衆議院

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第2号 平成18年10月18日(水曜日)

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平成十八年十月十八日(水曜日)

    午後四時四分開議

 出席委員

   委員長 七条  明君

   理事 上川 陽子君 理事 倉田 雅年君

   理事 棚橋 泰文君 理事 早川 忠孝君

   理事 松浪 健太君 理事 高山 智司君

   理事 平岡 秀夫君 理事 大口 善徳君

      赤池 誠章君    近江屋信広君

      奥野 信亮君    後藤田正純君

      柴山 昌彦君    高鳥 修一君

      松本 文明君    松本 洋平君

      三ッ林隆志君    宮腰 光寛君

      武藤 容治君    森山 眞弓君

      矢野 隆司君   山本ともひろ君

      吉川 貴盛君    石関 貴史君

      河村たかし君    中井  洽君

      細川 律夫君    横山 北斗君

      伊藤  渉君    保坂 展人君

      今村 雅弘君    滝   実君

      山口 俊一君

    …………………………………

   法務大臣         長勢 甚遠君

   法務副大臣        水野 賢一君

   法務大臣政務官      奥野 信亮君

   最高裁判所事務総長    大谷 剛彦君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   安藤 隆春君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          菊池 洋一君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    小津 博司君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    小貫 芳信君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    藤田 昇三君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  稲見 敏夫君

   政府参考人

   (公安調査庁長官)    大泉 隆史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           辰野 裕一君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十八日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     高鳥 修一君

  笹川  堯君     吉川 貴盛君

  杉浦 正健君     松本 文明君

  柳本 卓治君     山本ともひろ君

同日

 辞任         補欠選任

  高鳥 修一君     松本 洋平君

  松本 文明君     杉浦 正健君

  山本ともひろ君    柳本 卓治君

  吉川 貴盛君     笹川  堯君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 洋平君     稲田 朋美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

七条委員長 これより会議を開きます。

 この際、長勢法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。長勢法務大臣。

長勢国務大臣 このたび法務大臣に就任いたしました長勢甚遠でございます。委員長を初め委員の皆様方には、平素から法務行政の運営につき格別の御尽力を賜り、心から御礼申し上げます。今後とも、なお一層の御指導、御協力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 法務省は、国民の皆様が安心して生活できるために大事な役割を担っております。私は、法務大臣として、その重責にこたえ、法務行政の課題に取り組んでまいります。

 それでは、私の法務行政に対する思いの一端を申し述べさせていただきます。

 まず、世界一安全な国日本の復活に向けて、全力を挙げて努力いたします。

 犯罪者を早期に逮捕し、迅速な裁判を行って、適正な科刑を実現し、施設内または社会内において必要な処遇及び教育を施すという一連の刑事司法システムの強化に努めてまいります。

 犯罪の温床となる不法滞在者の半減を図るべく、不法滞在者対策を推進してまいりたいと思います。

 英国において発覚した旅客機爆破をねらった事件は、我が国はもとより、世界じゅうにテロの恐怖を実感させました。我が国のテロ発生を未然に防止し、テロリストを初めとする我が国の治安を脅かす外国人の入国を水際で阻止するため、厳格かつ的確な上陸審査を実現いたします。国際テロ調査に向けた取り組みの充実強化を図るとともに、内外の関係機関とも連携し、国際テロ情報の収集・分析に一層努めます。

 国際社会と協調し、組織犯罪やサイバー犯罪の防止・処罰に積極的に取り組むことが必要であります。このような犯罪に対処するとともに、締結について既に国会で御承認いただいておる国際組織犯罪防止条約及びサイバー犯罪条約を締結するため、昨年の特別国会に提出した犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案を、今国会においてできるだけ速やかに成立させていただきますようお願い申し上げます。

 また、少年非行の現状に適切に対処するために、さきの通常国会に提出した少年法等の一部を改正する法律案の速やかな成立についても、あわせてお願い申し上げます。

 より安全で安心な社会をつくるには、犯罪者の自立を促して社会復帰を容易にし、その再犯を防止することが肝要と考えます。そこで、再チャレンジの機会が更生しようとする犯罪者にも十分に与えられる必要があります。

 このような観点から、過剰収容下における適正な収容の確保、改善指導等効果的な矯正処遇の実施、保護観察の充実強化のほか、自立更生促進センター構想等の取り組みをさらに積極的に推進してまいります。あわせて、法制審議会に諮問を行った社会奉仕や中間処遇のあり方等に関する検討を進めます。

 犯罪者の更生とその再チャレンジに向けた取り組みとともに、犯罪被害者等に対する十分な配慮を心がけ、犯罪被害者等基本法及び犯罪被害者等基本計画に基づく政府一体の取り組みを引き続き着実に進めてまいります。

 司法制度改革につきましては、その成果が国民にしっかりと伝わるよう、さらなる努力を積み重ねてまいります。

 日本司法支援センターは、十月二日から全国で業務を開始いたしました。また、来年四月から開始される裁判外紛争解決手続の認証制度についても、適正、円滑に実施すべく準備に万全を期してまいります。

 裁判員制度は、国民の皆様に参加への不安を払拭していただけるよう広報啓発に努めてまいります。新たな時代の担い手となる子供たちへの法教育を推進し、裁判を国民の皆様により身近なものとし、司法に対する理解と信頼を深めてまいります。

 人権が尊重される社会を実現するためには、人権啓発の果たす役割が大きいことから、人権啓発に関する施策の推進に努めるとともに、現実に日々生起しているさまざまな態様の人権侵害による被害者の実効的な救済を図るため、人権侵犯事件の調査・救済活動の充実強化に努めます。

 また、人権擁護法案については、引き続き検討を進めてまいります。

 我が国の経済社会の基盤である民事基本法制の現代化の作業を引き続き進めてまいります。とりわけ、さきの通常国会に提出した信託法案及び信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、社会の変化や経済の発展に的確に対応した法制を整備するという観点から、大正十一年の制定以来、実質的な改正が行われていなかった内容を全面的に見直し、現代の社会に適合するものへと改めるものであり、今国会においてできるだけ速やかに成立させていただきますようお願い申し上げます。

 また、全国の都市部における登記所備えつけ地図の整備事業を進めてまいります。

 昨年、我が国への来日外国人は初めて七百万人を突破いたしましたが、本年も引き続き来日外国人は増加傾向にあります。観光立国政策の目標である二〇一〇年までに来日外国人の一千万人突破を実現するため、空海港における上陸や出国審査の一層の円滑化に努めてまいります。

 また、我が国に対する国際的信頼を高めるために、刑事及び民商事法の両分野における国際協力やアジアの国々に対する法整備支援を引き続き推進してまいります。

 以上のような諸課題に対し、私は法務大臣として、水野副大臣及び奥野大臣政務官とともに、国民の皆様のために取り組む所存であります。何とぞ、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

