衆議院

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第15号 平成13年6月20日(水曜日)

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平成十三年六月二十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 土肥 隆一君

   理事 河野 太郎君 理事 下村 博文君

   理事 鈴木 宗男君 理事 米田 建三君

   理事 安住  淳君 理事 桑原  豊君

   理事 上田  勇君 理事 土田 龍司君

      池田 行彦君    小島 敏男君

      高村 正彦君    桜田 義孝君

      下地 幹郎君    菅  義偉君

      虎島 和夫君    中本 太衛君

      原田 義昭君    宮澤 洋一君

      望月 義夫君    山口 泰明君

      伊藤 英成君    木下  厚君

      首藤 信彦君    中野 寛成君

      細野 豪志君    前田 雄吉君

      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君

      東門美津子君    柿澤 弘治君

    …………………………………

   外務大臣         田中眞紀子君

   外務副大臣        植竹 繁雄君

   外務大臣政務官      丸谷 佳織君

   外務大臣政務官      小島 敏男君

   外務大臣政務官      山口 泰明君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    伊藤 康成君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   飯村  豊君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    小町 恭士君

   政府参考人

   (外務省欧州局ロシア課長

   )            小寺 次郎君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    田中  均君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  西田 恒夫君

   政府参考人

   (外務省条約局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (特命全権大使オランダ国

   駐箚)          東郷 和彦君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    縄野 克彦君

   外務委員会専門員     黒川 祐次君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十日

 辞任         補欠選任

  山口 泰明君     菅  義偉君

同日

 辞任         補欠選任

  菅  義偉君     山口 泰明君

    ―――――――――――――

六月十九日

 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千年十一月二十七日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 投資の促進及び保護に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 投資の促進及び保護に関する日本国とパキスタン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千年十一月二十七日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 投資の促進及び保護に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 投資の促進及び保護に関する日本国とパキスタン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 国際情勢に関する件




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     ――――◇―――――

土肥委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、委員桑原豊君の質疑に際し、外務省北米局長藤崎一郎君の出席を、委員細野豪志君の質疑に際し、外務省北米局長藤崎一郎君の出席を、委員土田龍司君の質疑に際し、海上保安庁長官縄野克彦君の出席を、委員赤嶺政賢君の質疑に際し、防衛施設庁長官伊藤康成君の出席を、委員鈴木宗男君の質疑に際し、特命全権大使オランダ国駐箚東郷和彦君、外務省大臣官房長飯村豊君、外務省欧州局長小町恭士君、外務省経済協力局長西田恒夫君、外務省条約局長海老原紳君及び外務省欧州局ロシア課長小寺次郎君の出席を、また、委員上田勇君の質疑に際し、外務省経済局長田中均君及び外務省経済協力局長西田恒夫君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土肥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土肥委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桑原豊君。

桑原委員 おはようございます。

 大変な期待とそして注目のもとに、外務大臣は訪米をされて帰ってまいりました。本当に御苦労さまでございました。

 今回の訪米、いろいろな目的がおありだったと思いますし、また、外務大臣は日ごろ、日本の外交は自立しなきゃならない、あるいは自主性を持っていかなければならない、そうした自立した日本外交というものを強調されておられますし、それを目指しての訪米でもあったというふうに私は思うわけでございますけれども、そういった点でどのような成果があったと自分でお思いか、この自立した外交という面にスポットを当てて、その点でどのような成果があったとお思いか、感想を御披瀝いただきたい、こういうふうに思います。

田中国務大臣 おはようございます。お答え申し上げます。

 今回の訪米は、私は、初めから肩の力を抜いて、そして、客観的な事実、こうした委員会で皆様から託されている問題、皆様が国民の皆様から負託をされていて発言をなさっている問題をきちっと整理をして、限られた時間内で、いかに正確に生の声をアメリカ側にお伝えするかということに全力を挙げたつもりでございます。

 そして、それに対して、アメリカ側は、どの方も、複数の方にお目にかかりましたけれども、極めて胸襟を開いて、聞く耳を持っておられたというふうに思います。そして、現在のアメリカの状態を極めて平明な言葉で率直に語られ、そして、前向きにできることはできる、そうでないことについては、またこれから自分たちも解決に向けて努力をするという印象を私は受けまして、そういう意味では、結果として、目指していたといいますか、私が考えていたような環境で意見の交換ができた。そういう意味では、私は、本当にやはり直接伺って、お時間もいただけて大変よかったというふうに思っております。

桑原委員 一つ一つ課題別にお聞きをいたしますが、自立した外交ということを非常に強調されておられたものですから、そこら辺にスポットを当てて、外務大臣として特段に何かに力を入れて、この外交の中で成果を得たというものがあったのかどうかということを私はお聞きしたわけですけれども、個別の課題別にいろいろお話ししたいと思います。

 まず、ミサイル防衛構想でございますけれども、アメリカの冷戦が終わった後の世界的な安全保障の基本戦略といいますか、そういうものとしてこれが打ち出されておるわけでございます。大臣は、アメリカがこのミサイル防衛構想を検討することを理解する、こういうふうに述べたそうでございますけれども、例えば、京都議定書の批准の問題についても、アメリカを理解するけれども共感はできない、こういうふうにおっしゃった。今回のこの理解するという言葉も、非常に何か私はわかりにくいと思うのです。例えば、支持をするとか、あるいはこれに一枚加わるとか、そういう意味でないことははっきりしているのですけれども、では、どういう点で何を理解して、日本としてはどこまでどうするのかというようなことがこの言葉からははっきりわかりません。

 そういう意味で、もっと、これこそ平明にこの中身を聞かせていただきたい、こういうふうに思います。

田中国務大臣 私の認識の基本にありますのは、日本の外交の基本、基軸は日米同盟の強化、そこにあるというふうに考えております。こうした考えがまず基本にあるということを御理解いただきたいと思いますし、そうした発言をまず冒頭いたしております。あらゆる機会にこの発言をまずいたしております。

 それを踏まえまして、ミサイル防衛構想につきましてですけれども、理解するということの意味は何かとおっしゃっていますけれども、それは、まずこの目的ですね、アメリカがこのミサイル防衛計画を出しておられる目的というものは何かといいますと、大量の破壊兵器ですとか、あるいはミサイルの拡散の防止、現在四十一ぐらいでしょうかの国家でこうしたミサイルが所有されている、保有されている、こうした大量破壊兵器及びミサイルの拡散を防止するというその目的は、私は理にかなっているというふうに考えています。

 それから、それを進めるに当たりましても、日本を含む同盟国及び中国やロシアと十二分に協議をしながらこれを進めていくというアメリカのやり方、立場、これはよく理解できるし、そうやっていただきたいという意味でございます。

 そして、なぜそういうことを言うかと申しますと、それは、先ほど言ったように四十一の国でミサイルが保有されているという実態、この事実をしっかりと私たちが確認しなければならないということが思いの基本にあります。

 同時に、日本は欧州と比べて、この間ブッシュ大統領がヨーロッパへいらっしゃったばかりでございましたけれども、その中でもって、このミサイル防衛計画に対して国別のいろいろな対応があったというふうに思います。ですけれども、欧州は欧州ですけれども、日本は周辺にやはり不確実性とか不透明性とかございますから、ヨーロッパとは地理上、地政学上違ったところに日本という国土がありますから、したがって、そういう中でもって、日本独自の立場として、このミサイル防衛構想というものを核不拡散という意味でのとらえ方には、私たちは共鳴をするという、理解ができるという意味で申しました。

 それから、その先はまたお尋ねがあってからにいたしますけれども、理解するという言葉の意味は、日本語ではそうなりますけれども、その言葉のとおり、アメリカのおっしゃっている基本的な目的、それは十二分に私どもも共鳴をするという意味でございます。

桑原委員 その部分について、理解をされるという部分について少し議論したいのです。

 このミサイル防衛構想、冷戦が終わったことが一つのきっかけであろうと思いますし、それから、米ソ以外にもミサイルあるいは大量破壊兵器が拡散をしているという現状があるということが一つ。それに、アメリカはいわゆるならず者国家とか無責任国家という表現を使いますけれども、そういった幾つかの国が存在をして、いついかなるときにミサイルが撃ち込まれるかわからない、こういう危険性もあるんだということを強調しておられるようですけれども、そういったことのためにいわゆるミサイル防衛が必要なんだ、こういうことなんですけれども、このことについては、ヨーロッパの幾つかの国々がいろいろな慎重な意見を出しておりますし、それからロシアも、ならず者国家などというものの定義、あるいは本当にそれがそういったものの脅威として現実化しているのかという問題とか、あるいは核拡散の問題についても、果たしてこのミサイル防衛が唯一これを防ぎ得る道なのか、ほかにいろいろな方法があるのではないか、こういうような問題意識も持っておるわけです。

 そういうことの中で、このミサイル防衛計画というものが結局行われることによって、従来のABM条約というものを基本にしながら、いわゆる米ソが中心になってそういったものを削減していくというようなあり方がこのミサイル防衛計画によって崩れて、いわゆるそういう戦略的なバランスというものが壊れて、そして逆に、アメリカのそういったものに対抗してどう戦力を増強していくかというような形で、いわゆる軍拡競争というものが出てくるのではないか、こういう懸念も一方ではあるわけですね。

 そういったことで、それぞれの国々は非常に慎重な意見を持ったり、反対をしたり、特に中国などは非常に厳しい見解を持っているわけでございまして、そういう中にあって、日本が、大臣は今不確実性だとか不安定性だとかというふうに言われましたけれども、我が国をめぐる状況がそうだということであれば、その中に、例えばならず者国家とアメリカが規定しているような北朝鮮であるとか、あるいはアメリカは、そういう国家の中には入れていませんけれども、中国の戦力増強に対しては非常な脅威というものを持っているわけでして、そういったことを日本も、ある意味では同じようなレベルで脅威としてとらえているのかという問題もこれは出てくるわけでして、そういう意味では、この問題に対する対応というのは、私は相当慎重にやっていかなければならないのではないか。

 アメリカに対して、やはりある意味では違う一つの物の考え方があってしかるべきではないかと思うのですが、大臣は、そういった目的であるとかあるいは進め方というものについて、私は理解をし共感をしているんだということですけれども、そういうことで本当にいいんでしょうかね、もう一度私は冷静に考えてみる必要があると思うのですけれども。

田中国務大臣 なるほど冷戦構造は崩れ去りました。しかし、過去の歴史をひもといていきまして、そして将来を見渡した場合に、これでもうすべて世界じゅうから脅威といいますか、戦争が完全になくなるということは断言し切れるでしょうか。

 そういうことを考えました場合に、やはり私たちは、アメリカと、将来も起こり得る脅威についての思いを共有するということは何ら不思議でもないというふうに思いますし、それが即軍拡競争につながるというふうには簡単には言い切れないというふうに思います。

桑原委員 ならず者国家、アメリカはそういう、いつミサイルを撃ち込んでくるかわからないような危険な国がある、こういうようなことをこの計画の、ある意味では大前提にしているわけですね。そういうことに対して、ロシアなども、果たしてそういうような対応でいいのか、確かにそういう危険性はあるにしても、そのような対応をすることによってその危険性はなくすことができるのかどうかということについては非常に疑念を呈しておるわけですけれども、日本も、例えば北朝鮮あたりは、アメリカが規定するようなそういうものだというふうに感じておられるのですか。その点だけお聞きしたいと思います。

田中国務大臣 軍拡にいくのではなくて、世界じゅうが戦争がなくなるように、平和であるように、これはもうどこの国の方たちも、指導者もあるいは一般の国民の方たちも、地球上の市民は皆そう思っていることには間違いがありません。しかし、繰り返しになりますけれども、冷戦構造が崩壊してしまったから、これでもって将来にわたって未来永劫戦争が起こらないという保証は、何らどこにもありません。

 ですから、そうしたことを踏まえまして、やはり抑止力というようなものの必要性というものは考えておく必要はあるということは、私どもは認識を共有しているという意味で申し上げております。

桑原委員 ところで、このミサイル防衛構想なんですが、クリントン時代は、御存じのように、アメリカ本土を防衛するNMDと、それから同盟国やアメリカの海外基地、そういったところを防衛するためのTMDと、二つの区分をしながら、区別をして対応していくんだということであったわけですが、今回のミサイル防衛構想は、それを一体化して、いわゆる基本的には、ミサイルが打ち上げられた間もない段階で、加速段階でそれを撃ち落としていく、そういう一体化した構想を持つということになったというふうに思います。

 TMDの場合は、現在日本とアメリカで共同して技術研究を行っております。これは、日本がそれに参加をしたのは、いわゆるTMDは個別自衛権の範囲内の問題だ、日本に対してミサイルが撃ち込まれたときにどう対応するかという問題だから、これは個別自衛権の問題だから理解をし、技術協力に踏み込むということは許されるんだということでやってきたわけですけれども、今度のミサイル防衛構想ということになれば、御存じのように、そういうブーストの段階でそれを迎撃するということであれば、どこへ飛んでいくミサイルかもわからない、アメリカ本土をねらったものかもしれないけれども、しかしそれはその段階で撃ち落とすんだと。

 日本の国土内から、あるいは日本の周辺からそういう迎撃が行われるということであれば、これは当然集団的な自衛権、集団的自衛権の問題と絡んでくるわけですね。ですから、私は、単純にミサイル防衛構想を理解する、あるいは共感をするといっても、従来のものとは違う考え方でアメリカの今回のミサイル防衛構想には対応しなきゃならぬのじゃないかというふうに思うのですが、そういう集団的自衛権との関係ではどういうふうにお考えになっておられますか。

田中国務大臣 ミサイル防衛につきましては、委員御案内のとおり、今検討中の状態でございますし、研究開発もこれから進めていくという状態ですので、きょう言ってあしたすぐできるからという問題ではない、今検討して研究しているという段階であるということを、まず基本認識に置いていただきたいというふうに思います。

 それから、集団的自衛権につきましても、小泉総理がこの間の党首討論でもおっしゃっておられますけれども、ミサイル防衛と集団的自衛権との関係につきまして研究の余地があるというような趣旨の発言をなさっていらっしゃるわけですから、その辺のことについて、やはり私たちもよく踏まえて考えていかなきゃなりませんが、いずれにいたしましても、アメリカと共同研究を行っていますBMDというのは、純粋に我が国の防衛に資するものであるというようなためのシステムとして私たちは考えております。

桑原委員 BMD、TMDのことでしょうけれども、TMDは、言われたように、我が国の個別自衛権の範疇に入る問題だということで、アメリカと共同技術研究をやる、こういうことで、二年間もう既にやってきておるのですね。

 今回、アメリカのミサイル防衛構想というのは、私が今ほど言いましたように、それを一体化して総合的に対応するものだということであれば、このTMDの共同技術研究、これはその一体化したものに対応した研究に変わっていくんですか、それとも、従来どおり、TMDはTMDとしてアメリカと共同研究していく、そういうやり方になるのですか、これはどうなんですか。

田中国務大臣 ですから、先ほど申しましたように、今は、これはいまだ検討中の、研究中の段階でございますから、今後とも日米で緊密に連絡をとりながら進めていくということでございます。

桑原委員 いや、ですから、大臣、TMDはそういうことで、新しい構想では、NMDと一体化して、そして先ほど言いましたような段階で迎撃をするということを基本に置いて対応していくということになるのだが、そうなったときに、日本のTMD研究というのはそれに合わせて変わっていくのかどうかということなんです。それと、TMD研究は従来どおり続けるのかどうかという、そこら辺の整理をしてください。

田中国務大臣 変わりません。

桑原委員 変わらないということはどういうことなんですか。新しいミサイル防衛構想のもとで、日本の対応というのはそれに合わせてどうなっていくのですか。

田中国務大臣 これは概念的な問題であるということを、先ほど申し上げましたけれども、概念的なものであるということをまずよく御理解ください。

桑原委員 概念的にそういうふうに変わっていくわけでしょう、今回のミサイル防衛構想が。それに合わせて、日本が今までアメリカと共同で研究してきたTMDに関する研究というのも対応が変わっていくのかどうか。あるいは、それに合わせて変わっていくときには、集団的自衛権の行使の問題がかかわってまいりますから、それは研究中であるからそういったものには今対応できないんだ、従来どおり、TMDという考え方で日本は技術研究をやっていくんだということなのかどうかということを聞いているわけです。

田中国務大臣 ですから、これは概念的なものでございまして、今検討をしている最中でございます。そして、今我が国がアメリカと共同研究を行っているBMDは、純粋に日本の防衛のためのシステムであるということを申し上げているのです。ですから、今これは概念的な問題として検討している最中なんです。

桑原委員 TMDという個別自衛権の範疇のことに関しての技術研究を共同でやってきたわけですよね、今もやっているわけですけれども。そうすると、日本の考え方としては、その研究はこのまま続けていくということなんですか。

田中国務大臣 ですから、さっきから何度も申し上げていますが、これは概念的な問題でございまして、そして、日本のBMDは日本の防衛のためのミサイル防衛である、さっきから三回申し上げています。それから、アメリカのプログラムは個別に進めるとしております。

桑原委員 いや、私は、大臣が、新しいアメリカのミサイル防衛構想を理解する、こういうふうにおっしゃって、ある意味では、ある部分では共感もする、こういうふうにおっしゃっておるわけですね。ですから、そのことに対応して、従来日本がアメリカと共同で取り組んできた共同技術研究、これもミサイル防衛の一種なんですね、そのことがどういう影響を受けるのかというふうに聞いているのですが。そうすると、現在段階では、そういうことについては全然影響を受けずにそのままやっていくんだ、そういうことなんですね。

田中国務大臣 ですから、結果的にはそういうことになりますけれども、今何度も申し上げているように、これは今検討している問題なんですよね。(桑原委員「何がですか」と呼ぶ)ですから、ちょっと発言中です。(桑原委員「検討している問題というのは何ですか」と呼ぶ)ですから、もう一回申し上げますけれども、日本のBMDは、日本防衛のための、申し上げているじゃないですか、それが答えですよ、日本の防衛のためのミサイル防衛だということです。そして、お互いにこのことについて検討していくという概念上の問題を今整合性を持って議論をしている最中であると申し上げているのです。

桑原委員 ちょっと話がどうもうまくかみ合わないので、もう時間がなくなってきましたので、この問題では後ほどまたしっかりとした議論をしていきたいというふうに思います。

 それから、外務大臣は自立自立と言われておるのですけれども、どうも私はこの問題に対する対応を見ても、極めてアメリカの言い分を、私は、自立の中身は恐らくアメリカに追随した日本の外交のあり方を言っておられるのだろうと思うのですが、どうもこのミサイル防衛に対する考え方も、アメリカの言い分を理解し、共感しているという感じで、日本の立場に立った主張というのがなされなかったのではないかというふうに思います。

 そういう意味では、大臣は、捏造の自分の会見録だというふうに言われておるのですが、イタリアの外相との会談メモということで新聞が公表したコメントでは、この問題について、欧州諸国はアメリカに対して緊張をエスカレートしないよう申し入れるべきである、ミサイルの脅威と言うが、本当にミサイル防衛が必要なのか、日本と欧州は声を合わせてブッシュ政権に対してやり過ぎるなと言うべきだと。こういうふうに大臣が言ったといって流布されている、こういう新聞記事の方で述べられていると言われる大臣の主張の方が、私ははるかに日本としてしっかりとしたものを考えているなというふうに思うのですが、どうもこの点でも大臣の自立性というものはほとんど感じられないのですけれどもね。

田中国務大臣 アメリカに何でも反対さえすればそれが自立であるというふうに思われているのであれば、それは間違いでありまして、客観的に我が国の情勢、事実というものをまずしっかり把握していかなければならないのですね。責任ある立場というのはそういうものではないでしょうか。日本は、将来も現在も、将来にわたっても核を持たない、そういう国であるという事実を御確認ください。それに立脚して、周りに脅威となり得ることがあり得る、歴史の将来の流れの中で、その中でアメリカと共同歩調をとれるところはとるということが日本の自立そのものではないのでしょうか。

桑原委員 私は、やはりこの問題についてももう少し国内のさまざまな意見を聞き、自分の国の置かれている立場、真正面に中国、そして北朝鮮との国交回復、そういったことなどをどうこれから友好関係的に打開をしていくかというような大変重要な、アメリカとある意味では違う位置に日本がいるというこの位置づけを考えて、こうした問題についても、日本の立場というものをしっかりわきまえて発言をしていくというのが大事ではないかというふうに思うのです。

 そういう意味では、どうも一発目のこの会談、この問題に、私はこれは大変重要な問題だと思うのですよ、そして、それぞれの地域も、それぞれの地域の特殊性を踏まえて、各国とも非常に慎重な言い回しで発言をしているわけですから、ぜひそういった意味での自立性を今後とも大臣に発揮されることを望みたいというふうに私は思います。

 それでは、次の課題に移ります。

 北朝鮮との関係なんですけれども、朝鮮半島情勢ですね、今回の会談でこれが何か話題になったのでしょうか、大臣。

田中国務大臣 先ほどのことにちょっとお返事しなけりゃいけないと思いますが、先ほど言ったことをもう一回繰り返させていただきますが、アメリカ追随が、何でもアメリカの言うことを聞くことが自立ではないのです。日本の現在置かれている立場、そして憲法の範囲内においてアメリカと協調できること、それについてははっきりと申し上げること、これが日本の独自性でございますし、自立であります。そうした発言をしてまいりましたことをしっかりと御確認いただきたいと思います。核を持ちたいと思う政党があるかどうかは知りませんけれども、少なくとも私どもはそうではないということをはっきり申し上げます。

 それから、質問について、朝鮮半島情勢に関するお尋ねですけれども、これについては、不確実性、不透明性というものが少なくともこの地域、日本を囲む地域の中の国際情勢一般にはあるという発言はいたしましたけれども、具体的な議論はいたしておりません。時間もありませんでしたので、限られた時間内で通訳を入れて、先方がお話をなさり、通訳をし、こちらがお話をし、通訳をしという中で、先ほど言ったような触れ方はいたしましたけれども、具体的な議論は行われておりません。

桑原委員 朝鮮半島、特に北朝鮮との問題というのは、日本の平和と安定にとってはかなめの問題の一つですね。私はやはり、アメリカは、この月の初めに政策の見直しを行って、そして北朝鮮との協議を再開していこう、こういうことになりました、それは大変喜ばしいんですけれども、政策の見直しそのものが三つあるわけですね。いわゆるジュネーブ合意の履行状況というようなものの改善とか、あるいはミサイルの開発、輸出の規制であるとか、北朝鮮の通常兵力の脅威の削減に関する問題とか、どれもこれも大変に大きな問題です。北朝鮮にとっては、この三つが一括してまず課題になっているんです。これがクリアできなければ進展しないということであれば、なかなか、この高いハードルを越えて順調に米朝協議が再開をされるというようなことは非常に難しいというふうに私は見ておるんですよ。

 そういう意味で、日本の立場から、やはりアメリカへせっかく行けたわけですから、アメリカに対してこれらの問題について、もっとアメリカが柔軟に、ある意味では、段階を追って、一つ一つの課題についてもさらに段階を追って、一つ一つの物事を解決していくような立場でぜひ北朝鮮と話し合ってほしい、それが南北関係の進展にもつながるし、日朝の国交の回復にもいい方向性を出してくるんだということをぜひ私は大臣の口からおっしゃっていただきたかったんです。それがやはり日本の外交の自立性というものではないかな、私はそういうふうに思うんですけれども、そういう点で、一番、ある意味では日本の平和と安定にとって非常に緊要な問題について発言がなかったというのは残念であると思いますね。

田中国務大臣 時間の範囲の中で北朝鮮について個別具体的にそれだけの話をしなかった、する時間はなかったと申し上げておりますが、日米韓の緊密な粘り強い交渉、そのことによって朝鮮半島に平和をもたらすためにはどのようにすればいいかということについては、もちろん話をいたしております。

桑原委員 アメリカの協議再開についてのこういった状況についてはどう見ておられますか。

田中国務大臣 アメリカの北朝鮮政策の見直しにつきましては、我が国及び韓国との意見交換を踏まえて行われたものであるんです、そのもの自体が。事前に日本と韓国と意見交換をしっかりして、それを踏まえてアメリカが今回政策の見直しをしておりますから、ですから、韓国もこれを評価し、我が国もそれを支持いたしております。

桑原委員 私が当初に申し上げた、少しハードルが高過ぎて、なかなかこういう状態では北朝鮮との話し合いがスムーズにいかないのではないかというような、そういう危惧はお持ちではありませんか。(田中国務大臣「はいっ……」と呼ぶ)

 いや、だから、アメリカが北朝鮮政策の見直しをして、三つ出しましたね。これはやはり非常に大きな問題ばかりで、これを一括議題にするということについて、なかなかそれを議題にして北朝鮮との協議を開始していくというのは非常に難しい面があるのではないか、私はそう思うんですけれども、その点はどうかということです。

田中国務大臣 その目的を達成するためにみんなで努力をいたします。それが外交でございます。

桑原委員 どうも、何か紋切り型の返事では、大臣がこういった問題について、自分でどうそしゃくして、どう考えているというのか、そういうことが伝わってきませんね。何か非常に紋切り型で、話が私はかみ合わないような気がするんですけれども、そういう状況ではいたし方ありませんね。

 それでは、最後になりますが、外務大臣、いろいろと大臣の発言がいろいろな議論をこれまで呼んできたわけですけれども、ASEMを初め中国の外相との会談などの会議録の問題なんですけれども、我々委員会、理事会は、大変重要な問題だ、大臣の発言の該当部分だけでもいいから理事会の秘密会で公開してほしい、こういうことを二度にわたってお願いをしてきたわけですけれども、残念ながら、それが拒否をされました。そこで、私たちは、非常に残念であると同時に、我々は秘密会に限定をして、発言の該当部分だけだということに限定をしてやってきたのに、そのことについてもこたえられなかったということは、大変、ある意味では委員会、国会の権威を傷つけられたような、そういう思いを持っておるわけですけれども。

 そこで大臣、各国の外相との会談の会議録というのは、大臣自身はごらんになったんですか。あるいは、中身を、原本といいますか、それは確認されたんですか。

田中国務大臣 いたしておりますけれども、マスコミが正確に伝えている、いないというふうなことを今申し上げるよりも、完全な、細かい速記録というものはございません。ですけれども、要旨を取りまとめたというものはもちろんございます。

桑原委員 それは、その要旨をつくるという決裁のときに見られたのか、それとも、決裁は別個に、大臣が一々されずに、それが終わった後見られた、そういうことですか。どっちなんですか。

田中国務大臣 どの会談をおっしゃっておられますか。

桑原委員 四つともです。オーストラリアの外相、それからイタリアの外相、それにドイツですね。それと、中国の外相とは電話会談。この四つです。

田中国務大臣 取りまとめられた後にも見てない――取りまとめて直後に私が全部を見たとは申し上げられませんけれども、いずれにいたしましても、トータルで、この今おっしゃった四つにつきまして、特にオーストラリアとドイツ、それからイタリアでしたか、これにつきましては、あのような、私が訪米する前の段階の委員会で再三再四申し上げていますように、先方の外務大臣からの発言もございまして、それでもうすべて確認がされておりますので、それをまた蒸し返して、それを云々というふうなことのために、蒸し返しのためにわざわざそれを提出するということは差し控えさせていただきます。

桑原委員 提出の問題は今はさておき、大臣はその会議録なるものをいずれかの段階でごらんになっておるわけですね、見たということですね。

 それで、大臣は原本なるものを見ておられるわけですから、マスコミを通じて流布されている内容と、大臣が確認をされた要録ですか、何かそういうものと非常に違っているということなんですか。これは全然違っているということですか、大臣の発言部分について。そういうふうに事実を見られておられるんですか。

田中国務大臣 これらにつきましては、発表後に見ましたけれども、違っている部分もございましたし、そうでないところもあります。ですから、それにつきまして、一々今コメントはいたしません。

桑原委員 そこをコメントしてもらわないと話にならぬのですね。大臣は、では、原文を見られたときに、原文というか、原本でありますね、それを見られたときに、特段その内容に異議はなかったわけですね。自分が会談で発言をしたようなことがそのまま記録をされているというふうに感じられたわけですよね。

田中国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、オーストラリアを初めイタリアもドイツも、中身が違っていることについてはしっかりと責任ある立場の方たちが意見を表明されているわけでございますから、それをもって理解をしていただきたいというふうに思います。

桑原委員 私はそんなことを言っているじゃなしに、大臣は会議録の原文を見ておられるわけですから、それを見た段階では、御自分のおっしゃられた発言も含めてそう異議はなかったわけですね、その議事録に。どうなんですか。そこではやおかしいと思ったんですか。それとも、そこでは別に問題はないというふうに考えられたんですか。

田中国務大臣 何のために民主党さんが今そういうふうな質問をなさっているか理解いたしかねますけれども、いずれにしましても、話をしていた相手の外務大臣が違うということをおっしゃっておられるということの重みをしっかりと認識していただきたいと思います。貴重な時間でございます。

桑原委員 貴重な時間ですから、もうちょっとしっかり答えていただきたいと思います。(田中国務大臣「答えてます」と呼ぶ)

 そんな、あなたが見られたんでしょう、自分で原文を。見られた原文に異議があったのか、なかったのか。その時点でおかしかったとすれば、外務省の中であなたの言うことをしっかりと記録をしなかったというところに問題があるわけです。あなたがその議事録を見られて正しかったとしたら、それが流布されて流れた段階でおかしくなったのかというふうになるわけだし、そこら辺大事なところなんですよ。最初に見られたとき、問題がなかったのかどうかということですよ。

田中国務大臣 公に公表された結果を見て、いいですか、公に公表された結果を見て、豪州、イタリアそれからドイツの外務大臣が、その結果発表は実態とは違っているということをおっしゃっていることの重みをもって理解をしていただきたいと思います。

桑原委員 私は、これ以上ちょっと議論を進められません。大臣がその議事録を見たときに、それでいいと思ったのかどうかと聞いているんですよ。公とかどうのこうの、ほかの国がどうのこうの、そんなことはどうでもいいんです、私は。大臣が議事録を見られたときに、これでいいと思ったのかどうかということを聞いているんですよ。そうでしょう、そこから始まるんですよ、話が。

