衆議院

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第4号 平成13年3月23日(金曜日)

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平成十三年三月二十三日(金曜日)

    午前八時五十一分開議

 出席委員

   委員長 土肥 隆一君

   理事 小島 敏男君 理事 河野 太郎君

   理事 鈴木 宗男君 理事 安住  淳君

   理事 桑原  豊君 理事 上田  勇君

   理事 土田 龍司君

      池田 行彦君    桜田 義孝君

      七条  明君    下地 幹郎君

      虎島 和夫君    中本 太衛君

      原田 義昭君    平沢 勝栄君

      水野 賢一君    宮澤 洋一君

      望月 義夫君    伊藤 英成君

      木下  厚君    首藤 信彦君

      中野 寛成君    細野 豪志君

      前田 雄吉君    赤嶺 政賢君

      東門美津子君    柿澤 弘治君

    …………………………………

   外務大臣         河野 洋平君

   外務副大臣        衛藤征士郎君

   外務大臣政務官      桜田 義孝君

   外務大臣政務官      望月 義夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  柴田 雅人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   飯村  豊君

   政府参考人

   (外務省大臣官房外務報道

   官)           服部 則夫君

   政府参考人

   (外務省経済局審議官)  本村 芳行君

   外務委員会専門員     黒川 祐次君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  野田 聖子君     七条  明君

同日

 辞任         補欠選任

  七条  明君     野田 聖子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)




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     ――――◇―――――

土肥委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、委員上田勇君の質疑に際し、外務省大臣官房長飯村豊君の出席を、委員細野豪志君の質疑に際し、外務省大臣官房長飯村豊君及び外務省大臣官房外務報道官服部則夫君及び外務省経済局審議官本村芳行君の出席を、委員木下厚君の質疑に際し、内閣官房内閣審議官柴田雅人君及び外務省大臣官房長飯村豊君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土肥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土肥委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎君。

河野(太)委員 自由民主党の河野太郎でございます。

 本日の在外公館設置法改正案について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、在勤基本手当についてでございますが、在勤基本手当というのは、大使館員が任地に赴くときの準備のためのいわば支度金のような性格のものであるというふうに承知をしておりますが、現在、この在勤基本手当というのが一時金ではなくて毎月定額が支払われる形態になっておりますが、任地に赴くときの支度金であるならば、最初に支度金の形で一時金として支払うべきだと思いますが、なぜそうなっていないのかをお伺いしたいと思います。

衛藤副大臣 河野委員にお答えを申し上げます。

 在勤基本手当は、在外職員が在外公館におきまして勤務するのに必要な衣食住等の経費に充当するために支給されるものであるわけですが、この手当は、御案内かと思いますが、自動車、家電製品、家具等の購入など赴任時に必要となる経費だけではなくて、赴任後の外交活動に要する経費、例えば使用人の賃金であるとかあるいは自宅で設宴する食材費であるとか、またその他海外生活に伴う経費、例えば日本に残してきた家具の保管料といった継続的に必要となる経費にも充てられておるわけでありまして、こうしたことを総合的に勘案いたしますと、本俸と同様、月を支給の単位として支払うことが適当と考えておりまして、毎月支給することにいたしたような次第でございます。

河野(太)委員 外交の仕事に当たるときの設宴の食材の費用などというものは、本来、別に項目を立てて、食費あるいはその他名目できちっと別管理で経費として管理すべきものであって、そこに赴任する大使館の館員の給料の中にそれが入るというのはおかしいと思われませんか。

衛藤副大臣 御案内のとおり、大使館におきましては、大使以下公使それから職員等ずっと、それぞれの立場で、それぞれのつかさつかさで外交活動に専念するわけでございますが、そういたしますと、当然それぞれの職員の自宅等で外国の方をお招きいたしまして設宴をすることはしばしばあるわけであります。そうすれば、個人単位でお招きするお客さんに対する宴会のための食材等々を用意する、そのことの方が合理的ではないかと私は思うわけでありまして、今委員御指摘でありますが、むしろ在勤基本手当とはそういうことも含まれてよろしいのではないか、このように考えております。

河野(太)委員 大使館員が自宅を使ってそうしたもてなしをするケースというのは間々あるというのは私も承知しております。それならば、大使館員が使う家具あるいは自動車、そうした備品は大使館が管理をして、大使館員がかわるたびに別途その大使館員あて貸し出すというのが筋だと思いますが、なぜそうなっていないのでしょうか。

衛藤副大臣 家具の貸し付けの問題でございますが、確かに家具の貸付制度というのはございます。これは、一部の途上国におきましては、現地で家具の購入とかあるいは処分することが困難であるために、在外公館により貸付制度を設けておりまして、現在は途上国を中心に、世界全体で約三十カ国で導入しております。予算額は、平成十二年度では約四千四百万円、こういうものを計上しておるわけでございます。ただいま御指摘の家具の貸付制度でありますが、現地で家具の購入が困難な途上国など一部の在勤地におきましては、在外公館が有償で家具を貸し付けることが適当な場合もありまして、このような制度を設けておる次第でございます。

 また、家具あるいは自動車その他の備品等々の購入につきましても、年齢とかあるいは家族構成や住居の間取り等によりまして最もふさわしいものがそれぞれ人によって異なるために、各人がそれぞれの判断によりまして在勤基本手当から購入していくことが適当ではないかと思います。

 ただ、冒頭申し上げましたとおり、一部の途上国におきましては家具の貸付制度もとっておるということを申し上げておきます。

河野(太)委員 設宴の食材は自宅でやるから費用に入れる、家具についても、それは個人の好みだから在勤基本手当で買ってくれというのは、大使館にとって少し虫がよ過ぎるんではないかと思います。これは税金でございますから、きちっと使用目的と理由を決めて支払われるべきものであって、家族構成があるから家具は自分で買ってください、食材は在勤基本手当で出しますからどうぞというのでは、どこまでが大使館員の生活費用であって、どこまでが外交に関する費用であるのかが区別がつかないではないですか。そこのところは外務省はどう考えられているんでしょうか。

衛藤副大臣 公私の区別がつかないということでありますが、本件につきましては、極めてきめ細かく一つの基準をつくりまして、その基準に基づきまして積算をし、積み上げた結果手当を出しておるわけであります。その辺のところは御理解をいただきたいと思います。

河野(太)委員 その積算の基準をすべて外務委員会に公開していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

衛藤副大臣 積算の基準がどういうものになっておりますか、それにつきまして後ほど検討いたしまして、出せるものがあれば出してまいりたいと思います。

河野(太)委員 出せないものというのは、具体的にどんなものでしょうか。

衛藤副大臣 別に、出せないものというものはございません。一つの基準は基準でありますから、そのようにいたしたいと思います。

河野(太)委員 それでは、すべて公開していただけるという了解でよろしいでしょうか。

衛藤副大臣 ただいま申し上げましたとおり、基準というものがあるわけですから、その基準につきましては公開をさせていただきます。

河野(太)委員 自動車についてはいかがでございましょうか。自動車は家具と違ってほとんど全員が使うわけですから、これを大使館がきちっと買って、その都度赴任した館員に貸し付けるというのが妥当だと思いますが、いかがでしょうか。

衛藤副大臣 御案内のとおりでありまして、自動車の場合は、貸付制度をとりますと、そのメンテナンス等々、かえってコストがかかるわけであります。個人個人の管理等に任せた方が安上がりである、こういうことで貸付制度をできるだけとらない、こういうことにしております。

河野(太)委員 当然、台数がたくさんになりましたらば修理その他も値引きというのがあるわけでございまして、個人が一台をどこかの修理工場に持っていってメンテをしてもらうよりも、日本大使館が総台何台ということで契約する方がむしろ安上がりになるわけでございます。修理代が大使館員に支給される金に含まれるのか、大使館で別建てにしてきちっと明確にわかるような費用で管理するのか、これは大きな差があると思いますが、いかがでしょうか。

衛藤副大臣 委員御指摘かと思いますが、その点についてですが、一概にはそのように言えないのじゃないかと。大使館で貸付制度をとるよりも、むしろ各個人個人にそのような対応をしていただいた方がすべてにおいてコストが安い、こういう判断を外務省としてはしております。

河野(太)委員 それでは、その判断の基準となったデータを外務委員会に提出していただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

衛藤副大臣 データでございますが、どのようなデータがありますか、データをそろえまして、できるだけそのようにいたしたいと思っております。

河野(太)委員 データがなければ、きちっとどちらが安くなるか計算して、私はどう考えても一台ずつ修理工場に持っていくよりは総台何台で契約をする方が安上がりになるとしか思えません、データがなければ、そういう方向に変更することを検討していただけますでしょうか。

衛藤副大臣 メンテナンスの問題でありますが、メンテナンスの代金とかそういうものについてはこの手当、給料には一切入っていないわけでありまして、今申し上げたとおり、むしろ個人個人に御負担をいただいた方が全体的には安上がりである、このように思いますから、そのような制度、そのようなシステムでいかせていただきたいと思っております。

河野(太)委員 車を買う以上、当然修理、メンテ、ガソリン代というのが発生するわけで、在勤基本手当というのは当然それもカバーする性格の費用ではないのでしょうか。

衛藤副大臣 そういうことをすべてカバーしておることも事実であります。しかし、結果として、相対的に見まして個人個人にお願いした方が安上がりである、こういうことでありますから、そういうことを申し上げたわけです。

河野(太)委員 きちっとしたデータと根拠を示していただいて、この問題は再び一般質疑の中でやらせていただきたいと思います。

 先へ行きますが、外務省の機密文書の区分というのがどういうことになっているのか、その扱いは、例えばこのウジュン・パンダンの総領事館においても本省と同じであるのか、この区分はだれが決めることになっているのか、教えていただきたいと思います。

衛藤副大臣 外務省の機密文書の区分でございますが、秘密文書等の取り扱いにつきましては秘密保全に関する規則がございまして、昭和四十年四月十五日の事務次官会議等で申し合わせられました。秘密の区分につきましては「極秘」及び「秘」の二区分を採用しております。

 この秘密保全に関する規則におきまして、「極秘」は「秘密保全の必要が高く、その漏えいが国の安全、利益に損害を与えるおそれのあるもの。」、「秘」は「極秘につぐ程度の秘密であって、関係者以外には知らせてならないもの。」とされておりまして、それぞれ同規則及び関連細則中に取り扱いが定められております。それらの扱い及び区分は、本省にあっても在外公館にあっても基本的に同じでございます。

 なお、「極秘」及び「秘」の指定は、本省にあってはそれぞれ主管局部長及び主管課長が、また在外公館にありましてはそれぞれ当該公館の長及び当該公館の長の指名する者が行う、そのようになっております。

河野(太)委員 インドネシアのワヒド大統領が諮問委員会なるものを開いておりまして、FRBのボルカー前議長もメンバーになっておりまして、日本人としては松永大使がそれに参加をされておりますが、松永大使はどのような資格でこの諮問委員会に出席しているのでしょうか。

衛藤副大臣 松永大使のワヒド大統領の諮問委員会への参加でございますが、ワヒド大統領が国際社会の有識者から直接アドバイスを得るために、松永外務省顧問を含めまして六名から成る国際諮問委員会を設立したわけでございます。

 この参加でございますが、松永顧問に対して直接ワヒド大統領から本国際諮問委員会への参加要請がありまして、顧問はこれを受けまして、個人としての資格で会合に出席をしております。

河野(太)委員 私の平塚の事務所あての住所で、松永大使から、このワヒド大統領諮問委員会に出席した報告書をいただいております。この報告書は外務省の封筒で来ております。

 この封筒をあけますと、報告書の表紙に「取扱厳重注意」という判こが押してございます。先ほどの副大臣の御説明によりますと、文書の区分というのは「極秘」と「秘」の二種類ということだったわけでございますが、この取扱厳重注意というのはどういうことになるのでしょうか。

衛藤副大臣 お答え申し上げます。

 極秘、秘でもない、まさに取り扱いが厳重に注意される、取り扱い上注意の文書であります。

河野(太)委員 この取扱厳重注意というのは、外務省のどのような規則に基づいて指定されるのでしょうか。また、どなたが指定されるのでしょうか。

衛藤副大臣 お答え申し上げます。

 あくまでも取り扱いの注意でございまして、その文書の取扱者が文書を発出する場合に、取り扱いの注意の判こを押しましてそのような注意を促しておる、そういうことになります。

河野(太)委員 私の平塚の事務所に普通の外務省の封筒で普通に来るわけですから、私の秘書がその封筒をあけるわけでございます。あけると取扱厳重注意という書類が出てまいりますが、これは一体だれがどのように注意をするのでしょうか。また、私の平塚の秘書は、外務省の取扱厳重注意というのをどのようにハンドリングすればいいか、全く事前にレクチャーも何もないわけでございまして、このような指定というのは本当に意味があることなのでしょうか。

衛藤副大臣 先ほど申し上げましたとおり、極秘とか秘ではございませんから、あくまでも取り扱いに注意をしていただけばいいわけであります。基本的にはそれは公開されても構わない、こういう文書であります。

河野(太)委員 取扱注意であって、公開されても構わないというのは、だれがどのように注意をするのかというのがわからないわけでございますし、これは一体期限がいつまで取扱注意というものなのかもわからないわけでございます。情報公開の時代、しかも行政文書を公開しようという時代に、外務省のルールにのっとっていないものを、発出する人間が勝手に判こを押せるこのような書類の指定というのはやめるべきではないでしょうか。

衛藤副大臣 重ねて申し上げますが、極秘文書ではありません、秘文書でもありません。あくまでも、取り扱いに注意していただきまして、発出された文書が河野委員に間違いなく渡るように、そういう意味もございまして、あとは原則的にはこれは公開されても構わないわけでありますから、それはその文書を受けた者の判断によると思います。