七条委員長 次に、水野法務副大臣及び奥野法務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。水野法務副大臣。

水野副大臣 法務副大臣の水野賢一でございます。

 大臣のごあいさつにありましたが、私も、国民の皆様が安心して暮らせるよう、大臣、奥野法務大臣政務官とともに法務行政の課題に取り組んでまいります。

 委員長を初め委員の皆様方から一層の御指導、御支援を賜りながら、法務副大臣としての職責を果たしてまいる所存ですので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

七条委員長 次に、奥野法務大臣政務官。

奥野大臣政務官 法務大臣政務官の奥野信亮でございます。

 私は大役と思っておりますけれども、大臣及び副大臣のよき補佐役として、これから秩序ある法務行政及びわかりやすい法務行政を目指して頑張る所存でございます。

 委員長初め委員の方々の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げて、ごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

七条委員長 この際、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所大谷事務総長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 大谷事務総長から発言を求められておりますので、これを許します。大谷事務総長。

大谷最高裁判所長官代理者 お時間をいただきまして、事務総長への就任のあいさつをさせていただきます。

 六月二十六日付で前任の事務総長竹崎博允が名古屋高等裁判所長官に転出いたしました。私は、その後任として事務総長を命ぜられました大谷剛彦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 法務委員会の委員長初め委員の皆様方には、平素、司法行政に対する深い理解のもとに御支援と御指導をいただいておりまして、まことにありがとうございます。

 裁判所は、申すまでもなく、個々の具体的な事件を通して国民の基本的な人権を擁護し、また法秩序を維持するという非常に重要な責務を負っております。近時、社会経済状況の変化に伴いまして、裁判所の果たすべき役割というものがますます大きくなってきていると認識してございます。

 今般の司法制度改革の過程におきまして、多数の立法がなされました。具体化してきております裁判員制度を初めいろいろな諸施策につきまして、改革の趣旨に沿ったそういう運用と実施を図って、真に国民のための裁判所、国民のための司法制度の実現を目指して、微力ではございますけれども、司法行政の面で全力を尽くしてまいりたいと思います。

 おかげをもちまして、近年、裁判所の体制あるいは裁判所の裁判に関する諸制度は、かなり整備が進められてきております。法務委員会の委員長並びに委員の皆様方には、今後とも裁判所運営の充実強化のために一層の御指導と御尽力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。

 簡単ではございますが、就任のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

七条委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁官房長安藤隆春君、法務省大臣官房司法法制部長菊池洋一君、法務省刑事局長小津博司君、法務省矯正局長小貫芳信君、法務省保護局長藤田昇三君、法務省入国管理局長稲見敏夫君、公安調査庁長官大泉隆史君、文部科学省大臣官房審議官辰野裕一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上川陽子君。

上川委員 自由民主党の上川陽子でございます。

 今回、法務委員会の理事に初めてなりまして、委員長並びに委員におかれましては、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。トップバッターの質問ということで、よろしくお願い申し上げます。

 さて、去る九月二十七日、戦後生まれ、しかも史上最年少の安倍総理を首班とする内閣が発足し、国民からも大きな期待が寄せられております。長勢大臣におかれましては、安倍内閣の閣僚としてこのたび法務大臣に御就任をされましたこと、まことにおめでとうございます。

 大臣におかれましては、これまでの御経歴のとおりでございますが、法務行政、とりわけ司法制度改革に大変御尽力をされ、法務に強い大臣ということでございます。それだけに、内外ともに国の根幹にかかわる諸課題が山積している今日、公正で確かな法務行政の実現のために御尽力をいただけるものと期待いたしております。

 また、水野副大臣、奥野政務官におかれましても、大臣とともにこの重要な時期をぜひとも頑張っていただきたいというふうに存ずる次第でございます。

 さて、国民が安全で安心して暮らせる社会の実現ということは、国の大きな責務でございます。先ほど、大臣からの所信のごあいさつにも、世界一安全な国日本の再生という形で御発言がございました。しかし、残念なことに、この世界一安全な国日本の根幹というものが揺らぎ始めておるということでございまして、特に国民の間にさまざまな不安が広がっていることも確かでございます。このため、司法・法務の分野におきましては、とりわけ国民の安心を取り戻すことができるかどうか、重要な局面を迎えているというふうに思っているところでございます。

 そうした中で、去る十月九日、北朝鮮による核実験が強行されました。これは国際社会に対する重大な挑戦でありまして、日本としても断固として許すわけにはまいりません。衆議院の本会議、十月十日、直ちに全会一致で北朝鮮に対する非難決議を行いまして、また日本政府も、日本独自の制裁措置を決断することで、日本としての明確な意思を示したところでございます。

 また、国連安全保障理事会におきましては、核実験の実施から六日目と大変短い期間で、国連憲章第七章にかかわる制裁決議を全会一致で可決したところでございます。このことは、事の重大さに対します認識を国際社会全体が共有したものであるということで、議長国である日本としてのリーダーシップを十分発揮し得たものというふうに理解しているところでございます。

 そこで、お尋ねをさせていただきたいと思いますが、七月五日のミサイル発射実験、そして十月九日の核実験後、法務省として直ちにどのような対応をされましたでしょうか。また、先般の国連決議を踏まえまして、法務省として今後どのような取り組みをするのか、大臣にお尋ねをさせていただきます。

長勢国務大臣 委員御指摘のとおり、北朝鮮による弾道ミサイルの発射及び核実験実施ということは世界に対する挑戦であり、極めて許しがたい問題でございます。

 我が国政府としては、その都度直ちに制裁措置を発動するとともに、国際連携のもとにその対応を強化してきたところでございます。

 まず、七月五日には、テポドンといいますかミサイルの発射に関しまして日本政府としてとった措置は、北朝鮮当局の職員の入国は認めない、その他の北朝鮮からの入国についても、より厳格な審査を行うということにいたしました。また、北朝鮮船舶の乗員等の上陸は認めない。また、在日の北朝鮮当局の職員による北朝鮮を渡航先とした再入国は認めない。また、我が国国家公務員の渡航を原則として見合わせるとともに、我が国からの北朝鮮への渡航自粛を要請するという措置を講じました。

 十月十一日には、今回の核実験実施に対しましてより強化をいたしまして、北朝鮮籍を有する者の入国は認めない。また、在日の北朝鮮当局の職員以外の者の再入国は認めないということを、失礼いたしました、在日の北朝鮮当局の職員以外の者については再入国を認めるが、それ以外の者は認めないということを決定いたしました。失礼いたしました。

