衆議院

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第4号 平成14年3月22日(金曜日)

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平成十四年三月二十二日(金曜日)
    午前十時四分開議
 出席委員
   委員長 吉田 公一君
   理事 浅野 勝人君 理事 石破  茂君
   理事 小島 敏男君 理事 坂井 隆憲君
   理事 首藤 信彦君 理事 中川 正春君
   理事 上田  勇君 理事 土田 龍司君
      今村 雅弘君    小坂 憲次君
      高村 正彦君    中本 太衛君
      丹羽 雄哉君    水野 賢一君
      宮澤 洋一君    望月 義夫君
      木下  厚君    桑原  豊君
      細野 豪志君    前田 雄吉君
      丸谷 佳織君    松本 善明君
      東門美津子君    保坂 展人君
      松浪健四郎君    鹿野 道彦君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   法務副大臣        横内 正明君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   外務大臣政務官      今村 雅弘君
   外務大臣政務官      松浪健四郎君
   外務大臣政務官      水野 賢一君
   政府参考人
   (警察庁警備局長)    漆間  巌君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君
   政府参考人
   (公安調査庁次長)    栃木庄太郎君
   政府参考人
   (外務省大臣官房長)   北島 信一君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 佐藤 重和君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 原田 親仁君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 角崎 利夫君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 黒木 雅文君
   政府参考人
   (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局ア
   フリカ審議官)      小田野展丈君
   政府参考人
   (外務省経済協力局長)  西田 恒夫君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    縄野 克彦君
   外務委員会専門員     辻本  甫君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十二日
 辞任         補欠選任
  東門美津子君     保坂 展人君
同日
 辞任         補欠選任
  保坂 展人君     東門美津子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案(内閣提出第一四号)
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――
吉田委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として、委員木下厚君の質疑に際し、外務省大臣官房審議官佐藤重和君、欧州局長齋藤泰雄君、警察庁警備局長漆間巌君、海上保安庁長官縄野克彦君、委員土田龍司君の質疑に際し、外務省大臣官房審議官角崎利夫君、委員保坂展人君の質疑に際し、外務省中東アフリカ局アフリカ審議官小田野展丈君、経済協力局長西田恒夫君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木下厚君。
木下委員 おはようございます。民主党の木下厚でございます。
 さて、北方四島の人道支援に絡みまして、鈴木宗男議員とのかかわりがこれまで再三取りざたされてきましたのですが、実は、去る三月七日と八日、私自身、野党四党の外務省疑惑解明プロジェクトチームの、そのうちの北方四島問題調査団団長として、根室とそれから中標津へ調査に行ってまいりました。
 その結果、現地においてさまざまな疑惑がまた取りざたされ、新たな発見もありました。そのうちの一つ、国後島に建設された友好の家、俗にムネオハウスと言われている建設工事に絡みまして、また新たな疑惑が発覚いたしました。
 このムネオハウスは、渡辺建設工業それから犬飼工務店、このJVが落札し、契約金額は四億一千六百八十五万円。そのうち、消費税を引いた実際の事業費は三億九千七百万円、約四億円と言われています。
 実は、この犬飼工務店の常務さんにお会いし、この受注の経過を聞きました。その中で、既に、受注に当たって地元配慮で資格緩和されたということはもう何回か委員会等で発言がありました。それに加えて、私自身が犬飼工務店の常務、藤島常務さんなのですが、いろいろお聞きしまして、実は、約四億円の工事を受注したにもかかわらず、資材調達という形でコマツハウスに約五千万円で下請に出す、それから三億五千万円を日揮に下請に出す、約四億円をそっくりそのまま下請に出した。そうすると、約四億円の事業費でありながら、四億円そっくり下請に出してしまったら、犬飼さんの、あるいは渡辺建設工業さんの利益は全くないじゃないか、どうするのだ、そう聞いたところ、突然、いや、実はあれには約二千三百万円の追加契約があって、それが入ったのだと。
 そして、では、その追加契約とは何かと再度質問したら、現地におけるいわゆる管理者として渡辺建設工業から一人、二カ月間国後島に派遣していた。一人だけ渡辺建設から派遣されていた。犬飼の方は全く派遣していない。つまり、一人だけ監督管理責任者として派遣していた、その人件費あるいは経費を差し引いた残りが渡辺建設工業と犬飼工務店の取り分だ、しかもそれを六、四で分けた、そうはっきり言ったわけですね。
 私ども直ちに追加契約をその現地から外務省に問い合わせをしたところ、こういうお手元にお配りした資料一という資料がやっと出てきました。これには、支出決裁書として二千三百七十四万七千円、この金額が支払い決裁書として出されている。さらに、これだけではわからないから契約書を出せと言ったところが、契約書はないということで、次に出てきたのが資料二、そして資料三が相次いで出てきた。
 これを外務省に言わせると、この追加契約の二千三百万、これは島側の都合で一週間帰るのがおくれてきた、だからそのための経費だ、外務省はそう説明をしているようなんですが、私たちが現地で犬飼工務店さんに聞いたのは、そういった形で経費を差し引いた分の残りが利益になっている、六、四で分けた。大臣、この食い違いをどういうふうに、この追加契約の事実は御存じでありましたか。大臣が答えてください。
川口国務大臣 追加契約があったというのは聞いています。
木下委員 この追加契約の中身はどういうものか御存じですか。
齋藤政府参考人 お答えいたします。
 追加支出は総額二千三百七十四万七千円でございまして、御指摘のありましたように、現地の工事が終了しました後に、現地当局の手続の遅延によりまして工事関係者等の国後島からの出発がおくれました。このために、追加的な用船料、建機類のリース料、人件費等が発生したことが主な理由でございます。
 なお、この国後島出発の遅延が主な理由でございますけれども、そのほかにも、本件工事の期間中に、防犯用のアルミ製窓格子の増設ですとか、ネームプレートの製作ですとか、設計内容の細部に関する変更等の必要が生じまして、この関連でも約七十四万円近い追加経費が生じてございます。
 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、合計二千三百七十四万七千円の追加経費が発生したということでございます。
木下委員 しかし、犬飼工務店さんの方はこんな中身を知らないんですよ。この中身については全く関知しない。要するに、犬飼工務店の常務さんは、人件費を差し引いた――四億円で受注して、四億円、コマツハウスと日揮に丸投げして利益が全くないわけです。ですから、彼らは、そのための利益だ、そう受け取っているんです。これは後でくっつけたものじゃありませんか。
齋藤政府参考人 先ほどもお答えいたしましたとおり、友好の家建設のために持ち込んだ建機等の資機材を持ち出すに当たりまして、必要となる島側手続に不備がございまして、その調整に一週間を要したということで、この追加経費が必要となったというふうに理解しております。
木下委員 しかし、それはおかしいですね。
 では、例えば渡辺建設工業とそれから犬飼工務店JVのきちんとした見積書は、何月何日に出して、だれが決裁して、いつどのように支払ったか、それをはっきり言ってください。見積書を出していますか。これは総額しかないですよ、ここに御見積書として。この内訳はこれですか。違うでしょう。資料二と違うでしょう。
齋藤政府参考人 平成十二年二月三日付の見積書で、二千三百七十四万七千円という見積もりがこのJVから事務局長あてに提出されております。
木下委員 いや、それはわかっているんです。だから、この見積書があると言っているんです。この中身を積み上げていくわけでしょう、見積書というのは。それを出してください。ありますか。
齋藤政府参考人 この十二年の二月三日付の見積書に別添する形で内訳が添付されていたようでございますけれども、これは単価に関係するということで、御提出は差し控えさせていただきたいということでございます。
木下委員 そんなばかな話はないでしょう、単価にかかわるからって。では、単価だけ消してくれればいいですよ、もしどうしても単価があれでしたら。こういうふうにきちんと見積もって、これだけの総額が出たということを出してくれないと、ただ総額だけ出されても、この中身はわからないですよ。だから、まさにどんぶり勘定で、利益を上乗せしただけの、ましてやこれが消費税が入っているんですよ。ここにまで消費税が入っているんですよ。そうでしょう。それをきちんと出せますか。
齋藤政府参考人 どのように委員の御希望に沿えるか、検討させていただきたいと思います。
木下委員 いや、検討じゃなくて、実はこれには伏線があるんです。
 要するに、鈴木宗男さんが、ムネオハウスの現地へ行ったときに、帰りに船の中で地元の業者が一人もいないと言ってどなったわけですよ、なぜ地元業者にやらせないんだと。地元業者、全く行っていないわけですよ。さっき言ったように一人しか行ってなかったんですよ、管理者が。それで帰りの船の中で鈴木宗男さんがどなったという話は、もうこれまで何回も委員会に出ました。
 要するに、その時点で、地元の受注した二社に利益が全く出ていないことを知って、そして宗男さんが圧力をかけたんじゃないですか、利益が出るようにしてやってくれと。違いますか。
齋藤政府参考人 この追加支出につきましては、先ほど申し上げましたように、島側の手続の遅延によりまして国後島からの関係者の出発が一週間ほどずれた、そのために必要となったリース料ですとか用船代ですとか人件費等だというふうに承知しております。
木下委員 いや、そんな答弁じゃだめですよ。犬飼工務店さんは、きちんと利益が出ないからその分で利益を確保した、六、四で分けたと言っているんですよ。
 この中身を見ますと、これでは全く利益が出ていないでしょう。四億円で丸投げして、しかも二千三百万円追加契約したものがまたそっくり使われたとすれば、両社には全く利益がないわけですよ。だから、犬飼工務店の常務さんは六、四で分けたとはっきり言っているんですよ。そうじゃありませんか。きちんと答えてください。
齋藤政府参考人 渡辺・犬飼JVが下請にどういうふうに費用面で対応したかということを私どもは承知しておりませんけれども、追加支出の性格については先ほど申し上げたとおりでございます。
木下委員 いや、今のは重大発言ですよ。犬飼と渡辺建設がどういうふうに下請へ出したかわからない、承知していないなんという話はないでしょう。本当に承知していないですか。そんな無責任な話でいいんですか。どこへ行こうがそれは知らぬ、今の答弁はそうですよ。それでいいんですか。把握していないんですか、本当に。それは無責任ですよ。
齋藤政府参考人 事務局の方で下請がどこかというのは把握していると思いますけれども、私どもとしてはそれ以上のことは承知していない、こういうことを申し上げた次第でございます。
木下委員 まさに無責任ですね。下請に出したのは知っているけれども、金額がどうなったかぐらいは承知していないと答弁にならないでしょう。大臣どうですか、今の答弁。
杉浦副大臣 一般論でございますが、国内の請負事業でも元請が下請を使うのはもうほとんど見られるケースなんですが、元請者と下請者の間がどういう契約で、金額が幾らでというのは、それは元請業者と下請業者の契約関係に基づくものであって、発注者がそこまで踏み込んでチェックできるというふうには、一般論としては聞いておりません。
木下委員 いや、私は一般論を聞いているんじゃないです。しかも、これだけ大きな問題になっているんです。国民の税金が使われている。一般論で話したってわからないでしょう。そうじゃなくて、この案件についてきちんと把握していないのは無責任じゃないか。しかも、これだけ問題になっているんです。全部調査しなきゃわからないでしょう。どうですか、大臣。一般論はいいですよ、もう。
杉浦副大臣 委員会の御指示で調査しろということであれば、協力が得られるかどうかは別にして、調査するのはやぶさかではないとは思うんですが、これも一般論ですが、御調査なさって、渡辺とか犬飼が四億円の契約で利益がないと言っておることも、一般論としては信用できませんね。本体契約四億円で下請へ出して、元請業者がその金額で丸々下請させるというのは、常識では考えられませんですね。
木下委員 いや、だから問題になっているんですよ。きちんとした手続をして、ある程度の利益を確保してやられているならわかるんですけれども、そうじゃない異常な状態で受注して丸投げしているから問題が起こっているんです。
 では、もう一度聞きます。このムネオハウス以外に追加契約というのは、ほかの案件ありますか。
齋藤政府参考人 ほかにも幾つかございます。
木下委員 私自身、もう恐らく三週間ぐらいにわたって、追加契約があるはずだ、そのほかのものについても出してくれと再三言っているんです。そして、ロシア支援室の方では連絡が来まして、ほぼそろいました、出せます、しかし上の方の決裁がありますからと。そして上に上がったら、いつの間にか出せないという話になって伝わってきているんです。
 なぜ出せないんですか。これは国民の皆さんの税金ですよ。なぜ出せないんですか。
齋藤政府参考人 資料の提出の御要請に対しまして必要な手続を省内的に経る必要があることは御理解いただけると思いますけれども、ほかの案件につきましてどの程度追加支出が、なぜ必要であったかということについては、手続を踏んだ上で資料を御提出できると思います。
木下委員 根室から電話して、この資料出てきたんですよ。これは共産党さんが一昼夜頑張って外務省の前で張りついて、とにかく出せ、そしてこれが出てきたんです。当初は、これも全部色をつけていなかったです。そっくりそのまま出てきたんです。何も黒で消していなかったものが出てきた。そして資料二、これについても出てきた。それから資料三についても後から出てきました。
 何でムネオハウスだけ出て、違うのが出ないんですか。同じ資料があるはずですよ。何でこれだけ出て、違うのが出ないんですか。これは一晩で出してくれたんですよ。粘ったかいであった。出してください、同じものを。
吉田委員長 今、木下委員から話がありましたが、杉浦副大臣からも御答弁がありましたように、追加受注についての見積書を提出していただくようにお願いいたします。
 齋藤欧州局長。
齋藤政府参考人 今委員長から御指示がございましたように、対応させていただきたいと思います。
木下委員 では、この資料は出していただけますね。検討じゃなくて、こっちが出ているんですもの、出してくださいよ。
 今まで外務省さん、都合の悪い宗男さんや田中眞紀子さんの資料はどんどん出てきた。しかしこれは、言った言わないとか、そういう話じゃないんですよ。国民の皆さんの貴重な税金を使ってつくった、人道支援のつくった物件なんです。ですから、これは早急に出してもらわないと。私、三週間ぐらい毎日毎日請求しているんですよ。出してくれますね。
川口国務大臣 大事なことは、この資料二に添付されている金額のベースがきちんと適正に要求をされた、そのときにどういう根拠でこの金額になったかという情報だと思います。これについて、私は、この資料二にまとめられたことの背景にある資料自体は自分自身としては見ていませんけれども、その中で非常に個人的な情報で問題のある部分がありましたら、その部分は別といたしまして、これについては重要な情報だと思いますので、提出をさせていただきたいと思います。
 ただ、先ほど委員がおっしゃられた、下請にどういうふうにお金が行ったかということについては、杉浦副大臣も答弁いたしましたように、これは普通の商慣行の中で、その先についてというのは役所としてそれを入手できる立場にあると思いませんので、それについては御遠慮させていただきたいと思います。
木下委員 では、その資料をひとつよろしくお願いしたいと思いますが、一応、簡単に私が調べた部分だけ申し上げます。追加支出ですね。色丹島のディーゼル発電施設九千四百二十二万円、択捉島ディーゼル発電施設四百九万円、国後島ディーゼル発電施設四千百六十三万円、国後島の桟橋改修五千六百七十万円、これが私が調べた範囲でわかっているところです。そのほかにもあるはずですので、ひとつきちんとした資料をよろしくお願いしたいと思います。
 それから次に、自航式はしけ希望丸について。これは既に、地元配慮で資格が緩和されたという話は委員会でも議論になりました。
 もう一つ、私自身が根室造船所へ行きましていろいろ話を聞いたとき、突然この資料四の一にある「入札説明書」を出してもらいました。これを見ていましたところ、その資料四の二にある「納入期限」、この中に「平成十年一月十七日までに、運航可能な状態で根室市花咲港に係留のこと。」そして、(5)のイに「古釜布における引渡までは、全て造船所の責任とする。」という一項が入っていました。
 さらに、次の資料五の一に「建造仕様書」、これを見せてもらったところ、五の二に「本船は引渡し後、平成十年一月十七日までに「北海道花咲港」に回航し就航可能な状態において係船のこと。」それから三番目に「上記一、二に係る回航業者の手配及び費用は一切造船所の負担とする。」四、「国後島への入域手続、回航業者の帰りの交通確保は船主が行うこととする。」こういう一項が入っていました。
 これを根室造船さんの社長に聞きますと、当時、入札に応募したのは約八社か九社あったそうです。そのうち、稚内、室蘭、函館、こうしたところの造船所も当初は説明会に来た。しかし、花咲港へ持ってくるには、そこから船を回してこなければいけない。約一昼夜かかるそうです。しかも、その上に、花咲港へ四日間ぐらい係留しなければいけない。このための保険料あるいは人員、花咲港へ係留しておくためには、船員の皆さんをホテルかあるいは船の中に泊めるか、あるいは食事代、経費、いっぱいかかります。約一千万かかるそうです、例えば函館や室蘭から持ってくるのに。
 要するに、わずか一億円ぐらいの船を、その函館の業者とか室蘭の業者がつくるには一千万余分にかかるのですね。こういう一項が入っているがために、違う業者は、ああ、我々は無理だ、これは花咲港に会社がありドックがある根室造船さんだなと。要するに、それを想定して一項を加えたのじゃないですか。どうですか。
齋藤政府参考人 ただいま御指摘のございました条項が設けられた理由としまして、希望丸の国後島への円滑な航行を目的にしたものでございまして、根室の業者の受注を念頭に置いたものではございません。
 具体的に申し上げますと、まず安全上の観点から、国後島古釜布港まで最小限の航行距離とするために、海港の中で最も国後島に近接している根室花咲港より出港することが適当と考えられたこと。次に、希望丸の国後島回航の際に必要となります伴走客船につきましても、これまでの北方四島住民支援に用いられた船舶の例にかんがみまして、根室花咲港より出港することが想定されていたこと。この二つが挙げられると思います。
木下委員 いや、そんなことはみんな業者さんはわかっているのですよ。だから、函館からも業者さん、説明会に行っている。あるいは室蘭からも行っている。それは、こんな一項がなければ、自分のところでつくってすぐ持ってこいと言ったら、一昼夜かけたってすぐ直接古釜布へ運べばいいじゃないですか。一昼夜ぐらいしか違わないですよ。この一項が加わったために、約一千万経費がかかる、これでは自分たちが受注しても利益が出ない、だからやめておこうと。最初からそんなことはわかっていますよ。花咲港にしたということは、根室造船を念頭に置いてやったわけでしょう。おかしいと思いませんか。大臣、どうですか。
川口国務大臣 どういう経緯でこの花咲港ということが入ったかということについて調べてみたいと思いますが、これに関連しては園部参与が調べられていて、その報告書には載っていないので、資料があるかどうかについて、ちょっと私わかりませんけれども、聞いてみたいと思います。
木下委員 できるだけ早急にそのいきさつを教えていただきたい、明らかにしてもらいたいなと思います。
 この条項だけ読むと、本当に根室造船しか受注できないのですよ。今言ったように、やはり一千万かけて花咲港へわざわざ係留して、船員の皆さんの面倒を見なければいけない。ですから、まず根室造船ありきでこういう条項が加えられた可能性がある。したがって、この辺の経緯を、今大臣おっしゃったように、早急に明らかにしてもらいたいと思います。
 それから、時間もあれですので、もう一つ。
