてきておるわけでございますが、今回のこの総合法律支援の制度の中では、さらにこれを充実し、効果的にするということで取り組んでおりまして、決してこれまでのものが足りなかったとかまずかったかということではございませんで、一層発展的にこれを補強し充実する、こう理解していただければよろしいかと思うわけでございます。

 そこで、せっかくのお尋ねでございますので、現行の民事法律扶助法では、個別の事件ごとに一般の開業弁護士等が法律事業を行いまして、法律扶助協会において依頼者が支払うべき報酬実費を立てかえる仕組みのみでございますけれども、本法案のもとでは、支援センターに所属する常勤弁護士に法律事務を取り扱わせることが可能となるわけでございます。結局サービスが拡大される、こういうことで御理解いただきたいと思いますが、この常勤弁護士の活用によりまして、一層迅速に、効果的な援助の実施が可能になる、また、民事法律扶助事業の効率化がこれによって図られると考えておるところでございます。

 また、専属の事務職員を抱えることになりますので、この支援センターは、民事法律扶助事業を担うことも事務処理体制の効率化に資するということもまた言ってよろしいかと思います。

 刑事弁護の分野では、支援センターが契約によりまして国選弁護人の候補者となる弁護士を確保しております。これによりまして、裁判員制度が支える充実した迅速な裁判、特に、連日的開廷に対応することもできることになりまして、被疑者の段階での弁護士活動の充実も含めまして、効果が上がってくるものと考えております。

松野(信)委員 今大臣のお話で、サービスが拡大されるということで、その点については大いに結構だろうというふうに思いますが、従来行ってきたこの法律扶助協会の業務というものが、全部この支援センターの方に引き継がれるようになるのか、あるいは一部残るのか、こういう問題があろうかと思います。

 大臣お話しされましたように、法律扶助協会は、専ら民事の法律扶助事件、こういう援助をしてきたわけですけれども、それ以外にも、言うならば自主事業というようなことで、積極的に国民のためにいろいろな事業をやってきたわけでありまして、そういうような自主事業なども含めて全部この支援センターに引き継がれるかどうかという問題があろうかと思います。

 私は、支援センターは支援センター、それから法律扶助協会は扶助協会で、一部引き継がない部分も残って細々とやるというよりか、もうこの際、せっかく支援センターというものができるのであれば、全部支援センターの方に引き継いでいただいて、そこでしっかり国民に向けた司法サービスを行っていく、こういう方が望ましいのではないか。

 つまり、法律扶助協会は、そういう意味で発展的解消を遂げるという方が望ましいのではないか、こういうふうに考えるものですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

野沢国務大臣 大変大事なところをお尋ねいただいておりますが、支援センターは、第三十条第一項各号に規定しております業務に支障のない範囲で業務方法を定めておりますが、国や公益的な法人等の委託を受けて業務を行うことができる、要するに、窓口があいていますということで、いろいろなお仕事をここでお受けできる可能性をここで示しておるわけでございますが、法律扶助協会の行っております自主事業についても、これを活用しまして、実質的に引き継ぐことは可能であると考えておるところでございます。

 ただ、自主事業の内容を現在の状況で見ますと、非常に多種多様でございますので、一部の支部のみで行われているものもありますし、具体的などの事業がどの範囲で委託を受けて実施するかについては、それぞれ委託する方々あるいは受ける支援センターの判断によりまして、今後、協議をしながら決めていけばよろしいんじゃないかと考えております。

松野(信)委員 この問題については、まだまだこの法律が成立した後施行まで少し時間があると思いますので、この間にぜひ法律扶助協会とも詰めていただきたいな、こういうふうに考えているところでございます。その間の経過的なところでは、財政的な問題やその他いろいろな形でぜひ法律扶助協会と詰めることと、そして、その経過の間も財政的な支援についてはぜひ特段の配慮をしていただきたいな、こういうふうに思っているところであります。

 法律扶助協会は、先ほども申し上げた、二〇〇〇年に民事法律扶助法が制定、施行されて、確かに資金的には非常に国からの補助金というものがふえている。平成十二年度で約二十億であったものが、平成十三年度で二十九億、約三十億程度、平成十四年度に三十五億、そして十五年度に四十億、こういうような形で確実にふえてはいますけれども、この経過期間の間も法律扶助協会の事業というものが円滑に、そして国民の信頼にたえるような形でしっかり財政面でも支えていただきたい、こういうふうに考えているところであります。

 そして、支援センターの業務の内容については今大臣の方から三十条を引用されてお話がございました。三十条にこの支援センターの行う業務の範囲というものが第一項の一号から八号にわたって記載があり、かなり拡充をしているということは私も評価できるのではないか、こういうふうに思います。

 ただ、少し突き詰めて考えてみますと、この三十条の一項の第一号というものは、読みますと、専ら情報、資料の提供にとどまる、提供だと。第二号のところは、経済的に苦しい人たちに対して援助をしましょうというのが第二号になっています。第三号が刑事弁護、第四号が過疎地域に対して適当な契約弁護士等に法律事務を取り扱わせるということ、第五号のところが刑事被害者というような形になっているわけですね。

 そうしますと、この条文を見る限り、例えば経済的に困窮しているという方については、それこそ第二号のところで援助ができる、こういうふうになっているんですが、そうすると、経済的にはそんなに困窮はしていない、そこそこお金は持っている、だけれども、弁護士を知らない。町中に住んでいても、別に弁護士過疎地域でなくても弁護士を知らない、どこに相談に行ったらいいかわからないというような方もおられるわけですね。

 そうすると、町中に住んでいても、田舎に住んでいても、だれでもやはり法律相談が受けられる、資力の有無にかかわらず受けられるというようなこともこの支援センターの業務として与えていいのではないか。どうも法文を読むと、そこのところが必ずしも明確ではない、このようになっているものですから、この点について、私は、やはり資力の有無にかかわらず、だれでも弁護士とかそういう法律関係の相談が受けられるというような体制をこの支援センターは持つべきではないか、こういうふうに考えるものですので、この点について御質問をさせていただきます。

山崎政府参考人 この法律案全体は、国民に対して司法サービス、法律サービスを行っていくシステムでございますけれども、基本的には、中心的には弁護士が、あるいは弁護士会がいろいろやられているわけでございますけれども、そういうものをぜひ充実してやっていただきたい。そういう中でも、なかなか全部手が回り切らないようなところもございまして、そこを補完するものとしてこのセンターをつくりましてやっていくという考え方でございます。

 したがいまして、今法律相談のことがございました。このセンターで行う法律相談は二通り考えておりまして、一つは、民事扶助の対象になるものの相談でございまして、これは無料で行うということでございます。それから、過疎地域におきましては、法律相談そのものができませんので、これにつきましては、弁護士さんがおられませんので、それにかわるものとして有料で行うという二つのタイプを置いているわけでございます。

 これ以外に、ただ、今御指摘は、無料で資力いかんにかかわらず行うべきではないか、こういうことの御指摘かというふうに思いますけれども、これは先ほど申し上げましたように、それぞれいろいろな団体等で、特に弁護士会等でさまざまな取り組みを行われているわけでございますので、私どもはそちらはそちらで尊重をしたいということを考えておりまして、そのセンターに来られる方につきましては、自分のところでできるものはやりますし、そうでないものについてはきちっと御案内をして、そちらの方でいろいろ相談を受けていただきたい、こういう仕組みで考えておりますので、そこは御理解を賜りたいと思います。

松野(信)委員 私は別に無料で支援センターが法律相談に応じろと言うわけではなくて、有料でもそれは構わないだろうと思います。現に第三十条の四号のところでは、過疎地域については有料、「相当の対価を得て、」というふうに規定しているわけですので、過疎地域外でも相当の対価を得て、法律相談に来られた人についてはそういうサービスがなされてもそれはしかるべきではないかな、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。

山崎政府参考人 ただいまの点は運用上の問題にもかなりかかってくるかなと思います。

 日弁連あるいは弁護士会と密接な連携をいたしまして、あるいはそちらとの提携でここで行っていただくとか、さまざまな工夫は考えられると思いますので、今後その準備に向けて詰めていきたいというふうに思っております。

松野(信)委員 ぜひその点を詰めて、せっかく大臣もおっしゃられるように、サービスの拡大だというふうに言っておられるわけですので、御検討をお願いしたいと思います。

 要するに、私も弁護士をしておりますのでわかりますけれども、法律相談をしたいという人はかなりおられる。別に弁護士会規定の三十分五千円ぐらい払ってもいいですよ、だけれども、しっかり話を聞いて相談してくれるんであれば、それはぜひお願いをしたい、こういう人が非常に多いな、こういうふうに思っているので、ぜひこの支援センターがそういう多くの国民の声にこたえられるような形で運用上お願いしたい、このように考えております。

 次の問題ですが、やはりこの司法ネット法案で一番気がかりだというのは、契約弁護士の職務の独立性というものがしっかり図られるかどうか、この点が一番大きくひっかかるところではないか。いろいろ私の周辺にも、この法案について賛成反対、いろいろ言ってこられる方も多いんですけれども、反対論者のやはり中心的な論点というものは弁護士の独立性、あるいは、弁護士会が弁護士自治ということで国から一切支配介入を受けないというふうになっていた、これがこの司法ネット法案で崩されるのではないか、こういう懸念が一番多いわけであります。

 確かに、この法案を見てまいりますと、法務大臣が認可するというような規定が随所に出てきているわけですね。支援センターの理事長の指名とか任命、それから役員の解任、これは法務大臣の権限だ、こういうふうになっているわけです。そして、支援センターが行うところの業務方法書、それから法律事務取扱規程、それから国選弁護人との契約約款、こういう業務にかかわる中心的、基本的な事項というものは法務大臣の認可を受けなければならない、こういうふうになっております。また、これは独立行政法人に準ずるということから出てきているんだろうと思うんですが、中期目標を立てなさい、しかも、この中期目標というものは法務大臣が指示する、これは四十条にそういうふうに規定されているわけです。

 今申し上げたように、随所に法務大臣の任命、解任、認可、指示、こういうのが出てきているものですから、これで支援センターというのはしっかり弁護士の独立性を保ってやっていけるか、こういう懸念が率直に言うとあろうかと思いますので、そういう点に関して大臣の御所見をいただければと思います。

実川副大臣 先生御指摘の刑事弁護士の職務の独立性でありますけれども、これまでいろいろ御指摘がございました。弁護士等の職責、これは個々人の権利利益を擁護することにありますので、その職務の独立性を確保することは大変重要であるというふうに考えております。

 そこで、本法案におきましては、弁護士等の職務の特性に常に配慮しなければならないものとした上で、支援センターとの間で契約をしている弁護士等の職務の独立性を明記し、さらに、具体的な職務活動につきましては支援センターの指揮命令を受けないこととしております。また、有識者等によりまして構成される審査委員会を設けまして、契約弁護士等に対します契約解除等の措置に関しましてはその議決を得ること、このようになっております。

松野(信)委員 確かに、法案の三十三条のところでは、条文上、契約弁護士等は独立してその職務を行う、こういうような規定はありますが、先ほど私の方から指摘させていただいたように、随所に法務大臣が認可とか指示とか解任とか、こういう規定もあるものですから、この点はやはり重々注意をしながら進めていかなければならない。契約弁護士の職務における独立性というものが万が一にも侵害されるというような形で運用されるということになってはならない、このように、この点は強く申し上げたいと思います。

 それで、もう一つ、懸念の点で指摘されますのが刑事弁護のところであります。

 これはもう言うまでもなく、刑事弁護というのは、検察官と弁護人・被告人が対峙をするという、まさに国家権力が発動されるのに被告人や弁護士、弁護人は立ち向かう、そういう構造になっているわけですから、こういう場面については、弁護人、弁護士の独立性、本当に大事にしていかなければならないものだ、こういうふうに思っているわけです。

 それで、現在の国選弁護制度、これはどうも調べてまいりますと、我が国の刑事弁護の中で約六割ぐらい占めている。つまり、私選の刑事弁護よりも国選の刑事弁護の方が多い、こういうことになっているわけです。

 それで、現在の国選の刑事弁護というものは最高裁判所の予算の中でなされるということで、法務省の管轄外にある。ある意味では、最高裁判所の方と弁護士会とで話し合いをされて、具体的な刑事事件については、裁判所の方から弁護士会の方に国選弁護人の推薦の依頼が来て、推薦をして行われる、こういうような運用が進められてきたわけで、特段このやり方で何か支障が生じた、弁護士、弁護人の独立性について何らかの支障が出たとか、あるいは予算的な側面について、お金が足りなくなって支障が出たとか、そういう支障はないように私自身は考えておるんです。

 ところが、今回の法案では、この国選の刑事弁護もこの支援センターの方に入れるということになって、どうも、従来行われていた裁判所が弁護士会の方に推薦を依頼するというやり方は、基本的には廃止するということだろうと思うんですね。ですから、まさか両方併存するというのでなくて、従前のやり方はもう廃止するということだろうと思うので、なぜここまで特段支障がなかったと思われるこの国選弁護の点まで支援センターの方に入れるのか、この点についてお伺いしたいと思います。

山崎政府参考人 今回の基本的な発想でございますけれども、今御指摘の国選弁護については裁判所で行う。では、被疑者弁護をどこで行うかという問題、これはどこで予算をとって、どういう選任をしていくかという問題になったときに、では、どこがやるかという問題ですね。これは、ストレートに裁判所というふうになるわけではございません、まだ裁判所で全部関与しているわけではございませんので。

 そうなりますと、また別の担い手が行うのかという問題も生じてくるわけでございます。民事法律扶助は財団法人で行うとか、さまざまなところでばらばらにやるということになるわけでございまして、これが本当に効率的な運営をすることができるのか、また将来の発展性があるのかということを考えまして、もちろん新たな業務をこの中に加えたわけでございますけれども、それを総合的に行うことによって、より充実発展をすることができるのではないかということからこのような発想をしたわけでございます。

 ただし、選任につきましては、裁判所で選任をお願いするというこのシステムは変わっていないわけでございまして、それ以外のものについては、ある種の行政事務的なところもございます。報酬の支払いとかそういうものに関しましては行政でやることも可能なわけでございますので、そこの部分は、こちらの運営主体の中で一括的に行っていく、これは民事法律扶助も同じでございますけれども、そういうものを一括して予算としてとって、その中で運営をしていく、こういうことを考えたわけでございますので、その点は御理解を賜りたいと思います。

松野(信)委員 この刑事国選の点については、最高裁の規則で、例えば、三回法廷で国選の弁護士の費用は幾らというような形で決められて支払いがなされているんですが、仮にこの法案が通って、先ほども申し上げたような国選弁護人の契約約款、これは法務大臣が認可するというような形で通った場合に、弁護士の報酬の点について、金額とかあるいは支払い方法とか、そういうものに従前と変化が出てくるのかどうなのか、この点についてはいかがでしょうか。

山崎政府参考人 ただいま御指摘のとおり、契約約款で基本的な報酬の基準あるいは支払い方法等を定めていく予定でございます。

 この点につきましては、やはり現実に行っていただくのは弁護士の方々でございますので、十分にその意見を聞きながら、最終的に一番スムーズにいくような方法をとっていきたいというふうに考えておりますけれども、基本的に、今まで裁判所の方から報酬が支払われていたという点は、こちらの支援センターの方からお支払いをするということになる点は変わるわけでございますが、それ以外の基本的なところはそう大きく変わるわけではないというふうに理解をしております。

松野(信)委員 具体的な報酬の基準、何回ぐらいの法廷の場合は幾ら、こういう支払いの基準が変わる可能性があるのか。つまり、今までより安くなっちゃうというようなことがあるのか、それとも、国選の報酬の支払いの基準、金額というのが上がるのか。その点についてはどうなんでしょう。

山崎政府参考人 たしか、具体的にはこれから詰める話でございますが、現在行われているものがあるわけでございますので、その辺を十分に頭に入れながら、その基準を定めていきたいというふうに考えております。

松野(信)委員 それから、やはり弁護士の独立性の点で少しひっかかるというのは、第十九条にあります評価委員会、これも恐らく独立行政法人に準ずるということから出てきた組織なのかなという気もいたしますが、この評価委員会は第十九条の第二項で、次の事務をするということで、「支援センターの業務の実績に関する評価に関すること。」こういう規定があります。

 具体的に、どこまでこの評価委員会がどういう評価をするのか、実際の仕事がどういうふうになるのか、いま一つ、この条文を見ただけではわかりにくいわけでありまして、例えばこの評価委員会が、個々の弁護士が行った弁護活動、これがよかったとか悪かったとかいうようなこと、あるいは金を使い過ぎているとか、そういうようなところまで評価が及ぶようであればこれはちょっとゆゆしい問題であるな、こういうふうに思っていますが、この点は、この評価委員会の評価というのはどこまでするのか、これについてお伺いしたいと思います。

実川副大臣 御指摘の評価委員会でありますけれども、法人の業務の実績評価に関する事務等をつかさどるものでございまして、具体的には、中期計画の実施状況など実情の把握、また中期計画の達成度など実施状況の分析あるいはまた評価などを行うこととなると考えております。今御指摘の、個々の事件における弁護活動の内容を評価することはないと考えております。

松野(信)委員 個々の事件についてまで介入ということはないものだろうというふうに思います。

 しかし、例えば裁判迅速化法というような法律もあって、二年以内にとかいうようないろいろな基準が決められているわけで、そういうような迅速化法との比較で、この事件、長くかかり過ぎているとか、あるいは支援センターのやっている、契約弁護士の行っている事件というものが全体として金がかかり過ぎているとか、あるいは時間がかかり過ぎているとか、そういうような評価でも出てくると、心理的にはやはり個々の弁護士の方にも影響が出てくるおそれもあるものですから、そういう点もないようにお願いをしたいと思いますが、この点もよろしいでしょうか。

山崎政府参考人 ただいま副大臣の方から答弁がございましたけれども、私どもも、個々の事件内容にこの評価委員会の評価が入るということは厳に避けなければならないということを十分に意識をしておりますので、今後、そのような運用になっていくようにきちっとしてまいりたいというふうに考えております。