河野(太)委員 外務省が出す文書の中には、こういう取扱注意とか取扱厳重注意とかといういかにももっともらしい判こが押してあるのがたくさんございます。どうも今お聞きすると、それはただハンドリングの注意だということでございますから、それは本人にしっかり渡せと書いていただけばいいわけで、この情報公開の時代にそのような誤りやすい、いかにもこの文書は内容が問題がある、問題があるというのは外に出してはいかぬというような記載をした取り扱いを外務省はやめるか、あるいはそうした文書についてもルールと指定者を明確にする、いずれかの措置をとるべきではないんでしょうか。

衛藤副大臣 四月一日から情報公開法が御案内のとおり施行されるわけでございまして、外務省といたしましても、できるだけ取扱注意云々という、そういう文書を少なくするように努力をしてまいりたいと思います。

河野(太)委員 取扱注意という文書が公開しても構わないというものであるならば、情報公開法とどういう関係があるんでしょうか。

衛藤副大臣 御案内のとおり、情報公開法というのは法律に基づいて行政文書が公開されるわけでありますから、その取扱注意の文書と特段に関係があるわけではありません。情報公開は情報公開法に基づく法律の実施が行われる、我が方の取扱文書というものはそれと関連しているものではありません。

河野(太)委員 情報公開法が始まりますと、例えば現在の報償費に関する報償費を使いたいという申請文書あるいは報償費を使って接触をした後の報告文書というものも当然この対象になると思いますが、こうしたものは先ほどの「極秘」「秘」という区分、あるいはその「極秘」「秘」の指定がされる期間というのは、どのようになるのでしょうか。

衛藤副大臣 お答え申し上げます。

 報償費は情報公開法が適用されるのかというような趣旨でございますが、外務省といたしましては、情報公開法に基づきまして開示請求がなされた場合には、同法の規定に従って個別に判断することになります。他方、これまで累次御説明のとおりでございますが、外務省報償費は、情報収集及び諸外国との外交交渉ないしは外交関係を有利に展開するために使用されていることから、具体的な使途を公表することは行政の円滑な遂行に重大な支障を生じると考えられるため、本来公表すべき性格のものではないと考えております。

 なお、情報公開法第二条及び第五条の該当条文によりまして、今私が後段申し上げたような取り扱いをすることになります。

河野(太)委員 そうしますと、一定期間が過ぎた外交文書が公開されるのと同じように、一定期間経過後そうしたものも公開されると考えてよろしいのでしょうか。

衛藤副大臣 文書につきましては、他の会計文書と同様、保存期間は五年となっております。また、今申し上げましたように、報償費にかかわる文書については原則として公表しないことになっております。

河野(太)委員 情報公開法でも公開をしない、これは会計文書である。しかし報償費を使ってとった情報というのは当然に外交に使われるものですから、一定期間がたった後、当然外交文書と一緒に公開されるべき性質のものではないんでしょうか。

衛藤副大臣 ただいま答弁申し上げたとおりでありまして、報償費につきましては、情報公開法の第二条及び第五条によりまして、本来公表すべきものではない、このように考えております。

河野(太)委員 外務省の情報公開、特に外交文書に対する姿勢には極めておかしな点が多々ある、大変強い不満があるというふうに申し上げざるを得ないと思います。来年度の予算から、少しこうしたものについての取り扱いも真剣に考えていく必要があるのではないかと思います。

 さて、今回のマカッサルの総領事館でございますが、西ティモールが所属するインドネシアの東ヌサトゥンガラ州というのは、総領事館の位置からいえばマカッサルが一番近いわけでございますが、これはスラバヤの総領事館の担当となっております。これは一体どういうわけでございましょうか。

衛藤副大臣 領事館の管轄区域を定めるに当たりましては、領事館所在地からの距離的要因だけではなく、経済的、社会的結びつきや通信や交通の事情を総合的に勘案することが必要であります。

 御指摘の、東ヌサトゥンガラ州につきましては、経済的、社会的にスラバヤ総領事館が所在するジャワ島との結びつきが強いこと、また、交通事情の面でもスラバヤあるいは同総領事館管轄地域であるデンパサールとの結びつきが強いことから、スラバヤ総領事館の管轄地域とすることが適当であると判断いたしまして、そのような措置をいたしました。

河野(太)委員 その西ティモールの隣で、今東ティモール暫定政権が成立をしているわけでございますが、この東ティモールの公用語を見ますと、現地の民族語と、もう一つポルトガル語が公用語になっております。ポルトガル語というのは東ティモールの中でも非常に限定された人間が話す言葉であるというふうに理解を私はしているのですが、本来ならば、現地の言葉と、広く一般の方が話をするマレー語、インドネシア語が公用語に指定されるべきではないか、私はそう思うわけでございますが、公用語にポルトガル語が入っていることを日本政府はどう考えているのか。

 また、東ティモールの出張所がインドネシア大使館の中でつくられるということでございますが、東ティモールの出張所に赴任する人間はポルトガル語を話す外務省の方が行かれるのか、あるいはマレー語の方が行かれるのか、外務省の方針をお伺いしたいと思います。

衛藤副大臣 御指摘の、東ティモールで使用される言語につきましては、昨年の八月、独立派の最大組織でありますティモール抵抗民族評議会、CNRTの全国大会におきまして、公用語をポルトガル語、また国語をテトゥン語、現地語にすることが決定されたことは御承知かと思います。一方、東ティモールにおきまして使用される公用語につきましては、公式には何ら最終的な決定は行われていない、このように承知をしております。

 我が国としましては、公用語を含めまして、東ティモールの人々が用いる言語については東ティモール人自身の意思に基づいて決定されるべきとの立場をとります。

 また、御指摘の、どういう者を派遣するかということですが、東ティモールに設置予定の在ディリ出張駐在官事務所に勤務する職員の人選につきましては、現地で使用される言語だけではなく、効率的な職務遂行に当たって必要なその他の要素をも十分勘案しつつ人選を、また検討を進めてまいりたい、このように考えております。

河野(太)委員 経済援助のことを考えても、日本政府がディリに派遣をする人間が何語をしゃべる人間であるのかというのは、その後の公用語の選定にも大きな影響を及ぼすことになると思います。そのあたりのことを外務省は慎重にお考えの上、派遣する人間を決めていただきたいと思います。

 質疑時間が終了いたしましたので、次に譲りたいと思います。どうもありがとうございました。

土肥委員長 次に、上田勇君。

上田(勇)委員 公明党の上田勇でございます。

 きょうは、最初に、今回の法案にかかわる資料を拝見させていただいた中で、在外公館が中央アジアとかアフリカというような地域で非常に少ないということを感じました。とりわけその中のアフリカについてお伺いをしたいというふうに思うんです。

 ことしの一月、森総理がアフリカ訪問をされて、そのスピーチの中でも、アフリカ問題の解決なくして二十一世紀の世界の安定と繁栄はない、またアフリカ問題への取り組みこそ日本のグローバル外交の最重要課題の一つであるというふうに述べられておるわけであります。私も全く同感でありまして、世界の安定、繁栄のためにはアフリカへの我が国からの関与も深めていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 ところで、アフリカ諸国における大使館の、特に実館数、大使のおられる公館の数というのはわずか二十五館にすぎないというふうにあります。また、平成十三年度でも、その他の地域での在外公館の拡充等は行われているんですが、アフリカでの新たな設置というのは予定されていないわけであります。もちろん公館の数だけが外交の重要度をあらわしているとは限らないというふうには思いますけれども、ただ、やはりこれではちょっと、アフリカを重視した外交をといってもなかなかそうは受けとめないのではないかというふうに思いますけれども、今後のアフリカ外交についてのお考え、あり方について御見解を伺いたいというふうに思います。

衛藤副大臣 我が国のアフリカ外交につきましては、総理がアフリカ諸国歴訪の際スピーチで述べましたとおりでありまして、アフリカ問題の解決なくして二十一世紀の世界の安定と平和はない、こういう基本認識をとりまして今後ともアフリカ外交を進めてまいる所存でありますし、御案内のとおり、TICAD1、TICAD2というものも東京で開催し、またTICAD2のフォローアップも行う、御案内のとおりであります。

 御指摘の大使館の実館数、わずか二十五公館にすぎないということでもありますが、平成十三年度予算におきましてはアフリカ地域に新たな在外公館の設置は計上しませんでしたけれども、平成八年度にはウガンダ、また平成十一年度にはモザンビークに大使館を新設しましたし、また、平成十三年度予算案におきましては、外務本省にアフリカ審議官の新設を計上しておりますし、厳しい財政状況の中ではありますが、よりきめの細かい対アフリカ外交を今後とも展開するための体制の整備を着実に行ってまいりたい、かように考えています。

 今後は、森総理がスピーチの中で述べたように、開発支援と紛争予防、難民支援を車の両輪とする対アフリカ協力の具体的展開、また日本とアフリカ相互間の対話や交流の一層の促進を図ってまいりたい、かように考えております。

 なお、平成に入ってから設置された在アフリカ大使館でありますが、平成三年にカメルーン大使館、平成四年に南アフリカ大使館、平成九年にウガンダ大使館、平成十二年にモザンビーク大使館等となっておりますので、御報告をさせていただきます。

上田(勇)委員 私も、これからアフリカが世界の国際舞台の中で非常に重要な役割、位置を占めてくるだろうというふうに思いますので、ぜひ今後とも外交関係の強化、取り組みの強化について御要望いたしたいと思います。

 それで、きょうは限られた時間でありますので次のお話に移らせていただきますが、報償費の問題について何点かお尋ねしたいというふうに思います。

 外務省を舞台といたしました内閣報償費をめぐる不祥事というのは、松尾元室長の逮捕によって捜査当局によって事件が解明されるという段階になったわけでありますけれども、それと同時に、外務省の報償費の使われ方について、国民の不信感、これは決してまだ解消されているわけではないどころか、ますます深まっているというのが現状じゃないかというふうに思います。

 幾つか報道ぶりを紹介させていただきますけれども、例えば三月の十日付の新聞では、不正、外務省のお家芸というような見出しで、九〇年の子どものための世界サミットの際の使途不明金の問題、あるいは九三年の在豪州大使館での横領疑惑などについて報じておりますし、その他、各新聞、メディア、報償費をめぐるスキャンダルについて次々と報道がなされております。

 外務省で設置しております内部調査委員会、これは元室長にかかわる事件の調査のために設置されたものというふうには承知しておりますけれども、国民の外務省に対する不信に適切に対応していくためにも、この事件だけに限らず、それ以外の外務省の報償費をめぐる疑惑についてもこの内部調査委員会で徹底した調査を行っていただきたいというふうに考えております。また、これまで調査が行われているのであれば、その内容も含めて、御所見を伺いたいというふうに思います。

衛藤副大臣 お答え申し上げます。

 外務省の報償費については、御指摘のとおり種々の報道がなされておりまして、極めて遺憾であります。外務省としましては、荒木副大臣の指導のもとに、いろいろの疑惑に関連する事実関係等につきまして鋭意調査を継続しております。

 御指摘の一九九〇年に開催されました子どものための世界サミットに関しましては、昨日の参議院の外交防衛委員会におきましても荒木副大臣から説明をいたしたわけでありますが、関係者からの事情の聴取を中心に、現在鋭意進めております。

 また、外務省としましても、さらに調査を継続して、仮に問題が出てくれば厳正な措置をとってまいりたい、そして、御指摘のとおり、日本外交に対する国民の不信の念を払拭できるように今後とも鋭意努力をし、また再発防止体制等にも取り組んでまいりたい、このように考えております。

上田(勇)委員 今、内部調査委員会で今回の元室長の横領以外のさまざまな疑惑についてもこれから鋭意調査をしていただくということであったというふうに思いますので、ぜひ徹底的に不信感の払拭のためにもやっていただきたいというふうに思います。

 それで、これまで起きたそういった事件の真相の解明、不信の払拭ということも重要でありますけれども、やはりこれから先、報償費の使われ方について国民が納得する、理解を得られる、信頼されるあり方というのがむしろもっと重要なんだというふうに思います。その一つが、先ほどの河野委員の質問の中でも出ましたけれども、やはり透明性を確保する、公開を図っていくということが最も有効、しかも効果的な方法なんじゃないかというふうに思います。

 外務省の機能改革会議、衛藤副大臣が中心になって運営されているというふうに伺っておりますけれども、その議論の経過、これまで何回か行われておりますけれども、この機能改革会議でも、国民は情報公開を求めているんだ、報償費のうち便宜供与や内輪の飲食に使われているもの等については公開すべきであるとの意見が大勢であったというふうに御報告を受けております。

 また、これまで各種報道では、衛藤副大臣御自身もこの情報公開については前向きのお考えであったというふうに承っておるんですけれども、やはり少なくともこの程度の透明性の確保に努めていただきたいというふうに思いますが、これからはどのようにお考えなのか、御所見を伺いたいと思います。

衛藤副大臣 機密費にかかわる疑惑解明のために二つございまして、第一点は、疑惑解明のために荒木副大臣のもとに調査委員会を設けた。これにつきまして、御案内かと思いますが、外部の者の力をおかりしようということで、公認会計士また弁護士の方にも入っていただきまして、荒木委員会で継続して疑惑解明のための調査を行う。

 一方で、御指摘の再発防止のためにいろいろの手段をとるわけでありますが、再発防止につきましては、去る十日に河野大臣が談話を発表いたしました。特にチェック体制を強化する必要がある、そのために、外務大臣みずから報償費の具体的使用とかに積極的に関与するために、年度の初めに外務大臣が国際情勢を踏まえ当該年度の報償費使用の基本的考え方を決めて、個々の使用に当たっては、これまでの決裁過程に加えまして総合外交政策局長が必ず決裁をする、そして大臣が最終責任を負う、このようなことを発表いたしました。

