衆議院

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第17号 平成23年8月9日(火曜日)

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平成二十三年八月九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 奥田  建君

   理事 滝   実君 理事 辻   惠君

   理事 橋本 清仁君 理事 樋口 俊一君

   理事 稲田 朋美君 理事 平沢 勝栄君

   理事 大口 善徳君

      相原 史乃君    井戸まさえ君

      石山 敬貴君    大泉ひろこ君

      川村秀三郎君   菊池長右ェ門君

      京野 公子君    黒岩 宇洋君

      黒田  雄君    桑原  功君

      斎藤やすのり君    階   猛君

      橘  秀徳君    中島 政希君

      野木  実君    三輪 信昭君

      水野 智彦君    山崎 摩耶君

      河井 克行君    北村 茂男君

      柴山 昌彦君    棚橋 泰文君

      森  英介君    柳本 卓治君

      園田 博之君    城内  実君

      横粂 勝仁君

    …………………………………

   議員           橘  秀徳君

   議員           辻   惠君

   議員           山尾志桜里君

   議員           稲田 朋美君

   議員           柴山 昌彦君

   議員           高市 早苗君

   議員           富田 茂之君

   法務大臣         江田 五月君

   法務副大臣        小川 敏夫君

   法務大臣政務官      黒岩 宇洋君

   文部科学大臣政務官    林 久美子君

   最高裁判所事務総局民事局長兼最高裁判所事務総局行政局長           永野 厚郎君

   最高裁判所事務総局刑事局長            植村  稔君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         小谷  渉君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    西村 泰彦君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    西川 克行君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    三浦  守君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  高宅  茂君

   政府参考人

   (公安調査庁長官)    尾崎 道明君

   法務委員会専門員     生駒  守君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十三日

 辞任         補欠選任

  階   猛君     山尾志桜里君

同日

 辞任         補欠選任

  山尾志桜里君     階   猛君

八月九日

 辞任         補欠選任

  川越 孝洋君     川村秀三郎君

  熊谷 貞俊君     斎藤やすのり君

同日

 辞任         補欠選任

  川村秀三郎君     石山 敬貴君

  斎藤やすのり君    菊池長右ェ門君

同日

 辞任         補欠選任

  石山 敬貴君     川越 孝洋君

  菊池長右ェ門君    熊谷 貞俊君

    ―――――――――――――

八月八日

 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案(辻惠君外二名提出、衆法第二三号)

六月十六日

 民法の差別的規定の廃止・民法改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五六五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一五六六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五六七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一五六八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五六九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五七〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五七一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五七二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一五七三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八四〇号)

 国籍選択制度の廃止に関する請願(佐々木隆博君紹介)(第一八三七号)

 成人の重国籍容認に関する請願(佐々木隆博君紹介)(第一八三八号)

 複国籍の容認に関する請願(阿部知子君紹介)(第一八三九号)

 入国審査において生体情報を強制的に採取するシステムの廃止に関する請願(阿部知子君紹介)(第一九六九号)

八月九日

 別居、離婚後の親子引き離しを防止し、子の共同養育を進めるための法律制定に関する請願(馳浩君紹介)(第二二五二号)

 同(池坊保子君紹介)(第二二五四号)

 同(服部良一君紹介)(第二二六一号)

 同(渡辺浩一郎君紹介)(第二二六八号)

 同(下村博文君紹介)(第二二九〇号)

 裁判所の人的・物的充実に関する請願(大口善徳君紹介)(第二二八二号)

 同(滝実君紹介)(第二二八三号)

 同(漆原良夫君紹介)(第二二九一号)

 同(柴山昌彦君紹介)(第二二九二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案(高市早苗君外三名提出、第百七十三回国会衆法第五号)

 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案(辻惠君外二名提出、衆法第二三号)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

奥田委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長小谷渉君、警察庁警備局長西村泰彦君、法務省刑事局長西川克行君、法務省矯正局長三浦守君、法務省入国管理局長高宅茂君、公安調査庁長官尾崎道明君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

奥田委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局永野民事局長兼行政局長及び植村刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

奥田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻惠君。

辻委員 民主党・無所属クラブの辻惠でございます。

 本日の朝刊にも載っておりますが、昨日、江田大臣の方から、可視化について一歩具体的に進める御提案をされたということについて、まず冒頭、敬意を表したいというふうに思っております。

 民主党内におきましても、法務部門会議、そして政調において立法の検討をしているということで、党としても、議員立法を含めて、法務大臣の今努力されていることをアシストするような動きをぜひ連携してとらせていただきたいというふうに考えております。

 本日は、七月八日付で最高検が発表しております検察改革の現状と今後の取り組みについてということに関連してお伺いをさせていただきます。

 一言で申せば、昨年の九月十日の大阪地検特捜部に係る事件、村木裁判が無罪が確定した、あろうことか、フロッピーディスクの改ざん、そして、四十三通の検事調書のうちの三十四通の証拠請求が却下されるというようなことに端を発して、法務行政のあり方、とりわけ検察のあり方について国民の皆さんが厳しい関心を寄せているということの中で、いろいろな試みがなされてきている。その具体的な経過の中で、一弾、発表されたものが、この七月八日の検察改革の現状と今後の取り組みという、最高検の刑事部長、公判部長の通知であろうというふうに思います。

 引き返す勇気を持つ必要があるということが一貫して、昨年十二月二十四日の最高検の検証報告書においてもそうですし、三月三十一日の検察の在り方検討会議の提言においても引き返す勇気ということが強調されております。逮捕する段階、起訴する段階、そして公判の段階、それぞれの段階において、当初の組み立てた見通しと大きく食い違ったような証拠関係、そして事実関係が出てきた場合に、それまでの経過に固執することなく、引き返す勇気を持たなければいけないということがそれぞれの提言等によってうたわれていると考えております。

 この中で、本日は、公判段階においての引き返す勇気ということに絞って、大臣にお伺いいたしたいと思います。

 本年の七月八日に、刑事部長、公判部長通知ということで、公判段階における組織的なチェック体制の構築、引き返す勇気を実効化するための体制ということで、次席検事、公判部長、支部長等の責任ある立場の者が高検に報告をして、地検、高検において、公訴の取り消しや無罪論告の必要性を含めた公判遂行の方針について協議をする、その経過、結果を最高検に報告する、それは、幾つかの事例が生じたような場合と。否認事件で被疑者の自白調書の証拠請求が却下されたような場合をその一例として挙げておられます。

 これは、本年四月八日付の「検察の再生に向けての取組」という大臣指針を検察庁で具体化したものだというふうに理解しますが、そういうことでよろしいでしょうか。

江田国務大臣 私もそのとおりに理解しております。

辻委員 うたわれていることは、引き返す勇気を持つ、実効化しなければならない、非常にそれはそのとおりである。しかし、それが本当に具体的に実行に移せるかどうか。建前で述べることは幾らでも述べられますが、具体的ケースで、本当に引き返す勇気を具体的に選択できるのかということがまさに問題となります。

 その場合に、基準となるのは、村木裁判で最高検の検証結果や、また在り方検討会議の提言で述べられているような逮捕段階、起訴段階、そして公判段階、村木裁判においては証拠の改ざんが明らかになったその直後の段階、それぞれの段階で引き返す勇気を持つことができたはずだということが指摘されておりますが、これが大きな基準となるという理解でよろしいんでしょうか。

江田国務大臣 基準といいますか、確かに今委員おっしゃる村木裁判では、後からいろいろ検証して、捜査の過程でさまざまなことが明らかになってきているわけでございます。

 あの事件においても、検察の方で具体的に証拠関係を判断して最後まで有罪の論告をしたことが一体どうであったのかということも後から問われました。担当した検事が、あれは犯人隠避でしたか、あるいは証拠の改ざんとか、いろいろなことにかかわって起訴をされたり、あるいは職を退いたり、さまざまなことがございました。しかし、その事件そのもので論告求刑をしたことがいけなかったかということになると、これはまた判断がなかなか難しいところがございまして、やはり具体的な事件のそれぞれの状況に応じて、公訴の取り消しとか、あるいは無罪の論告とか、それはそれぞれにいろいろあるだろうと思います。

 どれが基準になっていくのかという、無罪の論告をしたり、あるいは公訴の取り消しをしたりする基準があの事件にあるというように言うのは、ちょっと私はまだそこまで言うそれこそ勇気を持っておりません。ただ、一つの大きな出来事であったことは確かでございます。

辻委員 村木事件が発端となって、検察のあり方を検証しようということでいろいろな方々が意見を出しておられる、そして、それの一つの到達点として、これは最高検の検証結果の報告があり、また在り方検討会議の提言がある、それで、引き返す勇気を持たなければいけないと。それはやはり村木裁判が具体的な発端となって、本当に細かく、本当に引き返す勇気がこの時点で持てなかったのかということを詰めて検討しているんですよね。

 現に、多くの関係された検察官は、懲戒解雇になったり、または自分から退職をされたりした中で、国井さんという検察官ついては、検察官適格審査会で審査にかかっている。引き返す勇気を持つことができたのに持てなかったとすれば、それは検察官としての適格性に欠けるのではないかということで、具体的に今審査にかかっているわけであります。

 そういう意味で、確かに村木裁判が全部に適用になる絶対的な基準ということではないにしても、やはりそこで問われた問題のエッセンスは重要な基準にならなければならないし、それをもとに、今後、具体的なケースで引き返す勇気を実践できるようにしていかなければならないというふうに思いますけれども、大きな理解としてはそういうことでよろしいですね。

江田国務大臣 村木事件が大きなきっかけになり、また反省の材料となってその後の一連の検討が行われ、さらに検察改革のきっかけになったこと、これはもう間違いない事実でございます。それは、そのとおりでございます。

辻委員 十二月二十四日付の検証結果報告書ということを見れば、逮捕の判断の問題ということで、逮捕の可否、要否について慎重な検討を行うのが相当であった、村木さんの逮捕の判断には問題があったということを、この最高検の、つまり、私どもは第三者の目を通さないで身内だけで検証しても果たして有効な検証になるのかということの疑問を呈していたわけでありますけれども、身内の判断されたこの検証結果報告書の中においても、村木さんの逮捕の判断には問題があったんだということを言っている。

 そしてまた、起訴の判断について、証拠上の問題点を解決しないまま、村木さんを起訴という判断はすべきではなかったんだということを言っているわけであります。その段階で引き返す勇気を持てたはずなんだ、持たなければいけなかったんだということを具体的に最高検の検証結果報告書は指摘しているわけであります。

 また、前田元検察官によるフロッピーディスクの改ざんについては、それが判明した後、徹底した調査がなされていれば、場合によっては公訴を取り消すことも検討されたはずだということを言っております。

 そして、論告に対する対応としては、遅くとも論告までに徹底した調査が実施された場合には、有罪を求めないことを含めて適切な対応のあり方が判断されたんだ、検討されるべきだったんだということを言っておるわけであります。

 まさに、具体的な事例に即して、逮捕の判断に問題があった場合、起訴の判断に問題があった場合、また公判段階で論告前にもっと証拠の検討を徹底して調査を行った場合には、引き返す勇気を持てたはずなんだ、そうすべき事案だったというふうに村木裁判について言っている。

 この検証結果については、当然大臣は尊重すべきだというふうにお考えでしょうか。

江田国務大臣 それは、そのように考えております。

辻委員 私は、村木裁判については、現職の検察官がフロッピーディスクを改ざんしたという非常にゆゆしき問題、検察の公正さに対する疑念が国民に広く行き渡ったという問題が大きな特徴だと思います。

 そして、もう一つは、検察官調書が四十三通のうち三十四通が証拠採用を却下された。これは、公判の経過を見れば、二〇〇九年の二月二十六日から五月雨式に逮捕、起訴されていって、公判前整理手続を経て、二〇一〇年の、去年の一月二十七日、第一回公判が開かれた、第二十回公判、五月二十六日、証拠決定、今申し上げた四十三通のうち三十四通の証拠請求が却下される、三十四通のうち二十二通は特信性がない、十二通については特信性はあるけれども必要性はないということで却下されているわけであります。

 五月二十六日にそのような証拠決定がなされたのに、六月二十二日の第二十一回で論告をしている。最終的に九月十日の判決が、第二十三回でありますが、第二十回のそういう証拠決定を経て、第二十一回の論告をしてしまったことについて、まさにこの最高検の検証結果報告書は、そこで踏みとどまるべきであったんだと。証拠のほとんどが、村木さんの有罪を基礎づける指示があったというような関係者の供述が、全部これは証拠請求を却下されているわけです。それなのに論告に至ったということについては、そこで踏みとどまって、引き返す勇気を持つべきではなかったのかということを問いかけているわけであります。

 これはやはり十分に参考にされなければいけない視点だと考えますが、この点についてはお考えはいかがでしょう。

江田国務大臣 十分に参考にされるべきものだと思っております。

 ただ、これが基準になるということになると、基準というのはそれぞれの事件でさまざまあるから、基準かどうかというところまでは私としては言う勇気はまだないということを言っただけで、この事件について最高検が検証結果で、こんなにひどいことであった、有罪の論告を行ったこと自体に問題があったというようなことを言っていることは、これはもうそのとおりでありまして、そのことを重く受けとめなければいけないというのは、全く委員のおっしゃるとおりだと思っております。

辻委員 検証結果報告書だけではなくて、三月三十一日の検察の在り方検討会議の提言も、この検証結果報告書を受けて、公訴の維持に固執せず、引き返す勇気を持って、公訴の取り消し等を行うべきか否か検討する必要があるんだということを指摘した上で、その運用方針を具体化していこうというのは、これを受けて大臣が指示されて、冒頭で御紹介した七月八日の運用指針というものになってきたというふうに思います。

 要は、形だけ、次席検事がいろいろ検討してそれを高検に上げて、地検と高検で協議をしてというような段取りなり仕組みなりはつくっても、まさに仏つくって魂入れずということになっては全く絵にかいたもちなわけでありまして、そこに本当の意味での息吹を吹き込まなければいけない。本当に引き返す勇気を持たなければ検察は再生できないんだということをもっと具体化していかなければいけない。きれいごとを述べるだけではだめなんだと思うんですね。

 だからこそ、身を切るようなそういう痛みを伴って、村木事件のように、明らかにこれは冤罪であったということが明々白々になっているわけですから、そこのエッセンスを見落としてはならない。基準とは言わないまでも、同じような事例があれば同じように引き返す勇気を持つ事案なんだというふうに考えるべきだ。

 繰り返しになりますけれども、その点、もう一度大臣お願いします。

江田国務大臣 これは委員おっしゃるとおり、きれいごとで言葉だけ並べたんじゃいけないので、検察というものが本当に事態を深刻に受けとめて、身を切るような、自分自身で自分のうみを出す、そういう取り組みをしていただかなきゃいけないことはもう言うまでもありません。

 村木事件についてもう一言言えば、あれが基準だ、あそこまでひどくなければ無罪の論告や公訴の取り消しはしなくていいんだということにもならないわけで、やはり、あそこまでひどいというのは相当のことですから、私もそれほどいろいろな事件を見ているわけではないけれども、それでも、法曹資格も持って、そういう目からもいろいろなことを見てきて、これは幾ら何でもというような事件であったことは確かでございます。

 そういう点を考えて、検察においても、最高検でいろいろ検証し、さらに検察の在り方検討会議でも審議をいただいて提言もいただき、私の方も取り組みの指針を出し、また昨日も、もう一度新たに検事総長に対して一般的指揮という形でちゃんと指示書もお出しをし、さらに、恐らく現場の検察官は自分がやっている仕事に誇りもあるだろうし、自信もあるだろうけれども、それでも最高検の方で、そこはやはり現場の検察官の皆さんとも一緒に考えながら、うみを出していただこうということでいろいろなことをやっているわけでございまして、私も、きれいごとだけじゃ済まないぞ、そういう思いは委員と一緒でございます。

辻委員 この村木裁判で四十三通の証拠請求のうち三十四通が却下されたという、まさに私は同じような経過をたどっているというふうに思いますが、本年の六月三十日に、陸山会事件という小沢一郎さんの三人の秘書の裁判で、石川被告については、十五通の検察官調書のうち十通が任意性がないということで却下された、そして残りの五通についても相当部分が却下されている。また、もう一人の池田さんという秘書についても、二十一通のうち二通が任意性がないということで却下され、十一通の一部が不採用になっているという事案があります。ここに証拠決定の決定書がありますけれども。

 結局、大久保元秘書や小沢さんに対して収支報告書の記載について報告をしたのかどうなのかということで、報告をしたんだというふうにとられた供述調書の証拠請求が却下されているということは、まさに大久保さんや小沢さんの関与を否定する証拠なんだ、断じて問題がないというふうに私は思います。

 だとすれば、石川、池田、大久保の三人の統一公判で今進んでいる裁判において、まさに主要な証拠関係が却下された、少なくとも大久保被告については、有罪だとする証拠が、調書類は全部却下されたわけでありますから、検察の在り方検討会議も指摘し、そして最高検の検証結果も報告をしている引き返す勇気を持つべき、まさに典型的な事案だと考えます。

 具体的な事案についてもちろん大臣はお答えされる立場にはないと思いますけれども、特定の事件ということではなくて、共犯の関係者の関与を供述した供述調書がすべて却下された場合、公判段階においてこれはやはり引き返す勇気を持つべきケースだと考えますが、その点、いかがでしょう。

