衆議院

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第5号 平成18年3月14日(火曜日)

会議録本文へ
平成十八年三月十四日(火曜日)

    午前九時三十五分開議

 出席委員

   委員長 石原 伸晃君

   理事 倉田 雅年君 理事 棚橋 泰文君

   理事 西川 公也君 理事 早川 忠孝君

   理事 松島みどり君 理事 高山 智司君

   理事 平岡 秀夫君 理事 漆原 良夫君

      安次富 修君    赤池 誠章君

      稲田 朋美君    近江屋信広君

      太田 誠一君    笹川  堯君

      柴山 昌彦君    下村 博文君

      平沢 勝栄君    松浪 健太君

      三ッ林隆志君    水野 賢一君

      森山 眞弓君    矢野 隆司君

      保岡 興治君    柳澤 伯夫君

      柳本 卓治君    石関 貴史君

      枝野 幸男君    河村たかし君

      郡  和子君    鈴木 克昌君

      津村 啓介君    細川 律夫君

      横山 北斗君    笠  浩史君

      伊藤  渉君    保坂 展人君

      滝   実君    今村 雅弘君

      山口 俊一君

    …………………………………

   法務大臣         杉浦 正健君

   法務副大臣        河野 太郎君

   法務大臣政務官      三ッ林隆志君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (法務省大臣官房長)   小津 博司君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    小貫 芳信君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    麻生 光洋君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  保岡 興治君     安次富 修君

  柳本 卓治君     松浪 健太君

  津村 啓介君     横山 北斗君

  保坂 展人君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     保岡 興治君

  松浪 健太君     柳本 卓治君

  横山 北斗君     鈴木 克昌君

  辻元 清美君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 克昌君     郡  和子君

同日

 辞任         補欠選任

  郡  和子君     笠  浩史君

同日

 辞任         補欠選任

  笠  浩史君     津村 啓介君

    ―――――――――――――

三月十三日

 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)

同日

 女性の人権の確立を目指す法制定に関する請願(郡和子君紹介)(第七三九号)

 同(郡和子君紹介)(第七九六号)

 同(森山眞弓君紹介)(第七九七号)

 同(郡和子君紹介)(第八二五号)

 国籍選択制度の廃止に関する請願(鳩山由紀夫君紹介)(第七四〇号)

 同(山井和則君紹介)(第七九四号)

 成人の重国籍容認に関する請願(鳩山由紀夫君紹介)(第七四一号)

 同(山井和則君紹介)(第七九五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件

 執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

石原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長竹花豊君、法務省大臣官房長小津博司君、法務省刑事局長大林宏君、法務省矯正局長小貫芳信君、法務省保護局長麻生光洋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石原委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。倉田雅年君。

倉田委員 おはようございます。自由民主党の倉田雅年でございます。

 きょうは、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案ということでございますが、この法律は、実を言えば、昭和四十四年に地方更生保護委員会の構成枠、これがその前の九名から十二名に改正されて以来、三十七年ぶりということでございます。

 この間、いろいろな犯罪の動向の変化等があるわけでございますけれども、平成十五年の十二月に、犯罪対策閣僚会議で犯罪に強い社会の実現のための行動計画というものが決定されました。その中で、増大する仮釈放事件等に対応する体制の強化、こういうことから更生保護制度の充実強化が挙げられてきている、こう思うわけでございます。

 そうした中で、昨年の二月、安城市で、仮出獄者による幼児通り魔事件、これはデパートかマーケットかで起こった、十一カ月の男の子が突然頭を刺される、こんな事件ではなかったかと思います。あるいは昨年の五月に、青森の、保護観察つき、これは仮釈放ではないんですけれども、執行猶予つきの判決を受けた人間ですね、保護観察がついておったわけでございますが、この者が少女を監禁したというような性的犯罪でございます。

 こんな事件も起こりまして、安心、安全な社会を構築していくという体制の中で、仮釈放制度、あるいは成人については仮出獄でございます、少年については仮退院、こういう制度についてもう一度見直さなければならぬのではないか、こんなような中で起こったことだと思いますけれども、今言いましたような凶悪事件、あるいはさらに申しますと、このところ、少年の事件の再犯者が非常にふえてきている、こんなような傾向もございます。

 そうした中での今回の改正と思いますけれども、全体の流れの中で、今申しましたような状況を大臣はどのように考えていらっしゃるか、まずはお尋ねしたいと思います。

杉浦国務大臣 先生御指摘のような、保護観察中の者が重大事犯を犯すということが頻発しておりまして、世間の耳目も集める、重大なことだと受けとめております。

 安城の事件は、安城のイトーヨーカドーというのは、私の地元のうちから一キロぐらいのところ、ここらの近くの人が買い物に行くところでございまして、地元に与えた衝撃も極めて大きかったわけですが、問題は幾つかあると思います。先生御指摘の仮出獄、仮釈放制度のあり方の問題、出すべきじゃなかったんじゃないかという問題があります。それから、豊橋の更生保護法人におったんですが、所在不明になった。更生保護法人のあり方にも一つ問題があると思います。

 あの子の場合、あの子と言ったら失礼ですが、気の毒なのは、十歳のころ両親と死に別れて天涯孤独で、更生保護法人としても、普通そういうふうに所在不明になると、保護者といいますか、連絡をとって捜すんですけれども、大体そういうところへ帰るものらしいんですが、どこへ行ったかわからない、捜すすべもない、野宿をして職もなかった。そういう方々に就職あっせんをしているんですが、再犯を犯す人たちは、少年院卒業生の場合も受刑者の場合も、大体無職の者が再犯を犯すというのが大部分でございまして、その人の場合も、結局、職がなかったという問題があり、職のあっせんについてもっと努力が足りなかったんじゃないかとか、さまざまな問題を投げかけていると思います。

 再犯防止対策、三ッ林政務官を主査にしまして取り組んでおるところでありまして、例えば職業なんかも、保護観察処分を終わってしまえば、満期で出所してしまえば、原則としてもう国としては関与できない、そういう立場なんですが、やはり再犯防止のためにはそういう人たちに職を得させる努力をすべきじゃないか、国としてやるべきことはないか、地方自治体と連携したり、費用の協力を仰いだり、そういうことができないかどうかも検討しております。

 それからまた、有識者会議においても、更生保護のあり方、いろいろコメントをいただいております。五月ですか、最終答申をいただくことになっておりますので、それを踏まえて努力してまいりたいと思っております。

倉田委員 大臣の御所見、まさにそのとおりの方向だと思います。

 私はここでちょっと私見を述べますと、今大臣がおっしゃられた、保護観察つきの仮出獄者に限らず、刑期の満了者、これなんかにはもう国は関与できないとおっしゃいましたけれども、私は、より社会の安全ということ、それから本人の更生ということを考えますと、今大臣がおっしゃいましたような就職の有無ということ等も含めまして、実は刑期満了者にも保護観察という制度を新たにつくってもいいのではないか。きょう、この後の質疑では執行猶予者の保護観察ということを言いますが、私は、それを一つ乗り越えて、実は刑期満了者についても保護観察制度は必要ではないかな、これは、大臣がおっしゃった五月の答申なども見まして、今後の課題だと考えている次第です。

 きょうは私の課題の問題を進めますけれども、犯罪がこのところ激増しておる、そのため、全国の刑務所でございますが、収容施設あるいは少年院、そういった収容施設が満杯になっておるんだ、そうしたことから仮釈放をたくさんせざるを得ない、仮釈放をたくさんしますと、実は再犯が起こり得るんだ、こんなような状況があるのではないかという危惧がされるんですけれども、どうでしょうかね、法務省の方々、その実例、数字を挙げて、全国の収容者が今どれくらい、少年、成年、どうだと。仮釈放の数、仮釈放の中で仮出獄と仮退院、分けて御説明願いたい。

小貫政府参考人 矯正局の方から、まず前半の質問部分についてお答えさせていただきます。

 これから申し上げる数値は、いずれも平成十七年十二月末現在のものでございます。

 まず、施設の数でございますが、刑務所、少年刑務所、拘置所のいわゆる行刑施設、その支所も含めますと、全国で百八十七庁でございます。そのうち、懲役刑に処せられた者等の受刑者を収容している施設、これは刑務所、少年刑務所、刑務支所がございますが、これは七十三庁でございます。

 さらに、収容人員でございますが、行刑施設全体では約七万九千百人、うち受刑者等の既決被収容者は約六万八千三百人となっております。

 また、少年院は、全国で分院一庁を含めまして五十三庁、その収容人員は約四千四百人でございます。

 以上でございます。

麻生政府参考人 仮出獄の状況とその再犯の状況についてお尋ねがありましたので、お答えさせていただきます。

 まず、仮釈放審理の件数の状況でございますが、地方更生保護委員会が受理いたしました仮釈放審理件数の最近の状況を見ますと、平成七年は一万六千八百三十五件でございましたが、平成十六年には二万四千百三十一件となりまして、四三%程度の増加となっております。

 それから、刑務所等から出ました者がどの程度再犯をしているかということでございますけれども、平成十六年に刑務所等から仮釈放された者は一万六千六百九十人となっておりますが、この年に保護観察が終了いたしました仮釈放者は一万六千五百三十九人でありまして、そのうち、保護観察期間中の再犯によりましてその間に再び処分を受けた者は百七十七人となっております。

 それから、平成十六年に少年院から仮退院した者は五千四百三十六人となっております。また、この年に保護観察が終了いたしました少年院仮退院者は五千八百七十六人でありまして、そのうち、保護観察期間中の再犯でその間に何らかの処分を受けた者は千四百四十一人、約二四・五%となっております。

倉田委員 少し質問の前提を申し上げるのを忘れたわけでございますけれども、要するに、地方更生保護委というのは、三人の合議体を構成して、仮釈放、すなわち成人であれば仮出獄、少年であれば仮退院、こういうものを決めていくのが一つの大きな仕事である。もう一つは、保護観察所の観察事務ですか、こういうものを中間監督する機関である、こういう二つの大きな要素を持っていると私は考えておるわけでございますが、問題は、仮釈放の方でございます。

 この審理件数が、当然のことながら、犯罪件数がふえてきているので相当ふえてきているんじゃないかと思うわけでございますが、現在、五十三人いるということですね。八地方更生委員会で五十三人の委員がいる。五十三人の委員が一年間に何件くらいの仮釈放の審理をするのか。この点、平均的には四百五十数人だと私は聞いておりますけれども、恐らくは、東京とか大阪とかそういうところではもっと多いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。数字でお答え願いたいと思います。

麻生政府参考人 平成十六年に地方更生保護委員会が受理いたしました仮釈放の申請件数は、全国で二万四千百三十一件ございます。委員は五十三人でございますので、これを割りますと、今委員が御指摘がありましたように、四百五十五件となっております。

 御指摘のとおり、各委員会によりましてその受件数の負担は違っております。やはり関東委員会が一番負担が重い状況にございます。

倉田委員 時間が限られておりますので先を急ぎますけれども、三人の合議体で審理をするんだそうですね。その三人の合議体ですけれども、そのうちの一人が審理の対象となる受刑者と、あるいは少年と面接をする、そしてその結果をもってほかの二人を交えて合議体で審議をする、こんなぐあいに承知しているわけですけれども、今度の枠の増大が十二名から十四名ということになっているんです。そうしますと、三人ずつの合議体を組むのに、だれかが二つないしは三つ、まあ二つでしょうね、そういうところへ所属をしなければ三人の合議体はできないということになるんですけれどもね。

 本当でしたら、前回九人から十二人に増枠したように、十二人から十五名にすべきではないか、私はそう思っているんですが、その辺のことはどうなんでしょうか。二つの合議体に所属して、しっかりした審理ができるほど楽な仕事なのか。私はそう思っていないものですから、こういう質問をするんです。いかがでしょうか。

麻生政府参考人 委員御指摘のとおり、二つの合議体の委員を兼務する委員が生じてまいります。これは、年間、数多くの仮釈放審理事件を審理しなければならないわけでございまして、この事件数の増加と事案の複雑困難化によりまして、ますます困難になっているというのが実情でございます。

 本来でありますれば、二つの合議体の委員を兼ねさせるというようなことではなくて、専従させるべきではないかということであろうかと思いますけれども、他方で、限られた人員を最大限に有効活用するために、各地方委員会の業務量を見まして、五十三名の委員を八つの委員会に配置しているということで、委員会によりましては、一人の委員が二つの合議体の委員を兼務するというような状況が生じておるわけでございます。

 今回の改正につきましても、これを十四人とするのではなくて十五人に改正すべきではないかというような御議論もございましたけれども、やはり行政組織の効率的な運営の観点からは、一部の委員について複数の合議体を兼任させることといたしまして、今回の法改正につきましては、実際に配置されます委員の状況に合わせて、委員の上限を十四人というふうにさせていただいたものでございます。

倉田委員 更生委員も効率的に働いてもらうということは、非常に結構だと思います。公務員全体を削減する中で増員するわけでございますから、それは考えなきゃいけないことだと思うけれども、私は、そもそも最高裁もそれから法務省も、私の職業経験からいって、予算どりが非常に下手な方々じゃないかと思っているんです。

 こうした中で、今回、先ほど私が言いました刑期満了者の保護観察、これは先の話になるでしょうが、そもそも現状においても、地方更生保護委員のこともさることながら、保護観察員約千名だそうですけれども、実働は六百何十人だ。これだけでは、あとは保護司任せになっちゃっていて、保護観察が、ここのところの人数も大幅に実は増員しなきゃいけないんじゃないか、こんなことを考えているわけでございます。

 いずれにせよ、今回の更生保護、地方更生委員の枠というのはまだ過渡的なものではないかと私は思っておりますけれども、大臣、その更生委員の質の問題とか今言った人数の問題とか、このままでいいのかな。ここから、現在の法改正はいいとしても、さらにもう少し、一歩、全体的なものを見て増員が必要ではないかと私は考えますが、いかがでございましょう。質の問題もひとつ含めてお答えを願いたいと思います。

杉浦国務大臣 先生御指摘のとおりでございます。

 今年度は、しかし、そういう中でも保護官署の増員に努力をいたしておりまして、本年度予算におきましては、保護観察所の定員については二十八名純増、それから地方更生保護委員会では二名の純増という増員を認められておるわけでございます。まだまだそれだけでは足りない、質の問題だと、いろいろ御指摘も受けております。さらに一層努力しなきゃいかぬと思っております。

 有識者会議でもいろいろ御議論いただいておりまして、改善したいと思っておりますが、例えば、検察官には事務官が必ずついているんですね、一対一で。この方がついていないんですよ。総務的なことは全体で係がいるんですが、事件の調査ですね、刑務所について、そういうのを全部自分でやっておられるんですよ。大変な事務量なので、そういうことを改善できないかなということも再犯防止PTでも検討してもらおうと思っております。

倉田委員 競争社会の激化といいますか、そうした中で社会の質の変化が起きております。犯罪者もふえるのもやむを得ないという一面もあります。これを立派に更生させるということは、我々にとって非常に重要なことだと思いますので、引き続き法務省も頑張っていただきたいとお願いいたしまして、私の質問を終わります。

石原委員長 次に、松島みどり君。

松島委員 自民党の松島みどりでございます。

 ただいま倉田委員からも、法務省は予算どりが下手だ、もっと頑張れというお話がございました。私も、行政改革は進めなきゃいけない、しかし、治安対策についての人員をふやすことは別枠として絶対に必要なものであると考えて、これまでも発言、行動してまいりました。

 その観点から申しまして、今回の法改正そのものにつきましては、仮釈放すべきかどうかを決める更生保護委員会の委員はもっともっと増員を要求すべきものでございまして、この程度ではささやか過ぎると考えております。さらに、先ほど二十八人純増したと言われました保護観察所の職員についても、もっと大幅な増員が必要だと考えております。ただ、もちろん、法改正そのものについては賛成するところでございます。

 きょうは、更生保護行政全般についての要望と意見と質問を申し述べさせていただきたいと思っております。

 この平成十八年度の予算案には、保護司への実費弁償費の増額が盛り込まれています。対象者一人一カ月預かったときの平均が三千円から四千円に増額されるというもので、これは画期的なことだと考えております。

 しかしながら、現場の保護司さんたちにお話を伺いますと、私たちはボランティアでやっているものであり、もちろんそれもありがたいけれども、そういう配慮はいいけれども、それよりも、もっと実際の仕事をしやすい環境を整えてほしい、そういうようなことをよく言われる次第でございます。

 その例といたしまして、例えば、対象者の居所がわからないときや、あるいは、ここに住んでいると届け出はあったけれども本当に住んでいるかどうか確認できない、こういったときには、警察に確認してほしいといっても、現場でなかなか対応してもらえないことも多い。そういうふうに、不満というか、何とかしてほしいという要望が出ております。

 そこで、二点質問させていただきます。

 一つは、昨年、仮釈放中の男が、大臣の地元でございます愛知県安城市のスーパーで生後十一カ月の男の子を殺した事件を受けまして、昨年二月の法務委員会でも、私はこの点を質問いたしました。それに対して、その当時の法務大臣が、仮釈放中で所在不明者は六百四十人いる、これまでは保護観察所が立ち回り先を調査しているだけだったけれども、警察に協力を要請することにするというふうに答弁をいただきました。

 その後、警察に協力を依頼するようになったのは、聞くところによると、昨年の十二月にやっとなったということでございまして、何でこんなに時間がかかるのか。たしか、その間にも予算委員会か何かで、小泉総理も、いや、今までやっていなかったのが不思議なぐらいだ、そういうふうなことを言われたような記憶があるんですが、もっと早く、いいことだと思ったら早く始めていただきたいと思っております。

 それで、それについての質問でございますが、十二月にスタートいたしまして、その時点で行方不明者が何人いて、警察に頼んだ結果、何人の人が見つかったのか、まず法務省に伺いたい。

 そして、第二の質問は、これは警察庁にお伺いしたいんですが、今言いました十二月からやることになったのは、行方不明の人について保護観察の方が届け出をした場合です。そうじゃなくて、それぞれの現場で、保護司さんあるいは保護観察所の所員の方々が、ここに住んでいると届け出はあるけれども本当にいるのかよくわからない、そういったときに、今の仕組みでは保護司さんが近所に聞いて回るというわけにいきませんから、警察ならいろいろな情報を持っているでしょうし、警察はふだんお巡りさんがパトカーでずっと、それから自転車なんかでもいろいろ調査して回っておられるわけですから、警察の人にこの人物が本当にここに届け出どおり住んでいるかどうかというのを確認してもらえないか、そういう要望があるのですが、私もやっていただきたいと思うのですが、どうだろうかということを質問させていただきたい。

 以上、法務省と警察庁に質問です。

麻生政府参考人 仮出獄中及び保護観察つき執行猶予中に所在不明となりました者についての警察への協力依頼につきましては、御指摘のとおり、一刻も早く実施いたすべきものと考えておりました。

 なぜ十カ月もかかったのかというお尋ねでございますけれども、一刻も早く実施すべきものと考えておりましたけれども、警察からの所在発見の連絡に確実に対応できる保護観察所の側の体制を整える必要がありまして、その体制整備に時間を要したものでございます。

 昨年十二月からは暫定的な体制で試行を開始いたしておりますけれども、平成十八年度からは東京保護観察所で宿直勤務を行いまして、全国の警察からの連絡を受ける専用の対応窓口を設置するなどの必要な体制を整備いたしまして、この施策を本格的に実施することといたしております。

 それから、この制度の成果でございますけれども、昨年十二月から本年一月末までの二カ月間で警察からの連絡により所在が判明した所在不明者の数は九十八名でございます。これ以外にも、保護観察所独自の所在調査によりまして五十三名の所在が判明しております。なお、昨年一月末現在では、仮出獄者で所在不明の者、保護観察つき執行猶予者のうちの所在不明の者は千四百八十一名でございましたけれども、ことしの一月末現在ではそれが千四百二十四名になりまして、五十七人減少しております。

竹花政府参考人 保護観察対象者の居所の確認について警察が協力するのかどうかということのお尋ねでございますけれども、元来、そのような居所確認といったような事務につきましては保護観察所の責務であると存じます。したがいまして、保護司が対象者の居所を確認できない場合には、保護観察所において調査を尽くすべきものと思うところでございます。

 ただ、保護観察所において特に必要と考えて警察に対して協力依頼がなされたような場合には、個別のケースに応じて警察においてどのような協力が可能か、その協力を警察が行った場合の更生への影響あるいは犯罪抑止上の効果、警察の業務負担等も総合的に勘案して、当該保護観察所の責任者とも十分に協議をした上で、限定的ではあろうと思いますけれども、協力できる場合もあろうかというふうに考えます。

松島委員 今、竹花さんからそのようにお答えいただきましたけれども、確かに、警察としては保護観察の方から頼まれなきゃやれる筋合いじゃない、そのとおりだと思います。竹花局長には、これまで東京都の副知事として、東京の治安をよくするために随分御努力いただきましたことを感謝いたしますが、法務省にお願いといいますか、法務大臣にも申し上げたいんですけれども、保護観察所の職員というのは人数が足らないという自覚はお持ちだと思うんですね。私どもも、人数、とてもこれでは、保護観察所の職員の方が保護司さんに振り分けるだけで精いっぱいだろうと思います。

 保護司さんはボランティアです。もちろん、全員で一生懸命やってくださっているけれども、この方たちだけでできる範囲のこととできないことがあると思うんです。できないことはお手上げだと言って、素直に認めて、一つは、もっと人をふやすために政治家も一緒になって頑張ろうということ、もう一つは、それでもできない範囲のことは、警察は、ある意味で人捜しとか捜索とかプロなんですから、人数もはるかにたくさんいるわけですから、ここにもう頼んじゃう、それが私は必要じゃないかと思っております。

 先ほど、保護局長のお話を聞きますと、去年の十二月からことし一月末まで、警察に頼んだら九十八人の人が見つかった。やはりこれは、どんどんこういうことをやっていかなきゃいけないし、そしてまた、その結果というのは、ことしの一月末現在でも行方不明者が千四百二十四人いる。減りました、千四百二十四人だといったって、普通、こういうのではやはりもっと焦ってもらわなきゃ困ると私はびっくりするわけです。

 そこで、一つはそういう外部の力もかりるということと同時に、次に大臣に質問させていただきたいと思っております。

 対象者の居所を確認する、あるいは生活ぶり、ここで働いています、まじめにやっていますと本人から届け出があっても、本当にそうかどうか確認するために、保護観察所の職員に住居への立ち入り権限や生活、仕事などについての調査権限を与えるべきだと私は考えています。これは確認しないと意味がないと思っております。

 例えば、子供への性犯罪で捕まった人の場合、部屋の入り口まで行って、ここに住んでいますから、まじめにやっていますと対象者に言われて所在を確認しても、ひょっとしたら押し入れの中に児童ポルノがどっさりあるかもしれない。これじゃ、まじめにやっているとは言えないわけです。ですから、私は権限を与えるべきだと思っております。

 もちろん、ボランティアである保護司の方々には権限を与えてそれだけ責任も負わせるということは難しいと思いますが、職業である保護観察所の職員の方々にそういう権限を与えて責任も与えるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

杉浦国務大臣 現在、有識者会議でやっておるのですが、その中にも先生のようなお考え、意見を述べられる方があると伺っております。

 ただ、これは非常に微妙な問題でございまして、保護観察下に置いた人たちと保護司さんあるいは保護観察官とのコミュニケーションといいますか、信頼関係を築いていって、要するに、そういう方々が社会に適応して普通の人間として立ち直っていくということも大事なのですから、権限を与えると警察官のような感じになってまいりますので、有識者会議でも異論がございます。

 手の及ばないところは警察の協力を仰ぎながら、もちろん、保護観察所、保護司の方々が力を合わせてそういう方々の矯正のために努力していくということがやはり基本でなきゃいけないのではないか、権限を与えればいいということでもないだろうと私は個人的には思っております。

 いずれにしても、有識者会議で議論していただいておりますし、三ッ林政務官のところの再犯PTでも、その御指摘を踏まえて検討はしてまいりたいと思っております。

松島委員 犯罪者予防更生法、この法律の第一条の最後に書いてあるのは、社会の安全を保護するということでございます。私は、保護局という言葉の保護というのは変だな、変だな、かつて犯罪を犯した人を保護するとは何事かと思っていまして、この法律の第一条の最後でやっと納得したんですけれども、社会を保護していただかなきゃ困ると思います。犯罪を犯した人が気持ちよく暮らすことではなくて、二度と犯罪を犯さない、被害者を生まないことが私は一番大事なことだと思っております。ですから、大臣とは見解を異にしております。

 そして、次に、もう一つ伺いたいと思っております。

 仮釈放の許可の基準というのはきちんと明文化されているのでしょうか。例えば、平成十六年に強姦や強制わいせつで仮釈放申請が五百三十五件ありました。そのうち、九二%に当たる四百七十二件が許可されています。これらの強姦や強制わいせつといった犯罪の場合、男だけ収容されている刑事施設でまじめに暮らしているからこの受刑者は外に出しても女性に性犯罪を行わないような状況になったということをどうやって判断しているのでしょうか。私は不思議なんです。

 そしてまた、平成十八年度から仮釈放の決定に精神科医を加えることにし、謝礼金として二百万円の予算が組まれています。二百万円で何件やれるのか、これも少ない気はするのですけれども、これで何件分、全体の何%分に関与してもらえるのか。そしてまた、この精神科医を対象者と直接面接して診断行為をさせるのかどうか。そうでなければ私は意味がないと思っていますが、二次情報、三次情報をだれかから、刑務所の現場の人からずっと上へ上がって文書になったものを読んで精神科医が判断するだけじゃ頼む意味がないと思っていますが、この基準、明文化のところと精神科医のところ、法務省に質問です。

