衆議院

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第6号 平成17年3月22日(火曜日)

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平成十七年三月二十二日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 塩崎 恭久君

   理事 園田 博之君 理事 田村 憲久君

   理事 平沢 勝栄君 理事 吉野 正芳君

   理事 津川 祥吾君 理事 伴野  豊君

   理事 山内おさむ君 理事 漆原 良夫君

      井上 信治君    大前 繁雄君

      加藤 勝信君    左藤  章君

      笹川  堯君    柴山 昌彦君

      谷  公一君    早川 忠孝君

      松島みどり君    三原 朝彦君

      水野 賢一君    森山 眞弓君

      保岡 興治君    柳澤 伯夫君

      柳本 卓治君    加藤 公一君

      河村たかし君    小林千代美君

      佐々木秀典君    樽井 良和君

      辻   惠君    中村 哲治君

      松野 信夫君    松本 大輔君

      江田 康幸君    富田 茂之君

    …………………………………

   法務大臣         南野知惠子君

   法務副大臣        滝   実君

   法務大臣政務官      富田 茂之君

   最高裁判所事務総局民事局長            高橋 利文君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  板倉 敏和君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    竹田 正樹君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局次長)         日尾野興一君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  笹川  堯君     加藤 勝信君

  仙谷 由人君     中村 哲治君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     笹川  堯君

  中村 哲治君     仙谷 由人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 不動産登記法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)


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     ――――◇―――――

塩崎委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、不動産登記法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治税務局長板倉敏和君、法務省民事局長寺田逸郎君、国税庁課税部長竹田正樹君、国土交通省土地・水資源局次長日尾野興一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局高橋民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上信治君。

井上(信)委員 皆様おはようございます。自由民主党の井上信治です。よろしくお願いいたします。

 まず、私、先週の参考人質疑にも質問に立たせていただきまして、大変有意義であったなというふうに思っております。専門家の皆様方、基本的にはこの筆界特定制度に賛成であるということで、心強い思いがしたのでありますけれども、そうはいっても、質問をさせていただいた中で、やはり細かい点ではいろいろな御意見があるということでありましたので、そういった点について、きょうは特に政府の方に御質問をさせていただきたいと思います。

 まず大臣にお聞きしたいんですけれども、この筆界特定制度を新たにつくるということの趣旨、目的、あるいは現在どんな状況にあって、こういったものをなぜつくらなければいけないのか。特に、現行でも境界確定訴訟といった制度がありますから、それとの関係も含めまして、どういった趣旨で今回の筆界特定制度に臨むのか、強い決意というものをぜひお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

南野国務大臣 御質問にお答え申し上げます。

 筆界特定制度は、土地の筆界の迅速かつ適正な特定を図り、筆界をめぐる紛争の予防及び早期解決に資するために、土地の所有権の登記名義人等の申請によりまして、筆界特定登記官が外部専門家の意見を踏まえて筆界を特定する制度でございます。

 現状におきましては、筆界をめぐる紛争を解決する手段といたしましては境界確定訴訟しかございませんが、境界確定訴訟は当事者から見れば、隣人を訴えたり、かつ、必要な証拠資料はみずから収集してそれに充てなければならないという負担がございます。そういう意味で、簡易迅速に行政レベルで筆界を明らかにする制度といたしまして筆界特定制度を創設することといたしたものであります。

 筆界特定制度は、登記官が筆界の現地における位置についての判断を示すものですが、最終的に筆界を法的に確定する必要があるときは従来どおり境界確定訴訟によることといたしております。すんなりそれが展開できれば裁判に持ち込まなくてもいいのかなというふうにも思います。

井上(信)委員 大臣のおっしゃるとおり、本当にそういった意味ではしっかりその区分けをしていって、両制度のよりいい点を国民の皆様に利用していただくということが大切かなというふうに思っております。

 私が思いますのは、あとは、経済的な負担が大きいでありますとか、あるいは訴訟ですからどうしても審理が長期間にわたってしまう。ですから、こういったことに関しても、今回の筆界特定制度であれば、その辺を考慮していただいて、ちゃんと活用しやすい制度にぜひしていただきたいというふうに思っております。

 そもそも、私が思いますのは、土地の境界をめぐる紛争ということであると、いわば私法的な所有権界の問題と、それから公法的な筆界、この問題が複雑に絡み合っている。実際上はこの筆界特定制度も所有権界に影響を及ぼすわけでありますから、そういう意味ではここの関係の整理というのが非常に難しいのかなということを思っております。

 伺うところによりますと、今回のこの法案作成の過程に当たりましても、パブリックコメントやいろいろな手続の中でその方針を変更したというふうに伺っております。

 例えば、境界確定を、職権で行うことではなくて、地権者の申請でやっていこうというように変更されたとか、あるいは、もともと行政処分と考えていたものを、そうではないということでその効力の問題についても変更した、そういったような話があるわけでありますけれども、こういった点について、一体どういう趣旨で前の案を今の案に変えたのか、その辺のところの御見解をお聞かせいただきたいと思います。

寺田政府参考人 ただいまも大臣から申し上げましたとおり、この筆界の確定、裁判手続でいいますと境界の確定という言い方をしておりますが、については、かねてから非常に大きな問題だ、登記制度の中でスムーズにいかない問題の一つであるという認識を持っておりました。

 そこで、民間の方々、学者の方々を含めまして、この問題について一体どう対処するかということを検討したわけでございます。それが、今委員の御指摘にありました、平成十五年から十六年にかけての研究でありまして、その結果、基本的には行政処分でやったらどうかというお話、それでしかも職権もあり得る、そういう御提案があったわけであります。これがいわゆる土地境界の制度の創設に関する要綱案でございます。

 そもそもでございますけれども、先ほども話題に出ました裁判所の境界確定制度にいたしましても、本来的に、訴訟というよりは非訟事件に近い性質のものである、したがって、本来行政でなし得ないものではないという整理がされていたわけであります。そこで、最終的に、行政の責任においてやるという強い意見がこの要綱案において示されたわけであります。

 しかしながら、要綱案を発表いたしまして、平成十六年の六月から約一カ月、パブリックコメントという形でいろいろな方々の御意見を伺ったわけでありますが、その中には、非常にこの点について強い懐疑を示される御意見がございました。なるほど行政の責任でおやりになるのは一つの考えかもしれないけれども、境界確定訴訟を廃止していきなり全部行政でやってしまうということは、非常に、何といいますか、問題の解決として強くなり過ぎないかということであります。

 具体的に申し上げると、結局、行政処分ということになりますと、その行政処分に至る過程でさまざま手続を踏んだ上で、しかしそれに異議があるということになると、行政訴訟ということになるわけであります。最終的に行政訴訟は裁判所で確定するわけでありますが、その間に、仮に処分ということになりますと、それが、問題があればその処分の取り消しということになるわけであります。そうすると再び、最初から線を引き直すという作業を、もう一度行政処分に立ち返ってやらなければならない、極端な場合にはぐるぐるぐるぐる回ってしまうというような危険があるのではないかということが実際的な問題としては挙げられます。

 また、職権で行うということも、必要性があることは、一方でそういう場面があろうことは認められるわけでありますけれども、しかし他方、圧倒的多数の場合には、実際には、今まで隣のうちとの間の紛争という形で処理されてきたものが、いわば寝た子を起こすような形で、自分が争うつもりもないのに、この点について、一体正しい線はどうなのかということで問題にされたあげく、結局、行政処分という形で決まってしまうというのは、全体のバランスからいってやや強過ぎるのではないか、もう少し、やはり紛争解決ということからスタートして、それで実績を積み上げた上でそういう強い形もとるべきではないかという御意見もあったわけであります。

 したがいまして、そういうような御意見を参照いたしまして、最終的には、現在の案に見られますように、職権ではなく当事者の申し立てによって手続を開始して、その効力も、本質的に、行政処分ということではなくて、結局は事実の発見という形での、証明力を高めるという形での効力を持つ手続という位置づけをしたわけでございます。

井上(信)委員 よく御説明は理解できるところであります。私も、そういう意味では、今の案の方が、地権者の権利ということを考えるとより適切ではないかなというふうに思っております。しかし、そうであるならば、なぜ当初から今のような案を作成しなかったのかなというのはちょっと思うところでありますけれども、それは今言ってもしようがないので、あえて申し上げません。

 次に、境界確定訴訟と筆界特定制度ということで、その関係がなかなか難しいということでありますけれども、では、実際、その新しい制度、せっかくつくったわけですから、これはたくさん国民の皆様にやはり活用してもらわなければいけないと思うんですね。実際にはどれぐらい活用される見通しがあるのか。

 伺うところによりますと、訴訟自体は年間千件くらい。先週の参考人質疑の中では、そうはいっても訴訟にならない土地の争い自体はもっとあるよという話も弁護士会さんの方からお話しいただいたんですけれども、実際のところ、例えば弁護士会さんがおっしゃっていたように、いわば境界確定訴訟の中で、過程の中でこの筆界特定制度が活用される、これはこれで一つの方策だと思います。しかし、それだけなのか。

 やはり筆界特定制度単独で利用されるようなニーズがたくさんなければ、むしろ境界確定訴訟の中に組み込んだ制度にしたっていいわけですから、こういった関係性も含めて、今後の活用の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。

寺田政府参考人 おっしゃるとおり、一方では境界確定訴訟というのは実績がおありになるわけであります。しかし、先ほど委員も御指摘になられましたように、コストもかかる、期間も相当日数を要する、手続的にも非常にいわば重たい手続であります。実際に、心理的な面も含めまして、訴訟を起こされる方がちゅうちょされる件数は相当ある。にもかかわらず、年間、この非常にややこしい訴訟であります境界確定訴訟が千件あるわけであります。私どもは、少なくともこの千件という数字から見ますと、相当にこの新しい制度の利用というのは数は多くなるのではないかというふうに見込んではおります。

 具体的に申しますと、今申し上げましたように、この制度の最大のメリットは何かといいますと、全体を把握できるということであります。これは専門家が関与いたしまして、しかも登記所が関与いたしまして、境界もその部分だけを見るのではなくて、その周囲も、境界もどうなっているかということをいろいろ参照しながら決めるわけでありまして、首尾一貫性と申しますか、そういうことに意を払える体制になるわけであります。そういうことのメリットを強く感じていただければ、かつ、簡易迅速なという側面が出れば、この手続を相当御利用になられる、これは裁判とは関係なしに御利用いただけるのではないかというふうに考えております。

 他方、しかし、裁判との関係につきましても十分意を払わなきゃいけないわけでありますが、具体的に申し上げますと、先ほど御指摘がありましたように、裁判所にとりましても、こういう専門家の関与というのはいろいろ問題になるところであります。裁判手続でも、司法制度改革の過程で専門委員という制度を導入いたしまして、いわば専門家をこういう手続に関与させることができないわけではありません。しかしながら、一方で、専門家をこの手続に特定した活用を、これでできるようにする体制が整うわけでありますから、裁判所の方にも申し上げまして、この手続を裁判所としても御利用いただける道がないかということを考えたわけであります。

 本来ですと、裁判手続を一たん中止いたしましてこの手続に、いわば境界の確定、筆界の確定の実質を決めていただくというような手続があってもいいわけでありますけれども、先ほど申しましたように、あくまでこの手続は実体に踏み込んで所有権の問題を解決するわけでもございませんし、また、最終的に行政処分としての効力があるわけではありませんので、そこで、そういう公的な意味での裁判の中止というような手続をとることは残念ながらできません。しかし、裁判官によりましては、この手続の方が適当だということになれば、この手続は一体どうなるかということに関心をお示しになるのは当然のことだろうというふうに思います。

 そこで、少なくとも百四十七条では、この境界確定を審理する裁判所が、この筆界特定手続の記録の送付を職権で嘱託することができるという規定を置いておりまして、関連を保っているわけでありますが、これ以上に、実質上の取り扱いとしては、裁判所が、こちらの方の手続が適当だということであれば、まずそちらでやってきたらどうですかというふうに当事者に勧めて、当事者がそういうふうに応じられれば、裁判の手続は事実上、そこで追って指定のような形でとめておいて、こちらの手続の結果を待って境界確定訴訟を続けられるというようなこともあり得るだろうということで、裁判所の方とはその点について今後十分御協議をさせていただきたいというふうに思っております。

井上(信)委員 ぜひ裁判所との協議というものをしっかりやっていただいて、そして、これからこの法案が成立すれば運用の話になるわけですから、大いにPRをして大勢の地権者に活用してもらいたいというふうに思っております。

 ただ、本当にたくさん活用されれば、今度は行政側の体制、対応は十分なのかという問題が出てくるというふうに思っております。先週も土地家屋調査士会さんの方からは、しっかり登記官の育成に予算をかけるべきだというような御意見もありました。私も、法務局単位で一人か二人配置するというようなお話を伺っていますので、それで本当に足りるのかなということを懸念しております。この体制が十分だと考えているかどうか、その点について御意見を伺いたいと思います。

寺田政府参考人 この手続の最終的な責任者というのは、この改正案に示されておりますとおり、筆界特定登記官というものでございまして、それは全国の五十局に現在のところは一人ずつ配置するというつもりでおります。もちろん、今後、この手続が非常に頻繁に利用される、数多く利用されるということになりましたら、その体制を強化したいと考えております。

 しかし、他方で、この手続について、法務局の職員が現地の測量のお手伝いをいたしましたり、いろいろな形で協力をするということになっております。その面では、決して筆界特定登記官だけが法務局でこの手続にかかわるというわけではありません。

 一方、能力の問題でございますが、登記の中で大きく分けまして、権利の登記と表示の登記ということで二つ分かれておりまして、表示の登記は昭和三十五年に確立された制度でございますが、かつての法務局の中では、なかなか表示の登記の専門家というのはおりませんでした。そこで、私ども、かねてから測量の専門学校に半年、数十名の職員を毎年派遣いたしまして、この面での、測量を含めた表示登記での技術的な訓練の実施を行い、能力の向上に努めてきたわけであります。

 これは今日では千名以上の者がこれにかかわっているわけでありまして、全国で表示登記専門官と言われる者が全体で二百五十名程度おりますが、その中の相当部分がこれらの測量技術を現に会得して、かつ、実際に境界の確定等の実務に携わった経験を有する者ということで、今日では相当体制は強化されてきているというわけでございますが、この手続もできました以上は、なおこの方面での能力向上に一層努めて、表示登記の強化、人的な体制の充実強化に努めてまいりたい、このように考えております。

井上(信)委員 おっしゃるとおり、とにかく登記官の質、そして量ともにしっかり充実させていかなければいけないということで、むしろその予算獲得は我々がしなければいけない話かもしれませんけれども、これはやはりしっかりやってまいりたいなというふうに思っております。

 それから、先週の参考人質疑の中でも、これも皆さん方共通しておっしゃっておられたことでありますけれども、そもそもこの筆界特定制度の前に、やはり地図整備をしっかりやっていかなければいけないんじゃないか、こういうお話があると思うんです。今、四六%だけ地図整備が行われているということであって、本来はやはり、この日本の国の土地のあり方、これをしっかり表示しておく、一〇〇%できていて本来当たり前じゃないかなというふうに思うことであります。これはもう国家の重要なインフラでありプラットホームでありますから、それをやはりしっかりやっていくべきだと非常に強く思っております。

 ですから、この地図整備、これに対する今後の取り組みの決意を、大臣の方からぜひよろしくお願いしたいと思います。

南野国務大臣 本当に御指摘のとおりだと思っております。

 地図は不動産の権利変動を公示する不動産登記制度の基本をなすものであると思っておりますし、その整備の重要性については、法務省としても十分認識いたしているところでございます。これからも着実に整備を進めてまいりたいというふうに思っているところであります。

 また、このような地図整備の重要性にかんがみまして、法務局としましては、独自に地図を作成するとともに、国土調査法に基づきまして地籍調査に積極的に協力するなど、地図の整備の推進に努めているところでございます。今後ともこのような地図整備の方策を積極的に推進してまいりたいと思っておりますので、よろしくまたお願いいたします。

井上(信)委員 ありがとうございました。

 地図整備に関して、いわゆる地籍調査、国土交通省がやっている地籍調査と、そして法務省がやっている十七条地図の作成ということで、これについて、一般の方が聞くと、その違いがよくわからない、いわゆる役所の縦割りなんじゃないかなという印象を持つと思うんですね。

 しかも、地籍調査の方は、しっかりやっていくということで、来年度予算も二百三十七億円ということでかなりの額がついているんですけれども、法務省の方は相変わらず六億円程度ということで、大変少ないんじゃないかなというふうに思っております。

 そういう意味では、法務局の備えつけ地図ということであれば、これは一義的には本来法務省がやるべきものだと私は考えておりますので、その辺のところをどのように考えるのか、そしてまた、縦割りだというふうに言われないように、国土交通省とどのような連携をとっていくのかについて、改めてまた大臣から見解を伺いたいと思います。お願いいたします。

南野国務大臣 本当に先生の御指摘のとおりだと思いますが、平成十五年六月、内閣に設置されました都市再生本部から示されました民活と各省連携による地籍整備の推進、この方針につきまして、都市再生のための施策を強力に進める前提といたしまして、法務省と国土交通省とが協力いたしまして、都市部の登記所備えつけ地図の整備を積極的に推進するというものでございます。

 この方針の中には、法務局みずからが行う地図の作成作業、それは都市部の地図混乱地域でありまして、特に緊急性及び優先度の高い地域を実施し、そのほかについては国土調査法に基づく地籍調査によって整備することとされておりまして、これにより役割分担と連携が図られているというところでございます。

 なお、法務省といたしましては、法務局におきまして地籍調査に積極的に協力するとするほか、登記所に備えつけられております地積測量図を活用しまして、地籍調査素図といいますか、それの作成についても積極的に協力していくことといたしております。

 まだまだ田舎の方にいくと時間がかかるのかなと思っておりますし、私の住所もまだまだ先の方でないと地図ができないのではないかなと思っております。

井上(信)委員 ありがとうございました。

 私も、東京選出であるんですけれども、東京の中では最も地方色濃いところでありますので、都市部の地図整備が全然進んでいなくて、うちの地元も本当に大変な思いをしております。ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 それと、あと、先週、参考人質疑を伺っていて非常に気になった点でありますけれども、弁護士さん、司法書士さん、土地家屋調査士さん、この役割分担というものがちょっと不明確じゃないかなというものを非常に強く感じました。これはそもそもこの筆界特定制度に限った話ではないのかもしれませんけれども、やはりそれぞれの専門技能に応じて、それが国民のためになる役割分担をしっかりしていってこの制度全体を支えていただくというのが筋だと思います。

 そうした中で、特に御意見があった、例えば土地家屋調査士会さんからは、測量の能力を伴わない、法務局備えつけの地図作成にかかわらない司法書士の手続参加に驚いているとか、そういったような意見もありました。ですから、そういったような役割分担についてどういった考えでどのような整理をされたのか、ここを改めて伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

寺田政府参考人 大変重要な御指摘です。

 と申しますのは、この手続の本質が何かということは先ほども御説明申し上げましたが、一方では表示登記の延長上にあります処分、これは裁判所の境界確定ですら、本質的には裁判の中の非常に非訟的な性格が強いものでありまして、行政処分性になじむ手続であります。しかし、他方では、先ほども、これもまた御指摘申し上げましたけれども、実際には日本の全国で境界を確定してほしいというニーズがあるというのは、基本的にはやはり紛争性のあるところでございます。したがいまして、その両者をいわばミックスしたような形が、この制度の底には本質的な性格としてあると言わざるを得ないわけであります。

 そこで、この手続も、表示登記の専門家であります土地家屋調査士の皆さんと、それから紛争解決の専門家であられます弁護士さん、それから簡易裁判所でそういうことを、特に境界確定訴訟を含めて認められている認定司法書士の皆さん、こういう方々が代理をすることができるわけでありますし、またこれらの方々の中で非常に専門性が高い方々は、これはこれらの方々に限りませんけれども、この手続にいわば調査委員側として参加していただくわけでありまして、そういう意味で、皆さんがそれぞれの役割、それぞれの専門的特性を生かしてこの手続に参加していただく、これが基本的な発想でございます。

 確かに、一部の司法書士の皆さん、あるいは弁護士の皆さんもそうでありましょうけれども、測量ということに対して必ずしも御理解がないことはそのとおりかと思いますけれども、しかし、現在の境界確定訴訟においてもそのようなことはあるわけでありますし、そのようなこと、つまり測量そのものの技術というものがもし足りないというのであれば、それを何らかの形で補った上で訴訟をされるというのが通例でございますので、これらの方々がおよそ参加してはならないということではやはりないのではないかなというふうに考えたわけでございます。