江田国務大臣 今、委員も適切につけ加えていただいておりますとおり、これはまさに具体的な事件でございます。

 今の指摘された事件について、三人の被告人の公判において関係者の供述調書のかなりの部分が検察官の証拠調べ請求が却下されておる、このことは存じております。

 しかし、まさに個別の事件の証拠の評価にかかわることですし、また私自身が、この事件の今の経過について、検察庁法の個別的指揮権を発動すべき事案だと考えて記録を取り寄せて精査をするというようなことではないと思っておりまして、これは現場に全幅の信頼を置いて、適切な、そして本当に公益を代表する公訴官としての訴訟活動をやってほしいと思っているところでありまして、その中でいろいろな協議などももちろん行われるとは思いますが、これは検察の現場にひとつお任せをするというほかないと思っているところです。

辻委員 つけ加えますと、小沢一郎さんの裁判が十月六日から始まります。これは公判前整理手続の段階でも引き返す勇気を持つべきだということが指摘されているわけでありまして、検察審査会法に基づく指定弁護士も検察官と同じ地位、権限を持つということになっておるわけでありますから、やはり引き返す勇気を持つべきケースだ。そのことは、厳に検討されなければいけないし、後に検証されなければいけない、そういうケースに当たるんだということを指摘させておいていただきたいと思います。

 時間の関係で次に移ります。

 お手元に「破産事件の手続費用一覧」ということをお配り申し上げておりますが、これは本年五月十八日現在ということで、東京地裁民事二十部で破産事件の手続費用ということで備えつけられているものであります。

 私がきょう取り上げたいのは、この中で自己破産の申し立てについて、管財事件というのが2の2でありまして、個人管財事件は最低二十万円であるという指摘があり、一方で、3のところでは、本人申し立て事件の五千万未満の自然人のところは五十万円だと。つまり、弁護士をつけた自己破産申し立て事件の管財費用の予納額は二十万円だけれども、本人申し立てをしたら五十万円なんだということを一律にこれはうたったチラシだというふうに思いますが、そういう理解でよろしいですか。

永野最高裁判所長官代理者 あくまでも、これは、個別の事件の集積として利用者の便宜のために一応の目安としてお示ししているものでありまして、最終的には予納金の額は個々の裁判官が事案に応じて定めることになるというふうに承知しております。

辻委員 ケース・バイ・ケースだということで、これは破産法、破産規則でもそのような定めになっているわけでありますから、当然そうならなければならない。

 しかし、便宜のために、弁護士の代理人がついた場合は予納金は二十万円で済むけれども、本人の場合には基本は五十万円だということをうたっているわけですよ。ケース・バイ・ケースで判断するのではなくて、便宜というのは、では、だれのための便宜なんですか。本人の申し立てだったら、自分も二十万円でやってほしい、弁護士さんを雇うまでのお金がないんだと。だから、申立人本人の便宜からすれば、まさに二十万円でやってもらった方がいいわけであって、五十万円と書かれることは何の便宜でもないと思いますが、この点、どうですか。

永野最高裁判所長官代理者 予納金の金額を幾らに定めるかというのは裁判官の判断事項でございますので、司法行政の立場でその当否について論ずることは差し控えさせていただきたいと思っております。

 ただ、一般論として申し上げますならば、先ほどのその金額につきましては管財事件を想定したものでございますが、破産事件におきましては、御承知のとおり、債務者の経済的な更生を図るとともに、債権者にとって、債務者の財産の公平かつ公正な清算を図る必要がございます。その場合に、申立人に代理人がついておる場合には、あらかじめ、その債務者の資産の内容でありますとか負債の状況、あるいは免責不許可事由があるかどうかといった事実関係や法的関係について十分な調査をして申し立てがなされます。また、破産事件の開始後におきましても、管財人の方からの各種の照会に対して、申立代理人弁護士がこれにこたえるということで管財業務に協力するというような形が期待できます。

 そういう意味では、申立人が本人で申し立てを行う場合と、代理人が代理している場合とでは、かなり管財業務の内容が変わってまいりますので、一般論として申し上げますならば、こういった違いを反映して予納金の額に違いを設けるというのはそれなりの合理性があるものではないかというふうに考えております。

辻委員 一般論を聞いているわけではないんですよ。

 現に、ことしの八月三日に、本人申し立てということで東京地裁民事二十部に赴いたところ、弁護士に頼め、申し立てをしても管財費用は五十万円もらうことになるんだよということで、受理すらしてくれなかったというケースがあるから聞いているんですよ。

 では、具体的に、弁護士さんがつけば、債務の調査とか債権の調査とかを既に一応やってくれているだろうから管財費用は二十万円でいい、本人の申し立ての場合には、その辺がまだぐちゃぐちゃだろうから、要するに、五十万円かかっても、管財人のやるべきことからすれば、それだけのたくさんになるんだと。

 比較的にそういうことは言えると思いますけれども、例えば、司法書士さんが事前に関与して、きちっと調査をして、整理をして、本人の名前で申し立てをしたようなケースだってあるわけですよ。そういうケースも一律に、これは申立代理人がついていないからということで五十万円を強要されるということが頻発しているわけなんですね。

 だから、そういう事実関係について、そういう苦情があるんだということをまず認識しているかどうか。それについて、少なくとも、私が今申し上げたような指摘があるわけだから、これは改めて実態をちゃんと調査して、この法務委員会で報告をすべきだと私は思います。その点について約束をいただきたいと思います。

永野最高裁判所長官代理者 私の方で把握している限りでは、本人から申し立てがあった場合に、仮に法的な問題があったりあるいは不備がある場合には、これは東京では弁護士三会の方で合同して多重債務者専門の法律相談センターをやっておりますので、そういう意味では、本人がみずから申し立てたいと言っているものをあえて受理しないということはないというふうに承知しておりますけれども、この点につきましては、さらに研究させていただきたいと思っております。(辻委員「研究じゃない。事実調査するかどうかだよ。報告するかどうか」と呼ぶ)その点については、調査させていただきたいと思います。

奥田委員長 辻君、質疑時間が終了しておりますので、意見の表明をもって終了してください。

辻委員 はい。

 調査の上で報告をいただくということで理解をいたします。

 これは、管轄を飛び越えて、全国の案件を東京地裁で一括して受理できるというふうなことで、いろいろな、例えばさいたま地裁で申し立てをしたら、本人申し立てでも二十万円で済んでいるのに、東京地裁だったら五十万円だというような事案も報告されているわけで、非常にアンバランスな、フェアでないような運用があるということをやはり指摘して、これについても調査をして報告を求めたいということを最後に申し上げまして、質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

奥田委員長 次に、河井克行君。

河井委員 皆様、おはようございます。自由民主党の河井克行です。

 まずは、震災後の復興復旧事業に対する反社会的勢力の介入の排除についてお尋ねをいたします。

 七月の二十九日、政府の東日本大震災復興対策本部が策定をいたしました復興の基本方針には、今後五年間で国と地方の公費分だけで十九兆円、十年間で少なくとも二十三兆円の事業規模が明示をされております。なお、この金額には、原子力発電所の事故を補償するための電力事業者が負担すべきものは入っていない。恐らく、日本の歴史上、限られた地域に限られた期間でこれだけ巨額の公費が投入される事柄というのは、例を見ないことではないかと考えております。

 そこで、懸念されるのが、いわゆる反社会的勢力などによる復興復旧事業への介入でございまして、一円たりとも国民の貴重な血税が彼らを太らせることに使われてはならない、そう考えております。

 まず警察庁にお尋ねをします。

 そういう中で、しかしながら、もう既に残念ながら、さまざまな復興復旧事業に暴力団などが介入した事案が発生をしていると報じられておりますが、これまでの事例をお示しください。

小谷政府参考人 お答えを申し上げます。

 警察庁では、震災発生直後より、暴力団が復旧復興事業に介入あるいは参入して資金獲得をすることが懸念されたことから、全国警察に対し、東日本大震災に関する暴力団の動向の把握、取り締まり及び暴力団排除の徹底を指示していたところでございます。

 その後、東日本大震災に関連して、暴力団員が公的融資金をだまし取った事件を検挙いたしましたほか、山口県において、暴力団員が被災地における仮設住宅建設工事の下請契約を解除されたことに因縁をつけ、仲介業者を脅迫して現金をだまし取ろうとした事件、それから、岩手県において、暴力団員が仮設住宅建設工事について、派遣が禁止されている建設業務に労働者を派遣した事件を検挙いたしまして、暴力団が復旧復興事業に介入している実態が明らかになりましたことから、重ねて暴力団の動向把握と取り締まりの強化を指示したところでございます。

 また、関係省庁と連携し、復旧復興事業にかかわる業界との連絡協議会を開催するとともに、取引等から暴力団を排除する仕組みを構築するなどして、暴力団排除の徹底を図っているところでございます。

 今後とも、復旧復興事業への暴力団の介入や参入を許すことのないよう、各種法令を適用して暴力団員の検挙を図ることはもとより、関係機関、団体と連携した暴力団排除対策を推進してまいる所存でございます。

河井委員 今の事例紹介の中で、岩手県、それから義援金の事柄は宮城県でしょうか、そういった被災地の事件だけでなくて、遠く離れた本州の西端の山口県ですらこういった事案がもう既に発生をしてきている、大変憂慮すべき状況だと考えております。

 そういった警察の動きに加えまして、検察庁は、この件につきどのような問題意識を持って、具体的にどのような体制をしいてきたのか。本当でしたら笠間治雄検事総長に直接お尋ねしたいところですが、きょうはこの場にいらっしゃいませんので、刑事局長、御答弁お願いします。

西川政府参考人 お答えを申し上げます。

 震災後の復興事業の利権を標的とした暴力団犯罪等が今後見込まれるということに対しては、関係検察庁においても非常に憂慮すべき事態であるというふうに考えております。

 したがって、引き続き、警察等の関係機関との緊密な連携のもとに厳正に対処するものと考えておりまして、既に、必要な場合については、震災地を抱える検察庁に対する検察官等の応援派遣等を実施しておりますし、また、仙台高検においては検事正を含む会議を随時開催しておりまして、被災地の混乱に乗じたこの種犯罪に対しては厳正に対処するという指示がなされているものと承知をしております。今後も厳正に対応していきたいというふうに考えております。

河井委員 刑事局長、今の御答弁では問題意識を感じることができないんです。

 なぜかといいますと、さっき申し上げたとおり、これは日本の歴史上、今まで例を見ない巨額の金額が特定の地域に集中して投下をされる。今、あなたの答弁では、これまでの通常の案件、言うなれば日々の事柄の対応とさほど大きな違いはないように感じられました。もっとしっかりとした問題意識を持っていただきたい。

 東京地検特捜部は今一体何をやっているんですか。眠っているだけでは特捜の存在する価値はない。刑事局長、さまざまな不祥事が起こった、そのために国民から失ってしまった信頼とか期待を検察が取り戻す一つの場である、私はそのように考えているんです。そういう認識を持ってしっかりとやっていただきたい。

 特捜部こそが、この大震災の復興復旧にまつわるさまざまな利権を食い物にする反社会的勢力の摘発に正面から立っていくんだ、そういう認識を持っていただきたいんですよ。だから、東京にいてもいろいろな情報はつかめると思いますけれども、東京だけじゃなくて、仙台や宮城県にも拠点を設けていただきたいし、積極的に社会の悪と闘ってほしい。

 局長、もう一度御答弁ください。

西川政府参考人 委員の御指摘を十分踏まえまして、問題の重要性は十分理解しているつもりでございますので、検察庁全体として、その種の事犯、もちろん今後の特捜部の活動も含めまして、そういう資源をそういう悪質な事案に投入して対応していきたいというふうに考えております。

河井委員 刑事局長、きょうのこの法務委員会での議論を検事総長にきちんとお伝えをいただきたい。国民から失ってしまった期待とか信頼は、仕事で返すしかないんですよ。さまざまな改革はもちろん大事ですけれども、ああ、検察はいい仕事をしているな、国民の期待を担ってやってくれているなというのは、仕事で返すしかない。しっかりよろしくお願いします。

 続きまして、死刑の執行のさまざまな問題について議論をしていきたいと存じます。

 最後の死刑執行から一年を迎えた七月二十八日付の読売新聞朝刊にはこのような見出しが躍っております。「死刑当面命じぬ意向 江田法相が表明」。また、その後、八月七日付、これは私の地元ですが、中国新聞朝刊、恐らく共同通信の配信記事だと思われますけれども、こちらにも、「死刑、当面執行せず 江田法相」と書かれております。

 刑事局長にお尋ねをいたします。

 歴代の法務大臣で在任中に死刑執行をしない意向をあらわした例は、これまでありましたでしょうか。

西川政府参考人 記憶している範囲では、一度そういう意向を表明された方はおられましたが、撤回したということで、おられなかったというふうに記憶をしております。

河井委員 今刑事局長がおっしゃったのは、お名前を挙げられませんでしたが、恐らく杉浦正健元大臣のことだと思いますが、杉浦大臣は、確かに法務大臣就任会見でそのような趣旨の発言をされましたけれども、一時間後に文書でもって報道陣に訂正のコメントを配付された。死刑執行に関する発言は、私の個人としての心情を吐露したもので、法の番人としての法務大臣の職務の執行について述べたものではなく、その点について誤解を与えたとすれば遺憾ですので訂正いたしますと。つまり、江田法務大臣が、死刑を署名しないという確信を持って大臣の職についたのは歴代で初めてであるということであります。

 続いて、刑事局長にお尋ねをいたします。

 江田大臣は、読売新聞の取材に答えまして、このように答えていらっしゃる。「(法務省内の死刑勉強会では)心に響く議論がなかなかない。」。

 刑事局長、死刑の執行要件に法務大臣の心に響かなければならないという規定が刑事訴訟法第四百七十五条に書いてあるのか否か、お答えをください。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 規定にはそのような記載はございません。

河井委員 重ねて刑事局長にお尋ねをします。

 そもそも、法務大臣が執行命令書に署名捺印をするとかしないとかは大臣に与えられた裁量なんでしょうか、どうでしょうか。

西川政府参考人 法律におきましては、大臣が執行する権限があって、大臣は執行する義務があるということになっております。ただ、その過程においては大臣においてさまざまな検討をなされるということであろうというふうに思っております。

河井委員 大事なところですから、もう一度確認いたします。

 大臣においてさまざまな検討をなされた結果、執行しないということは裁量の範囲内なんでしょうか、お答えをください。

西川政府参考人 現在の法律におきましては、執行するという義務になっております。

河井委員 執行するということは、つまり裁量の範囲内ではないということであります。

 そこで、江田大臣にお尋ねいたします。

 刑事訴訟法第四百七十五条は、大臣のお考えでは悪法なんでしょうか、お答えください。

江田国務大臣 悪法という定義も、よくしっかり議論してみなきゃいけませんが、今こういう刑罰が存在しているということは事実で、それを悪法だと思っているわけではありません。

河井委員 就任直後に、この規定には欠陥があるというふうにおっしゃった。今のお考えをお示しください。

江田国務大臣 規定に欠陥があるというんじゃなくて、死刑という刑罰、これはなかなか悩みの多い刑罰であるということを申し上げたわけでございます。

 なお、欠陥という言葉は、ちょっと言葉がきつ過ぎたので、その後撤回をいたしましたが、悩みが多い、悩ましい刑罰である。私は、やはりこれは悩ましい刑罰だと思っております。

河井委員 あなたが個人的にお悩みになるのは勝手なんです。ただ、あなたは法務大臣としての職責を担っている公人であります。これまでも同じような、さまざまな、あなたの言うところの悩みとか葛藤を抱いた大臣はいらっしゃったと思う。しかしながら、先ほども刑事局長が、事務方がお認めになったとおり、あなたが初めてなんです。法務大臣の職についたのに死刑の執行について行わないという意向を表明したというのはあなたが最初でありまして、結果として執行しなかった大臣と江田さんとを私は同列に論ずることはできない。確信を持って執行を拒否していらっしゃる。

 大臣、きょう質問をする前に、先週末も地元でいろいろと、それこそ普通の国民の、地域の人に聞いてきました。では、何で江田さんは法務大臣を受けたんでしょうねと。受けたからには法律にのっとって粛々と執行すべきじゃありませんか。できないんだったら、最初から受けるべきではなかったんじゃないでしょうか。

 なぜ、法務大臣就任を、あなたがさまざまな葛藤を抱いていらっしゃる分野が大変重要な業務の一環としてあるにもかかわらず、断らなかったんですか。お答えください。

江田国務大臣 いろいろな御意見はあると思うんですが、私は、個人として悩ましいと。それは、個人としても悩ましいこともあるでしょうが、個人として悩ましいと言っているだけじゃないんです。そうではなくて、制度として死刑の執行というのはなかなか悩ましいところがあるということを言っているわけです。

 前にも申し上げましたけれども、日本において確定裁判の執行というのは、民事は裁判所です。刑事はすべてが検察官で、唯一例外となっているのが死刑だけで、死刑も執行の指揮は検察官です。しかし、その検察官が執行を指揮する際に、法務大臣の命令で行うということになっている。なぜ、一体、この刑だけが法務大臣の命令ということになっているのか。

 これは、私はやはり、法務大臣という、行政の皆さんには大変申しわけないけれども、単なる行政官が行政的な判断だけでやるものではないんだ、そのことを法律は重く法務大臣に職責として課しているわけで、そこに、法務大臣としてさまざまな、悩むこともあるでしょう、あるいは、世界の歴史の流れもあるでしょう、国民の声もあるでしょう、事案のいろいろな特徴もあるでしょう、そうしたことをしっかり考えてこの命令について判断を下せ、法律はそう言っているものだと思っているので……(発言する者あり)

