衆議院

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第12号 平成28年4月19日(火曜日)

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平成二十八年四月十九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 葉梨 康弘君

   理事 安藤  裕君 理事 井野 俊郎君

   理事 城内  実君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 吉野 正芳君 理事 井出 庸生君

   理事 逢坂 誠二君 理事 國重  徹君

      あかま二郎君    大塚  拓君

      大見  正君    奥野 信亮君

      門  博文君    上川 陽子君

      今野 智博君    白須賀貴樹君

      瀬戸 隆一君    田所 嘉徳君

      谷川 とむ君    辻  清人君

      冨樫 博之君    中谷 真一君

      藤原  崇君    古田 圭一君

      宮澤 博行君    宮路 拓馬君

      八木 哲也君    若狭  勝君

      後藤 祐一君    柚木 道義君

      鷲尾英一郎君    大口 善徳君

      吉田 宣弘君    清水 忠史君

      畑野 君枝君    木下 智彦君

      上西小百合君    鈴木 貴子君

    …………………………………

   法務大臣         岩城 光英君

   法務副大臣        盛山 正仁君

   法務大臣政務官      田所 嘉徳君

   厚生労働大臣政務官    三ッ林裕巳君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  井上  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮川  学君

   政府参考人

   (文化庁文化部長)    内丸 幸喜君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           堀江  裕君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           苧谷 秀信君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          宮川  晃君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           木暮 康二君

   法務委員会専門員     矢部 明宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     中谷 真一君

  笹川 博義君     大見  正君

  宮川 典子君     瀬戸 隆一君

  階   猛君     後藤 祐一君

  山井 和則君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     白須賀貴樹君

  瀬戸 隆一君     八木 哲也君

  中谷 真一君     谷川 とむ君

  後藤 祐一君     階   猛君

  鷲尾英一郎君     山井 和則君

同日

 辞任         補欠選任

  白須賀貴樹君     笹川 博義君

  谷川 とむ君     門  博文君

  八木 哲也君     宮川 典子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第三〇号)

 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第三一号)


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     ――――◇―――――

葉梨委員長 これより会議を開きます。

 第百八十九回国会、内閣提出、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長井上宏君、外務省大臣官房参事官宮川学君、文化庁文化部長内丸幸喜君、厚生労働省大臣官房審議官大西康之君、厚生労働省大臣官房審議官堀江裕君、厚生労働省職業安定局次長苧谷秀信君、厚生労働省職業能力開発局長宮川晃君及び国土交通省大臣官房審議官木暮康二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井出庸生君。

井出委員 おはようございます。民進党、信州長野の井出庸生です。きょうもよろしくお願いをいたします。

 きょうも、前回に続きまして、この技能実習法案の一番ポイントだと私は思っているんですが、実習生の移籍、移動の自由について、もう少し多角的な論点から話を伺ってまいりたいと思います。

 まず井上さんに伺いたいんですが、前回ちょっとしつこいぐらいに聞いた、法務省のつくられた技能実習生の入国・在留管理に関する指針、また、これと似たようなものが、厚生労働省も、技能実習制度推進事業等運営基本方針、厚生労働大臣公示というもので、「技能実習の継続が不可能となった場合の取扱い」のところで、「技能実習生に責がなく、」と、同じような表現があるんです。

 この二つの指針ですとか基本方針というものは、私が申し上げているように、何かトラブルがあって、実習生が継続をしたい、この人だったら継続できそうだ、そういう人に対して転籍、移動を認めていくようにする、それは、何か運用を変えることで可能なのか。ただ一方で、前回の答弁を聞いておりますと、これはちょっと、運用を変えても法律を変えない限りはなかなか私の思いは届かないかなと思うんです。

 そのあたり、これは法律の修正を求めた方がいいのか、運用の改善を求めた方がいいのか、まず、私の立ち位置、論じ方について、こうしてくれという御教示をいただきたいと思います。

井上政府参考人 おはようございます。きょうもよろしくお願いいたします。

 委員御指摘の、技能実習の継続が困難になった場合に、技能実習生が困難になったことについて責めを有するかどうかで技能実習の継続を認めるかどうかということについて、今、運用上の措置として行っておるところでございます。法律上は、そこの点を明確にする規定は今のところございませんし、今度、新法におきましても、在留資格として、技能実習制度というものは、認定された技能実習計画に基づいて技能を要する業務に従事する活動ということで定めるにとどまります。

 どういう場合に技能実習生の任意に、自由に移動できるようにするかというところは、その制度趣旨との関係で運用で定めているところであります。

井出委員 基本的には、原則、移動は認めないと。今おっしゃった任意、自由にというのは、前回も自由気ままにというようなことをおっしゃったんですけれども、私もそんなことは到底申し上げるつもりはないんですよ。何か実習先との間に問題があって、どうしても続けたい、そういうものは何とかならないかという視点でやっておりまして、私のきょう質問をさせていただく感覚からすれば、やはりここを変えるとこの制度というものは趣旨が大きく変わってくると思いますので、法律の修正などが必要なのかなとは思っているんですが。

 まず、この間、冒頭に聞きました憲法の公共の福祉問題なんですけれども、私なりにちょっといろいろ調べてまいりまして、私が問題としています職業選択の自由、憲法二十二条の公共の福祉に関連する答弁というものを調べてみました。

 昭和六十一年五月八日、参議院の法務委員会で当時の法務大臣官房司法法制調査部長が言われているんですが、「「公共の福祉に反しない限り」ということがこの条文においてわざわざ書いてあるわけでございまして、その意味合いは、憲法上いろいろ議論されておりますけれども、やはり外国人にも保障されておりますけれども、合理的な理由がある場合には制限があるということも当然である」と。これは恐らく、前回、宮川さんがおっしゃった、法律である程度制限ができるということかなと思います。

 もう一つ、昭和五十七年四月二十二日、これは衆議院の地方行政委員会なんですが、当時の警察庁刑事局保安部長が「憲法二十二条第一項は、公共の福祉に反しない限り職業選択の自由を保障している」「つまり、職業選択の自由といえども、公共の福祉のために政策的見地から、法律をもってこれを制限し得る」と。

 ですから、この二つの答弁を聞いておりますと、外国人技能実習生にいろいろな制限をかけていくということは、ある程度、法律に沿って合理性があるという旨の答弁なんです。

 その一方で、平成二十五年四月二十六日、これは質問主意書に対する答弁書なんですが、長妻昭衆議院議員が出された質問主意書に対する安倍晋三内閣総理大臣の憲法観に対する答弁書。これは、「「公共の福祉」とは、人権相互の矛盾・衝突を調整するための原理である」「その具体的な内容や制約の可能な範囲等については、個別の立法の目的等に応じて具体的に判断する必要」があると。同じような答弁は、第百五十六回国会参議院武力攻撃事態への対処に関する特別委員会、平成十五年五月二十三日、福田康夫大臣がされているんですが、やはり同じように、「その具体的な意味内容は、立法の目的などによって、立法の目的などに応じまして様々でございます。」と。

 ですから、私の解釈ですと、在留資格、外国人技能実習生にさまざまな制限を法律でかけていくということは是とされる、しかし、その範囲というものは、やはり立法の目的に沿うかどうかというところが大変重要であると。

 そういう見地に立ちますと、技能実習制度の目的の中に、研修をきちっと適切に受けられるような環境、そういう環境の中でやらなければいけないと。決してこれは一カ所でやらなきゃいけないとは書いてないわけなんですよ。今度の法律は、研修をきちっと完遂するためにそういう環境をきちっとつくることが大事なんだと。そういう立法の目的であるとすれば、私が前回申し上げて、またきょうも申し上げていくような、実習生が最初の実習受け入れ先とどうしても合わない、かえたい、そういうことに対しての移動の自由というものは十分認め得る話なんじゃないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

井上政府参考人 技能実習が継続困難になった場合の原因の帰責事由が技能実習生側にあるのか実習実施者側にあるのかという問題につきましては、個々の事案ごとに全体のことを見渡して判断していかなければならないわけでございます。

 その中で、技能実習生側に責めがあるというのは非常に悪質な場合でございまして、例えば、より高い賃金を求めて失踪した場合でありますとか、およそ指示、命令を聞かずに労働を放棄して働かなくなってしまうとか業務を妨害するとか、そういう非常に悪質な場合でございまして、そうでない場合には、いろいろ事情もございますので、環境が許せば、運用上はかなり広く技能実習を継続する方向で動いているという実情がございます。

 今委員が御指摘になったのと少し違うかもしれませんけれども、例えば、実習の継続を認めた事例といたしまして、技能実習生が近隣住民とトラブルを起こして苦情が続発したために、実習機関が監理団体に実習生を引き揚げてもらったというような事例もございますけれども、このようなものも実習の継続にはつながっておりますので、本当に責めが、明らかに技能実習生側にひどいものがあるというもの以外は、運用上はかなり広く実習の継続を認めて今も行われておりますし、今後とも同じ法律の趣旨の範囲内で運用していくことになると思います。

井出委員 移動の自由が認められている件数というものは、そんなに多くはないんですけれども、一定数ある、そういうことは前回伺いました。

 ただ、この技能実習制度というものは、一年ないし三年、これから五年になりますが、そういうことを見越して、外国の方が、必要な資金も含めて、借金される方もいると聞いておりますが、そういうかなりの覚悟を持って来ておりますので、転籍がかなう人というのは、もしかしたら大変環境に恵まれた人なのかもしれません。むしろ、いろいろな御苦労を受けながらも、何とかここで研修を全うして頑張らなければ母国に帰っても顔向けができぬ、そういう思いで我慢をされている方も相当数いるのではないか。そういうところから、いろいろな人権侵害の事例ですとか、そういうものが出てくるんじゃないかなと思うんです。

 人権侵害なんかを、そういうものを支援しているような団体に聞きますと、やはり三年の期間であれば、最後の方に、二年九カ月とか、終わりの方にその問題を取り上げるケースが多い、それは実習生の意向でもあって、そういうケースが多いんですという話を聞きますと、結構我慢をされているんじゃないかな、そんなような思いを持っているんです。

 少し話をかえますと、大変アンケートの結果がいいということは何度も言われてまいりました。ただ、アンケートの返事自体が大変少ない、そういうことも言われているんです。

 私、きょうは本を一冊読んでまいりまして、「外国人労働者受け入れと日本社会 技能実習制度の展開とジレンマ」、カミバヤシチエコさんとお読みするんでしょうか、東京大学出版会で出されている、二〇一五年三月に出ている本なのですが、この本の中で大変おもしろいアンケートがありまして、この方は、連合の関連する外国人労働者問題研究会に協力をいただいて、実際に中国人実習生五十人に聞き取りをやっている。そのことが本に書かれているんですが、それは、今までここで議論してきましたアンケートとは大変内容が異なる、そういう中身になっております。

 特に私が注目をしたのは、まず、その五十人の調査対象実習生の半数がもともとは無職だった、または近代的工場労働、技能実習でやるような作業と無縁の農村での就労者であった、そういう結果が一つありました。

 それから、もう一つ私が着目したのは、その五十人に聞き取りをして、帰国後の希望する働き方、その中で、もとの会社に戻りますとか自分で起業しますとか幾つかの回答があるんですが、二〇%の方は、しばらくの間は仕事をしたくないと回答している。もとの会社に戻ると言っているのは、六%、わずか三人にすぎない。

 もう一つ事例を紹介しますと、技能実習をやっている研修生が自覚をする、技能の向上をどの程度感じているのか、そういう設問に対しては、四二%の方が、母国の仕事と異なるのでわからない、技能向上の有無は母国の仕事と違う仕事なのでわからないと。一八%の人は、母国の仕事よりもレベルの低い仕事をしていると。

 こうした調査を見ますと、法務委員会でアンケートで議論されてきた、大変国際貢献になっているという半面と、それと、多くの人権侵害の事例が新聞報道とかでもありまして、それはもしかしたら大変極端な例なのかもしれません。

 ただ、私が今ちょっと概要を紹介しましたこのアンケートというものは、その中間といいますか、非常に実態に即したものではないかなと思っておりますし、これを見ておりますと、やはり、研修生は本当に技能を自分たちの国に伝えるために来ているのかと。

 もう一つ言えば、このアンケートでは、技能実習の職場で困ったことということで、七四%の方が、賃金が低いと回答されているんですが、これを見ますと、やはり技能実習生という方は、出稼ぎという言葉がふさわしいかどうかわかりませんが、ある程度決められた期間、しっかりこっちで仕事をして、予定していたお金を稼ぐかどうかが最大の満足度であると。

 私もこの質疑を始めてから現実的なことを考え始めておりまして、外国の皆さんのニーズをきちっと受けとめるのであれば、なおのこと、研修の完遂、途中で帰らない、きちっと三年間やっていく、そういうことに対する、これはどっちが国際貢献なのかいまだ私も整理がついていないのですが、日本が国際貢献を受けているのか、それとも、外国の貧しい労働者に対して一定の労働と給料を提供しているという国際貢献になるのかわかりませんが、現実的な側面を見ても、研修をきちっと達成させること、そしてそのためには移動を認めていくこと、これは、技術云々、何とか云々というよりも、このことは非常に重要じゃないかなと思うんですけれども、局長、いかがでしょうか。

井上政府参考人 始めた研修をきちんと遂行して、技能を適切に身につけて持って帰っていただくというのがこの制度の趣旨でございます。

 それで、新法のもとにおきましては、技能実習計画につきましては、外国人技能実習機構におろしますけれども、主務大臣の認定制にいたしまして、その内容とか体制とか待遇とか、いろいろな要件がきちんとしているということを確認して、適切であるということを認定したものに従ってやる。この技能実習計画は、技能実習の実施者が技能実習生ごとに、かつ、一号、二号、三号の段階ごとにつくるというものでございまして、それに沿って業務に従事する活動を在留の条件として認めるという制度になってございます。

 したがって、本来の一番いい形は、技能実習計画どおりにその場でずっと働き続けて、技能をしっかり身につけて帰っていただくということになりますが、一号から二号に上がる段階、二号から三号に上がる段階で、ほかの実施者にかえられるかどうかという論点がもう一つございます。

 その点につきましては、今までは一号、二号だけでございましたので、初歩のレベル、初級に達するレベルでございますので、それは一貫したところでやった方が合理的、効率的に修得できるだろうということですが、今度、三号に行くときには、いわば初級を超えて応用段階に入りますので、体制がきちんとしておれば、そこの段階では移動できるように、そういうふうに取り扱いを変えていこう、新たにそういう取り扱いをしていこうということにしているところでございます。

 そのようなことも含めまして、一つの段階の中でかわるということは原則的には考えておりませんが、二号から三号に上がるところではひとつ考えていこう、そういうふうにする予定でございます。

井出委員 この制度というのは、もともとは一年だったわけですよね。それが三年になり、今度五年になります。どこを次の段階、応用段階というかといえば、私は、一カ所一年だったら結構耐えられるんじゃないかと思うんですよ。私の応用段階というのは、やはり一号から二号の現行制度の中でもやはり移動は必要じゃないか、そういう考えを持っております。

 局長がおっしゃっている、計画的に、効率的に進めていくために一カ所にいなければいけないんだ、そういう話なので、実際に実施計画書というものをちょっといただいて見てみたんです。済みません、資料には提示はしておりませんが、到達目標というものは確かに書いてあるんですよ、技能評価試験中級合格、技能検定基礎二級の技能レベルと。あとは、研修の期間、それから監理団体、また、実習生の、恐らく名前、人数。それと、技能実習で何をやるかという作業と、あと、ここに数字で、一月から十二月までこの作業を毎月どのくらいの割合でやりますということが書かれているんですけれども、これは、一号を見ても二号を見ても、正直言って、どこに段階的なものがあるのか、一体どこに効率的なものがあるのか、単に総時間を十二なり十四で割り振っているだけじゃないかと。もっと言えば、これだったらなおのこと、移動したって、やりやすい環境でやった方がいいんじゃないか。

 この計画書を見る限り、全然、計画的とか効率的とか、そもそも計画書は、本人はかかわっていませんからね、つくるのに。そうすると、この程度の計画書で、何をもって計画的、効率的というのか。これを変えていくというならわかりますよ。最初の三カ月はこうやる、次の一カ月はちょっと疲れているからエネルギーをためてもらって、また次の二カ月は頑張りますとか、そういうことをやってくれるというのであれば、なるほど、一カ所にいなきゃいけないなと思うんですけれども、この計画書を見ている限り、一カ所にいなきゃいけない理由というものは見当たりませんし、一年が三年になり、三年が五年になるのであれば、それは確かに、受け入れ先があるかという問題は、受け入れ先の金銭事情がありますけれども、やはり制度として、移動の自由、受け入れ先の確保もやっていくということが法律にも書いてありますけれども、もう少しこのことを、受け入れ先の確保というものを具体的に実現可能なものにしていくということが必要じゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

宮川(晃)政府参考人 お答えさせていただきます。

 技能実習計画につきましては、適正に作成いただき、その計画に基づいて実施するという趣旨で行っているところでございますが、今先生御指摘のありました、自由にというわけではないけれども、移動できるようにした方がいいのではないかという趣旨でございますが、一方で、その場合に、では、どこまでを認めるのか、どういう理由があれば移転を認めるのかといった際に、特に、自由に認めることとの区別とした場合に、例えば、賃金が高い方に行きたいというようなことについては、趣旨、目的としてはちょっとそれはおかしいのではないのかというふうなこともありますし、逆に言えば、それに歯どめをすることもかなり難しい面もあるのではないかと承知しているところでございます。

 いずれにいたしましても、計画を立てて、計画どおりやっていくということについて、何か問題があって、計画どおりにいかないという趣旨が、御本人の責めに帰するようなもの、御本人の責任にない分野については、先ほど入管局長が答えましたように、もうそこでの実習が耐えられないというものについての移動については、そこは運用面で考えるにしても、一方で、そういう移動というものを、自由にというか、ある意味認めてしまいますれば、その点のところについての歯どめというものがなかなか難しくなるのではないかなと考えているところでございます。

井出委員 ちょっと先日も議論をしました、技術とか研究は、そういったものを続けているのであれば移動の自由が認められると。でも、それだって、基本的には、移動したらまた届け出も出さなければいけないですし、ほかのそういう技術とか研究並みに、研修という在留資格をそれと同じような制度設計にすることはできないんですか。

井上政府参考人 委員のただいまの御指摘は、恐らく、外国人の受け入れの基本政策にかかわる論点にかかわってくると思います。

 つまり、いわゆる専門的、技術的分野の外国人は積極的に受け入れるということで、御指摘の研究でございますとか技術、人文知識等のところは、広く活動を認めて積極的な受け入れを図っておりますけれども、技能実習で取り扱っているような分野は、いわば非専門的、技術的分野でございまして、その辺の受け入れは基本的には慎重にやっていくという中でのことでございます。

 したがいまして、その中で、在留資格の定め方も、認定された技能実習計画に基づいてその業務に従事するという形にしてございます。ほかの専門的、技術的分野の在留資格は、例えば知識を要する業務とか、もう少し一般的に広く書かれておりますけれども、そういう意味で、技能実習計画は、計画どおり技能を身につけていただくのが一番合理的だという精神に基づいて、ある意味活動の幅を狭く定めておりますので、そこで、技能実習の期間中に自由に移動できるようにするというのは、技能実習とは別の観点での労働力の受け入れを認めることにかなり近づいてまいりますので、少し慎重な考慮が必要であろうと考えております。

井出委員 非専門的仕事なんだけれども技能を学ぶために一カ所にいなければいけない、専門的な技術や研究は移動してもいいと。それは何だか、日本語を聞いているだけでもおかしな制度だなと思うんですが、今、外国人受け入れの基本的な考え方というお話が出ましたので、その基本的なところを少し伺いたいのです。

 先ほど紹介した本の方は、まるでこの質疑のためにこの本を書いてくださったようなものでありまして、この著者の方が作成した資料の中に、低学歴労働力に占める外国生まれの人の割合、低学歴労働力というものを単純労働と定義されているんですけれども、その低学歴の労働に占める外国生まれの人の割合というものを各国別に出してくださっているすばらしい資料がありまして、アメリカは五四・一%が低学歴労働力に占める外国生まれの割合、これは二十五歳から三十四歳の層なんですけれども。要するに、アメリカは、半分以上の人、二十五歳―三十四歳の中で、低学歴、単純労働をやる、そういう人たちの半分は外国人だと。オーストラリアは四一・九%、若い人で学歴が低くて単純労働をする人の四一・九%は外国人だと。ドイツも三九・六%、スイスも七一・九%。つまり、ほかの国を見ると、若い人で単純労働をする人に外国人が大変多くなってきている。

