衆議院

メインへスキップ



第25号 平成19年7月4日(水曜日)

会議録本文へ
平成十九年七月四日(水曜日)

    午後一時三分開議

 出席委員

   委員長 七条  明君

   理事 上川 陽子君 理事 倉田 雅年君

   理事 武田 良太君 理事 棚橋 泰文君

   理事 早川 忠孝君 理事 高山 智司君

   理事 平岡 秀夫君 理事 大口 善徳君

      赤池 誠章君    猪口 邦子君

      今村 雅弘君    小川 友一君

      奥野 信亮君    加藤 勝信君

      鍵田忠兵衛君    後藤田正純君

      清水鴻一郎君    柴山 昌彦君

      鈴木 淳司君   戸井田とおる君

      長崎幸太郎君    福岡 資麿君

      馬渡 龍治君    三ッ林隆志君

      森山 眞弓君    矢野 隆司君

      柳本 卓治君    山口 俊一君

      吉野 正芳君    石関 貴史君

      市村浩一郎君    大串 博志君

      河村たかし君    中井  洽君

      西村智奈美君    横山 北斗君

      神崎 武法君    保坂 展人君

      滝   実君

    …………………………………

   参議院法務委員長     山下 栄一君

   参議院議員        南野知惠子君

   法務大臣         長勢 甚遠君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   内閣府副大臣       大村 秀章君

   外務副大臣        浅野 勝人君

   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君

   法務大臣政務官      奥野 信亮君

   厚生労働大臣政務官    松野 博一君

   最高裁判所事務総局経理局長            小池  裕君

   最高裁判所事務総局民事局長            小泉 博嗣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊佐敷眞一君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            板東久美子君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  片桐  裕君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    米村 敏朗君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   政府参考人

   (法務省大臣官房長)   池上 政幸君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    小津 博司君

   政府参考人

   (公安調査庁長官)    柳  俊夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 新保 雅俊君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           辰野 裕一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           村木 厚子君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月四日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     馬渡 龍治君

  今村 雅弘君     福岡 資麿君

  近江屋信広君     長崎幸太郎君

  笹川  堯君     加藤 勝信君

  杉浦 正健君     小川 友一君

  三ッ林隆志君     吉野 正芳君

  武藤 容治君     鍵田忠兵衛君

  保岡 興治君     戸井田とおる君

  石関 貴史君     西村智奈美君

  河村たかし君     市村浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小川 友一君     鈴木 淳司君

  加藤 勝信君     笹川  堯君

  鍵田忠兵衛君     武藤 容治君

  戸井田とおる君    保岡 興治君

  長崎幸太郎君     近江屋信広君

  福岡 資麿君     今村 雅弘君

  馬渡 龍治君     猪口 邦子君

  吉野 正芳君     三ッ林隆志君

  市村浩一郎君     河村たかし君

  西村智奈美君     石関 貴史君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     稲田 朋美君

  鈴木 淳司君     杉浦 正健君

    ―――――――――――――

七月三日

 債権管理回収業に関する特別措置法の一部を改正する法律案(原田義昭君外五名提出、衆法第四八号)

 非自然死体の死因等の究明の適正な実施に関する法律案(細川律夫君外二名提出、衆法第五一号)

 法医科学研究所設置法案(細川律夫君外二名提出、衆法第五二号)

 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一三号)

六月十八日

 国籍法の改正に関する請願(仙谷由人君紹介)(第二一九〇号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第二三四九号)

 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願(高山智司君紹介)(第二一九一号)

 裁判所の人的・物的充実に関する請願(高山智司君紹介)(第二一九二号)

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(安住淳君紹介)(第二二五三号)

 同(大島敦君紹介)(第二二五四号)

 同(菅直人君紹介)(第二二五五号)

 同(津村啓介君紹介)(第二三五一号)

 同(古川元久君紹介)(第二三五二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二三五三号)

 同(渡部恒三君紹介)(第二三五四号)

 治安維持法の犠牲者に対する国家賠償法の制定を求めることに関する請願(玄葉光一郎君紹介)(第二三四八号)

 民法を改正し、選択的夫婦別氏制度の導入を求めることに関する請願(古川元久君紹介)(第二三五〇号)

同月二十九日

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(前原誠司君紹介)(第二四五八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 閉会中審査に関する件

 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一三号)

 請願

   一 国籍選択制度の廃止に関する請願(西村智奈美君紹介)(第二号)

   二 同(岩國哲人君紹介)(第一五号)

   三 同(細川律夫君紹介)(第一六号)

   四 同(高井美穂君紹介)(第三〇号)

   五 同(市村浩一郎君紹介)(第三五号)

   六 同(細野豪志君紹介)(第三六号)

   七 同(西村真悟君紹介)(第四七号)

   八 同(石関貴史君紹介)(第五五号)

   九 同(丸谷佳織君紹介)(第七一号)

  一〇 同(佐々木隆博君紹介)(第八五号)

  一一 同(鳩山由紀夫君紹介)(第九六号)

  一二 同(高木美智代君紹介)(第一〇四号)

  一三 同(松木謙公君紹介)(第一二二号)

  一四 成人の重国籍容認に関する請願(西村智奈美君紹介)(第三号)

  一五 同(岩國哲人君紹介)(第一七号)

  一六 同(細川律夫君紹介)(第一八号)

  一七 同(高井美穂君紹介)(第三一号)

  一八 同(市村浩一郎君紹介)(第三七号)

  一九 同(細野豪志君紹介)(第三八号)

  二〇 同(西村真悟君紹介)(第四八号)

  二一 同(石関貴史君紹介)(第五六号)

  二二 同(丸谷佳織君紹介)(第七二号)

  二三 同(佐々木隆博君紹介)(第八六号)

  二四 同(鳩山由紀夫君紹介)(第九七号)

  二五 同(高木美智代君紹介)(第一〇五号)

  二六 同(松木謙公君紹介)(第一二三号)

  二七 重国籍容認に関する請願(土肥隆一君紹介)(第四六号)

  二八 外国人住民基本法の制定に関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇二号)

  二九 登記事項証明書交付申請に係る手数料の引き下げを求めることに関する請願(谷口隆義君紹介)(第一〇三号)

  三〇 登記事項証明書交付申請に係る手数料の引き下げに関する請願(大塚高司君紹介)(第一二〇号)

  三一 同(長安豊君紹介)(第一二一号)

  三二 同(中山泰秀君紹介)(第一三五号)

  三三 同(福島豊君紹介)(第一三六号)

  三四 同(三井辨雄君紹介)(第一三七号)

  三五 再審制度における死刑確定者の人権回復の法文化に関する請願(保坂展人君紹介)(第一五七号)

  三六 国籍選択制度の廃止に関する請願(寺田学君紹介)(第一六〇号)

  三七 同(小宮山洋子君紹介)(第一八一号)

  三八 成人の重国籍容認に関する請願(寺田学君紹介)(第一六一号)

  三九 同(小宮山洋子君紹介)(第一八二号)

  四〇 登記事項証明書交付申請に係る手数料の引き下げに関する請願(鈴木恒夫君紹介)(第一六二号)

  四一 同(谷畑孝君紹介)(第一六三号)

  四二 同(佐藤茂樹君紹介)(第一八三号)

  四三 同(中川秀直君紹介)(第一八四号)

  四四 同(西野あきら君紹介)(第一八五号)

  四五 同(野田聖子君紹介)(第二一四号)

  四六 同(小宮山泰子君紹介)(第二四四号)

  四七 同(坂本剛二君紹介)(第二四五号)

  四八 同(衛藤征士郎君紹介)(第二五八号)

  四九 同(鍵田忠兵衛君紹介)(第二五九号)

  五〇 同(金子善次郎君紹介)(第二六〇号)

  五一 同(松浪健太君紹介)(第二六一号)

  五二 同(中野正志君紹介)(第二八二号)

  五三 国籍選択制度の廃止に関する請願(近藤昭一君紹介)(第三四二号)

  五四 成人の重国籍容認に関する請願(近藤昭一君紹介)(第三四三号)

  五五 登記事項証明書交付申請に係る手数料の引き下げに関する請願(田端正広君紹介)(第三五九号)

  五六 同(松浪健四郎君紹介)(第三六〇号)

  五七 同(三原朝彦君紹介)(第三六一号)

  五八 同(宮路和明君紹介)(第三九五号)

  五九 同(加藤紘一君紹介)(第四二〇号)

  六〇 同(井上喜一君紹介)(第四五三号)

  六一 国籍選択制度の廃止に関する請願(伴野豊君紹介)(第四五六号)

  六二 同(仲野博子君紹介)(第四七二号)

  六三 同(渡辺周君紹介)(第四七三号)

  六四 同(山井和則君紹介)(第五三八号)

  六五 同(柚木道義君紹介)(第五七七号)

  六六 成人の重国籍容認に関する請願(伴野豊君紹介)(第四五七号)

  六七 同(仲野博子君紹介)(第四七四号)

  六八 同(渡辺周君紹介)(第四七五号)

  六九 同(山井和則君紹介)(第五三九号)

  七〇 同(柚木道義君紹介)(第五七八号)

  七一 国籍法の改正に関する請願(仲野博子君紹介)(第四七〇号)

  七二 同(渡辺周君紹介)(第四七一号)

  七三 登記事項証明書交付申請に係る手数料の引き下げに関する請願(平井たくや君紹介)(第四七六号)

  七四 同(三ッ矢憲生君紹介)(第四八四号)

  七五 同(北側一雄君紹介)(第五二三号)

  七六 同(古屋圭司君紹介)(第五四〇号)

  七七 同(岡田克也君紹介)(第五五〇号)

  七八 同(福岡資麿君紹介)(第五六一号)

  七九 同(三井辨雄君紹介)(第五九三号)

  八〇 共謀罪新設法案の廃案を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第五七六号)

  八一 登記事項証明書交付申請に係る手数料の引き下げに関する請願(津島雄二君紹介)(第六〇一号)

  八二 同(坂本剛二君紹介)(第六二一号)

  八三 同(玉沢徳一郎君紹介)(第六二二号)

  八四 同(漆原良夫君紹介)(第六九〇号)

  八五 同(近藤基彦君紹介)(第六九一号)

  八六 同(仙谷由人君紹介)(第六九二号)

  八七 同(石破茂君紹介)(第八一九号)

  八八 同(坂口力君紹介)(第八八八号)

  八九 国籍選択制度の廃止に関する請願(古屋範子君紹介)(第八三二号)

  九〇 成人の重国籍容認に関する請願(古屋範子君紹介)(第八三三号)

  九一 登記事項証明書交付申請に係る手数料の引き下げに関する請願(平将明君紹介)(第九〇二号)

  九二 同(小川友一君紹介)(第九一四号)

  九三 同(木原誠二君紹介)(第九一五号)

  九四 同(越智隆雄君紹介)(第九四一号)

  九五 同(島村宜伸君紹介)(第九四二号)

  九六 同(松本洋平君紹介)(第九四三号)

  九七 同(小杉隆君紹介)(第九八一号)

  九八 同(鈴木恒夫君紹介)(第一〇二六号)

  九九 共謀罪の新設反対に関する請願(保坂展人君紹介)(第九四〇号)

 一〇〇 裁判所速記官制度を守り、司法の充実強化に関する請願(保坂展人君紹介)(第一〇三九号)

 一〇一 選択的夫婦別姓の導入など民法の改正に関する請願(小宮山洋子君紹介)(第一〇四〇号)

 一〇二 民法を改正し、選択的夫婦別氏制度の導入を求めることに関する請願(西村智奈美君紹介)(第一一三四号)

 一〇三 同(森山眞弓君紹介)(第一一三五号)

 一〇四 同(中川正春君紹介)(第一一七九号)

 一〇五 同(渡海紀三朗君紹介)(第一二〇二号)

 一〇六 同(川端達夫君紹介)(第一二二六号)

 一〇七 同(谷口隆義君紹介)(第一二二七号)

 一〇八 同(野田聖子君紹介)(第一二二八号)

 一〇九 同(広津素子君紹介)(第一二二九号)

 一一〇 同(保坂展人君紹介)(第一二三〇号)

 一一一 登記事項証明書交付申請に係る手数料の引き下げに関する請願(萩生田光一君紹介)(第一一三六号)

 一一二 国籍法の改正に関する請願(西村智奈美君紹介)(第一一三七号)

 一一三 同(郡和子君紹介)(第一一七八号)

 一一四 同(高木美智代君紹介)(第一二〇〇号)

 一一五 同(寺田学君紹介)(第一二〇一号)

 一一六 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(川内博史君紹介)(第一一六八号)

 一一七 同(菅野哲雄君紹介)(第一一六九号)

 一一八 同(菊田真紀子君紹介)(第一一七〇号)

 一一九 同(後藤斎君紹介)(第一一七一号)

 一二〇 同(郡和子君紹介)(第一一七二号)

 一二一 同(中川正春君紹介)(第一一七三号)

 一二二 同(西村智奈美君紹介)(第一一七四号)

 一二三 同(藤村修君紹介)(第一一七五号)

 一二四 同(細川律夫君紹介)(第一一七六号)

 一二五 同(松木謙公君紹介)(第一一七七号)

 一二六 同(阿部知子君紹介)(第一二〇三号)

 一二七 同(重野安正君紹介)(第一二〇四号)

 一二八 同(辻元清美君紹介)(第一二〇五号)

 一二九 同(寺田学君紹介)(第一二〇六号)

 一三〇 同(土肥隆一君紹介)(第一二〇七号)

 一三一 同(羽田孜君紹介)(第一二〇八号)

 一三二 同(日森文尋君紹介)(第一二〇九号)

 一三三 同(牧義夫君紹介)(第一二一〇号)

 一三四 同(三井辨雄君紹介)(第一二一一号)

 一三五 同(横光克彦君紹介)(第一二一二号)

 一三六 同(赤嶺政賢君紹介)(第一二三一号)

 一三七 同(石井郁子君紹介)(第一二三二号)

 一三八 同(市村浩一郎君紹介)(第一二三三号)

 一三九 同(笠井亮君紹介)(第一二三四号)

 一四〇 同(金田誠一君紹介)(第一二三五号)

 一四一 同(菅野哲雄君紹介)(第一二三六号)

 一四二 同(穀田恵二君紹介)(第一二三七号)

 一四三 同(佐々木憲昭君紹介)(第一二三八号)

 一四四 同(志位和夫君紹介)(第一二三九号)

 一四五 同(塩川鉄也君紹介)(第一二四〇号)

 一四六 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二四一号)

 一四七 同(保坂展人君紹介)(第一二四二号)

 一四八 同(細野豪志君紹介)(第一二四三号)

 一四九 同(吉井英勝君紹介)(第一二四四号)

 一五〇 選択的夫婦別姓の導入などの民法改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一二七二号)

 一五一 同(石井郁子君紹介)(第一二七三号)

 一五二 同(笠井亮君紹介)(第一二七四号)

 一五三 同(穀田恵二君紹介)(第一二七五号)

 一五四 同(佐々木憲昭君紹介)(第一二七六号)

 一五五 同(志位和夫君紹介)(第一二七七号)

 一五六 同(塩川鉄也君紹介)(第一二七八号)

 一五七 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二七九号)

 一五八 同(吉井英勝君紹介)(第一二八〇号)

 一五九 国籍法の改正に関する請願(近藤昭一君紹介)(第一二八一号)

 一六〇 同(小宮山洋子君紹介)(第一三二三号)

 一六一 同(丸谷佳織君紹介)(第一三三〇号)

 一六二 同(小川淳也君紹介)(第一三六六号)

 一六三 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一二八二号)

 一六四 同(石井郁子君紹介)(第一二八三号)

 一六五 同(笠井亮君紹介)(第一二八四号)

 一六六 同(穀田恵二君紹介)(第一二八五号)

 一六七 同(近藤昭一君紹介)(第一二八六号)

 一六八 同(佐々木憲昭君紹介)(第一二八七号)

 一六九 同(志位和夫君紹介)(第一二八八号)

 一七〇 同(塩川鉄也君紹介)(第一二八九号)

 一七一 同(田名部匡代君紹介)(第一二九〇号)

 一七二 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二九一号)

 一七三 同(筒井信隆君紹介)(第一二九二号)

 一七四 同(松本龍君紹介)(第一二九三号)

 一七五 同(吉井英勝君紹介)(第一二九四号)

