衆議院

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第12号 平成19年4月18日(水曜日)

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平成十九年四月十八日(水曜日)

    午後一時二十五分開議

 出席委員

   委員長 七条  明君

   理事 上川 陽子君 理事 倉田 雅年君

   理事 棚橋 泰文君 理事 早川 忠孝君

   理事 高山 智司君 理事 平岡 秀夫君

   理事 大口 善徳君

      赤池 誠章君    稲田 朋美君

      稲葉 大和君    今村 雅弘君

      近江屋信広君    奥野 信亮君

      鍵田忠兵衛君    北村 茂男君

      後藤田正純君    清水鴻一郎君

      柴山 昌彦君    杉浦 正健君

      杉村 太蔵君    鈴木 馨祐君

      原田 憲治君    三ッ林隆志君

      武藤 容治君    森山 眞弓君

      矢野 隆司君    石関 貴史君

      大串 博志君    中井  洽君

      松木 謙公君    横山 北斗君

      神崎 武法君    保坂 展人君

      滝   実君

    …………………………………

   法務大臣         長勢 甚遠君

   法務副大臣        水野 賢一君

   文部科学副大臣      池坊 保子君

   法務大臣政務官      奥野 信亮君

   厚生労働大臣政務官    松野 博一君

   最高裁判所事務総局家庭局長            二本松利忠君

   政府参考人

   (内閣法制局第二部長)  横畠 裕介君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  片桐  裕君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    小津 博司君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    梶木  壽君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    藤田 昇三君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           村木 厚子君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     鍵田忠兵衛君

  笹川  堯君     原田 憲治君

  清水鴻一郎君     北村 茂男君

  保岡 興治君     稲葉 大和君

  柳本 卓治君     杉村 太蔵君

  山口 俊一君     鈴木 馨祐君

  河村たかし君     松木 謙公君

同日

 辞任         補欠選任

  稲葉 大和君     保岡 興治君

  鍵田忠兵衛君     近江屋信広君

  北村 茂男君     清水鴻一郎君

  杉村 太蔵君     柳本 卓治君

  鈴木 馨祐君     山口 俊一君

  原田 憲治君     笹川  堯君

  松木 謙公君     河村たかし君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 少年法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十四回国会閣法第四四号)


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     ――――◇―――――

七条委員長 これより会議を開きます。

 第百六十四回国会、内閣提出、少年法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、お手元に配付のとおり、平岡秀夫君外二名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案、早川忠孝君外一名から、自由民主党及び公明党の共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 民主党・無所属クラブから修正案の趣旨説明の申し出がありませんので、自由民主党及び公明党の共同提案の修正案について、提出者から趣旨の説明を求めます。早川忠孝君。

    ―――――――――――――

 少年法等の一部を改正する法律案に対する修正案(平岡秀夫君外二名提出)

 少年法等の一部を改正する法律案に対する修正案(早川忠孝君外一名提出)

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

早川委員 ただいま議題となりました修正案について、提案者を代表しまして、その趣旨を御説明いたします。

 第一は、いわゆる触法少年に係る事件についての警察の調査の範囲及び要件を明確化するとともに、いわゆる虞犯少年に係る事件についての調査の規定を削除するものであります。

 すなわち、本法律案が定める警察官による調査が、単なる主観的な疑いによって開始し得るものではなく、客観的な事情から合理的に判断して、触法少年であると疑うに足りる相当の理由のある者を発見した場合に限ることを明確にするとともに、虞犯少年については、現状で行われている調査を否定するものではありませんけれども、調査対象の範囲が広がり過ぎるとの意見があることを踏まえると、あえて明文の規定を置く必要はないと考え、政府案の規定を修正するものであります。

 第二は、警察官による調査に関し、少年の権利保護のための規定を置くものであります。

 すなわち、少年の権利保護のために一定の配慮をすべきであることから、調査に関し、少年及び保護者がいつでも付添人を選任することができることとするとともに、調査は少年の情操の保護に配慮しつつ行うべきこと及び質問が強制にわたることがあってはならないことを明記する規定を政府案に加えるものであります。

 第三は、少年院に送致可能な年齢の下限を設けるものであります。

 すなわち、少年院への収容年齢の下限をおおむね十二歳とすることとし、政府案の関連する規定を修正するものであります。

 第四は、保護観察中の者に対する措置につき、遵守事項違反が新たな審判事由であることを明らかにするものであります。

 すなわち、本法律案による制度において、保護観察中に警告を受けたにもかかわらず遵守事項違反を繰り返していることが家庭裁判所における新たな審判事由であることを明確にするために、政府案の規定を修正するものであります。

 第五は、国選付添人の選任の効力の失効に関する規定を削除するものであります。

 すなわち、本法律案による国選付添人の選任について、その審判を終局させる決定の前に少年が釈放されたときであっても、その効力は失われないこととするのが適当と考えることから政府案を修正するものであります。

 以上が、本修正案の趣旨であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

七条委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

七条委員長 この際、お諮りいたします。

 本案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長片桐裕君、法務省刑事局長小津博司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神崎武法君。

神崎委員 与党修正案の質疑に入る前に、昨日の長崎の事件につきましてお尋ねをいたします。

 昨日、伊藤長崎市長が銃撃をされ、本日未明死亡されました。伊藤長崎市長に対し、衷心より哀悼の意を表し、御冥福をお祈りいたしたいと思います。

 今回の事件は、私は極めて残念であり、また強い憤りを禁じ得ないのであります。選挙期間中に、しかも候補者であり長崎市長である方を銃撃し死亡させた、これは民主主義のルール、言論の自由を踏みにじるものであって、到底許容できないところであります。私ども政治家、国民は、こういったテロに対して断固として闘う、このことが必要だと考えます。

 まず、法務大臣に、この事件についての御感想をお伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 伊藤市長さんが今お話しのような被害に遭われたということについてはまことに大きな衝撃を受けておりますし、市長の御冥福を心からお祈り申し上げる次第でございます。

 今お話しのように、私も、特に選挙中に公衆の面前でこういう事件が起きたということについては、憤りを禁じ得ないものでございます。事犯の全容の解明は今後の捜査を待ちたいと思いますけれども、やはりこういう問題には断固たる措置を講じていくべきだと思いますし、今後検察当局におきましても、事件の送致を受けた後、所要の捜査を尽くして法と証拠に基づき厳正に対処していきたいと考えております。

神崎委員 次に、与党修正案につきましてお尋ねをいたします。

 私は、今回の与党修正案は、当委員会におきます論議を十分踏まえた修正内容となっており、高く評価をするものであります。法務大臣に、与党修正案についての感想をお伺いいたします。

長勢国務大臣 政府案は、少年非行に関する事実の解明をより一層進めるとともに、少年の状況に応じた保護処分の選択を可能にする、そして少年の健全育成を図るために必要な法整備を図るという趣旨のものでございまして、今まで熱心に御議論いただいたことに感謝を申し上げたいと思います。

 このたびの修正案につきましては、与党においてこれまでの御審議の結果を踏まえた上で提出されたものと承知をいたしておりまして、大変貴重な御提案というふうに受けとめております。

 今後とも、この修正案も含めて御審議をいただき、できる限り速やかにこの法案を成立させていただきますようにお願いいたしたいと思います。

神崎委員 触法少年、虞犯少年に係る事件の調査手続の整備につきまして修正をされているわけでございますが、第三条第一項第三号に掲げる少年に係る事件の調査に関する規定を削除することとなっております。

 地域社会の声を聞きますと、非行少年が市中でさまざまな振る舞いを見せ、一般市民はこれに不安を覚えると同時に、こうした非行の防止への期待を強めているところであります。その折の今回の法案でありますけれども、与党修正案では警察官による虞犯少年の事件の調査に関する規定が削除されることとなりました。本法案の警察の調査の目的が事案の真相解明とそれに根差した最も適切な処遇選択の実現であるとはいえ、そのための警察の活動が非行の防止、減少に役立つことは事実だと思います。

 今回、虞犯少年についての調査の規定が削除されたことは、虞犯少年に対する警察の調査を否定するものでしょうか。与党修正案の提出者及び法務大臣に、それぞれ御所見をお伺いいたします。

大口委員 この虞犯少年に係る事件については、警察法第二条に基づき、現在でも、相手方の協力が得られる範囲で警察により調査が行われているところでございます。法律上の根拠が明確でないとして相手方の協力が得られず、あるいは協力を得る上で困難な場合があって、事実解明に支障があるとの指摘がなされていたため、政府提出案においては虞犯少年に係る事件に関する調査手続を整備することとされたわけでございます。

 しかし、当委員会における真剣な審議がありまして、そして、政府提出法案については、警察による調査権限の及ぶ範囲が不明確で調査対象の範囲が過度に拡大するおそれがあるなど、懸念が指摘されたわけでございます。

 そこで、こういう審議を十分に踏まえまして、これは与野党から御指摘があったわけですね、そういうことで、このたび修正案で、虞犯少年に係る事件については明文での規定を控えることとしたわけでございます。

 したがって、本修正案は、これまで警察が行ってきた虞犯少年に係る事件の調査の実態を何ら変更するものではなく、警察がこれまでと同様に虞犯少年に係る事件について任意での調査を行うことができることは一切変わりありません。

長勢国務大臣 我々が提出いたしました法律案、また、この審議の経過を踏まえた与党の修正案の経過については、今大口委員から御説明のあったとおりだと考えております。

 したがいまして、与党の修正案におきましてはこの規定は削除するということになっておりますけれども、現行法の規定はそのまま維持されるものでございますから、虞犯少年に係る警察の調査権限が変更されたり否定をされるということはないものと思っております。

 一般市民の間には、非行少年等に対する警察が頼りないという声もよく聞くわけでございまして、これまでと同様に、虞犯少年に係る非行事実の存否や内容について、警察において適正に調査を行っていただきたいものと思っております。

神崎委員 同じく与党修正案では、第三条第一項二号につきまして、「客観的な事情から合理的に判断して、」及び「疑うに足りる相当の理由のある者」としております。具体的にこれはどのような意味なんでしょうか。また、疑うに足りる相当の理由があるとの警察官の判断はだれがどのようにチェックするのでしょうか。

大口委員 この修正案は、触法少年に係る事件について警察の調査権限が及ぶ範囲を明確にし、単に警察が主観的な疑いや必要性を認めただけでは足りないということを明らかにした趣旨で、客観的な事情から合理的に判断して疑うに足りる相当の理由のある場合としたものでございます。

 それから、相当な理由があるとの警察官の判断はだれがどのようにチェックするのかということについてですが、相当の理由があるとの判断は、第一義的には、これは調査を行う警察官が行うということであります。その判断の相当性は、任意調査の場合には、家庭裁判所に事件が送致された後、家庭裁判所の裁判官により事後的にチェックされることになります。

 他方、触法少年に対する強制処分を行う場合には、警察は裁判官が発出する令状を得て行うことになりますので、その相当性の判断は令状を発出する裁判官が事前にチェックすることになります。

 以上です。

神崎委員 低年齢の少年から警察官等が調査を行う場合は、低年齢の少年の特性に配慮しなければならないと思います。諸外国では、児童心理学者とか法律家等の共同作業によりまして、調査のマニュアルを作成していると承知しております。今後、専門家によりますマニュアルとかガイドラインの作成を予定しているのかどうか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、少年につきましては、質問者の暗示を受けやすい、また迎合的になりやすい等の特性を有しますことから、そうした特性に配意して、私ども面接を行わなければならないというふうに考えております。

 このため警察庁では、国家公安委員会規則であります少年警察活動規則において、少年警察活動は、「少年の心理、生理その他の特性に関する深い理解をもって当たること。」また、「少年の性行及び環境を深く洞察し、非行の原因の究明や犯罪被害等の状況の把握に努め、その非行の防止及び保護をする上で最も適切な処遇の方法を講ずるようにすること。」等と規定いたしておりまして、また、警察庁次長通達でございます少年警察活動上の留意事項についてにおきまして、少年の年齢、性別、性格等に応じてふさわしく、かつ、わかりやすい言葉を用いる、また少年のよき聞き手となり、一方的にこれを押さえつけようとせず、その原因を理解することに努めるなどと定めるなど、少年の特性に配意した対応をするように指示しているところでございます。

 このほか、少年警察の活動に従事いたします職員の各種研修の際には、御指摘のような専門家、例えば児童精神医学とか非行臨床学等の専門家においでいただきまして、専門的知見に基づく指導等をいただいているという状況にございます。

 今後とも、少年の特性に深い理解を持って調査に当たりますとともに、専門家の御意見もいただきながら、御指摘のようなマニュアルの作成についても検討してまいりたいと考えております。

神崎委員 次に、少年を保護するための措置についてお尋ねをいたします。

 まず第一に、付添人の選任につきましては、これは民主党案も与党案も同じ修正と考えていいのかどうか。

大口委員 これにつきましては、同じと考えて結構です。

神崎委員 民主党案では、少年に関する質問に際して、児童福祉司または付添人の立ち会いを認めるとしているが、与党案にはありません。児童福祉司または付添人の立ち会いを認めることに何か支障があるんでしょうか。

大口委員 触法少年の事件の調査において、事案の内容や個々の少年の状況に応じ、柔軟かつ迅速な対応が求められていますが、児童福祉司や弁護士である付添人の立ち会いを質問の要件としたり、立ち会いを一律に義務づけることにしますと、場合により、少年に対しての適時適切な質問や、ひいては事案の真相解明に支障を来す事態を招くおそれなしとはいたしません。また、警察官が少年と向き合って、その信頼を得つつ事案の真相を聞くといったことが困難になる場合もあると考えておりまして、児童福祉司や弁護士である付添人の立ち会いを質問の要件としたり、それらの者の立ち会いを一律に義務づける制度の導入については、これは大いに議論をしていかなきゃいけない課題である、こう思っております。

 以上です。

神崎委員 民主党案は、「あらかじめ、答弁を強要されることはないこと」などを告げなければならないものとするとしております。与党案は、この点について、「質問に当たつては、強制にわたることがあつてはならない。」ものとしているところであります。これら両案は、基本的に同じ考え方というふうに理解してよろしいでしょうか。

大口委員 与党修正案では、第六条の四の二項において、調査について、配慮規定として、「質問に当たつては、強制にわたることがあつてはならない。」こう定めております。調査における質問は、少年に強制的に供述させることを容認するものではなく、あくまで任意の供述を得ることを目的とするものであり、調査に当たっても十分そのことを念頭に置く必要がある、こう考えたことから、その旨を明記したものであります。

 他方、民主党提出の修正案のように、答弁を強要されることはないことを告げることについては、触法少年について、刑事責任を問われる可能性がない以上、黙秘権、供述拒否権の問題は生じないとの見解が有力であると考えております。(発言する者あり)

七条委員長 御静粛にお願いいたします。

大口委員 また、これらの少年への質問は、身柄の拘束を伴わないものであります。さらに、触法少年への質問が、少年の健全な育成のための措置に資することを目的として行われることを考えますと、少年を適切に保護するために、少年がみずから話をしやすい環境を整えることも重要であると思われます。

 仮に、答弁を強要されないことの告知を一律に義務づけることにより、少年に正直に話をしなくてもよいと誤った意識を生じさせることがあれば、調査の目的に沿わないことになります。したがって、あらかじめ答弁を強要されることがないことの告知を義務づけることは適当でないと考えます。

 以上でございます。(発言する者あり)

七条委員長 御静粛にお願いします。

神崎委員 与党案は、調査に当たりまして、「少年の情操の保護に配慮」することを加えております。これを加えた趣旨について、お尋ねいたします。

大口委員 この点についても、委員会でいろいろ御審議がございました。少年の情操ということを、これはしっかり考えなければいけない。被暗示性とか、いろいろな特質がございます。そこで、第六条の二は、触法少年について、以前から警察の調査で行われているところを、その法律上の権限が明確でないことを明確にしたものでございます。

 これに関し、調査の対象となる低年齢の少年については、その特性に照らして、権利保護のために一定の配慮をすべきであると指摘されたことから、修正案で第六条の二第二項において、調査について、配慮規定として、少年の情操の保護に配慮しつつ行うことを定めたものでございます。

 以上です。

神崎委員 民主党案は、「少年の答弁及び質問の状況のすべてを記録媒体に記録しなければならない。」ことや、質問の中止、調査の中止などに関する規定を設けることとしておりますが、与党案にはありません。民主党案について、どのようにお考えになっているんでしょうか。