 私は、根室へ行ってびっくりしたのは、これまで北方支援、人道支援と称して多量の燃料が送られております。この燃料について、私が調べただけでも、一九九三年二千トン、十月に一千五百トン、九八年三月に四百トン、九九年八月に二百五十トン、十月に七百五十トン、十二月に千トン、二月に千五百トン、二〇〇〇年九月に一千トン、二〇〇一年九百トンという形で、莫大な燃料が送られております。
 この数値をちょっと出してもらいたいのですが、これで間違いございませんか。
齋藤政府参考人 北方四島に対します燃料供給は、合計十三回、合計九千四百トンでございます。
木下委員 実は、私もびっくりしたのですが、私も昨年八月にビザなし交流の一員として色丹島へ行ってまいりました。そこで見たのですけれども、確かに発電所がある、ですから燃料は多少かかると思うのですが、恐らくドラム缶で貯蔵してあると思うのですが、こんなに北方四島で、住民の皆さんもそれほど多くありませんし、それから、何せ工場がそれほどないわけですね、発電を使うほどの。色丹島に限っていえば、缶詰工場一つしかないのです。それも二十人ぐらいしか働いていない。ほとんど休止状態になっているんです。
 それを調べてみましたら、実はとんでもないことを私は根室のガソリンスタンド経営者から聞きました。要するに、燃料をドラム缶に入れて一たん北方四島に運びます。そして、北方四島へ運んだ後、ロシアの人たち、もちろん日本人と結託しています、ロシアの人たちが、そのままドラム缶で、今度はカニのロシア船に積んで、そしてそれを釧路まで持ってきて、ガソリンスタンドに卸して安く売っている、こういう話を聞きました。
 それで調べました。実際、何軒からもそういう話を聞きました。人道支援で持っていって、要するに余っているのです。そんなに使わないのです。しかも、本当に使うのは冬ですよ、暖房はあれですけれども。ですから、色丹島はもうそんなに燃料は要らないと言っていました。
 ですから、要するに燃料を運んでいって、それをロシアの船がまた日本へ持ってきて、それをガソリンスタンドに卸している。こういうことを、私は何軒もガソリンスタンドから聞きました。あるいは内部告発もありました。この実態についてどう思いますか。把握していますか。
齋藤政府参考人 日本側が供与した燃料が日本側に戻ってきているという話は、今初めて伺いました。
木下委員 そうしますと、この燃料というのは、どういう形で島側から来るわけですか。例えば、毎年何トン欲しい、そういうようなきちんとした見積書なり実績なり、そういったものを、きちんと過去の実績を見た上で判断されて決裁しているわけですか。その辺はどうなっていますか。その手続はどうなっていますか。
齋藤政府参考人 個々のケースごとに、どのくらい欲しいという要請を受けて実施しているというふうに理解しております。
木下委員 それは、過去の実績、例えば色丹島で年間にどのぐらい使う、あるいは国後島でどのぐらい使う、そうしたものを、過去のデータをきちんと把握していますか。その上で、例えば、今年度なり来年度なりの要請に基づいて余り差がないという形での判断をされていますか、どうなんですか。
齋藤政府参考人 そのときそのときの要請に改めて当たってみたいと思いますけれども、私の記憶する限り、緊急に必要だということで、停電が何時間も続いているといったようなせっぱ詰まった状態で要請に接して供与しているケースも何件かあったかと思います。
木下委員 いわば、向こう側の要請があれば、要するにもう無条件で出すということですね。ですから、そういう形で、十分な調査もしないで要請さえあればどんどん出すというような形で、実は余っている、それが日本に還流してきてガソリンスタンドで安く売られている。この点、大臣、じっくり調べていただきたいと思います。
川口国務大臣 外務省としてお調べできることについては極力と思っておりますけれども、この件につきましては、国後島とおっしゃいましたでしょうか、北方四島からドラム缶が戻ってくるということ自体については、外務省としては恐らく把握できないだろうと思います。
 その上、外務省として、それが、カニが中に入っていて、私は個人的には油まみれのカニはおいしくないと思いますが、カニが中に入っていてガソリンスタンドで売られているということについても、これは外務省の所管の範囲を超えますので、何かができるかどうかというのは当たってみますし、関係の省庁にも情報は御提供させていただきたいと思いますけれども、このことについては、外務省で調査して何かがわかるというのは相当に難しいのではないかという印象は持っております。
 いずれにいたしましても、外務省としては、再三再四申し上げていますように、支援委員会をめぐる北方四島への支援が望ましい形で行われていたとは私は全く思っておりませんので、これについては、今専門家の委員の方に専門家会議をやって、調査といいますか、新しいやり方について御検討をこれからやるところでございますので、今後については適正にこれが行われるように、これは私はきっちり見届けたいと思っております。
木下委員 いや、調べられないと最初から言われちゃったら、これはそれほどいいかげんな話はないので、調べられるところはやはり調べてもらいたい。恐らく、燃料を受注したところが何らかの形で関与している可能性があるわけですから、そこをきちんとやはり調査してもらいたいなと思います。大臣、どうですか。
川口国務大臣 調査をしないと申し上げているわけではなくて、一番最初に申しましたように、できる範囲でできるだけ調査はさせていただきたいと思いますけれども、外務省が強制的に調査をする権限を持っているわけでは全くございません。ということで、これについては、ここからわかること、外務省がやってわかることについてはかなり限りがあるであろう、そういうことを申し上げているわけです。
木下委員 もちろん、それは捜査権があるわけじゃないし、それはもうわかっています。ですから、調べる方法は幾らでもあるはずです。きちんとした伝票が出ているか、あるいは数量が幾ら本当に必要なのか、そういったものを取り寄せればある程度調査できるはずですから、できるだけ厳重にやはり調査してもらいたい。
 時間があれですので、もう一つだけ。
 最後の資料六のところにありますが、北方四島交流センター、これは北海道庁発注のものなんですが、二十二億円かけて、大変立派なものです。これは北方四島交流のためにつくられた施設ですけれども、これがその建物です。
 これは、私も調べましたところ、やはりここにも、今資料六を見ていただければわかるんですが、ここの新築工事、第一区、第二区と工事が分かれておりますのですが、五億二千万ですか、第一区。これを受注した会社も、これはすべて鈴木宗男さん関連の、いわゆる後援会の会社です。
 もう既に廣木建設はいろいろな形で名前が出ております。それから、テラジマも宗男さんのところの有力後援者で、献金を毎年十二万円ずつ出しています。それから、葵建設ですか、これは四十八万円ずつ毎年出しています。それから第二区工事についても、もちろん渡辺建設工業は、これはもう再三名前が出ています。岩清水建設あるいは高橋組、これらもすべて鈴木さんのところへ献金を出している。
 要するに、ここまでこういったところへ、これは道庁関連ですからあれですが、私も調べましたところ、かなり鈴木さんの影響力があったということですので、これについては承知しておりますか。大臣、いかがでございますか。質問通告がなかったものですから、ちょっと感想だけ。
川口国務大臣 この表は初めて見まして、これについては全く承知をしておりません。
木下委員 一応、これは北海道庁の仕事でありますが、やはりちょっと調査、事情を聞いてもらいたいなと思います。
 時間でございますので、また改めてこの問題は追及させていただきます。どうもありがとうございました。
吉田委員長 次に、土田龍司君。
土田委員 おはようございます。まず、国際関係に入る前に、外務省改革について、全体像についてお尋ねをしたいと思います。
 去年の一月一日に松尾事件が新聞で報道された、直ちに外務省は外務省改革を進めるべく、有識者によって改革の議論がなされて、それで去年の六月でしたか、外務省改革要綱ができ上がった。それから、二週間に一回か四週間に一回か覚えていませんけれども、その進捗状況を確かめながら外務省改革に取り組んでこられて、昨年の十二月の二十一日にその進捗状況について文書でまとめて報告があったということですね。
 川口さんはまだそのとき大臣じゃないんですけれども、その発表された内容につきましても、去年の十二月に外務省から出された文書ですから、よく内容はわかるわけですが、全体的に外務省改革の現状について、全体像を言っております。それから、領事業務の抜本的改革、三番目が情報サービス拡充に向けた取り組み方、外務省人事制度の改革の骨子、それから最後に在外会計経理に関する体制強化等々、何ページでしょうか、私が持っている資料だけでも二十ページぐらいになる分量ですし、その内容をざっと読んだだけでも、大変な改革案といいましょうか、時間もかかるでしょうし、非常に大幅な改革案が書いてあるわけですね。多分お目通しになっていると思いますけれども、大変な量だと思います。
 この改革につきましても、外務省を挙げて、五千人の職員の方を挙げてやらなきゃならない大変な量でもありますし、例えば人事制度につきましても、大きな分野で五項目、例えば一番の例を挙げますと、平成十四年八月の人事異動から省内公募制を試験的に導入していくんだと。それから、初年度は本省、在外合わせて約五十のポストを対象にする等々、たくさんあるわけです。
 この改革案、今言いましたように大変な分量の改革案が現在どのように実行されているのか、あるいはどのくらいのめどで実行なされるのか。大臣が聞いておられる範囲で結構ですので、お答え願いたいと思うんです。
川口国務大臣 実は、杉浦副大臣がこれについては一生懸命になさっていらっしゃいまして、杉浦副大臣、今ちょっと別な委員会に出なきゃいけなかったので、本当は副大臣からお答えするのが一番いいと思いますが、今委員がおっしゃっていただいたように、これまでに外務省はさまざまな改革を進めてきております。
 例えば、今委員がおっしゃっていただいた平成十四年の八月までにという公募制でございますけれども、これについては、この前、二月の最後の日に、公募ポスト五十を省内に全部公表をいたしまして、これは省内それから在外ポスト両方含みますけれども、これについて今希望を募っている最中でございまして、これを今後整理し、そして複数の希望者がいますので、しかるべく選考をいたしまして、これは八月に実施に移せるということでございます。
 それから、もう一つ例としておっしゃっていただきました会計につきましても、役務とそれから物品の調達についての一元化ということをやっております。一元化のうち、物品については一元化ということは既にやっております。役務については今後の問題ということで、これは「変える会」の検討していただきたい事項に含めておりますけれども、これについては今後、まだこれからやるということです。
 数量的に、私も、この間出しました「開かれた外務省のための十の改革」のペーパーを出す前に、今まで出された紙については全部目を通しました。それで、杉浦副大臣からも、何はやって何は今検討中でということも、きれいに色分けをした紙をいただいて勉強いたしました。
 今どれぐらいの比率で既にやっているということはお答えできないんですけれども、これはもし必要でしたら、杉浦副大臣が、今度御質問の機会がありましたときにでもきちんとお答えさせていただくということですが、総括して申し上げれば、今まで出たことで、やるべきことについては着々とやっているけれども、まだまだやらなければいけないことがたくさんある、そういうことだと思います。
土田委員 前大臣の田中外務大臣にも去年何回か御質問したことがあるんですが、田中大臣は余り興味をお示しにならないで、概略的なことしか、ペーパーをお読みになっただけで終わったわけです。今回、杉浦副大臣がおやりになっていて、概略も私は聞いているんですが、いずれにしても非常に膨大な量であるということには違いないし、時間もかかるだろうということなんですね。
 さらに、今回、鈴木宗男さんの問題が出たり、あるいは先ほど質問があったようないろいろな不祥事が出て、そこで大臣は新たに外務省を変える会を立ち上げて、今二回の会議が終わったところですね。十九日に二回目が終わって、いろいろな質疑がされているようでございますが、どうも屋上屋を重ねるような、あるいは前回の改革会議の内容がほとんどまだ実行に移されていないのに、何か問題が出てきたから今度はまた「変える会」をつくるというような気がしてならないんですが、その点はいかがですか。
川口国務大臣 屋上屋では全くございませんで、私は、「変える会」の、十の改革という骨太の方針をつくらせていただいた段階で、過去の報告あるいはその後の進捗状況について読みましたけれども、私の一番の感想は、何をいつまでにやるということについて全く書かれていないということが問題だと私は認識をいたしました。
 一番最初の、河野大臣の一番最後のときに出た紙につきましては、これは非常にいいことをお書きでいますけれども、多少フォーカス、焦点の当て方が、当時いろいろな不祥事件がありましたので、お金の使い方を中心に、それにどういうふうに対応するかということにフォーカスがありまして、対象が少し狭く扱われていたと思います。それで、その次のものについては、やはりこれは、私は改革について民間企業でも携わった経験がありますけれども、何をいつまでにやるということを明確にしなければ先に進まない。
 改革が実際に難しい理由は、まじめに考えてもたくさんあるわけです。それをやはりやっていくということがこれは大事でございまして、したがって、「変える会」におきましては、十の改革、骨太の方針に私は書かせていただきましたけれども、それから、この間第一回の会合のときにも言いましたけれども、具体的に何をいつまでにやるということをつけて、その目標についてもできるだけ具体的に、数量的に入れて出してくださいということを申し上げております。それからさらに、それが本当に意図されたペースでやられているかどうか、実行されているかどうかということを、今後「変える会」を、また会合を開いてそれをチェックしていただくということも、骨太の方針に書いてあります。
 したがいまして、私の意図は、具体的に実行することを目標にあれを書いたわけでして、抽象的にこれをやることが望ましいという形での報告書というのは、私はこの段階においては全然意味がないと思っています。
 ということで、屋上屋ということではありませんで、アクション、行動オリエンテッドな、そういう報告書をつくりたい。それから、その範囲につきましても、今まで扱っていなかった問題、例えば官と政の問題、それからNGOの問題その他、そういうことをいろいろ含めてございます。したがって、屋上屋ということでは全くない、あるいは、屋上屋であるならば私はやるつもりはなかったということを申し上げたいと思います。
土田委員 屋上屋かどうかというのは判断の違いもあるかもしれませんけれども、しかし、今回新たに、例えば政と官の問題とか、あるいは、何か今おっしゃいましたね、それなんかだって、今回不祥事が出てきたから追加されただけであって、新たに外務省を変えるんだという意欲に燃えてやられているような感じが私はしないんです。だから、外務省の一貫した方針というのは、何かが発覚すればそれに対しての対処療法はするけれども、根本から変えようという意識は、私には見えてこないんですね。
 今大臣が、この「変える会」で一番大事なことは期限を決めることだ、アクションプログラムを決めてやれということを指示を出したというふうにおっしゃいましたけれども、この「変える会」の答申だって、夏ごろまでには回答を出してくださいと。いわゆる六カ月もかかるわけですね。どっちかというと、国民の気持ちが、少し忘れ去られるのを待ったころに出てくるようなという印象さえ受けるわけでございまして、もっと早くできるわけでして、別に二週間に一回会合を開いて夏までかかってやらなくたって、できることはどんどんやれるわけですので、ちょっと時間的にゆっくりしているのかなという感じが私はしております。
 そこで、前回の改革会議のときも言われた、あるいはそのときの委員の方も何回も言われた、今回、「変える会」の一回目の会合、二回目の会合も通じて言われたことの一つが、やはり外務省の意識改革だと言われているんですね。外務省の職員の意識を変えないことには、こんなこと幾らやったってもう無理だというふうに言われています。この意識改革について、大臣はどのように考えていらっしゃいますか。
川口国務大臣 まず、委員が先ほどおっしゃったことで、報告が八月では遅過ぎるではないかということでございますけれども、これも骨太の方針をよく読んでいただければおわかりいただけると思うんですが、まず三カ月、したがいまして、五月にとりあえず出すということをきちんとお書きをしているわけです。それから、さらにお書きをしているのは、報告書を待つことなく、やることはどんどんやるということを言っておりまして、これ以上、まあこれはいろいろ主観がおありになると思いますから、外務省を変える気がないというふうにおとりになられても、それはいろいろありますからやむを得ないのかもしれませんけれども、おわかりいただきたいのは、私もそれから外務省の職員も、これを変える必要があるというふうに思って今行動をしている、そういうことでございます。
 いろいろな見方がありますけれども、不祥事に対応してしか動かないではないかとおっしゃられますけれども、私は今の段階は、今起こっている諸問題について、それが二度と起こらないようにするということが第一の段階としてすべきことであると思います。
 それから第二の段階として、外務省としてよりよい外交をやるための、例えば組織はどういうものがいいかといったようなその次の段階のこと、これにつきましては、「変える会」の委員の方から第一回の会合のときに、この骨太の方針の十の項目以外のことをやってはいけないのかというお話は既にございまして、私の方は、これに対しては、とりあえず起こったことが再発しないような、どういうシステム、どういうことをやればいいかということを先行させていただいて、その後のより未来志向的なことについてはその次の段階に御議論いただきたい。それも御議論いただけるなら、ぜひこの委員の方々にお願いをしたいということも申し上げているわけです。
 それで、御質問の意識の改革の点ですけれども、これは、私も意識の改革というのは非常に重要な点だろうと思います。骨太の方針の項目の二番目にこれは挙げさせていただいております。
 これのために何をやるかということについて、この意識の改革というのは、言葉ではずっと言われてきていることでございます。これについて若干既に取りかかっているということは、例えば、外交官試験ではなくて公務員試験で採用を既にした、これはこの四月から入省する人たちですけれども。ということもありますし、それから三百六十度評価といいますか、上だけではなくて下からも評価をするというようなことも、これは既に今行われているわけでございまして、そういったことをどんどん今やっているということです。
 そのほか、ここには、研修の話ですとか、それからルール、慣行が民間のあり方と比べて大分違っている点については、それを変えた方がいいというようなことも書いてございますけれども、意識の変革というのは、単純に研修やその他で解決ができる話ではなくて、ここに書かれているようなすべての改革、十の改革全部、これをやることによってじわじわと意識の改革が行われ、しばらくたった後で、外務省は変わったなというふうに国民の皆様に思っていただけるというのが私の目標でございます。
土田委員 大臣の答弁としては、私はそれでいいと思うのですが、やはりこの意識の改革というのはなかなか難しい問題でございまして、よく民間会社の社長さんが、もう意識を変えろ、景気の悪いときに今までのようなやり方じゃだめなんだと毎回毎回朝礼で言っても、意識は変わらないんですよ。
 今大臣が研修をするんだとかいろいろ言われましたけれども、私はなかなか変わりにくいと思うのですが、変える方法の一つとして、やはり人事ですよ。人事をやはり明確な形にしなきゃならないということが、それが一番とは言いませんし、三番とは言いませんけれども、大事なことだというふうな印象を私は持っているのです。
 だから、今回の、例えば官房長や事務次官が更迭されました。そのときに責任をとるということは、民間会社でいえばやめるということなんです。会社をやめなければならない。これが一番の責任のとり方であって、私たちもそういった意識を持っていますよ。
 ところが、外務省の責任をとるというのは、単なる配置転換であって、場合によってはさらにいいポストに行く方もいらっしゃる。一時的に官房付というふうに置いておいて、さらにいいポスト、大使に行く方もいらっしゃる。こういったことをやっていれば、大臣は就任早々それをおやりになったわけですけれども、意識改革というのはなかなかできないと思うのです。やはり、人事についてしっかりした責任のとり方を見せなきゃならないと思うのですが、その点はどうですか。
川口国務大臣 おっしゃったことは、人事が意識を改革する上で重要であるというのは、おっしゃるとおりだと思います。
 その上で、それでは、ポストを外すということ以上に、それをもって公務員をやめていただくということが可能かどうかということでございますけれども、もちろん、御本人がそういうことでやめますというふうにおっしゃれば別ですけれども、公務員の身分というのは、公務員制度できちんと整理がされているわけでございまして、大臣の個人的なといいますか、大臣の思いで公務員法に書いてあることと違うことをすることはできないという、身分保障はきちんとしているわけでございます。そういった公務員法の範囲内で、私としてはやるべきことをやりたいと考えております。
土田委員 若い人ならそれでいいと思うのですが、事務次官とか官房長になりますと、別に公務員法があるからということでなくたって、もっと若い年代でどんどん民間に行っている方いらっしゃるわけなんで、それはもう、むしろやり方によっては可能だと私は思っておりますよ。ですから、人事について、そういった、もうちょっと厳しいといいましょうか、わかりやすい形でおやりになることが意識改革につながるというふうに私は思っておりますので、あえて申し上げたいというふうに思っておりました。
 それから、ちょっと思いつきで申しわけありませんが、幾つか思い出した点があるのですが、プール金の問題について、大体これはもう決着がついたというふうにお考えになっているのでしょうか。この年度末をもって国庫に返納するんだというふうなことをおっしゃっていた問題。
