衆議院

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第18号 平成19年5月22日(火曜日)

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平成十九年五月二十二日(火曜日)

    午後二時十一分開議

 出席委員

   委員長 七条  明君

   理事 上川 陽子君 理事 倉田 雅年君

   理事 武田 良太君 理事 棚橋 泰文君

   理事 早川 忠孝君 理事 高山 智司君

   理事 平岡 秀夫君 理事 大口 善徳君

      赤池 誠章君    稲田 朋美君

      今村 雅弘君    近江屋信広君

      奥野 信亮君    笹川  堯君

      清水鴻一郎君    柴山 昌彦君

      松本 文明君    三ッ林隆志君

      武藤 容治君    森山 眞弓君

      矢野 隆司君    保岡 興治君

      山口 俊一君    石関 貴史君

      大串 博志君    河村たかし君

      中井  洽君    横山 北斗君

      神崎 武法君    保坂 展人君

      滝   実君

    …………………………………

   法務大臣         長勢 甚遠君

   法務副大臣        水野 賢一君

   内閣府大臣政務官     田村耕太郎君

   法務大臣政務官      奥野 信亮君

   最高裁判所事務総局経理局長            小池  裕君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    小津 博司君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  稲見 敏夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           草野 隆彦君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 岡崎 淳一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           立岡 恒良君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  杉浦 正健君     松本 文明君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 文明君     杉浦 正健君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

七条委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長寺田逸郎君、法務省刑事局長小津博司君、法務省入国管理局長稲見敏夫君、厚生労働省大臣官房審議官草野隆彦君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長岡崎淳一君、経済産業省大臣官房審議官立岡恒良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局小池経理局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大串博志君。

大串委員 民主党の大串博志でございます。

 きょうは、一般質問の時間をいただきましたので、長勢大臣、そして金融庁の皆さんも含めて、外国人の労働者受け入れ問題、そして金融絡みの会社法の問題等々について質問をさせていただければと思います。

 通告の順番を変えさせていただきまして、まず、金融関係の方から質問をさせていただきたいと思います。

 先般来、この法務委員会で議論をさせていただいておりまして、長勢大臣と議論させていただく中で、私が常日ごろから主張させていただいていた問題は、法務省が管轄していらっしゃるいろいろな法律、民事、刑事、そして矯正、更生、これは、社会の成り立ち、あり方、そして経済の成り立ち、あり方に非常に広範な影響を及ぼし得る問題であるがゆえに、他省庁ともしっかり連絡をとり合いながら、国の形というものを大きく見据えながら、ぜひ検討していただきたいということを申し上げ続けてまいりました。

 今般、もう二年になりますけれども、大改正が行われました。まさに、商法の会社法の部分、今回会社法になったわけですけれども、会社法などというのは、本当に、社会全体の成り立ち、経済全体の成り立ちに大きな影響を与え得る、そういうふうなものだと思いますので、やはり常日ごろから見直し、そして検証をしていくべきだというふうな気が私はしておるんですね。

 それで、今回指摘したいのは公認会計士との関係なんですけれども、私自身は、この数年間に起こった一連の会社関係の問題、ライブドアの事件もありました、それから、その少し前には西武鉄道の事件やカネボウの事件、村上ファンドの事件、会社をめぐるいろいろな事件がありました、主には上場会社をめぐる事件でございましたけれども、この辺は、実は、会計のあり方との問題が非常に大きかったと思うんですね。

 日本の会計制度がどのくらいよいものになっているかというのは、これはいろいろ議論のあるところだと思います。アメリカでも、エンロン事件があって、会計制度のあり方自身からいろいろな問題が生じてきているところはございます。

 今般も会計士法の改正というものが国会に出されておりまして、会計士の皆さんがよりよく働けるように、より正しいインセンティブを持って働けるように、かつ、監督、監視の部分もより強化して行われるようにというような法案が提出されて、今後恐らく審議されていくんだろうと思いますが、二年前に会社法が改正されて、この公認会計士の部分についてもいろいろな改正がなされていますね。会計監査等々の部分についてもいろいろな改正がなされていますが、一つの問題として、会社法改正後にやはりまだ残っている問題だというふうに言われている問題で、いわゆる監査法人の行動といいますか、行動原理に対するインセンティブのねじれ問題というのがよく言われております。

 これはどういう問題かと申しますと、大会社においては外部からのチェックの目を注ぐということで、公認会計士、監査法人が監査を行っていくわけですが、この公認会計士を選任したり、あるいは報酬を決めたりするのは基本的に会社側である、会社側がビジネスの生殺与奪の権利を握っている、そういう会社に対して、果たして、外部の目を施す監査法人が本当に直言できるのか、正しいことを言っていけるのか、そのインセンティブのねじれ問題というものがありました。

 これに関して、法務省でもいろいろな検討をなされているんだと思いますけれども、金融庁の方では、金融審議会の方で、公認会計士制度部会の方でも議論がなされた上で、このインセンティブのねじれ問題に関して指摘がなされています。

 どういう指摘かと申しますと、ポイントは、会計監査人の選任に関する議案の提出について監査役の同意権だけにとどまるのか、あるいは報酬についても監査役の同意権だけにとどまるのか、それとも、監査役にもう一歩マネジメントと同じ能動的な役割を認めて、提出権も行っていくのかということだと思います。

 金融庁において指摘されておりますこのインセンティブのねじれ問題については、「関係当局において早急かつ真剣な検討がさらに進められることを期待したい。」というふうに指摘されておりますけれども、金融庁としては、この点について、どういう思いで、どういう考えからこれを指摘されていらっしゃるんでしょうか、考えをお聞かせください。

田村大臣政務官 まさに、我が意を得たりという質問をいただきました。

 これは、私が金融担当の政務官になる前、自民党の部会でもこの問題は法務省さんにお願いをしてきましたし、金融担当の政務官になった後は、金融審議会の公認会計士制度部会、ここでも法務省さんの方にお願いをしてきたことです。

 いろいろ法律を変えても、先生が言われたように、やはり商法をより一層充実していただく、本当に大改正でかなり使い勝手のいいものにしていただいたんですが、貯蓄から投資へ、これを今金融庁は一生懸命進めています、やはり一般投資家の保護、これを図るためには、より一層の商法の改正をお願いしたいというのが本音でございます。

