衆議院

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第12号 平成20年5月23日(金曜日)

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平成二十年五月二十三日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 下村 博文君

   理事 倉田 雅年君 理事 実川 幸夫君

   理事 柴山 昌彦君 理事 早川 忠孝君

   理事 水野 賢一君 理事 加藤 公一君

   理事 細川 律夫君 理事 大口 善徳君

      赤池 誠章君    稲田 朋美君

      近江屋信広君    後藤田正純君

      清水鴻一郎君    七条  明君

      杉浦 正健君    古川 禎久君

      馬渡 龍治君    牧原 秀樹君

      武藤 容治君    森山 眞弓君

      矢野 隆司君    保岡 興治君

      柳本 卓治君   山本ともひろ君

      石関 貴史君    枝野 幸男君

      河村たかし君    中井  洽君

      古本伸一郎君    三谷 光男君

      神崎 武法君    保坂 展人君

      滝   実君

    …………………………………

   法務大臣         鳩山 邦夫君

   法務副大臣        河井 克行君

   外務副大臣        小野寺五典君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   法務大臣政務官      古川 禎久君

   衆議院法制局法制企画調整部長           夜久  仁君

   最高裁判所事務総局人事局長            大谷 直人君

   最高裁判所事務総局刑事局長            小川 正持君

   最高裁判所事務総局家庭局長            二本松利忠君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 井上 美昭君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    末井 誠史君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (法務省大臣官房訟務総括審議官)         貝阿彌 誠君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          深山 卓也君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    倉吉  敬君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    梶木  壽君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    西川 克行君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  稲見 敏夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 秋元 義孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           土屋 定之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           久保 公人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       鶴田 憲一君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  山下  潤君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           内田  要君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小川 陽一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         佐藤 直良君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   枡田 一彦君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  棚橋 泰文君     牧原 秀樹君

  武藤 容治君     山本ともひろ君

  石関 貴史君     三谷 光男君

同日

 辞任         補欠選任

  牧原 秀樹君     棚橋 泰文君

  山本ともひろ君    武藤 容治君

  三谷 光男君     石関 貴史君

    ―――――――――――――

五月二十二日

 少年法の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)

同月一日

 登記事項証明書交付申請に係る手数料の引き下げに関する請願(衛藤征士郎君紹介)(第二四五四号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第二四五五号)

 同(森英介君紹介)(第二五三六号)

 同(菅義偉君紹介)(第二六三〇号)

 同(野田聖子君紹介)(第二六三一号)

 重国籍容認に関する請願(岩國哲人君紹介)(第二四五六号)

 取り調べの可視化を求めることに関する請願(加藤公一君紹介)(第二六二八号)

 同(細川律夫君紹介)(第二七〇一号)

 民法改正による夫婦別姓も可能な制度の導入に関する請願(野田聖子君紹介)(第二六二九号)

 民法七百六十六条・八百十九条改正及び非親権者と子の面会交流を促進するための特別立法に関する請願(石関貴史君紹介)(第二七〇〇号)

同月九日

 選択的夫婦別姓の導入など民法の改正を求めることに関する請願(辻元清美君紹介)(第二七八〇号)

 同(森山眞弓君紹介)(第二七八一号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第三〇〇一号)

 登記事項証明書交付申請に係る手数料の引き下げに関する請願(三井辨雄君紹介)(第二七八二号)

 民法七百六十六条・八百十九条改正及び非親権者と子の面会交流を促進するための特別立法に関する請願(河村たかし君紹介)(第二七八三号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第三〇〇〇号)

 取り調べの可視化を求めることに関する請願(川内博史君紹介)(第二九〇九号)

 同(川内博史君紹介)(第二九九九号)

同月二十一日

 国籍法の改正に関する請願(仲野博子君紹介)(第三〇六九号)

 同(西村智奈美君紹介)(第三一五四号)

 同(丸谷佳織君紹介)(第三一六一号)

 同(近藤昭一君紹介)(第三一六七号)

 同(郡和子君紹介)(第三一九一号)

 同(小川淳也君紹介)(第三二一〇号)

 登記事項証明書交付申請に係る手数料の引き下げに関する請願(中川秀直君紹介)(第三一五三号)

 同(中山成彬君紹介)(第三一七六号)

 民法七百六十六条・八百十九条改正及び非親権者と子の面会交流を促進するための特別立法に関する請願(石井郁子君紹介)(第三一七七号)

 検察・警察による取り調べの全面可視化等、検察・警察捜査と刑事司法システムの適正化を求めることに関する請願(平沼赳夫君紹介)(第三一九〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 少年法の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

下村委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官井上美昭君、警察庁交通局長末井誠史君、金融庁総務企画局審議官河野正道君、法務省大臣官房訟務総括審議官貝阿彌誠君、法務省大臣官房司法法制部長深山卓也君、法務省民事局長倉吉敬君、法務省刑事局長大野恒太郎君、法務省矯正局長梶木壽君、法務省保護局長西川克行君、法務省入国管理局長稲見敏夫君、外務省大臣官房審議官秋元義孝君、文部科学省大臣官房審議官土屋定之君、文部科学省大臣官房審議官久保公人君、厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君、厚生労働省大臣官房審議官木倉敬之君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長鶴田憲一君、厚生労働省労働基準局労災補償部長石井淳子君、水産庁資源管理部長山下潤君、国土交通省大臣官房審議官内田要君、国土交通省大臣官房審議官小川陽一君、国土交通省大臣官房技術審議官佐藤直良君、防衛省防衛参事官枡田一彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

下村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

下村委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局大谷人事局長、小川刑事局長及び二本松家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

下村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

下村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。矢野隆司君。

矢野委員 おはようございます。自由民主党の矢野隆司です。

 きょうは、質問の時間をちょうだいいたしました。各党理事の先生方に改めて御礼を申し上げたいと思います。

 早速でございますが、来年の五月二十一日の裁判員制度開始まで一年を切ったところでございます。ここに来て、全国の弁護士会の中には、人材確保の面で対応が困難だとする悲観的な見通しを明らかにされる弁護士会が出てきたり、また、国民参加という制度設計に対しまして、今さらながら、言葉は悪いですけれども、素人判断でいいのかなどという論調のマスコミといいますか、新聞報道も散見されるところでございます。

 そこで、まだ一年あると考えるのか、もう一年しかないという考えに立つのか、これは解釈の分かれるところではございます。先日の二十一日ですか、鳩山法務大臣におかれましては、東京地裁の、いわゆるIT法廷を視察されたというふうに聞いております。着々と準備が進んでいるんだろうと思いますが、法務大臣に、現在の裁判員制度発足に向けての総合的な準備状況を伺いたいと思います。

鳩山国務大臣 きょうは五月二十三日で、来年の五月二十一日から裁判員制度が始まる。正確には、来年の五月二十一日以降に起訴された事件の公判ですから、早くて七月なのかなというふうには思いますが、始まることは間違いがありません。そういった意味で、あらゆる準備をしなければいけないと思っております。

 ここで、ちょっとおさらいをしておきたいんです。

 では、なぜ裁判員制度をやるかというのは、一つは、すべて国のさまざまな機関とか国の機能や権能には国民主権のもとで国民が参加をする、我々なんかは、まさしく選挙によって選ばれてここにいる、そういう意味でいうと、司法にも国民の参加が必要であろうという大原則があろうかと思います。そして、裁判員になる、あるいはなる可能性ということを国民に意識として植えつけることによって、司法と国民の距離が近づく、あるいは国民の司法に対する理解が深まるという意義があるだろうと思います。

 私は、実はびっくりしたのですが、おとといの朝刊には、裁判員制度を一年後に控えてということで、さまざまなインタビュー等が出ておりまして、最高裁の事務総長さんと日弁連の会長さんと検事総長の三人の鼎談があった。

 その中で、最高裁の事務総長さんが、プロの裁判官だけでやる裁判や下す判決には、やはり盲点があるかもしれませんということをおっしゃっているんですね。これはちょっと意外な発言だったんですが、率直にお認めになっている。つまり、その盲点をなくすために、国民の市民感覚、国民感覚というものを裁判に反映することが望ましい、こういうことなんだろうと思います。

 ただ、先生に特に申し上げたいことは、よく法教育ということが言われるが、それは文部科学省的な意味で法教育ということをこれからやっていくわけではありましょうが、裁判員制度というものが最高の法教育ではないか。

 つまり、自分も人を裁く可能性がある、そう思うこと、あるいは自分の友人が、あるいは友人の友人が裁判員になったとか、いろいろなそういう話の中で、司法への参加ということが可能性として考えられれば、やはり新聞の読み方やテレビの見方も変わってくる。そのことが最高の法教育となって、法律を遵守しようという意識が高まる。そのことによって、刑事事件に対する見方も厳しくなる。その結果、私は、犯罪が減るんじゃないか、凶悪犯罪が減るのではないか、そういう期待を実はいたしているわけでございます。

 ただ、問題は、公判前の整理手続を徹底してやって、迅速な裁判、わかりやすい裁判を心がけるということで、これからはその工夫について、検察も、もちろん裁判所も大いに研究をしてもらいたい、そう思っております。

 また、広報という意味では、あさって五月二十五日、法務省の古い建物は赤れんがでございまして、赤れんがまつりというのを行いまして、そこで模擬裁判をやったり、いわゆるキャラクターが登場して宣伝をしたりということで、これからも広報宣伝には一層力を尽くしていきたいと思います。

 これは、家とかどこかにぱっと張る四つに分かれているステッカーみたいなもので、委員の諸先生方に贈呈をいたしますので、家の門の柱にちょっと張るとか、議員であっても、自分のポスター以外にもそんなものもぜひ張っていただければありがたいと思います。

矢野委員 今大臣から、「裁判員誕生!」というステッカーをちょうだいいたしました。ありがとうございます。

 さて、この裁判員制度の導入を控えまして、検察庁においてもさまざまな取り組みを始められておる中で、いろいろこれからもされるということを聞いております。既に、地方検察庁のレベルでは、裁判員裁判については特別公判部というところが取り扱うというふうに聞いておりますけれども、今般新たに、最高検察庁の中に裁判員公判部というものを設けられるというふうに伺いました。その職務内容について、端的に教えてください。

大野政府参考人 ただいまお話のありましたように、最高検察庁におきましては、裁判員制度が円滑に実施できるよう、検察としても万全の体制で臨む必要があるということで、ことしの七月一日をもって、最高検に新たに裁判員公判部というものを設置することとしたわけであります。

 直接裁判員裁判を担当するのは、もちろん全国の地検ということになるわけでありますけれども、最高検の裁判員公判部におきましては、この裁判員裁判対象事件の捜査、公判における検察活動についての基本的な方針の策定を行い、各庁の指導に当たることを考えているということでございます。

 その中には、しばしばこの委員会でも取り上げられております、いわゆる取り調べの録音、録画の関係の指導等も含まれているというように聞いております。

 また、個々の事件におきます捜査、公判遂行についての支援なども行うということでありまして、具体的には、個別の事件、裁判員法あるいは新しい刑事訴訟法等に関しましてさまざまな照会が来たものに対する回答であるとか、あるいは個別の裁判員裁判の実施に関連する広報の実施等につきまして必要な指導助言をしていくものというように聞いております。

矢野委員 その七月から発足するという裁判員公判部ですが、このセクションで検討されるのかどうかはちょっと私わかりませんけれども、裁判員制度がスタートした後の公判において、いわゆる死体の写真につきましてはイラストにして裁判員に開示をするんだという情報が先行しておるというのか、流れておるようでございますが、現段階での検討状況というものがあるならば、教えてください。

大野政府参考人 現在最高検察庁で検討しております裁判員裁判に備えた立証のあり方の検討の中で、今御指摘のコンピューターグラフィックスの活用といいますのは、いわゆる法医鑑定の的確でわかりやすい立証の仕方ということで検討されているものであります。法医学者の参加を得て検討会を開催しているということであります。

 写真というものが従来から用いられてきているわけでありますけれども、写真はある意味では大変情報量が多いわけでありまして、かえって裁判員の理解が難しくなる場合がある、どこがポイントかわかりにくい場合もあり得るということで、わかりやすい立証という観点から、イラストあるいはコンピューターグラフィックスの活用が有用な場合があるだろうというのが一つのポイントでございます。

 それから、遺体の写真ということになりますと、これはやはりショッキングであるという点も否定できませんので、その立証の必要性、裁判員の負担等を比較考量してイラスト等を用いる場合もあるのではないかということでございます。

 ただ、申し上げたいのは、そういう工夫をするにいたしましても、やはり写真等の客観的証拠の重要性ということは裁判員裁判制度のもとでも同じであります。事案によっては、やはり本来の写真を用いなければきちっとした立証ができない場合もあるわけでありますし、また、いわゆる犯情の関係で、写真で立証することが必要であるという場合もあり得るところでありまして、そのあたりは具体的事案に応じて適切に判断をしていくことになるのではないかというふうに考えております。

矢野委員 今の写真のことに関連して、もう一問伺います。

 従来の裁判の中でも、犯行状況の再現であるとか、遺棄されて未発見の凶器などを復元する形で説明するというか、そういうことはあったと思うんですけれども、今、大野局長がおっしゃったような場合、証拠があるけれどもありのままの姿では出さない、あるいは簡略化されたもので、代用と言うと言葉は悪いかもしれませんが、そういうケース、例えば血のりのついた着衣とか、あるいは血のりのついた凶器、そういったものについても、同じような観点から、そういうことは考えられるんでしょうか。

大野政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、裁判員裁判において求められるわかりやすい立証あるいは裁判員の負担という観点から検討が行われているわけですけれども、しかし、そもそもの前提といたしまして、適切な事実認定を行う、あるいは適切な量刑を行うために必要な証拠は、これはやはり必ず提出する必要があるんじゃないだろうかというふうに考えております。

 今、その簡略化したもの等、具体的に考えられているものはほかにないのかというお尋ねでございました。

 そういう観点で申し上げますと、鑑定書の関係がございます。鑑定書は、大変現状では膨大なものでありますし、専門的で難解な用語が用いられていることが少なくないわけであります。ただ、裁判員裁判の立証におきましては、そうした詳細な鑑定書にかえて、その公判における争点の内容を踏まえて、例えば鑑定人に鑑定要旨の作成を依頼して、これで立証するとか、あるいは鑑定書の抄本を作成して立証するとか、そのような方法が現在検討されているというように承知しております。

矢野委員 公判での証拠調べに当たっては迅速化を旨とするということで、厳選されるというふうにも聞いておりますので、ぜひ適切に運用をお願いしたいと思います。

 この裁判員制度とも関係する質問に移りたいと思います。

 弁護士不足ということだけではないと思いますけれども、いわゆる法曹人口の拡大を目指して整備された計画というものが、平成十四年三月十九日に閣議決定をされた司法制度改革推進計画でございます。この計画に沿って整備されたのが、いわゆる法科大学院と新司法試験制度だと認識しております。

 今まではだれでも挑戦できた従来の司法試験と異なって、法科大学院に入学をして修了した人がチャレンジできる仕組みに変わったというのが一番わかりやすい説明じゃないかと思いますけれども、これに関しまして、いろいろな意見や疑問が出ておるように聞いております。

 そして、この司法制度改革推進計画の目指すところが司法試験の合格者数年三千人という構想でございます。この三千人という数字でございますが、順調にいくならばいいのですけれども、これまたいろいろと意見があるようでございます。

 そもそもこの三千人という数字、これまでにもこの委員会で何人かの先生方が御質問もされておりますけれども、平成十二年八月七日から八日にかけての司法制度改革審議会、正確にいいますと八月八日の午後の議論ですけれども、その集中審議での決定というふうに伺っております。三千人については、その議論の中でもさまざまな慎重論があったと伺いますが、まず、この集中審議に出席したのは十三人の委員のうち何名でしょうか。

深山政府参考人 まず人数だけを申し上げますと、御案内のとおり、司法制度改革審議会の委員は全部で十三名でございましたが、今御指摘の平成十二年八月八日の午後の集中審議ですけれども、ここに出席した委員の数は十二名でございます。

矢野委員 そのときの会議の議事概要によりますと、決定の経緯において、表現ぶりとして、大方の意見の一致を見られたという表現ぶりで議事概要に掲載をされております。その結果、三千人になったということだそうですが、その大方が十二名のうちの何人のことを指すのかということは私はわかりませんし、それを聞こうと思いません。しかし、この三千人という数字の、ここで出ておる明確な根拠というものを改めて教えていただきたいと思います。

深山政府参考人 お尋ねの点ですけれども、司法制度改革審議会の意見書によりますと、審議会においては、我が国の法曹人口は、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどの先進諸国との比較において、その総数においても、また司法試験、司法修習を経て誕生する新たな参入者の数においても極めて少ない、社会の法的需要に現に十分に対応できていない状況にあるとされております。

 そして、経済、金融の国際化の進展、知的財産、医療過誤、労働関係等の専門的知見を要する法的紛争の増加、法の支配を全国あまねく実現する前提となる弁護士人口の地域的偏在の是正の必要性、さらには、社会経済や国民意識の変化を背景とする国民の社会生活上の、医師という言葉が用いられていますが、医師としての法曹の役割の増大、こういったさまざまな要因によって、今後の法曹需要は量的に拡大するとともに、質的にますます多様化、高度化することが予想されるとされております。

 このような諸要因への対処のために、法曹人口の大幅な増加を図ることが喫緊の課題であるとされまして、平成三十年ころに先進国中で国民一人当たりの法曹の数が最も少ないフランス並みである実働法曹人口が五万人規模に達することを見込んで、法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、平成二十二年ごろには司法試験の合格者数を年間三千人とするということを目指すべきであるとされたものと承知しております。

矢野委員 今、深山さんの方からフランスという言葉が出まして、フランスのそういう法曹人口と日本の今目指しておるところの中身が若干違うということは、委員会の皆さん方はよく御承知だと思いますから、もうそのことについてはきょうは伺いません。

 さて、法科大学院のことに移りますが、現実に定員割れも続出しておるというふうに聞いております。

 そこで、法科大学院でのカリキュラムですね。旧司法修習での前期修習に相当する、いわゆる座学部分を法科大学院が担うという制度の中で、例えば刑事実務基礎あるいは民事実務基礎等の授業時間が相当数減ったんじゃないかという指摘もあるようですが、このあたり、法科大学院における教育の質というものをどういうふうに担保されておるのか、今申し上げたカリキュラムが減っておるのかどうか、その辺のことを教えてください。

久保政府参考人 法科大学院は、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させたプロセスを重視した新たな法曹養成制度の中核機関として設置されたものでございまして、法曹として備えるべき資質、能力を育成するために、法理論教育を中心としつつ、実務教育の導入部分もあわせて実施することとされておりまして、実務との架橋を強く意識した教育を行うべきとされております。

 これを踏まえまして、教育課程におきましては、法律基本科目、法律実務基礎科目、基礎法学・隣接科目、展開・先端科目のすべてにわたって授業科目を体系的に配置しますとともに、教育方法につきましては、実務家教員の参画のもとに、少人数教育を基本とし、事例研究、討論、調査、現場実習、その他の適切な方法により授業を行っているところでございます。

 今後、第三者評価の着実な実施とあわせまして、文部科学省といたしましては、法科大学院が新たな法曹養成制度の中核的機関としての役割を一層果たせますよう、より一層の出口における質を保証するという観点から、司法修習との連携も図りながら、法科大学院修了生が備えるべき共通的な到達目標について、中央教育審議会において審議を進めているところでございまして、その結果を踏まえて、一層の質の向上に取り組んでまいりたいと考えております。

矢野委員 ぱあっと読まれたので、減ったのかどうなのかちょっとよくわからなかったのですが、真摯に取り組むということなんでしょうから、それはそれで。

 それで、司法試験の考査委員というのがおられるわけですが、法曹実務者の考査委員、それから法科大学院で教えておられる先生が務める考査委員といろいろあるわけですけれども、平成十九年十一月現在では、百十八人の考査委員のうち三十七名が法科大学院で教えておられるという認識でいいと思います。

 そこで、非常に基本的なことですが、なぜその考査委員に学者の先生を入れるのかということを端的に教えてください。

深山政府参考人 考査委員の中に、実務家だけでなくて学者の委員がいるのは御指摘のとおりです。それは、実務と理論との架橋を目指して有機的な連携を図って法曹を養成していく、このシステムのそういう思想に基づいて委員の中にも学者の方と実務家の方がいる、こういうことでございます。

