衆議院

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第2号 平成16年10月26日(火曜日)

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平成十六年十月二十六日(火曜日)

    午後三時七分開議

 出席委員

   委員長 塩崎 恭久君 

   理事 園田 博之君 理事 田村 憲久君

   理事 西田  猛君 理事 平沢 勝栄君

   理事 津川 祥吾君 理事 伴野  豊君

   理事 山内おさむ君 理事 漆原 良夫君

      井上 信治君    小渕 優子君

      大前 繁雄君    川上 義博君

      左藤  章君    柴山 昌彦君

      早川 忠孝君    松島みどり君

      三原 朝彦君    水野 賢一君

      森山 眞弓君    保岡 興治君

      加藤 公一君    鎌田さゆり君

      河村たかし君    小林千代美君

      佐々木秀典君    樽井 良和君

      辻   惠君    松野 信夫君

      松本 大輔君    江田 康幸君

      富田 茂之君

    …………………………………

   法務大臣         南野知惠子君

   法務副大臣        滝   実君

   法務大臣政務官      富田 茂之君

   政府参考人       

   (司法制度改革推進本部事務局長)         山崎  潮君

   政府参考人       

   (法務省大臣官房司法法制部長)          寺田 逸郎君

   政府参考人 

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人       

   (法務省矯正局長)    横田 尤孝君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  笹川  堯君     小渕 優子君

  谷  公一君     川上 義博君

同日

 辞任         補欠選任

  小渕 優子君     笹川  堯君

  川上 義博君     谷  公一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

塩崎委員長 これより会議を開きます。

 御起立ください。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの相次ぐ台風及び新潟県中越地震によりお亡くなりになられた方々と御遺族の方々に、心から哀悼の意を表します。また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられました方々に対し、謹んで黙祷をささげたいと思います。

 全員、御起立をお願いいたしまして、黙祷いたしたいと思います。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

塩崎委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

塩崎委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務省大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省刑事局長大林宏君、法務省矯正局長横田尤孝君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松島みどり君。

松島委員 質問に先立ちまして、今の黙祷の気持ちを再び新たにするとともに、被災地の方々が一刻も早く復旧し、そして平穏な生活に戻られますよう、私たち国会議員一同努めたいと思います。

 質問に入らせていただきます。

 私は、南野知惠子参議院議員が法務大臣ということが決まりましたときに、鮮やかに思い出したことがございました。

 それは、さきの通常国会の終盤におきまして、これはもともと議員立法だったのですが、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆるDV法、この改正のことがございまして、南野参議院議員が先頭に立って本当に熱心にこれに取り組まれ、そしてこの委員会で私も質問させていただきました。御自身の厳しい選挙の直前であったにもかかわらず、夜中の十一時、十二時まで仲間の方々と審議をした上で、そして私にも、松島さん、この改正の趣旨はこういうことなんですよ、これでどれだけの人を救わなければいけないということを力説された。私は非常に感銘を受けたことを明確に思い出させていただいた次第でございます。

 私は、今、犯罪被害者の権利を回復し、そして全省庁を通じて一貫した対策、手当てをするための議員立法というものを目指しております。その際、犯罪被害者に対する施策といたしまして、この改正されたDV法をモデルにして、最低その水準の手当てをなすべきだと考えております。

 ちなみに、このDV法の成果といたしましては、例えば、総務省が被害者の現住所などを加害者に知られないための住民票非開示、これを全国の自治体に通達で出しますとか、あるいは国土交通省が自治体に対して公営住宅への優先的入居を求めるとか、そういう具体策がとられておりまして、この基本の法律であるDV法の改正は大変評価すべきものだったと思います。

 私のこの考えについて、DV法が一つのモデルになるという考え方について、といいますのも、DV法の場合は、自分が、往々にして女性が被害者になることが多いんですが、女性が、かつて夫や恋人に選んだ男性が見込み違いで、暴力を振るわれたり、そうした際に対応するということでございます。もちろん、そういう被害に遭われる方々も守っていかなければいけないわけですけれども、世の中には、全く見ず知らずの相手に暴力を振るわれたり、そして命を失ったり、重軽傷を負わされたりする場合もあり、この方はより気の毒な、深刻なことだと思います。

 先生が御奮闘されてかなりいいものにされましたDV法、随分いいものにされましたDV法というのが一つの基準、最低基準になると思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。

南野国務大臣 先生からそのようにおっしゃっていただけるということは、これは法律をつくった者の冥利でございますが、本当にいい形にして、弱い人たちを助けていかなければならないと思っております。ありがとうございます。

松島委員 愛と正義、この二つに裏打ちされて初めて法律というのは生きてくると思います。

 南野大臣は、助産師という仕事を社会人のスタートにされました。命の誕生に立ち会う、そういう仕事をされた方でございます。こういう南野大臣に、ぜひ愛と正義にかなった法律をつくっていただきたいと思います。

 この犯罪被害者のことに関しまして、一つ質問がございます。

 犯罪被害者を救う際に、加害者の身分というのは、被疑者、被告、受刑者、そして刑務所から釈放されて再び社会人になる、いろいろなふうに移り変わってまいります。対応する役所の方も、警察、裁判所、法務省の矯正局、法務省保護局といろいろ移ってまいります。しかし、被害者の方は、肉親を奪われた方あるいは自分自身が心身に後遺症を負った方など、その立場や心情というものは一貫しております。

 これを縦割りの行政で対応することは不可能でございまして、民間の、今、特に地域地域で活動いただいております保護司の方々にこの役割を担っていただけないかと私は思っているんですが、ただ、この保護司というのが、保護司法で、一応、今加害者、犯罪者の方の更生を手がけることになっている。これを何とか改正していただいて、被害者の一貫した、心のケアも含めて対応をやっていただくように、私の地元で話をしましても、被害者の方々のそういうこともぜひ、難しい問題だけれども勉強しながらやっていきたいという方々は結構多いんですが、保護司法の改正ということをどうお考えになりますでしょうか。

南野国務大臣 保護司は、保護観察などの業務を通じて、犯罪被害者や御遺族の方の置かれている状況を認識しており、保護司としてできる支援を行いたいと考えていらっしゃる方も多いと聞いております。保護司は、全国津々浦々に約五万人配置されておりますし、民間ボランティアであるとともに、非常勤の国家公務員として守秘義務を負っているという公的な側面も持っていますので、犯罪被害者や御遺族の方々が安心して相談できる立場であると言えます。

 当省におきましても、更生保護官署及び保護司が、その担当する地区に居住する犯罪被害者や御遺族の方とマンツーマン方式で対応して必要な支援を行うことができる制度の導入に向けまして、必要な法改正も含めて検討しております。

松島委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、大臣が所信表明の演説の中で治安の回復について強調されました。そして、その治安の回復の対策の一つとして厳格な出入国管理の実施を挙げられまして、私は、これは全く同感でございます。

 ただ、これに関する短い御発言の一つの文章の中で、実は普通の日本国民にわからない言葉が四つも連続して出てまいりまして、リエゾンオフィサーの派遣、プレクリアランスの実施、セカンダリー審査の導入、バイオメトリックスを活用した出入国審査の実施、この四つございまして、私、実は、やはり日本の国会で日本の大臣が所信表明をされるわけでございますから、ぜひ、日本人に、日本国民にわかりやすい日本語で御説明いただきたいなと思った次第でございますけれども、大臣、そのあたり、ちょっと日本語でよろしくお願いします。

南野国務大臣 ありがとうございます。

 松島先生のおっしゃるように努めてまいりたいと思っております。

 単語の意味でございますか、単語の意味でございましたら、片仮名用語についてこの前申し上げたとおりでございますが、リエゾンオフィサーというのは、直訳すれば、先生も御存じのように、連絡渉外官というような意味でございます。具体的には、海外の空港で日本向け航空機に搭乗しようとする外国人の旅券の偽変造鑑識や出入国管理に関する情報収集を行う職員のことをいいます。

 もう一つのプレクリアランス、クリアランスする前ということでございますので、事前確認という意味がございます。具体的には、相手国の空港に職員を派遣し、日本向け航空機に搭乗しようとする外国人に対して、日本に上陸するための条件、それが適合しているかどうかを事前に確認するものであります。

 セカンダリー審査、これは二次的審査の意味でございます。具体的には、外国人を空港の審査窓口で審査したときに、入国目的などに疑いがある場合、その外国人を別室に案内し、より慎重な審査を行うものであります。

 最後のバイオメトリックスは、これは生体情報認証技術のことでございます。これを活用した出入国審査とは、本人確認に最も効果的な顔、それから虹彩、目のあれでございます、それから指紋などを出入国審査に活用するものでございます。

 注意していきたいと思います。

松島委員 よくわかった気になりました。確かに、それだけ長いことを短い文章でということでああいう片仮名になったと思うんですけれども、ぜひよろしくお願いします。

 それで、その一つ一つ、すべて非常に重要なことであり、それによって日本の治安というものが維持されるというのは大事なことだと思います。

 ただ、事前に審査するために相手国に人を派遣したりするということは、人をたくさん必要とする。私も東京入管を視察させていただいて、この人数でやっているんじゃ確かに大変だと思うことが多々ございました。私ども一同、この委員会の人間、力を合わせて、ここは人を、行政改革は必要だけれども、こういう治安を守る大事なことにはしっかりと人手をかけるように、そういうことに努めてまいりたいと思います。

 今ちょっと申し上げたんですが、法務省というところは、民法や刑法、そして商法など、各法律には普通の日本人にわからない言葉がたくさん並んでまいります。例えば行刑改革なんというのも、これは刑務所改革と言われないと、普通の場合、わからないし、そしてまた、入管局は、今言いましたように英語ばかり並べてしまう。外国人を相手にしているから、こういうことかもしれませんけれども、私は、法律にしても何にしても、こういう専門用語を知らないことは、国会議員としても大臣としても、恥ずかしいことではないと思っています。

 むしろそれを強みとして、私も大臣も、もちろん法律のプロではございません、それを強みとして、官僚からの説明に対して、この日本語じゃ普通の日本国民にわからないよということをしつこくおっしゃっていただきまして、それをきっかけとして、わかりやすい、皆さんに親しみを持たれる法務行政にしていただければと思いまして、期待を申し上げるとともに、一緒に応援させていただきたいと思っております。

 時間が半端になりましたけれども、ちょっと許す範囲でよろしくお願いします。

 地方検察庁でまさかというような不祥事、あるいは、決められた、規定の刑期を上回る求刑を行ったり、そういう事案が多発しております。

 福岡地検で、去年の二月に、上司が包丁を二本部下に突きつけて、殺すぞと言ったり、それで減給わずか一カ月だけなんですけれども、こんな事件ですとか、あるいは千葉地検で規定の刑期を上回る求刑を行って、簡易裁判所がまたそれに基づく判決を出したり、こういうことが続きますと、司法に対する信頼性というのが失われてきます。司法制度改革と言ってみたり裁判員制度実施なんと言っても、基本のところでこんなことをされていたんじゃたまらない。しかも、これが往々にして、新聞記者が情報開示請求を出して初めて明らかになっている、半年前とか一年前の事案が明らかになっている。

 これは、そういう不祥事あるいはミスの公開の基準なり、そういったことはどうしていくべきか。刑務所のことについては、名古屋刑務所の問題をきっかけとして、まずいことが起こったときにすぐに発表するとか、どういうふうに変えていくかというのは大分よくなったような気もするんですけれども、この地検の問題についてはいかがか。これは時間の許す範囲で結構です。よろしくお願いします。

南野国務大臣 懲戒処分などを公表するか否かということにつきましては、検察当局において事案の内容や関係者のプライバシー等をよく考えた上で判断してきたものと承知いたしております。両者の件も大変遺憾であるとは思います。

 さらに、なお、平成十五年十一月に、人事院から懲戒処分の公表指針が出されており、それ以後はこれに従って公表しておりますので、よろしくお願いいたします。

松島委員 どうかよろしくお願いします。

 そして、関係者のプライバシーといったときに、罪を犯したとかミスを犯したとか、その本人のプライバシーには配慮するものではなくて、対象者の方のプライバシーには配慮しなければいけませんけれども、そこのところをどうかよろしくお願いしまして、司法に対する信頼をより一層強めていただきますように、大臣、よろしくお願いいたします。

 以上です。

塩崎委員長 漆原良夫君。

漆原委員 公明党の漆原でございます。南野法務大臣、まことにおめでとうございます。

 南野大臣は、これまで政治家として、特に女性の問題とか子供の問題とか、どちらかというと社会的に弱い人の人権擁護ということで随分頑張ってこられたなというふうに私はずっと認識しておりました。

 思い起こすと、平成十二年だったと思うんですが、アンマンで行われましたIPUの総会がありまして、そのとき私は大臣と一緒に参加させていただいた記憶があるんです。そのとき、大臣は日本側の代表として、IPUの委員会で人権問題のまとめ役で、いろいろな海外の人を相手にして一つの方針、一つの問題に取り組まれてまとめ上げられたというふうに認識しておるんですが、本当に大変立派な御活躍をされる方だなというふうに拝察をしておりました。