 また、御指摘の外務省機能改革会議でありますが、これは最終回が四月の二十二日ということになっておりまして、十回の改革会議で結論をいただきまして提案をいただく。そして、この提案につきまして大臣が真摯に受けとめ、その提案をできる限り外務省の行政機構の中に取り入れていく、こういうことになってございます。

 また、今報償費の使途につきましてのお話がありましたが、外務省機能改革会議におきましても、機密性が高いものと公開可能なものとに仕分けをしてできるだけ公開すべきだ、こういうような意見もあったことも事実でありますから、あえて申し添えておきます。また、河野大臣におかれましても、外務省機能改革会議におきましては自由濶達に、いかなる御意見またいかなる御提案も結構でございます、こういうような一つの前提に立って機能改革会議を開催していただいておる、こういうことであります。

 いずれにいたしましても、四月二十二日に結論そして提案がなされるわけでありまして、それを受けまして、大臣の御指導のもとに、しっかりとした外交体制の確立、また機密費等につきましても、国民の疑念とかあるいは国民のある意味では機密費に対するお気持ちができる限りすっきりするような形での取り組みをしてまいるように努力してまいりたいと思っております。

上田(勇)委員 これまでいろいろな報道で、衛藤副大臣がこの件について極めて積極的にかつ前向きに取り組んでいただいているということで、大変私も力強く思っていたんですが、正直言って先ほどの答弁ではちょっと後退してしまったんじゃないのかなという気がいたしまして、少し懸念を持っているんです。

 今、機能改革会議が四月二十二日最終回というお話があったんですが、ただ、予算の執行というのは四月一日から始まるわけでありますし、同時に、先ほどの質問にもありましたが、情報公開法も四月の一日の施行でございます。

 この情報公開法、先ほどの質問の中でもありましたけれども、まずは情報公開法の目的というのが第一条に書かれているんですが、これは、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利について定めるんだというふうになっているわけでありまして、政府の説明責任を明確にしている。したがいまして、先ほどもお話がありましたが、第五条では適用除外が定められているんですが、この適用除外というのは本当に例外中の例外、極めて限定された例外と解釈すべきなのではないかというふうに思います。

 確かに、第五条の三号には、先ほどお話があったように、公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国もしくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ、または他国もしくは国際機関との交渉上不利益をこうむるおそれがあると行政機関の長が認めるものについては適用除外という項目があるのはありますけれども、最近いろいろな事実が明らかになっていく中で、ただ報償費というだけですべての関連資料がこの第三号の適用除外に当たると考えるのは少々無理があるんじゃないかというふうに思うわけであります。

 情報公開法の理念、それから今機能改革会議でもいろいろな御提言があるというわけでありますので、報償費に係る支出についてどの程度まで情報公開の対象とするのか。これは、四月の一日から情報公開の方は施行になるわけでございますし、予算の執行も四月の一日からでありますので、機能改革会議が終わるまでということでは済まないことだというふうに思いますので、今想定されている情報公開の範囲、対象についてお考えを伺いたいというふうに思います。

衛藤副大臣 確かに情報公開法は四月一日施行でございますし、また一方では、御指摘のとおり、外務省機能改革会議の最終の会議は四月二十二日、こういうことであります。機能改革会議の方は十回会合を持ってもらうわけでありまして、一回がおおむね二時間ぐらいでございまして、これでも大変タイトな日程でございます。この十回の会合の中で可能な限り御質疑あるいは意見の聴取等をいただきまして結論をいただこうということであります。当然、機能改革会議におきましても四月一日の情報公開法をしっかり視野に入れた形で提案がなされるものと思っております。

 確かに、御指摘のように、その前に、大臣のイニシアチブによりましてもっと早く機密費等々の問題につきましてもあるいは外務省の機能改革につきましても先行すべきだという御意見もわからないではありません。大臣の方針としては、四月二十二日の提案を受けて、その後に御指摘のようなことを十分踏まえて断行しよう、こういう考えに立っておりまして、私も大臣と同じような考えをとっておるわけであります。

上田(勇)委員 いろいろな取り組みをされている、御努力をされているということは評価をいたしますし、私も報償費自体、全部がむだだとかそういうことを言っているつもりは全くないんですけれども、今大変報償費の使われ方をめぐる不信感が募っている中で、やはり情報公開法も施行される。当面、同法の第五条の三号の適用除外だけを理由に、報償費にかかわるものがすべて公開の対象にならないんだというような言い方だと、到底納得が得られないのではないかというふうに思いますので、まだ期間もありますので、ぜひその辺は御検討をいただきたいというふうに思うわけでございます。

 最後に、もう時間もありませんので、先般日米首脳会談が行われまして、我が国の経済問題が主要なテーマとなりました。報道の中にはこういうものがありまして、見出しに、深い議論になるはずはない、日本側の準備の甘さがあったなどというものがございます。もちろん、日本側として、こうした経済問題について具体的な議論にならないのではないかと考えていたというような内容で報道されておるんですけれども、この時期そういったことというのはちょっと想定しにくいのですが、これについて、あらかじめいろいろな準備の段階があったというふうに思いますけれども、実態はどうであったのか、御所見を伺いまして質問を終わらせていただきたいと思います。

衛藤副大臣 実は、昨日、副大臣会議がありまして、御指摘の本件につきまして私も副大臣会議で説明を申し上げたのでありますが、上田委員と同じような御意見が副大臣会議でも出されました。

 深い議論になるはずがない、日本側の準備の甘さがあったのではないか、こういうことでありますが、決してそうではございませんでして、森総理からブッシュ大統領に対しまして、引き続き適切な経済政策を遂行する、また企業債務及び不良債権の問題に効果的に対処をする、また日本経済の再生及び金融システムの強化のための構造改革及び規制改革を精力的に促進する決意を述べたわけであります。また、米国経済の減速傾向にアジア経済が影響をこうむる、こういったことも指摘したわけであります。また、ブッシュ大統領からは、米国における持続可能な成長を支えるために適切な政策をとることの重要性についてのお答えがあったと承っております。

 また、この会合には、万全を期すために、麻生経済財政担当大臣も総理に随行いたしまして、本首脳会談に十分な体制をとったということもあえて申し上げたいと思います。

 また報道で、例えば六カ月後に不良債権の処理が片づくというような問題が活字に出たわけでありますが、それは上野副長官、またアメリカ側のブリーフにおきましても、その点は説明をいただいておりまして、誤解のないようにしていただきたい、このように思っております。

土肥委員長 次に、細野豪志君。

細野委員 民主党の細野豪志でございます。

 質問に入る前に、私のきょうする質問に関しまして外務省の方から事前に何回もレクに来ていただきまして、そこでいただいた資料を皆さんに配付させていただきたいと思うのですが、委員長、お許しいただけますでしょうか。

土肥委員長 はい、許可いたします。どうぞ。

細野委員 きょうは、私の方からは、昨年の七月に行われました九州・沖縄サミットに関することにつきまして質問をさせていただきます。

 改めて指摘するまでもございませんが、私がこの質問をするのは、松尾前室長が最後に在籍したのがこの事務局であったということ、そして、そこでロジスティックの部分に松尾氏自身が非常に深くかかわっていたということが明らかになったと考えるからでございます。

 私、昨年の夏にも一度サミットについて質問をさせていただきまして、果たして効果があったのか、私なりにある程度大局的な質問をさせていただいたつもりでおりました。余り重箱の隅をつつくような議論をするよりは、その方が日本の国益にとってそれなりに意味のある議論になるのではないかというふうに考えたからでございます。

 しかし、今回に関しては、私この考え方を少し変えまして、やはりきちっと、サミットの予算が使われていたのかどうか、かなり細かいところまで議論する必要があるというふうに考えております。私としては大変不本意ではございますけれども、この点に関しては、松尾氏がかかわっていたケースとして、外務省にとりましても非常に重要なものとして、きちっとした形でお答えをいただきたい。これを私から初めにお願いをさせていただきます。

 まず、資料の一枚目をごらんいただきたいのですが、これは、リストの左上にもございますとおり、サミットにかかわります大臣表彰、外務大臣であります河野外務大臣自身が表彰されたリストということでございます。

 まず初めに大臣に伺いたいのが、この表彰をされた趣旨、どういう方に向かって表彰されたのかということをお教えください。

河野国務大臣 沖縄サミットを成功裏に終わらせるために、地域の皆様方初め関係をしておられた多くの方々の中から、特別に感謝を申し上げようと考えて、その中から人選をしたものだと御承知いただきたいと思います。

細野委員 大臣が感謝をされた方の中に、十四番目をごらんいただきたいのですが、東林寺の住職であります滝田氏の名前がございます。先ほど来の質問、ここ一週間ほどの議論でも、もう盛んに国会でこれは言われているところでございますけれども、この滝田氏に関しては、サミットの準備事務局の非常勤職員であったということ、そして、その非常勤職員として在籍された中で、通訳業者から一律三十万円、合計九十万円というふうに報道されており、答弁でも荒木副大臣の方からされておりますけれども、そういう何らかのお金が渡ったということが答弁でも明らかになっております。

 その部分の滝田氏自身の収賄罪の問題というのは後ほどちょっと大臣にお伺いしたいと思うのですが、まず、なぜ滝田氏が非常勤職員になったのか、またどういう役割を担われたのか、果たして人選はだれが行ったのか、ここの部分に関しまして本村審議官にお答えいただきたいと思います。

本村政府参考人 お答えいたします。

 九州・沖縄サミットにおきましては、多くの通訳を必要といたしまして、やはり、通訳業界に明るい人物を非常勤職員として雇って、その知見を得ながら通訳を確保することにした次第でございます。七九年の第一回東京サミット、八六年の第二回東京サミット、それから九三年の第三回東京サミットにおきましては、通訳派遣業務、それから同時通訳の関連機材の設置の業務はサイマル・インターナショナルが請け負っておりました。

 滝田氏は、この第一回と第二回の東京サミットの際に同社の社員として通訳関係業務に携わり、その手腕が評価されたと承知しております。また同氏は、サイマル・インターナショナル退職後に長野冬季オリンピックにおきましても言語サービス関係に携わった実績がございまして、九州・沖縄サミットにおきましては、同氏のこれまでの知識、経験の提供を受けることが適当と判断した次第でございます。こういう判断に基づきまして、人事院規則などの規定に従って同氏を非常勤職員として採用いたしました。

 人選につきましては、松尾元次長が人選を行った次第ではございますけれども、どういう人がこういう通訳関係の手配にふさわしいかというのは、サミットの準備局の中でも種々議論をいたしまして決定した次第でございます。

細野委員 本村審議官自身は滝田氏のことは御存じだったのでしょうか。

本村政府参考人 お答えいたします。

 私も、滝田氏の話につきましては、こういう人を雇いたいという意見が準備局の中で出てまいりましたので種々検討をいたしましたし、また、御本人にも二、三度会って話をしたこともございますので存じ上げている次第でございます。

細野委員 松尾氏が人選を行って、本村審議官自身が準備事務局として責任を持って滝田さんを人選されたということと理解をいたします。

 そうしますと、問題になるのが、滝田氏自身の行動が果たして適切なものであったかどうかということになろうかと思います。滝田氏の役割は、今本村審議官からもお話をいただきましたとおり、通訳のいわゆる専門知識を持っていて経験を有しているので、通訳者を確保するための交通整理をしていたということだと思います。そういう業務にある非常勤職員が通訳業者からお金を振り込まれる、これはどう考えても刑法そのもので言うと収賄に当たる、これはもう間違いない事実だというふうに考えるのですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

河野国務大臣 私、事実関係を確認しておりませんが、新聞その他で言われているような事実があるとすれば甚だ不適切なことであるというふうに思います。

 収賄罪に当たるかどうかにつきましては、もう少し専門家の判断というものも聞いてみたいと私は思いますが、今申し上げましたように、こうした業者から金を口座に振り込まれたというような記事を私見ましたが、これは甚だ不適切なものだというふうに思っております。

細野委員 私にとっては大変不本意な答弁でございまして、そもそも大臣が知らない、存じ上げないとおっしゃること自体が非常に私には理解ができません。この問題に関しては、実際に調査をして、荒木副大臣自身がそういう事実があった、捜査当局にもその情報をきちっと伝えたということを答弁されています。

 加えて、もう一つ強調したいのは、この滝田さん自身は、河野外務大臣がサミットで功労があったということで感謝状を渡された、公的に表彰された方なんですね。その方にこういう疑惑があり、明らかに問題があると国会答弁がされているにもかかわらず河野外務大臣が御存じない、これは一体どういうことですか。

河野国務大臣 私が知らないと言いましたのは、こういう事件があったことを知らないと言っているのではなくて、今お話がありましたように、荒木調査会では調査をしておりまして、たしかその調査の結果は捜査当局にも報告をしているというふうに私は聞いたと思います。

 それから、後段の問題につきましては、先ほども申しましたように、沖縄サミットで協力をしてくださった方に対して感謝状を私の名前で差し上げたわけでありますが、こうした感謝状は、本来無報酬で協力をしてくださるという方に主として差し上げるべきものであって、その行為が何らかの金になるというようなことであれば、感謝状を差し上げる資格はそもそもないというふうに思います。

 私、先ほど不適切だということを申し上げましたが、私は、私の判断で感謝状を一度は差し上げましたけれども、その後こうした事態があり、私どもの調査の結果こうした問題がある、極めて問題のあることが我々にわかりましたので、感謝状は返してくれということで、感謝状の返還を指示しまして、感謝状は現在返還をさせております。

