衆議院

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第1号 平成24年2月22日(水曜日)

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本国会召集日(平成二十四年一月二十四日)(火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 小林 興起君

   理事 熊谷 貞俊君 理事 黒岩 宇洋君

   理事 階   猛君 理事 辻   惠君

   理事 樋口 俊一君 理事 稲田 朋美君

   理事 棚橋 泰文君 理事 大口 善徳君

      井戸まさえ君    大谷  啓君

      大西 孝典君    加藤  学君

      勝又恒一郎君    川口  浩君

      京野 公子君    桑原  功君

      小室 寿明君    滝   実君

      橘  秀徳君    玉置 公良君

      中屋 大介君    平山 泰朗君

      皆吉 稲生君    河井 克行君

      城内  実君    北村 茂男君

      柴山 昌彦君    平沢 勝栄君

      森  英介君    柳本 卓治君

      漆原 良夫君    園田 博之君

      中島 政希君    横粂 勝仁君

平成二十四年二月二十二日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 小林 興起君

   理事 熊谷 貞俊君 理事 黒岩 宇洋君

   理事 階   猛君 理事 辻   惠君

   理事 樋口 俊一君 理事 稲田 朋美君

   理事 棚橋 泰文君 理事 大口 善徳君

      井戸まさえ君    磯谷香代子君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      加藤  学君    勝又恒一郎君

      川口  浩君    京野 公子君

      桑原  功君    滝   実君

      橘  秀徳君    玉置 公良君

      中野渡詔子君    中屋 大介君

      平山 泰朗君    皆吉 稲生君

      河井 克行君    城内  実君

      北村 茂男君    柴山 昌彦君

      橘 慶一郎君    徳田  毅君

      平沢 勝栄君    森  英介君

      柳本 卓治君    漆原 良夫君

      園田 博之君    中島 政希君

      横粂 勝仁君

    …………………………………

   法務大臣         小川 敏夫君

   法務副大臣        滝   実君

   法務大臣政務官      谷  博之君

   最高裁判所事務総局総務局長            戸倉 三郎君

   最高裁判所事務総局人事局長            安浪 亮介君

   最高裁判所事務総局経理局長            林  道晴君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 田中 順一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          小川 秀樹君

   法務委員会専門員     岡本  修君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  小室 寿明君     磯谷香代子君

  皆吉 稲生君     中野渡詔子君

  河井 克行君     橘 慶一郎君

  柴山 昌彦君     徳田  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     小室 寿明君

  中野渡詔子君     皆吉 稲生君

  橘 慶一郎君     河井 克行君

  徳田  毅君     柴山 昌彦君

    ―――――――――――――

一月二十四日

 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案(高市早苗君外三名提出、第百七十三回国会衆法第五号)

 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案(辻惠君外二名提出、第百七十七回国会衆法第二三号)

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百七十七回国会閣法第七九号)

 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百七十七回国会閣法第八〇号)

 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百七十九回国会閣法第一二号)

 刑法等の一部を改正する法律案(第百七十九回国会内閣提出第一三号、参議院送付)

 薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案(第百七十九回国会内閣提出第一四号、参議院送付)

二月十四日

 公正な証拠開示の法制化に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第二二号)

 同(吉泉秀男君紹介)(第二三号)

 同(重野安正君紹介)(第三二号)

 同(服部良一君紹介)(第七九号)

 国籍選択制度の廃止に関する請願(石川知裕君紹介)(第五七号)

 同(池坊保子君紹介)(第一四一号)

 成人の重国籍容認に関する請願(石川知裕君紹介)(第五八号)

 同(池坊保子君紹介)(第一四二号)

 複国籍の容認に関する請願(土肥隆一君紹介)(第一二六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百七十七回国会閣法第七九号)

 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百七十七回国会閣法第八〇号)


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     ――――◇―――――

小林委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 裁判所の司法行政に関する事項

 法務行政及び検察行政に関する事項

 国内治安に関する事項

 人権擁護に関する事項

以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

小林委員長 次に、第百七十七回国会、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小川法務大臣。

    ―――――――――――――

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案

 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小川国務大臣 このたび法務大臣に就任いたしました小川敏夫でございます。よろしくお願いいたします。

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。

 政府においては、一般の政府職員の給与に関する臨時特例を定める必要を認め、今国会に国家公務員の給与の臨時特例に関する法律案を提出いたしておりますが、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与に関する臨時特例を定める措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、措置の内容は、次のとおりであります。

 一般の政府職員について、平成二十六年三月三十一日までの間、給与の支給に当たって職務の級に応じた割合等の減額支給措置を講ずることといたしておりますので、裁判官の報酬及び検察官の俸給につきましても、おおむねこれに準じて減額支給措置を講ずることといたしております。

 これらの措置は、一般の政府職員の場合と同様に、公布の日の属する月の翌々月の初日、ただし公布の日が月の初日であるときは、公布の日の属する月の翌月の初日から施行することといたしております。

 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。

小林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

小林委員長 この際、両案に対し、黒岩宇洋君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。黒岩宇洋君。

    ―――――――――――――

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

黒岩委員 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。

 裁判官及び検察官の給与に関する臨時特例を定める措置を講ずるため、政府から、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案が提出されております。

 今般、一般の政府職員の給与について、人事院勧告の趣旨等に鑑み、これを改定するとともに臨時特例を定めることとなることを踏まえ、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改定する等の措置を講ずるため、この両修正案を提出した次第でありまして、修正の内容は、次のとおりであります。

 法案の題名を、それぞれ、裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律に改めることとしております。

 一般の政府職員について、平成二十三年の民間の賃金水準に合わせて俸給月額を引き下げることとされておりますので、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額についても、おおむねこれに準じて引き下げることとし、あわせて平成二十六年三月三十一日までの間における給与の臨時特例についても、一般の政府職員の例に準じて、その減額幅を縮小することといたしております。

 また、平成十七年の改正法において定められた経過措置について、その期限を平成二十六年三月三十一日までとし、所要の改正を加えることとしております。

 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、公布の日の属する月の翌月の初日、ただし臨時特例を定める措置については、平成二十四年四月一日から施行することといたしております。

 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨であります。

 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いをいたします。

小林委員長 これにて両修正案についての趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

小林委員長 この際、お諮りいたします。

 両案及び両修正案審査のため、本日、政府参考人として総務省人事・恩給局長田中順一君、法務省大臣官房司法法制部長小川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小林委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局戸倉総務局長、安浪人事局長及び林経理局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小林委員長 これより両案及び両修正案を一括して質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 本日は、小川新大臣、初めての答弁となるわけでございますけれども、この短期間にこれまで何回法務大臣がかわったかわかりません。今度いつおかわりになるのかわかりませんけれども、とにかく、長年副大臣をやっておられましたから、法務省の見解もありますけれども、御自分の御見識をしっかりとここで発言していただいて、実りある法務委員会にしていただきたいと思っております。

 また、本来であれば、所信をお伺いして、そしてその質疑をやって、それから閣法、あるいは法律案を審議するということでございます。例外的な扱い。また、給与法でございますから、総務委員会で審議する、同時並行であるべきなんですが、法務委員会が先行したということがございます。これは、三党の政調会長の合意がありました。特例ということで今回審議に入らせていただく、こういうことになったわけでございます。

 さて、まず、今回の国家公務員の給与の削減、そして裁判官、検察官の報酬あるいは俸給の改定、こういうことになるわけでありますけれども、国家公務員の給与削減について三党で合意したわけでありますが、これについては、早期に成立を図るべきであるということでございます。その上で、国家公務員の給与の削減を復興財源に充てるということ、それから、もちろん人勧もその前にきちっとやるということでございます。

 国会議員の場合は、昨年三百万円、臨時特例的な歳費の削減ということを行いました。これは復興財源に寄与するということで行ったわけでございます。今回、国家公務員、裁判官また検察官等について、今後二年間にわたって臨時特例的にやるということでございます。では今後、国会議員の歳費についてはどうなのか。

 我が党は、山口代表が昨日、記者会見を行いまして、当面二割の歳費の削減を提案し、そして、身を切るということであるならば、最終的には恒久的な歳費の削減ということの合意を目指すべきである、こういう提案をさせていただきました。

 法務大臣というよりも国会議員の一人として、国会議員の歳費の削減についてどうお考えになるか、お伺いしたいと思います。

小川国務大臣 私、国会議員の一人としてという見解でございます。

 やはり国会議員も、この厳しい国の財政状況、あるいは復興にかける責任というものを自覚して協力しなければならないということは重々承知しておりますが、しかしまた一方で、国会議員の身分的な保障がないと、例えば経済的に裕福な人しか国会議員になれないということになれば、これはこれで大きな弊害が生じるわけでございます。そうしたバランスの中で、やはり各党会派が議論して決めていくべきだというふうに思っております。

大口委員 国家公務員は二年間は削減するわけですね。そういう観点からいきますと、当面、歳費の削減ということは、やはり積極的に考えていかなきゃならないんじゃないかなと。今、大臣もいろいろなところに出向かれて、現場に出向かれて、国民の皆さんの声を聞いておられると思いますね。そういう皆さんの声を聞いた上で、もう一度御答弁願えますか。

小川国務大臣 恒久ではなくて、復興財源のという趣旨でございますね。(大口委員「はい」と呼ぶ)それはやはり国を挙げて、国会議員も例外でなく、そうした面に力を注ぐべきだとは思っております。

大口委員 次に、二月の十八日に、岡田副総理兼社会保障・税一体改革担当相が長野市内で講演をされて、民主党がさきの衆議院選挙のマニフェストで掲げた国家公務員総人件費二割削減について、民主党と相談して法案にきちんと書いていく、公務員の場合、企業がリストラするように簡単にできないが、きちんと道筋は書きたい、こういうことで、行政構造改革実行法案に削減目標として明記する、そういう考え方を明らかにされたわけですね。そう報道されています。

 一昨年、百七十六国会で私が、これは平成二十二年十一月十六日なんですが、この衆議院の法務委員会で質問させていただきました。「この公約」というのは民主党の公約、「公約に掲げられている総人件費二割削減の対象に、一般職の給与以外に裁判官の報酬、検察官の俸給も含まれるのか、」こういう質問に対しまして、当時、柳田法務大臣が、「御指摘の民主党のマニフェストについては、裁判官の報酬及び検察官の俸給も含めた国家公務員の総人件費について二割削減することを意味するものと考えております。」こういうふうに答弁されているわけです。要するに、裁判官の報酬、検察官の俸給についても二割削減の対象であるということを明確に答弁されているわけです。

 そうしますと、岡田副総理が今検討されております行政構造改革実行法案の削減目標の中に、裁判官の報酬、検察官の俸給も含まれるのかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。

小川国務大臣 含まれるものと考えております。

大口委員 含まれるということを確認いたしました。その関連については、また後ほどお伺いしたいと思います。

 今回の裁判官の報酬、検察官の俸給について、二月十七日、民主、自民、公明の三党が東日本大震災の復興財源を確保するための国家公務員給与削減の臨時特例法について合意をして、その合意の内容は、平成二十三年度の人事院勧告に基づき、昨年四月一日にさかのぼって国家公務員給与を平均〇・二三引き下げる、それと、平成二十四年、二十五年の両年度は、特例措置として、人勧実施と合わせて平均七・八%引き下げるという合意でございました。

 これも昨年六月三日、本委員会に、今回閣法で出された裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案が政府から提出され、継続審議となっているわけでありますが、この両案の趣旨については、裁判官及び検察官についても、一般の政府職員の例に準じて、その給与に関する臨時特例を定める措置を講ずるというものであったわけです。

 そこで、憲法七十九条六項及び八十条の二項は、裁判官は全て定期に相当額の報酬を受け、この報酬は在任中減額することができないものとし、裁判官の報酬の保障を定めているわけであります。この裁判官の報酬の保障は、裁判官の身分保障を経済的な面から担保するものであると考えられるわけであります。

 人事院勧告の実施により国家公務員同様に裁判官の報酬を引き下げることについては、平成十四年、最高裁判所事務総長が、裁判官会議では憲法上、裁判官の報酬について特に保障規定が設けられている趣旨及びその重みを十分に踏まえて検討し、人事院勧告の完全実施に伴い国家公務員の給与全体が引き下げられるような場合に、裁判官の報酬を同様に引き下げても司法の独立を侵すものではないことなどから、憲法に違反しない旨、確認したものと理解しています、こういうコメントを出しているわけですね。

 人事院は、労働基本権制約の代替措置である人事院勧告と、厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要に鑑み国家公務員人件費を削減するための給与臨時特例法案は、趣旨、目的が全く異なると指摘しているわけでございます。

 そこで、お尋ねしたいんですが、人事院勧告を超えて、厳しい財政状況や東日本大震災に対処することを理由とした給与の削減の深掘りにより裁判官の報酬を減額することについては、憲法上、問題ないのか、法務大臣にお伺いしたいと思います。

小川国務大臣 憲法が裁判官の報酬の減額を禁じている趣旨というのは、個々の裁判官に圧力を加える、あるいは裁判官全体であれば、司法に対し行政なり政府が圧力を加えるということがあってはならない、そうしたことで司法の独立が害されてはならない、このような趣旨であると思います。

 そうしますと、今回は、そうした裁判官や司法に対して圧力を加えるという趣旨ではなくて、未曽有の大災害をこうむった、こうした東日本大震災の復興という大変大きな社会的要請に基づくものでありますので、これはやはり憲法が禁止しているものではない、このように考えております。