 一七六 同(小宮山洋子君紹介)(第一三二五号)

 一七七 同(仲野博子君紹介)(第一三二六号)

 一七八 同(田島一成君紹介)(第一三五四号)

 一七九 同(小川淳也君紹介)(第一三六七号)

 一八〇 同(篠原孝君紹介)(第一三六八号)

 一八一 同(中井洽君紹介)(第一三六九号)

 一八二 民法を改正し、選択的夫婦別氏制度の導入を求めることに関する請願(枝野幸男君紹介)(第一三二四号)

 一八三 同(岩國哲人君紹介)(第一三九三号)

 一八四 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願(保坂展人君紹介)(第一三六五号)

 一八五 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(近藤洋介君紹介)(第一四一一号)

 一八六 同(前田雄吉君紹介)(第一四一二号)

 一八七 同(奥村展三君紹介)(第一四九七号)

 一八八 同(佐々木隆博君紹介)(第一四九八号)

 一八九 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願(大口善徳君紹介)(第一四一三号)

 一九〇 同(赤嶺政賢君紹介)(第一四九九号)

 一九一 同(石井郁子君紹介)(第一五〇〇号)

 一九二 同(笠井亮君紹介)(第一五〇一号)

 一九三 同(穀田恵二君紹介)(第一五〇二号)

 一九四 同(佐々木憲昭君紹介)(第一五〇三号)

 一九五 同(志位和夫君紹介)(第一五〇四号)

 一九六 同(塩川鉄也君紹介)(第一五〇五号)

 一九七 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五〇六号)

 一九八 同(滝実君紹介)(第一五〇七号)

 一九九 同(平岡秀夫君紹介)(第一五〇八号)

 二〇〇 同(吉井英勝君紹介)(第一五〇九号)

 二〇一 裁判所の人的・物的充実に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四八四号)

 二〇二 同(石井郁子君紹介)(第一四八五号)

 二〇三 同(大口善徳君紹介)(第一四八六号)

 二〇四 同(笠井亮君紹介)(第一四八七号)

 二〇五 同(穀田恵二君紹介)(第一四八八号)

 二〇六 同(佐々木憲昭君紹介)(第一四八九号)

 二〇七 同(志位和夫君紹介)(第一四九〇号)

 二〇八 同(塩川鉄也君紹介)(第一四九一号)

 二〇九 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四九二号)

 二一〇 同(平岡秀夫君紹介)(第一四九三号)

 二一一 同(吉井英勝君紹介)(第一四九四号)

 二一二 共謀罪の新設反対に関する請願(平岡秀夫君紹介)(第一四九五号)

 二一三 裁判所速記官制度を守り、司法の充実強化に関する請願(平岡秀夫君紹介)(第一四九六号)

 二一四 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(古賀一成君紹介)(第一六〇九号)

 二一五 同(太田和美君紹介)(第一七一五号)

 二一六 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願(大串博志君紹介)(第一七一六号)

 二一七 同(倉田雅年君紹介)(第一七一七号)

 二一八 裁判所の人的・物的充実に関する請願(倉田雅年君紹介)(第一七一八号)

 二一九 国籍法の改正に関する請願(古屋範子君紹介)(第一八三一号)

 二二〇 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(柚木道義君紹介)(第一八三二号)

 二二一 同(赤嶺政賢君紹介)(第一八九三号)

 二二二 同(石井郁子君紹介)(第一八九四号)

 二二三 同(笠井亮君紹介)(第一八九五号)

 二二四 同(穀田恵二君紹介)(第一八九六号)

 二二五 同(佐々木憲昭君紹介)(第一八九七号)

 二二六 同(志位和夫君紹介)(第一八九八号)

 二二七 同(塩川鉄也君紹介)(第一八九九号)

 二二八 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九〇〇号)

 二二九 同(吉井英勝君紹介)(第一九〇一号)

 二三〇 同(岡本充功君紹介)(第一九六七号)

 二三一 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願(神崎武法君紹介)(第一八三三号)

 二三二 裁判所の人的・物的充実に関する請願(神崎武法君紹介)(第一八三四号)

 二三三 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(岡本充功君紹介)(第二〇四三号)

 二三四 同(末松義規君紹介)(第二〇四四号)

 二三五 同(原口一博君紹介)(第二〇四五号)

 二三六 同(渡辺周君紹介)(第二〇八八号)

 二三七 同(平野博文君紹介)(第二一一六号)

 二三八 同(山井和則君紹介)(第二一一七号)

 二三九 選択的夫婦別姓の導入などの民法改正を求めることに関する請願(小宮山洋子君紹介)(第二〇四六号)

 二四〇 裁判所の人的・物的充実に関する請願(保坂展人君紹介)(第二〇四七号)

 二四一 国籍法の改正に関する請願(伴野豊君紹介)(第二〇八七号)

 二四二 同(仙谷由人君紹介)(第二一九〇号)

 二四三 同(玄葉光一郎君紹介)(第二三四九号)

 二四四 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願(高山智司君紹介)(第二一九一号)

 二四五 裁判所の人的・物的充実に関する請願(高山智司君紹介)(第二一九二号)

 二四六 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(安住淳君紹介)(第二二五三号)

 二四七 同(大島敦君紹介)(第二二五四号)

 二四八 同(菅直人君紹介)(第二二五五号)

 二四九 同(津村啓介君紹介)(第二三五一号)

 二五〇 同(古川元久君紹介)(第二三五二号)

 二五一 同(吉井英勝君紹介)(第二三五三号)

 二五二 同(渡部恒三君紹介)(第二三五四号)

 二五三 治安維持法の犠牲者に対する国家賠償法の制定を求めることに関する請願(玄葉光一郎君紹介)(第二三四八号)

 二五四 民法を改正し、選択的夫婦別氏制度の導入を求めることに関する請願(古川元久君紹介)(第二三五〇号)

 二五五 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(前原誠司君紹介)(第二四五八号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

七条委員長 これより会議を開きます。

 参議院提出、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。参議院法務委員長山下栄一君。

    ―――――――――――――

 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山下(栄)参議院議員 御指名いただきました参議院の法務委員長を務めさせていただいております山下と申します。よろしくお願いいたします。

 ただいま議題となりました配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。

 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆるDV防止法は平成十三年に参議院共生社会に関する調査会で超党派によってつくられた法律でございますが、平成十六年の改正の際、法施行後三年を目途とした見直し規定が設けられていたところでございます。DV防止法が施行されてから六年、この問題に対する一般の理解も進み、被害者や関係団体から一層の対策の充実を求める声も高まっております。この法律案は、こうした被害者の声にこたえるべく、各党の検討を踏まえて、取りまとめたものでございます。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、市町村の基本計画の策定であります。

 現行法では、基本計画の策定は都道府県のみに義務づけられておりますが、今般、市町村において行われる被害者に対する自立支援施策の充実などが求められている現状にかんがみまして、市町村におきましても、基本計画の策定を努力義務とするものであります。

 第二に、配偶者暴力相談支援センターに関する改正であります。

 現行法では、市町村は、その設置する適切な施設において配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすことができることとなっておりますが、市町村におきましても被害者の保護に対する取り組みを一層進めていただくため、これを努力義務に改めることとしております。

 また、配偶者暴力相談支援センターの業務として、緊急時における被害者の安全の確保を行うことができる旨を法律上明記することとしております。

 第三に、保護命令制度の拡充であります。

 まず、一点目として、保護命令の対象となる被害者につきまして、新たに配偶者から生命身体に対する脅迫を受けた被害者を加えることとし、その被害者について、将来、生命身体に対する危害が生ずるおそれが大きいと認められるときにも、保護命令を発することができることとしております。

 二点目として、被害者への接近禁止命令の実効性を確保するため被害者に対し、電話、ファクス、手紙、電子メールなどにより面会を求めること、著しく粗野または乱暴な言動を行うこと、子の急病の場合その他の緊急やむを得ない場合を除いて連続電話、夜間の電話をすることなどについて、禁止命令を発することができることとしております。

 三点目として、同じく、被害者への接近禁止命令の実効性を確保するため、被害者の親族や関係者への接近禁止命令を発することができることとしております。なお、その際は、親族等の同意を要するものとしております。

 第四に、保護命令の発令直後における被害者の保護の必要性にかんがみまして、裁判所から、配偶者暴力相談支援センターに対して、保護命令の発令に関する通知を行うこととしております。

 第五に、この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の趣旨及び主な内容でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。

七条委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

七条委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官伊佐敷眞一君、内閣府男女共同参画局長板東久美子君、警察庁生活安全局長片桐裕君、警察庁刑事局長縄田修君、警察庁警備局長米村敏朗君、金融庁総務企画局審議官河野正道君、総務省自治行政局選挙部長久元喜造君、法務省大臣官房長池上政幸君、法務省民事局長寺田逸郎君、法務省刑事局長小津博司君、公安調査庁長官柳俊夫君、外務省大臣官房審議官新保雅俊君、文部科学省大臣官房審議官辰野裕一君、厚生労働省大臣官房審議官村木厚子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局小池経理局長及び小泉民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神崎武法君。

神崎委員 公明党の神崎武法でございます。

 DV防止法の改正につきまして、お尋ねをいたします。

 今回のDV防止法の改正によりまして、さらに実効性が高まるものと私は高く評価をいたしたいと思います。

 平成十九年三月、内閣府の男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会の「配偶者暴力防止法の施行状況等について」の取りまとめを見ますと、現行のDV防止法につきまして、さまざまな課題が指摘されているところでございます。おおむね、今回の改正はこの指摘を踏まえてなされているところだというふうに理解をいたしております。

 保護命令関係では、保護命令の対象となる配偶者からの暴力に脅迫を加えたこと、接近禁止命令により禁止される行為に電話等による接触も加えたこと、保護命令の対象を親族等に拡大したことは評価できると思っております。

 ところで、外国に法制があります緊急保護命令の創設は、今回は創設をしなかったわけでございますけれども、これを見送った理由について、提案者にお尋ねをいたします。

山下(栄)参議院議員 今回の改正案は、きょうお見えでございます南野先生初め各党の代表者によりまして、昨年来、検討を重ねて、また各党の了解を得まして改正案をつくりまして、そして参議院での審議を経まして、今日衆議院で審議をしていただくわけでございますけれども、最初に私の方から答弁させていただきたいというふうに思います。

 内閣府で行われてまいりました男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会、そこでさまざまな議論もされておりまして、また、今お話がございました緊急保護命令の創設等も検討されたわけでございます。途中でそういう議論もありましたけれども、最終の報告書ではこの緊急保護命令については提案されなかったというふうに聞いておるわけでございます。

 この経緯といたしまして、現行の十四条一項ただし書きにおきましても、保護者が、将来の配偶者からの暴力によりその生命身体に重大な危害を受けるおそれが明白な場合で、被害者の安全を確保するには、審尋等の期日を開いている時間がないほど、その期日を経ることにより保護命令の申し立ての目的を達することができない事情があるときは、これを経ないで命令を発することが可能だ、このように規定があるわけでございます。現行法でも一定の対応が可能であるということから、法改正までは行われなかった。

 なお、その前の十三条に規定がございますけれども、保護命令の発令に関しましては、先ほどのような場合でなくても、現在でも迅速な裁判によって可能な限り早急に保護命令が発令されるよう対応していただいておりまして、今後においても早期の保護を求めている被害者の状況を踏まえて運用していただける、このように考えておりまして、そのような背景から、緊急保護命令の創設につきましては規定されなかった、こういうことでございます。

神崎委員 ぜひとも、迅速な運用に努めていただきたいと思いますし、将来的にはこういう法制についても御検討をいただきたいと思うわけであります。

 同じく、この取りまとめを見ますと、市町村におきます配偶者暴力相談支援センターの設置に対する支援のあり方について検討する必要があるとの指摘があります。現行法では、同センターの設置につきまして、市町村が設置する適切な施設において、同センターとしての機能を果たすようにすることができるとしておりますが、今回、これを同センターとしての機能を果たすように努めるというふうに改めているところでございます。

 取りまとめの指摘を受けて今回のように改正をされたわけですけれども、これはどういう趣旨で改正をされたのか、お尋ねをしたいと思います。

山下(栄)参議院議員 今お話があったとおりでございますけれども、市町村は、現行法ではできる規定になっておるわけでございます。

 これを、努力義務規定にする趣旨でございますけれども、被害者にとって利便性のある身近な施設としての配偶者暴力相談支援センターの果たす役割はますます重要性を増しておるわけでございますし、御要望も強まっておるわけでございます。今回、市町村において被害者の保護に対する取り組みを一層進めていただく、こういう観点から、できる規定を努力義務規定に改める、このようにさせていただいたところでございます。

神崎委員 DVを未然に防ぐこと、これは大切でありますけれども、被害者が一時的に身を隠すためのシェルターも欠かせないところであります。

 婦人相談所以外の配偶者暴力相談支援センターにおいても、一時保護あるいは一時保護委託権限を持つことができないのかどうか。それからまた、民間シェルターの存在感も増しているところでございます。国や地方自治体が、どこまで民間シェルターに対して財政支援するかということが検討課題となっております。

 今後、どうこの点をお考えになっていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。

山下(栄)参議院議員 二点御質問があったわけでございます。

 最初の方の、婦人相談所以外の配偶者暴力相談支援センターにおいても、一時保護あるいは一時保護委託権限は持てないか、こういうことでございますけれども、婦人相談所は、ノウハウ、体制、さまざまな設備投資を含めましてきちっと体制をとっておるわけでございますし、国からの支援もあるわけでございます。婦人相談所以外のセンターに一時保護を行わせたり委託権限を付与することにつきましては、これはきちっと目的を達成するためにはやはり慎重に検討しなければならない、こういうことが前提であるわけでございますが、一歩前進させるために今回改正いたしまして、一時保護するまでの間、婦人相談所ではない配偶者暴力相談支援センターが避難場所を提供するといった対応が既に行われているケースもございますので、こうした対応について相談センターの業務として明確化するということで、被害者の緊急時における安全の確保という言葉を明記させていただいたわけでございます。これは、一時保護そのものではございません、その前段階の避難をさせることができるということでございますけれども、そういう改正を行った。こういう観点から、センターにおきましても被害者の保護に一層積極的に取り組んでいただける、このように期待しておるところでございます。

 二つ目でございます。民間団体の財政支援につきましては、これも民間団体の方々が非常に懸命に、ボランティア的に一生懸命やっていただいておるわけでございますけれども、委託を受けてやる場合の一時保護委託費の支給、これは現在されておるわけでございますけれども、各地方公共団体の判断により財政支援も実施されております。これにつきましては、特別交付税の算定基準に盛り込まれているところでございます。DV被害者の保護に民間団体が重要な役割を果たしている、これはもう現実の事実でございますので、それを踏まえまして、今後ともこうした制度が十分活用されることが必要である、このように提案者も考えておるところでございます。

神崎委員 シェルターが十分機能するようにぜひ御検討をいただきたい、また、民間シェルターに対する財政支援も拡大できるように今後検討をいただきたいと思います。

 現在の法律は、配偶者間でありますとこのDV防止法、恋人などの配偶者以外であればストーカー規制法、子供に対するものであれば児童福祉法及び児童虐待防止法、高齢者に対するものであれば高齢者虐待防止法が対応することになっております。

 関係法律の役割分担を整理することが長期的課題として指摘されているところでありますが、この整理は今回の改正ではやられなかったと思いますけれども、これはどういうことでしょうか。

山下(栄)参議院議員 今御指摘がございましたように、配偶者間であればDV防止法、恋人等の配偶者以外であればストーカー規制法、子供に対しては児童福祉法及び児童虐待防止法、高齢者に対しては高齢者虐待防止法、それぞれが対応し、その背景がそれぞれあり、強い要請があって議員立法を中心に対応されてきたところでございます。

 役割分担の整理の件ですけれども、これにつきましては、それぞれ経緯があり、所管も違う部分もあるわけでございます。DV防止法とストーカー規制法はよく似た部分もございますけれども、それぞれ独自の規定が盛り込まれておるところでございまして、そのそれぞれの制度の長所は最大限に生かしていかなければならない。と同時に、御指摘がございました点につきましても検討する必要があると思いますし、また今後とも各機関において、警察、厚労省、法務省、また国家公安委員会等十分連携を図っていくこと、これはぜひともやっていただきたいと提案者も考えておるところでございます。