奥田委員長 御静粛にお願いいたします。

江田国務大臣 一生懸命答弁をしているつもりで、この問題はとにかく聞いてほしいと……(河井委員「私はそう思ってきょうは質問しているんですよ」と呼ぶ)違います。(河井委員「いいから答えてください、質問に」と呼ぶ)と思っているので、居丈高というのは余り好きじゃないんですが……(河井委員「いや、大事なことですから、これは」と呼ぶ)

奥田委員長 御静粛にお願いいたします。大臣の答弁中です。

江田国務大臣 大事だから居丈高でいいというわけじゃないでしょう。(河井委員「居丈高じゃないですよ、そんなのは。はっきり答えないからでしょう」と呼ぶ)そのことを今ここであなたと議論してもしようがないんですが……(河井委員「何。あなたと議論してもしようがない」と呼ぶ)違う。

奥田委員長 不規則発言の方を控えてください。(河井委員「委員長、ちょっと、今の発言は何ですか。あなたと議論してもしようがないと言うんですよ、大臣が。何ですか、今のは。何ですか、一体」と呼ぶ)

江田国務大臣 誤解です。居丈高であるかないかということを議論しても仕方がないと言っただけなので……(河井委員「何を言っているんですか、本当に失礼な、委員会に対して」と呼ぶ)

奥田委員長 御静粛に。

江田国務大臣 ということで、先ほど、読売新聞の記事のことやあるいは共同通信の配信を述べられましたが、私は、執行しないと言っているんじゃないので、そういう悩みを今抱えながら、この執行の問題について考えているということを申し上げているわけです。

河井委員 執行しないとあなたは言っていないというふうに強弁をされるが、複数の新聞の見出しは、当面執行せず、全部共通していますよ。

 では、この新聞の報道が間違っているんですか。間違っているのなら、あなた、ちゃんと訂正を求めるべきでしょう。

江田国務大臣 記者が執行せずというように受け取ったんだと思います。私は、今悩んでいる最中だと、悩みの多いことで、法務省内に置いた勉強会についても、いろいろ勉強を進めているし、そういうプロセスに今あるということを申し上げたんです。

河井委員 何度も申し上げますけれども、大臣、あなたが悩むかどうかは問題の本質ではない。法律に規定されている以上、それを、公人としての役割、権限を行使するのがあなたの大臣としての職責なんです。あなたが悩むかどうかは問題の本質ではありません。

 今回、この取材で、大臣はこのようにお答えされている。勉強会の最中にその執行をすることはできない。では、この勉強会なるものは、いつ結論を出すんですか、大臣。

江田国務大臣 勉強会の最中に執行をすることはできない、記事でそう書いてはいなかったと思いますが、なかなかできるものではないというような言い方だったと思いますよ。(河井委員「同じことですよ」と呼ぶ)それは違うんですよ。

 私は、本当にこれは、だって今世界じゅうが、死刑の執行を思いとどまっている国がだんだんふえてきているというような状況があるんですよ。人間の文明の進歩の行く末というものがあるので、そういうものもしっかり見据えながら、やはりここは大きな立場に立って、人の命というのは何なのか、そうしたことも真剣に考えながら悩み抜かなければいけない課題だと、個人としてじゃありません、制度としての話を言っているわけです。そこはぜひわかってほしいし、また、私は、勉強会はいつごろ終わるのか、いつごろをこの結論を出す時期と定めているか、そういうような日程観を持ってはおりません。

河井委員 今、めどが立たない勉強会を続けているということをあなたはみずからおっしゃった。時期的なめどがない。時期的なめどを持っていない勉強会を口実に死刑の執行から逃げ回っているというのは、隠れみのにすぎない。省内勉強会なんというのは、あなた自身のアリバイ工作ですよ。しかも、その勉強会はあなたがつくった勉強会じゃないんですよ。ほかの人がつくった勉強会、あなたの前の前の前の千葉景子大臣のときに、しかも、千葉さんが死刑を執行した後につくった勉強会。あなたはその勉強会について、今、執行を自分が決断することから逃げ回っているだけじゃないですか。その勉強会は結局、お勉強を続けることが目的ではなくて、あなたが執行をしないことを続けるための口実にすぎなくなってきている。

 大臣、もう一度お尋ねしますよ。一体、江田大臣は何から逃げようとしているのか。

 だれだって、好きこのんで死刑執行の命令書に署名をしたい法務大臣なんていなかったと私は思いますよ。そんな人は一人もいない。二〇〇七年の八月から一年弱の間、私は鳩山邦夫法務大臣のもとで副大臣をさせていただきました。当時、事務方から上がってきたさまざまな資料、斎戒沐浴をして、命を文字どおり削るような覚悟で、誤りのない判断を期そうと全身全霊を傾けたんだと後になって鳩山大臣から聞きました。

 実はそのころは、私、副大臣のところにも稟議書が回ってきた。もちろん最終決定者は法務大臣でありますけれども、大臣の数百分の一、数千分の一の重みかもしれませんが、あの重圧は、私は今でも決して忘れることはできません。

 確かに凶悪犯ですよ。人を一人じゃなくて二人も三人も、そして四人も殺す、命ごいをする被害者を残忍な方法でめった殺しにする、中には、抵抗することができない幼児や高齢者の命を奪った、その資料をずっと私も熟読をさせていただいて、現場の状況がよみがえってくるような、そんな気がいたしました。

 それでも、凶悪犯人といえども、今現に拘置所の中で生きている人間、その人間の命を、国家の名のもとにおいて人が人の命を奪うということのつらさといいましょうか苦しさ、それを真に味わっているのは、私は、現場の職員の方々だと思う。刑務官であり、医師であり、立ち会いの検察官の皆さん、そういった人々は、でも、法務大臣からの命令によって、職務と自分自身に強く言い聞かせて、毎日の仕事をとうとく遂行してきていただいている。

 先ほどから江田大臣は、悩んでいる悩んでいるとおっしゃるけれども、本当に葛藤の中で悩んでいるのはそういう現場の方々であって、法務省の大臣室のきれいな冷房のきいた部屋で悩んでいるあなたのことではないと私は考えております。

 関係者の手記などを見ると、中には精神が参った人も見受けられる。みんな逃げないで法務大臣の命令を一生懸命遂行してきたんじゃないですか。あなただけが悩んでいるという安全地帯に引き込んで、刑の執行から目をそらせようとしている。私はどうしても納得することができない。

 もう一つ、大臣、裁判員裁判の導入なんです。裁判員裁判では、一般の国民が死刑を決めなければならなくなった。

 ここに平成十八年二月二十四日の当委員会での議員の質問がありますので紹介させていただきます。一般市民の方が死刑判決の責任まで負う、一般の市民にそれだけの重責を担わせておきながら、判決が確定して、法務大臣が死刑執行のサインをするのかしないのか、なおわからないというのは、法務行政として大変に無責任なことではないか。質問されたのは自民党の議員ではありません。あなたの所属する政党、民主党の石関貴史議員がこの質問をされた。

 裁判員裁判に参加した国民や刑執行の係官らには判決とか執行という精神的な重圧をかけておいて、命令権者のあなたがその重圧から逃げ回っている。大臣のお考えを聞きたいんです。あなたはよく民意を大切にしなきゃいけないとおっしゃる。さっきもおっしゃいました、国民のいろいろな考えも参考にしなきゃいけないと。ところが、政府の調査によると、大多数の国民は、死刑制度の存置、存続に賛成をしている。

 刑事局長、最新の数字がありましたらお答えをください。

西川政府参考人 今、正確な数字を把握してきていなくてまことに申しわけないんですが、死刑について、死刑の存続はやむを得ないという数字は、合計すると八五%ぐらいになっていたというふうに記憶しております。

河井委員 二〇〇九年の調査では八五・六%なんですね、大臣。ところが、九九年には七九・三%だった。二〇〇四年には八一・四%、二〇〇九年には今お答えになった八五・六%。回を重ねるごとに国民の死刑制度の存置に対する賛成がふえてきている。これだけ自由で民主的な国家日本において国民の八五・六%が賛成をしているという数字は、私は大変重たい数字だというふうに考えております。

 今回、質問するに当たって、大臣が参議院議員を経て衆議院議員の一期目にお書きになった、八五年四月ですが、講談社の現代新書から「国会議員 わかる政治への提言」という本をお出しになっている。その第一章にこのように書かれていました。「自分の選挙区の人々との人間関係を大切にし、この人々から官僚的手法とは別の情報、つまり庶民が毎日の生活の中で何を願い何を嘆いているかを知ることは、政治家として大切なことだ。そこには政治家の、官僚では果たせない固有の役割があるのだから。」。

 大臣にお聞きします。

 大臣は、庶民の八五・六%が願っていることをこれからも無視をし続けるおつもりなのか。逆にお尋ねする。ここで示された民意というものが、逆に大臣の考えの中では間違っているんでしょうか。お答えください。

江田国務大臣 いろいろなことを申されましたが、私は、悩みの中に逃げ込んでいるというふうに思っているわけじゃありません。今現に委員からも大変に厳しい御指摘もいただきました。そういうものもしっかり、私自身、自分で受けとめながら真剣に悩んでいきたい。

 そして、千葉元法務大臣は、今、鳩山邦夫元法務大臣のことをおっしゃいましたが、本当に恐らく、千葉さんも鳩山さんと同じように、大変な悩みの中で執行という決断をされたんだと思います。そこにも悩みがあるので、そうした悩みをあえて執行という決断で乗り越えて、勉強会を残して、その勉強会は、死刑制度の存否、存も否も、否も対象に置いてしっかり勉強してくれということを千葉さんは残されているわけでございます。

 そこで、私は、それをしっかり引き受けて、今、私自身が自分のこの身を挺してと言っても余りそう大した身じゃありませんが、悩んでいるところで、きのうも実は省内の死刑のあり方に関する勉強会で、亀井静香先生たちをお呼びしていろいろな御意見も伺い、また議論もしてまいりました。

 そういうことを今やっている最中なので、国民の世論調査と言われましたが、そこでも世論調査の話も出ました。亀井静香さんは、その世論調査については、こういうことがあるのではないかと、いろいろなことも言われました。私も、今の世論調査の結果、死刑制度を残すことを認める世論が大変な数に上っていること自体は、これはしっかりと受けとめていかなければならぬと思います。

 しかし、同時に、先ほどもちょっと申し上げた、世界全体を見ると、死刑制度をなくしている国がふえてきている、そういう世界の流れというものもあるわけです。いろいろなことをこれは考えながら、この制度の将来について、私ども真剣に考えていかなければいけないんだと思っております。

河井委員 重ねて言いますが、真剣に考えることと執行から逃げ回ることは私は同義ではないというふうに考えております。

 もう一つ大臣にお尋ねします。

 一般の懲役刑は執行するのに死刑だけ執行しないというのでは不平等ではないんでしょうか。法務大臣みずからが日本の法体系を崩していることにはなりませんか。お答えください。

江田国務大臣 私は、死刑について、例えば、勉強会をやっているとか、あるいはその他の事情があって一律に執行停止という方法をとるということを言ったことはありません。今、死刑を執行するかどうかという問題が悩ましい問題なんだということを言っているわけです。

 懲役は確かに今執行されている。死刑というのは、これは命を奪う刑ですから、執行は、その死刑の執行というときしかありませんが、しかし、死刑確定者については、これは執行を待つということで、確定者として自由は奪われ、いろいろな制約のもとに拘置所の中で毎日を送っているわけで、刑の執行としての拘置じゃありませんけれども、しかし、私は、死刑確定者は一般の人と同じような生活をしているわけではない、大変な罪というものを考え、大変な精神的な葛藤の中に今いる、こういう人、しかもこれは今命というものを持っている、そういう人たちであるというふうに思っております。

河井委員 江田大臣と議論してもなかなかかみ合わない。

 最高裁にお尋ねをします。

 憲法第七十三条には、「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」として、「一 法律を誠実に執行し、国務を総理する」というふうに書いてありますが、江田法務大臣の死刑はしないというこの表明は、この憲法の規定に反しないんでしょうか。お答えください。

植村最高裁判所長官代理者 この問題につきましては、私どもは司法行政を担当しておりまして、最高裁の事務当局としての仕事をしているわけでございますが、意見を述べるべき立場にはないと思っておりますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

河井委員 答弁をする立場にないとおっしゃるからには、その前提として、司法が決めた判決を行政が執行するということを信じているということが裏づけであるからお答えする立場にないからではないか、私はそう思いますよ。

 そうしないことには、死刑判決が、これから先、裁判所が幾ら下しても執行されなかったら、それは判決の意味がないじゃないですか。司法が、みずからの判決を行政が執行しないときに、最高裁、何か対抗する手段はないんでしょうか。僕の質問、聞いてもらえましたか。ちょっとお答えください。

植村最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 私どもとしては、司法行政を担当しております最高裁の事務当局でございますので、今の委員御指摘の点については、お答えする立場にないということを申し上げたわけでございます。

河井委員 理屈は、司法は行政を信用しているからなんですよ。自分たちがつくった判決文を行政府が執行してくれるというふうに信用しているから、そういうふうなことになってしまう。

 もう一つ、三権の無視ということでいいますと、あなた自身が所属している立法府、刑法や刑事訴訟法に規定された死刑に関する条項は、ほかでもない国会がつくったもの、国会は行政が法律を執行してくれるものだと信じているわけです。その信頼を、江田さんは就任以来一貫して踏みにじってきている。いいですか。私は執行しないと言ったことはないなんておっしゃるけれども、そんな言い逃れは許しませんよ。実績が物語っている。

 近年の法務大臣で、六カ月以上在任した中で、死刑の執行を行っていない人はあなた一人なんです。あなたは、国権の最高機関である国会の最高位の議長までお務めになった。本来、だれよりも立法府の意思を体現しなくてはならない立場でありますので、個人的な趣味とか好き嫌いで法律の運用をしてもらったら困る。

 大臣、罪刑法定主義というのは一体何ですか、お答えください。

江田国務大臣 罪刑法定主義と言われて、司法試験の解答をするように今明快に答えることはできませんが、たしか三つほどの原則がありまして、罪、そしてそれについての罰、これは法律で決められていなきゃならぬということ。それから、刑罰、これが遡及してはいけない、遡及効の禁止、これもたしか罪刑法定主義に入っていたと思います。もう一つ、何かあったように思いますけれども、刑法の教科書を見れば書いてあることで、もし必要なら刑法の教科書を見ていただきたいと思います。

河井委員 その罪刑法定主義の根拠は一体どこにあるのか。何を罪として、その罪に対してどのような刑を科すかについては、国民の代表者で組織される国会によって定め、国民の意思を反映させることが民主主義の原理から要請されることにあるんです、大臣。

 ですから、国民の意思を代表している国会が死刑の執行を認める法律をつくり、かつ八割以上の圧倒的多数の国民が現に死刑制度の存続を認めているにもかかわらず、あなたの独断で死刑の執行をしないということは、あなたは民主主義の原則を破壊しているということなんですよ。

 国会が決めた法律で、かつ国民の圧倒的多数が認めているものを、あなたのときだけやらないというふうに言明した。これは、国民の意思に背く、あなたはこんな言葉は聞かされたくないかもしれないけれども、独裁者としての振る舞いですよ。

 一体、あなたのその言動が許される根拠はどこにあるんですか。なぜそんなことが許されるんですか。法律も無視する、国民の圧倒的多数の願いも無視する、あなたのその言動は一体何によって許されているんですか、お答えください。(発言する者あり)

奥田委員長 御静粛に。

江田国務大臣 大変厳しい御指摘、おしかりをいただきました。

 そのことも踏まえて、しっかりと考え、悩んでみたいと思っておりますが、私は、民主主義というものは、もっともっと何か深い深い人間の原点に由来しているものだと思っております。形式的な民主主義の論理だけでいいのかどうか、人間というものの理解というものがどの程度深いかということにかかわっていることだと思っています。

 そうしたことに立って、今のこの身分制社会の中から新しい民主主義という時代が生まれてきて、その民主主義も次第次第に進歩して今日に来て、しかもその民主主義の実践というのは、日本だけがやっているのではない、世界じゅうのいろいろな国が、いろいろなことを経験しながらやっているわけでありまして、そこはまた委員と一緒に、委員の方には何の悩みもないようですけれども、私としては、これは真剣に悩みながらこのあり方を考えてまいりたいと思っております。

河井委員 私がどう考えようということじゃなくて、法務大臣たる江田五月に対して今質問をしているんですから、関係ない話ですよ。

 あなたは民主主義というものに対して本当に危険な思想を持っていますね。あるべき民主主義というのは一体何ですか。では、この国会の審議は全部形式なんですか。多数党が国民の大多数の意思をしっかり代表して、政府をつくって、閣僚として仕事をしていく。法律で決められたことを実行しなくても、それはあるべき民主主義から離れているからいいとあなたは言うんですか。あなたは日本国の法務大臣ですよ。外国の潮流、そうじゃないです。日本国の国家の法務大臣としての職責を全うしなきゃいけない。

 時間が来たから、きょうのところは終わりにしますけれども、いつまであなたの内閣が続くかわからないけれども、もしその立場にいらっしゃったら、またやりましょう。そして、逃げないでほしい。全く無実な、まともな、毎日一生懸命生きている国民の願いを決して無視してほしくない。

 以上で終わります。(江田国務大臣「委員長」と呼ぶ)

