衆議院

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第2号 平成13年11月7日(水曜日)

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平成十三年十一月七日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 吉田 公一君

   理事 河野 太郎君 理事 下村 博文君

   理事 鈴木 宗男君 理事 米田 建三君

   理事 安住  淳君 理事 桑原  豊君

   理事 上田  勇君 理事 土田 龍司君

      池田 行彦君    小島 敏男君

      高村 正彦君    桜田 義孝君

      下地 幹郎君    虎島 和夫君

      中本 太衛君    原田 義昭君

      宮澤 洋一君    望月 義夫君

      山口 泰明君    阿久津幸彦君

      鹿野 道彦君    金子善次郎君

      木下  厚君    細野 豪志君

      前田 雄吉君    丸谷 佳織君

      山口 富男君    東門美津子君

      柿澤 弘治君

    …………………………………

   外務大臣         田中眞紀子君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   外務大臣政務官      丸谷 佳織君

   外務大臣政務官      小島 敏男君

   外務大臣政務官      山口 泰明君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  柴田 雅人君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    首藤 新悟君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   小町 恭士君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長

   )            谷内正太郎君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長

   )            田中  均君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長

   )            重家 俊範君

   外務委員会専門員     辻本  甫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  前田 雄吉君     阿久津幸彦君

  牧野 聖修君     金子善次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  阿久津幸彦君     前田 雄吉君

  金子善次郎君     牧野 聖修君

    ―――――――――――――

十月二十四日

 女子差別撤廃条約選択議定書の批准に関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇号)

 同(山内惠子君紹介)(第一二号)

 同(水島広子君紹介)(第七四号)

十一月二日

 沖縄の新米軍基地建設反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件




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     ――――◇―――――

吉田委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件につきまして調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、木下厚君及び金子善次郎君の質疑に際し、会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、委員米田建三君の質疑に際し、外務省アジア大洋州局長田中均君及び防衛庁防衛局長首藤新悟君の出席を、委員宮澤洋一君の質疑に際し、外務省総合外交政策局長谷内正太郎君及びアジア大洋州局長田中均君の出席を、委員上田勇君の質疑に際し、外務省北米局長藤崎一郎君の出席を、委員柿澤弘治君の質疑に際し、外務省総合外交政策局長谷内正太郎君、アジア大洋州局長田中均君、北米局長藤崎一郎君及び中東アフリカ局長重家俊範君の出席を、委員木下厚君の質疑に際し、外務省大臣官房長小町恭士君及び内閣官房内閣審議官柴田雅人君の出席を、委員細野豪志君の質疑に際し、外務省北米局長藤崎一郎君及び中東アフリカ局長重家俊範君の出席を、委員金子善次郎君の質疑に際し、外務省大臣官房長小町恭士君及び内閣官房内閣審議官柴田雅人君の出席を、委員山口富男君の質疑に際し、外務省総合外交政策局長谷内正太郎君、アジア大洋州局長田中均君及び北米局長藤崎一郎君並びに防衛庁防衛局長首藤新悟君及び運用局長北原巖男君の出席を、また委員東門美津子君の質疑に際し、外務省北米局長藤崎一郎君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。最初に、米田建三君。

米田委員 おはようございます。

 まず外務大臣に伺いたいのですが、G8への出席の御希望、お気持ちは強くお持ちですね。

田中国務大臣 答えはもちろんイエスでございます。

 今の国際情勢、特に九月十一日以降の状態を勘案いたしましても、当然これは義務であるというふうに思っております。

米田委員 そこで、最近のいろいろな議論の中で、大変な誤解が流れているのですね。

 きょうはマスコミのカメラもたくさん入っていますから、私はここではっきりさせておきたいのですが、あたかも与党がその出席を反対しているかのような、そういう誤解が流れている。それで、いろいろな委員会の中では一部野党の皆さんから、ぜひ頑張れ、行けというふうな、これは全く間違った、事実を踏まえていない誤解でありまして、私はこの際、経緯を明らかにしたいのです。

 外務大臣の出張につきましては、大島国対委員長を初め与党側から繰り返し、出張を認めてもらえるように野党に要望を行ってきたわけであります。ところが、これに対し野党は、外務大臣の出張は了承する、ただし、行くのであれば補正予算審議は外務大臣の帰国後に行いましょう、こういうスタンスであったわけであります。

 しかしながら、与党としては、予算の中には雇用対策や失業対策あるいは中小企業対策、また外務大臣も関係するテロ対策の予算が含まれており、早急に審議をする必要がある、したがって副大臣や臨時代理で審議をお願いしたいというふうに申し入れた経緯があります。

 WTOにつきましても、農水相あるいは経産相が出席をされ、補正の審議については副大臣が対応するということで合意ができているわけでありまして、なぜ野党が外務大臣についてのみ、もし出張するならば補正の審議そのもの全体が帰国後だというふうなことをおっしゃるのか。そういう主張を野党が繰り返してまいりました。このため、与党としては、審議をおくらせると予算関連法案もあり、相当時間もかかるため、予算審議を優先せざるを得ないということで出張は断念することになったわけであります。

 ですから、野党がWTOのケースと同様に、補正の審議は副大臣や臨時代理で結構だと言ってくだされば、与党はすぐにでも外務大臣にG8に出席をしていただきたい、出発をしていただきたいわけでありまして、ここのところを誤解のないように、はっきりこの場で私は確認をしておきたいと思うわけであります。

 野党から応援の芽も出ていますので、ぜひ外務大臣、野党のしかるべき国対関係者に、私だけの足を引っ張るなと、逆にはっきり申し上げていただきたい、そういうふうに思います。

田中国務大臣 ぜひ、外交の責任者といたしまして、世界の平和と安定に貢献をしなければならない立場であるということは、もう議員の皆様は与野党を問わず御理解なさっていらっしゃると思いますので、どうぞよろしく御理解のほどをお願いいたします。

米田委員 では、質問に入ります。

 農産物の輸入に係る、中国に対するいわゆるセーフガードの問題から質問に入りたいと思います。

 農水省及び経産省の参考人の出席をお願いしておったのですが、入っていませんが、だれが答弁するのかな。

 質問に入りますけれども、中国からのネギや生シイタケあるいは畳表の輸入の急増によりまして国内価格が急落したために、四月二十三日に、我が国は国際ルールにのっとって、関税割り当てによるセーフガードの暫定措置を発動いたしました。

 これに対して中国がどういう対応をとったかといいますと、中国は、我が国から輸出される自動車、エアコン、携帯電話に対し一〇〇%の上乗せ関税をするという、むちゃくちゃな報復措置をとってきたわけであります。これは日中貿易協定に違反するとともに、中国がまさに加盟せんとしているWTOの紛争処理規定にも違反をしていると思いますが、いかがでございましょうか。

田中政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、中国側の関税特別措置というのは、日本に対して差別的な形で措置をとっているということから、これは、日中貿易協定第一条におきまして最恵国待遇を定めておりますので、日中貿易協定に違反するということでございます。

 また、中国はWTOにはいまだ加盟をしておりませんけれども、WTO上の、一方的な措置を禁止する紛争解決手続の了解、これとも整合性がないものである、こういうふうに考えております。

米田委員 つまり、むちゃくちゃな報復措置を中国がとった、そして今もとっている、こういうことであります。

 そこで、十月三十一日に、我が国の政府調査における主要指標の概要が公表されました。これはまさに、先ほど申し上げた三つの産品の輸入の増加の時期と我が国の国内の価格、それから所得についての生産者の損害発生の時期が同じであることが確認されたわけであります。

 まさに明日十一月八日、この暫定措置の期限を迎えようとしております。あとは、常識的に考えるならばセーフガードの本格的な発動、すなわち確定措置を断行するしかないはずでありますが、政府はどう対処するのか、お答えをお願いします。

田中政府参考人 委員御指摘のとおり、政府は暫定措置を発動し、その暫定措置の期限が十一月の八日に切れるということでございます。

 一方におきまして、中国が、委員御指摘のとおりの対抗措置をとっている。私どもとしては、累次の政府間の会合、これは私自身も参りましたけれども、極めて明確に、これは日中貿易協定に違反をする、WTO上も整合性がないということで、撤回を求めてきております。

 一方におきまして、日本はWTOの加盟国として、WTOのルールにのっとった解決ということが重要であるという観点もございまして、これは日中首脳会談でも合意がされているところでございますけれども、話し合いによる解決というものを求めてきておるということでございます。現に、本日から官民の協議というものが再び開始をされている状況でございます。

 ですから、可能な限り話し合いによる解決というものを求めてまいりたい、かように考えております。

米田委員 田中さん、そんなこと言っているけれども、九日から、いわゆる確定措置は発動するんですか、しないんですか。九日以降どうするのか、そのことをもう一遍端的に答えてください。

田中政府参考人 確定措置の発動というのは、委員御案内のとおり、日本の国内法に従ってその損害の認定を行い、要件が満たされた場合に確定措置をとっていくということでございます。

 したがって、今は話し合いということでございますけれども、十一月の九日以降も、輸入が急増するというような状態というのはきちんとモニターをしていくということでございますし、その後輸入の急増ということが確認をされれば、WTOの手続に従って確定措置の発動に至る、こういうことでございます。

米田委員 暫定措置の期限は二百日なんだ。これは一回こっきりで、もう一遍繰り返すことはできないわけだ。そうすると、九日以降、我が国の対抗措置である暫定措置が終息をし、かつまた確定措置もとれないという状態が続くわけですよ。つまり、我が国が輸入急増に対してとった関税割り当てという手法による暫定措置、これは九日からとれない。そして確定措置への移行もできない。これは、確定措置に直ちに移行できる準備をしておくべきだったんですよ。失策じゃありませんか、これは。

 なぜかというと、中国側のむちゃくちゃな対抗措置、一〇〇%上乗せ課税なんという対抗措置、これを中国は、では歩調を合わせてやめるんですか。その気配はないでしょう。中国は、セーフガードの確定措置、つまり本格的な発動、これをやらないんだということを約束しない限り、中国のあのむちゃくちゃな報復措置を取り下げないという姿勢でしょう。ということは、こちらはたたかれっ放しになるということですよ、九日以降。そういうことじゃありませんか。

田中政府参考人 これは繰り返しになりますけれども、少なくともセーフガードの確定措置というのは調査を始めたときから一年ということでございますので、本年の十二月の二十一日まで、これが調査期限ということになっているので、手続上は確定措置に至れるということでございますし、先ほど御答弁申し上げましたように、中国からのこの三品目の輸入ということに対してはきちんとモニターをしていくということになっておりますし、その必要性が認められるというときには確定措置に機動的に至るというのが、今の政府の対応方針であろうと思います。

 一方におきまして、中国の対抗措置に対しては、これはできるだけ早い段階での撤回を求めていくという基本方針に違いはないわけで、そこの部分はきちんとやっていきたい、こういうふうに考えております。

米田委員 早い段階での撤回を求めていくなんて言っているけれども、要するに、さっき私が言ったように、中国は、日本が確定措置をとらないということを約束しない限り、あのむちゃくちゃな、六月の時点で打ってきた我が国への対抗措置を取り下げないと言っているわけですよ。全くなめられている。宗主国が属国をぶったたくような態度を中国はとっているわけであります。

 私は、こういう状況を、しっかり先を見通してきちんと準備をしておかなかったことは失策だと思いますよ。我が国が中国に、言ってみればすき間の期間にたたかれ通しになることに対して、タオルだとか自転車だとか、こういうものについても同様の輸入の急増ということが今大変な課題になっているけれども、私は、新たな別の品目をもってして、中国の不当な我が国に対する措置に対抗する措置を新たにとっても構わないくらいだというふうに思っているわけです。

 そこで外務大臣、私は、これは単に日本の農業生産を守るという問題だけではないというふうに考えます。中国の一貫した対日戦略は、我が国に対しては徹底的に高圧的に出る。世界に対しては、世界の標準にいろいろ、法制度その他を合わせて、世界の普通の国になってまいりますよというアピールを一生懸命やる。オリンピックの開催も決まった。しかし、我が国に対しては徹底的に、どんな理不尽なことでも高圧的に出て、中国の国益の拡大につなげていく。こういう戦略であることは残念ながら間違いがないというふうに私は考えているわけであります。

 尖閣列島領有権の主張もしかりであります。調査船の不当な活動もしかりであります。それから、教科書問題を初め、さまざまな中国の態度の中には理不尽な面がたくさんあります。またもこの問題で、このセーフガードの問題で屈すれば、さらに次から次へと、さまざまな問題で譲歩と妥協を強いられることにつながるというふうに私は考えているわけでありまして、日本の経済援助を長く受けながら、軍備の増強をやめておりません。あるいは他国に対する援助もやっております。

 今回、やっと中国へのODAを見直す方向ということになりましたが、私は、この際、このセーフガード問題も念頭に置きながら、単に見直すどころか、きっぱりと、場合によっては全面的なカットも辞さずという姿勢を示して、日本の国益を守るんだという決意をはっきりさせるべきだと思いますが、外務大臣の見解を伺います。

田中国務大臣 最後はODAのことをおっしゃいましたけれども、まずセーフガードの面からですけれども、確かに、二百日間の期間があって、そして明日でもう期限が来るという中でぎりぎりであったということはよく私もわかっておりますが、この経緯を見ておりましても、話し合いによる解決ということに関係省庁がずっと努力をしてきているということについては、もうこれは土壇場であるということは十二分にわかった上でも、なおかつ話し合いというものでお互いに努力をしているということは申し上げざるを得ません。関係省庁が引き続き最善の努力をすることを私も期待いたしております。

 それに関連して、トータルで、教科書問題もございますし、それからODAの問題、いろいろおっしゃいましたけれども、私もトータルで中国に、トウカセンさんに何度か申し上げたこともあります。それから現在の駐日大使、武大使にも申し上げました。

 すなわち、まさしく米田議員がおっしゃっているように、中国が、沿岸部を中心にして経済が発展し、あれだけの国際会議ができるようになる。そして、WTOにも近々入る。オリンピックもできる。そうした中にあって、しかも軍備費が増大しているけれどもと。このことについては、やはり日本の国内でも、なかなか今までと同じようなODAを供与することには反対の意見があるということを、私は直接自分の口から申し上げてきております。あちらはそれをちゃんと受けとめておられます。だからどうとコメントはなさっていませんが。

 私は、国内のいろいろな世論、それから中国自体の推移についてお話をしてきております。その中で、特に私が強調していますのは、我が国の経済、財政状態の厳しさという中で、今までの所与のものを同じように中国にODAでは供与することが難しいと思います、逆に言えば、中国だって聖域なき構造改革の、ODAの対象でありますということは明言してきております。

 したがって、そのことにつきましては、やはりODAについては重点化して、ほかもそうですけれども、案件の積み上げ方式で、課題を、ここは強化する、ここはやめるというふうなことを、めり張りをはっきりつけてやっていきたい、かように考えております。

米田委員 セーフガードの問題で話し合いがそれなりにきちんと続けられてきたというお話でしたが、中国のとった対抗措置は、もうあれは話し合いなんてものではなくて、今も続けている対抗措置は、あれは日本に対する暴行ですよ。暴力を振るっているのと同様であって、だから、これはもう話し合いで解決する気が向こうに基本的にはない、完全に主張を通す、こういう意思がはっきりしているわけでありますから、その辺に対する準備をきちんと行ってくるべきであった、見通しを立てておくべきであったということを私は主張したかったわけであります。

 次に、PKO法の問題について質問をさせてもらいます。

 対テロ特措法が成立をいたしました。そこで私、問題になってくるのは、現行のPKO法とそれからこの間成立した特措法との乖離の問題だろうというふうに思います。その観点から何点か質問をさせてもらいます。

 まず第一に、国連平和維持活動に対する協力に関する法律、これがいわゆるPKO法でありますが、この二十四条で、被害要件を正当防衛、緊急避難に限って武器の使用を認めているわけであります。ところが、防護対象は、自己または自己とともに現場に所在する他の隊員に限定しているわけであります。言うなれば、他国のPKO要員それから国連職員、NGO、マスコミ、一切防護対象になっていない。

 仮に、外務大臣が、我が国平和協力部隊の隊員を激励しようといって視察に行って、危なくなっても、この法律に厳密に従うならば、あなたを我が自衛隊は防護できない。総理であっても防護できない、我々が視察に行っても防護できない、そういうことなんですね。防衛庁長官が行ってもだめ、副長官が行ってもだめ。なぜならば、自己または自己とともに現場に所在する他の隊員なわけですから。こういう規定に現在のPKO法の二十四条はなっておるわけです。

 先日、たしか日曜日だと思いますが、NHKテレビで、自衛隊はこれから一体何をするのかというテーマで放送がありました。その中で、ルワンダに派遣された当時の話が放映されておりまして、神本さんという当時の隊長さんがこんなことを話しておられました。

 日本のNGOの車両が難民に強奪されて、自衛隊に救援要請があった。そのとき、決断をして、隊長の命で小銃を携行し現地に救援に向かわせたという経験もあった。これは、ある意味では越権行為ですよね。しかし、彼は、テレビに出ていて、日本人のNGOが襲われているということを知って我々が見て見ぬふりをできますかと。しかし、その後、それはマスコミによってたたかれているわけであります。

 あるいは、機関銃を装備した装甲車で宿営地の周りをパトロールせざるを得ないぐらい不穏な状態にもなった。あるいは、土のうを積んで銃を構えて宿営地を守るような、そういう態勢をとらざるを得ないような場面もあった、こういうことであります。

 こんなふうな経験、あるいはこれに近い経験をした派遣された部隊というのは、私はたくさんあるんだろうというふうに思うわけであります。この一因は、現行PKO法が、さっき申し上げたような防護対象を限定しているということにあるわけでございます。

 私は、PKFの凍結解除の問題は、これはスケジュールに上がっていますが、これに伴って、他国のPKO部隊と同様に、防護対象を他国の要員、国連職員、NGO、マスコミ等々にやはり拡大すべきである。なぜならば、今回成立したテロ対策特措法も、職務を行うに伴い自己の管理のもとに入った者というふうに拡大しているわけでありますから、少なくともこのレベルにすべきであるというふうに私は考えているわけであります。

 六月の二十一日に国連本部において中谷防衛庁長官とフレシェット国連副事務総長との懇談があり、その際、副事務総長から、PKOは各国の混成チームが一体となって機能するものであり、他の国同士が支援をし合って初めてPKOの仕事ができるとも言われておるわけであります。

 明らかに我が国の現行PKO法は、この防護対象という意味でも不備である、改正が急務であるというふうに思いますが、外務大臣の見解を伺います。

田中国務大臣 防護対象を、PKOとそれから今回成立いたしました特措法との比較の中でもってお尋ねになっていらっしゃるわけでございますし、結論はその防護対象の範囲を拡大すべしという御趣旨は理解いたしております。

 もう委員全部御存じの上でおっしゃっているわけですけれども、PKO法その二十四条で規定しておりまして、武器使用による防衛の対象は、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員とされているということですけれども、今回のテロ特措法におきましては、十一条において、自己とともに現場に所在する、その職務を行うに伴い自己の管理下に入った者、管理下に入った者というところがポイントで、それが防護の対象となっています。

 すなわち、人道的見地からこれが妥当であるという判断でこうした法案になったわけでございますけれども、結論的に申しますと、武器使用の規定のあり方につきましては、政府も必要に応じて今後検討してまいりたいというふうに考えます。

米田委員 政府も必要に応じて検討するというお答えをちょうだいしたわけであります。

 次に、現行のPKO法では、自衛隊法九十五条、いわゆる武器等防護の規定は適用されないことになっているわけであります。今回の対テロ特措法では同条は適用する、こういうことになっているわけでありますが、当然、整合性を持たせる意味で、やはりこの点につきましてもPKO法を改正し、武器等防護を可能にすべきだと思うが、いかがでございましょうか。

田中国務大臣 これも、今回の特措法、それから周辺事態法も同じような考え方をしておりますけれども、国連の平和維持活動への参加に係る武器使用規定のあり方なんかもありますけれども、今おっしゃっていることは、政府としては、同じ答弁で申しわけございませんけれども、必要に応じて検討をしていくというふうに申し上げます。

米田委員 そこで、検討の必要性を政府としても認識しているということでございますので、さらにつけ加えて申し上げたいわけでありますが、仮にこの自衛隊法九十五条の趣旨におけるところの武器等防護、これを適用したとしても、まだまだ実は足らぬわけですね。

 というのは、九十五条というものは、自衛隊の財産なんですね。自衛隊の武器、弾薬、通信設備云々、こういうことになっているわけでありまして、PKO活動の際に国連の財産、資産というものを使うケースが多々あるわけであります。そうしますと、九十五条適用という考え方だけではUNマークのものを防護できない、こういうことになるんです。

 したがって、私は、九十五条の適用にとどまらず、国連PKOの実施に必要な我が国及び管理下にある外国並びに国連の財産も防護できるというような形に、今回成立した対テロ特措法は、自己の管理のもとにある者というふうに、人に関してはそういうふうにカバーしているわけでありますから、物資に関してもそうしないとまずいだろうというふうに実は思うんです。

 というのは、よくそういう話を申し上げますと、いや、それはその場の常識で云々なんて言いますが、そんなものじゃないんです。世界じゅうの軍人、制服組というものは極めてきちょうめんでありまして、ベイルートのアメリカ大使館が、いわゆる自爆テロのトラックで襲われて、大勢死んだ事件がありましたよね、アメリカの大使館員等が。このとき、実は、当時の米軍のROEでは、在外公館警備の海兵隊員は武器の弾を込めてはいけないことになっていたんです。ポケットに入れて、込めていなかった。襲った側がそのことを知っていたかどうか知りませんが、その装弾してはならないというROEを。やられることを知りながら、アメリカの海兵隊員は甘受して、その状況の中で死んでいったわけであります。軍人というのは世界じゅう基本的にそういうものなんです。

 ですから、きちんと法律を整備してやらないと、無用な犠牲者も出てくる、あるいは逆に法律にない行動をとってしまうというようなことが起きるわけでありまして、この点についても私は、先ほど検討するとおっしゃったので、これらの改正も行うならば、今申し上げたように、外国のものや国連のものも含むような方向を視野に入れてその作業に臨むべきであると思いますが、外務大臣の見解を伺います。

田中国務大臣 御主張は理解はいたしますけれども、やはり今回、小泉内閣でこのテロ特措法を、九月十一日の事件以来、鋭意、国会の皆様のいろいろな御意見があることを踏まえながらも、最善の努力をし、情報公開された中で成立にたどり着いたわけでございますので、いろいろな御意見もございますけれども、これまでの努力、そうしたことも御理解をいただきまして、今後またさらに必要に応じて、米田委員がおっしゃったようなことにつきましても検討をさせていただくということになる、必要に応じて検討をさせていただくというふうに申し上げます。

米田委員 対テロ特措法が成立をした、であるならば、少なくともそれと同様の水準にPKO法を改正しても当然だろうし、それはむしろ急務であるというふうに私は申し上げているわけであります。

 次に、このPKO法の改正に関連をいたしまして、PKF本体業務の凍結解除、この問題がスケジュールに上っております。私は、この本体業務の中身からして、今日の自然権的な防護権、これに基づく武器使用の権限、これのみではもう仕事にならぬだろうと思いますが、外務大臣、いかがですか。

田中国務大臣 いろいろな御意見があることは承知いたしておりますけれども、どうぞ御意見を続けて御開陳ください。

 私どもといたしましては、やはり与党三党という皆様の議論も踏まえなければなりませんし、国会でも活発な御議論をお願いしたいというふうに申し上げさせていただきたく思います。

米田委員 何か大ざっぱなお答えで、何と言ったらいいか私もわかりませんが。

 要するに、PKFの本体業務というものは、今凍結されている本体業務というものは何かといったら、停戦・武装解除等の監視、緩衝地帯等における駐留・巡回、武器の搬入・搬出の検査・確認、放棄武器の収集・保管・処分、それから停戦線等の設定の援助、捕虜交換の援助、これが凍結されておるんですよ。これを解除しようというんですよ。

 これは、さまざまな状況が想定される、危険な状況が想定される。したがって、やはり国連のスタンダード、国連のスタンダードがあるんです。妨害排除行動の許容を含む任務遂行のための武器使用、これは国連のスタンダードでは認めているわけでありますね。我が国は単なる個人の自然権であるところの自己防護権、これに基づいた、これに依拠した武器使用権と全然違うわけであります。全然違うんですね。したがって、その辺のところをきちんとクリアしなければ、ただ凍結解除をしただけでは意味がないということを私は申し上げたかったわけであります。

 さて、東ティモールでの国連PKOに対し、来年三月に自衛隊の部隊を派遣するための準備を開始するというふうに聞いております。与党三党の東ティモール派遣団に対しまして、デ・メロ国連事務総長特別代表は、法律の見直しが行われ、派遣される部隊が国連の標準に近づく形で活動できれば望ましい、武器使用に関し、防護対象を拡大し、他国の要員を防護できるようになれば、PKOとしての一体性からも好ましいと語ったはずであります。また、今後は、東ティモールPKOの主要な任務の一つとして、帰還難民の保護が重要となる、その防護ができないことに関し改善を期待するとも言われたはずであります、現場では。

 東ティモールだけではありません。アフガニスタン情勢が落ちつけば、やはりアフガニスタンにおけるPKO活動の要請というものが我が国に行われる可能性も十分出てくるわけであります。

 これらにこたえるためにも、先ほどから申し上げておりますが、最低限、現行対テロ特措法のレベルまでの中身の改正、あるいは、でき得れば国連スタンダードの行動ができるような改正、これが私は不可欠であるというふうに考えておりますが、重ねて外務大臣の見解を伺います。

田中国務大臣 昨日、官房長官が、東ティモールの施設部隊派遣につきましては、来春派遣を念頭にするというふうな準備発言をなさったことは御案内のとおりで、御承知でいらっしゃるというふうに思います。

 それから、アフガニスタンでございますけれども、この情勢につきましては、そもそも国連のPKOが設立されることになるかどうかということも含めまして、今現在、もう極めて事態が日々刻々変わって流動的でございますから、そのことはおわかりになっておられると思います。

 やはり、国際平和協力法というものの見直しの是非についてどうするかということは、先ほども申しましたけれども、国会での御議論も踏まえつつ、しっかりといろいろな御意見を聞きながら対処していきたい、かように考えております。

米田委員 議員立法でいく流れが、この間の経緯からして本筋だというふうな議論が、実は、これに関して議論するいろいろな場面で政府側の関係者からも出ているんですが、それがもたつくようでしたら、ぜひ堂々と閣法で出していただきたい。私は、これは与野党の枠を超えて賛成する議員がたくさんいると思いますよ。政府内部での検討というお言葉も何回かありましたけれども、本当に本格的に、議員立法にゆだねていてもらちが明かぬというふうに政府が判断したら、閣法で堂々とお出しをいただきたい。私は、賛成する議員がたくさんいるだろうというふうに思っております。

 次に、対テロ特措法、成立いたしましたこの法律に絡めまして、自衛権の行使という課題について、防衛庁並びに外務大臣の見解を伺ってまいりたいと思います。

 テロ対策特措法において、捜索救助活動というのがあるわけでありますが、これは、戦闘活動によって遭難した戦闘参加者の捜索救助を行う活動、こういうふうに規定されているわけであります。

 この間、与党三党の幹事長がパキスタンを訪問いたしました。そして、ムシャラフ大統領と会談した際、憲法の制約で自衛隊が戦闘地域に行けないという山崎自民党幹事長の発言に対しまして、大統領が、我々の常識からいえば戦闘区域で捜索救難活動をやらなきゃ意味がないというふうに伝えられております。テレビでちゃんとそういう報道もされました。

 私は、まさにこの大統領発言こそ世界の常識であろうというふうに思うんですね。戦闘区域どころか、実は非戦闘区域ということに限定されている今回の特措法でありましたが、そこにおいてすら、果たして自衛隊が安全にかつ十分なる活動ができる枠組みになっておるのか、こういうことを私は改めて申し上げたいわけでありますが、これは全く保証されておらないだろうというふうに実は私は考えているわけであります。

 その前に、国際慣習法、不文法であります、カスタムロー、国際慣習法では、その国の同意を得て外国に存在する軍隊は、侵略の意図を有しない限り、妨害排除のための行動を含めた自己防衛権というのを認められているんです。これは国際慣習法です。それからまた、国連においても、PKO活動に際して、先ほど申し上げたとおり、妨害排除の行動を含む任務遂行のための武器使用を認めている。これが国際スタンダードなんですよ。

 ところが、今回の特措法では、あくまでも自然権的な防護権を前提としているわけであります。このレベルの武器使用権をもって、果たして、テロリスト及びそのシンパが潜在する他国の領土を活動地域とする、そこで本当に隊員の安全が確保できるのかどうかといったら、私は、確保できないだろう、大変な事態がいろいろ出てくるだろうと実は思っているわけであります。共産党さんからもさんざん厳しい質問が出ましたが、認識は実は似ているわけであります、結論は違いますが。結論は違いますが、実は認識は似ているわけであります。

 要するに、これは防衛庁に答えてもらいますが、なぜかというと、私は対テロ特措法のあの特別委員会で防衛庁長官に質問をしたら、わけのわからない、見当違いの回答だった。ただ、あのときは十五分しか与えられていなかったものですから、次の質問に駆け足で移ったんですが、今回はちょっと余裕があるので聞きますが、これは防衛局長が答えてくれるんですかね。

 今の枠組みでは、当然ながら、米軍等の他国の軍隊の防護はできませんね。

 それから次に、自己防護のために一たんテロリストに反撃をしても、追撃、制圧はできませんね。したがって、何度でも襲われる可能性がありますね。ハチに襲われて、振り払うことはできるけれども、たたいちゃいかぬ、こういう枠組みだから、クマンバチのやつは、こいつはおもしろいやつだということで何回も襲ってきますね。

 それから次に、相手が武器を使用せずに我が方を包囲した場合、実力をもって排除できませんわな。国連スタンダードだったら、警告射撃を三回やって、あとは指揮官の判断で射撃もできるけれども、それはできませんわな。そうすると、兵糧攻めみたいになって包囲されちゃう。難民を抱えている場合、どうにもならない。難民を保護しようとしている我が自衛隊が、今度は、例えばパキスタンに行っているとしたらパキスタンの警察当局に一一〇番か何かして、一一〇番か何番か知らぬけれども、救出をまた要請せにゃならぬ、こういうことですね。

 それから、同じくそういう場合に、輸送業務等の妨害排除ができない、避難民の誘導作業ができない、こういうことになるわけであります。また、拘束された仲間の救出作戦もできませんな。

 そして、この問題点の最後に言いたいんですが、危なくなったら撤退するというふうによく言うけれども、退却戦ほど難しいものはないんですよ。しんがりを務める部隊というのは、戦国時代からそうなんです。ある部隊が退却するときに、殿様がしんがりを務める人間を呼んで、武将を呼んで、子孫のことを心配するな、必ず禄高を加増すると言って約束して、しんがりを務めさせる。つまり、相手と戦いながら後ろ向きに下がるわけですから、自然権的な防護権どころか、迫撃砲等も駆使してめちゃくちゃに激しく相手に攻撃を加えながら、総崩れにならないように、味方を守るために、後ろ向きに下がっていくわけですから、したがって、危なくなったら退却するなんて言うけれども、その退却自体ができない、そういう枠組みになってしまっていると思うんですが、防衛局長、どうですか。

首藤政府参考人 今、米田先生は幾つか非常に具体的な例を挙げてお述べになりましたが、そういったケースは、実際問題、絶無とは言えないというようなことだと思います。

 そういうようなことを予測いたしまして、まず、この法律におきましては、対応措置を外国の領域で実施する場合には、現地の治安情勢についても十分な考慮を払う必要があるという観点に立ちまして、基本計画において当該区域の範囲を定める際に、現地の治安について責任を負う当該外国と協議するということで、まずそこで、今おっしゃられたようないろいろな危険が起きないという見通しを十分に立てることが大前提になっているということでございます。

 ただ、そういった前提で現地に参りました場合でも、いろいろなことが起こり得るという観点から、この法律では、戦闘が行われない地域で活動するというのはもとよりでございますが、そこで仮に事前に予想されなかった戦闘行為が発生したとしても、一時休止や避難あるいは実施区域の変更、活動の中断によって危険を回避するというような仕組みになっているわけでございまして、今先生がいろいろお述べになりましたような事態が起こった場合は私どもとしても困ったことになるわけでございますが、したがって、そういうことにならないように前広によく調査し、そしてなりそうになった場合には、迅速に、前広に休止して退避する、あるいは活動を中断するといったようなもろもろの配慮をする必要があると考えているわけでございます。

米田委員 要するに、さっきルワンダの例をなぜ言ったかといったら、我が国政府が、ここはもう完全に五原則を満たしておる、大丈夫だと言ったところですら日々刻々情勢が変わるんですよ。当たり前だ。もし全く安全ならば、何も自衛隊派遣じゃなくて民間のボランティアで、有志を募って行けばいいので、そうじゃないからこそ、武力組織である自衛隊を派遣しようということなわけでしょう、ふだん訓練している彼らを。ところが、その彼らの安全すら実は守れないような枠組みになっているということなんです。