麻生政府参考人 仮出獄につきましては、刑法二十八条で一定の期間を経過した者につきまして改悛の状があるときに行政官庁の処分によってこれを許すことができると規定されております。

 さらに、規則によりまして、悔悟の情が認められること、更生の意欲が認められること、再犯のおそれがないと認められること、社会の感情が仮出獄を是認すると認められること、以上を総合的に判断して、保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められるときに仮出獄を許すものと規定されております。

 この要件に当てはまるかどうかということにつきまして地方更生保護委員会で判断するわけでございますけれども、地方更生保護委員会の担当の委員は、まず記録によりまして、受刑者本人の受刑中の行状、受刑前の生活方法、それから受刑者本人の人格等の関係事項を調査いたします。その結果を踏まえまして、仮釈放の審理を行います委員が刑務所等に出向きまして、直接本人に面会いたしまして、本人が話すことあるいはその態度などから、再犯のおそれの有無等を判断するわけでございます。

 御指摘のとおり、性犯罪者の中には心理的、精神的な問題を抱える者も少なくございませんので、これらの委員によりまして複数回面接したり、あるいは別の委員が面接をするようなことも行っておるわけでございます。

 そこで、今委員の方から御指摘がございました、平成十八年度の予算におきましては、この仮釈放審理の充実のための精神科医に対する協力者謝金が計上されております。これは、地方更生保護委員会におきまして、性犯罪者のうち精神医学的な所見を必要とする事案につきまして、地方更生保護委員会委員が精神科医に定期的に意見を求めて仮釈放審理の参考とすることをその内容としているものであります。意見を求めました結果、特に必要があると認められるものにつきましては、受刑者本人に面接をすることも考慮することになると思います。

松島委員 改悛の状とか再犯のおそれがないと言われました件について、さっきは一般的な明文化の話でございましたけれども、ぜひ、この性犯罪の場合についてきちっと判断する基準もつくっていただきたい。それは例えば、以前、私も申し上げて失笑も買ったんですけれども、水着姿の女の子がプールで遊んでいる映像を流しても何かおかしい様子でないとか、ただ男の刑務官と男の受刑者が向かい合って大丈夫かと聞いていたってわからないでしょうから、何か合理的な方法を編み出していただくようによろしくお願いします。

 大臣に伺いたいと思っております。

 刑事施設では、昨年の法律改正に基づきまして、四月からいろいろな教育が始まります。この中で、性犯罪者に対する教育も始まるわけですが、保護観察の対象者すべてにも実施されるように、保護観察所長が言い渡す特別遵守事項、これは午後にもう一つの法律の改正議論がございますけれども、保護観察所長が言い渡す特別遵守事項の代表例として、今は、指定帰住地への帰住や保護観察所への出頭は省令で定めています。これに加えるように、性犯罪で例えば保護観察つき執行猶予がついた有罪になった場合の特別遵守事項として、これを加えてもらえるよう省令で決めるべきだと思うんですが、どうでしょうか。

 そしてまた、受講をサボった場合には執行猶予や仮釈放、仮退院の取り消しをするべきだと考えております。これをお願いしたいと思います。

 さらに、この教育プログラムの効果を検証することが必要で、この教育プログラムは非常に効果があるということでしたら、一般に言われるのは、この種の犯罪は少年期の方が治りやすい、そしてまた早い時期、癖にならないうちの方が治りやすい、性犯罪傾向の軽いうちほど教育の効果が大きいというふうに言われていますが、そのとおりだとしたら、これからが大事なんですけれども、強姦と強制わいせつに限って、保護観察がついていない執行猶予者にも教育を義務づけるよう法律で決めるべきだと私は考えます。

 なぜならばと申しますと、前回も質問したんですが、強制わいせつで七二%に執行猶予がついて、強姦で二三%に執行猶予がつく、そのかなりの部分は保護観察つきじゃありません。これは最高裁判所が認めるんですが、そういう判決をもっと厳しくしてくれと言っても、個々の裁判官の判断に何も言えないと最高裁判所は言うものですから、立法としてつくらなきゃいけないと思いまして、こういう犯罪に限って、保護観察がついていない一般の執行猶予つきの有罪判決に対しても教育を義務づけるよう新たな法律をつくる必要があると私は考えておりますが、いかがでしょうか。

杉浦国務大臣 幾つか御質問いただいたわけですが、性犯罪者をどうある意味では社会から隔離し、再び犯行を犯さないように処置するかというのは、国際的にも非常に大きい問題になっております。去年の暮れにノルウェーの司法大臣が来られて、ノルウェーは割合先進的な取り組みをなさっているので、機会があったら見に行こうと思っていますが、一種の保安処分的な措置があるようでございますので、それも見てまいりたいと思っております。

 お尋ねの最初の性犯罪者プログラムは、仮出所、仮出獄等で保護観察に付された人については遵守事項に入れまして、出てきてからもちゃんとやるということを考えております。

 ただ、保護観察つき執行猶予者については、現行法ではそういうことができる規定はございませんので、まさにこれこそ、きょう午後御審議いただきますが、執行猶予者保護観察法という法律を改正していただきまして遵守事項に入れられるようにするという議員立法ですが、行われますので、それができれば、この遵守事項に入れて一緒にやっていくというふうになると思います。

 それから、その場合、受講しない場合、遵守事項を守らなかった場合、これはもちろん、情状によっては、うっかり忘れたとかそういうことがない限り、意図的にサボったとかそういうものについては、執行猶予を取り消すとか仮出獄、仮釈放を取り消すという手続を当然とることになると思います。

 それから、効果の検証ですが、これから始めるわけでございますので、もちろん検証しなければなりません。三ッ林政務官主宰の再犯防止PTの方でもそういう検証も続けてやっていただけるというふうに思っております。

 もう一つございましたね。強姦と強制わいせつに限り、保護観察がついていない執行猶予者にもプログラムをということですが、これは立法論として、強姦と強制わいせつの罪については裁判所は保護観察を付さなければならないというような立法論でもない限り、通常の執行猶予の方と保護観察つき執行猶予の方と同じように処理できるというのはちょっと難しいと思います。これは、立法を含めて慎重に検討すべき課題だと思っております。

松島委員 ありがとうございました。

 つまり、幾つかの種類の犯罪については、判決が執行猶予をつけるときに必ず保護観察をつけなければいけないという立法をすればいいということがわかりましたので、私はそれに取り組んでまいりたいと思っております。

 最後に、時間が余りありませんけれども、先ほど保安処分の話が出ました。私は、国立あるいは公立の保護観察施設が必要ではないかと考えておりますが、どうでしょうか。

 一つ目の理由は、例えば放火や性犯罪者や覚せい剤使用の常習者などについては、身元引受人がいない場合に民間の保護観察施設は受け入れたがらない。ですから、その対応の仕組みとして。

 もう一つは、満期出所者。満期出所者は、すべての犯罪について言いますと、全体の四五%、年間一万三千人いるわけですが、この人たちの方が仮釈放された人たちよりも再犯率が高い。問題が多くて仮釈放が許されなかった人たちが、刑務所を出た時点で全くフリーになっちゃう、これはちょっと危険なんじゃないか。危険であると同時に、やはり規律の厳しい生活から解放されて急に自由の身になりましたら、これは別に犯罪を犯したことがある人でなくて普通の人でも、例えば受験勉強から解放された三月、四月の新大学生や新高校生というのは遊び回りたくもなるし、夏休みの小中学生、そういうことを、自分の昔を考えても、じだらくな、野方図な生活になるのが一般的でございます。

 刑務所から出た途端、じゃ自分でやっていけよと言ったって、それはなかなかできるわけじゃないので、そのソフトランディングのための施設、刑務所よりは緩いけれども、働きながらだけれどもある程度は監視されているというか保護されている、そういう公立の施設、その両方の意味でつくるべきだと考えるんですけれども、いかがでしょうか。

杉浦国務大臣 先生御指摘のとおり、民間の更生保護法人では扱うのが困る、あるいは周りから苦情が出るから扱えないといって扱えない、先生が御指摘のような方々がおるんです。ですから、国立の更生保護施設をつくるべきじゃないかという御意見は有識者会議でも出ております。三ッ林チームにその点も含めて検討してもらいたいと思っております。

 それからまた、刑務所、少年院等を卒業した人について何らかの処分が要るんじゃないか。これはもう刑事政策上、保安処分、先ほどちょっと触れましたが、大きな問題になっている点です。これは裁判所の処分なしにできることではないと思うんですが、性犯罪者とか精神障害者とか、やっている国もございます。それからまた、それはもう新たな法制が要るわけでして、これは議論を呼ぶと思います。

 同時に、卒業した人たちが職を持った場合にほとんど再犯がない、無職の者の再犯率が高いと。今まで国として手を触れられない部分があるわけなんですが、これも三ッ林先生のところで検討してもらっていますが、国として仕事をつくり出す努力はできないものかどうか。日本司法支援センターもでき上がりますので、その点についても検討してまいりたいと思っております。

松島委員 ありがとうございました。

石原委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 今までの質問と重なるところもあるかと思いますが、よろしくお願いいたしたいと思います。

 まず初めに、この地方更生保護委員会、これは罪を犯した人を再び世の中に出すという最終的な判断機関という意味で、非常に重要な機関であると考えますけれども、まず冒頭、このことについて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

杉浦国務大臣 地方更生保護委員会の職務権限は、法律に書いてありますとおり、仮出獄や仮退院の許可決定を行うとか更生保護法人の許認可とか、重要な役割を担っているところでございます。これはそういう権限を有する行政機関でございますので、刑事政策上も非常に重要な位置を占めているというふうに思っております。

伊藤(渉)委員 ここまでの御質問の中でもありましたとおり、そのように重要な委員会が非常に限られたメンバーで実務が行われているという印象を、私もいろいろな説明を受けながら感じました。

 一方で、日弁連の意見の中では、地方更生保護委員会委員について、その構成のほとんどが保護観察官出身者という閉鎖的な組織であり、審理機関に外部意見の反映を考えるべきではないか、そういった意見もある。その保護観察官の方ばかりであることが閉鎖的かどうかというのが、ちょっと私にはすぐには理解できないところでございますけれども。

 この委員会には担当主査というのがいらっしゃって、この方が面接の審理、特別遵守事項等の原案を作成すると聞いております。先ほども、その処理件数が非常に膨大に上るという話もありましたけれども、一人一人への個別の面接審理あるいは特別遵守事項の原案の作成を行うに当たって、例えばこの遵守事項の原案作成であれば、本来であれば、一人一人とじっくり話をして、また一人一人しっかり面接をして行うところが本来あるべき姿だと私も思うわけですけれども、そうはいっても、もう絶対的な人数が足りないというところがあって、例えばこの遵守事項の原案作成であれば、現実的には、一定の類型化されたものがあって、その中から作成をしているというようなお話も仄聞をするわけでございます。

 このような現実と理想のギャップがどの程度あるのか、また現実にあるとすれば、この現実と理想のギャップがどの程度か、ちょっとお伺いしたいと思います。

麻生政府参考人 お尋ねが、委員のことをお尋ねなのか、それとも委員会所属の保護観察官のことをお尋ねなのか、判然といたさない……(伊藤(渉)委員「委員です」と呼ぶ)

 委員につきましては、先ほども御答弁申し上げましたけれども、一人当たり相当多数の事件を処理しているのが実情でございまして、なかなか個々の事件に十分な時間をかけることができないこともあろうかと思います。そこで、なるべくめり張りをつけた委員会審理を行うというふうに心がけておるところでございます。

伊藤(渉)委員 引き続きこの委員会のことで御質問ですけれども、仮釈放の制度向上という観点から、各管区の委員会での仮釈放の許可決定と、その後の再犯、再入所や仮釈放の取り消しになる事例等について、その関係性や傾向等、各管区委員会ごとに把握、分析、非常に人数が限られているという意味で厳しいとは思いつつ、本来であればそういった把握、分析の必要もあると考えておりますけれども、実際にはなかなかそこまで手が回っていないというようなお話も聞きます。その辺について御答弁いただきたいと思います。

麻生政府参考人 仮出獄の許可をいたしました者が、不幸にして再犯を犯すようなこともございます。その取り消しの決定は、この対象者本人の保護観察をつかさどります保護観察所の所在地を管轄する地方更生保護委員会が決定することとなっておりまして、もともとの仮出獄の許可をした委員会と異なることがございます。

 そのようなこともありますので、仮釈放後の経過が不良な者につきましては、その再犯の状況等を各委員会が把握いたしまして、その問題性や犯罪傾向等を検証して、その後の仮釈放審理に役立てるように努めているところでございます。

伊藤(渉)委員 そうすると、仮釈放を決定した各管区の委員会がその後の状況もしっかり把握しているという理解でよろしいんですか。済みません、もう一回同じことです。

麻生政府参考人 取り消しの決定をいたしました委員会がもとの決定をした委員会に通知をいたしますので、把握をされているということでございます。

伊藤(渉)委員 はい、ありがとうございます。

 今回の法改正では地方更生保護委員会の委員の上限を十四名まで二名増すというもので、全国では、関東で二名、近畿で一名、計三名増加になっていると聞いております。

 今回の増員でどの程度業務改善が図られるとお考えか、これは大臣にお聞きしたいんですが、政府全体としては総人件費削減という大きな流れの中でこういった人数の増、まあそうはいっても、先ほどの御質問からあるとおり、非常に限られた人数でやられているという現状も踏まえて、今後の進むべき方向性について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

杉浦国務大臣 政府全体といたしましては、ことし初めて純減に、わずかですが、踏み込めたわけですが、今後五年間にわたって五%減というふうにやってまいるわけですが、治安全体については、ふやすべきところはふやすということで取り組んでおるところでございます。

 法務省関係でも、刑務所を増設しておりますし、刑務官をふやさなきゃいけません。刑務官、それから検察庁、公安調査庁、それからこの保護局ですね、いずれも増でございます。法務局と本省が、法務局は大幅減で、法務省本省が少し減でございますが、保護観察所につきましても、先ほど申しましたように二十八名純増が認められたところでございます。

 今回、この地方更生保護委員会につきましては、三名の委員の増員が図られたわけですが、その三名は、関東地方に二名、近畿地方に一名、それぞれ委員の増配置を予定いたしております。

 これによりまして、平成十六年の事件数をもとにして委員一人当たりの担当事件数を算出してみますと、事件数が変わらなければ、関東委員会については、五百九十二件であったものが五百七件に、近畿委員会については、五百三十件であったものがお一人当たり四百七十七件となります。

 委員一人当たりの負担については、件数だけをもって推しはかることは必ずしも適当ではない。と申しますのは、中には、軽いと言うと語弊がありますが、初犯で罪種も軽い罪種で刑期も短期だという方、どなたが見ても仮出獄が妥当だという方もたくさんおられますから、件数だけでは言えません。弁護士ですと年間五百件なんか持ったら体がつぶれちゃいますが、それほどではないと思います。単純にはまいりません。しかし、重いことは重いわけでございます。したがって、今度の増員によってある程度の負担軽減にはなりますけれども、依然として全体として見ると負担は重いというふうに認識しております。

 治安対策が政府全体の最重要課題でございますので、今後とも保護観察官の数についても質についても向上を図るということは必要だと思います。厳しい予算の中ですが、お願いしてまいらなきゃいけないと思っておりますし、仮釈放の審理につきましても一層適正な実施を図っていくというように努めてまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 次に、刑務所と保護観察所との連携についてお伺いします。

 再犯防止という観点から、受刑者に対して、刑務所、保護観察所、地方更生保護委員会の連携が大切なことは言うまでもありません。特に矯正施設と保護観察所との連携の中で、保護観察中に適切な医療を受けられるように、出所直前の受刑者の医療情報、中でも特に精神疾患などの情報が適切に提供されていく必要があると聞きますが、この辺について現状どうなっているか、お聞きしたいと思います。

小貫政府参考人 矯正施設における受刑者の情報につきましては、身上調査書等によりまして保護観察所あるいは地方更生保護委員会に通知する、こういうことになっております。

 なお、この身上調査書等には、医療情報を含む受刑者の心身の状況に関する情報も常に記載されてございます。

 さらにまた、仮釈放の審理に係る保護観察官の調査や委員会の面接の際にも、必要に応じて、矯正施設から、医療情報を含む本人の状況に関する情報は提供しているところでございます。

 今後は、さらに、保護観察の上で必要な情報があり、なおかつ矯正施設が保有しているものがあれば、積極的に情報を提供して連携を一層強めてまいりたい、こう考えているところでございます。

伊藤(渉)委員 では最後に、地方更生保護委員会審査課付というんですか、保護観察官のお話をお聞きしたいと思います。

 これも先ほどもありましたけれども、全国各委員会管内で仮釈放に係る新受件総数は約二万件とお聞きしました。

 仮釈放手続に先立って、この保護観察官の方が、準備調査というものがあると聞いております。調査に当たって、保護観察官の方は受刑者のもとへ出向いて準備調査面接等を行う、これも膨大な件数に上るわけでございます。この保護観察官は更生保護全般にわたる業務を抱えておりますし、人数でいけば、やはり一人当たり百人程度担当しているとも聞いております。

 そのような状況下で、この仮釈放に係る準備面接、これが要するにいかにしっかりできるかで委員会での最終判断の精度が上がると考えますし、この準備面接が本質的な意味でこなすというような状態ではなくて全件対応することができているのかどうかというところが、この人数だけを見ると疑問が生じるわけでございますが、この辺の現状について、最後、御答弁いただきたいと思います。

麻生政府参考人 仮釈放準備調査は、仮釈放審理の充実等を目的とするものでありまして、地方委員会によります仮釈放申請受理前に、保護観察官が行刑施設へ出向いて本人と面接し、社会復帰上の問題点を把握して、必要な措置等について行刑施設の職員と協議を行っているものでございます。

 平成十六年にこの調査を実施いたしました人員は、受刑者三万二千九百九十六名でございました。

 事案によって異なりますけれども、調査面接は一日に七名程度の収容者に対して行っておりまして、一件当たりおおむね一時間程度の時間をかけて実施いたしておるのが実情でございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。以上で終わります。

石原委員長 次に、細川律夫君。

細川委員 民主党の細川でございます。

 この提案されております法律案そのものは、地方更生保護委員会の定員を二名増員するという、いわば対症療法のみの法案でございますけれども、しかし、背景には保護観察制度のあり方という大きな問題があろうかと思います。

 私も、国会に来るまでは弁護士をいたしておりまして、多少刑事事件にもかかわってまいりましたけれども、受刑者が刑務所から出所した後の更生の問題、再犯予防の問題についてはいろいろと考えさせられてきました。現在の保護観察制度がこのままでいいのか、そういう大きな論点は避けて通れないものだというふうに思います。

 先ほども質問がございましたけれども、昨年、二つの大きな事件がございました。いずれも保護観察の問題でございますけれども、一つは刑務所を仮出獄して保護観察がついていた人、もう一つは執行猶予判決の保護観察がついていた人の犯罪であったわけでございます。

 細かい御紹介はもう既にされておりますから申しませんけれども、二つに共通しておりますことは、国民のみんなが驚いたことは、保護観察中にはほとんど監視の目がないのではないか、いわば野放しにされているのではないかというような感想を持たれたという点だと思います。

 青森の監禁事件、これは、青森の保護観察所がファクスで送った、その送信ミスによって東京保護観察所に移転の連絡ができていなかった。そういうお粗末なことが判明をいたしておりまして、この点からしましても、保護観察所の個々の事案に対する姿勢といいますか、保護観察所の姿勢というのがよくわかる、そういうふうにも思います。

 先ほども出ましたけれども、昨年八月の時点で保護観察中の行方不明者が千五百十五人にも上る、こういう事実に国民の皆さんは大変怒ったのではないかと思います。国民の皆さんは、保護観察中の者はしっかり、その仮出獄者あるいは仮退院者の動静がきっちりと把握をされて、そして再犯予防の点についても十分考慮されて行われているだろう、こういうことを国民の皆さんはやはり信じている。それが、今回の二つの事件で大変なショックを受けたのではないかと思います。

 しかも、治安がよくなくなってきている。今、治安回復には国を挙げて努力をされている、そういうときなんですけれども、そういうときにこういう二つの事件が起こったということでございまして、これについては、先ほども大臣が感想を述べられておりましたけれども、私の方からも、国民が大変なショックを受けたというこの二つの事件について、まず、重ねてになりますけれども、率直な感想を伺いたいと思います。

杉浦国務大臣 御指摘を受けました二つの例は、いずれも保護観察中の者が犯した犯行でありまして、痛ましい事件でありました。

 更生保護制度のあり方に問題があるんじゃないか。特に住所ですね。最初の安城のケースがそうなんですが、逃亡中に犯行に及んだというケースでございます。住所の把握に行き届かない点があったんじゃないか。それから、仮出所あるいは満期退所の人も視野に入っていますが、就職支援ですね。やはり職業を得た者の再犯率は極めて低いんです。戻ってくる人はほとんど無職であります。ですから、そういう就職支援についても、保護観察中の場合には特に支援は業務に入っておりますから、そういう点に至らない点があったんじゃないかという反省を求められた事案だと重く受けとめております。

 その後、私どももいろいろと努力いたしておりますが、例えば、所在不明者の迅速な発見については警察と協力する。千四百何名というのは保護観察つき執行猶予者も入っておりますから、この方々は住居を届けておりませんので、今度の立法で認められますと届け出を受けて把握できるようになりますが、純粋に仮出所、仮出獄の方々の行方不明者というのはそんなに多くはないと思うんですけれども、しかし、現実にいることは間違いございませんので、そういう者の発見、就労支援策の充実、それから、とりあえず始めるのは性犯罪者処遇プログラムですが、こういうものを実施すること等を進めてまいりました。

 また、先ほど御答弁申し上げましたが、有識者会議を設置させていただいて、今議論を賜っております。五月には最終答申が出ますが、そういうところでの御議論を踏まえまして、保護観察の一層の充実強化に努めてまいりたいというふうに思っております。

細川委員 これらの二つの事件、大変痛ましい事件であったんですけれども、これに対しては、国が責任があるのではないかというような強い意見もございます。青森のミスは当然ですけれども、行方不明者を放置した責任、さらには、さかのぼって、そういう仮出獄を決定した委員会など、さまざまな機関が問題はなかったかどうか、そういうことを点検するとともに、制度論が最も大事だというふうに思います。

 今大臣が言われました有識者会議、これは、この二つの事件をきっかけに法務省のもとに更生保護のあり方を考える有識者会議というものが置かれまして、昨年の十二月に中間報告が出されております。私も読ませていただいたんですが、更生保護についての論点は、もうこの中間報告に出尽くしているのではないかというような感想も持ったところでございます。あとは、これから提言をどうやって実現していくかということになろうかと思いますけれども、この中間報告にあります幾つかの論点につきまして、これから伺ってまいります。

 まず、地方更生保護委員会のあり方についてでございます。

 有識者会議でも指摘されておりますように、仮釈放の決定を更生保護関係者という内輪だけでやっているのではないかという批判が強く出ております。この地方更生保護委員の前歴を見ますと、五十三人中四十三人が保護観察官であり、調査に当たる者と決定する者、これがいわば同じ組織の者というのは決定機関として問題ではないか、いかに専門性が必要といっても、余りにも割合が高いのではないかというふうに私は思っております。

 また、人事院や総務省の出身者もいるんですけれども、一体これはどういう意味なのか、全くわかりません。矯正や保護行政の専門家の必要性は私も理解いたしますけれども、人事院や総務省の出身者というならば、それよりも、法曹関係者とか精神科医、ソーシャルワーカー、あるいはその他の民間人をきちっと登用していくべきではないかというふうに思っております。

 そうはいっても、委員の業務のあり方抜きに委員の出身のみを議論しても意味が薄いと思います。現在の委員が激務であるということは承知をいたしております。

 そこで、質問いたしますけれども、いろいろな工夫をされて業務の総量を減らす中で、医師とかあるいは法律家を加えて多面的な判断ができるような、そういう仮釈放の審査ができるような体制にすべきであると思いますけれども、どうでしょうか。

杉浦国務大臣 先生の御指摘のような議論が有識者会議で行われておることは承知しております。

 まず、原案といいますか、つくりますのは矯正局ですね。刑務所、少年院等でこれが適当じゃないかという案をつくるわけですが、一応保護局は、更生保護、再犯防止、更生という方をつかさどっている役所でございますので、内部チェックを行う。矯正そのもの、刑務所等の現場とは離れた立場におる方々ですから、刑務所等でつくられた原案が正しいかどうか、更生を担当している実務からいってこの仮釈はおかしいじゃないかとかいうチェックは可能だと思います。現実に、一割まではいきませんが、かなり却下している申請もございます。

 さらに、先生がおっしゃったように、もう少し違った知見を加えて、この審査を公正公平といいますか、公正に、妥当にやる必要があるんじゃないかという議論が有識者会議でもあるわけでございますが、弁護士の先生とかお医者さんとか、あるいは官庁、今のところはまだ人事院とか限られておりますが、役所の卒業生、採用している人が大体六十歳前後ですから、人生経験を積んだ方ですね、そういう関係省庁からも登用することも考えられるんじゃないかと思うんです。

 先生がおっしゃった、多角的な見地から妥当な仮釈放を行っていくという角度から、有識者会議の御議論を踏まえながら検討してまいりたいと思っております。

細川委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、特別遵守事項の客観化ということについて質問をいたしたいと思います。

 保護観察中に行方不明になるというこの問題でございます。このことは、特に犯罪被害者の側から見れば、本当に許しがたいというふうにも感じると思われます。

 まずは、徹底して捜索をして連れ戻す、こういう努力はもちろんでございますけれども、保護観察官や保護司と面会しない場合は仮出獄を取り消す措置ができるよう、そういう運用が当然あってしかるべきでございます。したがって、特別遵守事項をより具体化して、客観化して、それに反すれば不良措置をとりやすくする、そういう意見が非常に多いわけでございます。