奥田委員長 審議時間を終了しておりますので。

 次に、平沢勝栄君。

平沢委員 自民党の平沢勝栄でございます。

 今の河井委員と大臣の死刑の話を聞いていまして、私は全く大臣の答弁には納得できませんでした。これからその点についても質問をさせていただきたいと思うんですけれども、その前に、今、大臣は環境大臣と兼務です。この前、理事懇に来られて、大臣は兼務の理由についていろいろと説明されました。

 法務大臣というのは極めて重いポストですよ。一国の法の番人ですよ。法秩序の維持の最高責任者ですよ。その法務大臣が、しかも五万人の職員を抱え、多くの出先機関も持っている、応援してくれている保護司さんとかそういった方々もたくさんおられる。そういった中で、環境大臣と兼務で法務大臣は務まるんですか。大臣、もう一回ここで答えてください。

江田国務大臣 何の兼務もなくても、十分私に務まるかどうかわからない、それほど重大な職責だと思っております。委員を初め皆さん方の御指導をいただきながら、懸命に務めてまいりたいと思っております。

平沢委員 そうじゃなくて、ちゃんと答えてくださいよ。外務大臣と法務大臣の兼務なんということはあり得ないんですよ。財務大臣と法務大臣の兼務ということはあり得ない。環境大臣というのは、今、瓦れきの処理も含めて、大変に重いポストじゃないですか。法務大臣だって重いポストじゃないですか。何でこれが兼務で務まるんですか。それを聞いているんですよ。

 では、ほかの大臣と兼務なんということはあり得ると思いますか。外務大臣と法務大臣が兼務ということはあり得ると思いますか。ないでしょう。それはなぜかというと、外務大臣が大変に重要なポストだからでしょう。法務大臣は軽いポストなんですか。そう思われているんですよ、これは。おかしいじゃないですか。怒らなきゃだめですよ。なぜなんですか。

江田国務大臣 重いポストだということは重々承知をしております。同時に、環境大臣は、そうでなくても今の地球環境問題、大変重要なところへ来ておると思いますが、それに加えて東日本大震災、さらに原発事故、そして廃棄物の問題、放射能の問題、まさに難問山積で、こちらも非常に重い職務だと思っております。

 今、いろいろな兼務の例を挙げられましたが、それが務まるんですかと言われると、私は、例えば外務大臣と財務大臣の兼務が務まるかどうか、そんな判断をする立場には今いませんが、これは、任命権者がここは私に、法務大臣を現に続けているときに環境大臣もともにやってくれということを言われましたので、これは任命権者が私に重い重い荷物を課したものと受けとめて精いっぱい務めていく、それしか私の選択肢はないと思っております。

平沢委員 現場では泣いていますよ。法務省というのは、法務大臣というのはそんな、環境大臣と一緒に兼務で務まるようなポストと思われているんですよ。おかしいと思いませんか。

 だって、全国で法務省の職員だけで五万人いるんでしょう。出先もいっぱいありますよ。例えば、法務省の仕事に協力している保護司さんだって全国で五万人いるんでしょう。その人たちはどういうふうに思われるか。環境大臣と兼務、どう思われるか。

 では、大臣にお聞きします。

 大臣は、大臣になられてから、現場の視察はどのくらいされたんですか。例えば、法務省に協力している保護司さん、全国で五万人おられます。その方々の意見も聞かれたことがあるんですか。

江田国務大臣 ございます。

平沢委員 では、いつ、どこで、何回ぐらい聞かれたんですか。

江田国務大臣 これは七カ月ほどの日誌をちゃんと見てみなきゃわかりませんが、例えば、私、地元に帰ったときに保護司さん方の、有志の方々ですが、集まっていただいて御意見を聞いたこともあるし、それから、福岡へ行ったときに福岡の保護観察所所属の保護司さん方、これも集まっていただいたので御意見を聞かせていただいたこともございますし、あるいはまた東京でも、例えば、保護司じゃありませんが、保護観察所長の皆さんの会同にも出て、余り長い時間ではありませんが御意見を聞かせていただいたこともありますし、それから、たしか先日は女性の保護司の皆さんの集まりにも出させていただいたようにも思いますし、まだ抜けているかもしれません。

 保護司さん方、本当に一生懸命に仕事をやってくださっていて、そういう皆さんには本当に頭が下がる思いで、私も、私の意見ももちろん申し上げ、また激励をする言葉も述べたりしながら意見を十分聞かせていただいている、まあ、十分とは言えませんが、聞かせていただいているつもりでございます。

平沢委員 大臣の答弁を聞いていると、環境大臣と法務大臣は兼務で十分務まる、何かそういうふうに聞こえるんです。それならば、これから環境大臣と法務大臣、いつも一人置けばいいんですよ。務まるというようなことを今言っておるんだ。

 やはり、法務大臣としてやることはいっぱいあるんですよ。だから、好ましいことじゃないんですよ。大体、この問題を提起したのは民主党の議員ですよ、これはおかしいというような。ですから、やはりおかしいんですよ。

 だから、大臣は、今後はこういうことはないようにしなきゃならないんですよ、今回はこうなっちゃったけれども。それをはっきり言われたらどうですか。やはり法務大臣というのは極めて重いポストなんだから、それを言ったらどうですか。

江田国務大臣 委員の今の御指摘はしっかり受けとめたいと思います。

 私に務まっているかと言われましたら、それは批判もいろいろあると思います。私としては、精いっぱい務める努力をする、その選択肢しかないので、そこはぜひわかっていただきたいが、委員の今の御指摘は重い御指摘だと思います。

平沢委員 次に移らせていただきますけれども、今、河井委員と死刑の話をされていましたけれども、大臣は記者会見で、死刑というのは、悩ましい状況にしっかり悩みながら勉強している最中だ、こういうことを言っておられました。

 それで、今、諸外国の例を挙げられました。今問題になっているのは諸外国じゃないんです。日本は法治国家なので、法律にちゃんと書いてあるんです。刑事訴訟法に書いてあるんです。そのことをさっきから河井委員は問題にしていたわけで、大臣は、諸外国がどうのこうのと。諸外国のことを問題にするのは別途やればいいことであって、今、刑事訴訟法に書いてあるわけなんです。

 そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、大臣は、悩ましい制度だからいろいろ勉強していると言うけれども、どういう勉強をされているんですか。

江田国務大臣 制度としては、これは、千葉元法務大臣が大変な決断で執行されて、それを契機として国民的な議論を起こしていきたい、死刑の存廃を含め、あるいは死刑の執行の仕方、情報公開のあり方、こういうものをしっかり勉強していきたいということで勉強会を残されておりまして、それは、委員初め皆さんからいろいろな御批判をいただいていて、十分勉強会がてきぱきとスピード感を持って進んでいるかというと、なかなかそうでもないと思いますが、しかし、私の代になってからも、例えば識者の方々、個人や団体や、来ていただいてお話も伺いましたし、学者の皆さんも、あるいは、きのうもまた議員連盟の皆さんも来て、お話を伺いました。そういうことをやっております。

平沢委員 全然答弁になっていないんですよ。

 今、死刑がもう確定した人は百二十人おられるわけでしょう。本当に勉強されるんだったら、判こを押すかどうかは別にして、その百二十人の書類を見るのが法務大臣の仕事じゃないですか。百二十人は、それらの死刑確定囚は、どういう犯罪を起こして、そしてなぜ死刑の判決が下ったのか、被害者はどういう思いなのか、そういったことが書かれた判決書を見るのが法務大臣の仕事じゃないですか。

 刑事局長、当然、死刑の確定した書類というのは、大臣から要望があれば大臣のところに関連書類を上げると思いますけれども、今まで江田大臣に上げたことはあるんですか。

西川政府参考人 その件に関してでございますが、具体的な案件を上げているかどうかについては、お答えを差し控えさせていただくしかないと思っております。

 これは、理由を申し上げますと、死刑については、言うまでもなく、人の生命を絶つ極めて重大な刑罰でございます。法務当局から法務大臣に死刑執行のための具体的案件を上げて、法務大臣が死刑執行の検討を行っているか否か等、その執行の判断にかかわることについて当局から発言すること自体、死刑の執行を待つ立場にある死刑確定者の心情の安定を害するというおそれがあるものと考えますので、この点についてはお答えを差し控えさせていただきます。

平沢委員 何を言っているんですか。刑事局長、死刑が確定したら半年以内に執行しなければならないと法律に書いてあるんですよ。そうしたら、刑事局長、その書類を上げるのは当たり前じゃないですか。では、法律を無視しているということ。

 何で上げるのがまずいんですか、それを言えないんですか。上げていいじゃないですか。上げて、そして大臣はそれを子細に読めばいいじゃないですか。そして、この判決については大臣としていろいろな意見がある、それは大臣、いろいろなケースがあり得るでしょう。だけれども、読むのは大臣の仕事じゃないですか。検討するのは、勉強するのは大臣の仕事じゃないですか。

 もう一回だけ、刑事局長。それを上げたなんて当たり前のことじゃないですか。上げたのを、何でこれを言えないんですか。

西川政府参考人 実際の執行の手続におきましては、まず、事前に確定記録を刑事局において詳細検討して、その上で、例えば再審の事由であるとか、健康状態であるとか、さまざまな事情を勘案して、その上で大臣にお上げするという手続になっております。その後、大臣の御判断を仰ぐということでございますが、先ほど申し上げましたとおり、その手続が現に進んでいるかどうかということ自体を明らかにいたしますと、現に死刑が確定して執行を待っている者も大勢ございますので、その者の心情に悪影響を与えると考えられますので、申し上げることはできないということでございます。

平沢委員 そうしたら、刑事訴訟法四百七十五条というのは死刑確定囚に大きな心情的な影響を与えるんですか。刑事局長、もう一回。刑事訴訟法四百七十五条、半年以内にやらなきゃならないと書いてある、これは死刑確定囚に大きな影響を与えるんですか、どうですか。

西川政府参考人 法律の規定でそのように定まっているということ自体が特に悪影響を与えるものであるというふうには考えておりません。

 ただ、実際、実態を申し上げますと、半年以内に執行されるということはほぼまれでございまして、慎重な検討の上に執行しているというのは、先生、実情はおわかりのとおりでございます。

 その執行の手続というのは、先ほど申し上げましたような慎重な手続によっておりますので、その過程を明らかにすることはできないということを申し上げたということでございます。

平沢委員 それでは、刑事局長にお聞きしますけれども、死刑が確定して、今一番長い期間収容されている人はどのくらいになるんですか。

西川政府参考人 これにつきましても、何年と申し上げますと事件が特定されますので申し上げることはできませんが、何十年かに及ぶ長い者もおるというふうに承知をしております。

平沢委員 その中には、再審請求が出ていないけれども何十年も収容されている人がいるということですね、刑事局長、もう一回。再審請求等は一切出ていないけれども何十年の人もいると。

西川政府参考人 まことに申しわけございませんが、確定後、何十年もたっている者の中で再審請求していない者がいるかどうかについての確認は、きょう怠ってまいりました。

 ただ、確定をして相当期間たっている者の中で再審請求を現在していない者がいるということは事実でございます。

平沢委員 おかしくないですか。法律で半年以内に執行と書いてあるにもかかわらず、こういう形で長期間、先ほど刑事局長はいみじくも言われました、半年以内に執行というのは極めてまれだと。法律が全く守られていない。日本は法治国家じゃないんですか。

 矯正局長に聞きますけれども、かつて死刑とあわせて終身刑をつくろうという動きがあったときに、終身刑の場合は仮釈放の見込みがないから処遇が極めて困難になる、だからこれを置いておくことは難しい、だから、そういう刑を新たにつくることには反対だということを法務省は言われたんです。そうなんですか。要するに、終身刑の場合は処遇が極めて困難だということなんですか。その場合は、では、死刑確定囚、こんな何十年も置いている人もいるそうですけれども、この人たちの処遇は大丈夫なんですか。

三浦政府参考人 お答えいたします。

 死刑確定者につきましては、来るべき死刑の執行を待つという、いわば極限的な立場に置かれておりますことから、極めて大きな精神的不安と苦悩のうちにあるということで、刑事施設におきましては、できる限り死刑確定者の心情の安定が得られるよう配慮して処遇しているところでございます。(平沢委員「私の質問に答えてください」と呼ぶ)はい。

 お尋ねの、仮釈放のない終身刑を創設した場合でございますが、終身刑受刑者につきまして、社会復帰への希望が持てないということで自暴自棄になったり、あるいは、身を賭して逃走あるいは自殺行為に及ぶといったことでありますとか、職員の指示に全く従わなくなるといったことも考えられるところでありまして、その刑務所内における規律あるいは秩序の維持というものが困難になるということが懸念されるところでございます。

 終身刑受刑者の処遇につきましては、拘禁自体が刑の執行でございますので、いわゆる死刑確定者とは異なりまして、その処遇のあり方を別異に考えざるを得ないのではないかというふうに考えられるところでございます。ただ、その一方で、他の受刑者のように改善更生あるいは社会復帰といった目的も持てないということで、その処遇のあり方について検討すべき課題があるというふうに考えております。

平沢委員 私の質問に簡単に答えてくださいよ。

 局長、そうじゃなくて、要するに、死刑の場合は出られる見込みがないわけですよ。いつ死刑があるかわからない、そんな人を何十年も置いておいたら、結局、終身刑以上に処遇が困難じゃないですかということを言っているわけです。それだけ答えてくれればいいんです。

三浦政府参考人 先ほど申し上げましたように、死刑確定者の心情といいますものは大変不安定になりやすいというところがございますので、刑事施設といたしましては、できる限りその心情の安定が得られるようにしているところでありまして、具体的には、その刑の執行が行われるまでの間、いわゆる未決拘禁者の処遇に似た処遇を行いながら、その心情の安定を図っているというところでございます。

平沢委員 では、この問題の最後にしますけれども、大臣は、こういった死刑の判決が確定した死刑囚の記録は読まれたことはあるんですか。

江田国務大臣 私のところに死刑の執行を命ずる準備のために記録が上がってきているかどうか。これは、記録が上がらなければ読むというのはなかなか困難でありまして、記録が上がってきているかどうかということについてお答えをすることは、先ほど刑事局長が答えましたが、これは個別の死刑確定者の心情の安定に資さない場合が起きてくるということで、そのことについてはお答えを差し控えさせていただくということで今日まで来ておりまして、ここで今、私がそうした記録を読んだことがあるかどうかということについては、お答えをぜひ差し控えさせていただきたいと思っております。

平沢委員 読んでいないに決まっているじゃないですか。だって、これは死刑を制度的に検討して、今勉強の最中だと。

 それで、要するに、先ほどからずっと答弁を聞いていると、制度のことを言っているんですよ。死刑の制度、外国はどうのこうのと。外国のことを今議論しているんじゃないんです。日本にはちゃんとそういう制度があって、それは法律で決まっているんです。そのことを言っているわけで、それは外国のことは外国のことで、外国の制度が今、そういう世界の潮流は潮流としてそれはまた別途検討すればいいわけで、それでおかしければ、刑事訴訟法の四百七十五条も、それから刑法も含めて改正すればいいだけのことであって、今は制度としてあるわけで、法律としてあるわけで、こんなの、無視するんだったら法治国家でなくなっちゃうわけで、裁判所は何のために判決を下すのかということにもなるし、ですから、これはもうこれでまた別の機会にしますけれども、ぜひ検討していただきたいなと思います。

 次に、もう時間がないから、入管に、局長が来ていますけれども、入管局長、最近の報道にありましたけれども、警察の指名手配を、入管の職員のミスか過失かで、要するに、ことしになって既に四人、いわば見逃して外国に行かせてしまった、出国させてしまった、こういう報道が出ていますけれども、これは事実かどうか。それで、過去はどうなのか。そして、これを防ぐためにはどういう対応をこれからとるつもりなのか。それをちょっとお答えください。

高宅政府参考人 お答えいたします。

 まず、逮捕状が発付されて出国確認留保の対象になっている者、これを警察当局に通報することなく出国させてしまった件数、これが平成二十三年に、成田、中部、関空の各空港、合わせて四件ございますことは事実でございます。過去につきましては、平成二十二年に、成田、中部で三件ございます。それから、二十一年はございませんが、二十年には一件が確認されております。

 それで、これはシステム上、審査の画面に出国確認留保該当者であるということは表示されるわけでございますが、これを不注意で見落としたという、あってはならない件でございます。

 これの再発防止でございますが、まず一つは、入国管理行政に携わる職員が、水際対策とともに、出国確認という制度の重要性ということを認識していただくことが必要であるということで、リスト登載の確認を確実に行うというような、あるいは基本に忠実な業務遂行の徹底を地方局に通知文書を発出したところでございます。さらに、実際に発生した空港の担当者、審査担当の責任者を呼びまして、個別に再発防止の徹底を指導しております。

 さらに具体的に、ミスが起きないようなシステムの改修につきましても現在検討しておりまして、九月中にもシステムの改修を実施したいと思っております。

 これらの措置を通じまして、緊張感を持って、見落とし事案の再発を確実に防止していきたいと考えております。(平沢委員「過去にはどのくらい」と呼ぶ)

 過去は、平成二十二年に、逮捕状が発付されて、通報しなかったのが三件ございます。それから、二十一年にはございませんが、二十年に一件というふうに確認されております。

平沢委員 では、大臣にお聞きします。

 去年も三人が、逮捕状が出ているにもかかわらず空港で逃がしてしまった。ことし四人逃がしてしまった。これで報道されて、問題になったら今からいろいろな対策を講じると。おかしくないですか。何で去年逃げられたときに、去年から一生懸命対策をとらないんですか。おかしいじゃないですか。大臣、答えてください。