矢野委員 要は、授業で教えておる現場というか教壇に立つ先生方と、そういう連係プレーといいますか、かけ橋的な意味合いだろうと私は思いますけれども、そういう考えで選ばれた考査委員の皆さんが、過去二回の司法試験のたびに感想というかコメントを発表しておられます。

 例えば、第二回に当たる平成十九年新司法試験考査委員に対するヒアリングというものの中から、幾つかの意見を読み上げます。これは文部科学省に伺いますから、よく聞いておいてください。

 「印象的に言うと、理解がきちんとできていた答案は一割とか二割といった程度ではないかと思う。」「いずれも、法科大学院の授業で当然に教えられている事柄である。それにもかかわらず、答案の内容が薄かった。」「基礎的なレベルを疑うような答案も、かなりあることはあった。」「合格すべき水準に達していない答案の割合が過半数を上回っており、実務修習を受けるに至る能力を備えていないような合格者が多数出てしまうのではないか、」「長い問題文を丁寧に読むという出発点において、まだ十分な力がついていない者が多いと思う。」。

 これは、中学生の試験じゃないんですよね。そういう今の考査委員の先生方の意見を伺って、文部科学省、どうですか、御感想を教えてください。

久保政府参考人 昨年九月及び十一月にヒアリングが行われたこと、そして、今御指摘のような厳しい御意見があったことは私ども承知しているところでございます。各法科大学院においても、そのような事実を真摯に受けとめながら、さらにその教育の質の向上に向けて一生懸命努力しているところでございます。

 何しろ、一昨年に既修者、昨年に未修者の修了生を初めて輩出した段階でございまして、その結果のみをもって一律に法科大学院が十分に使命を果たしているかどうかということを断定的に申し上げるのはまだなかなか難しいわけでございますが、少なくとも、法科大学院挙げて、質の高い修了者を送り出していけるように努力すべき段階であると考えているところでございます。

 文部科学省といたしましては、考査委員のヒアリングの結果も踏まえつつ、さまざまな観点での検証を行いながら、法科大学院が新たな養成制度の中核的機関としての役割を一層果たせますように、その教育方法や教育能力の向上も含めた法科大学院の全体的な質の向上に取り組んでいきたいと考えておりまして、中央教育審議会においても、法曹関係者や司法試験考査委員も含めて、質の向上策について鋭意検討を進めているところでございます。

矢野委員 お言葉を返すようですけれども、二年目ですからもうちょっと時間をくれということですが、あの後期高齢者医療制度は初日から大騒ぎになったんです。二年たっていたらもっと大きなことに、後期高齢者医療制度で例えて言うならなっていると私は思いますけれども。

 ですから、二年ですからもうちょっと様子を見てくれというのは、民間の企業マインドなんかから比べても、とてもじゃないですけれども遅いというか、もうちょっと抜本的な改正をされるぐらいの意気込みをお示しいただくのが普通じゃないかと私は思います。

 時間がございませんから、最後に。

 例えば、先ほど冒頭に私が申し上げました司法制度改革審議会での議事録を見ますと、三千人決定のプロセスをめぐっては、当面は千五百人とか二千人がせいぜいではないかとか、一気に三千人というのは無理ではないかとか、そういうような御議論も慎重意見として出ておった、こういうことでございます。

 私なりの解釈を言えば、きょうの議論を聞いた中でも、端的に言えば、法科大学院に大きな学生定員、これは五千八百人を認めて必要以上に設置を認めた結果、いわば教育の場が、大変言葉は悪いですが、粗製乱造されたために教育の水準が落ちたのか、それとも十分素養のある学生を物理的に集めることができなかったのか、これは正直私にはわかりません。しかしながら、少なくとも我々の税金が国費という形でこの制度にさまざまな形で投入されているわけですから、これを見過ごすわけにもまいらない。

 そこで、これでも平成二十二年には三千人輩出するのかということを、最後に、これは河井克行副大臣に答弁をお願いしたいと思います。

河井副大臣 この法曹人口の問題は、これからの日本の将来のあり方を決めるということで、法曹界のみならず、私たち政治に携わる人間としてもしっかりとかかわっていかなくちゃいけない、その中で矢野隆司議員が御関心を持っていただいていることに敬意を表したいと存じます。

 鳩山邦夫大臣の御指示によりまして、二月二十日に省内の勉強会を発足し、法曹人口のあり方についてさまざまな観点から勉強を積み重ねてきております。私は率直にこの中で感じることは、質が確保できないままに量の拡大のみを図ることを本当に日本の国民は望んでいるんだろうかという点でありまして、最も重視すべきことは現場の意見に私たちが耳を傾けるということだと思います。

 今先生御指摘の、司法試験考査委員のヒアリングの内容を実は私もつぶさに拝見しております。これは法務省のホームページで公開されるという前提で考査委員が意見を述べたものでありますので、それぐらい厳しい意見を持っているということに耳を傾けるべきだ、私はこれを大変深刻に受けとめており、また初年度の新司法試験の答案の評価に比べて二回目のそれが下がっていることも気になっている点であります。

 そもそも法科大学院は、法曹の質を旧制度と比べてよくしますという理念のもとに設立されたものでありますけれども、この考査委員の意見をつぶさに見ておりますと、果たして法科大学院の設立の趣旨が現時点でかなえられているかどうか、私は疑問に感じております。

 一方で、数の問題もですけれども、先生、軒弁とか即独という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか。いそ弁じゃなくて、今は軒の下に新人弁護士がいる、即独立で即独。弁護士のバッジをつけてすぐに自分で事務所を持って、それで果たして国民の信託を受けるにふさわしい、法的な知識、経験を持った弁護ができるんでしょうか。そういうふうな状況でありますので、数の面でも私は十二分に配慮をしていかなくちゃいけない、そう思います。

 御指摘の平成十二年八月の集中審議、速やかに三千人にすべきだという意見を述べている委員は少数でありまして、実は多くの委員は、質の確保を前提として緩やかに人口増加を主張していたと私は解釈をしております。

 そもそも改革とはよりよい社会を実現するための手段であり、それ自体が目的であってはいけない、改革自体が自己目的化することは本末転倒であり、よって、制度をつくり上げた時点で想像できなかった問題点が判明した場合には、それらを率直に認め、対処していくことが当然の義務であり、それがむしろ真の改革だと私は信じておりますので、この作業を司法制度改革の後退などと評価することは私は誤っている、鳩山大臣のもとで今その作業を真摯に詰めさせていただいております。

 本来、法科大学院とはよりよい法曹を養成するために設立されたものであり、ゆめゆめ法科大学院を存続させること自体が司法制度改革の目的に陥ることのないように私たちは意識をしっかりと持つべきでありまして、よって、これまでも繰り返しお答えしておりますとおり、質の確保が前提という平成十四年の閣議決定でありますので、それ抜きでいたずらに三千人ということは私はあり得ないと考えております。

 三千という数字はあくまで目標でありまして、関係者打ちそろって努力したけれども、その前提がかなえられないで、結果として目標に到達しないということも私はあり得る事態だと考えております。

 以上です。

矢野委員 大変踏み込まれた御発言で、私もびっくりしましたけれども、しっかり私どもも見守ってまいりますし、ぜひ法務当局も頑張っていただきたい、文部科学省もよくきょうの答弁を聞いておいていただきたいと思います。入管局長にはお越しいただきましたけれども、質問の時間がなくなりました。本当に申しわけございません。

 私の質疑を終わります。ありがとうございました。

下村委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 まず、民法七百七十二条の嫡出推定規定をめぐる、いわゆる離婚後三百日問題についてお伺いをいたしたいと思います。

 この問題については、子の福祉を図る観点から、これまで公明党としても、また与党としてもさまざまな検討を重ねてまいりました。そうした中で、離婚後三百日以内に生まれた子のうち、懐胎した時期が離婚後であることが医師の作成した証明書により証明された場合には、嫡出でない子、または現在の夫、後夫の嫡出子としての出生の届け出を受理する、こういう取り扱いをするとの民事局長通達が昨年の五月七日に発出され、約一年が経過いたしました。

 法務省に問い合わせいたしましたところ、五月十六日までの統計で、届け出件数が全国で五百九件、うち受理されたものが四百七十四件、不受理になったものが二十二件、審査中が十三件となっています。それによって救済されるのは、全体の一割にすぎないというような報道もあります。

 また、先日は、これは毎日新聞、五月二十日でありましたか、離婚後三百日規定により親の出生届が受理されず無戸籍となった女性が妊娠し、二代続けて無戸籍となるおそれがあるとの報道もなされたわけであります。

 このような現状を踏まえると、離婚後三百日問題については、今後とも抜本的な解決を図るために鋭意検討を進めなきゃいけませんし、昨年四月二十五日、自民党の中川当時政調会長、そして公明党斉藤政調会長、自公政調会長合意ということでしっかり検討していくということでございますので、これについては法改正等について検討していきたい、こう思っております。

 本日は、差し当たり現行制度の運用で救済範囲をさらに一定程度広げることができないか、この点について、そして民法七百七十二条問題の一部を解決することは可能ではないかという観点から質問させていただきたいと考えております。

 五月二十日に、NGOのmネット、共同代表の坂本洋子さん、きょう来ておられますけれども、それから民法七百七十二条による無戸籍児家族の会の代表が無戸籍のお子さんを連れて法務大臣のところにお伺いし、そして民法七百七十二条の規定をめぐる種々の問題点等、現状を訴えました。私も同行させていただきましたが、一時間にわたって大臣に丁寧にお話を聞いていただきました。

 この件で、当事者の方々のお話を聞かれて、鳩山大臣の率直な感想をお聞かせ願いたいと思います。

    〔委員長退席、実川委員長代理着席〕

鳩山国務大臣 大口先生の手配によって、mネットの方々、民法七百七十二条による無戸籍児家族の会の方々とお会いをしました。私は、当初、三十分ぐらいしか日程をとっておりませんでしたが、それぞれの方がそれぞれの深刻な事情を話されるものでありますから、これは大いに勉強しなければならないという思いで、約一時間お話を承ることができて、私としても非常に考えなければいけないことが多くあるなとつくづく思ったわけでございます。

 それぞれの御家庭にさまざまな事情があって七百七十二条問題が出てきている、親の事情でお子さん方が残念ながら無戸籍になっている、身分の安定あるいは福祉という面で非常に不利な立場に立たされるおそれがある。親の事情で子供が被害を受けてはいけないというのは、我々が法律以前に持たなければならない最高の道徳であり、あるいは条理、常識ではないか、そういう観点で、公明党の皆さんがお越しいただいたこの問題を考えなければならない。ですから、一刀両断でこれをやれば全部問題が解決するという方法があるのかないのか、なかなか見つけにくいかもしれません。

 例えば、強制認知を求める場合に、裁判所によって扱いが違いますよということをこの間承った。強制認知の場合は、現在のだんなさんを被告として、原告が女性で、愛し合っている現在の夫を被告にするという形をとらなければならない。けれども、これをうまく受理してやっていただければ、それは父親の欄に前の夫の名前が出てこない。ところが、親子関係不存在確認という訴え、あるいは調停でいくと、前夫の協力が必要だ。したがって、また前夫の名前が戸籍に残ってしまうということでありますから、できれば強制認知の方法をとりたいというお気持ちのお話を承りました。

 ところが、裁判所によって受理してくれるところと、それより前に、認知の前にちゃんと親子関係不存在の調停をやりなさいよという、一種の門前払いもあったというようなことを聞きますと、そういう扱いについても、これからできる限り温かい方向にいけるように力を尽くしていきたいというふうに思います。

大口委員 家族会の方も、大臣に大変丁寧に聞いていただいたということで、本当に喜んでおられまして、また、ただいまの御答弁につきましては、これは本当に裁判所もよく考えていただきたい、こういうふうに思っております。

 その中で、もう一つ、離婚後三百日以内に生まれた子の中に、懐胎した時期が離婚後であるとの証明がつかず、前夫を父とする戸籍の記載がなされることも避けたいということで戸籍の届け出がなされていない、いわゆる無戸籍児が相当数いるのか、そのような子が現状どの程度いるのかということについて、法務省として実態調査を私はすべきではないかと思うんですね。

 大臣もそのことに前向きのお話をいただいておりまして、改めて御答弁をいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 おっしゃるとおりで、どうにか実数を把握したい、こう思うわけでございまして、厚労省の方は、あれは児童手当か何かのことで調べたんだと思いますが、あれでも網羅的に全部は出てきませんね。ですから、何か調べるいい方法がないか、実態調査、実情調査をする方法がないか。

 しつこいようですが、お子さんの福祉という観点を考えますと、これは放置できない問題でございます。稲田先生の御意見も新聞で読ませていただいておりますけれども、それはいろいろな御意見があるだろうと思います。とにかく、子供さんに温かくということではすべての議員の意見がほとんどそろっておると思いますので、実情調査を何とか、法務省でやることなのか、あるいは厚労省関係でいくのか、あるいは学齢になってくればこれは文部科学省の問題にもなってくるし、総務省にもお願いしなくちゃならぬかもしれません。いろいろ研究してみます。

大口委員 大臣のリーダーシップをぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 それから、昨年の通達で、別紙として、懐胎時期に関する証明書の様式に、懐胎の時期の算出根拠、一というのがありまして、超音波検査による頭殿長を考慮して、頭からおしりまでの長さを考慮して決定された妊娠二週ゼロ日に相当する日に前後各十四日間ずつを加えて算出すると記載されています。

 十四日間ずつの誤差を加えるということは長過ぎるのではないか、また、このような算出根拠を様式に示すことにより、証明書を作成する医師においても、その裁量による証明を阻害するという意見も出ています。極めて不自然な結果になることもあるわけですね。

 懐胎の時期に関する証明書の様式を改善して医師が書きやすいようにすべきではないか、また、この十四日間というのも短縮をすべきじゃないか、こう考えておりますが、法務省の見解をお伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 この間大口先生がお見えになってお母様方の話を聞いたときに、誤差のとり方、十四日、十四日というとり方、それをすごく短くしてくれているお医者さんもいるというような話を聞いて、これは医学的、科学的な研究も必要なのかもしれませんが、現実問題として、離婚後三百日以内に生まれていても、家庭が破綻しているような状況とかそういうのが明らかである場合に、誤差を広くとり過ぎたがために離婚後懐胎ということが言えなくて、結局受け付けてもらえなくて無戸籍になるということを少しでも減らしたいというのが私の気持ちで、あとは民事局長が専門的な見地から答弁をすると思います。

倉吉政府参考人 今大臣からもお話があったとおり、それから委員から御指摘のあったとおり、通達に添付いたしました診断書の様式に、そのように前後十四日間の誤差というのを入れてあります。

 これは、どうしてその記載例の一に十四日間というのをまず書いたのかということであります。

 申すまでもありませんけれども、懐胎の時期をどの程度正確に証明することができるか、可能であるかというのは非常に困難な問題であります。この中にも書いてありますけれども、エコー検査をいたしますね、エコー検査したら胎児の写真が写るわけです。ある一定の時期のエコーで見ますと、頭殿長と申しますが、その胎児の頭殿長の長さ、頭のてっぺんからおしりのところまで、うずくまっているその長さから、この子はいつごろ懐胎したんだということを推定するわけでございます。これは、もちろんピンポイントでできるわけがない、ある程度の幅を持つ概念であります。

 その幅がどれくらいになるのかということを医師会、産科医会等の関係者にお尋ねいたしました。もちろん、診断の時期や診断の回数等により誤差の範囲は当然変わってくるんだ、何回もエコーを撮っているとか、それからちゃんといろいろなことを調べているときはそれだけ幅が狭まるわけであります。その誤差の範囲について、これは医学界の専門的な見地からどうだろうかと意見を伺いましたところ、前後各十四日間ずつというのを標準にするのが一番相当だ、こういう御意見になりましたので、それをそのまま第一として書いているわけでございます。

 もちろん、個々のお医者さんできちんと何回も調べて、このお母さんの場合にはこの日に妊娠したというのがある程度正確にわかるというときは、前後五日であるとか前後三日であるとか、そういう幅を入れて書けるようにということを記載例に書いてありますので、恐らくそれで妥当な結論は得られるのだ、このように考えてはいるわけです。十四日という書き方を第一にしているのが医師の裁量による証明を妨害しているということは、今のところ決して考えておりません。

 ただ、もっとも、現在の懐胎時期に関する証明書の様式のもとでの運用につきましても、今後とも医療関係団体との連絡を密にして、これからどう扱うべきかということを絶えず検討していきたい、このようには考えております。

大口委員 ただ、本当に実際の証明書が実態と合わない、不自然な結果がある場合もあるんですね。よくそこら辺、また医学関係者と連携をしていただきたい、これでいいのかということをですね。今、大臣の御答弁にもありましたように、短縮という方向についてもやはり柔軟にやっていただけるように御検討をお願いしたいと思います。

 次に、前夫と離婚後三百日以内に出生した子を現夫の子として戸籍に記載するための手続としては、法務省通達で救済される事例を除いて、裁判手続で考えますと、嫡出否認、それから親子関係不存在確認、そして強制認知、この三つがあるわけですね。

 このうち、強制認知については、前夫と離婚後三百日以内に生まれた子について、大臣も紹介されました、子の母が現在の夫との間で強制認知の調停の申し立てをしようとする場合であります。

 そして、この申し立てをした場合に、例えば東京家裁でも、申し立てが認められて、かなり柔軟に対応していただいて、スムーズに強制認知が認められて問題を解決したということがある一方、同じ東京家裁で、申し立てを受理できないと言われたり、あるいは申し立てを取り下げて親子関係不存在の調停を申し立てるように強いられた、午後八時ごろ書記官から、親子関係不存在確認でやりたいので認知を取り下げるよう、こういうように言われて相当精神的なショックを受けられて、そして、そのことがきっかけで非常に精神的に不安定な状況になっておられる、こういう現場の声も聞くわけであります。

 このように、裁判官、担当書記官によって取り扱いに違いがあるというのは問題ではないか、また、強制認知の手続を利用できるにもかかわらず親子関係不存在確認でなければならないとする、こういうことがあるのか、裁判所の見解をお伺いしたいと思います。

二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官、担当書記官等による取り扱いの違いにより、強制認知の申し立てが受理されなかったり、申し立ての取り下げを強いるのは問題ではないかとのお尋ねですが、一般的に申し上げまして、申立人が強制認知の申し立てを希望されている場合に、これを受け付けないということはないものと承知しております。

 また、なされた申し立ての取り下げを勧告することはあるとしても、取り下げるかどうかは申立人の御判断にゆだねられておりますので、裁判官等により不受理になったり取り下げを強いるというようなことはないものと考えております。

 したがいまして、申立人が強制認知の手続を希望される場合には、その申し立てをすることが可能であり、必ず親子関係不存在確認の申し立てをしなければならないということはございません。

 ただ、その強制認知の事件において、どのような審理を行うか、また最終的に認知が認められるかにつきましては、当該事案において家庭裁判所が判断することになると考えております。

 以上でございます。

大口委員 東京家裁で現実にあったことを私は聞いていますし、大臣も聞いておられるんですよ。だから、そういうものがないということはないんです。その方がうそをついているとは思いません。もっと実務取り扱いについて総点検をしていただきたいと私は思うんです。

 それで、こういう場合はDVが原因で離婚されることも多いわけです。そして、親子関係不存在の調停手続ですと、前夫の協力を得ることが困難な場合というのが結構あるわけですね。そういうことで無戸籍となることがあるわけでありまして、前夫が当事者とされていない強制認知の手続によった場合は、親子関係不存在確認の手続と異なって、子の戸籍に前夫の氏名が記載されることがない、身分事項ですね、そしてまた前夫の協力が不可欠であるとは必ずしも言えない、こういうように理解しておりますが、この理解についてどうお考えでしょうか。

二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 まず、強制認知の手続において、前夫との間の嫡出推定が及ばないと判断され、前夫ではない男性との間で認知を認める審判が出された場合、戸籍届け出を行いますと、子の戸籍の身分事項欄に前夫の氏名が記載されることはないものと承知しております。これは、委員の御指摘のとおりでございます。

 次に、前夫との離婚後三百日以内に出生した子について、後婚、後の婚姻の夫との間で強制認知の手続を行う場合に、前夫の陳述を聞くなど、前夫に手続に関与する機会を与えるかどうかにつきましては、それぞれの事案において家庭裁判所が判断すべき事項であり、前夫を関係人等として呼び出さずに強制認知の審判が行われる場合もあれば、審理に当たり前夫の関与を求める必要があるとされる事案もあるものと承知しております。

