衆議院

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第8号 平成18年3月22日(水曜日)

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平成十八年三月二十二日(水曜日)

    午後二時三十四分開議

 出席委員

   委員長 石原 伸晃君

   理事 倉田 雅年君 理事 棚橋 泰文君

   理事 西川 公也君 理事 早川 忠孝君

   理事 松島みどり君 理事 高山 智司君

   理事 平岡 秀夫君 理事 漆原 良夫君

      赤池 誠章君    石破  茂君

      稲田 朋美君    近江屋信広君

      太田 誠一君    北川 知克君

      柴山 昌彦君    下村 博文君

      永岡 桂子君    三ッ林隆志君

      水野 賢一君    矢野 隆司君

      保岡 興治君    石関 貴史君

      枝野 幸男君    津村 啓介君

      仲野 博子君    細川 律夫君

      伊藤  渉君    谷口 和史君

      保坂 展人君    滝   実君

      今村 雅弘君

    …………………………………

   法務大臣         杉浦 正健君

   法務副大臣        河野 太郎君

   法務大臣政務官      三ッ林隆志君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     永岡 桂子君

  笹川  堯君     石破  茂君

  森山 眞弓君     北川 知克君

  河村たかし君     仲野 博子君

  伊藤  渉君     谷口 和史君

同日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     笹川  堯君

  北川 知克君     森山 眞弓君

  永岡 桂子君     赤池 誠章君

  仲野 博子君     河村たかし君

  谷口 和史君     伊藤  渉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)


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     ――――◇―――――

石原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長三浦正晴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石関貴史君。

石関委員 民主党の石関貴史です。

 質問させていただきます。先日の審議の答弁も踏まえて、しっかりと質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 一点目に、まず、外国人の人権との関係についてお尋ねをします。

 過去に、一九九二年に廃止をされました指紋の押捺制度、外国人登録法における指紋の押捺制度ですが、これが廃止された経緯には、外国人への差別、外国人を犯罪者扱いするものという批判があって廃止をされたというふうに承知をしております。また、特に、この法案に関して、日弁連などから、憲法十三条や自由権規約の七条に違反するという指摘があると私は承知をしておりますが、このことについて、外国人の人権と今回の生体情報を採取して利用するということについて、お考えをお尋ねしたいと思います。

杉浦国務大臣 お答えいたします。

 指紋等の個人識別情報の提供を義務づけるというのは人権上問題ないかどうかという御指摘ですが、それは人道上、人権上全くないということはないと思います。

 先生御指摘の外国人登録法で廃止したときの状況については、先生がおっしゃられたこともさまざまございまして、議論になったところでございます。それに先立ってと申しますか、その際に、最高裁が判示してある判例も先生御承知のとおりでございます。そこでは、国家機関が正当な理由もなく指紋の押捺を強制することは、憲法十三条の趣旨に反して許されない、他方、その自由も、国家権力の行使に対して無制限に保護されるものではなく、公共の福祉のため必要がある場合には相当の制限を受けるということは、憲法十三条に定められているところであるとも判示いたしております。

 今回の改正は、前にも御答弁申し上げたとおり、米国の同時多発テロ事件直後の、国際情勢の激変を受けて、実施しているのはアメリカだけでございます。EUはビザについてやっておりますが、幾つかの国で検討が行われていると承知しておりますけれども、出入国の公正な管理を行い、国民の生命財産を守る、つまり、テロを未然に防止するという趣旨、テロの未然防止策として、外国人の上陸審査時に指紋の提供を義務づけるものでございまして、その立法目的には十分な合理性があり、かつ、必要性もあります。最高裁判例に言う公共の福祉に適合したものだというふうに私どもは考えております。

 その義務づけも、我が国に上陸するためには指紋を提供しなければならないことをあらかじめ承知の上で来られた外国人が、それにもかかわらず提供しなかった場合に、我が国への上陸を認めないというものでございます。さらに、電磁的方式による提供方法でございますので、登録法のときは墨でやる制度で、犯罪者扱いだという御批判もあったわけですが、一般的方法として許容される限度を超えないものだというふうに考えております。したがいまして、憲法に照らして、人権上問題だ、憲法違反だというふうには考えておりませんし、また、市民的及び政治的権利に関する国際規約にも違反することはないと考えております。

 日弁連の反対は承知しておりますが、私も弁護士会業務に携わったことがございまして、日弁連としての意見はそうでありますが、いろいろな先生方と本音の話をいたしますと、テロがあるし、やむを得ないかなという意見も相当、弁護士会全体としては多いというふうに承知をいたしております。

石関委員 それでは、日弁連の指摘については承知をしているけれども、そういうものがあってもしようがないんだ、この法案、テロの防止をすることが大事であるから、それは御意見として承ったけれどもそこにとどめておくということでよろしいんでしょうか。

杉浦国務大臣 御意見は御意見として承りますが、しかし、実質上やむを得ない、そういう意見を持った弁護士さんも非常に多いという事実を申し上げておるわけでございます。

石関委員 大臣のお考えはよくわかりました。

 今、御答弁の中でありました、アメリカで既に導入をされているシステムだということでありますが、ほかにも検討されている国があるという御答弁がありました。実際に、どの国が、どのくらいのレベルまで検討を進めていらっしゃるのか、詳細をお尋ねしたいと思います。

河野副大臣 私の知る限りでは、EUなども導入をする予定と伺っております。そのほかに、シンガポール、マレーシアといった国々も検討しているというふうに承知しております。

石関委員 検討がどのくらいの段階まで進んでいるか、これは承知をされているんでしょうか。

河野副大臣 EUはビザの段階で指紋を提供いただくというようなことだと思いますが、日本がこの法律に基づいて施行するよりも、EUの方が早い段階で導入するのではないかと思っております。

石関委員 確認を申し上げますが、そうすると、出入国の水際でやるというのは、まあアメリカが既に導入されて、日本でやるということであって、他国においては違う段階で行うということで検討を進めているということでよろしいんでしょうか。

杉浦国務大臣 私が直接聞いたのは韓国ですけれども、この間、韓国に行ってまいりまして、韓国はどうやら政府部内で検討しているというふうに承りました。まだ国会に提出するとかそういうことではなしに。だから、そういう国は、私、直接存じ上げている国は韓国ぐらいですけれども、シンガポールもマレーシアも、テロ防止というのは国際的な協調のもとでやろうということで進めておるわけですから、そういう国は結構おありになるんじゃないかと推測をしております。

石関委員 これは、情報を各国の当局とやりとりするということもあり得るわけで、アメリカだけが既に導入をされていて日本がそれに追随をするというか、日本でも独自にこれはやらなければいかぬということで進めるということでありますが、情報をやりとりするわけですから、各国の状況も見きわめて進めていくのが私は適切かなというふうに思うんですが、今お伺いすると、まあ一部把握をしていたり、まだ余り、しっかり各国の状況の進捗について把握をされて、そこも検討しながら進めているというふうには受け取れなかったんですが、この部分はいかがでしょうか。

河野副大臣 最終的には、各国がテロ対策として導入をすることになるんだろうと思います。

 我が国は、我が国に対してテロリストが入ってくるのを防ぐわけでございますから、諸外国の導入いかんにかかわらず、このシステムを導入するのは我が国の治安の確保という意味においても大変大切だと思いますので、ほかの国の導入時期を推しはかって導入するというのではなく、必要に迫られて導入をするということだと思います。

石関委員 副大臣の意気込みはよく伝わってまいりました。

 それでは次に、この法案の目的についてお尋ねをいたします。

 先日も同趣旨の質問がありましたが、この法案の目的については、テロ対策というのが目的なのか、あるいは犯罪捜査が目的なのか。これは、提案理由の説明ではテロ防止、未然防止ということですから前者なんだろうと思うんですが、犯罪捜査というのも、目的の中でどういうふうに扱われているのか、どうお考えなのか。

 先日の答弁では、不法滞在者対策や外国人犯罪捜索が目的であるかのような発言もありました。例えば、河野副大臣におかれては、リピーターを未然に防ぐというのが最大の目的だ、このように発言をされておりますし、他方で、大臣は、目的はテロの未然防止だというふうにおっしゃっている。これは食い違いがあると思うんですが、一致したお考えとしてはどういうふうに考えてよろしいんでしょうか。

河野副大臣 主たる目的はテロ対策でございます。そこに全く食い違いはございません。

 しかし、これは入管法の改正でございますので、不法入国、不法滞在といったものを防止することにも当然に資するわけでございます。そういう意味におきまして、リピーターを防ぐのが最大の目的だと申し上げたわけでございます。

石関委員 主たる目的がテロの未然防止だということですから、リピーターを防ぐとか不法滞在の対策とか、こういった部分に関しては従たる目的というふうにとらえてもよろしいんでしょうかね。主たるものと従たるものということですから。

 であるのであれば、結果として、大きなテロの未然防止という大目的の結果として不法滞在の対策とかリピーターの防止というものがついてくるものなのか、両方とも同じように、主たる、従たるというのはありますけれども、大きな目的であり小さな目的として一体として目的の中に入っているものなんですか。いかがですか。

河野副大臣 日本の治安回復のための元年という位置づけでございます。主たる目的はテロ防止でありますが、同時に、不法滞在、不法入国を防ぐというのも大変大切なことでございます。

 今、二十万人を超える不法滞在を五年で半減するために、入国警備官を初め一生懸命努力をしておりますが、そのためには、その流入をまず断たなければ幾ら退去強制をかけても半減できないということでございますので、主たるあるいは従たるということの違いはありますが、両方ともしっかりやっていきたいと思っております。

石関委員 これも、先日漆原委員から御指摘がありましたし、私も同じように思いまして、改めて申し上げたいと思うんですが、であれば、両方、提案理由説明、趣旨説明の中でそのことについても十分に触れられたらよかったかなというふうに思います。そうでないから、こういう主たる、従たるとよくわからぬような議論になってしまうこともあるでしょうし、本当の法案の企図するところがよくわからないという部分もあろうかと思いますので、改めて大臣、このことは今、いかがお考えですか。

杉浦国務大臣 そのように提案理由説明で不法滞在対策に資するということを入れればよかったかなと思っております。

 つまり、データベース、突合するデータベースは一つで、そこには不法滞在者も入れますし、国際的なテロと指定された人とかそういうものを全部一つのベースに入れますから、突合すればこっちにも当たる場合があるわけで、別々にすることは意味がございませんので。目的は未然防止でありますが、データベースと突き合わせたらこれはリピーターだなということがわかる場合もありますでしょうし、そういう趣旨で資するというふうに申し上げたわけでございます。

石関委員 随分広範な目的が実はあるということだと今承知をいたしますが、それでは、やはり十七日の審議で政府参考人の三浦さんの御答弁で、おおむね一年間に六百万人から七百万人の外国人が対象になるというふうにおっしゃっています。これらの外国人の上陸時に取得した個人識別情報をすべて個人単位のデータベースとして管理するということを予定されているんでしょうか。

河野副大臣 今でも、来日された外国人の情報は文字情報という形で、本人の氏名あるいはパスポート番号その他が管理されております。それに新たな個人情報として、今の予定では指紋と顔写真が加わるということでございます。

石関委員 これはもう一度確認しますけれども、そうすると、主たるとか大きな目的というふうにおっしゃいましたけれども、本来の目的としては両方あって、テロの未然防止と同時にリピーター、同じような大きな目的で二つを抱えているということでよろしいんでしょうか。どっちの方が重みがあるということではなしに両方とも同じような重みで、この法律の企図しているところはこの二つを防ぐことだというふうに、もう一度確認をしたいんですけれども、よろしいですか。

杉浦国務大臣 この法律の目的は、テロの未然防止のためにこういう制度を導入するということでございます。

 ただ、それによって守られる我が国の国益と申しましょうか法益、テロももちろん重要であります、アルカイダから名指しされているわけでありますから未然防止も大変大切でありますが、結果として、不法滞在が防止できる。その結果については、どちらが優先でどちらがというのでなく同等に価値のある、国益、法益が守られることになるというふうに思います。

石関委員 そうすると、主従というよりは同じような目的だ、同じだけ重みのある目的だというふうにとらえてよろしいんでしょうかね。

 これは、出入国時の本人のリスト、情報と、それから、いわゆるブラックリストですとかそういったものと照合して、大丈夫な人は上陸していいですよ、こういうシステムですが、上陸されて入ってきた外国人の方が採取をされた情報について、行政機関等個人情報保護法の三十六条一項に利用停止請求権というのがありますけれども、これに基づいて利用停止を請求することができるのではないかと思うんですが、いかがですか。