大口委員 平成二十二年、一昨年の十一月二十五日の参議院の法務委員会で、我が党の木庭参議院議員がこの件について質問しておりまして、裁判官の報酬の減額について、最初にやるときに、裁判官会議で、人事院勧告の完全実施に伴い国家公務員の給与全体が引き下げられるような場合に、裁判官の報酬は同様に引き下げても司法権独立を侵すものではないということで、憲法に違反しない旨、確認されたということを伺っている。この趣旨は、単に公務員の給与全体が引き下げられるような場合ということだけでなく、一番大事な点は、人事院勧告の完全実施に伴いという点も憲法に違反しないための要件、こういうふうに考えてよいのか。

 こういう質問に対して、当時、小川大臣は副大臣であられて答弁されておって、まさに人事院勧告そのものが公務員の労働基本権、憲法上保障された公務員の労働基本権を制限するための代償措置ということであるわけでありますから、私としても委員が考えるのと同じように考えたいと。人事院勧告の完全実施ということ、これが憲法をクリアする要件だ、こういうふうに答弁されていますが、それとの関係はどうでございますか。

小川国務大臣 たしか、そのときの発言の趣旨は、労働基本権というものが制限されている中で、その代償措置として人事院勧告というものがあって、公務員の給与が定められている。そして、その人事院勧告に基づいて定められた一般職の公務員の給与に準じて裁判官の報酬が定められている。こういう中で、一般職の公務員の給与が、人事院勧告といういわば客観的な判定ではなくて労使の交渉によって決まるとなると、では一般職の給与に準じて決まっていた裁判官の報酬は、これは労使で決まるものではないし、人事院勧告という客観的な基準によるものではない。そうすると、一般職の公務員の給与が労使交渉で決まるということになった場合に、裁判官の報酬は何をよりどころにして決めていいのか、そんな観点からの疑問を呈したわけでございます。

 仮に、人事院勧告がなくなって一般職の公務員が労使関係で決まるとなった場合に、では裁判官の場合にはどうするか。これは国会の法律で決めることになるわけでありますが、そして一般職の給与等を勘案して、やはり合理的な範囲で決定していくということになるのかなというふうに思っております。

大口委員 その点につきましてはまた後で質問させていただきますが、人事院勧告というものが裁判官の給与の基準の一つの正当性といいますか根拠づけるものである、こういうふうに認識されていたということですね。

 そこで、先ほどの岡田副総理の件でお伺いしたいんですが、今回の裁判官の報酬削減の特例措置というのは、これは私も法務省から聞いたんですが、一部は、〇・二三は人事院勧告を実施している、そしてそれ以外については、復興の財源としている、それから二年間の時限立法である、こういうことで今回は憲法に抵触しない、こういうふうに法務省あるいは最高裁から聞いています。

 そこで、岡田副総理が、民主党がさきの衆議院選挙のマニフェストで掲げた国家公務員の総人件費二割削減について、行政構造改革実行法案に削減目標として明記する、こういうふうに発言しているわけですね。これは、二年間の時限ということではなくて恒久的な引き下げだ、こういうふうに考えています。

 そうしますと、最高裁や法務省で、時限的であるということが憲法問題をクリアするもの、こういうふうに言っているわけですね。今法務大臣は、裁判官、検察官についてもマニフェストの二割削減に含まれる、そして、岡田副総理の発言というのが恒久的に引き下げるということを法律で書き込むという場合、裁判官に対する独立という観点からどういうふうにお考えなんでしょうか。

小川国務大臣 まず、総人件費の二割削減の中に裁判官、検察官も含めるということでございますが、その趣旨としまして、裁判官、検察官も同じ比率で二割引き下げる、こういう趣旨ではなくて、裁判官、検察官も含めて公務員全体の中の人件費として二割引き下げるということでございますので、必ずしも、恒久的に裁判官、検察官の人件費を、いわば報酬を二割減額するということを意味するものではないと思っております。

 ただ、ではどのくらい削減するのかということは、これは全体の中で決めることでありますが、そうした中で、やはり報酬の引き下げということも現実的にはあり得るわけでございます。

 その引き下げにつきまして、許されるかどうかという御質問だと思いますが、先ほど述べましたように、それが裁判官あるいは司法に対する圧力というものではなくて、国の経済状況あるいは国民一般の給与というものの水準が変われば、それに応じて裁判官、検察官の報酬、俸給が変わるということは憲法上許されるのではないかというふうに私は考えております。

大口委員 今大臣が裁判官の報酬の決定方法について言及をされました。前回私が質問したときも最高裁の方で答弁がありまして、裁判官については、憲法によって報酬あるいは身分といったものについて強い保障を受けているとともに、職務の執行についてはその独立性が強く保障されているわけである。一般の勤労者のように、使用者と対等の立場に立って経済的地位の向上あるいは労働条件の改善を図る必要がない。このような理由から、裁判官に労働組合を結成し、またはこれに加盟する権利は認められない、このように理解し、承知しておりますということですから、今回も、昨年の六月に国家公務員法関連四法案が提出されて、その中で、一般職の国家公務員については協約締結権を付与する、それから人事院あるいは人事院勧告制度の廃止をする、公務員庁等を設置する、こういうことなわけですね。

 そうしますと、では裁判官はどういう形で給与、報酬を決定するのかということが大きな問題になるわけです。既に関連法案は昨年の六月に提出されているわけですから、裁判官の報酬の決定方法についても当然検討されてしかるべきである。しかも、私も一昨年にこの問題は提起をしているわけであります。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、第三者機関である人事院の勧告に準拠して裁判官の報酬は決定されていた。それが、仮に国家公務員の関連四法案が成立した場合、人事院勧告がなくなり、裁判官の報酬を決める公正かつ合理的な基準がなくなるのではないかという懸念があります。大臣も人勧について言及されたとおりであります。裁判官の職権の独立を侵さないような報酬の決め方をしなくてはならないわけでありますが、協約締結権が認められない裁判官について、どのような仕組みで、何を基準として報酬の改定を行おうと考えておられるのか。これは、例えば労使交渉により決められた一般職の国家公務員の給与に裁判官の報酬が準拠するというふうなことは、司法権の独立の観点から適当ではないのではないかな、こういうふうに考えるわけです。

 この点、法務大臣、そして最高裁から見解をお伺いしたいと思います。

小川国務大臣 確かに委員御指摘のとおり、人事院勧告がなくなりますと、何に準拠するのかという点がございます。

 今後、そうした第三者の判定機関といいますか、設けるというアイデアもあるのかもしれませんが、しかし、一般職の公務員が労使交渉で決まったといいましても、やはりそれは一つの参考として判断するでありましょうし、そのほか、民間の給与等も参照にして、良識を持って、これは最終的には給与法を国会で決めることになりますので、良識を持った国会の対応でやっていくことであるのかなというふうに思っております。

安浪最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 人事院勧告がなくなった場合のことでございますけれども、今後の一般の国家公務員の給与の改定の状況、内容を踏まえた上で、改定の時点における具体的な諸情勢などを踏まえつつ、裁判官の職権行使の独立性に影響を及ぼすことがないかなどを慎重に検討し、判断していくことになるものと考えております。

大口委員 国家公務員法の関連四法案を成立させる気がおありなのかなと、今大臣の御答弁を聞いて思ったわけでございます。

 人勧がなくなるわけでありますので、当然、裁判官の報酬をどう決めるのか、これは大変重要なことでございます。本来からいえば、そういう検討の会議を設けて、そしていろいろと諸外国の例も参考にする、あるいは、諸外国にいい例がなければ独自で検討していくということをやはり真剣に、もう既に昨年六月にこの関連四法案は提出されているわけですから、協議をすべきではないかなと。そして最高裁も、これは他人事じゃなくて、裁判官の、司法権の独立という憲法上極めて重要な問題なわけですから、これは何か法務省待ちというようなことであってはならないわけであります。

 そういう点で、私どもも一昨年に指摘した問題ですから、この問題については検討の会議を早急に設けるべきじゃないか。そういうようなこともちゃんとにらみながら国家公務員の関連四法案については議論していくべきじゃないかな、こういうふうに思いますが、大臣、いかがですか。

小川国務大臣 委員の御指摘、ごもっともだと思いますので、裁判官の報酬の決め方についてどうするか、検討する機会を設けていきたいと思っております。

大口委員 本来からいえば当然やられていると思うんですが、検討会を持つということでございますから、早急に持たれた方がいいんじゃないかなと思います。

 そういうことで、これは検察官も、実は検察官の場合は一般職の公務員と同じように団体交渉権があって、今回、四法案で協約締結権というものが認められると。その場合、検察官は労働組合をつくって、そして労使交渉でやられるのか。それとも、裁判官の報酬が決まったらそれに準拠するのか。そのあたりはどうなんでしょうか。

小川国務大臣 なかなか鋭い指摘でございまして、今は裁判官に準じて検察官も、同じ資格であるとかいうような観点から、同じ俸給表になっておるわけでございます。それで、これまでは基本的には人事院勧告というものに準拠しておりましたから、食い違いというものは生じない構造であったわけですが、確かに委員が御指摘のように、裁判官は裁判官で報酬を決める、検察官は労使交渉の成果だとなると、違う場面が出てくるかもしれませんし、あるいは、決定方法が違うものを同じに合わせるというのも確かに不合理な面が生ずるかもしれません。

 実際には、検察官は労使交渉で決めるといっても、それはやはり、労使交渉で決まったことを内閣が法案として提出して国会で審議するということになるわけでございますので、その過程の中で乱れがないような統一的な対応ができるものとは思いますが、しかし、論理的には、やはり委員が御指摘される問題もございますので、裁判官の報酬の決め方のあり方を検討するとともに、検察官についても、あわせて検討したいと思います。

大口委員 一昨年私が指摘したことについて、全く無視されていた。それで、昨年六月にこの関連四法案を出しても、まだ検討会は持たれていない。今回私が指摘して、やっと検討会を持つと。

 こういうことからいきますと、本当に、国家公務員の関連四法案について成立を目指す意欲というものはもともとなかったのかな、あるいは、法務省、最高裁判所のこの問題に対する意識が非常に低いということがはっきりしたわけでございまして、残念ではありますが、挽回をしていただいて、しっかり真剣にこれは検討をされた方がいいんではないかなと。それを見てやはり私どもは判断していかなきゃいけない。まだまだ国家公務員関連四法案を議論する条件さえ整っていないということが明らかになった、こういうふうに思う次第でございます。

 それでは、法曹養成のことについて最後にお伺いしたいと思いますが、今、法科大学院の入学志願者が激減している。合格率も二三・五と。昨年は六千七百二人不合格になっている。五年で三回失敗したらこれはもう受けられないということで、千三百人の方が昨年資格を喪失した、こういう深刻な状況であります。本当に今、法曹養成制度というものが根本から、大きな危機的な状況になっています。

 今フォーラムということで審議されていますが、私どもは、法律の根拠に基づく協議会を設置する、連携法というものの前倒しをしっかりするということを提案しているわけです。法務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

小川国務大臣 今、法曹養成フォーラムを省内に設けまして、さまざまな点に取り組んでおるわけでございます。これも、特に法曹養成フォーラムを設置する法律に基づいてある機関ではございませんが、しかし、ここで議論したことは十分法務省の政策として、もし改善する必要があれば、あるいは法案を提出する必要があれば、これは法務省が責任を持って法案を提出してまいりますので、特にこの法曹養成フォーラムが特別な法律によって設置されていないからといってその機能を果たせないということはないというふうに考えております。

大口委員 司法制度改革審議会で、十年前ですか、大変な議論をしてやったわけであります。それだけ重みのあることでございまして、フォーラムの参加者の先生方も、本当に我々が決めたことが実行されるのかと不安に思いながら一生懸命やっておられるわけです。やはり、ここは法的な根拠に基づいたものでしっかりやるべきである、こういうことを最後に申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

小林委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛です。

 本日は、小川法務大臣に初めての質問です。よろしくお願いします。

 きょうは、裁判官、検察官の給与法の改正案が本題でございますが、その前にちょっと、最近の検察の新たな不祥事が発覚した件について取り上げさせていただきたいと思います。

 まず、お手元に今、資料をお配りしているかと思いますけれども、資料一から四までつけさせていただいておりますが、済みません、七枚ぐらいめくっていただくと資料二というのがございます。

 資料二は、先週の金曜日でしたか、小沢元民主党代表の政治資金規正法違反被告事件、これは検察審査会のいわゆる強制起訴によって係属中の事件でございますが、その裁判で、小沢さんのこの事件での有罪立証の決め手となる秘書三人の方の供述調書を裁判の証拠として認めるかどうか、こういうことについての決定を裁判所が行ったわけです。私が用意したのは、その中でも特に重要と思われる、石川さんの供述調書の証拠能力のありやなしやに関する決定部分でございます。

 資料二をちょっと見ていただきたいんですが、私は大きく三つ、裁判所が問題点を指摘していると思っています。

 まず一つは、田代さんという検事が石川さんを取り調べたわけですけれども、田代さんは、身柄解放後も、再捜査のときに任意の取り調べをしています。そのときの取り調べの違法、不当を裁判所が言った部分、これが資料二の三ページ目です。

