衆議院

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第4号 平成13年12月5日(水曜日)

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平成十三年十二月五日(水曜日)

    午前十時三分開議

 出席委員

   委員長 吉田 公一君

   理事 河野 太郎君 理事 下村 博文君

   理事 鈴木 宗男君 理事 米田 建三君

   理事 安住  淳君 理事 木下  厚君

   理事 桑原  豊君 理事 上田  勇君

   理事 土田 龍司君

      池田 行彦君    小島 敏男君

      高村 正彦君    桜田 義孝君

      下地 幹郎君   田野瀬良太郎君

      虎島 和夫君    中本 太衛君

      原田 義昭君    宮澤 洋一君

      望月 義夫君    山口 泰明君

      鹿野 道彦君    金子善次郎君

      首藤 信彦君    津川 祥吾君

      中村 哲治君    前田 雄吉君

      赤羽 一嘉君    丸谷 佳織君

      山口 富男君    東門美津子君

      柿澤 弘治君

    …………………………………

   外務大臣         田中眞紀子君

   法務副大臣        横内 正明君

   外務副大臣        植竹 繁雄君

   外務大臣政務官      丸谷 佳織君

   外務大臣政務官      小島 敏男君

   外務大臣政務官      山口 泰明君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   政府参考人

   (人事官)        小澤 治文君

   政府参考人

   (人事院事務総局総務局総

   括審議官)        吉藤 正道君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    伊藤 康成君

   政府参考人   

   (法務省大臣官房審議官) 桂   誠君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   小町 恭士君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局国

   際社会協力部長)     高橋 恒一君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  西田 恒夫君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    縄野 克彦君

   外務委員会専門員     辻本  甫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十六日

 辞任         補欠選任

  原田 義昭君     坂本 剛二君

十二月四日

 辞任         補欠選任

  坂本 剛二君     原田 義昭君

同月五日

 辞任         補欠選任

  虎島 和夫君    田野瀬良太郎君

  細野 豪志君     津川 祥吾君

  牧野 聖修君     金子善次郎君

  丸谷 佳織君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

 田野瀬良太郎君     虎島 和夫君

  金子善次郎君     牧野 聖修君

  津川 祥吾君     中村 哲治君

  赤羽 一嘉君     丸谷 佳織君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 哲治君     細野 豪志君

同日

 理事桑原豊君同日理事辞任につき、その補欠として木下厚君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

十一月二十二日

 ILOパートタイム労働条約の批准に関する請願(石毛えい子君紹介)(第四八八号)

 同(瀬古由起子君紹介)(第五九九号)

 女子差別撤廃条約選択議定書の批准に関する請願(山口富男君紹介)(第五五九号)

同月二十九日

 女子差別撤廃条約選択議定書の批准に関する請願(石井郁子君紹介)(第八四四号)

 同(瀬古由起子君紹介)(第八四五号)

 同(中林よし子君紹介)(第八四六号)

 同(藤木洋子君紹介)(第八四七号)

同月三十日

 核兵器完全廃絶実現に関する請願(中林よし子君紹介)(第九九九号)

 沖縄の新米軍基地建設反対に関する請願(山口富男君紹介)(第一〇〇〇号)

十二月三日

 ILOパートタイム労働条約の批准に関する請願(北川れん子君紹介)(第一三二五号)

 子どもの権利条約の二つの選択議定書及び国際刑事裁判所設立規定の日本政府による早期署名・批准に関する請願(谷垣禎一君紹介)(第一五二五号)

 沖縄の新米軍基地建設反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五二六号)

 同(児玉健次君紹介)(第一五二七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 閉会中審査に関する件

 国際情勢に関する件




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     ――――◇―――――

吉田委員長 これより会議を開きます。

 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事桑原豊君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。

 よって、理事に木下厚君を指名いたします。

     ――――◇―――――

吉田委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、金子善次郎君の質疑に際し、会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、委員桜田義孝君及び赤羽一嘉君の質疑に際し、外務省大臣官房長小町恭士君、委員上田勇君の質疑に際し、外務省総合外交政策局国際社会協力部長高橋恒一君、経済協力局長西田恒夫君、委員首藤信彦君の質疑に際し、法務省大臣官房審議官桂誠君、委員金子善次郎君の質疑に際し、外務省大臣官房長小町恭士君、人事官小澤治文君、人事院事務総局総務局総括審議官吉藤正道君、委員土田龍司君の質疑に際し、外務省大臣官房長小町恭士君、海上保安庁長官縄野克彦君、委員山口富男君の質疑に際し、外務省大臣官房長小町恭士君、防衛庁運用局長北原巖男君、委員東門美津子君の質疑に際し、外務省北米局長藤崎一郎君、防衛施設庁長官伊藤康成君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜田義孝君。

桜田委員 自由民主党の桜田義孝でございます。今日は、我が国外交政策上の幾つかの課題、問題点について質問させていただきたいと思います。

 さて、田中外務大臣、就任以来、とかく話題性のある大臣として認識しているところでありますが、過日、参議院の外交防衛委員会でも指輪の一件が取り上げられたそうでありますが、私は、国家国民の利益の追求にほど遠い質問は避けて、真の日本の国益に関しての論点に絞って質問させていただきたいな、そんなふうに思っております。

 しばしば、日本外交は国家戦略というものが明確に打ち出せないというような問題を抱えているように私は認識しているところでありますが、過日の外務委員会における質疑の中で大臣は、外交をやらせてくださいと強くお話をされていたことを記憶しているところであります。

 そこで、外務大臣に、いささか大上段の御質問でありますが、外務大臣として今何を一番やらなければならないか、あるいはやりたいと考えているか、外務大臣は日本の国家外交戦略というものについてどのような認識に立たれているのか、小泉総理の外交執行人として田中外交の目指す道というものをぜひお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。まず第一点であります。

田中国務大臣 私は、四月二十六日に外務省に着任いたしましたとき、省内でも、それから官邸での外務大臣就任の記者会見でも申したことがございます。それは、外交はまず日本の国益を考えること、国運の進展、そして諸外国との平和的、安定的な発展に資するようにすること、これが外交の要諦であるということを申しました。その気持ちは今も変わっておりません。

 その中で、では具体的に物を進めていく中でどういうふうなことがあるかと申しましたら、まず、二国間の問題というのが当然ございます。それから、グローバルに、集団として、固まりとしてという問題があると思います。

 二国間につきましては、やはり近隣諸国との関係、中国、韓国との関係、こういう近隣は大変重要だと思います。なぜかというと、地政学上変えられないものでありますし、過去からの長い伝統を引きずっています。それを踏まえて、将来どのような展望を持つかということであります。

 それから二点目は、戦後の日米基軸、日米同盟、これがずっとあったおかげで今日の日本の発展があった。戦後のアメリカからの御援助、それについて私どもは決して忘れてはいけないと思っています。

 したがいまして、将来の展望の中で、日米基軸と近隣諸国ということは、二国間でも特に重視しなければいけません。

 そして、さらには地域間で、グローバルな問題では、もちろんアジアであり、アフリカであり、ヨーロッパであり、中南米であり、オセアニアがありということがありますけれども、そうしたグローバルな、全体の地域別に、さらに世界全体のビジョンの中で、中東ももちろん入っていますけれども、そうしたとらえ方を、俯瞰図的に見ていくということを、有機的に連携づけるということを常に念頭に置いております。

 ですから、言ってみればいろいろな糸があってそれがすべてつながっていますが、それを一本で持つこともありますし、複数を束ねて持つこともあるし、全部を持って見るというふうな視点も必要だというふうに思っています。

 しかも、それのアクセスに当たりましては、ロングレンジで、長期的展望で、こうあってほしいという世界のコンセンサスがありますから、結論的には平和とか安定とかということに行くわけですけれども、そのゴール目がけて、長期的にはどういうふうなやり方をするか、どういう判断をするか。

 それから今度は、その長期的展望に持っていくために、短期的に、例えば一年ではどうするか、それからもっと近いレンジでいきますと、今何をするべきかということがあると思いますので、そうしたことを、たて糸とよこ糸と斜め糸とあると思いますが、言ってみれば、グローブというか地球というか、まさしく外交は世界じゅうを包含していますから、立体としてとらえるということ。横の時系列で、もちろん歴史的関係等もとらえますけれども、立体としてとらえていくというような物の見方をしていきたい。このことがやはり結果的に日本の国家戦略であり、世界観につながるというふうに思っています。

桜田委員 大変貴重な、田中外交の基本にかかわることをお伺いさせていただき、ありがとうございます。長期的な問題と中期、短期的な視点からとらえられていただいていることについて、安堵感を持ったところであります。

 これから一生懸命外交をやる上において、多少懸念されていることは、外務省の省内のことに若干触れさせていただきたいなと思っております。とかく外務省のモラルというものが問題になっているわけですが、昨今の外務省における不祥事というものも非常に国民を失望させているところがあります。政務官時代に私の方にも、桜田さん、外務省の改革を一生懸命やってくれというふうな、国民あるいは支持者からの期待も非常にあったところであります。そして最近、大量処分が発表されたプール金問題についても、大変国民の間で不信感を持っているところであります。

 その中で、田中外務大臣に御質問したいのは、外務省の中のモラルというものはもう立ち直っているのか。さまざまな事件の中で、まだまだなかなか直らないというような認識をしているのか、次第に一件落着をして新たなる再スタートにふさわしい段階にいっているのかということについて、どのように把握しているのか、ちょっとお伺いしたいなと思います。

田中国務大臣 外務省は、本省と在外公館で約五千人の職員がおります。百三十二年の歴史があります。こうした事実の中でいろいろな不祥事が、内部チェックあるいは外部からのチェック、特に国民の皆様の目にさらされることもなく今日に至っているという事実をしっかりと踏まえて、これからどうするかということ。

 たまたま本年一月の、もうすぐ一年になりますけれども、松尾事件というものが発覚してからこの一年間、前の森内閣、河野外務大臣から小泉内閣の私にこのことが引き継がれて四月以降来ているわけでございまして、内閣がかわったからそこで終わるということではなくて、むしろ付随してといいますか、いろいろな問題が次から次へと引きも切らず出てきております。

 これにはやはり対応しなければなりませんが、私が対応している大きな眼目というのは、外務省を蘇生させること、再生させること、過去の諸先輩、今現役の方、キャリア、ノンキャリアを問わず、それから将来外務省に携わる方たち、そういう長いスパンで見たときに、今はやはりうみを出し切って再生をするために与えられたチャンスである。そこに私たちは、外務大臣であり、副大臣であり、政務官であり、外務委員会のメンバーでいらっしゃるというふうに私は思っておりますから、その中でもってやはり納税者である国民の皆様、主権在民ですから、そういう皆様が納得してくださるようなものをしっかりと提示していく。つらいことであってもメスを入れて、できる限りはっきりしていく。殊にお金と人事については、透明性と説明責任というのがあると思いますので、普通の世間一般の民の常識から見て、なるほどね、確かにそうだと思われるところに、まず省員の、そして我々かかわっている人間みんなの意識をそこに持っていかないと再生はできないと思います。

 話は全然別件ですが、数週間前に、たまたま私が住んでおります家のすぐ隣が大蔵省の国家公務員グラウンドでございまして、そこで各省庁がよく野球やテニスをやっていまして、ほかの省庁のときも私も散歩がてらによく週末に行きますが、たまたま外務省の方たちが野球大会をやっていて、私も到来物等を持って行って終日応援していました。皆さん生き生きと、省内対抗で最後のたまたま決勝戦でして、大変盛り上がっていて、御家族もお子さんたちも皆さん来られていて、もう大変楽しくて、だれもそんなときには松尾事件もプール金の話もしないし、だけれども、やはり一丸となっていて、一緒に写真を撮って、本当に和やかな一日を過ごしました。

 そういう中で、結構やはりいろいろなことをおっしゃる方もいるし、そのときだけではなくて、皆さんやはり外務省をよくしたい、早く払拭したい、だからやることを早くはっきり片づけましょう、今後あったら、また大臣、頑張ってください、応援していますから、対応しますよと言ってくださっています。ですから、幹部は幹部なりに、中間管理層、そしてそうでないまだ入ったばかりの方たち、それぞれ男女を問わずよくしたいという気持ちはあります。

 したがって、そういうよいことに向けて我々はやっているんだということ、今は一つの通過点であるというような認識を持たないと、これでめげてしまって、つまらない矮小化した個人攻撃にならないように、やはり長い流れの中で、今通過点で切り返しているのである。今ハンドルを大きく切って、そして、霞が関の省庁の中で、二〇〇一年の外務省改革は大変なものだったけれども、外務省こそが立派なモデルになっていると言われるようにするために、つらくとも頑張ろうということでございます。

桜田委員 大変力強い御発言でありがたいなと思っておりますが、そういったことで、外務大臣、副大臣、政務官、それと職員と一体となって、力強い外交政策を進めていっていただきたいな、そんなふうに思っているところであります。

 続いて、外務大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、経費の明確化ということでちょっとお伺いしたいんですけれども、今プール金問題で、外務省の皆さんがいろいろ説明してくれたり、新聞紙上で発表されたりしていることで、プール金が一億六千万使って四千万残っていた、トータル二億で、一億六千万のうち半分はいろいろな経費に使った、しかし半分は自分たちのために使ってしまった、そういったことの中で、半分経費として使ったその部分のことを言いたいわけであります。自分たちで使ったものについては厳しく批判されなければならない問題でありますが、その半分の八千万は、自分たちのために使ったんではなく外交政策の一環として使ったといういろいろな説明があります。

 例えば、某国の大使だけ呼んであるのが、どうもホテルに夫人と一緒に来てしまった、そして夫人の分は予算化をしていない、その分はなかなか払っていただけない。あるいは、食事も外で食事をする基準がある、しかしホテルの中で夫人と一緒に食べてしまうので、その分も予算化をしていない。あるいは、自分のホテルの中から母国にばんばん電話をするので電話賃がかさんで、それも支払っていただけない。いい気分で来てもらっているのに、金、金、金ということで最後に気まずい思いをすることがないようにということで、こういうものが制度化してしまったということを伺っておるんですが、私は、こういうことは正規の外務省の経費という面から、何も秘密にしたり、こういうプール制を設けなくてもできることなんではないだろうかと思うんですね。こういうことを職員がやらなければならないようなシステムをやはり改善する必要があるんだというふうに思います。

 私は、ぜひこういった面を、制度のシステムとして経費の明確化というものを改めて外務省に求めて、そういったお金は財務省でも、外務省のトップの方が決断をして、どんどんこういうお金は出していただく、経費としてちゃんと出してもらう、そして透明性を高める、こういう努力が必要だと思うんですが、その経費の明確化ということについて改めて外務大臣にお伺いします。

田中国務大臣 もう桜田委員がおっしゃるとおりだというふうに思いますので、それをもう実践するのみだというふうに思います。

 次期予算でございますけれども、今回の予算の中だけでもって完璧を期しても、なかなかそうでないこともあり得るんですけれども、やはり予算をつくるときに、きちっとスリム化して、そしてこれは一番必要経費であると。しかし、今委員が指摘なさったようなバッファーとしてゆとり、緩みは必要でありますから、ぎちぎちに締め上げたらもうにっちもさっちもいかなくなりますから、過去の統計からいって、今、平均このぐらいがアベレージで必要であるというものはお願いをしていきたいというふうに思います。

桜田委員 私は、外務省というのは、人と会ったり食事をしたりすることもやはり大事な、仕事の大きな部分でありますので、こういったことについては弾力的に取り計らうべきだな、常に明確化を求めながら今後もやっていただけるようにお願いしたいと思っています。

 それから、官房長にちょっとお伺いしたいんですが、プール金に絡んででありますが、野上事務次官は、プール金の問題の処理をもって一連のけじめをつけ、国民の期待にこたえる役所として再出発したいということを申しておりますけれども、外務省の調査報告書では各課別のプール金の内容が発表されておりません。このような中途半端な発表では、けじめをつけた外務省の再スタートというには若干異議があるというような見解に立つ者として、各課別の内訳は公表できないものか、調査を直接担当している事務方のトップである官房長にお伺いしたいなと思います。

小町政府参考人 桜田先生の御質問に関連いたしまして、まず、今回のプール金の問題に関して、外務省員といたしまして心からおわび申し上げたいと思います。

 今御質問の点でございますけれども、プール金の問題は、外務省の中で広く見られた慣行であったということがございます。したがいまして、特定の一部の個人の責任が明らかである場合を除きましては、外務省員全体として責任を分かち合うべきものであるということから、調査報告書におきましては各部局ごとの発表とした次第でございます。このような事情をまず御理解いただきたいと思います。

 他方、今先生から御指摘があったこともございましたので、どのような形で今の先生の御指摘の点をお示しすることができるのか、検討したいと思います。

桜田委員 では、各課別の内訳というものは後日発表するというふうに認識してもよろしいですね。

小町政府参考人 今の先生の御指摘を踏まえまして、どのような形でお示しすることができるか、至急検討させていただきたいと思います。

桜田委員 では、ぜひ早目に研究して出していただきたいなというふうに思います。

 そこで、次に移りますが、外務省の情報収集能力というものについてちょっとお伺いしたいんです。

 戦略性のある外交の推進ということになりますと、我が国では、美しい国土はありますけれども資源がない、特にエネルギー関係の資源がないということで、いろいろな諸国とつき合うためには、戦略性と戦術性が時には必要ではないだろうかと思っております。日本を取り巻く環境として、特に中国の国際社会における台頭というものが大きくクローズアップされているところでありますし、隣国、朝鮮半島の情勢もいまだ不透明であり、遠くの方ではパレスチナの自爆テロも頻繁に行われており、中東和平についても楽観を許さないような状況の中にあります。

 こんなときに、戦略性のある外交というものを組むときに、やはり情報収集能力というものが極めて大事ではないかなと思います。その分析において、中国がWTOに加盟すると、大きく世界情勢、とりわけ日本の国益にかかわるような情勢が極めて大きく影響されるところになっております。ましてや、中国が自由主義経済圏の中に組み込まれて仲間入りしてくるということは、日本にとりましても、経済圏が広がる、ただそれだけを喜んでいるような状況ではない。経済産業省の方では、産業の空洞化が物すごく進むのではないだろうか、あるいは農業関係の人なんかも、農業貿易、セーフガードの発動等にも絡みましてわかるように、非常に将来性において心配をしているところであります。

 私も、この中国に対する国家戦略というものはきちっと数量的に把握できないところなんですけれども、戦略性のある外交というものについて、どのように中国と対峙をしているかということについて、外務大臣の見解をお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 二つおっしゃったと思います。

 まず、情報収集の方ですけれども、これは一番直近の例で申しますと、アフガニスタンのケースですと、ザヒル・シャーという国王のところにイタリア大使の林さんが面会に行って情報をとるとか、それから、ついこの間も宮原という課長が行って話を聞いてくるとか、それから、もちろん今現在の沼田大使が政府の関係者に会ってくるとか、そのほか民間とかNGOと会うとか、そういうふうにあらゆるパイプを通じて情報収集をやり、それを分析して具体策を立てているということは申し上げられます。これは具体例でございます。

 それから、中国の問題。

 これは、WTOにこの間加盟しましたけれども、私もその前のときのシンガポールのWTOの会議に参りましたけれども、そのとき既に、その後中国が加盟するという前段として、個別でちょっと話を交換した国もございますが、日中国交回復をした当時と今の中国がどれだけ違っているかということについて、将来の展望も含めて日本は分析していかないと、今先生がおっしゃったように、やはり両国にとって裨益するものでなければいけないのであって、そのことが日本の経済、特に農業分野に圧力をかけてくるとか、日本がそのことによってどんどん窓際に押されていくんじゃ困るわけですから、私、ODAのあり方もいつもそう思っておりますけれども、WTOへの中国の加盟も、基本的には市場主義経済に入られることはいいことですけれども、しかし、そのことによって日本が対応策を考えていないといけないわけですね。まさしく近隣でありますし、密接不可分な、近い、一衣帯水の距離にあるわけですから。

 したがいまして、日本もやはりそういうことを、どうなるかということを分析して戦略を持たないとならないと思っていますから、大変いい御指摘をいただいたというふうに私は思っております。いつまでも日中国交回復のころの、あの時点でいるとならないんではないか、頭を切りかえていくということを思っています。

桜田委員 外務大臣の中でシンガポールの話が出ましたけれども、日本とシンガポールは自由貿易協定というものを結んで前進をしていると思うんです。ただ、私は、日本とシンガポールの経済規模の大きさとかからいうと必ずしも、これを一つのステップとして、できるならば、日本の企業が東南アジアから中国にいろいろな経済的視点を移しているようなとき、中国と東南アジアもまた非常に密接な関係を求めているところでありますので、ややもすると日本の経済力というもの、やはり一番近い隣の韓国でありますとか台湾であるとか、その韓国、台湾を中心とした民間レベルの、あくまでも国と国の関係ということではなくて民間レベルの話として、自由貿易経済圏のような構想を打ち上げて後押しするような考えはないかどうか、その辺もちょっとお伺いしたいなと思っております。

田中国務大臣 我が国政府は、WTOによる多角的な貿易体制というものを補完して、さらに自由化や経済の活性化を進めるための一つの方策として、今おっしゃった二国間の協定を交渉することとして、シンガポールとの間で、この間、貿易と投資のみならず幅広い分野を対象とする経済連携の協定というものを確定したわけでございますね。それは成功裏に終了いたしましたけれども、これは言ってみれば、今おっしゃったような経済規模というものもありますから、協定の一つのモデルだというふうに思いますので、アジアとの幅広い経済連携ということをトータルに考えていく必要があるというふうには思っております。

桜田委員 ぜひそうしていただきたいなと思います。日本と同じ共通の価値観というものを持っているのは、どうしても、近くだと韓国や台湾が一番近いんではないだろうか。日米は一番価値観を共有しているところでありますけれども、なかなか隣国というわけにはいきませんので、どっちかというと、文化的な面からも日本はアジアでも割と孤独な立場に置かれやすいので、隣国との強化といった意味からも、経済の面から進めるのも一つの案だろうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、次に植竹副大臣にちょっとお伺いしたいんですが、私は、プール金の問題とかいろいろ外務省の問題、あるいは戦略性のある外交というものの取り組みのことについて、政治主導型の政治をということで、政治主導型の外交もぜひお願いしたいと思うんです。