 例えばどういうところかといいますと、今言われました監査役の地位向上、まず第一点はこれですね。監査役が社内で同意権は得ましたけれども、やはり外部監査人の選任権や報酬決定権、これをしっかり持ってほしい。

 ほかに、権限だけじゃなくて、責務もしっかり負うためには、監査人にしっかりした人を選んでほしい。例えば、会計の一般知識のある方、ビジネス法務に通じた方で、企業の意思決定に対して実務的経験のある方、こういう要件もしっかり入れていっていただいてはどうかというのがあります。

 第二に、ここからちょっと個人的な見解なんですけれども、経営陣に対する刑事罰の強化、これもやっていただきたいと思うんですね。中でも、時効までの期間をもっと長くしていただきたい、これは私の思いです。といいますのは、今、大体七年間ですよね。しかし、今上場企業を見てみますと、社長七年、会長七年、最高顧問とかなんとかいって七年、合計で二十年ぐらいいるわけですよ。七年たてば自分のやったことがもみ消せる、そうじゃなくて、二十五年たっても二十年前のことが問われる、そういう可能性が出てくれば、経営陣もぴしっと締まると思うんですね。

 最後は、委員会等設置会社の義務づけ。これは、上場企業の経営者に聞いてみますと、何がネックになっているのか、委員会等設置会社はなかなか普及しません、やはり人事委員会と報酬委員会にあるみたいです。やはり、部外者に人事や報酬のことを言われるというのはなかなか納得できない。ですので、委員会等設置会社の一つの類型として、人事委員会、報酬委員会がない類型を採用できる、そういうことになりますとまた大きく変わりますし、そういうものを強制していくというのも一つの考えではないか。

 こういう三点につきまして、ぜひ、法務省さん、今まで一生懸命努力いただいていますが、より一層の努力をしていただきたい。貯蓄から投資を進める金融庁としてはそういう思いであります。法務省さん、よろしくお願いします。

 以上です。

大串委員 今、政務官の方からお話をいただきました。私も、基本的な流れとして実は政務官と非常に似たような考え方を持っておりまして、まさに貯蓄から投資へという考えを述べられましたけれども、そのためには、受け皿である公的な責務を負う企業というもの、会社というものがしっかり運営されるような仕組みを会社法なりそれ以外の法律なりで持っておかないと、投資家がなかなかしっかりとしたインベストメントとしてやっていかないということがあると思うんですね。

 今、金融庁の方から御説明のあった、あるいは御要望のあったような点に関して、これは金融審議会においては、「関係当局において早急かつ真剣な検討がさらに進められることを期待したい。」ということで、相当踏み込んだ書き方がされているわけでございますけれども、法務大臣にお尋ねしたいんですが、この問題に関して、法務省としてはどういう検討をされていて、今後どういうふうな進み方で検討されようとしているのか、ぜひ前向きな答弁をお願いしたいと思います。

長勢国務大臣 御指摘の定義にあります会計監査人の報酬の決定等について、監査役等にその権限を付与するという方策につきましては、今政務官からお話がありましたが、会社法の審議に当たって法制審議会でもその議論があって、それがいいかどうかの検討がされました。ただ、報酬の決定は会社の業務執行の一つでありますし、監査役等は本来、業務執行と離れた地位から監視、監督を行う地位にある者ということになりますので、法制審ではこの方策は相当でないものということで採用されないで、現行の同意制度ということになった経過であります。

 この報酬決定の同意の制度というものも、三月期決算の会社においては本年六月の定時総会で選任される会計監査人から適用されることとされておるわけでありますので、実質的にはまだ施行されていないという状況にあるわけです。

 したがいまして、今後とも、我々としては、この新たな制度の実施状況を見守って必要な検討を行うというふうに今考えておるところでございます。

大串委員 今の議論を法務省の方とすると、必ず今の答弁が返ってくるわけでございます。今般の株主総会を経て、いわゆる監査役に同意権を与えるという形で新たな仕組みがやっと今回入ってくるので、それによる効果を見きわめていきたいというような答えが今のように返ってくるわけでございますけれども、大臣、もうちょっとそこを突っ込んでお尋ねしたいんです。

 そうすると、今回新たに、どのくらいの会社になるかわかりませんけれども、監査役に対して同意権を盛り込む会社が出てくるかもしれないですね。確かに、業務執行権を与えるというところまで今回法制審で踏み切れなかったわけですけれども、少なくとも同意権を与えるというところまで今回法改正がなっているわけでございます。同意権を与えてどのような効果が出てきたかということに関しては、今回株主総会を経て新たな企業が出てきた場合には、それを例えば幾ばくかの期間の後にヒアリングなり情報徴求するなりして調べる、そういうふうな具体的なおつもりがあるかどうか、その辺についてお答えいただければと思います。

長勢国務大臣 具体的な手法については民事局長からまた補足で話をさせますけれども、今おっしゃったようなことも必要かもしれませんし、いずれにしても、いろいろ従来から議論のあったところですし、また、今既に金融部会等々でも議論のあっているところですから、それに合った形で状況をよく見きわめたいと思っております。

寺田政府参考人 この問題は、おっしゃるとおり、非常に重要な問題でございますと同時に、非常に実務的な問題でもございます。監査役の関係団体等も、これの運用のためにいろいろな運用基準等を工夫されておられると既に聞いておりますけれども、株主総会が非常に多く行われる今回の六月以後、早急に関係者の間からヒアリング等をいたしまして運用の実情を十分調査したい、その上でいろいろな判断をさせていただきたいと思っております。

大串委員 今、六月以降、会社のあり方が変わったところから、早急にヒアリング等々をして実情を踏まえ、判断をしていきたいということでございました。

 やはり、会計の問題というのは、企業経営のかなり根幹の部分を握る、ガバナンスにしても、あるいは財務面のガバナンスにしても、相当の根幹の部分を握るんだと思うんですね。ここがしっかりしてこそ、会社制度というものがしっかりするし、かつ、会社制度というものに投資をする投資家も育つし、かつ、投資家が育つことによって金融市場自体がきちんと成長していくということになると思うんです。