井上(信)委員 とにかく、専門家の方々がしっかり納得できるような役割分担ということでしっかり制度をつくっていただいて、そして実際の運用に当たっては、やはりそれらの方々が協調してやってもらわなければ、これはもう利用者の国民が困るわけですから、そこのところを考えていただきたいというふうに思っております。

 それから、最後になりますけれども、費用負担の話、これについても御意見がありました。

 先ほどから申し上げているとおり、いわば私的な所有権界の話であれば、これは申請人の方が負担するというのはよくわかるんですけれども、他方で公的な筆界特定といったような性格も持っているわけですから、そうなってきますと、ある程度公的負担が必要なのではないだろうか、こういった意見もあるわけであります。特に、弁護士会さんからは、そういった費用負担に関する規定が明確でない、あるいは今後省令にゆだねられている部分があるので、そこについてはしっかり協議させてほしいといったような御意見もありました。

 ですから、ここのところをやはりこれから考えていただきたいと思いますけれども、その点について見解をお願いいたします。

寺田政府参考人 これもおっしゃるとおり、この手続の性格からいいまして、基本的には公の部分、つまり国ないし公的機関の側で調査をして進めていかなきゃならない部分が本来的にはゼロではないだろうというふうには考えております。しかし、他方、紛争性のある事案の解決という意味では、やはり境界確定訴訟と同様に当事者に御負担をいただかなきゃならない部分もあるわけでありまして、当事者の方々には、まことに恐縮ではございますけれども、必要最小限の御負担はいただくということでお願いをいたしたいと思います。

 なお、先ほど、弁護士会の方から、この手続の中で、省令で定める部分を含めまして、やや費用の負担についてあいまいな点があるという御指摘があったとのことでございますけれども、当然のことながら、今後、費用の点に限らず、運用というのは相当に、これを担っていかれる専門家の方々の御協力なしにはできませんので、さまざまな面において十分な御協議をさせていただきたいというふうに考えております。

井上(信)委員 大変ありがとうございました。

 最後に、とにかくこの日本の国あるいは日本人というものは、昔から土地神話ということも言われております、土地の資産価値が非常に高い、あるいは自分の生まれ育った土地というものに非常な愛着を持っているわけですね。ですから、土地に対する愛着あるいは執着、こういったものに対して、やはり非常に繊細な対応をしていかなければいけないと思うんですね。

 ですから、この筆界特定制度、この運用次第によっては、本当にこれがどういうふうに、いい方向に転がっていくのか、あるいはまた余計な混乱をもたらしてしまうおそれもないとは言えませんから、そういった日本人の、我々の気持ちの特性に合わせたような、ぜひそれを考えていただいて、今後の運用についても配慮をいただきたい、そのように思います。どうもありがとうございました。

塩崎委員長 次に、漆原良夫君。

漆原委員 おはようございます。公明党の漆原でございます。

 まず最初に、この不動産登記法等の一部改正について、まず大臣に御質問させていただきます。

 今回の法改正は、不動産登記法を改正して新たに登記官が申請に基づいて筆界を特定する、こういう制度を設けるものではございますが、提案理由によれば、この制度は、土地の筆界の迅速かつ適正な特定を図り、筆界をめぐる紛争の解決に資する、こうされております。登記所の備えつけの地図を整備するためには筆界未定地の解消が重要な課題であると考えておりますが、今回提出された法案の理解として、新たな筆界特定の制度はこのような地図の整備にも役立つ制度であると考えてよろしいかどうか、大臣にお伺いします。

南野国務大臣 現在行われております地籍調査や登記所備えつけ地図の作成作業におきましては、土地の筆界の認定は隣接する土地の所有者の確認を得て行う取り扱いとなっておりますが、確認が得られませんときにはやはり筆界未定地となる、今先生がおっしゃったとおりでございます。

 新たな筆界特定制度は、筆界につきまして争いがある場合でも、一方の土地の所有権の登記名義人が申請いたしますれば、他方の土地の所有者の同意の有無にかかわらず、筆界特定登記官におきまして筆界を特定することを可能とするものでございますので、筆界未定地を解消するための手段として、地図の整備に役立つものとも考えております。

漆原委員 新しい制度で筆界特定というこの筆界という言葉ですね。なかなか耳なれない言葉でございまして、まず読み方、ヒッカイと読むのかヒツカイと読むのか、この正しい読み方をまず教えてもらいたい。それから、今まで境界確定という制度があった。なぜ今回筆界特定という制度を設けられたのか。二つあわせてお尋ねしたいと思います。

寺田政府参考人 まず、この読み方の問題でございますが、これは非常に難しいところでございまして、かつてシャクヤなのかシャッカなのかということで委員会でもお尋ねがございまして、それは委員会なりの理解としてシャクヤとするというふうにお決めになったこともございました。私どもも特に、このヒッカイないしはヒツカイを、どちらでお読みいただいても差し支えございませんが、私は関東でございますので、仮にヒッカイと読ませていただきます。

 この筆界でございますが、もともと土地の境というものにはいろいろな性格がございますけれども、所有権の境と、筆、公的な、例えば税務でもって一つの単位として扱うものの境というのは、かつては未分化でございまして、いわば占有している境と、それを所有しているという権利の境とそれを公的にどう扱うかということの境とが概念的には一致していたというふうに思われます。

 しかし、その後、私的経済が随分発達いたしまして、明治以後、日本も随分この面において土地の取引が盛んになってきたわけでありますが、その際に、税務上の扱いあるいはその他公的な事務の扱いということと切り離されて、所有の範囲の境というものが概念されるようになりまして、これは具体的には、例えば占有を長く続けていて取得時効が起きますと、最高裁の扱いでは、必ずしも公的な境ということとは無関係にその取得時効が成り立つということでございますので、その場面でこのずれが生じるわけでありますし、一筆の土地の一部を売っていいか悪いかということになりますと、これも別にそれは許されるというのが今日の扱いでございますので、いろいろなことでずれが生じたわけでございます。

 それを特に意識的にここで扱うということになりますと、やはり従前の土地の所有権をも意味する境界ということとは別に筆界ということで概念を立てざるを得なかったわけでありまして、したがって、逆に申しますと、この筆界の決定ということは、所有権の範囲の問題については何ら影響を基本的には与えないという考え方でできているわけでございます。

漆原委員 もう一度確認したいと思うんですが、今おっしゃったように、境界、筆界をめぐる争いというのは、所有権と密接に関連して今まで紛争が起きておりました。例えば、境界確定訴訟を起こしている最中でも所有権確認の訴えを追加して起こしたり、あるいは和解をして所有権を確認したり、いろいろなことをやってきましたけれども、今回新たな筆界特定の制度では、今おっしゃった所有権の問題については判断の対象としないというふうにされておりますが、その理由についてもう一度明確にお答え願いたいと思います。

寺田政府参考人 これは、境界確定訴訟、今おっしゃられていましたように、所有権の問題そのものをめぐって争われることが結構あるわけでございますけれども、しかし、形の上では、公的筆界、つまり公的なものとしての土地の範囲が決まれば、後は紛争は解決されるということも実際にはあるわけであります。そういうニーズをここでは取り上げているわけであります。

 逆に申しますと、ここであえて所有権の争いを行わないというのは、先ほども申し上げましたとおり、行政的な性格を持つものでございますので、本質的な個人の権利というものをこの手続でもって処分するということとは切り離して考える、そういうニーズがあるからこういう手続をあえて設けた、こういうことになるわけでございます。

漆原委員 筆界特定は、所有権については直接判断するものではないとしても、社会的には密接に関連していることは事実でございますが、このように所有権の範囲に事実上重大な影響を及ぼすことを考えると、この筆界特定の手続、これも境界確定訴訟と同じような手続保障を与えるべきではないのかというふうな考えもあるわけですが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

寺田政府参考人 これは、おっしゃるとおり、既にある事実を公的機関が発見して認定するということでありますと、さほどの手続保障は必要ないわけでありますが、今まさに委員が御指摘のとおり、この問題は、形の上では今申し上げたようなことではございますけれども、実際には、私人の側からすると、相当に深刻な問題ととらえられる余地が十分にあるわけでございます。

 そこで、通常の行政処分以上に相手方の立場というものを重んじまして、相手方の関係人の参加を求めるというような形で手続保障を加えている。本来ならば、登記官が事実を認定するということでも構わないという考え方もあり得るわけであります、形式的な効力からいいますと。しかし、あえてそういう手続保障を一定程度与えたわけでございます。

漆原委員 この筆界特定の制度を見てみますと、非常に職権主義的な構造になっていると思います。筆界特定登記官に、ある意味では裁判官と同じように筆界を特定するという権限を与えているわけです。筆界特定書の効力は境界確定訴訟の判決には劣ることとされているものの、審査の過程で職権主義を採用しておりますから、そういう意味では、審査の過程では裁判官よりも強い権限があるかなというふうにも思います。

 そこで質問ですが、百二十五条、筆界特定登記官は「登記官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者」、こういうふうに規定されておりますが、従来、登記官は登記手続についての形式的な審査権だけしか持たない、実質的な審査権を持たないというふうに考えられておりますが、このような登記官に、国民の所有権の範囲に事実上重大な影響を及ぼすことになる筆界特定の権限を与える根拠というのは一体何なんでしょうか。

寺田政府参考人 これを所有権そのものの処分というようにとらえますと、御指摘のとおり、なぜ一介の行政官が本質的には司法でもしかるべき手続を行えるのかという問題になるわけであります。

 しかし、先ほども申し上げましたように、事実上は非常に重要な影響を与える場面がないわけではありませんけれども、本質的には、この手続というのは、行政官が事実を確認して、しかし、それを最終的に登記に反映するということでございますので、言ってみれば、司法の与えられる役割と純粋にそこら辺で行われております行政の役割の中間にあるというふうに考えられるわけであります。

 したがいまして、私ども、この問題をどういう形で最終的に判断するかということでございますが、一方では専門的知識が必要ですので、調査委員のような方の判断を実質的に尊重して行えるような手続にいたしましたし、最終的には、全国の登記官の表示の担当者のいわば頂点に立ちます統括クラスを、この手続を担当する登記官というふうに扱ったわけでございます。

 ちなみに、登記官は、本来の行政官と違いまして独立性を持って職務に当たるということで、したがいまして、通常と違いまして登記官という官名を与えられている、このように考えております。

漆原委員 筆界に争いのある当事者にとってみれば、自分の主張する筆界が正しいのか、相手方の主張する筆界が正しいのかによって、これは、これがおれの範囲だというのと、動いちゃうというのでは、事実上所有権に結果的に深くかかわってくるというふうに思うんです。したがって、両当事者にとってみれば、自分の主張する筆界がどう判断されるかということは非常に大きな問題点になろうかと思うんですね。

 現在、境界確定訴訟制度がある。さらに、土地家屋調査士会、日弁連で進めているADRがある。それに加えて、さらにこの制度をつくって、登記官に判断をさせるという制度をつくるわけですから、やはり登記官には相当の大きな権限が与えられたなというふうに私は思っております。その意味で、この登記官の資質、それから資格要件とか、あるいは能力の担保をどうするのか、非常に大きな要素になってくると思うんですが、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。

寺田政府参考人 おっしゃるとおり、非常に責任の重い仕事をすることになるわけであります。

 法律の規定においても、通常ですと裁判官に見られるような除斥の規定ですとか、そういう中立性を維持するための担保が示されているわけでございますが、能力の面においても、先ほど申しましたように、測量技術を初めといたしまして、表示登記の中のとりわけ難しい部分であります境界の確定について、これを実際に行えるような体制を組まなければなりません。

 私ども、今日では、先ほど申しましたような経緯からして相当実績を上げてきて、これまで登記所がそれの備えつけ地図を作成するについて指導的な立場にあった人、これが現在の表示登記のトップに立っているというふうに理解はいたしておりますけれども、なお一層この面については十分な配慮をして、今後、能力の向上ということが怠れないような体制、これを組むように努力したい、こんなぐあいに考えております。

漆原委員 ぜひとも、能力の担保についてはしっかりと確保してもらいたいと思います。

 もう一つは、百四十条で、意見聴取等の期日、筆界登記官は、関係者を呼んで意見を求め、資料の提出を求める、こういう条文になっておるんですが、この意見聴取等の期日の審査、裁判じゃありませんから、審査と呼んでいいのかどうか知りませんけれども、仮に今審査と呼ぶ。この審査が両当事者にとって十分機能するようなものでなければ、最終的な決定が出ても両当事者は納得しないというふうに思います。

 そう考えてみますと、裁判手続であれば、証拠調べ期日とか証拠調べの仕方とか、いろいろな手続が書いてあるんですが、その観点で見ると、この百四十条というのは非常にあいまいだなというふうに私は思うんです。

 特に、この意見聴取の期日というのは、公開なのか非公開なのかよくわからない。また、相反する当事者に反対尋問権を認めているのかどうかもよくわからない。あるいは、申請人あるいは被申請人の方から自分に有利な証人を呼ぶという手続ができるのかどうかも明確ではない。この辺を十分に明確にしておかないと、また十分に審査の過程でこういう作業が認められないと、出てきた決定にも両当事者は納得できないのではないかなと思うんですが、この辺の審査の手続は一体どうなっているんでしょうか。

寺田政府参考人 法律上は、今御指摘のありました百四十条でございまして、基本的には、行政手続で、非公開で、当事者の立ち会い権というような権利の形では書いてございません。

 ただ、三項にございますとおり、筆界調査委員がこれにかわって質問をするというようなことが考えられているわけでございますが、ただ、実態といたしまして、私どもも、この手続をつくります際に、基本的には、この手続がなぜ現在のような事実の確認の証明力を与えるというものにとどまったかといいますと、この手続が果たして、この関係する方々、あるいは広く言えば国民一般の方々にどういう手続として受けとられるかということにおいて、やはり実績が大事だろうというふうに考えたからであります。

 いきなり行政処分にいくよりは、やはりこういう形での手続をとって、実績を積んだ上で、それの社会的な評価というものが高まって利用がされる、その上でこの手続の意味が出てくるのではないかなというふうに考えたわけでございますので、そういう意味では、これを申請なさる方、それから申請の相手方にとって納得のいく手続がとられるということが非常に重要であります。

 したがいまして、法律の上では、筆界特定の手続の上において権利という形では書いてございませんけれども、さまざまな運用上の工夫というようなことで当事者の御納得が得られるような形をとりたい、このように考えております。

漆原委員 今局長がおっしゃったことは、今後の運用にゆだねられるということになるんだろうと思うんですが、非公開であるという点ははっきりしました。

 その他の点、当事者による、あるいは当事者の代理人による反対尋問というのができるのかどうか、あるいはみずから証人を呼ぶことができるのかどうか、この辺はいかがでしょうか。

寺田政府参考人 これは、裁判でいう意味での反対尋問権ですとかあるいは証人申請権という形では規定しておりませんが、これまでも、筆界のトラブルがありますと、そこでいろいろな形での解決があるわけでありますけれども、その解決において、やはり関係人の意見が十分に聞かれないと、実態的には、当事者の納得、とりわけ両当事者の納得という意味では得られないわけであります。

 したがいまして、当然、そういう意味での手続的な必要な調査の一環としての資料の収集、これは、今おっしゃられたように、関係者の、とりわけ事情をよく知っている方の意見を聞くということもそうでありますけれども、そういうことには配慮がなされるべきものだろうというふうに考えております。

漆原委員 家庭裁判所の少年事件をやりますと、同じような職権主義的構造ということから見ると、付添人、弁護士がいるんですけれども、まず、裁判官がずっとこれを聞くわけですね。必要なことを全部先にお聞きになる。お聞きになった後に、双方の弁護士に、付添人に何か補充で聞くことはあるかという感じでお尋ねになるんですが、そこのところを丁寧にやっていただいているものだから、家裁の場合は皆さん納得していただいていると思うんですけれども、この筆界登記官も同じように、できるだけ丁寧にやっていただいて、双方の主張が十分にそこで審査が尽くせるような内容にぜひともしていただきたいというふうに考えます。

 それから、法十四条の第一項は、登記所備えつけ地図を規定しておるわけでございますけれども、この制度整備が、先ほど大臣がおっしゃいました、なかなか進んでおらない。

 そこで、従来のような訴訟による紛争解決方式によるんじゃなくて、むしろ行政処分方式に変更することによってこの整備を一気に進めるべきだという考えがあって、そのために、筆界特定には行政処分としての効力を認めるべきではないかという議論があったと思いますが、この点について、あえて行政処分としての法的効果を与えない制度とした理由について、お尋ねいたします。

寺田政府参考人 確かに、委員の御指摘になられましたとおり、この手続をいわば登記官の行政処分と構成いたしまして、これに対する不服申し立てを行政訴訟によって争わせ、最終的には行政訴訟で決着するという考え方もあり得るわけでございますし、現にあったわけであります。

 しかしながら、先ほども御説明申し上げましたとおり、行政訴訟ということになりますと、一たん引きました境界、筆界というものを最終的に取り消されるということがあり得るわけであります。正しい筆界が両方の当事者の真ん中のどこかの線だというふうにいたしますと、その線にぴったり当てはまるまで何回も行政処分を繰り返し、行政訴訟を行いというぐるぐる回りが生じてしまうわけであります。これはいかにも不効率であるというところから、やはり今回は行政処分ということは断念せざるを得ないのではないかというわけであります。

 また、行政処分と構成いたしまして、これを職権でも行えるということも十分あり得るわけでありますけれども、そういたしますと、現在は一定の秩序を保っている、紛争性が潜在的にあっても保っているものにあえて公の側から紛争性を持ち込んでしまうという危険もないわけではありません。そのような考慮から、行政処分ということを今回は見送ったわけであります。

 ただ、私ども、最終的に考えますと、冒頭にも申し上げましたとおり、この筆界を決めるという作用は、行政作用であるというふうに性質上は思っております。したがいまして、条件が整えば、また行政処分というものも十分検討に値するのではないかなというふうに考えております。

漆原委員 次に最高裁判所にお尋ねしたいんですが、今回の制度、筆界特定制度、それから、従来と同じように境界確定訴訟、二つの制度、お互いが関連なく併存しているわけですね。最高裁は、このような併存する状態、また新たな筆界特定制度をどのように評価されているか、お尋ねします。

高橋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 最高裁判所といたしましては、筆界特定制度を創設することについて、あれこれ評価を述べる立場にないということを御理解いただきたいと思います。

 もっとも、筆界特定制度が、筆界に関する紛争を簡易迅速に解決する制度として十分にその機能を果たすことになれば、訴訟によらないで、早期に紛争が解決されることが期待されるわけでございます。

 また、筆界特定手続の後に、その筆界につき、境界確定訴訟で争われることになったといたしましても、筆界特定手続は公的機関によるものでございまして、また、調査に際し、現地に赴いて関係者の言い分を十分に聞いて、慎重な調査を経た上で行うということも予定されているようでございますから、訴訟におきまして、その手続で用いられた図面等の資料を活用することによって、審理の効率化が相当程度図られるということが十分期待できるように思われます。

 特に、現地復元性のある共通図面が作成されるということが期待されます。つまり、一枚の図面で双方の主張する境界を書いた図面、これが、信頼性のある図面が訴訟の冒頭から出ますと、これはとても審理に役に立つというふうに考えております。

漆原委員 もう一つ最高裁にお尋ねしたいんですが、登記との関連性でございますけれども、境界確定訴訟は裁判所、登記事務というのは法務省、お互いに別々のところでやっているわけでございまして、現行制度では連携が図られていないわけですね。

 ただ、特に、新たな制度においては、境界確定訴訟に係る判決が確定した場合には、筆界特定の結果に優先するということになっております。

 例えば、境界確定訴訟の判決が確定した場合には、裁判所から法務省にその内容を通知するとか、あるいは法務局と裁判所とで定期的に情報交換の場を設けるといった運用上の工夫をすることによって、境界確定訴訟の結果を登記所側がきちっと把握することができるようにすることが重要ではないかというふうに考えておりますが、この点について最高裁はどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。

高橋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、境界確定訴訟の判決は筆界特定の結果に優先いたしますので、登記所側において境界確定訴訟の結果を把握することは非常に重要であると認識しております。

 その方法といたしましては、境界確定訴訟で争われるようなケースは、通常、訴訟で勝訴した当事者が訴訟の結果を登記手続に反映させるべく登記所に対して地図訂正等の申し立てをすることが期待できるところでございますから、登記所がこれにより訴訟の結果を把握することが十分可能と思われます。また、登記所から裁判所に照会がございますれば、裁判所といたしましては、その結果を回答することになります。