大口委員 この問題は可視化の問題でございまして、捜査の可視化とかいう形で大変な議論になっておるわけでございます。

 そもそも触法少年や虞犯少年に対する質問は、刑事処分に結びつく犯罪捜査ではなく、また身柄拘束もしない、任意で行うものであります。また、質問を録音、録画した場合、少年を取り巻く家庭環境その他の人間関係、少年自身の抱える問題等のプライバシーに深くかかわる事実を話題とすることが困難となるとともに、少年に供述をためらわせる、そういうことも指摘されているわけであります。

 この取り調べの可視化については、本当にいろいろな議論がございます。そして、そういう中で、成人の刑事事件の捜査や取り調べのあり方を含め、これから大いに議論していかなきゃいけないことだ、こういうふうに思っております。今の段階で、少年に対する質問について、それらの規定を設けることは、十分これは慎重に考えなきゃいけない、こう思っております。

 また、児童相談所は、非行事実の有無や内容に関する調査を行うに必要な専門的知識を有していません。警察の少年に対する質問の要否や適否について判断することができるわけではないものですから、児童相談所が警察に対して質問の中止等を求め、警察がこれに従って一定の措置を義務づけられるという制度を設けることは適当でない、こう思います。

神崎委員 次に、家庭裁判所送致に係る規定についてお尋ねをいたします。

 民主党案は、第六条の六の、都道府県知事または児童相談所長の送致の規定は、これを削除することとしております。与党案は原案のままであります。この規定を削除するとどのような支障があるか、お尋ねをいたします。

大口委員 都道府県知事または児童相談所長が、警察官から触法少年の事件の送致を受けた場合、児童福祉法第二十七条に基づき、その裁量により児童福祉法上の措置をとるか、家庭裁判所の審判に付することが適当であると認める場合には、少年を家庭裁判所に送致します、この点について、政府原案の第六条の六は、殺人など重大な触法行為をした疑いのある少年については、これはいわゆる検察官関与事件ですね、原則として家庭裁判所に送致する、こういうふうにしておるわけです。

 その理由は、第一に、非行の重大性にかんがみ、家庭裁判所の審判を通じて、非行事実を認定した上で適切な処遇を決定する必要性が特に高いと考えられること。

 第二に、このような重大な事件について、家庭裁判所において、証拠資料に基づいて非行事実の有無、内容を確定することが、被害者を含む国民一般の少年保護手続に対する信頼を維持するために必要であると考えられるからです。

 そして、第三に、家庭裁判所の審判手続においては、被害者等は、記録の閲覧及び謄写や意見の陳述を行ったり審判結果等の通知を受けることができるため、被害者保護等の観点からも、少年法が定める家庭裁判所の審判手続によって事実解明等を行う必要があると考えるからであります。

 民主党の修正案は、この規定を削除することとしていますが、その場合には、重大事件についても、家庭裁判所の審判で事実認定がされず、適切な処遇選択がなされないおそれがあり、ひいては被害者を含む一般国民の信頼を維持することができなくなる上、被害者保護の観点からも問題が多いと考えるわけです。

 以上です。

神崎委員 民主党案は、児童相談所などにつきまして、「必要な体制の整備に努める」とする規定を置いております。与党案にはありません。こういった規定を置くかどうかは別にいたしまして、児童相談所等の必要な体制の整備に努めることは極めて重要だと考えますが、いかがでしょうか。

大口委員 これは、法務委員会の視察で私どもも現場を見まして、本当にこの児童相談所等の必要な体制の整備というのは大事である、一時保護所の状況あるいは児童自立支援施設の状況を見せていただいても、しっかりこの体制を整備することは大変重要である、こういうふうに考えております。

 ただ、これは厚生労働省において必要な体制整備が進められるものと期待をしておりますし、私どももしっかりそのことを政府に要求していかなきゃいけない、こう考えておりますが、あえて法律に規定するまでの必要はない、こういうふうに思われます。

 少年法の改正という法案の改正項目からも離れてしまう、こういう問題がございます。

神崎委員 次に、十四歳未満の少年の少年院送致などについての修正についてお尋ねいたします。

 与党案は、十四歳未満の少年に対しても少年院送致ができるとした原案を修正し、「おおむね十二歳以上」と限定をしております。民主党案は、「おおむね十四歳以上」としているところであります。

 なぜ、おおむね十二歳以上と限定をしたのか、おおむね十二歳とは、実際これは大体何歳ということなんでしょうか。何歳まで少年院送致ができるのか、その点についてお尋ねをいたします。

大口委員 これも審議の中で、やはり下限を設けるべきだ、この場合はいかなる低年齢の少年でも少年院に送致される可能性があると懸念されていたわけでございます。

 そこで、与党修正案では、収容年齢の下限を設けることとしました。そして、少年院に送致される少年の年齢の下限として、いずれかの年齢をもっておおむねという一線を引くのであれば、中学に入学する年齢を一応の目安として、一定程度、弾力的な処遇選択を可能とすべきと考え、少年院送致の下限をおおむね十二歳としたものであります。

 また、現行法上、初等少年院送致の上限がおおむね十六歳未満、中等少年院及び特別少年院の下限がおおむね十六歳以上と、それぞれおおむねという文言を用いて規定されており、いずれも一歳程度の幅を持って運用されていると承知しております。

 少年院に入所させるかについては、個別の事案により家庭裁判所で適切な判断がされる、こう思っており、おおむね十二歳以上と規定した場合は、一応十二歳以上がその対象となると考えられるものの、場合によって十一歳程度までの少年が少年院送致されることもある、こう考えております。

神崎委員 近年におきます重大触法事件の発生状況を見ますと、例えば、十歳の少年が殺人等の重大事件を起こすということは十分想定できるところであります。十歳以下の少年を少年院に収容する必要が認められる場合があるのではありませんか。

 修正案がおおむね十二歳と定めたのは、十歳以下の少年を一切除外する趣旨なのか。そして、その場合どう対応することをお考えになっているのでしょうか。

大口委員 おおむね十二歳以上と規定した場合、せいぜい十一歳程度までの少年が少年院送致されることと考えられますが、それ以下の少年の少年院送致は基本的には想定しがたいと考えております。

神崎委員 次に、保護観察中の者に対する措置の修正についてお尋ねいたします。

 民主党案は、遵守事項を遵守せず、保護観察によっては改善更生を図ることができないと認めるときは、家庭裁判所が少年院送致等の決定をすることができる旨の規定の削除を求めております。

 これに対し、与党案は、遵守事項を遵守しない場合、原案に、犯罪者予防更生法第四十一条の三第一項の「警告を受けたにもかかわらず、」を加えております。このように修正をした趣旨についてお伺いいたします。

大口委員 ここで、遵守事項を遵守するように指導監督を、保護観察がそれを主たる内容とし、そのため保護観察官や保護司が保護観察に付されている者と接触を保つことが不可欠の前提となっているわけです。

 しかしながら、実際には、再三の指導に反して保護司や保護観察官のもとに出頭もせず、保護観察官等が接触することすらできなくなるなど、遵守事項の不遵守を繰り返し、社会内処遇としての保護観察が実質的に機能し得なくなっている事例が少なくなく、また、現在このような状況に有効に対処できる法的枠組みは必ずしも十分と言えない。

 そこで、保護観察における指導監督に努めたにもかかわらず、遵守事項の遵守をしない場合に、その違反が重大であり、そのまま保護観察を継続することによって本人の改善更生を図ることができないと認められるときは、家庭裁判所において新たな保護処分を言い渡すとされたものでございます。

 これによって、遵守事項の重要性が制度上も明確になって、少年にそのことの意味を自覚させて、これを守ろうという意欲を生じさせ、その改善更生を図ることにつながると考えております。

神崎委員 次に、国選付添人の導入についてお尋ねをいたします。

 国選付添人の導入についての修正は、民主党案も与党案も実質的に同じと考えていいんじゃないかと思いますが、それでよいのか。

 それから、第六条の三の付添人とは、少年法十条に言う付添人と同じ意味なのかどうか、民主党案の調査付添人などとしなかった理由も含めてお伺いをいたします。

大口委員 ここは、民主党案と同じでございます。それから、付添人も少年法十条の付添人と同じでございます。あとは、調査付添人と付添人という言葉遣いの違いであって、実質は同じでございます。

 以上です。

神崎委員 終わります。

    ―――――――――――――

七条委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長縄田修君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局二本松家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司です。

 きょうは、ちょっと残念な委員会運営だなというふうに思っております。本当に何か問答無用というか、議論をせずしてどんどん物事を、しかも予告もなく進めていくというような。

 それで、我々民主党は、先週の金曜日に少年法に対してちょっと問題点があるんじゃないかということで、既に我々の修正案を提出させていただいておりました。その後、与党側からも、確かに政府案のままでは問題点が多いだろうということで、非常に建設的な提案もありまして、我々の民主党案を見ていただいて、了とできるところは了としてもらう、ここはちょっとまだ早いだろうというようなところはというようなことで与野党協議に入ろうということで、昨日、火曜日から与野党協議に入ったわけですけれども、きょう与党案を提出ということになりました。

 今回、与党案がこういうふうに提出されて、まだまだ私たち民主党の方も、きょうもいろいろ話し合いをしまして、与党の方もいろいろ譲歩もあるようだし、少年犯罪の問題というのは、基本的にこれは大人の責任ですから、我々大人がきちんとした少年法の改正をやろうじゃないかということで、与党の方にも修正協議を引き続きお願いしたいということで呼びかけを今しているところなんです。

 これは、提出者の方に伺いたいんですけれども、今出された与党案が今の時点ではもちろんベストのものだということもあるでしょうけれども、与党内にもまだいろいろな御意見もあるようですし、修正協議をぜひ続けていきたいと我々としては提案申し上げたいんですけれども、与党としてはいかがですか。

早川委員 今回の与党修正の提案に至るまでには、相当長期間にわたる審議とか、あるいは参考人の御意見あるいは現地調査、これを踏まえてまいりました。

 そういう意味では、高山理事に対しては、この政府提案の少年法改正案について、御意見があればぜひ早目にちょうだいをしたいというふうに何度も申し上げていたところであります。

 そういった状況の中で、連合審査の前に修正案の御提案のものを仮案としてちょうだいをいたしました。ただ、連合審査が終了するまでの間に、ある意味で、さらに踏み込んで、実質的に審議ができるような内容に変えた、そういった修正案が提案できるだろう、こういうようなお話でありましたので、与党としてもこれを待っておりました。しかしながら、連合審査の結果を踏まえた新たな修正案の提案というのが正式に出されることがないままに今日を迎えてしまいました。

 結果的には、私どもとしては、それまでの委員会における審議の内容あるいは参考人の御意見あるいは与党内でのいろいろな意見等を踏まえて、最終的に、これが一番実務上の混乱を招くこともないし、少年の保護のためにも極めて適切であろうということの中で、政府原案に対する修正案を提案させていただきました。

 なお、与党修正案の提案に際しましては、あらかじめその骨子案というものを高山理事にお届けを申し上げて、慎重に十分御検討いただきたいということを申し入れさせていただきまして、大変結構な提案をちょうだいしたようであるという御意見を返していただき、さらには、内容的に十分検討いたしましたという御返事もちょうだいをいたしました。

 その協議結果を踏まえて、昨日、実務者の協議というのをさせていただきました。そこで個別の内容について逐条的にいろいろと意見交換をさせていただき、まず、事実の認識についてのそごがないようにしようということで、丁寧に議論を重ねてまいりました。

 その実務者協議の中で、結果的に我々の与党修正案の中に入っておりませんでしたけれども、虞犯少年についての警察の調査という規定について、やはりいろいろな懸念も各方面から指摘をされているということと、現行の運用に特に大きな変化を与えるものではないということを確認した上で、それでは、最終的な与党の提案として、虞犯の少年に係る調査の項目を削除するという提案を最終的にさせていただきました。

 しかしながら、それについては、その席上において一応の評価はちょうだいいたしましたけれども、民主党側として、これについてさらにどういうふうにするかということの返事がちょうだいできないということの中で、例えば、この調査に際しての付添人あるいは児童福祉司等の立ち会いという、言ってみれば、与党側としては、これは現時点においてのむことができないような内容の提案について、これは固執せざるを得ないというお話がありましたので、実務者協議の段階ではこれ以上の協議ができなかったということで、結果的には共同修正案の成案を得ることができなかったということの確認をしていただいて協議を終了させていただいて、本日の委員会になった次第であります。

 さらに、実は昨日の協議の段階で、野党からは、要するに民主党からは、既に修正案の提案がある、与党から修正案の提案をされるのはそれは当然である、こういうお話がありましたので、我々の共同修正の作業はこれ以上前へ進まないということを確認した上で、最終的な修正案を与党修正案として、本日、提案をさせていただいた次第であります。

高山委員 今、提出者の早川理事の方からもいろいろ説明がありましたけれども、修正協議が始まったのはきのうの夕方ですし、実際、与党案を民主党側がきちんともらったのはけさの九時半ですよね。さあ、ではこれから修正協議をやろうじゃないですかというところで、なぜいきなり最後通牒のようになってしまうのか。

 まさに、この少年法、特に今回は、少年に対しての厳罰化をかなり含んでいる内容、そして警察が担い手としてたくさん出てくる。だから、これは極端なことを言えば、大人同様、悪いんだったら、もう少年法は要らないじゃないか、あるいは少年に対する教育的効果の担い手は、学校や親や地域社会ではなくて警察がやるんだ、与党あるいは政府の考え方が、何かどうもそっちの方向に進んでいるんじゃないのかなと思って、これは大人の責任として、きちんと今までの少年法の精神を生かしてやっていかなきゃいけないなと思っていたやさきに、民主党案を出して、与党案がきょう出てきて、さあ、ではこれから修正協議をしようというときに、今から、質問させてくださいよ、あるいは問題点を浮き彫りにして共同でよりよいものをつくっていきましょうというときに、どうしてそれがもう最終案なんだと、聞く耳を持たないような主張をされるのか非常に疑問でありますけれども、内容的にも、我々民主党の方が提案をさせていただきました虞犯少年に対する調査に関しては、削除していただくということで大幅に民主党の主張を受け入れていただいておりますし、あるいは国選付添人の選任、そしてその効力が維持できる、この点に関しても我々民主党の主張を大幅に取り入れていただいている、そして、違いがもうほとんどないぐらい、私としては、かなりいいところまで来たんじゃないのかなという気もしているんです。

 その中で、我々は、少年院に送致する年齢は十四歳以上の者にしてくださいと。与党案から出されたのはおおむね十二歳ということでしたけれども、我々が十四歳以上としたのはきちんと根拠がありまして、これは今の現行法においても少年に刑事責任を問える年齢は十四歳である、少年院に入れて、あなたはこういう悪いことをしたんだからこうやって反省してというようなことの意味がわかる、だから十四歳でいいじゃないですかということで、おおむね十四歳以上ということにさせていただいたわけです。

 先ほどから十二歳以上にした根拠というのを、神崎委員の方から質問があったときに、要するに中学生からだというようなお話があったんですけれども、ちょっとごまかしがあるなと私が思いましたのは、おおむね十二歳というのは、少年が犯罪というか触法的な行為を行った行為時なんですか、それとも少年が収容される時点なんですか。ちょっと教えてください。

大口委員 これは収容時でございます。

高山委員 おおむね十二歳ということは、プラスマイナス何歳ぐらいあるかということに加えて、そうすると、行為時には十歳だとかそのぐらいの少年が、審判が長引いていくうちに十一歳、十二歳になって、少年院に送致になるということがあるんでしょうか。おおむねの後、下限の、何歳ぐらいまでなのかということとあわせてお答えください。

大口委員 収容時におおむね十二歳、こういうことですから、おおむねというのは一年ぐらいだというと、収容時十一歳ということで考えておる、こういうことでございます。

高山委員 今私が質問したもう一つは、そうしますと、行為時に十歳だった子あるいは極端に言えば九歳の子が、審判が長引いて、そのときに十一歳何カ月あるいは十二歳になっていたら少年院に送致されるということはあるんでしょうか。こういう複雑な事案であればあるほど、そんなにすぐに審判が下るということはむしろまれで、長くかかるのが当然だと思うんですね、少年院に送致しなきゃいけないほどの事案だというと。ということは、行為時においては九歳だとか十歳の子がなる可能性はあるということですね、提出者の方。

大口委員 家裁の審判はそんなに時間がかかるものではないんですね。ですから、収容時おおむね十二歳、こういうことでいいと思います。(高山委員「ちょっと質問に答えられていない。もう一度、可能性があるのかどうかを聞いているのです」と呼ぶ)