 まず、三ページ目の一番上の段落では、いろいろ書いていますが、末尾のところで、「被告人が起訴されないことを強く望んでいる」、被告人というのは小沢さんのことです。「被告人が起訴されないことを強く望んでいる石川にとって、強力な利益誘導であるといえ、虚偽供述に導く危険性の高い取調方法である。」と。その次の段落では、「前記の田代検事の説明の妥当性には問題があり、誤った前提に基づく取調方法であるともいえる。」さらに、その次の段落では、「石川が従前の供述を覆せば、検察において、石川に対し別件での再逮捕を含む不利益な取扱いをすることを示唆するものであって、石川が供述を覆すことを困難にするような強力な圧力でもある。」と。さらに、「そもそも、取調録音によると、調書の案文は、取調べ当日における石川の具体的な供述内容に基づいておらず、田代検事が勾留段階の調書の記載を基にするなどして一方的に作成したものとうかがわれるのであって、石川の供述を録取したものと評価できるかすら疑問がある。」ということで、「このような取調方法は、違法不当なものであって、許容できないことは明らかである。」と、取り調べを違法、不当と断じています。これがまず一点。

 さらに、資料二の十一ページをごらんになってください。二つ目の問題点は、今もちょっと出てきましたけれども、この再捜査に関する捜査報告書に虚偽の記載があったということを裁判所が認定している部分です。

 十一ページの真ん中あたりに(ウ)というのがあります。

 五月十七日の取調べの後、田代検事は、同取調べにおいて、石川が、「勾留段階において、選挙民は、私が被告人の秘書だったという理由で投票したのではなく、私という個人に期待して国政に送り出したのに、やくざの手下が親分を守るためにうそをつくのと同じようなことをしたら、選挙民を裏切ることになると、田代検事から言われて、堪えきれなくなって、被告人の関与を認める供述をした。」旨述べ、また、「今更被告人が関係なかったと言っても信じてもらえるわけがないし、かえって、口止めをしたに違いないとか、絶対的権力者なんだと思われる。」旨述べて、それまでの供述を維持することを決意したことなどを記載した捜査報告書を作成しているが、これらの記載は、取調録音によれば、五月十七日の取調べの内容としては、事実に反するものである。田代検事は、同捜査報告書について、「同日の取調べの後に数日かけて作成した際、記憶の混同が生じて事実に反する内容になった。」旨公判で供述するが、同捜査報告書が問答体で具体的かつ詳細な記載がされていることに照らすと、あいまいな記憶に基づいて作成されたものとは考え難く、記憶の混同が生じたとの説明は、にわかには信用することができない。

ということで、捜査報告書を意図的に虚偽のものにしたということを認定していると考えられます。

 さらに三点目、次のページですけれども、これは裁判所が、田代検事だけではなくて特捜部の組織的な取り調べの違法性があったということを記述している部分です。

 真ん中あたり、「しかも、」の後ですけれども、吉田検事による取り調べの際、

 石川に対し、建設会社からの献金受領の事実を中心に取り調べた上で、これを認める供述を得られず、取調べメモを石川の目前で破るという行動に出たことが認められる。また、同月二十六日、石川の政策秘書も、特捜部所属の検察官から、陸山会事件とは異なる事実について厳しい取調べを受けたことも認められる。これらの事実は、石川に献金の受領や被告人の関与について供述を迫るため、田代検事と共に、特捜部の複数の検察官が石川に圧力をかけていたことをうかがわせるものであり、ひいては、前記の田代検事の取調べは、個人的なものではなく、組織的なものであったとも疑われる

というくだりがあります。

 以上三点、再捜査の取り調べの違法、不当、それから捜査報告書の虚偽記載、さらに組織ぐるみの違法な取り調べ、こういったことを裁判所が認定しております。この点について法務大臣、どのようにお考えになるか、お願いします。

小川国務大臣 まさに検事の取り調べの違法あるいはそれが組織的ではないかというような裁判所からの判断を受けたということは、これはまことに残念、遺憾なことであって、決してそういうような取り調べがなされては本来いけないことでございまして、あってはならないことでございます。あってはならないということが、裁判所からそのように指摘されたということは非常に重く受けとめて、そうしたことがないようにしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

階委員 重く受けとめてどのように具体的に取り組むかということをこれからお尋ねしていきます。

 まず、この今読み上げた決定では担当検事の捜査報告書の虚偽記載を認定しているわけですけれども、虚偽公文書作成、行使の罪が成立し得ると思っております。

 前田元検事が村木さんの裁判でフロッピーディスクを偽造したという事件がありましたけれども、あのフロッピーディスクの偽造は、結果的に裁判所には正しい捜査報告書が出されて、偽造された内容は証拠になっていなかった。したがって、実害はなかったとも言えるわけです。

 ところが、今回は、この偽造の捜査報告書に基づいて検察審査会が、それを判断の有力な材料として強制起訴という結論になっているということで、実害が生じている。その意味では、前田元検事の事件よりもこちらの事件の方が重いとも言えるわけです。

 そうしたことも踏まえて、私は直ちに捜査に着手すべきではないかと思っております。この点、どうでしょうか。

小川国務大臣 確かに、捜査報告書の記載、これが客観的な録音というものと対比して、事実と異なるというものであるようでございます。こうした、事実と異なるような捜査報告がなされる、あるいは捜査報告書が作成されるということ自体、これも決してあってはならないことでございまして、こうしたあってはならないことが起きたということは、私自身も、非常に重大な関心を持って取り組みたいというふうに思っております。

 委員の御指摘は、これは犯罪行為であるから直ちにということでございますが、既にこの件に関しましては告発を受けております。告発を受けて、今後一つの具体的な捜査内容となるわけでございますので、具体的な捜査内容に関することにつきまして法務大臣が具体的に指示したり、あるいは説明するというのは好ましくないと思っておりますので、答弁としてはこの程度で控えさせてください。

階委員 今の点についてですけれども、前田元検事の事件では、新聞にそのスクープが出た当日に前田さんは逮捕されていたと思いますが、今回はそういった動きが全く見えないんですよね。法務大臣としては、このような状況で問題ないというふうに思っておられるのかどうか。もっと迅速に検察が動くべきではないかと思うんですが、どうでしょうか。

小川国務大臣 委員の御意見もわからないわけではないんですが、いわば、小沢さんの裁判ですか、この裁判が現に進行中であるということも考えますと、裁判に何らかの影響を与えるということも十分にあるわけでございます。

 なかなか、率直に言いまして、微妙な裁判の中に影響を与えるようなことがあってはならないというふうに考えますと、そこのところも動きづらいわけでございますが、ただ、具体的に、ではいつ捜査に着手するのかとか、捜査をどうするのかということにつきましては、まことに申しわけございませんが、私の口からは説明を控えさせていただきます。

階委員 本来、前田元検事よりも重く受けとめなくてはいけないこちらの事件の方に、しかも、あの当時から検察の信頼回復というのは至上命題になっているにもかかわらず、いまだ、今の段階でまだ明確な動きが見られないということはゆゆしきことだということを御指摘させていただきます。

 その上で、次に私が問題だと思っていますのは、先ほど申し上げた石川さんの再捜査の取り調べに違法、不当があった、その前の身柄拘束中の取り調べについてもいろいろな問題があって、小沢さんの事件への関与を示す石川さんの供述調書は全部、証拠として却下されました。

 ということは、どういうことになるかといいますと、お手元に資料一というのがありますけれども、これは検察審査会が小沢さんを強制起訴すべきとした議決の要旨でございまして、この議決の要旨を見ていくと、二ページ目以降、検察審査会の判断ということで、B供述の信用性、Bというのは石川さんのことです。それから、次のページにはC供述の信用性、さらに次のページには被疑者供述の信用性ということで、後でよく読んでいただければわかるんですが、Cというのは池田さんで、池田さんは取り調べ段階で供述を変遷させています。小沢さんは、自分は知らないということで否認しています。小沢さんの事件への関与を積極的に認め、かつ、その供述を一貫的に維持しているというふうに捉えられているのが石川さんで、その石川さんの供述が信用できるということで強制起訴になっているわけです。

 ですから、石川さんの供述調書が今回の決定で全部却下されたということは、この検察審査会の起訴議決の根拠が失われたというふうにも言えるわけです。

 このことについて思い起こされるのは、昨年の七月でしたでしょうか、引き返す勇気ということで、検察改革の一環として検事総長が言われていたと思うんですけれども、「「引き返す勇気」を実効化するための体制として、以下の事由が生じた場合には、高等検察庁に報告し、地検、高検において公訴の取消しや無罪論告の必要性を含めた公判遂行の方針について協議し、その経過・結果を最高検に報告する」ということで、以下の事由の2として、「その供述内容が有罪立証の重要な柱となっていた参考人が捜査段階とは異なる証言をし、当該参考人の調書の二号書面請求も却下された場合」ということで、まさにこの2に当たるのが今回の場合だと思っています。

 ところが、問題となるのは、公訴取り消しをしようにも、公訴を提起しているのは今回検察ではありません。ただ一方で、引き返す勇気をまさに発揮すべきような、そういう不祥事が生じているわけです。

 ここで、検察を所管する法務省としてどのような対応をとるべきと考えるか、この点についてお聞かせください。

小川国務大臣 まず、検察審査会の起訴が誤った証拠に基づく判断でという御指摘がございました。私自身は新聞報道でそうしたことが今現に行われている裁判の大きな争点になっているというふうに承知しておりますが、その現に進行中の裁判の中で大きな争点になっていることについて、法務大臣として見解を述べるということは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 それから次の、引き返す勇気という点でございますが、今の検察審査会による強制起訴というのはちょっと普通の検察官の起訴と違いまして、そもそも検察審査会あるいは検察審査会の議決によって起訴しました指定弁護士というものは、法務省の指揮下に、あるいは監督下にあるわけでないものでございまして、その指定弁護士に対して何らかの指示を与えるという権限もないというふうに思っております。

 また、公訴の取り消しということになりますと、これは法律で強制起訴というふうに強制的に起訴が義務づけられている事件につきまして公訴の取り消しができるのかどうか。ただ、できないのかもしれないし、できるという法律解釈に立っても、それはあくまでも指定弁護士が独自に判断することでありまして、法務省、法務大臣がそれに干渉するという立場でないということは御理解いただきたいというふうに思っております。

階委員 それでは無責任だと思っていまして、この取り返しのつかない強制起訴、小沢さんは現在、党員資格も停止されて、政治活動に重大な制約が加えられているわけですけれども、そういう事態が生じたきっかけは、まさに違法、不当な取り調べで、原因の種は検察にあったわけですよ。でも、検察審査会が起訴したことだから後は知りませんというのは余りに無責任だと思っていまして、現行法制度上、検察審査会が起訴したことについては検察は引き返す勇気は発揮できないんだというのであれば、それは制度の不備だと思っています。検察の取り調べがおかしかったということを裁判所も認定されて、供述調書も却下されているわけだから、必要があれば法制度も考えるべきだと思います。その点についてはどうですか。

小川国務大臣 確かに、強制起訴を導入した検察審査会法が改正された後、強制起訴が何件か出ておりますが、そうした事例を踏まえて、改正すべき点、検討すべき点があれば、これは当然検討すべきものと思っております。

階委員 検討すべき点があると思いますので、ぜひ法務大臣には早急に、検察審査会に事件が移った後、引き返す勇気をどのように検察として実効化するか、引き返す勇気を持とうということを言っているわけだから、その点についてぜひ御検討をお願いします。

 あと、もう一つ、組織的な問題があるということも先ほど御指摘しました。裁判所が組織ぐるみだと言っているわけですから、私は、検察の在り方検討会議の再開などで、特捜部の問題をいま一度取り上げるべきだ。あのときも、特捜部を解体すべきだという議論もあったと思うんですが、その点についても御見解をお聞かせください。

小川国務大臣 特捜部のあり方も含めて、検察が正しい検察であるということを目指しまして、引き続いて改正には全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っております。

階委員 ぜひその点も、在り方会議の再開も含め御検討をお願いします。

 それでは、本題に移らせていただきますけれども、まず、裁判官の報酬の改正法についてお聞かせいただければと思います。

 最高裁に聞きますけれども、今回の改正法案が成立して給料が下がる。一方で、裁判所職員定員法の改正法案が予算関連ということで今国会で審議される予定になっているかと思います。資料の三につけてありますけれども、判事の員数を三十人増加するということです。

 こういう報酬の面での削減と定員の面での増加ということがミックスされた結果、これらがいずれも成立すれば、裁判官の総額報酬、平年度ベースで考えていただきたいんですが、幾ら削減されるか、数字を教えてください。

安浪最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 現在、積算の作業を進めているところでございますが、両改正法案が成立した場合、報酬及び諸手当を合わせまして、総額として約四十五億二千万円が削減されるものと見込んでおります。

階委員 そこで、私が思うのは、今回、給与は削減されますが、定員の方ですけれども、三十人増員されるようでございます。

 資料四という最後のページを見ていただきたいんですが、裁判官の今の定員と実員と、その差分である欠員というのが平成十四年から時系列で掲げられております。裁判官は左側の方ですけれども、これをずっと見ていきますと、平成十四年は八十六人ぐらい欠員があった。これは欠員という欄を裁判官の部分だけ合計すると、平成十四年は八十六人。以降、八十九、七十六、九十三、平成十八年ぐらいからふえまして、百二十三、百九十八、二百十九、二百三十五、二百二十五、直近、平成二十三年は二百二十六ということでございまして、三十人ふやさなくてもこの欠員の中で十分対応できるのではないか、欠員がこれだけ余っているわけだから定員をふやす必要はないのではないかと思うのです。

 そもそも、法務省へ裁判官が出向したり、最高裁の事務総局で裁判外の業務に従事している裁判官というのもいらっしゃると思います。こういった、欠員がある程度数が多いということと、裁判以外の仕事に従事している方もいっぱいいらっしゃるということであれば、増員の必要はないと思っています。