 このように、基本的には当事者から登記所に対して訴訟の結果に従った地図訂正の申し立てがされることによって訴訟の結果を登記に反映することが期待できるところでございますが、裁判所が当事者の頭越しに登記所に対して訴訟の結果を通知する必要性の有無でありますとか、そのような運用がよいのかということにつきましては、慎重に検討をさせていただく予定でございます。

漆原委員 最後に法務大臣にお尋ねしたいと思いますが、司法書士及び土地家屋調査士の将来の権限の拡大について大臣はどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。

南野国務大臣 先生のお尋ねでございます、司法書士及び土地家屋調査士といった専門家の活用は、登記制度の充実発展にとりまして不可欠であろうと思っております。また、これらの専門家がそれぞれの専門的な特性を生かしまして国民の権利利益保護に新たな役割を果たすことが重要であろうかと思っております。権限の拡大につきましては、その実績を十分に踏まえながら検討する必要があると考えております。

 今回の筆界特定制度の導入を契機といたしまして、専門的知識と豊富な経験を有するこれらの資格者の活躍の場が今後ますます広がっていくことを期待しているところでございます。

漆原委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。

塩崎委員長 次に、山内おさむ君。

山内委員 民主党の山内おさむでございます。

 土地の筆界とか境界の特定というのは非常に大切な問題だと思っておりまして、私が今から二十五年前に熊本の裁判所にいたころに、荒尾市と大牟田市が土地の争いをしておりました。荒尾市と大牟田市というのは、一つの町を、その真ん中辺ぐらいを境にしているという形になっていたんですけれども、双方が、ある三角形になった土地を自分の方の市の所有だ、境界だというふうに争っていた事件だったんです。その三角形の線のどちらを市の境とするかによって、人口とか市の規模が問われることはもちろんなんですけれども、各種の保険あるいは固定資産税、すべて影響してくるわけなんですよ。双方の市長さんが証言台に立ちまして、双方がどっちもに有利な線を主張されたわけなんですよ。そういうような事件に昔から関係していたものですから、土地の境界の問題については、関心を持っていた論点の一つなんです。

 そうやって、自治体同士の境界争いについてはもちろんですけれども、これが国となると、やはりこれは国際紛争にもなってくる事件だと思うんですね。北方領土の問題がそうですし、それから大臣の隣の県が所有していると言われる尖閣諸島、これもまさに今中国との間でどっちの国土であるかということが争われておりますよね。

 私の選挙区の隣の竹島が、やはり領有権が争われているんです。二月二十二日を竹島の日と定める、そしてその竹島の日を中心にして県民挙げて領有権を主張する運動をしていこう、先日、そういう条例を島根県議会が制定をしました。

 従来、日本が主張しているように、歴史的にも国際法的にも竹島は日本の領土であると主張されているわけですから、島根県議会のこういう動きというのは私は理解をしておりますが、大臣は、この先日来の問題についてどういう御認識でしょうか。

南野国務大臣 お答えいたします。

 熊本の件は、私、熊本にもちょっと住んでいたことがあったんですが、それはちょっと知りませんでした。

 今の竹島の件でございますが、心は一緒かなと思いますけれども、竹島を県の区域とする島根県の方々と、その隣の県におられる先生方、これは、それに関連する方々には、本当にお気持ちはよく理解できるところでございます。

 ただ、外務大臣が談話で述べておられますとおり、韓国との関係につきましては、その歴史を厳粛に受けとめる必要があるということが双方にございます。日韓友情年を迎えまして、ますますお互いの理解と友好を深めていかなければいけないと考えているところでもございます。この日韓友好を基本に解決されていくことを期待いたしております。

山内委員 竹島の周辺というのは随分昔から魚が多くとれる地域だったんですね。ところが、そこの領有権の問題がもめているものですから、そこの竹島の周囲を暫定水域という形で、いわば、一つの解決方法かもしれませんが、やはりあいまいなまま残しているわけなんです。

 その暫定水域の中で、では、日本の漁船が一生懸命漁業に入っていけているかというと、これが全くそういう状況になくて、やはり竹島に韓国の警察の警備隊、外国の仕組みはちょっとよくわからないんですけれども、どうも警察の下部組織の警備隊のようなんですが、そういう軍事力を持った存在がいるということ。それから、例えば、漁業をしている日本のカニかごの網とか、それからイカ、イワシをとる網、そういうものが韓国の漁船に切られたりしているんですね。事実上、暫定水域の中で主にズワイガニの漁がもうできない状態になっている。しかも、水産資源を保護するために日本は二カ月間の禁漁区を置いているんです、七月、八月と。ところが、韓国はやっと一カ月間の禁漁区だけ認めてくれていまして、ですから、日本の漁船が一カ月間入らない間にももうちっちゃい魚から資源をいっぱい韓国はとっているんですよ。

 それで、政府がこの問題について無関心なんですね。つまり、そういう禁漁区の問題とか、漁獲量を双方が適正な量をとっていきましょうというような話し合い、そういうものを民間の団体に任せているんですよ。民間の団体に任せていて、民間同士で話し合いも十分にできない。民間の漁業団体は日本政府に、それは政府間交渉でやるべき問題じゃないかと言っても、全然政府が動かれないんですよ。地元の漁業者にとってはもう不満がいっぱいたまって、そして島根県議会を動かして竹島の日の制定ということになったんですが、こういう政府の対応については、大臣、どういうふうに思われますか。

南野国務大臣 政府の対応といいましても、これは大変難しいことであり、真摯な受けとめ方をしているというふうには存じておりますが、日韓暫定水域におきます漁業の問題につきましては、法務省の所管ではございませんので、これに対する意見は差し控えさせていただきたいと思いますが、あえて自分の立場を、政治家としての答えであるならば、先ほど御答弁したとおり、日韓友好を基本に解決されることを期待いたしておりますということを申し上げます。

山内委員 友好とか経済交流とか文化団体の行き来というのはもうずっとこの間あっているんですね。それで全く解決をしていないんですよ。島根県議会の超党派の議員さん、これは自民党も民主党も公明党も入っている超党派の議員連盟です。その人たちはこれから積極的に政府に対して動いていただこうという動きをしてくるんです。

 例えば、竹島の問題について、閣僚の一人として、政府の中に竹島問題を考えていこうという組織をつくっていこう、そういうような考えは政府の中で話は出ているんですか、出ていないんですか。

南野国務大臣 今のところは特別に、特化した形での対応というのは、水面下ではされているかもわかりませんが、表にはあらわれていないというのが現状かなとは思っております。

山内委員 それでは、もう一つ。私は特別に北海道選出の議員の方々とけんかする考えはないんですけれども、北方領土は私に言わせると恵まれているんですね。なぜかといえば、北方領土の日というのは閣議が決めておられるんですよ。二月の七日。百五十年前にもう日本の領土になったんだということで、百五十年前の二月の七日の日露条約の日をしっかりと閣議で北方領土の日と決めているんですね。非常にうらやましいと思います。

 もう一つうらやましいのは、政府で予算をつけておられるんですね。北方領土返還の運動に十億以上つけておられるんですよ。それに比べて、竹島というのは何もないんですね。

 政府で竹島の日を決めていこう、そういうような動きを法務大臣の方から閣僚の一人としてとられる考えはないんでしょうか。

南野国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、所管大臣ではないというところで、ちょっと本日はお答えを差し控えさせていただきますが、日本では、先ほど申しました暫定水域も含めた両国の関係水域の資源の管理が行われるよう、このことについては政府間協議を働きかけているところであるというふうには申し上げておこうと思っております。

山内委員 こういう要望もあるんです。韓国との間で領有権が争われているわけだから、もうそろそろ国際司法裁判所に提訴をして法的にきちんと解決をしないと、これからまた文化交流によって何かいい時期を見つけて解決ができるんじゃないかというのは難しいと私は思うんですよ。

 韓国を説得して国際司法裁判所に一緒に行って、世界から、世界の目で判断をしてもらおうという動き、これを閣僚の一人としてとっていただくというわけにはいきませんか。

南野国務大臣 閣僚はたくさんおられますので、そういうお話もいずれ出てくるのかなとは思いますけれども、私といたしましては、所管ではありませんが、この問題につきましては本当に大切な課題であると思っております。日韓友好を基本に解決されることを期待いたしております。

山内委員 ですから、日韓の友好を基本にという理念はもうそのとおりなんですけれども、それは積極的に動きをしないでどこかから何かの流れが出てくるというわけじゃないんですよね。

 最近の動きを見ても、例えばスポーツ少年団などが野球とかサッカーとかの交流で、今割といい時期なんですね、春休みで。子供たちが両国を行き来し合って友好親善を深めよう、そういう動きもキャンセルが続いているわけです。

 特に、例えば鳥取県とか島根県の市とか町村は韓国や北朝鮮と姉妹都市を結んでいるんですね。例えば鳥取市は清州市と姉妹都市を結んでいるんですが、鳥取市の皆さん、島根県議会の動きについて抗議をしてくれなければ姉妹都市を破棄しますというような書面が清州市から鳥取市に来ているんです。多分こういう事例はほかの市町村でもあると思うんですよ。

 ですから、こういう事態を時期が解決してくれるんじゃないかみたいな状態で放置されていることは、やはりちょっともう限界だと私は思っています。

 もう一つ悩ましい問題があるんですが、韓国の警備隊が常駐していますね。これは我が国の領土に対しての不法占拠ですよね。しかも、一般の観光客をこれからは竹島に毎回百五十人ぐらいの規模で渡航することを自由に認めると韓国政府が表明しているんです。そういうことについても大臣として見識を持っていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。

南野国務大臣 韓国の政府が竹島訪問を自由化するという方針を打ち出したり姉妹都市を解消するというようなことも私は仄聞いたしておりますが、本当にそういうことは遺憾なことだと思っております。

 この問題につきましても、今大変厳しい状況でありまして、日韓友好を基本に解決されることを期待したいと思っておりますが、先生のおっしゃるお気持ち、心は私の心と一緒でありますということも申し添えさせていただきます。

山内委員 北方領土返還要求国民会議の支部が全都道府県にあるわけですよね。それと比べて、本当に、今まで政府が何もしてこられなかったなという思いが強いんです。島根県議会の皆さんの考えは、こういう竹島の日を制定して、国際紛争、特に韓国との対立をあおろうとしているわけじゃないんですよ。どちらかといえば、日本の政府が今まで竹島の問題についてきちんとした対応をしてこられなかった、その日本政府に対して我慢ならないという表明なんですね。ぜひ、閣僚の一人として大臣に、この竹島の問題、いい刺激を与えてくれた事件だと思いますので、やはりそれを糧に一つ前進をするという気構えでやっていただきたいと思っております。

 ところで、大臣は、第二次世界大戦中に日本軍が慰安所を設けて、韓国、北朝鮮の人たちを従軍慰安婦として徴用したという、その従軍慰安婦問題についてはどういう御認識を持っておられるんでしょうか。

南野国務大臣 これは先生の御質問の御予定になかった分でございまして、今突然お話しになられても大変難しい課題だとは思いますが、私は、その当時満州におりました。それと同時に、私が考えている熟語といたしまして、従軍した人は、従軍記者もおられます、兵隊さんも当然であります、看護婦も当然従軍いたしておりますけれども、慰安婦の方が従軍したということは、私の解釈は難しいと、私個人でございますが、私個人は従軍したとは思っていないわけであります。

山内委員 大臣のお考えは、そういう考えの人もおられますので、ここで大臣のお考えを訂正させようとかそういうようなことは、私も、時間的にも考えておりません。

 ただ、四月にそういう教科書の問題で、従軍慰安婦の記述については削除する削除しない、削除した教科書を採択する採択しないという論点があるわけなんですよ。ですから、三月の今回の竹島の問題、そして四月の教科書の問題というのは、やはり韓国の人たちが、歴史教科書に対しての日本の政府の認識の問題によっては一つの信頼関係を毀損する行為だと表明もしているわけですから、その問題についても、竹島の問題に加えてやはり難しい問題が生じてくる。だから余計に、文化とか経済交流で何か自然と解決が図られる、そういう簡単な問題じゃないということはわかっていただきたいと思います。

 それからもう一つ、大臣は、総理大臣が靖国神社に参拝することについてはどういう見解でしょうか。

南野国務大臣 それは個人の自由だと思っております。

山内委員 アジア諸国との摩擦を避けるなら、例えばの話、戦没者慰霊のために宗教色のない施設をつくる、こういう見解がございますが、それについてはどう思っておられますか。

南野国務大臣 いろいろそれぞれのお立場で検討しておられますし、私もその両者の御意見もお聞きいたしておりますが、この話が煮詰まっていくのかどうか、そういう問題点を見詰めていきたいと思っております。

山内委員 A級戦犯の合祀はやめるべきだという議論がございますが、それについてはどう思われますか。

南野国務大臣 その問題につきましても、個人的な見解でございますが、法務大臣という立場ではお答えしにくいと思います。

山内委員 少なくとも内閣総理大臣の肩書で参拝することだけはやめてほしいという議論がありますが、それについてはどう思われますか。

南野国務大臣 それは内閣総理大臣がお考えになることだと思っております。

山内委員 つまり、もう繰り返しませんけれども、竹島の問題、そして教科書の検定の問題、それから、いつ総理が参拝されるかわかりませんけれども、例えばノーマルな時期だとしたら八月。三月、四月、八月と、やはり厳しい、アジアの人たちから見たら本当に厳しい目で見られるような問題にこの日本で判断を示していかなければならないわけなんですよ。ですから、そういう意味でも、国民的視野に立ってやはり竹島の問題についてきちんと取り組んでいただきたいと思います。

 竹島の問題ばかりやっているとなかなか不動産登記法の質疑に入れないんですが、やや強引な話の持っていき方をしますけれども、竹島の土地がありますね。竹島の土地については、法十四条地図や公図が松江地方法務局に備えつけられているのでしょうか。

寺田政府参考人 私ども、ちょっと確定的なことは申し上げかねますが、竹島につきましては、これは私人の方々の権利の対象という形での登記は全くなされておりません。したがいまして、法十七条地図、今の不動産登記法でいえば十四条地図のようなものは全くございません。

山内委員 そうすると、鳥取、島根県でも、私の知っている人でも十人ぐらいの人が本籍地を竹島にしているんですね。国土調査とか十四条地図の作成、その不備な場合には、やはり国家の責任として地図の整備を進める必要があると思うんですが、どうでしょうか。

寺田政府参考人 かねてから、国有地等は私権の対象にならないということで登記の対象にしてこられなかったいきさつがございます。そういうところは別に竹島に限らず全国にかなりあるわけでございます。

 そういうところについてあえてその地図をどうつくるかということでございますが、私どもといたしましては、基本は民法百七十七条の対抗要件から登記が発し、それから表示登記が基本になって定められておりますので、特に法十四条地図の作成作業をそこを対象地域として優先的に行うということは現在考えておりません。しかしながら、将来、私権の対象になる可能性が出てきた場合には、当然のことながら、それをも対象にさせていただくつもりでございます。

山内委員 今回の筆界特定制度は、時効中断効とか訴訟手続の停止という効力が決められていないんですが、これは通常の認証ADRより効力の低い制度になると思うんですけれども、どういう仕切りなんでしょうか。

寺田政府参考人 現在、土地家屋調査士会を中心にやっておいでになられるいわゆる認証ADRでございますが、これは、ここで言う筆界の確定ということだけでなく、土地の所有権についての争いについても解決を図るということでございまして、基本的には調停でございますので合意でございますが、対象が実体法上の権利を扱うわけでございます。したがいまして、時効の中断ということがあり得るわけでございます。

 これに対しまして、この手続は、筆界ということで、先ほども御説明申し上げましたけれども、あくまで公法上の土地の境を決める、一筆はどこかという境を決めるということにすぎませんので、私人の土地の所有権には直接に影響を与えない、これはそういうことを与えないことを留意して決めなきゃいけないという条文まで規定しているわけでございます。したがいまして、時効の中断についてこの手続において考えることは全く余地がないというふうに考えております。もともと、ADRにつきましては、和解でさまざまな面での実体法上の処分をするわけでございますが、ここでは全くそのようなことがないというのが基本でございます。

山内委員 今の竹島は、島根県隠岐の島の一部ですよね。竹島が隠岐の島の一部だというような資料は、多分、松江法務局の西郷出張所にあると思うんですけれども、今回の筆界特定制度は条文上は法務局や地方法務局で判断をするということになっていることからすると、随分離れたところにある土地の問題を県庁所在地の法務局が扱うということになって、古い図面なんかも出張所や支局で引き継いでいると思われるのですが、そのあたりはどういう仕切りになるんですか。

寺田政府参考人 おっしゃるとおり、この確定手続というのは、基本的に、登記官の日ごろの仕事からすると非常に重たい手続でございますので、法務局本局で行うということにいたしております。

 委員の御指摘のとおり、支局、出張所はそれぞれ管轄がございまして、そこの管轄については登記簿と地図をその支局、出張所に備えているわけでございます。しかしながら、この手続は本局で行う。ただし、当然のことながら、現地を拝見するというようなことがあり得るわけでございますので、その場合には、その支局、出張所の管内にも出かけていくという場合もありますし、登記簿あるいは地図を逆に本局の方に持ってくるということで調査を行うということもあり得るわけでございます。

 もちろん、将来的には、非常に多くの専門家がおいでになって、支局、出張所でこのような手続ができ、かつ、そのようなニーズがあれば、またその時点において考えたいというふうに思っております。

山内委員 今、法務局でも全く新しい手続を導入することになるとおっしゃったんですけれども、この筆界特定登記官ですか、普通の登記官とやはり違うんでしょうね。筆界を特定するために、弁護士あるいは土地家屋調査士を調査委員にして、チームでいろいろな筆界の問題について解決をしていく。つまり、登記官が今まで外部の人たちとタッグを組んで物事を解決していくということが登記の分野ではなかったと思うんですが、調整能力とか説明能力とか、それから弁護士や土地家屋調査士のようにもっともっと真実を究明する能力というんですか、そういうものが、今まで書面が来たのを見て判断するという登記官の仕事と全く全然違うと思うんです。その能力担保というか研修ということについては、省としてはどういうふうに考えておられるんでしょうか。

寺田政府参考人 まず、登記官が外部の方々と交渉することは余りないとおっしゃられたわけでございますけれども、実際問題といたしましては、日ごろの登記の手続を行うに当たりましても、表示登記という部分、例えば分筆でありますとか合筆でありますとかあるいは地積更正でありますとか、そういう手続においては、登記官が現地に参りまして、現地で関係者の方々の立ち会いの上に、さまざまな意見を聞いたり、あるいは測量したりするのを拝見したり、そこで当事者の言い分を聞いたりするような場面はございます。また、法務局が、わずかではございますけれども、かつての法十七条地図、現在の法十四条地図の作成をするに当たりましても、このような、同様に現地でさまざまな御意見を伺い、これまでのいきさつなどを調査して、その登記が正しいかどうか判断するという場面もございます。

 先ほど申しましたように、このような表示登記というのは昭和三十五年からできまして、現在では約二百五十名の専門家を擁しているわけでございますけれども、これについては、測量技術等の特別な研修も一方で行い、他方では表示登記の専門の研修も行うということで、これまでも能力の向上に努めてきたわけでございますが、新たに、より紛争の解決に近いような部分に今回手続が広がりましたので、その適正手続のあり方のようなところは、これはとりわけ十分に研修なり事前に訓練を積まなきゃいけないというふうに思っております。それについては、そのような準備をするつもりでございます。

山内委員 もちろん、適正手続は当然国家の仕組みのあらゆる手続に必要だと思うんです。その点はいいんですけれども、筆界調査委員ですか、その人たちにどういう人がなったらいいのかなという議論が私の前の委員との質疑でなされていたと思うんですが、そのときにちょっと気になった答弁があったんですよ。

 私が聞き間違えているのかもしれないですけれども、能力がある人ならその筆界特定手続についてはいろいろな人を入れていいんじゃないかということを言われたんですが、それはなぜかというと、後に境界確定訴訟が控えているんだから、もし異議があればそちらの本裁判の方に持っていけばいいんじゃないか、そういうふうに答えられたような気がしたんです。

 この筆界特定手続で事件を終わらせたいという人たちもたくさんいるというか、ほとんどだと思うんですよね、やはりここに申し立てをする人たちは。そうすると、そこの場で充実した人材のもとに下された結論に従っていこうという気持ちを持たせるためにも、やはり相応な人たちが委員になるべきだし、筆界特定登記官には、あまたの登記官の中でも、研修も何百時間も積んだ、そして年齢的にもまあまあの年齢層の人で、だれが見てもあの人が筆界特定登記官としてやるべきだというような仕組みをつくるべきだと思うんです。この点、どうでしょうか。