河野副大臣 利用停止を請求することは可能だと思います。

石関委員 請求を受けた後の扱いについては、どのように考えていますか。

三浦政府参考人 御質問の点でございますけれども、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の三十八条に規定がございまして、委員御指摘のような請求があった場合におきまして、当該請求に理由があると認めるときは、個人情報の適正な取り扱いを確保するために必要な限度で、当該請求に係る個人情報の利用を停止しなければならない、こういう規定がございます。したがいまして、実際に請求があった場合に個人識別情報を抹消するかどうかという点につきましては、請求の理由に応じて個別に判断をすることになろうかと思います。

石関委員 それでは、手続的に認められるということでありますし、こういう申請があった場合は、これを受けて個別にその場で判断をするということでよろしいんですね。確認をしますけれども、あらかじめこういう方針とかそういうものでなくて、請求を受けたら、その段階で個別にしっかりと審査をするということでよろしいんですね。

三浦政府参考人 御指摘のとおり、個別に法の規定にのっとった審査をすることになると思います。

石関委員 それでは、個人情報を採取して、その後、いつまでこれを保有して保管しておくんだということについてお尋ねしますが、これは法律の中に明文の規定がありません。採取後いつまでというのがありません。出入国審査が水際で防止をするということであれば、終了した時点でもいいのかもしれないですし、あるいは、入国した方が出国をした時点で直ちにこれを削除するということでもよろしいのかなと思いますが、これは政府としては、できるだけ長くこれを保有したい、こういう意思が見られるというふうに思っているんです。

 先日の十七日の審議でも、河野副大臣は、保有期間は七十年から八十年、こういう発言をされておりますね。他方で、やはり三浦政府参考人におかれては、出入国の公正な管理に必要な限りにおいてこれを保管し、必要でなくなった場合には適正に消去するというふうにおっしゃっております。

 また、これは二〇〇五年の六月二十八日ですが、この日に開催された政府の犯罪対策閣僚会議、ここに提出された資料であります「バイオメトリクスを活用した出入国管理体制の構築について」、この資料においては、「当該外国人の出国後、期間が経過して利用する必要性がないと認められた場合には、当該電子情報を速やかに消去する。」というふうに書かれております。

 これは、それぞれ政府の発言なり文書なんですが、それぞれ違っております。政府として、統一してこの保有期間というのはどのくらい、どの期間というのを明確に考えていらっしゃるのか、お尋ねします。

杉浦国務大臣 提供を受ける個人識別情報につきましては、出入国の公正な管理に必要である間は保有することになります。したがいまして、まず、提供者がいまだ出国せず我が国に在住している間は保有する、これは当然のことでございます。また、出国後も、事後的な確認の必要性や再度の入国の際の審査で利用する可能性に備えて、内部の運用基準で定める一定の期間は保有いたします。まだ決めておりませんが、具体的な保有期間については、施行後、その結果を踏まえて最終的に決定することとしたいと思っております。

 なお、現時点で見込んでいる保有期間については、テロリストや犯罪者に有益な情報を与えることになりますので、公表を差し控えることとしたいと思います。

 河野副大臣が七十年から八十年ということを発言されましたのは、今申し上げました法務省の方針を踏まえて、国民の生命と安全を守るためのテロ未然防止対策という立法趣旨からすれば、論理的に可能な保有期間は最長で七十年から八十年となるとの趣旨で発言されたものでございます。

石関委員 そうすると、これは今の段階では、いついつということは全くわからないということでよろしいんですか。

杉浦国務大臣 まだ決めておりません。

石関委員 これだけ個々人にとって大変重要な問題、情報を、法案を今改正の審議をされている段階でいつまでだかわからない、これでは国民の皆様はとても納得しないと思いますけれども、これで、ああ、そうだそうだと国民の皆さんも納得いくと思ってこの法案を提出されているのかどうか、改めてお尋ねします。

杉浦国務大臣 先ほど私が申し上げた答弁を繰り返すことになりますが、上陸審査時に、特別永住者等、除外例が規定されておりますが、外国人から提供を受ける指紋等の個人識別情報につきましては、出入国の公正な管理に必要である間は保有することになります。したがって、まず、提供者がいまだ出国せず我が国に在住しておられる間は、当然のことながら保有いたします。また、出国後も、事後的な確認の必要性や再度の入国の際の審査で利用する可能性に備えて、内部の運用基準で定める一定の期間は保有いたします。具体的な保有期間については、施行後、その結果を踏まえまして最終的に決定することとしたいと思います。

 なお、現時点で見込んでいる保有期間については、テロリストや犯罪者に有益な情報を与えることになりますので、公表を差し控えることとしたいと思います。

石関委員 滞在中は当然保有をするというのも、これは私はとても当然ではないと思いますので、テロの未然防止ということであれば、入国審査が終わった段階で消去することも十分考えられることでありますから、これはとても当然というふうには受け入れられません。

 繰り返しになりますけれども、テロの未然防止のためには、こういう情報を外国人の方も提供して、それでしようがないよ、いつまで保有されちゃうかわからないけれども、いや、テロの未然防止だ、こういう治安を守るためには、いつまでこういう大変な指紋ですとか顔とかそういう情報がデータベース化をされて保管される、わからないんだけれども、しようがないよ、それでお国のために協力しましょうというふうに、国民の皆さんや入国をされる外国人の方が今の説明で納得をされると思われますか。

河野副大臣 同じ人間が違う旅券を使って日本に入国を繰り返すということは多々起きております。残念ながら、今の入管の職員が非常に努力をしておりますが、それでも今、退去強制がかかる八人に一人はそうしたリピーターであるのが厳然たる事実でございます。

 また、アメリカは同様のシステムを導入しておりますが、二〇〇四年、二〇〇五年、二〇〇六年と、確実にアメリカを訪問される外国人の数はふえております。むしろ、このテロが横行する、テロがばっこする時代にあって、確実にテロリストをストップするシステムがあるということは、その国にむしろ人を引きつけるということになると思っておりますし、先般来日されました国際移住機関のマッキンリー事務局長との意見交換でも、当然にそれは人間の生存期間は保有されるべきだろうという御意見でありました。

 そういうことを考えれば、来日中は当然に保有すべきだと思いますし、帰国後も必要な期間は保有するべきだと私は考えております。

石関委員 アメリカの入国者がふえたとかなんとかというのは、それはいろいろな要因があるんでしょうから、これを入れたから激減したとか、そういうふうに簡単に言えるものではないんだと思います。それに、今の御説明を伺っていますと、だれだれが言っているとか、御自身の希望するところはわかりますけれども、これで私は、とても国民の皆さんや外国の入国を希望される方々が、そうですかということではないというふうに思います。

 ところで、先ほどお伺いしましたけれども、一年間に六百万人から七百万人、個人のデータベースとして管理をするということであります。これだけデータを蓄積していくということは、期間は今お尋ねをしても全くわからないということでありますから、どれぐらいの期間になるのかわかりませんが、いずれにしても、年間六百万から七百万、これだけのデータを蓄積するというのは、大変なデータベースにもなると思いますし、我が国でこういう指紋とか、いろいろな処理をされるんでしょうけれども、こういう大きなデータベースを持っているというのは前例がないんじゃないかなというふうに思います。

 これだけの大変大事な、センシティブな情報を管理するということでありますから、この保管ですとかデータベースの運用については、私は別途の法令上の規定をするべきではないかというふうに考えますが、これについては、大臣、いかがお考えですか。

杉浦国務大臣 どのような管理をするか、私、コンピューター機器に弱いものですから、担当局長から答弁させます。

三浦政府参考人 御指摘の個人識別情報の管理、保管につきましては、これは厳重にすべきことは当然でございます。

 今我々が考えておりますのは、外国人から提供を受けました個人識別情報につきまして、これを暗号化いたしまして、専用の通信回線を使いましてデータベースの機器に送信して、そこに蓄積するということを考えております。また、このデータベースの機器類につきましては、立ち入り制限をします専用の区画に設置いたしまして、部外者の侵入ができないような措置を講じることも考えております。また、データベース機器へのアクセス制限やシステムの監督を行いまして、技術的かつ組織的なセキュリティー対策を実施するということを予定しているものでございます。

 こういったことを、万全の体制のもとに、細心の注意をもって保管、管理を行う所存でございます。

石関委員 ちゃんとこれを管理しますので信用してください、別の法令なんか要りませんよ、こういう御答弁かと思いますが、大臣、それでよろしいですか。

杉浦国務大臣 もう当然のことながら、重要な個人情報ですから、厳重に管理するということは当然のことだと思います。

石関委員 しかし、最近、法務省だけでなく、今大変な問題になっております個人情報の役所からの流出ですね、法務省においては受刑者とか未決拘禁者の個人情報、これが大量に流出をしたという事件がありました。

 今、大丈夫だというふうにおっしゃられても、現に今現在、情報の管理とかそれに対する法務省の認識は大変希薄で、このことに対して私は大変な危惧を抱いているんですが、まずこういったところからしっかり認識を高めて、情報の大切さというものをまず徹底していただかないと、これだけの情報を新たに採取しようということにはまだ早いのではないかと私は思いますが、既に起こった情報の流出を踏まえて、大臣、改めてどういうふうにお考えになっていますか。

杉浦国務大臣 法の番人たる法務省が、その一部職員が公的情報を持ち出しましてウィニーにつないだ、そこでウイルスに感染されて、相当大量の情報が流出したという事故は重大に受けとめております。現在、徹底調査をし、点検をし、再発防止策を検討し、最終的には職員の処分も考えておるところでございますが、まだ最終的な結論は出ておりません。

 今度行うこの個人情報について、同じようなことが絶対起こってはならないことは申すまでもございません。対応策を当然考えておるわけでございますが、ちょっとその詳しいことは、私、技術的なことはわかりませんので、事務方から説明させます。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣から御説明ございましたが、ウィニーなどの交換ソフトにつきましては、これは、一般のインターネットですとか、こういうところにつなぐことによって被害が出るということのようでございます。

 私ども、今具体的な対策として考えておりますのは、いわゆる指紋等の個人識別情報のデータのやりとりにつきましては専用の回線を使用するということを考えております。端末機器を専用のシステム以外のネットワーク、例えばインターネットに接続することが一切できないようなシステムとするということでございます。

 それから二つ目といたしまして、端末機器やデータベースの機器につきましても、コンピューターウイルス対策のソフトウエアを必ず導入するということ。

 それから三点目といたしまして、端末機器には基本ソフトウエア以外のソフトウエアを無断でインストールできないような構造にする。

 こういうシステム上の対策を施すこととしておりますほかに、決められました職員以外の者が個人識別情報にアクセスすることができないような形で、アクセスできる者を限定する、こういった情報セキュリティー体制を構築することとしておるところでございます。

石関委員 ウィニーのようなそういうソフトによって、これだけの情報が流出してしまった。今、認識の不足ですとか体制の不備というものがある段階で、それが解決し切っていない段階で、違うシステムだということでありますが、私はこの情報の管理について大変な懸念をしておりますので、そのことをしっかり表明させていただきたいと思います。

 次に、先ほどもちょっと触れましたけれども、上陸時に取得をした外国人の個人識別情報、これについては行政機関等個人情報保護法に基づいて利用及び提供がされるということでありますが、この法律の八条二項に言う利用目的以外の目的のための利用及びほかの行政機関に対する提供について、先ほどちょっと御答弁をいただきましたけれども、具体的にどのような場合、例を想定されているのかというのをお尋ねしたいと思います。

三浦政府参考人 いわゆる行政機関が保有する個人情報ということになりますので、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の適用を受けることになるわけでございます。したがいまして、同法に規定します個人情報として、法律上可能な範囲で利用及び提供を行うということになるわけでございます。

 具体的に申しますと、例えば、警察等が犯罪捜査に必要であるということで、刑事訴訟法に基づきまして捜査関係事項照会というものを出してきた場合には、これはまさに法律に基づいた照会でございますので、これに対しまして、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律で認められる範囲内において回答をするということになると思います。

石関委員 今の部分をもう一度お尋ねいたします。

 そうすると、捜査関係事項照会書ですか、これが出された場合には、改めて、どんな基準でこの照会に応じるのか、また、どんな被疑事実でも照会に応じますよということなのか、こういう基準があってこれでやるんだということなのか、お答えをお願いします。