 新聞等々で読みますと、金融庁の方で、東京に外資系の金融機関がきちんと来れるようにいろいろな促進策を図っていくというような報道も出ておりますけれども、そういう方策と同時に、こういう非常に基本的な、投資家がいわゆる会社の株式というものに投資しやすくなるように、基本的なインフラとして、会計制度、そして会社法制度というもののやはりきちんと時宜に合った改正をしていくべきだと思いますので、ぜひ早急な対応をお願いしたいというふうに思います。

 それからあと、もう一つ踏み込みまして、先ほど金融庁の政務官の方からも話がありましたが、幾つか指摘をされまして、会計士の問題以外にも、経営陣に対する責任追及の時効の問題、それから委員会等設置会社の義務づけ等々の問題も今御指摘になりました。

 こういう御指摘も私も非常に共感のできるところでございまして、特に、企業のガバナンスというものを強化する観点から、経営陣にしっかり責任をとらせる、事後的に責任をとらせるという意味において時効の問題もありましょうし、かつ、業務執行中の責任をとらせるという意味において委員会等設置会社等々の仕組みを整備することによってインセンティブ関係をはっきりするようにするというのは非常に重要なことだろうというふうに私は思います。

 こういう議論を実は我々民主党でもやっておるわけでございますけれども、議論していく中で、細かい論点、委員会等設置会社等々の効果や、あるいは現状等々についても、これからまた一般質疑の中で大臣ともいろいろ議論させていただきたいと思いますけれども、きょうはその総体として、今おっしゃったような非常に重要なポイント等々も含めて、会社の中でもやはり大きな会社と中くらいの会社と小さな会社とございます、そういう雑駁な言い方もありますけれども、もっとわかりやすい言い方で言うと、上場会社と非上場会社、これはやはり非常に、会社の行動、そして社会に与える影響、それからもちろん資本市場に与える影響なんかも相当違うんだと思うんですね。だから、上場会社を一くくりとして、今の会社法と同じような規制の仕組みでいいんだろうかという目で見ていく必要が私はあるんじゃないかというふうに思うんです。

 いろいろな議論の中で、我々民主党では公開会社法という言い方をしていますけれども、今の会社法では、公開会社というのは譲渡制限があるなしで決めているので、それではなくて、我々民主党で言っている公開会社法というのは上場会社法的なイメージなんですけれども、一定の社会への影響とか、あるいは投資家に与える影響とかも含めて考える、あるいはガバナンスに必要な影響力の大きさも考えると、上場会社に対する特別な規制をやはり特出ししてつくっていくみたいな考え方、上場会社法みたいな考え方も非常に必要なんじゃないかと私は思っています。

 今、前の証券取引法ですね、金融商品取引法、この中に、上場会社に対しては、投資家保護という観点、それから市場の管理という観点からいろいろな規制が会計開示等々の関係で盛り込まれていますけれども、私は、企業のガバナンスも含めて上場会社というもののあり方を規制するやり方として上場会社法みたいなものを考えていく、そういう時代にだんだん入っていくんじゃないかと思うんです。

 この点で、まず、金融庁の方に、こういう上場会社法みたいなもののあり方、必要なんじゃないかという点に関して御所見を賜れればと思います。

田村大臣政務官 公開会社法に関しまして、私は今金融担当なんですけれども、もう一つ立場がありまして、経済財政担当の立場がありますが、経済財政担当の立場でいいますと、諮問会議の下に専門調査会というのがありまして、その下に、今先生が言われた我が国金融資本市場のグローバル化、この専門調査会を立ち上げまして、早稲田大学の上村先生が主査として取りまとめられまして、その中では、公開会社法は有力な提案であるので、これから積極的に議論していきましょうというような取りまとめになっています。

 一方、金融庁の立場で言わせていただきますと、金融商品取引法ができまして、金融商品取引法の中では、ディスクロージャーとかガバナンス、これは商法とはまた違うたてつけで規定を新しくしています。まずは、金融商品取引法、商法、証券業協会の自主規制ルールがあります、証券取引所の規則があります、こういう今ある箱の中で、どうやったら効果的に投資家が保護できるか、それを一生懸命やってみて、その延長線上で、そういうものが必要であるということになりましたら、それはそれで検討する余地はあるというふうに思います。

 以上です。

大串委員 今お話しになった中では、やはり金融庁の政務官でいらっしゃいますから、投資家保護という観点がどうしても前面に出てきて、その観点から、今回金取法も改正されましたので、できる箱の中で、その後の実効を見ながら検討していこうということでございまして、これはこれで一つの見識ですけれども。

 上場会社に対して、投資家保護という規制のあり方に加えて、上場会社は投資家に対する影響以外にも社会全体に与える影響も非常に多うございます。PL、プロダクトライアビリティーもありましょうし、あるいはそのほかにもいろいろな社会に与える影響、顧客あるいは被用者とのあり方なんかも含めていろいろな影響があり得ると思うんですね。そういう点も含めて、ガバナンスとかそういうことも含めて考えていかなきゃいけないと思うので、会社法の検討の中にも、やはりぜひ法務省の方でも、上場会社的な、投資家保護という観点からだけじゃなくて、会社をうまくコントロールする、ガバーンするという観点からの検討をやっていく、そういうふうな時期に来ているんじゃないかと私は思うんです。

 その点に関して、長勢大臣の御所見を伺いたいと思います。

長勢国務大臣 おっしゃるとおり、我が国の法体系では、閉鎖的な会社から上場会社まで、すべてに対応する規律という体系に今なっておるわけで、ただ、御指摘のように、社会全体に及ぼす影響が多い、特に投資家にも影響がある、こういう企業に対しては、企業統治のあり方も含めて、会社の規律にやはり特有のものがあるだろうということは、そういうふうに思います。

 そういうことから、会社法なり、あるいは証取法などで若干の特別の規律も設けられているところでございますが、さらに新たに公開会社法というような法律をつくるということになると、どういう規律を設けることになるのかとか、どういう立法方式をとることになるのかとか、これはさらにもう少しいろいろな議論が必要なことではないかというふうに思います。

