衆議院

メインへスキップ



第7号 平成15年5月7日(水曜日)

会議録本文へ
平成十五年五月七日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 池田 元久君
   理事 今村 雅弘君 理事 蓮実  進君
   理事 水野 賢一君 理事 森  英介君
   理事 首藤 信彦君 理事 土肥 隆一君
   理事 丸谷 佳織君 理事 藤島 正之君
      伊藤 公介君    植竹 繁雄君
      小池百合子君    高村 正彦君
      下地 幹郎君    新藤 義孝君
      武部  勤君    土屋 品子君
      中本 太衛君    松宮  勲君
      宮澤 洋一君    伊藤 英成君
      木下  厚君    今野  東君
      中野 寛成君    鳩山由紀夫君
      白保 台一君    松本 善明君
      東門美津子君    柿澤 弘治君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   外務大臣政務官      新藤 義孝君
   外務大臣政務官      土屋 品子君
   政府参考人
   (内閣府国際平和協力本部
   事務局長)        小町 恭士君
   政府参考人
   (防衛施設庁長官)    嶋口 武彦君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局長
   )            西田 恒夫君
   政府参考人
   (外務省アジア大洋州局長
   )            薮中三十二君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    海老原 紳君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長
   )            安藤 裕康君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   外務委員会専門員     辻本  甫君
    ―――――――――――――
五月六日
 国際民間航空条約第五十条(a)の改正に関する千九百九十年十月二十六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件(条約第三号)(参議院送付)
 使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第七号)
 過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約第一条の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第八号)
同月七日
 アメリカによるイラク攻撃反対に関する請願(大島令子君紹介)(第一八九一号)
 同(大島令子君紹介)(第一九一七号)
 アメリカの対イラク戦争・劣化ウラン戦争への支持・協力反対に関する請願(阿部知子君紹介)(第一八九二号)
 同(今川正美君紹介)(第一八九三号)
 同(山内惠子君紹介)(第一八九四号)
 同(横光克彦君紹介)(第一九六一号)
 イラクへの武力攻撃反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一九一二号)
 国際法や国連憲章に反する米国のイラク攻撃反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一九一三号)
 ILO百七十五号条約の批准に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一九一四号)
 戦争支持の撤回に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九一五号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第一九一六号)
 ILOパートタイム労働条約の批准に関する請願(水島広子君紹介)(第一九七六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第七号)
 過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約第一条の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第八号)
 国際民間航空条約第五十条(a)の改正に関する千九百九十年十月二十六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件(条約第三号)(参議院送付)
 国際情勢に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
池田委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省総合外交政策局長西田恒夫君、同じくアジア大洋州局長薮中三十二君、同じく北米局長海老原紳君、同じく中東アフリカ局長安藤裕康君、内閣府国際平和協力本部事務局長小町恭士君、防衛施設庁長官嶋口武彦君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君、それぞれの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
池田委員長 御異議はないと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
池田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松宮勲君。
松宮委員 おはようございます。自由民主党の松宮勲でございます。
 本日は、非常に限られた時間でございますが、朝鮮半島の核問題を中心にいたしまして質問をさせていただきたいと存じます。
 まず、四月の下旬、二十三日から二十五日まで北京におきまして、米国、中国、北朝鮮のいわゆる三者協議が開催されました。その詳細は、私どもはメディアを通じてしか知るよすがはないわけでございますけれども、しかし、いろいろ報じられるところによりますと、北朝鮮側が核兵器を保有しているということ、さらには、ある意味では私はルビコン川を渡ったんだと思いますけれども、使用済み核燃料棒の再処理を完了した、こういう衝撃的な発言が北朝鮮側代表の副局長からケリー国務次官補に伝えられた、ささやかれた、こういうことが報道されております。