 さらに、国連安保理決議がありましたので、これによりますと、すべての加盟国は、北朝鮮の核、弾道ミサイル及びその他大量破壊兵器関連の政策に責任を有する個人及びその家族として国連安保理または制裁委員会が指定した者の入国、通過を禁止するために必要な措置をとらなければならないということが決定をされておりますので、法務省といたしましても、これに沿って着実にこれらを実施し、北朝鮮に対し毅然とした対応をとってまいる、こういう方針でおります。

上川委員 入国管理につきましては今御指摘いただきましたけれども、大変、時期も時期であるということでございますので、厳しく、的確に入国管理をしていただきたいということでよろしくお願いしたいというふうに存じます。

 次に、国内におけるテロ発生の可能性に関してのお尋ねでございますけれども、今回の北朝鮮のミサイル発射あるいは核実験に対しての北朝鮮への制裁によりまして、日本国内において北朝鮮に呼応する者によるテロ発生が誘発される可能性も全く否定できないというような状況であると考えているところでございます。そのことも国民に対しての不安の一因ではないかというふうに思っているところでございます。

 この点につきまして、公安調査庁、どのように認識し、また、どのような取り組みをしているのかという点につきまして、法務大臣にお願いを申し上げます。

長勢国務大臣 北朝鮮は、かねてからいろいろなテロ活動を行っておるわけでありますが、今回のいろいろな制裁措置に対しましても反発をいたしておりますので、どういう事案が生ずるかということについて否定できないという問題がございます。

 公安調査庁といたしましても、こういう問題に備えて、ミサイル発射が行われた以降、緊急の調査態勢をとってそういう事態に備えております。

上川委員 テロの発生の可能性ということでございますが、未然ということが大変大事だということでございますので、引き続き、体制を充実してお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 いずれにせよ、こうした緊急事態におきましての制裁措置やテロ対策を実効性あるものとするためには、やはり収集、分析されました情報の共有や、それに基づく対策の立案、そして明確にタイミングをとらえた対策の実施等、政府全体で一体的かつ総合的な取り組みが必要であるというふうに思っております。そのためには、関係省庁によります密接な連携が不可欠であるというふうに思います。

 現在、我が国におきましては、重大緊急事態への対処措置を審議する安全保障会議がございます。私は、この会議には法務大臣は当然常時参加をしていくべきものであるというふうに思っておりますが、今の仕組みの中では常時ということではないというふうなところでございます。

 今、テロの問題等に触れさせていただきましたけれども、こうした問題も考えてみますと、やはり、そうした安全保障会議もしっかりと法務大臣が出席をし、しかるべき対応をしていくということが大事ではないかというふうに考えておりますが、この点につきましての大臣の所感をお聞かせいただきたいと存じます。

長勢国務大臣 安全保障会議のメンバーは、法律によりまして、おっしゃるとおり、法務大臣は常設のメンバーにはなっていないところでございます。

 ただし、安全保障会議設置法第五条第二項によりまして、議長である内閣総理大臣が必要と認めるとき、つまり重大緊急事態への対処等々においては、臨時に安全保障会議にほかの大臣が参加をすることができることとなっております。またさらに、テロ対策に関しましては、内閣に設置されております緊急テロ対策本部がございまして、そこにも入っておりますので、関係省庁との緊密な連携を図ることが十分可能であり、こういう問題について、引き続き対策に万全を期していきたいと思っております。

上川委員 今回の北朝鮮の問題と一九六二年のキューバ危機を一緒にするということは必ずしも適当ではないかもしれませんけれども、その当時におきましても、ロバート・ケネディ司法長官が、やはり国家安全保障会議の中に参加をされまして、そして、法律にのっとった対応策ということについて大変適切な役割を果たされたというようなことも歴史の教訓としてございますので、ぜひとも、長勢法務大臣におかれましては、今の状況におかれましても安全保障会議の中でお役を果たしていただけたらと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 きょうの所信のごあいさつの中に幾つかの項目がございまして、ちょっと網羅的になろうかと思いますが、司法制度改革等も含めまして質問をさせていただきたいというふうに存じております。

 大臣は、司法制度改革が議論されていた時期に、自民党の司法制度調査会副会長を務められ、法科大学院構想を初め、裁判員制度や日本司法支援センターあるいはADRなどの構想づくりに采配を振るわれました。そして、そうした制度が今一歩ずつ実社会の中で実施をされていく段階にあるわけでございます。安倍総理からも、司法制度改革を実のあるものにということでの御指示があったやに承っておりますけれども、また、先ほどのごあいさつの中にも、その方針とそして御決意ということで盛り込まれておりました。

 そこで、まず、これまでの司法制度改革の成果につきましてどのように考えていらっしゃるのか、構想をつくられたつくり手としてのお立場、そして、今法務大臣として、その制度を実際に実現していくお立場という中での御所見と、そしてまた今後の課題ということについても、大変大きな制度の実施でございますので、さまざまな課題がもう既に寄せられているというふうに伺っております。その点につきましての大臣のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

長勢国務大臣 司法制度改革が始まってからもう大分長い期間がたちましたが、ようやく制度整備が終わって、大きな、これから着実に進展をする段階に来ております。まだまだ苦労が要りますが、そういう中でありますけれども、国民の皆様にも、だんだんと裁判なり司法制度というものに対する理解が深まりつつあるのかなと思っております。

 特に、もう今月の二日に日本司法支援センター、愛称法テラスと申し上げておりますが、これを中核とする総合法律支援制度が実施をされましたし、また、これから二年後の裁判員制度の導入に向けて、裁判の迅速化等々が進められております。また、質量ともに豊かな法曹を確保するための、法科大学院を中核とした新たな法曹養成制度も進みつつございます。こういう幾つもの多くの重要な改革が実現して大きな成果が上がっておるというふうに思っております。

 ただ、さらにこれを進めなきゃならない課題も幾つも残っておるわけであります。まず、この法テラスでございますけれども、さらにその実施体制の整備が残された課題でありますし、何よりも二年半後に迫った裁判員制度をどうやって円滑に実施に移すかということが大事でありますし、来年四月には裁判外紛争解決手続の認証制度が始まりますので、これの円滑な実施も課題となっております。

 今後さらに力を入れて、国民により身近で、速くて、頼りがいのある司法を実現するために、この司法制度改革が国民のためのものとなるように、一層の努力を払ってまいりたいと思っておる次第であります。

上川委員 今、大臣の御発言にもございましたけれども、やはり法テラス、裁判員制度、本当に待ちに待った制度の実現ということでございますが、その成功をスタートの段階から本当に確実なものにしていくためには、やはり多くの国民の皆さんの理解と協力が何より不可欠であるというふうに思っております。