    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

寺田政府参考人 ちょっと先ほどの御質問の中で、私のお答えしました際に、筆界調査委員としてどういう方々が適当かという質問と、代理人としてどういう方々が適当だという質問をあわせてお聞きになりまして、私の方もあわせてお答え申し上げましたので、そこでちょっと山内委員には誤解が生じたかもしれません。まことに申しわけございません。

 私が申し上げましたのは、まず筆界調査委員につきましては、これは資格としては限定がございません。本当の専門家であればどなたでもということでありますけれども、実際には、土地家屋調査士の方々がこの分野ではやはり長年にわたって経験を有される方々で、しかし、紛争解決の専門家という意味では弁護士、司法書士の方々もおいでになるので、こういう方々もお入りになる、あるいはその土地の土地問題について非常にお詳しい学者の先生方などもお入りになられる、こういう仕組みになっております。この方々は単独ではそれぞれすべての面をカバーすることができないかもしれませんけれども、そういう場合には複数の委員の方々を任命して、いろいろな面でカバーし合って、全体として専門性の高い御判断をいただきたい、このように考えております。

 他方、代理は、基本的には当事者がどういう方を代理に選ぶかという当事者の選択の問題でございますが、しかし、最低限度の能力担保はしなければいけませんので、司法書士については、簡裁の代理で紛争の解決に一定の経験なり能力なり持っておられる方々に限定したわけでございますけれども、その方々を含めまして、土地家屋調査士、弁護士プラス認定司法書士という形での資格を一応限定的に与えているわけでございます。

 これらの方々でどういう方々を実際にお選びになるかは、これは当事者の御選択でございまして、中には、紛争解決の面を重視して、測量の技術というようなものはどちらかというと自分は求めないという当事者の方々がおられれば、それはそういう当事者の方々の御意向というのは必ずしも無視するべきでないということで、全員が全員測量の技術者でなければこの手続をとれないということは言えないだろう、特に境界確定訴訟について現在どういう方が代理人をしているかということとの関連でもそう言えるだろうというふうに考えたわけでございます。

 登記官についての能力担保については、まさに山内委員御指摘のとおりでございますので、最もベテランで、経験があり能力もある者を筆界特定登記官に任命したい、このように考えております。

山内委員 だとしたら、筆界調査委員を、順番に名簿をつくっておいて、事件ごとに、終わったら次の人、終わったら次の人というようにしていくという仕組みが普通なのかなと思うんですけれども、今のお話を聞いていると、境界の紛争とか裁判をやったことがないような方はちょっと御免こうむって、事案ごとにやはり適切な人を選んでいく、そういうような委員の選任の仕方になるんでしょうか。

寺田政府参考人 これは、あらかじめ一定の方々を、言い方は悪いですけれどもプールしておきまして、その方々から最も適切な方々を案件案件によって選ぶ、こういう仕組みでございます。

山内委員 わかりました。

 最後に、標準処理期間を定めるという規定になっておりますけれども、これは、境界確定訴訟の審理期間は平均すると三年も四年もになっていると思うんですね。それを何カ月とか何年で決めようとされているんでしょうか。

寺田政府参考人 現在の境界確定訴訟の平均審理期間は約二年でございます。この標準処理期間を決めるのは、これは行政処分でございますので、いつまでも持っていて、それで許されるというものではないことから、行政手続法で一般的に決められているところでございますので、ここでもそれに倣って標準処理期間を決める予定でございますが、通常の事件ですと、六カ月、長くても一年程度でこの手続は一応の結論を見るように努力をしたいと思っております。

山内委員 関係者の手続的保障は充実させるべきだという先ほどの答弁があったと思うんですが、例えば六カ月ぐらいを期間的なマックスと認めると、申請人や関係人の主張とか立証とかをもういいですというふうに途中で打ち切るというようなことも出てくるんじゃないかと思うんですけれども、そうならない何か手だてみたいなのはあるんですか。

寺田政府参考人 これは、手続の標準処理期間でございますので、一応努力目標でございますが、制度の趣旨はあくまで、境界確定について疑いがあって、それをきっちりしたいというのが利用者の御意向でございますので、その御意向の趣旨に反するようなことがあってはこれは意味がないわけでございます。その趣旨は十分に筆界調査委員にはお話をし、局全体としてもそのような意思統一を図りたいと思っております。

山内委員 大臣、最初に竹島のお話をしましたけれども、繰り返して言いますと、なぜ島根県議会が竹島の問題を、竹島を日本に編入した一九〇五年から百年たって、だけれどもまだ明確に領有権が発揮、主張されていないということで、韓国を刺激するために問題提起したんじゃないんですよ。日本政府が今まで放置している、はっきりしたことをやっていない、それにどうしてくれるんですかと日本政府を突き上げているわけです。そこを理解してほしいと思います。

 ただ、やはり私、熊本に何年間かいたんですけれども、九州というのは、大臣もおられますし、非常に好きな土地なんですね。ただ、境界争いというのももう何件も立ち会いました。特に熊本は、肥後もっこすといって、縦のものは縦で、縦のものを横にするという人が余りいないんですね。一本気の人が多くて、例えば十センチぐらいの境界の争いを真ん中をとって五センチとかやると絶対に解決しない土地柄でして、随分境界の問題について苦労した経験がございます。

 この不動産登記法が改正されて、それで新しい筆界特定制度がうまく立ち上がりまして、利用しやすい仕組みになることを最後に祈念して、質問を終わります。ありがとうございました。

田村(憲)委員長代理 次に、中村哲治君。

中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。

 法務委員会では、二年前にこの十四条地図、旧法でいえば十七条地図の関係の質問をさせていただいたということでございまして、このたび質問に立たせていただくことになりました。

 まず私は、十四条地図、旧法十七条地図、法務省が言うところの登記所備えつけ地図についてお尋ねをいたします。

 十四条地図の現状は、昨年、二〇〇四年、平成十六年四月一日現在で、総枚数六百四十万四千枚のうち三百五十万四千枚で、五五%となっております。実は、これは一年間でわずか一%の改善としかなっておりません。さらに、二〇〇三年と二〇〇四年の一年間を比べますと、法十四条地図は九万枚ふえているんですけれども、そのうちの八万枚は国土調査の地籍図、それと土地改良図の方が一万枚。法務局作成の地図ということになると、統計上出てこないんですね。内数を法務省にお聞きしますと、法務局作成地図は四百枚ですと。ということになると、ここの数字には全く出てこない。〇・〇四という数字ですから、誤差の範囲内ということで表にあらわれてこない、そういった本当にわずかな数字になっております。

 予算の方なんですけれども、私が二年前に指摘をさせていただきまして、また、そのときに都市再生本部の方針が出されましたので予算が大幅にふえました。それまでは、平成十三年、十四年、十五年というのは九千百万円でずっと続いてきたんですね。そして、私が質問させていただいて、昨年は三億三千八百万円になりました。そして、十七年度は六億二千二百万円にふえた。そういったことで少しずつはふえてきているんですけれども、実はこの数字、国土交通省所管の地籍整備事業と比べますと著しく少ないんですね。地籍整備事業に関しては事業費ベースで今三百七十三億円になっております。これは与党の皆さんも本当に問題意識は共有していると思うんですけれども、大体約六十倍の予算の差がある。

 私は、この事業というものが法務省の所管であるのならば、少なくとも百億円、二百億円のオーダーで予算が必要だと考えておるんですけれども、大臣のお考えをお尋ねいたします。

南野国務大臣 先生御指摘のとおりであります。

 現在の登記所備えつけ地図の整備率は高いものとは言えない現状でございますが、平成十六年の九月に内閣の都市再生本部から示されました「民活と各省連携による地籍整備の推進」、その方針によりまして、法務省と国土交通省が連携いたしまして「全国の都市部における登記所備付地図の整備事業を強力に推進する。」とされております。この方針におきまして、法務省の役割といたしましては、登記官が有する土地の筆界に関するノウハウを生かしまして、早急に地図の整備を進めることが必要な都市部の地図混乱地域を重点的かつ集中的に地図整備を推進することとされております。

 法務省といたしましては、このような観点から必要な予算の確保に努めてきたところであり、今後とも必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。この十七年度も、今はまだ参議院では審査されている途中でございますけれども、案外とつかせていただいたかなと思いますが、まだまだ足りないということは十分に考えております。また、十八年度の予算には先生のお力も十分いただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいです。

    〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

中村(哲)委員 南野法務大臣、漸増していくというのは、それは政府の予算のつくり方として仕方ないかもしれないんですけれども、今お話しになった答弁はほとんど地籍調査の範囲の話なんですね。だから、ここをいかにふやしていくのかというその理論構成をきちんとしていただきたいんです。

 一つのアイデアと、私からもいつも申し上げていることなんですけれども、不動産関係の登録免許税は平成十五年度で約五千九百億と聞いております。権利に関する登記の担税力の前提になっているのがこの表示の登記です。表示の登記があって初めて権利の登記ができる。権利の登記の方で税金が上がるわけだから、その大前提になっている表示の登記はきちんと予算を組んでやりましょうよと言わなくちゃいけないと私は思うんです。そのことについて、こんな状況でいいのかな、登録免許税があるからやはりきちんと整備しないといけないんじゃないですか、そのようなことを申し上げるべきなんじゃないかと考えているわけなんですね。

 だって、地籍調査というのは市町村の事業じゃないですか。それは補助事業ですから、市町村がやりますと言わなければ進まないんですよね。最終的には法務省が、地籍調査でやらない分は私たちがしっかりやりますと、手を広げてやりますということを示していただかなければ、この十四条地図の整備というのは進まないんです。

 そういった意味で、地籍調査の方の事業規模が三百七十三億円であるのならば、少なくとも百億円、二百億円ぐらいのオーダーで、十四条地図の整備事業というのは法務省がやっていく必要があるのではないか。そして、その根拠としては、登録免許税が五千九百億円ぐらい上がっているわけですから、そこを考えたら、バランスを考えても納得してもらえるんじゃないですか。そのことを申し上げているわけですけれども、大臣のお考えをお聞かせいただくとともに、参考人からも補足の説明があればいただきたいと思います。

南野国務大臣 本当にしっかりやっていきたいと思っておりますし、十八年度の予算に向けてしっかり頑張りたいというふうに思っております。

寺田政府参考人 今、委員から大変厳しい御指摘をいただいたわけでございますけれども、前回も大変核心に迫った御質問をいただいたわけでございます。

 この問題は、私どもとしては大変心苦しい問題です。正直申し上げまして、昭和三十五年まで、この表示登記というものが基本的に本当に登記の仕事なのかどうかということが宙ぶらりんの状態だったわけです。その前、戦前は、これはそもそも税務署所管の問題でございました。税務署が税金を取るために、いわば台帳の附属地図というものを所管いたしておりまして、それをずっと引き継いできて、戦後になりましてそれを法務局が引き継いだ上で、その関係の事務も整備されたのがようやく昭和三十五年だったわけでございます。しかし、それからもう既に四十年たっているわけでございます。

 この間に、昭和三十五年に、その法十七条ということで、現地復元性のある地図を備えるという宣言をいたしまして、それで、基本的な供給をどういうふうにするかということは大変議論がありました。委員がまさにきれいに説明をしていただいたわけでございますけれども、現在の状況では、国土調査によるものが大半で、そのほかに土地改良あるいは土地区画整理のものがこれに次ぎ、法務局自身が作成しているものはごくごくわずか、全体でも四千枚程度にすぎないわけでございます。

 ただ、役割分担の問題といたしまして、そのように、これはいわば国家的事業、税金をも絡めた全体的な事業でございますので、国土調査でもう少しきちっとしてやらなきゃいけないんじゃないかということが国土調査側で随分指摘がありまして、国土調査も都会の中にはなかなか入ってこれなかったために、それで先ほど大臣が説明申し上げたような都市再生の観点から、新たに登記所、法務局を巻き込んだ整備になったわけでございます。

 そういういきさつからしますと、法務局の役割というのは、今までは少なくとも極めて限定的なものだというふうに関係者の間では理解されてきたわけでございますけれども、しかし、法務局もようやく、先ほど申しましたように、いろいろ表示登記の専門家も育ってまいりましたので、重点的にではあれ相当広範囲に、倍数だけで言いますと相当の予算の増額をいただいてきておりますので、今後、鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えております。

中村(哲)委員 今、寺田民事局長のお話がありましたけれども、その基本的な考え方は、法務省はサブでいいという考え方なんですよ、今までの議論の流れは。だけれども、原則論を考えてみてくださいよ。民法百七十七条の対抗要件の規定があるから不動産登記法というものがあるわけでしょう。そしてその両方の法律は、法務省が所管している法律じゃないですか。

 今まで日本の国の法律のつくられ方がまさに外国からの輸入であって、その趣旨がきちんと理解されていなかったのかもしれません。しかし、近代国家のバックボーンを支える私有財産の制度を保障する民法の規定、これは法務省がきちんと責任を持ってしないと、守らないといけないんですよ。だから、法務省が予算をとってこなくちゃいけなかったんです。だけれども、今まで政治の側もそれを言う人がなかなかいなかったから予算もつかなかったし、法務省の方もそこまで危機感を持って、民法が自分たちの法律だから、民法百七十七条の登記にかかわる部分については必要あるというふうにまで、ひょっとしたら昭和三十五年までは考えてこなかったのかもしれません。そこは認識をきちんと新たにして、今まで間違っていたんなら間違っていた、やはり私たちの本当にしなくちゃいけない仕事だったんだけれども、百年間ほっていましたと、それぐらい言って予算をとってきてほしいんですよ。百億でも二百億でも、本当に必要なんです。

 不動産の流通がなかなか進まない今日、また、都市部だけでないです、後でも聞きます、農村の方の土地の境界の問題はこれから重大になってきます。そういったことを考えると、法務省が主導的に事業をやっていかないといけないんです。そのことについて、大臣、質問通告していますけれども、閣議では何と言っているのか、また財務大臣に何とおっしゃっているのか、お尋ねをさせてください。

南野国務大臣 済みません。お答えをする前に、先ほど最初に御答弁申し上げたところで、平成十五年九月に都市再生本部の方針が示されたと申し上げましたが、六月でございますので、その月を私、九月と言ったんでしょうか、訂正させていただきたいと思います。

 それで、今のお答えでございます。

 本当に先生御指摘のとおりだと思いますが、法律の第十四条の地図は不動産の権利変動を公示する不動産登記制度におきまして基本となるものであります。これを十分頭に入れておかなきゃいけないなというふうに思っており、その整備の重要性につきましては十分認識しているところでございまして、これまでその整備の必要性が高い地域に着実に整備を進めてきた、特に中心的なところとかいうところもございますが、今後とも、鋭意地図の整備には取り組んでまいりたいと考えております。

 私も自分の土地が、なかなか地図ができていませんのでいろいろお尋ねすると、今課題になっているところが済んでから、だからまだまだ先だというようなこともございますので、それもなるべく早く、先ほどの税金の問題もございます、早くしていきたいと思っております。

 地図整備の予算につきましては、平成十七年度予算案におきましても増額が認められておりまして、財務当局におきましても地図整備の重要性については御理解をいただいているものと考えております。私から谷垣大臣にもたびたびとつついてございますが、そのつつく一つが刑務所のことであったりとか喫緊の課題、これも喫緊の課題ではありますけれども、そのような形で女性パワーを発揮しているところでございますが、さらに十八年度は頑張っていきたいと思っております。

中村(哲)委員 南野大臣、そのつつき方が大事なんですね。本当なら百億、二百億かけないといけないところを、いや六億でいいですと言ったら、それは判こ押しますよ。全体の規模からいって、都市再生本部の予算全体で見たら、これはいきなり百億円ふえているんですよ。だから、向こうは百億円ぽんとつけてもらっているんですよ。それならこっちが何で百億円ぽんとつけてもらえないんですかという話なんです。女性パワーがどこまで生きているかということですね。つつき方が足りないんじゃないかと。

南野国務大臣 十八年度予算に関しては、先生のアイデアをいただきながら、つつき方を教えていただきたいと思っております。

中村(哲)委員 参考にしていただければ幸いでございます。

 次の質問に移ります。

 地籍調査の方は市町村事業ということで統計がとれないということを国土交通省の方からお聞きしております。そこで、法務省による登記所備えつけ地図、いわゆる十四条地図の作成事業に限ってお尋ねをいたします。地権者、所有者の同意率というのは、これはどれくらいでしょうか。民事局長にお尋ねをいたします。

寺田政府参考人 法務局の登記所備えつけ地図の作成作業におきましても、これは実際には土地家屋調査士会の公嘱、公共嘱託の方々に御協力をいただいてやっている作業でございますけれども、いろいろ説明を申し上げ、いろいろな調査をした上で、地権者の方々の立ち会いで同意を得られる場面と同意が得られない場面とございますが、同意が得られない場面もなおございまして、それは筆界未定地ということになるわけでございますけれども、幸い、私どもの平成十五年度の実績からいいますと、ほぼ九九%は同意をいただいております。

中村(哲)委員 平成十五年といっても、恐らく四百件ぐらいのうちの九九%ですから四件ぐらいかな、一、二、三、四、それぐらいの数字だと思うんですけれども、なぜこういうお話を聞かせていただいたかと申しますと、今回の筆界特定手続が法務局による十四条地図作成事業や地籍調査事業の中でどのように活用されていくのかということについて政府にお尋ねをしたかったからなんです。

 今、一%未満だ、そういうふうなお話、九九%は同意が得られているということですけれども、同意の得られていない一%の部分にこの手続、筆界特定手続というのがかんできて進んでいくのではないか、そういったことが考えられるわけでございます。

 そういうことで、この筆界特定手続がどのような形で活用されていくとお考えか。また、申請者の負担する費用というのはその場合どういうふうになりますか。また、職権で手続に入ることができない規定になっておりますけれども、必要がある場合は出てくると思います。この場合にはどのようになさるおつもりなのか。以上三点についてお答えください。

寺田政府参考人 今御指摘になりましたように、筆界未定地、つまり従前の備えつけ地図の作成作業においては同意を得られないケースというのがあるわけでございますけれども、それについてこの手続を利用するかどうかでございますが、当然のことながら、この手続の利用というのが私ども期待しているところでございます。もちろん、裁判所の境界確定訴訟を排除するものではございませんけれども、簡易迅速な解決というのを一つのモットーにいたしておりますので、この手続によってそういう筆界未定地が解消されていくというのも十分に考えられるわけでございます。

 その場合に費用がどうなるかということでございますが、備えつけ地図の作成作業全体は、これは国の予算でやっております。同意されれば、それはそれで筆界が事実上確定するということでございまして、ここでは当事者の費用の負担はございません。それに反して、同意が得られない、つまり隣人との間で争いがなお残るということについては、この手続を御利用になる場合には費用というのは当事者の御負担ということになるわけでございますが、私どもとしては、できるだけこの手続の御利用を勧めると同時に、関係者の間で費用についてお話し合いになられた上でこの手続を御利用になられるように御説明を申し上げたいというふうに思っております。

日尾野政府参考人 筆界特定手続を地籍調査にどう活用するかという御質問でございますけれども、今法務省の方からお話がございましたように、筆界の位置がそれなりに確定されるということ自体が、実は、地籍調査におきまして土地の筆界調査それ自体に大変時間を要している、それぞれの所有権の方々がここが筆界だということで御主張されますので、その調整に大変手間取っているというのが大変大きな課題でございますので、そのために大変有用な手法だろうというふうに考えております。

 現実問題としてはなかなかその筆界が決まらないケースもあるわけでございますけれども、それを解決する意味でも大変役に立つだろうと思っておりますし、また、事前に筆界手続がなされている場合においてはそれを根拠にいろいろな調整もできるという意味で、大変今後の活用を期待しているところでございますので、地籍調査の事業主体でございます市町村に対しましても、いろいろな情報伝達をいたしまして、活用方に尽力をしていきたいと認識しているところでございます。

中村(哲)委員 今の寺田民事局長の御答弁で、ちょっと私、聞き漏らしてしまったのかもしれませんけれども、理解できなかった部分が、職権で手続が入ることは今回の手続じゃできないわけですよね。だけれども、十四条地図の作成事業をやっている中では、そういった、この線を決めたいなと思うときが出てくると思うんです。そのときに、職権でできないんだったら、恐らく、所有者に頼んで、これは手続をやってくださいよというお話を多分されるようになると思うんです。そうすると、そこで、申請の手数料がかかりますよね、私は嫌ですよと言われたときに、いや、そう言わないで頼みますよという、そこでどういう会話がなされるのかということはすごく重要になってくるわけですね。

