衆議院

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第16号 平成26年5月14日(水曜日)

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平成二十六年五月十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江崎 鐵磨君

   理事 大塚  拓君 理事 土屋 正忠君

   理事 ふくだ峰之君 理事 盛山 正仁君

   理事 吉野 正芳君 理事 階   猛君

   理事 西田  譲君 理事 遠山 清彦君

      青山 周平君    安藤  裕君

      池田 道孝君    小田原 潔君

      大岡 敏孝君    大見  正君

      鬼木  誠君    門  博文君

      神山 佐市君    菅家 一郎君

      黄川田仁志君    小島 敏文君

      古賀  篤君    今野 智博君

      清水 誠一君    末吉 光徳君

      高木 宏壽君    橋本 英教君

      平口  洋君    福山  守君

      三ッ林裕巳君    宮崎 政久君

      宮澤 博行君    郡  和子君

      横路 孝弘君    鷲尾英一郎君

      高橋 みほ君    大口 善徳君

      椎名  毅君    鈴木 貴子君

      西村 眞悟君

    …………………………………

   法務大臣         谷垣 禎一君

   法務副大臣        奥野 信亮君

   文部科学副大臣      西川 京子君

   法務大臣政務官      平口  洋君

   最高裁判所事務総局人事局長            安浪 亮介君

   政府参考人

   (内閣官房法曹養成制度改革推進室長)       大塲亮太郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          小川 秀樹君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           有松 育子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           中岡  司君

   法務委員会専門員     矢部 明宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     橋本 英教君

  門  博文君     大岡 敏孝君

  菅家 一郎君     青山 周平君

  古賀  篤君     鬼木  誠君

  橋本  岳君     宮崎 政久君

  鳩山 邦夫君     福山  守君

  田嶋  要君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     菅家 一郎君

  大岡 敏孝君     高木 宏壽君

  鬼木  誠君     古賀  篤君

  橋本 英教君     安藤  裕君

  福山  守君     鳩山 邦夫君

  宮崎 政久君     橋本  岳君

  鷲尾英一郎君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  高木 宏壽君     清水 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  清水 誠一君     門  博文君

    ―――――――――――――

五月十四日

 少年院法案(内閣提出第三八号)

 少年鑑別所法案(内閣提出第三九号)

 少年院法及び少年鑑別所法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第四〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 司法試験法の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)


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     ――――◇―――――

江崎委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、司法試験法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房法曹養成制度改革推進室長大塲亮太郎君、法務省大臣官房司法法制部長小川秀樹君、文部科学省大臣官房審議官有松育子君及び文部科学省大臣官房審議官中岡司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんでしょうか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江崎委員長 異議なしと認めます。そのように決しました。

    ―――――――――――――

江崎委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局安浪人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんでしょうか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江崎委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江崎委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。初めに、神山佐市委員。

神山委員 おはようございます。自由民主党の神山佐市です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 日ごろより、谷垣大臣、また奥野副大臣、平口大臣政務官には大変御指導いただきまして、心より感謝申し上げる次第であります。本日はよろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 谷垣大臣は御自身も法曹有資格者であるわけでありますけれども、弁護士でもあるわけであります。そういうふうなことの中でお伺いしますけれども、今回の改正は司法試験法の一部を改正するわけでありますが、イメージとして、司法試験制度、全体像について、今後どのようにしていくのか、またどのようにすればよいのかということについて、谷垣大臣の御所見をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

谷垣国務大臣 今回の法改正は、ポイントは二点なんですね。

 それは、いわゆる司法試験の短答式試験の受験科目を憲法、民法、刑法の三科目に限定しようということですが、これは、新しい司法試験制度になりまして、特にロースクール中心の制度にしたわけですが、法学未修者が必ずしも法律の基礎科目を十分に修得できていないのではないかというような議論がございましたので、基本的な法律科目をより重点的に学ばせて、法科大学院教育のあり方と司法試験、平仄を整えようというのが一つでございます。

 それからもう一つは、受験回数制限、五年のうち三回受ける、それで、受け控えとかいうような現象が生じてきているわけですが、法科大学院の教育、十年も二十年も効力を持つというか、やはり五年ぐらいの間が一番合格率も高い、したがって、ロースクールを終えた後から受け控えなんということがなく受験できるようにとすることでございます。

 今回は、その二点がポイントでございます。

 しかし、より大きく申しますと、いろいろなロースクール、プロセスとしての教育というのを、司法試験という点だけで選抜していくより、プロセスで選抜してよりよい法曹を育てようということで新司法試験の制度にしたわけでございますが、いろいろな問題点が指摘されておりまして、今までの議論も、なかなか対立点が厳しかったというのが実際でございます。

 私どもは、やはりプロセスとして法律家を育てていくという点は維持しながら、今後、試験制度でございますから、余り長い間議論しておりますと、受験生もどっちの方向に行くのかわからなくなってしまって迷いが生ずる、そろそろ結論を出していかなければいけない時期に来ているのではないか、そのように考えているわけでございます。

神山委員 ありがとうございました。

 また、受験回数の制限を廃止する今回の改正によって法曹有資格者がふえるのか、減るのか、試験科目を減ずることによって合格者の質の低下にはならないのかについてもあわせてお伺いいたします。また、政策的に合格者を増減させるようなものになっていくのか、この辺についてもお伺いをいたします。よろしくお願いします。

奥野副大臣 ちょっと予定が違うのですが、全部答えろということですね。

 皆さん方も私もそうですけれども、試験を受けるときに、大学受験のときに、ストレートで行く人が一番頭がよくて、一番合格率が高かったような気がします。二浪、三浪に従って合格率が下がってきた。多分そうだと思うんですよ。司法試験も、どうも調べてみるとそういう兆候があらわれておりまして、ストレートの人がやはり合格率が一番高い、そんな現象があります。

 そこで、試験をストレートで行かなかった人たちがどんどんどんどんたまってくるというような現象が起きると法曹養成制度が崩壊していくというふうに私どもは考えておりまして、できれば受験資格のある五年間にはできるだけその試験を受けてもらって、そして早く合格してもらう、そして、もし五年でも合格しなかった場合には早く進路変更を決めてもらう、こういうふうにしていった方が、最終的には、法曹を志す人たちがいち早く法曹として活動できる環境がつくり上げられるのではないかな、こう思っているのが最初の質問に対するお答えであります。

 それからもう一つ、試験科目を減らすことについて心配はないのかというようなことの御質問がありました。

 司法試験の、いろいろ問題があった中で、整理をしていくと、短答式というのと論文式というのと二つあるわけです。試験科目としては、基本的に六法といいましょうか、憲法、民法、刑法、民事訴訟、刑事訴訟、商法、行政法とあるんですよね。短答式では憲法と民法と刑法に限ったということが一つのポイントであります。しかしながら、それだけではやはり皆さん方が御心配になるように知識が偏重するじゃないか、こういうことになると思われるわけでありますけれども、それを補う意味で論文式というのがありまして、この論文式は、さっき申し上げた憲法以下七法あるんですが、全部で七法の問題もそこの中に含まれるわけでありまして、そういったことを考えると、合格者の質はきっちり担保できているというふうに考えた結果であります。

神山委員 ありがとうございました。

 法改正の必要性として、法科大学院において法学未修者に対して配慮があったようでありますけれども、志望者はもともと本人の意思で法曹を目指していることを思いますと、そこに法学未修者と既修者を区別する必要がどのようなものであるのか、お伺いいたします。

 また、参考人の意見陳述で、受験回数をふやしても無駄であり、卒業した年から合格レベルが下がっていくとの意見もありましたが、法科大学院の目的が点の選抜からプロセスとしての養成であれば、途中編入も認めた、例えば医師を養成する医学部のように、高校卒業後、六年間一貫して人間、人格の教育、形成を含めた養成を考えた方が質の向上につながるのではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 今の点は、司法制度改革審議会におきましても、大学における法学部というのがあるわけですが、その大学における法学部教育を、何らかの方法でプロの法律家養成という方にできるように改善すればという議論がございまして、今の委員のおっしゃった、医学部のように、一貫してプロの医師を養成するということでやればよいのではないかという御議論はあることはございます。

 ただ、日本の法学部というものが、決して、いわゆる裁判官、検察官そして弁護士を養成するということを従来目的としてきたわけでは必ずしもない。幅広く、公務員もおられれば、あるいは民間企業に行かれる方、いろいろな方がおられる。そういう幅広い人材を社会に供給するということでつくられてきた制度でございますので、医学部のように、プロの医師を養成するという、プロフェッショナル養成というのと、今までの制度のつくり方がやはり違ってきたんだろうと思います。

 したがいまして、そういう法学部がたくさんある中で、今の委員のような議論をしていくことは必ずしも実際的ではないのではないか。

 そこで、プロセスとしてといいましても、もちろん大学法学部がある中で、要するに、卒業後のコースとして法科大学院を設けて、そこでのプロセスを重視していこうと。

 したがって、ロースクールの教育内容をどうこれから強化、向上させていくかというのは大きな論点でございますが、今までの閣僚会議決定を踏まえまして、その改革を着実に進めていかなければならない、そんなふうに考えております。

神山委員 ありがとうございました。

 また、年に千人から千五百人程度の司法試験合格者にするべきだというふうな意見もあるわけでありますけれども、この辺について、また合格率を七割から八割にすべきだというようなこともあるわけでありますけれども、現在の法科大学院の定員減ということも当然検討されることになると思うわけであります。

 そうした場合、法科大学院の統合あるいは閉鎖が考えられると思いますけれども、地方、特に四国においては法科大学院がなくなってしまう可能性もあると聞いているわけであります。また、社会人のための夜間の講座を持つ大学院など、地方や、働きながら学ぶ志望者が困ることにはならないのかということも考えなきゃいけないというふうに思いますけれども、この点について、御所見をお伺いします。

 また、関連してお伺いいたしますけれども、先日、参考人から、文部科学省からの指導で、司法試験の受験指導の禁止との指摘がありました。もちろん、法科大学院は予備校ではありませんから、受験対策のみでは、バランスのとれた授業が必要と思いますが、現状、法科大学院の授業で、司法試験対策についてはどのように行っているのか、また行われていないかについてお伺いします。

 また、この問題については、法務省、文部科学省との連絡調整、意見の疎通が図られていないのではという懸念もありますけれども、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

中岡政府参考人 先生の方から二点、主に御質問を頂戴いたしました。

 まず、地域適正配置だとか夜間開講の法科大学院の支援の点でございます。

 昨年七月の政府の法曹養成制度関係閣僚会議決定にございますように、司法試験の合格状況や入学者選抜におきまして深刻な課題を抱えております法科大学院の自主的な組織見直しを加速させることが求められてございます。地方の法科大学院や夜間開講の取り組みを行う法科大学院でございましても、課題が深刻な場合には、抜本的な組織改革、組織見直しに取り組むことは避けられないというふうに考えております。

 ただし、先生御指摘のように、地域適正配置や夜間開講というのは非常に重要な部分でございますので一定の配慮が必要と考えておりまして、例えば、昨年十一月に公表いたしました公的支援の見直しのさらなる強化策におきましても、地方に設置されていることや夜間開講の取り組みを行っていることが評価される指標を設けるなど、工夫をしているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後とも、地方の法科大学院や夜間開講の取り組みを行う法科大学院に配慮しつつ、法科大学院間での連合、連携などを含めた抜本的な組織見直しを促進してまいりたいと考えております。

 もう一点、受験指導の部分でございます。

 法科大学院における授業、教育方法につきましては、平成十九年に、中教審の法科大学院特別委員会におきましてその具体的な取り扱いなどが提示されておりまして、文部科学省といたしまして、全ての法科大学院に対し、その内容を周知したところでございます。

 これのきっかけとなっておりますのは、まさにそういった法科大学院において受験指導に偏っているのではないかというようなことでございますけれども、具体的には、司法試験の解答の作成方法に過度に傾斜した技術的教育や理解を伴わない機械的な暗記をさせる教育などは不適当であること、一方で、司法試験の問題やそれに類する形式の事案が教材の一つとして使われることをもって直ちに受験指導に偏った指導であるということは適当でないこと、個々の指導が本来あるべき法科大学院教育として適当であるか否かは、その目的と形式及び態様との組み合わせにより総合的に判断すべきものであるということなどについて周知したところでございます。

 しかしながら、例えば、司法試験の過去問題等を教材として使用することが一律に禁止されているとの誤解が一部の大学の教育現場に見られているという指摘もございまして、法科大学院における司法試験に関連する指導方法等の適切なあり方につきまして、現在、中央教育審議会におきまして、具体的な取り扱いがより明確になるように議論を頂戴しているところでございます。文部科学省としても、その議論を踏まえて適切に対応したいと考えております。

 先ほど、この質問に関連いたしまして、関係省庁との連携ということでございますけれども、文部科学省といたしましては、内閣官房の法曹養成制度改革推進室に文科省の方からも職員を併任させておりまして、法務省からの出向職員などとともに定例的にミーティングを行っておりますし、日ごろより顧問会議の運営における協力とか同会議の内容の共有を図っているところでございますが、引き続き協力してまいりたいと考えております。

神山委員 ありがとうございます。

 最近において、裁判官、検察官は多くの案件を抱えていると聞いておりますけれども、現状、不足はないのでしょうか。

 また、経済支援の問題についても、裁判官、検察官は公の支配を受けるわけであり、弁護士は公の支配を受けず、自由に活動できるわけでありますから、同じ司法試験を受けるにしても、同一の対応というのも再考の余地はないのでしょうか。将来、司法試験制度を全体的に見直す機会があれば、初めから裁判官、検察官を志望する者についてはそれなりの選考を行い、防衛医科大学校などと同じようなことの検討の余地があるのではないかというふうに考えますけれども、このことについてお伺いいたします。

小川政府参考人 委員から二点御指摘いただきました。

 一つは、裁判官や検察官の人員整備ということでございますが、裁判官の員数につきましては、裁判所において、裁判実務の現状及びその必要性を踏まえて増員を行っているところと承知しております。

 また、法務省では、現在の犯罪情勢と、裁判員制度の実施などの司法制度改革に伴う新たな業務に適切に対応していくため、これまでも検察官の増員を含め必要な体制の整備を行ってきたところでございます。

 法務省としても、裁判官を含めました裁判所の人的体制が充実されることは重要であると認識しておりまして、裁判官の定員については裁判所において適正に判断されるところを踏まえ、今後も引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

 また、検察官の定員につきましても、毎年の事件数、犯罪動向等に対応することはもとより、諸般の事情も考慮いたしまして、その体制について今後も検討してまいりたいと考えております。

 二点目は、裁判官、検察官については弁護士とは別途の過程によって育成するということも考えられないかというふうに承知いたしました。

 現状の、法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度は、御案内のとおり、法曹三者とも統一した法曹養成過程として設定されております。このような法曹養成の過程を通じまして法曹三者の共通理解がつくられることが、司法の円滑かつ適正な運営にとって大きな意義を有してきたところでございまして、この点につきましては、経済的支援の問題は、別に変わるところはないというふうに考えてございます。

 委員御指摘のような法曹養成制度のあり方については、このような法曹三者が統一した法曹養成制度によって養成されることの意義なども踏まえて、慎重に検討するべき問題であるというふうに理解してございます。

神山委員 日本経済の再生を目指す安倍内閣の経済政策、国家戦略の中で、強い日本経済をつくるために科学技術立国、通商国家を目指しているわけでありますけれども、今後の法曹のあり方として、国際的な法の支配に対応できる人材の確保も進めていかなければならないと考えます。

 また、二十一世紀の今日においても、東シナ海、南シナ海の現状を見れば、力による現状の変更を企てる国があることも事実であります。

 そうした社会環境に対応するためには、すぐれた国家観、語学力のある人材、法曹有資格者の養成も必要ではあると考えますが、今後の法曹養成で、その点に関しては現状どうなっているのか、また、どのように考えていくのか、お伺いいたします。

谷垣国務大臣 今、神山委員のおっしゃった点は非常に重要なポイントでございまして、一つの例を挙げますと、この間、いわゆる調査捕鯨の問題で国際司法裁判所に提訴をしたわけでありますが、我が国は敗れました。やはりあれを支える国際感覚のある法律家の層がもっと必要だったのではないかというようなことを私は感じております。

 それから、例えば、今いろいろな国際紛争みたいなことをおっしゃいましたけれども、こういった問題を国際司法裁判所で解決を図らなければならないような場合も考え得ると思いますね。それから、いろいろな国際交渉、そういうときに法律家が十分その能力を活用してバックアップしていくということも考えていかなければいけない面もあろうかと思いますし、さらに言えば、地方の中小企業でもどんどん国際進出していく企業がございます。そういうところが国際進出をしていくのに十分な法的なサービスを受けられているのか。あるいは、国際的な、例えば知的財産の紛争というようなものにどれだけ日本は能力を持っているのか等々の問題は、よくよく考えていかなければならないことだと思います。

 そこで、今法務省では、法曹有資格者の活動領域の拡大に関する有識者懇談会というのがございますが、そのもとで法曹有資格者の海外展開に関する分科会というのを設けておりまして、ここで、日本弁護士連合会などとも連携しながら、活動領域の拡大をどのようにしていくかという今検討を行っているところでございます。

 プロセスとしての法曹養成ということを申しますが、ロースクール等々でもそのあたりを意識した教育を追求していこうという動きもあるわけでございまして、今後ともこういう面での検討、努力をしていかなければいけないと思っております。

神山委員 ありがとうございました。

 法曹有資格者の需要の拡大、活動領域の拡大についてお伺いいたします。

 国、地方自治体を初め行政は、関係法律に基づいて運営されているわけでありますけれども、法律の幅広い分野での専門性を身につけた法科大学院修了者、法曹有資格者の活躍の場は多いのではないかと一般的には考えております。

 法曹有資格者が、内閣法制局、衆参の法制局などの国の機関、または法的救済が必要な国民が地方の身近な市役所や町役場で相談することができれば、そうした人々にとっては非常に心強いものがあると思います。

 弁護士活動をするためには弁護士会の会費が発生する点も考慮しなければなりません。会費の減免等は国の権能でないことは承知しておりますが、国として今後、活動領域、需要の拡大を検討していく余地はあるのではないかというふうに考えますけれども、お伺いいたします。

小川政府参考人 まず、国、地方の機関における活動領域拡大の点でございますが、法曹有資格者がその法的素養を活用して、御指摘のように、国の機関ですとか地方公共団体などにおいてその活躍の場を広げていくことは、法の支配を全国あまねく実現するという観点からも重要であると認識しております。

 先ほど大臣の方からも答弁がございました法務省のもとでの有識者懇談会がございまして、その下には国・地方自治体・福祉等の分野における法曹有資格者の活動領域の拡大に関する分科会もございます。そこでさまざまな取り組みについての検討を行っているところでございます。

 それから、弁護士会費の減免の関係でございますが、委員御指摘のとおり、国の権能というわけではございませんが、弁護士会費につきましては、弁護士法及び日弁連などの会規あるいは会則に基づきまして、各単位弁護士会などにおいて適切に対応されていくものというふうに承知しております。

神山委員 最後になりますけれども、弁護士が収入減により魅力のない職業になっているとの参考人の意見がありました。最高裁の統計によれば、平成十二年をピークに民事・行政事件の総数が半数近くに減り、弁護士の仕事が減ったということもあるようでありますけれども、ほかの原因の一つに、わかりづらい弁護士報酬もあるのかというふうに考えております。わかりづらいので相談するのにちゅうちょするということの問題もあるのではないかというふうに考えますけれども、この点について御所見をお伺いいたします。

小川政府参考人 お答えいたします。

 法的な問題を抱えた者が、弁護士報酬が依頼者にとってわかりづらいということを一因として弁護士の法律サービスを受けられないという事態が仮にあるとすれば、このような事態は法の支配を全国あまねく実現するという観点からも望ましいものではないというふうに認識しております。

 弁護士報酬については、弁護士法の改正などもあったわけでございますが、現在は、日弁連も会規において、受任に際し、弁護士の報酬その他の費用について説明しなければならないとするほか、報酬に関する基準を作成し、事務所に備え置かなければならないなどと義務を定めているものと承知しております。

 御指摘の弁護士報酬の問題につきましては、このような会規、規程の趣旨でありますとか国民の司法へのアクセスの充実の観点から、日弁連などにおいて引き続き適切な対応をされるものというふうに認識しております。

神山委員 ありがとうございました。

 今回の改正によって、司法試験を受ける人たちが、いつ受けるかというふうなことを考えなくても済むようになっていくわけであります。

 そして今、司法試験は法曹界において少し質が下がってきているというふうなこともあるわけでありますけれども、この懸念について払拭できるようにこの法改正がつながることを心より期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

