衆議院

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第2号 平成13年2月28日(水曜日)

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平成十三年二月二十八日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 土肥 隆一君

   理事 小島 敏男君 理事 河野 太郎君

   理事 下村 博文君 理事 鈴木 宗男君

   理事 安住  淳君 理事 桑原  豊君

   理事 上田  勇君 理事 土田 龍司君

      池田 行彦君    桜田 義孝君

      下地 幹郎君    虎島 和夫君

      中本 太衛君    野田 聖子君

      平沢 勝栄君    水野 賢一君

      宮澤 洋一君    伊藤 英成君

      木下  厚君    首藤 信彦君

      中野 寛成君    細野 豪志君

      前田 雄吉君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君    東門美津子君

      柿澤 弘治君

    …………………………………

   外務大臣         河野 洋平君

   防衛庁副長官       石破  茂君

   外務副大臣        衛藤征士郎君

   外務副大臣        荒木 清寛君

   外務大臣政務官      桜田 義孝君

   外務大臣政務官      丸谷 佳織君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  柴田 雅人君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    五十嵐忠行君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   飯村  豊君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   津田 廣喜君

   外務委員会専門員     黒川 祐次君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件




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     ――――◇―――――

土肥委員長 これより会議を開きます。

 この際、桜田外務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣政務官桜田義孝君。

桜田大臣政務官 先日、外務大臣政務官に就任いたしました桜田義孝でございます。土肥委員長を初め委員各位にごあいさつ申し上げます。

 私は、アメリカ原子力潜水艦グリーンビルと愛媛県宇和島水産高校練習船えひめ丸との衝突事故発生以降、昨日に至るまで現地ホノルルに出張し、情報収集に努めるとともに、御家族並びに関係者の御意向を十分踏まえ、全力を挙げて米側と折衝してまいりました。

 この問題や公金横領疑惑を初め、我が国外交当局が直面する課題が山積する中、河野外務大臣の下で外務大臣政務官としての職務を全うするため、全力を尽くしてまいる考えでございます。

 委員長を初め本委員会の皆様の御指導と御協力をいただけますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

土肥委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、桑原豊君の質疑の際に会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土肥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、下地幹郎君の質疑に際し、警察庁生活安全局長黒澤正和君及び警察庁刑事局長五十嵐忠行君の出席を、上田勇君の質疑に際し、外務省大臣官房長飯村豊君の出席を、桑原豊君の質疑に際し、外務省大臣官房長飯村豊君、内閣官房内閣審議官柴田雅人君及び財務省主計局次長津田廣喜君の出席を、また、赤嶺政賢君の質疑に際し、警察庁刑事局長五十嵐忠行君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土肥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土肥委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下地幹郎君。

下地委員 朝早くから御苦労さまでございます。大臣におかれましては、昨日も参議院の外務委員会、安保委員会、沖特委員会、延べにしますと十時間ぐらい審議の答弁をなされているわけですけれども、お体には十分気をつけて頑張っていただきたいと思っております。

 私は、桜田政務官が今お話をしておりましたけれども、えひめ丸の件でハワイに行っておりました。私は、えひめ丸の引き揚げの話が出ると、五十六年前の沖縄の対馬丸に思いをいたします。あの千二百人のとうとい子供たちがまだ深い海の底にいる。今でも遺族の方々は、引き揚げをしてくれと言いながら、毎年八月の二十二日になると、海の中では寒いだろうと言いながらセーターを海に投げ入れる。そういうふうな慰霊祭をずっと私どもも見てまいりますと、親御さんのお気持ちというものをダブって感じるわけであります。

 私は、その意味におきましても、ぜひ、えひめ丸の引き揚げの問題に関して、徹底的に外務省がこの問題に取り組んでいただきたい。そして、今一千二百人の対馬丸の子供が海底深くまだ眠っている、その思いをしながら親たちがもう五十年間も生きている、そんな思いにならないように、しっかりとそのことを外務大臣に頑張っていただくようにお願いをしたいものだというふうに思っております。

 その件に関して、大臣の強い思いをまずお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 えひめ丸の事故はまことに遺憾な事故でございまして、この点については、アメリカに対しましても強く抗議をしてまいりました。

 昨日も、アメリカ大統領初めアメリカ政府の意を体して、特使が森総理を訪ねられまして、私も同席をいたしましたが、特使からは、アメリカが今回の事件についてあらゆる責任を負う、そういう考えだという意味のことを述べられたわけでございます。総理からは特に船体の引き揚げの問題について言及がされまして、特使からは引き揚げについて最善を尽くすという発言があったところでございます。

 私どもとしては、先ほどもごあいさつを申し上げましたが、事故の当日、桜田政務官をハワイに派遣いたしまして、その他衛藤副大臣をワシントンに主張を命ずる等、外務省としては総力を挙げて、事故の関係者の方々のお気持ちを大切にしながら、さらにはアメリカ海軍の日本にあります基地に対する出入りを初め、それらの安全を再確認するというようなことまで含めて、アメリカに対しては言うべきことは言ってまいりました。

 他方、日米関係の重要性ということも考えなければなりません。昨日の特使も、心からおわびをするという非常に丁重なおわびの言葉があった最後に、日米関係の重要性というものにも思いをいたしていかなきゃならぬと思っていますという意味の話もあったことをつけ加えたいと思います。

下地委員 対馬丸が発見されたのが平成九年の十二月の十二日午後二時三十三分でありますけれども、対馬丸というのが、無人の探査機から名前が見つかって、その後三時ごろになるとこの船の周りをにじが包んだというのですね。そのにじが包んだ話を船長が私に泣きながらしたのを今でも覚えております。とにかく、あれは子供たちの思いがあったんだというようなことを言っていますけれども、インターネットの中にちょうどにじが出ている写真が出ていますから、これは本当の思いだと思って、ぜひこの件も含めながら頑張っていただきたいというふうに思います。

 さて、私は、きょう大臣には地位協定についてお話をさせていただきたいなというふうに思っております。

 私は、今地位協定の改定という問題の中で、感情的に沖縄の方々が大きく問題視するのは、やはり日米地位協定の十七条の五項の(c)、身柄の問題だと思うのですよ。それで、きょう刑事局長にも来ていただいておりますけれども、復帰して今までに凶悪な犯罪が十九件起こっております。そして、その十九件のうち逮捕同意の請求をして認められたのは一件、あとの十八件は拒否をされているわけです。早目に起訴をしたい、早目に取り調べをしたいというふうな中で、皆さんは同意請求をしているわけですよね。そのことが捜査がやりやすいと思ってやっている。

 しかし、それが拒否されて今捜査をしているという状況でありますけれども、日本の捜査状況からして、つまり日米地位協定の十七条の五項の(c)というのは、皆さん、日本の警察、沖縄県警の捜査上、犯人を逮捕する、早目に起訴するというものに対して障害になっているのかなっていないのか、そのことをまずきちっと皆さんがお話をしなければならない。

 障害になっていないというならば地位協定の見直しはしなくて結構ですよ。しかし、障害になっていて早目に起訴できないというならば地位協定の改定をしていかなければならない。どっちなのかということをまず捜査の立場にいる皆さんがはっきり答える、これが私は地位協定の問題の原点であろうと思っていますから、そのことをまず明確にお答えいただきたいというふうに思っています。

五十嵐政府参考人 これまでに逮捕同意請求が拒否された事件につきましては、任意捜査の過程で米軍当局の全面的な協力が得られたことにより、刑事事件として立件できたものと認識しております。一般論として、逮捕同意請求が拒否されれば、警察としては身柄の拘束はできませんで、任意捜査によることとなるわけでありますが、ただいま申し上げましたように、これまで刑事事件として立件する上では特段の支障を来したとの報告は受けておりません。

 地位協定が一般的に障害となるかどうかにつきましては、米軍当局の協力のあり方にもよりますので、一概にお答えいたしかねることを御理解いただきたいと思います。

下地委員 米軍当局の協力があってやるのだったら、地位協定の改定をしなくても自分たちでできるから大丈夫だということですね。

五十嵐政府参考人 警察といたしましては、事案の真相を解明するという立場にあるわけでありまして、強制捜査ができなければ任意捜査で、いろいろ手段を尽くして事案を解明するということを申し上げたわけでございます。

下地委員 どっちがベターかという論議をする中で、一ができなかったら二でできるから一の改定は要らないというふうなことであるわけですね、警察庁は。そういうふうな御理解のもとでいいというふうなことは大事ですからね。これは非常に大事な答弁だと思ってやってくださいよ。これは多くの皆さんが聞いていて、十七条の五項の(c)というのは、非常に感情的な問題も含めて大事な部分である中で、警察庁のこの答弁というのは大きな意味合いを持つと。もう答弁は要りませんから。それを、今発言したことを私は注目したいなというふうに思っております。

 それで、大臣にちょっとお聞かせをいただきたいのですけれども、二月十四日から二月十六日まで、予算委員会やその他会見で、これまで運用改善に努力をしてきたが、もしその努力だけで解決しなければ、相手もあることではあるが、地位協定の改定ということも視野に入れていかなくてはならないと考えていると。そして、沖縄に行かれて、市町村長との会食のときでも、これまで地位協定の運用改善を図ってきているが、刑事裁判権にかかわる起訴前の身柄引き渡しにつき、九五年の日米合同委員会の合意のその他特定の場合を明確にし、例えば放火、営利の誘拐等が入るよう米側と協議をするよう事務方に指示をしたというふうな答弁をしていますけれども、そのとおりかということと、事務方にいつどんな指示をなされたのか、そのことをお聞かせいただきたい。そして、その他事項に対する項目は、放火、営利誘拐という項目でやったのかどうなのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 予算委員会で私が申し上げたのは、今下地議員の御発言のとおりです。私は、これまで地位協定にかかわる問題で、今まさに議員が議論をしておられる十七条五項の(c)の問題について、運用の改善ということを日米間で合意をして、運用の改善によって問題の処理が早くできるようにしよう、こう考えて、運用の改善で日米間で、なかなか難しい議論でしたけれども合意をしたわけです。その運用の改善の中には、例示としてといいますか、殺人、強姦ということを明示的に書いて、そして最後に「その他の特定の場合」ということを書き込んであるわけです。

 今回の問題について、放火についての被疑者の身柄を渡してほしいという要請があれば、これをアメリカ側に言って身柄をもらわなければなりませんが、合同委員会でそういう運用の改善を持ち出して、こういうことがあるから身柄を起訴前であってもよこしてほしいという提案をしたときに、もし仮にここに放火ということが明示的に書いてあれば議論は比較的スムーズに話がつくのではないかと。

 しかし残念ながら、そこには明示的には殺人と強姦しか書いていなくて、「その他の特定の場合」としか他のことは書いていないものですから、その他特定の場合とは一体何を指すのか。あるいは、特定の場合ということについての日米間で意見の違いでもあれば、なかなか議論は時間がかかってしまうというふうに思ったものですから、運用の改善はしたけれども、今回の問題がその運用の改善によって、当初考えていたように速やかに身柄の引き渡し等ができるかどうかということを考えた場合、ここに明示的に書いてあればスムーズにいったものをという思いが私にはあったわけです。

 したがって、私は、身柄の引き渡しができないのなら運用の改善で主張をしなければいけないけれども、その主張をする場合も特定の場合というだけで、うまく主張が、ちゃんと先方が納得できるかどうかということを考えれば、もう少し踏み込んで書いてあればよかったのになという思いがあって、私は、例えば放火犯、放火犯といっても、これはそこに人が住んでいて放火をしたということが非常に大きな問題だと思いますけれども、そうしたことを例示的に申し上げたわけであります。

 どうしてもそういうことが話がつかぬということであるならば、これは地位協定そのものの改定も視野に入れて考えなければいかぬというふうに私は思って予算委員会でも申し上げたわけで、この私の気持ち、私の発言は一貫しているわけで、どうもメディアの方の御理解が、揺れているとか、少しトーンダウンしたのではないかとかいうことをおっしゃる方もありますけれども、私はこの考え方は一貫しておって、全くその気持ちに変わりはありません。

下地委員 三十分という時間ですのであれですけれども、大臣がどんな指示をしたのか、いつしたのかということを私はお聞きしたいというふうに思っています。

河野国務大臣 事務方に対しまして、平成七年の刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意による「その他の特定の場合」の明確化について、二月二十二日だったと思いますが、指示をいたしたというふうに理解しております。

下地委員 私は、平成十一年の十一月十一日、一、一、一の日なのですけれども、安保委員会で大臣に御質問させていただきました。大臣は覚えられていると思いますけれども、上間悠希さんという高校三年生の子供が交通事故に遭った。交通事故を起こしたのは海兵隊の方だった。そして、私はそのときにも地位協定の話で申し上げましたけれども、これは飲酒運転ですよ、スピード違反ですよ、ひき逃げをしたのですよと。三つの重大過失、日本で言えばこれはもう殺人と同じですよ。それをやった方なのだから、その他事項として日米地位協定により身柄要求をすべきだというふうなことを私はそのときに大臣に質問をさせていただいたのです。

 そのときの大臣の答えが、犯人は極めて捜査に協力的であり、事件についても直ちに認め、起訴がすぐにできた、その他の部分をどれぐらいに見るか、どこまでその他というのかということについて、もう少し具体的に詰めておく。もう少しお互いに、ここまでだったら引き渡してもらいますようにということを具体的に詰めるという作業はしなければならない。私は、事務当局と相談をしてみます。我々がどこまで、こういう事例についてこうするという、表現は悪いのですがマニュアルみたいなものをつくって、この場合はこうだというようなことができるかどうか、作業を進めさせてみたい。そして、その結果についてもう少し時間の猶予をいただきたいと思っておりますという答弁を大臣はなされているのです。

 私が申し上げたいのは、私が二年前にお話をしたことを今大臣はやろうとしている。私は、この大臣の答弁を気持ちよく受け入れる。それで、大臣にやっていただける。私は、後ずさりしているだとかなんとかとは思いませんよ。はっきりと今明確に申し上げているわけですから。今私どもにとって大事なことは、このようなことも含めて、大臣がおっしゃっている、どこまでアメリカ政府と協議をして、だめだったらその時点でどのようなものになるのか。

 私が今考えるには、アメリカ政府と運用面で協議をして決裂したら、運用面も改定できないのに地位協定の改定なんてできないと思うのですね。だから、運用面の改定をする。その他事項でも何でもいいですから改定をして、その改定をいつまでにやる。自分たちは、日米協議機関で一年以内なら一年以内という明確な指示がメッセージとして欲しい。そして、その後、こういうふうな問題点が起こったらこれは地位協定の改定につながりますよという、どの項目が問題になったら地位協定の改定を大臣はおやりになりたいという、そういう視野をお持ちになっているのか。

 運用面の改定までの、いつまでという時間と、どの項目から改定の話になっていくのかという、この二つをまずお願いさせていただきたいと思います。

河野国務大臣 議員がおっしゃるように、何年か前にこの話は議員とも議論をしたということは私も覚えております。

 問題は、運用の改善の中の、例えば「特定の場合」の特定をどう詰めるかということについても、これはなかなか外務省だけではアメリカ側と交渉はできない。日本の国内的にも、もっと合意を取りつける作業もしなければならない部分もあるわけです。したがって、そうしたことについても、外務省としては相談すべき場所とは相談をしながら、どういうことは主張できるか、どういうものについてはこちらからきちんと提起をしていいか、まず国内的に。それからまた、先方は先方でどういう対応をしてくるかということを考えなければいけません。

 しかし私は、今の段階では先方がどう考えるかということは二の次であって、我々がどういう場面に直面をし、どういう場面でどこまで向こう側に対して問題提起をするかということについては、その整理がまず最初で、それが非常に重要だと思っているものですから、そうした問題について事務的には考えてもらうということを今やっているわけです。

 したがって、この問題は国内的に意思統一ができれば問題提起をして、いつまでにやるか、それはそのとおりですけれども、これはやはりかなり粘り強くやらないと、一年以内に結論を出せといって、一年以内にノーという結論が出ればそれではそれであきらめてやめるのかということでもないでしょう。さらばといって、いつまでもだらだらと言っているというわけにもいかないでしょう。

 したがって、私は私なりのめどを立てながらやりますけれども、今ここで一年とか半年とかいうことを申し上げることは、責任ある発言とは言えないと思いますので、これはもう少し待っていただきたいと思います。

 それから、ちょっと時間を使って申しわけありませんが、地位協定についてそれぞれいろいろな意見があります。民主党からも地位協定についてはいろいろな改正のための案が提出をされておりますし、その他議員の方からそれぞれの御意見もあります。もちろん自民党の中からも、とりわけ沖縄に御関係のある方からは、自分の問題のように非常に強い主張、また十分な実体験に基づいた御意見があることは承知しています。

 しかし、地位協定の問題についていえば、これは、アメリカ側にはアメリカ側の考え方もきっとあるでしょう。私どもは、何としても一つ一つ前進させるということが大事なのであって、どうやって前進をさせていくことができるかということを考えなければならないというふうに思っていることをぜひ御理解いただきたい。

下地委員 私は、二つ提案をさせていただきますけれども、やはり時間というのは大事ですから、結論が出なくても、大臣は事務方に指示をして、やると言っているわけですから、半年間に一回、途中経過でもいいですから、僕は、これは一カ月二カ月でできるような話じゃないと思うのですよ、だから、半年間に一回、こういう状況ですよということを大臣が報告して、今の現状、こうやって進めているというようなことはぜひやってもらいたいというふうに思っております。時間がかかるのはわかるけれども、それが、だらだらという表現がいいか悪いかは別にして、きちっと半年ごとに区切りをつけるというのは大事だろうと思います。

 それと二点目に、その他事項を大きくやりましょうよ。日米合同委員会は一日で開催できるのです。北米局長がこれは議事を進行してやるという仕組みになっていて、東京都内にいるわけですから、集まればすぐできる話ですから。その他事項というのは、日本側の姿勢なんですよ。私はそのことをきちっとやってもらいたいというふうなことをお願いさせていただきたいと思います。

 それで、今言いましたけれども、刑事局長、今大臣が申し上げたように、日米間の交渉の前に日本側できちっと整理をするという作業、私は非常に大事なポイントだと思いますね。司法の立場と外交の立場、そしてもう一つは沖縄県民の感情というのを忘れてはなりませんよ。この三つの流れをどうやってまとめ上げてこれをやるのか、そういう重い立場にいるということをぜひ頭に入れて私はこれから取り組んでもらいたい。あのような答弁では本当は、もう時間がないのであれですけれども、許されるような話じゃないというふうに私は思っています。