 以上でございます。

大口委員 親子関係不存在の確認の調停ですと、前夫が当事者であるため、前夫が呼び出しに応じないと調停が不調になったり、それから、前夫との合意が成立しないため、家事審判法二十三条の合意に相当する審判をすることが不可能となって、訴訟に移行せざるを得ないわけであります。

 これに対して、強制認知の調停では、前夫は当事者でないので、前夫との合意なしに、現在の夫との合意で合意に相当する審判をすることができる、そういうことで解決できるわけでありまして、訴えに移行する必要がなくなるわけであります。

 そういう理解でよろしいのか、お願いします。

二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 親子関係不存在確認の調停手続では、相手方とされている前夫が一度も期日に出頭しない場合には調停不成立となることが考えられますが、法務省において実施された調査結果によりますと、親子関係不存在確認調停事件のうち八割程度において、前夫の協力が得られ、合意に相当する審判で終了しているとされております。

 強制認知の調停手続では、申立人と相手方とされている男性との間で合意が成立し、家庭裁判所が必要な事実を調査した上、正当と認められるときには合意に相当する審判を行うことができるものと理解しております。

 なお、強制認知の調停手続の場合、前夫の合意は、委員御指摘のとおり、法律上の要件とはされておりませんが、必要な事実の調査のため前夫からも事情を聞くかどうかは、個別の事案において家庭裁判所が判断することになるものと考えております。

 以上です。

大口委員 強制認知は、嫡出否認とか親子関係不存在と比べますと、当事者にとって、子の母そして子供にとって大きなメリットがあるわけです。

 昭和四十四年五月二十九日の最高裁判決でも、離婚後三百日以内の出生子であっても、母とその夫とが、離婚届に先立ち約二年半以前から事実上の離婚をして別居し、全く交渉を絶って、夫婦の実態が失われている場合には、民法七百七十二条による嫡出推定を受けないので、強制認知の裁判をすることができる、こういう最高裁の判例もあって、家庭裁判所においてもこれにのっとって強制認知の手続でやっているわけであります。

 そういう点で、この強制認知の手続について、裁判官あるいは調停委員、受け付けの書記官に、裁判関係者に周知徹底をしていただきたい、そして、申立人に対しても十分情報提供を行う必要があると私は考えます。裁判所は、ここをしっかりやっていただきたいと思うんです。お答え願います。

二本松最高裁判所長官代理者 委員御指摘の、最高裁判所、昭和四十四年五月二十九日判決は、前夫との離婚後三百日以内に出生した子について、前夫ではない男性を相手方として認知請求された事案におきまして、離婚の届け出に先立ち約二年半以前から事実上の離婚をして夫婦の実態が失われていた等の事実関係のもとにおいては、民法七百七十二条による嫡出の推定を受けないとして、認知請求を認めた原審を支持したものであります。

 この判例の趣旨や、この判例を前提として、離婚後三百日以内に出生した子についても申立人が認知の請求をすることができる場合があることについては、これまでも関係職員に周知してきたところですが、引き続き機会をとらえてその趣旨を周知するとともに、申立人に対しても、窓口において事案に応じた手続の説明を適切に行うように努めてまいりたいと考えております。

大口委員 しっかりお願いします。

 離婚後三百日以内に生まれた子の前夫を父としない戸籍の届け出を可能とするため、親子関係不存在の確認とか強制認知など、調停や裁判手続について、利用者である申立人に裁判所もアンケートをとって、利用者の申し立ての負担を減ずる方策を検討すべきである、こういうように思います。

 そういう点で、利用者からいろいろな意見を聞く、こういう姿勢がこれからの裁判所にとって必要だと思いますが、いかがでございましょう。

二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 離婚後三百日以内に生まれた子について、前夫を父としない戸籍の届け出を可能にするために家庭裁判所の手続を利用される方には、前夫と顔を合わせたくない、費用を安くしてほしい、手続を迅速に進めてほしい、前夫が期日に出頭するように働きかけてほしいといった要望があるものと承知しております。

 裁判所といたしましては、手続の運営上可能な範囲でこのような利用者の要望に配慮しているところでございますが、家庭裁判所の審理手続の実情等について何らかの調査ができないか検討してまいりたいと存じます。

 以上でございます。

大口委員 どうか調査をしていただきたいと思います。

 時間がもうなくなってまいりましたので、法テラスのことでちょっとお伺いしたいと思います。

 日本司法支援センター、法テラスは本年四月に二周年を迎えまして、今般、法テラスが実施した認知度調査によれば、法テラスの存在を知っていると答えた人は二割程度にすぎないということであり、より多くの国民に認知され、利用されるようになるため、今後種々の取り組みが必要である、こういうふうに考えております。

 それと、現在法テラスの番号案内のサービスが、ナビダイヤルというんですか、〇五七〇―〇七八三七四(おなやみなし)、ちょっと舌をかみそうな感じなんですが、もっと覚えやすい番号も検討した方がいいんじゃないかと思うんです。例えば、厚生労働省が現在実施している小児救急電話相談事業では、全国同一の短縮番号でシャープ八〇〇〇、これは覚えやすいんですね。こういうふうに短縮番号を検討するとか、いろいろ認知度を高めていただきたい。今、消費者庁の設置等が議論されておりまして、いかに法テラスを利用していただくかということは大きな課題だと思います。

 この点につきまして、法務省の取り組みにつきまして、大臣にお伺いいたします。

    〔実川委員長代理退席、委員長着席〕

鳩山国務大臣 前にもこの御質問を受けたことがありますが、法テラス、日本司法支援センター、とにかく知名度が低いというか知悉率が低い、これが最大の悩みでございまして、せっかくいいものができていい仕事をしようとしても、要するに、国民から頼られない、知らないから連絡が来ないというのは一番悲しい結果でございますので、何としてでも知名度を高める努力をしなければならないだろう、こう思っております。

 司法支援センターにおいては、自治体広報誌等の活用、地域の学校や図書館等における広報活動、地域住民等を対象とした説明会の開催、こう書いてあるんですが、何かこれだけでは足りない、もっと劇的に知名度を上げる方法を何とか考えていかなくちゃならぬなと思っております。

 大口先生御指摘のシャープ八〇〇〇番というのは、なるほどわかりやすくていいな、短縮番号ですが。ただ、これは一つだけ問題があるのは、シャープ八〇〇〇番は均一料金ではないそうですね。遠くからかけると高い料金になる。

 〇七八三七四(おなやみなし)は、ちょっとわかりにくいんですが、〇七八三七四(おなやみなし)という今のコールセンターの電話番号はナビダイヤルというサービスで、三分間が八円五十銭、八・五円、要するに三分を超えたものはサービスでただにしてもらっている、こういう状況なので、一律の低料金というメリットだけはあるわけであります。

 ただ、よりわかりやすい番号に変えることができないだろうか、そして知名度を上げるにはさらに一層の努力が必要なのではないだろうか、そう思っております。

大口委員 大臣、私も認知度が二割というのはびっくりしたんですよ。裁判員制度の広報も大臣が「裁判員誕生!」という流れに変えたように、やはり大臣のリーダーシップで広報活動について根本的に考えていただきたいな、私はこう思っております。

 きょうは本当にありがとうございました。以上です。

下村委員長 次に、細川律夫君。

細川委員 民主党の細川です。

 私は、きょう、司法の判断をめぐってのいろいろな質問をしようというふうに思っておりましたけれども、昨日、現職の裁判官が逮捕されるという大変大きな報道もされまして、国民の皆さんもびっくりしたのではないかというふうに思います。ちょうど裁判員制度があと一年というふうに、裁判員制度なんかも報道されて非常に注目をされていたときに裁判官が逮捕される、戦後三件目だそうでありますけれども、非常に残念な事件でございます。

 そこで、まず最初に最高裁判所に伺いたいんです。

 最高裁判所として、この事件を受けて今後どのように対応を考えているのか。弾劾裁判所への訴追、その可否も含めて、いつごろ、どのような形でそれを進めていくつもりなのか。また、裁判所としては大変信頼を失墜したというふうに思います。したがって、その信頼を回復するため、一体どういうふうなことをやっていくのか。そのことについて、まずはお伺いをいたします。

大谷最高裁判所長官代理者 今お話のありました、宇都宮地方裁判所の下山芳晴判事についてのお尋ねでございます。

 ストーカー行為等の規制等に関する法律違反の嫌疑を受けまして現職の裁判官が逮捕されたということについては、遺憾のきわみでございます。事実関係については今捜査の段階に入っているわけでございますが、このような形で国民の信頼を損なうことになったことにつきましては、まことに申しわけなく、深くおわびいたします。

 今後の対応についてでございますが、捜査の支障にならないように注意しながら、速やかに本人から事情を聞くなどして、その結果、明らかになった事実関係を踏まえて厳正に対処したい、このように考えております。

 また、委員御指摘がございましたが、裁判員制度の実施が目前に迫り、国民の皆さんにより一層の御理解と御協力をお願いしなければならないというこのときに今回のような事件が発生し、裁判所に対する国民の信頼を傷つけたということについては、まことに残念でございます。

 裁判所といたしましては、失われた信頼の回復に向けて最大限の努力を傾けていく所存でございます。今回の事件の関係では、発生した原因をよく見きわめた上で必要な措置を講じてまいりたい、このように考えております。

細川委員 信頼回復に向かって最大限の努力をしたいと。具体的にどんなことをして信頼を回復するかというようなことは一切語られなかったわけでして、そういう意味では私としては大変不満です。

 ちょっと大臣にもお聞きをしたいと思います。

 きょうも、ニュースとか新聞などでもいろいろ報道されております。自分の携帯番号を明らかにして、一方で全く匿名のメールを被害者に送りつけておどかして、そして自分に相談をさせるというような、非常に手の込んだ悪質なことをやっていたような報道でございます。そういう点から見ますと、法曹、裁判官でありながら、全くその資質がないといいますか、果たしてこういう人が裁判官にいたのかどうかということが本当に疑われるような裁判官なんです。

 大臣は、参議院でも何か答弁をされたようなんですけれども、こういう事態が起こって法曹の質が問われている、そういうときに、大臣のこの事件に対する感想なりをお聞かせいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 基本的に、私が抱いている思いと細川先生の思っておられることは同じではないかと思います。

 捜査中の具体的な事件については、法務大臣としてコメントはできないんだと思いますけれども、一般論、ちょっと妙な一般論ですが、非常にけしからぬことだと思いますね。それは、悪質性の問題もありますし。

 私は、先ほど河井副大臣が御答弁申し上げたように、法曹人口をふやしていくという基本的な政府の方針については、それは否定はしていない。しかし、あくまでもその質が確保される、法科大学院を初めとする法曹養成課程がうまくいって質の高い法曹が誕生するという条件のもとで、法曹人口や司法試験の合格者の増大というのを考えることができる。

 したがって、私は、いろいろ今まであったとしても、日本における弁護士の方々あるいは裁判官あるいは検事の方々に対する、いわゆる法曹と言われる方々に対する信頼というのは、基本的に高いものがあると思っているんです。それは、細川先生みたいなすばらしい弁護士さんが全員であるかどうかというのは、それはいろいろあるでしょうけれども、概して言えば、細川先生が信頼されているように、信頼される弁護士の方々あるいは裁判官、検察官だと私は思っているんです。

 そのことを、但木検事総長は、こういうふうにおとといの新聞で言っているんです。裁判員制度を導入するに当たって、我が国の法曹に対する基本的な信頼があるから導入できるんだと。裁判官や検察官や弁護士に対する信頼が失われている段階で裁判員制度を導入したら、わけのわからぬことになる。

 そういう意味で、今回の事件が、しかも年齢的にはベテランと思われるわけですが、裁判官というものに対する信頼を失わせる、司法というものに対する信頼を失墜させるという意味では、具体的な捜査状況については言えませんが、煮えたぎるほどの怒りの気持ちを持っております。

細川委員 法曹の養成についても、まさに質の確保ということにも努めていただかなければなりませんし、最高裁判所の方にも、二度とこういうことがないように、徹底的な信頼回復に向けての努力を期待いたしておるところです。

 そこで、司法の判断をめぐって何点かちょっとお聞きをいたします。

 ことしの二月に、日教組の教研集会の全体会議が、グランドプリンスホテル新高輪で使用拒否に遭って開けなくなるという事態になりました。これは、裁判所の方では日教組の訴えを認めて使用を認めるという決定をしたにもかかわらず、ホテル側がその裁判所の決定に従わずあくまでも使用を拒んだために、その教研集会は中止に追い込まれた、こういうことでございました。

 私は、このホテルの態度は余りにも司法の判断を軽視したものでありまして、こういうことは法治国家の根幹を揺るがすようなものだというふうに考えます。ホテル側の言い分によれば、右翼による街宣活動などの妨害が予想されて、周辺の地域に迷惑がかかる、そういう拒否の理由のようですけれども、それはもう使用を拒否すること自体、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」こういう憲法二十一条一項の規定がありまして、そこで定めた集会の自由というのを侵害するおそれが大変大きいというふうに思います。

 右翼団体が騒ぐおそれがあるからという理由で会場が確保できない、こういうことであれば、これは民主主義の社会の中で、大変大切な権利であります精神的自由権の一つである集会の自由が否定されるということになるんではないかというふうに私は思います。

 そういう意味で、この判決があって、そしてホテル側はその使用を拒否した、そこで集会ができなくなった、これについて法務大臣の所感を伺いたいと思います。

鳩山国務大臣 細川先生の、集会、結社の自由という非常に重要な精神的自由権をプリンスホテルの行為が侵害するものではないかという御質問につきましては、現在、ホテルと日教組との間で違法行為等を理由とする損害賠償請求訴訟が係属中でございまして、そこで裁判所の判断が出るものと思いますので、私は今そのことについてイエス、ノーはお答えいたしません。

 ただ、前段で細川先生が御指摘されたとおりでございまして、仮処分という形で保全命令が出た。もう契約したんだから、予約というのか契約、ちゃんと教研集会で使わせなさいと裁判所が仮処分という形で命令をした。私は、ソクラテスのように悪法もまた法なりとは申しませんが、この国は法治国家のはずです。法の支配というものがあるから安心して暮らすことができるわけでありまして、その裁判所の保全命令に従わない人が出てきたら、つまり当事者が従わなかったんですから、これは法治国家ではないという意味では、細川先生と全く同意見であって、まことに情けない。

 裁判所の権威も失墜しますよ。裁判所が仮処分命令をしたことは無視ですよ。先生、軽視とおっしゃったけれども、完全に無視したわけでしょう。そんなばかなことを許してはならないという思いでございまして、現在は損害賠償請求訴訟がありますからその結果を見守っていきたいと思っておりますが、二度とこういう裁判所の仮処分の保全命令に従わないような当事者があらわれないことを期待いたしております。

細川委員 それでは、もう一つ、司法判断の重さについてお伺いをしたいと思います。

 これは、四月十七日に名古屋高等裁判所で出た判決でございます。航空自衛隊のイラク派遣が憲法違反だという判決が出ました。確かに、この判決の違憲というところの部分は、いわゆる傍論と言われまして、法的な拘束力はないところでございます。しかし、この部分もしっかりと論理展開がなされておりまして、分析を加えた後に、航空自衛隊の空輸活動は他国の武力行使と一体化した行動、こういう判断が下されているところでございます。

 ところが、事もあろうに、航空自衛隊の制服組のトップである幕僚長が、そんなの関係ねえという状況だ、こういうふうに述べたということが報道されました。後で幕僚長は、不適切だったと釈明をしたということも報道されましたけれども、こういうお笑いタレントの流行語を引いて語ること自体、司法の判断に対して敬意というものが全くないんではないかというふうに私は断じます。

 そこで、防衛省に尋ねますが、防衛省としては、こういうような発言をどのように考えているのか、また、幕僚長に対して何らかの処分、こういうことをしたのかどうか、お伺いします。

江渡副大臣 委員にお答えさせていただきたいと思います。

 委員御指摘の発言の真意につきましては、田母神航空幕僚長は、四月二十五日の記者会見におきまして、航空自衛隊は国会で決められた法律に基づき、政府の命令によって派遣をされていて、本件判決によって直ちに我々の行動に関係しないという意味であったとした上で、発言の一部はお笑いタレントと同じような表現になり、不適切だったというふうに述べております。

 また、本件発言につきまして、石破防衛大臣からも、発言は慎重な上にも慎重であらねばならぬということは当然である、発言がいささかも誤解を与えることのないように、自重自戒をせねばならないと四月二十五日の衆議院の安全保障委員会において答弁しているところでございます。

 まさに、防衛省といたしましては、不適切な発言であったというふうに考えているところでございます。

 そして、今委員の方からは処分というようなことで、したのかどうなのかということでございますけれども、田母神航空幕僚長は、御指摘の発言の真意につきまして、先ほど言ったように、四月二十五日の記者会見におきまして、航空自衛隊は国会で決められた法律に基づき、政府の命令によって派遣をされていて、本件判決によって直ちに我々の行動に関係しないという意味であったとした上で、発言の一部が不適切だったというふうに述べておりまして、防衛省としては、田母神航空幕僚長に対して人事上の処分を行うということは現段階においては考えておりません。

 特に、一般論として申し上げれば、隊員の処分というものは、行為の程度や行為の内容あるいは改悛の程度等に応じて判断すべきものというふうに考えておりまして、今回の件につきましては、処分が必要であるというふうには考えておらないところでございます。

細川委員 防衛省としては、言動の程度、そして改悛の程度によって処分するかどうか等を決める。では、これは大したことはないということですね、こういう発言をするということは。

 名古屋高等裁判所で憲法違反だという判決が出たとき、多くのマスコミで報道されました。そして、現実にイラクの方へ航空自衛隊の皆さんが行っておられる。これについて国民の皆さんが大変関心を持っておるときに、制服組のトップの幕僚長が、そんなの関係ねえよとお笑いタレントの言いぐさで、これを全く否定するような言い方というのはないでしょう。やはり、司法の判断に対してはちゃんと敬意を持たなきゃだめだと思いますよ。特に、自衛隊という制服組のトップはもっと謙虚にならなきゃだめですよ。私は、そういうふうに思います。

 そこで、これも大臣にちょっと感想をお伺いしたいんです。

 制服組のトップの幕僚長が全く司法の判断を無視するような発言、いかに判決の傍論とはいえ、やはり政府としては、これは謙虚に耳を傾けるべきだというふうに私は思いますが、大臣、この件について感想があれば述べていただきたいと思います。

鳩山国務大臣 非常によくない、けしからぬ発言だと率直に思います。

 先ほど、細川先生御自身が説明されておられましたけれども、結局、我々法務省の立場でいえば、国が関係する裁判ですから法務省が受けて立つわけで、イラク派遣等の違憲確認請求、それから差し止め請求、この二つは却下、損害賠償請求は棄却ということで、いわば三つの請求を全部退けた判決でございまして、国の全面勝訴、こういうことになるわけですね。

 しかしながら、傍論の中で、憲法に違反する活動を含んでいるというような部分があった。これは、あくまでも傍論。ただ、全部無視していいということではありません。あくまでも、傍論として書いてあるということは受けとめなければならない。ただし、傍論であって、結論を導くための論ではないから、したがって、このことによって直ちに自衛隊の行動に変化が生じるものではないというのが私の解釈であり、政府の基本的な解釈だと思うんですね。

 そのことを正確に伝えるべきなんですよ。それを正確に表現しないで、茶化したような言い方をするとすれば、極めて下品な発言と言わざるを得ない。

 私は参議院でも申し上げたんだと思いますが、私も、自分の発言についてはいろいろと物議を醸した経験はあります。訂正しておわびをしたこともあります。しかし、私は、自分の発言が上品とは思いませんが、ふざけて、おちゃらけで物を言ったことは一度もないと思っております。

 そういう意味でいえば、こういう発言は、非常に緊張感を欠いた、あるいは司法を軽視した、質の悪い下品な発言だと思います。

細川委員 一国の法務大臣から、この幕僚長の発言は下品で質の悪い発言だ、こう指摘をされるということは、これは防衛省の方はしっかりとこのことを受けとめなきゃいかぬと私は思いますよ。

 では、次に移ります。

 もう一つ、これは古いことなんですけれども、最近報道されましたことですので、このことについてちょっとお伺いをいたします。昔のことですが、いわゆる砂川事件というものがございまして、この砂川事件をめぐる駐日米国大使と最高裁判所の長官の件でございます。