細野委員 感謝状を返還した、功労があった分に関して外務省が感謝するという姿勢は撤回したということで、それはもう当然のことだというふうに私は考えます。

 加えてもう一つ外務大臣にお伺いしたいのが、非常勤職員をきちっとした形で果たして採用できているのかどうか。もちろん最終的な採用権者は、私この任用のペーパーも見せていただきましたけれども、外務大臣ということになるわけですね。しかも、この件を外務省の方にいろいろ聞いていて驚いたのは、何と滝田さん自身は週に二回勤務していて、日額給与が二万二千九百円、これは月額にすると大体五十万円ぐらいになりますからかなり高額な給与になると思うのですが、それは、例えば専門家であれば必要であるという判断もあり得るでしょう。

 驚いたのが、いわゆる給与のテーブルがない、基準がない。どんなにここの部分の資料を出してくれ出してくれと申し上げても、最終的に残念ながらいただくことができませんでした。外務省サイドの結論としては、そういう客観的な非常勤職員を雇う給与に関するテーブルがないということをまず一つ指摘させていただきたいと思います。(発言する者あり)一体だれが決めたのかという問題がやはり出てくる。

 もう一つ言うと、基本的にこの非常勤職員に関して契約書も存在しない。単に辞令が一枚あって、いつからいつまで給与何がしで採用する、日額幾らだということが書いてあるだけで、契約書もないわけですね。

 諸々の状況を考えると、要は松尾氏が人選をして、松尾氏が給料を決めて、それがそのまま紙になって、何ら客観的な判断もされていないし、何ら客観的な外からチェックする機能もなかった。だからこれは生じた話であって、松尾氏が悪いとか滝田氏が不適切をしたとかいう話ではなくて、まさに外務省の非常勤職員の雇い方がおかしくてこういう問題が生じたと言わざるを得ないというふうに考えるのですが、外務大臣、いかがお考えでしょうか。

河野国務大臣 結果として今御指摘のような事実があったわけですから、これはもう、今からあれが正しかったとか正しくなかったとかという問題ではない、正しくなかったに決まっていると私は思います。

 ただし、採用に当たっては、これはただ単に特定の人間がこれを採ろうといってその場でぱっと採ったというのではなくて、やはりそこにはルールがあるわけで、人事課及び会計課が採用の決裁をしている。これは書類が起案されて人事課及び会計課が決裁をしているということでございますから、そういう手順は踏んでいるということは間違いがないのです。しかし、そういう手順を踏んだとしても、結果としてその採用した人間がふさわしい人間でなかったということであれば、これはもう私、正直申し上げて何をか言わんやという感じがいたします。こうした人間を採用したことはまことに不明でございました。

 ただ、強いて申し上げれば、先ほど来から説明をいたしておりますように、ああした特別の行事に際しまして、相当質の高い通訳の人間、しかも各国さまざまな国の言葉の通訳を集めるということはそう簡単なことではなくて、やはりその道のこうしたことを熟知している人間というものはそんなにざらにいるわけではないのだろうと思います。

 したがって、そうした人間を探して頼ったということはあって、その意味での能力があったことは、恐らく間違いなく能力はあったのだというふうに思います。しかし、それに付随して起こった不適切な金の授受というものを考えれば、トータルで考えて決していい人選ではなかったと申し上げざるを得ません。まことに不明でございました。

細野委員 滝田氏に関しての問題に関してはもうそれできちっと整理をしていただいて、刑事事件として云々ということではなくて、果たして外務省としてどういう反省をされるかということをやっていただきたいということが一つ。

 もう一つ。私が先ほど質問したかったのは、滝田氏のケースではなくて、非常勤職員を採用する場合にきちっと給与テーブルを持って、何の根拠でこういう給与なのか、契約書をつくって、これこれの人とはこういう契約書を交わしているのです、これは税金から給与を払う以上当然の責任だというふうに考えるのですが、そういうものをこれからつくっていくつもりが外務省にはおありですかどうかということをお答えください。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、非常勤職員の場合、厳密な意味での俸給表、一般行政職のような俸給表はございません。今般滝田氏が採用されるに当たりましては、行政職の俸給表に準じまして、さらに学歴、職歴、専門性等を総合的に考慮して給与を決定した次第でございます。

 他方、委員の御指摘の点、まことにごもっともな点もございますので、私ども、こういった特に高度の専門性を持った人材を非常勤として採用する場合、何らかの基準をつくることができるかどうか、検討させていただきたいと思います。

細野委員 滝田氏に関しましては以上でとりあえずおきまして、続きまして、同じく大臣表彰の対象になっております二十三番にありますフォーサイトという会社についてお伺いをしたいというふうに思います。

 この部分に関しましては、ホッチキスでとじています資料に外務省からいただいた資料を添付させていただきました。記述に数字の部分で後ほど訂正が若干ございましたけれども、下の部分、フォーサイトの入札に関する資料がございます。口頭で補足をしますと、フォーサイトという文房具の卸の会社だそうですけれども、入札で二十四件、サミット絡みで物品を納入している。加えて、随契で百三件とっているということです。これは金額を合わせますと、合計一億四千七百万、文房具関係だけで一億四千七百万、こういう巨額の受託をしているということが外務省の方から私の方に情報として参りました。

 どういう理由によってこれほど一社に集中したのか。果たしてフォーサイト、これは入札でかなり高額なものを軒並み落としているんですが、ここが応札して落札できなかったものなんというのは存在するのかどうか。そのあたりを、まずフォーサイトの関係について本村審議官にお答えいただきたいと思います。

本村政府参考人 お答えいたします。

 九州・沖縄サミットに関連しまして、御指摘のとおり、文房具業者でございますフォーサイトから主にオフィス用品、テーブルであるとかOA機器等を含めまして、いろいろ必要に応じ調達した次第でございます。

 フォーサイトとの契約の形態は、今委員御指摘のとおり、一般競争入札に基づきます調達は二十四件、これは総計一億五百万円でございます。それから、随意契約は百三件という御指摘がございましたが、その後精査いたしました結果、随意契約による調達は百十二件、総計六千七百万円ということになっております。したがいまして、合計金額は一億七千万強という状況かと思います。

 それから、フォーサイトがどうして大量に受注しているかという理由でございますけれども、外務省のオフィス用品の調達につきましてはフォーサイトは多くの受注を得てきておりますけれども、これはやはり同社の企業努力の結果であろうと思われます。それから、九州・沖縄サミットの文房具等消耗品の調達につきましても、最大の調達先であったと考えている次第でございます。(発言する者あり)

細野委員 今筆頭理事の方からも話が出ておりますが、企業努力によってとったというふうに今審議官の方が説明をされた入札の部分に関して、私はやはりこの数字を見て疑いを持たざるを得ません。

 ホッチキスでとめてある資料の下の表の、入札が全部で二十四件ということになるわけですが、そのすべての予定価格と落札価格が余りに近過ぎないか。予定価格というのは、それ以上高ければ入札が不調に終わる、それ以下であれば応札できますよ、こういう数字になるわけですね。これは私、数字を調べてみたんですが、一番高額の家具二千百十二万円に対して落札価格二千百万円、これは九九・四%です。次がテーブル・いす、これが九七・一%。すべて調べたところ、最低のものでも予定価格の九六・四%でフォーサイトが落札している。(発言する者あり)これはどう考えても、占い師がいたか、もしくは明らかに予定価格を知っていたという以外考えられない。これが一般の常識、国民の目ですが、審議官、どのようにお考えでしょうか。

本村政府参考人 サミットにおきます物品の調達につきましては、会計法に基づきまして適正な手続により行っておりまして、可能な限り入札を行って調達先を選定した次第でございます。もちろん、秘密保全等の理由によって入札が行えないような場合とか、あるいは九州・沖縄サミットの成功のためにすぐれた経験とか実績を有する企業と契約しなければならないというような場合には、会計法に基づき随意契約を行った次第でございます。

 いずれにしましても、今御指摘のございましたフォーサイトにつきましては、私どもの方の調達の手続で適正に執行したと考えている次第でございます。

細野委員 あくまでこの価格が一致しているのは偶然だというふうにおっしゃるのであれば、もう一つ聞きます。

 コピー用紙、B4、A4、B5。世の中にはA3という用紙がありますが、A3なんて使う人はほとんどいませんので、ほぼすべての紙をフォーサイトが落札しているわけですね。この予定価格と落札価格から消費税を引いてその差額を計算すると、全部ぴったり一致します。一枚当たり〇・〇一予定価格から引いた価格で全部フォーサイトが落札している。これは偶然ですか、大臣、お答えください。

本村政府参考人 コピー用紙等につきましては、外務省といたしましても大量に購入している次第でございますけれども、先ほどの答弁で御説明しましたとおり、フォーサイト関係につきましても、調達については私どもきちっとした手続に従って調達したと考えている次第でございます。(発言する者あり)

土肥委員長 お静かにお願いします。お静かに。

細野委員 これは審議官云々の話ではなくて、人間として普通に見たときにこれが偶然なのかどうかという判断ですので、外務大臣、お答えください。

河野国務大臣 コピー用紙の値段まで答える能力が私にはございませんが、コピー用紙の価格というものはそう大きな変動があるものではないのではないかと私は思っております。コピー用紙というものが、高いものから安いものまで、値段の幅がそんなにあるものではないのではないかというふうに、私の認識ではそういう認識を持っております。

 これがそこまで一致していたかどうかということについて、私ここでお答えをするだけの知識を今持っておりませんが、今審議官から御答弁を申し上げましたように、外務省の準備室としてはきちんとした手続を踏んで入札を行っていたものと私は確信をしております。

細野委員 あくまでこれが偶然であるというふうに強弁されたというふうに解釈してよろしいでしょうか。

河野国務大臣 偶然ということを申し上げるつもりはありませんが、したがって、繰り返して申し上げますが、私、コピー用紙の値段の幅がどのくらいあるものかということについて十分な知識を持ちませんのでお答えができかねるわけですが、入札の手順、手続というものがきちんと行われていたということについては、私は事務当局を信頼しております。

細野委員 こういう部分で信頼をする、そういう河野外務大臣の姿勢自身が私は国民の側を向いていないということを言わざるを得ないというふうに思います。これは外務省の出してきた資料です。外務省の方が持ってきて説明していただいた資料です。これは国民に対しても当然公開されるべき資料であるというふうに私は考えますので、少なくともこういう疑惑が出てきた以上、過去のフォーサイトの入札に関しては、すべてチェックをして外務委員会の方に提出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 これまでのフォーサイトと外務省との関係については、私は責任を持ってチェックいたします。

細野委員 皆さんにもう少しこの部分で突っ込んだ話を私はしたいと思います。

 フォーサイトという企業が随意契約で百十二件とっているというお話がございました。信頼関係に基づいて百十二件であるという話が審議官からございましたけれども、フォーサイトについて私が調べたところ、設立されたのは平成十年の九月です。資本金が一千万円、株式会社としては最低限の資本金しか持っておりません。従業員がたったの六人です。こういう企業に、入札でこれだけ不明朗なものがされている上に、随契で百十二件も集中している。わずか設立二年か三年の会社ですよ。

 これが随契でされているということに関して、企業との関係において不適切だというふうには外務大臣はお考えにならないでしょうか。先ほど審議官にはお答えいただきましたので、大臣にお答えいただきたいと思います。

本村政府参考人 フォーサイトとの契約につきましては、会計法上随意契約の部分もございますけれども、先ほども申し上げましたように百十二件でございますが、これは会計法上認められております比較的少額の契約が非常に多かったということで、件数がふえていることになっております。総額につきましては、先ほど御説明いたしましたように、一般競争入札の方は二十四件で総計一億五百万円、それから随意契約の方は百十二件で総計六千七百万円でございますので、総額については一般競争入札による契約の方が大きいということを申し上げたいと思っております。

 いずれにしましても、文房具の関係でたくさんの企業の方が入札等に参加されるだろうと思いますけれども、どういう形で契約をとるかというのは、あくまでもその企業の方の企業努力の結果、ふたをあけてみたところでフォーサイトがとったというケースが多いと聞いております。

 いずれにしましても、調達については、私ども、フォーサイトも含めましてきちんとした手続で実行した次第でございます。

細野委員 私は先ほどは随契について伺ったのですが、その部分に関しては明確な答弁が得られませんでした。

 随契百十二件。入札は一般の企業が応募できるわけですけれども、随契は外務省とフォーサイトとの信頼関係において成り立つわけですね。この百十二件という件数に関して、多過ぎるとお思いになりませんか。これは、外務大臣お答えください。

河野国務大臣 多過ぎると思います。

 私は、本来、沖縄サミットでこうしたものの購入がある場合には、沖縄の企業というものにもっと配慮がなされてしかるべきではなかったかというふうに今思っております。

 御指摘をいただきましたので、これらの点についても十分調べますが、先ほど申し上げましたように、一般競争入札については、その手順、手続に不正があったかなかったかをきちっと調べます。随契につきましては、どういう考え方でやるべきであったかということについて私なりに調べてみたいと思いますが、これらについて万が一不正があるとすれば、これは厳正に対処したいと思っております。

細野委員 ぜひ調査をしていただきたいと思います。

 加えまして、フォーサイトに関しては、サミットにおいて非常に話題になりましたプレスバッグについてもかかわっております。ホッチキスどめしてある資料の三枚目ですけれども、フォーサイトがバッグについてかかわったのが、一番にありますバッグ本体、これは随契です。加えて、三番のボールペン、五番の附せん紙、合計しますと、プレスバッグだけで千六百二十万円フォーサイトは随契でかかわっているということであります。

 ここについても私は大きな問題を感じるのですが、先ほどの答弁で大体この議論に関しては出ましたので、私は、プレスバッグに関して幾つか不明瞭な点がある、その部分に関して質問をさせていただきたいと思います。