 また、国内的にも、いろいろな法案を議員立法されて、参議院からこの法務委員会にたびたびおいでいただいて答弁されておられた姿は本当にすばらしい姿だったと思っております。

 ここで、大臣が、これまで人権問題としていろいろな問題に取り組んでこられたと思うんですが、取り組んでこられた問題、どんな問題なのか、あるいは成立させた法案、そういうものの一端を御紹介していただきたいということと、また、南野法務大臣が政治家として、そういう女性問題、子供の人権、弱い人の立場に立った人権問題にずっと取り組んでこられたその動機、そういうものを御披露いただければありがたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

南野国務大臣 ありがとうございます。

 お答えといいますか、私の心の一端を述べさせていただきたいと思います。

 私は、少しでも女性や弱者のために働きたい、その一心でございます。今日まで、国会を走り回ってまいりました。それでも失敗やむだの方が多く、どれだけお役に立てたのかはわかりませんが、委員から本当に身に余る御評価をいただき、本当にうれしく思っております。

 私の人権問題に関する取り組みについてですが、国内的には、議員立法でDVや性同一性障害に関する法律を制定いたしました。また、少子化と高齢化が同時に進行している今日、児童虐待や高齢者虐待防止のための法整備に向けて努力してまいりました。このような問題について与党も野党もないというのが私の信条であります。国会内を走り回って、その必要性を訴えてきたつもりでございます。

 また、国際的には、紛争地域において顧みられない子供の問題などにも取り組んでまいりました。クロアチアに日本大使館を設けるよう働きかけ、また、戦争で破壊された五つの小学校を修復し、現地の女の子の里親になるなどいたしております。クリスチャーニーといいます。

 また、委員にお話しいただきましたアンマンでのIPU総会では、貧困に苦しむ人の七割が女性であるとの視点から、貧困の軽減、撲滅をいかに実現するかというテーマについて、参加議員のグループリーダーとして取りまとめをさせていただきました。

 私の個人的な政治活動をこのような場でお話しさせていただくのは大変恐縮でありますが、今後とも女性や弱者のためにという考えは貫いてまいりたいと思っております。

 さらにまた、政治家として人権問題をどうかというお話でございます。政治家としまして、人権問題に積極的に取り組んでいます理由は、私の幼少期の体験に負うところが多いと思います。

 私は満州からの引揚者です。当時、私はまだ子供だったのですが、一人の日本人女性が、他の人々を守るために外国人に連れ去られていきました。自分から志願されたのです。涙が出ます。剣で武装した外国兵が、少年をシベリアに送ると連れていったり、帰国する船の中では、死に行く子供をその母親が泣きながら水葬する、そういった悲しい光景を何度も目にしました。

 戦争や紛争で犠牲になるのは弱い立場の人々であり、これらの人々の生命は軽い時代でしたが、弱い立場にある人が救われない思いを目の当たりにして、子供心に弱い人を少しでも助けられたらと思うようになりました。命がいかにとうとく、また、いかにはかないものであるかということを常々思うようになりました。

 それで、命をくみ出す助産師という職を選ぶことになりましたが、我が国の僻地医療に携わったり、教職につき、国際的な活動をするようになって世界における医療の実情などを知るにつれ、ろくな医療も受けられずに死んでいく人々がたくさんおられることにジレンマを感じるようになり、何かできることはないのか、そのように思うようになりました。そのような折に国政に飛び込むことになり、以来、日本にとどまらず、世界の女性と弱者の人権問題に取り組むようになったものであります。

 力不足であり、すべて成果が出ているわけではありませんが、一歩ずつでも女性と弱者のためにできることを進め、少しでもお役に立てればと思っている次第でございます。

漆原委員 大変感動的なお話をしていただきまして、本当にありがとうございました。

 法務大臣は、御就任直後のNHKのインタビューで、こんなふうに答えておられるんですね。世間では、今度の内閣は華がないと言っている、確かに、自分にも華がないかもしれないが、野の草にも花が咲くように、私も自分らしい花を咲かせていきたい、こういうふうにお答えされて、まことに私は、南野先生の人柄のにじみ出る、謙虚な姿勢で決意を述べられているんだなというふうに感銘を持ってお伺いしたわけでございます。

 法科大学院、裁判員制度、司法ネット等々、日本の司法は今、百年に一度という大変な大改革を行っているところでございます。しかしながら、それはまだ緒についたばかりでありまして、いわば本当に芽を出したばかりの弱々しい状態でございます。大臣がごあいさつで述べられたように、国民にとって身近で頼りがいのある司法制度の構築、こういう大輪の花を咲かせるためには、法務大臣を初めとして我々も、また関係者の不断の努力が欠かせない、絶対に必要だと思っておりますが、この司法制度改革の実現に向けた大臣の決意のほどをお伺いしたいと思います。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 今進めております司法制度改革は、歴史的にも大変重要な意義を有する改革でございます。既に、裁判員制度や司法ネットの導入、裁判迅速化法の制定など数々の大きな成果を上げてきていますし、今国会でも関連する幾つかの法案を提出させていただいているところでございます。

 司法制度改革推進本部は十一月末に終わりますが、その後においても、一連の司法制度改革の成果を国民が実感できるよう、改革の趣旨に沿った運用が行われていくことが重要であります。

 私は、より身近で、より速く、頼りがいのある司法を実現するために、引き続き最大限の努力をしてまいりたいと思っております。

漆原委員 今大臣がおっしゃいましたように、推進本部は十一月末日をもって任務を終了することになるわけでございますが、いろいろな法律は成立をさせていただきましたけれども、実はその後の実施に向けた大きな作業が残っておるわけでございまして、いわばポスト推進本部についてどのような体制を考えているのか、お尋ねしたいと思います。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 司法制度改革推進本部の解散後も、裁判員制度につきまして国民への啓発活動を進め、総合法律支援のための準備を進めるなど、法務省が中心となって取り組む課題は少なくありません。そこで、法務省に所要の体制を整備して、総合調整を担当する内閣とともに、司法を国民に身近なものとするための改革に取り組みたいと考えております。

漆原委員 今大臣おっしゃったように、相当な決意と情熱と時間を費やして取り組まないと、本当に小さい芽のまま朽ちてしまうなという感じがしております。

 裁判員制度という話がありましたのでお尋ねしますが、裁判員制度の導入は、これは国民にとって大きな負担を強いることになります。例えば、裁判官に選ばれた人、この皆さんには、裁判所に行かなくてはならない、こういう有形の負担がこうむりますね。また、もう一つは、人を裁くという、今度は精神的な大きな負担を伴うことになるわけであります。また、一方、裁かれる方の被告人にとってみれば、本来は練達な裁判官に裁いてほしいと思っていたものが、法律をよく知らない国民に裁かれて大丈夫かなという、そういうふうな心配、負担を強いることになるわけであります。

 しかし、私たちは、先国会で、国民の司法参加という観点から、この裁判員制度の導入を決断したわけでございますけれども、この裁判員制度導入の意義について、改めて法務大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

南野国務大臣 裁判員制度の意義につきましては、国民が裁判に参加し、その意見が裁判に反映される、そのようになることによって、司法が国民により身近なものになるということであろうと思っております。

漆原委員 今まで裁かれる一方だった国民が、ある意味ではお白州に引っ張り出される国民が実は自分たちも裁判に参加することによって、国民の意識は大きく変わってくる、また、裁判に対する信頼も変わってくる、こういうことだと思うんですね。

 問題は、現在、五年後にこの裁判員制度が施行されるわけなんですが、今国民の皆様に、裁判員になっていただけること、どうですかというふうに聞くと、いろいろなアンケート調査によると、どうも行きますという人が少ないんですね。六割強の人が裁判員になりたくない、こういうアンケートの結果が出ておるわけなんですが、南野大臣御本人だったら、もちろん資格はないんですけれども、裁判員になれませんけれども、御本人だったら、私行くわよというふうにおっしゃるのか、行きたくないなとおっしゃるのか、どっちなんでしょうかね。また、国民の皆さんも、実際に選ばれた場合に、余りうれしくはないけれども協力しますというふうになっていただかないと、これは裁判が開けませんから、結局、裁判員制度というのは廃止せざるを得なくなるわけですね。

 五年間の間で国民の皆様の御協力を得られるような体制づくり、どんなふうにしていかなきゃならないのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

南野国務大臣 先生の御指摘、ごもっともだと思います。

 裁判員制度は、国民の皆様に御負担をおかけすることになろうかな、それだけに、制度の趣旨をよく理解していただき、進んで刑事裁判に参加してもらえるようにすることが大切であろうかと思っております。

 そこで、法務省といたしましても、最高裁判所、日本弁護士連合会等と協力しながら、積極的かつ十分な広報活動を行っていくつもりでございます。具体的には、ビデオの作成、模擬裁判の実施、各種説明会等を考えているところでございます。

漆原委員 全力を挙げて広報活動に取り組んでいただきますようにお願い申し上げまして、私の質問を終わらせてもらいます。

 ありがとうございました。

塩崎委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 先ほど、委員長のもとで、新潟県中越地震におかれます被災者の皆さん方に対する黙祷等がございました。実は私も、当日、別件で新潟県の小千谷におりました関係で、被災者の方々にお悔やみとお見舞いと、そして現在救援活動に入っていらっしゃる皆さん方に心から感謝と敬意を表したいと思います。

 今、私も二十三日に現地におりましたというお話をいたしましたが、そういう状況の中でもやはり法務委員会のことが頭にございまして、その一日二日の中でも、こういう激甚災害が起こったときに法務省として何かやるべきことがあるんじゃないかと考えておりましたら、やはり幾つか出てまいりました。きょうは多分それを、一生懸命やってくださっておりますので、あえてテーマにすることもなく、また一般質問の時間がありましたら、そんなことは後日お伺いしたいなとは思っているわけでございます。

 御賢明な大臣でございます。浅学非才な私よりもたくさんいろいろなことを御経験されていると思いますので、そのあたり、激甚災害時において法務省として何ができるか、ぜひ根底から洗っていただきたい。もう今、日本どこでもこういった激甚災害が起こり得る状況でございます。それをまず冒頭お願いしておきたいと思います。

 さて、御就任に当たり、いろいろ、ホームページ等も見せていただきました。先生はどうも赤いお洋服がお好きなようでございまして、きょうも期待していたんですが、きょうはピンクということでございます。また、鹿児島で看護学校をお出になり、大阪で助産婦学校もお出になった。私は昭和三十六年一月でございますので、鹿児島か大阪にいたら私は取り上げられていたかもしれないというような感じで、きょうも、お見受けすると、どうも私の母にも似ているようでございまして、余りきついことは言えないななんて思っておりますが、これはお立場でお許しいただきたいな、そんなふうに思うわけでございますけれども。

 冒頭、後々にちょっとかかわってまいりますので、多分、先生は御賢明であられますので、もうこんなことは御存じだと思いますが、ナイチンゲールの誓いの言葉というのがございます。ちょっと、時間が許す限り読ませていただきたいと思いますが、ナイチンゲールの誓詞、

  わたくしはここにお集まりの皆様の前で厳かに神に誓います。

  わたくしの生涯を清く過ごしわたくしの任務を忠実に尽くします。

  わたくしはすべて毒あるもの害あるものをたち悪い薬を用いることなくまた知りつつこれをすすめません。

  わたくしは力の限りわたくしのつとめの水準を高めるよう努めます。

中略させていただきます。

  わたくしは心より医師を助けわたくしの手に託された方々の幸いのために務めます。

というのがございます、多分御存じだと思いますが。この最後の医師のところを国民の方々とかえれば、これは今政治家が全部肝に銘じなければいけないナイチンゲールの誓詞だと思います。

 そして、何できょうのことに少しかかわるかといいますと、先ほど松島議員が、今回の大臣所信の中でいろいろ使われた言葉、私も、正直言って、この法務委員会が初めてでございます。大臣も相当勉強されているということは新聞報道で伺いまして、私も負けないようにやっておりますが、ただ、私の場合は独学でございまして、多分大臣の方は相当すばらしいスタッフがついていらっしゃると思いますので、なかなか追いつけないのじゃないかと思いますけれども、ただでさえ法務委員会の言葉は難しいと思っておりました。その中で、今回も、これをお聞きして、いやいや、これは大変な委員会に来てしまいましたと思ってしまいました。

 大学時代の恩師から、こういうことをよく言われておりました。難しい専門用語を並べる人ほど理解していない人が多い、わかっている人ほど易しい言葉を、相手が理解できる言葉を使って話をする、だから君も難しい言葉にひるむことないんだよというようなことを大学時代の恩師に言われたことを思い出しました。