 ですから、収容時におおむね十二歳ということですから、収容時に十一歳という可能性もあると。それで、家裁審判はそんなに時間がかからないわけですから、私どもの今のおおむね十二歳、収容時ということで差し支えない、こういうふうに思っております。(発言する者あり)

七条委員長 ちょっとお静かにお願いします。

高山委員 今回十二歳というふうにしていますけれども、十二歳だったら、おおむねで十一歳までだと。さらに行為時のことも含めたら、これは十歳とか九歳は入るじゃないですか。入らないんだったら、入らないと断言してくださいよ。小学生と中学生で切ったんだと言っておきながら、九歳の中学生なんていないですよ。入らないなら、入らないということをはっきりさせてください。

 我々はやはり、中学生以上でなきゃまずいだろうなというのもあるし、刑事責任を問える年齢でなきゃいけないだろうと思ったので、これは十四歳ということをきのうも随分主張させていただいたのです。これはすごく大事な点なんです。

 だって、政府案で少年法の下限年齢を撤廃した。それで、五歳はあり得るんですか、いや五歳はないです、八歳ぐらいだったらどうだ、八歳だったらごにょごにょごにょとなりましたよね。

 これは、当委員会に出ている先生方、ほとんどが、いや幾ら何でも小学生のそんな低学年の子とかはないよ、中学生ぐらいだろうというおおよそのコンセンサスがある中で、今の委員の答弁だと、十一歳は当然である、行為時の九歳、十歳もあるかどうか、なかなか断言できないということになると、これは何のためにこの修正案に入れたのかなというふうになりますので、お願いします。

大口委員 何回も御答弁していますように、家裁の審判、通常は相当迅速に行われます。ですから、行為時に十歳ということは想定しがたいと思います。

高山委員 今の提案者からの答弁で、行為時十歳というのは想定しがたいんだということ。そうすると、では十歳の子は入らないんだなということになりますけれども、では十一歳の中学生がいるのかなとかという議論にもなりますし、やはりこれは、我が方の民主党案が言っているように、刑事責任を問える年齢が十四歳である、かつ、我々だっておおむねというのをつけているので、一歳下がったところで十三歳ですよ。十三歳だったら、中学生は十三歳からじゃないですか。私は、そちらの方が非常に説明もつくし、合理的じゃないかと思うんですけれども、提案者はどう思われますか。

大口委員 まあ中学生というのが一つの目安になると思うんですが、これは年齢ということだけじゃなくて、その子供の状況によって、非行性の度合いとかそういうことによってやはり弾力的に判断しなきゃいけない部分もあるということ、ただ、やはり下限は決めなきゃいけないということでおおむね十二歳、こういうことにしたわけであります。

高山委員 いや、弾力的じゃないですよ。我々がここでそうやって拙速に修正協議をして、与党の方みたいに、バナナのたたき売りじゃないんだけれども、十四、十三、十二と、いや十一もあるかもしれない、十は入らないみたいな、そんなことをやって決めて、本当にこれは、十一歳の少年が何か触法的なことを犯してしまって少年院に入れられることになったら、これは一生の問題ですよ。十一歳なんかでそういう触法的なことをやるというのは、これはむしろ親とか大人の責任であって、本当にそれを少年に押しつけるようなことをしていいんでしょうか。

 私はちょっと提案者の方に伺いたいですけれども、では提案者の方は、とにかく十一歳であれば、そういう悪い子もいるから少年院に送るべきなんだ、そういうお考えなんですか。私は、十一歳なんという低年齢であれば、これは親の責任あるいは周りの責任だと思いますよ。どうしてそれを少年に全部押しつけるようなことを、しかも拙速な改正でやっていくんですか。

 提案者の方に伺いますけれども、十一歳の人を本当に入れる必要があるんですか。

大口委員 まず、これはやはり審判官が十分に記録を見て、本人にいろいろ聞いて、調査官の調査なんかも伺いながら、審判官がこれを判断するわけです。そして、その子供の矯正教育あるいは福祉ということで最もふさわしいものは何なのか、これを判断するんです。

 それから、少年院も変わらなきゃいけないと思うんです。少年院は、一緒に視察させていただきましたけれども、一生懸命やはり子供の矯正教育ということをやっているわけですね。そして、その中で、担当制をちゃんとしいて、本当に一対一でずっと少年院の少年を見たりしているわけです。

 ですから、今回ある程度ターゲットを絞って、おおむね十二歳の子供について、そういうターゲットをちゃんと定めたわけですから、しっかりそれに向けてその矯正教育が充実できるように、また本当に手厚くやっていく、そして、少年院で処遇した方がその少年にとってはいいことだ、こういうことを審判官がいろいろな証拠あるいは状況を判断して決める、こういうことであります。

 ですから、おおむね十二歳という形でターゲットを絞りました。ですから、少年院も、このターゲットに向けて処遇プログラムというものを開発し、そしてしっかり対応していく、こういうことだと考えます。

高山委員 提案者の方にちょっと問いかけたいんですけれども、これは立法論なんですよ。個別具体的な事案を審判官が判断するのは当たり前で、今、我々立法者が本当に十一歳の小学生を少年院に送ることを是とするのか、それとも非とするのか、これはもう価値判断なんですよ。だから、それは当然審判官が決めることですよ。だけれども、十一歳の少年まで少年院に送るべきなんだという判断を今提案者の方はされるわけですか。私、これは後で、文科副大臣がせっかくお見えですから文科副大臣にも伺いますけれども。

 小学生以下の子あるいはもっと小さい子には児童自立支援施設といって、きちんと家庭的な雰囲気で、少年犯罪をする子はむしろ家庭が荒れている子なんかが多いわけですよね、そういう面倒を見る施設もある。そんな中で、強制収容施設である少年院に小学生を入れていく、そういう必要が本当にあるんだろうか。我々は、やはり中学生ぐらいで切るべきじゃないかと思っています。けれども、今、与党の提案者の方は、おおむね十一歳、つまり小学五年生ぐらいも入る、いや、下手すると十歳まで、これは行為時ですね、いくかもしれない、それはないというようなお話でしたけれども。

 これは文科副大臣にも伺いたいんですけれども、教育的効果からして、本当に小学生の段階で少年院に送る必要はありますか。

池坊副大臣 突然に来いということでございましたので、もう仕事を途中で……(高山委員「それは職権で立てられたから」と呼ぶ)はい。(発言する者あり)私が質問に答弁しておりますときには聞いていただけたら幸せかと存じます。来いとおっしゃいましたので、仕事を途中でやめまして、でも、議会制民主主義で委員会が何よりも重要と思っておりますので、私はすぐにここに駆けつけてまいりました。(発言する者あり)だから、その仕事をしておりますから、やじは飛ばさないで聞いてください。

 私は、少年院の中身を変えることだと思います、もしそうおっしゃるならば。少年院に入ったら、その人間が一生、この子は少年院に入ったんだ、だから更生できないんだ、あるいはその点に……(発言する者あり)御質問のときは私に質問してください。質問者にお答えします。少年院に入ったからといって、一生その子供が少年院に入ったんだという烙印を押されるということ自体が私はおかしいと思います。(発言する者あり)

七条委員長 御静粛にお願いします。御静粛に。

池坊副大臣 少年院において、自立や矯正をやはりしっかりとさせるべきではないんでしょうか。私は、青少年特別委員会にも属し、児童虐待防止法もつくりました。そういう意味では、本当に次世代の環境をよくすることが、今の生きている人間の与えられている使命と責任だというふうに私は思っております。子供というだけで私はいとおしいと思っております。その環境整備は必要だと思います。

 その中で、少年院に入れたらその子が汚名を着せられるとか、少年院に入れたらいけないと考えること自体はどうなんでしょうか。それならば少年院の内容を変えるというふうに、委員も情熱を持っていらっしゃるんですから、いろいろなところに視察にいらして、いろいろないい案を出していただけたらいいというふうに思います。

 私は、少年法改正が数年前にありましたときにも、年齢を引き下げることに賛成いたしました。個々人の問題があるんですね。個々人で大きな、本当に大人に近い子供もおります。ですから、私は、自立支援施設でなければだめなんだということではないと思います。少年院できちんと矯正、自立されることを願っておりますし、少年院に携わっていらっしゃる方々は、そういう責任を持って子供たちと向かい合っていると私は信じておりますし、そういうふうになってほしいというふうに願っております。

大口委員 今、池坊副大臣の大変な名答弁がございました。

 少年院に収容するということは処罰ではないわけですね。本当に少年を保護し、立ち直らせる、こういうことで、育て直しという要素もあるんです。(発言する者あり)

七条委員長 静かにお願いします。

大口委員 ですから、本当に少年院というものを、トレーニングセンターとか、名称も早川理事と話をしていたんです。少年を立ち直らせるためにこういうものがつくられた、こういうことでありますので、何か少年院を刑事施設というような印象を持っておられるんじゃないかなと思うんですね。

 いずれにしましても、小学生だからといって絶対に少年院に収容することが不可能とする必要はないと思っております。個別の少年に応じて最も適切な処遇を行うことが大事だ、こういうふうに思います。

高山委員 私も非常に同じような考えを持っていますので、今の文科副大臣や提案者の言うとおりだと思いますよ。だけれども、口先だけじゃないですか。だったら、提案したらいいじゃないですか。今修正協議をやっている最中ですよ。それを、小学生を少年院に送るというところだけ決めて、少年院の内容も今のままでしょう。口先だけじゃないですか、そんなの。では、なぜ修正協議をここでやめるんですか。だったらずっと続けて、いい案をつくりましょうよ。

 それなのに、もうこれで終わりで、何だか知らないけれども、今最後の、しかも答弁でですよ、小学生を少年院に送らないようにするのはおかしいみたいなことを言って。要するに、小学生を少年院に入れるわけでしょう。よくそんなことを言っていて、具体的な今修正協議をやっている最中で、何か今答弁だけではいいことを言うけれども、現実には、修正協議を私たちがやりましょうと言って、しかも民主党も、今おっしゃったようないい内容が入っていることをいろいろ提案しているのに、それを受け付けずに、ただもうここで打ち切ってしまう。私は、これは大人の責任を果たしたことにはならないと思いますよ。

 いろいろな社会のひずみだとか格差とか、悪い部分が全部少年犯罪に出てきていて、それを、大人の力で是正しなきゃいけないところを、ただ低年齢化、厳罰化、それだけで全部少年に押しつけてしまう。何かアンフェアな気がしますね。まあ、でも、こういうアンフェアなのが安倍内閣の運営なんだなということが非常に残念だと思いますけれども、時間が来たので終わります。

七条委員長 次に、石関貴史君。

石関委員 民主党の石関貴史です。

 ただいま同僚の高山委員からもその趣旨の発言が再三ありました。建設的な修正協議が行われている中で、このような本当に強引な形で委員会が開催をされ、強引な形で与党案を通そうとしているということは大変痛恨なことであるというのを一言申し上げてから、それであっても時間をいただきましたので、その質問をさせていただきたいと思います。

 まず、与党案においても、質問において少年を保護するための措置というのが修正案の中に入っております。民主党案の中では、警察官は、少年に対して、あらかじめ、答弁を強要されることはないこと等を告げなければならないという規定になっておりますが、与党案の方では、「質問に当たつては、強制にわたることがあつてはならない。」ものとするというふうにありますね。しかし、大人であれば防御機能が強くあって、普通に、聞かれたこと、答える必要がないことというのを見分けて、ある程度答えることができる。ただ、参考人の意見にもありましたけれども、少年はなかなかそうではなくて、べらべらありもしないこともしゃべってしまったり、防御機能が大変低いという中で、これだけの規定でどのように強制にわたることがないことを少年に対して担保ができるのか、もう一度丁寧に御答弁をいただきたいと思います。

早川委員 まず、今の、少年に対しての調査に当たって強制にわたることがないようにという留意規定を明文で置くことによって、当然、調査に当たる警察官はこれを守っていかなきゃいけない。

 それからもう一つ、今回の与党修正案の中で、これは少年の保護のためには極めて重要である一項目が実は入っておりまして、少年及び保護者はこの調査について弁護士である付添人の選任ができる、こういう規定を設けることにいたしました。

 この規定というのは、本来なら任意の代理人としての弁護士を依頼することによって、言ってみれば、法的な助力をそういった少年が受けやすくなるということでありまして、これは現行規定にないわけであります。ただ、保護者との間にさまざまなトラブルを抱えている少年が弁護士である付添人を選ぶことができるということになりますと、言ってみれば、一定のその調査における適正さの担保というのがここで確保できるだろうということであります。

 問題は、弁護士である付添人を選任できる、こういう規定を置いたとしても、それでは具体的にそれに対応していただけるかということが大きな問題になろうかと思います。私は、弁護士会がこれに組織的に対応できるような体制を組んでいただくという、これまでの少年付き添い活動の成果が求められているのではないかと思いますので、今後の運用によって随分その少年付き添い活動というのは変わってくる、その大きなきっかけになるのがこの与党修正案であるというふうに思っております。

石関委員 今、付添人のことについて提出者のお考えを詳しく御答弁いただきましたけれども、それでも、先ほど私が申し上げた民主党の修正案にある、警察官があらかじめ答弁を強要されることはありませんよと告げなければならない、これがあった方がしっかり担保されると思うんです。

 この点について、ちょっともう一度、改めてお尋ねしますけれども、どう思いますか、民主党のこの規定については。これは入れてあげた方がいいんじゃないですか。

早川委員 民主党提出の修正案のように、答弁を強要されることはないということを告げるということにつきましては、そもそも触法少年については刑事責任を問われる可能性はないものでありますので、いわゆる黙秘権とか供述拒否権の問題が生じないという見解が有力であるということで、私もそれを前提にしています。また、当然、これら少年への質問は身柄の拘束を伴うものでもないということであります。

 さらに、触法少年への質問が少年の健全な育成のための措置に資することを目的として行われるということを考えますと、少年を適切に保護するために、少年がみずから話をしやすい環境を整えることも重要であると思われるところであります。仮に答弁を強要されることはないことの告知を一律に義務づけることによりまして、かえって少年に正直に話をしなくてもよいという誤った認識を生じさせるようなことになってしまえば、調査の目的に沿わない結果になってしまいます。したがって、あらかじめ答弁を強要されることはないという、その告知を義務づけることは適当ではないと考えた次第であります。

 もとより、少年に強制的に供述させることを容認するものではなく、あくまでも任意の供述を得ることを目的とするものでありまして、与党修正においても、その趣旨から、質問は強制になってはならないことを明記することにしたものであります。

 以上です。

石関委員 私、今のは全然納得できません。何でこれを入れたらよくないのか。説明力が全くないというふうにしか思えないんですけれども。

 今の質問とそれから答弁を聞いていて、法務大臣はどのようにお考えですか、今の私の質問、それから御答弁。これは刑事の罪に問われないからといったって、大人にはこういうことを言うんじゃないんですか、不利になることは言わなくていいんですよと。だけれども、何で少年にはこれを言わなくていいというお考えなのか。今るる御説明、提案者のお考えはありましたけれども、法務大臣はお聞きになってどう思いましたか。

長勢国務大臣 少年に対する調査は刑事制裁とは別の次元のお話で、むしろこれからの少年の健全育成のために必要な調査、また事情を聞くということでありますから、これが強制にわたってはならないことは当然でございますが、同時に、しゃべりやすい雰囲気の中で行われるのがいいんだろうと思います。

 そういう意味で、しゃべらなくてもいいんだよと殊さらに言うということになれば、十分必要な調査ができるのかなという意味で、今、提案者の方の御説明は私には大変わかりやすかったと思っています。

石関委員 法務大臣とも認識、理解が全く違うということがよくわかりました。

 これでしゃべりやすい環境にするんだ、こういうような趣旨の御答弁かと理解をしましたけれども、だからといって、これは逆に、ちぐはぐなことを言ったりとか、質問によって圧迫感を覚えて事実と違うことを言ってしまうということが少年には非常に起こりやすいということは先日の参考人の意見にもありましたし、そのことについては、この委員会の委員はすべて共有している認識だというふうに私は思います。

 先日、私、質問時間をもらいましたけれども、ちょっと時間が足りずにお尋ねできなかった、冤罪と言っていいと思いますが、十四歳未満の少年の冤罪の危険性の高さということの証左として、平成十六年の浦添市の放火冤罪事件、それから十八年の大阪地裁の所長襲撃事件、時間がないので、これは簡単に法務大臣御説明ください、どういったことが起こったのか。