 まず、事実関係として、裁判外の業務に従事している裁判官の人数、法務省への出向の人数、教えてください。

戸倉最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 平成二十三年十二月一日現在、裁判所から法務省へ出向している裁判官は九十九人でございます。また、最高裁判所の事務総局で裁判外の業務に従事している裁判官は五十七人でございます。

階委員 今お聞きしたように、九十九人と五十七人、合わせて百五十人余りが裁判官以外の仕事に従事している。こういった部分も改善していくことにより、場合によっては事務総局で仕事をするのは裁判官じゃなくて事務官でいいわけですから、そういったことも考えれば、増員する必要はなかったのではないかというふうに思います。

 なぜこういうことを申し上げるかというと、定員については、各府省、行政府の方は今回、史上初めて全ての府省が純減ということをしました。ところが、裁判所だけは、裁判官だけは三十人の増員ということで、私は、行政府と立法府、今、身を切る姿勢を示すということでいろいろやっていますけれども、司法の独立、先ほど大口先生も言われたように大事なことではございますけれども、今の国家財政の状況などを考えていただいて、司法府は司法府で身を切る姿勢を示すべきではないか、定員についても必要があれば減らしていく、こういう姿勢が必要ではないかと思いますが、この点について、最高裁、お願いします。

戸倉最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所につきましては、事件の申し立てがございますと、法令に定められた手続にのっとりましてこれを適正、迅速に解決しなければならない、こういう責務を負っております。したがいまして、事件に関しましては裁判所の側で業務の量をコントロールすることが困難である、こういった職務上の特殊性があるということをまず御理解いただきたいと考えております。

 しかしながら、一方で、今委員が御指摘のような、現在の国を挙げての厳しい財政状況への取り組みということについては、裁判所としても十分考えておるところでございます。

 その関係で、先ほど申し上げましたような、事件を担当する部門、裁判部門につきましては、民訴事件あるいは家事事件の事件増等に対応して適正、迅速に対応するために裁判部門を充実するということで、判事の三十人の増員をお願いする、あるいは書記官の増員をお願いするということをしておるわけでございますが、他方で、司法行政部門につきましては、私どもとしましても最大限の合理化努力をいたすということから、これは政府の定員合理化計画への協力として六十五人の技能労務職員の削減ということを当初申し上げておりましたけれども、さらなる合理化分を検討いたしまして、三十人を上乗せいたしまして九十五人の削減ということをいたした次第でございます。

 その結果、裁判所の職員の定員法につきましては、裁判官以外の職員につきましては過去に例のない規模でのマイナス改正をするということになったわけでございまして、こういった裁判所としてできる限りの努力を行っておるということを何とぞ御理解いただければというふうに考えております。

階委員 今、裁判官以外のところは減員したんだということですけれども、それも含めてもプラスマイナス・ゼロで、ほかの府省はマイナスになっているということもお含みおきいただければと思います。

 そうしたことで、裁判所におかれてもぜひ身を切る覚悟を示していただきたいということを申し添えまして、今回の裁判官の報酬改正法については賛成をしたいと思っています。

 最後に、検察官の俸給改正法案について法務省にお聞かせいただければと思いますけれども、なぜ検察官も行政府の一員なのに俸給は特別法の対象なのかという素朴な疑問について、大臣からでよろしいですか。では、お願いします。

小川国務大臣 検察官の職務そのものが司法に準ずる準司法的な職務であると同時に、資格がやはり同じ資格から、その養成課程も裁判官と検察官は同じでございますので、やはり裁判官と同じにすべきではないかということから、一般職の給与とは違いまして、検察官の給与につきまして、裁判官に準ずる形で特別な法として俸給を定めておるわけでございます。

階委員 今回も、一般職の給与法とは別に、この裁判官、検察官である。あとは自衛官というところも別枠なわけですよ。自衛官の方は、東日本大震災の件で大変な御尽力をされたということで、配慮すべしということが与野党協議で固まったようでございますけれども、逆に、検察官についてどうなのか。

 先ほど申し上げましたように、不祥事が相次いでいる。そうした中で、むしろ、特別法ということで別枠であることを鑑みれば、この部分についてはさらに深掘りするということも場合によっては考えられるのではないかと思います。通告しておりませんが、そういったことについてはどう思われますか。

小川国務大臣 やはり、検察官につきまして、国民の信頼を得られるような最大限の努力をする形によって、しっかりと応えていきたいと思います。

階委員 検察官の信頼なくしてこの国の治安と正義は守れないという思いは一緒でございます。

 ただ、余りにもずさんな捜査のやり方、あるいは捜査報告書に虚偽の記載をしているとか組織ぐるみであるとか、こういったことを根絶しない限りはこの国の検察の信頼回復はなく、治安の維持であるとか、あるいは国民生活の安心ということもままならないのではないかと思います。

 きょう、いろいろ御指摘申し上げましたけれども、新たな検察の信頼回復のための取り組みをぜひ早急に進めていただくようお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小林委員長 次に、城内実君。

城内委員 自由民主党・無所属の会の城内実でございます。

 まず冒頭、先般手術を受けられた天皇陛下の一日も早い御快癒を心からお祈り申し上げます。

 次に、小川大臣、さきの選挙から六人目の法務大臣ですけれども、御就任おめでとうございます。

 本日は、三つの質問をさせていただきます。裁判官の報酬、検察官の俸給等に関する質問と、二つ目は人権侵害救済機関、三つ目は司法修習生の問題について質問します。

 まず、質問に入る前に、先ほどの階委員の小沢一郎事件についての質問におきまして、階議員から、検察審査会における強制起訴について、重要な供述調書が証拠採用されなかった、強制起訴をとめるという制度設計も含めて考えるべきではないかという発言がございました。それに対して、大臣は検討するというような答弁をされましたが、これは、今行われている司法プロセスに対する悪影響を及ぼすというふうに考えられませんか。

 私は、この大臣の今の御答弁は大変問題があるというふうに考えております。後刻理事会でしっかりと取り上げていただきたいと思いますが、いかがですか。

小川国務大臣 私の答弁そのものは、階委員が提案した具体的なことについて、それを具体的に検討するという趣旨ではなくて、検察審査会法が改正されて何件か強制起訴された、そうした中で、いろいろな事例で改正すべき点がもしあれば改正も検討しなければならない、このように答弁したと思っておりますが。

城内委員 いや、一般論としておっしゃったようなことをおっしゃいますけれども、現に、これは国民も非常に関心を持って、重要な裁判なわけですよ。例えばこれにかかわっている方々に予断を与えるようなことがあっていいんでしょうか。私は、これは決してよくないと思いますよ、大変誤解を招きますから。その点について、どうですか。

小川国務大臣 私自身も、具体的な事件の中身に関しましては裁判官なり指定弁護士が独自に判断すべきことでありますので、法務大臣としては、意見を控えさせてくださいということで、事件に関しての意見は述べていないと思いますが。

城内委員 いや、ただ、それにしても、こういった問題については、大臣としては答弁を全く差し控えるべきじゃないですか。

 現に行われている裁判ですし、これは多分、階委員からすると、どちらかというと小沢議員の立場に立って質問したような印象を受けますけれども、であるからこそ、こういった質問については、大臣としては、現に今司法のプロセスであるからお答えできませんと言うべきではないかと私は思いますが、どうですか。

小川国務大臣 あくまでも、先ほど申し上げましたように、この制度の一般論として、これから具体的に事例が起きて検証すべき点があれば検討するということを一般論としてお答えしたわけでございますので、具体的な個々の案件について具体的にお答えしたというつもりは全くないのでございますが。

城内委員 具体的な個々の案件については踏み込んでいないと申しますけれども、こういったことについて、これは、大臣なんですから、大臣がこういう答弁をするということは、何度も言うように、今行われている司法手続に悪影響を及ぼしますから、もっと慎重に、答弁は差し控えますというふうに言うべきじゃないですか。

小川国務大臣 委員の御主張の趣旨もわかることはわかるんですが、ただ、委員会でいろいろ議論しましてさまざまな検討課題が提案されれば、やはりそうした点については、検討すべき点があれば検討していくということも議論として当然あってしかるべきだと思いますが。

城内委員 済みません、もう堂々めぐりになっちゃうので私もここでやめますけれども、これはしっかりと理事会で議論していただきたいと思いますが、よろしいですか、お約束いただけますか。

小川国務大臣 ですから、私の趣旨としましては、具体的なことに関しては何も意見を言わずに、ただ一般論として述べただけだということを御理解いただきたいと思っております。

城内委員 全く納得できませんね。

 こういった問題については、本当に大臣として軽率な答弁だというふうに私は理解しておりますけれども、そう思いませんか。

小川国務大臣 私は、今言いましたように、一般論として、議論の結果、検討課題があれば検討するというふうに述べただけだと思っておりますので、そういったことで御理解いただきたいと思います。

城内委員 もうこれはやめますけれども、もう一度言いますけれども、強制起訴をとめるという制度設定を含めて考えるべきではないかということについて、一般論としてでも、検討しますと言うのは、これは本当に非常識な答弁だというふうに私は思います。

小川国務大臣 私の答弁そのものは、検察審査会法が改正されて、何件か強制起訴された件があるということをおきまして、そうした中で、運用の状況を見て、検討すべき点、改正すべき点があれば検討するという、まさに一般的なこと、ほかの事件も含めて答えたというふうに思っております。

城内委員 済みません、全く納得できません。

 これは今まさに、階議員は、小沢事件という個別の今まさに司法でプロセスが行われている案件についての質問なわけですから、大臣としては、一般論とはいえ、そういう答弁を全くすべきでないし、この司法プロセスにかかわっている人たちが今の大臣の、一般論とはいえ、検討するみたいなことをおっしゃったということは、では、撤退するかなんという予断を与えないかどうかと私は非常に心配なんですよね。これは全く大臣としては、大臣なんですから、それはやはり……(発言する者あり)いやいや、こういった答弁は私は軽率だと思います。

小林委員長 不規則発言をしないように。

 小川大臣からきちっと、いろいろありましたけれども最終答弁をお願いします、整理して。あとは理事会で。

小川国務大臣 何回も同じですが、また、私自身は、例えば、そうした起訴、公訴の取り消し等につきましては指定弁護人が独自に判断すべきであるということはたしか述べていると思います。すなわち、私が指示すべきとか干渉すべき立場じゃないということで、具体的な発言は差し控えるということで控えさせていただいていると思います。

 そうした答弁とともに、ほかの例、検察審査会法が改正された後のことも含めて、ほかの件も含めて、改正すべき点があればもちろんそれは検討するということを述べたものでございまして、個別の事件につきまして予断を与えるような、そうした発言ではありませんし、またそうした意図は全くないということをここで述べさせていただきます。

城内委員 いや、意図があったら困りますよ。だから、誤解があるような答弁だから問題だというふうに私は指摘しているのであります。

 いずれにしても、私は、中立的な立場からしても、小沢事件で、小沢一郎議員を何か援護するようなすごい印象を強く感じました。何かそういう、今まさにそういうことを国民に対して誤解を与えるようなやはり大臣の答弁でしたよ、これは間違いなく。これは、国民が先ほどのやりとりをテレビで録画したものを見れば、そういう印象を与えますよ。だから質問しているんですよ、私は。

小川国務大臣 私の趣旨は、誤解を与えるものとは思っておりませんが、重ねて、述べましたように、誤解を招かないようなものだということを重ねて述べさせていただきます。

城内委員 繰り返しになりますけれども、本来、やはり大臣として、この問題については今司法プロセスで手続が行われているので、答弁は差し控えます、以上、おしまいという答弁であってしかるべきなんです。やはり私は、検討しますと言うと、何か非常にこれは関係者に悪影響を与える、予断を与えるような答弁だと思いますので、これは問題な答弁として理解しております。

 大臣、ぜひ、先ほどの答弁は間違っていたというふうに認めていただけませんか。

小川国務大臣 いや、だから、間違っているとは思っておりません。また、誤解がないように御理解いただきたいと思っております。

城内委員 誤解を招いたことは認めていただけませんか。私はそういうふうに受けとめましたから。我々の理事もそう言っているじゃないですか。

小川国務大臣 ですから、もしそのように誤解をされているのであれば、私が発言した趣旨は、法改正があった後のさまざまな、ほかの例も含めて、そうした検証を加えて、検討すべき点があれば、あるいは改正を必要とする点があれば、それを検討するという一般論を述べたものでございますので、個別の案件について、あるいは委員が提案したことについて、具体的に、それを検討すると述べたものではないということで御理解いただきたいと思います。

城内委員 いや、一般論であり、一般論であっても、個別の案件に全く影響を及ぼさないということはないわけですから、やはり私は、大臣の先ほどの答弁は非常に軽率だと思っております。

 時間がもうなくなってしまうので、質問を続行していいですか。

小林委員長 では、後刻理事会でやることにします。

城内委員 しっかりと理事会で議論していただきたいというふうに思います。

小林委員長 では、今の件については後刻理事会で協議いたします。

城内委員 はい。

 まず、裁判官の報酬、検察官の俸給等に関する質問ですけれども、当法案につきましては、削減分が大体六千億円と言われておりますが、震災復興目的に供されるということですから、私自身は基本的に反対することはありませんが、しかし、人事院勧告を超えた給与引き下げを複数年度にわたって実施することにつきましては、憲法違反に当たるのではないか、そういう指摘も一部ありますし、私も、これはかなりグレーゾーンじゃないかと思うんですね。