 この点については既に質問も出ておりますけれども、重ねて法務省に、既に検討中ということも伺っておりますけれども、お尋ねをしたいと思います。

麻生政府参考人 御指摘の遵守事項は、保護観察における指導監督の中心となるものでございます。これに違反しました場合には、仮出獄の取り消し等の措置につながるものでもございます。

 このことから、特別遵守事項は、御指摘のとおり、遵守の有無が客観的に判断できるような規範性の高いものが中心となるように整理されるべきものと考えております。現在、当局におきまして検討しているところでございます。

細川委員 次に、就労支援、これも先ほども出ておりましたけれども、これについてお尋ねをしたいと思います。

 更生保護は、言うまでもなく、この第一の目的は社会復帰の支援であることは当然でございます。特に、先ほど大臣もお話がありましたように、職を持っているかどうかということは社会復帰を図る上で最も重要であろうと思います。そういう意味で、就労支援が大切でございます。

 そこで、お伺いいたしますけれども、厚生労働省と法務省とが連携をして就労支援対策が実施をされる、こういうことも聞いております。それは一体どういうような内容なのか。また、更生保護施設での就労面での活用、更生保護施設をどのように活用して就労面、就労することについての支援をしていくのか。あるいはまた、NPOとの連携も含めて就労を確保していく、職を確保していくということに努めるべきだと私は思いますけれども、どのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

杉浦国務大臣 先生御指摘のとおり、就労支援というのは極めて重要でございます。先ほど申し上げましたが、再犯率、刑務所出所者の場合はほぼ五割、少年院の場合はほぼ二割、出所した人が再犯を犯しておるということでございます。その再犯者の大部分が無職者でございます。逆に言いかえますと、少年院でも刑務所でも、社会へ出て就職した人たち、職を得た人たちの再犯率は極めて低いというのは事実でございます。

 そういう意味におきまして、就労対策を進めていくということは大変大切なことだと私どもも認識しております。何せ社会は厳しいものですから、前科者だと言うと採用しないのが現実でございます。協力者の方、篤志家もたくさんいらっしゃいます。全国で五千人を超える篤志家の方が就職支援をしていただいておるんですが、全体としてふえていないというか、減っていく傾向があるようです。

 一例だけ挙げますと、建設業が今、日本全体、苦境に立っておりまして、景気のいいころは建設業がどんどん採ってくれたということで、それが協力者が抜けつつあるということなので、かわるべき協力者を探さなきゃいけない。例えば、介護施設とかそういうところに今話をいろいろいたしております。

 先生がおっしゃったように、これはもう国だけではどうにもなる問題ではございません。厚生労働省、後で触れますが、民間企業あるいはNPO、そういうところの協力を得ながらやらなきゃいけないというわけで、実は、先月、日本商工会議所と東京商工会議所の合同役員総会、全国から三百人ぐらいの役員がお集まりのところへ出かけまして、これは裁判員制度とか日本司法支援センターとか、いろいろお願いに行ったんですが、その一つに就労支援も入れまして、三本柱で、出所者の就業について御協力いただきたいということもお願いをいたしました。

 今週木曜日は、経団連で役員会、二百人ぐらいお集まりで、やはりお願いをさせていただきますので、その柱の一つに加えまして就労支援の方もお願いしたい。特に大企業の場合、いろいろさまざまな研修施設を持っておられるんですね。そういうところへ入れていただいて、研修して腕に技術をつけて就労できるようなことをお願いできないかということはお願いをしております。

 厚労省との協力関係でございますが、厚労省と協議いたしまして、つい最近ですが、刑務所出所者等総合的就労支援対策を策定いたしました。そして、矯正施設、保護観察所などと公共職業安定所、ハローワークが一層の連携を深めて的確な就労支援を実施することが一つでございます。

 先生、もし少年院でもどこか行かれれば、ハローワークからこういう仕事があるよという情報が張り出されております。刑務所でも、出所間際の人には、食事をする場所なんかにそういうものを張り出しまして、取り次げるものがあれば取り次ぐということもやっております。また、矯正施設内及び保護観察における指導におきまして、刑務所出所者が就労意欲を起こすように、適切な求職活動のガイダンスを行うようにいたしております。

 また、雇用先の拡大及び就労を継続させるための環境整備ということを平成十八年度から実施していくこととしておりまして、具体的には、刑務所とハローワークをインターネットテレビ電話で結んだ遠隔企業説明会を実施するようにするとか、今のところ紙を張っているだけなんですが、それから出所者などを試行的に雇用した事業主に対する試行雇用奨励金の支給、来年度はまだ少のうございまして、月額五万円、三カ月、事業主に対して支給するとか、また、就職するときに保証人がいないということで問題になるケースが多うございますので、その身元保証の支援策を検討しよう、融資を受けるときの都道府県の信用保証協会のようなものを考えよう、いろいろなことを考えております。そういうことを厚生労働省と連携して実施していきたい、就労の確保に一層努力していきたいと思っております。

 これは三ッ林チームで検討してもらっておりますが、刑務所や少年院を出た人に、もう出た後は国は手を出せないんですね、本人の職業選択の自由もありますし、居住の自由もありますから、刑期を勤めたわけですし。そういう人たちに対して職を何らかの形でつくり出す、国あるいは地方自治体と相談しながら、あるいはNPOや企業と協力しながらそういうことができないかということを、さまざまな角度から検討しております。一つ二つ、具体的な話もありますけれども、そういう仕事をつくり出して、これは強制はできませんが、そこへそういう人たちに行ってもらって、そこで仕事をしながら社会復帰を図っていくということもできる限り努力していきたいと思っております。

細川委員 今のお話にもありましたけれども、刑期満了者について三ッ林チームで検討しているということでございますけれども、今現在は、刑期満了者というのはどういうふうになっていますか。

杉浦国務大臣 刑期満了者のうち、申し出があった場合は、更生保護法人というのがありますね、全国百一カ所ですか、民間の法人ですが、そこに六カ月まで、延長して一年預かれる場合がありますが、本人の申し出があった場合には、そこへ預かって就職活動をしたりいろいろお世話はできることになっております。あくまでもこれは本人が希望した場合に、しかも半年延長して一年という短期間に限ってですが、できる仕組みはございますが、それ以外はございません。

細川委員 そうしますと、仮釈放者については保護観察などがついて本人の社会復帰についてのいろいろな施策が行われている。しかし、刑務所の中で仮釈放者に申請されない人というのは、いわば再犯の可能性が強いとかそういう人たちが残るわけですね。そうしますと、その人たちが結局満了になって出ていく、それに対してはほとんど何もできていないような状況ですから、しかも、刑期満了者の再犯率というのは大変高いわけですね。したがって、この刑期満了者に対して、社会復帰を容易にして再犯を防ぐための何らかの社会的な処遇を考えなきゃいかぬ。

 したがって、今検討をされているということだと思いますが、私は、刑務所の外で生活をさせながら保護観察よりももっと厳しく監視する中間処遇制度、これを検討すべきではないかと思っていますが、法務省はどういうようなことをお考えになっているんでしょうか。

杉浦国務大臣 先生の御指摘は非常に貴重な御指摘だと受けとめさせていただきます。

 出所者の再犯防止策は、先ほど私が申しましたのは、本人の申し出を前提とする更生緊急保護制度の枠組みです。それ以外はありません。ですから、その中間的なもの、中間施設あるいは保安処分的な処分を考えるべきだという意見がございます。これは三ッ林チームと私のチームにまたがりますけれども、さまざまな角度から、ともかく既成観念を取り払って、省内で今いろいろと検討しておるところでございます。

 例えば、一例を挙げますと、精神に障害のある方、この方々は仮出獄はありません。全員満期です。その方々の再犯率は非常に高いんですね。けれども、今度、去年法律を通していただいて、その中の重度の方々については裁判所の方で審理して措置入院できるような制度ができました。これは裁判所が決定をして措置入院できるようにしたんですね。そのための監督官も役所に置くことになったんですが、実際問題、運用は極めてまだわずかで、病院の方もそういう方を受け入れるのは嫌がります。

 そういう問題点がございますが、むしろ、医療刑務所長さんたちの話をいろいろ伺いますと、数少ない再犯を犯さない人は家庭がしっかりしている、それぞれ受け入れてちゃんと面倒を見る。家庭の支えがある人は更生といいますか、再犯を犯さないけれども、ほとんどの方が何らかの形で戻ってきてしまう、こういう話でございます。

 ですから、一つの考え方ですけれども、強制的にやるかやらないかという問題もありますが、村をつくって、例えば陶器を、いい陶器をつくられるんですよね、いろいろな製品をそれぞれ刑務所でつくっておられるんです。私のアイデアですけれども、そういう工房を幾つかつくって、そして宿舎もちゃんとつくって、本人の同意が要る、あるいは強制的にやる場合は保安処分になりますから新しい法律が必要になりますけれども、それを鉄条網で囲って社会の悪魔からそういう人たちを守ってあげる。

 それで、つくられた製品はCAPIC等を通して売りますが、そんなにもうかる仕事とは思えませんから国の出費が必要になるとは思うんですけれども、それにしても、そういう中間施設、先生の御指摘のような施設、あるいは中間的な保安処分的なものでできるようになれば、それにかける費用と、そういう方々が再び犯罪を犯す、被害者ができる、また刑務所に収容する、そのコストを考えたら、はるかにコスト的には安上がりじゃないかと思うんです。そういうことをおっしゃる医療刑務所長さんもいらっしゃるんです。ですから、そういうようなことも真剣に俎上にのせて検討したいと思っています。

 そういうことをやっている諸外国の例もないわけじゃない。例えば、性犯罪者に対して保安処分をかけまして、これは裁判所が決定するらしいんですが、刑務所出所後も集めて閉じ込めちゃうというような例もある。今度、私、見に行こうと思っていますが、そういう例もあると聞いております。国によってさまざまな処遇の仕方があるんですが、そういう常習的な犯罪者から社会を防衛する、人権を尊重しながら社会を防衛する、国のかかるコストも最低限にしていこうという試みとして、十分検討に値することだと思います。

 今後とも検討してまいりますので、いろいろ御指導のほど、よろしくお願いしたいと思います。

細川委員 この刑期の満了者、こういう人たちに対してのいろいろな、これからどういうふうにして罪を犯さないようにするのか、再犯をしないのか、あるいは就労など、今大臣がいろいろと述べられました。ぜひ実現をしていただきたいと思います。

 続きまして、ちょっと別の観点……(杉浦国務大臣「ちょっと済みません、間違っていたようでございまして、よろしいですか」と呼ぶ)

石原委員長 杉浦大臣。

杉浦国務大臣 今、私、精神障害者は全員満期出所だと申し上げましたが、全員ではないようです。仮出獄もあります。それから、医療観察法は間違っていました。これは満期出所後は適用がないそうです。やはり刑期の範囲内でということのようでございますので、訂正させていただきます。

細川委員 別の観点からちょっと質問をしたいと思います。

 今、犯罪者の更生保護の関係での法律、その議論でございますけれども、一方、犯罪者には被害者、一方では犯罪によって被害を受けた被害者がおられます。その被害者を、損害の回復あるいは社会復帰とか、いろいろそういう意味での犯罪被害者等基本法が一昨年成立をいたしまして、去年の年末には犯罪被害者等基本計画が策定をされまして、長年課題でございました犯罪被害者支援の対策が大きく前進をいたしました。その基本計画の中に更生保護に関連した部分がございますので、この点についてお伺いをいたします。

 まず、基本法の第十五条の関係で、「安全の確保」というところに、「加害者に関する情報提供の拡充」というのがございます。そこで、この基本計画にはこのように書かれております。「再被害防止のため、警察の要請に応じ、行刑施設、地方更生保護委員会及び保護観察所が警察に対して行う釈放予定、帰住予定地及び仮出獄中の特異動向等の情報提供、再度の加害行為のおそれを覚知した検察官、行刑施設、地方更生保護委員会及び保護観察所による警察への当該情報の連絡について、関係者に周知徹底させ、一層円滑な連携を図っていく。」こういうことが基本計画に書かれているわけでございます。

 現在、これらの情報提供というのはどの程度行われているのか、ちょっとお伺いします。

小貫政府参考人 ただいまの御質問の関係で、二つの制度がございます。

 まず一点目は、先生御指摘のとおり、これは実は平成十三年の十月一日から始められている制度でございますが、被害者等が同じ犯人から再び被害を受けるのを防止するため、警察等から出所情報の提供を要請された場合、あるいは、いろいろな動静から見て再び加害に及ぶ、こういうおそれのある場合について、行刑施設や地方更生保護委員会から警察本部に対して、先生御指摘になられた当該受刑者の出所予定日等を通報する、こういう制度が発足して、今実施されております。ちなみに、平成十六年一年間に、行刑施設から警察にその関係で通報した件数が四十八件でございました。

 もう一つは、これは平成十七年の六月一日から始まっているものでございますが、十三歳未満の子供を対象とする強姦や強制わいせつ等の暴力的性犯罪を犯した受刑者について、これらの者の再犯を防止することを目的にした通報制度でございます。これも、行刑施設から警察庁に対して、出所予定日、帰住予定地、収容中の特異動向、さらには出所事由等を警察に提供して再犯防止に役立てていただく、こういう制度が発足して、今実施中でございます。十八年一月現在で百数十件の通報例を数えている、こういう報告を受けているところでございます。

細川委員 次に行きますが、その項目の次にこういうことが書かれております。「法務省において、加害者の仮出獄の時期、自由刑の執行終了による釈放予定時期、釈放後の住所についての情報を適切に提供していく」、こういうように書かれております。

 数年前までは、出獄情報などについては全く犯罪被害者には与えておられませんでしたし、知らないうちに加害者があらわれて、場合によっては再度の犯行に及ぶというようなこともあったわけですけれども、これらの情報については、犯罪被害者の方からは強い要望でございました。

 その点は相当改善はされたと聞いておりますけれども、現在の犯罪被害者に対する仮釈放に関する情報提供はどの程度なされているか、お聞きします。

大林政府参考人 いわゆる被害者等通知制度の一環として、平成十三年三月から、検察官において、被害者等の方々からの希望に応じて、被告人に対する実刑判決が確定した時点において、懲役刑などの執行終了による釈放予定の年月を通知し、また、仮釈放や懲役などの執行終了による釈放後、事後的に、受刑者が釈放された事実や釈放年月日を通知することとしておりました。

 しかしながら、平成十三年十月からは、検察官は、被害者等の方々が再被害を受けることを懸念すべき事情があると認めた場合に、そのような方々の懸念に配慮するとの観点から、特に被害者の方々が希望する場合に、犯罪の動機、態様及び組織的背景、加害者と被害者等との関係、加害者の言動その他の状況に照らし、通知を行うのが相当と認められるときには、釈放前に被害者等の方々に対し、例えば三月下旬などのような形で、仮釈放等による釈放予定時期を通知することとしております。

 また、被害者等の方々が加害者との接触回避等のため転居などの措置を講じるために特に必要な場合には、これらに加えて、具体的釈放予定日や加害者の帰住予定先に関する情報を通知することとしております。

細川委員 わかりました。

 それで、さらに、先ほど引用しました文の後に、このように書かれております。ちょっと読みます。「さらに、更生保護官署が、保護司との協働態勢の下、犯罪被害者等に対し、加害者の収容先、加害者の処遇に関する情報、加害者の釈放予定等を含む刑事裁判終了後の加害者に関する情報を提供できるよう、更生保護官署に被害者支援専任の担当者を配置することを含め、検討を行い、二年以内を目途に必要な施策を実施する。」このように基本計画の中に書かれているところでございます。

 これも、被害者にとっては大きな関心事でございます。

 そこで、既にこういった検討がされているとは思いますが、今後の予定あるいは展望について聞かせてください。

杉浦国務大臣 先生の御指摘の点、二年以内ということでございます。

 犯罪被害者の方々の中には、出所した加害者の帰る先とか矯正施設内の処遇状況等を知りたいという方々がいらっしゃることはよく承知しております。これらの情報を提供することが被害者や御遺族の方々の心情の安定とか生活の平穏に資するものと思う一方で、これらの情報を開示することによりまして、加害者のプライバシーを害したり、改善更生に支障を生じたりすることもございますので、これらの事情を踏まえまして、二年以内に適切な情報を提供する仕組みができますように、関係部局において検討しているところでございます。まだ結論は出ておりません。

細川委員 検討中ということでございますから、よろしくお願いをしたいと思います。

 それで、犯罪被害者については最後になりますが、基本計画の中に、基本法の十九条関係、「保護、捜査、公判等の過程における配慮等」、この部分にも、更生保護官署職員に対する被害者支援の実務家等による講義の実施などにより職員に対する教育、研修等の充実が約束をされておりますが、この点について、具体的に今どのような活動をして、さらに今後どのような充実をしていくか、お答え願いたいと思います。

麻生政府参考人 更生保護官署職員に対する各種研修におきましては、犯罪被害者の支援に携わる実務家、それから犯罪被害者御本人あるいはその御家族の方々、さらには被害者学の研究者などの方々によります講義を行いまして、必要な指導を行ってきておるところでございます。

 今後は、この犯罪被害者等基本計画の決定を受けまして、保護観察官等が犯罪被害者等の方々の置かれた現状や心情等への理解を深めることができますよう、研修の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。

杉浦国務大臣 先ほど言い落としましたが、四月に発足する日本司法支援センターでございますが、その業務の中にも被害者の保護ということが大きな柱として入っておりますので、そちらの方でも保護官署と提携しながら適切な対応がとれるようにしてまいりたいと思っております。

細川委員 犯罪被害者支援とこの基本法もできましたので、ひとつ基本計画のもと、よろしくお願いをしたいと思います。

 それから次に、保護観察官、保護司、これについてちょっとお聞きいたしたいと思いますが、有識者会議の中間報告には、保護観察官とかあるいは保護司に関するいろいろな意見がたくさん出ておりまして、見ておりまして、もっともだというような意見が多いわけでございます。ボランティアの保護司が保護観察官の業務まで行っているとか、あるいは保護司が高齢化して人材難に陥っている点、あるいは保護観察官がデスクワーカーあるいはワープロワーカーと化しているなどの指摘がございまして、制度の根幹が緩んできているんではないかというふうに思わざるを得ないところでございます。

 中間報告には、専門職試験による採用の検討、さまざまな意見が併記をされておりますけれども、多面的に検討するべき時期に来ていると思われます。保護司についても同様で、現状のような善意に基づいた制度では存続自体が危ういのではないか、保護観察官、保護司ともに、専門性を必要とするようなケースがだんだん多くなってきている、それに対応した措置がとられていない、こういう指摘もたくさんあるわけでございます。

 この保護観察官、保護司の制度を今後どういうふうにしていったらよいかということについて、ちょっと御意見をお聞かせください。

杉浦国務大臣 先生がおっしゃるとおり、有識者会議とかでさまざまな議論が行われております。

 我が国の保護観察制度は、保護司という、世界でもないと思うんですね、何かフィリピンとかタイが日本の保護司制度から学んでつくられたような話も伝わってくる、まあ実効はなさそうですね。

 民間人で、地域の事情に精通しておられますし、社会経験豊か、先生方の周りにも保護司さんがいらっしゃると思うんですが、社会的名士の方が多うございますよね。その数、約五万人。一つの小学校区に最低二、三人はいらっしゃるんじゃないでしょうか。多いところはもっといらっしゃる。そういう方々が、保護観察官と協力しながら、保護観察を受ける人を担当して、平均すると一年一・何人になるそうですが、担当して矯正指導に当たる、就職の世話もする、献身的な御努力をいただいているわけです。保護司さんの存在を抜きにしては日本の保護行政はないんじゃないか。

 保護司さんの周りには、更生保護女性会とかBBSとかいう組織もあります。それから、更生保護法人なんかもあります。更生保護女性会、ボランティア団体ですが、約二十万人。この方々は、刑務所へ出かけては、お茶を教えたり、お花を教えたり、俳句を教えたり、カラオケを歌ったり、いろいろやってくださっていますし、非行少年の面倒を見たり、多面的な活動をしていただいております。協力雇用主も、全国で約六千人弱いらっしゃいます。BBSはちょっと少ないですが、この方々も六千人弱いらっしゃる。こういうNPOというか民間の善意の、無償です、ボランティアの方々の協力、協働関係があって、それと保護観察官が協働して当たっていただいているわけでして。

 実費弁償が月七千円に足りないので、今度三割ふやすように谷垣大臣に認めてもらったんですけれども、それでも足りない。私の町なんかでは、町内会長さんは月二万ぐらい、どんな小さい町でも実費弁償をもらっているのに、保護司さんはたったの七千円だというので、来年度は倍ぐらい要求しようと思っていますが、それでも実費弁償は足りないんじゃないかと思っておるぐらいでございますが、そういう方々の努力の上に、協力の上に成り立っているんだと思います。

 しかし、問題はたくさんございます。保護司さんについては、今のネットワーク、まあ縁故採用が多いんですね。ですから、新興住宅地はぽこっと抜けちゃっているとか高齢化しちゃっているとか、いろいろ問題点が指摘されますので、例えば公募とか、去年から始めておるようですが、地方自治体とかいろいろな団体と相談しながら、そういうところから御推薦いただく。縁故でなくて、少し広く御推薦願うようなことを始めたようですが、そういったこととか、あるいは、保護観察官については特別職にしたらどうかという御意見もあるぐらいでございまして、さまざまな御意見があります。有識者の会議の議論も踏まえながら、先生のおっしゃるとおり、抜本的に検討する時期が来ておるというふうに認識いたしております。

    〔委員長退席、早川委員長代理着席〕

細川委員 最後になりますが、質問通告はしていなかったんですけれども、ちょっとだけ大臣にお聞きします。質問通告していないから、特に強く回答を求めるわけではありませんが、ちょっと大臣に刑法の三十条をお示しいただけますか。

 ここに、三十条というのは、第五章があって、二十八条、二十九条、三十条なんですが、仮出場というのがあります。読みますと、「拘留に処せられた者は、情状により、いつでも、行政官庁の処分によって仮に出場を許すことができる。」と。ここに、拘留に処せられたる者は仮出場、これが仮釈放に当たるわけですね。

 それで、実はもう一つ、十六条を見てくれますか。刑法十六条。ありますね。「拘留は、一日以上三十日未満とし、刑事施設に拘置する。」こうですね。だから、拘留はどんなに重くても、最高刑で三十日ですね。

 そうしますと、仮釈放の手続をちょっと聞くと、何か申請してから二、三カ月かかるというふうに聞いておりますが、拘留が三十日だと、拘留で仮釈放、こんな例も余りないと思いますけれども、まずできないんじゃないか。申請したって、もう満期になって出ていっちゃうということで、仮釈放ができるというふうになっていても、実際はたった三十日の拘留ですからそれはできないんじゃないかと思いますけれども、こんなものは、ちょっと私もこの法案を見ていて気がついたんですけれども、もう廃止をしたらどうですかねという感想です。ひとり言ではない。

 通告していませんでしたから、大臣に回答をということではありませんけれども、もし感想があれば。どう思われますか。

麻生政府参考人 大臣の御答弁の前に、まず、事実関係だけ御説明させていただきたいと思います。

 統計によりますと、仮出場につきましては、平成十二年に一名、十四年に一名仮出場になっております。これは労役場留置の者か、あるいは拘留の者かはわかりませんけれども、そのような例があるということでございます。

 当然のことながら、短い期間であれば審理も速やかに行うということでございます。仮出場の審理につきましては、そういうことを踏まえて行うということでございます。

細川委員 その例はあるんですか。拘留で仮釈放をしたという例は、今まであるんですか。

麻生政府参考人 今、統計しか持ち合わせておりませんので、これが労役場留置の例であるのか、あるいは拘留の例であるのかはわかりませんけれども、十二年と十四年に一名ずつ仮出場がございます。

細川委員 仮出場、これについては、例も余りない、ごくごく少ないようですから、いろいろその例を、実際どうだったか、ちょっとまた後で教えていただきたいと思いますが、大臣、僕はこんなものは余り必要ないんじゃないかなというふうに思いましたので、最後に大臣に申し上げまして、もしあれだったら検討していただきたいと思います。

杉浦国務大臣 全く個人的な感想ですが、刑の言い渡しとして、拘留というのは聞いたことがございません。今聞いても、何年かに二件とかいうことで、わざわざ刑法に一条を設け、二条ですか、仮出、必要性があるかどうか。法律をつくったときには、何か事情があったのかもしれません。先生の御指摘を受けて、勉強させていただきます。どうもありがとうございました。

細川委員 では、終わります。

早川委員長代理 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 きょうは、まず、地方更生保護委員会の件に入る前に、今法務省でも情報の流出等、その他、警察署でも私物のパソコンから情報流出が問題となったり、あるいは自衛隊でもそういう情報流出が問題となったりしておりますけれども、この件に関しまして、今、よく新聞等を読んでおったりすると、ウィニーというソフトが使われているということでございますけれども、まずその点に関して伺いたいと思います。

 まず、法務省に伺います。

 このウィニーというソフトですけれども、情報流出をどんどんしてしまう。あるいは、情報流出でなくても、たしか一年ほど前に問題になったと思うんですけれども、これはファイル交換ソフトで、音楽のファイルであるとかあるいはビデオだとか漫画だとか、著作物ですよね、これを無料で交換できてしまう。ですから、今、音楽ですとかあるいはビデオ、漫画、こういうのが、ダウンロードしてお金を払って買うという商習慣が徐々にできつつある中、専らウィニーというのは、むしろ、海賊版と言うと変ですけれども、無料でとにかくソフトをやりとりするのに使われているようなケースが多いというふうにもマスコミ報道等であります。