 四月の末でありますけれども、国際問題の研究者がアメリカの公文書館である文書を見つけたという報道がございました。これは、一九五七年、米軍の旧立川基地の拡張に反対するデモ隊が基地内に侵入して逮捕された、いわゆる砂川事件の裁判にかかわるものでございます。

 一九五九年の一審では、東京地裁の伊達裁判長は日米安全保障条約の極東条項を違憲として七名全員に無罪の判決を下しましたが、その跳躍上告で最高裁判所は、条約の持つ高度の政治性を理由に憲法判断を回避して、原判決を破棄いたしました。その最高裁大法廷判決前に、当時の駐日米国大使と最高裁長官が事件をめぐって密談をした、そういう文書が初めて見つかった、こういう報道でございました。

 その文書は、当時の駐日大使ダグラス・マッカーサー二世から米国の国務長官にあてた電報の中で、このように記載されておったわけであります。

 「内密の話し合いで担当裁判長の田中は大使に、本件には優先権が与えられているが、日本の手続きでは審議が始まったあと、決定に到達するまでに少なくとも数カ月かかると語った。」こういうふうに記載されていた、こういうものでございます。優先権というのは、これは審議の優先権ではないかと思います。

 この報道によりますと、この文書の発見者は、外国政府の公式代表者が、日本の司法のトップである担当裁判長に接触したのは、内政干渉であり、三権分立を侵すものだ、こういうふうに語っておりますし、私もこういう疑念を感じざるを得ないというふうに思います。

 日本人の訴訟当事者がもし最高裁の担当裁判官と公式でなくて密会をするというようなことであれば、それだけで当然問題になりますし、少なくとも最高裁判所長官などは会うこと自体も慎まなければいけないというのが当然だろうと思います。ましてや、このときのいわゆる砂川事件というのは、日米安保条約と九条との関係をどう整理するかという国際的に大変大きな問題を含んだものでございまして、これは当然、内政干渉であったという批判は免れないのではないかというふうに私は思います。

 そこで、こういう文書が見つかった、その文書の中にこういう記載があって、大使と最高裁判所の長官が会って内密に話し合ったということについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。

鳩山国務大臣 砂川事件というのは、ちょうど私が小学生に入った直後ぐらいで、中学に入ったころに決着がついている事件だと思います。子供のころですから中身もよくわからなかったんですが、やたら砂川事件、砂川事件ということが話題になっておったことは覚えております。

 今先生御指摘のような報道内容については、私も読ませていただきましたけれども、大変古いことでございまして、報道内容の事実関係等については全く把握のしようがありませんので、これ以上のコメントはできないというのが率直な気持ちでございます。

 ただ、手紙の内容というのは、マッカーサー大使と最高裁長官が中身はともかく面会したという事実、そこで田中耕太郎最高裁長官が、何のコミットをした形跡はないと思うんですが、時間がかかるということを言ったという手紙であるとすれば、それは本来会ってはならない人たちが会ったんだということになりますから、もちろん、もし事実であるとするならば、昭和二十六年に独立をして日本の真の独立というのがまだ遠かった我が小学生時代なのかなと思うと、こうしたことは他山の石というか反面教師としてこれから生かしていかなければならないと思います。

細川委員 それでは、質問をがらっとかえまして、犯罪被害者の被害者性の問題についてちょっとお聞きをいたしたいと思います。

 ことしの二月十七日、埼玉県の熊谷市で、泥酔状態で制限速度をはるかに超えた速度で走行していた乗用車が対向車線にはみ出まして二台の乗用車と衝突をいたしまして、二名が死亡、七人が重軽傷を負うという事件が起こりました。

 泥酔で運転していた運転手は、現在、危険運転致死傷罪で起訴されて裁判中でございます。この運転手に酒を出したとして飲食店の経営者も、道交法の、いわゆる酒類提供罪の罪に問われております。この酒類提供罪というのは、飲酒運転などに対する厳しい世論がありまして、その結果創設されまして、去年の九月に施行されたものでありまして、これが全国で初めて適用されて公判になっている、こういう事件のようでございます。

 そこで、酒を提供した飲食店の店主、酒類提供罪で今裁判が行われておりますけれども、事故に遭った犯罪の被害者が刑事記録の閲覧、謄写の要求、それから被害者として、遺族が意見陳述をしたい、こういうことを要求いたしましたところ、酒類提供罪は被害者のない犯罪であるから、記録の閲覧等の請求あるいは意見陳述はできない、こういうふうにして断られた、こういうことであります。

 しかし、酒を提供する行為自身は、それは加害者性はないということも言えないわけではないんです。しかし、それが飲酒運転、そしてその結果、重大事故を起こしたということならば、当然遺族の気持ちに沿った、意に沿った判断がなされるべきだというふうに考えますけれども、なぜそれができないのか、法務省にお伺いをいたします。

大野政府参考人 ただいま御指摘のありました事件記録の閲覧謄写権あるいは意見陳述権が認められているのは、当該被告事件の被害者、その遺族ということになるわけでありますけれども、そこで言う被害者は、その起訴されている事件に係る犯罪の構成要件で予定されている被害者であるというふうに理解されるわけでございます。ところが、酒類提供罪につきましては、少なくとも構成要件上は、直接被害者の存在が予定されておらないわけであります。

 したがいまして、この事故に遭われた被害者の遺族でありますけれども、危険運転致死傷罪の関係で申すならば、もちろん被害者、その遺族ということになるわけでありますけれども、酒類提供罪の公判との関係で申しますと、その酒類提供罪公判の記録の閲覧、謄写あるいは公判廷での意見陳述が認められる被害者等には当たらないというように解されるというふうに考えております。

細川委員 犯罪被害者という、その被害者を非常に厳密に考えて、そのような対応になったというようなことでありますけれども、しかし、考えてもみていただきたいと思うんです。この事故で、運転していた者は泥酔するような酔っぱらい運転なんです。その運転によって、その事故で両親が亡くなり、兄弟も重軽傷を負う、それで残った家族がその記録を閲覧したい、意見を言いたいと。

 その店主は、お昼の一時から六時ごろまでビールとかしょうちゅうとかをずっと提供しているんです。車で来ていることも知っているんです。そして、見送りまでもしているんです。そして、次のところへ飲みに行って、スナックへ行って、余りにも酔っぱらっているから店に入れなかったんです。店に断られたんだ。それほどの泥酔なんだ。

 そこまで何で飲ますのか、車で来ていることもわかっていてという遺族の気持ちは、どうしてそういうふうに、ましてやその記録もきちっと見て、事実関係も知りたい、もちろんその運転手に対しては、それはそれでまた言いたいことは山ほどあると思いますけれども、酒を提供した人にも、あなたが提供したからこういうことになったんだという意見も言いたい、これはもう当然だと思うんですよ、被害者の遺族としては。これができない。

 せっかく犯罪被害者等基本法などで犯罪被害者の訴訟参加ということがだんだんと認められて、そして意見も陳述できるようになった。だけれども、こういう事例で言えないというのはおかしいと私は思うんですよ、どう考えても。大臣、どう思いますか。こんなことが認められないというのはおかしいじゃないですか。

大野政府参考人 おっしゃるとおり、被害者、遺族の方々の心情というものは十分に尊重すべきだというのが被害者基本法の精神であり、現在、刑事司法もそういう形で運用がされているわけでございます。

 ただ、今問題になっております訴訟書類の閲覧あるいは被害者としての意見陳述権ということになりますと、他方で、これが無限定になると、例えば公判に支障を生じたり、あるいは関係者の名誉、プライバシーが侵害される場合もあり得るかもしれないわけであります。また、かえって裁判の適正を害する場合もあるわけでありますので、その閲覧謄写権、陳述権につきましては、先ほど申し上げたように、犯罪の構成要件で直接予定されている被害者、その遺族に限定するということにはそれなりの理由があるというふうに考えるわけでありますが、先ほど先生の言われた、個別の事件は別といたしまして、そういうような場合に、その店で、例えば酒が提供されたために、それと因果関係のある事故があり亡くなられた方、これはその酒類提供事件の犯情といいましょうか、情状では非常に大きな意味のあることでございます。

 したがって、被害者としての意見陳述権に基づくということではなしに、その事件の情状にかかわる証人ということで、思いといいましょうか、司法の場に反映される、そういう場面はあるんだろうというふうに考えているわけでございます。

細川委員 この場合の酒を提供した者のプライバシーだとか、余り関係ないと思いますね。むしろ、この問題は、何でこんなに酒を提供するのかと。

 第一回目の公判などでは、新聞報道によりますと、酒を出さなければ客が来なくなるから、だから出したんだというようなことも報道されていますけれども、それはもう被害者からしたらとんでもないことですよね。その裁判のときに、遺族としての心情を訴えて、二度とそういうことが起こらないように、酒を提供するときには、絶対に運転をさせないというようなことを飲食店の店主にはしっかりと確認させて、再発防止を図っていかなきゃいかぬというふうに思って、こういうような場合には意見陳述をさせる、それが犯罪被害者等基本法の趣旨だというふうに私は思っております。

 もし、法律で、今局長が言われたようなことでできないというならば、大臣、これは意見が言えるように変えた方が、あるいは改正した方がいいと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 尊敬する細川先生のお上手な話を聞いておりますと、説得力があって、答弁とすれば、刑事局長が申し上げたようなことしか言えないんですけれども、その事件で、いわゆる状況というものがあって、さあ飲め飲めと車で来ていることを承知でどんどん飲ませて、それで送り出した。もちろん、これは危険運転致死傷罪の共同正犯ではありません。教唆、幇助と言えるかどうかもわかりません。

 しかし、もしそういう実態がある場合に、確かに、酒類提供罪というのは、構成要件上、被害者を予定していないわけですよね。したがって、そうやって完全に門前払いしてしまっていいものだろうか。これは、あけたらどんどん広がってしまうからという刑事局長の答弁はそのとおりなんですけれども、何か、意見陳述は別にしても、記録閲覧とかそういうので、もちろん例外的なんでしょうけれども、そういう場合にも少しでも道を開くという考え方も、今先生が説明されたような、結果として重大な結果を招いた、そういう犯罪、事件については何か工夫があってもいいのかなと思うことは事実です。

 ただ、では結論を言えというと、この大野恒太郎刑事局長と同じことしか言えないのが非常に残念なんですが、何か研究の余地はないかなという気持ちは持っております。

細川委員 犯罪被害者の司法参加というような観点から、ぜひ検討していただけたらというふうに思います。

 次に移りますが、先週、委員長のお計らいで死因究明の勉強会が行われまして、大変私も感謝をいたしております。そこで、そのときの講師の先生の話も踏まえて、ちょっと何点か質問をしていきたいというふうに思います。

 一昨日の報道で、女優の竹下景子さんが経済産業省の初代製品安全大使というのを辞退する、こういう申し出がなされたそうでございます。竹下景子さんは一九八六年から二〇〇五年まで、ガス器具メーカー、パロマのコマーシャルに出演しております。同社の製造したガス湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故によって、確定しているだけでも二十八件発生して、そして二十一人が死亡している、このパロマのコマーシャルに出演しておりました。

 竹下さんはなぜこの大使の辞退を申し出られたかといいますと、十九日にテレビで、パロマの事故の遺族が福田総理に対して製品安全への取り組みを訴えている場面が放映されて、それを竹下さんがたまたま見ておられて、そこで、遺族の心情を考えて、大使を辞退したい、こういうことで申し出をされた、こういうことでございます。この要請で、福田首相は再発防止に向けた消費者庁創設に強い意欲を示した、こういうふうに報道がされています。

 しかし、私はもう一つ、こんなにたくさんの被害者が出、何件も何件も引き続き事故が発生し死傷者が出てきた、こういう事件は、死因究明制度の不備が原因になったということを改めて強調したいというふうに思っております。

 例えば、北海道の北見市の例では、八八年の十一月に、アパートの浴室で二十九歳の斉藤慎也さんという方が亡くなられました。その検視の結果は、入浴中の急性心不全による水死、こう判断をされました。その五カ月後、同じアパートの同じ部屋で、男女二人がパロマのガス湯沸かし器による一酸化炭素中毒で死亡した。この事実を知った、先に亡くなられた二十九歳の斉藤さんのお父さんは、北海道警察に再捜査を求めたわけですけれども、もう既に死因を調べる方法もない、こういうことでした。

 このことは、死因をしっかり調べておけば、第二の事故、この男女の二人はそういう事故に遭わずに、死ぬこともなかったんだろうというふうに思いました。そして、その後、たくさんのパロマの事故が起こりましたが、そういうことも防げたんじゃないかというふうに思います。

 そういう意味で、今の死因究明制度が犯罪捜査に限定した死因究明制度になっておりますから、このパロマの事件というのは、こういう死因究明制度の限界を示したものじゃないかというふうに思っております。

 そこで、大臣、このパロマの事件というのは大変な事件で、結局はパロマの前の社長さんは業務上過失致死傷罪で起訴された、そういう結果にもなったんです。だから、最初の北海道の二十九歳の斉藤さんが亡くなったときにきちっと解剖して、それで原因を解明したら、これは一酸化炭素中毒で死亡したということがわかって、ああ、これはパロマだと、全部解決できたはずなんですよ。それができなかったから、こういうふうになって、会社の責任者が起訴までされる、こういう事態になった。

 だから、この事件だけを考えてみても、個別の検視ということを超えてやはり死因究明制度というのをしっかりやらなきゃいかぬのじゃないかということを私は考えるんですけれども、大臣のお考え、決意を聞かせてもらいたいのです。

鳩山国務大臣 前にも、細川先生の死因究明にかける熱意に対して心からの敬意を表明させていただいたことがありますが、北見でのこの二十九歳の青年が亡くなられたときにきちんと死因を究明しておれば、その後の同じ部屋の事件も防げたでしょうし、その後のパロマ製のガス湯沸かし器の事故もかなり防げたのではないか、こういうふうに思います。

 考えてみると、この北見の事件というのは、司法解剖と行政解剖の中間みたいな話かもしれませんね。つまり、器具に、要するにパロマ製の湯沸かし器に欠陥があるということであれば業務上過失致死でもあるし、しかし見た感じではこれは異状死体である、変死体ではないかもしれないが異状死体であるという中では、東京であれば監察医務院が行政解剖をするという事態だったんではないか。ちょうど境目のような感じがするわけです。

 だからこそ、死因究明については、私は、もっともっときちんとできるような体制を、今何とかうまくやっているという答弁を時々聞きますけれども、それは違うと思います。やはり解剖医が極めて少ないし、警察の方の検視官も極めて少ないし、これではどうにもならない。監察医制度があるのはわずか五地域しかない。こういうお寒い状況の中では、それこそ犯罪の見逃しも相当あるかもしれない。その見逃しのために次々と被害者が出るということもあり得るわけでありますから、この死因究明制度の抜本的な改正、改革というものを我々も研究していかなければならないと承知いたしております。

細川委員 この後、いろいろと質問をしようと準備をしておりました。文科省に、大学の法医学教室での専門医の育成の問題、いろいろ聞きたいと思っておりましたけれども、ちょっと最後に一つだけお聞きをしておきます。

 監察医務院がある東京二十三区あるいは神奈川、大阪とか兵庫、そういうところは非常に解剖率が高くてたくさんやっているんですね。東京なんかは、死体を取り扱っている二万件くらいのうち、全部で三千二百件くらい行政解剖をやっているんです。神奈川ももっと高い率でやっていますし、大阪、兵庫も行政解剖が多いです、監察医がいるから。

 ところが、全国では行政解剖ゼロのところがある。全くやっていない。例えば、鹿児島なんかはゼロですね。それから新潟もゼロ。行政解剖、全くゼロ。それから、たった一人だけやったというところなんかも、例えば徳島、それから鳥取、三重、福井、石川。こういうところがたった一人なんです、行政解剖をやったのは。年間ですよ。

 それで、警視庁、東京なんかはもう多いわけですよ。こういうふうに偏在している。しかも、例えば東京なんかはお金がかからない、だけれども神奈川なんかは遺族がその解剖の費用を払うというように、これぐらい違っている、アンバランスが非常にあるのです。

 私は、幾ら公衆衛生が目的の死体解剖保存法だといっても、余りにもアンバランスがひど過ぎるんじゃないかと前から指摘しているのですけれども、このアンバランスについて厚労省はどういうふうに考えているのか、ちょっと答えてくれますか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 死体解剖保存法に基づきます監察医制度の関係の御質問でございますけれども、この制度のそもそもの趣旨は、委員からもお話がありましたとおり、伝染病の発生というような公衆衛生上必要な情報を把握するための仕組みといたしまして、政令で定めた大都市部に監察医を置きまして解剖ができることとする制度でございます。

 この制度につきましては、これを設置しております都府県がそれぞれの判断で実施、運用している制度でございますので、御指摘のとおり、それぞれの都府県の対応につきましてはそれぞれの都府県の判断で実施状況が異なるという実情がございます。

 厚生労働省といたしましては、監察医制度が円滑に運用されますよう、医師の資質向上のための取り組み、例えば医師の国家試験の試験項目の中に異状死の判断や死体検案などを盛り込むとか、死体解剖医の認定を行うとか、それからまた、警察医や一般臨床医を対象とした講習会を行いまして死体の検案能力の向上を図るとか、このような措置をとっておりますので、これらの措置によりまして解剖等にかかわります医師の資質向上を図るとともに、監察医制度の適切な運用を図ってまいりたいと考えているところでございます。

細川委員 そんなのは、医師の資質の向上なんかで解決できるものじゃないんですよ。行政解剖ゼロがあるんですもの。

 例えば、感染症なんというのはどこで起こるかわからぬでしょう。鳥インフルエンザ、人から人への新インフルエンザなんかが東京で起こるとは限らないでしょう。田舎の方で、例えば新潟で起こるかもわからない。そのとき、行政解剖を一つもやっていないんですよ。ゼロですよ。そんなところで、本当に公衆衛生の予防にも何にもならないと私は思いますよ。

 こんなことじゃ大変お粗末ですから、ぜひ死因究明の制度をしっかり確立させていただくようにお願いをいたしまして、きょうはいろいろたくさんお呼びをさせていただいたのですけれども、質問ができませんで失礼をいたしました。

 私の方はこれで終わります。ありがとうございました。

下村委員長 次に、滝実君。

滝委員 衆議院の無所属、滝実でございます。

 きょうも三十分の質問時間をお認めいただきまして、感謝をまず申し上げておきたいと思います。

 質問の内容は二つに分かれるのでございますけれども、その第一点は、国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律、そういう法律があるものですから、それに関連して、二つの事例についてまずお尋ねをいたしたいと思います。

 昔、法務省には訟務局という局まであったのでございますけれども、行政改革の関係で、これが今、訟務部という小ぢんまりとした部になったのでございますけれども、恐らく体制は、小ぢんまりとしているわけではなく、昔の訟務局のままだと思われます。その前をさかのぼると、法務省には三人の総裁がいたことがあるんですね。今の内閣法制局も法務省にございましたから、法務総裁意見というものを出していましたし、それから立法も法務省でおやりになる、それも一人の別の総裁が担当する、こういうことでございます。

 本来、戦後の司法行政の中では、法務省は国全体のいわば法的な体系をつかさどる、こういう省庁であったはずでございます。恐らく、明治のときの司法省も同じ考え方だと思うのです。今、そのうち内閣法制局が内閣の方に、独立して向こうへ移行したものですから法務省の立場が少し微妙になって、法務省は基本的に基本法を法律的には所管する省庁、こういうことになったのでございます。しかし、基本法は基本法でございますけれども、実際の法律的な後始末は法務省がおやりになる、それはどこかというと今の訟務部がおやりになる、私はこういう認識をいたしておるわけでございます。

 そういう意味でお尋ねをしたいのでございますけれども、まず最初は、代理出産に関する戸籍の問題でございます。

 昨年の三月二十三日に最高裁の小法廷で、東京高裁がお認めになった戸籍の取り扱いを否定した判決がございます。もともとは代理出産という格好で、アメリカのネバダ州の州法、法律に従って適法に代理出産をしてもらって、本来の夫婦の嫡出子という格好で日本でも認めてもらおうということでおやりになったわけでございますけれども、東京家庭裁判所がそれを拒否する、それに対して東京高裁がいいじゃないかといって認める、それを最高裁が否定した事件でございます。