 この会談の後、ケリー代表は日本にも参りましてブリーフィングもなされたようでありますし、それから、外務省の方では北京にも担当者を派遣していろいろこの会談の状況等について把握に努められていると思います。さらには、川口外務大臣あるいは小泉総理もそれぞれバイでの電話で、パウエル国務長官あるいはブッシュ大統領ともこの会談をめぐって恐らくお話をされたことだと思いますが、まず最初に、この非常に衝撃的な内容が明るみに出ました三者協議の意義と申しますか、あるいはこの三者協議、これまでの情報をしんしゃくして日本国としてどう評価されていらっしゃるのかということについて、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
川口国務大臣 二十三日から二十五日まで北京で三者会談があったわけですけれども、まず、この評価でございますけれども、一定の肯定的な側面があったと思います。
 それは何かといいますと、一つは、北朝鮮側が今まで米朝二国間の会談しかやらないということをずっと言ってきたわけですけれども、二国間ではなくて中国も交えた多国間という枠組みで会談をするということを了解した、そして出席をしたということでございます。したがって、その結果として、昨年の十月にジム・ケリー国務次官補が北朝鮮を訪れましてから初めて会談が行われたという面がございます。そしてまた、中国がそこで一定の影響力を行使したということについても肯定的な評価ができる側面だと思います。
 他方で、今委員がおっしゃられましたように、北朝鮮側からは使用済み核燃料棒の再処理を終えている、核兵器を保有しているという発言があったわけでございます。また、それに関連して言えば、これは肯定的な評価ができると思いますけれども、北朝鮮側から一定の提案があったということがあるかと思います。
 アメリカは、北朝鮮側に対しては、すべての核兵器の開発計画を完全かつ不可逆的なやり方で撤廃をするということが必要だということを申し入れていますし、また、日韓の両国が早期に参加をするということが大事だということも申し入れているということを私たちは承知をいたしております。
 アメリカ側は、この北朝鮮側の会議についての発言等については分析を今始めているというふうに承知をしております。我が国としても同じく、ここでの状況についての分析を現在進めているということでございます。
松宮委員 今大臣おっしゃられましたように、確かに今回の三者協議、日本側から見ましても、あるいは国際社会から見ましても、肯定的な要素というのも含まれているかに私も感じるところでありますが、しかし、繰り返しでございますが、かねてより一、二個の核兵器は持っているんではないかという揣摩憶測なりあるいはアメリカの高官からはそういう指摘がなされていたわけでございますが、これが正式に、まあささやく形だということのようではございますが、北朝鮮側から公言されたということ。
 さらには、あってはならない、八千本かどうかわかりませんが、使用済みの核燃料の再処理プロセスをもう完了したという大変な発言というのは、私は、これは国際社会に対するやはり重大な挑戦であり、相変わらず、かの国は瀬戸際外交、火遊びを続けている。イラク問題というのをどういう受けとめ方で教訓として糧にしたのかどうかわかりませんが、依然として、少なくとも私から見ますと綱渡り外交をやっている。そういう中で、やはり日本にとってもこのことは大変なインパクトを持つわけでございます。
 伝達手段としてのミサイルが、なお中長距離が開発途上にあるということを考えますと、現在公言されました核兵器の保有というのは、半島のもう一方の当事者でございます韓国はもちろんでありますが、日本にとってアメリカ以上に大変な一大事である。私は、アメリカよりは、ワシントンよりは、我々日本にとって大変大きな、重大な問題であるというふうに理解をしなければいけないということを痛感している次第でございます。
 そういう中で、今大臣がもう一つおっしゃいました肯定的な評価として、北朝鮮側からある種の提案がなされたということでございます。
 この提案、よくわかりません。ある特定のメディアはかなり詳しく、いろいろな取材源でまとめてわかりやすく報道をしておりますけれども、しかし、詳細は私どもには知るよすががございません。
 しかし、北朝鮮側が何とか、やはり主として米国との対話を再開し、そして恐らく究極的には金正日体制の維持、さらには恐らく疲弊のきわみにあるであろう経済状況の回復、このためには何としてもやはりアメリカと話し合いをし、そしてしかるべきゲインを獲得しなければいけない、こういうことで北側は新しい、北側の表現ですと、寛大なる提案をしたというふうになっております。
 この提案の中で、私どもは、新聞報道で見る限りでは、依然として一方的な北朝鮮側のひとりよがりの提案であろうと。主として四つのコンポーネントが新聞報道ではなされているわけでございますが、その中の一つとして、あるいは最終ステージかもわかりませんが、北朝鮮側と米国及び日本との国交回復、これが核の廃棄の前提になる。
 しかも、その核の廃棄というのは、既に保有していると公言した一、二個ないし数個の核の廃棄も含むのか、あるいは核開発計画を凍結する、あるいはかつて一九九四年の米朝枠組み合意で合意されましたような核関連施設、寧辺の施設の解体等も含むものかどうかについては、これからなお慎重に見きわめなくちゃいけないということで、まだファクトファインディングもできていないんだと思います。
 いずれにしましても、日朝国交回復というのが、米朝国交回復と同列に、条件としてどうやら並べられているようであります。そこが、私どもにとっては、先ほど申しました日本にとっての安全保障問題、北朝鮮が初めて公に核兵器を保有しているということを言明した、さらには、それを十分に裏づけるに値する高濃度プルトニウムの抽出作業も完了しているということ、あるいは日本には御案内のような拉致問題という、アメリカや中国や、韓国はともかくとして、主要なプレーヤーにはない非常に頭の痛い大きな問題を抱えているわけでございます。
 さらには、核の伝達手段としての中長距離ミサイル問題はともかくといたしまして、既にノドンという明らかに日本列島のかなりの部分を射程距離に置いた伝達手段というのが、これはまだ核搭載できるかどうかということについては大いに疑問があるし、まず今の段階では不可能だろうとも言われているわけでございますが、ノドンが既に百基、最近になったら百数十基配置されているというような問題もあるわけでございます。