 このプレスバッグにおいて一番問題になり得るのが七番の目覚まし時計であります。先ほど来何度も出ておりますとおり、少額なものに関しては随契で認められているという話がございました。また、例えばデザインであるとかさまざまな面でどうしてもその企業でなければならないという場合は、同じく会計法上随契にすることが認められております。しかし、このサミットのロゴマークつき目覚まし時計、これは明らかに、掛け合わせますと随契の上限である百六十万円を超える金額になっております。これが随意契約において調達された法的な理由はどこにあるのでしょうか。

服部政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘のございました目覚まし時計ですけれども、この時計には、サミットのロゴマークとかホームページのアドレスの広報が行えるような十分なスペースがあるというようなこととか、それから、当然のことながら例えばポケットに入れて持ち運べるように軽量で薄型であるとかいうような基準を初めといたしまして、幾つか当然その選択に際しまして基準を設けたわけですけれども、幾つかの機種を比べて選定した結果、納入期限とかそれから値段も含めまして総合的な観点から、ある特定の品種が今申し上げましたようないろいろな基準に合致をしているということで、それを選択して随意契約をしたということでございます。

細野委員 よくわからないのですが、実はこの部分に関しても外務省の担当の方とかなり話をしました。ぽろっと外務省の担当の方が漏らしたのが、時間がなかったのですと。時間がなかったからこれは随意契約にした、そういう話ですね。

 この部分は、そもそも会計法上そんな理由は一つもない。そんなことで随意契約にしていいなんという部分はないわけです。そもそも、プレスバッグなんというのはサミットで毎回配っているもので、こんなものはとうの前から準備ができる。時間がなかったなんて理由にならないということも申し上げて、その部分の答弁をお願いしたいと思います。

服部政府参考人 私は今先生おっしゃいました時間がなかったからというふうには承知いたしておらないのでございまして、あくまでも先ほど申し上げましたようないろいろな基準をベースに選択をした結果その結果になったということであるというふうに私は理解をしております。

細野委員 会計法上の根拠、随意契約にできた根拠を、条文をお答えください。

服部政府参考人 お答えいたします。

 会計法上は、第二十九条の三の第四項にございますように、「契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、随意契約によるものとする。」というふうに書いてございまして、これに基づいて随意契約をいたした次第でございます。

細野委員 緊急だから随契にしたのか、契約の性質または目的が競争を許さない場合という話なのか、具体的にどこの部分に該当するのか、お答えください。

服部政府参考人 緊急の場合ということではございませんで、先ほども御説明いたしましたように、サミットのロゴマークとかそれからホームページアドレスの広報が可能であるというようなこととか、小さな時計でございますので、今申し上げたようなスペースが当然十分あるというようなことも含めまして、いろいろな基準に基づいて選択をいたしたわけでございます。

細野委員 私は、この目覚まし時計は見ました。非常に小型のどこにでもある目覚まし時計。セイコーじゃないといけない、特定の品目でないといけないという正当な理由があったとは到底そもそも思えません。

 あと、この問題に関してはもう一つ極めて大きな疑惑がございます。私は、セイコーにこの話を聞きました。セイコーが何と言ったか。これは外務省にある地下の売店に売ったんだと。つまり、外務省はもう時間がなかったから売店に発注をして、そこがセイコークロックに発注したんじゃないですか。外務省が直接セイコークロックにこれを発注されましたか。そういう資料が出せますか。

服部政府参考人 外務省には売店に時計屋が確かにございます。私が承知いたしておりますのは、その時計屋を通じましていろいろな機種のパンフレットとかそういうものを集めさせて、それに基づきまして選択をいたしたということであります。

 なお、契約はその時計の売店とやっているわけではなくて、セイコー社との契約でございますので、念のため申し上げます。

細野委員 この調達は外務省の地下にある時計屋さんとサミットのプレス室が話をして、ではこれにしましょうということでこんな巨額なものを決めてしまったということですね。

服部政府参考人 お答えいたします。

 時計屋は、今申し上げましたように、資料の収集をさせたといいますか、お願いをしたわけでございまして、そこを仲介して契約をしたということではございません。

細野委員 明らかにこれは不適切な契約であった、調達方法であったと言わざるを得ないというふうに思います。

 大臣、ぜひこの部分で答弁いただきたいんですが、加えてもう一つ大臣に認識していただきたいことがございます。

 それは、このプレスバッグに関する予算、これをいただいたところ、四千百万円という計上をしてあるんです。この品目全部足すと実際幾らかかったのか、八千五百五十八万円、倍以上かかっているわけです。要は、もう時間もないし何もないし、予算も何にも関係なくて、とにかくぼこぼこ何でもぶち込んで、調達だってこれはむちゃくちゃだと言わざるを得ないじゃないですか。予算と実際にかかった金額の差とこの調達方法の不明瞭さ、大臣、どのようにお考えですか。調達の適正さを、政治的にきちっと大臣としての御判断をいただきたいと思います。

河野国務大臣 私は、時計のカタログをどこから手に入れたかということで、それが不正であったというふうには思いません。不正であったというふうに私は判断をいたしませんので、この問題は私は不適切だったというだけで片づけるわけにはまいりません。

 それから、プレスバッグの問題は、事実関係がよくわかりませんので、何ともお答えのしようがきょうはございません。もう少し事実関係をよく聞いて、お尋ねがあればお答えをさせていただきたいと思います。

細野委員 私からは、この点に関しては、少なくとも目覚まし時計の契約に関するすべての書類を外務委員会に提出していただくことを要求いたします。この調達にかかわった書類すべてということです。

服部政府参考人 ただいま御指摘のありました必要なかつ存在するものについては出させていただきたいと思います。

細野委員 再度外務大臣にお伺いしたいんですけれども、担当の方と何度もこのことでやりとりをいたしました。その中で、外国から来るお客さんに対して、プレスも首脳も含めて、気持ちよく日本に入ってきてほしいという気持ちが非常に外務省の人には強いなという印象を受けました。それは非常に大事なことかもしれない。

 しかし、これは国民に対する説明責任というのは外務省には当然あるわけですね。そこの部分に関して大幅に認識を欠いていて、要は、来てくれる人が喜んでくれれば何でもいいという感覚が極めて強いのではないかという印象を持ったのですが、この部分、きちっと国民に対する説明責任は外務省にあるんだというところで、外務省の中にその意識を徹底していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 お客様をお迎えをするのですから、それは気持ちよくおいでをいただく、あるいはいい印象を持って帰っていただくための努力をする、これは当然のことだと思います。

 他方、今議員がお話しになりましたように、予算の執行、つまり国民の皆さんからいただいている予算、この予算の執行がきちんと、むだのない使い方、使われ方をしていなければならないのは当然のことでございます。

 このために、いろいろな決裁が行われ、監査が行われているわけでございますから、そうしたことについてはでき得る限りきちんとした使い方、使われ方がされなければならないというふうに思います。

細野委員 それでは、時間も大分少なくなってまいりましたので、続きましてサミット準備事務局の組織の問題について少しお尋ねしたいと思います。

 この問題に関しましてもいろいろな資料を事前にいただきまして、そのうちの組織図を二枚目にお配りをしております。

 サミット準備事務局の存在した期間が平成十一年の五月の六日、サミットの一年ちょっと前から平成十二年の八月の十五日ということになっております。それで、本村事務局長がその場所に在任されたのが平成十一年の七月の二十一日から平成十二年の八月一日。松尾氏が在任した期間が平成十一年の六月一日から平成十三年の一月六日。

 要は、本村審議官がおやめになった昨年の夏の平成十二年八月一日から準備事務局がなくなった十二年の八月十五日、この期間は松尾さんが責任者であった。その後、準備事務局がなくなっているのに松尾氏はことしの一月の六日までそこに籍を置いているということになっているんです。これは一体どういうことですか。これは、審議官、お答えください。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十二年八月十五日以降も文書整理等の残務処理を行う関係から、便宜的に、松尾元次長を含む一定数の職員について、省内において関連業務を終えるまでサミット準備事務局の発令を維持しておりました。

細野委員 準備事務局がもう存続しないのに人だけいる、そういう形で、だれが責任者になって、どういう形でサミットに関する残務の処理ができたんでしょうか。

飯村政府参考人 一般論として申し上げれば、人事上の措置と組織上の措置が一致しないことはあるわけでございますが、今般の業務につきましては、会計関連の作業につきましては経済局の総務参事官が、また記録文書関連の作業につきましては松尾次長が責任者ということでございまして、さらに言えば、経済局長が全体の統括をしていたということでございます。

細野委員 この組織の動きを見ていますと、まず一つ指摘したいのは、サミットはやるだけはやって、その後は組織も解散をしてロジの専門家に任せておこうと。そこで何が行われているかということに関して、きちっと果たしてこれは精査をできたのかどうか。

 もう一度確認したいのですが、その八月の十五日から一月の六日まで松尾氏が果たした役割というのは具体的に何ですか。

飯村政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、サミット関係の残務でございますから、さまざまな雑務の処理であったというふうに理解しております。

細野委員 何をやっていたかよくわかりませんが、もう一つ私が伺いたいのは、残務を処理していた松尾氏の下には何人の外務省の職員がいたのでしょうか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十二年八月十五日時点では、サミット準備事務局発令を維持していた常勤職員は二十一名でございますが、その後、順次併任解除あるいは配置がえが行われております。一月六日までサミット準備室の発令を受けておりましたのは松尾元次長と課長補佐一名でございます。

細野委員 今の話を受けて、私は河野外務大臣に一つ伺いたいことがあります。

 というのは、松尾氏が以前機密費をめぐって大変な事件を起こしていたということは、外務大臣は十二月の二十二日にお知りになった。その後、一月六日に松尾氏を移された。その間、準備事務局の残務処理をしているメンバーがいたにもかかわらず、その時点でこの準備事務局を完全にお取りつぶしにしているわけですね。その時点で完全に準備事務局を解散した、なくなったということですね。

 今回私がこの資料を外務省からとるのに大変な苦労をしたのは、みんなてんでんばらばらに散ってしまって、組織が何も残っていなかったからなんですね。仮に私が外務大臣であったならば、松尾氏に関しては、あれだけのことをやっていた人ですから、サミットにおいても何らかのことをやっていたであろうと疑うのが当然であるし、実際に滝田氏の例なんかを見ていると、そういう事実があったわけですね。

 とすれば、きちっとその組織を存続して真相の究明に当たるべきであって、松尾氏の事件を知った後にこれをつぶしてしまったということになれば、これはもう証拠の隠滅を図ったと言われてもしようがないのじゃないかというふうに私は思うんですが、その辺の真相究明に関する外務大臣のスタンス、この事実に関する認識をお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 松尾元室長の疑惑といいますか問題は、私どもが確認をいたしましたのは十二月ではございませんで、十二月の二十二日に実は松尾元室長が事情聴取を受けているという報告は私は聞きました。しかし、それは一体何の事情聴取であるかとかいう細かいことは私はそれ以上聞きませんで、事情聴取を受けておりますと言いますから、そうか、それはきちんと事情が説明できるようにしなきゃいかぬねという程度で、私は実はその時点ではそんなに重大に思っていなかったのです。

 ところが、その後さらに報告等がございまして、これは、その当時はもう彼は支援室の室長ではありませんから、彼が以前やっていた支援室長時代のことでいろいろ問題があるのですという報告を聞きまして、そうして一月一日に新聞がそれを報道いたしまして、一月の四日に私は調査委員会をスタートさせたわけでございます。そして、いろいろ調査をした結果、これは極めて明白な疑惑があるということを確認して一月二十五日に告発をしたわけでございまして、時間的な経過は今議員がおっしゃったのとは少し違うのでございます。

 ただ、私がきょう議員の議論を伺いまして、また省内でも説明を聞いておりましたときの私の感想を率直に申し上げれば、サミット準備室がその使命を終えて、サミット準備室そのものがなくなったときにサミット準備室の人間というものはその肩書をすべて失うというのがむしろ本当ではないか。そしてサミット準備室が、例えば官房にあるのか経済局に行くのか、いずれにしても、その本来の組織のもとに戻るといいますか、最後の整理はそこでしてもよかったのではないかというふうにむしろ私は思ったのです。

 今議員はむしろ動かさずに準備室にそのまま残せばよかったというふうにおっしゃいましたけれども、むしろもっと早く官房付にしてきちんと管理をするといいますか、状況が早く把握できるように一日も早くしておく方がよかったのではないかとすら私は実は思っております。

細野委員 私が申し上げたかったのは、組織的には確かに八月の十五日になくなったわけなので、きちっとするためにはそこで組織を移すべきだったと思いますよ。でも、実態として残っていたわけですね。実態として残っていたのであれば、この問題が少しでも明らかになった時点でむしろそこをもう一度しっかりつくり直して、そこの部分で調査をするというぐらいの機能を持たすべきだったのではないかということを申し上げた次第です。ただ、この点はもうこれ以上私の方からは聞きません。

 むしろ問題にしたいのは、一月の二十五日にその調査報告書が出て、その後、サミットに関して外務大臣がどういう答弁をされているか、そこでございます。

 二月の六日の本会議で、土井社民党党首に対して、サミット予算に関しては精査したが、問題はなかったとお答えになっていますね。この数日で何を調査して、何を根拠に問題はなかったと言ったのか。加えて言うと、きょう私が指摘したような不明瞭な事実がいっぱい出ている。この問題に関してこの発言、政治的な責任をどういうふうにとられるのか、お答えください。

河野国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、その手順、手続が正確に行われているかどうか、そこに不正があってはいけません。手順、手続が正確に行われているかどうかということがまず一番重要だというふうに私は思っているわけでございます。