 そこで、もちろん両制度、いろいろな制度がございますけれども、今御指摘いただいたような制度につきまして、法テラスにつきましても、裁判員制度につきましても、ADRにつきましても、やはりまだまだ国民の一般の方への理解は不十分ではないかというふうにも思っているところでございます。

 私は、その存在の意義というのを直接国民の皆様に理解していただくということは当然大事なことであるというふうに思っておりますが、それ以上に大事なこととして、司法の部分と国民との間に立って大変御尽力をいただいている五万人の保護司の皆さんや、あるいは二万六千五百人の調停委員の皆さん、あるいは厚生労働省の管轄でありますが民生委員の皆さんや、また総務省の管轄になっておりますけれども行政相談委員の皆さんという方々が、地域の中で大変御尽力をいただいているところでございます。

 こういう人たちにちょっと質問してみましても、まだ法テラスというのは何なのというような質問も、逆に問い返されるというのが実態でございまして、そういう意味では、より一般の国民の方にも広げていくためには、この間に立った方たちへの啓蒙活動が大変大事ではないかというふうに思っているところでございます。

 少なくとも法務省にかかわる部分、あるいは裁判所にかかわるところで地域の中で頑張っていらっしゃる皆様におかれましては、研修等を通じまして積極的に理解していただけるように、もうお取り組みになっていらっしゃるとは思いますけれども、その辺の認識ということで法務大臣のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思っております。

長勢国務大臣 十月二日に法テラス、愛称ですが、これが発足したわけで、真に国民の役に立つものとなり、また、国民の司法参加を求める裁判員制度に国民の理解と協力が得られるためには、御指摘のとおり、制度の存在意義や制度内容等を広く国民の方々に理解してもらうということが最も大事で、非常に重要なポイントだと思っております。

 また、御指摘の保護司や調停委員や民生委員などの方々は、司法制度へのかかわりも大変深いものがございまして、その職務を通じて地域に根差した活動をしておられる方々でありますので、国民の方々に理解してもらうためにも、この方々にまず理解をしてもらって、この方々から国民の皆さんにその意義、内容をお知らせしていただくということが一番効果的であるということも御指摘のとおりだと思います。

 法務省といたしましては、この総合法律支援制度あるいは裁判員制度についてさらに国民への周知を図るよう努めてまいりますけれども、あわせて保護司や調停委員や民生委員、さらには各種会議や行事の参加者等々に対して情報を提供し、制度の意義、内容に対する御理解、また周知、こういうことに御協力をお願いして、何としてでも、特に裁判員制度についてはまだまだ理解を進めなきゃならぬと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

上川委員 よろしくお願い申し上げます。

 次に、司法における国際協力につきまして、水野副大臣にお尋ねをさせていただきたいというふうに存じます。

 実は、昨日、朝日新聞に「カンボジアと私 壊滅した司法制度を再建」と題する囲み記事が掲載されておりました。カンボジアの内戦が終結したパリ和平協定からことしで十五年ということで、当時ほんの数人しかいなかった専門法律家が今や六百五十人、日本からの支援でカンボジアの司法制度は着実に整備されつつあるとの、長年御苦労された木村晋介さんという弁護士の先生の御報告がございました。

 こうした事例は、カンボジア以外でもベトナム、ウズベキスタンやラオスなど、多くの国に広がっているというふうに承っております。こうした刑事及び民商事法の両分野におきます国際協力、また、とりわけアジアに対しましての地道な法整備支援というのは、アジアの平和と安全にとって大切な社会基盤を提供するものでございますし、日本のODAという観点からしても、これから大事な分野になろうというふうに思っております。

 そこで、水野副大臣におかれましては、現在の取り組みの状況及び課題等も含めまして、よろしくお願い申し上げます。

水野副大臣 今おっしゃられたように、まず、刑事の部分とまた民商事の部分があると思うんですが、刑事の部分、刑事司法の分野については、昭和三十七年から、法務総合研究所の国際連合研修協力部が、国連アジア極東犯罪防止研修所というところにおきまして、アジア太平洋地域の刑事司法関係の実務家を対象に国際研修を行ったりしていることがございますので、現在そういうようなことを行っているところでございます。

 また、主に民商事の分野におきましては、やはりその法務総合研究所を中心として、平成九年度から、法の支配の確立とか市場経済化とか、その発展を目指して法の整備を推進しているベトナムとかカンボジアなどの国々に対して、法律実務家を対象に研修を実施するなどの支援を行ってございます。これは、平成十三年度からは法務総合研究所に設置をされた国際協力部がこれを専門に担当しておりますし、今お話しの例えばカンボジアにおきましては、ことしの七月に民事訴訟法がカンボジアの国会において可決成立するなどの成果を上げているというふうに考えてございます。

 日本のこうした他国に対する法整備支援の要請というものは今後ますます増加するというふうに思いますし、それは相手国のためにもなることであると同時に、日本にとっても例えば投資やビジネスの環境整備ということでも意味のあることだと思いますし、おっしゃられたように、二〇〇三年に改定をされたODA大綱においても、こうした法整備を支援する必要があるということ、これが閣議決定の中にありますので、御意見をしっかりと踏まえていきたいというふうに考えております。

上川委員 よろしくお願いをいたします。

 続きまして、再犯防止に関しましてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 予想以上に犯罪の発生が増加しているわけでございますが、そして同時に再犯率というのもなかなか厳しい数字になっているというふうに理解しているところでございます。そういう意味では、再犯を防止するというのは喫緊の課題であるというふうに思っておりまして、それも総合的、重点的に取り組むということが大切ではないかというふうに思っております。

 昨年の通常国会では監獄法が改正されまして、受刑者に対しまして刑務作業の義務づけに加えて、犯罪の類型に分けて必要な受刑者に対し適切な改善処遇の計画を義務づけるということになりました。この法律はことしの五月に施行されたわけでございますが、現在、また今後、刑務所におきまして、この法律にのっとってどのような処遇をスタートされていらっしゃるのか、また、これからしていくおつもりなのかということについて、奥野大臣政務官にお願いを申し上げます。

奥野大臣政務官 御指摘の再犯率、具体的には再犯率というのはなかなか押さえにくいらしいのでありますが、それに近い数字で、刑務所への再入というのが、五年以内に再入される方が五〇%ぐらいおるようでありまして、再犯防止というのは大変大きな課題でございます。

 それに対して、やはり受刑者というのは、受刑者にとっては、手に職をつけて、できるだけ円滑な社会復帰ができるようにすることが再犯防止に役立つことであろうかと思います。そういう意味では、やはり刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律のもとでは、受刑者の処遇は、その改善更生及び円滑な社会復帰を図って、もって再犯を防止することを目的としているわけであります。個々の受刑者の資質に基づきまして、いろいろな職業訓練とか、あるいは各種の指導というものを今実行しているわけでありますけれども、最近、その枠組みの中に科学的、体系的なプログラムを開発して実施していることが特徴でございます。