長勢国務大臣 お尋ねの浦添の事件でございますが、当時十三歳の少年が軽乗用自動車に放火し焼損させたという器物損壊の事案、また、普通乗用自動車に放火し、これを焼損させたという器物損壊の事案、現住建造物放火未遂の事案、物置を放火し焼損させたという器物損壊の事案、この四つの事案であります。那覇家庭裁判所は、平成十六年九月二十九日、触法事実は認められないとして、不処分の決定をしたものと承知いたしております。

 次に、大阪地裁所長襲撃事件でございますが、成人の被告人二名及び少年三名が、共謀の上、平成十六年二月十六日午後八時三十五分ころ、大阪市住吉区の路上において、大阪地裁所長であった被害者に対し、後方から体当たりして路上に転倒させる暴行を加え、金出せ、殺すぞなどと脅迫してその反抗を抑圧し、現金約六万三千円を強取し、被害者に対し、入院加療五十一日間、通院加療約三カ月間を要する骨盤骨折の傷害を負わせたという強盗致傷の事案であると承知をしております。

 大阪地検は、成人二名を強盗致傷により大阪地裁に公判請求しましたが、大阪地裁は成人であった被告人二名について無罪を言い渡し、現在、大阪高等裁判所に控訴審が係属中であると承知しております。また、大阪地検は少年三名のうち触法少年を除く二名を大阪家庭裁判所に送致しましたが、大阪家庭裁判所は少年二名について少年院送致を決定したものと承知しております。

 なお、このうち少年一名については、その決定が確定したものの、その後、少年側から保護処分取り消し請求がなされて係属中であり、もう一名の少年については高裁に抗告がなされているものと承知しております。

石関委員 これは、大臣、特に前者の方はいわゆる冤罪と言ってもいい事案だと思いますけれども、そういう理解でよろしいですか。

長勢国務大臣 家裁の決定は今御説明いたしたとおりでございます。冤罪という、定義にもよりますが、この事案が家裁においては認められないということになったものでございます。

石関委員 特にこの事案について、民主党修正案のように、あらかじめこの少年に対して答弁を強要されることはないんですよとはっきり明示的に伝えるなり伝わっていればこういったことは起こらなかったのではないか、私はそのように考えます。

 改めてお尋ねをしますが、法務大臣はいかがお考えですか。関係ない、これを告げようが告げまいが同じようなことをしゃべったんだ、自白をしたんだということなんでしょうか。こういうことを告げればまた違った方向になっていたかもしれない、幾らかでもそのようなお気持ちは大臣の中にはありますか。

長勢国務大臣 調査の状況を私具体的に今存じ上げませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

石関委員 いや、これは差し控えるんじゃなくて、しゃべってもらいたくてお尋ねをしているんです。

 それでは与党の提出者に同じことをお尋ねしますが、いかがでしょうか。こういう規定があった、あるいは規定がなくても、こういったことを少年がしっかりと理解していたということであれば、こういったことにはならなかったのではないか、強くそのように私は思いますが、提案者はどう考えますか。関係ない、こんなのあってもなくても同じだということでしょうか。

大口委員 私も、詳細に個別の事案について分析をしているわけではないわけですね。

 やはり、奥山先生もおっしゃっていましたけれども、その少年に合った調査の仕方というのはあると思うんですね。だから、そういうことは本当に警察も今努力をしていると思うんですよ。本当に、少年、特に低年齢の少年に対する調査のあり方というか、そういうものをやはりしっかり工夫していくということが大事じゃないかなと思いますね。

 だから、一律に、あらかじめ強要されないということではなくて、そういうような単純なことじゃないと思うんですよ。やはり、警察がどういう形で聞き取るのか、少年の今の心理状態がどうなのか、どういう場合に行われているか、あるいは虐待をされていたのかどうか、そういうようなことを全体的に判断しながら、丁寧にやはり調査していくべきだなと思いますね。

石関委員 冤罪、警察ということで、ちょっと関連して一つお尋ねをしたいと思います。

 警察に尋ねます。先日も質問をさせてもらいましたが、鹿児島の県会議員の自白強要冤罪事件というのがありました。これは決着がついたということなんです。これは、少年が自白を強要されるように、圧迫感を覚えて、ありもしないことをしゃべってしまうと今お尋ねをしてきたんですが、この県会議員の選挙の事件を受けて、統一地方選挙の前半戦が終わりましたが、警察として、全国の警察本部に対して、こういったことがあるので、我々は大変な間違いを犯した、失敗をしたので、こういうことがないようにということで、何らかの通達なり、気をつけてやってくれ、こういったことを指示したという事実はありますか。

縄田政府参考人 お答え申し上げます。

 判決等を受けまして、その後、私が局長名で、判決で指摘されました点、四ポイントになりますけれども、記した通達を発出して、一斉に徹底をさせてございます。

 また、本日から管区ごと、ブロックごとの警視を集めて、諸般の問題点につきまして具体的に教養しながらディスカッションをして、十分定着をさせるように努力しているところでございます。

 また、捜査二課といいますか、選挙を主管する課からも、各取り締まりをする課長あるいは指導官等にも、別途、意見を聴取するなど指導をいたしておるところでございます。

石関委員 少年についての審議を行っているところですけれども、警察のやり方として、何か裁量が非常に大きいというか、やり過ぎて自白をして、罪を認めさせるということもあれば、このように慎重にやってくれと。

 私、前半戦で選挙の現場にいて、私は事実はわかりませんが、実際に酒食の提供をして、警察が把握をしたけれども、そういった警察庁から指示が来ているので穏便に済まそう、こういったような動きがあるやにも仄聞をしていますので、警察の方では公正にしっかりやっていただきたいということを改めて申し上げます。

 それで少年の方に戻りますが、先日の審議でも口頭で挙げさせていただいたんですが、ちょっと違った側面からお尋ねをします。

 少年の犯罪的行為が低年齢化をしているということの証左として、いや、実は昔も同じようなことがあったということで、昭和三十二年、五歳児と六歳児が赤ん坊を殺害しました、こういう事件が実際あった、それから昭和二十九年には、小学一年生が同級生を刺殺したということがあった。

 それぞれについて、五歳児、六歳児だったり、小学校一年生と大変低年齢の子供が起こしたことですが、この子たちはどういうふうになったんですか、その後。法務大臣、把握していますよね。

長勢国務大臣 突然のお尋ねで、今把握しておりません。(石関委員「調べてください。この前ちょっと頭出ししてありますから。ちょっととめてください」と呼ぶ)

七条委員長 今のは質問ですか。議事録に残るように、質問だというのなら立って質問してください。

石関委員 それでは、この二つの事例について、先日の審議の中で私も、口頭ですけれども、こういった低年齢化について挙げていますので、事務方としては当然その後しっかりと調査をされていると思いますが、説明してください。

七条委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

七条委員長 では、速記を起こしてください。

 長勢法務大臣。

長勢国務大臣 御指摘の事件は、前回、そういう事件があったということを先生御質問の中でお触れになっておられますが、それについて事務方で調査をいたしましたが、把握をしていない、わからないということでありましたので、そのように御答弁申し上げます。

石関委員 ひどいですよ。これは、法案を出しておいて、委員会で私が質問をして、関係して出てきたことですよ。そもそも先日、私、法務大臣にも質問しましたが、こういう事実があって、少年犯罪、こういう事件が増加をしている、本当にそうなのか。大臣の説明は全く説明力がない。

 参考人にもそういう意見があった。時間のとり方によってどうにでも受けとめられることなんだということであった。参考人はここで意見を述べていますよね。これは否定されるものではない。

 低年齢化についても、こういうものがあると私が挙げていながら、全く把握していない。当然、この子たちがどういう処遇をこのとき受けて、プライバシーの問題等はあろうけれども、その後、その処遇によってどのように少年たちが育ってきたのか、それを踏まえて今この法改正をするんだ、年齢を引き下げるんだ、それがないのに、極めて無責任な法改正であり、やり方をしているというふうに私は思います。

 しっかり調べて、まず答弁をしてください。

七条委員長 質疑時間が来ておりますけれども、民主党の範囲の中でやりましょうか。(発言する者あり)

 もう一度答弁できますか。では、どうぞ答弁を。長勢法務大臣。

長勢国務大臣 法務省、検察庁の方にこの事件は来ておりませんので、当時、児童相談所か、正確に言えば私どもはそこは把握はできなかったわけでございますが、処理をされているものと思います。

七条委員長 手短に質問をお願いいたします。

石関委員 把握をしようとする努力が全く見られないし、そういったことも把握をしないで、感覚だけで法改正を行おうと。私は、これはさらにやはり慎重に審議をすべきだということを改めて強く思いましたので、そのようにお願いをいたします。

七条委員長 次に、大串博志君。

大串委員 民主党の大串博志です。

 まず冒頭に、私も、さきの質問者に続きまして、この今回の委員会の開催の方法に関しては強く抗議を申し上げさせていただきたいと思います。

 少年たちの将来を決める少年法等の改正という非常に重要な法案の審議をしている中で、このように非常に強硬な形で審議が進められ、しかも、議論はここまでだと言わんばかりの運営がされている。これは本当に、言論の府としての国会のあり方を封殺するものではないか。しかも、与党側の席を見ていますと、審議にいらっしゃっていない方も非常に多い。こういう非常にふまじめな態度で議論が行われるというのは非常に遺憾であり、問題であると思います。この点、強く抗議させていただきたいというふうに思います。

 さて、今回、法案及び与党の修正案をいただいております。我々も修正案を出しております。本来であれば、きっちりすり合わせをして、修正協議をしっかりやって、本当にいいものを見つけ出していくという努力が必要なんだろうと思います。それが十分なされていない中でのこの状況、非常に遺憾でありますが、与党案そして法案について議論を少し深めさせていただきたいと思います。

 まず、石関委員の方からも話がありました。先ほど来、前回、前々回の質問でも、石関委員の方から、これまでの少年犯罪に関する事例、そしてそれがどうなったかという議論は再三行われているんですね。そして、私の方も、この委員会において、今回、少年法を改正するに当たる立法事実といいますか、必然性、必要性はあるのかという議論をしてきました。

 それは、理由はどこにあったかというと、少年犯罪なるものが本当にふえているのかどうか、特に触法少年の犯罪、非行事実は本当にふえているのか。統計数字を見ると、少年の犯罪は、人口比ではふえているけれども、数としてはふえていないんですね。また、触法少年の非行件数にしてみると、これはほとんどふえていないんです。むしろ減っている傾向にある。

 この事実を踏まえて、なぜこういうふうな少年法等の改正案になるんですかという根本論のところを問うたところ、余りしっかりした答えは政府側から出てこない。この問いを、私、修正案の提出者の方々にもお尋ねしたいと思います。

 今回、修正案の提出もされております。恐らくこの修正案を提出された背景には、現在の少年犯罪、少年非行に対する一定の理解、反省もありますでしょう、あるいは評価もありますでしょう、そういうものを踏まえて、であれば、これが十分だ、あるいはこれで十分対応できるんだという客観的な判断があったのだと思うんですね。

 この点について、現在、修正案の提出者の方々は、触法少年の非行の件数がふえているという認識に立っていらっしゃるのか、どういうふうな認識に立っていらっしゃるのか、どういうふうな認識に立てばそれぞれの修正案になるのか、その連関のところをお話しください。

    〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

大口委員 統計によりますと、少年刑法犯全体の検挙人員は、先生おっしゃったように、昭和五十八年の約三十一万七千人をピークとして、以後おおむね減少傾向が続いていました。ここ数年、約二十万前後で推移しております。

 しかしながら、少年人口千人当たりの検挙人員、この人口比というのが非常に大事だと思うんですね。平成八年以降上昇傾向にあって、平成十七年においても一四・二と依然高い数値である、こういうことでございます。

 私は、やはり人口比というのが大事じゃないかと思いますね。

大串委員 今の説明は、政府の方が説明されたのと全く同じなんですよ。もしそれが本当に立法事実だったら、修正する必要は全くないんです。

 なぜこの修正案を出していらっしゃったのか。これが法案として適切だと思われたからこそ、現在の少年犯罪、少年非行の状況に関してこれが最も適切だと思われたから修正されたはずなんですよ。政府と同じ説明だったら、修正する必要なんかないはずなんです。どういうことなんですか。

大口委員 今、客観的な数字を私は述べただけなんです。

 ただ、今回の改正につきましては、やはりこの審議の中で、虞犯少年についていろいろな危惧があるというようなことがありました。ですから、今回、この規定は削除すべきだ、こういう大きな決断を私はさせていただいたんです。政府が一たん出したわけでありますけれども、それを、大いなる決断をさせていただいたわけです。

大串委員 修正協議をするには、私は、根本論のところからしっかり立ち返って議論する必要があると思うんですよ。

 今回、もともとの立法事実、そもそも少年犯罪はふえているのか減っているのか、触法少年の非行はふえているのか減っているのか。ここの事実のところから非常な議論があって、そのためには児童福祉の世界をもう少し強める必要があるのか、それとも厳罰化というか、サンクションを重くする方向にすべきなのか、そういう議論すら始まっていたわけですね。そこを議論して初めて、ではどういうふうな法案、修正も含めて、どういうふうな修正がいいのかというところの議論に入っていくはずじゃないですか。そこのところの議論をほとんどすっ飛ばして、何とかのたたき売りじゃないですけれども、こういう議論があるからここまで終わりました、ここまで譲りましたと。それでは、本当にこれが現在の少年非行、少年犯罪の現状に対して有効な対策になっているかどうかという検証なり議論なり、全く行われていないじゃないですか。そこがおかしいんですと言っているんです。どうですか。

大口委員 一つ一つの条文に基づいていろいろ質問していただきますとありがたいわけなんですが、例えば触法少年の強制処分を導入する、これは、やはりしっかり真相を解明する、真相を解明して、そしてその少年に最も合った処遇をやっていく、そういう点で今までの、要するに任意処分しかできないということでは真相究明ができないからこういう規定を設ける、そういうようなことで、一つ一つの条文に基づいて必要性ということを私どもは説明させていただきたいと思っています。

大串委員 ですから、一つ一つの条文に基づいて説明してくださって結構なんですよ。現在の少年犯罪、少年非行の現状はこうだから、であれば、一つ一つの修正項目に関して、これはこれでいいんです、これはこれでいいんです、何となれば、少年非行、少年犯罪の現状は政府はああ言ったけれどもこうだから、これはこうして変えていいんですと、一つ一つ具体的に答えてくださっていいんですよ。そういう答えはできますか。どうですか。

大口委員 それをちゃんと個々的に、問いで質問をなさればどうでしょうかね。

大串委員 私、質問する前からほとんど答えが出てこないだろうなというふうに思っていました。

 なぜかというと、修正協議、これまでしている中で、そもそも論に立ち返った修正協議なんかほとんどやっていないじゃないですか。そもそも少年犯罪、少年非行の現状はどうなのか、それに対して児童福祉の世界でいくのか、それともサンクションの方向でいくのか、そういう根本論に立ち返って、ではどうなのかという議論を全くしていないじゃないですか。それを、足して二で割るような議論しかしていない、しかもそれも非常に不十分な議論しかしていない、だから答えられないんですよ。そういうふうなものが本当の修正協議とは私には思えない。それが国会の議論だというのは、非常に私は問題だと思います。そこの点を強く指摘させていただきたいと思います。

 では、個別の論点に関して質問させていただきたいと思います。

 私も、先ほど石関委員から議論のあった、少年に対して質問をする際にどういうふうなセーフガードをしていくか、答弁を強要されることはないこと等を告げなければならないものとするという民主党側の修正案、これが非常に必要だと思うので、この辺が一番重要だと思うんですが、それは先ほど石関さんも質問されたので、ちょっと私は違う論点で。

 保護観察中の者に対する措置についての修正がございますね。我々民主党は、この旨の規定を削除すべきだと。なぜならば、基本的に、一回家裁で保護観察という、一つの行為に対しての結論が出された者に対して、もう一度それに対して、ある一定の処遇、処分を重ねてかける、これは一つの行為に対してダブルの処罰をするものになる、これはおかしいということで我々は削除を求めているんですが、修正案を出されています。修正案にいろいろなことが書かれていますけれども、この修正案をよく読んでみると、現在の政府の案とどこも変わらないように思うんです。これはどこが違うんですか。端的にお答えください。