 確かに、議員が御指摘になりますように、随契が業者として偏っているではないかというような御指摘は、その御指摘を伺えば、先ほど申し上げたように、私は、もう少し沖縄に対して配慮があってよかったんではないかとか、いろいろ思いはあります。思いはありますが、そこに不正があったというふうには私は承知をしておりませんので、御質問には、この沖縄の問題については不正はなかったというふうにお答えをしたわけでございます。

 その後、滝田氏の問題を初めとして幾つかメディアの指摘するところがあって、私どももそのメディアの指摘を見て直ちに調査をさせましたが、先ほど申し上げたように、これらについては不適切なことがあった。ただ、これは予算の執行上の問題ではないというふうに私は思いますので、私、意図的に違った答弁をしたということでは全くないことは御理解をいただきたいと思います。

細野委員 もう時間も来ましたので終わりますが、結局、大臣の答弁というのは、大した調査もせずに、その時点で事なかれで、精査したけれども問題はなかったと言ってしまったことを今白状されたに等しいですね。

 最後に、本当に、この部分に関しては、私は外務大臣の常に内向きの姿勢が非常に気になるわけです。国会の予算委員会で、菅幹事長の質問に対しても、外務省の官僚の不眠不休の努力をむだにするわけにいかない、それをしっかり見てくれと。あたかも、内側を見て、みんなかわいそうだからちょっと勘弁してくれと。私だって、外務省の方に五十回ぐらい電話をしてこの資料をいただきました。同世代の人が不眠不休でやっている、気の毒だなとは思います。

 ただ、今我々が向くべきは国民であって、国民の側の外交の信頼をどう取り戻すか、それを全力でやるのが外務大臣の仕事だと私は思います。それをやる気がないんであればさっさとおやめになって、新しい大臣で外務省の体質を変えていく、それぐらいの姿勢が必要だというふうに考えますが、最後に御所見を伺います。

河野国務大臣 繰り返して申し上げておりますが、私どもは、国民に対する責任というものは常に最も重いものと思っております。しかし、その重い責任を果たすためには、職員を常に激励し、督励し、職員をしてできる限りいい状況で働いてもらうということがなければならないと思うんです。ただただ国民のため、もちろんそのとおりでございますけれども、それを振りかざしてむち打つというだけで、本当に国民に対して正しいおこたえができるかどうかということも考えていただきたいんです。私は誤解のないように繰り返して申し上げますが、何より大事なのは国民に対する責任です。私はこの視点は全くあなたと変わらないと申し上げていいと思います。

 ただ、その責任を果たすための方法としてどういう方法がいいかということについては、今の御意見を伺うと少し考え方があるいは違うかもしれません。

土肥委員長 次に、木下厚君。

木下委員 民主党の木下厚でございます。

 質疑を始める前に、外務省作成の資料を二枚ほど配らせていただくことを委員長、御裁可お願いします。

土肥委員長 はい、許可いたします。

木下委員 それではまず、在外公館に関する給与の問題、今回の改正案についてお伺いしたいと思います。

 この在勤手当について、第五条で、衣食住等の経費に充てる、しかも、物価、為替相場及び生活水準を勘案して定めなければならないというふうにあるんです。実を言うと、私、今回の在勤基本手当を見てびっくりしたんですが、恐らく多くの方も、要するに本俸以外にこれだけの金額をもらっている、しかも、もちろん海外でもらっているのは無税でございますので、合わせると相当の金額になる、こういった形で使われていることにまずびっくりしたと思うんですね。

 実際に私が計算してみますと、例えば韓国大使を見ますと、本俸は約百二十万円、在勤基本手当が九十四万円、これは従来の額でございますが、合わせると二百十四万円。これにさらにさまざまな手当がつくということですね。あるいは物価の安い、例えばフィリピン大使を見ても、合わせると二百六万円ぐらいの金額をもらっている。

 なぜこういったものが必要なのか。しかもそれが自分たちの私的に使う衣食住ということであれば、なおさら国民の理解は得られない。この辺、河野大臣はどんなふうにお考えでございますか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、外務省の職員が在外に参ります際には、本俸分それから在勤俸をいただいているわけでございますけれども、在勤基本手当の基本的な考え方といいますのは、先ほどの衛藤副大臣からの御説明にもありましたけれども、任地において外交活動を十分になし得るために行うということで追加的に在勤俸が支払われているわけでございます。

 金額的には、今手元に詳細な資料はございませんけれども、例えばフランスとかそういったほかの主要国と比べ、あるいは海外で大変に活躍しておられる民間の企業の方と比べても、私どもは非常に過大な給与をいただいているものではないというふうに考えております。

木下委員 一つには、やはり本俸と、それから在勤基本手当という呼称が非常にわかりにくい、両方で私的な金をもらっているというところにあると思うんですね。

 普通、例えば民間会社なんかを私も調べてみたんですが、いわゆる海外赴任手当とかそういう形で、要するに国内でもらっている給料の例えば一般的に言えば三〇%増しとか四〇%増し、そういう形で海外に赴任された場合は使われているんですね。

 ですから、在勤基本手当という呼び方そのものが非常に紛らわしいと思うんですが、大臣、この点は感想としていかがでございますか。

飯村政府参考人 それでは、事実関係といいますか、基本的な考え方だけ申し上げます。

 本俸につきましては国家公務員全体を対象とした勤務に対する報酬である、それから在勤手当につきましては在外職員を対象として在外勤務に伴って追加的に生じる経費に充てるものということで、基本的に考え方が異なるものと理解しております。

 したがいまして、海外の在勤手当におきましては、海外での多様な在勤地で時々において変化する物価だとか為替相場あるいは生活水準を的確に反映させるということで、本俸とは別建てにして支給するというのが適当かと考えております。

木下委員 物価とか為替の変動を勘案してということを言われましたが、例えば、アメリカのワシントンとかヨーロッパと、物価の安い東南アジアあるいはアフリカあたりを比較してみてもほとんど差がない、これはどういうことなんですか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 差がないという御趣旨は、在勤俸の額についてでございますか。(木下委員「額についてです」と呼ぶ)

 在勤俸の額につきましては、ワシントンの三号、これは一等書記官クラスでございますけれども、を基本にいたしまして、各国全在外公館の任地におけるいろいろな物価等を勘案して決めているわけでございまして、必ずしも差がないということではないと思います。かつ、為替相場を反映させるべく、在勤俸のレベルも時々に応じて改定しているわけでございまして、今般御審議をお願いしております名称位置給与法におきましては、為替レートの変動を反映しまして、全体として七・二%の在勤俸の減額をお願いしているわけでございます。

木下委員 先ほどお手元にお配りした、これは外務省のつくった資料なんですが、一つ、在外職員、大使の生計費の例としてそれぞれ記入してあります。公邸料理人給与、家事補助者、運転手・メード、テレビ、冷蔵庫、ソファー、ベッド、たんす、食卓、自動車、セカンドカー、あるいは購送食材まですべてこの中で処理されている。これを外務省の方がわざわざ、三年間勤務と仮定して一カ月幾らかかるか、こんなことまで細かく計算して出してくれたんですが、こんなばかげた計算をしているんじゃなくて――例えばテレビなんかは減価償却六年で計算しているわけですよ。しかし、私が聞いたところによると、三年間勤務してよその任地に行くときには家具一切を、あるいはテレビなんかも全部処分してお金にかえて行っているわけですよ。その辺の事実は確認していますか。

飯村政府参考人 委員御指摘の点でございますけれども、これは、任地それから個々人によりましてさまざまの例があると思いますけれども、一般論として、往々にして起きますのは、家電製品、自動車、そういったものはむしろ任地を去るときに売却してまた新しい任地に行って購入する、せざるを得ない、それの方が安上がりであるということがあるかと思います。

 それから、今お配りいただきました資料につきましては、私も今拝見したんでございますけれども、これは恐らく委員の御理解を得るために試算した、全く御参考につくらせていただいたものではないかというふうに理解いたします。

木下委員 もちろん参考資料として出させたわけですから。ただ、参考資料として出すのにわざわざ月計算で、例えば家電製品一カ月三千円のあれだというような形で出すこと自体が非常にナンセンスなんですよ。

 要するに、例えば南アフリカ大使でいえば、従来は八十一万円出ているわけですよ、毎月毎月。ですから、こういう形で出すんじゃなくて、例えば、家具、調度品とかそういったものを買うのであれば、先ほど委員からも質問が出ていたように、やはり支度金とかいうような形で一括して出すなり、あるいは海外手当なりそういう形で出すべきだと思うんですが、その辺、見直すお考えはありませんか。大臣、この区分けというのはおかしいと思いませんか。誤解を与えかねない。

河野国務大臣 ちょうだいをした資料を見ると、これは私が見ても、どうしてこういうふうに数字をつくったものかという感じがしますね。

 私は、やはり在外勤務の手当の問題は、勤務地、任地の生活環境がどのくらい厳しいかとか、場合によっては治安も非常に問題があるという任地もあると思うんですね。そうかと思えば文化、文明の都もあるわけでございまして、任地についてはそれぞれいろいろな配慮があってしかるべき、つまり厳しいところにはそれだけの配慮があってもいいんだろうというふうには思います。

 ただ、こういうふうに書かれると、これを見て、なるほどこうか、結構じゃないかとおっしゃる方は余りおられないだろうというふうに思いますね。もっと、実際に任地で働いている人間は精神的にもあるいは健康上も厳しい状況の中で働いているということが多いんだろうと思います。しかし、それをどうやって手当でお金に換算できるかという問題は、なかなか難しい問題があるんだと思いますが、その辺は、有識者がいろいろとアドバイスをしてくださって、数字を、これでいいとか、これはこうした方がいいとかという御判断をいただいて、こうした数字ができているんだというふうに思います。

木下委員 私自身もずっとジャーナリストとして世界各国回ってきまして、本当に各国大使館の皆さんに御協力いただいたりお世話になりました。そういう意味では、本当に御苦労されている。日本から遠く離れた地で、外交努力もされておりますし、その面では、私は、手当が幾ら、金額が多いとか少ないとか、そういう問題よりも、むしろ国民に対してわかりやすい説明ができるようなシステムにすべきではないか。いいですよ、一生懸命やっている方に幾ら上げようが、それは国民も納得の上でやるわけですから。ただ、国民の皆さんに説明できない、そういうシステムであれば、これはやはり変える、そうでないと外交官の皆さんも妙に後ろ指をさされたり、誤解を招く。

 私自身は、この形ができたのは昭和二十七年ということだと思うんですが、それからもう相当年月がたっている。そろそろ今の情勢に合わせて、もう一度第三者を入れて、このシステムをやはり国民に納得できるような形で改めるべきではないか、それを提言したいと思うんですが、河野大臣、いかがでございますか。

河野国務大臣 わかりやすいということは大事なことだと私も思います。

 ただ、本俸と在勤手当の一本化というのはなかなか制度上難しいことは御理解をいただけたと思いますが、それはこっちへ置くとして、わかりやすいシステムをつくる、あるいは在勤手当そのものについてもいろいろと外部の御意見をより多く聞いて判断の材料にするということは、委員の御提言は正しい御提言だと私なりに受けとめさせていただいて、よく検討をさせていただきたいと思います。

木下委員 とりわけ、今機密費の問題で外務省に対するあるいは内閣官房に対する国民の不信というのが強くなっている。ましてや、いろいろな報道機関によって在外公館そのものの問題もいろいろ、機密費が利用されているんじゃないかというような指摘もあるものですから、できるだけ早急にやはりこのシステムは見直していただきたい、ひとつよろしくお願いしたいと思うんです。

 それから次に、機密費についてもう一度質問させていただきたいと思うんですが、どうしてもこの機密費の問題は、やはり根本にあるのは、私は、外交機密費が内閣官房に上納されているのではないか。これは私、予算委員会でも資料を提示しながら見解をただしたのですが、絶対そういうことはないと。また、古川官房副長官が書いたとされる文書についても筆跡鑑定をすべきじゃないか、これが国民に対する説明責任だということをお尋ねしたのですが、それもやらないということなんです。

 もう一度河野大臣にお伺いしますが、絶対に外交機密費が内閣に上納されていることはあり得ないということですか。

河野国務大臣 これは予算委員会を初めとしてしばしば御質問、お尋ねをいただいておりまして、その都度お答えをさせていただいておりますが、外務省から官邸に、上納金という言葉も妙な言葉だと思いますけれども、そうした上納があるということはございません。

木下委員 いずれにしても真実は一つだけですから、いずれ、ことしの参議院あるいは次の衆議院で私ども民主党が政権をとったときにはこの事実は明らかになるわけですから、明らかになったとき、国家的犯罪にならないように、その辺しっかりと間違いなく答弁をお願いしたいと思います。

 もう一つ、先般の外務委員会で私ども同僚の委員からも質問があったと思うんですが、松尾元室長が何で全権を持ったのか、前回私どもの委員も指摘したのですが、そこのところがもう一つはっきりしない。この辺、もう一度詰めてみたいと思うんです。

 平成二年に支援室ができて、平成五年から松尾が室長になったということで、そこからすべての全権を松尾元室長がやったということなんですが、それまでは各地域局、それから支援室ができてからは各地域局と支援室で共同でやっていた。それが、松尾さんが来てから一本化されたというシステムの変更をしたわけですね。このシステムの変更は、松尾個人だけではできない。必ず上司の認可、許可、システムがこう変わりましたよと、恐らく地域局なりあるいは会計課なり、いろいろなところへ文書できちんと提示しないと、特に役所の世界では、これは口頭では絶対認められない。やはり文書できちんとだれでもわかるような形でやっているはずなんですが、そういう文書は残されていますか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、要人外国訪問支援室が平成二年にできておりまして、その後、二代目の室長として平成五年に松尾元室長が就任しているわけでございます。平成二年までは、各地域課が……(木下委員「いや、そこはわかっていますから」と呼ぶ)はい。担当しておりまして、その地域課が担当していた部分を要人外国訪問支援室で集中的にロジをやるということにつきましては、当時の決裁書が残っております。