江田国務大臣 これは申しわけありませんと言うほかありません。

 督励して、しっかりと、こうやったらより注意しやすいというようなシステムを改革するようなこともあるので、精いっぱい努力するように指示をいたします。

平沢委員 では、大臣、ぜひお願いしたいと思います。

 次に、黒岩政務官にお聞きしたいと思います。

 きのうも予算委員会で市民の党の関係がいろいろと出ていましたけれども、この問題については、この法務委員会で同僚の河井議員それから柴山議員が聞いているわけですけれども、市民の党というのは、代表は斎藤まさしという人物ですよね。これはもう予算委員会でも出ていますけれども。

 この斎藤まさしというのは、ここに座談会があるんですけれども、この座談会で言っているのは、何と言っているかというと、自分の目的は革命である、毛沢東思想そしてマルクス・レーニン主義に基づいて革命を起こすことが目的である、菅総理とは三十年来の友人だそうですけれども、私は三十年来革命以外考えたことないということも座談会の中で出てきます。

 そして、斎藤まさしが出している「新生」という機関紙、この機関紙には、ポル・ポトだとか、フィリピンの革命勢力だとか、北朝鮮のよど号犯人だとかの寄稿というか論文も掲載されている。恐らくいわば共感しているからでしょう。そういった記事も掲載されています。

 そして、この前から出ているように、市民の党の公認候補が、ことしの三鷹ですか、市議会議員で、ハイジャック犯の息子の森大志を公認候補として立てた。この市民の党の所属の二人の議員が、平成十四年ですか、横浜市議会で議長席を六時間にわたって占拠して除名されたというようなことやらいろいろあるわけです。

 それで、この市民の党がいろいろな形で、黒岩議員も含めていろいろな議員の選挙応援をしている。そして、お金のやりとりも、この斎藤まさしなる者は政権交代をめざす市民の会とかというのをもうつくっていますけれども、実質はこれは斎藤まさしの会ですよ。これといわば資金のやりとりも、黒岩さんの名前を冠した越後の暴れん坊という政治団体がある。あなたは知らない、知らないということでこの前逃げていましたけれども、そういったことがある。

 そこで、もう一回確認します。

 あなたと斎藤まさしというのはどういう関係なんですか。

黒岩大臣政務官 以前も答弁させていただきましたけれども、私も選挙の際には、いろいろなボランティア団体とか、さまざまな人たちから応援をいただいている。その中にこの市民の党という政治団体の関係の人たちもいたということは承知をいたしております。

 過去に、その代表である斎藤さんとはボランティア選挙等ではお会いしたということで面識はありますけれども、そういった中で応援をいただいたということは私としても承知をしております。

平沢委員 前回の答弁と違いますね。

 前回は、あなたは何と答えたか知っていますか。選挙応援がないことを証明することもなかなか困難ですので、これについて否定し切れるのかといったら、そうだとはなかなか言い切れない。何を言っているかよくわかりませんけれども、そういう答弁をされているんですよ。

 前回の答弁と違うじゃないですか。今は、あなたは市民の党から応援をもらったと言っている。前回は、応援をもらったか、応援をもらっていないか、それはわからないということを言っている。前回と違いますよ。

黒岩大臣政務官 趣旨としては同じ趣旨で申し上げたつもりです。

 今申し上げたように、いろいろなボランティアやいろいろな勝手連の方から応援いただいているので、それは一個一個、私、候補者として詳細まで把握はできませんけれども、いろいろな方が応援されているということの一つだと思っております。

平沢委員 言うまでもなく、斎藤まさしが、これは選挙を手伝うことで有名なんですけれども、斎藤まさしがある雑誌で、荒岱介と、これはブントのリーダーですよ。ブントというのは共産主義者同盟。そこからどんどん分かれていくわけですよ。それで、よど号のハイジャック犯だとか、日本赤軍だとか、共産同戦旗派だとか、いろいろな方に分かれていくんですけれども、このブントの代表でもある荒岱介と斎藤まさしが対談しているんです。

 その中で何と言っているかというと、荒岱介がこういうことを聞いているんですよ。「斎藤さんは選挙で、いろんな人を当選させてきました。」ということで、どんな人だと聞いたら、「全部言うとつながりがばれちゃうから」と。これは斎藤の発言ですよ。「全部言うとつながりがばれちゃうから」と。その中に、例えば「新潟の黒岩宇洋君とかね。」こう言っているんです。そうしたら、ブントの荒岱介が何と言っているかというと、「ブントの黒岩(卓夫)さんの息子さんですね。」こう言っている。これは事実ですか。

黒岩大臣政務官 私はその対談は承知しておりませんし、私は、そのブントというもの自体の存在も、今、平沢委員がおっしゃったような日本語名等も詳しくは存じ上げておりません。

 そして、今おっしゃった中に私の父の名前が出てきたようですけれども、その直接の関連性なんというのは、もちろん私は全く承知しておりませんので、それについて、今ここで詳細に私が何かを言及するということはできません。

平沢委員 お父さんのことは別に、それは個人個人だからいいんだけれども、あなたは今、法務政務官という公安調査庁の上にあるから私は聞いているんです。公安調査庁を統括する立場にあるから聞いているんです。

 だから、例えばお父さんだって、お父さんはブントだったんでしょう。お父さんはブントだったんでしょう。

黒岩大臣政務官 それについては、何を定義で何であるというようなことが、ちょっと私、またそこら辺は詳細に整理させていただきますけれども、今の委員の質問に対して、であるかどうかというのは、私は今時点では承知をしておりません。

平沢委員 私も、これはこういうところで言うのは余り本意じゃないんですけれども、やはりあなたは公安調査庁を統括する立場だから言わせていただく。

 これは、あなたのお父さんの書かれた本なんです。あなたのお父さんの書かれた本の中に、安保闘争のころですけれども、「ブントの本郷細胞のメンバーになった。」とはっきり書いてあるんですよ。だから、荒岱介が言っているだけじゃないんですよ。あなたのお父さんが書かれた本の中に、ブントの細胞に入ったということが書かれているんです。だから聞いているんです。

黒岩大臣政務官 父が学生運動を当時していたということは私も息子として聞いておりますけれども、ただ、それは、父と私は当然別人格でありますし、私は、東京に出てきて、自分で学校に入って、少なくともそういった、父と、何かその当時の主義主張や何かを教えを請うたこともありませんし、自分は自分として物事を考えてきたというつもりであります。そのことは強くここで申させていただきたいと思います。

平沢委員 しかし、政務官、あなた、この前、柴山委員があなたのホームページのことを紹介していたでしょう。

 あなたは、井上桜という横浜の市議会議員をやっていた市民の党の議員、そこから百三十九万円をもらったことがある。このお金のやりとりも、極めて、この端数も含めて不自然だなと思いますけれども。その井上桜と与那原寛子という二人の議員が、平成十四年、横浜市議会で日の丸が掲揚してあったら、それは横浜の議会運営委員会で決まったわけですよ、それで掲揚していたら、それはとんでもないということで、それを、いわば日の丸を取りにかかって、それで議長席を六時間にわたって占拠した。

 そのことについて、あなたはホームページで紹介して、その中であなたは何と言っているかというと、こういう形で国歌の斉唱や国旗掲揚が強制されているのはとんでもないことだということを言って、その後に、これは二人は当然除名された、除名について何とあなたは言っているかというと、「有権者からの負託を受けた議員と言う身分を議会の多数決で剥奪すると言う、およそ民主主義を崩壊させかねない暴挙。」こういうふうに言っているんです。だから、直ちにあなたは井上桜に電話したと。それで、井上桜に、あなたの功績はでかいよと言ったら喜んでいた、こう書いてある。

 何の功績があるんですか、井上桜に。

黒岩大臣政務官 これは、前回、私、答弁いたしましたけれども、前回の委員会で、今平沢委員もお持ちのその内容だけは指摘されましたけれども、全体の流れがありまして、私は、少なくとも、議会での二議員の行動については、これはよくないことだ、当然これは批判されるべきことだと。それをまず前置きとして、私が指摘したかったのは、当時、私は無所属の議員でありました。私の記憶では、各種議会において、議員という身分が除名という形で剥奪されたケースが初めてだと聞きましたので、これは、少数会派の、ないしは少数政党の、ないしは無所属の人間にとってはかなり厳しいことであるということを問題提起させていただきました。

 ただ、今、後段のそういったやりとりについては、私自身は、この前申し上げましたけれども、国旗・国歌については最大限の敬意を表し、国歌も大きな声で歌いますし、国旗についても敬意を表して敬礼をさせていただいている。このような私の今までの思いや今までの行動に対して、いささか以上の誤解といいますか、そういったものが生じるという限りにおいては、それは私も深く反省し、そういった姿勢ではないんだということをこの前申し上げさせていただきました。

 ですから、それは今から九年前ですけれども、そのときの私の文章といったものは、今言った、私とすれば、私の考えや行動については、軽率な表現をしたということは反省をしております。

平沢委員 過ちがあったらやはり反省すればいいんです。

 それで、今、あなたは議員の除名というのは前例がないと言ったけれども、国会もあるんですよ。たしか、昔ですけれども、川上貫一が除名されているんです。ですから、国会だって除名があるんです。

 それで、あなたは、ホームページか何かでは、これは大変いいことをやったようなことを書いて、身分を剥奪する方がおかしい、おかしいと言っているけれども、二人の議員が実力で議長席を占拠して議事進行を妨げた、これは、一歩議会の外に出たら逮捕されるケースですよ。これは犯罪ですよ。議会の中だから逮捕されていないんですよ。そんなことを、それは過去のことだと言っても、あなたが書いているのを見ると一生懸命称賛している。これはやはりおかしいでしょう。もう一回。

黒岩大臣政務官 改めるところは改めろということについては、私もその思いであります。

 私は、少数会派として、行動というものは、それについては、ある意味、議会では頑張ってほしいと当時思ったと思いますけれども、確かに功績とかそういう意味は筋違いだったもので、それは本当に撤回という意味で今ホームページも撤回しておりますし、もちろんその行動自体も、今委員のおっしゃるとおり、対外的にも説明できるものでは到底ありませんので、私は、やはりこれからは、こういう行動に対してはもっともっと厳しい姿勢をしっかりと示していかなければいけない、そう深く思っております。

平沢委員 きょうは公安調査庁と警察庁に来てもらっていますけれども、この市民の党、先ほどから言っていますように、リーダーは斎藤まさし、別名酒井剛。この男は、いろいろな議員の選挙を手伝っているみたいだけれども、菅さんとは三十年来の友人。しかし、何度も言いますけれども、この論文の中では、革命が目的だということをずっと終始一貫して言っている。選挙は革命の手段である、だから応援するんだ、こう言っている。そして、北朝鮮とはずぶずぶの関係にある。ポル・ポトともずぶずぶの関係にある。だって、あれを載せているんだから。そういった関係にある。そして、北朝鮮のハイジャック関係者を公認候補として立てている。

 こういったいろいろな関係があるわけだけれども、きょうは公安調査庁が来ていると思いますけれども、まず公安調査庁、当然、市民の党及びその関係者というのは視察対象になっているんでしょうね。

尾崎政府参考人 個別具体的な調査の内容につきましては、今後の業務遂行に差し支えるおそれがございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、よど号乗っ取り犯あるいは過激派勢力の動向等につきましては、関心を持って調査に努めているところでございます。

平沢委員 この市民の党というのは、入っている事務所はすぐ近くの平河町なんです。それを持っていたのは、今その人は射殺されましたけれども、北の大物なんです。北に対する送金王と言われていた男なんです。その男が持っていたビルに市民の党は入っていたんです。そこからみんな応援をもらっていたんですよ。それでそこと資金のやりとりがいろいろとあるわけです。どう考えてもおかしいでしょう。

 警察庁、当然警察庁は見ているんでしょうね。

西村政府参考人 警察の情報活動の内容に関しまして個別具体的な団体や個人についてお答えすることは、今後の警察活動に支障を生ずるおそれがありますので、答弁は差し控えさせていただきます。

 ただ、一般論として申し上げるならば、北朝鮮の動向やよど号グループの動向について、これに関係する団体や個人を含め必要な情報を収集することは、警察として当然の責務だと考えております。また、暴力革命を標榜する団体や個人により違法行為が行われ、または行われるおそれがある場合に必要な情報を収集し厳正に対処していくことも、警察として当然の責務であると認識しております。

平沢委員 今の警察庁の後段の説明を聞けば、これは当然視察対象ですよ。視察対象と具体的には言えないでしょう、公安調査庁も警察も。だけれども、当然これは視察対象ですよ。それで、その関係する人物も、当然これは視察対象になってくるんですよ。私も、でたらめを言っているんじゃない。私ももともとは警察の公安にいたことがあるから、これはよくわかる。言えないこともよくわかるけれども、見ていることは間違いない、それもわかる。そういうところとずぶずぶの関係にある。これはどう考えたって国民は納得しませんよ。

 今、北朝鮮との関係はいろいろある。そういった中で、北朝鮮との関係の深い人物とずぶずぶの関係にあって、資金のやりとりもあって、そして選挙応援ももらっている。それで、その選挙応援について斎藤まさしなる人物は何と言っているかというと、繰り返しますけれども、革命の手段だ、だから選挙を応援するんだ、こう言っている。その選挙応援を政務官はもらっている。

 今、政務官は公安調査庁のトップですよ。やはりおかしいと思いませんか。もう関係を切った方がいいんじゃないですか。もう一度。

黒岩大臣政務官 資金については、これも何度も答弁させていただいておりますけれども、その他団体の政治資金及びその主体的な運営には私は直接何らかかわりを持っておりませんので、それについてはどうこう申し上げることはできません。

 ただ、先ほど委員の指摘のとおり、この団体等との直接的な関係というのは今後はもちろん、私が聞くところによると、関係政治団体ですか、その登録というものはもう異動届が出されて、そんな関係はなくなったと聞いておりますので、そのことはここで報告をさせていただきます。

平沢委員 では、時間が来ましたので、最後に大臣。

 やはりこういういろいろな問題があるので、きちんと襟を正すべきだと思われませんか。こんなずぶずぶの関係というのはおかしいと思いませんか。襟を正すべきじゃないかと思われませんか。

江田国務大臣 そのずぶずぶの関係というのがよくわかりませんが、襟を正すべきところはもちろん、委員にもこれからも御指摘いただいて、きっちり正していきたいと思います。

平沢委員 時間が来たから終わります。ありがとうございました。

奥田委員長 次に、稲田朋美君。

稲田委員 自由民主党の稲田朋美です。

 ただいまの平沢委員の質問を聞いておりまして、黒岩政務官に確認をしたいことがございます。

 また、大臣はただいまの答弁で、ずぶずぶの関係かどうかわからないというふうにお答えになりましたけれども、今まで、河井委員、それから予算委員会での質疑、きょうの平沢委員の質疑の中でも、この市民の党の代表である斎藤まさしこと酒井剛氏が、市民の党の代表で、しかも三十年来の革命家で、毛沢東思想とマルクス・レーニン主義を日本に実現させたい、そして、革命のための手段としてまず自公政権を倒して政権交代をさせるんだということをおっしゃっていて、そして、菅さんの政治団体やら都連やら、そして民主党の国会議員の先生方やら地方議員の方々から、市民の党、そして政権交代を実現させる市民の会などに、一昨年の政権交代の選挙の前三年の間に二億以上の政治献金、寄附がなされているということも明らかになっております。

 また、市民の党の、地方統一選の三鷹市の市議会の公認候補であった森大志氏のお父さんはよど号ハイジャック事件のリーダーの田宮高麿、お母さんは拉致実行犯の森順子で、本人はずっと北朝鮮の革命村で育ってきたということも明らかになっているわけですから、私は、これは北朝鮮とずぶずぶの関係であるということはもう明らかになっていると思います。

 そこで、確認なんですけれども、黒岩政務官とこの市民の党との関係はどういう関係ですか。

黒岩大臣政務官 これは、繰り返しの答弁で恐縮なんですけれども、私のことをいろいろなボランティアやいろいろな団体なんかも、これは直接的な選挙というわけではなくても応援してくれる人たちがいる中に、この団体の関係した人たちも入っているということだと思います。

稲田委員 それだけですか。

黒岩大臣政務官 それだけというのは、ちょっとどこまでを指すのか定かではないんですけれども、ただ、先ほど申し上げたとおり、関係政治団体というようなことで登録はされていた、ですが、そのことについては、登録は今抹消されているということと承知をしております。

稲田委員 政務官、他人事のように登録はされていたとおっしゃるんですけれども、市民の党は、当委員会で問題になった越後の暴れん坊と同様、あなたの国会議員関係政治団体ですね。

黒岩大臣政務官 その他団体という形で、要は、被推薦届というんでしょうか、ちょっと私も詳細はわからないんですけれども、そういったものを出していた団体だということだと承知しております。

稲田委員 市民の党は、あなたを支援することを目的とした政治団体ですね。

黒岩大臣政務官 それを直接の目的とした政治団体であるかどうかは、私はそういう認識は持っておりません。私としてはそういう認識は持っておりません。

稲田委員 私としてはそういう認識を持っていないというのが私はおかしいというか信じられないんです。なぜなら、国会議員関係政治団体になるには、国会議員関係政治団体に該当する旨の通知というのを出さなければならなくて、それにあなたの署名と捺印が要って、そしてその相手は市民の党、そして代表者は酒井剛。何て書いてあるかというと、貴団体は、市民の党は、私を推薦し、または支持することを本来の目的とする政治団体であるということが書かれているわけですから、あなたを支援し、応援することを目的とする政治団体としてこの市民の党を届け出たのは、あなた自身じゃないんですか。