 逆に言えば、沖縄県警が捜査のやりやすいように日米協定の改定をやりたいという思いの中で、多くの皆さんはそれをやっているのに、支障がないなんということを言ったら、これはやぶ蛇な話になりますよ。

 私は、そのことをもう一回きちっと整理をして答弁してもらいたいと思います。

五十嵐政府参考人 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、要するに、逮捕同意請求が得られなかったというケースが、先ほど先生言われましたようにあるわけですけれども、それにつきましては、任意捜査について米軍当局の協力を得て我々は立件送致しているということでございます。捜査に支障がなかったとも申し上げていないつもりでございます。あるとも申し上げていないつもりでございます。

下地委員 あるとも言わない、ないとも言わないといったら、どっちになるのかわからないけれども、まあいいでしょう。

 それともう一つ。生活安全局長が来ていますから、ちょっとお願いをさせていただきたいのですけれども、グアムなんかへ行きますと、大体腕章をつけたMPが繁華街を回っていますよ。私は、今いろいろなところへ行っているのですけれども、大体米兵が問題を起こすのは酒を飲んでからですね。

 私は自分で綱紀の粛正という題を掲げてやっているのですけれども、まず一点目には、酒を飲んだ者を基地外に出すな、ゲートでチェックしろと。それと、十九歳の子供に沖縄のお店も飲まないようにさせろというのがあるのです。

 それともう一つは、やはりパトロールですね。沖縄県警が酔っぱらっているアメリカ人を捕まえることは不可能です。それは器物破損か暴力を振るったら捕まえることはできるけれども、酔っぱらっているだけでは捕まえることはできません。しかし、アメリカのMPだったら、酔っぱらっているからゲートに帰れというふうなことができるわけです。アメリカとの共同パトロールに関して、今地道にスタートしているようですけれども、これを強化する思いはありませんか、どうですか。そのことが相当な抑止力につながると私は思うんですけれども。

黒澤政府参考人 状況に応じまして適切に対応してまいりたいと思いますが、お尋ねの酔っぱらいの関係につきましては、警察といたしましては、警察官職務執行法、それから酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律の規定により、泥酔者が自己または他人の生命、身体等に危害を及ぼすおそれがある場合でありますとか、酩酊者が公共の場所等で粗野または乱暴な言動をしている場合であって、一定の要件に該当するときには、その言動を制止したり、保護して関係者に引き渡すことができるわけでございまして、アメリカ合衆国軍隊の構成員の酔っぱらいでありましてもこの点変わるものではございませんで、日本人と同様の対応をとっているものと承知をいたしております。なお、酔いの程度の軽い者など要件を具備しない場合につきましては、他人に迷惑がかからないよう説得や説諭などの措置をとっているものと承知をいたしております。

下地委員 時間がないのでもうやめますけれども、私が質問しているのは、共同パトロールを強化するつもりがあるのかないのかという質問をさせていただいているんで、今の状況を聞いているんじゃなくて、やっているのはわかっているんですから、質問にきちっと答えていただきたいなというふうに思います。

 それと、最後になりますけれども、今沖縄に必要なことは、日米安保を守るんだったら、兵力の増強じゃなくて、沖縄からアジアを含めて、フィリピン、サイパン、グアム、ハワイ、沖縄と、バランスよく兵力の分散をしていくこと。僕は海兵隊の削減という表現を使いません。バランスよく移設をこの四つの地域できちっとやることが、アジアの安定にもつながって、沖縄の日米安保に対しても私は理解が深まるんだろう。そのことを一点やることと、地位協定に対する改定をすること、これをやらない限り、日米安保に対する理解は深まらないというふうに私は思っております。そのことを早急にやっていただきたい。

 そして、私たちも国会議員で今話をしながら、地位協定の見直しに対する改定の議員連盟をつくってその問題についてしっかりとこれから取り組んでいきたい、そんな思いでありますから、そのことも御理解いただいて、この大臣の発言を、非常に大きな期待を持っておりますから、ぜひ半年、一年ごとの報告の中で成果を見せていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

土肥委員長 次に、上田勇君。

上田(勇)委員 公明党の上田勇でございます。

 きょう、河野外務大臣を初めといたしまして、外務省の方に幾つかの点について御質問させていただきます。

 まず初めに、今や大変な関心事となっております外務省の公金横領事件につきまして、何点か御質問させていただきます。

 外務省の元要人外国訪問室長の公金横領事件、本当に前代未聞の事件でありまして、事件発覚後、我が党でも、この事件というのは本当に政治行政に対する国民の信頼を著しく傷つける極めて深刻な事態であるというふうにとらえまして、何回も外務省の方々からもお越しをいただいて事情の説明を受けるなど、調査検討を行ってきたところであります。

 今、この事件に関係して、国民の不信というのは、まず第一に、あれほど多額の公金が長期にわたって横領されていた事件が到底個人だけの犯罪とは信じがたい、本当に組織ぐるみの犯罪ではないのかという疑問がございます。第二に、それが仮に個人の犯罪であったとしても、これほどの大事件を長年にわたって見過ごしてきた組織としての管理体制、これも到底信じられないということが挙げられております。そして三つ目に、やはり今回、官房の報償費、外務省の報償費、機密費という名のもとに、公金が目的外に好き放題に支出されているのではないかというような疑問、不信が持たれているというふうに受けとめております。

 これまで私たちが聴取いたしました外務省の説明について、改めて何点か確認をさせていただきたいというふうに思います。

 外務省の説明によれば、第一に、本件において元室長によって横領されたのは内閣官房の報償費であって、元室長は外務省の報償費の支出には一切関与していない。二点目が、内閣官房報償費の取り扱いは外務省の職務とは関係ない別のところで元室長だけが行っていたもので、外務省が組織として関与をしてもいないし、そうした取り扱いを元室長が行っていたということも承知をしていなかった。三点目に、外務省の報償費が内閣官房に提供されている、これは上納というような言い方をされておりますけれども、されていたことは一切ない、したがいまして、外務省報償費を、内閣官房を経由したとしても、元室長が取り扱っていたという事実はないということ。そして四つ目、外務省の報償費はすべて外務省の責任において適切に支出されている。

 以上がこれまで私たちが説明を受けた内容でありますが、以上のとおりで間違いないでしょうか、まず確認をお願いいたします。

河野国務大臣 四点について御確認の意味での御質問がありましたので、私から御答弁をさせていただきます。

 まず、松尾元室長によります横領の疑いが明白となりましたのは内閣官房所管の報償費であって、外務省報償費は含まれておりません。これは、要人外国訪問支援室の業務それ自体が、総理の外国訪問に際して行われる交通手段でありますとか宿泊施設などに関する支援業務でありまして、その職にある間、松尾元室長は、外務省報償費を扱う立場にはございませんでした。

 二つ目は、これまでの調査の結果、総理の外国訪問に際し、交通手段、宿泊施設などに関する支援を担当していた松尾元室長が、一行の宿泊費差額に相当する内閣官房報償費の取り扱いについても事実上ゆだねられており、その見積もり、支払い、精算を一人で取りまとめていたことがわかっています。このことについては、一部の省員は知っていましたが、上司の了解を得ておらず、外務省としてだれもチェックする体制になっていませんでした。私自身、直属の上司である歴代総務課長にこの点確認をいたしましたが、これについての認識がなかったことが明らかになりました。外務省の組織としてのチェック体制がまことに不備であったことは、まことに申しわけないことでございます。深く反省をしておりますが、組織として関与していたということはございません。

 外務省報償費が内閣官房に上納されているかというお尋ねでございますが、上納されているということはありません。したがいまして、松尾元室長が外務省報償費を内閣官房を経由して取り扱っていたということはございません。

 外務省報償費の支出に当たっては、会計法令に基づき、他の科目と同様に所要の省内手続を経て支出しております。その手続の過程において、当該支出が報償費の使用目的に合致しているかなどをチェックしておりまして、支出は適正になされていると考えております。

 今回の事件に関連してさまざまな報道がなされている中で、外務省としても内部で種々調査をいたしておりますが、今までのところ、外務省報償費が私的な会食や遊興費として支出されたとの事実は確認されておりません。仮にそうした問題が出てくれば、外務省において厳正な措置をとる考えであります。

上田(勇)委員 今大臣もおっしゃったように、各種報道は相当異なったものを伝えておるわけでございます。そして、残念ながら国民も、そうした報道を見て、外務省のそうした説明を信用していないというのが現実であります。今後新たな事実が判明して、今のそうした説明を訂正するような事態ということに万が一でもなれば、いよいよ信頼が失墜するというのは明らかでありますので、ぜひそうしたことが起こらないことを私も本当に祈るような思いで期待をしているところでございます。

 事件の全容の解明というのは捜査当局によって今後行われるのでしょうけれども、もちろん外務省としては、捜査に全面的に協力することは当然のことといたしまして、内部調査も徹底的に実施して、国民の信頼回復に努めるべきであろうかというふうに思います。

 省内には荒木副大臣を責任者とする調査委員会が設置されていると承知しておりますけれども、どのような目的で設置されたのか、どのような内容の調査を行うのか、現在の調査の進捗状況等御説明をいただきたいというふうに思います。

荒木副大臣 私が委員長を引き継ぎました調査委員会につきましては、一月二十五日に発表しました調査報告書を踏まえまして、特にそのことについてのいろいろな意見を踏まえて調査をしております。

 調査の目的は、総理の外国訪問に係る外務省の体制上の問題を初め、公金横領疑惑に関する事実関係についてさらに精査をするということでありまして、どうしてこうした大それたことが敢行されたのか、だれか手をかした人間がいるのか、あるいは供応接待の有無等について精査をしております。

 外務省としまして入手可能な資料の調査、関係者からの任意の事情聴取を中心として進めております。具体的には、官房長経験者、官房各課長経験者等から改めて聞き取り調査を行い、問題点の所在をさらに突き詰めております。また、松尾元室長からの供応接待の有無につきましては、関係者に対して文書等によりまして照会を行っているところであります。

上田(勇)委員 今副大臣も触れられましたけれども、調査委員会では省内の職員などを対象としてアンケート調査を実施したというふうに伺っております。これはどのような内容の調査を行ったのか、またどのような結果であったのか、御説明をいただければというふうに思います。

荒木副大臣 新聞報道等のフランス料理あるいは高級料亭あるいは接待ゴルフといった報道を念頭に調査をいたしました。すなわち、松尾元室長からの飲食、ゴルフを含む供応接待の有無につきまして、退職者を含む同元室長のかつての上司や幹部職員等六百人以上に対して、本省及び在外で文書等によって照会を行っております。

 ちなみに、文書についてはどのようなことについて回答を求めたかといいますと、三点ありまして、一つは、松尾元室長がその職にあったときに、同人の費用負担で食事、ゴルフ等をともにしたことがあるのか。ある場合には、日時、場所、回数、同席者等。二番目には、今申しました期間あるいはその後、回答者みずからが行った会食等につき、経費の全部または一部を松尾元室長に負担をしてもらったことがあるのか。ある場合には、日時、場所、提供された資金の額、同席者等。三番目には、松尾元室長の室長だった間に、総理外遊等の後に同室長から土産等をもらったことがあるのか。ある場合には、日時、土産の内容、おおよその金額等。こうした三項目につきまして回答を求めました。

 この点につきまして、これまでのところ、一部で報道されているように、同元室長がこれらの職員のために高額の飲食代等を負担していたということを裏づけるような回答は出ておりません。また、みずからが行った会食等につきまして、経費の全部または一部を松尾元室長に負担をしてもらった、ツケを回したというのでしょうか、そういう回答をした者は一人もおりませんでした。

 しかしながら、今後とも調査を継続していくつもりでありまして、仮に問題が出てくれば、厳正な措置をとってまいります。

上田(勇)委員 今御報告をいただいたのですが、率直なところ、荒木副大臣は、この調査の指揮をとられたということでありますので最も実感しているんだというふうに思いますが、今御報告をいただいた内容というのは信頼に足り得るものなのか、これによって外務省の疑惑は晴れたというふうにお感じなのか。それとも、正直言って、調査方法等の限界があって、どうもまだまだ不十分な段階なのか。どういうふうにお感じなのか、認識を伺えればというふうに思います。

荒木副大臣 特に文書等によって回答を求めるということにつきましては、いわゆる本人の自己申告ということでありますから、おのずからそういう限界というのは内包していると思います。

 ですから、いずれにしましても、いろいろな意味で、情報を集めながら、今後もこの点につきましても調査を継続していかなければいけないというのが私の思いであります。

上田(勇)委員 今のお話にもありましたけれども、文書での回答、あるいは、報道によりますと記名方式でやったというようなことで、意地の悪い報道は、そんな自分から自分の犯罪を申告することはないだろうみたいなことも言われているわけで、今副大臣の方からも、おのずとそういう限界は内包しているというようなお話もございました。

 引き続き調査を行っていくということも言っていただきました。もちろんこれは強制力のある捜査権限を有しているわけではないので、限界があるというのはわかりますけれども、これは非常に重要な、外務省の組織としての名誉にかかわることであろうかというふうに思いますので、ぜひ引き続き調査には徹底をしていただきたいというふうに思います。

 また、外務省では、新たに今度衛藤副大臣が担当して機能改革会議を設置したというふうに承知しております。この会議は、本当に著名な方々が名を連ねて出発をしたわけでございますけれども、何を目的としているのか、どのような事柄についてこうした方々に御検討いただくのか、いま一つ私自身判然としない面がございます。会議の目的、またその検討の内容を改めて御説明をいただければというふうに思います。

河野国務大臣 外務省の機能改革会議は、実はけさも行っていただいております。

 これは、かねてから御説明を申し上げてまいりましたけれども、今回の問題に関しまして、事件の内容の解明、これは何としてもやらなければならないのは当然のことでございます。今、荒木副大臣から申し上げましたように、捜査当局にお願いをしている事件の解明と、それから省内におきますいろいろな問題についても、荒木調査委員会で、いろいろな疑惑といいますか、批判といいますか、そういうものに対してこたえられるようにする調査をお願いをしておりますが、もう一方で、再発の防止ということを考えなければなりません。

 それは、ただ単に再発を防止するだけではなくて、少し外部から見て、あるいは新しい感覚で外務省の機能を強化するといいますか、あるいは監査体制を強化するといいますか、あるいは人事問題についての考え方を改めるとかいう部分があればぜひ御意見をいただきたいということを考えて、つまり再発の防止という観点と事件の全容の解明、この二つに分けて今作業をしていただいている、その再発の防止の方が今御質問のありました機能改革会議によるものでございます。

 この機能改革会議につきましては、一回目の会合で、私、出席をさせていただきまして、御出席をいただいた方々におおむね四点について私からお願いを申し上げました。

 まず第一点は、外務省に対します国民の信頼の回復。これは外務省に対するといいますか、日本の外交に対する信頼を回復するために、あるいは理解を増進するために、どういう措置、方法が必要であるか、どういう考え方が必要であるかということについて御意見を賜りたい。二つ目は、外務省の組織、体制上の課題について御意見をいただきたい。三番目は、人的体制の問題点を含む人事運営のあり方について御意見をいただきたい。そして四番目に、外務省予算の執行体制を初めとする外交実施の体制。その中にはチェック機能あるいは監査体制について議論をしていただきたいということをまず申し上げて、私、こういうことを申し上げましたけれども、御議論に枠をはめるつもりはありません、今の外務省をごらんいただいて、あるいは外交を推進している状況をごらんいただいて、何か御意見があれば自由に述べていただきたいということを申し上げております。

 なお、この機能改革会議は、私どもとして、これは運営その他を全部お任せをしておりますけれども、願わくば、十回程度の会合で、五月の連休前ぐらいまでにはぜひ取りまとめたものがいただければ大変ありがたいということを概略申し上げているところでございます。

上田(勇)委員 今大臣からも御答弁いただいたんですが、この機能改革会議、今回の横領事件を背景として設置されているわけでありますけれども、今大臣もおっしゃったように、求められているのは、今回のこうした事態を起こした外務省の組織、それから体質、また今お話があったようなさまざまな事務や人事の、あるいは予算の執行についての管理システムの現状の問題点をしっかりと洗い出して、分析をして、その中で改善をしていくということを提案していただくということなんだというふうに理解をいたしました。

 ただ、そうなると、こうした大変立派な方、毎日新聞の社長さんであるとか経団連の名誉会長さんであるとか大学教授の方々であるとか、こういった方々に検討いただいく、今後の外交の基本方針みたいなことを御検討いただくというのであれば極めて適切なメンバーなんだというふうに思うんですけれども、そういうようないわば実務的なことを具体的に検討していただいて、分析をしていただいて、改善策を具体案を示していただくということであろうかというふうになると、果たしてこういう名立たる方々を連ねた委員会が、何かお墨つきだけをつけるような委員会になってしまうんではないかということは非常に危惧を感じております。

 もっと実務に携わっている弁護士であるとか会計士であるとか、あるいは企業の総務、管理部門に実際に携わっている人たちとかに加わってもらって検討していかないと、実効性が果たしてあるんだろうかということは非常に疑問に思うんですが、大臣、その辺の御見解はいかがでしょうか。

河野国務大臣 その点について、この会議の方々の一回目の御議論の中でも、外部からのヒアリングの必要があるだろうと。今議員からお話がありましたように、実務に精通した人たちからもヒアリングをする必要があるだろう、あるいはまた、資料を集める必要がある、例えば外国の例その他についても要請があれば資料を直ちに集めてほしいというような御注文もございました。場合によっては公開のヒアリングをすることも考えていいというようなことまでお話がございまして、確かに、実務に精通した人の意見というものも重要だろうというふうに、会議の方々のおっしゃることはまことにそのとおりだというふうに感じた次第でございます。

 私どもは、できるだけこの会議の運営あるいは会議におきます議論はメンバーの方々でひとつ考えてやってほしい、御下問があればいかようにでも出ていって御説明はいたしますということで、できるだけ自立した組織といいますか、独立した委員会ということで御議論をいただきたいというふうに私は思っているところでございます。