 この点について、大臣はどのように御認識されていますか。

小川国務大臣 裁判官の給与を引き下げてはならないという憲法上の規定は、その趣旨は、政府なり行政が裁判官に対して圧力を加える、あるいは司法全体に対して圧力を加えることによって司法が独立した判断を行うことを妨げるということがないようにという趣旨だというふうに思っております。

 そうしますと、今回は、大変な国難ともいうべき東日本大震災の復興のために国民全体がそこに向かっていこうというこの社会の要請からくるものだと思いますので、司法の独立を害するものではないと考えられますので、私は、憲法の違反には当たらないというふうに考えております。

城内委員 次に、ちょっとこれは通告はしていないんですけれども、そもそも、マクロ経済学的に見て、国家公務員の給与を一人平均七・八%、総額約六千億円というふうに言われておりますけれども、これだけ減らすということは、まさにデフレ要因以外の何物でもない。しかも、民主党政権はこれから消費税を上げると言っているわけですから、デフレ下で増税するということは必ず不景気を助長するということ、これは歴史的にも、例えば一九三〇年代のアメリカがよい例ですけれども、証明されているわけですね。こういった点について、所管は違いますけれども大臣はどう考えていらっしゃいますか。

 あともう一点は、そもそも、いろいろ法的な問題はあると思いますけれども、民主党さんは政治主導と言っていますから、みずからの身を切ると言うなら、まず国会議員の思い切った歳費削減をするべきではないかと思いますが、この二点について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

小川国務大臣 確かに、増税あるいは給与削減、圧縮ということで、消費に影響を与えるのではないかという意見があることはよく承知しておりますが、その一方で、やはり国が抱えている大変に困難な財政問題、あるいは、未曽有の大災害に苦しんでおられる被災者あるいは被災地域の支援というこの国家の要請も、大変大きいものというふうに考えております。そうしたバランスの中で、私は許容されるんではないかというふうに思っております。

 また、国会議員がということであります。

 一人の国会議員として意見を述べさせていただければ、やはり国会議員も協力すべきものというふうには考えておりますが、ただ、国会は、国民の広い各層から選ばれた、国民全体のための意見を述べなければならないというときに、決して富裕者だけが、富裕層だけが国会議員になれるというようなところまでいってはならないのでありますので、そうした観点からの見方も必要かなと。

 いずれにせよ、国会の各会派の中で議論していただければと思います。

城内委員 国会議員の歳費の削減の問題についても、ぜひ民主党内のみならず超党派で議論していただきたいというふうに思います。

 次に、人権侵害救済機関について質問させていただきたいと思います。

 この問題につきまして、私は、千葉大臣、柳田大臣、江田大臣、そして平岡大臣と、もう常にこの問題について質問してきたんですが、残念ながら、総じて、踏み込んだ納得のいく御答弁が得られませんでした。現在、この人権侵害救済機関については、三月中にも何か閣議決定されるといううわさが流れております。

 まず質問したいのは、小川大臣、昨年十二月六日に、これは法務省のホームページですけれども、「Q&A(新たな人権救済機関の設置について)」、これが出ました。私も熟読させていただきましたが、どうも推進派の弁明あるいは反論という面が強く出ているような気がします。したがって、これをよく私も勉強したんですが、これを見ても、なぜ人権侵害救済機関を設けなければならないのかということについて説得力がないんですね。

 ですから、この点については、小川大臣、ぜひ説得力のある御説明をいただけないでしょうか。

小川国務大臣 まず、国民の人権をしっかりと守らなくてはならないということは御理解いただけると思うんです。

 それで、今現在、法務省の人権擁護局が人権問題について取り組んでおるわけでございますが、この法務省の人権擁護局も、いわば法務省設置法の中でそうした部局があるということでありまして、人権問題についてしっかりと取り組むという、いわば人権に対する基本法的な位置づけがないわけでございます。

 また、国際環境の中で、やはり人権機関というものは政府の中でなくて、政府の外に独立して職務を遂行できるような機関であることが求められているというようなさまざまな状況の中から、今の人権擁護局が行っている人権擁護に関する分野を人権委員会という形で、独立したそちらの方で引き継いでいくことによって、人権を守るということの実効性をさらに確保していきたい、このように考えておるわけでございます。

城内委員 私も人権擁護については、これは大事ですから、人後に落ちません。これはもう絶対、人権擁護というのは大事な、どなたにもかかわる、国民全員がかかわる、あるいは日本に住んでいる外国人も含めて、あるいは世界じゅうの人たる人がかかわる重要な問題でありますから、これを全く軽視するつもりはないんです。

 ただ、人権侵害といってもいろいろありまして、公権力によるもの、あるいは私人間によるもの、いろいろあります。ですから、人権侵害事案を十把一からげに私は扱うべきではないというふうに思いますし、高齢者に対するいろいろな人権侵害、あるいはドメスティック・バイオレンス、障害者に対するもの、あるいは刑務官によるものとか、いろいろと細かくあるわけですね。

 また、例えば学校でのいじめについては、けんかなのか、単に悪気のないじゃれ合いなのか、本当のいじめなのか、これはなかなか判断は難しいと思いますし、これこそきちんと個別法を整備して、きめ細かく対処する問題であると私は思います。

 また、裁判所でもない人権委員会というような機関に判断を委ねるのは、ちょっと荷が重いのじゃないかなと私は思うんです。まさにいじめのような問題こそ、個別法をきちんと整備して、そして教育の現場である学校で指導するというのが私は一番適切な対応方法だと思います。

 また、こういった人権侵害救済機関が、パリ原則によるとよく言われておりますけれども、各国はつくるべきだ、日本も早くつくらなきゃいけない、そういう主張をされているようですけれども、パリ原則の主目的は、公権力による人権侵害を救済することであると私は認識しております。

 したがって、まさにパリ原則にのっとってこういった人権委員会のような人権侵害救済機関を設置すべき国というのは、例えば北朝鮮とか、アフリカの破綻国家、あるいは中国のような、例えばチベットの方々あるいはウイグル人に対するいろいろな人権侵害事案が今発生しておりますけれども、そういった劣悪な人権環境にある国に対する勧告であって、日本のように人権状況が比較的よい法治国家は、私は、必ずしもこのパリ原則にのっとって人権侵害救済機関を設置する必要はないと思いますが、その点について、大臣、どう思われますか。

小川国務大臣 最後の点だけちょっと簡単に述べさせていただきますと、確かに、日本は諸外国に比べて人権の意識あるいは人権を守るという仕組みがよくできているとは思いますが、しかし、そうしたことがない、ないというだけでなくて、やはり制度的にそうしたことが行われないような仕組みというものが必要ではないかという意味で、よりよい制度をしっかりと構築して、人権というものの擁護にさらに努めてまいりたいというふうに思っております。

城内委員 大臣は昨日、予算委員会で、柴山委員からの質問でいろいろ御答弁されましたけれども、その中でも、アメリカですか、そういったほかの国と比較して、では、アメリカとかドイツ、フランス、イタリア、いわゆるG8の国々に、全てこういった人権救済機関、日本の、これから、法務大臣が検討しているこういった人権救済機関があるというふうに認識されておりますか。

小川国務大臣 先進国の中で、たしかアメリカが、そうした独立の人権機関を持つ国それぞれが加盟する組織に加入していないという状況があるというふうに認識しておりますが、ただ、アメリカにおきましても、労働関係の分野における人権分野に関しましては、政府から独立した委員会というものを持っております。ただ、持っていても、政府から独立した委員会で構成する国際組織には入っていない、このような状況でございます。

城内委員 まさに大臣のおっしゃるとおりなんですよ。アメリカの例もそうなんですけれども、労働、雇用、そういった側面で不当な差別をなくす、例えば皮膚の色とか、どこの民族の出身だということで差別されないようにということでそういった人権に関する委員会が設置されているわけであって、これから、まさに大臣が検討されている、何でもかんでも、あらゆる人権を全て扱うというお化けみたいな巨大な人権侵害救済機関を設置している国というのは、世界百九十カ国のうちで、ほとんどないんですよね。ですから、私は、何で日本だけがこんなことをするのか、非常に理解ができないんですね。

 その点について、大臣、どう思われますか。

小川国務大臣 確かに、委員の先ほどの質問の中にもありました児童虐待なら児童虐待に関する法律、まさに、犯罪なら刑法、刑事訴訟法、労働関係なら労働関係法規、そうした法規と、それを救済する機関があるわけでございます。

 ですから、そうした救済手続がある分野におきましては、確かにそうした救済手続で救済を受けられるという面があるわけでございますが、しかし、そうした個別の救済法あるいは救済手続がない分野の人権侵害というものも、この社会上、たくさんあるわけでございます。今現在でいえば、委員が指摘されたようないじめということもございますし、あるいは中傷ビラをまくような名誉毀損とか、そういうような形もあるわけでございます。さまざまな形の人権侵害があると思うわけでございます。

 そうした中で、個別の法律、個別の機関があって対応できるものはもちろんそこで対応することが好ましいとは思いますが、そこにのらないものでしかし人権侵害があるものについてこれを保護するものがないというのが、やはり人権擁護の観点からは欠けるのではないか。

 そうした意味で、個別のものに関する手続があるものだけに人権を擁護するということではなくて、やはり幅広く人権を擁護するという考え方が私は必要なのではないかというふうに思っております。

城内委員 今、大臣、現行の救済手続では十分救済できない人権侵害事案が社会上たくさんあるというような趣旨の御答弁をされましたけれども、では、どれだけあるんですか。

 私の理解では、毎年二万件前後の人権侵害事案があって、うち、実に九九%が現行の制度で解決できているというふうに、これは法務省のレクでそういうふうに説明を受けた記憶があるんですけれども、では実際、現行の制度で救済できない社会上たくさんあるいじめ等の事案というのはどれだけあるのか、具体的に説明していただけませんか。

小川国務大臣 若干、認識がちょっと私と違うところがあるんですけれども、現行の制度でできないものを今回の人権委員会法案で新たに設けるというものではなくて、今、法務省の人権擁護局が扱っている、現在、幅広く人権侵害の全部を扱っておるわけでございます。これを広げるのではなくて、この人権擁護局という法務省の中にある部局を、今度は人権委員会という形で独立した組織に移行するということでございまして、人権の範囲とか人権の擁護のあり方というもの、これを広げる、厳しくするとか、そうしたものではない。いわば、最も基本的なことは、組織をそのように設けるということが主眼であるということを御理解いただきたいと思います。

城内委員 今、大臣、人権擁護局をまさに将来発展的に解消して人権委員会を設置するというような趣旨のことをおっしゃいましたけれども、だとすれば、まさに、政府から独立した機関ではなくて、実態上、人権擁護局が定員と予算をふやして人権委員会という巨大な組織に大化けして、今までどおり人権侵害事案に対処する、そういうふうに大臣はまさに答弁されたと私は理解するんですけれども。

 これまで、私は再三再四、この人権救済機関設置にかかわる人員、予算について質問しましたけれども、具体的な数値を挙げていただくような答弁を全くいただけなかったんですが、であるならば、まさにスクラップ・アンド・ビルドという時代ですし、まさに今、民主党さんは事業仕分けをしておりまして、予算を削って独法を統廃合している中、人権擁護局を廃止して、法務省の外局として人権委員会という巨大な組織をつくる、その正当な理由が私は知りたいんですけれども、まさに具体的な数字を挙げていただけないでしょうか。

小川国務大臣 人権委員会が巨大な組織に大化けするということではなくて、人権委員会ができた場合にも、しかし実際には、地方の今の法務局がやっているというものが同じ内容、あるいは人権擁護委員というものも同じ規模で移行するわけでございます。

 すなわち、人権擁護局を先に廃止してしまいますと途切れてしまいますので、人権委員会ができて、そこで今人権擁護局がやっているような人権擁護に関する事務を始めますと、人権擁護局が不要になりますので、これを廃止するわけでございます。

 規模的には、大化けするというようなことは決してない。いわば、横滑りというのかな、同程度の人員とか予算規模だというふうに考えております。この規模につきましては、もう少し、人権委員会ができるのとあわせて議論すべきことだと思っておりますが、決して組織の肥大化を考えてのことではございません。

城内委員 いや、まさに、同程度の横滑りであれば、何もそういった機関を設置する必要は私は逆にないと思いますが、聞くところによると、人権委員会は国家行政組織法のいわゆる第三条委員会として設置するというふうに聞いております。例えば、これに当たるのは公正取引委員会でありますよね。公正取引委員会というのは物すごい強い権限を持っているわけですが、これを例えば人権委員会が仮に持つとしたら、持ち得るわけですよ、三条委員会だったらね。

 ですから、これは公正取引委員会でしたら特定の企業しか対象になりませんけれども、人権委員会というのは、日本に住んでいる、それこそ御皇室の方々も含めて、あるいは外国人の方々を含めて、日本の国家主権の及ぶ領土内において全ての居住者が対象となるという、だからまさにお化けみたいな組織になり得るんですよ。

 そういう認識はないんですか。

小川国務大臣 公正取引委員会が調査権等、強力な権限を持っておりますが、これは、そういう権限を法律によって付与されているから、いわばそういう強力な調査権を持っておるわけでございます。決して三条委員会だから、イコール、強大な権力、権限を持っているというものではございません。

 この人権委員会、今、骨子にまとめております人権委員会は、器としては三条委員会でございますが、法律的にそのような強制権限を持った組織ではない。つまり、強制権限を法律上付与しないということを考えておりますので、公正取引委員会の例がそのまま当てはまるというものではないというふうに思っております。