 そんな中、プール金の問題一つとっても、もし副大臣のような政治家がプール金の問題を事前に知っていたならば、経費の明確化なんというのはさっさとやっていたはずなんですよね。私はそう思うんですね。ですから、政治がもうちょっと官僚組織の中によく関与してかかわっていくということが今後とも必要ではないだろうかというふうに思っています。

 そして、日本の外交というものは、やはり今大変な時期でございますので、一官僚とか一政治家にゆだね過ぎないで、やはり幅広く民間人の登用というものをして、日本外交というものを重層な組み合わせにしていった方がいいんではないかというふうに考えておるところであります。

 そんなことで、今後も、在外公館や大使等もありますね。例えば日本でいうならば、駐日大使はアメリカの元政府高官でありますし、そのように日本でも政治家の活用というものも、各国の大使に登用したりする考えも、私は政治主導型の体質をつくるにはいいかなというふうに思うのですけれども、植竹副大臣の所感をちょっとお伺いしたいと思います。

植竹副大臣 桜田委員の御質問でございますが、政治家主導の外交ということでありますが、今日、非常に世界は多種多様化し、目まぐるしく変化する中で、私は、政治家主導であるということは、まことに必要だと思います。特に、全世界を統一的に考えるためには、日米外交を基軸としていくためにも、政治家主導の外交というものは今後とも必要だと、これは重ねて申し上げます。

 なお、プール金の問題につきましても、今、副大臣それから政務官主導のもとにいろいろと外務省改革をやっておりますが、この点につきましても、政治が主体となってやっておるということでございます。

 さらには、民間人の大使起用、あるいは閣僚経験者の政治家の起用につきましては、過去、大隈信幸先生、これは参議院議員でございまして、大隈重信先生の孫でございますが、この方が大使をやられたり、あるいは高原須美子先生、これは経済企画庁長官をやられた方を大使に起用するなど、そのほか、今の遠山文部科学大臣につきましても、これは官僚として登用して、その後大臣になられた方、こうやって非常に適材適所の方を大使に登用して、幅広い外交を進めておるところでございます。

桜田委員 政治主導型ということで、副大臣にありがたいお話を聞かせていただきました。

 それと、私も政務官の経験者としてぜひお願いしたいのは、大臣、副大臣、政務官、せめて政治家だけの会合をやはり最低一時間や二時間は週一回必ずやっていただきたいように思うのですね。政治家の意思疎通というものが日本の外交の方向性を定めるにはどうしても不可欠だと思っておりますので、外務大臣、有能な副大臣、政務官がおりますので、人材を駆使、利用し尽くすということをぜひ念頭に置いて、政治家が一丸となって、官僚の人に伸び伸びと働いていただく、ややもすると自信喪失の気があると思いますので、先ほどの外務大臣のお話がありましたように、前向きにしっかりとやっていただきたいなと思っています。

 それと、時間がなくなりましたけれども、アフガンの問題をちょっとお伺いしたいと思うのです。

 アフガンが今ボンで代表者会議をやっていて、アフガン統一に向けた新しい政権の枠組みについて話が進んでいるやに伺っております。そしてまた、今、ワシントンでは高級事務レベルクラスの会議が行われているというふうに聞いております。また、一月には、東京でアフガン復興会議が予定されているというふうに伺っております。

 やはり日本は、アフガンも同じアジアの一員として、アジアにおける日本の役割、リーダーシップというものが強く世界から求められているところではないだろうかというふうに考えておるのですが、復興会議ということで、日本がアフガン復興に対してどのような役割を期待されているか、また、日本はどのようなことを予定されているか、外務大臣にお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 おっしゃるとおり、十一月二十七日からボンで会議が続けられておりまして、一番直近もどんなかということも、けさ、こちらの八時ごろに役所の方で電話をかけて聞いていただきました。向こうは夜中の一時でしたが、まだ会議をやっていると。なぜかと聞きましたら、ラマダン中の方もおられて、お食事は日が沈んでから召し上がるので、夜になって元気になって、今、夜中の会議をやっているということですので、その一番直近の意見も聞いて、どんな状態か伺いました。

 もう報道もされておりますが、暫定政権の設立、それから治安維持のあり方、そうしたことにつきましてはアフガン各派からもほぼ合意を得ているという状態でございまして、議長でありますとか閣僚のメンバーとか、これは朝のニュースでも報道されておりましたけれども。もう余り時間差がないのですね、今申しましたように。こちらが朝八時にかけているのと、七時のニュースで言っているのと、中身がそう違っていません、もうグローバル化で、インターネットのおかげで。したがって、そういうふうな具体的な人選にまで進んでいるということを御報告申し上げます。

 それからあとは、一月後半に日本でもって、まだ場所は決まっておりませんけれども、復興会議をいたします。それにつきましては、今まで、私がパキスタンに行ったときに、国際機関あるいはNGO、それから政府の方その他、現場の方もそうですが、いろいろな方から話を伺って、そして、日本に、きのうまでTICADというアフリカの会議がございまして、それに関係のある国の方たちが来ておられました。そういう方たちからの意見もトータルで聞くと、どういう復興がいいのかという質問に対する答えは一つでした。それは何かといいますと、アフガン人のためのアフガンの方たちがつくる国家づくり、これに尽きます。

 すなわち、アフガンの方たちが一日も早く自分の国元に帰還をして、ふるさとへ帰って、そこで安心して生活ができるような政治体制。と同時に、一般の、いわゆるインフラ整備といいますか、いい水が出るとか、それから地雷も撤去してあって農地がきちんと確保できる。それからまた、ガバナンスということをよく外人が言われますが、統治をするというシステムが、町長さんも村長さんもないわけですから、そういうシステムから、もう一から始めなきゃいけないわけですね。また、農地に行っても技術がなければ生活もできない。

 そういうふうなものをどうやってやっていくかという、本当にさらから、地雷をどけて、そこのところからどういうものを有形、無形でつくっていくかということを、アフガニスタンの方たちがどう考えるかということを中心として、復興国家が、私たちみんなが、周辺の諸国、日本のような国、あるいは米ソのような大きな国も一緒に、その方が喜んでくださるために自分が何ができるか、応分にやるということがアフガン復興の基本でありますし、そうした認識のもとに進めてまいります。

桜田委員 政権の枠組みもさることながら、特に自立できる経済を構築するには大変な努力が必要と思いますので、ぜひ経済復興についても御尽力いただきたいと思っております。

 また、日本の外務省、アフガン問題については、情報収集において極めて卓越した働きをしたということを最後につけ加えさせていただき、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございます。

吉田委員長 桜田義孝君の質疑は終わりました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽でございます。

 外務委員会での質疑は久しぶりでございまして、本来であれば田中外務大臣と、日中間また日韓間の歴史認識の問題とか、流動化するアフガン情勢についての、国際情勢についての議論をさせていただきたいところでございますが、きょうはあえて、大臣が御熱心に取り組んでこられていると伺っております外務省改革について、限られた時間でございますので御質問をさせていただきたいと思います。二十分しかないものですから、端的にお答えをいただければというふうに思います。どうか煙に巻くような答弁はなるべくしないように、よろしくお願いしたいと思います。

 このプール金の問題について、いろいろ聞いておりまして、私、大変理解しにくい。大臣、副大臣、事務次官、官房長の記者会見のホームページもほとんど読ませていただきましたし、随分いろいろ自分なりに考えておりました。

 私、実は、植竹副大臣と同じで、政治家になる前は三井物産という総合商社に勤務をしておりました。ある意味じゃ外務省と似たような仕組み、世界中に拠点を持っている、海外支店長の権力が大変大きなものがある、こういったものの中で、余り民間企業ではこういったスキャンダルというのは起こり得ないという常識の中で、総合商社の職員よりも極めて優秀なスタッフがいるはずの外務省でこのようなことがずっと続いているということは、まじめな思いとして、なぜそのようなことが発生してしまうのかなということを、よくわからないという気持ちでおりまして、まじめな気持ちで、素朴な気持ちで幾つか質問させていただきたいというふうに思います。

 一つは、この一月の松尾元室長事件におきまして、外務省の中でいわゆる荒木委員会というものが発足し、その調査がされ、四月の末に記者会見というか、取りまとめの発表が行われたときに、外務省職員、また幹部の公金に対する認識、意識の低さということが指摘され、それが大きな要因だったと。このことについてもちょっとよくわからないなという気がするのですが、その時点で調査をしたけれどもこれ以上は出てこなかったというような話の中で、その時点でなぜ今回のプール金の件については問題として指摘がされなかったのか、ぜひちょっと教えていただきたいと思います。

小町政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘の荒木調査委員会でございますけれども、これは松尾事件に関連して報道等で提起されたいろいろな事案の事実関係とともに、主に総理の外交に関係する外務省の体制上の問題について調査を行ったわけでございます。その時点におきましては、先ほど申し上げましたように、松尾事件を契機とした内部調査でございましたので、当初、外務省と企業間の取引に際して生じますプール金の問題が対象となっておりませんし、かつ、この段階ではこの問題が顕在化していなかったという事情がございます。

 いずれにいたしましても、プール金問題の原因には、今御指摘のとおり、基本的に外務省職員の公金に対する認識の甘さがあることは確かでございますので、これを踏まえて再発防止のために努力していきたいと思います。

赤羽委員 確かに荒木調査委員会というのは、松尾事件に関しての官房長の御答弁のような趣旨での委員会だったと思いますけれども、そういったことの目的で調査したから同質の違う分野のことについて言及しなかったというのは、こういうのをやはり詭弁というのじゃないかなと思いますね。知らなかったのですか、わからなかったのですか、当時。七割ぐらいの課でつくられていたこの制度を、あの時点で知らなかったというのは、ちょっと僕はよくわからない、とてもこれはまず理解できない第一点なのですけれども、その点についてはどうなのですか。知らなかったのか、問題という意識がなかったのか、どちらなのか、またどちらでもないのか、明確に。

小町政府参考人 いわゆるプール金の問題を、我々として非常に大きな問題として認識いたしましたのは、七月のハイヤー詐欺事件に関連してでございましたので、この荒木委員会の時点では十分それを認識していなかったという事情はございます。

赤羽委員 私が聞いているのは、問題として認識していなかったのか、プール金という制度があることを知らなかったのか、このことを聞いているので、ちょっとその点について。

小町政府参考人 プール金というやり方について十分認識していなかったのではないかと推察しております。

赤羽委員 三百人もの方が処分されるようなことを、官房長がたまたま知らなかったのかどうかわかりませんが、いわば組織ぐるみだというふうな、組織ぐるみというか、多分慣行的なものとしてやられていたんだと思うのですよ。それは、限られた予算の中、または柔軟的な対応ができないというような業務的な必要性が多分あったんだろうと思いますよ。しかし、そういうことを知らなかったという答弁はちょっと理解できないのですよ。慣行としてやっていたものが問題性として自覚できなかったということじゃないのですか。そこははっきりしないと議論が始まらないし、本当の改革ということにつながらないんじゃないかと思うのですが、その点、ちょっと改めて。

小町政府参考人 我々として、その問題についてもっと十分認識をしているべきであったというふうに思いますけれども、実際問題として、十分その認識が足りなかったということはあると思います。

赤羽委員 余りはっきり答えていただけないのであれですけれども、どうも事務次官の記者会見とか見ていますと、けたはこんな大きいものじゃなかったという、多分そういう自覚だったのじゃないかと思うのですよ。ふたをあけたら約二億円なんという数字が出てきてびっくりした、知らなかったということなのかなとは思うのですが、ちょっとこの会計のシステムのあり方として、私、思うのですが、私たちがいた総合商社というか民間企業は、会計部門というのは独立した存在なんですね。会計部門の人間から社長になったりするケースもあるし、会計部門から当然副社長ぐらいまではなるわけです。そのくらい大事なものとして、会計というか総務担当というか、非営業部門というところで独立性が保持されているわけなんです。

 そういった意味で、在外公館なんかは恐らく海外支店と一緒で、支店長とか大使の権限というのは物すごく強いものだと思いますが、その人がぎりぎりのところの選択を迫られたときには、自分の所属する、帰属する本店の、本省の会計局のトップの方を選択するわけなんですよ。そのくらい峻厳なものを迫られている。それはなぜかというと、やはり国税当局による税務検査も入るし、きちっとしたものをつくらなければいけない。ですから、会計とか経理とか総務とかといったところの仕事というのは非常に尊重もされているし、総合商社というのは営業マンになりたいと思ってほとんど入ってくるのだけれども、入った中で、何年間かのプロセスの中で適性というものを自分で感じながら、経理部門に喜んで選択をして入っていく。こういったプロセスがあるから、私は、海外においても国内においてもこういったスキャンダルというのは出ない、出る余地がないというふうに考えているのですね。

 ですから、各地域課の庶務担当という方がいて、その人たちが余り専門家でもないのにそういった仕事を任されている、そのチェック機能が働かない中で、人間ですから、昇進の見込みもない中でああいった悪事に走る人間が出てしまうというのは、もちろん本人の問題ではありますけれども、やはり機構的なシステムの問題であるというふうに、私はそう感じているのですね。ですから、いろいろな改革が今議論されているので、あると思いますが、この適性というのは入ってから見きわめながら会計部門の独立性を保持するような、そういう機構改革というのは考えられているのかどうか、どなたでも結構ですけれども、御答弁を。

小町政府参考人 今先生御指摘の、特に外務省の幹部職員におきまして、会計等に関する知識あるいはその責任感といいますか、それが十分ではなかったのではないかという御指摘は、甘んじて受けなくてはいけないというふうに私は認識しております。

 今の最後の点でございますけれども、会計専門家を育てまして、それによってこれからこのようなことが起こらないようにするべきだということは、そのとおりだと思います。我々としては、会計担当職員に対する研修を充実させるとかいろいろなことをやりまして、十分精通した担当職員を各部局や在外公館にも養成していきたいと思っておりますし、今までの研修に加えまして、いろいろな指導及び監察査察制度というものを充実させていきまして、不祥事が再び起こらないように体制を整備していきたいと思っております。

赤羽委員 最後の、監察査察制度という御答弁が今ありましたけれども、同じ省内でそういう監察とか査察という部門を設けること自体、私は異常だと思いますよ。同じ会社の中で監察する部門があるというのは、私は、どうもそれもしっくりこないのですよ。一つの機構なんだから、そんなことする必要がないような会計制度というものを担保すればいい話じゃないかと僕は思います。

 要するに、別に官房長だけに聞いてもらうわけじゃないのだけれども、会計課であろうと専門職であろうと上級職であろうと、誇りを持って前向きな気持ちで仕事ができる環境をつくるということが一番大事なことなんじゃないのかなと僕は思うわけですよ。そこが何かちょっとよくわからない。

 かつ、ちょっと細かい問題で一点だけ気になったのは、ホテルごとのルームレートというか部屋代が、地域課によってとか個別ネゴになっているというのは異常じゃないですか。大体、企業とニューオータニとだったら定額の二割ディスカウントとか、B社だったら三割ディスカウントとか決まっているものですよ。そういうように会社の中でホテル代が決まっていなければ、いわゆる大臣官房支出官のところで最後にチェックするとき、チェックできないじゃないですか。一泊二万円と出てきた、これが正しいのかどうかというのを全然チェックできない。だから、ホテル側とぐるになったら、これはどうしようもないのですよみたいな間抜けな総括になるのですよ。

 定額で泊まっているのかどうか、定額から二割ディスカウント、三割ディスカウント、外務省としての定額というのが定まっていないから、こういう、そもそも論として、プール金の大半がホテル代だったというふうに報告を受けていますけれども、僕は、やはりそういった初歩的なところにおかしさがあったのではないかと。これはホテル側の責任も大きいですけれども、そういう個別ネゴ、これもそもそも論で言うと、予算が非常に限られているというところに由来するのかもしれないけれども、そういった意味で、ホテルレートをちゃんとフィックスさせてやる、そこに余り交渉が入らないように各ホテルにも協力をさせる、協力できないようなホテルは使わないぐらいの毅然たるものを持った方がいいのではないか。ちょっと細かな話で恐縮ですけれども、その辺についてはどうでしょうか。

小町政府参考人 今先生御指摘の点でございますけれども、ホテルの値段といいますか、それにつきましては、もちろん繁忙期とかいろいろな変動要因があることは御案内のとおりでございますけれども、他方、価格の妥当性についてちゃんと我々が調査を行って、その結果を反映させたり、あるいは、いろいろな調査、実績、他のホテルとの価格等の比較等、さらにそういうことをやっていく努力をしていかなくてはいけないと思っております。ただいまの御意見につきましても、受けとめて検討させていただきたいと思います。

 なお、プール金につきましては、プール金といったようなものが発生することを我々が想定していないのだということをこれからさらに周知徹底していくべき努力をしていきたいと思っております。

赤羽委員 それと、プール金の問題もそうですが、ずっと総括で、公金に対する意識が低かったと僕は冒頭申しましたけれども、それについての研修だとか何かという話になっているのだけれども、公金に対する意識の低さとかそういうことは、そんな難しい話ではないのですよ。税金で自分たちが飲み食いしちゃいけないというのは、別に小学生、小学生ではわからないかもしれませんが、普通の社会人なら当然わかっていなきゃいけない話で、こういうことを総括に出すこと自体、何か非常に恥ずかしい話なのではないかなと思うのです。なぜこういうふうな社会人としての基本的なことがマスターできないかというと、私の想像ですけれども、やはり今の人事制度にあるのではないか、根差しているのではないかなと。

 入省して、今は一年目か二年目に海外研修、語学研修に出る。語学の熟達の必要性がある。そしてその後、当然在外公館でそのまま勤務をする。在外公館というのは、恐らく二十四時間プライベートはなしで、公的な職場だ。毎日のように外国の要人、日本からの政治家、日本の東京にいてはなかなか会えないような方たちと接触をしながら、まさに外交官としての仕事を覚えるわけですよね、恐らく、想像するに。そうすると、当然自分の金で飯を食うなんという話ではなくなると思うのですよ。多分、本庁勤めと在外公館の勤務の給料というのは、家賃の問題とか在外勤務手当なんかも入ると、三倍近くなるのではないのですか。

 そういう中で東京に帰ってくると、途端に、突然にサラリーマンとしての現実に戻らされて、毎日電車で通わなきゃいけない、全然会うような政治家もいない、夜は夜で遅くまで仕事をさせられる、残業手当は出ない、タクシー代も出ないときもある、こんな状況の中でやっていくと、そのしんどさとかギャップというのは当然出てきちゃうと思いますよ。私自身もそういう、自分の体験を振り返っても、民間企業でもそのギャップというのは当然感じるわけですよね。それが当たり前だと思っていたのが当たり前ではないということを知ったときに、この調整ができるかできないかというのは問題なのではないか。

 ですから、語学の問題もあるかもしれませんが、ある程度、もうちょっと社会人としてのことを学び、人とのつき合いを体験してから海外に出るというような、これは語学としてはマイナスだということを、外務省は非常にそういう観念というか信念であるのだと思うのだけれども、外交官の仕事というのは、語学も大事だけれども、人と人との交渉力とか、まず外交官自身の誠実な人柄とか忍耐とか、そういったことでしょう。それは在外公館に出なきゃ鍛えられない部分もあるかもしれないが、しかし、東京、本省の中で鍛えられる部分は当然あるはずでしょう。

 これは、外務省の方がよく言われるハロルド・ニコルソンの言われている理想的な外交官像にどうやって近づくかということを考えた場合に、今こういった問題が出たこの機に、訓練システムというか、今はすぐ在外に出すということを少し考えた方がいいのではないか。これは、私は外交官ではないし、外務省の勤務も経験していないからよくわからないのだけれども、そういったことについての検討はされているのかどうか、現実の話を聞かせていただきたいと思います。

小町政府参考人 今先生御指摘の点でございますけれども、確かに外務省におきましては、入省後、1種職員及び専門職職員が二、三年、外国の大学などの研修機関において研修を受けるということがございます。これは、主として語学力の習得等の研修効果を最大限引き出すというねらいから行っているものでございます。

 その後、在外公館に配置されることが多うございますけれども、これは、研修の成果をなるべく早く実地で試す機会を与えるということに判断を求めているからでございます。他方、昨今のいろいろな一連の不祥事を受けまして、そういう在外研修を受けた人間が大使館に勤務する場合でも、例えば領事関係の事務をまずやらせるとかいうことで、いきなり大使館の仕事ではなくて、そういういろいろな現場での体験をよりきちんとさせる等によって、我々の意識を変える等の努力をしていきたいと思っておりますし、今委員御指摘のいろいろな問題意識を踏まえながら、我々としても、さらに職員に対していろいろな指導等を行っていく考えでございます。

赤羽委員 いろいろな検討の中で、今言ったことをぜひ入れていただきたいということと、もう一つ、試験制度の中で、最初の入り口ですべてを決めてしまうというのは、かなり正しいのでしょうけれども、やはり正しくない例もある。

 上級職で通った人が理想的な外交官にすべて適性だなんというのは幻想ではないですか。有能だと思いますよ、有能だと思うけれども、そういう人すべてが理想的な外交官に向いているかどうかわからないですよ。総務畑とか会計畑の方が適性をすごく発揮する人もいるかもしれない。かつ、専門職の中でも、それは専門職というのはスペシャリストを求められているのだろうけれども、しかし、上級公務員試験を少しの差でおっこちて、そのまま外交官として仕事をしたいということで専門職に入っている優秀な人はいっぱいいると思いますよ。そういう人たちが、例えば省内の首席事務官研修というのかな、そういったものも受けられるようなチャンスぐらいは与えるべきだと思いますね。

 研修を受けて、社内の試験を受けて、それで通るか通らないかというのは本人の実力、適性だ、こういった、入ったらもうすべて、今のこの時代にカースト制度ではないのだから、入ったときのことが四十年間もその後引っ張るというのは、私はちょっと不健全だと思いますね。

 だから、優秀な人をとっているし、ジェネラリストとして育てるのだということはわかるけれども、私は、海外に行ったときに、在外公館で、ちょっと鼻持ちならないなと思うようなキャリアの若い子をよく見ますね。そういう子というのは、優秀かもしれないし、情報も与えられて、エリートで帝王学として育てられるのだろうけれども、しかし、人間として本当にどうなのかなと思う人を何人か見てきましたよ。

 そういったことは、人間というのは、さっき言いましたけれども、将来の希望とか何かを持たないと理想の外交官、外務省員という気持ちにはなれないと思うので、上級職だけが理想的な外交官を目指せばいいという話ではないのだし、これからワールドワイドな外交が求められているのだから、総力を挙げてやっていくという意味では、専門職だって何か限られた情報しか与えられないみたいなばかな話はもうやめて、本当にフェアな機会を与えられることは大事だというふうに僕は思いますが、その点はぜひ考えていただきたいと思います。