 先ほども松島議員からこの言葉の難しさにも――どこかへ行かれちゃったようですが、余りそういうことは言わない方がいいのかもしれませんが。

 正直言って、松島さんが言っていらっしゃったので私もあえて自分をさらけ出しますが、この四つ、リエゾンオフィサー、プレクリアランス、セカンダリー審査、バイオメトリックス、これを聞いたときに、リエゾンオフィサーは何か黒幕のようだな、プレクリアランスは何かどこかでクリアランスセールでもやるのかな、セカンダリー審査ぐらいはセカンドオピニオンか何かとちょっと関係あるのかな、バイオメトリックスに至っては、どこかのSF映画かなと思いました。正直申し上げました。

 ですから、これはやはりもう少しわかりやすい言葉、先ほどちょっと幾つか説明していただきました。私は、そもそも法律というのは、憲法に至っても、中学生が読んでわかる法律にしなけりゃいけない。身近な司法とおっしゃっているならば、法務省も身近になっていただかなければいけませんし、やはり法務委員会挙げて国民の皆さん方に身近な言葉を使って。

 言葉というのは、私、もともと技術屋でございますけれども、機械言語というのも技術であります。しかし、それには互換性というのが必ずあるんですね。相手が受け取らなければ、これは言葉じゃないんですよ。勝手に言っていること、発している、もっと言うなら、絶叫に近いものに近いと言われてもしようがない。ですから、互換性がなきゃ。言った人と受け取る人が理解し合って初めて言葉になってくると思うんですね。

 そのあたりのことも含めまして、本当は先ほど、リエゾンオフィサー、一つ一つ説明していただこうかと思いましたが、松島議員にとられてしまいましたので、今の私の意見に対して、大臣、御感想があれば、ぜひお承りしたいと思います。

南野国務大臣 先生が最初にお話しになられました新潟県中越地震で被災された国民の皆様に対し、私も同じく心からお見舞いを申し上げたいと思っております。法務省の所管する諸施設においても被害が発生しております。御存じのとおりでございますが、その回復に全力を尽くしていきたいと思っております。

 さらに、その後、ナイチンゲール誓詞と我々呼んでおります。昔は口語体でございましたが、先生はわかりやすい言葉で、現代語に直してお話しになられました。我々はみんな、そらで暗じている誓詞でございます。

 それと、引き続きお話がありました英語の課題でございます。そのことにつきましては、本当に先生のおっしゃるとおりだなと思っております。語訳は松島議員のときに御報告申し上げましたが、そのように、国民にわかりやすい言葉で、開かれた法務省ということが必要だろうと思います。ありがとうございました。

伴野委員 先ほど私が読ませていただいたナイチンゲールの誓詞、さすがにそらんじていらっしゃるようでございまして、多分先生の時代は文語体で覚えられたんだと思います。

 最初私も原語も見まして、文語体をその次に見ました。やはりこれはわかりにくいということでいろいろ調べてみましたら、先ほど読んだのは、今の看護学校へ行っていらっしゃる高校生が今風につくったんですね。やはり時代とともに言葉というのは変わってきまして、生きているんだと思うんですね。そんな例にもさせていただきました。ぜひ御理解いただきまして、少なくとも法務省で使う言葉は、わかりやすい言葉をこれからお互い使うようにさせていただければ、そんなふうに思っております。

 では、二つ目の質問に入らせていただきたいと思います。

 大臣、所信のときに、いろいろな記者さんからいろいろな質問攻めに遭って、はたから見ている分には、大変だな、本当にそう思いました。その中で、小泉総理からも指示をされた、また御自身も何かピッキングの犯罪にも遭われたというようなことを事例で出されておりましたが、治安の維持の向上、これは本当に国民的な課題だと思います。

 もう大臣おっしゃるとおりだと思いますし、また、今回の所信表明の中でといいますか所信を含むあいさつの中で、治安の回復のために、刑事司法システムが十全に機能することが不可欠の前提だとか、あるいは、検察、矯正、更生保護の刑事司法システムを支える治安関係部門についてはもとより、関係する入国管理、公安調査庁等々についても、その組織を拡充云々というお話が例示されました。

 法務省さんとしての方針というのはよくわかりましたが、やはりここには大臣らしさというものもあっていいのかなと。女性の立場からのお話、あるいは、いろいろな御経験をされている中で、先ほどもるる大臣のすばらしい御経験のお話もございました。ここはひとつ、法務省のありようとともに、大臣自身みずからどんな具体策を持っていらっしゃるか、お述べいただければと。よろしくお願いいたします。

南野国務大臣 治安の問題ということにつきましては、一般の方々でも関心を持っている事柄だと当然思っております。私自身、大臣あいさつで冒頭、凶悪重大事件が続発していることに心を痛めているとお話をさせていただきましたが、本当にそのように思っております。

 私自身、法務大臣に就任するまでは、女性とか弱者の観点から治安回復に取り組んでまいりました。例えば、強姦罪の刑の引き上げについては、女性と刑法、それのPTの座長として法務省に対し刑法改正の申し入れを行っており、私としましては、我々の活動で役所を動かすことができたな、そのように思っていたところでございます。

 また、我が国におきましても、外国人女性からパスポートを取り上げるなどして売春等に従事させるといった人身取引事案が深刻な問題になっていることについても心を痛めております。私は、それについての法整備や被害者女性の保護に取り組みたいと心から考えております。

伴野委員 今、ちょうど刑法のお話も出ました。ぜひちょっとここのあたりはお聞きしておきたいと思っているんですが、今回の改正でも、よくよく見てみますと、どうも改正後も強姦罪よりも強盗罪の方が重い。ですから、一般的には人よりも物というような感じがあってしまうのかな。

 私も、この重罰化のお話の背景にあったいわゆるスーフリ問題、この被害者のお話のメモなんかも読ませていただきました。悲惨です、はっきり申し上げて。被害者の方は、どうやって生きていこうか、もう自殺も何度も考えられたと。正直言って、私も娘を持つ身としまして、そんなことをされたらというようなことはあります。

 強盗罪よりも強姦罪の方が軽いなんというのは私も初めて知りましたけれども、どうでしょう、ここは本当にこれでいいんでしょうか、大臣。私は強姦罪の方が重たくてもいいという私見を持っておりますが、PTで座長もやられて、多分そういう思いを随分伝えられたと思いますが、これは法案等々の中でいろいろな詳細の、過去の事例やあるいは諸外国の例なんかを比較して、あるいは周りのいわゆる世論のお話もございます、そういうのを勘案することも必要なんでしょうが、今の時点で大臣の思いをもう一度お聞きしたい。

南野国務大臣 私も基本的には先生のお考えと同じでございますが、強姦罪の法定刑は、暴行により人を死亡させた傷害致死罪と同じで、刑法の中では重い法定刑であります。また、その上限は強盗罪と同じでありますので、今回の法改正により、強姦罪について適正な科刑をなし得ると考えております。

 もっとも、法制審議会の附帯決議におきまして、強盗罪や窃盗罪などの罰則のあり方をさらに検討すべきものとされているところでありますが、法務省としましては、この附帯決議を踏まえた上で、適切に対処していきたいと考えております。

滝副大臣 基本的にはただいま大臣が御答弁させていただいたとおりでございますけれども、私も、先生のおっしゃるように、おかしいという感じはいたすわけでございますけれども、強姦罪の場合には幅が広い。強盗罪の方は別の刑名というか犯罪名のものが出てくるものですから、それで強盗罪の方は下限が五年以上というふうに高くて、強姦罪の方は、それにかわるべきものがないものですから幅が広く出てきている。そこで、強姦罪の方は、人身罪でありながら最低が三年だとか、そういうようなことになっているというような、審議の過程ではそういう議論がございましたものですから、補足をさせていただきたいと思います。

伴野委員 素人考えかもしれませんが、女性の大切さからすればこの下限も、私の記憶違いでなければ、下限も少なくとも強盗罪以上じゃなきゃおかしいんじゃないかなと、一人の素人考えでありますが、そう思っておりますことをお伝えしておきたいと思います。

 では、きょうお聞きしたかった本論の方へ少し行きたいと思います。

 まず、司法制度改革につきまして、今回もいろいろ、この十一月いっぱいで本部がなくなるということもありまして、正直言ってたくさんの法案に面食らっている日々でございますけれども、敗訴者負担というのがございます。その言葉を聞いただけで、私は、ええっというような、素人ですから、やはり、えっ、負けると負担するのかというと、一個人の立場からすると、この言葉だけでひるんでしまうんじゃないかと思います。

 多分、よく理解されている司法関係者の方は、いや、そうじゃないんだ、これはこういうことだとおっしゃっているのかもしれませんが、司法へ一般の国民の方々が近づきやすくするなら、少なくともネーミングはもっと考えた方がいいし、そこのネーミングでごまかせというんじゃなくて、実態が伴ってこなきゃいけないんですが、この敗訴者負担が、いろいろ勉強もさせてもらいましたけれども、一般国民にどう利点があるのか、正直言って、私は今でも解せません。

 いろいろ予算委員会でのやりとりなんかも聞かせていただきました。簗瀬議員からも同様の質問があったかと思いますが、そのとき、ちょっと大臣は広くとらえられ過ぎたような回答になっているやに思います。この敗訴者負担について、これをやることによってなぜ一般国民が司法にアクセスしやすくなるのか、もう少し具体的にお答えいただきたいと思います。

南野国務大臣 お答えいたします。

 法案の制度につきましては、裁判になってから当事者のどちらもがこの制度を使いたいと思う場合に、選んで使っていただく制度となっております。これによりまして、弁護士に係る費用の負担の仕方について、当事者の選択の幅が広がります。そこで、訴訟に勝って相手方から弁護士に係る費用を回収したい人の期待にこたえることができます。その意味で、裁判所へのアクセスの拡充につながるものであると考えております。

伴野委員 ある人は、この敗訴者負担条項というのがさまざまな契約書あるいは約款に入ってくる、入れられる一つのきっかけをこれによってつくっちゃうんじゃないかという御意見もありますが、この点はどう思っていらっしゃるかだけお答えいただけませんか。

南野国務大臣 御指摘の問題は、どのような契約であるかによっても異なりまして、一概に有効か無効かを申し上げることはできないと思います。

 契約書の中に御指摘のような内容が入っていますと裁判を利用しにくくするのではないかと心配する方がいることは承知いたしております。制度の本来の目的が発揮されるよう、法案の御審議の場におきましてさらによく議論していただきたい、そのように思っております。

伴野委員 多分、波静かであれば、敗訴者負担についてもじっくりやらせていただくことがあろうかと違った意味で期待しておりますので、きょうはこのぐらいにさせていただきます。

 次は、司法修習制度のお話も、いろいろこの司法制度改革の中に出てきております。

 正直言いまして、別に私は、司法へ進まれる方々、弁護士さんたちを擁護するわけではありませんが、やはり優秀な人材をきちっと社会インフラとして認めて、それをどう国が支援していくか、あるいは国が構築するかというのは、この司法の世界だけではなく、先生お得意の医療、厚生の世界もそうだと思いますし、もっと前広に、教育論とともに語られるべきことなのじゃないかなと。

 今回出てきたというのは、どうも、法務省さんが頑張り切れなくなっちゃって、財務省さんからいろいろ言われて、そんなに大きいとは思えない額を何か無理無理削らされているようだなという、これは直観です。いろいろ調べていくといろいろわかってきていますが、直観的に見て、もっと削るところはあるんじゃないかと。

 先ほど出た、一般の方が司法へのアクセスをしやすくするためにいろいろなネットワークも組まれるということもお考えのようでございます。そういうこともあるんですが、それならば、国全体としてもっと減らすところもあるんでしょうし、社会インフラとしての人材の養成というのを、司法だけに限らず、やはり医療、厚生、すべての分野で一度お考えになってからやっても、そう慌てて今回やらなくてもいいような気が、素人として思いますが、いかがでしょうか。

南野国務大臣 委員御指摘のとおり、法曹は社会で重要な役割を果たしております。もっとも、法曹養成のために国が負担すべき費用につきましては、社会の諸情勢を踏まえて、国民の理解を得られる適切なものとすべきであると考えております。このような観点から、引き続き国費によって司法修習制度を運営することとした上で、給費制にかえ、無利息で貸与するなど、返還の負担にも十分配慮した貸与制を導入するのが適当であると考えております。

伴野委員 このあたりのところも、やはりお得意の医療の方、医師の養成、看護師さんの養成なんかともよく見比べていただいて、ただ、特権意識を持っていただいて国民に理解されないというようなことは、これは非常にまずいことだと思いますので、よくそのあたり前広に議論をいただいて、国がやるべきところはやる必要があると私は思っております。

 司法修習のあり方をきっちりこの際に考え直すということも必要だと思います。オン・ザ・ジョブ・トレーニングのあり方ということも考えて、受益者がだれであるんだというようなことも考えながら、じっくり議論してもいいんじゃないかと私は思います。