三浦政府参考人 具体的な照会の中身によるんだろうと思いますけれども、あくまで、刑事訴訟法に規定します捜査関係事項照会というのは、前提といたしまして、具体的な被疑事実と申しますか、犯罪と疑われるような事実が存在して、それの立証のために証拠収集として照会をする、こういうものでありますので、そういうものが具体的にないような状態で、例えば、一律に入管の持っている指紋情報を全部見せてくれというふうなことであれば、これは到底応ずるべきではないわけでありますので、個別の事案の内容によるんだろうと思います。

石関委員 それでは、例えば、今の、警察等の捜査機関からの照会で、犯罪現場の遺留指紋との照合を行いたい、指紋が残っていたので、これとの照合を行いたいので、入管から外国人の指紋情報をすべて提供してくださいよ、こういう照会、依頼があったときには、法務省としてはこれに応じるんでしょうか、いかがですか。

三浦政府参考人 委員の御質問の趣旨をもしかしたら取り違えているかもしれませんが、要するに、何らかの犯罪の痕跡と思われる指紋が今警察の手元にあるので、入管から全部指紋を出してくれというのは、やはりちょっと筋が変なのかなというふうに思います。

 ただ、具体的に、当該指紋について特定された形で、こういう指紋が非常に重要である、例えば、どうも外国人だと思われる方が亡くなっていて、およそその人定をする手がかりがほかにない、ただ指紋だけわかっているというケースで、この指紋が現在日本にいる外国人だと思われるけれども入国の事実があるかないかというような照会があれば、これは当然、照合してお答えをすることになると思います。

石関委員 それでは確認いたしますけれども、遺留の指紋があって、これと照合したいと、では、入管が持っているデータを全部見せてくれ、全部に照合したいんだというようなことは、今のお話では、現在のところ想定されないということでよろしいんですね。

三浦政府参考人 あくまで入管が入管行政の目的で保有している情報でございますので、これをそのまま警察にすべて渡すということはあり得ない話でございまして、必要があれば、警察の方から照会をいただいて、私どもの方で、その照会された当該指紋なら指紋に該当するものがあるかないかというのをこちらの方で照合作業をいたしまして、あれば回答をいたします。こういうことでございます。

石関委員 そうすると、個別の案件によって必要性を判断される、しかし、それについての明確な基準はないということでよろしいですね。

三浦政府参考人 私が申し上げているのは、あくまで法に基づいて措置をするということでございますので、当該情報、今回法改正でお願いしている指紋や顔写真の情報といいますのは、基本的には出入国管理の公正に資するという目的でございますので、入管業務以外のところで使用するのは、それは目的外の使用ということになろうかと思います。

 目的外の使用の場合には、それなりに保護法で認められた範囲内でこれを行うということになるわけでございますので、そういう意味では、今御指摘ございましたように、我々が、例えば何百万件も指紋情報を持っていて、これを一律に別の組織に提出するというか、そういうことはおよそあり得ないだろうというふうに思っております。(発言する者あり)それは、まさに本来の目的から外れるわけでありますし……。

石関委員 目的とか目的外とかありましたけれども、結局のところ、基準はなくて個別に必要性を判断するということでよろしいんでしょうか。もう一度確認をいたします。

三浦政府参考人 御指摘のとおり、結局のところは個別の検討によるということになると思います。

石関委員 では、基準はない、個別に判断をするということですから、大変、恣意的な判断をされるんじゃないかなという不安も今抱きました。

 もう一つ、出入国管理及び難民認定法の六十一条の九、この運用についてお尋ねをいたします。

 この規定は、昨年の改正で新設をされた、外国の入国管理当局に情報を提供し、あるいは外国の入国管理当局から情報を取得することができるという規定でございます。これについてお尋ねします。

 先ほど、副大臣から関連の御答弁があったと思いますけれども、ほかの国が整っていないじゃないかということで質問させていただきましたが、十七日に、やはり三浦政府参考人の答弁によりますと、テロリストの情報を収集するために活用し、入手をするという答弁をされていると思います。それでは、それ以外の目的に利用することはないというふうに考えてよろしいんでしょうか。

三浦政府参考人 御質問の趣旨がちょっと、私も自信がないんですが、要するに、テロリストに関する情報を外国から入手した場合に、その情報については、テロリストの認定、テロ対策のためにだけ限定されるのか、こういう御趣旨でございましょうか。

 恐らく、テロリストの認定に資する資料というのは、一般では、まさにその部分においてしか用をなさないのかなということだろうと思います。

 ただ、仮に外国からテロリストに関する何らかの情報を入手した場合には、それは当然、我々としても要注意人物としてマークすべき対象になりますので、場合によったら別の関係で、入管行政上必要に応じてそれが有効に役に立つことがあるのかもしれません。そういうことでございます。

河野副大臣 例えば人身取引などに関してデータのやりとりをするということは、入管の仕事として、入管の目的としてあり得ると思います。

石関委員 それでは、例えばの例で幾つかお尋ねをしたいと思いますけれども、テロリストかどうかというのは我が国ではよくわからないけれども、外国の入管当局から情報の提供をしてくださいという要求があれば、例えば対象者の指紋情報、入出国の情報、在留情報、こういったものをそれぞれ提出することになるということでよろしいんですか。

三浦政府参考人 ちょっと今、御質問の趣旨を私はっきり理解できなかったんですが、日本の方から外国に情報を提供するという御趣旨の御質問でございましょうか。

 私ども、今考えておりますのは、まず我が国におけるテロ対策というのを最優先すべきだろうということでありますので、外国から日本にテロ情報を提供してやってもいいというところがあれば、これをいただくということを最優先にしようと思っております。

 もちろん、外国に対してテロ情報で提供できるものがあれば、将来的には我が国からも何か提供するんだろうと思いますが、では、具体的にどの範囲の情報をどの程度提供するかということは、まさにこれは、今委員御指摘になった法の六十一条の九ですか、この趣旨にのっとってなされるべきものだろうというふうに思いますので、現段階で、まだ具体的なものがない段階で一般的に御説明するのはなかなか難しいかなと思っております。

石関委員 今、具体的なことがないのでわからないということですけれども、でも、どういうことがあるのか想定はされているべきだというふうに思います。

 今の情報の交換の形式ですけれども、例えば、だれだというのがよくわからないけれども、いつからいつまでに入国したとか、そういった情報を一般的な形式で、いつからいつまでの情報をよこしてくださいよ、こういったものを相互にやりとりするとか、そういうことはあるんですか。例えば、この人が怪しいからこの人の情報を出してくれということではなしに、何月何日から何月何日まで入国した人の情報を全部下さいと。先ほどは、残った指紋を照合するのに全部よこしてください、それはなかなかないだろうという御答弁でしたけれども、こちらの入国の情報、いつからいつまでにこの人が入国したかもしれない、しかし、この人かどうかよくわからない、特定をされない人の情報を収集したいために、いつからいつまでという、包括的に情報を交換するということはあり得るんですか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 諸外国との間でどのような形で情報交換をしていくかというのは、具体的なものについてはこれから各国といろいろ協議して詰めていくわけでございますけれども、今御質問のように、例えば昨年一年間に我が国に入国した外国人の指紋情報をすべて某国に出すといいますか、提供するというようなことは、常識では考えられないというふうに私は思っております。

石関委員 では、常識に従って、ないというふうに理解してよろしいですか。

河野副大臣 一定の期間に来日をした外国人の指紋をすべて提供するようなことはありません。

石関委員 ないというふうに明確におっしゃっていただきました。

 あと、今回の改正案の中で、特別永住者というのは対象外になっているんですね。ただ、永住者は対象外になっていないということで、これはアメリカのUS―VISITのシステムにおいては、永住権を持っている人は対象にならないというふうにされていると考えています。これの確認を一点いただいて、日本の場合はどうして両者を区別しているんでしょうか。

河野副大臣 永住者に外国人が成り済まして入国をされては困るわけでございますから、その者が永住者であるかどうかは、指紋を使って認定をさせていただきたいと思っております。

 特別永住者につきましては、そうした事情を超えた歴史的な背景があると思いますので、今回は除外をしてあります。

三浦政府参考人 米国におきましては、適用対象は非移民査証により入国する外国人であるというふうにされていると承知しております。つまり、移民の人は別としまして、それ以外の人が査証をとって米国に入る場合に指紋採取の対象となる、こういう制度だというふうに承知しておるわけであります。ただ、例外的に、例えば十四歳未満の者ですとか八十歳以上の者、外交、公用を目的とする者その他について免除されるという扱いがあるようでございます。

 今、我が国の永住者とアメリカとの扱いの差といいますか、対比の御質問でございますけれども、確かに、今般の入管法の改正案におきましては、永住者、特別ではなくて単なる永住者ですが、これについては義務の免除をしていないわけでございます。これに該当する者としてはやはり、アメリカでは移民の方が我が国の永住者に近い立場になるんだろうと思います。米国におきましては、いわゆるUS―VISITということで、入国の都度、移民の対象者から指紋をとっているわけではないようでありますけれども、最初にアメリカに渡る場合の査証を取得する際には、きちっと指紋を採取しておるようであります。その情報がUS―VISITで取得した情報と同じシステムのもとに保管されているというふうに承知しております。

石関委員 ちょっと観点を変えて、現在の入管行政の問題点についてお尋ねをしたいと思います。

 一つ、これは事例ですけれども、二〇〇四年の十一月、西日本入国管理センターにおいて、ベトナム人女性二十九歳、ペルー人男性四十二歳、これが入管の職員によってす巻きのように縛られて、女性は手足にけがをして大阪地検に告訴をしている、強制送還をしようとした事案ですけれども、男性の方は、空港で異常な様子を見た飛行機の乗務員が、尋常な様子でないので搭乗を拒んで、送還に失敗をした、飛行機の乗務員が、余りにも、す巻きにされた人を飛行機に乗せていくのは普通じゃないというふうに判断をして、搭乗させなかったということですね。それで、結果として送還に失敗したということでありますが、同入管は、正当な業務行為であるというふうにアナウンスをしているんですけれども、この事実関係をお尋ねいたします。

三浦政府参考人 委員の御指摘のような新聞記事があったことは私も承知しております。

 事実関係についてということでございますが、今、す巻きという表現がされました。まさに新聞はす巻きと書いてあるのでありますが、私が承知しているす巻きというのは、まさによしずに人間をぐるぐる巻きにしてというケースですが、そういうことは一切ございません。

 ベトナム女性の事案でございますが、平成十六年の十一月、送還に際しまして、非常に手足をばたつかせるなどして暴れたことから、これは、本人の体の保護もございますし、周りに対する影響もございますので、戒具を使用することができるということになっております。規則で定められました戒具を使用した事実はございます。航空機に搭乗後も抵抗をいたしまして、機内で大声を上げるなどしたわけでございますが、その後、本人が落ちつきましたので、予定どおり送還を実施したということでございます。

 この件につきましては、本人の関係者から刑事告訴がなされましたけれども、これについては不起訴処分になったものと承知しております。

 二点目のペルー人男性の事案でございます。

 これもほぼ同じ時期、十六年の十一月でございますが、同じように、送還便に搭乗させようとした際に、両手足を激しくばたつかせて、職員にかみついたり大声を上げて抵抗した、こういうことで戒具を使ったという事案でございます。

 この状況を見まして、航空会社の方で、これは航空機に乗せることができないということで搭乗を拒否されたもので、送還を延期したわけでありますが、翌十七年の二月に、本人がみずから帰国をする意思を示しまして、送還済みということでございます。

 今申し上げましたような状況でございまして、一般論でございますけれども、退去強制令書が発付された者につきましては、入管法によりまして速やかに送還をすることとされているわけでございます。送還に際しましては、本人がけがをしないための身体の保護でございますとか、安全な送還を実施するために必要な措置を講じることになるわけでございまして、その必要な範囲で行った措置であるということでございます。

石関委員 戒具を使用することができる、これは入国警備官ですね、戒具というのはどの程度の、す巻きの認識というのも人によって違うのかもしれないですけれども、す巻きのような状態ということですから、ぐるぐる巻きにされたり、実際、人権関係の団体が実演もしているということでありますから、どこまで警備官というのはやっていいんですか、戒具を使って。す巻きのようにしても構わない、このくらいのことまで許されているんだと。暴れるのであればいろいろな戒具の使い方もあるでしょうし、どのくらいのことが、いろいろな規則で、警備官ができることという法令があるんだと思いますけれども、どうなっていますか。