 今後とも、関係方面の議論を見守り、また関係省庁とも意見を交換して検討してまいりたいと思います。

大串委員 商法のうちの会社法の部分、今回会社法になりましたけれども、これまでも累次の改正を経てきています。一年のうちに二回改正を行ったなんということもあったわけでございます。それだけ世の中、会社なり社会のあり方が急速に変わってきていて、会社に求められる機能あるいは会社がやらなければならないこと、あるいは会社とはどうあるべきかという社会におけるあり方も非常に一日一日、日々刻々と速く変わってきているんだと思うんです。

 ですから、会社法を所管していらっしゃる法務省の立場としては、非常に常日ごろからアンテナを世の中に対して高く持って、そしてこの会社法のあり方も、一つの固定したあり方ではなくて、そのときそのときのあり方に応じて柔軟に変えていくというようなゆとり、幅を持って考えていかなきゃならないと私は思うんです。

 この五月から、いわゆる合併対価の柔軟化で三角合併も解禁になります。これがどのくらいの、実需といいますか、本当に行われるのかわかりませんけれども、進んでいくかもしれません、今でも日本の企業の中でいわゆる外国人株主の保有率みたいなものがぐっとこの数年間で上がってきているわけでございますけれども、そうすると、会社のビヘービアというものが昔に比べて日本の会社においても相当変わってくる可能性があると思うんですね。

 こういう日々刻々と変わっていく日本の会社のあり方を前提とすると、日本の会社法のあり方も常日ごろブラッシュアップしておくというふうな柔軟な態度が私は必要だと思いますので、ぜひそこに関しては柔軟に、機敏に動けるように検討を続けられる体制を維持していただきたいというふうに思う次第でございます。

 この会社法、そして金融関係のあり方については、ちょっときょうはこれぐらいにしておきまして、また会社法の改正に従っていろいろな実例が出てきますので、その実例を踏まえながら、例えば先ほどの委員会等設置会社のあり方なんかも一たん状況を踏まえながら精査していかなきゃいけませんから、そういうものが情報として上がってきつつ、また、大臣と議論させていただければというふうに思う次第でございます。ありがとうございました。

 政務官、結構でございます、ありがとうございました。またよろしくお願いします。

 さて、次の論点に移らせていただきたいと思いますけれども、外国人労働者の受け入れに関する件でございます。

 私は、先々週になりますか、外国人労働者の受け入れ問題に関して、大臣とここで、短い時間ではありましたけれども、意見交換をさせていただきました。大臣御自身から、具体論ではなかったですけれども、外国人労働者の受け入れに関する基本的な考え方、出入国管理基本計画、第三次のものを受けまして、どういうふうなものを基本的な考えとして持っていらっしゃるのかということをお伺いさせていただく機会を得ました。

 その前後から、この外国人労働者の受け入れ問題に関しては非常ににぎやかな議論となっておりまして、厚生労働省、経産省、そして大臣の方からもいろいろな案が出されているという状況にございます。

 この点に関して、きょう議論を進めさせていただきたいと思いますけれども、まず、厚生労働省の方にお尋ねしたいと思います。

 この外国人の労働者の受け入れ、今は、法体系としては、専門技術者は受け入れます、しかし、言葉は適切じゃないかもしれませんけれども、いわば専門技術者でない労働者の方々に関しては受け入れないというのが基本的な政府のスタンスだろうと思いますけれども、これに対応してといいますか、これとはまた違うラインとして、外国人研修・技能実習制度というものが取り入れられていて、これを前提に外国人の方の研修、そして実技、技能の実習が行われる、そういう制度になっていると思います。

 この外国人研修・技能実習制度ですけれども、行われてもう何年にもなりますけれども、この制度に関する厚生労働省の方としての評価、そして、どこにどういうふうな問題があるのか、どの辺がうまくいっていてどの辺に問題があると考えているのか、この辺に関して聞かせていただきたいと思います。

草野政府参考人 お答えいたします。

 外国人研修・技能実習制度につきましては、平成五年四月の制度発足以来十四年余りを経過したわけですが、研修生、実習生の数も大幅に増加しております。

 この間、帰国後の研修生、実習生が、職場の主任や責任者に登用され、技術指導や品質管理を任されるなど、技能移転が効果的に行われ、現地の技術向上に寄与している事例も報告されております。能力評価や実習計画の作成、履行、こういったものを義務づけられることによって、このような一定の能力開発等の効果をもたらしている面があるというふうに考えております。

 また、実習生の約九六%が実習終了後に母国に帰国しておりまして、実習制度として仕組まれることによって定着を避け、一定期間で帰国することがほぼ実現できているというふうに考えております。

 ただ、一方、一部の受け入れ機関におきまして、研修生が実質的に低賃金労働者として扱われ、研修時間外の活動までさせられている事例、それから、技能実習移行後におきましても、賃金未払いとか三六協定未締結、こういった問題が発生しております。中には、セクシュアルハラスメントとか暴力等の人権侵害を受ける等の問題が生じているところもありまして、こうした事態は一刻も早く根絶する必要があるというふうに考えております。

 このほか、近年アジア諸国との経済連携が強まる中で、アジア諸国の若者に技能を付与し、帰国後その成果を生かしていただく、こういう制度の趣旨というのは、今後ますます重要であろうというふうに考えております。

 したがいまして、こうした技能実習制度のメリットを考えまして、現行制度については、技能移転を通じた国際協力という目的は今後とも維持した上で、一部に見られる不適正な事例の排除とか、劣悪な労働環境、実習環境の改善を図っていく必要があるというふうに考えております。

大串委員 ちょっと具体的にお尋ねしたいと思います。

 今、研修機関において労働法規が守られない、低賃金、重労働的な扱いになっている、その他いろいろ職場における保護も具体的には行われなくなっている、そういうふうな例があります、あるいは賃金の未払いみたいなものもありますというふうな話でございました。

 これが、どういうところから起こってきているのかというところは分析しなければならないと思うんですね。この研修・技能実習制度は、基本的には受け入れ機関があるわけですね。日本の中でも一次的な受け入れ機関があって、商工会、商工会議所あるいは何とか生産協同組合みたいなところが一次受け入れ機関となって、そこが企業との橋渡しをしていくということでございます。