 つまり、同じ朝鮮半島の北の問題を解決するに当たっても、今初めて肯定的に評価すべきである米朝中の協議の体制がスタートしたばかりでありますし、私どもも、これが引き続き粘り強く継続して、北東アジアの安全保障、ひいては日本の安全保障にぜひ資する方向で進んでいただきたいわけでありますけれども、しかし、この三者協議に入っておりますアメリカ、中国、北朝鮮自体がそれぞれ考えていることは、当然国益をむき出しにした闘いでありますから、これは当たり前であると。そういう中で、日本、韓国、アメリカの連携が大事であるということも外務省は既に指摘されているところでありまして、私もまことにそうだと思います。
 同時に、しかし大事なことは、日本独自に、やはり総理が昨年九月に訪朝されたときに出されました平壌宣言に基づいて、日本独自の問題、先ほど触れさせていただきました拉致問題とか、あるいは、ノドンという言葉は明示的には出てきておりませんが、明らかにアメリカには関係のない、日本、ひょっとしたら中国も潜在的なターゲットかもわかりませんが、ノドンというミサイルを持っているという我が国独自の安全保障問題、あるいは主権侵害に照らしての対応が私どもは必要だろうと思います。
 つまり、要約いたしますと、北朝鮮問題、核兵器を保有している等々の発言で新たなステージに入ったこの厄介な問題に対して、私どもは三つのアプローチが必要だと思います。
 一つは、日本独自の粘り強い強力な働きかけをしなければいけないということ。
 それから、日米韓の協議、できるならばそれにプラス中国も含めた協議というのをそれぞれバイで、場合によっては三者ないし四者でやっていく必要があるだろう。とりわけ、今大臣が冒頭おっしゃいましたように、中国が場を提供して、形だけとはいえ三者協議がスタートしたということは、私は非常に意義のあることだろうと思っております。中国も北に対して大変な、いろいろな意味での非常にアンビバレントなフィーリングを持ちながらこの協議に参加した、一生懸命汗をかいた、これも私ども日本にとっても、北京との関係で北朝鮮問題解決に今まで以上に太い、したたかな対応をしなければいけないということを証左しているんだろうと思います。
 三番目はマルチの場でございまして、時間があったらまた後ほど御質問させていただきたいと思いますが、国連安保理あるいは来るべきサミット等々マルチの場でこの問題というのを本格的に取り上げて、ごね得でない格好で、国際社会全体の共通のプラスに資するような格好での対応をしなければいけないということを、私ども日本は力強く主張していかなければいけないと思います。
 以上、やや長々と申し上げましたが、こういうアプローチについて、今外務省としてどうお考えかをお聞かせいただきたいと思います。
茂木副大臣 全く同感であります。
 三つと申しますか、日本独自のアプローチも必要でありますし、恐らく、二つ目、日米韓の連携ということでいいますと、前回、九四年の危機のときと比べて一番進んでいるのは、日米韓で緊密な連携を行っている。これは、TCOGの場もありますし、それから外相同士を含めさまざまのレベルでの緊密な連携があり、同時に、それに中国の関与というものも出てきた。これは歓迎すべきだと思っておりますし、過日の総理の訪問でも、いろいろな問題につきましてヨーロッパ諸国とも議論をできる、また、国連の人権委員会の場等でも、拉致問題を含め議論をできる環境が出てきた、こういうことから、委員おっしゃいますような三つのアプローチ、それぞれ重要だ、こんなふうに考えております。
 それから、委員が先ほどおっしゃいました北朝鮮がある種の提案、こういうことでありますけれども、この中の内容につきましては、アメリカが明らかにしている以上のことはなかなか申し上げられないわけでありますけれども、提案の中で、北朝鮮の核問題やミサイル問題についても取り扱う提案であった。ただ、米国としては、特に新しいものであったりとか進むべき方向に向かうものではない、このように見ているようであります。
 そして、日朝の国交正常化に関しましては、まさに委員も御指摘のように、我が国としては、国交正常化の前に、核問題やミサイル問題を初めとする安全保障の問題、そして拉致問題の解決があって、その上で国交正常化、こういうプロセスでありまして、このことについては方針を曲げるつもりはございません。
松宮委員 余り時間がございませんので、あと一問だけ簡単に質問させていただきたいと思います。
 繰り返しでございますが、北朝鮮とのかかわり合い、それぞれ日本も韓国もアメリカも中国も、場合によってはロシアもですが、それぞれの歴史的背景が違うということに起因しまして、アプローチの仕方、それから強弱の置き方等はおのずから当然違ってくるというのは自然のことわりでございますので、その辺をしっかり踏まえながら、したたかに私は対応すべきだと思います。
 過去の日本の外交の歴史を振り返ってみましても、ある意味では、これは日本の外交力の総合力、知力、総力が問われている非常に大事な時期だろうと思っております。国際社会はともかくとして、まさに日本国のありようというのが本当に問われている。時がそういう場を提供しているといったらやや悠長な感じもしないわけじゃございませんが、まさしくそういう大事なときの大事なテーマだろうと私は思います。
 その中の一つとして、私は、これは連休中にちらっとテレビで報道されたということで副大臣に御質問させていただきたいんですが、NPTに明らかに北が違反していることになるわけでございます、核兵器を保有しているということになりますと。脱退を彼らは宣言いたしましたが、しかしまだ正式にメンバーシップを手続的には失っているわけでないとするならば、明白な違反であり、これは常識的に考えますと、一連のIAEAの国連決議等々もあるわけで、あるいは事務局長の国連事務総長に対するレポート、報告もなされているわけでございますので、それを受けて、ある段階では、国連安保理、最近レーゾンデートルが問われています安保理というのも、しかるべき機能をしなければいけないことだろうと私は思います。