三浦政府参考人 法務省令の被収容者処遇規則というのがございまして、この中に、今申し上げたような形で、必要がある場合には戒具を用いることができるというふうになっております。

 この戒具の種類でございますが、一つは手錠でございます。手錠は、一般に警察官が用いている金属製の手錠と、もうちょっと幅の広い革製のものとがございます。それから、二種類目としては、捕縄と言っておりますが、いわゆる縄、ロープでございます。ロープで縛る必要があるときは縛るということでございます。

 委員御指摘の先ほどの事案でございますが、これは恐らく、非常に暴れたことから、毛布などを足にダメージを与えないような形で巻いた上からロープで縛るなりして、一時的に落ちつかせるまでの時間、そういう状態にしたことはあったかと思っております。

石関委員 これは、今御説明がありましたけれども、もっといろいろな事例があって、いろいろな批判もされていると思いますけれども、また別の機会でお尋ねをしていきたいと思います。

 またちょっと変えて、これは主にフィリピン人を対象にした入国資格の件ですけれども、これは十八年二月一日の毎日新聞にある記事ですが、入国審査の厳しい東京入管を避けて、フィリピン人の女性ダンサーや歌手の入国資格を札幌入管で取得し、芸能活動以外の接客業をさせたとして、神奈川県警は一日、招聘業の男女二人を入管法違反容疑で逮捕したということであります。管轄外申請制度というものを悪用した例だというふうに承知をしております。

 ただ、そもそもこれは、ここに、法務省入国管理局のコメントが最後の方に出ておりまして、こういった地方の審査の甘さを悪用して、この制度を悪用して証明書をとったということなんですけれども、同証明書の発給率は、東京入管は明らかにほかの入管より低く、以前の半分以下程度であると、これは法務省入国管理局が新聞社に対してコメントを出していますね。ということは、犯罪を犯したので逮捕されてもしようがない人たちでありますけれども、そもそもこれができるということは、東京入管と地方の入管の審査の違いがある、ここに私は問題がある、これがそもそもおかしなことだというふうに思います。

 だけれども、法務省は、興行目的の同証明書について、入管別申請数や発給数というのは公表していない。これは、公表していないかどうか、一つお尋ねをいたします。

 そして、地方と東京では、審査の基準があいまいで、東京はきつくて地方は甘いということがあったのかどうか、お尋ねをいたします。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 これは恐らく興行の在留資格認定証明書の交付の申請とそれに対する交付率の話だろうと思いますが、確かに、おっしゃるとおり、数字は、統計的なものは公表していないと思います。

 ただ、今、東京局とその他の局でいわゆる交付率について大分差があるという御指摘でございましたが、私ども、先生からお話がございまして、ちょっと調べてみました。昨年一年間、平成十七年の一年間における興行の在留資格認定証明書の交付申請に対する処分状況で、いわゆる交付率がどの程度あったかということで、全国平均七〇%でございます。それに対しまして東京が六六%ということで、多少は低いのでございますが、これはいろいろな個別のケースがございまして、それぞれ審査をするわけでございます。

 もちろん、基準については省令ではっきり決まっておりますので、基準に本件申請が合致するかどうかというところをいろいろな提出された資料で判断していくわけでございますので、それは多少のばらつきが出ることはあるかもしれませんが、押しなべて見ますと、ほぼ同じようなパーセントになっているというふうに認識しております。

石関委員 この中で業界団体のコメントも出ていますけれども。今、そんなに変わらないんじゃないか、全国平均が七〇%で、東京は六六だから四%しか違いませんよという話ですけれども、これは業界団体のコメントで、各入管によって判断基準が異なっている可能性があると大変批判をしているんですね。これは批判には当たらないということだと思うんですが、今の御答弁。であれば、公正に、皆さんがそうですかと納得するように、入管別の申請数とか発給数とか、これを公表すれば皆さんは納得されると思うんですね。これを公表しないから怪しいんじゃないかということになっているんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

三浦政府参考人 ちょっと私、今手元に具体的な資料がなく、急なお尋ねですから、はっきり正確にお答えできるかどうかわかりませんが、それなりに何か理由があるんだろうと思いますけれども、御指摘を踏まえて、公表できるものであれば、それは公表する方向で検討はしてまいりたいと思っております。

石関委員 理由は今のところはわからないということですけれども、理由があるのなら、後で結構ですから教えてください。基本的にはこういった情報というのは公開が基準だと思いますので、何で公開をしていないのか、そのことがあらぬ批判を呼んでいるのだとすればこれは失敬な話ですから、しっかりとこれは公表をしていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、入管の関係でお尋ねをします。

 私、手元に、事務連絡で、平成十六年十月二十二日。あて先は、入国者収容所総務課長殿、地方入国管理局総務課長殿、地方入国管理局支局総務課長殿。発出元は、法務省入国管理局総務課補佐官の丸山秀治さんという方になっております。

 タイトルは「職員の申請者等に対する適切な応接について」ということで、いろいろな苦情が当局に寄せられている、「入国手続について十分な説明がなされなかった。」「電話による対応が横柄である。」と、職員の応接に関する苦情が寄せられているということであります。「その対応如何によっては世界各国における日本の印象を損ねる事態ともなりかねません。出入国管理行政においては退去強制処分を始めとして不利益処分を行うこともあり、時には厳正な対応が求められることもありますが、迅速かつ丁寧な対応をすることにより相手方に無用な不信感を抱かせることなく処分を行うことが可能になると思われます。つきましては、当局の行政の対象者の多くが、我が国の制度や日本語を十分に理解していない外国人であることを再認識し、従前にも増して職員一人ひとりが適切な応接に努めるよう一層配意して頂きたく改めてお願い致します。」と。

 この文書が、事務連絡が出るに至った経緯というのは、こういった苦情がたくさん来ているということを背景にしているんだと思いますし、どういった経緯でこういう文書が出されているのか。あるいは、どのような頻度でこういう文書が出されていて、ちゃんとした応接をしてくださいよということなのか。どの程度の苦情が寄せられているのか。お尋ねをします。

三浦政府参考人 委員御指摘のとおり、全国の入管で、いろいろ窓口業務等に関して、国民の方、また外国人の方から苦情が寄せられることは多うございます。ただ、統計をはっきりとっているわけではないものですから、今どの程度という数は申し上げられないのでございますけれども、今御指摘のございました事務連絡は、まさにそのころに、入管を利用された方から、いろいろ職員の窓口における応接態度、接遇等について問題があるのではないかという御指摘がございまして、これを受けまして、我々といたしましても、改めるべきところはきちんと改めるということで、こういう通知を出した次第でございます。

 もちろん、そのほかにも、各種研修等を通じまして、国民の皆さんや外国人の皆さんに不快な思いをさせないよう、接遇には十分に注意を払ってまいりたいと思います。

石関委員 役所がこうやって、事務連絡であっても文書で出すというのは大事なことであります。軽微なことについてはこういうことをしないということでありますから、よほどの苦情が寄せられているというふうに拝察をしますし、このことに大変懸念をしております。

 まず、入管行政で、外国の方にもしっかり信頼をされる入管行政を現段階でしっかり行ってもらう。そのことがなければ、さらに外国の方にいろいろな不信を抱かせるような、今回の、指紋採取をしたり、こういった法改正によるいろいろな外国人の方への対応が変わってくるということは、到底私は受け入れられないというふうに思いますので、そのことをしっかり申し上げて、私の質問を終わりにさせていただきます。

石原委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 今回の法案については、いろいろな観点から問題点が非常に多いといいますか、慎重に考えなければならない点があるように私としては思っております。そういう意味で、この法案については慎重審議をお願いするとともに、我々としても、どうしても我々としてはここは認めがたいという点については修正案というような形で今後検討も進めていきたいというふうに思っておりますので、その点もぜひ御協力いただきたいというふうに思います。

 そこで、まず最初に、この法案を審議入りするに当たって、前提条件ができているのかというような話としてひとつお聞きいたしたいと思うのであります。

 手元に、法務省作成の予算関係の資料、こんなシステムの中で物事が動けばこれだけの予算がかかるというようなことでお示ししていただいているんですけれども、今回の法案を施行するに当たって必要となる予算というのは、この資料で示されている、これは試算一、試算二という場合があるようですけれども、試算二の方がより幅広く行おうということでありますでしょうから、この七十億円ということでよろしいんでしょうか。

河野副大臣 システムのスペックを固めてからでなければ正確な金額はわかりません。最低七十億、もし指紋の判定のレスポンスタイムを短くするというならば、百億円というふうに考えております。

平岡委員 ここに、毎年六百万人から七百万人の方が入国される、その情報をストックして、そしてそれを利用していく。どういう利用をするのかというのはまた後で確認しますけれども、その年間七百万人、河野副大臣の言葉で言えば、七十年間ということでいけば約五億人の人の情報というものがここにあって、照合されていくことになるんですけれども、これはどこに入っているんですか。

三浦政府参考人 委員のお手元にございますこの図によりますと、ここの右側にいわゆるデータベースのような絵がかいてございます。我々が今予定しておりますのは、この図面にもございますように、データベースに組み入れて、我が国に上陸しようとする外国人から採取した指紋と照合する対象は、ICPO手配者、指名手配容疑者の指紋リストと、それから入管で持っております被退去強制外国人の指紋リストということでありまして、八十万とか九十万という話でございます。

 入国される方は毎年七百万とかという数になるわけでございますので、これは十年間ですと七千万となりますが、私どもは今、過去入国した人から採取した指紋に、次に上陸申請をする人から採取した指紋を当てるということは考えておりません。これはもう膨大な数になるわけでございますので、あくまで、この図にございますように、いわゆる退去強制歴のある外国人の指紋情報プラスICPOの手配指紋、こういうことでございます。

平岡委員 それは今までの審議と全然違うじゃないですか。七百万人の情報をストックしておいて、これを活用していくんだと。活用の仕方は、私は非常に問題があると思いますから、この後質問しますよ。集めたものをどう使うかというのが全然示されないで、それを活用するためにはまた予算が必要じゃないですか。そういう予算も示されないで、こんな法案を審議するというわけにはいかないですよ。

 我々は、これを議員立法で出すとしたら、この議員立法を遂行するために幾ら予算がかかるのか、ちゃんと予算の金額を、それは幅があるかもしれませんけれども、先ほど言われたように七十億円とか百億円とかあるかもしれませんけれども、そんなものを何も示せないで、そんなことをやるんですというようなことを答弁している。これはおかしいですよ。そんな予算も示されないような法案、こんなものは審議できない。ちゃんと予算を示す。大臣、どうですか。

三浦政府参考人 まさにこの図に数字が書いてございますように、これが、今我々が積み上げて、この程度になるであろうという金額でございます。つまり、先ほど私が説明したようなシステムにおいて、およそ一定の時間、三十秒以内、少なくとも、幾ら時間がかかっても三十秒以内で反応が出るという前提でシステム設計をしますと、七十億くらいになるであろう、こういう数字でございます。

 それから、入国した人たちの毎年七百万件くらいの指紋の情報をストックして、どういうふうに使うかという御質問でございますが、これは例えば……(平岡委員「それは質問していない」と呼ぶ)

平岡委員 その七百万件の情報をストックして、何年間か知りませんけれども、河野副大臣の言葉によれば、七十年間、約五億人のデータをどう使うのかということがここに示されないで、そのための費用が示されないで、この法案は審議できない。大臣、どうですか。

河野副大臣 最初から申し上げておりますように、スペックが決まらなければ正確な概算の費用は出ません。

 七百万人の来日者の指紋をきちっと把握して、別なパスポートで入ってくるような人間は、しっかりと次からの来日時に排除できるような、あるいはきちっと口頭審理ができるような、そういうシステムを組んでいるつもりであります。

平岡委員 そのための予算がどこに示されているのかというのを聞いているんですよ。そのための予算がなければ質問できない。

杉浦国務大臣 このシステムといいますか、やり方は、法律を成立させていただいて、施行後一年半に実施するという内容になっておりますので、今年度予算にはもちろん入っておりません。

平岡委員 そんなことは聞かなくたってわかりますよ。七十億円だって入っていないのは、私もよく知っていますよ。

 私は、一年間七百万件集まるそういう個人識別情報、これをどう利用するのかについて、どのようなシステムになるのか、そのために費用はどれだけかかるかということが示されなければ、予算が示されなければこの法案は審議できないと言っているんですよ。示してください。