 対して日本はどうなのか。日本はこういう数字というのは出したことはありますか。

苧谷政府参考人 そういう数字を出したことは今のところございません。

井出委員 そうなんですね。この本を見ていても、日本は、全体の労働力に占める低学歴者の割合、そういうものは例えば八・四%とあるんですが、今私が、アメリカは五四%だ、スイスは七一・九%だと、若い人の中で単純労働をするような低学歴の人の割合、その中に外国人が占める割合というものはやはりデータがないようで、この本でも横線になっているんですね。

 この外国人技能実習制度、基本的なところを伺うんですけれども、今、十九万人いらっしゃいますよね。これはどちらの局長に伺ったらいいのかわからないんですが、これからほかの国も技術的に進歩してきて、もう日本の技術貢献は要らなくなった、十九万人がいなくなった、そうなったときに、日本の労働というものは各産業で成り立つかどうか、そのあたりの所見を、やはり厚労省ですかね、教えてください。

苧谷政府参考人 議員御指摘のとおり、今後、長期的に見ますと労働力人口が減少傾向で推移するという中で、成長を実現していくために働き手の数の確保が重要である、これはそのとおりでございます。

 そういうことで、厚生労働省といたしましては、現在、一億総活躍社会の実現に向けまして、非正規雇用対策の推進あるいは多様な働き方の推進を初め、女性、若者、高齢者、障害者等の活躍推進、子育て、介護分野等における人材確保対策の推進等に全力で取り組んでいるところでございます。

 こうした中で、では、外国人労働者の受け入れをどうするかという基本的考え方につきましては、我が国の経済社会の活性化の観点から、先ほども申し上げていますが、専門的、技術的分野の外国人労働者の就業を積極的に推進するということにしております。

 一方、外国人労働者の受け入れ範囲をどう拡大していくかにつきましては、我が国の労働市場及び国民生活全体に与える影響に鑑みまして、我が国のあるべき将来像とあわせ、中長期的観点から、国民的コンセンサスを踏まえつつ、検討、議論していくべきものと考えてございます。

井出委員 答えを一生懸命理解しようとしていたら、何を質問したのかもわからなくなってしまったんですが、要は、外国人技能実習制度がなくても、では、日本人で全部の労働をやっていけるんですか。

 あくまでもこれは国際貢献だと言ってやってまいりましたけれども、例えば、今、十九万人いますよね。昔は少なかった。これを見ていると、どうも景気の動向と連動している。

 その中で私がちょっと着目をしたのは、一九九〇年代です。バブルが崩壊して、外国人の労働者が減った。日系人の方に至っては向こうに帰ってもらうような、そういう政策もあったと聞いておりますが、それでも、その時代、四万人台の外国人、この制度を使った受け入れがあった。それはどういうことかというと、景気とかに関係なく、技術貢献とかに関係なく、少なくとも九〇年代の日本で、四万人の外国人の方がいないと産業構造に穴があく、そういうことを端的に示しているのではないかなと思うんですよ。ですから、まず慎重に考えていく必要があるのはわかるんですけれども、慎重に、慎重にといって、一体いつまで慎重にやっていくのか。十九万人の数をどう見ていくのか。

 私は、別にここから何か高いレベルの要求をするつもりは全くないんですよ。十九万人を現実的に必要なんだと公式に認めなくても、やはり公式に認めてほしいですけれども、公式に認めないとしても、ただ、その人たちに移動の自由がない、職業選択の、職業選択と言ったらあれですけれども、同じ職種の別の選択肢というものがないというのは、労働関係のさまざまな基本権の中でこれは決定的に欠けていると思いますけれども、そういう御認識というのがあるのかないのか、伺いたいと思います。

宮川(晃)政府参考人 答弁させていただきます。

 先ほど入管局長からも話がありましたように、外国人技能実習制度も、研修、外国人技能実習という枠組みの受け入れの中での制約が当然あるものと考えております。そのためにも、研修を効果的、効率的に行うためにはどのようなある意味規制が必要なのかという観点もその枠組みの中にあると思います。

 その面で、憲法上の職業選択の自由について一定程度制約を受けるということがあるのもいたし方ないという点については御理解いただきたいと思いますし、また、そういう点で、今回の外国人技能実習制度が、技能実習制度である以上、技能実習が効果的に行われるべく判断された中での仕組みというふうに御理解いただきたいと思います。

井出委員 今度のこの法律が動き出したら、外国人技能実習生の数はふえるのかどうか、減るのかどうか、そういう見込みみたいなものは何か考えられているんですか。

 これからの日本の、外国人の労働と言うと国際貢献だという話になっちゃうんですけれども、外国人の方が労働にかかわっていくということは非常に大事なことであって、それは確かにいろいろな意見もありますけれども、現実として十九万人、大不況のときだって四万人、拡大せよという話があって今回の制度がある。そうした将来の予測、見立てというものは非常に大事だと思いますけれども、その辺は、労働力の確保という点で、何かそういう予測というのがあるのかないのか、教えてください。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 この制度が、技能実習という、労働力確保の政策ではないという点について御説明させていただいているところでございますが、その観点から、労働力を確保するという発想のもとでの数字を予測するなり推計するということは、当然のことながら行っておりません。

 外国人技能実習制度そのものがどうなるのかということについては、これは民間ベースでのものでございまして、そういう意味では、相手国のニーズ、日本の受け入れキャパシティー、その他さまざまな要因があって、これがふえるか減るのかという点については一概にお答えすることは難しい点はありますが、いずれにいたしましても、ただ、三年から五年に延びるという点についてはふえる要因となると考えてはおりますが、実際どれくらいふえるのかとか、そういうことについての推計を行っているところではございません。

井出委員 根本的なところなので大臣に伺いたいんですが、外国人の方が、技能実習で十九万人、それから、恐らく、ほかの資格で働いている方も含めると七十万人という数字も最近あったかと思うんですけれども、それだけの方がおります。

 技能実習の十九万人だけとっても、今、ふえる要因はあるというお話がありましたけれども、日本の外国人の方の将来の労働とのかかわりを考えていくのは非常に重要なことだ。だけれども、今、宮川さんがおっしゃったように、この制度が技能実習である以上、そういう予測が立てられないというのは、日本の将来にとって大変な障害だと私は思いますよ。もう少し現実的に認めるものは認めて、私がさんざんこだわっている移動の自由ですけれども、来てもらうからにはちゃんと働きやすい環境を整えるとか、そういうことをやっていかなきゃいけないと思うんです。

 今の宮川さんの答弁、技能実習制度である以上、そういう労働力としての試算をしない、これは日本のこれからを考えるときに大変憂うべきことだと思いますけれども、いかがですか。

岩城国務大臣 先ほど来お話がありまして、関係局長から答弁しておりますとおり、技能実習制度は、労働力の受け入れを目的とする制度ではなくて、開発途上国等への技能移転を通じた国際貢献という重要な意義を有する制度であります。したがいまして、外国人労働者の受け入れ制度によって代替されるものではございません。

 そういう意味で、今回の法案により適正化を図りつつ、その制度趣旨に沿ったものとして今後とも活用していくべきものでありまして、外国人労働者受け入れにつきましては、技能実習制度の見直しとは別に議論されるべきものであると考えております。

 そこで、人口減少時代への対応について、まず、出生率の向上とか生産性の向上とか、あるいは女性や高齢者など潜在的な労働力の活用等の施策に取り組むことが必要と認識しておりますけれども、そうした取り組みがなされることを前提に、今後の外国人の受け入れのあり方につきましては政府全体で検討していく必要があると認識しておりまして、実際そういった取り組みもなされているわけでありますが、その中で、将来的な外国人の方々の受け入れの数の問題とか、そういったことについて検討されるべきものであると考えております。

井出委員 これもちょっと宮川さんに伺いたいんですけれども、さっき井上局長が、高度な専門的な技術を持っている人は積極的に受け入れるんだ、その一方で、非専門的な単純作業的な人たちの受け入れについては慎重でなければいけないと。それはそのとおりだと思うんですけれども、私が思うのは、そんなに悠長なことを言っている場合なのかなと。

 技能実習制度の一番の送り出し国というのは中国でした、最近ベトナムが急激に伸びてきているんですが。中国の中で、この技能実習に対する受けとめの変化、送り出しの変化、この制度が始まって三十年ぐらいになるんですかね、前身の制度からも含めると三十年近くなるかと思うんですけれども、送り出し国の感覚というものも大分変わってきているような気がしますけれども、その辺の認識というものはございますか。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 技能実習制度は、繰り返しになりますけれども、開発途上地域等への技能等の移転を図り、その経済的発展を担う人づくりに協力するということを目的としていると申し上げさせていただきました。そういう中で、送り出し国の経済情勢、さまざまな変化が起こり得るということは先生御指摘のとおりだと思います。

 そういう中で、この技能移転を求める意図あるいは実習ニーズということについても、職種追加等に当たりましては把握しているところでございますが、今後の各送り出し国におけるそのようなニーズというものについてどのような形で把握していくことができるかどうかということについては、今後検討してまいりたいと思います。

井出委員 中国では、最初、八〇年代、九〇年代にこの制度が始まったときに、当時は、恐らく中国は、外国に行ける人も限られていた。一部のエリートが日本に来てやっていた。それが、中国の日本への派遣というものは、もう国を挙げて、省を挙げてやりますから、国や省がそういう会社みたいなものを設立して、三千人の実習生を日本に送り込んで、駐在員も送って、それをきちっとチェックしていくというようなこともやっているんですけれども、ただ、その中で、最近は中国も経済状況がよくなってきて、沿岸部ですね、沿海部に工場が建って、そういうところは経済的によくなってきた。そして、逆に、農村部の中で技能実習の人を確保するようになっていると。

 また、もう一つ、ちょっといろいろなデータを見ていて私は着目をしているんですけれども、中国は非常に力を入れていて、希望のあった人数に対して、その人数だけを集めるのではなくて、中には、希望している人数があって、日本人に来てもらってそれを面接する。希望の三倍ぐらいの人を用意して送り出しをしているところもあると。にもかかわらず、農村部の人が選ばれている。

 しかも、最近は男性女性比も逆転をしていると。この本によると、単純作業をやる、かつての日本の農村からの出稼ぎの女性の部分、女性がやってきた、何か縫い物をするとか、そういうところへのニーズがあるんじゃないかというような分析もありましたけれども、中国の送り出しの中の実態も変わってきている。

 もっと言いますと、日本はまだ、恐らくほかの国と比べると、単純作業をしたいという外国人が一つ行きたいところではあると思うんですよね。日本の給料は高いだろう、日本なら稼げると。これは研修制度ですという話は、また言っていただいても結構ですけれども、脇に置いておいて、日本に来るわけですよ。

 だけれども、中国はそういう貧しい人たちを中国に置いておけなかったから日本に送り出してきた。それが今は、中国だってこれから少子化になったり人不足になったら、そういうことはなくなるかもしれない。日本よりもっとほかの国に出した方が稼げるとなれば、そっちにかじを切るかもしれない。

 そういうことを考えると、今、外国人技能実習で受け入れている人たちの仕事というのは、さっき井上さんがおっしゃったように、高度の専門技術がある人は積極的にとってこなきゃいけない、だけれども、今、技能実習生にやってもらっている分野の人たちも、これから積極的にとっていかなきゃいけない、そういう時代にもう差しかかっているんじゃないか。にもかかわらず、技能実習なんだ、先の人数の予測はないんだ、一億総活躍だ女性の何とかだと。九〇年代のバブルがはじけた後でも四万人の人が雇用され続けたという事実もあるわけですよ。

 その辺、技能実習、技能実習と言い続けて、今、そうした日本の労働力を確保する大事なものを全部脇に置いてきているんじゃないですか。それでいいんですか。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、技能実習制度はあくまでも人づくりという制度の設計になってございまして、先生の御指摘のようなさまざまな動きというものが、今後、世の中が大きく動いていくことがあり得ると考えているところでございます。

 今回の技能実習制度の見直しの中では、実習生の送り出しを希望する国との間での政府当局間取り決めをやっていこうということ、これは、一つは管理監督体制の強化という一環ではございますが、そういう中で、相手国政府なり当局との間での運用面での意思疎通を図りつつ、そういう面でのニーズの把握という形のものについては今後重視していかなければならない。

 そういう中で、技能実習制度を今後それぞれの送り出し国がどのように考えていくかということについては、私どもとしてもウオッチしていく必要があるんじゃなかろうかなと考えているところでございます。

井出委員 多分、今度は井上さんに伺いたいんですけれども、実習生に移動の自由がない、それは実習という性格上のものだという話。私は、憲法ですとか、技能実習を完遂する、実習しやすい環境をつくるこの法律の目的の観点からも、移動はあってしかるべきじゃないかという議論をさせていただきました。

 それと、もう一つ今、宮川さんと議論をさせていただいたんですけれども、今、外国人の方が技能実習の形で来てもらってやってもらっている単純作業を、では、これからその人たちがいなくて日本人でやれるのか。一億総活躍社会、女性の活躍する社会、大変結構です。

 また一方で、教育行政を見てみると、高校は今、無償化になっています。大学だって、憲法改正でただだ、そういう話も出てきております。子供が減っていって、教育にかける国の政策というものもこれからますます厚くなっていくでしょう。

 そうしたときに、今、外国人技能実習生の人たちがやっている仕事というものは、私は、技能実習でも、制度の名前は変えた方がいいと思いますけれども、いずれ、最初に申し上げているように、外国から来る人にとっても日本にとってもウイン・ウインでなければいけないと思うんですよ。在留資格というのは、いろいろ調べてみると、前おっしゃっていたように、国際慣習法で、外国人をどう受け入れるかはその国が決められるんだ、それは確かにおっしゃるとおりでいいんですけれども、だからといって、この間、國重先生が、反日感情で帰られたら困るというようなお話、来たくない日本、日本はちょっと環境も悪い、移動もできない、そういう時代がもう来ているんじゃないか。

 そういう視点を、いつまでも技能実習、技能実習と言っていて、そこも議論した上でこの制度が必要なんですと言うのなら、私も百歩譲って考えるんですけれども、この制度を現行とりあえず続けなきゃいけないのであれば、やはりこの移動の自由を一つとるかとらないか、全然これは違ってくると思いますし、その二つの面、日本に来る外国人からの目線、さっき言った憲法やらの問題、そういう二つの要素を考えても、やはり在留資格だから制限を設けていいんです、現実的にはそうとも言い切れない、もうそういうときなんじゃないですかね。

 今回この法律をやったら、いつまたこういう議論をするときがあるのかわかりませんし、ここは非常に大事な局面だと思いますけれども、いかがですか。

井上政府参考人 委員の御指摘はちょっと多岐にわたっておりますので、全部答えられるかどうかわかりませんけれども、今回、技能実習という在留資格を整備して、制度の趣旨に沿って、そこから離れないようなものにして運用されるようにしようということで、適正化をしつつ拡充を図るということにしているところでございます。

 それで、委員御指摘の、移動の自由を認めるという趣旨がどの程度の内容であるのか、私、いま一つ把握しかねているところがございますけれども、かなり広範に認めるということであれば、先ほど申し上げましたように、一般の労働者の受け入れという形に近いものになろうかと思います。

 その点につきましては、これは先ほど大臣の答弁がありましたように、この技能実習制度は技能実習制度というところでよいものを持っておりますので、これはこれでよい形で生かし続け、なおかつ、別途、そうじゃない形での労働者の受け入れをするかどうか、やるならどういう形でするのかという議論を、これは国民のコンセンサスも見ながらになりますけれども、していく必要があるんだろうと思っております。

井出委員 別途議論をしていくということはこれまでずっと言われてきたんですけれども、私の申し上げたいのは、やはり研修という制度でもいいと思いますよ。だけれども、研修というものを、ほかの技術や研究の在留資格と同じようにきちっと、なぜほかのものに移動の自由があって、研究や技術の在留資格だって、自由気ままにということはないと思いますよ、研究の状況や生活の状況に応じてやむを得ず移動するとか、そういうケースの方が多いと思いますけれども、なぜ研修生だけそういうことを原則認められないというくくりがあるのか。計画書の話を見ても、どう見ても、これだったらほかのところに行ったって変わらないだろうというのもあります。

 やはり一番申し上げたいのは、日本に来る外国人のことは日本が決めるというのは原則だ、それは私も理解はしますけれども、そうこう言っているうちに、来たくない日本になっちゃったら終わりだと思いますよ。その辺の考えがあるのかないのか。

井上政府参考人 技能実習制度のことに関して申し上げますれば、母国から日本に来る前に、どのような技能実習を行うのかということについて十分な情報の提供を受けて、合意の上で、自分は技能を修得してレベルアップして帰るんだということをちゃんと認識して、そういう意欲のある人に来ていただき、それにしっかり応えられるような技能実習を行って帰っていただくという形に、ますます純粋なものにしていこうということでこの法案を提出しております。

 その限りにおいては、同じ単純労働で、ほかの国に行って帰る場合と、日本に行ってレベルアップして帰る場合と、帰ってからどちらがいいだろうか、それはレベルアップして帰った方がいいじゃないかと考える方も大勢いらっしゃるはずでございますので、そういう意味では、来たくない日本にならないような形での運用をしていきたいと思っております。

井出委員 こうやって外国の人を一時的に受け入れて、日本は実習ですけれども、労働してもらって帰す、同じ資格では入れないというような制度はほかの国にもたくさんあると思います。ですから、制度の根本をいじってくれという話ではないんですね。技能実習の制度をずっとやってきていますから、それを、どうやって今の本音と建前の乖離を本音の方に合わせていくのか。

 十九万人いなくなったら、やはりそれは大変ですよ、いろいろな産業がとまりますし。だからといって、今の制度でいいのか。

 恐らくこれから、政府間取り決めですとか、そういう事前のところはしっかりやってくださると思うんですけれども、賃金の問題一つとっても、最低賃金は保証されると。でも、送り出し機関と受け入れ機関の間で、裏の契約というか、本人の取り分が少なくなるような契約があって、それでもいいよと言った人が来る、そういう実態もあるように聞いております。

 給与、待遇の問題もそうですし、移動の自由もそうですけれども、全ては、今の制度のままでこれからずっとやっていったときに、ほかの国がもっと魅力的な研修制度、ストレートに言って単純労働制度、向こうの国の方が経済がいい、そういう状況になってきたときに、では、日本に今、十九万人いて、これからもう少しそれが必要となってきたときに、海外から人を呼びたくても来なくなるかもしれないじゃないですか。だから、現実、最低賃金だけ守っておけばいいという話でもなくなってくると思いますよ。

 いろいろな団体から要望があって、今回、介護も広がるし、東京オリンピックまで建設の分野も五年になっております。今、実際、東京オリンピックのための建設の暫定措置も余り人数が集まっていないというような話があって、そっちは何か、給料が今までの建設よりも結構高いと聞いているんですけれども、それは、人が集まらないから給料が上がっているのか、ちょっとどういう相関関係なのか、今度行って聞いてみたいと思いますけれども。

 とにかく、今は、給与の問題も移動の自由も、日本の法律できちっと、日本の法律で自分たちの都合で決めているんですけれども、実際、十九万人もいて、それをこれから確保していこうとなったら、いやが応でも国際的な現実に合わせていかなければいけなくなる。

 その一方で、日本の経済状況はまだいいですし、賃金の方は考えなきゃいけないいろいろな要素はあると思うんですけれども、やはり移動の自由というものが、日本でいろいろなほかの労働関係の在留資格があって、何でこれだけだめなのか。これは、今、技能実習をやっている人たちの仕事というものは、では、十九万人がいなくなって、日本人でかわるのか。そういう非常に大きい問題も、この法律を毎年見直していくとか、慎重に考えなければいけないという外国人の受け入れ問題をいつまでにやるという結論が見えていれば、多少は、では、それまでの暫定的にというのもありますけれども、恐らく、いつまでに結論を出すという話では到底ないでしょう。だから、この制度を現実に即していく上で何が必要なのか。