 聞くところによりますと、この受け入れ機関において、こういうふうな言い方をしてはよくないですけれども、実習者の、外国人労働者の方々の受け入れの監視、監督をしっかりしないブローカー的な受け入れ機関、受け入れ機関といいますか受け入れの方、団体がふえてきている、この辺において非常に管理監督が難しくなってきているという話でありますけれども、この点について、実態を、お聞きのところを御紹介ください。

草野政府参考人 お答えします。

 この技能実習制度につきましては、おっしゃいますように、内外のブローカーというものが介在しているという実態がございます。国内におきまして、技能実習生は、最初研修で入りまして、一年たったところで基礎二級に受かって技能実習に移行する、こういう仕組みになっておりまして、受け入れのところでは、研修ということであるがゆえに職業紹介事業と位置づけれらておりません。

 それからまた、最近は異業種の協同組合というものが、ある意味ではあっせんを目的として設立して、ブローカー的な行為をやっているという事例も散見されるところでございます。

 それからもう一つは、制度として、この第一次受け入れ機関というのは、研修期間中は管理責任を負いますが、実習に移行した場合には管理責任を負わないという制度的な仕組みになっております。

 したがいまして、今後、こうした国内のブローカー、悪質なブローカーなどを排除していくためには、まず、やはり研修というものについて法律関係を明確にする、労働関係にすることによって入り口のところを職業紹介事業としてとらえて、届け出ないしは許可の方向に持っていくということでチェックしていくというのが一つでございます。

 それから二つ目としまして、にわかの一次受け入れ組合といいますか、あっせんを目的として、にわかに異業種組合を設立するような事例についてはやはり事業実績というのを見ていく。やはり、事業協同組合として適切な事業をやっているという期間があって初めて管理責任も負い得るということからしますと、実績要件、例えば五年とか、そういうものを課していくということが一つの方策ではないかというふうに考えております。

 さらに、その管理責任につきましては、研修期間中だけでなく、第一次受け入れ機関にも実習中の責任を負っていただく、そういう方向で考えていくべきであるというふうに思っております。

大串委員 ありがとうございます。

 今、少しお聞かせをいただきましたけれども、ブローカーの方々、いわゆる異業種とおっしゃいましたですね、異業種の協同組合の方々みたいな形でブローカーの方々が入っていらっしゃるというふうな話をおっしゃいました。

 もうちょっとお尋ねしたいんですけれども、異業種の協同組合の方々というのは、イメージ的なものでも結構なんですけれども、どういうような方々なんでしょうか。説明できる範囲でいいですよ。こういう感じの方が出してくるとか。

草野政府参考人 これは、もう少し実態を細かく見ていく必要があると思っておりますが、大体、第一次受け入れ機関の八割は事業協同組合でございますが、そのうち異業種組合の占める割合が約三割とか、やはりだんだんふえてきている、特に近年、その数がふえてきているという実態がございます。

 これは、我が研究会の中でも、そういう実態を調査しておられる先生から、先ほど申し上げたような話も出ておりまして、ここのところは我々もさらに詳細を調査していく必要があると思いますが、まず、ブローカー的な役割として一つの問題を抱えているという状況があることは確かだろうというふうに考えております。

大串委員 ありがとうございます。

 今お話しになりましたように、第一次受け入れ機関、この外国人労働者の方々を受け入れる窓口の機関の八割がいわゆる協同組合の方々で、そのうちの三割ぐらいがいわゆる異業種の組合の方々で、これがふえている傾向にある、この辺においていろいろ管理が難しくなってきている、問題が見られるケースが出てきているということでございました。

 こういう状況も踏まえて、先ほど既に幾つか、今回、厚生労働省の方が発表されたいわゆる改革策といいますか、こういう点もお話しになったわけでございますけれども、一つには、私が非常に今注目したのは、ブローカー対策に関しては、いわゆるにわか成りの協同組合ではいけない、すなわち、事業実績、例えばある一定の職域において、アパレル業界ならアパレル業界において、その業界において協同組合として活動してきた実績を持たなければならない、そういう実績を持つ協同組合に対して、いわゆる一次機関としての協同組合の認定を与えていく、そういうふうなことを今おっしゃいました。

 ちょっと一応参考までに、そのほかにも、今回、厚生労働省の方で指摘された改革点、要点がございましたら、御指摘いただければと思います。

草野政府参考人 そのほかの点として、三点ほどポイントがございます。

 第一に、実務研修中の法的保護のあり方でございます。これは、規制改革三カ年計画で指摘されているところでございますが、現在の研修に加えまして技能実習、こういう仕組みを統合いたしまして、最初から雇用関係のもとの実習として労働関係法令の適用を図る、こういう趣旨でございます。

 研修の中に実務研修というものがございますが、ここは先ほど申し上げたような、研修中であるにもかかわらず実質的に低賃金労働として扱われたり残業までさせられているといった例があるポイントでございます。ここのところを、実務研修と労働というものを雇用管理上区別するのが中小零細にとって極めて困難である、そういうことからこういう事態が発生するわけでございまして、やはり法律関係を明確にして、労働関係諸法令の適用を図るということが法的保護につながるというふうに考えております。

 それから、一たん帰国した実習生の再入国による再技能実習につきまして、一般的にトータルの滞在期間が長期化することによって失踪、定住化のおそれがある、ただし、この再技能実習については、経済界等の要望が強いということもございまして、受け入れ対象が、送り出し国の現地法人などの従業員に限定されて、失踪率が低く、おおむね技能移転や適正化が図られている企業単独型というものですね、これに限って再技能実習を認めようというのが第二点でございます。

 それから第三点に、先ほど申し上げましたこととも関連しますが、不正行為などを行った場合の規制、これを厳格化していきたいというふうに考えております。

 以上のようなところがポイントでございます。

大串委員 ありがとうございました。

 今、幾つかのポイントを述べていただきましたけれども、冒頭おっしゃいましたように、いずれにしても、現在の研修・技能実習制度のあり方、うまくいっている点、そしてうまくいっていない点もあろうから、それを改善するにしても、基本的には現在の研修・技能実習制度を前提としてそれを改善するという方向での改革案といいますか、考え方だということがよくわかりました。

 それで、今般、経済産業省の方におかれてもこの改革案を出していらっしゃるわけでございますけれども、経済産業省の方では、今回のこの研修・技能実習制度の現状をどういうふうに評価されて、どの辺によい点、問題点があると考えていらっしゃるのか、評価についてお尋ねしたいと思います。