 どうですか、もしよければ副大臣、通告はないのだけれども。

植竹副大臣 今赤羽委員のお話、私も同じかまの飯を食って、しかも同じラグビーの仲間でありますし、おっしゃっていることは非常にわかります。私は、外交は要はキャラクターの問題だ、そしてそのために適材適所の人間を育てていくという基本的なことを、よく委員のお話はわかりましたので、そういう意味で、今進めております外務省改革要綱なども十分に参考にしながら進めていきたいと思います。

赤羽委員 最後に、本当は時間があれば大臣の御見解も聞きたかったのですが、要望なんですけれども、大臣、こういったコメントが出てくると、それは就任前の話ですし、いろいろ頭にくることも数々あると思いますが、大臣のもとに外務省改革推進体制というのはできているわけですね。これはやはり最高責任者は大臣なわけですから、この中から具体的な発案というか提案はこれから出てくると思いますが、出てくる、出てこない、またそこがファンクションするかどうかというのはやはり最高責任者としての責任を問われると思いますので、その覚悟でぜひ臨んでいただきたいということを要望して、質問を終わらせていただきたいと思います。よろしく。

吉田委員長 赤羽一嘉君の質疑は終わりました。

 次に、上田勇君。

上田(勇)委員 限られた時間でありますので、早速質問に入らせていただきます。

 まず一点目、パキスタンに対します経済支援のことについてお伺いをいたします。

 アフガニスタンの情勢に適切に対応していくために、隣国で最も関係の深いパキスタンに対してできる限りの支援を行っていくということは必要なことであるというふうに思いますし、これまでそういう観点から我が国としてもそういう支援を発表してきた、これは評価できることだというふうに思っております。

 その中で、政府は先月十六日に、パキスタンに対して今後二年程度にわたり約三億ドルの無償資金協力、これは新規ではそのうち二・六億ドルということでありますが、行うということを発表したわけであります。細かな点までは結構ですが、この無償資金協力で大体どういうような事業を想定されているのか、あるいは、今後二年程度ということでありますけれども、この年度計画についてお伺いしたいというふうに思います。

西田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、今回のテロとの闘いにおきまして、国内的に非常に難しい問題を抱えておりますパキスタン自身の安定と協力というものが極めて重要という基本的な認識から、パキスタンを中心としまして、いわゆる周辺国支援というものを鋭意行ってきたところでございます。

 先ほど御質問にございましたいわゆる三億ドルの無償資金協力でございますが、これにつきましては、発表のときにもさせていただきましたが、教育、保健というものを中心とします貧困削減のための支援ということで、パキスタン側と現在具体的内容について詰めている段階でございます。パキスタン側との調整がつき次第、可及的速やかに実際上の実施というものをするべく努力をいたしたいと考えておるところでございます。

 それから、これは三億ドル、二年間程度ということになっておりまして、具体的に今年度、来年度等々においてどのような振り分けをするかということは、今お話をしましたパキスタン側との話し合いを通じての具体的なニーズ、それから我が方の財政の状況等を踏まえて今後詰めていくべき点かと考えております。

上田(勇)委員 パキスタンに対する支援が必要であるのは私も申し上げたとおりなんですけれども、ついこの間までパキスタンに対して我が国としては経済制裁を発動していたわけでありまして、今お話にあったように、教育とか保健とかの分野でその資金を使うということは異論のないところでありますけれども、この経済制裁が停止されたのはつい先日のことでありますので、パキスタンは核保有国でありますし軍事クーデターによって成立した政権でもありますので、やはりその使途については慎重かつ明らかにするような対応をしていかなければならないというふうに思います。かりそめにもそれが軍事部門に流用されるなどというようなことがないように、その実施に当たってもぜひチェックをしていただければというふうに思います。

 もう一点、地雷処理の問題について最後にお伺いしたいというふうに思うのです。

 アフガニスタンには、一説によると一千万個の地雷が埋設されているというふうに言われております。復興に当たってはやはりまずこの除去というのが非常に重要になってくるわけでありますが、しかし聞くところによると、除去というのはほとんど今それぞれ手作業で行っていて、効率も悪いし非常に危険も多いということであります。しかも、地雷が埋設されているような土地を民生用にちゃんと利用できるようにするためには一つ残らず取り除かなければならないということなので、そういうふうに考えると非常に気の遠くなるような作業だというふうに思います。

 そういう意味で、効率的でもっと確実に地雷を除去するような技術を開発する必要があるというふうに私は考えているのですが、政府も昨年、対人地雷問題関係省庁連絡会議を発足させて、こういった研究開発を支援するというような体制を強化しておりますし、外務省としてもODA予算の中で、そういう新技術の研究開発を支援しているというふうに承知いたしております。

 そこで、これまでこうした取り組みの中でどういうような成果が上がってきたのか、そういった現状と、それから、これは非常に緊急、重要な課題だと思いますので、今後どういうふうに技術の研究開発に取り組まれるのか、方針を伺いたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、従来より対人地雷の除去及び犠牲者の支援に積極的に取り組んでおりまして、地雷の被埋設国の主体的な取り組みを求めるいわゆるオーナーシップの原則、それから国連を中心といたしました援助国等と被埋設国間の協力を指すパートナーシップの原則、さらには人間の安全保障の観点からの教育、それから貧困除去といった社会復興の支援等を包括した総合的な観点から取り組みを進めているところでございます。

 先ほど委員が言及なさいました関係省庁間の会議と申しますのは、昨年の七月に、当時のでいいますと外務省、文部省、通商産業省、防衛庁、科学技術庁、こういう省庁でございますが、対人地雷除去対策についての関係省庁会議というものを発足いたしまして、そこの会議で検討をしておりました。とりあえず、昨年の十二月に今後の除去技術の研究開発支援、NGOとのさらなる連携、それから官民合同調査団の派遣等の当面の新しい取り組み方針というものを発表させていただいております。

 それに基づきまして、外務省といたしましては、除去技術の研究開発費に関しましては五億円を平成十三年度の予算に計上させていただいております。それからNGOとのさらなる連携につきましても、ODAの草の根無償等を使いまして、地雷の除去関連機材の供与を含めましてNGOを積極的に支援しております。

 それから、国際機関を通じます地雷の協力でございますが、これにつきましても既に、国連の地雷サービス部につきまして平成十二年度に三十万ドル、それから、現在大島国連事務次長がヘッドをしております人道援助調整官事務所というのがございますが、そこに対しまして、これは大島さんが就任する前でございますけれども、平成十年、平成十一年に二百三十万ドルの地雷除去についての支援等を行っております。それから、これは国連機関ではございませんけれども、国際赤十字に関しましても、これは犠牲者の支援でございますけれども、支援を行っております。

 外務省といたしましては、アフガンの今後を考えますと、地雷の問題の深刻さというのは本当によく我々は認識しております。アフガンだけではございません、世界の至るところ、カンボジアにおきましてもアフリカにおきましても、地雷の埋設というのは大変深刻な問題でございますので、今後とも関係省庁と協力しながら、関係国それからさらには国際機関ともよく協調、調整を図りつつ、適切な支援の方法というものを検討してまいりたいと思います。

上田(勇)委員 時間ですのでこれで終わりますが、今おっしゃったんですけれども、大学とか民間の企業なんかでもいろいろ技術開発をしようとしているのに対して、なかなか政府の対応、いま一つなんではないかというような声をよく聞きますので、ぜひいろいろ積極的な支援、対応をお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。

吉田委員長 上田勇君の質疑は終わりました。

 次に、首藤信彦君。

首藤委員 民主党の首藤信彦です。

 ことし最後の外務委員会だということで、外務大臣には国際情勢について質問申し上げます。

 昨今のイスラエル、そしてパレスチナ問題の展開というのは大変私たちの心を痛めているわけでありますが、ことしの最大の事件というと、言うまでもなく、九月十一日に発生したアメリカの同時多発テロということであります。しかし、このテロを行ったグループが中東系のテロリストである、そういうふうに目されておりますが、そのところから、この問題、九月十一日の同時多発テロというものは中東問題、中東和平、そしてパレスチナ問題にその病気の原因があるんではないか、病因があるんではないか、そういうふうに判断されているわけであります。

 その点を考えますと、現在、パレスチナにおいてイスラエルが砲撃を行ったり爆撃を行ったりしているこうした現状を見ますと、ついに紛争が問題の本丸にまで押し寄せてきた、そういうふうに考えざるを得ないということでありますが、このイスラエル情勢に関して質問を申し上げます。

 イスラエルは、今まで非難を続けていたハマスというようなテロリストグループだけではなくて、PLOを今度新たにテロ支援組織とみなしておりますけれども、日本政府はどのように考えておりますでしょうか。

田中国務大臣 イスラエルでございますけれども、PLOをテロ支援国家に指定したというお尋ねでございますけれども、イスラエルは――今支援国家というふうにおっしゃいましたですか、支援組織とおっしゃったんですか。(首藤委員「支援組織」と呼ぶ)イスラエル政府は、過去数日間に発生したパレスチナ過激派による連続の自爆テロ、これを受けまして、三日の夜ですけれども、緊急の閣議を開催いたしまして、パレスチナ暫定自治政府を国家ではなくてテロ支援団体と認定したというふうに承知しております。テロ支援団体です。

 そして、同暫定自治政府はパレスチナにおいて暫定自治を行っておりまして、その暫定自治政府を形づくるPLO、すなわち俗に言われていますパレスチナの解放機構ですけれども、略称ですね、これはパレスチナ人の代表として中東和平交渉に当たってきておりますし、そうした位置づけにつきましては国際間で共有されてきているというふうに認識いたしております。

首藤委員 これは大変なことを今おっしゃったわけですが、今、パレスチナ和平のイスラエル側の対応の一方であるパレスチナの暫定自治政府をイスラエルがテロ支援組織とみなしたという解釈をされましたけれども、それでよろしいんですか。外務大臣、いかがですか。

田中国務大臣 三日の夜に緊急閣議を開催いたしまして、パレスチナ暫定自治政府をイスラエルが、主語はイスラエルがですよ、テロ支援団体と認定したというふうに承知しております。

 そして、暫定自治政府はパレスチナにおいて暫定自治を行っておりまして、暫定自治政府を形づくるPLOがパレスチナ人の代表として中東和平交渉に当たってきておりまして、そのことは国際的に認識として共有をされております。

首藤委員 私は、最初から聞いているのは、PLOがテロ支援組織かということを聞いているんですが、その点はいかがですか。――早く答えてください。時間がないので、三十分しかないので、早く答えてください。

田中国務大臣 イスラエルは暫定政府をそうした組織であるというふうに言っているということを申し上げております。

首藤委員 二つのことに答えてください。

 一つは、外務大臣が言うのは、PLOと暫定自治政府は全く同じものですね。よろしいですね。それで、暫定自治政府をテロ組織とみなした、いいですね。それからもう一つは、日本政府はどうとらえているのかということです。

 これは、時間がないので、委員長、急がせてください。

吉田委員長 ちょっと速記をとめておいてください。

    〔速記中止〕

吉田委員長 速記を起こしてください。

 田中外務大臣。

田中国務大臣 何度も申しますが、先ほどのはイスラエルの見解でございまして、そして、日本政府はPLOをテロ支援団体と考えているかどうかということでございますけれども、これは、テロ支援団体の認定はイスラエル政府が同国内部の手続に基づいて行ったものでありまして、そして、我が国が、PLOないしパレスチナ暫定自治政府につきましては……(首藤委員「委員長、ちょっとそれはひどいよ」と呼ぶ)ちょっと待ってください。

吉田委員長 速記をとめておいてください。

    〔速記中止〕

吉田委員長 速記を起こしてください。

 田中外務大臣。

田中国務大臣 失礼しました。

 日本は、PLOないしパレスチナ暫定自治政府がテロを支援しているとは考えておりません。

首藤委員 そうすると、今おっしゃったのは、何度も繰り返しておっしゃっているんですが、PLOないしパレスチナ暫定政府とおっしゃっているわけですが、PLOと暫定政府とは同じなんですか。

田中国務大臣 これは違うものでございます。

首藤委員 今まで言っていたことと全然違うじゃないですか。暫定政府がテロ組織と言っていたじゃないですか。違うでしょう。PLOでしょう。暫定政府とPLOと違うでしょう。根本的なことじゃないですか。これは国家のプロトコル上重大な問題ですよ。違いますか。大臣、いかがですか。

田中国務大臣 我が国について申しますけれども、我が国は、PLOないしパレスチナ暫定自治政府がテロを支援しているとは考えておりません。

 そして、先ほどはイスラエルのことを申しまして、イスラエルが三日の日に、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、緊急閣議を開催いたしまして、パレスチナ暫定自治政府をテロ支援団体と認定した。

 ですから、私どもが言っていることとイスラエルとは違うと申し上げております。

首藤委員 結構です。

 では、最後にもう一度だけ確認させていただきます。

 イスラエルはオスロ和平のパートナーである暫定自治政府をテロ支援組織と認定された、そのことは確かですね。それだけ一点、確認をお願いします。

吉田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

吉田委員長 速記を起こしてください。

 外務大臣。

田中国務大臣 イスラエルはパレスチナの暫定自治政府をテロ支援団体であると認定したということです。

首藤委員 そうすると、結局、オスロ合意はその瞬間に崩壊したということですね。いかがですか。

田中国務大臣 そのようなことはありません。

首藤委員 外務大臣、いいですか、相手はテロリストと認定して、暫定自治というのは、お互いに平和を求めるいい組織であるからということで九三年からずっとできてきたわけでしょう、キャンプ・デービッドで何度も話し合って、アラファトさんも行って。それがどうして今度は、だから、テロ組織と暫定政府を認定したら、そうしたら、それはオスロ合意の対象から外れるわけじゃないですか。当然じゃないですか。本当にそんなことで、じゃ、終わったんですね、オスロ合意は。それはよろしいですね。外交上大変な問題ですよ、これは。時間をとめてください。ゆっくり答弁してください。これは、私だけじゃなくて、大変な問題ですから。

吉田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

吉田委員長 速記を起こしてください。

 田中外務大臣。

田中国務大臣 正確を期するようにいたしましたので、時間をいただきまして申しわけございませんでした。

 イスラエル政府によりますパレスチナの暫定自治政府のテロ支援団体としての認定が、オスロ合意以降の中東和平のプロセスがずっとあるわけですけれども、それを終了させるということを意味するものではございませんし、日本は、現地の情勢の悪化を憂慮いたしておりまして、パレスチナ暫定自治政府に対しては、累次にわたりまして、過激派の取り締まりを行うよう働きかけてきております。

 そして、私も、個別的な話し合いの中では、ミッチェル・リポートというものの重要性についても語ってきておりますし、テロ行為それ自体は断固として非難し、暴力停止のための努力と行動を実際行うよう、強く行うように求めていきたいというふうに考えております。

首藤委員 別に精神論はどうでもいいんです。私が確認したかったのは、パレスチナ暫定政府というのはPLOである、そして、今回のテロを行っていたハマスとか、それから過激な行動を行ったPFLPとか、かつてPLOに参加しているメンバーですよね。PLO自体がそれはテロ支援組織というふうに考える、それはまあまあわからないわけではない。ファタハもそうかもしれない。しかし、じゃ、暫定政府そのものがテロ支援組織だとしたら、これはオスロ合意そのものの前提が成り立たないじゃないですか。

 ですから、これ以上やると日本の外交が傷つくから私は質問しませんよ、はっきり言うと。そこのところをよく整理して、これはもう本当の歴史の転換点なんだから、明らかにアフガニスタン問題ともリンクしているんですから、よく整理してやってください。それは、国民の一代表として、外務委員会のメンバーとして、外務大臣に、そして外務省に強く要求いたします。

 そこで、アラファト議長、ラマラの総合庁舎の執務室に対してもイスラエル軍はミサイルを発射したということですね。言うなれば、総理官邸におられる小泉首相を撃ったということですけれども、これはもう明らかな戦闘行為ですか、どのように判断されておりますか。

田中国務大臣 状態は大変危機的で危険な状態であるというふうには認識はいたしております。

首藤委員 全く意味をなさない答弁ですが、時間がないのでもう進めさせていただきますけれども。

 日本政府として、こんな暴挙に対して非難声明は出さないんですか。今まで日本は、PLO、アラファト議長、それから暫定自治政府をずっと支援し、外務省でも膨大な援助をしてきたところを、将来そこの大統領になると言われたアラファトさんの執務室に対してミサイルがぼんぼん撃ち込まれていく。そして、日本がこんなに支援したパレスチナ暫定自治地域、ラマラやガザや、こういうところに砲撃されている。日本の政府はどういう声明を出されましたか。

田中国務大臣 今のモメントよりも、ずっとこれまでの間、日本がPLO及びイスラエルに対しまして、中東和平全体に対して何をやってきたかと言いましたらば、それは完全に話し合いによる解決、このことは一貫して、あらゆる外交ルートを通じて……(首藤委員「質問に答えてください」と呼ぶ)いや、質問にお答えしております。それから、暴力は使わないように、テロがないように、そういうことはずっと……(首藤委員「質問に答えてください」と呼ぶ)お答えをしております。これがお答えでございます。

 ですから、暴力ではなくて話し合い、そして、ミッチェル・レポートをしっかりと実行していくようにするという話し合いをする、暴力ではないようにということはずっと、累次申し上げてきております。

首藤委員 声明を出されたか、どういう態度で声明を出されたのかということを聞いているのです。声明を出されたのか、出されないのか、それだけでも答えてください。

田中国務大臣 現段階では、声明を出すかどうか検討中でございます。

 いずれにしても、話し合いをするようにということが基本でございます。

首藤委員 これはもう大変な問題で、アフガニスタン情勢と関係するし、当然、日本とも、そしてアメリカにとっても大変な問題であり、ブッシュ大統領が直ちにさまざまな声明を出しております。当然のことながら、我が国の外務省に対しても、さまざまな打ち合わせが行われておると思いますが、パウエル長官とのお話はどういう話をされましたか。いかがですか。

田中国務大臣 最後の部分しか聞き取れませんでしたので、もう一度お願いいたします。ゆっくりお話しいただけますか。

首藤委員 こういうようなことは重要な問題でございまして、特にアメリカにとってもこの問題は重要な問題であります。また、同盟国の日本にとっても重要な問題であります。外務省間で当然のことながら意見疎通があり、国務長官と外務大臣の間で当然のことながら電話でお話しされていると思いますけれども、どういうお話をパウエル長官との間でやられましたかと聞いているんです。

田中国務大臣 たしか、パウエル長官は今ルーマニアにいらしたか何かでございまして、連絡はとれておりません。

首藤委員 これも、日本の外交のために、外務大臣、御理解してください。今どき、ルーマニアにいて電話が通じないことはないです。アメリカの国務長官は、地球どこへ行ったって通じるようになっているんです。どうしてこういうことをちゃんとアメリカと相談しないんですか。日本はどういう態度をとるべきか考えなきゃいけないでしょう。

 このパレスチナという地域はただ地球の片隅にあるんじゃなくて、これは日本が中東戦略の中核として膨大な資源をつぎ込んできた、そういう国ですよ。そういう国に対してこうした攻撃が行われて、しかもそれをアメリカが支持するというときに、どうして日本がそういうことに対してきちっとパウエル長官と話さないんですか。どうしてですか。

田中国務大臣 先般パキスタンに参りましたときの関係で、帰りにタイにトランジットで寄りまして、そのときスラキアット大臣とお話をしようと思いましたときも、なかなか相手の都合というものがありまして、まだ連絡がとれておりませんし、そのほかの国の方とも、例えば韓国の韓昇洙さんも移動なさっていてなかなかつかまらなかったりしますので、相手の都合というものが、時差もございます、スケジュールもありますので、首藤さんがおっしゃるように簡単に、こちらが言ったらすぐ、打てば響くようにつかまるという状態では、幾ら通信制度が便利になりましても、相手の都合やら時差があって、今すぐにはつながるわけにはまいりません。努力はいたします。

首藤委員 これは、外務大臣、そんな問題じゃないんですよ。何か週末のレクリエーションの予定を聞いているんじゃないんですよ。今、戦争になるかもしれない、中東和平が全部崩れるかもしれない、あるいは第五次中東戦争になっていくかもしれない、第二次湾岸戦争になっていくかもしれない、こういう状態の中、寝てようが起きてようがたたき起こすというのが常識なんですよ。ですから、そういうことはぜひやっていただきたいと思うんですね。

 しかし、時間が限られているので、もう一つ、次の質問に行きます。

 アメリカは、イスラエル支持ということをもう明確に打ち出してきました、ブッシュ大統領も。そういう状況の中で、PLO、そして傘下にあるPFLP、これは明らかにテロをやりました。ハマスも含め、いろいろな組織がアルカイダと関係を持っています。これはもう大体明らかなわけです。こういうところを攻撃することになる。さらに、アメリカがそれに関係してくるということもあるんです。事実、もうアメリカは動き出しました。アメリカ国内におけるハマスへの慈善組織や支援組織に対して、資産を管理下に置き始めました。もうアメリカはそうした今回のテロ対策に基づいて行動を始めました。

 さて、それでは、日本のテロ対策特別措置法において、アメリカがこうした形でハマスやPLOに対して実際の何らかの手を打ってくるときに、日本はどのように対応されますか。それとも、それとは独自で動かれますか。テロ特措法に従って、日本でも直ちに資産の凍結やその他の活動をされますか。ハマスや宗教団体という点になれば、またPLOという団体に関しては、日本だって随分関係者が多いはずですよね。いかがですか。

田中国務大臣 私どもは、日本は決して座視しているわけではございませんで、今回の事態というものは大変重大な局面、展開であるというふうに思っておりまして、私どもはあらゆるチャンネルを通じてアメリカその他とも連絡をとり合っている段階であるということを、まず御認識いただきたいと思います。

 そして、今、イスラエルに対するテロが、アルカイダとの関係の深いハマスでありますとかPFLPとか、そうしたこととも関係はどうか、それからもう一つは、特措法での支援はどうかというふうな二点のお尋ねであったというふうに思います。

 アメリカはPLOに対する軍事行動といったような言及は今しておりませんし、それについて今すぐお答えをするということについて、今すぐですよ、一〇〇%お答えすることはどうかというふうに思います。