 ぜひ、そんなような観点で、この案件についてもひょっとしたらこの委員会で、今国会でやれるかもしれませんので、また別の機会にやれれば、そんなふうに思っております。

 続いて、先ほど漆原議員からも出ました、この司法制度改革の目玉の一つでもあったいわゆる裁判員制度の問題ですね。

 先ほどお白州のお話も出ましたが、アメリカなんかと比べて非常に国民性も違いますし、なかなか、本当に、裁く側に立つということに対して、これはいろいろ課題があるんじゃないかなと思うんですね。裁いた後のケアというのもまた非常に重要じゃないか。これは守秘義務とあわせ持ってです。自分が裁いた人が、まあ、それは罪は償っていただかなければいけないわけでございますし、ひょっとして冤罪に問われたというようなことがあった場合には、多分、私だったら相当悩みます。

 だから、そんなような形で、日本人の心に合った裁判員制度というのを、具体的に動かす前に、先ほど、模擬裁判のお話やあるいはPRされるいろいろな教育啓蒙活動のお話も出ました。やはり具体的に動かすときにいろいろな問題を、これは防災訓練にもつながることかもしれませんが、具体的に動かすときにいろいろな障害がどう出てくるか、これを、その人の立場に立って、ぜひもう一度お考えいただける機会があればな、そんなふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

南野国務大臣 裁判員制度は国民の皆様に御負担をおかけすることになります。それだけに、制度の趣旨をよく理解していただき、進んで刑事裁判に参加してもらえるようにすることが大切であると考えております。また、法律の専門家でない裁判員にもわかりやすい裁判が行われるよう、裁判官、検察官、弁護士も努力する必要があると考えています。

伴野委員 くれぐれも、具体的事例、具体的案件、あるいは過去に起こった事例なんかを今回の裁判員制度でやったらどういうことになるだろうというようないわゆるフィージビリティースタディーを幾つもやっていただいて、僕は公開すべきだと思うんですね、そのフィージビリティースタディーの結果を。模擬ですから、別に公開したって構わないと思うんですね。いろいろやはり考えていただくことが必要なんじゃないかと思います。

 ぜひぜひそういう裁判員制度になることを期待して、これもまたどこかで機会があれば、また深めて質問させていただければと思っております。

 ただ、判事のコーディネーター能力というのは、今までとは違った角度から、いろいろな教育あるいは訓練が必要になってくるんじゃないかなと。

 当然、知識も、過去の判例なんというのでたくさん御存じなんですが、要するに、先ほど、言葉というのは相手につながらなければ生きた言葉ではないというお話もしましたが、当然、そのコーディネーターである判事というのは、一番いろいろな御経験もあるし、知識も豊富ですし、事例も御存じだ。しかし、来る方は、正直言いましていろいろな方がいらっしゃる。その判事さんに近い素養を持った方、いや、そうじゃない方、多分いろいろいるんだと思います。その四人をうまくまとめながら、いい議事というんですか、いい運営をするには、多分、甚だ、この判事さんの能力、今までとは違った能力、コーディネーター能力というのが問われるんじゃないか。

 場合によっては、このコーディネーター能力によって、こういうことがあってほしくはないですが、結果が異なるようなことも出てくるんじゃないかなということも危惧しております。

 このあたりについて、今思っていらっしゃることだけで結構です、いかがでしょうか。

南野国務大臣 裁判官につきましては、裁判所におかれて、研修の機会などを利用して、裁判員制度で必要とされる能力を身につける場を設けるなど、御努力されているものと承知しております。

伴野委員 この案件につきましても、また別の機会に深めさせていただければと思います。

 さて、ちょっと毛色を変えて質問させていただきたいと思いますが、今話題になっているFTA交渉云々というのがございます。この中で法務省さんは、二〇〇〇年の第二次出入国管理基本計画で、外国人との共生を掲げ、看護、介護分野への外国人の受け入れの検討、研修・技能実習制度の拡大を打ち出していらっしゃいます。この方針には変わりはないですね。大臣、いかがですか。

南野国務大臣 フィリピンの看護師の受け入れについては、関係省庁間で検討しているところでございます。今後、専門的、技術的分野の外国人を積極的に受け入れるとの基本方針にのっとり、不法就労防止の観点をも踏まえ、その受け入れを検討してまいりたいと考えております。

伴野委員 積極的に取り組んでいかれるという今大臣の心強いお言葉がございました。

 そうした中で、日本看護協会さんが受け入れについていろいろな条件を出していらっしゃいます。この日本看護協会さんのいろいろな受け入れ条件について、大臣は御認識ありや否や、いかがでしょうか。

南野国務大臣 日本看護協会が外国人看護師の受け入れ条件として、日本の看護師国家資格を取得すること、日本人の看護師と同等の条件で雇用されることなどを主張していることは知っております。

伴野委員 看護協会さんも、看護は世界共通の知識、技術であり、外国人看護師の受け入れを反対しているわけではないとおっしゃっていらっしゃいます。しかしながら、ここに受け入れの条件で出されている、一、日本の看護学校に入学し国家試験に合格すること、二、看護に必要な日本語を理解する能力があること、三、日本人の看護師と同じ労働条件で雇用されること、四、相手国の看護資格を日本でも適用させる相互認証はしないこと云々というのがございます。

 これについて、甚だ私も看護の世界はほとんど知りませんでしたが、看護資格を取るにはどうしたらいいんだというような感じで、私も自分の娘が一時看護師さんになりたいと言っていたときもありましたので、調べてみました。

 そうすると、国家試験を受けるには、日本の高等学校を出なきゃいけなかったり、中学校を卒業して准看護師養成所へ行ったり、看護科三年を高等学校で経たり、いろいろやはり、さすがに人の命を預かるお話でございます、あるいはお仕事でございますので、非常に、甚だ難解といいますか、ハードルが高いなと、これも直観的に思ったんですけれども。

 もしここが、いろいろな話し合いの中で、いや、国家試験だけ受ければいいんだよ、国家試験だけ受かればいいんだよというと、世界共通の医療というのは何なんだろうという感じもしないでもありませんし、やはり積極的におやりになるということであれば、ぜひ、看護師さん御出身でおありになるわけですから、ここに現場の声もきちっと入れながら、やはりどこか最適解を見つけていただくべきだと思うんですね、これは積極的に。

 ですから、看護協会さんにも言うべきところは言っていただき、あるいは法務省の立場からやるべきこともやっていただく。中立性を保ってきちっとやっていただくことが、私は甚だ、今の大臣のお立場からすると非常に重要じゃないのかなと、この制度自体をずっと眺めていて思いました。

 また、ちなみにフィリピンの看護資格を持っていらっしゃる受験の方々を見ますと、十数%の方はいわゆる大学も出ていらっしゃって、ほかの学士も取っていらっしゃるんですね。そういうことからのバランスを考えると、それでフィリピンでの国家資格を持っていらっしゃるということと同等と考えられない何か理由がほかに出てくるのかなというようなことも、素人考えでもいろいろ考えてしまいます。

 ぜひとも、いろいろなお立場があろうかと思いますが、そのあたり、いかがでしょうか。

南野国務大臣 FTAにおける看護師の受け入れの検討に当たりまして、我が国の看護師資格取得を要件とするか否かは、主として看護師を所管する厚生労働省の判断によるところでございますが、実際の受け入れが円滑にできるように、関係省庁と連携しながら制度設計を行ってまいりたいというふうに思っております。

伴野委員 いろいろ介護の現場なんかも調べてみますと、いわゆる介護の労働に対するペイが非常に低いというような問題も必ず大臣は御存じだと思います。やはり現場の声も入れながら、どこに最適解を求めるか、非常に中立性の要るお仕事でございます。ぜひ、そのあたり御認識いただきまして、このFTA協議における看護師の流入についても最適解を見出していただければ、そんなふうに思っております。

 なぜそんなお話をしたいかといいますと、今回、ここからちょっといろいろ、母親に似ている大臣に質問するのはなかなかしづらいことなんですが、日歯事件を初めとする政治と金の問題、残念ながら今国会の前に出てきてしまいました。本来、こんなことをやるよりももっとやるべきことがあるという国民の御批判もあるところでございますが、しかし、この仕組みを打破しない限り、政策を金で買うというこれ一点をぬぐい去る、国民への不信感を払拭することはできません。

 まず、一点目ですが、お伺いしたいと思います。

 日歯事件の今回のやみ献金一億、この問題の本質は、大臣、どこにあるとお考えですか。

南野国務大臣 政治資金規正法にのっとって処理がされていればというふうに思っております。

伴野委員 今の御回答ですと、政治資金規正法にのっとれば、まあよしとするということですね。しかし、時代はそれ以上を求められているんですよね、一つは。

 肝は、本質は、透明性とバランスだと思うんですよ。先ほどなぜ看護師さんのお話が出たか。どれだけ大臣が中立性を保って頑張ってやっても、ひょっとしたら、いや、あの方は看護師さん御出身だからというようなことをやゆされることもありなんです。ないようにお気をつけになることが、これがやはり高潔性を保つ、特に法務大臣というお立場を保つためには、透明性とバランスというのが必要なんだと思うんです。

 はっきり申し上げて、私もいろいろな方に支援をされています。当然、一期目といいますか候補者のときは、自分の身内や友人や、昔いた会社の仲間の有志が応援してくれました。ですから、大臣が看護師さんの皆さん方から応援されるのは、これは当たり前なんですよ。というか、言ってみればそれでいいんですよ。しかし、そこに透明性とバランスがあるかというのがポイントでありまして、ここに国民の皆さん方からはてながつけられるとすると、やはりいろいろ御指摘しなければならなくなってくるんです。

 まず一点目、お聞きしたいと思います。

 資金管理団体がどうであるかということをいろいろ簗瀬議員の質問に対してお答えになっていらっしゃいます。政治団体その他において、今、資金管理団体か否かということはどのような意味を持っているか、御理解されているか。

 のおの知惠子後援会さんは資金管理団体ではありません。しかし、南野知惠子と共に政策を考える会というのは資金管理団体であるということは、大臣もお答えになっておりますし、私どもも調べてあります。その上で、資金管理団体にこだわる何か理由はおありになるんでしょうか。いかがでしょう。

南野国務大臣 別にこだわってはおりません。

伴野委員 そのとおりなんです。平成十二年以降、その他政治団体において、資金管理団体であるか否かというのは、そんなに意味があることではないんです。一つあるとすれば、個人が自分のお金を、その他の政治団体であれば、資金管理団体じゃなければ、百五十万までで抑えられるんですが、一千万まで自分のお金を入れることができる、そこのメリットぐらいしか今はないんです。

 問題は、後援会が適格団体かどうか、ここがポイントなんですよ。政治家が道義的な責任を持たなきゃいけないというのは、この適格団体であるかどうか、これが今ポイントなんですよ。

 大臣、適格団体の意味を御存じですね。どうぞ。

南野国務大臣 承知しております。

伴野委員 御存じだと思いますが、適格団体の意味はどう御理解されていますか。大変失礼なお話かもしれません。

南野国務大臣 適格団体ということについては知っておりますが、その細かな要件や効果、それはよく知らなかったので、今回調べてみました。その結果、適格団体は、個人献金を奨励するため、政治活動に関する寄附について所得から控除し、所得税を課さないというものということがわかりました。

伴野委員 まあ、余り御理解されていないという今御答弁でしたが、それは先ほども、与党の議員の先生方を初め、私もいろいろ、ホームページを拝見させていただいて、大臣の今までのすばらしい実績、その実績ある先生にしては非常に残念な発言。

 こういうことがありました。私、まだ二期目で本当に浅学非才なんですが、候補者になりたい、政治家になりたいという若者がおりました。彼に、ではまずバイブルとして「政治団体の手引」を隅から隅まで読め、政治家は全部これでやられているんだ、本当にやる気があるならこれを全部読んで理解しろということを言いました。ここの中には全部書いてあります。

 適格団体、一言で言えば、寄附控除が受けられる団体なんですよ。寄附金を出せばそれは寄附控除の対象になる、税控除の対象になるということがどうして御理解いただけていなかったか、非常に残念でなりません。

 この案件は、政治家が、先ほど法律と言いましたが、法律以上に気をつけなきゃいけないといいますか、自分の後援会が適格団体であったら、知らないとは言えないんですよ。

 私も、恥ずかしながら幾つかの、大臣の後援会に比べれば甚だ弱小でございますけれども、千円いただいても一万円いただいても気になるのが今の政治家じゃなきゃいけないんじゃないでしょうか。もし大臣がそれを知らなくて、今回、いろいろな御寄附がどう動いたかわからなかったと言うならば、現場で働いていらっしゃる看護師さんに申しわけないと思いませんか。私はそうあっていただきたい。五千円出していらっしゃる、身銭を切っていらっしゃる気持ちをわかっていただきたい。

 その中で、やはり言っちゃいけないんですよ。その金がどう動いているか、きちっと御理解いただいて、どう動いたか把握していただきたい。それが政治家としてのまず最初の第一歩じゃないかなと僕は思います。