松野(信)委員 ありがとうございます。

 それから、この評価委員会とは別に審査委員会というものもございます。これは第二十九条で、この業務の運営に関し特に弁護士及び隣接法律専門職者の職務の特性に配慮して判断すべき事項について審議する、こういう規定になっていて、どうも正直言って、条文を読むだけでは、この審査委員会というものは一体何をするんだというのがもう一つ読みにくいものですから、この二十九条にある審査委員会は、実際にはこういう仕事をするんだ、この点について答弁をいただきたいと思います。

山崎政府参考人 これは、基本的には個々の弁護士と依頼者の関係、これはどういう態様であっても若干トラブル等が起こり得るわけでございますが、組織の方がいろいろそれについて調査をし、あるいは最終的に契約の解除をするということは、これは厳に避けなければならないということから、それを避けるために中立的な審査委員会を設けて、そこで判断をするということでございまして、この構成員を見ていただきましても、法曹関係者あるいはそれ以外の方を入れながら、客観性を持って、組織とはちょっと別にそこで判断をしていく。

 一番典型は、当事者とのトラブルでその契約を解除するかどうか、こういうような点の審査、これが中心的なイメージであるというふうにお考えいただければと思います。

松野(信)委員 この審査委員会については、二十九条の第八項のところで、契約弁護士等について何らかの措置がなされるように、「(懲戒を含む。)」ということで、契約弁護士について何か苦情があったりした場合に一定のこういう措置、懲戒を含むということですから、何らかの制裁処分まで契約弁護士に科せられてしまう、こういう規定にもなっているわけですね。

 そうすると、弁護士の場合は、単位弁護士会に綱紀委員会あるいは懲戒委員会というものがありまして、例えば品位を汚したような行為をしたということになれば、戒告とかあるいは業務停止何カ月とか、ひどい場合には退会命令というような厳しい懲戒処分も弁護士会は弁護士会として行うように、これは弁護士法で規定がされているわけですね。

 そうすると、何かそちらの方でも、弁護士会でも制裁を受け、この法案の二十九条の八項にある一定の措置、「(懲戒を含む。)」というような、こちらの方の制裁も受ける、場合によっては二重に制裁を受ける、こういう可能性もあるのかな、こういう危惧もあるわけですが、この点はいかがでしょうか。

山崎政府参考人 ここでうたっております懲戒は、これは弁護士会の懲戒とは全く別のものでございます。したがいまして、別々の観点からいろいろの措置が行われるということは、観念的にはあり得る話かもしれません。

 ただ、私ども、ここで考えているのは、契約をしているわけでございますので、その契約関係の解除をするとか、そういう点を考えているわけでございまして、それは、弁護士会は弁護士会として、また弁護士としての活動でそれでいいのかどうかという、それは別途の観点でお決めをいただく、こういうことだろうということでございます。

松野(信)委員 そうすると、この第二十九条の八項に規定している、八項の中の第一号ですが、これに規定している措置、「(懲戒を含む。)」というこの措置というのは、今の山崎局長のお話ですと、契約の解除あたりを指しているんだという御指摘ですが、その契約の解除ぐらいならまだいいかと思うんですけれども、例えば顧客の方から何らかのクレームが出た、顧客と何らかのトラブルになった、そういうことで、契約解除のみならず、何らかの注意処分とか、もうおまえには今後一切この支援センターの仕事はさせないとか、そういうようなところまで含んだ措置というのがこの八項の一号には考えておられるんでしょうか。

山崎政府参考人 契約によるわけでございますので、例えば、それほどの事情ではないという場合に、先ほど御指摘ございましたが注意処分的なものということもあり得るかと思いますし、程度のいかんによっては契約を解除するあるいは将来的にも契約をしないということもあり得るかもしれません。それはいろいろな対応があり得るということでございますけれども、中心的なところは契約を解除するかどうかという点になるわけでございます。

松野(信)委員 契約の解除程度であればやむを得ないことかなと思いますが、これも程度問題といえば程度問題ですが、それがだんだんだんだんエスカレートして、弁護士会が行う懲戒処分あるいはそれに準ずるような二重の制裁を科すようなことがあっては、これはやはり問題だろうというふうに思いますので、その点はぜひ運用面でも注意をしていただきたい、こういうふうにお願いをしたいと思います。

 それから、弁護士の独立性の点で最後ちょっと念のためにお伺いをしたいと思います。

 例えば、理事長の任命、これは第二十四条なんですが、これについてはあらかじめ最高裁判所の意見を聞かなければならない、法務大臣はそういう義務があるわけですね。これは第二十四条の三項です。それから、解任の場合も、これは第二十六条ですが、役員の解任についても法務大臣は最高裁判所の意見を聞かなければならない、こういうあらかじめ意見を聞くというような規定があります。こういう二十四条とか二十六条のところは、最高裁判所の意見は聞くというふうになっているんですが、日弁連の意見は聞かなくてもいい、法文上はそういう仕組みになっている。

 ところが、審査委員会、これは第二十九条にありますが、審査委員会の委員を解任するというのは第二十九条の六項にありまして、これについてはそれぞれ最高裁判所、検事総長、日本弁護士連合会会長の意見を聞く。こういうふうなことで、審査委員会の委員の解任のときにはそれぞれのいわゆる法曹三者の意見を聞かないといけない、だけれども、役員の任命とか解任については日弁連はある意味では外された形になっているわけですね。

 私は日弁連の意見も聞いてもいいのではないかと思いますが、ここで日弁連の意見を聞かないでいいというふうになっている趣旨はどういうことでしょうか。

山崎政府参考人 ただいま御指摘の二十九条の関係では、二項でそれぞれ推薦する方々が委員になるわけでございますので、そういう推薦をいただいた方を解任するというようなことも起こり得るわけでございますので、この六項でそれぞれ意見を聞く、こういうようなことになっております。

 それ以外に、理事長ですとか理事、その辺の解任の問題に関しましては、これは、弁護士会あるいは弁護士の方々につきましては確かに実務を行っていただくということになるわけでございますが、それと裁判所が少し違う役割は、国選弁護等につきまして最終的にそこで選任をするという主体の行動をしていただくということになるわけでございます。いわば組織の一部に影響がある仕事をやっていただくということになるわけでございますので、そういう関係で、つながりが強いことから御意見を聞く、こういうシステムにしているわけでございます。

松野(信)委員 二十九条のところは、確かに、今答弁をいただいたように、最高裁が推薦する裁判官もいれば、検事総長が推薦する検察官もおれば、日弁連の会長が推薦する弁護士もおれば、そういう推薦があるからそれぞれあらかじめ意見を聞いた上で解任をする、これはよくわかります。

 ところが、二十四条とか二十六条の点については、あらかじめ法務省あるいは検事総長から推薦を受けたとか、最高裁判所からあらかじめ推薦を受けたとか、別にそういうようなところはないわけでありまして、この二十四条、二十六条のところについてだけ日弁連が外されたというのがどうも私としては少し合点がいかないところがあります。

 どうも、二十四条のこの理事長、例えば二十四条にあります理事長が、法務大臣が任命、あらかじめは最高裁の意見だけでよろしい、こういうふうになっているのは、悪く勘ぐりますと、法務省出身者あるいは裁判官の出身の人が理事長に就任する、弁護士出身の人はどうも理事長には就任しない、こういうふうに、悪い言い方で言うならば天下り的なところを念頭に置いているのではないか、こういう批判もできなくはないんですが、まさか、そういう天下り先を一つこれで確保したというようなことになっては大変いけないわけであります。

 確かに二十四条を見ますと二年間は除くというふうに規定はあるものの、そういう法曹関係者が理事長になるということも予想できなくもないものですから、やはりそういう天下り先にならないようなことをぜひお願いしたいと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

山崎政府参考人 この法文、いろいろ見ていただければそういうことにならないようないろいろな手配がされていると思います。悪く勘ぐればとおっしゃられましたけれども、勘ぐらないでいただきたいと思います。そういうことにはならないということでこの規定を置いているわけでございます。これ以外にも政府等の関係でもいろいろ決まりもございまして、それにすべて従うということでございます。

 ここにあくまでも書いてございますように「高度な知識を有し、適切、公正かつ中立な業務の運営を行うことができる者」、これを中心に考えるということでございます。そこは御理解を賜りたいと思います。

松野(信)委員 ぜひ、やはりこの点は、天下りの一つの機関ができた、支援センターという、これは独立行政法人に準ずる組織で、言うなら特殊法人のようなものでありますので、法務省の天下り先が一つできたというようなこういう批判を受けないように、ぜひこの点については大臣の御所見をいただきたいと思います。

野沢国務大臣 私は、組織を活性化させる、機能させるためには、やはりその責任者、関係者が立派な方であるということが何よりも大事と考えております。この法文の中にはいろいろ規定はしてございますが、あくまでその意味で、人格、識見、経歴、だれが見てもなるほどと、こういう人事を行うことが必要だと考えております。天下り先を用意したということではございません。

松野(信)委員 ぜひ、運用面でも、本当の意味で適切、公正かつ中立な立場の人を理事長に選任していただきたい、こういうふうに思いますし、また、法文上は、私が指摘させていただいたように、あらかじめ最高裁の意見ということで日弁連の意見は聞かなくてもいい、法文上はそうなっているんですが、ぜひ各層からの意見なども運用面では十分聞いた上で、問題のない人選を進めていただきたい、こういう点を要望しておきます。

 それで、残された時間がわずかになってまいりましたので、財政面の点について触れておきたいと思います。

 財政面の措置をしっかり手当てをするということが支援センターが十全に活動するための大変大きな役割を担っているだろう、こういうふうに思っております。法律扶助協会の方も、民事法律扶助法ができて、確かに補助金はふえてはいった。それでも、しかし、最近、刑事事件もあり、あるいは民事事件についても消費者の方々の破産事件が非常に急増をしている。その他、交通事故やら離婚の事件、一般的な事件もふえている。こういうことから、予算的にもうあっぷあっぷの状態で、途中で補正予算でいただかなければ回っていかない、こういうような実態でもあるわけです。

 ぜひ財政面について十分な措置をお願いしたいと思いますが、どうも、民事法律扶助の関係でいうなら、先ほど申し上げたように、今年度予算で大体四十億が確保されている。これまで刑事の国選については、大体年間の予算、調べてみますと七十二億円ぐらいになっている。そういう状況が絶対に今後とも続くでしょうし、また、今度支援センターということで、被疑者の問題、いろいろな付添人、さまざまな需要にこたえていくということになると、恐らく二百億から三百億程度の予算が必要ではないか、こういうふうに私は考えておるんですが、こういう予算面での確保、この辺についてぜひ大臣の御所見をいただきたいと思います。

野沢国務大臣 制度をつくってもそれが本当に機能するかどうかは、現実論として、予算の裏づけがなければもうこれは絵にかいたもちになるということは、これは私ども共通の認識ではないかと思っておるところでございます。今委員御指摘の数字につきましても、極力これをしっかりと見据えまして、適切な積算を行いまして、準備を重ねていかなければならないと考えております。

 今回の、せっかくの御質問でございますので、この支援構想の運営主体の仕事をもう一度ここで確認してみますと、民事法律扶助事業の業務に加えまして、法による紛争解決の有効な利用に関する情報提供の充実強化、さらには国選弁護人の選任に関する業務、それから司法過疎地域における法律事務に関する業務、犯罪被害者の支援に関する業務等、相当幅広い業務を担当する、こういうことになっておりますので、当然これに対する裏づけ予算は必要になると考えております。

 法務省といたしましては、これらの業務を効果的、効率的に処理するために必要な予算を十分確保するべく、今後、規則その他具体的な作業の中でしっかり積算し、充実を図ってまいるつもりでございます。

 なお、これは議会筋からの御支援もよろしくお願いを申し上げます。

松野(信)委員 今大臣お話しいただきました。議会筋からの協力も、私も賛成でございますので、ぜひ議会筋からも応援をしていきたい、このように考えております。

 もう時間が参りました。やはり財政的な点を考えますと、恐らく管理費、今まで民事の点でいうならば、法律扶助協会が行っていた人数だけではとてもとても足りないぐらい、恐らく人員増をかなり図っていかなければいけないのではないか、こういうふうに思いますし、またいろいろなところにこういう支援センターができた、ぜひこれを活用してほしいというようなことで、いろいろ各組織、行政とも連携をとりながらやったりしますと、依頼を受ける事件数もふえたりしてくることが当然予想されますので、いわゆるスタッフ、管理費あたりも当然手当てが必要になってまいります。

 かつては、日本の場合、民事の法律扶助というのは非常に財政的、予算的にはもう乏しいものでありました。ヨーロッパ諸国、イギリスあたりは相当の手当てがなされているにもかかわらず、日本は本当に低い金額しか回っていない。一時はお隣の韓国にも負けるぐらいの予算規模しかなかったという大変寂しい状況だったわけですので、ぜひ、財政面につきましては議会筋も応援いたしますので、法務大臣の方もぜひ二百から三百ぐらいの目標で取り組んでいただきたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

柳本委員長 御苦労さまでした。

 この際、休憩いたします。

    午後零時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五分開議

柳本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。泉房穂君。

泉(房)委員 よろしくお願いします。民主党の泉房穂です。

 ただいまの一時間、司法ネットにつきまして質問をさせていただきます。

 この間、随分多くの答えをなされまして、かなりいろいろな答えが出ております。余り重複しないような形でお伺いしていきたいと思いますが、きょう私は一時間お時間をいただいておりますので、特に視点といたしましては利用者のサイド、つまり、具体的にこの司法ネットにおいて相談に、司法ネットに行って相談を受ける側の市民、国民、利用者のサイドから、具体的な事例をある程度思い浮かべながら、この司法ネットによってどういった具体的な法的な支援を受けられるのか、そういった部分につきまして質問をさせていただきたいと思いますので、できる限り具体的なイメージのわくような形でお答えをいただきたいと思います。

 また、この間いろいろと質問させていただいておりますが、なかなか現時点で、まだセンターが立ち上がっていない時点において答えのできる部分も限られているというようなニュアンスの答えが随分多くはありますが、そうは申しましても、ある程度、幾つかの基準のようなものは示すことが可能だろうと思いますので、そういった点、できるだけ具体的なお答えをよろしくお願いいたします。

 なお、かなり具体的なイメージに基づく質問が多くなりますので、どうしても大臣以外の方のお答えが多かろうと思いますが、大臣の方も手を挙げていただいてお答えいただくのはありがたく思いますので、よろしくお願いいたします。

 それではまず、司法過疎につきましてであります。

 これも、利用者の方からいきますと、司法過疎の解消といいますと、いわゆるつくり手の側からの発想であります。暮らしている方から見ますと、いわゆる、まあこういう言葉がいいのかどうか、田舎に暮らしていても困ったときに気軽に相談ができるのか、弁護士を頼みたいなと思ったときに身近なところで弁護士に依頼ができる、まあもちろん弁護士に限りません、司法書士とかも含みますけれども、そういったことができるのかという視点でお伺いしていきたいのですが、ここで、今後、センターにおきまして、司法過疎解消、つまり地方に幾つかのセンターを設置していくと思います。優先順位もあろうと思います。いきなりゼロワン解消といいましても難しいという答えが繰り返されておりますので、押し問答する気はございません。

 ただ、できる限り早期に、そういった、弁護士がいない地域、弁護士が一人しかいない地域がないようにしていくということは、もちろんそうだろうと思いますので、まず、どういった基準でそのセンターを優先的に設置していくかの基準を伺いたいと思うのですが、この点、視点といたしましては、そのセンターの設置が、こんなことはないと思いますが、いわゆる政治的な配慮であるとかそういったことで決められてはならないと思います。あくまでも、住んでおられる方が、いろいろな事情によって法的支援がなかなか受けにくいという視点が最も重要であろうかと思います。

 この場合、あくまでも利用者サイドに立って見ますと、近くに大都会があったらいいのかといいましても、そこに電車ですぐ行ければ確かに短い時間で行けますが、車でかかるとかなってくると、単純なそういった地理的な距離のみならず、交通の便とかも考えますと、やはりその地域にそういったセンターが要るというような視点も大事だろうと思います。あくまでも利用する人の立場に立って、その地域にこういったセンターをつくらなきゃいけないというような客観的な基準を設けまして、その基準に従って、ついた予算の中から優先的につくっていくというような指針が示されるべきであろうと私は考えております。

 この点、まず、どういった基準で優先順位をつけながらセンターを司法過疎解消に向けて設置していくのか、お答えください。

寺田政府参考人 今、まさに最初に、冒頭に委員がおっしゃいましたように、このセンターの具体的な事務はセンター自身でお決めになることでございますので、そこで、私どもがお答えすることもおのずから限界があるわけでございますし、また、国が直接こういう事務をやるのではなくて、センターをつくるということは、むしろセンターのいわば民間的な発想のようなものを生かすという面もございますので、私ども自身が答えない方がいい部分もある。これはまず大前提として御承知おきいただきたいと思います。

 その上で、しかし、おっしゃるとおり、この弁護士過疎の問題というのは、前々から非常に深刻な問題だということで、今度の司法制度改革の中でも特に重視して、その解消に向けての歩みを進めたいと思っていた事柄でございます。したがいまして、当然私どもとしても、これについては重要な問題として関心を持っているということでございます。

 具体的な基準は、今の段階で申し上げることはそれほど多くはないわけでございますが、何と申しましても、まず現地のニーズ、需要というものが問題になります。どういう問題がどのぐらいのボリュームであるのかということが当然のことながら一番柱になることでございますが、同時に、今度は、現実に、その地域にどういうふうなリーガルサービスの供給が現状として行われているか、弁護士さんがどのぐらいしかいないのかというようなことが次に問題になるわけでございます。

 さらに、おっしゃるように、いろんな面がございますが、業務全体としてのバランス、効率性というようなものも考えていかなきゃなりませんし、今度は、じゃ、そこに弁護士さんなど、相談の人たちを配置するということになると、現実的にはどのぐらいの可能性があるのかというようなことも考えなければなりません。

 そういうもろもろのことを考えるわけでございますが、それは、何といいましても柱は、最初に申し上げましたように、現実のニーズ、需要ということになろうかと考えております。

泉(房)委員 昨日から質問通告していたので、もう少し具体的な指針が示されるのかと期待しておったんですけれども、極めて言葉は長かったですが、あと何も語っておられないというような印象を受けます。まず現地のニーズについて把握するのは当たり前であります。そんなことは、日弁連はとっくの前からやっております。