神崎委員 今後の課題として、関係法律間で整合性がとれるように、ぜひ御検討をいただきたいと思います。

 ところで、内閣府にお尋ねをいたしたいと思いますが、二〇〇六年度に各自治体が運営する配偶者暴力相談支援センターが受けた相談件数は、初年度の一・六倍の五万九千件にふえております。また、内閣府の調査によりますと、女性の約四人に一人がDVを経験しているということでございます。また、昨年一年間に全国の警察が相談や被害届などを受けたDVは一万八千二百三十六件で、過去最多とも言われております。

 最近のこのDVの実態をどう見ていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。

板東政府参考人 ただいま委員から御指摘がございましたように、配偶者暴力に係る相談件数につきましては増加しているところでございます。平成十八年度につきましては五万八千五百二十八件というふうになっておりますし、それから警察の対応事案についても増加をしているというのは、ただいま御紹介いただいたとおりでございます。

 この配偶者暴力防止法の施行後に、配偶者暴力につきましての認知度が非常に高まってきているということ、そして、センターの数がふえまして、平成十四年四月現在で八十七施設であったものが平成十九年四月には百七十七施設ということで、二倍余りということになっておりまして、被害者が相談しやすい環境整備ということが少しずつ進んできているものというふうに考えております。

 しかし、ただいま御紹介いただきました、内閣府が昨年発表いたしました調査によりますと、女性の約四人に一人が身体的暴行を受けている、また、女性の約十人に一人が配偶者からの暴力を何度も受けているという状況にあるところでございまして、依然として、あらわれているもの以外に、潜在化しているもの、そういった被害がかなりあるのではないかというふうに認識をしているところでございます。

 これを踏まえて、政府としては、さらに一層の取り組み、充実を図っていきたいというふうに思っているところでございます。

神崎委員 最後に法務省にお尋ねをいたしますが、DV防止法施行後、保護命令に違反した事件は何件あるのか、それからまたどういう処分が行われているのか、お尋ねいたしたいと思います。

小津政府参考人 DV防止法施行後、平成十八年三月末日までの数字を集計いたしておりますが、この間検察庁が受理いたしましたDV防止法の保護命令違反事件は二百件ございます。そのうちDV防止法違反単独で処理された事件が百六十件ございまして、うち起訴件数が百二十七件、ちなみに公判請求七十五件、略式が五十二件でございますが、不起訴件数は三十二件、家裁送致件数が一件となっているところでございます。

神崎委員 今後とも適正な処分をお願いいたしたいと思います。

 以上で終わります。

七条委員長 次に、柴山昌彦君。

柴山委員 自由民主党の柴山昌彦でございます。

 DV法の質問に先立ちまして、少し時間をちょうだいして、マスメディア等で話題になっている新司法試験問題漏えい疑惑についてお伺いさせていただきます。

 この事件は、司法試験考査委員である法科大学院の教員がみずからの学校の学生らに対していわゆる答案練習会等を実施していたところ、今回の本試験で類似の問題が出題されたため、この試験の公正性に疑惑、疑念が生じているといった問題でございます。

 既に当該考査委員は解任をされておりますけれども、今後、今回の試験の公平性をどういった形で図っていくのか、法務大臣にお伺いしたいと思いますし、またインターネット上では、同じような事案がほかにもあるというような指摘がされているところですけれども、そういった事案について調査をされるおつもりがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 今回、考査委員によって不適正行為があって、特に受験者の方々を初め皆さんに御迷惑をかけたことについては大変残念に思いますし、こういうことのないように再発防止に努力をしていかなければならないと思っております。

 法務省といたしましては、試験委員会を通じて、考査委員の方々に、こういう受験指導をしたことがあるかないかという報告を今求めておるところでございまして、その結果を踏まえながら、また文部科学省とも連携をしながら、再発防止のための措置を進めていきたいと思っておるところでございます。

 また、この試験をこれでどういうことにするのかということも各方面から御心配の向きがあるわけでございますが、試験の採点、判定は司法試験考査委員で行うことになっておりますので、今回の試験の採点あるいは合否等に影響を与えるかどうかについては、この司法試験考査委員において専門的な立場で今検討をしていただいておりますので、私といたしましては、その結果を踏まえて対応していきたいというふうに考えております。

柴山委員 今回の事件の背景には、新司法試験導入の後、法科大学院間で非常に熾烈な競争があるといったことが挙げられると思います。

 このような中で、今後こうした事態を二度と起こさないためにどういうことをお考えであるか。例えば、こうした答案練習会を既に実施している現役の教員については考査委員になるまで一定の期間を設けるとか、そういった具体的な形での再発防止策を検討されているかということについてお伺いしたいと思います。

 また、こういった試験は、やはり委員の関心事ですとか、あるいは社会でいろいろと取りざたされている重要な事件等々を反映して問題がある程度絞られてくる、重要論点ということが発生するのはやむを得ない部分もあるわけですけれども、それがために、予備校を通じて、また特定の首都圏の受験校が、情報収集能力に秀でている一定の受験校だけが試験で非常に有利であるというような事態になってしまっては、これは新司法試験導入の理念に反する事態が発生してしまうというように考えますが、こうした情報格差の問題についても今後どのように対応されていくのか、法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 新司法試験において、また法科大学院を創設するに当たって、司法試験についての予備校化を避けて、より広い範囲からの法曹を養成していこうという理念に基づいて行われてきたものでございますので、今先生御指摘のような点はぜひなくしていかなければならないことだと思います。

 法務省においても、また文科省においても、そういう受験指導のような予備校化については従来からずっと注意を喚起してきたところでございますので、実態等も今申し上げましたような形で調査をしておりますので、その結果を踏まえて、さらにすべきことがあるかどうか、対応策を検討したいと思っております。

 情報格差の問題についての御質問でございますが、御指摘の趣旨はわからないわけではありませんが、自然に起こる事象でありますので、どういうふうに考えればいいのか、ちょっと今のところ私として申し上げることが特にないのをお許しいただきたいと思います。

池上政府参考人 ただいま大臣からお答え申し上げましたような趣旨で、司法試験委員会では、さらに公正な試験を行うために検討を続けていくこととしているところでございます。

 また、情報格差等の問題につきましては、司法試験委員会といたしましても、司法試験問題を公開するのはもとより、出題の趣旨等もできるだけ速やかに公表するなど、そういった情報格差がないように努めているところでございますが、さらに、新しい司法試験が法科大学院の教育と連携する形で進められているという制度の中で、どのような公正さをさらに保っていくかということについて検討を続けてまいりたいと考えているところでございます。

柴山委員 いずれにいたしましても、今回、法科大学院に入られる方は人生をかけてこの試験に臨まれるわけですので、しっかりと納得のいく形で対応をしていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

 DV法の質問に移らせていただきます。

 今回、DV法の改正に際して、生命身体という重要な法益を守るためのDV法の保護命令の対象の拡大に当たって、なぜ個人の生活の安全等を守るためのストーカー規制法の類型を用いたのか、法案提出者にお伺いしたいと思います。

南野参議院議員 お答えいたします前に、私の不注意で左足を骨折してしまい、本日、車いすを使うことになっております。座ったままの答弁、よろしくお願いいたします。

 柴山先生の御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 接近禁止命令が発令されるという被害者は、多くの場合、精神的に極めて不安定な状態にあるということが指摘されているところでございます。そのような被害者に対しまして、ストーカー規制法のつきまといなどとして禁止されているような、面会を求める内容、または嫌がらせ的な内容、またはそういう態様、その電話等が行われる、そういった場合には、戻らないといつまでも嫌がらせを受けて困らせられるのではないか、またもっと怖い目に遭わされるのではないかなどといった恐怖心などから被害者が配偶者のもとに戻らざるを得なくなってしまう、また要求にこたえざるを得なくなってしまう、そういう生命身体への危険が高まるということが考えられております。

 そこで、今回、このような行為の禁止を命じることができることとしたものでございます。

柴山委員 確かに、条文上、十条では、「裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、」こういった禁止の命令が出せるというように定められているところで、保護法益はあくまでも生命及び身体だということを今確認させていただきました。

 その上で、お伺いいたします。

 十条二項の五号には、緊急やむを得ない場合を除いて夜の十時から朝六時までの間に電話をかけることを禁止している、そういう条項がございます。とすれば、脅迫も面会も内容としていないけれども、緊急を要しない、例えば子供は元気にしているかという電話を夜の十時半にする行為、これは、さっき申し上げた生命または身体に危害が加えられる危険がないということで、命令の対象にはならないんですか、なるんですか。

南野参議院議員 今先生お問い合わせの午後十時から午前六時までの間における電話等につきましては、その内容いかんにかかわりませず、接近禁止命令が発令されている被害者が一般に著しく不安を感じ、恐怖心などから配偶者のもとに戻らざるを得なくなったり、または要求に応じて接触せざるを得なくなったりして生命身体への危険が高まると考えられることから、禁止行為としたものでございます。

 したがいまして、生命身体に危害を加えるものではないとの抗弁をいたしましたとしても、命令違反を免れることはできないということでございます。

柴山委員 それでは、全く同様の内容の電話を午後七時にかけたらどうなりますか。

南野参議院議員 電話禁止命令が発せられた配偶者が午後七時に被害者に電話をかけることは、改正後のDV法第十条第二項各号に掲げた行為に該当しない限り禁止されない、そのような電話を受けた被害者が一般に著しく不安を感じるものとまでは整理しませんでした。刑罰をもって担保する電話等禁止命令の対象とはしなかったところでございます。

柴山委員 これを聞いておられる方で、今の御説明で御納得される方がどれぐらいいらっしゃるかということなんですけれども。十時半ならば一律だめよ、けれども九時半ならば、もちろん、繰り返してかけたり無言電話はいけないというふうにされているわけですけれども、電話してもオーケーよ、そういう法律になっているわけですね。

 例えば、この通信禁止のニーズが今どのぐらいあるのかということについて、厚生労働省にぜひお伺いしたいと思います。

 現在、婦人相談所等の支援センター、また、先ほど神崎先生からも御指摘があったような民間シェルターは、こういう加害者からの電話については一切取り扱わない扱いとしています。今回、この改正法が昼間の電話を容認するという姿勢を明確に打ち出したことによって、この現在の扱いを厚生労働省は改めるんですか、改めないんですか。

村木政府参考人 DV法の被害者の方を婦人相談所や民間シェルターにおいて保護している場合でございます。

 この場合、加害者を含む外部からの被害者に対する通信、電話等でございますが、これについては、被害者がそこに保護をされているか否かを含めて問い合わせには応じないというのが取り扱いの原則でございます。この取り扱いは、被害者の安全確保の観点、また一時保護という物事の性質上、不可欠なものというふうに考えておりますので、この取り扱いを今回変えるという方針はございません。

柴山委員 電話をさせないというのは、通信の自由という憲法の権利にかかわるものです。それを制限するということであれば、当然のことながら、相当の理由が必要ですし、場合によっては法律上の根拠ということが必要になると思います。だからこそ、今回、法律を変えてそういうものに対応しようというふうにしたわけですけれども、ストーカー規制法という別の趣旨を持った法律を用いることによって、こうしたきちんとした手当てが十分できていないのではないか。

 今、厚生労働省さんから、引き続き立法事実は変わらないというようなお答えがありましたけれども、これは厚生労働省さんの取り扱いが間違っているのか、あるいは今回の立法が不十分なのか、それについて法案提出者はどのようにお考えですか。

村木政府参考人 先ほどの答弁に少し補足をさせていただきます。

 婦人相談所や民間シェルターの場合は、もちろん加害者の方々がそこの相談所そのものにお電話をかけてくるということを制限しているわけではございません。そういう意味で、加害者の方が直接被害者に対して通信等をしていく、これを禁じる趣旨とはやや趣旨が違うのかというふうに考えているところでございます。

柴山委員 これ以外にもいろいろと類型はございます。ぜひ、各委員の先生方には、その内容を精査された形で、再度、必要があれば検討をしていただけたらと思います。

 以上でございます。

七条委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。きょうは、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今回、私たち民主党も、この改正に向けて多くの民間団体の皆さんや実際にDV被害に遭われている皆さんからヒアリングを行ってまいりました。いろいろな経緯を経て今回の法案提出ということになったわけでありますし、一定の前進もあったということで、その点は賛同をしたいというふうに思います。

 私たちがヒアリングをしている中で、いろいろな方が口をそろえておっしゃったのが、やはりこのドメスティック・バイオレンスに対する社会的な認識が実はまだ定着をしていないということでありました。特に、今回、保護命令の拡大がなされて、その点については評価をされるんですけれども、例えば、長い間懸案となってまいりました加害者本人に対する処罰の適正化あるいは更生プログラムの実施などについては、今回も見送られることになったわけであります。ですが、諸外国の例などを見ておりましても、やはり加害者というものにきちんと視点を置かないとドメスティック・バイオレンスの再発防止はあり得ないのではないか、私はこのように考えるに至っております。

 徳島県で、先般、大変悲惨な事件が発生いたしましたけれども、そういったことを繰り返さないために、警察や検察が加害者に厳しく対処するとともに、行政、学校が弁護士や支援者などと連携して被害者と家族などの安全を確保する体制を築き上げることが強く望まれていると考えております。

 そこでお伺いしたいんですけれども、まず第一点目は加害者に対する指導についてであります。

 保護命令を受けた者に対する警察の指導、これはもう既に行われているというふうに承知をいたしておりますが、やはりこれはもっと徹底して行うべきではないか。ですので、そのためには規定を何らか設ける必要があるのではないかと考えております。

 例えば、警察は、必要があると認めるときは、保護命令を受けた者に対する保護命令の趣旨の通知、必要な指導その他の配偶者からの暴力による被害の発生を防止するために必要な措置を講ずるものとすべきであるというようなこと、この点についてはいかがでしょうか。

 南野議員に伺います。

南野参議院議員 西村先生も、DVにつきまして大変造詣が深く、研究されておられるというふうにお聞きいたしておりますので、先生のことにつきまして今いろいろお話しくださいました、そのことについて感激するわけですが、我々といたしましても同じような検討を加えてきております。

 例えば、加害者という形の問題点をどのように展開していくかということについて、このたびの法改正は見ておりませんけれども、各省庁間でいろいろと検討を加えていただいており、一般のNPOの方々にもいろいろお聞きいたしましたけれども、加害者の問題よりも、まず被害者のことをもう少し充実してほしいというようなお声も出されておりました。

 そういうようなことに関連しまして、加害者に対する更生のプログラムをどのようにつくっていくかということは、今各省庁挙げて検討させていただいているところでございますので、この問題もいずれ俎上に上げさせていただくときが来るというふうに思っております。また先生の御配慮、いろいろといただきたいと思っております。

西村(智)委員 被害者に対する支援も充実していかなければいけない、しかし、加害者への視点も同時に持っていただきたい、こういう思いなんです。

 加害者に対する研修、これはもう長年懸案事項となってまいりました。警察とDVセンターが協力して保護命令発令期間中における加害者に対する研修を行うことが考えられないか、これは短期的なカウンセリングなどというものではなくて、再教育プログラムなどを義務づけることが検討されるべきではないか、このように考えるんですが、いかがですか。

南野参議院議員 先生おっしゃるように、DV法の第二十五条におきましては、国、地方公共団体は、加害者の更生のための指導の方法などに関する調査研究の推進に努めることということを規定いたしておりますけれども、保護命令を受けた加害者の行った行為が犯罪であるということをまず知っていただきたい、これを加害者にしっかりと認識していただきたい、このような犯罪行為を二度と起こさせるようなことにならないようにするということがまず重要であろうかと思っております。

 平成十八年に内閣府がまとめました検討結果や他の犯罪加害者を対象とする処遇プログラムの動向等を踏まえまして、今後も引き続き、関係省庁におきまして、御指摘いただいた一定の期間継続して行われる再教育プログラムも含めまして、加害者の更生のための指導の方法について調査研究の推進に努めていきたいというふうに思っております。また、その動向を見守りつつ、私としてもさらに検討を加えていきたいと思っているところでございます。