 こういった観点から、実際、このウィニーというソフトについて、法務省として今どういう見解を持っているのか。

 まず、このウィニーというソフトを作成あるいは所持して、あるいはほかの人に上げたりする、頒布、そしてまた、ウィニーを使う、こういったことについて、これは別に、全く合法なんだ、問題ない行為であるということなのか、いや、これはちょっと法益侵害のおそれありだなということなのか、まず、今のところの見解を伺いたいと思います。

大林政府参考人 お尋ねのウィニーというソフトに関しましては、法定の除外事由がなく、かつ、著作権者の許諾を受けないで、著作権者が著作権を有するゲームや映画の著作物の各情報につき、そのハードディスクにこれらの情報が記録されているパーソナルコンピューターで、インターネットに接続された状態のもと、ファイル共有ソフトウィニーを起動させ、同コンピューターにアクセスしてきた不特定多数のインターネット利用者に上記各情報を自動公衆送信し得るようにし、もって各著作権者の著作権を侵害したという事実で有罪判決が宣告され、これが確定した事案があります。

 また、今委員御指摘のとおり、同様の著作権侵害事案について、ウィニーが不特定多数者によって著作物の公衆送信権を侵害するデータの送受信に広く利用されている状況にあることを認識しながら、その状況を認容し、あえてウィニーを自己の開設したホームページ上に公開して、これをダウンロードさせて提供し、もって犯行を容易にさせてこれを幇助したという事実で公判請求され、現在、公判係属中の事案もあると承知しております。

 いずれにいたしましても、ウィニーというソフトに関する犯罪の成否は、個別の事案に応じ収集された証拠に基づいて判断される事柄であり、一概にお答えいたしかねるものだというふうに考えております。

 今御質問の、例えば使用の問題、保管の問題、これについても、今、差し当たり、私の把握している限りでは、著作権法違反ということで取り上げられるケースがありますけれども、ここに今申し上げたように法定の除外事由というのがありまして、これもいろいろな正当化される条件もありますので、それに従って刑事犯罪になるかどうかということは決められるんだ、このように考えております。

高山委員 今の局長の答弁ですと、ウィニーというソフトを使ったことそのものというよりは、ウィニーを使って著作権法違反をしたのが問題だ、こういう気がいたしますけれども、それは例えば、よくあるコピー機、ああいうのを使って著作権法違反をしても、当然これは問題なんでしょう。

 私が今伺っていますのは、このウィニー、実際の使われ方を見ると、専ら著作権法違反の事例が多いと思うけれども、今回みたいに情報流出などのおそれもある。ちょっと問題の多いソフトじゃないかなというふうに報道なんかですと言われておりますけれども、まず、このウィニーというソフトそのものをつくったり、あるいはこれを頒布したり、所持していたり、このそのものの行為について、今のところ法務省としてどのように考えているかということを伺いたいと思います。

    〔早川委員長代理退席、委員長着席〕

大林政府参考人 御指摘のとおり、ウィニーをダウンロードすること自体が罪になるのかどうかという問題は、今の例えば著作権法違反のことを考えますと、御承知のとおり、著作権法の場合には、個人で使用するという目的の場合に除外事由となる場合もございます。ですから、これも先ほど申したとおり、ケース・バイ・ケースだろうと思います。ウィニーをダウンロードすることが直ちに罪になるかどうかということは、なかなかその事実関係にもよるかなと。

 それから、今問題となっている情報流出の問題、まだ事実関係が必ずしも判明しておりませんけれども、ウィニーだけの問題ではなくて、これに伴ういわゆるウイルスによるものだというふうな問題も生じているように聞いておりますので、やはりこれは証拠関係次第で刑事事件として取り上げられるかどうかということではないか、このように考えております。

高山委員 ちょっと細かく伺っていきたいんですけれども、そうしますと、まず、このウィニーというソフトを自分のパソコンに取り入れて使ってファイル交換をしている、こういうウィニーというソフトを使っているというだけでは、これは何罪にも、何の罪にも当たらない正当な行為なんでしょうか。まずそこを確認させてください。

大林政府参考人 先ほども御紹介しましたとおり、ウィニーを使用することによって、例えば一つの例として、それをまた商売として頒布に利用している人もいます。ですから、ウィニーを使うこと自体が直ちに罪になるかということについては、先ほどから申し上げているとおり、これはケース・バイ・ケース、本人の目的、方法等を勘案しないと、一概に罪になるかどうかということは、ちょっと申し上げることは困難だというふうに思います。

高山委員 そうしますと、では、ウィニーを使うということもちょっとはっきりしない段階でして、その前の、ウィニーというソフトをつくる、ウィニーの作成ということそのもの、これは何かの罪になるんですか。

大林政府参考人 先ほども御紹介いたしました、いわゆる幇助犯で今公判係属中になっているものがございます。これは、先ほども申し上げたとおり、ウィニーが不特定多数者によって著作物の公衆送信権を侵害するデータの送受信に広く利用されている状況にあることを認識しながら、その状況を認容し、あえてウィニーを自己の開設したホームページに公開して、これをダウンロードさせて提供した、これが幇助犯に問われております。

 ですから、幇助犯という概念も非常に広いものでございまして、ケース・バイ・ケースにおいて、作成することがこのような幇助に当たる場合もあり得るかなというふうに考えております。

高山委員 この後、大臣にも伺いますけれども、もう一回局長に詳しく伺います。

 その幇助犯ですとか著作権法の事例は、今係争中ということもありますから詳しくはいいんです。私が伺いたいのは、多分問題になっている人は、ウィニーをつくったということもあるけれども、それ以前の発言とか言動とか、いろいろなものを考慮してということだと思うんですけれども、これからも、こういう新しい技術、どんどん、自分がつくってみたので発表したいというような人というのはいっぱいいると思うんですね。そういった中で、こういうソフト、後々それは悪用されるかもしれませんけれども、まず、つくる段階では、自分はコンピューター上の新しいプログラムを開発したんだということで、自分のホームページにアップしてみたりとか、こういう方というのは今後も大勢出てくると思うんです。

 そういう意味で、私は、具体的な、多分京都の教授の事例のことを念頭だと思うんですけれども、それじゃなくて、今世間を騒がせているこのウィニーというソフト、これをつくったりあるいは改良を加えたり、こういう行為というのは、今処罰の必要というのはあるんでしょうか、ないんでしょうか、まず局長に伺いたいんです。

大林政府参考人 もう委員御承知のとおり、いわゆるソフトと呼ばれるものは、いろいろな種類があり、またいろいろな目的等で開発されているというふうに思っております。ソフト開発が技術革新につながっていく、それは一般論としてはそのとおりだと思います。ただ、今のコンピューター社会において、いわゆる不正な指令を与えて、今のコンピューターに対する信頼感を害するというようなソフトもあるのではないかと思います。

 今のバージョンアップの問題でございますけれども、それは、どういう形でバージョンアップされるかという問題もいろいろあると思います。ですから、今の技術革新という面と、それから、そういうコンピューターを利用する人たちに対して支障を与える問題というものを勘案して考えるべき問題で、なかなか、今の御質問に対して一概に答えるのは難しいかなというふうに考えております。

高山委員 それでは、大臣は最後に伺いますので、警察の方にも伺いたいんですけれども、このウィニーというソフトの評価を聞きたいんですけれども、実際、著作権法違反のいろいろなファイル交換に使われている事例が多くて、CDそのものの売り上げも随分落ちているし、一たんだれか一人がダウンロードしたのをまた交換してというようなことで、いや、おれもただで全部音楽聞いているよなんという人も今随分ふえてきている。

 こういった中で、警察として、このウィニーというソフトをどういうふうに取り締まっていこうと考えているか、あるいは、取り締まりの必要はないと考えているのか、まず御答弁願えますか。

竹花政府参考人 ウィニーというソフトがさまざまな新たな犯罪をつくり出すことの一つのきっかけとなっているという側面も、私どもは注目をしながら見ておるわけでございますけれども、この関連で私どもがこれまで捜査あるいは取り締まりを行った中で最も顕著にあらわれておりますのは、御指摘のように、インターネットを利用した著作権法違反についての検挙でございます。

 例えば、平成十七年中には、こうした事件は百二十八件の検挙を見ているところでありますけれども、もちろんこれは、すべてがウィニー絡みだというわけではありませんが、この中には、やはりウイルスを利用して映画等のデータを取得して、それを別途CD等につくり直して、その海賊版をまたインターネットオークション等を利用して売っていく、そういう形のものが含まれておりますし、また、十五年には、先ほど来出ておりますように、京都府警察において、映画やゲームソフトの著作物を公衆送信が可能な状態にして著作権法に定める公衆送信権を侵害した事犯ということで検挙をしているところでございます。

 これが、さらに今後、秘密を漏えいすることで使われたり、さまざまな形で法違反の一つの道具として使い得るのではないかということについて、私どもは、今後十分注視をしながら対処してまいりたいというふうに考えております。

高山委員 また再度警察の方に伺いますけれども、十五年の京都の事例のことをおっしゃいましたけれども、その後も、あの方が逮捕されて、もうウィニーなくなるのかなと思ったら、いろいろインターネットで見てみると、ウィニーをダウンロードできるところがまだ全然あるんですね。例えばそういうようなサイトだとか、これは取り締まる必要はないんですか。

竹花政府参考人 先ほど来法務省の方からの答弁にもございましたように、ウィニーというソフト自体を、法令に違反する、そういう存在として定めている法令がないわけでございますので、そのもの自体を取り締まることは現行法令においては難しいものと私どもは思っております。

 しかしながら、ウィニーというものあるいはそれに類似した機能を有するものが今後さまざまな形であらわれていくであろう。しかし、それが有用な側面を持つ一方で、悪用されるおそれもあるという点について、私どもといたしましては、今後の状況を十分注視しながら、適切な対応が必要な場合も生ずるのではないかというふうに考えておるところでございます。

高山委員 それでは、最後に法務大臣に伺います。

 このウィニーというソフト、便利な反面、法務省でも大情報流出を起こしてしまったように、ちょっと問題も多いソフトじゃないかな。しかも、正しくという言い方は変ですけれども、正しく使われたとしても、音楽の無料交換に使われている。

 法務大臣のこのウィニーというソフトに対する評価をちょっと伺いたいんですけれども、今後、どうですか、こういうソフト、今は、現行法の範囲内ではちょっと罰することは難しいということでございますけれども、法務大臣としては、このウィニーというソフトに対して今どのようにお考えか、その感想だけまず伺いたいと思います。

杉浦国務大臣 私は古い人間なものですから、コンピューターはよくわからないんですよ。この間、情報が流出しましたが、自宅へ持ち帰ってウィニーにつないでおいたら全部出ちゃったというんですね。そんなことが可能なのか。技術は日進月歩ですから、今、流出問題については調査を徹底的に進めておりますけれども、正直言って、私はよくわかりません。

 ただ、犯罪が成立するかどうかは、一般論ですが、当然のことながら個別の事案ごとに、こういう証拠があって、では、著作権法違反ならば罰せられるよということになるわけなんですが、先生のお考えでは、ウィニーそのものを禁止するといいますか、つくることを禁止すべきだというお考えもおありかと思うんですが、立法論としてあり得るかもしれませんね。これはいろいろと御検討願って、今警察の話を聞いていても、法律がないから取り締まれないんだということを言っていましたから、検討すべき課題かもしれませんね。

 正直言って、私にはそういう能力がございませんので、何とも申し上げられないのが実情でございます。今、現時点では、何度説明を聞いてもまだよくわからない状況でございます。

高山委員 それでは、もう一問だけ。

 技術的なことは杉浦大臣はいまいちだということですけれども、今聞いて、警察あるいは法務省の方でも、事案によると犯罪になるものもある、ちょっとどう評価していいかわからない、ただ、完全に、すごくいいソフトですねと手放しで言うわけにもいかないなというような雰囲気だったと思うんですけれども、こういったソフトを行刑施設の職員ですとかあるいは警察署の職員の方までが自分のパソコンにインストールしていた、この行為に関しては、大臣、どう考えますか。ちょっと軽率だったんじゃないかと考えるでしょうか。

杉浦国務大臣 軽率きわまるものだと思います。今調査をしておりまして、処分も厳正に行うつもりでおります。今はもう一切持ち出しを禁止しまして、そういうことのないようにいたしましたが、ソフトとして便利かもしれないけれども、ちょっと首をかしげたくなるようなソフトであるという印象は持っております。

高山委員 それでは、地方更生保護委員会の構成について、まずちょっと伺います。

 先ほど来から、同僚議員の方、先輩議員の方が数々質問しておりますけれども、改めて伺います。地方更生委員というのがありますが、この出身といいますか、どういった方がなられているのか、今の現状、どういう出身の方か。もう一つは、定年ですね、何歳で定年になるのか。あと、年齢あるいは任期、こういった形式的な面をまず教えてください。これは局長答弁で結構です。

麻生政府参考人 お答えいたします。

 地方更生保護委員会の委員につきましては三年の任期でございます。定年はございません。

 それから、出身でございますけれども、現在、更生保護官署出身者が四十三人、刑務所、少年鑑別所出身者二人、それぞれ一名ということでございます、それから検察庁出身者五人、人事院出身者二人、総務省出身者一人で、合計で五十三名でございます。

高山委員 私が伺ったのは、後で年齢の構成がわかれば教えていただきたいんですが、平均年齢がお幾つぐらいなのか、大体何十代の方が多いのか。

 もう一つ教えていただきたいのは、私、説明を受けましたときに、更生委員そのものの人たちというのは三人の合議体で結構忙しい、それで、この補助といいますか補佐するために保護観察官がついて、刑務所、行刑施設の方に行って何度も何度も面接をして、更生委員の方が最後一回面接をして決定する、このような話を伺いましたけれども、まず、そもそも保護観察官とそして委員、こう分けた理由は何なんでしょうか。別に、保護観察官がずっと最後までやって決定するということで何か不都合があったんでしょうか。更生保護委員というものを別建てでつくった理由をまずちょっと教えてください。

麻生政府参考人 まず、委員の年齢構成についてお答えいたします。

 平成十八年の一月一日現在でございますが、六十三歳の者が五人、六十二歳の者が十六人、六十一歳の者が十一人、六十歳の者が十二人、五十九歳の者が四人、五十八歳の者が三人、五十七歳の者はありません、五十六歳と五十五歳が各一人で、五十三人でございます。

 それから、委員と委員会所属の保護観察官の関係でございますけれども、これは刑法で、仮釈放の許可につきましては行政官庁が行う、こういうことになっております。それを受けまして、犯罪者予防更生法で、刑法の仮出獄の許可等の決定を行う行政官庁としての職務を行うのが地方更生保護委員会ということになっておりまして、具体的には、その委員が合議体をそれぞれ構成して仕事を行っていくわけでございます。

 委員会に所属しております保護観察官が、先ほど他の委員の質問の際に御説明いたしましたけれども、準備調査と申しまして、委員の審理の前にあらかじめ調査をしておるというのが実情でございます。それが委員が行います審理の際の役に立っておるということで、本来的には委員が仮出獄の許可等の決定を行うものであり、委員会所属の保護観察官はこれを補佐する立場にあるものでございます。

高山委員 まず、そもそも論なんですけれども、委員会で許可されるということですけれども、許可率がほぼ一〇〇%に近いという中で、そうすると、これは委員会じゃなくて行刑施設で決めてしまえばいい、あるいは、その後を受け持つ保護観察所の方で、保護観察官がずっと下働きで調査するわけですから、そもそもそれで決めてしまえばいいじゃないか。この委員の方がサボっているというんじゃないんですよ。わざわざ、この委員というのは何か屋上屋の施設のような気がするんです。

 許可率がほぼ一〇〇%なのであれば、例えば保護観察官をもっと充実させて、別に地方更生保護委員というのはもう要らないんだというような意見も出てくると思うんですよね、一〇〇%に近いということであれば。これに関して、なぜこれは二階建ての組織にしているのか、それをまず教えてください。

麻生政府参考人 まず、手続の方から御説明いたしますと、行刑施設の方が仮出獄の申請というものを地方更生保護委員会にいたします。地方更生保護委員会が仮出獄の許可の決定を行いまして、実際に仮出獄をいたしますと、保護観察所の保護観察官が実際の保護観察を行うわけでございます。したがいまして、行刑施設、地方更生保護委員会、保護観察所というのは、それぞれ別の役割を持っているわけでございます。

 行刑施設からの仮出獄等の申請に対する棄却率が低いという御指摘であろうかと思いますけれども、数%であるというふうに思いますけれども、これは、あらかじめ行刑施設と地方更生保護委員会の方で連携をいたしておりまして、もともと仮出獄が認められないような者については、行刑施設の方もそれをわかっておりまして、申請をしないということがあるのではないかと思います。

 したがいまして、こういう例が適切かどうかわかりませんけれども、検察官が起訴した事件が九九・何%である、だから裁判所の存在意義がないということにはならないわけでございまして、地方更生保護委員会は地方更生保護委員会としての仕事をしておるということで御理解願いたいと思います。

高山委員 次に、委員の構成について伺いたいんですけれども、今の御説明ですと、仮に検察が九九%だったから裁判所は要らないんだみたいな、これはもちろん話にならないと思うんです。それは検察官と裁判官がそんなに人的連続性がないからですよ。

 それに比べて、今、先ほどから御説明いただきましたけれども、この委員の出身別ですけれども、法務省から四十五人になっている、五十三人中。そのうちほとんどが更生保護官署である。そうすると、同じような人たちが、しかも、年齢構成を見ますと、大体六十歳前後というか六十歳以上の方が一番多いわけですけれども、うがった見方をすれば、何かこれは定年した後の天下り先になっているだけなんじゃないのかと思うんです。

 これをまず局長に伺った後でまた大臣に伺いますけれども、更生委員というのですか、これは一体どういう基準でなっているんですか。例えば私なんかの後援会の人だとか普通の弁護士の方だとか民間の学校の先生をやっていた方だとか、こういう方はなれるんですかね。ちょっとまずその基準を教えてください。

麻生政府参考人 地方更生保護委員会の委員につきましては、特段、資格というようなものはございません。したがいまして、弁護士さんでもどなたでも、委員としての職務を全うしていただけるような資質のある方であれば採用される可能性がございます。

 それから、更生保護官署の職員のOBが多数を占めている点につきましての御質問があったと思いますけれども、この点につきましては、先ほど来話の出ております有識者会議でも、内輪でやっているような印象がある、こういう御指摘をちょうだいしておるところでございます。

 そのことにつきましては、私どもその御指摘を真摯に受けとめておりますけれども、実情といたしましては、やはり、仮釈放の許可の決定を行いますのは、刑事司法全体についての知識と保護観察が実際にどういうふうにやっているかというような知識、そういうようなものがあり、なおかつ、一人当たり四百数十件、年間に処理いたしておりますので、相当の行政事務能力が必要であるということで、現在のような構成にならざるを得ないということを御理解いただきたいと思います。

 今委員の方からお話がありました弁護士さんでありますとかそういう外部の、外部といいますか一般の方々から、ぜひ、三年間の任期であることを承知の上で委員になりたいというような御要望があれば、そういう方々に委員になっていただくことについては何ら支障はないものと思っております。

高山委員 民間からも委員になってもらえるということですけれども、そうしますと、いや、こういう人はちょっとだめだとか、あるいはまた、今言いましたように行政全体に対する知識も要るんだということでございますけれども、どういう基準でこの委員というのは選ばれているんですか。

麻生政府参考人 先ほど申し上げましたけれども、これはあくまでも、ですから、委員としての職務を全うできるだけの資質、能力のある方という基準しかございません。

高山委員 その選考基準は、どういう法律あるいは省内の規則に基づいて行われているんでしょうか。

麻生政府参考人 国家公務員法に基づきまして選考いたしておるだけでございまして、それ以上の詳細な基準等はございません。

高山委員 きのういろいろ伺っているときにも御回答いただいているんですけれども、とにかく選定する際の基準も特にないんだということなんですね。そうすると、これは大臣にこの後伺いますけれども、随分、恣意的に決めているんじゃないかという気がするんですよ。選考基準は何もないんだ、ただ法務大臣の名で決めていると。

 そうすると、これは事実上かなり仲間内で、保護観察所でしょうか、その中で、あなた、もう次六十歳で定年だから更生委員やってくださいということに、これはただ機械的にやっているだけなんじゃないんですか。それが、許可率というか、それがほぼ一〇〇%に近い、右から左への仕事になっちゃっている原因にもなっているんじゃないのかなと。

 まじめにやっているにせよ、ある意味専門ばかというわけじゃありませんが、今度、裁判員で民間の人の意見も入れていこうというふうに司法が開かれてきた中で、この更生保護委員だけは随分内輪の話だなという気がいたしますが、大臣、この点に関しまして最後に御答弁をお願いします。

杉浦国務大臣 実際問題といたしますと、地方更生保護委員の方は保護観察官出身者が大部分でございます。

 大体、検察官に準じて六十三歳になると定年。六十三歳の方は六十歳任命。二期やる方もいらっしゃいますから、大体五十歳代後半になるころに適齢期がやってまいるわけですが。

 試験をやっているわけじゃございませんからあれですけれども、保護観察官の中の優秀な人が、全員なれるわけじゃありません、選んで実務に当たらせておるというのが実情で、だから、天下りというよりも天上がりであって、優秀な人がやっている。外部からもちろん入っていますが、行政能力も要りますから、それから、先ほども御答弁申し上げたんですが、いろいろな角度から適切に仮釈放を実施するという見地から、内輪の人間だけじゃなくて外からも入ってもらうということも必要だということで、若干入っておりますが、そういうことでなされてきたんだと思います。

 法務大臣が任命するということになっています。適切に任命しているつもりでございますが、いろいろ批判があることは承知しております。有識者会議でも、先ほど御答弁したように、御議論があるところでございます。もう少し多面的な見地からやった方がいいんじゃないか。大体六十歳前後、人生経験を積み、社会の経験も積み、いろいろな角度から仮釈放の仕事をチェックできるというふうにした方がいいじゃないかという御意見、ごもっともな御意見もございますので、これからは、例えば弁護士さんとか医療関係とか、いろいろな方を加えるように検討してまいりたいと思います。

 ただ、給料が安いですからね。六十前後の弁護士さんが来ていただけるかどうかという問題はございます、月給五十万円ぐらいですから。そういうことでありますが、いろいろな角度から検討をして、適切な仮釈放、法律に基づく大事な権限でございますので、やっていけるように、豊富な経験、良識ある判断ができる更生保護委員でなければならぬと思っておりますので、御指摘の点も踏まえまして検討していきたいと思っております。

 それから、却下の、さっき数%と局長が言ったんですが、一番近い平成十六年は、認可率、反対は不許可ですが、認可率九三%、却下はだから六・九ですか、十五年が認可率九三・三で却下率六・七、平成十四年は九三・二で六・八、十三年が六・二、十二年も六・二という却下率でございます。

高山委員 では、時間が参りましたので、天下りも天上がりも私は両方問題だと思いますが、終わります。

石原委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十九分開議

石原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 まず、本日のニュースで、防衛施設庁発注の土木建築工事で、元施設庁の技術審議官ら三人が追起訴され、そして、これらの工事を受注した業者らを略式起訴した、こういった報道を伺いました。この業者の方、どういった業者だったのかというのを答弁いただけますでしょうか。

大林政府参考人 委員御指摘のとおり、東京地方検察庁は本日、防衛施設庁発注工事に関する競売入札妨害事件について、同庁の職員ら三名をそれぞれ談合の罪により東京地方裁判所に公判請求したほか、同罪により、業者側の担当者ら九名につき東京簡易裁判所に略式命令を請求したものと承知しております。

 お尋ねの、略式命令を請求された担当者の所属する業者名は、鹿島建設株式会社、東亜建設工業株式会社、鉄建建設株式会社、大成建設株式会社、株式会社大林組、五洋建設株式会社、りんかい日産建設株式会社及び清水建設株式会社であると承知しております。

保坂(展)委員 それでは、今刑事局長が答弁していただいた八社ですか、この中で、二〇〇〇年以降、法務省発注工事を受注していなかった会社というのはわかりますでしょうか。

小津政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の八企業につきまして、平成十二年から平成十六年までの間、法務本省発注の工事、これは一千万円以上ということで調べさせていただきましたところ、一社だけが該当がございませんでした。(保坂(展)委員「どこですか」と呼ぶ)東亜建設でございます。

保坂(展)委員 そうしますと、鹿島、大林、大成、鉄建、五洋、りんかい日産、清水建設については工事発注実績はあったと。

 官房長に伺いますけれども、例えば、東京拘置所の工事などは鹿島が筆頭でかなり多額の工事をしていたという記憶があるんですが、いかがですか。

小津政府参考人 御指摘のとおり、鹿島が筆頭でございました。

保坂(展)委員 今のことに留意した上で、あと何問かこの点に関して聞きます。

 名古屋刑務所において談合があるんじゃないかという新聞報道がございました。これについて、事後にどう処理をされたのかという点と、落札率はいかばかりだったのかという点についてお答えください。

小津政府参考人 委員御指摘の工事の入札におきましては、新聞報道等によりまして、事前に談合情報が寄せられましたので、法務省内に調査委員会を設置いたしまして、入札参加予定者に対する事情聴取や工事費内訳書の確認等の調査を行いましたが、談合の事実があるとは認められませんでしたので、全入札参加者から、独占禁止法に違反する行為を行っていない旨の誓約書を提出させた上で入札を実施いたしました。

 結果的に、談合情報にありました企業が落札いたしました。そのため、法務省におきましては、不正行為があれば契約を解除するとの特約を設けた上で契約を締結するとともに、調査委員会の調査結果及び入札結果等を公正取引委員会に通報しております。