 新しい法律のもとで新たに導入された改善指導については、全受刑者を対象とした一般改善指導と、特に薬物に対する依存があるなどの事情を有することによって改善更生及び円滑な社会復帰に支障が認められる受刑者に対して実施する特別改善指導というのがこれに当たるのではないかと思います。

 現在、この特別改善指導として、標準的なプログラムに基づいて、薬物依存離脱指導、暴力団離脱指導、性犯罪再犯防止指導、被害者の視点を取り入れた教育、交通安全指導、あるいは就労支援指導などの類型別に指導を行っているわけであります。

 今後とも、これらの改善指導のプログラムの充実、社会のニーズにかなった職業訓練種目の新設等を初め、処遇内容及びその実施体制の充実強化を図って、再犯防止に一層効果的な受刑者処遇を行うように努めてまいりたいと考えている次第であります。

上川委員 時間がございませんので、最後の一問ということで、被害者との関係の中でのお話ということで質問させていただきたいというふうに存じます。

 先ほど大臣のごあいさつの中でも、犯罪被害者の問題につきまして真っ正面から取り組んでいただけるということで、力強い御決意をいただきました。私も議員立法で犯罪被害者等基本法を提出した者の一人として、大変心強く、また感謝申し上げる次第でございます。

 現在、基本計画にのっとりまして、各省庁、二百五十八の施策に取り組んでおります。とりわけ法務関係におきましては、損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する、いわゆる附帯私訴の制度、また犯罪被害者等が刑事裁判に直接関与することができる制度ということで、それぞれ二年以内に検討すべき重要課題となっているところでございます。

 去る九月六日、刑事手続におきましての犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図るための法整備ということに関しまして、前杉浦法務大臣が法制審議会に諮問をなさったということでございまして、十月三日に第一回目の審議が始まったところでございます。自民党においても、法制審の検討の進捗に合わせて随時会合を開きまして、並行した議論をするということで頑張ってまいりたいというふうに思っておりますので、法務省としてもどうぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。

 そして、ここでは、再犯防止との関連で、先ほど奥野政務官から御指摘ございましたけれども、一点だけ最後にお尋ねさせていただきます。

 被害者の皆さんのさまざまな声を伺わせていただいている中に、刑務所の中に入って加害者に直接、御自分の、犯罪被害者等遺族の方も含めまして、自分の加害者ということではないわけでありますけれども、刑務所の中に入って、そして自分が犯罪の被害に遭った、そのことの心情をしっかりと訴えるということ、このことをぜひさせてほしい、そういう声が強く寄せられた、数年前はそういう声が寄せられました。当時、調べてみますと、刑務所の中では、なかなかそういうことにつきましては消極的であったというふうに思っております。

 基本法が施行されまして、今、そういう前向きに、被害者の皆さんが逆に刑務所の中で矯正教育の一端を担われるという形で、刑務所の中でも半数近くのところでお取り組みが始まっているということでございますし、また、こういうものにつきましては、その効果も十分に観察、吟味していただいた上で検証していただきながら、全刑務所の中でも展開していただくということが、先ほどの監獄法のプログラムの中にもそういうものを組み込んでいただくということが大変大事ではないかというふうにも思っているところでございます。

 そこで、被害者の視点を取り入れた教育につきましての基本的なお考えと取り組みの現状につきまして、最後にお尋ねをさせていただきたいと存じます。

水野副大臣 今先生がおっしゃられましたように、これは犯罪被害者の方々からもそういう声というのは非常に強い、そういうことを受けて、犯罪被害者等基本計画、去年の十二月だったでしょうか、策定された、その中にも今言ったようなことが盛り込まれておりますし、また一方で、受刑者の方から見ても、受刑者が真に改善更生していくためには、みずからの犯した罪の重大性とかというのを、真剣にそれに向き合って、それを認識する必要がありますし、そのためにも被害者の生の声を聞くということに意味があるというふうに考えています。

 そういう観点から、刑事施設におきましては、特別改善指導の一類型として、被害者の視点を取り入れた教育を全施設で実施しておりますし、具体的に申し上げますと、平成十六年度に開催をいたしました、被害者の視点を取り入れた教育研究会の意見をもとに策定した標準プログラムに基づき、被害者やその家族等の心情を認識させ、被害者等に誠意を持って対応していくとともに、再び罪を犯さない決意を固めさせることなどを目的として、視聴覚教材を活用した指導を行うほか、被害者の方等による講話や講義の機会を設けてございます。

 被害者や支援団体の方々をゲストスピーカーと呼んでおりますけれども、こうしたゲストスピーカーによる指導におきまして、心の傷とか苦しみや悲しみ、さらには経済的負担の大きさなどを具体的に話していただくことによって、被収容者に対して内省を促して、罪の意識を覚せいさせていく、そういうようなことをやっておりますし、こうした教育の充実に努めていきたい、そのように考えてございます。

上川委員 被害者の声には百倍の力があります。ぜひとも、そういう面での声を十分に聞いていただきまして、法務行政の中にも反映していただきたいということを最後にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

七条委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 長勢法務大臣、水野法務副大臣、そして奥野法務大臣政務官、特に法務大臣は、司法制度改革の推進に当たって、本当に中心的な役割をされていた。また、水野副大臣、奥野政務官も非常に強力な体制を組まれておる。そういうことで、これから司法制度改革が実施段階へ進んでまいりますが、そういう点で、ぜひとも団結をされて、強力に推進していただきたい、こう思っております。

 また、国民は、やはり治安といいますか、このことが一番今、町においても大きな課題になっております。そういう点で、世界一安全な国日本の復活、これを目指して、法務大臣を中心にして、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 そのような司法制度改革の実施段階に入った中に、独立行政法人日本司法支援センター、愛称法テラス、この業務が十月二日からスタートをしたわけでございます。二日から七日までの開業一週間で一万二千三百六十五の問い合わせを受けたと聞いておるわけでございます。

 この日本司法支援センターは、総合法律支援法第二条に、「民事、刑事を問わず、あまねく全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会を実現する」、こういう理念をもとにしまして、情報提供、また民事法律扶助、被疑者、被告人に対する国選弁護人の確保、司法過疎対策、そして犯罪被害者支援等の業務を一体的に行い、司法におけるアクセス障害の解消を目指すものである、こういうことでございます。

 私ども公明党は、公明党青年局というのがございまして、百十万人の署名を集めまして、若い人たちが気軽に相談できる、そういう相談窓口の設置を訴えて、この根拠法となる総合法律支援法の成立に向けて、その推進方として頑張ってきた、こういうことを皆さんに御報告したいと思うわけでございます。