田中国務大臣 外国の外務大臣が、複数の国の方々が御自分たちの方から気づかれて、日本の報道結果を見て間違っているというふうな発言をなさっていることを、どうでもいいというような発言をなさるということは問題だと私は思いますが。

桑原委員 私が聞いていることでないから、そういうことを聞いているんでないということで、どうでもいいと言っているんですよ。ほかの大臣がどう言ったとか、そんなことをだれも聞いていないんですよ。大臣が外務省がまとめた議事録をごらんになったときに、その議事録そのものが、もう既に自分の言ったこととかやりとりがおかしくなっているというふうに思ったのか、それとも、その時点では別に問題ないというふうに思われたのかどうかということを聞いているんです。それに答えてくださいよ。委員長、それに答えてくれないと、これ先に進められないですね。

田中国務大臣 個別の問題について、お答えは差し控えさせていただきます。

桑原委員 個別でなくていいんです。全体でどうだったか。全体でどうだったのか、それでいいです。

田中国務大臣 そんな大ざっぱな話ではありませんで、それぞれ一国を代表している外務大臣及びそのスタッフとお話をしているわけですから、極めて重要なんですね、個別が。その結果として出てきているものが、それぞれの現場にいた責任ある立場の外務大臣が事実と違っていると言って指摘なさっているわけですから、それをもってお答えにならないんでしょうか。

桑原委員 委員長、これね、全然だめです。

土肥委員長 ちょっと理事間で協議したいと思います。集まってください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

土肥委員長 速記を起こしてください。

 再開します。外務大臣。

田中国務大臣 お答えいたします。

 公表前に事前に決裁はいたしておりません、私は。ですけれども、記録は見ております。見ておりますが、事実と違っているというところは気がつきました。それも、ただ個別に、ここ、ここと言うことは差し控えます。

桑原委員 その時点で、大臣は指摘をされたんですか、外務省に対して、事務方に対して。

田中国務大臣 ですから、決裁以前のものが要するに公表されたということです。ですから、中身が違っていたところにつきましては、私はもちろん事務当局に言っております。

桑原委員 そうしますと、結局、出されたものは本物のものが出されたわけですね。公表されたと言われるものは、決裁をされた本物だということになるわけですね。(発言する者あり)そうなるんですか。(田中国務大臣「もう一回」と呼ぶ)

 いや、だから、大臣が見られたときには、自分の思いと違うものが一部にあった、その文書の中に、会議録の中に。しかし、それは既にもう公表されていたということなんですが……(発言する者あり)そういうことですか。決裁前のものが公表されていたということですか。(田中国務大臣「そう」と呼ぶ)決裁前。大臣は決裁はしなかったんですね。大臣は、決裁した後で見られたんですか。(発言する者あり)

土肥委員長 ちょっと待ってください。ちょっと、厳密にしてください。

桑原委員 大臣は、決裁をされた後で見た、そして、その見た……(田中国務大臣「違う」と呼ぶ)違うんですか。ちょっと、では……(田中国務大臣「もう一回どうぞ、質問」と呼ぶ)どういう意味ですか、違うというのは。(田中国務大臣「もうさっき答えましたから、私。どうぞ」と呼び、その他発言する者あり)わかっている。(発言する者あり)

 だから、決裁をされた後でその文書を見られたということですね。そして、見たときに、大臣、その中身については、自分が、事実でないというところがあった、こういうふうに思われたということですか。もう一遍ちょっと私、確認させていただきたいと思います。

田中国務大臣 事前には決裁していない。(桑原委員「決裁していないんですか」と呼ぶ)していない。で、報道を見て、事実と違っていたと申し上げているんです。そこのところを外国の方も確認して、事実と違っていたということの指摘が外国からあったと申し上げているんです。

桑原委員 大臣決裁前のものが流布された、こういうことですか。

 そうすると、大臣は、見られたときは、決裁をするという段階で見られたのですか。大臣決裁なんですか、これは。ちょっとそれを教えてください。

田中国務大臣 ですから、報道されたものを見まして、事実と違っていたので、違っていた部分があったので、私は驚いたわけでございます。そしてそれが、外国の外務大臣たちも、事実と違っているので、あのような反応をしてくださったということでございます。

桑原委員 それはわかったのですが、大臣がその原文を見られた段階というのは、報道があった後見られたのですか、報道があった後見られたのですね。

 そうすると、その大臣が見られた文書というのは、見られた時点で決裁前の文書であった、そういうことですか。(発言する者あり)ちょっと黙って。決裁の必要はないのですか。どうなんですか、ちょっと。

田中国務大臣 わかりやすく、平明に申しますと、要するに、報道されたものを見て、事実と違っていたので、私は事務方を呼んで、何でこういうことになったのかと申しました。どういう経緯でそういうものが流出したのか、報道されたのか、私は存じません。

桑原委員 そうすると、私が聞きたいのは、流出したものと大臣が見られたものとは一緒なものなんですか、同じものなんですか。それはどうなんですか。

 流出して報道されたものを見てびっくりしたとおっしゃられたわけですけれども、その後大臣が見たものと報道されたものは同じものだったんですか、どうなんですか。

田中国務大臣 例えば、報道されたもの、具体例で申しますと、ドイツのケースなんかですけれども、あれは完全に、記録されているものと東京新聞の、あれは何日でしたか、会話か何かが載っているのは。六月八日でしたか、六月八日ですね。あのさも会話のように載っている記事と、それから記録した、記録者、通訳から私が見た、副大臣も一緒に見たものとは、全然例えば違っております。

桑原委員 違っていたわけですか。(田中国務大臣「違っています」と呼ぶ)大臣が見たものというのが、それが全然違っていたわけですね。大臣が見たものと報道されたものが全然違っていたわけですね。(田中国務大臣「そうです」と呼ぶ)

 大臣が見たものの中でもやはり自分が言ったことと違うようなことが書かれていたわけですか。さっきちょっとおっしゃられましたけれども、そういうことですね。大臣がごらんになったものは、原文といえば原文になるんだろうと思うのですが、それもやはり自分が事実として違うなという部分がその中にもあったわけですね、さっきおっしゃられましたけれども。

 そうすると、自分が見た原文なるものも違っているし、出されたものも違っている、そういうことですね。

田中国務大臣 全部がじゃありませんよ。全部のことを、まとめて全部違うとごみ箱へぽいというのじゃないんですよ。報道ぶりを見て、全然事実と違っているというものがかなり、大事な部分に関して違っていたというものもございます。

 ですから、私は、それを事務方に、何でこういうことになったんですかということは申しております。

桑原委員 ちょっと時間がもう過ぎましたので私はこれで終わりますけれども、やはりそこら辺の事実関係というものは少しきちっと解明をしていかないと、どこでどういうふうに捏造されたのか、改ざんされたのか、その責任が果たしてどこにあるのか、外務省内にあるのか、外務省外にあるのか、そこら辺、どうもまだまだ解明不足なので、私はこれで議論を終わりますけれども、引き続きこれはやっていかないと真相はわからないと思うのですね。

 それでは、これで終わります。

土肥委員長 次に、細野豪志君。

細野委員 おはようございます。民主党の細野豪志でございます。

 私がやる前はいつも何か雰囲気が悪くなってスタートしにくいのですけれども、元気よくやっていきたいと思います。

 まず初めに、外交の成果ですけれども、先ほどの桑原委員の質問に対しまして田中外務大臣は、肩の力を抜いて、胸襟を開いて話してきたというようなことをおっしゃいました。私は、リラックスしてやっていただくのは非常に結構だと思うのですけれども、ASEMのようにいろいろな国が集まるときと違って、やはり二国間の会議というのは極めて国益のせめぎ合いになるのだろう。そういう意味では、ASEMとはまた違った形での成果が今回の外相会談を中心とした訪米では求められたというふうに私は思っております。

 きょうも外務省の官僚の方々が来られていまして、この外務委員会の場面では田中外務大臣が官僚の方に対してがつんと言っている姿を何度も見てきたのですけれども、今国民が見ているのは、それがきちっと外に対しても、がつんという表現はちょっと語弊がありますが、きちっと国益に基づいて発言をして、実際に成果が得られたかどうか、そこだと思うのですね。

 そういう観点から、今回の外交をどういうふうに総括されますでしょうか。

田中国務大臣 リラックスと申しましても、何も砕けた格好で行こうとかそういうことじゃございませんで、むしろ頭を柔軟にして、いかようにも対応して国益を守る、そして先方の意見を聞きながら、将来に対する見通しを立てて、対策も立てられるように、お互いに協力をしながらよい方向に持っていくためという意味ではリラックスでございます。

細野委員 国益に基づいてという御発言がございましたので、そういう観点から私はきょう質問を続けさせていただきたいと思います。

 まず、ミサイル防衛に関しまして若干補足の質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほど桑原委員の方からもいろいろ議論がありましたけれども、やはり現実認識として、政権がかわったことによってミサイル防衛というシステム自体が変化したということは押さえるべきだと私は思います。

 つまり、何が言いたいかといいますと、結局、NMDとTMDというものは、二つは区分されなくなった、一体のものになった。その中のTMDの部分に関して日本が何らかの資金的な協力もしている、これもまた事実なわけですね。加えて、これは前提ですけれども、そういうMD構想に対して欧州も含めた諸外国から懸念が表明されているということもきちっと踏まえる必要があると私は思います。

 もう一つ私から申し上げたいのは、やはり我々の税金を使って投入することに関する説明責任の問題をぜひ外務大臣にもう一度確認したいと思うのです。

 というのは、理解するというのをはるかに超えて、これはお金を出している話ですので、お金を出す国民に対しても、そして懸念を表明している国際社会に対しても、果たしてアメリカの言っているミサイル防衛構想というのはどういうものなのか、それを聞きに行っていただいたのが今回の会談だったと私は思うのです。具体的にパウエル国務長官の方からこのミサイル防衛の構想が実現する可能性がどれぐらいあるかという形の発言があったのか、またそれに向けてお金は幾らかかるという話なのか、具体的に日本が今協力をしている開発研究の部分、この期間をどれぐらいに想定しているのか、その辺について具体的などの程度の詰めたお話をされて、具体的にここで説明していただけるのでしょうか。

田中国務大臣 まさしく今おっしゃったようなことは、論理立ては違いますけれども、理論の組み立て方は違いますけれども、もちろん私も最大の関心事はそこにございましたので、そのお話もいたしました。一九九九年から始まって、今回は三十七億強、三十七億近いお金も拠出しているということも数字を挙げて申し上げました。

 ただ、このことについて一番基本なことは、私は科学技術庁の仕事もやったのでよくわかるのですけれども、科学技術の進展とか研究というものにはお金もかかるのですね。しかしそれは、やっていくことによって、途中から派生的に、本来の目的を達するためにやっている途中で、民生に役立つようなよい研究結果が得られるということもあるわけですね。それがまたよい果実となって出てくることもあります。この発言もいたしました。

 したがって、こういうことを研究を進めるということは何らマイナスになることではありませんので、ですから、そういうふうな発言もいたしましたし、パウエル長官も、そういうことも踏まえてするという発言はなさっておられましたよ。

細野委員 田中外務大臣がそういう発言をされたのはわかりました。

 例えば、実際にそのミサイル防衛の仕組みというのができるかどうかの可能性、それについては当然言及されたと思うんですが、パウエル長官からの回答というのはどういうものだったのか、できるだけ具体的にお答えいただきたいと思います。

田中国務大臣 ですから、それは具体的に、今自分たちがプロセスとしてやっている、何日で、幾らでというふうなちゃんと計算が出るというものではないけれども、そういう結果を、いい結果を得る方向に向けて努力をするというお答えでした。

細野委員 日本の場合は、日米の関係の中で、いろいろな負担を今までもしてきております。思いやり予算もそうですし、海兵隊の訓練の問題も、お金ではありませんけれども、大きな負担であることは間違いないと思うんですね。

 私は、田中眞紀子外務大臣が先ほど言われたように、何でもかんでもノーと言うのが国益だとは思っておりません。ただ、少なくともこちらが負担をするときは、それはきちっとアメリカに説明を求めて、そして、例えばこの構想でいうならば、実現可能性のないようなものに投資するようなことはあり得ないわけですよね。

 そういう観点からごらんになって、そのパウエル国務長官の回答に対して、これはいけるというふうに、外務大臣は責任を持って、国民の皆さんの税金を使う価値があるというふうにお考えでしょうか。

田中国務大臣 基本にありますのは、先ほどの委員の方にも申し上げたことですけれども、日本の憲法の範囲内で、日本は、どのように自国を守り、他国と協調していかなければならないかということを常に考えなきゃならないんですね。

 そうしますと、ヨーロッパ、今現在のヨーロッパと日本とは立場が違うということはおわかりになりますよね。おわかりですよね。すなわち、日本の周りには不透明性とか不確実性もあります。そして、欧州も、今はああいうふうに言っておられる国もあるけれども、全部がそう言っているわけじゃないんです。すなわち、冷戦構造が崩壊した後、まだ、今後将来にわたって危険性が何もこの地球上にすべてなくなってしまったんだ、ユートピアになるというような保証はどこにもありません。

 したがって、前の、理屈は変わりますけれども、日本の憲法やら日本の立場、核を持たないという中において、あらゆる脅威を想定して、そのときに日本がどのようにして日米同盟の中でもって協力をし、お互いに繁栄する社会を、いい社会をつくっていくかということを考えれば、こういう出費とか研究というものも御理解いただけるというふうに思います。

細野委員 話を伺っておりまして、一定の対話はしてこられたというところは納得ができます。

 ただ、中身について、日本側が理解するという意思が伝わった部分はこれを認めますけれども、きちっとそれを国民に対して説明するだけの情報を果たして外務大臣自身が得られてきたのかというところを、きょうのお話を聞いて、私は若干疑問に思います。少なくとも、これからも継続をされるわけですから、きちっと、こういうお金を出す部分、国際社会に対して責任を果たさなければならない部分に関して、話を聞き出す実務的なプロセスというのを確実に踏んでいただきたいというふうに思います。

 一点だけ、ミサイル防衛に関してお伺いしたいのは、民生利用の話なんですが、田中外務大臣が国務長官との会談の中でも言及をされたというような報道がございました。先ほどもそのお話がありました。よろしいですね。技術の民生利用の話。これは、私は率直にお伺いしたいんですが、日米でこの共同研究をして、その成果というのはきちっと日本に帰属するような形のシステムになっているんでしょうか。

田中国務大臣 システムというような言葉が今はまるほど、コンクリートに物事ができ上がっているとは思いませんけれども、ですから、これからそういうことも含めてお互いに協力をしていこうという段階でございます。

細野委員 システムという言葉が悪いんであれば言いかえますが、少なくとも、日本側にその技術の恩恵がいくような形になっていないにもかかわらず民生利用について言及されたとしたら、それは相当お門違いのことだと思うんですよ。その確認をしっかりしてからこういう発言はされるべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。

田中国務大臣 日本にだけではなくて、まさしく世界の中でお互いにみんなが仲よく平和に生きていけるように、日本も十分なパートナーとしての役割分担をするという観点からいきまして、民生利用というのは、日本のためだけに、日本がお金を使ったから自分だけというような小さな了見ではなくて、世界に役立つような民生利用というような観点があってもよろしいんではないでしょうか。

細野委員 私が懸念しますのは、ミサイル防衛というのは一つのシステムになったわけです。日本がどんなに日本のTMDだ、BMDだと言ったところで、それはミサイル防衛全体の中でのお金になるわけですよ。民生利用と言われるが、ではそれがどういう成果として使われるかということに関して、日本がどの程度の発言権を持っていて、具体的に利益を享受できるのか、ここが私は国益だと思いますよ。その議論をなしに理解をしますなんというのは、これは議論として全然成立しない話で、もう少しそこを厳密に詰めて議論をしていただかないと話にならないと私は思います。

田中国務大臣 やってごらんになればわかりますが、四十五分ぐらいの中で、京都議定書の問題ですとかミサイル防衛でございますとか沖縄の問題、いつも皆様が大変熱心におっしゃっておられる問題、これらを、通訳を入れて先方が話され、今のこの時間と同じですよ、時計を見ておられますけれども、通訳を入れてこちらがお返事をし、こちらがお話をし、通訳を入れて向こうが話されてという中で、そんなに自分のことだけ、それは紙だけ読んでくれば済むんだったらそれでよろしいですけれども、やってごらんになったらわかります。

 ただ、もちろん日本も税金を投入しておりますので、日本も含めた世界に役立つような民生であることは、一々言うまでもありません。

細野委員 時間が限られていることはよくわかります。そして、この議題が必ずしもメーンのテーマでなかった部分もあるのかもしれません。したがいまして、メーンであれば、もう少し私は踏まえて発言していただきたかったと思いますよ。だから、この質問はちょっとおきます。

 ただ、少なくとも今は研究の段階にあり、次は開発という話になるわけですね。開発という話になれば、具体的にそれはもう軍備に限定されるということになります。その段階段階で日本がどの程度この計画に参画するのかということをきちっと検討していただきたい。だらだらだらだらと結論を先延ばしするようなことは少なくとも避けていただきたいということだけ、この部分に関しては申し上げて、終わりにしたいと思います。

 次に、京都議定書について質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、この議定書の、アメリカが拒絶したという問題なんですが、出発される前の金曜日に、民主党の菅直人幹事長の方からも外務委員会で質問をさせていただきました。これは、今アメリカとヨーロッパが非常に大きく対立しているテーマです。日本がどう出るんだろうと極めて世界が注目しているわけですね。

 そういう中で、田中外務大臣は菅直人委員の方に対しまして、日本の影響力を今世界じゅうが見ているという発言をされています。米国に追従するのではなくて、アメリカを巻き込むことが今一番肝要なんだということもおっしゃっているんですね。実際にそういうお気持ちで交渉に挑まれて、成果はいかがだったでしょうか。

田中国務大臣 成果成果とせっかちにおっしゃいますけれども、事実関係を、どういうような話し合いであったかということを申し上げたいと思います。

 十八日の外相会談ですけれども、パウエルさんとの会議におきまして、私からは、アメリカの京都議定書に対する立場には私は共感はしませんということを申し上げてあるんです。お聞きでしょうか。共感は私はしていませんということをよく申し上げてありますので、そちら様の党の代表にもよくおっしゃっていただきたいと思います。

 それで、できるだけ、あれだけ大きな、三六・八%でしたか、大きな排出量を持っているアメリカというものが、国際社会でこうした、グローバルイシューといいますか、そういう問題に取り組んでいただくようになってほしいと思いますと申し上げました。

 しかし、その前の段階ですよね、ヨーロッパに、大統領、それからパウエルさんも行かれて、ヨーロッパからいろいろな意見を言われている。そういう報道があって、それは先週だったわけですね、ヨーロッパにいらっしゃったのは。そして、土曜日の夜に帰ってこられたわけです、アメリカに。そして、日曜日が一日お休みがあって、そして月曜日の朝一番でお会いしていますから、パウエルさんや大統領の頭の中に何があるかというと、前の週ヨーロッパから言われてきたことが頭にあるわけで、その段階の朝お目にかかっていますから、アメリカの中で議論はまだ始められていませんよね、時間的にどう考えましても。

 そこで、私が、日本の立場として、今ヨーロッパで、あるいはその前にアメリカがおっしゃった、京都議定書すなわちこの地球温暖化対策に対するアメリカの立場というものには共感はできませんよとはっきり言っております。まずそれを御確認ください。

 そして、ただし、アメリカが自国の経済成長のことを考えておられるというのは、もうはっきり言われていますし、報道もされておりますね、それもおわかりだと思います。したがって、アメリカの経済成長を滞らせることなく、これは私の発言ですけれども、CO2の削減をアメリカが達成するためにはどのような具体的な方法があるのですか、何を考えておっしゃっているのかとパウエル長官に私ははっきり言っています。

 例えば、私が思うに、それは地球環境に非常にいいと言われている原子力利用。例えばですよ、原子力はいろいろ問題があると言われていますが、問題がないように今運用されているのですよ。ところが、一番のアドバンテージは、極めていいところは、地球環境に優しいというところなんです。そうなんですよ、よく勉強なさってみてください。ですから、例えば原子力利用を考えているのか、さもなければ、例えばソーラーですね、太陽のエネルギーとか熱とか、あるいは廃熱ですとか地熱ですとか風力発電とか、日本でも随分利用されていますけれども、そういうような環境に優しいエコロジカルなエネルギーを考えてCO2を減らすとおっしゃっているのですか、さもなければ、省エネ家電なんかの開発も考えているのですかと。

 これは私の想像ですけれども、そういうことを考えながら、アメリカの経済を維持しながら、この京都議定書を批准しないというだけの裏づけがあるのですかと。それは、では、この次の、次までも申し上げます、次に今度、来月の十八日にドイツのボンでCOP6の会議があります、アメリカは代表を送られますねと言ったら、送ると言っています、では、それまでの間に、アメリカは、こういうことについて、今私が言ったことについてお答えが間に合いますかとまで、私はそこまで申し上げています。

細野委員 ヨーロッパから帰ってきて、方針の検討もしていない段階で、確かに日本の外務大臣が行かれた。私考えるのですよ。そこに何も新しい材料を持ち込まず、とにかく私は理解はしますが共感をいたしませんということだけでは、それは当然前向きな答弁を引き出せるわけないと私は思うのですね。

 だから、そういう具体的な何か、今回は初めからわかっていたことではあるのですけれども、何かこちらから提案をされたのでしょうか。そういうことなしに、単に向こうの見解をお聞きになったということでしょうか。

田中国務大臣 ですから、私は、一カ月しかないボンまでの間に、アメリカが、議会やら技術的なことや、それから経済成長のことも考えながら、おできになるのでしょうかと疑問を呈したわけです。そして、アメリカは、これから、それについても、申し上げましたように月曜日の朝お会いしたわけですからね、ヨーロッパから帰ってこられて、一日日曜日があって、その朝に会ってくださったわけだから、その後何らかの手を打たれているか会議をなさっているかは存じませんけれども、そういう疑問を私は呈しました。

 そして、最後に、二〇〇二年に向けて日本は議定書を発効する方向で考えておりますということを私は申しました。ただし、これについては、これはよく聞いてください、これについては、日本の小泉内閣トータルとして、通産大臣や環境庁長官や、もちろん総理大臣、それから、連立でございますので、連立の党の皆様とも意見を聞いて決めなければいけないということはしっかりと申し上げてあります。

細野委員 私は、今回、田中外務大臣にこの部分で非常に大きな期待を寄せていました。というのは、四月五日に、大臣になられる前にワシントン・ポストに意見広告も出されています。これは、おもしろいのは、アメリカの国民に対して呼びかけているのですよ、政府にぜひ働きかけてくださいとおっしゃったわけですね。それは議員個人として田中外務大臣がされたわけですよ。今度は外務省の、外交の最大の責任者として、向こうの外交の最大の責任者に対してアプローチできるのですよ。何で個人でできたことを、きちっとその熱意を持ってできないのか。

 さらに言うならば、経済成長を優先させるから批准ができないんだなんという話は、これは一国のエゴですよ。それを何とか実現するためにどういう方法がありますかということじゃなくて、それはアメリカはおかしいでしょうと言ってくるのが自立外交であって、国益というのを世界的に当然生かしていくことにつながると私は思います。

 経済成長を理解する、それを優先するという発言に対して田中外務大臣が理解を示したということに関しては、私はもう大きな声で抗議したいと思います。

田中国務大臣 あんなにお話をしたのに、もう一回、では、一から時間がかかりますけれども申し上げましょうか。

 理解を示したなんて申しておりません。アメリカ側が、ライスさんも言っています、初めライスさんにお会いしたのですけれども、それから後でパウエルさんだったのですけれども、アメリカの経済成長というものを損なうことはできないと、アメリカはアメリカのことを言っているわけですよ。それは向こうですから当たり前です、国が違うのですから。こちらはこちらとして主張をしたということを申し上げているのです。

 すなわち、では、あなた方は、アメリカは、日本のこの京都議定書というものについて、これを自分たちは、致命的な欠陥があるという言い方をブッシュ大統領もなさったようですね、ヨーロッパでしたか、アメリカの議会か知りませんけれども。そういう発言をなさっていることは、私は極めて残念だと申し上げておるのです。大変立派だなんて言っていないのですよ。

 ですから、余り簡単に、右か左かと短絡的に決めて、右ならだめ、左なら左もだめというような質問はしないで、もう少し建設的に、静かなお心で聞いていただきたい。思い込みがない方がいいですよ。

 すなわち、もう一回申しますと、それをはっきりおっしゃるのであれば、COP6に代表も送るのであれば、アメリカにとってこれから丸一カ月しかない、その間で、ではどういう方法があるのですかという論理の、理論の展開を私はしたと申し上げているのです。そして、あるならば、私が想像するに、それは原子力の利用なんでしょうか、CO2の削減をどうやってなさるのですか、要するに、省エネ家電を開発するのですか、ソーラーやら風やら地熱やらを使うつもりなんですか、それにしても一カ月の間に準備がおできになるのですか、私たちはあなた方が京都議定書に入ることを求めているのですよと。

 ですけれども、それはアメリカの問題ですから、それは私は言っているのですよ、さっき、初めに言ったじゃないですか、それで、私たちは、二〇〇二年に向けて、私たちの国としての立場は決めなきゃならないのですということもはっきりメッセージとして申し上げていますし、日本のその立場について、アメリカが、いやそうしないでくれなんということも言いませんでした。それがお互いに自立した大人の外交だということを申し上げております。

細野委員 それでは、ちょっと建設的な話をしたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。(発言する者あり)いや、前向きな、私もこの点に関してはちょっと強調しておきますけれども、やはり日本がもう少し明確なメッセージを発するべきだったと思いますよ。その思いが伝わったかどうか、今の田中外務大臣の説明では私は納得はできません。そのことだけ申し上げておきたいと思います。

 加えて、これから、やはり国内でこの検討が必要になるわけです。先週の党首討論でも、小泉純一郎総理大臣は、平沼経済産業大臣は職業的な発言をしている、田中眞紀子外務大臣は外務大臣になられる前に意見広告まで出されている、閣内不一致があってもいいじゃないか、最終的に一致すれば、これは閣内としては一致しているのだという話をされましたね。

 私は、この閣内での議論で頑張れるのは田中眞紀子外務大臣だと思うのですよ。拍手してくださいましたけれども、やはり議員の、前に熱意を持って取り組まれてきたテーマ。七月にはボンでもある、その先も二〇〇二年という期限があります。批准へ向けて田中眞紀子外務大臣がどういう意欲で挑まれるのか、その話をお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 ですから、私は、アメリカの京都議定書に対する立場には共感はしない、アメリカがそう言うことは頭ではわかるけれども、共感はしていないと申し上げたのです。それは先ほども申し上げてあります。あなた様にも言っておりますよ。

 ですから、それは、あとは閣内と、連立与党でございますので、私は私の意見を申し上げますし、どのように結論が出るか存じませんけれども、私は私の考え方を述べていきます。

細野委員 抗議文を読みますと、こうした米国の行動により犠牲をこうむるのは開発途上国であり、世界の貧しい人々であり、子供たちであると。この気持ちを田中外務大臣はよくおわかりになっていると思うのですね。

 もう一度伺いますけれども、政府の批准に向けて田中外務大臣は努力されますね。

田中国務大臣 ですから、私は、民主党さんの議員さんと一緒に、このお部屋にはそのときの方はおられませんけれども、その方たちと一緒にそういうような意見広告を出しましたし、その気持ちに違いはありません。したがって、外務大臣としても、アメリカの責任者に対して、私は共感はしないと申し上げているということをもう何度か申し上げています、あなたにも。(細野委員「日本の中で」と呼ぶ)だから、日本の中でも、その方向で、通産大臣のお立場もおありになると思いますし、環境庁長官のお考えもあるでしょうし、連立の中の皆様の、それぞれの党の考えもおありになると思うので、それらの中で、私は私の意見を申し上げるということを先ほど来繰り返し言っております。

細野委員 とにかく、この問題に関しては、田中外務大臣がそういう姿勢で閣議に挑まれるのであれば、我々民主党は全面的にこれはバックアップいたします。ぜひその実現を……(発言する者あり)たまには調子いいことも言わないと景気よくなりませんので。院の中で確実に、与党に御相談される前に、きちっと皆さんで議論されることを望みたいと思います。

 時間もなくなってまいりましたので、少し焦点を絞りながら、あと一点だけ、海兵隊の問題についてお伺いしたいと思います。海兵隊の訓練移転の問題です。多分その話はたっぷりとお二人がされると思いますので、短く一点だけよろしいですか。

 この問題で、パウエル長官が、負担の軽減に向かって何らかの努力をするということをおっしゃったという報道がなされています。この部分に関しても私お伺いしたいのですが、この部分はちょっときょうはおきまして、田中外務大臣からは、訓練の移転の問題に関して、具体的にグアムであるとかフィリピンに移転するということの、場所の限定までされたんでしょうか、具体的にその提案をされたんでしょうか。

田中国務大臣 相手の立場がありますので、ここがいいなんということは私が言えませんけれども、そのことも言いながら、言葉を添えながら、海兵隊の訓練の一部移転ということについて、例えばグアムとかサイパンとかそれからフィリピンについて、例えばグアム、サイパンは、これはアメリカの自治領なんでしょうか、ですから、立場がフィリピンは違うと思いますよということも私ははっきり言っております。

 それぞれの主権ありますし、国民の皆様の気持ちもありますけれども、それらを踏まえて、沖縄に一極集中するということではなくて、その訓練を、約一万七千人沖縄に海兵隊がおりますのでしょうか、そして岩国に三千ぐらいおりますでしょうか、ですから、沖縄の一極集中につきまして、ローテーション、あれは七千人ぐらいからできるということなんでしょうか、私は数字が確かではないけれども、たしか六千ぐらいが一つのコアでもってローテーションできるんではないだろうかということも発言しております。