 時代はもう違うんですよ。比例の先生方の大変さも知っています。それから、派閥とかあるいはグループを率いていく政治家の先生方、お金が要る、大変だというのはわかります。だから、額のことを私は言っているわけじゃありません。だけれども、国民の方は額をぽんと見てびっくりされます。だったらどうするか。透明性とバランスと説明責任ですよ。

 私も、正直言いまして、候補者の最初に、一期にしてもらうまで、限られた方から応援していただいて、甚だバランスを欠いていたと思います、今反省すれば。しかし、どういうことをやるかというと、自分の中立性を保とう、公明正大性を高めよう、高潔でありたいと思えば、一〇〇%ある程度だれかにお世話になっていたとすれば、来年はその半分、来年はその三分の一、広く薄くとするのがこれからの政治家じゃないでしょうか。私はそう思います。

 そういう意味で、比例の先生方は大変だと思います、全国やらなければいけない。だけれども、言ってほしくないのは、御自身の適格団体のお金の動きがよくわからないとか、あるいは、そのお話に対してずっとバランスが同じであった。やはり半分ぐらいは看護師さんじゃない方からお集めになるとか、そういう工夫をしていただけなかったのかな、そんなふうに思っております。これについてはいかがでしょうか。

南野国務大臣 私は、のおの知惠子後援会の運営や会計には全く関与していなかったので、その詳細については承知していないということでございます。

 ただ、先日の予算委員会で、総務省のホームページに公開されているとの御指摘がありましたので、その範囲で、収入、支出等は承知していました。承知いたしましたので、説明責任や透明性については、それぞれの団体において政治資金規正法に従って適正に収支を報告する、そのことで果たされていると考えております。

伴野委員 百歩譲って、事実がそうだとしましょう。しかし、そう言ってほしくない。高潔である法務大臣にそう言ってほしくないし、先ほど発言の中にもありましたかもしれませんが、現場で頑張っていらっしゃる看護師さんが、一生懸命汗水働いて、そして身銭を切って五千円なりを出されている。この気持ちに反しないには、やはり説明責任をきちっと果たす。

 どういった方からいただいて、それは、二十万、三十万人の人の顔までわかれとは言いません。しかし、そのお金がどう集められて、どういったふうに扱われて、そして、それが結果的に御自身の政治活動に使われるんです。御自身の政治活動にどう生かされたか、私は、説明する責任が、国民の皆様方とともに、お金をいただいた方にあるんだと思いますが、いかがでしょうか。

南野国務大臣 説明責任や透明性につきましては、それぞれの団体において政治資金規正法に従って適正に収支を報告することで果たされていると考えております。

伴野委員 法律上はそうかもしれません。政治家には道義というのがあり、法律以上に高潔であっていただかなければいけないんです。しかも、あなたは法務大臣です。最も高潔な法務大臣を目指していただきたい。

 期待も込めて申し上げます。

 もしまだ調べていなかったら、きちっとお読みになって、ここ数年の報告書をお読みになって、どういうお金が集められて、どういうふうに使われたか、しかるべきときに御報告してください。イエスかノーか、答えてください。

南野国務大臣 私が管理している資金管理団体は南野知惠子と共に政策を考える会でございます。その他の会につきましては、私が調べてくれとかどうとか言う立場にありませんということを申し上げます。

伴野委員 立場とか法律を言っているんじゃありません。

 先ほど、なぜ適格団体かどうかというのをあなたに大変失礼だけれども申し上げたのは、適格団体なんですよ、あなたのこののおの知惠子後援会というのは。つまり、個人で献金をすれば税金の控除の対象になる。この重みをよく考えて、それじゃなかったら、私もここまで言いません。この適格条項であるんですよ、このあなたののおの知惠子後援会。適格条項であるかどうか、どういう意味か、「政治団体の手引」を一度お読みください。これは、スポーツでいったらルールブック。聖書、バイブルみたいなものですよ、我々にとってみれば。それ以上のことを今我々は求められているんです。

 ぜひ、そのお立場で、そうじゃなければ、さっきのFTAの問題についても、南野大臣が一生懸命汗水垂らしてすばらしい案をつくられたとしても、公平に見てくれるかどうか、残念ですけれども、それを御指摘しなければいけません。

 最後にちょっとお聞きしたい。

 その上で、今言ったように、一度きちんと報告書を見て、もう一度、再度、これはお願いです、報告をしていただけませんか。

 御寄附をされている看護師さんたちのお立場に立って考えてみてください。自分の五千円がどうなったのかわからない、一生懸命応援したかった南野先生の、南野大臣のところへ行っているだろうと。まあ、行っているんでしょう。行っているんだけれども、政治活動としてどう使われているか、御本人が余りよく理解されていないといったら、私の五千円はどうなったのかと私が看護師だったら思います。

 それと、さらに、大臣就任中くらいは看護連盟関係からの寄附を御遠慮になる御意思はございませんか。先ほど資金管理団体、資金管理団体とおっしゃいましたが、昨年も、この南野知惠子と共に政策を考える会、この資金管理団体にはさまざまな地域の看護師連盟さんからの御寄附がございます。やはり、先ほどのFTAのことも扱っていただいている中立なお立場を、公平性を保っていただく意味でも、例えば大臣就任中ぐらいは、あるいは大臣就任後一年ぐらいは看護連盟さんからの御寄附を御遠慮されるという御決意はいただけませんでしょうか。いかがでしょうか。

南野国務大臣 私が看護連盟から有形無形の支援を受けていることは事実でありますが、これがなくなりますと、看護連盟と無関係の活動を含め、私の政治活動に支障が生じますので、そこまでの約束をすることはできません。大事なことは、私が国民全体の代表であるとの自覚に基づき、それにふさわしい行動をすることだと思っておりますので、今後とも、法務行政の基本である中立公正を旨に政治活動を続けてまいりたいと思っております。

伴野委員 残念ですけれども、今の話も解せない。

 では、絞って言います。

 あなたの適格団体だけでいいです。すべてとは言いません、適格団体。あなたは多分この被推薦書、政治資金規正法施行規則第二号様式の九というところに直筆でサインしていらっしゃるか、もしそれがなければ、氏名を判こで押されて、捺印をされているはずです。これが適格団体なんです。これに関しては我々逃れられないんですよ。

 だから、私は、政治を目指すと言ってきた人間に、そんなに覚悟があるなら、これをきっちり読んで、これに従って政治活動ができるという決意がないと、これからは政治家に対する人の目が厳しくなるよということを教えたんです。南野大臣も、もしわからなければ、東京都選挙管理委員会でもらえます「政治団体の手引」を読んでいただいて。

 最後に申し上げます。被推薦書を出していらっしゃる適格団体の御説明だけはきちっと理解してやっていただきたい、これをお願いしたいのですが、いかがですか。適格団体だけでいいです。

南野国務大臣 説明責任や透明性については、それぞれの団体において政治資金規正法に従って適正に収支を報告することで果たされていると考えております。

伴野委員 残念ながら、それは果たされない時代になってきたんですよ。

 ぜひ、これはお願いです。やはり高潔無比、高潔な法務大臣、今まではいろいろあったんだと思います。それは、いろいろなお立場も理解します。だけれども、やはり法務大臣になっていただいたら、最低限、我々のバイブルである「政治団体の手引」をしっかりお読みいただいて、適格団体の意味ぐらいは理解していただいて、それに対してきっちりと御説明することが、御浄財をいただいている皆さん方へ報いる手段だと思いますし、最低限の義務だと思います。

 それをお訴えして、そして、先ほどナイチンゲールの誓詞を御理解いただいていると言うならば、今のことを御理解いただいて、ぜひすばらしい法務大臣になっていただくことを御期待し、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

塩崎委員長 次に、山内おさむ君。

山内委員 民主党の山内おさむでございます。

 大臣には、御就任、まことにおめでとうございます。

 まず、お伺いしますけれども、先日の予算委員会とか本日の伴野委員に対する答弁とかを聞いておりますと、看護協会の問題、大臣も何年間かは勤務されておられますよね。だから、自分の出身母体である看護協会の問題、あるいは後援会、あるいは寄附をしていただいた、政治献金をいただいた問題などについて十分な回答をいただいていない。随分前からこの議論が行われているのにもかかわらず、きょうも後ろの秘書官が一々指示をして答弁をされる。随分同じような質問は民主党の議員から出ているわけですから、よどみなく答えられるのも問題かとは思いますけれども、もう少し審議も促進していただきたいと思います。

 ところで、大臣はどうして法務大臣になられたんですか。

南野国務大臣 まじめに答えさせていただきます。

 法務大臣の命を受けたときは、正直驚きました。ただ、私の政治家としてのルーツは、戦後の満州からの引き揚げのときまでさかのぼります。

 当時私はまだ子供だったのですが、日本人女性が外国人兵に連れ去られたり、帰国する船の中で死に行く子供をその親が泣きながら水葬するといった悲しい光景を何度も目にしました。弱い立場にある者が救われないさまを目の当たりにして、子供心に弱い人を少しでも助けられたらと思うようになりました。命がいかにとうとく、いかにはかないものであるか、常々思うようになりました。それで、命をくみ出す助産師という職を選びましたし、後に国政の世界に飛び込んだのも、多数派に顧みられない弱い方々を救えるのではないか、そういう気持ちからでございました。

 その後、実際に、国内的には、DVによる被害を受けている女性、性同一性障害により苦しんでいる方々などのためにも尽力してまいりました。国際的にも、紛争地域における人権問題に取り組んできました。このような活動を通じて感じたことは、個々人の人権がいかに重要であるかということでした。

 法務省は、地味に生きる人々を守る仕事をしております。私は、そのような法務行政の精神に違和感を感じたことはありません。そう思い、法務大臣を引き受けましたし、ささやかでも足跡を残していきたいと思っております。

山内委員 女性とか弱者のために働きたい、その思いは、私たち法務委員のメンバーも同じだと思っています。ところが、その問題と、今まで十億円以上の献金をもらったり、昨年、一昨年と、二億円とか一億五千万円とか、特定の団体からもらっておられるそのあなたのお金にまつわるそういう多額の献金とがマッチしないんですけれども、どう説明されますか。

南野国務大臣 一番大切なことは、国民全体のために働いているということでありますが、一億円とか二億円とかということについては、私は直接いただいていないということを申し上げます。

山内委員 あなたがいただいていなければ、だれがいただいているんですか。

南野国務大臣 だれがいただいているのかということですけれども、そのお金はのおの知惠子後援会に入っております。私が資金管理団体をしているのは、南野知惠子と共に政策を考える会でございます。

山内委員 大臣、看護協会という一つの団体から多額の献金をもらっているわけですよ。では、あなたが、後援会がもらっているから、私と後援会は違うよと言われるなら、それでもいいですよ。その認識についてはこれからどんどん追及していきます。

 しかし、例えば看護連盟あるいは看護協会に何かの事件があったときに、あなた自身が捜査に介入したりして真相をねじ曲げるんじゃないかと国民は思っているんですよ。看護協会に関係する、例えばさっき伴野さんが言ったようなFTAにかかわる問題、介護士の人材派遣の問題、そういうような看護協会あるいは看護連盟にとって何かしら関係するような法案がテーマとして法務委員会に係属すれば、あなた自身が手心を加えるんじゃないかと国民が思っているんですよ。

 国民のあなたに対する不信感については、どう払拭しようと考えているんですか。

南野国務大臣 大事なことは、私が国民全体の代表であるということの自覚に基づき、それにふさわしい行動をすることだと思っております。今後とも、法務行政の基本である中立公正を旨に政治活動を続けてまいりたいと思っております。

山内委員 思い切って、協会や連盟からの献金は今後拒否しますとか、あるいは、ことしもらう分については新潟の地震の被災に、例えば看護連盟から看護師さんを千人ぐらい派遣する、その費用にお金を使いますとか、そういうような話は考えたことはないんですか。

南野国務大臣 看護協会は政治団体ではございません。私が看護連盟から有形無形の支援を受けていることは事実であります。これがなくなると、看護連盟と無関係の活動を含め、私の政治活動に支障が生じますので、そこまでの約束はすることはできませんが、大事なことは、私が国民全体の代表である、その自覚に基づいて、それにふさわしい行動をすることだと思っておりますので、今後とも、法務行政の基本である中立公正を旨に政治活動を続けてまいりたいと思っておりますので、御心配ありませんよう。

山内委員 看護連盟のために働きます、お金をもらっている看護師さんのためだけに働きますとあなたは言っているようなものなんですよ。

 確かに、新しい医療技術を覚えたり、看護師さんの世界も随分大変なようです。労働条件についても、深夜勤務があったりして過酷な生活を送っておられる方もたくさんおられます。だから、私たちも国会議員として、看護師さんたちの待遇改善とか労働環境の整備、そういうものについてはみんな関心があるんですよ。

 ですから、例えばあなたが今まで提案されたことなんかでも、多くの国会議員が賛成して、給料の面にしても待遇の面にしても、看護師さんの地位向上のために頑張ってきた。それは国会全体がやってきたことだと思うんですよ。しかし、その給料が上がった分があなたのためだけのお金になっているんですよ。