西村(智)委員 次に向けての検討課題であると認識くださっていること、理解をいたしました。

 そこで、次は警察庁の方にお伺いをいたしたいわけなんです。

 先月、山形市で、このDVに関して傷害致死事件が発生をいたしました。事件発生前に、山形警察署は、被害者が被疑者からの暴力により骨折を負ったにもかかわらず、被害者が被害届を出さなかったために刑事事件としては調べられなかったというふうに報道をされております。

 被害者が被害届を出さなかった、ここのところの思いはいろいろあるんですけれども、たとえ被害者が被害届を出さなくても、被害者は既に骨折という重傷を負っているわけでありますので、ここは私は傷害罪等により積極的に取り調べるべきではなかったかというふうに考えております。

 ほかの国の例になって恐縮なんですけれども、アメリカのサンディエゴ市、ここでは、DVの加害者を暴行や傷害の段階で早期に逮捕することによってDV殺人を半減することに成功したというふうにも聞いております。

 そこで、警察庁の刑事局長にお答えをいただきたいんですけれども、警察庁は都道府県警察に対して被疑者の検挙に向けた迅速かつ積極的な対応について指導しておられると思いますが、それが都道府県の各警察署に勤務して傷害や暴行等の事件を現場で捜査する捜査員に浸透していないのではないかというふうに考えます。通達などのペーパーではなくて、ぜひとも、刑事事件の責任者である刑事局長みずからが、都道府県警察の刑事課員に対して全国会議などで指導していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

縄田政府参考人 お答え申し上げます。

 警察といたしましては、配偶者からの暴力事案につきましては、刑罰法令に抵触する事案につきましては被害者の意思を踏まえつつ検挙その他の措置を講じて、それ以外の事案につきましても被害者に対する防犯指導、加害者への指導、警告など、事案に応じた適切な措置を講じているところでございます。

 配偶者からの暴力事案への適切な対応について、しっかり指導しろということでございますけれども、従来から、通達のほかには警察庁主催の会議で都道府県警察に対しまして指示してきたところでありますけれども、最近、昨年の十二月二十七日付でも、かなり詳細な生活安全局長、刑事局長連名の通達を出しました。

 ことしに入りましても、全国捜査第一・第三課長会議あるいは刑事部長会議、それから生活安全関係の課長会議等におきまして、配偶者からの暴力事案に対しましては、警察署長の指揮を徹底させるということ、それから事案の内容に応じた組織的な対応をとるということ、これがポイントでありますが、一点目、指示をいたしておりますし、事案が刑罰法令に抵触する場合には、被害者の真意を見きわめた上で、これは十分に聞かないと本音といいますか真相がわからない場合もありますので、十分に聞いた上で、さらに、どうしても被害届が出ない場合においても、説得をしっかりするということで、被害申告を出していただきながら処理をすべきという点、指示をいたしておるところでございます。

 今後とも、配偶者からの暴力事案につきましては、適切な対応がなされますように都道府県警察を指導してまいりたい、こういうふうに思っております。

西村(智)委員 今回の山形のケースは、私は、適切ではなかったというふうに結果としてこれは言わざるを得ない事態になっているわけであります。実際に、この被害者の方は、その後、さらなる暴行でお亡くなりになっておられるわけであります。

 そこのところ、警察庁の刑事局長として、本当にこういった事件が二度と起きないように徹底する、こういった考え方を指導する、そういう決意がおありなんですか。

縄田政府参考人 山形の事案につきましては、委員御案内のとおりかと思いますけれども、六月七日に被害者の知人の方から、被害者が夫から暴力を受けているという届け出がございました。直ちに警察官が参りまして、被害者の方あるいは加害者とも接触をいたしました。被害者の方がかなりけがを負っておられるということで、女性の警察官が一時間にわたって説得をして病院に行っていただいた、それで入院をしていただいた。それから、ぜひとも被害届を出すようにということで説得も行ったけれども、これにつきましては被害者の方がこれを固辞された。夫につきましては、指導、警告を厳しくやった。同じような流れの中で、六月十四日の日も同じように意思確認等も行いましたけれども、同様の状態でございました。

 今回の事案につきましては、被害者が被害届を強く拒絶する場合、これは犯罪事実の立証あるいは犯行の背景、原因等の真相解明を図ることが難しいということで、なかなか事件の立件には困難であるのが通常ではございます。これは、逮捕することによって本当に問題解決に直ちになるのかどうかというのもなかなか難しいものがございます。

 さはさりながら、今回の事例も踏まえまして、事案によってはいろいろな対応、判断もあり得べしだろうというふうに私どもは認識をいたしておりますし、また、対応のあり方につきましては、関係機関と連携をしてやっていくということも十分大事だろうというふうに認識をいたしております。

 今回、山形の事案につきましては、山形県警察としては一生懸命努力はしたということでありますけれども、結果において委員御指摘のような事態が生じたということはまことに残念であります。そのようなことがないように最善の策をとり得べくということで指導してまいりたい、こういうふうに思っております。

西村(智)委員 現場にぜひ浸透させていただきたい、このことはまた機会があれば質問をいたしたいと思います。

 つまり、ドメスティック・バイオレンスの難しさといいますか、本質がやはりそこにあると思うんです。なるべく隠しておく、そして公にしない、被害を受けている被害者が、自分がもしかしたら悪いのではないか、そういう罪悪感にすらさいなまれて非常に精神的に追い詰められている、そういうDVに対する理解そのものをやはり警察現場にもこれからはもっと徹底をさせていく必要があると思います。

 残念ながら、今回の法改正の中ではその点については余り盛り込まれなかったようでありますけれども、この点についても次に向けての課題であると私は認識をしております。

 そこで、今回の法改正で盛り込まれなかった点などについて何点か伺っていきたいと思っています。

 配偶者からの暴力を発見した場合に、医療関係者による通報がこれはできる規定になっております。この医療関係者による通報を努力義務とする必要があるのではないか、このように考えております。

 冒頭申し上げたとおり、法制定から六年たつわけでありますけれども、まだ国民への周知は十分とは言えません。現在、医療機関、医療関係者の対応マニュアルを策定している自治体は全国で五県だけ、通報が努力義務とされることによって医師等のDVに対する認識も高まっていくのではないか、このように期待をしております。

 もちろん、被害当事者の安全に抵触しないような対策も必要であるということは考えておるんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

南野参議院議員 先生おっしゃるとおり、医療従事者それ自身に守秘義務というのがかかっておりますが、これに対しても、DVを発見したら、自分の業務においてもそれを発見したならば通報することができるというこの項目をしっかり大切にしてほしいということで、初回のときからこの問題は検討されてきましたが、まだそれが徹底されていないということは先生のおっしゃるとおりであり、この問題についても、努力義務とか、いろいろな課題を課していくこともこれからの課題ではないか、まずは周知していくことにポイントを当てていきたいというふうに思っているところでございます。

西村(智)委員 次に、自立支援事業について伺いたいと思います。

 徳島県で発生した事件、このケースは、県境を越えて広域的な連携が被害者の自立支援をめぐって行われていれば防ぐことができた事件だったのではないかと私は考えております。

 つまり、被害者の方が専門職にあられて、ほかの県などで就業が可能だったということでありますので、ほかの県のそういった関係者と連携をしていて、そこで就職のあっせんなりがされていれば、より遠くに逃げることができたわけですから防ぐことができたのではないかと思いますが、現実にこういったことは行われておりませんでした。

 こういった広域的な連携を行い得るところはどこがあるだろうかといろいろ考えたんですけれども、例えば、支援などを行っている民間の団体には、こうした広域的な連携をとることができるネットワークを持っている、そういう団体がございます。南野議員も御承知のことと思います。

 被害者の自立支援事業として、国ないし都道府県がそれをしっかりと負っているんだということを位置づけた上で、その事業を民間団体に委託できるようにするべきという声が非常に強いんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

 もちろん、民間団体の持っているノウハウというのは、自立支援事業、被害者の自立支援のためのコーディネート全般を含んでいますけれども、例えば職員の教育、警察の方への教育ですとか関係者の教育ですとか、そういったことも含まれる、こういったものも委託事業の対象になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

南野参議院議員 御指摘いただいたとおりだと思っておりますが、引き続き、DV被害者の自立支援、これが一番大切な課題であろうかというふうに思っております。それを強化拡充すべくというふうに認識いたしております。

 その際には、国、都道府県自身の取り扱い、これをまず推進していっていただくということはもちろんでありますけれども、現に被害者の自立支援の活動に大きな役割を果たしておられる、先ほど先生もお話しになられた民間団体の取り組み、これを公的機関が援助していくということも大変有効であると考えております。

 また、民間団体の活動の条件、これは非常に厳しい状況にあると思いますが、民間団体からは、自立支援事業の委託、また民間団体への支援といった方法により、こうした援助を強化するよう求める声が強くなっているとも承知いたしております。

 今後も、政府における施策の状況、またこれら民間団体の状況、そういったものを見守りながら、十分な対応がなされるよう、議員の立場から取り組んでいきたいと考えておりますので、ぜひ先生も御協力を、一緒にしていきたいと思っております。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 次に、外国人被害者の件について伺いたいと思います。

 DVの被害者は、もう既に多くの外国人女性が含まれておりますけれども、ことしの三月、小金井警察署でこのようなことがありました。小金井警察署が、夫からの暴力について被害届を出していたタイ人被害者、タイ人女性を入国管理法違反で逮捕いたしました。不法残留ということです。

 ただ、被害者は、夫の協力が得られなかったために配偶者ビザを更新できなかったんです。そのためにオーバーステイになっていた。そこで、DV被害を受けているということでみずから警察署へ赴き、また、入国管理局へもみずから出頭しており、さらには、福祉事務所を通じて民間のシェルターに保護されていた人物、これが被害者の女性でありました。

 そこで、もう一度警察庁の刑事局長に伺いたいんですけれども、捜査機関としては、たとえ被害者であっても、その被害者がほかの犯罪を犯しているのであればその捜査をしなければならないということ、そして、逃亡のおそれがあったり証拠隠滅のおそれがある場合は逮捕されるということは、これは私も理解をいたします。

 しかし、今回のケース、DVの被害者が入国管理法違反である場合には逮捕しなければならないというケースには必ずしも当たらなかったのではないか。つまり、三つの要件をこのDVの被害者は満たしているわけです。

 一つは、被害者みずからが入国管理局に出頭して、入管で出頭した事実の確認がなされている。二つには、被害者がDVセンターや福祉事務所が指定した入所施設で暮らしている。三つには、被害者みずから警察に出頭した。

 こういう三条件があるわけでありますので、刑事訴訟法及び同規則の任意捜査の原則にのっとった対応がなされるように、都道府県警察の刑事課員に対して周知徹底していただきたいと考えるのですが、いかがでしょうか。

縄田政府参考人 お答え申し上げます。

 配偶者からの暴力事案等で、外国人の方が被害者でありましても、これが入管法違反であると認められれば、委員御指摘のとおり、任意捜査あるいは被疑者を逮捕して強制捜査する、こういうことになろうかと思います。

 これは、個別の事案ごとに、諸般の事情に照らして逮捕の必要性を判断することになろうかと思いますけれども、委員御指摘のような事情がある場合には、一般的に言いまして逃亡のおそれは少ないと思われますし、逮捕の必要性は相対的に低くなるもの、このように考えております。

 いずれにいたしましても、配偶者からの暴力事案の被害者が入管法違反の外国人である場合には、被害の確認とあわせまして、在留資格を有し得ない事情につきましても十分聴取をする。被害者の国籍を問わずその人権を尊重するというDV法の趣旨を踏まえつつ、関係機関と十分協議をした上で対応していくよう、全国会議などを通じて都道府県警察を指導しているところでございます。

 委員御指摘の事案につきましては、恐らく昨年の三月に逮捕した事案だと思っております。四月に、関連する各課長会議でこの事案を事例に出しながら、捜査一課長等から各会議で指示を出しておるところでございます。適切に対応してまいりたい、こういうふうに思っております。

西村(智)委員 法務大臣に伺いたいと思います。

 先ほど刑事局長の方からは、適切に対応していきたい、全国会議の中でも周知徹底していきたい、そういう答弁をいただきました。ただ、これは法の運用のあいまいさから発生していることだと私は思っておりまして、DVの外国人被害者に対しては、被害者保護を第一に考えて、先ほど申し上げた三つの条件が満たせている場合には入国管理法違反の罪に問わないといった規定を入国管理法またはDV法に盛り込むことによって、このあいまいさというのは払拭することができるのではないか。

 こういった規定を盛り込んではいかがかというふうに考えますが、法務大臣はどのようにお考えですか。

長勢国務大臣 捜査活動については、今警察庁の方からお答えになったとおりだと思いますし、DV被害者については、いろいろな観点から慎重な対応をとるべきだと思います。

 今、三条件のお話がありましたが、そういうことは当然一般的な捜査活動においての原則でありますし、DV被害者については特に慎重に対応すべきことだろうと思っております。

 しかし、いろいろなケースがあるわけでございまして、DV被害者が別の犯罪を犯すということがあった場合に、そのDV被害の状況あるいはその被害と違反行為との関係等々、さまざまな事情があると思われますので、御指摘のように、DV被害のある場合には入管法違反の罪は問わないというふうに一律に法的な整備をするということについては、さらに慎重な配慮が必要ではないのかというふうに思います。

西村(智)委員 いや、ほかの犯罪を犯しているケースはこれはまた別です。別ですけれども、単に、純粋に、例えば夫からの協力が得られずにビザが更新できなかったという単純な入管法違反というケースについては、これはやはり考慮の余地は大きいというふうに考えるんですけれども、南野議員は、この点についていかがお考えでしょうか。

南野参議院議員 いろいろなケースがございまして、ケース・バイ・ケースというようなこともあろうかというふうに思っておりますが、DV法の第二十三条一項にありますとおり、被害者の国籍を問わず人権を尊重することとされている、これは先生も御案内のとおりだと思います。

 この趣旨を踏まえながら、適切な配慮がされるよう関係者に働きかけていきたいというのが私の考えでございます。

西村(智)委員 事は逮捕でありますので。DVの被害者が、いわゆるビザの更新がされなかったということも、見方によってはこれもドメスティック・バイオレンスなんですよ。ですので、ドメスティック・バイオレンスの被害によってビザの更新ができなかった、いわゆる二重の被害に遭っているわけですので、そういった人を逮捕するというのは、これは人道的に考えてやはり余りにやり過ぎではないか、私はこのように考えるんです。

 そういった規定を今回法律の中に盛り込まないという法務大臣の答弁でありましたけれども、ここはやはりDVそのものに対する認識にかかわる大きな問題だと思いますので、ぜひここは検討していただきたい、強く要望いたします。

 続いて、法案関係について伺いたいと思います。

 電話等を禁止する保護命令が盛り込まれました。第十条の第二項でありますけれども、この被害者への電話等を禁止する保護命令が盛り込まれた趣旨、これが何か伺います。

南野参議院議員 これは、被害者への接近禁止命令が発令されている状況であるにもかかわらず、被害者に対して一定の電話等が行われる場合には、戻らないといつまでも嫌がらせをされるのではないか、また、もっと怖い目に遭わされるのではないかなどといった恐怖心が高まってまいります。

 被害者が配偶者のもとに戻らざるを得なくなったり、または要求に応じて接触までしなければならなくなったり、そういった場合には生命身体への危険が高まるということも考えられてくることから、接近禁止命令の実効性を確保するために、今回、保護命令として一定の電話等の禁止を命じることができるということにしたものであり、多くの御要望もいただいた件でございます。

西村(智)委員 南野議員がおっしゃられたとおり、DVの被害者は電話を受けるだけでも非常に大きな精神的ダメージを受けます。声を聞くだけでもつらい体験がよみがえるということで、さらに自立がおくれるということもございます。

 そういった加害者からの暴力によって既に追い込まれていることが多い被害者に対して、たとえ配偶者からの電話であっても、そこから受ける精神的な苦痛は、これはもうはかり知れないものがある。ヒアリングをした多くの支援者団体の皆さんや、そしてまた被害者であった方が、本当に涙を流しながらそのように発言しておられました。

 そうしたことから、今回、電話等を禁止する保護命令が盛り込まれたということで、この点について伺いたいんですけれども、であるならば、被害者にとって苦痛である電話等、これはやはり原則禁止にすべきではなかったか。加害者と被害者の間の連絡手段を制度的に残しつつ、原則禁止とする方が、これは制度としてはよりよかったのではないか。それは、被害者の立場により立ったときに、そういう考え方に立てるのではないかと思います。