 先方は、何人かということで、パウエルさん、偉過ぎるせいか、現場を細かくは掌握なさっていないと思いますけれども、よく聞いておられました。

 ですから、相手の国の主権、もう一回言いますが、ここに行きなさいなんということは言っておりませんよ、自分の国ではないのですから。少なくとも、我が日本の沖縄、我が国にあるものの訓練の一部を、訓練のローテーションですよね、それを沖縄だけではなくてほかで、いつも下地委員が言っておられるじゃないですか。ただ、それらの国の立場もありますからと私言っておりますよ、間違いなく。その中で検討していただけないものか、ぜひそれは強くお願いしたいと発言をいたしております。

細野委員 私は、その田中外務大臣の提案に関しては、非常にこれは前向きな、しかも画期的なものだったと思います。具体的にその提案を、しかも場所を、主権に配慮しつつということでありますけれども、例示までして提案をされたその努力に、私は本当に心から感謝の意と、前向きにやっていただきたい、このことをお願いしたいと思うのです。

 ただ、やはり気になりますのが、その具体的な、ではグアム、サイパン、場所は特定しないにしても、基地の移転に対して省内できちっと検討がされているのかどうか。提案された後ということですね。これからやはり具体的にアメリカのリアクションを見て次の段階に行く可能性があるわけですね。そのときの省内での検討の状況、これからの意気込みというのを、これはちょっと北米局長にお話を伺いたいのですが。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今、御質問は、今回外務大臣が日米外相会談で言及いたしました訓練の移転の問題について、今後のフォローアップをどういうふうにしていくのかという御趣旨かと存じますが、これにつきましては、両国の防衛、外務の当局できちんとフォローしていくということにする考えでございます。

細野委員 北米局長、外務大臣が提案されたんですよ。外務省としては当然、その意を受けて、提案をできるだけ具体化するのがあなたの仕事じゃないんですか。初めから調整するなんという話ではなくて、では、外務省としてはどういう意思を持ってやるのか。ではもう一言だけ、外務大臣本人に。(発言する者あり)

土肥委員長 静粛に。

細野委員 では、もう一回お願いします。では、どういう方針で外務省としてやられるのか、北米局長、もう一回お願いします。北米局長にもう一言だけいただいて、大臣、お願いします。

藤崎政府参考人 今御質問のございました海兵隊の訓練の移転につきまして、これは、外務事務当局が、防衛庁とも協議をいたしまして、引き続きアメリカと相談をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

田中国務大臣 局長の声が小さかったら、私の方が大きな声が出ますので申し上げますけれども、これは、沖縄の負担の軽減、一極集中、この点にポイントがあるわけですね。それに絞り込んで、各委員から、衆議院でも参議院でもこういう意見が出ていますので、そういう観点で申し上げたわけでございまして、事務的には、あさってまた、あしたでございますか、防衛庁長官が訪米なさいます。

 ですから、このことについて、これは、私が毎回申し上げているのは、日米の共同が基軸である、このことを堅持するためにも、日米安保ができ上がってからことしで五十年になるわけです、さらに、今後五十年、百年を見据えて、日本がどのような日米関係をよく、よい隣人として、よきパートナーとして構築するために、どうしてもこの沖縄の負担軽減というものは避けて通れないという表現を私はしておりますのです。

 その中で、こちらが、日本から出すプロポーザルとして、今言ったような海兵隊の、一万六千、七千ある中で、訓練の一部をローテーションで、先ほど申し上げたような地域に移転をするということは考えていただきたいと、だから私たちも防衛費も負担しているし、思いやり予算もあるし、先ほどほかの委員もおっしゃいましたけれども、日本も日本の言うことを言わなきゃだめじゃないですか、それをはっきり申し上げたわけですよ。

 それで、結果を申し上げます。お聞きください。

 アメリカは、ああそうかで終わっていないんですよ。こちらの言ったことに対して、この問題についてはラムズフェルド国防長官におろすと言いました。

 ですから、国務長官はお忙しい、私も多忙、しかし、国内でこれだけの声があって、今後いい関係、いい隣人になるためには、五十年後に、今これだけおっこっている、みんなが怒っている、みんなが苦しんでいる問題について、アメリカはできることからやってくださいと私言っているんです。ですから、これを事務的に、日本側からもそれぞれの担当から、例えば企業であれば各部長でしょう、あるいはここであれば防衛施設庁かもしれません、それらから声を出すから、こちらからボールを投げたらキャッチする人を決めてくれ、そう言ったんですよ。

 そうしましたらば、ではそれをすべて国防長官ラムズフェルドに必ず伝えるとおっしゃったんですから、これは極めて前に出たというふうに私は思っておりますが、いかがでしょうか。

細野委員 アメリカもそういう実務段階への検討に入るということですね。外務省も当然、後ろに今いらっしゃいますけれども、実務段階できちっと提案の部分についての検討をするということの意思表示というふうに受け取りたいと思います。

 最後、時間もなくなってまいりましたので、一点だけお伺いをしたいと思います。

 これは答弁は求めませんが、今回の会談の内容を、事前に私もいろいろ調べようと試みました。というのは、質問をしますから。なかなか情報がとれなかった。その一つの原因は、田中眞紀子外務大臣が御自身で記者会見をされて、それがわずか十五分ぐらいであった。記者たちも、なかなか情報が出ていないということをみんな言っているんですね。これと関連してなんです。ここの部分は、いろいろ時間の制約もあったでしょう。ですから、答弁は求めません。

 私が少し御意見を申し上げたいのは、田中外務大臣の担当の弁護士の方から、衆参の六つの委員会に対して出されました取材規制の要望書でございます。

 私は、外務大臣の責任としては、今まで確かに報道をめぐるいろいろな議論はありました、ただそれは、いろいろなところでぼろぼろぼろぼろ流れたから出た話であって、大臣が率直に直接話しかける機会はもっともっと持つべきだと思います。報道に規制をかけるのではなくて、例えば、きょうもたくさん来られていますけれども、私が思うに、これは議会の進行を妨げているとは思いません。むしろ、ワイドショーでもニュースでも、いろいろなところで国会が流れることは、私は前向きにとらえているんです。その辺、お考えはどうなんですか、この報道規制に関して。

 重箱の隅をつつくようで恐縮ですけれども、一部だけちょっと読ませてください。「パパラッチ」という表現をして、そういう報道機関に対する批判が書かれている。「これらは議事の円滑な進行を妨げるのみならず、院をあたかも見せ物小屋化し、ただ面白可笑しい題材を提供する場におとしめ、ひいては院の権威を損なうものです。」私、この文言自体、これが院の権威を汚すものだと思いますよ。この要望書、撤回される気持ちはございますか。

田中国務大臣 二つのポイントがあったと思いますので、よくお聞き届けください。

 よくお聞きいただきたいと思いますけれども、このワシントンでの日米首脳会談後の記者会見につきましては、霞クラブというのが外務省にございますけれども、御案内かと思いますけれども、そこでも、今まで、この私が着任した四月二十六日以降、いろいろな先ほどの委員からのお話があったように、メディアに出ているものと実際が違う違わない、そうしたことをもとにして議論があって、マスコミ側も大変困っておられる、メディア側も。したがって、終わってから記者会見を開いてほしいという要望がメディア側からございました。それは御確認ください。

 今までの大臣は、こちらにはお二方先輩がおられますけれども、多分、こういうことが終わったときにはぶら下がりでちょっとコメントをなさるとか、あるいは、その後事務方が、役所の方たちがペーパーをもとにして説明をしたというふうに聞いております。しかし……(発言する者あり)ケース・バイ・ケースだそうでございます。先輩、ありがとうございます。でございますけれども、この私のケースにつきましては、できるだけ会談が終わった後にじかに私の声を聞きたいというような御要望がマスコミからございました。

 ところが、実際は飛行機の都合があって、なぜかというと、時差があることは申し上げるまでもありませんけれども、ここの時間に間に合わなければいけないという関係と、飛行機が出る時間というのが決まっておりましたので、本当にぶら下がりしかできなくて、ぶら下がりしかできないということを役所の方からメディアに言いましたら、それでは困る、ちゃんと座って我々の質問を聞くような状況、シチュエーションをつくってほしいという申し入れがありました。それを受け入れたんです。

 したがって、私は、外務大臣として、説明責任は十二分に、すべてが限られた時間内で、あんな五十人もいるんですから、その中でもって飛行機の時間も見ながら、それでも、もうぎりぎりです、ぎりぎりですというメモも入りながらも、一問一答にできる限りお答えをしたんです。

 ですから、説明責任は果たしたんであって、ただ役所が適当に読めばいいとか、適当かどうかわかりませんが、今の適当という言葉は削除しますが、ケース・バイ・ケースだそうですけれども、役所がつくったものを読んで書くのでいいというやり方でよろしければ、やはりそれが定着してしまうじゃないですか。そうではなくて、やはり国会議員が自分の肉声で語るということを求められたわけですから、それを私はしたわけでございまして、それが官僚不信とかそんなことでも何でもありません。

 私が自分で、頭の中で記憶にあるものを、できるだけあったかいお料理をちゃんと出すようなものですよ。冷めてから違うものが出るよりも、できるだけあったかいうちに正確なものを自分の責任において説明をさせていただいたと。十分ではなかったかと思いますよ。ですけれども、最低限、最善の努力はいたしました。これが前段です。

 二つ目の問題。これは大事ですから発言いたします。

 二つ目の問題ですけれども、これは、この私が報道を、テレビカメラが入っていることがいけないなんということは言っておりません。ただ、人権を尊重ということを申しておりました。

 なぜかと申しますと、ここだけじゃなくて、この委員会あるいはこれ以外、衆参であります。この後も沖北があったり、いろいろな委員会にも出ています。一日トータルで何時間しゃべったんでしたか、大変な時間、私が一人でお話をさせていただいている。お手洗いとか、この部屋から出たところ、そこでも目の前でああいうカメラで映されて、テレビカメラが振り向いて、けがもしそうになっているんです。一人に対して複数のマスコミが集中するということ。委員会の中でこうしているときは飛び込んできますよ、こうやってじっと、二、四、六人おられるんですから。それを越えた行動が着任以来ずっと続いていることは、けがもしかねない。

 そういう意味で、個人としての人権が守られないのではないかということを顧問弁護士さんから申し上げたんでありまして、前段の、アメリカでやったことと、公務を果たしたことと、ここで個人の人権ということを言ったのとは別問題でございますので、御理解をいただきたいというふうに存じます。

細野委員 報道規制の問題に関しては、確かにいろいろ御苦労があるのはわかります。

 ただ、私、田中外務大臣、気になりますのが、このファクス、外務省の大臣官房総務課の首席事務官の梨田さんという方が発信先になっているんですよ。それで、田中眞紀子外務大臣の個人の弁護士が書かれたものなんですね。個人的な人権ということを言われるんであれば、これは私は明らかに公私混同だと思います。(発言する者あり)いや、つまんない話ではなくて、私は、外務大臣に対しては、やはりとことん公人としての姿勢を貫いていただきたいんです。そういう面から報道の規制もぜひ見ていただきたいと思うんです。

 田中外務大臣の、あなたがいらっしゃることが、確かに主婦の政治への関心を引きつけているわけですよ。これをプラスの面でぜひ考えていただいて、報道規制を考えていただきたい。

 開かれた外交を実現できるのは田中外務大臣であるということを申し上げて、時間が参りましたので……(田中国務大臣「ちょっと待ってください」と呼ぶ)じゃ、一言。

田中国務大臣 報道規制なんて申しておりませんよ。事実、やっておられるじゃないですか。(細野委員「取材規制です。済みません」と呼ぶ)取材も規制していません。皆さん、ちゃんと報道なさっているじゃないですか。報道されていますよ。だから、その報道をもとにして皆さんも質問をなさることもあるんじゃないですか。

 ここに来るということに関係をして、お手洗いですとか廊下ですとか、そういうことを言っております。この部屋だけじゃないんです、私が言っていますのは。ほかの、参議院でも、あらゆるときなんですよ。それがけがもする可能性もあるほど過熱しているので、その部分について、国務大臣という公人ではあっても、個人としての人間の尊厳とか人権を尊重してほしいということを申し入れたわけでございます。

細野委員 時間が参りましたので以上で終わりますが、田中外務大臣には、国民に対して直接話しかけるという姿勢を常に持っていただきたいということだけ最後にお願いさせていただきます。

 以上です。

土肥委員長 次に、土田龍司君。

土田委員 大臣には、アメリカに行かれてお疲れさまでございました。

 今の前の話と少し関連しながら話をしなきゃならないんですが、実は、大臣がきのうアメリカで会見をされた新聞記事が、きのうの朝刊に出ていなかったんです。ちょっと締め切りに間に合わなかったみたいでございまして。

 私は、きょう質問する予定がわかっていましたので、大臣がどういった会見をされたんですかということを外務省に聞きましたら、そういったペーパーは一切外務省はつくっておりませんと言うんですね。ですから、口頭で説明することはできますけれども、ペーパーはありませんという回答だったんです。もちろん、これは夕刊まで待てば手に入るわけでございますけれども、夕刊が出るまでまだ数時間ございましたので。

 この話をたまたま自民党の友人の議員にしましたらば、そんなのはとっくに出ているよ、もう北米課から印刷されて自民党の幹部には回されているよということと同時に、そのコピーをすぐ僕にくれました。

 これは大臣の問題じゃないんですが、こういったうそを外務省の職員は平気で言うわけです。私がきのうお願いしたのは午前中の多分十一時ごろだったと思うんですが、大臣の会見の一字一句を言っているんじゃありません。どういった会見をされたんですか、それについてペーパーがあったら下さいと言ったらば、そういうのはありません、存在しませんと言っておきながら、もうとっくにそういうのは出回っていたということでございます。

 我々野党も、与党も、この外務委員会はそうなんですが、やはり外務大臣やあるいは外務省の応援団だと思っているんです。これは、与党に比べれば野党はちょっと辛口の質問もしますし文句も言いますけれども、しかし、今の外務省の体質がどうも、平気でうそを言うところに僕は非常に憤慨をしておりまして、外務大臣が苦労されている百分の一ぐらいの実感をしたところであります。

 ただ、前回、私の質問のときに外務大臣は、私は一人でモグラたたきをやっていますと。もうたくさん出てきてモグラをたたき切れないというふうに言っていましたけれども、そんなことはありません。副大臣が二人、政務官が三人、六人のチームで、田中眞紀子チームで外務省に乗り込んで、六人でモグラたたきしているわけですからね。大臣一人が、私一人がやっているみたいに言われると、ほかの方々は心外じゃないかと思うんですが。

 まず副大臣に聞きますけれども、あなたはモグラたたきやっているんですか。

植竹副大臣 大変ユーモアある御質問でございますが、私どもは、モグラたたきとかそういうことじゃなくて、今、大臣初め五人の副大臣それから政務官とともに、新しい外務省の改築を目指しましていろいろ、改築、言い間違えました、改革目指しましてやっております。そういうことでございます。

土田委員 立派な答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 田中眞紀子チームで、六人で意見を交換し合い、役割分担をしながらやっていきますということですので、ぜひ大いに、モグラたたきと同時に役割分担を果たしていかなきゃならないというふうに思っておりますので、まずお願いをしておきたいと思います。

植竹副大臣 モグラたたきということは、私どもは考えておりません。いかにしていい外務省を、あすの外務省のためにやっておるわけですから、ちょっと言葉を入れますとみんな影響がございますから、その辺はお気をつけて御質問いただきたいと思います。

土田委員 これは外務大臣が言った言葉で、私が言ったのではありません。非常にわかりやすいので、表現は適切じゃないかもしれぬけれども、わかりやすいからそう言ったのです。だから、あなたも一緒にモグラたたきをやりなさい、そういうことでございます。やっていないことを自慢しちゃいけない。

 さてそこで、パウエルさんとの外交問題をお尋ねするのですけれども、やはりちょっと時間が短過ぎたなというのは、大臣もおっしゃっていますし、私もそう思うのです。以前、大臣経験者にお話を聞いたことがあったのですが、やはり外務大臣として、できれば、アメリカに月に一回ぐらいは行きたいね、二カ月に一回ぐらいヨーロッパに行っていろいろな意見交換をしなきゃいかぬね、どうも日本の場合は、なかなか外務大臣が行けない状況になるのは残念だという話を聞いたことがあるからふっとそう思ったのですが。国会審議が忙しいのは間違いありませんし、特に今は終盤に来ている国会の中で、寸暇を惜しんで行かれたわけですけれども、もうちょっと時間をとってもらうなり、何らかの方法はあったのかなというふうに思うわけでございます。

 今回大臣が行かれまして、四十五分の会談だと言いましたけれども、御自分で考えられて、一番大きな成果はこれだなというのがあったらば、お話し願いたいと思うのです。

田中国務大臣 やはり人間同士で、私は、そうだ、そうなければいけないというふうに、どこの国の方とお会いするときでも、それから国内のどんなお立場の方とお会いするときも、じかに会って話をお互いにする、意見を聞き、こちらも意見をはっきり言うということによって、随分人間関係というのは豊かになるというふうに思うのですね。

 そういうような、極めて率直で温かい、今回アメリカでありましたから特にアメリカ的な、いい意味でのアメリカ人の面を政治家から感じられた。一般アメリカ人から受けるようないいものを、政治家も同じものを、さすがアメリカ人は持っているなという印象を持てたこと、そのように受け入れていただけたということですね。そのことを、今回の最高の成果であったし、間違っていなかったな、行ってよかったなというふうに思っております。

土田委員 ぜひ何回も行ってください。大統領や国務長官だけでなくて、いろいろな方に会わなきゃならないでしょうし、やはり国の外交を担っているわけですから、ぜひお願いしたいと思います。

 ミサイル防衛問題については、ちょっと時間がないのでやめようかと思ったのですが、やめると、自由党はこの件について意見を持っていないのかと思われますので、自由党としては安全保障については非常に関心を持っておりますので、一問だけ質問させていただきます。

 それは、このミサイル防衛構想に対して、中国は反発しているわけですね。あるいは、東アジアにおいては理解を示しているのは日本だけであるということですけれども、このアメリカのミサイル防衛構想がこれからだんだん進展していくわけでございますけれども、極東アジア、北東アジアでもいいですが、日本周辺の安全保障にどういった影響を今後与えてくるか、それについてお考えをお話しください。

田中国務大臣 私は、日米の同盟というものがいかに重要であるかということ、これが基軸であるということを冒頭に申し上げてございます。これはライスさんとお会いしましたときも、USTRの、何でしたか、ひげの生えた……(発言する者あり)ゼーリックさん。済みません。ゼーリックさんとお会いしたときも、それからパウエルさんのときも、大統領がちらっと入ってこられて、副大統領と一緒に来られて、ちらっとといっても結構ゆっくりおられたなと思いましたけれども、そういうときも、日米同盟が基軸でありますということをはっきりメッセージとして発信しております。まずそれを申し上げておきます。

 それを踏まえて、今回のミサイル防衛構想ですけれども、この目的が、大量破壊兵器及びミサイルの拡散を防止するためにこういうようなプランニングを持たれているということ、この目的というものは私たちはしっかりと理解もできるということを申し上げたわけです。

 そして、今中国のことをおっしゃいましたけれども、それはなぜかというと、なぜ私たちがそれを理解をするかという理由ですね、その中に中国が含まれるから申し上げますけれども、これは単に、世界の四十一もの国がミサイルを持っているからということの脅威、そういうものに対する抑止効果ということだけではなくて、これを進めるに当たって、アメリカ政府は、我が国を含む日本及び中国、ロシアと十二分に協議しながら事を進めていると述べられているところをしっかりと私は確認し、評価をするということをパウエル長官に申し上げております。ですから、そのことでもって理解をしていただきたいと思います。

土田委員 それはわかります。ロシアも中国も反対しておりますけれども、理解を深めていきたい、深めながら進めていきたいということでありますけれども、当然、アメリカが考える世界戦略の中に日本も組み込まれていかざるを得ない、組み込まれていくと思うのですが、その辺のことについてはどう考えますか。

田中国務大臣 ですから、それについては、先ほども私はお話を申し上げておりますけれども、同盟国に話をしながらこういうことの研究をしていくということの方向性には、私たちは現在の段階では共感をしている。しかも、この構想自体が、日本をよく守っていく、防衛するために、防衛することに資することであるという意味で理解をしているわけでございまして、先ほどの民主党さんの質問にもあったかと思いますけれども、これを開発していくとか、どんどん配備するとかというところまで、まだなかなかそこまでいかないと思います。テクニカルな面で、技術の面で、これは今構想、概念として持っているものであって、即できない。

 ですから、先ほどの質問に、費用対効果、幾らかかって、いつできるという問題ではなくて、そういう構想を、まだ発足したばかりの、五カ月しかたたないブッシュ政権がそういう考えを持っているということでありますので、日本が最後まで引きずられて、全部最後まで行くというふうなことを言っているわけではありません。

 もう一回繰り返しますが、その前段として、これが構想の段階であるということを申し上げます。

土田委員 答弁はそれでもいいのですが、私は、将来的に、今もそうだと思うのですが、組み込まれていくのですよ、組み込まれていく覚悟をしなければならないということです。アメリカだけがやる話じゃなくて、日本もこれまでTMDに対して資金も出してきましたし、これからも協力をしていこうとするわけですね。理解するというのはそういうことなんですけれども、それについては、わからないとか将来的なことだとは言えないかと思います。

 次の質問に参ります。

 中国の海洋調査船の問題なんです。前回、大臣に質問しないで槙田さんに質問して答弁してもらったのですが、非常に重要な問題であると私は認識をしております。質問通告をしてございましたので、多分、ある程度の調査と勉強をされてきたと思いますので、まず海上保安庁の方に事実関係からお尋ねするわけでございます。

 前回の外務省答弁で、違反事例は一件だけであったということですね。十三件の事前通告が来て、十一件に対して外務省はオーケーの回答を出した。その中で海上保安庁が何隻の船を見たかどうか知りませんけれども、その中で違反の事例が一件あったということを前回の委員会で答弁されております。

 それで、こういった科学調査の中に、エアガンによる調査あるいはボーリングによる試掘調査、これは明らかに資源探査を可能にする行為であるわけでございますけれども、これを外務省が認めているということは非常に解せないということもこの前申し上げました。

 そこで、まず海上保安庁にお尋ねをしたいのは、こういった違反の事例を何件ぐらい見つけたのか、もちろん一件と言っていますけれども、どういった日にちに見つけて、外務省にどういった報告といいましょうか通報をして、外務省は中国に抗議したと言っていましたけれども、どのぐらいの日数たったのか、その辺の事実関係をまずお話しください。

縄野政府参考人 お答え申し上げます。

 海上保安庁におきましては、巡視船艇や航空機によりまして、中国海洋調査船につきまして、その調査期間、海域、それから今お話がありました使用機材、行動の態様、そういうものにつきまして、これは残念ながら外観上でございますけれども、観察をしまして、それから無線で問い合わせをしまして、事前通報とその調査の内容が一致しているかどうかということを確認しております。

 今お尋ねの、これまでの調査の実績と私どもの確認の内容でございますけれども、私どもは、五月二十七日に、哨戒中の私どもの航空機が、事前通報がされていないと認められる海監四十九号というものを視認いたしました。私どもの巡視船がそれを無線照会をしましたところ、海洋調査を行っている、事前通報を行っているということを回答いたしました。それで、調べましたところ、三月二十日から四月二十日までの間、海洋調査を行うという旨の事前通報がされておりますので、その期間中、この船は確認されていなかったわけでありますけれども、期間がその通報と違うということがわかりました。

 それからもう一点は、この船の行動が、事前通報のあった調査海域の外六十キロに及んでいるということを私どもとして確認をいたしました。

 五月二十七日以降、外交ルートによる中止要求の申し入れなどが行われたというふうに承知をしております。

土田委員 その後も答えてください。外務省にそうして抗議をして、外務省から抗議しておいたよという返事が来たのは、来るまで何日かかったんですか。

縄野政府参考人 五月二十七日以降、中止の申し入れなどが行われまして、中国に外交ルートを通じて確認をいたしましたところ、中国の政府の中での意思徹底の不徹底であるということで回答がありました。そのことにつきまして、外交ルートによりまして、警告、抗議というものを行ったというふうに承知をしております。

土田委員 いや、違うんですよ。外務省から抗議したよという回答はいつあったんですか、海上保安庁から通報した、その日にちを聞きたいんです。

縄野政府参考人 失礼しました。外務省から中国に中止を行ったのは、五月の三十日と聞いております。

土田委員 そういった通報があってから、中国に抗議するまでに三日間の日にちがかかっているということでございますけれども、資源探査が可能であるエアガンあるいはボーリング調査、これをすることを認めること自体がおかしいわけでございまして、国連海洋法条約の二百四十六条には、大陸棚の掘削、爆発物の使用を伴う場合は合意を与えないこともできると書いてあるわけですね。

 そうであるならば、資源探査を中国がねらっているわけですから、それに対して同意を与えるべきじゃない、外務省は与えるべきじゃないと私は前回も言いましたし、思うんですけれども、同意を与えたのはなぜですか。そこから聞きましょう。

田中国務大臣 この資源探査をされたところは経済水域でございまして、経済水域で資源探査をやってはいけないというような国際法はないというふうに承知しておりますが。

 それで、内閣官房と環境省、経済省、防衛庁、水産庁、海上保安庁、それから文部科学省等と十二分に協議して、日本政府として、トータルに判断して問題がなかったか、なかったということで同意したものであるという報告を受けております。

土田委員 ちょっと勘違いなのかな。いや、日本の排他的経済水域の中で、日本の領海の中で資源探査をやっちゃいけないんですよ。勘違いじゃないですか。

田中国務大臣 資源探査は経済水域であっても同意が要るんだそうでして、申しわけありません。それでよろしいですか。(土田委員「多分それも違うでしょう。ちょっと後ろに聞いてください。資源探査をやっていいんですか、我が領海内で」と呼ぶ)ちょっとお待ちください、大事ですから、事務方に答えさせるように今調べて、担当はいますか。――今、御指定がないので、後刻御報告いたしましょうか。あるいは、今すぐ呼びましょうか。

土田委員 ただ、これは事前通告してあるんです。きのう、これを聞きますよと言ってあるんですから、それは準備してもらいたいんですけれどもね。

 それと、もう一つ話してあるのは、中国から事前通告がありますと、外務省は何か十一カ所のセクションに照会をするんだそうです。その中で、エアガンとボーリング調査をしてもいいよというふうに決めたセクションがどこかあるんですね。それはどこですかというふうに質問するよと言ってあったんですが、調べてありますか。

田中国務大臣 これは極めて重要な問題でございますし、担当の局が今来ていないようですから、今事務的に申しつけますので、早急に、今、委員の質問の時間内に担当者を呼び寄せるようにいたしますが、いかがでございましょうか。ほかの質問を先にしていただいておいて。(土田委員「答弁できればやってください」と呼ぶ)

植竹副大臣 なお、先ほど大臣が言われました、資源調査ということは、これは同意が要るんですが、海洋調査の場合は同意が要らないんです。

縄野政府参考人 海上保安庁がこれをお答えする立場にあるかどうかわかりません。私どもが承知しておる限りで申し上げますと、日中の海洋調査活動の相互事前通報の枠組みにつきましては、海洋の科学的調査を対象としております。資源調査はこの枠組みの対象の外であるというふうに私どもは認識をしておるところでございます。

土田委員 全くそのとおりですね。そういうふうに答えなければならないんです。

 前回、槙田さんに聞いたときは、あの方はお役人ですから、どうも答えを聞いていて、わかったようなわからないような答弁になる。

 なぜ大臣に聞いたかというと、先ほど言いましたように、大臣にこの問題は大事なんですよということを御認識いただくために、質問の通告をしておきますと勉強されまして認識も新たになると思いますので、この問題は、非常に国益にかかわる大事な問題に発展してくるという御認識をいただきたいと思うんです。

 それから、もう一点が、やはり国益にかかわる問題であるわけですが、韓国船のサンマの問題です。

 韓国とロシアが、去年の十二月、北方四島の周りでサンマをとっていいという協定に合意しました。これに対して、我が国は韓国に対して何回も何回も、あるいはロシアに対して何回も抗議をしているわけでございますが、これにつきましては、既に水産庁から、韓国船の北方四島周辺水域での操業問題についてペーパーが出されております。六月十九日、きのう付で出されておりますので、多分御認識はしていらっしゃると思うんですけれども、まず、これの事実関係と、これまで外務省が対韓国、対ロシアに対してとった措置についてお答えください。

田中国務大臣 突然に、事務方がきょうは来ておりませんので、私が、今アメリカから帰ってきた状態で、直近で一番わかっていることを御答弁申し上げます。

 この北方四島周辺の水域で、韓国漁船による操業の問題ですけれども、外務省としては、水産庁と緊密に連携しつつ、これまで、ハイレベルを含めて、累次、ロシア及び韓国に対しまして、北方四島は我が国固有の領土である、日本の固有の領土であるという立場にかんがみまして、その周辺水域において、ロシアが韓国に漁獲割り当てを行うということは認められないとして、強く抗議をしてきてはおります。

 今後とも、ロシア及び韓国両国に対しまして、操業が行われないよう、しかるべき対応を申し入れていくという考えでおります。

 その一環といたしまして、昨十九日に、私からイワノフ外務大臣あてに、ロシア側においても適切に対応なさいますようにというメッセージは発出してございます。これが一番直近です。

土田委員 直近と自慢するほどの内容じゃないです、本当に。

 この問題は、韓国は、漁業問題だ、領土問題じゃないですよというふうに言っているんですが、日本は領土問題としてとらえる以外に方法はありません。なぜならば、北方四島は、ロシアと日本とまだ境界がはっきりしていない、その問題がずっと続いているわけでございまして、これを勝手に韓国が、それを認めるのを我々は看過できないという意味でございます。

 ですから、この問題についてはまだ決着がつかないと思いますし、多分韓国は、水産庁の言葉によりますと、なし崩しといいましょうか、このまま操業を続けていくような雰囲気にあると思われます。