黒岩大臣政務官 私の認識としては、さまざまな各団体から、いわゆる推薦依頼というものを出してくれということで来ます。そのうちの一つという認識で、要するに、推薦依頼を出してくれと言われれば、大体それは、多くのところからそういった依頼が来ますから、そのうちの一つとして出したということであります。

稲田委員 菅総理は、市民の党、市民の会との関係を拉致被害者に謝罪をしているわけですけれども、あなたは謝罪はしないんですか。

黒岩大臣政務官 これも私、委員会でも答弁しておりましたけれども、特に、北朝鮮の実行犯の息子さんですか、その人がこの団体で統一自治体選挙に出ていたということは、私は全くその委員会まで知りませんでした。ですから、そのことについては私もこの委員会で聞いて驚いたと。

 ただ、私は、今まで国会の活動でもこの拉致問題に対して積極的に発言してきたつもりでありますし、真剣に取り組んできたつもりであります。このことは、拉致の被害者の皆様、そしてそういった皆様にも、今後より一層そのことを私の政治姿勢として貫くことによって御理解をいただくよう私は努力していく、そのことが私に課せられた任務だと思っております。

稲田委員 政務官は知らなかったとおっしゃっているんですけれども、先ほど質問の中にもありましたように、斎藤まさしこと酒井剛のインタビュー記事の中で、自分が当選させた代表として政務官のお名前を挙げているわけであります。そして、今やもうこの市民の党が、また斎藤まさしが、北朝鮮と大変密接な関係にあり、その思想は、日本に革命を起こす、そのために政権交代をして、その革命の内容は象徴天皇制を廃止するというような、そういう人物であることも明らかになっております。

 政務官、今後、この市民の党、そしてまた、斎藤まさしこと酒井剛とのおつき合いは一切おやめになるべきだと思いますけれども、その点についての御意見をお伺いいたします。

    〔委員長退席、滝委員長代理着席〕

黒岩大臣政務官 先ほど申し上げましたとおり、この団体の被推薦というんでしょうか、その異動届はこちらの方から出してもらうように言って、団体との関係というのはなくなりました。ですから、今あともう一つ委員指摘の、ただ、私は、その革命思想とかそういったことについて直接は深くは存じていないんですけれども、特にこの北朝鮮の問題等で本当にそういった関係が深いということならば、関係性というのはしっかりと整理していかなければいけないと思っております。

稲田委員 総理は、これからは政治的なつき合いは控えたいと謝罪もされた上でおっしゃっているわけですけれども、政務官も、この斎藤まさしさん、あなたを当選させるために、頑張って当選させた方ですけれども、つき合いをこれからは一切しないということを明言されますか。

黒岩大臣政務官 控えたいと思います。総理と同じ答弁です。

稲田委員 今の政務官のお言葉なんですけれども、今までの政務官の市民の党との関係ですとか、斎藤まさしとの関係ですとか、そういうことを踏まえて、私は、黒岩議員が法務大臣政務官というまさしく公安情報に触れるような立場におられることが適切ではないと思うんですけれども、大臣の御意見をお伺いいたします。

江田国務大臣 斎藤まさしあるいは市民の党というものと黒岩政務官を支援する団体とのお金のやりとりなどの関係、あるいは黒岩政務官の選挙の際に、斎藤まさし、そしてそのグループが支援をしたというような関係というのは、選挙の応援の関係は、これは確かに一定程度あったんだろうと、私は自分で見聞しているわけじゃありませんが、それはそう推測できますが、団体同士の関係というのは、そういう書類上記載があるので、一定のものはあったと言わざるを得ないと思いますけれども、そこに何か意思の共有とかそういうものがあったのかどうか、私は必ずしも判然としません。

 ただ、そこにどうもルーズなところがあったという感じは受けておりまして、これは今、黒岩政務官、反省もし、これからそういうものはちゃんと整理をしていく、これから先、そういう疑われるようなことは断ち切っていくということでございますので、そして今までも、黒岩政務官と私もかなり長いおつき合いではありますが、そうしたところに何か機密情報を漏らすとか、あるいはそうしたところの意向を受けて何かをするとか、そういうことはない男だと思っておりますので、私は、黒岩政務官が今法務大臣政務官として仕事をしていてくれることに十分な信頼を置いております。

    〔滝委員長代理退席、委員長着席〕

稲田委員 そんな甘い考えでは、法務大臣、この国の治安は守れませんわね、本当に。今のような答弁をされて、長いつき合いで信頼していますみたいな、そういう問題じゃないんですよ。北朝鮮とずぶずぶの関係にあって、そして、この国に選挙でもって革命を起こそうと公言してはばからない人物と大変密接な関係にあり、しかも、書類だけとおっしゃいましたけれども、政務官が署名して、自宅も書いて、判こを押して、市民の党、そして酒井剛と冠して、この団体は私を応援するための政治団体ですと届けている団体ですよ。私は、それが書類だけの関係だということで大丈夫だなんというのは全く話にならない。そんな感覚でこの国の治安は絶対守れませんよ。

 そういう意味でも、私は、大臣は、法務大臣としては不適格だと思います。

奥田委員長 答弁はよろしいですか。

稲田委員 答弁は求めておりません。

 このたび、私、韓国の鬱陵島の視察のために韓国を訪れましたところ、韓国政府から入国を拒否されたわけであります。もちろん、主権国家ですから、だれを入国させるかだれを入国させないか、それは自由なんですけれども、友好国の国会議員が正当な目的で入国を希望しているときに、その入国を拒否するというのは前代未聞の対応だったわけですが、この点について法務大臣の御意見をお伺いいたします。

江田国務大臣 これは、委員が実際に行かれてそういう経験をされたということを御自身でお話しになっているわけですから事実であろうと当然思いますが、私自身は、そのことについては特別の情報を持っているわけではありません。

 しかし、新聞報道とか、あるいは政府の方でも、たしか官房長官でしたよね、韓国のこの措置については、遺憾という言葉だったかどうか、言葉ははっきり覚えておりませんが、一定の不快感はちゃんと示しておると思いまして、私も、それと別に違う認識を持っているわけではありません。本当に御苦労さんでございました。

稲田委員 今の答弁も情けないですね。入国管理といえば法務大臣の所管ですよ。そして、国会議員が韓国に行ったのは私が今発言しているから事実だと思いますけれども、報道で知ったレベルではなんという認識で、入国管理の責任者である法務大臣が務まるんですか。死刑は執行しない、そして、政務官の適性については大丈夫だと思う、入国管理の問題については、報道で聞いた限りは、そして官房長官はこう言ったと思うなんて、そんな答弁しかできないような法務大臣は、私は前代未聞だと思いますね。

 ちょっとお伺いをいたします。次の質問をいたします。(江田国務大臣「答えちゃいけないの。答えたいんですが」と呼ぶ)答える必要ないですけれども、お答えになりますか。

江田国務大臣 私は、今、委員の質問は、韓国側の入管のことについて尋ねられたと思ったんですが……(稲田委員「当たり前じゃないですか」と呼ぶ)でしょう。

 ですから、世界じゅういっぱい国がありまして、日本国民がいろいろな国で入国を許されたり許されなかったりいろいろあると思いますが、そうしたことについて、それはもちろん国会議員でいらっしゃるので大変重要なことだと思いますけれども、しかし、日本の国民が、その立場は何であれ、外国へ行って入国を認められた認められないということについて、すべての情報を私が持っているわけではありませんし、今、委員のことについては、私は、一応承知はしておりますが、細かな事情について、韓国側がどういう理由でそういう措置をとったかなどについてわかっているわけではありませんので、大変申しわけありませんが、そういう事情を申し上げたところでございます。

稲田委員 そういう認識だから法務大臣に不適任だということを私は申し上げているわけですよ。入国を許可するかどうか、まさしくそれは主権国家の自由であります。しかし、相手国で入国を拒否された、しかも、我が国の国会議員がいて、その問題について、通り一遍の情報しか興味がないから知らないんだみたいな、そんな態度で入国管理の責任者である法務大臣は務まりませんということを申し上げたいと思います。

 大臣、竹島の領有権については大臣はどのような認識ですか。

江田国務大臣 竹島は日本の固有の領土だと思っております。

稲田委員 竹島を韓国は事実上支配いたしておりますけれども、これは不法占拠でしょうか。

江田国務大臣 韓国によって事実上支配をされていると認識をしております。

稲田委員 ですから、不法占拠ですかということを質問いたしております。

江田国務大臣 法的評価については、これは政府全体で結論を出すべきものでございますが、韓国によって我が国固有の領土が事実上占拠されている、支配されているという事実をそのまま認識しているというところでございます。

稲田委員 大臣は法務大臣なんですから、法的に不法占拠ですかということを質問いたしております。

江田国務大臣 不法という評価をこの事態について法務省が責任を持って下す、そういう立場にはいないと思っております。

稲田委員 外務省が出している竹島のパンフレットでは、「韓国は竹島を不法占拠しており、我が国としては厳重に抗議をしています。」ときちんと書いてあるんですよ。

 外務省、政府の見解は不法占拠なんです。その国務大臣である、法務大臣であるあなたが不法占拠だということを言えないんですか。

江田国務大臣 それはぜひ外務省の方にお尋ねいただきたいと思います。

 パンフレットに書いてあることが政府の見解かどうかは、それはその都度いろいろあると思いますので、外務省の方にお聞きください。

稲田委員 外務省アジア大洋州局北東アジア課が出しているパンフレットが政府の見解かどうかわからないなんて、そんないいかげんな国ではありませんよ、我が国は。いいかげんなことを言わないでいただきたいと思います。

 それでは、なぜ韓国に入国拒否されたか知らないとおっしゃいますので、教えてさしあげますけれども、韓国が入国を拒否した根拠条文は、韓国出入国管理法十一条一項三号の、大韓民国の利益や公共の安全を害する行動をするおそれがあると認めるに相当の理由がある者ということであります。すなわち、私たちが、韓国の公共の安全を害する行動をとる人たちだ、いわばテロリストのような人たちだというような条文を適用されたわけであります。

 局長にお伺いいたしますが、日本でもこれと同じような条文があるかどうか、また、日本でこの規定を適用して入国拒否をしたことがあるかどうか。

高宅政府参考人 お答えいたします。

 まず、日本の規定でございますが、入管法の五条一項十四号というところに、「法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」というのが上陸拒否事由として掲げられています。かなり似た規定であると思われます。

 それから、今までの今の条文の適用例でございますが、過去十年間さかのぼることができるんですが、それについてはございません。

 ただ、当方の調査した結果でございますが、昭和三十六年七月に、日本共産党全国大会に出席しようとする外国人について、閣議了解をいたしまして本号を適用し、上陸を拒否したという記録が残っております。

稲田委員 この条文を使うということは、本当に最後の最後の、本当にテロリストとか、今、日本では過去一回しか使ったことがないような、こういう条項で拒否をされたわけであります。

 ところが、韓国の政府の説明では、あなたたちの身の安全が、韓国に入っていただいて、私たちの身の安全に危害が加えられるおそれがあるということと二国間の友好に悪影響がある、その二点で入国を拒否されたわけで、この条文には当たらないと私は考えているわけですけれども、大臣、御見解いかがですか。

江田国務大臣 韓国の法律の一定の条文に委員の行動が該当するかどうかというのを私に判断しろと言われても、これはなかなか難しいので、ここはそれこそ韓国の皆さんに聞くほかないと思っております。

稲田委員 そういう認識だから、法務大臣としても、日本国の大臣としても、私は不適格と言わざるを得ないわけです。

 この条文と同じたてつけの条文が日本にあります。また、韓国の入管法と日本の入管法はほとんど同じたてつけになっております。したがいまして、同じような状況を同じように当てはめるということになっているわけですから、それを、韓国のことだから私にお伺いになってもわかりませんなんていう認識でいること自体がおかしいし、まあ、いわば、あなたの国の国会議員が入国を拒否された事由が何か知らなくて、そして、普通は友好国の国会議員が入国拒否されるということは前代未聞のあり得ないことですから、それについて法務大臣がそれなりの意見を表明することができないというのは、私は全くもっておかしいと思います。

 また、韓国の出入国管理法十一条一項八号で、法務部長官は、入国しようとする外国人の本国が第一項各号以外の理由で入国を拒否するときには、同じ理由で外国人の入国を拒否できるという条項があります。すなわち、法律に列挙されている以外の理由で入国を拒否された場合、同じように、その国の人が韓国に入ってこようとしたとき同じ理由で拒否できると書いてあるんですけれども、日本にも同じ条項があるのか、そして、その趣旨と、どういう場合入国が拒否できるかについてお伺いをいたします。

江田国務大臣 これは入管法五条二項というのがございまして、同条一項各号に掲げられている上陸拒否事由に該当しない者について、その者の国籍等の属する国が同項各号以外の事由により日本人の上陸を拒否するときには、同一の事由によりその者の上陸を拒否することができるという条項がございます。

稲田委員 お答えになっていませんけれども、時間がないのでやめますけれども、今お読みになったように、関係のないことじゃないんですよ。韓国側が法律に列挙している以外の、超法規的なというか、そういう理由で入国を拒否した場合、我が国は同じ理由でその入国を拒否した韓国の国民の入国を拒否することができるんですよ。

 そういう意味からも、入国管理の責任者である法務大臣はこの問題についてきちんと調査もし、そして意見を持っていないと、入国管理ができないんです。あなたにはその資格がありません。

 法務大臣をおやめになるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。

奥田委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 東日本大震災から五カ月近くになるわけでございます。その中で、八月五日ですか、文科省の原子力賠償紛争審査会、ここが東京電力福島第一原発事故の賠償の範囲の判定等を示す中間指針をまとめられたわけでございます。

 これにつきましては、さらにいろいろな解釈も必要でございますし、しっかりまた、さらに具体化をしていかなきゃいけないわけでございますけれども、いずれにしましても、被害者の範囲、それからその数が極めて膨大であります。そして、既存の裁判制度では、これは物理的にも人的にも限界があります。そういう点で、我々も、仮払い法あるいは機構法等が成立したわけでございますけれども、やはり迅速な解決というものをしていかなきゃなりません。

 そこで、この多数の被害者の早期の救済と公正な解決のために、原子力損害賠償に係る紛争解決に特化した中立的なADR機関、これにつきまして、本来立法をすべきという予定だったようでありますが、七月末に政令で公布され、九月からスタートすると聞いております。

 二次補正でも、この件では、ADRへの派遣する人件費あるいは仮オフィス等々の経費がかかりますので、十億円が認められたわけでありますけれども、申し立て件数が二、三千件程度、その予測のもとに試算されております。この和解仲介パネルというのは三十のようでありますけれども、とてもこの対応では多数の被害者の早期救済というのは図れない、こういうふうに思っております。

 最低一万件を超えるのではないか、日弁連からもそういうことが言われておりまして、しっかりこれについては、九月からスタートするわけでありますので、さらに予備費で出すのか、あるいは三次補正ということも、これはいつになるかわかりませんので、対応していかなきゃいけない、こういうふうに考えておりますが、いかがでございましょうか。

林大臣政務官 大口先生にお答えをさせていただきたいと思います。

 先生御指摘のように、今回の事故では大量の紛争処理を行わなくてはならないというふうに見込まれておりまして、文科省といたしましては、法務省を初め法曹界の皆様方ともしっかりと連携をしながら、専任の事務局体制を整備していくなど、こうした紛争解決を円滑にそして迅速に進めていこうということで、先生御指摘のように、九月から和解の仲介の申し立ての受け付けを開始できるようにということで、まさに今準備を進めているところでもございます。

 先生御指摘いただきましたように、大量の件数に上るのではないかということでございますけれども、第二次補正予算について当面必要な予算措置は行われているというふうには考えているんですが、何せこれはやってみないとわからないというところもありまして、実際にその後に大量のそうした件数が出てきたりということになれば、今後しっかりとそうした状況を見て、十分な対応ができるようにそのあたりは取り組ませていただきたいというふうに思っています。

大口委員 では、政務官は結構でございますので。

 そういうことで、原賠のADRにつきましては、ここで全部手とり足とりやっていただければいいわけでございますけれども、今膨大な数の申し立てがあると。今パネルが三十ということでございますので、やはり、申し立ての手続に当たって、申し立ての代理人といいますか、これを委任するということ。しかし、今、福島の皆さん、本当にこの原発で被害を受けておられる方、もう戻れない、すべてが機能しない、こういう状況でございます。

 そういうことから、法テラスの民事法律扶助制度というものをこういうADRの申し立て手続についても利用できるようにすべきである、こういう要望があるわけでございますけれども、いかがでございますか。

江田国務大臣 このADRについては、原子力損害紛争審査会を所管している文科省においてやっておられることで、法務省としても、弁護士の皆さんにも大いにここへ協力をしていただきたいなどと、側面の協力をしていきたいと思いますし、その関連で、法テラスによる役割というものを委員が今指摘されたんだと思います。

 総合法律支援法上、民事法律扶助の対象というのは民事裁判等手続の準備及び追行ということになっておりますが、その中に、裁判手続の準備及び追行に先立つ和解の交渉で特に必要と認められるものというものもございます。