河野副大臣 ここでお示ししているシステムは、来日された際に指紋を提供いただいて、その指紋をどういう形で照合するのかというシステムについてお示しをしているわけであります。その指紋情報を保存するシステムにつきましては、今大変にコストダウンが早い世の中になっておりますので、どれだけの予算を確保することができるかによって、当然にその容量は変わってまいります。

 先ほど、最長で七十年ないし八十年指紋を保存したいというふうに申し上げておりますが、七十年ないし八十年というのは、十六歳で指紋を提供いただいた方が、生きて、平均寿命でその程度の指紋をいただけるんだろうと。最長の理論値をしっかり確保できるかどうかは、保存する装置の費用その他を勘案しなければ、当然にできないわけであります。

平岡委員 七百万件を保存するだけの費用を聞いているんじゃないんですよ。七百万件、何年間か保存して、それを照合していく、その照合するための費用もかかるわけですよ。そのものについて何も情報が提供されていない。我々は、この法案を実行するためにどれだけの予算がかかるのかというのをちゃんと示せと言って、出てきたのがこれですよ。

 だから、我々は、そんな全貌がわからないような状態でこの法案を審議できない。大臣、どうですか。審議できない。

三浦政府参考人 今委員御指摘の、毎年の七百万人程度の入国者の指紋情報、これについては、蓄積方法はいろいろあるんだろうと思います。要するに、データベースにため込むわけでございますが、我々が今考えておりますのは、そういった膨大な数の指紋情報に対して、入国審査の段階で一々当てていても、時間がかかって、そんなことでは到底入国審査はできないわけでありますので、それは考えておりません。あくまで、ここに掲げさせていただいたのは、ブラックリストに当てる。

 ただ、先回の法務委員会でも警察の方から御説明がありましたが、いわゆるデュモンというテロリストが日本に過去何回も出入りしておった。最初に日本に来た段階……(平岡委員「そんなことは聞いていない。時間稼ぎしないでください」と呼ぶ)時間稼ぎではありません。聞いてください。

 それで、そういった、後から照合をする必要がある場合には、多少時間がかかってもそれは構わない場合が多いわけでございますので、後日、問題が発覚したときに照合をする作業というのはこのシステムを利用してできるわけでございますので、私どもは、そういう照合作業も含めた上で、この七十億程度の予算でできるというふうに試算をしておるところであります。

平岡委員 まず、この七百万件、毎年来る分についての利用の仕方、皆さん考えておられるのはいろいろあるかと思いますけれども、これについて、どのぐらいの予算がかかるのか、これは次に私が審議をするまでに用意をしてください。よろしいですね。

河野副大臣 七百万件の毎年来日される方の指紋を名寄せする費用は、この七十億円に入っております。そうした方の指紋のデータベースをどれぐらい保存できるかというのは、その時点におけるベストな価格帯、性能を持った保存装置が幾らであるのか、あるいは幾らの予算を我々が確保できるかによって変わってまいります。

平岡委員 では、河野さん、私、これは確認しておきますよ。例えばでいいんですけれども、十年間保存して、過去十年間入った人と、ことし入ってくる七百万人の人たちを照合するということをやるんですね。入国時にやるんですね。

三浦政府参考人 先ほども御説明いたしましたように、入国審査時には照合することは考えておりません。七百万が積年たまっていきますと何千万という数になるわけでございますが、これに対して、十秒とか二十秒とか三十秒といった時間で照合するということになりますと、これは莫大なコンピューターが必要になるわけでありまして、そこまで考えてはおりません。

平岡委員 河野副大臣、それでいいですね。

河野副大臣 入ってきた方の指紋を名寄せして、もし別なパスポートで入ってきた同じ指紋があれば、当然にブラックリストにつけ加えます。残念ながら、入国時に瞬時にやるだけのシステムを組める予算がとれるとは思っておりませんので、一度いただいた指紋情報をバックオフィスで名寄せをして、必要な指紋があればブラックリストに加えるということでございます。

平岡委員 それを私は聞いているんですけれども、名寄せをするための費用はどのぐらいかかるんですかと。

河野副大臣 この七十億に入っております。

平岡委員 局長、それでいいですか。

三浦政府参考人 副大臣からお話があったとおりでございます。

平岡委員 それだったら、我々に提出された資料は全くのうそじゃないですか。どこに、そうやって名寄せをするという形になっているんですか。名寄せするというようなことはどこに書いてあるんですか。名寄せをするとどこに書いてありますか。

河野副大臣 わかりやすい概念図でございます。

平岡委員 要するに、自分たちの都合のいいところを隠すのがわかりやすい概念図というんだったら、これはもう審議できないですよ。ちゃんと全体像がわかるものを出してください。

 この法律によって、一体皆さん何をしようとしているのか。この利用目的がさっぱりわからない、法律に書いていない。

 私たちは、この法律を素直に読んだら、入国時に指紋とかをもらって、そしてそれを今までのいろいろなブラックリストに載っている人たちと照合してみて、これがもし該当するならば、この人たちについては入国を認めないというようなことに使われるのかなと思ったら、全く違うことが行われようとしている。こんな法案、これは欠陥法案ですよ。(河野副大臣「委員長」と呼ぶ)ちょっと待ってください。

 それで、私は思いますけれども、この個人情報保護法、皆さん方は行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律をよく引用されますけれども、皆さん、これをよく読んでくださいよ。この法律だけでいいと私は思いませんけれども、こうした指紋のような個人の情報としては非常にセンシティブな情報を、一片の文書にかかわるような個人情報の保護に関する法律で管理していこうということ自体がまず間違っている。

 このことを指摘した上で、さらに言えば、ここに言う第三条にちゃんと書いてありますよ。「行政機関は、個人情報を保有するに当たっては、法令の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。」「行政機関は、前項の規定により特定された利用の目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を保有してはならない。」

 さっき言ったような、名寄せをするとかというようなことは、どこに書いてあるんですか、この法律の中に。今回の入管法の中にどこに書いてあるんですか。

河野副大臣 この法案の目的は極めて明確であります。

 第一に、我が国に侵入しようとしているテロリストを未然に防止することであります。第二に、これは入国管理法でございますから、我が国に外国人が来日されるときに、適正にその来日を管理することであります。

平岡委員 それでは、まず、この法律によって、指紋を採取する、提出してもらう、これによって一体何をしようとしているのか、これをすべて出してください。特に、法務省の中で何をしようとしているか。

 それからもう一つは、後で私は質問しますけれども、こういう情報が漏れた場合の影響は物すごく大きいですよ。だから、いろいろなところで、目的外利用、本来の目的外利用をする場合がある、先ほども同僚議員が質問しましたけれども。何か知らぬけれども、行政機関から問い合わせが来たら、要請が来たら、それについて一つ一つ個別に判断していきます、そんなばかなことはないですよ。やはりこういった情報については、どういう場合には提供でき、どういう場合には提供できないのか、この基準がしっかりとできていない限りは、こんなものはできないですよ、こんな法律は。

 大臣、大臣はこれまでの答弁の中で、指紋を採取することについては、公共の福祉というようなことであるならば指紋を採取することも許されるんだ、これは例の外国人登録法の関係の判例に基づいてそういうような答弁をされておられるわけでありますけれども、ただ、大臣、この判例は、そういう必要性があれば何でもできるということを言っているわけじゃないんですよね。

 例えば、こういうことをこの判例では言っています。採取された指紋の利用方法次第では個人の私生活、プライバシーが侵害される危険性がある。個人の私生活上の自由の一つとして、何人もみだりに指紋の押捺を強制されない自由を有する。先ほど大臣は、何か採取の方法がこれまでと違うからそれでいいんだという答弁をしましたけれども、それは、今の最高裁の判例では、そういう視点もあるかもしれませんけれども、そうじゃない。指紋そのものというものがそういう性格のものであるということを言っているわけですよ。

 どうですか、大臣。この指紋をどう利用するのか、これについてしっかりと、その利用の目的、方法、どういう場合にやるのか、これを我々にちゃんと示してください。

河野副大臣 指紋の使用は明確であります。

 一つは、諸外国から提供された情報等に基づいたテロリスト関連のブラックリストに照合をして、テロリストの入国を未然に排除するということであります。次に、退去強制をされた過去のある外国人、あるいは不正に複数の旅券を使ったり、そうした外国人のブラックリストをつくって、そこに当てはまる人間の入国をお断りするということであります。

平岡委員 では、法務省で利用するのはそれだけですね。いいんですね、副大臣。いいんですね、それで。

三浦政府参考人 まさに今副大臣から御説明がありましたように、入国審査時に問題のある外国人をきっちり発見するということが目的でありますが、ただ、それはまさにそのときだけではなくて、過去に入ってきた外国人についても当然その調査もして、問題のある人物であるということが後日判明するということもあるわけでございますので、そういうことにも当然使うわけでございます。

平岡委員 何か二人が答弁しなければわからないような制度じゃなくて、統一見解をちゃんと出してください。政府は、法務省として、提出された指紋については法務省の中でどのように利用するのか、そして、法務省はどのような場合に、ほかの行政機関から要請があった場合にそれを目的外使用として使うのか、この基準をしっかり示してください。大臣、お願いします。いいですか。

杉浦国務大臣 いや、明確に御答弁していると思いますけれども。

平岡委員 全然明確じゃないですよ、そんなの。ちゃんと政府の統一見解として示してください。

杉浦国務大臣 委員が御指摘になるならば、この見解とこの見解はどう違うかということを明確にお示し願いたいと思います。

平岡委員 では、大臣、もう一遍言ってください。この法律によって指紋を提出させる。この指紋は、法務省の中ではどう利用されるのか、そして法務省の外にはどのような場合に利用されるか。大臣、ここで答えられたら私も引き下がりますよ。

杉浦国務大臣 それは先ほど副大臣と入管局長が御答弁したとおりでございます。

平岡委員 大臣、あなたが答えられないようなことに使われるというのは、それはおかしいんです。大臣、ちゃんと答えてください。(発言する者あり)答えていない。答えてください、大臣。(河野副大臣「委員長」と呼ぶ)副大臣はいい。大臣が答えられないような、何のために使うのか、どう使うのかが答えられないような法律なんか、こんなのはだめですよ。どういうことですか、これは。

河野副大臣 入国の管理に関しましては私が担当させていただいておりますので、私からお答えさせていただきます。

 この指紋の採取につきましては、テロリストの入国の未然防止、入国審査、在留管理、あるいは過去にテロリスト等の入国の歴があることがわかった場合にこの指紋のデータベースを利用するわけでございます。

平岡委員 それは、さっき言った、法務省の中でどう利用するかということの一部ですよね。それで全部ですか。そして、法務省の外に出るときにはどうなるのか、これについて答弁していませんよね。どういう基準でやるのか、答弁していますか。していないじゃないですか。

 そんないいかげんなことを、そんな後ろの方からちらちら答弁書を出さなければわからないようなものじゃなくて、ちゃんと政府の統一見解を、法務省の中でどう利用するのかということと、法務省から外へ出ていくときには、どういう場合には提供されるのか、このことについての基準をしっかりと示してください。そうでなければ、こんな法案、審査できないですよ。何のために使われるかわからない、そんな恐ろしい法案なんか、こんなのはとても認められないです。

杉浦国務大臣 先ほど来、この個人情報、これは外国人の個人情報ですが、これを、外部から話がある場合には、個人保護法制に従って、個別にきちっと調査した上で対応するということは入管局長も申しております。

平岡委員 だから、個別に対応するでは全然わからないんですよ。指紋を採取される人たちが、どう利用されるかわからない。これは外国人だけじゃないですよ。これから、何か自動化ゲートとかというような形で入管の円滑化のために任意に提出される指紋、これについても、どう利用されるかわからない。そんなことで本当に円滑化できるような指紋の提出が行われると思いますか。提出された指紋がどのように利用されるのか、このことをはっきりと示してください。

 これは、政府とやっていても仕方ないので、委員長、ちゃんと政府に対して要求するように理事会でも取り上げていただきたい。

石原委員長 後日、理事会で協議いたします。

平岡委員 ちょっと時間がなくて、押し問答していても本当に時間の無駄なので、私は聞きたいことはたくさんあるので、とりあえず次へ移らせていただきたいというふうに思います。

