衆議院

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第17号 平成25年6月11日(火曜日)

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平成二十五年六月十一日(火曜日)

    午後一時三分開議

 出席委員

   委員長 石田 真敏君

   理事 江崎 鐵磨君 理事 奥野 信亮君

   理事 土屋 正忠君 理事 ふくだ峰之君

   理事 若宮 健嗣君 理事 田嶋  要君

   理事 西田  譲君 理事 遠山 清彦君

      青山 周平君    池田 道孝君

      小田原 潔君    大見  正君

      門  博文君    神山 佐市君

      川田  隆君    菅野さちこ君

      黄川田仁志君    小島 敏文君

      古賀  篤君    今野 智博君

      桜井  宏君    末吉 光徳君

      瀬戸 隆一君    鳩山 邦夫君

      林田  彪君    三ッ林裕巳君

      宮澤 博行君    盛山 正仁君

      枝野 幸男君    階   猛君

      辻元 清美君    今井 雅人君

      河野 正美君    西根 由佳君

      大口 善徳君    椎名  毅君

      鈴木 貴子君

    …………………………………

   法務大臣         谷垣 禎一君

   法務副大臣        後藤 茂之君

   法務大臣政務官      盛山 正仁君

   外務大臣政務官      あべ 俊子君

   厚生労働大臣政務官  とかしきなおみ君

   最高裁判所事務総局刑事局長            今崎 幸彦君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    稲田 伸夫君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    西田  博君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    齊藤 雄彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山脇 良雄君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    岡田 太造君

   法務委員会専門員     岡本  修君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十一日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     桜井  宏君

  菅家 一郎君     青山 周平君

  宮澤 博行君     川田  隆君

  今井 雅人君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     菅野さちこ君

  川田  隆君     宮澤 博行君

  桜井  宏君     瀬戸 隆一君

  河野 正美君     今井 雅人君

同日

 辞任         補欠選任

  菅野さちこ君     菅家 一郎君

  瀬戸 隆一君     安藤  裕君

    ―――――――――――――

六月十一日

 民法改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇二一号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇二二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇二三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇二四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇二五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇二六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇二七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇二八号)

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇二九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇三〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇三一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇三二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇三三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇三四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇三五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇三六号)

 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇三七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇三八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇三九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇四〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇四一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇四二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇四三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇四四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)(参議院送付)

 薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案(内閣提出第三八号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として法務省刑事局長稲田伸夫君、法務省矯正局長西田博君、法務省保護局長齊藤雄彦君、文部科学省大臣官房審議官山脇良雄君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長岡田太造君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局今崎刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。枝野幸男君。

枝野委員 民主党の枝野です。よろしくお願いいたします。

 参議院送付でもありますので、既にほとんどの論点が議論されておりますので重複もあるかと思いますけれども、改めて重要だと思っているポイントをお尋ねさせていただきたいと思います。

 この改正案にとどまらず、施設外における矯正保護に当たっては、保護司さんを初めとした民間の皆さんの御協力が大変な実績を上げております。ただ、そうした協力をしていただいている皆さんを取り巻く環境というか状況はなかなか厳しいものがあるということは、従来から言われてきているところであります。

 まず、保護司さんなんですけれども、この保護司さんが減ってきている状況にあると認識をしていますが、確認として、どういう状況にあるか、事務方からお答えください。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 保護司数につきましては、確認できる最も古いデータである昭和二十八年が四万一千二百六十四人でありました。その後、年によって増減はありますが、おおむね増加傾向にありまして、平成十年代半ばに大体四万九千人を超えたということでございます。しかし、近年は減少傾向にありまして、特に、四年前からは一貫して減少し、平成二十一年の四万八千九百三十六人から平成二十五年の四万七千九百九十人へと、この四年間に約一・九%減少しているところでございます。

枝野委員 最近減ってきているというこの状況について、例えば都市部と農村地域というか、過疎地域というか、そういったところで地域的な違いとか、そういったものはあるんでしょうか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 減り方はやはり都市部の方が多いということでございまして、先ほど全国平均で、この四年間で約一・九%減少したというふうに申し上げましたが、都市部では、例えば東京の保護司の数を見ますと、平成二十五年は四年前と比べて約六・一%減少しておりまして、全国平均と比較すると保護司の減少数の割合が大きくなっているという状況にございます。

枝野委員 もちろん、都市部以外でも重要なわけですけれども、特に都市部においては、地域における人間関係が希薄化をしている、それだけ保護に当たってもいろいろ困難があるだろう。その一方で、まさに人間関係が希薄化しているからこそ、保護司のような、大変責任重大で、大変御苦労が多くてという活動に加わっていただける方が減っているということで、二重の意味で厳しいんじゃないだろうかというふうに推測をするところでございます。

 では、そうした中で、保護司さんが実際に保護の活動をしていただくに当たって、どういう状況のもとでされているのかということで、保護司さんには報酬等はありません。ですから、いわゆる実費弁償ということですが、まず、この実費弁償の状況はどうなっているんでしょうか、総額がふえているとか減っているとか、これについてお答えください。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年度におきます保護司実費弁償金予算額は、約四十八億一千二百万円となっております。前年度予算と比較いたしまして、保護観察事件数の減少等に伴い、担当経費の見直しを実施したため、総額としては減額になっているという状況でございます。

枝野委員 では、この予算がどういうふうな意味を持っているかということなんですが、例えば、保護司さん一人当たりの年間予算額というのが出ていると思うんですが、どうなるでしょうか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 これも、最近、事件数の減少などもありまして、保護司さん一人当たりの実費弁償額、減っております。平成二十五年度における保護司一人当たりの予算額は、約十万円ということになっております。

枝野委員 これが適切なのかどうかということだと思うんですけれども、例えば、保護観察事件をやった場合、一件当たりの補導費という形で単価がついているかというふうに聞いておりますが、あるいは、生活環境を調整する場合にはそれについてお金が出るとか、この辺の、どういう事件をやったらどれぐらいで、幾ら実費弁償しているのかということをお答えください。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 普通の保護観察事件、保護司さんが担当されて、通常、月二回、自宅に呼んで面接されるなどします。そういうことに対しまして補導費をお支払いしているわけですが、平成十九年度に単価を切り上げて、現在、難しい事件と一般の事件というふうに分けているんですが、難しい事件で月七千三百十円、一般の事件で四千二百六十円ということになっております。

 それから、生活環境の調整、出てくる前に、出てこられる方のいろいろな生活環境の調整をする、それにつきましては、単価は三千二百八十円、これも平成十九年に切り上げているところでございます。

枝野委員 今の金額、一生懸命、実際に保護を受けていらっしゃる方のため、ひいてはこの国の治安を守るという思いで、報酬もなし、実費弁償だけで活動されている保護司さん、恐らくその実費では足が出てやっていただくような方も少なからずいらっしゃるんじゃないかなという単価ではないでしょうか。

 呼んで話をして、まあ、形式的には、月二回呼んで話をすればとりあえずこなしたことになるわけですから、そういう方も中にはいらっしゃるかもしれませんけれども、実際にその方の身になって、何とか広い意味での矯正を図って、再犯などしないようにしていこうと頑張っておられる保護司さんは、今の実費弁償等では足が出るような場合もありながら、トータルでも年間十万円では、もちろん、その方がそこに費やしている時間を単価で考えればとても合わないわけです。

 実際に出されているお金ということを考えただけでも、いや、とんとんどころかという感じがするんですけれども、その辺、どう認識されておられますか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 一応、基本的に、旅費その他の単価なども考えてつけさせていただいている数字ではあるんですが、例えば、呼ぶかわりに往訪されたりとか、いろいろな形がありますので、案件ごとによっては先生御指摘のようなこともあり得るのではないかというふうに思っております。

 それで、今、事件数の減少に伴いまして一人当たりの予算額は減少しているんですが、事件の数が減ってくると、お一人当たりの処遇の件数が減って、お一人当たりに払う件数は減るんですが、保護司組織を支援するというふうな観点から、平成二十五年度におきましては、更生保護サポートセンターについて九十カ所増設の全国二百四十五カ所に設置するための経費等の増額を図っていただいているほか、保護司の適任者確保を支援するための経費といったものを新設していただくなどしているところでございます。

枝野委員 どっちかというと、私は一貫して、あらゆる場面で予算は削れという側で仕事してきているんですが、この話はちょっと違うんじゃないかなと。まさに現状が非常に低過ぎるぐらいの水準で、後でまた申し上げますが、先ほどのとおり、特に都市部などでは、仕事も困難になって、中身も困難になっているし、人を確保するのも困難になっているという状況の中で、もうちょっと処遇については、この実費弁償等については積極的に考えられてもいいんじゃないだろうかと思っているところであります。

 それから、保護司さんとともに、立ち直っていくためには更生保護法人が役割を果たしております。この更生保護法人というのは、収支状況はいかがなんでしょうか。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 更生保護法人、全国に百四カ所ございまして、定員も、少ないところから、一桁台のところから、多いところで百人規模までということで、いろいろあるわけでございます。

 一法人当たりの経営規模なんですが、平均しますと、大体収支四千六百万円というぐらいの規模でございます。収入の約八六%が国からの更生保護委託費、すなわち、刑務所等から出所してきた方を預かってくださると一日当たり幾らというふうに国がお支払いしている経費が収入の八六%を占めております。他方、支出につきましては、職員の人件費が約五〇%を占めているという状況でございます。

枝野委員 さて、更生保護法人にお支払いいただいているお金が適切なのかどうかということなんですが、収支とんとんにしないと潰れちゃうわけですから、そこはそこなりに、それぞれの保護法人が努力されているんでしょうけれども、念のため、ちょっと心配をするのは、なかなか経営、収支が厳しいところで、人を確保しようとすると、なかなか正規雇用できちっとしたお給料が払えなくて、いわゆる非正規雇用、ワーキングプアに近い、官製ワーキングプアみたいなことに、この更生保護法人で、これも大変重要かつ厳しい仕事をされていると思うんですが、そうしたことがないのだろうかと心配をいたしますが、その辺の実態は把握をされているのか、そして、把握をされているなら、どういう実態にあるのか、お答えください。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のような心配は当然あるわけでございまして、ただ、更生保護施設の職員の配置基準というものを法務省でつくっておりまして、職種ごとに基本給を大体決めています。これは例えば福祉職でいうと何号相当、例えば施設長であればこのぐらいの基本給という形で決めておりまして、それをもとに委託費を積算するということで、一定数の委託をしていただければ相応の給料は支払えるというふうな形にさせていただいています。

 それ以外に、調理、清掃業務、それから宿日直業務に補助する賃金職員を配置できるように、更生保護委託費の積算において配慮させていただいているところでございます。

 こうしたことによりまして、各更生保護施設においては、犯罪者処遇に関する熱意、能力、経験を有する職員が配置されているものと認識しております。

 それから、どのような方が職員になるかということなんですが、これも法務省の方で更生保護施設における幹部職員の要件というものをつくっておりまして、例えば、そこの実際処遇をする責任者の施設長さんであれば、一般的要件としては、非常に人格高潔で指導力があり、そういうようなことと、加えて、実務の執行を総括するために必要な能力を有する者であって、犯罪をした者及び非行のある少年の更生保護に関する事業に二年以上従事したものといったような要件をつけておりまして、そういうことを前提に認可等もしておるというところでございます。

枝野委員 今のような基準もちゃんと設けていただき、また、そもそもこういう事業をやっていただいている方というのは、本当に善意でというか社会のために御努力いただいている方がほとんどだと思いますので、余り性悪説に立って物を考えるべきではない側面もあろうかとは思うんですが、ただ、施設をちゃんと維持していかなきゃならないという中で、基準があるとはいえ、なかなかいろいろなところで厳しいということの中では、実際に基準が守られているのかどうかとか、特に直接基準のない間接的な業務の方の勤務条件とかはどうなっているのかというのは、やはり若干心配するところであります。

 このあたりのところは調べていらっしゃるのか、それとも、基準があるから守られているとお考えなんですか、今のお答えは。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 今の基準をもとに積算してお金を出しているんですが、それとは別に、各更生保護施設から毎年、詳細な収支、それから例えば給料を幾ら払ったかとかいうことも含めまして詳しい資料なども出させておりまして、そういうものを局において分析して、実際にどの程度の待遇等がなされているかということについてはチェックをしておるというところでございます。

枝野委員 ありがとうございます。

 そういったことをしっかりやっていただいた上で、なおかつそれで本当に、例えば社会全体、経済全体の状況を見ながら、こういった施設が成り立っていけるのかどうかということをしっかりと見きわめて、その単価等についてもしっかりと、常に、必要があれば積極的に予算要求をしていただければというふうに思います。

 もう一つ、やはりこうしたところで非常に重要な役割をされているのは協力雇用主の皆さんだというふうに思っております。

 協力雇用主の皆さんはこの五、六年ふえておられるというふうに聞いておりまして、これについては、こういう厳しい経済状況、社会状況の中で関係者の皆さんが大変努力をされている結果だというふうに評価をしたいと思います。

 念のため、もしあれば数字を教えていただけますか。持っていないですか。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年四月一日現在の協力雇用主さん数は全国で一万一千四十四事業主になっております。これは、さかのぼりまして平成二十三年度が九千三百四十六事業主であったわけですから、この二年間で大体二千近くふえたということになります。さらに数年さかのぼりますと、三千、四千という数でふえていたと思います。今ちょっと、正確な数を持っておりません。

枝野委員 大変それは関係者の皆さんのふやす努力、それから、それに応じて御協力いただいている協力雇用主の皆さんには本当に感謝しなければいけないというふうに思いますが、こうした協力雇用主の皆さんの経済状況、経営状況というのはどんな状況にあるのか。この辺についてはどれぐらい、どう把握されているんでしょうか。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 協力雇用主さんの経済状況の詳細は、正直言って把握はできておりませんが、経営規模の観点から見ますと、従業員が百人未満の事業主さんが全体の約七五%を占めておるというところでございまして、中小零細企業が協力事業主の大部分を占めているというふうに承知しております。

 また、業種の観点から見ますと、建設業が全体の約半数を占めているほか、建設業、サービス業、製造業の三業種で全体の八〇%を占めているということが特徴として挙げられます。

 協力雇用主さんの数は一万一千を超えたのですが、実際にお雇いいただいている数はなかなかふえないということで、そういうところから類推いたしますと、なかなか協力雇用主さん方も大変な状況にあるのではないかというふうに推察しているところでございます。

枝野委員 こういった制度は、基本的にはやはり善意に支えられて、やっていただくという方にお願いをしないと実際に矯正保護にはつながらない側面もありますが、その一方で、全て協力していただく方の負担でということでも、なかなかうまくいかない現実もある。特に、実際に協力雇用主になっていただいている方の多くが中小というよりは零細企業ということだと、厳しい経済状況の中で、そういう思いはあっても、なかなかそういったところに力を注げないという側面があるというのは否定できないと思います。

 そうしたことの中で、協力雇用主となって実際にこの対象になる方をお雇いになった場合とかに、何かメリットはあるんでしょうか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 法務省では、平成十八年度から、厚生労働省と連携いたしまして、刑務所出所者等総合的就労支援対策というものを実施しております。

 その中で、例えばトライアル雇用という制度がございまして、協力雇用主さんが刑務所出所者等をお雇いいただいた場合、一定期間、一定金額のお金をお支払いするという制度がございます。

 また、身元保証制度というものもございまして、これは、協力雇用主さんが雇った刑務所出所者等が仕事に関して協力雇用主さんに対し損害を与えた場合、一定の金額を限度として見舞金をお支払いするというものでございまして、身元保証を行う業者に対して、その身元保証料を支払う事業をしているところに対し法務省は補助金を出すという形で事業を進めているところでございます。

 また、本年度予算で措置していただいたんですが、職場定着協力者謝金というものをつくっていただきました。これは、協力雇用主さんが刑務所出所者等を雇って、オン・ザ・ジョブ・トレーニングでいろいろ仕事も教えていただくし、生活態度などもいろいろ指導していただくし、その他いろいろな指導をしていただく、そういったものを定期的に保護観察所にも報告していただく、保護観察所はそれをもとにまた処遇に生かすという形で、そういうふうな協力をしていただくということに対する謝金も一定期間、一定額を限度にお支払いするというような制度なども導入しているところでございます。

枝野委員 今のお話を伺うと、身元保証制度、これは刑務所出所者に限定された制度であると。それから逆に、トライアル雇用制度は、これは一般的にトライアル雇用というのは厚生労働省にありますが、その中で、特に刑務所出所者について特別扱いがされている、どういうふうに特別扱いされているんでしょうか。まとめて聞きますが、最後の職場定着協力者謝金、これは出所者に限られたということでいいのかどうか、それの確認をお願いします。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省さんに同様のトライアル雇用があるというのは私も承知しております。ただ、今回の分はそれとは別枠に、刑務所出所者を対象としたものということで、厚労省さんの予算でやっていただいているものでございます。

 それから、職場定着協力者謝金は、あくまでも私どもの予算で刑務所出所者に対してやっているものということでございます。

枝野委員 努力をいろいろされているということは理解いたしました。これは確かに気をつけないと、今協力雇用主になっていただいている方は非常に厳しい中でメリットもないのに善意で登録していただいている方だと思いますが、余り変にインセンティブを与えちゃうと、悪用する人が出てきたりすると、広い意味で二重に問題になりますから、気をつけなきゃいけないんですが、これも本当に今の日本の経済状況、零細企業を取り巻く環境を考えたときに、やはりいろいろな知恵をさらに出していく必要があるんじゃないだろうかというふうに思います。