 落札率は九九・六%でございます。

保坂(展)委員 二〇〇〇年以降ということで、法務省の発注した、本省の分ですね、本省分の工事、データを出していただいているんですね。今官房長お答えになったように、この名古屋刑務所の方は、これは本省分ではなくて地方分というふうに聞いておりますけれども、九九・何という、九九%台というのが、少しあるなというよりはやや目立つな、私から見れば。特に、一般競争入札において、九九・五〇%、九九・七七%という、こういった九九・何というものだけを、時間がなくてできなかったんですが、幾つあるか数えようと思ったんですが、随分あります。

 そこで伺いますけれども、まとめていただいた資料の中で、平成十四年については、例えば大阪少年鑑別所の工事、九九・五八%、東京入管の第二庁舎の建築、九九・五九%、さらに同電気工事、九七・九八%というふうにいずれも落札率は高いのですが、その後に、これは実は一般競争入札という欄にはあったんですが、一般競争入札ではありませんでしたと。つまり、一般競争入札をやろうとしたけれども不調に終わって、不落随契、いわゆる入札がうまくいかずに随意契約に転じた、こういうことなんですけれども、これが、平成十四年の工事の中では、四件あるうち三件がそうなんですね。この辺の事情はどうなっているんですか。なぜこんなに不落随契が多いのか。答えられますか。

小津政府参考人 委員御指摘の不落随契が多い理由ということにつきましては、今、申しわけございませんが、私の方で御説明させていただける資料を持ち合わせていないのでございます。

 もし、御指摘の中で、それではその九九%というような高い落札率というのは一体どういうことだと考えているのかという趣旨も含んでおられるということでございますれば、少し御説明させていただきます。

 もちろん、何%であった直接の理由ということを我々が全部わかるわけではございませんが、関連する理由といたしまして、まず、発注側、官の側が予定価格を設定するわけでございます。その場合には、発注する側が、標準的な施工能力を有する建設業者がそれぞれの現場の条件に照らして最も妥当性を有する標準的な工法で施工する場合に必要な経費というものを基準として積算いたしますが、その適正な積算に資することを目的といたしまして、公共建築工事積算基準というものが策定されております。この積算基準は公表されております。

 また、法務省の場合、一般競争入札による場合には、入札の参加者に対しまして、工事に必要な資材と数量を事前に開示いたしております。実はこれは事務的には相当手間がかかることでございますが、ということで一般競争入札にだけいたしております。さらには、資材等の単価もさまざまな形で公にされております。

 こういうことで、入札参加者におきましては、予定価格の算定に使用される積算方法や積算の根拠となる資材等の数量や単価を十分に把握できる状態にあるということが基本にあるということでございます。

保坂(展)委員 いや、実は全部九九・何%というわけではないんですよ。これは、九〇%もあれば八五%もあれば、七〇を切るものも中にはあるわけですね。今の官房長の答弁だと全部がきれいにそろわなきゃいかぬのかなと思いますし、九九・五%とかというのは、ほとんど、異常に僅差ですよ、予定価格と。これが一般競争入札で起きてくるという点。

 そして、もう一点伺いたいんですが、先ほど挙げました平成十四年の一般競争入札で、不落随契になった。この不落随契になったというのは、いわば入札で出した各社の札が予定価格と折り合うことがなく、その中で何社か交渉して随意契約で結ぶ、こういうことだと思うんですね。よろしいですか。

 とすると、入札日、見積日ですかね、随契の場合は。よろしいですか、聞いてください。見積日と工事開始日というのに着目してみると、入札日が平成十四年六月七日、工事開始が六月八日。一日なんですよ。こういうことはあり得ますか。

小津政府参考人 委員の御指摘は、入札日(見積日)の翌日から工事が始まっているということでございますが、これは、そのときにそのような手続をして工事を始めたということでございます。詳細、さらにもう少し調べさせていただきたいと思います。

保坂(展)委員 これは指摘しておきますけれども、随意契約の場合、工事を見ると、見積もりを出して、翌日から始まっているんです。ところが、一般競争入札、指名競争入札でも、決まって翌日から始めるというのは、関係者というか経験者に聞くと、なかなか難しいらしいんですよ。やはり、受注するかもしれない、しないかもしれない。ところが、受注をして翌日から、工事といってもいきなり土木工事を始めるわけじゃないでしょうけれども、社内の体制を組んだり。翌日からというのは、これはもともと決まっていたんじゃないかということをちょっと考えさせられますね。

小津政府参考人 御指摘の点はさらに調べさせていただきますが、工期という場合に、契約をしてこの日から始まるということで、実際にその現場で何かが動き出したのがその日かどうかということもございますので、その辺も含めて調べさせていただきます。

保坂(展)委員 そのことはわかっているわけですよ。機械を入れたのが工事開始日だとは必ずしも思っていないんですが、入札をして、はい、落札をした、翌日からすべて動き出すというのはなかなか難しい。これは指摘しておきたいと思います。

 先ほど官房長は、九九%以上にもなるんだというふうにお答えをされましたね、いろいろ積算根拠などを示して。

 それではお聞きします。

 九九%の高い落札率で工事を受注した企業に、前回の法務委員会でお聞きをした、いわば施設関係の職員の方の再就職の実態はありますか。

小津政府参考人 御指摘を受けまして調査いたしましたところ、平成十二年度から平成十六年度までの間に、御指摘の四人の再就職先の企業が、再就職後に法務省の発注工事を入札によって受注した案件は全部で三件でございました。そのうち、九九%を超える落札率により工事を受注した案件が一件ございます。東京入管建築、建設工事でございます。

保坂(展)委員 大臣にちょっと所見を伺いたいんですが、きょう、こういうことで、防衛施設庁の技術審議官、そしてスーパーゼネコン、関係各社ですね、その中の一社を除いては法務省の工事をやっているんですね。いわば、官庁工事の窓口になっている人はもしかしたら共通かもしれないということがあり、そして九九%台という高い落札率ということで、これはしっかりと調べていただきたいということをずっと言っていますけれども、例えば、落札をして翌日から工事が始まっちゃう、これも不自然ですし、さらには、そういった高い落札率のものについてどういう実態だったのか、私ども国会にもその入札の関係書類をぜひ見せていただいて、この解明を図るということをお願いしたい。

杉浦国務大臣 御指摘の点はよく調査いたします。

 私が今までいろいろと伺った範囲では、いわゆる天下りというのは、何らかの話、段取りを役所なり関係者がつけて就職するということのようですが、法務省の場合は、法令に従って、定年まで勤めて、二年間間を置いて、自主的に就職活動をしておるようでございます。たまたま四社、四人ですか、四人のうち一人は設備業者ですからゼネコンじゃないんですけれども、就職している。あと十数名は別の全然関係ないところへ再就職しておるようでございます。

 見積もりといいますか設計の仕方も、法務省の施設課というのは非常に厳しくやっておりまして、設計に基づいて、入札する方も、どれだけの材料が出て、どれだけ鉄が出て、どれだけセメントが要るということを計算しやすいあれになっているようでございまして、建設が、一〇〇%に近い、九〇%を超えるというのもあり得ない話じゃない。

 だから、こちらがきちっとしたあれに、何回入札してもだめだ、とてもそれだけじゃできない、したがって、応札者なしというのも随分あるようでございますから、割合きちっとやっているのかなという印象を受けておりますが、御指摘の点、官房長も調べると言っておりますし、私もよく調べてみたいと思っております。

保坂(展)委員 では、官房長に。

 一人の方は日産建設ということがわかったのですが、他の三人の方はどこに就職されているのですか。

小津政府参考人 ちょっと今手元に資料がございませんので、出次第、改めて御答弁いたします。

保坂(展)委員 それでは法案の方に移らせていただきます。

 まず、仮釈放中の方の中で殺人、強盗など重大な再犯事件の過去五年間の状況はどうなっているのか、局長にお願いします。

麻生政府参考人 殺人、強盗などというお尋ねでございましたけれども、私どもでは、仮釈放中の者が人命を失わせたという事案につきまして特別に報告を求めておりますので、この件数を申し述べさせていただきます。平成十三年に七件、平成十四年に一件、平成十五年に一件、平成十六年に二件、平成十七年に八件発生いたしております。

 仮出獄中の者がこのような重大な事件を起こすことにつきましては重く受けとめておりまして、こういう事案が発生の都度、その原因を調査いたしまして、仮釈放審理の充実等、保護観察の強化に努めているところでございます。

保坂(展)委員 先ほど来、保護観察官の増員をめぐって、必要じゃないかという話も随分出ているようでございます。

 私は、大臣に、ちょっとこの理念について二、三伺っていきたいのですが、取り寄せた資料の中で、昨年の六月二十八日の朝日新聞に元神戸保護観察所長の栗村典男さんという方が、投書というのですかね、「私の視点」に書かれております。これを読んで大変よく理解できたのですけれども、この中で懸念を述べられているのですね。

 現在届け出制だったところが許可制になる。こうした動きが、従来の執行猶予者の更生や社会的成長に寄与してきた事実を無視する形で、極めて短絡的、拙速に行われようとしているように思える。犯罪者処遇には二つの側面があって、一つは管理、統制的なやり方で犯罪者の再犯を防止することで、もう一方では、犯罪者の内的欲求に基づいた更生を援助して、安全な社会形成に資することである。前者によって一定程度、一時の抑圧的効果を期待できるものの、再犯を本当に防止するという意味では後者なんだということを書かれています。

 こうした理念について、大臣、どうお考えでしょうか。

杉浦国務大臣 先生から御指摘があったということなので、私もその記事を読ませていただきました。栗村さんのおっしゃっておられることは、私としてはそのとおりだと思います。

 許可制に変更するというのは、これだけ仮釈放、保護観察下の人たちが重大事件を起こしている以上、やむを得ない面があると思います。世間の耳目を際立たせて、私どもの更生保護行政にとっても、何か問題がなかったかどうか、ちょうどそういう総点検を行うきっかけになったわけでございます。

 ですけれども、それによって、栗村さんが書いておられますが、「健全な社会は、管理や統制からではなく、温かい社会的相互扶助によって形成、維持されるものだろう。」これは更生保護行政の理念にかかわるお言葉なんですが、これが揺らぐことであってはならないし、揺らがせてはならないと思っております。

 更生保護制度は、もう先生御案内のとおり、保護観察官はいますが少数です。大多数は、保護司約五万人、更生保護女性会は二十万人です。それから、BBSといって、あれは五千人ですか、そういった方々。それから、篤志家の方も約六千人近くいらっしゃる。更生保護法人でも多くの方はボランティアで働いておられる。そういう多くの方々の温かい気持ち、それと保護観察官との協働作業でここまで来ておるわけで、凶悪事件は確かにこのところ、先ほど局長が言ったようにあるんですけれども、大多数の保護観察のもとにおける事業というのは円滑に行われていまして、こういう体制のもとで社会復帰も着実に行われている。

 私は、全国を回って見てまいって、頭の下がる思いがしておるんです。その根本的な理念は揺るがせてはいけないし、揺るがせるような許可制にしてはいけない、こう思っております。これから問題はさまざまございますが、やはり保護司とか更生保護女性会とか、そういうボランティアの方々と力を合わせて更生保護行政を進めるんだという姿勢、温かい気持ちで更生を図っていくんだという気持ちは堅持しなきゃいかぬと思っております。

保坂(展)委員 杉浦大臣のおっしゃっていること、ほぼすべて共感できる答弁なんです。

 仮釈放中で重大な事件を起こしてしまう者もいる。ただ、他方で、相当ひどい犯罪をやったけれども、十年、二十年を経て、一つの企業をつくり、そして地域経済に貢献している人も多数います。あるいは、職人さんになってすばらしい仕事をしている方もたくさんいます。そういう人たちが、日本で、一たん過ちを犯してもう一回再起するという仕組み、これは東洋的な一種の許しの思想、つまりは、服役をして、仮釈放になって、もう一回君にチャンスを与えよう、しっかり頑張れ、いわば共感的にアプローチすることによって、何かあったらすぐ来いという関係を結んできた保護司の方たちの役割というのが日本社会において犯罪の再犯というものを非常に低く抑える役割をしてきて、これは諸外国に余り例はないと聞いているんですね。

 この保護司制度の特徴について、大臣の所見をお願いします。

杉浦国務大臣 私の知る限り、議員になってからだけでも世界百カ国近く行っておりますが、これに類似する制度はないと思っております。ただ、局に聞きましたら、フィリピンとタイで、日本の制度に学ぼうということで類似の制度を発足させたことはあるようなんですが、ただ、うまく機能していないようですね。

 やはり日本の社会に長い歴史と伝統で根づいてきた和の精神と申しますか、それに基づいた、調停委員の制度もそうですけれども、そういうものを基礎にしてでき上がっている、これはもう本当にとうとい財産だというふうに思っております。

保坂(展)委員 大臣に、一つの事件、あるいは非常に多くの注目を集めるような事件がこの先、多分起こらないとは言えない、多分起こるでしょう。起こったからといって、そうそう制度を変えていいわけはないと思うんですね。しっかりこの社会に根を張っている制度であれば、一定の改正は必要ですけれども、しかし根本理念は堅持するということは必要だと思いますが、いかがですか。

杉浦国務大臣 全く先生のおっしゃるとおりだと思います。

 例えば安城、私の近くで起こった事件。あの青年は、保護観察が終わって更生保護法人にいたんですけれども、十歳で両親を失って天涯孤独、そして職がなかった。豊橋の更生保護法人は世話をしたそうですけれども、職が得られなくて、出奔をした。野宿をしてさまよっておって、食べることに困ってあの犯行に及んだんだと思いますけれども、弁護士をやっているから言うわけじゃありませんが、大変気の毒な青年だと言っていいと思うんです。職がなかった。

 就職あっせんにこれから力を入れようと思っていますが、刑務所を出た人の再犯率は五割、少年院の場合は二割ですけれども、再犯を犯す人の大部分は職のない人。逆に言いかえますと、職を得た人はもうほとんど立ち直っている。中には、先生がおっしゃったように、会社の社長になった人もおるし、職人で名を上げた人もおる。

 そういう状況ですから、先日来申し上げていますが、出た方に対して、そういうボランティアと協力して、あるいは企業や地方自治体とも協力して、やはり仕事をつくり出すことをもっと真剣に考えなきゃいかぬのじゃないかと思って、いろいろと検討をしておるところでございます。

保坂(展)委員 最後に官房長に、先ほどの件、教えていただけるかどうかという点と、業者の誓約書というのも見せていただけますか。先ほど、談合後の関係業者に誓約書を書かせたとおっしゃいましたが、その誓約書と、いわゆるOBの方の再就職先について教えていただけるかどうか。後ほどでも結構です。

小津政府参考人 まず、誓約書でございますけれども、これにつきましては、私どもの方で通常使っているものがございますので、どういうような内容のものであるかということを、何らかの形で具体的に御報告させていただきたいと思っております。

 就職先につきましては、そのようにさせていただきますが、ただ、退職した者が何年か後に自分のつてで再就職をした先のことでございますので、その方が特定されないような形でということが必要だと思いますけれども、その前提で、また先生のところに御説明に上がらせていただきたいと思っております。

保坂(展)委員 終わります。

石原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石原委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石原委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

石原委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、棚橋泰文君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、社会民主党・市民連合及び国民新党・日本・無所属の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 仮釈放の審理に当たり多様な判断者が多元的な視点から検討することができるようにするため、地方更生保護委員会の委員に民間人、女性及び専門的知見を有する者を積極的に登用することができるよう努めること。

 二 社会内処遇の適格者を適切に選別し、重大再犯に及ぶおそれのある者等が仮釈放されないようにするため、仮釈放手続における調査・審理の充実に努めるとともに、専門家・関係者の意見を十分に聴取すること。

 三 仮釈放審理事件の増加に対応し、地方更生保護委員会の運営の円滑化を図るため、常勤の委員の充実に加え非常勤の委員の活用等についても検討を加えること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

石原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石原委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。杉浦法務大臣。

杉浦国務大臣 ただいま可決されました犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

石原委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

石原委員長 次に、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長縄田修君、法務省矯正局長小貫芳信君、法務省保護局長麻生光洋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石原委員長 執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議いただきました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び内容について、委員長から説明をいたします。

 先般、刑の執行を猶予され、保護観察に付された者、いわゆる保護観察つき執行猶予者による少女監禁事件が発覚したことを受け、現在の保護観察つき執行猶予者に対する保護観察制度が、その改善更生を促し、再犯を防止するという観点から、果たして十分なものと言えるのか、検証の必要性を認識したところであります。

 そして、こうした認識に基づき検証いたしましたところ、現在の執行猶予者に対する保護観察制度においては、第一に、転居、旅行が届け出で足り、一カ月未満の旅行については届け出すら不要であるため、保護観察つき執行猶予者の所在の把握等が十分とは言えない状況にあること、第二に、保護観察つき執行猶予者に対しては、善行を保持する等の一般的な遵守事項しか定められていないため、個々の保護観察つき執行猶予者にふさわしい処遇をすることが難しい状況にあること等から、こうした状況に緊急に対応する必要があるとの結論に達しました。

 このため、本起草案では、まず、保護観察を実効あらしめるための前提として、保護観察つき執行猶予者について、所在の把握等をするための仕組みを整えるため、住居を移転し、または七日以上の旅行をするときは、あらかじめ保護観察所の長の許可を受けなければならないものと改めることとしました。

 次に、個々の保護観察つき執行猶予者にふさわしい処遇を可能にし、その改善更生をより一層促すため、保護観察所の長は、刑の執行を猶予された者に対して保護観察に付する旨の言い渡しがあったときは、その言い渡しをした裁判所の意見を聞き、これに基づいて、その者が保護観察の期間中遵守すべき特別の事項を個別に定めなければならないものとしました。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石原委員長 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。河村たかし君。

河村(た)委員 河村たかしでございます。

 最初に、平岡さんとか高山さんの御要望によりまして、委員長とか与党に抗議してくれと言うものだから、ちょっと一言申し上げます。

 先ほど理事会で、この執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案要望事項というのが、こちら側の与党の反対で委員長からの発言が認められなかったということでございまして、まず杉浦大臣の御見解をお伺いしたい。

 これは、読んでくれと言われておりますので。こんなのは当然認めていただけば結構だと思うんですが、

 一 保護観察に付された者に対する指導を一層効果的にするための措置が整備されたことを踏まえ、保護観察制度の実効性を確保し、保護観察に付された者の速やかな更生を図るため、保護観察官の増員と専門性の向上等、保護観察所の人的体制の整備充実を図るとともに、保護司の選任方法その他の保護司制度の在り方について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずること。

 二 保護観察に対する再犯防止機能の強化を望む国民の期待に応え、保護観察に付された者の個々の特性に応じた処遇の個別化を一層効果的に実現するため、判決に保護観察所の意向が考慮される判決前調査の制度の導入を検討するなど、保護観察制度の充実強化に向けた抜本的な仕組みの改善を検討すること。

この文言が与党の反対でどうも入れられなかったようでございますが、大臣、どうですか、これは。至極真っ当だと思うんですが、御見解をお願いします。

杉浦国務大臣 ちょっとお伺いしますが、これは政府側が反対をして入れられなかったんでしょうか。(河村(た)委員「与党ですな」と呼ぶ)それは委員会の内部で御検討いただいた結果でございますので、政府の立場で意見を申し上げることは差し控えさせていただきます。

河村(た)委員 そう言わずに、では、このことを私が今申し上げた場合に、この内容についてどういう御見解がございますか。

杉浦国務大臣 保護観察官の増員は願っておるところでございます。専門性の向上には努力してまいりましたし、今後とも努力いたしてまいります。人的体制の整備充実、保護司の選任方法その他の保護司制度のあり方についても検討をいたしておりますし、必要な措置を講ずるのは、これは私どもだけでできないこともございますが、努力をしていきたいと思っております。

 私どもの取り組んでおることと基本的に反することが一項には記載されてはいないと思います。

 二項目は、裁判所との連携が一層円滑に行われるというのはどういう意味かわかりませんが、裁判所は司法権を、三権の一つを担っておられるわけでありまして、表現としていかがなものかと思いますが、保護観察制度の充実強化に向けた抜本的改善は願っておりますし、一生懸命努力したいと思っております。そんなところでございます。

河村(た)委員 これは両方中身は合意しておるらしいんだけれども、何で……(発言する者あり)いや、そうらしいよ。西川さん、そうでしょう。西川さん、答弁しますか。委員長提案にこういう要望事項をつけたことも過去あるらしいんですよね。だから、何で大臣までええと言っとるものをわざわざ外したのか、これはどういうことですかね。

 委員長、どう思われるの、これ。

石原委員長 理事会決定事項であると委員長は承認しておりますので、詳細につきまして委員会の場で委員長の口から申すのは適切ではないと考えております。

河村(た)委員 すぐ理事会だと言いますけれども、理事会なんというのは別に法定の機関というものではありませんので。

 では、委員長の個人の御意見、どうですか。リーダーシップを強く持っていただいてええんですよ、委員長。

石原委員長 私は、議事の円満なる運営を図ることを委員長のモットーとしておりますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。委員になりましたとき、また御議論をさせていただければと存じます。

河村(た)委員 本当はいかぬのだけれどもね。委員長というのは、もっと立派で、自分でどんどん引っ張っていけばいいんですよ、本当は。しかし、長年の慣行でございますので。本当は西川さんに答弁してもらいたいけれども、そうなっとらぬもので、どうしようもないので終わりますが。

 そんなことでございますので、ぜひ、何があったか知りませんけれども、内容のいいものはどんどん取り上げていっていただく、そういう方向でやっていただきたいということでええかな。(発言する者あり)はい。

 それでは質問に入りますが、性犯罪が、特に子供さんに対する非常にお気の毒な事例が多くありまして、そのことにつきましていろいろお伺いしたいと思います。

 まず、初めは淡々と数字を伺っていきます。

 最新データ上、強姦、強制わいせつなどの性犯罪の検挙人員数は何人になるでしょうか。

縄田政府参考人 平成十七年中の強姦及び強制わいせつの検挙人員でございますけれども、それぞれ、千七十四名と二千二百八十六名となってございます。

河村(た)委員 今の数字のうち、前科を有する者は何人いるか。さらに、同一の罪種の前科を有する人は何人おりますか。

縄田政府参考人 以下、暫定値になりますけれども、強姦及び強制わいせつの検挙人員のうち前科を有する者は、強姦では三百五十名、先ほどの数字の三二・六%になります。強制わいせつにつきましては六百五十五名、二八・七%でございます。そのうち同一罪種の前科を有する者は、強姦では百一名、これは九・四%、強制わいせつでは二百二十八名、一〇・〇%でございます。

河村(た)委員 今の数字のうち、十三歳未満が被害者となった犯罪について、前科を有する者は何人いるか。さらに、同一罪種の前科を有する者は何人おるでしょうか。

縄田政府参考人 十三歳未満の者を対象とする強姦または強制わいせつ事件で検挙された者、これは強姦では四十六名、強制わいせつでは三百七十三名おりますけれども、このうち前科を有する者は、強姦では十八名、三九・一%、強制わいせつでは百十名、二九・五%であります。さらに、このうち同一罪種の前科を有する者につきましては、強姦では七名、一五・二%、強制わいせつでは五一名、一三・七%でございます。

河村(た)委員 強制わいせつだと半分ですか。六百五十五名のうち三百七十三名ですか。これはやはり相当多いということなのか、どうなりますかね。

縄田政府参考人 多いか少ないかという、なかなか評価が難しいことがあろうかと思いますけれども、ただ、私ども、実感として申しますと、やはり性犯罪というのは若干、再犯といいますか、同じような犯行が繰り返されるケースが多い罪種の一つというふうに理解をしてございます。

河村(た)委員 それと、あれでしょう、この性犯罪というのは、出てくるものより、要するに隠れた部分、届け出されない部分というのがやはり非常に多いんでしょう。だから、はっきりそういうのもわかってみえるから、大変多いと言われた方がいいんじゃないですか。

縄田政府参考人 性犯罪の場合、暗数が多いというのは確かにあろうかと思います。それともう一つは、先ほど申し上げました、一応、立件、検挙といいますか、公然と私どもが理解し事件検挙した中で罪種別に見ると、やはり性犯罪の場合は若干他の罪種よりも再犯率が高いのかなというのは、データ的にはあろうかと思います。今、ちょっと手元に持ち合わせがございませんが。

河村(た)委員 次に、最新データで、性犯罪による受刑者数は何人か。また、各犯罪別の内訳を明らかにしてほしい。

小貫政府参考人 平成十六年末、在所受刑者のうち、強制わいせつ、同致傷は六百八十九名、強姦、同致傷は千八百二十七名、強盗強姦、同致死は四百三十四名、わいせつ、わいせつ文書頒布等は七十八名、このトータルが三千二十八名となっております。

 以上です。

河村(た)委員 三千名ですが、現在、性犯罪者の教育のためのプログラムを実施している施設は十六施設しかないと聞くけれども、プログラムの受講者は何人おりますか。

小貫政府参考人 実施施設は先生御指摘のとおりであります。ここでこの指導プログラムを実施した人数でございますが、平成十五年度百二十五名、平成十六年度は百六十九名、こういう受講者数になって……(河村(た)委員「パーセントをちょっと」と呼ぶ)ちょっとパーセント、数字を計算してまいります。失礼しました。

河村(た)委員 三千名で百二十ということは、三百が一割ですから、大体百五十名ですと五%ぐらいということですね、実際。何かえらいプログラムと大げさなことをいろいろ言っておりますけれども、わずか五%しか受講していないということです。