 ですから、今回の特措法の趣旨を本当に貫徹する、危ないところに行かないんだったら、私はこの際はっきり言わせてもらうけれども、パキスタンの陸上に派遣しない方がいいよ。ルワンダみたいなことになったら大恥ですよ、こんな不十分な法律では。

 ムシャラフ大統領が首をかしげたように、うたい文句は立派だが実際はやらぬということだったら、これは前代未聞の張り子のトラ法案ということになるね。(発言する者あり)安住さん、あなたが賛成してくれなくてもいいけれども。残念ながらそれが実態なんだ。

 だから、私は外務大臣に申し上げたいんですが、今回のテロ対策特措法は時限的な特別立法なんですね。私は、きちんとした、国際基準の行動を可能にする恒久法の検討を急ぎ、真剣にやはり始めなくちゃいかぬだろうと思う。今回のこの件だけでなく、これからも世界で、あるいは今度は我が国が舞台となって類似の事件が起きる可能性もあるんです。いかがでしょうか。

田中国務大臣 今回のテロ特措法は、武力行使と一体化しない、憲法の範囲内でぎりぎりのところで何ができるかということでもって成立した法案でございます。したがって、いろいろと御不満、米田先生のような思いがおありになることも、いろいろあることもわかっておりますけれども、やはり国会での議論を、いろいろと流動的な世の中の状態でありますから、先ほど防衛庁の方がおっしゃいましたけれども、前広に、国会での議論を踏まえつつ、いろいろと活発な議論を今回も繰り広げていただきたい、かように考えております。

米田委員 終わります。

吉田委員長 米田建三君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮澤洋一君。

宮澤(洋)委員 自民党の宮澤洋一でございます。外務委員会では初めて質問させていただきます。よろしくお願いをいたします。

 まず、きのう終わりましたASEANプラス3について少し質問させていただきたいと思っております。

 国際的なテロが起こり、また、テロに対する闘いが始まり、その影響もあって、もともと世界的に経済が悪かったところにさらに経済が悪くなっているという中で行われた会議なわけでございます。マスコミ等は御多分に漏れず批判するところの方が多いという気がしますが、私は、なかなかいい評価がいろいろあった会議ではないかと思っております。

 まず外務大臣に、今回の小泉総理が出られた会議を外務大臣としてどう評価されているか、簡単にお答え願いたいと思います。

田中国務大臣 けさほども閣議がございまして、総理からASEANプラス3に御出張をなさった後の御報告をいただきましたけれども、要するに、お互いが協力するべき立場で東アジア地域で生きる者がお互いの発展のために意見交換をする、そして、お互いの協力関係を確認し合ったという意味では大変意義があったというふうに考えております。

宮澤(洋)委員 特に、今回はテロとの闘いの真っただ中という中で行われたわけですが、この闘いをともかく勝利しなければいけないという中で、やはりASEANの中には、インドネシアとかマレーシアまたブルネイもそうですけれども、イスラム教国がある。こういう国と、やはりいろいろ彼らにも理解していただかなければいけないのだろうと思うのです。

 それは、テロとの闘いの重要性であり、また日本の役割がどうだということだと思いますけれども、この辺について外務省、局長に、これまでどういう努力をされてきたのか、またこれからどういう努力をしていくつもりかということをお伺いさせていただきます。

田中政府参考人 委員御指摘のとおり、東南アジアにおきましては、ムスリムの人口が多い国、インドネシアであるとかマレーシアがございます。

 政府といたしましても、そういう国との関係で、きちんと日本の役割であるとかテロに反対する立場という国際的な連帯をつくらなければいけないということで、これは随時、APECの機会もそうでございました、総理は二国間会談をインドネシアであるとかマレーシアとされましたし、それから今回、ASEANプラス日本の会合あるいはASEANプラス3の会合におきましても、総理から、日本のテロに対する考え方、立場、日本の特措法の関係、もろもろのことを御説明され、私どもの認識といたしましても、そういうASEAN諸国の理解は得られているというふうに思っております。

 外務大臣につきましても、在京の大使あるいは各種の電話会談等を通じまして理解を得るような努力をしておられる、こういうことでございます。

宮澤(洋)委員 この関連で少し詳しく伺いたいのですけれども、インドネシアの国内ではかなり反米的な動きがあるとか、また今回の会合でマレーシアのマハティール首相は日本の対応について少し冷たい対応があったというような報道がされていますけれども、実際はどうなのか、その辺、詳しく教えていただきたいと思うのです。

田中政府参考人 インドネシアにおきましては、例えばマカッサル等で一種の反米のデモが起こっていることは事実でございます。ただ、それは決してインドネシア全土的な広がりには立ち至っていないし、現在、当然のことながら、インドネシア政府、特にメガワティ大統領は、公に言うときの言い方というのは非常に気をつけた言い方をされているのも事実であります。ですから、非常にデリケートな問題があることは事実でございますけれども、現在、大規模な反米とかあるいは日本に対する批判という動きにはなっていないというのが私どもの認識でございます。

 マハティール首相、マレーシアにつきましては、公の場でも、例えば現在のアメリカの攻撃というものが、その結果一部の住民が亡くなっているというようなことに対しては遺憾の意を表明し、かつ、目標というのはきちんと絞るべきであるといったような言い方をされているということも事実であろうと思います。

 一方、委員が御指摘のように、日本に対して冷たい態度というようなことは、今回の協議を通じては一切ございませんでした。

宮澤(洋)委員 いずれにしましても、今回のテロとの闘いの中で、こういうASEANのインドネシア、マレーシア等と密接に連絡しておくというのが我が国の役割だと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 それで、ASEANプラス3の関係で、きのう新聞を見ておりましたら、中国がASEANと自由貿易圏の交渉を始めるという記事が載っておりました。十年程度で締結を目指すとか、また対象分野がどうだとか、かなりあやふやなところがあるわけですけれども、我が国の方からいいますと、かなり大変な話だなという気がいたします。大っぴらには言えないのかもしれませんが、やはり日本は、シンガポールと自由貿易協定を進めているわけでございますし、ASEANとまずそういうことをやってから中国というような流れだろうと思っていましたけれども、逆に言うと、中国に少し先を越されたのかなと。

 正直言いまして、中国とASEANでいうとかなり競合するところがあって、本当にできるのかなという気もいたしますけれども、これからこの動き、日本としてどういうふうにかかわっていくのかというか、日本は、ASEANとの関係をどうしていくのか、また中国との関係をどうしていくのか。中国に先を越されるわけにはいかないものですから、その辺どういうふうに考えているか、大臣、ひとつお願いいたします。

田中国務大臣 二国間の問題につきまして私どもがコメントすることはできませんけれども、私もこの間シンガポールでのWTOも参りましたし、そのときに日本とシンガポールとの関係で貿易の協定もできましたし、あらゆることが今後また展開していくと思いますけれども、中国との問題、他国との関係につきましては、基本的には今私どもの立場ではコメントすべきではないと思います。

 ただ、事務的に、今回の会議に局長が行っておりますので、さらに詳しいことを説明するようにいたしましょうか。

田中政府参考人 中国とASEANの自由貿易協定につきましては、委員御指摘のとおり、彼らの間の専門家会合の結論を踏まえて、今後十年以内に、初歩的という言葉も使っているようですけれども、自由貿易協定の交渉をする、こういうことでございます。

 それで、委員御指摘のとおり、私どもが考える自由貿易協定というのは、当然のことながらWTOに整合的な協定ということでございまして、これはWTOの規則上、実質的にすべての貿易分野において関税が撤廃されるというものが自由貿易協定の要件になっておるわけでございまして、これはなかなかこういう要件をクリアするのは難しいわけでございます。

 ですから、例えば日本とASEANの間におきましても、本当にそういう形の自由貿易協定というのが今の状況でできるのかどうか。仮にそれができたとしても、やはり日本には農業分野の問題はありますし、ASEANの諸国にしてみれば、どっと日本の工業製品が入っていくといったような問題もあるわけで、これはたちどころに自由貿易協定というわけには多分いかないんであろうと。

 だけれども、日本とシンガポールの経済連携協定については外務大臣も今御答弁されたとおりでございますけれども、ああいうような形あるいはどういう形の経済連携が可能かということについては、日本とASEANの専門家会合を通じてさらに深めていこうと。

 それから、東アジア全体につきましても、これも東アジアのスタディー・グループというのができていますけれども、この中で将来的な東アジアの自由貿易協定の可能性等について検討していこう、こういうようなことになっております。

宮澤(洋)委員 憶測で物を言ってはあれなんですけれども、私は記事等を読んでいまして、何でASEAN側がこういう交渉に入ることを了解したのかが大変わかりにくくて、けさの新聞あたりでも、南洋のいろいろな農産物に特別な措置を認めるというようなことで話が進んだというようなことも書いてありましたけれども、想像で全く結構なんですけれども、ASEAN側は何でこういうことを受け入れたんですか。

田中政府参考人 一般論で申し上げますと、ASEANの諸国というのは、中国がこれからWTOに加入をして、加入をする前の状況からもそうでございますけれども、ASEANに行っていた外国の投資が中国にどんどん向かい出しているということ、それから中国がやはり大きな競争力を持って産品の輸出をし出しているということに対する一種の危惧というものは当然持っているわけであります。

 それから同時に、中国のマーケットが広大なものですから、そういうことでASEANとしても中国のマーケットということを考えながら、より深い経済連携を進めていった方があるいはASEAN自身の利益にかなうかもしれない、こういう考え方があるのは自然なことではないかと思います。

 日本にとりましても、これはどこの経済統合もそうですけれども、そういう経済統合とか自由貿易協定ができた結果、域外に対してさらにその敷居が高くならない限りにおいては需要というのは拡大するわけですから、日本のような国にとってもメリットがあるということは場合によっては言えるんだろうというふうに思います。

宮澤(洋)委員 中国の関係でさらに少し御質問させていただきたいんですけれども、先ほど我が党の米田委員からもセーフガードの話がございました。中国との関係、それこそ私の子供のころは「ひょっこりひょうたん島」なんというあれがあって、島が動くということで、そういうことでもあれば別ですけれども、ともかく中国が間近にある、二十一世紀の恐らく一つの超大国になるだろうという中で、中国とのいい関係をどう築いていくかということは大変重要なことだろうと思うんです。いい関係というのは、お互い言いたいことが言えるという関係だろうと思いますけれども。

 その中で、我が国のセーフガードの話を初めとして、この間、ちょっと物を読んでいましたら、びっくりしたんですけれども、アジアで電子・電気機器の輸出額が日本に次いで多いのは、昨年の後半から中国だというそうなんですね。大変世界の生産が中国にシフトしている。これは日本でもユニクロ現象等々と言われて大変問題になっていますけれども、恐らくそれは、今日本に起こり始めている話がアメリカでも既に幾つか起こっているし、ヨーロッパにも飛び火するというような、そういう問題になるのかなという気がしております。

 それこそ現在の通貨、為替でいうと、人件費は日本の五十分の一ぐらい、こう言われています。いろいろな問題をはらんでいますけれども、中国の元、為替の問題というのがかなり大きな要素に現在なっているし、これからもっとなるのではないのかなという気がしているんです。

 中国の為替というのは、いわゆるドルペグといって、一ドル八・二七七元かなんかが最大で、それでコントロールされているわけですけれども、九五、六年から大体八・三〇弱ということで推移している。これは、現在の状況を為替の専門家に聞きますと、要するに元に対する買い圧力がある、要は、元がもっと高くなるような状況があるけれども、中国政府が介入している、その結果、中国の外貨準備高というのは二千億ドル近くになっているということのようなわけです。

 一方で、もう一つの要素としては、輸入に対していろいろな障壁がございますから、元が安くなる方向で動いているということがある。これは恐らく、WTOに加盟することによって少し元高の方に動いていくのかなという気はしますけれども、私自身は、やはりもう少し、この時期に中国の為替というのをしっかり中国自身にも見直してもらいたい。

 それこそ我が国の場合は、ちょうど七一年、ニクソン・ショックの後で、これは世界的な為替の調整だったわけですけれども、円がフロートして、三百六十円からあっという間に二百円近くまで行ってしまうということを経験して、自来三十年、基本的には円高ということでやってきているわけです。

 中国という国を見ていると、いよいよ、三十年前の日本に近づいたというまではいかないかもしれないけれども、為替についてそれなりに真剣に中国自身も考えてもらわないと、これは世界的な問題で、極端な話は、トヨタ自動車ですら中国で生産しないと国際的な競争力がなくなってしまうという時代にするわけにはいかないなという気が大変しております。

 為替という問題について、もちろんこれは財務省の直接の担当でありますし、もちろん政府全体の問題でありますけれども、外務省なり外務大臣として、まず、中国という国との関係を維持する中で為替の問題をどう考えられているか、教えていただきたいと思います。

田中国務大臣 為替の変動等、経済的なシステムを踏まえながら宮澤委員が御質問くだすったこと、私も大変興味深く見ておりまして、近代の、日中国交回復以降ですけれども、中国が中央政府が大変な戦略を持って、特にトウショウヘイさんの改革・開放以降大きくかじを切った、そのことによって中央政府がその責任において政策を遂行して、沿岸部から開発をしていって、目覚ましいといいますか、びっくりしておりますね。

 本当に、自転車にしても北欧から新しい技術を持ってき、白ワインはフランスから、それから電子機器は、私も今伺ってびっくりしました、日本に次いで二番目であるということをおっしゃいましたね。そういうことはちょっとやはり、二十年前、国交三十年にもうじきなるわけですけれども、まあ三十年たったということですが、それにしてもそのスパンでは大変な早さであるというふうに思います。

 しかし、私は、中国の経済を見ておりますときに、外貨準備高のことをおっしゃいましたけれども、国民一人一人の所得がどんなであるかというGDPの問題とか考えてみましたときに、日本も、そういう隣国が、大国がある、大変なポテンシャリティーのある国があるということを踏まえて、我が国が、WTOにいたしましても、ODA、先ほど米田議員からお尋ねがありましたが、それらもトータルで、どういう戦略を持って臨むか。我が国も繁栄し、共存共栄するか。セーフガードは今ちょっとした問題でありますけれども、もう期限の問題等ありますから繰り返しませんけれども。

 そうした中で、私は、やはり我が国が当時の、今一九七〇年代とおっしゃいましたが、まさしくあのニクソン・ショックのころとか、うちにも関係者が大蔵大臣をやっていたりしておりましたので、当時の問題、それから日本がIMFに入ったころ、世銀でどんな状態であったかということは、いかに外貨準備高が大事であって、世界の経済がどれだけ動くか、マーケットの問題、これはもう大変一国を大きく変えることも下げることもできる時代だと思っています。それが今はもっとアクセレレートされて非常に早いんですね。

 ですから、中国という国に対して、私どもも、セーフガードだけではなくて、これはもちろん大事です、ODAもそうです。しかし、一つ一つだけを見るのではなくて、トータルに見て、どのようにして共存共栄するか、日本が決して追い越されないように、いい関係を維持しながら、これを考えていくべきだというふうに思っております。

 なお、大蔵省から専門家、きょう来ておられますか。おられれば私も聞きたいぐらいですけれども。

 いいお尋ね、ありがとうございました。

宮澤(洋)委員 一人当たりGDPとかそういう話も、実は為替のマジックみたいなところがあって、倍に切り上がる、一ドル四元というようなことになれば、一人当たりGDPも倍になるという話だと思います。

 一方で、今の話が大変難しいのは、恐らくこれは中国政府自身の問題で、現在は、内陸部の失業とか経済格差というようなことを考えるとなかなか踏み切る政策判断はできないと思うんですが、恐らく十年、二十年という長さで見ますと、中国にとっても、為替をきっちりフロートさせるというんですか、経済原則に合わせるということは得なことなんだろうと私は思っているんです。

 そういうことも踏まえて、外務省として経済外交もぜひやっていただきたいなと思っておりますので、局長、追加することがあったらひとつお願いします。

田中国務大臣 私が着任してまだ六カ月ですけれども、経済局もしっかりよくやってくだすっていますし、他省庁とも緊密に連携をとっておられますが、さはさりながら、外交をやっていて痛切に感じている一つは、経済的な視点、メリット、これを数字を挙げて証明していくという面がとても少ないと思うんですね。その都度、現象面を見ながら政策を立てているなと。

 過去の外交政策がどうだったかは存じませんが、私は、この中でもっていろいろな幹部からのレクチャーを聞きながら、数字に裏づけされた、数字の見通しを立てた政策がないなということをつくづく感じて、時々私はそういうことを手厳しく言うもので、ますます嫌がられておりますけれども、でも、これは大変重要な視点だというふうに思っております。さらに分析をいたします。

宮澤(洋)委員 大臣、どうもありがとうございました。

 残りも少なくなってまいりましたので、少し大ざっぱといいますか、世界の流れのようなことをちょっと、どういうふうに外務大臣、外務省、考えられているか伺いたいと思って質問させていただきます。

 もう十年以上になるわけですが、八九年にベルリンの壁が取り払われて、また九一年にソ連邦が崩壊するといったときに、私なんかも、日本のマスコミもそうだったわけですが、アメリカ一国支配というか、アメリカ一つの超大国の世界にすぐ移行するのかな、こういうふうに思っていましたわけですが、それが、その後、湾岸戦争といったような話もあり、恐らく経済のグローバル化みたいなことが大変影響したんだろうと思うんですが、なかなかそういう体制にいかなかった。

 昨年、ブッシュ大統領が誕生したわけですが、このブッシュ大統領の主張というのは、唯一の超大国である米国を中心とした世界の新しい秩序をつくろうということを基本的に考えられた主張だったんだろうと思っております。ですから、ミサイル防衛構想等もありましたし、中国との関係もいろいろあったわけですけれども、そういうことで新しい政権がスタートした。

 ところが、今回の国際的なテロの発生によってかなり様相が変わってきてしまったというのが今の状況で、もちろんこれは、今回のビンラーディン、アルカイーダとの闘いがいつごろ終わるかということにも大きくかかわってくるのかもしれませんし、その成り行きにもかかわるのかもしれないんですけれども、ブッシュさんが言っていた新しい世界秩序的なものが今回の話で少し変わってくるのかなと。

 アメリカはもちろん唯一の超大国であることは間違いないわけですけれども、やはりロシアの協力も、もう要らないよというわけにはいかないし、また中国についても、クリントンさんほど仲よくすることはないとは思いますけれども、少し見方を変えていくのかなというような気がして、我が国も、常に後追い後追いではまずいわけで、そういうことも、いろいろなことを念頭に置きながら、今の外交、また今後の外交を展開していかなければいけないんじゃないのかなと私自身思っておりますのですが、それについて、外務大臣、どういうふうに考えられているのか、教えていただきたいと思います。

田中国務大臣 ブレトンウッズ体制の問題が金融、経済の問題等ではありましたし、それからベルリンの壁の問題、要するに冷戦構造の崩壊等がありまして、経済も政治の面でも極めて早い展開が、予測のつかない展開がされて今日に至っています。

 そして、アメリカでブッシュ政権がクリントン政権に取ってかわって、そのときはやはりかなり粗削りなブッシュ大統領のビジョンが出ていた。粗削りというのは、悪い意味ではなくて、御本人の本当の骨太のものがぼんと出たんですけれども、今回の九月十一日のテロリズムがあって以来、やはり結論から言えば、国際協調というもの、国際世論とともにテロと闘うという体制、そこにかなり今収れんされてきているのではないか。またこれもさらに展開していくと思います。

 なぜかといいますと、それは、ほかの欧州の国も、アジアはもちろんですけれども、こうしたテロリズムに対抗するためには、UBLに対して、オサマ・ビンラーディンに対して、一つの国だけでは何も解決できないということがみんながわかっている。全員が協力する体制。ですから、先ほども、マレーシアとかインドネシア、同じイスラムの国での考えをいろいろおっしゃっておられましたけれども、結論的には、やはりこれに対抗しようということでは同じなわけでして、テロリズムを許容する国はない。

 そうなると、きのうでしたか、イギリスでトニー・ブレア首相が欧州の首脳を集めて会議をなさいましたが、国連を控えて、ここのところでもってもう一回欧州の考え方を整理して、もちろんイギリスは戦闘行動に参加していますけれども、そこで欧州のコンセンサスを得るという会議をなさったことは御存じのとおりです。

 ですから、そうしたことも踏まえてまたアメリカもアジアもほかの国々も協力していくわけですから、そうしたワールドスタンダードといいましょうか、それに合わせて、その中で日本がどれだけ主体的に、自分の経済情勢を見きわめながら、国民の皆様の御理解を得ながら政治を進めていくかということが外交の根底にあるというふうに思います。

 重ね重ね、大変大局的な、広い視野に立ってお尋ねいただきまして、ありがとうございました。今後もこういう質問がたくさん出ることを期待いたしております。

宮澤(洋)委員 時間が参りましたのでこれで終了させていただきますが、懇切丁寧にお答えいただきまして、大臣、ありがとうございました。

吉田委員長 宮澤洋一君の質疑は終了いたしました。

 次に、上田勇君。

上田(勇)委員 最初にテロ問題について御質問させていただきますけれども、米国で起きました同時多発テロへの対応については、テロ特措法が十月の二十九日に成立をいたしまして、これから我が国として具体的にどういう対応をするか、すなわち基本計画の内容をどういうふうに決めていくかということをやっていかなければいけないわけであります。

 十一月の一日に、日米安全保障高級事務レベル協議、ミニSSCというふうに報道されておりましたが、これが開かれ、それから二日には、それに基づきまして調整委員会が開かれまして、テロ対策が議題になったものというふうに承知しております。

 その調整委員会、その後開かれたのかどうかわかりませんけれども、それらの一連の会議の中で、具体的にはどういうような内容について話し合いが行われたのか、またどういうような事項について合意されているのか、これは北米局からも出席されているということでありますので、局長の方から御報告をいただければというふうに思います。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員が申されたとおり、一日に、日米安全保障高級事務レベル協議のもとで審議官レベル会合、いわゆるミニSSCという会合を開かせていただいたわけでございます。ここの会合は、日本側から、今後のテロ対策特措法に基づきます日米間の協力につきまして調整の枠組みをどういうふうにしていくかということを提起いたしまして、アメリカと協議をいたしました。この機会に、日米間におきまして、局長級の調整委員会、またこのもとでの課長級の調整委員会のワーキンググループというものを設置することにつき合意をしたわけでございます。したがいまして、このミニSSCの機会に、こういう調整委員会の場を立ち上げるということにつき合意した次第でございます。

 次に、これを受けまして、二日に第一回の調整委員会を開催したわけでございます。この第一回の調整委員会は、防衛庁防衛局長、運用局長及び統幕五室長、外務省よりは北米局長等が出席いたしました。アメリカ側からは、在京米大使館公使、在日米軍副司令官、それから国防省次官補代理、国務省次官補代理等が出席した次第でございます。それからハワイの太平洋軍からも出席がございました。

 この第一回の調整委員会の場で、日本側から、テロ対策特措法の成立に至る経緯及び特措法の基本的な枠組み、及び今後基本計画を策定していくべきこと、今後の日米間におきましてはあらゆるレベルで緊密な協議を行うべきこと、そしてできるだけ積極的に意見交換を進めていきたいという趣旨を話した次第でございます。

 これに対しまして、米国サイドより、日本側で今回極めて迅速にテロ対策特措法というものの成立を見られたことについて敬意を表する、今後日米間で緊密に意見交換をしていきたい、今後事務レベルでいろいろ意見交換をして、再び適当な時期にこの調整委員会の会合を開いて議論を進めていこうということを申した次第でございます。

 アメリカ側からは、重ねて、日本側の今回の対応というものについての高い評価がございましたが、同時に、アメリカ側の言いますところの今回のテロに対する作戦と申しますか対応というのは、非常に息の長いものである必要があるので、協力についてもぜひそういう精神でお願いしたいという話はございました。

上田(勇)委員 いろいろと今御説明をいただいたんですけれども、まだ具体的にどういうような対応をするかというところまでは話し合われていないというふうに理解をいたしました。

 このテロ特措法で定めている基本計画というのは、相当具体的な内容まで定めていかなければいけないんですけれども、そうすると、当然これは調整委員会、実務レベルでの協議でありますから、この協議を踏まえてでなければ、実際には基本計画というのは具体的につくれないのではないかと私は思うんです。そうすると、これからこの調整委員会あるいはワーキンググループの作業のスケジュールというのはどういうふうにお考えなんでしょうか。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な、第二回の調整委員会の会合の時期といったものをまだ決めているわけではございませんが、現在も、第一回調整委員会を受けまして、事務的にアメリカ側とのすり合わせを行っているところでございます。

 具体的に今どういうすり合わせがどこまでできたかということについては、まだ事務的にいろいろ意見交換を今後していこうということで、まだ具体的に今ここで御報告できるものはございませんが、できる限り至急に詰めてまいりたい、こういうふうに考えております。

上田(勇)委員 このテロ特措法が、我が国として早く成立をして早く対応をしたいということで、国会でその成立が、小泉総理、内閣のお考えで非常に急がれて、それで十月内に成立をしたのですが、その後もう一週間たっているのに、まだそういうような、何かいつ会合をやるかというようなことをやっているというのは、これは私はちょっと理解に苦しむところなんです。

 果たして、それはどういうタイミングでこれからの対応を考えているのか。何か今のお話を聞いていると、政府として、この情勢に対する認識が本当に右往左往しているというような感じしかしないんですけれども、こんなにのんびりしたことをやっていていいんですか。

藤崎政府参考人 今の委員の御指摘も踏まえまして、鋭意今後作業の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。

田中国務大臣 のんびりして聞こえるのは、多分、藤崎局長の口調がああでございますからのんびり聞こえたかもしれませんけれども、基本計画につきましては、やはりプログラムにちゃんとある程度ございまして、中身についてはこれからでございますけれども、調整委員会のワーキンググループというものを立ち上げまして、我が国の領域内でどうするか、我が国の領域外がどうかというふうなことにつきましても、双方で濶達な意見交換をしてまとめていくというふうに承知をいたしております。

上田(勇)委員 別に口調がのんびりしているからのんびりしていると言ったわけではないんですけれども、ただ、ちょっと対応が、どういうタイムフレームでやっているのかということについて、基本的に全く政府として考えがないんじゃないのかなという印象を受けたものですから、情勢の判断というんでしょうか、その辺はしっかりしていただかなければいけないというふうに思います。

 今、局長の方から、鋭意努力するということでございましたけれども、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 このテロ特措法の基本計画、もちろんこれは、今軍事行動をとっているメーンがアメリカでありますので、アメリカがどういうような行動をとるのか、そのことを十分すり合わせていく、そのための会合を今重ねているということなんですけれども、同時に、このテロ特措法というのは、その目的としているところというのは、法案のところを読ませていただくと、「国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与するため、次に掲げる事項を定め、もって我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とする。」というふうになっております。

 もちろん、具体的に議論の積み上げというのは日米間でやっていかなければいけないんでしょうが、国際社会の取り組みに対して我が国が協力するということでありますので、既に、少なくとも軍事行動をとることを表明している国だけでも、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリアなどがありますし、当然のことながら、ロシアや周辺諸国も関係してくるんですけれども、そうした各国を含めた対応を協議するようなフレームワークをつくった上で最終的に決めていかなければならないんではないかというふうに思うんですが、その辺についての今後のお考えを伺いたいというふうに思います。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、この国際テロにつきましては、国連憲章に従いまして、この国連憲章の目的の達成に寄与するアメリカ合衆国その他の外国の軍隊に対する協力支援活動でございますので、当然、アメリカ合衆国だけがこの法律の対象ではございません。

 ただ、今私どもが米国との関係でこういう調整委員会というものを立ち上げましたのは、現在、行動の主体となっているのが米国であるということ、そして、米国に対する協力支援が私どもとしてはまずトッププライオリティーであるということでこういう場を立ち上げているわけでございますが、今後、将来にわたりまして、ほかの国との協力支援活動というものが出てくるということは、もちろん排除するものではございませんし、そういう可能性が出てくるということは念頭に置きたいというふうに考えております。

上田(勇)委員 念頭に置きたいということであったんですけれども、もちろん私も、だから、このメーンの部分がアメリカとの協議で決まっていくということを否定しているものではないんですが、もう既に世界各国がこのテロに対して行動を起こすということを決めている、表明している中で、具体的にどの国がどういうような役割を果たすのかというようなことを調整していかないと、現実的に、何を日本がやるべきなのか、やったらいいのかというのがわからないんだと思うんですけれども、それがそんなちょっと間延びしたようなタイムフレームでよろしいんですか。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 各国がいろいろな形で、今おっしゃいましたように、軍事的行動あるいはその他の行動に加わるわけでございますけれども、今回の作戦行動の主体はあくまで米国でございますので、各国とのいろいろな分担ということにつきましても、米国がこれを主体となって調整していくということではないかと存じます。

 私どもとしましては、そこで、もちろん他国を含めまして全体と考えていくわけでございますが、当面のプライオリティーといたしまして、優先的に米国との調整委員会を立ち上げ、米国との協力支援活動を考えつつ、今後の推移を見まして他国との関係ということも考えてまいるということではないかなというふうに存じております。

上田(勇)委員 この問題はこの辺にさせていただきますけれども、特措法の法案の成立から、すぐに対応しなければいけないというような対応をしていた内閣が、ここに来て少しその意欲を失ってしまったのかなというような感じがいたしますので、その辺また大臣も、閣議の中でも、どうされるのか、ぜひ内閣の姿勢を明確にしていただければというふうに思います。

 それで、きょうもう一つの話として、気候変動枠組み条約の問題について次に御質問させていただきたいんですが、十一月の七日から九日の日程でCOP7が開催されております。報道によれば、政府は、二〇〇二年の京都議定書の発効を目指しまして、たとえアメリカが参加しない場合でも批准する方針を決定した、こういうふうに報道されているんですが、我が国は、これまでこの京都議定書にかかわって積極的な役回りをしてまいりましたし、アメリカが離脱を表明して、なおかつこのCOP7においては米国案を提出される予定だったんですが、どうもそれもどういうスケジュールになるかという見込みが立たないということを考えると、こうした情勢の中ではそういう判断もやむを得ないことではないかというふうに思います。

 そうした方針の是非も含めて、大臣の御見解を伺いたいというふうに思います。

田中国務大臣 この京都議定書の問題は、上田議員御存じかどうかわかりませんが、私は、外務大臣を拝命する前から、我が党とそれから民主党の有志の先生と一緒にワシントン・ポストに広告を出したことがございます。すなわち、早くにこの問題は片づけて、議定書をアメリカが、アメリカの新聞に出した意図がそこにございますけれども、批准して進めていくようにということを出した経緯も私はございますけれども、それとは別に、お尋ねに対してお答えを申し上げます。

 川口大臣、今大変頑張っておられまして、訪米中でございますけれども、アメリカがとにかくCO2の最大の排出国でありますので、ですから、アメリカを巻き込んで一緒に、ともに批准できるように、できるだけぎりぎりの努力はなさっているわけですけれども、しかし実際は、交渉は、私どもが最善を尽くしてはおりますけれども、一方、我が国の努力にかかわらず協議自体が難航しておりまして、予断を許さないということが状況でございます。

 そしてまた、日本は、すべての国が一つのルールのもとで行動をすることが大変重要であるというふうに考えて、今日まで行動をしてきております。そして、先ほど申しましたように、世界最大の温室効果ガス排出国でもあるアメリカを含めた合意の形成ということを私どもも希求いたしておりますけれども、米国に対して建設的な対応をずっと、川口大臣が最初にアメリカに渡られましたのもそうした努力を求めるためでございまして、引き続き、今最大限努力をぎりぎりのところでしているというふうに承知いたしております。

上田(勇)委員 努力されていることは今の御答弁でわかったのですが、ということは、各新聞等で報道されましたそういう方針を決めたというのは誤りであって、まだ方針は決まっていないのだということでよろしいのですか。

田中国務大臣 報道云々はございますけれども、日本が批准に向けて国内作業を行うためには、京都メカニズムを十分に活用し得るような現実的なルールに関する合意がぜひとも必要であるということで私どもは活動いたしておりますので、ファイナルな結論が導き出されるまで、今のメディアの報道についてコメントをすることは差し控えさせていただきます。

上田(勇)委員 私は、別にメディアの報道にコメントしてくれと言っていなくて、政府の方針はどうかというふうにお伺いしたのですが、私ははっきり御質問しているので、ぜひはっきりお答えしていただきたいと思います。

田中国務大臣 ですから、今はっきり申し上げているわけでございます。日本の政府の方針について、今申し上げました。

上田(勇)委員 別にこれは、ここで言葉じりで議論をしようというつもりではないので、私は、もうこれだけ報道されているので、こういうことが一般的に認識されているのだけれども、まだ政府としては決まっていないのだ、米国が仮に参加しなくても批准をするということについての方針を決めたわけではないのだというふうに、今重ねて何回かおっしゃったのかなと思ったのです。

 そうすると、では、我が国はこれからどうするのか。これは、二〇〇二年の発効を目指すという方針は変わらないわけですよね。そうすると、その判断というのはいつごろされるのか。これは、二〇〇二年中の発効を目指すということであれば、もう国会の会期というのも、来年の通常国会、あるいは最後でも秋の国会しかないわけなんですけれども、そうすると、我が国としての方針を決めるというにはそう時間の余裕はないかと思うのですけれども、今後の方針についてお伺いをいたします。