 私は、所有権界と公法上のこの筆界というのは分けて考えるべきだと思っているんです。特に私法上の権利であるものに関しては、確かに、民民の問題だから民間に任せて、手数料もそっちでやってもらったらいいだろう、このように私も考えます。しかし、公法上の境界というのは、基本的に税金を取ったり、また私有財産制度の根幹を支える制度として国が供給するものであったり、そういった目的で備えられるものですから、基本的にはこれは公の費用でやらないといけないものだと思うんです。

 それがあるからこそ、先ほどの登録免許税の話をもう一回持ってきますけれども、登録免許税で何で税金を取っているのか。それは、私有財産制度をそのような形で法務省が守っている、政府が守っている、だから、法律上は公信力ということではないんでしょうけれども、実質上そういった国がかかわっている制度であって、私有財産制を守っている、だから担税力もあって、税金を取ってきている、こういう理屈だと思うんです。

 こういう理屈を考えれば、そのインフラの部分、手数料というか登録免許税という形で税金をきちっと取っているわけですから、こういった費用に関しては基本的に国が予算をつけて、本当に手数料的なものに限るとか、そういうことにしなければ、十四条地図作成事業においてもこの新しい筆界特定制度は利用できないのではないか、このように私は申し上げているわけでございます。そういった意味での御答弁をお聞きしたかったんですけれども、今答えていただけますか。

寺田政府参考人 一つのお考えとして、今中村委員がお考えになられたのをさらにもっと徹底すれば、およそ国の費用で全部境界を決めてしまうということも考えられるわけであります。実際に明治時代は、あるいはそういう発想に立っていたのかもしれません。

 ただ、現状を考えますと、境界というのは、必ずしも国の税金というのがメーンに立って存在するというわけではなく、やはりいろいろな意味での物の基本単位ということになっているわけでありますから、全部が全部国の費用でそれを決めてくれというのは、やはりちょっと無理があるんじゃないかなと。とりわけ、争いがある場合に、何らかの形で解決されるものとは別に、とうとう最後まで解決できないものについて当事者の方でそれを解決されたいというときに、それを全く費用負担なしで行うというのはやはり無理だろうというふうに考えておりますので、私どもとしては、できるだけミニマムの費用ではございますが、手数料はいただくという考えでおります。

中村(哲)委員 局長、物事の整理の問題なんですよ。私は税金のことだけ言っているわけじゃございません。国の仕事として、税金を取るほかに、もう一つとしては私有財産を守るインフラをつくる、そういった仕事があるわけです。だから、こっちの仕事もあわせて考えた場合には、基本的には筆界を引く作業というのは国の仕事なんじゃないですかということを申し上げているんです。そこを認められないから、お認めにならない理由として税金のところだけ取り出してお話をされるというのは、私はフェアじゃないと思います。

 余り時間がないのでこれ以上申し上げませんけれども、ここはぜひ考え方を変えていただきたい。法務省がなぜこの業務をやっているのか、それは税金のためじゃないんですよ。現代国家と近代国家があるんだったら、現代国家の前提となっている近代国家の一番大事な仕事を法務省が担う、その本来業務としてこの筆界の業務があるということにきちんと法務省が考えを定めていただかなければ、今後の政策は展開できないんです。そこは、ひょっとしたら今現時点で局長とは見解が違うかもしれませんが、ぜひ検討していただきたいと思います。

 時間もありますので、次に参ります。

 都市については、先ほど大臣のお話もありましたように、都市再生本部などの取り組みが見られまして、一定の進捗があるというふうに私も認識しております。しかし一方で、山村境界保全事業というものが平成十六年度から進んでおりますけれども、山村については、平成十六年度で七千七百万円、平成十七年度では八千二百万円と、予算については非常に少ない額しかついておりません。

 しかし、今後この山村の問題というのは、環境問題なども考えると非常に重要になってまいります。京都議定書の問題もあります。やはり山をいかに守っていくのかということが必要なんですけれども、これがなかなか進んでいない。もうこれは時間がないんですよね。今まで山の守りをされていた方たちがどんどん高齢化されてきて、山の境界を決めるというのは、これは慣習が非常に大きな影響があるんですけれども、この慣習がもう忘れられてしまうとか、お亡くなりになられると、慣習を知っている方もいらっしゃらなくなる。

 そういったことで、実は、都市のことも重要なんですけれども、これから、国有林の問題や民有林の問題、山が荒れているという問題もありますので、積極的に取り組まないといけないと考えておりますけれども、法務省、国土交通省、あわせてお答えいただけたらと思います。

寺田政府参考人 私どもとしては、とりわけ都市部の問題が深刻でございますので、現在のところ、プライオリティーといたしまして都市部に集中してやっておりますが、おっしゃるとおり、山林の問題も非常に深刻であるという認識は持っております。まさに委員もおっしゃるとおり、過去の経緯というのがこの土地の境界を決めるに当たって非常に重要な資料でございますので、そういうことの失われる前にいろいろな手を打っていかなければならないだろうというふうには思います。

 それで、国土交通省におきまして、委員も御説明になられた山村境界保全事業というのを行っておられて、都市部に比べると非常にラフな形ではありますけれども、いわゆる公図と現況とをすり合わせをするということで、一定の地図のようなものをおつくりになられるということでございますので、私ども、これがどれぐらい登記所の備えつけ地図にとってプラスになるか、現段階では今なお判断がつきかねる問題でございますけれども、今後、十分協議の上、これもプラスにできる部分があればそれを取り入れてまいりたい、このように考えております。

日尾野政府参考人 山村部におきます地籍の実施状況でございますが、先生御指摘のとおり、山村部は境界については、土地の古老の人たちのいろいろな記憶やその他いろいろな目印、それから山の形、こんなものに依拠している部分が大変多うございます。

 したがいまして、こういった、山村部が高齢化や不在村化しているという状況でございますので、今後の地籍調査を進める際の大変大きな課題を抱えているんだろうと思っておりますので、先ほど先生が御指摘いたしました山村境界保全事業を実施いたしまして、主としては、山のことをよくわかっております森林組合を活用する手法がないかということでモデル事業を行っているわけでございます。

 そういった努力を続けながら、山村部についても境界問題について緊急性があるというふうに認識しておりますので、しっかりと対処していきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。

中村(哲)委員 この国土調査法に基づく地籍調査事業というのは基本的に市町村の事業なんですね。市町村の皆さんが私がやるということじゃないと、なかなかできない事業なんです。分権化ですから、それはそれで仕方ないというふうに国がお考えになるんだったら別なんですけれども、私は、土地の筆界というのは、これはやはり近代国家であるのならば国が全体としてやらなくちゃいけない事務だと思うんですよ。だからこそ、山村においても目を向けていただきたいなと。

 特に大臣には、御答弁は結構きょうは都市部の問題ばかりでしたけれども、都市住民も山がないとやはりいい暮らしはできないわけですよね。だから、都市と農村という対立構造で考えるんじゃなくて、農村があるから、山村があるから都市も安心して暮らしていける、そういったことからも、山村の筆界のことについては法務省としてもしっかりと取り組んでいただきたい、大臣にはこのようにしっかりと申し上げておきたいと思います。

 時間もありますので、次に行きたいと思います。

 筆界の特定の法的効果についてでございます。質問通告は細かくしておりますけれども、まとめてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 新しい制度によると、登記官による筆界特定に対して納得がいかない者に対しては、どんな不服申し立ての手段があるでしょうか。

 次に、登記官による筆界特定というのは行政処分ではないのでしょうか。特定は国民を拘束するものであり、行政処分と言えるのではないでしょうか。

 三点目として、例えば、私法の土地の筆界が特定されれば、職権で地積更正登記や地図訂正を行うことになるのではないでしょうか。

 お尋ねをいたします。

寺田政府参考人 まず、不服申し立てでございますが、これは通常の行政の処分と異なりまして、専門家をあらかじめ関与させて行う手続で、実質的な不服申し立ては裁判で行うのが適当だという判断で、もし不服がおありになる方は裁判所の境界確定訴訟で争っていただくという仕組みをとっておりまして、不服審査等の手続を設けておりません。

 それから、効力でございますけれども、これも先ほど御説明申し上げましたけれども、行政処分には当たらないというふうに考えています。それは、国民の権利義務に直接影響を与えるものではなくて、あくまで既存の、どこかで決まった境界、筆界というものを発見する、それに証明力を与える、こういう作用だからであります。公定力もございませんし、したがって、行政訴訟で争うということもないわけでございます。あくまで、争う必要があれば境界確定訴訟という民事の争いをしていただくことになります。

 それから、職権の地積更正、地図訂正についてお尋ねがございましたけれども、これは、例えばAという土地がBという土地との間で筆界がこれによって決まるということになりましたら、もちろん、当事者は申請して地積更正や地図訂正を行うのが通常の例でございます。ただ、もちろん、全体として見て、例えば、AとBとのほかに、Aという土地はC、D、E、いろいろな土地に囲まれております。そういう土地との間ですべて筆界がもう間違いないということであれば、これは職権でもそういう地図訂正をする扱いになろうというふうに考えております。

中村(哲)委員 大臣にお聞きいただきたいんですけれども、今の答弁でわかってきたことは、特定というものは行政処分ではないけれども、結局、特定された境界、筆界を利用して職権で地積更正登記や地図訂正を行うことがあるわけですから、これは国民をある種の意味では拘束しているんですよ。だけれども、特定ということでなくて確定という行政処分の手続にすると、その不服申し立ての方法としては抗告訴訟しかなくなるので、だから、やはり最終的に裁判所で手続が保障されて確定する方がいいだろうということで確定訴訟というのは残したというのが今回の法律の大きなスキームだというふうにこっちは認識せざるを得ないんですね。一言、それでいいのかということをお答えいただけるのであれば、大臣または副大臣、お答えいただきたいと思います。

 と申しますのは、先ほど山内委員の話にもありましたけれども、第百四十八条には筆界確定訴訟との関係が記されているわけです。だからこのように申し上げているわけですが、今私の申し上げた理解でいいのかどうか、お答えください。

滝副大臣 中村委員が今整理されたとおりだと私は思っております。

 要するに、これを行政処分としてしまいますと、むだなというか、いろいろな訴訟を起こしていかなきゃいけないという手間がそれだけ重なるという問題がございますので、これは処分じゃない、そういうような構成にいたしているというのは私はそのとおりだと思っております。

 それから、周辺が固まってくれば、これはもともと職権で確定するということもあるわけでございますけれども、今は法律にそういう手続がないものですから、なかなか具体的には進展しないという問題がございます。したがって、これによって周辺が固まってくれば当然職権で確定できる部分が出てくるというのも、お考えのとおりだというふうに思っております。

中村(哲)委員 だんだんと整理されてまいりましたので、さらに進んだお尋ねをいたします。

 この新しい手続というのは、単なる筆界の特定であって、しかも、なお特定に至らない場合も想定しているということでございます。それであるのであれば、表示の登記における地積更正の登記や地図訂正の申し出における土地家屋調査士による筆界の確認の過程、申請を受けた登記官の審査による筆界の認定と何ら変わりがないのではないでしょうか。つまり、通常の表示に関する登記における筆界の確認、特定、認定とこの制度はどのような違いがあるのか、御説明をいただきたいと思います。

寺田政府参考人 通常の表示登記における認定というのは、基本的には、この申請代理人であります、通常はこれは土地家屋調査士さんでございますが、土地家屋調査士さんがお決めになったものを登記所に報告なさる、こういう性格のものでございます。

 それに対しましてこちらは、それを、もともと紛争性が潜在的にあるということを前提にして、隣の方との間にどういういきさつがあってそういう紛争になったかということも踏まえた上で境界を確定する、しかし、その確定は裁判と違って、あくまで証明力を公的に、一義的につけるということでございます。

 通常の地積更正、地図訂正の場合には、そのような証明力というものがその行為自体にはありませんが、これは公的に第三者であります隣地の所有者を手続に関与させてそれを決めてしまうというわけでございますから、通常の地図訂正よりは強い手続ということになるわけでございます。

中村(哲)委員 時間もありますので、次に参ります。

 第百二十三条で、筆界の特定に関して、「その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること」としているが、具体的にはどういう特定になるのでしょうか。また、「特定することができないとき」とはどういう場合なのでしょうか。また「その位置の範囲」はどのような形で公示されるのか。以上三点についてお答えください。

寺田政府参考人 これは非常に例外的な場合ということを想定いたしておりますけれども、先ほどから累次御説明申し上げますとおり、あくまで、これは裁判所のように形成的に線を引くのではなくて、既にあるはずの線というものを発見するという作用でございます。

 したがって、私ども、こういう手続で登記所が責任を持ってゆだねられておりますので、その手続の中ではできる限り一本の線を引く、それを筆界として認定するということにいたしたいとは思っておりますけれども、それでもどうしても、資料が散逸して全く関係者もいないということで、例えばAとBなのかあるいはAとCなのかがわからないという場合がございます。そういう場合には、このA、B、Cの範囲内のどこかのところに境界があるということを認定して手続を終える場合が全くないわけではない、そういう極めて例外的な場合についてこの規定は定めているわけでございます。

中村(哲)委員 時間もありません。次に参ります。

 手続についてお尋ねをいたします。申請人となることができるのは表題登記のある土地の所有者のみなのか。つまり、表題登記のない土地である水路や里道の管理者として自治体や国からの申請はできるのでしょうか。

寺田政府参考人 この土地の筆界というのは筆がある、つまり登記がされている土地の境ということを前提としているわけでございますので、そのおよそ筆がないものについてこの筆界確定手続をとることはないわけでございます。

 ただし、今委員が御指摘になられました水路でありますとか里道というものについても、一方は全く未登記の土地でありましても、他方は登記のある土地と接している場合には、それはその登記のある土地の筆界というふうに理解できるわけでございますので、そういう場合にはこの筆界確定手続をとれるということになります。

中村(哲)委員 時間が参りますので、最後にお聞きいたします。

 所有権界と筆界は直接に関連しております。紛争の解決には、所有権の紛争を同時に解決する必要があります。ADRとの連携は今後どのようにされていくのでしょうか。それとともに、十四条地図整備のためにも予算を民間ADRにもきちんとつけていく必要があるのではないかと私は考えておりますが、その点についていかにお考えでしょうか。

寺田政府参考人 これは大変重要なポイントでございます。

 この手続が純粋に筆界確定の手続となりまして、所有権の争いはあくまでこの手続のらち外というふうに仕切りをいたしました。しかし、たびたび御指摘になっておられますように、実際の紛争は背後に所有権の争いがあるわけでございます。それが極めて多いわけでございます。

 この関係では、例えば土地家屋調査士会が弁護士会と連携されまして、所有権の争いを含めた境界についての紛争についていわゆるADR、裁判外紛争解決手続について努力をされておられます。こういうところと連携をとることも非常に重要でございますので、そのようにさせていただきたいと思います。

 ただ、ADRにつきましては、このADRに限らず、あらゆるADRが民間活力ということを前提にいろいろされておられますので、私ども現段階では残念ながらこういうことについて国として資金を提供することは考えておりません。この点については、ADR全体の問題というふうにお考えいただきたいと思います。

中村(哲)委員 時間が参りましたので、いろいろまだ申し上げたいことはございますが、質問を終わります。ありがとうございました。

塩崎委員長 午後五時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時三分開議

塩崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。津川祥吾君。

津川委員 こんばんは。朝早くから大変御苦労さまでございますが、不動産登記法の大変大事な審議でありますし、国民の関心も非常に高いものだと思います。

 ただ、土地政策というのが、そもそも法務委員会でやる場合と、国土交通委員会でやる場合とあります。国土交通委員会でやる場合の方が何となく皆さんはすっきり関心を持たれるんですが、法務になられると、どうもちょっと意外な感じをされている方がいらっしゃるのかなと。恐らく大臣も、法務大臣になられて、よし、これで土地の登記制度を何とかしようというふうには多分思わなかったと思うんですね。ああ、こんなのもあったのかぐらいな思いだったと思うんです。ただ、これまでの答弁を伺っておりまして、大臣も、土地政策、土地問題にはそれなりに御関心があるのかなというふうにはお見受けをしております。

 ちょっと、まあ議論のための議論の部分もございますが、大臣として、現在の日本の土地問題をどのようにとらえていらっしゃるのか。もちろん、今回議題となっております筆界の特定というものも大きな議論の中の一つでありますけれども、全体的に、将来的に日本の土地政策をどういうふうに考えていらっしゃるのか、あるいは登記制度というふうに考えてもいいと思いますが、土地を今後どういうふうに考えているのか、あるいはどういうふうに御関心があるのか。余り関心がないというのならばそういう答弁でも構いませんが、関心があるというのであればそういう答弁をいただければと思います。お願いします。

南野国務大臣 今先生がおっしゃいました、私の関心がどうなっているかということでございますが、私の小さいころを考えてみましても、土地の筆界というような問題について父が苦労していたということもわかっておりますし、また、今住んでいる山口県のところでございますけれども、そこはまだ地図が整っていない。今、地図の問題を検討しておりますけれども、都会を比較的中心的にやっていこうということでございますので、私が住んでいる田舎はまだ何十年先になるのかなと思えば、本当に早くそういうものは整備されていかなきゃいけないというふうには思っておりますので、こういうお役をいただいておりますので、満遍なく仕事をさせていただかなきゃいけないというふうにも思っております。

 そういう意味では、筆界特定制度は、これまで筆界の争いがあるためにすることができなかった登記手続、または地図の整備のおくれ、そういったものの対処を可能にすることによりまして、国民の権利関係の安定化と土地取引の円滑化を図ろうとするものであろうというふうに思っております。

 筆界というのは、一筆の土地の範囲を画するいわゆる公法上の境界のことであり、従来存在しなかった概念を登記制度に持ち込むものではないということでございます。したがいまして、この筆界特定制度の導入によりまして登記制度に混乱を来すおそれはないものと考えております。今後は、筆界特定制度によりまして、筆界未定地の解消、私の昔の家も筆界未定地でありました、そういったところでどのように筆を入れるかということもあったわけでございますが、登記所備えつけ地図の整備を推進しながら、土地の登記制度が国民の権利関係の安定と土地取引の円滑化により一層資するものとなるよう登記制度のさらなる充実を願っております。

 けさも御質問がございました。予算もしっかりとれということでございますので、十八年度の予算に向けても頑張っていこうということでございます。

津川委員 まさに境界確定訴訟なんかにかかわってこられた方は、土地問題といえば、まずこの問題だと思うんです。ただ、それにかかわってこなかった人からすると、土地問題と言われて、境界確定というふうには多分余り出てこないと思うんですね。あるいは、普通の国会議員の立場から土地問題というものを考えたときには、例えば地価が上がった下がったとかいう問題とか、都市における再開発の事業のあり方ですとか、あるいは、地価にも非常に大きく関係をしますけれども、土地が有効に利用されていないというような問題があります。

 日本は国土が非常に狭くて、その中でも平野部が非常に少ないから日本は土地が少ない、人が多いから人口密度が高いというのは、小学校のレベルではそういうふうに教わりますが、確かに諸外国に比べてそういう傾向があるのは間違いありませんけれども、実際には、国内の土地問題だけを見ると、有効に使われていない土地というのが非常に多いですね。これは都会でも言われる話であります。

 ですから、土地の問題というのを考えたときには、必ずしも境界確定云々ということだけではなくて、土地の有効利用がなされていないのではないだろうか。その根本的なところに、実は午前中の我が党の委員からの質問の中にもありましたが、例えば、民法上の規定の中に、私的所有権の代表的なものとして土地があったりするわけですね、不動産が。

 ただ一方で、現実を見ると、この境界確定にも関係をしてきますが、私は土地を持っていないからよくわからないんですが、土地を持っている人たちも、ここからここが自分の土地だというふうに余りがちがちになっていない方の方がむしろ多いんだと思うんです。午前中の議論の中でも、寝た子を起こすというような言い方がありまして、確定しようとすると議論になって大変なことになってしまう、だから、まあまあで何となくこっそりとぱっと線を引いて、こうだよというふうにしちゃいたいという、これは本音としてよくわかるんですよ。気がついたときにはこうでしたというふうにしておいた方が、ああそうですかというふうにみんな思うんですよ。これが、いや、私の土地はここですとどっちかが言い始めると、大問題になるんですね。その前に、いや、これはもう公法上、筆というのがこういうふうになっていますと決まっている方が実は非常に楽なものですから、そういった意味では、現場の方々にとって、この筆界特定制度というものができるというのは非常にありがたいことだというふうに思います。