 特措法に基づく支援ということにつきましては、アメリカはPLOに対する軍事行動、直接ですね、そういったことには言及はしておりませんけれども、あえて一般論といいますか、今非常に重大な、微妙な段階でありますから一般論的にしか申し上げられませんけれども、というのは、事が推移しておりますので軽々なことが申し上げられないんですが、米国の軍隊等のある活動がテロ特措法に基づく支援の対象となるか否かについては、本法が、先般のテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めることによりまして国連憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊等の活動を支援するためのものであることを踏まえて、日本は、毎度総理もおっしゃっておりますけれども、主体的に判断をしていくことになるというふうに思っております。

首藤委員 ということは、判断して決めるということですか。それとも、この特措法と関係ないということですか。いかがですか。

田中国務大臣 何度も申しますが、事が重大でございますから、事態の推移をよく見きわめなければなりませんので、こうなったらというような仮定のことには、私の立場では軽々に今すぐ、せっつかれたからといってお答えすることは難しいと存じます。

首藤委員 委員長に御質問したい。

 この外務委員会というのは一体何ですか。重大なことじゃないですか。重大なことを討議する場ではないですか。今の外務大臣のお話だと、重大な問題だからここでは討議できないという話ですが、委員長、どうですか、それはおかしいのではないですか。いかがですか、御意見は。

吉田委員長 重大だから答弁できぬじゃなくて、今、様子を……。

 外務大臣。

田中国務大臣 重大でございますから、その展開をよく見ながら、間違いのない対応をしたいということを言っております。

首藤委員 世界の流れは余りにも問題は大きく、質問時間は余りにも短いという感じを持っておりますが、このイスラエルの問題、明らかにアフガニスタンの問題とリンクして大きな問題になる。このテロ対策の問題というのは、アルカイダに対する攻撃というものから始まって、アフガニスタン、そして中央アジア情勢、そしてついに中東全域に今広がろうとしております。ですから、この点に関しても、早急にアメリカ政府と綿密な連絡をとり、そして、日本政府の中でもきちっとした立場を明確にして対応をとられることを強く強く求めます。

 さて、アフガニスタン問題に関してはさまざまな、私たちの同僚も聞いておりますが、一つ、日本政府はアフガニスタンに対して難民の支援をするということをやはり強く打ち出しております。私は、それは本当に重要なことだと思っているんですね。

 しかし、難民問題というのはいろいろなレベルでの難民問題があります。アフガニスタン内部の問題、アフガニスタンで家を失って逃げ惑っている人の問題、閉ざされた国境の前にいる人の問題、国境をようやく出たけれども難民となった人、さらに、難民となりながら現実には難民認定が行われてない人たち、そしてさらに、そこからいろいろな地域へ流れていく人たちもいます。最近の例では、アフガニスタンからオーストラリアへ移住しようという船が問題を起こしたということもあります。

 そして、日本にもアフガニスタン難民の方が来られたんですね。そして、パシュトゥン人からとかタリバンからとか、いろいろな迫害を受けて逃げてきたわけですが、そういう人たちが、自分は難民だと思うものですから当然難民認定の申請をするわけですね。別に、日本へ着いたらすぐ歌舞伎町へ逃げ込むとか、そういうことじゃないんですね。そういう善意の難民申請者、これを日本は逮捕しまして、そして通訳も十分でなくて、さらに手錠をかけて連行したり、ばかやろうなどの罵声を浴びせかけて、やってきたアフガニスタンの人たちが最初に覚えた日本語がばかやろうだと。こういうような非道な状況というのがあると思うんです。

 こういう人たちが、日本で難民として認定されないで送還されることになりました。その根拠が、もうアフガニスタンはタリバン以降安全になったということなんですね。送還しても構わない。しかし、この間私が安全保障委員会で御質問したら、外務省は、これは危険度五であるとおっしゃっていました。危険度五ということはもう本当に危険なところなんですけれども、では、そうした情報は法務省には伝わっていないんでしょうか。法務副大臣、いかがですか。

横内副大臣 お尋ねのように、アフガニスタン人の四名について退去強制令書が発付されているところでございます。これは、決してアフガニスタンが安全になったから、大丈夫だから強制送還をするということではありませんで、先生も御案内のように、難民の認定というのは、難民条約に基づいて、本国へ送還したときに迫害を受けるおそれがあるかどうか、この一点で判断をしているわけでございます。我々としては、一人一人について十分検討をして、難民条約に基づく難民の要件に当たらない、そのように判断をして退去強制令書を発付したということでございます。

首藤委員 もう一度その点を確認させていただきたいと思います。

 そうすると、帰しても安全だと法務省は判断されたということでしょうか。副大臣、いかがですか。

横内副大臣 必ずしもそのように判断しているわけではございません。今回、四名のアフガニスタン人に退去強制令書を発付して、送還先がアフガニスタンということになっておりますけれども、直ちに送還することができないときには送還可能のときまで収容することになっております。アフガニスタンの情勢は、今お話がございましたように流動的でございますので、送還の時期については情勢の推移を十分に見た上で判断をしていきたい、そのように考えております。

首藤委員 私は十条の施設を見ました。これはもう人間動物園ですよね。本当におりの中で、これが人間の収容されるところだろうかというところで、副大臣も実際に行かれたかどうかわかりませんが、茨城の方はもうちょっとましだというふうに言われていますけれども、それでも、私たちでも、私も昔ビジネスマンだったことがありますけれども、たとえいいホテルにいても、一カ月もいるともうノイローゼになります。まして、狭いところにいたり独居房にいたりすると、それはもう精神的に後遺症を来してくるところがあると思うんです。

 ある程度長くなったら、当然のことながら、普通の生活に監視下で戻した方がいいと思いますが、それはいかがですか。

横内副大臣 品川の入国管理局の収容施設、現在建て直しをしている最中でございまして、これが完成をすれば、先生がおっしゃるような点はかなり解消されるものと思っております。

 言うまでもないことでございますが、この退去強制者の収容というのは、これは決して刑務所や拘置所のような犯罪者に対する収容施設ではございませんから、我々も収容者の福利等の問題については十分配慮しているつもりでございますけれども、なお、先生の御指摘も踏まえて、御指摘のような批判を受けないように十分気をつけてまいりたいと思います。

首藤委員 この件に関してはこれ以上ここでは質問しませんけれども、ぜひ副大臣みずから行って十条の施設を見ていただきたい。これが果たして刑務所より、より人道的でより緩やかなところであるか、あるいは刑務所と動物園の中間に位置するような存在であるのか、ぜひ御自分の目で見て、そしてその収容者のことを聞いていただきたい。これ以上ここでは言いません。

 しかし、今日本も大きく変わろうという時期なので、いろいろ予算的な問題もありますが、さまざまな手を講じて、こういう人たちに対して、難民で来た人にいろいろ理由はあって帰すにしても、非人道的な扱いを決してしないように、そこはぜひ心がけていただきたいと思います。

 最後に一つの質問ですが、難民申請者が係官からいろいろ質問を受けます。しかし、これは入管の立場からの質問なんですね。いわゆる不法滞在者として質問されているわけです。しかし、この難民というのはもともと迫害をされているところでは、例えば医者だったり、政府の高官だったり、政治家だったり、学者だったり、あるいは豊かなビジネスマンだったりするわけですね。そういう人たちが何らかの理由で難民として流れ出なきゃいけなかった。そういう人たちは犯罪者や不法入国者とはちょっと違うわけですよね。それを今までの入管のスキームで、入管のマニュアルでやるということはやはり違うんじゃないか。

 特に、難民として認定を求めている人たちが、難民になった状況や苦しかった状況を言おうとすると、係官の方は、ここは難民の話を聞くところではない、難民となった状況を聞くところではない、こういうふうに厳しくおっしゃるらしいんですよ。それは間違いで、やはり今までの入管業務と、世界がこんなに難民が多くなってきて日本にもだんだん来るようなときに、難民に対しての考え方を分けて対応すべきだと思いますけれども、法務省としてはいかがでしょうか。

横内副大臣 難民認定業務は人道にもかかわる大変に重要な行政だというふうに思っております。したがいまして、私ども法務省の中では、この難民業務にかかわる担当者については、入国審査官の中から特に業務に精通したベテランの職員を難民調査官というふうに指名をいたしまして、業務にできるだけ適正を期するように配慮をしているつもりでございます。

 同時に、先生の御指摘のあったような非常に好ましくない扱いがなされないように、研修をやるとか、あるいは内外の機関と十分調整をして、その人その人についての十分適切な判断ができるようないろいろな配慮はしているところでございますけれども、先生の御指摘も踏まえながら、今後さらに改善を検討していきたいと思います。

首藤委員 今この問題は急速に動いております。確かに予算は一年度ごとに変わり、しかし難民の方は何か事件があればわっと出るわけですね。ですから、急に対応は難しいとは思いますけれども、今、時代の変遷を考えて、やはり日本もきちっとした対応をする時代に入ってきたということで、本格的な対応をぜひよろしくお願いしたいと思います。

 以上で終わります。

吉田委員長 首藤信彦君の質疑は終わりました。

 次に、金子善次郎君。

金子(善)委員 民主党の金子善次郎でございます。通告に従いまして質問をさせていただきます。

 まず最初にでございますけれども、去る十一月七日でございましたが、当外務委員会におきまして質問をさせていただいたわけでございますが、その際、今国会中に回答するという御答弁のございました三点、まず手短にお答えをいただきたいと思います。

 第一点ですが、在外公館における渡切費の繰り越し状況。それから、プール金利用の有無について本人から、局長以上というようなことで表現したかと思っておりますけれども、直接確認されたその結果。それから、外務大臣が私の質問に対しまして答弁を保留する、留保するというような答弁があったわけでございますけれども、本来でございますと保留とか留保というのは質問に対しておかしな答弁だというふうに思ったのですが、ある意味では若干時間的な問題もあったかと思いましたから、そのときはそのままにしたわけでございますが、九月の二十七日でございますけれども、会計検査院から外務省に対して処置要求があったわけでございます。

 この三点について、まず手短にお答えいただきたいと思います。

小町政府参考人 最初の二点でございますけれども、渡切費の残額についてでございます。

 これにつきましては、平成十一年度については七十七億二千万、これに対して使用額が約三千六百万これを下回りました。その額を翌年度の渡切費の帳簿に繰り入れております。十二年度につきましては、予算額が七十七億三千万円、使用額は約一億六千四百万これを上回っている状況にございます。

 こうした中で、渡切費の未執行残高は、平成十二年三月末時点で、世界じゅうの百八十七の在外公館分を合わせまして、計約三十一億九千万円でございます。これを平成十三年度の渡切費帳簿に繰り入れております。

 この渡切費の三月時点の繰入額は、年度内に契約を交わす等いたしましたものの、年度末時点ではまだ請求が行われていないために支払いが行われていない残高を含むものでございます。また、在外公館においては、緊急事態が発生し、突然の支出の必要に迫られる可能性もございますので、一期分程度の残高の翌年度への繰り入れは必ずしも不適切な水準であるとは考えておりません。

 先生お尋ねの第二点目の、プール金を利用して外務省の幹部がホテルに宿泊したような事実の有無について、私自身が直接確認しろという点でございますけれども、これは、そのとおり確認をいたしまして、そのような事実はないことが判明しております。

金子(善)委員 三点質問をしたわけですが、もう一点は外務大臣からお答えいただけますか。

小町政府参考人 申しわけございません。三点目の会計検査院報告に関連してでございます。

 外務省といたしましては、会計検査院報告の指摘を真摯に受けとめておりまして、今後報償費の執行を改善し、一層効率的、効果的なものとする上で今回の指摘を役立てていく考えでございます。具体的には、十四年度の概算要求におきまして、次のとおりの措置をとっております。

 近年、ある程度定型化、定例化しているもののうち、可能な場合には報償費以外の科目で具体的な事項を立てて、他の関連経費と合わせて改めて積算して計上しております。これは、各種レセプション関連経費や総理等の要人訪問関連経費でございます。それから、総理の外国訪問に関するロジ業務に関しまして、会計手続を外務省に一元化しております。それから、手続面で適切さを欠いたという御指摘につきましては、そのようなことがないように、さらに努力をしていく所存でございます。

金子(善)委員 外務省のこの一連の不祥事でございますけれども、これは本年当初から松尾元要人外国訪問支援室長の報償費詐欺事件に始まったわけでございます。これから質問を進めさせていただきますけれども、私といたしましては、今回のプール金の問題に関する調査結果についても、全く納得の簡単にいかない、そういう調査であったということは後ほど質問してまいりたいと思います。

 まず冒頭、外務大臣にお伺い申し上げたいのですが、外務省の報償費問題につきましても、上納金問題を初めといたしまして、実態は何ら国民の前には明らかになっていないというのが実際のところでございます。一連のこうした不祥事の問題を踏まえまして、現段階における外務大臣の認識というものはどんなところにあるのか、まずお聞き申し上げたいと思います。

田中国務大臣 委員から御請求がありまして、金子委員に外務省の方から資料、一枚紙をお渡ししてあると思いますけれども、昨年一月からの松尾事件、デンバー、コロラドの不祥事、パラオの大使館職員の不祥事、ケニア大使館での不適当な受給、九州・沖縄サミットに関すること、それからAPEC関連会議に係る不正、欧州青年日本研修に関する不正、いわゆるプール金の問題、八つの問題が約十一カ月のうちに出てきているということにつきまして、司直の手にゆだねられたことにつきましては、あるいはこうした委員会で追及が厳しくて、メディアが激しかったことについては明らかになってきているというふうに思いますけれども、それ以外について、私はこの間からトータルで聞かれていて、これでもって外務省不祥事終わりましたかということをプール金のときに記者会見がありまして、残念ながら、これで全部終わりました、はいおしまいというわけにいかないと思いますと申し上げましたのも、こうしたことが、ましてやプール金についてはもう二十年も前からあって、このプール金が表に出てから何度か、一回ですか、私が承知しているのは一回ですけれども、他の委員会で指摘されまして、課長補佐以上を集めて注意をして、こういうことがカビのごとく蔓延をしていると。直そうとする姿勢がないということですよね。

 そういうことがあったということについて、いつも申しておりますが、私は、会計と人事ということがやはり組織というものを支える基本だと思います。それが透明性と説明責任がないと、納税者たる国民の皆様は納得なさらないと思う。

 会計につきましては、部局会計の一元化でありますとか監察査察制度とか抜き打ち査察等をやっております、やることになっています、やってもおります。

 しかし、人事の面でそういうものを動かすことを一切しないのであれば、それはやはり、結局は人ですから。会計にどういう人を据えるかも、だれが長になるかという、次官等から、上からの人事もそうです、下もそうです、キャリア、ノンキャリア。先ほど赤羽先生からとてもいい御指摘があったと思いますけれども、ああいうことを実現するかしないかも、そういう人をそういうポストに据えるかどうかなわけですから。ですからそれが、大臣が人事権があるにもかかわらず振るえないような状態になっているのであれば、やはり残念ながら外務省改革ということについてもまだ道半ばと申し上げざるを得ません。

金子(善)委員 ただいまの外務大臣の御答弁でございますが、道半ば、まさにそのとおりの面がまだまだあるなというのが正直なところの私どもの思っている感想でございます。

 先ほど大臣も指摘されましたけれども、委員長にお願いしまして、理事会を通じてこういう資料を出していただきました。きょうは時間の関係もありますからこれについて詳しくは述べている暇はないんですが、これでも、これを国民に示して、この程度の今の措置状況なんですということを公表しましたら、どれだけ国民の質問がこれに集中するかわからないほどのまだあいまいな内容となっているわけなんです。

 一例を申し上げまして、これは外務省じゃなくて内閣官房からの資料提供だと思いますが、いわゆる松尾外国訪問支援室長から詐欺で被害に遭ったというのが四億五千万と言っているわけですが、この資料に載っているのはあくまでも十四回分だけであって、実は、松尾時代と言うとちょっと言い方は変でございますが、四十六回の総理の外遊があるわけなんです。そのほかどうなっているんだというようなところまでいきますと、まだまだこれは道が遠いな、まさに大臣が言われました道半ばというような状態じゃないかというふうに思います。

 実は私は、民主党の外務省問題疑惑解明のプロジェクトチームの一員としての立場できょうは質問をさせていただいているわけでございますが、民主党といたしましても、この報償費問題を初めとしまして一連の問題について、来年度の予算編成等も含めまして、その審議を通ずるなどして、引き続きこの真相と申しますか実際のところを明らかにしていく努力はしていきたい、このように考えております。

 冒頭そこを申し上げまして、そこででございますが、十一月三十日に出されましたプール金問題に関する調査報告書、これに関連いたしまして質問をさせていただきます。

 まず、プール金とは何かということから答弁をお願いします。

小町政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御質問のプール金でございますけれども、プール金とは、外務省が経費を支出いたします各行事の一部において、外務省から取引先に実績を上回る支払いがなされた結果生じたものでございます。

金子(善)委員 外務省では、大臣あるいは事務次官あるいは報道官というのでしょうか、副大臣も含めまして、記者会見をしょっちゅう開いて、それがテレビ等でよく報道されるわけでございますけれども、会見で、プール金とはというようなところで、企業側に債権として残った剰余金との説明がありました。企業側に債権として残った剰余金との説明がございましたけれども、外務省、これはそれでよろしいですか。

小町政府参考人 先ほど申し上げましたように、外務省が経費を支出する各種行事の一部において、外務省から取引先に実績を上回る支払いがなされた結果生じているものでございます。

金子(善)委員 どうも答弁が、私はそんなに難しく聞いているわけではなくて、会見で、企業側に債権として残った剰余金という説明がありましたと。それはあなたの上司が会見で話しているわけですから、いろいろな、恐らくあなたの説明とかなんかというようなことで上司は話をしているんじゃないかと思いますけれども、その点は説明できないのであればやむを得ませんので、次回に譲らせていただきたいと思います。

 では、どういう方法でプール金というものをつくられたか、具体的にお話をお願いします。

小町政府参考人 お答え申し上げます。

 プール金捻出の経緯につきましては、たくさんのケースがございますけれども、ケースごとに状況は異なりますけれども、関係者の話を総合いたしますと、一般的なケースは次のようなものであったというふうに理解をしております。

 まず、行事に要する費用に関しまして、外務省の担当課がホテル側に見積もりを依頼いたします。その際、行事を成功裏に終わらせるために余裕を持った形で見積額が設定されることが多いということでございます。それの後、行事において実際に要した経費が行事の参加者が減ったこととかあるいは値引き等によって見積額を下回る場合にも、外務省はホテル側の見積もりどおりの請求額を支払い、結果としてプール金が生じたということでございます。

 ただ、この過程で、外務省担当者には個人的に使用しようという意図はございませんし、また、外務省とホテルの双方の担当者の間でプール金の慣行のもとで具体的な相談は行われておりませんでした。外務省担当者は、ほとんどの場合にその時々のプール金の残高を正確に認識しておりませんでしたというのが実態でございます。

金子(善)委員 かなり抽象的な説明なんですけれども、例えば、余裕を持ってできるように請求してもらった、見積もりを出してもらったということであれば、そういうものは水増しというわけですよね。一般的に、外務省においては、これはどこの官庁も一緒なんですが、目的以外の支出というものは認められていないわけであります。このプール金というものができるという場合に、一般的に申し上げますと、まずホテル側からもらう架空の請求というのがあるわけです、それから水増しの請求、そして返品等による契約の例えばキャンセルというものがある、四番目はリベート、常識的に言って、考えられる方法というものは大体そういう方法なわけです。

 しかも、架空請求と水増し請求の場合は、明らかに刑法上の詐欺に該当する可能性が十分あるわけです。私は、まだ断定しているわけじゃないけれども、明らかに該当する可能性は十分ある、このように思います。リベートの場合は、収賄罪に当たる、贈賄罪に当たる、贈収賄罪、この刑法上の問題が出てくる。キャンセルの場合は、精算金が戻らなければならないはずなんです。

 今私が申し上げたこの四つのカテゴリーのほかにプール金というものをつくる方法があったら教えてもらいたい。答弁をお願いします。

小町政府参考人 プール金の発生の過程につきましては、いろいろなケースがございますので一概に言うことは困難でございますけれども、先ほど申し上げましたように、実際の費用を上回る支払いがなされて生まれたということでございます。

金子(善)委員 全く答弁になっていないです。

 私は具体的にお話ししました。架空請求、水増し請求、返品等による契約のキャンセルあるいはリベート、こういうものがおそれがあると。この四つのカテゴリーの中の、仮に、詐欺罪のおそれがある、贈収賄罪のおそれがあるということを私は申し上げました。別に断定は今しておりません。そのほかの方法があるのですかということです。ないならない、あるならあると答えてください。

小町政府参考人 私が承知している限り、最初の架空のケース、水増しをどういうふうに認識するかは別の問題でございますけれども、架空のケースと、それからリベートといったようなことはなかったというふうに承知しております。

金子(善)委員 委員長、ちょっと速記をとめていただければありがたいと思いますけれども、官房長の答弁でございますが、どうも答弁になっていないと思うのですけれども、委員長の判断でひとつ。あるんですかと。

吉田委員長 小町官房長、金子善次郎君の質問に的確にお答えをしてください。

小町政府参考人 私の先ほどのお答えがちょっとあれだったかもしれませんけれども、私の認識として、架空の請求とかリベートとか、そういったものは我々の調査した結果においては判明しておりませんということを申し上げたわけでございます。

金子(善)委員 ですから、恐らく官房長は、いわゆる犯罪につながるようなことがあるかどうかということを恐れてそういう中途半端な答弁に終始していると思うのですが、ほかに方法がありますかと。ですから、これが完全に犯罪になると断定は私はしていないのです、あるんですかと聞いているわけです。

 しかし、少なくとも、水増し請求をしたということはあなたさっき言ったじゃないですか。答えてください、早く。

小町政府参考人 私が申し上げようといたしましたのは、確かに当初の見積もりどおりの請求額を支払った結果プール金が生じたケースが一般的であったということでございますけれども、その際、外務省担当者にはこれを個人的に使用しようとする意図はございませんでしたし、また、外務省とホテルの双方の担当者の間でプール金という慣行のもとで具体的な相談は行われておりませんでした。かつ、外務省担当者はほとんどの場合にその時々のプール金の残高を正確に認識していなかった、こういうことでございます。