城内委員 強制権限を持たせないというのであれば、三条委員会である必要はないんですよね。

 ちなみに、平成十七年、当時野党の民主党さんが出した人権侵害救済法案の中身を言うと、出頭要求や令状なしの立入調査、これは憲法三十五条違反と言われていますけれども、まさに警察もびっくりの強権を人権委員会に持たせようとしているんですよ。

 昨年八月、政務三役の基本方針を見ると、そこら辺は薄まっていますが、五年後に見直すなんということが書いてあるわけですから、何か、小さく産んで大きく育てるなんということを推進派の方々はおっしゃっているそうですけれども、最初は毒をなくしておいて、後になって、三条委員会なんだから、もっと強大な権限を持たせてびしびしやろうなんという話になりはしないかというふうに私は懸念するんですが、大臣はそういう御懸念はないんですか。

小川国務大臣 たしか、当時野党の民主党案を出しましたが、その民主党案を出す前に、当時、自民党・公明党政権でしたが、与党・政府案というものが人権法案で出てまいりました。その中には確かに特別調査というような強制権限が盛り込まれておったわけでございますが、それに対して大変な、それも含めていろいろな議論があって、その法案は成立しなかったわけでございます。

 今回は、そうしたさまざまな議論があったことを踏まえ、やはり特別調査というような強制手続は設けないという趣旨、内容で人権委員会というものを考えておるわけでございます。

 また、いわば、かつてそういう法案、特別調査、強制権限を含めた法案が出たということが、真意はそこにあって、入り口だけ、初めおとなしくという委員の御懸念かもしれませんが、そうした強制権限を付与するためにはそれを認める法律が必要でございますので、国会で審議を経て決まることでございますので、初めに優しく出て、後から強力になるというものと決まっておるわけではないわけでございまして、将来は、将来、国会で議論すべきことと思っております。

城内委員 いや、だから、何度も言いますように、そもそも最初から三条委員会である必要は全くなくて、まさに強制権限がない形であれば、百歩譲って、人権擁護局を外局の人権委員会として、これまでどおりしっかりと、例えば「人権の擁護」という冊子をつくっておりますけれども、人権啓発活動をしたり、地方法務局と連携して、個別の私人間のそういった人権侵害事案に対処するということで十分私は対応できると思うんです。大臣がおっしゃっていることが、何か余り、説得力に欠く感じがして仕方がないのであります。

 そもそも、先ほど申しましたように、毎年二万件前後ある人権侵害事案のうちのほとんどが現行制度で解決できています。比喩的に、ゴキブリにはごきぶりホイホイ、ネズミには殺鼠剤とかネズミ取りというふうに、個別にきめ細かくその人権事案に適した形で対応するというのが本来あるべき姿であって、何でも対応できる、まさにネズミやゴキブリを核兵器とかミサイルやナパーム弾で焼き尽くすみたいな、そういうちょっと危険な機関をつくって、これは問題だというふうに私は思っております。

 現に、先ほど述べましたように、人権擁護局のいろいろな人権啓発活動、むしろそこに予算をつけて推進して、まさに草の根で、子供たちにこの「人権の擁護」という冊子を教育の現場で読ませたり、理解させたり、勉強させたりする方がよっぽど有効だというふうに思いますけれども、大臣はそういうふうに思われませんか。

小川国務大臣 まず、前半部分の三条委員会がという器の問題ですけれども、我が国も国際社会の一員として、パリ原則が政府から独立した委員会を求めているという声にも応えたいということと、それから人権擁護推進審議会ですか、ここから答申いただいた際にも政府から独立した委員会という答申をいただいておりますので、やはりそれに応えたいというふうに思っております。

 それから後半部分ですけれども、委員御指摘のとおり、九九%が非常に平和裏にこれまでの人権擁護委員を初め関係者の皆様で解決しているということがありますが、やはり細かい事件も、細かい段階で適切な対応をすることによって大きな人権侵害行為になることを未然に防止しているという面も、しっかり評価すべきではないかと思っております。

城内委員 まさに、政府から独立したというのであれば、裁判員制度じゃないですけれども国民の間からそれこそ抽せんで選んで、本当に独立した人権侵害救済機関をつくって、本当に救済できない案件がどれだけあるのか知りませんが、そういった案件があるたびにそういう人たちに集まってもらって議論して、その対象者を説示するとか、地元の人権擁護委員と地方法務局の関係者とで連携してやれば全く済む話だと思うんです。私は本当にこれは理解に苦しみます。

 次に、昨日、柴山委員からも大臣に予算委員会で質問がありましたけれども、人権擁護委員の資格、これは地方参政権を持つ者というふうになっておりますけれども、大臣は、きのうの答弁にもありましたように、外国人地方参政権を認めるべきであるという立場でありますから、当然、将来、人権擁護委員に外国人がつくことが可能になるわけです、もしそうだとすると。それで、そのとき議論すればいいというふうなお立場ですけれども、大臣は、実際、外国人地方参政権を認めるべきだという立場ですが、人権擁護委員も外国人がなってもよいという立場か、そうでないか、はっきりとお答えいただけますか。

小川国務大臣 これは法務大臣、法務省の見解というよりも私個人の見解ということで述べさせていただきますけれども、私はやはり、人権を守るという、人権擁護の職務を行うのにふさわしい方であれば、必ずしも日本人に限定する必要はないのではないかと個人的には思っております。

城内委員 これは法務大臣としての答弁というふうに私は理解しますけれども、今の答弁、これは実は、過去、非常に問題になったんですよ。朝鮮総連という日本に対する非常に敵対的なそういった団体の者が人権擁護委員になるんではないか、そういう大きな懸念があって、これは大議論になった話なんですけれども、今の大臣の御答弁ですと、これはそういう人もふさわしい方としてなる可能性を開くという意味では非常に問題がある答弁だと思いますよ。いかがでしょうか。

小川国務大臣 法務大臣として答えれば、今の人権擁護委員の法律で選挙権がある者と限定されておりますので、現在、選挙権は国民にしかないので、国民しか、日本国籍を持つ者しか人権擁護委員になれないということでございます。

 また、将来どうするかということであれば、それは将来の国会で御議論いただければと思っております。

城内委員 この人権侵害救済機関について、私は、これは拙速に導入すべきではない、そういう立場ですけれども、もし仮に今の民主党政権が拙速にこれを導入して、小川法務大臣であった場合、そうしたら小川法務大臣のもとでそういった外国人の方も、ふさわしい方であれば、ふさわしいというのはいろいろな定義があると思いますけれども、人権擁護委員に外国人の方がなれるというふうに私は理解しましたけれども、それでよろしいですか。

小川国務大臣 いやいや、私の一存で決めることでもないし、法務大臣の権限だけで決まるものでもなくて、あくまでもこれは法律で決まることですので、それは、その問題、例えば今の法律でいえば、今地方参政権がある人が人権擁護委員に限定されておるわけですが、仮に地方参政権が決まるということであれば、やはりこれはその段階で、人権擁護委員の資格について議論して、その議論した中でそのときの国会が決めることだと思っております。

城内委員 今、大臣御自身の一存でとおっしゃいましたけれども、大臣は法務大臣ですからね。閣法ですよ。ですから、これは、今、答弁が食い違っていますから、ぜひちょっと理事会で取り上げて、いやいや、食い違っていますよ。(発言する者あり)

小川国務大臣 いやいや、一人の政治家個人としての御意見を尋ねられたので、先ほどは、一人の政治家個人の考えとして述べたわけでございます。

 ただ、法務大臣の今の立場としましては、言いましたように、人権擁護委員は地方参政権を持っている人に限られておるわけで、地方参政権は国民しか持っていないから、国民しかなれないということでございます。

 それで、将来、その地方参政権について、永住外国人なりがもし選挙権が認められた場合にはどうするのかということであれば、それは、そのときにそのときの政府なり国会が決めることだと思っております。今ここで私が決めることではありません。

城内委員 いや、でも、今まさに小川議員は法務大臣ですから、法務大臣としての答弁として私は理解しますし、現に、大臣の一存でといいますけれども、大臣がまさに法律をつくるわけで、だから、最初のその制度設計をするのは大臣なんですよ、まさに。にもかかわらず、そのような答弁をするというのは私はちょっと理解できません。これはぜひ理事会で協議していただきたいと思います。

小林委員長 では、この問題、理事会で後ほど議論します。

城内委員 いずれにしましても、これまで、千葉法務大臣から始まって、この問題について私は何度も何度も質問してきましたけれども、残念ながら、きょうも、大臣から納得のいく、説得力のある御答弁はいただけなかったんですよ。

 ですから、私は一野党の議員にしかすぎないんですけれども、ぜひ、きょう私が申し上げたいろいろな視点を御検討いただいて、何でそれを三条委員会にする必要があるのかとか、まさに外国人の地方参政権の問題とか、かつての議論とか、もう少し勉強していただいて、私が心配なく、これだったらいいよ、賛成しますよと、そういう説明をぜひしていただきたいんですけれども、大臣、約束していただけますか。

小川国務大臣 城内委員にも、あるいは、まだ人権委員会の法案に反対あるいは意見のある方にも、しっかりと理解していただけるよう努力したいと思います。

城内委員 大臣、ぜひお願いします。

 何度も言うように、これは本当に、一部の人ではなくて全ての日本に居住する人が、人間がかかわる問題ですから、相当慎重に例えば人権侵害の定義とかも定義づけないと、もう何でもありで、それこそ、独裁的な政府ができたら、この人権委員会をうまく利用して、おまえは人権侵害者だといってレッテルを張るというような、そういうまさに暗黒時代が到来するような危険性を持っているものであるということをぜひ御認識いただきたいと思います。

 まだまだ質問したいことがありますけれども、次回に持ち越すことにしまして、これで私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。

小林委員長 次に、稲田朋美君。

稲田委員 自由民主党の稲田朋美です。

 小川法務大臣、大臣御就任おめでとうございます。副大臣の時代には何度か質問したことがございますけれども、大臣に就任されて、きょうは初めての質問でございます。法曹出身者として大臣に期待するところも、見解はいろいろと違いますけれども、実は大きかったわけです。やはり、今まで民主党の法務大臣の中で、どなたとは言いませんけれども、全く法律的な素養がなくて、当委員会での議論が全く深まらないということもございましたので、その意味で、法曹資格をお持ちの小川法務大臣と深まった議論ができることを期待いたしております。

 その上で、先ほどの城内委員の質問を聞いておりまして、二点ほど、私として見過ごせないと思う点がありますので、お伺いをいたします。

 階議員は、小沢さんの検察審査会強制起訴の手続のその裁判資料、それから地裁における証拠の任意性が否定されたその裁判資料を当委員会に提出をされた上で質問をされたわけです。それに対して大臣は、強制起訴手続のありようについて見直しを検討されるということを当委員会でおっしゃるということは、私は、今、現在進行中の小沢さんの裁判に対して大変な、重大な影響を与える御答弁であったと思います。

 仮に、大臣が先ほど御答弁をなさったように、そういう意図はなかった、そして、城内委員に対して、一般論として誤解をなさらないようにお願いを申し上げますというふうにおっしゃったとしても、でもやはり、法務大臣の立場にいらっしゃる大臣が、この階議員の、小沢さんの裁判手続に関連をして、強制起訴手続を見直すことあり得べしと答弁をされたことは、裁判手続に重大な影響を与えると思いますが、いかがでしょうか。

小川国務大臣 どうも、私の記憶、認識としては、強制手続を見直すと、具体的なことは言っていないと思うんですね。あるいは、質問者はそういう具体的な質問であったかもしれませんが、私はあくまでも、検察審査会法が改正されて、何件か強制起訴というものが起きている、そうした中で、それぞれの事例を見て、改正すべき点、検討すべき点があればそれは検討するというふうに、一般論を述べただけでありまして、具体的に、個別のどこを検討する、改正するということは述べていないと思うんです。

 ですから、質問者がそうした点を挙げたから、私の答弁がそれに対して、それを具体的に検討するというふうに受けとめたというふうなことであれば、決してそういう趣旨ではないということで、誤解はぜひ解いていただきたいというふうに思います。

稲田委員 ただ、階委員の論点は、この強制起訴手続の判断の重要な基礎になった証拠の任意性が否定されるような場合には、その強制起訴手続による公訴の中でも、それを、公訴を途中で断念するとか、そういうことも含めた検討という趣旨で言われたことは、その資料を出されて質問されているわけですから明らかなわけで、それに関連をして大臣がその見直しもあり得べしという一般論を言われれば、この個別具体の事案に対して重大な影響を与えることになることは明らかだと思いますので、その点について、もう一度、御自分の答弁について、認識をお願いいたします。

小川国務大臣 たしか質問が、まず引き返す勇気というものが、検察も約束したんだから、今回のこの裁判についても引き返す勇気ということで臨むべきではないか、このような質問の御趣旨だったと思います。それに対して私は、そもそも法務大臣の指揮下にないことであるし、また、この判断そのものは指定弁護人が独自に判断すべきことでありますのでということで、それについては意見は差し控えていると思うんですね。そうした前提が基本的な前提でありまして、決して私は、指定弁護人あるいは裁判官に何らかの予断を与えるような、影響を与えるような発言はしていないというふうに思っております。

 また、強制起訴ですか、これについて見直しはどうかということにつきましても、これはもう何回言っても同じ答弁になってしまうんですが、私はあくまでも、そのことについて、具体的にそれを取り上げて検討する、改正すると言ったのではなくて、一般論として、検察審査会法が改正された、改正法が施行された後の幾つかの事例をもとに、もし改正を検討すべき点があれば検討するという一般論を述べたわけでございます。

