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第1号 平成22年2月23日(火曜日)

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本国会召集日(平成二十二年一月十八日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 滝   実君

   理事 阿知波吉信君 理事 石関 貴史君

   理事 辻   惠君 理事 樋高  剛君

   理事 山尾志桜里君 理事 稲田 朋美君

   理事 森  英介君 理事 大口 善徳君

      石森 久嗣君    加藤 公一君

      熊谷 貞俊君    桑原  功君

      坂口 岳洋君    竹田 光明君

      橘  秀徳君    中島 政希君

      永江 孝子君    長島 一由君

      野木  実君    藤田 憲彦君

      細野 豪志君    牧野 聖修君

      山口 和之君    山崎  誠君

      横粂 勝仁君    河井 克行君

      柴山 昌彦君    棚橋 泰文君

      馳   浩君    福井  照君

      柳本 卓治君    山口 俊一君

      神崎 武法君    城内  実君

平成二十二年二月二十三日(火曜日)

    午後零時十分開議

 出席委員

   委員長 滝   実君

   理事 阿知波吉信君 理事 石関 貴史君

   理事 辻   惠君 理事 樋高  剛君

   理事 山尾志桜里君 理事 大口 善徳君

      石森 久嗣君    加藤 公一君

      熊谷 貞俊君    桑原  功君

      小山 展弘君    坂口 岳洋君

      竹田 光明君    橘  秀徳君

      中島 政希君    永江 孝子君

      長島 一由君    野木  実君

      藤田 憲彦君    牧野 聖修君

      山口 和之君    山崎  誠君

      横粂 勝仁君    神崎 武法君

    …………………………………

   法務大臣         千葉 景子君

   法務副大臣        加藤 公一君

   法務大臣政務官      中村 哲治君

   法務委員会専門員     生駒  守君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  細野 豪志君     小山 展弘君

同日

 辞任         補欠選任

  小山 展弘君     細野 豪志君

    ―――――――――――――

一月十八日

 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案(高市早苗君外三名提出、第百七十三回国会衆法第五号)

二月一日

 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願(後藤田正純君紹介)(第一二四号)

 国籍選択制度の廃止に関する請願(高木美智代君紹介)(第一四五号)

 成人の重国籍容認に関する請願(高木美智代君紹介)(第一四六号)

同月十九日

 改正国籍法の厳格な制度運用に関する請願(下村博文君紹介)(第二〇一号)

 人権擁護法案の成立に反対することに関する請願(下村博文君紹介)(第二〇二号)

 選択制夫婦別姓の法制化に反対することに関する請願(下村博文君紹介)(第二〇三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

滝委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、自由民主党・改革クラブ所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

滝委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたしましたが、自由民主党・改革クラブ所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 裁判所の司法行政に関する事項

 法務行政及び検察行政に関する事項

 国内治安に関する事項

 人権擁護に関する事項

以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

滝委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

滝委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、法務行政等の当面する諸問題について、法務大臣から説明を聴取いたします。千葉法務大臣。

千葉国務大臣 鳩山内閣の政治は、国民の命と生活を守る政治です。その中で、法務行政は、国民の命と生活を守るための基盤づくりというべき役割を担っています。私は、この役割を十分に果たしていくことにより、国民が安心して暮らせる社会を実現できるよう引き続き努力していく決意でございます。

 私は、法務行政を行うに当たり、政治主導による新しい行政の枠組みづくりを実施することといたしました。私の考える政治主導による行政とは、官と総称される職員に十分に仕事をしてもらいつつも、政策判断は官にゆだねるのではなく、国民の目線に立って、政務三役が責任を持って意思決定を実施するという体制です。

 また、法務行政には、他の省庁が所管する事項と密接に関連する事項が少なくございません。従前、往々にして省庁間の調整には時間を要していたようでございますが、現在は、政務三役が中心となって、機動的かつ風通しよく、他の省庁の政務三役らとの間で意見交換を行い、迅速な意思決定を行っています。そして、特に重要な問題については、政府として継続的に議論、検討を重ねております。今後も、私を含め政務三役が法務行政の先頭に立ち、政府一体となって国民の命と生活を守る政治を進めてまいります。