田中国務大臣 ですから、先ほど来申し上げておりますように、先ほどのセーフガードの話と同じなんですけれども、期限がもちろんございますけれども、いろいろな国の立場や意見が交わされていて協議は非常に難航をしている。ですから、予断を許さない状況でございますので、引き続き我が国は努力をしているということを申し上げております。

上田(勇)委員 ちょっと、わかりましたとはなかなか言えないのですが、これ以上言っていても同じお答えだというふうに思いますので、ぜひ、もうちょっと内閣として方針をはっきりして臨んでいただきたい、このことを要望いたします。でないと、これは、二〇〇二年発効を目指すと言いながら、結局できないことになってしまうのじゃないかなというふうに私は懸念をしておりますので、ぜひその辺は心して取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そして、この問題に関連をいたしまして、我が国の中でも経済界などに、世界最大の排出国のアメリカが参加しない場合には実効性がないし、それだけじゃなくて、日本がアメリカ抜きで批准するとアメリカが交渉に復帰することをかえって妨げてしまって、この議定書の効果を損なうのではないかというような意見も幾つか示されているのです。したがって、我が国は批准を見送るべきだという御意見でありますが、私はむしろ逆に考えておりますけれども、こうした経済界などから示された意見について、大臣はいかがお考えでしょうか。

田中国務大臣 これは、先ほどのことの繰り返しになると恐縮でございますけれども、財界の立場というものももちろん踏まえながら、ですから、この京都議定書の問題というのは、単に環境庁だけではなく、外務省だけではなく、経産省にも関係がありますから、そして、それぞれの国がそれぞれの立場を踏まえながら世界の会議でどのようにしていこうかということでございますけれども、それでは、細かく、ちょっと時間をいただいてよろしいでしょうか。よろしければ、川口大臣の記者会見等も御存じでいらっしゃいましょうか。(上田(勇)委員「ええ、知っております」と呼ぶ)そうですね。

 ですから、今鋭意努力を、国際会議でございますから、限られた期限等を念頭に置きながら、協議を今一生懸命、最大限している。そして、予断を許さない厳しい状況の中で、我が政府代表の環境庁長官も、あらゆることを勘案しながら最大限努力をなさっている最中であるということを申し上げます。

上田(勇)委員 最後に、ちょっとこの件に関して、先ほどから政府としても最大限の努力をしているというふうにおっしゃっている。何に向かって最大限の努力をされているのですか。もうちょっと具体的にお答えいただけますか。

田中国務大臣 ですから、一番大きな排出量のあるアメリカというものもともに批准してもらえるように、そうしたことも考慮をしながら最大限の努力、やはり効果的な結論を二〇〇二年までに導き出さなければならないわけですから、ですから、それを含めて努力をしている。こういう国際交渉事というのはそれぞれの国情がありまして簡単に進まない、その中でよい方向に行くように努力をしているということを申し上げております。

上田(勇)委員 努力をしているというのは、先ほどから重ねて御答弁いただいているので、それは別に否定するものでもございません。ただ、何に向かって努力をするのか、どっちに優先順位があるのか、二〇〇二年の京都議定書の発効が最大の努力目標なのか、そうじゃなくて、最大の排出国であるアメリカも含めた形をつくることが最大の目標で、それに向かって最大の努力をされているのか、またほかに何かあるのかどうか、具体的にひとつよろしくお願いいたします。

田中国務大臣 ですから、有機的にこれが機能するために、両方ですよ、二〇〇二年の発効を目指して、アメリカを抜きにせずに巻き込みながら、ぎりぎりまで、努力という言葉は余りお好きじゃないのかもしれませんけれども、努めているということでございます。

上田(勇)委員 別に努力という言葉が好きだ嫌いだということではなくて、ただ気合いだけでは物事は進まないということでございまして、努力をして結果が出なくてもいいということではないのだということを申し上げたかったので、目標が明確でないと、最大限の努力をしているというだけでは、やはりそれはちょっと政府の対応としては不十分なのではないのかなということで、内容を具体的に質問させていただいたわけであります。

 時間の関係もありますので、このことはもうこのぐらいにさせていただきます。

 もう一つ、今月の九日から十三日、今いろいろ重要な国際会議が相次いでいるわけでありますが、WTOの閣僚会議がドーハで開催されます。新ラウンドの立ち上げを目指すことになっているわけでありますけれども、このWTOの新ラウンド、九九年十一月にシアトルで開かれたときには、先進国と途上国の意見が激しく対立をいたしました。結局は、新ラウンドの立ち上げに失敗しているわけであります。

 WTO体制のもと、経済のグローバル化が進んで世界の経済の発展に貢献している、これは事実だというふうに思いますけれども、その恩恵というのが米国を初めとする先進国に集中しているのではないか、これが途上国側の言い分だろうというふうに思います。そして、その結果として、先進国と途上国との間の格差、これはますます拡大している、こうした認識が途上国では広く持たれているのではないかというふうに思います。グローバリズムには光の部分と影の部分があるというふうに言われておりますけれども、そのアンバランスの是正も今回のラウンドの中では必要なのではないかというふうに思います。

 そういう意味でぜひ大臣に、まずはそのグローバリズム、経済のグローバル化が進むということのプラスの面、マイナスの面、その功罪についてどのように認識をされているのか、御見解を伺いたいというふうに思います。

田中国務大臣 グローバリゼーションの光と影の部分ということですけれども、この問題は、私が夏のG8サミット、ローマに行きましたときにも大変大きなイシューとして、事案として取り上げられまして、そしてかなり具体的な、あのときもかなり、ジェノバ・サミットになりましてからいろいろな動き、反対の動きがあったり、ああした国際会議に対する反対の動きもありました。これもいわゆるグローバリゼーションの中の一つのひずみだというふうに思っております。

 それから、この間、WTOの会議に十月にシンガポールへ参りましたときにも、やはりこうしたことについてWTOの議論があったわけですけれども、そのときもやはり閣僚会議の中で、光と影の部分についての議論があったにもかかわらず、やはり個別の話になりますと、それぞれの国の経済状況、歴史的背景、今後の見通し等もありますから、意見が随分食い違っておりました。AD、アンチダンピングの問題にしろ、そのほか農業交渉の問題にしろ、一々申しませんが、本当になかなか大変なものであるというふうに思います。

 そうした中で、グローバル化というもの自体はとめられないものですね。とめる必要も本来ない。その途中でもって今ひずみが出てきているので、どうするかという視点に立って各国政府が考えるべきことだというふうに思っております。本来は、すべての国やすべての地球市民の方たちに大きな恩恵をもたらすということがグローバリゼーションの最終的な目的だろうというふうに思いますから、こうした利益の恩恵にあらゆる国の人があずかれるようにするための体制づくり、それが多角的自由貿易体制の強化でもあると思いますので、そういうことに対して、途上国を含むすべての国が、この間私が体験したシンガポールでの会合もそうでしたけれども、グローバル化によっていろいろな、私の国はこういうひずみがあります、途上国も先進国も、こういうことによって苦しみがもたらされるということを胸襟を開いて議論をしておりましたので、まさしくこれは、各国がそれぞれ互いの立場を理解し、自分も譲れるものは譲りながら、お互いに協調するという認識で議論をしていくべきものであるというふうに、それがまたグローバリゼーションであろうというふうに思います。

上田(勇)委員 状況についてはよくわかりましたけれども、ちょっと大臣の外交に対する考え方を伺えなかったことは残念であります。

 やはり、このグローバリゼーションの光と影、その経済格差の拡大というのが今回のこのテロ事件の背景にもあるというようなことも言われます。世界の平和と安定のためには、やはり途上国も先進国も発展しなきゃいけない、繁栄しなきゃいけないわけでありますので、これから新ラウンドが立ち上がったときに、我が国がそういったところでもしっかりとリーダーシップをとって、このラウンドが先進国のみならず、途上国にとってもメリットのあるものにしていくための役割をぜひ果たしていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

吉田委員長 上田勇君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤弘治君。

柿澤委員 日本の外交にとって大変重要な時期になってまいりましたので、私も時間をいただいて質問をさせていただきたいと思いました。

 ただ、時間の制約がありますので、私も短く質問しますから、ぜひ大臣、短く要領を得てよい答弁をしていただきたいと思います。

 私は、大臣が就任されたときに、とにかく新しい日本の外交をつくってもらいたい、それから、外務省改革も積極的にやってもらいたいという思いでおりました。ただ、手法については、いろいろと心配をするところが多々あったのですけれども、しかしその後、どうも事態はますます深刻になっているというように思っています。

 例えば、今回のG8、国連総会への出席の問題、私は、本来、外務大臣が行かなければならない大事な会議であるというふうに思っていますが、国会の都合でどうしても出られないということなんですけれども、きのうの大臣の発言を伺いますと、最後は総理が、外交が大事か国会対策が大事か決めてもらうというお話がありました。私は、総理が判断してもいい問題であろうかと思います、最終的には国会が判断するにしても。この点については小泉総理から何か御返事がありましたでしょうか。何かアプローチをされましたでしょうか。

田中国務大臣 別に何もそういうことについては会話はございません。

 ただ、私はやはり、国対それから議運の先生方もそうですが、この国会であらゆる先生方が御議論をなさっているわけでございますから、その御決定というものを軽んじるなんて全然申しておりません。そこで誤解がありませんように。

柿澤委員 そうすると、総理に最後は決めてもらうと言ったのは、あれはちょっと言い過ぎですか。

田中国務大臣 言い過ぎであるとかないとかではなくて……(柿澤委員「非常に大事なところなんですよ」と呼ぶ)いやいや、内閣の問題はもちろん総理がイニシアチブをおとりになりますけれども、ですけれども、やはり国会というものの、あらゆる政党の皆様が国民の代表で来ておられるわけでございますから、その中でもって総意として決まったものには従うということは当然でございます。

 きのうのお尋ねの中では、私は、それが欠落していたとおっしゃるのであれば、それじゃそれを付言させていただきます。

柿澤委員 外交をやっていくには、やはり外務官僚との信頼関係、そして内閣を統括する総理大臣との信頼関係、この二つが非常に大事であるということを、私もいろいろなところで繰り返し申し上げてきましたので、そこをぜひ損なわないようにやっていただきたいと思うのです。

 時間があればその問題にもう一回戻りますけれども、私の今回のテロ特措法に関する考え方を申し上げて、御意見があれば大臣の御意見を聞きたいと思います。

 一つは、やはり集団的自衛権の解釈、現行解釈を変えないというところからこの法案には大きな不備があるというふうに私自身は思っています。

 先ほど米田議員もお話がありましたから繰り返しませんけれども、本当にこれで陸上での活動ができるのかという点については疑念があります。海上輸送についても、どういう形でやるのかわかりませんが、マラッカ海峡を通る、ロンボク海峡を通る、フィリピンには過激派として指定されている集団もある、ほかの国の軍艦と共同行動をしなきゃならない場合もあるでしょう。また、ムシャラフ大統領は、パキスタンで自衛隊が活動する場合には他の軍隊と協力することも一つ考えられますねとおっしゃっているところを見ても、例えば米軍と軒を並べて野戦病院をつくるということだって考えなければならない。隣を撃ち込まれたら、こちらは反撃できないというようなことでは、本当に友軍として、同盟国として信頼関係が築けるのか、私はその点は非常に疑問に思っておりますので、やはり現在の集団的自衛権は行使できないという解釈を変更した上で、しっかりとしたこれからの日本の安全保障政策をつくっていただきたい、これが一つ注文でございます。

 それからもう一つ、アフガニスタンのこれからの再建支援をやっていく上で欠かせないのは、PKO現行法の改正であると思います。現在のPKO五原則、それからPKF本体への参加の禁止というのを、凍結というのをそのままにしておいて、果たしてアフガニスタンの再建支援に日本が積極的に参加できるだろうか。地雷の除去もできない、そして武器の収集、武装解除もできない、停戦監視もできない、そんなことで本当に期待されているんでしょうか。私は、その点非常に疑念に思っておりまして、今回の国会でPKO法の見直しを先送りするというのは、これはアフガニスタンの復興支援に日本が顔の見える貢献ができなくなる、手足を縛るということであるということで、大変憂慮をいたしております。

 この集団的自衛権の問題とPKO法の見直しについて、外務大臣として、また国務大臣として、田中大臣の御意見があれば承りたいと思います。

田中国務大臣 この国会でテロ特措法を成立する過程で、もう十二分に委員おわかりになっていると思いますけれども、この集団的自衛権については、再三再四、ずっと議論されない日はなかったというふうに思います。それは委員も御案内でいらっしゃる、御存じでいらっしゃると思います。

 すなわち、武力行使と一体化しない範囲で、憲法の枠内でぎりぎり何ができるであろうかということで、この法律が成立するまでに議論をしてまいりました。その中で集団的自衛権の議論がたくさん、各政党からそれぞれのお立場の中で出てまいりましたけれども、要するに、世の中の変化を踏まえ、これはもう総理もたびたびおっしゃっておられますし、官房長官も私も繰り返し申し上げておりますけれども、世の中の変化を踏まえつつ幅広い議論が行われることが重要でありまして、集団的自衛権の問題についてさまざまな角度から研究してもよろしいのではないかということは申し上げております。

 ただし、いろいろな、大きく一歩踏み出したい方もおられるし、後退するべきという方もおられるし、小さな半歩を出す方もいるし、とどまった方がいいという方もおられる中で、小泉内閣が内閣の責任において議論をして、こうした結果を導き出したわけでございます。

 さらに時間をかけて集団的自衛権についてたくさん触れた方がいいというお考えであれば申し上げますが、二十分の持ち時間でいらっしゃると思いますから次に参りますが、アフガニスタンの情勢につきましても、これは前もお答えしておりますが、そもそも国連のPKOが設立されることとなるか否かということも含めまして、現在極めて流動的であるということは御存じであるというふうに思います。

 PKOの改正をすべしとか、それからPKFの本体業務の凍結を解除して、地雷の除去にいたしましても、それらをやれるようにするようにという御意見は、柿澤委員のほかからもいろいろ寄せられていることもわかっております。したがいまして、そうした御意見も踏まえて、今後、日本もアフガンに対しましてバランスのとれた貢献をどのようにしてするか、現段階で私どもも対応していこうとしているわけでございます。

柿澤委員 議論の過程はよく承知しておりますけれども、国務大臣としての、田中眞紀子大臣の個人的なお考えを聞きたいと思ったのですが、お述べいただけなくて残念でございます。

 集団的自衛権については、個別的自衛権で対応できるというのは一九六〇年代、七〇年代の状況なんですね。今のように、ミサイルが国境を越えてどんどん撃ち込まれる、テロが国境を越えて攻撃をしかけてくる状況の中で、ハリネズミ型、瀬戸際で撃ち落とすというような、そういう個別的自衛権で国が守れるなどという時代ではない。そうしたグローバルな安全保障環境の変化というものをきちっと理解すれば、憲法の解釈を変えるというところへ当然行き着くというふうに私は思っています。

 また、PKOについては、国連がやるかやらないかわからないということですが、国連がやるように日本は働きかけるべきなのではないでしょうか。そのときに、働きかけるけれども日本は出られない、実はPKO法でそれが禁じられているというのでは、働きかけ自身が全く説得力を持たないということになると思います。

 それからもう一つは、私はカンボジアのPKOのときに外務政務次官として積極的にかかわりました。何十回も行きました。あれがやはり日本の顔の見えるカンボジア復興支援になったというのは、国連の特別代表として現地に明石康さんがいらっしゃったということも非常に大きく貢献していると思うのです。その後、皮肉にも私と明石さんは都知事選挙で戦いましたけれども、しかし、そのときは本当にタッグマッチといいますか、二人三脚で一生懸命やったつもりです。

 その意味では、アフガンの復興については東京会議をやりたいということで今外務省の方が根回しをしているようですけれども、もう一つ顔の見える体制にしていかなければいけないのではないか。その点で、国連の難民高等弁務官として長い間既に御苦労された緒方さんに、再度お願いするのは大変恐縮ですけれども、やはり緒方さんにアフガン再建の特別代表とか、もし国連がやらないんだったら日本政府の代表とか、そういうことをお願いすべきだと思うのです。

 そう思っていたら、きのう田中眞紀子大臣が緒方さんと会ったということですから、ただ陳情を聞いただけではなくて、そういう前向きのお話をされたかどうか、またそういうお気持ちがあるかどうか、それをちょっと聞きたいと思います。

田中国務大臣 今柿澤委員のお口から出ました明石康さんも私はお目にかかって、前から私も存じ上げておりましたので、外務省においでくださったときによく話を伺わせていただいて、過去の苦労談だけではなくて、今回のアフガンでどのようなことがなし得るかについて相当時間をかけて詳しく伺いました。個々の中身については申し上げられませんけれども、本当にいい御意見を伺いました。

 それからまた、昨日も緒方貞子さんとお目にかからせていただいて、大先輩、すばらしいと思って、生き生きとして、やはり現場を知っていらっしゃる方の声というものは説得力があると思いました。現在、人間の安全保障委員会の共同議長をやっていらっしゃいますので、たまたま今回御帰国なさいましたけれども、UNHCRに対する思いとか、日本の協力のありようについても、具体的に何が必要であるかということについて御意見を伺いました。

 要するに、結論的にお二人ともおっしゃっておられることは、こうした問題は自分のこととして取り上げて、そして忍耐強く、相当いろいろな意見があるけれども、今までやはり日本が積み上げてきた努力の集積というものもあるわけですし、国際世論も聞きながら、粘り強く、忍耐強くということをお二人ともやはりおっしゃっておりましたけれども、そういう形でもってできることからやっていくべきということについて、概略だけ申しますとそういうことに要約できるかというふうに思います。

柿澤委員 これからも緒方さんの協力を得られそうですか。

田中国務大臣 いつでも喜んで、個人的にも公人としてもお会いしたいわねということをおっしゃっていただきまして、大変心強くまた光栄に思いました。

柿澤委員 この問題については、国連がこういうことを決めたから法律を変えようというような受け身でなくて、むしろ国連の活動を日本がリードするためにも国内法の整備を先にやるという姿勢でやっていかないと、国際社会は日本のイニシアチブというものを理解してくれないし、尊重してくれないと私は思うのですね。そういう点で、ぜひとも今おっしゃった前向きの姿勢で取り組んでもらいたいと思います。

 それから、私が読売新聞のインタビューに答えた記事がきょうたまたま載ったのですけれども、外相はアフガン周辺国の歴訪をすべきだ、そして周辺国との協調体制の中でなければ日本がアフガニスタン復興支援に積極的な役割を果たせないというふうに思っているので、さっき伺いましたら連休でも行きたいということですから、国会日程もあると思いますが、ぜひ今回は、この間パキスタンをキャンセルされた、これの名誉回復のためにもちゃんとやってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

田中国務大臣 パキスタンはキャンセルではございませんで、国会の始まる日に冒頭、大臣経験者でよくおわかりでいらっしゃると思いますが、ひな壇に並ばなければならなかったので、副大臣がおいでくださいましたが、私はどこへでも、国会さえお許しいただければ、国連だけを言っているわけではございませんで、いかなるところへでも行かせていただきたいとむしろ熱望をいたしております。

柿澤委員 別の話題になりますが、実は私は二階堂進先生、それから後藤田正晴先生から託された一つの課題があります。

 それは日中の関係なのですけれども、皆さん御承知だと思いますが、第二次大戦中に中国人の労務者を大体四万人日本の中へ移入しまして、百三十五カ所で、建設現場等非常に厳しいところで働かせた、そして亡くなった人が六千八百人いる。その遺骨を実は中国の方へ返したのですけれども、天津の周恩来記念堂、革命烈士記念堂に仮安置をされたままで放置されているのですね。

 私も先日現場を見てきましたけれども、小泉総理が靖国神社にお参りをする、これは死者の霊に対する慰霊だというのであれば、やはり第二次大戦中日本で、異国でつらい思いをしながら亡くなっていった中国人の慰霊のために、日本ももっと積極的な努力をすべきだ。民間の皆さんが大変熱心にやっていらっしゃるのですが、政府としていまいち力が入っていない。私も外務大臣のときにできる限りのことはしますと言ったのですが、そのままになっておりますので、ぜひ田中外務大臣において政治的なイニシアチブをとって前向きに対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

田中国務大臣 中国人の強制連行問題に関して、現在、犠牲者の遺骨が二千数百柱、天津市に仮安置されているということでございますし、また、これらが報道されておりますことに私も胸を痛めておりました。

 また、二階堂進先生からの遺言であるということもおっしゃっておられましたし、確かに、こういう歴史的な事実について私どもは直視をするということをきっちりしていかなければいけない。過去のことについてきちっと一つ一つ、嫌なことでも確認をしていくということをする義務があると思います。

 強制労働という形で来日して、厳しい労務につきまして、そして、その多くの方が苦難の中で一生を終えられたりしたということにつきましては、私どもは、やはり民間の心ある方の善意だけではなくて、そういう活動が行われることは望ましいともちろん考えますけれども、一方、政府といたしましても、何とかできることについては、個々の状況も踏まえつつさせていただきたい。

 特に、柿澤先生が外務大臣でいらっしゃるときにそうしたことをお受けになりながら、あれから久しく時間がたっているにもかかわらず実現していないのであれば、先生の御意見も伺いながら、具体的に何とか相談に乗らせていただいて、実現できればというふうに考えておりますので、またいろいろと具体的なアドバイス等も、現地に行かれたそうでございますので、ぜひいただきたいというふうに思います。

柿澤委員 最後になりますけれども、大臣、いろいろとマスコミで大臣の去就が話題になっております。

 日本の新聞や週刊誌で書かれている間はまだまだ大丈夫だ、命に別状はない、しかし、アメリカの新聞に書かれるようになったら御臨終間近という意見もあるんですね。ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストといういわばクオリティーペーパーに取り上げられた。そして、日本は今、外務大臣不在ではなくて外交不在の時代になりつつあるということになると、これは非常に国益にかかわることになってくると思うんです。

 田中外務大臣は、主観的には一生懸命やっておられるというふうに思いますけれども、しかし、官僚とのあつれき、そして官邸との関係等から見て、やはり外務大臣不在、外交不在と言われてもやむを得ないような事態になってきている。外国の友人が来ては、日本はどうなっているんだ、国の体をなしていないじゃないかと言われる場合があるので、この際、男らしくというのは言葉がよくない、ぜひ、みずから出処進退を定めていくというようなお気持ちはありませんでしょうか。

田中国務大臣 柿澤弘治先生が外務大臣でいらっしゃったときには、外交はさぞ華々しく、日本の国益にかなった御活動をなさったというふうに思いますが、私は、毎日誠実に、自分ができることを最善を尽くしておりますということをお答えとして申し上げます。

柿澤委員 最後にします。

 もしも最善を尽くすというのであれば、やはりもう少し国会との関係とか総理との関係、きちっとやっていただいて、首にするなら首にしろと、緋牡丹お竜じゃありませんけれども、そでまくりをしてたんかを切るぐらいの気勢でやってもらいたいと思います。それでなければ、外国から見て、やはり外務大臣不在というイメージをぬぐい去ることができないと思いますので、どうぞその点、外務大臣が腹に肝を据えてしっかりやっていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

吉田委員長 柿澤弘治君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開いたします。この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。木下厚君。

木下委員 民主党の木下厚でございます。

 まず、田中大臣に政治姿勢についてお伺いしたいと思います。

 田中大臣、あなたは、大臣に就任された四月二十六日以来、現在まで約六カ月半たちました。その間、当初国民の多くが期待したのは、外務省の不祥事、とりわけ松尾事件の不祥事だったと思うんです。それによって、あなた自身が伏魔殿と称した外務省改革、これに対して多くの国民は期待された。さらに、外交につきましても、本当に思い切った外交をやってくれるのではないかという期待があったと思うんですが、残念ながら、この六カ月半を見ますと、そうした成果よりも、むしろさまざまなあなたの言動、行動、そういったものがほとんど連日マスコミに取り上げられる。当初のあなたに対する期待が、今や自民党内でさえスキャンダルメーカー、トラブルメーカーになっているという状況でございますが、田中大臣は、大臣としてこの六カ月間、本当に何を一体やりたかったのか。人事だったのか、あるいはそのほかのことなのか。一体何をどうしたいのか、それをもう一回私は確認したいんです。御答弁をお願いします。

田中国務大臣 外務省というところは、百三十二年の歴史がございます。そして、職員は本省内、在外で約五千人おりまして、大変そういう規模の大きい歴史のある役所でございます。その中で、小泉内閣というものは改革ということを、あらゆる意味で聖域なき構造改革ということを旗印にして、国民の皆様の大変大きな支持を得て誕生し、六カ月がたちました。

 私がこのポジションを拝命いたしましたけれども、この間いろいろございましたけれども、まず外交について語らせていただきますが、私は冒頭、着任しましたときに、外交の要諦は、国益を守り、そして国際社会に平和と安定をもたらすために貢献するべきものであるという認識を申し述べました。現在も、それは私はずっと信念として変わりはございません。ただし、改革をするということはかなり大きな抵抗もありますし、今までと同じような手法ですとか手段、しかも人事的な問題もそうですけれども、同じ手法を使っていたのでは改革はできていません。できないと思います。

 私の前にも何人もの外務大臣が、かなり短命、残念ながら短命であったと思いますが、内閣が短命であったわけですが、かわられまして、それぞれ諸先輩が御努力をなさってこられました。その時々の外交上の案件もございます。私も、この六カ月の間に五回ないし六回、数え方によっては六回になるかと思いますが、外国に出張いたしまして、国際会議等で発言をしてきております。そして、いろいろな方との交流も深め、勉強をさせていただいてきております。

 それから、国会でのこうした答弁ももちろんございます。それを通じて学ぶことも多く、また同時に、今回の特措法のように、急に起こった事態に対応するために新しい法律をつくるということにも、省といえども一生懸命努力をしてまいりまして、結果として法律ができ上がった次第でございます。

 毎日毎日、本当に緊張感の連続でございます。そしてまた、二国間の問題、多国間の問題、来客も多うございますし、いろいろな方から情報を得ることができて、それらを分析し、基本的には外務省の皆様とは仕事の面では何のそごもなく、議論はもちろんございます、政策上の。しかし、よくバックアップしていただいてきております。

 次に、こうした姿勢で私も、外務省の政策、外交というものについては何をしたいかとおっしゃいましたけれども、それぞれのときに応じて基本の原点に立ち返って、一回ずつ来る外交的な事案について最善を尽くして、一人ではございません、こうした外務委員会での御議論もありますし、防衛との関係、ほかの省庁との関係、WTOは経産省とも農林省ともございますし、トータルで小泉内閣が国民の皆様の期待にこたえられるような外交政策を樹立するということです。それは一カ月や二カ月あるいは半年で決まるものではないと思います。

 次に、残念ながら不幸にして、この百三十二年の歴史の中で初めてだと思いますけれども、松尾事件を発端といたしまして事件が続いてきております。それが前の内閣では、あれは個人の犯罪であると言って終わったはずでございましたけれども、残念ながら次から次へと不祥事が発生してきておりまして、それを座視するわけにいきません。したがいまして、会計の一元化でございますとか、監察査察制度の立ち上げですとか、在外公館への査察の導入でございますとか、あるいは領事業務の改革等をやってきております。

 そうした制度のことのほかに、私は、やはり人というものが大事だと思いますので、三年ぐらいでローテーションを組むような人事を、基本ですよ、もちろん例外はございます、いろいろなことが起こりますから。ですけれども、そうしたことでもって、余り長いこといる方だとか、あるいは短い期間で人をかえるということは余りよろしくないと思いますので、大体メルクマールとしてそうした人事をする。

 それから、前体制から今回にかわりましたときから、民間大使という方も二人私は具体的にお出ししてありまして、それは少し時間がかかり過ぎていると思って、また官房長にもお願いしておりますけれども、やはり民間の活力を入れることによって、相当新しい展開、知恵も生まれてくると思いますので、そうしたことも導入いたしております。日々私なりに最善は尽くしております。

木下委員 努力はそれなりにやっておられる。ただ、どの程度成果が出たのか、あるいは国益の面からどうかというと、なかなか疑問符がつく。

 とりわけ私が一番田中大臣に期待し、あるいは国民の多くも期待したのは、やはり松尾事件に象徴される外務省の不祥事、この徹底究明であったと思います。とりわけ松尾事件の最大の問題というのは、これは私も何回もこの委員会でも質問させていただきましたけれども、要するに外務省の報償費が官房報償費に上納されている、この問題だったと思うんです。これが解明されない限り、私もいろいろ調べましたけれども、とにかく外務省と内閣官房の収支が入り組んでいて、どれがどうなのかわからない。先般、その会計検査院の調査も出ました。要するに、役割分担が全くはっきりしていない、あるいはお金の出し入れも全くはっきりしていない、ここに松尾事件が起こる最大の原因があった。

 したがって、恐らく国民の多く、あるいは私もそうですが、この上納問題を解決してくれるのはまさに田中大臣しかいない、そう思っていたんです。最初はそういう意気込みでした。そうおっしゃっていた。ところが途中から、何回質問しても、歴代の内閣官房長官に聞いてもなかった、あるいは事務方に聞いてもなかった、だからないんですという答弁になってしまった。ここが私は、これをまさにきちんとされれば、田中大臣、将来に名をなす外務大臣になると。

 どうですか。もう一度この問題、調べれば必ずわかるはずです。多くのマスコミも一致して上納があったと言っています。それから私自身も、外務省の皆さんやOBの皆さん、何人も取材しました。やはり上納はあるんだという指摘がされているんです。どうですか、外務大臣。この問題をクリアにしていただけませんか。

田中国務大臣 今こちらにもお二人の外務大臣経験者の大先輩がいらっしゃいますけれども、そうした先輩の皆様、それから福田康夫官房長官からも、そうしたことはないということを、公の場で皆様が累次述べていらっしゃいます。それから私も、一回ですけれども会計課に参りまして、一部の資料も見せてもらいましたけれども、そうした痕跡は私は見つけることができませんでした。

 したがって、今のこの段階で、こうしたお尋ねを先生からいただいておりますけれども、まず先輩方もそういうふうにおっしゃっておられて、私はたった六カ月でございますけれども、そうした先輩のお言葉を信じるしかないというふうに思います。

木下委員 それは、歴代の大臣に話を聞くのはいいですよ。歴代の大臣は、ないと言ってきたのだから。それでは全く今までの大臣と同じじゃないですか。あなたが本当に調べるのだったら、会計を調べればこれは明らかになるはずです。調べましたか。膨大な資料があって調べられない。この前私が質問したとき、専門の公認会計士とか税理士とかを集めてやれば解決がつくとおっしゃった。やっていますか、それを。

田中国務大臣 こちらにおられます杉浦副大臣を中心といたしまして、そうしたことも含めまして外務省改革には取り組んでいただいておりまして、そして私は、その中で、やはりそうしたものがないということを承知しておりますので、そのように申し上げさせていただきます。

木下委員 次に、会計検査院にお聞きします。

 先般、九月に会計検査報告が出ました。相当膨大な内容で、非常に難解です。読むのに非常に苦労した、理解するのに非常に苦労した。もっと簡略に書けないものか、そういう思いがいたしましたが、あれだけ膨大な量の中に、要するに上納問題が一言も触れられていない。あれだけ国民世論が大きな関心を持ち、そして各委員会であれだけ問題になった上納問題が一行も触れられていない。なぜ、これについて書いていないのですか。

石野会計検査院当局者 今お話しの上納問題でございますが、今回の事態を受けまして、御案内のとおり、内閣官房及び外務省に対しまして、数回にわたる実地検査等を行い、個々の支払いにつきまして担当者から説明を受けるというふうなことで、徹底して検査を実施したところでございます。

 ただ、個々の支払いの相手先については、外交上の機密に属するということで、すべてが明らかにされたわけではございません。そういう検査状況ではございます。ただ、その結果につきましては、今お話しの処置要求という形の報告書の中で取り上げたところでございます。

 今のお話の上納ということに関しましては、今回の検査した範囲では事実は確認しておりません。したがいまして、そのことについては報告の中で特に触れておらないということでございます。

木下委員 少なくとも、こういう調べ方をした、しかし確認できなかったなら確認できなかった、あるいはなかったのならなかった、あるいはその兆候があるのならある、はっきり書かないと、これは全く報告書の中からすっぽり抜け落ちている。今までの議論が何だったのか。我々がこれだけ時間をかけてあっちこっちで追及した、それについて一行も触れていないというのは、いかにも僕はずさんだと思う。どうなんですか。

石野会計検査院当局者 それぞれの、内閣官房あるいは外務省の報償費の取り扱いにつきまして、問題とするというところにつきましては処置要求の中で記載したところでございます。

 上納につきましては、今申し上げましたように、個々の支払いそれぞれにつきまして、どういう目的で使われたかというふうなことを担当者から説明を受ける、あるいは残っておる書類で確認するということで検査したところでございます。