江崎委員長 次に、大口善徳委員。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 きょうは、司法試験法改正法案についてお伺いさせていただきたいと思います。

 今回の改正につきましては、受験回数制限を、五年以内三回を五回にする、また、短答式試験の科目を憲、民、刑の三科目に限定する。この改正は、基礎、基本をしっかりするということ、それから、五年以内に三回ということになりますと、受け控えということで、修了者のうち直近の司法試験を受験しなかった割合が二〇%前後、特に法学未修者は三〇%前後ということでありますので、弊害が出ておりますから、そういうことを解消するためにも正しい法改正である、こういうふうに認識をしております。

 この司法試験の改革につきましては、次のステージとして今考えられていることは、論文式試験の試験科目について、「論文式試験の選択科目の廃止を含め、その在り方について、予備試験との関係に留意しつつ検討し、二年以内に結論を得る。」昨年七月の法曹養成制度関係閣僚会議の決定でそうなっているわけであります。

 しかし、顧問会議でも、この論文式試験の選択科目の廃止については慎重な意見が出ております。私も、これは慎重に考えた方がいいというふうに思っているところでございます。

 と申しますのも、やはり法科大学院生は、司法試験に合格するということがどうしても第一の目的になってしまうということでありますので、選択科目というのを廃止してしまいますと、それがお留守になってしまう可能性がある。そうしますと、法科大学院の非常にいい部分というものが減殺されてしまう。

 そういうことで、論文式試験の選択科目になっている専門的法分野では、例えば、近年、労働関係事件、これが増加している、労働関係事件に適切に対応することが法曹の養成からも重要である、こういう指摘があって、それで労働法を選択して、結構そういう方が活躍しているということで、役立っているということがあります。

 弁理士、それから税理士、社労士という、社会人として労働分野や知的財産分野等で仕事をしている方にとりますと、選択科目の存在というのがアドバンテージと考えて法科大学院に入学する人も一定数いると指摘されているわけであります。

 先日の参考人質疑で、経団連の経済基盤本部の和田照子主幹が参考人で述べられておったんですが、法科大学院における教育については、将来それぞれが選択する法曹としての進路によって必要とされる専門性を身につける足がかりとなるような専門教育を行うことが有効ではないかということでありまして、やはりこの将来の足がかりとなるような試験科目を設けて、法曹の多様性を確保し、法曹の活動領域を拡大するということも期待されるわけであります。

 そういう点で、この論文式試験の選択科目については、これは廃止するということについては慎重であるべきだ、私はこう考えますが、大臣の御答弁をお願いします。

谷垣国務大臣 今、大口委員から、論文式試験の選択科目の廃止については慎重に考えろという御意見をいただきました。

 これは、今までの検討の経緯でございますが、去年の六月の法曹養成制度検討会議の取りまとめでは、法科大学院教育において、基本的な法律科目をより重点的に学修できるよう改善を図れということから、司法試験についてもそういう法科大学院における教育との整合性を考えろ、それに加えて、現在の司法試験が昔の司法試験に比べると大変科目がふえている、受験者の負担軽減を考える必要もあるんじゃないか、そういうことから、今おっしゃった論文式試験の選択科目を廃止するということを含めた検討をせよ、我々は実はそういう宿題を負っているわけでございます。

 それで、検討の今の状況でございますが、内閣官房法曹養成制度改革推進室で、昨年の十月から十一月に、第二回、第三回の顧問会議が開かれたわけですが、選択科目の廃止をする場合に考えられるものとして、予備試験の試験科目も含めた案をお示しして御意見を伺う、それから法科大学院関係者のヒアリングを実施する等々のことをしてきております。

 それで、この廃止については、これに賛成する意見もある一方で、今委員が指摘されたような観点から反対する考え方もあるわけでございまして、今まだ私がこの委員会で結論を申し上げられるようなところまで行っておりませんが、そういったさまざまな意見を含めて、よく検討してまいりたいと思っております。

大口委員 次に、予備試験についてお伺いしたいと思います。

 予備試験は平成二十三年に始まったわけでありますが、「経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者にも、法曹資格取得のための適切な途を確保すべきである。」これが司法制度改革審議会の提言であって、司法試験予備試験の理由なわけであります。

 皆さんにお配りした資料を見ていただきますと、二十三年、二十四年、二十五年と、出願者の数は大体九千人程度でありますけれども、実際の受験者は、六千四百、七千百、九千二百、こういうふうになっておりまして、予備試験を受ける方がだんだんふえている、こういう状況であります。

 平成二十四年から二十五年の増加数を見ますと二千四十一人であるわけでありますが、この中で、出願時の最終学歴で一番ふえているのは法科大学院在学中の人なんですね。九百四十二人、四六%です。その次は大学在学中の人、八百十九人、これは四〇%、法科大学院修了者は二百二十四名で一一%、こうなっているわけでございます。

 いずれにしましても、この三類型の人を合わせますと九七%になっているわけです。これは予備試験の設置の理由と大きくかけ離れた実態になっているということが言えると思うわけであります。

 さらに、そういう点で、大学の在学生、法科大学院在学中の人、修了者、これは全受験者の五〇・八%なんですね、平成二十五年は。二十三年は二七・三%ですから、割合も倍近くにふえている。どんどん予備試験に移行しているということになるわけです。

 予備試験の最終合格を見ましても、法科大学院在学中の人が四六・七%、大学在学中の人が三〇・五%、法科大学院修了者は一三・一%、こういうことで、この三類型で予備試験最終合格者の九〇・三%を占めている、こういうことでございます。

 では、その結果、法科大学院にはどういう影響が出てきているかということは、第七回の顧問会議が三月二十七日にありました。そこで文科省から提出された資料によりますと、予備試験ルートで司法試験に合格した法科大学院生が中途退学している、それから予備試験受験のため学生が法科大学院の予習や授業をおろそかにしている。ロースクールの授業というのは、私も見学したりしましたけれども、かなりハードです。ですから、予習、復習が欠かせないわけでありますが、そういうことにも影響が出ているということであります。

 また、法学部生が予備校を利用するということでありまして、ダブルスクールですよ。そうすると、お金のある人は、予備校に通える人はそういう道が開けるわけでありますが、そうでない方はどうするんだ。

 こういうことで、予備試験を本来の趣旨に沿った制度にやはり改めるべきではないか、受験資格の制限を設けるべきじゃないか、こういう議論をしていかなきゃならない、こういうふうに思っているところでございます。

 ちなみに、法科大学院制度をとっているアメリカ、カナダ、韓国では、予備試験制度はありません。

 国際的に通用する法曹を養成するために、法科大学院というものが充実した教育をやっていくということであるわけでありますので、要するに、ペーパーテストで予備試験から法曹になる、この道がどんどん広がっているということは、プロセスとしての法曹養成というのが根底から覆されそうになっている。この現状について、法務大臣としての御認識をお伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 予備試験制度については、大学生や、あるいは今おっしゃったように法科大学院生の受験が非常にふえてきている、本来の制度趣旨とは異なる状況が生まれているんじゃないかという御指摘も強いものがございまして、ですから、バイパスとして利用することを制限しなきゃいけないんじゃないか、何らかの受験資格の制限を考えるべきである、こういう御指摘も非常に強くございます。御党でも緊急提言をおまとめいただいたわけですが、まさにそういう観点から御提言をいただいているところでございます。

 ところが、ここは、今までの司法試験制度、法曹養成制度の検討の中で、非常にある意味では対立点のあるところでございまして、むしろ予備試験を積極的に評価すべきだ、受験者の負担を減ずる観点から、予備試験の科目数等も簡素化して、もっと予備試験を受けやすくせよ、こういう御意見もございます。

 それで、今、法曹養成制度改革推進会議のもとでこの御議論をいただいて、具体的ないろいろなデータ等々をきちっと分析しながら結論を出そうとしているわけでございますが、答弁に立ちまして大変苦しいのは、まだなかなか対立が厳しいものですから、これと委員会で申し上げられるような結論が、今回はある程度結論が出たところだけ改正法にしたわけですが、ここのところはまだきちっとした方向性を出せていないというのが現実でございまして、今後、詰めて議論をしていかなければならないと思っているところでございます。

大口委員 この前も、一橋の法科大学院の先生にお話をお伺いしました。超有力校ですね。そういうところにまで今非常に悪い影響が出てきているということなんですね。そこはやはり深刻に考えていただかなきゃいけないと思うんです。

 意見の対立はあるでしょうけれども、本来目指すべき理想というものはあるわけでありますので、ぜひとも大臣にはお考えをいただきたい、このように期待をしておりますので、よろしくお願いします。

 次に、法曹有資格者の活動領域の拡大でございます。

 これにつきましては、司法制度改革当初は、需要が飛躍的に増大する、こういうことであったわけでありますが、今そうでもないということであります。

 私は、国としても、やはり民事法律扶助とか、あるいは国選付添人の拡充とか、国民が利用しやすい裁判制度の実現、裁判官、検察官の増員による裁判官、検察官の過疎地域の解消、政府関係機関の取り組みによって、新たな活動領域の拡大の取り組みも一層強化をしていただかなきゃいけない、このように思っているところでございます。

 それで、参考人質疑で、北海道大学大学院の宮脇淳教授が、地方自治体において、やはり、条例の制定とか民間企業との契約の締結のほか、第三セクターの破綻処理や福祉の分野で法曹有資格者に対する需要がある、任期つき職員の採用に限らず、長期間の勤務をしてもらうということも大切であることがわかったと。

 それから、この前、私は法テラス東京に行ってきまして、太田晃弘弁護士等にお話をお伺いしました。佐渡で法テラスのスタッフ弁護士をやっておって、それで司法ソーシャルワークということで、行政、社協、福祉関係、地域密着型の司法ソーシャルワークを構築して、例えば、本当に身寄りもない、お金もない方、お年寄りの方の成年後見を、きちっと選任について後見されたり、いろいろな困り事について対応していると。こういう立派な志、高い志を持ったこともやっておられるんだなとつくづく感じたわけであります。ですから、もっとどんどん開拓をすれば需要は出てくるんだということも認識をした次第でございます。

 我が国は、国際競争力を高めるためにも、やはり、複雑化、国際化する企業を支える専門性を持った法曹の養成、法曹と企業のマッチングの仕組みを整えたり、中小企業が法的サービスを利用しやすくする体制の整備、これも必要であると考えます。

 そういう中で、法曹有資格者の海外展開の促進、私どもは、法テラスに海外拠点を設けるべきだということを常々言ってきたことでありますけれども、今、推進室の方でも、JICAやジェトロ、在外公館を通じて、法テラスの所属の弁護士を日本企業の進出が期待される東南アジアとかアフリカ諸国に派遣して、そして日本企業が直面するさまざまな問題の法的な支援をするというふうなことも考えている。あるいは在外公館に派遣する。捕鯨の敗訴判決の件もありましたように、やはりもっともっと国際仲裁とか国際司法裁判所対応ということもやっていかなきゃいけない。

 こういうことで、法曹有資格者の活動領域の拡大を、有識者懇談会、大臣も例に挙げられましたけれども、ここで検討しているわけでありますが、これはもう本当にしっかりやっていかなきゃいけない、こう思っております。大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 今おっしゃった新しい職務領域の拡大というのは極めて大事だと私も思っております。

 これは、職域を拡大していく、そういう表現が使われますが、やはり法の支配というものをあらゆるところに推し広めていこうという高い理念に立った場合にも努めなければならないことだと私は思っておりまして、今委員がおっしゃいました有識者懇談会、その中で大体三つの分野、国や自治体、あるいは福祉のような関係でどれだけまた職域が拡大できるか、あるいは企業、それから今最後におっしゃった海外展開、こういうことをどうできるか、今検討していただいている。

 いろいろ問題がございまして、自治体等の場合は、お触れになりましたように、今、たしか四十七都道府県、六十人ぐらいが行っているのではないかと思っておりますが、顧問弁護士という形よりも、実際に職員として、常時、気軽にといいますか、法的なアドバイスを受けながら仕事をしていくのは非常にメリットがあるというお声があるのは私も心強いことだと思っておりますし、また、法テラス等々のソーシャルワークですか、こういったものも非常に考えていかなきゃならない面がある。

 それから、福祉等では、やはり福祉の現場では、例えば痴呆が進んでいるとかいろいろなことが高齢化に伴ってあるわけですが、同時に、福祉問題だけじゃなしに法的問題も抱えている人はかなり多いわけですね。しかし、いわゆる弁護士が、余りお金がなかったりすると、ではその報酬をどうするかとかいうような問題、どういう形でその福祉対象者に法的サービスを及ぼしていくかというのは、仕組みの問題も相当考えなければならないということがあろうかと思います。

 それから、海外展開につきましては、先ほど神山委員の御質問にもお答えしたところですが、海外に進出した日本企業が現地で必要としている法的支援、そういうものは何か、それから、海外進出に際して中小企業に十分な法的サービスが提供できているか、それから、やはりまだそういうところで活躍できる法曹の層が必ずしも厚くない、むしろ薄いというようなことについて実践的な検討が必要でございまして、今後も、御支援をいただいて積極的にそういう検討を進めていきたいと考えております。

大口委員 次に、法曹人口のあり方でございますけれども、二十六年度の法科大学院の入学者数が二千二百七十二人と、ピーク時の三九・三%になりました。ですから、この合格者数について、今二千人程度ということでありますけれども、本当に、質を維持するということからいって、二千人というのが果たしていいのか。

 それから、やはり経験豊かな指導担当弁護士の確保もかなり現場では難しいようでありますし、司法研修所の設備等の関係で、集合修習の問題とか、あるいは選択型の実務修習の実践が限定せざるを得ない、こういうこともありますので、我が党の四月九日の緊急提案では、まず千八百人程度として、その後、内閣官房の法曹養成制度改革推進室の法曹人口調査の検討を踏まえつつ、千五百人程度を想定する必要もあるのではないか、こういうふうに考えているところであります。もちろん、その活動領域を拡大するといいますか、法の支配を広げるということは同時並行にしていかなきゃいけませんけれども、今、もう一度体制を整える必要があるのではないか、こういうふうに思っております。

 参考人質疑で、北海道大学大学院の宮脇淳教授が、現状の約二千人という数字がどのような意味を持つか検証が必要であることや、削減する場合にはその理由の説明が必要である、政策のよしあしを判断する際の目安として数値目標が必要である、こういう指摘もあります。

 そういう点で、いろいろと、今後の需要動向ですとか、あるいは法曹養成制度の整備の状況等も踏まえて、新たな中長期的な数値目標を設定するということも必要ではないか、こう考えるわけですが、大臣の御所見をお伺いします。

谷垣国務大臣 今までは年間司法試験の合格者三千人ということでやってきましたけれども、それは現実的でないということで、一応、その三千人という目標は撤回したわけです。

 それで、三千人というのがどういうところから来たかということになりますと、必ずしも具体的な調査なりそういうものが行われた数字ではなく、やはり国際的に見て日本は極めて法曹人口が少ない、そうすると、アメリカなんかは極めて多い、大ざっぱに言いますと、せめてフランスぐらいの人口比で必要じゃないかというところから三千人が策定されたというふうに記憶いたしておりますが、それが現実的でないということになると、少しきちっとした根拠に基づいて、あるべき法曹人口というものを策定していく必要がある。こういうことで、法曹養成制度改革推進室で今その調査に着手をしたところでございますので、私の公的な立場としては、そこでの検討をしっかりやって、きちっとした分析をしていく、公的な答弁はそういうことなのでございます。

 しかし、一体先行きはどうなっていくのかということがなかなか決まりませんと、私は受験生や何かの心理にも非常に影響を与えるなと思いまして、そろそろといいますか、相当ここも意見の対立がある分野でございますけれども、そろそろ粗ごなしというようなことも頭の中に入れていかなければならないのではないか。その点、いただいた緊急提言なども、そういう意味合いもあるのかなと思って承っていたところでございます。

 とにかく、その調査をしっかりやって、結論を出していきたいと考えております。

大口委員 法科大学院に入ってもらう方は、やはり多様なバックグラウンドを持った人に入っていただく。また、お金を持っている人だけじゃなくて、そうではない人も、あるいは介護ですとか、奥さんや子供を養いながら一生懸命やっておられる、そういう人にもチャレンジしていただきたいわけであります。そういう点では、地方の法科大学院というのは非常に大事であります。その適正配置というのは非常に大事なんです。

 今、そういう点では、地方の国立法科大学院を見ましても、八校のうち四校、島根、信州、新潟、鹿児島が学生の募集の停止を発表しているわけであります。あるいは、香川と愛媛は連合という形になったわけでありますけれども、四国からもう存在しなくなるんじゃないかという御指摘もございました。本当にそういう点で、地方の法科大学院をどうしていくのかということは今喫緊の課題で、これは文科省の大きな課題だと思っております。

 静岡大学と島根大学、参考人質疑でも、静岡大学法科大学院の宮下修一教授が話していたわけでありますが、広域連合の法科大学院構想というのを提案しているわけです。遠隔授業によって教育資源の集約、実績のある法科大学院との連携によって質の高い教育を実現しよう、こういうことであるわけですね。

 これは、下村文科大臣も昨年六月十八日に、この法科大学院間の連携、連合の推進など組織の見直しは検討していきたいということでありましたし、昨年六月二十六日の法曹養成制度検討会議の取りまとめでも、法科大学院間の連携、連合のネットワーク化を推進するために必要な支援を行うべきである、こういうことであるわけです。

 やはり、そのためには公的支援をしっかりやっていただかなきゃいけませんし、法科大学院に対する公的支援の算定ということが非常に大事になってきます。質の高い教育提供を目指した連携、連合など、すぐれた取り組みの提案を評価して加算をしていただく。

 ただ、宮下教授の話ですと、加算の具体的な評価基準が明らかになっていない、これを早く出していただきたい、遅くとも六月には出してもらいたい、こういうことでございます。そして、それとともに、支援につきましては、文科省として、連携先の確保あるいは財政面での積極的な支援をしていただきたい、それと、この加算条件の審査は二十六年だけじゃなくて二十七年も再審査の機会を設けていただきたい、こういう要望がございます。これについて、西川副大臣、よろしくお願いします。

西川副大臣 大口先生の御質問にお答えいたします。

 法科大学院の今置かれている現状が大変厳しいということは十分に理解しております。

 その中で、やはり、公的支援をいわばツールにして、しっかりと今の現状、各大学院が自主的にそれぞれの連携先を考えたり、そういうことを促していこう、そういうことで、今回いろいろな、法曹養成制度関係閣僚会議、この御意見を頂戴しながら決めたところでございます。

 まず最初に基本的なものを示した中では、合格率の問題、それから入学定員の充足率、あるいは地域配置の問題、そういうことの中で三つの類型に分けました。その中で、まあまあいいというところ、それから中間的なところ、大変厳しい、先生が今御指摘になられました地方のいろいろな大学もあります、もちろん都市部のところでもありますけれども。そういう類型を昨年の十一月にお示しいたしましたけれども、今先生御指摘のように、なかなか具体的なものが見えないということで、さらなる具体策を、先生が少なくとも六月中にという御指摘でございましたけれども、その御指摘に沿いまして、文科省でも聞き取りとか御相談に随分応じてまいりましたので、その具体策を、例えば連携するときの具体的なこと、そういうものを今月中にもお示しできるようにしたいと思っております。

 それから、地方の法科大学院については、当然、地方のそこにある重要性、地域にそれぞれある重要性、そういうことも配慮いたしまして考えてまいりたいと思いますが、それにおきましても、やはり入学者選抜の実施状況や司法試験の合格状況の改善につながる取り組みというのが一番大事でございますので、その辺も考えながら、地方への配慮をしていきたいと思っております。

 それともう一つ御指摘の、二十六年度、二十七年度、ことしだけではないです、来年度だけではないですねということで、これは続けてしっかりと対応してまいりたいと思っております。

大口委員 どうもありがとうございました。

 今の最後の点は周知徹底をよろしくお願いします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

江崎委員長 次に、郡和子委員。

郡委員 おはようございます。民主党の郡和子です。

 私も、司法試験等の改正に関連して、法曹養成の現状と課題についてお尋ねをしたいと思っております。

 お二人、委員が質問をされましたけれども、ほとんど論点というか共通認識だなというふうに思いながらやりとりを聞かせていただいたところですが、私からも改めて質問させていただきたいと思います。