 先日の参考人の方々も、ぜひこの制度を早くつくってもらいたいというような、そんな話もございましたが、大臣、土地に御関心があるというような話でありましたから、ちょっと今回の不動産登記法から離れますけれども、土地に関する法律でいいますと土地基本法というのがありますね。大臣、御存じですかね。ちょっとお答えいただけますか。御存じなかったら御存じないで構わないんですが、土地基本法というのがありまして、その土地基本法の中には、「土地についての公共の福祉優先」ですとか「投機的取引の抑制」「土地は、投機的取引の対象とされてはならない。」とか、結構ちゃんとしたことが書いてあるんですね、平成元年にできた法律ですけれども。

 そういう基本法はできながら、残念ながら、この趣旨が今のところちゃんと生かされているのかどうなのかというのは微妙なところがありまして、これは民法の問題にもなるし、さらには憲法の問題にも絡むんじゃないかという議論でありますが。

 午前中、山内委員からも竹島の話が出ましたけれども、日本の国土というのはそもそもだれのものなのか。だれかのものかもしれないけれども、だれのものでもないかもしれないんですよ。日本の国土、領土等は画定はできますけれども、では、その中で、この土地はだれの土地なんですかと。標識があって、枠があって、ちゃんと分かれていれば、ここはだれ、ここはだれ、ここはだれと言えますけれども、実際の世の中を見ていると必ずしも標識がない土地が山ほどありまして、そこにその標識を打っていかなきゃいけない。くいを残して悔いを残さずというんですけれども、くいをしっかり残すということは大事なんですが、それは権利を確定していく上では大事なんですが、ただ、私たちの生活といいましょうか、私たちの日本の文化の中で、土地に対する考え方というのは必ずしも法律で言っているほど確定したものではないんじゃないだろうか、そういう気が私は常にするものですから、ちょっと大臣に、その辺の見解があればお伺いしたい。

 土地の所有ということと、あるいはマンションなんか区分所有法で、土地じゃなくて空間を所有するわけですね。また、地震なんかがあって壊れたり、あるいはマンションの建てかえのときなんかにまたいろいろ問題になりますけれども、区分所有の考え方というのも、法律上は理解はしますが、どうも腹に落ちない部分が私はあるんです。大臣が、土地の所有というものについて、あるいは区分所有というものについてどういう御見解をお持ちか、ちょっとお伺いをしたいと思います。

南野国務大臣 財産という観点から考えていけば、土地が本当に不動産でありますよね。その不動産についての執着というのは、先生はお若いからあれなのかもわかりませんが、我々の年代というのは、やはり財産をどういうふうに考えるかというと、まず不動産というふうに考えたものであります。それは田舎で田んぼで畑で山でといっても同じような問題点でございますので、どういうような財産を持っているかということも一つのその人のステータスであったのかなと思っております。

津川委員 確かに、田舎に行くと、土地を持っていない人というのは非常にステータスが低いと言われていた見方もあります。ただ、土地を持っているというのは家の土地のことじゃないんですね。畑のことであったり田んぼのことであったり山のことであって、土地持ちというのは普通そういう土地のことをいうんです。家の周りにあるちょぼちょぼとした土地は、こんなの土地に入らないんですよ、普通は。

 自分の家と隣の家の間がどういう境界になっているかというと、大概が垣根になったりするんですね。これがまた大問題になりまして、おじいさんの代に木を植えた、これがうちとあなたのうちの境目だというところまではうんと言うんですね。だけれども、じゃ、この木はどっちなんだというと、これはもめるわけですよ。実は、じいさんが境界のちょっとこっち側に木を植えたから、この木のちょっと向こう側までがうちの土地だとか言い出すと、これは大問題になって訴訟になっちゃう。だけれども、木までがうちの土地なんだ、要はそこが境なんだ。それどころか、木がなくて、そこが通路だったりするんですね。この通路はどっちの土地ですかといっても、これは何とも言えないような使い方をしていた地域というのは非常に多いです。

 実は私も、地方でゼネコンの関係で土地を貸していただいたりとか何だかかんだかしているときに、この土地はだれの土地かとだれに聞いてもよくわからないから、公図を見て、いろいろ調べて、ここにこう書いてあるからこうでしょうと言うと、みんな違うとか言うんですね。細かいところを聞いていくと、結局、何とかさんのだれさんに聞けばわかるとか言って、その人が言うと、ああそうかなとか言ってみんなそれに従うみたいな、そういういいかげんといえばいいかげんな認識の方が非常に多かったと思うんですね。これが間違った考え方というふうに見るのか。

 あるいは、土地というのはそもそも、例えば国土である、国の土地である。赤道とかいいますけれども、赤道も、公図でごらんになったことがありますか、非常にいいかげんにかいているんですよ。赤道とか、あるいは青地、青地というのは川のところですね、川が青地とかいてあるんですけれども、川のくせに途中でなくなったりするんですね。どういう川かとか思うんですけれども、そういうような公図があって、幾ら権利がこうなっていると言ってもだれも何とも見向きもしてくれないような、そういう公図の状態になっている。

 では、それで混乱しているかというと全く混乱はしていないわけですよ。その地域に住んでいらっしゃる方はその地域に住んでいらっしゃる方なりのルールがあって、全くいいかげんにやっているわけじゃなくて、それなりのルールがあるんです。それなりのルールというのは、所有権界を余り確定しないやり方をしていた方々が多いです。その確定をしないやり方として、特に赤道と言われる公道なんかにどんどん野菜を植えて畑にしちゃったりとか、そんなことを随分やっているんですね。

 私がやはりそういったものを見てきて思うのは、もう少し幅があってもいいのかな。筆界をすべて特定するというやり方はもちろん正しいやり方だと思いますし、地図は地図で大いにつくるべきだと思いますが、ただ、本当に地方に行くと、極端な話を言うと、これは村の土地ですとか、みんなの土地ですみたいな土地が結構あったりするんですね。それを特定していく中では、市の土地になったり、あるいはだれかさんの土地になったりするんですけれども、余りそこまでやる必要もないんじゃないのかなと。地方の現状を見ていただくと、そんなような感覚も受けていただけるんじゃないかと思うんですね。

 ですから、地図を大いに整備するということは非常に大事ですし、ぜひやっていただきたいと思いますが、その中で、最終的に土地に対する考え方が地方によって結構違うし、まさに寝た子を起こすことになるんじゃないのかなという感じがします。

 ちょっと局長に伺いますけれども、まさに寝た子を起こすことになるんじゃないかということについてどのようにお考えか、お答えいただけますでしょうか。

寺田政府参考人 今委員が非常に丁寧に論じられたわけでございますけれども、土地に対する考え方というのは、地域によって、あるいは歴史的時代によってさまざまでございます。所有権そのものも、言ってみれば二重三重に生じているというような考え方が今でも世界の幾つかの国にはありますし、境界そのものも、国としては一定幅の中に境界があるということしか認定せずに、あとはもう当事者の事実上のそれぞれの受けとめ方に任せるというように割り切っている国も実はあるわけでございまして、さまざまでございますので、我が国も、このような制度をつくる上でも、専門の委員の方を調査委員に任命してそれで御協力いただくのも、実はその点に関係があるわけでございます。

 地域によって、今赤道の話等もおっしゃられましたけれども、関西地域、関東地域、それぞれ明治の地租改正のときの地図のつくり方も実は違うわけでございます。したがって、今日、その今ある、法務局ではこれを地図に準ずる図面として扱っておりますけれども、その地図に対してどういう正確さを求めているかという、それぞれの観念もまた違うわけでありまして、そのいろいろな歴史の上に、また実際の境界、これも実際にそこにお住まいの方がどういうふうに観念しているかということにもよるわけでございますので、決まるわけであります。

 そういういろいろな地域差あるいは時代による違いというものを前提にした上で、しかし、現代においては、やはりかなり境界の問題にシビアな考え方をおとりになる方が多くなられましたので、そういうことの反映がこういう境界確定の新しい手続を求める声に映されているのではないかなというふうに思います。

 したがって、私どもも、部分的には相当、公権力側がある役割を演じて職権主義的に決めていかなきゃならないという、これは国の責任ではないかとおっしゃられると、それはそのとおりのところがあるわけでございますが、他方、それを日本全国あまねくやることによる実際上の摩擦、寝た子を起こすと今表現されましたけれども、そういう側面も決して無視はできない。そこで、現段階ではとりあえずということで、言い方は恐縮でございますけれども、こういう制度を導入して、できるだけこの制度でどこまで問題の解決ができるか図ってみたい、こういう気持ちでございます。

津川委員 非常に正直な答弁をしていただいたと思いますが、まさに、本当に微妙なところだと思うんですね。今おっしゃっていただいたとおり、そのもとにしている地図も地域によって実はつくられ方、性格も相当違うものでありますから、それをもとにするといっても、全国一律でやるのは少し乱暴過ぎるかなという気もします。ですから、だからこそ私はADRのようなものが非常に適当だと思っていたんですね。

 ただ、ADRの現場の方々も、そうはいってもなかなか大変だ。そういったときに、まさに今言っていただいたように、公権力を振りかざして筆界はここだと言うと、まあ、そんなものかなというふうに、それはもう何といったってお上が言うんですからそれが正しいんだろう、しかもお上は専門家をそろえてこうだと言っているんだから、素人の我々がどうこう言うこともできないだろうというふうに普通はなると思うんです。そうはいっても、それをまたいで家を建てちゃったときに、ずらせと言ったってずらせませんから、では次どうしようかという話にはなると思いますけれども、そもそもの境界がどこにあったのかという議論については、もうとにかくお上がこうと言えばこう。しかも、それについては不服申し立てができないわけですね。従来の訴訟をもう一回やらなきゃいけないだけの話ですから、筆界は筆界としてもう確定しちゃうという話ですから。そういったことを考えれば、結局、やはりこの制度は相当いろいろな意味で問題を解決してしまうんだと思うんです。お上がこうだと言えばこうなってしまう。

 それが、では、今までADRとして始めようとしていた趣旨等を考えると、ちょっとここはやはり相反する部分があると思うんです。うまく連携をしてやっていただきたいとは思いますが、今のADRと今回できる制度の連携について、具体的にどのようなことをお考えか、お答えいただきたいと思います。

寺田政府参考人 今、お上がという表現をとられましたけれども、私どもも、そういうふうに受け取ってそれで納得される方もいないわけではないと思いますけれども、現代の社会状況におきましては、やはりお上がというよりは、この面での専門家も加わって一定の手続的保障のもとに決めたことを尊重していただくという方が強いんであろうというふうに思います。

 ただ、この手続は、再三申し上げているとおり、公的な意味での筆界を決めるものにすぎません。実際は、さまざまな権利、所有権その他の権利がこの筆界に絡んで紛争になっているところがございます。そういう、紛争としては単なる筆界の問題よりはやや背景を持つものについては、おっしゃるとおり権利の処分を伴いますADRの役割が非常に重要でございます。これは、実際には専門家として入っていただくこともございますけれども、専門家として、日本ではほとんどこれまでこの仕事を率先してやってくださっておられます土地家屋調査士の皆さんを中心とする方々が、団体としてあるいはグループとしてなさるだろうというふうに予想されるわけでございますので、そういうところとの実際上のノウハウのやりとりも含めて連携をとることが非常に重要だろうというふうに考えております。

 私ども、この法律ができましてスタートするまでの間も含めて、もちろんスタートして後もそうでございますが、そういう協議を積み重ねていきたいというふうに考えております。

津川委員 調査委員の方の能力の部分ですけれども、測量の技術云々ということをきょう何度かおっしゃっていると思うんですが、測量の技術は、ちょっと誤解を恐れずに言えば、大したことはありません。今本当に、技術が非常に進んでおりますし、この間の参考人の方がおっしゃっていたかと思うんですが、光波、オートレベルとかいう機械を使うと割合に簡単にできちゃうんですね。あの機械は非常に壊れやすくて、大変高いもので困るんですけれども、私はそんなに壊したことはないんですが、そういういい機械を使えば割合だれでもできます。

 ただ、問題は、境界標というくいがありまして、このくいが見るからに間違っているというのが結構あるんです。これは当然真っすぐ刺さなきゃいけないんですが、これが曲がっていたり、あるいはどう見ても境界の真ん中じゃないところにこの標が刺さっていたりするんですね。素人目に見てもこれは間違っていると思うんですが、それが道路との境ならまだいいんですけれども、奥の方になるとこれはまた非常にわかりにくくなるんですね。

 そういったところがまさに専門家の腕の見せどころだと思うんですが、そういったところの調査委員の方々の選任、技術力の担保というものをどんな形で考えていらっしゃるのかという点が一つ。

 六カ月でそもそもこの問題を処理できるのかという問題点が二つ目。

 それからもう一つ、ちょっと続けて言ってしまいますが、費用が、午前中もありましたが、そもそもやはり公費でやるべきものではないかという話。それについて、最低限のものについては負担をお願いしたいという答弁がありましたので、最低限のものというものは具体的にどういうもので、幾らぐらいなのかということをお答えいただきたい。

 この三点、お願いします。

寺田政府参考人 まず、委員のことを申し上げる前に、測量技術のことをおっしゃられましたので、それについてちょっと一言触れさせていただきたいわけでございますが、私どもが測量技術と言う場合に、今ここで具体的にA点とB点をはかることについてどれだけできるかというと、これは測量士さんどなたでも、非常に高度な機械をお持ちで、できるわけでございます。ただ、私どもがここで問題にしている測量技術ということは、単にそういうはかるだけではございませんで、例えば、昭和二十何年当時の測量技術はこういうことであったから、この程度の地図かいてあるけれども、これはここに相当するだろうなということを理解する能力も、同時に測量技術ということで入るわけでございます。したがいまして、現在では測量技術を高いレベルでお持ちの方はたくさんおられますけれども、この測量全体を理解されている方はそれほど、どこにでもおいでになるというわけではございません。

 そういう方々を具体的に調査委員に任命する、なっていただくためにどうするかでございますが、基本的には弁護士会、土地家屋調査士会の会の方と相談をいたしましてそういう方々を御推薦いただく、あるいは、その他の専門家の方々でどういう方がいらっしゃるか、詳しい方にお聞きして選任をしたい、このように思っております。具体的には、任期二年で再任もあり得る、そういう形での任命をしたいと考えております。

 それから、標準処理期間でございますが、これは午前中にも申し上げましたとおり、基本的には、裁判所で現在行われております境界確定訴訟が二年が平均的な審理期間でございますので、そういうことを考えますと、また相当短い期間が求められる。一応六カ月というのを基本に据えまして、複雑な事件でも一年ぐらいまでの間には解決できるように、そういう体制を整えたいと思っております。

 三つ目に、費用の点でございます。これはおっしゃるとおり、本来は国としてもあるいは公的な機関としてもできるだけ何らかの形でお助けしなきゃならない側面があることは事実でございますが、しかし、申請人の方の利益になる部分もあるわけでございますのでお願いをするわけでございますが、現在のところ、対象土地の価格に応じて決めるわけでございます。

 ただ、今の境界確定訴訟は、例えば平均的な土地でいいますと一万数千円の手数料、印紙を貼付するというような扱いでございますので、それよりはコストとしては安いものを手数料としていただく。そのほかに測量その他で一部経費をいただきますが、現在の境界確定訴訟に見られるように、訴訟の前に調査を依頼して、その調査を大幅に、詳細なものをこの手続のために提出していただく、そのためのコストが膨大であるというようなことにはならないように留意いたしたいと考えております。

津川委員 ちょっと、費用についてはもう少し議論したかったんですが、時間がなくなりましたので、土地家屋調査士法の一部改正に関連して、最後に一点質問いたします。

 土地家屋調査士の方は、弁護士の方と連携をして代理業務を行うことができるといった形になっておりますが、地方においては、弁護士の方の数が圧倒的に少ないような地域もございます。ですから、これに関しては、まさに土地家屋調査士さんと司法書士さんで連携をしていただくことでこの代理業務というのはスムーズにできるのではないかなというふうに思いますが、これについて最後に質問いたします。

寺田政府参考人 おっしゃるとおり、地方によっては弁護士さんが余りおいでにならないところもありますし、逆に、司法書士の認定を受けられた方で、相当弁護士に近い能力をお持ちの方もおいでになることは否定できません。

 しかし、一般論として言えば、他人との間で争いが起きた事件について、土地家屋調査士さんがどういうところにおなれになっておられないかというと、やはり代理人として紛争処理を行うというところがおなれになっておられないわけで、弁護士さんと共同受任を行うものとした趣旨はそこにあるわけであります。これを司法書士さんも、御自分では確かにそういうことに相当おなれになっておられる方も、そう多くないかもしれませんがおられることは事実ですが、全体としての認定司法書士が現段階で土地家屋調査士の方々のそういう面での能力をカバーする、あるいは指導するというようなところまでは至っていないだろうということでこういう扱いがされた、これは司法制度改革推進本部での議論を踏まえたものでございますが、というふうに理解いたしております。

 そこで、この面については、もうしばらく司法書士さんの実績を見ないと、そういうことができるかどうかについての判断はしかねるという立場でございます。

津川委員 認定司法書士制度というのは、まさに弁護士さんが少ない地域において、できることはどんどんやっていただこうということでスタートしたはずでありますから、ぜひ今後、実績を見て、大いに活用できるように検討していただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

塩崎委員長 次に、加藤公一君。

加藤(公)委員 民主党の加藤公一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今の津川委員も土地を持っていないなんということをおっしゃっていましたが、私も持っておりませんで、不動産登記をしたことのない人間がこの法律で立て続けに質問に立つというのも何となくせつないものを感じるところでありますが、しかし、国家として大変重要な法案でありますので、私も勉強をしなきゃいけないということで、寺田民事局長が八年ほど前に編者になられて、房村前民事局長が執筆者になっていらっしゃる御著書を拝見して勉強をしてまいりました。しかし、土地全体でいうとまだまだ釈然としないテーマが幾つかございますので、きょうはそこを簡潔に伺ってまいりたいと思います。朝から議論が続いておりますから、若干ダブるところははしょることもあるかもしれませんが、御容赦をいただきたいと思います。

 まず大臣にお伺いをいたしますが、根本的な話なんですが、そもそもこの不動産登記制度というのは何のためにあるのか。そして、登記所に備えつけなければならない地図というのは一体何のためにあるのか。ここがすべての根源だと思いますので、この点をまず教えていただけますでしょうか。

南野国務大臣 先生も、いずれ土地はすぐお求めになられるだろうと思っております。

 不動産登記制度は、不動産の物理的な状況と、また不動産に関する権利を公示することによりまして国民の権利の保全を図る、もって取引の安全と円滑に資することを目的とするというわけです。自分の持っているものをしっかりと、ここはこうだというふうにできればいさかいにならないということもあろうかと思いますが、不動産は国民の最も基本的な財産である、不動産と言うくらいでございます、経済活動の基盤となるものですから、不動産に関する権利関係を正確に公示する登記制度を整備することは、不動産をめぐる経済活動の基盤を整備することになるものと考えております。

 また、不動産登記法の第十四条の第一項に規定いたします登記所備えつけ地図、これは、これによって土地を特定し、現地において各土地の区画を復元することができるものとなっております。それほど正確な、または緯度、経度をはかってちゃんとできるように今なっておりますが、このような正確な地図を備えつけることにより、登記簿による公示と相まって土地の取引の安全に寄与するものというふうに思っております。

加藤(公)委員 要するに、不動産登記制度というのは、その不動産に関する事実とか権利を公証するということが目的であって、そのためには正確な地図が欠かせない。これが大前提だと思いますので、それをベースに幾つか伺いたいんですが、まず縄延びのことについてお話を承りたいと思います。

 私も一昔前まではこのことは全く存じ上げませんで、登記されていることが本当に事実で、現地を測量してもずれなぞないんだろう、国会議員になるまではそう思っておったわけでありますが、いざ議員になって少し議論をしたり研究をしたりしてみますと、驚くような事案が出てまいります。

 そこで、これまで地籍調査をずっと進めてこられて、実際にどの程度縄延びが発生をしていたのか。つまり、登記をされていたものと、きちんと測量をしたらどれぐらい面積がずれていたのか、それを数字で教えていただけますでしょうか。