 私は、先日、四谷にあります法テラス東京地方事務所にお邪魔しました。所長さんを初め、スタッフの方々からお話をお伺いしましたけれども、このコールセンターから、今度その受け皿となる相談窓口にスムーズに行く、相談窓口がまたしっかりと充実した相談体制をとっていただく、そういうことで、弁護士会でありますとか司法書士会でありますとか、あるいは犯罪被害者の団体でございますとか、こういう方々が一生懸命やっておられるわけでありますけれども、連携を密にして、そして、期待を裏切らない、相談者の満足度をアップしていくために、やはり努力をし続けていかなきゃいけない、こう思っております。

 こういう法テラスという制度ができたわけでありますから、これを周知徹底させるということが非常に大事でございます。同センターの中期計画に、真に国民に親しまれ頼りにされる存在となるよう、その業務内容について国民への周知徹底を図るとともに、業務運営においては、非公務員型の法人であることの利点を生かして、さまざまな創意工夫により、親切丁寧な対応その他高齢者及び障害者に対する特別の配慮を含め、利用者の立場に立った業務遂行に常に心がける姿勢を基本とする、こういうことが書いてあるわけでございます。

 そういう点で、この法テラスを国民に周知徹底させることが非常に重要であるということで、法テラスの広報について、周知徹底のきめ細かな方策、特に高齢者、障害者、外国人、若者等への配慮が大切である、こう思っております。

 具体的には、例えば、マスコットをつくるとか、ステッカー、携帯ストラップの作成、配布、あるいはインターネットのバナー広告、駅や書店で無料で配布されている若者向けの雑誌、「R25」とか「ホットペッパー」などへの掲載、あるいは小中高の社会科の教科書への掲載、あるいは政府広報や自治体の広報誌への掲載、各種メディア広告、法の日及び法の日週間のイベントでのアピール、連携先である地域包括支援センター、これは高齢者向けです、あるいは障害者自立支援センター、障害者向けでの周知徹底。それから、外国人に対しては、英語あるいは韓国語、中国語、ポルトガル語等の外国語の宣伝リーフレットの作成、入管窓口や市町村窓口での配布、こういうことが私も考えられると思います。

 いずれにしましても、こういう周知徹底につきまして法務省として今後どのように努めていかれるか、法務大臣のお考えをお伺いします。

長勢国務大臣 法テラスは、皆さん方の大変な期待の中に業務を始めておるわけでございます。先日も理事長さんがお見えになりましたが、大変意欲を持って取り組んでおられまして、これから大変に期待をしております。

 今おっしゃったように、国民の皆さんによく知ってもらうということがまず基本でありますし、まだ始まったばかりで、これからいろいろな苦労も多いと思いますが、センターさんには大いに頑張ってもらいたいと思っております。

 今、るる具体的な事例も挙げられまして、広報のあり方について御提言がありました。そういうことを、ぜひセンターにおいて広報に工夫を凝らしていただくように法務省としても協力をしてまいりたいと思っております。

 特に、今例として挙げられました高齢者あるいは障害者については、特に総合法律支援法に、こういう高齢者及び障害者の方々に対し特別な配慮をしなければならないという規定も盛り込まれておるところでございます。

 そういうこともあって、司法支援センターでは、ホームページをつくる際に、文字や図の拡大機能をつけるとか音声読み上げ機能をつけるというような工夫をする、あるいは高齢者が陥りやすい法的トラブルを例示した高齢者向けのパンフレットをつくる、あるいは視覚障害者用に点字を併用した点字パンフレットをつくるというようなことも今予定しておると聞いておりまして、まだまだ工夫をする余地があると思いますが、大いに頑張っていっていただくように期待をいたしております。

大口委員 また、法テラスの情報提供業務の窓口であるコールセンターですが、外国人からの相談についても、今現在、英語のみの対応と聞いております。ただ、我が国における外国人登録者数の増加という現状から見ますと、今後はやはり英語以外の多言語での対応も必要と考えますが、これについて御意見を。

水野副大臣 先生御指摘のコールセンター、いわゆる〇七八三七四(おなやみなし)の番号の方に電話をいたしますと、外国語の対応といたしましては、現在、英語に対応できるオペレーターはいるというふうに聞いてございます。もちろん、日本には日本語、英語以外の国々の言葉しか話せない外国人の方も当然いらっしゃるでしょうけれども、この点につきましては、今後の運用における利用者の需要などを勘案しながら、司法支援センター、法テラスにおいて適切に検討されていくものというふうに考えてございます。

大口委員 また、高齢者や障害者等司法アクセスの困難な方々に対する施策の一環として、私は、訪問だとかあるいは出張による法律相談、こういうことも実施すべきではないか、こう考えますが、これについて法務省はどう考えておられますか。

菊池政府参考人 お答え申し上げます。

 総合法律支援法では、高齢者や障害者の方に対しましては、支援センターの業務が利用しやすいものになるように特別の配慮をしなければならないという規定がございます。

 民事法律扶助の一環としての法律相談につきましては、支援センターが業務方法書というものを作成しておりますが、その中におきまして、高齢者、障害者の方への法律相談につきましては、法テラスの事務所等ではなくて、その方のお住まいの場所などで法律相談を実施することができるという定めを置いております。

 このように、支援センターにおきましては、御指摘の困難な方に対しましては出張による法律相談というものを行うことになっているというふうにお聞きをしております。

大口委員 ただ、それは規定だけであって、実際にそういうサービスがまだ、これからですけれども、行われなきゃいけないということで、その体制整備をしっかりしなきゃいけない、こういうふうに思うわけであります。

 また、法テラスの開業とともに、被疑者の国選弁護制度も始まりますし、当面は年間七千件ぐらいの重大事件に限られますけれども、裁判員制度が始まる平成二十一年度には十万件ぐらいになる。

 また、司法過疎対策、いわゆるゼロワン地域の解消、これも急務でございます。平成二十一年度までに常勤弁護士を大体三百人ぐらい配置する必要がある、こういう日弁連の試算もあるわけでございますが、現在わずか二十一名である。

 契約弁護士の確保とともに、今後どのようにして法テラスにおいて優秀な常勤弁護士を計画的に確保していくか、法務大臣の御答弁を願います。

長勢国務大臣 御指摘のとおりでございまして、国選弁護関連業務あるいは司法過疎対策業務については、優秀な弁護士を質量ともに確保していくことが、司法センターが国民のお役に立てるかどうかの一番大事なポイントの一つだと思っております。

 とりわけ、国選弁護制度は、今おっしゃったように、平成二十一年度からはその対象事件も拡大されるということもありますし、同時に、裁判員制度も、裁判員裁判も開始されるわけでございますから、それらに備えた弁護士体制の整備ということは喫緊の課題であります。特に、スタッフ弁護士という方々が今二十一人、そのとおりでございますが、これをどうやって確保するかということが大変大事になっております。