 具体的に言えば、先立つ和解の交渉があって、これにより迅速かつ効率的な権利の実現が期待をできるというような事情があり、今回の案件というのはそういうものに当たる可能性は十分あると思います。また、申込者の事情、これも十分あると思います。そういうことを考え、弁護士や司法書士等による継続的な代理が特に必要と認められる場合に法テラスによる援助の対象になりますが、今回の場合にはそういう可能性は十分あると思いますので、しっかりと検討していきたいと思っております。

大口委員 これは、だから、法テラスの方でもやはりそういうことが援助できますよということをしっかり広報していただきたいと思うんです。本当に不安に思っておられる方に対しては、しっかり積極的に対応していただきたいと思いますが、いかがでございますか。

江田国務大臣 法テラスの方においてしっかり対応していただくように、これは私からも申しておきます。

大口委員 また、私は二重ローン問題で公明党の実務責任者をやっておりまして、三党協議でいろいろと進めてまいりました。

 その中で、個人あるいは個人の事業者が、住宅ローンを抱えている、あるいは事業用のローンを抱えている、しかし資産が流されてしまった。そういうことで、債務の免除が受けられやすいように、あるいは再生ができやすいようにということで、これは無税償却あるいは免除益の非課税ということとリンクしているわけでございますけれども、今回、全銀協で、個人債務者の私的整理に関するガイドライン、これが七月十五日に策定されたわけでございます。

 そして、私も金融庁に対しても、これは積極的に、これは個人あるいは個人事業者が債務の整理を金融機関、そしてまた第三者機関であります個人版私的整理ガイドライン運営委員会、ここを経由してもいいわけでございますけれども、申し立てをする場合には、とにかくこれに対して親切丁寧に、そしてこれは債務の返済計画あるいは事業計画等につきましても手とり足とり対応をすべきだ、そしてまた手続費用につきましても国で負担すべきだということを、これは民主党も含めて三党でも政府にこの要求をし、そういう方向で検討されているわけでございます。

 ただ、これにつきまして、例えば、第三者機関等へ申し立てをする場合、仙台の場合は仙台の弁護士会館の中にこういう第三者機関の窓口ができるようでございますけれども、多重債務といいますか、債務が結構、複数借りているというようなところにおきましては、今までは回っていたわけですけれども今回の震災で回らなくなってしまっている、こういう場合については、やはり代理人がちゃんとついてやるということが必要になってまいります。

 そういうことで、このガイドラインによる債務の整理手続を利用する場合において、法テラスの法律扶助の制度を利用できるようにすべきであると思いますし、また、そのことを、これも八月二十二日からスタートいたしますから、ちゃんとできるということを周知徹底するということ、これを大臣の方でお約束していただきたいと思います。

江田国務大臣 二重債務問題も深刻な課題で、ガイドラインを策定し、そして個人版私的整理ガイドライン運営委員会がこれから機能していくという状況になっていると思っておりますが、ここで扱われる事案も、最終的には民事裁判等手続である民事再生、特定調停、破産等の手続で解決すべき課題になっていくということからすると、やはりこのガイドラインによる債務整理手続の利用もまた、場合によっては法テラスの対象になるものだと思われます。

 こうしたプロセスによって迅速、効率的な権利の実現が期待できる、そういう案件で、あるいは申込者の事情が適切な場合、もちろん今回の事情は本当にそうした該当する案件は多いと思いますが、弁護士、司法書士等による継続的な代理が特に必要と認める場合が多いと思われますので、代理人費用等扶助の対象になり得るものだと思っておりまして、これも法テラスの方にしっかりとお願いをしておきたいと思います。

大口委員 以前も、法律扶助制度を、今回について、やはり資力要件の緩和、撤廃、あるいは資力要件の確認については必要な資料の提出の弾力的運用、そしてまた立てかえ金償還の原則猶予、免除等についても、この委員会でも求めたわけでございます。できるだけ弾力的な運用をやるという答弁でございましたけれども、これも、答弁を求めませんが、強く求めておきたいと思います。

 そして、これも私、以前も委員会で提案いたしました、被災地の沿岸部には調べてみたら弁護士が余りいないということを大臣も答弁されておられました。そういう点で、これからいろいろ法的な紛争について、地元も震災ADRをやったりいろいろ対応されておりますけれども、法テラスの拠点事務所、これを早く設置しなければならない、こういうふうに思うわけでございます。

 宮城県、岩手県、福島県等について、いつごろこれが設置できる予定なのか、お伺いしたいと思いますし、もしその予定がないのであれば、今後どうしていくのかということについてもお伺いしたいと思います。

江田国務大臣 法テラスは、宮城県につきましては、沿岸部に臨時出張所を三カ所設置する準備を今進めていると承知しておりまして、日にちを具体的に今確定的なことを言えるほど私はよく知っているわけではありませんが、近々こうした臨時出張所が機能するものと思っております。

 それから、他の被災県において、これも法テラスにおいて関係機関等々の協議、検討を行っていると思いますが、さらに一層綿密な協議、検討を行っていただきたいと思います。

大口委員 本当に、これからが大事でございますので、しっかり対応していただきたいと思います。

 さて、今回、最高検におきまして「検察改革 その現状と今後の取組」、やっと昨日、法務省の勉強会の検討結果が出たわけでございます。六月を過ぎて、できるだけ早くということで、ようやく八月八日にこれが出されたわけでございます。

 九月十日に村木さんの事件があり、その後大阪地検特捜部の一連の事件があって、そして最高検の検証結果が昨年十二月二十四日に出た、三月三十一日に検察の在り方検討会議の提言が出た、そして四月八日には大臣が「検察の再生に向けての取組」ということで一般指示をされて、要するに、検察庁としての対応、そして法務省としては法務省としての対応ということで対応してきたわけでございます。そういう中で、最高検としての対応が七月八日に大臣に対して出まして、そして、昨日は法務省からこの勉強会の検討結果が出た、こういう流れになっているわけでございます。

 まず、昨日の検討結果でございますけれども、可視化の目的を、冤罪を防ぐということ、そして「任意性を疑わせるような無理な取調べによって虚偽の自白調書が作成され、その任意性について誤った判断がなされた上、それが有罪の証拠とされてえん罪を生むことがないようにすることが重要」だということで、明確に冤罪を防ぐということが可視化の目的だということが書かれていることについては評価したいと思うわけでございます。

 そして、対象とすべき事件について、裁判員裁判対象事件について触れられていて、身柄の拘束下被疑者、そして知的能力等に起因する一定の事情とか検察官の独自捜査事件については検証を踏まえてやるということであるわけですが、この対象とすべき範囲ということにつきまして、取り調べの「録音・録画の必要性と現実性との間でバランスのとれた制度」ということで、かなり視聴の負担ということを強調されているということでございます。

 そういう点で、これにつきましては、日弁連が、取り調べの可視化の趣旨、目的を冤罪防止と指摘しながら、いわゆる任意取り調べの段階を早々と録画の対象外とした上、身体拘束後の全過程を対象とすべきかについては、現在実施されている取り調べ過程の一部の録音、録画であっても一定の効果が認められることや、全過程の録音、録画記録を視聴する負担は無視できないものとなり得ることに加え、録音、録画によって取り調べの機能に支障が生ずるおそれが大きいことは否定できないことなどを考慮した結果として、録音、録画の必要性と現実性との間でバランスのとれた制度を検討することが必要であるとしているわけであります、ここでやはり、視聴する負担を無視できないとか、あるいは取り調べの機能に支障が生ずるおそれが大きいことが否定できないとか、こういうことでありますけれども、まだ検証をこれから一年かけてやるということもあるわけでありまして、そういう点では、検察官に対するアンケート結果だけでこういうことを明記するということはいかがなものか、こういう批判もあるわけでございます。

 昨日のこの取りまとめにつきまして、大臣としてどう受けとめられているか、お伺いしたいと思います。

江田国務大臣 まず申し上げておきたいのは、我が国の刑事司法における取り調べのあり方、これはやはりいろいろな問題を抱えていたと思いますし、現在も抱えている。この取り調べをもっと、冤罪を防ぎ、事案を明確にし、人権侵害のないようなものにしていくにはいろいろなことをしなきゃいけないので、その一つに取り調べの可視化というものがあると思っております。

 取り調べの可視化というものを制度化して、一定の位置づけをしっかり制度の中に置くことで、恐らく刑事司法全体のあり方に影響が出てくるだろう。そうしたことも含めて、今、法制審の特別部会で、この取り調べの可視化の制度化を含む新しい刑事司法のあり方、言葉遣いはちょっと違うかもしれませんが、そういう方向で諮問をしたところで、そして、法務省の省内での勉強会というものをずっとやって、六月をめどにこの調査、内外の調査というのは終わりにして、その後、まとめをつけようと。なるべく早い段階でと言っておりましたが、委員今御指摘のとおり、三十数日たったということは、これは申しわけありませんでしたが、一生懸命やってきたつもりです。

 そこで、これからさらにまだまだ進んでいくわけです。この可視化をどう実現していくのか、そして刑事司法を改めていくのか、これはこれから進んでいくので、その進んでいく過程の中で、私としては可視化の試行を制度化して、そして一定のものでちゃんと位置づけて、その上で新しい刑事司法をつくっていく方向を目指したい、こういうことで取り組んでまいりました。

 国内の調査、それから国外の調査、これは、その調査に当たっていただいた皆さんの調査の結果の取りまとめ、そして、それに加えて、それらをまとめて、いわば調査結果の要約といったものをまとめ上げました。そこにいろいろな、可視化についてはこんな難しさもある、あるいはこんな苦労もある、そういうことも書いてございます。そうしたものを前提にして、「被疑者取調べの可視化の実現に向けて 八月八日 法務省」という文書を取りまとめました。

 これは、単にいろいろなところで見てきて、調査の結果はこういうものであったということを言うところにとどまらず、もう一歩踏み込んで、法務省として一つの意思をあらわす。その意思のあらわれとして、例えば「取調べの可視化を制度化することは是非とも必要であり、法務省として責任を持って、制度としての可視化を実現していかなければならない。」そういう書きぶりをしたわけでございます。

 しかしながら、全件といっても、それは刑事事件の件数というのは膨大でありますから、全件というわけにもなかなかいかぬだろう。だけれども、裁判員制度の対象の身柄事件については原則全件やってくださいよとか、あるいは、特捜、特刑部がみずから扱う事件については、後の検証にちゃんと資する、それだけのボリュームになるように全過程の可視化を一定程度きっちりやってくださいよとか、あるいは知的障害者などの取り調べについても。

 そういうことを具体的にペーパーにして、検事総長にも来ていただいて、検察庁法による一般的指揮として私から検事総長に指揮をしたところでございまして、これからさらに捜査のあり方をよりいいものにしていくためにいろいろな営みが進んでいくと思っております。

大口委員 次に、七月八日の「検察改革 その現状と今後の取組」というところで、検察の在り方検討会議では、「特捜部については、現状を是とすることなく、その捜査能力の向上とチェック機能の強化等を図るため、名称、組織体制・編成、人員配置等を含め、その組織の在り方を見直すための検討を行うべき」、こう提言をしています。

 七月八日の最高検の検討結果では、名称は変えなかった。これは、士気が落ちるというような、理由にならない理由なわけでありますけれども、せっかく大臣が、あるいは検討会議が名称ということを言っているわけですけれども、名称は変えなかった。それから、独自捜査部門。これは、特殊直告班、二班を一班にする。それから財政経済関係事件の対応をより強化する、財政班、経済班、こういうふうにして強化する。こういう見直しをしたわけであります。

 これによって、エリート意識の変革ができるのか、あるいは、供述より客観的証拠を重視する捜査への移行ができるのか、お伺いしたいと思います。

江田国務大臣 特捜部のあり方をどう変えていくか。これまで検察の在り方検討会議においても、あるいは最高検においても、いろいろな問題点が指摘されて、その中には、やはり、特別な捜査なんだということで、誤ったエリート意識とか傲慢さを持っているのではないかというようなことも意見として指摘をされました。これはやはりしっかり受けとめなければならぬ課題だと思っております。

 特別捜査部、略して特捜部という、この名前を変えようという、それも随分検討もしていただいたかと思いますけれども、なかなかいい名前がなくて、公募というわけにもいかないし、まあ中身が大切なんだろうということで、今この段階では、特捜部という名前は、特別捜査部という名前は残しました。

 しかし、その特捜部が抱える事件について、例えば経済財政関係事件への対応をより強化して、金融証券分野の専門委員会の活動と連携した専門性の向上とか、あるいは国税当局等関係機関との連携をより強めていくとか、さらにまた、縦からのチェック、横からのチェックなどいろいろやりまして、今の特捜部の改革ということにつながっているわけでございます。

 これでうまくいきますか、いきませんか、私は、これをうまくいかさなきゃいけない、そういう意識を検事総長にも持っていただいていると思っておりまして、これは、特捜部はこれからしっかりと立て直しをやってほしいと思いますし、またやっていただけると確信をしております。

大口委員 もう一つ、特捜部の行う独自捜査に対する横からのチェックということで、総括審査検察官制度を発足して、捜査主任検察官と別の立場で、公判の弁護人としての視点を持ちながら、捜査主任検察官が事実認定または法令解釈上の問題点について適正な判断を持っているかを審査する。この総括審査検察官は、公判主任検察官としてもやる。それは、公判準備の際の一環に終わってしまうんじゃないか。

 むしろ、検察の在り方検討会議の提言にあったように、特捜部に所属しない検察官が特捜部の独自捜査事件の起訴、不起訴の処分を行う、いわば起訴権限分離案、こういうものを採用しなかった理由についてお伺いしたいと思います。

江田国務大臣 いろいろな制度改革の提案について、さまざまな御懸念もあろうかと思います。それはそれで、いろいろ御指摘をいただくことは大変貴重なことだと思いますので、私たち、これは真正面から受けとめて議論したい、あるいはそういうことにならないように対応したいと思いますが、必ずこれではやはりだめじゃないかということは当たらない。私は、懸命に皆、一生懸命考えていろいろなことをやろうとしている。総括審査検察官のことについてもそういうことだと思っております。

 公判部の、しかも今後、公判請求された場合に、公判を担当するその検察官が特に指名されて全証拠を見て、そして公判になった場合に弁護人はこういうことを言ってくるんじゃないか、そういう弁護人の目も持って全部の捜査の過程をちゃんと検証し、その結果を特捜部における検討あるいは上司を含めての検討の資料にしていくということですから、これはそういうことでぜひ生かしていきたい。後の公判の便宜のために暫時そういうところへポストを置いているというだけにすぎないというようなことには断じてさせないと思っております。

 その上で、捜査と公訴の提起を分けたらというお話ですが、公訴の提起というものを別の担当ということにしますと、公訴提起をする係がすべての捜査をもう一度全部自分で見直して、そして、言ってみれば捜査をやり直すことが出てくるというようなこともございまして、これはやはり言うべくして行うのはかたい。やはり捜査をした者が、捜査のプロセスの中で自分自身の心証をしっかり持って、そして、それともちろん上司の決裁などを経て、公判請求をするかどうかを責任を持って決める。あと、公判は公判部でちゃんとやるという仕分けでよろしいし、そういう結論に落ちついたというところでございます。

大口委員 捜査主任検察官と公判主任検察官、総括審査検察官の力関係とか、こういうこともあります。決裁に同席できるというようなことでございますけれども、やはりここは本当にしっかりやっていかないと、本当にその機能を果たせないんじゃないかな。起訴、不起訴の権限を別にする方が、力関係という点でもチェックする機能は果たせるんじゃないかなという感じもいたします。

 時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

奥田委員長 次に、城内実君。

城内委員 国益と国民の生活を守る会の城内実でございます。

 本日は、人権救済機関の設置の問題について、恐らくきょうで千葉大臣そして柳田大臣から数えると四回目か五回目の質問なんですが、八月二日に法務省政務三役の名前で「新たな人権救済機関の設置について」という基本方針が出されまして、私もそれを見ました。

 これまで、江田大臣も含めて非常にあいまいな答弁しか返ってこなかったんです。そして、この基本方針を見て驚いたのは、私が、平成十七年、当時は自民党の国会議員でしたけれども、命がけで当時の人権擁護法案に反対したんですが、制度設計はほとんど変わっていないんですよ。非常に驚きました。何度もいろいろな問題提起をして、具体的にここがおかしいとかいう話をしてきたんですけれども、その議論が全く生かされていないんです。ですから、きょうはぜひ大臣、踏み込んだ答弁、明確な答弁をいただきたいというふうに思います。

 まず、この基本方針を見ましたところ、当初は人権委員会を内閣府に設置するとありましたけれども、法務省の外局となっております。これはなぜですか。

江田国務大臣 当初はということでございますが、人権擁護推進審議会が答申を出しました。その答申の中には、内閣府とか法務省とかという具体的な記述はなかったと思います。政府の方では、その答申に基づいてこの法案を国会に提出いたしました。その案では、これは法務省の外局ということになっておりました。したがって、当初はということになりますと、政府としては法務省というのが当初ということでございます。

 一方、当時、この法務省案が廃案になって、さらに、これをぜひ出してほしい、こういうことを野党の方はずっと要望しておりましたが、なかなか出すに至らなかった。そこで、民主党の議員立法というものをつくって、これを国会に提出いたしました。その案では、内閣府の外局ということになっていたということでございます。

 内閣府という考え方もありますし、それを強く主張する国会の内外の人たちもいます。同時に、内閣府で本当にしっかりできるんだろうか、内閣府のだれが一体やるんだろうか、そんなような意見もございますし、あるいは民主党のプロジェクトチームでもいろいろな御意見もいただいたりいたしまして、そうしたものを踏まえて、私ども、ことしの八月二日に現在の法務省の政務三役で、今委員おっしゃったような、法務省の外局に置くという基本方針を取りまとめたものでございます。