日尾野政府参考人 地籍の結果といいますか、実施前と実施後との状況についてのお尋ねでございますけれども、地籍につきましては市町村等で実施しておりますので、私どもが把握しておりますのは昭和四十五年度から平成十五年度までの間の状況でございます。その対象地域は宅地のみならず山林、農地等、幅広にいろいろなところを行っているわけでございますけれども、その調査実施前後を比べますと平均で二三%ほど増加している、こういう結果になっておるところでございます。

加藤(公)委員 大臣、御存じでしたか、この数字。二三%ずれている。もちろんいろいろな土地がありますから、一概に、今地図が五四%できていて、あと四六%だと思いますけれども、残りの四六%のところが全部二三%ずれているという議論ではないとは思いますが、仮にそう推定すると、日本全体の二三%というと九州、四国でもまだ足りないんですね。今までそんなに大きくずれていたわけですよ。まだずれている可能性のあるところが四六%も残っているという大問題があるわけですね。

 きょう、僕はここを一つの中心テーマとして伺っていきたいんですが、これがずれていると、つまり、実際正しい面積がわからない状態でいろいろな制度が運営をされているわけですから、直接とは言えないまでも、間接的にもいろいろなところに問題が発生をするのではないかと思っておりまして、それの最もわかりやすいのが相続税と固定資産税であろうというふうに考えております。

 そこで、国税庁の方に伺いたいんですが、土地に関連をして相続税の申告がなされた部分で、それに誤りがあったケースというのは実際どれぐらい把握をされていますでしょうか。

竹田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十五事務年度、これは平成十五年七月から十六年六月の一年間でございますけれども、この間、私どもが相続税の調査をいたしました件数が約一万三千件でございます。

 調査によって把握いたしました申告誤りと申しますか、申告漏れ課税価格の全体は三千八百六十億円でございまして、そのうち、今お話のございました土地に係るものの申告漏れ課税価格は七百三十八億円というふうになってございます。

加藤(公)委員 わざわざ、相続税ですから相続された方が御自身で申告をされて、多くの方は正確にやっていらっしゃるんだとは思いますけれども、それでも登記の面積とずれていれば、実際自分の土地がどれぐらいあるかというのは知らない方が多いはずで、悪気がなくても結果としてずれているとか、確信的に申告している人も中にはいるのかもしれませんけれども、御本人に何の悪気がなくても、結果的に相続税の徴収が漏れているという実態があるわけですよ。

 国税庁の方は、申告があったものの中から、ここは誤りがあるのではなかろうかというところをわざわざ調査して、それで七百三十八億円という額が出ているわけですから、これは、地図の整備ができていれば、こんな作業も要らなくなるし、もっと正確に皆さん公平に税を負担するという社会になるはずなんですね。その意味からしても、地図の整備というのは大変喫緊の重要な課題ではないかと思っているわけであります。

 同じように、総務省の方に伺いますが、固定資産税の収入が年間どれぐらいあって、実際縄延びによってその面積が実態とずれているとすると、そこに適正な課税がなされているとお考えか、あるいは、実際に幾らかの、何兆円かの税収がずれているとお考えか、あわせてお答えいただけますでしょうか。

板倉政府参考人 まず、土地に係ります固定資産税の税収でございますけれども、平成十五年度の決算額で約三兆五千五百億円程度ということでございます。

 縄延びがあるのではないかということでございますけれども、御承知かと存じますが、土地の固定資産税を課税する場合の地積につきましては、原則として登記簿に登記されている地積によるというふうにされているところでございます。これは、土地の固定資産税の対象となる土地が約一億七千万筆ぐらいということになっておりまして、そういう大量の土地を一時に評価をして毎年課税させていただくということでございますので、そういう登記簿の面積を使うということにしているわけでございます。

 これが、面積がふえれば税収がふえるのではないかと。これは、端的に申しますとそういうことになるわけでございますけれども、全体が大きく、例えば二割程度も面積が延びたときに今のままで課税をすることが適正かどうかというまた別途の議論はあろうかとは思いますけれども、基本的には、より正しい地積で課税することの方がより望ましいだろうというふうには思っております。

加藤(公)委員 そうなんですよね。だから、今の現状でいうと、地図が整備されている地域の皆さんは実態に合っただけの固定資産税を納めていらっしゃって、地図が整備されていなくて縄延びがある地域の皆さんというのは、御本人は悪気がないから責められないのかもしれませんが、正確でない固定資産税しか納めていただいていないわけですね。

 実際、それが金額的にはどれぐらいずれているかというのは、先日も伺いましたが、そこを判断するのは難しいということでしたけれども、先ほどの相続税から何となく推測するに、きちんと地図を整備するための予算を使ったとしても、これは、午前中から予算をふやすべきだという議論がかなり出ていましたが、その予算を使ったとしても、実は税収がその分以上にふえてくる、国として考えれば、国の経営として考えればそういう事態になるのではないか。

 その意味では、今政府参考人がおっしゃったように、仮に、縄延びが全部なくなった段階で今と同じ税率、課税でいいのかという議論は確かにあるとは思います。しかし、正しい固定資産税を納めていただくことを考えれば、投資というとちょっと語弊があるかもしれませんが、先に地図の整備を予算を使って進めるということは決して政府としてマイナスにならないと思うんですが、これは決して通告の必要性のある質問だとは思いませんので、大臣の御感想、御見解をちょっと伺いたいと思います。

南野国務大臣 本当に、基本的なものがあれば、その方がより効果的で効率がいいなとは思っております。

加藤(公)委員 効率というより、予算を使うこと自体は決してむだにならないということをぜひ御理解いただきたいなと思っているところです。

 国税庁と総務省に最後に一言ずつ伺いますが、税務上、地図がきちんと整備をされていれば、より適切な課税もなされるし、地図の整備はそのために欠かせないなというふうにお考えかどうか、確認を一言ずついただきたいと思います。

竹田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました土地に係る申告漏れ価格、この七百三十八億円の中には、土地そのものの申告漏れとかあるいは評価誤りなどさまざまな態様のものが含まれておりますので、縄延びがどの程度含まれておるかというのは私ども把握しておりません。

 ただ、先生お話ございましたように、私どもは相続開始時点における実際の面積に基づいて評価することといたしておりますので、今お話ございましたように、こういう実際の面積が把握可能な地図の整備が進んでいくとすれば、それは適正課税の観点からも有用であるというふうに考えます。

 以上でございます。

板倉政府参考人 固定資産税の課税に際しての地積の考え方は先ほど申し上げたとおりでございまして、本来、すべての土地についての現況の地積が把握できて、それが登記簿に反映をされるということが最も望ましいというふうに考えております。

 したがいまして、地籍調査などが一層進捗をしまして地図が整備をされるということは、固定資産税の課税の上からも大変有用なことであるというふうに考えます。

加藤(公)委員 ありがとうございました。国税庁と総務省の皆さん、御退室いただいて結構でございます。

 ということで、税務上からもやはり地図の整備は非常に重要だということをまずここで第一に御理解いただきたかったわけであります。

 もう一点、別の観点からやはり地図の必要性をお話ししたいんです。

 これは国交省がつくっていらっしゃるパンフレットにも書いてあるんですが、災害対策の問題で、おとついも福岡で地震がありましたし、昨年は新潟でございましたし、十年前は阪神・淡路、大変大きな災害が発生をしました。その後、復興するときに、正確な地図がないということでトラブルになったり、あるいは復興がおくれたりという事態が発生をするのではないかという懸念があるんですが、実際にそういう事態が起こるのか、起こらないのか、いかがお考えでしょうか。

寺田政府参考人 おっしゃるとおり、例えば、最近の一番大きい災害であります阪神大震災に当たりまして、特に港に近い部分が相当に区画が崩れました関係で土地の境界が明らかでない事態が生じるということで、私ども大変心配をいたしたわけでございます。

 神戸の場合は、従来ある地図に準ずる図面が比較的正確であったところで、それをもとに何とか復興にそれほど大きな支障にならなくて済んだわけでありますけれども、しかし、日本の大都会でそういうところはむしろまれであります。ほとんど地図というものが整備されていない大都会もあるわけであります。そういうところで現地の復元を行おうといたしますと、これは大変な努力が必要だということは容易に推測がつくわけでありまして、私ども、そういう面でも、特に都会での地図の整備というのを急務というふうに考えているわけでございます。

加藤(公)委員 今のお話ですと、たまたま神戸は比較的正確な地図があったから何とかなったというお話ですが、今、都道府県別だと、全国最低の進捗率は大阪府で二%というふうに聞いていますが、別に大阪に災害があればいいという意味じゃありませんから誤解されると困るんですけれども、万が一そこで災害が発生をしたらどうなるのか。東京でも直下型の地震が来るのではないかとずっと言われていて、東京でも地図整備一八%と聞いていますから、もちろん災害はないにこしたことはありませんけれども、起きてしまった後の復興のことを考えても、正確な地図を整えるというのは非常に重要なことだと思うわけであります。

 そこで、それだけ重要な地図というものを整備するのは一体だれの仕事なんでしょうか。大臣、お答えいただけますか。

南野国務大臣 だれの仕事かということでございますが、不動産登記法第十四条によりまして、登記所には各土地の区画を明確にした地図を備えつけるものとされておりますので、正確な地図を整備する責任は国が負っているものと思っております。

加藤(公)委員 そうですね、国が負っているんですが、国が負うということは、実際にはどなたがその義務を負っていらっしゃるんですか。所管をしていらっしゃるのはどなたですか、大臣。

南野国務大臣 法務省、国土交通省ともに連携しながらやっていくわけですが、ポイントとしては法務大臣の方にあると思っております。

加藤(公)委員 ポイントとしてはというのが今風に言うと大変微妙な答弁かと思いますが、法務大臣がやっていただかなきゃいけない仕事ですよね、法務局に備えつける地図ですから。今でいえば、南野法務大臣がその地図を整備していただかなければならないわけであります。

 そもそも、今回、筆界を特定する新たな制度をつくるというのは、別にこの法案とかこの制度自体を否定するわけではもちろんないんですが、もとはといえば、これまでに地図の整備が済んでいれば、わざわざこういう仕組みをつくる必要はなかったわけですよね。それが、御案内のとおり、全国で今五四%しか済んでいない、四六%残っている。また、大都市のように、筆界の特定の大変難しい地域が多く残ってしまっている。これを何とかしたいということで今回の制度ができるのでありましょうが、悪い言い方をすれば、国がここまで余り力を入れてこなかった、サボったと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、地図の整備を怠ってきたということがあるんじゃないかと思いますが、大臣、そこに反省はされませんか。

南野国務大臣 地図が整備されていない地域におきましては、筆界をめぐる紛争が生ずることが多いと考えられますけれども、地図が整備されていたとしましても、筆界の現地における位置について争いが生じることもあり得ますので、新たな筆界特定制度を創設する意義があるものと考えております。

 地図の整備につきましては、新たな筆界特定制度の活用を図りながら引き続き進めてまいりたいと思いますが、日本の地図というのは本当にいろいろな形で変わっていっているのではないかなというふうにも思います。それは、造成とか、いろいろと土地を、地震とかなんとかということもあると思いますけれども、それに追いついていかない、それだけに時間がかかるものであるということも思っております。

加藤(公)委員 大臣、多分余計なことをおっしゃらない方がいいと思うんですけれども。

 それは、地震もありますよ、日本は、活断層が多いですから。地震で土地の形が変わるのもよくわかります。阪神・淡路大震災の直後に私は神戸も行きました。がたがたになっていた地区もありますから、それは変わるでしょう、土地の形も。それから、埋め立てもすればまた土地が生まれたりもするでしょう。だけれども、それが原因で五四%しか地図が整っていないわけじゃないわけですから、そこは素直にこれまで十分じゃなかったということは認められた方がいいし、そうじゃないとこれから先の議論につながらないじゃないですか。

 それに、今、最初に私がわざわざ申し上げたのは、この法案を否定するわけでもこの制度を否定するわけでもないとお断りをした上で伺っているんですから、そこは真っ正面から議論をしていただきたい。

 この筆界特定制度が必要になってしまうというのは、地図が整備されていないがゆえというところがあるわけですから、先ほど大臣がおっしゃったように、法務大臣の仕事としてこの地図の整備をしなきゃいけないわけでありますから、先ほど来何人かの委員の方も質問されていましたが、地図を整備するためのコストというのは国が負担をするべきじゃないかと私は思うんですが、大臣、いかがお考えになりますか。

南野国務大臣 先生のお問い合わせは、測量の費用を請負人が負担しなければならないのかと。その逆……(加藤(公)委員「申請人。請負人じゃありません」と呼ぶ)申請人ですね。その逆もあると思います。

 筆界特定制度は、地図が整備されている地域であるか否かにかかわらず、土地の筆界について紛争が生じた場合など、筆界の位置を特定する必要が生じた場合について、その土地の所有権登記名義人等の申請によりまして筆界特定登記官が判断を示す制度となっております。

 このように、筆界特定は、土地の所有権の登記名義人等が必要であると考えて申請をした場合に行うものでありますので、申請人に対しそのための相応の費用の負担を求めることは合理性があるというふうに考えております。

加藤(公)委員 そこがきょういろいろな委員の方が議論をしていたところで、先ほど津川委員もおっしゃっていましたし、私も同じように考えているんですね。

 もちろん、地図があったからといって争いが全くなくなるとは言いません。もちろん発生する可能性はあるのでありましょう。しかし、そもそも、私のこの時間の中の議論でも、国が整備をしなきゃいけないんだ、大臣もおっしゃったとおりですよ。

 不動産登記というのはその土地の不動産の事実や権利を公証する制度で、そのためには地図はいわば不動産登記制度の根幹をなすものと言えると民事局長が書かれた本にも書いてあるわけですよ。

 国の義務として整えなきゃいけないわけだから、その地図が一たん完成をするまでは国のコストで地図の整備を進めるということの方が合理性があるんじゃないですか、地図が整っている地域とこれから地図をつくらなきゃいけない地域とで、住んでいらっしゃる方にその費用負担の損得勘定が発生をするというのは不公平なんじゃないですか、こういうことを申し上げているわけです。

 境界の争いだったらそれは私人同士で負担をしていただくということにもちろんなりますけれども、筆界の特定までは、これは公法上の境界線を決めるわけじゃないですか。その筆界の特定までは、国の仕事だというならば、国が負担をするべきじゃないかと思うんですけれども、もう一度、お考えは変わりませんか。

南野国務大臣 法務省といたしましては、引き続き積極的に地図整備を進めることによりまして、地図が整備されている地域とそうでない地域の不公平感の解消に努めたいと考えております。

加藤(公)委員 そうすると、今の御答弁は、極端な話、この制度がそう多く使われないうちに、できるだけ一生懸命急いで残りの四六%の地域の地図を整備したいという意思表示だというふうに受け取ってよろしいんでしょうか。

寺田政府参考人 再三言いわけめいたことを申し上げて恐縮でございますが、地図の整備自体は、これは国の責任でございます。ただ、国土調査に基づく地図を作成し、これを法務局に備えつけるという場合においても、筆界に当事者間に争いがあれば、当事者が合意なさる場合は別ですが、そうでなければ、やはり筆界未定地としてこれは残るわけです。したがって、地図が整備されているか整備されていないかによって、筆界が決まっているか決まっていないかということが自動的に、一義的に対応しているわけではありません。

 ただ、もちろん筆界が決まらないということも地図の整備にとってマイナス材料でありまして、それも全部国でやってしまおうという考えもあり得ないわけではありません。これも、午前中御説明したとおり、職権ですべてやってしまうということもあり得るわけであります。しかし、それにはそれのマイナスもある。

 そこで、今回は非常に、制度としてはやや中途半端な感じでお受け取りになられるかもしれませんけれども、こういう制度をつくって、最小限の費用で確定できる筆界は確定しよう、こういうことでございます。

加藤(公)委員 大臣にぜひ御理解いただきたいのは、今の局長の説明と、私が先ほど国税庁や総務省の方に伺った話とをセットで考えていただきたいわけですよ。

 国が地図を整備することによって正しい課税がされて、それで税収がぐんとふえるかちょっとふえるかそれはわかりませんが、新しい税金が入ってくる。その前に地図を整備するためにコストをかけることは、国としてそんなにマイナスはないじゃないですか。だったら、局長が今くしくも御自身で、中途半端な制度だとお受け取りになられるかもしれないとおっしゃいましたが、私はそうお受け取りになっているわけですから、中途半端なことをしないで、きちんと地図を一刻も早く整備するということの方が、それはもうバランスの話ですけれども、だから、これはそれこそ政策論、価値観の議論かもしれませんが、私は、優先順位が高いと思うわけですよ。だからこの議論をさせていただいているんですね。

 多分ここで残り時間全部この議論をしていてもお考えは変わらないんでしょうから、別の観点から伺いますけれども、そうはいっても、残り四六%の地図を一刻も早く整えなきゃいけないわけですが、大臣、これはいつまでに完成をさせる御意思がおありですか。

寺田政府参考人 国土調査による地籍整備というのは昭和二十年代から始まりまして、十年計画を数回繰り返して今日に至って、最近ではようやく半分を超えているわけです。

 そのことについて、私どもの方で所管しておりませんので直接申し上げることはできませんが、しかしながら、この地籍調査においても、特に都会、都市部分において調査ができていないということが、境界の争いあるいはその他の権利関係の争い、あるいは公共事業の遂行、いろいろな面でのマイナスがあり、加藤委員が御指摘になられたように、課税上の問題もあるということから、この部分を重点的に、都市再生という枠内で進めていこうということで、十年間で一応の地図のようなものを、特に地図が欠けているために問題になっている地域について行おうという計画でございます。

 私どもも、国土交通省の地籍事業について積極的に、とりわけ境界確定、筆界確定にノウハウを持つ法務局としては協力してまいりたい、このように考えております。

加藤(公)委員 ちょっと時間がもう迫っていますから、国交省の方、最後まで残っていただいて申しわけなかったんですけれども。

 都市再生本部で、今局長がおっしゃられたように、十年間で都市部は全部何とか地図をつくろうという意思を持たれて今進めていらっしゃることはよく存じ上げておりますが、もちろん都市部が全然進んでいないからそれをやっていただくのは大事なことなんですけれども、都市部が終わったからといって、四六%全部ができ上がるわけじゃありません。国交省の方にお願いをするところもあれば、法務局がみずから地図を整えていくということがあったって当然いいわけでありまして、私は、そこまで含めて、残り四六%、いつまでに完成をさせる御意思がおありなんですかということを伺っているんですが、大臣、いかがですか。

南野国務大臣 今答弁申し上げたとおりでございますが、お話の中で、十年間でおおむね達成しよう、これは都市の部分でございます。

加藤(公)委員 都市以外のところもあるわけですよ。ではそこはやらないんですか、十年間ほったらかしになっちゃいますよということを僕は聞いているわけですから、そこまで含めて、日本全体の地図の整備はいつまでにやろうとしているのか。大臣が御自身で、自分の仕事ですとおっしゃったんですから、意思を持っていただきたい。それはいつまでですかということを聞いているんです。

南野国務大臣 都市部以外の地域の地図整備につきましても、相当の期間を要するものと想定されておりますが、従来から実施されている地籍調査に法務局が積極的に参加、協力するなどして、地図整備の促進を図ってまいりたい、できるだけ早くしたいと努力していく所存でございます。

加藤(公)委員 時間になりましたのでもうここでまとめますが、今までのペースだと一年間で一%ぐらいしかふえていないわけですよ。そうしたら……(発言する者あり)本当に、やじが飛んでいますけれども、五十年かかっちゃうわけですよ。

 都市再生本部が、都市部を十年間で完成させていただければ、それは大きなプラスにはなりますけれども、それだけで全部が片づくわけではないので、先ほど、冒頭申し上げたように、税金の段階でもアンフェアな状態が今現実に続いているわけですから、そもそもこれはおかしい。公正な社会をつくるという観点からいっても絶対におかしな状態が続いているんですから、さらに今まで以上に積極的に取り組んでいただきたいとお願いをしておきたいと思います。場合によっては、また別の機会にも議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

塩崎委員長 次に、樽井良和君。

樽井委員 民主党の樽井良和です。

 遅くまで御苦労さまです。不動産登記法等の一部を改正する法律案について、きょう最後の質問になりますので、もう一頑張りよろしくお願いします。

 不動産というのが大体二億七千万日本にあると言われているんですが、私は残念ながら一つしか持っていないと言おうと思っていたんですが、先ほどの津川さん、加藤さんが一つも持っていないということでしたので、その辺はやめておこうと思います。

 これだけ筆界に対して今まで未定のところとか、あるいはいいかげんなところというのがたくさんあるんだというのを私は調べまして初めて実感いたしまして、例えばしたたかな先祖が銀座あたりにくいを打ちまくっていたら、今は馬車馬のように働かなくても大丈夫だったのになと思った限りであります。