 ここ数年、法曹を目指す法曹志願者の数が激減をしていて、例えば法科大学院の受験の前提となる適性試験というのがありますけれども、その総受験者数、平成十五年度、五万三千八百七十六人おりましたけれども、これも年々減少しておりまして、平成二十五年度には八千四百九十四人にまで減りました。しかも、この適性試験というのは年二回行われているそうで、この二回を受けている、つまり重複して受けているという数を差し引きますと、実受験者数は四千九百四十五人、五千人を切ったわけでございます。

 また、法科大学院の実入学者数ですけれども、これも平成十八年度の五千七百八十四人から減少し続けまして、ことしは、先ほどもお話が出ていましたけれども、二千二百七十二人でございました。

 三権の一翼を担う司法の人材、この裾野が減少していくということは、大きな損失、課題であるというふうに認識をしています。大変危機的な状況だというふうに思っているわけです。

 こういう状況が出てきた背景として、いろいろ言われますけれども、法曹、とりわけ弁護士の就職難、それから当初の想定と異なる合格率の低迷、また法曹となるまでの時間的、経済的コストの負担、これなどが挙げられているわけでございます。

 この状況を本当に深刻だなというふうに受けとめているわけですけれども、内閣官房の法曹養成制度改革推進室、それから法務省、文科省において、これを克服するため、それぞれの原因に対応して具体的にどのような方策を講じておられるか、まずお尋ねします。

谷垣国務大臣 昨年六月の法曹養成制度検討会議取りまとめというのがございましたが、そこで法曹志願者が減少している理由について分析しておりまして、司法試験の合格状況における法科大学院間のばらつきが大きくて、全体としての司法試験合格率が高くなっていない、また、司法修習終了後の就職状況が厳しい一方で、法科大学院において一定の時間的、経済的負担を要することから、法曹を志願して法科大学院に入学することにリスクがあると捉えられていることが原因である、こういう分析になっております。

 そこで、これを踏まえまして昨年七月に関係閣僚会議で決定が出まして、現状の課題を改善するために政府が講ずべき措置というのが決定されまして、現在、推進会議のもとで、推進室それから関係省庁で各施策の実施、検討を進めているところでございます。

 まず、就職難の問題につきましては、一つは、法曹人口のあり方というのを、先ほども御答弁申し上げましたけれども、前回はフランス並みということで、もうちょっときちっとした調査が必要ではないか。これは推進室でやっております。

 それから、法務省における有資格者の活動領域の拡大、これについても先ほど来幾つか御答弁を申し上げました。

 それから、合格率の低迷につきましては、法科大学院教育の質を確保するための組織見直し、これは文科省で今取り組んでいただいているところでございます。

 それから、法曹となるに当たっての時間的あるいは経済的コストがかかり過ぎるのではないかという問題については、四年制の大学、その中に法学部があり、その上にロースクールがあり、さらに研修所があるという、美しく言えば極めて手厚い制度になっているわけでございますので、やはり、飛び入学とか、要するに養成期間の短縮ということもある程度視野に置かなきゃいけない。これは中教審で今検討していただいているわけでございます。

 こういう施策、取り組みを通じて問題点を改善していかなければならないわけですが、また何かと御指導をいただきたい、このように思っております。

中岡政府参考人 先生御指摘の中で、先ほど大臣の方から御説明がございましたけれども、それ以外のことで、例えば経済的コストの部分につきましては、文科省といたしまして、日本学生支援機構の大学等の奨学金事業の中で対応するということ、国立大学、私立大学それぞれの授業料減免の充実を図っているところでございまして、今後とも、そういう意欲と能力のある学生が経済的理由により修学を断念することがないよう、引き続き奨学金事業や授業料減免の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

郡委員 司法制度改革の本来の趣旨というのは、社会の隅々に法の支配を貫徹して、国民の権利を守るとともに、個人や企業の自由で闊達な活動を促すことにあって、それを実現するために、法曹の質それから量、双方を豊かにすることが目指されたわけであります。

 現に、ここ数年、司法試験の合格者は二千人程度で推移していて、一九九〇年まで年間合格者が五百人程度だったことを考えますと、四倍にふえたわけです。

 これに照らして、今、法曹の世界の中で、裁判官、検察官の数は微増にとどまっています。今なお、両者合わせて年間の任官者、二百人程度であります。

 法の支配というのを実現するには、弁護士はもちろんですけれども、それだけではなくて、裁判官や検察官もふえていくというのが重要な条件であるわけでして、二〇〇一年に出された司法制度改革審議会の意見書でも、「全体としての法曹人口の増加を図る中で、裁判官、検察官を大幅に増員すべきである。」というふうにされております。

 資料一をごらんいただきたいんですけれども、少しずつ増員が図られているものの、裁判官や検察官の大幅増員にはほど遠い状況であります。

 理由というのは予算の問題だけなんでしょうか。何がネックになっているんでしょうか。お尋ねします。

小川政府参考人 お答えいたします。

 裁判官の員数につきましては、これは、裁判所の方で裁判実務の現状及びその必要性を踏まえて増員を行っているところというふうに考えております。

 また、検察官の員数に関しましては、法務省では、現在の犯罪情勢及び裁判員制度の実施などの司法制度改革に伴う新たな業務に適切に対応していくために、これまでも検察官増員を含めて必要な体制の整備を行ってきたものと認識しております。

 具体的な数字でございますが、委員から御提出いただきました資料にもございますとおり、司法制度改革の意見書が出されました平成十三年と比較いたしますと、裁判官については約六百名以上、検察官については約四百名の増員をいわば着実に図っているところでございます。

 法務省といたしましては、裁判官の定員につきましては、裁判所において適正に判断されるところを踏まえて、今後も引き続き適切に対応してまいりたいというふうに考えておりますし、検察官の定員についても、これは毎年の事件数ですとか犯罪動向などもございますので、こういった点に対応することはもとより、諸般の事情も考慮して、引き続き必要な体制の整備を進めてまいりたいというふうに考えております。

郡委員 さらなる拡充が必要なんだろうというふうな認識で質問させていただきました。

 昨今、弁護士志願者の中では、就職難で、先日も参考人質疑の中では、五百人以上、修習終了後も登録できない人たちがいるということが紹介をされたわけです。その背景には、先ほども少し議論があったかと思いますけれども、とりわけ弁護士の活動領域、司法制度改革が期待したほど拡大はしていないということなんだというふうに思います。

 そうだとすれば、その理由はどこにあるというふうに見ているのか、お尋ねしたい。

谷垣国務大臣 法曹養成制度検討会議の取りまとめでも、有資格者の活動領域は、広がりつつあるものの、いまだ限定的と言わざるを得ないという指摘がされております。

 それで、どこに問題があるのかということでございますが、一つは、法律家を使うと、役に立つといいますか、便利だといいますか、そういう認識を必ずしもいただいていなかったというところはあろうかと思います。

 ですから、先ほどの御議論の中でも、自治体等に顧問弁護士という形ではなく職員として入っていただくと、いろいろな問題に法的なアドバイスを受けながら進めていく、それが非常に結果としていいというようなお声も聞こえてきている。これは心強いところだと思いますので、さらにそういうのを進めていかなきゃいけない。

 それから、これは先ほども申し上げたところでございますが、過去の実績のない新たな分野で弁護士業務をやろうとすると、なかなか採算性がとれないというようなことがあるわけです。

 それは、要するに、先ほど申し上げたところでありますが、福祉の分野では、福祉の問題を抱えておられるけれども、同時に法的問題を抱えているという人も多い。しかし、お金をほとんど持っておられないというような方にどう、採算性と申すと難しいんですが、つまり、そういう潜在的なニーズを顕在化して、これに対応するための取り組みが、どうしたらいいかというところがまだ具体性が、検討するといっても具体性が十分でなかったということはあるんだと思います。ですから、こういったところをかなり具体的に詰めていかないと広がっていかないのではないかと思っております。

 それで、法務省は、こういう問題意識のもとに有識者懇談会を設けまして、そのもとに、先ほども申しましたが、国、自治体、福祉みたいなものをどうするか、それから企業にどう入っていくか、それから海外展開をどうしていくか、こういう三つの分科会を設けまして、今申し上げたように、少し実践的なところからやっていかなきゃいかぬということで今議論を進めているところでございます。

郡委員 今大臣の御答弁の最初のところですけれども、弁護士がいると簡単に事が進むことになるであろうという認識を広く持ってもらうというようなことも大切だというお話でしたけれども、そういう意味でも、企業内の弁護士をふやしていく、自治体の弁護士をふやしていく、あるいは、さまざまな分野で活躍できる人材を育てていくということもまた同時に重要なことになってくるんだろうというふうに思っています。

 それが法科大学院に求められているところでもあろうかというふうに思っているわけで、続いて、法科大学院についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 当初、司法制度改革は、法科大学院の修了生が七割から八割が司法試験に合格するよう充実した教育が行われるというような状況を目指したわけであります。それが達成されていないということです。

 また、各法科大学院によって、司法試験の合格率には相当の差がございます。きょう、お手元の配付資料にもあるとおりです。

 そうしたいわば法科大学院の教育力の格差ですけれども、これは一体何が原因になっているのか、そして、その解決策はどこにあるのか、続いてお尋ねをしたいと思います。

中岡政府参考人 法科大学院のお尋ねでございます。

 司法試験合格率が低迷している原因といたしましては、法学既修者と法学未修者の間における合格率の差が大きいということを認識しております。

 具体的には、司法試験受験期間中の累積合格率でございますけれども、法学既修者と法学未修者を比較した場合に、受験期間が終了した平成十七年から二十年度の修了者の中で、法学既修者の累積合格率は各年度ともほぼ七割近くまで達しているという一方で、法学未修者の累積合格率については三、四割と低迷しているところでございます。

 また、先ほど御指摘のように、法科大学院ごとの差も大きくございまして、司法試験の累積合格率に関しまして、七、八割を既に達している法科大学院がある一方、累積合格率が全国平均の半分にも満たない法科大学院も全体の三分の一程度存在することも事実でございます。

 このようなことから、文部科学省といたしましては、法学未修者教育の充実方策や共通到達度確認試験の導入、認証評価の抜本的な見直しなど、教育の質の向上のための改善方策に取り組むとともに、司法試験の合格状況等におきまして課題が深刻な法科大学院に対しましては、公的支援の見直しのさらなる強化策を通じて抜本的な組織見直しの促進を図ってまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

郡委員 今厳しい状況にある法科大学院、その教育理念について、改めてここで読ませていただきたいと思います。

 理論的教育と実務的教育を架橋するものとして、公平性、開放性、多様性を旨としつつ、以下の基本的理念を統合的に実現するものでなければならない。

として、

  「法の支配」の直接の担い手であり、「国民の社会生活上の医師」としての役割を期待される法曹に共通して必要とされる専門的資質・能力の習得と、かけがえのない人生を生きる人々の喜びや悲しみに対して深く共感しうる豊かな人間性の涵養、向上を図る。

  専門的な法知識を確実に習得させるとともに、それを批判的に検討し、また発展させていく創造的な思考力、あるいは事実に即して具体的な法的問題を解決していくため必要な法的分析能力や法的議論の能力等を育成する。

  先端的な法領域について基本的な理解を得させ、また、社会に生起する様々な問題に対して広い関心を持たせ、人間や社会の在り方に関する思索や実際的な見聞、体験を基礎として、法曹としての責任感や倫理観が涵養されるよう努めるとともに、実際に社会への貢献を行うための機会を提供しうるものとする。

こういうふうに書かれておりまして、改めて読ませていただくと、本当にすばらしい理念であります。

 以上の理念に照らしまして、法曹養成の現状をどのように評価しているか、その改善、改革の方向について説明をいただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 法科大学院の目指すべき理念につきましては、先ほど先生からるる御説明がございました。

 法科大学院は、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させまして、プロセスとしての法曹養成の中核を担うということで、そのような理念を体現して進めていくということがございます。二十一世紀の司法を支える質、量ともに豊かな法曹を養成する観点から、法科大学院において充実した教育を行うことは大変重要なことと承知しております。

 そういったことから、現在、さまざまな改善方策が課題に対しまして指摘されておるわけでございますけれども、先ほどるる申し上げました公的支援の見直しの強化とか認証評価の抜本的な見直しだけではなくて、例えば国際化対応とか継続的な教育といった先導的な取り組みの支援など、法科大学院の浮揚策にも積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

郡委員 今検討を進めておられて、しっかりと対応していくということだと思います。

 今後は法科大学院の統廃合が進められていくというふうに承知しますが、その折にはどういう形で、例えば司法試験の合格率が高い、低いということが基準になるのか、あるいは、言われているように、全国的な適正配置、これをどういうふうにしていくのか、また入学者の選抜について、他学部あるいは他大学の出身者や社会人などの受け入れにも十分に配慮してオープンで公平なものとする、また、お金のない人たちでも、社会人でも、また、その地域以外からも、しっかりとほかの地域の居住者などにも目配りをしたそういうものにならねばならないというふうに思っているわけです。

 この全国適正配置、それから他学部、夜間開講などによって、社会人などが大変ありがたかったという感想も寄せられているのを拝見いたしました。こういった理念に配慮した統廃合、この具体的な方策、これはどうなっているのか、お尋ねをします。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 昨年七月の政府の法曹養成制度関係閣僚会議決定にございますように、司法試験の合格状況や入学者選抜におきまして深刻な課題を抱えます法科大学院の自主的な組織見直しを加速させることが求められてございまして、地方の法科大学院でございましても、課題が深刻な場合には、抜本的な組織見直しに取り組むことは避けられないと考えております。

 昨年十一月に私どもで公表させていただきました、公的支援の見直しのさらなる強化策におきましては、課題が深刻な法科大学院に対しまして、司法試験合格率や入学定員の充足率などの指標を踏まえて公的支援の一部を減額するという仕組みから、全ての法科大学院を対象にいたしまして、先ほど委員の方から御指摘ございましたように、多様なバックグラウンドを持っている方々を招き入れるというようなこと、あるいは、夜間だとかそういったところでの機会というのは非常に重要だというようなこともございまして、法学系以外の課程出身者、社会人の受け入れ状況や、地域配置、夜間開講状況を含めた多様な指標を総合的に勘案して三つの類型に分類いたしまして、公的支援の基礎額を設定するとともに、質の高い教育の提供を目指した連合など、すぐれた提案を評価して加算率を設定することで、公的支援のめり張りある配分を行う仕組みに改善したところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後とも、地方の法科大学院に配慮し、あるいは、夜間だとか、多様なバックグラウンドを持つ方々が入っていただけるように、そういったところも十分配慮して、抜本的な組織見直しをしてまいりたいというふうに考えております。

郡委員 格差が広がらないように、さまざまなところに気配りをしていただいた統廃合なり大学院の改革にしていただきたいというふうに思います。

 法曹養成制度は、利用者が求める実務家を育てるためにあるというふうに考えておりまして、そのためには、法科大学院が、先ほど言ったような教育の理念そのものに立ち返ってしっかりとした教育を施すということ、それからまた、高度専門職の教育、これらも必要だというふうに思っておりますし、現場での法曹の活動に実際にかかわる実務研修を行う司法修習、これも、大学院での学びと司法試験と連携をしながら、その役割をしっかりと果たすということが重要だというふうに思っているわけです。

 法曹養成制度改革検討会の取りまとめでも、司法修習のさらなる充実に向けて、司法修習生の地位及びこれに関連する措置のあり方について検討するとされました。

 最高裁での検討状況、進捗状況を説明いただきたいと思います。

安浪最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 最高裁といたしましても、実務修習を含めます司法修習のさらなる充実というのが大変重要なことと考えております。

 具体的なことで申し上げますと、最高裁判所に設置されております司法修習委員会にも諮った上で、司法修習開始時に、司法修習生を司法研修所に一堂に集めて、移動期間も含めまして約一カ月にわたっての導入修習を実施するということといたしました。

 次に、実務庁での分野別実務修習に関しましても、司法修習委員会における議論も踏まえまして、法曹三者それぞれが実務修習における指導内容を明確化し、より一層充実させるために、それぞれガイドラインを策定し、既に各実務修習地に周知したところでございます。

 そのほか、引き続き、実務修習の実情をさらに詳細に把握し、具体的な充実方策を検討するために、司法修習委員会のもとに実務家等で成りますワーキンググループを立ち上げて、鋭意検討を続けているところでございます。

郡委員 司法修習をより密度の濃いものにするために工夫が求められて、検討が必要だというふうにされたわけですけれども、一方で、修習専念義務が課せられている司法修習生ですけれども、基準を設けて兼業を認めることになりました。その現状というのを資料の中で配付させていただいております。兼業許可基準のさらなる緩和の要否についてはどのような検討がされているでしょうか。

安浪最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 司法修習生は、最高裁判所の許可を受けなければ、兼職、兼業を行うことができないとされております。政府の法曹養成制度関係閣僚会議の決定におきまして、法科大学院における学生指導を初めとする教育活動につきまして兼業を認めるべきとの提言がされたことなどを踏まえまして、最高裁におきましても、修習専念義務が定められた趣旨に反しないと考えられる一定の範囲で兼業許可の運用の緩和を図ったところでございます。

 具体的に申し上げますと、修習生の方から申請がされてまいります業務の内容、業務時間、業務量を踏まえまして、修習専念義務が定められた趣旨に照らして問題がないかという観点から事例ごとに個別に検討して、その許否を判断してまいってきているところでございます。

 資料にもございますとおり、平成二十六年、ことし四月末日までに、アルバイトの兼業許可がされたものが二百十五件、不許可となったものが二件でございます。許可をいたしましたものの圧倒的多数は、法科大学院や司法試験予備校での指導アシスタントあるいは答案の添削ということでございました。

 現在までのところで、兼業による司法修習への支障については承知していないところでございますが、この兼業許可の運用の緩和といいますのが、現在修習中の第六十七期の修習生から開始したばかりのところでございまして、修習への影響がどういうことになるのか、この辺もきちっと注視していく必要があると考えているところでございます。

郡委員 冒頭指摘しましたように、法曹志願者の数が減少している背景の一つに、法曹になるまでの時間的、経済的な負担の重さというふうなこともあるわけです。司法修習生に対する経済的支援については、今のように兼業を認めるとしても、その基準の安易な緩和には問題があるというふうに私自身は思っております。司法修習生が修習に専念できるようにするために、修習生に対する経済的支援、これも拡充、検討していく必要があるというふうに思っています。

 質問をさせていただこうと思いましたが、時間でもございますので、飛ばさせていただきます。申しわけありません。

 次は、予備試験についてです。

 予備試験についてもいろいろ議論がございました。改めてですけれども、この制度の本来の趣旨は、経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由によって法科大学院を経由しない者に法曹となる道を開くということになっているわけです。しかし、予備試験の現状の状況は、これも資料の中に加えさせていただきましたけれども、その趣旨に沿ったものにはなっておりません。予備試験の合格者の中には、学部生、法科大学院の在学生、それから修了生が占める割合が極めて高いわけでございます。

 司法試験における競争の激化で、学生が受験予備校に大幅に依存する傾向が著しくなり、ダブルスクール化、また大学離れと言われる状況を招いたことへの反省に基づいて法科大学院が導入されたというふうに承知しているわけです。しかし、予備試験がスタートして以降、法学部の学生が予備試験の受験のために一年生から予備校に通うなど、かつてのダブルスクール化というのが急速に復活しているし、また、お金持ちしか通らない、相当額の費用を負担して予備校に行ける、そういう人しか通らなくなっているというふうなことも指摘をされているわけです。

 この予備試験の本来の趣旨を取り戻すためにどのような対策を講じる予定か、伺いたいと思います。

大塲政府参考人 予備試験制度のあり方につきましては、本来の制度趣旨と異なる状況が生じてきているのではないかという指摘がある一方で、予備試験を積極的に評価いたしまして、受験者の負担を減じるため、予備試験の科目数等を簡素化すべきではないかという指摘もあるところであります。

 現在、法曹養成制度改革推進会議のもとで、具体的なデータの分析に基づきまして、予備試験制度を見直す必要があるのかどうか、検討を行っているところであります。

郡委員 資料の六ですけれども、顧問会議の中で文科省の配付資料として出されたものを添付させていただいております。お配りをしておりますので、予備試験が学生たちに、あるいはまた目指す皆さんたちにどのような影響を与えているのかということがアンケートの調査でわかりますので、ぜひお読みいただきたいと思います。

 予備試験ですけれども、法科大学院では、国民の社会生活上の医師として、かけがえのない人生を生きる人々の喜びや悲しみに対して深く共感し得る豊かな人間性の涵養、また、創造的な思考力、法的分析能力や法的議論の能力、先端的な法領域の理解や法曹としての責任感や倫理観が涵養される、こういうことが期待をされているわけですけれども、飛び越えて、この予備試験ルートの法曹が拡大した場合には、こうした理念に基づく法曹教育というのは一体どこで施されることになるのか。施されることがないとすれば、利用者にとって何か問題が生じることはないのかという点について大臣にお聞きしたいと思います。