 こうした協力雇用主さんなどをふやしていく、出所者を雇用していただくためには、まさに業を行っている皆さんに協力をしていただかなければなりません。そうすると、いわゆる各種経済団体に御協力をお願いして、呼びかけていただくというようなことが必要かと思いますが、これはどの程度やっておられるでしょうか。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、刑務所出所者等の就労支援につきましては、各種経済団体など、幅広い御支援をいただくことが不可欠であるというふうに考えております。

 そこで、平成二十年から、全国の保護観察所におきまして、各都道府県の商工会議所連合会とか中小企業団体中央会といった経済団体や業界団体のほか、地元の主要企業と連携いたしまして、刑務所出所者等就労支援推進協議会というものを保護観察所で設置しております。ここにおきまして、刑務所出所者等の雇用の実態や課題について情報交換を行うなどして、雇用に対する理解の促進や協力雇用主の開拓、確保について、地元経済界の御理解と御協力を得られるように努めているところでございます。

 また、全国の各都道府県に、地元経済界等が中心となって、刑務所出所者等の就労を支援するために組織された民間団体であります就労支援事業者機構というものがございまして、このような民間団体とも連携しながら、引き続き幅広く各種経済団体への働きかけを図っていきたいというふうに考えております。

枝野委員 今の御尽力は評価したいと思いますが、呼びかけている相手が、まさに中小企業、零細企業にかかわる団体なんですね。本来からいえば、大きな経営規模を持っていて、もちろん大企業もみんながもうかっているわけではありませんが、どちらかといえば利益を上げている、経営状態に相対的には恵まれている大企業こそ、社会的責任としてこうした制度を利用していただくということが僕は必要なんじゃないかと思います。

 そうした意味では、ぜひ大臣には、経団連とか経済同友会とか、こういうところを通じて、大きな企業もそれなりにそうした役割をしっかりと果たしてほしいということを、きちっと求めていくということを強くやっていただくことが必要なんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。

谷垣国務大臣 おっしゃるように、出所者の就労支援は、これは大企業にも先頭に立っていただいて、そういう仕組みをつくっていくということが必要じゃないか、大企業の御協力は極めて大事じゃないかと思うんですね。

 それで、一部の篤志家のみで支えられるような制度では、広がりがなかなか生じないだろうということでございまして、その点で、いわゆるCSRといいますか、企業の社会的責任として考えるべき点があるんじゃないかということで、これは平成二十一年に、経済諸団体、大企業等が発起人となりまして、今、日本経団連の名誉会長ですが、トヨタ御出身の奥田碩さんに会長になっていただきまして、全国就労支援事業者機構というものが設立されております。

 そして、先ほど保護局長からも御答弁いたしましたが、そこが旗を振っていただいて、各都道府県にもそれぞれ組織をつくっていただいているという体制が今できております。私からも積極的に、そういった機構を通じて御協力をお願いしていきたいと考えております。

枝野委員 私も、司法の出身で経産大臣をやらせていただいたのに、それをやっているときにはそこまで思いが至らなくて、後悔、反省をしておりますが、逆に、大臣は、経済閣僚も幾つも務められて、経済界にも非常に力があると思いますので、ぜひ今の立場をせっかくですので生かしていただいて、積極的に対応していただければありがたいというふうに思います。

 残り五分を切ってしまいましたので、質問を少しはしょらなければならないんですけれども、最後の問題を聞こうかなと思います。

 今回の法改正案の中で、新しい特別遵守事項を設けるというのは、趣旨も理解いたしますし、いいことだというふうに思いますが、気をつけないと、こういう仕組みをつくると、社会貢献活動が一種のペナルティーのように受け取られかねない。これは被保護者にそう受け取られてもいけないことですし、社会全体にそう受け取られてもいけないことだろうというふうに思います。

 これについては御同意いただけるんじゃないかというふうに思いますが、そうならないように、決してペナルティーとして社会貢献活動を特別遵守事項に入れているわけではないんだということをしっかりと周知させるということについての大臣のお考えをお聞かせください。

谷垣国務大臣 これもまさに、枝野委員がおっしゃるように、ペナルティーとして科してはいけないし、また、そういうものではないと思うんです。やはり社会貢献活動をやることによって、達成感とかそういうものを持ってもらうということが更生にも大きくつながるんじゃないか。

 実は、昨日、山口県美祢の社会復帰促進センターに参りまして、そこでやっていることを伺いますと、子供の服、商品としてはちょっと古くなったようなものを回収したりなんかしまして、それをリメークというか、そういうふうにして、例えばアフリカの発展途上国に送り出して、そういうのはそれぞれの受刑者に作業の意味をきちっと伝えているのかということを聞きましたところ、伝えていると。それで、自分はこういう刑を受けて、社会にとっても無用な人間だというような挫折感を持った人がかなりおられるわけですね。そういう方が、自分はこういうことを通じて社会のために貢献できるんだというので、非常に頑張ってもらっている、効果が出ているという話を聞きまして、やはりこういう観点からやらなきゃいけないんだろうと思います。

 そのために、いろいろ広報活動も工夫をしなければならないところがあるのではないか。その地域や御関係のところの理解の促進を図っていく、そのためには、社会貢献活動をする場合に、名前なんかを伏せた方がいいのかとか、いろいろなことがあると思いますので、その辺にも十分気を配りながらやってまいりたいと思っております。

枝野委員 大事な点だというふうに思います。現場まで、末端まで徹底ができるように、大臣の指導力を期待したいと思います。

 終わります。ありがとうございます。

石田委員長 次に、辻元清美さん。

辻元委員 辻元清美です。よろしくお願いいたします。

 本日は、刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案につきまして、質問をさせていただきます。

 まず最初に、この間の参議院での先立っての議論の中でも、刑の一部執行猶予が厳罰化などにつながるおそれはないのだろうかというような御指摘もございました。

 そんな中で、裁判員制度もできておりまして、この裁判員制度との関係で、裁判員に対して、制度の趣旨や内容、そして情報提供など、この法律施行までにかなり丁寧な体制づくりも必要だと思うんですが、この点について、まず担当局からお願いをいたします。

稲田政府参考人 御指摘のとおり、今回の刑の一部執行猶予制度は、裁判員裁判の判決においても言い渡されることがあり得るというところでございます。そのためには、この新たな刑法第二十七条の二の第一項等の要件の存否を、裁判員を含む裁判所において御判断をいただかねばならないということになるわけでございます。

 他方で、裁判員法は、六十六条第五項におきまして、裁判長は評議において裁判員に対して必要な法令に関する説明を丁寧に行うなどしなければならないというふうに明示的に定められているところでございますので、現実に、刑の一部の執行猶予の言い渡しが問題となるような事案の審理におきましては、当然、この規定に基づき、裁判長は、裁判員の方に対して、今回の制度の趣旨でありますとか、適用するための要件等につきまして必要な説明を丁寧に行われることになると思います。

 また、現在の刑事訴訟法の実務に鑑みますれば、検察官あるいは弁護人が当該事件の被告人に対して刑の一部の執行を猶予することが相当であると考える場合には、証拠調べや論告、弁論等の機会を通じて、刑の一部の執行猶予の要件の存否などについて必要な主張、立証を行うことというふうになると思います。

 以上のように、裁判員裁判におきまして刑の一部執行猶予の言い渡しが問題となる事案においては、まず、法廷の場において、あるいは評議の場において、裁判員にとって必要な情報提供が司法関係者により適切になされるものというふうに考えているところであります。

 また、さらに、今回の制度が施行されますに当たりましては、新たな制度でございますので、幅広く情報を提供することは重要なことであると考えておりますので、成立いたしました場合には、施行までの間に、担当者におきまして、この制度の趣旨や内容について関係者に周知するように努力していきたいと考えております。

辻元委員 今、さまざまな対応をしていただけるという御答弁だったんですけれども、ちょっと仮釈放との整合性について関連してお聞きしたいと思うんです。

 仮に実刑二年という判決が出た場合をちょっと考えてみたいんですね。というのは、これはどっちが重いのかとか、裁判員の方も含めまして、非常に判断が難しい要素が一つふえるということになりますので、ちょっと実例でお聞きしたいと思います。

 実刑二年の判決を受け、仮に一年六カ月で仮釈放になった場合、残りの刑期である六カ月の期間が保護観察の対象になります。一方、初めから、実刑二年の判決が出て、そのうち六カ月につき二年間の執行猶予がついて、執行猶予期間は保護観察に付すとなった場合、これはどちらが重い刑罰というような判断ができるんでしょうか。

稲田政府参考人 刑の軽重の判断というのは、確かに非常に難しいところがございます。従来も、実刑と執行猶予の場合でも、どちらが重いのかというのは最高裁の判例等も多数あるところでございます。

 いずれにしましても、現在までの考え方、最高裁の判例等を見ますと、やはりその二つの刑の内容を具体的かつ総合的に検討して比較して考えるものだということになろうと思いますし、今回の制度の導入後におきましてもその点は同様でございますので、具体的には刑の実刑の部分の長短、執行猶予期間の長短などを比較して判断されるということが一般論として言えるんだろうと思います。

 今御指摘のありました、二年で、うち一年六カ月を服役し、六カ月間が仮釈放なのか一部猶予なのかによってどちらが重いのか軽いのかということでございますが、多分、これにつきましては、二年の実刑を言い渡された場合につきましては、いずれにしても、仮釈放が認められるか否かにかかわらず、いわゆるこの二年は全部実刑でございます。仮釈放が認められても、刑期が二年であったということは縮減されることはありません。その意味においては、一部執行猶予の場合は、仮に、六カ月間の執行猶予部分につきまして、その後の執行猶予期間中に再犯に及ぶことなく刑が終了いたしますと、刑期自体は一年六月に軽くなるわけでございます。したがいまして、一年六カ月の刑を終わったということになりますので、そういう意味では、非常に教科書事例的に申し上げれば、二年の実刑のうち一年六カ月服役、六カ月仮釈放の方が、二年の刑のうち六カ月を一部執行猶予にされたものよりは重いというふうに言えるんだろうと思います。

辻元委員 仮釈放の場合は、その方の日ごろの態度その他で判断するわけですけれども、例えば六カ月を二年間の執行猶予つきの保護観察にしようというのは、裁判の時点で決めるということになりますので、その方にとってそれがいいのかどうかというものの判断というのは、特に裁判員で専門家でない場合、非常に難しい判断になってくるのではないかと私は考えますので、そういう点も考慮して、しっかりした対応をとっていただきたいというように思っております。

 それに関連いたしまして、一部の弁護士会などからも、今回の改正についての懸念も示されております。それは、一つは、刑の一部執行猶予制度、これは刑法典に行為者の将来の危険性に着目した制度を新たに導入するものにほかならないという批判というか懸念がありまして、行為者の将来の危険性について、刑期を超えて自由を制限するのはまさに保安処分的であると言わざるを得ないという意見が出たり、過去の行為に対する責任としての刑罰を定める行為責任主義に抵触する可能性があるのではないかというような批判も出ております。

 そんな中で、この刑の一部執行猶予判決により、管理、統制される期間を延長する、実質的には延長することになるわけですけれども、このような懸念についてはどういう御見解をお持ちでいらっしゃいますか。

稲田政府参考人 そのような御指摘もいただいているところではございます。

 ただ、他方で、私どもの考え方は、まず刑の量定をするには、当該被告人の刑事責任というものを基本に置いて、その上でどういうふうにすることが再犯の予防ということも含めて有用なのかという観点で考えておりますので、刑事責任の程度ということを度外視して再犯防止等を考えている、特別予防だけを考えているというものでは全くないということは御理解いただきたいと思います。

 そういうことも含めまして、今回の制度は、根本において行為責任というものを基本に置いておるところでございますので、御批判は当たらないのではないかというふうに思っています。

辻元委員 ということは、今、再犯の予防という御発言もありましたけれども、その当事者にとって、再犯の予防だけではなく、社会に復帰していくことに非常に大きな意味があるということをしっかり担保していくことが、この制度への、刑期を言い渡される者や、そして司法関係者だけではなくて、社会一般にこのように変わったということの理解を広げないと、これから、後で社会貢献活動の質問もしたいと思いますけれども、社会にも周知徹底し、そして、社会貢献活動や、その他さまざまなところで社会が受け入れるというような社会全体の理解と、そしてさらに、それがプラスになるんだというような認識をしっかり持っていくことが大事ではないかと私は思います。

 その観点から、具体的に今から質問したいんですが、まず大臣に、社会全体の理解といいますか、今までは、執行猶予、実刑とか仮釈放というのはわかっていて、それでなくても、例えば仮釈放者に対しての差別があったり、さまざまなあつれきが生まれてきたのも事実です。そんな中で、もう一つ新しい制度といいますかシステムが入るということで、社会全体に受け入れられる、そのために努力をしていただかなければいけないとまず思いますが、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。特に、犯罪者、犯罪を起こして刑務所に入った人間もやがて社会に帰ってくるんだということを考えますと、社会の理解あるいは地域の理解、そういうものがなければなかなかうまくいかないと思います。

 それで、今度の制度も、確かに、一部執行猶予を入れるという中には、先ほどの御質疑のように、まさに刑というのは、犯した犯罪に対応する、等しいものでなければならない、アンバランスに長かったりなんかしてはいけないわけですね。でも、その限度内でどうやったらよりよく社会復帰ができるかという観点がやはり今度の制度の背景にあるんだと思います。

 したがいまして、なかなか、この量刑をどうするのか、一部執行猶予と仮釈放がどう違うのかというのは、ある意味では、刑事制度の素人の方にはわかりにくい面があることも事実ですが、何を目指してこういう制度をやっているのかというのはよくよく御理解をいただくように、広報的にも努力する必要があると思います。

辻元委員 広報的にもとおっしゃったんですけれども、社会全体の理解、その上で社会貢献活動やさまざまな保護観察ということが成り立ちますので、その根本のところを司法の関係者だけが割合、こういう制度が変わったりしたら、わかっているわけですけれども、そして裁判員で新しく来られる方も、なかなか、それでなくてもいろいろ負担が多いとか不安であったりということをお持ちの方がたくさん出ているということも聞いておりますので、人の一生を左右するというか拘束するという話ですから、そこは徹底していただくようにお願いいたします。

 その上で、保護観察の特別遵守事項について、幾つか具体的にお聞きしたいと思います。

 今回の一連の改正で、先ほどからも出ておりますが、社会貢献活動を保護観察の特別遵守事項として義務づけるとなされております。

 ここで例示されている活動を見ますと、公共の場所での清掃活動や落書き消し、福祉施設における介護補助活動、公園の緑化活動などが挙がっているんですけれども、何かちょっと内容が乏しいというか、見ましても、どういう基準でこういう例示をされているのか。どのような活動が更生に適しているのかということの事例の収集とかそれから調査をして、事例の紹介だけではなくて、これからそれを実行に移していくわけですから、科学的にというところまでなかなか実証できないかもしれませんが、一定の根拠があってお示しになっていると思うんですね。

 今までどういう議論を積み重ねてこの社会貢献活動という具体的な事例を挙げ、今後もそれを実行に移そうとされているのか、お答えいただきたいと思います。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 社会貢献活動、地域の利益の増進に役立つような仕事をしていただく、活動していただくということで、自分も非常に役に立つんだという自己有用性を感じていただいたり、一つのことをやり遂げたという自己達成感というんですか、そういうものを持っていただく、さらに、そういう活動を通じて社会のルールなども学んでいただくという目的で、今回導入させていただこうとしているものでございます。

 委員御指摘のように、各地の実情に応じまして、公共の場所での清掃とか、落書き消しとか、福祉施設における介護等をやっておりますが、そのほか、公園の緑化、違法広告物の撤去、動物園での飼育補助、使用済み切手の整理などの活動も実施しております。公園の清掃など、諸外国でも行われておりまして、そういうものも参考に、いろいろなものを決めさせていただいているということでございます。

 今、保護観察所では、今回の法改正も見据えまして、平成二十三年度から、現行の枠組みの中で、保護観察対象者の同意を得て社会貢献活動を先行実施しておりまして、平成二十四年度は千三百回の活動を実施して、約三千百名の対象の方が参加しております。活動に参加された保護対象者に対しましてアンケート調査を今実施しておりまして、それぞれの活動を通じて達成感とか自己有用感が得られたかどうかといった観点から意見を集約しておりまして、今その詳細について分析しているというところでございます。

辻元委員 諸外国の事例というのが今御答弁の中で出てまいりましたけれども、諸外国の事例もさまざま研究されたと思うんです。

 その際に、こういう意味があるということと同時に、どういう問題点が生じたのかということも研究した上で踏み切らないと、先進的な事例で、問題点、何でも導入するときに、それは問題はなかったの、問題はどこにあったのということで、それを一つずつ消しながら運用していくことが必要だと思いますので、諸外国の事例などとおっしゃいましたので、そこで起こっている問題点などはしっかりと検証されたのかどうかが一点。

 それと、私は割とNPO活動とかボランティアとかやっているんですけれども、今、自治会の清掃でも人が集まらなくて、みんな長続きしなかったりというようなことが言われておりまして、落書き消しなんかも、これはいろいろなボランティアで、日本だけではなく、ヨーロッパなんかも雇用対策として取り入れたりしていたりもするんですが、なかなか人が集まらなくて長続きしなかったりということが、日常または雇用という場面でも出てきているということを、現状をいろいろお聞きもしております。ですから、そういう点も含めてよく検討していかないと実効性に乏しいものになるのではないかと思っているんですね。

 先ほど枝野さんの話でペナルティーということがございましたけれども、ペナルティーとしてするのではなくて、ポジティブ。しかし、ポジティブも、皆さん自治会の掃除をされたかどうかわかりませんけれども、なかなか長続きができなくて、かなりいろいろ地域地域で問題を抱えているということもある中で、この制度を導入されたときに一体どういう問題やあつれきが出てくるのか、先進的に外国なんかでもやっているところがあると聞いておりますけれども、そこでは一体問題は出なかったのかどうか、その辺はどういうように検証されたんでしょうか。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 イギリスとか韓国などでもこのような類似の制度が行われているわけですが、社会奉仕命令を履行した者の再犯率が低いといったような報告がなされております。