 例えば、親族の不幸など、例外的に連絡できる場合を列挙したり、あるいは弁護士などを通じてのみ連絡することができるというように、連絡方法を制限するというようなことで、原則禁止とする方がよいのではないかと考えるのですが、この点については南野議員はどうでしょうか。

南野参議院議員 先生御指摘いただきました、加害者と被害者との間の連絡手段を的確に残すという考え方から検討することも方法の一つと考えられるところでございます。

 お尋ねの、例外的に連絡できる場合を列挙するということにつきましては、どのような連絡であれば許容されるかが、夫婦間の状況や加害者の生活状況等によって異なり得るものでありまして、法律においてあらかじめその類型を限定的に列挙しておくことは大変難しい点が多かった。また、弁護士の方を通じてのみ連絡を認めることについては、費用の負担ということなどが大きく重なってまいりました。そういうもろもろから、慎重に検討をすることが必要ではないかということになりました。

 結局、マイナスのものを列挙する、またはプラス、ポジティブな問題点を列挙していく、または先生が先ほどおっしゃったように全面禁止をするといった場合、全面禁止は、これは憲法違反につながる、ではどこに穴を見つけていくかというような問題についても検討させていただきましたが、今はまだ成案が得られていないということから、今先生御質問になられたいろいろな、我々が法律に八項目つくらせていただきましたが、そのことについて展開したところでございます。

 これらのことなども踏まえまして、電話等禁止命令につきましては、被害者への接近禁止命令の実効性を確保するという観点から、被害者への接近禁止命令が発令されている被害者が、一般に配偶者との接触を余儀なくされるような著しい不安を感じる行為として評価できるものを列挙させていただき、これを禁止するものとしたところでございます。

西村(智)委員 加害者の通信の自由よりは、私はやはり被害者の人権だと思います。ぜひそちらの方を優先させるという立場に政府全体が立っていただきたい、このように強く申し上げます。

 続いて、同じく第十条の第二項の関係で、第四号、第五号に「緊急やむを得ない場合」というのが出てまいります。この緊急やむを得ない場合とは、どのような場合を指すのでしょうか。御答弁をいただきたいと思います。

 例えば、次のような事例は該当するでしょうか。

 一つ、加害者が、離婚手続について話し合いたい、子供の親権について話し合いたいといった被害者にも有益な内容の電話や電子メールを繰り返し送信した場合。二つ、被害者が配偶者名義の預金通帳を持ってシェルターに入居している場合に、通帳を返してほしいと連続して電話をする場合。三つ、加害者が居住する自宅に保管中の預金通帳の印鑑の置き場所がわからない場合に、加害者が被害者に、どこにあるのかとその所在を電話で繰り返し尋ねる場合。四つ、加害者が、危篤ではないが命にかかわる病気に罹患したことを知らせるため、夜間に電話した場合。

 緊急やむを得ない場合とは、どのような場合でしょうか。

南野参議院議員 緊急やむを得ない場合といいますのは、まさに緊急性のある事項について被害者に連絡をとるために、手段として、電話、電子メール、ファクスなどによるほかないという場合を意味するものとして考えられているところでございます。被害者自身につきましても極めて重要と思料される事項を緊急に知らせる必要があり、かつ、その手段として、電話、電子メール、ファクスによるほかない場合がこれに該当いたします。

 具体的には、被害者の子供さんたちが急病または急死の場合、被害者の子供さんが重大な事件、事故に巻き込まれた場合、または自宅に火災が発生した場合などを想定いたしておりますので、今先生が列挙してお尋ねになられたケースにつきましては、いずれにつきましても、さきに説明申し上げました場合に該当するものとは考えにくいということでございます。

西村(智)委員 次に、被害者の親族等への接近禁止命令について伺います。

 接近禁止命令の対象範囲が、被害者だけでなく、被害者の親族その他被害者と社会生活において密接な関係を有する者に拡大されました。この趣旨について伺います。

南野参議院議員 被害者への接近禁止命令が発令されているにもかかわらず、被害者の親族等に対して、その住居に押しかけて著しく粗野、乱暴な言動を行う場合等には、被害者がその行為を制止するために配偶者と面会することを余儀なくされる状態に陥る可能性が高いと考えられる場合がありますことから、被害者への接近禁止命令の実効性、これを確保するために、親族等につきましても、一定の要件を満たす場合には接近禁止命令の対象としたものでございます。

西村(智)委員 第十条第四項の、「被害者と社会生活において密接な関係を有する者」とは、具体的にどのような者を指すのでしょうか。

 民間のシェルターの支援員は含まれるのか、また、公務員である配偶者暴力相談支援センターの職員も含まれることになるのでしょうか。

南野参議院議員 被害者の身上、安全などを配慮する立場にある者をいいます。配偶者暴力相談支援センターの職員、これは公務員であっても含まれるわけでございまして、民間のシェルターの支援員につきましても、被害者に対し、現に継続的な保護、支援を行っている者などがこれに該当し得るものと考えております。

西村(智)委員 南野議員の答弁の中で、ぜひまた一緒にこのDV法を改正していきたい、そういうお気持ちも含めていただきました。

 今回の改正も一定の前進ではありますが、やはりまだまだDVの被害が、件数としても減っていかない、そしてまた深刻化しているという状況の中では、やはり、さらにこの法律の適切な改正、見直しが必要になってくるんだろうというふうに考えております。

 南野議員が参議院で尋ねられまして、三年待たずに見直しということもあるのだというふうに答弁をされておられましたけれども、この点について、もう一度南野議員のお気持ちを聞いておきたいんです。

 私たちも、やはりDVを根絶したいと思っております。今回は、見直し規定が実は盛り込まれませんでした。南野議員の意思としては、見直しについてはどのように考えておられるのでしょうか。

南野参議院議員 先生おっしゃいましたように、見直し規定を設けませんでした。それは、五年後に見直そうか、いや、三年後に見直そうかといいましても、この見直しが来年必要であるかもわかりません。また、加害者の課題はどのように今から発展していくかわかりません。このたびの法律が、いろいろと皆様方に功を奏していい形に展開されていくならばいいですけれども、やはりそこでも問題が出てくるかもわかりません。こういう課題については、いつでもフレキシビリティーを持って取り組めるようにしたいというふうに考えております。

 また、先生方との御協力、または超党派での御協力、いろいろなものが必要となってくると思います。このたびの改正におきましても、各省庁がしっかりと手を携えてくださいました。各省庁との連携があってこそ、このたびの大変難しいだろうと思われていた法律の改正ができたということも、ひとつ皆様方に感謝したいことであります。

 また、民間でお働きの方々からもいい情報をいただいております。いい情報というのは、状態がいいんじゃなく、自立支援に向けてこういうものとかいろいろな課題を提案していただいておりますので、そこら辺が、DVの被害者にとって、まずいい形に展開されていく、生きていくことの喜びを感じてもらえるような切り返しができる法律に持っていきたい、法律ができただけで終わってしまうのじゃなく、継続して使ってもらえる法律にしたい、そのように思っております。

 以上でございます。

西村(智)委員 終わります。ありがとうございました。

七条委員長 次に、河村たかし君。

河村(た)委員 河村たかしです。

 まず最初に、ちょっと与党の皆さんに言っておかないかぬけれども、今回のような、公安調査庁の元長官が北朝鮮とつるんでおった可能性がある、こういうような国家の重大事に、民主党から、集中審議なり一般質疑という名前は別にしましても、それを強く要求したにもかかわらず、ほとんどしないというのは、主張する外交なんて言っておるけれども、何が主張する外交なんだよ、一体。

 委員長はどう思いますか。

七条委員長 今の質問につきましては、私の立場でお答えをすることはできません。

河村(た)委員 何を言っておるんですか。委員長というのはもっと立派なもので、みずから、自民党の方だったら、国益を守るために徹底的に審議をせないかぬと言わないかぬじゃないですか。

 どうですか、委員長。

七条委員長 理事会ではそういう話は出ておりません。

河村(た)委員 そうは聞いておりませんよ。一般質疑をやってくれと頼んだそうじゃないですか。

 これはどうなっておるんですか、委員長。

七条委員長 質問をされるのか、それとも、今の、DV法案以外で質問をされるのかだけ、ちょっと先にお聞かせをいただきます。

河村(た)委員 それは言ってありますよ。この公安調査庁の問題についてお伺いするということですからね。

 では、質問に移ります。時間も十五分ですから。

 まず、登記簿が閉鎖になって、登記簿が閲覧不可能になったこと、これを公安調査庁は知っておったんですかね。

柳政府参考人 当庁におきましては、今回の移転登記につきましては、本年の六月八日に把握しておりますけれども、把握した経緯などの具体的内容につきましては、今後の調査の支障となるおそれがございますことから、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。

河村(た)委員 そればかりなんだけれども。

 では、次は、五月二十六日以降、連日、公調が朝鮮総連本部不動産に関する登記状況ないし登記申請を調査した事実はありますか。

柳政府参考人 これも同様の答弁で恐縮でございますけれども、六月八日に本件の移転登記を把握してございますけれども、今お尋ねのような把握した経緯など、具体的内容につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。

河村(た)委員 そうしたら、その際、法務局に情報提供等、事前に協力を要請した事実はありますか。

柳政府参考人 今お尋ねの点につきましても、これまでの答弁と同様になりますけれども、六月八日に移転登記を把握しておりますけれども、その把握した経緯などにつきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

河村(た)委員 緒方さんの関与を把握したのはいつですか。

柳政府参考人 当庁におきましては、朝鮮総連の資産にかかわる調査の過程におきまして、総連中央本部の土地建物、この売却の動きを示す情報は入手いたしましたけれども、今お尋ねの、緒方元長官の本件への関与を含めた本件取引につきましては、この六月八日の移転登記によりまして把握したところでございます。

七条委員長 河村君に申し上げます。

 今DV法案の審議をいたしておりますので、一応DV法案との関連性も含めて御質問いただくようにお願い申し上げます。

河村(た)委員 これは理事から御了解いただいておりますので。強く申し上げておるところでございます。(発言する者あり)何を言っておるんですか。

七条委員長 できる範囲の中で、DV法案との関連を含めてしていただけますか。

河村(た)委員 新聞に出ました十二日までの間に、緒方さんと公調が連絡をとったり、ヒアリングをした事実はありますか。ヒアリングをしたのはだれですか。

柳政府参考人 当庁におきましては、本年六月八日に本件移転登記を確認した後に、緒方元長官から本件に関しまして話を聞いております。話を聞いたのは当庁の長官でございます。

七条委員長 河村君に申し上げます。

 もう一度、DV法案との関係性をちゃんと入れながら御質問いただきたいと思います。

河村(た)委員 ちょっと待っておいてちょうだい、それでは。

 公調は、緒方さんとは話をしたということですね。

 では、官邸はいつ知りましたか。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 かねてより、公安調査庁から朝鮮総連の動向等について適宜報告を受けているところでありまして、本件についても報告を受けております。その具体的な内容、時期については、トータル的にインテリジェンスにかかわる事項でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

河村(た)委員 今のような、緒方さんが不動産を取得したということを聞いたのはいつですか。

下村内閣官房副長官 先ほど答弁したとおりでございまして、具体的な内容については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

河村(た)委員 日時は教えてもらえぬわけですか。

 そうすると、十二日に出るまでは、少なくとも何をされておったんですかね、対応としては。

七条委員長 河村たかし君に申し上げますが、先ほども申し上げたように、DV法案との関係がどうあるかということでありますから、それについての説明も含めて御質問ください。(発言する者あり)

河村(た)委員 そうなったじゃないですか。何を言っておるんですか。それなら、これはちょっととめてもらわないかぬよ。その中でやられたらどうですかということになったでしょう。何を言っておるんですか。

 こんな重要な問題を、別にちゃんと集中審議も何もせずに、とんでもないですよ、本当に。

七条委員長 今はDV法案の審議中でございます。そのことを申し上げておきます。

河村(た)委員 ちゃんと言っておかないかぬが、審議ということでございますが、その中でこの問題も聞かれたらどうですかというお話だったそうですよ。(発言する者あり)そう聞いておりますよ、私は。

 では、総理はいつ聞いたんですか、緒方元長官がこの不動産を取得したということを。

下村内閣官房副長官 先ほど申し上げていますけれども、個別具体的な内容、時期については、トータル的にインテリジェンスに関係いたしますので、答弁を差し控えさせていただきます。

河村(た)委員 まあ、様子を見ていたと。新聞に出たから慌てたと。

 総理が、十二日の夕刻ですか、不快感を示した、こうなっておりますけれども、これは初めての感想なんですか。

下村内閣官房副長官 いわゆる総理のぶら下がりの中では、初めての公式的な発言だと承知しております。

河村(た)委員 では、警察庁にも来ていただいておりますので、警察庁は、この話をいつ、どういうふうに知りましたか。

米村政府参考人 お答えいたします。

 朝鮮総連につきましては、警察として、公安の維持という観点から、その動向等には重大な関心を持って情報を収集し、分析をしておりますが、先ほど来お答えがございましたけれども、具体的な情報活動の中身については答弁を差し控えさせていただきます。

河村(た)委員 ちまたというか、毎日になぜ出たか。実はその前に、ある新聞に写真だけ出ておるんですけれども、毎日より早く。これはどうも察庁がしゃべったんじゃないかという話がありますけれども、それについてはどうですか。

米村政府参考人 私の知悉する限り、そのような事実はございません。

河村(た)委員 将来の日本版の情報国家戦略機構ですか、日本版CIA、そういうのをつくるにおいて、公調と察庁との間で主導権争いがあるという話がありますね。そういうものが影響しておるんじゃないですか。

米村政府参考人 委員の言わんとするところが那辺にあるか理解しがたいわけでありますが、いずれにしても、そのような考えはございません。

河村(た)委員 それでは、これはやはり公調だと思いますけれども、総連の年間予算は五・八億と言われるんですけれども、今回、事前に、登記の前に、その八割近い四億八千万、お金を出しておるんですよね。この点については、八日から十二日、十一日ですね、緒方さんから話を聞いたとき、その話が出たのか出ないのか、これは調査しているのか、どうなんですか。

柳政府参考人 今回の件に関しまして、いろいろと金の動きなどにつきまして報道がなされていることは承知しておりますけれども、その点に関しましては、当庁の調査の具体的内容にかかわります事柄でございますし、現在、東京地検におきまして詐欺事件の捜査中でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

河村(た)委員 予算の八割ですから、よほど信頼していないと出せませんよ。それも登記の前にですよ。

 これはどなたが出したんですか、総連側でいえば。

柳政府参考人 今お尋ねの資金の出所等につきましても、現在、当庁の調査しております具体的内容にかかわります事柄でございますし、東京地検におきまして捜査中でございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

河村(た)委員 何でも、調査しておるからしゃべれぬ、検察庁がやっておるからしゃべれぬ、こんなふうでは、あなたたちは、一年に一回は法務大臣を通じて国会に報告義務があるんでしょう。例えば、こんな報告を受けたけれどもこうだとか、そういう問題点でも出してくれなければ、今後、日本版CIAをつくるかつくらぬかにしても、問題点がわからないじゃないですか。全然説明する気がないんじゃないの、国会に。

柳政府参考人 当庁におきましては、破防法に基づきまして調査等を行っているわけでございます。その調査の具体的内容、いつ、だれから、どのようにして、どういった情報を入手したかなどにつきましては、今後の調査の遂行に支障となるおそれがありますことから、答弁は差し控えてきたところでございます。

 一方で、そうした調査の結果に基づきます情勢分析結果などにつきましては、毎年、国会報告あるいは当庁で発刊しております回顧と展望という資料等により明らかにしているところでございますし、そのほか、必要に応じて明らかにしているところでございます。

七条委員長 時間が来ておりますから。

河村(た)委員 最後ですけれども、まことに、こういう重要な問題を、国会に対する説明義務があるとは思えない。それと、そういう態度をかばう与党の態度は許されぬ。これはそもそも質問してもいいことになっておった。