 恐らく、東京高裁が第一審の東京家庭裁判所の戸籍拒否の判決をひっくり返したのは、いわば情状酌量判決だったんだろうと思うんですね。要するに、戸籍のない子ができてしまう、あるいは医学的には本来の父親、母親を確定してもいいのじゃないか、こういうことでこの代理出産の戸籍上の取り扱いを東京高裁がお認めになった、法的にはともかくとして、結果的にはそれしかないという判断をしたんだろうと思うのでございますけれども、最高裁はそれを覆して否定したのでございます。

 ところが、最高裁小法廷でございますから四人の裁判官が関与しているわけでございますけれども、その四人の裁判官のうち三人が、立法的解決を図るべきだという補足意見をあえておつけになっているわけでございます。

 要するに、日本でもいろいろな事態がこれを契機にして出てくるであろう、代理出産という形は、医学的にそれが可能であれば出てくる、しかし、これを放置しておくと恐らく既成事実だけが積み重なって法治国家としてはまずいのじゃないか、こういう判断で三人の裁判官が立法的にこの問題を速やかに措置すべきだと。要するに、倫理的な意見もあります、それから医学的な問題もあるわけでございますけれども、基本は子供の福祉についてどうあるべきかという観点から、とにかく急げ、これが補足意見の中身であったのでございます。

 その後、法務省の民事当局がこれをどういう格好で処理をされてきたのか、その経緯をまずお尋ねしておきたいと思います。

倉吉政府参考人 実は、この問題につきましては、御指摘の最高裁決定が出る随分前から検討をしていたところでございます。

 法務省は、平成十三年から法制審議会において生殖補助医療により出生した子供の親子法制を検討いたしまして、中間試案も出したところでありますが、平成十五年の九月以降、諸般の事情で検討を中断せざるを得なくなりました。

 こうした中で、平成十八年の九月二十九日になりますが、御指摘の最高裁決定の原決定であります東京高裁決定、当事者の言い分を認めた決定が出されました。それで再びこの問題が広く議論されるようになりましたので、この問題を改めて検討すべく、御指摘の最高裁決定に先立つ平成十八年の十一月になりますが、法務大臣及び厚生労働大臣が日本学術会議に対し、代理懐胎を中心とした生殖補助医療をめぐる諸問題について審議の依頼というものをしたわけでございます。

 本年の四月になりますが、今回の学術会議による審議結果を取りまとめた報告書が御承知のとおり公表されました。学術会議においては、御指摘の最高裁決定の趣旨を踏まえた検討がされ、御承知のとおりの一定の方向性が示されたものと理解しております。

 法務省としては、この審議結果や各方面の御意見を踏まえながら、生殖補助医療により出生した子の親子関係について、法整備の必要性というのを検討していきたいと考えております。

滝委員 ありがとうございました。

 これについては、最高裁の決定が出る前からも、長野県の根津八紘医師のもとで既に百五十件近く日本でもこの代理出産が行われているということを根津先生みずからが発表し、それに対して学界でも賛否両論が起こり出した、こういうことでございます。

 しかし、その後、根津先生が自分で、法的な整備をどういう格好でやったらいいのかという私見を発表されていますよね。非常に限定的にこういうものを取り扱うべきだということ、日本で一番先駆的になった根津先生自身がそういうような私案を出していらっしゃるわけでございますけれども、そういうものについての検討もされているのでしょうか。

倉吉政府参考人 実は、前提といたしまして、代理懐胎については、今の根津先生の御見解というのも同じだと思うんですが、生殖補助医療としてそもそもこの代理懐胎を認めるかどうかという行為規制の問題がまずございます。その上で、代理懐胎によって出生した子の身分をどうするかという親子法制の問題があるわけでございます。法務省はその後半の親子法制の問題を所管している、こういうことになろうかと思います。

 そこで、法務省としては、学術会議の審議結果や行為規制のあり方についての幅広い議論をまず踏まえた上で、その上で生殖補助医療により出生した子の親子法制の整備の必要性について検討していく、こうならざるを得ないところであります。

 もちろん、根津先生の御見解というのも、主としてこれは行為規制の問題で、それをどこまでやれるかということの一つの見解であるということですので注目はしておりますが、それを中心として、学術会議は学術会議で行為規制のあり方について一定の結論を出しました。それについてこれからどういう議論がされていくか、それを踏まえて親子法制の検討をしなければいけない、このように考えているところでございます。

滝委員 いずれにいたしましても、最高裁の決定は、このままほうっておいたらやはりまずいという後ろめたさが恐らくあって、三人の裁判官が補足意見で、立法的解決をしてくれ、こういう声を上げているんだろうと思うんです。所感は幅広く出るということも補足意見の中であえて言っているわけですよね。いろいろな意見があるから簡単にはいかないと思うけれどもそれは放置しておくべきじゃない、こういう補足意見でございますから、私は、政府が一丸となってこの問題は立法的に解決するということを早くやっておいた方が当然最高裁の意思にも合うのだろう、こういうふうに思います。

 次に、ちょっと見方が変わるのでございますけれども、この四月から施行された後期高齢者の医療制度に関連して申し上げたいと思うんです。

 厚生労働省からも審議官がおいでになっていますから、まずお尋ねしたいのでございますけれども、四月からスタートさせるために平成十八年の六月に関連法案を急いで成立させたという経緯がありますね。

 ところが、奈良県なんかの例で申しますと、県の広域連合が扱っているものですから、広域連合から市町村役場に保険証なるものが届いたのが大体三月十日前後だと思うんですよ。そうしますと、個々の御本人の手に渡るのは恐らく三月の末ぎりぎりか、あるいは四月にかかってしまうということなんですね。

 法律は、準備があるから急いで成立をさせた。ところが、県の広域連合から肝心の市町村役場に届いたのが三月十日。その段階では、国民健康保険証の切りかえはとうの昔にもう来ているんですね。一般的な国民健康保険証というのは、二月に大体来るんです。ところが、新しい制度でありながら、実際手元には三月ぎりぎりか四月にずれ込んでしまったというふうに聞いているんです。

 その辺の手続というか、事実関係をちょっと御確認させてもらいたいと思うんです。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 長寿医療制度、後期高齢者医療制度でございますけれども、これは委員御指摘のとおり、十八年六月に法律が成立いたしましてから、まずは、各四十七都道府県の市町村の方々に広域連合という新しい主体をつくっていただくという作業からスタートいたしました。一年目、昨年の三月までに全都道府県の広域連合をつくっていただき、そこに広域連合長それから事務局、広域連合議会というものもつくっていただきました。

 その中で、私どもも、広域連合ともどもに準備を進め、今の保険料の設定等は昨年十二月までで一応各広域連合にお願いをし、その後で被保険者証等の作業にかかったわけでございます。

 それで、今御指摘ありましたように、広域連合の方が、各被保険者、七十五歳以上の方々に被保険者証をお送りするという仕事を担っているわけでございますけれども、二月の段階で我々も、きちんと届くようにということの注意喚起をいたしております。

 これは、四月一日から実際にそれを使っていただいて医療機関の窓口で受診していただくということでございますので、きちんとその方々に届くようにということをお願いしておるわけでございますが、実際には、ぎりぎりになった広域連合もございます。被保険者の方々にお届けしたんだけれども、この住所地に不在であって返送されてきたというようなことで、お届けできるのが法施行後、四月をまたいでしまったケースが発生したところでございます。

 当初、四月九日現在で広域連合が把握した被保険者証、全国の一千三百万人の被保険者のうちで六万三千件ぐらいが届かなかったということでございましたが、これはずっと市町村に努力を広域連合ともどもお願いしておりまして、昨日現在で確認いたしましたところ、六千百件余りというところまでは減少できております。まだ把握ができない方がございますので、住所等さらに把握しなきゃいけないというふうに考えておる次第でございます。

滝委員 これがおくれたために、四月一日以降、保険証を持たない人は昔の保険証を持っていったら医療機関にかかれる、こういうばかなことがいわばまかり通ったんですね。要するに、有効期限が切れた保険証を持ってお年寄りが医療機関に行かなければかかれない、そういう法治国家としては非常に恥ずかしい事態が全国で起きたということ自体が、大体なっておらぬと思うんです。そのためにわざわざ法律を急いだんじゃないの、こうなるわけですね。

 これは、これで一件落着したんじゃなくて、実は、この保険料の算定の基礎になった数字は仮数字ですね。要するに、前々年度の所得をもとにして保険料の算出をしたものですから、各市町村役場は、六月にもう一遍、本算定をしなきゃいかぬわけです。

 要するに、前年度の所得に応じて保険料を算定し直すわけですから、それを受けると、また七月になると各被保険者のところに、あなたの保険料はこうなりましたというのが行くわけですね。そこでまた、すったもんだの話が出てくると思うんです。要するに、この間決まったばかりなのに何で変更になるんだということになるわけです。だから、これからまた市町村役場が、七月に備えて電話回線をふやして、クレーム電話の受付係をどっとふやさないかぬ、こうなるわけです。

 恐らくは、それで納得できない人たちは訴訟をどんどん起こしてくると思うんです。そこからがまた法務省の出番になると思うんです。要するに、法律の制度を守るために、最後の締めくくりをやるのは訟務部なんですね。これは、全国で出てきます。出てこなきゃいいですけれども、出てきたときに、訟務部は大変なことになるんです。

 私は、先ほど申しましたように、このためにも法務大臣は閣議で、こういう混乱が予想されるときにはやはり注意勧告ぐらいはした方がいいんじゃないかと思うんです。閣議には内閣法制局長官が陪席するそうでございますけれども、あくまでも陪席ですから、法制局長官が自分から発言することはあり得ないんですね。大臣は、本来は不規則発言が許される。

 私は、だから、こういう混乱が予想される場合には、法務大臣としては、基本法の問題だけじゃなくて、少しは余裕のある発言をされた方がよろしいんじゃないだろうかと思うのでございますけれども、先ほどの代理出産の問題とあわせて、大臣の意見をここでちょっとお聞かせいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 代理出産の問題は、先ほどいきさつをお話ししたとおりだと思いますが、厚生労働大臣と法務大臣と両方の名前で日本学術会議に対して代理懐胎のことについて審議依頼をした、その報告が出ているわけでございます。

 しかしながら、こうした問題は、最高裁の判断もありますが、いわば生命倫理というのか親子関係の倫理というのか、こういう基本にかかわる重大な問題でありますから、これは国民の代表である与野党間の徹底した話し合いというものが何よりも最優先ではなかろうか、そう考えておりまして、私は、国会あるいは党同士においてどういう御議論になっていくかを見守っていきたいという気持ちでございます。

 今先生御指摘の問題、法務大臣の権限法という問題、つまり国が、訴訟になった場合には、原告になる場合もゼロではないと思いますが、ほとんどが被告として法務大臣が受けて立つ。ということは、訟務部が大変忙しい仕事をいたしております。それは、C型肝炎のときも同じでございますし、あるいは原爆症認定の問題も同じでございますし、その他さまざまな国賠訴訟があるわけで、これを法務省が全部受けて立つということになっております。しかも、自治体が被告となる場合も、要求があって必要があると、法務省が手伝うというか、法務局の職員が自治体にかわって訴訟遂行を行うということもある、大変忙しい職場になっております。

 したがって、滝先生御指摘のように、今まで私の発想にはありませんでしたが、何らかの法律をつくる、あるいは法律を改正する、そのときに、こんな法律をつくったら裁判がいっぱい出て国が訴えられるんじゃないかというようなことは、本当に注意していかなければならないことだなと今つくづく思います。

滝委員 代理出産の問題は倫理的な問題がありますから、確かにそれは政治的な決着もしなきゃいけませんけれども、基本的にはやはりそれまでの国民感情というか、そういう問題もありますから、臓器移植法のときと同じように時間がかかるし、そして党の立場でどうこうという問題を超えているところがありますので、今の大臣の発言をもとにして、いろいろな格好でこの問題は進めていかざるを得ないと思います。ありがとうございました。

 次に、登録手数料についてお尋ねをしたいと思うんです。

 現在の不動産登記法によりますと、登記関係の証明書には手数料を払わないかぬ。ところが、この手数料が高いという批判があるんですね。あるのみならず、実費を払うのはしようがないけれども、実費以上に、実は個々の私人が取り寄せる証明書の手数料の中に国や地方団体の分も上積みされている、こういう批判がございます。

 そこで、法律の条文を読みますと、不動産登記法の新しい条文ですと百十九条に、何人も手数料を払えば登記事項証明書の交付を請求することができると書いてあるんです。要するに、何人もと書いてありますから、国や地方団体もその中に入るんですね。

 ところが、この法律に基づいた手数料令を見ると、国や地方団体は手数料を免除されているんです。要するに、不動産登記法百十九条が本来根っこになるはずが、手数料令になるとにわかに非課税になってしまっている。私は、これは根拠としておかしいのじゃないかという感じがまずあるわけです。

 なぜかといえば、もともと、昭和四十二年に登録免許税法ができたときまでは、すべて手数料でやっていたんですね。その時代は税という感覚がありませんから、税のかわりに手数料でやっていた。しかも、不動産登記というのは基本的には国税の地租を事務的には引き継いでいるものですから、当然税並みに考えておったわけですね。

 ですから、昭和四十二年に分離するまでは手数料という格好でやっていたものですから、基本的に国、地方団体は非課税という自然の流れで考えておった。ところが、昭和四十二年に登録免許税ができて、手数料と免許税というものとを分離した以上は、そのときに本来は手数料の方は非課税措置を廃止するべきだったのですけれども、ここのところは恐らく民事局長にはいろいろ国会のやりとりの意見があるだろうと思いますから、その経緯も含めて、なぜそうなっているのだ、こういうことの説明をいただきたいと思います。

 それからもう一つは、現在の算定基礎が証明書の発行手数の経費を発行部数全体で割っているものですから、その中に国や地方団体の分が三割以上入っているんですね。その分を込めて割ればいいものを、国や地方団体の分を引いて、全く私人間のやりとりだけを件数にして割っているものですから、いわば国、地方の非課税分を込みで、私人が証明書をもらうときに上乗せで払わなければならぬという変な話になっているので、その辺のところの説明をお願い申し上げたいと思います。

鳩山国務大臣 後段の件だけお答えを申し上げます。

 先生おっしゃるとおりでございまして、この登記の料金でございますが、三年に一遍見直すことにしている、だから、これから三年間でどれくらいの費用がかかるか、どれくらいの証明書や閲覧の請求があるかというので割り算をして料金を決めますと私は堂々と国会で答弁をさせていただいてきた。

 ところが、考えてみますと、公用のものがただである。証明書類でありますと、公用が大体二割です。閲覧ですと、五〇%超します。ただ、オンラインの閲覧というのを含めますと、閲覧全体の四十何%が公用だ。ということになりますと、私がうそを言ったことになりますね。

 つまり、もちろんコンピューター化とかいうので値上げも随分してきたわけですが、かかる費用を請求数で割った値段。ところが、公用分をただにしているということは、分母を小さくしている。そして、八百円だったものが今は千円である。これはいわば、公用分をただにしたからそのしわ寄せが民間に行っているということでございますから、これはやはり直す必要がある。国が住基ネットを見にいくとちゃんと地方自治体に料金を払っているわけでございますから、国と地方のやりとりでも、当然そういうものはできる限りきちんと料金を取り合った方がいいのではないか、私はそう思っております。

 そういう形で、今後は、もちろんこれは政令があるから政令を改正しないとだめなんですけれども、公用の分も取って民間料金を下げるというのを私は基本的な方向と考えたいと思っております。

倉吉政府参考人 ただいま大臣の方からお話があったとおりでして、大臣の方から検討をするようにという指示をいただきまして、今検討に入っているところでございます。

 話の前段になっておりました、何で今まで無料の取り扱いだったのかというところを簡単に御説明したいと思います。

 これは、官公署からの請求については、登記手数料令の第十九条によりまして、手数料を納めることは要しないという取り扱いとされております。その根拠というのは、これまで言われておりましたものは、その請求の公益性であるとか、それから官公署間の相互協力関係といったものを根拠とするものでございました。

 登記手数料令が制定された昭和二十四年から実はこの取り扱いは続いておりまして、ただいま委員から、これをちゃんと手数料制にしたときに改めるべきだったのではないかという御指摘がありましたが、実は、登記が特別会計になりまして、昭和六十年に登記特別会計法ができました。その特別会計法ができたときの昭和六十年四月十九日の衆議院大蔵委員会で附帯決議がされまして、「公共部門における相互の協力関係は、当面、従前の慣行を尊重するよう努めること。」とされました。

 そういうこともありましてこの無料取り扱いをずっと継続してきたということでございますけれども、大臣から御指示がありましたので、今その方向について検討しているところでございます。

滝委員 大臣からも御答弁いただきましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

下村委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十四分開議

下村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。河村たかし君。

河村(た)委員 河村たかしでございます。

 まず最初に、大臣の元秘書さんが文京区長をやっておられるらしいんだね。そこで、皆さんのところに写真をおつけしました。配付資料についております。これは、旧KKRと、ちょっと黒く囲ってあるのは田中眞紀子さんがお住まいになっておるうちでございますけれども、立派ないわゆる都会の森ですね。これを、とんでもないことに、ばっさばっさと木を切ったという恥ずかしい話を聞きました。

 これは、鳩山大臣は一見環境を大事にしておられるように見える方でございますので、元秘書、今の区長がそれを切るようにした、ちょっと過程があれですけれども、ということらしいので、大臣として、都会の巨木を守るのにもっと骨を折らなきゃいかぬじゃないか、そういうことなんです。

 まず、事実として、これは国土交通省らしいんですけれども、どういう木をどれだけ伐採したのか、ちょっと答えてもらえますか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 文京区においては、国家公務員共済組合連合会の旧運動場及び隣接する田中議員が物納された土地におきまして、仮称でございますが目白台運動公園の整備を行っており、平成十八年度までに用地取得を終え、平成十九年度より整備に着手しているところでございます。

 文京区によりますと、当初はこの物納地に存在していました樹木七十二本のうち四十五本を伐採する計画でありましたが、近隣住民の方々との協議などによりまして、伐採本数を最小限にとどめるべく計画の見直しを行い、最終的に、十九年六月から二十年二月にかけまして、既に枯死していました四本を含めた二十五本を伐採したと聞いてございます。

 枯死木を除く二十一本につきまして伐採を行った理由でございますが、旧運動場と物納地の境界にあったコンクリートの塀や車庫など既存施設の撤去に当たり必要となったこと、樹木が込み合っていたことなどによるものというように文京区から聞いておるところでございます。(河村(た)委員「樹齢はどのくらいですか」と呼ぶ)五十年前後というふうに思います。

河村(た)委員 百年ぐらいだと聞いていますがね。(小川政府参考人「百年ぐらいですか。失礼いたしました。いずれにしましても、何十年かたっていると思います」と呼ぶ)

下村委員長 指名してから発言してください。席に戻ってください。(河村(た)委員「時間がないからいいです」と呼ぶ)いやいや、だめです、席に戻って。ルールはルール。

河村(た)委員 樹齢が百年ほどある木だと聞いておりますが、勝手に短くしてもらっては困りますけれども、どうですか。

小川政府参考人 どうも失礼いたしました。

 河村先生からお話がありましたように、百年ほどというようなことでございます。私どもの方でも、何十年ぐらいは経過しておるというふうに聞いておるということでございます。樹齢につきましては、以上でございます。

河村(た)委員 本当に、切ることを前提なものだからろくでもない、いかぬですわ。全部が百年とは聞いておりませんけれども、百年ほどの木もたくさんあると聞いております。

 それから、名古屋で、これは防衛省ですけれども、守山の駐屯地で百年ぐらいの桜の大木を切ったという話があるんですが、これは本当ですか。

枡田政府参考人 お答えいたします。

 守山駐屯地におきましては、隊庁舎の老朽化、耐震調査の結果等を踏まえまして、平成十八年度から庁舎の集約立体化作業を進めております。その一環としまして、現在実施しております新庁舎建設に先立ちまして、その建設予定地にありました樹齢百年以上と思われます桜の木などの樹木を、本年一月から二月にかけて伐採したところでございます。

河村(た)委員 防衛省のマークというのは桜じゃなかったですか。

枡田政府参考人 防衛省・自衛隊におきましては、自衛官の制帽だとか階級章、記章等に桜花だとか桜と星のデザインをあしらったものを着用しているところでございます。

河村(た)委員 これは、都心に残る百年の桜の木ですよ。大体、こんなものを切っていいのかね。これはとんでもないですよ、本当に。何が老朽化だ、冗談じゃないですよ。建物なんかどうでもなるじゃないですか、そんなことは。まあいいです。