 日本の金持ちといいますか、日本は金持ちイコール土地持ちなんですよね。この間逮捕された方も含めて、土地をたくさん持っているから金持ちとして何か番付に出るということがたくさんありまして、地球の資産を管理する例えば神様みたいなのが幾らかといえば、余り日本の実際の価格ぐらいの価値があるかどうかはちょっと疑わしいんですけれども、それでも、お金を借りる面でありますとか取引においても、不動産あるいは株式、この辺がいまだに大きな比重を占めておりますので、この問題は大事な問題だと思っております。

 今後、ペイオフになって、今預金されているお金、これが動くところを見つけて動き始めると思いますので、例えばこの今回扱う不動産の問題、これも早急に片づけていかないと、せっかくのチャンスがそがれていくかもしれない、この辺も強く思いましたので、土地の円滑な取引あるいは筆界未定地を迅速に解消しなければならない、これに全く異論はない、このことについては大賛成ですが、この中で重要な点が多いので、不明な点を追及して、ちょっと意見を述べたいと思います。

 朝からいろいろな委員が質問に立たれまして、私が質問しようと思って通告していたものが多々出てきましたので、一部ちょっと変えてみたりとか、あるいは順序も変えるので、その辺失礼いたします。

 まず、本制度によって訴訟手続の迅速化が図られるというふうに、今までよりは迅速に行われると思うんですが、例えば六本木ヒルズの再開発で、土地情報が不十分であったことから、要するに、境界の確定、面積の確定に四年以上を要している、こういったことがあったわけです。今回の改正によってどれぐらい、例えば四年ぐらいかかっていたものがもっと縮まるのか。

 そして、先ほどの話ですと、これも津川委員が聞きましたけれども、いつまでにこの未定地を解消できるとお考えなのかという中で、例えば十年でということでありました。それは何に時間がかかってなかなか確定できないのか、この辺についてちょっと質問したいんですが、よろしくお願いします。

寺田政府参考人 御質問の趣旨は、例えば六本木ヒルズのような都市の再開発において、筆界が確定していないことが障害になっているというふうに一般に言われているわけですが、それがどれほど迅速化されるかということだろうと思います。

 個別の案件について申し上げることは差し控えたいと思いますが、六本木ヒルズに限らず、例えば道路の買収でありますとかあるいは公共の建物を建築する場合に、この買収する対象の土地の筆界が確定していないために非常に時間がかかるということは結構ございます。

 そのために、例えば道路が完成までに十年要するとすると、実際半分ぐらいその土地の買収のためにかかり、その土地の買収の遅延の非常に大きな要因が、土地の境界の確定ができていなかったということがあります。これは、具体的に手続をとるということもさることながら、値段が決まらないということもあるわけで、筆界が決まりませんと値段が決まらないということもあるわけであります。

 こういうことから、この筆界の不明確な点を解消すると、公共事業を含めましてさまざまな事業にプラスに働くということは、一般論としては言えるだろうというふうに考えております。

 それから、訴訟にどういう影響を与えるかという御質問もございました。これは、現在では、この種のものはすべて境界の確定訴訟という形で行われているわけでございまして、その中にはさまざまな専門家が関与しての手続もございますけれども、大変に、全体的な知識が非常に偏っているために時間がかかるというところもございます。

 これを法務局の関与するその周辺の土地についてのいろいろな知識というものを前提にいたしますと、これも相当に迅速化されるというふうに考えられるわけでございまして、この法律の中でも、訴訟との関係を規律している規定が二条ほどございますけれども、訴訟との関係も非常に重要なポイントだろうというふうに考えております。

樽井委員 先ほど大臣が十年ぐらいで筆界未定地を解消するということを言ったんですが、大体その根拠となるもの、今まで例えば一%ずつぐらいしか動いていないのに、かなりスピードアップすると言ってもよいですが、それは何でかというようなことなんですけれども、どういうことでスピードアップできるのか。それで、実際に、何が理由でそんなに十年も逆に言えばかかるのかということなんですが、その辺、ちょっと詳しくお願いします。

寺田政府参考人 ちょっと先ほど私の説明が悪かったかもしれませんが、この都市部再生との関係で地図の整備を行うという事業は国土交通省の所管でございまして、国土交通省が従来の地籍調査、これは主として都市部以外の部分で進展しているわけでございますけれども、それでは、実際に土地の取引等が行われることが多い都市部に国土調査が全く役立たないという点を非常に重視されまして、このままでは永遠に都市部に国土調査が入れないという危険もあるではないかというような御議論から、思い切って十年間という期間を設定されまして、その期間の中で、従来行われてこなかった一筆対査ということを、まず非常に大ざっぱな形で街区及び一筆地を特定されるということをおやりになった上でなさるというものでございまして、その調査によっても、最終的にその区域内の筆界未定地がゼロになるというわけではありません。

 その作業を行うことと並行いたしまして、このような新たな筆界の確定手続が利用されて、筆界未定地が解消されていく度合いは相当多くなるとは思いますけれども、完全にゼロにはできないだろうというふうに思うわけでございます。また、全国の地籍調査というものが仮に完成いたしましても、同様に、全国的に筆界未定地がゼロになるということではない。そこのところはひとつ御理解いただきたいところでございます。

樽井委員 筆界未定地、これがゼロにならなくても、例えば八割方、九割方、普通の民間とか会社がどんどん調査して調べていくとして考えた場合、十年かかるだろうかということを考えまして、経済の中で非常に大事な部分ですから、もうちょっと早急に、国土交通省と法務省、こういった中でプロジェクトチームでもつくって、どっちの省庁が何をするんだとかいうような中ではなくて、国を挙げて取り組んでいってほしいというふうに思います。

 その辺に関してはまた後で述べることにして、ちょっと次の質問にさせていただきたいんですが、調査委員の登記官へ提出する意見というもの、これが合議体で行われるのか、それとも単独で行われるのか、この辺について教えてください。

寺田政府参考人 これは法律の上では合議体を構成するものではございませんので、単独で意見をお出しになろうと思えばできるわけでございます。

 ただ、実際上の運用としては、これは相当、委員間でいろいろ御協議いただいて、御協議いただいた上での結論をもとに御意見を提出していただきたい。運用上はそういう工夫をしていただきたいというふうに考えているところでございます。

樽井委員 実際に、例えば単独か合議体かという場合ですが、これはADR同士の連携で測量を伴う場合に、例えば土地家屋調査士とか、そういった専門家以外に測量の技術や基準というものがあるのかどうか。

 それとまた、調べるときに、調べる入り口の段階で、そういった専門的な技術を持っている土地家屋調査士のような団体以外のところに頼んでいいものかどうかというのが、測量が必要なのか必要でないのかというような、この辺の判断も含めてわかるものなんでしょうか。

寺田政府参考人 これは、特定の案件でどれぐらい測量が必要かということは、その案件ごとに違いますので、一概には言えません。

 ただ、この種の筆界の確定の測量においては、都会部とそれからそうでないところ、さまざまございますが、その案件ごとに測量の精度というのは決まっております。これは甲何号、乙何号という形で決まっております。それに応じてやっていただくということでございまして、そのあたりは、専門家であります土地家屋調査士さんの皆さんは皆さん心得ておられる。そういう方をむしろ専門委員には任命させていただくということで考えております。

樽井委員 技術的な面で今まで洗練された団体があると思いますので、そういったところできちんとした測量をやっていかないことには、またいいかげんなことをしたら、これは意味が全くありませんので、きっちりとその辺は対処してほしいと思います。

 それで、続きまして、二〇〇四年に不動産登記法を改正して、オンライン登記申請制度というのができていますが、最近のこの状況をちょっとお伺いしたいんです。

 今回、筆界をきちんと決めていった中でも、そういったデータ、これはデジタル化をきちんとしているのかしていないのか、この辺をお伺いしたいんです。

寺田政府参考人 まず不動産登記法の改正でございますが、三月七日に施行されまして、さいたま地方法務局の上尾出張所がオンライン一号庁に指定されております。現在、私どもが把握している限りでは、一件だけオンライン申請が出ております。

 それから、地図につきましては、これは平成元年に基本的に今後の地図整備の方針を決めました際も、できるだけ今後はデジタル化したデータを集めていこうということで、その後も、法務局にそれぞれ、地図のデータを管理できるコンピューター、管理システムと申しておりますが、それを導入いたしまして、全国の本局、一部の出張所には既にそういうものが配備されているという状況にございます。

樽井委員 一部ということは、例えば別のところではいまだに紙で管理しているということでよろしいんでしょうか。

寺田政府参考人 電子データそのものは、どこの支局、どこの出張所でも、提出されたものはいただいて、管理をいたしております。ただ、それをもとに、例えば分筆の登記が出た場合に、その電子データを利用して分筆の手続をするかどうかということは、これはコンピューターを配置している登記所しかできませんので、そういうところで扱っているわけでございます。

樽井委員 かつて、よく法務局なんかに行って、いろいろな書類を見ますと、何が悲しくて手書きで管理しているのかというふうに思ったものであります。実際に、例えば、今回登録していく中できちんとしたデジタル化をして、そういうことによって新しいビジネスチャンスを生み出したり、あるいは効率のいい調査ができるように、こういったことをやっていくことが大事じゃないかと思っています。

 例えば、不動産会社の方が、あの土地はだれのだろう、こういうふうに聞かれたときに、次の日の朝からまた法務局に行って、証紙を買って調べて、それをコピーして持って帰る、この効率の悪さというのは本当にひどくて、あんなものは、許可さえもらっておけば会社のコンピューターからインターネットでも接続して、その地図上をぱぱっとダブルクリックでもしたらデータが出てくればいい話でありまして、そういったことを将来的には絶対進めていくべきだと思うんですね。

 そういう中で、最初からそういうデータをデジタル化していかなければ、また再度、紙に書いたものを取り出してデジタル化しなければならない、こういう事態になってくるんじゃないかと思っておりますし、先ほど言われましたように、例えば、自然災害でも、人為的な開発行為であろうが、土地が変わったときに紙に書いているものをまた変えるんだというような、今の日本の技術とかテクノロジーでそんな不細工なことをしていいのか。普通に、コンピューターの上でぱぱっといらえばきれいに直るじゃないですか。そういったシステムの開発とかをしようというような、そんな意見というのは全く出てこなかったんでしょうか。

寺田政府参考人 先ほど申しましたのは、こういう地図のような地理的データについてのコンピューターによる管理でございまして、登記情報全体は、これは昭和六十三年から全面的にコンピューター化を進めておりまして、現在、七五%程度の完成を見ております。

 残るところは非常に限られた部分でございますので、皆様、東京のそれぞれの法務局の出張所に行かれますと、もう既に全面的にコンピューターで運用されているところをごらんいただけると思います。平成十九年には、このコンピューター化は一応の完成を見ることができるように、現在、鋭意努力しているところでございます。

 それから、地震等が起きた場合の現地の回復にデータを利用できないのはおかしいではないかというのはそのとおりでございます。これは、先ほども少し御説明申し上げましたが、この地図データというものが、法十四条の地図で新しいタイプのものという場合には、地図上の図根点そのものが電子データでできております。そういうものを基準点といたしまして、それぞれの筆界も全部電子データでできております。

 そういうものにおいては、基本的に、土地のずれという問題もございまして、そこもまた理論上難しい問題がございますが、それを今、仮に抜きにいたしまして、現地を復元するというふうにいたしますと、その電子データが、まさに委員の御指摘のとおり、復元に極めて大きな威力を発揮するということでございます。

樽井委員 だんだん不動産自体も経済の中ではいろいろな取引の形態をとってきておりまして、不動産を証券化したりであるとか、土地に対するニーズや取引が複雑化してきている。そういったときに、そういう新しいシステムというものを国がつくっていくのは、大きいビジネスチャンスを広げることだと思っております。

 取引にしても何にしても、現場で会議をしながら、ここの土地はどうだろうかというようなのはぱっとデータが出てきて見れる、そういった中での新しいシステムというものを当然考えていかなければならないと思いますし、それは法務省だけで言う問題ではなくて、国全体で、e―Japanなんかの担当をしている方を見ますと、遅くまで残って霞が関でやられておりますが、ああいったところをもうちょっと人員をふやすなりして、各省庁のこういった問題にも取り組むプロジェクトチームあたりを立ち上げるぐらいのことをやっていかなければ、だんだん日本が最先進国から徐々に徐々に後退しているような気がしてならない、こういう感想を述べさせていただきます。

 それで、例えばITによって今言ったような効率化を図ろうという提言みたいなものですが、これで、先ほど言いましたように、民間に任せてやるような仕事はあるんでしょうか。何か、今までだったら公共工事ということが多かったのですが、公共IT事業みたいな感じで取り組むべきことだと思います。

 今、国でやってくれと言いましたけれども、やらせていたらちょっとスピードが遅いので、民間に委託してこういったことはやらせる方がいいんじゃないかと思ったときに、例えば、土地家屋調査士のデータの管理のシステムであるとか、あるいはIT関連のすぐれたソフトウエアをつくった会社なりに入札させるなりして、国のこういったものを管理する新たなシステムを構築していくべきだと思うのですが、その辺の所見はいかがでしょう。

寺田政府参考人 今、ビジネスチャンスのお話がございましたけれども、先ほども申し上げたとおり、コンピューター化を進めております関係で、コンピューターの上で既に電子データの形で示せる登記簿、これは先ほど申したように七五%でございますが、それについては、それぞれの会社なら会社で、あるいは個人のお宅でもそうでございますけれども、適当な手続をとっていただければ画面上のコンピューターで今そのデータが得られる、そういう仕組みにいたしています。オンラインによります登記情報の提供という形でそれをいたしております。

 こういうようなコンピューター化は、おっしゃるとおり国で進める責任があるわけでございますけれども、しかし、実際にこれを進める上では、やはり民間の活力というのが欠かせません。私どもの方でも、このコンピューター化を進めるに当たっては、登記簿上の、実は、墨で書かれた非常に古い登記簿もあるわけでございますけれども、そういうようなものも含めまして、すべて専門家が読み取りをしていただいた上で、間違いを正した上で電子データに直しているわけでございます。そういう作業はすべて民間に委託をいたしております。

 また、コンピューター化をいたした後、先ほど申したように、登記情報を提供し、あるいは登記所においでになってコンピューター式のプリンターによって証明書を発行する、こういう業務も、実際の仕事に当たっているのは民間でございまして、私どもが民間に委託をしている、こういう形になっております。

 今後も、できるだけ民間でできることは民間にということで、最終的な責任は国において行う、こういう形を維持してやっていきたいと思っております。

樽井委員 今後、未来の状態を考えるのに、きちっと筆界が決まりまして管理できるようになりましたら、普通だったら、そこの地価が幾らで、大体面積がこんなものだからこれぐらいの値段であるとか、あるいは、当の本人がこの土地は売る意思がある土地か、あるいは絶対もう譲らない土地なのか、そういったマークなり簡単なメッセージなりを入れておいたらどこからでも検索できるような、そういったシステムがあれば、いろいろな会社が出店したりとかあるいは不動産を転売したりするときに多くの情報をもたらすことになりますので、そういったことまで考慮に入れて、こういった法律をつくるとき、日本は今大赤字なんですから、何か法律を出すときには必ず、これだけ税収がふえるぞ、これだけもうかるぞ、これだけ赤字が減るぞということも考えて、経済生産性が上がるような政策を前へ前へ打ち出してほしいということを強く言っておこうと思います。

 それで、朝の井上委員や中村委員とちょっとダブったりもするんですが、備えつけの図面の現状で、地図混乱地域のことなんですが、先ほどから何回も聞いておって、ちょっとよくわからないんですが、これは一体何が国土交通省で、どこが法務省、その基準というのはどうなっているんですか。

寺田政府参考人 法律上の構造はこういうことでございます。不動産登記法において、現在の新しい不動産登記法では十四条でございますが、登記所に地図を備えるということになっております。しかし、これは、備えるということが登記所の責任でございまして、作成は必ずしも登記所の責任ではないという仕切りでございます。

 そこで、作成はどこが行うかといいますと、これは昭和二十年代から国土調査というものを国土交通省の方で行っておられまして、そこで全国の土地について一筆一筆確定をする作業をされておられます。先ほども申したように、十年計画でもう既に四回か五回行っておられる計算になるわけでございます。

 これとはまた別に、土地区画整理あるいは土地改良がございましたら、そこの成果物であります地図というものは、これはそのときの現状をそのまま示したものでございますので、これも法務局に送付されまして、これは現在では十四条地図ということで備えるということになっています。

 もっとも、この土地区画整理につきましては、長く必ずしも国土調査上の指定がされなかった関係で、法務局の側でも、当時は十七条地図、新しい法律での十四条地図に指定しなかったという経緯がございます。しかし、最近はそこが直りまして、土地区画整理のものも法務局に備える地図の資格があるということで、現在はそういう扱いで、すべてが法務局の地図の備えに向かってやってきているわけでございます。

 ただ、振り返りますと、必ずしも土地の権利関係というものに対する理解が関係者の間で十分でなかったという反省があるわけでございますが、古い国土調査をした部分については、必ずしも現地をそのまま復元できるような形での地図に残念ながらなっていないものが一部ございます。そういう関係で作業が進まないこともございますし、また筆界未定地というものを解消する策がなかなかなかったということで、かなりの部分が筆界未定地として残されているままで地図の作成が行われるという甚だ残念なところもあったわけでございます。

 そういういろいろな反省の上に、今回の筆界特定制度というのも一つのお役に立てる制度ということで登場しているということをひとつ御理解いただきたいと思います。

樽井委員 なかなか明確な感じはしないんですけれども、やはり日本株式会社として日本を考えた場合、赤字だらけの会社であって、これを立て直そうといったときに、国土交通省がこうである、法務省がこうであるというような、そんな縦割りなことでやっていても仕方がない。一丸となって、国を挙げて一つのグランドデザインをつくり上げて、例えば今回、土地をきちんともう一回精査するんだったら、いろいろな区画整理まで含めて一緒くたにデータ化から全部やってしまおうというぐらいの、そういう意気込みが欲しいですね。

 それで、新たに民間にも新しいビジネスモデルであるとかいったものを打ち出していって、活力を上げてもらおう、それぐらいの意気込みが法案一つ一つに何か感じられないので、ぜひ、日本を立ち上げるためのグランドデザインをつくって、どんどん前へ前へ取り組んでほしいと思うんですが、ちょっともう時間がなくなりましたので、大臣、その辺についてどう思われますか。所見をよろしくお願いします。

南野国務大臣 本日の先生の情熱をいただきまして、我々もしっかり頑張っていこうと思っております。

樽井委員 情熱だけではなく、こういったアイデア、若い議員がだんだんふえてきましたので、いろいろな斬新なアイデアを持った方がたくさんいらっしゃると思います。いろいろな面で改革を前に進めていくためには、こういった意見もぜひ積極的に取り入れて、日本をもう一回復興させたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 時間ですので、質問を終わります。

塩崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、不動産登記法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、田村憲久君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。津川祥吾君。

津川委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    不動産登記法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 新たに創設された筆界特定制度が、土地の筆界の迅速かつ適正な特定を図り、筆界をめぐる紛争の解決に一層資するとともに、広く国民等に理解され、多くの者が利用できるよう、その周知徹底に努めること。

 二 筆界特定制度の運用に当たっては、筆界特定が土地所有権に重大な影響を与えるものであることにかんがみ、この筆界特定を行う筆界特定登記官及び筆界調査委員等において、その能力を高め、制度の信頼性及び公正性を確保できるよう、所要の措置を講ずるとともに、従前の不動産表示登記手続に著しい変更を生じないよう、特に配慮すること。

 三 筆界特定制度が、より利便性の高いものとなるよう、裁判外紛争解決機関等の関係団体との効果的な連携に、十分に配慮すること。

 四 筆界特定制度が、登記所備付地図の整備事業の一端を担うものであることにかんがみ、その申請手数料及び手続費用の決定に当たっては、国民が利用し易いものとなるよう、公費負担も含め、十分な検討を行うこと。

 五 境界確定訴訟の結果を、登記事務に反映させることができるよう、境界確定訴訟と筆界特定制度との連携に、十分に配慮すること。

 六 筆界特定制度が、的確かつ円滑に運用されるためには、登記所備付地図の整備促進が不可欠であることにかんがみ、人的物的体制の充実強化に、なお一層努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

塩崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩崎委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。南野法務大臣。

南野国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

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塩崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十九分散会


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