 そしてさらに、韓国が日本に求めている、三陸沖でしたか、ここでサンマをとることについて、日本は今度は認めないわけです、報復するわけですね、報復措置をとる。そうすると、今度は韓国がどうするかというと、日本がとっているアジとかサバの操業については、向こうが今度は報復措置をとる。そういったことが予想されるわけでございまして、これもやはり大きな、国益にかかわる外交問題に発展するわけでございますので、ぜひ、外務大臣の認識をいただくために事前通告をしておいたわけですので、ペーパーを読むのは構いませんけれども、もうちょっと御理解を深めていただいておいてほしかったなということでございます。答弁されますか、どうぞ。

田中国務大臣 土田委員がおっしゃったことはまことに適切ですし、当然なことをおっしゃっているというふうに私は思います。したがって、北方四島交渉というものが速やかに頻繁に開かれるようなことにならなければ事の本質解決にならないと思いますし、そのために努力もいたします。

土田委員 同じ国益を守る問題としまして、やはり北朝鮮の拉致疑惑問題があるわけです。

 みんながおっしゃるように、国民の生命と財産を守るのが政治の仕事であるということでありますけれども、日本から拉致された人がいる、警察庁がそれを認めている、いわゆる日本政府は北朝鮮に拉致されているであろう方の生命を守り切っていないわけです。

 ですから、これは非常に重要な問題になってくるのは当然でございますけれども、これまで日朝交渉の過程を、金丸訪朝から始まって、予備交渉があって、本交渉があって、ずっと来た過程は私も大臣ももちろんよく知っているわけでございますけれども、就任早々であるからなおさら聞くのですが、この拉致問題について、人道上の問題でありますので、大臣はどのように考えておられますか。

田中国務大臣 これは本当に許しがたいことですし、容認はできませんし、御家族また御本人の立場になりましたらば本当にこれは耐えがたい痛みでありまして、この問題を解決するということのために日朝交渉を粘り強く、そしてできるだけ早くこういうことができるようにしなければなりませんけれども、現在はやはりアメリカや韓国を通じてこういうことの解決のために最善の努力を積んでいく、そして、国交正常化交渉そのものが早く実現して、日本が率直に話ができるような環境になるように努力を積んでまいります。

土田委員 本当にありがとうございます。

 確かに北朝鮮に一番影響力を持っているのは中国だと思います。その中国に人道問題を話してもなかなか、わかってくれないということはないのですが、話が進展しないのは事実なわけでして、今、米朝交渉が早くうまくいくことによって日朝交渉も進んでいくというふうに言われておりますけれども、米朝交渉も大事ですけれども、やはり日朝交渉も進めていかなきゃならない、そういった話し合いをしましょうよというプロポーズをしなきゃならないと思うのです。

 していって、今どんな話がされているかというと、過去の清算の話ですね。過去の清算の話が終わって、そして現実の話が終わって、これからの話に行くわけですが、そうこうしているうちに拉致された方々の命も危なくなるということを、当然もう外相も知っておられますけれども、先ほどの答弁で十分でございますので、非常に重要なことだ、国民の生命を日本国政府は守ってあげていないわけですから、このことは大事だということを申し上げまして、時間になりましたので質問を終わります。

 ありがとうございました。

土肥委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 外務大臣は訪米前の記者会見で、今度の訪米について、種をまくだとか、あるいは外交というのは相手があり収穫にはプロセスや時間が必要だ、このようにおっしゃっています。そういう立場は十分に念頭に置いた上で、直近に日米防衛首脳会談そして日米首脳会談がありますので、この日米両国間の大きな問題に小泉政権がどのように取り組んでいくか、こういうことが問われている時期だと思いますので、改めて問いただしていくべき問題を問いただしていきたいというぐあいに思います。

 私は、訪米前の安保委員会や外務委員会で、特に日米関係のゆがみについて、沖縄県と神奈川県の米軍基地問題を取り上げました。名護新基地建設予定地に係る十五年使用期限や、ジュゴン保護、北部訓練場のヘリパッド移転等亜熱帯雨林を中心とする山原の自然保護、宜野湾市街地上空での米軍の飛行訓練、厚木基地などのNLP訓練、上瀬谷基地の遊休地返還問題がそうであります。

 外務大臣は、日米関係が日本外交の基軸としつつも、さまざまなゆがみについて自主的な態度で臨むとしてきました。これらの問題にどのような態度で臨み、どういう問題提起をし、今後どういう展望を持っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

田中国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど来、各委員からのお尋ねの中でも申し上げていましたけれども、日米安全保障の関係、日米の関係の中で一番の問題は、沖縄の負担が重過ぎる。この痛みを、いつも申し上げているように、私たち国民一人一人の痛みとして感じなければいけない。私はそれを受益と負担という言葉で申しましたけれども、すなわち、みんな私たち国民が、沖縄だけに負担をかけるのではなくて、沖縄の負担を軽減していく、そうしたことをみんなの問題として考えなければいけないということは再三再四申し上げてきておりますし、アメリカでもそれを申しました。

 ですから、限られた時間内ではあったわけですけれども、いつも赤嶺先生がおっしゃっていること、またこれから東門先生もおっしゃるだろうことにつきまして、騒音もそうですし、今ヘリパッドの問題その他いろいろおっしゃいましたけれども、やはり環境ですとか遊休地の問題とか事件、事故とか騒音とかあるわけですね、そういうものを包括的に、トータルで、余りにも沖縄に一極集中してい過ぎるという意味で発言はいたしました。

赤嶺委員 外務大臣は訪米前の記者会見で、身近な痛みの問題、場合によっては改善できるのではないかと思われるようなことについて発言したいと述べておられます。その身近な痛みの問題について発言をし、そして場合によっては改善できるのではないかという展望が持てたのでしょうか、具体的な問題等について。

田中国務大臣 パウエル長官は包括的にアメリカの外交を、世界との外交を見ておられます。私も同じです。しかし、個別の問題を十二分に知らないで包括的なトータルな判断、行動、決断はできないというふうに思います。しかし、限られた時間内でございますから、こういう言い方をいたしました。

 要するに、事務的に外務省なりあるいは防衛庁、きょう防衛施設庁が来ておられますけれども、そこから沖縄の皆様の声、今議員たちが代表でおっしゃっておられるこういうことについて、こちらから個別具体的な問題をボールを投げますので、それをしっかりキャッチできるようなキャッチャーをアメリカ側も用意してください。そして、片づけられることから、片づけると言うとおかしいのですけれども、解決できることからやりましょう。そのことによって日米間が、今日米安全保障ができて五十年の節目に来て、さらに今後よい形で、日米がよい隣人としてお互いに語り合えるような時代をつくらなければいけないので、今沖縄が背負っているこれらの細かい問題、繰り返しますが、一つ一つこれこれこれと言うと時間がなくなってしまいますから、それらをこちらの方からボールを投げますので、受け手を決めてくださいと申し上げました。そうしましたらば、パウエル長官のお返事は、それではその趣旨をラムズフェルド国防長官に伝えると何度かおっしゃいました。

赤嶺委員 キャッチャーを準備してきた、勝負はこれからということなんですが。それで、そういう日米関係で、いわば場合によっては改善できるかもしれないような問題を具体的に本当に改善していくためには、やはり沖縄問題というものが置かれている経過、歴史というのをきちんと認識し、取り組むべき方向を明確にしないといけないと思うんです。

 それで、日米関係のゆがみに対する沖縄県民の怒りというのは、やはり根拠があるんですよ。日米関係が基軸だといって、この日米関係のゆがみというのは、人権のじゅうりんであり、人間の尊厳に対する屈辱であり、そして平和な生活への挑戦であり、人間として耐えがたいような負担を県民に押しつけているわけですね。こういう問題を解決していかなきゃいけないんです。ですから、稲嶺県知事は、沖縄は五十六年間蓄積されてきたマグマの上に立っている、このようにおっしゃっています。

 そこで伺いますけれども、あの六月十三日に沖縄県の宜野湾市で起きたCH53ヘリコプターからの訓練用袋二個の落下事件に関する問題ですが、昨日、宜野湾市議会は意見書を採択しました。内容は、事故に対する激しい抗議です。意見書には、基地の整理縮小と綱紀粛正、事故の再発防止、事故の原因究明と並んで、住宅地域上空での飛行訓練の即時中止が掲げられています。

 大臣も、住宅地域上空での飛行訓練は異常だと認識されていました。場合によっては改善できるかもしれないという印象を私は持ったんですが、残念ながら、現在のところ、キャッチャーを決めてきたというのが到達点でありますから、引き続き、この住宅地域上空での訓練中止を求めるべきだと思います。この問題は、宜野湾市だけではなくて、嘉手納町や名護市や、あるいはNLP訓練の関連、本土の自治体共通の問題であります。

 外務大臣、どうでしょうか。住宅地上空での訓練中止を米軍に求めることを正面に掲げて、日米関係をつくり、対米交渉もやっていきたいということは、いかがでしょうか。

田中国務大臣 ですから、安全の面、先ほど言った、環境ですとか騒音ですとか事件、事故その他すべてがこれらに包含されるわけですけれども、やはり安全面ということ、それから、生活をそこでしておられる沖縄の方々の苦痛や痛み、それを無視して今後日米関係が良好に発展するわけがないということが基本でございます。

 それからもう一つ、赤嶺先生にはぜひ申し上げておきたいんですけれども、今申し上げたパウエルさんとの会議のときに、アーミテージそのほか現場をわかっている人もいましたけれども、今度ベーカーさんという方が新しい大使で七月数日にお見えになるんですが、その方もおられていましたので、ベーカーさんに対して、沖縄の問題、それは大変大事なことだということも、私も申しました、そばに座っていたとき。アメリカの方も大勢立ち会っておられましたから。

 その中で、アメリカのフットプリント、要するに、沖縄の方は御存じでしょうけれども、前のクリントン大統領が言われたフットプリントを、これをやはり数を減らしていくというようなことについて、新大使も、自分は本当に一生懸命やらなきゃいけないと思うということを発言なさっておりますので、ですから、ぜひ、やはり私たち政府も沖縄の皆さんも一緒になって、こういうことを働きかけて、メッセージを発出し、少しでもできることから解決をしていきたいというふうに私は思っております。

赤嶺委員 大臣、負担の軽減は歴代の外務大臣が発言してきたことなんです。そして、そのために努力するということもおっしゃってきたんです。でも、それでも稲嶺知事は五十五年間マグマはたまりっ放しだと言うのは、一般論で片づけられて、具体的な問題に手をつけなかったというところに、このマグマがたまりっ放しというのがあるんです。政府は負担の軽減に努力したつもりなんでしょうけれども、マグマはたまりっ放しなんです。

 ですから、今度、宜野湾市議会で意見書が採択され、嘉手納町や名護市や、そして本土NLPが行われている各都市での、少なくとも民間の市街地上空での訓練は、これは訓練空域でもないわけですから、そこをきっぱりとやめさせるというような決意はお持ちじゃないですか。一般論はいいですよ。

田中国務大臣 もちろん持っておりますからこそ、そういう発言をいたしました。歴代で、それは長いこと御苦労もなさったんでしょうが、アメリカ側は新しいブッシュ政権ができて五カ月目です、こちらは小泉政権ができて二カ月になります。そして、新しい閣僚同士が顔を合わせ、新しい大使が来られます。ですから、そこで、これだけ最善を尽くして私はメッセージを発出しておりますし、アメリカも努力をすると思いますし、それについてはこれから一緒にフォローアップしていこうではありませんか。

赤嶺委員 それでは、訓練中止を明確に申し入れるということで理解してよろしいんですね。

田中国務大臣 あらゆる懸案がございますので、それらをアメリカがまた検討を、私からの要望を受けて、持ち帰ってこれから検討なさっていると思いますので、あちらの対応もまず見なければならない。まず、こちらがボールを投げたということを申し上げているんです。

赤嶺委員 私は姿勢の問題を聞いているんです。交渉にはいろいろな仕方があります。しかし、やはりこれだけの日本国民が苦しめられていて、その訓練中止を申し入れられない政府というのは、政府としての資格が問われる問題です。明確に、相手方の対応はどうあれ、交渉の仕方はどうあれ、訓練中止を申し入れるということは考えていらっしゃいませんか。

田中国務大臣 これは、日米安全保障ですから訓練は必要なんでございます。根本ですから。訓練は必要ですが、ですから先ほど申し上げているじゃないですか、安全面に最大限の配慮をしてもらうということを、十二分に配慮をしてもらうということを申しております。

赤嶺委員 これは従来の外務大臣の答弁と一歩も変わらない、全く同じ答弁です。それによって沖縄県民はマグマがたまってきているということを申し上げておきたいと思うんです。

 それで、十五年使用期限について伺いますが、今回も十五年使用期限は伝えてきただけに終わっているんですね。交渉しようとする意思が全く見えないわけです。アメリカの拒否はこれまで何度も明らかになっています。政府も実らせる意思がないという証明じゃないかと思います。

 私、この間のアメリカ政府の対応をたどってみてまいりました。一九九九年の閣議決定直後、二〇〇〇年一月に日米防衛首脳会談が行われて、コーエン国防長官はこの十五年問題について、予見できない国際情勢の中であらかじめ期限を設定することはできないと瓦防衛庁長官に述べておられます。

 同年二月二十日、オルブライト国務長官は日米外相会談で、日米安保共同宣言を踏まえ協議したいと述べ、事実上のゼロ回答で、進展はありませんでした。

 二月二十三日、ベーコン米国防省報道官は、米国の日本駐留は日本とアジア太平洋地域の安全保障のためであり、脅威が十五年間でなくなるとはだれも保証できない、駐留に人工的な期限を設けるべきではない、このように明確に否定しております。

 同年三月十七日、コーエン国防長官は、安全保障上の必要性はその時々の状況や脅威によって決められ、人為的な限定で決まるものではない、このように言っています。

 同年四月、ダンジグ米海軍長官は、結婚と例えた場合、二十五年先の孫の教育をどうしようか話をするようなものだ、現段階はそういう状況にはないと言っています。

 同年五月、フォーリー駐日大使は、基地の存在は、日米安保条約に基づき、日本の防衛、この地域の安全保障を遂行するために存在している、恣意的な期限をつけることは、安全保障上影響が出てくる。九月にはコーエン国防長官、十一月には再びフォーリー駐日大使が沖縄で、十二月にはキャンベル前国防副次官補が同趣旨の発言を行っています。

 そして、ことしの三月十九日にはブッシュ大統領と森首相の会談が行われ、ブッシュ大統領は、沖縄県が十五年の使用期限の設定を求めていることについて、困難な問題だ、国際情勢に照らして考えないといけない、米国のプレゼンスは重要だと述べました。

 これらの経過はこの十五年問題でどんな協議も成り立たないことを示しているのだと思います。政府は、この問題でのこれまでの交渉に一歩も前進がなかったということを認められますか。

田中国務大臣 共産党さんがおっしゃっていることと、私は自由民主党員でございますので、意見が完全に、先ほどの問題もそうなんですけれども、ぴったり合うということは残念ながらあり得ないという前提でお答え申し上げますが、やはり過去は過去で、自民党も主張すべきことはし、政府ですよ、そしてアメリカも一生懸命やったときはやったでしょう、やらなかったときもあったかも存じませんけれども。

 私は、今後について、私がパウエル長官と、昨日ですが、話し合ったことによって、今後、日米の問題、特にこの普天間に関してですけれども、これに関してどうしていこうかということについて、どんな話し合いがあったかということをもってして御判断いただきたいと思います。

 それは、パウエル長官は、私に、沖縄問題、これはよくよく自分は承知していると。私はかなりの時間を割きましたから、この問題に。そうしましたら、すべての選択肢を検討していくとおっしゃいまして、そして、米軍のプレゼンスは必要であり、訓練も、先ほどおっしゃったように、米軍の訓練やめなさいというのは共産党さんの考えでありまして、私たちは、訓練はするけれども、住民の方たちの安全とか騒音に対しては配慮をもっとしてください、できることからやりなさいと言っているわけですから、そこが共産党と自民党が違うところでございますので、それを変えろと言われても、共産党天下になるまでは無理だと思いますけれども。

 それを踏まえて申し上げますと、パウエルさんはまじめにこの問題をよく聞かれました。そして、すべての選択肢を検討して、米軍のプレゼンスはあるけれども、その中で、私からの、大臣からの要請に対しては自分もよく聞いて、そして細かいことについては、先ほど言った、こちらがボールを投げるので、ラムズフェルド長官にしっかり受けとめるように指示をするとおっしゃってくださったんです。

 そして、日米外相会談、きのうやったことですけれども、その中で、常に頭を離れない問題だと私が言いました。私は、とにかく、こう言ったんです。おふろに入っても普天間、それからお料理しながらも普天間。沖縄、普天間、普天間、普天間と言ったら、みんなわっと笑いました。それで、常に、この問題がなかったら日米は仲よくなれないんです、そればかり言いました。そうしましたら、だからよくわかっている、このことを自分も念頭から離れないから、自分もよく承知しているから、しっかりとラムズフェルド長官に自分が言うと言ってくださったんですから。

 きのう言ったのに、きょう、過去の五十年間けしからぬ、けしからぬと言うよりかも、これからのことを、前へ出るかどうか。余りせっかちにならないで、私は気が長いんですけれども、皆様ももう少し気を長くお持ちいただきまして、対応していただきたい、かように思います。

赤嶺委員 外務大臣、訓練中止は共産党が求めて自民党が反対している問題じゃないんですよ。宜野湾市議会が全会一致で意見書を採択して、その中には自民党の市会議員もいて、やっているようなものなんですよ。しかし、これを自民党では解決できない、共産党でしか解決できないというなら、私たちもその意欲は持ってはおりますが、この問題は共産党の主張ではないということを認識していただきたいと思いますが、いかがですか。

田中国務大臣 しっかりと認識をいたしております。

 とにかくトータルに、何党であれ、何であれ、沖縄の痛みというものを私たち国民一人一人の痛みとして担っていく。そして、これから、アメリカが気づかない点ももっと、我々はこうやって委員会で、沖縄の声が発出されているわけですから、それを個別具体に申し上げている中で、できることから受け手をつくってくださいと申し上げて、そしてそれをしっかり、あさって中谷長官がいよいよ会われるわけですから、そこでも前進するかもしれませんし、その後に総理が行かれましていよいよブッシュ大統領ともお会いになるわけですから、そこでも議論をされますから、大変この内閣は、なるほど八〇%以上の支持を得るだけあって、しっかりと生活者、国民の目を見ながら動いている内閣である、かように思っております。またそのようにしなければならないと思っております。

赤嶺委員 私は、訓練の中止を申し入れられない内閣、住民の安全に配慮して訓練をしてくださいとしか言えないような内閣が、本当に沖縄県民の支持を得られるかどうか、この辺を本当に考えていかないと、今の、稲嶺知事がいつも心配していらっしゃるマグマが爆発するという事態になります。

 それで、過去のことはともかく、前向きに努力するんだとおっしゃっていますけれども、根本にあるそういう姿勢を直さないと、前向きは期待できないんですが、それにしても、外務大臣、十五年使用期限問題については、私が紹介してきたように、これまで一歩も前進していないということをお認めになりますか。

田中国務大臣 先ほど私申しましたように、今回、あらゆるときにこの普天間の問題がある、頭から去らない、同じことを私は何度も繰り返し言ったことによって、そのことを十二分に自分も、しっかりとパウエル長官も受けとめて、ラムズフェルド長官にこれをおろしていくとおっしゃっているわけでございますから、少しでも進展があるように、よい努力をしていく。きのう言ってきょう解決することではありませんけれども、それだけの意識をしっかりと埋め込んだと。

 新しいブッシュ政権五カ月です、小泉内閣まだ二カ月です、そして新しいベーカー大使が来られる。そこで、新しい長官と新しい大臣が顔と顔を合わせて、やりましょう、安全に配慮しながら頑張りましょうということによってこれが動くように、みんなで努力をしていくということだと思います。

赤嶺委員 そういう日本政府の姿勢が今沖縄の方からどのように見られているかということをちょっと紹介したいと思います。

 稲嶺知事が五月に訪米をしたことは御承知だろうと思います。そして、アーミテージ副長官は、稲嶺知事と会った翌日に、記者団に対して、アメリカ政府のこの問題での立場は明確だ、十五年使用期限の問題では明確だと述べて、十五年の使用期限の設定は受け入れられない、このように考えを示しました。

 稲嶺知事は、アメリカの有力シンクタンク、外交問題評議会のメンバーと意見交換し、沖縄としては日本政府にも基地問題で不満がある、政府が積極的に解決する努力が足りないと強い口調で政府を批判したといいます。

 それで、尾身沖縄担当大臣は、就任のあいさつの中で、日米首脳会談でこの十五年使用期限問題をアメリカに持ち出しているが全体としては困難との反応だと。それはさっき私が、閣議決定以降のアメリカの反応を見れば、全体として困難だという認識は当然だと思います。どう解決するか頭を悩ましている、これが尾身沖縄担当大臣の発言です。

 だから、十五年使用期限問題について、移設先の名護市の岸本市長は、沖縄県の受け入れ表明を受けて行った一九九九年の受け入れ表明で、十五年使用期限を含めた七項目の受け入れ条件を提示し、このような前提が確実に実施されるための明確で具体的な方策が明らかにされなければ、私は、移設容認を撤回することを市民の皆様に約束する、このように表明している問題なんです。

 十五年使用期限の問題は、アメリカ政府としては受け入れることができないとはっきり結論が出ています。したがって、沖縄県の負担の軽減ということであれば、沖縄県の基地建設容認の最大の前提が崩れたことが明白ですから、名護市への移設計画は白紙撤回をすべき時期に来ているのではないですか。

田中国務大臣 今のすべての御発言を踏まえた上で、パウエル長官と私との話し合いになったわけでございますから、今後の進展、今後のいろいろな、赤嶺委員がおっしゃっているような、御希望なさるような、完璧な状態で即効性を持ってなされるかどうかはわかりません、これは外交ですし、相手があることでございますから、国の安全がかかわっている問題ですから。ではありますが、前進するようにしっかりと受けとめると長官がおっしゃっている、きのうおっしゃったばかりですから。これからはしっかりバックアップして、機会を見て、尾身大臣もおられるでしょうし、防衛庁長官もおられますし、総理ももちろん行かれるわけですから、あらゆる機会をとらえて努力をするということでございます。

赤嶺委員 尾身大臣も中谷防衛庁長官も十五年使用期限問題については、これから問いただしていきますけれども、大体似たようなトーンで、そこに稲嶺知事が大変な不満を持っていらっしゃるということを述べて、最後に、最後にというのはこの問題の最後に、この十五年問題の解決を先送りしたまま普天間飛行場移設を強行することは絶対にあってはならないと考えますけれども、外務大臣、十五年問題を先送りしたまま、普天間飛行場の移設を強行することは絶対にやらないというような御答弁ができますでしょうか。

田中国務大臣 私は、きのうのパウエル長官との話し合いで随分、今までの諸先輩も御努力なさったわけです、あらゆるところでも御努力なさったわけですけれども、本当に今回はパウエル長官には、今度防衛庁長官やらあるいは尾身大臣が行かれてどうかということもあるかもしれませんけれども、少なくとも私は、しっかりと問題を意識していただけたというふうに思っておりますので、粘り強くその問題は取り組んでまいります。

赤嶺委員 私が求めていたのは、先送りすることなく、普天間基地移設問題について、その前に十五年使用期限の決着をつけるという立場がとれますか、このことを聞いているのですよ。このことに明確に答えないということは、十五年問題の決着をつけずに普天間基地建設を進めるということになるのですよ。明確に、普天間基地建設は十五年問題の解決がつかない限り進めませんという答弁ができますかと言っているのです。

田中国務大臣 今後もあらゆる機会をとらえまして、粘り強く努力をいたします。

赤嶺委員 明確な答弁はいただけませんでした。

 田中外務大臣がいろいろ、今までの歴代のいろいろな外務大臣と違って、意欲を持っているだとか、あるいは非常に国民の苦難、苦痛に対してこたえていきたいとかというようなものは、沖縄の新聞等でも多々報道されています。報道されています。そこについて、私、何の異論も持っていないのですよ。ただ、今までの自民党政治の延長線上で、日米関係を機軸とする日米安保最優先、これだけの姿勢で沖縄問題というのは簡単には解決できないし、根本に日米安保条約の問題というのを見直す、沖縄県民の痛みに立って見直すということの大胆な仕事がなければできないことだということを強く申し上げておきたいと思うのです。

 それで、もう時間がありませんけれども、海兵隊はあしたの沖北もありますので、あしたもまた伺います。

 それで、ミサイル問題について、外務大臣は訪米前の記者会見で、もっと外交の本質として、ミサイル戦略構想自体が現実的にこの先どのような展開があるのか、予算にしても成功率にしても、そういうことも含めて、これはじかに伺うのが一番いい話だとして、できるだけパウエル長官から伺ってみたいと思っていると述べています。

 TMDとNMDの一体化の問題が報道され、この間の国会審議の中でもたびたび取り上げられてきていますが、パウエル長官との会談の際に、具体的なTMDとNMDの一体化の問題について説明を求めましたでしょうか。

田中国務大臣 これはトータルなミサイル防衛構想についての意見交換でございまして、まだこれは概念上の問題であるということを先ほどの委員からの御質問にもお答えしておりますけれども、その中で、まず基本的に、ヨーロッパに行かれて一週間、いろいろな意見を聞かれて、そして土曜日の夕方にアメリカに帰られて、日曜日一日休みがあって、そして月曜日の朝、私に会われているわけですね。ですから、ヨーロッパからのいろいろな意見も御本人の頭の中にあるでしょうし、しかしそれらを踏まえて、日本の意見も聞きながら、これからまたアメリカとして自分たちの意見を再構築なさるという、そのタイミングに私は伺ったわけでございます。

 そこで、私は、これが完全に、ミサイル防衛構想自体が大量破壊兵器だとか弾道ミサイル、これは四十一もの国が現在持っている、そういうような現実を、実態を踏まえた上で、こうした核拡散という問題ですね、その視点に立ってこの構想があるということに対して、私たちはその方向性に共感をしているということを申し上げたわけです。

 そして、それに当たっては、具体的な方法に当たっては、私ども日本を含む同盟国及びロシア、ロシアと会ってこられて、プーチンさんからああいう指摘があったと、聞いたばかりの話ですから、それはもちろん国務長官言っておられましたよ、中国とはまだ会っておられないわけですけれども、それらロシア、中国、我々同盟国にもしっかりと説明責任を果たしながら進めていくとおっしゃっているわけですから、個別にTMDがほかの国であって、あるいはNMDですね、それはナショナルだけになるから、それは全部やめてMDにするのであるとかいうふうな、そういう細かい話ではなくて、トータルな構想としてのミサイル防衛計画について意見の交換をしたということでございます。

赤嶺委員 もう時間がありませんので、まとめますけれども、きょうの新聞に、アメリカがミサイル防衛推進なら核戦力強化で対抗、ロシア大統領という、TMD、NMDの一体化の作業の中で、核軍拡競争の危険な兆しが出てまいりました。そういう核軍拡競争に、唯一の被爆国日本が歯どめをかけるのではなくて、これを理解しというような立場をとるのは、核軍拡に反対をするヨーロッパの国々やアジアの国々にも背を向けた外交姿勢であるということを指摘いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

土肥委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 田中大臣には、今回の訪米、本当にお疲れさまでございました。短い日程の中で結構大変だったと思います。

 ただその中で、新聞報道等を見ておりますと、大臣はこれまでの歴代の外務大臣とは少し違っていると、私は評価したいと思います。といいますのは、一歩踏み込んで沖縄の問題も取り上げていただいたという思いを持っておりますので、ぜひその点はこれからも頑張っていただきたい。今さっきのお話の中で、おふろに入っていても普天間、お料理をしながらも普天間、いろいろなことをしながらも普天間ということで、沖縄の問題が頭から離れないと。ぜひその姿勢を今後とも持っていただいて、そしてきっぱりと、アメリカに言うべきは言うという形で進んでいっていただきたいと思います。

 まず私は、今回の会談について御質問をしたいと思います。

 会談に行かれる前から大臣は、沖縄の痛みをパウエル国務長官にお伝えし、そして沖縄の負担軽減について話し合っていきたいということをおっしゃり、その意気込みがすごく伝わってきたのを覚えております。

 その件なんですが、会談では、普天間飛行場の移設の問題あるいは海兵隊の一部訓練移転の可能性にとどまらないで、基地と環境の問題、あるいは沖縄における米兵による事件、事故の問題等、沖縄が抱える問題を幅広く取り上げていただいたと思います。それで、パウエル国務長官に説明されたと思いますが、この日米外相会談において、沖縄の米軍基地問題に関しまして、本当にどのようなやりとりが行われたか、沖縄問題だけに絞って具体的に教えていただきたいと思います。

田中国務大臣 今委員がもう既におっしゃいましたけれども、やはり海兵隊を中心とする訓練のローテーション一部移転の問題、これも申しましたし、それから、沖縄のことが中心なのですけれども、騒音とか環境とか遊休地の問題、事件、事故ですね。

 遊休地につきましては、沖縄本島だけではなくて本土の方の関係もございますから、全体の米軍のプレゼンスの中で生じている、我々国民、生活者が受けている被害といいますか、そういうことについてトータルでお話を申し上げました。

 それからあとは、また質問の中で出てくればと思いますが、何についてしゃべったかというような整理の仕方をちょっとしておりませんので、随時お聞きいただく中で――ありますね。大体今申し上げたことですね。

 ポイントだけ言いますと、やはり普天間の飛行場の移設、返還の問題が一つですね。それから海兵隊の一部訓練移転の可能性、それから環境や遊休地、それから事件、事故の問題等、もう沖縄だけにとどまらない本土の問題。それから、これらはラムズフェルド長官に伝えてくださるということでございましたけれども、大体ポイントはそういうところであったというふうに思います。まあ、会話ですから、派生的にほかを追いながら出ることももちろんあります。

東門委員 今の中で、普天間の移設の問題あるいは海兵隊の訓練の一部移転の問題ということがあったんですが、普天間の移設の問題については具体的にどういうお話をなさったのでしょうか。