 それからもう一つは、報償費の問題で、百八十ある在外公館全部に査察を入れるんだ、あるいは同じようなプール金がないのかどうか調べるんだというふうなことを、前の大臣も、多分川口大臣もおっしゃったと思うのですが、これについての進捗状況といいましょうか、これはどうなっていますでしょうか。
川口国務大臣 プール金の問題につきましては、これは職員の方からお金を自発的にといいますか出していただいたというふうに私は理解をしていまして、その金額が必要とされる金額に匹敵する、あるいはそれを上回る金額が、職員の方あるいはOBの方もあったと思いますけれども、からお金をいただいているというふうに聞いています。
 今、これは最終的な時点でまだちょっと確認はしていませんが、最後に私が聞きましたのは、幾ら納入すべきかということについて、これは金利を幾らと見るかというような細かい計算があるようでして、それについて今精査中であるというふうに聞いておりますけれども、実態としては、そういった金額が最終的に固まり次第これはいつでもお払いをできる、お払いといいますか、国庫にお返しをできる状態になっていると私は理解をしています。場合によっては、これは確認しておりませんけれども、既にほぼもう金額も固まりつつあるのかもしれません。
 それから、全公館に査察をするという件でございますけれども、これは、日常ベースで査察というのはやっています。ということがありまして、私が今考えておりますのは、全公館に外部の方、公認会計士の方に加わっていただいて査察をするということでございます。これは骨太の方針にも書かせていただきました。
 これをどれぐらい早くできるか。本当はできるだけ早く全公館にいたしたいのですけれども、公認会計士の協会の方ともお話をさせていただいていて、たくさんございますので、短い期間に全部ということは、あちらの人材、人繰りの関係、それからこちらの予算の関係でできないということでして、私は、仮にこれは一年でできなくても、あるいは二年でできなくても、とにかく全部やるということが、公認会計士の方に入っていただいてやるということが大事だと考えております。場合によっては三年ぐらいかかるということになるかもしれませんが、いずれにしても、これは外部の方に入っていただいて全部やるということがかぎだと思っております。
土田委員 在外公館の件については、具体的な査察ということもありますけれども、私たちが心配しているのは、やはりプール金なんですよ。
 本省に来ればプール金があって、在外公館にはないというふうなことを答弁されているんですが、外務省の方々というのは外国と日本と行ったり来たりしているわけですね、何年かごとに。それで、このプール金というのは多分便利だと思うんですよ、これがあるということは。本省に来ると、外務省のもう至るところにプール金があったということですね、大多数のところでプール金を持っていたわけですから。ところが、外国に行くとそれがないということになると非常に不便を感じて、多分僕はプール金をつくったんじゃないかというふうに思うんです。思うというか、国民の人はやはりそう思っていますよ。本省だけがやっていて、外国にある百八十の在外公館はそういったプール金をやっていなかったというのは、どうもやはり解せないというふうに思うんです。
 だから、前回の外務委員会で言ったのは、一回問い合わせすりゃいいじゃないかと。大使が知らないかもしれぬ、公使も知らないかもしれぬけれども、担当の一等書記官や課長クラスは、やれば知っているわけですからね。そういったことをなぜやらないんですかという話をしたことがあるんです。だから、堂々と乗り込んでいって査察するまでもなく、プール金が本省で発覚して大問題になった、ならば在外公館でもやっている可能性があるから、そういったのをやりなさいよというふうに言った。それについてどうでしょうか。
    〔委員長退席、首藤委員長代理着席〕
川口国務大臣 これにつきましては、当時どういう調査をしたかということについては私は承知をいたしておりませんけれども、私が外務大臣になって今までに、そういうことについてはあったということは聞いておりません。
土田委員 外務省の不祥事の事件が出たのは去年の元日でしたけれども、その前の沖縄サミットのときに不正があったんじゃないかという、そのリークといいましょうか、これは新聞の投書があったというふうなことで、読売新聞が調査を始めて元日に出したということなんですが、今回の外務省の一連の事件を見てみますと、鈴木宗男さんに関するNGOの問題の発覚点は、あれは大西さんだったと思いますけれども、それ以外の事件というのは、ほとんどリークによって、内部からのチクりによって発覚をしてきているわけですね。
 ところが、このチクりによって、私は、国家にとってあるいは国民にとって結果的にいい方向に向かうと思うんです。外務省はかたくなにそれを隠そうとする、悪いことは見せまいとする。しかしながら、そういったリークがあることによって国民の前にさらされ、それで改善されていく。だから、結果的にチクりはいいわけですけれども、しかし、外務省としては、かたくなにそれ以外のことは一切出さないようにしているという感じがしてならないんですね。
 今回、鈴木宗男さんの問題に関しましても、国会でいろいろな資料要求があったり、出しなさい、出しなさいということで、それまでの非公開にされていた文書が出され始めたおかげで、こういったいろいろな出来事がわかってきたわけでして、ですから、外務省にとっては悪いことかもしれませんけれども、今言った国家国民にとっては非常にいい方向に、よくなってきているというふうに私は思っているわけです。
 ところが、国会で問題になっておりますように、あるいは新聞社が言っておりますように、外務省の資料の出し方が、何回も質問があって答弁されたと思うんですが、やはり偏っているというふうに私も感じるわけです。
 今回、鈴木宗男さんを排除しようという決意をされた。外務省はしましたね、決意を。それまで、外務省の職員の方に何回も聞きましたけれども、やはりまだ鈴木さんが議員としている限りはなかなか怖くて物が言えない雰囲気があるんですよという話があった。しかし、今回、どこかの時点で、外務省は、鈴木宗男さんを排除するんだという決意をされた後、鈴木さんに都合の悪い資料をどんどん出してきている。それによって我々も審議し、国会で追及することによって、鈴木さんはとうとう離党したわけでございますけれども、この外務省の資料の出し方について、自分の都合の悪いことは出さない、鈴木さんに不利なことは出してしまえ、外務省に関連することはちょっと控えようという意図がやはり感じられるんです。
 これは何回も質問されては答弁されたと思うんですが、どういうふうに感じていらっしゃいますか。
川口国務大臣 まさにそういう御質問は今まで何回もいただいておりますが、私のお答えは、そういう意図は全くないということでございます。
 お考えいただいてもおわかりいただけると思いますけれども、鈴木議員について御都合が悪いと国民の皆様があるいは国会の皆様がお感じになられる資料がもしあったといたしまして、その資料の反対側にいるのは外務省でございますから、これは外務省にとっても同時に、そういう言い方で申し上げれば大変に都合が悪い資料であるわけです。
 それで、一般的にどういう考え方で資料をお出ししているかということについて御説明をさせていただきたいと思いますけれども、まず、外務省の資料で秘扱いになっている資料というのがございます。これは、外交を行っていく上には、相手の関係する国々との関係というのは非常に大事でございますので、これはルールに基づいて秘扱いにしております。相手の国との関係あるいはその個人のプライバシーの問題がかかわっているという場合もございます。いずれにいたしましても、情報公開法に基づきましてお出しをしないこととされている資料、これは外務省で秘扱いになっているわけです。
 それならば、今回、そういった秘の資料について、なぜ秘の指定の解除をして特別にお出しをしたかということでございますが、これは、国会が国政調査権に基づいて資料を要求なさっているということをきちんと踏まえまして、外務省として公益性のためにいかなる態度をとるべきであろうかということについて、片方で秘にしなければいけない必要性と、それから他方で、国政調査権による調査ということとの関係でどうすべきかと真剣に悩んだあげくお出しをしている資料でございまして、したがいまして、これは、国会の御要求があって、それに基づいて、今申し上げたような考え方で整理をした上、お出しをしているということでございます。
 それから、もう一つの種類の資料というのは、調査をするということで調査をいたしまして、その調査の結果についての信憑性、これを担保するために、これについて確信をいただくために、ある幾つかの資料は必要であったということで、これは秘の解除をいたしまして、直接こちらからお出しをしています。
 それから、全く違うことといたしまして、先ほど委員がおっしゃった、中からリークを、漏えいをしている資料ということがございます。これについては私は非常に好ましくないことだと思っておりまして、外交を扱う外務省として、中からどんどん資料が出ていくということがありますと、相手の国からの信頼、あるいは外務省にお話しをいただく方の個人的な信頼の関係ということがございます。
 私も、海外におりまして大使館に勤務をいたしておりましたときに、さまざまな人に会ってさまざまな情報を伺いました。これが全部表に出てしまうということは、相手の方との関係でも問題になる。個人的な情報も漏れてしまう。これはもう全く望ましくないということでございまして、骨太の方針でも、これについてどう対応すべきかということについては一項目挙げて書かせていただきましたし、これについては「変える会」に御検討をいただいて、報告を出させていただきたいと考えております。
    〔首藤委員長代理退席、委員長着席〕
土田委員 リークがよろしくないというのは、上に立つ人から見れば当然のことなんでしょうが、先ほど言いましたように、このリークのおかげで、外務省は好ましくないと思うかもしれぬけれども、国家にとっては非常によかった、国民にとっては非常によかったという結果になっていると僕は思うんですよ。だから、そういったことについて、大臣や副大臣はそういった資料を見る機会があるし、見ようと思えば見られるわけですから、やはり、外務省にとってはよくなかったけれども国民にとってはよかったということになれば、国民の方が優先するわけですから、その辺もお考え願いたいと思うんです。
 と同時に、去年、田中大臣が大臣就任直後にいろいろな外国の外務大臣と会われて、言った言わないの話がございましたね。大臣も当時閣僚ですから、その辺のいきさつもある程度御存じだと思うんですが、あのとき問題になったのは、いわゆる外交文書だから出せないという外務省の方針はわかりましたが、私たちが要求したのは、相手がどう答えたかということじゃないんです。当時の田中大臣がどういった発言をしたんですかと。それが、その言った言わないの論議になったわけですね。
 別に対話を逐一出してくださいというのではなくて、日本側の代表である外務大臣がどういうふうに言ったかと。田中眞紀子さんは、その当時、言っていないというわけですから。新聞には全部出ている。特定の新聞だけじゃない、全国紙には全部その一問一答が出ているのに、田中大臣は言っていないと。だったら、外務省、その田中大臣が言ったところだけ資料として出しなさいと言ったけれども、出さなかったわけですね。
 今回も同じようなことがやはり言えると思うんですよ。例えば、ODAに関して、今問題になっている九一年、九二年、九八年の鈴木宗男さんとケニアのモイ大統領との会談記録、あるいは、北方領土にかかわる、鈴木議員がロシア訪問時にプーチン大統領、イワノフ外相などと会談をしたときの記録、これも同じなんです。鈴木宗男議員やあるいは同行の人たちがどういった発言をしたかを知りたいんです。相手のプーチン大統領や外務大臣がどういうふうな答えをしたかというんじゃないんです。
 これは、当時の田中大臣と最も違うのは、これこそ国益にかかわる問題だということですね。ODAに関する問題、領土問題に関する秘密取引あるいは裏取引があったんじゃないかという感じがするから、その資料を出してくださいと要求したにもかかわらず、外務省は相変わらず出せないと。これはどういった理由ですか。
川口国務大臣 まず、ケニアの話でございますけれども、これは調査をいたしました。
 それで、調査の結果について一部は既に、私、そういうことがなかったということについては国会で、その三回の会談につきましてお答えをしていますけれども、残りの部分については、これはほかの委員会でもお話をいただいていまして、そちらでもお答えをしなければいけないということでございまして、お答えの仕方について、今、委員長か理事か、ちょっとよくわかりませんが、と御相談中でございますので、これは、多分近い将来、結果についてはお出しできると思います。ちょっときょうのところは、そういうことがございまして、差し控えさせていただきたいということでございます。
 それから、一般論といたしまして、先ほど田中大臣の件もおっしゃいましたけれども、外交文書、外交の関連でつくられた行政文書が秘であるということは、向こう側の言ったこともそうでございますけれども、こちら側の言ったことについてもそれは全く同じことでございまして、一般論として申し上げれば、秘であるということは両方の部分を含むということでございます。
 おっしゃったケニアについては、近々対処をさせていただきたいと思います。
土田委員 あとの問題はいいんですが、外交文書の中で、鈴木さんがそういったことを発言したとすれば、日本全体がだまされていたわけでございまして、外務省も含めて、やはり、国家の方針、外交政策、これが問われかねない根本的な問題だから、こういった問題になってきたと思うんですね。
 ですから、相手の言葉だけでなくて、こちらからした発言も言えないというのはわかりますけれども、しかし、それでは、外務省の情報によってすべての人たちが、外務省以外のすべての人たちがいわゆる踊らされているわけですよ。外務省の情報だけでやってしまっているということになりかねませんので、これは、前回の田中眞紀子さんの言った言わない問題よりもはるかに重要なことだと私は思っているんです。
 では、例えば公電については、外国で首脳会談がありますね、公電で、外務省の幹部の方々に、それぞれ、どういった話し合いが行われたかというのは多分数時間後には連絡が行くと思うんですが、政府だけでなくて、例えば自民党の三役とか、僕はよくわかりませんが、例えば自民党の外交部会長とか、そういった方々にもその公電というのは行くのでございますか。
川口国務大臣 これは、公電は行かないと私は承知しております。
土田委員 ということは、政府・与党の自民党の幹部の方にも行かない、あくまで外務省の方だけの文書として終わってしまう、そして、それは機密扱いだということになると、やはり僕は外交政策に大きな影響を与えてくると思うんです。
 ですから、この点については、別に自民党三役に行った方がいいと言っているんじゃないですよ。そんなことはどうでもいいんですけれども、特に、今回の問題になっているプーチン大統領とイワノフ外相問題について、検討中だということで、その答弁はそれでいいんですけれども、ぜひ前向きにひとつ答弁をお願いしたいと思います。
 きょうはせっかく外務省の角崎審議官にお見えいただいているんですが、支援委員会と青年交流委員会についてお尋ねしようと思ったんですが、もう時間ですよね。ですから、御足労いただきましたけれども、大変申しわけありません、時間がなくなったので、これで終わります。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
吉田委員長 この際、お諮りいたします。
 保坂展人君の質疑に際しまして、政府参考人として外務省大臣官房審議官黒木雅文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉田委員長 御異議なしと認め、よって、そのように決定させていただきます。
    ―――――――――――――
吉田委員長 次に、保坂展人君。
保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 私は、ODAをめぐって、特にアフリカ、ケニアのソンドゥ・ミリウダム水力発電所のことについて、引き続きお聞きをしておきたいと思います。
 ただいま外務大臣からもお話あったように、それは決算委員会の方で資料については要求をして、前向きに検討をされているというふうに聞いておりますので、なるべくそこはダブらないように、中身について聞いていきたいと思うんです。
 まず、外務省の全体の報告書の中で、いわば総括的に「鈴木議員の意向が突出した形で重視され、同議員の意向を推し量り、それを無視し得ないものと受け止め実現する方向に動かざるを得ない雰囲気が省内に存在していた」、これは西田局長、全体についてこういうはっきりした記載が外務省報告書にあると思うんですけれども、経済協力局全体としてはどうでしたかということをもう一回確認したいんです。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 ケニアのソンドゥ・ミリウに関する報告書にはそのような記述はなかったというふうに記憶しておりますし、経済協力局の仕事をしていく過程の中において、これまでも累次御答弁をさせていただいておりますが、鈴木議員は当時、自由民主党の対外経済特別委員会委員長という要職におられましたので、他のしかるべきポストにおられた議員の方々と同様、緊密に、必要に応じ御報告等をさせていただいたということでございます。
保坂委員 ちょっと川口大臣に伺いますが、一番分厚い、三月四日の報告書の一番上についている、今私が読み上げた部分、「鈴木議員の意向が突出した形で重視され」という部分、これは前書きじゃないんですか、川口大臣の。これは、ソンドゥ・ミリウの部分については一切かかわらずに、それを除いてここを記載したというふうに今局長はお答えになっていると思うんですが、私の理解では、この後にぴっぴっぴとついているわけですから、当然全体にかかる前書きかと思いますが、いかがでしょう。
川口国務大臣 この紙は、北方四島の調査について書いたものでございます。この二番目の段落のところでございますけれども、「報告書の中では、北方四島住民支援事業の入札参加資格の決定過程において、鈴木議員と外務省関係部局との間で」云々というふうに書いてございまして、これは北方四島についてのことでございます。
保坂委員 それは私がちょっと勘違いをしたかもしれませんが、北方四島のレポートが一番頭にあったので、その上に書かれているものは全体にかかっているのかなと思って読んだということはありますが、これは北方四島にかかわらず、こういった問題意識で調査をされたというのが今回の調査ですよね。
川口国務大臣 ということでございます。
保坂委員 では、続いて西田局長に伺いますが、例えば経済協力の特別委員会などで鈴木議員が一定のというか、かなり発言力を持って、例えば事業をおくらせたりとか手続を順延したりということがあったのではないかということを聞いてきましたけれども、外務省としては、要するに政府の政策や方針をそれによって変えたことはなかったと主張されていますね。
 では、おくれなどはどうだったんでしょうか。時期がずれるというようなことはありましたか。
西田政府参考人 御案内のように、自由民主党の、多くの場合には対外関係の合同会議という形でODAの話についても御審議をしていただいたという経緯がございますが、その中で、鈴木委員長に限らず、他の構成されるメンバーの方等々から種々の形での御発言、コメントがされて、その結果として手続がおくれる、おくれるというか、時期をずらすというようなことは当然あったと思います。
保坂委員 そうですか。ということは、事業がおくれたということは、これは逆はどうですかね、ブレーキじゃなくてアクセルの方は。早く進めようという、これはいかがですか。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 多くの場合、御案内のように、事務方におきまして所定の手続等を進めたある段階に至って、大体党の方に御報告し、御了解を得るという手続になっておりましたので、スピードを早めろというようなことがあったというのは、少なくとも私が承知している限り、記憶にはございません。
保坂委員 ただ、おくらせることがあったということになると、アクセルを踏むこともあったのではないかというふうに私は推測をするわけですけれども、さらに伺います。
 自由民主党の対外経済特別委員会ですか、こちらの方に、これは鈴木議員にかかわらず、歴代の委員長あるいは委員長代理などの方々、あるいは部会などに説明に行くというのは慣行であったというふうに局長はお答えになっているんですけれども、ケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電所については、まず最初にこの対外特別委員会に説明に行かれたのはいつだったんでしょう。
西田政府参考人 済みません。記憶にございませんので、それは調べて御報告いたしたいと思います。
保坂委員 これは調べていただけるということですが、それでは、説明に行ったことがあったかどうか、あるいはそれが一回か複数回か、そのくらいはいかがでしょうか。
西田政府参考人 記憶が必ずしも定かではございませんが、この案件をとりたてて議論をしたという記憶は必ずしもございません。
保坂委員 西田局長が局長になられる以前もこの事業は計画されて遂行されていますから、ぜひそこは調べていただきたいと思います。
 そして今度は、九八年の七月に小渕内閣が成立をしました。そして、その時期に鈴木議員は官房副長官になって官邸に入られる。同時に、外務政務次官には武見敬三さんが就任をされておったと思います。武見外務政務次官が九八年の九月にケニアを訪問しているんですが、このときには当然、ソンドゥ・ミリウの案件について、ケニアの先方と会うときに話題になっているというか、手持ちの資料などにきちっとこれは記載をされてやりとりがあったんでしょうか。九八年です。