 ただ、松尾元室長が内閣官房からの報償費を宿泊費の差額に充当している部分、この部分について松尾元室長がやり始めたということについては、これはたびたび御説明申し上げているとおり、上司の決裁なり了承を得た形跡はないわけでございます。

木下委員 これはもう何回もあれされているのですが、もしそういった決裁なりを上司がしていないとすれば、これは上司の職務怠慢なんですよ。減給するだけ、そんな問題じゃなくて、やはりきちんと処罰するぐらいの確固たる覚悟がなかったら、こんなもの直らないですよ。大臣、いかがですか。職務放棄じゃないですか。

河野国務大臣 監督が不行き届きであったという御指摘があるとすれば、それは残念ながらそういう御指摘、監督という言葉がいいかどうかわかりませんが、不行き届きであったというふうに認めざるを得ないと思います。六年間にわたってこうしたことが行われていたという事実はあるわけですから、それは御指摘があればそのとおりだと思います。

 ただ、この部分が上司の決裁を受けるか受けないかというのは、これは実はなかなかわかりにくいところがございまして、システムが変わったと先ほどおっしゃいましたが、システムが変わったのは、今御説明を申し上げましたように、支援室という室をつくったというそこが変わったわけでございまして、やっている作業はつまり同じ作業が淡々と行われていたわけで、そのことで新しいものが何か起こったということではないわけなので、もしあるとすれば、そこで一体どういう書類があったのだろうかというふうに、私も実はちょっと考え込むところがあるのです。

 つまり、問題は、二人で金を受け取りに行っていた。これはある意味のダブルチェックですね。それが、いつの日か、松尾が室長になったときから、一人で受け取りに行くようになった。金は必ず二人で受け取りに行くのですよ、いや、今度から一人で行くようにしましたという決裁があるのかなという感じもするわけです。この決裁の文書が残っているかどうかということで、そのチェックもいたしましたけれども、そういう決裁された文書はございませんでした。そして、考えてみれば、そういう決裁は恐らくなかったのだろうなというふうにしか思えないのでございます。

 これはちょっと長くなりまして申しわけありませんが、組織上の上司は官房の総務課長です。官房の総務課に支援室というものは組織図からいえばあるわけですから。しかし、実際に指揮をとったのは、アメリカへ行くときは北米局が指揮をとる、ヨーロッパに行くときには欧亜局が指揮をとるわけで、官房の総務課がそうした総理の外国出張について指揮をとるという状況にはなっていないわけです。

 ただ、組織図からいえばそういうことになっておりますから、おまえが上司だ、おまえに責任があるのだと私は言いましたけれども、これは、考えようによってはそこまで果たして官房の総務課長、官房の総務課長といえば何とか室、何とか室という室を十四も十五も持っている課長でございまして、それが総理が年に何回か行く外国訪問について全部指揮をとるあるいは最終的責任をとるところまでできるかといえば、それは実はなかなか難しかったかなという気もするのです。

 しかし、だからといって責任がないとは私は決して申しません。そういう組織にしたわけですから、した以上はその組織上の上司はやはりその責任を負う必要があると思います。したがって、私は六年間にわたって歴代の官房総務課長を全部処分したわけです。議員は、三カ月の減給などそんな軽いものでとおっしゃいますけれども、これより重い処分をするとすれば停職処分にするか懲戒免にするかぐらいしかないわけでございまして、私は、私として判断できる最も重い処分をもう何年もさかのぼって、一番古い人間は、八年前にそこにいたという人間をあえて処分をしたわけです。

 それは、八年前に監督不行き届き、チェックをしなかったのは、問題はもちろんあると思いますけれども、恐らく今の仕組みからいえば、私が今外務大臣として一番責任がございます。一番責任がございますけれども、それでは八年前の外務大臣まで責任を求めるかといえば、私はその必要はあえてない、私が今外務大臣でいる以上は私が全責任を負うべきだと思っているわけで、その文脈からいけば、八年前の総務課長までさかのぼって処分をするというのは、これは決して軽い処分ではないということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

木下委員 はっきり言えば、まだ全体像が見えないうちにさっと処分しちゃう、要するにあの時点で既に国民は、これはもう疑惑をここでとめるんだな、これ以上広がらないなという感覚があったと思うのですよ。早過ぎたと思いませんか。

河野国務大臣 これは、早過ぎたといっておしかりをいただくこともあるし、処分をしなければ、なぜ早く処分をしないかといっておしかりもきっとあるだろうと思います。私はやはり、松尾という人間を告発した以上はその時点で処分をするということで、一月の二十五日、告発と同時に処分をいたしたわけでございます。

木下委員 それから、一応松尾の上司というのは官房の総務課長でございますよね。ですから、あえて言えば、全く知らなかったんじゃなくて、例えば先ほど大臣は二人で行けばという話をしたのですが、二人で行こうが三人で行こうが、例えば上司もそれを承知していれば、何人で行こうが、あるいは外務省の一つの関係者が全部承知してやったことであれば、これは何でもできるわけですよ。その辺の了解事項じゃなかったんですか。

河野国務大臣 あえて支援室という室をつくったのは、できるだけ仕事を合理的にやりたい、各課がそれぞれロジ担当者を持つよりは、ロジ担当者を一つにまとめて仕事をさせることで合理的に仕事をさせようという意図から支援室をつくったというふうに私は理解をしておりまして、そういう意味で、支援室が行っている仕事を周りがみんな承知の上でやらせていたとか、承知していたとかというふうには思いません。しかし、荒木調査会でそうしたところまで、一人一人の考え方について周辺の関係者には聞いていただいておりますが、そうした事実はございませんでした。

木下委員 それから、新聞報道によれば、松尾元室長の詐欺の手口というのは、例えばホテル代の比較的安いアジア、中東地域、あるいは随行員が多い外遊で、宿泊単価や随行員の人数を水増ししていたケースが多いということで、例えば平成十年十一月、マレーシアで開かれたAPEC首脳会議、このときは随行員二百人で二泊しているわけですね。随行員の宿泊費はほぼ全額規定の旅費で賄えたのに、松尾元室長は一人当たり五倍の五万円を請求し、総額で水増し額一千万円を取っていた。あるいは、平成十年十二月にベトナムで開かれたASEANプラス3首脳会談の際には、随行員の八十七人の宿泊費を十倍近く請求していた。あるいは、平成十一年二月のヨルダンのフセイン国王の葬儀では、実際にホテルに支払った金額は随行員三十六人分の休憩料金だけだったのに、二泊分の宿泊費を架空請求していた。

 要するに、首脳外交というのはもう長年やってきているわけですから、松尾だけじゃなくて各担当者は、どの地域で何人ぐらい行けば経費は大体これぐらいになるというのがわかっているはずなんですね。ですから、これだけの金額を水増し請求してもし上司があるいは官房の方でもわからなかったとすれば、これは今まで何をやっていたということなんですよ。職務放棄じゃないですか、どうですか。わからなかったんですか、本当に。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 まことに遺憾なことではありますけれども、総理の外遊に当たっての宿泊の見積もり、支払いそれから精算業務というのは松尾が一人で行っていたわけでございまして、それをきちっと組織としてチェックする体制は外務省側にはなかったというのが事実でございます。

木下委員 今私が指摘した三つの外遊について、私は総額でもいいから出してくれということを再三お願いしたのですが、その回答が、この宿泊についての見積もりや精算関連の資料は、外務省において写しを保存することが望ましいものであるが、これらの種の写しが残されていないから、御指摘のものは出せないということなのですね。

 残されていないということは、廃棄したということですか。

飯村政府参考人 これは、私どもが外務省に保存してあった書類を廃棄したということは全くございませんで、本来そういった書類が残されているのが今委員が御発言のとおり望ましいものであったわけですけれども、なかったということでございますから、ここから先は推測でございますけれども、松尾元室長が廃棄していたんではないかというふうに推測されます。

木下委員 それは、外務省なら外務省、あるいは内閣官房なら内閣官房、どっちかに例えば写しでも何かないですか。一枚しかないのですか、そういうものは。少なくとも二枚なり三枚なり、やはり保管してきちんとしておくというのは当然じゃないですか。

飯村政府参考人 外務省そのものの報償費の場合は、きちっと決まっております決裁に基づいて支出しておりまして、また、そういった書類は定められた保存期間残しているわけでございます。

 本件は内閣官房の報償費でございますので、そういったルールの中には入ってこないわけでございますけれども、私どもには残っていないというのが実態でございます。

木下委員 今回は詐欺罪で逮捕されたわけなんですが、内閣官房は詐欺に遭ったという被害の意識というのはあるのですか。あったら、外務省に任せるのではなくて、やはり官房独自での調査をやるべきだと思うのですが、やっていますか。

柴田政府参考人 内閣官房におきましては、まず、できることはやっているということでございます。

 具体的に申し上げますと、外務省から提出された見積書、精算書、領収書を点検いたしまして、当時の担当者から話を聞くなどして、支払いと精算事務について確認するということとともに、松尾室長への支払いの実態の把握を行ったということでございます。

 今回の事案でございますが、外務省の告発、あるいは内閣官房からも届けを出していますけれども、そして既に松尾元室長も逮捕されているわけでございますが、捜査が進められているということでもありますので、私ども内閣官房として損害の実態というのを独自の調査により明らかにするというのは現実問題として難しいんです。ですから、捜査による真相の解明ということを踏まえて、そしてもし反省すべき点、見直す点というのがあればそこはきちっと対応していきたいというのが私どものスタンスでございます。

木下委員 もう時間があれですので、最後にお伺いしたいんですが、逮捕された松尾元室長の財産の保全はどうなっているんでしょうか。詐欺した金額は五億円とも七億円とも言われているんですが、これは国民の税金ですから、金額が確定次第やはり国庫へ返してもらわなきゃいけない。その財産保全と、それでもし松尾元室長が返せないとすれば、これは官官接待のとき、例えば秋田県とか北海道なんかは職員がみんな今も返還しているわけですよね、ですから、私自身は、外務省の少なくとも幹部たち全員がやはり、一説によると外務省ぐるみではないかと言われているわけですから、そこは幹部職員全員が少しずつでもいいから出し合って国民に弁済すべきじゃないかと思うんですが、河野大臣、最後に御答弁お願いします。

柴田政府参考人 まず、保全の関係で申し上げますが、先ほど申し上げましたように、内閣官房というのは損害の実態を自分たちの手で独自の調査により明らかにすることは困難であるということですから、今後捜査による真相の解明に全面的に協力していくということでありますけれども、今後被害の事実が明らかになれば、具体的に幾らということが明らかになれば、当然返還請求を求めるというのが基本的な考え方であります。

 あと、訴訟とかそういう手続、技術上の問題もいろいろ難しい問題がありますので、どんな法的措置が可能かどうかということを外務省、法務省と相談しているというのが今の状況でございます。

木下委員 そうすると、財産の保全についてはまだ手をつけていないということですね。

柴田政府参考人 検討はしていますけれども、まだそこまでは至っていないということでございます。

木下委員 早急にやるようにお願いして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

土肥委員長 次に、土田龍司君。

土田委員 十一時五十分までに終われということですのでぴったりまでに終わりますから、よろしくお願いします。

 まず、本法律案の件で一件お尋ねしますが、在外公館の名称位置給与法第八条では、外務人事審議会は、「前条の調査報告書その他の資料により、たえず在勤手当の額を検討し、その改訂の必要があると認める場合には、適当と認める額を外務大臣に勧告することができる。」と規定しているわけです。

 しかしながら、昨年十月に出されました在勤諸手当の改定に関する外務人事審議会の勧告では、適当と認める額は一切記載されておりません。ただ適切に改定するとか必要な措置を講ずる、そういった文言になっているわけですが、なぜ具体的な金額を勧告できないのか。そもそも審議会委員の中に手当額の算定を行える専門委員がいないのではないか、そういった感じを持つわけですが、つまり、審議会が単に役人がつくった政策を追認する機関になっているのではないか、これについて見解をお尋ねいたします。

河野国務大臣 審議会は、その目的、そして審議会が果たすべき役割がかなりいろいろございまして、給与の問題だけがこの審議会の本来の仕事ではないものですから、かなりいろいろな人が入っておられるということだと御理解をいただきたいと思います。給与につきまして、その給与が適正であるかどうか、適切であるかどうかということについては判断をしていただけるだけの経験、知識をお持ちの方にいていただいているというふうに私は存じております。

 具体的な額の算定その他につきましては、これは御指示があれば幾らでもお手伝いをすることはできるわけでございまして、むしろ外部から高い見地でこうした金額が適正であるか、適切であるかという御判断をいただく、それが不適切であれば、これはちょっと待て、それは不適切ではないか、こういうことになるのだろうと思います。

土田委員 きょうは早朝から委員会を開いているわけでございますが、与党、野党とも機密費の問題が中心になってきております。前回もそうですし、予算委員会もそうでした。

 外務省はこの問題についてこれからもそういった質問を受けるわけでございますが、連日連夜、新聞にあるいはテレビに外務省の不祥事のことが報道されております。あるいは具体的に、書類が見つかったとか証言があったとかいうことになっている。これについて、外務大臣も外務省もほとんど反応していないんですね。そういった疑惑があるんだったらば、国民が反応するよりも、外務省としてその疑惑を解くための努力をしなきゃならない、コメントを出さなきゃならない。それをしない、つまりだんまりを決め込んでいるわけです。