 そういういろいろな舞台の中で、私は、日本としても、北に対して韓国がとった、あるいはとりつつあるとも言われておりますような包容政策だけじゃなしに、強いスタンス、タフなスタンスも時にはとる必要もあるだろうと。もちろん、しかし、そのことは、アメリカの今パウエルが恐らくヘッドエークになっているであろうネオコン側をいたずらに助長するようなことはあってはならない。非常に慎重であり、しかししたたかな対北外交というのが問われているんだろうと思いますが、その一環として、これから国内でも経済制裁というような議論が、やはり安保理絡みで出てくると思います。
 その問題について、どう副大臣としてお考えなのかということをお聞かせいただきながら、繰り返し、対北問題、今歴史が日本外交に対してその力を試す大事な大事なときを与えている、それに対して、ぜひとも、しっかり外務省を中心に日本国としてこたえる、重大な課題を我々はしょっているということを強調させていただきながら、お答えをいただきたいと思います。
茂木副大臣 北朝鮮の核保有の問題でありますが、それが事実であるとしますと、委員御指摘のように、明らかにNPTを初めとする国際的な義務の違反、こういうことになってくると思います。
 ただ、義務の違反である、このことは日本にとっても大変遺憾であり絶対に容認できない、こんなふうに考えておりますが、北朝鮮が義務に違反しているからNPT体制がおかしいんではなくて、問題は北朝鮮の対応にあるわけでありまして、我が国としても、国際社会と連携をしながら北朝鮮をNPT体制にしっかり戻す、こういう努力をしていく必要があると考えております。
 そういった中で、今後の交渉の進め方でありますけれども、まさに国際社会で一致しているのは、外交的、平和的に問題を解決していく。しかし物事を進めるためには、対話と同時に外交的な圧力も必要であろう。このバランスをどうとっていくか、こういうことが必要だと考えております。
 そういった中で、経済制裁、これはもういろいろなパターンがあると思います。国連決議を経るような大きな全面的なものからもう少し部分的なものまで含めて、どういうことがその圧力として有効なのか、こういうことも含めて検討していく必要があるのではないかなと考えております。
松宮委員 ありがとうございました。終わります。
池田委員長 次に、伊藤英成君。
伊藤(英)委員 民主党の伊藤英成でございます。
 まず最初に、イラクの問題について大臣に伺います。
 今、戦後イラクの復興にということでいろいろと関係者が努力をされているわけでありますが、アメリカの方で復興人道支援局というのをつくりまして、今その活動もしております。そして先般、我が国としてもそこに外務省の職員として人を派遣した、こういうことですね。
 現在このORHAの活動が、いわゆる占領行政といいますか、そういう見方もされているわけでありますが、現在日本から派遣されているその職員からどういう情報を得ていらっしゃるのか、まず伺います。
安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 現在、外務省から二名の職員がORHAに出張しております。昨日は、三人目の人的協力ということで、経済産業省の大臣官房政策企画官の根井氏がバグダッドに到着したところでございます。
 まだ根井氏についてはその担当が決まっておりませんけれども、外務省の奥参事官につきましては、現在、国際支援担当業務ということで、クロス次長のもとで働いております。それから、もう一名の井ノ上書記官……(伊藤(英)委員「いや、どういうことを聞いて、報告があったかということです」と呼ぶ)はい。
 もう一名もおりますけれども、まだそれぞれの業務が始まったばかりでございますので、具体的な動きは、大きな動きというのはございませんけれども、私ども、非常に頻繁に両氏からは連絡を受けております。今はORHAの活動がスタートしようとしているところでございまして、まずいろいろな、オフィスのセットアップであるとかそういうことに大半の努力を傾注しているというふうに聞いておりますけれども、私ども、これからも頻繁に連絡を受けていきたいというふうに思っております。
伊藤(英)委員 非常に頻繁に連絡を受けているということなんですが、大臣に伺いますけれども、いわゆる国際協調の枠組み、そういうような観点で考えたときに、このORHAの活動がそういう方向で動いているのかどうか、その辺はいかがですか。
川口国務大臣 イラクをめぐって、どのような形で国際協調を進めていくか、特に、国連が不可欠だとかいろいろな言葉が、我が国は十分な国連のという使い方をしておりますけれども、具体的にどういう形にそれがなっていって、それとORHAがどういう関係になっていくか、まだ今後いろいろな展開があると思います。
 ただ、イラクの国民の目から見たときに今必要なのは、治安の維持であり、それから水であり、病院であり、毎日の生活が行われるような状況になっていくということであると思います。これについてはイラクの人たちからも、ORHAに対していろいろな注文が今出始めてきている状況でして、ORHAが今、アメリカだけではなくて、日本やその他幾つかの国が積極的に参加をした形で、少なくともイラクの国民のニーズにこたえつつあるということが実態だと思います。
 今後、今イラクがIIAといいますか、暫定政権をイラクの人たちが立ち上げる過程に入りつつあって、例えば四週間以内にということを、この間そういう議論がなされたと承知をしていますけれども、そういうことが進む段階で、また同時に、国際協調をしていくための動きが国際社会でいろいろ行われる中で、ORHAと国連等の関係についてのもう少し具体的なものが形づくられていくというふうに私は思っております。
伊藤(英)委員 日本から要員といいましょうか、人を派遣してそこで活動するときに、これは、当初からいわばORHAの職員として出したわけではないわけですね。その目的があって出しているわけです。
 それで、今、日本からORHAの首脳に対してといいましょうか、ORHAの活動に対してといいましょうか、日本からこういうふうにすべきだということで提案等、意見具申かもしれません、そういう日本からの考え方を提起していることは何かありますか。
川口国務大臣 大きいことで、これですということを申し上げるような状況ではまだないというのは、先ほど安藤局長が言いましたように、ORHA自体がバグダッドに移ったばかりで、準備、まだ床に寝袋で寝ているという状況でやっておりますのでということですが、例えば、先ほどの三人目の根井さんという人は石油関係の専門家であって、そういうところで今後実際に携わっていったときに、その目で見て、こういうことをやったらいいのではないか、日本としてこれができるのではないかといういろいろな知恵は発信をされてくるだろうと思っています。