 ただ、その中で、先ほど申しましたように、すべての支払いの相手先が明らかになっているわけではないということを申し上げた状況を踏まえまして、その中で上納ということの事実は確認しておりませんということを申し上げているところでございます。

木下委員 確認していないということは、あったかなかったかもわからないということですね。確認できなかったという。なかったとは断言できないわけですね。あったとも断言できない。

杉浦副大臣 上納につきましては、大臣も述べられましたが、官房長官あるいは私の承知している限り、河野大臣は国会で、ないと累次述べられているものと承知しておるところです。

 手を挙げさせていただきましたのは、実は、外務省改革要綱の一つの中心的な課題として、報償費の大臣の責任による支出というのがございまして、これは、私どもの要綱の中で、私は大臣から推進委員長を仰せつかっておるのですが、大臣決裁にしようということでお諮りをして、現実に七月から報償費の大臣決裁を始めております。

 その手続については、十万円を超える報償費の支出については、十万円以下は事務方に委任するけれども、十万円を超えるものについては副大臣がまず決裁をする、そして、今副大臣は二人おりますが、二人がこれは大臣に上げた方がいいと判断した場合には、金額のいかんにかかわらず大臣に上げて決裁を仰ぐということで、七月から実施をいたしております。

 その実施の過程におきまして、報償費の支出につきましては、各局部きちっと手続を踏んで、事務方から私どものところへ上がってまいるようになっておりまして、仮に上納という、つまり、外務省の予算から例えば官房の予算に移すことのお話でございましょうが、そういうものができるようなシステムにはなっていない。もう四カ月これをやっておるわけですが、大臣決裁をやっておる、サインをしておる者の一人として、そのことははっきり申し上げられると思います。

木下委員 いや、私、そんなことを聞いていないのですよ。それはどうあれをしようが、これからどう十万円以上何とかしようが、そういうことじゃなくて、もともとの根元にある上納問題というのを、調べたのなら調べた、どういう調べ方をしたのか、どのぐらいかけてどういう手順で調べたのか、それを明らかにしてくださいよ。どのぐらい調べたのですか、何日間ぐらい、何人で。それを明らかにした上で、もしあれだったら報告書にきちんと明記してください。

 そうでないと、我々が延々とこれをやってきたのですよ、上納問題。我々の努力というのは何なんですか。全く無視するのですか。これだけ国民世論が関心を持って、みんな必死になって、上納問題を解明しようと委員は各委員会で必死にやってきたのです。それについて一行も触れていない。どういうことなんですか。

石野会計検査院当局者 上納の問題に関しまして御議論がいろいろあるということは十分承知の上で検査に当たったつもりでございます。

 実際の検査状況ということでございますが、内閣官房につきましては、実地検査でございますが三回、外務省につきましても、資料収集等含めまして三回ないし四回実地検査を行い、所要の人数をかけて検査を実施したところでございます。

 その検査の方法でございますけれども、先ほど申し上げておりますように、個々の支払いが適切なのかどうかを確認するということで検査したところでございます。その中で、今お話しの上納ということについては、確認した中ではないということでございます。

 ただ、今回の処置要求の中で全く触れていないではないかというお話でございますけれども、検査院の報告と申しますのは、検査をした結果、違法、不当といいますか、問題があるという点につきましては、それの改善を求める、あるいはそれを指摘するということでございますが、そこに至らないものについては、特に検査でわかり得たことすべてを出すという状況にはなってございません。

 したがいまして、今回の検査はそういった形で徹底して行ったところでございます。その結果につきましては、問題であるという点については、先ほど少しわかりにくいというお話がございましたけれども、すべて盛り込んだつもりでございます。

木下委員 三回やったとかそんな程度でわかるのだったら、みんなわかりますよ。もっと徹底的に、会計経理を全部調べたらわかるはずですよ。ないのならないと断定してくださいよ。確認できないのではない。ないのならないと、そこまで徹底してやってください。できませんか。確認できないのではないのです。ないのか、あるのか、灰色なのか。灰色ではだめなんです。ある、ない、はっきり言ってください。

石野会計検査院当局者 御議論があることは十分踏まえておりまして、徹底して検査したところでございます。

 ただ、その中で、先ほど来申し上げていますように、個々の支払いの相手先がすべて明らかになっているわけではないということを踏まえまして、確認していないということを申し上げているわけでございまして、検査した範囲で、確認した中ではないというふうに御理解いただいていいと思います。

木下委員 検査した中ではないのではないのですよ。こればかり検査して、ない。もっとこんな大きいのがあるのではないですか。そうではないのです。もともとないものなのか、確認できないのか、そこだけはっきりしてください。

石野会計検査院当局者 同じ答弁になるかと思って恐縮ですが、ごく限られた部分だけを検査したということではございません。それは、すべて個々の支払いについて妥当なのかどうかということで、すべての支払いを対象に検査をしたということでございます。

 ただ、その検査の中でわかった内容については、先ほど来申し上げていますように、一定の限定があるということを申し上げているところでございまして、すべて、これだけを調べたから、限定したところだけを調べたということではございません。それは、外務本省、内閣官房につきましても徹底して検査を行ったということでございます。その結果、今申し上げましたような状況だということをぜひ御理解いただきたいと思います。

木下委員 そうすると、調べた範囲でなかったということなんですが、もし調べられない障害になっているものがあるとすれば、それは何なんですか。どうしてもそれが調べられない、そこがわからないから確認できないその障害というのは何なんですか。おっしゃってください。

石野会計検査院当局者 これはやはり報償費の性格上、すべての事実を明らかにするということが、報償費の本来持っている目的を損なう性格を持つたぐいのものがあるということなのではないかと思っております。

 そういうことで、今申し上げたように、外交上の機密というような部分については、すべてがつまびらかにされていない状況にあるのはそういう事情であろうというふうに考えております。

木下委員 そうすると、会計検査院の内閣から独立した地位というのはどうなんですか。そんな看板は捨てたらどうですか。自分たちのパンフレットにきちんと、内閣から独立した機関である、誇りを持ってやる、そうはっきりうたってありますよ。報償費だから、秘密の部分があるから解明できないのだというのだったら、その看板は外したらどうですか。独立しているのでしょう。堂々と言ったらいいではないですか、ここの部分が、だれかが邪魔をしていると。内閣官房ですか、外務省ですか。

石野会計検査院当局者 お話しのとおり、検査院の独立性ということは十分心に置きまして、検査を決して緩めているわけではございません。なるべく、なるべくといいますか、その使用状況についてつまびらかにするようにということは、検査の中では申してきておりまして、その使用状況については説明を受け、検査をしてきておるところでございます。

 ただ、そういった一定の限界がある、限界といいますか、その個々の支払いの相手先についての情報はすべて明らかでないというのは、先ほど来申し上げている状況の中で出てきたものだというふうに思っておりまして、その中で適切に使われておるかどうかということについては十分検査をしてきたところでございます。

木下委員 それは今までだって、例えばホテル代とかホテルの不足分を報償費で払っていた、そんなところまで機密にしていたわけですよ。本当に機密の部分というのは、僕はそんなに多くない。そんな機密の部分を差し引いても、明らかになる部分について調べれば、内閣官房の報償費というのは年間約十五億円ですよ。それだけで本当に内閣官房の仕事がやれているのか、いないのか。

 既に私もいろいろ調べました。内閣官房の予算というのは、大体もう定期的に支払っているものがほとんどなんです。だから、調べればわかるのですよ。どうですか、もう一回きちんと調べて、国民の前に明らかにしてもらえませんか。

石野会計検査院当局者 今回の問題の発生という事態を受けまして、我々も、一月以来、報告を出す九月まで、相当の人数を割きまして徹底して検査したところでございます。その結果が処置要求という形の報告になったところでございまして、これで十分な、十分といいますか、検査でき得る範囲というものは徹底して検査したところと御理解いただきたいと思います。

木下委員 本当にこの上納問題は、やはり解明できるのは、田中大臣、あなたか会計検査院しかないのですよ。ですから田中大臣、これをやったら本当に、それは場合によっては政権はおかしくなるかもしれない。しかし、これをずっと引きずったまま、会計がどうなっているかわからない、そうすると相次ぎますよ、外務省の不祥事。在外公館だって相次いで不祥事が出るでしょう。そこはやはり、自分のお金であるという認識がないからなんです。外務省の人たちはこれは官房の金だ、官房の人たちはこれは外務省の金だ。だから、だれも責任持って管理しない。そこに最大の問題があったわけです。

 会計検査院だって、もしこのまま、疑惑のままずっと行ったら、歴史に汚点を残しますよ。解明するチャンスはこの機会しかないのです。大臣、もう一度やっていただけませんか、本当に。

田中国務大臣 外務省が百三十二年の歴史があって、五千人を超す従業員がおられて、そして連綿と政治が続いてきた中で、外務省の機密費というものがあり、内閣官房の機密費、報償費というものが存在してきている。その中でこうした疑惑が国民の皆様から持たれているということについて、私は本当に遺憾に思っています。

 外務大臣でなくても、一議員として、一国民として、その辺は本当に私自身も思いがありますが、まだこの六カ月間の中で、先ほどの言葉の繰り返しになりますが、諸先輩がおられて、外務大臣も歴代の総理大臣も、福田康夫官房長官を初めとして、ないとおっしゃっておられるわけですから、私は証拠がありません。そうであれば、それを信じるしかないということでございます。

木下委員 会計検査院、最後に一言どうですか。もう一度。

石野会計検査院当局者 従来の検査におきましても、報償費につきましては、いろいろ御議論があるということを念頭に検査してきたところでございます。

 ただ、今回の事態が発生したということにつきましては、十分重く受けとめなければならないと考えておるところでございまして、今後、そういった報償費の執行体制が整備され、それが十分機能しているかどうかといった改善状況を見ながら十分な検査を行うということで、その責任を果たしてまいりたいと考えております。

木下委員 この問題だけやるわけにいきませんので、次に移りますが、この松尾事件で、外務省では随分責任をとられた。その責任の内容については、とやかく言う人がいますが、とりあえずいろいろな形で責任をとられた。

 しかし、これに対して内閣官房は一体どういう立場にいたんでしょうか。要するに、松尾容疑者が詐取したのは、皆さんのおっしゃるように言えば、内閣官房の報償費なんです。要するに、自分たちの金が詐欺に遭っているわけですね。ですから、そうした被害に遭ったという意識が全く欠如している。この間、内閣官房でだれか責任をとった人はいますか。

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房報償費から多額の公金が詐取されたという結果につきましては、国民に対する政治責任があるという考え方から、報償費の執行に責任を持ちます内閣官房長官みずからが、森内閣の長官に就任した平成十二年十月からことしの六月までの九カ月間に支給されました閣僚としての給与の返納を行ったところでございます。

木下委員 松尾容疑者が内閣官房から受け取った金は、全部で九億六千五百万円ですよ。それから、会計検査院の調査では、九七年以降の十八回の総理の海外訪問で三億七千万円の流用をされている。内閣官房では、当初五千四百万円としています。内閣官房では、現在、松尾容疑者が詐取した金額というのは幾らと判断していますか、調査していますか。

柴田政府参考人 松尾容疑者に詐取されました金額につきましては、証拠を集めるということで順次算定作業を進めているところでございまして、今現在、現時点では四億円を超える額になるものと見込んでおります。

木下委員 先ほども言いましたが、帰国後の精算分を差し引いても、総計は九億六千五百万円です。今現在四億円、残り五億六千万ぐらいあるわけですね。これをどうやって、その間の金額というのはどうやって認定するんですか。

柴田政府参考人 ただいま申し上げました四億円強という金額でございますけれども、この現時点で算定している額につきましては、十九回の総理外国訪問分について算定をしたものでございます。松尾容疑者が在任中には四十六回行っているわけでございますので、残る二十七回の総理外国訪問分につきましても鋭意その努力をしているところでございます。

 ただ、現時点で率直に申し上げますと、相当そのときから時間も経過しているということもありまして、損害額の把握ということに大変難渋しているというのが正直なところでございますが、外務省等にも協力をお願いしまして、引き続き可能な限りその損害額の把握に努めるということで努力しているところでございます。

木下委員 当然、詐取された金は松尾容疑者に恐らく支払ってもらうということになると思うんですが、彼の財産保全、この手続はどうなっていますか。

柴田政府参考人 現在、松尾元室長について返納を求めて、それを確保するために、仮差し押さえということで松尾の財産を押さえております。具体的に申し上げますと、松尾元室長所有のマンション、それから本人名義の預金口座につきまして既に裁判所から仮差し押さえの決定をいただいているところでございます。

木下委員 その金額はどの程度と見込んでいますか。

柴田政府参考人 銀行口座で約一億九千万、それからマンションで三千万というふうに見込んでおります。

木下委員 総額で二億二千万前後ですね。そうすると、実際に松尾容疑者に支払った金とそれから把握した金との間のその差額分は結局どうなるんですか、だれが負担するんですか。

柴田政府参考人 まず、松尾に対してどれだけの、損害額が幾らかというのを決めなきゃいけない。それは、先ほど申し上げましたように、ある程度証拠がないと主張しても説得力はありませんから、その証拠を集める。

 先ほど四億円強と申し上げました。それで、今押さえられている財産というのは先ほど申し上げたとおりです。当然、今でも足りなくなる部分はございます。そこは私ども別に単純にあきらめるとかそういうことではありませんで、松尾元室長にこれからも、何といいますか、払っていただく、可能な限りずっと払っていただくというのが原則、私どもの基本的な考え方でございます。

木下委員 松尾容疑者に払ってもらうというのが原則だといっても、それは五億も六億もの金が払えるわけないんです。そういう意味では、これは国民の税金です、やはりそれだけの損害を与えたわけですから、その内閣官房長の責任というのはもっと重い。給与を一部返上したからそれで済むなんという問題じゃないんです。もっと、内閣官房、きちんと責任を持ってもらいたい。

 例えば、この報償費の管理について会計検査院はこう指摘しているんです。取扱責任者である内閣官房長官から内閣官房長官に交付された報償費、要するに自分が自分に交付しているんです。並びに、取扱責任者である内閣官房長官に提出された内閣官房長官みずからの領収書、それは保管しているというんです。自分から自分に出して、お金を受け取る。領収書も自分から自分に行く。要するに全部が、内閣官房長官が自分の一人二役を演じて、交付して受け取り、領収書も全部発行している、そうなっていますよ。それは間違いないんですね。

柴田政府参考人 確かに木下先生のおっしゃるとおりでございますが、それは何もおかしなことをやろうとしてやっているわけではありません。内閣官房の報償費につきましては、経費の性格上、行政の円滑な遂行に重大な支障を生ずることになるために具体的な使途が公表できないということを何度も申し上げてまいりましたけれども、報償費の性格上そういうことになっているわけでございまして、何かおかしなことをやっているとかそういうことではないということはぜひ御理解いただきたいと思います。

木下委員 私は、おかしなことをやっているなんて一言も言っていないですよ。

 さらに続けて、こうあるじゃありませんか。「その後の役務提供者等への支払に関する帳簿や支払を証明する書類等を整備するなどの事務補助は行われていない」、事務補助が全く行われていない。どうですか。

柴田政府参考人 事務補助が行われていないのは、報償費の性格によるものでございます。

木下委員 だから、それを言い出したら、報償費は何に使ってもいいということになるんじゃないですか。だから会計検査院も指摘しているわけですよ。報償費だからそれ以外は何も要らない、そうじゃないんです。国民の税金なんですよ。少なくも会計検査院が調査に入ったら、こういう領収書があります。ところが、会計検査院の報告書にも、口頭説明しかなかった。そうじゃないですか、会計検査院。

石野会計検査院当局者 今お話しの、内閣官房報償費のうち内閣官房長官みずからが管理する報償費のお話だと思いますが、これにつきましては、従来、官房長官が責任を持って高度の政治的判断のもとに使用される経費であるということから、今お話しのような形の、説明を受けるということで検査を行ってきたところでございます。

木下委員 いや、そんな答弁は要らないんですよ。そんな公式な答弁は必要ないんです。やる気があるのかないのか。障害になっているんでしょう。例えば、ここにも書いてありますよ。ホテル代が、手書きの、ホテル備えつけの用紙に一括して松尾個人が書いたようなものが、だれも疑問も抱かずに通っているわけでしょう。そういうルーズなことをしているからなんです。

 だから、なぜ会計検査院は指摘しないんですか、領収書を出しなさいと。報償費の性格はわかっていますよ。国民の税金だということを、これを何も国民の前に明らかにするなんて言っていません。内閣と独立している会計検査院だったら、そこはきちんと指摘して、少なくともお目付役として、自分たちがきちんと管理できる、調査できる、そういうあれをしてください、要求してください。

石野会計検査院当局者 今お話しのように、内閣官房報償費の執行体制の整備というものがきちんとでき、そしてその報償費の使い方の透明性が図られるということが重要だと考えておりまして、今回の処置要求の中でも、執行体制の整備ということを求めたところでございます。

木下委員 では、まさに報償費といえども聖域がないということでございますね。それを最後にお答えください。

石野会計検査院当局者 検査院は国の収入、支出をすべて検査するということになってございます。聖域というものは設けずに検査してまいりたいと思っております。

木下委員 質問を終わります。ありがとうございました。

吉田委員長 木下君の質問は終わりました。

 次に、細野豪志君。

細野委員 午前中の与党の皆さんの非常に政策本意の含蓄ある御質問、打って変わりまして午後の野党の質問……(発言する者あり)それをやりたいのはごもっともではございますけれども、今、日本の外交の状況、外務大臣の状況というのを見ておりますと、必ずしもそういう大局的な質問だけをすることが国民にとって利益があるとは私どもは考えておりません。日本の外交のその現状を踏まえまして、私の方からは、主に田中外務大臣の諸々の発言につきましてその真意をただしていくというところに焦点を当てていきたいと思っておりますので、簡潔に御答弁をよろしくお願いいたします。

 まず一点目、九月末に予定されておりましたパキスタンへの外遊というのが中止をされたという事件に係りまして、少し質問をさせていただきたいと思います。

 実は私、大臣の外務省内での質問というのをほとんど目を通してみました。そうしますと、まずこの記者会見の中で、パキスタンについては、事務次官からパキスタンに行ってほしいというお話があったということでございましたけれども、それはそういうことでよろしいでしょうか。

田中国務大臣 午前中の宮澤議員のように、外交不在と言われないように、ああした大変大所高所から外交政策全般について、ましてや、ニューヨークでの事件があって、世界じゅうが人命ということでありますとか国際協調とか世界平和のために議論をしているときに、午後になりましたらば、将来を嘱望されているかどうかわかりませんが、お若い民主党の細野豪志先生が、ワイドショーをなぞるような質問をこれからなさること、しかも、私の答弁を今まで全部見ておられたんであれば、あなた様が今通告してくださっているような質問のことについてはすべてお答えしてきているはずなんですが、まことに残念だと思います。こういうことが報道されることによって、外務委員会も、日本の外交が機能していないと言われることを本当に残念だと思いますが、お答え申し上げます。

 パキスタンにつきましては、ルールは御存じだと思いますけれども、本会議が始まりますときには国務大臣はひな壇にいなければいけない、本会議でございます。したがいまして、この予定に行けませんので、杉浦副大臣が行ってくださって、しっかりと効果を上げてきてくだすっています。

 以上、申し上げます。

細野委員 果たして、日本の外交が今信頼されていないのがどこに原因があるのか、大臣と私は見解を全く異にするものでございます。

 昨日から、柿澤委員の質問に対しましても、本会議で答弁をする必要があるからパキスタンへは行かなかったということですね。

 ただ、私は過去の記者会見の記録をいたしまして、全く別の理由を当初外務大臣は述べられていた。九月の二十五日の記者会見、これは杉浦副大臣がパキスタンに行かれた日ですけれども、何と回答されているか。国会のことは一言も出てまいりません。女性であると余り現地に行って歓迎されないんですと。しかも、それを次官からアドバイスされたと。おかしいんです。次官は、パキスタンへ行ってくださいとおっしゃっている。何でその次官が女性だと問題があるという御認識を示されたのか。実際にこれはだれの御判断だったのかということをお答えください。

田中国務大臣 それでは申し上げさせていただきます。おとといの日に私の私的懇談会がございまして、複数の方々がおられる前でこの話をしてございますので、同じことですから申し上げます。

 結論からいくと、ひな壇に並ぶ必要性がありました、当日本会議がありましたから。これは事実です。

 その前段で、日にちはノートを見ないとわかりませんが、今の、次官が部屋に来られまして、夕方、大臣、パキスタンどうですかという話が突然ございました。そのときに、私はお話を聞きましたときに、いろいろおっしゃっていました。私が、パキスタンもわかるけれども、ほかのアラブの状態、いろいろな周辺の国家の問題ありますから、今急に帰りがけに立ち話できる話ではありませんから、検討したらいかがでしょうかと申しましたらば、女性、その日もその後もです、そのときは彼はパキスタンと確かにおっしゃいました。でも、そこでは確約はしておりません、突然の話でしたから。どこに行くかということは非常に影響力の大きい話でございますから。

 その後日も、女性がイスラムの国に行くということは、残念だけれども余り効果が上がらないとおっしゃいました。そのときに私は、パキスタンの場合は女性の大統領がおられたじゃないですか、それから女性皇族もいらしています、外国もそうだと思います、ですから女性であるとか云々とかということは理由にならないと申しました。

 また、別のときだと思いますが、某局長御本人は、この間の、おとといの私の私的懇談会でも御本人がおられて認めておられますが、その方も、まさかそんな発言を外務省の幹部が大臣に対して言わないでしょうねということを、あのときは黒柳徹子さんでいらしたか田原総一郎さんだったかおっしゃったんです。そうしたら、自分は言ったとおっしゃいました。

 私もそのときのことをよく覚えています、その私に言われたことを。残念ながら、こういうことを言うと大変失礼だけれどもと私に向かっておっしゃいました。女性の外務大臣がイスラムの国に行っても仕事にならないと思う、成果が思うように上がらないと思うということをおっしゃったんです。それは後日も、本人も、あなたはそうおっしゃいましたねと言ったら、認めておられました。したがって、おとといの私の私的懇談会のときも、複数の方々がおられる前で御本人に確認をしたら、本人はそう言ったと。野上事務次官も、そう言っていましたと確認をしています。

 しかし、私が現実に行けなかったことは、国会のタイムスケジュールで行けなかったということをもう一度申し上げます。

細野委員 どなたかアドバイスがあったという話でございましたけれども、私が引用したのは田中外務大臣自身の記者会見なんです。しかも、パキスタンに行かないということが決まって、副大臣がパキスタンに行かれたとき、まず一番初めに記者会見で、なぜパキスタンに外務大臣御自身が行かないのですかと。我々も同じ認識を持ちました。それに対する答えはただ一つ、この女性の問題だったのです。まあ、国会の日程があったということでございます。

 ただ、その後の記者会見を見ましても、九月二十八日には開会式のことを非常に強く言っておられる。開会式に大臣が出席しなければならないと言われている。開会式の重要性を非常に強く外務大臣は認識されているということだと解釈せざるを得ないのですけれども、では、今の状況と比較してどうか。

田中国務大臣 間近に迫った国連総会というものが今もございますね。御存じですよね、細野委員は。それのG8は、百数十カ国ある中でもって八カ国なのですね。その中でもって、日本の外務大臣がだれであれ、日本の外交は問われているじゃないですか。そこでもって発言をする、意見を聞いてくる、これは極めて大事なときですよ。それが今行けなくなっている理由は主に何だとお考えですか。国会対策じゃないんでしょうか。そうして……(細野委員「委員長」と呼ぶ)まだ発言中です。そして、本会議にひな壇に並んで国務大臣本人がいなければならないということも、全体の国会の流れの中でのことでございます。

細野委員 今、国連総会に行くか行かないかというのはいろいろ御議論があると思います。私は下っ端ですので、国対のことはよくわかりません。

 ただ、私が言いたいのは、この九月の末、十一日に事件があって、一番日本の外交が問われたその正念場に、国会じゅう見渡しても、政府じゅう見渡しても、田中外務大臣、行かないでくださいと言った人は一人もいないのですよ。いますか。

田中国務大臣 あなた様のお耳には達していないだけではないでしょうか。だれがどう言ったかということを、一々申しません。

細野委員 一々申しませんということが、実際におっしゃらないのか言えないのか、それは私はわかりませんが、少なくとも私が申し上げたいのは、今、田中外務大臣が国連総会に行くか行かないか、G8の話があるときに、そもそもこのときに、全くわけのわからない、理由もわからない状況で、女性の問題があったのか、それとも国会の問題があったのか、理由も一貫性がないという形で、結局御自身の決断でお行きにならなかったということが非常に大きく影響しているということを田中外務大臣に申し上げたいということでございます。

 この点はちょっと話が長くなりますのでこれまでにいたしますけれども、もう一つ私が申し上げたいのは、今、外務省の方で常に発言で出てくるアフガンの復興会議の問題、東京でやりたいという発言がございます。

 きのうの記者会見を見ておりますと、田中大臣御自身も、これを国連総会に行って話をしたいのだということをおっしゃっている。緒方さんであるとか明石さん、さらには有識者会議などでもそういう情報を盛んに取り入れられているようですけれども、では、日本として、この東京会議に国連をどのようにかかわらせるのか、タリバンをどうするのか、そういうことに関して、外務大臣からビジョンを私はほとんど聞いた覚えがないのですね。これについてどういうお考えを持っておられるのか。そういうアイデアがない中で仮に国連総会に行かれても、決していい結果をもたらさないんじゃないかというふうに私は思っているものですから、その大臣のお考えについて、手短で結構ですので御開陳をいただければと思います。

田中国務大臣 あらゆる委員会の場でもって、仕事のこうした発言をいたしておりますけれども、お耳に達してないようでございますので、アフガンの和平復興会議について申し上げさせていただきます。

 アフガンの復興は、これは容易なことではございません。今回のテロが始まる以前から、アフガニスタンは、イギリスとのかかわり、ロシアとのかかわり、ソ連ですけれども、そのかかわりで大変難渋してきている国でございます。難民、国内難民というふうな方たちは、不幸にして、こうした今回の九月十一日の事件が起こる前からずっとございました。

 具体的に今私どもが皆で検討しておりますことは、国連のアフガニスタン特別ミッション、UNSMAというところへ政務官を派遣いたしまして、そしてタリバン、北部同盟関係者を含むアフガン関係者との和平につきまして協議をするべく努力をいたしております。そしてまた、今回の多発テロの以前からいろいろなこともやっております。例えば、難民支援でございますとか地雷の除去等を中心に四千五百万ドル以上の人道支援もやってきております。

 そして、こういうことをすべて踏まえまして、今後、あらゆる国のお立場も、日本に来られる方、それからそのほか、緒方さんやらどなただけではなくて、あらゆる政府の関係、民も官も、いろいろな方の御意見も伺っています。それから、NGOで経験なさった方たちのお話も聞いておりますので、あらゆる角度の方から意見を伺いまして、復興は容易ではないと思いますけれども、そのための努力をしたい。

 そして、その復興と申しますのも、容易でないと申しましても、やはり大国の思惑というものは今までもありましたし、今後、例えば、チェチェン紛争もタリバン等との関係があるということも御存じだと思いますが、その後ろにはロシアがありますし、ウイグルもアフガンと国境を接していて、その後ろに中国もありますし、それから、アメリカだけではなくて、今度いろいろな周りの国々が、この地域を幸せにするためにどうしたらいいか、一つの国だけでは解決ができませんので、イランはイランとして、パキスタンはパキスタンとして、そのほかの国々が自分の立場でもって何ができるかということを考えておられます。

 それと、周辺諸国だけではなくて、ほかのイスラムの国々も、それぞれの立場で何ができるかということを考えておりますが、それを復興する以前に、まず、テロリズムが発生しないように、その根を絶つように最善の努力を国際協力でやろうということになっておりまして、日本もそのためにテロ特措法というものを手がけてきていることは御案内のとおりです。

 したがいまして、一言でお答えできるほど容易ではなく、これは極めて粘り強く、時間をかけて、あらゆる英知を結集して、できることからやっていかなければならないというふうに考えておりますし、それを実行する場の一つが国連であるということを申し上げております。

細野委員 私は東京会議に限ってお聞きをして、周辺環境まで御丁寧に説明をいただきましたけれども、いろいろな方から話を聞く、いろいろな方にかかわってほしい、これは当たり前といえば当たり前の話で、今長いお話がありましたけれども、その中に、田中外務大臣自身のビジョンが一体どこにあるのか、何を原則として東京会議をやっていくのかというところは、残念ながら、私は見えてこなかったと思っているんです。

 一つ御指摘しておきたいのは、アメリカのパウエル国務長官は、向こうの国会の外務委員会で、元国王のザヒル・シャー氏を中心に据えて今後のアフガニスタンの復興を考えていこうということをおっしゃっているんです。こういうビジョンを持ってきちっとこの外務委員会で発言をされたならば、国連総会の話にしても、G8の話にしても、おのずと道は開けてくる。そこの信頼性を外務大臣自身、今まで得ることができてこなかったことの御自覚があるのかどうかということを申し上げたかったわけでございます。これは質問ではございませんので、次に行かせていただきます。

 続きまして、こちらもきのうもさんざん議論になりました。その議論は繰り返しませんけれども、イラクの外相との会談の問題、外務大臣に改めて焦点を絞ってお聞きをしたいと思います。

 まず一点、きのう藤島委員とのやりとりの中で、私は、やはり大きな疑問を持った部分がございました。それはどこかと申しますと、十一月の一日にハラジ外相との会談に四十分近く遅刻をされた、しかしホテルで待っていただいたので問題なくスタートできたという発言がございました。

 問題がなかったということに対して、藤島議員が、いつも同じことをやっているじゃないかとかなり憤慨されていた映像を私も拝見をいたしましたけれども、どこで待っていようが、四十分待たせたこと、これは私は事実だと思うのですね。キャンセルと遅刻を繰り返して、特に今回、田中外務大臣自身にそのことに対する反省の気持ちがあるのかどうか、まず冒頭、お伺いしたいと思います。

田中国務大臣 イラクでなくてイランの間違いではないでしょうか。どちらでしょうか。

細野委員 はい、大変失礼しました。イランでございます。

田中国務大臣 では、簡単に申し上げます。

 民主党さんの将来のためにも、この種の質問が二度と若手の方から出ませんことを期待いたして、一回で終わらせていただきたいと思いますけれども。

 これは、今月の一日でございます。よくお聞きください。一日の日ですけれども、午後三時から六時三十分まで衆議院の特別委員会がございました。それで……(発言する者あり)よく御存じないから、同じことをお聞きになるので。三時から六時三十分まで衆議院の特別委員会がございました。このときに条約が承認されました。承認されましたので、その後、これは国会のルールで、御存じだと思いますけれども、委員長とか与野党の委員の先生方にごあいさつをして回ります、大臣として。これも結構時間がかかります。

 その後、辻元清美先生やらあるいはほかの議員から、特に辻元先生は御自分でパキスタンに行かれたんですね。したがいまして、辻元先生から、パキスタンにはあなたと一緒に行きたかったというようなお話も発言中にございましたので、そこに行って御苦労さまでしたと言いましたらば、辻元先生は、例の調子で熱弁を振るわれまして、パキスタンの実情について詳しくお話しくださいました。これも結構時間がかかりました。そして、その後にもう一人の議員さんがずっと待っておられて、個人的なことでちょっとお話があったんですが、それを私は短くしていただきました。

 そして、すぐ大臣車に乗って役所に帰ろうと思いましたらば、そうしましたときにぶら下がりの記者さんがずらっと来られまして、外務省のプール金の問題がなかなか明らかにならないけれども、これは大臣はどういうふうに取り組もうとしているのかとおっしゃったので、これはまた逃げたとか言われてはいけませんから、立ちどまってかなり熱心に、官房長に秘書官から電話もしてもらいました、携帯で。そして話をいたしました。

 ところが、これは三時から六時半までの委員会の後ですけれども、これで軽く三十分ぐらい経過しているわけですが、七時から食事がございました。これは飯倉公館というところです。委員会が終わった三十分後にこういう外務大臣とセットをしてありましても、普通に考えて三十分以内では済みません。

 ところが、そのぶら下がりでも時間がかかりまして、その後、私は着がえに役所に戻ろうと思いましたら、私物が役所から袋に入れて大臣車に載っていて、そのときに、私はいつも指輪とかなんとかといろいろ言われますけれども、そこで私のブレザーやら何かが袋に入っていて、その指示を出していません、役所に行かなければなりませんでしたので、どうしたのと言って、秘書が見つからないという話もあったんですが、いずれにしても、もうここから、大臣車に乗るところで三十分は過ぎていました。

 ですから、これはまた確認もしてありますけれども、中東アフリカ局長、重家局長に電話をしてもらって、これは間に合いませんよと。委員会が六時半まであって、その後のお片づけ事項があって、七時になんかとても間に合わないので、これは、失礼があってはいけないから、局長が対応していただきたいという連絡を入れました。そうしましたら、局長では格が違うとかなんとか、私はそう思わないんですが、わかりましたというお返事だったので、局長対応と思っておりまして私は役所へ戻りました。それでもって、もう大体四十分ぐらい過ぎちゃっているわけですね。