 今すぐこの法案審議の中で、別に私は、十個も二十個も直してくれというお願いはしないんですよ。一番、移動の自由というところが、それも別に自由気ままにということは決して申し上げませんよ。三年予定で来た人が三年で帰るようにしていくということがこの制度にとっても非常に大事なんじゃないかと申し上げているんですけれども、どうでしょうか。

井上政府参考人 移動の自由につきましては、どのような場合に移動を認めるべきかということでございまして、恐らく、技能実習生がそこの受け入れ環境に満足しておれば、あえて移動することはなかろうということでございます。

 そして、もともと約定していたとおりの賃金を受け取りながら、もっと高い給料が欲しいといって移動を認めるかというと、ちょっとそれは制度の趣旨には反するんだろうというふうに思います。

 では、例えば、前に聞いていたことと違うとか、何かそういうトラブルがあったらどうするかといったら、それは、相談とかそういう窓口を充実させていくことによって話し合いの中で解決する。それがどうしてもできなければ、まさに責めによらない継続不能ということで移籍の方を進めていく。そのような形で、日本の国内で技能実習を遂げて高い技能を身につけて帰っていただけるような形での運用に努めてまいりたいと思います。

井出委員 大分終盤に近づいてきたので、入管法の方も少し絡めて伺いたいんです。

 では、運用を変えていただく、私がお願いしたような、どうしてもやむなき事情があって、それでも継続したい、そういうものに対して少し前向きにやっていくよというようなことが仮に実現するかもしれない。

 そうすると、前回の議論でも申し上げたんですが、受け入れ先と実習生の労使問題といいますか、トラブルがあれば解決に時間がかかる。ADRみたいなのもあるかもしれませんし、裁判というのもあるかもしれませんが、そのときに、入管法の今回の改正の中で、在留資格取り消し事由の拡充、活動を継続して三カ月以上行わないで在留をしている場合に加え、活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い、また行おうとして在留している場合も取り消し事由とする。そのうち逃亡のおそれがあるときは、出国猶予期間を定めず、直ちに退去強制手続に移行する。

 この在留資格の取り消し事由の拡充を見ていて、やはり、受け入れ先との労働上のトラブルが解決しない、そういう人たちに時間をかけて解決させて次に行かせてくれるというような運用ではなくて、やはりこの法律改正があると、とっとと帰ってくれ、そういう方向に行くんじゃないかと大変危惧をしておりますけれども、いかがでしょうか。

井上政府参考人 委員御指摘の今回の入管法の改正でございますけれども、これまでは、許可された在留の活動を三カ月以上しないときには在留資格が形骸化したものとして取り消しができるというふうにしておったところ、三カ月を経過する前でありましても、本来の活動をしないだけでなくて、既に他の活動を行い、また行おうとしている、そして在留している場合には、もう既にその段階で在留資格が形骸化していると認められるので、取り消しをできるようにしようと。それに伴いまして、逃亡のおそれのあるときには直ちに退去強制手続に入れるようにして、取り消しの実効性を確保していこうということにするものでございます。

 ただ、これは、三カ月とか、他の活動を行うということにつきましては、正当な理由がある場合を除くということになってございまして、先ほど申し上げました技能実習生の転籍についての活動でございますが、技能実習生が自分で動くというよりは、監理団体や機構も随分動くことになろうと思いますが、一定の期間、まさに新しいところを見つけるために相当な期間につきましては、活動していないからといって直ちに取り消しをするというようなことにはなりません。

井出委員 今回の外国人技能実習と入管法の改正、例えば、きょうはちょっと議論はできませんが、介護の分野は在留資格も広がる、技能実習も、この法案が通れば技能実習としても介護を受け入れたいと。全体的に制度を拡充していく、それと制度の適正化の部分で、事前に送り出し国ときちっと取り決めをしてもらったりと、いい部分もあるんですけれども、一つ、在留資格取り消しの拡充ですとか、あと、罰則の整備というものもあります。

 これは私は、必要は必要だと思うんですよ。否定はしないんですけれども、ただ、そうであるのだったら、いっそのこと、技能実習生が労使問題でもめているときに、即刻帰れとかそういう話ではなくて、もう一カ所何とかならないのか、そういう話ですとか、そういうところをきちっと担保する、運用じゃなくて法律で、考えろと言われれば法制局と相談しますけれども、そういうトラブルを、きちっと続けられるようにしていく、そういうものが担保されて初めて、こういうものがないと、これは日本の将来の、外国人がどれだけ在留をしてくれるのか、労働は余り認めていないと言うから在留という言葉にしますけれども、いなくなってしまって本当に日本は成り立つのか。

 この問題は、かつては、私のような農村地域から出稼ぎに工場に行っている人がいた。多いときは五十万人とか、七〇年代は五十万人とかいう数字もあります。外国人の受け入れに対して、政治的、文化的な面から慎重であった。ただ、そういう中で、この制度が、難しい、非常に曖昧と言ったらあれですけれども、曖昧かつ現実的にやってきて、それを、ではこれからどうするんですかと。

 だから、きょうはこの制度を前提にした議論を二回目やってまいりましたけれども、今、制度を前提にするのであれば、やはり外国人が来たい、在留したい、本当にこの分野の、単純作業をする分野の人たちが、世界の中で競争になったら取り合いになる、そういう時代だってそんな遠くないと思いますよ。そういう危機感を持って、いっぱいやらなきゃいけないことはあると思うんですけれども、今回どうしてもやってほしいのが、移動の自由だけはきちっと認めてくれ、そういうことなんですが、いかがでしょうか。

井上政府参考人 繰り返しになりますけれども、技能実習がその制度の趣旨どおりに運用されまして、まさに高い技能をちゃんと身につけて帰っていただくことによってより魅力の高い制度にすることによって、これまでどおり、あるいはこれまで以上かもしれませんけれども、日本に外国から技能実習生が来るような運用に努めてまいりたいと存じます。

井出委員 この法律は、本当はやはり総理入りでやった方がいいんじゃないかなと。去年、刑事訴訟法のときも、議論している途中から総理入りがよかったなと思ったんですけれども、そういう法律の議論をさせていただけることは私にとって大変幸せなことだと思っております。

 大臣、最後に感想を一言いただいて、きょうの議論を終わりたいと思います。

岩城国務大臣 転籍の自由についてという問題意識をお持ちになられまして、労働力確保の観点から認めるべきとの御指摘がございました。この点につきましては、先ほど答弁したとおりであります。

 技能実習の適正な継続を可能にするために認める場合が必要との御指摘であれば、まず、技能実習計画について、法案では、主務省令で、具体的な認定基準を設け、その基準に従って審査し、適切なもののみを認定する、そういった仕組みを設けておりますので、問題のある技能実習計画はこの段階で排除されることとなります。

 その上、技能実習開始後、技能実習生が技能実習計画に疑問を持って実習先の変更を希望する場合、新たに設けられる外国人技能実習機構に相談することができます。そして、その事情いかんによって異なりますけれども、例えば、実習実施者が明らかに指導力を欠いていたり、実習実施者による人権侵害や不正行為が行われたことにより実習の継続が困難、そのように認められるような場合には、外国人技能実習機構は、実習先の変更を認め、新たな実習実施者が作成した技能実習計画を審査の上認定することとなります。

 技能実習は、限られた期間内に計画的かつ効率的に技能等を修得するという観点から、定まった計画に基づきまして一つの実習先で一貫して行うことが望ましく、したがって、実習生がその実習先を自由に変更できる仕組みを原則とすることは考えておりません。

 なお、相性が悪いといったことが客観的にも技能実習の継続を困難ならしめるほどの事情であれば、転籍の可否を考えることにもなります。他方、単なる一方的な感情にとどまるような場合には、それだけで直ちに転籍を認めるというのは相当でない、そのように考えておりますが、こういったたてつけにしておりますので、御指摘のことも踏まえまして、これから、実施に当たりまして、検討できる部分は検討していきたいと考えております。

井出委員 過去の議事録と比べると幾らかなのかなと思うんですが、もう少し担保も欲しい。ここは非常に大事なところだとわかっていただいてはいると思うんですが、引き続き議論をしたいと思います。

 あと、最後に、熊本の地震の件で、熊本にも実習生の方がいらっしゃるのではないかと思います。今回の被災状況、まだ大変な状況でありますけれども、後々、この震災でそれぞれ実習生の方もいろいろな影響を受けるかと思いますが、その辺のことはまたしっかり考えていただきたいとお願いして、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

葉梨委員長 以上で井出庸生君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 大臣、きょうもお世話になります。よろしくお願いいたします。

 私、今回、この技能実習の法案、以前からも相当これは気になる制度ではあったんですけれども、勉強すればするほどといいましょうか、それから、先日、入管法の提案理由の趣旨説明もいただきましたけれども、入管法改正、このことも、中身を勉強すればするほど、これからの日本の形といいましょうか、それを変える非常に大きな転機になる法案ではないかということ、ますますその気持ちを強くしております。

 と申しますのは、我が国はどちらかというと、これまで外国人の受け入れに対しては、労働者であれ研修生であれ、非常に抑制的だったというふうに思うわけです。しかも、研修生が来ていても、例えば組織とか団体に属して製造業に従事をするとか、仮に農業であっても、農業という分野においてのみ研修生として従事をしているわけですが、今回、介護まで視野に入るということになりますと、国民生活の身近なところへもどんどんと接近をしてくる、今まで以上に国民生活の身近なところへ接近をしてくるわけですね。

 そのことによって、もちろんメリットというものもあるんでしょうけれども、さまざまな想定し得ない不都合というものも場合によってはあるかもしれないということを私は思うわけでありまして、政治家は、やはり、そういう想定し得ない、将来もしかしたら起こるであろうということについても頭に置きながら、この法案を議論しなきゃいけないと私は思っています。

 その意味で、いわゆる我々の業界でいうところの国対戦術的な意味合いで審議時間を長くしてくれ長くしてくれということではなくて、やはり疑問と思うところは、少しでも多くこの委員会の審議の中でやりとりを重ねてその疑問を解消しておくとか、何か不都合なことがあるのであればその点を修正しておくといったような姿勢がこの法案は特に必要なんじゃないか、私はそんなふうに思っております。

 そこで、実は先般、入管法改正の、我々の業界でいうところのお経読みをしたわけでありますけれども、お経を読んだ直後に、幾つかの団体、幾つかといっても三つ、四つですかの団体から、もう入管法の議論に入るんですかということで非常に数多くの意見が寄せられて、きょうは技能実習もやりたいんですけれども、入管法の方について先に議論をさせていただきたいと思います。

 全体的な方向感については、最後に大臣にお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、きょうは、入管法の改正の中で、前回入管法の改正というのは二〇〇九年だったというふうに認識をしておりますけれども、そのときの附則第六十一条、政府は、この法律の施行後三年を目途として、新入管法及び新特例法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、必要な措置を講ずるというふうにあるわけですが、施行後三年というのは去年の七月だったのかなというふうに思うわけですが、この附則にのっとってどのような措置というか検討をされていたのか、そこをまず御報告いただけますか。

井上政府参考人 今回の入管法の改正法案につきましては、介護の業務に従事する外国人を受け入れるために新しい在留資格を創設するということと、偽装滞在者の問題に対処するための罰則の整備、在留資格取り消し事由の整備の措置を講ずるものでございますが、これは、今御指摘の平成二十一年の入管法改正の附則に基づく直接的な措置ではございません。

 附則に基づく検討につきましては、二十一年の改正はかなり大規模な制度改正でございましたので、引き続き、施行の状況の把握及び分析を行っておるところでございます。関係団体等からいろいろ御意見もいただいておりますので、それを参考にしながら見直しに係る検討を今鋭意行っている最中でございます。

逢坂委員 ということは、今回の改正は二〇〇九年改正とは別のものなんだ、だけれども、二〇〇九年改正のところについては、今、附則の規定にのっとってさまざま検討を進めている最中であるということ、そういう認識でよろしいということですね。わかりました。

 それが妥当であるかどうかはまたもう少し検証してみたいと思いますけれども、それでは、在留資格取り消し事由の拡大、この点に絞って、きょうは少しやりとりをさせていただきたいと思います。

 まず一点目でありますけれども、在留資格の今回の取り消し、新たに五号が追加されるということでありますけれども、私はこれはなかなか悩ましい条文だなと思っております。

 要するに、在留資格をもって在留する者が、在留資格に決められている活動を行わずに、かつ、他の活動を行い、または行おうとして在留していること、こういう規定があるわけでありますけれども、外国人がその在留資格に応じた活動をしていない、あるいは他の活動を行う、あるいは行おうとしているということで法務省が即座に在留資格を取り消すということなんですけれども、こういう判断というのはどのような基準で行われるのか、この点について説明をいただきたい。

 特に私が悩ましく思うのは、行おうとしている、実際はやっていないけれども行おうとしている、これはなかなか、厳しい規定といいましょうか、判断に迷う規定だというふうに思うんですけれども、このあたりも含めて、ちょっと説明いただけますか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 特に委員の御指摘は、行おうとしているというのが不明確ではないかという問題意識に端を発していると思いますが、典型的な事例を例示いたしますと、技能実習生を例えば例にとりますと、実習先から失踪した技能実習生が新たな仕事のあっせんを受けて遠隔地に転居したような場合が典型例になろうかと思います。要するに、本来の活動はもうやめていて、まだ他の活動自体は開始されていないけれども、行おうとしている在留状態にあることが客観的に明らかだということでございます。

 もう少し御説明させていただきますと、行おうとして在留しているかどうかを認定するに当たりましては、対象となる外国人が本来の在留資格に応じた活動を行わなくなった経緯とか、他の活動に向けた準備の状況等の客観的事実が重要な意味を持ってまいります。そして、在留資格の取り消しに当たりましては、これらの事実関係を踏まえまして、当該外国人の本来の活動へ戻る見込みとか新しい他の活動を開始する可能性、現実性等を検討いたしまして、当該在留資格が既に形骸化していると認められるかどうかを判断する必要があると考えております。

 したがいまして、在留資格の取り消しは、入国審査官や警備官による事実の調査を踏まえまして法務大臣が行うことになりますが、取り消しに当たりましては、今申し上げましたような客観的事実を踏まえて判断をすることでございますので、当局が恣意的に、行おうとしているだろうというようなことを認定して在留資格の取り消しを行い得るような性質のものではないと理解しております。

逢坂委員 当局が恣意的な運用をするものではないんだということであります。もちろん、それは当然のことだと思います。ここが恣意的に運用されるというようなことになれば、とんでもないことだと思うんです。

 ただ、これは条文でありますから、今の説明がそのとおり、それでは現場で行われるかどうかというのは、必ずしも十分に担保されているようには私には思われないんですね。条文というのは、やはり条文として成立をしてしまいますと、それが後の世に、条文にこう書いてあるではないかということで、国会の議論なんかもう飛び越えて、条文を真正面から見て解釈をするということも、法務委員会ではありませんけれども、ほかの例でも私はあるような気がするわけであります。

 今回、行おうとするという、これから人々が何かをやろうとする、内面の意思といいましょうか、そういうところまで踏み込むような気がして、非常に私は危うい感じがするんですね。

 だから、予防策を講じようとしているのかもしれませんけれども、これが行き過ぎると、実際には、本当は何にもしていないのに取り締まる、取り締まるという言葉が適切かどうかわかりませんけれども、そういうことにもなってしまうおそれがあるというふうに思います。

 だから、行おうとしているという言葉をここに入れるというのは、私は、法律の面からいって非常に大きな踏み込みではないかなという気がしておりますので、この点、指摘しておきたいと思います。答弁はよろしいです。多分、先ほどの答弁の繰り返しをされるんだろうと思いますので。

 それでもう一つなんですが、今回、新たに五号を追加したわけですが、現行の六号にも似たような規定があって、在留資格をもって在留する者がその活動を継続して三カ月以上行わないで在留しているという場合も、これは在留資格を取り消すことになっているわけですが、これは二つ並立することになるんですけれども、これは関係はどうなるんでしょうか、新しい五号と旧六号との関係。

井上政府参考人 新しい五号の取り消し事由に該当することとなった者につきましては、本来の活動を行わなくなって三カ月を経過すれば、現行の六号の取り消し事由にも該当することになりますので、新五号の取り消し事由と現行の六号の取り消し事由は一部重なり合う部分があるのは御指摘のとおりでございます。

 しかしながら、現行六号の三カ月間不活動状態が続いているというその者の中には、特段定まった活動をせずに三カ月過ごしてきた者や、本来の活動から離れていたことは明らかなんですが、その間何をしていたか判明していない者、あるいは、ほかの活動をしていた疑いがあるんですが、その立証が難しい者とか、いろいろな者がおります。

 すなわち、本法案の成立後も、他の活動を行い、または行おうとして在留しているとまでは言えず、つまり、新五号には該当しないものの、現行の六号には該当するという者が想定されますので、こうした者については、現行制度と同様に六号の適用をして適切に対応していく必要があると考えております。

 そのため、やや技術的になりますが、新五号と現行六号を併存させる必要があると考えております。

逢坂委員 六号、新六号というふうに言ってよいですけれども、これに違反するとして在留資格の取り消し処分というのは、年間どれぐらい出されていますか。お手元にデータはありますか。私は年間六十件程度ではないかなと認識しているんですけれども、どの程度ありますか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 ここ三年間の統計を見ますと、五十八件、六十四件、八十四件となっております。

逢坂委員 要するに、新六号というふうになるもの、旧、改正前の法律にも残っているものが大体五十件、六十件、八十件という程度で、それほど数は多くないというふうにも感ずるんですけれども、これらの内容についてもう少し精査をしなければ、新五号を設置する、新たに設ける意味というか立法事実、それが必ずしも明確ではないのではないかという気がするわけですね。

 現状の中で、新たに五号を設ける、その立法事実をどのあたりに置いているのか、どう見ているのか、この点について説明いただけますか。

井上政府参考人 新しい五号の取り消し事由が必要となる背景といたしましては、やはり、本来の活動をやめて他の活動に入っていると思われる者が、他の活動の立証が難しくて、三カ月待たないと取り消せないというような場合がございます。しかし、その間に所在不明になってしまうということがこれまでも随分数はございまして、そのようなものに適切に対応するためには、他の活動を行い、または行おうとしていることが客観的に認められるような場合につきましては、これを速やかに取り消せるようにする必要があるということでございます。

逢坂委員 今の説明、一見、聞くと、ああ、そうですかと言いたくなっちゃうんですが、所在不明になるおそれがあるということで今回の新五号は適用できるんですか。

井上政府参考人 本来の活動をやめていることに加えまして、他の活動を行い、または行おうとしているということが客観的に認められる場合に、速やかに取り消しができるようにするということでございます。

逢坂委員 ですから、今私が聞いたのは、なぜ新五号が要るのか。それで、三カ月待っていたら失踪する、そういう可能性がある、過去にもそういうことがあった、そういう場合に対処するんだということで一つの例示として挙げられたと思うんですけれども、失踪をする可能性があるということは、今回のこの五号の規定の中からは読めるということになるんでしょうか。

井上政府参考人 具体的に申し上げますと、最近、技能実習先を失踪した技能実習生が他の事業場で就労しているのを発見することがございます。しかし、失踪してから三カ月がたっていないときには取り消しが現行法上はできないわけでございますので、任意帰国を求める、あるいはもとのところに戻るとか、いろいろそういう紛争の解決にかかりますけれども、その間にまた所在不明になってしまうという事例がありますので、そういうことに速やかに対応できるようにするために新しい取り消し事由を設ける必要があるということでございます。

逢坂委員 後でまた、今のやりとり、議事録をよく見てもう一回整理をしたいと思うんですけれども、今のやりとりからもわかるとおり、実は、技能実習生の失踪の一つの大きな理由といいましょうか、それは、先ほど井出委員も質問した、転籍ができる、できないというところが私は非常に大きいんだと思うんですよね。そこがきちっとしていれば、あえて失踪するまでもないし、こそこそ隠れてという言い方は適切かどうかわかりませんけれども、次の職を探そうなどということはする必要がないんだと思うんですね。

 やはりちゃんと、何か事情があった場合は次の研修先にも移れるんだというところが明らかになっていれば、例えば今回のような五号というのは、あえて設ける必要は場合によってはないのかもしれないという気がするわけであります。