 もっとも、政治や行政の力だけでは、国民が安心して暮らせる社会を実現することは困難です。地域の方々一人一人にも他の人々を支える力になっていただき、それを社会全体で支援することにより地域のきずなを再生していくこと、このような取り組みが、今我が国の諸課題を解決するために求められています。鳩山総理は、このような活動を新しい公共と呼んでおりますが、私としても、この視点を十分に取り入れつつ、法務行政に当たっていく所存です。

 法務行政は多岐にわたっております。その中で、私が法務大臣に就任して早急に検討に着手したのは、人権救済機関の設置と個人通報制度導入のための体制整備、そして被疑者取り調べの可視化の問題です。

 我が国は、憲法において、国民の一人一人に基本的人権が保障されることを明確にしています。しかし、依然として社会の中では、虐待や差別など数々の人権侵害が繰り返されております。

 現在、法務省において、人権侵犯事件の調査・救済活動に努めているところではございますが、より実効性のある救済を実施するためには、政府からの独立性を有する人権救済機関の創設が必要です。そこで、大臣政務官が中心となり、その組織のあり方などについて検討を続けているところでございます。

 また、人権諸条約に基づく個人通報制度については、その導入に向けて、外務省が主催する関係省庁研究会に参加しつつ、通報事案への具体的対応のあり方や体制整備等について協議、検討を進めております。

 これら制度の導入に向けた検討に加え、人権尊重の輪を社会全体に、より一層広げていくため、地域社会のネットワークづくりを進めつつ、人権啓発活動を効果的に行ってまいります。

 取り調べの適正を確保するため、被疑者取り調べの可視化の実現に向けて着実に取り組んでまいります。

 現在、いかにして円滑に取り調べの可視化を導入するかという観点から、法務省内において勉強会を立ち上げ、副大臣が中心となって、我が国における捜査、公判の実情等を踏まえた取り調べの可視化のあり方につき精力的に検討を進めております。また、諸外国の法制度についても調査することとし、過日、私自身、既に取り調べの録音、録画を実施している大韓民国に赴き、その有用性等を視察してまいりました。その際、大韓民国の検察総長から、自分は録音、録画の導入には反対であった、しかし、実際に導入してみると、取り調べに対する国民の信頼が増したように思うとの話があったことが特に印象に残りました。警察庁においても研究会が設置されたと承知しておりますので、今後、警察庁等とも協議をしながら、被疑者取り調べの可視化の実現に向けて、着実かつ精力的に取り組んでまいります。

 国民が紛争解決の最後のよりどころにする司法は、国民にとって、より身近で、より利用しやすいものでなければなりません。

 これを目指した司法制度改革は、現在、各制度の実施段階に入っていますので、その運用状況等を見定めながら、推進すべき点はさらに進め、問題点は検証の上、改善してまいります。

 日本司法支援センター、愛称法テラスは、国民に対する法的支援の中心的機関として設立されました。その大きな役割の一つは、日常生活の中で法的紛争に巻き込まれた方々の、だれにどのように相談したらいいのかわからないといった疑問に答え、解決へのきっかけとなる情報やサービスを迅速に提供することです。この情報等の提供は、地域の民間組織を含めたネットワークをベースとしており、新しい公共にも通じるものでございます。私は、このネットワークをさらに大きく育てていきたいと思います。

 また、経済雇用情勢が悪化する中、社会のセーフティーネットとして、民事法律扶助に対する需要は急激に増加しております。さらに、国選弁護制度については、対象被疑者の範囲拡大等への的確な対応も求められております。法テラスの業務体制の拡充は喫緊の課題です。そのため、平成二十二年度政府予算案においても、これらの要請に応じるための予算を盛り込ませていただきました。

 裁判員制度は、これまで、裁判員の皆様に誠実かつ熱心に審理に取り組んでいただき、順調に実施されているものと考えております。この制度が国民の中にしっかりと根づくよう、引き続き、関係機関と協力し、わかりやすく迅速で適正な裁判が実現されるよう尽力いたします。