西田政府参考人 私、今の時点で承知をしておりません。御質問を想定しておりませんでしたので、調査をしておりません。
保坂委員 それでは、そのときの発言応答要領というのですかね、こちらの方を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 担当の地域局と御相談の上、お答えをしたいと思います。
保坂委員 それでは、中東アフリカ審議官にお願いをします。
 一つは、これはケニアやタンザニアなどのアフリカの国ないし日本でもいいんですけれども、鈴木議員が主催された会に、鴻池組、日本工営などの業者の方が参加されたのかということをお尋ねしましたところ、鴻池組の関係者については、ケニアとタンザニアで招待状の中にお名前があった、こうお答えになっていますね。来たかどうかは確認ができておりませんということでしたが、その後、確認はされましたでしょうか。ケニアとタンザニアの会合というのは、いつ、どこで行われたどんな会合なんでしょうか。
小田野政府参考人 お答え申し上げます。
 一九九九年の八月に鈴木官房副長官が訪問いたしましたケニアとタンザニアの両国におきまして行事がございました。
 ケニア、それからタンザニアにあります日本大使館及び両大使館を経由いたしまして現地の鴻池組に確認いたしましたところ、ケニアにおきましては、鈴木官房副長官が鴻池組関係者と食事、宴席をともにしたという事実はございませんでした。タンザニアにおきましては、同副長官が出席しました在留邦人との懇談会に、鴻池タンザニア株式会社の社長が参加者の一人として出席いたしております。
 日本工営の関係者につきましては、鈴木官房副長官のケニア、タンザニア訪問時に、食事、宴席をともにしたことはないと承知しております。(保坂委員「済みません、ケニアはなかったですか」と呼ぶ)ケニアはございませんでした。タンザニアにつきましては、出席いたしております。
 招待状につきましては、ケニアもタンザニアも出しましたけれども、ケニアにつきましては、その人物そのものがたまたま現地におりませんでしたので、出席しなかったというふうに承知しております。
保坂委員 そうすると、タンザニアの方の招待状に基づいて在留邦人の会に出席をされたということですけれども、こういった招待状とかはどなたがつくっておられるんでしょうか。
小田野政府参考人 これは、現地の日本大使館の方でリストを作成しまして、それで招待状を発出したというふうに承知しております。
保坂委員 私の方でとても気になるのは、では、これは中東アフリカ審議官に引き続きお願いをいたしますけれども、ケニア友好議連というのが発足をしておりますよね。九九年の五月です。友好議連の会長に鈴木議員が就任をされていますね。友好議連というのは、発足すると大体は、大使館にちょっとごあいさつに、行くのか、あるいは来てもらって、このときはもう官房副長官でいらっしゃいましたか、恐らくそういうやりとりがあるのが普通だと思うのですね。どうでしょうか、地域課の記録では、そういうやりとりはありましたか。在京のケニア大使館とのやりとりです。
小田野政府参考人 友好議員連盟ができますことは、まさに二国間関係の外交の幅を広げるという意味で非常に重要なことだろうと存じます。ただ、在京の大使館と友好議員連盟との関係につきましては、第一義的には、在京の外国の公館といいますか大使館の外交活動の一環でもございますし、それから、友好議連そのものにつきましては友好議連の活動でございますので、ちょっとその辺につきましては、私ども改めて確認をしませんと、今の時点ではすぐにわかりかねる状況でございます。
保坂委員 もう少し率直に答えていただけますか。
 これは、その当時、内閣官房副長官ですから、官邸を預かる官房長官の補佐役として、大変政府の要人なわけですね。その政府の要人がして友好議員連盟を設立するわけですから、これは、お会いになったかならないかとか、大使館の訪問を受けたか受けないかなんというのは、すぐ、もう今わかっているんじゃないですか。全くないという感触なんですか。どうでしょう。何にもしゃべらずに議連できるんですか。
小田野政府参考人 友好議員連盟でございますので、官房副長官の立場とは別にして、恐らく議員としての活動であったのではないかというふうに承知いたします。
保坂委員 ですから、議員としてやる活動でも、その議員が要人なわけですから、外務省としては、これはそれこそいろいろなフォローを考えるでしょう。あるいは、要請があればそれをするでしょう。要請などなかったんですか。全くノータッチということですか。
小田野政府参考人 今の件につきましては、手元に資料もございませんので、調べさせていただきます。
保坂委員 それで、さらにお聞きしますが、本委員会のケニア視察が行われました。そしてその後、鈴木議員の方はタンザニアの方に向かわれていますね。その日程については詳細なものを出していただきましたので、これはこういう日程だったんだなということがわかりますけれども、さて、チャーター機で、これはタンザニアの空港からでしょうか、キリマンジャロの方に向けてチャーター機で一路、交通の便が悪いということもあったんでしょう、動かれたということなんですが、これは、外務省からは鈴木議員にだれとだれが同行しているんでしょうか。東京からわざわざ、この日程に合わせてぴったりケニアで待ち受けられたんでしょうか。ちょっとお名前を。お二人同行されたと聞いているんですが。
小田野政府参考人 御説明いたします。
 去年は、タンザニアに参りましたときには、当時のアフリカ第二課長が同行しております。これは、昨年の十二月ですけれども、東京でアフリカ開発会議の閣僚レベル会合というのが予定されておりましたので、ここに対しましてハイレベルでアフリカ各国から出席をお願いするということもございましたので、その件もあわせまして同行いたしました。現地で一緒になったというふうに承知しております。(保坂委員「一人だけですか。もう一人」と呼ぶ)一人だけだというふうに承知しております。
保坂委員 私、ちょっと勘違いをしていまして、小田野審議官は同行していないんですね。同行していると思ったんですね。それで聞こうと思ったら、外務省の控室の方から、その同行されていたのは経済協力局の黒木審議官ですというようなお話があって、それだったら委員会に来てくださいということで、今お呼びして委員長に議決いただいた、こういうぐあいなんですよ。今また一人と答えたので、どういうことなんですか。
小田野政府参考人 今、チャーター機というお話がございましたので、チャーター機でタンザニアに参りましたのは、東京から参りましたアフリカ第二課長ということでございます。東京から行きました者という意味でいうと、今申し上げた課長でございます。
 お話がございましたケニアにつきましては、衆議院の外務委員会の派遣ということでございましたので、それはまた別の話でございます。
 私自身は、出張には参りませんでした。
保坂委員 それでは、黒木審議官、来ていただいていますね。黒木審議官は、当外務委員会、ケニアで待ち受けられた、これは当然だと思うのですが、その後、鈴木議員の日程等に同行はされなかったんでしょうか。
黒木政府参考人 お答えいたします。
 昨年九月の外務委員会の調査団のお世話をするということで、私はケニアに同行いたしましたけれども、それ以降の鈴木先生の日程には同行いたしておりません。
保坂委員 そうすると、これは外務省の方の間違いということですかね。私、同行していたのはというお話があったので、ちょっと。では、そういう混乱があったのかもしれないですね。
 では、小田野審議官に続けて聞きますが、これは、課長の方は公務で行ったということですね、アフリカ開発会議、これを成功させなきゃいけない。たまたまその時期に、外務省としてもやらなければいけない時期に鈴木議員がケニアにいらっしゃって、そして、タンザニアにも、あるいはその後南アにも向かっているんですが、これは公務であるとすれば、どうして鈴木議員のチャーター機に乗せてもらうということになるんでしょうか。外務省が公務として位置づけるのであれば、外交であれば、これはしっかり外交の費用は持つ、こういうふうになっていないんですか。どういうことですか。
小田野政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、アフリカ第二課長は、ケニアに参りました衆議院の外務委員会の調査団といいますか、派遣団と一緒になりました。そしてその後、タンザニア、ボツワナそれから南アフリカというふうに回りました。
 タンザニアそれからボツワナ、南アフリカでの移動につきましては、全体の日程が短いこと、それからアフリカ域内では商業便の便数が多くないということにかんがみまして、鈴木議員よりチャーター機を使用したいというお話がございました。鈴木議員が予定しておりました各国大統領との会談に円滑に対応する必要性もございましたし、またアフリカの特殊な交通事情にかんがみまして、チャーター機の移動に合わせて担当の課長が回るという事情もございましたので、申し出に応じまして便乗をいたしました。
 ただし、アフリカまでの往復の出張につきましては、これは外務省の方で負担しております。
保坂委員 これは何かおかしいと思うんですよ。要するに、公務であれば、これはわざわざ行かなければならないほどの公務であるわけですね。だから外務省から、アフリカまでの旅費は持ったということですね。そして、チャーター機を飛ばさなきゃいけないぐらいに鈴木議員も忙しいし、そしてまたその忙しい鈴木議員に要人に会ってもらうわけですから、大統領とかそれぞれ会ってもらうわけですから、そうすると、チャーター機の費用も外交の一部として外務省が支払うという話にはなってなかったんですか。鈴木議員の好意に甘んじる、こういう関係だったんですか。
小田野政府参考人 お答え申し上げます。
 チャーター機の費用につきましては、外務省は負担をしておりません。(保坂委員「答えになってないじゃない」と呼ぶ)それですので、鈴木議員側の申し出に応じまして、チャーター機には便乗させていただきました。
保坂委員 外務大臣、どう思いますか。
 いや、外務省から行ったのが悪いと、私はそういう角度で言っているんじゃないのですよ。外務省の説明をそのままに受け取ると、これはたまたまその時期に、アフリカ開発会議ですか、重要な外交案件がありましたと。したがって、担当課長をつけて、むしろタイムリーな絶好の時期だったというわけですよね。そして交通も不便である、だからチャーター機で移動すると。
 公務であり外交だと言っているわけですから、どうしてそれはチャーター機の費用を鈴木議員の好意に甘んじるみたいなそういう関係になるんですか。何か貸し借りみたいでおかしくないですか。外交であれば外交、公務であれば公務で徹するべきじゃないですか。どうしてそういう変則的なことになるのですか。
川口国務大臣 まず、チャーター機に乗せていただいたということでございますけれども、こういった交通が不便な地域で、会談に同席をするということが少なくとも目的の一つであったわけですから、別に行動をするとなかなか難しいということになるだろうと思います。ということで、多分この場合は、チャーター機に乗せていただくしか手はなかったんではないかと思います。
 そこで、料金の負担問題ですけれども、本来からいえば、ここで外務省のこの職員は何がしかの、これはチャーター機でございますのでどれぐらいがその分かということで難しいですけれども、負担をするということが望ましい姿であっただろうと思います。
 ただこれは、結果的にはそういうことで負担はしなかったわけですけれども、国会議員が、これは倫理法に照らしてでは問題があったかというと、そういうことではなかったということと、恐らく、これは私の推察でございますけれども、チャーター機は、飛ばすということになるといずれにしても費用は決まった額がかかるわけで、そこに一人乗る、乗らないということで費用に変更が生ずるわけではないということがあって、あるいはこういうことでもいいと鈴木議員の方がお思いになったのかならなかったのか、そこはよくわかりませんが、本来、適切な姿というのは、やはり外務省がしかるべき金額を出張旅費としてお出しするということが適切だったと思います。
保坂委員 このチャーター機のチャーター代は幾らですか、審議官。
小田野政府参考人 チャーター機をアレンジする段階におきましては、信頼できる飛行機会社がどこであるかとか、そういったことでお手伝いを申し上げました。その後、契約につきましては鈴木事務所の方で行いましたので、正確な金額については私どもが承知いたしておりません。
保坂委員 大まかで、大まか幾らぐらいですか。全然相場がわからないのですか。
小田野政府参考人 大体の金額しかわかりませんが、相場といたしましては、大体五万ドル程度であったのではないかというふうに承知しております。
保坂委員 五万ドルですか。スズキホールの七万ドルも驚いたけれども、五万ドルですか。これはあれですか、外務省は、こういう公務であってもチャーター機を飛ばすくらいの費用は出ないですね。どうですか、出るの。
小田野政府参考人 今のお話は鈴木議員の話でございますので、議員がいろいろと動き回る際に、外務省がチャーター機の費用というのは持つことはありませんが、それ以外に、いろいろと大臣とかそういう方が、交通不便なところで、あるいは日程が限られているといった場合には、場合に応じて使うことはあるのではないかと思います。
保坂委員 それでは、黒木さんと小田野さんに伺いますけれども、このチャーター機の旅程の中で、予算委員会でも言いましたけれども、タンザニアの中でつくられている無償援助の道路、マクユニ―ンゴロンゴロが、きのう入札があって、鴻池が落としましたという会話があるじゃないですか、佐藤大使との。これは、西田局長にそのときは答えていただいたんです。そういうことは会話としてあるんですという話でした。それで、鈴木議員がよかったという話をしているわけですけれども。
 どうですか。日常不断にそういう入札情報とかは現地の大使が細かく教えて、また彼がキャッチするという関係にあったのでしょうか、お二人にちょっと伺いたいと思います。特に黒木審議官には、ケニアの現地にも行かれていますので、どうなんでしょう。
黒木政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、タンザニアは私同行しておりませんので、タンザニアでどういう話があったかというのは承知しておりませんが、ケニアにおきましては、到着時に外務委員会の調査団御一行に対して現地の当時の青木大使の方から、ケニアの政治経済状況、日本との関係等についてブリーフィング、説明がありました。その中で、特定の案件についての入札状況等についての説明はなかったと承知しております。
保坂委員 西田局長に伺います。
 ちょっと、今の話は大変私も驚いたんですが、こればかりやっていられませんので次に移りたいと思いますけれども、事業がおくれたことで約三十億円、いわば予算が多くかかるようになったということについて先日もお尋ねをしたのですが、これについては即答はできないということだったのですが、その後わかりましたか。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 その後、調査を深めまして、次のようなことが判明いたしましたのでお答えをいたしたいと思います。
 外務委員会の調査団が、まさに今御指摘のとおり、昨年九月にケニアを訪問した際、本計画、ソンドゥ・ミリウでございますが、そのコンサルティングサービスを行っております日本工営から、同調査団に対しまして本計画の経緯及び現状について説明を行われました。
 その際、発電運転が当初予定されておりました二〇〇三年三月から当時の時点で少なくとも一年半程度おくれると見込まれていたことから、このおくれによるケニア電力公社、これは先方の実施機関でございますが、その逸失利益、つまり得べかりし利益でございますが、それが約三十億円。これは、一年半分の発電量に売電単価、想定でございますが、乗じた額というものを積算しまして、約三十億円に相当するという説明が行われたというふうに事態が判明いたしましたので、御報告いたしたいと思います。
保坂委員 その三十億円という損害は、もうケニア電力公社に既に発生をしている、動かしがたい、こういうふうに考えていいですか。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 先ほどの説明と重なりますが、得べかりし利益、つまり、当初予定されていたタイミングで仮に発電所が動き出していれば得られたであろうお金が、発電所が実際に動かなかったわけですから、その間、要するに三十億円相当分だけ売電価格というものがそうでない事態に比べて少なくなりましたねということでございますから、具体的な損失はどこにも生じていないということでございます。
保坂委員 いや、そうすると、普通は工事というのは、早く終わったらいいのですが、大体工期ぴったりに終われば大体想定した額でおさまるでしょうけれども、いろいろな変動要因もありますけれども、しかし、一年半とか二年おくれれば当然費用は多くなるんじゃないですか。それが三十億円ということではないのですか。費用は多くなっていないのですか。一年半、二年という尺度でですよ。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 第一期の工事につきましては、委員御案内のとおり、八割以上進んでおりまして、それなりに順調に進んでいるというふうに我々は理解をしております。したがって、そういう意味におきまして、工事の遅延に伴ういわば損失というものが現時点で現実に生じているというふうには理解をしておりません。
保坂委員 私は、これは議論を整理してみると、特に、鈴木官房副長官がケニアへ行きました、そして債務削減はなしだよと言って念を押して、それを確認したという役割を、外務省の事務方の下準備のとおりに果たされたという話はそのとおりかなというふうに理解をしています。しかし、その債務削減はなしだよという条件自体がユネスコの選挙と絡んでいたということ、これは果たして国際社会においてどういう目で見られるのかなという懸念を感じるわけですね。借金を返すのだな、そして返すのであれば百五億円つけてあげるよ、であれば日本を支持してくれという、何かこれは余りいい印象を持たれないのじゃないかというふうに思います。そのことの答弁はきょうは求めません。
 そしてさらに、すぐにこれは事前通報されていますね。事前通報されて、ここは外務省の報告書では九カ月というふうに書いておられる部分もありますし、通常だと数カ月というふうな記載もありますけれども、本来であれば、作動させますよという事前通報から交換公文、円借款の契約まできちっと見定めて、そして入札が行われる、これが本来の姿ですね。どうしてこんな変則的なことになってしまったのですか。ちょっとここが、疑念が持たれた大もとだと思いますよ。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 これはまさに、調査報告書におきまして最も重点的に調査をし、報告をさせていただいた点でございます。
 そこに詳細にわたって御説明をさせていただいたとおり、事前通告をしましてから、その後の交換公文あるいは借款契約に至らなかった経緯は、その後に生じました債務問題あるいは環境問題等々における対応ということで、政府として、第二期の借款を認めるか認めないかという決定をこれまで慎重に見守ってきたということによるものでございます。
保坂委員 日本政府は責任ないよということなのですね。責任がないよと言いながら、契約をしているのはみんな日本企業なわけですね。実際に、その責任がないと言いつつも、責任がないということでは通せない現状にあるというのは局長も御存じのとおりでしょう。
 そうすると、こういう、最終的な契約までよく見据えないで入札をしてしまうというあり方は、これはよくないのじゃないかとはっきり言って思いますね。これはどうですか。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 委員御指摘のとおり、このような事態は必ずしも望ましい事態ではないというふうに考えております。したがいまして、このような事態にならないように、事前におきまして最善の調査等を行うべきは当然というふうに考えております。
 他方、この件につきましては、先ほどから累次御説明しておりますように、結果として、その後に出てきたいろいろな問題に対応するがゆえに起きたものだということでございますのと、それから、従来から非常に、このようにいわば期分けということでやっておりますが、このようなプロジェクトで、かつ今回もケニアのいわゆる電力状況は非常に悪い、場合によっては十二時間計画停電をせざるを得ないというような事態もありまして、客観的なニーズが切迫をしているという時点においてこのようなことが結果として起こるということは、他にも例のあるものというふうに承知をしております。
保坂委員 それでは、せっかくですから黒木審議官にもう一度、ケニアに同行されたということで伺います。
 私は何度も、今回現地、御当地の大使館は一体何をやってきたのだと。本日、青木大使がこちらに来られるのであればぜひ聞きたいと思っていたところなのですが、残念ながらきょうは都合がつかないということらしいので、これはぜひ聞きたいとは思っていますけれども、どういうことかといえば、去年の六月に外務委員会で指摘をしましたけれども、例えば、反対集会に取材に訪れた日本人記者も捕まっているというようなことがありますね。また、環境活動家などがいろいろと、鴻池組のガードマンに囲まれたりとかあるいは逮捕されたりする事件、あるいは住民集会の周辺で暴力行為があった。あるいは、この一番中心になっていた方は、今ケニアの国内ではちょっと身の安全が保たれないので国外に出ているという話まであるのですね。
 ケニアの大使館はケニアの政府に対して、大きなお金をかけて、また双方の信頼をかけて事業が進んでいるのに、そういう不祥事を起こすな、あるいは誤解を招くようなことをするなということを強く抗議したり、きちっと申し入れをしているのかどうか。はっきりしないのですね、これ。大使みずからがそういうことをされていたのでしょうか、あるいはそういう問題意識というのは余りなかったのかどうか。そのあたりはいかがですか、人権問題。