 この点、いかがですか。繰り返しになるので、多分同じことを言うんだと思いますけれども。

井上政府参考人 実際に、失踪した後、不法残留状態になったりして摘発された技能実習生からの聞き取り調査などをしておりますけれども、その結果、失踪の動機といたしましては、いろいろ人権侵害的なことがあったというようなものは比較的少数でございまして、最近は、より高い賃金を求めて失踪するというものが過半数になっているというのが実情でございます。

 したがいまして、そのような技能実習生につきましては、これは制度本来の趣旨を逸脱した行動でございますので、しかるべく在留資格の方の取り消しの措置をする必要があると同時に、他方、これまで議論になっておりますように、不適切な取り扱いを受けて、人権侵害的なことがあって失踪やむなきに至ったような者につきましては十分な保護を与える、そのようなことを同時並行で進めていく必要があると考えております。

逢坂委員 それでは、次にお伺いしたいんですけれども、今回の五号がそうでありますけれども、在留資格を取り消されるということになりますと、自治体に即これは通知をするということになって、住民票が消除されるということになるというふうに思います。

 住民票が削除されてしまいますと何が起こるか。国民健康保険の加入資格もなくなる。児童手当もなくなる。場合によっては、公営住宅の入居についても、退去してくださいということになるのだというふうに思うんです。これは即時削除、今回は三月とかということではなくて、すぐ国外へ行きなさいよということになっちゃうわけですので、こういうことになると、非常に、この人の生活そのものがもう一気に破綻をしてしまうという気がするんですけれども、この辺はいかがでしょうか。

井上政府参考人 在留資格を取り消すに当たりまして、逃亡のおそれがあるときには出国猶予期間は与えず即時退去強制手続に入りますけれども、おそれがない場合には、三十日以内の出国猶予期間を与えて任意の出国を促すことになるわけでございます。

 そのような違いがございますが、いずれにしても短期間のうちに出国をしていただくということ、在留資格の取り消しというのはそのようなことでございますので、住民票は消除されますけれども、出国のために動いていっていただく必要があるということでございます。

逢坂委員 仮に三十日猶予があるにしても、その間に、例えば、国民健康保険の資格は喪失するわけですから、病気になったというような場合はどのような対応がされるんでしょうか。

井上政府参考人 在留資格が取り消された後、住民基本台帳制度の対象外となった外国人の方につきましては、社会福祉関係等の行政サービスの提供の対象になるか否かにつきましては、それぞれの行政サービスの目的によって、各自治体において定められているものであると承知しております。

逢坂委員 それぞれの自治体において定められていると。

 私も大臣も首長をやっていましたので、住民票がなくなったら国保から除かざるを得ないんですね、制度上は。こういう状況が生まれる、それについてどう思うか、それでいいのかということを聞いているわけです。

井上政府参考人 基本的には、在留資格が取り消されたということでありますので、速やかに出国をしていただくことになります。

逢坂委員 それでは、もう一点、ちょっと違った角度から聞きます。

 憲法の規定でありますけれども、憲法にさまざまな権利が定められている。在日外国人については、憲法のさまざまな権利の規定は基本的には適用されると考えてよろしいんでしょうか、参政権を除いて。そのあたりはいかがですか。これも通告してあったと思いますけれども。

井上政府参考人 いわゆるマクリーン事件の判決、最高裁判例におきまして、外国人の在留の許否は国の裁量に委ねられておりまして、外国人に対する憲法の基本的人権の保障は外国人在留制度の枠内で与えられている、そのような理解になってございます。

 もっとも、外国人在留制度の外の部分につきましては、これは要するに、権利の性質上、国民のみを対象としているもの以外は、ひとしく外国人に対しても基本権の保障は及ぶ、そのように解されております。

逢坂委員 基本権については外国人に対しても及ぶんだということでありますけれども、それでは、今の規定ですね。

 在留資格を取り消した、それで国民健康保険にも制度上加入できない、でも、その間に病気になった、その場合にどうするのかということについて、基本権にぶつかるのではないかという気がするわけですけれども、いかがでしょうか。

井上政府参考人 在留資格の取り消しの制度そのものは、これは外国人在留制度の枠を決めるものでございますので、どのような要件でこれをするかにつきましては、広い国の裁量のもとに行われているものでございます。そのように理解してございます。

 今回、拡充しようとしております在留資格取り消し制度につきましても、在留資格の取得や保有の状況に重大な問題があるために、それを与え続けていくことが適当でないということから、在留資格制度の適正な管理の観点で、その取り消し事由を拡充し、逃亡のおそれがあるようなときには退去強制の制度の方に移行できるようにいたしまして、そのようなものをするわけでございます。

 その在留資格取り消し制度の結果として外国人の権利が制限されるようなことがあるといたしましても、もともと外国人の権利は在留管理制度の枠の中で認められているというのが基本でございますので、在留資格の取得や保有の状況に重大な問題がある者の資格を取り消すこと自体は合理的なことであるというふうに考えております。

逢坂委員 今の答弁、大分小声になっていて、私はどきどきしながら聞いていたんですが、在留資格制度、この趣旨を徹底する、その結果として人権を一部制限することがあってもそれはいいのだという答弁のように聞こえたわけであります。

 大臣、もう時間がございませんのでこれで最後にしますけれども、今、幾つかやりとりをさせていただいたことからも多少は御理解いただけるかと思うんですけれども、やはり今回の法改正というのは相当課題が多い。これが私は全部だめだというような意味で言っているわけではなくて、やはり、もう少し起こるであろうことや課題が何があるのかということを丁寧に、今の段階で知り得る限りというか、我々が推しはかれる可能な限りでいろいろなことを想定して議論する必要があると思っております。

 そのような観点から、今後、この技能実習生も含めて、大臣のきょうの議論を聞いた上での感想、あるいは見通し、そういったものをお聞かせいただければと思います。

岩城国務大臣 逢坂委員からさまざまな御指摘をいただきました。そうしたことを踏まえながらも、私ども、これからの議論を通してしっかりと丁寧に御説明申し上げ、御理解をいただけるよう努めてまいりたいと考えております。

逢坂委員 これで終わりたいと思いますが、今後とも丁寧な議論をよろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

葉梨委員長 以上で逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 次に、柚木道義君。

柚木委員 民進党の柚木道義でございます。

 質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日も含めまして、与野党の先生方の法案への質疑をお聞きしておりますと、この法案、制度の問題点はかなり共有をされつつあるのではないか、そのように思っております。

 そういった前提の中で、私は、今回の外国人技能実習制度、この法案、導入が拡充されていくとするならば、論点といたしまして、きょうも質疑の中にもございましたが、まず、外国人技能実習生の劣悪な環境での低賃金労働。

 きょうの資料の中にも、皆さん、また質疑の合間にごらんをいただければと思いますが、とりわけ、朝日新聞の連載の「悲嘆に暮れる家族 ジョーイを追って」という上中下のこういった事例であったり、あるいは「ベトナム人実習生 建設現場からの悲鳴」、この七、八、特に八ページ目、本当にこういったところで人が暮らしている、こういった実情。その先には、これは介護分野における非常に驚くべき実態、こういったものも資料に例示をしております。

 そのような実態、まさに強制労働あるいは強制帰国、また、高額の保証金や違約金、パスポートや在留カードの取り上げなどの違法な人権侵害、こういった実態がある、そのように認識をしているわけですね。

 私は冒頭、実は通告もしておりますし、資料にもおつけしているんですが、今回の制度、私自身の立場は、人口減少社会の中で、本当に今のままの国内の人口や労働力の中で我が国の国力が維持されていくのかについては非常に懸念を認識しているわけですが、だからといって、なし崩し的に今のような制度を拡充していくということであっては、実は私の問題意識は、ヘイトスピーチ法案、解消法案とか規制法案とか呼び方はあるわけですが、きょう参議院の法務委員会で、これは与党の議員立法についての質疑ということで、法務大臣はきょうはこちらの衆議院の方においでになられるわけですが、ともすれば、本当にこの技能実習制度も、いろいろ先ほど井出委員とのやりとりを聞いていて、私は歯がゆい思いで実は質問を準備しながら院内の中継で見ていたんですけれども、建前論が横行しているんですよ、やりとりが。

 これは、実態は期間限定の移民政策ですよ、はっきり言って。労働者として受け入れている、そしてその受け皿、制度の整備が十分でない、だからこそこれだけ失踪者が出る。こういう問題がある中でさらなる拡充が行われれば、例えばヨーロッパにおけるさまざまな暴動、我が国は大丈夫ですか。

 そして、まさにヘイトスピーチ。私は、今回のこの技能実習制度を拡充していくプロセスの中で、例えばインターネット上等々でも、まさにヘイトスピーチとも受け取れるようなさまざまな文言が飛び交っている。これは助長するんじゃないですか。この制度を、まさに適正化なくして拡充なし。同時進行という議論があるわけですが、そうじゃないですよ。このまま適正化なしに拡充をすれば、私は、ともすればヘイトスピーチのような流れが助長されかねない、こういう懸念を実は持っております。

 したがいまして、まず大臣に伺いたいのは、きょうは参議院の法務委員会で、与党案、ヘイトスピーチ解消法案ですか、議論がされているわけですね。私もこの間、前大臣の上川法務大臣あるいは松島法務大臣、このヘイトスピーチの認識、もとより、それに対する対応をどういう形で進めていくべきなのかについてもやりとりをさせていただいてまいりました。

 今、法案審議、与党案、その前には野党案、審議をされてまいりましたが、このヘイトスピーチの解消あるいは規制に対する法務大臣の御認識を、答えた機会があったかもしれませんが、改めて、きょうまさに審議をされているという中で、御答弁をいただけますか。

岩城国務大臣 お答えをいたします。

 特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、これは人々に不安感や嫌悪感を与えるだけではなく、差別意識を生じさせることになりかねず、極めて残念でありまして、あってはならないことと考えております。このことは、法務省としても、これまで繰り返し明確に訴えてきたところであります。

 しかしながら、私どもの取り組みにもかかわらず、ヘイトスピーチとされる言動が行われていることは極めて残念なことであります。私もその場面の録画等を見させていただきましたけれども、本当にひどい内容であります。

 ヘイトスピーチを本当の意味でなくすためには、ヘイトスピーチは決して許されないということを国民の間に広く深く浸透させることが、遠回りのようでいて、最も必要なことと考えております。

 社会全体の人権意識を高め、そのような言動が許されないという認識が広く行き渡ることで、ヘイトスピーチの影響力が失われるとともに、そうした言動を行おうとする者が新たに生まれてくることを封じることにつながるものと考えております。そして、そのためには粘り強い啓発が必要であるとも考えております。

 また、あらゆる機会、あらゆる場面で、政府として、ヘイトスピーチは許されないことであるという態度を鮮明にすることが必要であると考えております。

 そこで、ヘイトスピーチはあってはならないということを一層明確に法務省としても示し、粘り強い啓発活動を通じて強く訴えますとともに、人権相談等を通じて人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として立件した上、事案に応じた適切な措置を毅然と講じるよう努めてまいりたいと考えております。

 それで、きょう、参議院の法務委員会で審議が行われているわけでありますが、御指摘の法案につきましては、議員提出によるものでもありますので、今後の国会での議論の状況を私といたしましては見守ってまいりたいと考えております。

柚木委員 もちろん、大臣の今の御答弁、歴代の、上川前大臣、松島大臣も同様の趣旨の御答弁をされてこられ、しかしながら、今まさに野党案審議の後の与党案審議に入っている中で、多少その思いとして踏み込まれた御答弁であったように認識はいたします。

 ただし、今おっしゃられました、人権相談等を通じて、遠回りでいて必要なことは啓発活動、そのとおりなんですが、それで本当にどこまで実効性のあるヘイトスピーチ規制、解消が行われるのかどうなのかについては、まさに今、与党案についても質疑がなされているさなかですよね。

 私は、確かに、大臣、御答弁ではあえて触れられなかったのかもしれませんが、表現の自由との兼ね合い、これはもちろんありますよ。ただ、やはり、私もさまざまな方からお話も、ヒアリングをさせていただき、世界の流れを見れば、これはヘイトスピーチ、まさにここにも報道をつけておりますけれども、さまざまなことが今我が国で起こり、また国会でも問題になり、あのような行われていることについては、表現の自由というようなことを世界の中では言わない。むしろ当然規制の対象になっていて、しかもそれは、例えばヨーロッパなどにおいては、かつては表現の自由という名をかりてユダヤ人迫害などを遂行した歴史から学ぶ、そういった中から、むしろ表現の自由を守るために生まれた法規制という見方もあるわけですね。

 ですから、ぜひ法務大臣としてここはしっかり、我が国はこの間、もう既に、この後、外国人技能実習制度についても私は議論に入っていこうと思っていますが、その外国人技能実習制度自体も、各国国際機関からさまざまな、人身売買等々、人権侵害の指摘も受けてきている中で、ヘイトスピーチの規制あるいは解消というものを、議員立法任せにせずに、政府としてしっかりと主体的に取り組んでいく、この必要性についてやはりきっちりとここで御認識をお述べいただいて、国会の審議を見守る、それは見守るというお立場はわかりますが、しかし、それだけでは、私は、今の与党案についても、恐らく実効性に欠けるという議論がされていると思いますよ。

 今後、どのような議論、場合によっては修正がなされるのか、注視していますが、この今の与党案だけでは、私は実効性に欠ける部分があると思われます。ですから、政府として、これは議員立法任せにせずに、しっかりと取り組みを進めていくという御認識をここでしっかりと明確にお述べいただきたいと思います。

岩城国務大臣 まさに今、与党案が参議院の法務委員会で審議をされ、野党案も提出をされているわけであります。

 そこで、国会におけるさまざまな議論等、そういったものを見守りながら、私たちもヘイトスピーチの問題に対する対応についてはしっかりと検討してまいりたいと考えております。

柚木委員 私がなぜ大臣にそういった認識をしっかりここでお述べいただきたいと述べたかといえば、この間のヘイトスピーチの規制に、与党の中でも、自民党さんの中でもさまざまな議論があって、私も一時期心配していた部分があったわけですね。

 つまり、あえて表現の自由と言ったのは、例えば、この間、国会周辺でさまざまなデモがありましたよね、原発とか安保とか。そういうものに対する規制もあわせてセットで議論をするとか、表現の自由との兼ね合いで、私は、ちょっと間違った方向に行きかけていた部分もあったという認識があったんです。

 恐らく、それは与党の中でも共有をされながら、この議論が収束をしてきたと思うんですが、表現の自由との兼ね合いの中でも、何が表現の自由で、何がそこまで言えないのかの部分について、政府としてここはきっちりと認識を持っていただかないと、実効性の部分、それから逆に言うと、この規制法案、解消法案の今後の運用についてどうなっていくのか、そのあたりについてやはり懸念が、今のままでも実効性と懸念が残ると思っているんですね。

 ですから、これは、今後、法案の審議を見守るという御答弁がありましたが、私は、今のままの法案、今後の修正等が行われるのであればそれを注視しますが、必ずしも十分とは言えないという現実はぜひ共有をいただきたいと思います。

 時間があればもう少し最後に触れますが、きょうは時間の都合がありますから、まずは法案の審議の方をさせていただきたいと思います。

 私は、最もこの法案や制度の中における問題点というのは、やはり、この間議論もされてまいりましたが、この外国人技能実習制度というものが、平成五年度の制度発足以降、私も冒頭申し上げましたようなさまざまな、いわば安い労働力として、場合によっては使い捨て、賃金の不払い、未払い、強制労働、自由が奪われる、そしてけがをしたらもう帰ってくれ、失踪者もふえる、場合によっては治安の面とかいろいろなところにつながりかねない、こういう現実につながってきた部分。

 そして、その現実がまさにこの間、アメリカ国務省の人身売買年次報告書での指摘、あるいは国際条約機関からの報告、勧告なども、自由権規約委員会の勧告、女性差別撤廃委員会の勧告、女性と子供の人身売買特別報告者勧告や移住者の人権に関する国連特別報告者勧告など、つながってきているというふうな認識でおるわけでございます。

 そこで、こうしたさまざまな諸外国、国際機関からの勧告も踏まえながら、今後まず一番に取り組んでいくべきは、この実習生の皆さん方のやはり労働環境、低賃金問題、こういった点についてまずメスを入れていく。そしてその先、通告どおり質問してまいりますが、監理団体や闇ブローカー、送り出し機関、あるいはそれぞれの二国間の取り決め等、そういった制度を整備充実していかなければ、低賃金問題はもとより、まさに現代の奴隷制度とも呼ばれるような状況は解消し得ない、そのように考えております。

 低賃金問題について伺いますが、技能実習生の賃金は最賃レベル、高卒の初任給を大幅に下回っている場合もあるとの指摘がございます。現在、技能実習生の賃金はどれぐらいの水準になっているか。

 また、現行でも技能実習生の賃金は、法務省令におきまして、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上とされておりますが、御承知のように、ほとんど実効性がない規定となっている。そういうことでございまして、この状況についていかに認識をしているか。

 これは厚生労働省と法務省、それぞれ御答弁いただけますか。

宮川(晃)政府参考人 技能実習生の賃金の状況についてお答えいたします。

 厚生労働省といたしましては、委託事業を通じまして、技能実習生が第一号から第二号に移行する際に実習実施者が実習生に対し支給を予定している賃金額を把握しておりますが、その平成二十六年度の平均額は十二万九千五百九十八円でございます。

田所大臣政務官 現行制度におきましては、法務省令の、報酬が日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であるという要件について、地方入国管理局が上陸、在留許可の手続の中で審査しております。

 地方入国管理局においては、個々の受け入れ機関の賃金体系や技能実習生の年齢、経歴等を踏まえて個別具体的に判断するよう努めていますけれども、その調査や賃金評価に限界があることは事実であります。

 新制度においては、現在の日本人が従事する場合の報酬と同等額以上という要件と同趣旨の基準を技能実習計画の認定基準の一つとして定める予定でありますが、新制度で大きく違いますのは、技能実習計画の認定主体が法務大臣及び厚生労働大臣の両者となって、実際には両大臣の委任を受けた一元的な制度管理運用機関であります外国人技能実習機構においてこれを行うこととしております。賃金評価に関して労働行政の視点からの判断もできるようになるということでございます。

 さらに、より適切な判断を確保するために、個々の実習実施者には、技能実習生に支払う賃金が日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であることについて説明責任を課すこととし、説明責任を果たせない実習実施者に対しては、認定基準を満たさないものとして技能実習計画を認定しないこととすることを予定しております。

 具体的には、実習実施者に単に自社の賃金体系を示させるだけではなくて、計画書に記載した技能実習生の予定賃金額が合理的であることを積極的に説明させることや、技能実習二号または三号を行おうとする技能実習生については、一号実習生の賃金額を上回ることを求めること等も検討しております。

 これらによって、技能実習生の賃金がこれまで以上に適正なものとなるようにしたいというふうに考えているわけでございます。

柚木委員 今、田所政務官の御答弁があったんですけれども、もちろん厚生労働省も含めて。そうであるならば、これは、法案では「技能実習生の待遇が主務省令で定める基準に適合していること。」と省令委任をしていて、有識者懇の報告書では「同じ程度の技能等を有する日本人の労働者に支払っている賃金額を示し、要件を満たしていることについて説明しなければならない」と、説明責任を課すべきと示されておりますが、実習の実施機関ごとの判断では、やはり技能レベルの違いなどということで安易に低賃金を認めるものとなる懸念というのは否定できないんだと思うんですね。

 ですから、待遇における公平公正を担保する客観的基準をいかに省令に規定するのか、その仕組みを。今のような、その後の対応は結構ですよ。しかし、やはり、その実効性を担保する上で、客観的基準をいかに仕組み、省令に規定するのか、ここがポイントだと思うんですが、これは厚生労働省になるんですかね。ちょっと答弁いただけますか。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、法務省、厚生労働省の合同有識者会議で、今先生御指摘のような報告書がまとめられたところでございます。これを踏まえまして、詳細につきましてはこの法案が成立した後に省令等で定めていくこととなりますが、実習生の適正な待遇が確保されますよう、この報告書を踏まえまして、説明責任を果たさない実習実施者に対しましては技能実習計画を認定しないなど、個別具体的な判断により、実効性を担保し、適切に対応してまいりたいと思います。

 なお、技能実習生を含めた労働者に支払われる賃金というのは、企業規模ですとか個々の労働者に求められる役割、あるいは責任の大きさなど、千差万別でありますので、一律の形での基準というような形のものも含めて、それはなかなか難しい点はあるかもしれませんが、詳細につきましては省令で定めさせていただきたいと思っております。