谷垣国務大臣 司法制度改革審議会の意見書の中で、恐らく今、郡さんがおっしゃったのと同じような問題意識だと思いますが、予備試験では、実社会での経験などで十分ロースクールを出た者に匹敵し得る、同等の能力があるかどうかをしっかり認定できるようなことにすべきだという意見をいただいております。

 それで、今の予備試験は、基本的に、法科大学院修了者と同等の学識も要りますし、応用力、それから法実務の基礎的素養も持っていなきゃいけない、それをやはりチェックできるものでなければいけない、一応そういうふうに設計はされております。

 例えば、試験科目として、法曹倫理を含む法律実務基礎科目というのがございます。それで、口述試験も入れておりまして、そういう中で、例えば法律家の実務の基礎能力としては、やはり事実認定をどうしていくか、単に法律学の素養だけじゃなしに、事実認定の一番基礎的な部分をどうしていくかというようなことも一応チェックする仕組みになっております。

 ただ、予備試験に合格した者が司法試験の最終合格者に行ったというのは、まだ二回しか出ておりません。果たして予備試験を経由してきた者がどれだけの能力を持っているかということについてはまだ十分わかっていない面もございますので、そこらあたりもきちっと分析していって、打つべき手を打っていかなければいけないと思っております。

郡委員 余り時間がなくなりましたけれども、予備試験をどういうふうにしていくかということだけで法曹養成過程がうまくいくというものではない、本当にいろいろなものが絡み合っているんだというふうに思います。

 最後に、法科大学院に通って司法試験を突破した方々、司法シンポジウムで出された資料で、ちょっと御紹介をして終わらせていただきたいと思うんです。

 芸術家の法的権利を守ろうと弁護士になることを決意したが、現在、その夢に向かって少しずつ進んでいる。劇団をやめるという決断と試験勉強の努力が無駄ではなかったと思うことができ、幸せであるという方。それから、法科大学院への入学から実際に法曹としての仕事を始められるようになるまでの時間は長く、コストは大きい。さまざまなバックグラウンドを持つ人間が法曹界に入ってくることの意義はとても大きい。日本の法曹界全体の競争力や幅広いサービス提供能力を高めるためにも、ぜひ多様な人材が進んで参入していくことができる環境を整えていくべきだ。

 実にさまざまな、私が今手にしているのは、社会人からロースクールを経て資格を取った方々なんですけれども、このような状況を見ていますと、本当に今回の改正は、小手先と言ってはなんですけれども、ほんのわずかな改正で、今後、抜本的なところをしっかり早目に対応していく必要があるというふうに思っているということを最後に申し述べて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

江崎委員長 次に、階猛委員。

階委員 民主党の階猛です。

 きょうから司法試験が始まるわけでして、今の司法試験というのは、我々が受験してきたころと違って、まず論述式の試験を三日間受けて、その後、短答式試験を受ける。

 我々の時代は、短答式試験でまず五分の一とかに絞られて、それをクリアして初めて論述試験を受ける。またそこで六分の一ぐらいに絞られて、最後、口述式試験というのもありました。そこでもまた一割ぐらい落とされて、最終的に生き残るというか合格するのが二%から三%ぐらいという時代でございました。

 それに比べれば、今は、まず短答式試験、受からなくても論述式試験まで受けられる。口述式試験もありません。合格率も、当初言われていたほどではないですけれども、二六、七%あるということで、我々の時代からすると試験は楽になったような気もするわけですね。

 ところが、実際の受験者数はどうなっているかということでございますが、これはもう皆さん御案内のとおりでございまして、毎年毎年、ここのところ減り続けている。昨年でいいますと、実際に受けた方は七千六百五十三人です。ことしはまだ出願段階の数字しかありませんので、きょう多分、午前中終わったぐらいで実際の受験者数が出てくると思うんですが、今の申し込み段階の数字からすると、昨年の七千六百五十三人からさらに下がるのではないかというふうに私は予想しております。後でもし数字がわかったらお答えいただければと思います。

 昔、司法試験が通りにくいと言われていた時代、実は四万五千人ぐらい司法試験の受験者がいたわけですね。試験が楽になったのに、なぜこんなに受験者が減ってきたのか。この理由については後で述べますけれども、そういう受験者数をふやしたいという思いもあって今回の司法試験法の改正というのはあると思うんです。

 そこでまずお聞きしたいのは、今回の司法試験法の改正で、受験回数制限が緩やかになって、今までは五年三回までというものが五年五回までということで、五回チャンスがあるというふうになりました。このことによって受験者数がどのように推移すると考えているのか、お答えください。

谷垣国務大臣 まず確実に言えますのは、五年に三回ということですと受け控えというものが出てきてしまった、だから五年に五回とすることによって受け控えが減少するということは確実に予想されると思うんです。

 ただ、それを超えて実際の受験者数がどのように変化していくかということになると、なかなかこれは予測しがたいわけで、受け控えがどの程度減少するのか、あるいは、五年も使い切らずに途中で別のところに、向いていない、あるいは、もっとこっちがいいと思って行く方もあるでしょうし、今後の法科大学院の修了者数あるいは司法試験合格者数等々によって変わってくると思います。

 甚だ中途半端なお答えですが、確実に言えるのは、受け控えが減るであろうということでございます。

階委員 受け控えが減って五年間フルに受けられる人がふえるということになると、新しく試験を受ける人にとっては、先輩方、滞留と言ったら言葉が悪いですけれども、過去に司法試験を受け始められた方が残っている数もふえるわけですね。ということは、新しく受ける人にとっては、何回も受けられた方が上にいらっしゃるとその人たちに負けちゃうんじゃないかということで、早期合格の可能性が減るかもしれないということで、むしろ、直近は受験回数制限が緩和されたことでふえるかもしれませんが、長い目で見ると減るかもしれませんし、ここは何とも言えないというのが率直なところかもしれません。

 いずれにしても、先ほど郡委員からも御指摘があったように、この改革は小手先と言いましたけれども、私は、これだけで司法試験の受験者数が改善するというふうには到底思えません。

 もう一つ、今回の改正で、短答式試験科目も、科目数を減らして負担を減らそうということなんですが、確かに、たくさんの科目を一から勉強して試験に備えるというのは大変なことですから、未修者にとっては負担は減るのでしょう。

 ただ、受かる確率がそれで増すかどうかというのはまた別の問題だと思っていまして、むしろ、憲、民、刑ということになりますと、法学部の段階からたくさん勉強するわけですね。法学部の段階から勉強してきて法科大学院に進まれた方、年期が入って憲、民、刑を勉強している方、こういう方たちと勝負することになるわけで、それ以外の科目というのは学部段階ではさほど勉強しないのが普通なのかなと思っていまして、むしろ、競争環境からいうと、未修者にとって厳しくなるかもしれない。

 こういうことによって、今、法学未修者の法科大学院離れ、司法試験離れが進んでいますけれども、こちらにとってもマイナスの影響があるような気もするんですが、この点についてはどのようにお考えになりますか。

谷垣国務大臣 ここも、今、階委員がおっしゃったように、いろいろな見方が可能だと思うんです。

 ただ、ここも一つ確実に言えることは、法学未修者の問題というのが相当今までも議論されてきまして、やはり基礎的科目に集中していく時間が、時間といいますか、そういう方向になっていくことは、法学未修者が、憲、民、刑、基本的な科目をしっかりと身につけることができるようになるだろうということは大いに期待しております。

 それは見込まれると思いますが、最終合格にどう結びついていくかということになりますと、これはまだ何とも私も申し上げられない。結局、個々の受験者ということになるのかもしれません。今申し上げるのはその程度だろうと思います。

階委員 法科大学院をつくって未修者の人にも法曹を目指してもらおうということですから、なるべく未修者の人も法曹を志願してほしいわけですけれども、その点についても、今回の改正が合格率の引き上げにつながるかどうかわからないということだと、改善の効果は望み薄なのかなと思います。

 ですから、私は、もっと志願者をふやすための抜本的な対策をとらなくてはいけないと思っていますので、以下、その点について議論をさせていただきたいと思っています。

 次の質問はちょっと時間の関係で一旦飛ばさせていただきまして、通告ですと四点目です。

 志願者を増加させるための根本的な解決方策ということで、先般の参考人質疑でもいろいろ御意見をいただきました。私はその中でも和田吉弘先生という方の御意見に同意したわけですけれども、一つには、司法試験の合格者数を法曹需要に見合う数に減らしていくということです。

 今、二回試験を受かって弁護士資格はもらったけれども、就職先がなくてすぐ就職できない方が、先ほども、五百七十人という数字がありました。また、一回就職しても仕事がなくて弁護士登録を取り消すという方もどんどんふえております。全体として数字がふえているんですけれども、その中でも司法修習の六十期台、つまり新司法試験で受かった人たちがどんどん登録を取り消している、こういうゆゆしき状況です。

 そうしたことからすると、やはり弁護士は供給過剰なのではないかということで、まずは合格者数を減らす。

 それからもう一点は、法科大学院修了が司法試験の受験資格ということに原則なっています。予備試験ルートというのもありますけれども、原則、修了が要件だという中で、先ほど来御指摘がありますけれども、司法試験を受けるためには、法科大学院に通って、膨大な時間とお金がかかりますし、法科大学院を修了しても、予備試験ルートよりも司法試験の合格率はうんと低い、大半の学校でそうなっていますということで、教育水準にも問題がある。

 というようなことからすると、先日、読売新聞の記事で見たんですけれども、二月二十三日だったかと思いますが、法科大学院に通うというのは刑務所に行くようなもので、懲役二年または三年、罰金三百万だという話も受験生の間からは上がっているような状況だということです。刑務所は、罪を犯して強制的に入れられるものなので仕方なく行くわけですけれども、わざわざ好きこのんで刑務所に入ろうとする人はいないわけでして、法科大学院から人が離れるのは当然だろうというふうに私は思っています。

 一つ言えるのは、法科大学院修了を受験資格の要件としなければ、司法試験を受けたい人は受ければよし、ただ、それには自分で勉強しなくてはいけなくて、より確実に受かりたい人はよい教育をする法科大学院に行けばよしということで、別に、法科大学院修了を受験資格とすることをやめたとしても、よい法科大学院は残れるだろうというふうに思っていまして、受験者数をふやすという意味では、こういうことも考えたらいいのではないかと思っています。

 以上、二点、抜本的な対策だと思っていますけれども、この点について大臣の御所見を伺います。

谷垣国務大臣 今回のこの質疑は、ある意味で、私にとりましても非常に刺激的なのは、委員の御意見がそれぞれ皆大きく違っておりまして、それぞれのスタンス、とっておられるお立場によって意見も鋭く違っている。これが、私にとりまして、刺激でもございますし、答弁もなかなか難しいなと思っているわけでございます。

 今二点おっしゃいました。

 まず、数を減らせという問題でございますが、これは、私、今、要するに、何が適正な法曹人口であるか、具体的に調査をせよという宿題をいただいているわけでございますので、先ほども申しましたけれども、前回の場合にはフランス程度というようなことで、割と漠然とやられた。やはりひとつきちっとした調査をして、あるべき法曹人口というものをもう少し明確に描いてみたいと私は思っております。

 ただ、これは先ほど申しましたように、いつまでもそれを調査だ調査だとやっておりますと、受験生が不安になる、粗ごなしもやっていかなきゃいかぬ、これが今の私のお答えできることでございます。

 それから、法科大学院修了者に受験資格を与えるのをやめろという御意見、これは一つのお立場だと思うんです。今までの法曹養成制度に対する評価を持った一つのお立場だと思いますが、今までの議論の結論として、昨年七月の関係閣僚会議決定は、プロセスとしての法曹養成制度を維持するという結論が示されたところでございまして、これを前提に法曹養成制度の現状を改善していこう、課題を解決していこうということに立っております。

 それで、結局、先ほどのような調査をきちっとやって、どのくらい本当にできるのかということを考えていかなきゃなりません。先ほど委員がお挙げになりましたいろいろな数字の中で、憂慮すべき数字はいろいろあるのでございますが、特に六十期台の、もう弁護士資格を返上してしまうという数が非常にふえている、実は日弁連等々に問い合わせましても原因はまだ十分わかりませんけれども、これは十分注目していかなきゃならない数字だなと私も危機感を持って受けとめているところでございます。

階委員 今大臣、危機感とおっしゃいましたけれども、実は私ども、政権担当のときから危機感は持っていたんですね。私も、総務省の政務官のときに、法曹養成の問題について政策評価で取り上げまして、既に平成二十四年四月に関係各省に勧告をしております。

 その勧告、多岐にわたるんですけれども、今申し上げた点に関して言いますと、司法試験の年間合格者数に係る目標値を検討せよということで、勧告内容としては、「年間数値目標については、これまでの達成状況との乖離が大きく、また、法曹・法的サービスへの需要の拡大・顕在化も限定的であることから、これまで及び今後の弁護士の活動領域の拡大状況、法曹需要の動向、法科大学院における質の向上の状況等を踏まえつつ、速やかに検討すること。」これは法務省に対する勧告です。

 二年前にこういう勧告をしているんですが、いまだに調査と言われると、私は本当に危機感を持っているのかと言いたくなるんですね。

 こういうことからして、いろいろ閣僚会議での検討のスケジュールとかもあるかもしれませんが、そこはもう法務省を所管する大臣として、まさに、これまでの慣例とか計画にはとらわれずに、早急に結論を出して、司法試験合格者数の目標を決めるべきではないかということを強く申し上げたいんですが、大臣、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 今までのスケジュール等、私もそれは必要だとは思っております。ただ、先ほども申し上げたように、いつまでもマンマンデーでやっておりますと、実際、なかなかこれはリスクの多い試験であるというようなイメージばかりが広がってはいけない、少しでも早めるように頑張らなきゃいけないと思っております。

階委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 志願者をふやすためには、合格者をどうするかということとともに、法科大学院というのは刑務所じゃない、いいところなんだというふうに皆さんに思っていただかなくちゃいけないと思っています。そういう意味でいうと、現在の法科大学院の教育水準というのは、いいところもありますけれども、総じて言えば物足りないものがある。

 そこで、文科省、副大臣にお越しいただいていますが、現在の法科大学院は、司法制度改革で想定された当初の理念に沿った水準の教育ができているとお考えになられるかどうか、まずお答えください。

西川副大臣 階先生にお答えいたします。

 刑務所かどうかというのはちょっと余りにも極端なあれかなと思いますけれども、ただ、先生御指摘のように、今この法科大学院については、やはり当初の想定の需要に対する見込みの状況が違っていたということも大いにあると思いますから、まず、この数の問題があると思うんですね。それと、今、法科大学院の教育の質の問題だと思います。今先生の御指摘は、まさにこの質の問題だと思うんです。

 ただ、やはり法科大学院ができてから、かなりいろいろな法務実務、法曹界の検事、弁護士、裁判所、それ以外の民間企業や公務部門にもさまざまな人材を送り出しているという実績もあることも事実でございますので、一定の成果は上げている、それはそう思っております。

 ただ、先生御指摘のように、合格率が大変低い大学院がかなり散見されまして、今回この質を上げるために、公的支援を使いながら、三分類に分けて、本当に厳しいところに、これからどうするんだということを今文科省としてはいろいろと投げかけているところでございます。

 そういう意味で、一つの教育の質の問題については、実は抜本的な見直しとして、共通到達度確認試験を導入することが大体決まっております。これによって、一年ごとに進級するごとにこの確認試験を受けた上でやっていく、そういうことでふるいにかけた生徒が、卒業生が司法試験を受けるということで、質の確保にも鋭意努力しております。

階委員 法科大学院のいい面もあるということは否定しませんけれども、客観的なデータでちょっと法科大学院の現状をお伝えしたいと思うんですが、きょうお配りしている資料を見ていただきます。

 志願者数、入学定員及び実入学者数の推移ということで、文科省の方でつくっていただいた資料なんですが、入学定員がピーク時では平成十八年度当たり五千八百二十五人ということで、今は定員を減らして三千八百九人。手書きで、五千八百二十五の平成十八年度の数字を一〇〇とした場合、指数でいうと六五・四、三四・六%ぐらい減ってはいます。

 ただ、この定員を減らすスピードに志願者とか入学者の数の減少が追いつかないといいますか、さらなる減少のスピードで減ってきているということです。

 例えば、志願者数でいうと、同じ時点を一〇〇として、今や二八・四、七一・六%減です。それから、入学者数でいうと、三九・三、六〇・七%減です。さらに、その右側で、法学既修者と未修者のそれぞれについて、平成十八年度を一〇〇とした場合どうなのかということでいうと、やはり未修者がどんどん減ってきていまして、二二・五ということです。こういう数字があるということは、いかに法科大学院の人気が落ちてきているか。

 また、付言させていただきますと、今、未修者の割合が減ってきているということをお話ししましたけれども、社会人の全体に占める入学割合ですけれども、平成十八年は三三・三%ぐらいいたのが今や一八・六%ということで、これもかなりの数が減っています。また、法学部以外の入学者数もどんどん減ってきておりまして、平成十八年は二八%ぐらいいたのが今や一五%ぐらいしかいなくなっています。

 こういうことで、法科大学院を敬遠する人がふえているということは、やはり教育に問題があるということになるのではないかと思っています。

 こうした法科大学院が当初の理念どおりの成果を上げていないという現状において、先ほど、人によっては、法科大学院が王道で予備試験は邪道だというような考え方の方もいらっしゃるようですけれども、確かに王道は法科大学院なのかもしれませんが、王道はもう通行困難になっているんじゃないか。道路の前に土砂が崩れたり、いろいろな状況で、もう通行困難になっていて、やむにやまれず、邪道といいますかバイパスといいますか予備試験に行っている。しかし、予備試験というのは王道に比べますと極めて狭い道でございますから、こちらに行った人も決して楽な道ではなくて、もうだんだん渋滞が激しくなってきているような、そういう状況だと思っております。

 私は、この今の志願者がどんどん減り続けている状況の中で、本当に抜本的なことをやるというのであれば、予備試験ルートをどうするかということもさることながら、先ほど申し上げましたけれども、法科大学院が今の状況であれば、やはり法科大学院修了を司法試験の受験資格とする制度を維持するのはおかしいのではないかと思うわけです。この点について、重ねてですけれども、大臣、どう思われますか。

谷垣国務大臣 階委員も旧司法試験をお通りになって、たしか階先生は民間企業にお勤めになりながら受験をされたんだと思います。

 私も旧司法試験制度で受けまして、階先生ほど優秀でなかったものですから、余り自分の経験ばかり申してはいけませんが、何度も落ちまして、試験一発でやることのつらさというのを私は非常に感じました。私の能力が足らなかったのかもしれません。

 それから見ますと、ですから結局ロースクールの評価ということになるんでしょうが、実務に必要な知識というものをそういうロースクールというような中で教えていく、教育していくということに、私はどうしても、どうしてもと言うとちょっと言い過ぎですが、やはり愛着といいますか、いい点があるなと。

 それで、今のロースクールの評価は、いろいろな、これは文科省、非常に御努力でございますが、優秀なところ、あるいはまだ問題のあるところ、いろいろなロースクールがあると思います。しかし、ロースクールの中でも、かつての大学教育では余りなかったような、いわゆるソクラテス・メソッドというんでしょうか、そういう対話方式でいろいろな論点を研さんしながらやっていく方式とか、教育の成果を上げているところは出ていると思いますね。そういうところを見ますと、なかなか捨てたものではないという気持ちが、捨てたものではないと言うとちょっと失礼ですが、そういうふうに私は思っております。

 ですから結局、一点で選抜するときに、何に、そこに集中して出てくるかという思いを私は強く持っておりまして、そこがまた階先生と若干評価の違ってくるところなのかなというふうな感じがいたします。

階委員 私も、ロースクールはもっと活躍してほしいと思うところもあります。例えば、司法試験の受験資格として法科大学院修了は要件としないけれども、法科大学院を修了せずに司法試験に受かった人については、受かった後に、実務につきながら法科大学院で勉強していただいて、法曹として幅広い教養であるとか実務能力を身につける。そういうやり方でも、法科大学院は生かせるのではないかというふうに思います。

 こういうことにすれば、法科大学院を活用しつつ、一方では、法科大学院を経なくても受験資格を与えるということで、志願者が激減している状況を打開できる、要するに一挙両得なのではないかと思っていますけれども、この点、どう思われますか。