 何もこれまで大臣も外務省も発言していませんよ。不確定な情報だとか、その資料が信憑性がどこにあるんだとか、そういったことばかり言うけれども、いろいろな問題が出ているけれども、それについて自分たちでみずから反論をしようとしない、あるいはそれについてのコメントも出さない。やはり国民の疑惑がだんだん深まる原因がそこにあるんじゃないかというふうに私は思っているんです。

 前回、これはだれが言ったとは書いてありませんけれども、外交機密費の予算が余りそうになったらば年度末に一本数十万円もするような高級ワインを購入してそれを使い切ってしまうんだというようなことを言っていた外務省幹部がありますけれども、こうした報道についての事実関係、外務省の機密費の使い道にかかわるであろうことを、外務省は機密費だから具体的には発表しないけれども、飯村官房長は、外国要人に必要なワインの購入に充てるのは別な費目があるんだということを認めているわけですね。ワインの購入のような別の費目があるのになぜ機密費を使うのかという当然の疑問がわくんですが、この件については外務大臣はどうお考えになりますか。

河野国務大臣 議員の御指摘でございますけれども、新聞、雑誌等でいろいろと外務省にかかわるスキャンダルといいますか、問題が指摘をされておりまして、これについて、私は、でき得る限り具体的な指摘であれば調査をいたします。雲をつかむような話ではなかなか調査はできませんけれども、こういう問題があるじゃないかということを具体的に指摘されたものについては全部調査をしろという指示をしておりまして、荒木調査会で調査をいたしておりまして、例えば、昨日も参議院の外交防衛委員会では幾つかの問題について御報告をいたしております。

 実は、衆議院の予算委員会当時には、いろいろと問題が出てきて御指摘だけございまして、私どもは調査をさせていただきますと言って時間が経過をいたしまして、その調査結果の報告は参議院でするという形になっておりますが、昨日も外交防衛委員会でそうした御指摘について荒木副大臣から御報告をいたしております。

 先ほどもここで話題になりました滝田なる人物についての問題もまさにその一つでございますが、私どもとしては、おっしゃるように、できるだけ反応をする。そして事実関係を確認して、あれば厳正に処分するし、なければこれはありませんでしたということを言うべきだと私は思っておりますので、それは調査をずっといたしておりまして、結果が出たものについては一つずつ国会でも御報告をいたしております。

 それから、新聞その他が書いたものの中で、全く荒唐無稽、我々からいえばためにする記事と思われるものについては抗議をいたしております。ただ、メディアからのそうしたものについて我々が幾ら反応しても、メディアは自分たちの行ったことに対する反応はほとんど書いてくれませんので、一方的に書かれて終わりになっているのは非常に残念でございますけれども、私どもとしては、でき得る限りそれに対しては反応をしようと思ってやっているところでございます。

 それから、今御指摘がございましたワインの問題でございますが、これも事実関係を私なりに承知しておりますけれども、今の議員の御指摘は、ワインを買う費目があるのになぜ機密費で買うのか、こういう御指摘でございますが、私どもは、機密費でワインを買ったということを申し上げたことはございません。機密費で買ったということを申し上げたことはございませんが、ワインを買ったことはございます。ほかの費目で買ったことはございます。

 それについても、私は、こんなことまで申し上げるのはどうかと思いますけれども、一本数万円もするワインを、中には十万円もするワインを外務省は買っているなどとおっしゃる方がありますが、そうしたことは全く事実に反するのでございまして、私自身の判断で申しますと、十万円もするワインを外務省が買うなんということはあり得ないことだと。

 つまり、外務省は外国の方のお客のために使うわけです。二十人とか三十人とか、場合によれば百人からのお客をするわけで、そのときには少なくとも同じ種類のワインが二十本とか五十本とかなければお客はできないわけですね。つまり、メーンテーブルだけ十万円のワインを出して、次のテーブルには別の種類のワインを出すなんということはあり得ないわけでございますから、同じレベルのワインをサービスしなければならないわけですから、そんなに高いワインを買えるわけがないわけです。

 それからまた、十万円もするワイン、こうおっしゃいますけれども、それは考えようによっては、例えば立派なレストランに行けば十万円の値段がついているかもしれないけれども、それだってコストは、本来の値段は幾らなのかといえば、そんなに高い十万円のワインだって、本来の仕入れ価格からいえばそれよりはるかに安いものになっているはずであって、十万円のワインを十万円で買ってきてサービスしているなんということはないというふうにぜひ御理解をいただきたいと思うのです。

 私どもは外国から来られたお客様に対してサービスをするということは大事だとは思っておりますけれども、必要以上のことをする必要は全くないのであって、適切なレベルのもので相手にサービスができればそれでいいというふうに私は思っております。

土田委員 新聞報道には、今外務大臣がおっしゃったように、数万円もするとか十万円もするワインというふうには書いていないんです。数十万のワインを買うと書いてあるんです。実は私も外務省のOBの方に詳しく聞いたんですが、やはり数十万と言っていましたよ。数十万のワインを買ってみんなに配るんだ、飲ませるのではなくて、贈答用とかごく部分的にはやる場合がある、それは機密費で使っているんだというようなことを言っていまして、今の外務大臣の公務員みたいな発言ではなかなか納得しませんし、国民の皆さんもだれも信用していないと思いますよ。

 それから、一々抗議しているとか反論しているとおっしゃいますけれども、ついこの前のテレビで、総理が外遊されるときの随行の方々に白い封筒に入った何十万円かの現金が配られたということについて報道されましたね。これについては、外務省はどういった反論をされましたか。

河野国務大臣 新聞社に直接抗議をするというやり方もありますし、国会での御質問にきちんと、それに対してそういうことはないと申し上げることも大事だというふうに私は思います。

土田委員 ということは、そういったお土産代といいますか、それは配られていないんですか。

河野国務大臣 私は承知しておりませんし、御答弁でも、そういうことはないという御答弁がたしか同僚大臣からあったと承知しております。

土田委員 こういった大きな組織の場合、民間会社でもそうなんですが、不祥事が起こるセクションというのは大体想定できるんですね。全員が悪いわけじゃない、お金に絡むとか汚職に絡むとか、あるいはスパイとかもあるでしょうし、そういった特定の部署が危ないというのはどこの世界にもあるわけでございます。そういったのを注意さえしておけばこんな問題はそれほど出てこないんですけれども、今外務省の中で、これは外務大臣がやる仕事じゃないんですが、要注意なところについて、だれがそういった判断をして、注意をして、あるいは報告を受けているのでございましょうか。

河野国務大臣 基本的には、私は、一人の人間が一つの場所に長くいるということに問題があるというふうに思います。できるだけ人事というものが滞らないように、動くということが重要であって、さらにそれを公正な目で見る上司がいるということが大事なんだろうと思っております。御指摘のように、金に絡むセクションというものはとりわけそういうことでなければならぬというふうに思います。

土田委員 松尾元室長は、懲戒免職になった後、自宅に戻らないで、逮捕されるまでの期間の大半を外務省の研修所の寮で生活をしていたというふうに報道されているわけです。松尾元室長は一月二十五日の時点で懲戒免職処分を受けたわけですが、外務省職員の身分は剥奪されているにもかかわらず、なぜ外務省の管轄下にある寮で生活をしていたのでしょうか。非常に不自然であるわけですが、これについて、事実かどうか、あるいは事実であればなぜこれを使わせていたのか、お答え願いたいと思います。

河野国務大臣 松尾元室長が外務省の研修所にいたという事実はございません。

土田委員 なければしようがないですね。あると報道されているんですが、そこで生活をしていたと。では、この事実関係はもう一回調べて、また次の機会にやりたいと思います。

 さて、次の質問なのですが、在外公館の査察です。平均十年に一回ぐらいの割合で査察をしていたというふうに聞いておりますけれども、この査察に際しては「外務公務員のうち適当と認める者を査察使として派遣すること」になっています。外務公務員法第十六条ですね。具体的にはどういった立場の人を査察使として派遣しているのか、お答え願います。

河野国務大臣 今御指摘になりましたように、査察使の任命につきましては、外務公務員法第十六条におきまして、「外務公務員のうち適当と認める者を査察使として派遣する」ということが定められております。私の承知する限りでは、いわば大使がそれに当たっているというふうに承知をしております。

土田委員 ことしの一月中旬に、外務省の川島事務次官が新聞社の取材に対しまして、松尾元室長について、本人は会計のスペシャリストである、それを会計のわからない我々が調べるのだからどうしようもないというような発言をしておられますけれども、在外公館の経理状態を査察するのは査察使の重要な任務であるわけです。十分な成果を上げるためには、会計業務の知識がある者でなくてはならない。大使級の人を派遣すると言っていますけれども、川島次官の発言が事実であるならば、松尾元室長に関する事項だけでなくて、外務省幹部による在外公館の査察は大きな効果が期待できない。事務次官がそう言っているわけですからね、会計の専門家でないからわからないと。ところが、実際はそういったことをされている。

 川島事務次官の言葉が外務省としての全体的な認識であるならば、査察への取り組み姿勢が疑われるわけでございますけれども、その点についてどう考えますか。

河野国務大臣 川島次官の発言は、そういう発言をしたかどうかも私確認をしておりませんし、仮に新聞に書かれていることを私が見た感想を言えとおっしゃられるなら、必ずしも彼の真意ではないだろうというふうに思います。むしろ、彼が非常に苦慮しておりましたのは、そうしたことではなくて、やはり強制的な捜査権を持たない者が捜査をすることは非常に難しいということを彼は苦慮、大変苦労していたわけでございまして、彼の気持ちはそういうものであっただろうと私は思います。

 それはそれといたしまして、査察使の問題については、まず最初に申し上げたいと思いますことは、査察使は、先ほど大使もしくは大使のOBというふうに申し上げましたが、これが査察使として参りますときには必ず会計の専門家を連れてまいることになっております。そういうことになっておりますが、私はやはり、今回いろいろな方からの御指摘を謙虚に聞きまして、査察の方法あるいは査察使のあるべき姿をもう一度考え直さなければならぬというふうにも実は思っております。

 何年に一回か査察が回ってくるといいますけれども、やはりむしろ、スケジュールが決まっていて回ってくるというのではなくて、査察というものは突然行うべきではないかというふうにも思いますし、査察の回数をふやすということも大事かと思いますし、あるいはまた、内部で査察をするのではなくて外部の人間が査察の役を担うということも大事かと思います。

 必ずしも全部外部にお願いができなければ、外部の人間に何人か入ってもらって、つまり、自分のところへ来るときは内部の人間が来るか外部の人間が来るかわからぬという形にしておくだけでも、私は緊張感は大分違うだろうというふうに思ったりいたしまして、在外に対しますチェックといいますか査察についても考えなければならぬ問題の一つだというふうに私は感じております。

土田委員 警察の不祥事があったときも、やはり監察制度があったわけです。それでも監察する人たちが温泉でマージャンをやっていてあの事件が発生をした。当時は、警察の組織ぐるみの内部的な、なあなあ、まあまあでやってきた結果だというふうに報道されていたわけです。今回の外務省に関しましても、やはり身内意識があるのではないかということがあるわけでございまして、今大臣がお答えになりましたように、回数をふやすことも大事でございますし、やはり緊張感を持って省全体がやるのだというふうにしなければならないと思いますし、この事件をきっかけにしてそういった機運を盛り上げていただきたいというふうに私は思っているのです。

 ちょっと時間がございませんが、前回私が質問いたしました荒木さんの検討会議でしたか、ちょっと名前は忘れましたけれども、これの報告はいつごろになる予定でございますか。

河野国務大臣 荒木副大臣にお願いをしておりますのは、外務省内部の調査でございます。その調査委員会からは、先ほど申し上げましたように、この問題について一つ一つ調査をしていただいておりまして、随時私に報告が上がってきております。

 これを調査報告書のような形で報告を、つまり、週刊誌や新聞が書いたものの裏をとっているといいますか、確認をしているような仕事までしていただいているわけで、それを調査報告という形にする、今そういうことは考えておりません。確認をして、問題があればそこで処分をするし、なければないということを、あってもなくてもですけれども、国会でもどこへでも御報告を申し上げようというふうに思っております。

 したがって、いつまでにとか、いつ幾日とかということではなくて、調査ができ上がり次第御報告を順次していくというふうに考えております。

土田委員 ということは、順次外務大臣に報告をさせて、そして必要であれば報告をする。国会とかに政府から必要であれば報告をさせると。報告書みたいな、あるいはちゃんとした報告を出すわけではないということですね。

河野国務大臣 おっしゃるとおりです。

 国会に報告をしたり、場合によれば記者会見で述べるということもあるいはあるかもしれません。つまり、国会がなければそういうこともあるかもしれません。しかし私としては、随時私のところへ報告をしてきてくれていますから、お尋ねがあればそれを御報告申し上げるという気持ちでおります。

土田委員 もう二分ですから、最後に一問だけ。

 九三年に行われたオーストラリア大使館の査察で、公金二百数十万円が横領された事件が発覚したわけでございますけれども、これについて処分が見送られていたということになっています。この処分が行われなかった理由についてお答えください。

河野国務大臣 八年前の事件といいますか事柄でございまして、これを調査するのに若干時間がかかっておりますが、本人も任地から呼び返しまして順次話を聞いておりますし、それから、その当時の査察を行いました人間も呼び出して報告を聞いております。

 八年前のことでございまして、若干おぼろげなところもございますけれども、何人かの話を全部まとめて、これはどういうことであったかということはきちっとしてもらおうということで、これも荒木調査会にお願いをしておりまして、もう数日待っていただければ報告は出せるのではないかというふうに思っております。

土田委員 終わります。

土肥委員長 次回は、来る二十七日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十分散会




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