早川委員 まず、保護観察ということについて御説明しておきますと、遵守事項を遵守するように指導監督することを主たる内容とするということでありますので、そのために保護観察官あるいは保護司が保護観察に付されている者と接触を保つことが不可欠の前提となっております。

 しかしながら、こういう制度であるにもかかわらず、実際には、再三の指導に反して保護司や保護観察官のもとに出頭もしない、保護観察官等が接触することすらできなくなるなど、遵守事項の不遵守を繰り返す、あるいはそのために社会内処遇としての保護観察が実質的に機能し得なくなっている事例が少なくないという実情があります。現在、このような状況に有効に対処できる法的枠組みというのは十分なものとは言えないわけであります。

 そこで、保護観察における指導監督に努めたにもかかわらず遵守事項を遵守しない場合に、その違反が重大であり、そのまま保護観察を継続することによっては本人の改善更生を図ることができないと認めるときは、家庭裁判所において新たな保護処分を言い渡すこととされたもの、これが与党の修正案であります。これによって、遵守事項の重要性が制度上も明確になって、少年にそのことの意味を自覚させて、これを守ろうという意欲を生じさせ、その改善更生を図ることにもつながるものと考えられます。

 このように、保護観察中の遵守事項違反を理由として少年院等へ送致する制度を設ける必要は大きいと考えることから……(大串委員「政府案とどこが違うかなんですよ。委員長、注意してくださいよ。僕の質問時間を延ばしてくださいよ、それだったら」と呼ぶ)

上川委員長代理 簡潔に答弁をお願いします。

早川委員 これらの規定を削除するのは相当でないというふうに考えたところであります。

 ただし、政府原案に、保護観察中の者が遵守事項違反により少年院送致等の処分を受けることについて……(大串委員「そんなこと聞いているんじゃないんですよ。いいです、もう。委員長、もう一回質問し直しますから、ちょっと下がってくださいよ。これは余りにひどいですよ。質問時間をもらっているんだから」と呼ぶ)

上川委員長代理 簡潔に答弁をお願いします。

早川委員 保護観察に付された事由につき二重に処罰するものではないか、こういう御指摘があるわけでありますけれども、修正案については、家庭裁判所において遵守事項違反という新たな事由に基づいて審判を受けるものであることを明確にするとともに、少年院送致等の処分を行う要件をわかりやすくするために規定ぶりを改めたものでありまして、そういう意味では、与党の修正案というのは極めて要件を明確かつ実務に即した形にしている、これは文言を読んでいただければ政府原案と明らかに文言が違っていることはおわかりになると思います。

大串委員 すなわち、今の説明を聞いていると、九九%といいますか、ほとんどは自分たちの案がどういう案かというのを説明しているだけなんです。

 最後におっしゃったこと、私が聞いたことは、政府案とどこが違うんですかと聞いたんですよ、政府案と違うところは文言が違うと。それは、文言は違うでしょう、書きかえていらっしゃるんですから。でも、内容を本当に理解していらっしゃるんですか。よくよく読んでください。政府案と同じなんですよ。

 もう一度聞きます。政府案とどこが違うんですか。そういうこともしっかり議論しないと、修正案の議論にならないじゃないですか。政府案とどこが違うんですか。端的に。ほとんど変わらないと思うから、一言で答えられるはずなんです。絶対、きちんと答えてください、きちんと。答えられないんだったら答えられないと。もう一回勉強し直してください。

    〔上川委員長代理退席、委員長着席〕

大口委員 要するに、要件事実を明確にさせていただいたということです。

大串委員 大口先生、法案をよく読んでください。政府の法案も、皆さんが出された法案も、全部同じ文言が書かれているんですよ。両方とも明確なんです。政府案のどこが明確でなくて、修正案のどこが明確なんですか。それをきちんと言ってくださいよ。

早川委員 これは、法律の構成要件の読み方ということについてぜひ御理解をいただきたいのでありますけれども、まず与党修正案の「審判の結果、」という、要するに審判の事項の中に入ってくるということと、それから遵守事項を遵守しなかったという要件に加えて、犯罪者予防更生法の「第四十一条の三第一項の警告を受けたにもかかわらず、」こういう新たな要件を付しました。それからさらに、「なお遵守すべき事項を遵守しなかつたと認められる事由があり、その程度が重く、」ということを記載いたしました。かつ、「その保護処分によつては本人の改善及び更生を図ることができないと認めるときは、」これは従前の政府原案の書きぶりであります。

 ということは、要件を重ね合わせて非常に厳格化と明確化を図っているということで、結果的には新たな審判事由がここに明記されている、これが与党提案者の考え方であります。

大串委員 政府案もよく読んでいただきたいんです。政府案をどのくらい読んでいらっしゃるのか、私は非常に疑問に思います。

 ここに書かれているように、「四十一条の三第二項の申請があつた場合」、この申請をする際には、今おっしゃいましたよね、「警告」ということを書きましたと。それから、「遵守すべき事項を遵守しなかつたと認められる事由があり、」これを書きました。あと、「重く、」ということを書きました。

 これは全部政府案の中にもあるんですよ。この一番最初の、四十一条の三第二項の申請を行う際には、既にここで警告が行われ、かつ遵守すべき事項を遵守しなかったと認められる事由があり、かつ重いということが存在しないと申請ができないんですよ。だから、何にも加わっていないんです。何が修正なんですか。修正の中身も御存じないで答えていらっしゃるということですか。そうなんですか。

大口委員 これは、最初の保護処分の事実についてはこの対象にしない、あくまで遵守すべき事項を遵守しなかったと認められる事由、これについて新たに処分をする、こういうことです。(発言する者あり)それを明確にしたということです。

大串委員 法律は小説とかそういうものじゃなくて、書かれていることがすべてなんです。既に、この修正案だって二回書かれているんですよ。同じことが二回書かれているだけの話なんです。全部同じことが、既に政府案の中に書かれているんです。まず、そういうところからも練れていないし、修正案としてもう少しそういうところにも議論の余地があると私は思うんですね。まず、その点を指摘させていただきたいというふうに思います。

 この点は、これは法律の書き方の問題だけれども、やはり根本論として、二重処罰ではないのかという論点があると私は思うんですね。一つの非行事実、問題事実に対して一つの処分、それに対してもう一つの処分がその後新たな非行、犯罪事由がないにもかかわらず出てくる。これは、二重処分だと思うんですよ。

 この点について、二重処分じゃないということが明らかに言えますか。提案者の方、どうですか。(発言する者あり)

七条委員長 お静かにお願いいたします。

大口委員 例えば、軽い事犯で保護観察になった。それに対して、遵守すべき事項に違反したことによって、今回、少年院とかあるいは自立支援施設送致ということになる場合もこれはあるんです。あくまで、こういう遵守事項を決めて、そして保護観察所の警告も受けて、なおかつ、それに違反している場合は、これはきちっとその事の重大性、そういうものに着目して、そして、これを新たな事由として、その程度が重いということでもありますので、新たな保護処分をする、こういうことであります。(発言する者あり)

七条委員長 不規則発言はおやめください。静かにお願いします。

大串委員 二重処罰の禁止というのがあります。刑罰上の考え方としてはあります。

 今回の少年に対しては、刑罰じゃない、処遇だということもあるんですけれども、この間のこの委員会の中でも、例えば奥野政務官なんかは、今回のはかなり処罰という意味合いの発言をされているんですよね。高山委員への答えで、「もとの人格へ戻すような矯正作業も必要ですけれども、やはりそれはそれなりの処罰ということも、現代の社会では必要じゃないか」とか、あるいは「十二、三歳ぐらいの人たちが社会である種の制裁を受けるということはいいのではないかと警察という言葉を使わないで申し上げたわけです」。

 すなわち、今回の少年に対する処遇がやはり不利益処分であり、ある一定のサンクション、制裁であるということを国会の中で認められているんですよ。であれば、二重処罰の禁止という刑罰に関する考え方だけでも私は厳格に適用するべきだと思うんです。

 保護観察制度が有効に機能していないのであれば、この保護観察制度自体を強める、それ自体を改善する方法を考えればいいんです。この処罰を決める、その部分の改正を行うのじゃなくて、保護観察処分自体の強化を考えればいいんですよ。例えば、今、更生保護法の改正案も出てきています。むしろそういうところで議論すればいい話だ、私はそう思います。

 時間が来ましたので、これで質問を終わります。

    ―――――――――――――

七条委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第二部長横畠裕介君、法務省民事局長寺田逸郎君、法務省矯正局長梶木壽君、法務省保護局長藤田昇三君、外務省大臣官房審議官長嶺安政君、厚生労働省大臣官房審議官村木厚子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 少年法の審議については、この法務委員会で随分しっかりした議論がされてきたと思います。実態を見に行く視察もしました。民主党からも大変いい修正案が出てきましたし、先ほど見せられた与党の修正案の中にも、虞犯の削除など、我々が求めていた内容があります。

 ですから、こういう委員会の展開のときに、さらに議論して、いわば最終的な採決というのはいつかはしなきゃいけないというのはわかりますけれども、今の段階でもう時間切れであるという判断は、与党の議員の皆さんの努力も台なしにすることになると思いますよ、法務委員会は一体何をやっているんだろうかと。

 意見が対立をしていて、正面衝突していてどうにもならなくなってぶつかり合うことは間々ありますよ、国会ですからね。ただ、同じような方向で議論していて、それはそうだ、これは重要だねという話を与党の委員の皆さんともしていて、それでなぜ衝突しなきゃいけないんですか。

 委員長には、ぜひ慎重な、きょう採決なんということはやめてもらいたい。いかがですか、委員長。

七条委員長 私の答弁は差し控えさせていただきます。

保坂(展)委員 委員長は委員会で十分発言できるんですよ。ですから、差し控えるというのは、委員長のリーダーシップとして非常に残念なんですね。(発言する者あり)そんなことないでしょう。

 外務省にお聞きします。

 子どもの権利条約、児童の権利条約を批准して、国連子どもの権利委員会の最終見解で、今我々が議題にしている少年法について何か指摘がございましたか、端的に言ってください。

長嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘がございました児童の権利条約に関してでございますが、我が国から政府報告を二回提出してございますけれども、第二回の政府報告に対しまして、二〇〇四年二月に児童の権利委員会の方から最終見解という文書を受けております。その中で、委員会は、委員会による第一回政府報告審査以降、締約国、この場合日本でございますけれども、日本が少年法の改正を実施した点につき留意しつつも、改正の多くが条約の原則や規定、そして少年司法の国際基準、特に刑事責任の最低年齢を十六歳から十四歳に引き下げたこと、そして司法前勾留が四週間から八週間に延長されたことについて懸念を有することが表明されております。

 また、勧告といたしましては、十六歳以上の児童を家庭裁判所が成人刑事裁判所へ送致できることをその廃止の観点から再検証すること等の勧告を出しておるところでございます。

保坂(展)委員 法務大臣、国際社会の中では前回の少年法改正について今の意見が出されているわけであって、おおむね十二歳以上としたということについても、やはり多くの議論を巻き起こすだろうというふうに思います。

 矯正局長に聞きますけれども、先般、五歳の子が入院するに当たっても我々は総力を挙げて準備するという大変勇ましい答弁をいただきましたけれども、十四歳未満の触法少年、今、与党提案者の話だと、十一歳ぐらいまでを含むんだと。そうすると、小学校五年生、六年生ということになるんですね。小学校五年生、六年生のような子供たちを児童自立支援施設では、我々も見てきましたけれども、御夫婦の職員が、自分のお子さんも一緒にそこで寝起きをして、家族のような扱いでいわば共感性を育てていくという処遇をしているんですね。

 どういう処遇をするつもりなんですか。少年院における規律を重視した集団行動の中に組み込むのか、全く別の措置をするのか、答えてください。

梶木政府参考人 現在、我々のところでは、男子施設が九施設、女子の施設が九施設、合計で十八の施設で中学の義務教育の課程をやっております。今御指摘のありましたように、入所してくる子供の年齢が低くなってくるということで、新しい処遇コースをつくるということで準備をしております。東西に四施設ずつ、合計八施設を指定するつもりで準備しております。

 特に心がけようということで準備しておりますのは、一つは、今おっしゃった子供が低年齢であるということを前提に置きまして、処遇するスタッフの構成を新たに考えております。男性の教官、女性の教官、そして精神科医、それからカウンセラー等によりまして、疑似家族的な構成として子供の処遇に当たろうというふうに考えております。

保坂(展)委員 法務大臣は、疑似家族的な処遇ではなくて、児童福祉の現場でやってきたことに学ぼうというようなお話をされているんですね。他方で、児童自立支援施設はまだ余裕があるわけですね、いわば定員の五〇%ぐらいであります。

 大臣に聞きますけれども、今回与党の修正で八歳、五歳というのはなくなったんでしょうけれども、しかしながら、十一歳、十二歳というのは提案者の言でもあるわけですね。

 端的に聞きます。これはそこに書いてないと思いますよ。犯罪少年と触法少年、少年院に入ったときに処遇のどこが違うんですか。

長勢国務大臣 少年院においては、犯罪少年また触法少年、それぞれの事案に応じた処遇をプログラムをつくってやっておるわけであります。

保坂(展)委員 大臣、それは答弁になっていないんですよ。犯罪少年と触法少年、それぞれ一人一人のことを聞いているんじゃないんですよ、原則を聞いているんですよ。どういうふうに原則を違えるんですか。全く同じなんですか。触法少年を犯罪少年扱いするわけですか。それをはっきりしてください。

長勢国務大臣 少年の健全育成の観点から、少年院の中では本人に応じて処遇をしておるわけでありまして、触法少年であるか犯罪少年であるかによって区別しているわけではなくて、個々の状況に応じて対応しております。

保坂(展)委員 そうすると、刑事責任を問う年齢を下げたんですが、要するに、少年院は今まで十四歳未満の子供たちは入らなかったわけですね。明らかに、児童自立支援施設というところで、さっき矯正局長が答えたように、疑似家族制度のような温かい、あるいは共感性を養うような形で処遇をしていくというふうに彼は答えたんですね。犯罪少年と触法少年というのは明確に分かれているわけでしょう。扱いも違うわけでしょう。にもかかわらず、少年院で扱いは変わるわけじゃないということですか、今回の提案で。(発言する者あり)

七条委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

七条委員長 速記を起こしてください。

 長勢法務大臣。

長勢国務大臣 現在は触法少年は入っていないわけですから、これから同じように扱うということでございます。

保坂(展)委員 法務大臣、何で触法少年というジャンルがあるんですか、概念が。

長勢国務大臣 刑事責任年齢に達していないのを触法少年というんじゃないんですか。質問の御趣旨がちょっとわからないところもありますので、そのようにお答えいたします。

保坂(展)委員 では、なぜその年齢で犯罪少年、触法少年に分かれるんですか。

七条委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

七条委員長 速記を起こしてください。

 長勢法務大臣。

長勢国務大臣 犯罪少年と触法少年ということは年齢によって区別されていますが、犯罪少年であっても少年院で処遇すべき者を少年院に入れておるわけでありまして、少年院で処遇する場合にはその健全育成のための対応をとっておるということでございます。

保坂(展)委員 つまり、世間が凶悪な犯罪だということで、一年に一回、二回ありますよね、そういう事件の場合に、応報的な要素として少年院でやはりそれなりに厳しくやってもらわなきゃいけないということを提案したいんですか、大臣。

長勢国務大臣 少年院が応報的な目的のために活動しておるということは申し上げたことはないと思います。少年院は、少年が立ち直るための施設でございますから、健全育成のための活動を行っておるわけであります。

保坂(展)委員 厚労省に伺いますが、これまでのいわゆる凶悪事件、世間を震撼させた事件で、児童自立支援施設の中で向き合ってきた努力は非常に大きいものがあると私は思っています。しかしながら、今般の少年法改正で、小学校五年生、六年生年齢の子供も場合によっては少年院送致する、こうなっているわけですが、これまで児童自立支援施設で、要するに、限られたケースで、非常に大きく世の中を騒がせたような事件で、そういう子供たち、小学生を受け入れて相対してきたことは失敗したんですか。

村木政府参考人 基本的に、非常に低年齢、小学校ということだろうと思いますが、低年齢で結果として重大な犯罪に当たる事件を起こした場合のお子さんにつきましては、もちろん、児童自立支援施設も対応してきましたし、特に七歳ですとか八歳ですとかということになれば、むしろ在宅で親御さんと一緒に暮らしながら福祉がサポートをして、そこで更生を図っていくということでやってまいりました。そういうケアについては、成果を上げてきたというふうに私どもは思っております。