 よく言われるゼロワン地域といいますのは、地方裁判所の支部におきまして弁護士がゼロ人ないしは一人。一人といいますと、トラブルの片方が弁護士を頼むと、相手方、対立当事者はもう弁護士がいないという状況であります。こういった地域は現時点でたしか五十三カ所、いまだ残っていると思います。そういった地域にニーズがあるのは当たり前であります。

 そして、客観的な数字としましては、その地裁支部管轄において、例えば具体的に、訴訟案件が何件あるのか、調停案件が何件あるのか、そういった具体的にもう係争事案の数も、当然そんなものは最高裁で統計をとっているわけですから、そういった客観的な数字は出るはずであります。

 そういった、ある程度客観的に出る数字を幾つか例示していただいて、それはプラスアルファの要素もあると思いますよ、ただ、少なくともある程度はもう把握できていて当たり前なわけであって、ただ、一気に五十三カ所解消が難しいというのは、お金の問題もあるので、わからなくはありません。ただ、せめて、やはりその中で、特に、近隣地域にかなり時間をかけてもそういった弁護士のいる地域がない地域であり、かつ、一定数の裁判所の案件があるところからまず優先してつくっていくというぐらいの答えがあってもいいと私は思うわけであります。

 そして、少なくても、こういったセンターの設置について、言葉は悪いですけれども、政治家の何かそういった意見とか政治家のいわゆるそういった客観的基準に基づかないような意見に左右されることがあってはならない、客観的な、やはり市民サイドからのニーズをもとにして決めていく。

 せめてその二点ぐらいのお答えはいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

寺田政府参考人 まず、先ほど委員もおっしゃられましたように、何といいましても具体的な利用者サイドの問題、利用者サイドからのニーズということが基本でございますので、むしろ、いろいろなその他の要素に左右されないだろうなというふうにおっしゃられますと、それは基本的には、私が申し上げたこと、つまり利用者のニーズの方を優先するということで御理解いただきたいというふうに考えております。

 それから、具体的に、今訴訟事件がどのぐらいあるか、あるいはニーズとしてどのぐらいのものが考えられるかということは、大ざっぱには考えられます。しかし、じゃ具体的にその地域にこのぐらいのものを置くかどうかということは、そう簡単に決まるものではございませんで、現に相当事件数が少ないところでも非常に強い御要望があるところもあるわけでございます。そういう現地の御要望の強さというものは、単純に件数の多さ、ニーズの強さだけで判断できるものではない要素があることは、私どもこの間、むしろ弁護士の皆さんのいろんな地域での活躍、御活動の結果、私どもに寄せられるいろいろな声からしてそういうふうな判断をいたしているわけでございます。

 したがいまして、単純に数式で出るというようなものではないというふうにむしろ理解して考えていきたいというふうに思っております。

泉(房)委員 余り押し問答しても、前向きな、こちらの希望している回答は難しいと思いますが、一点強く申し入れたいのは、税金を使って設置をしていくわけでありますので、ニーズは、どう見ようとも多くの地域によってあると思います。その中で、優先的につくられる地域としばらく待ってくださいねという地域が出る以上、国民から見て、なるほど、そういった基準に基づいて、そういう順番でつくられているのかというような、やはり透明性ある基準、そして納得できるような設置の仕方でなければ、そこに不公平感が生じてしまえば、せっかくの司法ネットのよさが、国民からして何か違った面で見られかねないということを危惧しておりますので、できる限り透明性のある基準、わかりやすい基準を設置していただくことを強く申し入れたいと思います。

 そして、この地方の問題につきましては、現実的には、なかなか弁護士の事務所もない中でどうしているかというと、具体的な工夫としては、そういった地方の地方公共団体が無料法律相談を実施するなどして対応しているケースがよくあるわけであります。

 例えば私の場合は、兵庫県の明石市で事務所を開いておりましたが、淡路島の場合、少し前まではゼロワン地域でありましたので、洲本の方まで橋を渡って二時間ほどかけて、県民局で無料相談、私もずっと行っておりました。そういう中で、やはりたくさんの方が相談にお見えになっておられました。

 ここで問題提起したいのは、司法ネットによって地方に司法ネットのセンターができるのはいいけれども、そのかわり、そういった地方公共団体の無料法律相談が廃止されたのでは、何のことかわからない。

 市民の側からいきますと、今実施している地方公共団体の相談は多くが無料であります。しかし、司法ネットの場合、これまでの答弁を聞いておりますと、いわゆる低所得者層、扶助にかかる方については無料もあり得ますが、そうでない方につきましては、恐らく有料の法律相談だろうと思います。市民からしますと、これまでは市役所とか町役場で無料で相談できたのが、司法ネットのセンターができたはいいけれども、今度は金を払わなきゃいけないとなったのでは、それをじゃ前進と呼ぶのかというと、むしろ後退だと感じる場合もあろうかと思います。

 そうならないために、今回の法案でも「地方公共団体の責務」と書いております。しかしながら、この点、私もどういう形の質問をしていいかなと思って総務省などいろいろ当たってみたのですが、地方公共団体のことは地方公共団体が決めるということで、なかなか、どこがしっかりと無料法律相談の充実化に努めるというようなことの回答が得られる官庁もないようなお答えでありました。

 しかしながら、条文上、「連携」というキーワードの中でそういった地方公共団体に対しての、しりをたたくといいますか、頑張れ、やめるなよというようなことはできるのではないかと思いますので、その点、どういうふうな工夫をしながら地方公共団体のそういった法的支援をより充実させていくのか、その工夫のお考えをお聞かせください。

山崎政府参考人 今回の法案の大きな仕組みは、地方公共団体なりそれから民間なりでいろいろな法律サービスの活動をされていると思いますけれども、そういうところで手が回らないようなところを補完していく、あるいは連携をしていく、これを国の役目として今回つくるわけでございます。したがいまして、基本的な理念としては、それぞれのところはもっともっと活動していただき、そこのネットワークを我々がいろいろお手伝いしながらやっていく、こういう役割になろうかと思います。

 したがいまして、今この法案の中でも、地方自治体の責務ということでうたわれておりますけれども、我々も地方自治体の方に無料相談等をやめられては困るわけでございまして、そういう点は、私どもと弁護士会、あるいは専門職者の団体とか、いろいろございます、隣接の団体がございます、そういうところといろいろ協議会を経たりしまして、そういうところになるべく人を行っていただいたりするなりして、絶対に途絶えることがないように、そういうふうなやり方をしていきたい。あるいは、地方協議会というのをこちらで設けたりすることもできるようになっておりますけれども、あるいは連絡会とか、いろいろなものを設けまして、お互いの協力でやっていきたいというふうに考えております。

泉(房)委員 関連してでありますけれども、今、地方公共団体の何カ所で、どの程度のいわゆる無料法律相談ができているかについての統計ですが、総務省に問い合わせしても、答えは返ってきません。恐らく司法ネットの方でも、まだきっちりとした実数把握ができていないのかなと思います。

 具体的には、繰り返しですが、普通に暮らしている人から見たら、別に司法ネットで相談ができようが市役所で相談できようが、相談ができればある程度いいわけであります。あと、いわゆる地方公共団体以外でも、具体的には、今、郵便局などでも無料法律相談をやっております。また、社会福祉協議会でもやっております。私、すべてに行って無料相談をしてきましたが。

 そういった意味で、いろいろなところでいろいろな形で法的なそういった相談を受けたりしているわけでありますから、そういった現状把握がぜひとも必要だと思います。それは、司法過疎地域の、先ほどのお答えの法的ニーズの把握をする意味でも、少なくとも現状の相談がどうなっているのかというのを、法務省管轄のみならず、他の分野ともちゃんと連携をとりながら、まず実態把握に早急に努めるということが必要だろうと思いますが、この点、そのように今の現状把握に努めるというような方向でいいのかどうか、お答えください。

    〔委員長退席、漆原委員長代理着席〕

山崎政府参考人 先ほどお答えしましたけれども、この法案の理念が、やはりお互いに連携して住民のサービスに資するようにということでございますので、その理念がきちっと達成できるように、今後、運用上の問題としても、その行っている現実、これをきちっと把握して、それをどうやって結びつけていくか、これについても鋭意やっていきたいというふうに思っております。

泉(房)委員 とにかく、法務省のみならずいろいろな官庁が関係しますし、この司法改革はまさに全省庁挙げてですので、他の省庁とも連携をとりながら、速やかに現状把握、そして速やかな方針をお立ていただくよう、強く申し入れます。

 続きまして、では、司法ネットに訪ねていったときに、どういったふうにメリットといいますかサービスが受けられるのかということを具体的に考えてみたいと思います。

 今回の司法ネット、どうして必要かという中でよく言われるのが、これまでは、悩みがあっても、どこに行ったらいいかわからない。弁護士会に行ったら、いや、それは警察に行ってくださいと言われる。警察を訪ねていったら、いや、それはうちじゃありません、それは福祉関係ですとか、それは市役所へ行ってくださいとか言われて、いわゆるたらい回しにされかねない、されている現状がある。それではいけない、ある一カ所に行けばある程度の手がかり、道しるべが得られる、そうするためにも司法ネットが必要だ、そのように語られてきたと理解しています。

 そうであるならば、司法ネットに訪ねていったら、いや、それはうちの管轄じゃないのでわかりませんではなくて、ああ、それだったら、直接うちではありませんけれども、こういうところがありますよ、そういうふうに当然アドバイスをすべきだと思います。

 まず、今回、最低限、法律関連職種につきましては具体的な情報提供がなされるという理解でいいと思うんですが、これまで弁護士の話が中心でありましたが、もちろん弁護士だけではありません、司法書士や税理士や、いろいろな関連職種があります。遺産分割の場合、弁護士のように思いましても、実際上のニーズとしては、その後の相続税のことが一番悩みの種だったりします。そうすると、弁護士よりむしろ税理士の方が望ましいわけであります。

 そういったことも含めまして、具体的に想定されている法律関連職種の連携先はどういうところがあるのか、そして、そういうところを紹介することによって市民はどういった具体的なサービスを受けられるのか、具体的な事例に即してお答えください。

山崎政府参考人 まず、全体のイメージ的なとらえ方でございますけれども、来られる方はいろいろな悩みを持って来られるわけで、まずその仕分けをきちっとしなければならない。そのための面接というんですか、これはきちっとして、それで、この方がどこへ行かれたら一番適切なアドバイスが受けられるかというところ、これをまず探し出す必要がある。その上で、そういう相談をやっているところ、そのやっているところを御紹介いたしまして、中には非常にどうしていいかわからない方もおられると思いますので、事前にそちらの方に連絡をするとか、そういうような、かゆいところに手が届いたような、そういうふうなやり方をする必要があるだろうというふうに思います。

 それから、このニーズでございますけれども、現在の紛争でございますから多種多様でございますけれども、現在私どもが念頭に置いている、いわゆる隣接法律専門職者の方々、ちょっと例を申し上げたいと思いますけれども、司法書士、弁理士、それから行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士、税理士、これが大体典型だろうというふうに考えております。これ以外にも、それはいろいろ考えれば、例えば公認会計士だとかあるいは外弁事務所だとか、そういうのもいろいろあろうかと思いますけれども、その辺の法的なアドバイザー、そういうところ、関連がありそうなところは、みんないろいろお互いに連携をして受け入れ先を、きちっと連絡がつくように、そういう形でやる、絶対にたらい回しになるようなことは避けるということは、これは今後、職員等の訓練を経て、きちっとやりたいというふうに考えております。

泉(房)委員 今、幾つか具体的な職種が出ましたが、大事なのは、職種だけではなくて、むしろ、そこでどういったサービスが得られるかだと思います、もちろん考えておられると思いますが。

 具体的には、例えば、弁護士のところに、年金をもらえなくて困っていますという相談がよく来られます。でも、例えば、そういう場合は社会保険労務士さんの方が適していたりします。でも、一般的には、一体それが弁護士なのか社労士なのか税理士なのか、なかなかわからない中で相談に来られるわけであります。

 その悩みを聞いたときに、ああ、これはどこが一番適しているかという、いわゆる振り分けを適切にするためには、それぞれの職業においてどういった分野を得手、得意としていて、具体的にどこら辺までフォローができるか、しかもそれをどの程度の価格、費用負担でできるのかまできっちりと把握しておかなければ、行ったはいいけれども、びっくりするようなお金を払わされるとなったら、今度、司法ネットに逆恨みじゃないですけれども、そんな高い金がかかったとなるわけであって、そこでどういったサービスが得られるのか、どれくらいの費用負担なのかも含めて、そのあたり、きっちり情報を把握した上でこの司法ネットの体制をつくっていただく。当然そうだと思いますけれども、現時点でなかなか明確なお答えでないというのは、これから準備されるかと思いますが、早急にそのあたりの情報把握に努められることを強く申し入れたいと思います。

 そしてまた、私は何度も同じようなテーマを言っておりますが、相談に来られる方を思い浮かべますと、本当に、狭い意味の法律だけではありません、高齢者の場合、消費者被害であるとか、ちょっとぼけが始まって困っているとなってくると、狭い意味の法律だけじゃなくて、まさに福祉分野といいますか、そのあたりが本当に日々かかわってくるなというのを実感しております。

 同じ質問を何度もさせていただいている感じもありますけれども、改めて、そういった分野については厚生労働省の方でどういった連携先があるのか、そこでどういったサービスができるのかということがやはり大事であって、この点、厚労省の方にちょっと呼んで質問をしますと、司法ネットの単語すら知らない官僚の方も、もちろん何人もおられました。また、法務省に聞きましても、余り厚労省との連携はということについてはぴんとこられないような受け答えをなされるような方もおられました。

 私は、そうではないと。繰り返しですが、相談する方から見れば、それが法務省管轄であろうが、厚労省管轄であろうが、総務省管轄であろうが、関係ないわけでありまして、そういった、全部、トータルも含めてこの司法ネットで情報提供していくということだろうと思います。

 ただ、具体的なサービスにつきましてはやはり厚生労働省の方で所管しておると思いますので、具体的に、例えば、高齢者や障害者や児童虐待、DVの場合など、それぞれ想定されますが、このあたりも、厚労省の方、また所管も違うようですので、まず高齢者の方から、お年を召した方が司法ネットに来られたときに、厚労省管轄にかかわるような具体的な連携先、具体的なサービスの提供があれば、どういったサービスが可能かということを開示してください。よろしくお願いします。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、高齢者、障害者の方を初め、生活上さまざまな問題を抱えておられる方々の相談に対しましては、関係機関の窓口が相互に連携して対応していくことが大変重要だと私どもも考えております。

 お尋ねのございました高齢者の福祉施策の関連でございますが、これも御案内かと思いますが、高齢者福祉の中心的な制度といたしまして介護保険制度がございます。

 介護保険によります介護サービスの利用につきましては、基本的には市町村などの自治体に窓口が設けられております。ここにおきまして、介護保険の入り口でございます要介護認定の申請でございますとか、あるいは、どんなサービスが介護保険で利用できるのか、そういった制度の説明、さらにはサービス機関に関する情報とか、こういったようなことも提供しているところでございます。

 それから、介護保険以外にも、例えば、高齢者の方の生きがい支援のようなものもございます。こういったさまざまな生活支援サービスにつきましても、各自治体におきまして情報提供や利用相談もやっているところでございます。

 それから、大変重要な機関といたしまして、全国八千七百ぐらい設けられておりますけれども、市町村の在宅介護支援センターというのがございます。こちらは、地域におきます要援護高齢者の在宅介護に関します総合的な相談でありますとか、関係行政機関やサービス事業所との連絡調整、こういったことで、地域におきます高齢者福祉のための総合的な相談機関として実施をしているところでございまして、こういったところが主な連携先として想定されるのではないか、このように考えております。

泉(房)委員 今お答えがありましたが、一つ事例だけ言いたいんですが、在宅介護支援センターの話が出ました。本当に重要だと思います。

 私、弁護士をしておりまして、高齢者の問題で一番たくさん相談をかけてこられるのは、在宅介護支援センターです。在宅介護支援センターの職員の方が私の法律事務所に電話をしてきて、自分のセンターで見ているお年寄りの方、ひとり暮らしなんだけれども、新聞を見もしないのに毎日新聞が山積みされている、どうしたものかという相談があったりします。どういうことかというと、新聞勧誘員が判を押させて二年間の新聞契約をとってしまう。全く読むこともない新聞が毎日ポストに入っているという状況であります。おかしいと思って、その新聞配達員に抗議しまして、どういうことかと言ったら、ちゃんと判こをもらっています、景品も渡したからもう二年間お金もらわなだめだと言うんで、私も激怒しまして、そんな、新聞読めないことが明らかな方から判こをとって二年間新聞を送り続けるとは一体どういうことなんだということで抗議して、結果的には、済みませんと謝罪を得て、お金も返金を得ました。

 具体的には、そういった在宅介護支援センターが一番高齢者の消費者被害とかそういったことを具体的に把握している場所であります。司法ネットもそういうところから情報を得る。また、今もお話出ましたが、介護認定を受ければそういった保険料負担でもっていろいろなサービスが受けられるけれども、そこから漏れている方がおられます。そういった方に対して、司法ネットに来られたときに、そのお年寄りの姿を見たときに、あなた、介護認定受けていないんだったら受けたらどうですかという情報提供をした上で、そこへちゃんとつなげていくということが必要だろうと思います。

 そのときに、指摘しておきたいのは、市役所に行ってくださいではだめなんであって、そこで、司法ネットに対して、在宅介護支援センターに電話をしてケアプランをつくられるようなケアマネジャーに来ていただくなどして、三十分、一時間待ってもらってもそこに来てもらって、そこで対応していくぐらいの丁寧さが必要だろうと思います。そういった発想をぜひとも持っていただきたいと、双方、法務省というか司法ネットの部分と厚労省ともに強く申し入れたいと思います。

 続いて、障害者の分野につきましてもお答えください。

塩田政府参考人 地域で暮らしておられる障害者の方、福祉サービスの利用などさまざまな相談事があろうかと思います。できるだけ身近なところで相談を受けて支援を受けられる体制が望ましいということで、その整備に努めております。