黒木政府参考人 人権問題あるいは環境、社会問題につきましては、現地のNGO等からいろいろと問題の指摘がされておりまして、それに対して大使も含めた我が方の大使館、一体となって、ケニア側に対していろいろな改善措置の要請を行ったり、あるいは問題があるときは問題点の指摘をする等して対応してきているというふうに理解しております。
保坂委員 経済協力局長に伺います。
 そもそも事の起こりは、私がこの間指摘したような、財務構造の問題に立ち至る前に環境の問題、特に、水量が著しく減ることで近隣住民の影響がないのかとか、そういう声がケニア現地でも上がってきたわけですね。もちろんそこに、かつて国会議員だった方がいらっしゃったりとか、政党間の対立であるとか、そういう要素はあったでしょう。しかし公平に見て、これだけの規模の発電所ができるのに影響がないわけはないわけで、影響があるのではないかという動きや報道、発言などはこれは保障されなければいけない。それが保障されないようなODAは四原則に反するわけですね。
 これについて、やはり今まで以上に厳しく、また今、そういう声がきちっと保障されているかどうかについても、日本政府としてはしっかりケニア政府に物を言っていくべきではないか。これまでちょっと不十分過ぎたということが大きいと思います。いかがですか。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 特に環境問題、人権問題、このような発電所をつくるに際して、それに対する悪影響というものが、ODAの世界のみならず国内においても大変に大きな関心を引いているということは、我々も十分に承知をしております。
 御指摘の本件につきましても、先ほど黒木審議官からお答えしましたとおり、現地のNGOを初め、住民の方々からも心配の声が上がっていたということでございましたので、そのような事態を踏まえて、御案内のようにいわゆる作業部会、現地の住民の方、それからNGOの方等々に参加していただいて自由に意見を述べるという形を恒常的につくるシステムというものもつくるよう、ケニア側とは協力をしてやってまいりました。
 確かに、当初、立ち上げの時点で必ずしも一〇〇%、十二分でなかったという面がもし仮にあったにしても、現時点においてはそれなりの対応というものをとらせていただいている、当然のことながら、さらにこのような努力は引き続きやっていくべきものと考えております。
保坂委員 済みません、もう時間になっているのですが、一問だけお許しいただいて。
 外務大臣、十年ぐらい前に大臣は通産省の、まさにこのODAの専門の部局でお仕事をされていたと思うのですね。今、このソンドゥ・ミリウのことがいろいろ議論されています。もうここまで来たら、関係省庁と我々与野党の国会議員、そしてNGOも入れて、一度率直に全部語り合うという機会を持っていただけませんか。
川口国務大臣 これは円借でございますので、関係省庁は常にこの件については連携をとって仕事をしていると思います。
 この問題というのは、環境と開発にかかわる古くて新しい非常に大きな問題であると思っておりまして、この件、これ自体に環境をどれぐらい取り入れるかということについては、今局長も答弁をしましたように、それはそれでいろいろな意見を聞いていくということであるかと思います。これは相手国が要請主義ということでやっていますので、相手国がこの問題について、環境と開発の問題についてどう考えるかということについても、向こうの考え方というのは、そもそもきちんとなければいけないんだと思います。
 いずれにしても、NGOについての意見というのは、役所としても、先ほど言いましたように、今後聞いていく体制はきちんとしたいと思います。
保坂委員 終わります。
吉田委員長 午後一時三十分から委員会を再開いたします。この際、休憩いたします。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十分開議
吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として、委員中川正春君の質疑に際し、外務省大臣官房長北島信一君、大臣官房審議官佐藤重和君、警察庁警備局長漆間巌君、公安調査庁次長栃木庄太郎君、海上保安庁長官縄野克彦君、委員土田龍司君の質疑に際し、外務省欧州局長齋藤泰雄君、委員松本善明君の質疑に際し、法務省刑事局長古田佑紀君、委員東門美津子君の質疑に際し、外務省大臣官房審議官原田親仁君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
吉田委員長 質疑を続行いたします。中川正春君。
中川(正)委員 民主党の中川正春です。
 まず、実質的な審議に入る前に、ちょっとこれは事前通告がないんですけれども、大臣、一度お考えをいただきたいというところがございます。
 それは参考人の質疑に関してなんですが、この委員会の進行の中で、それぞれ、理事懇あるいは理事会でさまざまな、この際には、直接事情を聴取するという意味で参考人を呼ぶべきではないかということで、大体、与野党問わず話が一致しております。
 具体的には、今回、青木前ケニア大使と、それから、前コンゴ大使で、今、支援委員会の事務局長の高野さん、この二人を招致したいということで、実は今この時間、日程を入れておりまして、本来、大臣、非常に御活躍の中で疲れておられるところ、これはもう大臣はいい、今回は参考人でその二人を呼ぶんだということで私たちの総意ができて、その手続をしたんです。ところが、二人とも出てこないんですね、これは。出てこないんです。退職をして一私人となったとはいえ、特に高野さんは外務省が関与をしている。しかも、その委員会のトップとしては大臣なり総理大臣なりというのが行政機関として、いわゆる国際行政機関としてあるわけです。
 そういう形の中で、まずお聞きをしたいのは、大臣として、この二人の参考人、私たちが直接情報を得たいということに関して当然のことであるというふうに認識をしていただきたいというふうに思いますが、そのところと、それから、大臣の方から、特にこの二人については出るべきだというふうな話、これをひとつ改めて指導というかアドバイスをしてやってはいただけないかということでありますが、その見解をお聞きしたいと思います。
川口国務大臣 国会が参考人を招致するということでお決めになったことについては、参考人と目された人はその事実は重く受けとめるべきであろうと思います。
 その上で、私がこの方々に何かを言えるかということなんですけれども、青木さんは、前大使か元大使かちょっと存じませんが、全く今おやめになっていらっしゃるということと、それから高野さんの方は、支援委員会は、これは私の部下ということではございませんで、一応、国際機関の支援委員会という形ですから、私からこれに出るべきである、出なさいというふうに申し上げるというのはちょっと難しいような気がいたしております。
中川(正)委員 先ほど事務局にも確認をしたんですが、では、この支援委員会なるものの組織というのはどういう議決機関をもって運営されているかということになると、委員会なんですよね。その委員会の主たるメンバーというか、メンバーというよりも、その委員会を意思を持って動かしているというのは日本国それからロシアなんですよね。そういう意味から、私は、十分に関連があるといいますか、さっきの答弁は間違っているというふうに思うんです。どうですか。
川口国務大臣 関連があるということは、全くそうだと思います。
 では、だから出なさいと言って出なければいけない立場にあるか。基本的には御本人がどうお思いになるかということに尽きてしまうんですけれども、関連があるけれども、じゃ出なさいと言って私の命令、要するに組織的にそういうふうになっているわけではございませんので、そう言って出るという立場に、御本人が出るというふうにお思いになればそれはそれでいいんですけれども、出るというふうにおっしゃっていらっしゃらないようでございますから、その場合には、私が幾ら強権を発動してみても、出なさいと言ってみても、では、聞かなければ命令違反か、そういうことではない、そういう意味でございます。
中川(正)委員 頼みますから、大臣、官僚に戻らないでください。さっきのは全く丸出しですよ、官僚の話が。
 どっちにしたって、大臣としては、真相解明をしていくということをあれだけ表明されて、しかも、この支援委員会の性格そのものが問われたわけでしょう。この中の運営が問われたわけでしょう。では、当然、外務省としての、あるいは大臣の意思としても、それは言って、そのときの状況というのをみずから話をするべきでないかという話が出てきて、大臣というのはポリティカルアポインティーですから、そういう政治決断というのは意思として持って当然だと思うんですね。そういうことを前提にしてぜひやっていただきたい。
 それから、それは命令できなかったら、アドバイスはできるわけです。外務省の意思は表明できるわけです。私は、本来は命令できるものだと思っているんです、その関係からいうと。事務的にちょっと調べてみてください。というようなことでぜひ御認識をいただきたい。
 そういう形で出てこなければ、私たちの委員会の総意としても、ぜひ証人喚問でいこう、出てこないんだから。それが唯一の私たちの国政調査権としての、発動せざるを得ないという認識にも立っておりますので、そのことを踏まえて対応いただきたいというふうに思うんです。
 答弁があれば。
川口国務大臣 まず、支援委員会の活動、あるいは北方四島の支援の問題について、できるだけ調査をし解明をする必要があると思っているというのは、これは全くそういうことでございます。
 したがいまして、いろいろな調査もさせていただきましたし、資料についても可能な限りお出しをさせていただいているわけでございます。それらは外務省として持っている資料、コピーがあるということもございますけれども、としてできるということでございまして、これは外務省の判断でできるわけです。
 それで、おっしゃった、支援委員会の事務局長に国会の参考人として出席をするということについて、御本人はこれを重く受けとめるべきだと私は思いますけれども、外務大臣が出ろという形では申し上げられないということでございます。
 私や、それから外務省の事務局に対しては私は言っておりますけれども、できるだけ、可能な限り、これは解明に協力をするということ自体が外務省のためでもあるというふうに私は思っておりまして、その方針は変わっておりません。
中川(正)委員 大臣として、私は出るべきだと思うとはっきり言えばいいのですよ。それだけのこと。それがそれぞれの事務局に対してどういう影響を及ぼしてくるか、これは絶大なものですから、本来は。それで影響を及ぼしてこないといったら大臣いない方がましで、そういうものなんですよ、大臣というのは。そういう気持ちでひとつ対応をしていただきたいというふうに思います。
 その意思があるんだということを、さっきの答弁で私はそう受けとめさせていただきました。いいですね、それで。
川口国務大臣 北方四島、支援委員会、この関連のことについての実態を明らかにするということが必要であるというのは、私は一貫して思っておりまして、そのように行動をいたしているつもりです。その中で、私の権限としてできることを最大限いたしているということです。
中川(正)委員 大臣、これからの脱官僚的スタンスというのを御期待申し上げます。頑張ってください。そんなような遠慮をしなくていいと思うのですよ。意思を持って、しっかりしてください。
 あと、私たちもそういう手続をとっていきますから、どうぞひとつ外務省の方としても、それぞれの、高野さんだけじゃなくて青木さんも含めて、あるいは私たちが要請をしているのは外務省の職員、これについても直接参考人としてここで証言をしてもらいたいということを言っていますから、そのことを、一遍情報をとられて、検討をしていただきたいというふうに思います。
 これ以上やっても水かけ論ですから、期待を申し上げます、期待を。よろしくお願いします。
 それでは、質問に入っていきたいと思うのですが、最初に、北朝鮮に関する問題の整理をこの辺でやっておく必要があるだろうということで取り上げさせていただきたいというふうに思うのです。
 最近、特にブッシュ政権になってから、悪の枢軸という議論が出ていますが、非常に流れが変わってきているということ。その流れが変わってきているということを前提にしながら、最近北朝鮮との間で起きていることといいますと、拉致問題が一番最近では出ていますが、それと、日本の国内では朝銀と朝鮮総連の関係、あるいは不審船。テロ事件の後、考えてみたら、この不審船の情報がもたらされたのは、これはまたアメリカなんですね。そういう前提の中で日本が動いて、沈んでしまった、それをこれから引き揚げるかどうかという決断が迫られている。こういう形で、整理をしなければいけない事象というのが起きてきております。
 この問題を、外務省としてどんなスタンスでそれぞれ向かっていこうとしておられるのかということを中心に、外務省には聞いていきたいというふうに思うのですが、その前に、捜査当局の見解をまとめてここで聞かせていただきたいと思うのです。
 まず、拉致問題でありますが、有本恵子さんの拉致確認という証言が元よど号犯の妻によってなされたわけであります。このことによって、二〇〇〇年当時の、クリントン時代の韓国の太陽政策に代表されるような、日朝の国交正常化に向けての議論が非常に華やかだったころ、そして米問題があって、この人道支援を日本が決断して実行していたころ、このころの拉致問題の認識と、現在こうしてさまざまなことが報道もされ、そして恐らく公安当局が、あるいは警察当局かもしれませんが、つかんでおられる情報、刻々と変わってきておると思うのですが、それがどのように変わってきているのかということ。
 特に、八件十一人という内訳をこの間発表されましたが、この八件十一人の中身ですね。それと、ヨーロッパで今回の有本恵子さんの問題は起こったわけでありますが、このヨーロッパルートというのが、証言によると、そんな一人、二人の話じゃなくて四十人、五十人というようなレベルであったというような証言もこれあり、非常に錯綜しているのですね、さまざまな証言が。
 それを警察としてはどのように整理をされて、今どのような認識があるのか。まずここのところを答弁いただきたいというふうに思います。
漆間政府参考人 お答えいたします。
 このたびは、七件十名に加えて八件十一名という、これはまさにヨーロッパから北朝鮮の方に拉致された疑いがあるということで、今までの国内から北朝鮮に拉致された疑いのあるというものとは違っておりますが、基本的には、いずれも本人の意に反して北朝鮮の国家的な意思が見られる形で北朝鮮に連れていかれた事案でありまして、いずれも同じだというふうに認識をしております。
中川(正)委員 いや、そのことだけを聞いているのじゃなくて、全体像ですね。
 というのは、北朝鮮という国家があって、よど号犯がそこで活動をしている。この活動の範囲が、中身がどういう形でそれぞれ展開をされているんだというふうに認識をしているのかということ。それから、ヨーロッパで実際に起きた事犯、これは今回一件だけはっきりとこうして出てきたわけですけれども、実際ほかに過去にいろいろな情報があって、家族もそのような形で警察へ出向いてお願いをしているという経緯がありますね。
 そんなことも全部含めて、一体どういう範疇の中でどんなことが起こっているのかということを警察が認識をしているのか、そこのところを聞きたいと言っているのです。
漆間政府参考人 ヨーロッパの方から行方不明になった事案というのは、いろいろ、巷間流布されているものにはたくさんございますけれども、我々の方で今注目して見ておりますのは、昭和五十五年から五十八年にかけてヨーロッパから行方不明になった三名の事案でありまして、そのうちの一名、有本さんの事案については、今回北朝鮮による拉致の疑いがある事案と認定したわけであります。
 この全体的な事案については、今現在警視庁を中心に捜査をしておりますので、具体的な捜査の内容を申し上げられませんが、先ほども申し上げましたように、北朝鮮の国家的意思が推認されるような形で拉致が行われているという認識のもとに現在捜査を続けているということでございまして、その具体的というか、その内容の一つには、よど号犯人の元の妻であった者の供述の中にも出ておりますように、よど号のグループ、これは家族も含めて、グループが北朝鮮からヨーロッパにおいていろいろな活動をしていたというような情報も得ておりますし、その中には北朝鮮の工作員と思われる者も含まれていたという情報も得ております。
 いずれも、全体的に総合いたしまして、とりあえず有本さんの件については北朝鮮による拉致の疑いがある事案というふうに認定したわけでありまして、そのほかについても、今後さらにそれを追加することになるのかどうかを含めて、現在捜査中であります。
中川(正)委員 先ほどの認識は、警察としても、問題の本質がよど号の犯人を中心に非常に広範にわたるものである、特にヨーロッパを舞台にした流れが確かにあったというようなことであります。
 これは、三年前の警察当局のそのころの認識と、三年前ということになると、ちょうど日朝国交正常化を前提にしながら、さまざまな議員の交流なり日本のサイドの代表が向こうへ行った、米支援の話も出た、それからそれぞれの具体的な対応ということも含めて、どちらかというと雪解けの時代というか、そういうころと認識は相当変わっているんですか。それとも、そのころもそうした認識があったんですか。
漆間政府参考人 警察庁といたしましては、昔も現在も基本的な認識は変わっておりません。
 北朝鮮に渡ったよど号のグループが、妻あるいは元妻も含めてヨーロッパでいろいろな活動をしていたことと、それから具体的にその中に北朝鮮の工作員も含まれていたこと、これはずっと前からいろいろな関係機関との情報交換の中で把握しております。
 そういう中で見ておりますので、そのときから疑いというか可能性、北朝鮮による拉致の可能性があるのではないかと有本さんの事案も見ていたわけでありまして、今回、いろいろな形でさらにそれを補強する材料を得られたものですから、一件一名を、有本さんの事案は加えた、こういうことでございます。
中川(正)委員 これについて、公安の方はどうですか。特に朝鮮総連との関係で、さっきは、よど号との関係はヨーロッパルートなんですが、こちらの、日本から直接拉致をされたと言われている、日本海沿岸のアベックが消えた問題とか、国内から直接行っているというものは、さまざまな国内組織との関連の中で議論がされているわけでありますが、そのことについて公安はどのように見ていられますか。
横内副大臣 警察庁と同じ考え方でございます。
中川(正)委員 後ろに控えておられる方は、もう少し詳しい話が出るんでしょうか。
栃木政府参考人 先ほど副大臣がお答えになったとおりでございます。
中川(正)委員 副大臣、これだと最初から向こうに聞く方が詳しい話が出てきたかもわかりませんが、ちょっとしっかり勉強しておいてください、ここに来られる前に。
 それを踏まえて、先ほどのお話を踏まえて、今度は外務省の方に、外務大臣にお尋ねをしたいんですけれども、今回の一連の事件が出てから、外務省としてはどういうアクションを具体的にとられているのか、あるいはとろうとしているのか、これをまず説明いただきたいと思います。
川口国務大臣 有本さんの件につきまして、これは今捜査当局で捜査が行われているというふうに承知をいたしております。
 外務省は、過去において、日朝国交正常化交渉等の場で有本さんの件については北朝鮮側に問い合わせたという経緯はございます。
 基本的に政府の、外務省の立場といたしましては、拉致問題は日中韓の話し合いの場でその進展の糸口を求めていくということが一番効果的であると思っております。
 今後とも、韓国あるいは米国と連携をしながら、北アジアの平和と安定に資するような形で、第二次大戦以降の正常でない日朝関係を正常な形に戻すような、そういった努力をしていきたいというふうに考えます。
 北朝鮮に対しては、日朝国交正常化の過程でこの拉致問題は避けて通ることができない問題であるということは指摘をしているところでございます。
中川(正)委員 もっと具体的に聞きます。
 北朝鮮に対しては正式な外交ルートが一つあるんですが、それ以外に、これまでのように北京で交渉を持ったり、正式な外交ルート以外の接触を持ちながら交渉努力をするということ、これは当然あってしかるべきでありますが、今回新しい事実が出てきた。新しい事実というよりも、事実が証言ということで確認されたということ、それからよど号犯がそれに深くかかわっているということもはっきりしてきたということ。そんなことを受けながら、そうした具体的なアクションというのは始まっているのか、始まっていないのかということが一つ。
 それからもう一つは、小泉総理が今韓国を訪問されているわけですね。その中で、きのうの報道だったかにもあったんですが、機中で、この拉致問題について韓国と話し合いをしていく用意がある、これはしなければならないという発言があったということでありますが、これはもう一方で言えば、日本の立場というのを直接北朝鮮にかけ合うということだけじゃなくて、国際関係機関あるいは、特に韓国は三百人から四百人、四百人以上の拉致問題というのを抱えているわけですね。だから、この韓国との連携の中で日本がその方途を模索していくというのは、こんなものは当然の戦略だというふうに私も思っているんで、そういう意味では、今回の事件が起こってから、小泉総理がそれを取り上げて韓国政府と議論をしていくというのは当然のことだと思うのですよ。
 それは、中身はどういう話になっているのか、外務省としてそのことを知っているのか、知っていないのか、これをお尋ねしたいと思います。
川口国務大臣 まず、日韓の首脳会談の件でございますけれども、これは安倍副長官が記者にブリーフをなさったところの情報が入ってきておりまして、小泉総理から、拉致問題は国民の生命にかかわる重要問題であり、その解決を強く北朝鮮に求めるという我が国の基本方針を説明なさったとのことです。これに対して金大中大統領から、こうした考え方について理解が示され、北朝鮮との対話によりこの問題の解決が図られることへの期待が表明されたというふうに聞いております。