谷垣国務大臣 今、階さんのお話を伺いますと、司法試験をともかく点として受けて、そして、その後またロースクール。そのプロセスでロースクールのいいところを活用すればいいじゃないかということだと思いますね。

 そうすると、今のお話を伺いますと、ロースクールを司法研修所にかえれば、昔の司法試験制度のような、つまり、必ずしもプロセスとして教えていくのは国の司法研修所でなくてもいいではないか、それぞれの大学が運用する法科大学院でいいではないかというような御見解のように賜ります。

 そうすると、もう一回もとに戻ってくるのは、確かにそれもプロセスだけれども、結局、選抜の一点に重圧がかかってくるのではないかということを私は拭い切れないのが一つございます。

 それから、今お話を伺ってつくづく思いますのは、日本は、やはり学部における法学教育という、それは、医学部のようなプロフェッショナルを目指すものではない、幅広い市民を育てるんだという法学部の上に司法試験があって、そして実務の司法研修所であるという長い体系で来て、そこは、やはりいろいろ試験制度に問題、矛盾が生じて、改革になった。

 今我々が苦しんでおりますのは、結局、そういう今までの日本の制度に、アメリカで行われておりましたロースクールというのを接ぎ木したわけですね。その接ぎ木がうまく接合しているかどうかというところに我々は悩んで、今問題が多く出てきているわけです。

 では、どうやったらその接ぎ木がうまく育っていくかという、どちらかというと、そういう発想で私はやっております。それで、接ぎ木を戻して、昔の制度に戻していって、昔の制度の抱えていた問題点はどう克服できるんだろうかということを思いまして、この問いかけは、私の頭の中でも実はぐるぐる回っておりますけれども、私は、一度採用したプロセスという方に今は重点を置いて考えたい、こういうふうに思っているわけでございます。

階委員 目的は志願者をふやすということ、これは共通認識だと思うんですが、そのための方策としては幾つかあるのでしょう。

 例えば、大臣がお触れになった、要するに、接合した部分をよりなじむようにするというのもあるでしょうし、韓国がそうであったように、法科大学院をつくったときに学部はやめるということもあるでしょう。また、私の意見をそんたくして先ほどおっしゃられたのは、法科大学院はやめて研修所に吸収するということ、私もそれも考えたことがあります。ただ、この間の参考人質疑の中で、ちょっとそれは難しいかなというのも思いまして、それできょうの提案に至っているわけです。

 私が言っているのは、受かるまで法科大学院に行きたい人は行けばいいと思っているんです。いい教育を受けられる法科大学院であれば、自学で司法試験を受ける、あるいは予備校に行って受けるよりも、合格率も高くなるだろうし、受かった後も活躍の場は広いでしょうから、どんどん人は集まるんだと思います。それはそれで行っていい。

 ただ他方、法科大学院に行かないで受かった人は、やはりどこか幅広い教育を授けるところが必要である。そこは、研修所もいいんですけれども、研修所はどちらかというと法廷での実務が中心となりますから、実務家法曹にとって必要な幅広い能力、これはもう時代とともに変わっていきますから、むしろ法科大学院というのがそれにふさわしいのではないかということで申し上げました。

 いずれにしても、法曹志願者をふやすためには、今のままではどうしようもないので、相当踏み込んだ対策が必要で、私はその観点でいろいろ御提案は申し上げます。大臣もゼロベースで考えていただく方がいいのではないかと。もちろん接合部分をよりスムーズにするというのも、うまくやればいいのかもしれませんけれども、そこに余りとらわれ過ぎて志願者がこのままどんどん減っていくと元も子もないことだと思いますので、ぜひそこは柔軟にお願いします。

 あと、法科大学院の定員問題に話を移します。

 法科大学院の定員、先ほど言いましたように三千八百九人で、実入学者がことしは二千二百七十二人、定員充足率は六〇%ということなので、私は定員と実入学者が乖離し過ぎていると思っていますので、さらなる定員削減をすべきではないかと思いますが、この点は、文科省、いかがでしょうか。

西川副大臣 先生御指摘のように、確かにこの定員の問題、非常に悩ましいところでございまして、充足率六〇%だったことは確かでございます。

 その中で、今回の法曹養成制度検討会議の取りまとめにおきましても、実際の定員と入学者数の差を縮小すること、まずこれが第一義的にやることだろうという御指摘をいただいておりますので、文部科学省としては、やはり公的支援を使って実際に各大学院に入学定員についてのしっかりとした実質的な行動を促しているところでございます。

 抜本的な見直しとして、今大体二千人ぐらいと言われていますが、もちろん千五百人という方もいらっしゃいます、一千人ぐらいとおっしゃっているところもありますし、その辺のところは、しっかりとした各会議での答申をいただきまして、しっかりと対応してまいりたいと思います。

階委員 最後のところでは、今後合格者数の目標が決まれば、それに合わせて定員も、例えば七、八割合格するというところから逆算して決められるというようなふうに承ってよろしいでしょうか。

西川副大臣 はい、そのとおりでございます。

階委員 それと、法科大学院は予備校のようになってはいけないということで、予備校よりもさらに上の教育をするという前提になっていると思うんですが、ただ、現状は予備校にも及んでいないというような御指摘も、先日参考人の方からありました。

 私は、法科大学院というのは法曹を養成する学校ですから、法曹に受からなければ存在価値というのはおのずと否定されるのではないかということで、法科大学院で今現在は司法試験に関する受験指導を行うかどうかというのはいま一つ曖昧なところがありますので、受験指導を行えるということを明確にすべきではないかと思いますが、この点いかがですか。

西川副大臣 法科大学院は、先ほどから法務大臣もおっしゃっていらっしゃいますように、プロセス、いわば幅広い法曹人を育てるということがもちろん一番の目的だと思っておりますけれども、体系的な理論を基調とした、実務と、それから研究者というんですか、それのかけ橋になる教育をするというのが法科大学院の重要なところだと思います。

 そういう中で、ただ、先生御指摘のように、現実に司法試験にしっかり受からなければ何にもならないわけですので、実務家教員というんですか、研究者教員だけではなくて実務家教員という教授をなるべくふやしていくということが一つの方法だと思っておりまして、二割以上と決められているんですが、今現在三割ぐらい、実務家教員の方がふえていらっしゃいますので、この両方が相互に役割分担をしながら合格率上昇に頑張っていきたいと思っております。

階委員 ありがとうございます。

 法科大学院に対して毎年何十億という国費が投入されているわけで、定員をはるかに下回る入学者しかいないところに教員を張りつけたり、あるいはその教員も、法曹養成教育の能力が低いと思われるような方に公費が払われていたりということだと、私は教育資源の無駄になると思っていますので、その点も含めて、法科大学院のさらなる教育の充実に努めていただきたいと思います。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

江崎委員長 次に、高橋みほ委員。

高橋(み)委員 日本維新の会の高橋みほでございます。

 きょうもどうぞよろしくお願いいたします。

 私は、先日、参考人の方四人をお呼びしまして議論をしていただいた、そして、それを伺っていていろいろなことを思いました。そのときに特に一番印象に思ったのが、北大の宮脇教授が、政策をつくった場合はきちんと検証をしていかなければいけない、そして政策評価をしていかなければいけないということがすごく心に残りました。

 なぜこれが私が特に心に残ったかといいますと、先日もちょっと申し上げたんですけれども、例えば短答式の試験、旧司法試験ではもともと三科目だった、憲法と民法と刑法であった。それを、ほかの、訴訟法を知らないので、実務家になったら何も知らない弁護士というか、法廷に立てない弁護士がふえてしまう、それはよくないというイメージで訴訟法、そしてまた、社会で実際に必要な商法も知らないといけないという意味で、旧司法試験から新司法試験にかけて短答式試験の科目がふえたと私は理解しておりました。今回の改正では、悪く言うと、それに逆行しているように、また憲法と民法と刑法になっていく。

 そこで、先ほど言いました、宮脇先生が、政策を変えたときにはきちんと評価をしていかなければいけないという意味で、今回、少しもとに戻るんですけれども、新司法試験で、短答式試験、そもそも憲法、民法、刑法だったものを、どうして科目をふやしたのかということをまずお尋ねしたい、そう思っております。

小川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、これは、平成十四年の司法試験法の改正におきまして、この段階で法科大学院制度の創設とともに新司法試験制度が導入されまして、その際、短答式試験の試験科目を、憲法、民法、刑法から、公法系科目、これは憲法、行政法、民事系科目、民法、商法、民事訴訟法、それから刑事系科目として刑法、刑事訴訟法、この三つの大きな枠組みとしたわけでございます。

 これは、法科大学院においては、実務に沿った教育を行う観点から、実体法科目と手続法関係の科目を統合した法律基本科目群といたしまして、今申し上げました、公法系科目、民事系科目、刑事系科目が授業科目として開設されるものとされ、このような法科大学院における教育内容を踏まえて、法曹となろうとする者に必要な体系的な学識及びその応用能力を評価するという観点からの出題を可能とする、こういう理由に基づくものでございます。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 そういうような趣旨で変えたということは、私も理解しております。ただ、それでは、それが実際、旧司法試験から新司法試験になってどうなったかということをやはり次に検証していかなければいけないと思っております。

 お配りしました冊子をちょっと見ていただきたいんですけれども、一番目の1というもので、二〇一三年司法試験アンケート回答データというものをお配りさせていただいております。これは、全ての法科大学院に送ってアンケートをお願いし、回収したというものになっております。

 内容は、試験の内容が適正であったかどうかということになっております。これを見ていただくとわかるのですけれども、上の方が短答式の試験になっております。

 新しく入れました公法系の行政法というところを見ていただきたいんですけれども、何と、適切と考えている人というか学校といいますかが四六・二%、どちらかというと適切というのが三八・五%あります。これをプラスしますと、すごく高い数字になります。

 また、新しく入れました商法も、適切が三三・八%、どちらかといえば適切も四七・一%、もうちょっと右の方に行って、適切ではないという人が〇・七%しかいません。

 民事系の民事訴訟法も、適切であるという方が四八・五%、どちらかといえば適切が三九・二%、これは適切でないと言っている人は、〇・〇%で、いないという現状になっております。

 また、刑事系の刑事訴訟法も、適切という人が五三・五%、どちらかといえば適切という人も三七・七%で、適切でないと回答している人が〇・〇%になっております。

 これを見ますと、法科大学院の教授たちといいますか教えている方たちは、今回変えないでも、かなり適切ではないかな、短答式の科目についても、その内容についても適切だと考えているのではないかと私は推測いたします。

 それにもかかわらず、これが適切でないという理由というのがちょっとよくわからないものですので、まず、この司法試験に関するアンケート結果について実際どのように見ているのか、お尋ねしたいと思います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘ございましたように、司法試験に関するアンケート、これは法科大学院協会が対象となっているというふうに理解しておりますが、そういった結果があるということは承知してございます。

 このアンケートの内容は、基本的には、司法試験の内容、科目のそれぞれの問題が法科大学院の立場から見て適切かどうかという判断でございますので、そういった意味での評価はおおむね高い評価をいただいている趣旨のものであるというふうに承知しております。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 とすると、法科大学院の教授たちは、別に、ここに行政法や商法や民訴、刑訴というものの短答式試験があっても、それは適切な内容である、これを課すことが、受験生のロースクールにおける勉強において不必要であるというか、その勉強を阻害しているということにはどう考えてもならないような気が私はします。

 もし法曹に求められるものがここで問われていないならば、内容としても不適切というのが普通の一般的な考え方であるかと思います。

 そこで、このような結果があるにもかかわらず改正で科目を減らすという意味についてお尋ねしたいと思います。

小川政府参考人 最初に、先ほどのアンケートを法科大学院協会が対象というふうに申し上げたんですが、法科大学院協会が実施したもので各法科大学院が対象となっているものでございます。失礼いたしました。

 そういったアンケートがある上で、どういうことで今回の改正を考えるかということでございますが、いわゆる法学未修者、これまで法律学を勉強してこなかった法学未修者については、やはり受験者にとっての負担が重いという指摘、こういったことを軽減する必要があるという指摘はございます。やはり基本科目に集中できないといった問題もございまして、この点は、法科大学院の方もいわば同じ考え方でございます。

 法科大学院も、基本重視という動きがございまして、基本科目についての単位数をふやしたり、あるいは履修する機会をふやすといったことがございまして、そういった法科大学院教育との連携、これは司法試験の一つの大きな役目でございますが、法科大学院教育との連携という観点からも、改正の必要性が指摘できようかと思います。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 このようなアンケートがあるにもかかわらず改正する、科目を少なくするという意味は、未修者の負担が重いということ、そして、たくさん科目があると基本的な科目に集中できないからということだと今お伺いしました。

 しかし、初めに旧司法試験から新司法試験に変わるときに、三科目から、今の訴訟法、商法を入れたものになったら負担が重いというのは、どう考えても、誰が考えてもわかるわけなんですよね。そして、未修者もオーケーにした。ということは、最初の旧司法試験から新司法試験にかけての改正というものの考え方というか、現実の把握という面でちょっとおかしかったんじゃないかというような気が私はしております。

 もともと、こういうふうに変えたときに実際どうなるかということは、かなりわかる基本的なことだと思いますので、もちろん、それがよくなかったということで今回変えるということは私は構わないんですけれども、そのときそういう判断をしたのにもかかわらず、またもとに戻すというような判断をするというのには、どこかに問題があったのではないかと思っておりますので、そこはもっときっちりと検証をしていっていただきたいと思っております。

 これが受験生にとって歓迎すべきことならば、これはこれでいいと思うんですけれども、やはり、制度が変わるときにいる学生というものは、今までは三科目だったのにふえてしまったというと、大変な思いをすると思います。そして、もっと早く合格するつもりだった人たちが、全部勉強しているのに要らなくなった、まあ、それはいいとは思うんですけれども、やはり、その制度のはざまにいる受験生というものはすごく大変な思いをしますので、きちんと検証を最初から、検証というか、制度を変えたらどうなるかということぐらい、もう少しきちんと研究してから変えるべきではないかというふうに、ちょっと苦言を申し上げたいと思っております。

 次に、受験回数の制限について伺いたいと思います。

 これも先ほどと同じなんですけれども、旧司法試験から新司法試験に変わったときに、受験回数を制限しました。これは、何十年も試験を一生懸命受けているけれども、どうしても受かることができない、ほかの道に行っていたら、それはほかの道で才能を開花させる可能性もあったのに、あたら若い人生を無駄にすることが多いからということで、受験回数制限をしたと私は理解しておりました。

 そういうような理解なんですけれども、今回は五年で五回ということにして、少しふやしております。そういうことを考えますと、なぜもともと新司法試験で受験回数を制限していたかということと、三年で三回ではなく五年で三回とした理由というものを、まず伺えればと思います。よろしくお願いします。

小川政府参考人 お答えいたします。

 まず、いわゆる旧司法試験のもとでは、受験者の大量かつ長期間の滞留によってさまざまな弊害、例えば、受験技術の偏重ですとか、あるいは人材についての社会的な損失といった点が指摘されていたところでございまして、こういった弊害により新たな法曹養成制度の趣旨が損なわれることのないようにするために、合理的な範囲内で受験回数の制限を設けるということとされたものでございます。

 三回という考え方につきましては、司法制度改革審議会の意見書において、今の受験回数の制限という中で、三回程度の受験回数制限を課すべきであるとされていたことなども踏まえまして定めたものでございまして、それに加えまして、受験者の諸般の事情によって、隔年受験、そういった余地なども考慮するという一定の幅を持たせることといたしまして、五年間に三回という受験回数制限を設けたものというふうに承知しております。

高橋(み)委員 ありがとうございます。私の認識とそれは変わらないところだと思っております。

 では、現状がどうなったかというところを見ていただきたいんですけれども、お配りしました冊子の二枚目のところに、平成二十五年司法試験受験者というものの表をつくっていただいて、これを載せております。

 これはどういうものかというと、ちょっとわかりにくいんですけれども、法科大学院を上位校と中位校、そして下位校に分けまして、受験時期が幾つあったのか、その受験者はどのくらいなのか、合格者の合格率はどれだけなのかというものを一覧にしたものです。

 これはちょっとわかりにくいと思うんですけれども、一番わかりやすいのが上位校の受験回数一回という方、つまり、この方が平成二十五年に受けたということになるんですけれども、この受験者の割合が二一・四二%、そして合格者が四一・二四%となっております。ということは、きょうもほかの委員の方たちがおっしゃっていたことがわかるように、実は、かなり優秀な人たちは一回の試験で受かっている、それもかなり高い割合だということがわかると思います。

 そして、そうではない、上位校でも二回で受かっている人は合計して一三・六七%、三回で受かっている人が合計だと六・二〇%になりまして、上位校では一回目が多く、二回目、三回目と下がっていくということがすごくよくわかると思います。

 中位校になりますとこれはちょっとまた変わってきまして、一回目が一〇・五九%、二回目が九・一八%と変わらなくなっているんですけれども、三回目になりますと七・〇八%というふうに下がってきております。

 これを見ていただくとわかるのですけれども、後ろの方、例えば、中位校の受験回数三回というところを見ていただくとわかるんですけれども、卒業してから三回目というか、後で受ける人が多いということがわかると思います。上位校でも受験回数が三回の人は、やはり五年間のうちの後ろの三回を使ってということになるかと思います。

 そうしますと、先ほどおっしゃっていただいた、原則三年三回で受けてくれればいいんだけれども、諸般の事情で隔年受験をする、例えば家庭に御不幸があって受けられない事情があったりとか、いろいろな事情があってたまたま受けられないから、そういう人たちを排除するのはいけないから五年で三回というふうに制度をつくっていたはずなのに、実際を見ますと、そうではなくて、五年のうちに三回、勉強時間をたくさんとるために後ろの三年で受ける人が多かった。初めの制度の趣旨と実際はかなり異なっていたというのがわかるかと思います。

 そして今回、五年で五回にするというのは、受験生にとってはとてもありがたいことだとは思うんですけれども、最初の趣旨に戻りますと、やはり大量に受験生が残ってしまう。そして、人生を早く司法試験から切り上げてほかの方に行くべきであるという趣旨で受験回数を制限したとするならば、五年で五回とするのは、もともとの政策の趣旨というところから離れていってしまうような気がするんですけれども、その点はいかがでしょうか。

小川政府参考人 今回の改正の全体としての内容で申し上げますと、五年という受験期間制限の枠は維持するわけでございまして、枠を維持することによりまして、先ほど申し上げました、受験者が大量にかつ長期間滞留することによる弊害を除去し、新たな法曹養成制度の趣旨が損なわれないようにするとともに、五年間に三回という受験回数制限については、委員御指摘ございましたように、いわゆる受け控えの現象が出てきておりますので、そういった点によって、合格率の最も高く、法科大学院教育の効果が最もよく発揮される法科大学院修了直後から間断なく受験することを可能として、有為な法曹として早く活動することを期待するというものでございまして、全体としてそういう趣旨でございます。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 質問しました短答式の科目の減少と受験回数の制限につきまして、谷垣大臣に、どのように思われているかというのをお尋ねしたいと思います。

谷垣国務大臣 今度の法曹養成制度改革についての議論は本当に多岐にわたるので、今度の改正法は、ある意味では極めて、局部的と言ってはいけませんが、部分的なものだと私は思います。

 しかし今、司法法制部長からもいろいろ御答弁がありましたように、一つは、やはり基本を重視していこう。特に未修者等の問題がございましたので、基本を重視していく試験にしていく。そういうことでロースクールと司法試験との整合性をとっていこうということが一つだと思います。

 それからもう一つは、今も高橋委員、いろいろ分析をなさいましたけれども、やはりロースクールを出まして五年ぐらいが受かりやすい期間でございまして、そこから先になると合格率は非常に落ちていくわけですね。その五年の一番ロースクールの効果があるときに、受け控えというようなことなく、そこをきちっと使えるようにということが今度の改正でございまして、そういうことによって少しでもロースクールと司法試験というものの平仄を合わせて、それで受験生にも受験しやすい環境をつくっていくということが狙いでございます。

 それがどれだけの効果を発揮してくるかというのはまだわかりませんが、そのことによって少しでも有為な人材が伸びていっていただきたい、こういうふうに思っているわけでございます。

    〔委員長退席、土屋(正)委員長代理着席〕

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 基本を重視していくというのは、もちろんそれはとても大事なことだと思いますけれども、今まで短答でたくさんの科目をしていたのに、今になって基本を重視するんだと言われても、ちょっと何となく納得できないところはあるのではないかなというようなイメージもあります。