 例えば、福祉サービスであれば、当然のことで、市町村の障害者福祉の窓口に行くこともあろうかと思いますが、市町村が障害者の生活支援センターというのをつくっているケースもございます。現在、三百七十四カ所ぐらいあります。

 それから、就労に向けた支援については、障害者就業・生活支援センターというのが各県一カ所ぐらいあると思います。障害者の方が司法ネットに相談に行かれたときに、先ほど申し上げましたような機関の相談にかかわりがあるときには、連絡があれば、先ほど言った障害者の生活支援センターとかいろいろなところできちんと対応できるように、連携をよくするように努力していきたいと思います。

泉(房)委員 あと、児童虐待やDVのケースであります。

 こういったケースを具体的に想定してみますと、児童虐待がなされているおそれがあるというような状況のもとに、御近所の方が、毎晩子供の大きな泣き声が聞こえるということを、例えば司法ネットの方に電話を一本かけてきたときにどうするかの問題であります。そのときに、いや、うちは司法ネットなのでそういった問題は直接関係ありませんと答えるのか、そうじゃなくて、ああ、それは大変ですねといって対応するのかの問題であります。そのときに、児童虐待の場合にどういった対応が可能かということを司法ネットが把握していなければ、わかりません、になってしまうわけです。

 そういった意味でも、近時大きな議論がなされているこの児童虐待の分野、またドメスティック・バイオレンスの分野において、厚労省が特に詳しいと思いますので、具体的にどういった救済策があるのか、どういった連携先につないでいただければ対応できるのかというような視点でお答えください。

伍藤政府参考人 まず、児童虐待の関係でございますが、これは基本的には、現在の制度では、都道府県の児童相談所、全国に百八十二カ所ございますが、ここが一元的に受けとめるということになっておりますが、現在この国会に提案をしております私どもの児童福祉法の改正で、大変児童虐待の件数がふえておりますから一定の軽微な案件につきましては市町村にその役割を担っていただこう、こういう改正案を今提出しているところでございますが、基本的には児童相談所で受けとめるということでございます。

 それから、DVにつきましては、全四十七都道府県に婦人相談所というのが置かれておりますから、ここがDVのセンターとしての指定も受けておりますので、ここが基本的に対応するという形になっております。

泉(房)委員 今幾つかお答えいただきましたけれども、本当に、いろいろな連携先がある、そして、その連携先でいろいろなサービスを予定しているということが今の質疑の中でもかなり明らかになってきていると思います。私がその中でも特に大きく取り上げているのが、何度も申し上げていますが、成年後見の問題であります。

 これはなかなか認識が広がっていないものですから、どうしてそんなに大声で言い続けるのかと思われるとあれですが、繰り返し言います。もうシンプルな話であります。諸外国では人口の一%以上が利用している制度なんです。日本だって百数十万人が使ってしかるべき。ところが、まだ四万人程度。

 これは何が問題かといいますと、量が少ないだけではありません。この成年後見制度というのは、本来の趣旨は、判断能力の落ちかけた方に対して、その方をサポートすることによって、地域で引き続き暮らしていけるようにする。いろいろなサービスがある中でどのサービスを使えばいいかということを、ちゃんと自己決定できることをサポートしていくために、まさにこれが本来の趣旨であります。

 ところが、今の使われ方は、繰り返しですが、もう完全に判断能力がなくなって、特養で寝たきりになった方のかわりに判こを押すために利用されているのが実態なわけです。全く違う使われ方をしている。ところが、そういった現状のもとに多くの関係者も認識をしているから、数字もこんなものだろうというふうに思ってしまうわけであります。

 そうではなくて、この成年後見制度というのは、お年を召した、痴呆という言葉は今問題になっておりますから、判断能力の低下しかけたお年寄りの方または知的障害者、精神障害者の方が、地域で何とか頑張って生きていくためにこのシステムが必要なんだ。福祉サービスをたくさんふやすだけではなくて、そのサービスでどれを選ぶかということを、本人の意思決定をサポートすることが大事なんだ。そして、その際に、繰り返し私が指摘しているのは、家族というものがいるからいいという答えがこの間いろいろありますが、そうではないんだ。家族は、本人のためといいながら、ふびんだと思って、施設に入っていた方がいいという判断をする親御さんが多いんです。

 ところが、本人は、いや、自分は何とか地域で暮らしたいと思っている。知的障害者の場合はほとんどがそういうふうな場合です。お年寄りの場合も、本人はそのまま引き続き住みなれた家で暮らしていたいと思っても、子供たちに迷惑をかけて、介護が必要だ、これ以上迷惑はかけられないと思ってやむなし特養に入ることを承諾するというような、悲しい実態がある。そうしないためには、家族と本人の意思が対立したときに、家族でなく本人の意思を尊重するような仕組みづくりが要るんだ、そういった視点からこの成年後見制度が必要だと私は声を大きくして言っているわけであります。

 そこの認識をまず持っていただきたいということを前提とした上で、具体的に、厚生労働省の方で本当にこの間前向きな御答弁を一歩ずつお答えいただいております。具体的に厚労省において検討もなされていると聞きます。また、弁護士会の方でも、この高齢者・障害者総合支援については、各弁護士会すべてに別枠で支援センターをつくっています。司法書士会も、リーガルサポートという名前で各司法書士会で対応できるシステムを整えつつあります。そういったふうに、関連の弁護士会や司法書士会もやはり重要性の認識はあるわけであります。

 ところが、この司法ネットにおいては、これからだろうと思います。このあたり、どういった仕組みづくり、どういった工夫をしていく方向なのか、改めて推進本部の方からお答えください。

山崎政府参考人 この法案の基本的なシステムにつきまして、前にも御答弁させていただきましたけれども、まず、基本的な法的紛争、これにどう対処するかという視点が中心に考えられております。ただ、これに関しましては、法的紛争をどう予防していくかという面も当然含むわけでございます。そういう視点から見れば、広い範囲で未然に法的紛争を防ぐという観点からも、いろいろなネットワークを組んでいかなければならないという考え方になろうかと思います。

 ただいまの成年後見制度でございますが、これは、二つの面があろうかと思います。今委員御指摘のように、どういう選択肢を求めるかということでございまして、これは、一般の相談に当たるところだろうと思います。そうなりますと、そういうところのチョイスがいろいろわかるような、そういうところと連携をして御案内する、その上でいろいろ選んでいただく、こういうことが当然必要になろうかと思います。

 それからもう一つは、法的紛争を予防するための成年後見の利用ということもあり得るだろうと思います。

 これにつきましては、もちろん相談の問題もございますけれども、それ以外に、後見開始の審判、この申し立てをしたりとか、そういうことになりますと、これも資力の問題がございますけれども民事法律扶助の対象となるということでございますので、民事法律扶助としての申し立ての代理、あるいは申し立て書類の作成とか、あるいは支援センターの契約弁護士等を紹介してそこで代理をしてもらうとか、そういうサービスもここで当然行っていく、こういうことで、今、成年後見問題は認識をしているというところでございます。

    〔漆原委員長代理退席、委員長着席〕

泉(房)委員 どういった工夫ができるのか、どういった制度設計ができるのか、引き続き検討を強く申し入れます。

 ここまで話をしてきまして改めて感じますのは、本当にこの司法ネットというのは大変だな。司法ネットの窓口業務、一言で振り分け業務といいます。私としては、すべての司法ネット、すべてのセンターでちゃんと法律相談までできたらいいなと当然希望しておりますが、これまでのお答えを聞いておりますと、司法過疎地域においては、ほかのところに弁護士もいないということもありますので法律相談までしましょう、ただ、それ以外の町中においては、民事法律扶助、一定の年収以下の方といいますか、資力要件を満たした方について法律相談します、しかし、それ以外の方については法律相談までするとまでは言い切れない、ただ、少なくても、話を聞いてどこに振り分けたらいいのかという振り分け業務はするというようなお答えだろうと思います。

 ただ、たとえそうだとしても、その振り分け業務をするにしても、どういった連携先があって、そこの連携先の名前だけではなくて、その連携先で、どういった具体的なサービスといいますか、どういった法的支援の仕組みがあるかをわかっていなかったら、振り分けもできないわけであります。そうすると、振り分け業務を担うスタッフの質というものは極めて重要であります。

 具体的に、例えば弁護士会の場合でありましても、法律相談に来られたときにすぐに法律相談をするわけではありません。多くの場合、来られた方に五分程度弁護士が話を聞いて、ああ、これは法律相談だなと思うと、法律相談ですよと言って別の弁護士が法律相談を三十分します。そうじゃなくて、話を聞いたら、これは弁護士が法律相談するテーマじゃない、違うところだなと思ったら、それはまさに、警察署に行ってしたらどうですかとか、それは市役所の窓口に行って、何々課に行って手続してくださいというふうにするわけです。具体的にやはりそれも弁護士がしているわけです。なぜ弁護士がしているかというと、たった五分でどこに行ったらいいかということを振り分けるには相当な知識が要るからであります。

 今回の場合、まして、今申し上げたようにいろいろな連携先を想定しているのであれば、なおさら、相当程度の法的知識、または、狭い意味の法律のみならず福祉的な見地における知識なども必要であります。そういった知識面の問題。

 そして、もう一点大きいのは、知識面のみならず、対応面であります。

 弁護士なども多く批判されているのは、相談している態度が悪いとか、いきなり頭ごなしに否定されてショックを受けたとかいったようなクレームが多く聞かれます。それは私も弁護士の一員ですが、弁護士の多くに欠けているのは、単に依頼者が求めているのは知識だけじゃなくて、やはり話を聞いてくれる人がいる、よく話を聞いてもらって、自分の気持ちが少しすっとした、おさまったということの持つ意味の大きさであります。

 例えば、社会福祉士とか社会福祉の分野では、相談を受けるときにどういった姿勢で受けるべきかということが随分強く語られます。まず、じっくりと話を聞きましょう、まず、相談をなさる方の気持ちに立って、それを受け入れる中で対応していきましょうというようなことがやはり研修などでもなされております。しかしながら、弁護士の分野ではなかなかそこまで至っておりません。

 今回、司法ネットをするに当たっては、ぜひともそういった対応面においても、単なる知識があればいいというだけではなくて、相談に来られた方の立場なりお気持ちをおもんぱかって丁寧な親切な対応をしていくといった、人柄といいますか、そういった面も重要だろうと思います。

 この点、具体的に考えますと、今後、センターが設置されてスタッフがどんどん採用されていきます。そのときに、やはり一定程度の知識面とそういった対応の丁寧さを兼ね備えたスタッフを得るには、やはり採用基準をどういう基準を立てるのか、一定の、その方に対する具体的な、給料面も含めてかなりある程度しないと、やはりいい方は集まらないという面もあろうと思います。

 そういった意味で、スタッフを採用するような基準、また、その後どういった研修をしていくのか、言えることには限りがあろうと思いますが、せめて方向性だけでもお示しください。

寺田政府参考人 今、委員がこの支援センターの運用をするに当たっておっしゃられたこと、問題意識は私どもも全く共有するところでございます。

 これは従来にない仕事でございますが、ただ、現実に私どもも一部の窓口というものは持っております。例えば人権相談でございますとか、あるいは弁護士会でいうと法律扶助の窓口なんかにはありとあらゆる相談が来るわけでございます。やはり振り分け業務というのは、ぜいたくを言えば一番ベテランの人がやらなきゃならないような仕事でございまして、これをできるだけ全国にあまねくつくるというのはまことに難しい作業に挑戦するわけでございます。

 それで、もちろん法曹資格者、あるいは、そうでなくても、隣接の皆さんに御協力を得て、こういう窓口に立っていただくことも時には必要になると思いますけれども、全部が全部そういうわけにはまいりません。できるだけ法律的な素養のあるいい方、実は日本では、こういうパラリーガルと申しましょうか、そういったところを専門に教育するところがまだございませんので、なかなかそういう方を現実に直ちに入れるということは難しいところはございますが、そういった方をできるだけ発掘して数多く見出していこうというのが大きな課題だろうというふうに認識をいたしております。

 こういう方を得た上で、さらに、ワンストップサービス的な発想でございますので、できるだけ多くの情報をこの支援センターのどの窓口でも共有して同じような対応ができるようにしていきたい、このように思っております。

 それからまた、当然のことながら教育訓練というのも必要になってまいります。今、委員はまさに法律家にそのような素養が欠けていると御指摘がございましたが、センターの内部におきましては当然そういうことも考えていかなければならない大きな課題だというふうに認識をいたしております。

泉(房)委員 認識につきましてはともにするものだと思います。

 繰り返し述べますが、これまでの扶助協会やいろいろなところで確かに相談なさっている方がおられます。頑張っておられる方もおられます。ただ、これまで以上に、より大変な、たくさんの情報を把握し、適宜振り分けていく作業をするわけでありますが、これまでの方を横滑りさせたらいいというのみならず、なお一層研修するとか、なお一層そういった面に向いた方を採用していくという視点をぜひともお持ちいただきたいと思います。

 続きまして、利便性の問題について次は質問に入らせていただきたいと思います。

 このあたりも私も幾つか質問をしておりますが、なかなか快い答えも返ってきません。設置場所について、町中でも、ぶっちゃけた話、法律扶助協会は弁護士会の隣にあるところが多いです。それを衣がえして単につくるだけではやはり不十分であって、本当は駅前であるとか商店街であるとか、それを常設できなくても巡回相談を持っていくとか、いろいろな工夫をしたらいいなと思いますが、なかなかそう質問しても答えが難しいのかもしれません。

 ただ、せめて時間については、平日の昼間だけではなく、やはりサラリーマンの多いような地域については、夜、ある程度遅くまで、朝を開くのをおくらせてもいいから、夜少し長くやる工夫をするとか、例えば、火曜や水曜や木曜の一日を休んででも土曜日にあけるとか、そういった工夫によって、お金をふやさなくてもそこの部分の工夫でできるような面もあろうと思います。そういった知恵を絞ってできるだけ利便性を図るというような工夫がなされてしかるべきであろうと私は考えますが、この点、お答えください。

寺田政府参考人 これも今後の大きな課題でございまして、何といいましても、ここに利用者の方がおいでいただいて現にそのサービスが行われなきゃ意味がないわけでございますので、できるだけそういう場所を探し、そういう時間を選ぶということは非常に大事なことだろうというふうに認識はいたしております。

 今の体制からいきますと、司法過疎地域において法律相談を行うというほかに、個別の相談を受け付け、その内容に応じまして具体的な情報を提供する。窓口の業務は多岐にわたっているわけでございますけれども、それぞれの窓口においては、具体的に、では、どういう方がおいでになって、どういう時間であれば便利なのかというようなところもいろいろ違いもございますので、そこはまたセンターの方で具体的なニーズに応じまして対応していくだろうというふうに期待をいたしているところでございます。

泉(房)委員 期待というような言葉が出ましたが、期待のみならず、そういった工夫をともに検討し、前向きに進めていただきたいと思います。

 続いて、ITの活用の問題であります。

 これは条文上も入っておりまして、情報通信機器の活用によって情報提供するような文言も入っておりますのでもちろん予定されていると思いますが、具体的に問うていきたいと思います。

 恐らく予定されているのは、少なくとも司法ネットのホームページを、いい情報のいっぱい盛り込まれたホームページをつくるのは当然だと思いますが、単につくっただけでは人は見に来ないわけでありまして、いろいろなところにリンクを張る努力が要ると思います。自分の方から張るだけではなくて、張ってもらわなきゃ意味がありません。少なくとも、全国の都道府県や国のホームページにはすべてリンクを張ってもらって、クリックをすればそこから司法ネットのところにすぐ飛んでこられるぐらいのことはすべきであると思います。

 国を挙げてやる以上、すべての省庁の管轄のホームページに司法ネットのリンクを張るというぐらいのことはしていただきたい、最低限それは思うわけでありますし、それのみならず、連携先として予定されております弁護士会や司法書士会は当然として、それ以外の各種連携先にもお互いにリンクを張り合うというようなことはしていただきたいと思っております。

 また、市町村の窓口などにおきましてタッチパネルのようなものが設置されておりまして、いわゆるパソコンのクリックですと、お年を召した方とかはなかなか使い勝手も悪い。しかしながら、市役所に行ったときに、ああいった画面で押したりして情報が得られるというふうな面もあります。そういった工夫の余地もあろうかと思いますし、また、最近は、テレビでも地上デジタル放送が始まりまして、そういったテレビに向けて、全国に、そのテレビを見れば司法ネットの情報が得られるという工夫も将来的にはあり得ると思います。

 特に、地上デジタルにおきましては、双方向性がありますから、一方通行ではなく、お茶の間から情報を司法ネットの方に送っていただくというようなこともできるわけでありますので、そういった今どきのITの活用というものを当然想定していると思います。これは意外と金がかからずに多くの効果が期待できる分野でありますので、前向きに検討していると思いますが、現時点でお答えできる範囲でお答えください。

寺田政府参考人 これは、司法制度改革審議会がこういう構想について検討した際も、やはり情報通信技術の利用というのは一つの大きな柱であるという考えでいたわけでございます。

 私どもといたしましては、今委員がおっしゃいましたように、さまざまな通信技術があり、かつそれは日々進歩しているわけでございますが、通常利用できる通信技術等の利用というものは当然視野に入れて考えていきたい、このように考えております。

泉(房)委員 まあまあ、お答えにしては寂しいお答えでしたが、通常のみならず、新しい技術開発もどんどん進んでおりますので、そういった部分も先取りしながら情報提供に努めていただきたいということを強く申し入れたいと思います。

 そしてまた、メールですね。今いろいろな部分、メールでやりとりがなされますが、このメールの活用も非常に可能性が高いと思います。

 私などでも、法律事務所のホームページでよく全国各地からメールが届きます。相談してくださいというメールでありますが、なかなか法律相談でない場合は、それはちょっと私のお答えできる範囲でありませんから、こういうところにお尋ねくださいという返事を書いたり、また、ある程度お答えできるような相談であればメールで返信したりします。しかしながら、そういった返事をしてもお金を振り込んでくるわけじゃないので、いわゆる無料相談になるわけでありますけれども。

 司法ネットの場合も、恐らく、ホームページを開設すればメールでの問い合わせを受け付けることになろうと思います。そういったときに少なくとも、メールで問い合わせがあれば、それに対してちゃんと答えていくというぐらいはすべきだと思います。ただ、それが法律相談にわたる場合は、では無料でできるのかという問題があると思います。