稲田委員 では大臣、お伺いをいたしますが、今の強制起訴手続の中で見直す点があるとすれば、どういう点だとお考えですか。

小川国務大臣 いや、だから、それは具体的には何も答えていないわけでありますし、具体的にそれは述べることではないと思います。

 ただ、さまざまな議論の中で、あれば検討すると言っておるわけでありまして、具体的に今何が検討すべき課題かということについては述べていないと思いますし、今それを述べる考えもありません。

稲田委員 ということは、現時点ではこの強制起訴手続について見直しを検討すべき点はないというふうに認識ですか。

小川国務大臣 一つの事実として、今その見直しに着手しているか、見直しを検討しているかといえば、そうした検討をしている事実はございません。ですから、そうした検討をする必要がもし今後生ずれば、そのときには検討するということでございます。現在検討している事実はございません。

稲田委員 いや、私の質問は、大臣の御認識として、現在の強制起訴手続について見直すべき点があるとお考えなのか、それとも現時点では全くないとお考えなのか。将来の仮定のことを聞いているんじゃないんです。現時点でいかがですかという質問をいたしております。

小川国務大臣 今現在検討すべき課題を今持っているということではございません。ですから、検討もしていません。

稲田委員 だとすれば、現時点で見直す必要がないと思っておられるのであれば、今の階委員の強制起訴手続を見直すべきだという観点からの質問に関連して、将来検討する必要があれば検討するというようなことをおっしゃること自体が、私は法務大臣として不適切だと思いますが、いかがでしょうか。

小川国務大臣 これは強制起訴に限らず、全ての事例について言えることだと思うんですね。やはり、法律を改正するなり、何らかの形で適用、施行して、その施行状況を見て、それで改善すべき点、検討すべき点があればそれに取り組むと言っておるわけでございます。これは、検察のこの強制起訴に限らず、私は全てのことに通用する一般論の原則だと思います。

稲田委員 ですから、そんな当たり前のことを、小沢さんの強制起訴の手続の裁判資料やそういう資料を出されて、見直すべきだと、個別具体的な事案についての問題意識で質問をされているときに、御自分は強制起訴手続について見直す必要はないと思っていらっしゃるのであればそれをおっしゃるべきで、将来見直す可能性があれば見直すつもりだというような趣旨のことをおっしゃること自体が不適切ではありませんかと私は質問をいたしております。

小川国務大臣 一般的には、今現在それを見直すべきだという意見を言う方もいらっしゃいます。ですから、そうした議論は将来起こり得ると思います。(稲田委員「大臣はどうですか」と呼ぶ)ただ、今現在、大臣はどうかと言われますと、ですから、私自身は、先ほど申し上げましたように、今すぐ検討すべきと思っていませんし、現実に検討していないということでございます。

 ただ、制度の運用状況を見て、これからさまざまな例が出る、あるいは強制起訴についての判決が出てくるという将来の状況の中で、もしそうしたことを検討する必要があれば検討するという一般論を述べたわけでございます。

稲田委員 そういう仮定的な前提における答弁をこういう個別具体的な事案について質問をされている委員に対してお答えをなさること自体が、私は法務大臣としての御自覚に欠けているのではないかというふうに思います。

 この点については理事会協議ということですので、理事会で協議をいただきたいと思います。

 それから、もう一点です。

 先ほど城内委員の質問の中で、人権委員に外国人が就任することについての質問がございました。小川法務大臣は、個人の見解としてとおっしゃいましたけれども、外国人がつかれることについて問題はないというお答えだったですが、もう一度確認をいたします。それで間違いありませんか。

小川国務大臣 ですから、一人の政治家の意見として、個人としてというふうに前提を置いての質問でございましたので、私は、一人の政治家としては、外国人であっても、人権擁護のその職責を果たすにふさわしい方であれば、いいのではないかと思っております。

稲田委員 それは法務大臣の意見として国民は理解をするんですよ。法務大臣の個人の見解というものと法務大臣としての見解というのが私は分かれるはずがないと思っております。

 法務大臣としては、外国人は人権擁護委員にはなれないと思っていらっしゃるんですか。

小川国務大臣 今まとめております骨子では、そのような内容になっております。

稲田委員 いや、法律のたてつけを聞いているんじゃなくて、法務大臣としてどう思われるかと聞いているんです。

小川国務大臣 ここはさまざまな議論を持つ方がいらっしゃるわけであります。だから、そうしたさまざまな議論がある状況を踏まえて、法務大臣としましては、現行どおりということ、すなわち、現行の人権擁護委員が、地方選挙権の選挙人名簿から選任、選出することになっておりますので、事実上、日本国籍を持っている方に限られておるわけです。ですから、法務大臣としましては、その現行どおりということで、地方参政権を有する人の中からというふうに骨子をまとめております。

稲田委員 それは法律の説明をなさっただけで、法務大臣として、立派な方であれば外国人にも人権委員になっていただいたらいい、そういう御意見ですか。これはちょっと、別に秘書官が言うような問題じゃないですよ、法務大臣に聞いているわけですから。

小川国務大臣 逆の言い方をしますと、法務大臣の職責が私の、政治家小川敏夫の個人の見解で全部一〇〇%やっていいということではないので、やはり法務大臣は法務大臣としての職責の上において職務をする必要があると思うんですね。ですから、決して法務大臣が小川敏夫個人の意見でなければならないということはないというふうに思っております。

 ですから、今回も、私個人の考え方を述べさせていただきましたが、法務大臣としては、さまざまな意見がある中での結果を踏まえて、骨子としては、事実上、日本国民に限るという内容の骨子をまとめておるということでございます。ですから、法務大臣としての見解はそういうことでございます。

稲田委員 先ほどの強制起訴手続の見直しの問題も今の御答弁も、私は通底すると思うんです。法務大臣の言動、法務大臣個人の言動だとしても、それは個人としての政治家小川さんというだけじゃなくて、法務大臣として国民全体が理解をするんです。

 そうしますと、今の問題についても、法務大臣は、外国人でも人権委員になってもいいという考えの持ち主であるというふうに国民は理解するんです。それでよろしいですね。

小川国務大臣 まず、先ほどの答弁の中で、私の中でも人権擁護委員を人権委員と言った部分があるかもしれませんが、全て人権擁護委員ということで、委員の御質問も人権擁護委員ということだと思いますが、私もさっき混同した部分があるかもしれませんが、全て人権擁護委員ということであります。

 やはり、申し上げましたように、法務大臣というその職責を担った立場の発言と政治家小川敏夫の発言が一〇〇%一致しなければならないということはないので、政治家としての考えはどうかと問われれば、私は正直に政治家小川敏夫としての見解を述べたわけでございます。

 ただ、法務大臣としての職責上、私の個人の考え方とは違う内容の骨子で法案をまとめているというのが実際の状況でございます。

稲田委員 やはり、私は大臣に、大臣であるという自覚を持って当委員会でも発言をいただきたいし、また、ふだんの行動もそういう自覚を持っていただかないと、大臣の発言そして行動は全て法務大臣の行動及び発言だという理解をされると思いますから、その点はよろしくお願いをしたいと思います。

 さて、大臣、きょうは何の日か御存じですか。

小川国務大臣 何の日かと急に問われても困るんですが、竹島の日ですか。それを委員はお尋ねになりたいんでしょうか。(稲田委員「はい」と呼ぶ)では、正解でよかったです。

稲田委員 クイズをするつもりはないんですが、きょうは竹島の日なんです。

 それで、大臣にお伺いをいたしますけれども、竹島の領有関係についての大臣の御見解をお願いいたします。

小川国務大臣 日本固有の領土であることは当然でありますが、現実として日本の施政権が及んでいないという残念な状況にあるというふうに思っております。

稲田委員 今韓国が事実上支配をして、昨年は、閣僚が上陸をしたり、国会議員が上陸をしたり、そしてコンサートを開いたり、ファッションショーを開いたり、そしてさまざまな建造物を建てたりいたしております。我が国固有の領土に対して次々とそういう措置をとってきているわけですが、これは不法占拠と言えますか。

小川国務大臣 我が国の領土が、我が国でない国が事実上そこを統治しているということは、大変に残念なことだと思っております。

稲田委員 いや、私の質問は、今韓国が次々と、事実上支配をし、建造物を建てたり行事を行ったりしているその事実について、それは我が国固有の領土を韓国が不法占拠していると言ってよろしいかと質問いたしております。

小川国務大臣 我が国の法的に見れば、我が国の法に基づかない不法な占拠であると思います。

稲田委員 なぜこのことを聞いたかといいますと、民主党政権になってから、不法占拠という言葉を外務大臣も法務大臣も全くおっしゃらなくなったんです。

 ですから、法務大臣の立場として、韓国が不法占拠しているということを明確にお答えいただきたいんですが、もう一度御答弁をいただけますか。

小川国務大臣 ですから、不法という言葉が、本来的にはそれは法の規定にのっとっていないという意味であれば、今の韓国が事実上それを統治していることは我が国の法にのっとっていないわけでございますから、法に基づかないという意味だというふうに思います。

 ただ、なかなか、言葉の使い方にさまざまな、言葉の使い方によって問題が起こるということもございます。ですから、私としましては、やはり、我が国の法体系から見れば、我が国の法に基づかない状況によって占拠されているということでございます。そのように理解しております。

稲田委員 ですから、そういうごちゃごちゃおっしゃると、ややこしくなっちゃうんです。

 先ほど不法という言葉をお使いになったので、私は、法務大臣はきちんと明確に、どうしてそんなところで秘書官が指示するんですか。私は法務大臣の見解を聞いているんですよ。政治主導なんだから。しかも、これは重要な問題なんです。

 民主党政権になってからどなたもおっしゃれないので、先ほど法務大臣が不法ということをおっしゃいましたから、我が国固有の領土である竹島を韓国が不法占拠しているとこの国会の場で明確におっしゃってくださいということを申し上げております。

小川国務大臣 ですから、我が国の法から見れば認められない状況、あるいは国際法的にも認められない状況であると思っております。

稲田委員 きょうは竹島の日なんです。ですから、この点を明確にしていただきたくて。

 不法占拠しているということを言えないんですか。それをちょっと言ってください。

小川国務大臣 ですから、国際法に基づいていないという意味であれば、それは不法であるということの、同じ意味だと思います。国際法に基づいていない、あるいは我が国の法律に基づいているものではないということでございます。

稲田委員 私が言っているのは、大臣、同じ意味なんですよ。同じ意味なんだったら、自民党政権下では不法占拠という言葉を使っていた。外務省のホームページでも不法占拠という言葉を使っております。民主党政権になってから、どの閣僚も不法占拠という明確な、単純明快な言葉をお使いにならないので、法務大臣、この場で、竹島の日ですから、韓国が不法占拠しているということをおっしゃってくださいという質問です。

小川国務大臣 ですから、我が国の法的あるいは国際法から見て、そうした法に基づいていないということを認識しております。そういうふうに考えております。

稲田委員 ここは重要なんです。重要なんです。先ほどちらっと不法という言葉をおっしゃったので、明確に、はっきりと言うことが重要なんです。今大臣おっしゃったように、法的根拠に基づかない、国際法上違法だと。そのことを不法占拠というんです。しかし、明確に日本の閣僚が韓国が不法占拠していると国会の場でおっしゃることに意味があるので、何度も繰り返し質問いたしておりますから、明確にお答えください。

小川国務大臣 言葉の問題ですけれども、ただ、言葉の使い方によって、国際関係において、いわば本来生じなくてもいいようなあつれきを起こすということも考えなくてはいけないわけでございますから。

 ただ、私が言いましたように、何回も言っているように、日本の国内法から見ても、あるいは国際法から見ても、それにのっとっていないということですから、法の認めるところではないという意味でございます。

稲田委員 そうやってごちゃごちゃおっしゃることが問題なんです。領土問題で、摩擦を起こさない領土問題なんてないんですよ。領土問題は摩擦が起きるんですよ。

 ですから、なぜ私がこういうことを言うかといいますと、島根県の知事が県議会で、民主党政権になってから閣僚が不法占拠と言えないということが、政府の姿勢が後退したのではないかという誤解を与えかねないんだ、日本の立場や考え方について発言をする場合には、内外を問わず誤解をされないように、毅然として明快な対応をすることが重要だと島根県の知事がおっしゃっているんですね。私も本当にそのとおりだと思うんです。

 国家の立場を発言するときに、相手がどう思うかとか摩擦を起こすかとか、そんなことをごちゃごちゃごちゃごちゃ言って、明快な言葉を言えないこと自体が、私は外交上、大変国益を毀損していると思いますので、法務大臣、ぜひ、韓国が不法占拠しているということを明快な言葉で今おっしゃってください。それで済むんです、この質問は。

小川国務大臣 ですから、竹島が我が国の固有の領土であるということに関しては、一歩たりともこれを譲る気はありませんし、確固たるものだというふうに考えております。

 ですから、我が国の固有の領土を事実上韓国が今統治しているというのは、我が国の法に基づいていない、国際法上にも基づいていない、このように考えております。

稲田委員 大臣、私の質問、何回も言うのは恐縮ですけれども、私は島根県の知事と同じ認識なんです。端的に不法占拠しているとおっしゃることが国益に合致すると思うので、質問をいたしております。

 なぜなら、民主党政権になってから、不法占拠と言えば余計な摩擦を起こすから言わないんだ、そういう発言が閣僚の中にありました。しかし、私は、間違っていて、こういうことは明快に毅然として言うことが必要だと思いますので、重ねて質問をいたしております。