 しかしながら、委員御指摘のように、他方、問題点もいろいろと指摘されておりまして、諸外国における社会奉仕命令につきましては、例えば犯罪者の改善更生や再犯防止に役立てるためには、それをさせる対象者を適切に選ぶ必要がある、ふさわしい者をちゃんときちっとそれなりに科学的に判断して選ぶ必要があるということがまず指摘されております。

 それから、実際にやっていただくにしても、いろいろな種類のものがあると思うんですが、その対象者に適合するものをよく考えてやっていただく必要がある、そこら辺を十分準備する必要があるというふうな課題が指摘されております。

 さらに、活動中に種々の事故なども起こるようですので、そういうものに対する対策などについても十分検討する必要があるという課題などが指摘されております。

 これら諸外国の課題も踏まえまして、我が国においても社会貢献活動を適切に実施できるよう配慮してまいりたいというふうに思っております。

 それから、活動場所の確保というものでやはりなかなか大変な部分がございまして、地元の御理解も得なければいけません。それから、いろいろな団体の御理解も得なければいけません。そういうことで、例えば、平成二十三年には、総務省さんと連名で、各都道府県に対しまして、活動場所に関する情報とか、それから、そういう活動をされている方の情報などの提供をお願いしますというような文書も出させていただき、また、この社会貢献活動の内容について各都道府県に御説明に上がるといったようなこともさせていただいています。

 また、それ以外に、いろいろな福祉団体等もございます、そういうところにも赴かせていただきまして社会貢献活動の趣旨なども説明させていただき、また、そういう場所の情報提供等にも御協力いただくようお願いしているというところでございます。

辻元委員 今、福祉の団体等という話もありまして、最初、私、これを拝見したときに、公共の場所での清掃や落書き消し、福祉施設における介護補助活動と書いてあって、実は、私はヘルパーの資格を持っているんですけれども、この介護補助活動というのは社会貢献じゃないんですよ。どちらかというと分野は医療分野に当たるようなもので、医療や看護師さんたち専門家が行う分野と介護の分野というのは、ほぼもうイコールに等しい状況に今なってきているわけです。例えば、認知症の方のケアや車椅子の補助一つをとりましても、非常に難しいわけですね。並べて出していらっしゃるというのは、認識がどうなっているのかなとちょっと心配になったんです。

 というのは、これを施行しましても、現場で混乱が起こっては何ともなりません。それが、また何か大きな事件や事故につながるということになっても困りますので。

 それで、いろいろ参議院の法務委員会の御答弁を見ていきますと、そういう指摘も出ておりまして、介護のような専門的知識、技術を習得しなければ従事できないといったような分野のものについて、活動分野としては適当でないのではないかという質問に、車椅子介助の補助というような介護活動の補助的な活動をイメージしていると。

 確かに、介護施設によっては、高校生のボランティアとか地域の方々のボランティアで、補助的なボランティアを入れている施設もあるわけですけれども、これは福祉という分野は広うございますけれども、福祉は、医療分野、医療活動にボランティアがなかなか入っていけないのと同じような厳しさが今ございますので、その辺のことについても、やはりしっかりとした、厚労省なんかともしっかりお話をしていただいて、特にこのところ高齢化になりまして介護の現場が複雑多岐になってきておりますので、厚労省などとの連携もしながらやっていただかないと問題が出てくるのではないかと思いますが、いかがですか。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 まさに委員御指摘のとおりだというふうに認識しております。

 福祉の現場でも、恐らく、いろいろな種類の仕事、それから、お手伝いといってもいろいろなものがあって、全くの素人にさせられるものもあれば、させることが適当でないものとか、いろいろなレベルのものがあると思います。

 ですから、そういうことにつきまして、実際に行うに当たりましては、福祉施設の職員の方々と保護観察所との間で事前に十分な打ち合わせを行って、社会貢献活動としてできるもの、ふさわしいものということに限定してするように十分心がけたいと思いますし、また、厚生労働省さんとも十分協議を重ねたいというふうに思っております。

辻元委員 他省との連携もお願いしたいと思います。

 しかし、うまくマッチングしてヒットしたら、本当に人は変わるんですよね。いろいろなボランティア活動とか福祉の現場で、高齢者のケアをしながら自分が癒やされて人が生まれ変わったというような話もいっぱいありますし、そのためには、体制をしっかり整えて、問題点をきちんと把握しておくということが大事だと思います。

 といいますのも、先ほどから申し上げておりますように、裁判所で刑を言い渡されるときにもう、この人はこうだ、この人の適任は何だとか、例えば仮釈放で模範的な方であったとかということの後ではございませんので、そういう万全の体制が必要だと思います。

 最後に、先ほどから保護観察官の体制強化の話も出ております。保護司さんの話なども出ましたけれども、やはり、この保護観察官の体制というのも、弱い点、それから定員がこれで一体足りるのかという点など、多く参議院でも指摘されてまいりましたけれども、現在、この保護観察所の定員は増員になっているのか、それとも減っているのか、この点はいかがでしょうか。そして、今後どうしていくのか、お答えください。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 保護観察官といいましても、例えば、現場の第一線で処遇を担当している者もおれば、管理職もおれば、局におる者もおりますが、今一番肝心なのは、恐らくは現場で具体的に処遇を担当している者の数だと思います。

 そのような管理職などを除いた保護観察官の数なんですが、平成十八年度は六百四十九人であったところ、本年度は九百八十二人ということで、七年間で約三百三十人の増加をいただいているというところでございます。

 今後とも、処遇に必要な体制づくりを図っていきたいというふうに思っております。

辻元委員 今のお話を伺いますと、一定増員になっているということなんですけれども、現場を細かく見ていきますと、例えば平成二十五年度の増員査定を見ますと、保護観察所の保護観察官三十四、医療観察のための社会復帰調整官十七の計五十一名。ところが、定員の削減分というのが三十八ありまして、引くと純増で十三。この現場に当たっては非常に重要な現場だと思うんですけれども。というように、本当に、ちょっとまだ、今後手薄になってくるのではないかと思いますので、さらにこの点を補強していただかなければならないんじゃないか。

 どういうお仕事がふえているかと、いろいろ調べたり、現場の方にお聞きしましたら、最近は性犯罪者の処遇プログラムとか、それから、これは今回も薬物事案も問題になっておりますけれども、覚醒剤の事犯者処遇プログラムとか暴力防止プログラム、DVなどもかなり数がふえておりまして、そういう任務の分野が多岐に広くなってきているという中で、かなり負担がふえてきているというような報告もございますので、しっかりこの点も対応をしていただきたいというように思います。

 大臣、現場の対応をする保護観察官や、それから社会の受け入れ、ここが本当に未整備のままで法改正になったときに、問題が起こっても困りますので、今幾つかの点を指摘させていただきましたが、厚労省やさまざまな社会的貢献などで受け入れを予測されるような各省の現状などもお聞きいただきまして、スムーズに、そして非常にこの制度になって社会復帰それから再犯の防止に役立ったというようにしていただきたいと思いますので、最後に、各省の連携等も含めての大臣の御意見を伺いたいと思います。

谷垣国務大臣 新しい仕組みを今度入れるわけですね。それで、まずそれがスムーズに施行できますように、体制整備をいろいろ今から準備していかなきゃなりません。

 それで、今御指摘のように、保護観察官もふやしてはいただいているんですが、刑の一部執行猶予を入れることによって、相当数保護観察事案がふえると思いますね。これは、実は私、いろいろな閣僚もやらせていただきましたが、何が大変って、定員の壁を打ち破るのが一番大変でございまして、これは頑張らなきゃいけないと思っておりますので、またこれは御支援をいただきたいと思います。

 それから、特に社会貢献活動や、これは社会貢献活動だけではございませんが、一部執行猶予の効果がどう出てくるか。これは、一部執行猶予の効果がどう出てくるかは、検証には少し時間がかかるだろうと思いますね。ただ、今のような社会貢献活動などは、果たして、先ほど御注意があったように、介護というようなものがすぐボランティアでできるかどうかとか、いろいろなことがあると思いますので、これは各省とも連携をとって、今一部試行して既に分析を始めているということでありますけれども、しっかりフォローできるような体制をつくっていきたいと思っております。

辻元委員 終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛です。本日もよろしくお願いいたします。

 法案の質疑に移る前に、拷問等禁止条約の第二回政府報告審査という件について、外務政務官含め、伺います。

 先日、新聞を見ておりますと、この拷問等禁止条約に基づく拷問禁止委員会というところで日本政府に対する勧告がなされたと。このニュースなどでは、主に慰安婦に関する橋下大阪市長の発言を念頭に勧告がされたという記事でございましたけれども、それ以外にも、ちょっと私が関心を持って調べたところ、気になる点がございました。その点についてまずお伺いします。

 まず、この委員会に参加したというか傍聴に行った弁護士さんのブログで、日本の代表としてこの場に出席した上田人権人道大使という方が、日本は人権先進国の一つだという発言をしたところ、会場で苦笑が起こった、これに対して、なぜ笑うんだ、笑うな、シャラップ、シャラップということを言われたようなんです。

 こういう国際的な会議の場で、しかも人権の問題を扱う場でこういう発言をしたということは、ちょっと国益に照らしていかがなものかなと思うんですけれども、政務官の御認識はいかがでしょうか。

あべ大臣政務官 階委員にお答えいたします。

 御指摘の発言に関してでございますが、議場におきまして、上田人権人道担当大使より、有罪を得るために被収容者の自白に頼り過ぎることは中世のものだと指摘されたことに対する反論の中で行われたものと承知しております。

 上田大使の発言に関しましては、その表現ぶりに対して必ずしも適切ではないと考えておりまして、上田大使に対してしかるべく口頭による注意を行ったところでございます。

 いずれにいたしましても、今回のこの問題に関しまして、政府報告審査において、上田大使を初めとする政府代表団、我が国の考え方についてしかるべく説明を行ったものと承知しております。

階委員 ちゃんと論理的に説明してもらえばいいわけでして、聴衆の反応に対して、シャラップというのは黙れということですけれども、黙れというような暴言を言われるのは、政府の代表として参加される人の発言としては私はまずいと思います。

 その上で、今の御答弁ですと注意を行ったということなんですが、私は、そもそも、論理的に反論するにしても、やはり今の日本の刑事司法の中には、取り調べに偏重した捜査が行われて、私もこの場で何回か取り上げましたけれども、違法な取り調べというのがあったり不当な取り調べがあったりというのは、これはもう世の中で明らかになっております。こうしたことを踏まえると、そんなに黙れと言えるほどのものもないかもしれません。

 そういうことも考え合わせますと、今回の上田人権人道大使という方の処分については甘過ぎるのではないかと思います。もう少し厳しい処分があってしかるべきではないかと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

あべ大臣政務官 上田大使の発言、特にその表現ぶりについて必ずしも適切ではなかったと私どもは考えておりまして、上田大使に対しての主管局長、平松総合外交政策局長でございますが、しかるべく口頭による注意を行ったところでございます。

 また、同大使も、自身の発言のその表現ぶりに関して、必ずしも適切ではなかったということに関しての反省の意をあらわしているところでございます。

 いずれにいたしましても、政府報告審査におきまして、上田大使を初めとする政府代表団、我が国の考え方についてしかるべく説明を行ったものというふうに承知しております。

階委員 最後の点については、今の議論とは直接は関係ないと思うんですね。聴衆に対して暴言を吐いたことと議論の場でちゃんと説明をしたということは別問題だと思います。

 上田人権大使というのは外務省のOBですし、任命権者は外務大臣です。ですから、外務大臣としても、これは責任を持って、こういう行動に対しては厳しい対応をとるべきだと思っておりますので、ぜひその点はよろしくお願いいたします。政務官、結構でございます。

 こういったやりとりがまずあったということなんですが、審査の場でいろいろ議論がされて、審査後に委員会の勧告というのが行われます。この委員会の勧告で、きょう、資料をつけさせていただいておりますけれども、資料の一というところに、ちょっと英文で恐縮なんですが、これは外務省に聞いたらまだ和訳ができていないということなので、英文のままつけさせていただきました。

 資料一の四ページ、五ページあたりを見ていただきますと、これは取り調べと自白について勧告がされております。

 四ページ、五ページのうち、四ページの一番下に(a)、それから五ページの最初にかけて(b)、(c)というところがございますけれども、例えば(a)においては、取り調べ時間に制限を設け、それの違反については罰すること、あるいは(b)においては、刑事訴追の際の基本的かつ中心的な立証方法として自白に依存する慣行があるので、捜査手法を改善すること、さらに(c)としましては、取り調べの全過程を録音、録画して裁判で利用可能とする安全措置を実施することなどと、日本政府に対して求めているわけです。

 法務大臣にお伺いしますけれども、これらの点についてどのように対応するお考えでしょうか。

谷垣国務大臣 今委員がお示しになりました勧告が出ているということは、私どもも承知しております。

 それで、勧告にあります案件は、法制審議会の新時代の刑事司法制度特別部会で今御議論をいただいている内容でございます。取り調べあるいは供述調書に過度に依存した捜査、公判のあり方の見直し、それから被疑者取り調べの録音、録画制度の導入、こういったことを今議論していただいているわけですね。

 それで、この問題については、今私は諮問を申し上げている立場でございますので、十分そこで議論をしていただいて、きちっとしたバランスのとれた結論を出していただきたいと思っております。その審議会の答申をいただきましたら、それをきちっと実現していくということは当然やらなければなりませんが、現在のところ、そういう対応をしていくと考えております。

階委員 事務方で結構ですけれども、審議会の方にはこの拷問委員会の勧告の内容というのは伝わっているのかどうか、お答えいただけますか。

稲田政府参考人 政府審査に対する見解につきましては、ついせんだって出されたところでございまして、その後まだ審議会のその部会等が開かれておりませんので、今後どのようにするか、検討したいと思っております。

階委員 国連の委員会でこういう勧告がされたということは重要な情報ですので、それは審議会の方にも伝えるようにぜひお願いします。

 その上で、その勧告の中で、ニュースでも取り上げられたと申しましたけれども、軍による性的奴隷の被害者という項目がこの中にあります。

 お手元の資料の一でいいますと、九ページ、十ページあたりをごらんになっていただきたいんですが、まず九ページの真ん中よりやや下のあたりに(a)から(f)まで並んでいますが、その中の(d)というところに、これを私の方で和訳しますと、閣僚を含むハイレベルの国と地方の役人や政治家が、公の場で従軍慰安婦に関する事実を否定し続け、被害者をさらに傷つけているということをまず(d)で指摘しております。その上で、次の十ページの上の方に(a)、(b)、(c)、(d)、(e)と並んでいますけれども、(b)のところで、これは勧告の中身なんですが、この勧告は、今の指摘した点に関して、事実の否定やそれによって被害者を傷つけようとする政府当局や公人の試みに反論するよう日本政府に求めているということです。

 報道では、橋下市長への反論を日本政府に求めているように報道されていますけれども、今申し上げたように、(d)の指摘のところでは閣僚も含んでいます。閣僚も含んでいることは私は重大であると思っていますけれども、法務大臣としてどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。

谷垣国務大臣 慰安婦問題につきましては、日本政府としては、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるとして、機会あるごとに、心からのおわびと反省の気持ちを表明してきたものと認識しております。

 それで、今般、拷問禁止委員会から、御指摘のような点も含め、慰安婦問題に対する勧告がなされたことは承知しております。

 ここに盛り込まれた勧告に対して今後どうしていくか。これは、一法務省だけで答えるわけにはいきませんので、政府全体としてきちっと検討した上で適切に対応していかなきゃいかぬ、このように考えております。

階委員 これは、重要な指摘、勧告がされていますので、しかるべき対応をされるよう、私もしっかりフォローしてまいりたいと思います。

 次のテーマなんですが、法曹養成制度検討会議についてちょっとお伺いします。

 この法曹養成制度検討会議は、昨年、司法修習生の給費制を貸与制に変えるという法案を可決した際に附帯決議というものを行いまして、これについては、資料二の、手書きの番号でいうと十四ページですけれども、ここに附帯決議というのがあります。二番、真ん中あたりですけれども、「合議制の組織においては、法科大学院志願者数の減少、司法試験合格率の低迷等の法曹養成制度の問題状況を踏まえ、その原因を探求の上、法科大学院における適正な定員の在り方や司法試験の受験の在り方を含め、質の高い法曹を養成するための法曹養成制度全体についての検討を加えた結果を一年以内に取りまとめ、」という附帯決議をしていたわけです。

 ところが、この検討会議、そろそろその一年以内の期限が迫っているということで、この間、六月六日に会議が開かれて、あと一回、六月十九日を残すのみとなっております。

 この六月六日の会議で座長試案というのが出されまして、これが資料の三でございます。この資料三の一番最後の四十ページというところを見ていただきたいんですが、「第四」として「今後の法曹養成制度についての検討体制の在り方」という項目が、この局面でなぜか急に加わったということであります。

 ちなみに、この資料三なんですけれども、それまでの議論の中で示されたものから変わったところは下線などを引いております。見え消しになっております。したがって、この「第四」、最後の四十ページのところは、この六月六日に初めて示されたということなんです。

 「今後の法曹養成制度についての検討体制の在り方」ということなんですが、枠囲みのすぐ下に書かれてありますように、「本検討会議においては、検討した各論点のうち、結論が得られたものがある一方、今後の法曹人口、法科大学院、司法試験及び司法修習の在り方については、検討課題を残すこととせざるを得なかった。」という記述になっております。