 それから、今回の事件以降何か新しいアクションをとったかというお話でございますけれども、これについては、先ほど申し上げましたように、今まで日朝国交正常化交渉等の場で、北朝鮮に対して拉致問題については触れてきておりまして、また有本さんについても問い合わせたという経緯がございまして、ずっと切れ目なくこれについては対応をしてきておりまして、まさに粘り強く働きかけるということの過程に今あるわけでございまして、それを今後ともやっていくということでございます。
 それから、どういう場で北朝鮮に働きかけるかということについては、個別個別のどういう形で接触があるかということについては、これは相手といろいろなことがある中ででございますので、個別の問題についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
中川(正)委員 さっきは大臣、報道機関に福田官房長官からブリーフされたものを読まれましたけれども、私驚いたのは、本来、小泉総理が韓国でそういう議題を出して、このことについて交渉されるという前提は、当然外務省がイニシアチブをとっているんだというふうに思っていたんですよね。事前に大臣と小泉総理の間には、あるいは大臣の意思として、この問題を韓国に対して、どういう形で具体的に協力していこう、さっきの抽象的な話じゃなくて、どういう形で具体的に連携をとっていこうということを考えられているのか。そこのところを、やはり外務省としては当然考えあってのことだというふうに私は想定しているんですが、どんな話なんですか、中身は。
川口国務大臣 小泉総理が韓国に行かれて、韓国の首脳との間でどういうお話をするかということについては、当然のことながら、私としては、小泉総理が、今までのこの拉致問題について申し上げれば、先ほど申し上げたような日本の基本的な考え方、粘り強く働きかけていく、それからアメリカ、韓国とも連携をして云々と申し上げましたけれども、そういうことの基本的な考え方に基づいてお話をいただけることになるというふうに考えておりましたし、それについて、あえて小泉総理に私から念を押させていただくまでもないことだというふうに私は思っております。
 これは、両首脳がお話をなさることでございますので、そういった基本的な考え方を踏まえてお話をいただけるだろうということのほかに、両首脳が何をお話しになるかというのはまさに両首脳が御判断なさる話でございまして、それについては私は、どういうふうなお話があったかということは、まだ聞く段階ではないというか、まだ時間の関係で伺っていないということでございます。
中川(正)委員 その答弁ではっきりしたのは、今回のこの拉致問題についての小泉さんのスタンスというのは、総理大臣自身の問題意識であって、外務省からイニシアチブをとって、この問題について主体的に関係を持ちたいということではなかったということですね、さっきの答弁は。――いや、もう答弁はいいんです。答弁はいいんです。そこのところ、さっきのニュアンスではそういうことに聞こえますよ。
 もし、外務省からそのイニシアチブをとっていくということであれば、もっと具体的な話が出てこないと。ちょっと話だけしておいてください、それで総理大臣が首脳会談の中で一言二言漏らすというような、そんなばかな外交はないですよ。そんなばかな外交はない。これは一つ一つが、世間の常識というか世界の常識として、首脳会談があって、その首脳同士の一言一言出てくる話のその背景には、各省庁がしっかり動いて、具体的な施策があって初めて出てくる。これは世界の常識ですよ。それが、ただ話をしておいてくださいというふうなことになっては、これは情けないじゃないかというような受け取り方を私はさせてもらいます。というのは、なぜかといったら、具体的な話が出てこないからですよ。どういうふうに連携をしていくかという具体的な話が出てこないからですよ。
川口国務大臣 外交については、外務省と内閣、官邸とは常に連携をとりながら、お話をさせていただきながら進めている話でございまして、先ほど申しましたように、拉致問題についての基本的な考え方というのは、もうずっと前からそういう方針でやってきている話でございます。
 むしろそれを外れてということであれば、あるいは、一般的に言って、何かの今までの基本的な考え方があって、それを変えるという段階では綿密に議論をさせていただきますけれども、本件については、もうこれはずっと官邸も外務省もそういうことで進めるということで意見が一致をしている話だということを申し上げたいと思います。
 その上で、小泉総理がどういう言葉を使ってどういうふうにおっしゃるか、これについて私が総理に対して、これはこういう言葉を使ってこういうふうにおっしゃってくださいということを言うべき立場ではないということを申し上げているだけでございまして、基本的には、常に御相談は申し上げているわけでございますし、この問題についても、私も韓国の外務大臣との間で取り上げてきておりますし、そういったことは今までと今と全く変わりがないということです。
中川(正)委員 もう抽象論はいいんです。
 そこで、なぜこんなことを申し上げたかというと、これまで外務省は、この問題については余りにもないがしろにし過ぎたじゃないか、そういう議論が出ているわけです、背景として。それはなぜかといえば、もともと北朝鮮との国交正常化を重んじる余り、この問題についてどうしても及び腰になって、それが後ろへ回されたという経過があった。このことに対して、今回、流れが変わってきて、さらに具体的な証言というのを得ながら、一つ一つの事実がはっきりしてきた。そこでもう一度、北朝鮮に対するスタンスというものの全面的な検討といいますか、再検討というか、そういう練り直しがあってしかるべきだろうということを期待しながら、私はさっき質問を申し上げたんです。
 それが結果的には、これまでと変わっていないんだというふうな話になる。だから、小泉さんに私は期待したんですよ。そういう話をわざわざ取り上げるというようなことですから、これはひとつやっていくのかなということを期待したんですけれども、ただ言っただけだという話になっている。
 これはこれから先、また一つ一つの事象について私もテーマとして取り上げていって、全体野党のさらなる追及課題になると思うんですけれども、進めていきたい、このことを申し上げておきたいというふうに思います。
 次に入ります。
 朝銀と朝鮮総連の問題でありますが、副大臣、御苦労さんでございます。ありがとうございます。
 これは北朝鮮との関連がどうだったのか。特に、一つは、破綻をしていく中で朝鮮総連との関連が出てきて、これが刑事犯罪まで問われた。それがはっきりしていく中で、この一連の中で、資金がどこまで北朝鮮に流れているのかということをどうつかんでおられるかということ。
 それからもう一つは、一般の借り手の中に不良債権があるわけですね。それに対して、破綻をしていく過程で日本の税がそこへ向いて導入をされるということで、これまで財務委員会でもこれはたびたび議論に上がったわけでありますが、一般の借り手から北朝鮮へ回った資金の総額、これをどうとらえておられるかということ。これを金融庁、あるいは預保の立場、どっちでもいいです、金融庁の立場で来ていただいたんだろうと思うので、どうつかんでおられるのかということ。
 それから、法務省、公安の方は、朝鮮総連との関連で、公安が具体的に北朝鮮へ流れている資金の量というのをつかんでいるというのを私、聞いているんですよ、一つ一つ、個別に。個別につかんでいる中の総額というのは、一体どれぐらいのものになっているのか。あるいは、どんなような形で向こうへ向いて、資金として流れていったのか。その中身、公安がつかんでいる中身、これを説明いただきたいというふうに思います。
村田副大臣 ただいま委員から私どもの方には二つの御質問があったと思いますが、朝銀から北朝鮮の方に流れた資金の流れを把握しているか、こういう御質問が一つだったと思います。
 結論から申しますと、私どもは、個別の取引につきまして、お答えは差し控えさせていただきたいということでございます。
 それはどういう流れになるかと申し上げますと、朝銀自体は外国送金を直接できない、すなわちコルレス契約を結んでいる銀行ではございませんので、海外送金をする場合には、朝銀から北朝鮮の銀行とコルレス契約を結んでいる銀行にお金を移して、そこから送金をしてもらう、こういう形になろうかというふうに思います。朝銀が直接北朝鮮にお金を流すことができる、こういうわけではございません。
 ところで、私が冒頭お答え申しましたのは、コルレスを結んでいる銀行から北朝鮮へ仕向ける取引について、個別のお話は控えさせていただきたいということでございます。
 二番目でございますが、これも、債務者からどうお金が使われたかということについては、私ども、法制上も、そこまで把握する、そういう立場にございませんので、私どもは責任を持ってお答えすることができないということでございます。
栃木政府参考人 先生が御指摘されましたような北朝鮮への送金につきましては、その全体像については必ずしも正確に把握しておりませんが、貿易代金であるとか、あるいは在日朝鮮人の北朝鮮在住親族への生活援助金などの名目で、銀行送金、あるいは船舶や航空機を利用しました訪問者の直接的な持参などの形で行われているものではないかというふうに承知しております。
中川(正)委員 さっきの両者の話では、国民世論というのは納得しないんじゃないかと思うんですよね。公的資金を入れるだけに、ここのところはやはりはっきりしないと、これは何やっているんだという話になりますよ。
 逆に聞くと、どんな工夫があると思いますか。恐らく大臣も、所管大臣として、この問題、それは与党、野党問わず、北朝鮮に対する一連の事象からいえば、これは国民世論にこたえていく義務があるだろうというふうに思うんですよね。個別の問題とか、それから手続上の問題とかというのを超えて、やはりこれは政治決断だというふうに思うんです。どうですか、大臣としてどんな方法がありますか、これ。そういう質問に一遍変えてみたいと思います。
村田副大臣 事業譲渡に至る受け皿に対しまして、事業譲渡を行う前は金融整理管財人によりましていろいろな責任追及の措置がなされ、事業譲渡後もRCCが責任を追及する、そういう役割を持っているということは委員も御案内のとおりでございますが、私ども、まだ破綻金融機関で受け皿に事業譲渡がなされていない、そういう朝銀が残ってございますものですから、これにつきまして資金援助を行うに当たりまして、多くの皆さん方から、不正な送金あるいは架空の名義の預金についてまで資金援助するのかということに対して大変な御批判をちょうだいいたしました。
 そういう中で、残りの信用組合につきまして、ただいまは新設の受け皿銀行についての認可申請の法務審査が行われているという手続上の過程にございますけれども、資金援助をそうした受け皿にするに当たりましても、例えば架空、真正の預金者が当たらないというようなものについてまで、これを含めて資金援助をするということは避けたいということから、こうした問題については、真正の預金者が把握されるまでの間はRCCに移しまして、そして引き続き追及をしていくという措置を、例えば講じているところでございます。
中川(正)委員 これはもう一方の委員会で議論しなきゃいけない話ですが、そうしたものがつまびらかになるまでは、公的資金は預保の方から入れないということを国会サイドは決議しなければならないぐらいのことですね。という問題意識だと思うんです。
 もう一つはっきりしたのは、そうした不正な送金というのはあるんだという事実、この前提に立って調べていくということ。現実にもあるんでしょう。調べた結果、あるということが判明しているんでしょう。そういうことがわかっているということなんだと思うんですね。それはそれでいいんですか。
村田副大臣 送金ということになりますと、外為法の所管、外為法の範疇だということになりますので、私どもというよりは財務省の問題かと存じますけれども、私ども仄聞しているところでは、これまでのところ、不正な、外為法に抵触するような送金がなされたという事実は聞いておりません。
中川(正)委員 いや、これは外為法の問題じゃないんです。外為法というのは手続上の問題だけで、その資金がどんな目的でどのように向こうで活用されたかというのは、これは外為法の話じゃないというふうに思うんですよね。それはすりかえないでください。
 ということを前提にして、外務省の方にお尋ねをしたいんですが、この資金の流れというのが今はっきり、一つ一つはこれからはっきりさせなきゃいけないんでしょうけれども、はっきりしてきた時点で、これはやはり国と国との問題として、こちらのカードなんですよ。これをどう認識されているのか。これはなかったものとして、何もなかったものとして、これは本当に通常の、国内の銀行が破綻をしていく処理でいいんだ、外務省はそれに知らぬ存ぜぬという形でいっていいんだというスタンスをとっているのか。それとも、これに対して注目をしながら、この問題を外務省の国と国との問題として取り上げていこうとしていくのか。ここの判断と意思を聞かせていただきたい。――これは大臣ですよ。副大臣じゃない、これは大臣ですよ。相談したらいいでしょう、もし必要であれば。大臣の答弁ですよ、こんなものは。
川口国務大臣 前に質問主意書でもお答えを申し上げているようでございますけれども、政府が朝銀信用組合から北朝鮮当局に資金が流れているというふうには、それを認めたという事実はないということがこの質問主意書にも書かれているわけでございます。
 ですから、そういう事実がございませんので、御質問は、そういうことがあったらばどういうふうにこれを外交のカードとして使うかという御質問であったと思いますけれども、そういう事実を認めたことが、そういう認めたという事実はないわけでございますので、仮定、仮想の話として、そうだったらどうするかということについては、ちょっと今お答えするのは難しいかと思います。
中川(正)委員 違うんですよね。もし私が大臣だったらこう答えますよ。外務省としても今一連の問題については注目をしています、これだけでいいと思うんですよ。全く頭から、事実がありませんから何とも答えようがありませんと言ったら身もふたもないじゃないですか。カードだというのはそういう意味を言っているんですよ。そこのところの意思ですよね。やはり注目をしなければいけないと思うんですよ、外務省としても。
 もうさまざまに事実は出ているんです、実際は。金融庁は公式見解でああやって言っているだけで、さまざまに事実は出ているんですよ。これは刑事責任まで問われているんですよ、朝鮮総連の代表が。そこのところをとらえて、やはり外務省としてもスタンスをしっかりしてください。もう一度答弁をお願いします。
川口国務大臣 もちろん外務省としては、これに限らず、外交を見ているという立場から、国際情勢については常に関心を払って見ています。
 そういうことではありますけれども、この件につきましては、そういった事実、認めたという事実はないわけでございますので、では、そうなったらばどうするということについては直接にはお答えできない、そういうことを申し上げました。
中川(正)委員 非常に残念な答弁を繰り返しておられると言うほかないんです。どうぞひとつ、何回も言うようでありますが、脱皮してください、もっと伸び伸びと問題意識を持ってください、そのことを改めてお願いさせていただきます。
 次に、不審船引き揚げの問題。だんだん時間が足りなくなってきましたが、もっとほかにも、外務省改革も含めてやりたかったんですけれども、不審船引き揚げの問題について海上保安庁に確認をしたいんです。
 今回、私たちの目から見ると余りにもタイミングよく、エンジンが故障した船がいるぞということがアメリカから通報されて、現在の経過に至ったわけでありますが、このアメリカの通報というのはどれぐらいの頻度であるのか。全体の、その不審船というのをどういうふうに認識をしているのか。もう一つ加えて、上海付近の基地から出入り、ちょっとこの質問がおとついも出ていましたけれども、この上海付近の基地から出入りという情報というのは、これは報道上では出ているんですけれども、日本のどの機関にどういう形で通報されているのか、もう一回、ここのところを確認したいと思うんです。
縄野政府参考人 御説明申し上げます。
 私どもが認識をしております不審船、これまでに私どもが確認しているだけで、前回のも含めて二十一隻ございますけれども、これは昭和三十年代以降でございますが、これらにつきまして、私どもの船あるいは航空機が確認したもの、それから漁業者から通報を受けたもの、それから防衛庁から通報があったものということでございまして、私どもとして、直接米軍から通報を受けたものというのはございません。
 それから、お尋ねのもう一点は、その不審船についてどういうふうに今認識をしているかということでございますが、不審船というのは、行動目的やそういうものが不審なものということでありますが、前臨時国会で御審議いただきましたように、いわゆる凶悪な犯罪、拉致を含めたそれらの犯罪にかかわっている疑いのある船、工作船、そういうものを私どもとしては認識をしております。
 それから、上海等に立ち寄ったということについてのお尋ねでございますけれども、そのような報道がされたことは承知しておりますが、私どもとして、そのような情報が私どもにあるいは他の部署にあったということは承知をしておりません。
中川(正)委員 さっきと同じ質問を外務省にしたいんですが、これはどのようにとらえられていますか。
 それからもう一つ、アメリカ軍から恐らく日本の防衛庁へ向いて通報があって、それからそれぞれに行くんでしょうけれども、外務省の方にもそうした通報はなされてきているのか。さっき海上保安庁がトータルで二十一隻あるというお話ですが、この中で、アメリカ軍経由で一番最初に来たのは幾つぐらいなのかということ。
 それから、上海付近の基地からという情報、これを外務省は正式にアメリカから受け取っているのかどうか。日本の防衛庁がこれを正式に受け取っているのか、外務省にもそういうことが正式な情報として来ているのかどうか、これを確認したいと思います。これは大臣でなくても結構です、わかっている人で。
佐藤政府参考人 ただいまの御照会でございますが、先ほど海上保安庁からも御答弁がございましたが、私ども外務省といたしましても、先ほどの、不審船が上海付近に出入りしているといったような情報等については、個々の米国とのいろいろな情報のやりとりというのは、個々にいつどういうことがあったかということは一般には申し上げられないわけですが、先ほどのような情報につきましては、私どもとして、米国から外務省に対して通報があったというふうには承知をいたしておりません。
中川(正)委員 大臣、日本国内では、これから中国と折衝をしていく中で、この上海付近の基地というのが非常に注目されているんですね、マスコミであれだけ大きく載ったわけですから。
 このマスコミの報道によると、上海付近の基地だけじゃなくて、もっと北の方にそれぞれ拠点がある可能性もある、それが、日本に来ている不審船のルートとして具体的にこんな形でおりてきていますよというのが報道されているんですよね。この報道に対して、外務省というのはどういう認識を持っていられるんですか。
 また、それを報道されたら、当然アメリカに問い合わせしているはずだと思うんですよ、外務省は。これはどうなんだ、こういう形のもので、ひょっとしたらうちの防衛庁の方にあったのかもしれないとかいうような話は、この職にある人であるとすれば問い合わせして当たり前だろうと我々の感覚からいうと思うんですけれども、そのときに問い合わせた中で、アメリカ政府としてはどう言っているのか、このことを聞かせていただきたいと思います。
川口国務大臣 一連の報道については、関心を持って読ませていただいております。
中川(正)委員 ちゃんと答えていただけませんか、日本語なんですから。お願いします。
川口国務大臣 まさに、申し上げたように、関心を持って見させていただいているということです。
中川(正)委員 もう一回お聞きしますが、この問題についてアメリカに日本の外務省の方から問い合わせをしましたか、しませんか、イエス、ノーで答えてください。
佐藤政府参考人 先ほど大臣からもお答えを申し上げましたとおり、この問題については、私ども外務省としても当然関心を持って見ているわけでございますが、米国側ともいろいろな意見交換、情報交換を行っておりますが、その個別具体的な内容ということでございますので、どういうやりとりをしているかということについては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
中川(正)委員 これは、これからの交渉のポイントですよ。それを自分の持ちカードとして持っていたいという意味をさっきおっしゃったんだろうと思うんですが、こんなもの、隠して持っている必要ないんです。あったら、あったということを前提にしながら交渉に臨むような話なんです、これは。相手の機嫌とって、さあどうかこうかというような話じゃないんです。そこが問われている、日本の外交に。もうあれだけ発表されているじゃない、マスコミにも。
 大臣、どうですか。まあ、大臣のところに伝わっていないのかもしれない。それを向こうへ問い合わせしたんだろうと思うんだけれども、向こうの返事はどうだったんですか。
佐藤政府参考人 基本的に先ほど申し上げたとおりでございますが、先ほど私、こうした情報について承知をしておらないということを申し上げたわけでございますが、その趣旨は、いろいろなやりとりを通じて、明確な形でその確認をしておらないということでございます。いろいろな情報交換等も含めて、確認をしておらないということでございます。
吉田委員長 時間ですけれども。
中川(正)委員 確認をしていないといったら、これは怠慢ですよ。大臣、こんなもの当然の話じゃないですか。これは責任問われますよ。これから一番難しい議論を中国としていかなければならないというときに、さっきはっきりと確認していないと言っているんです、アメリカに対して。外務省はどういうスタンスですか、これは。もう言いわけは結構です。
 今からいいところなんだけれども、時間が来てしまったんですが、どっちにしても、今、全体の国際的な流れが変わってきている。特に、ブッシュ大統領が日本に来て、さまざまな方向転換というのを求めてきているなというのは我々も感じるんです。それに対して、今のような外務省のスタンスでは、日本の意思ができていないじゃないですか、この新しい流れに対して。