 もう時間がないから、ここで、一見環境を大事にしているように見える鳩山大臣に聞きますが、特に田中邸のこともそうですね、何か努力されていると私も聞いております。だから、この際は一肌脱いで、田中邸の、守山のは切ってしまったから、特に都会に残る巨木、こういうものをやはり残していこうというふうに、相当前に出られて行動されたらどうですか。

鳩山国務大臣 一見でなくて、心の底から自然を大切にしております鳩山邦夫でございますが、先生おっしゃるとおりで、何か自治体の木として特別に保護すれば切らないとか、そういうことは世の中にあるんでしょうが、ならば木を切っていいかといえば、そうではない。私は、二十三区すべて、東京都全部でもいい、あるいは他の自治体でもいい、現在ある木の数を一本も減らさないというような行政を全国的にやってもらいたいと願っているわけでございます。

 私は田中先生の秘書をいたしておりましたから、あの目白にはいつもお伺いをいたしておりました。田中眞紀子議員からも、この問題についてはお話を承っております。あのうっそうとした、森のように見えた庭園ですが、この木を切るなどというのは、基本的にあってはならないことだというふうに思います。

 隣のKKRでございますが、あれは、私は大蔵官僚の息子でございますので、子供のころから、泳ぐときはあそこに泳ぎに行っておったんです。民主党の今の幹事長と私とで仲よく手をつないで泳ぎに行っておりましたのが、隣のKKRなんです。

 いずれにいたしましても、あの立地条件はすばらしい、そこにできる限り自然を残したい。例えば、日比谷公園というのは、行くことはあるけれども、日比谷公園のコンクリートを全部はがして草を生やして、そこで若い人たちがデートをしたらいいな、そういうふうに思うぐらい私は自然を大事に考えております。

河村(た)委員 考えておると言うけれども、考えておるのは、考えておるだけじゃないですか。この間の例のカンパの話だって、言うだけで、口先で終わってしまってはいかぬじゃないですか、大臣、無実の刑務官にカンパしようと言って。それもそうだけれども、それでは、今のKKRと田中邸のことで行動されますか。

鳩山国務大臣 現在の区長は、秘書ではないんですよ。秘書的な仕事をしたことはありますが、私は給料を払ったことがないので元秘書ではないのでございますけれども、そういう関係にありますので、この間も、とにかく木を切らないようにというふうに私は電話をしたんですけれども、再度、先生の意向を含めて、また話をしようと思っております。

河村(た)委員 そういうことで強くやっていただいて、これに限らず、私は今、丸の内に中央郵便局というのがありますね、あれを壊すなと。私は古い建物が大好きで、座り込みまでやって訴えられたこともありますけれども、それとか巨木というのはみんな、年寄りを大事にするという気持ちと同じなんですよ、気持ち的には。何か日本は、木をばっさばっさ、自衛隊まで百年の桜の木を切るんですから、だから、ぜひ、せっかく大臣をやっておられるんだから、日本じゅうの巨木とか古い建物とかを大事にしようということで、一発閣議でもしゃべってくださいよ。

鳩山国務大臣 閣議で言う言わないは別にいたしまして、私は今法務省におりますけれども、やはり一番大事なのは、日本の環境であり、歴史、伝統、文化。日本の文化というのは、木を大事にするというのが日本の文化の本質ですから、そういった意味では、木を大事にする気持ちが犯罪の減少にもつながる。そういうのを平気で切ってもいい、巨木なんかだって、駐車場にするんだから切ってもいいんだというような考え方自体が、日本人の心の荒廃を生み、犯罪を生む大もとの原因になるような気がしております。

 あと一分だけお許しください。

 自然と共生をする文明というのは、みんな木を大事にするんですね。それは、中国のいわゆる長江文明は、黄河文明は違いますよ、自然を破壊する。長江文明は、マンサク科のフウという木を大変大事にした。そういう巨木の信仰というか、巨木を大事にして、天と地が融合する、そういう考え方の中に自然と共生する人が出てまいりますので、そのためにも木は大事にしていこう、こう思っております。

河村(た)委員 わかりました。それでは、しっかりやってちょうだいね。

 では、次の問題に行きます。

 これは警察の方でございますが、この間質問しまして、皆さんのところに資料が出ておりますけれども、兵庫県におきまして、携帯電話をかけながら運転をしたということで逮捕されてしまった、こういう話です。これは何で聞くかというと、交通違反というのは千三百万件もあって、結構こういうことがあるんじゃないのか。

 違反者というか、国民の方からすれば、微罪で逮捕してはいけないという犯罪捜査規範がありますから、そういうことで、何かおどしのように逮捕するぞとか手錠をかけるぞというのが使われているんじゃないかというのが一方。それから、お巡りさんからしても、千三百万件もありますから、中には、それはうるさいことになることがあるわけですよ。切符を切られますから、ばかやろう、おまえということになるわけです。そういうような現場の苦しみというのがちゃんと上に届いておるのかという、両方の立場から聞いておるんです。

 ですから、何か具体的なこの資料をきょう出すなと言ったとんでもない理事がおるそうでございますけれども、こういう具体的な事案事案についてどういうことが起きているのかというディテールを考えなきゃわかりませんよ、言っておきますけれども。千三百万件に対して言っておるわけですよ。ということですので、お答えをいただきたい。

 まず、話が長くなりますので、再調査のものは出しましたけれども、言っておることが全然違うんですね。全然違いまして、きょう、皆さんに図を出していただきました「逮捕時の警察官の位置」、これは違反車両が右側にありまして、申立人とありますね。要するに、逃げ出そうとしたからということで逮捕したことになっておるんです。書いていただきましたのは、警ら用自動二輪車というのが二つあって、違反車両の間が結構あいておるんですね、この図というのは。違反車両、申立人のところが運転者なんですよ。何となく逃げ出せそうに見えるんですけれども、これは実はもっと直前だと聞いております。

 だから、本人に言わせると、こんなに全部取り囲まれておってどうして逃げようとできるんだ、冗談じゃない、ギアを入れたこともないとはっきり言っておるんですが、これはどうですか。

末井政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨日、質問通告をいただきまして、兵庫県警においてこの警察官の位置について作成を求めたわけであります。

 最初に到着いたしまして現認をいたしましたのは地域警察官、警ら用自動二輪車でございました。そこから始めて、応援のパトカーが来、最終的には交通の取り締まり員も応援に来たという形で、これは、兵庫県警察が具体にそれぞれから聴取をした結果こういう位置であるということでございますので、御理解をいただきたいと存じます。

 また、ギアを入れて発進しようとしたことはないといった今の御質問でございますが、私どもが兵庫県警察に確認をいたしますと、そのような動きがあったということの報告を受けておるわけでございます。

河村(た)委員 その点でも、全然話が違うんですね。

 では、ちょっと聞きますけれども、最近は、交通違反の現場、切符を切る現場での言い争いというかトラブル、こういうのはふえておるのか、どっちですか。

末井政府参考人 今、手元にその数値は持っておりませんが、警察におきましては苦情の申し出という制度がございますから、その数値を確認いたしますとそれがお答えできると思います。また、後ほどお答えをしたいと存じます。

河村(た)委員 これは言っておかなかったのですが、私がきょう聞いたんですよ、あるお巡りさんに。そうしたら、最近非常に多いと言っていました。数も多くなってくるし、どうしても、権利意識があるのかどうかわかりませんけれども、特に若い人からすれば、捕まる方からすればお巡りさんが居丈高、おいこらと来た、お巡りさんからすれば文句を言ったということが非常に多いというのです。

 そういうものに対して、千三百万件ですから、対策というか、何にもやっておりゃせぬと聞いておりますが、その辺のところはどうですか。おたくたちで、千三百万もあるので、こういうときはこうしようとか、そういうことはないんですか。

末井政府参考人 警察庁といたしましては、昭和六十三年当時ということで、記録といいましょうか、全国に照会をして判明したわけでございますが、「交通指導取締り時の応接五則」といったものを発出いたしまして、これに基づきまして、都道府県警察ではそれぞれ応接要領を指導、教育している、このように承知をしているところでございます。

河村(た)委員 そんなものは何にもやっておらぬということで、これは昭和六十三年ですね。「不用意な言葉づかいや居丈高な態度はトラブルの元である。常に冷静な態度と明瞭な言葉で応接をしよう。」とか「応接は礼に始まつて礼に終わる。端正な服装に努めるとともに、制服のときは確実・丁寧に敬礼しよう。」なんて当たり前のことが書いてあるだけで、これだけということは、結局、本当の現場に対して何にもやっておらぬということだね。こういう話も、私がこういう質問をしたのでこうなってくるだけのことであって、兵庫県警に全然届いていなかったんだね。

 あなたは兵庫県警の本部長をやっていらした人ですから、前も私は聞いたでしょう、テープで。あのことも、私が質問してわかったんでしょう。あれは、週刊誌に出ておったかな、内部で上がってきたんですか、どちらですか。

末井政府参考人 全国一律ではございませんが、私はかつて鹿児島でも本部長をいたしまして、兵庫でも本部長をいたしました。それぞれの県におきましていろいろなトラブル、紛議事案がございますので、それに応じて適時、これはまずいというものがあれば教育をしてまいる、そして警察学校でもそういったことは事前に教えるということがございます。

 そしてまた、一昨年でございましたでしょうか、御質問があった事案でございますが、それは私の着任前の事案でございまして、それについても、紛糾事案になるおそれがあるということで内部では見たようでございますが、現実に抗議といいましょうかクレームが出まして、初めて調査をしたということでございました。

河村(た)委員 今回のもそうですね。今回のも一応逮捕ですから、交通事案で逮捕ですから、少なくとも普通ではないということですね。それも、携帯電話をかけながら車で走っておっただけで逮捕ですから、それは当然内部で話は上がってくるようになっておるのかね。

末井政府参考人 本件につきましては、四月九日午後一時五十分の逮捕でございまして、御質問をいただきまして答弁いたしましたのはたしか四月十一日でございました。

 このような事案につきましては、各警察署では、警察本部長指揮事件ではございませんで、警察署長指揮事件として普通のとおり処理をしておったということで、実は、委員から質問通告がございまして、こういった事案はあるのかということで、警察本部は初めて認知をしたということであったと記憶しております。

河村(た)委員 ということは、わかりゃせぬということです。だから、日本じゅうにようけあるよ、泣き寝入りなのかわからぬのが。

 こういうふうに言い分が違っておる場合、後、どうするんですか。今、私のところも正直に出しました。本人と私は電話していますから、本人から聞いて、正直にそのまま出したんです。あなたのところもと言っては悪いですけれども、察庁も一応そちら側で現場に聞かれて出しておるけれども、全然違うわけです。

 そういう場合、違うときに、今後のこともあって、これはそのままほかっていくのか、一体どうなるんですか。現場の確認をとって、どうするんですか。両方の意見を聞くのか、どうなるんですか。

末井政府参考人 この事案について、二つの面から見る必要があると存じております。

 一つは、刑事事件。道路交通法違反事件としての性格のものとしては、これは当然に交通反則通告制度に現在は乗っておりますが、その結果、任意でございますので、反則金の納付があるかないかということを見きわめながら、いずれ、これは道路交通法違反事件、携帯電話の使用違反事件としての捜査手続を進めていかなくてはならない。これは、出口が決まっている話でございます。

 他方で、もう一つの面と申しますのは、ただいま御指摘のように、警察の現場における応接あるいは扱い、言葉遣いといったものについての問題をどのように解決するのか。それぞれ両者の言い分が違っておりますが、ただいま私どもが受けておりますのは、兵庫県警察が組織として事実を慎重に調査してきたということでありまして、また他方で、なおかつその言い分が違っているということについて、御本人が私どもの兵庫県警察に直接お話をしていただければ、さらに理解が深まって、どういうことであったか、そしてそれぞれにどのような対応、兵庫県警察としてどのように今後対応すればいいのかというのが明確にわかってくるものと存じます。

河村(た)委員 では、本人が申し出れば話を聞いていただいて、両方の言い分を合わせていただく。何でかというと、逮捕されていますからね。

 もう一回確認しますけれども、生意気なやつは逮捕してもいいんですか。

末井政府参考人 犯罪構成要件に該当して、やはり逃走のおそれ、逮捕の理由などがないと逮捕ということにはならないということでございます。

 なお、御本人からいろいろと御連絡なりいただければ、私どもは、兵庫県警察に対して、誠実に対応して、苦情として処理をしなさいという指導をする用意はございます。

河村(た)委員 では、それをぜひやっていただきたい。

 最後に、逮捕歴についてです。逮捕歴は残らないということをおっしゃっておるんですね。これはどうなりましたか。守っていただけるんですか。

末井政府参考人 逮捕歴は残らないと言った警察官がいるという形で御通告をいただきました。

 この点につきまして、葺合警察署が本件の警察署でございましたが、その申し出人の釈放の際にどの警察官が立ち会ったのか、また葺合警察署から立ち去るまでの間には一体どの警察官と会話があったのか、そして逮捕歴が残らない旨の発言があったかどうかを含めまして、現在、兵庫県警察において調査を進めている段階でございます。

河村(た)委員 わかりました。それでは、一応御本人に言っておきます、申し入れますようにということで。それは、警察署へ行けばいいんですか、どこへ行けばいいんですか。

末井政府参考人 警察法に基づきまして都道府県公安委員会に苦情の申し出はできますし、あるいはそれが警察本部長あてでありましても同様に取り扱いをいたします。苦情の申し出である旨を言われれば、警察署でも取り扱いは可能でございます。

河村(た)委員 では、そうなりましたら、これはそういうふうにさせていただきます。逮捕したことにはならぬよということでございますので、ちゃんと約束は守ってもらわないかぬですよ、もしそう言っておったら。

 逮捕歴を消すというのは、どういう手続になるんですか。

末井政府参考人 お答えをいたします。

 くどいようでございますが、逮捕歴は残らないという旨の発言があったか否かも含めまして、まずもって確認をしなくてはならないということでございます。

 他方で、警察におきましては、逮捕した被疑者に係る情報につきましては犯罪捜査等の目的で保有しているところでございますが、逮捕した事案が最終的に反則事件として処理された場合などには、登録した情報を削除するということはしておるということでございます。

河村(た)委員 では、そういうふうに本人に言っておきますので、お願いします。

 それから、次の問題です。

 名古屋の熱田署で、ある男の方が灯油をかぶって、火をつけて死ぬぞ、自殺するぞというようなところを保護した。警察官は、職務執行法で保護義務があるらしいので、それを保護した。ところが、取り調べ室で、たばこを買ってきてくれということで、たばこを出してライターを出したところが、引火してしまって亡くなってしまった、こういうのがあったんですね。

 こっちの方は、確かに、灯油をかぶった人に漫然とというと、ちょっと状況が相当そういうデリケートなところで緊迫しておるのであれだと思いますけれども、たばことライターを渡すというのはやはり不注意だったと言われてもしようがないと思います。

 一方、刑務所でもそうなんですよ。やはり警察、刑務官それから自衛隊、消防とか、こういう事故が起こりやすい現場というのがありますね。こういうところというのはやはり士気が衰えちゃいかぬじゃないですか、何かやったら事故が起きて、自分が責任をとらされるといかぬということで。

 この警察官なんかは、これは自殺と言えるかどうかわかりませんけれども、業務上過失致死傷になるのか懲戒処分になるのか、こういう場合はどうなってくるんですか。

井上政府参考人 警職法三条によりますと、警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して、精神錯乱または泥酔等のため、自己または他人の生命、身体または財産に危害を及ぼすおそれのある者であることが明らかであり、かつ、応急の救護を要するに足りる相当な理由のある者を発見したときは、これを保護しなければならないというふうになっております。

 具体的な事実関係については、現在、愛知県警察において事案を調査中というふうに報告を受けております。

河村(た)委員 ちょっとこれは何とも言えぬですけれども、しかし、事故の起きやすい現場で仕事につく人たちが、名古屋の刑務所の話も同じで、何かあったときに上は全部逃げていってしまう、それで現場の人のせいにされるということは何かどうも残酷な話だなというふうに見ておるんです。

 だから、警察でも、警察不祥事というのはようけありますね。いろいろなのがありますけれども、裏金問題に始まって、本当の現場の事故とか、この間名古屋ではいわゆる立てこもり事件なんかありましたけれども、ああいう事故というもの、要するに職務執行上の事故について、何か全体的に分析しておるとか、現場のお巡りさんが全部責任とらぬでもいいような、変な話ですけれども、悪いことはとってもらわないかぬですけれども、そういうようなことをやっておるんですか。勇気のある行動があって事故が起きた、そういうときには、それはそれで。だけれども、組織の方もちゃんと、組織の方が堂々と責任をとる。真相解明をやって謝ればいいけれども、みんなやりはせぬのです。実際、逃げていってしまって、ほとんど全部隠すんですよ。それで、ぼんと出てきたときに現場だけ責任をとらされる、こうなるんだけれども、警察はどうですか、こういうのは。

井上政府参考人 警察では、業務上の事故等が発生した場合、その発生した原因等を個々具体的に明らかにした上で、責任の所在を明確にし、その責任の程度に応じて関係者について必要な措置を講ずるとともに、明らかになった問題点を踏まえ、各種再発防止策に取り組んでおるところであります。

 また、地域警察官の職務執行力の向上を図るためには、地域警察官の士気の高揚が不可欠であります。数字であらわれにくい活動や、検挙実績等を踏まえた適切な称揚に努めているところであります。

 今後とも、こうした取り組みを通じて士気高揚を図りつつ、保護業務を初め各種公務の適切な運用を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

河村(た)委員 当たり前のことで何の感動もないですけれども、いずれにしろ、ようけ事故が起きますけれども、現場の危険業務の場合にはそこのところを一遍よく考えるようにされたらどうかしらと私は思いますね。これは現場のお巡りさんのためにですよ。そう思います。

 それでは次に、一人親方問題というのがあるんですけれども、これは厚労省と国土交通省ですか。いわゆる建設土木現場で足場をつくらないかぬのに、その足場を不十分なものにして非常に危ない状況ということを何度も忠告しておるのに、これは厚生労働省ですか、国土交通省になるかどうか知りません、直接は厚労省ですが、全然動いてくれはせぬ、こういう話が起きて、また事故が起きてしまったという話があるんです。

 きのうちょっと通告しておきましたけれども、ちょっとけつの方から言ったらわかりやすいけれども、まずは、三年ぐらい前に名古屋のタウンミーティング、八百長の象徴とされましたタウンミーティングで坂口さんが、そういうことがあったらすぐ言ってくださいと言われたのは事実ですか。

鶴田政府参考人 そのように承知しております。

河村(た)委員 その際に、会場である方が手を挙げられました、名前を言ってもいいと言われましたがちょっとやめておきますけれども、かくかくしかじかでということで。その後そちらにお話しされたようですけれども、それはどう応接されて、どうなりましたか。

鶴田政府参考人 個別事案については具体的にお答えすることを差し控えたいと思いますが、一般論で……(河村(た)委員「何も差し控えぬでもいいよ、本人は言ってもいいと言っておるんだから」と呼ぶ)わかりました。

 本人が来られたものは、個別の商品についてのお話でありました。それで、それについて国がどうこうするというのは余り適当でないということもありまして、そういうものに対して発表する場があるということもありまして、そういう学会とか大会とかで発表していただいたというふうに聞いております。

 結局は、それを使うか使わないかというのは現場においてされる事業者でありますので、そこまで行政としては関知していないというふうに理解しております。

河村(た)委員 きのう、そう聞いたらしいので本人に聞きましたら、いや、そのことも言ったけれども、やはり具体的な現場も言って、こういうところでいわゆるきちっとした足場じゃない、非常に危険な、サーカスのような作業が行われているんだ、事故が起こるといかぬので早く改善されたしと言ったらしいですよ。それを聞いておらぬのですか。どういうことですか。

鶴田政府参考人 具体的に監督署でどういうふうに言われたかというのは、今言ったような、本省においてそういう話があって、本省の方で対応し、その方が大会において発表されたというふうに聞いています。

 少し一般論を言わせていただきたいというふうに思いますが、基本的には、労働者一般の方から事業所内での労働者の安全確保上の問題について情報を受けた場合、それが法令違反なのか、もしくは単なる苦情なのか、そういうことも判断する必要があるということで、そういう必要と判断した場合には労働基準監督署において調査を行うというふうにしております。