金子(善)委員 とても納得できる答弁ではございませんが、時間のあれもありますので、改めてこういう点についてはお話を聞いていきたいと思います。

 あくまでも公金だ、その意識は十分持っていただかないと、ただただ犯罪につながらないようにしたいというふうな気持ちはあるのかもしれない。しかしながら、あくまでも我が国は法治国家ですから、法律に基づいた判断というものをしていかなければならないのは、これは筋というものです。

 それと、このプール金、実は、どういう調べ方をしたかということにつきましては、私どものプロジェクトチームにおきましても、外務省の方に来てもらいまして説明をしてもらいました。確かに調査は下の方で一生懸命やっている、その姿は感じました。しかしながら、こんなやり方で全体像を果たして本当につかんでいるのだろうかというようなことを実感として思ったのも事実でございました。

 それを前提に、例えば、各課における業者別、年次ごとのお金の出入りの入出金記録、それから財源が予算項目の何であったか、これを明記したものを提出するよう資料要求をしてきたわけでございますけれども、これはファクスで、提出できませんというような答えが返ってきたわけであります。

 これは、もともとプール金を本当に報告書として調査して出しているということであれば、少なくとも各課別の、今申し上げたようなことを積み上げていかなければとてもできない作業だというふうに思います。そこで、もしかすると報償費というものが、機密費ということで表に出せないところがあるというようなことがかかわっているのかなということもこちらとしては想像しているわけでございますけれども。

 そこで、大臣にお伺いいたしたいと思うのですが、十一月十三日、これは大臣が、記者会見だったと思いますが、中間報告をなさっております。その際に、仮に報償費が財源になっていても、明らかにすることについて、それはしたいと。このプール金の問題についてでございますが、中間報告の場で、報償費が財源になっていても、これは国民の目の前に明らかにしていくということをお話しなさっているのでございますけれども、これは大臣、そうしますと、今度のいわゆる私どもの資料要求に対して非常に消極的な態度をとっている外務省の姿勢というものについてどうお考えになられますか、大臣にお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 極めていい質問なものですから、ちょっと考える時間が必要でございまして、困りましたですね。質問をもう一回……(発言する者あり)いや、違います、わかっています。申し上げます。こういう質問ですよね。

 プール金について、この間の中間報告のときに――笑い事じゃないんですよ、これは大事なことですから。プール金の中で報償費が一部組み込まれて使っていたかどうかについて、それについて明らかにするということを私が申し上げたことですよね。(発言する者あり)いや、わかっているんです。これは今悩ましいんですよ。

 これは、ちょっと引き取らせていただいて、もう一度省内で検討をさせていただくというわけにいかないでしょうか。委員長の御判断でも結構ですが。これはちょっと政治家として極めて悩ましいところなんですよ。ですから、もう一回引き取らせていただくか、あるいは委員長にお預けして御裁断を仰ぐかでも結構なんですが、これはちょっと……。

金子(善)委員 大臣がそうおっしゃるのだったら、それでまさに結構でございます。

 委員長、そこで、委員長にお預けして、いろいろまた理事会の先生方で御相談いただいて、いずれにしても、これから私質問を続行しますが、私がこれから質問する内容、これによって、なるほどこの資料は必要なんだなということを恐らくおわかりいただけるかと思います。そういうことでございますので、委員長、何らかの形で、ひとつ責任を持って対応していただければありがたいと思います。

吉田委員長 それでは、私に書類、御報告をいただきたい、そう思います。

田中国務大臣 いや、そうじゃないんですよね。今金子委員がおっしゃっているのは、これから質問なさることがすべてこれに関係しているんですよね。私もそれはわかっているんです。したがって、それを委員長に開示するということではなくて、委員会預かりにするか、あるいは、これはお尋ねなさっている委員の権限と思って私は申し上げているんですが、私がもう一度役所に持ち帰って相談していたしましょうか、あるいは委員長預かりにいたしましょうかと申し上げたのですが、委員長預かりでよろしいんですね。――わかりました。

吉田委員長 私は理事会に諮りますから、報告しますから。

金子(善)委員 そこで、きょう本当は外務次官、野上事務次官の参考人としての出席をお願いしていたところであります。当理事会のいろいろな相談をされたと思いますけれども、野上次官が出ておいでにならないというようなことで大変残念に思っております。

 実は、十二月三日の会見で野上事務次官は、このプール金問題について、どの課がどうだという問題では実はない、こう言っているんです。どの課で何の予算を使ってプール金が積み立てられてきたかというような把握をすることの、いわゆる実態解明、そういうことがまさにできないんじゃないか。問題の本質的な認識というものがどうもこの野上発言は欠けているんじゃないか、私はそう思います。

 要は、このプール金の問題というのは何しろ、大臣も御承知だと思いますけれども、たしか百十九課室あるうち七十一の部署におきましてプール金が判明したと言っているわけなんです。そうすると、当然積み上げがあるはずなんです。ところが、野上事務次官は、どの課がどうだという問題ではないと。だったらば課の数なんか発表しないのが当たり前じゃないですか。それをしているわけです。それで記者会見で堂々と、十二月三日の記者会見、ちゃんと記録を持っていますから、どの課がどうだという問題では実はないと。本当にそういうようなことで問題の本質をこれから追及していく、そういう姿勢というものがあるのか。これは大臣、どう思いますか。

田中国務大臣 これもまた大変微妙なことでございまして、いろいろと、省内で関係のあるところとないところと、平たく言えば。私もある程度のことは聞きましたけれども、メモをとらないようにということなので、これは悪い頭で聞いた範囲でしかありませんけれども、それでもやはり、関係があるところは忙しいところ、はやっているところということであって、ほかのところは、ではそういうことをしなかったところについては、課については、仕事がなかったことだということになってしまって、しかもなかったところが判明するのも困る。それからあとは、それについての負担金まで持たされちゃ困るではないかというふうに、省内がもめごとが起こると困るというんですが、そういう内向きのことではけしからぬと私は本来思っております。

 もう一回、これにつきましても持ち帰りましてよく聞きますし、私も次官がこうしたところに出てこないということは、法律があるわけでもありませんのに、なぜか各役所、次官という方は非常に守られていて、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(発言する者あり)いやいや、ですから、ぜひそういうときにやはり事務次官も出てきて情報を開示しなきゃいけない、特にこういう不祥事があるときというのは責任者が出てきてほしいなと私も思っておりますが、これもまたもう一度検討させていただきたく、金子委員に申し上げます。

金子(善)委員 それでは、これは官房長の方にお伺いした方がいいと思うんですが、今私が質問をしている中でおおよそ予想もつかれていると思うんですが、では、どうやって積み上げ、要は、個々の資料はないというようなことを言って、でも現実には二億以上のそういうものがプール金として使われたり、あるいは現在残っているものがあるというようなことを発表はされているわけなんです。どういう資料で、どうやってプール金の積み上げを行ったのか、そこを明快にお答えいただきたいと思います。

小町政府参考人 お答えいたします。

 外務省側には断片的な資料しかございませんでしたので、企業側の資料でまず外務省との取引関係をチェックいたしました。その過程で、必要に応じて関係者からの聞き取り調査を行いました。その後で外務省側の資料と関係者からの聞き取り調査を行い、裏づけを行っていくというプロセスで積み上げといいますか、関係者に聞き取りを行って、それで、そういうやり方の中で今回の報告をいたしたような次第でございます。

金子(善)委員 それでは一点だけ、これに関連して非常に大事なポイントですからお聞きしますけれども、各課ごとに業者別の管理帳簿のようなものが存在しましたか、しませんでしたか。各課が取引しているわけですよね。会計検査院の指摘も、ことしのあれもされているんですけれども、外務省のやり方というのは、本当に大問題いっぱいありますよ。

 時間がないのでどうもあれなんですが、まず今の点ですけれども、各課ごとの業者別の管理帳簿というものがあるのかないのか。

小町政府参考人 先ほど申し上げましたように、外務省側におきまして、いわゆるプール金に関する資料というのは非常に断片的なものでございました。したがいまして、プール金に関連して外務省側でそういった業種別云々の資料は必ずしも完備していなかったということでございます。

金子(善)委員 ここは一つ大きなポイントだと思っていますが、余りにも抽象的で何を言っているのかわからないんですよね。あったのかなかったのか、それだけを答弁してくれればいいんです。委員長、答弁させてください、はっきり。

小町政府参考人 外務省側に個々の取引をきちんと記載したような資料はございませんでした。

金子(善)委員 それじゃ、それを類推させるような帳簿はあったわけですね。

小町政府参考人 したがいまして、先ほど御説明いたしましたように、企業側の資料を中心に聞き取り調査を行って、それをさらに外務省の会計処理等で裏づけを行ってこの調査を行った、こういう次第でございます。

金子(善)委員 今の答弁を聞いていて、本当に人をばかにしているのかという感じですよね。

 いいですか。帳簿があったかなかったかと聞いて、それはないというような趣旨のお答えでした。では、類推するようなものがあったのかなかったのか、今度はまたそれがもとに戻ったような答弁になる。それで、企業側の方の情報でこれを積み上げたというような今の答弁でしたよね。今うなずきましたから。では、これは企業の方だけを信用して積み上げたプール金だ、そう解釈してよろしいんですね。

小町政府参考人 私が申し上げましたのは、外務省側の情報が、資料が不十分だったものですから、企業側の資料を基礎といたしましてまず聞き取り調査を行いまして、それからその結果をさらに外務省側で関係者から、各課ごと、部屋を含めまして聞き取り調査をし、断片的な資料のあるものについてはそれと突き合わせをしながらこの作業を行ったような次第でございます。

金子(善)委員 とてもとても納得しかねる答弁なんですけれども、もっと質問したいこともありますので、それは納得しないということを申し上げた上で、質問を進めさせていただきたいと思います。

 この報告書によりますと、これは他意があったかなかったかわかりません、大臣官房だけが四つの部署に分かれていまして、三千九百万ほど、それから経済局が三千九百万と、並んで多い額になっております。この報告書で、一方においてこういうことを言っているんですね。「(外国の賓客やその他要人の招聘、国際会議、レセプション等)の一部において、外務省から取引先に実績を上回る支払いがなされた結果生じたもの」、こうなっているんですよね。大臣官房、結構このプール金が多いんです、ほかの部局と比較しまして。

 それで、ちょっと不思議なのは、いわゆるレセプション的なもの、いわゆるイベント的なもの、これは地域課が、これは今度は会計検査院の方の調査でもあるんですけれども、これは今出せと言われれば出しますけれども、会計検査院の先般公表したものを見ますと、こういうイベント的なものは地域課がやっている、そういうことに外務省はなっているんだというふうな報告書もあります。

 そういう中で、では、大臣官房におけるプール金の財源というのは何なんだろうか、何でそこが大臣官房に出てくるんだろうか。今まで外務省が言っておりましたのは、いろいろな国際会議を、大きなものを開く、そういうふうなときにプール金ができるんです、簡単に言えばそういうことを説明しているんです。ところが、そういうものを恐らく担当されていないんじゃないかというようなところの金額が多い。ですから、何かそこにうそが存在しているんじゃないだろうかと思えてならない結果が出ているわけなんです。これはどうですか。ちょうど官房長は大臣官房を取り仕切る方でございますから、その辺、十分知識があると思いますけれども、答えてください。

小町政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど先生が最初におっしゃいました領事移住部等の別建てにつきましては、局部単位で発表を行うに当たりまして、我々としては、できるだけ透明性を高めるために、領事移住部、文化交流部及び外務報道官組織を大臣官房そのものとは区別して扱うこととした次第でございます。

 それから、今の大臣官房の御質問でございますけれども、大臣官房の中におきましても、儀典官組織とか、あと、そういった外国との要人といいますか賓客のやりとりを担当する部局がございますし、また、外務大臣等が外国のあれを受けられることもございますので、そういうことで御理解いただければと思います。

金子(善)委員 話を聞いていて、思考停止されているんですか。いいですか、もう一度よく言いますよ。説明していただけばいいんです、質問ですから。こちらの質問が、言っていることがすべて正しいとは限らない、こちらもそれぐらいの常識はありますよ。ただ、いいですか、外務省の公式の報告書がこう言っているんです。なぜこういうプール金ができたかということについて、要は、イベント的なものがあったときに、その差額的なものがたまってプール金となったんですよと。そうすると、官房はどんなふうにして、例えば今、要人がどうのこうのと言われた、どんなふうにしてプール金がたまるのかな。こちらの脳が回転しないんですよ、言っていることとあれが。だから、そこを明快に答えてもらえばいいんです。その一点でいいですから。

小町政府参考人 例えば、先ほど申し上げました儀典官組織につきましては、ここは外国からの賓客を受け入れる部局でございますので、その賓客あるいは外国からの要人の受け入れに伴いまして、普通の地域局等と同じような、そういう可能性があった、こういうことでございます。

金子(善)委員 それでは、ひとつ委員長にお願いして、理事会で諮っていただきたいと思いますが、今の官房長の答弁ですと、大臣官房においても地域局と同じように取り扱ったケースが幾つかあった可能性があるという答弁をなさいました。それでは、どういうものが具体的にあったのか、この場ですぐには調査できないでしょうから、改めてそれを資料として当委員会に提出をしていただきたいというふうにお願い申し上げますが、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。

吉田委員長 理事会で協議をいたします。

金子(善)委員 それでは、プール金の調査が始まりましたのは、七月十九日のタスクフォース、これで調査が具体的に始まったというふうに聞いているところでございますが、実際のプール金のいわゆる活用というのか、使用でございますが、それはいつまでなされたというような結論が出ていますか。

小町政府参考人 お答え申し上げます。

 ことしに入りまして、いわゆるプール金を使ったケースは約百四十万円でございます。そのうちの大部分がいわゆる職務関連でございまして、具体的には、外国からの要人の訪日の接遇費用の一部、それから、ホテルにおけるそういった際の連絡室の借り上げ、それから、それに伴います残業弁当代等でございます。一件だけ、職員間の懇親に充てたケースがございましたが、いずれも四月以前でございます。

金子(善)委員 いずれも四月以前だということでございます。四月以降は一切プール金については手をつけていない、こういう答弁と解釈してよろしいわけですか。

小町政府参考人 若干補足させていただきます。

 四月以降で約三万円余の支出がございます。これも、いずれも職務に関連するものでございますけれども、外交団との意見交換及び要人が訪日した際のホテルに設けられました連絡室における関連費用、それから残業弁当代で約三万円をちょっと超すお金が使われておりますけれども、四月以降はそういうことでございます。

金子(善)委員 そうすると、四月以降はプール金に原則としては手をつけていないということであれば、それは結構なことだと思うんですが、思い出していただきたいと思うんですが、松尾元室長の問題が持ち上がったのは、本年一月一日のある大新聞の一面トップの報道によりまして、大きな衝撃が走った事件でございました。そうすると、少なくとも、その事件が発生したことが報道されまして、その後もプール金は普通に活用していた、今の答弁でございますとこういうことだと思うんですね。これからちょっと処分関係で、時間の方もあれになってきましたのですが、幹部職員の監督責任というものも非常に大きな問題としてそこにはあるのではないかと思います。そこはちょっと指摘だけにさせていただきまして、次に移らせていただきたいと思います。

 九月六日、これも野上次官の発言でございます。九月六日ということは最近だと思ってもいいと思います。ホテル代の水増し事件で浅川明男課長補佐が逮捕された際の記者会見なのです。事件は個人の問題だ、そういう認識ですかという質問が記者会見でありまして、そうしたら、浅川がそれなりの意図を持って行ったと、あたかも個人の犯罪であるような、こういう記者会見での認識を示しているわけでございます。プール金の調査についても、ホテル代水増し事件のような規模のケースはないと思っている、こういう発言も記者会見でされています。されているというのはしているということですね。

 それで、外務省の調査でも、七十一の課室、しかも二億円を超える、これはあくまでも外務省が発表しているだけですよ。我々は、これだけできちっと調査が一〇〇%なされているものとはとても思えないわけでございますが、これでも、事務次官がいらっしゃらないから残念なんですけれども、外務省の事務次官という方が組織的な問題だというふうに思っていないのかどうか。

 大臣は組織的な問題があるということを表明されているから、まさにそれは正しい判断だと思いますけれども、官房長としては、きょうは事務方としてあえて、本来ですと官房長の答弁なんか要らなかったんですが、事務次官に答弁してほしかったんですけれども、それでは官房長、いわゆる人事権とかいろいろ預かる立場から、組織的な問題であると考えるか、いや、あくまでも個人的な問題である、そのどっちかを言ってください、中間はないはずですから。

小町政府参考人 今回、七十一の課室におきましてこういったプール金があったということは、私どもとしては非常に重く受けとめております。かつ、これは外務省の中で広く見られた慣行だという意味で、そういった土壌あるいは外務省の体質について、我々は非常に我々自身を戒めながら、これから改革に取り組んでいかなくてはいけないというふうに思っています。

 ただ、浅川元職員につきましては、これは刑事手続の対象となっております事柄からおわかりいただけますように、浅川元職員が私的にプール金を捻出、使用したケースであり、今私が申し上げました七十一の課室のケースとは違うというふうに考えております。

金子(善)委員 それでは、お聞きします。

 今度のプール金の調査で、しかも外務省が行った調査で、私的にプール金を使用した事案は何件ありましたか。

小町政府参考人 お答え申し上げます。

 プール金を私的に使用した事案でございますけれども、全体として九件でございます。

金子(善)委員 それでは、例えば今まで、外務省の調査によってではなくて、いろいろなソースの方からのあれだと思いますけれども、松尾、小林、浅川という方々が司直の手によって摘発をされたわけであります。今九件というふうに言われたわけでございますが、九人も私的に懐にお金を入れたということなのです。物は、公金ですよ。公金ですよ。そこを間違わないでくださいね。浅川被告の場合については個人的にやったというけれども、これだけのことがあって、では、別にお聞きします。私的に使った方々を告発するつもりはありますか、あるいはしないつもりですか。

小町政府参考人 いわゆるプール金を私的に使用した件に関しましては、今回判明しました事実関係に関連いたしまして、それぞれの当該者の意思や行為が犯罪の構成要件に該当するか等につきまして、捜査当局とも相談をしながら慎重に考えていきたいというふうに考えております。

金子(善)委員 これは、まだまだちょっと突っ込んでお聞きしたいつもりでいたんですが、残念ながら時間の関係もありますので。

 それでは、大臣、いわゆる私的に懐に、公金に手をつけてしまったという方々についての対応、いろいろ調べてからというような官房長のお話がありましたけれども、大臣からも一言。

田中国務大臣 先ほど来二つお預かりしていることがあると思いますので、一言。

 二つとも委員長にお預けしてはございますけれども、同時に、私も大臣として責任を感じておりますので、資料のことにつきましても検討いたしますし、また、告発につきましても、もう一度省内に帰りまして、省内だけではなくてやはり第三者の方に、今まで国会が忙しいのでなかなか時間がないんですけれども、第三者の御意見等も聞きながら、やはりもう少し考えさせていただきたく思います。

金子(善)委員 それでは、人事院さん、おいでになっていると思いますが、お伺いさせていただきたいと思います。

 人事院では、懲戒処分の指針というものを各省庁に対して示されております。その中で、「管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。」という一応の指針を示されているわけであります。私は、人事院が中立公正な人事機関として、いろいろな側面を考えながら一つの指針づくりをされているものというふうに思いますけれども、組織的な問題とたまたま個人的な問題が生じたという場合の指針と、大分物が違ってこなきゃならないんじゃないかというふうに私は思うわけであります。その点で、人事院に二つのことについてお伺いしたいと思います。

 第一点は、今回、外務省から懲戒処分についての相談があったかどうか。第二点、今回の外務省の処分内容について人事院としてどういうような感想を持っておられるか。

 それから、第三点でございますが、国家公務員法それから外務公務員法とかいうことがございまして、全権大使あるいは公使は特別職の公務員ということになっておりまして、時間がありませんから詳しくは御説明できなくて残念なんですが、いわゆる懲戒処分関係が、大使と公使の場合だけがぽっかり法体系から抜け落ちているんです。

 毎回、次官経験者の大使あるいは公使の方が給与の一部を自主返納とか云々ということを言っているわけでございますが、実態からいたしまして、国民感情としてもいろいろ問題があるなと。いわゆる大使の場合は認証官だというような問題もあるかもしれませんけれども、ほかの、例えば人事官、いらっしゃっておりますけれども、国会承認される方でいらっしゃるわけで、それでもちゃんとした懲戒関係の規定というものがあるわけなんです。大使、公使に対してそれなりの何らかのものが必要なんじゃないかと私は考えるわけでございますが、この点については外務大臣と人事院の両方のお考えをちょっと聞いておきたいと思います。

小澤政府参考人 まず第一点の、相談があったかどうかということですが、これはございません。

 国家公務員法上、人事院としては、調査の経緯あるいは個々の行為の事実関係、これにつきましては報告を受けることにはなっていないわけでありまして、さらに、処分の当否につきましては任命権者から相談あるいは協議を受けるような仕組みにはなっていない。したがって、人事院としては十分な判断を示すことはできないわけですが、事実関係の報道を見る限り、処分に当たっては、継続性それから組織性というふうな点が十分考慮されたかどうかというのが一つのポイントだろうというふうに考えております。

 それから、大使、公使につきましては、これは特別職でありますから、人事院の所管外ということであります。しかし、行政に対する国民の信頼というふうな点を考えますと、必要な場合には処分できるような制度上の整備をする必要があるんではないかというふうには考えております。

田中国務大臣 私も、これは外務省が人事院に十二分に相談をした結果というふうに聞いておりましたけれども、今の方はなかったとおっしゃいましたね。間違いないですね。

 そうしますと、やはり私も、もう一回持ち帰りまして、副大臣等もお忙しいとは思いますけれども、ぜひ集まっていただいて、そしてしかるべきときにちゃんと、官房長なり次官、次官もなかなかあらわれてこないんですけれども、しっかりと経緯を聞いて、必要な資料を出させまして、そして判断をしたいと思いますので、これにつきましても、やはり預からせていただくということでお許しをいただけますでしょうか。

 事は非常に重大でございますので、こうばたばた、委員の質問時間がないことも大変残念だと思いますけれども、私たちも本当に、公務をこなしながらこれをやっていると、途中からさっさっと資料が来て、こうですからああですからと畳みかけられるように言われると、決してめくら判ではないようにしておりますけれども、手落ちがあってもいけませんので、事の重大性にかんがみまして、そういうふうなことを、またぜひきょうおられている政務官たちにも協力していただきたいと思います。