 そうしましたらば、局長はじかに、自分の判断で先方にお電話をかけて、ニューオータニにまだおられたので、宿舎でとまって待っていてください、そこでそうおっしゃったということが後でわかったんです。私は、もう吹っ飛ばして、眼鏡をかけたまま、眼鏡のまま飛んでいきましたよ。そうしましたらば、どなたもおられなくて、局長がそこで、実は先方さんにホテルで待っていただいているとおっしゃったので、私は、ああ、そうかと思って、そこでお茶を一杯飲んで新聞を見てお待ちしていました。それで、お着きになりましたと言ったので、私が飯倉公館の玄関でお出迎えをいたしました。

 したがいまして、途中だけ聞いていると何があったかにがあったになりますから、今、全部通してお話を申し上げた次第でございます。ですから、先方をお待たせしなかった云々とかというのは、一番最後だけを言ったので私が舌足らずでありましたが、すべてのてんまつはそういうことでございます。

細野委員 説明は非常に丁寧にしてくださるのは結構なんですが、私の質問にきちっと答えていただきたいということだけ申し上げまして、今、指輪の話を大臣ちょっとされました。きのう、おくれた原因は何ですかというときに、状況としては、今のような御説明をされたときは指輪の話はございませんでした。そこの部分に限っていろいろ報道がされております。

 これは、見方によっては非常にけしからぬ報道もされていて、わかりませんが、イランの外務大臣もこれを漏れ聞いておられることも十分考えられる。ここの部分に限って、実はこれもテレビ報道もされているので外務大臣もごらんになっていると思うのですが、テレビ東京で放送された資料について、私、手元にそのまま印字をして持っておりますので、これを皆さんに配って、こういうことがあったのかどうかお答えいただきたいと思うんですが、外務委員長、よろしいでしょうか。

吉田委員長 はい。

細野委員 配っていただいている最中に中東アフリカ局長にお伺いしたいんですけれども、外務大臣が実際に飯倉公館にお着きになったのは、これは何時だったんでしょうか。

重家政府参考人 大臣が飯倉公館にお着きになったのは午後七時二十五分ごろだったと思います。

細野委員 七時二十五分。大体外務省にお着きになったのは七時過ぎというようなニュアンスで外務大臣がおっしゃいましたので、私は飯倉公館をちょっと調べてみたんですけれども、外務省から二・六キロの距離ということでございますので、大体、車で五分から長くても十分という程度だと思います。

 今、報道されているのは、外務省にいらしたときに一体何があったかということなんですが、外務大臣、そのまま私は印字しておりますので、この一連の流れについては、外務大臣自身こういうことがあったということでこれはよろしいんでしょうか。私、テレビを見てビデオを撮って起こしたものでございまして、もちろん声もこれは間違いなく田中外務大臣という確証を得ておりますが、事実関係についてのみ外務大臣お答えください。

田中国務大臣 この紙が事実であるかどうかというのは、これはもう、テレビからクオートなさったということですから、細野豪志さんを信じるしかないと思いますし、テレビ東京がどこからこういうことを入手なさったかわかりません。

 私は、自分の発言、相手の方の発言、一日これだけいろいろな方にお会いして、これだけ発言しておりますので、一〇〇%全部、これが自分の言葉であるということを、あなた様も御自分のことを確認おできになるでしょうか。政治家でこれだけ、一日何回も、いろいろな方にいろいろな局面でお会いしておりますので。ですから、コメントのしようがございません。留保いたします。

細野委員 もう一度説明をさせていただきますと、この一連のイランの外相との会談のあった次の日のテレビニュースで、夕方、テレビ東京が音だけ流した放送でございます、録音ですね。ですから、聞き及ぶところですと、大臣室の横に張りついてだれかテープをとったということなのか、ちょっと私も状況ははっきりつかめませんけれども、それが二回テレビに流れておりますので、国民の中でこれについて、私はこれはそのままテレビのビデオから起こしておりますので、状況について正確には把握いたしませんけれども、聞いて見ている。日本の外交にとってもこれはかなり重要な問題を含んでいるのではないかと私は思いましたので、きょう出させていただきました。

 ですから、解説をしますと、外務大臣が準備をされていた洋服の中にあった指輪を要はなくされたわけですよね。それを、上月秘書官に指輪を新しいのを買ってこいということで指示をなさったというのが一番初めの外務大臣の発言だというふうに私は理解をしております。

 それで、これが理由で、どのパラグラフでしょうか、田中外務大臣の三つ目の発言です、これが原因で、またおくれるわよ、七時からと。まさにこれは、指輪を探していたがゆえにおくれるので連絡しなさいよという指示をして、中東アフリカ局長に電話したというくだりになっていると私は理解をいたします。

 では、端的に一つ伺います。

 これは報道されている部分ですが、これからはかるに、上月秘書官がかなり急いで行かされているという様子が声からもうかがい知ることができるんですが、これをなくしたのは果たしてだれなのか。上月秘書官だというような報道がされていますが、田中外務大臣はどのようにお考えなんでしょうか。

田中国務大臣 別にだれも悪意ではないんでしょうけれども、先ほど言った時系列、特別委員会の後の時間がありますね、役所に着くまでの間。それで、ぶら下がりがありまして、外務省のプール金について複数の社が、いわゆるぶら下がり取材というのがあるわけですが、事が事であったので、また逃げたとか言われると困りますので、私は立ちどまって話をし、上月秘書官が小町官房長に携帯電話をかけて、小町官房長が出てこられて、私も話を聞いていましたから。先ほど局長は七時二十五分に飯倉公館に着いたとおっしゃっていますが、いずれにしましても、私は、役所に戻らないと着がえのしようがなかった。

 ところが、今までそんなことは一度もなかったということは警護官も言っておりますんですが、私の私物が紙袋に入れて大臣車に、今までこの六カ月一度もなかったんですが、ぼんと入っていました。それで、これは何ですかと聞きましたらば、いや、このまま直接行ってもらいます、役所まで寄っている時間がありませんよというアドバイスがありまして、ちょっと待ってくださいと言って、私の私物ですから、何でこんなところ、一言、いつもならこういうときに電話とかメモが来れば、どんどん役所の方はメモを下さって、何持ってきましょうかとか、どうしますか、大臣室に寄りますかということは必ず、さっきもお昼御飯何にしますかまで聞いてくだすっているんですけれども、そういう状態だったのに、あの日は私物がばさっと入っていました。したがって、私もどういうことかと思いまして、どうしようと。結果的に大臣室に戻ったわけですね。

 そこでこれが、盗聴されたか何か、これはどこでこういうことが、では外務省も、どこかでこういうふうなことがだれかが収録できるということは大変問題だというふうに逆に今私思いましたんですけれども、それは別問題として、左のポケットに朝入れておいた、私にすれば記念の指輪がなくて、そして運転手さんも車の中をすぐ捜してくださって、それで役所に戻って、だれが私の私物を突然無断で紙袋に入れたのかと聞きましたら、みんなで、私じゃない、知りません、知りません、知りません。

 でも、それは運転手さんに聞きましたり、警護官に聞いたら、わかったんです。その方の名誉のために申しませんが、ある方が、大臣は多分、この委員会の後、普通の予定でいっても、六時半に委員会が終わって飯倉に七時に行くにはもう時間がない、役員のごあいさつ等もありますし、ぶら下がりも、これだけマスコミ来ていますから。それで気をきかせたんでしょう、私物をどんどん袋に入れてしまった、中に何が入っているかもわからず。

 それで私は、人の私物をもし持ち出すんなら一言ぐらい、いつものように、お昼御飯どうしますかぐらいに、メモの一つを入れるとか聞いてくれればよかったのにということを申しました。今までそんなこと一度もなかったですし。ですから、悪意ではないんでしょうけれども、黙って私物をぼんと入れられたものがなくなった場合、それはちょっと困りますね。そういうことなんです。

 それで、今回このメモをいただいて、どこでこういうものが入ったのか知りませんけれども、こういう録音、うそか本当か知りません。テレビからこれをお書きになったというから、民主党の細野豪志さんのことはよく記憶いたしますけれども、そういうことがぽんと、役所の中のことがメディアにどんどん録音されるというような状態は異常だというふうに思います。

細野委員 このテープ云々の話はいろいろ議論があるところだと思いますし、私も正直迷いましたけれども、一回これは放送されてしまっているんですよ。今外務大臣が説明されたのは、これは私はよかったろう、きちっと御説明されたのでよかったんだろうと思うんです。

 もう一点、これは手短で結構なんですが、指輪を買いに行かせたというくだりになっているんですが、では実際に買ってこられたのかどうか。何分ぐらいこれにかかったのか。

 というのは、これは必ずしもレベルの高い話ではないと思うんですが、これは個人と個人のデートをしているわけじゃないわけで、私、この状況になったらできるだけ早く行く必要があったんだろうと。恐らく秘書官の方も、それを配慮したからこそ、わざわざ車に一連の私服を持っていかれたわけですね。そういう状況になったのに、それを大臣室まで帰って着がえられるというのは、それは外務大臣の御判断かもしれないけれども、指輪がなくなったということをもって買いに行かせて、ではどれぐらいそこで時間が浪費されたのか。ここで相手国に対する配慮がきちっとあったのかということに関しては、これを読んで私は非常に大きな疑問を持ちました。外務大臣はどれぐらい時間をこれに使われたのかということをお答えください。

田中国務大臣 先ほど来事実関係を申し上げましたので、外務委員会でもっと私どもが決めなければいけないこと、討論すべきことがたくさんあると思いますので、たった四十分しかない細野豪志さんの時間をこういうことに費やすことが本当にいいのでしょうか。何でしたら、個人的におっしゃれば……(発言する者あり)いえ、そんなことはございませんから、いつでもいらっしゃれば、大臣室でもどこでもお答え申し上げますので、ぜひ本来の仕事の質問をしていただきたいと思います。委員長にもお願いを申し上げます。

細野委員 これがこの一回だけのことであれば、こんなに取り上げません。きのうから何回も何回も取り上げられているのは、こういう極めてプライベートにとことん近いような事情で、会談が後ろに下がるとか、また中止をされるというようなことが、これは大臣、もう何回もされているわけですね。そのすべてが外務省の実質的な議論をしていてやむなくおくれたという話とは、この一連の流れを見ると到底思えない。

 冒頭でも聞きましたけれども、大臣、会談におくれたこととか、この一連のことに関して、外国の要人に時間を浪費させているということに関して全く反省がないのは、これは我々としては決して見過ごせない事実だというふうに思います。この点いかがでしょうか。

田中国務大臣 ハラジ外務大臣とは非常に友好的に、しかも中身のある会話ができまして、そしてイランの外務大臣とは国連でぜひまた話の続きをしたいということもおっしゃっていただきまして、アフガンの復興についての御意見もおっしゃいました。それから、何度かお目にかかっていますイランの駐日大使からも、イランに対する招請が正式にお話もございました。

 したがいまして、それでもしもいろいろ憤慨なんかしていらっしゃれば、そんなことにもならないと思いますし、お互いに政治家でございますから、いろいろなこともあると思いますけれども、このことによって損ねたかどうかということを、民主党の、いい議員さんたくさんおられる政党で残念だと思いますけれども、細野豪志議員がそれほどこだわられるのであれば、どうぞイランの大使館なり、イランの外務大臣にお聞きいただきたいというふうに思います。

細野委員 おくれて来られて、その会談の中で、私は不快な思いをしているという顔で会談をする外務大臣というのが世界にいたら、その国はとんでもない外交音痴ということになりますので、外務大臣にそれが伝わっているかどうか、私はわかりませんが、少なくとも、そういう外交の場におくれることが日本の信頼を損ねるということだけは、私から一点指摘させていただきたい。

 もう一つ、今回この事件を見ておりまして、私は、正直言いまして、秘書官の方には大変同情いたしました。

 私、外務委員会で何回も質問をしておりますので、その中で、外務省の信じられない実態であるとか、直接話を聞いて、何回もサミットについては問題ありません、ありませんと言い続けた人がタクシーの水増し請求で逮捕された、そういうようなものを見ておりますので、外務省の体質に関しては物すごく大きな問題意識を持つ人間からしても、外務大臣のこの対応のあり方、さらに言うならば、先週末に幾つかのテレビ番組に出て御自身の外務省に対する見解を開陳されましたけれども、あのやり方一つとっても、果たして中できちっとやっていられて外に情報が流れているのか。もしくは、突然外務大臣が夕方外務省からいなくなって、気がついたらどこかのホテルでスクープの会談を受けていて、それがもうすぐニュースに流れてしまう、こういうあり方自身も、本当に外務省の中で大臣が闘っておられるのかどうか。

 その信頼を一番得なければならない秘書官にこの程度の対応しかできないのかということに関しては、私は非常に問題があると思いますが、その点はいかがでしょうか。

田中国務大臣 結論から申しますと、外務省も、今こうしたことを、細野豪志先生から同じようなことを今後聞かれないためにも、スケジュールを、委員会が急に決まったということももちろんあります、なかなか委員会が一カ月前から決まっておりませんけれども、先方さんが来られることは決まっていて、そして七時というものにセットして、委員会が六時半であったということが不幸ですが、できるだけスケジュールを余裕を持ったものができるように、役所の方も今後配慮をしてくださると思います、このことを奇貨として。

 そして、秘書官もいろいろなことを言われたり報道されて、本当に優秀な方でお気の毒ですが、こうして一生懸命来られていますので、メディアも、何か秘書官がやめたとかなんとか言っても、ちゃんと普通に勤務をしておりますので、メディアだけで、何かテレビ東京のことをおっしゃいましたけれども、これもテレビ東京がどうやって、どこからこんなものをあれしたのか知りません。役所の方の体制というのもあると思いますので、またそれらにつきまして、もっと建設的な方向で努力をいたします。

細野委員 この辺に関しては、これ以上議論をいたしません。最後一点だけ、これは確認ですけれども、質問をさせていただきたいと思います。もう大分古い話になってしまいましたけれども、内奏のことでございます。

 大臣には、何度かいろいろなところで質問がされておりますし、記者にも発言をされていますので、改めて聞くことはいたしませんが、私がいろいろなところから聞いたところですと、外務省の、特に幹部の皆さんも、この問題については非常に問題意識を持って危惧をされたといううわさが出ております。

 そこで、杉浦外務副大臣に伺いますが、杉浦外務副大臣は、田中外務大臣が内奏の中身について発言されていたことを聞いたことがありますか、ないですか。二者択一でお答えください。

杉浦副大臣 一切ございません。

細野委員 ないということですので、事前にお願いもしてありますので、小島政務官と丸谷政務官にも一言ずつお答えをいただきたいと思います。

小島大臣政務官 細野議員の質問にお答えをいたします。

 先ほどの内奏の関係につきましては、一部の新聞で報道されたわけでありますけれども、私どもそれを知りません。

 それで、詳しく申し上げますと、私、九月の九日から十二日まで、ベトナムのハノイで行われておりましたASEMの経済閣僚会議へ出席をしておりまして、その後、九月の十一日に同時多発テロがありまして、それ以来、毎日オペレーションルームで対策会議が開かれたということでありますけれども、ちょうど私が留守中にその云々という話がありましたので、私自身はそういう話は一切聞いておりません。

丸谷大臣政務官 私も、委員が御指摘になるような内容の話は聞いておりません。

細野委員 時間になりましたので質問を終わらせていただきますけれども、これは時間もたった話ではございますけれども、いろいろこれもうわさが出た事件でございました。これ以上これは深入りはいたしませんけれども……(発言する者あり)うわさを全部やるつもりはございません。これは聞いておく必要があると考えたから質問させていただきました。

 外務大臣の一連の発言に関しては、私いろいろ調べましたけれども、きょう必ずしもつまびらかにはなりませんでしたが、常にぶれる。私、心証として持ちましたのは、子供のころによく、何かうそをつく場合に、母親に言いわけをするのに毎回言いわけが変わる。それは私は、そこにきちっとした基本的なスタンスであるとか事実に対する認識がないからそうなっているんじゃないかという思いを非常に強く持ちました。

 私自身、政策本位の政治をやっていきたいと思っておりますので、次は若干トーンを変えてやりたいと思っておりますけれども、最後にそのことを申し上げて、とにかく……(発言する者あり)

吉田委員長 静粛に。

細野委員 そこをきちっと気にとめて外交に取り組んでいただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

吉田委員長 細野豪志君の質疑は終わりました。

 次に、金子善次郎。

金子(善)委員 民主党の金子善次郎でございます。

 通告に従いまして、幾つかの点につきまして御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、外務省の渡切費でございますが、御承知のとおり、外務省の予算には、報償費あるいは諸謝金、渡切費、庁費、交際費というものがございますけれども、ごく簡単に、これらの項目の使い道につきまして説明をお願いしたいと思います。

田中国務大臣 概略だけ私が申し上げまして、あとは事務方からお返事申し上げたく存じます。

 在外公館の渡切費につきましてですけれども、外国におきまして、送金の手続等の面で、日本が国内におけるように適時予算を執行することが容易ではありません、在外公館の場合。したがいまして、効率的に運営するために、常時必要な事務費等につきまして渡し切りによって、渡したらそのままということなんですけれども、支出することができるようにしております。

 中身の細かいことにつきましては、事務方からお返事申し上げます。

小町政府参考人 今先生御指摘の渡切費、それ以外の予算との関係でございますけれども、例えば庁費との関係でございますけれども、在外公館におきましては、庁費は自動車、コピー機等の比較的高額で長期の使用に耐え得るものの購入等に充て、また、今大臣から御説明ございましたように、渡切費につきましては、文房具等の消耗品、電力・水道料金、新聞等定期刊行物の購読料等、公館の運営や維持管理に日常的に必要となる少額の事務費等に充てております。

金子(善)委員 今、質問したこととちょっと違うようにしか答弁されていないんですけれども、要は、ただいま申し上げましたのは、報償費、諸謝金、渡切費、庁費、交際費とあるけれども、それぞれどういう目的で使っているのかということを質問したわけであります。

 それはそれとして、次の質問でございますけれども、平成十三年度の予算で、本省分とそれから在外公館分、それとそれぞれ政府開発援助分、これを含めて合計幾らになっているか、これを答弁をお願いしたいと思います。

小町政府参考人 お答えいたします。

 済みません、ちょっと一部先生の御質問を十分聞き取れなかったところがあるかと思いますけれども、予算額についてのお尋ねと了解いたしまして、十三年度で在外公館には、庁費六十億円、渡切費七十九億円が計上されております。諸謝金につきましては、ちょっと今確認してお答えしたいと思います。

金子(善)委員 調べていただかなくともこちらから申し上げますけれども、報償費が五十五億円、それから諸謝金が何と百四十三億円、それと渡切費が七十八億円、これが今、十三年度の予算だというふうに思います。

 それで、これまで外務省の報償費の問題につきましてはいろいろな論議がなされてまいりました。毎年、この消化率と申しますか、これが九九・九九%消化されている。これは問題ではないかというようなことを言われてきたわけでございますが、いまだに実態は明らかになっていないところでございます。

 そこででございますけれども、この諸謝金、これは性格的にはいろいろなことにお礼として出していく金というふうに考えてもいいわけでございますけれども、これにつきましても三月二十三日の参議院の予算委員会で、我が党の櫻井議員の方から、第二の機密費ではないかというような追及がございまして、この問題は外務省もこれから調査をしていくというような答弁をなさっております。ですから、疑惑は晴れていないというところがまだ残っているということでございます。

 きょう御質問申し上げたいのは、いわゆる郵政省の所管でも今問題になっております渡切費の問題でございますが、外務省にも、先ほど申し上げましたように、平成十三年度で七十八億円というような多額の渡切費があるわけでございます。この渡切費でございますけれども、ほかの経費と比較しますと伸び率が非常に大きい。平成八年で五十五億円であったものが平成十三年度には七十八億円と大幅に伸びているわけでございますけれども、その理由は何なのか、ごく簡単に答えていただきたいと思います。

小町政府参考人 お答えいたします。

 必ずしも十分チェックはできませんでしたけれども、多分、大使館等の在外公館がふえていること等、それから大使館の活動、在外公館の活動等の拡充等による理由かと理解しております。

金子(善)委員 全く説明になっていないと思います。その程度の答弁ではとてもとても納得できないわけですが、それはそれといたしまして、この渡切費でございますけれども、過去五年間調べてみますと、いわゆる使い残しと申しますか、平成七年度で三百五十七円、以下、八円とか二十円とか二百九十九円、それから五千六百三十九円、これは平成十一年度になろうかと思いますけれども、本当にほとんど全部使い切ってしまっている。渡切費でございますから使い切り費だというような形になっているわけなんです。

 どう考えましても、為替の変動とかいろいろありますから、近年の為替の状況から見れば、大体五〇%ぐらいの幅があるかなというふうに見られるわけでございますけれども、一体、こういうふうに全世界の在外公館を合わせて使い残しが八円とか二十円というようなことになっているのは何なのか。これは報償費の問題でも大きく取り上げられているところでございますが、この実態的な中身につきましてはこれから質問してまいりますが、どうしてこうなっているのか、その辺につきまして、まず外務省から答弁をお願いしたいと思います。

小町政府参考人 御通告が必ずしもなかったものですから、十分準備ができておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、渡切費につきましては、文房具等の消耗品、電力・水道料金、それから新聞等の定期刊行物の購読料等、日常的に必要となる少額の事務費等に充てております。

 したがいまして、各在外公館等におきまして毎年ほぼ使い切っているといいますか、費消している、こういうことであろうかと思います。

金子(善)委員 これはもう少し後で触れますけれども、官房長は在外公館には庁費があるということは御存じですね。庁費もそういう金に使っているわけですよ。それは御存じでいらっしゃるということでよろしいですね。

小町政府参考人 先ほど申し上げましたように、庁費は、基本的には自動車、コピー機等の比較的高額で長期の使用に耐え得るものの購入等に充てているというふうに承知しております。

金子(善)委員 そもそも国の予算は、庁費というものはどういうものか、あるいはいろいろな経費はどういうものか、これは別に外務省が決める話ではなくて、各省庁全体を通じまして、その経費はどれに使うかというのはある程度決まりがあるわけでございます。

 外務省の官房長としては、比較的金額の高いものについて庁費を使うんだ、その程度の知識で外務省の運営をやっているのかと言われてもこれはしようがないことになろうかと思いますが、その点どうですか。

小町政府参考人 ちょっとまだ不勉強なところがあろうかと思いますので、その点は御容赦いただきたいと思います。

金子(善)委員 そこででございますけれども、平成十二年四月大臣官房会計課作成の「在外公館経理と公館長、出納官吏の心得」というものがございます。この中で、「渡切費は、支出官が主任の職員である在外公館長に経費を支給することにより支出行為は完了」する、こう記述されているわけでございます。そうすると、外務本省から在外公館長に支給されれば、その在外公館長の領収書が本省にあるだけだ、こう解釈してよろしいんでしょうか。

小町政府参考人 渡切費の領収書は在外公館にございます。

金子(善)委員 質問をよく聞いてもらいたいんです。私が質問いたしましたのは、外務本省には、在外公館長に渡したという証拠というかその領収書があるか、そういう質問です。

小町政府参考人 外務本省には、在外公館に送った送金記録がございます。

金子(善)委員 そうすると、送金記録があるということでございます。

 そこででございますけれども、外務本省の支出官から在外公館にお金が渡る、支出行為はそこで済んでしまうということになってしまうわけでございますから、今度は、その年度内に在外公館でお金を使い切れなかったという場合には、在外公館にお金がプールとして残るんでしょうか。その辺についてお答えいただきたい。

吉田委員長 速記、ちょっととめてくれる。

    〔速記中止〕

吉田委員長 速記を始めてください。

小町政府参考人 申しわけございません。通告がございませんので、ちょっと私、準備不足で、後刻調べて御報告したいと思います。

金子(善)委員 通告していないというのはひどい話であって、渡切費の問題について質問をしますと。その基本的な問題を官房長が知らない、あるいは会計課長がおられるのですか、それを知らないとは、これは恐ろしい話だと思うのですよ。それは後で調べて答えるなんてとんでもない話だから、今答えてください。

吉田委員長 小町官房長、正確に御答弁ください。

小町政府参考人 大変失礼いたしました。

 そのような場合には、繰り越して保管をしております。

金子(善)委員 要は、在外公館に結果としてプールされるお金になる、こういう解釈でよろしいんですね。正確に答えてくださいよ、正確に。

吉田委員長 小町官房長、基本的なことですから。そんな難しい話じゃありません。

小町政府参考人 失礼いたしました。

 そのような場合には、在外公館の口座に繰り越して管理をしている、こういうことでございます。

金子(善)委員 そういうことになると思うのです。

 そこででございますけれども、今度は会計検査院の方にお伺いしたいと思うのですが、会計検査院は在外公館の渡切費についてどのような検査をしているか、ちょっと質問したいと思うのですけれども。

石野会計検査院当局者 お答えします。

 外務省の在外公館における渡切費につきましては、毎年十数カ所の在外公館に対する会計実地検査を行う際に検査をしております。その支払い手続が適切か、あるいは使用目的が適切かなどに着目して行ってきているところでございます。

金子(善)委員 それでは、先ほど外務省に質問いたしました使い残しを確認したことはございますか。

石野会計検査院当局者 今ちょっと個々具体的なところということでは詳細は承知しておりませんが、いずれにしましても、その適切な管理のもとに所要の手続をとられ、繰り越す場合には繰り越すということで対処されておるものというふうに考えております。

金子(善)委員 会計検査院の答弁はいつもそういう答弁をするわけですね。現実には、会計検査院の在外公館の調査というのは五年に一回、しかも大体半日ぐらいでやってしまう。だから、報償費の問題にしても、いろいろな経費について本格的な調査というのはなかなかやれない体制にあるんじゃないかと我々は見ているわけであります。この渡切費についても、きちっとした指摘というようなことは恐らくこれまでなされてきていないんではないかと思うのです。

 私どもの考え方といたしましては、単なる報償費ではなくて、在外公館長に一回渡してしまえば、もうそれをどこへ使おうが本省では把握できないという性格の金になっているわけなんです。だから、ここは会計検査院がしっかりしてもらわないと本当に困るのですけれども、五年に一回ぐらいの調査で、しかも平均的な調査時間を聞きますと半日ぐらいだということでございますけれども、今答弁なさったように適切にやっているというようなことを果たして本当に言えるのかどうか。先ほど木下議員の質問も、私もここで聞いておりましたけれども、今回の内閣官房報償費あるいは外務省報償費についての会計検査院の検査の体制というものは、なっていないという私は率直な印象を持っております。それ以上言っても、ここではしようがないと思いますけれども。

 そこででございますけれども、外務大臣にお伺いいたします。

 この渡切費の使い道とか支給方法というものは、外務大臣が財務大臣と協議をして決めることになっているわけであります。これは御承知ですか。

田中国務大臣 残念ながら、ついこの間、今回の金子委員からのお尋ねの前には、ちょっと郵政省の例を引いて説明がございましたが、その前も、そうした費目があるということはざっと説明を、何かの関係で聞かれるときに官房長が私におっしゃったことはあります。ですが、今の諸謝金の問題等そのほかにつきましても、全部承知はいたしておりませんでした。副大臣や政務官も多分、全部御存じであるとはとても思えません。

金子(善)委員 外務省の問題というのは、決して報償費にとどまる問題ではないというのが我々の認識でございます。

 この渡切費でございますけれども、七十八億円ということで、報償費よりも二十億も多いわけです。先ほど官房長は、比較的金額の大きいものについては庁費を使って、金額の小さいものについては渡切費を使っているというような説明をしましたけれども、これはうその答弁にならなきゃいいなと思ってお聞きしていたんですけれども、官房長、訂正しなくて大丈夫ですか。

小町政府参考人 先ほど御説明した点を基本的には踏まえておりますけれども、渡切費というのは、啓発用パンフレットの印刷・製本代とか、電力料、水道代、ガス代、計器の使用料、新聞、雑誌、官報、年鑑その他の代金、それから冷暖房燃料用まき・油等、自動車の修理、部品、燃料油の代価、そういったものに使うということであります。

金子(善)委員 それは全く庁費と一緒なんですよね。在外公館に渡しているから渡切費というようなあれでやっているわけですけれども、現実には庁費も在外公館にあるわけなんです。ですから、非常に簡単に言えば、自由に使いやすい経費として在外公館に渡っている、そういう経費だと認識していただければいいと思うんです。

 そこでなんですけれども、外務大臣の方針として聞きたいと思うんですが、この内容、恐らく官房長が今御答弁なされた内容というものは、昭和三十八年に決まった内容を答弁しているんです。そのころの時代と今、平成十三年、二十一世紀になったときの状況と同じような内容の使い方をしているというのは大問題ではないか。当時、三十八年に国会で審議をされた経過があります。このとき、要は、なかなか外国の事情によっては領収書をとりにくいとか、細々した契約を結びにくいとか、いろいろな事情があるので使いやすい経費としているんだというような答弁があったようでございます。

 当時としてはそういう必要性もあったのかもしれませんけれども、今の時代において三十八年の取り決め方でこうした大金を使っているという外務省の体質、これはぜひ改めなきゃならないと思いますけれども、大臣、どうですか、方針としてお聞きします。

田中国務大臣 今事務方も、ごらんのとおりちょっと混乱しているようでございます。例えば、先ほど金子委員がおっしゃったように、在外公館で繰り越されているお金はどうなっているのか、こんな簡単なことについても官房長は困って、まあうちの秘書官がいなくなって、かわりに会計課長等がずらっと入ってきておりますけれども、これはプールしているんだということでよかったわけですよね、口座で繰り越して。そうしましたら、それはもうたくさんの公館が世界じゅうにございますから、それらについてどのぐらい残っているのかというふうなことも、ぜひ速やかに役所の方から資料を出してもらう。

 そして、今予算編成の時期でもありますから、今回は予算の執行の改善の一環として、渡し切り金についても既に予算計上を行えない方向で事務的な検討を進めてきているというふうな方針は役所は出しておりますが、今会計課長に、ではそれはどこの費目から出すのかと聞きましたけれども、決まっているのですか。――ですから、まだ決まっていない、庁費から出そうかということですが。

 これは大変微妙な、国民の皆様の血税を使わせていただくこの時期でありますから、私一人ではとてもとてもこれは厳しゅうございますので、専門家にも入っていただきまして、そして国会でもやはり皆様から厳しくチェックもしていただきながら、外務省はまさしくこの時期にクリーンになって、私はいつも外務省で言っていることなんですが、今回の不祥事が霞が関全体のモデルになって、今度は本当にいいモデル、外務省スタイルになったと。あのときは血も流したし大変つらかった、もめごともあったけれども、やはり外務省が本当に生まれ変わったいい契機になったというふうなときになるためにも、こうしたことは、私一人ではなくて、やはりすべての議員の先生、国民の皆様の監視のもとで、外部の方にも入っていただいて、こうした体制を、杉浦先生もこの責任者であるということでございましたけれども、今ほかの会議に行かれましたので、もちろん副大臣、政務官もおられますけれども、手が足りないと思いますので、外部の専門家も入っていただいて、そして内部の方の意見も吸い上げながら、お金の出についてしっかりと再構築をする、そうしたことをいたしたいと思います。

金子(善)委員 私がなぜこのような質問をしているかといえば、まさに今大臣が言われたようなそういう趣旨で、この資金の使い方というものを明朗にしてもらいたいという趣旨から申し上げて、また効率的に使ってもらいたい。

 御承知のとおり、外務省は、もうどう表現したらいいのかちょっとわからないほど不祥事がどんどん、大臣が就任なさってからもどんどん明るみになっていることは御承知のとおりであります。時間の関係もありますから、一つ一つは申し上げることはできませんが。

 先ほどの木下議員の質問の中で、内閣の方で答えられたかと思いますけれども、報償費を変なことには使っていないんだ、そこはわかってくれというようなことを言われたわけですが、それを、例えば松尾事件一つとりましても、何億という金をごまかされているわけですよ。何が正当に使っているんだ。我々はもう絶対何の間違いもなくきちっとしたやり方をやっているんですよ、そういう答弁は僕はあり得ないと思うんですね。

 やはりこれからは、過去は過去として、会計検査院からも指摘を受けていることはきちっと守ってやっていくという姿勢がなければ、今自分たちの組織を守るのにきゅうきゅうとするようなことばかりやっていれば、そこは発展がないというか、そこについてどうですか。

柴田政府参考人 先ほど木下委員のところで答弁を申し上げたのは、先生がおっしゃるような意味で申し上げたのではありません。内閣官房長官、取扱責任者が内閣官房長官に渡しているという形をとっている理由を申し上げたのでありまして、今先生がおっしゃったような意味で申し上げたのではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 それから、会計検査院からいろいろ御指摘いただいている事項でございます。宿泊差額の問題でございますが、宿泊差額が生じて、それを報償費で今まで補てんしているという形でやってまいりましたけれども、これにつきましても、総理外国訪問に当たって必要となる宿泊施設につきましては庁費による施設借り上げ費として措置するというようなことで、内閣官房としても既に対応を行っております。こうすることによって結果としては透明度が高まるというか、そういうこともあるということでぜひ御理解いただきたいと思うんです。私どもも努力はしております。