立岡政府参考人 お答え申し上げます。

 本制度の評価でございますけれども、おおむね厚生労働省さんの方から御答弁があったことと認識は同じだと思っております。企業現場でのOJTを通じまして、来ていただいた方に技能移転をし、国際交流を図っていくということで、そういう成果がうまく出て、本国に帰って活躍しておられる人材がいるのも事実でございます。

 他方、るる議論がございますように、一部の受け入れ機関で、制度の趣旨を理解せず、来た人を劣悪な環境に置いているという例があるのも事実でございまして、そういった意味で、適正化を急ぐ必要があるという認識も同じでございます。

 もう一点、他方、産業界からは、一たん研修・技能実習生を受け入れた後、さらに高度な技能の習得をする可能性があれば、そういった可能性も考えられないかといったような要望も出されておりまして、こうした適正化をするということと制度の高度化を図っていくという両面からの課題があるというふうに認識をしてございます。

大串委員 今、問題点等々に関して、おおむね厚生労働省の方と重なる部分があるんじゃないかというふうな話をいただきました。一方、産業界からの、より高度な実習を受けられる方々について、より高度な実習をするような機会もあってほしいんじゃないかというふうな意見がありました。

 経産省の方で今回改革策を打ち出していらっしゃいますけれども、その要点と、厚生労働省の打ち出していらっしゃる要点とはどの辺が違うのかというあたりについて御説明いただければと思います。

立岡政府参考人 私ども、本問題につきましては、昨年から有識者、実務者から成る研究会で議論を行ってまいりまして、去る五月十四日に報告書をまとめたところでございます。この中では、これからの議論のたたき台の一つとして考え方をまとめた次第でございます。

 内容的には、大枠においては厚生労働省さんの御提言とほぼ重複いたしますけれども、基本的には、諸外国への技術移転、国際貢献というこれまでの枠組みを維持するという観点に立ってございます。

 その上で、研修一年プラス技能実習二年という枠組み、現在の枠組み、これを維持しながら、適正化の部分はしっかりやっていく、できることは直ちに行う、加えて、将来を見据えて罰則を強化していくなり外部評価を入れていくなりといったことも検討してはどうかというようなことが適正化の内容で盛られてございます。

 他方、制度の高度化の方は、これも一年研修、二年実習して一たん帰った後、一定期間を置いて、特に一定レベルに達して意欲のある優秀な人については再入国を認めるといった形で考えておりますけれども、私どもといたしましては、必ずしも企業単独型でなくて、中小企業が構成する組合型でも非常にいいパフォーマンスもございますので、そういったものを含めて優良な受け入れ機関、優良な実績を上げているところについては、そういったことを考えていってはどうかといったようなことを御提言内容としていただいているところでございます。

大串委員 先ほど厚生労働省の方から、異業種の協同組合というところが一次機関となって、ブローカー的にといいますか、適正管理ができないままに行われているというような話がありました。経済産業省の方の案の中では、そのいわゆる異業種あるいはブローカー的な方々による管理がうまくできていないケースに対して、管理の適正化と先ほどおっしゃいましたけれども、具体的にはどのようなことが考えられるというふうに考えられていらっしゃるんでしょうか。

立岡政府参考人 特段、異業種交流型だけを取り上げて制度を別に扱うということでなくて、それは適正化措置全般をしっかりやっていくという中で、むしろパフォーマンスの悪いところについては厳しく取り締まりをいただく。その裏側で、非常に優良な成績を上げてパフォーマンスを上げているところにつきましては、さらに充実策があるというような形をつくっていくことが全体としていい方向へ持っていく一つのインセンティブ構造になるのではないかという考え方、このような形で考え方をまとめた次第でございます。

大串委員 ありがとうございます。

 今の話を両省からお聞かせいただいていて、両省の考え方の同じ点、そして違う点がよくわかったと思います。基本的には、両省とも研修・技能実習制度のあり方というのを改革していこうという前提に基づいて、少々のニュアンスの違いがありながら現在考え方が提示されているという状況なんだろうと思います。

 そこで、長勢法務大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、先々週、私がここでお尋ねした後になりますけれども、先週十五日の火曜日に長勢法務大臣の方から、質問をしてほんの数日後でありましたから私もかなりびっくりしましたけれども、この問題に関しての発言が記者会見においてございました。

 私が知る限りにおいては、これは長勢大臣の私的な考え方ということで銘打って、記者会見で述べられていらっしゃいますけれども、相当いろいろな考え方を指摘されていらっしゃいます。

 これは全体像を必ずしも網羅できるものではありませんが、現在の研修・技能実習制度というのは、自分も担当して携わってきたけれども、これは実態とほとんど合っていないんじゃないかという見方をまず基本的な前提として述べられて、その一つとして、例えば業種、職種だとかたくさんの制約がかかっている、こういうものを撤廃しなきゃならない。

 あるいは、幾つかの原則の一つとして、長期に滞在したり定住化することは避けなければならない。それから、劣悪、低賃金での受け入れというものはやってはいけない。そして、日本の労働市場に、雇用に影響を与えるということであってはいけない。それから、入国・在留管理がやりやすいような形にして、企業側も行政側も事務負担が過度でないという形じゃないといかぬ。

 それから、そういうものを前提としながら、これまでの専門技術分野についてのみオープンにするという考え方を転じて、いわゆる専門技術分野の方でない方に関しても受け入れる、それは短期の外国人就労制度のようなものを創設することによって受け入れる。

 それから、さらに詳しくおっしゃっていますね。一定の要件のもとで受け入れ団体の許可制度をつくる。この許可制度の受け入れ団体が受け入れ枠というものを持って、この受け入れの枠の中で、受け入れ団体が外国人労働者の希望を募って日本企業に紹介する。企業は雇用契約を結ぶ。そして、この在留管理、雇用管理、先ほど問題になりました、実際ここで働いている間、企業の中にいる間にいろいろな問題が起こらないようにするための在留管理、雇用管理についてはこの受け入れ団体と企業が共同で責任を持つ。

 そして、期間としては三年を限度として、再入国は認めない。先ほど経済産業省の方がおっしゃった高度な実習といいますか、そういうふうな考え方はとらない。三年間で終わり、一回で終わり。