 特に、この北朝鮮の問題というのは、これから一つのメルクマールになるというふうに思うんです。そのことを改めて指摘させていただいて、私たちのこれからのこの委員会の焦点もここに当たっていくということを通告申し上げて、私の質疑を終わりたいというふうに思います。大臣、お疲れのところありがとうございました。
吉田委員長 次に、土田龍司君。
土田委員 前の中川委員がちょっと欲求不満だったでしょうから、私も続けてその件を話したいと思うんですが、アメリカからやはりこの通報がなかったというふうに外務省も防衛庁も海上保安庁も言っているわけですね。だったら、職務怠慢だ。こういった報道がされたらば、本当かどうかすぐ確かめるのが私も普通だと思うんです。
 本当は、僕は外務省はやったんじゃないかと思うんですね。こういった報道がなされているけれども、本当かどうかと、日本大使館を通じてやったんじゃないかという気がするんです。それを余りにあいまいにする、外務委員会の審議についてあいまいにすることはよくないことですよ。
 ですから、そんなに極秘にしなきゃならないような事項じゃないと思うんですけれども、ぜひ、答弁についても前向きにやっていただかないと外務委員会の審議が非常に空虚になってしまうという感じがしますので、外務大臣の答弁も、関心を持っておりますというような答弁はやめていただきたい。もっと前向きに、まじめに、真剣に答えてほしいと私は思いますよ。
 今回の不審船につきましても、中国側の態度を非常に気にしていらっしゃるような感じがします。確かに、トウカセン外務大臣の不審船に対する発言というのは微妙に変わってきて、だんだん、余りやらないでくれというようなニュアンスを私も受けるんです。
 しかし、考えてみますと、日本のEEZの中で中国の海洋調査船が調査をしている、これについては、事前協議によって日本と中国の間で時期とか区域とかあるいは目的とか方法とかをあらかじめ決めてやっているわけですね。それに対して、中国の海洋調査船が頻繁にその約束を破る。三回破った。それに対して、日本は中国に対して抗議をしたと言うが、文書で抗議をしたのでなくて単なる口頭で、今後気をつけてくださいというような回答しかしていない。
 この海洋調査船の問題については、私はもう前回も、何回もこの委員会で取り上げましたから、外務大臣も多分議事録をお読みになっていると思いますけれども、日本の経済水域の中で、単なる海洋調査でなくて、エアガンとかボーリングをやって資源探査をやっているじゃないかという指摘を私はしたんです。そこまでやられておきながら、中国に対しては単なる口頭での抗議であったということ、それを裏返せば、今回の不審船の問題ですよ。同じような立場に今度は日本が立てば、もうちょっと外務省のはっきりしたやり方があるんじゃなかろうかという気がするわけですね。
 沈んだ船がどこの船だったのか、何の目的だったのか、単なる民間の船だったのか、それはわからないから引き揚げようと。官房長官は、引き揚げる方向だと言っている、それについては中国との問題があるからいろいろ難しい問題も発生しているというふうに言っているわけですが、今の中国は、中国の外務省でもいいですが、どういった態度をとっておられますか。
川口国務大臣 不審船につきまして、まさに今委員おっしゃられましたように、中国側は、この不審船が中国の排他的経済水域の中に沈没をしているということで、したがいまして、この引き揚げについては、中国が持っている海洋環境に関する管轄権、それから天然資源に関する主権的な権利、これに関係をするために慎重に対応するべきであるということを言っているわけでございます。
 日本側といたしましては、現在、これも委員御案内のように、船体調査をしているという段階にあるわけですけれども、調査を実施した上で、手順としては船体の引き揚げということになるだろうと思います。それは、こうした調査の結果を見ながら次の段階について判断をしていくということになります。
 したがって、今の段階で、引き揚げにつきまして中国側と協議を行っているということではございません。
土田委員 わかりました。
 日露青年交流委員会についてお尋ねします。
 最近問題になっているのが支援委員会、日本からロシアに対しての支援委員会の話ですが、この日露青年交流委員会というのは、その目的も方法も全然違うわけですけれども、非常に共通点がある。それは、相手がロシアであるということ、それから日本が一方的に支援するということ、あるいは事務局長が同じ人であるということ。それらを考え合わせますと、非常に似通った点があるというふうに感じるわけです。
 これが設立をされたのが、平成十年の十一月、日ロ首脳会談においてということでございますが、これがどういった目的で設立され、そのときにどういった議論がなされたかというのは、そのときの問題ですから今さら言いませんけれども、まず、この協定の条文の中で毎年一回委員会を開くということになっているわけですが、九九年にモスクワで第一回目の委員会を開いてから、二〇〇〇年、二〇〇一年と開催されていないわけです。この理由についてはどういう理由でしょうか。
齋藤政府参考人 お答えいたします。
 日露青年交流委員会の活動についての御質問でございますが、御指摘のとおり、一九九九年、初年度においては委員会を開催いたしましたけれども、二〇〇〇年度、二〇〇一年度につきましては、双方の都合がつかなかったために外交ルートを通じまして協議を行ったということでございます。
土田委員 この交流委員会というのは非常に珍しい組織でございまして、ロシアの人を日本に呼ぶ、それから日本からロシアに行く、そういった交流の資金をすべて日本側が負担している。形の上では、日本の予算を拠出してその中から使っているということですよね。
 こういった一方的といいましょうか、確かに交流ですから相手があるんですけれども、その費用はすべて日本側が持っている。こういったやり方といいましょうか、こういった交流の方法といいましょうか、これはほかにもあるんでしょうか。これは日ロですけれども、例えば日米とか日韓とか、あるいは日どこどことか、そういったやり方というのはほかにあるんでしょうか。
齋藤政府参考人 支援委員会も青年交流委員会も国際機関でございますが、日本だけが拠出した国際機関がこのほかにも一、二あったように記憶しておりますけれども、ちょっと私の所掌以外の分野でございますので、確たることを申し上げられません。
土田委員 多分ないと思うんですが。私はないと聞いておりますけれども。
 そこで、この交流事業を実施するに当たり、まず第一に、委員会で協議する、意見交換をするわけですね。委員会でやって、そしてその決まったことを日本政府に計画の実施を勧告する、そして実際に計画が実施、決定されているということでございますが、大体これまでに年間どのくらいの予算を使っておられて、そして、よく調べていないんですが、ロシアから何人来て、日本から何人行って、まだ数年しかたっておりませんので、これまでどういった内容が実際に交流として行われたのか、御説明ください。
齋藤政府参考人 この日露青年交流委員会の活動は、大きく分けて三つございます。
 第一は、招聘・派遣事業でございます。青年のロシアからの招聘及び日本からの派遣でございます。第二は、フェローシップ事業でございます。第三が日本語教師の派遣支援事業ということでございまして、予算的に申しますと、これは平成十年度に十九億二千万円程度の補正予算で開始いたしまして、十二年度、十三年度、三千八百万円弱の通常予算をいただいております。
 それから、実行ベースでございますけれども、招聘・派遣事業につきましては、平成十一年度に三億二千七百五十万円程度、平成十二年度に四億百万円程度、平成十三年度に一億三千九百万円程度等々でございますが、まだほかの事業についても御説明いたしましょうか。
土田委員 いいです。
 では、今のところ、要するに行ったり来たりの交流がほとんどだというふうに感じるんですけれども、まず一つは、支援委員会と同じように国際機関であるということから会計監査がされていない。だれが会計監査しているかというのが第一の質問。
 それから二つ目は、高野さんが事務局長をやっていらっしゃるわけですけれども、この直属の上司といいますか機関といいましょうか、だれにこういった内容を具体的に報告しているんでしょうか。
齋藤政府参考人 高野事務局長は、この日露青年委員会の事務局長でございまして、日本側の委員及びロシア側の委員に報告する立場にあるということでございます。
 それから、会計検査の関連のお尋ねがございましたが、これは私どもとしては、もちろん日本の会計検査院は国際機関ということで直接検査をする形になってございませんが、外務省に対する実地調査において外務省としても適切な形で御協力申し上げるということと、それから青年交流委員会の活動については、監査法人による監査を毎年受けて報告してもらっている、こういう形をとっているわけでございます。
土田委員 委員会に報告するということですけれども、実際は、ロシアから三人、日本から三人ですね。齋藤さんもその委員になっていらっしゃるわけですよね。この委員会というのは開かれていない。外交ルートを通じて委員会の機能を果たしているんだというふうにおっしゃいますけれども、それで済むんでしょうかね。委員会は開かれない、日本政府に対してことしはこれだけの予算を下さいというふうに言って、それが認められて予算が執行されていると。何か非常にあいまいな感じがするんです。
 監督すべき立場にあるその委員会は、ロシアが三人、日本が三人というふうにおっしゃいますけれども、具体的に、うまく機能しているか、あるいは公正に運営されているのかというような感じがするんです。どうもはっきりしない点があるような気がするんですが、その点はどうでしょうか。
齋藤政府参考人 結論から申し上げますと、この日露青年交流委員会の活動状況につきましても、ただいま、これまでの活動の中で改善すべき点があったかなかったかということも含めまして調査をしているところでございまして、近々出てまいります調査を踏まえまして今後の改善に努めてまいりたいと思いますけれども、率直なところを申し上げますと、支援委員会と青年交流委員会を比べますと、青年交流委員会はきちんと、ロシア側も委員が三人おりますし、日本側の委員も三人ございまして、残念ながら、二年度目、三年度目につきましては、双方の都合がつかないという物理的な状況の中で、外交ルートを通ずる文書の交換によって意見を交換し、年間計画を立てたところでございますけれども、支援委員会のように委員が不在というのと比べますとまだよいかなというのが率直なところでございます。
土田委員 この交流委員会にも鈴木宗男議員が非常に深くかかわりをしていたと。七十九回の招聘プログラムの中で、八割近くについて鈴木さんは同席をしていたり表敬を受けたりという関与をしていたということでございますが、鈴木さん以外にも、国会議員の中でこういったことに深く関与している方もいらっしゃるんですか。
齋藤政府参考人 ロシア側から参ります招聘者の希望も踏まえまして面会、表敬等アレンジしておりますので、鈴木議員以外にも、お会いいただいた国会議員の先生方、何人かいらっしゃいます。ただ、圧倒的に鈴木議員が多かったということは御指摘のとおりでございます。
土田委員 時間がないのでもうはしょってしまいまして、ちょっと最後の一問にさせてください。
 大臣にお尋ねするんですが、北朝鮮の拉致問題についていろいろな質疑がなされました。なかなか具体的な進展がないということは非常に残念であると思いますし、大臣も多分同じような認識を持っていらっしゃると思うんです。
 これで、ほかに方法がないのか私もちょっと考えてみたんですが、なかなか見つからないんですが、国際世論に訴えるというのは一つの方法だと思うんですね。なぜ日本人だけがねらわれるのか、何人も警察当局が確認したというか、極めて高い確率の人が八件、十一人いる、ほかにもいるんじゃなかろうかということになって、なかなか進展しないんですが、国連の場において、あるいは韓国や中国やロシアや関係する国々において、日本の実情をもっと理解してもらうような努力をしたらどうかなという感じがするんですが、この点についてはどう考えていらっしゃいますか。
川口国務大臣 委員のおっしゃるとおりでございまして、国際社会の中でこういった問題の存在を知らせ、認識をしてもらうということは非常に重要だと私どもも考えております。
 具体的に、例えば今まで何をしたかということですけれども、日米首脳会談、あるいは私がパウエル国務長官とやりました外相会談の場でも取り上げておりますし、昨年の段階ですと、五月のASEM外相会合、七月のARF外相会合及びG8外相会合等の場で、日本から拉致の問題を取り上げまして、その結果として、これらの会合の最終文書等には、北朝鮮に係る人道上の問題に対する懸念及び北朝鮮側の建設的な対応への期待が記されているところでございます。
土田委員 今月の十六、十七日に、中国の大連市において北朝鮮の課長クラスと協議をした、その際に、有本さんの消息を確認するように申し入れたという報道がなされたんですが、これは事実ですか。
川口国務大臣 個別の接触についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
土田委員 というのは、あったことも言えない、協議をしたかどうかも言えないというわけですか。
川口国務大臣 あったかどうかについてもということでございます。
土田委員 わかりました。
 時間ですのでこれでやめますけれども、やはり日本の主権が侵されているということを国民全部が感じているわけでございますので、ぜひいい方向に進むといいなと思いますし、最後に、やはり米朝交渉がもうちょっと進展をしないとうまくいかないなという感じがしますので、アメリカにも少しお願いをして、米朝交渉が進展するように御尽力をお願いしたいと思います。
 以上です。
吉田委員長 次に、松本善明君。
松本(善)委員 外務大臣、一昨日の質疑の続きということでお聞きいただきたいと思います。
 一つ最初にお聞きしたいと思いますのは、北方領土返還についての基本態度、北方領土返還を要求する基本態度。
 一昨日私、申しましたように、私たちは、スターリンが千島列島を不法占拠したところから始まっている、全千島の返還ですが、外務大臣は四島返還という立場でいらっしゃると思いますが、いずれにしましても、その立場の違いはあるけれども、日本の主権を回復したいという点では一致をしているんではないかと思います。
 外務省の基本的な立場が、四島についての日本の主権があるから返せということであるかどうか、まず伺いたいと思います。
川口国務大臣 北方四島は我が国固有の領土でございます。この四島の帰属の問題を解決して平和条約の締結ということはずっと我が国の基本的な方針でございます。
松本(善)委員 同じことだと思いますけれども。
 そこで、鈴木議員の暴行事件について伺います。
 これは一昨日、外務省が言っていることが事実だ、委員会にも、殴るけるということで一週間の傷害を受けた、これは事実だということをお認めになっています。
 私は実は、一昨日も申しましたが、かなり関係者に当たりました。この傷害の被害者にもお聞きをしようと思ったけれども、外務省は電話をさせると言われたんですけれども、電話は来ませんでした。やはりいろいろ立場を考えていらっしゃるなというふうに思っております。実は、被害者の御父君が国連大使を務めた外交官だということも存じ上げていますが、この方が週刊朝日に述べておられることは非常に信憑性があるといいますか、外務省がこれは真実だというふうに言っている根拠としては非常に強いと思います。
 お聞きをしようかとも思ったけれども、やはりいろいろお立場があろうかと思って遠慮をいたしました。週刊朝日そのもので言いますけれども、「私はもう退官していましたが、確かに当時、息子は鈴木先生に殴られて顔にけがした、と言って怒っていました。国会議員が公務員を殴るなんてとんでもないことだし、立場上抵抗できないのに暴力を受けたわけですから、本人の屈辱感は察するに余りある。それで「このことは上司に報告して、ちゃんと対処してもらうように」とアドバイスしたのですが……省内でもみ消されていたんですか。それじゃ何にもならない。信じられません」ということ。私は、こういう経過で、診断書が出ているとすれば、これはもう間違いないというふうに思います。
 外務大臣にお聞きしたいのは、この問題について、三月十九日の参議院の外交防衛委員会で、佐藤道夫民主党参議院議員の質問に答えて、少なくとも抗議すべきだ、今聞き取り調査中ですというふうに答弁をされたということであります。まだ未定稿はできていませんが、そういう趣旨だということでございます。このときの処置、要するに、被害者としては公にしようとしていたにもかかわらず外務省がとめたんだと思います。このことについてどのようにお考えになっているか、改めて御答弁をいただきたいと思います。
川口国務大臣 まず、被害者が当時これを公にしようとしていたのに外務省がとめたということの事実関係については、私はきちんと存じません。今調査中であるという意味で、確認を申し上げることはできないということです。
 その上で、これはやはり、国家公務員が殴られるということは、私は全体の政と官のあるべき姿に照らして非常に残念なことだというふうに思います。
 当時、どういう状況でこれが表に出なかったのかということについては、今調査中なのでよくわかりません。
松本(善)委員 少なくとも抗議すべきだというふうに言われたのは事実ですか、答弁で。そういうふうに聞いておりますが。
川口国務大臣 ちょっと当時、当時といいますか、そのときに私がどういう御答弁を申し上げたかということがきっちり記憶の中に今ないんですけれども、今私がどう思うかということについて言いますと、そういうことではないかと思います。
松本(善)委員 抗議すべきだったということですね。私は、当然だというふうに思います。
 私、若干の関係者、鈴木議員が発表した関係者にいろいろ当たったけれども、大体は避けられる、私との接触を避けられるというのが多うございました。ただ、その中で、一昨日も申し上げましたが、話を聞くことができた方もあります。
 それで、鈴木議員の言うのは人数も違いますし、いろいろなところに問題がありますが、私、一番大事だと思いますのは、被害者の外務省の職員は、主権論、これは主権の問題だということで議論になり、そのあげくの果てに殴られた、こういうことを聞きました。
 これは、外務省が理事会に提出をした経過報告でも伺うことができます。この同行の外務省職員は、この企画を現場で知らされ、入域手続に際し、ロシア側税関職員がこれら苗木の検疫証明書を要求したことに対し、外務本省とも電話連絡をとった上で、そのような証明書を提出することはロシアの管轄権に服することになり、北方四島に関する我が方の基本的立場を害するので、右証明書を提出することはできない旨応答した。この問題をめぐり日ロ間で種々やりとりを行ったが、最終的には苗木を持ち帰ることになったという上で、殴られたことが書かれています。
 これは、やはり主権の立場から、検疫証明書をもらって苗木を植えるということになればロシアの主権を認めることになるから、それで本省と連絡をとってその立場をあくまで貫いた。私は、外務省職員としては極めて正しい態度をとられた、立場は私どもとは違いますけれども、そういうふうに思うのであります。
 これは、この主権論がここで論争になったということは、鈴木議員の立場が基本的に政府の立場とは違うということの新たな証明の一つだと私は思います。彼が領土返還不要論を言ったという内部文書も発表をされました。私が一昨日御質問をいたしました文書、これは、いわば主権を主張するのではなくて、ロシアはそんなものは大したことないから返してくれ、こういう立場で、主権を回復するという、日本の正当な主張だということを言う立場は全くないんですね。
 私は、これが本質であって、単なる暴行というだけにとどまらない、主権を主張している外務省職員に対して暴行を加え、傷害を加えた、極めて重大なことだと思いますけれども、外務大臣の所見を伺いたいと思います。
川口国務大臣 委員の御質問の趣旨がちょっと、いま一つはっきりいたしませんでしたが、この殴打事件について私がどう考えるかということについては、先ほど申し上げたとおりでございます。
松本(善)委員 私の質問の趣旨は、主権を主張するというのが我が国の政府の立場だということを外務省の職員が言って、それについて議論をした上、激高して殴った、これは単なる暴行事件じゃないんじゃないか、そういう重大性があるのではないかということを伺いました。
川口国務大臣 鈴木議員がどういう立場で殴られたかということについては、ちょっとよくわかりませんが、当該外務省の職員につきましては、これは、まさに日本の固有の領土である北方領土に対してロシアがこれを不法に占拠しているという状況の中で、我が国の国民が検疫を受けるということはロシア側の管轄権に服するということで、ロシア側の北方領土における管轄権を前提にした行動になるわけでございますので、これは認めることはできないという立場にあったわけでございます。
松本(善)委員 要するに、ロシアの主権を認めることになるから、それはだめだと。私は、そういう点では、まさに正論だろうと思います。
 一つ伺いたいんですが、一昨日お示ししました文書の中に、ノンペーパーを鈴木議員が示したというくだりがあります、昨年十二月。ノンペーパーというのは、外交上どういうものでしょうか。
川口国務大臣 これはあくまで一般論でございますけれども、ペーパーでない、紙といいますか、メモといいますか、そういうペーパーとしてきちんと認識をされない紙だというふうに理解します。
松本(善)委員 ノンペーパーというのは、政府としては未決定の提案を記した紙のことというふうに報道はされています。これは朝日ですけれども。
 それで、鈴木氏が同年十二月に、プーチン大統領らにあてた当時の森首相の親書を持って訪ロし、イワノフ当時国家安全保障会議書記、今は国防相と会談した際に、領土問題で何らかの非公式提案をしたと見られる、公式な立場で行ってノンペーパーを渡しているというのが一昨日の文書にありました。これは重大なことではありませんか。
川口国務大臣 この文書につきましては、これは出所不明の文書でございますので、私としては、このペーパーの内容についてコメントを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