 附帯決議では、一年以内に取りまとめろと。その中には、「法科大学院における適正な定員の在り方や司法試験の受験の在り方を含め、」というふうになっていますので、結論を出さずに、検討課題を残さざるを得なかったということで、先送りをしているわけですね。あたかも、よく連続ドラマなどで、いよいよ最終回といって、最終回を見たら、次回へ続くみたいな話になっているわけです。

 私は、この附帯決議と明らかに抵触するんじゃないかと思っていまして、こういう取りまとめだと、今までの積み上げてきたものは何だったのかなと思っております。この取りまとめの特に今の「第四」という部分は、附帯決議に反するのではないかと思っています。

 法務大臣としてどのようにお考えになるのか、お聞かせください。

谷垣国務大臣 法曹養成制度検討会議、おっしゃるように、六月六日、第十四回の会議で、最終的な取りまとめに向けての座長試案が出されたところであります。もちろん、議論は相当大詰めに来ているんですが、まだ最終的な取りまとめには至っておりません。

 この試案の中では、一定の結論を出したものもございますし、今、階委員が御指摘のように、幾つかの論点についてはさらに調査を要するとか、制度自体、まだ実施後間もないために、もう少し経過を見る必要があるとか、さらには専門的な検討が必要だとしている点もございます。新たな検討体制をつくって引き続きやっていこうという内容になっているわけでございます。

 その附帯決議、これに反していると今、階委員はおっしゃいました。ただ、これは、一年以内に取りまとめるということでございますが、事柄の性質上、もう少し制度の実施の経緯を見るものも当然あるだろうと私は思います。したがいまして、全ての論点について結論を出し切ることまで求められているのではないのではないか、現在の取りまとめはこの趣旨に反するものとは必ずしも言えないのではないかというふうに考えております。

 いずれにせよ、やがてこの結論を出していただけると思います。それを受けて、政府としても、まだここは検討会議の段階でございますから、閣僚会議できちっとした方向性を出していかなければいけないと考えております。

階委員 この委員会でも再三指摘があったと思うんですけれども、今、法曹養成制度というのは大変な危機に瀕しています。

 私は一刻の猶予もあってはならないと思っていまして、具体的に申し上げますと、先日、法務省からあるいは文科省から出された資料によりますと、前年度と今年度、すなわち二十四年度と二十五年度を比較した場合に、例えば、法科大学院の志願者は一万八千人から一万四千人に、四千人以上減っています。あるいは、入学者は三千百五十人が二千六百九十八人に減っています。さらに、入学定員の充足率、定員に占める入学者の割合も、前年は〇・七〇だったのが〇・六三に減っています。充足率がこのように下がっていますけれども、実は、その一方で入学定員も減らしているわけですね。入学定員も二百二十三人ぐらい減らす中で、なお充足率がこのように下がっているということは、深刻な問題だと思います。

 さらに、司法試験と予備試験の受験者の動向を見ますと、あるいは法科大学院の志願者の動向を見ますと、法科大学院の志願者は二十五年度でいいますと一万三千九百二十四人なんですが、平成二十五年の司法試験予備試験の方は出願者が一万一千二百五十五人と、単純に比較しましても余り変わらなくなってきています。司法試験の予備試験の方は年々ふえてきておりまして、二十五年は前年より二千百三十七人ふえている。ロースクールは一万三千九百二十四人と言いましたけれども、これは併願している方とかもいらっしゃるので、実人員といいますか、重複を省くともっと少ない、場合によってはもう逆転しているのではないかと思うわけです。(発言する者あり)

 逆転していると今お声がありましたけれども、そういう大変な危機的な状況の中で、なお時間をかけて検討していくという余裕は、私は全くないと思っております。目の前で火事が起こっているのに、火の消し方を議論しているというふうにも思えるわけです。

 最初の附帯決議に戻っていただきたいんですが、「合議制の組織においては、」「一年以内に取りまとめ、」の後なんですが、「政府においては、講ずべき措置の内容及び時期を直ちに明示することとすること。」というふうになっています。附帯決議の二の最後のところですけれども、「政府においては、講ずべき措置の内容及び時期を直ちに明示する」ということですから、私は、取りまとめの内容はいかなるものであれ、今の危機的状況に照らしてみれば、政府としてはもう迅速に手を打つべきときになっているのではないかと思っていますが、この点について、法務大臣の見解をお願いします。

谷垣国務大臣 閣僚会議では、この検討会議の結論を得まして、八月二日までに結論を出すもの、こういうふうになっております。そして、その中で、政府としては、今おっしゃったような今後の改革あるいは見直しの、工程表と言っていいのか、そういったものをきちっと示していく必要があると思います。

 ただ、その中で、やはり検討に少し時間をかける必要があるものという範疇が当然残るのではないか、こういうふうに考えておりまして、いずれにせよ、八月二日までにきちっとそういうものを出していきたいと思っております。

階委員 法科大学院の志願者、先ほど申し上げましたように激減していまして、パーセンテージにすると、二十四年度から二十五年度にかけて二四・五%も志願者が減っているということで、本当に危機的な状況です。これはもう大臣はよくおわかりだと思いますので、ここを何とか手を打たないと、法曹の世界が今後どうなってしまうのか、私は本当に大変な危機的な状況だと思っていますので、ぜひそこは迅速に手だてを講じていただきたいと思います。

 その上で、法案の中身にちょっと入りますが、私、この一部執行猶予制度という仕組みでやはり一番気がかりなのは、これまで執行猶予を受けていた人が実刑プラス一部執行猶予というふうになる可能性があるんじゃないかと。やはり、私も少しばかりですけれども刑事弁護をした経験からいうと、実刑か執行猶予かというのは、被告人にとっては、すごく人生を左右するような大問題なわけですね。仮に、この制度が導入されることによって、従前、全部執行猶予となっていた人が、一部実刑、一部執行猶予というふうになってしまうと、私は問題だと思っています。

 そういうふうにならない、つまり、これまで執行猶予だった人は引き続き執行猶予なんだということをぜひきっちりと説明していただければと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

谷垣国務大臣 この考え方は、今までも何度もこの委員会の中で御議論があったと思います。

 それで、この一部執行猶予制度は、もう一回そもそも論になりますが、決して厳罰化を狙うとか、あるいはそれを緩和することを狙うというものではなくて、本来、刑事責任に見合った量刑を行うということが当然の前提とした上で、当人の社会復帰等々を考えたときに、いろいろな選択肢を広げる必要があるのではないかという考え方で、刑事責任、それから再犯防止、改善更生の観点、双方を充足する量刑判断を可能としようという考え方でできているわけであります。

 それで、個別の事案で、今度新しく考えますときに、今までだったらどうだったのかということは、それは一応考えると思います。新しい制度論で考えるときに、完全に、厳密な意味で同じ考えになるかどうか、これはちょっとよくわからないところがございますけれども、考え方の基本はそういうことだろうと思います。

 そういう観点から、この法律案では、犯罪の軽重、それから犯人の境遇そのほかの情状を考慮して、刑事責任の観点から相当である、さらに再び犯罪をすることを防ぐために必要かつ相当であると認められるときなどの要件のもとで、刑の一部の執行猶予を言い渡すことができるとしているわけで、もともと全部執行猶予が適当であるというのであったならば、今度も執行猶予でいくということになると思います。

階委員 最後のところが非常に重要だと思います。こういう議論というのは、委員会でいろいろ説明がなされましたけれども、やはり最後のところがぴしっと言われると、私も安心してこういう制度の導入ということについては踏み切れるのではないかと思っています。

 その上で、提案理由の説明の中で、施設内処遇を行った上、残りの期間については執行を猶予し、相応の期間、社会内処遇を実施することが、再犯防止、改善更生のためにより有用である場合があると考えられるとされているんですが、その根拠というものが私はどこにあるのかわかりませんので、その根拠、どのようなものかということを教えていただけますか。

稲田政府参考人 事実関係についてでございますので、私の方から御説明をさせていただきたいと思います。

 まず一つは、これまでも、犯罪をした方について、いずれは社会に戻るという観点から、施設内処遇をいろいろするわけでありますけれども、その後、いきなり誘惑の多い社会の中に入っていくというのはやはりなかなか難しいところもある、そういう意味で、一定の範囲で社会内処遇をした上で行っていく方が改善更生に効果があるのではないかというふうに思われてきたところであります。

 その上で、さらに具体的に見ますと、刑務所を出所後に再犯に及び、再入所する方の割合を見ますと、仮釈放の許可を受けて社会内処遇を実施された方の方が満期釈放者よりも低いという事実。あるいは、再犯を犯した者が前刑出所後、再犯に及ぶまでの期間を見ますと、やはり仮釈放の許可を受けて出所した方の方が満期釈放者よりも長い。つまり、長い期間、再犯を犯さない可能性が高いというようなことが統計上のデータとしては出ているところもございますので、もちろんこれは一人一人の問題でありますから一概に言えるところではありませんけれども、全体の傾向としてはそういうことが挙げられるのではないかというふうに考えております。

階委員 要は、施設内処遇を行った後、いきなり社会に出すのではなくて、社会内処遇、保護観察をした上で社会に送った方が犯罪を犯すリスクが少ないということだと思うんです。

 そうだとすれば、今回は三年以下の懲役または禁錮の言い渡しを受ける場合に一部執行猶予が付されるということなんですが、それに限定せず、例えば懲役十年というようなより重い判決の場合でも、施設内処遇の後に社会内処遇をするという方が今の御説明の趣旨には沿うのではないかと私は思いますが、この点、大臣、どのようにお考えになりますか。

谷垣国務大臣 三年を超える懲役とか禁錮が言い渡される事案については、現行制度のもとにおいても刑の執行猶予を言い渡すことができないとされているわけですね。その趣旨は、刑事責任の、やはり十年というと相当重大なものでありますから、そういう重大なもの、責任の重大性から鑑みると、およそ刑の執行猶予をすべきではないという判断のもとにこういう制度ができているんだろうと思います。

 その背景にありますのは、こういう重大事案については、国民の法感情も、そう簡単に執行猶予にしてもらったら困るぞというのが背景にあるんだというふうに私は理解をいたします。

 そうしますと、今の委員のお問いかけでございますけれども、三年ということに限定したのは、以上のような趣旨を踏まえて三年ということに限定したわけでございまして、それは相当の理由があるというふうに私は考えております。

階委員 これで終わりますけれども、再犯防止という観点からすると、むしろ、重い罪を犯した人の方が再犯を防止するためによりしっかりとした社会内処遇をしなくちゃいけないというふうに思います。

 ただ、刑罰というのは、そういう教育刑という面と応報刑という面があるので、今、応報刑という面に重い刑については重点を置かれるという御説明だったと思います。ぜひこの点については、再犯防止ということも考え合わせながら、より深い議論がされるよう期待いたしまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

    〔委員長退席、若宮委員長代理着席〕

若宮委員長代理 次に、西根由佳君。

西根委員 日本維新の会、西根由佳でございます。よろしくお願いいたします。

 まずは余談になりますが、先々週の金曜日、大臣からも御案内いただきました全国刑務作業展示即売会に行ってまいりました。大変広い会場なんですが、びっしり人がいました。丁寧につくられたたくさんの種類の製品がとても良心的な価格で売られておりまして、それが人気の秘訣だと思いました。

 ただ、一つ、気になったことがございまして、レジの数が少なくて、お会計に時間がかかってしまったということでございます。もしよろしければ、来年以降はレジの数をふやすことも検討されてもよいかもしれません。

 ちなみに、私は大阪刑務所の布製のポーチを購入してまいりました。

 本題に入る前に、もう一点、こちらはちょっとショッキングな報道なんですが、きょうの午前中の記事でございます。先ほど出たばかりの記事ですので通告はまだしておりませんが、本日付の読売新聞ウエブの記事で、宮崎刑務所の刑務官が覚醒剤の使用で逮捕されたとのことです。先日は、刑務官が覚醒剤を受刑者に渡した事件につき、私、この委員会で質問いたしましたが、今回は刑務官自身が使用していたということです。

 こうなりますと、刑務官の間にも覚醒剤、薬物が蔓延しているのではないか、こういう疑問を持たれても仕方ないと思いますが、この事件に関しまして、大臣の御感想、何かありましたらお願いいたします。

谷垣国務大臣 今おっしゃった事件、私も逮捕されたことについては報告を受けております。

 それで、今おっしゃったように、刑務所職員が、前回は覚醒剤を受刑者に渡したという案件でございましたが、今回はみずから使用したということだと今のところ聞いております。さらに、これは、事実関係はきちっと調査をしなければなりませんが、大変遺憾なことでございますので、きちっと事実関係を調査して、それがわかり次第、厳正に対処したいと考えております。

西根委員 大変大きな問題ですので、ぜひお願いいたします。私も必要に応じて今後また質問させていただきたいと思います。

 それでは、本題に入ります。

 本日の審議案件、刑法一部改正法案、薬物使用等の罪を犯した者に対する一部執行猶予制度法案ということでございますが、本法案について数問質問した後は、刑事司法関連のほかのテーマの質問をさせていただきたいと思います。

 本法案が検討されたそもそもの始まりは、刑事施設の被収容人員の適正化、つまり刑務所の定員オーバーの状態を解消するためだったと聞いております。平成十八年に当時の法務大臣が法制審議会に諮問をかけたときには、刑事施設の過剰収容が問題となっていたようですが、皆様御承知のとおり、現在ではこの問題は解消されております。

 このような経緯の中で生まれた一部執行猶予制度ですが、先進国で一部執行猶予制度または類似の制度をとっている国はあるのでしょうか。また、今回、どこかの国を参考にしたのでしょうか。教えてください。

稲田政府参考人 法制審議会での御議論の際に、やはり諸外国の実例等もいろいろ参考にされております。

 その中でも、特にフランスにおきましては、裁判所が一定期間、この場合は五年以下と承知しておりますけれども、の拘禁刑を言い渡すに当たりまして、その一部の執行を猶予することができる制度を導入しているというふうに承知しているところでございます。

 また、そのほかにも、アメリカの一部の州において、拘禁刑を言い渡すに当たり、その一部を実刑にし、残りを保護観察つき執行猶予とすることができるようにしたり、イギリスでもやはり、刑期のうち一定の拘禁期間を定め、その後の期間については遵守事項を守ることを条件として釈放を命じることができる制度を導入しているというふうなことがあったようでございます。

 また、そのほかにも、ドイツでは、全体の刑期の一部を執行した後で、裁判所が保護観察のために残刑の執行を延期することができるという制度を導入しているというようなことでございまして、外国の法制はいろいろさまざまでございますけれども、今申し上げましたように、いろいろな形で、一部実刑を執行した後に執行猶予という形にしている国があるというふうなことを参考にしたものというふうに承知しております。

西根委員 他国の制度も参考になさったということです。

 特に近いのがフランスの一部執行猶予制度ということなんですけれども、このフランスの一部執行猶予制度、これを導入したことによって、フランスで再犯防止効果が上がったというデータはあるのでしょうか。

稲田政府参考人 お答え申し上げます。

 フランスで、もともとこういう一部の執行猶予制度を最初に導入したのは一八九一年ということで、百年以上前のことでございますので、その際に、その導入によってどういう変化が生じたかというのは、ちょっと現時点ではわかりかねるところはございます。

 ただ、その後、一部執行猶予期間に保護観察を付するようになったりしているようでございますが、それはそれといたしまして、先ほど申しましたように百年ぐらい続いている制度の中で、現在も、全体で言い渡される事件の中のかなりの割合でこの一部執行猶予が言い渡されているというあたりを見ますと、フランスにおきましてはこの制度がそれ相応に有用なものとして運用されているのではないかというふうに考えております。

西根委員 それ相応の効果はあるのかもしれないという感じでしょうか。数字というものは出せなかったということだと思うんですが。

 それでは、アメリカやイギリス、ドイツの類似制度では再犯防止効果は数字で出ているのでしょうか。教えてください。

稲田政府参考人 確かにイギリスでありますとかアメリカの制度は、例えばイギリスの制度は今世紀に入ってから二〇〇三年に、アメリカと先ほど申し上げましたのは、私が念頭に置いておりましたのはマサチューセッツ州でございまして、これも一九九八年ということでございますので、比較的最近導入されたものでございますが、何分にも外国の制度ということでございまして、その背景も違いますし、それぞれの国での運用も違いまして、またデータのとり方等もございまして、なかなか私どもの方で考えるような、ぴったりとした何か具体的なデータというものがあるというふうには承知していないところでございます。

西根委員 ということは、今回の一部執行猶予制度導入に当たっての法制審議会での検討では、具体的に再犯防止効果のデータが出てそれに基づいて検討された、こういうことではないという理解でよろしいでしょうか。

稲田政府参考人 お尋ねが、一部執行猶予制度を導入することによって諸外国の再犯率がどういうふうに変化したかということを具体的な議論の際に前提としたのかということであれば、そのようなデータを持ち合わせて議論をしたものでないのはそのとおりでございます。

 ただ、先ほども御答弁申し上げましたように、私どもの統計上も、一定程度実刑で施設内処遇をした後社会内処遇をした者の方が比較的再犯率が低いというようなことも、日本での実態としてのバックにあるということは御理解いただきたいと思います。

西根委員 法制審議会で検討が始まった当初は、今回の一部執行猶予制度以外にも、新しい制度として、中間施設における処遇制度や必要的仮釈放制度など、六つの制度が検討対象になったと聞いております。