城内委員 私は以前、内閣府に設置する方が官邸直結ですからなお悪いというようなことは申し上げましたけれども、仮に法務省に設置したとしても、まさに刑務所の刑務官による人権侵害もあるわけですから、はっきり言うと、どっちも同じなんですよ。

 しかも、一番問題なのは、結局、三条委員会でしょう。何で八条委員会じゃないんですか。そこをちょっと明確に御答弁いただきたいんですけれども。

江田国務大臣 これは、人権救済機関というのはやはり独立性というものが命だと思っております。そのために我々、いろいろと苦労してきたわけでございますが、今委員は、内閣府に置くと政府直結と。政府直結というものもありますが、内閣府にも例えば警察庁もあるわけで、警察が人権侵害と決めつけるわけじゃありませんが、やはりそこは一つの権力行使というものがある。法務省の方にも刑務所であったり、入管であったりしたものがある。

 しかし、そうした政府の機関と全く関係ないものをつくるというのは、これは憲法上もいろいろ問題があるので、そこで、独立性を最大限保ちながら、国会への説明責任などのためにどこかの省へつけるということになると、やはりこれまでの経験があり、知識がある法務省に三条委員会として独立性を持ったものとしてつくろうというのが今回の考え方でございます。

城内委員 独立性はいいんですけれども、いわゆる国家行政組織法上の三条委員会だとやはり相当な権限を持っているわけですから、それが暴走する可能性があるということを私は何度も申し上げたんです。

 しかも、人権委員の選任が国会の同意人事とされておりますね。先ほども平沢議員そして稲田議員も指摘されていました、例えばいわゆる市民の会ですか、市民の党だかありますよね。こういった関係者が、下手すれば人権委員になっているなんてことだってあり得ないことではないわけですよ。

 例えばアメリカの連邦通信委員会ですと、五人の委員中、与党系が三人、野党系が二人ということでバランスをとる形になっておりますけれども、全部与党系の御用学者とか、かつて過激派だった人がなっちゃったらどうなるんですか。その点をちょっと御答弁いただきたいんですけれども。

江田国務大臣 人権委員は、これは当然の法理というものがございまして、日本国籍を持っている者でなければなりません。その上で、それは、与党、野党、バランスをとるということもあるかもしれませんが、しっかり国会の同意人事として国会の皆さんのチェックもいただくという制度設計にこれからしていきたいと思っておりまして、そこはやはり、私は一定のバランスをとった人選になっていくものだと思っております。

 ちなみに、いや、国会同意人事だって、国会がちょろまかされて、何か妙な過激派がなったらどうすると。それは私は、国会というものをそこまで信用していないわけではございません。ぜひそこは、国会におかれても、しっかりとした同意人事の際の人選のチェックというのはしていただきたいと思います。

城内委員 しかし、人権関係の学者については、確かに立派な方もいらっしゃるかもしれませんけれども、かつて学生運動をしていたような過激派の方だっているわけですよ。国会同意人事というのは、例えば衆参、今ねじれていますけれども、ねじれていなければ、やはり与党が都合のよい、与党寄りの学者を人権委員に指名するということだってあるわけですから、それはやはり大変危険だと私は思います。

 もう一点、人権擁護委員の資格ですけれども、地方参政権を持つ者に資格が限定されているんですが、ただ、江田大臣は、三月九日の法務委員会、平沢勝栄議員の質問に対して、在日外国人の方は共同体の構成員として定着しているので、参政権を付与すべしという趣旨の御答弁をされました。

 ということは、江田大臣は、外国人が人権擁護委員になってもよいという立場なんでしょうか。明確にお答えください。

江田国務大臣 その前に、申しわけないけれども、学生運動をやっていたからといって必ずしも過激派というわけではないので、ぜひそこは御理解いただきたいんですが、それはおいておいて。

 人権擁護委員の国籍条項の問題は、これもいろいろな意見があります。基本方針では、新制度へのスムーズな移行を図るために、既に六十年以上続いている現行の人権擁護委員制度、これはそのままこの要件を維持しようということで今回の提案になっておりますが、その中に、国籍条項について一定の御疑問を呈される向きもあるということは承知しております。

 しかし、地方選挙における外国人の参政権の問題と人権擁護委員の適格性、資格というものとは、これは今確かにリンクしているわけですが、同じものじゃないので、地方参政権の方が広がった場合に人権擁護委員も必ず論理必然的に広がらなきゃならぬということではないので、その段階でまた議論がなされるべきものだと思っております。

城内委員 だったら、明確に、日本国籍を有する者に限るという国籍条項をしっかりと設けていただきたいですね。だから、そこら辺が非常に、何か気がついてみたら在日外国人の方もなれるみたいな、そういう誤解を招くわけですから、では、そこははっきりとそういうふうにしていただきたいと思います。

 もう一点ですけれども、まさに北朝鮮の拉致問題というのは重大な人権問題ですよね。にもかかわらず、先ほど、平沢理事そして稲田朋美理事の質問の中でも、いわゆるよど号乗っ取り犯の田宮高麿と日本人拉致容疑者の森順子の間の息子である森大志が所属する市民の党、こういう団体とまさに民主党の一部の国会議員の方々がかかわっている、献金を受けていると。こういうことは、人権、人権と言いながら、まさに人権を軽視しているのはそういった献金を受けている方々じゃないですか。その点についてお答えしていただきたい。

江田国務大臣 市民の党から一定の献金を受けている者は人権を軽視しているという、委員の言わんとする思いはわからないわけじゃありませんけれども、やはりちょっとそれは無理があるんじゃないかなという気がいたします。

城内委員 大臣、私は、例えば辛光洙の署名について大臣も謝罪されたから、どこかの隣の国みたいに何回も何回も謝罪しろなんてことは、もうこの点については一切触れません。しかし、今のこの市民の党の問題というのは非常に大きな問題ですよ。この点についてはやはりしっかりとお答えいただきたい。

 これは問題じゃないですか。

江田国務大臣 それは、一般論で言われましても、どういう人が、どういう関係で、そういう献金がどういう経過であったかというようなことまでやはりわからなければ何とも言えない話で、それから、市民の党というのは、私はよくはそれは存じておりません。北朝鮮と北朝鮮に関係するいろいろな団体のことは知っておりますが、それと市民の党との関係というのは、ここでいろいろお話しになりましたから、市会議員候補がだれそれの息子、娘であったとか、そういうことは言われますが、そのことによって市民の党というのがどうなっていくのかというのは、ちょっと私にはにわかに判断しがたいので、市民の党からの献金のことについて、それだけでそれを受けている人間が人権意識上問題があるというふうには思っておりません。

城内委員 しかし、一般の国民から見て、本当に拉致問題というのは、例えば差別的発言や行為で人権侵害を受けた者と比べても、もう彼らは誘拐されているわけですから、人権事案としては物すごく重篤なわけですよ。

 この拉致問題を放置して、まあ放置していないとおっしゃるでしょうけれども、このような人権救済機関を早くつくろうつくろうとする。順序が逆じゃないですか、これは。そして、経費はどうなっているんですか、経費は。むしろ拉致問題にもっと必要な人員と経費を、予算を振り分けるべきだと私は思います。

 何度も何度もここの場で申し上げているのは、個別法で対応すればいいでしょう、ネズミをとるのはネズミ取りで、ゴキブリはごきぶりホイホイ、それに対して核兵器やミサイルとかナパーム弾をばらまいてどうするんですかみたいな話をしているわけですよ。

 実際、私は以前質問しましたけれども、では、民主党さんは、事業仕分けをやって、マル・バツとかやっておりますけれども、まさにこの問題についてどれだけ予算、人員がかかるのか、それを教えていただきたい。ちなみに、公正取引委員会は、大体職員八百人で年間八十億円かかるそうであります。

江田国務大臣 この人権委員会の組織や権限の詳細、あるいは救済手続のあり方など、これは基本方針で大枠は取りまとめをいたしましたが、その制度を具体的にどうするかということは引き続き検討を要することで、まだ決まっていないところも非常にたくさんございます。

 そこで、制度設計の詳細がわかって、固まってこないと予算規模というのはなかなか言えないので、今この段階ではコスト面について具体的な検討を行う段階ではないので、残念ながら、幾ら幾らぐらいかかりそうだということを申し上げるほどまだ熟していないと思っております。

城内委員 しかし、これは国民の血税で、もし仮に、私は反対ですけれども、人権委員会を設置した場合は国民の血税を使って運営していくわけですよ。

 かつ、私が調べたら、平成二十二年の現制度で実に二万一千六百九十六件の新規救済手続がなされて、そのうちの九九%の二万一千五百件が適切に処理されている。

 ということは、ほとんど現行法で、あるいは各地区に人権擁護委員の方がいらっしゃって、その方がアドバイスしたり勧告したり説諭したり、あるいは地方の法務局とか、現場でやっているわけですよ。

 むしろやるべきは、いわゆる人権侵害救済機関をつくるという対症療法じゃなくて、そういった草の根で頑張っている人たちをもっと日の当たるところに出して、もっともっと頑張ってもらう、そのための予算をつけるんだったらわかります。対症療法じゃなくて、根本治療するべきにもかかわらず、こういった極めて危険な、時と場合によったら人権侵害機関になる可能性もある機関を設置するというのは私は本末転倒だと思います。

 では、実際に救済できていない、これは人権委員会がないとどうしようもないなんという例があるんでしょうか。あったら教えてほしいです。

江田国務大臣 私も、人権擁護委員の皆さんが精いっぱい、本当にボランティア精神で頑張っていただいていることは高く評価をし、また敬意を表したいと思っております。

 しかし、今、人権侵害というのは、それは委員、そうはおっしゃいますけれども、この世の中、本当にいっぱいあります。家庭の中でも職場の中でも男女の間でも子供たちの学校でも、これはいっぱいあるんです。そういうところに人権擁護委員の皆さんも努力してくれているのはわかりますが、まさに対症療法じゃなくて、ここは一つ新たな機関をしっかりつくって、国民から広く信頼され、実効性のある、そういう人権救済制度というものが機能していくようにぜひしていきたいと思っております。

城内委員 きょう大臣の答弁を聞いて本当にがっかりしました。全く具体性に欠けますし、明確じゃない。

 そして、八月二日の大臣の記者会見で、国連の委員会などからも早くつくれと言われているので人権救済機関を生み出したいとの発言をされました。結局、外国から言われているからつくりますと、最初からもうつくることが前提なんですね。

 ですけれども、細かいいろいろな問題点、私がこれまでるる、あるいはほかの方がるる提示してきた問題点についての回答はほとんどないんですよ。ですから、私はきょうの答弁は納得しませんが、もう一度、大臣、御答弁いただきたい。

奥田委員長 質疑時間が終了しておりますので、最後の答弁とさせていただきます。

江田国務大臣 納得いただけないというのは大変残念でございますが、制度をつくるときにはやはり一歩一歩進んでいかなきゃいけないので、今回は基本方針をまとめ、これにこれから肉づけをしていくというところでございます。

城内委員 これで質疑を終わります。

奥田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

奥田委員長 速記を起こしてください。

     ――――◇―――――

奥田委員長 次に、第百七十三回国会、高市早苗君外三名提出、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案及び辻惠君外二名提出、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。高市早苗君。

    ―――――――――――――

 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市議員 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党・無所属の会及び公明党の提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 まず、本法律案の趣旨について御説明申し上げます。

 児童ポルノの所持、提供等の行為は、描写された児童の心身や生活に有害な影響を与え続けるのみならず、このような行為が社会に広がることにより児童を性欲の対象としてとらえる風潮を助長し、児童が被害者となる犯罪を誘発する可能性も指摘されています。

 したがって、児童ポルノについては、法律の施行状況や国際的動向を踏まえつつ、厳しく規制していかなければなりません。

 平成十一年の児童買春、児童ポルノ禁止法の成立から十年以上たち、平成十六年には改正によって厳罰化され、それなりに効果を上げてきましたが、昨今の状況は大きく変化しております。

 特に、インターネット等の発達により、児童ポルノが瞬時に世界じゅうに拡散するようになり、描写された児童が受ける被害の拡大と長期化は看過できない状況となっています。

 また、我が国の現行法では、G8諸国のうち六カ国が罰則をもって禁止している児童ポルノの単純所持が禁止されておらず、このことが児童ポルノの蔓延を助長しているとの国内外の批判が高まっており、我が国の信用にもかかわる問題になっております。

 そこで、児童ポルノをめぐるかかる国内外の状況と、平成十六年改正時に三年を目途とする検討規定が置かれたことを踏まえ、児童ポルノについてさらに厳格な規制を設けて児童を保護することとするため、平成二十年六月に児童買春、児童ポルノ禁止法改正案を提出いたしましたが、衆議院解散により廃案となりましたので、平成二十一年十一月に改めて本法律案を提出した次第でございます。

 次に、本法律案の内容について御説明申し上げます。

 第一に、適用上の注意規定を明確化しております。すなわち、この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して、他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならないものとしております。

 第二に、児童ポルノ所持等の禁止規定を設けております。すなわち、何人も、みだりに児童ポルノを所持等してはならないものとしております。

 第三に、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持等についての罰則を設けております。すなわち、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノの所持等をした者は、一年以下の懲役または百万円以下の罰金に処するものとしております。

 なお、現に所持等をしている児童ポルノについては、改正法施行後に速やかに廃棄の措置を講じていただくことを期待し、罰則については施行後一年間は適用しないこととしております。

 第四に、インターネットの利用に係る事業者の努力規定を設けることとしております。すなわち、インターネットの利用に係る事業者は、捜査機関への協力、管理権限に基づく情報送信防止措置その他インターネットを利用した児童ポルノの所持、提供等の行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとしております。

 第五に、児童ポルノに類する漫画等、すなわち漫画、アニメ、CG、疑似児童ポルノの規制や、いわゆるブロッキングの措置に関する検討規定を設けることとしております。

 本法律案では、実在する児童の保護を最優先とするものの、児童ポルノに類する漫画等の規制やインターネットによる児童ポルノに係る情報の閲覧の制限についても、さまざまな議論が存在しております。よって、改正法施行後三年を目途として、児童ポルノに類する漫画等と児童の権利を侵害する行為との関連性に関する調査研究及びブロッキングの技術の開発の状況等を勘案しつつ検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとしております。

 以上が、この法律案の趣旨及び内容でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

奥田委員長 次に、辻惠君。

    ―――――――――――――

 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

辻議員 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、民主党・無所属クラブの提出者を代表して、その趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 まず、本法律案の趣旨について御説明申し上げます。

 児童ポルノは、児童に対する性的搾取及び性的虐待であって、その心身に有害な影響を与えるものであり、児童に対する重大かつ深刻な人権侵害であると言えます。そのような認識から、平成十一年に児童買春、児童ポルノ禁止法が成立し、児童ポルノの製造、提供等が処罰されるようになり、平成十六年の改正においては法定刑が引き上げられましたが、昨今のパソコンの普及やインターネットの発達により、児童ポルノは容易に世界じゅうに広がるようになり、複製も簡単になっているという実態があります。

 このような現状の改善は、基本的には製造、提供側を規制する現行法による取り締まりを徹底することにより図られるべきと考えますが、需要があるからこそ供給があるのも事実であり、有償で反復して取得するという、特に悪質で、かつ供給を喚起するような行為については処罰対象とする必要性があると言えます。

 そこで、今回、新たに児童ポルノ等の有償かつ反復での取得という特に悪質なケースに限って需要の側を処罰する規定を設けるとともに、定義の明確化を図ることで処罰範囲を明確化し、また、心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する制度の充実及び強化を図り、もって児童の権利の擁護に資することとするため、本法律案を提出することとした次第であります。

 次に、本法律案の内容について御説明申し上げます。

 第一に、児童ポルノ等取得罪の新設等であります。

 その一は、児童ポルノ等の取得について罰則を設けております。すなわち、みだりに、児童ポルノまたはこれに係る電磁的記録等を有償でかつ反復して取得した者は、一年以下の懲役または百万円以下の罰金に処するものとすることとしております。

 その二は、児童ポルノの製造の罪について処罰範囲を拡大しております。すなわち、提供目的以外の児童ポルノの製造の罪について、意図的に児童に一定の姿態をとらせて製造した場合に限らず、盗撮等の場合にも処罰範囲を拡大することとしております。

 第二に、心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する制度を充実及び強化することとしております。

 すなわち、心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置を講ずる主体として、厚生労働省、法務省、都道府県警察、児童相談所及び福祉事務所を例示し、措置を講ずる主体及び責任を明確化することとしております。これに加えて、社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとすることとしております。

 第三に、児童ポルノの定義の明確化等であります。

 児童ポルノ及びこれに係る電磁的記録等の定義から「専ら医学その他の学術研究の用に供するもの」を除くこととしております。これに加え、その定義を明確にするため、第二条第三項第二号を「他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって殊更に性欲を興奮させ又は刺激するもの」に、同項第三号を「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、殊更に性欲を興奮させ又は刺激するもの」との客観的な要件に改めることとしております。

 第四に、適用上の注意規定の明確化等であります。

 この法律の適用に当たっては、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならないものとするとともに、この法律のいかなる規定も、架空のものを描写した漫画、アニメーション、コンピューターゲーム等を規制するものと解釈してはならないものとすることとしております。

 以上が、この法律案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

奥田委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


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