 最近では、法律事務所の中でも、クレジット機能を利用しまして、クレジットで五千二百五十円法律相談料を取った上でメールで法律相談の回答をしている事務所も見受けられます。そういった工夫の余地があるのかないのか。

 少なくとも問い合わせについては、ほったらかしにすることなく、あなたの悩みについてはこういう形で対応したらいかがですかという程度のことはすべきだと考えますが、その点どのようにお考えか、お答えください。

寺田政府参考人 これは現時点で具体的にどうするかはともかくといたしまして、しかし、基本的には、今委員がおっしゃいましたように、要するに、問題を抱えている方がどういう手段でアクセスしてこようとも、それに対して、その人がどう対応していいかということの情報を与えるということが使命でございますので、それを怠ることはないようにこちらの方としても考えていきたいと思っております。

泉(房)委員 なかなか、きのう質問通告してきょうのお答えだと、今の程度なのかもしれませんが、ここの問題意識は、司法過疎とも関連します。司法過疎が一気に解消できないということは、田舎に住んでいてなかなかすぐに相談ができない、弁護士を頼めないというような事情の中で、こういったITの活用によって、少なくとも相談の部分については場所を超える。つまり、近くに相談する場所がなくても、こういったメールで相談ができれば、ある程度そこで救済が得られる、法的支援が受けられるということもあるわけでありますので、司法過疎解消が一気に進まないのであれば、なおさらこういった情報通信機器を使っての法的支援という分野は重要だろうと思いますので、そういった視点でもって取り組んでいただきたく強く申し入れます。

 そして続いて、いわゆるバリアフリーといいますか、そういった問題であります。

 この点につきましても、昔からハード面やソフト面と言われますが、まず、ハード面におきましても、司法ネットの開設場所とも関係しますが、車いすの方が相談にお見えになったときに、五階に司法ネットの窓口があって、そこにどうやって行くのかという問題もあります。二階、三階だとエレベーターのないところもあります。狭い階段でぐるぐる回った階段だったら、車いすでは上がれません。そういった具体的な場面を想定しますと、当然いろいろな、車いすの方や、車いす以上にもっと場所をとるのはつえですね。両方の手でつえをついて自立歩行の手助けをして来られる方々はもっと大きな幅が要るわけであります。そういったことも想定しますと、もちろんお金の問題とも絡みますが、ある程度、一定程度の広さの通路の確保なども重要であります。

 ここは、単に来れたらいいんではなくて、例えば、具体的に、車いすの方がそこに訪ねていったときに、車いすで通れない通路があったときに、ああ、自分はこんなところに来ることを予定されていなかったんだなとやはり思ってしまう面があると思うわけです。そうではなくて、そのときに、車いすの方もどうぞというような通路が確保されていて、ちゃんとエレベーターもついていれば、ああ、私がここに相談に来ても別に構わないんだなと思える。そういった心理的な効果も実は思っている以上に大きいんだろう、私はそう感じているわけであります。

 そういった面で、これからいろいろ設置場所を考えたりしていく中で、少なくとも、ハード面におけるこういったバリアフリーの問題については当然前提とされるんだと思いますが、この点、どのようにお考えか。

 また、あわせて、繰り返しでありますが、手話や点字などの問題も含めまして、手話通訳がつけば相談できる方が相談にお見えになったときに、いや、ちょっと手話のできる方がいませんからきょうはお帰りくださいではなくて、そのときに、前もって連絡が得られれば、手話通訳の方にちゃんと来ていただいて対応するぐらいの工夫はあってしかるべきだと思います。

 さらに一歩進んで、私がよく無料法律相談に行って困るのは、離婚相談で、小さなお子さんを抱えた女性の方が夫の暴力なり離婚に悩んで相談に来られたときに、当のお母さんが思い悩んでいますので、連れてこられた小さなお子さんも情緒が不安定な場合が多くて、泣き叫んでおられるわけであります。子供が泣き叫んでいて、お母さんが離婚相談したくても、私も答えるにも、子供が泣き叫んでいるからまず子供をあやしてくださいと言うんですね。ところが、それで時間が過ぎてしまって相談に応じられない。しようがないので、市役所の職員の方を呼んで、どなたかお子さんちょっと見とってくださいとやるんですが、それで時間が過ぎてしまって、本題に入る前に時間が終わってしまうというふうなケースが間々あるわけです。それは具体的にあるわけであります。

 いや、そんなもの、小さな子供を家族や親族に預けたらと言うけれども、多くの場合、夫にないしょで相談に来ている場合が多いわけですから、子供をちょっと預けるということすらなかなか相談できずに思い悩んで相談に来られるというケースを想定した場合に、やはり司法ネットの方で、前もって連絡をいただければ、一時保育であるとかベビーシッターさんを手配するとか、そういった工夫も、先ほど御答弁でかゆいところに手が届くとありましたが、そういう言葉を使われるのであれば、そういうこともやはり考えていくべきだと私は思うわけでありますが、この点、ハード面、ソフト面あわせてお答えください。

寺田政府参考人 これも大変大事な問題でございます。

 私どもといたしましては、当然、法律問題を抱えておられる方の中に、障害をお持ちの方あるいは高齢者の方、それから、今おっしゃられましたように、幼児をお抱えの方、こういった方がおられることは、予定しなければならないだろうというふうに思います。

 センターの方でも、こういった方々に対してどう対応するかということは、それは、こういった方々のニーズを満たすものでなければならないだろうというふうに考えるに違いないと思うわけでございます。

 ただ、他方で、今委員もまさに御指摘になりましたように、この問題をすべて理想的に解決するには、経費的な面の問題も相当生じてくるわけでございます。コストの問題を考えれば、できるだけ通信技術を利用するというようなことも当然一方では考えていかなければならない。

 しかし、それでもなおこういう方がおいでになった場合に、バリアフリー化、あるいは、今おっしゃったようなさまざまな支援というものを考えていかなければならないと思いますが、具体的には、どのぐらいのニーズがあるかというようなこともあわせ考えまして、センターの方で対応されていくだろうというふうに思っているわけでございます。

泉(房)委員 今、いみじくもニーズという話がありましたが、繰り返しになりますが、ニーズはあるんです。ニーズはあるけれども、体制が整っていないからなかなか相談に来られないという発想をすべきだと思います。

 そして、お金の問題は、当然、私は何度も言っています、湯水のごとくお金がある時代ではありません、限られたお金です。お金がないんだったら、知恵を絞ったらいいわけであります。例えば、一時保育の場合、民間ボランティア団体、こういった趣旨で説明すれば、無料でちゃんと来て一時保育するボランティア組織はあります。また、ボランティア組織の手話通訳のところも、いろいろな組織があります。そこに声をかければ、そういったことだったらお手伝いしますよと、ただで来ます。

 そこは工夫なわけであって、お金を使わなくても、そういった心ある方々との連携を深める中で金を使わずにできる部分があるわけでありますから、そこはそういって、金を使わずにできるという発想のもとに進めていただきたい。金がかかるから、金がないからできないと終わるのではなくて、金がなくてもできることがあるはずだという思いの中でこういったことを進めていただきたいと、強く強く申し伝えたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。

 このテーマは与野党を問わず共有する部分だと思いますし、法務省の多くも賛成だと思いますので、お金は財務省からいただくとしまして、引き続き頑張っていただきたいと思います。ちょっと余談になりましたが。

 時間の限りもありますので、あともう一点、法律扶助であります。

 ここも、対象事件の範囲や対象者の範囲、また費用負担のあり方などなど、多くの論点を抱えております。残念ながら、今回の司法ネットの中では、従来の扶助の枠組みから大きくは変わっていない。ただ、確かに、扶助協会、これまで苦労してこられた運営費の面が国の方でしっかりと責任を持ってやっていくという面は一歩前進だろうとは理解していますが、利用者サイドから見ますと、大きな前進というふうにはまだ言えないと思います。

 これはこれからの課題だと思いますが、特に一点だけどうしても強調しておきたいのは、外国人の問題であります。

 今回の法案には、適法な外国人という用語があります。適法な外国人と書くと、一見、それは違法だったら無理だろうと思いがちでありますが、要は、そう簡単ではありません。少なくても、難民申請などの事例を考えますと、難民申請手続をすれば、その結果、難民認定を受けた場合、その後、日本に在留を続けられるわけであります。また、一たんオーバーステイになった場合でありましても、在留特別許可の手続をして、その結果、日本に居続けることができる、つまり適法になるというような要素があるわけであります。しかしながら、その手続ができなければ、違法な状態が続くわけであります。

 法的な手続をすれば適法化される可能性が高い方がいるにもかかわらず、手続をしていない時点で違法だからといってこういった扶助の枠組みから外すということは、私はやはり納得がいきません。すべての違法な外国人の違法行為を助長する意味で扶助を活用することには国民的理解は得られないのは当たり前でありますが、手続をして適法化される外国人については、何とか扶助の枠組みに取り込むといったような工夫があってしかるべきであろうと私は思っているわけでありますが、この点、運用面の工夫などで何とかならないかという思いを強くしているわけでありますが、お答えをよろしくお願いいたします。

山崎政府参考人 この点につきましては、確かに、外国人につきまして、「我が国に住所を有し適法に在留する者」となっておりますけれども、この解釈については若干緩めているところもございまして、もともと資格はあって、その更新をしようと思ったけれどもそれが得られないというような場合もあろうかと思います。これは、もともとあったところで、その裁判に勝つ蓋然性が高ければ、それで結局認められるということになりますので、この場合には、この要件に当たるということで、今も解釈をさせていただいております。

 ただ、それ以外の場合については、いろいろな場面もございまして、全くの不法入国で行った場合等につきましては、一応、この関係では適用がないという扱いにしております。

 ただ、いろいろな事情があり得ますので、この点につきましては、現在、法律扶助協会の方でも、国際連合の難民高等弁務官事務所、そちらの補助を受けまして、自主事業として難民法律援助事業を実施しているところでございます。支援センターが、三十条二項を活用いたしまして、これを実質的に引き継ぐものとなるかというのは、今後、双方の詰めが残りますけれども、可能性は大いにあるということでございますので、引き続き、そういう関係で救済を図っていくということをやっていきたいというふうに思っております。

泉(房)委員 私の質問時間も終わりになりまして、司法ネットの審議も、私もこれが最後となります。質問通告しておりませんが、この間、聞かれまして、大臣の方はきょうは特に予定されていなかったかもしれませんが、大臣、最後に、これまでの質疑を踏まえまして、改めて決意と、特にきょうを踏まえての何か感想でも結構ですので、一言お願いできれば幸いです。

野沢国務大臣 委員が、現場経験に基づきまして、特に利用者の視点からのきょうの御質問、大変参考になりました。これから、まだ具体化するにはさまざまな課題が多いかと思いますが、やはり、国民のための司法改革でございますので、なお一層、今後また積極的な御提言を期待いたしております。ありがとうございました。

泉(房)委員 私、これで終わります。ありがとうございました。

柳本委員長 御苦労さん。

 鎌田さゆりさん。

鎌田委員 お疲れさまでございます。民主党の鎌田さゆりです。きょうもよろしくお願いします。

 司法ネットに関する質疑ですけれども、連日続いておりますが、私は最初でございます。多分最初で最後になるのかなとは思いますけれども、私なりの思いを込めて質疑をさせていただきたいと思います。

 実は、文部科学委員会に所属をしておりましたときに、国立大学の法人化の問題に取り組みました。その際、独立行政法人というテーマともぶつかりました。それで、私もですけれども、私たち民主党は、それぞれの国立大学の自主性を重んじる、それぞれの特質、特色を重んじるならば、独立行政法人という仕組みでこれを当てはめていくということに反対をし、そして、自主的に修正案を出しましたけれども、言わずもがな、数で否決されましたが、あのときの苦い思いを今改めて、法案を読むにつれ、各所にわたって私は感じております。

 というのは、この法案の中身、もちろん、司法センター独自でこの法案として生きているものもあるでしょう。しかし、法案の、ほとんどと言ったら過言かもしれませんけれども、中期目標、中期計画の策定、評価委員会、審議会、それから財務大臣に予算を伺う協議、ありとあらゆるものが独立行政法人通則法に基づいて、これが当てはまっている。

 私は、あのときの苦い思いをまた思い出しまして、この司法ネット、司法センターについては、完全に国から独立をして、すばらしい形で機能していただきたい、そんな思いを持っている一市民、司法を利用する側の立場に立って、きょうはぜひ確認をしなくちゃいけないし、確認をしながら、答弁を聞いた上では納得がいかなくて、そのままの気持ちを持って採決の日までいくのかなという思いもあります。

 そういう前置きをまず申し上げた上で、この間ずっと司法制度改革推進本部の中で本当に取りまとめ役として御苦労されてきたと思います山崎事務局長初め皆様、そこは敬意を表します。

 しかし、独立行政法人でこれをスタートさせようというふうにはっきりこの時点で決まったというその会議、司法制度改革審議会の意見書を見る限りにおいては、はっきりとこの時点で独立行政法人でいけというようなものは私は見受けられないんですけれども、どういう時点で、どんな流れで、このスタイルでいきましょうというふうになったのか、今まで委員の方でも質問なさった方もあるようですけれども、改めてお伺いします。

山崎政府参考人 確かに、改革審議会のときには、このような組織といいますか仕掛けをつくるということは余り念頭に置いていないと思いますので、いろいろな、随所に中身はちりばめてあるわけですが、それを総合したものでございます。ですから、そういう意味では、当初何もそういうことは前提にはしていなかったということになろうかと思います。

 私ども、これは検討を始めて、では、いつからこういうような構想かというのはちょっと余りはっきりはしないんですけれども、基本的には、これは国の業務でございますけれども、国が直営でやる必要はない、しかし、やはり国として国民のお手伝いをしなければならない、そういうものだという位置づけでございます。

 そうなりますと、この選択をする法人の組織というのはそんなにたくさんあるわけではございません。一つは特殊法人だろうと思います。一つは独立行政法人でございます。今後、政府全体の考え方として、特殊法人はもう廃止をしていくという流れでございますので、そちらの選択をすることはあり得ないということになります。では、この特徴を生かして、国の業務を外で出してやるということですね。これに匹敵するものは何かといったら、やはり独立行政法人であろう、こういう選択になっていくということでございます。

 ただ、これは、通則法の適用も受けておりますけれども、それとは少し違った、司法にも関係がある、そういうような独立行政法人だということから、随所に最高裁判所の関与ということが加えられた、独立行政法人に基礎を置く、それと少し違っているもの、そういうような位置づけになろうかと思います。

    〔委員長退席、塩崎委員長代理着席〕

鎌田委員 山崎局長の方から、普通のというか、いわゆる独立行政法人とはちょっと違ったという表現の答弁をいただいたというか、得ましたので、私は、実はきょうの質疑の中で、これはちょっと違うでしょうということも確認をしたかった一つでございますから、その確認を得たということで質問をしていきたいと思うんです。

 ですけれども、今のその御答弁を聞いていて思いました。局長がそのようにおっしゃったとはいえ、やはり法務省の傘の下。あの国立大学法人化のときも、あのときも、ぶっちゃけた話、文部科学省がいろいろな権限を奪われていく、政治力を初めとしていろいろなものが奪われていく中で、こんなだらしない、これじゃいかぬ、教育こそ国の基本の施策なのに、そして最後、文科省が、では権限を外したくないものは何だといったときに、国立大学を独立行政法人というところで縛った。これは明らかに、どの新聞、各紙論調もそうでしたから、明らかに社会がそう見ていた。私は、非常にそれで残念な苦い思いをして、今回これで、またやはり、局長、そういえども、法務省の傘の下、管轄の下に、そういう基本的な考えがあるからやはり独立行政法人という仕組みを選ぶ、そこに行き着いてしまうんだと思うんです。

 だから、今おっしゃったように、違うとはおっしゃっていただいて、それは非常に歓迎すべき答弁なんですけれども、通則法を見ていただければだれだってわかる。独立行政法人通則法の中には、まさに今局長がおっしゃったように、国が直営するものではない、しかし国の責任においてやる、でも国が深く関与しちゃいけない、その団体の独立性、自主性を重んじるということをうたっておきながら、おきながらですよ、計画、目標はどこがつくるか、それを認可するのはだれか、そして、その評価に基づいて予算にどれだけ影響が出るか、この法律自体がへんてこりんじゃないですか。一方で自主性をうたっておきながら、一方で国が縛りをかけるということを同時に一つの法律でうたっているんですよ。

 だから、そういうものが適用されるこの司法ネット、総合支援センターというものに私はすごく期待をしたいけれども、国が完璧に包囲をしちゃうんだなと。そういう色があると思いますけれども、しかし、私は、この法案を読んで、そしてずっといろいろなものを聞くにつけ、そんなつもりないよと思うかもしれないけれども、そういう危惧を抱いている人が私だけじゃありませんということは申し上げ、それを理解していただきたいと思うんです。

 そこでなんですけれども、ちょっと具体的に、第八条で、国の責務について。「国の責務」とありますけれども、この「国」という言葉の指す意味を確認させてください。

山崎政府参考人 国でございますので、国の機関すべてということになります。国会それから行政庁それから裁判所、すべてでございます。

鎌田委員 その国の責務をうたっているところに「総合法律支援の実施及び体制の整備に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。」とありますから、そして、今局長のお答えの中に国会も含まれましたので、私は、その国会をなす一人として、これから細かく聞くときもあるかもしれません。細かく聞く際に、現行法に基づいてお役所の方々は忠実に立法の事務作業を進めてこられたと思いますので、時に大臣あるいは政務官、副大臣に、これは役所の人に聞いたら酷なんでないのというようなこと、私は、ぜひ政治家に聞きたいというようなことがありましたときには、ぜひそれは政治家のお立場で責任ある御答弁を求めたいと思います。

 それで、具体的になんですけれども、組織体制について伺います。

 各委員も質問をなさっておりましたけれども、理事長初め理事、その役員の方々の組織体制なんですが、この法文を読む限りにおいては、どんなに多くても六、七人の理事長初め理事、あと監事の体制なのかなと思いますけれども、理事長を中心とした、理事会と呼んでいいのかどうかも含めてちょっと答えていただきたいのと、この本部の役員体制、もっと具体的にイメージを示していただきたいと思うんですが、お願いいたします。