 これを具体化すると、少なくとも、いわゆる技能実習制度の部分は廃止することになりますね、研修は研修として残りますけれども、これは見直しをしていかなければならない。

 こういうふうに、私的な案ですがというふうに前置きをされてはいますけれども、記者会見の中では相当具体的にこの考え方の転換を指摘されています。

 きょうはちょっと時間がなくなったので余り突っ込んだ質問に入れませんでしたが、まず冒頭の質問ということで、大臣に、これはどういう考え方で提示されたのか、基本的なスタンスをお聞かせいただければと思います。

長勢国務大臣 外国人労働者の受け入れについては、私が初当選以来、もうずっと各方面で議論されてきまして、現行の技能実習制度は私も立案に関与いたしました。

 厚生労働省、経産省の方々から評価のお話がございましたが、おおむね想定の範囲内で推移してきたかなというふうに私は思っています。特に、三年で帰国されているということは、当初の目的がそういう意味では達成されているんじゃないかと思っております。

 私は、受け入れ問題ばかりが議論になっていますけれども、この問題を考えるには、まず入国・在留制度あるいは雇用管理制度がきちんと整備されることがあって、それと相応した形できちんとした制度を考えなければならないと思っております。

 法務省では入国・在留管理制度の見直しを今検討中でございますので、政府全体としてもその問題に取り組んでおりますので、そろそろそれに合った形での受け入れ制度というものも、これだけいろいろな意見がある中ですから、議論していかなければならないなと。

 昨年、私は官房副長官をしておりましたが、副大臣PTがありまして、そこで論点整理を行っております。そういうことに私もかかわってきました。特に、経産省、厚生労働省でずっと御研究になって、報告が出るという段階になられたようであります。記者会見等でマスコミの方々からも意見を聞かれますので、法務省でこの問題を今検討しているわけではなかったわけでありますけれども、誤解のないように、私としては自分の考えを文書の形で御説明申し上げたという経過であります。

 今の両省の改革案というものも、それなりに大変御苦労をされた立派な案だと私は評価をいたしておりますが、それがいいとか悪いとかということではなくて、やはり別の観点からの議論もした上で、国としてどうあるかを議論した方がいいのではないかと私自身は思っております。

 というのは、今の技能実習制度については、いろいろな問題点、いいところ、悪いところありますけれども、やはりその基本は、国際技能移転という目的を前提にしておるということから生じておる部分が大変多い、そのことが、事務負担もふえ、またいろいろな形での問題を生じておるというふうに私は思っておりますので、そこを切り離したらどういうことになるのかということを一遍考えてみて、その上で、国内労働市場にも影響があってはいけない、低賃金の受け入れになってもいけない、また定住を促進するようなことになってはいけないという観点をうまく仕組めるかどうかということを一遍検討してみたいなという思いで、あの記者会見の際に記者の皆さんに申し上げたという経過でございます。

 厚生労働省あるいは経産省の検討のように、具体的なものはまだお示しできる段階ではございませんが、ぜひ両省とは違った切り口で議論をする、それを踏まえて全体で議論すれば、皆さんの納得できる、また日本の将来にとって有益な制度をつくることができる、それに資することができれば大変いいことだというふうに思っております。

大串委員 ありがとうございました。

 きょうは入り口でございますので、また突っ込んで質問させていただきたいと思います。ありがとうございます。

七条委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 裁判員制度広報費問題で、二年間で二十七億円、今年度も入れれば四十億円を超える広報費の使い道ということを最高裁に何回か聞いてきました。

 そこで、これは広報費だけが必要なのではなくて、職業裁判官が三名と裁判員が六名ですか、九人がそろって並ぶ席も必要だろう、評議を行う部屋も必要だろう、いろいろ必要だろうなということで、とりあえず経理局長に伺いますけれども、裁判員制度開始に当たって、施設整備でこの二年間、平成十八年、十九年、トータルでどのぐらいの金額を必要としているのか、これについてお答えをいただきたいと思います。

小池最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判員制度を実施する上で必要な施設、器具等に要する経費、これまで、平成十八年度予算におきまして八十八億六千万円、十九年度予算に九十七億二千三百万円を計上いたしております。

保坂(展)委員 ということは、これはかなり大きな予算です。百八十五億八千三百万円ですか、トータルすると。百八十五億円が必要とされ、さらに来年度というようなことも考え得るわけですが、二年後の裁判員制度の具体的な導入前に、あとどのぐらい、トータルで幾らぐらい必要になるのか。

小池最高裁判所長官代理者 個々の、二十年度以降のものについてはまた検討してまいりたいと存じますけれども、この中で非常に大きな比率を占めますのが施設経費でございます、九〇%以上の経費がかかります。これは年度を追って要求しておりますので、本年度もやはり、前年度よりやや減るかもしれませんけれども、同程度の金額になると見込んでおります。

保坂(展)委員 同程度というと、九十億円前後というふうに考えられるかと思います。

 最高裁判所がつくった映画、DVDを見ていて気がついたんですが、裁判長、裁判員のいすと、弁護士、検事、そして被告人のいすが何か違うように見えたんですね。値段、単価は違うんでしょうか。

小池最高裁判所長官代理者 これは、単価が違います。従前、裁判官が座っているもの、それから検察官、弁護人が座っているもの、あと被告人、証人等が座っているものがありますが、それぞれ従来の単価がございまして、それに沿った形で、裁判員法廷についても考えております。(保坂(展)委員「幾らか言ってください、金額」と呼ぶ)

 裁判員のものにつきましては、一脚当たり八万二千円程度の単価で検討をいたしております。

保坂(展)委員 全部言ってくださいよ。弁護士、検察官はどの程度のいすですか、被告人はどうですか。

小池最高裁判所長官代理者 まず、弁護人、検察官は同じ額で六万四千円余り、それから被告人用が大体四万五千円程度という単価を想定しております。

保坂(展)委員 これは、どういう理由でこの金額の差が生じてくるんでしょうか。合理的な説明はできますか。

小池最高裁判所長官代理者 突然のお尋ねでございますが、従前から、それぞれ裁判官用、それから当事者用という形で、これは民事も同様の形の単価設定をしていると思いますが、そういう形で今まで運用してきております。それがどうしてかということにつきまして、ちょっと今の段階で正確な御説明はいたしかねますが、それぞれの機能に応じた積算をしてこういった単価になっている、かように考えております。