 以上で終わります。

七条委員長 しばらく、申しわけないですけれども、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

七条委員長 速記を起こしてください。

 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 今回はDV法の改正ですけれども、平成十六年の改正の際に、三年後を目途に見直すということで今回の改正になったんだと思うんですが、法案改正まではマスコミも注目するし、また国会の我々も非常に関心を持つんですけれども、のど元過ぎればというわけではないんですけれども、法案が通ってしまうと、実際には、法案には結構いいことが書いてあるし、それこそ先ほどから我が党の西村議員が質問させていただきましたけれども、会議室でいろいろ議論をして、そして通達なんかはちゃんと出すんだけれども、実際の現場の警察官の方が、いや、それは家庭内のことだからとか、例えばそんなようなことがあって、実際にはまた同じような被害が繰り返されるというようなことが非常に多いので、やはり、このDV法もそうですけれども、現場で実際事件が起きているわけですから、会議室でいろいろ通達を出されても、実際それがどこまでおりているのか、非常に疑問に思います。

 そういった点で、まず、先ほど同僚である柴山議員が質問した司法試験の件についてちょっと伺いたいんです。

 司法試験の委員になられる方に秘書課長名で、答案練習会等々には参加しないでいただきたい、この点に関しては庶務の方にお問い合わせもいただきたいというような、これは通達なのか何だかよくわからないんですけれども、司法試験の委員になられる方に対して文書が出されているんですけれども、実際、今回の慶応大学の問題は、それが守られないで、現場まできちんと情報がおりていなかったのかどうかわかりませんけれども、大学教授の方で答案練習会で教えるようなことがあったということです。

 これは長勢大臣に伺いたいんですけれども、そもそも、試験の問題をつくって出す側が、そういう受験指導とまではいかなくても、授業で実際に受験者に教えている、この構造そのものがおかしいんじゃないんですか。ですから、再発防止でいろいろなことを、先ほど柴山議員の答弁のときにもいろいろ出ましたけれども、そもそも、問題をつくる人は教えちゃいけないんだということを法定しても何の問題もないと思うんですけれども、大臣はこの点をどうお考えになりますか。

長勢国務大臣 考査委員の先生方は、試験委員会の推薦に基づいて法務大臣がお願いをしておるものでございます。

 御指摘のような御意見もあるかとは思いますが、それなりの権威を持った先生方に設問をつくっていただくということも大変大事なポイントでありますし、その方々にいわゆる授業をやめてもらうということも考えられるのかもしれませんが、現実に、大学のあり方、講義のあり方等々にどういう支障があるかというようなこともあって、今までこのような形で進められてきたものと思っております。

 今回、事件もありましたので、そういう点も含めて試験委員会において、再発防止の観点からどういうことを考えなければならないか、検討いただいているところでございますので、その検討を見守っていきたいと思っております。

高山委員 この司法試験の問題もそうなんですけれども、やはり、法律の趣旨や理念はわかるんですけれども、現実にはそういうような採点をする先生方がなかなかいないものだから実際こういうふうになっているんですよとか、そういうことがちょっと多いんですよね。

 だから、これはDV法も一緒だと思うんですよね。現実には、いろいろな問題があるのはわかっているし、法案では随分踏み込んだことまで書きました。しかし、実際には、現場の警察官が家庭に入るのはなかなか難しいだとか、そういうことになっているので、これでDV法の趣旨が本当に貫徹されるのか非常に疑問なので、もう一つそれに関連して伺いたいんです。

 こういう法務省の方で作成されているDVDがあるんです。きょう、これは資料で皆さんの方にもお配りさせていただいておりますけれども、これは、義家弘介さんという、何かヤンキー先生として有名なというようなことが書いてあるDVDが作成されて、また、法務省保護局という肩書の紙で、第五十七回社会を明るくする運動を七月一日からやってくださいというようなことで強化月間がありまして、その中に、このビデオを活用してくださいというようなことが書いてあります。それを受けて私もいろいろインターネット等で見ましたら、いろいろな市でこのDVDの上映会であるとか、こういったものが随分活用されているようなんですね。

 それで、私も七月、ちょうど地元の浦和を通りましたら、この社会を明るくする運動ののぼりを立てて、皆さん熱心にやられていました。この法務省保護局の、これは何でしょうね、通達かどうかよくわからないんですけれども、実施要項と書いてありますけれども、実施要項どおり、皆さん非常に熱心にやられているわけなんですね。

 このままですと、この義家さんという方、私、この間報道でも見ていますし、これはもう皆さん周知の事実だと思うんですけれども、参議院選挙に全国比例で出られる方ですので、この人のビデオを法務省の指示で全国で上映するというのは、特定の候補者に法務省が随分肩入れしているなと思われても仕方ないような状況だと思うんですね。

 こういう選挙運動はどうなのかなと思っておりましたら、その後、通達というんでしょうか、また何か出ております。これは、六月二十五日付、保護局の振興課長名で出されている文書なんですけれども、この取り扱いについては誤解を生じないように注意してほしいというような文書を出されているわけです。

 先ほどからもいろいろ議論になっていますけれども、DV法もそうなんですけれども、やはり、先ほどから警察庁の方が、会議でこういうことを言っておりますですとか、通達を幾つ出しております、実際それが本当に下まで落ちているのでしょうか。

 あるいは、このDVD、特にこの義家さんの選挙運動に関しては、本気でとめる気がなくて、しようがない、しようがないということで、なし崩し的にこの上映を許してしまっているような状況があるのではないかなと思って、大臣がこれに関してどの程度危機感を持っているのか、また、法務大臣として、選挙違反にもなりかねない、特定の候補者を応援するような、しかも法務省が後押ししている、こういう事態に関してどのような対策をとられているか、当然このDVDの回収命令等を出されていると思うんですけれども、DVDを回収されたかどうかも含めて御答弁ください。

長勢国務大臣 御指摘の広報用ビデオは、法務省が主唱して実施しております社会を明るくする運動の一環として、広く国民に理解を求めるために毎年作成しておるものでございます。

 今回のビデオは昨年中に作成したものでございまして、おっしゃるように、この義家さんが立候補するということは全くわからないというか知らない段階でつくって、これを活用しようとしてきたところでございます。

 ただ、御案内のように、立候補されるということになりましたので、当方としては、今先生御指摘のような誤解を招かないように、広報用ビデオ及び説明用パンフレットの活用はしないこと、行事が予定されている場合には他のビデオを活用するなどの代替措置をとることを指示する通知を発出したものでございます。ぜひ、その点は御理解をいただきたいと思います。

高山委員 大臣、このDVDは回収していないようですけれども、回収していない理由は何ですか。

長勢国務大臣 現時点では回収をしていないようでございますが、検討させていただきます。

高山委員 DV法の質問に入ります前に、大臣、前回も裁判員制度のDVDの件で、非常に不適切だというふうに御自身でも認めていらっしゃいますけれども、このDVDも、代替措置をとるようにとか、そういうなかなか実施しにくいような通達というか課長名の文書を出しておいて、事実上このビデオをどんどん国費でつくって配って、この方の選挙運動になっているじゃないですか、義家さんの。

 本当にこういう問題は非常に不適切だと思いますけれども、時間がないので、今ので思い出しまして、大臣の非常に不適切な事例が多いので、もう一つ伺いたいんです。

 まず、大臣が代表を務められています自民党の富山第一総支部というのがあるんですけれども、これは総務省に伺います。自民党の富山第一総支部で、過去三年ぐらい、事務所費がどのように計上されているか、教えてください。また、同じように富山県にある長勢先生関連の団体、これが六つほど、私の方で事前に通告してありますので、これの事務所費についても、どういう届け出がされているのか、確認されたのか、総務省にお願いします。

久元政府参考人 自由民主党富山県第一選挙区支部の事務所費でございますが、富山県選挙管理委員会で公表しております収支報告書の要旨で確認いたしましたところ、平成十五年分が六百八十六万一千九十八円、平成十六年分が九百八十八万七千四百七十三円、平成十七年分が一千四百三十六万六千九百九十円となっております。

 それから、事前に通告をいただきました六つの団体、興論サークル、長勢甚遠を支える会、甚整会、長生医会、月曜クラブ、富山長政会、この六つの政治団体の事務所費を合計いたしましたものを各年別に申し上げますと、平成十五年が合計で二千四十一万九千五百二十円、平成十六年分が一千八百五十万二千三百九十九円、平成十七年分が一千七百六十二万四千四十円となっております。

高山委員 大臣に伺います。

 まず、自民党の富山県第一総支部ですか、これは、財団法人富山県自由民主会館というのが所有する建物に入っているということ。もう一つの、六個の政治団体は富山市太郎丸本町というところにあるわけですけれども、これで間違いないですか。それとも、事務所はほかに複数あるのでしょうか。事務所が一カ所なのか複数あるのか、これを答弁してください。

長勢国務大臣 御指摘の六団体については、御指摘の一カ所でございます。

高山委員 それでは、総務省に伺います。

 この富山第一総支部で、家賃は、政党交付金の使途報告書で幾らというふうに記載されていますか。

久元政府参考人 自由民主党富山県第一選挙区支部の政党交付金使途等報告書を確認いたしましたところ、平成十五年分、平成十六年分、平成十七年分、これは同じ金額でありますけれども、家賃が毎月十六万六千円、年間が百九十九万二千円ということになっております。

高山委員 長勢大臣に伺います。

 これは年間六百万であるとか、あるいは九百九十万、千五百万近く事務所費を支出しておりますけれども、家賃は十六万しかかかっていないじゃないですか。これは適切な記載なんでしょうか、それとも何かつけかえ等があるのでしょうか、御答弁ください。

長勢国務大臣 政治資金規正法に基づきまして正確に報告しておりますので、そのようなつけかえというようなものでは全くありません。

高山委員 大臣、こんな、経常経費で一千万以上とか事務所費がかかっていて、月々十六万しか家賃がかかっていないのに、これで本当につけかえがなかったり、あるいは虚偽記載、本当にないんですか。これは確認されたんですか。

 そして、時間がないので、もう一つ伺います。

 この富山市太郎丸本町の方なんですけれども、こちら、同じところに住所がありまして、毎年毎年合計二千万近く、あるいは千八百とか千七百とか、そういう形で事務所費が計上されていますけれども、ここの事務所の家賃というのは、大臣、月々幾らぐらいなんでしょうか。

長勢国務大臣 御案内のとおり、事務所費につきましては、家賃あるいは切手あるいは電話代等々でございますが、その金額にかかわらず、その支出の目的や金額等々は記載する必要はないということが政治資金規正法の定める共通のルールでございますので、今の御質問について明らかにすることは差し控えさせていただきます。

高山委員 これは、今回DV法の質疑で、法律にここまで書いてあるから警察はここまでしかかかわれないんですよ、本当に被害を訴えている人がいても、いや、法律ではこうなっていますから、こういうような態度が私はひょっとしたら後であるんじゃないかと思って、非常に危惧しております。

 今回も、この政治資金規正法の問題で、今総務省の方からも報告がありましたように、まず長勢大臣の自民党の方の支部は、年間一千万近くずっと計上していて、家賃十六万円ですね。また、ここの六つの政治団体、合計して毎年毎年千七百万だとか二千万だとか計上。だから、合計、毎年毎年物すごい額の事務所費を計上していながら、月々十六万とか、せいぜい二十万程度のところというふうに報道はされていますけれども、家賃を払っているだけだ。そうすると、使途不明金とまでは言いませんけれども、かなり巨額の事務所費がなされている。

 今まで、安倍内閣の体質そのものをあらわすような、この半年間いろいろ事務所費問題がありましたけれども、法務大臣までもが同じような事務所費問題を抱えていて、また、法律がこうだから答弁は差し控えたいと。本当にこういったことが私は適切なのかどうかわかりませんが、今、質疑時間が終了したということですので、終わります。

七条委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 ちょっと法律名が長いので、簡単にDV法というふうに省略させていただきたいと思いますけれども、DV法というのは、家族の問題について法がどうかかわるかという基本的な問題を含んでいるというふうに思います。

 ただ、家族の問題といってもいろいろな視点があるわけでありまして、この法務委員会でも、少年法の審議等を通じて、家庭の中で子供に対してどう向き合うのか、あるいは子供が家庭にどういう影響を与えるのか、そういうことは考えてきたわけであります。

 そうやって考えてみると、何でこのDV法は配偶者だけの問題を取り上げており、あるいは児童虐待法は児童の視点だけをとらえているのかという基本的な構造について、私は若干疑問を持っているんですね。家族の問題、家庭の問題であるならば、それは総合的に考えてみたらいいんじゃないかという視点を持っているわけです。

 そういう視点でちょっとお聞きしたいんですけれども、DV法の、被害者というふうに定義されていますけれども、被害者の発生状況と児童虐待の発生状況、そしてその両者の関連というものについてはどのように政府としては考えているのか、この点についてお答えいただきたいと思います。簡潔にお願いします。

松野大臣政務官 平成十七年度のDVセンターにおける相談件数でありますけれども、延べ五万二千百四十五件であり、DV法が完全施行されました平成十四年度と比べますと約一・五倍になっております。

 また、平成十七年度の児童相談所におきます児童虐待の相談対応件数は実数で三万四千四百七十二件であり、平成十四年度と比べると約一・五倍となりまして、双方とも伸びている状況であります。

 両者の件数の伸びにつきましては直接的な関連があるとは言えませんけれども、いずれも家庭内において生じる被害でありますし、母子生活支援施設に入所しているDV被害者を対象とした調査では、約六割の子供に対しても直接の虐待があったとの報告があります。このことから、DV被害のあった家庭で子供がいる場合は、同時に児童虐待が生じている可能性を考えて対応することが適当と考えております。

平岡委員 今、私の問題の視点と同じような視点で答弁をいただいたわけであります。

 それでは、現在は法律が分かれているわけでありますけれども、そういう状況の中でも、DVと児童虐待が同時発生しているという疑いのあるケースというのは多いと思うんですね。そういう場合、具体的には、これは関係機関が違っているわけでありまして、どういうふうに連携をとりながら活動しているのか、その点についてどうなっているか、お答えいただきたいと思います。

松野大臣政務官 委員から御指摘がありましたDVと児童虐待が同時に発生している場合、どちらの加害者も夫であったときは、一般的には、まず婦人相談所において妻と子供を夫から引き離し、一時保護を行うことが想定されます。その場合、必要に応じて子供に対しては心理療法担当職員が心理的ケアを実施することになります。

 また、DV被害者である母親自身が子供に対して虐待をしているケースがございますけれども、この場合は母子分離が必要となり、児童相談所が子供について一時保護を行い、必要に応じて児童相談所のスタッフが心理的ケアを行うことになっております。

 このように、子供がいるDV被害者の場合には、児童虐待の可能性を念頭に置きながら、都道府県等の婦人相談所と児童相談所が緊密な連携を図りつつ、妻と子供の安全を図っていくことが重要と考えております。

平岡委員 緊密な連携という意味では、法律が分離していることの問題点が具体的に今発生しているわけじゃないのかもしれませんけれども、本来、総合的に法律を考えていくということについても、私は将来的な課題であろうというふうに思っております。

 そして、ちょっと次の話に行きますと、DVについても、発生した後にどう対応するかということも非常に重要な課題として議論されているわけでありますけれども、そもそもDVが発生しないというようなこととして、政府としてはどういう対策を講じているのか。この点については、内閣府と法務大臣ということで何か答弁をされるようにお聞きしたので、両者からお聞きしたいと思います。

谷本大臣政務官 ただいま平岡委員の方から、配偶者暴力の予防に対してどういう対策を講じているかという御質問をいただきました。

 配偶者からの暴力の発生を防ぐためには、まず、配偶者からの暴力は犯罪となる行為を含む重大な人権侵害である、このことの認識を広く社会に徹底することが重要であると考えております。

 内閣府といたしましては、関係省庁と連携いたしまして、例えば毎年十一月の十二日から二十五日までの二週間、女性に対する暴力をなくす運動というものを行っておりますが、こういうものを初めとして広報啓発活動を今推進しているところであります。

 また、暴力の被害者及び加害者になることを防止する観点からは、若年層を対象とした予防啓発プログラムを開発することを目的にして調査研究を行っているところであります。

 政府としては、配偶者からの暴力の防止及びその被害者の保護、自立支援は極めて重要な課題と考えており、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律に基づき、今後とも施策の充実に努めてまいりたいと考えております。