山崎政府参考人 本部のヘッドは理事長でございます。理事長が一人で、そのほか役員何名ということがこの法律で決まっております。理事が三人以内、それから非常勤理事一人以内、監事二人、こういう構成になるわけでございます。理事は理事長が選任をするという形になります。

 最終的には理事長に権限が集まっておりまして、理事長がそのすべての事務の総理を行うということになろうかと思います。理事はそれを補佐するという立場になろうかと思います。

 それから、先ほど御指摘がございました理事会でございますけれども、これは、法的にこの中で定めておりません。したがいまして、理事長がみずからそういう会を開いてやった方がいいという裁量で開くことは可能でございます。内部的にそこにどういうような権限を持たせるかは、それはそれとしてできると思いますが、法的には何もないということでございます。最終的には理事長が定めていく、こういうことだろうというふうに思います。

 それでよろしゅうございますか。

鎌田委員 局長、今初めに、ヘッドは理事長で、そして理事数人、監事数人、これは法律で決まっていますのでというふうな答弁でしたが、その法律で決まっていますのでといった表現の法律というのは何ですか。

山崎政府参考人 この法案の二十二条でございまして、役員について、理事長及び監事二人を置くとなっております。それから、理事三人以内を置くことができる、それから非常勤一人、こういうことになっております。それを申し上げただけでございます。

鎌田委員 いや、私、もしかしたら通則法でそういうふうに決まっているのかなと思ったものです。

 ちょっと法案とはそれますけれども、局長、法律で決まっていますのでという表現を使ったんですよ。決まったんですか、これは。すごく基本的な、どうでもいい話かもしれないけれども、何のために今こうやって審議しているんです。いや、決まっていると言うから、私、通則法で理事の体系も、人数まで決まっているのかなと思って、何ですと聞いたんですよ。決まっていないでしょう。法律で決まっていますのでとおっしゃった。そうしたら、この司法ネットの法案の二十二条とおっしゃった。とんでもないことですよ。撤回なさるんでしょうけれども、いいです、別に。撤回なさる。では、武士の情け。

山崎政府参考人 武士の情け、ありがとうございます。

 ただ、私は今、この法案と申し上げた……(鎌田委員「法律と」と呼ぶ)ああ、そうですか、それでは私の言い間違いでございます。法案でございます。二十二条と申し上げましたので。

鎌田委員 それで、この法案でなわけですから、この法案、まだ採決されていませんし、採択されていないですから、ここに、理事長は一人で、それから何は何人でと書かれていようとも、それは決まっているわけですからという前提はあり得ないわけです。

 では、この理事長を中心とした理事会というふうに呼んでも差し支えないんだと思いますが、私は、これは非常に重要な役割を担っていくと思うんですね。この後の方を見てみますと、各地域の人、代表者を集めて評議会をやってもいいし、理事長を中心としたこの会がさまざまなことに深くかかわっていって、まさに支援センターの中心になるところだと思うんです。

 法文を見ても、例えば三十条、「支援センターは、」とあるんですよ。業務の範囲を決めている。それから、その後に来ると、もう至るところに「支援センターは、」「支援センターは、」というのがいっぱい来るの。この「支援センターは、」というのは、つまり、理事長を中心とした理事会と言って差し支えのないこの人たちが中心となって支援センターというふうになると思うんですね。

 だから、理事長を中心としたこのメンバーというのは非常に重要でありまして、ましてこれは、東京に主たる事務所を置かれた本部のみならず、全国にこれから支部として置かれるであろうところ、そこにも影響力もあるし、そこの意見も吸収しなくちゃいけないし、非常に重要なんですよ。

 ですから、局長そして大臣、私は、この理事長一人はいいですよ、長だから一人でいい。しかし、その補佐をする理事あるいは監事、特に理事の方ですけれども、これは、全国に地裁の本庁のある五十の支部、ここからの代表者一人、支部長というものがこの理事に加わって、そして東京で理事会、理事長を中心として、全国の、まさに地域の末端の隅々の状態を、司法サービスはどれだけの需要があるのかというものを話し合う。そういう組織構成にしていかないと、これは幾ら、途中、評議会を開くことができるとかありますけれども、しかし、理事会というものがきちんと役割、権限を持って、そして司法のこのセンターを運営していくに当たってそういう人たちで構成をしていくということは、非常に重要だと私は思うんですね。

 これは、実は、一地方の単位会の会長の声でもありまして、まさに弁護士を出さなきゃいけないところの単位会の会長、そういうところからの声でありますので、私は、言っていいのかと言ったら、言って構わないと言われて来ましたから、おのずと私の地元だとわかっちゃうかもしれませんけれども、そこの会長は、もう切実に、これ、充実してやりたいからこそ、理事にそういう地方の代表者も加わるべきだというふうな声を持っていますけれども、この点につきましては、ぜひ大臣のお考えなどお聞きしたいと思うのでございますが、いかがでしょうか。

野沢国務大臣 私は、組織の意思決定というのは、必ずしも肩書がこうだからとかあるいは数がどうだということではなくて、まさに実質的な中身によって決まっていくんじゃないかと思っております。

 この支援センターの働きというのは、文字どおり、地域の実情に精通し、そしてまた弁護士業務を初めとしました司法の中身についての能力のある方にお願いしているわけでございますから、その辺の形については、とりあえずこれでスタートをしてみた結果、著しく支障があるとか、なおこう直した方がいいんじゃないかということであれば、その段階で手直し、見直しも可能だと思いますので、要するに、センターの組織をなるべく小さくして現場の意向を尊重するという意味からしても、この辺の枠組みが適当ではないかな、私の立場ではこう思います。

鎌田委員 今の大臣の御答弁で、なるべく本部の役員組織は小さくしてという答弁がありました。まさに特殊法人改革を国を挙げてやったときに、独立行政法人に移行したときに、天下りの温床になるからなるべくそういう役員の理事のところはちっちゃくしようという声が非常に大きかった、それがここに反映しているんだと思います。全部とは言いませんけれども、大いに反映していると思う。

 でも、今私が申し上げたような、理事長を中心とする組織構成というのは、天下りの温床になんかなりませんよ。ならないです。だって、じゃ、理事五十、あともし五十をふやしたとしたら、その理事にそれこそ法務省の天下りの方々が行ったりしたら一目瞭然わかっちゃうし、そんなことはできるはずもない。

 今申し上げているのは、これから先、東京の主たる事務所のほかに、全国に、五十なのかそれ以上なのかわからないけれども、できるであろうそこの支部が、まさに現場で働くわけですよね。そこの代表者が、支部長の立場になる人が理事で入ってくる、そして中央と地方とのしっかりとした情報の共有のパイプ役にもなるという意味で私は非常に重要だと思うので、今大臣は、これから先、見直すことも可能だというようなニュアンスの御答弁がありました。

 ぜひ、山崎局長、これから先も司法制度改革推進本部打ち上げになるまで、あるいは打ち上げになった後、ここの理事長になるんでないかなんて、さっき民主党の方では言っていましたけれども、ぜひ最後まで局長で頑張っていただかなくちゃいけないので、検討事項ということで今のは一考に値するんじゃないかと思いますけれども、ちょっと現場の作業の責任者としていかがですか。

山崎政府参考人 ただいま大臣の方から答弁していただきましたけれども、基本的には同じ考えですが、ただ、ちょっと私、若干違う点も持っておりまして、経営者側、これが膨大な人数でいいかどうかというのは、今、会社でも全部そうでございますけれども、もう少し意思決定をスリム化しようという時代の流れでございます。要するに、多く人がいると、無責任に会議をただ聞いているだけということになりますので、そういう意味では、少ない人数で実動的に動くというのは、私は一つの考えだと思います。

 もう一つは、今御指摘のとおり、地方の実情をきちっと吸い上げる、これは大変重要な話でございます。ですから内部で、これから理事長になる方がどういうふうにやっていくかということにはなりますけれども、これは、どういう工夫かをして、やはり地方の声をきちっと把握できるようなシステムづくり、これが当然要請されていくだろうと私は思っております。ただ、これは理事長なり理事がその組織でお考えになることでございますので、私ども、今の時点で、こういうやり方をすべきだとか、そう言うつもりはございませんけれども、やり方によってはそれは十分できるだろうというふうに考えております。

鎌田委員 わかりました。その局長の言葉に、武士の情けパートツーで期待したいと思います。

 理事長のことについて、もう少し突っ込みたいと思うんです。

 通則法を見ると、主務官庁の大臣が決める、もしくは公募で決めることができるというふうにあると思うんですが、この理事長は、法案では、大臣がまずは指名をして、それからセンターが設立された後、任命という形になっていくようでございます。

 私は法曹界の人間でも何でもないというのは毎回言っていますけれども、だから、そういう司法を利用する側の市民の素朴な疑問なんですけれども、この司法ネットのセンターというのは、まさに公的弁護を含め法律扶助、社会で弱い立場の人あるいはなかなか闘いたくても闘えない人のために一生懸命防御活動をする、そういう弁護活動をする人たちのいわゆる拠点のようなところになると思うんですけれども、そこの理事長が、いわば検察のトップ、法務大臣、法務省のトップ、その人が任命をするということって、非常に私は違和感を覚えるんです。権力に立ち向かって公的弁護をしていく弁護士さんたち、そこのグループの理事長が、何でその相手側の、闘う相手側の、検察側のトップの法務大臣から任命を受けなくちゃならないんだろう。すごく私はそこに違和感を覚えるんですね。

 通則法のもとでは、公募による、あるいは、だから、大臣が任命しなくてもほかにも方法はあるわけで、理事長を大臣が指名して任命していくという流れに対して非常に違和感を覚えますが、いかがでしょうか。

山崎政府参考人 これは、先ほど来申し上げておりますように、本来、やはり国の業務でございます。ただ、国が直営でやる性質のものではないということで、外に切り出しているわけでございます。国の予算を使ってやるわけでございます。したがいまして、その組織について、最終的にそれは法務大臣の監督ということになろうかと思います。そういう関係で、理事長等について任命をするということになる。

 これは別に不思議なことではございませんで、独立行政法人でも同様なものをとっておりますが、世界各国の、各国といってもそんなに多くはないんですけれども、同種の組織を持っているところを見てみましても、例えばイギリス、韓国、こういうところにおきましても、理事長それから理事を所管の大臣が任命をするというようなことになっておりまして、私どもの方は、理事長だけは大臣の方で任命をいたしますけれども、理事につきましては理事長が定めるということでございまして、世界のほかの組織の考え方よりは民間的になっているという理解をしております。

鎌田委員 私は、今御答弁をいただきましたけれども、日本の司法の現場、裁判所での裁判での現場を見ると、どうしても何でだろうというふうに、ますます、一番初め冒頭に申し上げた法務省の傘の下という、そういう意識ばかりがやはり強く残って、この国を支配できるのはまさに法だけ、そして、その司法は本当に独立をして動いていくんだという姿をつくっていくのであれば、こういうところは、諸外国の例は諸外国の例として、日本のスタイルとしてやれないのかなという思いはぬぐい切れないものがございますという意見を付させていただきます。

 次に、評価委員会について伺います。

 この評価委員会というのも、いわゆる独立行政法人通則法の定めに従っての評価委員会だと思いますけれども、非常に簡単に書かれて、先ほど松野議員の質問にもありましたけれども、非常に簡単に終わらされてしまっていまして、最後に「政令で定める。」で切られちゃって、全く国会も、まあ、どの独立行政法人の通則法もあれですから、ほかのときもそうなんですけれども、本当に国会も軽んじられ、甘く見られ、そしてこういう法案を通してしまっている国会というものが情けない、だらしないなと思うんですけれども、評価委員会の占める役割の重要性をおもんぱかれば、こんな簡単に済ませられちゃとんでもないというのが私の考えであります。

 この評価委員会、通則法にも書いてありますけれども、改めて伺いますが、これは通則法の定めによるところの評価委員会のことでよろしいのかということ、それから、これは、であればやはり法務省の中につくられる組織でありますかという二点、お聞きいたします。

    〔塩崎委員長代理退席、委員長着席〕

山崎政府参考人 これにつきましては、通則法を準用せず、ここで書いておりますので、ここで決めているということになります。ただ、細かい手続等については準用の問題はいろいろあろうかと思いますけれども。

 それで、組織がどこに置かれるかということでございますが、これは法務省に置かれるということになります。

鎌田委員 法務省の中につくられるというのはわかりました。

 ここで準用すると書いていないから、あの通則法の中で定められている、各省庁に評価委員会を置くこととするというのは、では、これではないんですか。では、別にまたつくるわけですか、評価委員会。

山崎政府参考人 現在、法務省にはいわゆる独立行政法人、他にございませんので、今度ここでその所管のところにつくるわけですから、そこで、法務省に置く、こういう形になるわけでございます。

鎌田委員 だから、私がお聞きしましたのは、ほかに独立行政法人がないから、これができたら法務省の中につくる、それはわかります。私がお聞きしたのは、独立行政法人の定めによるところで、各府省ごとに独立行政法人評価委員会が置かれるんですよね。通則法でそうなっていますよね。それで、総務省の中にも政策評価・独立行政法人評価委員会というものが置かれて、評価のあらしが続くわけなんですけれども。だから、私は、通則法で定められているところのこの評価委員会のことでいいんですよねとお聞きした。

 そうしたら、違うとさっきお答えいただいたんですが、だとすると、私の解釈が間違っているのかしら、例えば、国立大学のときも通則法に基づいて文部科学省の中に評価委員会がつくられたわけですよ。それで、各大学のさまざまなものを評価する組織が文部科学省の中にできた、この通則法に基づいて。私は、評価委員会とこの司法ネットの法案に出てきたから、これも通則法に基づいて、評価をしなければいけない評価委員会というものがここに位置づけられているのかなと思ったんです。これがその評価委員会じゃなければ、別に法務省にまたつくらなくちゃいけないんじゃないかしらとも思ったんです。これが法務省独自でこの通則法とは関係なくつくった評価委員会ですというのであれば、では、通則法で評価委員会を置くというものは、また別に法務省につくらなきゃいけないのかしらと思ったんです。

山崎政府参考人 現時点で、通則法に基づく評価委員会は置いておりません。法務省ではございません。今回、今申し上げているのは、この十九条に基づく評価委員会をつくるという予定だということを申し上げているわけでございます。だから、一つでございます。

鎌田委員 十九条に基づく評価委員会が一つできていくということなんですね。それはわかったんですよ。

 私がお聞きしているのは、まだこの法案も未知のものですから、成立していませんから未知のもので、ただ、その独立行政法人通則法の定め、通則法がいただいたこの法案の後の方にも載っておりますけれども、「独立行政法人は、主務省令で定めるところにより、各事業年度における業務の実績について、評価委員会の評価を受けなければならない。」とありますよね。この評価委員会のことかということをお聞きしたんです。これを、つくる予定のものとしてここに掲げられているんですかとお聞きしました。

寺田政府参考人 ちょっと委員の問題意識をはかりかねていて申しわけないんですが、この独立行政法人通則法の十二条の独立行政法人評価委員会は独立行政法人の主務省に置かれるもので、現在、法務省は独立行政法人が一つもございませんので、主務省ではございません。したがって、この十二条に基づく独立行政法人評価委員会というのは法務省にはないわけです。したがいまして、今度新しく法案に基づいて評価委員会ができましても、それはここの独立行政法人評価委員会とは違うものでございますが、ただ、一部、規定は共通のものはございます。こういう関係に立ちます。

鎌田委員 わかりました。だから、独立行政法人通則法は通則法であるんだけれども、なかなか全部同じには、押しなべて当てはめることができないんだということ、わかりました。私の解釈の方が少し、だから、このセンターはできるけれども、それは、その独立行政法人は法務省が主務省ではないということですね。――えっ、主務省、独立行政法人の主務省になる。

寺田政府参考人 今度の評価委員会は独立行政法人の通則法の評価委員会でございませんが、この法案に基づく評価委員会、これをつくるわけでございますけれども、その主務省は法務省だということにはなるわけでございます。

鎌田委員 とにかく、この通則法にある評価委員会が行っている役割あるいはその任務、仕事といいましょうか、それから、そこでどんな意見が出て、それがどういうふうに影響するかというのは、今この司法ネットの法案の中にある評価委員会と仕事の役割的にはほとんどダブっている、そういうふうに思っていいわけですよね。

山崎政府参考人 基本的には同じ発想でつくっております。

 ただ、なぜこちらの条文で十九条を置いたかということになりますと、三項で「評価委員会の委員には、少なくとも最高裁判所の推薦する裁判官一人以上が含まれるようにしなければならない。」こういう特徴があるわけでございますので、ここで定めまして、あと共通するところは全部準用でやる、こういう考え方でございます。

鎌田委員 実はそれも聞きたかったところなんです。その評価委員会に、この司法ネットの法案には、「最高裁判所の推薦する裁判官一人以上が含まれるようにしなければならない。」とあります。これは、いわゆる独立行政法人のあれには当てはまらない、あり得ない話でありますので、ここからしてもやはりこの独立行政法人は、名前はそうであっても、ちょっと違うものだという認識で私はとらえております。

 それで、この評価委員会なんですけれども、この評価委員会のイメージはもうこれだけでございまして、全く何も伝わってきません。法務省の中につくられるというのはわかりました。法務省の中のどこに、組織構成はだれがどう組織されているのか、何をどうやって評価するのか、評価の結果は何かに反映するものなのか。今申し上げた、お聞きしたものを、すべて具体的にお答えいただきたいと思います。

山崎政府参考人 法務省の中に置かれますけれども、具体的部署はちょっと法務省の方から答えていただきますけれども、この評価委員会自体は、ここで、十九条二項に書いてございますけれども、法人の業務の実績評価に関する事務等をつかさどるものということになっているわけでございます。

 具体的には、中期計画の実施状況などの実情の把握、それから中期計画の達成度など実施状況の分析評価、これを行うということになるわけでございます。

寺田政府参考人 具体的な事務の担当はまだ議論をしておりませんので決まっておりませんが、事の性質上、大臣官房の中に置かれるものだろうというふうには理解しております。