 それから、外務省から行っている二人については、これは言ってみますと官房部門といいますか、かなり中枢に密接したところで意見交換を日ごろ、日常ベースでしょっちゅうしながらできるポストにおりますので、そういった過程を通じて、もう少し落ちつくと、もう少し大きなことができるかと思いますけれども、今は始まったばかり、落ちつく段階ということでございますので、非常に細かい話の段階だというふうに承知をしています。
伊藤(英)委員 ORHAそのものについての、本質についての議論はいろいろあるわけでありますが、それはちょっと横に置くとしても、実際に日本から派遣をして活動するのは、あくまで日本の国益のためということでありますし、もちろん憲法上の問題等々も十分考慮した上で、日本として本当にやるべきことはやらなければいけないということですね。今の大臣のお話ですと、まだまだ本当はこれからなんですということでありますから、それこそ、これから本当に意味のある活動をぜひしていただきたいと思います。これはまた今後私たちもしっかりとフォローしていかなきゃいけない話だ、こう思っています。
 それから、民主党としても、早くあそこの日本の大使館の活動を再開してといいましょうか、大使館を開いてということを党としても強く主張しているんですが、これはいつごろ再開することになりますか。
川口国務大臣 早く立ち上げるということで、今週中にと思っております。
 先般、調査団を出しました。そして、まだ空港が使えない状況ですので、陸路をアンマンから入ってということで、そのルートも、調査団が行ったときは問題はなかったわけですけれども、例えば違う日には略奪があったりというような状況があるということではございますけれども、大使館の状況を調べ、そして余り略奪の被害が大きくないということでございますので、今週中に立ち上げたいということで今最善の努力をしております。
伊藤(英)委員 今週中に立ち上がるといたしますと、いわゆるORHAに派遣するといいましょうか、派遣したといいましょうか、その人たちのベースを、大使館にベースは置いて、そこでORHAとの連携のもとにいろいろ活動をするということは一つの考える点ではないかと思うのですが、その辺はいかがですか。
茂木副大臣 現地の状況をいろいろ報告を受けますと、非常に通信手段等々が悪い状態でありまして、ORHAとの間で奥参事官であったりとか根井氏がこれから緊密な連携のもとで、先ほど大臣の方からもありましたように、日本としても考え方をきちんとORHA側にも伝える、こういうことを考えますと、むしろ彼らの活動のベースとしてはORHAと同じ事務所の方がやりやすいのかな。それに対して、早急に大使館を立ち上げ、バックアップができるような形ももちろんとっていきたい、こんなふうに考えております。
伊藤(英)委員 これはいろいろな考え方がありますが、大使館の方に本拠を置いて、その上で連携を密にしてそして日本の意見も反映させてということは私はもっと考えていい話だ、こう思いますので、ぜひこれは今後また検討をしてください。
 それから、さっき外務大臣から暫定政権構想の話がちょっとありました。
 毎日のように動いているようでありますが、大臣としては、今度の暫定政権のいわゆる指導部といいましょうか、それがきのうぐらいの新聞やニュースなんかでも流れたりしていますが、指導部をつくって云々という話もありますが、今後、この暫定政権の展望といいましょうか、どういうふうにできていくか、いつごろどうなっていくのだろうかということについて現在どういうふうに考えていらっしゃるかということが一つ。
 それからもう一つ。そもそも、今ORHAということで活動はされつつあるわけでありますが、イラクの国民から見て、ORHAに対する信頼度といいましょうか信頼性、それは高まっていると思いますか。あるいは、いろいろ反米感情等が報道されたりするんですが、そこのところについて、反米意識とも相まって、ORHAに対する国民から見ての信頼性、それについて大臣はどういうふうに認識されていますか。
川口国務大臣 今の御質問に直接お答えする前に、先ほどの大使館の再開の時期ですけれども、今週中にと申し上げましたけれども、確認をしましたところ、今週も早目に、といってもあと三日なんですけれども、早ければあすにでもという感じで今準備が進んでいるということでございますので、若干訂正をさせていただきます。
 それから、暫定政権がどういう形になりそうかということですが、これはイラク人の手でできるだけ早くということを申し上げるしかなくて、我が国としてこういう形がいいということを申し上げるのは難しいと思います。これはイラク人が決めることでありますけれども。
 一連の会合が今まで行われていますけれども、その中で、四週間以内に暫定政権の設立のための国民会議を開催するということが今決定をされているわけです。イラクは御案内のように、宗教的にも、それから民族という意味でもさまざまなモザイク国家であるわけでして、これが非常にいい形で、統一のとれた形で暫定政権をつくるということのためには恐らくさまざまな工夫が要るだろうと思います。そこのところが、まさにその知恵がどうなるかということですが、我が国としては、イラク人の手でというふうに考えておりますので、できるだけ早くそれが可能になるようにと思っています。
 モザイク国家としての国の建て方という意味では例は幾つか、いろいろございますので、イラクとして、そういったことを見ながらイラク人が決めるということがいいのではないかと思います。
 それから、ORHAについてのイラク人の信頼度についてですけれども、これも、ORHAの活動が始まって間もない、バグダッドに移ってから間もない状況ですので、最終的にこうなっていますということを申し上げるにはまだ早い、緒についたばかりだということですけれども、先ほどちょっと申しましたように、イラクの各地方の人たちからORHAに対してこういうことをしてほしいという注文が出るような状況になっているということから考えますと、それなりの信頼関係というのは築かれつつあるのかなというような印象も持っております。
 いずれにしても、ORHAがイラクの人たちが必要としている生活のニーズをちゃんと満たしていくような形で活動ができるように、我が国としても最大限の努力をしていきたいと考えています。
伊藤(英)委員 報道される状況等を見ますと、私自身は、イラクの状況についていろいろ、あるいはアメリカの活動、行動等についてもですが、非常に心配しています。今後の状況については心配をしております。だから、そういう意味では、十分に状況を把握して取り組んでいかなきゃいけないのではないか、こういうふうに思っています。