 そうすると、あなたは今、看護連盟から政治献金をもらえなければ自分の政治家として立つところがないと言われる。そのお金が、あなたが国会で審議して、給料が上がった分があなたのところに還流してくる、これはどう思われますか。

南野国務大臣 大事なことは、私が国民全体の代表である、その自覚に基づいていることでございます。それにふさわしい行動をすることだと思っています。

山内委員 大臣、大臣所信に対しての質問もしたいもので、こればかりやっているわけにいかないんですけれども、検事総長や最高裁の長官や日弁連の会長なんかは、ここの場に出ることはできないんですよ。つまり、国民が、例えばこの審議を通じて司法に対して信頼しよう、そう思うのは、実はあなたの姿を見て国民は、この人たちがやっている法務行政や検察行政に任せていけば絶対に安心できる、自分たちの権利は必ず守ってもらえる、そう思って、あなたの姿を見て国民は司法や検察に対して信頼をするということをわかっていただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。

南野国務大臣 看護協会や連盟の要望などによって法務省の政策が不当に影響を受けることはあり得ません。

山内委員 ところで、法務大臣あるいは法務委員会の仕事として、裁判所の司法行政をしっかりと監督することとか、法務省の検察あるいは法務行政をしっかりと体制を整えていく、それから国内の治安をしっかり守っていく、それから四つ目に人権施策の推進ということがあるんですが、大臣、この四点については、大臣は、例えばどれを一番大切にして法務大臣として仕事をされる予定ですか。

南野国務大臣 いずれも大切でありまして、区別はつけられません。

山内委員 ところが、私も法務大臣になったときの思いを先ほどお聞きしましたけれども、例えば、最後に述べました人権の問題ですね、大臣、今度の所信あいさつの中で、どの辺で何文字触れられていると思いますか。

南野国務大臣 意識して数えておりません。

山内委員 一番最後のページに、「今なお跡を絶たない人権に関する諸問題への対応」という二十二文字なんですね。随分バランスを欠いていると思うんですが、そう思われませんか。

南野国務大臣 文章全体で判断していただければわかると思います。(山内委員「いや、だから聞いているんですよ。だから、二十二文字しか触れていないから聞いているんです」と呼ぶ)人権ということもそうですが、治安ということも人権に関与いたしております。

山内委員 小泉さんと一緒で、それはすりかえですよ。法務委員会として一生懸命やる四つの仕事のうちの人権について今聞いているわけですから、人権について答えてくださいよ。

 あなたは、「今なお跡を絶たない人権に関する諸問題への対応」ということは何をイメージして書いているんですか。

南野国務大臣 人権は一番大切な問題でありますが、同じく、治安についても出入国の問題についても、いろいろなものが大切でありますので。

山内委員 あなたが、今私が読んだところで、あなた自身の思いをこの就任あいさつで書いているわけでしょう。だとすると、人権に関する諸問題への対応として、大臣は何を考えているんですかと聞いているんですよ。

南野国務大臣 人権問題にはいろいろな問題が含まれております。例えば、私も書いておりますが、高齢者問題、児童虐待問題、高齢者の虐待もしかりであろうかと思いますので、そういうものも含めたグローバルな人権問題ということで解釈していただけないでしょうか。

山内委員 昨年の通常国会、ことしの通常国会ですか、参議院選挙になって、人権擁護法が廃案になりましたね。まだまだ人権が侵害されて、救済してくれ、そのための基本的な法律をつくってほしいという要求も大臣の耳に届いていると思うんですけれども、その人権擁護法あるいは人権救済法について、大臣の思いを聞かせてください。

南野国務大臣 人権擁護法案につきましては、その提出時期やまた法案の内容などについて検討を行っており、その再提出に向けて最大限の努力を今しているところであります。

山内委員 時期はいつごろになりますか。

南野国務大臣 時期につきましては皆様方の御検討次第であろうかと思いますが、人権擁護法案については、その提出時期や法案の内容等について検討を行っております。再提出に向けて、そのために最大限の努力をします。

山内委員 そうすると、大臣の頭の中には、人権擁護法あるいは人権侵害救済法について、いつの通常国会で出すとか、そういうような考えは、今言えないというか、わからないということですか。

南野国務大臣 検討していると申し上げております。

山内委員 では、次の問題へ行きましょう。

 アメリカ兵がよく日本の国内で女性に対して強姦事件を起こしたりしますよね。沖縄でも佐世保でもありました。アメリカ人のそういう事件について、大臣はどう思われますか。

南野国務大臣 在日米軍の構成員等による犯罪については、これまでも、警察当局あるいは米軍当局とも協力しつつ、適切に対処してきたと承知しておりますが、刑事司法の観点からは、事件が起こった場合、速やかに事実の真相を解明して厳正に処罰することが重要であると考えております。

山内委員 そういうのは次に聞こうと思っている質問でして、女性の大臣として、そういう事件が頻繁に起きていて許せないわというような言葉を実は聞きたいんですけれども、どうですか。

南野国務大臣 ここに立って、許せないわと言いたいんですけれども、本当にそういう課題については真剣に取り組まなければいけないと思います。

山内委員 では、真剣に取り組むということで引き取らせてもらいますが、日米地位協定の改定の問題についてはどう思っておられますか。

滝副大臣 後ほど大臣からも答弁があろうかと思うのでございますけれども、基本的には、特に沖縄を中心にして起こっておりますいろいろな事件について、これについての管轄区域の問題とかいろいろな問題がございまして、私ども法務省としては、日本で行われた犯罪については、できるだけ日本でこの問題は扱わせてもらう、こういう基本的な原則を立ててやってきた問題でございますから、今の段階では数年前に比べるとかなり前進を見ている、こういうふうに考えております。

 私ども法務省としては、引き続き、外務省とも連携の上、こういった問題については国民の納得のいくようなきちんとしたルールが確立されますことを念願して取り組んでまいりたいと思っております。

南野国務大臣 この問題につきましては、まず運用で対処していくべき、このように考えております。改正は考えておりません。

山内委員 しかし、国民の声は、例えばヘリコプターが落ちても日本の捜査権が邪魔されたり、あるいは犯罪人引き渡しの関係でも窮屈な扱いになっているんですよ。

 考えていないんじゃなくて、そういう問題について、特に、さっきお話ししましたけれども、女性の大臣として、やはりアメリカの軍人がそういう強姦事件を実はたくさん起こしているんですよ。何か先ほどの表情では、知らなそうな表情をされていて、あれっと思ったんですけれども、もう少しその実態とか、日本国民、特に九州や沖縄にいわば偏在している基地の問題を含めて、ぜひ、刑事司法の分野だけでいいですから、日米地位協定の問題については今後勉強をしていってください。お願いします。

 では、次に行きます。

 ところで、大臣、今、民法や商法を片仮名語とか難解な表現から口語体にしようという改正が臨時国会や来年の通常国会で出るわけですけれども、そういうふうに法律を変えていくというのは何のためにすると思っておられますか。

富田大臣政務官 私の方からお答えさせていただきます。

 民法のうち、第一編から第三編までの財産法に関する部分は片仮名、文語体の表記が維持されており、現代ではほとんど使われていない用語や漢字も条文中に残されているため、一般の国民にとって難解でわかりにくいと指摘されていました。先ほど伴野委員の方からも、こういうことをきちんと直していくべきだというような御指摘だと思います。

 そこで、法務省では、平成三年から民法の表記を平仮名、口語体に改める現代語化の作業を進めてきましたが、今回、民法上の保証制度を見直すこととなったため、これを契機としまして、民法の現代語化もあわせて行うこととし、これらを内容とする民法の一部改正法案を今国会に提出したところであります。

 また、商法につきましても、民法と同様に片仮名、文語体の表記が維持されているゆえ、とりわけ会社法に関しまして、商法第二編、有限会社法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律、いわゆる商法特例法ですが、等に規定が散在しているため、その内容が利用者にわかりづらい、そういう御批判がされてきたところでございます。

 そこで、法務省では、平成十四年から、各法律に散在する会社法に関する規定を単行法に一本化した上で、片仮名、文語体の表記を平仮名、口語体に改めるとともに、全体の整合性を図って各種制度の見直しを行う会社法制の現代語化の作業を進めており、来年の通常国会には平仮名、口語体の新たな改正法案を国会に提出することを予定しております。

山内委員 ですから、口語体化をするということは、特にやはり国民に対して法律がよくわかりやすいものになるようにという思いで改正をすると思うんですよね。

 ですから、先ほどから話が出ているリエゾンオフィサーとかプレクリアランス、セカンダリー、バイオメトリックスというようなことを大臣がここで所信のあいさつをするというのは、私たち法務委員に話すということじゃないんですよ。国民に対して、私は新任大臣です、これからこういうふうに日本の法務行政をやっていきますという思いを語る場なんです。だから、そういう意味からすると、こういう片仮名というか英語というかを使われるということは本当に改めていただきたいと思います。

 ちなみに、リエゾンオフィサーとプレクリアランスというのはどう違うんですか。

南野国務大臣 リエゾンオフィサーと申しますのは、直訳すれば連絡渉外官でございます。そういう意味でございます。具体的には、海外の空港で日本向け航空機に搭乗しようとする外国人の旅券の偽変造鑑識や出入国管理に関する情報収集を行う職員のことをいいますし、お尋ねのプレクリアランスというのは事前確認の意味です。具体的には、相手国の空港に職員を派遣し、日本向け航空機に搭乗しようとする外国人に対し、日本に上陸するための要件に適合しているかどうか、それを事前に確認する作業であります。

山内委員 私は、この二つがどう違うかということを簡単に述べてもらおうと思うんですが、どちらもの概念を説明されただけなんですよ、大臣。やはり、こういう質疑、本当は私もしたくないですよ。だけれども、大臣の、これから私たち、多分来年の通常国会までおつき合いすると思うんですよ。だから、本当にしっかりと、法務委員にもわかりやすい質疑をぜひお願いします。

 最後になりますけれども、大臣は死刑制度についてどう考えられるんでしょうか。特に、大臣就任中は死刑執行指揮書に判こを押されるのかどうか、お聞きしたいと思います。

南野国務大臣 死刑制度についていろいろな考えがあることは承知いたしておりますが、法務大臣となった以上は、法律を正しく執行していくのが私の職務であると考えております。

 死刑は人の命に関する重要な事柄だと思いますが、裁判所において、法律に従って慎重に審査がなされていると聞いておりますので、死刑についてもきちんと対処したいと思います。

山内委員 大臣は助産師ですから、私たちの田舎ではというか、標準語なんですかね、産婆さんというのは。

 つまり、母親のおなかにいるときから、元気で丈夫な子供として生まれてほしい、そして、母親以外に最初に知り合う人なわけですよ。そして、取り上げて、この子が本当に元気で丈夫に育ってほしいと願う、人の生命に対して最もかかわり合いを持っている職業だと思うんですが、その今までの経験と、死刑執行指揮書に印鑑を押すということとは、大臣の心の中でどういうふうに整理できるんですか。

南野国務大臣 議員今触れられましたが、私とて助産師でございます。世界一とうとい仕事だと思っておりますので、私は助産師であることを誇りに思っておりますが、今は法務大臣という立場で、公平正大に物を考えなきゃいけないということでございます。そういう意味では、命がとうといということはもちろんでありますが、私の考えは先ほど述べたとおりであります。

山内委員 大臣、できるだけ私もこれから法務委員会の質疑に立たせてもらいます。そして、大臣に、本当に弱者と女性のために、そして人権を守る、そういう法務大臣として就任をいたしましたというその思いと、治安とか、来日外国人の犯罪が多いとか、少年が凶悪になったということと、私は随分大臣の中で整理が必要だと思うんですよ。それを、最初から、治安の回復だというごあいさつ文なものですから、そして、人権についてもほんの何文字しか触れられていない。だから、私は、南野大臣がどういう人なのかというのをこの三十分の質疑の中でも感じることが全くできませんでした。

 これから一生懸命勉強していただきたいと思いますし、私も、大臣が本当に女性と弱者のための法務大臣でいていただくことを期待する意味で、これからも質疑を充実させていただきます。よろしくお願いします。ありがとうございました。

塩崎委員長 次に、河村たかし君。

河村(た)委員 河村たかしでございます。

 大臣、まず、きょうは所信について聞かなあかんらしいもので、別にこじつけじゃないんですけれども、行刑改革会議の報告が出ておりますわね。行刑改革会議提言というやつです。これらを真摯に受けとめというふうになっておりますけれども、これは何をきっかけにしたか、大臣、わかっておる。わかっていますか。

南野国務大臣 名古屋刑務所の件です。

河村(た)委員 実はそういうことで、私何遍も言っておりますけれども、ぜひ国会の皆さんも、行刑改革会議の提案が出ておりますけれども、これは皆さんが、私も含めて、予算委員会、集中審議までしたんです。ここでも、いわゆる一般質疑か、集中審議しまして、それで、刑務官の八名が暴行を働いたということで、彼らはとんでもない、刑務官が暴走した、だからこれを何とかせないかぬということでなってきたことですよ、これ。だから、このことが、実際一番根元のところがもし違っておったらどういうことかということですよ、これ、一体。