金子(善)委員 そこで、先ほど木下議員が御質問されていたこととちょっとダブるんですが、これは委員長にぜひ御配慮を賜りたいと思いましてお願いするんです。

 実は、まず松尾事件、それからデンバー総領事事件、それから在パラオ大使館事件、在ケニア大使館事件、それから沖縄サミットハイヤー水増し事件、それから大阪APECホテル代水増し事件、それから各局各課によるプール事件、そして国際交流サービスの学生受け入れ費用の不正事件、ぱぱっと大急ぎで申し上げたわけですが、これらについて、いずれも公費がなくなっているわけでございますから、要は、言ってみれば政府と申しますか国民にどれだけ損害をかけて、その財産を保全するために松尾某の馬とかマンションに何か差し押さえをかけたとかという話がございますけれども、それを全部ひっくるめてどんなふうになっているのか、これからの方針も含めてその辺を一つの一覧表にしてぜひ出していただければというふうに思います。したがいまして、関係する省庁は内閣官房と外務省になろうかと思いますが、よろしくお手配をお願い申し上げたいと思います。

吉田委員長 理事会で検討いたしまして、提出できるように努力をいたします。

金子(善)委員 よろしくお願いします。

 それでは、引き続き質問させていただきたいと思います。

 またこれも外務省に質問するのももういいかげんにしたいというような感じを実は持っているんですけれども、今、各局各課によるプール金の問題事件というものがございます。現実には、時間もあれでございますので、予算項目の何をごまかしてプールしているのか、いろいろこれから内部調査もされている、あるいはこれから別途当局の方も動き出しているとか、いろいろなうわさもございます。

 そこで、うわさにすぎませんけれども、ここだけはこの場で確認しておきたい、ぜひお答えをお願いしたいと思いますけれども、いわゆるプール金、宿泊について現職の幹部がこのお金を利用してホテルに宿泊しているという事実はないかどうか。これはあるかないかでございます。これはきのう本人の方に、通告に際しまして、幹部の方々に逐一それだけは聞いておいてほしい、もしなければ極めて幸いであるというような観点から質問通告をさせていただいたわけでございますけれども、官房長の方からお答えを願いたいと思います。

小町政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの先生の御質問が、外務省の現在の幹部がいわゆるプール金等でホテルに宿泊したようなことがあるかどうかということでございますけれども、現時点までの調査でそのようなケースは判明しておりません。

金子(善)委員 調査と言われましたが、きのうの私の通告は、個々人に会って、あるいは電話でもいいと。そんな単なる調査とか、調査の方法が問題だ。一番知っているのは自分ですから、御本人がそれぞれの人に当たって聞いてほしいと。そういう調査の結果と考えてよろしいんですね。これは、もし後でうそだったなんて言ったらえらい問題になりますから、そこをよく考えて、官房長、答弁してください。

小町政府参考人 我々は、今まで必要に応じて聞き取り調査も行っておりますけれども、現時点では、先ほど申し上げましたように、現職の幹部がホテルにそういった種類のお金を利用して宿泊したということは判明しておりません。

金子(善)委員 今、これはうわさでございますから、あるかどうか私もわかりません。また、非常にうわさは根強いうわさになっておりますので、ただいま官房長が、絶対ないんだ、絶対ないというふうにはっきり明言されたわけであります。

 もう一度念のためにお聞きしておきますけれども、その調査でございますけれども、きのう私が通告した後、それぞれに確認してもらいたいということで通告をしてございますけれども、それはおやりになったのかなっていないのか、その点だけお答えいただければと思います。

小町政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御説明いたしましたように、我々は今までいろいろな聞き取りを含めて調査を行ってきておりまして、その結果、御指摘のようなケースは現在までは判明しておらないということでございます。

金子(善)委員 よろしいですか、今そんなことを僕は質問していないでしょう。きのう私が外務省に通告した後、個々の幹部に連絡をとって確認してください、これは念には念を入れてやってくださいとお願いしたわけです。調査というのは、では、私が言ったようにやっていただいたかどうか、それだけでいいですよ。やらなかったらやらなかった、やったらやったと答えてもらいたい。

吉田委員長 質問に的確に答えてください。

小町政府参考人 我々は今までいろいろな書類等のチェックを踏まえましてやっておりまして、先生のきのうの午後の御指摘を踏まえて聞き取り調査はやっておりません。

金子(善)委員 これは何のためにわざわざこちらでそれをお願いしているかというと、私も役人の出身でもございますから、外務省にも六年もお世話になりました。もう、正直言って、とにかくこういう事件はそろそろきれいにして再出発しなきゃならない、そろそろそういう時期だと私は思っております。

 そういう意味で、官房長、いいかげんな答弁したらこれは大変なことになりますよ。この次の外務委員会で私は質問に立てないと思いますけれども、同僚議員にやってもらいますから、改めて局長以上の固有名詞のところに官房長みずから会って真偽をただしていただきたい。それを大臣に報告するなりして記者会見で公表してもらいたい。そうしないと、いつまでたっても変なうわさが流れてしまうということがありますので。

 では、いつごろまでにやってもらえますか。

小町政府参考人 今の御指摘を受けまして、早速聞き取り調査を行って、結果を大臣に御報告したいと思います。

吉田委員長 では外務大臣、結果を報告を受けてください。

田中国務大臣 先ほどの渡し切り金、在外での繰越金も、ここに会計課長がおられますので、会計課長からも今のことにつきましても、金子委員からのお尋ねでございますので、官房長もお忙しいと思いますし、会計課長も大変でしょうけれども、ぜひ、いつごろまでにか。私が言ってもまたなかなか力不足でございますので、どうでしょうか、今月の中旬ぐらいまでにいかがですか。国会中でなきゃ……。いかがですか。会計課長もよろしいですね。――はい。あとは、外務省からもうつまらぬこと、うわさが流れませんように。こういうことを私が申しますと、またその後から毎日毎日、あることないことたくさん出て、私はもう地雷を埋められておりますので。外務省、よろしくお願いいたします。

金子(善)委員 それでは、時間もございませんので、会計検査院にちょっとお伺いいたしますけれども、今度の会計検査院の報告は私は納得していない、そういう立場に立つものでございます。ただ、そういう立場に立つとはいえ、ああいうような検査報告が出ました。そこで、外務省あるいは内閣の方に改善処置要求と申しますか、そういうものを出されているわけでございますけれども、外務大臣あてにはいつ出されましたか。改善処置要求です。

石野会計検査院当局者 外務大臣あてにも、報償費の執行ということで九月の二十七日付で処置要求を行っております。

金子(善)委員 外務大臣にお伺いしたいと思います。

 外務省に処置要求というような形で改善の要求が、これは法律に基づいた形で会計検査院から、中立機関から外務大臣の方に要求が来ているわけでございますが、大臣、九月二十七日だったということでございますから、きょうでもう一カ月半ぐらいたってしまうわけでございますけれども、何か改善なさいましたか。その答弁をお聞きして、もししていなければ、これだけの大きな問題がありながら何もしないというのは、一カ月半たってもしないとはとんでもないということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

吉田委員長 金子議員、留保ということでございますので、次に何か回答をもらうように。

金子(善)委員 それでは、さまざまな問題を外務省は抱えておられますが、一日も早くいろいろな問題を解決なさって本来の日本外交を展開していただくことを御希望申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

吉田委員長 次に、土田龍司君の質疑に入るわけでございますが、安住筆頭理事と若干入れかわりますので、よろしくお願いいたします。

    〔委員長退席、安住委員長代理着席〕

土田委員 今、金子委員の質疑を聞いておりましたが、本当に外務省改革は大変だなという感じがいたします。

 大臣の御苦労も、少しずつですが理解できてきたなという感じがするんですが、後ほどこれはまた時間があれば質問をさせていただきますが、先に全般的な外交問題から質問させていただきます。

 空爆が始まってから一カ月がたつわけでございますけれども、この一カ月間、ほとんど毎日空爆があっていると思うんですが、余りにも効果があらわれていないというような意見もアメリカの中で出ております。あるいは、最近では、民間人への誤爆がまた表面化をしてきているということで、国際社会からもいろいろ批判が出ているわけでございます。あるいはまた、インドネシアの大統領やマレーシアの首相からも、これは慎重にやるべきだ、空爆は余りよくないという意見と同時に、国連事務総長特別代表のブラヒミさんからは、米国の空爆は即時やめるべきだというようなことが報道されております。

 こういった攻撃が長期化する様相があるわけでございますが、こういった声がだんだん国際社会の中においても高まってくると思うのです。これについて、現状の空爆の状況あるいは世界の情勢について、同盟国である日本としてはどういった感想をお持ちか、まずお尋ねしたいと思います。

田中国務大臣 今回のテロはまず根本に何があるかということですけれども、もう十二分に議論されておりますけれども、このテロというものは、アメリカだけではなくて私どもも含めて人類全体に対する極めて卑劣かつ許しがたい行為でございまして、そして、これには毅然とした対応をしなくてはならない、テロを少しでもこの地球上から一掃するという努力をしなければならないということは、委員も御理解をなさっての上だと思います。

 やはりこうした空爆をしないで済めば一番いいわけですけれども、基本にありますのは、やはりテロリストがアフガニスタンを軍事的な基地として今回まで来ている、ある程度そうした機能を果たせなくなるまでというふうなメルクマールをアメリカ側が設定しておりますので、できるだけ民間の、一般の無辜の方たちの被害が少なくあることを願っております。

 しかし、さりとて、これはかわいそうだから、人道上気の毒とかいいましても、まず原点で、山口政務官も行ってこられましたけれども、アメリカでのあれだけのすさまじいテロがあったということ、こうした被害者の方たちのお気持ち、その後また連続して起こったという現実もしっかり目をそらさずに見なければなりませんので、人道上の問題と、それからそうした軍事行動等を両方で相殺するというわけにはいかないということが私の感想でございます。

土田委員 アメリカ国内ででも、効果が上がらないのは、もっと徹底的にやれ、中途半端じゃないかという批判もあるわけですね。それに対して、作戦の内容については余り答えないというふうに米軍の関係者は言っていたんですが、これから地上戦に入っていく話もし始めて、だんだん作戦行動が明らかになりつつあると思うのです。数週間以内に数千人の米軍と英軍の地上部隊が入るだろうと言われていて、きょうの報道では、いよいよ具体的に地上戦になっていくだろうと言われているわけですね。

 そうした中で、日本として、これから地上戦になっていくと想定をされるわけですけれども、どこまでもアメリカを支持し続けるのかどうか、この辺のことをお答えください。

田中国務大臣 何でもかんでもアメリカがやることは支持するというふうなことはだれも思っておりません、この内閣におきましても。

 むしろ、テロリズムの根本、今回法律もつくりましたけれども、いろいろな御意見等もあることは承知しておりますけれども、テロに対して国際世論が一丸となって撲滅のために最善を尽くそうということでありますから、アメリカもそうした軍事目的に絞って、ただ、誤爆があったということは何カ所か認めておられますけれども、軍事的な施設等に目標を絞って軍事行動を続けるということを言っておりますので、やはり根本のテロリズム根絶ということについては支持をし続けるという立場にこの内閣もなるというふうに思います。

土田委員 テロリズムを撲滅するために、アメリカ軍がやる行動については支持し続ける、地上軍のこれからの戦闘に対しても日本はどこまでも支持し続けるという御理解でよろしいですか。

田中国務大臣 これは、どのようなことが起こるかまだ進捗状況を見なければわかりませんので、推測の段階ですべてを申し上げるわけにはまいりません。進捗状況を見ながら、閣内でいろいろ世論も聞きながら進めていくというふうに存じます。

土田委員 といいますのは、中東諸国において、やはりだんだん批判が高まってくることは当然予想されるわけです。シリアのアサド大統領が、十月三十一日のブレア首相との会談で、この軍事行動で市民に大きな被害が出ているということで非難をしておりますし、サウジアラビアも米国の攻撃には支持しないよということを表明してきている。さっき言いましたのと同じような続きでこうなってくるわけですね。

 ですから、これまでアメリカとイギリスは、国連憲章の第五十一条に基づいて、個別的自衛権と集団的自衛権の権利を行使するという行動であると主張してきたわけですが、今後ともテロを撲滅するための国際的な闘いを続けていくのであれば、むしろ、国連憲章の第四十二条に基づく武力行使容認決議、これをやはり安保理で取りつけるべきだと私は思うのです。また、そういった努力をアメリカがするように日本が働きかけるとか、あるいは日本もそれについていろいろ行動するとか、そういったことがむしろ必要じゃないかというふうに思うんですが、この点はどうでしょうか。

田中国務大臣 これは、今回の新法を議論する中でもって再三再四繰り返されてきたことをまたさらに申し上げることになりますけれども、今回のアメリカ及びイギリスの行動でございますけれども、これは、国連憲章の五十一条に基づく個別的及び集団的自衛権の行使として安保理にも報告がなされております。日本といたしましても、今般のこの両国による行動は個別的及び集団的自衛権の行使であるというふうに考えております。

 自衛権の行使に当たっては、もう耳にたこができていらっしゃると思いますが、あえて申し上げますと、武力の行使を容認する安保理決議は必要とはされておりません。したがって、国連による武力行使容認決議についてこれから働きかける必要があるとは考えてはおりません。

土田委員 ということは、そういった武力容認決議を働きかけるつもりはないということですね。そういう意味ですね。わかりました。

 先ほども議論に出ておりましたけれども、このアフガニスタンの戦争の後の復興問題、別な委員会でも答弁をされて、先ほども答弁されたというふうなことでございますけれども、やはり新しい種類の戦争が始まっているわけでございます。タリバン政権が崩壊した後のこのアフガンの復興について、日本が非常にイニシアチブをとっていきたい、大きく関与していきたいという決意はあるわけでございますが、先ほどの質問の答弁で、具体的に答えているじゃないですかというふうなことを大臣は答弁されましたけれども、どうも私は明確な方針と具体論がいま一つわからないんですが、御答弁願えませんでしょうか。

田中国務大臣 事態が流動的でありますから、私だけが、日本の政府だけがこれですと言っても、果たして、この戦闘がやんで復興のときにそれが生きるかどうかがわからないわけですね。生きるというのは、その考え方自体が。ですから、あらゆることを想定しておりますのでわかりづらいということかもしれませんが、基本認識にあるのは、アフガンの方たちが御自分のアフガニスタンに戻る、それでそこで平和で安定的に安心して暮らせるようにすることが一番最終的な状態であろうというふうには考えております。

 そのためには、アフガンの国民の皆様から理解を得られる、そして国際社会からもなるほどねと思われるような、永続的ないい政権をそこに樹立すること。そこまで行く前に、その前にいろいろなプロセスがあると思います。いろいろな思惑もあるでしょうし、それから内部のインフラの整備でありますとか、それから人々の心のリハビリテーションの問題もありましょうし、身体が傷ついた方たち、あらゆる環境を破壊されたこと、あらゆるものがあると思います。

 ですから、これ一つぽんと、目に見える形でこうしますときれいごとを言ったから解決するような状態、そんな簡単なことではありませんが、基本的な考えは、今申し上げたようなこと、そのためにどういう切り口で何ができるかということを、現実を見きわめつつ最善を尽くしていきたいということを申し上げております。

土田委員 ということは、復興会議を東京でやるなど、日本が積極的に復興計画に参画をしていきたい、あるいはリーダーシップも可能な範囲でとっていきたいという決意でございますね。

田中国務大臣 それももちろん一つでございます。

土田委員 次に、特措法の関係でございますけれども、先月成立したわけでございますけれども、先ほどの答弁からしましても、自衛隊が米軍に協力をしていく準備が多分進められているんだろうと思います。どういうふうな形に決まるかはまた別にしまして、政府内部においても、また自衛隊の中でもそういった準備がされているんじゃないかと思うわけでございます。

 しかし、今回、多分この特措法の議論の中で、何十回も質問があって、外務大臣も何十回も答弁をされたわけでございますけれども、国際社会の中で、後方支援ということが一体化ということはやはり世界の常識だという気がしてならないんです、私は。先ほど柿澤委員からも質問がありました。どうしてもこの辺のごまかしをされますと、日本国民もわからないと同時に、例えば韓国や中国や、この近隣諸国もわかりにくいという気がしてならないんです。ですから、後方支援が集団的自衛権の行使にはならないんだというふうに本当に大臣は思っていらっしゃいますか。

田中国務大臣 今回の特措法は、万人から受け入れられて完璧だと思われるものであるとは総理も私どもも思っていませんけれども、しかし、このテロが起こってから、私どもが新しい法律で対応してテロに対抗していくのだという中で、皆様から知恵を絞っていただいて御努力いただいた結果、成立したものでございます。それは何かといいましたらば、武力行使と一体化しない範囲内で、憲法の枠内でぎりぎりにできることということを決めておりまして、そして御議論をいただいた結果誕生したものでございます。

 その中で、後方支援は、協力支援活動でありますとか、あるいは捜索救助活動でありますとか、被災民の救援活動ということを言っておりますので、ですから、集団的自衛権に該当するというふうな、すぐ結びつけるような考え方だけではない、この後方支援というものの考え方、やり方が今申し上げたようなことであるということを申し上げさせていただきます。

土田委員 内閣はそのようにずっと答弁してきたわけですけれども、外務大臣個人としてもやはりそういうふうに思い込んでいらっしゃる、そういうことだということですね。

 この特措法の審議において、今回は九月十一日に発生したテロ事件ということに特定をしているわけですね。ですから、仮に新たな事件が発生した場合、二年以内に発生した場合、あるいは二年後でも同じなんですが、発生した場合は、当然また別な対策をつくらなきゃならない。そのときにまた、憲法解釈はどうなのかとか憲法改正はしないでいいのかとか、同じような議論が出てくる可能性がある。可能性があるどころか、このテロ事件はいつ発生するかわからないというふうに政府もおっしゃっているし、いつでも発生する可能性があると思う。そうなると、また何月何日にどこで発生したテロ事件に対して特別措置法をつくらなきゃならない。非常にあいまいなことを繰り返していくことになるんじゃないかと私は思っているんです。

 ある新聞社が実施したアンケートによりますと、憲法改正が必要だと考える有識者が六五%に上っておって、また七割が、国際問題に直面したときに憲法解釈や運用だけで対処すると混乱する、もう無理だというふうに、これはアンケートですから、そういうふうに答えていらっしゃるわけです。ですから、今後また同じような事件が発生する可能性があるというふうに皆さんおっしゃっているわけですから、そのたびに憲法解釈がどうとかいうことがないようにしなきゃならないというふうに私は思っているんです。

 だから、田中大臣の憲法解釈について、あるいは憲法改正について、どのようにお考えになっているか、お知らせください。

田中国務大臣 実は私、憲法調査会が衆参にあることは御存じでいらっしゃいますが、衆議院で、憲法問題に大変関心がございまして、一回目からメンバーでございます。なかなか派閥で割り振られて厳しかったんですが、無派閥の私が頑張って、ずっと入れていただいておりまして、そこでの議論に参加をしております。そうした経緯からも、私は、この憲法問題、あいまいにはできなくなるぞということはずっと思っておりまして、政治家になりましてからずっと意識の中に、社会保障制度問題等と一緒に頭にしっかりある問題でございます。

 しかし現実に、今回の、閣僚としてこの内閣に参画して、土田先生のような御意見もおありになる、社民党さんは社民党さん、共産党さんは共産党さん、そして民主党さん、皆様のお考えがある中で、この内閣で、やはり即応力を持って、今の段階で国民の皆様からも御理解をいただけるような判断を、今の平和憲法の中で、この憲法の範囲内で対応するにはどうすればいいかということを考えてこの法案をつくったわけでございます。

 もちろん質問は、田中眞紀子はどう思っているかと言っていらっしゃるんですが、私の考えはございますが、あえてそれは開陳をいたしません。私は、小泉内閣の外務大臣として、この内閣の、法案の提案者ではございませんけれども、ですけれども深くかかわってきておりますだけに、個人的な意見は申し上げることは差し控えさせていただきます。

土田委員 確かにおっしゃるとおりでして、十年前までだったらば、大臣が憲法改正すべきだと思ったらすぐ首が飛んだ時代がずっと続いてきたわけですけれども、もう国民の意識も変わりまして、最近は、小泉さんがどういった表現をされているか知りませんが、改正については、ある程度もう閣僚の方も個人的な意見として容認されているような発言というのは多々あるわけでございます。

 ただ、問題は、先ほど言いましたように、ではきょうテロ事件があったらば、また同じような、きょうは十一月七日ですか、七日に発生したテロ事件に対するまた長ったらしい特措法をつくるのか、毎回毎回、憲法解釈はどうするんだということのような議論が起きるんですかということですが、それについては何か御意見ございますか。

田中国務大臣 甘いと言われるかもしれませんけれども、これは時限立法でございますし、延長も可能でもございますし、この世の中、不測の事態、何が起こるかわかりませんけれども、しかしできるだけこうしたことが起こらないようにするために、テロに対して、国際社会の枠組みの中で最善の努力をしようと、今ポジティブにエネルギーを出そうと、知恵を出そうとしているわけでございますから、御理解いただきたいというふうに思います。

土田委員 いろいろな分野でテロ撲滅をやりたい、当然のことでございますが、もちろん、テロを実行するには莫大なお金がかかっているわけですね。今回の同時テロの犯人と言われておりますウサマ・ビンラディン、サウジアラビアで生まれ育った大富豪だ、数億ドルの資産を持っていて、これをふんだんに使っていて、タリバンにも資金援助しているんじゃないかというふうに言われております。

 政府は、十月末に、テロに使われる資金の受け渡しを犯罪として処罰するということで、金の流れの面からテロを根絶するテロ資金供与防止条約に署名したわけです。この条約には、既に、我が国を除くG8は全部署名を済ませておりまして、我が国が一番最後になってしまった。むしろ遅いぐらいでございまして、無防備な日本を考えると、早くこういった法律はやっていかなきゃならない。特に、日本みたいに、大量のお金が流れ込むような立場にあるわけですから、政府としては反省をしなきゃならないなと思っているわけでございます。

 それで、署名をしたからといって、これがすぐに効果が発するわけではございません。当然ながら、条約を締結しなければ意味がないわけでございますので、政府は、早期締結に向けて、今後どうやっていかれるのか、その決意を聞きたいと思います。

田中国務大臣 この間、十月三十日にテロ資金供与防止条約について日本が署名いたしましたことは御案内のとおりでございますけれども、テロと闘うために、テロの防止そして犯人の処罰等のために、国際的な法的枠組み、それからあとは、ほかの法律の面、経済上の面、あとは財政上といいますか、それから外交上のことですね、条約もありますし、いろいろな面でもってかなり日本は不備があったというふうに思いますけれども、今後は、関係省庁の間で検討作業も一層加速いたしまして、可能な限り、こうしたことを努力を進めまして、二国間及び多国間の適当な機会をとらえまして、世界の他の国に対しましても、この条約、同条約ですけれども、早期締結を呼びかけていきたい。

 そして、こうしたことをきっかけといたしまして、やはり省庁間の枠組みを離れて、国際社会に対応するために必要なことは率先して取り組む、問題意識を自分から持って進んでやっていくというタイプの役所にならなければいけないというふうに思います。

土田委員 いわゆる軍事力以外で貢献できる部分はたくさんあるというわけですね。大臣も、あらゆる手段を講じてテロの撲滅に努力をしたいということでございますので、この件については、今答弁がございましたように、やはり早く有効になるように努力といいますか、さっき、何か努力と言っちゃいけないとだれかが言っていましたけれども、頑張っていただきたいというふうに思います。

 同じような問題で、マネーロンダリングについてお尋ねするわけでございます。

 先日、十月二十九日から三十一日までに行われた金融活動作業部会、FATFにおいて、新たな勧告がまとめられております。FATFは、麻薬取引などで得た不正資金のマネーロンダリングを防止するために取り組んでいくわけですけれども、先進国が規制を強化するだけで、資金の規制の弱い国々に流れてしまえば、しり抜けになってしまうわけです。ですから、当然のことなんですけれども、FATFの加盟国だけでなくて、タックスヘーブンを含む途上国の協力体制を拡大することが非常に重要なわけですが、アジアにおいても、この対策に協力的じゃない国々が幾つかあるわけです。例えばインドネシアとかミャンマーとかフィリピンとか、そういった名前が挙がっております。

 政府は、この前、五日に開かれたASEANのASEANプラス3の場で、そういった国に対してもそういった働きかけをされたかどうか、どういった具体的な働きかけをされたか、お答えください。

田中国務大臣 このことにつきましては、事務方の報告がございますけれども、時間の制約等もありまして、今委員が御指摘のような国に対する協力要請は行っていないという報告を受けております。

土田委員 あらゆる努力をします、していますと言うのですが、ASEANプラス3ではこれはやらなかったのですか。なぜやらなかったのでしょう。

田中国務大臣 私はその場に一緒に行っておりませんのでわかりませんけれども、ですから、委員の御質問を受けまして、どうであったかということを事務方から聞きました結果が、時間の制約等もあって特定の国に対する働きかけは行いませんでしたが、テロ問題につきましては率直な意見交換が行われて、テロ資金対策も含めて、ASEANプラス3における反テロ協力の強化についての意見の一致を見たということでございます。

 したがいまして、バイでやらなくても、マルチの場でそういうお話をしていれば、それぞれの国も当然トップが来られているわけでございますから、御自覚を持たれて、世界のために協力をなさるというふうに私は理解いたしております。

土田委員 それはそれでもいいと思うのですが、やはり機会を見て、アジアにはまだ三つだけなんですかね、アジアに限らずたくさんの国々がそういったことに協力しないわけですから、積極的に協力をするように、外交ルートを通じてやっていただきたいというふうに思います。

 実は、今回の田中大臣の国連総会とG8への出席ができなくなってしまったという議論について、冒頭、米田委員から事実確認がございました。私も、その後すぐに我が党の国対委員長や何人かに意見を聞いて回ったのですが、与党がどうか、野党がどうかという議論は別にしまして、なぜ別にするかというと、長引くから別にするのですが、確かに、非常に重要な会議ということは間違いない。大臣も行きたいと言って、発言をしたい、皆さんの意見も聞きたいということを熱望しているんだというふうに先ほど答弁をされていたわけでございますが、私も、この十年間、大臣が出ないというのは初めてな事態でございまして、これに対して私は、さっきから、なぜだろうなというふうに思っていたのです。

 国会対策上の問題は当然ありますよ。ありますにしても、もう少し大臣と外務省の熱意があっていいんじゃないかなというふうに思ってきたのです。大臣やあるいは外務省の幹部の皆さんが一致して、これは出させてください、国家にとって大事なことですという熱意を伝える努力を、したかもしれませんけれども、伝わっていないのじゃないか。ですから、与党や野党を問わず、予算委員会の問題があるのは知っています。そっちは除いて、もうちょっと努力をして、その重要性を訴えることによって変わってきたのじゃないかなという気がしてならないのですね。

 特に、大臣が二日の記者会見で、今後は外交に専念したいというふうにおっしゃっているわけでございますので、そういった熱意を国会の中で示すことは極めて重要なことであるわけでございまして、そしてまた、国民から信頼され、信用されるような行動も大臣としてしなきゃならない。だから、さっき、指輪の問題とかいろいろな問題が出ておりますけれども、そんなことは大した問題じゃなくて、やはりそういった発言がどこかで、政策には関係ないですが、どこかであったから、こういった報道になされる。そして、大臣の熱意が国会に伝わらないからG8に出席できなくなる、そういうふうに感じるのですが、この辺のことを少し、大臣、感想を聞かせてください。

田中国務大臣 私は、外務大臣がだれであるとかないとか、そういうことの以前に、やはり国会議員たるもの、閣僚であろうとなかろうと、当選がどうであろうと、国会議員で、全国から国民の皆様の負託を得て議員バッチをつけているからには、この国際社会の中で連日報道されているテロ、それ以外の問題、経済の問題もありますね、G8へ行きますとあらゆることをオールラウンドにお話ししますから。外交だけじゃありません。もちろん外務大臣の、たった八人ですよ、たった八人、その中に入れるのに、その機会をみすみす、この二十一世紀になって、回転の速い、いろいろな問題がグローバリゼーションだ何だかんだ言っているときに、何か、だれか、責任がわからない形で行けなくするということは、やはり納税者たる国民に対する義務を国会が放棄することであるし、国会が機能しないことであると思います。

 そして、それを私きょうも官房長以下、朝七時半からきょうの勉強会やっています。結構、朝七時、八時からやっているんですよ、朝。その中でもって、本当に役所の方、皆さんよくなさっているんですが、しかし、幹部に、私ももう少し、私も一生懸命ああやって国対を回ったりいろいろな先生にお願いしたりしているんですからと、総理に電話したり、皆さんからと言っているんですけれども、一人じゃつぶれちゃうから、やはり役所も、外交の場なんだから外務省がと、これはもうずっと言っていますよ。

 けさも、もうファイナルよ、あと三日ぐらいしかないでしょう、もうスピーチもできているんだけれどもと、とにかくそうしてくださいよと言ったら、いえ、これは行政府と立法府の関係で、私どもが働きかけることではないと。だって国会係もいるし、あなた方、皆さんだって役人でいっぱい政治家を知っているでしょうと。個人的なルートでも、外交官なら、これで外交が失うものが大きいのだから。

 まあ副大臣も政府委員の先生もおられるけれども、今からでもこの外交の、鈴木宗男先生もいらしてくださいますけれども、あらゆる先生方が挙げて、やはりとにかく、例えば外交の問題は、予算委員会にそれほどもしもどなたかこだわられるのであれば、後で外交だけを特別集中委員会をやってもいいんじゃないかと私は思っておりまして、そういう提案もいたしておりますけれども。そういうふうな何か知恵を出してくださって皆様がやってくださること、それはやはり今バッジをつけているみんなの義務ではないか、私はそこまで思っていますが、役所はそういうふうな、私たちは政治家に働きかけることはよくないと思いますとおっしゃっています。

 ですから、それはやはりいろいろ、先ほど来不祥事の話等がありましたけれども、それらとリンケージしていて、いろいろどこかでテープが出る、何かが話が出る、実際はそんなことなかったと副大臣も言われる、政務官も言われる、何かどこかでテープは出ている。実際は違うことが、もう毎日毎日、身の回りというか、役所に行くと何だかどんどん出てきて、うわさ、うわさ、うわさといって、こういうことが報道される。そればかり出るから、政治が機能していないと皆さんが思われる。ここにいない国会議員もそう思われる。そうしてもってだめだということになるわけですから、国益、もう一度考えるべきではないでしょうか。

土田委員 私の質問に対しては、最初は答えていただけるんですが、だんだん話が発展しますと、話が続かなくなってしまうんですが。

 大臣の熱意に対して外務省の幹部たちがそういった一丸となって国会に働きかけることは、今までふだんやっているんですよ。今までやってこなかったわけじゃないです。やはり、ほかの省庁もすべてそうです。何か国会議員みたいにバッジをつけている人たちが理解していないんだというふうに聞こえてしまうんですが、そうじゃないということを僕は今言いたかったんです。大臣が外務省の幹部を使ってあるいは協力のもとに一丸となってそれをやるぞという体制ができていないからじゃないですかというふうに僕はつらつら考えたということを申し上げているのでございまして、いや、その答弁はいいです。(田中国務大臣「一言言わせてください、すぐ終わります」と呼ぶ)いやいや、結構です。それを希望するということでございます。

 それと関連して、今回の機密費の問題に始まった外務省の不祥事、たくさん質問をされました、例を出されましたけれども、大臣が一人、副大臣が二人、政務官が三人、合計六人で外務省に乗り込んで、田中眞紀子チームとして不祥事が出ないように外務省改革をするということでやっているわけですけれども、私は、余り見えてこないんですよ、何をやったかというのが。

 特に、大臣就任直後、見ていてください、しっかりやりますからと、私に任せてくださいとは言わなかったけれども、まあ見ていてくださいというような表現をされた。それで、前回僕が質問をしたときに、たまたまテレビで放映された中に、いい知恵があるんですから、もうすぐ出しますから待っていてくださいというのが、非常に僕は印象づいているんです。そのいい知恵というのは既に出されたのかどうか、あるいはこれからお出しになるのか、お答え願いたいと思うんですが。

田中国務大臣 それは制度の面もあります。例えば部局会計の一元化でありますとか、まあ時間の制限もあっていろいろ申しませんけれども、外部の監察査察制度の導入でありますとかそういうふうなことは制度でやっておりますし、それを挙げて皆さんが、役所の方も、それから国会から行っている副大臣、それから政務官の皆さんも挙げてやってくだすっているんですよ。先輩たちからの協力もありますし。ですから、あとは人の面で相当動きが出てくるといいと思っておりますが、なかなかそれが、いい知恵があっても実際に動かない。

 ですから、先ほどの在外公館での繰越金の問題にいたしましても、そのほかいろいろ質問が出ましたけれども、そういうことは役所としては非常に困ることでしょうし、そういうことは一切ない、ない、ない、やりません、大丈夫ですという大臣であれば、どんどん国連に行けるように協力してくれるかもしれませんが、それとこれは別ですから。