 それから、イラクの復興絡みで、これは総理も外務大臣もそうなんですが、あるいはもちろん私どももいろいろ、国連との関係等々で強く私たちも主張をしておりますが、外務大臣もイラクの復興問題について、いわゆる国際協調、国連の関与あるいは国連の決議等の絡みで、そういうことの重要性について主張してきていると私は思うんです。外務大臣も、国内でもそうですが、外国に行かれてもそういう趣旨の発言をいろいろしたりしています。
 そのときに、復興問題についての国連の関与、それからあるいは国連決議といったこと、具体的にどういうふうなことをイメージして話をされていますか。
川口国務大臣 イラクへの武力行使をめぐって亀裂が入ってしまった後、やはり私としては、まず大事なことは、これをもとに戻していく、そして国連として、イラクのことについても、あるいはほかのことについても機能を果たしていくことができるような状況を、安保理を中心としてですが、つくることが必要だと思いまして、四月の初めにヨーロッパに参りました。
 そのときに私が考えていたことは、できるだけ早く国連の安保理の結束をまたもとに戻していくためには、だれでもが賛成をできるような基本的な原理といいますか考え方、例えば、イラクの領土の一体性ですとか、イラクの主権はイラク人にあるとか、そういったことを中心に決議をまとめて、それでそれを、安保理の機能が一体化、またもとに戻ったということの一つのステップにするということを考えておりました。
 それで、ヨーロッパでそういう話をしたわけですけれども、その時点、四月の初めの時点では、まだまだそういうことで意見の違いが表に噴き出さずに、そういったことでも合意をするということは難しいのではないかという印象を私はそのときに得ました。ということで、やはりその一つ一つ、具体的なことについての決議が必要となったときに、それに対して決議をつくっていくということが現実的なやり方ではないだろうかというふうに思うに至ったわけでございます。
 それで、総理が引き続き、その後、今度は、私とは違いまして、首脳のレベルで働きかけられた。国際協調が大事だということについて、これはすべての国においてみんな考えていることであると思います。
 引き続き問題は、国連の関与が、バイタルであるとかセントラルであるとかサフィシエントであるとか、そういった言葉ではなくて、言葉の背後にある実体をどうつくれるかということであり続けているわけですけれども、現在、私どもが承知をしていますところでは、国連の安保理の中で次の決議、これをめぐっての議論が始まっているということでございますので、こういった決議の議論の状況において結束が高まる、そういう結果にそれがつながるようなことになるといいと思っておりますし、我が国は、その議論については、安保理のメンバーではありませんので外側から関与をするということしか今の段階ではできておりませんけれども、我が国としては、こういった決議が早く決議となるように、我が国の立場から働きかけも行っております。
伊藤(英)委員 今、大臣が言われた、次の決議への議論が始まっていると言われましたけれども、もうちょっと具体的に、では、次の決議という内容、どういうような趣旨のものになりますか、どういうような趣旨のものが検討されているということでしょうか。
川口国務大臣 その中身について、まだ各国がこれだということで必ずしも合意ができているわけではないという状況であります。国によって考え方が違うということで、我が国としても、具体的な決議の文章、これが安保理の常任理事国に対してまだ提示をされたという状況でもないものですから、ちょっと具体的に申し上げられないということですけれども、基本的に、イラクの人たちの支援をどうやってやっていくかということにかかわる決議であるというふうに思います。
伊藤(英)委員 私自身も、新聞等その他マスコミ等へのインタビューやら私の文章等も、いろいろなレベルの決議というのがあり得るという意味でそういうことも申し上げたりしているんですが、私は、日本としてどういう具体的な決議を、さっき外務大臣も幾つか言われたりいたしましたけれども、本当にどういうのが必要なんだということをもっともっと発信した方がいい。そして、安保理のメンバーにもあるいは常任理事国のメンバーにも、具体的にどういうことをやるべきだということをもっとはっきりと示した方がいいと私は思います。そうしないとわからないということであります。
 今回、イラクの問題を、ずっと、いわば武力行使どうのこうのという話から含めてそうなんですが、国連、さっき外務大臣も国連あるいは国連の安保理に亀裂が云々という話もされたりいたしましたけれども、私は、今、安保理は本当に機能していないと思っています。
 それで、日本としては、今こそ国連を本当に機能させるためにどうした方がいいのか。今どんなに問題があるということを、私自身からいたしますと、今回の一連の状況を見ると、常任理事国のメンバーも私は無責任だと思っているんです。今回、常任理事国のすべてがとは言いませんが、常任理事国の中の、本当に自分たちがあれだけの権限、拒否権等を持った形で、そのことのよしあしは別ですよ、拒否権を持っていることのよしあしは別ですが、現実にそれだけの力を持っている常任理事国が、世界の平和を守るために自分たちが決定をするというにしては、私は無責任だと思っている。
 それから、非常任理事国の人たちも、例えば中間派と言われる人たちもそうなんですね、今回。今回のようなもので意思決定をするときの責任を負えないといいましょうか、意思決定できないというような状況ですよね。
 このことは、いかに現在の、安保理の構成もそうでしょう、そもそも国連の今のいろいろな機構が本当にこれでいいのか、メンバーから始まって、それから意思決定の仕方から始まって、私は非常に問題がある、こう思うんです。
 そういうあたりは大臣はどう思いますか。
川口国務大臣 過去、いろいろな状況の中で、国連ができてからの歴史の中で、国連が常にきちんと機能をすることができてきたかというと、それは必ずしもそうではなかった、むしろ、冷戦終了前というのは非常に難しかったというふうに思います。
 それはなぜかといいますと、戦争直後にできた、そのときの大きな国といいますか、戦勝国が中心になっている組織であるということで、現在の国際社会におけるパワーの状況を必ずしも反映していない形になっているというのが一つあるかと思います。