柚木委員 詳細について省令で定めるということであります。

 これは、実際に実習生の皆さんの立場に立って、自分のもらっている賃金水準がよくわからない、そして、そういう状況の中で対象職種が拡大をされる。とりわけ、現行でも低賃金で人が集まらない、そういう状況が指摘をされている介護分野です。

 私は、これはやはり職種、地域ごとの賃金水準をしっかりと明示して、そして現場で実習に来られる方々にもしっかりと理解をしていただいて、さらには、そこで疑問などが生じた場合の相談窓口などをしっかりと明示、整備をしていただくことがなければ、後で省令ということであっても、どこまで実効性が担保されるのか、現段階では私の中では確信を持てないという部分がございますので、これはしっかりとそういう取り組みを今後も注視してまいりますので、よろしくお願いしておきたいと思います。

 それから、資料の三ページ目以降につけておりますが、これは「実習生 相次ぐ死亡事故」。

 きょう、質問に当たっていただいたさまざまなデータの中でも、事業所の監督指導、これは違反率が八割、七割。大多数の事業所での違反というのはずっと継続しているんですね。不法行為、大多数は賃金等の不払い、その他にも、暴行、旅券、在留カード取り上げ、人権侵犯、保証金徴収。そして労災。私、それぞれ、一般の労災の死傷者の数値、これは比率ですけれども、いただくと、こちらの外国人技能実習生の方の死傷者数の方が、二十五年、二十六年度、それぞれ数字上もかなり上回っているんですね。

 こういった中で、やはり何が重要なのか。ここにも「立ち入り強化・保険義務化を」というようなことで、弁護士さんのコメントがついています。

 私は、やはり監理団体、あるいは闇ブローカー、それから送り出し機関の適正化、こういったものをしっかりと行っていくことが不可欠だと思いますが、法案では「実習監理を行う者又はその役員若しくは職員は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、技能実習生の意思に反して技能実習を強制してはならない。」とされておるんですが、これは何で実習実施者は対象になっていないのか。これは法務省、御答弁いただけますか。

田所大臣政務官 直接の雇用主であります実習実施者については、技能実習生の意思に反して技能実習を強制する行為をした場合には、労働基準法五条の「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」という規定に違反することとなり、同法百十七条によって、一年以上十年以下の懲役または二十万円以上三百万円以下の罰金に処されることとなります。

 しかしながら、監理団体にはこのような規定がなかったことから、御指摘の法案四十六条の禁止規定及び法案百八条の処罰規定において労働基準法五条と実質的に同じ行為を禁止した上で、同法百十七条と同一の法定刑を定めているわけでございます。

柚木委員 今、労基法五条の対象ということを御答弁いただいたわけですが、これは厚生労働省に確認しますが、技能実習制度におきまして、強制労働に該当する極めて疑わしいケースが多いということで指摘をされているわけですね。ところが、労基署が労基法第五条を適用しない理由について、厚生労働省は、この五条違反構成要件を全て満たす事例は確認されていないとされていると聞いております。

 労基署が労基法第五条を適用できないとなると、今の御答弁、実効性は何ら担保されないということになってしまいますが、これはどのように認識をされておられますか。

大西政府参考人 労働基準法第五条の違反でございますけれども、確かに、現時点で第五条違反として送検した事例はございません。

 しかしながら、厚生労働省におきましては、技能実習生に係る強制労働が疑われる事案でありますとか、あるいは技能実習生への暴行、脅迫、監禁等、技能実習生からの違約金等の徴収等、技能実習生の預金通帳、印鑑、旅券等の取り上げ等が疑われ、かつ、技能実習生に係る労働基準関係法令違反が疑われる事案等につきましては厳しく対処する所存でございまして、かような事案につきましては、出入国管理機関との合同監督、調査を実施するなど、厳しく対処しているところでございます。

柚木委員 厳しく対処していても、相次ぐ死亡事故、この現状が改善されていないわけですね。

 今後、この制度が適正化なくして拡充されていくと、ますます、この四ページ目以降に、これは、ある方の実例。ジョーイという方が、当時二十七歳の外国人技能実習生で、実は、日本への出稼ぎは本人の強い希望だったわけですね。前日まで元気に働かれていたジョーイが急死をして、奥さん、あるいは、この中にも出ています、お父さんががんになられて治療費も必要になって、ジョーイは滞在を実習生として当時最長の三年に延ばして、そして娘さんが生まれて、本当に毎月頑張って仕送りをして、しかし、急死をしてしまった。お父さんはどうして帰ってこないのと娘さんが言うたびに奥様は涙ぐむ、お墓を訪れれば、お父さん早く起きて、出てきてと呼ぶ、こういうような事例。

 これは本当に、私は、今のような今後の対応、運用で大丈夫なのかなという懸念を持ちますし、また、ベトナム人の実習生の問題も、この後ちょっと質疑に移りますけれども、「監理団体と交渉」と次の八ページ目に書いているんですけれども、こういう現実ですね。

 監理団体の担当者、これは弁護人との間でやりとりをするということになって、ところが、当日、担当者は出てこない。会社の方も出てこない。代理人の弁護士が出てきて、その代理人の弁護士御自身も、自分が技能実習制度の仕組みについて十分承知していないことを認めて、法違反、人権侵害は早急に解決されるべきであることを確認したと。代理人として選任された事情を聞くと、監理団体がJITCOに、これは労働組合の全統一というところから申し入れがあったと相談した際に、JITCOから代理人弁護士を立てるようアドバイスがあったためである、JITCOの姿勢を象徴するようなエピソードだということで、これはどちら側に立っているのかということでございます。

 制度で必須とされている三カ月ごとの監理、毎月の訪問指導も有名無実、多くの法令違反、不正行為に目をつぶっていた。実習生たちの訴えに対しても、まともに取り合おうとせず、働くのが嫌なら帰国をするしかないと突き放していた。今回の事件では、技能実習制度で不正行為とされている暴行、脅迫、賃金不払い、人権侵害、雇用契約に基づかない業務、技能実習計画との乖離、実習計画継続不可能時の報告不履行、監査、相談体制の構築不履行、労働関連法違反、不法行為のオンパレードとあるわけでございます。

 これは、今の御答弁、この後、強制帰国の実例、事例、それから保証金、違約金の禁止、そしてパスポート、在留カードの取り上げ禁止、私生活の自由の制限禁止などなど、今ちょっと答弁にもお触れいただいたんですが、これを本当にきっちりとチェックしていこうと思ったら、今回新たな機構ができる部分の実効性も含めて、どのようにして実際にこういうことが起こらないことを担保していくのか。

 ちょっと時間がないので、この強制帰国や保証金、違約金の禁止、そしてパスポート、在留カードの取り上げ禁止等はお触れいただきましたが、改めて、これは送り出し機関の適正化というのも非常に重要でありますので、ここまで法務省の方に通告しておりますので、ちょっと恐縮ですが、まとめて御答弁いただけますか。

井上政府参考人 まず、強制帰国への対応でございますけれども、これは法案では強制帰国の文言は用いてございませんけれども、対処策が講ぜられております。

 まず、実習実施者への対応としては、技能実習計画の途中で技能実習を一方的に打ち切ることになりますので、それは計画に従って技能実習を行わせていないということを理由とする計画認定の取り消しが可能ということになります。取り消されれば、五年間の欠格期間に入るということになります。

 監理団体にいたしましても、強制帰国に関与した場合には、技能実習計画に従った実習監理を行う義務に違反したということを理由に、監理事業の許可の取り消しが可能になります。

 さらに、案件の内容に応じてですが、意思に反して技能実習計画を打ち切り帰国させる過程で、この法律に基づく技能実習継続困難時の報告義務違反、あるいは解雇に関する労働法令違反、暴行、脅迫等があれば刑法犯等々の適用対象となります。

 また同時に、予防措置として、帰国を迫られるなどした技能実習生からの相談に対応する母国語相談窓口を機構の方に整備する予定にしてございます。

 それから、法案におきましては、実習実施者や実習監理者が技能実習生の旅券や在留カードを保管してはならないとし、それに対する違反行為に対する罰則を設け、あるいは、対外的な通信や外出の禁止に財産上の制裁等を伴ったものを告知すれば、それも処罰できるようにするなどの罰則を整備してございます。

 これらの関係では、外国の送り出し機関について直接の処罰をかけてございませんが、それにつきましては、それぞれ日本国内における具体的な行為であることから、まず、日本国内の実習実施者や監理団体の方を直接の規制の対象にすることによりまして相応の効果が期待できるほか、外国にある外国の送り出し機関につきましては、むしろ二国間取り決めを結びまして、送り出し国の協力を得て、送り出し国の中の法律に基づいて、そちらで不適切な送り出し機関を排除して送り出し機関の適正化を図っていく仕組みを基本にしようと考えておるところでございます。

柚木委員 時間が来たので、これは今の答弁についてまだまだ質疑したいので今後に譲りますが、大臣、最後に一言だけ。

 今のを聞いていただいて、いかがですか。本当にこういう状況で、私、冒頭も言いましたように、制度の適正化なくして拡充なしにしないと、これは今の政権で、ビジット・ジャパン、二〇二〇年訪日客四千万人、三〇年ごろは六千万人をうたっていますね。オリンピックに向けて、お金を落としてくれる人はおもてなしの一方で、こういう実態をそのまま進めていくことで、本当にこれは日本として、世界に向けてどういう受けとめられ方になっていくのかどうなのか。

 適正化なくして拡充なし、その認識を最後に一言だけ下さい。

岩城国務大臣 適正化なくして拡充なしという御指摘でありました。そういったきょうのさまざまな議論等も踏まえまして、私ども、適切な制度にしていきたいと思っておりますので、議論の中でしっかりと御理解をいただくよう努めてまいりたいと考えております。

柚木委員 終わります。ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で柚木道義君の質疑は終了しました。

 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民進党の鷲尾でございます。

 質疑に入る前に、熊本の大震災でお亡くなりになられた方の御冥福をお祈りし、また、御遺族の方にお悔やみを申し上げ、被災された皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。

 政府におかれましては、できる限り早い復旧復興に努めていただくようにお願いする次第でございます。

 それでは、質疑に入らせていただきたいと思います。

 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案ということでありまして、こういう法律ができること自体が非常にすばらしいことであるというふうに思っておりまして、従来の枠組みからさらに適正化を図るための枠組みを、これからるる質問でも申し上げますが、こういう情勢下におきまして閣法として提出されることはすばらしいということをまずは申し上げたいというふうに思います。

 ただ、私も地元を回っておりますと、今、特に地方で人手不足ということが深刻化いたしております。人がいない。人がいなくて、事業を拡大していきたいんだけれどもどうしようもない、来てくれない、こういうことが今、地方では頻発をいたしておりまして、地方というか、日本全国なんでしょう。その中で、特に地方は、首都圏並びに大都市圏に人手をとられてしまっていて、その結果、人手の偏りによって地方ではますます人手不足が深刻化しているという状況であります。

 その状況下におきまして、地方の活性化でありますとか、あるいは日本全体の経済成長ということを目指す中で、人手不足がかなり供給側の制約になっているであろうということが推測をされるわけでありますが、こういう状況下において、新たな枠組みをつくって技能実習制度を拡充していく、これを時宜にかなったものと見るかどうかというところでいきますと、人手不足の企業さん、事業家にとってみると、こういう技能実習制度というのがどういう意味合いで認識され利用されていくかということは、事業家の立場に立ってみたら、かなり人手不足だから、政府が考えているような技術移転ということではなくて、外国人技能実習生を逆に労働力として使ってしまう、こういう地合いであるだけに、そういう事業家の皆さんの勘違いも起こりやすい、こう思うわけであります。

 この点、政府に見解を問いただしたいというふうに思います。

岩城国務大臣 まず、熊本の地震についてお触れになられました。

 法務省としましては、法務行政の職務の遂行に万全を期す、あるいは避難住民の皆様の支援に万全を期す、それから法務行政への民間協力者に対する支援に万全を期すべく対応しておりますことを御理解いただきたいと存じます。

 さて、おただしのことについてお答えをさせていただきたいと存じます。

 まず、技能実習制度ですが、これは、労働力の受け入れを目的とする制度ではなく、開発途上国等への技能移転を通じた国際貢献という重要な意義を有する制度でありまして、外国人労働者の受け入れ制度によってかわれるものではありません。すなわち、技能実習制度につきましては、今回の法案により適正化を図りつつ、その制度趣旨に沿ったものとして今後とも活用していくべきものでありまして、外国人労働者受け入れにつきましては、技能実習制度の見直しとは別に議論されるべきものであると考えております。

 そこで、この外国人労働者の受け入れに関しては、政府といたしましては、専門的、技術的分野の外国人については、我が国の経済社会の活性化に資することから、積極的に受け入れることが重要と認識をしております。

 他方、専門的、技術的分野とは評価されない分野の外国人の受け入れにつきましては、ニーズの把握や経済的効果の検証のほか、日本人の雇用への影響、産業構造への影響、教育、社会保障等の社会的コスト、治安など、幅広い観点から、国民的コンセンサスを踏まえつつ、政府全体で検討していく必要がある問題と認識をしております。

 もっとも、我が国の少子高齢化、人口減少が進む中、外国人労働者の受け入れのあり方につきましては、国民各界でさまざまな意見があると承知をしておりまして、政府としても、その検討を進めていく必要があると考えております。

 そこで、中長期的な外国人材受け入れのあり方につきましては、昨年六月に閣議決定された日本再興戦略において、「真に必要な分野に着目しつつ、」「総合的かつ具体的な検討を進める。」「移民政策と誤解されないような仕組みや国民的なコンセンサス形成の在り方などを含めた必要な事項の調査・検討を政府横断的に進めていく。」とされております。

 法務省といたしましても、出入国の管理を所管する立場から、この検討に積極的に参画してまいりたいと考えております。

鷲尾委員 大臣にちょっと先の質問も答弁をいただいたようなんですけれども。

 人手不足でありますから、人手不足については別途検討しなければいけない。外国人技能実習制度はあくまでも技術移転であり、国際協力の一環であるという建前で運用していくということでありますから、これは同時並行的に議論をしなければいけないんですが、外国人人材の活用については、大臣の御答弁にも中長期的と一言おっしゃっていたと思いますけれども、私は、人手不足についてはかなり喫緊の課題だと思っております。しかも、目下、現実として非常に重要な問題であるので、やはりその議論のスピードをできる限り速めていただきたいというのが一つ御要望でありまして、これについてのコメントもいただきたいです。

 あわせて、お隣の韓国で雇用許可制という制度がございます。これは、韓国は日本型の研修生制度というのがあったんですけれども、さまざまな理由から、違法性のあるブローカーの存在でありますとか、いわゆる研修生の人権侵害でありますとか、さまざまな問題がありまして、二〇〇四年に雇用許可制というのに転換をしておるんですね。

 そういう韓国の制度というのは、ある意味、韓国も民族として外国人比率が極めて低いわけでありますし、近い国でそういうことを制度としてつくっているというところも横目に見ながら、日本としては、そういう制度を参考にしながらできる限り早く議論をしていかなければいけないというふうに思っておりますので、その雇用許可制につきましても検討されているのかどうか、そういうことも含めまして大臣から御答弁をいただきたいと思います。

岩城国務大臣 専門的、技術的分野とは評価されない分野の外国人受け入れにつきましては、幅広い観点から、国民的コンセンサスを踏まえつつ、検討することが必要であると思います。

 関係省庁間で種々の意見交換を今行っておりますが、現時点で具体的な検討状況を御説明できる段階にはございません。

 いずれにしましても、先ほど申し上げました日本再興戦略に基づき、政府横断的な検討を行ってまいりたいと考えております。御指摘のことも十分踏まえながら検討を進めていきたいと思います。

 それから、韓国の外国人雇用許可制ですか、これにつきまして、具体的に概要を述べますか。それについて検討しているかどうかということですか。(鷲尾委員「いや、概要は結構ですから。検討しているかどうか」と呼ぶ)これも踏まえてこれから検討してまいりたいと考えております。

鷲尾委員 私がこれをわざわざ話題に出したのは、これはもう喫緊の課題であるということと、今の御答弁でも感じるんですけれども、やはり政府内における温度を感じますね。現実はもっと厳しい状況ですよ、今、人手不足というのは。前も法務委員会で、当時は私、葉梨委員長に副大臣時代に御質問申し上げましたけれども、現実、進んでいる状況と政府の検討状況、この差は今の御答弁でも私は感じますね。

 できる限り早く検討しなければいけない状況であって、難しい問題なんです、それは。難しい問題だと思っていますけれども、では、政府がやらなきゃ誰がやるんだという話ですから、早く検討していただきたい。その決意のほどを大臣に御答弁いただきたいんです。お願いします。

岩城国務大臣 経緯、現状については先ほど申し上げたとおりでありますが、委員の御指摘も踏まえまして、現状をよく認識しながら検討を進めていきたいと思います。

鷲尾委員 それでは、次の質問をさせていただきたいと思いますが、JITCOの件であります。

 今回、外国人技能実習機構というのが新たにできますけれども、JITCO自体の監督のあり方を踏まえて、あわせて今回の法案の中で外国人技能実習機構がつくられるわけですから、実際、JITCOの巡回指導の実態、公表されている資料を見ても年度ごとにかなりばらつきがありますし、目標としているものに足る水準の管理監督ができていたのかということ。

 それ以上に、実際に、後でも少しお話ししますけれども、例えば失踪者が出てきてしまっている等々、内容それから結果ともに満足する水準にないというふうに私自身は認識をしておるわけですけれども、この法案によってそれを補完していって、今申し上げた管理監督の方法なりあるいは結果なりをより改善すべき方向に持っていくのが筋だと思っていますが、この点につきましての認識を問いたいと思います。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。JITCOの巡回指導の実態等についてお答えさせていただきます。

 厚生労働省からの委託事業としまして、JITCO、公益財団法人国際研修協力機構が受託し実施してきました巡回指導、毎年度数千件程度、平成二十六年度ですと六千百十六件の改善指導を行ってきたところでございます。厳しい予算状況の中、近年、巡回指導件数は減少傾向にあるものの、この取り組みは制度の適正化のために一定の役割を果たしてきたものと考えております。

 しかしながら、いまだに不正行為、法令違反が発生していることは承知しておりまして、JITCOによる巡回指導には法令上の根拠がなく、指導監督の実効性に限界があったこともその一因と考えております。

 このため、この法案では、外国人技能実習機構を新設し、法律に基づく実地検査などを行わせることとしておりまして、これにより、実効性のある形で指導監督を行うことが可能になると考えております。

鷲尾委員 もうちょっと、例えば、今私が質問しました、調査件数自体にかなりばらつきがあるんですよ。その理由についてもこの委員会の場で、どうなんだという話をしていただきたいし、実際に、失踪者の推移につきまして、結構ふえてきていると思うんですね。そこら辺の現状認識もあわせてお伺いしたいんです。

井上政府参考人 失踪の方についてお答えさせていただきます。

 技能実習生の失踪者数は年々増加傾向にありまして、平成二十七年には五千八百人を超えるというところまでふえまして、入管局といたしましても、この事態を大変重く受けとめているところでございます。

 これまで、失踪した技能実習生や関係者から事情聴取するなどして調べた結果、失踪の動機としては、技能実習を出稼ぎ労働の機会と捉えて、より高い賃金を求めて失踪する者が多数であるということ、少数であるけれども、技能実習生に対する人権侵害行為等、受け入れ側の不適正な取り扱いによるものがあることが判明してございます。

 そこで、現行制度下におきましても、失踪者を多数発生させている送り出し機関や監理団体等に係る技能実習生受け入れの申請につきまして厳格に審査するなどの対応をとってございますが、新制度のもとでは、さらに、送り出し国政府との政府間取り決めによりまして、送り出し国や送り出し機関による技能実習生に対する制度趣旨の周知徹底を求めるとか、高額な手数料を徴収する不適切な送り出し機関を排除するなどの対応をとってまいりたい。

 また、審議中の入管法改正法案では、逃亡した技能実習生にも対応しやすくなる新たな在留資格取り消し制度の事由を創設してございます。

 また、審議中の技能実習法案の方では、技能実習生に対する人権侵害の禁止規定や罰則、相談受け付け体制の整備等も盛り込んでおりまして、受け入れ機関側の問題による失踪にも対応して、このように総合的に失踪の問題に取り組んでまいりたいと考えております。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 JITCOによります実習実施機関に対します巡回指導の実績でございますが、二十四年度は九千百八十四件、二十五年度七千三百九十件、平成二十六年度六千百十六件でございます。