 また、裁判員制度の実施を通じて、法に対する国民の意識が高まっております。今後は、子供たちへの法教育を推進し、我が国の未来を担う若者が、法や司法の意義、役割に対する理解を深め、身につけることができるよう努めてまいります。

 司法を支える質、量ともに充実した法曹の確保にも引き続き取り組みます。その中で、新たな法曹養成制度における問題点の検証を行い、法曹養成プロセスの改善を図ることが必要不可欠です。文部科学省と共同して、法曹養成制度の検証を行うワーキングチームを設置したところであり、検証、検討を精力的に推進いたします。

 なお、司法の中核をなす裁判所の体制の充実強化を図るため、判事の一層の増員等を内容とした裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を今国会に提出させていただいております。

 昨年の犯罪白書の分析にもあるように、刑事司法手続の各段階において、再犯者の割合が五割前後を占めております。再犯者が社会に与える脅威と被害は極めて大きいものがあります。その意味で、再犯防止のための取り組みは、犯罪対策において非常に重要な意義を有しております。

 再犯防止の具体的施策としては、まず、刑事施設等の過剰・高率収容状況を解消するため、施設・職員体制の整備を図りつつ、収容者に対する改善指導等を効果的に実施してまいります。また、保護観察対象者に対する処遇プログラムを充実させるとともに、保護司の方々の活動に対するきめ細やかな支援も進めてまいります。

 再犯防止のために特に重要なことは、自立のための就労支援や、高齢者、障害者に対する福祉サービスの確保など、確実な社会復帰のための生活環境の調整です。そのためには、厚生労働省や地方公共団体等の関係機関との連携のみならず、民間の就職支援団体、民間企業、地域の方々からの御協力をいただくことが必要不可欠です。このように、民間の方々が犯罪者の立ち直りを支え、市民社会の健全な構成員として取り込んでいただくことも新しい公共の一つのあり方とも言えるものであり、積極的に推進してまいります。

 今後、保護観察と就労支援による再犯防止を目的とした自立更生促進センターの着実な運営を初め、民間の方々との協働により、犯罪者の円滑な社会復帰に努めてまいります。

 犯罪の被害に遭われた方々は、国民のだれもが犯罪の被害者となり得る現実の中で、思いがけず被害者となった方々です。その方々の視点に立ち、直面している困難や苦しみに思いをいたすことは、犯罪対策を考える上での出発点ともいうべきものです。今後とも、犯罪被害者等基本法の理念に基づく施策や取り組みをさらに充実させてまいります。さらに、犯罪被害者の方々の保護、支援を図るために導入された制度が適正に運用されるよう、十分に配意してまいります。

 また、公訴時効制度についても、犯罪被害者の方々を初め、国民の意識をより十分に踏まえたものとすることが必要です。そこで、殺人等の凶悪重大な犯罪についての公訴時効の見直しにつき、法制審議会の答申をいただいた上で、できる限り速やかに必要な法整備を行うことができるよう検討を進めてまいります。

 国際テロにつきましては、国民の安全を守り、APEC首脳会議等が安全に開催されるよう、調査を充実させ、テロの未然防止に努めます。北朝鮮関係については、日本人拉致問題等の重大な問題の解決に向け、関連情報の収集、分析等を通じて積極的に貢献してまいります。

 また、団体規制法に基づく観察処分に付せられているオウム真理教についても、その処分を厳格に実施し、公共の安全の確保に努めてまいります。

 民事基本法などについても、社会情勢や国民の意識の変化等に対応し、十分な検討を行いつつ、その見直しを進めてまいります。

 経済活動の国際化の進展に伴い、多岐にわたる民事紛争を適正かつ迅速に解決する必要性が高まっております。そこで、国際的な要素を有する財産権上の訴えなどに関して、日本の裁判所が管轄権を有する場合等について定める民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案を今国会に提出することを予定しております。