保坂(展)委員 大臣も、児童自立支援施設と少年院とは違いがあると。片や開放的な施設であって、疑似家族制度だ、片や集団行動、規律を重視してやっていく施設であるということですね。

 十一歳あるいは十二歳の少年少女たちが少年院に入ることになると、現状の少年院における学校教育のあり方でいいのかどうか。学校教育法は、児童自立支援施設の中の学校教育をきちっと規定しているから、いわゆる学校の分校がありましたね、我々は見に行ったんですけれども。しかし、少年院はそういう扱いになっていないんです。その辺はしっかり手を打ちますか。これは法改正も含めて必要じゃないですか。私は反対ですよ、そういう小学生、少年院は。だけれども、学校教育を受ける権利ということについて、どうですか。

長勢国務大臣 当然、義務教育対象の少年については、そういう対応をきちんとしなければならないわけでございます。例えば、少年院での学習指導の成果を記録した指導要録を送付するなど、復学または卒業に向けて在籍学校との連絡を密にとり合っておりますし、また、少年が在院中に中学校を卒業する場合には、そういう協議を行って、卒業証書の発行を受けるなどしておるわけでございまして、今後、より低年齢の人が入所するということになれば、それにきちんとした対応をとるようにしてまいる方針でございます。

保坂(展)委員 学校教育法上の扱いをするという答弁はないんですね。

 ここで、法制局に端的に聞きますが、この委員会で随分議論をしましたね、いわゆる虞犯という概念は将来犯罪を犯すおそれだと。おそれの疑いだと非常に広くないかと大臣に聞いたんですが、法制的な答弁はちょっと避けたいというふうに言われているので、おそれと疑いというのを一応整理して言ってもらえますか。

横畠政府参考人 お答えいたします。

 法令に用いられる言葉は、それぞれの規定の文脈の中においてそれぞれその意味を理解されるべきものではありますが、あえて一般論として申し上げます。

 おそれといいますのは、例えば憲法第八十二条第二項にありますように、「公の秩序又は善良の風俗を害する虞がある」というような例に見られるように、何か好ましくない事柄について、それが確かではないが、今後発生する可能性があるものと認識されることをいうと思います。

 一方、疑いでございますけれども、こちらは、例えば犯罪の嫌疑という言い方がありますけれども、一般的に、ある事柄について、必ずしも確定まではできませんが、そのようなものとしてそれが存在する可能性があるものと認識されることをいい、また、この疑いについてはそのように認識する根拠をいう場合もあるのではないかと考えております。

保坂(展)委員 提案者に聞きますけれども、やはりおそれの疑いだと非常に幅広になってしまうんじゃないか、この間の議論も踏まえて、いわば虞犯における調査を削除した理由を端的にお願いします。

大口委員 実際には、実務上は、暴力団事務所に出入りしていたりとか、かなり非行性の高い人について対応しているわけですが、確かにその対象があいまいになっているんじゃないか、あるいはいろいろな形で少年に対して監視がされるんじゃないか、そういうような懸念もいろいろと出ましたので、今回、この虞犯少年については外す、こういう決断に達しております。

保坂(展)委員 では、大臣、今大口提案者の方から説明のあったことは、ほぼ私やほかの委員が説明していたとおり、この委員会の中でやはり対象が広過ぎやしないかという議論をさんざんしてきたわけですよ。大臣とのやりとりもありました。そういう意味では、この政府提案は欠陥法案だったんですね。

長勢国務大臣 私どもはそうは思っておりませんが、この委員会での御議論を踏まえて、その趣旨に沿った形で与党の方でお考えの提案であり、それは貴重な提案であると思っております。

保坂(展)委員 では、大臣、我々は民主党の案と同じで、十四歳であるべきだと思っています。与党の方は十二歳と今出しましたね。だけれども、ここでの議論は、五歳、八歳でもあり得ると。五歳、いろいろなことが、何が起こるかわからない、これはちょっと削られましたけれども、八歳もあり得るというようなお話をされていましたが、この認識はどうですか。我々はこの委員会の議論の中で、少なくとも八歳、五歳はないだろうという話になっているじゃないですか。

 これは、本来、内閣が出すべきときにしっかり線引きをして出すべきだったんじゃないですか。それは今どう思いますか、修正の提案を受けて。

長勢国務大臣 この問題については、たびたび答弁してまいりましたように、文言上、十四歳未満ということを字義どおりにいえばそういう問題になりますけれども、想定しがたいことであるということもたびたび申し上げてまいりました。そういう当委員会での御議論を踏まえて、今回与党において提案をされておることと存じますが、貴重な御提案であると考えております。

保坂(展)委員 五歳、八歳、十歳、十二歳、十四歳という年齢が飛び交っていますけれども、それはやはり科学的な判断根拠がなきゃいけないことだと思いますよ。

 きょうこういう提案を受けて、そして、矯正の方でもどうするのか、また、裁判所に聞く時間がなかったのですけれども、では、裁判所が一体どういう判断根拠で小学生年齢の子を少年院送致だというふうに判断するのか、これは全く尽くされていないんですよ。

 今、十二歳、確かに与党提案者の方が出しましたよ、その十二歳を受けて、ある意味で初めてその十二歳という具体性が与党側から出てきたので、では、その場合どうなのかということをやらなきゃいけないでしょう、委員長。これで打ち切って採決、これは将来に禍根を残すし、全く好ましくないことじゃないでしょうか。しかも法務委員会ですよ。しっかり議論をして、いろいろな専門家が多い委員会ですから、後に変な事例を残してほしくない。

 これだけの与党提案が、十二歳あるいは虞犯の問題でも出たので、なぜそれをそういうふうに削ったのか、今、おしりに火がつきながらやっているわけですよ、もうこれで打ち切りだと棚橋さんがおっしゃるから。そうでしょう。黙っていますね。おかしいじゃないですか。落ちついて審議しましょうよ、委員長。そんなにどなり合ったりするようなことじゃないでしょう。

 少年のことですよ。ある意味でこれからの国の形を設計するという問題ですよ。一緒に議論をして、議論ができないならしようがないですよ、議論がある程度かみ合っているわけですから、それを採決ということは、絶対にやめてほしい。

 委員長、お願いしますよ。これは委員長判断で何でもできるんですから、国会対策委員長が何を言おうが。本当は国会の委員長というのは偉いんですよ、国権の最高機関だから。ぜひ頑張ってください。

七条委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 今の国会運営、私は極めて遺憾です。きょうの朝、与党修正案が出され、それに対して、我々としても検討する時間の余裕がないままに、こうして委員会が職権で強硬に開会され、さらに、提案としては採決まで本日強行しようという姿勢は、私は、議会制民主主義を否定するに等しいということで、強く抗議を申し上げたいと思います。

 これからいろいろと質問させていただきますけれども、私は、これまでの議論をちょっと振り返ってみて、今回の少年法改正は、端的に、今残っている問題としては、ある程度大きなものとしては三つの点に集約されるのかなというふうに思っています。一つは、小学生も少年院に送るんだという改正内容である。もう一つは、小学生には被疑者の権利を認めることもせず、年少者に対する保護も与えないで犯罪捜査の対象にする。そして三つ目は、少年に対しては二重処罰も辞さない。

 ある意味では、か弱い少年というものを本当に危険なところに追いやって、大人が本来果たすべき責任を果たさない、こういう法案をつくろうとしているとしか言いようがありません。もともと提案されていた当時の背景を見ると、いろいろな事件が起こって、何とか対応しなければいけないという状況の中で、とにかく厳罰化、少年に対しては厳しくやっていけばいいんだ、こんな思想が余りにも出過ぎた法案であるというふうに思っています。

 私は、そういう法案については、今のような状況で採決するということは決して認められない状況にあるということをまずもって申し上げたいというふうに思います。

 そこで、今私が申し上げた三つの視点について質問させていただこうと思いますけれども、先ほど来から少年院送致年齢の下限撤廃の問題がありました。

 大臣に改めてお聞きいたします。現在、少年院の収容年齢の下限が十四歳となっているのは、これはどういう考え方でなっているんですか。

長勢国務大臣 若干経過を御説明申し上げたいと思います。

 少年院法は、戦後の昭和二十三年に新たに制定されたものでございます。当時の少年院法では、初等少年院及び医療少年院は、おおむね十四歳以上の者を収容するとされておりました。その後、昭和二十四年に改正が行われまして、おおむねの文言が削除され、収容年齢は十四歳以上ということとされたものであります。

 このときのことが考え方になるかと思いますが、この昭和二十四年の改正法案の提案理由説明では、十四歳に満たない少年は、これを十四歳以上の犯罪少年または虞犯少年と同一に取り扱うことは適切でなく、もしこれに収容保護を加える必要のあるときは、すべてこれを児童福祉法による施設に入れるのが妥当であると思われ、また少年院の運用もその方が一層効果的になるので、十四歳未満の少年は少年院には収容しないことにした旨の説明がなされております。

 したがいまして、特段、刑法の刑事責任年齢と結びつけた説明があったとは認識をいたしておりません。

平岡委員 刑事責任年齢というのが十四歳ということですから、全然意識しなかったということはないと思いますけれども。

 今大臣が説明されたことは、今でもこれは妥当する話ですよね。これをあえて下げなければいけないのは何なのか。

 先ほど来から法案提案者の方が、おおむね十二歳という提案をしている中で、大体中学生以上ぐらいでというような話でありましたけれども、その説明は、おおむね十二歳というのが十一歳まで含まれるというようなことで、行為時年齢について、同僚の高山議員が質問したことをもってしても、提案者の説明は破綻しているというふうに私は思うんですよね。

 むしろ、なぜおおむね十二歳にしたのかというと、これは、この法案を提案した当時のいろいろな事件の状況を見て、あの事件なら含まれる、この事件なら含まれないというような視点でつくられたんじゃないかというふうに私は思います。

 そういう意味で、当時問題となっていた話としては、二〇〇三年の七月に長崎市で幼児突き落とし殺害事件というのがありました。それから、二〇〇四年の六月には佐世保市で同級生校内殺害事件というのがありました。それぞれについて、これらの人たちは行為時何歳でしたか。

 そういうこともわからないでこの法案が提出されているということについて、私はちょっと疑問を感じますね。

 この前の参考人質疑の中でも、参考人の久保大さんが資料として提出しておりました。長崎市の事件は行為時十二歳、佐世保市の事件は行為時十一歳。

 では、これらの事件の二人の処分が決定したのは何歳ですか。(発言する者あり)

七条委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

七条委員長 速記を起こしてください。

 長勢法務大臣。

長勢国務大臣 どちらも、行為時と同じ年齢で、ちょっと済みません、正確に言います。

七条委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

七条委員長 速記を起こしてください。

 長勢法務大臣。

長勢国務大臣 双方とも、行為時から二、三カ月で処分が決定されておりますが、その間に年齢が変わったかどうかは、ちょっとここではわかりません。

平岡委員 そのこともよくわからない状態のままにこういう法案が提出されたり修正案が提出されたりするというのは、私は極めて遺憾だと思います。まさに、この事件に対応できるかできないか、この事件を少年院送りにできるかできないかという視点で提案がされているというふうに私は思いますね。

 私は、なぜこの年齢なのかということのもっとしっかりとした説明ができなければおかしいと思いますね。そういう意味で、この点についても、まだまだ事実関係の調査も進んでいないし、しっかりと協議をしなければいけない対象になるというふうに思いますので、引き続き協議をすることを求めたいというふうに思います。

 もう一つの問題は、先ほど言いましたように、今回の法案については、小学生には被疑者の権利も認めない、年少者に対する保護も与えないで犯罪捜査の対象とするという法案だというふうに申し上げました。

 大臣、十四歳の子供が犯罪を犯した場合は、どういう捜査が行われますか。

長勢国務大臣 通常の捜査が行われると思います。

平岡委員 通常の捜査が行われるということは、成人と同じように、黙秘権の告知とか、一般の成人に対する被疑者の権利というものは確保されているんですね。どうですか。

長勢国務大臣 そのとおりであります。

平岡委員 その十四歳の少年に対する処分は、どういう処分があるんですか。

長勢国務大臣 事件によって、刑事処分もあれば、少年院送致もあれば、保護観察処分に付される場合もあるということであります。

平岡委員 今いみじくも言われたように、十四歳の子供であれば、家裁送致されて、保護観察処分とか少年院送致とか、そういう処分もあり得るけれども、ちゃんと黙秘権の告知とかは行われるんですよ。なぜ、十三歳の子供が触法少年として犯罪行為に該当する行為を行ったときに、この被疑者に認められている権利というものが全く認められないで、同じように今回は家裁行きの処分も認めるというような話になっているわけですよね、そして、子供としての、年少者としての保護も全く与えられない。どうしてこんなことになるんですか。大臣、おかしいと思いませんか。

長勢国務大臣 今までもたびたび答弁してまいったと思いますが、十四歳未満については刑事責任を問われるということはないわけでございますので、健全育成の観点から、どういうやり方で調査をしたらいいかという観点から、今まで御説明をしたとおりでありますし、それが定説であると思っております。

平岡委員 例えば、十四歳の子供だと、少年院に送られる場合でも、真相究明のためにちゃんと調べなきゃいけないということは同じようにあると私は思うんですよね。にもかかわらず、やはり疑われた人に対する権利というものについてしっかりとある。それが十三歳だったら何もないというのは、やはり幾ら何でも制度としておかしいと私は思いますよ。十三歳の少年であれ少年院に送られるかもしれないという今回の制度設計の中では、疑いをかけられた者としての権利なり、あるいは場合によっては年少者としての保護なり、これがしっかりと与えられていくべきだというふうに思いますね。そういう意味では、非常にアンバランスな制度設計になっているというふうに言わざるを得ないと思います。

 質問ですけれども、今回、私は、触法少年について、どういう流れで物事が進んでいくのかなというふうに思っているんですね。これは捜査との関係ですけれども、警察は、触法少年と言われている人について、例えば、家裁にいつの段階で通告されているんですか、大臣。

長勢国務大臣 調査が終了した時点で通報するということになります。

平岡委員 その調査というのは、例えば、今回、六条の四とかに調査の規定があるわけでありますけれども、あるいは六条の五に強制的な調査というのがあるわけでありますけれども、これは、家裁に送致された段階でこの規定は働かないという理解でいいんですね、大臣。

 ちょっと時間をとめてください。

七条委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

七条委員長 速記を起こしてください。

 長勢法務大臣。

長勢国務大臣 第六条の五第二項のことでしょうか。それに基づく送致は、調査が終わった上、遂げた上で行われるものでありますから、その後は基本的には調査の必要はないというふうに考えております。

 ただ、送致によって警察の調査権限が消滅をするというわけではありませんので、送致後に新たな事情が判明するなどしたためにさらに調査をする必要が生じたような場合には、必要な範囲で補充調査をするということができるというふうに考えておりますが、ただし、送致後は、家庭裁判所が処理権限を有しますので、その調査、審判等に支障を及ぼすことがないように留意をする必要があるというふうに考えております。

平岡委員 今回つくろうとしている調査権限というのは、六条の二は、触法少年であると疑うに足りる相当の理由のある者を発見した場合において、調査ということなんですよね。この調査は、「必要があるときは、」と書いてありますけれども、どういう必要があるときなんですか。これは何のために行う調査ですか。

七条委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

七条委員長 速記を起こしてください。

 長勢法務大臣。

長勢国務大臣 調査の結果によって、それなりの対応をする必要があると考えられるときでございます。

平岡委員 何ですか、それなりの対応というのは。それなりの対応とかというようなことを言われたら、何でもかんでもそれなりの対応でまかり通るというのでは、そんなの法律じゃないですよ。

 大臣、私は思うんですけれども、この調査規定というのも極めてずさんですよ。だから、六条の二は、私は、警察として家裁に送致したり児童相談所へ通告したりするために行われる調査だと思いますね。しかし、そのことが明確に書かれていない。これをしっかりと明確に書いておかなければ、現場の警察官がこの規定を見たときに、これは、どこかの暴力団を捜査するために、ここでこの少年を調査したらもしかしたらいい材料が出てくるかもしれない、いいことが出てくるかもしれない、だからやりましょうというようなことにだって読めるような話でしょう。

 そうじゃないでしょう。この六条の二というのは、家裁への送致とか児童相談所への通告のために行われる調査である、このことも明確になっていない。先ほどの六条の四とか六条の五の調査も、これは何のための調査なのか、こういうことがほとんどわからない。