 その中でなぜ一部執行猶予制度が選択されたのでしょうか。再犯防止に効果があるという数字的なデータがない状況で、なぜ一部執行猶予制度という結論になったのでしょうか。

稲田政府参考人 法制審議会での御議論の中で、確かに六つぐらいの項目が検討対象として俎上に上りました。

 その中で、例えば中間施設というものを設けて処遇をしてはどうかというようなアイデア、あるいは必要的仮釈放制度を導入してはどうかとか、仮釈放の期間についてのいわゆる考試期間主義の採用でありますとか、刑執行終了者に一定の支援的処遇を受けることを義務づける制度の導入などが俎上に上りましたが、いずれも委員の方々の中でいろいろ賛否両論ございまして、意見がまとまらなかったというところでございます。

 それに対しまして、今御提案申し上げております刑の一部の執行猶予制度と、これはほかの外国にもあるようでございますが、分割刑と申しまして、判決において一定期間の懲役または禁錮と一定期間の保護観察を両方言い渡すという制度の二つにつきましては、これらを支持する意見が多く見られたということから、この二つを中心に議論が進んだというふうに承知しております。

 ただ、その上で、今申し上げました分割刑制度につきましては、二つ目の保護観察、つまり懲役の後の保護観察をどういう制度として位置づけるのか、法的性格をどう位置づけるのか、あるいは、保護観察中に義務違反をした場合にどのように実効性、つまり不良措置を講ずるのかというようなことについて、なかなか我が国法の従来の考え方となじみにくいところがございまして、結局のところ、比較的我が国の従来のやり方に親和性のある刑の一部の執行猶予制度がやりやすいのではないかということが意見として相当数になったということから、このような議論が進んだというふうに承知しております。

西根委員 専門家の方々のさまざまな議論を経た上での結論だということですし、再犯防止のために社会内処遇をやっていくことがよい、社会内での更生の期間を確保するというその趣旨は私も理解しております。別にこの法案に反対する趣旨ではございません。

 しかし、まだどこの国でも効果が検証されていない、実証されていない制度ということですから、制度導入後は、再犯防止効果がどれだけ上がっているか、確実に検証していただきたいと思います。また、効果が上がらない場合には、別の新しい制度を検討する必要もあると考えます。

 この点につき、法務大臣の御所見をお伺いします。

谷垣国務大臣 御趣旨のように、しかるべきときに効果を検証していくということは、これは検討しなきゃいけないと思います。

 ただ、これは、そういう事例が少したまってくるといいますか、社会内処遇をやって、その後、再犯を犯すのか犯さないのかという、効果が出てくるまでには、効果が検証できるまでにはしばらく時間が要るだろうとは思います。

 その上で、もしなかったらほかの制度ということですが、今これを入れた段階で、まだ、では、だめだったらこれをやるとはちょっと申し上げにくいわけでございます。

 私のところにも各国の法務大臣あるいは司法関係者がお見えになりますが、それぞれの国でこのような仕組みをいろいろ試行錯誤しておられるというところもあるようでございますから、そういったことも十分議論してやっていきたいと思っております。

西根委員 よろしくお願いいたします。

 それでは、本法案に関する質問はこれくらいにいたしまして、別のテーマに移らせていただきます。

 少し前の話になりますが、先月の十日に、法務省が保護観察中の少年を非常勤職員として採用したという発表がありました。再犯防止のために法務省みずからが率先して雇用する姿勢を示すことは非常に大切なことであり、法務大臣の再犯防止への決意を強く感じます。すばらしい取り組みに敬意を表します。

 さて、再犯防止の取り組みの課題の一つに、知的障害者や精神障害者の更生の問題がございます。

 知的障害者の再犯の問題については、平成十八年に出版された山本譲司元衆議院議員の「累犯障害者」という本によって注目されるようになり、これを受けて、同じ年に、刑事施設における知的障害者の実態を調べるため、サンプル調査を行ったと聞いております。

 最新の調査結果についてお伺いしたいところですが、知的障害に関する調査で分析結果の出ているものはほかにないと聞いておりますので、この平成十八年の調査について法務省にお伺いいたします。

 刑事施設におけるサンプル調査では、知的障害者または知的障害が疑われる者のうち、知的障害者が福祉サービスを受けるために必要な療育手帳を持っている人はどのくらいの割合でしたでしょうか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの実態調査は、平成十八年十月三十一日時点で、全国十五庁の刑務所に収容されていた受刑者二万七千二十四名を対象に実施したものでございます。

 調査の結果でございますけれども、知的障害または知的障害が疑われる者は四百十名、約一・五%、そのうち、療育手帳を所持している者は二十六名、その割合は六・三%という状況でございました。

 以上でございます。

西根委員 知的障害または知的障害が疑われる者のうち、療育手帳を持っていたのがわずか六%しかいなかった、こういうことでございます。

 それでは、知的障害者または知的障害が疑われる者の主な罪名と主な犯罪動機を教えてください。

西田政府参考人 お答えいたします。

 当該調査によりましたら、知的障害または知的障害が疑われる者の主な罪名、まず窃盗が四三・四%と最も多く、次いで、詐欺六・八%、放火六・三%という状況でございました。

西根委員 主な犯罪動機についても教えていただけますでしょうか。

西田政府参考人 失礼いたしました。

 具体的な犯罪態様までは調査しておりませんので……(西根委員「犯罪動機でございます」と呼ぶ)ええ。犯罪動機につきましては、調査した結果は、まず困窮、生活苦が三六・八%、利欲が二〇・七%、性欲九・三%という結果でございました。

西根委員 罪名としては窃盗が圧倒的に多く、次に詐欺が続くわけですが、専門家によりますと、窃盗の中身としては万引きなどの軽微なものが多く、詐欺についても、そのほとんどは無銭飲食や無賃乗車だとのことです。そして、犯罪動機としては、今御答弁がありましたように、困窮、生活苦が一番多くなっているということです。

 つまり、知的障害者または知的障害が疑われる者が、社会において適切な福祉サービスを受けられずに、生活に困って万引きや無銭飲食を犯したというパターンが多く見られる、こういうことでございます。

 本来は、障害を持つ人が確実に福祉サービスを受けられる体制をつくる、このことが最重要課題です。他方、福祉の手から漏れ、それゆえに犯罪を犯してしまう障害者が多数いる。この現状におきましては、司法が福祉と連携して、障害者の再犯を確実に防ぐ役割を果たしていくことが重要だと考えております。

 ところで、平成二十三年七月に、私の地元の大阪市平野区で、当時四十二歳の男性が、約三十年の引きこもりの末、自宅で姉を殺害するという事件がありました。この男性は、発達障害の一種であるアスペルガー症候群でした。

 ここでアスペルガー症候群について少し説明いたしますと、アスペルガー症候群とは、生まれつき中枢神経がうまく働かないことにより、一、人と上手につき合えない、二、コミュニケーションがうまくとれない、三、想像力が乏しく、こだわりが強いという三つの特徴を持った自閉症の一種です。学業成績などでの落ち込みは目立たず、言葉の理解はできているものの、人とのかかわりが一方的になりやすい、こういう障害だとされております。

 話を戻しまして、この事件は裁判員裁判の対象事件となり、平成二十四年七月、大阪地裁は、母や二番目の姉が被告人との同居を明確に断り、社会内でアスペルガー症候群という精神障害に対応する受け皿が何ら用意されていないことを挙げ、許される限り長期間、刑務所に収容することが社会秩序の維持にも資するなどとして、検察側の懲役十六年の求刑を上回る、懲役二十年の判決を言い渡しました。

 私は、この判決が出たときに、発達障害を理由として求刑よりも重い判決が出たことに大変衝撃を受けました。

 その後の大阪高裁の二審では、被告人が、障害を周囲に気づかれず、適切な支援を受けられないまま約三十年にわたり引きこもり生活をしていたことを指摘し、犯行の経緯や動機形成には被告人のみを責めることができない障害が介在しており、量刑判断で考慮されるべきとしました。そして、十分に反省態度を示せないのは障害の影響のためで、再犯可能性を推認させる状況ではないとし、社会の受け皿についても、地域生活定着支援センターなどの公的機関による一定の対応があり、受け皿がないとは言えないとして、一審判決を破棄し、懲役十四年を言い渡しました。

 この事件は、精神障害者や知的障害者の更生、社会復帰をどう図っていけばよいのかについて、大きな問題提起をするものです。

 ここで留意しなければいけないのは、精神障害や知的障害自体が犯罪を引き起こすのではなく、障害ゆえに周囲との関係がうまくいかず、いじめに遭ったり、引きこもりになったり、社会的に孤立する、いわば二次的障害とも言える状態が犯罪を引き起こす場合があるということです。

 さて、平成二十三年、障害者基本法に、国に対して、障害者が司法手続において権利を円滑に行使できるようにするために必要な施策を講じることを義務づける、二十九条が追加されました。

 ここで裁判所にお伺いします。

 刑事公判手続において、精神障害者、知的障害者の権利保護に関し、どのような対策を講じているのでしょうか。また、精神障害、知的障害の影響を量刑上どのように考えるかについての研究は進んでいるのでしょうか。教えてください。

    〔若宮委員長代理退席、委員長着席〕

今崎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 まず、裁判所におきましてどのような対策、施策を講じているかでございますけれども、被告人が精神障害あるいは知的障害あるいは発達障害といったものを有しているという場合には、通常の裁判におきましては、まず、弁護人において、障害の特性に応じた適切な配慮をされているということが通常だろうと思います。

 その上で、裁判所においても、実際に裁判が始まりました後は、被告人が精神障害あるいはそういった知的障害等を有しているのだという場合には、法廷でのやりとりに配慮してほしいというような申し入れを通常いただきますので、それを尊重いたしまして審理を進めるということになりますし、また、裁判所の方で気づいた場合にも、適宜、そういった措置を講じているところでございます。具体的には、平易な言葉でゆっくり話すとか、あるいは、質問等の意味をよく、丁寧に説明するといった配慮をしているものと承知しております。

 あわせまして、その研究についてもお答え申し上げます。

 司法研修所が平成二十一年度に現職裁判官及び学識経験者である協力研究員に委嘱して行いました司法研究、裁判員裁判における量刑評議のあり方をテーマとしました司法研究が昨年公表されております。これの中では、一般的な量刑のあり方といたしまして、刑量を決める基本は犯罪行為そのものの重さである、したがって、犯罪行為そのものの重さを見るに当たっては、一つは処罰の根拠となる処罰対象そのものの要素と、二つ目は当該行為の意思決定への非難の程度に影響する要素から成る、こういう見解が示されております。

 この見解によりますと、精神障害、知的障害、発達障害等、被告人の責めに帰することのできない障害が当該犯行を行うという被告人の意思決定に影響を及ぼしているという場合には、その意思決定について、被告人に全ての責任を負わせるというわけにはいきませんものですから、非難の程度が弱まって、したがいまして、刑を軽くする方向に考慮されるという帰結になるものと思われます。

 ただ、今御紹介した見解は、それ自体としては目新しいものではなく、法曹実務家、法律実務家では広く共有された考え方であろうと思います。裁判員制度が導入されて、改めて系統立った分析、説明がなされました結果、その正当性が改めて再確認された、こういうふうに御理解いただければよろしいかと存じます。

 最後に一点だけつけ加えさせていただきますと、個々の事件においてどのような刑を科するかという最終的な判断は、個々の事件ごとに、証拠上認められるさまざまな事情を裁判所で総合考慮して判断するものでございますので、ただいま申し上げた考え方が一般的とは申しますが、常に公式のように当てはまるものではないということは御理解いただければと存じます。

 以上でございます。

西根委員 先ほどの判断枠組みがありながらも、さまざまな事情を考慮してということで、恐らくこのアスペルガー症候群の事件の一審判決は、社会の受け皿がないことを理由として求刑よりも重い刑罰を科した、こういうことなのかもしれません。

 しかし、今の御答弁にもありましたように、本来、量刑判断は、犯罪行為そのものの重さ、これがまず基本になるべきでございます。そして、御答弁にもありましたように、犯罪行為そのものの重さの判断に当たっては、当該行為の意思決定への非難の程度を考慮するところ、障害が、本人の責めに帰することのできない知的障害、発達障害などの精神障害、これが犯罪行為への意思決定に影響を与える程度が大きければ当然非難の程度は低くなる、したがって、量刑が軽くならなければならない、こういうことでございます。

 裁判所におかれましては、もちろん最終的な判断は個人の裁判官の良心と知識に基づいてなされるものではございますが、やはり、この量刑の判断枠組み、これをしっかりと守っていただきたいと思います。そして、裁判員の方たちには、量刑判断のあり方、今御説明していただいた内容をわかりやすく説明していただいて、理解していただいて、適切な量刑判断がなされるように努めていただきたいと思っております。

 また、障害は、量刑判断以前の責任能力の判断においても重要な考慮要素となるものです。障害に関する研究は年を追うごとにどんどん進んできております。障害に関する知識、理解をさらに深め、障害を持つ被告人の責任能力の判断、量刑の判断の適正さを追求していく努力をぜひ行っていっていただきたいと思っております。

 さて、公判手続の適正さを追求しなければならないのは当然ですが、一方で、そもそも精神障害者、知的障害者にとって、刑事施設での処遇が本当に更生につながっているのでしょうか。

 ここで法務省にお伺いしますが、精神障害や知的障害を持つ人への独自の処遇プログラムというのはあるのでしょうか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 精神障害者に対する処遇プログラムですけれども、まず、三カ所ありますPFI刑務所におきましては、専門的な医療措置を必要としない、そこまでには至らない精神障害者あるいは知的障害を有する者等を収容する特化ユニットというものを設けておりまして、コミュニケーション能力の向上等を目的としたプログラムはやっております。

 また、一般的に、刑事施設におきましては、全受刑者を対象としまして、規則正しい生活習慣ですとか、あるいは健全な物の見方、考え方、これを身につけさせるといった改善指導を行っているところでございます。精神障害あるいは知的障害を有する受刑者に対してもこの指導を行っておるわけでございますが、改善指導をする際には、やはり、その特性に応じたカウンセリングですとか、あるいは面接ですとか、そういったものを配慮しまして行っているところでございます。

 また、さらには、一部の刑務所におきましては、対人関係に問題があるとされる受刑者に対して、小集団を編成しまして、SST、社会生活技能訓練というものでございますけれども、これを実施して対人関係スキルを身につけるように努めておるところでございます。精神障害あるいは知的障害を有する受刑者につきましても、その必要な者に対しては、少人数でグループを形成いたしまして、そういったプログラムを実施しているところでございます。

西根委員 今説明いただきましたように、いろいろなプログラム、まず、PFIでは特化ユニットをつくって区別して処遇しているし、また、ほかの刑務所でもSSTという形でプログラムを組んでいらっしゃる、こういうことなんですが、それが果たして足りているのかという疑問が私の中であるわけでございます。

 PFI以外の一般刑務所では、精神障害や知的障害を持つ人への独自のプログラムというものはないわけです。SSTなどは別に障害を持った人の独自のプログラムではないわけですから。また、健常な受刑者と知的障害や精神障害を持つ受刑者が混在した状況にあるということです。一般刑務所では、健常な受刑者と障害を持つ受刑者が混在している。

 御答弁にもありましたとおり、処遇は、最初の審査でその受刑者の特性を判断して個別の処遇を行う、この前提のもと、現場の方が頑張っていらっしゃる、こういうことはよく存じておりますが、このような混在した状況で個別の処遇というのも大変難しいのではないか、私はこういうふうに感じているわけでございます。かといって、刑事施設の人的な制約、物的な制約を考えるときに、一般の刑務所全てが、PFIのように健常な人と障害を持つ人とを分けて特化ユニットをつくってやるということもやはり厳しい、こういう状況だと思います。

 そこで、先ほども述べましたように、本来なら福祉によって救われるべき障害者が、救われずに刑事施設に入っている、こういう現状があるのなら、本来の福祉の手に戻していく、障害者の更生は社会内の福祉施設に任せ、健常者を前提とした刑事施設と役割分担していく、こういう発想も大切なのではないか、このように考えております。

 もちろん、刑罰における責任主義の原則から、障害者であっても責任に応じた刑罰を科すべきことは言うまでもありません。しかし、障害が責任能力に与える影響についてはまだまだ研究が進められていくべき分野であり、障害の程度によっては、刑罰を科して刑事施設で処遇するよりも、社会内の福祉施設で更生させる方が適切な場合もあるのではないでしょうか。

 これに関連しまして検察庁の取り組みをお伺いしようと思っておりましたが、質疑時間が終了しましたので、また今度にさせていただきます。ありがとうございました。

石田委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 本日、法務委員会に初めて出席させていただきまして、また質問の機会をいただきました。関係各位、先生方に心より感謝申し上げます。

 そもそも、我が党の西田委員から、今回、薬物のことについて検討しているということで、河野さん、もともと薬物やっていたでしょうということだったんですが、薬物をやっていたと言うとちょっと誤解されるかもしれません。私、精神科医でございまして、薬物をやって精神障害を来した方の治療をやっていたという立場で、今回、質問させていただきたいと思います。

 まず今回、刑の一部執行猶予制度ということでございますけれども、私はそもそも、執行する側の都合によるものではないのかなという疑念を持っております。近年、刑務所の収容率がかなり高い、超過収容で劣悪な住環境ということもお聞きしておりますが、現在、刑務所の収容率はどんな状況にあるのでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 直近で把握しておりますのが二十三年末の収容人員でございますけれども、収容定員九万五百四十七人に対しまして六万九千八百七十六人、収容率は七七・二%ということになっております。

 ただ、一方で、実は、収容対象によりましてはまだ高率収容、過剰収容の状態がございまして、具体的に申し上げますと、女子刑務所とかそういったところにつきましてはいまだに過剰収容、高率収容が続いているという状況でございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 かなり一〇〇%を超えていたということもあったとお聞きしているんですが、その辺、どうでしょうか。