 また、最近の家族をめぐる状況の変化にかんがみ、選択的夫婦別氏制度の導入、離婚原因の規定の整備、嫡出である子と嫡出でない子の相続分の同等化、女性の婚姻適齢の引き上げ、再婚禁止期間の短縮などについての規定を整備するため、民法及び戸籍法の一部を改正する法律案(仮称)を今国会に提出することを予定しております。

 さらに、法制審議会に対して、債権法の見直し、親権制度の見直しなどについて、それぞれ諮問をいたしましたし、会社法制の見直しについても諮問を予定しているところでございます。いずれも国民生活に直接かかわる制度でございますので、法制審議会の御議論を踏まえつつ、検討を進めてまいります。

 登記関係事務は、多くの国民の皆様に御利用いただいている極めて生活に密着した事務でございます。今後とも、全国の登記所備えつけ地図の整備事業を可能な限り加速し、国民の皆様の利便性を高めてまいります。また、登記のオンライン申請の利用促進についても、システムの使い勝手の向上を図るなどして、さらなる利用促進に努めてまいります。

 平成二十一年に我が国を訪れた外国人の数は、約七百五十八万人でございました。もっと多くの外国人の皆さんに日本を訪問していただくことは、我が国の経済成長のみならず、幅広い文化交流や友好関係の土台を築くためにも重要です。このような世界との幅広い交流を行うに当たり、入国管理行政の適正な遂行は欠くことができません。

 昨年末に閣議決定された新成長戦略(基本方針)にも掲げている観光立国の実現に向け、円滑な出入国審査を推進することにより、訪日外国人の増加を促進いたします。

 また、専門的、技術的分野における外国人労働者の受け入れの促進に努めるとともに、我が国に中長期間在留する外国人の利便性の向上などを内容とした改正入管法の施行準備に取り組みます。

 他方、違法行為をもくろむ外国人の入国を水際で確実に阻止するため、厳正な入国審査を実施いたします。それとともに、非正規に滞在を続ける者のさらなる減少にも努めます。その際、摘発活動を推進するだけでなく、積極的な広報や適正な在留特別許可の運用を通じて、自発的な出頭を促してまいります。

 近年急増している難民認定申請については、一層の処理期間の短縮と適正化に努めます。難民条約上の難民には該当しない申請者についても、本国の事情、経歴、家族状況などを個々に考慮して、人道的な配慮が必要な場合には我が国への在留を特別に認めているところですが、引き続き、申請者の置かれた立場等に十分に配慮した対応を行ってまいります。また、第三国定住による難民受け入れのパイロットケースについても、円滑な実施に配意いたします。

 外国人の受け入れのあり方については、法務省のみならず、政府全体として検討すべき課題です。今後とも、その検討を積極的に進めてまいります。

 我が国が国際化を進めていく上で、これに対応するための刑事法の整備も喫緊の課題です。他国との間の受刑者移送について、今後我が国が締結する受刑者移送条約全般に対応できるようにするため、国際受刑者移送法の一部を改正する法律案を今国会に提出することを予定しております。

 我が国にふさわしい国際貢献を進めること、特に開発途上にある諸国の健全な発展に協力することは、国際社会における我が国の信頼を高めるとともに、世界の平和と安定にもつながります。現在、我が国と関係の深いアジアの国々を中心に、国際連合等に協力し、刑事司法実務家を対象とする国際研修等を行っております。また、基本法令の起草や法律家の人材育成等を柱とする法制度整備支援も行っているところです。今後とも、関係諸国から我が国に寄せられる期待にこたえるべく、積極的に取り組んでまいります。

 以上、所信の一端を述べさせていただきました。国民の皆様に政権交代の成果を実感していただけるよう、今後とも、法務大臣として、加藤副大臣及び中村大臣政務官とともに、全力を尽くして取り組んでまいる所存です。

 委員長を初め委員の皆様方には、平素から法務行政の運営に格別の御尽力を賜ってまいりましたが、今後とも、より一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

滝委員長 なお、平成二十二年度法務省関係予算及び平成二十二年度裁判所関係予算につきましては、お手元に配付いたしております関係資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承をお願いいたします。

 次回は、明二十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会


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