 それで、その内容に応じて、例えば法令違反、もしくは、例えば今リスクアセスメントというようなものを進めておりますが、こうした方がいいという場合にはそういう対応をするということで、必要に応じて、労働安全衛生法に基づいて適切な措置を講ずるよう、事業者を指導しているというところであります。

河村(た)委員 この一人親方というのはよくあるらしいんだけれども、この場合は労災にならぬわけだね。これはそういうことですか。どのくらいあるか、数字も言ってちょうだい。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一人親方の人数でしょうか。平成十九年の労働力調査を見る限り、雇い入れている人が一人もいない建設業の方という形で見た場合には、事業主ですね、五十七万人という数が挙がっております。

 その上で、今先生のお尋ねの、こういう方に労災保険の適用があるかどうかということでございますが、まず、自営業者である限りは、実は労働者ではないということで、義務の対象から外れております。

 ただ、働き方で、かなり労働者に準じて保護する必要がある、そういう一定の範囲につきましては、特別加入という制度におきまして、特別に加入する形の仕組みがございます。特別加入に入っていらっしゃいます一人親方の方はどんどんふえておりまして、今現在、一番最新で約三十一万人入っていらっしゃいます。

 その上で、働き方の実質において労働者のような働き方になっているケースはございますので、そういう場合は、たとえこの特別加入という中に入っておられませんでも、労災保険の対象として、仮に事故などが起こった場合には保護の対象といたしているところでございます。

河村(た)委員 これも本人に聞いたんですけれども、だから、こういうことで一人親方みたいなのでやっておって、ひどい足場でやらされる、こちらが何を言っても聞いてくれへん、墜落事故が起こると何もなし、こういう非常にかわいそうなことが起きておるわけですよ。

 それから、愛知の労働局の方が、あなたたちの仕事を労働安全衛生法に基づいて指導すると一〇〇%現場がとまるだろうね、こういうことを言っておるらしいんだけれども、こんな話は聞いたことないですか。

鶴田政府参考人 具体的に、今の発言については承知しておりません。

河村(た)委員 それともう一つ、今のタウンミーティングで話をして、それからいろいろお話ししたところが、タウンミーティングで手を挙げた一人の人の意見で動くものではない、ここも話をされておるんですよ。八百長を主催しておったところは内閣府でしたか。内閣府とあなたのところだと思いますけれども、こういう言い方をしておるんです。

 これもきのう言っておいたんだけれども、これはどうだったんですか。これはきのう言っていなかったかな。どうですか、こういうことは言っていないですか。

鶴田政府参考人 私は聞いておりません。

河村(た)委員 とにかく、きょうはとりあえず、こういう表に余り出てきていない非常にかわいそうなことが行われておるということで、本当に、何遍言っても厚生労働省も何もやってくれはせぬと言っていましたよ。それでまた事故が起こったということでございますので、大至急ちょっと調査していただいて対策を、どうするかというのを私のところへ文書で持ってきてほしいと要望しておきます。答弁してちょうだい。

鶴田政府参考人 何もしていないわけではありませんで、今、足場のあり方検討会というものを行って、今後の足場の安全性の確保について検討しているところであります。それを踏まえて対策を充実させていきたいというふうに思います。

 個別事案については、事実確認等をしていないとやれるかやれないかということもわかりませんので、はっきりと持っていきますとはちょっと……(河村(た)委員「いやいや、ちゃんと調査すると言ってかないかぬ、それは」と呼ぶ)事実関係を確認したいというふうに思います。

河村(た)委員 それでは、この問題はそれで終わります。

 それから、これはずっとやってきました刑務所の話ですけれども、本当に、何でおれが放水実験をやらないかぬのか。あなたらは笑っておるけれども、いいかげんにしなさいね、上司なのに、実際刑務官が苦しんでおるのに。いいかね、あなたたちに再発防止義務があるんだよ、あなたは笑っておったけれども。何を考えて笑っておるんですか。これは僕が国会でやり出した問題ですよ。

 それでは、保護房の中でふん尿まみれになった受刑者が今後一切出ないんですか、矯正局長。

梶木政府参考人 今委員がおっしゃったような事例は、これまでにもございましたし、これからもいろいろな形で被収容者の心情の安定を図りたいとは考えておるわけですが、やはり全くないとは申し上げられないという状況でございます。

河村(た)委員 中で受刑者が暴れてふろへ連れていけない、入浴ができない、それでふん尿まみれになっている、そういう場合に、この人をどうやって処遇するんですか。受刑者に対しても衛生管理義務がありますね。ふん尿まみれになって、何日もほかっておいちゃいかぬでしょう。どうやって処遇するんですか。

梶木政府参考人 今御指摘のあったような状況について、矯正局あるいは管区の方から、具体的にこういうふうにこういうふうな手順でしなさいというような指示をしたことはございません。

 一般的に申しますと、これまでいろいろな内部の教育等におきまして、受刑者の処遇について、十分に心を尽くして処遇するようにという教育はしてきたわけでございますが、具体的な場面、例えば今おっしゃった、ふん尿まみれになるような事例が生じた場合には、その事例の発生の具体的な態様というのがやはりいろいろあるわけでございます。

 例えて申しますと、受刑者自身の身体を清潔に保つという点で申しますと、我々の職員が中に入りまして、場合によればお湯を持っていって体をぬぐうこともありましょうし、保護房等の横にシャワーが設置されている場合がございますが、そこで体を洗わせるという場合もありましょうし、入浴をさせるというような場合もありましょう。それから、部屋自体も、壁等あるいは床等が汚れている場合がございます。それは、その汚れ方、汚れた場所等のありように応じて、それぞれの職員が水をかけたりふいたりということで、清潔の維持に努めているというのが現状でございます。

河村(た)委員 こういうところの話ですけれども、これは現実の話ですからね。ふん尿まみれになって、しばらくおくと、ぱりぱりになって乾いてくるんですね。こういう場合に、タオルなんかでふく。

 まず、処遇というのは短時間でやった方がいいか、長時間かけた方がいいか、どっちですか。

梶木政府参考人 我々が処遇という言葉を使う場合にいろいろな場面があるわけでございますが、一番広い意味でいいますと、被収容者について、それぞれの被収容者の立場があるわけですね、未決もあれば既決もあるわけでございますので、そういった立場に応じて接したり、あるいは何らかの教育を授けたりというのを処遇というふうに呼んでおるわけでございます。

河村(た)委員 こんな当たり前のことを聞いていちゃいかぬですけれども、検事でありました局長は、保護房の中でふん尿まみれになった人を処遇したことはありますか。

梶木政府参考人 これまでに何回か、検事の時代に刑務所を参観に行きましたり、あるいは矯正の立場に来てそういうところを視察した際に現実に見たことはございますけれども、今委員がおっしゃったように、私自身がいわゆる処遇をした、世話をしたということはございません。

河村(た)委員 見たことがあると言われたので、これはなかなかだなと思いました、そう物すごくあるわけじゃないんですけれども。

 そういうときに、いろいろありますけれども、要するに、隣にシャワーをつけましたけれども、シャワーだったら押さえつけなきゃいかぬですよ、みんなでぴしっとこういうふうに、暴れる状況ですと。それも一つあるかもわからない。それから、それも困難だという場合に、問題は、ふろへは連れていけないわけですよ、かなり距離がありますし。そうでしょう。

 どういうことかというと、それは、受刑者なんかがそこで刑務官を殴ったりしますと、懲罰になりますし、かえって受刑者のためにもならぬわけです。だから、なるべく短時間でその現場で処遇を終える、これが、刑務官のためにもなるけれども、受刑者のためにもなるというのが刑務官じゃないんですか。

 だから、そういう状況下において、本人がここでふん尿まみれになっている場合は、短いホースを使ってざっとかけても取れないわけですよ、こりこりになっちゃって。その場合は、やむを得ずデッキブラシで体を洗わないかぬかということになるわけです。

 そういう場合に、水圧は高いと危ないのでいかぬですよ。今回の名古屋刑務所が実はそうだったように、もとの配管というのは実は普通の生活用水と同じだったんですよ、これは何遍も言っていますけれども。だから、その先っぽに消防用ホースがついているだけで、主に散水と通路の清掃に使っておったわけです。消防用には使えなかったんです。二階ちょっとしか届かなかったんです。そういうような水がたくさん出るものを使って、では、消防用ホースじゃなくて、ちょっと太い管にして、水道管よりちょっと太いもの、二十センチなりもうちょっと太い管にして、水だけざあっと出す、それでなるべく短時間で体を清潔に保つ、この行為をやっちゃいけないですか。

梶木政府参考人 先ほど申し上げましたように、そういう不潔な状態に至ったときに、できる限り清潔な状態に戻してやるということが我々のところの職員の仕事の一部でもあるわけです。

 したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、そのときの状況に応じて、ふく場合もありましょうし、ふいても取れない場合もありましょう。その場の状況に応じて清潔にするための努力をしているということで、こうしなさい、ああしなさいということを事細かに決めたり指示をしているわけではないということを御理解いただきたいと思います。

河村(た)委員 それでは、場合によっては、記録に出ていますけれども、毎分二百リッターになっていますけれども、それぐらいの水を、水圧は普通の生活用水の水、舎房にあるトイレや飲み水と同じ水で、管だけ太くすれば一応水はたくさん出ますから、そういうので洗ってやる、それはいいんですね。

梶木政府参考人 具体的にどこまでがいいのか悪いのかというのは、その現場の状況に応じますので、一概にいい悪いというのは、私からはお答えを差し控えたいというふうに考えております。(河村(た)委員「差し控えたいと言うが、はっきり言わないと」と呼ぶ)

下村委員長 河村君、指名してから発言してください。

河村(た)委員 それは、しかし、言わないと刑務官が困りますよ。多量の水をかけたら暴行になってしまったら、これは一体どうするんですか。だから、実験をやってくれと言っているじゃないですか、それが危害を加えるかどうか。やらないと次の人はわかりませんよ、保護房に入らせる人は。どうやって衛生管理をするんですか。裁判は関係ないですよ。未来何百年もないことはあり得ないでしょう、今答弁されましたから。あるんです。だから、放水実験を大至急やってくださいよ。あの程度の水圧であの水量を体にかけた、それはいいのかいけないのか、やらなきゃいけないじゃないですか。どうですか、局長。

梶木政府参考人 以前、この委員会でもお答えをしたことがあろうかと思いますが、いわゆる先生が言っておられるこの十二月事案については人が亡くなっているわけでございまして、現在、刑事裁判におきまして、その亡くなったということが、刑務官の放水によって生じたのか、あるいはそれ以外の原因、事故等によって起こったのかというのがまさに一番の争点として争われているわけでございます。

 現在は控訴審に係属しておるわけでございますが、検察、弁護双方の当事者がいずれも、刑事訴訟法にのっとって証人尋問、鑑定等をやっておられるわけでございますので、こういった事態が起きた客観的な状況を必ずしも正確に把握しているわけでない我々が、現時点でこの再現実験を行うということは控えているわけでございます。

河村(た)委員 全くこれは了解できませんね。それは受刑者に対して大変悪いことですよ、保護房内でまた再発する可能性が十分あるんだから。それでは、最高裁まで行って確定するまでやらないんですか。処遇法がわからないじゃないですか、ふん尿まみれになって、ふろへ連れていけない受刑者をどうやって処遇するかというのは。何で河村さんが、暴力団に言われて、苦しみながら実験せないかぬのですか。そんなばかなことがあるかというの、本当に。

 あなたのところがなぜやらないのかといったら、検察庁が一緒だからやれないだけじゃないですか、はっきり言って。国土交通省は、列車事故だったら、判決が出るまでに事故原因を絶対やりますよ。そうでないと、だれも電車に乗れないからです。内輪をかばっておるだけじゃないですか。こんなひどい話は聞いたことないですよ。

 怒りを込めまして、これは許されぬ。これは何遍でも私は聞きますから、悪いけれども。局長個人には何の恨みもないけれども、わかってみえると思うけれども、これはしようがないんだよ、ということです。

 では、次の問題。

 河村たかしが、この間、秘書と偽ってマスコミを連れていって、議員会館にトレーニングジムが、今仮設ですけれども、立派なのができるんです、それを撮影させたというとんでもないうそを流した人がおるようですけれども、こういうのは憲法の免責特権の対象になりますかね。

夜久法制局参事 お答えします。

 いわゆる免責特権の範囲についてお尋ねでございます。

 憲法第五十一条は、両議院の議員が議院で行った演説等につきまして免責特権を認めておりますが、この免責特権の対象となります議院で行った演説と申しますのは、一般に、本会議や委員会などの議会の活動におきまして国会議員の方々が職務上行った発言をいうと解されておるところでございます。国会議員の方の職務上の発言に該当しない場合には、免責特権は認められないと解されておるところでございます。

河村(た)委員 ちょっと時間がないので、名誉毀損のものはちょっとあれにしておきますけれども、大臣、これは国会内で見られたことがあるかどうか知りません、前から奥にありましたけれども、無料なんです。こういうトレーニングジムができるんですね。これはどう思われますか。

 私がちょっと思うのは、外国でもあるところはあるんですよ。アメリカは二〇〇六年から有料にしました。ただ、ほとんどの国は、議員というのはボランティアといいますか、報酬が日本より格段に低いですから、御苦労さまという気持ちがあると思うんだけれども、日本みたいな国で、これは国会議員ではなくて国会職員の皆さんも行けますよ、こういうことを言うと私も嫌われるんだけれども、ちゃんと給料をもらっておる場合は、ちゃんとお金を払ってトレーニングジムに行くべきじゃないですか、そういうのをつくらずに。

鳩山国務大臣 先生、議員宿舎のこともよく問題にされておられますけれども、議員宿舎も、私は法外に安い値段にすることはないと思うんです。ただ、それを言いますと、あなたは東京に家があるからと言われて怒られることもありますけれども、そういった意味では、トレーニングジムのようなものも私は有料でいいと思います。

 私、議運の委員長をやっていたことがある。多分これも議運の委員会だと思いますよ、有料とか無料を決める権限があるとすれば。ですから、それは先生が議運に働きかけるべきだと思います。

 こういう永年在職表彰の絵がかかっていますね。あれはたしか、一人百万ずつ出たんですよ。それはもうやめましょう、それから永年在職の議員には特別にお金が月幾らか出たでしょう、それもやめましょうと、私が議運の委員長のときにやめたんですね。やめて、衆議院の事務局に、おれはいつになったら永年在職になるんだと言ったら来年だと言われまして、まだ数年あると思っておったんですけれども。

 私は、そういった意味では、額代とか絵代というのかな、あるいは特別に金を出すといういろいろな議員の特権はなるべく減らした方がいいという態度で議運のときにやっておりました。ですから、先生も、議運の委員長にこの話をされたらいいんじゃないでしょうか。

河村(た)委員 委員長もいいですけれども、結局は、これは国会内の一つの世論ですから。だけれども、なるべく特権はないようになんて、やはり特権なんかあったらいかぬですよ。本来ボランティアでやるぐらいの、パブリックサーバントがそんなことで国民の皆さんにいろいろな御負担をかけることなんかできはしないじゃないですか。

 鳩山さんは、法務大臣として、自分の意見として、ちゃんと生活保障がされておるような国会議員、それから国会職員の方もそうですね、ボランティアじゃないですよ。そういうところにおいては、もうやめるか、やめて自分でトレーニングジムに行くか、百歩譲ってもちゃんと正規の利用料を取る、そういうふうに言われたらどうですか。

鳩山国務大臣 私は、河村先生と基本的に考えは同じですが、私に権限がございませんので。

河村(た)委員 そんなものじゃないでしょう。大臣をやっておられるじゃないですか。それは大きいですよ。私の一、平議員と全然違うじゃないですか。そういうことです。

 それから、これは金融庁ですか、RCC。

 二〇〇五年十月十九日、RCCの有識者会議の場で発言があったんですが、国会議員からいろいろ言われて困っていると発言、委員からだれだと聞かれると、余り大きな声で言うとなんですが、河村たかしです、知り合いに債務者がいるとかでいろいろ言っていますとRCCが回答をされたそうでございますが、これは事実ですか。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘を受けまして、RCCのこの発言の有無につきまして確認を行いました。その結果は、御指摘のような発言は行っていないという報告を受けております。

河村(た)委員 それはだれに聞きましたか。

河野政府参考人 RCCにおきましては、まず、残されております会議の記録でございますとか、あるいはその当時のRCCの会議の参加者に確認を行ったということで、社長を含めて確認をしたというふうに聞いております。

河村(た)委員 これはテープをとっておるでしょう。テープをちょっと聞かせてもらえぬかね。

河野政府参考人 私どもが聞いておりますのは、この会議は外部の有識者の方々にできるだけ忌憚のない御議論をいただくということで、会議の記録については公表できないということで御理解をいただきたいということを申しております。

河村(た)委員 いや、一応私の名前が出たので、正当に褒めていただいておるかもわからぬですよ、よくわかりませんけれども。だから、あなたに言ったところで、だれに聞いたかどうなのか、全然わけがわからぬじゃないですか。

 そうしたら、私はどうしたらいいんですか。教えてちょうだい。

河野政府参考人 まず、お名前は出ていないという報告でございますので、これは私どもは事実であると考えておりますけれども、例えば整理回収機構から委員の方に御説明に伺うということは考えられると思います。

河村(た)委員 だけれども、これは本当だったらどうしますか、悪いけれども。

 私も、一応名前が出ていますので、それはどういう言葉だったかやはり知らないかぬでしょう。その後は大体、ぼろかすに言っておるんだろうと思いますけれども。

 実は、僕の名前だけじゃなかったらしいですよ。もうちょっと出ておって、河村さんの名前だけ聞きやすかったとか、そういう状況だったと聞いていますけれども、これは違うの。本当だったらどうしますか。

河野政府参考人 まず、この日の会議においてということにつきましては、やはりお名前が出たということではないというふうに聞いております。

 一般的に、例えば整理回収機構の内部の会議や、あるいは私どもが整理回収機構と協議をしますときに、国会で特に御審議があったような事案につきましては議事録をもとに紹介をし、むしろ職員の職務の適正を図るということをしておるということは聞いておりますので、あるいはそのあたりがお耳に入るときに若干誤解があったのではないかというふうに考えます。

河村(た)委員 最後にしますが、それでは、来ていただいて事実確認をしたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

下村委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 きょうは、去る十五日に、グリーンピース・ジャパンによって、日新丸船員による調査捕鯨の鯨肉について、業務上の横領があるんじゃないか、こういった告発がなされた、こういった報道がされています。新聞記事などには、その後、東京地検に鯨肉を任意提出し、またその告発は受理をされて、捜査が始まったというようなことが書いてありますが、事実はどうなんでしょうか。

大野政府参考人 今お尋ねの件でありますけれども、東京地検は、ことしの五月二十日、調査捕鯨に従事していた船員が業務上保管していた鯨肉を横領したという内容の業務上横領の事実に係る告発を受理したというように承知しております。

保坂(展)委員 実は、私は、捕鯨反対派でもありませんし、推進派というわけでもなくて、時々は鯨を食べて、おいしいな、こういう立場なので、捕鯨そのものを正面から議論する立場ではありませんけれども、ただ、ちょっと興味を持って、何が起こっていたんだろうということでいろいろ調べてみたときに、新聞等でも報道されていますけれども、鯨肉の持ち出しが、多い人は二百キロから三百キロという形で持ち出す、塩漬けにして持ち出していたということが継続的に過去も行われていたんじゃないか。

 水産庁に伺いますが、これは調査中ということなんでしょうが、調査の結果、これは国費を投入しているわけですよね、毎年五億円と聞いておりますけれども、アングラルートで乗組員の方々が大量の鯨肉を流通させているというようなことがもしわかった場合、どう判断しますか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 水産庁におきましては、まず、関係いたします共同船舶株式会社及び財団法人日本鯨類研究所に対しまして、報道された内容についての事実確認及び日新丸関係者から配送された荷物の確認をするよう指示してございます。

 また、共同船舶株式会社によります日新丸乗組員へのお土産用の鯨肉の配付に関して、その実情についての調査を指示しておるところでございます。

 お土産用の鯨肉の流通の有無等につきましても現在調査中でございますが、御質問はあくまで仮定での話もございますので、現時点でお答えできないということも御理解をいただきたいと思います。