 そして、私、五年というのは若い時期にとってかなり長いと思っておりまして、例えば大学を出るのが二十二ぐらいとして、ロースクールに二年行って、それから五年というと、二十代もかなり後半ということになってしまいますので、もし回数制限をするならば、やはり三回ぐらいで頑張ってもらうというような方がその人の人生にとってはいいんじゃないかなとちょっと思ったりします。

 ただ、この点につきましては、皆さん、自分の人生なんだから、自分で責任をとってやるんだからいいんだという考えもあるかと思うんですけれども、社会的損失というところから考えますと、もし回数制限をするならば、三回ぐらいで回数制限をするというのも一理あるのではないかなと私はちょっと思っております。

 次に行きまして、ロースクールのあり方について質問させていただければと思っております。

 これは、この前の参考人質疑のときに和田弁護士さんがいらっしゃいまして、実務家教員はいいんだけれども、学者さんの教員の質が悪いということをかなり言っていらっしゃったんですね。

 私は、ロースクールを出ておりませんので、実際のロースクールにおいて学者の先生の質が悪いのかということはわかりませんけれども、私は大学のとき法学部でしたので、そのとき先生は、もちろん全てが学者の先生だったんですけれども、別に自分の興味のあるところに限らず、もちろんカリキュラムに沿ってきちんと初めから最後まで教えていただいたというような印象があります。

 ですから、学者の先生が一概に自分の興味に走って教えられないということはないんじゃないかなという印象を持っており、逆に、私から見ますと、実務家教員の方々は、大学で勉強した、そして、その教科についてそれほど深い見識を持っているわけではない、いろいろな説の対立があって、ある一つの論点もいろいろなところから考えるということを余りそれほどせずに、判例はどう言っているんだとか、そういう一番の王道だけを知っているというイメージが私はありまして、そういう実務家教員をふやせ、ふやせというような主張というのは、この前の和田先生の意見からすると、私はちょっと違和感がありました。

 ただ、先ほどの御質問でもあったんですけれども、二割以上の方が実務家教員であるべきだというお話だと思うんですけれども、実際のところ、本当に和田参考人さんがおっしゃったように、研究者、学者の先生の評判が悪く、皆が皆、実務家教員を求めているというようなデータがあるのか、それをとっているのかということをお尋ねできればと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの実務家教員の話でございますけれども、法科大学院におきましては、体系的な理論を基調として、実務との架橋を強く意識した教育ということが重要でございまして、研究者教員と、法曹三者を中心とした実務家教員の相互の連携が不可欠だというふうに思っています。

 御指摘のように、各法科大学院におきまして、司法試験で問われるような、将来の法曹として必要な能力やそういったものを身につけさせる上でも、研究者教員と実務家教員が適切な役割分担というのは必要でございまして、連携協力して共同で授業を担当するというようなこと、そのようなさまざまな工夫を行うことは重要と考えております。

 先ほどの文科省の告示では、実務家教員の割合をおおむね二割以上としておりますけれども、平成二十五年の五月現在で調査したところ、専任教員全体に占める実務家教員の割合は三三・一%ということとなっているところでございます。

 それで、実務家教員がいらっしゃるところがどういう教育になっているかといったところについては、特に具体的な調査はいたしておりませんけれども、一般的に、実務家教員が多いから司法試験の合格率が高いとか、そういう相関があるというふうには私どもは認識しておりません。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 別に私は、実務家教員の方が多いから成績がいいというようなことを聞いたわけではなくて、実務家教員なり学者の先生、教員、そういう人がいた場合、ロースクールに通っている生徒がそれらの先生たちをどう評価しているのかということが知りたかったので、御質問させていただきました。

 その点については具体的な調査はされていないということだったんですけれども、私としましては、学んでいる人が実際に本当にどう考えているか、この研究者の先生はよくないとか悪いとか、いろいろなことを言いたいこともあって、それを学校で吸い上げて改善していかないと、大学の質というのはやはりよくならないんじゃないかと思っております。その点、実際にはどう考えているかというのをぜひ調査していただければと私は思っております。

 次に、ロースクールの受験指導について伺いたいと思っております。

 先ほどから別の委員からも御指摘があったんですけれども、実際、受験指導なるものに対してどういうような指導なりをされているのか、文部科学省さんから伺いたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 受験指導が具体的にどうされているかといったような、特にその調査はしておりませんけれども、私どもがいろいろな話を聞く中で、そういう受験指導をされているという事実があるということは一応承知しております。

 法科大学院における授業の方法あるいは教育方法などにつきましては、平成十九年に、中央教育審議会の法科大学院特別委員会において、具体的な取り扱いなどを提示したところでございます。文科省といたしまして、それを全ての法科大学院に対しまして周知するということをしたわけでございます。

 具体的なポイントは、司法試験の解答の作成方法に過度に傾斜した技術的な教育や理解を伴わない機械的な暗記をさせる教育などは不適当である、一方で、司法試験の問題やそれに類する形式の事案が教材の一つとして使われるということをもって直ちに受験指導に偏った指導であるということは適当でないというふうに考えておりまして、その目的と形式及び態様との組み合わせによって総合的にこれは判断しなきゃいけない。

 しかしながら、例えば、司法試験の過去問等を教材として使用することを一律に禁止しているというような誤解が一部の大学の教育現場に見られるというような指摘もございますし、やはり法科大学院というのは法曹資格を得るということが大きな目標でございますので、法科大学院における司法試験に関する指導方法等の適切なあり方につきまして、現在、中央教育審議会におきまして、具体的な取り扱いがより明確になるように議論していただいている、そういう状況でございます。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 私がこの質問をしたのは、受験指導というものがいけない、そういうふうに言われているんですけれども、受験指導というのはそもそも何かと考えたときに、試験に受かるということであって、つまり、その試験というのは、法曹としての資格を与えてもいいかということの試験であるので、それに受かるために勉強をするというのは、何らおかしいことではないと私は考えております。

 もちろん、小手先のことを教えるのはだめだ、先ほど、小手先の解答の技術、作成方法などを教えるのはよくないと言ったんですけれども、例えば裁判官になったときに、いろいろ判決文を書くときにどういうふうに書くかとか、そういうようなことは教えてもらわなければわからないと私は思っておりますので、別に、普通に、こういうふうに書くんだよとか、こういうふうに問題提起をして解答を書いていくんだよというのを教えるのだって、何ら間違ってはいないと私は考えております。

 よく、予備校がだめだとかいうような話もあるんですけれども、それをしますと、小学校や中学校や高校の塾に行くのが絶対だめなのかという話になってきてしまいますので、別に、大学院に行って、予備校に通おうが通うまいが、そんなことは枝葉末節の話であって、要は、どれだけ立派な法曹としての資格というか能力を高めていくかというのが私は大事なところだと思っております。

 それにもかかわらず、どちらかというと受験指導をやってはいけないような感じとか、あと、予備校になるべく依存しないような方式でやるべきであるというのが正しいというような雰囲気はちょっとおかしいのではないかと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。

中岡政府参考人 繰り返しになりますけれども、まさに委員御懸念の、やはり法曹になるということが法科大学院としてのある意味使命でございますので、そういうことからいたしますと、まず、司法試験に合格するためのさまざまな考え方といいますか、そういったところを法科大学院教育の中で教えていくということでございますけれども、そういったことが、結局、一律に禁止されているんじゃないかというような極端な方向で理解されるということがないように、中央教育審議会の中には多くの専門家の先生方がいらっしゃいますので、そういったところから十分御議論をいただいた上で、そういった考え方をきちっと法科大学院に伝えていくということが必要かというふうに思っています。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 やはり学生にとっては受かるということが最大であって、そして社会的にも、きちんとした法律の知識を持っている方々を教育していただくということが一番大事だと思っておりますので、受験指導がいけないとか予備校がいけないとか、そういう瑣末なことの議論というのは余り生産的ではないかなと私は思っております。

 次に行きまして、研修制度のあり方について質問をさせていただければと思っております。

 今、合格者の人数がふえて弁護士さんがふえてしまっている。そして、研修が終わった後に、就職をしたいんだけれども弁護士事務所で雇ってくれない、だから軒弁とかというふうに言われるように、ただちょっと机だけ置かせてもらうというような弁護士さんがふえている。それはとても憂慮すべき問題だというふうに言われていて、だから、弁護士さんが多過ぎるんだ、減らしていくべきだというようなイメージ、流れに私は見えるのです。

 では、そもそも、弁護士さんではない、裁判官や検察官という方は、任官された後、一人前になるまでにどのくらいの研修を実際受けられているのか、それとも、一般の裁判官や検察官と同じような待遇というか、ある程度一人前として頑張って仕事をさせていただいているようなシステムになっているのか、そこをお尋ねしたいと思います。

安浪最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今のお尋ねは、修習を終えて判事補に任官した裁判官のその後の研修ということとお聞きいたしました。

 法律上、判事補になって五年間は、単独で事件を処理することはできないというふうに定められております。六年目から判事になるまでの間は、職権特例の判事補ということで、暫定的に判事としての権限も行使できるとなっております。

 そこで、研修でございますけれども、判事補になってから後は、それぞれの配属の裁判所におきまして、合議事件の処理をしながら、OJTで勉強していく、これが一番の基本でございます。

 それ以外にも、司法研修所で、判事補になったとき、それから三年目とか、そういう段階的な研修もございますし、分野別で自分で希望するものについて、自分は民事のこんな事件をやっているけれども、こういうことで、司法研修所でこんな研修があるのであれば参加したいということで手を挙げて研修する、こんな仕組みになっております。

 検察官の方の関係につきましては、お答えを差し控えさせていただきます。

    〔土屋(正)委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 結局、裁判官になるには、判事になるには、かなりの期間が要るということがわかりました。

 では、弁護士さんはどうなんだろうかということを、私は質問していきたいと思っております。

 つまり、軒弁さんは、実際には仕事ができないものなのか、それとも自分でやっていけばできるものなのかというような疑問を持っております。

 ただ、実際問題できるという人がいて、せざるを得なかったのかもしれないんですけれども、就職せずに、自分で、自己ですぐに開業するという人たちのことを考えますと、やはりこれからの社会というのは、修習後に弁護士事務所に勤めなくても、ひとり立ちできるように、少なくとも、自分でいろいろなところに、人に聞いたり本を読んだりとか、いろいろなことをすることによって、ある程度ひとり立ちができるような修習にしていくべきではないかというふうに思うんです。

 実際には、司法修習におきまして、ひとり立ちできるぐらいのカリキュラムの勉強というのはされているのか、教えていただければと思っております。

安浪最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 弁護士のことについてお答えするのは非常に難しいところがあるんですが、司法修習を所管しておりますのが最高裁でございますので、まず司法修習はどういうものかというところからお答えをさせていただいて、御理解いただければと思います。

 裁判所法で、司法修習生につきましては、少なくとも一年間修習を終え、その後、試験に受かってから法曹の資格を取得する、こうなっております。

 その一年間の内訳でございますけれども、裁判所で四カ月、この裁判所といいますのは、民事裁判、刑事裁判、それぞれ二カ月ずつでございます。そのほかに、検察庁、弁護士会、これもまた二カ月ずつでございます。このように、八カ月、分野別実務修習ということを行います。その後、選択型修習というのと、司法研修所に戻りまして集合修習、これで一年ということになります。最後に試験を受けるわけでございますけれども、この試験は、法曹としてスタートするに当たりまして必要最低限の能力を備えているかどうか、これを判定するものになっております。

 裁判官の場合に、判事補時代にどういう研修があるかは先ほどお答えいたしました。

 弁護士さんの場合についてお答えするのはなかなか難しいのでございますけれども、やはり弁護士の仕事も大変高度で専門的なお仕事だと思っております。したがいまして、今申し上げましたような、修習一年間で全てが身につくというものではないのだろうと思います。やはり、裁判官と同じく、日常的なOJTあるいは研修を通じて、不断の自己研さんというものが必要なんだろうと考えております。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 では、続けて最高裁さんに質問させていただきたいんですけれども、昔はたしか二年の修習であった、それを一年にしたと思います。それはなぜかというと、やはり法科大学院の存在があったということだと思うんですけれども、二年を一年にしてしまって、つまり、もちろんロースクールでの勉強というのもあるんですけれども、国が今までやっていたものを、どちらかというと一般の弁護士さんに押しつけたというわけではないんですけれども、任せたという理解でよろしいんでしょうか。

安浪最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 法曹養成のプロセスの中で、法科大学院で二年あるいは三年、基本的な法的な知識、分析力等を学んでまいります。その後に司法修習の一年間ということで、有機的な連携を図ったというものでございますので、委員御指摘のような、弁護士になる方について、もう全部、自助あるいは自前で何かやれということではなかったものと承知しております。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 ただ、私は、別に国がやるべきことをやっていないんじゃないかと言っているわけではないんですけれども、やはり、ある程度の法曹の知識を持った人たちがたくさんいる方がいいと思っていまして、その人たちが自分できちんと実社会に出ていってできるシステムというものを構築していくことが、国が人数を上げたり下げたりとかするよりは生産的であるんじゃないかなと思っております。

 ですから、できるならば、一年というのが足りないならもう少しまたふやすということも考えて、やはり、修習後に弁護士事務所に勤めなくてもひとり立ちできるぐらいまでカリキュラムを少し上げていくべきではないかということを御提案したいと思っております。

 次に、予備試験制度についてお尋ねしたいと思います。

 今回も何回か質問に出てきたんですけれども、まずは、もともとの趣旨というものをちょっと説明していただければと思います。

大塲政府参考人 予備試験の制度趣旨でありますけれども、司法制度改革によって導入された新たな法曹養成制度、これは、法科大学院を中核的な教育機関といたしまして、法科大学院における教育と司法試験等との有機的連携を図るものであります。

 ただ、諸般の事情によりまして法科大学院を経由しない者の中からもすぐれた人材を選抜して法曹資格を付与する道を開く必要があるということから、予備試験制度を設けております。その試験で、法科大学院の修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定して、その合格者には、法科大学院修了者と同等に司法試験の受験資格を認めることとしたものであります。

 検討状況についてでありますけれども、予備試験制度のあり方につきましては、本来の制度の趣旨とは異なる状況が生じてきているのではないかという指摘が一方であります。他方で、予備試験を積極的に評価して、受験者の負担を減ずる観点から、予備試験の科目数等を簡素化すべきではないかという指摘もあります。

 昨年七月の法曹養成制度関係閣僚会議決定におきまして、予備試験のあり方については、必要なデータの収集を行った上で、法科大学院教育の改善状況も見ながら検討すべきとされたところであります。現在、法曹養成制度改革推進会議のもとで、予備試験の現状について、何らかの弊害等が生じているのかどうかを検討するために必要なデータの収集、分析を行いながら、予備試験のあり方について検討しているところであります。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 先ほどのいろいろな方の議論を聞いていますと、やはりロースクールで勉強される、それが王道であって、予備試験はどちらかというと抜け道というようなイメージで話される方が多かったかと思います。

 今おっしゃっていただいたように、もともとの制度趣旨というのも、諸般の事情からロースクールに行けない人、お金の問題とか時間の問題、家族の問題とかがあった人たちのために道を開いたということだと思うんです。

 私が思うに、そういう諸般の事情がなくても、本当に優秀であるならば、もうロースクールを飛ばしてしまって司法界に出ていっていただいても実際は何ら困らないんじゃないかなという印象を受けております。

 それは、よく高校生でも、飛び級というのを最近始めるところもありまして、高校三年ではなく二年で卒業というわけに、どうなのかちょっとよくわからないですけれども行って、もうすぐに才能のある人は大学で研究生活をしてもらうということを考えますと、ちゃんとした試験でこれだけの、ある程度一定のレベルがあると認定されるならば、どう考えても能力がある人に予備試験に通ってもらって、早くその力を社会に出して貢献してもらうという制度も、抜け道というイメージではなくて、きちんとした、正しい道という言い方は変かもしれないけれども、一つの制度として認めるべきではないかと思うんですけれども、できましたら谷垣法務大臣、その点、いかが思われるか、お尋ねしたいと思います。

谷垣国務大臣 私は、予備試験の見方に関しましては、先ほども、階先生に御答弁申し上げたのか、立場によって相当見方の違いがあると思います。

 ただ、今私たちが目指しておりますのは、あくまでプロセスとしての法曹養成ということが基本である、したがって、それは、学部教育、ロースクール、そして司法試験あるいは研修所というものが有機的に連携していかなければいけない、これが一番基本であるという立場をとっていることは事実でございます。

 しかし、では予備試験が抜け道であるとか裏道であると考えているわけではございません。お立場によって予備試験にどれだけのウエートを置くかというのはかなり違いがあることは事実でございますが、やはり、社会の中で、たまたまいろいろな家庭の事情やいろいろなことでロースクールには行けなかった、しかし、自分はこれだけの経験と知見を持っているんだから、法律家として生きたいという方がいらっしゃるのは事実だと思います。ですから、決して裏道だというふうに私どもは考えているわけではありません。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 裏道ではないと考えつつも、原則ロースクールに行くのが王道だというのがやはり政府のお立場だと思うんですけれども、やはり優秀ならば別にいいんじゃないかな、もっとそちらも、諸般の事情がなくても、ロースクールに行きながらでも、予備試験に受かればさっさと出ていって社会に貢献してもらうというようなことも正面から認めた方がいいんじゃないかなと私は思っております。

 ただ、これはいろいろなお立場もあると思うんですけれども、なぜここで申し上げたかというと、どちらかというと、一方で予備試験をちょっと廃止しようかというような動きもあるようですので、やはりこれはきちんと残しておいた方がいいのではないかと思いまして、ちょっと質問させていただきました。

 ちょうど切りがいいところですので、後半にということで、午前中の質疑は終わらせていただければと思っております。

 ありがとうございました。

江崎委員長 時間厳守、まことにありがとうございました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

江崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋みほ委員。

高橋(み)委員 午前中に引き続きまして、どうぞよろしくお願いいたします。

 午後になりましたので、ちょっと大きな視点から質問をさせていただきたいと思います。それは、そもそもの司法試験のあり方ということについてちょっと議論させていただきたいと思っております。

 それはなぜかといいますと、前に三千人の目標を立てた、でも、実際には合格者が大体二千人ぐらいで推移している。それはよくない。つまり、合格者がふえない理由はどうなのかとかいろいろな議論があったりとか、では、そのためにはどうしていくのかというようなことを延々皆さん話し合っていると思うんですけれども、そして弁護士会の皆様からは、どちらかというと弁護士がふえ過ぎてしまった、仕事がなかなか回らなくなってしまったとか、最初に弁護士を雇うような余力もなくなってきてしまったとか、そういういろいろな話を聞くんですけれども、私は、そもそも目標を立てて人数を管理する必要性があるんだろうかというところをちょっと議論したいと思っております。

 それは、共産主義社会とか社会主義社会とか管理社会ならば、法曹が何人いて、それに向かってどういうような目標を立て、計画を実行していくというのは必要だと思うんですけれども、この自由社会の日本においては、法曹というものを、毎年三千人生み出すのか、二千人生み出すのか、千人生み出すのかということを、別に、政府といいますか、いろいろなところが決めていかなくてもいいんじゃないかというのがそもそもの私の考え方なんです。需要と供給というものがあって、需要があれば、それになりたい人もふえるし、お金もそこでもうかるし、まただんだん法曹の人数がふえる、そうでなければやはり少なくなっていくという、自然に任せればいいのじゃないかなというような意見を私は持っております。

 もともと、弁護士とか資格制度ができたというのは、昔は三百代言ですか、いろいろな本当に口から出任せのことを言う人がいたので、ちゃんとした法曹制度にしようといって、弁護士の資格、いろいろな制度ができたと思っておりますので、本当にある程度一定の法律的な素養があれば、その人たちを合格させて、あとはその人の能力次第で、もうかる人もいればもうからない人もいる、よくそこに合わなかったらほかの道に転身していく人がいるというような制度でいいと私は思っております。

 それは私の意見ですので、実際に受けている、ロースクールに入学した人たちがその点はどう考えているのかというのが私はとても重要じゃないかなというような気もしております。

 まず最初の質問なんですけれども、こういうようにいろいろな法改正があって、回数制限があったりなかったり、教科がふえたり減ったりするということにつきまして、そもそもロースクール生などにアンケートなどをとっているのか。有識者だけではなく、実際に試験を受けたり、これから法曹になろうとしている人たちがどのような考えを持っているのかというのをアンケートなどをとって検証されているかということを伺いたいと思っております。