 巡回指導件数、改善指導件数が減少傾向にある理由といたしましては、一つは、厳しい予算状況の中で、この予算額が、平成二十四年度ですと三億九千万円、二十五年度三億七千万円、二十六年度三億四千万円と漸減してきたところとあわせまして、総務省から平成二十五年の四月に、巡回指導に関する改善をしろという形の勧告がございまして、それによりまして、例えば技能実習一年目の実習生を巡回指導の対象としていなかったものをするなど、内容的な、質的な向上を図ったために件数が減少したというふうに理解しているところでございます。

鷲尾委員 より実効あるという意味で、外国人技能実習機構がこれから担うということになるんでしょうけれども、予算を減らして、実際、失踪者がふえる、こういう単純な関係にあるわけですから、質的に拡充したとしても、結果として失踪者がふえているということは、やはりそこは連携して重く見ていただいて、よりよい方策を考えていただきたいというふうに思うわけであります。

 外国人技能実習機構の陣容でありますとか予算規模、あるいは体制につきましてはこの法務委員会でも質問があったというふうに思いますけれども、では、実習機構としてどういうことを目標にして監督をしていくのかとか、例えば今の失踪者数であれば、先ほど法務省からも答弁があったように、増加傾向にあるというのは非常に問題だということでありますから、では、新たにこの法律を成立させることによってこれをどこまで減らしていこうと考えているのかとか、そういった目標まで含めてどこまでを想定されているのか、御答弁いただきたいと思います。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 外国人技能実習機構は、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るということを目的に、監理団体、実習実施者に対して指導監督を行うこととしております。具体的には、主務大臣からの委任に基づきまして、監理団体に対しましては年一回、実習実施者に対しては三年に一回程度の頻度で、関係書類等を実地に検査するほか、必要な報告、帳簿書類の提出を求め、対応していくことを想定しております。

 これらを通じまして技能実習法違反等の不適正な事案を発見した場合には、是正を指導し、改善を求めるとともに、指導に従わず、または改善がなされない場合には、技能実習計画の不認定あるいは認定取り消し等につなげることにより、制度の適正化を図ってまいりたいと思っております。

 また、この組織は、当然のことながら公費を使うわけでございますので、そういう意味で、このような業務の内容について適切な目標を設定していきたいと考えております。

鷲尾委員 その目標はもうちょっと具体的に言えないんですか。

宮川(晃)政府参考人 先ほど申しました業務の内容を踏まえまして、今後、この法案が通りましたところで、適切な目標を設定したいと考えております。

鷲尾委員 さっき、失踪者がふえているのは重要だと言いながら、そこに対する意識が余りない気がしますね。そういうところも目標として頑張っていくよぐらい言ったっていいんじゃないですか。

宮川(晃)政府参考人 本日の先生の御指摘も踏まえて、適切な目標を設定していきたいと考えております。

鷲尾委員 いかに管理しても結果が伴っていないとまずいわけですから、結果を伴うということを重視していただきたいというふうに思います。

 それで、今回、技能実習第三号を創設されて、その場合、優良な実習実施者並びに監理団体が技能実習第三号をできるということになっておりますけれども、この優良な評価、この基準がどんなものかということもちょっと御答弁いただきたいなというふうに思います。

井上政府参考人 実習実施機関や監理団体の優良性の基準のお尋ねでございますが、技能等を修得させる能力や実習状況の監査を遂行する能力が高い水準を満たすかどうかという観点から、主務省令で定めることとしております。

 具体的な定め方につきましては、法務省と厚生労働省の合同の有識者懇談会の報告書におきまして、優良と判断する際の視点として、過去三年分の実習生の技能評価試験での合格率でありますとか、実習生に対する適切な相談体制や指導体制が整備されているか、あるいは行方不明者を発生させていないかなどの例が示されているところでありまして、このような有識者懇談会の意見も踏まえながら適切に定めてまいりたいと考えております。

鷲尾委員 では、今御答弁があったところは基準に入るということでいいんですかね。踏まえるということは入るんだよということでいいんですね。

 加えて、過去の委員会でも議論されていますけれども、これは外国人技能実習ということで、国際貢献、技術移転というのが大義名分になっているというところで、帰国実習生のフォローアップ調査が、アンケートの回収率とかを見ても極めて低いレベルでありまして、私、これも過去の委員会でも質問したんですけれども、こういうものも、帰国実習生のフォローアップ調査ということも優良な基準にすべきだろうと。実際、そこまで見て初めて、この制度を運用する上で優良な実施主体じゃないかと見るべきだと思うんですが、この点はいかがですか。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のフォローアップ調査の有効回答数や回収率を高めていくこと、これは非常に重要だと考えております。

 このため、監理団体、実習実施者に対しまして、帰国する実習生への調査票の配付あるいは調査への理解の要請等により、引き続き調査への協力を求めるとともに、今後は、例えば送り出し国との二国間取り決め等を通じまして、送り出し国政府及び送り出し機関等にも協力を求め、帰国後の実習生に回答、返信を働きかけてもらうなどに取り組んでいくこととしております。

 帰国後のフォローアップ調査でございますが、これは、実習生本人の自由意思に基づく回答ということを担保するため、帰国後にみずから調査票を記入し、監理団体や実習実施者を経ずに直接調査者に返送していただくこととしておりますところから、優良な受け入れ機関の評価基準として取り込むことがどこまで可能かというのはなかなか難しい点があろうかと思っております。

 以上でございます。

鷲尾委員 今お聞きすると、確かにそういう部分はあるんだろうなというふうに思いますけれども、従来の取り組みでいくと、回収率一〇%以下とか、ちょっとこれは制度として大丈夫なのかというところがありますので、幾ら自由意思に任せるからといっても、それはもう言いわけにしかなりませんから、これも、それこそ、どれぐらい回収するんだという具体的な目標を掲げてもらわないといけないんじゃないかなと思いますね、政府として。どうですか。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 帰国後のフォローアップ調査という性格上、ある程度の数字を出そうとしても、やはりある程度低くなってしまうことはやむを得ない部分もあるのかと考えておりますので、このフォローアップ調査の内容で、今調べている内容のうち、帰国後に書かなければならないものと帰国前に書かなければならないものを例えば分けた上で、帰国前に聞けるようなものについては、先ほど先生の御指摘があったような、監理団体、実習実施者の協力を得て、そういう方々の協力を得ながら、フォローアップ調査の回収率の引き上げ、フォローアップというか、そういう実態調査の回収率の引き上げということに取り組んでまいりたいと思っております。

鷲尾委員 時間がないので、次に行きたいと思います。ちょっと細かいんですけれども、一応聞いておきたいと思います。

 たしか、技能実習で、第三号の場合は一旦帰国するんですよね。一旦帰国して、原則一カ月以上は間をあけて、それからまた技能実習の実施機関のところに戻ってくる、そういうたてつけだと思うんですけれども、一カ月以上というのは何となく、人道的配慮というか、そこももしあれでしたら、一カ月以上というところも詳しく教えていただきたいですが、一カ月以上なんですよね。では、上限というのはあるんですか。上限というのは、一年いてもいいのか、一年行って戻ってくるということもありなのかとか、そういうことです。

井上政府参考人 技能実習生が帰国して、修得した技能等を本国に移転して活躍することは、制度本来の趣旨に沿うものでございますので、技能実習二号を修了してしばらく本国で活躍してから三号に行くという場合もございますので、再び本邦に入国するまでの期間の上限を設けることは想定してございません。

 ただ、三号で再入国しようとする際に、本人の帰国後の就労状況なども見まして、三号はある程度高いレベルの実習になりますので、三号の技能実習が適切に実施できるような状況であったかという観点から審査を行うことで、さらに高いレベルの技能修得を目的とする三号の適正な実施を確保するようなこととしてまいりたいと思っております。

鷲尾委員 それでは、また少し、今度は報酬の方の質問に移りたいというふうに思います。

 技能実習生の報酬ですけれども、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬と規定されております。これは、どうやらやはり技能実習生の賃金というのは、平均してみますと高卒初任給よりも低い水準にあるというのがいろいろな資料からわかってございますけれども、これはどういう理由なのかというところを御答弁いただきたいと思います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 技能実習生の報酬につきましては、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上という要件を定めてございまして、そのことにつきましては、個々の受け入れ機関の賃金体系でございますとか、技能実習生の年齢、経歴等を踏まえて判断されることとなります。

 ところが、技能実習生を受け入れている実習実施機関の多くの部分は、いわゆる中小零細に属する小規模の事業者でございまして、一般的に、日本人の従業員も含めまして賃金額が高くなりにくい傾向にある上、技能等の修得のために来日した技能実習生は、一般的に日本語の理解が当初は少なくとも十分でございませんし、日本人に比して技能等が未熟でありますので、従事する業務内容がおのずと限定されてまいりますので、賃金額が最低賃金を大きく上回ることが難しい状況にあるものと思われます。

鷲尾委員 だとしたら、「技能実習生の待遇が主務省令で定める基準に適合していること。」、これはどういう内容かというところも御説明いただけますか。

宮川(晃)政府参考人 御指摘の省令でございますけれども、技能実習制度につきまして、一部に国内外から批判がある中で、実習生が適正に技能修得できる環境の確保を徹底するという観点が非常に重要であるということから、主務省令におきましては、例えば、現行の入管法令と同様に、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であることといった内容を盛り込むことを想定しております。

 いずれにいたしましても、主務省令の内容につきましては、法案が成立した場合に具体的に検討してまいりたいと思っております。

鷲尾委員 そんなところの答弁にならざるを得ないですかね、そうしたら。

 では、次の質問に行きますね。

 日本人と同等以上の待遇を担保するために、これは厚労省でしょう、労基署の監督もあわせてしっかりと行っていくべきだと思いますけれども、これについてどう思われますか。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 技能実習生の待遇につきましては、新制度では、実習生の賃金が日本人が従事する場合と同等額以上であることについて、これについての説明責任を実習実施者に課して、技能実習計画の認定などの際にそのことを確認することによって実効性を担保することとしたいと考えております。

 説明責任が果たされていないと判断される場合は、外国人技能実習機構と主務大臣が連携して是正指導あるいは改善命令等を行うこととし、仮にこれに従わない場合には、技能実習計画の不認定、あるいは既に認定を受けた計画の認定取り消し等の措置を講ずることとなるものでございます。

 なお、現在も、労働基準監督署等におきましては、実習実施機関に対しまして監督指導を行っておりまして、労働基準関係法令違反が認められた場合に、労働基準監督署等において厳しく指導しておるところでございます。

 新制度におきましても、外国人技能実習機構と労働基準監督署などが連携しつつ、実習生の待遇が適切なものになるよう、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

鷲尾委員 ちょっと質問を一つ飛ばしますね。

 日本語要件についてなんですけれども、介護の話ですね、日本語要件というと介護なんですけれども、先ほど、技能実習生の報酬がどうしても最低水準に近くなってしまうということが、その理由の一つとして、やはり日本語の能力にも差があるということでありました。

 だとするならば、日本語要件について、当然、技能実習生としてもある程度身につけてから来た方が、日本語で賃金がかなり低いという状況から改善するというところもあるでしょうし、あるいは、技能実習生を受け入れる側からしても、ある程度日本語を話せた方がいいんじゃないかなというふうに思いますので、安易に日本語検定の水準を落とすべきではないというふうに考えるんですけれども、この点いかがでしょうか。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 これまで、技能実習制度で、技能実習生に日本語能力というのを要件としている例がないわけでございますけれども、介護については対人サービスでございます。そうした上で、厚生労働省の検討会でも、介護職のイメージ低下を招かないように、あるいは、日本人と同等に適切な処遇を確保し、日本人労働者の処遇、労働環境の改善の努力が損なわれないように、それから、サービスの質を担保するとともに利用者の不安を招かないようにすることという、三つの要請に応えることが必要ということで、この三つの要請全てに関係するものとして、必要なコミュニケーション能力の確保ということをその報告書の中に盛り込んでございます。

 具体的には、その報告書の中でございますけれども、技能を学んで帰国することを前提とする技能実習制度の性格もございますが、段階を経て技能を修得するという制度の趣旨から期待される業務内容、到達水準との関係を踏まえ、日本語能力試験、これは国際交流基金等で実施しているものでございますけれども、入国時には、基本的な日本語を理解することができるレベルとされるN4程度を要件としつつ、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができるレベルとされるN3程度が望ましい水準として、個々の事業者と実習生の自主的な努力を求める、二年目以降の業務への円滑な移行を図るとともに、二年目以降につきましては、N3を要件とすることとしております。

 いずれにいたしましても、今後、技能実習制度に介護職種を追加する場合には、介護実施機関から提出されます技能実習計画の認定基準といたしまして日本語能力要件を設定いたしまして、技能実習生の日本語水準の制度的な担保を図るとともに、技能実習生が適切に日本語学習を行うことができるように、環境整備に努めてまいります。

鷲尾委員 日本語を習得した方がお互いにとってメリットであるだろうと思いますので、私はそこは、安易に水準を、余り間口を広げ過ぎてもしようがないんじゃないかなというふうには思っております。これは意見として申し上げておきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、質問を飛ばし飛ばしでいきたいというふうに思います。

 悪質な事業者をこれから排除していこうということでありますけれども、国内ですと、ある程度、日本の法律の目が届いて、規制の網をかけようということになりますと、ある程度はしっかりすると思うんですけれども、送り出し機関の方は海外でありますから、これをどういうふうに管理監督していくかということは非常に大事な点でありまして、先ほども御答弁の中でちらっちらっとかいま見えるところがありましたけれども、国外における実態調査、並びに日本の趣旨をどう徹底し、どう管理していくかという点につきましての政府の認識を問いたいと思います。

井上政府参考人 御指摘のとおり、海外における悪質な送り出し機関の実態を解明してそれを排除していく、そういうことによって送り出し機関の適正化を図っていく必要があると考えております。

 そのため、各送り出し国との間で取り決めを作成いたしまして、送り出し国政府において、自国の送り出し機関の適格性を個別に審査し、保証金の徴収を行うような不適切な送り出し機関を排除し、適正なもののみを認定する仕組みに順次移行してまいりたいと考えております。

 また、この取り決めにおきましては、送り出し国政府に対しまして、帰国した技能実習生からの聴取を通じた送り出し機関の不正の実態の調査でございますとか、不正が疑われる特定の送り出し機関を調査してもらう、あるいは不正が認められた送り出し機関を確実に排除してもらう、さらには、失踪者を多く出している送り出し機関を調査して排除してもらう、そのようなことも求められるような内容を盛り込む方向で交渉してまいりたいと考えております。

 これらの取り組みで、悪質な送り出し機関の排除を実現していきたいと思います。

鷲尾委員 ちょっと質問通告した内容を大幅に、ちょっと至らずに、御準備いただいた役所の皆さんには申しわけない気持ちでいっぱいでありますが、時間が参りましたので、もう一度質問する機会がありましたら、そこでまた質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で鷲尾英一郎君の質疑は終了いたしました。

 本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十四分開議

葉梨委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 質問に先立ちまして、先日発生いたしました熊本県を中心といたしました九州地方の大地震につきまして、大勢の方々がお亡くなりになり、またけがをされているとのことであります。心よりお悔やみを申し上げ、被災された方々にお見舞いを申し上げると同時に、ぜひ、全ての被災者の皆さんに対し、人命最優先、救援活動を前進させていくということで政府にはお願いもし、私たち日本共産党としても、必要な情報提供を行いながら、政府と協力して頑張ってまいりたいと思います。

 それでは、法案の質疑に入らせていただきます。

 外国人技能実習制度につきましては、これまでも、最低賃金を下回る給料、残業代不払い、そのような違法行為や、また、パスポートや預金通帳の取り上げ、セクハラ、パワハラなどの人権侵害などが多発してまいりました。

 アメリカ国務省人身売買報告書におきましても、また国連自由権規約委員会においても、日本における外国人技能実習生の人権問題がたびたび指摘をされ、国際社会から強い批判がされております。

 ところが、この法案は、技能実習生の実習期間を現行の三年から五年に延長する、そして対象業種を介護などにも拡大するという制度になっております。

 改めて、法務大臣にお伺いいたします。

 外国人技能実習制度の目的についてであります。技能移転による国際貢献なのか、それとも、たびたび指摘をされている国内の人材不足を補うための労働力の受け入れか、御認識をお聞かせください。

岩城国務大臣 技能実習制度の目的ということでありますけれども、技能実習制度は、技能、技術または知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的とする制度でありまして、我が国の国際貢献において重要な役割を果たしているものでございます。

清水委員 国際貢献であるとのことでありました。そのように繰り返し御答弁されているわけですが、きょうは、その根拠について、私なりにただしてまいりたいと考えております。

 今日まで、この制度のもとで、実習生として日本の技能を学び、出国した外国人の数の累計を教えてください。

井上政府参考人 お尋ねのうち、平成二十三年以降の五年間の累計数でお答えをさせていただきますと、二十三年以降、五年間、技能実習生の帰国者の累計は三十四万八千百三十六人になります。

清水委員 提出しております資料の二枚目に、この五年間、「技能実習に係る外国人出国者数の推移」ということで、今答弁がありましたように、約三十五万人の方が、日本で実習生として学び、本国へ戻られたということなんですね。

 それでは、具体的にお伺いしますが、この約三十五万人の実習生のそれぞれが、その後どのように母国でその技能を役立てているのか、教えていただけますか。

宮川(晃)政府参考人 帰国した技能実習生についての状況でございますけれども、一つは、いわゆる好事例という形で、公益財団法人国際研修協力機構、JITCOが帰国した実習生からの近況報告をまとめた事例集というのがございます。その中では、例えば、修得した作業工程管理手法が評価され、技術系管理職として復職し大幅に昇給するという例ですとか、温室管理や土壌管理等の技術を日本で学んで、それを生かして、農業法人を立ち上げ、高付加価値作物の栽培に成功するなどの、技能実習を通じて修得した技能を生かし、母国の産業や地域社会の発展に大きく貢献している事例というものが報告されてございます。

 また、厚生労働省におきましては、実習生の帰国後の就職状況や日本で修得した技能等の活用状況を把握するフォローアップ調査を実施しております。いろいろ御指摘は受けておりますけれども、その調査結果によりますれば、技能実習期間を通じて学んだことが役に立ったとする回答が九八・四%、役に立った具体的内容として、修得した技能というものを挙げられる方が最多の六九・一%、帰国後に従事する仕事の内容として、同じまたは関連のある仕事とする回答が七五・二%となっておりまして、実習生が日本で修得した技能を母国でおおむね生かされているものと考えているところでございます。

清水委員 今お答えされました調査について、一枚目の資料にその回収率をお示しさせていただきました。二〇〇八年度から始まっておりますが、一回目から二割を切る回収率、二〇一四年度は一〇%にも満たないということであります。

 今、宮川局長、いろいろ述べられましたが、一つの事例ではあろうかと思うんですが、私が聞いたのは、約三十五万人の実習生それぞれが、日本で学んだ修得した技術をどのように生かしているのかというふうにお伺いしたのであって、今の答えは少しかみ合わないというふうに思うんですね。

 角度を変えて聞きますが、例えば厚生労働省が御自身で、送り出し国へ一度でも行って、実習生のその後の実態調査を行われたことはございますか。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 技能実習生の帰国後の就業等の実態を送り出し国に赴いて確認したかということにつきましては、確認することは行っておりません。

清水委員 結局、日本で学んだ後、働いた後は、母国に送り出した後はほったらかしになっているのではないかという批判が起こるわけであります。

 全ての実習生のフォローアップ、その後どのように修得した技術を生かされているのかということをつかまないで、一部のアンケートだけでは信頼性は低いわけで、結局、安価な労働力の使い捨てだと批判されても仕方がないと思うんです。

 今のやりとりを聞いていただきまして、これまで三十五万人もの方々が母国へ戻られているわけです。その全てに対して調査をしていない。フォローアップ調査はわずか一割にも満たないという数字の中で、私は、繰り返し厚生労働省が述べているように、実習生が日本で修得した技術は母国でおおむね生かされているものと考えているというのは、どうもこれは納得できないんですね。