西田政府参考人 失礼いたします。

 先ほど言われました諮問当時、平成十七年当時が過剰収容の最もピークでございまして、そのころは、確かに、収容定員が七万六千四十三人に対しまして七万九千五十五人、収容率でいいますと一〇四・〇%という、まさに収容定員を超える収容状況でございました。

 以上でございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 次に、本法案では、例えば懲役三年の実刑を受けて、仮に三年間で刑を満了した人がいるという一方で、服役は二年だったけれども、残り一年間は外で保護観察するということで、保護観察が三年といった例もあると聞いております。そうなりますと、完全にフリー、自由の身となるまで、結局はこの方、後者の方は五年間かかってしまうということになるかと思います。

 執行猶予中であれば、海外渡航が制限される場合もあるでしょうし、そういったことから職業選択の自由ということで制限が加わってしまう場合もあるかと思います。そうすると、さきに述べたような、満期服役よりもひょっとしたら社会復帰が長くなってしまうんじゃないかというようなことは危惧されないでしょうか。重罰化になっているという考え方はないかという点についてお聞かせください。

稲田政府参考人 この制度は、あくまでも、犯罪者の再犯防止、改善更生に役立つ刑の選択肢をふやすというものでございます。したがいまして、これまでと同様に、判決においては刑事責任に見合った量刑が行われるということをまず当然の前提とした上で、再犯防止、改善更生の観点をより一層充足する量刑判断を可能とする仕組みでございまして、厳罰化を意図するものでも、寛刑化を意図するものでもございません。

 先ほども御答弁申し上げましたが、刑のどちらが重いか軽いかというのは、なかなか比較が、単純に合算しただけでできるものでもないと思います。実際のところとしては、やはり刑期全体の長さとか実刑部分の長さ、執行猶予期間の長さなどなどを総合的に考慮して判断されるものでございますので、一概に、執行猶予期間が長くつくことによって重くなるというふうには言えないんだろうと思います。

 現に、先ほど御指摘のような事例で、三年のうち一年間が執行猶予ということでなった場合に、その期間を無事経過いたしますと、実刑の終了時期は、三年後ではなくて、実刑が終わった二年のところで刑が終わったことになり、その後の累犯という観点から見ましても、三年の実刑よりは軽いといいますか、比較的軽い扱いになるということもございますので、今回の制度によって厳罰化を目指しているということにはならないのではないかというふうに思っております。

河野(正)委員 では、次に、薬物事犯の件で質問させていただきます。

 わかりやすいように、例えばアルコール依存症等に置きかえて考えてみますと、アルコール依存症もしくはアルコール精神病の患者さんというのは、お酒を飲めない状況にしておけば余り問題というのは起きないわけであります。ですから、精神科病院の閉鎖病棟等に入っております限りは余り大きな問題にはならない。

 ただ、これは、外に出てから、いつでもお酒が飲めるような状況になってからが非常に問題となってくる。御承知のように、日本各地至るところ、コンビニエンスストアなどで二十四時間お酒が手に入るという環境にありますから、アルコール依存症の患者さん等であれば、退院した後に手を出さずに済むかどうかということがポイントになってくると思います。

 したがいまして、同じく依存症の強制的な入院治療に当たりましては、幻覚、妄想などの精神症状が発現し、社会生活が困難となった時期や、放置すれば生命に危険が及ぶような身体症状が出た場合、つまり、食思不振で著しく痩せてしまったり、肝臓を痛めて緊急に治療が必要なのに御本人の理解が得られない場合などにとどめて検討するべきだと考えております。

 そういった場合、せっかくと言ったらあれですけれども、入院したのですから、心身の治療と並行してお酒や薬物について勉強していただき、退院した後に再び問題とならないようにしていただくように、医療従事者や御家族も含めて、そういったことを願って治療を行っているわけでありますけれども、実際は非常に厳しい現実がございます。

 ということで、出た後が重要なんですけれども、最近は刑務所内でも薬物離脱指導を行っていると聞いております。実際の状況やプログラム等、把握されている範囲でお聞かせいただきたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 現在行っております薬物依存離脱指導につきましては、麻薬、覚醒剤その他の薬物に対する依存がある受刑者に対しまして、薬物依存の認識及び薬物使用に係る自分の問題点を理解させた上で、今後薬物に手を出さずに生活していく決意を固めさせる、再使用に至らないための具体的な方法を考えさせる、そういったことを目的として実施している指導でございます。

 少し具体的に申し上げますと、指導項目につきましては、薬物の薬理作用と依存症、薬物使用に関する自己洞察、あるいは薬物使用の影響などから成る十項目を設けまして、これを三カ月から六カ月の期間を設けて実施することとしております。

 本指導におきましては、その指導方法としては、受刑者同士に話をさせながら自己の問題点に気づかせるといったグループワークを積極的に導入すると同時に、指導者として、当方内部の者だけではなくて、ダルク等の民間の自助グループの手もおかりして積極的に努めているところでございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 そういった中で取り組みということでやられているということですね。

 続きまして、出た後の問題に移りますけれども、本法案では、保護司という方の負う役割が非常に大きいのではないかなと思います。保護司の方の現状について、特に平均年齢、かなり高齢化されているというような状況でありますし、そういった点、教えていただけますでしょうか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現状といたしまして、ことしの一月一日現在で四万七千九百九十人の保護司の方々に活動していただいておりまして、それぞれの地域におきまして、犯罪をした者の再犯防止と改善更生のために多大な御貢献をいただいているところでございます。

 しかしながら、保護司の平均年齢、ことしの一月一日現在、六十四・三歳と徐々に上がってきておりまして、さらに近年、保護観察対象者の家族や地域の協力が得られにくいなど、保護司活動がますます難しくなっている、困難になっているという中、新任保護司の確保も難しいという状況がありまして、保護司の人員が減少傾向にあるというのが実情でございます。

 さらに、保護司になっていただいた方の多くが、対応の難しい刑務所出所者等の処遇に心理的な負担を感じているというふうなアンケートの結果などもあるところでございます。

 そういうことで、法務省といたしましては、保護司さんの不安等を除くための種々の施策をとって対応しているというところでございます。

河野(正)委員 種々の施策をとって、ふやすように努力されているということでございますけれども、なり手が少ないことの一つとしまして、そういった出てきた方と近づき過ぎて犯罪に巻き込まれてしまうのではないかという考え方もあると思います。

 保護司の方が盗難や暴行等の被害に遭われる事例というのがあるのかどうか、それに対する対策等についてお聞かせください。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 そのような事案、時々起きております。特に大きなものは、平成二十二年に茨城県で発生いたしました案件でございまして、保護観察対象の少年が保護司さんの家に放火する、家が全焼するというふうな件が起きております。非常に保護司さんの方々の間に心理的な動揺が広がりました。

 そういうことから、保護司会の要望も受けまして、もともと保護司さんは非常勤の国家公務員になるわけで、保護司さん本人が例えばその活動の中でけがをするとか、そういうふうな被害を受けた場合の補償はあったんですが、それだけではなくて、御家族の方とか従業員の方、それから家とか事業所などについて被害が生じた場合も補償できるというふうな補償の制度を導入しているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 次に、出た後の住居の問題についてお尋ねいたしたいと思います。

 薬物乱用者の少なくない方々が御家族等に迷惑をかけているという現実があります。私も、有機溶剤を吸引した直後にたばこを吸おうとしてシンナーに引火させてしまって、御自身もやけどをされたんですけれども、家も全焼してしまったというような例を聞いております。家族は、そういった場合、もう二度と帰ってきてほしくないとかなり強烈な思いで拒否をされるという、ちょっとつらい現実があるんですけれども。

 そういった意味から、更生保護施設という施設があると思います。これについての実情をお教えいただけますでしょうか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 更生保護施設は、刑務所等を出所されて行き場のない方を受け入れてくださる受け皿ということでございます。現在、全国に百四施設ございまして、定員は約二千三百人ということでございます。

 平成二十四年中に更生保護施設が新たに受け入れた仮釈放者、保護観察つき執行猶予者の数は約四千二百二十二人ということになっております。

河野(正)委員 全国百四カ所ということですけれども、なかなか難しい問題かなと思います。自宅に帰れない現状というのもあるかと思いますので、非常にこういった施設が大切なんだろうと思います。

 また、国の方では、更生保護施設に心理士やソーシャルワーカー等を配置して社会復帰を促していこうということで御検討されていると伺っておりますが、そういった人員を配置しているのであれば、どういう状況か、お答えいただきたいと思います。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、大体、平成二十四年中に四千二百二十二人の方を更生保護施設で受け入れているというふうに申し上げましたが、そのうち、薬物依存関係の保護観察対象者は七百九十九人ということで、全体の約一九%を占めているところでございます。

 そういうことで、薬物関係者に対しましては積極的な処遇が多くの施設で行われているところでございますが、今回の法改正、法施行なども見据えまして、全国の五つの更生保護施設を薬物処遇重点実施更生保護施設ということに選定いたしまして、これらの施設には、精神保健福祉士や臨床心理士等の精神医療に関する専門的な資格を持った方、スタッフを配置させていただきまして、薬物依存の改善に向けた専門的なプログラムを実施するとともに、医療や福祉関係機関等との連携を強化して、施設退所後にも必要な支援が受けられるよう調整を行うこととさせていただいているところでございます。

河野(正)委員 ところで、法律では、薬物依存改善に資する医療や、薬物依存改善のプログラム、専門的援助を受けることの指示を可能にということでございますが、そもそも、全国の医療機関で薬物に関するプログラムを有している病院なり診療所、どれぐらいあると認識されていますでしょうか。

岡田政府参考人 御指摘の認知行動療法によります薬物依存治療プログラムを行っています医療機関は、平成二十五年の二月末現在で、二十三カ所の医療機関で実施しているというふうに把握しております。

河野(正)委員 極めて少ない専門施設しかないということだと思います。

 それでは、ちょっと視点を変えまして、公的な施設である精神保健福祉センター、これは各県、もしくは政令指定都市があるところであれば政令指定都市ごとに設置されているんじゃないかなと思いますけれども、この精神保健福祉センターには、医師を初めとして多職種の医療従事者が配属されていると思います。このセンターで薬物依存改善のプログラムを行っているかどうか、どれぐらいの施設があるのか、お聞かせいただきたいと思います。

岡田政府参考人 精神保健福祉センターで先ほどの薬物依存治療プログラムを実施している機関は、全国で七カ所でございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 今おわかりのように、医療機関で二十カ所、そして公的な精神保健福祉センターでも全国七カ所ぐらいしかやっていないということですので、やはり出た後、そういった教育であるとかフォローをしていく上では非常に厳しい状況なのかなと思います。

 今後どのように対応されていくか非常に危惧されるところでありまして、刑務所からは早く出しましょう、後は何か専門のところでちゃんとやってくれるだろうと思っていても、今お聞かせいただきましたように、出した後にちゃんとそういったことに対応していく施設がないというのが現状でありまして、これは極めて無責任な状況にあるんじゃないかなと思いますが、政府としての見解を改めてお聞かせいただきたいと思います。

岡田政府参考人 先生御指摘のように、薬物依存治療を行っています医療機関というのは、一部、非常に限られたところでしかないということは先生御指摘のとおりでございます。

 こうした状況を踏まえまして、昨年の十一月に有識者や当事者などによる検討会を開催いたしまして、三月二十八日に今後の依存症対策の方向性などについて報告書を取りまとめていただいたところでございます。

 この報告書におきましては、依存症の治療を行っています医療機関が少ないという状況の一因として、医療関係者の理解が十分でないであるとか、標準的な治療ガイドラインが策定されていない、薬物依存の治療の人的、経済的インセンティブがないなどを挙げまして、今後の必要な医療を受けられる体制の整備に向けまして、依存症に関します研修会の実施、標準的なガイドラインの策定、中核となる薬物依存の治療拠点の整備と地域医療機関との連携など、具体的な提言がなされているところでありまして、今後、この報告書の内容を踏まえまして、依存症対策をさらに推進していきたいというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 非常に厳しい現状があると。一部執行猶予で出したとしても、それをきちんと請け負って社会復帰につなげていくという形がなかなかとれないということだと思います。いみじくも今、経済的インセンティブの問題も言われましたけれども、やはりきちんと予算を組んでやっていかないといけない問題じゃないかなと思います。

 そして、違法ドラッグ、いわゆる脱法ドラッグとか呼ばれるような問題がございます。

 今国会でも関連法の改正案が可決、成立いたしておりますが、覚醒剤に類似したような薬物が町で容易に手に入るという環境にあるんじゃないかなと思います。これは日本薬剤師会などでも大きな問題として提起されていると思うんですけれども、法整備について、このままで十分と考えられているのかどうか、政府の見解をお尋ねいたしたいと思います。

とかしき大臣政務官 河野委員の御質問にお答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、先日、議員立法にて脱法ハーブの薬事法等改正法案が今国会で成立いたしまして、五月十七日に公布をされました。これによりまして、指定薬物は六十八から八百七十六に取り締まりが強化されまして、そして指定薬物の取り締まりの権限が追加をされ、物品の収去権限の追加、こういったものも内容として盛り込まれております。

 違法ドラッグというのはイタチごっこでありまして、次々とあらわれてまいりますので、やはりこれをしっかり速やかに指定薬物として指定することがとても大切であります。ですから、今回は、海外で流通している物質を国内で流通する前に予防として指定してしまうとか、化学物質が類似している場合、これを網羅的に規制できるようにさせていただいたのが大きな特徴です。

 このほかにも、本年の二月に開設いたしました、あやしいヤクブツ連絡ネット、ぜひごらんになっていただきたいと思いますけれども、このホームページ自身の方が怪しいとも言われておりますけれども、違法ドラッグを利用することの危険性について、国民の情報提供及び啓発することを目的といたしておりまして、これらの政策を取り合わせて対策をどんどん強化していきたい、このように考えております。

 ありがとうございます。

河野(正)委員 ぜひしっかり頑張っていただきたいと思います。今の御答弁にもありましたように、本当に薬物というのは、ちょっと亀の甲の形をいじったりすれば、もうそれで対象外になってしまったりしますので、やはり根本的にきちんとしていかなければならない。ぜひ頑張ってやっていただきたいと思います。

 次に、社会内処遇ということで、社会貢献活動というのが考えられていると思います。これにつきまして、諸外国の状況を把握されている範囲でお聞かせいただけますでしょうか。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス等の諸外国におきましては、刑罰あるいはそれに代替する措置として、裁判所の命令によって社会奉仕活動等が行われております。保護観察の遵守事項により社会奉仕を義務づけている例といたしましては、韓国において十六歳以上の少年に対して行われているものがあると承知しております。

 具体的な活動内容といたしましては、例えばドイツでは、スポーツクラブ、市役所の緑地課、保育園、老人ホーム、病院、教会、墓地等における清掃、ベッドメーキング等の仕事が行われており、韓国では、公園、河川、道路等の清掃作業、老人ホーム、障害施設等での介護補助等が行われていると承知しているところでございます。

河野(正)委員 今おっしゃったように、公の場所で清掃活動などを行うということもあると思いますので、これは衆目の場面にさらされることになります。

 これについて、見せしめになるんじゃないかという意見もあるように認識しておりますが、この点の御見解はいかがでしょうか。

盛山大臣政務官 今御指摘のように、社会貢献活動は、犯罪に対する制裁として科するものではありません。保護観察処遇の一つの方法として、対象者に達成感あるいは自己有用感を獲得させまして、改善更生の意欲を高めさせることが目的でございます。ですから、殊さらに周囲にその当該者であるということがわかるような方法で活動させるということは、むしろ改善更生の意欲をそぐことになると考えております。

 河野委員御懸念のとおり、犯罪をした者に対する見せしめであると受けとめられることがないよう、対象者のプライバシーに配慮することが重要と考えております。例えば、対象者の居住地域以外の場所で活動させたり、関係者に提供する対象者の個人情報を必要最小限とするなど、その適切な管理を要請し、対象者のプライバシーの確保に十分配慮した実施が肝要であると考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 さて、先ほどもちょっと出てきましたけれども、ドラッグ・アディクション・リハビリテーション・センター、ダルクという組織が全国にございます。文字どおり薬物依存症の回復施設ということで、先ほど答弁の中にありましたように、刑務所に赴いてグループミーティングなどのお手伝いをしているということもあると思います。

 ダルクの方々によれば、ドラッグの入り口は広いが、抜け出すための出口は極めて狭い、薬は、やめて終わりではなく、ひずんでしまった生活習慣を見直さなければいけない、人間関係を修復して周りの信頼を回復しなくてはいけない、息の長い、根気強い取り組みが必要だということで、当事者への対応に限らず、御家族の相談など、極めて熱心かつ献身的に活動されていると思っております。

 本法が施行されれば、非常にダルクに負うところも大きくなるんじゃないかと思いますけれども、ダルクに対する補助というのはされていらっしゃるのでしょうか。

谷垣国務大臣 今おっしゃったダルクに限りませんが、NPO法人等の民間団体に対して宿泊場所の提供を委託する制度、自立準備ホームの取り組みを法務省としては実施しておりまして、宿泊場所の提供等に要する費用を委託費として支弁しております。これが平成二十三年度からです。二十四年度からは、ダルクなどの民間自助グループで行われているミーティングなど、薬物依存の改善に資する訓練として当該民間自助グループ等に委託して実施しておりまして、訓練の実施に要する費用を委託費として支弁しているということでございます。

 今後の対応ですが、現在、薬物依存治療の専門家やダルク等の指導者等を構成員とする研究会で、保護観察所と地域の関係機関、団体等の連携方策について検討を行っておりまして、ダルクなど民間自助グループ等との効果的な連携のあり方について、もう少し詰めて考えたいと思っております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 ダルク等、非常に負うところが大きくなるのかなと思っております。