田中国務大臣 要するに、沖縄に関して物を言うときに普天間の問題は避けて通れないという言いぶりを私はいたしまして、そしてそれが移設とか返還に係る問題は、国会でも委員会でも議論で出ないことはない、あらゆるときに衆参でそういう議論がされておりますと。そして、私の念頭から離れない重要な、極めて重要な問題であるという表現をいたしまして、それを説明した、先ほど言ったように、あらゆるときに、台所でもどこでも、とにかくこの問題は常時私のライフワークのようにかかってきている問題ですから、このことについて、新しい長官ですし、新しい大臣ですから、そして新しい大使も来られる、いるわけですから、ここに。ですから、みんなでもって自分の問題としてこれに取り組んでほしいということを申しました。

 初めは、いわゆるステレオタイプかなと思っていらしたのかもしれませんけれども、これは本当に、ラムズフェルド長官におろすということは、これは私は大変な、閣内挙げてアメリカ側がやはり取り組まなきゃいけないということをよく感じてくだすった証左だろうというふうに思っております。

東門委員 今、海兵隊の訓練の一部移転についてのことでしたけれども、新聞報道等によりますと、パウエル国務長官は明確な返答は避けられたと、明確な回答を避けられたようですが、沖縄の問題についてはよく理解しており、頭痛の種でもあるとおっしゃったと。そして、あらゆる選択肢を検討していきたいというお話であったようですが、それからしますと、日本側としても、今後海兵隊訓練の一部移転だけに、これだけに固執するのではなくて、米軍基地の整理縮小を含めたあらゆる選択肢について検討して、あらゆる可能性について米側に提案していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

田中国務大臣 おっしゃるとおりです。

東門委員 海兵隊の訓練の一部移転につきましては、行かれる前の日の委員会でも、私もお話し申し上げたんですが、訓練の移転だけで沖縄の基地の負担、沖縄県民の基地の負担が軽減されると、大臣、本当にお思いでしょうか。

田中国務大臣 そんなことは申しておりません。

東門委員 それは、じゃ、手始めにということですか。

 訓練が一部移転するということは、基地が、ベースキャンプも減るということにつながりますか。沖縄の基地ですね、訓練がよそで行われるということになれば。そこをちょっと。

田中国務大臣 負担を軽減でございます。負担の軽減の一つ。幾つかある負担、たくさんあります。

 私、出発する前にこの委員会で申し上げたと思いますけれども、どっちにしても、あれをやらなかったじゃないか、これをやったってこれをやらなかったじゃないか、それをやらなかったらそれをやらなかったで、どっちにしてもそれを言われる、じゃ、やらなくて済むのかと。そうじゃないでしょう。できることからできるように、具体的に個別に、改善するために、沖縄の負担を軽減するために、痛みを軽減するために、私たちが自分の痛みとしてメッセージを発出すると申し上げたわけです。ですから、普天間を言うと、じゃ、普天間だけかと。それだけじゃないわけですよ。海兵隊は海兵隊だけか、ヘリパッドってヘリパッドだけかと。そうじゃないですよ。トータルでできること、これだけ重たいんですよと。

 ですから、私はこういう言い方もしていますよ。なぜ小泉内閣が八〇%以上の期待を持っているか。それは、今までやってきたような政治のやり方、意思決定の仕方、メッセージの発出の仕方、これはノーだと日本国民が、みんなが思っているんですよ。だから、方法を変えろ、もっと現場を見て具体的にできることから内閣として動けということを国民が言ってくだすっているんです。そういう内閣であるということをアメリカもしっかりわかって日本と同盟関係を持ってやっていかないと間違えるんだと、そういう内閣なんですよということを、私は全部の、ゼーリックさんにも、それからライスさんにも、それからパウエルさんにも、一人で会っているんじゃないんですよ、相手もたくさんいるんですよ、みんながテークノートして聞いていますから、その中で、私は大きな声で言っております。

東門委員 その意気込みでどんどん前へ進んでいっていただきたいと思うんですが、私の質問は、訓練の一部移転ということに伴って、沖縄にあるベースキャンプ、海兵隊の基地、そのまま残るんですか、これも減らされますか、削減されますかということをお聞きしているんですが。

田中国務大臣 ですから、そういうことも今回、今まではそういうことが、繰り返し日本から言っていったのかどうか知りませんが、これだけ強く私が申しましたので、あらゆることを想定して、よくなるように努力なさるんじゃないでしょうか。

東門委員 ということは、それは、基地の縮小もあり得るというふうに理解していいということでしょうか。

田中国務大臣 整理縮小ということをおっしゃるのであれば、SACOの実現、実行に全力を尽くすということになります。

東門委員 いや、私が申し上げているのは、海兵隊の訓練が移転するのであればということです。前提はこれです。

田中国務大臣 ですから、訓練の一部、訓練の一部を変えるということですから、ローテーションですから、直接にはつながらないんです。

 やらないよりはやった方がいいからおっしゃっているんじゃないんですか。やらない方がいいんですか。やる方がいいんじゃないですか。

 したがって……(発言する者あり)よく聞いてください。したがって、直接はつながりませんけれども、基地の整理縮小につきましてはSACOで全面的に努力をするということでよろしいんじゃないでしょうか。

東門委員 一部訓練を移転するだけでそれが沖縄県民の負担の軽減にはならない、私はそういうスタンスであるものですから、そういう質問をやっているわけです。(発言する者あり)そうなんです。そうなんですよ。いや、そういうふうに……

土肥委員長 ちょっと静かにしてください。静かに。

東門委員 やはり基地の縮小がなければ――まず、海兵隊は沖縄で訓練をしているわけですよね。その訓練がローテーションでよそへ出ていくのであれば、そこは縮小されて当然じゃないですか。それが沖縄県民の負担の軽減につながるわけです。

 私、この間もちょこっと申して、時間がなかったのでやめましたけれども、訓練の移転だけになりますと、訓練終わって、じゃ、その海兵隊はどこに戻るんですか。沖縄に戻るんですか、別の場所へ行くんですか。それからまずお聞きしましょう。

田中国務大臣 こういう提案をアメリカに対して、外務大臣が国務長官に言うことに大変意味があると思いますよ。それを今おっしゃったような形で言えば協力もされなくなってしまうと思いますので。相手のあることでありますよ。相手があるんです。

 したがって、こういったことを申し上げてあるわけですから、アメリカも具体的におろして検討するときのうおっしゃったことですから、まただめだだめだではなくて、みんなで、内閣も総力を挙げますし、国会議員の皆様も民間の方も一緒に、時をとらえて、よくなる方向に努力をしようではありませんか。

東門委員 確かに、これまで長い間、そういう負担を県民が担いできた。その声をお聞きになって、そこから動いているのであれば、わかります、本当に県民が海兵隊の訓練だけの移転を望んでいるかどうか。

 だから、私はこの間も申し上げたんですけれども、早いうちに沖縄にいらして対話をしてくださいと申し上げました。(田中国務大臣「やっている、やっていますよ」と呼ぶ)はい。これは官僚だけじゃなくて、外務省の皆さんだけじゃなくて、政治家としてぜひやっていただきたいと思うんです。それも、賛成する推進派だけの意見ではなくて、反対をする人の声にも耳を傾けてください、そうでなければ見誤ってしまいますよということを申し上げた。

 それで、先ほどの質問に戻りますけれども、またお答えはないかもしれないと思いながら、やはり聞きます。

 ローテーション終わったら、沖縄へ戻るんでしょうか。次のローテーションの場所へ行くということがシナリオにはあるのでしょうか。

田中国務大臣 ローテーションするかどうか、してほしいということをお願いした段階であるんですよ。こういう議論によって、ローテーションをしないかもしれませんから、やはりいい方向にするように……(発言する者あり)

土肥委員長 大臣答弁を聞いてください。

田中国務大臣 プロポーザルをしておりますので、しないよりはした方がいいじゃないですか、そして向こうがどういうふうな検討をするか、それを聞くべきです。

 それから、沖縄の声とおっしゃいますけれども、先生だけ、共産党さんだけではなくて、一般の沖縄の方の声、私は聞いています。もっと聞かなきゃいけない、決議も聞いて、受けております。毎年沖縄に行くと、いっぱい、私は講演を依頼されて、西表に行きましたり那覇に行ったりしておりますけれども、そういうときに一般の方たち、賛成も反対もいろいろいるでしょうけれども、それらが、すべてが、やはり沖縄の方の声なんですよ。

 知事が私の講演を聞きに来られたこともあります。現知事が当選なさって二、三日後に私の講演に聞きに来られたこともあります。そこでもよく話も聞いております。そして、知事になられてから、アメリカについこの間行かれてから、その後の声も聞いております。一般の方の声も知事の声も聞いておりますから。

 よいことをしようとして、今この地位で、相手もそういう方が出てこられて、いい方向に努力しようとしているわけですから、そこは御理解いただきたいと思いますよ。

東門委員 いろいろな方とお会いしていろいろな方の、県民の声を聞いておられるということですので、ぜひ今後とも、講演で行かれたときとか、そうではなくて、外務大臣として、日本の安全保障のあれは、私は沖縄の基地なくしては考えられないと思います。そういう意味ではとても大事なところだと認識すべきだと思います。ですから、早いうちに沖縄へ行かれて、ぜひ声を聞いていただきたい。そして、辺野古、その現場へも行っていただきたい。普天間もごらんになっていただきたい。そうすることで、また大臣のお考えが出てくるかもしれないということをまず申し上げたいと思います。

 それから、十五年使用期限の問題ですが、先ほど赤嶺さんの方からも随分ありました。私は本当に一点だけ。

 今回の会談の中で、使用期限問題についてはパウエル国務長官に対してどのように御説明なされたのでしょうか。お二人の間で話題として出されましたでしょうか。沖縄県民はこう言っている、県知事はこう言っているということを大臣の方からも申されたでしょうか。

田中国務大臣 ですから、朝からずっと同じことを申し上げているのですが、私の方から普天間問題というのを切り出しておりまして、アメリカの方から普天間解決しましょうなんておっしゃっていないのですよ。(発言する者あり)寝ていませんよね。ちゃんと聞いておられましたよね。

 普天間問題の重要性について、これの移転とか返還に係る問題、この問題は極めて頭が痛い問題で、重要なのですよと。この問題を避けて通れないと。この問題が沖縄の基本の大きなうちの一つであり、こういうことを解決しないで、新たな安保が結ばれて五十年たって、今折り返し点のここで、新しいブッシュ政権と新しい小泉政権、新しいパウエル長官と田中眞紀子外務大臣の関係はできないのですよと。だから、このことが常時私の頭に、普天間、普天間、普天間と言ったから、みんなが一緒に本当に普天間、普天間、普天間だと。だから、わかった、おろしますよと、そこまで言ってくださっているわけですから。

 まだおわかりいただけませんか。私が無口でよくおわかりにならないのでしょうか。

東門委員 いや、その部分はよくお聞きして、よくわかっております。ただし、私がお聞きしているのは十五年の使用期限問題。普天間問題とは言っておりません。十五年の使用期限の問題についてはしっかりお話しなされたのですかということであって、普天間がどうかではないのです。

田中国務大臣 もうさっきから何度も言っておりますけれども、普天間問題の移設及び返還。移設及び返還という言葉を使っておりますのですから、御理解ください。

東門委員 ということは、全然十五年という言葉は出ていないのですね。十五年の使用期限についてということは出ていないのですねという確認です。

田中国務大臣 普天間の移設及び返還と申し上げておりますから。御理解いただけないでしょうか。永久に使ってくれなんて言っていませんから、こちらは。

東門委員 なぜ十五年というのにこだわるかといいますと、これまで何度もこの委員会で私もやってきていますけれども、稲嶺知事は選挙公約に十五年の使用期限を掲げたのです。それが前提で引き受けたのです。名護市長も同じなのです。お二人の、地元の市長、そして県知事が、これが公約だったのです。ですから、十五年ということに私も今こだわって再度お聞きしているわけなのですよ。

 確かに、返還という言葉も聞いております。でも、その中に十五年という言葉が全然聞こえてこない。政府としては、その件はどのように受けとめて、どのようにアメリカに伝えているのかということをお聞きしたいということです。

田中国務大臣 知事さんがどのような確約をアメリカ側からとっていらしたのか、私はむしろ伺いたいぐらいですけれども、あえて親切に申し上げれば、移設及び返還という中に十五年という数字は入るのは当たり前ではないのですか。移設、返還。違いますか。十五年で返すかなんということは具体的に聞いておりませんよ。移設と返還と言っているのですよ、返還。(発言する者あり)

東門委員 含みではだめなのですよ。今ちらっと出たこと、私たちにとってはとても大事なことです。(発言する者あり)

土肥委員長 ちょっと静粛にしてください。

 東門さん、どうぞ続けてください。

東門委員 私は、稲嶺知事がどういう約束をとってきたかということは申し上げておりません。大臣から十五年ということを申し上げられましたかというお伺いをしているだけなのですよ。それだけです。(発言する者あり)そうです。おっしゃっていなければおっしゃっていないでもいいのですよ。そこをぜひお願いします。

田中国務大臣 ですから、移設と返還。移設と返還が重要であると言っているわけですから、そういう問題が大事だといえば、当然十五年問題が含まれるのでございます。返還と言っております。

東門委員 では、十五年問題は含まれるということで、もう終わりたいと思います。

 次に移りますけれども、この会談にはアーミテージ国務副長官も同席されたというお話でございました。その際、大臣は、昨年の秋にアーミテージ国務副長官が中心になってまとめられた、「米国と日本 成熟したパートナーシップに向けて」、言われていますアーミテージ・レポートというのでしょうか、その報告書に関して、非常に含蓄のあるものであり、よい点を指摘しておられると思うとの評価を伝えたとされております。

 しかし、同報告書は、沖縄の負担を軽減するため、在沖縄米軍のアジア太平洋地域における分散配置の構想を含むものの、同時に、我が国の憲法が禁じている集団的自衛権の行使も含めた、あらゆる分野における日本の対米協力のレベルを数段高めるように求めるものです。

 我が国の外務大臣という立場を考えれば、この報告書の評価に関しては、本来、慎重になるべき問題であると私は思いますが、田中外相は、具体的にそのレポートのどの点をよい点と、よい点だとおっしゃったのですね、それを評価しておられるのか、お伺いいたしたいと思います。

田中国務大臣 私が申しましたのは、アーミテージ・レポートと具体的には言いませんでしたが、そこに本人がおられるものですからね、二〇〇〇年十月にアメリカの国防大学ですか、で編さんされた特別報告書、これには大変いいポイントがある、含蓄のあるものがありますという言い方をいたしまして、具体的にこれこれこれとは申しておりません。

 ただ、これが今日本で、衆参両院で憲法調査会というものがなされていて、憲法九条を初めとして、基本的な、日本の根幹にかかわることについて議論がされていますと、私も初めから憲法調査会の委員でございました、したがって、そういうことについて前広に議論がされるときに、この報告書が大変参考になるという意味で、この問題、これは大変いいレポートであるというふうに思うと発言をいたしましたらば、パウエル長官が、わきにいるアーミテージさんに、ほら、アーミテージ、褒められているぞという言い方をいたしまして、彼らは非常に仲がよくて、そうしましたら、アーミテージさんが、発言をしていいかとパウエルさんの許可を得ておっしゃったことが、自分の書いたこの報告書のことを言っていただいて大変光栄だけれども、自分は日本の国の方々が考える参考として、そして日本の方々が決めていくことの参考としてあれを編さんしたのだ、それについて触れて、中身ではないですよ、それについて触れてもらって大変光栄であるというような発言をなさいました。

東門委員 済みません。私、ひょっとしたら聞き逃したかもしれません。大臣がそのレポートのよい点と評価されたところ、特にここというところがございましたら、お願いします。

田中国務大臣 あの席で具体的には申しておりません。

東門委員 わかりました。

 次に、米軍の兵力構成の見直しについてお伺いしたいと思います。

 今米軍は米軍兵力構成の見直し作業を進めていると聞いておりますが、我が国にとっても米軍の基地問題、あるいは我が国の安全保障政策にもそれは影響する大きな、重要な問題であると認識しております。

 この見直し作業に関しては、米軍は当面大規模紛争の発生の懸念がないヨーロッパからアジア太平洋地域に軸足を移して、東アジア地域の米軍のプレゼンスはむしろ維持強化されるのではないかという憶測もあります。

 今回の会談についての政府の資料等を見る限り、外相会談において米軍兵力構成見直し作業の話題には触れられていないようですが、我が国としては、当然、在日米軍の兵力構成について見直しの方向性を米国側に問うべき問題であったのではないかと思いますが、どうでしょうか、この問題について今回の会談で米軍に説明を求められたのかどうか、お伺いいたします。

田中国務大臣 これも申し上げなきゃいけませんが、四十五分間の会談の中で、ミサイル防衛構想があり、それから京都の議定書の問題、これは世界じゅうの方が大変関心を持っておられるCO2の排出量削減の問題ですが、そのほかたくさんいろいろなテーマがあって、それを四十五分間で、こちらが話し、通訳をし、あちらが話し、それを通訳し、そしてあちらも言いたいことがいっぱいある中で話をしておりますので、今おっしゃったような形での言いぶりはございませんけれども、アメリカの兵力構成がこうである、これがこうである、細かいことを全部言っていませんよ、そういう言い方はしていませんが、しかし、それを含めて、日本が日米安全保障の中で持っている負担の軽減ということについて触れております。

東門委員 兵力削減問題についてなんですが、ことしの三月二十一日付の沖縄タイムスに掲載されました前ボストン大学教授シーラ・スミス氏の論文、その件について少し御紹介したいと思います。

 その論文は、すなわち、「沖縄が米軍基地の大部分を引き受けている社会的重要性をいかに軽減できるか。沖縄の政治指導者は在沖海兵隊を削減する必要性を強調している。だが、東京が沖縄の懸念を米側に申し立てなければ、ワシントンで理解されるサイン(兆候)にならない。」米国内には「将来の目標として海外プレゼンスをもっと小さくすると言う者もいる。これが米日同盟で基地統合や兵力削減について話し合う可能性を開くことになる。 極めて重要な要素は日本政府の主体性である。」と指摘をしまして、さらに、日本政府が米軍兵力の再構成を米国のコミットメントの欠如の証拠として見るならば、沖縄の兵力についての建設的な議論の可能性はない、東京が日本の安全保障に必要である兵力の評価を提供しなければ、そのような議論は始めることはできないと結んでいます。

 近年では、米国の有識者あるいは政府高官の間でも沖縄の基地の削減やアジア太平洋地域の兵力削減を唱える意見も目立ってきています。それはもう御存じだと思いますが、この論文が示唆しているのは、米国内の有識者あるいは米国政府高官が、米国側が幾らアジア太平洋地域の米軍兵力削減の可能性あるいは沖縄負担軽減の方策を探ったとしても、最終的には、まず日本政府がみずから米軍兵力削減の要望を米国政府に伝えること、また、日本政府が自発的に現在の米軍兵力を評価し改善の方向性を伝えない限り、何も動かないということなんです。

 きょうの一番最初にもありました、やはり田中大臣の外交、それを本当に前にどんどん進めていく、そういう中で、政府が、日本がアメリカ側にどんどん言っていかなければ動かないということだと思うんです。米軍の兵力構成の見直しについても私は今がやはり大事なときかなと思いますが、その点について大臣の御意見を聞かせていただきたいと思います。

田中国務大臣 兵力構成につきましては、やはり国際情勢の流動化というものを常に念頭に置いて、即応できるようにしておくということが基本になると思いますけれども、不必要にたくさんいればいいという問題でももちろんないわけでして、できるだけリデュースする方向に持っていくことが、アメリカの負担も軽くなりますし、日本が望むことなんですね。

 ですけれども、基本にありますのは、米軍のプレゼンスというものが、残念ながらこの地域におきましては不透明性、不確実性があるというこの日本の地政学上の地域、国際情勢、政治情勢の中でもって、これは日本の安全保障のためにも地域の安定のためにも必要であります。

 必要ではありますけれども、やはり兵力全体を見るときに、一九九六年の安保宣言に従って国際情勢の変化を見つつ日米で緊密に協議をするということなんですが、ただ、その文言どおりではなくて、今委員がおっしゃっているように、日本が主導で、そして世界がやはり平和な方向に、兵力を削減できる方向に持っていくことが一番理想なんですね。そのために、アメリカが気づかないこともあるかもしれませんから、トータルで世界を平和にする方向に努力はいたしますが、この地域においても必要ないものにつきましては、こちらの方から削減をこの辺はしてもいいのではないでしょうかと言うことを、この内閣は、小泉内閣が安定的にしっかり定着していく限りこれはできますので、またこれはひっくり返って選挙とかで変わったりしたら困りますけれども、しっかりと自民党の、少なくとも小泉総理を中心としたこの内閣がいけば、それは世界の信用も増しますし、アメリカに対しても同じ人が続けて同じことを言い続ける、このことがアメリカの兵力構成の削減にもつながるというふうに感じます。

 御協力をお願いいたします。

東門委員 あすからですか、中谷防衛庁長官が訪米される。そして、三十日には総理大臣が行かれる。そして、七月の三日には尾身沖縄担当大臣も行かれる。相次いで訪米されるわけですが、その皆さんにぜひ大臣の方からお口添えをしていただきたいと思いますのが、今大臣がおっしゃった、頭から普天間が離れない、頭から沖縄が離れないということをぜひお伝えいただいて、今までのような、正直言って、私、これまでまだ一年です、これまで来て、大臣になって一歩動くかなという期待を持っております。それは事実です。

 ですから、大臣の方から、ぜひ普天間の問題、十五年使用期限の問題、海兵隊の削減の問題、兵力の削減です、ということは基地の縮小につながるというところからぜひ踏み込んでいただきたいと、中谷防衛庁長官、それから小泉総理大臣、そして尾身大臣にもお口添えをしていただけたらとてもありがたいと思いますので、済みません、一言よろしくお願いします。

田中国務大臣 きのう帰ってきて、せっかちですからすぐに御報告してあります。頑張ってください、絶対に一歩も引くなと言ってあります。

東門委員 ありがとうございます。

 終わります。

土肥委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時開議

土肥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鈴木宗男君。

鈴木(宗)委員 田中大臣、パワフルに連日活動しておられて、私は心から敬意を表したい、こう思っています。

 大臣が外務省の幹部の前で、人間には三種類しかない、人間には三種類しかないんだ、家族と使用人と敵だ、この三種類しかないという報道があるのですけれども、そういう話はないですか。

田中国務大臣 今、生まれて初めてその話を聞きましたけれども、それもまた捏造でございます。今初めて本当に聞きましたよ。

鈴木(宗)委員 もしそういう仕分けをしているならば、私はどっちに入るのかなと思ってお尋ねしようと思っていたのですけれども、それがないというものですから、聞くすべもないのでありますけれども。

 きょう、私は、大臣には事実関係だけを率直にお尋ねをしたい、こう思っております。

 例えば五月八日の記者会見で、当省には極めて重大な問題があることに気がついた、わかった、機密費もそうだが、どす黒い利権の問題もある、こう会見で言われております。また五月十一日の記者会見では、今回のロシア課長の件、それ以外も、伏魔殿のようなところで、日に日にいろいろな攻勢をかけてきている、こういうように、これは大臣みずからの会見ですからね、会見で言われておりますが、この点について私は確認だけをしていきたい、こう思っているのです。

 一つは、私は、ここ半年ぐらい、二元外交だとか、あるいはロシア課長の人事をめぐって全く事実でない報道がされたり、あるいは大臣の記者会見等でも触れている部分がありますから、この点、私は正確を期したい、こう思ってお尋ねをさせていただきたい、こう思っております。

 まず一つ目ですが、小寺ロシア課長をめぐる件について、自民党有力者の関与云々が言われているというふうに、記者会見でも、質問等でも大臣は答えられているんですね。

 私は、少なくとも小寺課長の人事に関与したということは、私自身ないのですね。

 とにかく新聞などでも、これはどの新聞もそうですね、読売さんも、「「二島先行」反対し”対立”」なんというのは四月三日の新聞記事ですね。あるいは毎日さんでも「外務省人事、背景に「領土」路線対立」だとか、さらに朝日さんも「首脳会談翌日にロシア課長交代」とかというふうになっているのですね。

 きょう、小寺課長、同時に東郷当時の欧州局長がおられますから、まず私は、当事者から率直に聞いて、大臣自身は小寺課長からは意見聴取をしたと記者会見でも言っておられますから、私は、当事者双方の話を聞くのがまずは公平だ、こう思っておりますので、まず、小寺課長にお尋ねしたいのです。

 私があなたの人事について口を挟んだだとか、あるいは何か関与した、そういった話を聞いたり、何か感ずることがあったかどうか、まずお知らせをいただきたいと思います。

小寺政府参考人 私の人事に関しまして、鈴木先生の方から私に直接何かの話があった、こういうことはございません。

鈴木(宗)委員 東郷当時の局長、東郷局長の見解もお知らせをいただきたいと思います。

東郷政府参考人 当時の事実関係についてお答え申し上げます。

 小寺課長の人事は、通常の外務省の流れの中で決められたことでございます。それ以上のものはございませんでした。

鈴木(宗)委員 当時の東郷局長にお尋ねしますけれども、新聞ではイルクーツクの首脳会談の翌日、三月二十六日ですか、そこに発令になった、こうなっているんですね。発令はそうかもしれませんけれども、私は、大体外務省の人事の場合、少なくとも二十日間程度ぐらいの日数をもって、前もって人事課長や官房長等と詰める話だと思うのです。それで、発令になってから、少なくとも四十五日条項か何かで間を置いて赴任される、こう思うんですね。

 三月二十六日の発令で、一般の新聞報道によると、首脳会談の翌日に人事があったように言われておりますけれども、私はそうでないと思いますけれども、その事実関係もお知らせをいただきたい。

東郷政府参考人 お答え申し上げます。

 三月の初めに、ロシア課長の交代の件につきましては小寺課長とお話をいたしました。三月の初めにお話をいたしました。

鈴木(宗)委員 東郷さん、三月の初めにこの人事の話を小寺さんにされた。さらには、それではもう人事課長等とも、関係者とは相談しているわけですね。

東郷政府参考人 当然、外務省の官房の方、人事課長と話をして、その結果を局長としての私が課長と話をしたということでございます。

鈴木(宗)委員 小寺課長、その点は間違いないでしょうか。

小寺政府参考人 人事の内部の手続に関しましては、私の人事に関して、私がそういうことを知っているということはありません。したがいまして、どういう手続があったかということは私は承知しておりません。

 ちなみに、私が三月二十六日の発令というのを聞いたのは、たしか三月十日前後だったというふうに思っております。

鈴木(宗)委員 東郷さん、今、三月二十六日の発令は三月十日ごろ伺ったと言っていますね。

 東郷さんは人事課長と、ではいつ相談して、正確には、いつ小寺さんにお話ししたのでしょうか。

東郷政府参考人 お答え申し上げます。

 内部でお話をしておりましたのは二月の後半でございます。

 小寺課長に三月二十六日のイルクーツク会談後というお話をしたのは、三月の初めでございました。具体的な日にちは三月六日ごろだったと記憶しております。

鈴木(宗)委員 今の東郷さんあるいは小寺さんのお話を聞いても、ここに出席の先生方も、三月二十六日の発令ではあるけれども、間違いなく、若干東郷さんと小寺さんでは時間の差がありますけれども、その差も一週間かあるいは五日ぐらいの差かと思いますね。ですから、ちゃんと二週間ぐらい前には小寺さんに言っておったということ、同時に、新聞報道では二十六日の発令で、何か唐突にやったみたいな話でありますけれども、それはないということで、東郷さん、よろしいですね。

東郷政府参考人 三月二十六日に唐突に小寺課長に伝わったことはないというふうに承知しております。

鈴木(宗)委員 そこで、私は非常に不思議に思うのですけれども、当時は河野大臣だったと思うのです。これはもう大臣まで決裁、上がっておったと思うのですが、その点は東郷さん、いかがでしょうか。あれは当時、官房長は飯村さんですか。

飯村政府参考人 今までお話が出ていますとおり、三月二十六日発令でございますので、その前に当然、省内決裁は終わっておりますけれども、課長クラスの決裁は次官決裁でやらせていただいております。

鈴木(宗)委員 それはいつですか。

飯村政府参考人 まことに申しわけございませんが、手元に資料がございませんので、ちょっとお答えできかねます。

鈴木(宗)委員 官房長に確認しますけれども、官房長も、東郷当時の欧州局長、そして、今、小寺さんがお答えになったラインで間違いないという認識をお持ちでしょうか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 通常、外務省の課長クラスの人事は、人事当局としての官房が、特に人事課長でございますけれども、主管局長と話をして決定をいたします。その上で、正式には決裁を上げて省としての決定をするわけでございますけれども、先般のロシア課長人事につきましては、先ほどから話に出ておりますように、三月の初めに欧州局長との間で話が成立いたしまして、三月の二十六日に発令ということを決定した次第でございます。

鈴木(宗)委員 よくこの人事をめぐって路線対立があったと、鈴木は二島先行だと。ここの委員会でも勉強不足の質問者がそんな話をしていましたね。私は、二島先行論というのはマスコミの造語であると思っています。二島先行返還論という言葉はありませんね、正式に、外交交渉の中でも。この点は私は明確にしておきたいんですね。

 というのは、新聞では、なぜ小寺さんがかわるかと、しかも首脳会談の翌日だと。それは、小寺さんが四島の返還を主張した、鈴木は二島返還で、そこでぶつかって小寺さんは飛ばされたという話につながっているんです。

 私は、飛ばされたという表現がどういうことかわからぬけれども、例えば、ロシア課長から、ロンドン、イギリスに行く、小寺さんが発令されたポストなんというのは、外務省の中でうらやむポストだと思っているんです。小寺さんも、ハッピーという言葉を使ったこともありますね、いいポストだということで。それを間違って、これは飛ばされた、更迭されたという話。私は、これも認識としては組織を知らない話でないか、こう思っているんですよ。