 これは一体どういうことですかね。何でこんなに少ないんですか。

小貫政府参考人 御指摘のとおり、受講者割合、少のうございます。これは、この性犯罪プログラム、本格的に研究会を立ち上げていろいろ検討して、本年四月から実施していく、こういう運びになってございます。

 これは、いろいろな事案が生じてきたということとともに、昨年の五月、受刑者処遇法ができ上がりまして、受刑者に対して教育処遇を義務づけることができる、こういうことを受けまして、先ほど申し上げたような研究会の発足に至りまして、それで今回、昨年の十二月でございましたか、公表したようなプログラムを作成した、こういう経過でございます。

河村(た)委員 いや、それだけの理由ですか。局長は偉い人だと受け取っておりますけれども、本当の現場の刑務官たちが苦労しておるというか、認識は、何で少ないかわかりますか。どうですか。局長は偉い人で、もしわからなんだら、現場の刑務官がおられたら、それでもええですよ。

小貫政府参考人 一つは、全国的に統一した標準的なプログラムができていなかったということが一点あろうかと思います。さらにまた、行刑施設は大変な過剰収容の状態で、極めて現場が忙しい、こういう事情もあったろうと私は考えております。

河村(た)委員 それは違うんですよ、申しわけないけれども。

 行刑の現場というのは、本当の現場の刑務官と刑務官の中のエリート、偉い様、それともう一つ、局長みたいな検事出身のまた超偉い様と三つに分かれておって、ほんまものの実際に処遇に当たっておる人たち、実際の現場、そこの話がわかっておらぬよ。

 なぜ三千人のうち五%、百二十人ぐらいしか性犯罪者の矯正プログラムに参加しないか。ちょっと法務省の人、どなたか答えられる人はおらぬかね。まだ重大な理由があるんですよ。わからぬかね。局長、わからぬならわからぬ、そう言ってちょうだいよ、知りませんと。

小貫政府参考人 私が認識していたところは、先ほど説明したところでございます。

河村(た)委員 だれか、きょう刑務官は来ておらぬですか。法務省、刑務官の上の人があるんですよ。きょうは来ておらぬですか。では、教育の方の関係の方はどなたになるかな。答えてもらってもええですよ。わからぬ、これ。

 これは、あれなんですよ、刑務所の中でもみんな一種のステータスがありまして、やはり性犯罪というのは内部で非常に、おまえ何だということがあるんですよ。だから、そこへ出ていくとわかっちゃうんですね、自分が、受刑者として。その苦しみがあるわけです。だから、一番そこで苦労しておるのが本当の現場の刑務官たちなんです。それをわかっておらぬでしょう、局長。この話、一遍も聞いたことないですか。ちょっと答弁してちょうだい。

小貫政府参考人 きょうはよく勉強させていただいた、こう思っております。

河村(た)委員 本当に、私も名古屋の刑務官の冤罪問題をやりかけてから、みずから志願兵として法務委員会にずっとおるんです。自分が関与しましたので、彼ら八名の無罪を晴らすために、それまでは、一たんかかわったことだから、自分の責任だと思ってこれをやっておるんです。

 本当に、あれでもそうですけれども、実際は事故だった。それが、上役というのはみんな偉い様になっておるわけですよ。無事故表彰なんかあって、要は事故を怖がる。自分の顔に傷がつくということで、一番末端の部分はおまえらがやっておることで、自分らで責任をとれと故意犯にしたのが名古屋刑務所の事案ですよ。

 そんなことで、今もわかりましたように、本当に現場は、要は性犯罪者に対するいじめがあるわけ、わかると。

 ちなみに、その世界でこの性犯罪者のことをどう言うか知っていますか。このくらい知らぬかね。

小貫政府参考人 申しわけありませんが、寡聞にして知りませんでした。

河村(た)委員 ぜひ、こういうのを機会にして、これは豆泥棒と言うんです。例えばそういう言い方とかして、受刑者の中の苦しみがあり、それで現場の刑務官たちは受刑者同士のいじめと必死になって闘っておるわけですよ。弱い受刑者を守るというのが、実は刑務官の最大の仕事なんです。

 私もちょっと聞きましたけれども、河村さん、受刑者にとってだれが一番怖い人かわかるかと昔言われたもので、あんたたちじゃないかと刑務官に言ったんです。違いますよと、内部でこういう陰惨ないじめがあるんだ、それから私たちは弱い受刑者を守るんだということが最大のつらい厳しい仕事なんだと言っていましたので。

 そういう立場で、局長、偉い人は偉い人でええけれども、ぜひしっかり現場の苦しみをひとつ、もう一回ヒアリングしてやってくださいね。ちょっと答弁してちょうだい。

小貫政府参考人 そのように努めさせていただきます。

河村(た)委員 そうしたら、今の性犯罪者処遇プログラムというのをやってみえますね。私も、「刑政」というんですか、ここで橋本さんが書かれたのを読みましたけれども、これは、受講者については全員になるのか、今言った話で。今のところ五%ぐらいなんでしょう、何とびっくりすることに。それから、プログラムの実施施設なんかをふやすのか、この辺はどうですか。

小貫政府参考人 新しいプログラムにつきましては、初年度は全国の二十庁の施設で実施するという予定にしてございます。二十庁のところに該当する対象者を集める、こういうことでございます。まずは、罪名あるいは事件内容、常習性の高さ、さらには性犯罪につながる問題性の大きさ等から受講が必要と判定された者を対象としたい、このように考えております。今の見込みでは五百名程度になるかなというふうに思っているところでございます。

河村(た)委員 全員ではないわけですね。

小貫政府参考人 必要性の高い者からやっていく、こういう考えでおります。

河村(た)委員 では、次ですけれども、刑務所などのいわゆる行刑施設を出所した後、同一の性犯罪を繰り返して再度入所するに至った者の人数及び割合、これを教えてちょうだい。

小貫政府参考人 平成十三年の一年間に出所した性犯罪受刑者、これは七百七十六名でございました。これが、再び性犯罪を犯したことによりまして出所年を含む三年間に行刑施設に入所した者は、五十六名でございます。割合は、七・二%ということになってございます。

河村(た)委員 処遇プログラムがあるんですけれども、どういうことを実際やっておるのか。大層立派なことがこの「刑政」には書いてありますけれども、本当にカウンセリングみたいなことをやっておるのか。何か一つ二つ、名前は当然言わぬでもいいですから、こういう事案に対してはこういうような矯正プログラムを具体的にやっておるというのをちょっと教えてもらえぬですか。

小貫政府参考人 具体的になるかどうかわかりませんが、基本的には、犯罪行為を基準じゃなくて、犯罪者といいますか、人を基準にしてプログラムを構築している、こういう前提がございます。

 これは、諸外国で効果があったと言われております認知行動療法というものを基盤にして構築したプログラムでございまして、具体的に言いますと、自己統制能力がどうか、あるいは認知のゆがみがどうか、その改善方法はどうすべきか、対人関係と社会的な機能、あるいはみずからの感情を統制する、そういうスキルはどうか、あるいは、ともに感ずるといいますか、共感と被害者の理解、この能力がどうか、こういった科目を受講科目にいたしまして、まず、それを必要とするような人の選別を心理技官がやって、そのプログラムを受講していただく、こういうことでございます。

河村(た)委員 せっかくですから、具体的に、それは言っておいたはずですけれども、例えば小学校の女の子にいたずらをした、そういうことがあったかどうか知りませんけれども、そういう方が仮に更生したなら、こういうプログラム、こういうカウンセリングによってこうなったというのをひとつ教えてもらえぬですか。

 要するに、全然信じられぬということです。何か御立派なことをおっしゃられておりますけれども、そんなものなのかと。この研修もほとんど刑務官でやっておるわけでしょう。まず、それをちょっと聞きましょうか。

小貫政府参考人 当面、このプログラムをリーダーとしてやっていく者としては、法務教官の資格を持っている者あるいは心理学の専門家、さらには民間のカウンセラー等々を今のところは予定して、今研修をしているところでございます。

河村(た)委員 これは、今の「刑政」というものを見ると、性犯罪者処遇プログラム研究会、矯正ワーキンググループメンバー及びアドバイザー、これをずっと見ますと、これは全部刑務官じゃないですかね。だから、それはそれでいいんですよ、熱心にやるのはいいけれども、これはまた違う方向がありますよ。医者の方向もありますね。これは厚生省になるかどうかですけれども。

 立派なものをやっておられるようですけれども、本当に、実際、実効性があるのか。プログラム、プログラムと英語ばかり使えばいいというものじゃない。全部刑務官だけで大丈夫かということと、実際に何か一つ成功したのを出してくださいよ、こういうケースに対してはこういうことをやっておるんだというのを。

小貫政府参考人 ただいまお答え申し上げているプログラムは、来年度から実施するということで説明申し上げたものでございます。

 では、従来のプログラムと呼んでいるものは何であったかというところが問題なんだろうと思うんですが、実のところ、そのプログラムが、科学的知見やあるいは医学的な分野からきちんとした知見を得た上でのものでは必ずしもなかったというふうに私どもは反省しております。

 中心は、被害者の視点を取り入れたといいますか、被害者はこんな苦労をしているというようなことを、プログラムの中といいますか、いろいろ講義の中で教え込んでいくというものが中心であった、こういう認識をしているところでございます。

 今度は、いろいろな専門分野の方に集まっていただいて、諸外国のいろいろな研究成果を参考にさせていただいて、性犯罪者処遇プログラムをつくった、こういう経過でございます。

 なお、先ほど刑務官だけが入っているんじゃないかということでございましたけれども、中には、心理技官も入っておりますし、あるいは教育学を専攻した法務教官もワーキンググループには入ってございます。

 以上です。

河村(た)委員 そうすると、局長の言ったことを正直に受け取らせていただいて、今までのプログラムについては、残念ながら受講者も何と五%しかいなかった。それから、もうほとんど効果はなかったということですか。一個ぐらいないんですか、こういうことをちゃんとやってきたと。大臣、もしあったら。

杉浦国務大臣 私が見学したのは、川越少年刑務所で性教育プログラムをやっているということで、ガラス越しに見たんですけれども、向こうからは見えなかったようですが、教官を真ん中に置いて丸くなって、随分真剣に議論していました。どなたがやっているんだと聞いたら、法務教官の方のようで、心理学を専攻した方だと、たしか聞いた記憶があるんです。その中身についてはわからないですけれども、義務づけられたプログラムではないわけですが、ともかくやらなきゃいけないということで、やっておりました。

 それで、少年院の教育は、僕は全国回ってみて改めて感じたんですが、義務教育の現場が見学するぐらい中身がよくなっているんですね。それを進めているのは法務教官たちですよ。バブルがはじけた結果、それから少子高齢化で大学の文学系統の大学院、心理学科等を卒業した人が就職難になって、法務教官の倍率はここ十年ぐらいすごいです。百倍近い競争率で、優秀な人が入っているんですね。

 それで、少年院の教育プログラムも、先生、行かれたことがなければ、ぜひ宇治少年院へまず行ってもらいたい。ここは、義務教育、中学、小学校の各地から見学に来ています。そういう教官たちが、性教育プログラムについても関心を持って検討してやっておるんだということを聞いたわけでございます。

河村(た)委員 何を言っておるんですか。私の方がよっぽど現場で聞いてきて、今言った受刑者の中のいじめが大変なんだ、だから、プログラムといっても、なかなか受刑者が率先してといいますか、みずから入っていくことはできぬのだ、私はそういうことも聞いてきておるんですよ。ガラス張りで、大臣が行ったときはぴかぴかにしておって、そんなときだけの話じゃあかんですよ。

 現場の刑務官が努力しておることは認めるけれども、そこのやはりもう一歩進んだところ、その苦しみをわかってもらわないかぬ。今、わからぬかったじゃないですか、はっきり言って。

 いいです。まあ、せっかくだから聞いておこうか。今、努力しておっても来ないわけですよ、その性犯罪の受刑者は。今のところは、それは中でいじめがあると。

 だから、ちょっと局長からも答弁をもらったので、ぜひ本当の現場の、偉い様じゃないですよ、管区長とか刑務所長とか、そんな偉い人の話ばかり聞いておってもしようがないんだ。大臣が行くとぴかぴかにしてあるから、本当の現場はわかりゃせぬわけだ。そういうところの本当のちゃんとした、看守長以下の現場の刑務官の話をちゃんと聞いて、やりますと、再度、それだけ言ってちょうだい。

杉浦国務大臣 もちろん、先生の御指摘を受けてやってまいりますが、私が川越少年刑務所へ行ったのは三年ぐらい前、少年法の大改正のときのPTで、大臣として行ったわけじゃない。

 要するに、あのころはまだ、性犯罪に対する教育プログラムを全国展開しようとか、今度、監獄法改正で義務づけましたが、そうでない時代に若い人たちが熱心に取り組んでおったということだけを、見てまいりましたので、申し上げているわけです。

河村(た)委員 だから、一つぐらい、こういうことによってこうなったと、成功例でいいですよ、成功例。一つ、ぜひ挙げてくださいよ、せっかくですから。

小貫政府参考人 個別の案件で、成功例、どういうのがあったかというのを、実のところ、私は把握しておりません。調査した上でまた答弁させていただきたいと思います。

河村(た)委員 非常に局長は正直な方だけれども、こうなると、この立法事実があるかないかの問題になりますよ、はっきり言って。委員長提案になっていますけれども、委員長、石原さんがこうやって法律を出すんですけれども、やはり成功例、きちっと、こういうことがあって、だからこうします、失敗例、こういうことになってこうしましたと、二つや三つしゃべれぬと、法律をつくるのに、単なるカナダかなんかでやっておったものを見てそのままひっつけただけか、そういうふうになりますよ、これは。何ぞないかね、本当に、後ろの人から聞いて。

 ちょっと委員長、本当に言わないかぬですよ。これがわからな、この法律自体が根拠のない法律になっちゃうよ。

杉浦国務大臣 河村先生、これから性教育プログラムは本格的にやるわけですね。

 さっき言った、私が見てきた川越少年刑務所のは、職員の熱意で処遇プログラムを開発して一生懸命取り組まれておった、数少ない事例の一つじゃないかと思います。これは省内ですけれども、家庭裁判所の中でも、あそこはよくやっていますよという評判を聞いて、川越少年刑務所については見せてもらったんですけれども。

河村(た)委員 これは委員長が言わないかぬよ、委員長の提案ですから。私、たまたま役所に聞いていますけれども、委員長が出した法律ですから、やはり、かくかくこういうプログラムによってこうなっていくだろう、かくかくこういうことをやっておっても効果がないとか。法律をつくるときは当たり前じゃないですか、そんなもの。

 では、ちょっと今の法律に絡めて言ったら、結局、執行猶予を受けた人、性犯罪、これについて教育、指導をしていくわけですけれども、これは現状どうなっておって、この法律によってどう変わっていくんですか。

麻生政府参考人 まず、現状を御説明いたします。

 現在は、保護観察におきましては、保護観察対象者をその犯罪、非行の態様等によって幾つかの類型に分けて把握し、各類型ごとに共通する問題性に焦点を当てた類型別処遇というものを行っております。この類型の一つといたしまして、性犯罪等対象者、こういう類型を設けております。性犯罪者の問題性と処遇上の留意点に応じて保護観察を実施しておるわけでございます。

 例えば、被害者の気持ちを考えさせたり、自己のコントロールに……(河村(た)委員「いや、保護観察じゃなくて、単なる執行猶予者の場合」と呼ぶ)単なる執行猶予者の場合は保護観察の対象ではありませんので、私どもでは処遇はできないわけでございます。(河村(た)委員「何にもないわけだ」と呼ぶ)はい。これから変わる部分……(河村(た)委員「だから、今度法律をつくって、遵守事項なんかをつくっていくわけでしょう、そこを答弁してください」と呼ぶ)はい。

 現在でも類型別処遇というものはやっておるわけでございます、保護観察対象者、保護観察になっておる方については。

 現在の数字をちょっと御説明させていただきたいのでございますけれども、平成十七年で見ますと、千九名の方、これは保護観察つき執行猶予者のうちの千九名の人について性犯罪等対象者という選定をしております。これは、強姦とか強制わいせつだけではなくて、例えばのぞき見の目的の住居侵入でありますとか、あるいは下着泥棒とかいう犯罪の動機が性的なものである人たち、こういうものにつきましても性犯罪等対象者ということで、そういう特性に応じたことをやっておるわけでございます。

 今後どう変わるかということなんですが、現在の体制では、それを遵守事項という形で義務づけをすることはできません。今御提案になっております法律ができますと、これを遵守事項ということで義務づけをすることができるわけでございます。

 先ほど矯正局長の方から御説明がありました、性犯罪者処遇プログラムというものを矯正局と保護局で専門家の御協力をいただきまして作成いたしました。矯正局は、行刑施設の中でこの処遇プログラムを行いますし、保護観察所におきましては、仮出獄になった人それから保護観察つき執行猶予になった人に対しまして、この性犯罪者処遇プログラムというものを行うわけでございます。

 現在まで保護観察所ではそれを行っておりませんので、その実績を示すように言われましても数字はございません。ただ、私ども、このプログラムを策定するに当たりましては、専門の先生方に外国に出張していただいたりしまして、いろいろ調査をしていただきました。そうしますと、外国の調査では、この処遇プログラムを受けた方については再犯の割合が相当低くなっている、効果がある、こういう御報告を受けましたので、それをやはりよりどころとして、今後我が国の対象者に対してこれを実施してまいりたいということでございます。

 刑務所の中で受けてきた人につきましては、仮出獄になった場合は、引き続き保護観察所において、行刑施設の中でのプログラムを前提として、社会内でもさらに行う。それから、執行猶予者につきましては、行刑施設の中でそういうプログラムを受けておりませんので、導入プログラムから始まって、その問題性に応じてプログラムを行う。それからさらに、こういう犯罪については家族の方の協力もやはり必要でありますので、家族に対するプログラムというものも考えている。それを総合的に行って、少しでも性犯罪者の再犯を少なくしてまいりたいと考えております。

河村(た)委員 今回、石原さんの御提案の法律によって、これを遵守事項の中に入れるようにできるわけですね。ちょっとそこのところ、その意義を言っておいてください。そうですと言ってもらえばいいんです。

麻生政府参考人 今委員から御指摘がありましたように、現在、保護観察つき執行猶予者につきましては、善行保持等の一般的な遵守事項しかございませんので、このようなプログラムを受講するようにという義務づけができません。今回の改正ができました場合には、特別遵守事項で、プログラムを受講するようにという遵守事項を定めることができるようになるわけでございます。

河村(た)委員 委員長、そういうことですよ。

 それはええんだけれども、では、そのときの成功例とか失敗例とか、どういうプログラムを、今言っていますが、結局、カナダのものを見て、まあ、何でもええで、これでええだろう、ただそれだけですか、立法事実というのか司法の考え方というのは。やはり最低でも、かくかくこういうふうにありまして、こういう事件はこういうことでこうなりました、こういう事案はこうなってうまくいきます、再犯になっちゃったとか、これはやはり二つ三つ、四つぐらいはちゃんと説明しないと。当たり前だ。

 特に、日本国の小さい子供さんの御父兄からすれば、これはどえらい関心事項ですよ。どうも法律ができるらしいけれども、何か成功例も失敗例もわけがわからぬ、全然、どうも説明できぬかったらしいで、こうなりますよ、言っておきますけれども。(発言する者あり)何を言っている、まだやってないじゃないですよ。今まで長いことやっておって……(発言する者あり)何を言っているんですか、あなた。今までやってきて、なおこれから新たなプログラムをつくるにしろ、今までやってきた中の成功例、失敗例があるでしょう。(発言する者あり)やっておる。何を言っておるんですか。違うよ、それは。やっておるんですよ。五%しか受けていないんですよ、受講。やり方を変えると。

麻生政府参考人 行刑施設の中のことにつきましては、私、専門外でなんですが、なかなかその因果関係というのは説明しがたい部分があるのではないかなと思います。

 私どもが把握しております限りでは、性犯罪者の中でも、二度とこういう犯罪はしたくないということで、自分の費用で、例えば臨床心理士の方のところに通って治療を受けていらっしゃる方がいるわけですね。そういう方は、やはりその治療を受けた効果が上がっているという成果があるわけですよ。

 それから、性犯罪者もやはり、薬物の人たちあるいはアルコール中毒の人たちと同じなんですけれども、自助グループというのがあります。自分たちの名前は明かさないで、自分たちはこういう犯罪の前歴があるんだけれども何とかして立ち直りたい、そういう人たちの自助グループというものがございます。

 そういう方たちで、自分たちの問題性をさらけ出して、自分は、例えば痴漢をすれば女性は嫌がっていないと思っていたけれども、それは間違っていたな、やはり女性は嫌がっているんだなということがわかって、そういうことを二度としなくなっている。そういう自助グループというのはそれなりに成果を上げてきているわけです。

 ですから、個別の人について、これを受けたからどうかというのは、例えば臨床心理士のところに自費で通ったから効果があったというような、こういう例はあるかもしれませんけれども、行刑施設の中で全体についてどうかと言われると、なかなか難しい面もあるのかなと私は拝察しております。

河村(た)委員 仮に、医療の話をしておったら、絶対言いますよ。それはプライバシーがあるから、名前は当然言いませんけれども。新たな医療技術で、ではこの治療法に薬価はどれだけつけるかとか、医師の診療報酬をどうするかというときに、こういう治療によってこういう解決がされた、それは絶対出ますよ。

 河野さんに言っておくけれども、やり方が変わってくるんだけれども、今までもやっておったんですよ。だから、その中でいいものはどんどん伸ばしていくし、これをやったけれどもこれは余り効果がない、そういうふうに説明してもらわないかぬじゃないですか、幾ら何でも。

麻生政府参考人 午前中の質疑の中でも御答弁があったと思いますけれども、このプログラムを導入した場合にどういう効果があるかということは、当然検証作業を進めていくことを考えております。その中で、どういうものが効果があるのか、これは効果がないのかということで、さらにいいプログラムにしていきたいと考えております。

河村(た)委員 今の話を聞いておると、今までやってきたものと本当に断絶するみたいですね、ぱっと聞くと。(杉浦国務大臣「そんなことありません」と呼ぶ)いや、そんな、そう法務省をかばったってしようがないですよ。実際のところは、今までやってきた中でどういうふうであったかということを、ちゃんとプライバシーに配慮して、やはり国民の皆さんにわかりやすく。どういうことかというと、国民の皆さんからすれば、いろいろなことをやっておられるようだけれども、これは本当に大丈夫かというふうに思っておるわけですよ。

 海外でいうと、私はプライバシー論者ですから、住基ネット大反対ということもありまして、そんな、変なラベルをつけてGPSで監視するようなことは非常に疑問があると思いますよ。しかし、そういうことをやっておるところもある。結局は、病院でいわゆる男性ホルモンのコントロールをするしかしようがないじゃないかとか、そういうような意見がようけあるわけでしょう。その中で、今やろうとしているプログラムで果たして本当に安全なんだろうかとみんな思っておるわけです。そうでしょう。そう思いますよ。

 日本国の皆様が、今のままでええ、ええ、カウンセリングでええんだ、それは思っていないわけだから。だから、それが説明できぬというのは、これはお恥ずかしい限りだと思いますね、悪いけれども。大臣、これはちょっと責任を感じてちょうだいよ。

杉浦国務大臣 お言葉を返すようですが、先生も誤解されている面があると思うんですね。断絶があるということはありません。本格的に研究会を開催して、今まで川越少年刑務所だとかあちこちで試行錯誤でやってきたことを練り上げて、カナダそのほか外国でやっている、さっき何とか法という、そういうものを検討して、初めて今度プログラムをつくって、義務づけた監獄法のもとでやるわけですよ。その結果がありっこない、これからやるわけですから。

 今できているプログラムは、今まで関係者が試行錯誤、試みてきた、勉強してきたことを、ある意味では集大成したものであって、もちろんそれはベストでないかもしれませんが、ともかくやってみて、これからその結果ももちろん検証しながら、三ッ林チームがありますので、そこで検証しながら、さらにいいものにしていくというプロセスを踏んでいくのだと思います。

河村(た)委員 本当は、議院内閣制というのは、議会から来た人は役所に厳しく言ってもらわないかぬですよ。役所の応援団ではいかぬわけだ。何のために議員が大臣をやっておるかといったら、役所を守っておっちゃいかぬですよ。そのためにあったんであって、悪いけれども大臣……(杉浦国務大臣「あなたは名古屋刑務所を守っている」と呼ぶ)あれは個別事案で、ちゃんと冤罪については守りますよ。それはそうですよ。個別事案で守るけれども、わしは役人はそう嫌いじゃないけれども、間違ったことは自分で守りますよ。

 だけれども、どう考えても、やはり、断絶がないのは当たり前のことで、要するに、今までやってきた試行錯誤の中から今度また一段飛躍するということでしょう。そういうことですよね。その今までやってきた中からどういうような、要するに立法事実は必要なわけですよ。だって、国民の皆さんに説明義務がありますよ、言っておきますけれども。こういう方法によってはこうだった、こういう方法によってはこうだった、やはりこうなのではないかとか、今度のプログラムにこう生かされていますよということ、それが具体例で言えないというのは、大臣、ちょっと怒ってくださいよ、それだけは。

 では、今度はそれを出してくれ、これをちゃんと指示してくださいよ、指揮してくださいよ。

杉浦国務大臣 国民に対する説明責任はあると思います。その研究プログラムができてきた過程、いろいろな関係者が努力してやってまいったことですから……(河村(た)委員「具体例」と呼ぶ)具体例があるかどうかも含めて、やはりPRといいますか、御理解をいただく努力はしなきゃいかぬと思います。それは役所にそのように督励してまいります、御理解をいただくように。