 ちょっと話がずれるかもしれませんが、東日本大震災の起こる直前でございますけれども、宮城県の村井知事が性犯罪者に対してGPSを携帯させてはいかがかという条例を検討されたということを聞いております。

 これについては、刑が終わった方にそういったことを課すというのは二重処罰ではないのか、条例によってそういうことをしていいのかということで、いろいろ論議を醸して、また、結果的には、東日本大震災が起きましたので、若干それが先送りになって、今般、また再検討を行った。今回、結果としては、東日本大震災からの復興が最優先であるので、非常に効果が期待できるが県単独では難しい、国に取り組みを促したいというふうに発言されたと報道されております。

 これは、性犯罪に限らず、薬物事犯等でもそういった問題にならないかという点も含めまして、国として、こういった犯罪を犯して出てきた方に対するGPS携帯に関するお考えをお尋ねしたいと思います。

稲田政府参考人 ただいまの御指摘は、性犯罪者といいましても、いわゆる性犯罪を犯し、懲役または禁錮を言い渡されて、刑の執行を受け終わった者についてということであろうかと思います。したがいまして、この刑の執行を受け終えた方は既に刑事責任を果たし終えた方だというふうに私ども認識しております。

 その上で、GPS装置などの携帯等を義務づけるなどの権利制約を伴う措置を講ずるというふうにした場合に、このような措置がどういう観点で必要なのか、さらに、どのような根拠に基づいて、どのような方を対象に、どのような措置をとることが許されるのかといった点については、これはなかなか、いろいろと検討しなければいけない、慎重に検討しなければいけないものであろうと思います。

 また、監督を続けることによりまして、これらの方の社会復帰の努力を阻害するおそれはないのか、出所者や家族の生活にも悪影響を及ぼすのではないかなどの問題も考えられるわけでございます。

 このようないろいろな問題につきまして、さまざまな観点から慎重に検討する必要があると考えております。

河野(正)委員 時間も来ましたので最後になりますけれども、薬物乱用というのは入り口は広くても出口が極めて狭いと先ほどお話ししましたけれども、このために、やはり入り口に入っていかないような試みをしていかなければいけないんじゃないかなと思います。

 その意味で、薬物乱用防止のために教育をしていくということが極めて重要な問題かなと思います。中学生あるいは小学生ぐらいからもうしっかりと薬物の危険性を学んでいただかなければならないのかなと思いますが、我が国の教育現場における取り組みについてお聞かせいただけますでしょうか。

山脇政府参考人 御指摘のとおり、薬物乱用を拒絶する規範意識を向上するために、学校における薬物乱用防止教育の役割は重要であると認識しております。

 学校における薬物乱用防止教育は、小学校では体育、中学校では保健体育を中心に、学校の教育活動全体を通じて指導が行われているところでございます。

 文部科学省としては、例えば、全ての中学校において、少なくとも年一回、薬物乱用防止教室を開催するように指導しております。また、小学校においても地域の実情に応じて開催に努めるように依頼をしております。また、全ての小学校五年生それから中学校一年生に対しまして、薬物乱用の危険性などについて総合的に解説する啓発教材を作成し、配付をするというような各種施策を推進しているところでございます。

 今後とも、学校における薬物乱用防止教育を一層充実してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 時間が来ましたので、これで質問を終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 こんにちは。みんなの党の椎名毅でございます。

 毎度毎度、質疑の時間をいただきまして、本当にありがとうございます。

 刑の一部執行猶予、新しい言い渡し刑のメニューをふやすというお話と、それから保護観察のメニューをふやす、遵守事項のメニューをふやす、そういう大きな二点の改正についての質問ということでございます。

 四十五分ということですけれども、前の先生方の問題意識と重なる部分も結構あるかと思いますので、さばけるところはさばき、削れるところは削っていこうかなというふうに思います。四十五分、きちんとやらせていただきたいと思いますので、どうぞ御容赦いただければというふうに思います。

 本日、刑の一部執行猶予というところに関連して、まず、保護行政、保護観察というところについて伺っていきたいと思います。

 まず、今般の制度設計に当たって一番大きな問題というのは、再犯防止という目的なんだというふうに思います。それで、もしかしたら階先生が聞かれたところかと思いますが、前提として事実の確認をさせていただきたいと思います。

 おおむね仮釈放率五〇%ということで、年間大体一万四千人ぐらい、満期釈放者がほぼ同数、少し少ないぐらいかなというふうに思いますけれども、こういった形で毎年毎年釈放されていっているわけでございます。その中で、仮釈放者それから満期釈放者が五年目までに刑務所に戻ってくる再入率というところについて、データとして伺えればと思います。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 平成十九年に刑事施設から出所した受刑者のうち、出所後五年以内に刑事施設に再入した者の割合、いわゆる累積再入率でございますが、満期釈放者で五一・六%、仮釈放者で二九・三%でございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 満期釈放者については、五〇%を超える人がもとへ戻ってきている。仮釈放者についても、三割程度もとへ、刑務所に戻ってきている。こういった方々を再犯防止していかなければならないというところなんだと思います。

 やはり満期釈放のジレンマなんだと思いますけれども、基本的には、更生保護法四十条というところで、仮釈放については、少なくとも残刑期間については保護観察を付すことができるというふうになっております。これに対して、満期釈放については、保護観察を付すことなく、そのままリリースされるわけです。

 しかし、満期釈放するというのは、当然、犯情が重たいから満期釈放ということになるわけです。刑務所の中で随時努力をしていって、そして改善更生の程度が高いからこそ、仮釈放させていただいている人たちが多いということなんだろうと思います。

 満期釈放であれば、再犯率が高いのに、保護観察を付すことができない、こういった問題点について御所見を賜れればというふうに思います。

谷垣国務大臣 今委員がもう御指摘になったところでありますが、満期釈放者でありますと、既に刑事責任を果たし終えたということでありますから、社会内処遇を実施することができないという問題点をこっちは抱えています。

 では、仮釈放はどうかといいますと、現行の法のもとでは、仮釈放の期間が残刑期間に限定されますので、言い渡された刑期が短い場合なんかには、必要な施設内処遇を施した後、仮釈放を許可したといたしますと、社会内処遇のために十分な機会を確保することができないという問題がございます。それから、仮釈放が必要だというので、この時期を早めようとすると、犯した罪に対する刑事責任に見合った刑を執行するという観点からするとどうかなということが起きてくるわけですね。施設内で行うべき処遇が十分できなくなるおそれがある。

 概括的に言えばそういうことではないかと思います。

椎名委員 ありがとうございます。そうですね、おっしゃるとおりなんだと思います。

 仮釈放の残刑期間の問題というところについて、少しデータとして、通告していなかったんですけれども、もし持っていれば教えていただきたいんですけれども、実際に、刑の執行率がどのくらいで、その仮釈放の期間というのが平均で大体どのくらいなのかということ、もしデータを持っていれば、事務方の方、教えていただければと思います。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 全体で、刑の執行率は八五・八%ぐらいというのが実情でございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 刑の執行率も基本的には高いんですね。刑法の基本的な規定によると、刑の三分の一が経過したときから仮釈放をすることができるというふうになっておりますけれども、実際には、八割から九割というところの刑罰を執行した上で仮釈放をするというのが基本的な流れです。この期間につきましては、大体一年前後というところが一般的に言われているところかなというふうに思っています。やはり仮釈放にもこういった問題がある。

 それから、満期釈放についてはおっしゃるとおりで、応報の部分というところを強調した結果、基本的には刑罰を全部執行する。そうすると、要するに、刑の執行については終わっているので、責任を果たしている以上、何も科すことができないというジレンマを抱えているわけでございます。

 今回、新しいメニューとして刑の一部執行猶予という制度を取り入れたわけですけれども、こういった今申し上げたような仮釈放それから満期釈放の抱えている問題といったところについて、一定程度解決することが望めるのか、その点について御所見をいただければというふうに思います。

谷垣国務大臣 結論から申しますと、先ほど申し上げた仮釈放の問題点、それから満期釈放の問題点を解決できるものというふうに考えております。

 つまり、今度の導入によりまして、判決で、刑期の一部を実刑として施設内処遇を行うと同時に、残りの刑期については執行を猶予して、残刑期間に限定されることなく、必要かつ相当な期間、社会内処遇の期間を確保できる。その猶予期間の間、社会内において自発的な更生を促すことができる、そういうことを狙っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 そういうことであれば、通告していたところとちょっと外れますけれども、今回、刑の一部執行猶予に関しては、基本的に、その猶予されている期間について保護観察を付することは必要的ではないというふうに理解をしておりますけれども、この保護観察が必要的ではないというところについてどういう議論があったのか、事務方の方でも結構ですので、教えていただければというふうに思います。

稲田政府参考人 今のお尋ねは、刑法の一部改正の部分だろうと思います。

 刑法の一部改正での一部執行猶予は、今回の法案の中にございますように、従来の執行猶予の要件と同じ要件の中で課すことができるようにしておるところでございます。この対象になる方は、基本的にはやはり、家庭がある、あるいは仕事があるというような形で、社会内で処遇をしていくことに比較的、何といいますか、バックとしてのものが既にある方を念頭に置いているところがございます。それは、もともとの執行猶予の要件、保護観察のない執行猶予の要件の場合と同じであるということからもおわかりいただけるところだろうと思います。

 いずれにいたしましても、その場合であっても、必要であれば保護観察は付すことができるわけでございますから、いわばそういう保護観察を付さなくてもできる方も相手にし得るという意味で、今回は必要的な保護観察にはしなかったということでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 社会内処遇ということの重要性を強調するのであれば、必要的な保護観察ということも考えられてもよかったのかなというふうに、私は個人的には考えるところでございます。

 今回の制度というのは、私自身は入り口だと思っているので、より使い勝手のいい制度、それから、より社会内で処遇していく方向性というところについて、まだまだ引き続き議論をしていければいいのかなというふうに思います。

 今後の議論の中でいろいろ議論されることかと思いますけれども、ぜひ大臣に伺いたいんですけれども、先ほど階先生が質問されたところと重なることかなというふうに思いますが、やはり、満期釈放者については、先ほど来私が申し上げているとおり、犯情は重たいからこそ最後まで勤め上げるということでございます。

 さらに言うと、先ほど数字でも教えていただきましたとおり、満期釈放者の五〇%程度はもとへ戻ってきてしまうわけでございます。そうであれば、重大な犯罪で、かつ通例であれば満期に釈放されてしまうような方々、こういった方々についても、本件では、一部執行猶予というような形で、刑の実刑の後に必ず保護観察ないし社会内処遇をくっつけるということも考えられてもいいのかというふうに思います。

 それに対して、今回の法案は、基本的には三年の懲役、禁錮に限定しているわけです。ぜひ、この三年に限るわけではなくて、今後検討していただきたいと思いますけれども、御所見を賜れればというふうに思います。

谷垣国務大臣 今の御質問は、今、三年以下になっているんですけれども、もっと長いものもやれという御趣旨でしょうか。

 これは先ほど階先生にもお答えをしたことでありますけれども、一つには、例えば十年というようなことになれば、それだけ重大な犯罪であるから、それがすぐ釈放で出てきてしまうということは、やはり国民感情等々、先ほど階先生は応報刑論を強調してというふうに要約されましたけれども、そういう観点から妥当ではないということがあったんだと思います。

 それからもう一つ、三年よりも長い比較的長期の実刑の場合、これは要するに、判決の時点においてどこまで見通せるかということがやはりあるんだと思います。三年の期間内で大体どこまで一部執行猶予をつければいいかという判断と、もっと長期なものになりますと、判決の時点でどこまで見通せるかということも実務上あるのではないか、このように考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 判決のときに見通しがきかないというのはまさにそのとおりかなというふうに思うんですけれども、だからこそ、先ほど事務方の方からも西根委員の質問のときにあったかと思いますけれども、分割刑という表現をされていましたが、私の通告では二分判決という表現をしております。英語で言うとスプリットセンテンスというものでございますが、そういったものだったり、古来からずっと議論のある例えば保安処分であったり、こういったことについても検討してもいいんじゃないかなというふうに思うところでございます。

 今回、法制審の中でどういった議論がなされたのか、そういったところについてもぜひ教えていただければというふうに思います。

谷垣国務大臣 先ほどの御議論にもございましたけれども、委員は二分判決というふうにおっしゃいましたが、法制審議会では、いわゆる分割刑制度、部会の議論では、判決において一定期間の懲役または禁錮とその後の一定期間の保護観察の両方を言い渡すことを可能とする制度という議論で分割刑というのを議論したわけでありますが、この導入については、これを支持する意見も相当ございました。

 しかし、この分割刑制度については、自由刑の後に独立して課される保護観察の法的性格を一体どういうものとして考えるかと。そういうのをやっている国では、自由刑や何かと別の類型としてそういうものを認めているということですが、日本の場合はそういう体系になっていない、要するに、そこをどう位置づけるかという問題が一つございます。

 それから、独立の保護観察期間中に義務違反があった場合に、執行猶予の取り消しのような不良措置といいますか、それを講ずることができませんから、そのような保護観察の実効性をどういうふうに担保していくのかといったような議論がなされまして、刑の一部の執行猶予制度の方が受け入れられやすいのではないかという意見が強かったわけでございます。

 それから、もう一つの保安処分でございますが、何か私も、昔のロンブローゾとか、新派、旧派というような議論を思い出したわけでございますが、法制審議会の部会では、刑の執行終了者に監視措置などの社会内処遇を義務づける制度について、議論はされたわけでございます。しかし、刑執行終了者は既に責任を果たし終えたという者である、そういう者に対して一定の措置を義務づける必要性があるのかという議論がこれは強くて、意見の一致が見られる状況ではなかったということでございます。

 こういった議論の結果、一部執行猶予制度の導入については、大方の意見の一致が見られましたので、要綱がそういう方向で取りまとめられたというのが経緯でございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 恐らく、憲法の十八条、要するに、意に反する苦役とかそういったところなんだと思いますけれども、責任を果たし終えたときにその意に反する苦役に該当するかどうかちょっと議論がありそうなそういった処分を科すことが本当にいいのか悪いのか、そういった話なんだろうというのは容易に想像がつくわけですけれども、他方で、やはり抜本的に再入率を下げていかなければならないという関係があるわけでありまして、そのための抜本的な施策として、何度となく検討対象に上がるものだというふうに思います。

 私自身は、要するに、再犯防止策としてそれなりに世界的にも効果が上がっているというか、取り入れられているものについて、そういった理屈の部分で否定するというよりか、もう少し何か今後とも考えてほしいなというお願いだけはさせていただきたいというふうに思います。

 引き続き、ほかの制度とちょっと比較しますけれども、先ほど裁判のときの見通しの話を大臣がおっしゃいましたが、現行の仮釈放という制度については、基本的には、受刑者の施設内の行動その他、改善更生の程度といったものを見た上で、地方更生保護委員会というのが再犯の可能性等を検討して仮釈放するわけでございますけれども、今回の刑の一部執行猶予は、判決の時点で裁判官がそのときに利用可能な情報を前提として、再犯可能性があるかないかとか、更生についてどのように考えるかといったようなことを考えて、一部執行猶予という判決を出すわけでございます。

 必要的な仮釈放という制度も検討には上がっただろうと思いますけれども、そうではなくて、仮釈放率を上げるという発想ではなかった理由というのを教えていただければというふうに思います。

稲田政府参考人 仮釈放の運用といいますか、必要的仮釈放ということも含めまして、仮釈放によってどういうふうに対応していくかというようなことも確かにいろいろ検討の材料ではあったと思います。

 ただ、仮釈放の場合は、先ほどから何回も出ておりますように、やはりどうしても残刑期間に限定されるという問題がございます。したがいまして、全体の刑期が短い場合、懲役の一年でありますとか二年でありますとか、そういう比較的短い場合には、どうしても社会内処遇のための期間を十分確保できないという問題がございます。

 また、施設内処遇と社会内処遇を連携して行うことによって再犯防止や改善更生が効果的に図られるということをしていくためには、やはりある程度社会内処遇の期間を十分に確保しておくということが必要でありますから、仮釈放だけではなかなか難しいところもある。

 他方で、例えば仮釈放の時期を早めようといたしますと、今度はまた、犯した者の刑事責任という観点から見ると、やはり施設内での処遇というのが一定程度、刑事責任を全うしていただくためには必要ではないかという観点もございます。

 なかなか悩ましいところがございますけれども、全体として、今考えるところでは、こういうような形で一部の執行猶予制度ということを導入して、判決の段階で一部の実刑の期間をまず決めていただき、施設内処遇をそこで行う、その後、残りの刑期については、またこれもあらかじめ決めてもらって、その期間を、必要かつ相当な範囲で、社会内における自発的更生を促すというようなことにしていくというのが望ましいのではないかと考えているところでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 ついでに、考試期間主義の採否の検討状況についても教えていただければというふうに思います。

稲田政府参考人 考試期間主義というのは、一般に言われているところでは、仮釈放の期間について、これを残刑の期間に限定せずに、仮釈放する時点において、同時点における再犯の危険性を基準として定める、それを保護観察に付する。したがいまして、例えば懲役三年で、二年たったところで仮釈放にする場合も、一年に限られず、さらにもう少し長い期間仮釈放にするというような考え方であろうかと思います。

 このようにすることにいたしますと、仮釈放の期間が比較的長くなるということ、しかも、その時点での必要性ということを考えることができるという意味ではメリットがあるわけでございますけれども、他方で、最初から申しておりますように、仮釈放の期間が残刑期間に限定されないということになりますと、裁判所が宣告した刑期よりも長期間対象者の自由を制約するということになりかねないという問題がございます。また、事後的に判決を不利益に変更するということになるわけでございます。