小川政府参考人 お答えいたします。

 制度の見直しをする際に、政府としてパブリックコメントをするようなことはございますが、今御指摘いただきましたような司法試験の受験回数制限制度などに関しまして、これまで法科大学院生を対象としたアンケートを政府として、国として実施したということはございません。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 パブリックコメントはしているけれどもアンケートはとっていないというお話だったと思うんですけれども、パブリックコメントというのは、どちらかというととても積極的な人がやるものであって、ある程度時間と積極性がある人がやる。ただ、アンケートというのは、皆さん一律に配られ、どう思っているかを書くというところで、もしアンケートをすれば、書く内容も異なってくるというふうにイメージしております。ですから、午前中の質問でも言ったんですけれども、実際に受けている、ロースクール生とか受験をしたい人とか、そういう人にいろいろもう少し意見を聞くような仕組みをぜひつくっていただければと思っております。

 先ほど私が述べました人数なんて決める必要がないんじゃないかというところは一応おくとしまして、私が常々この議論で不思議に思っているのは、実際、三千人を目標としていたんだけれども、二千人ぐらいにとどまっているということなんですね。私のイメージからすれば、三千人採りたいならば、試験を受けた人が三千人いるならば、合格の基準を下げるなり何をしても、三千人をもちろん採ることはできるんですね。ただ、それをしていないということだと思うんです。

 では、合格の判定基準がそもそも正しいのか、適切に合格の判定基準が設定されているのかということを議論しなければいけないんじゃないかなと私は思っております。

 では、どうやって合格の判定をしているのかと調べましたところ、短答式は新司法試験考査委員会議において判定を行い、司法試験委員会における協議を経て決定される。平成二十三年度の司法試験では、短答式の科目において満点の四〇%以上の成績を得た者のうち、各科目の合計得点が二百十点以上の成績を得た者を合格とすると決定されているというものがあります。

 短答式試験を合格した人には、その後、論文の各科目において素点の二五%の点以上の成績を得た者のうち、総合評価の総合点七百六十五点以上の二千六十三人、平成二十三年の話なんですけれども、これを司法試験の合格者とすることが決定されているということになっているんですけれども、もし三千人採りたいならば上から三千人採る、つまり、ある程度、基準を下げるなり、基準の上下をさせるということをしているのか、していないのか。していないのならば、なぜしないのかということをちょっと御説明いただきたいと思います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 司法試験は、これは司法試験法にも定められておりますように、裁判官、検察官または弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定するということを目的とする国家試験でございまして、いわゆる資格試験であります。

 司法試験の合格者の決定は、今申し上げましたように、法曹となるべき能力の有無を判定するという観点から、実際の試験結果に基づいて司法試験考査委員の合議によって判定がされ、司法試験委員会において適正に決定されるものというふうに承知しております。

高橋(み)委員 その形式的な、誰がどうして決めるかというのはわかったんですけれども、今私が質問したいのは、では、その点数が妥当であるかということなんですね。もう少し、一点、二点でも何点でも下げれば合格者が少しふえると思うんですけれども、それは妥当でないという判断によっているのでしょうか、お答えください。

小川政府参考人 先ほど申し上げましたように、あくまで基準といたしましては、裁判官、検察官または弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを基準とするというものでございます。

 判定の際にどういった要素が考慮されるかということを簡単に申し上げますと、これはもちろん個々の手続的に申しました考査委員の判断に委ねられておりまして、一義的に説明することは困難でございますが、試験の結果の判定でございますので、当然のことながら、出題内容、それから採点をしたことに伴う実感、過去の試験の結果との比較などを考慮に入れている場合が多いのではないかというふうに思われるところでございます。

高橋(み)委員 なかなかお答えをいただけないんですけれども、必要な学識があるかというのは、社会がどれだけ法曹に対して期待しているかということのあらわれだと思いますので、ある程度下げたり上げたりするということも当然できるのであって、もし本当に三千人必要ならば、三千人分採るぐらいの程度でいいとしても、全然実は問題ないかなと私は思っております。

 ですから、今よく皆さんが、三千人必要だ、二千人必要だ、千人必要だ、いや二千人ぐらいしか実際採れないんだからしようがないという議論は、少し論点がずれているというか、論理的じゃないような気が私はしております。

 ちょっと次に行かせていただきたいんですけれども、今、司法試験のこういう制度を改革するときに、どうしても、法曹の需要が伸びなかった、思っていたよりもそれほど裁判社会にもならなかった、だから弁護士が要らなかったんだよという話があると思うんです。

 この前の参考人のときに北大の宮脇先生がおっしゃっていたんですけれども、法律を知っている人の需要はいろいろなところにある、地方の役所にもあるし、福祉関係にもある、いろいろなところにあるんだけれども、それが司法試験を受かった人である必要性があるか、そこまではわからない、検証をこれからするべきだというお話だったんです。

 法曹の需要というのを考えたときに、やはり、これから地方で活躍していただく人に法的な素養を持っている人をたくさん採用していくべきであるし、いかなければいけないんじゃないかなというイメージを持っております。

 午前中にお配りしました紙があるんですけれども、三枚目の紙になるんですけれども、これは、地方公共団体における常勤職員の採用実績の推移というもので、まだ数は微々たるものでありまして、二〇〇四年に東京都が二人採用したというところから始まっていて、ただ、二〇一三年には三十二人というように、本当に少しではありますがふえております。

 ここに、法曹資格を持った人たちがどんな仕事をしているかというのを調べましたところ、大体、総務部に所属している人たちもいるんですけれども、企画課といって、地方公共団体の中で企画をする部署にもかなり含まれているということがわかりました。

 ですから、これから新しい法曹の人たちの職場というのは本当にふえると思っておりますので、ただ、それが今現在、実際にはできないからといって合格者を減らしていくという方向はちょっと筋違いじゃないかなというようなイメージを持っております。

 また最近、行政不服審査法の改正というのもありまして、そこで審理員というのを設けたりとか第三者機関を設けて、行政不服審査法も新しく変えていくという話なんです。やはりそこにも弁護士さんなど法曹資格を持っている人がどんどん入っていけばいいんじゃないかなというようなイメージを私は持っているんですけれども、地方公務員などでの弁護士資格を有する者の採用につきましてはどのような考えを持っていらっしゃるのか、伺えたらと思います。

谷垣国務大臣 最初に、今の高橋委員の御質問とちょっと違うことを申し上げますが、この法案の審議の御参考に。

 きょうから司法試験が始まった、先ほど階委員からお問いかけがございましたが、五月十八日までの間実施されることになっておりますが、速報値として、ことしの受験者数は八千十五人、前年より三百六十二人増加したということになっております。

 そこで、今の高橋委員の御質問ですが、私は、確かに、地方公共団体等々に、法律職、法律を身につけた者の需要というのはあるんだろうと思っております。

 午前中の御質疑の中でも、例えば、かなり経営が危なくなっている第三セクター等々をどう処理していくかというようなことに参画するとか、探せばいろいろなことがあると思いますし、今回の震災の経験でも、震災の被災地に、やはりいろいろな土地の問題等々で弁護士が必要であるとお考えのところがたくさんございました。

 ですから、私は、そういうところにも法律の素養を身につけた者、法律の資格を持った人たちがどんどん進出していってほしいし、それは望ましいことだと考えております。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 ことしは何でふえたのか。そこまではきっと把握されていらっしゃらないと思うんですけれども、まあ、何かいいことがあったんだと思っておりますけれども、ぜひ検証をしていただければと思っております。

 次に、ロースクールの再編についてちょっとお尋ねできればと思っております。

 先ほどお配りしました紙の四枚目になるんですけれども、平成二十五年の司法試験法科大学院別合格者というものを載せさせていただきました。これは合格率によって上から下まで並べております。例えば、慶応大学では五六・七八%なのに、一番下の大学では〇・〇〇%。一桁のところがすごく多いんです。四分の一ぐらいは一桁なんでしょうか。

 そういうものがあることを考えますと、やはりこれから統廃合というか再編はしていかざるを得ないんじゃないかなというようなイメージがあるんですけれども、私がもともとこれについてちょっと疑問に思っているのは、ほとんど合格者を出せないような大学院があるということは、やはり大学には何らかのメリットがあるのかなというような気もするんですけれども、その点、結局、国から補助金といいますか、お金というのは、ロースクールに対しましてどういう感じで出ているのか、ちょっと説明していただければと思っております。

中岡政府参考人 法科大学院の公的な支援の仕組みでございますけれども、現在、国立大学につきましては、支援の方策といたしまして、国立大学の運営交付金の制度がございます。御案内のとおり、国立大学の運営交付金につきましては、特定の教育研究組織に対する交付額を切り分けられる仕組みにはなっておりませんけれども、法科大学院の教員とかあるいは学生収容定員を勘案して試算をしたというようなことをいたしますと、二十五年度におきましては二十九億円入っているということがございます。

 また、私立大学の法科大学院でございますけれども、そういったところにつきましては、経常費補助という形で、法科大学院分の交付実績額といいますものをとったものがございますけれども、それでは二十五年度は二十九億円という形で支出しております。

 以上でございます。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 それでは、その学校ごとということになりますと、定員の人数、何人入ったかによって変わるのでしょうか、教えてください。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、例えば国立大学の例でございますけれども、基本的に、大学院教育を行う場合には、当然、教員のスタッフが必要でございます。そういうことになりますと、そういったスタッフ自体は、学生の数にかかわりませず、ある一定規模の教員をそろえなきゃいけないということがございますので、そういった法科大学院の教員あるいは学生収容定員も勘案して試算をしたという形でございますけれども、そういう試算をいたしますと、先ほどの数字でございます。

高橋(み)委員 そうしますと、人数が少なくても、お金は減らされないということでよろしいでしょうか。

中岡政府参考人 基本的に、大宗は、教員の数といったところに大きな要因がございますので、そういうふうに解していただけると思います。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 定員が少なくても結局同じようなお金がもらえるとなるのは、やはりちょっと制度としてまずいんじゃないかと思いますので、ぜひ、再編ということをきちんと、再編した上でお金をどう配分するかということを考えていただければと思っております。

 時間がもうすぐ尽きてしまいますので、最後になりますけれども、順番が最後の、三振博士についてちょっとお尋ねできればと思います。

 これは、今までは三回試験を受けて合格できないと法曹になれないということだと思っているんですけれども、それが、平成二十四年、ちょっと古いときなんですけれども、四千二百五十二人出たというお話を聞いております。せっかく法曹になって頑張って社会のためになろうと思っても、これだけの人が結局法曹の道に行くことができないというのはすごく問題だと思っているんです。

 では、この人たちが実際、将来本当にどうされているのかとかというような調査をされているのか、その人たちに対して方策など、何か手を差し伸べているのか、その点につきまして、今回は全般的な意見でもよろしいので、谷垣法務大臣にお答えをいただければと思っております。

谷垣国務大臣 調査等は文科省の方にお聞きをいただいた方がいいと思うんですが、せっかく法科大学院で学ばれて、これを修了されますと法務博士というような学位もいただけるわけですね。そういった知識経験というのはぜひ社会の中で活用を、埋もれさせてしまうのは惜しいなと私は思っております。

 ただ、法務省として、では、そういう方の対策はどうかということを特にやっているわけではございませんで、きょういろいろ御議論がありますように、法曹有資格者といいますか、法律家の新しい活用先をどう見つけるか、そういう努力を続ける中で、法務博士の学位を取られた方々がまた、働き場といいますか、その能力を使える場がまた出てくるのではないか、そういうことを今考えております。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 せっかく意欲も能力もある人たちがあたら人生を無駄にしないように、ぜひ制度を構築していっていただければと思っております。

 きょうは、ありがとうございました。

江崎委員長 次に、椎名毅委員。

椎名委員 結いの党の椎名毅でございます。

 本日、司法試験法改正ということで、四十分質疑時間を賜りましたこと、改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。

 また、先日、四人の参考人から法曹養成制度改革の現状についてつまびらかな御意見をいただきまして、私自身も非常に勉強させていただきましたし、非常に貴重な機会だったなというふうに思っております。

 そういったところも生かしながら、きょうは法曹養成制度全般について伺ってまいりたいというふうに思います。法曹養成制度については、今までるる質疑があって、皆様方いろいろ触れていらっしゃったので、重なる部分もあるかと思いますけれども、御容赦を賜れればというふうに思います。

 まず、質疑に入る前に、私自身が先日の参考人質疑で私自身の考えとして少し触れさせていただきました、平成十三年、司法制度改革のときの法曹養成制度に関する問題点として私が今課題として考えていることというのを、もう一回ちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 全部で七つあると考えていて、第一に、大学法学部を存置しつつ米国型ロースクール制度を取り入れようとしたこと。ちなみに、韓国は廃止をしています。

 第二に、日本における法曹隣接職の充実を考えずに、法曹人口の増加を安易に訴えたこと。

 第三に、法学部の存在により充実した無資格の在野の法律実務家が企業内それから役所の中にいることを無視して、夢のような職域拡大を訴えたこと。

 第四に、予備校からの大学の復権というテーマが隠れた裏テーマとしてあり、予備校による受験指導を否定し、これに伴い、法科大学院における受験指導を否定したこと。

 第五に、法科大学院と修習の役割分担が失敗したこと。

 第六に、予備試験の存在を生かしたことにより、結局、予備試験がエリートコース化する抜け道として残ってしまったこと。

 第七に、修習生の給与を否定して、法曹になるためのインセンティブを失わせていること。

 大体こんなところがあるんじゃないかなというふうに思っております。

 その中で、この今私が考えている課題と関係して、幾つか伺っていきたいなというふうに思います。

 その中で、順番を前後して聞きますけれども、通告九というふうに指摘をしてあるところから、まず、最高裁判所に聞いてまいりたいというふうに思います。

 ことしの、既に修習に入っている第六十七期修習生から、修習専念義務、これは裁判所法六十七条二項ですけれども、これの運用が緩和をされるということには基本的になったんだというふうに思います。

 その前提にあるのが、一応、平成二十五年六月二十六日の法曹養成制度検討会議取りまとめ、これに基づく兼業許可というところに、「法曹養成課程における経済的支援」という項目のところで、兼業許可についてという項目が少し触れられているというところであります。

 これに関して、とあるところから漏れ伝え聞こえてきた話なんですけれども、とある修習生がファストフード店で平日の夜と土日にアルバイトをしたいという兼業許可申請をした。平日夜と土日であれば、基本的に修習には差し支えないだろうという考えのもと、兼業許可申請を出したところ、それが許可されなかったというような話がとあるところから漏れてきたんですけれども、こういった事実があるのかというところがまず第一点。

 二点目に、そもそも修習専念義務との関係で、司法修習生がどういった場合にどういったことを、お金を獲得しながらという意味ですけれども、お金を獲得しながらどういったことができるのかというところについて、一般論として二点目。

 三点目に、出向ということがあり得るのかというところなんですけれども、民間企業で働きながら司法試験に受かった人で、できれば企業からの出向という形で修習に入りたいという人もいるやには聞いていますけれども、民間企業からの出向で、出向の間、民間企業から給料をもらった形で司法修習を受けるということはできるのか。ちなみに、では、これが公務員の場合に、人事院規則に基づく出向だった場合はどうか。

 このあたりについて教えていただければと思います。

安浪最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 まず、修習専念義務と今回のアルバイトのような兼業、兼職の許可の運用の緩和の関係でございますけれども、修習専念義務といいますものは、修習生が、修習期間中、きちんと全力を挙げて修習に取り組むべきものということで、専念義務自体を緩和したというものではございません。

 一方で、修習生につきましては、最高裁判所の許可を受けなければ兼職、兼業を行うことができないと定められておりましたところでございます。政府の法曹養成制度関係閣僚会議の決定を踏まえまして、最高裁としても、修習専念義務が定められた趣旨に反しないと考えられる一定の範囲で兼業許可の方の運用を緩和したところでございます。

 それで、今委員御指摘の不許可にした事例についてでございます。

 ファストフード店におきましてアルバイトをしたい、こういう申請が出てまいったのはそのとおりでございます。ただ、申請書のその内容を見ますと、業務の内容、それから時間、実際にアルバイトをしたいという平日の夜の時間、それから休日等の時間、これを申請内容から見ますと、やはり過重なものに見えまして、修習に支障が生ずるおそれが高いと判断いたしまして不許可にしたものでございます。

 それから、民間企業からの出向という形での修習はできるのかという点でございますが、これまでも、民間企業に勤務する会社員等の方が、修習を終えれば当該企業に復職をすることが前提になっているというようなことで、一旦退職するのはやはり支障がある、こういうお話がございました。そういう話を踏まえまして、最高裁の方におきましても、無給で休職するということを前提で兼職の許可をしてまいったところでございまして、そういう例は何例かあるところでございます。

 次に、国家公務員の派遣型の研修ということで修習をしているのかという点でございます。

 これにつきましては、人事院が実施いたします一般職の国家公務員の国内研修制度の一環ということで、司法試験に合格いたしました行政官庁の職員が、人事院の事務官に身分を異動した上で、最高裁からの兼職の許可を得て司法修習を行う、こういう例がございます。

 ただ、この制度につきましては、公務員としての身分を有しており、有給で研修をしておるわけでございますけれども、二回試験の直前といいますか、その時点ではここの研修から退いてもらって、法曹資格は取得しない、こういう形での運用をしておるところでございます。

椎名委員 去年の十月にも、大臣と、司法修習生の給費制の復活の話をさせていただきましたけれども、法曹養成制度改革の流れの中で、司法修習は最終的に無給になったわけですよね。給料はないので、やはり修習専念義務の中でお金をどうにか稼ぎたいというニーズがあるんだというふうに思います。

 今お話を伺ったところ、基本的に私の認識しているところと一緒だと思いますけれども、ファストフードのアルバイトについては過重なものであって不許可になった、民間企業からの出向については無給で兼職許可が得られます、公務員については給料が得られます、こういうことだそうですけれども、公務員の人だけ給料をもらえて何かうらやましいとやはり思うわけですよ。

 やはり、修習専念義務を排除して、月に二十三万の借金をしていくことによって、トータル一年間で何百万かの借金を負うわけですよね。修習専念義務を課しながら給料を出さないという、この修習自体に対する矛盾というのは結構大きなものでございまして、やはりこれは、修習専念義務の中で何かしらお金を稼ぐ手段を認めていくという方向性で、今、法曹養成検討会議の中でもそういう形になったはずだったのに、要するに、いわゆるアルバイトと言われるごくごく簡単な単純労働については不可能だという判断が裁判所から出されてくるわけですね。

 ちなみに、私の聞いたところが正しければ、一部許可でもいいのでしてくださいというお願いをしたら、一部許可は認められないという運用になっていたということで、結局、時間が過重かどうかというところについては、過重だからこのぐらいは認めてもいいでしょうという運用にはならないということのようでございます。

 そうだとすると、修習生の生活を確保していくということについては、やはり一定程度の今後の検討が必要な課題ではなかろうかというふうに私自身は思います。特に、公務員の方が出向される際に給料をもらっているという状況については、やはりほかと比べると少し矛盾している部分があるように思います。

安浪最高裁判所長官代理者 委員の方から今御指摘があった公務員の派遣研修の点でございますが、先ほどの答弁の中で、一点訂正をさせていただきます。

 二回試験の前と申し上げましたけれども、二回試験の後まで修習を続けておりまして、ただし、法曹資格は取得しないという形で制度をつくっておるということでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 では、次に行きたいと思います。

 今回の改正に関連しまして、簡単に二問ほど伺います。

 今回の司法試験法の改正では、択一科目が三つに減らされているわけですけれども、平成十三年当時の司法試験制度改革においては、結局、択一科目は七科目にふやしますというふうに言っていたわけですね。先ほど、高橋委員からもお話がありましたけれども、やはり、法科大学院での授業を踏まえた形で、択一の科目をふやしていくということだったかと思います。

 しかし、今現在、法科大学院の教育効果というところについて大きな議論がある中で、法科大学院の教育効果が上がっていないかもしれないという指摘もある中で、択一の試験を科目を減らして簡単にするということ、これはいかがなものなのかというふうに思うんですけれども、そのあたり、従前の法改正のときに訴えていたこととの整合性という意味で、大臣に御所見をいただければというふうに思います。

谷垣国務大臣 今般、憲法、民法、刑法、短答式はその三科目にするという趣旨は、特に法学未修者は、基本的な法律科目をより重点的に学んでもらおう、法科大学院教育として今までの運用を見て、その辺を少し、もう一回光を当てていこうということだろうと思います。したがって、そういう動向と司法試験を連携させようと。ですから、簡単に言えば、基本重視の姿勢である。