上田(勇)委員 もうちょっとこれについてはお尋ねしたいこともあるんですが、時間の限りもありますので。

 一つ、今回のいろいろな疑惑の中で、外務省の報償費が外交機密という名のもとに、新聞報道では官官接待や部内の飲食等に浪費されているんじゃないかというような疑念が持たれております。今そうしたことはないというふうに否定をされましたけれども、外務省自身も、かつては外務省の職員の旅費の差額補てんであるとか、飯倉公館のワインの購入の費用だとか、そういったことに充てていたということは認めているわけでありますけれども、こうした支出自体が私はすべて不必要だというふうに言うつもりはございませんし、外務省の説明でも、全体のごく一部であったというふうな説明ではありますけれども、ただ一方で、それは機密性がある支出とも思えないというふうに思います。こうした支出についても報償費として支出されて、内訳を公表できないというのでは、もうこの時点で到底納得がいかないんじゃないかというふうに思います。

 国民の不信というのは、外交機密という、こういう言い方をすると失礼ですが、何となくうさん臭いところで何かごちゃまぜになって使われていて、その中には到底認めがたいような支出も含まれているんではないかという疑念が強いわけであります。

 そういう意味で、まずは現在の報償費のうち、機密性のあるもの、これは当然あるんだというふうに思います、しかし、そうでないものもどうもあるんではないかというふうに言われているので、それを峻別して、機密性の低いものについては公開性を高める。そしてさらに、機密性のあるものについても今後いろいろ、透明性の確保だとかチェック体制だとかについて強化する必要があるのではないかというふうに思います。

 新聞報道では、衛藤副大臣も機密性の低い出費については公開も検討する考えを示したというふうにも伺っておりますし、ぜひそういう方向で実行していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 報償費は、その性格上、その使い道についてはできるだけ明らかにしないということで今日まで来ているわけでございます。

 今議員、そうは言うけれども、機密性の高いもの、低いものがあるではないかという御指摘でございますが、実はそうしたことは、確かにそうした御意見はあると思います。ただ、私どもからしますと、それでは一体機密性の高い低いというのはどこで仕分けができるかということも考えないわけにはいかないわけでございまして、もちろん、それならこれでどうだ、あれでどうだという御議論を私はするつもりはございませんで、報償費というものは、その性格上、支出についてのチェックを厳密にする、その目的についても厳密に上司がチェックをするということで支出をすることをお認めをいただくということで、ぜひ、報償費はその性格についての御理解をいただきたいというふうに思っているわけでございます。

上田(勇)委員 時間が来まして、ほかにもえひめ丸の件だとか地位協定の件だとかをお伺いしようと思ったのですが、一つだけえひめ丸の件で御要望しておきたいと思うんです。

 今いろいろと取り組みをされているのですが、これから被害者家族に対する補償の問題が出てまいります。そうなると、個人がアメリカ政府を相手に交渉をするということになるわけでありますし、法令や慣習というのも当然違うわけでございます。被害者側に相当な負担がかかるのではないかということが心配されますので、ぜひ、被害者側の負担を軽減し、決してその交渉において不利になることがないように、外務省としても適切な支援を行っていただきたい、このことをお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。

河野国務大臣 それは私どももそんなふうに考えております。

 いずれにいたしましても、審問委員会の結果が出てからの話ということに恐らく具体的にはなっていくのだろうというふうにも思っておりまして、米側が誠意ある対応をするということを政府としても慫慂していきたいというふうに思っております。

上田(勇)委員 わかりました。

土肥委員長 次に、伊藤英成君。

伊藤(英)委員 民主党の伊藤英成でございます。

 まず最初に、先般の二月十日のハワイの沖で起こりました宇和島水産高校実習船えひめ丸がアメリカの原子力潜水艦グリーンビルによって衝突、沈没いたしましたあの悲惨な事故について質問をいたします。

 私ども民主党といたしましてもこの問題については真剣に取り組んでまいりましたので、そのことについても経緯をちょっと申し上げたいのですが、あの事故が起こりまして直ちに民主党のネクストキャビネットの外交・安全保障担当大臣という立場で、私の名前で談話も出させていただきましたり、それから党としても対策本部を設置し、そしてすぐに政府に対しましても、そしてまた同時にフォーリー大使に対しましても、アメリカ政府に対する申し入れをさせていただきました。

 そのときの申し入れの要点だけ申し上げますと、そのときに申し上げましたのは、申し入れ書の中にも書いてありますけれども、ともかくこの問題がどんなに重大な事故であるか、そしてこの事故の対応についての米国側のやり方いかんによりますと、まさに日本の国民の対米感情あるいは日米関係にも重大なことになり得るのではないかという懸念を表明させていただきながら、そのときに、政府に対しては計七項目の要請をいたしました。

 それは、一つは、九名の行方不明者を一刻も早く救出するようにあらゆる措置を講じていただきたい。二つ目には、沈没したえひめ丸の引き揚げについてあらゆる手段を講じること。三つ目には、アメリカ政府との連携を密にして、事故処理に必要な情報収集等に万全を期すこと。四つ目には、徹底的な事故原因、責任の所在を解明するとともに、その結果をいち早く公表すること。五つ目には、生徒たちを初め関係者の心のケアも含む被害者対策等について万全を期すこと。六つ目には、実習船の安全確保について、二重三重の再発防止策を講じること。そして最後には、潜水艦の訓練のあり方などについて再検証するようアメリカ政府に要求すること、こういうことについて、あの事故が起こった直後に申し入れもしたりしたわけであります。

 そして、二月の十六日から二十三日までの八日間、民主党の訪米調査団として私はハワイ及びワシントンに行ってまいりました。もちろんハワイでは、そのときに、国家運輸安全委員会の方々やら、あるいは太平洋軍司令部、太平洋艦隊司令部、そしてまた沿岸警備隊、それぞれの責任者にもお会いしたり、同時にまた、地元でこの被害者のための大変な支援活動もしてくださっておりまして、募金活動をしてくださっております。そうした募金活動をしてくださっている責任者の方に感謝の言葉も申し上げながら、いろいろと懇談もさせていただいたり、あるいは同時に、テレビでも募金を呼びかけることをいろいろやってくださっているテレビもありました。そのテレビ局の社長にもお会いしてお礼も申し上げながら、いろいろな活動をしたり、あるいは現地のテレビのインタビューやら新聞のインタビューにも応じながら、私たちの考え方やら、あるいは今後の日米関係の問題についてもいろいろとお話をしたりいたしました。そして、もちろんハワイでは御家族の皆さん方にもお会いをして、本当に悲痛なまでの、まさに胸を引き裂かれるような思いでいろいろなお話も伺ったりいたしました。

 そして、その後ワシントンに参りまして、二十日でございましたけれども、ワシントンでは、外務大臣も御承知かと思いますが、パターソン国家安全保障会議の大統領特別補佐官、そしてまた国務省ではハバード国務次官補代行、そして国防総省ではスミス国防次官補代行ほか、関係者の皆さん方と、この問題について、かなりの長時間いろいろお話もしたりいたしました。

 私たちとしては、先ほどの政府に申し入れた内容、そういうようなことも思いながら、そういうことをしっかりと申し上げながら、同時に、ハワイで伺った家族の皆さん方からのいろいろな御意見やら意識やら、そういうこともしっかりと伝えながら、いろいろやってきたつもりであります。

 そして、昨日、鳩山代表と一緒に現地宇和島の方に参りまして、水産高校の校長先生やら行方不明者家族の会の代表の皆さん方やら、あるいは愛媛県知事、そしてまた宇和島市長等にもお会いをして、いろいろなお話も伺ったりしてまいりました。もちろんみんなそうなんですけれども、この問題がどんなに本当に悲惨なものか、高校生の実習船が、あの原子力潜水艦に一方的に、まさに人災という形でこの事故が引き起こされて、みんながこの問題についての憤りも感じているわけですよね。私は、そうしたことについてもアメリカのそれぞれの関係者に申し上げたんです。

 行方不明者の捜索の問題からえひめ丸の引き揚げの問題、あるいは原因究明やら責任者の所在の解明の問題、あるいは再発防止等々について、もちろんこの被害に遭った方々への支援やら補償の問題等々、本当に重大な話ばかり。そんな意味で、政府におかれましても、もちろん今それぞれ全力で取り組んでいらっしゃると思いますが、この問題がどんなに重要か。被害に遭ったそれぞれの皆さん方にとって、どんなに大変なことなのか。同時に、日米関係にとっても、これからこの問題がどんなにか重要な、あるいは重大なことになっていくのではないかと私は思っております。

 そういう意味で、まず最初に外務大臣に、今回のこの悲劇的な人災事故について、今申し上げたように、米国の対応次第では本当に日米関係に重大な影響を与えるであろうというように私は思うわけでありますけれども、外務大臣として、この日米関係に与える影響についてどんな御認識を持っていらっしゃるか、それについて伺います。

河野国務大臣 まず最初に、伊藤議員、民主党の皆様方が、まことに悲劇的なこの事故を重く見て、いち早くハワイ、ワシントンと出向かれて、被害を受けられた方々の気持ちを体していろいろと米側に発言をされてこられたということについて、私からもお礼を申し上げたいと思います。

 今議員がお話しになりますように、あってはならない事故、あるいは想像だにできないような事故でございまして、私どもも、事故が発生したことに驚くと同時に、その後次々と新しい事実がわかるたびにその驚きは増すばかりでございました。一日も早く事故の原因がしっかりと究明されること、同時に今、御関係御家族の皆さんが強く望んでおられるえひめ丸の引き揚げが実現をすること等について、アメリカ側が誠実に対応されることを強く望んでおります。

 この問題は、アメリカ側はもちろん大変重く見ておられて、当然のことではありますけれども、大統領を初めとして、あらゆるチャネルで我々に対しておわび、謝罪の意を伝え、非常に誠実な対応ぶりであるように今のところ我々は感じております。しかし、問題は、そうした対応ぶりが、ただ単に言葉の上だけではなくて、実際の行動によって示されることが重要だと思っております。

 昨日も、アメリカから特使が森総理を訪問されました。この特使はブッシュ大統領の親書を持ってこられたわけでございますが、その親書の中にも、大統領は、アメリカ政府とアメリカ国民を代表して、この事故について謝罪と深甚なる遺憾の意を再度お伝えします、こう切り出して、私自身、この事故により悲しみに暮れております、九名の行方不明の方々の捜索を続け、本件の推移を見守ってきたアメリカ人は皆、被害者の方々とその御家族の方々に深く同情をし、日本人の皆様の悲しみを理解しておりますというふうに言っておられるわけです。

 引き揚げについて総理から言及をされましたけれども、これに対しても、特使は、最善を尽くしますということを言われて、正面からこの問題に対応する、そういう感じを我々は受けたわけでございます。

 そうして、今伊藤議員がおっしゃいましたように、この問題が日米関係にどういうことになるかということについても、大統領は、親書の中で、貴総理と日本の人々に対し、この最も重要な二国間関係の強さと耐久力に対する私の心からの評価を確認しますと。つまり、この事件についてアメリカが行う対応が日米関係というものの重要性を十分認識している、そういう認識の上で行うということを述べておられるわけでございます。

 私は、何といっても、水産高校の実習船が原子力潜水艦によって衝突され沈没をし、九名の行方不明者を出したということについては、これはもう我々として、事故に遭われた方々のお気持ちというものを大事にして、アメリカに対してきちっとした折衝をしなければいけない。

 これから先、いろいろな問題がまだ出てくると思います。先ほども御議論がありましたように、補償の問題を初めとしていろいろな問題が出てくるでしょう。それからまた、これから始まります審問委員会の中で事故の原因がさらに究明されるということになれば、それについても我々はしっかりと注目をしていくと同時に、その内容について、できるだけ早く公表をされることを要請しているわけで、こうしたことが一つずつ着実に行われるということについて、我々はしっかりと、アメリカに対して言うべきことは言っていかなきゃいけない。と同時に、そういうことをアメリカがやるということは、日米関係というものを大事にしていく、そのスタートにもなるという認識も我々は持っていく必要があるだろうというふうに思っております。

伊藤(英)委員 昨日宇和島に参りましたと私申し上げました。そのときに、堀田校長先生あるいは行方不明者家族の会の寺田会長を初めとしまして、その人たちがまず言われたのが、えひめ丸の引き揚げを確実にやってほしいという話でした。

 今大臣もこの引き揚げの問題について触れられました。先般、ハワイで衛藤副大臣が御家族の皆さん方に、これはきのうのお話ですと、ちゃんと引き揚げますと確約をされましたと言われました。それは確約をされたんですね。

河野国務大臣 えひめ丸の引き揚げは、これはとにかく第一義的にはアメリカがやるべき仕事だというふうに思うんです。アメリカに対して引き揚げろと要請をするということが我々にとってまず最初の仕事だと思っております。衛藤副大臣もアメリカに対して非常に強く引き揚げを要請されて戻ってこられたというふうに私は承知をいたしております。

伊藤(英)委員 きのうのお話ですと、御家族の方は、衛藤副大臣が自分たちの前ではっきりと確約されたんですという言われ方をしておりました。お伝えをしておきます。

 それで、その引き揚げの見通しについて、外務大臣としてはどういうふうに思っていらっしゃいますか。

河野国務大臣 報道その他で既に伊藤議員も御承知だと思いますが、アメリカ側は、えひめ丸の引き揚げの決定は技術的実現可能性のみに基づいて行う、こう言っているわけですね。つまり、技術的に揚げられるかどうか、それ以外のことは引き揚げを実行するための要素として考えていない。そこまでは言っていませんけれども、とにかく技術的な実現の可能性というものが一番大事なんだ、もっと言えば、技術的実現可能性のみに基づいて行う、こうアメリカ側は言っているわけです。

 政府としては、こうしたアメリカ側の発言に対しまして、さらに引き続き引き揚げについてあらゆる手だてを尽くしてほしいということをアメリカには要請をしているわけでございまして、えひめ丸引き揚げに関する我が国専門家ミッション、これは、我が国には相当海の底の作業についての知見はございますから、こうした我が国が持ちます知見を持って現地へ二十一日及び二十二日の両日、アメリカ側責任者と引き揚げについて技術的観点から協議を行うために派遣をいたしました。

 船体の引き揚げについては、行方不明の方々の御家族のお気持ちを踏まえてぜひとも実現させたいという決意を、この人たちもアメリカ側に伝えております。

 また、この協議におきまして、日米双方は、これまでの調査の結果に基づいて引き揚げの具体的方法についてフィージビリティースタディを行う段階に来ている、実現可能性調査を行う段階に来ているとの認識で一致をいたしております。

 引き揚げに関する最終的な技術的実現可能性の判断自体は、これらの調査の結果を踏まえて行われることになると思いますが、政府としては、引き続き引き揚げの実現に向けて最大限の努力を行っていく考えでございます。

伊藤(英)委員 本日の新聞ですと、昨夜、森総理が、ファロン特使に会われた後だと思うんですが、場合によっては日本だけでも引き揚げをやりたいという趣旨のことを発言されたということのようなんです。それは、日本の技術だったらできるだろうなというふうに政府としては思っていらっしゃるという意味でしょうか。

河野国務大臣 私、ファロン特使と森総理の会見には同席をいたしました。その会談におきましては、森総理は非常に強く引き揚げについて要請をされたのに対して、ファロン特使は、最善を尽くす、こう言われまして、これは、私どもとしてはある種の政治的コミットメントだというふうに感じたわけでございます。

 しかし、一方で、今申し上げましたように、技術的実現可能性というものは、これは当然、担当者、技術者の立場からすれば、そういうことについては考えないわけにはいかないという部分が一方にはあると思いますけれども、昨夜の会談では最善を尽くすと言われたということを承知しております。その後総理が発言をされたのは、どこで発言をされたのか、私ちょっと確認をしておりませんので、どういう場面でどういうふうに言われたか、正確に一遍確認をしてみたいと思います。

伊藤(英)委員 新聞によれば、その会談の後で記者にそういう話をされたというように思います。

 それで、総理はそういうふうに言われたようなんですが、確認されるということなんですが、外務大臣としても、日本の技術でかなり何とかなるんだろうなというような感じを持っていらっしゃるのかどうか。もちろんアメリカは最善を尽くしてやるということでありますから、最善を尽くしてやってくださると私は思うんです。日本としても、できるならば、もちろんそれは一緒に協力してやるのは当然だと私は思うんですけれども、日本だけでもやりたいというような趣旨の発言をされるということは、それなりに日本の力でも何とかなるだろうなという思いがあるということなんでしょうね、これは。外務大臣、どう思われますか。

河野国務大臣 アメリカは、アメリカ自身の技術に加えて、サルベージについては世界的な技術を持った企業といいますか、会社との間で話し合いもあるというふうにも聞いております。

 先ほど申し上げましたように、もちろん日本にも相当な知見があるということを我々も承知をしておりますが、日本だけでも揚げるというのは、総理の強い思いを表現されたのではないかというふうに、今の段階では、確認をするまではそれ以上ちょっと申し上げられません、私が今想像いたしますのに、総理は非常に強い思いをそういう表現で述べられたのではないかと思います。

伊藤(英)委員 協力して一緒にやればより実現の可能性が高くなるならば、あるいはそれを一緒にやれば引き揚げることができるならば、もちろん一緒にそういう協力をしてやっていただきたい、このように思います。

 それから、昨日、昨日もでありますが、宇和島で言われましたのは、これはもう外務大臣もよくお聞き及びだと思いますが、アメリカ側はすべて隠しているんではないか、アメリカ軍は口では言っても実際にはやってくれない、アメリカというのはそういう国なんだ、こういうようなことを言われながら、非常に強い不信感を言われておりました。どう思われますか。

河野国務大臣 議員も御承知のとおり、この事故原因調査については、海軍が行う分と、もう一つはNTSBが行っているものと、二つあるというふうに私どもは理解しております。そして、NTSBの方は随時発表をするといいますか、NTSBで収集したものについて外に出している。それに比べて海軍の方はほとんど情報は外に出てこないということで、海軍に対する一種の不信感みたいなものがあるという感じを私も聞いておりますけれども、これは恐らく、海軍は自分自身の問題でもあり、それから海軍という軍の機密の問題もあり、さらには審問委員会を後に控えているということなどもあって、情報管理というものが非常に厳しいのではないか、これは推測でございますけれども、そういう感じを持っております。

 しかし、アメリカという国が、情報を非常に隠す国だ、情報公開に対して非常に後ろ向きな国だというふうには私は思っておりませんで、私は、時が来れば、特定の問題は別だと思いますけれども、そうでなければ、基本的には情報は公開されていくだろうというふうに思います。