金子(善)委員 質問時間も終了となりましたので、最後にこれだけは申し上げておきたいと思います。

 大臣は、先般の私の質問に対しても今と同じような感想を述べられたと思います。今の世の中というのは、一日一日、いろいろ政治情勢が動いている時代だと思います。いつまでもいつまでも、ああだった、こうだった、これからこうしなきゃならないというのではなくて、最高の責任者はあくまでも外務大臣ということだと私は思います、それで責任も最後は外務大臣がしょっていかなきゃならない、それから事務方では、最後に責任をしょっていかなきゃならないのは事務次官だ、私はそういう認識で質問をさせていただいたわけであります。

 とにかく、国民から見ると、どうなっているんだ、もうそろそろいいかげんにしてほしいというのが正直のところだと思います。そういうことで、これからも民主党としては、手を緩めることなく、こういう問題については筋を通して、やはり正しい行政が行われるように襟を正したものを求めていく、こういう姿勢で臨みますことを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

吉田委員長 午後一時十分から委員会を再開いたします。この際、休憩いたします。

    午後零時四十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十二分開議

吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を行います。土田龍司君。

土田委員 この外務委員会での一般質疑も多分きょうが最後だと思いますが、二十一世紀に入りまして、輝かしい新世紀を迎えると同時に、多分、ことしは外務省が輝かしい注目を浴びるだろうと思っておりましたけれども、悪い意味でそのようになってしまいました。元日から始まった松尾事件に始まって、たくさんたくさん、いろいろな不祥事が表面化してきたわけです。と同時に、大臣が就任されてから、これまたマスコミをにぎわしまして、言ったとか言わないとかという問題が何回も何回も繰り返され、あるいは、大臣みずから外務委員長に電話されて、質問についてどうかというテーマもございました。最後は、このプール金の問題でございます。

 私も、昨日、外務省にこのプール金の問題で質問いたしますということを言っておきましたが、朝からずっと質疑を聞いておりましたらば、私が疑問に思ったこと、質問したいと思ったことはほとんど出尽くしてしまいまして、余り質問する内容もございません。(発言する者あり)やめるわけにはいきませんので。

 ただ、聞いていて思いましたのは、外務大臣の外務省改革に対する答弁は歯切れがいいと私は思います。小町官房長の答弁は、極めて歯切れが悪い、声も小さいし、何となく言い逃れしようという雰囲気があります。その気持ちがあるかどうかはわかりませんが、私には、どうもそういうふうに感じられてならないわけでございます。

 この際、僕は、官房長あるいは外務省の方々に言いたいんですが、もっとはっきり出すべきものは出して、国民が誤解していることについては説明をして、もう洗いざらい、ことしじゅうに出した方がむしろ信頼は高まる。当然だと思うんですが、身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあるわけでございますので、外務省を愛する皆さんとしましても、特にここは頑張りどころであって、小さな声でぼそぼそ言わないで、おわびするところはおわびする、説明するところは説明する、今後の方針についても、けじめをつけるべき内容についても、そういった抱負を述べていきながら理解を深めていくことが大事だと思うわけです。

 今回のプール金の問題につきまして、確かに荒木調査会は松尾事件に絞って調査をしたわけでございますが、この調査を進める過程で、これがなぜ出てこなかったか。先ほど公明党から質問もございましたけれども、私もそれを疑問に思っておりました。こういった調査を進めるうちに、外務省として新たな問題を発見するということが一回も出てこない。ほとんど、リークされたり、外部からの指摘によってしぶしぶ出しているという印象を受けてならないわけでございます。今回のプール金を最後にして新たな出直しをしたいというふうに外務省事務当局は言っているわけでございますが、田中外務大臣は、うみは出尽くしたとは思えないというふうな発言をされております。

 そこで、大臣と官房長、お二方にまずお尋ねをするんですが、どういった意味からうみは出尽くされていないというふうに大臣はお考えになるんでございましょうか。

田中国務大臣 先ほどの民主党の先生の質問にもありましたけれども、松尾事件がことしの一月に発覚をいたしまして、それも、そのときに起こったことがすぐその場で発覚したわけではなくて、その前からずっとつながっていたことが、たまたまことしの一月出たということでして、それですべてが前内閣において終わったのかと思っておりましたらば、私どもが着任した四月二十六日から、またそれ以外のことがどんどんと出てきて後を絶たない。

 したがいまして、松尾事件の前からもあったということがわかってきていますね。プール金以外もそうです。デンバーのこともそうでしょうし。ですから、たまたま契機はことし一月の、もうすぐ一年になんなんとしておりますが、松尾事件ですが、その前からあって、その後も、これだけの時間とエネルギーがかかっているにもかかわらずまだ続いて、もう十二月になっているということを客観的に見まして、これですべて幕引きというわけには残念ながら、まことに残念でございますけれども、いかないのではないかと思うのが自然ではないでしょうか。

土田委員 具体的な当てがあるといいましょうか、あの件が出るんじゃないかなということではないですね。

 官房長にお尋ねしますが、これを最後にして出直したいという発言をされておりますけれども、もう出ないというふうに思われる理由は何でしょうか。

小町政府参考人 私どもといたしましては、このプール金に関する調査は、我々の力の及ぶ限り一生懸命やったという気持ちでおりますけれども、これで全部、何も将来ないということを確言するということは、私としてはそういう立場にはないということでございます。

土田委員 ということは、個人的な犯罪がまだ出てくる可能性はある、それ以外についてはないだろうという判断をされているわけですか。

小町政府参考人 我々が内部的な調査を、今、何か特定の案件についてやっているということはございません。

土田委員 冒頭言いましたように、何か隠そうとされているような雰囲気の答弁でございますので、出てくるんじゃないかなという気がしてならないんですが、在外公館に対する調査は終わっておりますか。

小町政府参考人 在外公館につきましては、プール金のような問題が指摘されたことは今までのところございません。ただ、これから査察等を集中的にやっていく過程で、あるいはそれ以外の形で何か問題が出てくれば厳正に対応したい、こういうふうに思っております。

土田委員 在外公館の調査はしたんですかと聞いているんです。

小町政府参考人 今回のプール金の対象には在外公館は入っておりません。

土田委員 調査をされていないわけですね。

 これから査察等でやっていきたいということですが、これは本庁で、七十幾つでしたっけ、たくさんの課が、ほとんどのところでこういったことをやっていたということならば、在外公館と本庁と行ったり来たり皆さんはしているわけですから、多分、在外公館でもやっているんじゃないかなということは想像がつかないでしょうか。別に査察をまたなくても、大使あてにファクスを一枚全大使館に送って、こういうことがないかどうか早急に調査をして回答せよと言えばわかるんじゃないかと思いますけれども、そういうわけにはいかないのでしょうか。

小町政府参考人 先ほど申し上げましたように、今までのところプール金的なものが在外公館について指摘されたことはございません。

 ただ、今の委員の御示唆をも含めまして万遺漏なきを期していきたい、こういうふうに思っております。

土田委員 だって、在外公館はまだ調査していないのでしょう。報告がされていないというだけですね。だから、本庁から大臣名ですぐに調査しろと言えばわかるのじゃないですか。もしそういったプール金があるのだったら、別に自己申告でもできるわけでございまして、あるいは大使や公使がいらっしゃれば、そういったことをやっているかと言えば別に一日もかからないでわかるわけでございまして、そういったことも早目に出さないとまた出てきますよ、今後査察をやっていくうちで、どこの大使館も出てきたとかここの総領事館の方にはありましたと。その方が余計国民の不信を招くと思いませんか。今すぐやればできると思うのですが、どうでしょうか。

小町政府参考人 先ほど申し上げたことでございますけれども、今の先生の御示唆も含めて万遺漏なきを期していきたい、こういうふうに思っております。

土田委員 いや、だめですよ、万遺漏なきを期したいと。そういったことをやって、早目にあったら出してしまった方がいいのですよと提案をしているわけでございまして、万遺漏なきばかり言わないで、できるような気が私はしますので、やってみたらばどうかなというふうに思います。だって、五千人の職員がいて、三千五百人は在外公館にいるわけですね。向こうの方が人数が多いわけですから、ここでまた出てきたらばさらに国民の不信をあおるような気がしてならないのです。

 それから、各課ごとのプール金の金額は出さないということでございましたが、検討したいというふうに変わりましたでしょうか。それは、いろいろな調査結果を説明するときに、これは言えない、言いたくないという部分があるとやはり不信感をあおっちゃうのです。なぜ言えないのか、なぜ言わないのか、この辺の説明をつけた上で公表しないのだということを言った方がいいような気がしますけれども、官房長、どうでしょうか。

小町政府参考人 今の御指摘の点でございますけれども、プール金の問題は、先ほどから御指摘のとおり、外務省内で広く見られた慣行であったわけでございます。したがいまして、特定の一部の個人の責任に帰すべきような場合を除いて、外務省員全体としてこの責任を分かち合うべきものであると考えております。したがって、調査報告書におきましては、各部局ごとの発表とした次第でございます。

 ただ、このような事情はございますけれども、御指摘があったこともありますので、どのような形でお示しすることができるのか、検討したいと思っております。

土田委員 この調査報告書は非常によくできているというふうにあなたたちは思っていらっしゃるのでしょうから、その中に一部言えないとか発表したくないというのがあると余計に不信感を持ってしまいますよと言っているのです。

 だから、なぜ発表できないかということを説明を加えれば、皆さん納得できると思うのですね。そういうことを言っているのです。言いたくないとか言えないとか、言葉でごまかすのじゃなくて、これはこういう理由だから言わない方がいいと判断しているというふうにはなぜ説明しないのですか。あいまいな言葉を言うとなおさら不信感が募るのじゃないでしょうか。どうですか。

小町政府参考人 先ほど申し上げたことの繰り返しになって恐縮でございますけれども、プール金の問題は、外務省の中で広く見られた、あしき慣行と言ってもいいと思いますけれども、そういったものでございます。したがいまして、これは外務省員が全体として責任を分かち合うべき問題であるというふうに我々は考えております。

 したがって、このような発表をした次第でございますけれども、御指摘があったこともございますので、どのような形でお示しすることができるか、検討していきたいと思っております。

土田委員 それは発表しない理由じゃないですね。

 これから一億六千万円をみんなで返すわけですね。負担ということじゃなくて、みんなで税金にお返しする。それぞれ金額も決められているわけですね。そのプール金に、恩恵にあずかったといいますか、それに関与した人もいればしない人もいるわけですね。そういうこととは関係なく一律にそういった拠出をさせるわけですから、どの課は幾らあってどの室は幾らあってというのはなかなか言いにくいのじゃないかなというふうに私は思うのですが、そういう理由ではございませんか。

小町政府参考人 繰り返しになって本当に恐縮でございますけれども、やはり外務省員全体として責任を分かち合うべき問題だという観点からこのような発表にした次第でございますけれども、御指摘があったこともございますので、どのような形でお示しすることができるか、検討していきたいと思っております。

土田委員 これから来年の三月三十一日までかけて外務省の方々がそういったお金を弁償していくわけですが、一億六千万円集まらなかったときはどうされますか。あるいは、集まり過ぎたときはどうされますか。

小町政府参考人 お答え申し上げます。

 一億六千万円に利息がつきますので、それを超える額になると思いますけれども、我々としては、それに相当する額を何とか省員の協力を得て集めたいと思っております。

 足らない場合あるいはオーバーした場合のことは具体的には考えておりませんけれども、いずれの場合におきましても適切に対応しなくてはいけない、こういうふうに今は思っております。

土田委員 外務省の職員の方何人かに聞いてみました。そんなに大勢じゃないのですが、やはり、この暮れに来まして何十万も弁償させられるということに対していろいろな気持ちがあるようでございますけれども、ぜひそういったことも察してやりながら頑張っていただければというふうに思います。

 と同時に、田中大臣の発言の中に、外務省のキャリアとノンキャリアの溝はベルリンの壁よりもかたくて高いんだという発言がございましたけれども、それについて官房長はどういった感想を持っておられますか。

小町政府参考人 今の御指摘の御発言につきまして、我々としては、いろいろな今まで起こりました問題に関連して、確かにそういった人事の問題等があることは十分認識しているつもりでございます。したがいまして、これらのいろいろな不祥事をきっかけに、人事制度の見直し等いろいろと改革を図っていかなくてはいけない、こういうふうに考えております。

土田委員 田中大臣も、このキャリア制度について、非常に大きな部分をこれが占めるのじゃなかろうかというふうな御認識だと私は思っております。

 ですから、外務省の五千人を相手に闘いをしているわけですから、ぜひ大臣には頑張っていただいて、できれば小泉総理や官房長官とも相談をしていただいて、早目にこのキャリア制度を、来年まで待たないですぐにでも実効あらしめるようなことで外務省改革をおやりになった方がいいような感じがするのですが、キャリア制度が問題だというふうに何回もおっしゃっていますので、ぜひその決意をお聞かせください。

田中国務大臣 総裁選挙の立候補のときから私はずっと御一緒させていただいておりまして、機密費の問題に切り込むということを全国で小泉候補が言っていらしたことを私はずっと一緒に聞いております。

 聖域なき構造改革、これは就任後も全国に向けて発信なさっておりますので、外務省だけが例外であっていいということを総理が思っていらっしゃるわけもありません。しかも、前の内閣から官房長官を続けていらっしゃる官房長官もよく熟知なさっているはずでございますので、私が改めて申し上げなくても、十二分におわかりになっておられると思います。あとは、実際にやる気があるかないかだけの問題だというふうに思っております。折を見て、もちろん申し上げさせていただきますけれども。

土田委員 やるかやらないかというのは、大臣がやるんですけれども、バックアップ、やはり官邸の理解がなければやりにくいこともあるでしょうから、ぜひ頑張ってやってもらいたいと思います。その件は答弁いいです。(田中国務大臣「答弁じゃない」と呼ぶ)いや、ちょっと時間がなくなっちゃったので、少し聞きたいのがあるんです。

 通常国会のときに、私は、中国の海洋調査船の問題を何回か取り上げました。これにつきましては、外務省もあるいは海上保安庁も御理解をいただいて、今のところ大きな混乱はないのかなというふうに思うんですが、昨今、新聞に出ておりますのが尖閣諸島周辺における領海侵犯の問題、漁船の領海侵犯、主に中国と台湾の漁船だというふうに思われますけれども、これについて海上保安庁長官に幾つかお尋ねをしたいと思います。

 まず、この三年間ぐらいの領海侵犯の件数をお答えください。

縄野政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十一年から三年間の数字を申し上げたいと思います。

 平成十一年が千七百四十五隻でございます。平成十二年が三百二十八隻、平成十三年、ことしでございますが、十一月末までの間で二百八十七隻でございます。平成十一年は、御承知のように多数の抗議船がこの海域へ来たという年でございます。

 今お話ございましたように、例えば平成十三年の二百八十七隻のうち、中国が百十一隻、台湾が百七十六隻でございます。

土田委員 平成十一年に千七百で、十二年が三百二十八に激減といいましょうか、随分減っておりますが、これはどういった理由でしょうか。

縄野政府参考人 先ほど申し上げましたように、平成十年、平成十一年は、組織的なといいますか、台湾あるいは中国からの抗議船と称する船が多数この海域に来たということで、平成十年が千八百七十三隻、平成十一年が千七百四十五隻となっております。平成十二年は、あるいは平成十三年、ことしはそのようなことがございませんで、いわゆる通常の漁船のようなものということで私どもは理解をしております。

土田委員 年間三百回ぐらいの領海侵犯がされている、これに対して、まず現場ではどういった対応をされておりますか。

 もう一つは、それに対して中国、台湾にどういった抗議といいましょうか、対応を求めておられますか。

縄野政府参考人 まず、先ほどの説明で間違いがございました。抗議船が多数この海域へ参りましたのは平成十年でございます。

 それで、私どもの現場といたしましては、こういう重要施設に対するテロの警備を余儀なくされている中ではございますが、尖閣諸島周辺海域に対しましては、大型巡視船を常時配備するとともに、航空機によりまして哨戒を実施しております。それで、現場におきましては、巡視船あるいは航空機から、無線、拡声機などで警告、退去通告を行っております。そのほか、船名、船の名前を確認しますし、厳重な注意を行います。状況に応じまして立入検査を行って再発防止に努めておるところでございます。

土田委員 立入検査を行っているんですか。ちょっと待ってください、長官、船名を記録したり、立入検査を行って事情聴取なんかもしているんですか。

縄野政府参考人 立入検査、船名の記録は行っております。ただ、状況に応じ適宜ということでございまして、すべての船に対して立入検査を行っているわけではございません。この全体の数に比べればごく少数の船についてでございます。

土田委員 ごく少数の船について立入検査を行ったという表現でなくて、立入検査もしたことはあるという程度でしょう。ほとんどやっていないんじゃないでしょうか。だって、そういった常習犯があれば、なぜ拿捕しないんですか。

縄野政府参考人 立入検査を行いました隻数は、平成十三年、今年度は、中国、台湾合わせて八隻でございます。

土田委員 だから、表現は正しくしてくださいよ。立入検査をしたこともあるという程度です、その八隻というのは。

 なぜ拿捕しないんですか。

縄野政府参考人 私どもとしましては、この海域における領海侵犯の船舶に対しては厳正に対処することとしておりますけれども、具体的な取り締まり方針につきましては、政府全体の方針として領海警備を行っているというふうに考えております。

土田委員 去年、ことしは三百回程度だったけれども、おととしは千七百四十五回も領海侵犯をされた。そのたびに巡視船が行って、飛行機が行って、追い返しているわけですね。だから、海保庁だって大変でしょう。面倒くさいでしょう、こんな何百回も漁船が来るわけですから。だから、来ないようにすればいいんじゃないですか、来るなと。

 その政府の方針というのは何ですか、拿捕しないという政府の方針は。

縄野政府参考人 私どもとしましては、現場でこのような対応をしておりますほか、本年十一月、先月でございますが、私ども、扇国土交通大臣の指示に基づきまして中国と台湾に対しまして、外交ルートを通じまして、中国、台湾漁船が尖閣諸島周辺海域における不法操業等の大半を占めておりまして、同海域における治安の確保に深刻な影響を与えている、これらの漁船に対して我が国領海における不法操業等を起こさないよう指導を願いたいという旨を申し入れを行っているところでございます。

土田委員 我が国に対して深刻な影響を与えている、だからこういうことをしないように中国や台湾でも取り締まっていただきたいという抗議をしたわけですね。

 政府の方針として拿捕しないということを決めているわけですが、これはやはり僕は間違いだと思うんです。拿捕すべきは拿捕しなきゃならない。悪質なものについては、あるいは何回も領海侵犯をしてくる漁船に対しては、明確な態度で臨まないからこういった頻繁に来られるわけでございまして、まあこれは海上保安庁の方針として決める内容じゃございませんけれども、大臣に申し上げますが、政府としまして拿捕しないという方針というのはよくないのかなというふうに考えております。

 この拿捕しないという方針について答弁されますか。それならば、どうぞ。

縄野政府参考人 政府の方針として、警備の内容にかかわることでございますので、お答えにつきましては、私どもとしましては拿捕しないという方針があるということではないというふうに考えております。適正に措置をする、悪質者に対してはもちろん拿捕、検挙を含めた措置をとるということも含まれておりますが、そのようなことも含めて政府全体の方針として私どもが行っているということでございまして、拿捕しないという方針が決められているということではないというふうに考えております。

土田委員 では、拿捕しないという方針は決められていないんですね。では、拿捕してもいい、あるいは検挙してもいいと。してもいいというか、領海侵犯した船については検挙すべきですよね。頻繁に、こんな年間に何百回も行われていて、この何十年も一回も検挙しない。だからこういったことになってくるんじゃないかな。特に、尖閣諸島という極めて難しい地域を抱えているわけですので、ぜひその点については、たまにはやった方が効果があるのかなというふうに私は思いますので、ぜひ一度お試しになったらどうかなというふうに思います。

 時間がもうあと一分しかございませんので、大臣に一言お尋ねします。

 台湾の総選挙がこの前行われまして、御存じのとおりの結果になりました。今後の台湾と中国の関係、どのようになるというふうにごらんになっておりますか。

田中国務大臣 台湾と中国の関係についてどう思うかというお尋ねにはちょっと即答はいたしかねますし、発言すると影響も大きいと思いますが、台湾の十二月一日の選挙の結果はもう報道されているとおりでございますので、今後の関係、中台に与える関係ももちろんそうですけれども、日本との、全体の関係も注意深く注視していかなければならないというふうに思っておりますし、この選挙結果というものを、何でこういう結果になったか、新しい政党もできたようですし、よく分析をしていかなければならない。そのことによってまた将来の展望も開けてくるというふうに思います。

土田委員 ちょっと外務大臣の答弁としては弱いですね。

 台湾と中国については余り言及、やめましょうと言ってもいいですが、では、日本と台湾についてはどうですか。これについては、もう少し方針を答えてください。

田中国務大臣 日本は、一つの中国というふうな基本路線を持っております。ですが、台湾が、この間もまた中国とは別にWTOにも入られましたし、お尋ねは選挙の結果のことでございますので、このことをやはり分析して、実情がどういうふうなことになるか、そのことによって将来の台湾の政局というものを分析していきたいということを申し上げております。

土田委員 別に選挙の結果の感想を聞いているんじゃないんですが、台湾の選挙によって随分様子が変わってきたわけですね、大陸派と台湾派と逆転したわけですから。これについて、やはり日台関係というのは私は変わってくると思いますよ。その辺について、やはり具体的な方針といいますか、それを聞きたかったんですが、結構です。

 これで終わります。ありがとうございました。

吉田委員長 土田龍司君の質問は終わりました。

 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男でございます。

 一昨日、防衛庁は、補給艦「はまな」が米海軍艦艇への洋上補給を行ったということを発表いたしました。そして昨日は、その際の写真を公開いたしました。それで、戦時下の協力支援活動というものがどういう形で行われているのかということは、政府の立場からいっても当然吟味されるべき重大な問題だと思うんです。

 そこで、幾つか防衛庁にお尋ねしたいんですが、昨日、二枚の写真が公表、公開されておりますけれども、ここに写っている補給先艦はどういうタイプの艦艇なんですか。

北原政府参考人 お答え申し上げます。

 公表させていただきました写真の補給先艦につきましては、米艦の補給艦でございます。

山口(富)委員 そうしますと、これまで海上自衛隊は米軍艦船の補給艦に洋上補給をしたことがあるんですか。

北原政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで洋上で米艦船に補給をするといった実績でございますが、これにつきましては、いわゆる共同訓練、ACSAの枠組みのもとで実施しておりますが、ただいまちょっと私の手持ちの資料を見た限りでは、補給艦はございません。