保坂(展)委員 国会も国権の最高機関で、こういった閣僚のいすで、委員長のいすは少しいいのですけれども、そんなに、七万円とかするようないすじゃないなという気もするんです。

 さて、これは裁判所に聞きますが、評議に使うテーブルは大分映画でも大きかったようですが、幾らくらいしますかね、評議室のテーブルは。

小池最高裁判所長官代理者 評議室のテーブルでございますが、これは、今想定しておりますのは長い楕円形の、もう既に入っております、民事の関係のラウンドテーブルというのがございますが、ほぼそれに準拠したものでございます。庁によってはラウンド法廷として使うこともございますので、そういうことを勘案しまして、約百五十万程度のものを予定しております。

保坂(展)委員 裁判員制度が導入されて、広報費も大変な額を使ってきたということも問題にしましたけれども、多分、そういった施設改修あるいは増築、新営ということで大変な額のお金を使っている。

 このことについて、公開競争入札でないものがあるのか、あるいは、今すぐわからなければ、こういったそれぞれについて、予定価格や落札率がわかる入札価格等を一覧表にして、参考までに提出していただけますか。

小池最高裁判所長官代理者 突然のお尋ねでございますが、私ども、こういった備品、それから建物は当然でございますが、基本的に一般競争入札で進めてきております。

 詳細について、そうでないものがあるかどうかというものがございますので、調査の上、これはお示ししたいと考えております。

保坂(展)委員 法務大臣、お疲れだと思いますけれども、いすの話とかいろいろ聞いていましたが、大変多くのお金が動いているわけで、裁判所はあちこちで工事中なんですね、裁判員制度導入に向けて。

 前回やった議論で、例えば死刑制度について、自分は思想、信条の上でこれは反対である、そういうものにコミットしたくないという人については、これは辞退理由として認められるのかどうなのかということで、これから政令だというふうにおっしゃっていたんですが、大臣の考えは、もう一回聞きますけれども、どうですか。

長勢国務大臣 もう裁判員制度の趣旨は御存じのとおりでございますから、辞退事由は、ただ嫌だというだけでは辞退事由には該当しないと考えますけれども、例えば信教の自由ですとか、思想、良心の自由、そういう権利を侵すような形での義務づけを行うことは許されないというふうに考えております。

 ただ、政令を定める際、どういう形で、今の趣旨を生かすようなやり方ができるかということについては、今検討をしておるところでございます。

保坂(展)委員 刑事局長に伺いますが、例えば死刑について、自分は死刑制度の廃止まで考えているんだ、したがって、自分が参加をする評議において死刑判決が、自分はそうではないと思ったにしても多数決で決まったときに、その方も一緒に裁判員としての判決に責任を持つという制度ですから、これについては自分は辞退、こういうことが認められるのかどうか。

 これから政令をつくっていくということをおっしゃっているんですが、パブリックコメントを見るといろいろなことが書かれていますよね。私の言ったことに近いようなことも書かれているし、弁護士会の中では、そういう辞退を認めるべきではないというような声もありますけれども、今の段階で、あと二年に迫っているわけですね、犯罪被害者の法廷参加という新しいシチュエーションも出てきているということですから、もう少し、どう考えているのかお聞きしたいですね。

 もし、それで辞退が認められていくということになると、これは反面、死刑制度について自分は余り手をかしたくないという人は辞退をしていって、死刑制度は必要だと思う、余りそのことについて問題意識がないという人が裁判員になってしまう、その結果、判決の出方についても間接的な影響が出るのかな、こんなことも考えるんですが、いかがですか。

小津政府参考人 まず、政令の検討状況につきまして、ごく簡単に御紹介いたします。

 法律の規定は御案内のとおりでございまして、やむを得ない事由についての政令を定めるということでございますけれども、これをどのように定めるかということは、裁判員となることに伴う負担をどの程度それぞれの方に負っていただくことにするかという問題でもございますので、この点に関する国民の皆様方の意識のありようをも踏まえるべきものだと考えております。

 こういう観点もございますので、法務省におきましては、今委員から御指摘もございましたパブリックコメントでございますが、平成十八年の十月から十二月にかけまして、意見募集を実施いたしました。また、現在、国民の皆様に裁判員裁判に積極的に参加していただけるような広報活動を行っておりまして、その中でも、どういう事由を辞退を認めるべき事由にするべきかについてのお考えについて、実情把握に努めているところでございます。

 そういうことでございますが、ただいま大臣も御答弁申し上げましたように、憲法上の権利を侵すこととなるようなことになってはいけないというのは、もちろん事務当局としてもそう考えているところでございまして、それを辞退事由としてどのような形で書けばいいのか、書くことができるのかということも含めて、今鋭意検討しているところでございます。

保坂(展)委員 法務大臣に伺いますが、このパブリックコメントを読むと、例えば、余りにひどい事件の場合は、加害者に対する怒りの余り気が動転してしまいそうであり、また、そのような事件に関与したことによって病気になってしまいそうなので、辞退を認めてほしいなんというような声もあるんですね。これは、ごく一般の国民の声として、こういう方もいるんだろうなと。

 犯罪被害者の法廷参加、これからこの委員会で議論することになるかと思いますけれども、これを考えると、裁判員制度全体のスキームとそこに、この方のコメントの場合は、法廷参加のところまでは考えないで、事件と直面した場合ということで言われたと思うんですけれども、どうでしょうか、被害者の方が法廷に参加するということと、加害事実というか事件の内容のむごさ、その衝撃、そして被害者の方の叫びという中で、冷静な判断がされるような状況になるのかどうか、そのあたりをどう考えますか。

長勢国務大臣 そのことは、犯罪被害者についての法律の審議においても議論になったところだと伺っておりますが、そういう感情的な形で裁判への影響のないように、裁判官による法廷指揮あるいは検察官による被害者との調整という形で、それは十分、そういう問題は生じないように措置を講じておるというふうに思っております。

保坂(展)委員 この点については、きょうはこれで終わります。

七条委員長 次回は、明二十三日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十九分散会


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