河村(た)委員 今のもちょっと不十分なんで、具体例があるかどうか。ないなんということは考えられませんよ。(杉浦国務大臣「今ここにないから」と呼ぶ)いや、だから、今はいいと言っていますよ、僕も。いつまでも言っておってもしようがないから、もう一回ちょっと調べ直してもらって、国民の皆さんに、こういうやり方だったらこうだ、こういうやり方だったらこうだ、こういうことがありまして、ここはうまくいってここは残念でしたと。

 例えば、医療刑務所がやはり要りますとか、いろいろ、そういうような一つの、なるほどな、だから今度の法案が、今度はこういうふうで、処遇プログラムをやれるようになるんですけれども、必要なのかなということですから。

 これは大臣、遠慮せぬでもええですから、別に具体例を出してもらったって、何の問題もないわけですよ。当然、プライバシーを配慮するのは当たり前ですから。それはあるに決まっているわけですよ。なかったら、何のためにやっておったかということになりますよ。

 ちゃんと受刑者ごとにずっと身分帳があるでしょう。一件記録でそこの中に全部入っていますから。それをちゃんと指示してくださいよ。

杉浦国務大臣 それはちゃんと国民の皆さんに御説明いたします。ただし、プライバシーに配慮いたしまして、よくそのあたりも含めて、国民に対する御理解をいただく努力を一層強化するように改めて指示いたします。

河村(た)委員 まあ、いいですけれども、僕も何年かやらせていただいたので、やはりちゃんと言質はとっていかなあかんものですから。

 プライバシーに配慮していただいて、それは結構です。具体例ででき得る限り国民の皆さんに今回の立法事実を明らかにします、そう言ってください。(杉浦国務大臣「もう申し上げました」と呼ぶ)いや、具体例でと言っていない、言っていません。言えないんですか。

杉浦国務大臣 何回も申し上げていますが、国民の皆様方に新しいプログラム、取り組みについて御理解いただくことが必要ですから、今まで皆さんの努力してきた成果、こういう例があるということも含めまして、十分御理解いただく努力をこのプログラムを進めることと同時にやっていかなきゃいけない。改めて指示するつもりでおります。

河村(た)委員 ありがとうございます。それでは、今度の機会にぜひ出してちょうだいね。

 それから、あと五分でございますので、被害者が十三歳未満の暴力的性犯罪等に係る仮出獄者等に関する情報を警察に情報提供を行うことになったわけですけれども、この対象となる人というのはどのくらいおみえになるんですか。

麻生政府参考人 昨年六月から十一月末までの六カ月間で、法務省から警察庁に対しまして九十六名分の出所情報の提供がなされておりまして、そのうちの仮釈放者は四十一名、こういうふうになっています。

 この仮釈放者につきましては、刑期が満了するまでの間、保護観察に付されますので、仮釈放後に転居しましたり、あるいは保護観察期間が終了した場合には、保護観察所から警察にその旨の通報をいたしております。

河村(た)委員 では、最後に大臣にお伺いするのは、いわゆる執行猶予中に保護観察を受ける人たちが執行猶予の取り消しを受けるのは、三十年間にわたって大体三割前後、非常に高水準だと。一方、仮出獄だと大体一〇%以下、こういうふうになっておるわけです、今のところ。

 執行猶予者より仮出獄の方が罪が重いと普通思われますので、これは逆転現象ですね、言ってみれば。何でこういうことが起こっておると思いますか。

杉浦国務大臣 その問題は、一つは、仮出獄、仮釈放、刑務所、少年院、仮出院、仮出獄で保護観察を受ける人の期間が比較的短い。大体、刑期をある程度勤めて、それから所要の手続を踏んで仮釈放になるわけですから、大体一年前後と言われておりますが、片や保護観察つき執行猶予者は、執行猶予三年以上五年、執行猶予三年で保護観察という人は少のうございまして、大体執行猶予四年あるいは五年で保護観察という人が圧倒的に多いと思うんですね。

 ですから、片や一年、片や四年、五年という人ですから、その保護観察期間中、執行猶予期間中にまた何か再犯を犯して取り消しになる、そういうケースが多いというのは理解できると思うんです。

 それで、一方において、今度法改正を議員立法でやっていただきます保護観察つき執行猶予中の方については、特別遵守事項を決められませんでしたから、教育その他処遇プログラムを義務づける、そういう指導、保護観察つき執行猶予中の指導も十分できなかったという事情もあったと思います。

河村(た)委員 どうもその辺も、僕が聞いてきたのとちょっと違うんですよね。やはり仮釈放の場合は刑務所へ入っていますので、もうつらいところに入りたくないというのが気持ちに当然あるわけですよ。執行猶予の場合はまだ入っていませんので、その心理の差が大きい。

 だから、反対に言うと、刑務官はそれだけ、刑務所はホテルじゃありませんから、ある意味では適正なんですけれども、厳しいといいますか、そういう処遇をしながら努力しておるんだというところがわかっておらぬのじゃないの、大臣。どう思いますか。

杉浦国務大臣 そういう面もあると思いますが、枝野先生は弁護士だけれども、保護観察つき執行猶予と実刑の差はほとんどない、先生、そうですね。我々弁護士が一生懸命情状を立証して、やっと保護観察がいただけた、保護観察つき執行猶予。これは、犯罪事実そのものはそんなに違いがないのに、片っ方は執行猶予がつく、片っ方は実刑になるということなんです。

 確かに、執行猶予をもらったために安心して、ああ、よかった、よかった、刑務所へ行かなくて済んだといって、気も緩む面もあるかもしれないし、もともとそういう悪性の犯罪を犯した人ですから、再犯も犯しやすい。

 私など、保護観察つき執行猶予をとってあげた人でも、何人もその間に犯罪を犯している。そういう期間中に犯罪を犯しますと、もう執行猶予はないんですよ。二度と、再度の執行猶予はなくて、それを取り消されちゃうということをよく説明したのに、やる人が結構いるのは事実でございます。

 先生のおっしゃるような点もあると思います。それは率直に認めます、そういう点もあることを。

河村(た)委員 以上でございます。

 それでは、また後の報告を待っておりますので、お願いします。

石原委員長 次に、枝野幸男君。

枝野委員 執行猶予者保護観察法の一部改正、私どもみんなで起草をした法案でございますので、その法案は十分ではないとしても一歩前進だというふうに思っておりますので、その背景、あるいは今後何が必要かという、ちょっとそもそも論を大臣とさせていただければと思います。

 まず、そもそも執行猶予あるいは保護観察つき執行猶予という制度そのものの話を大臣とさせていただきたいと思うんですが、実は、これは揚げ足取りでなく、ちょっと問題の出発点、私もあれっと思ったんですが、更生保護のあり方を考える有識者会議の中間報告の中に「そのため、更生意欲の乏しい者等に対しては、無力な場合も認められる。」という文言があって、あれっと思ったんですね。

 あれっと思った上で、私も弁護士の経験がございますので、半分そうだなと思ったんですが、多分、一般の方からすれば、あれっと気がついたら、本当にあれっではないかと思うんです。つまり、保護観察つき執行猶予者の中に、更生意欲の乏しい人がそもそもいるということが前提になっているわけですね。多分、多くの国民の皆さんは、罪を犯したけれども刑務所に入らずに、しかも保護観察つき執行猶予となったということは、保護観察に付されれば、その中の処遇によってこの人は更生をする可能性が高い、だから刑務所に行かないで執行猶予なんだ、こう受けとめられるのが多分普通だというふうに思うんですね。

 更生の意欲があっても、いろいろな事情で、例えば盗み癖が抜けないとか、それこそ先ほどの性犯罪などはいろいろな背景があって、本人の意欲があってもなかなか更生できないというケースはあるかもしれません。しかし、そもそも更生の意欲がない人が更生するというのは考えられないわけで、そうすると、執行猶予の人の中には、罪を犯してなおかつ更生の意欲もないのに刑務所に入らない人もいるんだということが、これは前提になってしまっているわけですね。

 実際の裁判の実務としては非常によくわかります。まさに執行猶予なのか実刑なのかというのは、本人の更生意欲ということよりも、まさに犯した罪の質、あるいは被害者の被害感情、あるいは周辺の皆さんを含めたさまざまな事情、そういったことで執行猶予か実刑かに分かれるという実務は非常によくわかっているんですが、よく考えたら、執行猶予はそもそも何なんだろうという疑問を持ってしまいました。

 大臣、いかがお考えでしょうか。

杉浦国務大臣 確かに、法律の世界にいる者と一般の国民の皆さんとは感覚が違うかもしれませんね。

 司法研修所にいるときに、検察修習というのがありましたよね、検察官のところで。そのとき私が当たった検察官が、初犯の者は不起訴、起訴しないという強固な原則の持ち主でいらっしゃいまして、かなり重くて、初犯でもこれはひどいじゃないか、公判請求すべきじゃないかと。一日に何十件と調べますからね。それでも、初犯は不起訴だといって、物すごく説諭するんですね。こんな悪いことして、おまえはもう刑務所に入って何と思っているんだといって、物すごい勢いで説諭するんですが、そういう人に限って不起訴なんですよ。起訴する人は静かに調べまして、静かに調べて言い分を聞いて、だまって起訴と。ともかく初犯は不起訴。もっとも、人間、間違いもあるし、一回は許してやるという温かい心の持ち主で、感嘆した検事さんがいらっしゃいました。執行猶予、まあ、一度目はだめだけれども、じゃ、二度目来たら今度は罰金やるぞ、罰金、三度目は公判請求、執行猶予とだんだん進んでいくんですけれども。

 刑事事件を弁護した一人の弁護士として見ますと、まず一つの境目は公判請求ですね。公判請求に行く前と行く後。初犯不起訴主義という検察官の方もおられましたが、その段階で更生して、反省して、犯罪に走るのをとどまってほしいという願望も入っているんじゃないかと思うんですが、一たん公判請求になったら、これはよほどでない限り、初めての場合は執行猶予がつく。例えば、殺人だとか重い罪の場合は、それは最初の公判請求でも実刑になる場合がありますが、弁護士は一生懸命に情状を立証しますので、執行猶予がつく例が多いんじゃないでしょうか。一般の方から見ると、何であんなひどいことをしたのに執行猶予をつけるんだ、こういう事件でも割合執行猶予がつくことが多いんじゃないかと思うんです。

 先ほど、先生聞いていただいたかどうかわかりませんが、安城で女の子たちを殺したあの人については、私は地元だからある程度わかるんですけれども、豊橋の更生保護法人にいて、いなくなったんですけれども、気の毒な生い立ちをした、しかも、更生保護法人の人たちも反省していましたけれども、一生懸命仕事を探したけれども見つからなかった、本人の意欲があるかどうかもはっきりしなかったけれどもという反省をしておりましたが、そういう関係者の努力もあったにもかかわらず、職を見つけられなくて出奔した。出奔した理由はもう本人に聞いてみる以外にないわけですけれども。やったことはひどいことなんですけれども、許すべからざることをやったんですけれども、片や、話を聞いてみると、ああ、気の毒だなという気持ちがしないでもないわけですね。

 ただ、保護観察つき執行猶予になる、これは最後ですね。本当に、本来実刑でもいいものを、特に更生で、裁判官が説諭しますから。あなた、この間に、もう二度と、悪いことやったらもう執行猶予ありませんよと裁判官が説諭いたします。絶対に軽い犯罪でも執行猶予はありませんと。この五年の執行猶予期間、四年、三年の執行猶予期間中に犯罪を犯したら、もう二度と、その犯罪については実刑です、しかもこの保護観察つき執行猶予も取り消されますよと裁判官はきちっと説諭するんです。その上で、保護観察つき執行猶予を言い渡すわけですので、裁判官の心証としてみれば、実刑にするか保護観察にするか迷った上で、恐らくケースに応じてつけていらっしゃるんじゃないかというふうに私は思っております。

 ですから、先生のおっしゃったことはそのとおりなんですけれども、ある意味では、今度議員立法で、これは保護観察つき執行猶予者ですね。仮出獄、仮退院、これは何号観察でしたかね。何号観察か決まっているんです。保護観察つき執行猶予者、四号観察というんですが、四号観察とその一、二、三号とは、要するに特別遵守事項を決められない。だから、保護司の方がついて、もちろん保護観察官と一緒に面倒を見るわけですが、これを守りなさい。例えば、保護司さんのところへいらっしゃいよ、観察所へ出頭しなさいとか、こういうプログラムをやるときに受講しなさいとか、そういう遵守事項を定めてあればそれに従わなきゃいけないわけですが、多分、保護司さんのところへ出頭するのも義務じゃない、遵守事項じゃない。

 こういうことでございまして、ある意味では今まで抜けていた部分じゃないかと思うんです。幸い、今度議員立法でその抜けたところを穴を埋めていただきましたので、これからは四号観察も、では、保護司のうちへ月一回いらっしゃいよとか、観察所へ月一回は出頭しなさいとか、そういう遵守事項を決めて守らせる。守らなければ取り消しですから、保護観察つき執行猶予。そういうペナルティーがあるよということを前提として守っていただけるようにこれでやっとなったわけですが、今まで何で気がつかなかったかと思うぐらいのところに穴があいておったというふうに私は理解しておるのです。

 先生方の御尽力に心から敬意を表し、感謝申し上げる次第でございます。

枝野委員 もうちょっとコンパクトに御答弁いただけるとと思いますが、おっしゃったことの中で、確かに何でもかんでも刑務所にほうり込めばいいという話じゃない。御指摘になった検事さんのような物の考え方というのはやはり基本だろうと私も思います。

 ただ、本当に揚げ足をとる意味じゃなくて、ここに書いてある、更生の意欲もないのに執行猶予判決を受けているという人が現実に存在するというのもこれまた事実なんだろうと思います。これはやはり制度として許容されないはずのものではないのか。更生の意欲があっても更生できないという人が一部出てくるということ、これはやむを得ないかもしれないけれども、そもそも更生の意欲もない人はやはり実刑にするべきではないのか。

 これは法律をどう変えるのか。例えば、執行猶予の要件にそういったことを入れるのかとか考え始めて、まじめにちゃんと組み立てようと思うと結構大変な議論だろうとは思います。そもそもの刑罰とは何かという本質論のところから大議論になって、軽々に結論を出していい話だとは思いません。多分、それこそ、私は余り審議会は好きではありませんが、法制審議会のところで専門家に相当な議論をしていただかないといけないような話だと思いますが、やはり今の現状は、少なくとも更生の意欲すらない人は実刑にするという原則を少し議論してみた方がいいんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょう。

杉浦国務大臣 大いに議論していいことだと思います。また、裁判員制度も導入されますので、最終的には裁判所が決めるんですね、その部分も。どのような表現を用いようと、裁判所の心証で執行猶予を付すべきか、保護観察をつけるべきか、実刑にすべきかは判断されるところですから、裁判員制度が採用されて一般の方が一緒に裁判することになれば、そういう国民の素朴な議論や感情も交わされるようになるんじゃないかと思います。

枝野委員 確かに最終的には裁判所の裁量の範囲だとは思うんですが、少なくとも現状では、総合判断ということの中で、特に実刑と執行猶予を分ける判断材料のところに、更生への意欲ということは少なくとも明示はされていません。

 そうすると、やはり裁判官の心理に立てば、これぐらいの罪だったら実刑で、これぐらいの罪なら執行猶予だからとか、いわゆる相場というものは、大臣も弁護士御出身でいらっしゃいますので、私よりも経験長くて御存じのとおり、どうしてもそういうところに流されがちになるんではないかと思いますので、私は、もし解決をする必要があるとすれば立法的措置が必要かな、こんなふうに思っております。

 結論として、私自身がそれが今いいという結論を出しているわけではないことは申し添えたいと思いますが、少し、法制審含めて、御議論、御検討をいただいたらいいんじゃないか。そうでありませんと、なかなか、特に今は世の中全体に、日本の刑罰は甘いんじゃないかという、半分正しくて半分誤解だと私は思うんですけれども、そういう世論があります。それに真摯にこたえていかないといけない。甘いんじゃないかと思われる最大の部分は、一度処罰を受けた、あるいは執行猶予判決を受けた人が再犯を犯しているという部分がやはり一番だというふうに思いますので、少し御検討をいただければと思います。

 さて、次に、保護司のことについてお話をしたいと思います。

 いかに今回の法整備をしても、保護司さんが保護観察中の者に対するまさに保護を十分にしていただかないと、実効性はその分小さくなるということでございます。既に出ているかと思いますが、念のため改めてお尋ねしますが、保護司さんの定数が五万二千五百人ですか、十七年一月一日現在の実数が四万八千九百十七、誤差の範囲ではなく、定数を満たしていない。なかなか保護司さんのなり手がいないというふうに聞いておりますが、こうした実態についての大臣の認識をお聞かせください。

杉浦国務大臣 先生の今おっしゃった数字のとおりでございまして、充足率九二・七%で、少し問題だと思っております。改善しなきゃならないと思っております。更生保護に関する有識者会議でも議論されておりまして、保護局の方でもさまざま検討しておるところでございます。

 保護司の方の後任、やめられる場合に後任を補充するのに、今までは縁故といいますか、後任にこの方を推薦するというような形で選ばれるケースが多かったようなんです。ここ数年、やはり地方自治体とかいろいろな団体と御相談しながら保護司になっていただくところも出てきておるようですが、まだまだ少ないようでございます。

 そういうことでございますので、もともとの成り立ちが地縁関係で始まっておるものですから、例えば私の町ですと、新しい新興住宅地にはぽこっと保護司さんが抜けちゃうんですね、新しい町なんですが。大体、小学校区で二、三人、人数の多いところは五人ぐらい保護司さんがいらっしゃいますかね。ですけれども、新興住宅地になるとぽこっと保護司さんがいらっしゃらない。つまり、古くからのといいますか、昔の保護司さんがその次の保護司さんというふうに引き継がれてきていますから、どうしてもそうなる。

 ですから、有識者会議の議論も踏まえて検討したいと思っていますが、所によっては公募制、公募してみたらどうかとか、もう少し地方自治体とか諸団体との連携と申しますか御相談して、御推薦願えないかというようなことを進めるとか、そういうことをやったらどうかと、いろいろなことを検討いたしております。

枝野委員 私、これまでの保護司制度の歴史というのは、保護司の皆様方がまさに手弁当、無償で努力をしていただいて、そのことが日本の保護更生に当たって大変大きな役割を果たしてきたと高く評価をし、また敬意を表するものであります。また、この制度そのものは、私はこれからも重要な保護更生の手段といいますか糸口として保護司さんという制度を守り、それを維持させていく必要があると思います。

 ただ一方で、今大臣からも御指摘ありましたとおり、従来日本社会にあった地縁というものが崩れている地域がたくさんあるというのも、これは紛れもない事実であります。恐らく、三十年、四十年ぐらいまでの日本であればかなりの部分で、お互い地域の中で顔見知りであって、どこの家族構成がどうなっていて、保護司さんの年齢ですとどこの家のおじいちゃんはと言っていいんでしょうか、人望のある人でというのがお互いみんなよくわかっていた社会であったと思いますが、もはや、今はそれがわかる、そういったコミュニティーが成り立つ社会自体の方がむしろ圧倒的少数ではないかと思います。そして、残念ながら、ますますそういった地域が減っていくということの予想が立っているのが現実だろうと思うんです。

 そして、新たにニュータウン的な形でできた地域の中では、お互いに、あの人が保護司さんをやるならば、あるいはあの信頼できる保護司さんから面倒見てくれよと頼まれたならこれは間違いないやなどという、お互いの人間関係自体が時間がたってもなかなか形成をされない地域というのが日本の中にどんどんどんどんふえていっている。しかも、住宅事情の変化その他のことを考えますと、出向いていったり保護司さんの家に来ていただいたりということもなかなか困難になっている。

 そういうようなことを考えますと、まず、そもそもそうした中で、御本人も意欲を持ち、周囲の皆さんもこの人にやっていただけるのならという将来の保護司さんを見つけていくこと自体が、もちろん公募その他ということをやるのは当然で、やらなければますます足りなくなるとは思うんですが、そうした状況の中で、本当にこれから保護司さんのなり手を、従来の定員五万人を超えるような規模を維持していけるのかというと、私は大変疑問だと思うんですけれども、いかがでしょう。

杉浦国務大臣 やり方によってはあると思うんです。保護司の仕事に情熱を感じ、使命感を持ってやってくださる方は、私の体験では周りにいらっしゃらないことはないと思います。地縁、血縁の社会でしたから、しかも無償ですので、変な人に渡すというかお願いしても御迷惑をかけるからというような点もあったと思うんです。ですから、募集方法をもっとオープンに、透明性を持ったものにしていく。立候補してもらって、我と思わん人に手を挙げてもらうという方向を模索していく必要が一方ではあると思います。

 それからもう一つは、やはり実費弁償の額が少な過ぎるということがあると思うんですね。後の質問で出てまいりますが、例えば場所ですね。会う場所にしても、例えば喫茶店に行けばコーヒーを飲むわけです。ファストフードレストランへ行っても、食事を買ってお金を払うわけですね。自宅で受けている方が多うございます。自宅に来られても、お茶を出したり食事をしたりするわけで、実費が要ると思うんですね。それがもう少な過ぎる。年額八万円じゃどうにもならないと思うんです。

 そういう社会的名士であって、地域の信望の厚い方ですから、お金のことはなかなか口に出されない。僕なんかに向かっては率直におっしゃるんですけれども、めちゃくちゃだとおっしゃるんですが、保護司会の席上とかあるいは保護局に向かってそういうことはおっしゃらないわけでして、私は法務大臣就任早々、ぜひこれはふやすべきであると、谷垣大臣ともかけ合って、とりあえず御理解をいただいて三割ふやしていただいたんですけれども、来年度は倍額要求しようと思います。これでふえたところで年額九万円、十万円足らずです。

 私ども、岡崎市のことが一番私は詳しいんですが、町内会が五百ありまして、町内会長、総代と言っていますが、五百人いらっしゃいますが、市からもらっている実費弁償は月額、小さな町でも二万ぐらいもらっていますよ。報酬じゃありませんよ。だから、それはお金の面でいったら、保護司さんはこんなに低い。総代は何だかんだとなり手があっても、保護司というと、お金の面もあるしという人も中にはいらっしゃるわけで、まずそういう実費弁償の面でもっときちっとしていくということも大事なことじゃないかというふうに思っています。

    〔委員長退席、倉田委員長代理着席〕

枝野委員 私も、今の実費弁償の水準というのは本当に、ボランティア以上に、保護司の皆さんには自腹を切ってということを強いているということでありますので、大臣、頑張って来年度の予算でこれを増額するということをやっていただきたい。全く賛成であります。

 ただ、私は恐らく、保護司さんの仕事の性格からすると、もちろん今やっていらっしゃる方は大変苦しく、自腹を切ってやっているということを解決することは大事ですけれども、では、お金をある程度もらえればやってくれるという人が出てくる、あるいは適切な人が見つかるという性質のものでもないんだろうというふうに思っています。

 一つは、今喫茶店とかそういう話がありましたけれども、私は、自宅に呼んでということがなかなかやりにくい社会、住宅環境になっているということであるとすれば、法務省が一番いいわけですけれども、法務省の施設がそんなにたくさんあるわけではありません。それこそ、自治体その他の公的機関の施設などを、保護司さんが保護観察中の人とお会いになるための面会の場としてもっともっと使わせてもらうということ、これはもう法務省挙げて、総務省などを通じて自治体その他に強く求めるべきだと思いますが、いかがでしょう。

杉浦国務大臣 それも検討すべきことだとは思います。

 日本司法支援センターというのが立ち上がりますね。差し当たっては都道府県に一カ所ですけれども、ネットを張ろうと、何年後には。あそこも、司法支援ですから、場所を、ロビーぐらいで会っていいとか。法務省の中だって、法務局も大分統廃合で減ってきたんですが、法務局の会議室を使ってもいいし、地方自治体にも御相談をする、そういう場所の確保、その場所を確保する場合に費用が要る場合には、費用を実費弁償として持つ、そういう点を多角的に検討していく必要があるというふうに私も思っております。

枝野委員 これは多分、地方公共団体にとっても切実な問題だというふうに思っていますので、法務省がきちっとイニシアチブをとれば一定の協力は得られるのではないかと思っておりますので、リーダーシップをお願いしたいと思います。

 それで、現状やっていただいている保護司さん、それから将来意欲を持ってやっていただけるという方を何とか数を確保する努力をしても、私は、先ほど言った、地縁が崩れているということを考えると、まさに保護司さんの仕事が十分に機能するためには、一定の地縁というもの、地域コミュニティーというものが機能しているからこそ保護司さんの仕事がしやすい。そもそも、地域全体がお隣さんがだれだかわからないよという人同士で暮らしている地域の中に、たまたま意欲のある、能力もあるという人がいて保護司さんを引き受けていただいても、やはりその地域はそもそもの地域コミュニティーがないんですから、その地域の中で篤志家の方がリーダーシップを発揮して仕事を見つけてあげてとか、日ごろの生活を指導してあげてということ自体の前提を欠くんだと私は思うんですね。

 したがって、私は、保護司さんは、そういったいい意味での日本の地域コミュニティーが残っている部分、あるいは、そうした部分の残っているところを活用して保護更生に生かせる部分を担っていただく役割としてはこれからも大変大きな意義を持つと思いますが、そもそも保護司さんが仕事をできないというと言い過ぎかもしれませんが、非常にしにくい地域というのが日本の中にどんどんふえている。

 そしてまた、犯罪の種類あるいは犯罪の動機、これも実は統計的に見ると、新聞、テレビをにぎわす、目立つ事件が非常に極端だからということはあるかもしれませんけれども、やはり三十年前、四十年前の犯罪の動機であるとか犯罪の形態とは大分違った側面がある。先ほど来出ている性犯罪でありますとかあるいは覚せい剤犯罪とか、従来、例えば貧しさに負けて泥棒をしてしまったとかという典型的な話とかとは大分種類も違っていて、ボランティアの保護司さんが心と心の触れ合いで立ち直らせることがそもそも困難な犯罪事案も少なくない、ふえてきている。