 ただ、現在の御家族の気持ちからいえば、一刻も早く知りたいというお気持ちが非常に強いだろうと思いますから、いずれは公開されるというのでは納得なさらない、満足なさらないというお気持ちも、私はよく理解できます。

伊藤(英)委員 外務大臣も冒頭言われたと私は思うのですが、次から次へと新しい事実がという話もありました。あるいは前に発表された話と違う話が起こってきたりということが、まさに次から次へと起こってきたということ。御家族の方々のみならず、一体これは何だ、事実をそのまま本当に公表しているのかどうか疑わしいではないかというふうに、多分非常に多くの人が今思っていると私は思います。

 だからこそ、実は私たちも、アメリカでも当局の皆さん方にそのことの問題について主張をし、その事実を迅速に公表してくれという話を申し上げてきたりしたのですが、こういうことがどんどん不信感をもたらすことになりますよ。事実、きのうも話が出ていたのですが、そこで出たのは、相手が日本だからこうなんじゃないのだろうか、もしもイギリスやあるいはフランスの実習船がこういう事故に遭ったときに、アメリカはこういう態度なんだろうか、そういう話さえ出るのですね。そのくらいの不信感が持たれているのだと私は思うんです。

 だから、政府としても毅然として、米側に対してしっかりしないと、本当に日米関係で不信感がというふうになったら大変だ、もちろん御本人たちのためには言うまでもありませんが、そういうふうに思うんです。どうですか。

河野国務大臣 日米の同盟関係というのは、もっとしっかりとしたものと申しますか、レベルの高いものだというふうに私は思っております。

 日米関係の重要性というものは、我々だけではなくて、アメリカもその重要性を十分認めているわけでございまして、日米関係がアメリカ側の行為からくる不信感によって影響を受けるというようなことがあっていいとアメリカは決して思っていないというふうに思います。

 もちろん、日本とアメリカとはさまざまな制度上の違いとかいうものもございますから、日本ならこうであるはずなのにアメリカはこうでないということもあるかもしれない。しかし、私は、アメリカの今やろうとしているあるいはやっている仕事自体は、できる限り情報は間違いのない情報をしっかりと提供しなければいかぬというふうに考えているし、また、これは原因究明についてですけれども、原因の究明が正確でなければ、将来のことを考えればこれはまことに危ういわけでありますから、しっかりとした原因究明を行う努力というものがアメリカでされていて、そして原因の究明が結論が出れば、それはきちっと公表されるものだというふうに私は思っております。

伊藤(英)委員 今、ファロン特使が来ていらっしゃいます。先般、私がワシントンに行ったときに、私からは、日米首脳会談はどうなるのかという話をしながら、もしも三月七日以前に、これはアメリカ側も三月七日にぜひしたいということで提案されていたようでありますが、それが不可能であるなら特使も派遣するというような考え方もあり得るではないかという話を私は申し上げたりいたしました。そうしましたら、二、三日のうちに決めたいという話をしておられました。それで今回来られました。

 外務大臣は、今回ファロン特使が来られたその目的はどういうことだと認識されていらっしゃいますか。

河野国務大臣 もちろん、ファロン特使が日本へ来られたのは、先ほども申し上げましたが、大統領初めアメリカ国民の、事故に遭われた方々及びその関係者、そして日本国民に対するアメリカを代表しての謝罪をきちっと述べるということがその目的の一つであると思いますが、それと同時に、日米関係というものを考えて、こうしたことが日米関係にひびを入れる、修復が難しくなるようなことのないようにアメリカ側も考えられたというふうに思います。

伊藤(英)委員 昨日、愛媛県知事に会ったとき、知事がこう言われたのです。もう本当に大変な出来事、事故、そして御家族の方々はどんなに大変か、それで今、米国が誠意を示すことが、それが御家族の皆さん方の心を和らげることになると思っているという話をされました。本当にもっともだと思います。

 外務大臣は、この言葉についてどんなふうに思われますか。

河野国務大臣 特使が来られるというのは、日本側から要請をして来るということよりも、そうしたことが全くなくて、全く自発的に来られるということが本来重要だと思うんです。ただ、そこは若干、何といいますか、日本とアメリカの文化の違いなどがあって、アメリカ側が日本の人たちの心をいやすためにどういうことをすることがいいかということについては若干手探りの場面もあったかもしれない。そういうときに、伊藤議員のアドバイスといいますか示唆といいますか、そういうものが最終的に意思を決める一つの要素になっていたかもしれません。

 もちろん、私どもも、衛藤副大臣をワシントンに派遣したのは、総理からの親書を大統領にお渡しするということが主たる目的でありますけれども、そのときに衛藤副大臣からも、こういう方法というものもありますね、これも全く示唆のレベルですけれども、そういうことを申し上げたということもあったことは事実でございますが、そうした声が日本に相当強くあるということをアメリカ側に教えたといいますか、示唆したということが最終的な判断に影響を与えたということではないかと思います。

伊藤(英)委員 私は、先般ワシントンに行ったときに、日米関係というのはどうあるべきなんだろうかという話についても議論いたしました。そのとき私が申し上げたのは、実はきのう民主党の首藤さんがちょっと触れてくれたのかもしれませんが、いわばパートナーとして本当にいい日米関係をつくり上げるためには、これからやらなきゃならないことがたくさんある、あらねばならぬことがたくさんある、しかしその第一歩は、情報の共有化あるいは意思疎通のよさだという話をしたりしていました。

 だから、イラク空爆の話についても、日本にその説明が事後的であれあったのかなかったのかということを問題にしたりいたしました。こうすると本当はもっといいでしょうねという話もしたりいたしました。日本からもアメリカにいろいろなことを提案したりして、日米関係をどういうふうに持っていったらいいんだろうか、あるいはこの地域をどうした方がいいのだろうかというふうに対応することだと思いますね。今回の特使の問題についても、今外務大臣は、こちらからも示唆されてという部分もあったのだろうという話も触れたりいたしました。

 実は私が思いましたのは、せっかく特使が来てくださるそのときに、今回の事故がどんなに大変なことであるかということを思うなら、本当は宇和島に行ってくださるとよかったなという気が私はするのですよ。本日宇和島から東京に来ていただくのでしょう、来ていただいているのかな。家族の代表の方に東京に来ていただきますよね。きょう何時に会われるのか知りませんが、会われるのだと私は思うのです。多分大変タイトなスケジュールだと思うのだけれども、行ってくださったらよかったなと。

 御承知のとおりに、御家族の人たちは、あの潜水艦の艦長に直接来てほしい、ハワイにいらっしゃるときも、直接自分たちのところに来てというふうに話もされておりましたよね。そういうようなことがあれば余計にそういうことを私は思ったりいたしました。どう思われますか。

河野国務大臣 実は、ちょうど今ごろ御家族と、十時過ぎからですからあるいはもう終わったかと思いますが、ちょうど会っておられると思います。特使が、非常にタイトな日程のようではありますけれども、日本におられる間にどういうことをするか、あるいはどなたとどこで会うかということについてもゆうべの段階ではまだ、とにかく着かれた直後で決まっておりませんで、きょう恐らくまず御家族と会われて、その後何かあるいはお考えを述べられるかなと思っておりますが、今のところ、宇和島に行くことについては非常に気にしておられたというか、考えてはおられたようでありますけれども、まだ最終的な結論がどうなったかは承知しておりません。

伊藤(英)委員 それでは、伺います。

 政府としては、宇和島の方に行かれた方がよくはないでしょうかねと示唆ないしアドバイスか何かをされましたか、されませんでしたか。

河野国務大臣 我々が考えておりますことは、御家族の気持ちが一番大事だというふうに思っているわけで、したがって、きょう午前中に御家族と会われたときに、それから先のことがはっきりしてくるだろうというふうに思っております。

 我々からアメリカに対しての示唆といいますか、やりとりの中では、ぜひ家族の気持ちをよく理解する努力をしてくださいということ、これが一番大事ですよということを言ってあるのです。アメリカが御家族と会われてどういう対応をとられるかは、我々があそこへ行け、ここへ行けということまでは申しておりませんけれども、まずとにかく御家族の気持ちを理解してもらいたいということは申し上げてあります。

伊藤(英)委員 今のお話ですと、外務大臣、政府の方から、我々というのは政府のことだと思いますが、そういうふうには言われなかったようでありますが、私は、本当に日米関係が大変だと。きのうもキャンベルのレポートといいますか、彼の論が日本経済新聞に出ておりました。今回の問題が日米関係のいわば根源的な問題になるかもしれないという話をしていました。どんなにか日米関係を心配しながら書かれているのだと私は思うのですね。

 私は、この間、アメリカでもこう言ったのですよ。最近この問題で日本の文化とアメリカの文化とどうかという話が出たりする、それぞれの文化はある、そのときに、重大な問題のときに、どれだけ相手の文化のことをしっかりと踏まえていろいろ対応するかということがその信頼関係にとってどんなに重要かという話をいたしました。実は、私はきのうアメリカ大使館に電話をしたのですよ。私は、実は宇和島に特使が行っていただければどんなによかったのだろうか、そういうふうに思っていました、そういうふうに伝えておいてくださいと言ったのですよ。

 それで、さっき大臣は、御家族の気持ちにこたえること云々という話がありました。私は、東京に来ていただくというよりは、まずはそちらの方に行きたいけれどもと、すぐには首脳会談も開かれないのでしょう、そのために来られたのですよね、ならば、そこに行きたいのだけれどもという話があってもよかったのではないかとやはり思うのですよ。

 それを日本の文化というならば、例えばそれも一つの日本文化ともしも考えれば、日本側からいわばサジェストする話がどんなに重要かなと。いわばどんな問題でもそうなのですよ。日米間の問題を考えれば、日本自身としてどういうふうになるといいのかなということを考える話が実は本当の日米関係をつくるんだと私は思うのですよ。実は今回、この問題をいろいろなところで見ても、私はそういうアプローチが本当に欠けているのではないかと思っている。この問題もひょっとしたらそのうちの一つかもしれないと思ったから申し上げたのです。何かありますか。

河野国務大臣 今の議員のお考えは、議員のお考えとしてよく承っておきます。

 それから、余計なことですが、首脳会談が開かれないので特使をよこした、特使が来たのかという意味のことをおっしゃいましたけれども、首脳会談とこの問題は、別と言うのはこれまた言い過ぎかもしれませんけれども、首脳会談は首脳会談で、いつ開くかというやりとりは、まだ現在も当然のことながら続けておりまして、それがいつであろうとも恐らく今回の特使は特使として来られたというふうに私は理解しております。

伊藤(英)委員 ちょっと伺います。

 ブッシュ政権が新しく生まれました。まさに首脳会談なるものは大変重要な話、まさに早ければ早い方がいい、私はこう思いますね。今外務大臣は、日米首脳会談はいつごろ開きたい、開けるようになるといいというふうに思っていらっしゃいますか。

河野国務大臣 首脳会談は早けりゃ早い方がいいねとおっしゃいましたけれども、そういう考え方ももちろんあると思いますが、例えば、アメリカはフランスとも首脳会談はまだやっておりませんしドイツとの首脳会談もまだやっておりませんし、つまり、なかなか直ちに首脳会談ということにはならない場合もあるわけです。

 しかし、アメリカは、我々から言いましたから、三月二日でどうだということを一遍言われたことは事実でございますが、これは予算審議の状況等もこれあり、やはりウイークデーに日本を離れるということはなかなか難しいということなどを理由に、もう少しいい日を探してほしいということをこちらから戻しました。したがって、それじゃもう少し双方の都合のいい日を探そうということになっているんです。

 三月七日は韓国の大統領とアメリカの大統領が会われるということで、いずれにしてもアジアのリーダーとその辺で会っておいた方がいいなと考えておられたんだろうと思いますけれども、これはやはりどうしても双方の日程上の都合がつかなければできないわけでございますから、双方の日程上の都合のいい日を目下双方で探している。

 こちらがいいと言うと向こうがなかなかその日はだめだと言いますし、向こうがどうだという日はなかなかこっちが行かれないというようなことで、少し先になっておりますが、政権交代時に首脳会談を行った過去の例を見ても、非常に早く首脳会談が行われたというケースももちろんございますけれども、やはりかなり一定の期間をとってから首脳会談が行われたというケースもないわけではありません。したがって、今回だけが首脳会談が非常におくれてしまっているということではないというふうに私は理解しております。

伊藤(英)委員 今のお話ですと、日米首脳会談は、必ずしも早ければ早い方がいいということでもないな、これは一定期間を置いて考えてもいいなというふうに外務大臣は今思っていらっしゃるんだなと今思いました。本当は早くちゃんと話をした方がいいというふうに、これは当然の話だ、私はこう思っております。

 それから、えひめ丸の件なんですが、御承知のとおりに、御家族の方がブッシュ大統領に直接お会いしたいというお話をされております。この問題についてどういうふうに取り組んでいらっしゃるのか、その実現のために全力で取り組む、そしてその見通しはどうか、それについて伺います。

河野国務大臣 二十二日に森総理が御家族の方々とお目にかかりました。その席上、御家族の方々から幾つかの御要望が出て、その最後に、ブッシュ大統領とも会えることならぜひ直接会って我々の気持ちを伝えたい、こういう御要望がございました。総理も、御家族の御要望にできるだけこたえる努力をいたしましょう、こういうふうに言われたわけでございます。

 総理の御指示もございまして、翌二十三日、私は、まず電話で、ブレア太平洋軍司令官に対して、御家族の御要望がこういうこと、こういうこと、こういうことだ、そして特に最後に、ブッシュ大統領と直接会ってこういうことの要望も直接したいという強い御希望があるということを伝え、ブレア司令官は、よくお話はわかりました、これをすぐワシントンへ伝えます、こういうことを言われたのが二十三日でございました。

 翌二十四日に、今度は、パウエル国務長官とさらにライス国家安全保障問題担当大統領補佐官、このお二人に私の書簡を出しまして、これはワシントンの大使館から、この書簡をもって要望は大統領にぜひ伝えてほしいということを、そういう作業をしたというのがこれまでのところでございます。(伊藤(英)委員「見通しについてはいかがでしょう」と呼ぶ)

 見通しは、今のところはまだこれについての返事はございませんで、これらを含めて今回のファロン特使の訪日ということにもあるいはなったのかもしれません。しかし、これはアメリカ側からそういう説明はございません、これがそのかわりだよという説明はございません。

伊藤(英)委員 そうすると、今のように外務大臣の親書等も含めていろいろ取り組んでいらっしゃるわけですが、ぜひ私は実現していただいたらと思うんですね。そういう意味で、ぜひよろしくお願いをいたします。

 それから、例の審問委員会に日本側からアドバイザーとして出されることになっておりますが、このアドバイザーの具体的役割です。私の理解ではこう思っているんです。最後の投票権はない、しかし、質問をしたり、あるいは審問委員会の運営をどうするかということについては審問委員のメンバーと全く同じだというふうに理解していますが、それでいいですか。

河野国務大臣 私どもの理解もそういう理解です。投票権はない、しかし技術的、専門的知見に基づいて審問委員会の構成員にアドバイスを行うものだというふうに理解をしております。

伊藤(英)委員 私は、そのことは、いわば形式的な投票権はない、しかし、ある意味では、実質的にと言った方がいいのかもしれませんが、この審問委員会の進め方から、審問委員会のいわば内容といいましょうか、それに責任を持つというふうに、私はいわばその責任者の一人というふうに考えられると思うんですが、そう考えられますか。

 それにさらにつけ加えますが、そういう考え方で日本からのオブザーバーを選定したのでしょうね。

河野国務大臣 アドバイザーの問題でございますけれども、おっしゃるように投票権はない、それ以外は委員と同じであって、基本的には委員と同じ情報が提供される。ただし、委員会決定において責任は負わず、報告書に署名することはない。余計なことですが、渡航、出席の費用はアメリカ側が負担する、こういうことになっておりまして、出席をされる方は、海上自衛隊舞鶴地方総監部幕僚長小沢海将補という方に出席を指示しております。

伊藤(英)委員 私は、今の外務大臣のお言葉なんかを聞いたりしていますと、この審問委員会は何をするのか、そして、その審問委員のメンバーは、アドバイザーとはなっているのだけれども、ではそのアドバイザーの資格なり意義は何だろうということについて本当によく考えてくださっているのかしらんという印象を持つのですよ。これは、これからまさに軍法会議に持っていくのかどうかとかいう話になっていく、その後の方は米側の話になっていくわけですが、そのときに非常に重要ですよね。そういう意味で、ぜひよろしくお願いをいたします。これは強く要請いたします。

 時間がないのでこれ以上この問題については申し上げられませんが、最後に一つだけ伺いたいのですが、日ロ首脳会談、ロシア問題。

 日ロ首脳会談は今三月二十五日に行われるというふうになっていると私は思うのですが、最近日本のいわば森首相の退陣論がどうのこうのとか、新聞にいろいろ言われたりしているのですが、これは今のところ二十五日に予定どおり行うのですねということが一つ。

 それから、北方四島の問題について、いわゆる二島返還論なのか四島一括なのかということについてどうもよくわからない。それで、一体今政府は本当にどういう考え方なのか、伺います。

河野国務大臣 先般、森、プーチン両首脳が直接電話で話し合われまして、三月二十五日、日ロ首脳会談を行うということを両首脳はお互いに確認をされましたので、日ロ首脳会談は三月二十五日に行われると申し上げていいと思います。場所はイルクーツクというふうに承知をしております。

 今北方領土問題についてお尋ねがございましたが、これは何度も私は申し上げておりますが、私どもと申しますか外交を担当いたします外交の責任者として申し上げますが、日本のロシアに対します北方領土問題についての姿勢、態度は、四島の帰属を決めて平和条約を締結するということでありまして、これは我が国の一貫した態度でございます。ただ、四島の帰属が決まった後には、その対応についてはいろいろなアイデアがあることもあるだろうということでございますが、基本的な態度は、四島の帰属を決めて平和条約を締結しようということが私どもの考え方でございます。