 家裁が審判をするに当たって調査をする際に、警察に対して調査を依頼することができるという規定が、ちょっとどこの規定か忘れましたけれども、ちゃんとあるんですよね。だから、本当は、家裁に送致されたら、家裁の指揮のもとに行われるということになっていなければいけない。そのことも、この六条の四とか六条の五は全く明確になっていない。こんなずさんな調査規定というのは、本来、警察に権限を与える規定としては全く不自然な規定だと私は思いますね。どうですか。

長勢国務大臣 調査の目的は、第六条の二第二項において明らかになっておるわけでありますので、それに合わせて、必要があるときということがわかるわけで、それに該当するかどうかということについて、今御心配のような紛れというものはないのではないかというふうに考えております。

平岡委員 これは、裁判官がこの規定を見てどうするかという話じゃないんですよ、警察官がこの規定を見てどう行動するかという話ですよ。

 その六条の二の一項というのは、現場の警察官が一々、何か相当の理由があるかどうかということを考え、必要があるときにどんな必要があるかということも考え、そんなに適切に行動できるとも私は思えないですね。やはり、どういう場合にどういう目的のもとで行われる調査なのかというのがしっかりと示されていなければいけない。そういう意味において、これは非常に不十分な規定だと私は思います。こういう点についても、しっかりと修正の対象にして協議していかなければいけないというふうに私は思います。

 それから、与党提案者にお聞きいたします。

 六条の四の二項に、「前項の質問に当たつては、強制にわたることがあつてはならない。」と書いてあります。具体的には、強制にわたることがあってはならないというのは、どんなことが強制にわたるんですか。

大口委員 これ自体は任意の調査ですから、それを明示しているということですね。

平岡委員 例えば、警察官が、ちゃんと正直に答えぬと家には帰さぬよと言うのはどうですか。強制ですか、どうですか。

大口委員 これは任意の調査ですから、そういうことです。(発言する者あり)だから、任意の調査だということで、具体的な判断というのは、任意の調査かどうか、強制にわたらないかどうかということで判断していただきたいですね。

平岡委員 賢明なる弁護士でもあり、この法務委員会で論客の大口先生が、強制にわたることがどんなことかわからないといって後ろから聞かなければいけないようなことで、一体どんなことが強制にわたるのかわたらないのかということを現場の警察官が判断できるはずがないじゃないですか。

 もっと具体的に、我々が提案しているように、答弁を強要されることはないよ、嫌なことは答えなくてもいいよ、そういうことをちゃんと言うことがなぜいけないんですか。強制にわたることがあってはならないというんだったら、無理やり答えさせることはできないわけですから、嫌なことがあったら答えなくていいよということをなぜ伝えられないんですか。なぜ伝えちゃいけないんですか。

大口委員 少年に対して警察が調査をしているわけですね、そして、少年が置かれているいろいろな立場があるわけですね、そしてそれについて、とにかく強制にわたらないように、任意の調査という形で確保していかなきゃいけない、こういうことです。

平岡委員 何か知らぬけれども、そういう精神訓話的な法律をつくってそれを守りなさいというんじゃなくて、具体的にこういうことをしなさい、立ち会いは認めなさい、不利益なこと、しゃべりたくないことについてはしゃべらなくてもいいよ、そういうことをちゃんと具体的に手当てしていくということが、やはり法律規範として重要なことじゃないですか。

 それをしないで、こんな程度のことで規定するというのは、私は不十分だと思いますよ。もっと、どういうことが強制にわたることにならないのかということをちゃんと例示していくとか、そういうことをやりましょうよ。そうしたら、大口先生だって、後ろの人が耳打ちしなくたって答えられるようになるんですよ。

 ちょっと時間がないので、私は、今回の参考人質疑で、公明党が推薦された奥山参考人の話を聞いて、本当に、公明党はやはり子供たちのことをよく考えているすばらしい党だなと思っておったんですけれども、その後の一連の動きを見ていると、何で奥山さんを呼んだんだ、奥山さんに対して失礼ではないかというぐらいの気持ちを持ちました。

 ちょっと概要を言いますと、奥山参考人は、子供に対する調査はどうあるべきかということで、三つの原則を示されたんですよ。

 それは、一つは、子供の心理を把握する能力のある第三者が、これは警察以外の人と言っていましたが、任意ということに関する子供の理解と自由意思の確認を行う必要がありますよ、二番目は、警察の調査の前に、子供が信頼する人に連絡をとって、事前に相談できることを説明し、それを子供が理解したことを第三者が確認する必要がありますよ、第三点は、調査に応じるということについての子供の同意を撤回できるように、調査面接には付添人を入れることが必要であるというふうな意見を具体的に述べておられたんですよね。

 この点について、大口さん、あなた、公明党の推薦した参考人が言われた意見についてどういうふうに認識しておられますか。

大口委員 奥山参考人の御意見は、少年の被暗示性ですとか、あるいは、例えば警察に行ったときの少年の受け取り方でありますとか、特に低年齢の少年の特殊性といいますか、警察が調査する場合において、しっかりそういう点も配慮すべきではないかと。私は、質問でも、配慮規定は必要だ、こういう議論でありましたから、そういうことの根拠づけとして、奥山先生に話していただいたことは非常に参考になりました。

 ただ、具体的な政策については、いろいろな考え方があると思うんです。

平岡委員 いろいろな考え方があると言って逃げちゃいけないですよ。いろいろな考え方がある中で、本当に、こういう子供たちに対してどういうふうに対応していくのが日本の国の制度のあり方として必要なのか、望ましいのか、そのことを議論するのがこの国会の場じゃないですか。それを、いろいろありますから、何か知らぬけれども、これでいいですというのではおかしいですよ。

 これも修正協議のときにもちょっと議論しましたけれども、例えば、現在の触法少年に対する調査の際にも、少年警察活動規則施行細則というのがあって、「やむを得ない場合を除き、少年と同道した保護者その他適切な者を立ち会わせること。」ということを、ある意味では義務づけているわけですよ、警察の中では。

 私は、こういう具体的な形での立ち会いというようなことを積極的に法律の中で確保していくということの努力をしなきゃいけないんじゃないかと思うんです。今ここまでできている、ここまででいいと私は申しませんけれども、ここまでのことをやられているのであれば、我々は、現行法に取り込むときに、こういう現状を踏まえて、先ほどの奥山参考人の意見も踏まえて、しっかりと立ち会いというものを認めていくべきじゃないかというふうに思います。

 どうですか。余計なことは答えなくていいですからね。

早川委員 まず、少年の調査における立ち会いの関係については、既にこれまで質問された方に対してお答えをしたところでありまして、現時点でそれを導入するということについては、我々としては、そういう意見にはならなかったということです。

 ただ、懸念されるような事態を防ぐためにどうしたらいいかということの中で、いわゆる弁護士である付添人の選任というものを認めるようにしよう。あるいは、具体的な、強制にわたってはならないという文言がどういうふうな事例でどういうふうに適用されるかということについては、これはまさに運用にわたることであり、または、それぞれの警察の諸規則でさらに明確化されるべき事案だと思いますけれども、しかし、こういった留意規定が明示されることによって、おのずから制限がされるということになろうかと思います。

 そういう意味では、いろいろと質疑の中で御指摘になったような内容について十分に配慮したのが、与党が最後の段階でお示ししている修正案、要するにきょう提出している修正案であって、それ以外の、例えば、立ち会いとか、あるいは黙秘権の告知に類似したような制度の導入は、少年の保護あるいは将来的な教育、矯正ということにはなじまないというような結論に達しているわけであります。

平岡委員 先ほど言ったように、十四歳の少年と十三歳の少年が同じように法に違反する行為をしたときに、要するに、片や被疑者としての権利というものが、憲法でも守られているようなものがしっかりと守られているにもかかわらず、十三歳以下の子はそういう権利も認められない、年少者としての保護も与えられない、そういう状況に追いやっていいんですか。やはりおかしいじゃないですか。そういうようなことをするのは、幼い少年を本当に危険なところに何の法的な保護も与えないで追いやってしまう、そういうふうに私は思いますね。

 それから、大口委員が答弁されていたことで、私はおかしいなと思ったのであえて聞きますけれども、六条の六、原則家裁送致の話ですけれども、大口さんは、家裁に送致しなければならない場合があるということでこういう規定が置いてあるんだというふうなことを言われましたけれども、現行法ではここに該当するような人は家裁には送致できないんですか。

大口委員 できますね。

平岡委員 まさにできるんですよ。大口さんが答弁したことは現行法のもとでもできるんですよ。最もその少年に適した措置を児童相談所長はとることができるんですよ。それにもかかわらずこんな規定を置くというのは、一体何なんですか。

 結局、犯罪少年について、原則検察官送致というのをつくって、本当は、ああいうものをつくらなくても、本当に必要な子供については検察官送致できるにもかかわらず、ああいう原則と例外をひっくり返すようなことをやって、少年に対する見せしめをしよう、少年を厳罰に処していこう、そういう思想があらわれたものがまさにこの六条の六の規定ですよ。

 私は、大口さんが答弁されたことは、まさにそのとおりだと思います。しかし、そのことは現行法でもしっかりとできる。なぜこの六条の六という規定を設けたのか。これは、あくまでも、子供たちに対して威圧をしていく、厳罰化をしていく、そういう姿勢を見せるためのものだとしか言いようがないですね。どうですか、大口さん。

大口委員 これは、児童相談所長がきちっと判断をし、そして最終的には家裁でちゃんと判断をしますから、その先生の危惧というのは当たらないと思います。

七条委員長 所要の時間が過ぎております。

平岡委員 でも、現行法でもきちっと判断するということはできているし、そうでなければいけないんですよ。こういう規定を設けることによって一体何をたくらんでいるんですか。私は、立法者として恥ずかしいですよ、こんな規定をわざわざつくるのは。皆さん方、現場の人たち、児童相談所だとか、家庭裁判所の裁判官とかにちゃんと判断してもらえばいいじゃないですか。まさにそのとおりなんじゃないですか。そのことをこんなことにしているのはおかしい。

 何かありますか。

大口委員 これは重大事件ですよね。ですから、重大事件について、家裁できちっと真相究明をするということが大事だ、こういうことです。

平岡委員 全然答弁になっていない。今でもちゃんとそれはできるんですよ。今でもできるのにあえてこういう規定をつくるということは、私は、立法者としての下心といいますか、本当にあってはならない、少年の立場から見たら、本当につらい立場にどんどん子供たちを追いやっていく、そういう法律になっているというふうに思います。

 もう一つ、遵守事項違反に対する少年院送致の問題でありますけれども、私は、今回の法案は、やはり二重処罰の問題が問題としては残ったままになっているというふうに思うんですよね。

七条委員長 平岡君、時間が過ぎておりますので、簡潔明瞭にお願いします。

平岡委員 それで、なぜこういう規定ができたのかということをちょっとずっとひもといてみると、平成十五年の十二月九日に青少年育成施策大綱というのが青少年育成推進本部の決定で出ておるんですよね。ここに何と書いてあるかというと、「保護観察中の少年について、その遵守事項の遵守を確保し、指導を一層効果的にするための制度的措置につき検討する。」と書いてあるんです。非常に抽象的ですよね。今この法案で持ち込んでいるような二重処罰的なことをやるとは方針として示していない。

 私は、この大綱の方針に沿いつつ、しかも二重処罰というような批判を浴びないもっといい方法が、みんなで知恵を出し合えばあるんじゃないかと思うんですよね。私はそういうふうにすべきだと思いますけれども、どうですか、早川忠孝さん。

七条委員長 平岡さんに申し上げますが、これを最後の質問にさせていただけますか、時間を過ぎていますので。

早川委員 まず、前提として、いわゆる二重処罰的な規定に該当するかどうかということでありますけれども、これについては、そういう御懸念は示されましたけれども、新たな審判事由があるということで新たな審判がなされる、こういうことがわかるような書きぶりに改めました。そういう意味では、委員とは見解を異にしております。

平岡委員 新たな審判事由があるといったって、遵守事項を守らないというぐらいの中身で少年院に行かせるというような話というのは、私はこれはおかしいと思いますよ。そういうことを新たな審判事項と呼ぶということ自体おかしいと思います。

 そういう意味でいったら、例えば現在の少年法で、一たん決定した保護処分によって……

七条委員長 時間が過ぎておりますので。

平岡委員 本人の改善及び更生を図ることができないと認めるときに、その保護処分の内容を変更することができる仕組みはあるんですか。(発言する者あり)場外がうるさいから、ちょっと静かに。

七条委員長 時間が過ぎておりますので、これにて終わっていただけるようにお願いをしたいのでありますが。

平岡委員 ちょっと今の質問に答えてください。

七条委員長 では、今の質問にだけ答えていただいて、終わっていただきます。

平岡委員 委員長、時間をとめてください。

七条委員長 もう過ぎていますから。今の趣旨だけ、ではもう一度。簡潔に。

平岡委員 ちょっと質問の意味がわからなかったというので、もう一遍言います。

 現行の少年法の中で、一たん決定した保護処分によっては本人の改善及び更生を図ることができないと認めるときに、その保護処分の内容を変更することができる仕組みはあるんですか。

早川委員 提案者の立場ではその点について特に研究をしているわけじゃありませんが、政府から現行制度のことについては答えていただくのが相当であると思います。

長勢国務大臣 ありません。

七条委員長 これで終わっていただけるように。(発言する者あり)

平岡委員 終わりますから、静かにしてくださいよ。

 まさにこの今回の法律改正というものが、この少年法の世界に二重処罰の疑いが極めて高いものを導入するという、それだけ大きな改正をしようとしている。このことは、決して、先ほど言いました青少年何とか大綱の趣旨に沿って、そういうものを導入せいと言っているわけじゃないんですよ。もっと知恵を出してやりましょうよ。これも協議の対象になると私は思いますね。

 ぜひ協議を進めていただくことを要請して、私の質問を、ちょっと物足りなかったけれども、終わります。

七条委員長 次に、倉田雅年君。

倉田委員 自由民主党の倉田雅年でございます。

 本日は、修正案が出そろったところで、大変多くの有意義な議論ができたと思うわけでございます。したがいまして、私が質問する番になりますと、既におさらい的な要素も多くなってまいりますので、その点、御了承願いたいと思います。

 まず、警察への調査権の付与でありますけれども、与党の修正案におきましては、結局のところ、虞犯少年についての調査権については触れないといいますか、虞犯については政府案から削除したということでありますけれども、その考え方というのは、虞犯事案については、やはり基本として福祉的な取り扱いをする、つまり児童相談所あるいは家庭裁判所の調査を基本とする、こういう考え方でよろしいんでしょうか。提案者、お答えください。

早川委員 与党修正案は、これまで警察が行ってきた虞犯少年に係る事件の調査の実態を変更するようなものではありませんし、虞犯少年に係る事件の調査権をすべて児童相談所や家裁調査官にゆだねるのがよいとの見解に立つものでもございません。警察は、これまでと同様に、虞犯少年に係る非行事実の存否や内容等について任意で調査を行うことができる、そのことには変わりはないわけであります。

 若干詳細に説明させていただきますと、虞犯少年に係る非行事実の存否や内容等については、相手方の協力が得られる範囲で、警察法の第二条に基づいて、警察が中心となって調査を行っているところでございます。特に、虞犯事由に関しては、暴力団や暴走族との交友状況、賭博場や薬物等の取引が行われる場所に出入りしていた状況、売春行為等を反復継続した状況等を明らかにするため、暴力団や暴走族、薬物取引、風俗営業等の関係者らから事情を聴取するなどの調査を行うのは、警察でなければなし得ないところであります。

 このような調査に関しては、従来、法律上の根拠が明確でないとして相手方の協力を得られず、あるいは協力を得る上で困難を伴う場合があり、事実の解明に支障があるとの指摘がなされていたところであります。政府の提出法案においては、こういった状況の中で、虞犯少年に係る事件に関する調査手続を整備することとされていたわけであります。

 しかしながら、当委員会における審議の中で、政府提出法案については、警察による調査権限の及ぶ範囲が不明確であって、調査対象の範囲が過度に拡大するおそれがあるなどの懸念を示す御指摘があったところであります。虞犯少年に係る事件の調査の規定については、以前から警察が行ってきた調査の範囲や方法等を変更しようとするものではなかったことを踏まえて、このたびの与党修正案では、虞犯少年に係る事件については明文での規定を控えることといたした次第であります。