 そういうことを考えると、保護司さんにそもそも全面的に依存をしてしまっている従来の制度、そのこと自体を見直さなければいけないんじゃないか。保護司さんにも大きな役割として一定の役割は担っていただかなきゃいけないけれども、保護司さんに担わせてはちょっと酷だ、無理だという分野であるとか地域であるとか、そういった分野は間違いなくふえていると私は思うんですか、いかがでしょうか。

杉浦国務大臣 そうですね。日本全体としてはふえておりますが、ただ、高齢化社会というか長寿社会になってまいりまして、私どもの地元では、大きな団地でも結局高齢化が進んでくる。そうすると、中でつき合うようになって、なかなか立派な活動をしている町内会、団地なんかでも結構あるんですね。

 ですから、社会の変化に対応した形で奉仕活動のあり方を考えていくということ、先生が御指摘のとおり大事なわけですけれども、例えば、弁護士会が司法過疎地域にひまわり事務所というものを設けて、弁護士を送り込んでいるということもやっているんですね。だから、保護司過疎地域が今ここにあるとすれば、そこへ担当保護司さんを決めて送り込むと言うと語弊がありますが、担当していただくというような方法も対応方法としてあり得るんじゃないだろうか。いろいろ工夫をすれば何とか、保護司の活動に対する情熱のある方はいらっしゃらないわけじゃないから、ちょっと楽観的過ぎるかもしれませんが、いろいろと努力する余地はあるんじゃないか、こう思っております。

枝野委員 大臣、残念ながら、今のところは私はちょっと見解が違います。

 保護司さんという制度は本当にいい制度で、ただ、それがいい制度であるというのは、地縁を軸とした人間関係が濃密、濃厚であって、その人間関係や地縁というものを生かして保護司さんと被保護者との間の人間対人間、心と心の触れ合い、あるいは、保護司さんの持っている地域におけるさまざまなネットワークというものを生かすことによって、実は官ではできない、公務員ではありますが、いわゆる民間のボランタリーな保護司さんの方がむしろ犯罪を犯した人を立ち直らせるに適切であった、なおかつ、そういった意欲を持ってやってくださる方もたくさんいたということが、私は保護司制度を支えてきたベースなんだというふうに思っています。

 実は、本来は、犯罪者を立ち直らせて再犯を起こさせないという仕事は、まさに官の役割、役所の役割であるはずなんですね。だけれども、そういう日本にいい文化といいますか伝統があったんだから、しかも意欲を持ってやってくださる方がいるんだから、何も官が全部抱えないで、その保護司の方々の力を生かさせていただこうということが私は保護司制度のベースだと思います。

 したがって、保護司さんのいない地域にほかの地域の保護司さんに行ってもらえば、それは数のバランスはとれるかもしれません。しかし、そもそも保護司制度というものの持っている意義からすれば、邪道とまでは言いませんけれども、ちょっと違うんじゃないのか。むしろなかなか保護司さんが出てきてくれない、あるいは適切な人が出てきてくれないというような地域においては、まさにその地域コミュニティーとかさまざまな問題で保護司制度のベースになるべき社会背景が失われているんだとしたら、本来の役割である官が、つまり、私は、むしろ保護観察官の方の数をしっかりとふやして、しっかりと責任を持ってその人たちの保護、矯正、再生というものを担うということにもっともっと予算も人も使うべきではないか、そんなふうに思うんですが、いかがでしょうか。

杉浦国務大臣 保護観察官の数も足りないし、質ももっともっと向上させなきゃいけないという点は、先生と同感です。

 もちろん、保護観察官と保護司が協力してやっているわけですから、どうしても保護司の手の届かない部分があるとすれば、監察官が出て直接やるということも大事なことだと思います。そのためにも、ちょっと現状では数が足らなさ過ぎるというふうに思っていますので、今年度、保護観察官、二十八人純増でございましたので、こういう状況の中でよく認めてもらえたと思いますが、今後とも増員をし、充実してやっていこうと思いますので、ひとつ御支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

枝野委員 ぜひ頑張っていただかなければいけないと思うんですが、大臣は、次の二つの価値、どちらが大事だと思いますか。犯罪に遭わないという社会に暮らすという価値と、道路や鉄道が便利であるという価値、大臣、どっちが政治の役割として大事だと思いますか。

杉浦国務大臣 私は古い人間なものですから、私の小さいころは鉄道もろくにありませんし、道路もありませんでした。社会の心は豊かでした。これだけ立派なインフラが整った社会、豊かな社会、これはこれで結構なことだと思うんですけれども、昔の私どもの小さかったころよりも日本がよくなっているとは思っておりません。

枝野委員 まさにその部分のところをしっかりと政府全体の認識にしていただきたいんです。つまり、政府の一番の役割は、国民の生命財産を守る、つまり犯罪を起こさせない、犯罪に対してはしっかりとしたペナルティーを科す、これが政府の一番の出発点の責任なんであって、その金が足りないんだったら、道路をつくる金や鉄道をつくる金を減らしてもこっちに回すのが本来の政治だと私は思いますが、大臣、どうですか。

杉浦国務大臣 道路やそっちを削ってと言われると、怒る方がいっぱいいらっしゃいますから。

 それもそうですし、しかし、先生おっしゃるとおり、国家の目的、国民の生命財産を守る、これは基本でございますから、政府としても、安心、安全な国づくり、総理から言われたときも、かつての日本は世界一安心、安全な国だったという神話を取り戻してくれ、その先頭に立って頑張れと激励されて就任したわけでございますので、そこはきちっと踏まえて私なりに、もちろん法務省職員五万一千人いますが、みんなと力を合わせて、予算もいただくようにし、予算と同時に我々にできることはやってまいりたい、こう思っておる次第でございます。

枝野委員 私は不満です。まさに、削るというと怒る人がいるしというのは、そのとおりなんです。しかし、まさに右肩上がりの高度経済成長で税収がどんどんふえていくという時代だったら、みんなにいい顔をして世の中は回っていきます。しかし、税収が基本的にはそんなに伸びないどころか下がっているという社会においては、何かをふやそうと思ったら、何かを削るか増税するか、これしかないんです。したがって、それをパッケージで言わない政策は無責任なんです。

 したがって、保護観察の人が足りないんだ、このことによって再犯を防止するという役割が十全に果たしにくいという状況で、保護観察官をふやさなきゃならないんだということであるならば、その分どこを削るのか、それとも増税するのか、そのことを言って初めて私は政治だと思うんです。

 私は、道路をつくる金や鉄道をつくる金を削ってでも保護観察官をふやすべきだと思います。あるいは、公務員の数全体も減らすべきだと思っていますが、公務員の数全体を減らす中では、時代おくれになった役割の部分のところの公務員の定数を大量に削って、その分保護観察官を、年齢にもよるかもしれませんが、何年その方々をトレーニングしたら保護観察所に回せるかというのはなかなか難しいところがあるかもしれませんが、しかしまさに、ほかの、あの役所削れ、この役所は多過ぎるだろうということを言って初めて私は法務大臣の責任が果たせるんだと思っています。ぜひそういった姿勢でやっていただきたいとお願いを申し上げますが、いかがでしょうか。

    〔倉田委員長代理退席、委員長着席〕

杉浦国務大臣 政府全体として見ますと、治安関係は最優先で人員をふやしております。今年度の予算で、公務員はちょっぴり、少し全体で減りました、今まで公務員の純減はありませんでした。しかし、その中でも、例えば警察官はこの三年で一万人ふやしておりますし、法務省も、刑務官を中心にして、検事も、あるいは裁判官も、あるいは公安庁も、入管も、保護観察官も、ずっと政府全体としてはふやす方向で実際やってまいっております。減らすところはどんどん減らしておりまして、そういう重点に従った公務員政策というのをとってまいっておると思います。

 先生からすると足らないということでございましょうが、ひとつ、それだけ御理解いただけると大変ありがとうございまして、今後とも声援していただければ大変ありがたいと思っております。

枝野委員 まず、では、このペースでいいと大臣が思っていらっしゃるのかどうかということなんですね。恐らく思っていらっしゃらないんだろうと思うんですよ、まだまだ足りないということを先ほど来おっしゃっているので。

 したがって、だとしたら、大臣として、まだまだ足りないんだ、もっと速いペースでふやしたいんだと。もちろん、ふやすのに、単年度で一気にふやせるかというのは、人をふやすわけですから、適性のある人をどれぐらい一気にとれるのかとかいろいろありますから、そういう意味で段階が要るんですとかという説明はわかりますけれども、予算というような観点からすれば、それはもっともっと、むしろ、これは今までの日本の政治の悪いところですが、日本の大臣はまず国務大臣です、法務大臣である前に国務大臣なんですから、国務大臣としては、他の省庁の予算についても、あそこは多過ぎると思う、あそこは余っている、あそこは無駄だとか、優先順位が低いということを言う大臣が、私の知る限りではほとんど今まで聞かない。

 これをやっていかないと、みんな各役所が、うちの予算をふやしてくださいと。ふやしてくださいと言う以上は、どこの予算を、何省の予算を削って私のところをふやしてくださいというのをお互いに言い合うようになって初めて建設的な議論になる。財源のことを言わずにただうちの予算だけふやせというのは、私は無責任な政治のあり方だと思っていますので、指摘をしておきたいと思います。

 この話も大事なんですが、さらに、時間がありますので先に行きたいと思いますが、先ほど河村議員の質問の中で、プログラム処遇の話が出ておりました。あえて言えば、今までこうしたプログラム処遇をしっかりと論理的に、あるいは学問的に整理をして十分になされてこなかったことが大変問題であるというふうに思いますので、おくればせながらそれに着手をしたということは一定の評価をしたいと思います。

 今のところ具体的に出てきているのは、性犯罪に対するプログラム処遇でありますが、恐らく、同じようなことは、例えば薬物依存の犯罪、あるいは、これは多分諸外国の例というのを参考にはできない、日本の中でつくらなきゃいけないと思いますが、暴力団。暴力団からどうやったら出所後に足を洗えるのか、そういったことについてというのは、逆に日本の関係部局のところにさまざまなノウハウがあるんだと思うんですね。

 こういうことをきちっとプログラム化して、人と人の触れ合いの中で更生させる、これも大事なこと。だけれども、それが通用しない世界もたくさんある。だとしたら、保護観察官の方も頑張っていらっしゃるとは思いますけれども、抱えている案件も非常に多い。それは刑務所の中もそうでしょう。そうした中では、やはりプログラムとしてしっかりと対応していくという意味では、こうした他の分野にもどんどん、しかも急いで拡大をさせなければいけないと思うんですが、いかがでしょうか。

杉浦国務大臣 先生のおっしゃるとおりだと私は思っております。

 去年成立させていただいた監獄法大改正によりまして、そういう処遇プログラムを受講するのを義務づけられるようになりました。ただ、体制が整っておりませんから、順次展開していくことになりますが、まず性犯罪から始めるということでございます。

 もちろん、麻薬、覚せい剤の問題も、カウンセリングとか、刑務所に行かれたら、もうそういうことを教えているんです。これも義務化はされておりません。やくざの子たちに至っては、何とか暴力団から抜け出せるように懇切丁寧に指導して、出すように皆さん努力しておられるわけで、そういう義務化されていないけれども、何とか立ち直らせなきゃいけないということで皆さん努力してきたことでございます。

 新監獄法の制定、五月か、まだはっきり聞いておりませんが、近々施行することになりますので、それを機に、先生のおっしゃった二分野、そのほかにもないかどうか、今後いろいろと検討していく必要があると思います。

枝野委員 実はこれは通告していなかったので、答えられなければいいんですが、先ほど河村さんのやりとりを見ていまして、ああと思ったんですが、保護局長と矯正局長ですか、それぞれに御答弁になっておられたんですよね。

 犯罪を犯してしまった人を立ち直らせるという意味では、まさに刑務所の中、矯正局の役割と、それから保護観察、出てきた後の保護更生のあり方というのは、ある意味では一連のものであって、もちろん、一部分、同じように性犯罪に対するプログラムはうまいこと連動しているようだなということは答弁で感じられたんですが、まさにトータルとしての行刑のあり方というもの、そしてその中での矯正のプログラムというものを考えていかなければいけない。残念ながら、日本は全体として、このことの研究がおくれている。研究がおくれていることの一つの理由には、やはり役所の縦割りもあるのかなと思います。

 恐らく、本来きちっとやるとすれば、法務総合研究所などがかなり学問的に、諸外国の例を相当しっかりと集めて、そして分析をして、プログラムを組み立てるということが必要だろうと思うんですが、この辺の努力はどういったことをされているのか、あるいはこれからどういう意欲でおられるのか、お話しください。

杉浦国務大臣 性犯罪者処遇プログラムにつきましても、矯正と保護の連携を図ってやっております。

 日本の官庁は縦割り、局あって省なし、課あって局なしという格言があるぐらい、局が違うと会社が違うようなものだというふうな表現もされるわけですが、しかし、物事はまざり合うものが多うございます。

 そういうこともございまして、私、大臣就任と同時にPTを立ち上げまして、再犯防止については、三ッ林政務官を座長として、再犯防止プログラム、それから性犯罪、これなんかはそのチームで今後検討してもらおうと思いますし、先生の御指摘の二チームも、それも三ッ林チームで今後引き続き検討していってもらうつもりでおりますが、局をまたいだ問題をそれぞれの局から関係者が寄ってもらって精力的に議論を始めておるところでございます。

枝野委員 せっかく政務官、御担当ということで、通告しておりませんが、意欲だけお聞かせをいただければと思いますが、政務官はたしかお医者様でいらっしゃいまして、まさに科学者でいらっしゃいます。私は、矯正保護、科学的な分析といいますか整理、あるいは、医学の研究をされる場合と同じように、諸外国の例をきちっと集めてきて分析をして、そういう手法なしに進めてはもう時代おくれなんだろうと。経験と勘に頼るというのはいい部分もありますけれども、システマチックに、科学的分析ということが非常に重要だろうと思いますので、科学者でもある政務官が御担当されるのはかなっていると思っております。ぜひ頑張っていただきたいというふうに思いますので、一言だけ意欲をお示しください。

三ッ林大臣政務官 枝野先生から大変な激励の言葉をいただきましたけれども、やはり今回の性犯罪者処遇プログラム等も、行動認知療法とそれなりの科学的な根拠というのをもとにした作業療法の一つと言えると思いまして、大変私も期待しているところであります。これからそのような科学的な根拠をもとにしてしっかりと再犯防止というものに取り組んでいかなければならないと思っておりまして、大臣指導のもと、私も精いっぱい頑張ってまいる所存でありますので、今後とも御指導よろしくお願いいたします。

枝野委員 本当に責任重大な仕事だというふうに思いますので、しっかりお願いをしたいと思います。

 プログラム処遇について、もう一点だけ簡単にお答えをいただきたいと思うんですが、やはりこういう問題について、日本はいろんな意味での研究、分析が、私は残念ながらおくれていると思います。おくれているのは、例えば、大学などに刑事政策という単位がそもそもなかったり、あるいは、あっても一単位、つまり一講座しかなかったりして、刑事政策といった場合にはもう本当に幅広ですから、したがって、深い研究がなされている研究施設自体がそもそもない。せいぜい法務総合研究所がどれぐらいやっているかということではないのか。

 こうした実態を何とか変えていかないと、もちろん法務総研が中心になっていろんな研究をするのは大事だと思いますし、メーンだと思いますけれども、いろんな大学、研究施設で、どうやったら矯正できるのかということについてさまざまな研究がなされている、そうしたすそ野があって初めて最先端のものが実証されていくということだと思うんですが、こうした大学の研究などの体制、実態についての思いと、私は、現状ですらそうであるのに、ますますそれを悪くしたと思っています。

 それは、私の時代には、司法試験の選択科目で刑事政策というのがありました。ちなみに、私は一番教科書が薄いということで国際私法を選択しましたが。選択はしていないんですが、一応司法試験の選択科目の中にあれば、それを選択したいという人もいるので、大学その他も一定程度やらなきゃならないし、司法試験を受けようという人や司法試験崩れの人が、崩れと言っちゃいけないかな、司法試験か、大学の先生になろう、研究者になろうか迷った人が、刑事政策おもしろいということで研究者になったとか、いろんなケースがあり得ると思うんですが、どうしても、法学部の学生にとって、司法試験の科目から外してしまったということがあると、マイナー科目になっていくという傾向が私はこの間あったのではないのかなということで、本来もっともっと充実させなきゃならないところが逆行したのではないのかなという問題意識を持っています。

 ロースクールになったことで、今度はロースクールの中で刑事政策をしっかりやってもらえばいいという部分もあると思うんですが、そこもしっかり促していかないといけないと思うんですが、こういった大学等の背景の問題について、簡単にお答えください。

杉浦国務大臣 先生の御指摘は、わからないわけでもございません。選択科目の中に刑事系が少ないという印象を私も持っております。

 ただ、新司法試験の選択科目につきましては、司法試験委員会の意見を聞いて、法務省令において定めるとされております。司法試験委員会におきまして、実務的な重要性とか社会のニーズ、法科大学院におけるカリキュラム、教科内容、科目開設状況等を総合考慮の上、一昨年の八月二日、法務大臣に対して司法試験委員会から八科目を選択、刑事政策が入っていない八科目ですね、挙げましょうか、知的財産法、労働法、租税法、倒産法、経済法、国際関係法公法系と国際関係法私法系、環境法の八科目を選択科目とするのが相当との答申が参りました。当省では、これら八科目を選択科目とする法務省令を定めたところでございます。

 伺ってみますと、司法試験の試験委員会では、選択科目の選定のために、平成十六年当時開設されていた法科大学院全六十八校に科目開設状況を照会しましたところ、選択科目とされた八科目については、六十八のうち、五十八校以上が科目を開設していたのに対し、刑事政策関連の科目は四十校が開設するにとどまっていたことなどから、刑事政策が選択科目として答申されなかったというふうに考えております。

 しかし、その同じ司法試験委員会の答申では、新司法試験を三回程度実施した後、選択科目の見直しをすることが相当であるという答申も参っておりますので、見直しを行う際には、司法試験委員会において、刑事政策に精通した法律実務家の需要の高さをも含めてさまざまな要素を考慮して御検討いただくことになろうか、こういうふうに考えております。

枝野委員 私は、党の方針に反して、一貫してロースクールには反対をしてきている立場なので、ほら見たことかという話なんですが、結局、ロースクールはお金もうけのお手伝いをする弁護士をつくる機関ですよねというのが今のところにもあらわれていますよね。

 刑事政策が、いっときの司法試験のように、選択科目は負担が多いからつくらない、入れないというんだったらわかりますけれども、今のような科目が並ぶ中に刑事政策が入らないというのは、まさにお金持ちの、あるいはお金もうけのお手伝いをする弁護士をつくりたいという方向性が私は否定できないと思う。

 きちっと、むしろロースクールにおいて、もちろん、今の高度な経済社会の中には、今指摘された、今回決められている選択科目というのは重要だと思います。その一方で、弁護士、あるいは法曹三者の重要な役割の少なくとも半分は刑事司法であるということをしっかりと踏まえたロースクールでの教育とか新制度における試験のあり方というものがなければいけないということで、そもそもロースクールに刑事政策がないところがあるということ自体が、私からすれば理解不能であると思っております。

 時間が残り少なくなったので、あと二問だけ、どうしても聞きたいことがあります。

 協力雇用主制度というのがある。刑務所を出てこられた方などを雇い入れてくれる、協力をしてくれる。まさに、先ほど来お話があるとおり、出てきても、仕事、定職につければ再犯に走る可能性は低い、定職につけないとなかなかそうはいかない、やはりそれが現実だと思いますので、この協力雇用主制度、雇っていただける協力者は大変重要だと思います。

 どういった事業者がこうした雇用主になっていただいているのかという現状をまずお話しください。

杉浦国務大臣 協力事業主という方は、犯罪の前科があることを承知の上で出所者などを雇っていただいている事業主のことをいいまして、昨年の四月一日現在で、若干ふえております、前年比二百人ほどふえておりますが、五千七百社人ほどの協力雇用主が全国におられます。

 正直言って、中小企業主の方が多い。中には大きな企業の方もおられますが、中小企業の方が多いわけでございます。

枝野委員 ちなみに、上場企業なんてありますか。

杉浦国務大臣 私の知っている限りは、ございません。

 それもあるものですから、実は、ことしの一月に、日本商工会議所、東京商工会議所の役員総会、二百五十人ぐらいいらっしゃいましたが、全国の会頭を集められたところへ伺って、裁判員制度、司法支援センターへの支援等と同時に協力していただきたい、協力雇用主として再犯防止のためにぜひともお力をおかしいただきたいということを話させていただきました。

 今週の木曜日は経団連の役員総会に参りますので、これも二百人ぐらいお集まりいただきますので、三点セットお願いしますが、協力雇用主になっていただくよう、力説したいと思っております。

枝野委員 まさにそこはしっかり力説していただきたいんですね。

 もちろん、職種によって、なかなかそういった方は雇いにくいという職種もあるでしょうし、あるいは、多くの人が入りたくても入れないという企業ですから、そういうところに刑務所を出てきているから逆に入りやすいというのも、これはおかしな話になりますから、必ずしも正規雇用である必要はなかったりするんじゃないかと思いますが、特に、今のような団体の幹部をされているような大企業の方は、何かというと、企業は社会的責任を果たしていると偉そうにおっしゃるんですね。

 だったら、一番、社会的責任を果たすという意味では、刑務所を出てきて、少なくとも更生しようという意欲があるのに仕事がないという人たちを雇って再生させるというのは何よりの社会的貢献だと思うので、そうしたこともやっていないで、我が企業は社会的貢献していますだなんて無責任なことを彼らに言わせないように、ぜひ、大臣、強く申し入れていただきたいというふうに思います。

 最後に、今の保護司さんにしてもそれから協力雇用主にしても、あるいは、きょうは具体的に聞けませんでしたが、更生保護施設などにしても、本当に大変な仕事をしていただいているわけですね。犯罪を犯したことのある方を、前科のある方を立ち直らせるという役割で、率直に申し上げて、普通の人なら、犯罪を犯した人と接触するのは避けたいとどうしても人間思いがちになる中で、あえて、しかし、そうした人たちを立ち直らせることが大切だという熱い思いでこうした仕事をしていただいているわけであります。

 保護司さんの数が足りないということ、あるいは協力雇用主になっていただける方もまだまだ足りないということの背景には、そうした努力をされている方の存在自体が必ずしも社会で十分知られていないということが背景にあるのではないかと思うんですね。

 こうした人たち、まさに保護司さんもあるいは協力雇用主の方も、別にお金のためにやっているわけではない、むしろ、経済的には自腹を切るぐらいの中でも頑張っていただいているということですから。だとすれば、何なのか。それは、まさにこうやって世の中を下支えしていただいている、地道なところで支えていただいているという方がいることを、少なくとも我々の立場は、世の中に広く知らしめるということが、我々の政治の役割ではないかと私は思います。

 そうした努力が、残念ながら、今、大臣が、先ほど、商工会議所等で話していただいて、また今度も経団連で話していただけるということで、大変いいことだと思いますが、オピニオンリーダーだけではなくて、世の中に広く周知をさせる必要があるんだろうと私は思います。

 何だか、今、一生懸命、裁判員制度の広告を新聞などに打っているようで、これは裁判所が打っているのか法務省が打っているのか正確に見ておりませんが、新聞の内側の面の広告のページまで読むような人は、きっと裁判員制度がスタートするということは実はよく知っていたりするんだと思うんですね。新聞をお読みにならない、あるいは新聞を読んでもスポーツ欄とせいぜい社会面ぐらいしかお読みにならないという方が、裁判員制度が始まるということを御存じなくて、スタートしたときに、大慌てで、何だこれはと騒ぎになるんじゃないか。

 そういう意味では、どこに、広告媒体にどういう金を使うかということでいえば、私は、むしろ、新聞広告を打つんだったらば、まさに新聞を読んでいらっしゃる、しかも、皆さんが裁判員制度の広告を打っているような内側のところまで読んでいらっしゃる皆さんに、保護司さんとか協力雇用主とか、それから更生保護施設とか、こういう方がこんなことのためにこんなに地道に頑張っているんですよという周知をした方が、広告効果としてずっと大きいと私は思いますので、裁判員制度に使っているような宣伝広告費の何%かでもそちらに回していただければと思うんですが、いかがでしょうか。

杉浦国務大臣 貴重な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。ぜひ努力していきたいと思います。

 刑務所出身者、少年院帰りだということで、世間の風は正直言って厳しいですね、なかなか雇ってもらえない。そういう中で、ともかく、私、全国八ブロック全部回りましたが、保護司さんにも会い、更生保護法人も訪ね、いろいろな方と話してきましたけれども、皆さんそういう中で本当にまじめに、真剣に取り組んでくださっております。

 そういう姿を国民の皆さんにうまく伝えまして、工夫いたしますが、受刑者、刑期満了者、少年院退院者が温かく社会で受け入れられるような素地をつくっていくような意味も込めたいい広告を、研究、検討してまいりたいと思います。御指摘、どうもありがとうございました。

枝野委員 時間ですので終わりますが、まさに、今回、委員会として起草した案はスタートラインだというふうに思いますので、特に現場が重要な話、それから予算、人員の確保というのが大事な話ですので、法務大臣のさらなる努力を期待しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

石原委員長 これにて発言は終了いたしました。

 お諮りいたします。

 執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しております起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石原委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、明十五日水曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五分散会


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