山口(富)委員 今お持ちの資料がどこまでのものか私は知りませんけれども、きょう防衛庁に問い合わせいたしましたら、直近の五年間を見ても一回もないという回答をいただいております。それで、このように海上自衛隊がこれまでやったことのないような洋上で補給艦に対して補給を行ったということは、なかなか意味深長なものがあるというふうに思うんです。

 それで次に、これが行われた実施海域なんですが、これはアラビア海ということでよろしいんですね。

北原政府参考人 実施海域につきましては、今御指摘のアラビア海、いわゆるインド洋北部アラビア海でございます。

山口(富)委員 当初の防衛庁の発表の文書がありますね。インターネットのホームページを見ますと、「お知らせ」という形で出ています。あそこにはインド洋ということしか出てきていませんでしたが、あえてアラビア海というものを伏せた理由というのは何かあるんですか。

北原政府参考人 お答え申し上げます。

 特に伏せたということは一切ございません。先生も御承知のように、アラビア海もインド洋の一部でございます。

 以上であります。

山口(富)委員 インド洋といっても大変広いですから、それはやはり、一部といえば一部だし、広くとったらかなりの沿岸の諸国を含むわけでしょう。ですから、当然、これがどこの実施海域かというのは、まず最初の発表で国民の皆さんに対して知らされてしかるべき問題だと思うんです。

 それで、今問題なのは、アメリカがタリバンの支配地域に対して非常に激しい空爆を引き続き行っている、その出撃部隊がこのアラビア海に展開しているというところが非常に大きな問題なんですね。ここに補給艦、相手は補給艦でありますけれども、事実上の戦闘区域となっているその地域で補給を行われた。

 そこでお尋ねしたいんですけれども、通常、戦時下の軍事オペレーションとして補給を考えた場合に、今度の場合、艦船用の燃料の軽油が補給されたわけですけれども、それは一番必要な艦艇に直接補給するというのが通常の考え方だと思うんです。今回のようにこういう補給艦同士という、いわば迂回的なやり方がやられた、その理由というのは何なんでしょうか。

北原政府参考人 まず、実施の海域でございますが、御承知のように、当然のことながら、私どもの実施した海域は、実施要項に定められた実施区域で実施したところでございます。

 それから、補給活動を実施するに当たりましては、米軍の具体的なニーズを踏まえまして所要の調整をした上で行ったものでございますけれども、その具体的な内容等につきましては、私どもといたしましては、ここで具体的にコメントすることは差し控えさせていただきたい。

山口(富)委員 重ねて申し上げますけれども、実施区域の問題でいいますと、実際にアメリカ軍が戦闘活動をやっているわけですから、これを戦闘区域とみなすのは当たり前のことで、それが日本側の一連のテロ特措法ですとか基本計画の中でどういうふうに書かれているのかというのは、これはまた一つの別の問題なんです。

 それで、今あなたは、今度の補給艦同士の補給について、米側からのニーズで調整が行われたという話がありましたけれども、この調整というのはどこで行われたんですか。それから、米側のニーズというのは、だれがだれに対して出したニーズなんですか。

北原政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで各種調整等を米側とはやってきております。そうした中で、今回の補給についてでございますけれども、これはアメリカ側とのさまざまなレベルにおける協議の結果といたしまして、さらに具体的な先方のニーズ、これを踏まえまして、我が国があくまでも主体的に判断して実施したものでございます。

 そういった性格のものでございますけれども、具体的な先方の要請の内容ですとかあるいは調整の要領等につきましては、先生御承知のように、現在、米軍の作戦行動に関する事項でもございますので、お答えは差し控えさせていただきたい、そのように考えております。

山口(富)委員 基本計画のときは、調整中、調整中という話がしばしばこの委員会でも繰り返されました。しかし、私が今お伺いしているのは、実際に既に実施されたものについてお伺いしているんです。

 それで、今、新たな協議の結果としてこの調整を行ったということなんですが、これは調整委員会で行われたんですか。

北原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の調整委員会は、既に過去二回やっております。今申し上げましたのは、いわゆるテロ特措法のもとでの対米支援の調整の枠組みがございます。そうした枠組みの中で、各種ルート、レベルで実施したものでございます。

山口(富)委員 今の説明は、ちょっとこれまでの政府側の答弁とそごを来してくると思うんですね。

 それで、私は、十一月七日の当外務委員会で、アメリカ側と合意したという対米支援の調整の枠組み、これを委員の皆さんにも資料としてお読みいただいて、これは一体どういう枠組みなんだという質問をいたしました。

 その際に、私が心配になりまして、上に調整委員会が乗っかっているんですけれども、下で各軍や統幕関係の調整が行われるわけですね。これは勝手にやられたら大変なことになりますから、基本的な考え方はどういう仕組みなんだ、このことをお尋ねしました。そのときの政府側の答弁はこうなんですね。軍のレベルで行いますこと、あるいは幕のレベルで行いますことを調整委員会に上げまして、そこで政策的判断を行うというのが枠組みの基本的な考え方です、こういう答弁なんですが、あなたのおっしゃった各レベルでの調整というのは、この基本的な考え方との関係では一体どう説明なさるんですか。

北原政府参考人 御答弁を申し上げます。

 いわゆる対米支援等の基本的な考え方、枠組み等につきましては、先生御指摘のように、あるいは私どももそのように説明してまいりますが、この調整委員会の場でやっております。

 そして、そうした基本的な考え方あるいは枠組みのもとにおきまして、今度は具体的に、その枠組み、基本的な考え方に基づいて、具体的なニーズに基づいた行動をしていくというのが、今申し上げましたこの枠組みの中での調整ということになるわけでございます。

山口(富)委員 二つの大きな問題があると思いますね。

 一つは、私たち、この外務委員会でも、第一回調整委員会の中身、それから第二回調整委員会の中身を詳しくお尋ねしましたけれども、これもきちんとした答弁がありませんでした。そのときは、調整中だから、調整中だからという話だったんですよ。ところが、今のお話ですと、言ってみましたら、その基本的考え方、包括的な調整は既に終わっていたということになるんじゃありませんか。どうなんですか。

北原政府参考人 お答え申し上げます。

 改めまして、これまで実施いたしました調整委員会の概要につきまして、ここでちょっと御報告をさせていただきたいと思います。

 まず、第一回目が十一月二日に開催されました。ここでは、我が方、日本側から、テロ対策特措法に基づく対米支援についての基本的な考え方を説明いたしまして、また米側から、日本の迅速な対応に感謝しており、日本の協力は有益で価値の高いものである、多国間協力を行う際には自己完結型の能力を持って参加することが重要であり、自衛隊の支援はこれを満たしている、本件は短期間のものではなく息の長い協力をお願いしたいといった等の意が示された、これが第一回目でございます。

 第二回目が十四日でございますけれども、我が方より、基本計画の検討の現状について御説明をいたしまして、米側からは、日本側の努力に感謝をする、日本側の提案を最大限有効活用していきたい、そしてテロとの闘いは長期にわたることとなる、今回の協力内容は良好な日米関係が結実したものと思っているといった反応等が示されたところであります。

 こうした二回の協議、調整を重ねまして、そして、こういった考え方のもとで、具体的に、では、何日に、どこで、何をといった調整がなされたというものでございまして、あくまでもその調整委員会で、中央レベルで調整したものの枠の範囲内でございます。

山口(富)委員 いや、それは実におかしな話でしょう。二回の調整委員会の中身、今運用局長からお話があったのは既にペーパーで出されている内容に尽きます。この国会の場で、調整中なんだ、調整中なんだと言ってきた調整とは一体何だったんですか。今の運用局長のお話ですと、包括的な部分については基本的考え方は一致した、だから、それぞれの個々の分野にかかわるものは調整委員会に諮らなくてもそれぞれのレベルの判断で進められる、結論としてこういうふうになるんじゃないですか。

北原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明申し上げましたいわゆる調整委員会におきましては、基本的なことを合意いたしております。そして、その細部につきましては、その下の枠組みで調整するということにされております。その意味におきまして、私どもの御答弁が、細部を調整中、調整中といった形でお答えした、そのように考えております。

山口(富)委員 やはりこの問題は、一番、対米支援の実際に行われるところの中身ですよ。これがどう決められるかというところにこの国会の審議の目が入らない、そういう点で非常に国民と国会をないがしろにする態度だということを私は厳しく指摘しておきたいと思います。

 それで、きょうもう一点、ちょっと外務省にお尋ねしますので、この問題は引き続き当委員会でも取り上げていきますが、十一月の三十日に外務省が「「プール金」問題に関する調査結果報告書」、これを発表いたしました。

 これを読みますと、大臣官房を含めて十七の部局すべてで外務省を覆い尽くすような裏金がつくられていたということが明らかになったわけです。ところが、幾らこの報告書を読んでも、一番肝心な、どうやったらこういう、プール金というふうに称されていますけれども、裏金がつくられるのかさっぱりわからない。この報告書の中には、「外務省から取引先に実績を上回る支払いがなされた結果生じた」と、まるで人ごとのように書いてあるんですね。

 実は、同じ日に会計検査院が、昨年度の決算検査報告、これを発表して内閣に届けてあるはずです。この中身を見ますと、外務省の会計上の処理についてかなり立ち入った話が繰り返し出てまいります。

 私は、この報告を踏まえて、会計検査院に直接、一体、外務省というのは会計処理上どういう特徴を持った省庁なんだということをお聞きしました。そうしたら、こういう回答がありました。

 外務省の場合は、伝票その他の会計上の処理は、不適正さという問題はあるにしても、ここからが大事なんです、支出行為自体が外形上、いわば外から見た場合に、直ちに違法状態にあるとは見えないものだった、こういう回答だったんですよ。つまり、平たく言いますと、それらしい請求書なり領収書が存在していたわけですね。ですから、外側から見ると、何かそこに違法の状態があるというふうにはみなし得なかったと。

 となりますと、そういう外形上の装いのもとで、この裏金というのは一体どうやったらつくることができるんですか。

小町政府参考人 お答え申し上げます。

 プール金は、典型的には、外国からの要人の訪日の際やいろいろな招待プログラム、招聘プログラムの運営経費、それから国際会議等の費用につきまして、取引先企業側に実績を上回る支払いが行われた結果生じたものでございます。

 プール金捻出の経緯につきましては、いろいろなたくさんのケースがございますので、状況が一様ではございません。また、個別の状況を書類等により特定することには困難がございますけれども、関係者の話を総合いたしますと、次のようなケースが一般的だというふうに承知しております。

 まず、行事開催に要する費用に関しまして外務省の担当課がホテル側に見積もりを依頼いたしますけれども、その際、行事を成功させるために余裕を持った形で見積額が設定されることが多いということでございます。それから、行事におきまして実際に要した経費が行事への参加者の減や値引きなどによって見積額を下回る場合にも、外務省はホテル側の見積額どおりの請求額を支払い、結果としてプール金が生じるということでございます。

 ただ、この過程で、外務省担当者には個人的に使用しようとする意図はございませんし、また、外務省とホテルの双方の担当者の間でプール金の慣行のもとで具体的な相談は行われておりません。外務省担当者は、ほとんどの場合にその時々のプール金の残高を正確に認識していなかった、こういうことでございます。

山口(富)委員 そうしますと、官房長の答弁を私なりに理解させていただきますと、こういうことになりますね。

 今のお話ですと、余裕を持った見積もりなり、請求もあるんでしょう、そういうものが出てきたと。これは普通に考えたら水増ししたということですね。そうしますと、その契約先とそれから外務省の側で、双方がかかわったか、具体的相談はなかったのかもしれないけれども、事実上水増しで裏金がつくられたということは今の答弁ではっきりしてくると思います。

 それで、それは虚偽の書類が作成をされてお金が動いていくわけですから、ここに違法な行為がある、違法性がある、この点はお認めになりますね。

小町政府参考人 プール金につきましては、不適正な経理の結果生じたということで、そういうふうに認識しております。

山口(富)委員 不適正な行為というのは、違法性を持った、事実が確定していけば犯罪を構成する要件になる、そういう行為だとお認めになるんですね。もう一回確認いたします。

小町政府参考人 プール金の捻出の経緯につきましては、いろいろなケースがございます。

 先ほど申し上げましたように、実際、プール金が生じましたときに打ち合わせといったものが行われていないケースがほとんどでございますし、また、外務省の担当者側にはこれを個人的に使おうといったような意図はございませんでした。また、外務省側の担当者といいますか外務省側には、幾ら残高があるかということについての正確な認識もなかった。こういうような事情がございますので、そういった事情を勘案しなくてはいけないと思っております。

山口(富)委員 聞いていることにきちんと答えてくださいよ。

 個々の方がどういう思いを持っていたのか、それはそれぞれあるでしょう。しかし、客観的に見てこれは違法な行為であるという認識をあなたは持ってきちんと調査をしたのかどうか、この点をお尋ねしたいんです。

小町政府参考人 お答え申し上げます。

 若干、残念なケースではございますが、私的にプール金を使ったケースがございます。これらにつきましては、御案内のとおり厳正な処分をいたしたわけでございますけれども、その結果判明した事実関係につきまして、当該者の意思や行為が犯罪の構成要件に該当するかどうかにつきましては、捜査当局とも相談しながら慎重に検討していきたい、こういうふうに考えております。

山口(富)委員 この問題は、今度起こった一連の不祥事に対する外務省側の認識として、やはり根本を問われる問題だと思うんです。

 例えば、刑事訴訟法の第二百三十九条にはこう規定されております。「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」このぐらいの重みを持った行為が行われたんですよ。そのときに、部分的にはあったかもしれない、先ほどの話ですとそれは九件でしょう、そういう認識、それを出発にしていくんじゃなくて、やはり事実として何が行われたのかということできちんとした調査をすべきだったと思うんです。

 それで、今あなたが、部分的に私的な使用があったとお話しになりましたから重ねてお聞きしますが、今度の処分は、外務省の全部局にわたって三百二十八名が処分されております。このうち、国家公務員法によるいわゆる懲戒処分、免職、停職、減給、戒告、これを受けた方は十三名、このうち野上事務次官は除くといたしまして、それ以外の方は全部私的使用ということで懲戒の処分に遭っているんです。

 そこでお尋ねしますけれども、一体あなた方は、私的使用と懇親目的で使ったと言っているものとどう区別なさっているんですか。

小町政府参考人 私的に使用した、費消した方のケースは別といたしますと、この報告書にも書いてございますように、外国からの要人受け入れに関連して職務に関連した経費に使ったケースが半分、それから職員間の懇親に使ったケースが半分ということでございます。

 ただ、先ほども申し上げましたように、典型的なケースは、そのプール金が発生する過程で具体的な打ち合わせをホテル側との間で行っておりませんし、かつ、その当該者にこれを私的に使おうという意図はございませんでしたし、かつ、幾ら残高があるかということも正確に認識していなかったというようなことがございますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。

山口(富)委員 今の一連の答弁を聞きましても、やはり極めてずさんな、身内に甘い調査だったということを確認できると思うんです。

 それで、八種類、処分が行われているんですが、このうち、国家公務員法に基づく四つを除きまして、それ以下の四つの種類、これは外務省が発表している文書でも枠のつけ方が太線になっていて、どうも区別されているようですが、どういう根拠でその他の四つの処分がなされているんですか。

小町政府参考人 プール金に関与いたしました職員につきましては、それぞれの関与の度合い、使用した金額、それから使用の目的等に応じて処分をいたしました。具体的な各職員に対する処分の内容につきましては、個別具体的な事情を考慮の上決定しております。

 なお、外務省内規による処分は、紀律維持を怠った場合、責任を持って職務の遂行に当たらなかった場合等に、重い順に厳重訓戒、訓戒、厳重注意、注意の形で行うことといたしております。

山口(富)委員 どうも国民を納得させるようなきちんとした合理的区分はないように、今のお話で思いました。

 それで、先ほどの質疑の中でも、ことしに入って機密費をめぐって松尾事件が表面化して、国会の場でも大問題になって、外務省から繰り返し反省の言葉が出ていた、その時期に百四十万裏金が使われていたという話がありました。私が外務省の官房総務課に尋ねましたら、プール金自身は二百八十万つくられていたというお話でしたけれども、これは一体幾つの部局が絡んだプール金なんですか。

小町政府参考人 大変申しわけございません。私、今手元にちょっとその資料を持ち合わせておりません。

山口(富)委員 では、後で理事会に報告してください。

 それで、今のお話でも、あの機密費のときでも反省というものが表明されましたが、しかし、実際には裏金づくりが引き続き続いていて、しかもそれが使用されていた。今の答弁では、一体どのぐらいの部局に広がっていたのか確たる資料は今持っていないということです。このように、今度起こった問題というのは、やはりどういう根があるのか深くとらえて調査しないと、とてもじゃないけれども再発防止だとかここから教訓をつかみ出すことができないと思うんです。

 もう一つお尋ねしますが、十月十六日にいわゆる預かり金返済問題に関する説明会というのが行われています。ここで出席したのは官房参事官と官房総務課長ということらしいですけれども、その際に総務課長が、過去に二回預かり金を廃止したことがある、ここからは先ほど田中外相も引用されましたけれども、しかし、カビのように今回再度同じ問題が生じたというふうに述べています。ここで言っている二回廃止したというのはどういう中身なんですか。

小町政府参考人 過去に二回ということを断言したというふうには私は承知しておりません。ただ、そういうふうなことを聞いたことがあるというふうに説明したというふうに理解をしております。何分古いことでもございますので、いつごろかということにつきましては断言できないことを御理解いただきたいと思います。

山口(富)委員 不十分というのはおかしいですよ。これは過去にあって一たんはなくなっているんだったら、その経緯を調べて、なぜこれだけ全省に広がってしまったのかをきちんと調べるのが今度の調査報告のやはり前提でしょう。それさえやっていないというところに、やはり今度のこの調査報告なるものの甘いと言われても仕方がない問題があると私は思うんです。

 それで、田中外相にお尋ねしますけれども、この問題は、やはり最終的には田中外相が、記者会見でも発表し、この中身に責任を負っているようですけれども、今私が質疑の中で明らかにしてきたように、極めて不十分な甘さを持ったものだと思うんですが、この点、一体外相の責任としてどういう認識をお持ちなのか、今後どうするおつもりなのか、答弁願います。

田中国務大臣 プール金に絡みましては、私もこの処分につきましては専門家とも相談もいたしましたし、それから、園部参与という前最高裁の判事もしていらした方がかかわってくださって御相談にも乗っていただきまして、官房長と三人で相談もいたしましたけれども、結果的には今先生御案内のようなことしかできない。

 私は、例えば降格というふうなことが幹部にとってあってしかるべきではないかというふうなことを思いましたけれども、今の国家公務員法ですとか、それから人事院の規則によりますと、そういうことは分限処分になってしまいますし、なかなかこれはうまく機能しないということがよくわかりまして、要するに、日本の公務員は非常に手厚く守られているということが実態であると思います。

 そういうことも、私ども国会の責任として、今後の問題として見直すべきは見直していくというふうなことをしていかないと、根本的な解決は外務省のみならずいかないと思いますし、これはたくさんの処分が出てきて、そしていろいろ前から続いていることであって、そして今回はプール金制度をやめるのだと思います。

 ただし、またほかの外部につきましても、在外公館につきましては、お尋ねからちょっと外れますけれども、渡し切り金ということ、これはもうずっといろいろな委員会でもって質問されていまして、光熱費云々であると言いますけれども、報償費、今までの五十五億円よりも、渡し切り金、今までの分は、七十七億とおっしゃいましたか、すごく大きな額が行っていますので、こういうことについては、先ほど在外はどうかというお尋ねもありましたけれども、これらについてもやはりしっかりと解明していかなきゃいけないと思います。

 ただ、そのプール金につきましては、一応今回、納得いく方、いかない方、おられると思いますけれども、全省員挙げて返済をしていこうということでもありますので、このことについてはこうですが、しかしトータルで不祥事というものを見ましたときに、どこに原因があり、だれが本当に責任をとるべきか、役所の責任者はだれなのかということについて、やはりこの委員会も、全体、国会議員、それから内閣も挙げて、そういうところを見逃していってはいけないというふうに思います。

山口(富)委員 この問題は公務員一般の問題ではなくて、外務省で起こった問題なんですから、しかも構造的なものですよ。これだけ広がっています。今度発表されている外務省の調査報告でも社団法人が入っているでしょう。国際交流サービス協会ですか、これは外務省の中に事務所と本部を持っている組織なんですよ。そのように、文字どおり身内的な中で生まれたものですからね。

 これは、今度のこの結果、調査報告で終わりとしないで、引き続き問題をきちんと国民の前に示していただく、このことを最後に求めまして、質問を終わります。

吉田委員長 山口富男君の質問は終わりました。

 次に、東門美津子君。

東門委員 社会民主党の東門美津子でございます。

 小泉内閣の売りというんでしょうか、これは聖域なき構造改革ということですが、事沖縄の基地政策に関しましては例外になっているのか、首相の顔が全く見えません。テロの問題に対しては、主体的に、積極的にを何度も繰り返されて、それを叫んで勇ましく旗を振っておられた首相が、基地問題に関しては、すこぶるもう本当に消極的で、主体性など全然見られません。どころか、アメリカ任せの姿勢で、そして官僚のシナリオを追認するだけのようにしか見えませんし、改革する意図さえあるのか全く伝わってきません。

 それは、外務大臣の姿勢もしかりだと私は言わざるを得ません。沖縄の県民の負担の大きさはよくわかるとおっしゃるわけですが、しかし県民の負担の軽減はSACOの最終報告の着実な実施で、そういうことを繰り返されるだけです。本当にそれで負担は軽減されるとお考えなのか。大臣に就任されてもう七カ月余りたっておりますよね。外務大臣として、普天間飛行場の移設予定地がどういう場所なのか実際に足を運んでごらんになることもなく、基地の視察もなさらず、県民の負担の軽減どころか、むしろ環境破壊をもたらし、新たな基地をつくって住民に新たな負担を強いるような、そのような重大な問題に、この間大臣としてどのように取り組んでこられたのか、まずお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 なかなか極めて多忙でございまして、視察も、私は外務大臣になる前に普天間基地はつぶさに視察をいたしました。米軍の案内もしていただきましたし、その関係で自衛隊の方からもいろいろな説明も聞きましたし、沖縄県だけが、もちろん大変大きな比重を担ってくだすっておりますけれども、ほかのところの、米軍以外の基地もあらゆるところを私結構まめによく見ている方でございます。