 そこで、小寺さん、私はあなたと、あなたが四島だ、鈴木宗男が二島だなんという議論は一切した記憶がないんでありますが、この点どうでしょうか。

小寺政府参考人 対ロ政策の基本方針に関しましては、鈴木先生への御説明というのは当時の東郷局長がやっておられました。

 したがいまして、私の方から先生に対して、対ロ政策をこういうことを考えている、あるいは次の首脳会談ではこういうことをやりたいと考えている、そういうような御説明ということをしたことはありません。

 したがいまして、先生との間で直接に、何島だかん島だとか、対ロ政策への基本はこうすべきだ、ああすべきだということを私自身が議論したことはございません。

鈴木(宗)委員 今、小寺さんから、四島だ二島だという議論がないということは、もう公の場所で言ってもらったからわかるんですけれども、しかし、当時の三月二十六日以降の新聞では、路線対立があった、こう書かれているんですね。

 この報道に関し、小寺さんはどんな印象を持ちましたか。

土肥委員長 小寺さんに聞いているんじゃないですか。条約局長。どちらかに決めて下さい。

鈴木(宗)委員 いや、私は小寺課長と言っておりますから。

小寺政府参考人 新聞はいろいろ書きますので、また、そういう一局面かというふうにとらえておりました。

鈴木(宗)委員 東郷さんにお尋ねをしますが、今、小寺さんは、新聞の一局面かという言いぶりでありましたけれども、私は、きょう、そこに条約局長さんにも来てもらっているし、あるいは東郷さん、前局長にも来てもらって、それは、私は、少なくとも、外務省というのは、主管課長あるいは地域局長、さらには総政局長から条約局長、入って、いろいろな議論をして、そこで話を外務審議官なり事務次官に上げる、それで大臣に上げる、そして首脳会談ならば総理まで持っていくというのが手続だと思うんですね。

 じゃ、しからば、その過程の中で、外務省の中で、四島だ二島だという議論があったんでしょうか。

東郷政府参考人 現下の対ロ政策に関しましては、現職にある者からお答えすべきかと思いますが、当時の議論に関しての事実関係だけを申し上げれば、それは、対ロ政策がいかにあるべきかということにつきましては省内ではいろいろな議論をいたしました。当然のことだと認識しております。

 しかし、まさに先生御指摘のように、その、した議論の結果を一つの方針にまとめ、外務審議官のところで議論をし、次官に上げ、外務大臣、総理大臣の御了承を得て、一つの政策としてやってまいったということでございます。

鈴木(宗)委員 しからば、私は非常に不思議なのが、相当な議論を積み重ねて、それは一つですね。それで、私は、内閣総理大臣のもとで外交は一元外交だと思っております、基本は。その実施の責任者が外務大臣だ、私はそんなふうに思っていますね。

 しからば、そうやって積み上げていって決めた話が、なぜ外務省の中で路線対立があったかのように報道されたか。これは、東郷さん、なぜそんなことになったか、あなた自身どう思っていますか。

東郷政府参考人 省内における議論の流れは今も御説明したとおりでございまして、それがなぜああいう形で報道されるに至ったかということは、本当に私自身わからないところでございます。

鈴木(宗)委員 わからないというよりも、じゃ、東郷さんならば東郷さんがブリーフを進めますね。何か会談等、あるいは局長ですから定例の記者懇なり記者会見もあるでありましょう。課長さんは課長さんで、私は当然、それなりの新聞記者さんとの触れ合いといいますか、あるいは情報交換等もあろうかと思うんですね。なぜ、そのとき明確に、そういう議論はないという外務省から発信がなかったんでしょうか。

土肥委員長 だれに答えてもらいましょう。(鈴木(宗)委員「東郷局長」と呼ぶ)東郷オランダ大使。

東郷政府参考人 私は、私の力の及ぶ限り、省内でいろいろな議論をした結果としての、今の政策の方向はこうだという御説明をプレスの方々に申し上げてきた所存でございます。

鈴木(宗)委員 小寺さん、今の東郷さんの説明で、小寺さんも同じ認識を、当時、主管課長としてお持ちだったんでしょうか。

小寺政府参考人 基本的にはそのとおりでございます。

 私も、先生御指摘のとおり、プレスの方とは接触の機会がありました。その際に、いわゆるプレスが書いている二島先行返還論なるもの、これはワークしないよということを私は言っておりました。

鈴木(宗)委員 私は不思議でならないのが、大臣、よく聞いてください。主管課長も担当局長も同じラインなんですね。しかし、報道が一方的に先行する。

 そこで、私は大臣にお尋ねしたいんですが、今の東郷さんの話や小寺さんの話を聞きながら、大臣は五月十八日のこの委員会で、ロシア課長人事につき、これもやはりいろいろ聞いておりましたが、あれは今最善の選択をしたというふうに思っていることを御理解くださいと答弁しているんですよ。その前に、大臣は記者会見で、相当おつらい立場にあったと、小寺さんが。小寺さんからいろいろと聞いていますと、私は電話も全部テープレコーダーとっておりますから記録も残っておりますと会見で言っておるんですね、大臣が。今の小寺さんの話、東郷さんの話を聞いたら何もそごがないんですね。

 だから、大臣は、何をもって小寺さんがかわいそうにとか、つらかったろうにという会見での言い回しになったのか、それをちょっと教えてほしいと思います。

田中国務大臣 まず最初に申し上げますが、何か自民党の、言葉は今正確に記憶しておりませんけれども、鈴木先生のお言葉では有力政治家ですか、何か大物政治家の介入云々と初めのころおっしゃいましたね。それが私はどなたを意味しているかわかりませんが、もし鈴木宗男先生のことであれば、私はたった三年生として、鈴木先生は大先輩でいらっしゃって、極めて有能な政治家でいらっしゃる。何か派閥のリーダーとかそういう人のことを、私の概念でいきますと、いわゆる、何というんですか、超大物とかなんとかというのかなと、まだよくわかっておりませんけれども、思いますので、ですから、そういうことは細かく、週刊誌なんかも全然読む時間もありませんし、そういうふうな認識自体が私にはありませんでした。ましてや、私は、外務委員会は、今回、四月二十六日に拝命してこのポストに来るまでは、一度も外務委員会に実は来たことも伺ったこともありませんで、ほかの方が専門でやっておりましたので。

 ですから、そこで、本当に、言ってみれば、全然知らないゼロの状態でこちらに着任いたしました。そして、いろいろなメディアもありますし、それからやめた役所の方、もう卒業といいますか、そういう方もおられますし、政治家の方もおられますし、いろいろな方からいろいろな意見を伺っておりました。

 ただ、その中でもって、えらくややこしいことがたくさんあるらしいなということは感じておりましたけれども、基本的な問題として、外交交渉をやるに当たりましては、日米の基軸でありますとか四島の返還の問題等、一々申しませんが、たくさんのイシューがございます。それについて、一番エキスパートで、その問題それぞれに知悉した人を、そのポストのいかんに関係なく、やはりそばに来ていただいて、そして私の補佐をしていただく、レクチャーを常にしていただける、そういうポジションの方がおられないと、私はなかなか自分の職責を、この未熟者がとてもではないけれどもこの大きな職責を果たせないと思っておりましたので、そういう意味で、私は、お尋ねと直接合わないかもしれませんけれども、ロシア交渉につきまして、ロシアの北方四島について話をするにはどの方がいいかといろいろな方にお話をいたしましたら、事務的には一番小寺さんが精通している人なんだというアドバイスは受けました。また、ほかの、日米の問題等につきましても、諸先輩から具体的な名前を聞いたりいたしております。そして、今日に至っております。

鈴木(宗)委員 大臣はよくキーパーソンだという言葉を使っていましたね。会見等でも、キーパーソン、小寺さんがですよ、対ロ交渉のキーパーソンである、この人は大事なんだという話を大臣はみずからしておるんですね。

 それで、ちょっと秘書官、大臣に、大臣がみずから言った記者会見の記録があるでしょう。私は、大臣が、小寺さんから直接話を伺いましたと、電話で、あなたいつ行かれるのよ、こう言って、記録がありますね。ちょっとそれを大臣に見せてから、今の答弁とは食い違いますから。私はその答弁を、記者会見の記録をもとに答弁していますけれども、まだ自分が何を言ったかという認識がちょっとないようですから。この点、私ははっきりしたいと思うんです。

 同時に、先ほど言った伏魔殿という表現も、このロシア課長の人事を含めて伏魔殿ということになっているんですよ、記者会見では。

土肥委員長 大臣答弁でいいですか。

鈴木(宗)委員 ちょっと待ってください。記録をまず、秘書官、大臣に。まず記者会見の記録を見て。

土肥委員長 記録をとめてください。

    〔速記中止〕

土肥委員長 では、記録を始めてください。

鈴木(宗)委員 では、私から言いますから。

 これは大臣が、五月の九日、四時五十分からの役所での記者会見ですね。たまたま御存じのロシア課長について、自分が着任したときに、ある幹部と外で極秘でお会いして、その方は信頼せざるを得ないポストにおられたので、秘書官も一緒にと、その方とお話をして、こうこうこういうことがあったと全部具体的にお話しした、それでえらく困っておられたが、あなたの責任でだれにも言わずにどうやるべきかということを考えておいてくださいと申し上げたと大臣は言っているんです、会見で。

 ですから、通常のローテーションで人事が行われたと欧州局長も言われる。官房長も、当時なったばかりですけれども、それは聞いておられる。小寺さんも同じラインで答えている。しからば、大臣の方の記者会見での話というのは、私はちょっと認識に違いがあるんじゃないかということをお尋ねしているんですよ。

田中国務大臣 ですから、日にちまでは今この場では覚えておりませんが、今おっしゃったのは、五月九日の記者会見で私がそう申し上げたということであればそうでありますけれども、ただ、私は人事のローテーションがどうこうではなくて、私の主眼は、外務省に私が初めて来て、この外務委員会等の質問に答え、責任を持って日本の外交を遂行するに当たっては、それぞれのイシュー別に、事案ごとに精通した人が本省にいてくださるということは必須だというふうに思いました。したがって、一々ほかの件については申しませんけれども、たまたまこの四島返還交渉、これは大変国民的な関心のあることでございますから、したがって、過去の経緯も知悉をしている人、ベテランの人はだれかというふうなことを申しました。

 それから、秘書官とだれかもう一人と私が話をしたとおっしゃっていますね。それにつきましては、上村さんという、今現在もその方は秘書官でございまして、今は仮です。その方も突然何かぐあいが悪くなって云々でもっていなくなっておりますが、私は定期的に診断書を持ってきてもらっておりまして、そんなにぐあいが悪くなるのか、私となんか何ももめておりませんで、むしろ、彼は小金井に住んでいて、私の秘書官になって本当にうれしい……(鈴木(宗)委員「ちょっと、委員長」と呼ぶ)ちょっと待ってください、ちょっと待ってください、大丈夫なんですよ。(鈴木(宗)委員「質問以外の時間」と呼ぶ)時間、じゃ、早くしゃべりますよ。その方は……(鈴木(宗)委員「大臣、中身のことを言っているんですからね」と呼ぶ)中身が大事なんですよ。(鈴木(宗)委員「ですから、早口だとかそういう次元じゃないんですよ」と呼ぶ)じゃ、早く言います、中身を言います。

 うちのそばに引っ越してきてくれてまでいて、本人はやる気満々だったのに、ある日突然病気だといって来なくなって、今現在も自宅にいるそうですので、私は、その方と私と幹部の方といろいろと話をいたしました。そのことを五月九日の会見で申しております。

鈴木(宗)委員 大臣、じゃ、ある幹部というのはどなた様でしょうか。

田中国務大臣 その方の御許可がなければ、名前を言っては申しわけないと思います、本当に幹部でございますから。現役です。

鈴木(宗)委員 これ、皆さんどうでしょう。私は、何もこれは隠す話じゃないと思うんですね。話をした、当然、組織で自分の部下と話をするのは当たり前ですからね。その人の許可がないとしゃべれないというんだったら、じゃ、許可をとってください、済みませんが。(田中国務大臣「委員長、お決めください」と呼ぶ)

土肥委員長 ちょっと、理事、集まってくれますか。

 速記をとめて。

    〔速記中止〕

土肥委員長 速記を起こしてください。

 外務大臣の判断で決めてもらいますので。外務大臣。

田中国務大臣 鈴木先生はお名前を知りたいと思っていらっしゃるわけですよね。

鈴木(宗)委員 いや、知りたいじゃなしに、記者会見で言っておられるから、それはだれですかということを聞いているんですよ。

田中国務大臣 わかりました。では、質問にお答えいたします。

 加藤審議官でございます、今現在の加藤審議官です。

 どなたとトータルな、政策別の、伏魔殿云々じゃないですよ、着任したのが四月二十九日ですから、そして、その会をやったのは四月三十日です。三十日に、いろいろな外交問題について話を聞くにはだれがいいかと、その上村秘書官に、私は今でも彼が秘書官だと思って、彼が元気に早く出てくるのを心待ちにしているんです。その彼が相談相手は加藤審議官でしょうと言ってくださったので、加藤審議官と上村秘書官と私と、三人で会合をいたしました。

鈴木(宗)委員 今、大臣のおっしゃったことは、もう既に新聞では報道されているんですね。今の、加藤外務審議官がその相談にあずかったということは入っているんです。

 そこで大臣、その日の記者会見で、新聞記者とのやりとりで、記者の方から、ロシア課長人事については具体的にどういう点が問題だと認識しているのかという質問があるんです。それに対して、大臣は、あなたの認識はどうか、どこまで御存じかと、まず大臣が一発、その記者に打ち返しをしているわけです。言われた方も、私は情けないなと思っているんですけれども。

 そこで、さら問いで、報道されている範囲では、北方領土返還に関する路線対立が背景にあって、その辺で自民党の代議士の影響などもあったりというようなレベルであるが、そういう認識以外にもっと何か深いものがあるのかという問いかけに、大臣は、まずそれがベースにあるのではないか、こう言っているんですよ。その政治家の、自民党の代議士の影響などもあったりというようなレベルでないかという問いかけにあって、まずそれがベースにあるのでないかと大臣は明確に言っているんですよ。だから、私は先ほどお尋ねしているんですよ。

 ですから、その事実、何をもってキーパーソンだとか専門家と。私は、ロシア課長は小寺さんだけでなく、たくさん人材がロシア課にはいると思いますよ。あるいは、東郷さんもロシア語の専門家ですね。私は、何も、大臣以上に、組織の人が一番、対ロシア政策を考えているときに、ベターよりもベストの選択を、私は、外務省は今までしていると思うのですね。しからば、先ほど大臣がいみじくも言った、外務委員会にも来たことがなければ外交部会にも出たことがない、私はまあまあ経験が浅いんですと言っておったら、しからば、より専門家の人たちがまだまだ私はいて、いろいろな意見具申もできた、こう思うのですよ。

 しかし、どうも大臣がさっき言っている話と、この記者会見のやりとりを聞いていると、私は大きな乖離があると思っているんです。この点、大臣が、政治家の関与、自民党の代議士の影響などがあったという質問に対し、まずそれがベースにあるのではないかと明確に言っているんですよ。それは何を意味しているのか、明確にして教えてください。

田中国務大臣 私はどの方がどうであるというふうなことは申し上げたわけではございませんで、その加藤審議官とお話をしたとき、それから、それ以外の外務大臣経験者やベテランの自民党のいわゆる外交の族といいますか、私、外交――それから委員会には来たことがありませんが、外交部会には出たことはございますので、先生のお目にはとまらなかったかと思いますが……(鈴木(宗)委員「いや、一回だけ出たことは確認しています」と呼ぶ)いや、一回だけ、もっと出たのに……。

 それで、いずれにいたしましても、いろいろな方たちから、それから霞クラブの記者の方も私も知り合いもおりますし、そのほかいろいろな分野の方たちから意見を聞いたことはありますけれども、私は、基本は、日本のあらゆる外交政策をいかにファンクショナルに進めていくかということが主眼でございまして、その中でそれぞれのイシュー別に、繰り返しますけれども、よく知悉している方、局長さんや審議官はもちろん御存じでしょうけれども、それとて二年ぐらいでかわるわけですから、やはり今現在の、最もポイントをよくわかって、流れを、またいわゆる経歴も、経緯もと申しますか、それを知っている人を、やはりそばにいてもらって補佐してもらう。これが自分がミスリードしないことであろうというようなポイントであります。

 それからやはり、そのことをこだわっておられますが、私はむしろ、外部からぽっと、外部っておかしいですが、外務大臣に来て、一番の問題は機密費の問題だったんですよ。松尾事件ですよ。そして、前内閣以降が……(鈴木(宗)委員「また後で質問します」と呼ぶ)いやいやいやいや、これが大きかったんです、世間は。世間はこんなにロシア問題なんということを一般には思っていなくて、むしろ機密費の問題をこのまま終わってはけしからぬ、むしろ小泉総理は、候補として選挙のキャンペーンのときから、機密費の問題はしっかりと切り込むとおっしゃって、私も一緒に行動しておりましたから、むしろこのことにふたをしてはいけないという思いの方が強かったんです。それも含めて加藤外審に話も聞きましたし、秘書官にも聞きました。

鈴木(宗)委員 大臣、じゃ、加藤外務審議官が小寺さんを戻した方がいいとおっしゃられたんですね。

田中国務大臣 細かいことにつきましては正確には覚えてもおりませんし、それについては今この場でもって無責任には発言はできません。

鈴木(宗)委員 細かいことじゃなくて、私は、人事というのは大変重いものだと思っております。これは、会社にしても、あるいは官公庁はもちろんでありますけれども、私は、極めて重いものだ、特に外交を預かるという話になれば、なお、私は極めて賢明な判断が必要だと思っているんです。

 私は、加藤外務審議官にお尋ねをした大臣の見識というのは正しいと思っているんです。間違いなく、あの人が今の外務省の中ではエースであることは事実でありますから、それは正しいと思っているんです。しかし、その加藤さんが、小寺さんを戻した方がいいとか小寺さんが一番ロシアに精通しているだとかという話は、あの人をして言うわけがないと私は思っているんです。

 この点をぜひとも委員長、ここは大事なところですから、私は確認をしてもらいたい。

土肥委員長 ちょっと、筆記とめてください。

    〔速記中止〕

土肥委員長 速記を起こしてください。

 外務大臣。

田中国務大臣 長時間にわたって、いろいろな外務省が抱えている案件についてお話をさせていただきました。その中で、こういうことはどなたにお話をするのが一番よいだろうかとか、それから、やはり処分が十六人ございましたから、機密費の問題で。それでもって、それもどうしてどうなのかということも、私は予算委員会にいたから、そのペーパーを見ていますよ、皆さんでもって七百万だか八百万の返納、減額したと。でも、これで済む話じゃないんじゃないかという思いもありましたので。

 人脈もわかっておりませんし、ですから、あくまでも私の関心は、それぞれの案件でだれが一番精通して、どの方に相談すればいいかという相談をいたしました。ですから、長時間ですので、だれがどういう発言をしたか、三人いた中で、記憶は細かくは覚えておりません。

鈴木(宗)委員 大臣、私は何も大臣を責めているんじゃなくて、事実確認と、やはり正確を期すことが大事なんです。

 同時に、民族の悲願だとこの領土問題を言って、五十六年たっているんですよ。そこで日本の外務省の中に路線対立があったと外に出るだけでも、それは国益を損なう話ですよ。いわんや、私は、組織の中で一課長が、外務大臣も決裁した、総理大臣ももうカードを切った話に、自分はこうだなんて言って意見が通るわけもない。それはさっき小寺さんが認めたとおりなんですよ。それをあたかもそういう話があった、こう報道される、また、それを受けとめて大臣が記者会見等で言っている。だから私は、ここは大事なところだから、事実確認をしたい。

 同時に、今の大臣の話で一つ違っているのは、加藤外務審議官と話をした、その前に大臣は、私はやはり対ロ政策を行う上で一番精通して知っている人、わかっている人をそばにいてほしい、こう大臣はさっき答弁で言っているわけですよ。じゃ、しからばそれが小寺さんだったんですねということになって、じゃ、それは加藤さんが推薦したのか、大臣の意思で指名したのか、それをお答えくださいと私は言っているんです。

 これは大臣、私は何も大臣と言い争ったり、何か対立しようという気持ちじゃないんです。私はあくまでも事実だけをしっかり残しておきたいし、間違った報道が多過ぎる。きょうもこれだけたくさん来ていますけれども、何を思って来ているか、私はわからぬ、はっきり言って。同時に、今までのこの外務委員会でも、名前は言いませんけれども、間違った、政府の見解と違った質問をしている人がいますよ。だから私は、まず正確を期さなければいけないということで言っているんだということをまず大臣、頭に置いておいてください。

 ですから、何もここで私は大臣と、よく週刊誌なんか眞紀子VS宗男なんて言うけれども、私と大臣は全く格が違いますから。私はもう、大臣は横綱だ、それで私なんか十両ぐらいだと言ったら、それだけでも批判されるんですから、失礼だと言って。褒めたら褒めたで怒られて、たまったものじゃないんですけれどもね。

 だから、まず私は、正確を期す上でも、大臣、何も私は大臣の判断がどうのこうのと言っているんじゃなくて、事実関係をまずこの人事についてはきちっとしておきたいということでありますから、それを念頭に置いてお答えをいただきたいということでございます。

田中国務大臣 それは十二分に頭に、念頭に置いて申し上げているんですが、三人の中でそういう、三人の会談をしましたときに、加藤さんとそれから上村秘書官と私との話の中で、いろいろなことを話をしましたけれども、その中で名前が出たか出ないか、それから、私も結構たくさん外務省の方にお世話になっていて、よく存じ上げていまして、おやめになった次官、途中でやめた方、たくさんおられて、そのまた御子息様たちも局長さんとかなんとかたくさん、子供の友達のパパがいっぱいいまして、そういう方たちからも、私が外務大臣になったと同時に、いろいろな連絡やら電話やら、じかに会ったりしていますから、どこでだれがそういう話をしたかということは、一々、一〇〇%覚えてはおりません。

 ただ、私は、何度も申しますが、それぞれの外務省マターの中で、一番よくわかっている、それは一人とは申しませんよ、できるだけそういう方たちの意見を聞かないと私はいい外交ができないのではないかな、そのためにはどうすればいいか、衆知を集めたいという趣旨でございました。

鈴木(宗)委員 しからば大臣、率直にお尋ねしますが、もう既に事務的な決裁も終わった、そしてしかも本人はハッピーだと言うぐらいのポストに、栄転ですよ、更迭じゃなくて、あのロンドン行きというのは。歴代の優秀なロシア課長は必ず一回通っている道ですよ。それを、あらかわいそうにと大臣が言って、いいですか大臣、大臣はそういう表現をしているんですから、あの記者会見で。これは秘書官、きちっとその記録を大臣に、よほどつらかったんだろうと思った、電話レコーディングしてある、私はと。それで、あなた会えますかと、出発はと聞いて、小寺さんから意見聴取をしたということになっているんですよ。その流れの中で小寺さんはロンドンに向かって、着いてまた戻されたんですから。

 だから、そういう判断をした背景はどういうことかを、それを率直にお答えいただきたいと思います。

田中国務大臣 ですから、それは、諸先輩や加藤外審もおっしゃったかどうかも御本人に聞かなきゃなりませんけれども、非常に、一番、過去の経緯も、それから私がここに着任する前の経緯もすべて、政策ですよ、政策がよくわかっている人ということで名前が挙がってきて、その方はどこに行ったんですか、どこにおられますかと、五千人もいる中ですから。それで、連絡はつかないでしょうかということを、何ですか、前の秘書官、前のというか、彼しか私は秘書官はいないと今でも思っておりますから、早く帰ってこい帰ってこいと言っているんですが……(発言する者あり)上村さんに言って、上村さんがアレンジをしてくださって、そして小寺さんなる方と電話で話をしてみたということでございます。

鈴木(宗)委員 ですから、大臣、五千人もいるから人もわからぬと大臣はそう言いながら、小寺さんという固有名詞で大臣が連絡をとったわけですよ。(田中国務大臣「私がとったんじゃないですよ。秘書官がやってくれた」と呼ぶ)いやいや、大臣、ですから、私は大臣の記者会見の記録を読みながら言っているんですよ。いいですか。ちょっと委員長、速記をとめて、大臣によく読んでもらってください、この五月九日の記者会見の記録を。

土肥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

土肥委員長 速記を始めてください。

 質問は。鈴木君。

鈴木(宗)委員 大臣、読まれたら、連休中も自分は登庁しているとか、あらゆる方で自分にあなたの知恵をかしてくださいね、人事というのは極めて大事なことでもあるし、特に機密費に関しては日本人は関心を持っておられる、野党だけでなく自民党云々という前段に、あなたの責任でだれにも言わずにどうやるべきかということを考えておいてくださいとちゃんと大臣言っているんですよ。

 ですから、それは大臣は、では、小寺さんが何ゆえに組織の一員として、もう決裁も終わっている話が、しかも前の河野大臣のときに終わっている話が、一カ月半もして、この人しかいないんだという話はどこからの判断でどうしてそういうことになったかということをお尋ねしているんですよ。

田中国務大臣 ですから、どこからの判断でではなくて、私はそういう固有名詞はわかりませんでしたけれども、先ほど来申し上げていますように、外務大臣経験者でございますとかあるいは役所の幹部、現職それからやめた方も含めますけれども、そういう中で挙がってきました。

 そして、そんなによくわかっている方ならば本人とお話をしてみたいけれどもどこにおられますかと言ったらば、上村秘書官が探してくださって、自宅に電話を下さいました。そういうことです。

鈴木(宗)委員 そこで、大臣、そう大臣は言いながら、記者会見で記者の質問に対しては、自民党の代議士の影響などもあったりというようなレベルであるかという質問に対し、まずそれがベースにあるのではないかと答えているんですよ。

田中国務大臣 外務委員会ですからロシア問題もこだわっておられるのかもしれませんが、私の頭にあったのは、むしろ機密費の問題が極めて……(発言する者あり)いや、すりかえじゃないですよ。ですから……(鈴木(宗)委員「委員長」と呼ぶ)いや、ちょっと待ってください。ロシア問題もありますが……(鈴木(宗)委員「機密費だけ機密費で後でまたちゃんとしますから、私の質問にちゃんと正確に答えてくださいよ、これは」と呼ぶ)ですから、そういう問題もありますけれども、機密費の問題もあったし、全体にあのときの外務省の状態を世間から、一般からですよ、外部から見ていましたらば、そういう問題もある……(鈴木(宗)委員「私が大臣の記者会見で言っている話に答えてくれればいいんですから。機密費云々。ちょっと理事たちもおかしいんじゃないかな、君らは」と呼ぶ)

土肥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

土肥委員長 速記を起こしてください。

 では、鈴木君、もう一度はっきりと質問を言い直してください。

鈴木(宗)委員 同じことなんですけれども、大臣は小寺課長を引き戻したことは間違いないですね。戻したことは間違いないですね。(田中国務大臣「質問なさってください、どうぞ」と呼ぶ)

 いや、ですから、そこで大臣は、このときの記者会見で、政治の関与があったというふうに認めているわけですよ。いいですか。ところが、大臣の今の答弁だと、いや、加藤外審に聞いたとか先輩のだれそれに聞いたとかと言って、自分の判断というのがないんですよ。私は、少なくとも大臣がそれなりの判断や決断をして、前例のない話なんですから、一回もう決裁の終わっている話、しかも一カ月半前の話をもとへ戻せなんということは、今回、開闢以来のことなんですから。だから、この点は政治の関与があったと大臣は記者会見で認めておきながら、いろいろな人に聞いたと言うけれども、その政治の関与があったと思って、小寺さんを戻したならば戻したとはっきり言ってくれればいいんですよ。

田中国務大臣 ですから、お気に召さないかもしれませんけれども、事実は、外務大臣経験者でございますとか、それからこの役所の次官経験者、おやめになった方、現在おられる方、あらゆる方の意見を聞いて、イシュー別に、いろいろな、外務省の中でロシア問題は彼がそばにいて補佐をすることが非常にいいとアドバイスをいただきましたので、ではその方にいていただきたいということでございます。

鈴木(宗)委員 委員長も聞いておられると思いますが、先ほどは、加藤外務審議官と秘書官とで話をして、そこでこの人はいい人だという話になったら、私は加藤さんと相談したのはいいことだと言っている。今度は、今になると、外務大臣まで広がれば、先輩まで広がれば。そこで委員長、私が言っているのは、記者会見では大臣はそういうことは言っていないわけですから、記者会見で大臣が言っているラインできちっと私は答えてもらいたい。そこで、政治の関与があった、これはよほどつらかったんだろうと思ったとまで大臣は同情しているわけですから、その小寺さんに。

 どうですか。話が合わないんじゃないんですか。

田中国務大臣 ですから、加藤外審とそれから上村秘書官と話したときもいろいろなことの話があって、その中に、こういう人間がいますよというイシュー別の、この事案にはこういう人がいいかもしれないという話もありましたし、だから、それ一つじゃないんですよ。

 外務大臣に就任してから、それはいろいろな方から、メディアの方もおられますし、産業界もおられるし、いろいろな方たちからアドバイスがあって、こういう人がそばにいるといいですよというような話はあるわけですから、話が一つに、何というのかしら、小さく追い込んでしまって、ここで言った、言わないじゃないんですよ。

鈴木(宗)委員 私が質問しているのは、大臣は政治の関与があったというふうに記者会見で言っているんですよ。いいですか、大臣、御自身の会見で言っているんですよ。しからば、自民党の代議士の影響などもあったんじゃないかという質問に対して大臣は、まずそれがベースにあるのでないかと明確に答えているんですよ。

田中国務大臣 ですから、あらゆる方のアドバイスを受けている中でそういうふうな意見が……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。野党が関与しないと言っているのは、なったら、与党の問題で迷惑だと言われるなら……。

 ですから、そういう中で出てきた問題でございます。それはたくさん、大臣になったらおわかりでしょうけれども、鈴木大臣もそうでしょうけれども、たくさんいろいろな方から、特に私なんか外務大臣なんということは予期せぬことでしたから、いろいろな方たちからアドバイスをいただいたわけでございまして、そういう中でもって、そういうことが私が着任する以前にあったというふうな思いがあっておっしゃった方もおられたということです。