長勢国務大臣 このDV法の第二条の二によりまして、DVの防止及び被害者の保護のための施策に関する基本方針が定められておりますが、これに基づいて、法務省におきましては、人権擁護機関におきまして、被害者からの相談を受け付ける、また、人権侵犯事件については速やかに救済手続を開始するなどの対応をするほか、これが重大な人権侵害であることを周知するために、積極的な啓発活動を行っております。

 また、保護命令制度を実効的なものとすることも重要でありますので、検察当局において、保護命令違反事件を含めて、DVに係る刑事事件について、警察等とも連携をして、所要の捜査を遂げた上、適正な処理に努めておるというところでございます。

 今後とも、法の趣旨を踏まえて、配偶者からの暴力の根絶に一層努めてまいりたいと考えております。

平岡委員 私は、DV法にしても児童虐待法にしても、基本的な問題というのがあると思うんですね。何かというと、公権力が家族とか社会にどうかかわるべきなのか、これは基本的な問題だと思うんですね。最後に南野提案者にその点はお聞きしようと思います。その前に、公権力と家族、社会がどうかかわるべきなのか、かかわるべきでないのか、この点について幾つかの例を挙げて議論をしてみたいと思いますので、最後に南野提案者に戻しますから、よろしくお願いします。

 まず最初に、共謀罪の創設なんですね。共謀罪の創設は、関係の条約刑法というものはこの国会も継続審議になっておって、これは、ここまで公権力がかかわっていいのかというのが私どもの基本的な観点でありますけれども、今国会は残念ながら何らの審議もされていない、こういうことであります。

 他方、与党の方では、これまでの政府や与党修正提案者の答弁の内容とは全く異なる立場に立って、抜本的な見直し案を検討しているということも聞いております。この際、そういう状況であるならば、既に提出している政府の提出法案というものは取り下げて、出直すべきじゃないかというふうに思うんですけれども、法務大臣、いかがですか。

長勢国務大臣 国際組織犯罪防止条約でございますが、既に世界の百三十三カ国が批准をしており、G8では我が国だけが未批准という状況でありまして、早急にこの条約を批准するということが急務となっておる。ただ、この条約の実施を担保する国内法が成立をしていないという状況でございますので、早急に批准できるようにしていただきたいというふうに考えております。

 自民党の小委員会において、いわゆる条約刑法を速やかに成立させるために、いろいろな修正案の検討をする作業が行われてきたと理解しておりますが、今申しましたように、この条約を批准する、そのための法案を成立させるということは、これから国際社会と協調して、麻薬、テロなどの組織犯罪を防止し、これと戦うために極めて大きな意義を有するというふうに思いますので、これを取り下げるべきものだとは考えてはおりません。ぜひ、この法案をできる限り早期に成立させていただきますように、よろしくお願いしたいと考えております。

平岡委員 今の大臣の答弁でいくと、みずから取り下げるつもりは全くないと。この後、継続審議の件について採決をして、我々はそれに反対するつもりでありますけれども、こういう状況の中で、政府があくまでもこの成立を目指すということは、今回の参議院議員選挙、本当に大きな争点にしなければいけない。自民党のあれを見たら、全然、共謀罪とか一言も書いていないですよね。それは本当におかしいなと思いますね。これは政府に言う話じゃないかもしれません、自民党に言うべき話なのかもしれませんけれども、何かごまかしている。

 共謀罪というのは本当に問題の多い法案だけれども、ちょっと頭を今引っ込めておいて、選挙が終わったら出そうというような魂胆が見え隠れている、そういうような状況というのは非常におかしいと私は思いますね。堂々と、本当に必要性があるというなら、自民党の参議院の政策の公約の中にしっかりと掲げたらいいじゃないですか。それが行われていないということは、本当に国民をごまかすような状況が生じているというふうに言わざるを得ないと私は思います。

 そこで、今、この条約刑法については、もととなる条約についての批准を早くしたいというふうに言っておられるわけでありますけれども、今の日本の法体系から見れば、銃器に関する規制法であるとか、サリン等の毒物についての管理をする法律だとか、いろいろな法体系がそろっていて、私は十分に、この関係条約の批准、今のままでもできるというふうに思うんです。

 まず、そこについては、ある程度、一部については留保は必要かもしれませんけれども、現行法の日本の体系でできるということでいいと私は思うんですけれども、外務副大臣が来ておられるので、その見解をお聞きしたいと思います。

浅野副大臣 国際組織犯罪防止条約は、重大な犯罪の謀議または参加を犯罪とすることを義務づけているのは御承知のとおりであります。ところが、我が国の国内法には、一部の犯罪を除いて、犯罪の共謀を処罰する規定はございませんし、その上、また、組織的な犯罪集団の活動への参加を処罰する規定も存在しておりません。したがって、現行法の規定だけではこの条約の要求を満たしておりませんので、現行法のままでは締結することはできないと考えております。

 その判断の上に立って、いわゆる条約刑法について当委員会での御審議を賜り、できるだけ早い機会に成立させていただくことを願っております。

長勢国務大臣 今副大臣から御答弁のあったとおりでございまして、何らの法整備も行わないままで、つまり、現行法のままで条約を批准することはできないと考えておりますので、ぜひ条約刑法について早急に成立させていただくようによろしくお願いしたいと考えております。

平岡委員 非常に残念な答弁でありますけれども、時間がないので。

 DV法にとって、本当に重要な役割を果たすのが司法ということでありますけれども、先ほど来からも、司法試験の問題の漏えいの話があります。それらの議論を踏まえて、確認したいことが二つほどあります。

 一つは、まず、植村教授が考査委員を解任されたというふうに報道されているんですけれども、解任の理由というのは一体何なんでしょうか。

長勢国務大臣 この事件に関しまして、本人及び関係者から事情聴取等を行いましたが、調査の結果、当該考査委員については、平成十九年二月五日ころから三月十九日ころにかけて、慶応義塾大学法科大学院の三年生と修了生の新司法試験受験者を対象に、七回にわたり学内で課外の答案練習会を行うとともに、本試験実施直前に同大学院の新司法試験受験者に対し、本試験の論文の解答を試験直後に再現すれば、それを採点してあげるとのメールを送るなどしていた事実が判明をいたしました。

 このような行為は、考査委員として司法試験の公正さに疑いを抱かせかねない行為でありますので、この者を考査委員にとどまらせるべきではないと考え、解任をしたものでございます。

平岡委員 今ので確認したいんですけれども、試験問題の漏えいがその解任の根拠になっていないということでいいんですね。

長勢国務大臣 試験問題を漏えいしたという事実は確認しておりません。

平岡委員 現在、法務省の方から考査委員に対して、答案練習会等の受験指導をしたことはないかということについての報告の徴求をしているというふうに聞いておりますけれども、仮に、これで答案練習会等をやっていれば、試験問題の漏えいいかんにかかわらず、同じように解任を求めていくということでいいんでしょうか。

長勢国務大臣 御指摘のように、現在、全考査委員に対して、試験の公正さに疑念を抱かせかねないような行為をすることのないよう、さらに注意を促すとともに、考査委員任期中、勉強会、答案練習会等の受験指導をしたことがないかの報告を求めているところでございます。その結果を踏まえて、試験の公正やその信頼の確保のために適切に対応してまいるという方針で、今調査を進めておるところでございます。

平岡委員 今、我々の党にも、それから当局の方にも、いろいろな試験問題の漏えい問題について指摘がされているんですよね。ある意味では、今の解任理由なんかを考えてみても、漏えい問題が非常に軽く考えられているのではないだろうかというような疑惑もあるんですよね。そういう意味においては、私は、もっと徹底して漏えいの問題についても力を入れて調査をすべきだということをまず要請しておきたいと思います。

 ちょっと時間がないので、受験生の問題。

 これは、先ほども柴山議員が質問されたことに対して、試験問題の漏えいというのが採点にどのぐらいの影響を与えるのかということについて、専門家の立場である考査委員に検討をお願いしているんだ、それからその対応を考えるんだというような答弁がありましたけれども、そう言われても、今受験生の人たちは非常に疑心暗鬼になっているという状況ですよね。

 一体、その調査の結果として、検討の結果として、どこからどこまでの幅があり得るんですか。再試験をするという可能性もあるんですか。それとも、問題の該当箇所の質問については配点ゼロというような形での対応をするということがあるんですか。一体どこからどこまでの幅があるのか、この点について、受験生の皆さんにある程度の法務省としての方針を示していただきたいと私は思うんですけれども、お願いできますか。

長勢国務大臣 受験生の方々に不安または心配をおかけしていることは申しわけないことだと思っております。

 今、考査委員において、専門的な立場から今御指摘のような問題を検討していただいておりますので、今予断を持ってこういう方針でいくということを申し上げる段階にはございません。その検討結果を踏まえて適正に判断をしていきたいと思っておりますので、今申し上げる段階ではございません。

平岡委員 私は、具体的にこうだということを今言えというんじゃなくて、制度の仕組みとして、ここからここまでの幅の対応があり得るんだということをできるだけ早く受験生に示すべきだということを言っているんですね。

 大臣は答えられないようで、何かいろいろうなずいているので、官房長、ちょっと答弁いただけますか。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の問題は、委員御指摘のとおり、試験問題そのものが漏えいされたというものではなく、かねてから、考査委員に就任するに当たりましては、司法試験委員会の方から……(平岡委員「いやいや、だから、問題の漏えいについて、受験生に対してはどういうことになるのかを聞いているんだから」と呼ぶ)はい。答案練習会等の受験指導をしないよう要請していたにもかかわらずこういう事態が生じたということに対してとられた措置でございます。

 さらに、今回の問題が受験生に与えた有利さ、不利さというのを、直接の漏えいではございませんけれども何らかの影響があったかもしれないという観点から、それぞれの科目の専門家であられる他の考査委員の先生方に御検討をお願いし、それによって適切な措置が講じられるだろうと考えております。それで、その結果については当然のことながら御報告申し上げることになろうというふうに考えているところでございます。

平岡委員 これだけ大きな問題になっていても、全くその部内でしっかりとした検討が行われていない。こういう問題についても、このDV法の審議の中で、公権力と社会のあり方とか、DV法における司法機関のあり方とかというような話題じゃなくて、正面から議論する時間はやはりちゃんととるべきだというふうに私は要請しておきたいと思います。

 もう一つ、やはり公権力のあり方の問題として、例の朝鮮総連の中央会館の問題でありますけれども、この問題について言えば、もともと金融機関から、いわゆる朝銀と言われているものですね、朝銀において生じた不良債権というのが一兆三千億円あって、このうち預金保険機構で一兆一千億円の金銭贈与が行われて、残りは二千億円でRCCが買い取った、こういうことでありますけれども、そういう状況の中で、朝鮮総連に対しては六百二十八億円の債権が裁判で確認されたということであります。

 この会館については、大体ちまたで言われているのは三十五億円ぐらいの価値であろうということなんでありますけれども、多額の公的資金が投入されているこの問題について、RCCは一体どういう方針でこれから債権回収を図っていくのか、この点について当局のお考えをお示しいただきたいと思います。

大村副大臣 お答え申し上げます。

 朝鮮総連向け融資につきましては、借入名義人が朝鮮総連関係者の個人名や団体名等になっておりますので、RCCは、個々の債権ごとに朝鮮総連に対して債務承認を求めまして、債務承認が得られた債権六百二十八億円について貸し金返還請求訴訟を提起したというふうに承知をいたしております。

 これにつきましては、委員も御案内のように、去る六月十八日に東京地裁で勝訴判決が出て、そしてそれを踏まえまして、朝鮮総連中央本部の所在する不動産につきまして、六月十九日に処分禁止の仮処分の申し立て及び六月二十五日に強制競売の申し立てを行ったと承知をいたしております。

 今後の債権回収に向けた具体的な対応につきましてはコメントを差し控えたいと存じますけれども、RCC及び預金保険機構におきましては、今般の判決も踏まえまして、引き続き最大限の回収努力を行っていくものと承知をいたしております。

平岡委員 そういう姿勢で本当に六百二十八億円の回収ができるのか、ある程度の回収見通しというものもなければいけないんだろうと私は思うんですよね。

 この三十五億円があったとして、ほかにはどんなところにあるんですか、回収余地は。

大村副大臣 これは、委員も御案内のように、東京地裁でまず勝訴判決を得たわけでございます。六百二十八億円のうち一億円は一部回収いたしまして、六百二十七億円について勝訴判決を得たところでございまして、それに基づいて、先ほど私が申し上げました、その回収のためのいろいろな手続を今進めさせていただいております。そういうことをやりまして、この回収につきましては全力で取り組んでいく、こういうふうに承知をいたしております。

平岡委員 預金保険機構にしてもRCCにしても、財産調査権というのがあって、それなりにできる仕組みになっているんですよね。そういう状況にありながら、できるだけやりますというのでは、全くわからないですよね。こういうところにある程度の財産を追及していく可能性があるんだということぐらいは、私は当局としても持っているんだと思うんですけれども、それを答えられないというのは、一体何をしているのか、この国会の質疑に対して、本当に我々をばかにしたような答弁になっているというふうに思いますよ。それはやはりしっかりと答弁していただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間がないので、公権力の最たるものである検察庁の問題、それから公安調査庁の問題に入っていきたいと思いますけれども、どうも最近見ていると、いろいろな案件で、検察庁が意図的な捜査着手を行ったり、あるいは意図的に捜査終了を行ったりしているようなケースが目立っているんじゃないかというふうに私は思うんですよね。先ほど来議論した朝鮮総連の問題についても同じようなことが言えるだろうというふうに思います。

 そこでちょっとお伺いしますけれども、この前三人が逮捕されたということでありますけれども、逮捕容疑は詐欺罪だったそうですね。その前に、六月の十三だったか十四だったかの日に緒方弁護士のところに家宅捜索に入ったというふうに報道されていますけれども、この容疑は一体何だったんですか。

 これについては、検察庁は答えられないと常に言うので、公安調査庁、緒方元長官からいろいろ話を聞いていると思うんですけれども、どういう容疑で家宅捜索を受けたというふうに報告を受けているか、この点について御答弁いただきます。

柳政府参考人 緒方元長官からは当庁におきまして本件に関し話は聞いているところでございますけれども、何罪の嫌疑で捜索を受けたと言っているかにつきましては、当庁の調査の具体的内容にかかわる事柄であります上、現在東京地検において捜査中でありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

平岡委員 捜査にかかわると言ったって、あなたは捜査当局じゃないでしょう。捜査当局がそう言うのなら私はわかりますけれども、捜査を受けている側が何罪で家宅捜索を受けたとかが言えないというのは、そんなばかなことはありませんよ。もう一遍ちゃんと答えてください。

柳政府参考人 行政機関におきましては、行政調査と刑事事件の捜査が競合する場合がございますが、こういった場合におきまして、一般的には、刑事事件の捜査に配慮いたしまして、行政調査の内容につきまして答弁を差し控える場合も多いものと私どもは承知しております。

平岡委員 本当に、今のような答弁が行われるような状況の中で、私は、公権力がこれ以上社会とか家族の中に入ってくるということに対して、ある意味では恐ろしいものを感じますよ。そういう意味で、もっとしっかりとした答弁をして、もっと明らかにしていただかなければならない。我々は公権力の行使についてやはりしっかりと監督をしていかなければいけない、監視をしていかなければいけないという立場にあるということを、私は強く申し上げたいと思います。

 そこで、今回、公安調査庁について言えば、元長官がこういう事件にかかわったということで逮捕までされてしまったということで、私は、本来公安調査庁が行っている業務について非常に大きな影響を与えるんじゃないかというふうに思うんですね。

 今回の事件が朝鮮総連の活動にどのような影響を与えたと公安調査庁は見ているのか、この点について、長官、答弁いただきます。

柳政府参考人 朝鮮総連の組織内部におきましては、今回の事件や中央会館をめぐります裁判結果などを受けまして、許宗萬責任副議長を初めとする中央幹部への不満あるいは批判が出ているなど、動揺も生じておりますことから、総連指導部の求心力が弱まり、組織離れなどがさらに進むものと見られます。他方で、それに危機感を抱いております活動家らにおきまして、組織防衛に向けた意識が高揚する側面もあると考えております。

 したがいまして、当庁では、今回の事件が総連の活動にどのような影響を与えるのかなどにつきまして、今後も引き続き、注意深く、その推移などにつき調査を進めてまいりたいというふうに考えております。