鎌田委員 法務省の御答弁、それではとてもじゃないけれども私は承服できない。私たった一人かもしれないけれども、承服できない。大臣官房の中にできると思う、しかし、構成も、それから何をどうやってどんなふうに評価するかもまだ具体的に決まっていないと。

 「政令で定める。」というふうに、ここに法案に書いてありますけれども、しかし、先ほど山崎事務局長が答弁なさったように、その評価をする内容というのは、私は、この司法ネット、支援センターの、時に死活問題にかかわるようなことまで評価をすることもあるんじゃないか。中期計画に基づいてどれだけ業務がきちっとなされているか、そして、まさに国費を投入していってのこのセンター運営なわけですから、むだ遣いがないか、しっかり業績が上がっているか、ちゃんとむだなくやっているかということを評価する。そしてそれが、通則法を見たら書いてありますけれども、人事やあるいは事業の改廃あるいは予算の、財政的な面にまで影響を及ぼすというのが、この評価委員会から出される結果でしょう、評価の。

 だとしたら、今ここで、この法案を通すに当たって、さっき国の責務で国会ともおっしゃったじゃないですか。何にも評価委員会のことわからなくて通すわけにいかないですよ。これ、センターの死活問題にかかわる、事業の改廃も入っている、そして人事までも入っている、そういう評価委員会の重さというものを考えたら、今ここで何も決まっていないなんてそんなばかな話ないじゃないですか。法務省の中にできる、どういう構成メンバーで、そして何をどうやって、さまざまなことをこれから評価していかなくちゃいけないんでしょう。もっと具体的にお答えいただきたいと思います。

寺田政府参考人 ちょっと御理解いただけなかったかと思いますけれども、この評価委員会の具体的な中身、どういう組織にして、どういう人事をしてというようなことはまだ一切決まっていないということを申し上げているわけで、もちろんこの評価委員会の重要性というのは私どもは立案の段階から十分に認識しておりますので、これが決まりましたら、当然のことながら、例えばだれを、どういう人がふさわしいかというようなことについては力を入れて考えていかなきゃならないということについての認識は持っているつもりでございます。

鎌田委員 決まりましたら力を入れて考えていかなければいけないと最後ありましたけれども、私は、法制部長さんの答弁、そのまま、ただそのまま受け取って聞いています。それに対して、今私が申し上げた質問の話なんです。

 この支援センターを設立に向けて、成立に向けてつくられた新しい法案が出てきて、その法案の中に、まさにその支援センターの運営の死活問題にかかわるようなことまでも立ち入って評価をするときがある評価委員会、この評価委員会のことをここにうたわれておきながら、具体的には何も書かれていない。「必要な事項については、政令で定める。」これ、政令で定めなかったら法律違反なんですか。ここの国会が責任がある、先ほどの、責務があるというふうにおっしゃった以上、国会であらゆる手を尽くしてあらゆる知恵を絞ってしっかりと、地元に、地域に帰って説明責任が果たせるようにこれを明らかにしていく責務がそれぞれの議員に、この国会の法務委員会にあるんじゃないでしょうか。

 決まりましたら考えなくちゃいけないとありましたけれども、本当に何も決まっていないの。もう一回聞きます。

寺田政府参考人 ちょっと私の説明の仕方がまずいのかもしれませんが、どういう形でこの評価委員会の規定をお定めになるということは、もちろん国会がお決めになることでございます。

 ただ、私どもは、こういう法案が提出されますので、当然のことながら、これに見合った仕事をやっていかなきゃならないことはこれから決めるわけでございます。ただ、法案がまだ成立いたしておりませんうちから、その人事をどうこういたしまして組織の中身をどうこうするということを申し上げる段階ではない、こういうことを申し上げているわけでございます。

鎌田委員 見解の相違かもしれませんけれども、法務省設置法の第五条、ここに評価委員会のことが記されていますね。それから、この法案の第十九条、三十四、四十、四十一、四十二、四十四、四十五、四十六、四十七、全部これは評価委員会が果たす役割のことを書いてありますよ。これだけ重いんですよ、評価委員会は。中期目標を定めるとき、中期目標期間終了時、法務大臣の措置検討の際の意見を具申することができると。大臣より偉いんじゃないかと思っちゃいましたけれどもね。そういう評価委員会なんですよ。

 だから、これだけで済まされて、私はもう本当にはらわた煮えくり返る思いだし、ただ、正直、うそなく本当に決まっていないんだ、何もまだこれからなんですというのが本当のようでございますので、決まっていないなんていうのは本当に信じられないんだけれども、実は。であれば、もうおかしな法案ですよね、そこは何も決まっていないけれども、評価委員会がやるべき仕事は法案の中でこんなに書かれてあるんですから。私が調べた限りは九項目、九条にわたって、そして法務省設置法第五条にもありますけれども。

 こんな心構えで、こんな意識でいいんですか。支援センターの利益及び損失の処理について、法務大臣が承認する前に意見を聴取する、評価委員会から法務大臣が。積立金処分について、借入金について、まさに中枢の中枢のところに対して意見具申をできるのが評価委員会ですよ。

 本当に死活問題でしょう。これを死活問題と言わずして何と言うのかなと思うんだけれども、それをどうして、何も決まっていないというのが本当におかしな話で、この法案にまた改めて私は疑問を持ち、こんな国会を軽んじるような形でできてくる法案というものをこのまま通していいんだろうかという思いを、また改めていたしました。

 続きまして、この評価委員会のことだけずっとやっているわけにいかないので、ちょっと触れますけれども、触れざるを得ないんですけれども、審議会、四十二条の四項ございますね、準用通則法第三十二条云々に規定する審議会とあるんですが、この審議会というのは何のことです。これは、もしかして、総務省の中に置かれる政策評価・独立行政法人評価委員会のことですか。

山崎政府参考人 そのとおりでございます。

鎌田委員 言葉をそういうふうにかえて使われ、どっちが正しい、総務省に聞けば、正式名称は政策評価・独立行政法人評価委員会ですと答えられるし、この法案を見れば審議会となっているし、頭が混乱しちゃうんですけれども、同じだということが、今この国会の場でわかりました。

 結局は、この四十二条の四項に規定されている審議会、これは、つまりは総務省の中に置かれるものであって、この審議会もまた評価をし、後に続いていますけれども、「支援センターの中期目標の期間の終了時において、その主要な事務及び事業の改廃に関し、法務大臣に勧告することができる。」これは、総務省の中にできる組織がそういうことをするわけですね。

山崎政府参考人 そのとおりでございます。

鎌田委員 ここまでやりとりをしてくる中でも、独立行政法人という仕組みを、何だかわからないけれども、いつの時点だかわからないけれども、そこに落ちついて、その仕組みをとって、それで、とったがゆえにどうしてもその通則法が適用になって、よく言えば、国が責任を持って、国の業務としてさまざま評価をしたり、運営を監督していく。もちろん、余り口出しをしないようにという前提があると思いますけれども。しかし、また私は、やはり国の傘のもとに、法務省の傘のもとにというふうな支援センターになっちゃう絵を想像してしまいます。ましてや、大事な大事な組織のところがいまだに何も決まっていないというような話を聞いたりすると、余計にその思いを強くいたします。

 続きまして、財務及び会計のところで、四十四条に財務諸表に関する規定がございますけれども、この財務諸表、「支援センターは、毎事業年度、貸借対照表、」云々かんぬんとあります。これは、通則法に書かれてあるのがそのままここに書かれてあるわけなんですけれども、これらはやはりすべて非常に大切なものでありまして、会社の概要案内を見るよりもこういうものを見た方が会社の中が透けてよく見えるという、その世界の人から言わせれば非常に重要なものだというのはもうだれでもわかっていると思いますけれども、しかし、これに関しては最高裁への通知がないんですね。何でなんでしょうか。

山崎政府参考人 確かに、最高裁判所が関与する場面、それぞれに書かれていると思いますが、裁判所も、国選弁護人の選任ということから業務運営をなすわけでございますので、そういうことから、意見を聞くということになっておりますが、それでは、すべてのことについて全部意見を聞かなければならないかということでございますけれども、それはそうではないということを考えておりまして、ただいま御指摘の点、財務諸表の承認でございますけれども、これは大事なことではありますけれども、結局、会計処理の適正、これを判断するという観点から行われるわけでございますので、そういう点について最高裁判所の関与までは必要はないのではないかと考えたわけでございます。

鎌田委員 局長、そんなこと言って最高裁は怒らないですか。(発言する者あり)いや、最高裁は最高裁で独自の予算を持っているところですよ。そして、それこそもう細かいところまできっちりお金のことをやっているわけですよ。そして、これもちょっと調べたんですけれども、十一項目にわたって、第十九条から始まって四十二条まで、今までさんざんっぱら最高裁から意見を聞いて、最高裁に云々かんぬんしておいて、最後、非常に重要なここのところで最高裁に通知しないと。

 局長の今の答弁だと、そんなに悪気はないみたいな答弁だったんですけれども、でも最高裁は怒りますよ。お金のことはいいから、そっちは心配はしなくていいよみたいな、そんな話はないでしょう。大切な、大事な最後の、財務諸表、損益計算書、利益の処分または損失に関する云々かんぬん、ここのところで。

 だって、最高裁に通知しないで官報には載せ、各事務所には備えておき、一般の閲覧に供しなければならない。一般にさらしておく、それで最高裁には通知しない。これは最高裁に通知したって、何も最高裁は嫌だというものでもないでしょうし、いや、局長初め皆さんの心、全然そんなつもりはないと思っていても、これは私は魔術師でも何でもないけれども、やはり最後の、お金の最後のところのあれは法務省でという、それが自然に、自動的に働いているなら、やはりこれはここにおいても最高裁に対して通知をしなければいけないんじゃないですか。

山崎政府参考人 最高裁が怒られるかどうかというのは、これは最高裁にも意見を聞いておりますので、怒らないということだろうと思いますが、結局、予算は法務省の方で全部予算をとるわけでございまして、業務の、もちろん弁護人の選任とか、それはやっていただきますけれども、そういう関係から、極めて予算的な話でございます。

 そういう点から、最高裁の方に法的に通知をしなければならないというほどの必要性はないだろう、しかし、これは官庁間あるいは国の機関として、それは当然、事実上通知はすることになろうかと思いますが、法的な通知までは要らないだろう、こう考えたわけでございます。

鎌田委員 最高裁、怒らないんですね。私だったら怒っていたかなと思うんですけれども。何だ、ばかにするのかというふうに怒ると思ったら、怒っていないんだ。不思議です。

 今の御答弁、まさにこの後の方で、財務大臣との協議というところで、「財務大臣に協議しなければならない。」というところが、今度、そこから続けて私の気になるところであるんですけれども、これは独立行政法人のスタイルをとればまさにこの文言になっていたし方ないんだろうとは思いますけれども、独立行政法人通則法の規定の準用ですけれども、第四十九条、「財務大臣に協議」と。財務大臣と、ではないんですね。結局は財務大臣に、金くれという予算の直談判に法務大臣の側が言ってみればへりくだって行くようなものと同じですよ。

 こんな、ここまで書くのだったら、絶対にこれに必要な経費、予算をとってきてもらわないと。野沢大臣、血判状にでもして、引き続き大臣がなさるのであればこのままの意気込みでいいんですけれども、この後の、それぞれ代々の法務大臣が、これは毎年毎年中期計画を業務評価されて、それから目標どおりにやっているかどうか評価されて、やっていないとなったら即刻予算に響く、しかも予算をとるときには財務大臣に協議しなくちゃならない。これは、伺いを立てて、予算をいただけませんかという話なんですよ。

 だから、本当にそういう状態で法案がつくられていますので、そこのところは、私、この審議に臨んだ一人の法務委員として、これはしっかり議事録に残して、くぎを刺して、現場で一生懸命頑張る全国隅々の弁護士あるいはその支部の人たちが窮屈な思い、あるいは金がないがゆえにシャッターをおろさざるを得ないなんということが絶対にないように、ここのところを改めて現在の時の政権の野沢法務大臣に伺いたいと思います。

野沢国務大臣 総合法律支援のこの法案は、司法制度改革の中でもいわば大黒柱の一つでもある、一番大事だと思います。柱というよりも土台と言った方があるいはわかりやすいかもしれません。この法案が本当に機能するためには、今委員御指摘のとおり、予算の裏づけがなければ全く絵にかいたもちになりかねない、あるいは画竜点睛を欠くと言ってもいいかもしれません。

 したがいまして、この予算に関しては、法務省が全責任を持って、そしてもちろん財務省のこれは協力も必要でございましょう、そして最高裁判所とはそれなりの御相談をしながら、御満足のいく形にしなければ、これは結果が出てこないわけでございます。

 時間が厳しいですが、念のためにこの総合法律支援の業務というものをもう一度ここで確認してみたいんですが、今まで法務省で予算を獲得してきた民事の法律扶助事業がまずございます、これは当然そのままさらに発展的に続けるということ、それから法による紛争解決制度の有効な利用に資する情報提供の充実強化が加わる、さらには国選弁護人の選任に関する業務が加重される、それから司法過疎地帯における法律事務に関する業務が加わる、さらには懸案の犯罪被害者の支援に関する業務等、幅広い業務が加わってこの支援体制ができ上がるわけでございますから、これを裏づける予算が少ないというか足りないということでは意味がないわけでございます。

 法務省といたしましては、これらの業務を効果的かつ効率的に処理するために必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えておりまして、今後、運営の詳細とあわせまして検討を重ねてまいりたいと考えております。

 これは、人がかわりましてもこの議事録は永久に残りますから、これは法務省の公的な意思として私は残しておきます。私の遺言状と考えてください。(拍手)

鎌田委員 私も思わず拍手をしてしまいました。

 大臣、実はぶっちゃけた話、さっきその三文字を私は言おうかなと。そんなこと、失礼なことはと思って言わなかったんですが、大臣の方から言っていただいて、これで日本の衆議院の法務大臣に名を残すことにきっとなるんだろうと思いますので、まさに、今の言葉のとおりに、これからの時の政権が責任を持ってやっていかなくちゃいけないんだろうと思います。

 私、あと残り二分ございますので、一方的に私から提案めいたことを申し上げて残りの二分を消化したいと思うんです。

 私、冒頭申し上げました、全国に、地裁の本庁のある場所の五十カ所にも支部を置くべきだ、そこから支部長が理事に入ってくるべきだと申し上げましたけれども、東京の主たる事務所のほかに全国五十に支部ができたらば、それぞれの支部に支部がありますよね、地裁の本庁の支部が。例えば私だと仙台に地裁の本庁があるんですけれども、気仙沼だったり古川だったり、宮城県内にそれぞれ支部があるんですよ。その全国の支部も含めて、二百カ所を超えると思いますけれども、それも全国の、東京の本部の下部の支部として、だから二百五十カ所ぐらいになると思うんですけれども、そういうところが支部組織で誕生して動いていったらまさにすばらしいんじゃないかなと私は思うんですね。

 例えば、今申し上げました気仙沼で殺人事件が起きて、気仙沼の支部に起訴があった。そうなった場合、気仙沼で処理がされていくわけですから、どうしたってこれはそこの支部の必要性というものは出てくるわけで、そうすると、同時にまた、必要不可欠な問題として、その支部には専従の弁護士さんがいなきゃいけないし、事務員もいなきゃいけないし、そうなってくると、時間がないので随分はしょりますけれども、その人件費、場所代、それから二百五十の支所を構えてこの支援センターを動かしていくとなると、三百億を超える予算が必要になるというのが私の試算でございます。

 それだけ、今大臣がおっしゃったように、現在ある扶助制度、現在ある公的弁護、これを現状維持し、さらに拡充していくんだということになれば、やはり今私が申し上げた数字はそんなにそんなにべらぼうな、うそのような数字ではない、現実問題として考えなくちゃいけない数字だと思いますので、ぜひこれから先もいい司法のネットサービスセンターができるように御努力をいただきますようにお願いいたします。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

柳本委員長 御苦労さまでした。

 佐々木秀典君。

佐々木(秀)委員 民主党の佐々木です。

 本法案の質疑も最後になりました。最後の質問者として、同僚の議員の既にさまざまな角度から行われた質問と重複すると思いますけれども、確認的に質問をさせていただき、お答えをいただきたいと思います。ただ、かなり重複する部分について、もうはっきりいたしましたことについては省略してもいいかなと思いますので、差し上げてあります質問通告のうちの一番目、二番目についてはちょっと御遠慮させていただいた方がいいかなと思います。

 そこで、三番目ですけれども、この法案の第十条ですが、総合法律支援について日弁連の責務が規定されております。もちろん、日本司法支援センターが全国的にこの事業を展開して、本当にこの第一条に言う法の目的を達成して、国民の皆さんが本当に気軽に、そして切実に持っておられるいろいろな悩みだとかそういうことを解消するためにこの法的なサービスを受けられるんだというニーズにこたえていくためには、それこそ、弁護士会と、日弁連はもちろんですけれども、各全国の単位弁護士会及びその会員である弁護士の本当に積極的な協力、実働、これがなければ到底この業務を適切、円滑に遂行することにはならない、私はそう思っております。

 また、お聞きをいたしますと、弁護士会としてもそのことを十分にわきまえながら、会員間にはいろいろな御意見もあるようですけれども、執行部が中心になって今の日弁連の皆さんが、やはりこれを司法改革の一大事業としてやっていくんだという意欲に燃えてこの法律をつくり上げることについて賛成しておられる、またそれを積極的に推進されようとしているというふうに私どもは伺っておるわけですけれども、政府ないしは改革本部として、弁護士会あるいは弁護士さんについて、こういうことについてぜひ協力をしてもらいたいというその内容について、ここで最後にお示しをいただきたいと思います。

山崎政府参考人 支援センター、この考え方の基本は、やはり弁護士の方にお願いするところはきちっとお願いをする、その上で、どうしてもやはり手が回らないところについて私どものセンターの方で補完をしていく、こういう考え方でございます。したがいまして、この業務運営が、あるいはまた国民がサービスをきちっと受けられるかどうかという視点からは、まず、本当に弁護士さんたちが活躍をしていただかなければ現実として国民がサービスを受けられないということになるわけでございまして、この点は非常に大きな点でございます。