伊藤(英)委員 これで終わります。ありがとうございました。

土肥委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

土肥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。桑原豊君。

桑原委員 民主党の桑原でございます。

 民主党内でも機密費の疑惑問題につきましてのプロジェクトチームをつくりまして、いろいろ、予算委員会の審議に加わる、あるいはさまざまな関係省庁にも来ていただいたりして議論をしてきたわけでございますが、やっていけばいくほど、疑惑が解明されるどころか逆に深くそして大変広く疑惑が重なってくる、こういう状況でございまして、私は、この間の議論の中で、どうも理解ができないところ、まずそういうところを最初にお聞きしたいと思います。

 一つは、松尾元室長や外務省の地域主管課と申しますか、そこが一体総理の外国訪問についてどういう役割を果たしていたのかということでございます。

 松尾元室長は、本来ならちゃんと決裁を受けてやるべきところを、上司と目される人の決裁も受けずに見積書を作成して官邸の方に提出をする、あるいは官邸から現金を受け取って支払いをして精算する。これは、まさに決裁を受けずにそういうことを勝手にやっておるわけです。そして、官邸の側は逆に、そういったこととは知らずか知ってかは別にして、松尾元室長に対して請求どおりお金を払う、そして松尾室長の言い値のとおりに精算をする、こういうことでありまして、役所の機構というものを考えてみたときに、一体この松尾元室長に代表されるこの室はどういう役割を果たしているのか。私の方から見ますと、いかにも治外法権みたいに何でもありみたいな、そんな部署のように見受けられるわけです。

 まず聞きたいのは、外務省としてこの室長というものをどんなふうに位置づけて見ていたのか。ある意味では単なる便利屋さんみたいなそういう位置づけなのか、そうとしか思えないようなところがあるわけですけれども、外務省としてはどうなのか。そしてもう一つは、官邸の側から見て、一体この松尾室長なる者はどういうものとして考えていたのか。そこら辺をまずお聞きいたしたいと思います。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 松尾元室長が室長を務めておりました要人外国訪問支援室でございますけれども、この室は総理の外国訪問に際しまして、基本的に、交通手段、宿泊施設等に関するいわゆるロジ関係の支援業務を担当いたしておりました。他方、訪問の主管部局は、地域局でございますけれども、それ以外の業務を担当していた。そういった支援室の室長が松尾元室長でございました。

桑原委員 それじゃ外務省にお聞きしますが、上司の決裁も受けずにそういう仕事をしていたのは室ができて以来ずっとそうなんですか。それとも、松尾氏にかわってからそういうことになったのですか。どっちですか。

飯村政府参考人 現在問題になっております宿泊の差額の問題を含めまして、総理訪問のそういった金銭的な面でございますけれども、これは、室ができたのは平成二年でございますけれども、平成五年に松尾元室長が就任いたしまして、一人でやるようになりましたのは、平成五年の松尾元室長就任以降でございます。

桑原委員 なぜ、その時点から急に決裁を受けていたのに受けなくなったのか。そしてまた、なぜそんな重要なことにその当時の上司が気がつかなかったというか、なぜそういうことになったことを見過ごしたのか、そこら辺答えてください。

飯村政府参考人 松尾元室長が就任いたします前までは、各担当の地域局が主管課長の決裁を得てやっておりましたが、松尾元室長が就任した時点で、これは今委員御指摘のとおり決裁を受けることなく一人でこういった業務を行うようになった。この点については、松尾元室長が上司に報告、直接の上司は総務課長でございますけれども、官房総務課長に報告することなく始めたということでございます。

 さらに申し上げますれば、その背景といたしまして、この要人訪問支援室でございますけれども、要人訪問支援室は官房の総務課長の指揮のもとにございますけれども、他方で実際の訪問を支援実施するに当たっては、各地域局と連携をとりながら実施していたという背景がございまして、その辺でややあいまいな状況が出てきた。これが非常にチェック体制の不備に結びついてきていたのではないかというふうに私ども考えております。

桑原委員 平成二年の四月の段階で、今まで地域主管局が取り仕切っていたロジの仕事を、要人外国訪問支援室というのをつくって、そこが中心的に集中的に担うということにしたわけでしょう。

 そこで、その段階でどういう振り分けをしたのですか。地域主管局が何をして、新しくできたロジ室なるものが何をするのか。そういう振り分けはどうなっておったのですか。

飯村政府参考人 ただいま委員の御質問でございますけれども、平成二年に支援室ができまして、平成五年の十月に松尾室長が就任したわけでございますけれども、現在問題になっております内閣報償費による宿泊費の差額補てんという業務につきましては、平成二年から五年までの間、つまり松尾の前任でございますけれども、その時期にはその業務に携わっておりませんでした。

桑原委員 いや、そんなことを言っているのではなしに、新しく二年の段階でロジ室ができたわけでしょう。では、そのロジ室というのはその間は一体何を担当していたのですか。そのことを答えてくださいよ。そして、地域主管局とこういう業務分担をしていましたということを。では、ロジ室なんて要らないじゃないですか、その答えだったら。

飯村政府参考人 御質問の趣旨は、平成二年から五年までの期間でございますか、それとも平成五年から……。申しわけございません。

桑原委員 新しくロジ室ができたわけでしょう、平成二年に。今まで地域主管課がやっていた仕事をそこが集中的に、効率的にやるんだということでできたわけでしょう。ところが、依然として地域主管課も総理の外国訪問についてはかかわりを持っているわけでしょう。だから、どういう役割分担をその時点でしたのかということを聞いているわけですよ。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 総理の訪問業務というのが数多くなりまして非常にロジ業務がふえましたので、ロジ業務は訪問支援室が行う、それから通常の経理業務も要人訪問支援室が行う、その他の業務、例えばいわゆるサブとか、そういった実質的な業務は地域課が行う、こういう仕分け分担をいたしました。

桑原委員 その説明ではさっぱり中身がわかりませんね。

 それでは、ちょっと話を変えますが、外務省から出された報告書の八ページに、松尾元室長は必要経費の見積もりを作成して総理官邸に提出をしていた、そして主管課は総理府、現の内閣府に経費要求を行う、こうなっておるわけですね。この主管課の言っている経費要求というのは一体何なんですか。

飯村政府参考人 これは、在外公館から主管課、地域局でございますけれども、経費の見積もり、総理の訪問のときにどの程度かかるのかということを報告させまして、これを内閣の方に要求するというものでございます。

桑原委員 では、外務省が内閣に経費を要求するんですか。それはどういう意味ですか。外務省が経費を計算して、そして内閣官房に要求するんですか。それはどういう意味なんですか。

飯村政府参考人 要求と申しますか、経費の見積もりを提出するということでございます。

桑原委員 それは、松尾元室長も見積もりを提出するわけですね。そして主管課も見積もりを提出する。この見積もりは、ではどう違うんですか。

飯村政府参考人 総理が外国に行かれますと、例えばロジ関係のセンターあるいはプレス関係のセンター、いろいろな関係の関連の業務が出てまいります。そういったものにつきまして外務省の主管課の方で取りまとめまして、経費の見積もりを内閣の方に提出するということでございます。

 他方、松尾前室長につきましては、宿泊費の差額の関係を松尾元室長が就任して以来やっていた、そういうことでございます。

桑原委員 そうしますと、支援室ができた当初は、松尾室長が新たにやるようになった宿泊費の差額についても、主管課が請求をしていたわけですね。

飯村政府参考人 松尾元室長が就任いたしまして以降は、宿泊費の差額は松尾元室長がやっておりました。

 これを具体的にもう少し詳細に申し上げますれば、内閣の官房職員分につきましては、宿泊費の規定額及び宿泊費差額を松尾元室長が官邸から現金で預かって、松尾元室長が一括してホテルに支払った。外務省の職員分につきましては、当初は宿泊費差額を松尾元室長が官邸から預かって各人に支給し、各人が別途支給される宿泊費規定額と合わせて個別にホテルに支払っていた。ただ、その後、外務省の主管部局より宿泊費規定額を預かって、官邸で受け取った宿泊費差額と合わせて一括してホテルに支払う方法が比較的多くなった模様でございます。

 松尾元室長は、このような事務処理に当たりまして、上司の決裁を得ることなく、すべて一人で取りまとめていたというのが実態でございます。

桑原委員 このことに余り時間をとるとあれなんですが、では、なぜ松尾が室長に就任して、そこら辺を変えなきゃいけなかったんですか。当初は、地域主管課がそういうふうに経費請求をして――恐らく私は、松尾室長がそういうふうに見積もった請求も、彼が見積もりをしてその部分を主管課に渡せば、主管課が今までどおり官邸に、総理府に経費要求をするという形でいったのではないかと思うのですが、なぜこの時点で松尾室長にその部分をかわりにさせたのですか。その理由は何なんですか。

飯村政府参考人 その点につきましては、私どもの大変な、深刻な反省点でございますけれども、松尾元室長がみずからの判断でそういうことを行い、上司に報告していなかったというのが遺憾ながら実態でございます。

桑原委員 そんなばかな話はないでしょう。だって、今までは地域主管課がちゃんとやっていて、松尾室長が室長になったからといって、勝手にそれをやれる、そういう仕組みになっていないじゃないですか。なっていないのにそうやったということは、明らかにだれかが明示の指示をして、あなたはこれをやりなさいという指示をしたからそうなったので、そんなものなしにやれるはずがないじゃないですか。どうですか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 調査の過程で歴代の上司に事情を聴取いたしましたけれども、直接の上司である総務課長、官房長は、松尾がこのようなことを行っていた事実は承知しておりませんでした。

桑原委員 ぜひ私は調べてほしいと思うのは、松尾室長がどの総理訪問のときからそういうふうにしたのか、そのときの主管課はどこなのか、これをはっきりしてください。

飯村政府参考人 松尾室長が在任いたしましたのは平成五年の十月十日からでございますけれども、これは細川内閣のときからでございまして、最初の訪問は韓国訪問、これは平成五年十一月六日から七日に実施されております。

桑原委員 それでは、その訪問のときから松尾室長は就任以来そういうふうにしたということですね。そして、そのときの主管課の責任者はだれなんですか。松尾といろいろ協議をしてやった主管課の責任者はだれなんですか。

飯村政府参考人 当時の直接の上司、官房総務課長は西村現駐OECD大使でございます。

桑原委員 その方に聞かなきゃなりませんし、それから恐らく地域主管課と連携をとりながらこの仕事はやったわけですから、地域主管課も、今まで自分たちがやってきたような経費請求ではなしに、形を変えた請求を認めたわけですから、その地域主管課の責任者にも話を聞かなきゃなりません。これはちゃんと次の機会に出てきていただいて、その理由を説明してほしいと私は思います。

飯村政府参考人 歴代の直接の上司、総務課長、官房長につきましては、調査委員会あるいは現在荒木副大臣の指導のもとで行っております調査委員会、こちらでさまざまな事情聴取を既に行っておりまして、上司は松尾元室長がこういうことをやっていたということは承知していなかったということでございます。

桑原委員 そういう又聞きの話ではとてもこれは信用できません。担当しておられる衛藤副大臣の責任で、その当時の上司の皆さんがどういう意図でもってそれを許したのか、やったのか、そこをはっきりさせてください。

河野国務大臣 内部の調査は衛藤副大臣の担当ではございませんので、私が少し申し上げたいと思います。

 いろいろ御質問をいただいて官房長から御答弁をさせましたけれども、私もこの組織のあり方についてはかなり問題があるという認識をしております。

 ただ、若干、私の調査をし、受けた事実関係等を申し上げれば、こういうことでございました。平成二年当時から首脳外交というものが非常に盛んになりまして、総理大臣の外国訪問という数が相当な勢いでふえております。その後、たしか年間十回前後になってきていると思いますが、総理大臣の外国訪問が十回前後になるというと、主管課がそれをその都度担当するというのが実はなかなか難しい状況になったことも事実だと思います。

 今桑原委員が最初にお尋ねになりましたように、支援室と主管課、地域課とは一体どういう仕分けなのかというお尋ねがございまして、そのお尋ねに御返事を申し上げるとすれば、つまり、首脳が、総理大臣が出かけていって、相手とどういう議論をするか、どういうテーマで話をするかという会議の内容について、これは主管課が主として担当をし、そしてそれをどういう形で対外的に発表をするかというようなことは主管課、主管局の問題でございます。

 ただ、そこまで飛行機に乗って行って、どこのホテルへ泊まって、また帰ってくるかという、いわゆる交通手段とか宿泊場所とか、あるいはアクセスの問題を主管課が全部やるということになると、アメリカに行くときには北米一課がそういうロジスティックの仕事も全部やらなければならないし、ヨーロッパに行くときには西欧一課がそのロジスティックの仕事をやらなきゃならなくなりますから、しかもそれが年間十回近くになるということになると、それぞれの課がそのロジスティックの仕事を担当する専門的な人間を抱えているということが果たして合理性があるかどうかということを考えて、言ってみれば、合理化のために一つにまとめて、どこへ行くにしても、その飛行機の手配であるとか宿泊の手配は、アメリカへ行くときも、ヨーロッパへ行くときも、どこへ行くときにもここがやるということで一つにまとめた。これは合理化であり、乱暴な言い方をすれば、それが一番手間が省けるということでもあったというふうに思うんです。

 もう一言だけちょっと申し上げたいと思いますが、そうやってロジスティックの仕事を一つにまとめましたけれども、アメリカへ行くときにはやはり北米局が相手方と内容、テーマについての整理をするわけで、アメリカに行くときには北米局あるいは北米一課がこのロジスティックの集団との間でアメリカ訪問の仕事をする、ヨーロッパへ行くときには西欧一課がこの支援室と組みになってヨーロッパ行きの仕事をするということになって、この支援室はまさに支援室でございますから、どこに総理が出かけていくにしても、その地域局とこれが組みになって仕事をするということになった関係上、それまでは、本来それがばらばらに地域局についておりますときには地域局の課長なり局長が完全に掌握をしてコントロール、管理をしていたわけですけれども、どことでも組むという集団をつくったものですから、組織的には官房総務課が、組織図から言えばこれが上司でございますけれども、仕事の実態としてはそれぞれの地域局と組むということになって、組織図における管理監督の関係と実際の仕事をするときの指揮命令の関係とにずれが生じているということが問題なのだということが私の認識、私が調べた事実関係でございます。

桑原委員 この問題でこれ以上時間がございません。ただ、私は大臣のおっしゃることもそれなりにわかりますけれども、しかし現実に地域主管課は松尾元室長になった時点でも経費要求をしているわけですね。ですから、そこら辺がどうなっていたのかというのは極めて不分明だというふうに言わざるを得ません。ですから、一番最初に松尾氏が就任をした時点で、彼が宿泊費差額を受け持つようになった、そのことをなぜ認めたのかということを次の機会に、調べてはっきりしていただきたいと私は思います。そのときの上司にちゃんと事情を聞いてはっきり説明してほしいと思います。これはそれでやめます。

 それで……

土肥委員長 了解をとらなくていいのですか。

桑原委員 では。

河野国務大臣 前段の御理解をいただけたことを大変感謝をいたしますが、後段の問題につきましてはもう一言つけ加えますと、見積もりの提出は、つまり総理がアメリカへ行くという判断をいたしますのは、最終的には官邸がそういう判断をして、官邸がアメリカへ行くよ、したがってホテルの見積もり、あるいは飛行機の手配などをやれと官邸から指示が参ります。その指示を受けて支援室は作業をしているというのが実態でございます。今、よく調べておけという後段の御指摘でございました。

 先ほど来官房長が申し上げているように、私どもも、そこが一番問題でございますから、そこを中心に相当調査をしておりますが、実はまことに申しわけないことで、そこがまさに今回のこうした事件を引き起こすもとになっているわけで、そこがなぜそういう、つまり上司の決裁がなかったかということが実はどうしてもわかりません。決裁書が全く残っておりません。そういうことから、どこでどういう判断で決裁をしたのかしなかったのか、そういうことを含めて現在はわからないというのが、まことに申しわけないことでございますが、今の時点で私から御返事が申し上げられるものでございます。

桑原委員 それでは、次の話に移ります。

 九七年の十月から九九年の三月までの間に、いわゆる公金と私金の出入りがそれなりに明確であったということで、この間に松尾元室長が使った、支出をした約五千四百万、これがいわゆる横領額なんだ、こういうことが明白だということで告発をされたということです。

 この時点で明白に公金を特定できるのならば、それ以前の段階の公金と私金の出入りも特定できるからこの時点が特定できるのであって、ここはできるけれどもそれ以前はわからないという理屈が私はわからない。そして、我が党の同僚議員もその点については厳しく追及をしております、なぜわからないのかと。どうも理由をおっしゃってもそこがよくわからない。ですから、これをもう一度、なぜわからないのかということをお聞きしたいと思いますし、実際調べられても、この時点のいろいろな書類がなくなっているんではないかというような疑いもあるわけですよ。そのことについても、そういった証拠書類があるけれども、いろいろやってみてもわからないのかどうか、そこら辺も含めて一つ聞きたいということ。

 それから、松尾氏は恐らく大変な額に上る横領があるのではないかと私は推測をするわけですけれども、この横領をどういう手口でやったのか。これはいろいろ言われております。ホテルの領収書がにせものであったのではないか、勝手に自分でそういうものをつくって差額を入れたのではないか、こういうふうにも当然のこととして疑われるわけですけれども、そこら辺、松尾氏が横領した手口、これはどういうふうなものであったというふうに調べておられるのか、この二点、お聞きしたいと思います。

飯村政府参考人 まず、公金横領、私ども特定いたしましたのは、平成九年十月、この時点で松尾の口座には公金のみが入っていたというふうに推定されました。残高一・三億ということでございまして、その後、平成十一年の三月までの時点には、私金数百万を除きまして私金の入りがないということで、その間、私的な目的、すなわち競馬馬の購入等でございますけれども、これが行われたと特定されましたので、これは明らかに公金を横領したというふうにまず推定したわけでございます。

 二点目でございますけれども、第一勧業銀行の二つの口座、これにつきましては、平成九年十月以前の時期についても出入金の状況を調査いたしました。しかしながら、この口座におきましては、公金と私的金銭が混交して振り込まれていたというのが実情でございまして、入金元や支出先を特定することが、私どもの強制的な捜査権のない状況、任意の事情聴取からは困難でございました。したがいまして、平成九年十月以前の時期につきましては、公金を私的目的に使うという横領を特定できなかったということで、外務省の告発の対象期間には含めなかった次第でございます。