 ですから、やはりいい知恵というのは、今申し上げたような制度、それを実行しようと思っているんですが、なかなかそこにいくとうまくいかない。もう御存じで、わかった上で聞いておられるんでしょう、土田先生。

    〔安住委員長代理退席、委員長着席〕

土田委員 いやいや、わからないから聞いているんですけれども、外務省改革要綱が出ていて、たくさん改革要綱ができている。つらつら読んでみましたけれども、どれが実行されて、どれが実行されていないのかもよくわかりませんし、外務大臣がなられて何か変わったのかなと思うときに、一般国民のレベルで考えると、何も変わっていない、あるいは、不祥事がどんどん出るばかりで、外務省に対する不満あるいは批判が出るばかりじゃないかという気がしてならないんですよ。

 さっき大臣が、もうちょっと待ってください、いい知恵を持っているんですからと言ったのが、さてどれなのか、事務次官を更迭したのがあれなのかなというふうに思ったり、いやいや、もうちょっと待てばすごいのが出てくるのかなという期待感もあったりするんですけれども、じゃ、大臣が就任されて六カ月たつわけですけれども、外務省はここが変わったなというのを幾つか挙げてください。

田中国務大臣 私一人でもってやっているわけではなくて、やはり省内の皆様、関係者の皆様の御努力があって、そして前に出ていますが、この百三十二年もの歴史の中で、五千人以上もいる中で、半年でもってすぐ解決なんかするわけはない。特に、改革ということについては大きな抵抗があるわけですね。ですから、はいっと、マジックでちょんとやったらぽんと改革ができるなんというものではないことぐらいはおわかりだと思いますが、具体例を申し上げます。

 調達の一元化、それはもう会計手続の問題でございます。

 それから二つ目は、今度は、外務省の参与という方を外部からお招きいたしまして、本省の監察査察制度というものを立ち上げました。これは大変よくやってくだすっていまして、地味な仕事でございますけれども、こういうチェックが入ることは大事だと思います。九月末から、まあついこの間からなんですけれども、公認会計士、弁護士など外部からの参加を得つつ、在外公館への査察を実施いたしました。これは……(土田委員「大臣、見ないでやってください、感覚的でいいから」と呼ぶ)ああ、そうですか。

 あとは領事移住部の仕事ですね。間違いがあると、また言葉遣いがいけないと言われるといけないと思って、ちょっと神経質にやったんですが。ですから、そういう領事移住部の仕事も期間をもう少し長くするとか、それらを具体的に制度の面でいたしております。

土田委員 二つか三つか四つぐらいはぽんぽんと、ここが変わったよというふうな答弁を本当は期待していたんです。やはりなかなか進まない。非常にいら立ちを覚えると同時に、機密費の問題にしましても、とうとう何億の金が使われて、どういったシステムになっていたのかが暴かれないというふうなことについて、やはり大きないら立ちを感じるのはもう当然だと思うんです。

 今回の三越の公金プール事件、これに関しても副大臣がそれぞれ答弁をされております。最初に答弁された杉浦副大臣は、きちっと納得のいくような調べ方しますよ、特に日本画については御報告をしますというふうに言っておきながら、植竹副大臣は、外務省としてはそれ以上のことはどうもわかりませんというふうなことでトーンダウンしている。

 いわゆる自分たちのかけられた疑惑に関しては、やはりその都度、毎回、ある意味きちんとした説明をしていかないと、この疑惑というのは払拭されないんです。みずからにかけられた疑惑はやはり外務省で晴らすというふうにしてもらいたいなというふうに思っているんです。

 ですから、それをしていかないから、いつも中途半端だから、だんだん国民の不満が高まってきて、幾ら、松尾事件が個人的な犯罪ですよ、あるいはほかの事件、もうみんな個人的な犯罪ですよと言っても、国民はそうはとらない。大臣もそうとっていない。(田中国務大臣「とっていない」と呼ぶ)組織的な犯罪ということでしょう。だったら、もうちょっと、やりようがあるんじゃないかと思いますよ。大臣がみずから組織的な犯罪だというふうにお認めになるんだったらば、なおさら外務省改革は急がれますし、まだ半年しかたってないという答弁は残念で仕方ない。もう六カ月たったのにまだこのくらいかというような気持ちを持っていただきたいと思うんですけれども。

田中国務大臣 松尾事件のときは、前内閣において、個人的な犯罪であって数千万円であるということで終わりに、ピリオドをつけられたわけですが、そんなことではなくて、松尾事件だけでも四億、その後の浅川事件でも五億、その後もまだプール金の問題でありますとか、三越については私は存じませんけれども、事務的な報告は聞いていますけれども、長い中でもう体質的にやっていたことで、悪意はないのかあるか知りません。ですから、個人犯罪であると言い切れない。組織的に、意図して組織でやろうと思ったわけじゃないと思いますよ。だって、まともな、普通の外務省の方たちは一生懸命働いているんですよ。物すごく働いているんです、在外公館でも本省でも。それがほとんどなんですよ。ですけれども、結果としてこういうことが次々出てきて、あの松尾事件で終わらないということは、結果として、個人でなければやはり組織かいなということになるわけですね。それを申しております。

 六カ月とおっしゃいますが、私も余り気が長い方じゃありませんけれども、これは時間がかかりますよ。これだけ委員会をやって、仕事をやって、週末はタウンミーティングそのほか、何かと皆さん忙しいわけですね。手分けしてこれは動いているんですから。それで、これを言って、はい、やってくださいと言ったって、はいと出さないですよ。出したくないんですから、こういうことについて、事務方は。余計なことを言うとまた地雷を埋められちゃうわけですから、穴も掘られちゃうんですから。そこのところもちょっと御理解いただいて、やはり議員の皆さん一緒に協力していただくということでないと、六カ月たったからどうなんだというふうなことは、一生懸命やっていますよ、時間がかかりますから、もう少しおしりをはたいてください。

土田委員 時間が来ましたのでやめますけれども、大臣、本当にそのお気持ちもわかりますし、僕は、小島政務官と話をしたときも、政務官の努力も非常によく理解できます。また、我々外務委員会の委員たちも、ある意味ではやはり外務省の応援団だというふうに前回も言っているんです。ですから、そんなに言わないでしっかり頑張ってもらって、六人も入ってやっているのにまだこのくらいの成果しか上げ切れないのかというのは、思いがやはりありますですよ。

 さらに努力をされますことを御期待しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

吉田委員長 土田龍司君の質疑は終了いたしました。

 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男でございます。

 昨日、ASEANそれからプラス3の首脳会談や一連の会合が終わったわけですけれども、ASEANの議長声明を読んでみますと、テロの問題でもアジアの経済の問題でも、大変多面的な討論がなされたというふうに考えることができると思うんです。

 それで、お尋ねしたいんですが、小泉総理がこの会議に出かけるに当たって、自衛隊派遣について十分な理解と協力が得られると思っているというふうに語っていらっしゃいました。そして、昨日、会議が終了した後の会見でも、各国から理解を得られたというふうに述べているようですけれども、これに参加したのは外務省の場合はアジア大洋州局長だということですが、一体どう理解されたというのか、お尋ねしたいと思います。

田中政府参考人 今回のASEANの会合というのは、幾つかの会合が行われまして、一つは、ASEANだけのASEAN首脳会合、それからもう一つは、ASEANと日本、中国、韓国、この三カ国を入れたASEANプラス3という会合、それから、日中韓だけの会合、それからもう一つは、ASEANと日本という枠組みでの会合、こういうことでございます。

 この中で、総理が説明をされたのは、まさにテロに対して断固として闘っていかなければいけないということ、それから、日本の貢献として、現在の法律に基づいて、まさに戦闘地域には派遣をしない、平和的な協力を後方支援の面でやっていくということ、それから、地域の協力として、これはテロというのは国境を超える犯罪ということでありますから、こういう問題について日中韓の枠組みでも、あるいはASEANプラス3の枠組みでも協力をしていきましょう、この中には、テロも入るし海賊であるとか薬物であるとかそういう問題も入る、こういうことについても協力を強化していきましょう、こういう主張をされまして、ASEAN諸国の理解、あるいは中国、韓国の理解は得られている、こういう理解でございます。

山口(富)委員 小泉総理がおっしゃった中身についての説明がありましたけれども、理解を得られたと判断する材料は何なんですか。

田中政府参考人 一つには、そういう総理の説明に対して特に反論といったようなことはなかったということが一つ、それからもう一つには、ASEANプラス3の首脳会合の後、議長声明、議長のサマリーという形で文書が発表をされていますけれども、この中で、まさに、あらゆる形のテロ行為に対してこれを防止、抑圧をしていこう、それから、ASEANプラス3の枠組みでもできるだけ協力を強化していこう、こういうことが盛られているということでございます。

山口(富)委員 今あなたが指摘された議長声明には、日本の自衛隊派遣については一言も述べられておりません。それから、特段異論なり反論がなかったという話ですけれども、それは当たり前のことで、ASEANというのは各国の内政問題に絶対に干渉しないというのを基本の原則にしているんですね。ですから、私は、そのことをもって理解を得たというふうに一くくりにしてしまうのは、今のアジアの動向を見た場合に、やはり日本がアジアで外交を展開していく上で非常に危うい立場になっていくというふうに考えるんです。

 それで、もう少し具体的にお尋ねしますが、会議の開催中に、マレーシアやインドネシアがアフガニスタンへのアメリカなどの軍事攻撃に対して、また空爆に対して、いろいろ発言したようですけれども、具体的にはどういう内容の発言があったんでしょうか。

田中政府参考人 今、委員御指摘のASEANの会合というのは、ASEAN首脳会合ということだと思いますけれども、これは御案内のとおりASEANだけの会合でございまして、日本はそのメンバーではございません。

 それから、ASEANプラス3におきましても、こういう国際会議のルールというのは、自国の首脳が話したことについては明らかにしてもいい、だけれども、ほかの国の首脳が話したことについては具体的な引用はしないというのが原則になっています。

 そういう観点から、ASEANの総意という形で外に出ているのは、テロリズムに対抗するための共同行動に関する二〇〇一ASEAN宣言ということでございますけれども、ここでは、テロに対して明確な反対の姿勢を表明されている、こういうふうに理解をしております。

山口(富)委員 でしたら、マハティールは会議終了後の記者会見で、この問題、私が今指摘したような問題はどういうふうに述べているんですか。会議の中での発言が公にできないということですから、会議終了後の記者会見ではどう述べているんですか。

田中政府参考人 私が承知しております範囲内におきましては、マレーシアについては、特に、今の軍事的なオペレーションというものがやはり的を絞ったものでなければいけないということ、それから、一般の人々の生活に影響が出てきている、そういうことに対する懸念はある、こういう趣旨の発言をしておられるというふうに理解をしております。

山口(富)委員 でしたら、重ねてお尋ねしますけれども、そういうマハティールなどの軍事攻撃に対する懸念の声というものがこの議長声明の中にどういう形で盛り込まれたのでしょうか。

田中政府参考人 一項ございまして、その一項をちょっと読み上げてみますと、テロ攻撃に対する非難を改めて表明しつつ、ASEAN首脳は、アフガンでの軍事行動の結果として無実の人々の生活に影響が生ずることに対する懸念を表明し、人道支援を行うことにつき検討したというくだりがございます。

山口(富)委員 今お読みになったのは、議長声明の五番目のパラグラフに載っている一節ですけれども、それはなかなか重みのある一節だというふうに思うのです。

 それで、先ほど田中局長は、ASEANが今回採択したテロリズムに対抗するための共同行動に関する二〇〇一年ASEAN宣言、これに言及されましたが、この中では、九月十一日の野蛮なテロ犯罪に対して厳しい非難の立場を明らかにすると同時に、これが世界の平和と安全にとっての脅威だという認識を示しました。

 この宣言の中で、テロリズムとの闘いの上でASEAN各国はどこに国際的な足場を置こうとしているのか、どういうふうに書かれていますか、議長声明などに。

田中政府参考人 委員が御指摘になっているのは、第七回ASEAN首脳会議の結果出されたテロリズムに対抗するための共同行動に関するASEANの宣言ということ……。

山口(富)委員 それと議長声明などに。

田中政府参考人 要するに、二つの文章がございますけれども、そこで述べられていることは、今回の九月十一日のテロ攻撃を強く非難して、まさにかかる行為を人道に対する攻撃及び我々すべてに対する暴行とみなすという点、それから、これはまさに国際の平和と安全、世界の平和と安全に対する脅威とみなすということ、それから、こういうテロリズムをいかなる宗教とか民族に結びつける、こういったような試みは断固拒否をするということ、それから、すべての国際決議の重要性、国連憲章及びその他の国際法に従い、あらゆる形のテロ行為に対抗し、これを防止、抑圧することを決意する、こういうことであろうと思います。

山口(富)委員 今の議論で、大分いろいろおっしゃったのですけれども、肝心なところは、最後にまとめておっしゃられたように、国際社会として足場をどこに置くかというと、やはり国連憲章と国際法にのっとりというところが非常に大事で、その上、テロの問題ではやはり国際レベルでは国連が中心になるべきだというのが、反テロリズムの共同行動宣言にも議長声明にも盛られた大事な内容だと思うのです。

 それで、田中外務大臣がお帰りになってきたので一つお尋ねしたいのですけれども、このASEAN各国の東南アジア地域ですね、この地域というのは、今議論してまいりましたように、テロ根絶という点では大きく一致しているのですね。しかし、アメリカの軍事攻撃に対してはなかなかの懸念が出ていて、これに対して共同声明の中でもその一項が盛られるということだったと思うのです。それで同時に、国連がテロリズムと闘う場合に主要な役割を果たすべきだという合意をかち取ったり、宗教や人種問題とこれを結びつけるのは間違っていると明確に述べたり、そして中でも、地域としての取り組みが非常に大事だということを確認した会合だったというふうに思うのです。

 私は、日本の外交の場合、こうしたASEAN諸国の特徴をよくつかんで、アジアでのテロリズム反対の共同の取り組みを進める必要があると思うのですけれども、この点について外務大臣の所見をお尋ねしたいと思います。

田中国務大臣 今、山口委員がおっしゃったのは、アジアとしてまとまってテロリズムに対する声明ですか、そうした取り組みをするべきであると。

 済みません、ちょっともう一回、質問お願いできますか。

山口(富)委員 今度のASEANの会合で、議長声明とそれから反テロリズムの共同行動の宣言が二つ出されているのですね。その中身の大事な点は、ちょっと繰り返しになりますけれども、国連を中心に置く問題ですとか、宗教や人種問題と絡めちゃいけないとか、それから、アジアの場合、地域として取り組みを進めようじゃないか、こういうことをきちんと確認したのですね。ですから、日本外交も、そういうASEANなりアジアの到達点を踏まえたテロ根絶の外交の努力をすべきでないのかというふうにお尋ねをしているのです。

田中国務大臣 それは私も同感です。

山口(富)委員 同感というお話なんですけれども、外務省が、今度のASEANの反テロ宣言とは別に、プラス3などを含めた日本提案の宣言というものを準備して、それが可能かどうかの打診をしてきたということが広く指摘をされていますけれども、そういう働きかけをやってきたのですか。

田中政府参考人 委員御指摘のとおり、テロに対して、アジアの地域、特にASEANプラス3として取り組みが大事だという点は、大臣もお答えになりましたように、そのとおりということでございます。

 ですから、今回の会合におきまして小泉総理からも特に強調されたのは、アジアにおいて関係国の間でやることもたくさんある、それは、例えば航空保安の問題であるとか、それから、まさに航空の安全性の問題、それから入国管理の問題であるとか、そういうことについて日本も協力をして、キャパシティービルディングというか、人材の養成をしましょう、こういう形の提案もしているわけです。

 そういう結果、議長がどういう取りまとめをするかというのは議長の判断でございますけれども、今回の会合については、議長の判断として、ASEANの首脳会談で一つの宣言を、テロに対する宣言を出している、したがって、そのテロの宣言と、それからASEANプラス3の議論を結ぶ形で、議長のステートメントの中にそういう点を盛り込もうということでございまして、日本としての取り組み、さっき申し上げたようなキャパシティービルディングの必要性とか、そういうことについてはきちんと盛り込まれている、こういうことでございます。

山口(富)委員 もう少しはっきりお答え願いたいのですけれども、日本としての、プラス3を含めた反テロ宣言なるものを出そうという独自の取り組みをやったのですね。

田中政府参考人 何らかの形でテロに関する宣言を今回のASEANプラス3の機会に出そうということで協議をしていたのは事実でございます。その結果がASEANプラス3の議長声明という形で反映されるに至った、こういうことでございます。

山口(富)委員 私、きょう、るる述べてまいりましたけれども、ASEANというのは、政治体制も経済の到達度も違う、また宗教的信仰もなかなか違う人々の、非常に多面的な、豊かな地域なんですね。そういう中であるだけに、国際会議の場合もきちんとした対話なりが積み上げられていかないと、ASEANにやはり反発されると思うのです。

 その点で、私は、今度の議長声明を読みまして、この議長声明が、今、ASEANが結成以来最大級の難題に直面している、それは、一つはテロの問題であるし、もう一つは経済的な困難が投資の分野でもいろいろな面で増しているからです。そういうことを持っているときに、そういう問題できちんとした対話をやろうじゃないかという方向でなくて、それは十分でなくて、プラス3を含めた日本提案の何らかのものを出していきたいという方向に行っていたというのは、やはり、はっきり率直に申し上げてひとりよがりの、アジア社会との関係では大変まずい対応だったというふうに言わざるを得ないと思うのです。

 それで、きょうは私、もう一つ、テロ特措法にかかわる問題を幾つかお尋ねしたいので、次に進みたいと思うのです。

 まず田中大臣にお伺いしたいのですけれども、テロ特措法に基づいて自衛隊を海外に出す、私たちはこれは反対の立場ですけれども、この問題で、いずれにしろ戦後未曾有の、未経験の事態が起きたわけですね。こういうときというのは、やはり国民の皆さんへの説明責任が問われてくると思うのですが、田中大臣はこの点ではどういうお考えをお持ちでしょうか。

田中国務大臣 テロ特措法を、新法をつくる過程はメディアで全国に報道されたと思います。ですが、それでもってもちろん十二分とは言えないと思います。しかし、携わった議員それからあらゆる国会議員がこの問題について、それぞれの立場はおありになると思いますけれども、地元に帰られたり、あるいはメディアにお出になったり、海外の方と接触をなさったり、あらゆる機会をとらえてパブリサイズしていくといいますか、広報していくというふうな機会はあると思いますし、現実にこれを運用する段になって、またいろいろと基本計画等でもって役所や政治家もこれから汗を流している最中ですけれども、そういうプロセスの中でもって関心を持っていただければよくおわかりいただけるというふうに思います。

山口(富)委員 としますと、あらゆる局面を通じて、やはり私たちは国民の皆さんに対するきちんとした説明の責任があるというお立場に立っているという理解でよろしいんですね。

田中国務大臣 はい、そうです。

山口(富)委員 それでお尋ねしたいんですけれども、実は、一日に日米間の調整の枠組みというものが合意されて、二日に第一回の調整委員会が開催されました。それで私、外務省と防衛庁にそれぞれお尋ねしたんですけれども、当日の第一回調整委員会の会合の内容については、二日の夕方に記者へのブリーフを行ったということでした。それで私、昨日、せっかくやったんだから会見の内容がわかる資料をいただきたいという話をしましたら、防衛庁は、その際のメモ的なペーパーはあるが外務省の了解がないと出せないという返事でした。これに対して外務省に提出を求めますと、今度は、ペーパーなどないという返事でした。一体これはどういうことなのか、防衛庁と外務省にそれぞれ説明願いたいと思います。

首藤政府参考人 失礼いたします。

 ペーパーという意味が、あるいは私、直接先生に応対した我が庁の人間の具体的な発言を今承知したわけでございますが、その委員会の後、一緒に記者ブリーフィングをいたしましたので、その記者ブリーフィングをメモったもののことを言っているのかどうかと思うわけでございます。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今防衛局長の方から御答弁申し上げた以上に私の方から今つけ加える点はございません。

山口(富)委員 外務大臣、今のお二人の答弁を聞いてどういう感想をお持ちですか。

 せっかく、この問題というのは非常に大事だから、いろいろな局面で国民の皆さんへの説明責任が必要だということを先ほど確認されました。ところが、今、何か知らないとかよくわからないとか、そういう答弁ですよ。

田中国務大臣 この間の会につきましては、私が報告を受けております段階でも、これから具体的に立ち上げていくというふうなことでございますから、調整委員会のワーキンググループでございますとか、その中で、日本の領域内のことはどうするか、領域外はどうするか、具体的に立ち上げていくということでございますので、御理解いただきたい。これから、いよいよその情報公開もしながら、説明できることは、相手のあることですから何でも御説明できるとは思いませんけれども、そういう意味だというふうに思います。

 それから、そのメモ、紙ということについては、私その場におりませんでしたのでちょっとよくわかりませんが、おわかりにならなければ、会議に参画した二人にもう一度お尋ねいただければありがたいと思います。

山口(富)委員 私は、この調整委員会は、基本計画の具体化にかかわる、また自衛隊の海外派遣にかかわる非常に重要な場になってきますので、その都度きちんとした説明が国会にも有権者の国民の皆さんにもなされるべきだというふうに考えるんです。

 その点で改めて外相に求めたいんですけれども、二日に行われた第一回の調整委員会についての記者ブリーフの中身について、きちんとした資料を提供していただきたい。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今、一日に行われました審議官レベル会合あるいは引き続き行われました調整委員会につきましてどういう内容であったかということ、これは、今委員御指摘のとおり、きちんと国民の方々に御説明すべきものというふうに思っております。

 御説明申し上げますと、一日に開催されました日米安全保障高級事務レベル協議のもとの……(発言する者あり)

吉田委員長 いや、とにかくどうぞ説明してください。後ほど出してもらいますから。

藤崎政府参考人 審議官レベル会合におきましては、日本側より、自衛隊の今後の支援内容等を含めまして今後の日米間の調整の枠組みについて意見交換を行いまして、この機会に、今後、局長級の調整委員会という場で日米間の調整を行っていくということにつき合意した次第でございます。

 これを受けまして、二日に第一回の調整委員会、局長級で開催いたしまして、日本側からテロ対策特措法の基本的な枠組み等について御説明し、今後日米間のあらゆるレベルで緊密な協議を行っていくということを確認した次第でございます。

吉田委員長 山口富男さん、その記者にブリーフィングしたものが必要なんですね。

山口(富)委員 ええ。ペーパーの提出、改めて求めます。

吉田委員長 では、あさって理事会がありますから、それに提出してください。

山口(富)委員 委員長、よろしくお願いいたします。

 それで、実は昨日、会見の資料を出せないということでしたので、せっかく記者ブリーフをやったんだから、だったらその記者ブリーフの内容で書かれた報道はどれなんだ、教えてほしいと言いましたら、防衛庁の方から三枚記事が送られてきました。ですから、防衛庁が、これがその当日のブリーフの中身をいわば押さえた報道だと認めたものだと思うんですけれども、これを読みますと、二日の初会合で、基本計画の骨格として自衛隊支援の活動内容と活動範囲を説明したとされている。これは、特措法の第四条「基本計画」の条項の第二項にある「基本計画に定める事項」の中身と大体合致しているんです。

 それで、もう少し具体的に述べますと、こういう中身だというんですね。具体的には、一、補給艦二隻、護衛艦四隻程度の艦隊を編成し、インド洋上の軍事拠点ディエゴガルシア島方面に食糧、燃料などを輸送、補給する、二、艦船や輸送機でディエゴガルシア島からパキスタンのカラチなどに物資輸送をする、三、在日米軍基地間、日本からハワイ、グアムの米軍基地への物資輸送を支援する、四、国内で米艦船などの修理、整備を行う、こういう中身だったといいます。

 となりますと、このような内容が既にアメリカ側に、米側に伝えられたというふうに考えていいわけですね。

首藤政府参考人 新聞にいろいろ出ておるのは私も読んでおりますけれども、今先生おっしゃられたような点も含めまして、米側との調整状況につきましては具体的に現時点でお答えするのは差し控えさせていただきたいと存じます。

山口(富)委員 いや、全く無責任な答弁ですね。記者ブリーフをやって資料を出せない。では、その記者ブリーフでやった中身は何だ、その報道はどれだと聞いたら示してきて、そして今度は、その中身を確認しようとしたら答えられない。これぐらい私たちをばかにした議論はないと思うんです。

 もうそこまでおっしゃるなら、あなた方が出した「第一回調整委員会の概要」、これに即して聞くことにしますよ。

 この中で、日本側は、米側に対する支援について日本側の基本的考え方を説明したとされています。そして、これに対してアメリカ側は、日本側の基本的な考え方を持ち帰ったというふうになっていますが、一体、ここで説明がされた基本的考え方と、アメリカが持ち帰った基本的考え方というのはどういうものなんですか。

首藤政府参考人 アメリカ側が持ち帰った基本的考え方は、我が方が説明した基本的考え方でございます。

山口(富)委員 そうしますと、皆さんは、先ほど北米局長が一日目と二日目の会合の中身もおっしゃいましたから、私が今ここで基本的考え方はどう説明したんだと聞いても、恐らく同じ説明がなされると思います。

 ですから、もう一つお伺いしますが、防衛庁からいただいた「第一回調整委員会の概要」のペーパーによりますと、米側は、多国間協力を行う際には自己完結型の能力を持って参加することが重要であり、自衛隊の支援はこれを満たしている、こう表明したと書かれております。ここで言う、自己完結型の能力、それを満たす自衛隊の支援、これは何なんですか。

首藤政府参考人 自己完結型と申しますのは、自分で自分の面倒を見ることができる能力ということでございまして、我が方が支援を行うに際しまして、支援国、すなわち我が方が、被支援国、すなわち先方に依存する形をとらないということでございます。

 米側は、自衛隊は自己完結型の能力を持っていて、右を評価している旨述べておりましたところでございます。

山口(富)委員 ですから、基本的考え方を持ち帰ったというのは、別にこの法律を持ち帰ったわけじゃないんですよ。日本側が提案した基本的考え方の具体的な可否が検討できるような中身がなければ、これは持ち帰りようがないんです。ですから、ここで言っている自己完結型の能力というのは、今あなたがおっしゃったように、自分で自分の面倒を見る、端的に言って。ですから、例えばどこからどこにどのぐらいの艦隊を編成して物を運ぶのか、そういうリストや中身が示されないことには、自己完結型の能力を示したことにならないんです。

 だから、きょう私お話ししたように、記者ブリーフによって書かれた一連の報道というのは、全部そのことを裏づけているんです。このことさえきちんと国会の場に報告できない、これはやはり非常にゆゆしき事態だと思うんですが、田中外務大臣、どうお考えでしょうか。

田中国務大臣 私はその場に直接参加はしておりませんでしたけれども、委員のおっしゃることも理解できますので、もう少しちょっと、情報開示できること、でも現段階ではそれほど、これからの方がむしろ私は大事だというふうに思っておりますけれども、委員のおっしゃる意味もわかりますので、できるだけの、ペーパーで出せることは努力していただくように、また防衛庁長官とも相談もいたしますけれども、そのように考えております。

山口(富)委員 そこで、委員長の了解を得まして、資料の配付をお願いしたいと思います。

吉田委員長 はい、どうぞ。

山口(富)委員 今皆さんのお手元に配付されると思いますが、一日の日米の協議で、テロ対策特措法のもとでの対米支援の調整の枠組みというものが合意されたと言われております。これは、防衛庁と外務省それぞれからいただきまして、私の方で和文と英文を並べたものなんですが、この一日の会合では、こういう文書で枠組みを合意したんですか。

藤崎政府参考人 今委員が御指摘のテロ対策特措法のもとでの対米支援の調整の枠組みと申しますのは、日米間ですり合わせた結果のものでございます。

山口(富)委員 そうしますと、この文書で確認したという理解でよろしいんですね。

藤崎政府参考人 こういう文書の形ですり合わせはしております。

山口(富)委員 でしたら、この枠組みについて少し具体的に、それぞれ説明願いたいと思います。

藤崎政府参考人 この枠組みは、日米間の支援の調整の枠組みといたしまして、調整委員会という場、これは外務省、防衛庁、内閣官房の局長クラスでございます。具体的には、外務省は北米局長、防衛庁は防衛局長及び運用局長でございます。自衛隊も参加しております。在京米大、在日米軍、在京米大は公使、在日米軍は副司令官。この局長級の代表者で調整委員会を設けまして、これを調整の場とするということでございます。

 このもとに、WGと申しますのはワーキンググループでございますが、外務省、防衛庁、内閣官房の課長クラス、在京米大の書記官、在日米軍の佐官クラスで調整委員会のワーキンググループをつくりまして、ここでさらに細部の詰めをするということでございます。

 このもとに、制服と申しますか、幕のレベルの協議も行うということで、我が国の領域内に関しましては、在日米軍との間で統幕、各幕が調整を行う。それから、我が国の領域外のことに関しましては、基本的には統幕、各幕と太平洋軍または中央軍が行う。それで、派遣米軍、派遣自衛隊というものの間でも日々の調整は行われるであろう。

 かかる行われる情報交換、相互調整というものはすべて、幕のレベルで行われるものにつきましても調整委員会に上げられまして、その調整委員会の場で政策的判断等を行っていく。これはもちろん、基本計画等ができた上での、きちんとまたすり合わせが行われていくわけでございますが、それに当たってどういう準備が必要かという点も含めましてこういう場で議論をしていくということが、この枠組みの基本的な仕組みでございます。

山口(富)委員 今、調整委員会と調整委員会作業部会の関係で、これはそのもとに置かれるという話がありました。

 この図表ですと、矢印が双方向に向いているのと太い棒が一本のと二種類ありますが、そのもとに置かれるというふうにこの棒を理解しますと、下の太平洋軍及びまたは中央軍、ここの調整の問題と、下の派遣米軍、派遣自衛隊、これはどういう関係の表示なんですか。

藤崎政府参考人 矢印の双方向性がございますのは、情報等の交換ということで、両方の面での情報交換があるということで矢印を使っているわけでございますけれども、仕組みといたしましては、今御説明いたしましたように、軍のレベルで行いますこと、あるいは幕のレベルで行いますことを調整委員会に上げまして、そこで政策的判断を行うというのが枠組みの基本的な考え方でございます。

山口(富)委員 残り時間が少ないので、二点まとめてお答え願いたいんです。

 一つは、和文の方は、「相互調整・情報等交換」と、「等」という文字が入っております。ここでなぜ和文だけは「等」が入っているのか、ここで言う情報とは何なのか、これをお尋ねしたい。

 それからもう一つは、各段階での、例えば在日米軍、統幕関係の調整とか、派遣米軍、派遣自衛隊の調整とか、どういう調整がなされるのか。

 この二点、お尋ねします。

首藤政府参考人 まず、「情報等交換」の「等」というのは、そう非常に厳密な意味ではございませんが、例えば意見の交換といったようなものもあり得るわけでございますので、そういったものも含み得るようにということでございます。

 それから二点目は、たしか統幕、各幕の部分と派遣自衛隊との関係であったかと存じますが、統幕、各幕は、太平洋軍及びまたは中央軍というところと調整するわけでございますが、一方で、その現場に行く派遣自衛隊というのは、そういった調整を踏まえた上での統幕、各幕からの統制を受けたりして活動するということを示しているわけでございます。

山口(富)委員 国家間の合意の中に、あなたがおっしゃるような、厳密な意味ではないなんというものを合意すべきじゃないんですよ。そのことは厳しく指摘しておきたいと思います。

 それで、今の説明ですと、派遣米軍と派遣自衛隊の調整ということになりますと、こういうことですか。本来、調整委員会というのは、基本計画に向けての日米間のすり合わせが行われるという答弁が繰り返し行われたわけですけれども、この支援の調整の枠組みというのは、基本計画ができた後も、自衛隊が向こうに行ってからも、この調整の機構として機能する、こういうことなんですね。

藤崎政府参考人 委員おっしゃるとおりでございます。

山口(富)委員 そうしますと、日本の場合、アメリカとの関係で何をいついつまでにどこどこに持っていくとか、そういう一種の国際約束がそこで成立するわけですけれども、その場合の国際社会での裏づけになる法的枠組みというのはあるんですか。

藤崎政府参考人 今委員が言われました国際約束という言葉が、どういう観点でお使いになっているのか私もつまびらかにしないわけでございますが、この委員会というのは、基本的に我が国が対テロ特措法のもとで主体的に協力支援活動を行っていくわけでございますが、主体的に行う場合であっても、米国等のどういうふうなニーズがあるかということについては、聴取し、すり合わせを行っていくということでございまして、いわゆる一般的な意味で、私どもはこういう場を通じて国際約束というようなことを行っていくということを今念頭に置いているわけではございません。

山口(富)委員 この調整委員会の枠組みについて、この文書で合意したというお話がありました。それで、いついつまでにどこどこに持っていくというのは、いわば合意の一つの形態なんですよね。それはどういう形で、つまり、こういう文書のような形で合意されるのか、一体どういうものになるんだと、法的な裏づけは。そういう質問をしたんです。しかし、北米局長は、つまびらかでないというふうにおっしゃいましたけれども、随分この問題では、常識の問題として、私たち、議論を政府の側とさせられてきたといいますか、そういう議論がありましたよ。しかし、今のお話を聞いても、これはやはり法的な根拠が極めて危ういものだと言わざるを得ないです。