 恐縮ですが、韓国が竹島を不法占拠していると明快に御答弁いただけますか。

小川国務大臣 同じ意味でございますので、我が国の法律あるいは国際法上にのっとっていないということで御理解いただきたいと思います。

稲田委員 大臣、私は意味が同じだということはわかっているんです。意味が同じだけれども、民主党政権になってから、不法占拠という言葉を使えば相手方に余計な摩擦を起こすから言わないとずっと閣僚がおっしゃっているんです。しかし、それは間違っていて、むしろ島根県知事のように明快に発信すること、また、自民党政権下では不法占拠と言えていたことが民主党政権になって言えなくなった、ホームページには書いてあるのに不法占拠という言葉をあえて使わないという態度が、私は、誤った発信をし、国益を害していると思いますので、大臣に同じ意味だということはわかりながら重ねて質問をいたしております。

 竹島を韓国が不法占拠していると、この場で明快に御発言をいただきたいと思います。

小川国務大臣 委員のお訴えはよく受けとめたいと思いますが、私の使う言葉としては、やはり、我が国の法及び国際法にのっとっていない状態で韓国が統治しているということで御理解いただきたいと思います。

稲田委員 では、なぜ不法占拠という言葉は使えないか、理由を言ってください。

小川国務大臣 要するに、同じことを意味しているんだと委員に御理解いただいておるわけですから、いわば、中身が同じであれば、私としては、もうそれで足りているんじゃないかと思いますが。

稲田委員 先ほど、最初は不法という言葉をおっしゃったんです。ですから、私は明快に不法占拠しているとおっしゃっても変わらないと思いますので、大臣、明快に御答弁をお願いいたします。

小川国務大臣 ですから、初めにそういう一言を使ったのは事実でございます。その趣旨は、今言いましたように、我が国の法律と国際法にのっとっていないからという意味で使ったということでございます。

稲田委員 不法占拠と発信することが重大だということは先ほど説明したとおりなんです。ですから私は、不法占拠と今おっしゃってくださいと。もし言えないのであれば、言えない理由をおっしゃってください。

小川国務大臣 私は、言葉の問題よりも、やはり、竹島が我が国の固有の領土であるということの、この原則を一〇〇%譲らないというこの姿勢が基本だと思っております。

稲田委員 不法占拠と言えないこと自体が、先ほど言ったように、領土問題は摩擦が起きるのは当たり前なんです。総理は日韓首脳会談で竹島の問題を持ち出せないんですよ、こんな重大な問題を。それがまさしく、民主党の弱腰外交というか、相手方におもんぱかるという名の誤った発信をしていると私は思います。

 ですから、先ほど、冒頭、大臣が不法とおっしゃったのであれば、もう一度不法占拠だということをこの場で言っていただくか、言えないことの理由をおっしゃってほしいんですよ。

小川国務大臣 ですから、我が国の法律に基づいていない、国際法上の法律にも基づいていない、これが不法だということであればそういうことだと思いますが、私としては、言葉、説明としては、我が国の法律にのっとっていない、国際法上の法律にのっとっていない、こういう趣旨でございます。中身はそういうことでございます。

稲田委員 ですから、不法占拠と言えない理由を言ってください。

小川国務大臣 意味することは同じであっても、また、竹島の領土に関してこれを譲る気は全くありません、我が国の固有の領土ですから。ただ、言葉遣いの問題で、本来起きなくてもいい、それは委員がおっしゃられるように、領土問題は当然、国と国との対決でございますし、お互い譲らない面もあるでしょうけれども、決して我が国は譲らない問題でもありますけれども、領土問題は国と国の対立が当然だといっても、当然の対立以上の不必要な対立を殊さら起こす必要もないわけでございますから、言葉遣いの、中身が変わらない、中身で譲っているわけではなくて、同じ意味だということであれば、対立を殊さら深めるような言葉はあえて使わなくてもいいのではないかと思っております。

稲田委員 それはまさしく、私は、不必要な、おもねる姿勢だと思います。それは、民主党政権になって一貫をした、外務大臣も法務大臣もそうですけれども、不法占拠という言葉を使うと相手方に対して不必要な摩擦を生じるという、まさしく誤った配慮に基づくものだと私は思います。外務省のホームページにも不法占拠と書いてあるんです。それを、不法占拠という言葉を使えないことが、私は、民主党の外交の最も大きな問題だということを指摘しておきたいと思います。

 では、この問題については理事会協議でお願いをいたします。

小林委員長 それでは、理事会で協議をすることにいたします。

稲田委員 法案について質問をいたします。

 先ほど大口委員からの質問にも大臣がお答えになりまして、また柳田法務大臣も、民主党マニフェストに記載された公務員給与二割削減には、裁判官の報酬と検察官の俸給の引き下げも含まれるというふうに答弁をなさいました。

 今回の裁判官の報酬と検察官の俸給の引き下げによって、民主党マニフェストに掲げた公務員給与の二割削減は達成できたんですか。

小川国務大臣 今回も、この裁判官、検察官の報酬、俸給の引き下げも、役職によって引き下げ率が違いますが、平均すると大体一〇%ぐらい、ですから一割でございますか、一般職の場合にはそれよりも若干低い数字でございますので、これをもって二割削減が達成できたということにはなっていないと思います。

稲田委員 では、マニフェストにお約束をされた二割削減はいつ達成するんですか。

小川国務大臣 なかなか法務大臣一人の所感で述べることではないと思いますが、マニフェストの一般論で言えば、これは衆議院の任期中ということになると思っております。直接的には、政府全体あるいは担当大臣の方で詳細に検討するものと思っております。

稲田委員 衆議院の任期中ということは、来年の八月までに二割削減を達成するという趣旨でよろしいですか。

小川国務大臣 たしかマニフェストではそのようになっていたと思います。

 実際には、二割削減というのは総人件費ですから、一人一人の給料平均を二割下げるということでなくて、公務員の定数も削減すればということで、総人件費が二〇%削減ということでございますが、私が見るところ、今現在、それについて達成できる具体的な道筋がついている状態ではないと思っております。

稲田委員 裁判官の報酬を含めて二割削減という御答弁ですけれども、裁判官の報酬は憲法で、在任中減額できないということになっております。民主党のマニフェストの約束は憲法違反になりませんか。

小川国務大臣 これも、裁判官も含めて公務員全体の総人件費を二割削減ということでありまして、裁判官の報酬を二割削減する、あるいは裁判官全体で定数も含めて総報酬を二割引き下げるということではなくて、裁判官も含めて公務員全体で二割を削減するということであります。ですから、裁判官も含めてでありますから、裁判官を二割削減すると決めたわけでもないけれども、しかし、裁判官について引き下げないということでもなくて、それは引き下げもあり得るわけでございます。

 それが裁判官の報酬の減額の禁止を定めた憲法に違反しないかという御指摘だと思いますが、やはり憲法の趣旨は、個々の裁判官あるいは司法界全体に圧力を加えることによって司法の独立を害することがあってはならないという観点から定められている規定だと思いますと、今回の国の社会状況あるいは大災害という緊急な状況の必要性に応じて行うものであれば、これは憲法が禁止しているものではないんではないか、このように考えております。

稲田委員 人事院勧告で数%の減額を公務員全体で行うとか、先ほど御答弁にもありましたように、未曽有の大災害、復興、そして社会的要請によって引き下げるというのであれば、司法の独立を侵すおそれは少ないとも思うんですけれども、マニフェストに従って二割、裁判官で俸給を引き下げるということがあるとすれば、裁判官について二割も減額するということになれば、私は、立法及び行政から司法の独立を侵害するおそれがあるものではないかと思いますが、いかがですか。

小川国務大臣 裁判官だけを二割下げるということでなくて他の公務員も二割下げるということであれば、必ずしも司法なり裁判官を狙い撃ちして司法に対して圧力を加えるということにはならないんではないかと。そして、また一方、それを引き下げる、委員も御指摘されたさまざまな社会的要請があるとすれば、私は、許容されるのではないかと思っております。

稲田委員 今の大臣の御答弁だと、他の公務員と一緒に二割下げるのであればそれは裁判官の独立を侵さないという御答弁にお伺いをいたしましたが、では、マニフェストで三割と書けば三割でも大丈夫なんですか。

小川国務大臣 なかなか、どこなら、どこまでがいいかと言われて線が引けるものじゃないと思っていますが、あくまでも、司法の独立を害する、すなわち、個々の裁判官なり司法に対して気に入らないから報酬を下げるような、そうしたことがなされることによって司法の独立が害されてはいけないという観点から、報酬の引き下げが憲法上禁止されているんだと思います。

 ですから、そうした司法の独立を害するという点がないよう、全く別の事情、国の財政の事情とか社会の要請の事情とか、そうしたことであれば、それは必ずしも憲法が禁止するということにはならないんではないかと。ただ、一つのことだけで憲法違反かどうかということではなくて、やはりさまざまな事情を考慮してその総合的な判断でその憲法判断をしていくべきだと私は思っております。

稲田委員 私はやはり、マニフェストでお約束された二割を裁判官の報酬に当てはめて減額するということは、これは司法権の独立を害するおそれがあるのではないかなと思います。先ほどの大臣の御答弁では、ほかの公務員と横並びで裁判官の報酬を二割削減することについては憲法上問題がない、そういうことでよろしいですか。

小川国務大臣 ですから、それだけを取り出していいかどうかということよりも、私はやはり、裁判官の報酬を引き下げる際に、それが憲法上許されるかどうかということについては、では、ほかの公務員の場合はどうだったのかということも一つの判断の材料になるな、判断の要素の一つだという趣旨で述べたわけでございます。

稲田委員 ということは、裁判官の報酬をマニフェストに従って二割削減することが憲法違反になることもあり得る、そういう御答弁でよろしいですね。

小川国務大臣 いや、ですから、これは一般論ですけれども、司法の独立を害するような引き下げ方であれば私は憲法に触れると思いますが、司法の独立を害することがないその他の社会的な要請等によるものであれば憲法には触れないのではないか、このような議論になると思いますが。

稲田委員 この点は、では三割ならなるのか、四割ならなるのかという問題に私は発展していくと思うんです。ですから、マニフェストで約束をしたからそれを機械的に裁判官に当てはめるということは憲法上大変問題があるということを申し上げておきたいと思います。

 昨日、日弁連の法曹養成とそれから給費制を考えるシンポジウムに参加をいたしました。

 私は、果たして今の法曹養成制度が質の高い法曹を養成する制度になっているのか、また、ロースクール制度そして新司法試験制度が有為な人材を法曹界に送り込むことができる制度なのかという点について大変疑問を持っております。

 その点についての大臣の認識をお伺いいたします。

小川国務大臣 確かに、ロースクール制度を導入した司法制度改革の理念の中では、やはり、それまでの司法試験という点での選考ではなくて、ロースクールというこの期間の中の教育ということを通じて、よき法曹を養成して幅広く活躍していただこう、法曹人口もふやそうという理念だったというふうに思いますが、しかし、そうした理念と現状を照らし合わせてみますと、今の現状はそうした理念から乖離している状況が見受けられる。

 ですから、これはしっかりと本来のあるべき姿にまた改善していかなければならないな、このように認識しております。

稲田委員 一昨年の給費制の貸与制移行を一年間延期をする際に、附帯決議で「法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること。」という決議を行いました。

 しかし、この必要な措置を行わずに貸与制移行に関する措置だけ行うというのは、この決議を軽視しているのではないかなと私は思いますが、いつこの検討結果は出るんでしょうか。

小川国務大臣 たしか、衆議院法務委員会の決議は、一つは、貸与制の問題についてしかるべく調査をしてそれを検討すること、それから二つ目として、より大きな法曹養成制度について検討を加えろ、このような項目立てだったと思います。

 給費制につきましては昨年の、その前に、その決議を受けまして、法務省では、法曹養成フォーラム、各界の人、有識者等を集めてそれを検討する場を設けまして、それで、給費制、貸与制の問題につきましては、昨年八月に、貸与制に移行して、ただ、貸与の条件をさらに借りやすくするということに改めた次第でございます。

 そして、法曹養成制度そのものについては、今まさにこの法曹養成フォーラムで検討しているところでございまして、さまざまな点を議論してよりよき法曹制度に戻していきたい、このように考えております。

稲田委員 報道によりますと、司法試験合格者は、三千人の目標に対して約二千人にとどまっている。それなのに、平成二十三年に司法修習を終了した修習生のうち、就職先が未定の修習生が平成二十三年九月時点で三五%もいる。実際に修習終了時に弁護士登録できなかった人が二一・九%、四百人もいる。多様な社会経験を持つ人が法曹になれるようにするという目的だったはずですけれども、結局、社会人経験者は七百六十四人だけで、二〇〇四年の二千七百九十二人から七割も減ったという報道もあります。

 私はもう根本的にこの法曹養成制度を見直すべきだと思いますが、最後に、その点についての大臣の御見解をお伺いいたします。

小川国務大臣 やはり、法曹養成人口も三千人、三千人という中には、法曹というものを司法の場だけでなくて、企業活動とか公務員とかさまざまな、活動範囲も広げるという中で三千人という増員計画もあったようにも思います。

 ただ、そうした状況がなされないまま、数も三千人にはいかない、二千人でも今委員が指摘するような状況の中で就職できない人がいるというような状況もあって、やはり当初の制度の理念とは違う現実が生じているということは認識しておりますので、こうした本来のあるべき姿に改善すべく、しっかり取り組んでいきたいと思っております。

稲田委員 終わります。

小林委員長 これにて両案及び両修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小林委員長 これより両案及び両修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小林委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小林委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小林委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小林委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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