 そこで、今、七科目あるわけですが、これは、法科大学院における必修科目等々は何が必要かという議論の状況を踏まえて定められたというふうに聞いております。こういった科目はいずれも、将来法律家としての実務に必要な能力としての学識、それから、その応用能力を涵養するための理論的かつ実践的な教育を体系的に実施していこうという観点から七科目が選ばれた、当時の事情を調べますとそんなことでございます。

 他方、質、量ともに豊かな法律家をつくっていかなきゃいけない、そういう観点からは、今回やりますような、まずやはり、基本的な法律知識をしっかり身につけてもらわなければしようがないということで、これが大前提であります。これに基づいて、応用力をつけて多様な法的素養を修得させる、これが教育の大筋だろうと思うんです。

 こういう観点を踏まえますと、短答式試験は、基礎的な法的知識、それから、それを前提とした法的な推論能力と申しますか、そういうものを判定する仕組みとして、短答式というのは役割が果たせるんだと思います。

 今回の結論として、そういった短答式には、一番基礎的な分野である憲法、民法、刑法、その余の科目においては、論文式試験においてその知識や能力を判定する。

 ですから、今回の法改正の前後を通じまして、それはもちろん、試験によりまして判定できる得手不得手というものはあると思いますが、大きな考え方として、修得すべき法的素養が、では、七科目のときと三科目のときと判断を違えてこういう制度にしているかというと、それはそうではないんだろうと思います。

 細かに申し上げますと、例えば、訴訟法の先生なんかからいいますと、やはり、論文式で試せるのはある部分しかなかなか試せない、幅広く条文等々の能力もやるには短答式の方がすぐれていると。それぞれの試験のやはり得手不得手、試験の判定をするのに得手不得手というものはあると思いますが、必要な能力が違ったから試験の課し方を変えたというふうには考えておりません。

椎名委員 ありがとうございます。

 今回は基本重視ということをおっしゃっていただきました。基本が大事であるのは本当にそのとおりだと思います。

 しかし、法科大学院の教育効果がきちんと上がるように大学院の改革をしていくこととセットでやっていかないと、単純に、受からない人たちを受からせるように簡単にしただけみたいになってしまうと、やはり意味がないのかなというふうには思っていて、この改革が小手先かどうかは、とりあえず、それは表現の問題であり評価の問題なので差し控えますけれども、あくまでも入り口にすぎないのかなというふうには思います。これでやはり終わってはほしくないというふうに私自身も思いますし、そういう形で取り組んでいきたいというふうに私自身も思います。

 今回の改正についてもう一点。

 今回の改正については、受験できる回数の制限を廃止したわけですね。しかし他方で、五年という期間の制限は廃止をしていないわけですね。その結果、五年で五回、そういう回数制限ができ上がるわけですね。

 しかし、先ほど私の課題として挙げた指摘の六と、それから午前中の大口先生の御質問の中でも指摘されていましたけれども、そもそも大学に在学しているときから、さらには法科大学院の中に入ってからも予備試験を受ける方々というのがいるわけですね。予備試験に関しても、同じく予備試験を受かってから五年で五回ということになるわけですね。

 そうすると、大学在学中に予備試験に通っていて、大学院の一年生のときに、法科大学院の一年生でありつつ司法試験を受けるということで、ここから五年で五回、法科大学院を卒業してから五年で五回、かぶっている部分が二年分あるので、結局トータルでもう少し受けられるようになるというふうに思うわけです。

 こういう形で、結局、法科大学院の在学中から予備試験を受けるインセンティブとまでは言わないですけれども、受ける結果になってしまうのではないかというふうに思うわけですけれども、今回の改革について、その点を含めて大臣の御所見をいただければというふうに思います。

谷垣国務大臣 今回のこの点の改正は、法科大学院で勉強する、そうすると、統計的に見ましても、修了してから五年ぐらいの間に受かる確率が一番高い、そこを超えちゃうと実際なかなか受かりにくくなってくるというデータがございますので、一番受かりやすいところで、今までは、本来そんなことがあるのかと余り予想してはいなかったんだと思いますが、要するに受け控えみたいなことが起きていますので、一番法科大学院の教育のあるときに素直に受けていただこうという狙いなんですね。

 そこで、今、椎名委員がおっしゃったように、では予備試験も受けて、そうすると一回余分に受けられるというのは、私も実はうなってしまって、ううん、なるほど、そういうこともあり得るのかと。確かに、そういう人があるいは出てくるかもしれません。

 ただ、王道はどういうことかといえば、一つは、先ほどの御答弁の中でも申しましたけれども、学部教育とそれからロースクール教育というのは、いわば接ぎ木をしたようなところがございまして、少し美しく言えば、非常に丁寧に手厚く教育していく。そうすると、今、中教審でしたか御議論いただいていると思いますが、もう少し飛び級や何かをあれして、負担を軽くするというような議論が一つあると思います。

 それからもう一つは、今ロースクールもさまざまで、なかなか優秀な成果を上げているロースクールもあれば、必ずしもそうでないところもある。そこをやはりある意味での整理もし、ロースクールで何というんでしょうか魅力ある、非常にいい教育をしていただくことによって、今のような、制度の中で探せばそういうことがあるのかもしれないけれども、オーソドックスにいけばいいんだというふうに思っていただけるように持っていくというのが王道なのかな、こう思っております。

椎名委員 オーソドックスにやっていただくのが、王道を踏めるようにするのがいいというのは、それは本当におっしゃるとおりだと思うんですけれども、私のお世話になっている、もと勤めていた会社の社長が、人間はインセンティブと性格の奴隷だと言っておりましたけれども、やはりその王道を踏ませるためには、王道を踏ませるためのインセンティブをきちんと設計しておかないといけないのかなというふうには思います。

 なので、要するに、王道の反対が邪道なのか何なのかわからないですけれども、バイパスをとりたい人が出てこないような、そっちに対してはディスインセンティブをつくっておくということ、それも必要なのではないかなというふうには、今現状思っております。

 結局、受験回数の制限については、撤廃することは私はいいことだと思いますけれども、五年以内なら受かりやすいというデータがあるというふうに大臣がおっしゃっていただきましたが、それは統計的に恐らくそうなんでしょう。恐らくそれはそのとおりだと思いますけれども、かといって、結局、五年で打ち切りにするというのは、自分で自分の人生を決めることに対して、国が要は五年でやめなさいと強制的にレッドカードを出してあげる、そういういわばパターナリスティックな制度でもあるのかなというふうに思っていて、確かに有為な人材であるのでほかで活用していただきたいというのもあるかもしれないですけれども、自分がリスクテークをして、それでも司法試験を受けたいと思う人が仮にいるのであれば、年数制限というのは取っ払ってもいいのではないかなというふうに私自身は考えております。

 先ほど大臣が、法学部と法科大学院について手厚くとおっしゃっておったので、ちょっと順番を変えて、通告で五番というふうにしておったところについて伺います。

 いい言葉でおっしゃると、恐らく手厚くなんだと思います。法学部で、大学四年間なのか、教養学部が終わってから二年間なのかはさておき、法学教育を受けて、その後、法科大学院に二年または三年ということで、非常に手厚くしております。

 しかし、先ほど私が指摘しましたとおり、大学の法学部なるものが存在していることによって、非常に有能な、法律に対する理解を非常によくしている方々が、資格があるなしにかかわらず、在野にはいっぱいおるわけですね。私自身も企業法務という仕事をやっておりましたが、クライアントで出てくる法務部の方々は至って非常に優秀でして、こちらが最初はいろいろ教わって、法律知識をむしろお客さんから学んでいくというようなこともあったわけですね。

 やはり、資格のあるなしを問わず、さらに言うと、前回の参考人質疑のときに、先ほど高橋先生も触れていらっしゃいましたけれども、宮脇先生なんかもそうですが、企業やお役所の中、地方の役所の中で、法律に対する理解度が高い人は必要である、そのニーズはたくさんあるといいつつ、それが弁護士であるかどうかについてはやはりお茶を濁すんですね。

 やはり、非常に有能な、法律に対する理解をしている人たちがたくさん世の中にいるという中で、この法科大学院という制度を屋上屋のようにもう一個くっつけることによって、リダンダントであるというか、これによって、法科大学院の存在意義というのは本当に司法試験に受かるためだけのものになってしまっているわけですね。他方で、行っても受からないとなったら、やはり行かないというふうに思う人がいるのは当然なんだろうと思うんです。

 法科大学院という制度をもし維持するとするのであれば、やはり法科大学院で法律教育を全て独占するという発想にならないと、法科大学院と法学部のすみ分けというのを理屈で考えてもなかなか難しいと思うんですけれども、そのあたりについて御所見をいただければというふうに思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 法科大学院は、法曹養成に特化した実践的な教育を行う大学院として設立されまして、プロセスとしての法曹養成の中核機関として、法学部において法的素養を身につけた者とともに、法学部以外の学部出身者や社会人など多様なバックグラウンドを持った者を広く受け入れ、二十一世紀の司法を支える、質、量ともに豊かな法曹の育成を目指しているものでございます。

 一方、法学部でございますけれども、法的素養を備えた人材を社会のさまざまな分野に送り出す機能を持つものとして位置づけられておりまして、具体的には、行政部門や民間企業などのさまざまな分野で必要とされる法的素養を養うため、法学の基礎教育をベースとした幅広い教育に取り組むということが期待されているものでございます。

 実際、法科大学院をつくるときに、中教審の方で法科大学院の設置基準につきまして議論をさせていただいております。その中で、法科大学院ができることから、そのすみ分けということで、法学部の学部段階におきましては、例えば、法的素養を中心とした教養教育に重点をシフトする、あるいは複数の学部・学科の専門科目を同時に履修するようなカリキュラムを工夫する、あるいは法曹以外の法律関係専門職の養成を中心にするというような、より多様な教育のプログラムの展開が考えられるというような議論があったわけでございます。

 実際のところ、法学部につきましては、例えばコースの中で、法学部というのは学部の名称でございますけれども、その中で、例えばビジネスローとか、国際関係法とか、公共法務とか、法と情報とか、法曹とか、ある程度、法学部の中でもそういう機能分化といいますものが出てきておりますし、先生御案内のとおり、さまざまな分野、小売業とか、金融業とか、保険業、あるいは公務員、そういったものに法学部の学生というのは展開しているということでございます。

椎名委員 済みません、この質問はそういえば文部科学省にしていたんです。大臣に聞こうと思って、今言ってしまいましたけれども。

 今、文部科学省の方からおっしゃっていただきましたけれども、社会に対するさまざまな法的素養のある方々をふやしていくということ、これがまさに、法曹養成制度改革、司法制度改革のときにうたわれていた法曹人口拡大の潜在的ニーズというものを既に実は実践しているわけですね。

 要は、最終的に資格があるかないか、要するに、民間という意味なので基本的には弁護士ですけれども、弁護士の資格があるかないかというのは、有償で法律サービスのアドバイスをし、そして法廷に立つことができること、ただそれだけなわけですね。そうでない法律実務のニーズについては、法曹資格がなくてもできるわけですね。なので、今までの法学部の存在そのものにより、図らずもおっしゃっていただきましたけれども、多様な法的理解をしている方々が世の中にあまたいるわけですね。

 さらに言うと、法律隣接職もたくさんあるわけですね。司法書士、社労士、行政書士、弁理士、税理士といったような法曹隣接職が、それぞれ法律実務と専門分野に特化した法律に関連する実務を行っているわけで、本当に弁護士のニーズというのがではそこまで潜在的にあったかどうかという話にやはりならざるを得ないんだと思うんですね。

 私が法学部を撤廃するということについて申し上げているのは、こういった潜在的ニーズを無資格の優秀な在野法曹と法律隣接職で埋め合わせているがゆえに、法曹有資格者の企業内のニーズとか法曹有資格者の役所の中でのニーズとかが上がらないんだというふうに思っているんですね。

 なので、もし仮にこの法科大学院という制度にこだわるのであれば、やはり法学教育を独占することが必要なのではなかろうかというふうに必然的な結論としてなるのではないかと僕は思っているんですけれども、できれば大臣のコメントなんかをいただければというふうに思います。

谷垣国務大臣 この前の法曹養成制度、プロセスを中心としてやっていこうという改革、私、今になって、法務大臣になって思いますのは、あの当時、やはりきちっと議論を煮詰めていなかったなと思うことが幾つかございます。

 その一つは、今委員がおっしゃったように、学部で法学部というものがこれだけたくさんの法学士を誕生させて送っている、その方たちが社会を支える、いわゆる法律家というのではなくても社会を大きく支える役割を果たしている実績がある。そこにいわゆるロースクールという日本のそういう制度があって、ロースクールというのはどちらかというとアメリカの仕組みだと思いますが、そういうものをいわば接ぎ木して、そこの接ぎ木のところ、接ぎ木したときにどういう問題が生じてくるのかというのを、十分に問題点を煮詰めていなかったということが今いろいろな問題を生んでいるというふうに私は思っております。

 他方、先ほど階委員の御質問にもお答えしたんですが、では、昔のシステムであればどうか。

 昔のシステムで、確かに、法学部で立派に法を修得して、司法試験、裁判官や弁護士にはならないけれども、きちっとやっておられる方がある反面、いわゆる法曹資格を取るために、一点に、やはり司法試験というものに相当大きな重圧がかかり、そこで余りにもテクニカルな勉強に走ったり、いろいろな意味での問題が生じてきた。

 先ほど、何も五回五年なんて見る必要があるのか、パターナリズムに過ぎるじゃないかという椎名さんのお考え。それも、当時、なかなか受かる保証もなくて、何回も何回も司法試験に挑むという、私もその一人でしたが、そういう中で、やはり若いときにある程度頑張ったらどこかに転身するということも考えないと人生無駄だぞというような、当時の一点の負荷から、今のようなでは五年で三回だというような議論になってきたんだと思うんですね。

 だから、こういう制度をつくったけれども、いろいろなものを実は未解決のままに今来ていると思います。

 それで、いろいろな御意見がある中で、私が思っておりますのは、やはり接ぎ木がよかったかどうか。

 今まで椎名さんの御議論を聞いていますと、その接ぎ木が、木で竹を接いだようでよくなかったと多分おっしゃっているんだと思うんです。私は、制度をつくったらそうしょっちゅう変えられないし、一度接ぎ木をしたらやはり、その接ぎ木が何とかうまく育つように持っていけないかという、どちらかというとそういう立場で今やっております。

 ですから、若干、椎名さんの問題意識、それはそうなんだよなと思う点と、かつての問題点をどう乗り越えるか、そこで実は股裂きに遭っているような心境でございます。本当にいろいろなことをよくお互い議論していかなきゃいけないと思っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 私自身も、旧試験みたいな制度に戻すか、法科大学院が全て、要するに、医大のように、法学教育をギルドのように独占し、法律実務家、隣接職を含めてそこからしか生み出されないというシステムにするか、多分二択だと思っていて、僕は、どちらに対しても割とニュートラルで、どっちでもいいと正直思っているんです。ただ、今の大臣がおっしゃる接ぎ木の部分は、やはり決してうまくいっていないと思うんですね。

 世の中で法曹資格がなくても活躍されている実務家の方々がたくさんいらっしゃる中で、やはり無責任に法曹人口の拡大というのを訴えるのはいささかどうかなというふうには思います。でも、法律実務家のニーズというのがあることは事実です、それが法曹かどうかはさておき。

 であると、法律隣接職に対する制度そのもの、法律隣接職の制度と大学法学部により生み出される在野法曹、これらは全部セットで議論をしていかないと、法科大学院のカリキュラムの改革だけをやっても、恐らくまた問題が起きるのではないかというふうに僕は思っているので、ぜひ大臣にも幅広いところについて問題意識を持っていただきたいなというふうに私自身もお願いを申し上げたいというふうに思っています。一人でしゃべり過ぎて余り質問ができない中で、もう時間になってまいりました。

 さて、先ほど、飛び級という話を大臣の方からおっしゃっていただいたので、飛び級というところについて最後に文部科学省に御質問をさせていただこうかなというふうに思います。

 今現状、予備試験というのは半ば、いわゆるエリートコースのようになってしまっているわけですね。私の所属していた大手法律事務所のようなところでは、予備試験合格者について、司法試験を受ける前から既にこの予備試験合格者に対する就職説明会みたいなことをやって、青田買いをしているわけですね。こういう状況が既に起きているわけです、正直なところを申し上げますと。

 恐らく、予備試験に受かって、ロースクールに行かないで司法試験に合格する人こそがエリートである、多分そういう発想に今立ち始めているんだと思うんですね。だから、これは、早期に資格を取得したい、できのいい学生がそう思ってそう努力をしてきた結果、やはりそうなっているんだと思うんですね。

 予備試験について、こういうバイパスは、受験制限を設けるなり、変えていくべきであるという議論はもちろんあります。それは同じように検討していただくべきだと思うんですけれども、他方で、できのいい学生が人生を生き急いで、なるべく学校での学業とかそういったものを早く終わらせて、さっさと実務の仕事につきたいと思うニーズはやはり一定程度残るんだと思うんですね。そういう気持ちに対しては応えてあげる必要があるんだと思うんです。

 今現状、中教審なんかでも議論されているのは、法学部と法科大学院の間の接ぎ木の部分で飛び級ということが議論されているというのは私も十分存じておりますけれども、それ以前に、初等教育において、小学校、中学校、高校から大学というところ、それから高校卒業認定試験、高認試験、こういったところについて、飛び級なるものを認めていき、どんどん早く大学に入ってもらって、大学も早く卒業してもらって、法科大学院もどんどん早く卒業してもらって、早く実務についてもらうという、できのいい学生に対するスピードコースというか特急コースみたいなのを準備してあげてもいいんだと思うんですね。

 しかし、例えば高認試験なんかですと、高認試験を受けることはできます、大学受験もできますけれども、大学に入学できるのは十八歳からとか、年齢制限がついているんです。

 初等教育におけるこういった飛び級等を認めていくということも将来考えなきゃいけないと思いますけれども、文部科学省の御意見をいただければというふうに思います。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の、飛び級を含みますいわゆる学制のあり方につきましては、日本の教育の根幹にかかわるものでございますので、丁寧な議論が必要だというふうに考えております。

 一部、高校から大学への飛び入学ですとか大学の早期卒業については既に法的に可能なものがございますけれども、現在、教育再生実行会議におきまして、個人の能力とか適性に応じました学びの保障を含みます学制改革についての検討が行われておりまして、その中で、高校の早期卒業の制度化といったような、いわゆる飛び級についても論点に上がっているところでございます。

 委員御指摘の点につきましては、文部科学省としても、この教育再生実行会議の議論の動向を引き続き注視してまいりたいというふうに考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 時間も来ましたので終わりますけれども、ぜひその中でも議論をしていただきたいなと思います。

 今現状、飛び入学というのは恐らく、高二を卒業したら大学に行けるとかそういう制度だったと思いますけれども、別に高二に限らなくてもいいわけですね、十五歳でも十歳でもいいんだと思うんです。

 アメリカなんかでもよくありますけれども、十歳で大学を卒業して、博士号を取って、何かすごい、よくわからない、非常にできのいい研究論文を書くみたいな、そういうスーパーチルドレンみたいなのがごくまれに世界の中にはいたりするので、そういう人たちに対しても道を用意してあげるということが、今後の日本の発展にとって僕はすごく必要だというふうに思いますので、お願いを申し上げて、終わりたいと思います。

 本日はありがとうございます。

江崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江崎委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、司法試験法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

江崎委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、大塚拓委員外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及び結いの党の共同提案による附帯決議を付すべしものと動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。階猛君。

階委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    司法試験法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 我が国における法曹養成制度は、法曹となるまでの時間的・経済的負担感の増大や司法試験合格率の低迷、弁護士の就職難等を理由として法曹志望者の減少が続くという危機的な状況にあるにもかかわらず、抜本的な改革は進んでいない。このような状況を踏まえ、内閣に設置された「法曹養成制度改革推進会議」においては、既定の検討事項及び検討予定にとらわれることなく、有為な人材が数多く法曹を志望するよう、司法試験合格者数の現在の法曹需要に見合う数への削減等あらゆる方策を早急に検討し、速やかに実行すること。

 二 法科大学院の入学者数が定員の六割程度にとどまっていること、多くの法科大学院について修了者の司法試験合格率が低迷していること等、法科大学院の置かれている現状を直視し、法科大学院の教育水準の改善に向けて、法曹として求められる資質・能力の養成に必要な教育指導に加えて司法試験の合格に向けた指導を強化することや教育資源の有効活用等に取り組むこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

江崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江崎委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。谷垣禎一法務大臣。

谷垣国務大臣 ただいま可決されました司法試験法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

江崎委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんでしょうか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

江崎委員長 次回は、来る十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時六分散会


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