 それからもう一つ、もともと、そういう構造を前提にして考えれば、大国が国際政治上のいろいろな問題について息が合っているとき、あるいは意見が合っているとき、このときに初めて国連は一番よく機能をするということも言えるかと思います。そういった国際政治のあり方の問題点といいますか、それを国連という機構が身内に、組織の中に持っているということが一番難しい問題でして、問題の根本だと思います。
 これをどういうふうに解決していくかということは、これから、委員がおっしゃられましたように、今回のことで国連が十分に力を発揮できたかといえば、分かれてしまったということになったわけですけれども、これは今までもあったことでありますし、知恵を出しながら安保理が機能するようにしていかなければいけない。
 日本としては、やはり、安保理は現在の世界を動かしている、力を持っている国、この意見が反映されるようにつくられるべきであるというふうに考えております。また、こういった考えるだけでは十分ではないということでございますので、我が国としては、国連の改革については、資金の効率的な利用も含めて、働きかけを今までも行っておりますし、また今後強めていきたいと考えております。
伊藤(英)委員 私は、今のような状況の中で、日本の国連の分担金の問題にしても、日本だけで一九・五%を占めるんですよ。常任理事国の中のアメリカ以外の四カ国で一四・五%ぐらいしかありませんよね。そんなような状況の中で、本当に機能しないなら、しかも、日本が意思決定についてもほとんど何ともできないというくらいの状況ならば、一九・五%も払うことはない、拒否したらどうかというくらいに私は思うんです。そのくらいのことを思いながら、今こそ、国連改革の問題についても、ずっと言われているんですけれども、なかなか本気にやらない。そういう中で、日本こそ提起すべきだと私は思うんです。
 今回の、今回というか、次の、六月のエビアンでの先進国首脳会議に、日本としては国連改革の問題について着手する話を、そこで議題として提起すべきだと私は思いますが、そういう考え方はありますか。
川口国務大臣 国連改革を進める必要性があるということについては、今委員がおっしゃられましたけれども、多くの国民が分担金の大きさと日本の力が国連の中で適切に反映されていないということについての矛盾について感じているというふうに思います。
 そういうことで、我が国は国連の改革については今後働きかけを強めていきたいと思いますけれども、エビアンの場ということについて、これは今G8の準備会合というのがございまして、そのG8の準備会合の中でエビアンの首脳会合の中で何をテーマにするかということを議論している最中で、まだ決まっていないということでございます。我が国のエビアン・サミットでの対応についても、こういった準備会合での議論を通じてやっていきたいと思っています。
 いずれにしても、国連改革については、サミットの場、サミットの場でないということを問わず、我が国としては、二国間の会合の中で、あるいはさまざまな場で、今問題を提起してきていると思います。一番効率的に、これについての同意を得やすい場でやっていくべきであるというふうに思っております。
伊藤(英)委員 今サミットの準備をいろいろやっているから私は申し上げているんです。この間もフランスの前の大使がその準備で来られましたでしょう。私はフランスの大使にも会いましたけれども。
 要するに、日本としてそういう議題をやるべきだ、扱うべきだと提起しているんですか、あるいはしようとしておりますか。見ているんじゃなくて、静観するんじゃなくて、傍観者じゃないんだ、日本は。国連がこういう状況になっておれば、余計にサミットは重要なんでしょう、意味があるんでしょう。世界のシステムをどうやって持っていこうかということこそを、前向きに、日本が積極的に取り組まなきゃいけませんよね。日本として提起しないんですか。
茂木副大臣 先日、前の日本大使を務めておりましたグルド・モンターニュ大統領顧問、日本に来まして、いろいろな議論、外務省も、また先生の方でもしていただいたと思うので、しております。
 今回のサミットのテーマにつきまして、恐らく北朝鮮の問題、これは大変重要な問題になってくるんではないかな、それを我が国としても一つの優先的な課題ということで取り扱えるように、今後さらに提起をしていきたい。同時に、イラクをめぐります国連の亀裂、これをどのように修復していくか、このことも重要な問題だと考えております。
 そういった中で、先生が御指摘のような改革の議論まで、限られた時間でありますから、行けるかどうかということはさらに今後調整をすべき問題であると考えております。
伊藤(英)委員 今後調整するというのは、取り組むという話なんだろうと思うんですよ。真剣にやってほしいと思っています。本当に、本気になって日本がやれば、他の国もああそうだと思えば動くんでしょう。日本が本当に国連をというふうに思うなら、思わないなら別ですよ、これからはもう国連はそう重要視しませんよ、世界の平和を守るシステムとしてもということなら話は別ですが、そうじゃないはずですよね。だから、日本から本当にそれぞれに働きかけてやるべきだと私は思います。
 もう私の質問時間が、持ち時間が余りありませんので、二つだけ、結論だけ伺います。
 一つは北朝鮮の問題ですが、最近、きのうかおとといかな、ニューヨーク・タイムズにも出ていたんですが、北朝鮮の核問題についての考え方を、今まで、いわゆる核保有を阻止するということから核物質の輸出を阻止するという方向にシフトしたという報道がありました。これは実は、もしもそうならば大問題だと私は思うんです。北朝鮮の非核化を主張する立場から、核保有はそれなりに認めて、そこから外に移転することを阻止するという政策に変わるとするならば、これは大問題と思うんですね。どう思いますか。それで、これに対してどういうふうに今後対処しますか。
川口国務大臣 委員がおっしゃったような報道については私も承知をしています。委員がおっしゃるように、もしそういうことが事実であれば、それは米国として政策の転換ということになるだろうと思いますけれども、私どもが承知をしていますのはそういうことではない。
 アメリカは、北朝鮮については、核について、核を認めない、核開発計画については検証可能な、そして不可逆的なやり方でこれをやめるということを三者会談の場で主張したばかりでございますし、それを引き続きやっていくというのが私どもの確認をしているところです。