 沖縄県のことに関心を持って今この地位協定の見直し等もおっしゃっておられますが、やはり内閣の基本姿勢というのがございまして、小泉内閣の姿勢といたしまして日米同盟というものが基本にあって、その中でもって、地位協定の問題についてはその時々の運用の改善により機敏に柔軟に即応力を持って対応していこうということでございますから、そのことについてはやはり前向きに一生懸命過去においても取り組んできているんだ、そして小泉内閣になりましてからもいつもきめ細かく対応してきているというふうに、御不満かもしれませんけれども、そういう対応をいたしてきておりますということを御報告申し上げさせていただきます。

東門委員 御多忙なのはよくわかります。御多忙なところを押して、この間パキスタンまで行かれました。沖縄はそれに比べましたら本当に二時間先ですよ、二時間で行けるところですよ。日帰りのできる場所なんですよ。私は就任当初からずっとそれをお願いしてきました、ぜひ行ってくださいということ。

 それからもう一つ、普天間基地はごらんになったとおっしゃった。移設先をごらんになりましたか。その移設先が住民の方たちにどういう意味を持っているか。そこの住民のおばあちゃんのお話を聞くと、涙なしには聞けないんですよ。戦争で食べるものもない、そのときに、私はこの海から出てくる海の幸で子供を育てた、学校まで送った、そして教育をさせた、海は私にとっては宝なんですよ、命なんですよとおっしゃる。そういうところを大臣としてごらんにならずに、そういうお話も聞かずに、もう全部そこにというふうに決めておられるのがすごく残念です。もう一度お聞かせいただきたいと思います。

田中国務大臣 本当に時間が足りないぐらいで、私も一生懸命やらせていただいているんですけれども、移設地につきましては、尾身担当大臣も行っていらっしゃったり、ほかの先生方、大臣方もそうですし、一般の議員の先生方からも始終お話も伺えておりますし、役所からも聞いております。

 ですから、もう私一人が体一個しかなくて、あそこもここもと言ってもなかなかそれもできませんけれども、情報を正しく、外交トータルもそうですけれども、自分が全部の百数十カ国に行けるわけではありませんけれども、連絡をとりながらやっておりますので、自分の言っているところには思うように行かないからそれはけしからぬと言われても、それは、トータルで日本の外交を担わせていただいている身としては、私は決して行かないとは申しておりませんので、やはり一生懸命時間をつくって、この内閣にもまた私からも意見を言わせていただけるようにしたいと思っておりますが、今のところはそうした皆様の御意見を聞いているということをお答えしております。

東門委員 済みません、答弁は短目にお願いします。私の質問だけに答えてください、大臣のアピールは結構ですから。

 忙しいと。大臣、沖縄の県土のどれだけが、何%が基地にとられているか御存じですか、お答えいただきたいと思います。――いや、大臣にお答えいただきたいと思います。今の御発言の後は絶対に大臣にお願いします。

田中国務大臣 全体の在日の米軍の七五%ですが、面積の何%か、今、正確を期して計算をしております。――一〇・五というふうに計算をしておりますが、合っておりますでしょうか。

東門委員 はい。

 では、沖縄県の次に、二番目に大きく基地を抱えている県はどこでしょうか。県土面積に比べて、二番目に大きな基地を抱えているところです。

田中国務大臣 神奈川県でよろしいでしょうか。

東門委員 それでよろしいでしょうかというのはすごく寂しいですね。

 今の大臣の御答弁は、もう忙しくて、基地はほとんど見ておられる、私はあっちこっち見ていますとおっしゃっていた。その割には、それもおわかりにならない。山梨県だと思います。しかも、県土の何%かというと、一%ちょっとです。県土面積に占める基地の割合です。

 私は、大臣の姿勢に対して今抗議をしているのです。沖縄県がどれだけ苦労してきたか、いつも口頭ではおわかりになるとおっしゃる。視察も行かれないねとおっしゃいます、私は忙し過ぎて、私だけがするわけじゃない、尾身担当大臣もなさっているじゃないですか、いろいろな話も聞きます、読みます、そういうことではないと思うのです。県民の負担がどれだけか。大臣がおっしゃるようなのが本当に心から出ている言葉であれば、どれだけの基地が沖縄に集中していて、県土のどれだけを占めて、よその県と比較してどれぐらいなのか、それも当然知るべきではないかと思います。いえ、副大臣には聞いていません。私は今大臣にお伺いしています。

 そういう意味では、本当に沖縄のことは大臣として何も御存じないのかな、残念と言うしか言いようがないように思います。これで本当にアメリカに対して基地の問題で対等にやっていけるのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

田中国務大臣 全力を尽くしております。

東門委員 防衛施設庁長官に伺います。

 この二、三日ですけれども、代替施設の位置選定で、リーフ案が確定的と報道されておりますが、リーフ上に代替施設を建設した場合、海岸からリーフ内への住民の立ち入りは自由なのでしょうか。

伊藤政府参考人 まだ、どこにどうこうということにつきましては、いわゆる三工法八案につきまして、地元の方でいろいろと御議論をいただいているところと存じております。

 ただ、私どもで、三工法八案の中で、リーフ外あるいはリーフ上、リーフ内といったいろいろな案をお示ししているわけでございますが、いずれにいたしましても、現在地元の方が立ち入っておられますところ、これは現実に施設ができるところは別でございますけれども、それ以外のところの立ち入り制限ということについて、現段階で話し合っているわけではございません。

東門委員 長官、私がお伺いしているのは、リーフ上が確定的だと今報道されております、どうなるかわかりません、もしそうなった場合です、リーフ内への立ち入りはできますかとお伺いしているだけです。イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 ただいまも申し上げましたけれども、リーフについての立ち入り制限ということについての話をしておりません。

東門委員 では、それとの関連で、辺野古漁港の利用についてですが、それは今までどおりで可能でしょうか。

伊藤政府参考人 これは、三工法八案をお示ししたときに、辺野古漁港の利用方法については何らかの影響が出る、それに関しまして対応をとる必要があるということは申し上げております。

東門委員 いずれの場合においてもということですね。わかりました。

 では、次の点ですが、去る十月十五日において、国、沖縄県、名護市の実務者のレベルで意見交換があったというふうに出ているのですが、そのときどのような確認がなされていますか。

伊藤政府参考人 大変申しわけございませんが、私ちょっと、そういう事実を含めまして、現在記憶しておりません。あらかじめ御質問をいただいておりませんでしたので、資料を持ってきておりません。申しわけございません。

東門委員 ということは、その事実があったかどうかさえおわかりにならないということですか。その実務者レベルの意見交換があったかどうか、その事実さえおわかりにならないということですか。イエスかノーで結構です。

伊藤政府参考人 お示しの十月十五日という時点での協議会というものについて、私は今承知しておりません。先ほど申し上げたとおりの理由でございます。

東門委員 名護市長の受け入れ条件についてですけれども、名護市長は、名護市に移設先を受け入れる条件として七項目挙げました。その七項目の四項目めに述べられているのが、日米地位協定の改善及び当該施設の使用期限があります。それに対して、地位協定の改善に向けてはさまざまな協議がなされてきていると思います。

 市長が受け入れの基本条件として掲げた九九年十二月以来、改善に向けてどのような日米合意があったのか、北米局長にお尋ねいたします。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 九九年十二月以降、どういう地位協定の運用改善があったのかということでございますが、本件につきましては、委員会の場で何度か東門先生からの御質問に対してお答え申し上げておりますとおり、例えば、緊急車両の立ち入りあるいは環境原則についての合意等改善を図ってきたところでございますし、また、SACOで合意いたしました九項目につきましてすべて実施した、これはもう先生十分御承知のところでございます。

東門委員 すべてとおっしゃいました。

 もう一つの方は使用期限十五年についてですが、それについてはどうでしょうか。これは外務大臣にお伺いしたいのですが、年内にも代替施設協議会が開かれそうだという報道です。その中で基本的方向が出されていくと思うのですが、使用期限についても年内決着の見通しというものは、何度もお尋ねしていますけれども、あるのでしょうか、大臣の御見解を賜りたいと思います。これは大臣にお答えいただきたいと思います。十五年使用期限はこれまで大臣が随分やっておられると思いますので。

藤崎政府参考人 委員長の御指名によりまして、お答えさせていただきます。

 使用期限の問題でございますけれども、これにつきましては、私ども、平成十一年末の閣議決定、これは十二月二十八日に行われたものでございますが、代替施設の使用期限について、政府としては、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しているが、県知事、名護市長から要請がなされたことを重く受けとめ、米国政府との間の話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、代替施設を含め、在沖米軍の兵力構成等の軍事態勢につき米国政府と協議していくこととする、これが閣議決定で決めた方針でございまして、その後、首脳レベル、閣僚レベルあるいは事務レベル等で米側と繰り返し本件につき取り上げてきている、こういうことでございます。

東門委員 先日、参議院の外交防衛委員会での質疑を私は聞いておりました。その中で、SACOにはない軍民共用空港、これは県の要望だからということで軍民共用空港でいくという大臣の御答弁がたしかあったと記憶しております。十五年使用期限も確かにSACOにはありません。しかし、これは県知事、市長の要望です。今の読み上げたものにもありましたけれども、重く受けとめると。

 これは何度もここで話していることですが、私が言いたいのは、軍民共用空港はSACOにはない、見直しはしていない、しかし、これは県の要望だから。では十五年使用期限はどうかというと、SACOにはない、しかし、これも同じように県知事、市長の要望です。一方は、政府にとって都合のいいものは取り上げましょう、都合の悪いものは取り上げませんということなのかどうか、そこの方で私は十五年使用期限について大臣の御意見を伺いたいんです。

 これは、岸本さんの七項目の中にもしっかりと入っています。県知事の公約でもあります。住民も県民も今それをとても注目しております。そういうところで国は住民の、地元の頭越しに決行しよう、持っていこうとしているのかどうか、ぜひ伺わせていただきたいと思います。

田中国務大臣 十五年の使用期限問題でございますけれども、これは先ほど局長も申しましたように、平成十一年末の閣議の決定に従って適切に対処するという考えでございますし、沖縄県知事及び名護市長からの要請がなされたことも重く受けとめておりまして、これを米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、代替施設をも含めまして、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につきまして米国政府と協議をしていくということでございます。

東門委員 委員長、お願いがあります。先ほどの北米局長の答弁、大臣の答弁、何ら変わりません。その閣議決定の項目を読み上げただけなんです。質問には全然答えておられない。ぜひ委員長の方からそのことは注意していただきたいと思います。

吉田委員長 わかりました。(発言する者あり)

東門委員 そんなことないです。外務委員会でやっていいんですよ。

 北米局長に伺います。何度か私は委員会でも質問をして、それから質問主意書でも伺っておりますが、やはりよくわかりません。もう一度お聞かせいただきます。

 十月三日の件ですね。基地外で銃を携行した米兵の件です。本当にこれも短く、イエスかノーでお答えいただけたらと思います。この米兵は銃砲刀剣類取締法など国内法の適用を受けますか。局長、お願いします。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきましては、本日御質問を受けるという通告を得ておりませんので詳細に御説明できるか存じませんけれども、今この米兵が国内法令の適用を受けるかどうかということでございますけれども、一般論といたしましては、一般国際法上で、駐留米軍と申しますのは、これは駐留外国軍でございますが、駐留国の国内法令の適用は受けないわけでございます。他方、地位協定十六条にございますように、一般的に尊重義務というものがございまして、それを日米地位協定でも明確に規定しているところでございます。

東門委員 国内法の適用を受けないという御答弁でした。その場合、では、法的根拠は日米地位協定にあるのですか、もしあるのでしたら何条何項でしょうか。

 この間の答弁で局長は、十項の(a)、(b)を持ち出された。それはもちろん私が質問しました。その答弁が何度読んでも全然わからないのですよ。(b)ではないとおっしゃる。では(a)かと言うと、(a)でもないとおっしゃる。もちろん(a)にはならないと思います。それなら(c)というのがあるのかどうか、そこでなければ何条何項か、お答えいただきたいと思います。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今十七条の十項の(a)か(b)か、あるいは(c)というものがあるのかというお尋ねでございますが、(c)という規定はございません。

東門委員 そうすると、これは根拠は何条何項ですかと、それも伺いました。それを答えてください。(a)でもない、(b)でもない、国内法も適用されない、それではああいう行為は何条何項に根拠を求めているんですか、お願いします。

藤崎政府参考人 私どもといたしましては、この日米地位協定十七条十項(a)項、(b)項をあわせ読みまして、この地位協定で米軍人が区域外で――これは十七条十項(a)項だけではございませんで、十七条十項(a)項に関する合意議事録もございます。これらの規定をあわせ読みまして、地位協定の趣旨にかんがみますれば、銃の携行を伴っているというのみで地位協定に違反するというようなことはないというふうに御答弁申し上げている次第でございます。

東門委員 局長さんの御答弁はいつもよくわからないんですけれども、要するに、(a)でもない、(b)でもないということですね。合意議事録があるからむしろ(a)と合意議事録だということですか。それだけはお答えください。もうそれだけでいいです。たくさんおっしゃらないでください。

藤崎政府参考人 今申し上げましたように、十七条(a)項、(b)項及び十七条(a)項、(b)項の合意議事録を根拠と考えております。

東門委員 では、十七条十項(a)、(b)の合意議事録にある基地の近傍というのは、その定義はどうなっていますか、どの範囲ですか。例えば何平方メートルとか何平方キロメートルとかというのはありますか。基地の近傍ということになっています。近くがどれくらいの範囲を意味しているのか、お願いします。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的に何メートルあるいは何平方メートルといった規定はないというふうに承知しております。

東門委員 では、これは局長にお願いします。ぜひアメリカ側と交渉してください、合同委員会の中で。

 次に、軍民共用空港についてお伺いします。これは施設庁の長官だと思います。民間空港の種別は何になりますか。例えば第一種空港とか第二種とか第三種とかありますよね。そのうちのどれに該当しますか。

伊藤政府参考人 民間空港の管理主体がどういうふうになっていくかということは、今後の議論で決定されることでございます。

東門委員 今の時点では管理主体はおわかりにならない。

 設置主体はどうなりますか。それも同じですか。

伊藤政府参考人 同様に、今後の議論で決まっていくことになろうと思います。

東門委員 これはSACOにはないんですけれども、どうやら滑走路の長さは二千六百メートルがずっと取りざたされているようですが、約二千六百メートル、まあ一部には約二千七百メートルになるところもあるというわけですが、それに横が七百三十メートル。その滑走路は、現在普天間あるいは嘉手納を使用している戦闘機だとか大型ヘリ、空中給油機、哨戒機などが十分利用できる規模と考えてよいのでしょうか。

伊藤政府参考人 ただいま代替施設協議会の方に私どもがお示しいたしました三工法八案の中では、滑走路は二千メートル、その両端に三百メートルずつのオーバーランと申しますかそういうものを設けるということで、二千六百メートルでございます。

 そして、私が承知している限り、二千メートルという滑走路では、一般的には、現在米軍が使っておりますような戦闘機等の離着陸というのは通常困難であろうと思います。

東門委員 現在の普天間飛行場の滑走路、これは二千八百で幅が四十六メートルですよね。それより大分横幅が広くなるわけですね。その場合、基地の整理縮小あるいは県民の負担軽減というふうに言えるのでしょうか。大臣、お願いします。

伊藤政府参考人 先ほど御答弁申し上げるべきだったかもしれませんが、飛行場の滑走路といたしまして、長さ二千メートル、幅四十五メートルでございます。したがいまして、今御指摘のような普天間より大きくなるということではございません。

東門委員 大臣にお伺いしたいんですが、これは多分新聞等でお読みになっておられると思いますので、通告は確かにしてありませんが、ぜひ御意見を伺いたい。

 米軍基地のための土地の提供について、土地を提供したくないという人もいます。そういう県民に対して、公共のために必要だから、契約期限が切れてもさかのぼって法を適用し、収用できるという改正米軍用地特措法をめぐる判決が去る十一月三十日にありました。米軍用地収用という日米安全保障条約を履行するための根幹をめぐって争われた今回の訴訟、判決について、外務大臣はどのような認識をお持ちでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 事実関係についてお話し申し上げたいと存じます。

 十一月三十日の判決におきましては、基本的に、平成九年に改正いたしました特措法につきまして、いわゆる暫定使用という制度を設けたわけでございますが、これについて原告側が憲法に反するという主張をされたのに対しまして、裁判所はいずれも合憲であるという判断を下していると承知しております。

 ただ、楚辺の通信所におきます、いわゆる空白の期間と申しますか、約三百九十日弱の期間につきまして、私どもは損失補償という形で供託をしておったわけでございますが、これについては国が損害賠償を支払うべきであるという判決であったわけでございます。

東門委員 残念です。私は大臣の御意見を伺いたかった。これは防衛庁長官の見解があったものですから、外務大臣としてはどのように受けとめておられるかということをお聞きしたかったということです。

 先ほどから話しておりますが、現在、沖縄においては普天間基地の移設問題が大きな問題であります。あたかも沖縄の問題だけであるかのように思われる方もおられるかもしれませんが、これは国の問題、大きな全国の問題だと私は思っております。

 この普天間基地の移設に関して、平和・安全保障研究所は最近発行した「アジアの安全保障」という報告書において述べておりますが、これだけの費用と期間をかけて沖縄側が感じている基地の重圧感を軽減できないとすれば、基地移設はどれほどの意味を持つのだろうかと疑問を投げかけています。この疑問に対し、外務大臣、どのようにお答えが出てくるのか、ぜひ見解を伺いたいと思います。

田中国務大臣 沖縄問題に対する政府の対応が沖縄県民の皆様にやはり不信感を植えつけているというふうな思いをしていらっしゃると思いますけれども、そういうことトータルについていつも東門先生は問うていらっしゃるというふうに考えております。

 例えば平和・安全保障研究所でありますとか、そういうところについて、いろいろな御指摘が出たりしていることもありますけれども、やはり日米というものの関係をトータルで私たちは考えていかなきゃいけない。なぜかというと、日本の安全保障をどういうふうにするかということを、今、憲法調査会も私が大臣になる前からずっとありまして、憲法というものがどうあるか、日本の安全保障はどうあるべきかということが長いこと国会で議論をされておりますね。

 そういうことはもっと早くからあってしかるべきであったと私は思いますけれども、戦後、これだけ時間がたってこうした議論がされていて、その中で私はずっと、先生がどう感じられるかどうかは別として、一極集中がよいと思っていませんし、現に、村山内閣の科学技術庁長官の閣僚のときも、例えばメガフロートを使って基地の発着陸の訓練を沖縄県から動かすべきではないかとか、それから村山総理も、御自分の大分県の日出生台基地をおっしゃって、一部をそこに移設する、あそこは前は軍隊があったところですけれども、そういうこともおっしゃいましたし、私も関連して一回目の質問で先ほども申し上げたのも、沖縄以外でと申しますのは、そういう日出生台も参りましたし、それから上越も行っています。

 あらゆるところで日本人一人一人が、沖縄県だけに負担を強いていいと私は決して思っておりませんので、議員一人一人がやはり自分のこととして、国民も一人一人受益と負担ということで考えるべきだということは私は思っておりますので、誤解をなさるのも自由ですけれども、沖縄に来ないからけしからぬとか、時間をつくって早くに行きたいともちろん思っておりますので、基本的な誤解がないように少し冷静に議論を進めていただけるといいと思っております。

 ただ、御負担を軽減するためにSACOというものがずっとあって、そして、その最終報告を着実に実施してきておりますし、最善の努力をしていますし、私がパウエル長官との話し合いを初めてワシントンでいたしますときも、そのことについてちゃんとお尋ねもしておりますし、今後、みんなの代表としてあらゆる面で、防衛庁長官あるいは私だけではなくて総理ももちろんそうですけれども、機会をとらえてやはりトータルに考えていかなきゃいけない問題だと思っておりますので、余り細かくこれはどうだどうだというふうにおっしゃられても逆にこじれるといけませんので、やはり少し大きな目で温かく協力するようなアドバイスをいただけるとありがたく思っております。

東門委員 今大臣の時間が長かったので、私も最後に一言ステートメントとして申し上げさせていただきたい。

 大臣のお話を伺っていると、何となく今にも何かが動いてくるのではないかというような気もします。期待も持ちました。スタート時点から同じことをおっしゃっておられるからですよ。トータルでずっと聞いております。五十六年間という長い時間、我慢してきました。笑い事じゃないですよ、大臣。笑い事じゃないですよ、沖縄県民にこれだけの基地を押しつけて。

 先ほど山梨県と言いました。そこは、県土の一・一五ぐらいです。その次が静岡です。四番目に神奈川があります。神奈川は一%にも満たないと思います。そういう中で、沖縄に県土の一〇・四七%、本島だけを見ると約二〇%なんですよ。それを五十六年間も同じように置いておいて、これから先も見えない。むしろ、新たな基地をつくって、海上であろうが、埋め立てがどうなるかわかりません、それをつくってさらに県民の負担が重くなる、そういうふうにしか感じられないのです。

 ですから、大臣が今おっしゃったことをどのようにしてなさるのか、これはSACOの最終報告の着実な実施だけではできないと思います。

吉田委員長 東門さん、時間が終わっていますから、短く。

東門委員 SACOの最終報告の着実な実施、どれぐらい進んでいますか。恐らく、返還されたのは一カ所だけだと思います。どれだけの努力をなさっているか、ぜひ目に見える形で見せてください。

 ありがとうございます。これで終わります。

吉田委員長 東門美津子君の質疑は終了いたしました。

 この際、御報告がございますが、その前に、三時から参議院で党首討論会がございまして、全大臣が出席ということでございますので、田中外務大臣には報告の前に退席いたしますことを御了承願いたいと存じます。

     ――――◇―――――

吉田委員長 この際、御報告いたします。

 今会期中、本委員会に付託されました請願は十七件であります。各請願の取り扱いにつきましては、理事会において協議いたしましたが、委員会での採否の決定はいずれも保留とすることになりましたので、御了承願います。

 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり一件であります。

 また、本委員会に参考送付されました地方自治法第九十九条に基づく意見書は、お手元に配付しておりますとおり二十一件であります。

     ――――◇―――――

吉田委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。

 国際情勢に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中の委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。

 閉会中審査案件が付託され、委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣委員、派遣期間及び派遣地等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十分散会




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