平岡委員 時間がないので、最後に南野提案者に質問させていただきます。

 先ほど予告しましたように、南野提案者は、かつて法務大臣も経験された、この分野についてもそれなりの経験もお持ちの方であります。公権力と家族とのかかわりというものについては、私は、公権力というのはやはりそれなりの節度を持っていなければいけない、こういうふうに思うんですけれども、このDV法あるいは今回の改正法において、その点について南野提案者はどのようにお考えになっているのかということについて御答弁いただきたいと思います。

南野参議院議員 先生お尋ねの公権力という問題でございますが、それの行使に当たりましては、やはり抑制的に働くものだというふうに思っております。家庭には法は入らないというような概念のもとで物事が進んでいるというように聞いておりますけれども、DV法の被害の実態ということにつきましては、生命身体への危害というところに大きなポイントが当たるわけでございますので、その問題点に対しましては、やはりそういう力が入らなければ困るというふうに思っているところでございます。

七条委員長 時間が来ております。

平岡委員 これで質問を終わりますけれども、きょうこの審議をするに当たって民主党はどういう対応をされるのかということで、参議院では賛成いたしましたから、賛成する方針でありましたし、今回の委員会の質疑を通じて特に大きな問題がなければ、我々としても賛成したいというふうに思っております。

 今までの審議を通じて、公権力についての考え方、特に私は南野提案者が言われたことで基本的には問題ないと思いますので、この法案についても賛成をさせていただきたいというふうに思います。

 どうも御苦労さまでした。

七条委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 まず冒頭、法案に先立って、昨日、久間大臣が辞任しました。私も原爆症認定訴訟についてこの委員会で何度か大臣と議論させていただきましたが、原爆投下に対する発言を受けての辞任だったというふうに受けとめていますが、長勢大臣はどういうふうにこの久間大臣の辞任、発言を受けとめたのか、答弁をしていただきたい。

長勢国務大臣 広島、長崎に原爆が投下された、そういうことによって我々の同胞が何十万も悲惨な死を迎えるということは、非常に許しがたいことであります。

 そういう観点から我々は核廃絶に今全力で取り組んでおるわけでございますが、そういう中での久間大臣の御発言は極めて不適切であったというふうに思いますし、その旨、久間大臣におかれても、謝罪、反省をされておるというふうに承知をしております。

保坂(展)委員 極めて許されないことだということでしたが、久間大臣は、しようがないかな、こういう言葉で大変憤激を呼んだわけです。誤解を与えたとおっしゃっていますが、発言自体は撤回されていないようですけれども、これは、核廃絶の決意ということを踏まえるならば、原爆症認定訴訟についても真摯に向き合っていただきたい。

 大臣、いかがですか。

長勢国務大臣 当然、真摯に向き合った中で、制度の内容を踏まえた議論を今しておるというふうに理解をしております。

保坂(展)委員 続けて、参議院の南野提出者に伺いたいと思います。

 私も、二〇〇〇年に児童虐待防止法を与野党すべての会派で一緒に提案するという経験をしまして、今回そして前回と、二回にわたる見直しの、かなり充実した議論をさせていただきました。

 今回、参議院の会議録を見ますと、いわゆる超党派の草案という形にならずに、与党PTという形になったと。南野さんは超党派の気持ちでというふうにおっしゃっているんですが、気持ちが形にならなかったのはなぜなのか。

南野参議院議員 このDV法の最初のスタートは、参議院の中に特別調査会というものがございました、親会がありましたので、そこの親会から理事をつくりまして、その理事のメンバーでこれに取り組んだというような経緯がございますので、スタートから超党派で取り組むことができたわけでございます。

 でも、このたびの場合には、参議院で親会がございません。みなしごになったわけでございます。それに、三年間の規定が設けられておりました。そういうところで、私、この役割をとらせていただくべく、この問題の検討を進めたわけでございます。

 先生がおっしゃるように、与党PTを立ち上げさせていただき、検討させていただきましたが、最終的には野党の先生方も一緒に、これでどうですかというような話し合いはとらせていただきました。

 そういう意味で、私の心は超党派でございますと申し上げたところでございますので、親会がなくなったところでの議員立法ということでございます。そういう意味で、法務委員会で委員長提案の議員立法としてお取り扱いをお願いしているところでございます。

保坂(展)委員 今回の見直しで、脅迫行為も含めて、あるいは電話等の通信禁止、幅を広げられた。他方で指摘されているのが、同居中の交際相手、こういうことについては対象に入れていない、これは課題じゃないかと言われていますが、どうして入らなかったんでしょうか。

南野参議院議員 先生おっしゃる同居中の交際相手というふうになりますと、定義がなかなか難しゅうございます。それがどなたなんですかというようなことにもなってまいると思いますので、そこら辺を今我々は、検討不十分であったというところでございますので、それが多くの方の御意見であるならば、また検討し、考えていかなければならない課題だと思っております。

保坂(展)委員 寺田民事局長に伺いたいんですけれども、家族の中で起きてくる暴力ということについて、このDV法の改正があるわけですけれども、例えば脅迫行為に相当する言葉の暴力、十条に規定している被害者の生命身体に対して害を加える旨を告知してする脅迫、これはどういうことを指すのか、そこの境界領域とは一体何なのか、述べていただきたいと思います。

寺田政府参考人 この法十条に規定されております、「被害者の生命又は身体に対し害を加える旨を告知してする脅迫」、私ども政府側といたしましては、これを刑事上の罪である脅迫罪と基本的には同一のものと解しておりまして、ただし、対象が限定されておりまして、告知の内容が生命身体に対して害を加える旨だということでございます。すなわち、相手を畏怖させるに足りる害悪の告知がされるということではございますが、加害の対象について生命身体に限定されている、こういうことでございます。

 ただし、具体的にどういう行為がこの脅迫に当たるかということは、家庭の具体的な状況を想定いたしますと、なかなか難しいところがあることは否定しがたいところでございまして、文脈にもよりますし、その御家庭の状況、それぞれの環境を総合的に判断して、最後は裁判所が、これならば脅迫に当たる、害悪の告知に当たる、相手を畏怖させるに足りる、こういう判断をされるというように私どもは理解をいたしております。

保坂(展)委員 今回の国会で、児童虐待防止法では、都道府県知事からの呼び出し命令に従わない親について、児童の安全確認のために裁判所から令状をとって児童相談所が手続をするというような制度が新たにつくられました。

 他方で、この児童虐待防止法に限らないと思いますけれども、親権、例えばドイツなどでは親権の段階的な停止というふうになっていますが、親権にさわれないというのが法務省民事局の一貫した、これはかなり保守的な見解でございまして、親権の一部停止というところになかなか踏み込めない。二〇〇〇年から三回の見直しがあったけれども、ずっと踏み込めないできました。これについて、もちろん児童虐待防止法に対応するだけの親権ではなくて、マルチに親権というものは存在をするわけで、やはりここらの抜本的な見直しや改正が必要なんじゃないかというふうに思います。

 寺田民事局長におかれましては、私はミスター法務省と思ってきたんですが、ちょっとうわさで聞くと、どうやら裁判所の方に戻られるということで、長年法務省におられたということで、もしかするとこれが最後の答弁になるかもしれないということを踏まえて、この親権、しっかり見直していただきたいということで、寺田局長に答弁をしていただきたいと思います。

寺田政府参考人 この法案に限らず、家庭の問題というのは非常に難しいところがあるわけでございまして、全体をつかさどっているのはおっしゃるような家族法でございますけれども、家族法については、家族のあり方、これは現状もそうでございますし、考え方もさまざまございますので、いろいろと検討していかなきゃならないところはもちろんあるわけでございます。

 ただ、今おっしゃられました親権について申し上げれば、委員は、非常に保守的に、一本もさわらせないようなことを法務省は言っているというふうにおっしゃいましたけれども、私どもの真意はそういうことでは決してございません。親権の停止ということが、例えば児童虐待が行われていた際に、概念をどう構成するかは別といたしまして、親権が制限されるべき状況があることは十分に認識しておりまして、それは、そういうふうな法的な構成が必要だとは思うわけでございます。

 ただ、それを、ただ親権を停止する、あるいはなくしてしまえばいいのか、あるいは、もっと総合的な子供の具体的な処遇のあり方の中で、親権というのが、反射的にと申しますか、結果的に制限される、これは、ドイツにおいてはそういう制度がとられているわけでございますけれども、そういう制度としてむしろ生かしていくべきなのか、いろいろなお考えが恐らくあるだろうと思います。

 そういう意味で、民法の親権に直接さわる、あるいはそれについて規定を置くだけでいいということの反対的な意味で、親権についてだけ検討するのはむしろ適当ではないという意味で、私どもはいろいろ申し上げているわけでございます。

 しかし、この問題についても、おっしゃるように、現状を決して、十全だ、全く見直しが必要ないというふうに思っているわけではございませんので、これからもいろいろ、今回の法律案の附則の検討条項等も十分に意識しつつ検討させていただきたい、このように思うわけでございます。

保坂(展)委員 児童虐待防止法、DV法、そして高齢者虐待防止法、家族法の抜本的な改正も視野に入れて、この親権の問題もしっかり整理をしていただくべく、ぜひ後進の方にしっかりと伝えていただきたい。二十六年間法務省におられたそうで、御苦労さまでございました。

 続けて、裁判所広報費問題で、小池経理局長に来ていただいていますが、ことしはどうなんだろうかということについて、少し書類を出してもらったら、また予算はふえていますよね。今、約七億円のメディアミックス事業が進行中でございますが、応募企業は何社でしょうか。その中に、株式会社電通や廣告社という会社は入っているんでしょうか。

小池最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、いわゆるメディアミックスという企画につきましては、現在進行中でございます。今、応募企業は十三社ございます。その具体的な会社の名前は、この企画競争という事柄からして、お名前を挙げるのは御容赦いただきたいと思います。ただ、広告業界の有力な企業が多数御参加いただいているということでございます。

保坂(展)委員 昨晩、最高裁からいただいた、これは企画の招請書、ホームページに張ってあるものだと思いますが、この招請書の細かい企画招請説明書というのを読んでいたら、留意事項のところに、これはどういうことなのかなということが書いてありました。読み上げますと、契約に当たっては、審査の結果選定された企画書の内容すべてを採用するものではなく、また、最優秀として選定された者と必ずしも本件業務について契約しないこともある。最優秀だけれども契約しない、どうしてこういうことが書いてあるんでしょうか。

小池最高裁判所長官代理者 今の点でございますが、今回、企画の選定に当たりましては、この招請書の中に引用しております仕様書の中にいろいろ定めるとともに、委員から御指摘ありましたように、広告の関係で専門家の方、有識者から成ります検討会をつくりました。正式名称は裁判員制度広報企画評価等検討会というものでございますが、そこでこの企画等についていろいろ評価をして、そしてその点数等を上げまして、そこで点数評価はございますけれども、またこの検討会での意見等を参酌して選定をしていく、こういう趣旨と理解しております。

保坂(展)委員 日本語として全くわからぬですよ。今言われたような検討会で、最優秀として選定された者と必ずしも本件業務について契約しないことがある。最優秀なんだけれどもやらないよと。そういうことに何か合理的な説明はできますか。

小池最高裁判所長官代理者 この選定という企画段階の事柄と、それから後、契約するという事柄があります。それで、契約上において、契約を詰めていく、つまり、最優秀という認定をしても、それから契約をしていくという過程において問題が生じたときには、その業者と契約をしないことがあり得るということでございます。それはまた入札等においても同様のことがあり得るわけでございまして、それと同じ趣旨のことをこの企画競争の招請書の仕様書にも記載しているということでございます。

保坂(展)委員 これについては、最高裁は約七億円の上限額を逆に業者側に開示して、そして招請書を出してプレゼンテーションを受けているわけですね。今言われた企画評価等検討委員は、そのプレゼンテーションの場にちゃんといたんですか。

小池最高裁判所長官代理者 この検討会は八名の委員がございます。そのうち三名がいわゆる有識者、広告業界の方、それから五名が最高裁の担当部署の者でございます。

 それぞれ有識者の方には、これは六月の二十九日にプレゼンテーションを行いましたが、御案内を申し上げましたが、御都合がつかないということで、御出席はいただきませんでした。部内の者については、大方出席をいたしております。

保坂(展)委員 経理局長、この留意事項を見ていたら、ますます首をかしげる条項が三にありまして、本企画招請説明書及び最高裁から提供する資料は、企画書提出期限までに返却することとあるんですね。

 私がいただいた企画招請説明書というのは秘密文書なんですか。何でこれは返却させるんですか。おかしなことが書いてあるからというわけではないと思いますが。

小池最高裁判所長官代理者 これは、従前の取り扱いを踏襲したものでございます。

保坂(展)委員 これは、衆議院予算委員会、この法務委員会でも、この裁判員制度広報についてやりました。もう一枚もらったビデオについては、当然犯罪被害者の法廷参加のことが入っているのかなと思ったら、入っていないんですね。どうも歯車がかみ合っていない。

 小池局長、タウンミーティングの予算がありましたね、三億四千万余り。この予算は今浮いているんじゃないですか。どういうふうに使うんですか。国庫に返納するんですか、どうするんですか。

小池最高裁判所長官代理者 今御指摘のタウンミーティングとおっしゃいましたものとして、約三億四千万の予算を確保しております。

 これにつきましては、本年度は、昨年までは一般的な制度周知という形で大がかりなフォーラムあるいはミーティングというものを開いてまいりましたが、今度は、むしろ国民の皆様方は、選定手続、評議あるいは辞退事由というところでいろいろな負担感あるいは不安をお持ちのようでございますので、そういったものをきめ細かく、いろいろ問いに対してお答えしていくという、小ぶりのミーティングの場を持とうと考えております。

 これにつきましては、中央一括で調達するというのではなくて、現在、五十の地方裁判所におきまして、基本コンセプトは最高裁で示しておりますが、それぞれ企画を立てて、きめ細かい、双方向型の意見交換会ができるような企画を進めております。

保坂(展)委員 終わりますけれども、最高裁判所広報費問題は随分やりましたので、ことしに関してはかなりしっかりとやってくれているものだと思っていましたが、どうも、最優秀の者と契約するとは限らないよというようなものを出されると、どこか秘密選考主義というか、一体これはどういうものなのかなという疑問があります。

 我々はしっかりと見ておりますので、どういう経緯で、しかも、プレゼンテーションというのは十三社で、一日でされたというんですが、いわば質疑応答まで含めて二、三十分で、本当に短い時間で、七億円ですよ、七億円の税金がそんなに簡単に決まっていいのかということを強く思います。

 この点はしっかりと今後も資料を届けていただきたいということを要請して、終わります。

七条委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

七条委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

七条委員長 請願の審査に入ります。

 本会期中、当委員会に付託になりました請願は二百五十五件であります。

 本日の請願日程第一から第二五五の各請願を一括して議題といたします。

 まず、請願審査の方法についてお諮りいたします。

 各請願の内容につきましては、請願文書表で既に御承知のところでありますし、また、先ほどの理事会において御検討いただきましたので、この際、紹介議員の説明等を省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 これより採決いたします。

 本日の請願日程中

 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願十七件

 裁判所の人的・物的充実に関する請願十五件

以上の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

七条委員長 なお、お手元に配付してありますとおり、当委員会に参考送付されました陳情書は十二件、また、地方自治法第九十九条の規定に基づく意見書は二百八十件であります。念のため御報告いたします。

     ――――◇―――――

七条委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。

 まず、第百六十三回国会、内閣提出、犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をするに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次に

 第百六十四回国会、河村たかし君外二名提出、刑事訴訟法の一部を改正する法律案

 第百六十四回国会、枝野幸男君外七名提出、民法の一部を改正する法律案

 保岡興治君外五名提出、借地借家法の一部を改正する法律案

 原田義昭君外五名提出、債権管理回収業に関する特別措置法の一部を改正する法律案

 細川律夫君外二名提出、非自然死体の死因等の究明の適正な実施に関する法律案

 及び

 細川律夫君外二名提出、法医科学研究所設置法案

並びに

 裁判所の司法行政に関する件

 法務行政及び検察行政に関する件

 国内治安に関する件

 人権擁護に関する件

以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。

 まず、閉会中、委員会において、参考人の出席を求める必要が生じました場合は、その出席を求めることとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中、委員派遣を行う場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣の目的、派遣委員、派遣期間、派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.