 本当に、この三十五万人、帰国された方々が、技能実習、このことによって、日本で学んだ技術によって、母国に技能移転ができた、国際貢献ができた、そういう根拠を法務大臣は持ち合わせですか。

岩城国務大臣 我が国の技能実習制度につきましては、送り出し国の政府関係者から、その国の人材育成や自国の発展に貢献しているとの一定の評価をいただいているものと承知をしておりまして、技能実習制度が技能等の移転による国際貢献の制度として重要な役割を果たしているものと考えております。

 そして、今回の見直しを通じまして、さらに一層、技能移転による国際貢献という趣旨の徹底を図り、この制度が送り出し国の発展にさらに貢献するものになっていくことを期待しております。

清水委員 今、大臣、答弁されましたけれども、一部の送り出し国の大使だとか、あるいは政府関係者との意見交換や交流、懇談の場におきまして、非常にいい制度だと言われたということは確かだと思いますが、社交辞令という場合もありますので、そのことをもって、三十五万人の帰国した実習生たちが、技能移転をしている、国際貢献に役立てたと自分自身が感じているというような根拠は結局示せないということだと言わなければなりません。

 例えば、第六次出入国管理政策懇談会の第八回外国人受入れ制度検討分科会、これは二〇一四年三月に開催されたものですが、弁護士の吉川精一委員がこう述べております。この制度のもとで来日する技能実習生が、帰国後、日本で得た技能を生かした職場で働いているとの確たる証拠はなく、技術移転という本来の目的を果たしていないという意見を提出しております。私は、このことを真摯に受けとめることが、この法案を議論していく上で何よりも重要ではないかということを申し上げたいと思うんですね。

 政府のそうした、いわゆる技能移転だ、国際貢献だと言いながら、一方では、法令違反、人権侵害、あるいは人材不足を補うための労働力の供給というものが行われているわけですよね。そういうギャップが広がる中で、一体どういうことが起こっているのかということについて、資料の三枚目をごらんください。

 これは、はがきを拡大したものであります。これは、四国にありますメディカルサポート協同組合が介護事業を行っている法人に宛てたはがきなんですね。本文の二行目、「国は、平成二十八年から介護分野における外国人の技能実習生を開始することを発表しました。」発表しただけで、まだ始まっていないんですけれども。真ん中の囲みのところの三に何と書いているか。「人材不足を外国人スタッフで補いたい」、そういう方は御連絡くださいというはがきなんですね。

 厚労省にお伺いしますが、これは技能実習制度の趣旨にかなったものですか。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 技能実習制度は、技能、技術または知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的としております。

 したがいまして、御指摘のような技能実習生の受け入れを労働力の確保策と宣伝している監理団体があるとすれば、制度の趣旨を誤解しており、その結果、労働関係法令の違反ですとか人権侵害につながる可能性が懸念されるところでございます。

清水委員 はがきを拡大しましたので、ちょっと字が潰れて読みにくいんですけれども、「メディカルサポート協同組合」のその下に何と書いているか。「関係行政庁認可済」と書いているんです。厚労省、これは認可したんですか。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 正確にこの協同組合の認可について確認はしてございませんが、恐らく、都道府県等の事業協同組合関係の、事業協同組合としての認可を受けたものではないかと推定しております。

清水委員 そのとおりなんですね。

 この協同組合は昨年六月に設立されたものなんです。このはがきに、ホームページをまずごらんください、こう書いておりますので、私、見させていただきました。すると、ホームページには何と書いているかといいますと、「日本国内の労働市場の需要に応えるために」、いいですか、「需要に応えるために」「政府主導でスタートした制度です。」こう書いているんですよ。こういう認識なんですね。でも、受け入れ機関の方がよほど正直に、この制度の実態を赤裸々に述べていると言わざるを得ません。

 さらに驚くべきことに、この協同組合は、「外国人技能実習生の介護実習は松山の老人ホーム施設にて行います。」と、法案が成立もしていないのに先取りして告知しているわけなんです。

 現行法のもとでも、こうした協同組合、監理団体などは是正指導するべきじゃありませんか。いかがでしょうか。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたように、技能実習生の受け入れを労働力の確保策と宣伝しているような監理団体があるとすれば、それは制度の趣旨を誤解している。その結果、労働関係法令の違反ですとか人権侵害につながる可能性が懸念されるところでございます。

 このような監理団体などにつきましては、制度の趣旨に反するような受け入れにより法令違反等が生じている旨の情報を申告等を通じて把握した場合には、事案に応じて地方入国管理局や労働基準監督署等で適切に対処することとしております。

 また、新制度におきましては、監理団体に対し是正指導ですとか改善命令ということを行うこととなろうと思いますし、仮にこれに従わない場合には、監理団体の許可ですとか、既に許可を受けた監理団体であれば許可取り消し等、技能実習法案に基づき、さらに徹底した措置を講ずることとなろうと考えております。

清水委員 制度の趣旨を理解していないと言いますが、同時に、このホームページを見ますと、この外国人技能実習制度については、一定期間に技術、技能を修得させ、母国の経済発展と産業振興の担い手となる人材の育成を行うということも書かれているわけですよ。だから、なまじ制度の趣旨を理解していないというよりは、やはり人材不足の本質を明らかに告知している、実態を明らかにしている、こう言わざるを得ません。

 そこで、私が次にお伺いしたいのは、技能実習生の置かれている現状についてであります。

 とにかく、この委員会でも、技能実習生の賃金が余りにも低い、最低賃金に張りついている、あるいは最低賃金未満の法令違反も繰り返し告発をされ、問題となってまいりました。

 それで、これは法務省にお尋ねしたいんですが、現行では、法務省令の上陸基準省令の、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上と技能実習生は定められているんですが、その趣旨について簡潔に説明していただけるでしょうか。

井上政府参考人 委員御指摘の、上陸基準省令において日本人と同等額以上の報酬を受けることが要件とされていることの趣旨でございます。これは、外国人であることを理由に低賃金で就労させることは認めないという趣旨の規定でございます。

清水委員 では、お伺いします。

 これは厚労省になるんでしょうか。上陸後の外国人技能実習生が実際に支払いを受けている給料は幾らですか。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 実習生の賃金につきまして、厚生労働省におきましては、委託事業を通じまして、技能実習生が第一号から第二号に移行する際に、実習実施者が実習生に対し支給を予定している賃金額を把握しておりますが、その平成二十六年度の平均額は、月額十二万九千五百九十八円でございます。

清水委員 今、宮川局長が答えられたのは、二号に移行する際の支給予定賃金ということでありまして、私が質問したのは、実際に技能実習生が受け取っている金額を聞いたんです。

 もう一度お願いいたします。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 私どもの方で把握している数字としましては、支給を予定している賃金額、これは、雇用条件書におきます一カ月当たりの支給概算額、すなわち、支給を予定する基本賃金及び各種手当の合計額でございまして、いわゆる所定外労働に対する時間外労働賃金は含まないという数字でございます。

清水委員 繰り返しになるんですが、実際にどれだけの賃金を実習生の皆さんが受け取っているかということについてはわからないんですか。数字を持ち合わせていないのであれば、そうおっしゃってください。

宮川(晃)政府参考人 そのような統計はございません。

清水委員 驚くべき事実だと私は思いますよ。主務省令だとか上陸許可の際だとか、あるいは二号に移行するときに支払われる予定の賃金については把握をしていると。しかし、現に技能実習生がどのような条件で幾ら賃金をもらっているかということについて、政府は把握していないということじゃありませんか。

 資料をごらんください。資料の四枚目です。

 これは、ベトナム人実習生御本人と、それを支援されている市民団体の方々の許可を得て、名前を伏せ、派遣先の現場を伏せた資料であります。ことし一月のものでありますが、実に九日間しか働けておりません。一月とはいえ、正月休みを除いても、ほとんど現場に派遣されることがない。仕事がなかった、あっせんされなかった。これは建設業なんですね。それで、仕事がない日も飯代ということで毎日七百円は控除される。結局、この月の出勤回数、九回、九日間、そして、賃金から飯代等を引いた残金は四万四千七百三十八円です、一カ月ですよ。

 それで、最低賃金、東京ですから九百七円、これに張りついているわけなんですが、月額四万五千円にも満たない賃金で、これで実習生が生活していけるんでしょうか、大臣。

岩城国務大臣 現行制度では、法務省令の、報酬が日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であることという要件について、地方入国管理局が上陸、在留許可の手続の中で審査をしております。この点、当該申請人の報酬について、最低賃金を下回っているなど、当該要件を満たさないような場合は、入国、在留を認めないこととしております。

 実際に支払われる報酬が、地方入国管理局への申請の際提出した雇用契約書に記載された報酬よりも極めて低かった場合には、賃金等の不払い、二重契約などの不正行為となり得ます。

 技能実習生の賃金が低水準にあることにつきましては、技能実習生を受け入れている実習実施機関の半数以上が従業員十九人以下の小規模事業者であり、一般に、日本人従業員を含めて賃金額が高くなりにくい傾向にある上、技能等の修得のために来日した技能実習生は、一般的に言いますと、日本人に比して技能等が未熟であり、賃金額が最低賃金を大きく上回ることが難しい状況にあるものと思われるものと認識をしております。

 そこで、新制度におきましては、賃金については、具体的には主務省令で、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であることを定める予定でありまして、かつ、技能実習計画の認定に当たりましては、実習実施者に同等以上と言えることについての説明責任を課し、実効性を担保する予定であります。

清水委員 私は新制度のことを聞いているのではなくて、外国人だからといって日本人よりも給料が低くてはだめだというふうに入管局長はおっしゃいましたよね。最低賃金は守られていますが、実際、このような出勤形態では、それこそ一カ月の生活ができないような状況なんです。

 私が聞きましたのは、このような給料で、賃金で実習生が生活していけるのかというふうに私は伺いました。私は大阪ですけれども、西成区の日雇い労働者の皆さんでも、一定期間働けば、あぶれ手当という休業補償をもらえるんですよ。この実習生はこれだけですよ。こういうことが蔓延しているわけですね。

 新しい制度で、いわゆる計画をよく認定するといいますけれども、これまでだって書面上は認められてきたわけじゃないですか。実際どれだけの給料が払われているのかということを現場でチェックすることができないから、こうした実態が起こっている。それが新制度でどこまでできるのかという担保が本当にあるのかどうか。私は、甚だ疑問だと言わなければならないと思うんですね。

 やはり、技能実習制度の期間の延長だとか、あるいは職種の拡大を言う前に、現行制度のもとでどれだけひどい実態が起こっているのか、どこに問題点があるのかということをもっと政府としてつかむ必要があるというふうに、私は率直に指摘をしておきたいと思います。

 それで、よく言われるのが、賃金の高いところへ実習生が失踪するという話がありますよね。東京は最低賃金九百七円です。栃木はお幾らかわかりますか。七百五十一円なんですよ。百五十六円、差があるんですよ。

 それで、例えば、実習実施機関をかえてほしいということで、では栃木に行きなさいと言われたときに、百五十六円の時間給の差で年間法定労働時間働けば、一年間でどれだけの差が出るか。三十万円以上出るんですよ。もともと、送り出し国から、この給料で、この賃金でといって日本に送り出されたにもかかわらず、そして実施機関、受け入れ機関に問題があって、次にあっせんされたところが、栃木へ行け、年間三十万円もお金が変わるんだと。これを、高いところに行きたがるから失踪するというふうに断定的に決めつけるのは、私は大間違いだと言わなければなりません。そもそも、地域別最低賃金があるということ自体が私は問題だと思っております。

 さらに、ベトナムの実習生の実態について質問を進めてまいりたいと思います。

 次の資料をごらんください。五、これは外国人技能実習生に対する人権侵害の実態です。これも、御本人や関係支援団体の許可を得て、顔はわからないようにモザイクをかけて出したものです。

 これは実は動画なんですね、上の写真二枚は。日本人労働者が外国人労働者に暴行を働いているシーンです。おまえ、日本人をなめてんのかと言って、蹴りを入れたり、握り拳で腹を殴ったりしているところを私は見ました。下の写真をごらんください、住環境です。体を折り曲げなければ寝られないような狭い場所に放り込まれている、こういう状況があるんです。

 それで、この実施機関には六名のベトナム人実習生がいたそうなんですが、六人で集まって相談をして、監理団体やJITCOに相談した。すると何と言われたか。我慢しろと言われたんです、我慢しろと。

 先ほどの賃金といい、このような劣悪な住環境といい、日本人労働者からの暴力といい、こうしたことをこれまで行ってきたことをいわゆる取り締まることができなかったということは、私は真摯に見ておく必要があるというふうに思います。

 さらに、この実習生はとび職ということでこの現場にやってきたそうですが、とび職の仕事はさせてもらえなかった。それはなぜかといいますと、技能講習が必要なんですね、安全帯をつけたりだとか。

 ところが、この技能講習が行われず、このベトナム人実習生は何をさせられていたか。穴掘りです。資材運びです。このような作業は単純労働じゃないんですか。これが技能移転になるんでしょうか。お答えください。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 技能実習におきましては、認定された計画に基づいて、技能を働きながら学ぶという仕組みになっておりますので、単純作業だけをやっているということは、その計画に沿っていないという評価がされるべきものだと考えております。

清水委員 計画でなされていないことが行われているということじゃありませんか。これは氷山の一角ですよ。

 私は、今回の法文を見ましたけれども、本当にこれで、今私が述べたような外国人実習生への法令違反や人権侵害がなくなるとは思えません。

 それはなぜかといいますと、実は、二〇〇九年に出入国管理及び難民認定法の改正が行われましたね、前回。そのときに在留資格に技能実習というのが生まれたんです。それまでは一年目は研修生だったものを、一年目から技能実習にしようと。そしてそのときに、我が党の参議院議員、仁比聡平議員の質問に対し、当時の厚生労働大臣官房審議官が、その二〇〇九年の法改正のもとで、一年目の研修生についても労働関係法令の保護のもとで技能修得活動が行われるように措置されることとなりまして、これにより研修生の法的保護の強化が図られるものと認識しておりますと、堂々と胸を張って答弁されている。

 あれから七年たって、穴掘りですよ。結局、この法改正によって実習生のそうした法令違反や人権侵害はなくならなかったということじゃありませんか。

宮川(晃)政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のとおり、技能実習生につきましては、平成二十二年七月の改正入管法施行後は、最初の研修、いわゆる講習の時間以外は、全て事業主との雇用関係のもと、労働基準関係法令が適用されることとなっており、これらの法令違反が認められた場合には、労働基準監督署において厳しく指導しているところでございます。

 その上で、本法案におきましては、新たに外国人技能実習機構を創設し、受け入れ機関への実地検査等の権限を付与することで、法令違反の是正を徹底することとしております。

 引き続き、労働基準監督署と外国人技能実習機構が連携しつつ、しっかりとした対応を行い、法令遵守を徹底してまいりたいと考えております。

清水委員 ちょっと私、それには意見がありますね。

 技能実習機構を新しく立ち上げる、そして本部と地方支部をつくる、本部には八十名、そして地方には二百五十名、合わせて三百三十名でこのような人権侵害だとか法令違反を厳しく実地検査をすると。しかし、全部で三万三千社ある実施機関を回ろうと思えば、三年かかってようやく一軒行けるというような状況ですよね。監理団体についても一年に一回しか回れないということです。

 しかも、実習機構の体制はどうするんですか。これは、例えば労働基準監督官だとか入国審査官が現役出向するんでしょう。何人出向するんですか。

 例えば、簡単に労働基準監督官が出向すると言いますけれども、今、では労働基準監督署に行ったら、どうですか、人手不足じゃありませんか。一人の労働監督官が十件も二十件も労働事件を抱えている。そして、お話を聞きますと、いわゆる技官だとか事務官の仕事まで監督官がやっている、新卒採用がなかなかないものだから。そんな厳しいところに、課長級、課長補佐級、係長級、何人抜くんですか。

 これは、三百三十人の構成が今言えますか。法務省、厚労省、言えますか、三百三十人の構成を。

井上政府参考人 新設される外国人技能実習機構の方へ出向する職員のランクとか人数につきましては、現在検討中でございますが、新制度の施行当初から機構の業務が円滑かつ適格に遂行できるよう適切な人数を出向させたいと考えております。

清水委員 検討中と言いながら、どうしてそれができるということが言い切れるんでしょうか。全て三百三十人が現役出向になるということでもないわけでしょう。プロパーで雇う場合だってあるし、もっと言えばJITCOの職員を横流しすることだってあるわけじゃないですか。人権擁護局長が行くんですか。

 肝心なことを、体制を聞けば検討中と言い、そしてこのような人権侵害を告発すれば実習機構がしっかりと実検するという、私はこれは全く信頼することができません。

 この実習実施機関が次のような取り締まりができるのかということについてお伺いします。

 送り出し機関をどう取り締まるかという問題ですね。先ほどのベトナム人実習生も、送り出し機関に百万円払ってきたと。百万、法外なお金ですね。日本でいう百万円の比じゃないですからね。

 あるいは、別の中国人女性は、送り出し機関との間で違反賠償の合意という契約書にサインをさせられた。一部紹介すると、どんなことで合意させられていたかというと、許可をとらない外出は禁止、恋愛禁止、携帯電話の購入は禁止、携帯電話の使用は禁止、携帯電話を購入した場合は没収、いずれも賠償金は五十万円から八十万円を支払い、即刻強制帰国という書類にサインをさせられていた。

 これらの違法な違約金だとか契約金、法外な手数料などを取る送り出し機関の違法行為をどう規制することができるのか、教えてください。

井上政府参考人 送り出し機関は外国の機関でありますので、保証金徴収等の不正が疑われたとしましても、その事実を我が国の地方入国管理局等が調査して実態を解明するのは容易ではございません。また、外国にある機関に対して直接権限行使ができないため、不適正な機関を確実に排除するのもまた限界があることは事実でございます。

 そこで、各送り出し国との間で取り決めを作成しまして、各送り出し国政府において自国の送り出し機関の適格性を個別に審査し、保証金の徴収等を行うような不適切な送り出し機関を排除し、適正なもののみを認定する仕組みに順次移行してまいりたいと考えています。

 その上で、保証金徴収等の端緒が得られた場合には、送り出し国政府に対しまして、不正が疑われる送り出し機関への調査や指導監督を依頼し、不正が認められれば送り出し国政府において認定を取り消してもらうという形で、不適切な送り出し機関を確実に排除するような仕組みにしてまいりたいと考えております。

清水委員 今、入管局長が認めました、送り出し国に対して実態調査をするのは容易ではないと。そうした送り出し機関を日本の側から排除できないということですね。

 では、どうするか。二国間取り決めで、政府間でそうしたことをやっていくというんですけれども、外務省にきょうは来ていただいておりまして、説明をお願いしたいんですが、この政府間の二国間取り決めというのは一体何なんですか、これは条約ですか。

宮川(学)政府参考人 送り出し国との取り決めに関する御質問でございますが、この取り決めとは、不適正な送り出し機関を排除すること等を通じまして制度の適正化を図っていくものでございます。

 取り決めの作成を通じまして、技能実習制度に関する両国の間の共通の認識、両国の間の共通の意図について文書で明示的に一致することがまずございます。加えて、不適正な送り出し機関の排除については、両国間の協議を通じて確保されてまいります。

 さらに、送り出し国におきまして、仮にその認定された機関が不適正な送り出し機関であるということが考えられる場合には、外交ルートを通じまして日本として相手国に対して照会をかけ、また必要な対応を求めていく考えでございます。

清水委員 今皆さんお聞きになられたように、条約じゃないんですね。つまり、いわゆる締結国に国内法の整備あるいは法的拘束力というのは及びません。今述べられたように、両国の共通の認識を文書で明示すると。あとは努力義務なんですよ。相手がちゃんとそういう悪質な送り出し機関を排除するという約束さえ、まだできるかどうかわからないわけじゃないですか。こうした問題を抱えたままこんな法案を通してくれというのは、私は大問題だと言わなければなりません。

 結局、何が問題になっているかということなんですけれども、話は最初に戻るんですけれども、結局これは、技能移転による国際貢献というのにはもう無理がある。やはり実態調査も行わずに、冒頭私が聞きました、三十五万人の実習生がどうなっているかわからない。給料についても、幾ら払われているか実態をつかんでいない。悪質な送り出し機関については今後具体的に確実に取り締まるということもできないというようなことがはっきりいたしました。