 なかなか、弁護士さんの方々それぞれのお仕事もありますので、いろいろこれから知恵を出していかなきゃならないと思っておりますが、日弁連の方々にもいろいろ御協力もいただいておりますので、適宜方策を探していきたいと思いますし、また、契約弁護士さんの方は現在でも八千四百三十五名を確保いたしておりますので、それなりに業務は回っておる状況だと思っておりますが、こちらの方も拡充に努めていきたい、このように思っているところでございます。

大口委員 この前も法テラス東京事務所へ行ったときに、休日における契約弁護士の確保ということで大変苦労して、まあ何とかクリアできた、こういうことで、現場も必死の思いでやっております。そのことも、大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 また、法テラスの情報提供サービスは、全国どこでも、コールセンター、それこそ〇五七〇―〇七八三七四(おなやみなし)、こういうことで、ナビダイヤルというものを使って、三分間八・五円で電話をかけることができる。電話代も、ナビダイヤルを利用して、安くてよい、こう思うわけでございますけれども、今、やはりパソコンあるいは携帯電話の電子メール、これが広く国民に普及している、若い人たちは特にそうでございますけれども、メールによる相談、このサービスも開始してはどうか、こう思いますが、いかがでしょうか。

菊池政府参考人 総合法律支援法では、情報提供業務につきまして、情報通信の技術を利用する方法その他の方法により提供するという規定がございます。したがいまして、メール等という方法を使うことが法の趣旨にかなっているわけでございますし、今御指摘のとおり、最近は、電話よりはメールという方が、利用している方々も多いわけでございます。

 ただ、支援センターの方、業務を開始したばかりでございまして、まだその体制が整っていない。特に、お問い合わせのある、よくある質問に対して回答という、その組み合わせを多数準備しておりますが、その整備が正直まだもう一歩でございまして、その体制が整い次第、御指摘のメールによる情報提供を行うという方向で支援センターは考えている、そう遠くない時期に実施に移す予定であるというふうにお聞きをしております。

大口委員 次に、民事法律扶助事業について、法テラスの業務の開始に伴って需要が掘り起こされまして、ニーズがふえてくる。こうなってきますと、今回の本年の予算は前年度実績で組まれているわけですが、真にその扶助を必要としている人がやはり困らないように、サービスの確保をするための措置というもの、これが必要になってくるのではないかなと。そういうことで、現場も心配をしている、弁護士さんの方からそういう声も聞いております。この点について、法務大臣の対応、そして御認識をお伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 民事法律扶助は、経済的に恵まれない方々、すなわち資力の乏しい国民の方々について裁判費用の立てかえなどを行う事業でありますので、国民が利用しやすい司法制度の実現のためには非常に重要な事業であると思っております。かつ、これを実行していくためには、おっしゃるように、金が大変必要となる事業でありまして、従来からこの拡充に努めてまいっております。

 今度、司法センターということになりましたので、予算としては交付金という形で計上されることになっております。来年度につきましては、来年度から通年化をいたしますので、それに向けた予算を今概算要求いたしておりますが、これを全額確実に確保する、かつまたその交付金の中の使い方が、今おっしゃるような扶助事業に支障のないように全力を挙げていただくようにお願いしておるところであります。

大口委員 次に、新司法試験についてお伺いしたいと思います。

 本年の五月の十九、二十、二十二、二十三日と実施された、法科大学院の修了者を対象にした新司法試験についてお伺いします。

 司法制度改革による新しい法曹養成は、従来の司法試験という点のみの選抜にかえて、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させた、プロセスとしての法曹養成制度を整備する構想であります。

 このたび、新司法試験の合格者が発表されました。新司法試験は、法科大学院における教育成果を確認するために行われるものであって、今回の新司法試験の内容は、法曹としての活動を始めることが許される程度の知識、思考力、そして分析力、表現力等を備えているかどうかを判定するという目的に合致した試験内容であるべきである、こう考えるわけです。

 また、今回は第一回の新司法試験であり、法学部出身の既修者のみが受験した試験であり、この試験結果だけで法科大学院のランクづけがなされるということであってはいけないし、その結果として法科大学院が受験テクニックの伝授に堕することのないようにしなければならないと思います。

 そのためにも、この新司法試験の内容につき、単なる受験テクニックだけでは合格できない、法科大学院の勉強にまじめに取り組んで、そして法曹として活動することが許される程度の能力を備えた者が合格するような内容にする、そういう努力を継続すべきである、こう考えます。

 そこで、法科大学院の教育と新司法試験がどのようにリンクしているか、絶えず検証すべきではないか、こう考えるわけです。法科大学院における成績はいいのに新司法試験の合格率が低い、逆に、法科大学院においては成績が悪いのに新司法試験は合格率が高い、こういうようなことでありますとまずいわけでございます。そういう点で、法科大学院の成績と新司法試験の成績の相関関係を知る必要があると思います。

 そこで、法科大学院あるいは法務省など、データの提供等の協力やその活用方法の検討をなすべきである、そしてまた、個人情報の保護についても受験生の協力を得る方策というものを検討すべきではないか、こう考えますが、法務大臣及び文科省の対応をお伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 先生、御専門でありますので、全く御指摘のとおりだと思います。

 新しい法曹教育は、まさに点ではなくてプロセスとして、全体としてちゃんとした法曹人になれるようにという教育でありますから、法科大学院の教育と司法試験の連携の確保ということが非常に大事なことだと言われることもそのとおりであります。

 そういう中で、その連携を検討する方策として、データを集めるということも一つの方策だと思いますし、それはこれから検討すべき問題だと思いますが、おっしゃいましたように、個人のプライバシーの問題があったり、またそのデータの検証の仕方等々、いろいろこれから検討しなきゃならない点もあると思いますが、そういうことも含めて、効果的な検証のあり方について、関係省庁と御協力を申し上げながら検討してまいりたいと考えております。

辰野政府参考人 お答え申し上げます。

 新たな法曹養成制度におきましては、御指摘のように、法科大学院における教育と新司法試験がその内容等において相互に緊密な連携を確保することが極めて重要であると認識をいたしております。

 文部科学省といたしましては、今回公表された新司法試験の結果も踏まえ、法科大学院の教育と新司法試験との相関関係を検証していくことが不可欠と認識しておりまして、今後、検証に必要なデータや検証の手法も含め、検証のための協力体制の構築について、法科大学院や法務省など関係機関と十分御相談してまいりたいと思っております。