 それから、最後の御質問のどのような手口で公金を横領していたかという点でございますけれども、この点につきましては、外務省によるこれまでの調査の結果から確証を持って述べることは困難でございますが、松尾元室長が平成五年に支援室長に就任して以降、総理の外国訪問に際しまして、宿泊費についての見積もりの作成から、支払い、精算までの事務を上司の決裁を得ることなく一人で取りまとめていたということで、この際、見積額や精算額を改ざんしたとしても、組織としてこのような不正をチェックできる体制にはなっていなかった、そこにこういった公金横領を可能にする仕組みがあった可能性があるというふうに考えております。

桑原委員 前者の方ですが、五億六千万という公金が松尾の口座に入ったということが明らかになっておるわけですね。そして、九七年の時点では、その時点で一億三千万円が公金であった、こういうふうに特定ができた、その当時の口座にあった。そういうふうな全体の入りとその時点での特定ができたということであれば、どれが公金でどれが私金かというのが区分けができたからこそその時点できちっと押さえることができたんではないんですか。これは普通常識的にそんなふうに考えざるを得ないんですけれども、そのことが一つ。なぜさかのぼってそれができないのかというのがどうしても私は納得がいきません。それをぜひ明らかにしていただきたいということ。

 それから、松尾元室長が横領したのではないかという手口については、これは皆様今の段階では推測をしておるだけなのかわかりませんが、私は、本当に調べようと思えば、ちゃんとその宿泊先へ出向いて、そのホテルの領収がどうなっているのかということなども全部突き合わせをして、見積もりの段階の書類というものも恐らくあるわけですから、そういうものと突き合わせをして調べれば、どういう手口であったかということがはっきりすると思うんですが、そのことは調べられておらないんですか、おるんですか。

飯村政府参考人 今の点でございますけれども、まさに私どもの調査委員会、告発に至りました調査委員会の作業は、任意の事情聴取、任意の資料提供という状況の中で早急に告発に至るというのを目的とした作業を行ったわけです。

 したがいまして、私どもの手段はどうしても限られてきておりまして、現在捜査当局にさらなる全容の解明をお願いしているわけでございまして、さらに詳細な調査というのは捜査当局の御努力におまちしたいというふうに考えております。

桑原委員 前者については全くお答えがございません。なぜ入りと出を特定できているのにもかかわらずその以前の段階での横領というものがはっきりしてこないのかということが、いまだにさっぱりわかりません。

 それと、調査は全部警察にゆだねてあるような言い方ですけれども、皆さんは、この調査が極めて不十分であったということも含めて、それ以降も調査をしているはずですよ。そして、横領の手口などというのは全くこの問題の基本にかかわる部分ですから、当然のことながらホテルへ出向いていって、一体どれだけ支払われたのか、現実はどうだったのかということの調査を皆さんの手でして当たり前じゃないですか。それは別に松尾の協力を得るまでもなく、皆さんに意欲があれば、やろうとする気があればできる話だと思います。どうですか。

飯村政府参考人 まさに今の点は、私ども、捜査当局の作業に全面的に協力申し上げるということで、さまざまな資料、さまざまな情報を収集いたしまして、捜査当局に御協力を申し上げているところでございます。

 それから、先ほどの平成九年以前の話でございますけれども、平成九年のあの時点におきましては、公金のみの一・三億円ということが私どもの松尾からの供述によりまして確定できたわけですけれども、その前は公金と私的な金がまじっていたわけで、問題は、公金の横領があったということは、公金を私的目的に使ったということを確定するという作業でございまして、そこら辺が松尾の供述からはわからないということで、横領というものが行われたという判断はできなかったわけでございます。

桑原委員 どうも松尾氏からいろいろ聞かれておることが正確に伝わっていないように私は思います。直接本人に話を聞かなかったら、これ以上私は解明できないというふうに思います。特に、松尾元室長は、大臣などもいろいろ答弁をされておりますけれども、今に至るも自分のそういう横領というものは認めていない、こういうふうに言われておられるわけですけれども、これだけいろいろな証拠を皆さんから五千四百万に限って言えば突きつけられているのに、なぜ松尾はこの時点でも認めていないんですか。そのことも含めて、私は本人から直接聞かなきゃならぬと思うんですけれども、この点はどうなんですか。

飯村政府参考人 松尾元室長が現在捜査当局のお調べでどういう対応ぶりをしているのか、私どもは承知しておりません。

 ただ、私どもが調査を進めている段階では、松尾は公金横領をしたということについては否定をしておりまして、なぜそれでは彼が認めないのかということにつきましては、松尾元室長自身の判断でございますので、ちょっと私の方から何か具体的なことを申し上げられる状況にはございません。

桑原委員 そういうことでは、とてもではないが私はこの委員会でもって問題の解明をこれ以上進めていっても難しいのではないかと思うので、ぜひ松尾元室長を、予算委員会では証人喚問要求をいたしておりますけれども、参考人としてこの委員会に呼んでいただきたい、こういうふうに思います。委員長、お取り計らい願いたいと思います。

土肥委員長 理事会にかけまして了解を得たいと思います。

桑原委員 こんな靴の上から足をかくような話を何十回やったところで、私は全然問題の解明にはつながっていかないと思うんです。ぜひ、松尾元室長はまだ逮捕されていないわけですから、任意のいろいろなものには応じていただける状況にあるわけですから、私は強く求めたいと思います。

 最後に、ちょっと角度は変えますが、財務省にお聞きしたいと思います。

 財務省は、平成十二年度から旅費法の運用方針を改定いたしまして、今まで宿泊差額を報償費で払っていたというようなやり方は変えて、正規の旅費の差額精算ということで支給をするというように運用方針を変えられたわけですけれども、なぜこの時点でそういうふうに変えたのか、その経緯と理由をお聞かせいただきたいと思います。

津田政府参考人 いわゆる旅費法におきましては、宿泊料は定額で払うということになっておりますけれども、同じ法律の中で、不足分について調整が必要な場合には、各庁の長が財務大臣に協議をすることができるとなっておりまして、現実にそういう場合もございました。ただ、協議が行われております一方で、実態を踏まえまして改善の要望も出されておりました。

 例えば、職員が大臣などに同行して旅行する場合に、同じ宿泊先でなければその職務が遂行できないような場合でありますとか、それから国際会議などに出席するときに、主催国などからその宿泊先を指定される場合がありまして、その場合、宿泊料の定額では賄い切れない状況が間々あるというようなことでございます。私どもとしても、個別協議によりまして対応いたしますと、お互いの役所にとって事務処理上も負担になるという問題意識を持っておりました。

 十二年度に改正した理由でありますけれども、十二年度には旅費法の改正を国会にお願いいたしまして、成立をさせていただきました。それを機に、今までそういう問題意識を持っていたものにつきまして、事務簡素化の観点から、各庁の長限りで処理できるというふうに改正をしたものでございます。

桑原委員 時間が来ましたので終わりますが、最後に、旅費の運用方針を変えるに当たって、外務省から、外務省が非常にこういった関係では集中的にこういう問題が起きやすい役所ですね、そういう意味では、外務省から宿泊差額を報償費で払ってきたんだというような理由をお聞きになったのか。それから、当時の大蔵省としても、そういうものを報償費で払うということについては問題だ、こういうような認識があってこういう方針に切りかえたのか。そこら辺、最後にお聞きしたいと思います。

津田政府参考人 協議の実態で一番多かったのは衆参両院でございまして……(桑原委員「だから、外務省からはどうだったかと聞いているんです」と呼ぶ)外務省からそういう要請があったかどうかはちょっと資料がございませんが、いずれにいたしましても、私どもが今回の問題を知りましたのは外務省の調査を通じてでございまして、報償費の問題と旅費法の運用方針の改正とは無関係でございます。

桑原委員 終わりますが、私は今の答弁は大変に問題があるというふうに思わざるを得ません。こういうふうな方針を変えるときは、恐らく理由がしっかりしていなかったらできないはずですよ。外務省に問い合わせをしたのかしなかったのかもわからないような言い方をされましたけれども、外務省がどういう実態にあるのかということも調査もせずに、一番大きな影響を受けるようなところに勝手に変えてこんなことを出すなんということは、私は役所のやり方としては考えられないので、そのことについては改めて答弁を次の機会に求めたい、こういうふうに思います。

 以上、終わります。

土肥委員長 次に、土田龍司君。

土田委員 私は、二十三日の予算委員会において、外務大臣に機密費の問題をお尋ねさせていただいたわけですが、今各党の質問を聞いておりまして、あるいはまた外務大臣の答弁を聞いておりまして、なかなか疑惑解明が進まないなという感じがしてなりません。

 前回のときは、政務会議の調査委員会について、いわゆる身内だけでやるのではなくて、もっと外部の人を入れたらどうですかという提案をした際にも、外務大臣は必要ないだろうというようなお話をいただいたわけですが、きょうは機能改革会議についてでございますけれども、七名から構成されているこの会議に対して、外務大臣が冒頭に四つの提言をされたと。第一は外務省の信頼回復、第二が体制上の課題、第三が人事体制のあり方、第四は金の流れのチェックの問題であるということで、冒頭外務大臣から提言をされて、それを受けて機能会議の方々が前回、きょうが二回目ですね、きょうの内容はまだ知りませんけれども。

 ということは、この四つの点について、外務大臣はどうも自信がないといいましょうか、問題があると思うからこういった提言をされたんでしょうか。

河野国務大臣 外部の七人の有識者にお集まりをいただいて御議論をいただこうと思いましたのは、今回の事件を踏まえて、現在の外務省の機構、体制、人事、さまざまな面で問題があるのではないか、こう考えたからでございます。それで、内部の議論だけでは、議員も御指摘になっておられますが、不十分と考えまして、外部の有識者にお願いをいたしました。

 私は、今回の事件を踏まえてこの四つのポイントをごあいさつの中で申し上げましたけれども、特に有識者の皆さんに申し上げたことは、この四つと言って私が枠をはめて、この中で議論をしてくださいと言っているのではありませんと。この四つが問題だ、私はこういう認識を持っておりまして、この問題、例えば信頼回復でありますとか体制のチェックでございますとか、そういったことについてぜひお知恵を拝借したいと思っておりますが、御議論はどうぞ自由に御議論をしてくださいというふうにも申し上げております。

 そして、この御議論あるいは会の運営その他に外務省としては一歩距離を置いてといいますか、外務省がリードするとか外務省が中に入ってどうするとかということは一切いたしません、何月何日どこの会場でやりますというような案内や何かは、もちろん役所で事務的なことはいたしますけれども、会の運営その他もこの七人の方でどうぞ御相談をいただきたいということを申し上げて、さらに、自由な御議論をお願いしたいというふうにも申し上げているところでございます。

土田委員 この改革会議のメンバーが、前回やって、きょう午前中おやりになって、これから週に一回のペースでやっていかれるわけですね。さっき外務大臣のお話では、十回ぐらいやってゴールデンウイークの前後に答申をまとめたいと。一回の時間が大体一時間半ぐらいでしょうか、前回の場合は。一時間半ぐらいやっていらっしゃる。七人のメンバーで、たったそれだけの時間でこれが可能かどうかというふうに思うんです。

 一回目のいろいろな方々の発言の内容を読んでみましても、特に専門家じゃないですね。発言内容を見てみても、普通の市民といいましょうか、方々が疑問に思うところを発言をしておられる。しかもたった十回ぐらいで、いい提言といいましょうか、外務省が納得するような、あるいは外務大臣がなるほどと思うような提言が出てくるというふうに思っておられますか。

河野国務大臣 こうした有識者にお願いをするときには、やはりそう毎日長時間やってくださいというわけにはいかないことは御理解いただけると思います。でき得べくんば十回程度、いつまでも結論が出ないというのでも困りますし、ゴールデンウイーク前ぐらいには何とか御提言がいただけることを期待いたしておりますと私は申し上げたわけでございますが、出席メンバーは、私が退席いたしました後それぞれ御議論があって、この方々が実務の専門家と思われるような人を呼んでヒアリングをやろうとか、さまざまなことを議論をしておられて、さらに、この方々自身も外部の方ですけれども、この方々のさらに外部からのヒアリングを実施することなども、そういう方向でいこうと言っておられるようでございまして、私は、こうした経験のある方、それぞれの分野で相当な経験をお持ちの有識者の方々でございますから、回を追うて議論は深化するに違いない、こういうふうに思っているわけでございます。きょうが二回目でございますから、二回、三回と議論がどういうふうに展開していくか、私どもも全く予測がつきませんけれども、その議論については大きな関心を持って見ているところでございます。

 また、議論は、議員も御承知のとおり、できるだけ会議の後早い時間で公表をする、議論についてはできるだけ公表をするということについても、メンバーの方々はそういう合意ができているというふうに伺っております。固有名詞は除くけれどもできるだけ議論については外に出すという合意はできていると聞いております。

土田委員 この会議はどちらかというと前向きな会議ですね。外務省のイメージとかあるいは国民の皆さんの疑惑をある程度払拭しよう、そのために有識者の方々に集まっていただいて議論していただく。再発防止という観点からしますと今回の事件の真相をやはり洗い直さなきゃならないわけですが、これは先ほどの政務会議でやるというお考えなんですか。

河野国務大臣 前回もそういうお尋ねがございましたが、外務省の中の政務会議は、衛藤副大臣のイニシアチブで、六人のバッジをつけた人間が集まって、外務省の全体に対して指導力を発揮していくべきだということから、適宜集まり、適宜それぞれの仕事をもって外務省を見ていこう、こういうことになっておりまして、機能改革会議は衛藤副大臣に御担当をいただいておりますし、内部の調査は荒木副大臣に担当をしていただいております。

 荒木副大臣の御担当の内部の調査は、先ほどもちょっとそういうお話がありましたけれども、捜査当局にお願いをした捜査とはまた別の、むしろこの問題にかかわって内部のさまざまな問題をさらに調査を深めていくということで、非常に積極的な作業が行われているわけでございます。

土田委員 この政務会議の調査は、どのぐらいのピッチで行われているんですか。あるいは、一度に大体どのぐらいの時間で、これまで何回ぐらい、何時間ぐらいかけておやりになったところでございましょうか。

河野国務大臣 政務会議は随時行うということでございます。内部の調査委員会、荒木委員長のもとでの調査委員会は、これももうほとんど連日のように会議をし、調査をしというような格好になっております。

土田委員 私の友人の会社で、若い女子社員の使い込みが発覚したんです。これは事実の話を言っているんですが、何か毎日二千五、六百円の帳簿をごまかしまして、月に六万円ぐらいのごまかしをやって、それが三、四年たってつい最近発覚をしたんだそうです。その社長は、すぐに管理部長に命じて、調査委員会といいますか、内部でよく調べなさい、ほかにもいないかどうかということで調べさせた報告は、その女性だけの犯行であったという報告を社長は受けたわけです。ところが、社長はたまたまその女性をよく知っていたものですから、この子はそんなことをするはずがないということで、今度は自分がみずから調査を始めたわけですね、その社長も同じく捜査権を持っているわけじゃないですよ、自分の会社のことですから。そうしたら、全部で十数名の方が同じことをやっていたということがわかったんだそうですよ。

 今回の事件を見てみますと、やはり社長である河野外務大臣の姿勢がよくないと僕は思いますよ。ましてやこういった税金を扱っている、公金が横領されたのに対して、今言った社長じゃないですけれども、やはり大臣みずからが、捜査権を持っているわけじゃないですけれども、指揮監督して、徹底してやるんだという姿勢を見せないことには、テレビとか新聞は連日この不祥事を報道していますけれども、この前も予算委員会で言いましたように、外務省や外務大臣から何にも発信されていないわけですよ。調査をしているとか、努力をしていますとか、申しわけなく思っているとかいう言葉は出てきますけれども、それ以上は何も出てこない。ですから、やはり外務大臣が、繰り返しますが、社長みたいになって、先頭になってやるんだという気持ちを出さなきゃだめだと思うのですが、決意のほどをお伺いします。

河野国務大臣 御注意をいただいてまことにありがたく、お礼を申し上げますと同時に、御指摘のように、私がもっと先頭に立ってしっかりやれという御激励をいただくようではどうもいかぬというふうに自分自身反省をいたしております。

 十分な反省と十分な熟慮の上で、現在、外務省のこうした問題をどうやって改善するかということを考えておりまして、私は、今回の事件の全容の解明と再発の防止というふうに分けて考えておりますが、一番大事なことは、外務省の体質の問題がある。この外務省の持っている長年しみ込んだ体質を変えていくということが最も重要なことだ。これは、仮にそれ自体が犯罪でないにしても、今の体質というものに対してさまざまな御批判があるのだろうというふうに私は考えておりまして、外務省の体質改善といいますか、体質を変えるという気持ちが外務省の隅々に行き渡らなければだめだというふうに考えて、そうしたことを踏まえて、私なりに、どうすることがそうしたことを実現できるかということまで考えて作業に当たっているところでございます。

土田委員 そうしたら、その体質改善をするためにはどうしたらいいとお考えですか。

河野国務大臣 私は、どこが一番悪いのかというと、外務省が、もっと直接的に国民に対して自分たちがいわゆる公僕として国民に対するサービスといいますか、国民のために自分たちが何をするかということをもっとしっかり考えなければいかぬというふうに思っているのです。もちろん、外務省職員は本当に懸命に努力をして、国際会議に出席をし、在外公館で情報収集その他に懸命に努力をしております。おりますけれども、それだけで十分ではない。それだけでは十分ではないというふうに思うのです。もっと直接、日本国民に対して、国民が一体何を望んでいるかということをいち早く知って、それに対する対応ができなければいけないというふうに思います。

土田委員 大臣がおっしゃる体質改善についての具体策はどうも余りよくわかりませんね。

 僕は、一つの具体策としましては、やはり大臣がおやめになることですよ。大臣がこのままでおられたのではやはりもう無理ですね。やめていただいて、あるいは事務次官もやめていただいて、新しい責任者のもとでそういった調査を真剣にやらないことには、こういった大事件を起こして大臣も事務次官も厳重注意じゃ、やはり国民は納得しない。ですから、やはり新しい方がやらないと。

 今までずっと大臣も何回もやってこられて、長年やってこられて、体質改善をするんだとおっしゃるけれども、こんなことをやったらただじゃ済まないよということを外務省の職員に見せてやらなければいけない。大臣の首が飛んじゃうんだ、飛んだんだ、そして事務次官も飛んで、皆が厳重注意じゃ済まなかった、このくらい見せしめをやらないと体質改善は無理ですよ。その一つの方策としてやはり大臣は辞任すべきだ。じゃないと国民は納得しないもの。どうですか。