 そして、私、もう一つ指摘したいのは、これ自体がつくられたのに、いわば国会の承認にもかからないし、私たちはその中身について、きょうずっとやってきたように、きちんとお話しにもならない。こういうようなものが恒常的なものとしてもう合意されてしまったわけですね。今度の特措法でいえば、二年間の時限立法という問題はあるにしても、こういう重大な意味を持つ対米支援の調整の枠組みというものを、あなた方がおっしゃるミニSSC、こういうもので合意して、その中身も国会にきちんと言わない、こういう点にやはりテロ特措法の問題では非常に危うさを感じるし、これを発動するべきでないということを重ねて申し上げて、質問を終わります。

藤崎政府参考人 先ほどの答弁で言葉が足らなかったのかと存じますけれども、あくまで、我が国が行います協力支援活動というのは、対テロ特措法のもとで主体的に行うということでございます。この主体的な我が国としての協力支援活動を行うに当たりまして、アメリカ側とも事前的なすり合わせを行うということでございまして、あくまで我が国の支援活動はこのテロ対策特措法のもとで基本計画に基づいて行うわけでございまして、この調整委員会でございますとかあるいは行われる支援と申しますのが国際約束ということを構成するようなものではないということは重ねて申し上げたいというふうに存じます。

山口(富)委員 済みません、一つだけ。

 あなた、主体的、主体的とおっしゃいますけれども、私たちに、国民の皆さんに中身を説明できないようなものでどうして主体的と言えるんですか。

 以上を指摘して、質問を終わります。

吉田委員長 山口富男君の質疑は終了いたしました。

 次に、東門美津子君。

東門委員 社会民主党の東門美津子です。常にラストバッターでございます。元気よくいきたいと思います。

 まず、テロ事件関連で御質問いたします。

 テロ対策特措法が成立をして、対米支援の動きが具体化し始めました。平和憲法を持つ日本がついに戦争に参加することになったことを深く憂慮します。幾ら、戦闘行為には参加しない、戦闘地域には行かないと言っても、戦争をしている米軍のために日本の自衛隊の艦船や航空機が米軍の根拠地まで行って補給を行うとなれば、他国から見れば日本も戦争に参加していると見られてしまうことは必然です。戦後五十年以上の歳月をかけて国際社会において築き上げてきた平和国家としての日本の評価も一朝にして失われてしまうのは、非常に残念です。

 テロとの闘いは根気が必要です。いたずらに武力に訴えても、現在行われている米軍の空爆で民間人に多数の犠牲者が出ている状況では、新たな恨みを生み出すだけで、根本的な解決にはなりません。テロ対策特措法は成立しましたが、我が国は、対米支援ばかりではなく、今後も武力によらない解決のために一層努力するべきだと思います。

 我が国は、国連難民高等弁務官事務所、UNHCRに三百三十万ドルの緊急援助を行うなど、難民支援のための援助を行う方針を示していますが、幾ら資金や食糧を提供しようとしても、空爆により食糧運搬が不可能となっています。そして、冬の到来を前に、アフガニスタン難民の状況は非常に深刻です。アナン国連事務総長は十月三十日、米軍の軍事行動の停止を要請し、ブラヒミ国連特別代表も今月の一日、パキスタンでの会見において、アフガンへの緊急援助が再開されなければ、この冬、九十万人の餓死者が出る可能性があると指摘し、空爆の即時停止を訴えています。

 これ以上空爆を続けて一般住民の犠牲者をふやし、さらに何十万という餓死者を出すことになれば、これまで米国を支援した国においても対米批判が高まることは避けられないでしょう。米国が国際的な支持を失わないためにも、また人道的見地からも、米国は空爆をできる限り早く中止すべきであり、我が国政府からも空爆中止を働きかけるべきだと思いますが、田中外務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 テロ特措法が成立した経緯の中で、もう一度原点を御確認いただきたいと思いますが、米軍を支援するためにこの特措法をつくったわけではございません。テロというものが九月十一日、アメリカで起こって以来、もう全部御存じでお聞きになっていらっしゃるんでしょうと思いますけれども、やはり世界が手を携えてこうしたテロに対抗するために、卑劣なこうしたことが起こらないようにするために、一つの国では何もできませんから、こうしたものを排除するために総力を挙げてやっていこうと。日本も主体的に、私たちも被害者になる可能性は幾らもありますし、テロというものはいつ、どこで起こるかわからないわけです。ですから、そうした主体的な立場というのはそういう意味です。私たちも被害者になる。ですから、連帯感を持って世界と一緒にテロ防止のために日本が何をするかということででき上がったのが、憲法の範囲内でぎりぎりででき上がったのがこの法案でありますので、それをまず御理解いただきたい。これが一点でございます。

 二つ目でございますけれども、UNHCRに三百三十万ドル。それから、この寒さの中でもって九十万とブラヒミさんが言ったとおっしゃいますが、百万人と言われておりますね。特にアフガンの中にいる、外に出られない貧しい方々が、この寒さの中で、ついおとといも、国連の仕事をしていらっしゃいます黒柳徹子さんからも、もう彼女は最初からそのことを言いに私のところに来てくだすっていますけれども、ユニセフ大使ですけれども、七千メートル級の山が九つもあって、地べたでもって毛布もなくいて、食糧もなくて、病気が蔓延していて、そんな中でもって餓死者が出る。そのことを助けることはもちろん大切ですし、アフガン以外の周辺国にいる方々のために私たちも最大限やらなければいけないということも御理解いただけると思います。

 ですけれども、あらゆる事情を勘案して、あらゆることをやっても、この人道と、それから、もちろん次に空爆をお尋ねになると思いますから先にそちらまで申し上げますと、それはどちらかという話ではないんですね。やはり根本の問題を片づける、そのためにまず最善を尽くすということであって、しかし、じゃ、難民は何もしなくていいとは言っておりません。そこに対して私どもができる限りのことを、今までにも、テントでありますとか食糧でありますとか水とか、最大限できることをやっておりますし、今後も続けなければならないというふうに思っております。

東門委員 大臣のおっしゃるように、確かに、今回の法律は何もアメリカを支援するためにつくったのではないとおっしゃる。しかし、結果として、今世界から見える日本は、対米支援がメーンなんです、間違いなく。そういうふうに見えるんです。日の丸を見せたい、そういう思いから自衛隊機が飛ぶ。いろいろな意味で、経費の意味でも、本当に、持っていったのはテント二百とか、そういうものの中でも、それをやりたい、とにかく日本が見えるようにしたい、それが見えるから、むしろ世界は、日本は対米支援をしているんだとしか思われていないんですよ。それが現実だということを知っていただきたいのです。

 それから、空爆の話。私は、空爆に対して、外務大臣、日本政府からも空爆を中止するようにアメリカに対して申し入れる気持ちはありませんかということをお聞きしたんです。今、空爆で本当に多くの民間人犠牲者、子供たち、女性、高齢者がアフガニスタンの中で苦しんでいる。いつでも、何かあれば真っ先に被害をこうむるのはそのカテゴリーの人たちなんです。

 そういう意味で、私は、空爆をまずとめる、そしてできる限りの人道支援の道を探るということがベストな方法ではないかということで、空爆に対しての外務大臣の見解をお聞きしたいと申し上げたわけです。よろしくお願いします。

田中国務大臣 日本の旗を見せるためとかアメリカに追随してやっているのではありませんで、根本的に日本の立場、主体的に日本がテロを撲滅するために何ができるかということで判断をいたしております。もちろん、日米同盟はありますし、大切でありますけれども、テロということについて、もっと私たちも自信を持って、日本は世界第二の経済国家なんでありますから、何でもアメリカに追随かというような思いは払拭した方がいいと思いますね。

 次、空爆について申し上げますけれども、それは空爆をしないで済めばよろしいですけれども、アメリカも無辜の人を殺そうと思ってやっているわけじゃなくて、軍事施設をターゲットとして絞り込んでいる。しかし、残念ながら、ミスボーミングといいますか間違いもあったということは何カ所か認めておられるわけですね。しかし、じゃ、何もしなかったらば、このまま終わったらテロが終わるとお思いになりますか。残念ながらそうじゃないじゃないですか。

 ですから、完璧はないんですけれども、最善を尽くして、ウサマ・ビンラーデンあるいはそれを中心としているアルカイーダやその施設、そうしたところをなくして、今後テロの恐怖が地球上から少しでもなくなるように、逆に言えば、彼らがテロ活動ができるようなとりでを少しでも多く破壊するということが今残念ながら求められていることであるというふうに思います。

東門委員 もう一点、その件でお伺いしたかったんですが、今の大臣の元気な御答弁をお聞きして、対米追従じゃないよとおっしゃったその元気さで、私は地位協定のこともお伺いしたいと思います。大臣は、朝私にエレベーターでお会いになったとき、また地位協定を聞くんでしょうとおっしゃっていたんですが、そのとおりで、ぜひ地位協定のことも、通告もしてありますので、聞かせていただきたいと思います。

 私は、その質問は十月十五日のテロ対策特別委員会でもお伺いしましたし、質問主意書にも書きました。答弁はいただきました。しかし、やはり理解ができませんので、もう一度お尋ねします。

 大臣、この件よく御存じだと思います。在日米軍兵士が銃を持って基地外で警戒活動に当たるのは地位協定に照らして問題はないとの御返答だったのですが、その問題はないとする根拠、日米地位協定の何条何項に則する行動だと見ておられますか、お伺いいたします。

 いや、大臣から。この間は大臣に答えていただきましたので。

吉田委員長 じゃ、先に北米局長。

藤崎政府参考人 今委員長の御指名でございますので、答弁をさせていただきます。

 今委員御指摘のとおり、本件は、十月十五日に委員の方から御質問がございまして、さらに質問主意書もいただいて御答弁申し上げている次第でございます。

 本件につきまして、委員の方から、米兵による民間地域での銃の携行について、これの根拠規定というものは何かということを御質問でございますが、これは日米地位協定の基本的には十七条の規定及びこれに関連いたします合意議事録等を踏まえて総体的に判断しているという問題でございます。

田中国務大臣 今北米局長がおっしゃってくださったとおりでございますけれども、さらに詳しく言いますか。時間がかかりますからやめましょうか。(東門委員「よろしいです、どうぞ」と呼ぶ)そうですか。

 既に申し上げましたけれども、一般論として、日米地位協定の十七条の第十項に関する合意議事録第一項では、米軍当局は、米軍施設・区域の近くにおいて、当該施設・区域の安全に対する罪の、既に行われた、既遂のあるいは未遂の現行犯を逮捕できる旨が規定されている、このようなことでございます。

東門委員 今の大臣のおっしゃったのは、十七条の十項(a)、(b)をめぐる合意議事録の規定だと思います。その範囲内で米兵が銃を携行して施設外で行動することは問題ないとしておられるわけです。今、根拠はそこにあるとおっしゃっているんですが、じゃ、十月三日の事件ということで、外務大臣、はっきり覚えておられると思いますが、勝連町の平敷屋の公園内のことで同じ質問をいたします。

 そのときに銃を携行していた米兵の既遂または未遂の現行犯があったかどうか、それでよろしいというふうな判断にされたのかどうか、お伺いしたいと思います。それは北米局長でも結構です。

藤崎政府参考人 お答えいたします。

 本件につきましては、十月三日の事件でございますけれども、新聞報道等と米側の説明に差異があることは事実でございます。

 米軍及び沖縄県警によれば、十月三日午後二時ごろ、ホワイトビーチ地区におきまして、施設・区域の境界さくから内部を観察している不審人物を米軍の軍事警察が発見いたしまして、施設・区域外に出て尋問したところ、同人物は報道関係者であることが判明したということでございます。

 一般的に言って、私どもといたしましては、公務中の米軍の軍事警察が施設・区域外で銃を携帯していることが直ちに地位協定上問題になるということではないというふうに判断しております。

東門委員 先ほど北米局長の御答弁の中ですけれども、十七条十項(b)の件について伺います。

 これは、私の質問主意書への答弁にも出てきていることですのでよく御存じだと思いますが、基地の外においては必ず我が国の当局との取り決めに従うことを条件とするですよね。二番目に、我が国の当局と連絡して使用されるということになっていますよね。三つ目が、その使用は合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序のための必要な範囲内に限る、そういうふうに軍事警察権行使に当たっての条件と目的がはっきりと規定されています。

 そういうものに対して、それは問題ないと認識しておられるようですが、今回の兵士の行動が第一の条件とされる我が国の当局との取り決めに従った行動であったのか、当局と連絡をとった上での行動であったのか、確認をしたいと思います。北米局長、お願いします。

藤崎政府参考人 今回の事件につきまして、かかる日本の当局との連絡が事前に行われたというふうには承知しておりません。

東門委員 今の御答弁によりますと、やはり基地の外で米軍の兵士が銃を持って出るということは違法である、やってはいけないことだというふうに理解していいのでしょうか。北米局長。

藤崎政府参考人 お答えさせていただきます。

 具体的に米兵が銃を携行いたしまして米軍施設・区域外で行動することについては、これは地位協定との関係では、今申しましたように、地位協定合意議事録等を踏まえ、個別具体的な状況に即しまして総合的に判断せざるを得ないわけでございます。

 今御質問がございましたのは、地位協定十七条に言うところの米軍の警察の使用についての条件を幾つか挙げられまして、この米軍の警察権の使用について、我が国の当局と連絡して使用がされたのかどうかということでございますが、今回その事前の連絡があったというふうには承知しておりません。

東門委員 事前の連絡がない。地位協定にはあるべきだとちゃんと規定されている。それでも連絡がない。それなのになぜそれは問題ないという判断に立たれるのか、そこをお聞きしたいと思います。はっきりと地位協定ではそのように規定されているわけですよ。それにない行動が行われた、それに対して問題ないとされるのはなぜですか。

藤崎政府参考人 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、地位協定におきまして、これも委員がよく御承知のとおりでございますけれども、十七条の(a)項、(b)項というのがございます。今委員が御指摘の点につきましては、これは米軍人間の規律及び秩序の維持という十七条十項の(b)の規定にかかわる御質問でございます。

 十月三日の件につきまして、先ほど申しましたとおり、この事件というのはいろいろ説明が、日本、米側によって異なる点はございますけれども、基本的には米軍人間の問題ではございませんで、邦人の報道関係者の問題でございますので、今委員御指摘の(b)項の問題ではない、こういうことでございますので、先ほど御答弁申し上げているとおり、今御指摘の規定が該当するものではない。しかし、だからといって地位協定に反するわけではない。なぜかといえば、先ほど大臣からも御答弁申し上げたとおり、地位協定の十七条十項、(a)と(b)と両方あるわけでございますので、今委員御指摘のところに当たらないからといって総体的に当たらないというわけではない、こういうことでございます。

東門委員 では、少し質問を変えます。今の解釈、よくわからないんですけれども。

 私が前に植竹外務副大臣に要請に行ったときのことなんですが、そこに地位協定室長も同席しておられましたが、新聞報道でまずこういうふうに出ました。銃を携行していることに対して、軍隊の属性として、その決まりに制約されずに銃を持てることになっている。何条の何項という明記はなくても属性として持つことが前提となっているというふうなお話をされて、私はそこで確認をとりました。水鳥室長はそうだとおっしゃったのですが、そういう御認識ですか、北米局長。

藤崎政府参考人 今委員御指摘の私どもの説明でございますが、これは十月三日に事件が起こりまして直後に御照会がございまして、具体的な事実関係が明らかでないわけで、直接のコメントはできないけれども、一般的に申しまして、公務中の米軍人等が施設・区域外で銃を携帯しているということが直ちに地位協定には違反しないんだということを御説明したというふうに私ども承知しております。

東門委員 私がお聞きしているのは、軍隊の属性として、何条の何項という明記はなくても持てるというふうな説明があったのですよ。

 では、軍隊の属性とは何ですか。お願いします。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 軍隊の属性ということについての定義というのを今私は持っていないわけでございますけれども、御説明した趣旨は、具体的に事実関係が明らかでないということで、この個別の事例について御説明するのは難しいわけでございますが、一般的に言って、公務中の軍人、これは武器を携行するということが、軍として、軍人として、決して地位協定等のものに違反するわけではない、いわば軍人としての仕事ということでそういう御説明をしたのではないかというふうに承知します。

東門委員 今、十月三日の件だけについてお話ししておられると思います。私もそれはメーンに聞いていますが、そうすると、軍隊の属性というのは銃を携行するということだけですか。ほかにもありますか。

藤崎政府参考人 今お答え申しましたとおり、実は軍隊の属性ということについて、私、今ここで定義を有しておらないわけでございますが、もちろん、軍隊におきましては情報交換をする場合もございますし、情勢分析をする場合もある、あるいは武器を携行して使用する場合もございますし、軍隊のいろいろな機能というものは幅広くあるというふうに、それは御指摘のとおりだろうと存じます。

東門委員 北米局長の今のお話によりますと、武器を携行してそれを使用する場合もあるかもしれないということなんですが、ある意味では、公務中であれば軍人は外にいてもそれができるというふうに解釈しておられるということなのでしょうか。十七条の十項の(a)と(b)と両方見てそういうことが可能だと。特に(a)の、先ほど(a)だとおっしゃったのですが、そういうことが可能だということになるのでしょうか。そのような御認識かどうか、お伺いいたします。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、十月十八日に東門議員が提出された質問主意書に対する答弁書でも述べているところでございますが、米軍施設・区域外での警察の使用については、これは先ほどまさに申されたとおりの条件というものがございまして、その使用は、米軍の構成員の間の規律、秩序の維持のため必要な範囲内に限られるわけでございます。さらに、米軍当局は米軍施設・区域の近傍において、当該施設・区域の安全に対する罪の既遂または未遂の現行犯に係る者を逮捕することができる。しかし、このような場合に、米兵が銃を携行するということについては、それ自体が直ちに日米地位協定上問題になるということではない。

 ただし、もちろんのこと、これにつきましては、あらゆる米軍の行動がそうでございますけれども、住民等との関係については十分配慮して行われるべきである。これは委員が恐らく今御指摘になろうとしておられる点だろうと思いますが、全くそのとおりでございます。

東門委員 やはり答弁がはっきりしないのですが、前に進まないと時間がありませんので行きますけれども、地位協定の見直しをそのまま続けさせていただきます。

 私は、これは本当は地位協定を、こういうのをしっかりと規定の中に入れる。ドイツはそうなんですね。ボン補足協定では、基地の外で兵士が銃を携行するときにドイツ側の許可が要るとしっかりと書かれているんですよ。そういうことにおいても、やはり日米地位協定も見直していくべきじゃないか、それを明記すべきじゃないかということを申し上げたかったのですけれども、それは一応おいておきます。

 十月二十九日、テロ対策特措法が成立しますと、先ほどから話になっています、十一月一日には早くも、自衛隊の支援策を協議するための日米安全保障高級事務レベル協議、何かミニSSCと言われているようですが、そのSSCの審議官級協議が開かれ、局長級の調整委員会など日米間調整の枠組みが決まって、翌日には早速、調整委員会の初会合が開催されています。

 日米間の懸念がすべてこのように素早く対応されるなら、いつも政府が言っている、最も重要な二国間関係とか対等なパートナーシップなどの言葉もそれなりに意味があるかもしれません。実際に生きてくるかもしれませんが、素早く対応されるのは米国の方から要求があるときばかりで、我が国からの要望にはいつまでたってもこたえない。対等なパートナーシップと言うからには、日本側の要望にも最大限の誠意を持ってアメリカはこたえるべきだと思いますが、米国に誠意がないのか、それとも日本側が遠慮してはっきりと要求していないのか。地位協定の問題にしても、普天間基地移設の十五年期限問題にしても、いつまで待っても誠意ある回答がありません。

 そこで、まず、地域協定の見直し、運用改善の問題ですが、この問題は、ことし二月に放火容疑の米兵の身柄引き渡しを米軍が拒否したことを契機として協議されたもので、事件の発端から既に十カ月たっております。その間、六月には在沖縄米空軍兵士による女性暴行事件もありました。にもかかわらず、いまだに結論が出ていません。テロ事件への素早い日米協力とは余りにも対照的だと言わざるを得ません。テロ事件があったからといって、この問題の解決を先送りすることは許されないと、私は心から思います。

 九月に私は同じことを質問しましたが、そのときは、検討中とのことでした。一体いつまで検討すれば答えが出てくるのでしょうか。北米局長、もう答えは出ていますか。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この地位協定にかかわる問題等は極めて重要な問題でございまして、国民の方々の関心事項でもございますし、国会でもいろいろ議論を重ねていただいているところでございます。私どもといたしましても、この地位協定の運用改善等につきまして、できるだけ速やかに効果が出ますように米側と鋭意話し合いを行っているところでございますが、今委員から御照会がございました、起訴前の身柄の引き渡しに関する協定のアメリカ側との話し合いにつきまして、これは現在話し合いを進めているところでございますが、今、結果についてまだ御報告できる状況には至っておりません。

 しかし、私どもといたしましては、これは非常に重要な問題であるというふうに認識しておりますし、引き続き鋭意努力してまいりたいというふうに思っておりますので、引き続き御指導方お願い申し上げます。

東門委員 なぜそんなに時間がかかるのでしょうか。運用改善でうまくいくということで頑張っておられると思うんですよ。二月からこれまで、九月にも同じ質問をして、そのときの答えと今と全然変わらない、六月にもあったかと思うんですが。そういう状況というのはどういうことなんでしょう。なぜそんなに時間がかかるのですか。(発言する者あり)そうでしょうね。真剣にやっていないからだと今あちらの声がありましたけれども、どうなんですか、北米局長、担当者として。

藤崎政府参考人 お言葉でございますが、これは大変真剣にやっております。

 私どもといたしましては、これは私どもの仕事の中でも本当に最優先事項として一生懸命話し合いを進めているところでございますが、これはよく委員も御承知のとおり、日本側だけで決めているわけではございませんし、向こう側にもいろいろな立場というのがございます。しかし、私ども、この問題の重要性というものは十分認識しておりますので、これは本当に努力して、何とか早く結果を出せるようにということで引き続き努力しているところでございます。これは本当に真剣に努力しているところでございます。

東門委員 何がそんなに問題なのですか。相手があることだと何度もおっしゃる、それはわかります。相手がこれでだめだとおっしゃっているのは何なんですか。何がそんなに問題になって動かないんですか。それをぜひお聞きしたいです。

藤崎政府参考人 本件につきましては、先般七月に、この事件が起きました際にも引き渡しの問題が生じまして、大臣とベーカー大使あるいはパウエル長官等の間でも話し合いを重ねたところでございます。アメリカ側の方としては、アメリカ側の軍の要請、状況等というものがいろいろあるという御説明がございまして、私どもの方は、こちらの沖縄県の事情、国民の感情あるいはそういういろいろな情勢の問題ということを説明いたしまして、七月の際には、これは恐らく、国内においては必ずしも十分早くなかったという御指摘を受けているところでございますが、引き渡しが実現したわけでございます。

 今後、より速やかな引き渡しが実現するように私どもとしても努力をしていかなければなりませんし、もし進捗がないということでございますと御納得が得られないということはよくわかっておりますので、引き続き鋭意努力してまいりたいというふうに思っておりますので、ぜひ御支援をお願いしたいというふうに思っておるところでございます。

東門委員 支援してくださいと言葉ではおっしゃる。支援しようにも、何が問題なのか出てこなければ何もできないじゃないですか。それをむしろおっしゃってくださった方がいい。アメリカ側はこれに渋っている、これに嫌だと言っている、日本側はこう提案しているというのをおっしゃってくださった方がはっきりすると思いますよ。いかがですか。――もういいです。

 河野前外相は、運用改善について米国側と議論をして納得いく状況にならなければ地位協定の改定も視野に入れると何度も答弁しておられました。私も、それを何度もこの耳で実際お聞きしました。田中大臣も本委員会で同趣旨の答弁をしておられます。

 ということは、運用改善がこれだけうまくいかない、もういかないということははっきりしているじゃないか、ほとんど一年近く動いていないんですよ。そういう中で日本がとるべき道ははっきりしていると思うので、それであれば、地位協定の見直しをということで迫っていくべきだと思います。これについては田中外務大臣の御見解をお伺いしたいと思うんです。

田中国務大臣 申し上げます。

 ことしの夏の北谷町でのことがございました。あれは本当に、新しくベーカー大使が着任なさった日、その日に、皇居で私も侍立大臣をさせていただいて、その夜、飯倉公館にお呼びして、私はるる説明をいたしました。このままいったら本当に地位協定というものは完全に改正しなけりゃいけないし、議論が前へ出ないじゃないですか、あなた方、私たち日本人の痛み、わかりますか、直接これは本国へ伝えてくださいと熱を持って話をしました。着任したばかりの新大使はちゃんと聞かれました。そして、時差も顧みず、すぐ本国に連絡をするとおっしゃいました。その結果はごらんのとおり、御存じのとおりです。

 そして、パウエル長官とも、今度行かなければ、またこういう話も国連に行かなきゃできないんですけれどもね、バイのときも。大変いろいろなチャンスが、この国会が機能しないので行けない、話ができないのは大変残念だ。まあ、行かないと放棄しておりませんから、私はまだ外務大臣として最後の最後まで、国連に行って、そしてG8でいろいろなバイの話もしたいと思っておりますけれども、いずれにしても、その話はちゃんとパウエル長官の耳までベーカー大使から通っていまして、そしてああいう結果になったじゃないですか。今まだ本人は犯行を否認していると聞いておりますが、折あるごとに、こういう状態です、日本の警察も信頼してください、これが前例ですと言って、パウエル長官には、電話をいただくとき必ず私は話をしていますよ。

 ですから、全然動かないわけじゃないんです。熱を持ってやっていくということ、そして最悪、どうしても動かない場合では、改正も視野に入れていくということになると思います。ただ事件が起こるのを待っているということではありませんね。

東門委員 今、改正も視野に入れてと、ただ待っているわけじゃないと。

 では、その期限、例えば二月に起きた放火事件は、それも例示的に入れるということもまだですか、ちゃんと入っていますか、その件での話、合同委員会では。合同委員会の様子はどうなっていますか、北米局長。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきましては、合同委員会のもとに刑事特別小委員会という場を設けまして、本件を特に議論しているということでございます。

 私どもといたしましては、日本側としていろいろ改善すべきであるという点を各種提起し、議論を進めているところでございますが、今、この進捗状況あるいは結果について、今こういうところであるという御報告はできないわけでございますが、引き続き鋭意努力して、できるだけ早く本当に結果を出すようにということで頑張ってまいります。

 本件について、決して私どもとして優先順位が低い云々ということではございません。最も高い優先順位で努力しているということでございますので、よろしくお願いいたします。

東門委員 先ほどの北米局長の答弁で、そうだと思ってはいたのですが、今大臣の御発言を伺って、大臣は七月の件を例にとられて、これだけやっていますよというふうな答弁をされましたが、そこはお話ししておきたい。ちゃんと今の北米局長の答弁を聞いていただきたかったものですから、北米局長に改めて聞きました。

 私が聞きたかったのは、いつまで待つのですかということです。ずっと運用の改善、運用の改善で、頑張ります、頑張りますとおっしゃっているんですが、私、ここへ来てからもう一年以上になりますが、その前からあるんですけれども、一体どれくらい待てば可能なんでしょうか。

藤崎政府参考人 今、委員が御指摘の期間の問題について、具体的な日限ということは私は申し上げることはできないわけでございますけれども、これは今後とも十分に努力をさせていただきまして、できるだけ早くこの結論を出すように努力してまいります。

 具体的にいつということを申し上げることは今この時点でちょっとできないわけでございますが、引き続き鋭意努力させていただきますので、よろしく御指導をお願いしたいと存じます。

東門委員 同じような、いつまでにということをもう一つお伺いしたいのですが、沖縄の県内基地移設の問題です、普天間の基地。十五年使用期限問題があります。大臣、十五年とお聞きになると嫌な顔をされますけれども、しかし、私たちにとってはとても大事なことなんですよ。

 今、新聞では、リーフ上だとか、もう工法がほとんど絞り込まれてきているとかというのが出ております。そういう中で、期限の問題というのも大きいということを私は申し上げたい、強調しておきたい。

 それで、稲嶺現県知事は、十五年の期限、それから陸上案、軍民共用空港、この三点を公約にして当選しました。もちろん、自民党本部からも応援が行きました。それはそれとして、ただ、陸上案ということは、もうつぶれてしまっているような気がします。まだ決定はされていないとはいうものの、リーフ上というのが何か主に出てきているような気がするんですね。リーフ内であれ、リーフ外であれ、それは陸上案は外れる。その上に、十五年の使用期限というのも外れるのかなと懸念をしております。

 そういう意味で、何度もこの委員会でお伺いしていますが、アメリカ側のお答えは、ブッシュ大統領も難しいとおっしゃっているとかというふうに何度か聞きました。あるいは、パウエル国務長官も難しいとかおっしゃったとかおっしゃらないとか、そこのところはよくわからないのですが。

 とにかくアメリカ側の反応は厳しいというふうに大臣もおっしゃっていると思うんですが、その十五年の使用期限の問題も、本当に今の動きの中で、リーフ上と決める前に、そこもちゃんと十五年ですよということが言えるのでしょうか。そこのところをお聞かせいただきたいと思います。これは大臣にお願いします。

田中国務大臣 普天間の飛行場の件でございますけれども、これは十五年の期限ということは、今の知事さん以来大変こだわっておられるわけでございますけれども、アメリカにはアメリカのまた都合もいろいろありますけれども、私どもは、とにかく七五%以上の施設を沖縄が負っているということ、このことは自分たちの痛みとして感じておりますけれども、できるだけ早くこの移転の問題は実現しなければならないというふうにも思っております。

 そして、期限につきましては、アメリカ側とも緊密に協議もいたしておりますけれども、地元の御意見も十二分に伺いながら、基本計画の早期策定に向けて鋭意努力いたしております。

 官邸でもこの会議がありました。ケーソン工法でやるのか、どうなるのか、橋脚工法とかいろいろなやり方があると思いますけれども、それについての説明もございましたが、沖縄県での選挙がございましたですね、それらがあって、また、その後は県の方からもまだオファーが来ていないということでございますけれども、やはりそれらもまた加速化いたしまして、一生懸命取り組むようにしたいというふうに思っております。

東門委員 先ほど外務大臣が、テロへの対策特別措置法への決意をすごく元気よくおっしゃっていただいたのですが、私もお願いします。もっと積極的に、主体的に、小泉総理がとても好きなお言葉のようですが、もっと積極的に、主体的にやっていただきたい。テロの問題、大変です。私も、そのお気持ちは一緒のところもたくさんあります。テロを許してはいけないという面では本当に一致しています。

 しかし、沖縄の基地問題をそのままにしておいていいということは決してないと思います。百三十万人の県民が五十六年間ずっと苦しんでいます。これから何年ですかということをいつもお伺いするんですよ。何年ですという返事は返ってこないのです。私は、これを早いうちに、これから何年だということをぜひお聞きしたいと思います。アメリカ側と積極的に、主体的に交渉していただいて、基地の整理縮小をぜひ実現していただきたいと思います。

 できましたら答弁もいただきたいのですが、大臣、一言お願いします。これで終わります。

田中国務大臣 とにかく基地の問題、沖縄県の問題、私も何度も沖縄へ行っておりますし、七五%以上の施設が沖縄に集中していることが決して健全だとは私は思っておりません。

 日米安保の五十周年のときにサンフランシスコへ参りました。そのときに、安保もそうですし、サンフランシスコ講和条約、あの前のときに私は一つの覚悟をしておりまして、ただ単なるセレモニーであってはいけないと思いました、外務大臣という要職にあって。そのときに私は総理のところに参りまして、中谷防衛庁長官にも同行していただきまして、一つのことを提案いたしました。今それは申し上げられません。

 しかし、私はただ、だてや酔狂で勝手にこの地位にいると思ってもおりませんし、いろいろな批判は甘受いたします。物事には時間もかかります。そして、北米局長も決して楽な思いをしながら、こうしたこんにゃく問答のようなことを言わざるを得ないところ、私は大変お気の毒だと思っています。もっと楽に、フリーに、これはできる、これはできない、なぜか、何年かかるか、こういうことがお互いに言えるようにならなきゃいけない。私は、言えるような関係になれると思ってきているんです、今のベーカー大使も、パウエルさんも。ですから、G8も、アメリカだけじゃありません、ほかの国もです、大変なチャンスなんです。

 ですから、ぜひ言わせてくださいませ。国会から、今度私がニューヨークに行けば全部片づくとは申しませんけれども、この貴重なチャンスに日本の外務大臣を送り込む、意見を言わせるということ、あらゆることで、テロだけじゃありませんよ、その機会を国会の責任において、ぜひ送り込んでくださるように、あと数日、鈴木先生、大実力者でいらっしゃいますので、伏してお願いをいたしまして、答弁といたします。ありがとうございました。

東門委員 ぜひ期待しています。ありがとうございました。

吉田委員長 東門美津子君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る九日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会




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