鈴木(宗)委員 大臣。東郷前局長、小寺課長に私がきょう無理して来てもらっているのは、今の大臣の話に意味があるんですよ。

 大臣が政治の影響があったという認識で新聞も書いたわけですよ、小寺課長を戻したということは。記者会見でそう言っているわけですから、大臣は。じゃ、担当の当時の局長さんも小寺課長も、政治の関与がないと言っているのに、大臣の記者会見は関与があったと言っているから、どちらが正しいかということで、私は、大臣の認識はちょっとおかしいんじゃないかということを言っているんですよ。違いますか。

 委員長、意味はわかりますね。

土肥委員長 わかります。だから、政治の関与があったかないかだけですね。

田中国務大臣 私は、小寺さんに本省で仕事をしていただきたいと思った理由は、基本的には、メディアが質問をだあっと霞クラブでしますので、その中でいろいろな質問があったかと思いますけれども、私が小寺さんに来てもらったということの理由は、再三申し上げているように、政策の、ロシアの問題について精通しておられるということであります。

鈴木(宗)委員 精通しておられるというのは、私は、後からついてくる言葉だと思っているのですよ。間違いなく、大臣、記者会見で大臣は言われているわけですから。

 いいですか。自民党の代議士の影響などもあったりしたのではないかと、大臣はそれに、まずそれがベースにあるのではないかと明確に答えているわけですから。そこは、大臣、そのことがまた次の日の新聞報道にもなっているわけですから。私は、大臣がいろいろな人の意見を聞いたというのではなくて、記者会見で明確に言っているわけですから、それは撤回するなら撤回する、判断が違っておったら違っておったと言うのが大臣のお立場じゃないですか。

田中国務大臣 そう、いきり立っておられますけれども、私はやはり、いろいろな方の意見が幸いにもありまして、そういう中でいろいろな、特に外務大臣経験者、そういう方たちが、いろいろな御苦労もなさっていて、現場を御存じで、いろいろアドバイスもくださっていることもあるわけですから、役所からももちろんありますよ、マスコミからもありますよ、やめた人もいるし、現場の人もいるわけですよ。それらを勘案して、ああ、そうだったのかというふうに思って私がそういうふうな発言をしたかもしれませんが、そうであっても、やはり基本は、いい外交をするということです。それはもう鈴木先輩もそうでございましょうし、これからが大事でございますので、これからどうやって、よく、四島一括返還をして、一括というか、四島返還をして、いかに、どうやって平和的に友好条約を結ぶかということに、ぜひ、これからもっとポジティブなエネルギーを注いでいきたい、かように思っておりますので、御指導を仰ぎたいと思います。よろしくお願いいたします。

鈴木(宗)委員 委員長、これは、皆様方も委員会で聞いておって、私の質問に答えていませんよ。自分で政治の関与があったということを公で言っておきながら、外務大臣経験者に聞いた、うん、あれは外務省のOBに聞いた。じゃ、私は、少なくとも今外交をやっているのは現役の人だと思いますよ。現役の声を優先せずして、OBの声だとか、あるいは特定の政治家の声だとか、私は正しい判断になるとは思えませんよ。もし間違った、一方的な情報が行ったならば、これはまた不幸なことじゃないでしょうか。だから、私があえて今こだわって言っているのは、そこなんですよ、委員長。

田中国務大臣 加藤外務審議官も含めて、現役の方たちからも意見を聞いておりますので、間違いないようにお願いいたします。

鈴木(宗)委員 大臣、大臣はそういう打ち返しはとてもうまいんですよ。大臣は最初、加藤外務審議官の話だったんですよ。その次は、今度は先輩だ、OBだ、そして外務大臣経験者に拡大していくのですよ。

 大臣、じゃ、少なくとも五月九日までに、OBの人だとか、さらには閣僚経験者、すべて意見開陳は終わっているのですか、この会見のときに。

田中国務大臣 あの状況、大臣経験者でおわかりになると思いますけれども、いろいろな方から情報ももたらされる。役所に来られる方、家に来られる方、手紙をくださる方、ファクスの方、電話をくださる方、いろいろな方ですよ。きょう現在も、先ほども役所にちょっと帰りましたときに、もう引退というか、もとの次官で、今何をしておられるかわかりませんけれども、つい直近の次官の奥様からお手紙やら情報やら来ていまして、それは大変な量です。

 そういうものを総合して、そして加藤さんの声もありますし、現職の方々、私は存じ上げていますよ。東郷欧亜局長のところなんか、あんパン食べにお部屋に遊びに行ったこともありますし。あっ、食べに行ったんじゃない、行ったらあんパンが出てきたのですね。そういうこともありますし、いろいろな方から意見を聞いているのですよ、私は。

 それで、印象として、そういう質問がされた場合に、そういう政治の介入があったというトータルで、そういうことがあったかと言われたらば、そういう答えをすることはあり得ると思いますよ。一人から聞いてこうであったとか、そういうことを言っているんじゃないんですよ。

鈴木(宗)委員 大臣のいつもの語り口というか、答弁の手法ですけれども、私は、大臣、私の言っていることに答えてくれればいいんですよ。

 記者の人が、自民党の代議士の影響があったんじゃないかという質問に対して、大臣は、まずそれがベースにあるのではないかと。そこで小寺課長を戻したということになっているんですよ。しからば、今の答弁とは違うでしょうということを私は言っているんですよ。

田中国務大臣 私は、特定の一人の議員がそんなにすごい影響力を持っているというふうなことも信じられませんし、一人であるとか二人であるとか、そんなことも私は言ってはおりません。

鈴木(宗)委員 これはちょっと、議員さん方、どう考えたって、すりかえの答弁になりますよ。大臣みずからが言っていることで、ほかの人ならばこれで済むけれども、これは私は看過できませんね。正確に、みずからの言った言葉には責任を持ってください。

 いいですか、あなた自身が政治家の関与があったと認めているのですよ。認めておって、いろいろな人の意見を聞いたと言って、じゃ、だれが関与したのか教えてくださいよ。いやいや、じゃ、小寺さんをかえたと言うならば。それに対しての質問なんですから、この新聞記者の質問は。

田中国務大臣 ですから、それは、複数のいろいろな方からいろいろな状況が入ってきて、情報が入ってきて、それでそうですよ、そういうことって人間はあるんじゃないんですか。何でこんなにこだわられるのか、私にはわかりませんけれども。

鈴木(宗)委員 これは皆さん、自民党の理事さんも聞いてくださいよ。

 自民党の代議士の影響があったのかという質問に対して、大臣は、まずそれがベースにあるのではないかと言っているんですよ。しからば、じゃ、その自民党の代議士はだれか、言ってくださいよ。自分で言っておいて、おかしいんじゃないですか。

田中国務大臣 その議員という人が一人であるとか二人であるとか、そんなことは私は発言はしていないんですよ。

鈴木(宗)委員 大臣、よく聞いてくださいよ。大臣が記者会見で、小寺さんがかわいそうだ、私はちゃんとテープレコーダーもとっていますという、こう全部言っているんですよ。その流れの中で、よほどつらかったんだろうと思います、だからあなたはもうすべて私に教えてくださいと言って電話を切って、その小寺さんから事情聴取もしましたと大臣はちゃんと記者会見で言っているんですよ。

 その結果としての質問に、大臣が、自民党の政治家の影響があったと言っているんですよ。しからば、東郷当時の局長に聞いても、当事者の小寺さんに聞いても、政治の関与がないと言っているのに、なぜ大臣がこういう決め打ちの記者会見ができたかということを私は聞いているんですよ。

田中国務大臣 決め打ちの記者会見とかいう言葉は、私は今初めて伺った、そういう表現がこの業界にあるということも初めてわかったのですが、とにかく、やはり全体の、何度おっしゃられても、申しわけないのですけれども、あの状態で、大変な情報がもたらされて、総合的に、その中で、とにかくそういうお答えに記者会見で当時なったわけですから。

 要は、何でこれだけしつこくなさっているのか、私は趣旨がわからないのですが、やはり北方四島の返還の問題というのは大変大事なことなんですね。私、この間、六月六日の日でしたか、イワノフ外務大臣ともお話をいたしまして、このことが大事だなということも再認識しておりますので、どうぞ、これからよくするために、一生懸命、領土の問題についてもですけれども、議論ができるようにしていただきたいと思います。

鈴木(宗)委員 そういう話を私はしているんじゃないんですよ。私は、これは鈴木宗男の人権にもかかわる話だし、間違ったことはいけないと思っているんですよ。

 大臣が知っているとおり、新聞報道はすべて、私が絡んだという、小寺課長と意見対立したから、その結果飛ばされたというのが当時の報道の流れなんですよ。その報道の流れを受けて、あら、小寺さん、かわいそうにとなったならば、私は、大臣はちょっと偏った判断をしたなと。

 同時に、今東郷さんの話を聞いても、小寺さん、当事者の話を聞いても、全く政治の関与がない。事務次官まで記者会見していますよ、あの当時。新聞が出たとき、事務次官が記者会見したのは、あれは四月の何日ですか、政治の関与がないと言っているんですよ。

 しかし、報道は、これまた大臣の話をベースに、いや、やはり関与があったんだという流れであるから、ここは、私はきちっと記録として正確を期したいというのが一つと、大臣自身も記者会見で述べておられるから、自民党の代議士の影響などもあったというレベルであるがということに対して、まずそれがベースでないかと大臣も言っておるから、それをきちっと言ってくださいということなんですよ。

田中国務大臣 私は、この記者会見の中で、特定の議員の名前なんか全然言っていないのですよ。ですから、そういうふうなものを、いろいろな方から情報として入ってきて、そして――私、一人の議員がそんなことができるはずがないというふうに思いますし、あってはならないことだと逆に思います。したがって、いろいろな方の意見を聞きながら、こういう発言に――複数ですよ、本当に、どこでだれがどう言ったと。しかも、そんな強力なことをこの民主的な外務委員会の中でされていないと思います。

鈴木(宗)委員 大臣、どこでだれが言ったという話をしていないんですよ。あなたの言った話について、私、聞いているんですよ。

 あなたが政治の関与があったというような会見をしておるから、しからば、では当事者がここに二人いるんですよ。二人いるんです。政治の関与がないと言っているのに、なぜあなたが政治の関与があったと言えるかということを聞いているんですよ。

田中国務大臣 ですから、なぜ言えるかということにお答えいたします。

 それは、私は、ここにいるお二方とかそんなことではなくて、たくさんの方々から、前大臣、元大臣とか、それからメディアの方とか、それから役所の方たち、現役やらいろいろな方ですよ、から話を聞いている中で出てきたのでありますし、記者会見の中でも、私は――だれか固有名詞なんか出ているのですか。そんなはずもないし、そうであったらば、マスコミの報道に対してむしろそれだけのエネルギーをお向けになればいいのであって、何でもっとこの時間を有効に使わせてくださらないのかなとさっきから思っておりますが、変でしょうか。

鈴木(宗)委員 田中大臣、質問に答えてくれればいいんですからね。この点、誤解をせぬでください。大臣が言ったことについて私は聞いているんですよ。

 同時に、大臣、私は人事というのは神聖なものだと思いますよ。神聖なことを、大臣はいろいろな人に今聞いたと言いますね。私は、組織としてはおかしいと思いますね、組織の責任者としては。まずは組織の中で固めていくのが筋でないでしょうか。今大臣はだんだん拡大して、いろいろな人の話を聞いた、こう言っているんですよ。これも、私は、組織の責任者としてはおかしいと思いますよ。(田中国務大臣「委員長」と呼ぶ)ちょっと待ってくださいよ。

 そこで、少なくとも課長人事は、その担当局長と人事課長、そして官房長で、私は事務的にやるものだと思いますよ。それを整々と上げて、決裁されていった話なのですよ。その決裁が通常のローテーションで円満に決裁されていって、その話が一カ月半後に戻るわけですよ。これはどう考えても尋常ではないんですよ。だから、そこに大臣の判断が働いているわけですから。その大臣の判断が、いみじくも記者会見で言っている、政治の関与があったということにつながって、全部国民はそうだと思っているんですよ。

 だから、私は、先ほど来大臣の話を聞いていると、一人の政治家で何もできないと言いながらも、大臣は人事をやったことは間違いないんですよ、これは。一人の力でやったんです、今までに例のないことを。自分ではそういうことをやっておきながら、この答弁では、一人の政治家では何もできないなんというすりかえの議論は、私は、これは通る話でないと思っているんですよ。

 委員長、意味わかりますよね。

土肥委員長 わかります。

鈴木(宗)委員 この点で、きちっと私はしてもらわないと、これはだめですね。

土肥委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

土肥委員長 速記を起こしてください。

 田中外務大臣。

田中国務大臣 ですから、この記者会見のときですけれども、これはそういう、いろいろな方から声が、とにかく着任と同時にいろいろの外務省のことについて話や情報がもたらされている。その中に、そういう政治的ないろいろなことについて、流れがこの中であるというふうなこともあって、こういうふうな質問、マスコミは多分そちらに関心があったのでしょう、そしてそういう質問に対して私がそう答えている。しかし、それと、いいですか、それと、だれが人事を通したというふうな問題とは別なのです。それは、人事についてはそれぞれの、またもう一回言いますが、対米問題とか、あるいはロシアとか、それぞれの専門の、よくわかっている人が、私みたいなわからない人がぽんと着任したわけですから、指導してもらうにはいいだろうとか、それは別問題だということを申し上げているのです。

鈴木(宗)委員 大臣、私が言っているのは、例えば小寺さんだって今一番つらいと思いますよ。実際の話、大臣には重宝がられても、組織の中ではまた別な見方をする人もいるでしょう。同時に、東郷さんは東郷さんで、大臣からフリーズと言われて、アグレマンをもらっているにもかかわらず何日も据え置かれましたね。私は逆に、ちゃんと認証式も終えて、辞令も出たから、私はきょう、あえて東郷さんに来てもらっているんですよ。認証も終わっていない、辞令も出ないうちにやられたら、またフリーズなんていってとめられたら東郷さんに申しわけないと思って、私はそこまで配慮して、きょうまで質問は実は待ったんですよ。

 ですから、時間ですから、これは答弁にはなっていませんから、大臣。

 大臣、大臣が一つ勘違いしているのは、この記者会見では、大臣は政治の関与があったと認めているんですよ。自民党の政治家の関与があったと認めているんです、この会見では。会見で認めているならば、鈴木宗男なら鈴木宗男で結構ですから、言ってほしいんですよ。いいですか。人事を担当している官房長も、当事者の小寺さんも、東郷前局長も、全く政治の関与がないと言ったら、川島事務次官もわざわざ記者会見でも言っていますよ。その話が、トップの大臣が、いや、関与があったんだ、こう言っているものですから、なお報道が尾を引いているわけですから、しからば、私は、大臣のこのときの記者会見で、いや、それは鈴木宗男なら鈴木宗男だと言ってくれればいいんですよ。では私は、いつ、どこで、だれにどんな影響力があって行使したか聞けばいいんですから、それを大臣がごまかすものですから、話がかみ合わないんですよ。違いますか。

田中国務大臣 私は何もごまかしておりませんで、当時の状態のことをそのとおりに、時系列的にお話を申し上げているつもりでございます。

 それから、人事の凍結のことをおっしゃいましたが、これは機密費で、私は、機密費のことで頑張れ頑張れですから、ですから、それでもって、どこかへいなくなってしまったり、何かまた起こっちゃ困るので、とにかく総理とも相談しております、官房長官とも相談しております。そして、これはいっとき、まず凍結しておかないと、これは異動というのを外務省がやったら、どうにもならなくなっちゃいます、経費もかかりますし。

 したがって、方針が、総理からゴーのサインが出るまでしばらくは凍結と思いましたけれども、いろいろと差しさわりもありますし、アグレマンの問題等もありますので、それで解除ということで、東郷局長がオランダに行かれる。この間も、私も陛下のときに立ち会わせていただきましたし、円満にいっておりますので、これからやはり、どうやって外交をよくしていくかということに、ぜひみんなでエネルギーを注いで、御指導いただきたい、かように考えます。

鈴木(宗)委員 大臣、いい外交をするには、やはり何といっても世論が一つだということが大事なんです。その中で大臣の言ってきている言動等は、意見が分かれておったから、あら、かわいそうに、ではそのかわいそうな人を引き上げて、それを使い……(田中国務大臣「そんな簡単なことじゃないですよ」と呼ぶ)いや、流れはそういうことなんですよ、記者会見の流れは。

 しからば、大臣、ないと言うならば、委員長、ではなぜ、自民党の代議士の影響があったのでないかという質問に対して、まずそれがベースにあるのではないかという答えになるんですか。

田中国務大臣 ですから、先ほど来何度も何度も申し上げておりますけれども、いろいろな方からいろいろな話が突然堰を切ったように私にもたらされてきましたけれども、それとこの人事というものは別なんですよ、これ。ですから、優秀な人が、それに合った人が、経緯をわかっている人、今後私を指導してくだされる方たちに来てもらって、日本の外交をよくしたいということでございます。

鈴木(宗)委員 大臣、いい人が来てほしいというならば、では、後任の課長は悪い人だったということですか。違いますか。私は、そういう失礼な話はないと思いますよ。それなりに私は――東郷さん、官房長、今の大臣の話を聞いておって、いい人を引っ張ったというならば、あなた方が判断した課長さんはだめな課長だったんですか。この点、東郷さん、はっきりしてください。あなたが官房長、人事課長と相談したはずだ。

飯村政府参考人 小寺課長の後任では、渡邉というロシア語の者がロシア課長になっておりますけれども、その時点で、私どもはベストの選択と思って任命した次第でございます。

鈴木(宗)委員 東郷さんも、見解はどうですか。

東郷政府参考人 ただいま官房長から申し上げたとおりでございます。

鈴木(宗)委員 大臣、今、官房長、東郷前欧州局長の話を聞いて、どういうふうに感じますか。

田中国務大臣 そういう声もあったかもしれませんが、そうではなくて、小寺さんの方がより精通をしているというようなアドバイスもたくさん、現職の幹部の方からもございました。

鈴木(宗)委員 人事は、これは大臣の権限ですから。ただ、これは異常なのは、三月の二十六日の発令、しかも、聞きますと、内示があったのが三月の初め。三月の初め内示があったと言っている。そして、五月の七日か八日にロンドンに出発する、相当な時間がありますね。その間、私は、いろいろな人から意見を言う、少なくとも、組織としては、通常の手続をとって、そして発令をして戻ったということはないんですね。そういった意味では、やはり異常なことなんですよ。

 ですから、この異常なことを私はまたただしたいと思うんですけれども、委員長、さっき速記をとめておいて、時間は何分私の持ち時間はあるんですか。

土肥委員長 もう時間は終わっているんです。

鈴木(宗)委員 わかりました。

 私は、きょう、ほかにも、ケニアの問題だとか、あのどす黒い利権がある、それまたイコール鈴木宗男と来ていますから、ここでも迷惑千万です。私は、何もやましいことをしていませんから。だから、大臣、ここでお願いしておきますが、ケニアの件でも、大臣は、国会では調査を検討すると言っているんですよ。参議院の外務防衛委員会ですか、あそこでは、公電を見せながら質問しているんですね、櫻井さんが。私は、公電を見せながら質問するなら、大臣の論理をお借りになれば、それも機密漏えいですよね。機密漏えいした書類を持ってやるのもおもしろい話ですよ。それを受けて、調査するというんですね。

 だから、大臣、私は、ゴダナ外務大臣の公電を出してもらって結構ですから、私は何もやましい点はありませんから、政府代表として堂々と行っている話ですから。

 しからば、大臣の、この国会で指摘をされた、委員会で指摘をされた、各外務大臣等の公電もオープンにすべきだと私は思うんですよ。私のものは調査をすると言いながら、自分に都合の悪いことは抑えるというのは、私は公平でないと思っているんですね。ですから、ぜひともまた次の金曜日、これは委員会あると思いますから、金曜日、私はこの続きを与党の持ち時間の中でやらせていただきたい、こう思いますので、これは委員長、今から私は大臣にお願いしておきますから、外務省も検討をいただきたい、こう思っております。

 あと、大臣、私は何も大臣と言った言わぬの議論をしているんじゃなくて、大臣にも立場があれば、私にも立場があるんです。というのは、その政治家が関与したというのは、イコール鈴木宗男で報道されてきたことは間違いないんです、これは、どの新聞を見ても。それ以外の政治家の名前は出ていないんです、これは。しかし、ないものはないということは、私はこれは明確にしておきたいものですから、あえてこれはこだわるんですけれども、この点、どうぞ、また次も私、きちっと手続をとってやりたいので、東郷さんも小寺さんも、また次もぜひとも、私は金曜日、今からお願いしておきますので、まだオランダに行くのには大分時間がありますから、それも確認しておりますから、私は次の委員会に譲りたい、こう思っております。

土肥委員長 大臣から答弁を求められております。

田中国務大臣 私、特定のだれがどうであるなんということは言ったことございませんし、ODAも、全体のこの委員会の中でも、ここ以外の参議院でも、いろいろ具体名を、具体的な案件を挙げて、バルーチャンがどうだとか、どこがどうであるとか、いろいろな方からいろいろな意見が出ております。そして、ODAの会合というものも省内でされておりますね。それにも私は出ておりまして、いろいろな外部の方の意見も聞いております。

 したがって、私は、それを、これに関するマスメディアなんというのをまず読んでいる時間がなくて、この答弁だけに追われて、あるいは宮中行事ですとか外国の賓客との対応、外交だけで手いっぱいでして、マスコミで、どこで、だれが、どうなっているなんてことは全然わかりませんで、むしろ、そんなにこだわって、これだけ時間をかけておっしゃっておられるということに今初めてびっくりをいたしまして、もう少し私も、ではそういうことも週刊誌を読んで勉強させていただかなきゃというふうに思いましたのが、私の感想でございます。

鈴木(宗)委員 大臣がお忙しいことはよくわかるし。ただ、私は、答弁されるときは、質問にだけ答えてくれれば何でもない話なんです。それが、質問に答えないから、むだな時間もかかっているということを、大臣みずから、またきょうの会議録、速記を起こして読まれたら、私はおわかりをいただけるんではないか、こう思っておりますね。私も、何も暇でここの場所に立っているわけじゃないんですよ。私も私なりに結構忙しいんですから、ほかの質問もしたいし。

 また、私は、きょうはケニアの問題もやりたかったんですね。これは、民主党の皆さん方も、間違った資料で私の名前を出したりしておりますから、この点、私はしっかり残しておきたい、こう思っておったのですが、時間もないし、あとまた、大事なロシアの交渉問題についても、ぜひとも大臣の見解を尋ねたかったと思っていますが、またあさってに私は譲りたい、こう思いますので、よろしくお願いしたい、こう思います。

土肥委員長 次に、原田義昭君。

原田(義)委員 訪米早々、休む間もなく大臣におかれては委員会への御出席、御苦労さまでございます。

 きょうも一日活発な議論がございました。きょうは一日アメリカの報告もありましたけれども、私からも、まずアメリカの報告をお願いしたいと思っております。その成果またこれからの見通し、それをお願いしたいと思います。

田中国務大臣 アメリカに行って帰ってまいりましたけれども、成果というものはすぐ、フルーツ自体は、きのう、きょうというふうなことではないと思います。やはり私は、日本ができるだけ自主的に、私たちが今抱えている外交問題、それに対する国民の皆様を代表しているこの委員会での委員の皆様の御意見というものをできるだけアメリカに正しく伝えるということを私はしなければいけないというふうに思って出発いたしました。

 そういう意味では、肩の力を抜いて、肩というか頭の方もリラックスして、限られた時間内で、初対面でございますから、その中でもって私の主張をどれだけわかっていただき、そして、それはすぐ返事が来るものばかりではないわけですけれども、先方の立場がございますが、人間関係というのはそういうことも含むと思いますが、そういうふうな関係を構築できればというふうに思って参りました。

 ところが、今回お会いしましたライスさんもパウエルさんもそれからゼーリックさんもそうなんですが、途中で入っていらっしゃった大統領、副大統領もそうですけれども、非常に温かくて、積極的に意見を聞こうという状態で来てくださいました。ですからこちらも申し上げられたし、かなりユーモラスな雰囲気の中でかなり率直に意見も言わせていただいたし、先方も多分想像以上に自由に物が言えたと思っておられるんじゃないかなと思うぐらい、私はスタートとしてはいい関係が構築できたと思って、それは、成果というか、目に見えない成果として御報告できるというふうに思っております。

原田(義)委員 大臣が着任されて既に二月がたとうとしております。思い起こせば、小泉総裁を当選させるのに同志として全国を駆けめぐったわけであります。田中さんが本当に全力投球をしておられた、そのことを私どもも仰ぎ見るような思いで、しかし地味なところでしっかりと支えて、おかげで小泉内閣が成立したわけであります。あわせて田中外務大臣の就任になったということであります。

 おかげさまで小泉内閣の支持率も大変高いところがございます。また、田中外務大臣の国民的人気もすごいものがあるわけでありますけれども、カラスの鳴かない日はあっても田中外務大臣の話題がない日はないというぐらい、新聞、テレビ、ラジオ、週刊誌、月刊誌に載っておりますが、ただ、それが手放しで喜べるかどうかというのはまた別でございまして、私はいろいろな論評を見ていますと、こういうことにまとめられると思っております。

 一つは、田中眞紀子外務大臣は極めて人気がある。しかし同時に、外務省が完全に機能不全になっておる。三番目に、田中外務大臣の外交感覚に危機感を持っておる、本当に日本の国益を守れるのか。こういう論調でほとんど統一されているんです。これは決してマスコミばかりの問題じゃなくて、私自身も、政治家として、また議員の同志として本当に深刻に思っておりますし、また、同僚の議員も、これは口に出す出さぬは別として、本当に日本の国益は今の外務省、外交で大丈夫だろうかということを真剣に心配をしているのが現状でございます。

 きょうは非常に活発な議論が行われましたけれども、しかし、事務局にちょっと調べさせましたら、この二カ月間、田中大臣が一番露出度が高いんですけれども、彼女の答弁のうち、大体一〇%から一五%しか外交政策の議論がないんですよ。残りの八五%から九〇%、大事なことなんですよ、大事なことだけれども、ただいまの鈴木委員のあれもそうだったかもしれませんけれども、機密の問題、人事の問題、外務省との確執、こういうことばかりが実は議論の中に出てきておるわけであります。ここが実は、日本の外交、国益というのは大丈夫かと心配を与える一つのあらわれではないか、こういうふうに思っております。

 もとより、外務大臣に着任して以来、まずは外務省の改革をする、こういうことを打ち出されました。私は、この外務省改革というのは絶対に必要である、こう思っております。

 多くの言葉はもう要りませんけれども、例えば機密費問題一つとりましても、あれだけの犯罪とも言える大事件を、最終的には松尾某という一人の、個人の犯罪に帰せしめた。一人として、上から下まで、職を辞して、職を賭して責任をとろうとした人は出てきていない。私は、そういう意味では、田中さん以外にこの外務省改革をできる者はいない、また、それをきちっとやってくれているからこれだけの人気になっているのではないかなと。そういう意味では、私は心から田中外務大臣にフレーを送る人間ですけれども、しかし、あわせて、国民が心配しておるのは、それでは外交の方は大丈夫かという心配をぬぐい去ることができないわけであります。

 例えば、きょう朝の委員会の質問の中でも、土田さんが中国の調査船のテーマを取り上げました。さらにはロシアと韓国の漁業協定の問題を取り上げました。これについて、これほどの国益の問題はないと私は考えるにもかかわらず、まず大臣も、私は失礼ながら十分認識ないようだし、後ろにはだれも来ていない。それで本当に私どもは国益というのは守られるだろうか、こういうことをひそかに心配するわけでございます。世が世なら、極端に言えば、こんな委員会を押しのけてまずは韓国とロシアに飛んでいって、その問題について机をたたいて抗議するぐらいなことをしなければならないぐらいの大きな問題なんです。

 そういう意味では、国益が本当に心配だというのは、私は偽らざる国民の心配、不安なことではないかと思っております。

 私は、結論から言いますと、こういう内務の問題、今鈴木委員の話もそれになるかと思いますけれども、内務の問題というのは一日も早くきちっと処理をしなければいけないと思っています。大臣の力でできるものはすぐにでも処理をして、そして持てる力、エネルギーをすべて一〇〇%、国益追求のための外交に持っていかなければ、私はおかしいと思っております。だらだらだらだらそういう案件を引きずりながら、国益追求の外交政策になかなか乗ってこられないというのは、私は大変心配をしておるわけでございます。

 外交というのは、大臣が何度にもわたって言われます。国益を追求するためにあらゆる英知を結集するのが外交だ、それをつかさどるのが外務省だ、こういうふうなことを言われるわけでございます。

 私は、外務大臣は認識しておられるかどうかわかりませんけれども、大臣は、これはもうすさまじいプール、すさまじい資産、資源を今自分で持っておられるわけであります。これは言うまでもありません。先ほどから出ましたよ。日本には百八十七の在外出先機関がある、大使館とか領事館とか。まして五千二百七十九人の外務省外交官がおります。偉い人からそれほど偉くない人もおるでしょう。しかし、この人たちをいかに活用するかが大臣の仕事であって、私は、それをうまく活用すればすさまじい大きな効果に結びつくと。しかし、これをうまくやらなければきっと得るものは少ない、場合によってはマイナスになる、こういうことではないかと思うわけでございます。

 そういう意味では、その責任の処理、国内のいろいろな案件を処分する過程で、私はきちっとした処分をお願いすると同時に、しかし、この五千二百七十九人の外務省の人間は悪いやつばかりではない、一握りの松尾みたいな人はいるでしょう、しかし、むしろ圧倒的大部分の人は、国家国民のために日夜を分かたず、外交の最前線に立って、体を張って、命を削って頑張っているんだというようなことを考えますと、今の外務省の活用の仕方がはるかに足りないのではないかな、そういうことを大臣、私は思うわけでございます。