 これは、僕、国会が何の手続もなしに、人を、暴行した、やれ犯罪人だといってめちゃくちゃ本当に言っていいものかと思っておりまして、まず、これから局長でいいんだけれども、ちょっと振り返っていただいて、そのきっかけのところ、法務省ないし国会というのはどんなふうだったか、ちょこっと短く思い出してもらえぬでしょうかね。

横田政府参考人 今の御質問なんですが、今大臣お答えになりましたように、いわゆる名古屋刑務所における三つの事案がきっかけで行刑改革会議が設けられて、そして昨年の十二月にその提言が出たということです。

 国会がどうであったかということにつきましては、私、ここでお答えする立場にございませんけれども、法務省といたしましては、その行刑改革会議の提言を真摯に受けとめまして、そして行刑改革を今進めているというところでございます。

河村(た)委員 最後にちょっと聞く予定だったけれども、大臣に言うのを忘れてしまうといかぬで、これはちゃんと通告してありますから。

 要するに、ここには偉い人がみえますけれども、みんな、法務省の、日本のトップの方が。だけれども、要するに、一番現場の受刑者の処遇については、当然私も受刑者の皆さんとようけ会っていまして、この人権を大事にするのはまず前提として当たり前のことだけれども、しかし、刑務官の最前線が地獄の苦労であるということを、そこがわかっていなかった本省の偉い様がとんでもないミスを犯したということですね、これは、はっきり言いまして。

 国会議員も、何にも知らぬのに、民主党だ民主党だと言いますけれども、民主党もいかぬかったけれども、自民党もとんでもない質問していますよ、私読んだら。全部ですよ、これ、言っておきますけれども。マスコミも、何の確証もないのにとんでもないことを書いているということで、ぜひ大臣、とにかく……(発言する者あり)いや、それは検証せないかぬじゃないですか。今、園田さんが、どっちが正しいかと言っていますけれども、それは、だからそれをこの委員会でやらないかぬじゃないですか。裁判は関係ないですよ、別に。(発言する者あり)いや、まだまだ必死に、だからきょうもやりますけれども。

 よしよし、それでは大臣、自民党の話ですから、真相究明やるといって自民党の責任者が言っていますから、現場のことをちゃんと踏まえた真相究明をちゃんとしますと言ってください。

南野国務大臣 検察当局におきましては、必要な捜査を行った上で、その結果に基づいて起訴したものと承知しております。

 そういう意味では、裁判の行方を見守りたいという思いでございます。

河村(た)委員 それは間違っておるんですよ。これだと後退するで、ちょっと局長に。

 それは三権分立というのは重要ですから、それはそれとしても、やはり再発防止とか別個の行政目的があるんですよ、これ。再発防止するためには事故原因を究明せにゃできぬじゃないですか、これ。だから、そこをちょっと答えてください。

横田政府参考人 お答えいたします。

 おっしゃるとおり、どのようなことがあったのか、それが今後の矯正行政あるいは行刑行政の上にどう生かしていくべきかということがございますので、もちろん再発防止ということもありますし、その意味では、必要な行政調査はこれまでも行ってまいりましたし、今後ともまた行ってまいる所存でございます。

河村(た)委員 その上で、真相が明らかになりましたら、余り言わぬ方がいいかな、早く復職させてあげたいということについて、どうですか、一言。

横田政府参考人 復職ということをさせてくださいということなんですが、現時点で申し上げることは、現在裁判が進行中でございますので、それについて今どうだというお答えはいたしかねます。

河村(た)委員 返事がなしということでございますので。裁判とは関係ありませんので、これは。別個の行政処分ですから、復職させるかどうかは。

 ぜひ早く、もう真相はわかっていますけれども、はっきり言って。三つとも事故であった、そういうことです、はっきり言いまして。事故をそういう事件にしてしまったということで、これは国会の責任も大きいですよ、マスコミそれから役所もそうですけれども。ですから早く、地獄の苦しみを皆さん味わってみえますので、ぜひお願いしたいと思います。ちょっと一言言ってください。

横田政府参考人 おっしゃるとおり、厳密に言えば、裁判とは関係ないということはそのとおりですけれども、いずれにしましても、現在の休職というのは、起訴されたという事実を前提にしてそのような行政処分を行っていますので、現時点ではそれ以上のことはお答えいたしかねるということでございます。

河村(た)委員 それでは、きょうは手錠を持ってきておりますので、そのきっかけになった一番初めが、大臣もちょっと聞いてやってくださいね、おととしの九月二十五日に、けがをされた方がみえまして、そのビデオがあって、そこにこれが、手錠があるんですけれども、これはまず本物ですけれども、そこをちょっと一応確認しておきましょう。この手錠はきのう、あれですから。

横田政府参考人 刑務所で使われていた革手錠と同種のものでございます。

河村(た)委員 それでは、ちょっと実演をやりますので。

 何をやりたい……(発言する者あり)刑務官を呼んでありますので、私にかけまして。要するに、手錠を強く引っ張ったことによって受刑者がけがをしたなり、それから亡くなったという話なんです。要するに、こちらの言いたいところは、穴が、これ、見ていただきますと、大体九センチから十センチごとに穴があいているんですね。皆さんのベルトを見ていただきますと、自分で今見るとわかりますけれども、大体二センチ五ミリぐらいです、人間のベルトというのは。

 だから、自分のベルトで、これ、穴を三つぐらい、腹に力を入れて進めるとわかるんですよ。とんでもない力が要りますよ、これ。これを二十センチ締めたというんですから、自分のベルトで穴を、八つぐらいですね、皆さんのベルトで八つ穴を一遍に進めることを考えてみてくださいよ。それが起訴事実になっているということで、その前提として、真ん中の、穴の順番でいきまして一つ目の穴に入れると抜けますから。

 私は、恥ずかしいですけれども一メーターちょっとありますけれども、一メーターちょっとの穴にまず入れまして、ウエストサイズに。これを抜きますから、まず初めに。これは局長から、抜いてはいけませんからね、要するに、抜けると危険ですからこれは施用として適法でないというお言葉をいただいて、では、こういう人間にどうしますかということになるわけです、私が受刑者になった場合に。

 そうすると、次の穴に入れないかんのですよ、これは。そのためにどれだけ苦労がいるか、実は。適正施用をするためにも、革手錠というものは物すごい苦労が要るものであって、何人かがかかって、二人がかりで、あるときには必死になって引っ張って、何人かで押さえてようやく適法性はできるものだったんだということを今から証明したいということですので。

 それではちょっと背広を脱がさせていただきまして、刑務官がお見えになりますので、ちょっとやりますのでお願いします。ちょっと刑務官、お見えになって。私のベルトをとります。まず、私のウエストをちょっとはかってもらえますか。後ろにおる。ここで。これ、ビデオで撮っておるのかな。――一メーター五です。入っていますか、速記の方。いいですか。一メーター五。

 では、この状況で私に手錠をちょっと施用してください。大臣にちょっと見えるようにしてください。皆さんもちょっと、よかったら見てもらって。

 これでウエストサイズですね。一メーターと書いてありますけれども、ウエストサイズ。これが大臣、ウエストサイズなんです。ウエストのちょうど、こうやってやると落ちないでしょう。自分の、普通のベルトをつけるとこういう状況になります。このベルトの状況で、これだと、今からちょっと靴を脱ぎますけれども、パンツは脱げぬようにしますが、これ、こういうふうに脱げるわけです。こうなりますよね。これで例えば、はいてきたこれで殴ったりですね、いろいろありますから。これだと、局長、この施用は適法なのかどうなんですか。

横田政府参考人 そのように脱げるということは、両腕をベルトに固定するという革ベルトの施用目的を達しませんし、また、今委員がなさったように、それが凶器になることもあり得るわけですので、不適切です。

河村(た)委員 では、局長、革手錠をするということはどういう目的になるわけですか。

横田政府参考人 お答えします。

 両腕をベルトに固定させる、それによって暴力等を阻止するというか、そういうことでございます。もう一つは、自殺の防止といいますか……。

河村(た)委員 逃走とか、まあそういうことです。

 そうしたら、今のこれでは違法というか適正でないとわかりましたので、じゃどうするかということは、どうしたらいいですか、刑務官としては。先ほどの施用ですね、抜ける施用、ウエストサイズそのものにつけた場合に適法でないとなりますと、どうしたらいいですか。

横田政府参考人 革ベルトの施用目的にかなうような、そういう固定の仕方をするということです。

河村(た)委員 どういうことですか、それは。現実的にどうするということですか。

横田政府参考人 今の委員の状態ですと、一つ革ベルトの穴を締めてみていただければと思いますが。

河村(た)委員 一つ締めたところが適法になると。

横田政府参考人 いや、適法という……

塩崎委員長 委員長の指示に従って発言をしてください。勝手に発言をしないように。

河村(た)委員 だから、もう一回言いますと、一メーターのところにもう一回入れてくださいね、一メーターのですね。だから、ウエストサイズの位置だと、これは入っていますか。これだと抜けましたよね、今のところで、ここで。もう一回やってもいいですけれども。こうやって抜けますので、この人に対してはどういう施用をしたらいいですか。

横田政府参考人 そういう場合には、もう一穴締めて様子を見るといいますか、固定ができるかどうか確認します。

河村(た)委員 そういうことですね。

 今答弁がありましたように、もう一穴先に進めるということですよ。まあ、その当時言われていたのは、もう二穴進めたということなんですけれどもね。それで、九センチから十センチごとにありますから二十センチ進めたというのが、それで起訴されておるんですけれども、国会でもそれで質問していたんだけれども、まず十センチ進めるが、次の穴までいくのがどれだけ大変かというのを今からやりますので。ちょっと下に伏せますから。

 三つのタイプがありまして、このままもう一つの穴、やってくださいといって協力するやつを初めにやりますので。協力するとすぐ入りますけれども。それから次は、腹に思い切り力を入れるということで。それから最後は、こう、手でベルトを握る。

 ということですから、ちょっとこれは、局長、受刑者さんの対応として、協力してどうぞ入れてくださいというのはあるものなのか。どういう対応なのか、ちょっとお答えいただけますか。

横田政府参考人 協力という言葉が適切なのかどうかわかりませんが、もちろん、観念して素直にそれに従うということもあったと思います。

河村(た)委員 局長、そんな、観念して入れるなんてどのくらいあるんですか。

横田政府参考人 観念という言葉はちょっと不適切かもしれませんけれども、比率については、私、特に調査したことがございませんので、わかりません。

河村(た)委員 ちょっと後ろの方に聞いてほしいんだけれども、どんだけ彼らも知っておるかどうかわかりませんけれども、ほとんどの人が、これは腹に力を入れるんですよ、反射的にもそうですけれども。これは当然ぐっと腹に力を入れて、締まらないようにする。ほとんどが、でしょう。後ろからアドバイスしてくださいよ。局長、やったことがないから知らないんだから、これ。

横田政府参考人 実際に現場で刑務官をしていた者の話によりますと、大体六、四ぐらいで、何らかの形で抵抗を示すものが六割ぐらい、それから特段抵抗もしないで革手錠をかけられるものが四割ぐらいであろうという、これはあくまでも感覚の問題ですけれども、そのように聞いております。

河村(た)委員 それは解除のときも入っているの。私が聞いたところは、そんな、六、四なんていうのはあり得ぬと言っていましたよ、九割ほどがやはり必死に、石のようになって抵抗すると。解除のときは緩めますよ。

横田政府参考人 ただいま申し上げた比率は、かける場合、締める場合であって、解除の場合を含めておりません。解除の場合に特に抵抗するということは、普通はないということです。

河村(た)委員 今の比率ですけれども、私の聞いたところでは、六、四なんてとんでもなくて、ほとんどのやはり受刑者が腹に必死に力を入れて抵抗すると。解除のときは当然緩めるというふうに聞いておりますから。多分、余りやっておらぬのじゃないかな、この偉い様連中は。ようわからぬけれども、そういう気がしますけれども。

 では、これで十センチ締めましょうか。下に私、伏せますから。ちょっと頭がどんといきますので、ちょっと頭を押さえておってください。いいですか。ちょっとこれ外してください。

塩崎委員長 マイクが、ちゃんと聞こえるようにしてください。

河村(た)委員 ちょっと待ってくださいね。いいですか。もう一回、一メーターのところに入れてください。それを九十センチに。ちょっと済みません、腹に力を入れますよ、いいですか。よし。はい。うっ、うう。入らぬですか。うう。入っていますか。入らぬでしょう。ちょっとやめてください。

 入らないんですよ、これ。今何秒やったか知りませんけれども、十センチ一人で入りませんでしたよ。私、手も持っていませんでしたから、今、下に。ちょっと確定してください、刑務官の言葉でええけれども。今一人で引いたけれども、十センチの穴に入らなかったと。入らないんですよ。ちょっと確定してくださいよ。