 先ほど河野副大臣が年間七百万件のデータベースについての使い方をちょっと言われましたけれども、この七百万件、まずどのぐらい保有する期間があるのかということについて、何か先ほど大臣は、論理的な可能性としてはそういうのがあるということを申し上げただけだというふうに言われていますけれども、河野副大臣、私、速記録を見たら明確に、副大臣は、指紋の最低採取年齢が十六歳ということを考えると、七、八十年は保有したいというふうに考えておりますと。要するに、そういうふうにしたいということを言っているんだよね。これは論理的な可能性を言っているんじゃないですよ。副大臣としての意向を言っているんですよね。副大臣、そういう意向を持っておるということですか。

河野副大臣 大体、人間の平均寿命が七、八十歳ということを考えますと、十六歳で指紋を提供された方の平均余命は七、八十年ということに論理的になると思います。

平岡委員 質問に答えないこの態度は、本当に許しがたいね。あなたは、七、八十年保有したいというふうに考えておりますという答弁をしている。これはまさに、副大臣が大臣にかわって答弁するぐらい、閣議には出られないけれども、大臣にかわって答弁するぐらい、そういう意向を、法務省としての意向を示したということじゃないですか。それはそういうことでいいんですね。論理的可能性を示した、だれもこんなことは読まない。副大臣、どうですか。

河野副大臣 予算が潤沢にあれば、七、八十年保有をして、きちっと、一つの指紋を持った人間が複数のあるいは虚偽の旅券を持って入ってこないような体制をとりたいというふうに考えております。

 もちろん、こういう御時世でありますから、当然に予算に制限があることもあるわけでございます。そのときには、七、八十年保有をしたいけれどもできないかもしれない、そういうことはあるわけであります。しかし、論理的には、十六歳で提供していただいた方がその生存期間中指紋をきっちり保有をすることができれば、その人間が不法入国をすることはできなくなる可能性は非常に大きいと思います。

平岡委員 先ほど同僚議員の質問の中でも、政府には言い方がいろいろあって、要するに、必要な期間だけ保有するんですというふうに、出国後必要な期間だけ、その必要な期間が過ぎたらこれは削除しますと言っています。

 大臣、必要な期間というのは、要するに七、八十年であるけれども、予算がないのでそれは七、八十年にはならないかもしれない、こういう見解が政府の見解であるということでいいんですか。

杉浦国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたが、法務省としては、上陸審査時に特別永住者等を除く外国人から提供を受ける指紋等の個人識別情報につきましては、出入国の公正な管理に必要である間は保有することになります。したがって、まず、提供者がいまだ出国せず、我が国に在留している間は保有いたします。また、出国後も、事後的な確認の必要性や、再度の入国の際の審査で利用する可能性に備えて、内部の運用基準で定める一定の期間は保有することといたしております。

平岡委員 何か本当に、全然議論がかみ合わない。本当にこの審議をしていてむなしくなるんですね。だから、私が聞いていることに同じことを繰り返さないでくださいよ。七、八十年が必要な期間だということでいいんですね。

杉浦国務大臣 繰り返してもよろしいんですが、繰り返しませんが、先ほど申したとおりでございます。

 河野副大臣の御見解は、したいという表現にもございましたように、法務省の方針を踏まえながら、論理的に可能な数字としてあのような七十年、八十年という数字を出されたものと私は承知しております。

平岡委員 この点については、審議をする前提条件として、まず法務省の、大臣が了承した統一見解、これを示してください。先ほど河野副大臣は違うことを言っていますよ。これが必要だ、だけれども予算がないからそれは制約されるでしょう、これが副大臣が言っていることですよ。この点、いいですか、大臣、統一見解を出してもらえますね。

杉浦国務大臣 私どもは食い違っていると思っておりません。具体的な保有期間につきましては、施行後、その結果を踏まえまして最終的に決定することとしたいと思います。

 なお、現時点で見込んでいる、見込んでいるといいますか検討していると申しましょうか、保有期間については、テロリストや犯罪者に有益な情報を与えることになりますので、公表を差し控えることとしたいと思います。

平岡委員 本当に、質問したことに答えないで時間稼ぎをしているという、河野さん、本当にあなた、こんな国会審議でいいと思っているんですか。これからの将来を担おうとしている河野さんですよ。私は、河野さんもいずれ総理を目指す方だと思って、本当に真剣な議論ができるのかと思ったら、何か知らぬけれども、言葉じりをごまかすような答弁ばかりして、そんなことでは、あそこに、後ろに、少なくなっちゃいましたけれども、民間の方々が、河野さん、大臣、総理大臣になってほしいなと思っている方がおられても、みんな失望しますよ。ちゃんとまじめな、真剣な議論をしなきゃいけないですよ。

 河野さん、七、八十年というのはあなたの希望を言われたので、それは私も希望として受けとめますよ。だけれども、論理的な可能性を言ったのではなくて希望を言ったのであって、それは訂正します、どうしてそういうことが言えないんですか。

河野副大臣 いずれ総理を目指すんじゃなくて、ことしの九月にでもなろうかと思ってやっております。そこだけ訂正をさせてください。

 今回の法律改正の目的の一つに、適正な入国管理ということがございます。そのためには、不法入国を何としてでも防がなければいけない。治安元年ということを考えれば、不法に入国をしてくる人間を水際で防がなければいけないということは大変大事なことであります。そのためには、指紋を一つの個人情報として、複数のあるいは虚偽の旅券で入国することを水際で防がなければいけないというのが、この入国管理法の改正の目的の一つでもあるわけであります。そこから、この指紋がどの期間必要になるかということを考えれば、そこは論理的に明確だと思います。

平岡委員 本当に、自民党もそろそろ政権をおりた方がいいですよ。

 先ほどちょっと私も判例を言いましたけれども、指紋というのはやはり非常にセンシティブな情報なんですよ。だから、七十年間保有するということになったら、その必要性がやはり公共の福祉から見て本当に必要なものでなければいかぬ。本当にそれが説明できるのか。

 先ほどの判例でいけば、採取された指紋の利用方法次第では個人の私生活、プライバシーが侵害される危険性がある。個人の私生活上の自由の一つとして、何人もみだりに指紋の押捺を強制されない自由を有する。最高裁でそういうふうに言っているんですよ。七十年間もこの指紋を保有し続けて管理していく。場合によっては、法務省の外にいろいろな要請があって出ていくかもしれない。こんなことをして、最高裁の判例に合っていないと思いませんか、大臣。

河野副大臣 今、一年間に来日される外国人の数は七百万人を超えております。また、不法滞在あるいは不法入国をされている外国人の数の合計は、およそ二十四万人程度と今推定をしております。不法滞在されている外国人の数は、来日外国人の数に比べて約三%でございます。今、一年間に日本国内で検挙されている外国人の侵入強盗犯の実に五割は不法滞在、侵入窃盗の約六割が不法滞在の外国人であります。

 我々入国管理を預かる身といたしましては、不法滞在を何としても五年で半減という目標をきっちりやり遂げたいというふうに思っておりますが、そんな中でも、退去強制をされた人間の八人に一人がリピーターであるという現実に、全くじくじたる思いであります。

 そういうことを考えれば、今回の入国管理法の改正は、この日本の入国管理に対して大変必要なものである。同時に、テロリストを未然に防止しなければいけないということは、現在、アルカイダから日本がテロ対象国として名指しされている、あるいはバリ島やロンドンでテロで行われたそういう事件を見れば、必要性があるのは明白でございます。

平岡委員 私は何も、水際でいろいろな情報と照らし合わせて管理をすることをやっちゃいけないと言っているんじゃないんですよ。年間七百万件ある人、それをストックしていって、十年たてば七千万件、河野さんの言われる七十年でいけば五億件、そういうものを保有し続けていることが、先ほどの最高裁の判例で言われているように、採取された指紋の利用方法次第では個人の私生活、プライバシーが侵害される危険性がある、このことを最高裁も認めているわけですよ。そういうことを踏まえたときに、年間七百万件、七十年間なら五億件にも上るものを保有し続けている、このことの危険性というのは非常に大きいんじゃないかということを言っているんですよ。

 本当にかみ合わないというか、すれ違い答弁をして、小泉内閣というのはそういうことをすることによって逃れてきたという本当に典型的な悪例を河野さんがそのまま受け継いでいるような気がしてしようがない。

 そこで、杉浦大臣、しっかりと答えてください。

杉浦国務大臣 今、平岡委員から水際で対応するのは反対じゃないんだというお言葉を聞いて、基本的には賛成の趣旨だと承りまして、一安心いたしました。

 保存期間については、再三申し上げていますように、決めておりません。この法律を通していただいて、準備を進めていって、コンピューターの技術は日進月歩でございます。日進月歩です。ですから……(平岡委員「持っていること自体の危険性を言っているんですよ」と呼ぶ)先ほどから再三申し上げていますように、個人情報は厳重に管理いたしまして、先生のような御心配がないようにすることは、再三御答弁申し上げているところでございます。

平岡委員 厳重に管理するのは当たり前ですよ。それは漏えいを防止するという意味で言っておられるんだろうと思いますけれども。

 私がさっきから言っているのは、これは理事会でちゃんと協議することになっていますけれども、本来、法律に基づいてと皆さんが言われていますけれども、そういうものをどういう場合に利用するのか、この利用の仕方いかんによってはプライバシーを本当に侵害するようなことになるわけですよ。だから、こんな膨大な情報を保有していること、どういうふうに利用するかわからないままに保有されていること自体の問題を問うているわけですからね、大臣。漏えい防止の管理の話じゃないんですよ。

 これだけ膨大なものを持っていること自体の危険性、プライバシーを侵すことの危険性については、どういうふうに大臣は考えますか。もう一遍答弁。いや、大臣がさっき答弁したことを聞いているんだから、いいです、副大臣。

杉浦国務大臣 何回も何回も繰り返し御答弁申し上げますが、厳重に管理をいたしまして、先生の御指摘のようなことが起こらないように、この法律の目的以外にはもちろん使わない、そういうことで対応することは、入管局長からも副大臣からも再三御答弁申し上げているとおりでございます。

平岡委員 では、個人情報保護法に書いてある、要するにほかの行政機関に対する提供はしないというふうにお約束された、この法律の目的に従ってしか利用しないと言ったんだから、そういうことの理解でいいですね。

杉浦国務大臣 これも何回も御答弁申し上げているとおり、個人保護法制にのっとって個別に具体的に判断してまいるということは、再三御答弁申し上げているとおりでございます。

平岡委員 その点については、理事会でちゃんと基準を示していただくということを政府に要請するということで取り扱っていただくということになりましたから、それはその後の話としてまた議論をさせていただきたいというふうに思います。

 幾つか、本当に聞いておかなきゃいけないことがたくさんあるんですけれども、同僚議員とのダブりの問題も出てくるかもしれないので、ちょっと省略をしながら話をしていきたいというふうに思います。

 海外とのデータ交換でありますけれども、この海外とのデータ交換でいくと、日本人がアメリカに入国する際にやはり指紋を採取されるわけですね。この情報については、日本側としては入手をすることになるんですか、どうでしょうか。

三浦政府参考人 入手することは考えておりません。

平岡委員 入手することは考えていないというのは、これからもないということだろうと思いますけれども、そこはどこで担保されていますか。制度的にはどこで担保されていますか。

三浦政府参考人 制度的にどうかと言われますとあれですが、入管法に、先ほど情報交換の規定に関する御質問がございましたが、六十一条の九の規定にのっとって、果たして海外から情報を入手できるか、また日本側から情報を提供できるかということになるわけだろうと思いますが、委員御指摘のようなケースでございますと、一般的にアメリカ合衆国に旅行で行かれた方とかそういう方でありまして、大多数は全く問題ない善良な市民の方だろうと思いますが、仮にそういう方の指紋情報を日本が入管として入手しても、入管の適正な管理に資するということにならないだろうと思いますので。

平岡委員 ちょっとよくわからなかったんですけれども、日本がアメリカから、日本人がアメリカに入国したその情報、指紋等の情報を入手するということについては、これはあり得ないということを言われたんですか、制度的にあり得ないと。

三浦政府参考人 私が御説明申し上げましたのは、入管法六十一条の九の規定で情報提供という規定がございますが、これは、日本側が外国の入管当局に情報を提供する場合、どのような場合できるかということでございます。我々が外国から情報をもらう場合も、この反対のケースが想定されるわけでございますが、一般的に、例えば米国に入国した人の情報が我が国の出入国管理の適正な運用についてどれだけ資するものであるかということになりますと、これは疑問だろうと思います。