 これは多分ドイツ等でやられていることだろうと思いますが、ドイツの場合は裁判所が刑の執行に直接関与するようなところがあるようでございまして、我が国の場合は刑の執行には裁判所は一切関与されないということでありますので、我が国でこのような形で事後的に判決を変更するというのは、なかなか今の段階では、いろいろ検討しなければいけない難しい問題があるのではないかというふうに考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 理屈としては全部わかるんですけれども、やはり何か話が理屈に過ぎて、要するに、何が再犯防止に一番役に立つかという発想からスタートしていないように聞こえるのがやはり気になるところですね。再犯防止に一番役に立つような制度を何とかして採用できるように、今後とも検討していただきたいなというふうに私自身は思います。

 引き続き、次の質問を伺いたいと思います。

 実際に裁判を行うに当たって、私、刑事の弁護というのは余りやったことがないんですけれども、それでも両手で数えられるぐらいはやったことがあるんですが、実際、この制度を取り入れた後に刑事の裁判をどういうふうにやっていくかというのを想像するに、後ろに座っていらっしゃる法務省の事務方の方々も結構皆さん検事だったりするので、検事がどういう思考方法をするかというのは皆さん御承知だと思いますけれども、検事は多分、執行猶予がついたら負けだと考えると思うんですよね。全部実刑をとりに行くと思うんです。弁護士は、全部執行猶予がついて初めて勝ちだと思うと思うんですね。そうすると、全部執行猶予をつけるための証拠を出してくるし、検事は全部実刑をつけるための証拠を出してくるような気がするんです。そうしたときに、一部執行猶予をした方が再犯防止に役に立つかどうかという証拠というのは、多分、ピットフォールになって、どこにも出てこないんじゃないかというふうに思うんですよね。

 こんな中で、裁判所がどんな資料を収集して、どうやって、この人には一部執行猶予の刑を言い渡すことが適当だというふうに判断をするのかというところについて、議論されていた状況について、大臣とそれから裁判所に伺えればというふうに思います。

谷垣国務大臣 私も刑事弁護の経験が余りあるわけではないんですが、今委員は、検事は、検察官は、要するに全部執行猶予なんかとるんじゃ負けだという求刑をするに違いないとおっしゃいました。

 私も実は法務省に来てびっくりしたんですが、最近では執行猶予を求刑するということが取り入れられている。これは結局、実行犯が社会復帰するにはどうしたらいいかということを考えるとそういう求刑もあり得るということになってきたんだと思います。したがいまして、私は、委員のおっしゃるように、執行猶予の量刑をするための立証活動なんかはしないだろうという趣旨でおっしゃったんだと思うんですが、そこはちょっと状況が変わってきているんじゃないかなと実は思うんです。

 そこで、結局、刑の量定に当たっては、現行法のもとでも、被告人に対して刑事責任に見合った刑を科すという観点と、それから被告人の再犯防止、改善更生を図るという両方の観点からやられるので、つまり、裁判官は、両方がした立証の上で、そういうことを見ながら判断するんだと思うんです。

 ですから、私は、一部執行猶予の判断を裁判官ができるような立証活動が行われないということはないのではないかと、これは私だけの意見ではなく、周りにいる検事に聞いてみると、そういう答えをしておりました。

今崎最高裁判所長官代理者 裁判所からも御答弁申し上げます。

 訴訟当事者の立証活動のあり方につきまして裁判所として意見を申し上げる立場にはございませんが、いずれにいたしましても、この法案が成立し、また施行された際には、事件を担当する裁判所が、個々具体的な事件におきまして、必要な証拠調べを行い、また当事者の意見を聞くことになります。

 立法の趣旨にのっとり、とりわけ、ただいま大臣からも御説明ございましたけれども、立案当局のお考えですとか、それを受けました国会での審議の状況等の内容を踏まえまして、また委員御指摘の再犯可能性も含めて検討して、当該被告人に対して刑の一部執行猶予を付するのがふさわしいかどうかということを適切に判断させていただくということになるものと思っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 そういう運用をしていただかなければ困るんだと思いますけれども、執行猶予の求刑というのが、最近、そんなに多くはないと思いますけれども、あるというのはよく存じております。そういった形で、今後、被告人の再犯可能性というところを考えた上で、検察庁の方々にも、ぜひ再犯可能性等を考えた上での求刑方法というのも考えていただきたいなというふうに思う次第でございます。

 次の質問を伺いたいと思います。

 私の友人が見てきた話なんですけれども、社会内処遇と施設内処遇との連携というところの中で、実は施設内処遇の充実という話ももう十分あり得る話ではないかなというふうなところがあるわけでございます。

 アメリカのテキサスなんですけれども、テキサスの刑務所というのは、物すごく犯情の重たい人たち、ギャングだったりドラッグディーラーだったり殺人者だったりみたいな人たちがいるようなところでございますけれども、そんなところで、二〇〇四年に設立されたNPOが、テキサスの刑務所の中で、PEPというプログラムを提供しているんだそうです。このPEPというのは、プリズン・アントレプレナーシップ・プログラムということで、受刑者に起業家精神を教えるという、いわば刑務所の中でMBAをやる、そういうプログラムなんです。

 ここの発想は、まさにテキサスというような物すごく犯情の重たい刑務所の中で、違法な社会でリーダーシップを発揮している人たちのリーダーシップ能力を、適法な社会でのリーダーシップ能力に転換させていくというプログラムなんだそうです。四カ月、三百五十時間の勉強をして、毎日毎日宿題を課して、宿題を一日でもやらないとドロップアウトをする。これを無事修了すると、実際のところ、再犯率が五%未満に下がるというようなプログラムなんだそうです。そして、一〇〇%の就職率を誇っているということで、かつ、七千USドルと言っているので七十万程度だと思いますけれども、各種税金を支払うぐらいの所得は得るようになるというプログラムなんだそうです。こういった効果が認められているプログラムもあったりするわけです。

 諸外国ではさまざまな工夫をされているわけですけれども、刑務所の中での処遇の改善といったものについて、皆さん、靴をつくったり、たんすをつくったりとかいうことだけではなくて、こういった海外でも取り入れられているようなおもしろいものについて検討してみる、刑務所内の処遇を改善する、そういった発想というか、そういった考え方というところについて、ぜひ御所見を賜れればというふうに思います。

谷垣国務大臣 今のような、刑務所内でMBAを取るところまで日本であるかというと、多分まだないんだと思います。

 ただ、この間、私、美祢の社会復帰促進センターに参りましたら、かなり高度な、例えばコンピューターのプログラムを組む訓練などをやっておりまして、そして、そういう中で、犯罪を犯す方は人とのコミュニケーションなんかがなかなかうまくいかない人も多いわけですけれども、そうやってプログラムを一緒につくる中でかなりコミュニケーション能力も発達し、それから、その教官、指導しておられる方は、もちろん民間でそういう分野の仕事をしてこられた方、つまりそういうところが請け負ってそういうプログラムをつくっているわけですが、就職状況も、そういった課程を終えた人が雇用される例も出てきているというような話を実は昨日伺ってまいりまして、いろいろな可能性があるんだろうと思います。それは、PFIでやったことによってそういうことが出てきた。

 それで、それと同時に、特別改善指導というのも最近は再犯を防ぐということで力を入れておりまして、薬物依存離脱指導あるいは暴力団離脱指導、性犯罪再犯防止措置、こういうものを初めとした六種類の特別改善指導、プログラムをつくって今やっております。

 今後も、再犯防止に向けて、こういうプログラムの見直しを行う等々考えていかなければいけないと思っておりますが、そういう取り組みをやっております。

椎名委員 ありがとうございます。

 期せずしてというか、期せずしてでは多分ないんだと思いますけれども、あした、法務委員会で刑務所に視察に行ってまいりますので、我々もいろいろ勉強させていただきたいなというふうに思います。

 ぜひ、施設内の処遇のプログラムについても随時アップデートして、よりよいものをつくっていくということが多分望ましいんだと思います。ターゲットはやはり再犯を防止するということなのですから、再犯を防止して、そして仕事をきちんと見つけて定職につかせるということが目的なのですから、そういったことに役立つことは何でも取り入れていくことが望ましいのかなというふうに私自身は考えております。

 保護観察の実際の今後の運用についてですけれども、幾つか、時間の許す限り伺わせていただきたいと思います。

 一部執行猶予の制度を採用することによって、保護観察を受ける人というのは、結局、実際どのぐらいふえるものなんでしょうか。検討段階で出てきた見積もりとして、数字があるのであれば教えていただければと思います。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 刑の一部の執行猶予制度を導入された場合に、裁判所において年間何件程度の事件についてそのような言い渡しがされるか、そのうちどれくらいについて保護観察が付されるかというその見込みをお示しするのは、基本的には裁判官の御判断ということですので、なかなか困難なんですが、あえて見込みを申し上げますと、現在の統計から累計いたしまして、二千人ないし三千人程度が年間新たに保護観察を受けることになるというふうに見積もっております。

椎名委員 ありがとうございます。

 二千人から三千人ふえるということで、まさに先ほど来いろいろな先生方が指摘しておりますけれども、現場で働いている保護観察官、先ほどのお答えですと九百八十二人、それから、保護司の数が大体四万五、六千から五万ぐらいの間、定員は五万二千人程度だったと思いますけれども、そういった形でございます。

 結局、保護司の方々に依存し続ける。保護観察官は、基本的には地区担当制という制度をとって、保護観察官が、その地区の中の保護司とその地区の中にいる保護観察対象者の方々、その方々の面倒を見るということになって、実際、デスクワークばっかりということになるわけだと思います。

 保護司の方々が、二千人から三千人保護観察対象者がふえるとなると、今、現状で一人一件から二件というところだと思いますが、そもそもワークするのかという話はやはり出てくると思います。

 そこで、保護司の数をふやしていくということが非常に急務なんだろうというふうに思います。しかし、現状では、平均年齢が大体七十代。それで、なり手が、新しく入ってくる人がいないということで、どんどんどんどん高年齢化が進んでいるということもあるかと思います。そんな中で、保護司のなり手をふやしていくこと、そういった解決策についてお考えがあれば教えてください。

谷垣国務大臣 確かに、なかなか保護司を引き受けてくださる方を見つけにくくなっているのは事実です。

 それで、今までは、保護司が退任される場合に、その方の人脈等を生かして後任を探してきてくださるというようなことに主として頼ってきた面がございます。ところが、地域のそういう人間関係の希薄化ということもあるんだろうと思いますし、それから、私、一昨日も熊本でいろいろな方とお話をしてまいりましたけれども、要するに、保護観察対象者の家族の協力も昔に比べると得にくくなっている。親は親、子は子なんだから、もうほっておいてくれみたいなことが、やはり昔より多くなっているというようなこと。それに加えて、地域社会の協力も必ずしも得やすくないといったようなことがいろいろ重なっているんだろうと思うんですね。

 それで、将来にわたって継続的に幅広い層から保護司の適任者を得ていくためには、一方策として、地域の事情に通じた方々から適格者と申しますか、ああいう人にやってもらったらいいんじゃないかという情報提供をいただく必要があるので、保護司候補者検討協議会が本年度から全保護区において開催できるように措置をいたしまして、保護司活動に対する地域の理解を深めていただくなどして幅広い分野から保護司になっていただこうというような活動も進めております。

 それから、なかなか保護司さんが安心して保護観察の仕事に取り組めないというようなことも伺っております。それは、一つはやはり、保護観察対象者との面接場所、広いお宅に住んでいるならばできるだろうけれども、今のようなアパートみたいなところではなかなかそれもできない。そうすると、更生保護サポートセンターが必要ではないか。

 それから、先ほどの御議論でもありましたけれども、やはり観察対象者からいろいろな、放火の例が先ほど出ていたと思いますが、そういう御不安に対する措置をきちっとやっていくというようなことを積み重ねて、何とか保護司になっていただく方を確保してまいりたい、このように思っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 保護司というのは、先ほど、面倒を見ている人が一人から二人というふうに申し上げましたけれども、大体そんな感じで、どうしてもその保護観察対象者の方々の人生をしょってしまうというか、一対一対応でどっぷりつかってしまうというところもあって、その方々の更生の程度について全責任をしょってしまう部分があったりもするんだというふうに思います。

 そういった責任の重さに比してお金がもらえる仕事でもないということで、名誉がある、何十年勤続すると叙勲をしてもらえる。私、いつも、選挙区の中の保護司、永年勤続の方々に対してお祝いの手紙を送ったこともございますが、そういった形で名誉を得られるということぐらいで、保護司について、どうしてもやはり、保護司の仕事をすると何か得られるものがあるというリターンもないと、なかなかなり手というのは少ないのかなというふうに思う次第でございます。

 法務省が御努力をされていることはよく理解いたしましたけれども、やはり抜本的に、保護司の仕事をしていただくと何か得られるものがあるというか、そういった対応、そういった英語で言うとリワードに相当するようなものがないと、なかなかそのなり手というのはふえないのかなというふうに私自身は思います。

 なので、ぜひ、予算措置を含めて、今後とも、保護司をふやす、保護司のなり手をふやすための方策というのは考えていただきたいなというふうに思います。

 時間もなくなってきてしまいましたので、あと一、二点ですけれども、保護司というのは、一人一対応、大体、学校の先生だったり、宗教家だったり、それからもともと看護師だったりみたいな、そういう方々が御好意でやってくださっているということだと思います。

 しかし、社会内処遇というのは、それなりに、心理学だったり認知行動療法だったり、そういったところについての知見がないと、結局、昔ながらの親方みたいな人たちが俺についてこいと言うだけで教育できるものでもなかなかないんじゃないかなというふうに思います。

 やはり保護司の専門性を高めていくということというのは結構重要なことなんじゃないかというふうに考えております。それこそがまさに、カテゴリーというか、犯罪類型別に保護司の高い専門性を当てはめていくという形で面倒を見ていくということも必要じゃないかなというふうに思います。

 そんな中、保護司のチーム制というものを考えてみたらいかがかという御提言を申し上げたいというふうに思います。

 弁護士や医者だったり臨床心理士だったり、そういった専門家の方々のサポートチームをつくった上で、一人が全てを抱え込むのではなくて、チームでその保護観察対象者の方々の改善更生に責任を負っていくということも考えた方がいいんじゃないかなというふうに思います。

 私自身も、自分の選挙区の中で、保護司会の会長をされている方とお話をする機会も何度かあるわけですけれども、もし何かがあったときには困ると考えると、やはり家族で旅行に行くことだったり、そういうことすらなかなかしづらいというところもあるというふうなことも伺っています。

 それに対して、一人で一人を請け負っているという形ではなくて、チームで請け負っていくということであると、きょうはちょっとお休みをしたいということもできたりはするでしょうし、検討対象にはなるのかなというふうに思います。ぜひ御意見を賜れればと思います。

谷垣国務大臣 保護観察対象者も、抱えている問題はさまざまですから、今おっしゃった保護司に限らず、保護観察官も含めて、いろいろな専門家と連携をしていくということが多分必要なんだろうと思うんです。

 そこで、現状でも、個別の事案の処遇について、あるいは、特に覚醒剤なんかの処遇プログラムを集団実施する場合、精神科医等に助言を受ける、こういうことを処遇協力者としてやっていただいている。それから、平成二十三年度に地域支援ガイドラインというのをつくりまして、これを今施行しておりますが、覚醒剤事犯者について、出所前から、保護観察所が、医療機関等と詳細な事前協議を行った上で、出所後、協力して処遇に当たるというようなことをやっております。

 こういう覚醒剤事犯だけではなくて、専門的な知見、ほかにもいろいろ活用しなければならない場合が多いんだろうと思いますので、こういうプロの知見をより一層活用できる仕組みは何なのかということも検討してまいりたいと思います。

椎名委員 ありがとうございます。

 今申し上げたところについては、専門性という論点と一人で一人を責任を持つという二つの論点が多分まじっていたかなというふうに思いますけれども、ぜひ、心理的負担の軽減という観点からも、チーム制ということは検討していいんじゃないかなというふうに思います。

 質疑時間も間もなく終了するかと思いますけれども、最後に一点だけ……

石田委員長 もう終わりました。

椎名委員 終わりましたか。済みません。では、これで失礼いたします。ありがとうございました。

石田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、参議院送付、刑法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、参議院送付、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 この際、ただいま議決いたしました両案に対し、奥野信亮君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。辻元清美さん。

辻元委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び最高裁判所は、両法の施行に当たり、特に次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 施設内処遇と社会内処遇の連携を図るために必要な体制整備を計画的に進めるとともに、保護観察官の専門性の一層の強化及び増員など、国の更生保護体制に関する一層の充実強化を図ること。加えて、再犯防止及び社会復帰を図る上で、保護司や民間の自立更生支援団体等の担う役割の重要性に鑑み、その支援体制の確立及び十分な財政措置を講ずるとともに、緊密な連携強化を図っていくこと。

 二 裁判員裁判においても刑の一部の執行猶予の適用がなされ得ることを踏まえ、裁判員に対して制度の趣旨及び内容についての情報提供が十分に行われるよう努めるとともに、厳罰化又は寛刑化に偏ることがないよう、その趣旨の徹底に努めること。

 三 社会貢献活動の実施後、事例の収集を行うとともに、一定期間経過後にその効果の検証及びより改善更生に資する運営を行うために外部の有識者も入れた会議を設置して調査・検討を行うとともに、薬物事犯者の処遇に当たっては、関係機関との更なる連携を強化し、本制度の施行後、両法の対象となった者の再犯状況を検証し、より充実した制度にするための検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。谷垣法務大臣。

谷垣国務大臣 ただいま可決されました刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

 また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。

    ―――――――――――――

石田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

石田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十五分散会


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