河野国務大臣 いや、そういう見方もあると思います。そういう見方もありますが、一方では、それは余りに無責任ではないかという見方もあると思うのです。

 私は、現在の外務省の問題については、この数カ月間で最もよく調査をし、事実関係について、一体なぜこうなったかということをわかるようになってきた人間の一人だと思っております。新しい方が来られて、その方が果たして今日の状況を直ちにキャッチアップされるかどうかということは、何とも言えないと思います。

 私は、もちろん今議員がおっしゃるようなやり方があるということも知らないわけではありません。しかし、私は、私としての責任のとり方については私自身が考えて、このままではだめだというふうに思っております。

土田委員 でも、その結果が一月二十五日の調査結果の発表だったわけですね。一番私が知っている、自信があると大臣がおっしゃるのだけれども、その結果に、自民党も公明党も、ほとんどの人が納得いかないと言っているわけでして、もう一回調査をやりなさいと言っていて、今やっているわけですね。ですから、いろいろな責任のとり方がある、別にやめるべきだと言っているのではなくて、新しい方がやった方がより調査が進むんではないかと言っているんです。そういった面での責任のとり方というのがやはりわかりやすいと思うんですが。

河野国務大臣 たとえどなたがおやりになっても、この事件の解明をするのは捜査当局だと私は思います。今の外務省のスタッフの中でこの問題の解明をするということは難しいということも私はよく知っているわけです。たとえどなたが、土田さんが外務大臣になられても、この問題の解明は捜査当局にゆだねる以外に方法がない。そのために捜査当局というものはあるわけですから、そこに告発をしているわけですから。この問題を解決するということだけであれば、それは捜査当局にゆだねるということしかない。

 問題は、外務省全体を、この問題だけの問題じゃなくて、将来の、ちょっと大げさに言えば二十一世紀の外務省のあるべき姿ということをこの機会に考えるということが大事だろうと私は思っております。

土田委員 松尾元室長はまだ逮捕されていないわけですね。この松尾本人からはどの程度事情聴取をされたんですか、あるいは今もされているんですか。

河野国務大臣 これはおしかりを覚悟で申し上げれば、捜査当局が目下捜査中でございますから、私がここで申し上げることははばからなきゃならぬと思います。

土田委員 懲戒免職にしたわけですね。では、それまでは本人から相当調べたんですか。

河野国務大臣 一人の人間を告発するということはそう簡単なことではないことは、もう議員もよくおわかりのとおりだと思います。

 無責任と言うと言い過ぎですけれども、新聞は割合と簡単にあいつが悪い、こいつが悪いということをおっしゃるかもしれませんけれども、私どもはやはり事実関係をしっかりとつかまなければ告発はできないわけでございまして、メディアの情報だけであれが悪いと断定をするというわけには私どもはいかないわけでございますから、あれだけの告発をするという以上は、松尾本人から相当な長時間にわたって事情は聞いております。しかし、これはあくまでも任意で聞いているわけでございますから、本人が言いたくない、きょうは出ていきたくない、しゃべりたくないということであればそれはできないわけです。

 しかしそれを、いろいろと作業をして本人から聞き出したものが報告書に書かれているものでございまして、これも予算委員会でもいろいろ御質問がございましたけれども、口座を二つしか調べないのはけしからぬとおしかりをいただきましたけれども、口座を持っている本人が提出の意思がなければ調べようがない。たとえどなたが口座を持っておられても、本人が嫌だというものを、奥さんが、私は家内ですから見せてくださいと言ったって、銀行は見せませんよ。それは調べようがないわけです。ですから、本人がこれは私はこういうことですよと言わない限り調べようがないということを、予算委員会でも御答弁を申し上げたわけでございます。

 第一勧銀の口座について、松尾自身から、公金は主としてこの口座に入れましたという本人の任意での、我々が事情を聞いたときに本人からそういう話があって、そして初めてその口座を我々は調査することができたその結果の数字でございまして、これも繰り返し申し上げておりますが、これがすべてだとか、これで事足れりと思っているわけでは全くございません。

土田委員 時間ですのでこれを最後にしますけれども、今回問題になったのは官房機密費の十六億円の方ですね。ところが、やはり外務省が持っている五十六億円の機密費、この金額の妥当性といいましょうか、何でこんな巨額の金を年間に使っているのかという思いはだれでもあると思うんですね。

 僕は、この前、外務省の職員の方にいろいろ教えてもらったんです。一杯飲みながらの話でございますけれども、外国に勤務すると、二等書記官くらいで大体三百万ぐらい貯金がたまるんだそうですね。公使とか大使をやると年間一千万ぐらいたまって、三年間で大体家一軒建つんだそうですよ。それはなぜかといいますと……(発言する者あり)その人を連れてくるわけにいかないんだ、申しわけないんですが。それは、国内にいるときと同じ額の給料が出るんだそうですね。それを余り使わないでいいんだそうです。大使館からいろいろごちそうになるんだそうです、高いものを買うときは。

 ですから、別に不正をしているのでなくて、外国でもらっている給料を使わなくて済むのでだんだんたまっていって貯金になっていくということらしいんですけれども、大使館から報償費を使われているんじゃないかとかいうふうに私は感じるわけでして、その外務省の人もそう言っていましたけれども、やはりこういったことを改めていかないと、報償費が非常にいいかげんにされているんじゃないかという気持ちが僕もありますし、国民の皆さんにもある。

 最初この問題が出てきたときは非常に大きな怒りを感じていたけれども、国民の皆さんは最近半分あきらめているんですよ。どうせわからないんじゃないの、みんなグルになっているから証言をする人もいないだろう、あるいは本来領収書の要らない金なので動かぬ証拠も出てこないんじゃないか、この問題は難しいよね、難しいよねというのはしようがないねと。役人連中が勝手にやっているんじゃないかという気持ちがやはりあるんですよ。

 ですから、くどくなりますけれども、やはり外務大臣みずから先頭に立って、荒木さんの調査結果が出るのを期待しておりますけれども、納得のいく答えは出ないにしても、ぜひそれに近いような、ああ、やはり河野外務大臣はよくやったなというふうに言われるようにしないと、特に外務大臣の場合は、森政権も間もなく終わるというふうに聞いていますので、早目にやらないと御自分で調査結果を発表できなくなるおそれがありますので、頑張っていただきたいと思います。

 以上でございます。

土肥委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 河野外務大臣とは今国会これで三回目ということになりますが、お互いに安保条約に対する立場は違いましても、沖縄に対する思いは、河野大臣、日ごろから口にされていらっしゃるわけですから、やはりきょうもまたそういう議論を交わしていきたいなと思っています。

 同時に、私たちは安保条約反対の立場を貫いてきているわけですが、今国会で展開している議論というのは、何も安保反対の立場からではなくて、安保賛成の人も反対の人も沖縄の現状を変えるために共同して掲げている要求が国政でどんなふうに扱われるのか、あるいは日本の外務省や政府がどんなふうに沖縄の現状をとらえて解決の方向に向かうのかという点では、県民の熱い注目も集まっている議論ですので、三回目だということで昨日もちょっと声をかけられたわけですが、きょうもまたやっていきたいと思います。

 それで、二月十四日の予算委員会に引き続いて日米地位協定の問題です。

 二月十四日の予算委員会で河野大臣は、放火は、殺人、強姦という並びで考えてもよいという感情を持っていると述べまして、こういうことをおっしゃいました。起訴されれば、当然身柄は引き渡されることになるが、できるだけ早い身柄の引き渡しを求めて努力中でございます、このように答弁をされたわけです。

 改めて伺いますけれども、河野大臣あるいは外務省におきまして、今回の北谷の放火事件の犯人の起訴前の身柄引き渡しについて、アメリカ、米軍に対して、自分たちのルートを通じてどのような交渉をされたのか、そして、いつだれにどのような要請をされたのか、米側からはどのような回答があったのか、明らかにしていただきたいと思います。

河野国務大臣 赤嶺議員と沖縄の問題について議論をすることは、私にとりましては大変勉強になることが多うございます。立場は違いますけれども、議員の側からごらんになった沖縄問題というのを私は知ることができるものですから、お話を注意深く伺いたいと思っております。

 今回の北谷町の放火事件の問題につきまして、この問題におきます容疑者の身柄の引き渡し問題について、いろいろな方からお話もございましたから、私は関心を持っておりました。そして、身柄の引き渡しができるだけ早く行われることが望ましいと私自身も思っておりました。

 これは、先ほど午前中に下地議員の御質問に、捜査当局は、一般的なものだと思いますけれども、事実関係について御答弁があって、捜査に支障のないようにいろいろ双方でやっているというお話がございました。それもそうだと思いますけれども、私としては、でき得べくんば身柄を早く引き取るということがあればそれがいいと思っておりましたから、この問題について関心を持っていたわけでございます。

 したがって、身柄の引き渡しについては、私なりにやるべき作業、これはすべてをここで申し上げるのは若干差し控えさせていただきたいと思いますけれども、私なりに身柄の引き渡しについて、準備といいますか、そうした方向で事が進むようにいわば準備をする、私自身もそうですが、そういう指示もしてきたわけでございます。

 今回は、言ってみれば比較的早く身柄の引き渡しができたわけでございますが、しかし、それにいたしましても、例えば事件発覚直後に、沖縄におります野村大使に連絡をしてヘイルストン四軍調整官との間で話をしてもらったり、あるいはパウエル国務長官あるいはフォーリー駐日アメリカ大使に対して、身柄の引き渡しができるだけ速やかに実現することが重要だという旨の働きかけをするなど、私としてはできる限りの努力をしたわけでございます。

 結果として、本件事件については、今も申し上げましたように、現地の捜査当局が米軍の協力を得ながら所要の捜査を迅速に進めることによって、身柄の引き渡しが実現したというふうに承知をいたしております。

赤嶺委員 今回はうまくいったというのは、事件が起きたのは一月の十五日ですから、そのころから犯人と目されている人は任意の取り調べはやって、それで逮捕状で、逮捕状と起訴までの間が短かったというだけで、被害に遭った人たちはとてもそんな気持ちじゃなかったと思うんですよね。店を焼かれて、犯人は米兵だけれども逮捕はされない、取り調べを行っているかどうか、そして店の被害はどうなるんだという不安な一カ月だったと思うんですよ。

 それで、本当は、そういう皆さんのやりとりでアメリカ側からの回答がどんなものであったかということについてもお伺いしたいんですけれども、議論したくても大変限られた時間の範囲内というのがあるものですから、ぜひその辺の答弁の御協力もお願いして、そこで警察庁にお聞きしますけれども、復帰後今日までに、沖縄において米軍の凶悪犯、これはどれだけ起きているのか。さらに、その中で起訴前の身柄引き渡しを要求した事例はどれだけあるのか。その結果、起訴前の身柄が日本側に引き渡された事件は何件あるのか。このことについて具体的に明らかにしてください。

五十嵐政府参考人 初めの、復帰後の沖縄における凶悪犯の、凶悪犯というか米兵が起こした件数、こういうことなんですが、実際問題とすると、認知の段階ではだれがやったかわからないものですから、検挙件数で申し上げますと、復帰後平成十二年までの沖縄県における米軍人による凶悪犯罪、これは殺人、強盗、強姦、放火でございますが、これの検挙件数の総数は四百九十六件でございます。

 次に、沖縄県警察において、復帰後、今申し上げました殺人、強盗、強姦、放火の凶悪犯罪について、逮捕同意請求を行ったのは十九件でございます。このうち逮捕同意がなされたものは、十九件のうちの一件、こういう状況でございます。

赤嶺委員 今のは軍人だけですから、軍属も含めるともう少し多くなっていくと思うんですが、それにしても、復帰後四百九十六件も凶悪犯罪が起きていて、そして身柄の引き渡しを要求したのが十九件、引き渡されたのが一件、これはもう本当にびっくりするような数字だと思うんですよ。

 それで、実は身柄引き渡しについても、一九八二年に起きた事件のことだろうと思うんですが、金武町で起きた殺人事件ですね、身柄の引き渡しがされました。私たちは、一九九六年に、日本共産党として沖縄の基地問題、基地被害の調査を、ずっと関係当局から話も聞き、調査をして歩いたんですが、その八二年の殺人事件で身柄が引き渡されたことについて、沖縄県警はこう語っているんです。当時の基地の司令官はすんなり応じた、ところがそれがアメリカ国内で大問題になり、その司令官はすぐに更迭されてしまったと。身柄引き渡しに応じたのは一件はあったんだが、それは司令官の勘違いで、本国で大問題になって更迭されてしまったというんですね。

 基本的には、アメリカ側はどんな事件でも身柄の引き渡しはしたくないというのが率直な現状だと思うんですよ。それに対して運用改善を少女暴行事件の際に求めてきたわけですけれども、私は、絶対に身柄は引き渡したくないというアメリカの意思が経過の中で明らかである以上、午前中の質問の趣旨とは異なりますけれども、運用改善では、すべての米軍犯罪について起訴前に身柄を日本側の裁判権にゆだねるという根本の問題解決にはならないのではないか、このように思いますけれども、いかがですか。

河野国務大臣 今議員がおっしゃった話は非常に興味深い話で、アメリカは絶対引き渡さないだろう、だから運用の改善じゃだめなんだとおっしゃるけれども、アメリカが絶対に引き渡さないだろうというならば、地位協定の改定はできないじゃありませんか。

赤嶺委員 地位協定の改定と運用改善とは、要求の質が全然違うんです。

 河野外務大臣は、きのうは、ほかの議員の方への答弁で、運用改善で凶悪犯の犯罪の枠にどこまで入れるか、これはなかなか苦労が要る話だと答弁なさいました。午前中も答弁いたしました。私もそうだと思いますよ。だって、日本の司法権あるいは刑事訴訟法では、犯罪を起こせば逮捕状が出た段階で全員身柄拘束ですよね。それを、米軍の場合は、どこまでが身柄拘束が請求できて、どこまでが身柄請求しないかというような、いわば日本の刑事訴訟法上は絶対に結論が出てこない話になるわけですよ。

 結局、では運用上どうするかという点でいえば、それは日本政府とアメリカ政府の政治判断ということになって、実にあいまいな決着のつけ方しかできないんですね。外交で日本の政府があいまいな決着のつけ方をしようとすれば、外交は進まないと思いますよ。やはりここは、日米地位協定の見直しを正面からぶつけていく、そういう立場が必要じゃないかというぐあいに思いますが、どうですか。

河野国務大臣 ですから、アメリカが絶対に渡さないんだということをおっしゃって、それを前提にして議論をすれば、それじゃできないじゃないですかと私は申し上げたので、それが努力をすればできる可能性があるというのなら、努力をして解決をしたいと思うのは当然じゃないですか。ただし、その場合には、運用の改善で努力をするのと、運用の改善で努力をしてもどうしてもできないときには地位協定の改定も視野に入れて考えるということとつながっていくんだと思うんです。

 私は、以前から、予算委員会で御答弁を申し上げて以来、この考え方は一貫した考え方で、終始こういう御答弁を申し上げている。

赤嶺委員 運用の改善で、例えば少女暴行事件が起きた後、佐世保での強盗傷害事件は犯人の起訴前身柄引き渡しが行われました。沖縄県民の世論や国民の世論が沸騰しているときにはそれに応ずる場合があるかもしれない。

 しかし、アメリカは、根っこのところで米軍の犯人を引き渡したくないという気持ちがある。そして、日本の側には、刑事訴訟法上、犯罪について逮捕状が出れば身柄を拘束しなきゃいけないという法律がある。そこを、日本の刑事訴訟法では割り切ることのできないようなものを外交で求めていって、それが成るはずはない。時の流れと時の動きの中でしかつくられない制度だ。

 それよりは、やはり正面から堂々と地位協定の十七条の五項の(c)、犯罪を起こした米兵の保護を決めている(c)項を正面から撤廃していく必要があると思うんですけれども、その(c)項がなぜ入ったのか、これをちょっと聞かせていただけませんでしょうか。

河野国務大臣 日米地位協定の十七条というのは、もともとNATO地位協定第七条と同様に規定されたものだと承知しております。

 まず、第十七条五項(a)において、逮捕及び身柄引き渡しについての日米間の相互援助を定めた上で、第十七条五項の(c)は、被疑者の身柄が米側の手中にある場合について、起訴時に日本側に身柄が引き渡されることを規定しており、この規定ぶりは、今申し述べましたとおり、NATOの地位協定と同様となっているということを申し上げます。

赤嶺委員 外務大臣、私は、(c)項がなぜ入ったのかと。NATOと横並びだから入れた、そういうことなんですか、答弁お願いします。

河野国務大臣 私は、NATOの地位協定に同様の規定があるということを申し上げております。

赤嶺委員 私、河野外務大臣が一歩前に踏み込まれないものですから、河野大臣はよく御存じだと思いますけれども、昭和四十八年四月の「日米地位協定の考え方」と題するパンフレットを持ってまいりました。これは外務省条約局とアメリカ局がつくったパンフレットのコピーでありますけれども、この中に、十七条五項(c)がなぜ地位協定の中に入ったのか、はっきり書いてあるんですね。

 その部分、読み上げますと、「以上の点は、」以上というのは、起訴提起まで身柄の拘束はアメリカ側によって行われるという、その(c)項のことですが、「もっぱら米国との政治的妥協の産物であり、説得力ある説明は必ずしも容易ではない」このように書いてあるんですね。

 それで、妥協の産物というのは、アメリカ議会においてアメリカが第一次裁判権を放棄する範囲が広過ぎるとの議論があり、これに対抗するため、せめて身柄拘束に関してはアメリカ側権利を広くしたこと、こう述べているわけです、外務省の文書の中に。さらに、説得力ある説明という点では、少なくとも(イ)食事、寝具等の風俗習慣等の違いから、日本側としてもこれらの者を拘束することは不必要な手数がかかること、(ロ)アメリカ側の拘禁にゆだねても逃走のおそれはなく、また取り調べ上は支障がなく、このように説明されているわけですね。

 つまり、日米地位協定十七条五項(c)というのは、アメリカが米兵の犯罪について保護をしてあげたい、外国に行って外国の法律に従って罰せられるのではなくて、米軍としてできるだけの保護をしてやりたいという項目なんですね。