 例えば……(平岡委員「いや、だから、私が聞いたことに答えてください。制度的にあり得ないということですね」と呼ぶ)解釈上、これはあり得ないと思います。ただし、中に特殊なケースがあれば、それはまた別だろうと思います。一般的にはないだろうと思いますが。

平岡委員 特殊なケースというのはどういう場合ですか。それをちゃんと、特殊なケースというのを説明してもらわなければ、これは特殊です、特殊ですといって、日本人のアメリカ入国に関する指紋情報がどんどんやってくるということになりますよね。こんなのでいいんですか。

 副大臣、何かありますか。

河野副大臣 日本人がアメリカに入国した指紋情報を、日本の入国管理上、もらう必要は全くございません。しかし、アメリカ政府から日本政府にもたらされたテロリスト情報の中に日本国籍を持っている者がいれば、日本人の指紋がアメリカ政府から日本の国にもたらされるという可能性はあります。

平岡委員 副大臣、その場合、その日本人が入国するときに入国を拒否されるんですか。

河野副大臣 入国は拒否されないと思いますが、もしその人間がテロリストであるならば、それなりの法の執行機関の対処というのがあると思います。

平岡委員 それなりの法の執行機関というのは何ですか。入国管理のためにこれを入手するんでしょう。それが必要な何とかの機関というのは何ですか、それは。入国管理局ですか、どこですか、それは。副大臣。

石原委員長 ちょっと議論を整理するために、その前の入管局長に対する答えで御質問があって河野副大臣が答えていますので、まず三浦局長に答えていただいて、その後、河野副大臣に答えていただきます。

三浦政府参考人 先ほどの御質問の趣旨でございますと、日本人が米国に上陸した際の指紋情報ということになりますと、我が国の出入国管理上、入国時に日本人から我が国が指紋を採取することはないわけでございますので、そういう意味では必要ないということになると思います。もちろん、別の警察サイドで必要だというようなケースはあるのかもしれませんが。

平岡委員 では、河野副大臣、自分の答弁を否定してください。取り消してください。

河野副大臣 日本人のテロリストが日本に入国した際には、恐らく日本の入国管理局は入国はさせると思いますが、テロリストが入国したということでありますから、法の執行機関がその後は対処することになります。

平岡委員 河野さんもいろいろ勉強しておられるんだろうと思いますけれども、間違ったことは間違ったでちゃんと取り消してくださいよ。さっき、入管当局として入手することはないと言っているんだから。それは、特殊な場合とは何ですかと聞いたら、河野さんが手を挙げて、日本人のテロリストの場合ですとかというようなことを言うから、また話が混乱してしまうので。時間稼ぎをしているとしか言いようがない。取り消してくださいよ。入管当局がそれを入手するわけじゃないでしょう。

河野副大臣 入手するのは警察でありまして、そこから入管は指紋をいただくことになります。そういう意味では訂正させていただきます。

平岡委員 だから、さっきから言っているように、日本人がアメリカに入るときに提供された指紋情報は入管当局に提供されることはない、受け取ることはないということでいいですね、大臣。

三浦政府参考人 入管業務の必要上、米国からその情報をいただくということはないと思います。

平岡委員 今のことは明確に議事録に残すとともに、これは、本当に制度としてそうあるべきだということで、法務当局においてもしっかりと認識しておいていただきたいというふうに思います。

 それで、次の話としては、今回、個人識別情報の中で、何か法務省令で追加できるような形で書いてありますけれども、何を考えていますかということは聞きません。いろいろ考えているのかもしれません。しかし、やはり生体情報、個人識別情報というのは極めてセンシティブなものですよね。これを一片の法務省令で規定するというのは、私は極めて問題だと思うんですね。法務省は、人権擁護の担当をしている部局ではありますけれども、人権侵害も極めて多い役所であるというふうにも言われていますよね。そういう役所の中で、私は、法務省令に委任するというのは、これはおかしいと思います。

 大臣、どうですか。個人識別情報、生体情報についてはきちっと法律で範囲を定めて、例えば、その中で、指紋については、二つしかとらないんだとかというふうなことであるならば、それは省令で限定していく。それがいいと言っているわけじゃないですよ。そういうような限定の仕方を省令で書くことは許されても、どれをとるかということについては、これはやはり法律できちっと書いていくべきだというふうに思いますけれども、大臣、どうでしょうか。

杉浦国務大臣 先生がそういう御意見であることは承っておきますけれども、一般論では、法律で政省令に委任するとかいうことはよくございます。国家行政組織法第十二条第一項によれば、「各省大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として省令を発することができる。」とあります。法律で定めるものもありますが、この法律においては、二つを例示して、政令で定めることができるとしておるわけでございまして、ちょっとお待ちください。――政省令で定めることは、先生のおっしゃるような不適切ではないと思います。先生の御意見がそういう御意見であることは承っておきます。

平岡委員 承っておきますというのはどういう意味ですか。聞いておくというだけで、これ以上議論はしたくないということですか、大臣。承るということは、ちゃんとそれを踏まえて、我々が修正案を出せばそれに政府としても賛同していただけるということでいいんですね。

杉浦国務大臣 先ほど申しましたように、国民の権利義務に関するような規定を設けることは法律の専属的所管事項ではありますが、ある法律の中で一定の事項についてその内容の決定を省令等に委任することは可能でございます。実際、そういう例は多々ございます。改正入管法で規定する法務省令は、このような法律の委任に基づく省令でございます。

 法律上で指紋及び写真を個人識別情報の例示として規定しておるわけですが、その上で、将来の生体情報認証技術の進展に伴いまして、同一人性の確認及び要注意人物リストとの照合という目的を達成するために最も適切な個人識別情報を省令で定めることができるように法律に委任規定を置くことは、問題がないと考えております。

平岡委員 大臣、例えば髪の毛とか唾液とか足のつめとか、そういうようなものを書いても別にいいということで言っておられるわけですか。

三浦政府参考人 今の点につきましては、今回の改正法案の条文によりますと、電磁的方式によって個人識別情報(指紋、写真その他の個人を識別することができる情報として法務省令で定めるものをいう。)を提供しなければならない、こうなってございます。髪の毛でございますとか唾液、これは恐らく電磁的情報としての保存は不可能だろうと思いますから、この法文上、解釈上、多分入らないだろうと思います。

平岡委員 解釈で入らないというのなら、この法律で、これまでだということでちゃんと書けるじゃないですか。何かまた新しい技術が見つかって、こういうことをやりたいというなら、そのときに法律で書けばいいじゃないですか。

 これ以外に何か考えているんですか、法務省令で。

三浦政府参考人 今、現時点で私どもが考えておりますのは、指紋情報と顔写真の情報の二つだけでございます。ただ、将来的にどうかという可能性をお尋ねでございますれば、これは、技術が日進月歩でございますので、例えば指静脈ですとかそういうものも技術的にはある、虹彩なんかもあり得るだろうと思います。それはあり得るだろう、可能性としてあると思います。

平岡委員 もうこれ以上は言いませんけれども、やはりこれはしっかりと法律事項として書くべきであって、何がとれるかということを省令にゆだねていくということは、本来この制度としてあるべきじゃないということを強く申し上げたいと思います。

 それから、指紋も、いいのかどうかという問題があろうかと思います。これはまだアメリカでしか導入されていない、これからEUでまだ検討されているという状況、それから、いろいろな、この法案によって任意に提供されるという指紋があって、それをどうしていくかという問題があります。そういう状況を踏まえて、この指紋については、我々としては、法の施行、執行を一時凍結するということを要求したいと思いますけれども、大臣、どうですか。

杉浦国務大臣 先生のお考えとして承りました。私どもは、あくまでもお諮りしたとおりの法律で御承認願いたいと願っております。

平岡委員 たくさん聞きたいことがあるのに時間がないので、同じような話ではありますけれども、ちょっと違う話、例の自動化ゲートの話でいきます。

 これは、本人が、望む人が指紋の提出をするという仕組みのようでありますけれども、本人がもうこれは利用しないんだというふうに考えたときには、その情報については削除ができるというふうに解しますけれども、その理解でよろしいでしょうか。

河野副大臣 その場合には削除いたします。

平岡委員 それはどの規定に基づいて削除されるんでしょうか。

三浦政府参考人 特段、規定がある、設けているわけではございませんが、これは、制度の趣旨からしまして、これは御本人の便宜のためにのみ、本人性の確認のために使うわけでございますので、御本人がもうその必要がないと言われれば……(発言する者あり)入管の方に申し出ていただくことになっています。

 済みません。今のは御質問ではなかったので、撤回させていただきます。

平岡委員 どこにもその規定がなくて削除されると言われたので、信用できないですね。ちゃんと要請があれば削除するのか、あるいは利用をやめると言った時点で自動的に削除されるのか、どうですか。

三浦政府参考人 どのような手続で行うかというのは、詳細な手続はこれから決めていくわけでございますけれども、御本人が利用をもう取りやめるということの意思を表明されて、それが確認できれば直ちに消除するということについては、明確な考え方を持っております。

平岡委員 これは極めて重要な話なんですね。というのは、先ほど言いましたように、指紋とかというセンシティブな情報については、どう利用されるかわからないという問題があるわけですよ。

 先ほど来から、個別に判断すると言われたら、何か捜査当局から問い合わせがあったら、はい、どうぞというふうに出すかもしれない。そんな話で、あいまいな状態のままに、削除をどうされるのかわからない、どういう手続をとっていいかわからない、そんなのはおかしいですよ。

 大臣、これはちゃんと削除をするということを明確にした法律にすべきだと思いますけれども、どうですか。

杉浦国務大臣 局長が答弁申し上げましたように、自動化ゲートを利用することを希望する日本人または外国人が登録を行う際に提供する個人識別情報は、利用者が自動化ゲートを利用する意思を有する間は保有することになります。したがって、登録をされた方から、今後自動化ゲートを利用しないので登録を抹消してほしい旨の申し出があれば、その方を登録から抹消するとともに、登録されている個人識別情報もデータベースから削除することとなります。

平岡委員 それは、希望があるかないかにかかわらず、本来削除すべきですよ。そのことを法律に明確に書くべきですよ。どうですか。大臣、削除の規定、どこにもないんですよ、この法律の中には。大臣、ちゃんと明確に書くべきだと思いませんか。

三浦政府参考人 ただいまの委員の御質問で若干誤解をされているのかと思って、一言、あれですが、我々は、本人が希望すればというのは、削除するかしないかを希望すればという趣旨で申し上げたのではなくて、もうこの制度を自分は利用しないという意思表示が確認できれば、一律にそういう方については情報を削除する、こういう趣旨でお答え申し上げたものでございます。

平岡委員 だから、そのことをちゃんと法律で明定しなさいと言っているんじゃないですか。私たちはそう考えていますと言っても、だれも信用しませんよ。ちゃんと法律に書くことによって、それが明らかになるわけじゃないですか。

 今の局長の答弁の趣旨に従って、そういう削除の規定を設けるということで、ぜひ、修正案を出しますから、大臣、賛同していただけますね。

河野副大臣 行政機関が持っている必要のない情報でございますので、それに基づいてしっかり削除させていただきます。

平岡委員 あなた本当に、あなたという失礼な言い方をしちゃいけないけれども、私が聞いているのは、ちゃんとそういうことを法律に明定すべきだと言っているんですよ。それに対して答えなさいよ。何か、ちゃんとやりますからいいじゃないですかという、そんな答弁で私の質問に答えていると言われたら、私も立つ瀬がないですよ。

河野副大臣 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第三条二項において、「利用の目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を保有してはならない。」と規定されておりますので、自動化ゲートを使わない方は、自動化ゲートを使うために指紋を持っている必要がありませんので、その規定に基づいて削除することになります。

平岡委員 だから、それは、さっきも私が言っているように、一般的な個人情報というのは、大体、文書だとかそういうものなんですね。今回のものは生体情報ですから、個人識別情報ですから、しっかりと、きちっとそこを書いておかなければいけないということを前から言っているんですよ。

 本当であれば、こういう生体情報については、いろいろなところでも保有しておられますから、そういうものについては普通の個人情報とは違ってもっとしっかりと管理しなければいけないということを、別の法律をつくって、先ほど同僚議員も言いましたけれども、そういうことが必要であるということの中で議論しているわけですから、個人情報保護法にそうやって書いてあるからそれでいいというものじゃない。

 したがって、どういう手続に従って削除されるかも全然明確じゃない。そういう趣旨が述べられているだけの規定じゃないですか。どうやってやるんですか。どうやってこれは削除されるんですか。