 ところが、大臣、大事なことは、とにかく今の外務省はモラールが落ちている、やる気が失われている、自信を失っている、こういう声が満ち満ちておるわけでございます。私は、こんなことでいいはずがないというふうに思っております。これをいかに活性化するか。生き返らせるのはやはり大臣の仕事ではないかな、こう思うわけでございます。

 諸君は皆優秀だ、やりたいようにやれ、大臣室のドアはいつもあいている、責任は全部おれがとる。これは弱冠三十八歳のある新任大臣がその役所に行って言った言葉だそうであります。その言葉によってその役所全体が奮い立った、こういうような話を聞いたことがございます。

 私は、組織というのは、すべからく一つの個体、人間の体にも比較できるのではないかと思っております。当然、大臣というのは頭脳でございます。命令系統である頭脳、脳髄でございます。しかし、脳髄だけでは体、人間は動くわけにはいきません。当然のことながら、心臓や肺や胃や内臓、手足、さらには目、口、鼻、こういうものがどうしてもなければならないわけであります。こういうものを全部支える無限の数の細胞、これが一糸乱れず統一されて初めて一つの大きな役割を果たすのではないかな、こう思うわけでございます。

 そういう意味では、外交はもちろんしかりでございます。これをいかに統一をとって、そして他の個体、すなわち外交であればアメリカとか中国とか韓国とか、そういうものにいかに統一がとれてぶつかっていくかということが、私は、これから外交の中でやらなければならない仕事、そしてまた外務大臣の大きな仕事ではないか、こういうふうに思うわけでございます。

 四字言葉に飛耳長目という言葉がございます。これは吉田松陰の使った言葉であります。飛ぶ耳、長い目というような言葉でございます。言うまでもありません、彼が開明の日本において、とにかく情報をきちっと収集する、そして遠い将来を見詰めながらきちっとした対応をするというのが吉田松陰のこの言葉の教えだったわけであります。それによって、高杉晋作、伊藤博文、山県有朋、こういうようなたくさんの俊秀を世に送り出したわけでございます。

 私は、外務大臣の仕事というのはまさにこういうような、たくさんの情報を集めて、そしてそれをきちっとした方向に導いていく、これが大事なことではないかな、こう思います。

 決して私は田中大臣がどうというわけではありません、まだまだこれからがその仕事でございますけれども、しかし、私が考えますのは、内政というか、国内の大臣であれば、次の大臣が修正したり取り消したりすれば何とかその損害は最小限に食いとめられる、ところが、外務大臣の場合、国益を一たん害すれば、到底それを修正する、取り返すのは不可能である、こういうようなことが言われるわけでございまして、そういう意味では、しっかりと、私どもは大きな期待を持ってこの国の誤りなきを期待したい、こういうふうに思っております。国際情勢全般に対する誤りなき判断、的確な判断、これをぜひよろしくお願いしたいと思っております。

 一九四〇年、古い話でありますけれども、第二次近衛内閣の松岡洋右外務大臣、彼は国民の大きな期待を一身に集めて外務大臣として登場いたしました。しかし、彼は最終的に大きな誤りをした。それは、当時のヨーロッパ戦争においてとにかくドイツが必ず勝つ、そういうような観点から三国枢軸同盟に走ったわけであります。それによって起こった結果は、言うまでもありません。

 これに対して、戦後の日本を復興、繁栄に導いた吉田茂外務大臣、これはもう言うまでもありません。国際情勢全般に対する的確な判断をもって対処された、私はこういうふうに思っております。今度大臣が、日米基軸が外交の一番大事な分野だ、こういうことを言われました。しかしこれは、当時の吉田さんの的確な判断を今日まで私どもが踏まえているんだということをみんな認識しているところでございます。

 いずれにしましても、いかに外交が大事かということをるる説明させていただいたわけでございます。

 これは、言うまでもない、釈迦に説法であることは百も承知でありますけれども、しかし、今度の二カ月の外交、外務大臣としての仕事を私どもがつぶさに、応援をしながら、支援をしながら、しかし同時に、大事なことは、持てる資産、資質をフルに活用して、そして国益を追求する、こういうものに邁進をしていただきたい。そのためには、当然のことながら情報収集、そのためには専門家とか識者の意見を十分に聞いて、しかし最後は、リーダーというのは孤独な判断を迫られるものであります。大臣におかれてはもちろんそういうことは十分承知の上でこれからの問題を処理していただける、そういうふうに思っているところであります。

 多少時間がはしょられましたので、もっと言いたいことはたくさんあるわけでございますけれども、どうぞ大臣におかれては、これから体をいたわられて、日本の誤りなき方向を示していただきたい、心からお祈りとお願いを申し上げます。

 最後に一言大臣にコメントでもいただければありがたい、こういうふうに思っております。

田中国務大臣 御高説ありがとうございました。御指導いただきたいと思います。

原田(義)委員 それでは、時間が来ましたので終わります。

土肥委員長 次に、上田勇君。

上田(勇)委員 田中大臣、アメリカ御訪問まことに御苦労さまでございました。いろいろとマスコミやきょうの委員会でも評価はありますけれども、私は、これは第一回目として、まず成功と評価できるんじゃないかというふうに思っております。現地で多少リラックスする時間なんかもあったようでありますけれども、これも私は、直接触れ合うという意味で大変意味のあったことではないかというふうに思っておりますし、総じて今回の訪米は成功であったのじゃないかというふうに評価しているところでございます。

 ちょっと、きょう質問に入る前に、これは答弁は結構でございますが、前回の委員会の話の中のことで、一言私の方から御意見を申し上げたいことがございます。

 先日の委員会で、大臣は、新聞報道のあり方に言及されて、署名記事を義務づけるような議員立法を提案してはどうかということを呼びかけて、賛同を呼びかけられたのですが、これは大臣がずっと、報道が本当かうそか、そういったことをめぐっていろいろ追われているので、気持ちはよくわかることで、大臣も軽い気持ちで発言されたんだというふうには思いますが、何回も繰り返して言われたことなので、しかも、内容が非常に重要なことであるというふうに思います。

 というのは、やはり言論、出版の自由というのは憲法で保障された権利でありますし、これは民主主義の基本でございます。

 これはまた、いろいろとマスコミのあり方に問題もあるんですけれども、ただ、やはりマスコミが権力のチェックになって働いているというのも事実であって、マスコミによってこれまでの政治家のさまざまなスキャンダルだとかそういったものも明らかになったし、今回の外務省の不祥事でも、こういう言い方をすると申しわけないけれども、大臣の手で明らかになったことよりも報道によって我々が知ったことの方がはるかに多いというのが現実であります。

 そういう意味で、大臣のお考えのように、法律で、そういう公権力が報道に対して規制を加えるということは、これは余りにも強権的、全体主義的であるというふうに言わざるを得ませんので、大臣が皆さんに御賛同を呼びかけたんですが、私は反対でありますし、ましてそういった動きがあるとすればそれは阻止しなければいけないというふうに考えているところでございますので、これは御意見としてまず申し上げさせていただきます。

 それで、質問に入らせていただきますが、まず今回の訪米の中で、この問題については今まで何人かの委員がおっしゃっているんですけれども、パウエル長官はアメリカは京都議定書は受け入れられないと発言した、これは公式の立場としてはこれまでも我々もわかっていることなんですね。果たしてアメリカは今後この京都議定書にもう一回復帰する、もう一回考え直すというようなことがあるのかどうか、その辺、せっかく直接大臣会われたので、もし感触がわかれば率直なところをお伺いしたいというふうに思うのですけれども。

田中国務大臣 京都議定書についてお答えする前に、署名記事のことをちょっと誤解なさっているようで、マスコミの果たしているメディアの……(上田(勇)委員「それはいいですよ、質問のところを答えてください」と呼ぶ)いや、よくないんですよ、大事なことですから。

 それはもちろん、皆様が何もなさらなくてもいいけれども、マスコミの果たしている役割が大きいということは私も十二分にわかっておりますし、こういう委員会で答弁するときも、まずいろいろなメディアの報道ぶりでないと、一議員のときにはなかなか知り得ないことが多いわけですから。ただ、それによって、ミスリード、違う方向に行ってしまうこともあるので、そのことでもって余計な労力をとられたりするよりも、本来ならば署名記事が重要なものにあった方がより正確を期することができるのではないかと申したのです。

 なぜかというと、情報源は秘するということであって、間違ったことがきょう午前中もありましたけれども、午前中もそういうことがございましたね、東京新聞の何日付の新聞と中身がどうかという話もありましたし、それから鈴木先生もいろいろおっしゃっておられたこともそうですけれども、やはりマスコミ報道というものは非常に影響が大きいということがあるので私はそれを言ったまでであって、マスコミを拒否するなどという立場ではないということを御理解いただきたいと思います。

 それから、京都議定書について申し上げますけれども、これについては、今の段階で、きのうお会いしてきょうでございますから、これからの見通しについては軽々には発言はできません。

上田(勇)委員 答弁は要らないと言ったので。御発言をいただいたのですけれども、私は、問題だというのは、法律をつくって公権力でそれを規制しようということが問題だというふうに申し上げたのです。それは、議員立法を提案するということをおっしゃったから、そういうのはやり方としておかしいということを申し上げたのであって、別にマスコミに対していろいろな御意見を持つのは、大臣もいろいろな御意見を持つ、我々もいろいろな意見を持つ、それは自由でありますけれども、そこは誤解されないでいただきたいと思います。

 私は、あくまで法律によって、しかも公権力がマスコミに対してそういう規制を行うことは民主主義を破壊する、そういう意味で申し上げたのでありまして、そこは大臣の言っていることの方がちょっと違うんですよ、私の言っていることと。

 それと、残念ながら、今、答弁は要らないと言ったところにだけお答えをいただいて、答弁を求めたところについては余り内容のある御意見をいただかなかったんですけれども、それは、直接お会いしたので感触というのはあったんだというふうに思うのですね。それがこれからの日本の京都議定書に対する方針にやはり影響があるんだと思うのです。

 これまでも外務省は、大臣もやはり、アメリカがぜひこれに参加する、それに意義があるんだというスタンスだったことはもう間違いがないので、それが果たしてこれから参加する見込みがあるのかないのか。これからボンの会合が再開されますね、それに向けて、そういうような感触というのはこれからの日本の政策を決定するに当たって重要なことになるのではないのかなというふうに思っているのですけれども、今回会われたことによって、これまでの方針、この京都議定書にかかわる国としての方針について何か変更する考えがあるのか、また、それを検討しなきゃいけないというようなことがあるのかどうか、その辺をお伺いしたいというふうに思います。

田中国務大臣 マスコミ報道について、私は規制をしてくれなんと言っているのではなくて、新聞は署名記事にしないと顔が見えない、情報源を秘匿ということで、間違った報道がされると、それが事実として、こういう委員会も紛糾したり一般の国民の方も誤解をしたままになるので、規制とは申しておりません、署名記事に書くように、日本の新聞は署名記事にした方がより正確になるのではないだろうかということを言ったのでありまして、署名記事にするということが、果たしてそれがすぐ規制であるとは私は思いません。そこのところはちょっと間違えないように申し上げます。

 それから、議定書の感触をおっしゃってくださいと軽くおっしゃいましたけれども、アメリカはヨーロッパで、先ほど来申しておりますけれども、ヨーロッパに行って会議を数カ国として帰っていらっしゃって、土曜日の夜戻られたのですね、パウエルさんも大統領も。日曜日一日休みがあって、月曜日の朝一番で私たちと会ってくださったわけです。その中で、ヨーロッパの意見、いろいろな意見があったと思いますよ。個別に実際見ませんでしたからわかりません。憶測では話しませんけれども、それこそメディアを見る限りでは、全ヨーロッパが挙げてアメリカの態度を支持したわけではないでしょうし、きょうの先ほどのクエスチョンタイムでも出ていましたけれども、そういう中で、改めてアメリカは自分の考えをまとめなければいけない。COP6が、七月の十八日でしたか十七でしたか、ボンで始まりますから、それまでの間にやはりいろいろ考えをこれからまとめられるんじゃないでしょうか。

 したがって、どんな感触だったとかそういうことは、私が申し上げたことについては言えますけれども、感触というような中途半端なことはお答えはできません。また、するべきでもないと思います。(上田(勇)委員「質問に答えていただいてません」と呼ぶ)

土肥委員長 上田君、もう一遍言ってください。もう一遍聞いてください。

上田(勇)委員 聞いてないことにだけ答えていただいて、私の質問したことについて全くお答えいただいていないので、これは文書で通告してありますので、その紙を見て答えてください。

田中国務大臣 では、紙を読ませていただきます。

 十八日の日米外相会談においては、パウエル国務長官は、京都議定書は受け入れられない、今は少なくとも答えを持ち合わせていないとの応答ぶりでございました。私は、米国が気候変動政策に関する閣僚級の検討を継続していると承知をいたしております。

 政府といたしましては、地球規模での温室効果ガス削減の実効性を確保するためには、最大の二酸化炭素排出国である米国の京都議定書締結が極めて重要であると考えております。まずは、京都議定書発効に向けた交渉に米国が建設的に参加するよう、三十日の日米首脳会談を含む、引き続きあらゆる機会を活用して働きかけていく考えでございます。

 今回の外相会談でも、小泉総理大臣が近く訪米なさいますので、じかによく話し合っていただきたい旨述べております。そして、そのことも総理に帰国後すぐに御報告をいたしてございます。

上田(勇)委員 つまり、今回、外相会談で直接会われても、特に先方の本音の部分もよくわからない、だから、もうちょっと先方の出方も見ながら、当面は日本としての対応方針は変わりはないんだという趣旨でいいのかな。私が答弁してもしようがないのですけれども、聞いていただけないので、そういう趣旨だったんじゃないのかなと思うのですが。

 それと、ちょっと先ほど私が答弁要らないと言ったところの話で、私はなぜわざわざ規制という話をしたかといえば、それは大臣が議員立法、法律と言ったから。法律というのはやはり規制なんですよ。それは、署名記事にした方がいい、そういう考えでやっている新聞社もありますし、それはいいことだと思います。海外はよく、そういうふうに重要なことについては署名記事でやっている、それはいいことだ、そういうことだというふうに思うのですが、それを法律でやるということが問題だというふうに申し上げたので、それはぜひ御理解をいただきたいと思うのですね。

 法律は、規制ですよ。法律で決めるということは、いかなるものであるにしろ。そこはぜひお間違いのないようにいただきたいというふうに思います。

 それで、この京都議定書の話についてはこれ以上申し上げても進展がなかったということでございますので、ちょっと次のお話にさせていただきますが、今回のパウエル長官との協議、会談というのは非常に短時間だったので、そこで議論できた話というのは、ごく限られた重要な課題に限られていたというのはよくわかります。正直言って、私も地元のこと等を考えれば、NLPの問題だとか、そういったこともお話をしていただければありがたかったのですが、これはもう、時間が限られている中のことでありますので、とやかく言うつもりはございません。

 ですから、今後、このNLPの問題というのは、関係する地域においては非常に重要な問題なんです。御存じのとおり、私も伺ったところでは、ことしの二月から三月にかけて、例えば町田市とかで署名運動を行ったらすぐに一万五千名ぐらいの方々から署名が集まったというような、我々の地方議員の活動のことも聞いておりますし、また、これも、そういう意味で地元の非常に関心の高い、非常に大変な、深刻な問題であると同時に、アメリカ側もこのことは理解しているんです。代替施設をどうするか。実は、きょうの地方新聞なんかにも、アメリカの海軍のチャップリン司令官が、代替施設のことなど、ワシントンでそういうような記者会見をしているという話も出ていますし、アメリカ側も気にしている。

 なので、このNLPの移設、騒音問題の解消に向けて、今後米側にぜひ積極的に働きかけていただきたいわけでありますけれども、具体的に、どのような機会をとらえて、どういうふうな対応をしていただけるのか、その辺の方針を伺いたいというふうに思います。

田中国務大臣 NLP、ナイト・ランディング・プラクティスにつきましては、騒音とか環境とか、それから遊休地の問題、事件、事故、これは沖縄だけではなくて、今おっしゃったまさしく本土の問題でございまして、それも含めて、そうした大きな枠組みの中でしっかりと先方にメッセージは伝わっております。

上田(勇)委員 私は、今後どういう場でこの問題を取り上げて、どういう形でお話をしていただくかということを伺ったんですけれども、気持ちは伝わりましたので、それは結構でございます。これから積極的に向こうにも働きかけていってくれる、またそれはメッセージも向こうに伝わっているというふうに理解しているということでありますので、もう結構でございます。

 それで、植竹副大臣にお伺いしたいというふうに思います。

 これは、五月二十三日の当委員会で、私が副大臣に、人種主義に反対する世界会議について質問をさせていただきました。その際に、植竹副大臣は、我が国が補償の問題も含めてリーダーシップをとっていきたい、そういう旨、発言をされております。ただ、その後の報道等で見る限りにおいて、日本が、ジュネーブで開かれました第二回の準備会合では、どうもリーダーシップを発揮したというふうにはなかなか思えないんですね。

 そこで、我が国の政府、この準備会合だけには限りませんが、その他の機会も含めて、この補償問題についてどのような方針で臨んでこられたのか、また、この準備会合ではどういうような発言をされ、どのような役割を、リーダーシップを発揮されてきたのか、御説明をいただければというふうに思います。

植竹副大臣 先般の委員会におきまして答弁申し上げましたとおり、我が国政府といたしましては、本件世界会議を大変重要なものと認識しております。その成功のために積極的にリーダーシップをとっていきたいと思います。委員お尋ねのように、すぐリーダーシップを発揮できたかどうかというよりも、これからも努力してまいりたいと思います。

 委員御指摘の、過去の人種主義に対する補償問題についての答弁につきましては、この問題をめぐり各国からいろいろな意見が出ておりまして、この問題を含めて、適切な対処がなされる、会議が有意義なものとなることが重要である、そういう趣旨でございます。

 繰り返して申し上げますと、本件につきましては、現在、一部のアフリカ諸国と欧米諸国との間に対立が生じております。我が国といたしましては、この問題に過度の焦点が当たることにより、議論が紛糾し、会議の趣旨が損なわれることを懸念いたしております。

 さらに、このような考え方に立ちまして、我が国政府といたしましては、本件世界会議の第二回準備会合に際しまして、この会議を未来志向で建設的なものにするように、積極的に議論に参加してまいります。第二回準備会合では、過去への補償問題について本格的な議論には至りませんが、我が国といたしましては、七月三十日から八月十日までの予定で開催されます第三回準備会合におきましても、同様な立場で臨む考えであります。

上田(勇)委員 御決意はよくわかりました。

 この世界会議は、国連の人権高等弁務官ロビンソンさんも、非常に注視している、こういうふうにおっしゃっていますね。新世紀の始まりに当たり、この世界会議は最も重要な会議となる可能性を持っているというふうに述べておられるように、大変重視をしておりますし、今その焦点になっているこの補償問題についても、我が国は幸いかな、欧米のようにアフリカ人を奴隷にしたというようなこともないし、アフリカ諸国を植民地化したというような不幸な歴史もないわけでありますので、そういった意味では、ヨーロッパとそれからアフリカの国々との間の中立的な立場で仲介役ができるんではないかというふうに思っております。

 先ほど、副大臣から御決意はあったんですが、この会議、先ほどおっしゃったように八月の予定でございまして、これから、まさに日本がかぎを握っていることだというふうに思いますので、もうちょっと具体的に、どういう取り組みをされるのか、副大臣、ひとつよろしくお願いいたします。

植竹副大臣 我が国といたしましては、本会議の成功のために可能な限りの貢献をしていきたいと考えております。八月末からの世界会議を前に、七月三十日から第三回準備会合が予定されており、各国間での議論が続けられているところでございますが、委員御指摘の点も十分に踏まえまして、本件会議が未来志向で建設的なものとなりますように、今後とも積極的に努力してまいりたいと考えております。

上田(勇)委員 ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 そして、ぜひ、これは非常に重要な会合なので、また副大臣でも政務官でも我が国を代表して御出席をいただいて、その場で我が国の立場をしっかりと言っていただけるような、そこまでこの場でどうするということはできませんけれども、それぐらいの決意で臨んでいただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 それで、次にODAの関係でちょっと質問させていただきたいんですが、来年度のODA予算について、先日のこの委員会で外務大臣は、これからODAのあり方を、今も行っているということでありますが、見直しを行って、結果的には予算削減の方向であるというふうな示唆をされました。けさの報道によれば、財務大臣は一〇%の削減を目指すということでございます。これはもう新聞各紙に載っているんですけれども。

 我が国の財政事情や、一月に内閣府が発表した世論調査などによると、私も削減の方向ということについては賛成であるんですけれども、しかし他方、ODAというのは非常に重要な外交手段でもありますし、単純な量的な削減というのはやはり適切でない、この点はこの間大臣がおっしゃったのと全く同感であります。

 ただ、その上で、やはりODA予算をできる限り効果的、効率的なものにしていかなければいけないわけでありますので、そういう効率化そして重点的な、効果をよく見きわめた上での配分を行うことによって、結果的には大幅な削減というのも可能になるのではないかというふうに思っております。

 そこで、我が国のODAの内容について何点か質問したいんですけれども、まずODAを最も必要としているのはいわゆる後発開発途上国、LDCでございます。五月の国際会議においても、植竹副大臣がLDC対策重視の姿勢を表明されております。しかしながら、我が国のこのLDC向けのODA予算というのは、九九年にはわずか十一億ドルなんですね。これは、中国に対するODAよりも少ない額、一国に対するよりも少ない額でございます。全体の一〇%にすぎないし、しかも九七年から九八年を見てみますと、この構成比というのは減少しているのですね。

 そうすると、こういう中所得国に対するODAを見直して、LDCに対するODAをもっと重視、増額すべきではないかというふうに私は思うのですけれども、副大臣、御見解はいかがですか。

田中国務大臣 現段階で、きょうの新聞のことをおっしゃっておりましたが、政府の方針として、ODAについて……(上田(勇)委員「新聞については聞いていません」と呼ぶ)一〇%と、いや、でも事実じゃありませんから。一〇%削減というのは財務大臣が発言なさったそうですが、政府トータルとしては、各省庁で……

上田(勇)委員 時間がないので、新聞については聞いていないので、後にしてくれますか。それは後で教えてください。今時間の中でやっているのですから。

田中国務大臣 いやいや、大事なことですから。各省庁別にこれから検討するところでございますから、そういう枠をはめた発想はなさらないでいただきたい、事実に基づいて。それで……

上田(勇)委員 これは時間の制限の中でやっているので、要らないことについてはぜひお答えをやめていただきたいのです。時間の中でやっているんですから。

田中国務大臣 厳しい財政状態でございますから、厳しい財政経済状況でございますので、納税者たる国民……

上田(勇)委員 質問したことについてお答えください。副大臣にお聞きしたんですよ。

田中国務大臣 副大臣ですか。

上田(勇)委員 副大臣にお聞きしたのです。ちゃんと聞いていてください。それに、これは限られた時間の中でやっているのですから、聞いていないことまで答えられたら、こっちは迷惑なんですよ。しかも、ちゃんとした答えならいいけれども。いいかげんにしてくださいよ。

土肥委員長 質問に的確に答えていただきますように両大臣にお願い申し上げます。

 それでは、植竹副大臣。

植竹副大臣 今委員お尋ねのLDCへの、後発開発途上国に対するODAの割合でございますが、確かに九七年以降三年連続して減少しております。しかし、これは主として三年間にODA全体額が六〇%ふえた中にあっても、このLDC、開発途上国向けは一四%しかなっていない。ですから、LDCに対しても、その中でも、相当な配慮をしていることは事実でございます。

 また、五月のあの国連後発開発途上国会議、LDC会議におきましては、我が国は、人間の安全保障、対アフリカ協力と南南協力、貿易及び債務救済などのLDCをめぐる諸問題に関する我が国の取り組み姿勢を演説で表明したのであります。二〇〇〇年代の後発開発途上国のための行動計画の採択に大きく貢献することができました。右行動計画は、今後のLDCの支援のあり方に関する重要なガイドラインとなるものであります。

 今後、我が国といたしましては、ODAの供与を含めまして、右行動計画の着実な実施等を通じまして、LDCに対する支援をさらに行っていく考えでおります。

上田(勇)委員 それでは、このODAの問題について、今度は田中大臣にお聞きいたします。

 大臣は、ODAの案件について、二重丸、丸、三角などと類型化し評価する、そういう作業を行っているというふうにおっしゃいました。これは、事前評価、事後評価だけではなくて、その中間の評価も入れて、一貫した評価システムを確立していくということは非常に重要なことなのだというふうに思うのですが、これは現在のODAの見直しの一環として行っていることなのか、それとも、今後実施していくODAについては必ずその実施途中でも再評価を行っていく、そういう継続的なものというふうに位置づけられておっしゃっているのか、その辺の御見解を伺いたいというふうに思います。

田中国務大臣 厳しい経済財政状況のもと、納税者たる国民にODA事業の成果を明らかにしてまいりますためにも、より効果的、効率的な援助を実施するためにも、評価の充実が必要と考えております。これまでは事業実施後の事後評価が中心でございましたが、事前の評価、中間評価がますます重要になっております。

 今回、現在実施中のODA案件について、必要なもの、必要でないもの等に分類すべく作業を行っております。このような作業は、今後とも必要に応じて行ってまいります。

 一〇%は、財務大臣がおっしゃったことで、決まっているわけではございません。

上田(勇)委員 財務大臣には財務大臣におっしゃってください。

 今のも、読んでいただいたのにもかかわらずちょっと質問とずれているのですけれども、それは継続的に行う考えなんですか、それとも、そうじゃなくて、今回、一回その大きな見直しの中でやっているという考えなんですかということを聞いたのです。

田中国務大臣 今後、必要なものについては継続をしなければならないのは当然だというふうに思います。納税者の視点でどれだけ有効的に使われているかということについても考えていかなければならない案件もあるというふうに存じます。

上田(勇)委員 必要なものについてはというのはどういうことなのか。それから、案件もあると言うのですが、どういう案件を指されているのでしょうか。

田中国務大臣 今、ODAに関する検討会がなされているのは御存じでいらっしゃいましょうか。(上田(勇)委員「知っています。それを踏まえて聞いているのです」と呼ぶ)それを踏まえて、それから、そのほかからも、皆様はこの委員会で、衆議院でも参議院でも個別具体的な話もありますので、そういうものは税金の使い道でございますから、それが生きた形で使われて、先方の国からも喜んでいただけるように、そして納税者の皆様も納得なさる形で使うということが基本であるというふうに思いますので、それぞれ個別的な問題について広く意見を聞き、そして、現場の状況も見ながら見通しを立てて内閣の責任で決めていくということでございます。

上田(勇)委員 繰り返しになって申しわけないのですが、必要なものについては今後も行っていくのだと、案件もあるというふうにおっしゃったのですけれども、それは全部ではないのですか。外務省として、あるいは大臣が見られてピックアップしたものだけをこれからやるというお考えなのか、それとも、基本的には全部、二重丸、丸、三角というような評価を行っていくのか、その辺はちょっとよくわからなかったのですけれども、これも私、実は文書でそのまま通告してあるとおりにお伺いしているので、しっかりお答えいただきたいと思うのですけれども。

田中国務大臣 私個人がもちろん決めるなんということは申しておりませんで、税金の使途でございますから、そうした会で評価されたもの、それからあらゆる委員会でテーマに出てきている問題、そうしたものすべてを勘案しながら客観的に判断をして決めていくということを申し上げております。

上田(勇)委員 今の御答弁では、まず、その主語が何かがわからない。その上に、何かで検討して決めていくというようなことなんでしょうけれども、全く方針が見えてきませんでした。なので、納得はいたしませんけれども、時間ですので終わります。

     ――――◇―――――

土肥委員長 次に、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千年十一月二十七日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件、投資の促進及び保護に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び投資の促進及び保護に関する日本国とパキスタン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣田中眞紀子君。

    ―――――――――――――

 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千年十一月二十七日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件

 投資の促進及び保護に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 投資の促進及び保護に関する日本国とパキスタン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田中国務大臣 ただいま議題となりました千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千年十一月二十七日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明申し上げます。

 この確認書は、平成十二年十一月二十七日にジュネーブにおいて世界貿易機関の事務局によって作成されたものでございます。

 この確認書は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定に含まれている我が国の譲許表に関し、米等についての関税化の特例措置の適用の終了に伴う修正及び訂正を確認するためのものであります。

 我が国がこの確認書を締結することは、国際貿易における我が国の利益を増進するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この確認書の締結について御承認を求める次第でございます。

 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明申し上げます。

 政府は、平成十一年十月以来モンゴルとの間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成十三年二月十五日に東京において、我が方河野外務大臣と先方のガンゾリグ産業通商大臣との間でこの協定の署名が行われた次第でございます。

 この協定は、投資の許可及び投資の許可に関連する事項について最恵国待遇を相互に与えているほか、投資財産、収益及び投資に関連する事業活動に関する最恵国待遇及び内国民待遇、収用等の措置のとられた場合の補償、送金等の自由、投資紛争解決のための手続等について定めております。

 この協定の締結により、我が国とモンゴルとの間の投資の増加並びに経済関係の拡大及び緊密化が促進されるものと期待いたしております。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第でございます。

 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とパキスタン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、昭和六十二年三月以来パキスタンとの間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成十年三月十日に東京において、我が方小渕外務大臣と先方はゴーハル・アユーブ・カーン外務大臣との間でこの協定の署名が行われた次第でございます。

 この協定は、第百四十二回国会に提出されましたが、審議未了となったものでございます。

 この協定は、投資の許可及び投資の許可に関連する事項について最恵国待遇を相互に与えているほか、投資財産、収益及び投資に関連する事業活動に関する最恵国待遇及び内国民待遇、収用等の措置のとられた場合の補償、送金等の自由、投資紛争解決のための手続等について定めております。

 この協定の締結により、我が国とパキスタンとの間の投資の増加並びに経済関係の拡大及び緊密化が促進されるものと期待いたしております。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第でございます。

 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。

土肥委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十二分散会




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