 それで、これまでも技能実習生をめぐるさまざまな問題、低賃金、長時間労働、人権侵害等々指摘され、そのたびに、二〇〇九年の話ではありませんが、法改正や省令改正がなされてきたんですが、事態は深刻ですよ。実態は全く変わっていないわけです。

 それで、私は最後に大臣にお伺いしたいんですね。この委員会の議論の中で、外国人技能実習生に憲法は適用されるのかという命題についていろいろ議論がありました。入管局長は認められると答弁されたこともありますし、宮川局長は、一定規制を受けるという答弁もされております。

 ただ、例えば職業選択の自由でいいますと、何と書いているかというと、「何人も、」というのが冒頭ありますね、何人も職業選択の自由があると。これは日本国民に限ったわけじゃないんですね。国民固有の権利と書いていることではないんです。

 日本国憲法第十八条について岩城大臣に聞きます。

 「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」とあります。図らずも、入国した先の受け入れ機関、どうも自分はここでは続けていくことができない、実習機関からは明確に法令違反があるとか違法行為があるとかという認定がとれずに、かわっていい、移転していいとは言われなかった、もう自分はここをやめて本国に帰るか、我慢するしかない。結局、苦役を強いられているわけであります。

 この技能実習生にも憲法十八条は適用されると考えられませんか。

岩城国務大臣 ただいま御指摘のありました憲法第十八条の規定は、技能実習生に対しても適用されるものと理解をしております。

 技能実習生に自由な転籍を認めていないのは、限られた期間内に一つの実習先で計画的、効率的に技能等を修得してもらうための措置であります。このような技能実習制度は、奴隷的拘束や苦役に当たるものではあり得ず、仮に逸脱して人権侵害行為があった場合には、計画の途中でありましても転籍を認め、これを支援することはもとより、万一、監禁や暴力等による拘束等により強制労働等が行われた場合は、刑法や労働基準法上の犯罪として処罰されることになります。

清水委員 これで最後にいたしますが、やはり、出入国管理法についてもいろいろ質問を用意していたんですけれども、時間が足りませんのでこれで終わらせていただきますが、何よりも大切な法案でございますので、徹底審議を求めて私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で清水忠史君の質疑は終了いたしました。

 次に、木下智彦君。

木下委員 おおさか維新の会、木下智彦です。本日もお時間をいただきましてありがとうございます。

 まず冒頭ですけれども、九州地方でありました地震に被災された方々にお悔やみ申しますとともに、政府におかれましても、適切、迅速に対処いただきたいと思いますので、重ねてよろしくお願いいたします。

 それで、きょうはちょっと、それに関連してなんですけれども、通告にないことなので、お答えできなければ別に結構なんですけれども。

 ちょうど、被災された九州、特に熊本それから大分であるとか、ああいったところが、見てみると、結構盛んにこの外国人技能実習制度をやられているところが多いようなんですね。多いというのか、いろいろなインターネットであるとかそういうところを見ていても、こういうことをやっているとか、結構盛んに書かれてありまして、当然、普通の日本人の方々もそうなんですけれども、そういう人たちが被災されているんじゃないかなということを、今ここで聞いていてふと思ったんですね。そういう人たちは、特に対処といったところで置き去りになる可能性があるんじゃないかなと私は思っていまして、ちょっとそういったところについて、もしもお答えしていただけるのであればお答えしていただきたいんです。

 特に、避難等々についても適切に対処されているのかということが一つ。それから、これから先のことなんですけれども、恐らくこれから先、急激な復興というのを当然やっていかなければならないといいながらも、職場環境が整備されるまでに一定の時間がかかると思うんです。その間は技能実習制度としてどういうふうなことが行われるのか、例えば、違う場所へ移るようなことが考えられるのか、それとも、そこの復興に力をかしていただくような、そういう活動が想定されるのか、その辺、お答えできる範囲で結構ですので、お話しいただけますか。

井上政府参考人 まず、生活の関係でございますが、震災が起きた後、入国管理局の方にいろいろなお問い合わせが在留する外国人の方から来たときには、入管の所掌に限らず、ここはどういうところに相談に行った方がいいとか、そういう情報提供に努めるように指示を出してございます。

 それから、技能実習が事実上継続できない状況になった場合については、ケース・バイ・ケースでの対応を考えざるを得ませんので、相談があれば、それは個々に監理団体等と一緒に考えまして、適切な対応をしてまいりたいと思います。

木下委員 ありがとうございます。

 そうなんですよね。例えば、監理団体も含めてそうなんですけれども、言葉は難しいんですけれども、ある程度労働力としてそういう人たちを当てにしていながら、だめになったからといって急にどこかへ行くというのもなかなか難しい問題があるんじゃないかなというふうに思っていたので、適切にというのがどういう形でやるかというのは、これは相当大きな問題だと思います。

 ただ、この外国人技能実習制度、これの根幹に当たるところは国際貢献ということだと思うんですね。そうなったときに、やはり日本は、こういう災害があったときにも、そういった技能実習生として来られている方々に対して非常に適切な対処がされたというふうに、そういう結果を残して、それを経験として本国へ帰っていただくということは非常に重要なことだと思いますので、ぜひとも手厚い手当てをしてあげてほしいので、大臣の方からもよろしくお願いいたします。

 では、本題の方に入らせていただきます。

 今も振りになっている部分があるんですけれども、国際貢献がこの外国人技能実習制度自体の根幹に当たるところというふうに私はお話しさせていただいたんですけれども、きょうもそうですし、前回の質疑でもそうなんですけれども、この制度と今政府が考えられているところにどうしてもまだギャップがあるんじゃないかなという気がしてならないので、ちょっとその話はおいおいさせていただきますけれども、大臣に、これは前にも聞かせていただいたんですけれども、技能実習制度の目的ということをクリアにしたいと思いますので、もう一度お話しいただけますか。

岩城国務大臣 技能実習制度でありますが、技能、技術または知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力すること、そのことを目的とする制度でありまして、我が国の国際貢献において重要な役割を果たしているものと考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 そうですね。お話しいただきましたように、特に技能、技術といったところで、では、日本の海外に広めたい技術、技能というものの、日本独特のキーファクターというんですか、これは何だと思われますか、大臣。

 というのは、わざわざ日本に実習生として来られます。わざわざそういう環境に来て技術を学んで帰られるわけですよね。そういった技術が海外に広まることで我が国が国際貢献をしようという話だと思うんです。

 では、日本の技術って一体何なんだろう、どこに、ほかの国とは違う、差別化できるようなよさがあるというふうに思われているでしょうか。というのは、そこがわからなければ、結局、日本に来て技術を修得しなくたって、どこででも学べるような技術であればわざわざ日本に来てもらう必要はないわけで、日本のそういった技術、一般的にで結構なんですけれども、何がキーファクターになるというふうに思われるか。ここはいろいろな観点があると思いますので。

岩城国務大臣 突然の御質問ですので、私の個人的な経験から話をさせていただきまして、補足があれば局長からということでもよろしいでしょうか。(木下委員「ええ、どうぞ」と呼ぶ)

 今からもう大分前になります、私がいわき市の市長をしておりましたときですから。中国に撫順市という友好都市がございます。私が市長として派遣団を引率して撫順市を訪れたときのことですが、そのとき、撫順の農家の方がお見えになって、私にイチゴを出してくれました。私は、どういう理由でそのイチゴをいただくことになったのか、そのときわからなかったんですが、後で聞きますと、その農家の方がいわきでイチゴの生産の研修をされて、それで、撫順に戻ってから、母国に戻られてから今イチゴをつくっていて、それを食べてほしい、そういうことだったんですね。

 そういう意味での貢献もあります。それはやはり、日本のそういう農業の技術、これが活用されているものだと思います。

 そのほかに、今現在、七十四職種で百三十三の作業が対象職種となっているわけでありますけれども、いずれも、どれがこれがと一つずつ申し上げるつもりはありませんけれども、やはり発展途上国にとりましては貴重な学べる技術になっているのではないかな、そんなふうに考えております。

木下委員 大変すばらしいお話をいただいたと思います。大臣のお話しされたところに私が聞きたいことが含まれていたと思うんですね。

 それは何かというと、イチゴを、日本でそういう技術を学んで、わざわざ持ってきていただいて、大臣がいただかれたということですよね。これは、御本人の感覚ですからわからないところがありますけれども、ある種の恩返し的な感覚があるんじゃないかなと思うんです。

 やはり、そういった中に含まれるのは何があるかというと、それだけすばらしい技術が日本にあったんだということと、では、どうしてそのすばらしい技術があったのかというふうなところをいろいろちょっと考えてみたんですね。いろいろなところでいろいろな人がいろいろなことを書いています。

 いろいろなところから見ていて私が思ったのが、一つの結論なんですけれども、日本の技術、技能も含めて、よくも悪くも、このよくも悪くもというところがちょっとポイントでもあるんですけれども、よくも悪くも、すり合わせ、それから調整、調和、こういったものなどから生まれる質の高い技術というところが、やはり海外の人たちがなかなかまねできないところだと思うんですね。それから、細やかなそういう手当てをしていくことであるとか、そういうのも全部、調和であるとか、そういうことが根底にあるものだというふうに私は理解しております。

 それが、では、現実問題、そういうふうなことをこの技能実習生の人たちが修得してもらえるか、その意味合いも含めて、やはりそこが、この技能実習生、これは生半可なことを言って本当に申しわけないですけれども、そういったことを修得してもらって世界に広めてもらうことというのが本来あるべき姿だと思うんですね。

 ただ、きょうのお話をちょっと聞いていると、そればかりじゃないとは思いますけれども、どうしてもそことは相当かけ離れているんじゃないかなと思わざるを得ないんですね。やはり、総じて言えば、来ていただいたからには、日本という国を好きになってもらわなきゃいけないんだと思うんです。文化もしっかりと体験していただいて、仕事だけじゃないです、いろいろなことをしてですね。

 こんな私が手前みそで言うのもなんですけれども、全く状況は違うかもしれませんけれども、私も二十年ほどサラリーマンをしておりまして、会社の海外研修員制度というので会社の中から海外に行かせていただいて、仕事はしなくていいと。仕事をしなくていいといいながら、修業生ですから、いろいろな仕事のお手伝いをしながら、その国の文化であるとか商習慣であるとかということを学んで帰ってくるというふうなことをさせていただいた経験があります。

 その後も総じて五カ国ほどにちょっと住ませていただいたことがあるんですけれども、その中でも、やはり好きな国、嫌いな国というのが出てきてしまうんですね。なぜかというと、文化を知れば知るほど、私に合わないなというところはやはり嫌いになるし、ただ、嫌いになるというふうに言いながら、相対的にどうかだけで、例えば、オリンピックみたいなものを見ていたら自分の住んでいた国の応援をしたくなったりとか、やはりそういうこともするし、あの国にはこういうすばらしい技術だったり文化があったりするということを学んで帰ってくる。

 そういうふうな経験をしていた人間として思うんですけれども、彼らがそういうことができる環境にあるかなと思うと、聞いていてもそうですし、いろいろなものを読んでいてもそうなんですけれども、そうは思えないんですよね。何でそうは思えないんだろうというふうにして考えてみたときに、先ほど大臣がお話しされていた、そもそものこの制度の根幹、ここの部分と、政府が期待していることに、ちょっとまだひずみがあるからなんじゃないかな、そういうふうなことを私は思っております。

 前置きが長くなったんですけれども、大臣はきょうもお話しされていましたけれども、今回の制度のところで、日本再興戦略におけるこの制度の位置づけといったことを少しお話しされていたと思うんですね。では、この日本再興戦略と外国人技能実習制度の位置づけといったところ、これを簡単にで結構ですのでもう一度お話しいただけますか。

井上政府参考人 お尋ねの趣旨は、外国人技能実習制度がいわゆる経済対策の中になぜ位置づけられているのかということであろうと思います。

 「日本再興戦略」改訂二〇一四におきましては、技能実習制度につきまして、国際貢献を目的とするという趣旨を徹底するため、制度の適正化を図るとともに、対象職種の拡大など抜本的な見直しを行うものとされております。

 この技能実習制度の拡充につきましては、平成二十七年二月二十三日の衆議院予算委員会におきまして、安倍総理から、現在政府が進めている外国の方々の人材の活用や外国人技能実習制度の拡大などの施策は、多様な経験、技術を持った海外からの人材に、日本で能力を発揮していただき、また我が国で技能を修得して母国でそれを生かしていく、お互いが裨益する形にしていこうというのが基本的な考え方である旨の答弁がなされているところと承知しておりまして、要は、外国人のさまざまな往来が我が国社会を国際化、活性化させ、その発展に結びつくという観点から経済対策の中に位置づけられているものと考えております。

木下委員 ちょっと聞いていると、いいところだけ捉えたような気がするんですね。

 というのは、私も手元に、日本再興戦略、二〇一四年改訂と二〇一五年改訂という資料を見させていただいたんですけれども、二〇一四年のところを、少し長いですけれども読ませていただきます。

 第一の総論のところ、「改訂戦略における鍵となる施策」というところの2に、「担い手を生み出す 女性の活躍促進と働き方改革」、「人口減少社会への突入を前に、女性や高齢者が働きやすく、また、意欲と能力のある若者が将来に希望が持てるような環境を作ることで、」ここはいいと思うんです、「いかにして労働力人口を維持し、また労働生産性を上げていけるかどうかが、日本が成長を持続していけるかどうかの鍵を握っている。」これはいいと思うんです。これは確かに。

 ただ、この項目の(3)というところに「外国人材の活用」ということが書いてあります。「多様な価値観や経験、技術を持った海外からの人材がもっと日本でその能力を発揮してもらいやすくすることが重要である。」これはそうです。「当面の対応策として、管理監督体制の強化を前提に技能実習制度を拡充することとしたほか、」と。後ろはまだ続いているんですよ。

 これは、管理監督の強化をしたらあれですけれども、ここから読み取れるのはどういうことかというと、技能実習制度を拡充することで外国人材を活用するんだ、これはそういうことを言っているんじゃないかと思うんですね。

 先ほど答弁を聞いていたら、労働力として活用するというのは考え方と違うというふうな感じのことを言われていたと思うんですけれども、ここはどう読み取ればいいんですか。さっきの答弁と、この前の答弁ですね、清水さんのときの答弁だと思いますけれども、そのとき言われていたこととここに書いてあることは整合性がありますかね。ちょっと私、どう理解していいのかわからないんです、ここは。

井上政府参考人 まさに再興戦略に、委員御指摘のように、多様な価値観や経験、技術を持った海外からの人材がもっと日本でその能力を発揮してもらいやすくすることが重要だと書いてございまして、能力を発揮してもらいやすくするために外国人技能実習制度を拡充いたしまして、要は、先ほど申し上げましたが、外国人のさまざまな往来が我が国社会の国際化や活性化に結びついて、その発展に結びつく、そういう観点から経済対策の中に位置づけられるものと考えております。

木下委員 やはりちょっとはっきりしないんですね。

 今のお話、では、二〇一五年の方をもうちょっと見てみましょうか。

 二〇一五年の方は何と書いてあるか。これも、「日本産業再興プラン」、そこの二番に「雇用制度改革・人材力の強化」と。人材力の強化ですよ。そこの二の二というところに、「女性の活躍推進」とともに、「外国人材の活用」と書いてあります。その中に、この外国人技能実習制度について言及されているんですね。施策の主な進捗状況等々で、外国人技能実習制度の新制度への移行に向けた取り組みを推進すると。日本再興戦略、先ほど言った二〇一四年改訂で示された制度見直しの方針を具現化するため、技能実習制度の見直しに関する法務省・厚生労働省合同有識者懇談会を開催し検討を行った。その結果を踏まえ、今回言われている管理監督体制の強化と、制度の拡充、これは実習期間を三年から五年に拡大するというふうなこと、を盛り込んだ外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案を出す。

 適正なものとか保護をするというふうなこと、これはいいと思うんです。ただ、これは、この労働力を活用しようというふうに読み取れないですかね。どう見ても、人材力の強化が、書いてあるところが、例えば国際貢献とかというところでこういうものが出てくるんだったら私はわかるんです。これは、ただ、完全にそうじゃないんじゃないかなと思うんですね。

 では、もうちょっとお話しさせていただきます。

 もう一つ、平成二十七年二月十日閣議決定、産業競争力の強化に関する実行計画二〇一五年版、ここの中にいろいろ書いてあります。「産業競争力の強化に関する施策についての基本方針」、「「重点施策」の着実な推進」というところにいろいろ書いてあって、そこに、「施策の内容、実施期限及び担当大臣」云々というふうに書いていて、「雇用制度改革・人材力の強化」「人材こそが我が国の最大の資源であるという認識に立って、働き手の数の確保と労働生産性の向上の実現に向けた思い切った政策を、その目標・期限とともに具体化する必要がある。」と書いてあるんですね。そこの施策項目の中に、「外国人技能実習制度の抜本的な見直し」と。

 これはどうしてなんですか。国際貢献と全く逆に、人材を確保するといったところに、政府の閣議決定です、先ほどの日本再興戦略も、それから産業競争力の強化に関する部分も。これは私、いいか悪いかを言っているんじゃないんですね。労働力を確保するのがいいか悪いかを言っているんじゃなくて、きょうまで、今まで話をしてきたところの中では、労働力としての目的というのは、そんなのは二の次というのか、そういう問題ではない、国際貢献のためにやるんだと、大臣も先ほど、私が最初に聞いたときに言われました。

 でも、ここに書いてあることはどうもそうは読み取れないんですけれども、これはどう解釈すればよろしいでしょうか。

井上政府参考人 「日本再興戦略」改訂二〇一四の方に戻りますけれども、技能実習制度については、国際貢献を目的とするという趣旨を徹底するために抜本的見直しを行うということを明らかにしてございます。その上で、多様な経験、技術を持った海外からの人材に日本で能力を発揮していただきやすくすること、そういう目標のために通ずる一つのものとして、この外国人技能実習制度の拡充というものを位置づけておるところでございます。

 繰り返しになりますけれども、そのような技能実習生が我が国に来てOJTで技能を身につけて、帰って活躍されるということを通じて、外国人のさまざまな往来が我が国の社会の国際化や活性化につながりまして、それが我が国の発展に結びつくという観点から、経済対策の中に位置づけられていると理解しております。

木下委員 幾ら聞いてもわからないんですよね。

 厚生労働省さんも来られているのでもう一つ聞きたいんですけれども、では、今回の、介護の部分を対象職種に追加する、これは、もう端的に聞きます、何で介護をここに入れる必要があるのか、入れるべきだと思われているか。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 開発途上国、特にASEAN諸国で今、実は高齢化が、我が国の進んだペース以上のスピードで進んでいる状況がございまして、日本は高齢化という意味では先進国なわけでございますけれども、そのペースを上回るペースで今、アジア、特にASEAN諸国の国々で高齢化が進んでいる状況にございます。

 例えば、日本でも、認知症ケアですとか自立支援等の介護に関する知識、技術の修得、人材の育成に対するニーズというのが増大するというふうに考えてございまして、また、そうしたものを学びたいということで、ベトナムですとかモンゴルですとか、技能実習生を送り出すことに対する要望も出されて、学んでいきたい、こういうことでございます。

 さらに、今あります、必ずしも日本で働く基盤にならない留学生といったような者も相当数いるということからも、やはりニーズはかなりあるものだというふうに考えております。

木下委員 もう時間が過ぎていますので、短く言います。

 そうやって言われますけれども、やはり日本再興戦略の中にも、人口減少社会への突入と書いてあるんですね。その中で、介護も重要だというふうに書いて、対象職種にしている。でも、さっきのお話を聞いていても、全く説得力がないんです。

 やはりそういうことがここに書かれてあったら、いろいろな監理団体がこれを見て、さっき清水さんも言われていましたけれども、みんな間違ってこの制度を使っちゃいますよ。そうしたら、人権問題にも発展するでしょう。

 本当に論じなきゃいけないことは何なのか。特にこの制度についてという以上に、では、これから先、労働力をどうやって確保していくのか、外国人を入れるべきなのかどうなのかということを真剣に論じながらこの部分についても見ていくということが本当は必要だと皆さんおわかりだと思うんですね。ぜひそういう議論ができることを期待して、質問を終わります。

 ありがとうございます。

葉梨委員長 以上で木下智彦君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま議題となっております両案審査中、必要が生じました場合、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十一分散会


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