 いずれにしましても、水産庁から関係団体に対しまして事実関係を確認するよう指示しておりますので、その結果を待ちたいと考えているところでございます。

保坂(展)委員 水産庁の言っていることもだんだん変わってきているんですね。今言っていたお土産というのは少量でしょう。これは冷凍肉でしょう。私がお聞きしたのは、塩漬けの、しかもかなり上等な部分の、ベーコンの原料となるウネスを大量にと。

 水産庁として、大量の塩漬けの肉がいわば全く許可なく持ち出されていたということがわかったら厳正に対処しますか。これは調査中だから答えられませんというふうには言えないでしょう。

山下政府参考人 仮定によります御質問に対してなかなかお答えできないところでございますが、捕獲調査によって得られました副産物であります鯨肉につきましては、国際捕鯨取締条約の規定に基づきまして、政府の指示に従って公平公正に販売され、得られた収益は次年度以降の調査活動に用いられているところでございます。

 副産物の所有権は日本鯨類研究所に帰属いたしまして、共同船舶が販売委託を受けて販売を行うということと同時に、一部、この共同船舶株式会社自身も一般の業者と同様に買い付けを行っておりまして、実質的にその分がお土産に回っているというふうに聞いているところでございます。

 いずれにしましても、本件については、水産庁から関係団体等に対しまして事実関係を確認するよう指示したところでございますので、その結果を待ちまして適切に対処したいというふうに考えております。

保坂(展)委員 では、もう一点だけ聞きますが、条約上、ルールを持ってやっているというお話を今されました。条約の範囲内では、無断で鯨肉を持ち去ったり販売したりすることは認められているんですか。

山下政府参考人 ただいま御指摘の国際捕鯨取締条約の規定でございますが、これは一九四八年にできました条約の八条二項にございますが、締約国の政府の指示に従って公平公正に販売され、得られた収益を活用しろ、そういう規定でございます。

保坂(展)委員 認められていないというふうに答えたんだと思います。

 刑事局長に伺いますが、窃盗の構成要件というのはどういうことでしたか。

大野政府参考人 刑法の条文によりますと、他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪として、十年以下の懲役、五十万円以下の罰金に処するという内容になっております。

保坂(展)委員 要するに、この事態がわかったのは、宅急便の流通過程において団体側がこれをいわば無断で持ち去った、これもまた窃盗ではないかということで被害届などが出たり、議論になっていますね。

 窃盗とは何なのか。私もちょっとわからなくなって、いろいろ聞いてみたんですが、まず故意にこれをするという意思があること、そして不法領得の意思というのがそれに加えてなければいけない。その不法領得というのは、講学上は主観的超過要素だ、経済的用法に従い利用または処分する意思。食べてしまったり売ってしまったり、あるいは無料でどうだどうだといって配るのもそれに入るのかなと思うんですが、これはそういう内容で間違いないですか、刑事局長。

大野政府参考人 窃盗の構成要件につきまして一般的に議論されていることは今委員が御指摘になったとおりでありますけれども、実際に具体的な罪が成立するかどうか、これはやはりさまざまな事情によりますので、捜査機関が収集した証拠に基づいて判断する事柄だろうというふうに考えております。

保坂(展)委員 では次に、鳩山大臣に、たびたびこの委員会でも死刑問題を議論させていただいていますが、お配りをした資料に、これは大臣と私との議論ですね、四月十一日の法務委員会議事録がございます。これは、実はEUの方から送ってきた議事録。その線をつけたのは私ではなくて、ヨーロッパ連合加盟国の大使を代表してという文面で、私のもとにも手紙、大臣のところにも来ましたね。

 これによりますと、同議事録によりますと、国連総会会議における死刑執行停止決議が採択されていること、死刑問題をめぐる国際社会の懸念が高まっていることについて、保坂展人議員からの質問に対し、大臣は、直近の四月八日、欧州連合加盟国二十七カ国の在京大使と会合を持たれたことに言及なさっています、その上で、大臣は、保坂議員への答弁として、EU各国大使が日本の考え方について理解を示し、唯一の意見として、冤罪死刑に関する懸念を表明したと述べられております、この解釈は、先日大臣にお伝えしましたEU加盟国の死刑に対する立場を正確に反映したものとは言えません、その後は、EUは死刑に反対ですということが書いてある。これは、日本語訳の方を読みました。

 この議事録を見て思い出したんですが、確かに大臣の言われた中で、アンダーラインが引っ張ってある手前の、「私の死刑に対する考え方を述べましたが、非常に率直でよくわかりました、」こうおっしゃっているでしょう。私は、そこのところ、本当なのかなというふうにちょっと思ったんですね。

 冤罪死刑についての意見は出たんでしょうけれども、こういう書面も来たということを踏まえて、改めて、何をこのときに言いたかったのかということを表明していただけますか。

鳩山国務大臣 多少記憶に頼っておりますから、記憶が一〇〇%正確とは言えませんが、自信はありませんが、私は、EUから手紙をいただいて、そのことが新聞に出て、ちょっとおかしいなと思いました。

 というのは、保坂先生に対する質問に対して私が答えたのは、事実関係を答えたわけでございます。つまり、その四、五日前というのは、EU二十七カ国の大使の方に招かれて、一時間ばかりの講演をしました。四月七日午前十一時三十分から午後十二時三十分過ぎまでのことでありました。そのときに、私が話をしたところ、日本はなぜまだ死刑を存置しているのかとか、死刑を廃止する意向はないのかというような質問は一切なかったのです。いろいろなほかのことの質問があって、死刑関連では、冤罪によって死刑が生まれて執行してしまうということだけは絶対にないようにという意見表明というか質問が唯一あった、これは事実なんです。

 ただ、私は、この保坂先生に対する答弁の中でも一連の流れで申し上げておりますように、EUが死刑を廃止しておりますこと、これは十二分に承知しておりますし、昨年の十月十九日に、EUトロイカの大使たち、つまり前議長国、現議長国、次期議長国の大使たちからは、我々は死刑を廃止しているので日本も廃止したらどうかということをはっきり言われています。それから、三月二十六日に、私は会っていないのかと思いますが、申し入れ書も来ております。

 それはよくわかっておりますが、当日、私が講演に招かれたときの事実関係については、私は間違ったことをこの場で言っておりません。

保坂(展)委員 ちょっと事務方にお聞きしたところだと、その一時間を死刑のテーマで話されたのではない、いろいろなことをお話しする中で一部入っていたと。

 それで、鳩山大臣、一番私がちょっと変だなと思ったのは、「私の死刑に対する考え方を述べましたが、」の後に、「非常に率直でよくわかりました、」という言葉が入っているんですよ。非常に率直でよくわかりましたと言った人がどなたかいたんですか、どこかの国の大使で。

鳩山国務大臣 これは記憶ですが、死刑についても率直に語っていただいて、あなたの考え方はよくわかりました、こういう表現はあったと思います、質問というか意見表明というか、要するに講演後の懇談の中で。

保坂(展)委員 我々も含めて、言った言わないの話ではなくて、もっと深くしっかりEUの各国大使とも私たちも意見交換したいですし、また大臣も、わかりました、こういうところがちょっと誤解を生んだようですから、そこはしっかり意見交換をしていただきたいと思います。

 きょうは、小野寺外務副大臣にお越しいただきました。

 というのは、日本政府が、死刑執行停止決議が十二月十八日に国連総会であったのを受けて、口上書というのを事務総長に提出した、それを鳩山大臣は知らなかったですよね。この前、このときに聞いたら知りませんと。

 日本政府は、その死刑執行停止決議に反対なのはわかりますよ。反対票を入れましたよね。ただ、北朝鮮とかミャンマーとかイスラム諸国とか、エジプト提案だそうですけれども、死刑の問題は内政問題だからいろいろ言わぬでくれということを、その諸国をまとめるようなそういう働きかけをしてきているんですか。どうなんですか、率直なところ。

小野寺副大臣 日本は、人権理事会のアジアグループにおいて、今、人権理事国として再選されておりまして、その理事国として積極的に活動しております。

 他方、死刑制度の存廃につきましては、基本的に、各国において、当該国の国民世論、犯罪情勢、刑事政策のあり方等を踏まえまして慎重に検討されるべきものだと思っております。それぞれの国で独自に決定すべきものと思っております。したがって、死刑廃止を前提に死刑執行の猶予を求める本決議等いろいろ出ておりますが、これはそれぞれ各国で考えるべきだと思っております。

 なお、御指摘の口上書ですが、これは、お話がありましたように、エジプト主導の提案がございました。我が国としましては、死刑制度存廃の問題はいまだ国際的なコンセンサスがないと考えておりますので本口上書に署名をするということでありまして、日本が積極的にほかの国を巻き込んでということよりは、エジプトが出したこの口上書に日本が署名したということだと思います。

保坂(展)委員 そうすると、やはり国連総会の決議に対して反対するというのも一国の選択としてはあり得ることであって、我々はそうじゃない方がいいと思っていますけれども、ただ、何で法務大臣が知らないんですか、そういう口上書が出ていることについて。結構重大なことじゃないですか、死刑についてこんなやりとりを国会でもしているわけで。これはどうですか、刑事局長かな、伝えるのがうまくいっていなかったのですか。

大野政府参考人 死刑につきましては、鳩山法務大臣のもとで勉強会というのも継続しているわけでございますけれども、前回の委員の御指摘も受けまして、こうした決議につきましては、大臣に改めて御説明申し上げているところでございます。(保坂(展)委員「いや、口上書」と呼ぶ)口上書につきまして、御説明申し上げたところでございます。

鳩山国務大臣 結果としてできたものは刑事局長から説明を受けておりますけれども、私いつも申し上げておりますように、死刑という制度を持つ、あるいは執行するということは、その国の歴史と文化、とりわけ文明あるいは世論に根差すものでありまして、非常にドメスティックな問題です。したがって、私は、こういう口上書に、これは五十八カ国かなんかが署名して口上書をつくるのであれば、当然、そういうものに加わることで簡単に意見表明できるものではないと思うんですよ。日本には日本の事情があるんですから、したがって、私は相談を受けたかったと思いますね。

保坂(展)委員 ここは説明していなかったんでしょう。やはりおかしいね、それは。

 もう一点。量刑を考える超党派の議員の会が生まれて、我が法務委員会のそれぞれの与野党の先生方も参加をして、活発な議論も昨日行われました。

 改めて実態について聞きたいんですが、これは保護局ですか、政令恩赦と個別恩赦について、かつては死刑囚にもあったんですね。そして、無期懲役の人にもあった。この表を資料でお配りしています。どういう実態だったのか、戦後、昭和二十二年以降どうなっているのか、いつごろからないのか、簡単にお答えください。

西川政府参考人 お答えいたします。

 まず、死刑確定者に対する政令恩赦による減刑ですが、昭和二十二年以降、最後の減刑令の昭和二十七年までで十四名ということでございます。それから、個別恩赦については、十一名がこの間減刑を受けておりまして、最後が昭和五十年でございます。

 無期刑受刑者については、政令恩赦について減刑がなされたことについては記録が発見できず、判明をいたしませんでした。ただし、個別恩赦につきましては、昭和二十二年から昭和三十四年まで八十六名が減刑を受けているということが判明しております。

 個別恩赦につきまして、死刑確定者については昭和五十年以降、それから無期刑受刑者については昭和三十四年以降、減刑の例はございません。

保坂(展)委員 この委員の中にも昭和三十四年以降生まれた方もだんだん多くなってきていると思うんですが、随分長いこと無期懲役だったり死刑の人に対しては個別恩赦も動いていない。私ども超党派議員で恩赦法の専門家を、勉強会を開きたいと、五年ぐらい前に探したことがあるんですね。法務省にも聞きました、国会図書館にも聞きましたが、いないんですね。恩赦法の専門家というのは、日本にどうもいないらしい。動いていないんですね。だから、これを研究しても余り意味や意義がないということなんでしょうか。そこは、これから我々も深めていきたいと思います。

 次に、終身刑と言われる仮釈放がない刑についてなんですが、これを考えていくときに、よく、死刑より残虐である、生涯出ることがない受刑者というのは処遇ができないんだ、こういう話が法務省からもございます。

 そこでお聞きしたいんですが、矯正局長、過去十年の間に獄死をされた死刑囚の中で、拘禁期間が三十年を超えた人というのはいらっしゃいましたか。どのぐらいいたんでしょうか。

梶木政府参考人 過去十年でございます。平成十年から平成二十年の今までということで申しますと、委員がおっしゃった事項に該当した人数はゼロでございます。おられないということでございます。

保坂(展)委員 では、局長、二十年はいますか。

梶木政府参考人 二十年を超えた方は、一人おられるというふうに把握しております。

保坂(展)委員 その方と私は会ったのかもしれないですね。寝たきりになって、これは波崎事件の冨山さんという方、透析を受けて、東京拘置所のICUで獄死をされたということなんです。

 大臣に伺いますが、仮釈放のない終身刑というのは、確かにヨーロッパなどでつくられて、その後に廃止されたり、いろいろ議論を各国でも呼んでいるところです。

 私、一点だけ率直に聞きたいんですね。死刑と仮釈放のない終身刑と、どちらが残虐なのか。あえて言えば、法務省は死刑より残虐だという説明をずっとされているんですよ。どこが死刑より残虐なのかということをだれが証明できるんだろうか、ここをお願いします。

鳩山国務大臣 仮に、重無期刑というか仮釈放のない終身刑というのがあって、それにさらに死刑があるとすれば、より凶悪な犯罪に対して死刑が選択されるんだと思います。その次が終身刑であり、その次が無期だ、当然そういう流れになると思うんです。

 ですから、どちらが残虐であるかというのは非常に難しい問題なので、当然一番厳しいのは死刑なんですが、では、終身刑というのが、一生仮釈放がなくて、この場合は刑務所でしょうね、刑務所に一生いて絶対出ることがないんだというあり方は、ゆっくりゆっくり死刑を執行するような形になっていくのかな。そういう中で、失望感の中で人格が破壊されていくという可能性がある。そういう意味で、死刑よりもむしろ、人間性の破壊という意味で残酷な部分があるよということをいろいろな人から意見として承っております。

保坂(展)委員 冤罪じゃないかという疑いがある死刑囚もまだいるんですね。私が面会、一回ですけれども、ボクサーで袴田さん、この方はもう四十年入っているんですね。もう希望がついえてしまった、再審もなかなか出ないし。ということで、我々は、東京高裁で再審開始決定が出るかと思って、出た場合に本人に渡したいと。一切だめだったですね。出てこない。最近は、プロボクサーの方が支援を始めて、出てこられるようになりましたけれども。

 あした処刑かもしれないと思いながら長期にわたって、今二十年とおっしゃいましたけれども、過去にはもっと長い方もいたと思うんですね。三十年を超えた方もいる。そうすると、冤罪の場合は処刑されてから名誉を回復されても全く意味はありませんし、大変高齢になって、八十、九十になってから名誉を回復されてもなかなか、命があるという意味ではいいですけれども、そこはじっくりこれから議論をしていきたいと思います。

 超党派でこれを議論すると、その中には死刑制度が必要だという方もいらっしゃって、私のように必要ではないという立場と、それぞれ立場は違うんですけれども、裁判員制度が始まる、そうすると、裁判員制度を前に、この究極の選択をたった三日間で、しかも、多分数時間でさあどうだというのはなかなか負担が重いんじゃないか、今までこういう問題に発言のなかった学者や文化人の方も、それぞれ一斉にこのことを言い始めています。

 そういう議論をしていきたいと思いますが、大臣、どうですか。

鳩山国務大臣 そういう御議論を、量刑を考える会という形で与野党ともに議論を開始されている。与野党だけでなくて、今先生おっしゃったように、死刑は必要である、だけれども、無期との間の距離が大き過ぎて、無期刑というと結局、実際にはそうではないんですけれども、十年たてば仮釈放があり得るという法律の規定になっていて差が大き過ぎるから、無期刑の人間は、今、無期刑というのは本当は終身刑の方がいいんだという考え方、また、死刑というのは廃止すべきものだから、死刑をもって断ずるべきときは終身刑にすればいいんだという両方の考え方の方が集まって議論をされているというのは、大いに結構なことだと思っております。

保坂(展)委員 最後に、国連の広報センターについて。

 国連でこういったパンフレットを出しているんですね。国連大学の中にある事務所ですけれども、どうやら業者との癒着、不正経理疑惑があるのではないかという書面が私どもの党にも来まして、外務省の方にも来たようですね。

 私はちょっと問題を調査して質問主意書を出しましたので、細かくはそこで答えていただきたいと思いますが、日本政府のお金が、家賃が千二百万円ぐらいですか、それから広告の費用が千七百万円ぐらい行っているわけなんで、国連も調査したそうですけれども、なお私たちの指摘を受けてしっかり調査して、おかしなことがあったらやはりそれは正すという基本的な姿勢を伺って、終わりたいと思います。

秋元政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきましては、五月十五日に国連本部におきましてプレスブリーフィングが行われております。その中では、国連の内部監査において東京の国連広報センターの経理問題が明らかになった旨説明されております。

 それによりますと、東京の国連広報センターは国連の機関であるわけで、したがいまして、国連の規則にのっとりまして、昨年夏に国連による監査が行われたわけでございます。

 その監査の結果明らかになりましたのは、この国連広報センターが、二〇〇〇年ころから、会計年度末に業者への前払い、すなわち物品・サービスを受領する前に業者に支払いを行う、こういうことを行ってきたという事実であります。既に、国連本部からの指示で中止したということでございます。

 このような前払いというのは国連の財政手続規則に違反するものでありますが、監査によりますと、個人が不正に金を着服したというような疑惑はなかったとのことであります。

 外務省としましても、国連の広報センターが昨年夏に監査を受けた前後から本件を承知しておりまして、外務省として事実関係を解明し、国連財政手続規則にのっとった適正な経理のために必要な措置がとられるよう、繰り返し国連側に申し入れてきたところであります。

保坂(展)委員 ぜひしっかりやっていただきたいと思います。終わります。

     ――――◇―――――

下村委員長 次に、内閣提出、少年法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。鳩山法務大臣。

    ―――――――――――――

 少年法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鳩山国務大臣 少年法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 少年審判手続において、被害者やその遺族の方々への配慮を充実させることは極めて重要であり、これまでもさまざまな取り組みが行われてきましたが、多くの被害者等にとって、その被害から回復して平穏な生活に戻るためには依然としてさまざまな困難があることが指摘されています。

 このような現状を踏まえ、平成十六年には犯罪被害者等のための施策の基本理念等を定めた犯罪被害者等基本法が成立し、これを受けて平成十七年に閣議決定された犯罪被害者等基本計画には、法務省において、平成十二年に改正された少年法のいわゆる五年後見直しの検討において、少年審判の傍聴の可否を含め、犯罪被害者等の意見、要望を踏まえた検討を行い、その結論に従った施策を実施することが掲げられております。

 また、少年法第三十七条第一項に掲げる成人の刑事事件に、より適切に対処するため、その裁判権を家庭裁判所から地方裁判所等に移管することが必要であるとの指摘がかねてからなされております。

 そこで、この法律案は、犯罪被害者等基本法等を踏まえ、少年審判における犯罪被害者等の権利利益の一層の保護等を図るため、少年法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、被害者等による少年審判の傍聴を許すことができる制度を創設するものであります。

 すなわち、家庭裁判所は、殺人事件等一定の重大事件の被害者等から、審判期日における審判の傍聴の申し出がある場合において、少年の年齢及び心身の状態、事件の性質、審判の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときは、その申し出をした者に対し、これを傍聴することを許すことができることとしております。

 第二は、被害者等による記録の閲覧及び謄写の範囲を拡大するものです。

 すなわち、少年保護事件の被害者等には、原則として、記録の閲覧または謄写を認めることとするとともに、閲覧または謄写の対象記録の範囲を拡大し、非行事実に係る部分以外の一定の記録についてもその対象とすることとしております。

 第三は、被害者等の申し出による意見の聴取の対象者を拡大し、被害者の心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族または兄弟姉妹をもその対象者とするものです。

 第四は、成人の刑事事件に関し、少年法第三十七条第一項に掲げる罪に係る第一審の裁判権を、家庭裁判所から地方裁判所等に移管するとともに、家庭裁判所が少年保護事件の調査または審判により同項に掲げる事件を発見したときの通知義務について規定した同法第三十八条を削除するものです。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

下村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十七日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十二分散会


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