倉田委員 私がお聞きしたのは、考え方として、触法少年については、事案の解明、事実の解明、これは刑罰に触れたわけですから、しっかり調査権がなくちゃいかぬ、しかし、虞犯というのは、今答弁者が述べたように、おそれの疑いとかいうのでは広過ぎるということもあるんでしょうけれども、やはり福祉的な扱いということがその根底には提案者にもあるんじゃないか、こういうことをお聞きしたわけでございます。それが一点。

 それから、これは確認でございますけれども、虞犯についても警察は従前どおりの、現状やっている調査は可能なんだというふうに今おっしゃいましたね。逆に、触法少年に対しても、現在行われている家裁とか児童相談所の調査権限というものは否定するということではないと私も思いますが、確認をさせていただきます。

 一つは考え方、それからもう一つは、触法少年に対する家裁の調査。

早川委員 あくまでも、虞犯少年についての警察の調査の規定を削除するということに至った経過は、やはりこの委員会の質疑の過程でいろいろ懸念が示されたということに対処するための対処で、要するに、明文であえてそれを書くまでもないという判断でありまして、それを委員御指摘のような趣旨でおとりになるか、あるいはそういった無用の混乱を起こすことがないようにするための一つの対処だというふうにおとりになるか、これはいろいろあると思います。そういう意味では、一義的にこうであるというふうに言うのは適当ではないのではないかと思っております。

 それから、触法事案についての調査については、特に委員との意見の違いがあるわけではないと思います。

倉田委員 さらに調査権に関してでございますけれども、触法少年に限定されたんですけれども、「疑うに足りる相当の理由がある者」、これは要するに、警察官の主観が入らないように、客観的な疑いがある場合、こういうぐあいに限定をしましょう、こういう趣旨と理解してよろしいでしょうか。

早川委員 御質問のとおりだと思いますけれども、念のため申し上げますと、本修正案は、触法少年に係る事件につき警察の調査権限の及ぶ範囲を明確化し、単に警察官が主観的な疑いや必要性を認めただけでは足りないことを明らかにする趣旨であって、客観的な事情から合理的に判断してという要件、それから、疑うに足りる相当の理由がある場合という要件を課したものであります。

倉田委員 今の御説明で納得がいくと思います。

 次に、調査に関しまして、少年及び保護者はいつでも弁護士である付添人を選任することができるものとする、これは私は、大変大きな進歩ではないか、大いに評価をしていただかなければならないところかなと思うわけでございます。

 一方、少年としましては、弁護士さんを呼んでくださいと希望しても、弁護士をお願いする資金がないのが通常であります。そうしますと、少年がそう言っても弁護士さんは出てきてくれない、ついてくれないという事案が出てくるわけですね。そういう場合について、それではかわりに国選弁護人をつけてあげましょう、ここまでいかないと十分ではないのではないかなということも考えるのですが、いかがでございましょうか。

早川委員 大変大事な御指摘だと思います。

 本法案の第二十二条の三の第二項では、家庭裁判所の審判段階において観護措置がとられ少年の身柄が拘束された重大事件においては、少年に国選付添人を付することができるということにしております。

 観護措置がとられた場合は、一般に少年にとって影響の大きい決定がなされることが予想されることから、より適切な処遇選択が要請されるところでありますけれども、この場合においては、少年は家族その他周囲の者の直接の援助を受けることが困難であることから、事案の内容や少年の状況等によっては、弁護士である付添人が、少年の行状や環境等に関する資料の収集や環境の調整のための積極的な活動により少年に対する援助を行うことが適当な場合があると考えられたから、このような制度を提案されたわけであります。

 他方、与党の修正案の第六条の三において定めておりますのは、事件に関して警察官による調査が行われた段階における付添人の選任でありまして、当該少年は身柄を拘束されているわけではなく、また、必ずしも少年にとって影響の大きい処分が予想されるともいえず、むしろ児童相談所限りの指導で終わる可能性もあることや、そもそも当該少年が刑事処分を受けるおそれがないことなどを考えますと、このような少年に対してまで国費で付添人を付する必要はないのではないかと考えたところであります。

 そういうことの中で、与党修正案では、調査段階での付添人選任権を明文で規定いたしましたけれども、これによりまして、付添人に選任された弁護士が少年法上の付添人としての地位が明らかになることと、また、民法の規定と異なりまして、少年単独でも付添人を選任できるということになりますので、その意義は大変大きいと考えております。

 なお、私自身が東京弁護士会の副会長をしておりましたときに、少年付き添いの活動に弁護士会で懸命に取り組んでおられまして、こういう身体を拘束された少年に対しての付き添い制度を弁護士会として対処するということを進めていきたいということがあります。

 ですから、今回、こういった少年及び保護者の付添人選任という規定が設けられることによって、むしろこういった弁護士会の方でそれに対処できるような体制の整備を検討されるということは、これからの具体的な検討課題として登場するのではないかというふうに思います。

倉田委員 少年とその保護者との関係がうまくいかない、そういう場合もありますから、少年に独自の付添人の選任権を与えるということは非常に大きな前進だと私も考えるわけです。

 一方、国選の付添人というのは、財政的な問題も正直言ってありますので、これはまた将来検討すべき問題ではないかなと私は思うんですが、そういう意見だけ申し上げておく次第でございます。

 次に、付添人です。

 せっかくつけることができる、そして、観護措置がとられている場合には国選ででもつけてくださる、結構なことだと思うんですが、この付添人は果たして立ち会いができるのかできないのかということでございます。

 これにつきましては、先般私が質問したときに、先ほど来も出ておりますけれども、警察の次長通達、これは十四年十月十日だったと思いますが出ておりまして、そこのところで、やむを得ない場合を除いては、保護者等の適切な者を立ち会わせるように留意すること、そういう警察の内部規定があるわけでございますが、これについては、弁護士である付添人はその中へ入るのか入らないのか。

 これについて、前回の警察庁の答弁では、弁護士を排除するものではないというような答えがあったんですけれども、そのような考え方で弁護士である付添人はその適切な者の中に入り得るのかどうか、もう一度お考えを聞いておきたいと思います。

早川委員 今の御質問も、本来であれば、警察庁あるいは法務省において、現行制度の解釈としてお答えになるのが相当な内容だと思いますけれども、御質問は警察庁の次長通達のことだと思いますが、平成十四年に、警察庁次長から「少年警察活動推進上の留意事項について」という通達が発出をされております。この通達には、「非行少年と面接する場合においては、やむを得ない場合を除き、少年と同道した保護者その他適切な者を立ち会わせることに留意すること。」と規定をしております。これは、保護、監護者の立ち会いによって、少年に対して無用な緊張を与えることを避けて、真実の解明のための協力や事後の効果的な指導育成の効果を期待するという趣旨に基づくものと考えられます。(発言する者あり)

七条委員長 静かに願います。

早川委員 この規定における「適切な者」とは、典型的には、保護者のほかに学校の先生や雇用主が考えられているところであります。

 当委員会における先般の警察庁の答弁を引用させていただきますと、「これは例示でございますので、弁護士の方を明示的に排除するものではございませんけれども、この趣旨に沿って、もしその趣旨に合うのであれば、これに弁護士の方も当たることはあり得るのではないか」とされております。

 また、同じく引用でありますけれども、「これは一律に立ち会いを義務づけるというものでもございませんので、現場におきましては個別の事案によって判断をしている、すなわち、例えば、少年の性格でありますとか、それからまた保護者との関係であるとか、それからまた保護者の監護能力とか、調査への協力の姿勢であるとか、そういったものは全部異なりますので、こういった個別の事案に即して、ケース・バイ・ケースで判断している」、これが当委員会における警察庁の答弁でありました。

 したがいまして、今御質問の弁護士である付添人についても、以上のような趣旨に沿っての判断がなされるものというふうに理解をしております。

倉田委員 答弁ありがとうございました。

 実は、この警察庁の次長通達には、こういうことが書いてあるんですね。「これは、少年に無用の緊張を与えることを避け、真実の解明のための協力や事後の効果的な指導育成の効果を期待するという趣旨に基づくものである」。事後の措置のみならず、真実の解明のための協力という部分もあるんですね。ですから、本来ならば、真実の解明ということになったときに、弁護人たる付添人も当然のことながら入っていいと私は考えております。

 しかしながら、この次長通達には、今の文言があって、真相解明協力等のためとありながら、「したがって、適切と認められる者であるかどうかは、あくまで少年の保護及び監護の観点から判断されるものであり、」云々と、ここのところがちょっと論理的に結びつかない文言がついてはいるんですけれども、警察も、少年を調べるに当たっては、密室ということもありますし、よりいろいろな者の立ち会いというようなことを考えているのであろうと私は善意に考えるわけです。

 そこで……(発言する者あり)はい、その制度を警察自身がちゃんと守っていただけるかどうかということも、御自分でつくったもので、非常に重要だと思います。

 ところで、この次長通達に立ち会いということが出ているんですね。それで、その先のことです。つまり、アメリカにおける普通の大人の事件まで含めた弁護士の立ち会い、あるいは今言われているところの可視化の問題、これらのことについて、民主党案の方では少し触れているところがあるんですね、入っているところが。

 私は、個人的な考えですが、その意味では、今後日本においても可視化の問題、現在検察庁で実験中だということで私は大変期待しているんですけれども、さらには立ち会いというようなこと、これも我々は、少年のみならず、全体的な問題として考えていくべきではないかと考えます。自民党の部会で可視化についての勉強を始めたというぐあいに聞いていますけれども、その辺の方向性について教えていただければと思います。

早川委員 最近いろいろ冤罪事件が公になっていて、これは大変我々としては遺憾なことだと思っております。そういう意味で、そういった冤罪事件がないようにするための措置を一生懸命考えていくというのは、国会議員としても、あるいは法曹関係者にとっても責務だろうと思っております。そういう観点で、自民党の法務部会でも、具体的にその冤罪問題についての勉強を始めたというところであります。

 そういう状況の中で、捜査の適正化あるいはいわゆる冤罪の発生を根絶するための一つの有力な方策としてのこういう可視化といったものは、当然検討の対象になっていかなければならない。

 ただ、これは刑事司法全般に係る問題でありますので、特に今回の少年法の改正作業の中でこれについての検討をするというのはなかなかできなかったということでございますので、関係各方面においてこれからしっかりと対処していっていただきたいというふうに思っているところであります。

倉田委員 全体としての可視化等の問題について、さらに我々は勉強すべきものと考えます。

 それから、少年の情操に配慮しつつ調査を行わなければならない、また、強制にわたることがあってはならないという規定を設けることも、これは配慮規定として非常にいいと思うんですけれども、ただ、あらかじめ告げるということが実際にこれだけで行われるようになってくるだろうか、あるいは必ずしも告げなくてもよい場合もあるかもしれませんけれども、この強制という言葉は、単なる任意ということのほかに、一歩進んで、無理やり聞いてはいけない、強要してはいけない、こういう意味を持つと考えてよろしいんでしょうね。

早川委員 法律の条文を、こういった形で留意事項を明確化するということになると、それではそれを具体的にどうやって担保するかということについては、例えば付添人がつかれれば、付添人である弁護士がやはりそれをしっかりと担保しなきゃいけないし、あるいは、もちろん警察は、公権力の行使に当たるわけですから、この趣旨に基づいてやらなきゃいけないし、あるいは、さまざまな家庭裁判所あるいは児童相談所等の関係機関においてもそういったことについて十分配慮をしていかなければならない。

 そういう意味では、そういった留意事項があるということの中で、結果的には、調査に当たる現場においてどういうふうな具体的な事項を明記して、一人一人の調査に当たる警察官がこの法の趣旨に反するようなことにならないようにするかどうか、まさにそういった対処がこれから求められてくるんだと思います。

 ただ、そのすべてを法律の中に明示するということは困難ではないかと考えます。

倉田委員 ありがとうございました。

 次に、少年院法の方ですけれども、おおむね十二歳以上という下限を設けるということ、私はやはりこの下限は非常に重要だと思うんですね。五歳とかあるいは九歳とか、そこまで少年院へというのは考えます。

 ですから、下限はいいんですけれども、おおむねという言葉が先ほどから何回も聞きなれない言葉であるかのごとくに出ておりますけれども、このおおむねという用語は、既に使われている法律が現実にあるんじゃないでしょうか。どうでしょう。少年法の中にあったような気がしますが、いかがですか。

早川委員 これも政府から答弁されるべきことでしょうが、現行法上は、初等少年院送致の上限がおおむね十六歳未満、それから中等少年院及び特別少年院の下限がおおむね十六歳以上と、それぞれおおむねの文言を用いて規定されているところであります。

倉田委員 確かに、政府の方に聞くべき内容であったかもしれません。

 そこで、政府の方にお聞きしたいと思うんですけれども、今あった既存のおおむねという言葉、この範囲は現実問題としてどの程度の範囲として用いられているのか、わかればお教え願いたいと思います。

長勢国務大臣 いずれも、一歳程度の幅を持って運用されているというふうに承知をしております。

倉田委員 そうしますと、これは、先ほどから聞いていると、ほぼ小学校と中学校で分ける、小学生であっても、事案とその人間の持っている性格等々によっては少年院の方でも受け入れ体制をつくって入れる場合がある、こういう考え方でよろしいでしょうか。

早川委員 まず与党修正案の考え方でありますけれども、少年院送致が可能となる年齢の下限としては、中学校に入学する年齢、すなわち十二歳を一応の目安として、一定程度、弾力的な処遇選択を可能とすることが適当と考えられて提案をしております。

 なお、私個人の意見として参考のために申し上げますけれども、例えば宇治の少年院に行きますと、トレーニングスクールという英語表示があるんですね。なぜ、少年院という日本語を、言ってみれば古めかしい、いろいろしみついた言葉を使わなきゃいけないんだろうか。トレーニングスクールというのは、言ってみれば、そういった少年のまさに教育、矯正、そういったことを目的とするという趣旨をあらわしているということ。あるいは、宇治の少年院とか広島の少年院で、例えば発達障害の子供さんたちがかなりの割合を占めているというときに、やはり少年院でしっかりとそれを対処できるようなカリキュラムみたいなものを開発されている。

 むしろ、一般の、その他の施設の職員がそこに学びに行くというようなことを考えますと、少年院も変わっていかなければならないということの中で、これからは検討をしていかなければならないだろうというふうに思います。

倉田委員 最後になりますけれども、遵守事項違反について、条文の文言を改めていただきました。私が前回の質問のときに、どうも対象がはっきりしないということを申し上げたので、そういう批判もあって、修正案は、原案をよりはっきりと、第四のという言葉を私は当時使いましたが、第四の審判事項として遵守違反を挙げる、こんなぐあいに規定したのではないかと思いますが、そういう理解でよろしゅうございますか。

早川委員 第三とか第四とかというふうな類型に当てはまるというふうにはなかなかお答えしづらくて、むしろ新たな審判事項ということで、遵守事項に違反をしているということ、あるいはこれが重大であるということ、あるいは警告がなされている、こういった要件を付しているということでありますので、新たな審判事項であることは間違いないですけれども、第一、第二、第三、第四というふうな類型が相当するかということについては、何とも言いがたいところであります。

倉田委員 法論理的に一事不再理にならないということははっきりしてきたのではないかと思いますが、現場では、この規定はかなり必要な規定だと思うんですね。また、その運用状況等も将来見ながら、いろいろ考えるべき規定かなと私は考えております。

 以上申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

七条委員長 稲田朋美君。(発言する者、離席する者あり)

稲田委員 動議を提出いたします。

 本案及び修正案に対する質疑は終局し、討論は省略し、直ちに採決されることを望みます。(発言する者あり)

七条委員長 ただいま稲田朋美君から動議が提出されました。稲田朋美君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立多数。よって、動議は可決いたしました。

 続きまして、平岡秀夫君外二名提出の修正案について審議をいたします。(発言する者あり)平岡君の動議に賛成の皆さん方の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立少数。よって、平岡君の件は否決されました。(発言する者あり)続きまして、早川忠孝君外一名提出の修正案について賛成の皆さん方の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立多数。よって、早川君の修正案は可決いたしました。(発言する者あり)続きまして、修正案を除く原案について審議をいたします。修正案を除く原案について賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立多数。よって、可決いたしました。(拍手、発言する者あり)

 本案の委員会の報告の作成を委員長に一任するについての賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 これにて散会をいたします。

    午後四時五十二分散会


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