河野副大臣 先ほどから何度も答弁がありますように、本人が自動化ゲートを使用しないという申し出があって、御本人ということが確認できれば、削除いたします。

平岡委員 この法律の中で、しっかりとそれを明定してくださいと私は言っているんです。削除しますというんじゃないんです。明定してください、法律にしっかり書いてくださいと言っているんですよ。大臣、答えてください。

杉浦国務大臣 趣旨はそういう趣旨ですから、削除するのは当然じゃないですか、本人が利用しないというのでしたら。削除して当然じゃないでしょうか。

平岡委員 当然のことなら、国民の皆さんにわかるように書いてくださいよ。だって、これを読んで、何人おられるかわかりませんけれども、自分がこの制度を利用しないということになったら、自分の届け出た指紋情報とかが削除されるというふうに理解されておられる方はどこにおられますかね。やはり書いてあって初めてわかるわけですね、一般の人は。そんな小難しい理屈で、なります、なりますとか言うんじゃなくて、ちゃんと法律に書いてくれればいいじゃないですか。

 時間が来たのでやめますけれども、その点についても、我々は修正案を出しますから、ぜひしっかりと受けとめていただきたいというふうに思います。

石原委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党、保坂展人です。

 まず局長に伺いますが、現在、警察庁、法務省などで既に採取し保管してある指紋情報には、どのような類型がありますか。

三浦政府参考人 御質問の趣旨は、指紋情報ということでよろしゅうございますか。

 指紋情報については、私どもが今持っておりますのは、入管において過去に退去強制をとった者についての指紋情報を持っております。

保坂(展)委員 法務大臣、それ以外にないんですか。

三浦政府参考人 警察で持っている指紋の類型については、申しわけございません、私ども直接の担当でございませんので、わかりません。

保坂(展)委員 指紋情報に係る法案審議なんです。現在、警察庁、法務省で持っている指紋情報の類型を聞いているんです。非常に単純な質問です。大臣、答えてください。

三浦政府参考人 申しわけございません、私どもで持っておりますのは、先ほど申し上げましたように……(保坂(展)委員「それは聞いていない、わかっています」と呼ぶ)

 類型でございますね。警察の方で持っておりますのは、私が直接お答えするのはどうかと思いますけれども、例えば犯歴のある方の指紋は警察の方で持っているのだろうと思っております。

保坂(展)委員 法務大臣、ほかにないんですか、法務省。

杉浦国務大臣 受刑者関係の指紋情報も持っていると思われますが、要求がございませんですので、調査させておりません。

保坂(展)委員 指紋情報をこれから使うということで、既に警察、法務省で持っている類型すらすぐ出てこないというのはおかしいんですよ。

 おおむね何人、その指紋情報はありますか。答えられますか。

三浦政府参考人 入管で独自に持っております指紋情報は約八十万人分でございます。

 それから、警察の方で、ICPO手配等の関係で指紋を持っているというふうに聞いております。これとあと国際、これらが恐らく一万数千あるというふうには聞いております。

保坂(展)委員 局長答弁でいいですけれども、指紋による本人識別の確度について、現在の技術水準はいかがですか。例えば、本人の指紋がありますね。本人の指紋は二つなんだけれども、それは一致しないというふうに間違ってしまう本人拒否、他人の指紋と本人の指紋を一致したと誤ってしまう他人受け入れ、こういう類型があるかと思いますが、現在の確度について答えてください。

三浦政府参考人 おおむね十万分の一くらいの確度で、今先生の言われたような事態が起こり得るというふうに聞いております。

保坂(展)委員 十万分の一というのは本当に実証されるのかどうか、これから聞いていきますけれども。

 自動化ゲートについて伺います。これは、外国人あるいは定住外国人のみならず、日本人も事前に登録をして使えると。法務省からいただいた説明のペーパーには、指紋データを登録するときにブラックリスト確認、こう書いてあるんですね、カラーで。局長、いいですか。これは法務省がつくったペーパーですね。登録時に要注意人物情報と照合すると。これはどういう法的根拠がありますか。

三浦政府参考人 今先生お示しの図の赤い字で要注意人物と書いてあります。これは、外国の方が再入国をする際に自動化ゲートを利用されますので、その際に、例えば上陸拒否事由に当たるような人がいた場合にこの制度を使うことはできないわけでございますので、そういったところをチェックする、こういう趣旨で書いたものだろうと思います。

保坂(展)委員 外国の方がと言うのですが、私、何回もこれを読んでみましたけれども、局長、いいですか、この法案の中に、日本人の指紋情報の登録というのは該当条文はありますか、先ほど平岡委員からの質疑にもありましたけれども。日本人の登録というのはどこかで読めますか。

三浦政府参考人 今回の改正案の条文の中には、日本人に関する規定はございません。これは、日本人につきましては、現行法において、帰国ですね、この手続について入国審査官の確認を受けなければならないという規定しかございません。実際にどういう手続で確認を受けるかということについては、法務省令で、入国審査官からの証印という、印鑑を旅券に押してもらうというのが規則で決めております。ところが、外国の方につきましては、日本に入ってくる際には入国審査官からの許可証印が必要だと法律に書いてあるものですから、こちらだけを手当てするという趣旨でございます。

保坂(展)委員 では、河野副大臣に伺いますが、日本人についての指紋登録には、該当部分は、今局長が答えたとおり、法文上はないんですよね。今、平岡委員の方から、本人がこれを消してくれ、もう自動化ゲートを使わないというときには削除するとおっしゃいましたけれども、そういうふうに別に特段の通知がない場合、日本人の指紋登録は何年間保存されるのですか。

石原委員長 それでは三浦局長、事務的にお答えください。

三浦政府参考人 これは先ほどの質問とも関連するわけでございますが、御本人が利用を希望される間は当然保存されるわけでございますし、利用をやめればその時点で消除するということになりますので、具体的に保存期間というものがあらかじめ定まるものではないわけでございます。

保坂(展)委員 では河野副大臣、永遠に保存されるということもあり得るわけですか。望まなければ、死亡時にも削除されないと。

河野副大臣 使い続ける限りは登録をしておくんだろうというふうに思います。どこかの時点でやめていただく、あるいは死亡された場合は、特に御家族のだれかが言っていただかない限りはなかなか、死亡したときに削除するというのは難しいんだろうというふうに思います。

保坂(展)委員 死亡しても削除されない可能性もある。そして、これは便利ですから、ETCのようにすぐ通過、通関できるとなれば、皆さん、それは便利だということで登録する可能性がありますよね。非常に問題だ。

 もう一点、先ほど平岡委員の質問との関係で、入管法六十一条の九関係で局長から答弁がありましたけれども、これは六十一条九を見ると、外国入管当局から請求がある場合は顔写真、指紋データを提供できるんじゃないですか。つまり、特別な場合とか入管ではと言っていましたけれども、例えば警察ではというふうに言いかえればできるんでしょう。答えてください。局長。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 入管法六十一条の九の規定に基づく情報提供の御質問だろうと思いますけれども、今委員の御指摘のようなケースについて、果たして外国の入管業務の遂行に資する情報ということになるかと言えば、それは難しいんだろうなと思います。また、自動化ゲートを利用していただく方については、先ほどもちょっと御質問出ましたが、問題ない方であるということを確認しておるわけでありますので、およそ日本側から何か問題人物であるとして情報を提供するという対象に普通はならないだろうというふうに思います。

保坂(展)委員 大臣、ちょっと、答弁あいまいですよね。普通はならないだろうとか、常識的にはということでは審議できないですよ。やはり、六十一条九を見る限り、いろいろな例外条項はありますけれども、提供することができると書いてあるわけです。

 例えば、大臣に聞きます。入管法に絡んで、不法滞在あるいはマネーロンダリングの共犯などで容疑が固まったという段階で、例えばUS―VISITなどに登録されている情報を今度はアメリカから取り寄せるということはありますか。

石原委員長 三浦局長、先ほどの質問に関連がありますので、御答弁願います。

三浦政府参考人 済みません。先ほども申し上げましたように、それは我が方から見ても、外国の入管当局でその業務に資するということにはならないだろうというのが通常だろうと思います。

保坂(展)委員 では、法務大臣。大臣、いいですか。私が読む限りはこれはあり得ると思っているんです、この条文を見て。しかし、平岡委員、私が聞いても、ないと当局はおっしゃる。

 では、ここで、これはない、六十一条九を適用して、例えば顔写真や指紋データ情報を外国入管当局に請求されても出さない、そして逆の場合、今度は外国からも入手しない、これは断言できますか。

杉浦国務大臣 局長がああ言っている以上、ちょっと私、自信ございませんので、これはきちっと調べて次の委員会までにお答えするようにいたします。

保坂(展)委員 与党の方は審議をなるべく短くしたいと言っていますから、もうこれ以上できませんよ。これは重大な問題ですから、今、早く調整して、答弁を要求します。

三浦政府参考人 委員の御指摘のようなケースでは、外国において、その必要性が全く我が方から見て認められないということになるということで、当然こちらからも情報を提供しないということになります。

保坂(展)委員 大臣、違うんですよ。限定して、こういう場合はこうします、そういうことを聞いていないです。原則を聞いているんです。もうこういうことは提供しない、請求もしないと断言できますかと聞いてるんですよ。それを答弁できないのなら、答弁できるまで待ちます。

石原委員長 三浦局長。(発言する者あり)

 静粛に願います。

三浦政府参考人 外国政府においての入管の業務に資することはないと考えますので、私どもとしては、情報として提供するつもりはございません。

保坂(展)委員 そんなこと聞いてないですよ。入管業務という限定をつけていないんです。ですから、例えば外国の警察、あるいは日本の警察でもいいです、そういうことで、では相互のやりとりは一切ないというふうに断言できますか。

三浦政府参考人 六十一条の九の問題としての御質問でございますので、これはあくまで外国と日本の入管当局間の情報交換、提供の規定でございますので、それ以外についてはこれには当たらないわけでございます。

保坂(展)委員 そうすると、大臣、今、六十一条の九ではそうだということですが、私が聞いているのは、この指紋、顔情報というセンシティブな情報のやりとりが今後どうあるのかということなので、六十一条の九も外して、こういう情報のストックが始まったら、要するに、この情報を海外からとる、あるいは海外に出すということはないのかどうかというのを明快に答弁してください。

三浦政府参考人 委員の御質問の趣旨は、入管の持っている情報について、六十一条の九に該当しないようなケースについて、外国の機関から何かの要求があった場合、こういう御趣旨でございましょうか。

保坂(展)委員 指紋情報、顔写真情報、今回プールするんでしょう。そのプールする情報を何らかの形で海外に出す、あるいは同様の情報を海外からとるということはないのかと聞いているんですよ。(三浦政府参考人「つまり、外国人の指紋をと」と呼ぶ)日本人なり外国人なり、両方です。

三浦政府参考人 自動化ゲートに関する御質問だというふうに私は理解しておりますが、自動化ゲートに関してはそういうことはありません。

保坂(展)委員 大臣、おわかりだと思いますけれども、自動化ゲートに関してはという狭い枠をつくるんです、今の答弁。私はこれは大変重要だと思うので、あるのかないのか、これははっきり答弁してほしいんですね。(三浦政府参考人「自動化ゲートですか」と呼ぶ)

 自動化ゲートじゃなくて、指紋、顔情報、これから蓄積を始めるわけですね、年間七百万人、外国人。そして、日本人の情報もプールする。外国から捜査照会があったときに出すのか、あるいは海外から求めるのか、これははっきり答弁してほしいんです。

 いや、大臣です。大臣答弁。

杉浦国務大臣 質問通告がございませんでしたので、ちょっと時間をちょうだいしたいと思います。

保坂(展)委員 質問通告がなくても、質問通告というか質問取りのときに、私、この懸念について話しましたよ。US―VISITとのデータ連動はどうなっているのか、捜査共助の関係はどうなるのかと言いました。

 これは、もう政府が法案を提出している以上、しっかり答えてもらわなきゃ困ります。

杉浦国務大臣 質問の御趣旨もちょっと私、把握できかねる面もありますので、これは明確に記録も調べさせていただいて、まだ委員会の審議がございますから、御指摘があったこととして、これからきちっと調査をした上で御回答申し上げます。

保坂(展)委員 大変重大なので、このことをあいまいにしながら法案の審議、これはしっかりクリアをしていただくということを前提条件として申し上げておきたいと思います。

 終わります。

石原委員長 次回は、来る二十四日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十五分散会


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