松本(善)委員 一昨日もそういうふうに答弁をされましたが、やはりこれは内部告発だと思います。内部告発をやはり進めなければならない。阿川さんなんかはそういう意見を報道で発表されています。
 アメリカは内部告発保護、ホイッスルブロア法というのを八九年に制定しておりますし、イギリスも公益開示法を九九年に制定しております。内部告発をしても保護されるという法律です。そういう法律を必要だとはお考えになりませんか。
川口国務大臣 これは、外務省の問題だけではなくて、一連の官庁あるいは企業、さまざまな場で内部告発というのが現在あるわけでございまして、この内部告発をした人間の権利、人権をどう守るかということも含めて、それから、内部告発という組織の人間としての行動が許容されるかどうかということも含めて、さまざまな議論が今あると思います。
 この議論につきまして、私は、「変える会」では、その文書について御検討をいただくというふうにお願いをしている中で御議論をしていただいたらと思いますけれども、やはり日本全体の問題として、これはもっとみんなで議論をして、その結果として、どういうことが望ましいかということを考えるということだろうと思います。
 私自身は、内部告発というのは決して好ましいと思っておりませんで、本来、組織の人間は中で意見を言うべきであって、それによって組織をよくするということであるべきだと思っております。
松本(善)委員 刑事訴訟法には、公務員は内部告発をしなければならない、犯罪あると思料するときはということが規定されているということだけ、一言申し上げましょう。
 法務省の刑事局長、一昨日はちょっと時間がなくてお聞きできませんでしたけれども、まず、疑惑解明は司直の出番だという社説もありますが、私はやはり国会が主役でなければならぬと思いますけれども、一つ、傷害罪の公訴時効は何年ですか。一言で。
古田政府参考人 傷害罪につきましては、公訴時効は七年と承知しております。
松本(善)委員 そうすると、鈴木議員の暴行傷害は六年前ですから、公訴時効にかからない。
 それから、告訴、告発と公訴提起の関係ですが、傷害罪は告訴、告発にかかわらず捜査を開始することができると思いますが、いかがでしょう。これも一言で。
古田政府参考人 一般論として申し上げれば、訴訟条件とはなっておりませんので、捜査を開始可能でございます。
松本(善)委員 それで、この事件の重大性なんですが、普通なら、一週間の傷害であっても、傷害を負わして反省をせず、謝罪もせず、そして六年たっても事実無根と言い張っている、これは一般人なら直ちに逮捕、起訴になると私は思うのです。国会議員だからといって特別扱いするということはいけないと思いますが、その点について刑事局長の意見を聞きたい。一般論です。
古田政府参考人 一般論というお尋ねでございますので、あくまで一般論ということでお答えいたしますが、傷害罪等につきまして、さまざまなケースがあるわけでございまして、被害者の意思その他、そういうようなことも含めまして、捜査当局において刑事事件として取り上げるべきものがあるならば、それは捜査機関として適切に対処をするものとなると承知しております。
松本(善)委員 私は、国会議員の暴力事件というのは絶対許しちゃならぬと思います。それで、直ちにやはり捜査に入るべきだ。
 なぜかというと、彼については、そのほか、いっぱい言われているんですよ。先ほど読みました週刊朝日も、「まだまだある 宗男「恫喝と暴行」」、これは法律的に言えば暴行罪と脅迫罪ですよ。それから、JASの職員も殴られたということです。これは全部事実とは言いませんよ。だけれども、少なくも捜査の端緒にはなります。
 それから、一般の国民は、国会議員はこんなことをしてもいいのかというふうに思われることになります。しかも、テレビ討論会で、自民党の鴻池参議院国対委員長が、殴られたら殴り返せと。私は、これは質問でしませんけれども、それはもう明白に、そんなことをしたら、正当防衛にならない場合は犯罪になります。そういうことは絶対許されない。
 私は、最後に一言外務大臣に伺いますが、この問題についてはどういうふうに対処されるつもりであるかということを最後に伺って、質問を終わります。
川口国務大臣 さまざまな問題がありますけれども、この問題については、事実であるということでございますが、なお、いろいろな背景等についてはきわめる必要があると思っております。
松本(善)委員 終わります。
吉田委員長 次に、東門美津子君。
東門委員 社会民主党の東門でございます。
 今、国民が川口外務大臣に希望していること、期待していること、いろいろあろうかと思いますが、特に、大臣いつもおっしゃる、強靱な外交をしっかりとやっていきたいということと、もう一つは外務省内部の改革だと思います。今回の一連のいろいろな不祥事の中で、やはり外務省がどのように変わっていくんだろうということに国民は注目していると思います。
 それで、きょうは外務省改革について伺いたいと思います。
 去る三月十二日、一連の外務省不祥事の発端となりました外務省機密費詐欺事件、いわゆる松尾事件について、東京地裁で判決が出されました。松尾克俊元外務省要人外国訪問支援室長に懲役七年六カ月の実刑が言い渡されました。同判決は、極めて高い計画性が認められ、犯行手口はまことに大胆、巧妙であると、松尾被告の犯行を厳しく断罪する一方、外務省や内閣官房では機密費の支出について十分な決裁や審査が行われておらず、運用が適正だとは言いがたいと、機密費の運用実態の不適切さについて指摘しています。
 被告側弁護団は控訴しない方針と言われておりまして、公判は一応の終結を見たわけですが、機密費問題について国民は依然納得はしていません。また、外務省改革はこの事件の総括なくしてはあり得ないという意見でもあると思います。
 松尾元室長の法廷での供述によれば、機密費は、官邸関係者が購入する土産代や訪問先の国で禁止されている物品を持ち込む際の関係者への口どめ料にも充てられていたということです。
 大臣、判決が下されたことを厳粛に受けとめ、二度と同様の不祥事が起きないよう再発防止に万全を期しますというコメントを発表しておられますけれども、今回の判決内容を踏まえた上で、大臣、この事件を松尾個人の犯罪とお考えなのかどうなのか、見解をお伺いいたします。
川口国務大臣 松尾事件の判決につきましては、私は、その談話でも申しましたように、この七年六カ月という判決についてはこれを重く受けとめておりますし、これが再発をするということがないように、外務省としても今までさまざまな手を打ってまいりましたし、今後とも、外務省改革の中で、この点については十分に注意をしていきたいと思います。
 それで、御質問の、この件が松尾個人の犯罪であったかどうかということにつきましては、これはまさに裁判の過程でそれを明らかにしていただいたわけでございまして、判決がその結果であったかと思います。
 判決の中にも指摘されていました点につきましては、組織としての関連につきましては、外務省としては、二度とこういうことが起こらないように、十分に今後注意をして、きちんとやっていくということだと考えております。
東門委員 いろいろ一致点はありますけれども、外務省をめぐっては、昨年の一連の不祥事の中で、松尾被告のほかにも、元職員三名を含む計六名が起訴されていますね。九州・沖縄サミットでハイヤー代をだまし取ったとされる小林元課長補佐、あるいはホテル代を水増し請求したとされる浅川元課長補佐らは、いずれもノンキャリア組であります。会議の準備、手配をするいわゆるロジスティックスをこなしてきたというふうに聞いております。
 松尾被告はその筆頭格であり、ノンキャリアの星などと言われた人物であるようですが、事件の背景には、キャリア組が外交交渉を担い、ノンキャリアが裏方の業務に当たるという、何か身分格差があるように見受けられます。
 事件をきっかけとして、若手職員への領事事務体験の義務づけ、そういうことも改革案が出されていますが、そのような小手先の見直しではなくて、キャリアとノンキャリアという職員間の身分格差に直接切り込んでいかなければ、組織の改革は難しいと思います。今後も同様な事件が起こる可能性はあると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。御意見をお聞かせください。
川口国務大臣 おっしゃいましたように、こういったことが起こる背景の要素といたしまして、外務省の中における、何の試験を通って入省したかということがその先をある程度規定することにつながっているという部分というのはあると思います。
 これにつきましては、今度の「開かれた外務省のための十の改革」の中で、やはり、いわゆるノンキャリと言われる方々、キャリア、1種でない方々について、適材適所でやっていくということを出しておりますし、今回、五十のポストについて省内公募を今やっている最中ですけれども、こういった試みももっと広げていく必要があるだろうと思います。
 一般的にこれは、外務省は今後、国家公務員の試験で採用していくということになりますので、よその省の並び、同じになるわけでございますけれども、国家公務員試験も1種、2種、3種とありまして、それぞれその試験のカテゴリーが違うわけでございますけれども、こういったことをどうするかということについて、多分これは広く日本政府全体の話として御検討をいただく必要がある話なのではないかと思います。
東門委員 確かにおっしゃることはよくわかりますが、採用の時点から、あるいは入省のところから違うということもわかりますけれども、やはり、もう分けたままで走るんではなくて、入って後、いろいろな交流があれば、またインセンティブとしてもすごく動いていくのではないかと私は思います。ぜひ考慮していただきたいと思います。
 次に、今回の鈴木宗男議員をめぐる問題。
 これは、外務省職員に対する鈴木議員による暴力行為が明るみに出るなど、鈴木議員の度を越した言動が報道の中心に当てられまして、外務省は何か被害者のように扱われているような感じがいたします。しかしながら、外務省に対して鈴木議員が関与を深めた背景には、鈴木議員をいわゆる族議員として利用してきた外務省自身の姿勢があることは否めないと思います。
 鈴木議員との関係を利用して、入札資格の変更あるいは支援委員会事務局のいいかげんな運営等を行っており、鈴木氏と外務省はいわば共犯であると私は言えると思います。その意味で、この鈴木議員をめぐる問題も、一連の外務省不祥事の流れの中で、外務省の体質に根差して発生した問題であるということは言うまでもありません。
 そして、今回の事件も含めて、外務省不祥事による一番の被害者は、何といっても、税金を浪費されて、ゆがんだ外交をされて、国益を害された国民であるということ。外務省には、国民への反省とおわびという視点が欠けているのではないかと思われますが、この一連の疑惑に関する外務省の責任について、大臣はどのようにお考えでしょうか。お聞かせください。
川口国務大臣 よく、一連の今回のことに関連して、外務省は被害者の顔をしているという御指摘がございます。御指摘は、いかなることであれ外務省は甘受すべきだと思いますけれども、このことについて申し上げますと、決して被害者の顔をしているということではないと私は考えていますし、もちろんそうあってはならないと思っております。
 と申しますのは、当然、片方で鈴木議員がいらっしゃって、この状況、社会通念に照らして異例だという状況のもう一つの側には、極には外務省がいるわけでございまして、どうして外務省がこういう事態を招いたのかということについては総括が必要であり、それを踏まえて反省をやらなければいけないということは、私はそう思っておりますし、中でもそういうことは言っております。
 ということでございまして、今一連のことについては、まだ国会でも御審議をいただいておりますし、外務省も調査をし、さらに新しい調査をするお約束もいたしておりますので、そういったことを全部踏まえなければいけないと思いますけれども、私としては、この前発表させていただきましたけれども、これについては近いうちに、今月の終わりぐらいまでにこれを含めて処分を、人事上の措置をとるということは既に申し上げております。
東門委員 先ほど大臣がおっしゃった十の改革について質問をさせていただきますが、先月発表されました「開かれた外務省のための十の改革」、それを受けて、外務省改革に関する「変える会」の会合が今月二度開催されたようです。その「変える会」では、五月の連休明けに中間報告を、七月中旬に最終報告を発表する予定ということですが、一連の外務省の不祥事、政と官の関係を含め徹底的に議論するとともに、やはり議論の過程は可能な限りすべて公表し、透明性の高いものにすべきであると考えます。
 このうち、第一回の議事録の要旨が公表されましたので、その内容について確認をしたいと思います。
 「変える会」の第一回会合の冒頭発言として、外相は、十の改革について職員から千を超える意見をもらったとした上で、十の改革における例示は職員の意見ともほとんど一致しており、職員の改革意識にはすばらしいものがあると述べておられます。
 しかしながら、この発言は、国民の視線から見れば全く理解はできないものであると私は思います。NGO問題をめぐる外務省の答弁しかりであり、プール金をめぐる対応しかりであります。先月二十日には、ホテル代水増し請求事件の舞台となったホテルニューオータニを四月の国際会議の会場とする予定であったことが明らかとなっています。これから見れば、同会合で委員の中から出た、外務省は本当に変えるつもりがあるのかわからないところがあるという発言こそが的を射た発言であると思われます。
 大臣は、職員のどのような言動をもって、職員の改革意識はすばらしいというふうに思われたのか、その根拠を示していただきたいと思います。
川口国務大臣 十の改革、骨太の方針の例示として挙げさせていただいたさまざまな対策、これは、私が外務大臣を拝命したとき以来、そういうことをやることが必要ではないかということで頭の中で考えていたことでございますけれども、職員から紙をもらいまして、それを読みました。読みましたけれども、そこの中に、こういうことをすべきであるということがいろいろ書かれていて、もちろんそれぞれの職員の焦点の当て方というのはさまざまありますけれども、そこに、私が申しましたように、私が考えていたことが、全体として合わせればほとんどが網羅をされているようなことであったということでございます。
 そういうことから、きちんと考えることは考えているというのが私の印象でございまして、もちろんそれだけにとどまることなく、その上に、「変える会」の皆様から厳しく御意見をいただいて、そこでいい改革策を出していくというのがこれからの仕事ということですけれども、御質問について申し上げれば、そういうことで私はそう思ったということです。
東門委員 今回の大きな一連の疑惑問題の中で出てきたNGOの問題、これは国民はまだ納得いかないと思うんですよ。どういうふうに外務省は、本当はどこだったのか、本当に真実は何だったのかというのが見えない。プール金の問題も本当に明らかにされていない。そういう中で、やはり外務省内部の、大臣の指導のもとに外務省職員が一丸となってどのようにやっていくかというのが本当に見えてこなければ、期待も何もできないと思うんですね。むしろ不信感は募るばかりではないかと思うんです。
 もう一点質問させていただきますと、同じ会合の中で委員から指摘があるのに、その十の改革の中には機密費とプール金の問題が一切含まれていない、もし取り上げないのであればその理由をきちんと明らかにすべきだ、そういう意見が出たようですが、まさにそのとおりであると思います。この問題をいま一度整理をして国民の前に明らかにしていく、私は、そういうことをしなければ、本当に外務省は、「変える会」をつくろうがどういう会を持とうが、変わっていくのだろうかということなんですね。
 ですから、機密費及びプール金、そういう問題について「変える会」の中ででも議論をしていく予定があるのかどうか、あるいは予定がないのであれば、なぜそれを議論していかないのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
川口国務大臣 機密費の問題にせよ、プール金の問題にせよ、いかなることをこの「変える会」の場で御議論いただくかということについては、多分その議事録にも書いてあると思いますけれども、すべてこれは「変える会」の委員の方がお決めくださること、お決めになられることでありまして、何を議論してはいけないとかそういうことを私の方から申し上げるつもりはございません。
 それで、私としても、その二つについて幾つかのことについてお話しをしていただけるといいのではないかと思っております。
 一つは、機密費につきましては、これは十万円以上は副大臣以上の決裁ということで今やっております。それだけで十分かどうか、再発防止という観点からまだあるかどうかといった問題はあると思います。
 それから、プール金について言えば、それ自体は非常に望ましくない問題なことでありましたけれども、なお掘り下げて、どうしてそういうことが起こってしまったかということを私なりに考えてみますと、これは外務省の職員の金銭上のモラルが、あるいは国家公務員として意識が全く問題であったということはもちろん言えますけれども、恐らく、ある種類の費用について予算化できない、外交のような機敏に動かなければいけないときに対応ができないという要素もあったのではないかと思います。そういうことについては、やはりきちんとした形で対応できるようになりませんと、今後、単にだめというだけではどこかが滞ってしまうところがあるのかもしれないというような問題意識もございます。
 ですから、そういうことは恐らく制度を直していくということになるんだろうと思いますけれども、果たしてそういうことがあるかどうか、私自身は問題意識としてはそういうことを考えておりますけれども、基本的に、何を御議論いただくかどうかについては委員の方でお決めいただくということでございます。
東門委員 はい、わかりました。ぜひ委員の皆さんの中からまたいいアイデアが出てくることを私も期待したいと思います。
 外務省改革、やはり国民が、あっ外務省が変わった、あるいは外務省がこういう仕事をしているんだというのが、いつも大臣がおっしゃっている透明性がしっかりと保たれる、そういう改革をしていただきたいと思います。それも早い時期にですね。
 私、通告ではアメラジアンの問題を質問したいと申し上げておりましたけれども、ちょっと時間がないようですので、一点だけしようと思いましたけれども、終わります。この次にさせていただきます。どうもありがとうございました。
     ――――◇―――――
吉田委員長 次に、内閣提出、二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案及び在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣川口順子君。
    ―――――――――――――
 二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
川口国務大臣 ただいま議題となりました二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案及び在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、一括御説明いたします。
 まず、二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案について御説明いたします。
 平成十七年に愛知県で開催される予定の二千五年日本国際博覧会につきましては、国際博覧会に関する条約第十二条の規定により、開催国は政府を代表する国際博覧会政府代表を任命することになっておりますので、過去我が国において開催された国際博覧会の際における先例に徴し、二千五年日本国際博覧会政府代表を臨時措置法により設置し、その任務、給与等について所要の事項を定める必要があります。
 したがいまして、今回提案の法律案のごとく、外務省に、特別職の国家公務員たる二千五年日本国際博覧会政府代表一人を置き、条約及び条約第二十七条の規定に基づき制定された二千五年日本国際博覧会一般規則の定めるところにより、二千五年日本国際博覧会に関するすべての事項について日本政府を代表することを任務とする政府代表の職を設けることとした次第であります。
 また、この政府代表がその任務を円滑に遂行することができるよう、それぞれの関係各省庁の長が必要な国内的措置をとることが適当でありますので、法案中にその旨を規定することとしました。
 さらに、本法律案においては、政府代表の俸給月額、代表の任免手続等について定めているほか、本法律案中には附則として、博覧会が終了した後、一年の期間を経過しますと失効する旨の規定を設けております。
 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。
 改正の第一は、在東チモール日本国大使館の新設を行うことであります。
 改正の第二は、国際連合教育科学文化機関日本政府代表部の新設を行うことであります。
 改正の第三は、インドにおけるカルカタ市の市名変更に伴い、総領事館の名称及び位置の地名をカルカタからコルカタに変更することであります。
 改正の第四は、為替相場の変動等を踏まえ、在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額等の改定を行うことであります。
 以上の改正内容のうち、在勤基本手当の基準額等の改定については、平成十四年度予算案と一致させて行うため、四月一日から実施する必要があります。
 以上が、法律案の提案理由及びその概要であります。
 何とぞよろしく御審議をお願いいたします。
吉田委員長 趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る二十六日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。
    午後三時三十九分散会


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