 私どもも、そういう視点から弁護士会ともいろいろな形で情報交換をして、お互いにやっていける道、その協力をどういうふうにしていくか、こういうことについて今後詰めていきたいというふうに考えております。特に、これから裁判員制度が始まるということになれば、その円滑な運営のために弁護士会の方にも極力は御協力いただくということになろうかと思いますし、それから、そこで足りないということがあれば、それは支援センターからもお手伝いをさせていただく、こういう関係になります。この点をきちっとした運営をしなければ、やはり日本の司法、これが信頼を失うということになりますので、これは大変大きなポイントになるだろうと考えております。

 それからもう一つは、司法過疎地域の協力の問題でございまして、これについても日弁連の方で大変な御努力をされているわけでございまして、順次いろいろな公設の事務所がふえておりますけれども、やはりこれにもいろいろ、会としては限度があろうかと思います。ここは私どもの方でも、必要なところにはこれをつくっていくということをやるとともに、やはり日弁連の方としても、日弁連の方でやっていただくもの、それから、やり切れないところを私の方でやる、それはやはりお互いの協力関係がまさに大きな問題になっていくだろうというふうに思います。

 したがいまして、これを総括して言えば車の両輪だろうというふうに思っておりますので、今後きちっとしたお互いの連係プレーをしていきたい、こう考えているところでございます。

佐々木(秀)委員 まさに私は、弁護士会そして個々の弁護士さんたちがどれだけ意欲を持ってこれに取り組むかということがこの事業成功の私は本当にかぎだと思うんですね。もちろん、これからまたお尋ねをいたしますけれども、弁護士だけではありません。関連の隣接法律関係者の協力、あるいは団体の協力ももちろん必要なんですけれども、まずはやはり弁護士会、弁護士だろうと思います。

 そして、私は、自分の経験からいっても、私も日弁連の会員でもありますし、かつては、東京におりましたときには東京の弁護士会の役員もやりました。その後、地元に戻りまして、小さな弁護士会ですけれども、旭川の弁護士会長もやらさせていただいた経験などを通じ、最近の弁護士会の活動も見るわけですけれども、私は本当に弁護士会、よくやっていると思うんですね。

 かつては、弁護士会長などというのはどちらかというと名誉職だ、特に日弁連の会長などをやると勲何等もらえるとか、そんなような考えがないではなかった。しかし、今は全くそんなことはありません。もう恐らく、大会の役員であっても、会長などをやると、いわゆる弁護士業務はできないぐらい会務が忙しいですね。

 そして、日弁連は、今度のこの法案審議でも何人もの方が参考人にもお見えいただきましたけれども、そういう方々というのは本当に、まさにもう法的サービスで一生懸命やっている。それは決して自分たちのことだけを考え、利益団体としてのことではなくて、やはり国民のためにどういう良質な法的サービスを提供するのか、あるいは弁護士法が掲げる自由や人権やあるいは正義の実現、人権の擁護ということにどうやって寄与していくのか、そういう思いでやっていらっしゃるので、私は本当に敬意を表したいと思うのですね。それは、私どもがおつき合いする隣接の法律関係の団体の方々でもやはり同じようなことだろうと思っております。

 しかし、それだけに責任の重い弁護士会ですけれども、さきに、きょうは同僚の松野委員からもその件についてのお話があったんですけれども、これはまた後で裁判所にもお尋ねいたしますけれども、いわゆる司法ネットの事業について、裁判所としてもいろいろな役割を負っている。そして、かなり重要な事柄について最高裁判所の意見を聞くことというのがこの法案の中には十幾つか出てくるわけですね。

 特に、日本司法支援センターの理事長や監事の任命だとか、あるいは業務方法書や法律事務取扱規程、国選弁護人の事務に関する契約約款の認可、中期目標の設定や変更、そしてまた中期計画の認可、その終了時の検討など、これらについては、実は法務大臣の権限なんですね。法務大臣がこういう権限を行使されるについては、あらかじめ、最高裁判所の意見を聞かなければならないということがもう法案の中で明文化されている。

 ところが、松野委員からもお尋ねがありましたけれども、日弁連のこれらについて意見を聞くという規定は置かれていないわけですね。このことは今の弁護士及び弁護士会のこれから果たしていくべき役割と責任の重さということを考えた場合に、私はちょっとバランスを欠くのではないだろうかと思っているわけです。

 でき得べくんば、ここで法案を修正して、日弁連の意見も、最高裁判所の意見と同じように、あらかじめこれらについては聞く必要がある、聞かなければならないということにしたいのですけれども、やや時間がございません。また参議院でも審議をしていただきたいと思いますが、とりあえずのところ、これからの運用に当たって、こうした最高裁判所に意見を聞かなければならないというような事項については、日本弁護士連合会の意見も聞く、あるいは、地方のセンターの運営については、その単位の弁護士会の意見を聞くというような運営のルールをひとつお互いに認識をしておけないものだろうかとも思ったりするんですが、法務大臣、この点いかがでしょうか。

野沢国務大臣 大変豊かな弁護士活動の御経験を有する委員の御指摘と重く受けとめておきたいと思っております。

 支援センターにおける法律サービス提供の主要な担い手はやはりあくまで弁護士でありまして、支援センターがその業務を円滑に運営するには、適宜日本弁護士連合会の意見を聴取し、協力を得ることが必要であると考えております。

 法務大臣が支援センターに対してこの法案に定められた権限を行使するに当たりましても、この点について十分に配慮すべきであると考えております。

佐々木(秀)委員 ぜひ最高裁判所と同じように、あらかじめ弁護士会にも御意見を聞くということが私はこれからの運営の上で大事な、必要なことだと思いますので、これをできればルール化していただくようにぜひお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そこで、先ほど隣接関係について、私、ちょっと申し上げましたけれども、この法案第一条には、予定する司法サービスとして弁護士会によるもののほか、司法書士その他の隣接法律専門職のサービスも挙げております。そしてまた、このことについて、例えば司法書士会の皆さんも大変意欲的でございまして、私のところにも、例えば附帯決議の要望として、このセンター設置のための準備作業や稼働に際しては、各地の司法書士会の意見を十分尊重してもらいたい、そしてまた有機的にこの司法書士会と連携をして協力体制を構築するようにしてもらいたいんだというようなことだとか、あるいは司法支援センターの事業執行について、そのスタッフとしての相談窓口要員や司法過疎地域におけるアクセスポイント要員などに司法書士を積極的に活用してほしいんだ、またこういう用意がありますよということを言って、意気込みを示しておられるわけですね。

 こういうことに対してどういうように期待をしていくのか、あるいは、例えばスタッフとしてもお願いするということが考えられるのか、この辺はどうですか。

山崎政府参考人 大変熱いエールを送っていただいて、我々としては本当にありがたいというふうに感じております。

 具体的なあり方についてはこれから早急に詰めなければならないと思いますけれども、やはり、いろいろな専門職種の方々、それぞれの専門分野をお持ちでございまして、それをぜひ国民にサービスとして提供をしていただきたい。そういう観点からは、例えば司法書士会で独自にやっている相談等がございます、そういうところに必ず道案内をするという方法もございますし、それから振り分けのところ、これもある程度専門性がないとなかなか振り分けもできないということもございまして、そういうところにも関与をしていただくとか、さまざまな連携、関与の方法はあろうかと思います。

 これから我々もそこのネットワークをきちっとしていかなければ、これは動きませんので、そういう中で、具体的にどういうような方法があり得るか、よく意見を交わしながら、最終的に決めてまいりたいというふうに思っております。

佐々木(秀)委員 それと、私、この司法ネットの事業が行われていきます場合に、従来から弁護士会がやっているさまざまな事業、これを助長するものであっても、それを減殺させるようなことになってはいかぬと思うんですね。

 例えば、弁護士会では、各地の法律相談センターの仕事などをやっているわけですね。そこで、今度、このセンターができた場合に、当然、この法律相談的な行事、事業、これも考えていかれることになるんだろうと思うけれども、これは、弁護士会の行う地域の法律相談センター事業などとはどう区別していくのかということになるんだろうと思うんです。私はそこで、センターとしての相談窓口をつくっていく、特色づけるとすれば、弁護士会の場合には弁護士さんだけの相談になるけれども、そうではなくて、今言ったような、関連する、あるいは隣接の関係団体の協力も得ながら、それをセンターとして調整して、一緒になって総合的な相談をするというようなことは、やりようによってはできるかな、こう思うんですね。

 これは、衆議院の法務の調査室のつくった資料の中で、八十六ページに資料がありますけれども、これはたしか阪神・淡路の大震災の後で、被災者の方々を中心にしたさまざまな相談を受けるためにということで、弁護士会、税理士会あるいは土地家屋調査士会、司法書士会、不動産鑑定協会、建築家協会などなど、「九団体から選りすぐりの専門家がチームを組んであなたの相談にあたります。」という、これはまちづくり支援機構という機構をつくって、そこが主催してこういう相談の窓口をつくってやっておる。私はこれは大変すばらしい、先駆的な事例だっただろうと思うんですけれども、これからはこういうことがどんどん行われていく必要があるだろうと思うんですね。

 かつては、率直に言って、こういう法律にかかわる隣接関係の団体間で、いろいろやはり権益をめぐったりして争うこともあったわけですね。御承知のように、司法書士法が改正されて、司法書士の皆さんが簡易裁判所における訴訟代理権を取得した、これはもう画期的なことですけれども、かなり前には、このことをめぐって、実は弁護士会と司法書士会とは、率直に言って、けんか的な状態にあったことは間違いないわけですよ。弁護士の方でも、弁護士の権益が侵されるとか言って。しかし今、そこのところをクリアして、超えていっているわけでしょう。みんなでとにかく力を合わせて国民のために頑張ろうというような雰囲気が出てきた。

 この司法ネットの構想というのもまさにその上に乗っているものだとすれば、私は、今言ったように、法律相談というよりも、法律相談だけにかかわらず、法律に関与するようなさまざまな相談についても、弁護士会の相談は弁護士会の相談として、これはまた発展してもらう。そして、こちらの司法ネットは司法ネットとして別なことを考えてやる。むしろそういう各関係団体の調整機能も持たなければならないと考えるんですけれども、この辺はどうでしょう。

山崎政府参考人 阪神・淡路のあの時期に、各士族が本当に協力してやられたということ、私も大変それはありがたいことだと思っておりますし、評価をさせていただいております。

 これを恒常的にしなきゃいかぬなという御指摘だろうと思いますけれども、私もまさにそのとおりに思います。これはどういう工夫をするか、知恵を出せばあり得る話だろうと思います。

 その中核として、私どもは、いろいろな団体のところと打ち合わせをしますし、連携をいたします。情報も我々のところに集まるようになっておりますので、やはりこのセンターがある程度中心になって、いろいろなところに呼びかけて、それをそれぞればらばらにやるんでなくて、同一の日に同一の場所でやる、それで連携して行うということは大いにあり得る話だろうと思いますので、御指摘の点も視野に入れながら、新しいセンターの方でそういうことをやっていけるように、我々としてもいろいろ意見を言ってまいりたいというふうに思います。

佐々木(秀)委員 そこで、大分時間も迫りましたけれども、最高裁判所においでいただいていますので、この事業に対する裁判所のかかわり方、そして、もちろん先ほどのように、相当主要なことについてはあらかじめ最高裁判所の意見を聞くんだということにもなっていますけれども、そのほかに、具体的なこのセンターの運営、これは支部の運営についてもということになるんだろうと思いますが、例えば十九条かな、評価委員会の委員には、最高裁判所の推薦する裁判官一人が含まれるというようなことだとか、こういったこともあります。

 それから、これは新聞の記事なんですが、これは少し前ですが、平成十四年十一月四日付の朝日新聞では、「センターには常駐の事務担当者のほか、弁護士や若手の裁判官、検察官らが交代で詰める。」とか、それから平成十五年の一月二十三日付の読売新聞では、これも、「弁護士が確保できない地域は、若手の検事や裁判官を巡回させることを検討している。」などということが書いてあるんだけれども、これは無責任に、勝手に書いたのか、裁判所の御意向を伺って書いているのか、この辺について、裁判官の関与の仕方など、最高裁、どう考えていますか。

中山最高裁判所長官代理者 率直に申し上げまして、裁判所からそういった説明をした覚えはございません。

 ただ、先般も通していただきましたけれども、判事補の外部派遣ということはやはり非常に大事であり、多様な経験を積んでいくということが望まれるわけであります。もちろんこれは、弁護士事務所についての派遣がこの間お通しいただいたわけでありますけれども、その一環として、支援センターのベテラン弁護士さんのもとでそういった業務に携わるということもあり得ることではあると思っておりますが、まだそういったことを、検討しているといいますか、検討を始めようかなと思っているぐらいのところでございます。

佐々木(秀)委員 いや、率直に言って、現職の裁判官がこういうようなことにということになると、なかなか大変だろうと思いますけれども、しかし、でき得べくんば、裁判官もやはり、裁判所の中に閉じこもっているとか、あるいは法廷で法服を着た裁判官だけではなくて、背広を着てそういうところへ出ていって一般の庶民の方々とも接するというようなことがこの司法ネットの事業についてできるとすれば、これはこれですばらしいことだと私は思うんですけれども、こんなことを含めて、裁判所のこの事業に対する関与の仕方、ぜひまた御検討いただきたいし、このことについてはまた、私ども、後日、いろいろなことで聞かせていただきたい、こんなふうに思っております。

 相当時間がなくなりましたけれども、ちょっと質問通告していなかったのですが、もう精通している事務局長ですから、お尋ねしてもお答えいただけると思うんですが。

 というのは、附則の第一条で、本法案は、施行の時期ですけれども、これは成立して告示をされますと直ちに施行ということになっていますね。そしてまた、附則の六条では、民事法律扶助法は廃止すると。この法案が通りますと廃止されることになっちゃいますね。ただし、九条で、それらについての経過措置を政令で定める、こうなっているんですけれども、心配しますのは、これで法律扶助法がなくなってしまうと、法律扶助の事業などは一体、この制度がきちんと体制ができて法律扶助事業を進めることができるのには相当これは大変だろうと思うんだけれども、その辺の心配はないのか。

 それからまた、センターの立ち上げはどのぐらい、中央センターの立ち上げですけれども、それはいつぐらいの時期を考えておられるのか。この辺はどうでしょうか。

山崎政府参考人 まず、財団法人の廃止の関係でございますが、六条でその廃止が決められているわけでございますけれども、七条で、「協会は、寄附行為の定めるところにより、設立委員又は支援センターに対し、民事法律扶助法の廃止の時において現に扶助協会が有する権利及び義務のうち、民事法律扶助事業の遂行に伴い扶助協会に属するに至ったものを、支援センターにおいて承継すべき旨を申し出ることができる。」ということになっておりますので、ここで業務がつながっていくということがまず一つ保障されているということ。

 もう一点につきましては、現在のその立ち上げの時期でございますけれども、十八年度中には設立をして、それから少し準備をしなければならないと思いますが、立ち上げて、それからまた準備も必要でございますけれども、設立は十八年度を頭に置いております。

佐々木(秀)委員 念押しですけれども、局長、前に来てください。

 そうすると、法律扶助事業はそれまでは、法律扶助協会がなくなっちゃうんじゃないのかな。扶助協会による事業は続くんですか、経過で。

山崎政府参考人 これは、一条の二号のところに、ここで、附則六条の規定、先ほどの廃止の規定でございますが、「公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日」とやっておりますので、そこがイコールになるように調整をするということでございます。

佐々木(秀)委員 その辺、心配のないようにしていただかないと困るわけです。

 いよいよ最後になりましたけれども、先ほど法務大臣から我が同僚の鎌田委員も拍手をするようないい御決意の表明がございましたけれども、何といっても、事業を成功させるためには私は人とお金だろうと思います。お金がしっかり後ろについていないことにはどうにもなりませんけれども、この法案がまず通るのは間違いない、今国会で。これから参議院に送られて、参議院で通ると思います。成立すると思います。そうすると、本年度の夏の概算要求、これではこの関係の予算請求をすることになるんでしょうか。この点はいかがですか。

寺田政府参考人 必要な要求をさせていただきたいというふうに思っております。

佐々木(秀)委員 ぜひしっかりとこの予算を、つくって要求していただきたいと思います。

 いよいよ最後になりましたけれども、五十年に一度とも言われる司法の改革を今我々は具体的な作業として法案審議で行ってまいりました。大きな二つの柱と言われるうちの一つ、それが私は裁判員制度だろうと思いますけれども、これは、けさ、修正の上で成立いたしまして、委員長が本日の本会議で報告をされ、これが成立をいたしました。そして今、この司法ネットを実現する総合法律支援法がいよいよ終局で、来週の火曜日には採決という運びになったわけです。

 野沢法務大臣、この大きな大きな大事なお仕事を終えられて、お聞きをいたしますと長い議員生活を終わられるとも聞いております。大変意義のあるお仕事を議員生活の最後になすったこととなるんだろうと私は思いますけれども、どうかひとつ、このつくった仏様に魂を入れるためにも、お金の大事さ、人の大事さ、これをぜひ、本部長である小泉さんは当然知っているはずですけれども、他の閣僚の皆さんにもお知らせをいただきたいと思いますし、財務大臣は私どもと同じ弁護士でもある谷垣さんですから、私は谷垣さんは趣旨はもう十分わかっていると思いますが、しかし、財務のお役人の皆さんがそのことについてどれだけ理解を示し協力をするかとなると、いろいろと聞くところによると問題もあるように聞いておりますので、ぜひ、法務大臣、どうか最後のひとつ御努力をいただいて、これに花を添えていただくような御活躍をぜひ期待いたしたいと思いますので、最後に御決意を伺いたいと思います。

野沢国務大臣 大変御激励をいただきまして、光栄でございます。

 責任の重さを痛感しておりますが、私、たびたび申し上げておりますように、制度をつくるだけでは絵にかいたもちである、これに魂を入れる、まさに画竜点睛を入れるのが人の手当てであり、予算の裏づけである、かように思っております。ひとつ、議会の皆様のお力もおかりしながら、精いっぱいの努力を法務省として続けてまいりたいと思っております。

 ありがとうございました。

佐々木(秀)委員 ありがとうございました。

 期待をしております。終わります。ありがとうございます。

柳本委員長 どうも御苦労さまでございました。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る二十七日火曜日午前九時十五分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十九分散会


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