大口委員 今回の司法試験の全体の合格率というのは四八%ですね、千九人が合格だったわけであります。来年からは、三年間の未修入学コースの修了者も受験をすることになります。今後さらに受験者数がふえていくことになるわけですね。そして、法科大学院は七十四校、定員が合計で五千数百人に上る結果で、今後、前年あるいは前々年の滞留者を加えて一万二千人が受験するようなことになる。

 そういう中で、この司法制度改革審議会の意見書によりますと、平成二十二年ごろには新司法試験の合格者数の年三千人達成を目指すべきという枠がある限り、合格率が二、三〇%ぐらいに下がってしまうのではないか、こういう懸念の声が各方面から上がっているわけですね。

 同意見書には、「法科大学院では、その課程を修了した者のうち相当程度(例えば約七〜八割)の者が新司法試験に合格できるよう、充実した教育を行うべきである。」と書かれているわけですね。

 そういうことで、この乖離をどうしていくのか、大きな課題だと思います。まずは、厳格な成績評価と厳格な修了認定、これが実施されなきゃいけない、こう思うわけでありますけれども、司法試験委員会の「併行実施期間中の新旧司法試験合格者数について」によれば、平成十九年、来年の合格者数は千八百ないし二千二百程度を一応の目安としているわけですね。

 私は、厳格な修了認定を前提として、この合格者数についてふやすという考えがないのか、法務大臣にお伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 御指摘のとおり、新司法試験の合格者数の目安については、十九年についてはそれを一応の目安とするということが適当であるというふうにされておるところであります。

 ただ、この数字はあくまで一応の目安として示されておるものでございますので、実際の司法試験の合否については、司法試験委員会において、受験者が法曹となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有しているかどうかという観点から、実際の試験の結果によって判断されるものでありますので、来年どういうことになるかということは、確定的なことはちょっと今の段階では申し上げられませんが、今おっしゃった数字を一応の目安としておる。

 これをもっとふやせばということでございますが、これも司法試験委員会において、さらにそういう必要があるかどうか、また御検討されておるかと思います。

大口委員 厳格な修了認定を前提として、やはり二〇一〇年とされる年間三千人の合格をもっと早く実行すべきだ、こういう意見も出ているわけです。また、司法制度改革審議会の意見書には、三千人は、「あくまで「計画的にできるだけ早期に」達成すべき目標であって、上限を意味するものではないことに留意する必要がある。」こういう記述もあるわけであります。

 そういうことで、これは法曹人口のあり方という大きな問題があるわけですけれども、将来の合格者数についてどう考えておられるか、法務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 今御指摘のとおりでありまして、司法制度改革審議会意見書によれば、新司法試験合格者数を年間三千人とすることは、計画的にできるだけ早期に達成すべき目標であって、上限を意味するものではないことに留意する必要があるということにされておるところであります。

 司法試験委員会においては、既に、十八年、十九年の合格者数の一応の目安、先ほども御質問にあったとおりでありますが、これを示されておるわけでありまして、平成二十年以降の合格者数については、法曹の質及び量の拡充が不可欠であるとされた司法制度改革審議会意見書の理念にのっとって、今後の法科大学院の教育の実情や受験者の動向等をも踏まえて、これから検討なさっていくものと思っております。

大口委員 次に、法教育についてお伺いします。

 法務省も、「はじめての法教育」、こういうものですね、法教育研究会というものをつくられてこういうことをやったり、あるいは法務省の方の名刺を見ますと、法教育ということが書かれております。平成二十一年度には裁判員制度が始まる。今後、国民の間でもそのような関心が高まってくる、こう思うわけであります。

 我が国では、一般的に法というものは遠い存在だという認識があるのではないか。法教育は、法律専門家でない一般の人々が、法や司法制度、これらの基礎になっている価値を理解し、法的な物の考え方を身につけるための教育であります。子供たちが社会で生きていくためにぜひ必要である。そういうことで、裁判員制度の定着のためにも、今から学校においても法教育を実施する必要がある、こう考えます。

 そこで、文科省は今年度に改訂される予定の学習指導要領において法教育を取り入れるべきではないか、こう思いますが、いかがか。

 それと、法務大臣政務官には、法教育が学習指導要領において指導内容として位置づけられた場合、法務省としてどのように法教育に取り組んでいくか、お伺いしたいと思います。

辰野政府参考人 お答え申し上げます。

 司法制度改革の一環としての裁判員制度の導入など、社会システムが大きく変化する中、児童生徒に、よりよい社会の形成に向け、主体性を持って社会に積極的に参加し、課題を解決していく力を身につけることが極めて重要であります。

 このような観点から、本年二月に取りまとめられました中央教育審議会教育課程部会の審議経過報告におきまして、学習指導要領の見直しに際し、法に関する教育の充実が提言されているところでございます。これを受け、現在、例えば小中学校の社会科において、法やルールに関する教育の充実を図る方向での検討が進められております。

 今後、各教科等の具体的な改善内容につきましては、中央教育審議会において専門的見地からさらに御審議いただくという運びになっております。

奥野大臣政務官 法教育というのは、ふだんの数学だ物理だという、そういうような教育ではない、やはり知識の詰め込みではなくて、国民一人一人が法や司法を身近なものとして感じてもらえるような教育をしなくてはいけないんじゃないかと思っております。そういう意味で、学校の先生や法曹界の皆さんの知恵をかりながら、国民一人一人の身につきやすい教育を実現したいな、こう考えているところでございます。

 具体的には、平成十七年五月に法教育推進協議会を発足させ、学校における法教育の実践及び今後のあり方、あるいは法教育に関する教育の指導力の向上への支援並びに裁判員制度を題材とした法教育教材の作成などについての検討を行っているところであります。

 法教育が何らかの形で学習指導要領の中に盛り込まれた場合には、教員と法律実務家の連携などについて、法教育の円滑な実施のために可能な限り支援をしていく所存でございます。

大口委員 以上で質問を終わります。

 警察庁、済みませんでした。またよろしくお願いします。ありがとうございました。

七条委員長 長勢法務大臣。

長勢国務大臣 済みません。上川委員からの一番最初の御質問に対して私がお答え申しました一部につきまして、二点不明確な部分がありましたので、改めて申し上げさせていただいて、訂正させていただきたいと思います。

 一点目は、十月十一日の官房長官発表時の入国禁止の対象についてでありますけれども、これは、それまでは北朝鮮当局職員をその対象としておったものから、北朝鮮籍を有する者全員を対象とする措置をとったという趣旨のものであります。

 二点目でございますが、国連安保理決議に関して、北朝鮮の核、弾道ミサイル及びその他大量破壊兵器関連の政策に責任を有する個人及びその家族と申し上げましたが、これは責任を有する者でありますので、訂正をさせていただきたいと思います。

七条委員長 次回は、来る二十日金曜日午前九時四十分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十九分散会


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