 ところが、犯罪の根絶を願っている沖縄県民は、保護ではなくて厳罰に処せよ、日本国民以上とは言わない、日本国民と同じような扱いをしてくれと。ここに要求の違いが非常にはっきり出ていると思うんですよ。

 つまり、本当に日本国民の立場に立つならば、地位協定は運用改善ではなくて見直しだ、これを強く言うべきだと思いますが、どうでしょうか。

河野国務大臣 繰り返して御答弁を申し上げて恐縮でございますが、私どもは、一つ一つの問題を個々具体に当たって、できるだけ速やかに問題が解決されることが望ましいわけで、したがって運用の改善という一つの手法を考えて対応したわけですが、運用の改善によってもなかなか話がつかないものもあるということであれば、運用の改善をさらに改善する方法があるかどうかということも議論しなければなりませんが、私は、そのときの知恵の中には地位協定の改定も視野に入っている、こういうふうに予算委員会で御答弁を申し上げたつもりでございます。

赤嶺委員 最後ですが、昨年の八月に沖縄の稲嶺知事から地位協定の見直しの要請書が出された、これは御承知だと思います。

 その沖縄県が出した文書の第十七条関係の裁判権、これについて運用の改善が図られたけれども、

  しかし、この合意に基づく手続きを実施するためには、日米合同委員会において日本国が提起し、協議しなければならないため、相当の時間を要することが予想されます。

  また、凶悪な犯罪ではない場合については、日本国の起訴前の拘禁の移転要請に対して、米国は日本国の「見解を十分に考慮する」としているのみで、米国が起訴前の拘禁の移転を承認するのかについては必ずしも明確ではありません。

このように言っているんですね。

 私の立場と稲嶺知事の立場は同じなんですよ。その稲嶺知事の立場を政治的に支援しているのは河野外務大臣ですから、しっかりこたえるべきであるということ、そして、こたえるまでやはりこの質問は続けていきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

土肥委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 ラストバッター、いつもラストバッターなんですが、大臣には本当にお疲れさまです。しばらくまたおつき合いください。

 まず最初に、外交機密費との関連でお伺いいたします。

 今回の外交機密費の問題の発覚を受けまして、外務省機能改革会議というものが設置されたようです。その第一回会合が二月の二十一日に開催されたのですよね。その中で、それは、外務省のシステムを総点検し、外務省の機能について再検討するための提言をしていただくということだと伺っております。

 その会議の質疑応答の中で、総理の外国訪問時の随員の宿泊費の差額について述べた部分がございます。それによりますと、見積もりの基礎となる情報は在外公館から寄せられた資料に基づいていたと思われる、外務省としては松尾元室長が提出した見積額と在外公館が送ってきた金額が同じかどうか調べることによって水増し請求の実態を明らかにすることができるのではないかとの質問に対して、川島外務事務次官は、確かに宿泊費見積もりの基礎となる情報は在外公館から送られてくるが、それに幾らくらいの充当が必要になるのかを見積もった資料は総理官邸に提出されており、外務省には残っていないと答えておられます。

 このようなことであれば、外務省としては、官邸も含めた調査を行わなければ疑惑の解明は不可能ではないかと思います。宿泊費の差額補てん分などが官房機密費から支払われていたことを考えると、再発防止策についても首相官邸を含めた対策が必要ではないでしょうか。再発防止策を改革会議に提言してもらうおつもりであれば、外務省のみならず、首相官邸及び政府全体としての報償費のあり方について議論すべきであり、さらに踏み込んで言えば、改革会議は外務省のもとではなくて内閣のもとに設置すべきではないでしょうか。

 今回の事件の発端である外務省の責任者としての河野大臣は、内閣に改革会議を設けるよう提案していく立場にあると私は思いますが、外務大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 内閣がその機能、機能というのはつまり事務的な機能ということでございますが、その事務的機能について、何か新しい機能あるいは新しい仕組みをつくっていくべきだとお考えになれば、恐らく、官房長官などが発議をされて、内閣としておやりになることになるだろうと思います。

 私は今、とにかく外務省の機能強化を考えて、七人の方にお願いをいたしました。もちろん、この七人の方に今東門議員がおっしゃるような全部のことをお願いするということは大変無理なことだと思いますが、私どもとしては、今回の問題は確かに官邸と外務省との関係でございますけれども、いずれにせよ、外務省職員が、官邸からの御指示を受けて、当然誠実にそのお仕事をしなければならなかったにもかかわらずそれができていなかった、しかもそれをチェックすべき組織が全く働かなかったという反省に基づいて機能会議をスタートさせておりまして、まずは、この機能会議で、今後の外務省の仕組み、あるいはチェック機能、あるいは人事の体制、そういったものについての御意見を伺うということからさせていただきたいというふうに思っております。

 外務省だけでは不十分ではないかという議員の御指摘は、全く間違っているとは私は思いませんが、少なくとも今我々の認識は、指示を受けた外務省職員が誠実に果たすべき役割を果たさなかったということから生じた事件でございますから、外務省がまずそうした点をしっかりとやり直すということが必要だというふうに思っています。

東門委員 では、外務省は外務省として会議をお持ちになって外務省の機能をチェックしていくということは私もわかります。しかし、それだけではやはり不足ではないかという気持ちはするのですね。官邸も含めた、いや政府全体の報償費のあり方というのを今国民はすごく疑惑の目で見ている。それにこたえていくには、私は、やはり外務大臣の方から、こういうものをつくることはどうでしょうというふうに提案されたらいいかと思うので、それで私も御提言ということでお話ししたわけでございます。ぜひお願いします。

 外交機密費の問題については朝からずっと出ておりますから、私の通告もこれだけでしたので、この件については今終わりますが、ただ一点、委員長にお願いがございます。やはり、外交機密費に関しては、今すべてが霧の中ですよね。そういう中で、朝から出ております、松尾元室長の参考人としてのこちらへの出席ということをぜひお願いしたいなと思いますので、お取り計らいをよろしくお願いいたします。

土肥委員長 理事間で協議させていただきます。

東門委員 次に、えひめ丸関連で質問をいたします。

 今月十六日の記者会見では、行方不明者の御家族は、もう極限状態に来ています、ストレスや疲労で本当はとても話せる状態ではないと、精神的な緊張あるいは疲労を訴えておられました。行方不明となった方々の安否を気遣う御家族は、なれないハワイで捜索活動を見守り、御家族が熱望する船体引き揚げをめぐって日米両政府の温度差が明らかになってくるなど、御家族の皆様にとっては精神的な重圧が大きいことを推察することは、何ら難しいことではないと思います。

 米国では、犯罪や事故が起きたとき、被害者やあるいは家族らの心のケアのための専門家を派遣することが一般的に行われています。今回の事故の後でも、米国赤十字などが、在ホノルル日本国総領事館に対して、被害者家族の心のケアのためのカウンセラーを派遣することを提案していたことが明らかになっております。御家族の方々が置かれている深刻な状況を考えれば、日本ではなじみが薄いかもしれませんが、総領事館側は、必要な状態にないとしてこの申し出を断った上、御家族に対してこのような申し出があったことさえ伝えていなかったと報じられています。

 なぜ総領事館はこのような対応を行ったのか。傷つき、疲れ果てた被害者、行方不明者の御家族に対し、余りにも配慮に欠ける対応だったのではないでしょうか。総領事館関係者の皆さんの話では、日本では、こうした場合、第三者が支援にかかわる例がほとんどなく、判断が難しいという話をしたと報じられておりますが、日本に事例がないから、いや、やらなくてもいいということでは決してないと思います。むしろ、今回の場合、どうしても必要だったのではないかと私は深く感じております。

 ぜひその件に関して外務大臣の御見解をお伺いしたいと思いますし、あわせて、今現在、帰国された被害者の方々、あるいは御家族の方々の心のケアはどうなっているのでしょうか、それも教えていただきたいと思います。

河野国務大臣 ただいまお尋ねの問題は、先般、二十一日でしたか、朝日新聞がちょっと書いておられたのを私も拝見いたしました。

 この問題につきまして総領事館に聞いてみましたら、総領事館からの説明によりますと、事故直後から在ホノルル総領事館に対して、主として牧師さん、それから教会関係者、それからソーシャルワーカー、そういった方々を含め、相当多数のボランティアの協力申し出が電話等であったというふうに言われております。総領事館としても、こうした申し入れの中から、時宜に応じてお手伝いをいただいた方もあるそうです。

 しかし、例えば、その直後から、宇和島の方々のところへ牧師さんが出かけていって話をされるということが果たして適切かどうかということも御議論があったというふうにも聞いておりますし、ボランティアの方の中からは、これは心のケアではありませんけれども、船員や生徒に対する衣服の提供とか、そうした大変ありがたいお申し出もあって、さらには、一部のボランティアの方には、御家族の中で、特に女性の方々をテークケアするために御協力をいただいたこともあるというふうに報告を聞いております。

 こうした事故に遭遇した場合に、関係者の御家族を含む方々の心のケアというものは重要だということは、現地でもそういう認識がございますが、心のケアと同時に、健康管理、それ自体も極めて重要だということから、御家族が日本からハワイに向けて出発をされますときから、外務省は医務官を同行させておりまして、終始医務官が現地でも同行をして、お申し出に対して対応をしてきたというふうに聞いております。

 ちなみに、関係者の心のケアなどに御協力をいただいたボランティアの方々の中には、桜田政務官が直接出向いて、お伺いをして、お礼を申し上げてきたケースもあるというふうに聞いております。

東門委員 今の御報告は承りましたけれども、そういうときの一番大切な対応というのは、その直後に心のケアというのはしっかり考えていかなければいけない、これはごくごく当然のことだと思います。

 お答えいただかなかったんですが、今、帰国してからの皆さんのケアはどうなっているんでしょうかというのも、私にとってはすごく関心のあるところなんですが、後でお知らせいただけたらと思います。今、時間の都合で前に進みたいと思います。もう少し時間があればなといつも思うんですが。私は、医務官の同行で決して済むことではないと思っておりますので、その件もあわせて申し上げておきたいと思います。

 SACOについて、本当に素朴で、初歩的な質問をさせていただきたいと思います。

 沖縄の米軍基地の問題について、政府側の発言の中に出てくるのは、本当に判で押したように出てくるのが、沖縄県民の過重な負担を軽減するためとか、あるいはSACOの最終報告の着実な実施に向けて取り組むというのがございます。それについてお尋ねしたいと思います。

 まず、SACOには沖縄県の意思というのは一切反映されていないということ、外務大臣、御存じですよね。よろしくお願いします。

河野国務大臣 それは、私はそういう認識ではございません。SACOの議論をいたしますときに、例えば、これは沖縄県民の皆様方の御要望でございます基地の整理、縮小、統合といった問題もこのSACOの中で議論をされておりまして、SACOの中には基地の縮小は、部分的にでございますけれども、入っていることは御承知のとおりでございます。

東門委員 今の答弁をお聞きしていますと、とても意外に思うことは、選挙応援で沖縄入りする自民党の幹部の皆さんの発言の中にこういうのがあるんですよ。SACOはもともと大田県政のとき交わされたものであり、それを着実に実現しようとしているだけだと。あたかも大田県政の合意があったと言わんばかりの方がおられます。これは、私たちに言わせれば、事実誤認も甚だしいと言わざるを得ません。

 このような、本当に県民の生命、安全に直に関係する大きな問題については、当然のことながら、沖縄県の知事の意思も拝聴する、聞く姿勢を持つべきだと私は思うんです。そういうことは一切なされずに、ある日突然という形で出てきたのがあの共同宣言だったのですが、共同会見から出てきたのですが、それをあたかも大田知事に責任があるような言い方はとても意外ですけれども、どうでしょうか。

河野国務大臣 それは私も実に意外なことを伺ったような気がいたします。

 SACOの最終報告につきましては、私どもは、沖縄の声、これは沖縄を代表する方々の要請というものを受けて作業は進んできているわけでございまして、沖縄の声が全く入っていないとか、知らなかったとか、突然出てきたとかというふうに理解をされているとは、私はどうも思えないのでございます。

東門委員 どこかでもっと一、二時間ぐらい時間をとりたいんですが、少し急ぎますのでこのことはまた後でお伺いします。

 それでは、本当に沖縄県民の意思が入っているという御見解であれば伺いますが、SACO合意に盛り込まれた普天間基地を含む返還対象基地は、沖縄から、ここ、ここ、ここを返還していただきたいという要望があったのでしょうか。そういうのがあったのかどうか。あったら、どういう形でいつあったか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 まず、普天間の基地の移転については沖縄から強い要望があった、これは御承知だと思います。この点一点を見ても、沖縄の要望はきちっと受けとめられていたと理解できるのではないでしょうか。

東門委員 普天間基地は、本当に宜野湾市の市街地のど真ん中にあって危険な区域です、ですからぜひ移設していただきたい。しかし県内移設ということは全然入っていないんですよね。

 私がお伺いしたいのは、そういう中で、SACOの合意というのは両国間のものですから、日米どちらの国がどのような理由で提案をされたのかを伺いたいと思います。

河野国務大臣 私の理解は、まず第一に、普天間の状況が周辺の住宅地のことを考えれば大変危険もあるではないか、ぜひ移転をしてほしいという周辺の住民の方からの御要望もあった、あわせて、米側は米側で、やはりこういう住宅地の上をいつも飛ぶということで、もしも何かあったらこれは大変だという理解をアメリカ側もされて、そこで合意ができたというふうに私は理解しております。

東門委員 その点は本当にそのとおりです。大臣のおっしゃるとおりなんです。

 しかし、普天間基地はそういうところだから県内移設をしてくださいというのではなくて、大田県知事はその当時から、グアムやハワイへも移設できるのではないかということをずうっと政府に対して申しておりました。それで、グアムの知事さんもハワイの知事さんも、引き受けてもいいというお話があったはずなんです。そこをあえてなぜ沖縄県内への移設なのか、そこが私にはわからないんです。ぜひそこのところをお聞かせください。

河野国務大臣 これは詳細、時間を追って御説明を今申し上げる資料を持っておりませんけれども、確かにグアム説もあったという記憶がございます。

 しかし、日米安保条約のもとで日本の安全を守るということを考えれば、普天間の基地をグアムに移設することで今までどおりの日本の平和と安全というものを守るということができるかどうか、これは、アメリカの日本を守る立場の人たちの判断も重要でありますし、あわせて国際情勢というものも確認をしなければならないことではなかったかと思います。

東門委員 沖縄県民が本当にこれまでずうっと望んできたのは、県内移設ではなくて、基地の整理縮小というときには――前に私がお尋ねしたときに大臣は、普天間飛行場が北部に移設されると二一%ぐらい面積が減るというお話をしておられたのを覚えていますが、そうですよね、二一%減ると。そのとき七五%が端的にマイナス二一で五四になるのかというと、そうではなくて、それでも七〇%ぐらいは沖縄に残るということであることも間違いございませんよね。そういうことで、目に見える形で基地の整理縮小ということになるのか。

 私たちが本当に望んできたのは、何度も申し上げます、国会に出てきて、そのたびごとに申し上げていると思うんですが、目に見える形での基地の整理縮小、それはとりもなおさず海兵隊の削減につながらなければ、私は縮小にはならないと思います。

 いろいろな事件、事故が発生している中で、先ほどから、日米地位協定の話も随分あります。しかし、それも動かない、基地も県内移設でしか対応しないという政府の態度には、本当に、どうなんだろう、だれのための政府なのかな、どこのための外交、外務省なのかなと疑問に思うことが多々あるんです。やはり何としてでも、私たち沖縄県民の負担の軽減をおっしゃるなら、目に見える形で、普天間基地は北部に移設するということではなくて、グアムあるいはハワイへ移転、移設するという立場で進めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 大変恐縮ですが、私も日本の外務大臣として、日本の国の平和、日本の国の安全というものを考えなければなりません。

 そのためには、日米安保条約のもとで、現在の日米間の一致した認識というものが重要だと考えておりまして、これはけさほどから何度も申し上げておりますけれども、日米間で国際情勢その他の分析が行われて、兵力の削減というものが行われても日本の安全に何ら問題はないという状況になるということが、この議論を進める上で非常に大事なことだというふうに思っております。

 そうした議論を全く行わずに、ただただ兵力の削減という議論だけが先に走るのでは、日本全体を考えて、もちろん沖縄を含めてのことでございますが、当然でございますが、日本の国の安全というものを政府として責任を持ってやっていくということにならないことだと私は思っております。

東門委員 大臣、本当にそのままお尋ねします。

 北部に普天間の基地を移設したときに、本当の意味で沖縄県民の負担の軽減ということは可能になるとお考えですか、ぜひそのお答えをお聞かせいただきたいと思います。負担が軽減されると大臣は自信を持って言えるのでしょうか。

河野国務大臣 名護の岸本市長が、名護及びその周辺に基地が移設されるということを容認された、もちろん条件が幾つかついておりますけれども、容認をされているわけで、そうした地元の市長さん、それはすなわち地元の大多数の住民の皆さんのお気持ちがそういうお気持ちなんだろうというふうに私は思いますし、それと同時に、今のお尋ねで言えば、基地の移転というものは、いわゆる整理、統合、縮小に向かっていくいろいろな作業の中で、普天間の移転というものはそれと全く違ったものであったとしても、まずあの住宅地の中から普天間の飛行場を移設するということも重要なことで、負担は軽減されるというふうに私は思います。

東門委員 今、名護の岸本市長のお名前が出ましたが、住民投票でははっきりとノーを出しているのです、名護の市民は。そのことはお忘れにならないようにしていただきたいと思います。

 そして、老朽化した普天間の基地を新たな基地として北部につくった場合、そこには最新式の機種が配備されると言われており、運用年数四十年、耐用年数二百年と言われている新たな基地がつくられた場合、これが本当に大臣が今おっしゃったように負担の軽減につながると思われるのでしたら、とても残念です。

 沖縄県民は、これまでも本当に長い間基地と、好んでじゃないんですよ、好きこのんでじゃないんです、国から押しつけられて共存をさせられてきました。日本の安全保障のためにと常におっしゃいますが、だからといって一県の住民だけを犠牲にするというのは、絶対にあってはいけないことだと思います。

 ぜひ沖縄県民の声に耳を傾けてください。名護市長の声だけじゃないんです。稲嶺県知事の声だけじゃないんです。県民が本当にどういう思いで基地のことを考えているか、ぜひ耳を傾けていただきたいと思います。

 これで終わります。

土肥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四分散会




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