横田政府参考人 穴に入らなかったことは事実でございます。

河村(た)委員 そうでしょう。では、二人で引いていただきましょうか。(発言する者あり)いやいや、二人で引くんですよ。ここのところをぜひ皆さん、八人のどえらい人権がかかっているから、本当に、いつも真剣だと思うけれども、聞いていてほしいんですよ。彼らは今、休職処分で、世間から物すごい言われて、暴行だといって。とんでもない目に遭っておるわけですよ、ここの質問で。助けたらなあかん、真実だったら。そういうことなんですよ。

 二人で手錠を引くのはいかぬと言われていたんだから、二人で。二人でしないと適正施用もできないじゃないですか、今、僕がやってわかるでしょう。僕なんかそう暴れていませんよ、まだ。もっとすごいらしいんですから、とにかく。それでは、二人で今度は引いてみましょう、二人で。ちょっと、これ、持っていってください。

塩崎委員長 マイクがあるからだめ、マイクがあるから。

河村(た)委員 こっちへ行きましょう。

 では、ここで。同じように、ちょっともう一回倒してください。いいですか。それでは、もう一回。ちょっと待ってくださいよ。それで、今、一メーターに入っておるわけね。それでは、一人で引っ張っておって、後、途中でちょっとたったら二人で引っ張ってもらえますか、腹に力を入れますから。はい。うっ、うう。今一人だったですか。(発言する者あり)最後二人ですね。ちょっともうあけてください。

 今の状況は、一人ででは入らなかったけれども二人でだったら入ったということですよ。それをちょっと、局長、確定してもらえますか。

横田政府参考人 最後の場面で、二人で引いて十センチ入ったということは事実でございます。

河村(た)委員 そうですね。大体そういうものなんですよね。だって、腹に力を入れますと、二人であのくらい、あのくらいでですよ、僕は。二人であのくらい引かないと適法施用ができない。

 局長、今僕がここだとすれば、二人で引いて穴のはなに入れたところが適法な施用になることでいいですね。

横田政府参考人 お答えいたします。

 「戒具の使用及び保護房への収容について」という平成十一年十一月の通達がございます。これは委員もよく御承知と思いますが、そこでこの戒具の使用に当たっては、事態に応じ、その目的を達成するために合理的に必要と判断される限度を超えてはならないということ、そしてもう一つは、必要以上に緊度を強くして、使用部位を傷つけ、または著しく血液の循環を妨げる等健康を害するような方法で使用しないことというふうに定められておりまして、要するに、その通達に反しないことがもちろん大前提でございますけれども、その上で、今の委員に対しての革手錠の施用については、これは革手錠の目的を達するために適切であったというふうに考えます。

河村(た)委員 二人で引いて入れたことについては。

横田政府参考人 二人で引くかどうかということはまた別の問題でありまして、あくまでも革手錠の目的を達するような、達し得たかどうかということで判断されるべきことであります。

河村(た)委員 だけれども、二人で引いたから直ちに違法だということはならないですね。

横田政府参考人 お答えいたします。

 これは、制圧の方法であるとか、あるいは革手錠の施用方法が違法であるか、あるいは適切であるかということについては、あくまでも個々の具体的な場面といいますか、事例に即して判断すべきでありまして、革手錠を二人で引いたことそのことのみをもって直ちに違法であったということは言えないと考えております。

河村(た)委員 そういうことですね。

 では、もう一つ。手を、こう持っている場合があるらしいんですよ、こういうふうにベルトを。そうすると、もうほとんど動きませんから、その場合は、物すごい苦労して引っ張って、最後は手を解いて、それから入れるという状況になりますので、そこをちょっと一遍見ていてください。実際にある状況です。

 ちょっと頭打つでよ。――はい、普通に入れてください。いいですか。いや、持っていない。はい、持ちますよ。はい、どうぞ。うっ、うう。どうですか。今どういう状況ですか。二人で引いていますか。――一人で。では、二人で引いてください、二人で。うう。二人でも入らないでしょう。二人でも入らないでしょう、ベルトを持っていると。二人でこれだけ引いてもですよ。

 手を離すと当然入りますよ。それでは、ちょっとやってみましょうか。二人で引いとって、手を離させる。うう。こういうふうですよね。ちょっとこれで起こしてください。

 それで、このくらいになるんですよね、実は十センチ施用というのは。これ、わかると思います。さわってもらってもいいけれども、田村さんに。十センチ入っていますから、結構それなりに食い込んでいるんですよ、実はこれ。これは適法ですよね。これ、十センチ入ったところですけれども。

横田政府参考人 適切施用です。

河村(た)委員 これは適切施用ですよ。適法施用でも、実はこれだけ苦しいは苦しいんですよ、これ、見ていてもらうように。大臣、見ていてちょうだいよ、本当に。これ、物すごくここに食い込んでいますからね。こういう状況が実は適法施用だったんだということなんです。

 何か今までは、前のウエストサイズにつけるやつ、あれはあれで適法だから、これだと苦しいということになりますけれども、全然話が違っているんですよ。前のやつは抜けちゃうから適法でないというのが大体わかったところでございます。

 一応、取ってもらおうか。これ、抜くのも大変ですけれどもね。抜くときは、こうやってすっと、協力すればすぐ抜けますけれども。抜くときは、すぐ抜いてもらう。

 それから……

塩崎委員長 河村たかし君、自席に戻れますか、ぼちぼち。

河村(た)委員 いや、押さえる方やりますか、もう一回。せっかくですから、もう一つの問題は、こうやって……(発言する者あり)まあ、十分ぐらいでしょう。

 もう一つの問題は、こうやって力で引いた場合に、体をこうやって押さえていないと、体が動いちゃうわけですよ、どんと、これ。先ほど、押さえてなかったかね。どういうことやったかね。こっち側、とまったんですよね、僕の体。僕の体を制圧しとったかしら。――押さえとった。何名で押さえとったですか。

塩崎委員長 横田矯正局長に発言を求めてください。

河村(た)委員 僕の今の状況で、何名で押さえていたですか。

横田政府参考人 体を押さえておらずに、革手錠の部分だけを押さえておりました。

河村(た)委員 では、今のところは、委員席の机でもうこっち側へ行っちゃったものだから必要なかったけれども、普通はこっちに動いちゃうんですよ、ずうっと。

 だから、体を押さえていないと施用者がぶっ飛んじゃいますので、三人ぐらいで押さえていないとできないということを、ちょっと最後にひとつ、もう一回やりましょう。

 ちょっと、洋服が当たらぬところでやれば、広いところ。どこがええですか。では、ここで。ちょっと、なるべくこっちの方でやって。向こうへ行きますから。二人でぐっと引いて、もう早く入れて。押さえていないと。いやいや、大臣、ええって。きれいなハンカチを。

 まあ、一人でずうっと引いて、あと二人になって、ぐっと入れるところで体を押さえていないと、動くと思いますよ、私。こういうふうですわ。こういうふうですわね。これ、もう普通いけませんので。これでちょっと見ておってもらうように、一人だと動くということをちょっと答弁していってください、これ、局長に。今見ていた、一人で引いて、こちらを制圧していないと、押さえていないと、体が引いただけで動いていってしまう。

横田政府参考人 今の場合では確かに移動はしましたけれども、これはベルトの締め方にもよるというふうに聞いております。

河村(た)委員 何を言っておるか、わからぬですけれども。

横田政府参考人 補足しますが、ベルトの引き方というのは、下に向けて引くというやり方があるというふうに聞いております。

河村(た)委員 どちらにしろ、当然、相当な荷重をかけて引きますので、人体が動くわけですよ。だから、そこに手で人体を動かないように押さえないと、手錠が進まないわけですよ、十センチも。

 時によっては早く成功、非常に暴れているときには上に乗ることもある。体の上にですよ、乗ることもあるということのための、いろいろな態様があるから、まあここでもいいですけれども、そういう全体的な状況を見て判断するのであって、例えば上に乗っておるから、乗り方もありますけれども、どんと跳んだりしちゃいけませんよ。それだから違法ではないということは、ちょっとお話ししていただけませんか。

横田政府参考人 先ほど申し上げましたように、あくまでもこれは相手方との関係もありまして、個々具体的に判断すべきことでありますので、先ほど、二人かどうかということも申し上げましたことは、今委員おっしゃるように、仮に上に乗ったということがあるかどうかわかりませんけれども、仮にそのことのみをもって、直ちに違法であるというふうに判断するというものではないと思います。

河村(た)委員 では、もう一回、ちょっと二人で引いてみようか。二人で引いて、普通の感じで引いてみて、どのくらいやはり向こうに動いていくかという。三人ぐらいで押さえぬとだめだと思いますよ、体を。これで、こういうふうでしょう、普通にやってみてもらうと。まあ、体が突っ張っておるで、私は。普通だったらこうなっちゃうね、これ。まあ、いいですけれども。今押さえていないかな、体は。押さえていない。――まあ、ええですわ、それじゃ、それは。よし。では、これは外しましょう。ありがとうございました。

 こういうことで、すべてはこれから始まったんですよ、この革手錠から、実は。本当にそうなんです。おととしの九月二十五日の話でビデオがありまして、そこでみんなで革手錠を施用しているんですけれども、そのビデオを、これは法務の理事会で、これは園田さんも一緒にみんなで見ましたけれども、そこに映っているものをもう一回皆さん見ていただくとよくわかるんですけれども、現場の、ひとつもう一回、革手錠を施用するということはどういうことであったのかということですね、これ。強く引っ張っただけと。

 こういうふうに中間報告には載っているんですよ。革ベルトを巻きつけ、強く締めつけ、腹部を強度に圧迫する等の暴行を加えたということなんですよ。これは、今僕がやられたことは、実は革ベルトを巻きつけられて、強く締めつけられ、腹部を、強度に圧迫はどうか知りませんけれども、同じことじゃないですか、これ、考えてみたら。強く締めつけないと適正施用はできないじゃないですか、実はこれ、十センチ。という驚くべき誤解から始まっていったことだと。

 現に、八名の刑務官が本当に地獄の苦しみをいまだに続けているということですから、ひとつこれは局長か大臣、大臣に聞こうかな。こういう状況ですから、まあ、裁判は裁判なんです、これは。だけれども、やはり、革手錠、実質これは廃止されちゃいましたよ。これも何か変な感じなんです、実際から言えば、これ。なくなりました。だで、行政調査をしっかりして、本当に何であったのか、強く引っ張ることが必要であったんでないのかということを調査されたらどうですか、大臣。

横田政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、矯正行政、行刑行政を適切に遂行していく上で、必要なものにつきましてはこれまで調査してまいりましたし、今後ともその調査を継続してまいる考えでございます。

河村(た)委員 まあ、普通ならそこでもうええところかもわかりませんけれども、ここまでわかっとるのに放置するということになると、問題ですからね、これ。私、こんな法律の専門家の大御所に言って、後で殴られるといかぬですけれども、やはり不作為というのもありますからね、これ、ある程度わかったときに。だから、ぜひもう一歩進んで、それは受刑者のためにもなりますから、こういう事故を防ぐということになりますから。

 結局、転んだとすれば、こうやってどおんと転んだとすれば、転んで、ここに鉄の金具があったでしょう、すごいのが。ここにありますけれども、これ。言うとらんで見せるとよかったんだけれども、ここに、ベルトのところにつける金具があるんですよ。ここに、腹に当たる、すごいのが。こっちにもありますけれども、金具がここに。転ぶと、これが直接どかんと腹に来るわけです。下がコンクリートほとんど打ちっ放し状況で、ちょこっとずつクッションにするように変えておられるようですけれども。

 だから、そういうことも、もしそうであったなら、早くクッションに、転倒しても事故が起きないような施設にする義務があったわけだ、これ。そこら辺のところを怠ったんではないかということもあって、ぜひ国会諸氏におかれましては、委員長も、これはずっと一緒にやってきましたけれども、いかぬですよ、これは本当に。私も大した人間じゃないけれども、やはり正義感がすべての原点ですよ、人間の、これ。特に国会議員なんというのは、一番この正義感というのは、これはもう根底にしっかり持っとらないと、人にどうしろこうしろなんて言えないじゃないですか。

 私、ここまで指摘しておりますので、ぜひ委員長、しっかり国会としても、もう一回ちょっとビデオを見るなりしてやってくださいよ、これ。どうですか、委員長。

塩崎委員長 この問題につきましては、また後刻、理事会の方で諮りたいと思います。(河村(た)委員「理事会は関係ないんだ、委員長の言葉で言わないかぬ。だから、委員長は委員長で、あるじゃないですか」と呼ぶ)

 だから、私はビデオも既に見ておりますが、こういった問題について、理事会で皆さんがやろうということであれば、私は前向きに考えたいと思います。

河村(た)委員 では、まあそういうことでございますので、本当に、ぜひそういうことでやりましょう、正義感で。

 以上で終わります。

塩崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十六分散会


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