伊藤(英)委員 今のお話ですと、あのニュースが流れてすぐアクションをとって確認をしているという感じには私は受け取れませんでした。それは、アメリカとも即そういうアクションをとるべきだと私は思うんですね。意見があれば伺いますが、今の話ですと、私は、それもすぐアクションをとる話だと思います。
 それから、全然関係ない話ですが、最後に一点だけ伺いますが、今SARSの問題で大変な状況になっています。それで、台湾、WHOとの関係で台湾の問題、なかなか微妙なんですが重要なんです。一体、台湾とWHO問題というのを政府としてはどういうふうに考えるのか、どういうふうに今後すべきだと考えるのか、これについて伺います。
薮中政府参考人 台湾の、WHOとの関係でございますけれども、これは台湾、従来よりWHOへのオブザーバー参加ということを求めてきておりまして、日本政府としましても、関係者の満足する形で、台湾がWHOに何らかの形でオブザーバー参加していく、こういうことが望ましいと考えております。
 具体的にまた、SARSとの関係では、この三日にWHOが専門家チームを台湾に派遣いたしまして、そしてまた台湾における専門家との共同調査を進める等、協力関係も具体的には進んできているということもございます。
伊藤(英)委員 終わります。ありがとうございました。
池田委員長 次に、木下厚君。
木下委員 民主党の木下厚でございます。
 きょうは、ちょっと角度を変えて、五月一日にイラク戦争が、ブッシュ大統領によって終結宣言というものが出されましたものですから、大きな総括はまた後ほどあると思うんですが、終結までに至る今回のイラク戦争について中間的なまとめをちょっと議論させていただきたいなと思います。
 今回のイラクの戦争の問題について最大の問題というのは、先ほど同僚の伊藤委員からも出ました、国連、これがどのような役割を果たしたのか、あるいは、今日本には、国連が新しい武力容認決議をすれば戦争を容認してもいいとか、国連が反対するからだめだとか、何でもかんでも、要するに国連にすべての権限をゆだねる、果たしてこれで我が国の主権として本当にいいものかどうか、この点を私はじっくり議論してみたいと思います。
 このイラク問題についても、湾岸戦争以後、既に国連の決議で十七回決議をしている。それもほとんど守れなかった。最終的に、やはりアメリカとイギリスによる武力攻撃、これに至らざるを得なかった。国連何やっていたんだということになるかと思います。
 ここで、釈迦に説法になって恐縮でございますが、そもそも国連というものは何なのか、この辺をちょっと教科書並みに議論させていただきたいと思うんです。
 要するに、国連ができたのが第二次大戦のときでございますが、このとき日本とドイツと戦っていたいわば連合国と称する軍事同盟が戦争終結直前に結成を試みて、たまたま戦後の一九四五年十月二十四日に、国連憲章とともに国連が発足した。一見ユニバーサルな国際機関に見えますが、その実、先ほど大臣からも御答弁ございました、戦勝国による戦後の国際社会のいわば現状維持を目的としたものである、そのことをやはり認識しておかなきゃいけない。
 そのために現行の国連憲章は、米国に次ぐ経済大国となった日本とドイツを第二次世界大戦の旧敵国として差別する一方、米、英、仏、ロ、中の五カ国に戦勝国としての拒否権つきの安保理常任理事国の地位を与え、いわば実質的にこの五カ国が世界の安全保障を牛耳ってきた、こういうことなんですね。
 そして、この旧敵国条項というのは、第二次大戦で連合国の敵国だった日本、ドイツ、イタリアに再び侵略行動が行われるようなときには、一九四五年六月時点で国連に加盟していた連合国の一員であればいつでも攻撃をしかけてよいという国連憲章五十三条と百七条の規定がある。いわば日本を敵国としてこの国連憲章が成り立っている。ですから、国連が認める、国連憲章が認める武力行使においても、国連の決議によるものと、それから自衛権の発動、それから集団的安全保障の発動、それに加えて旧敵国に対してはいつでも攻撃してよいという形になっているわけですね。
 この現状を、それからさらにこのイラク問題についても、要するに新しい決議案をめぐってもめたとき、アメリカあるいはドイツ、フランスが非常任理事国を多数派工作、すさまじい多数派工作をやっていました。経済援助をえさにさまざまな多数派工作をやっていた。こういった国連に、我が国の主権、これは我が国が決めるべきことなんです、国連が決めたから無条件にそれに従うという態度であって果たしていいのかどうか、私は極めて疑問に思う。
 これは、世界各国見ても、確かにフランス、ドイツあるいはロシア、中国、国連が、国連がと言う。しかし、国連に対して彼らがいかに国益を重視した外交戦略を展開してきたか。これはアメリカも同じです。きれいごとを言っていますが、あれは国益のぶつかり合いの中でいかに自国を有利に導くか、そのせめぎ合いの場なんですね。それに対して日本あるいは政府もそうかもしれません、あるいは国民もいわば国連至上主義、国連神話、国連は絶対だと余りにもそれにおっかぶさっている。
 私は、国連の生い立ちから現在に至る経過まで、我が国国民が、もっと真剣に国連というものをもう一度見直して、本当に国連に我が国の平和と安全、あるいは国益あるいは国家主権の問題を、国連が決めたからそれに従う、国連が決めなかったから拒否する、そういう態度であって果たしていいのかどうか、その辺を含めて質問をさせていただきたいと思います。
 果たして、今回のイラク問題について、これまでの、終結までですが、国連がこのイラク問題についてどのような役割を果たしたのか。大臣、どういうふうな評価をされておりますか。
川口国務大臣 イラク問題との関係で言いますと、国連は、私はかなり大きな役割を果たしたと思います。イラク問題、武力行使に至るまで十二年間の経過があったわけでございまして、その十二年間の経過の過程というのは、さまざまな国連での決議、六七八であったり、六八七であったり、十七本の国連における、安保理における決議の議論、あるいはそれについてのイラクの対応、それをまた安保理のメンバーがどういうふうに考えたかという積み重ねを経て、一四四一という形でイラクに最後の機会を与え、イラクがなおそれでもその国連決議に従おうとしなかったときに武力行使があったということであるわけです。
 最後の段階で、一四四一の後、新たな決議が必要か必要でないか等々をめぐって意見が必ずしも一致しない状況であったということは確か、現実問題としてそうでしたけれども、ただ、イラク問題についての武力行使は国連決議によってなされたということであるわけでして、イラクの問題について国連はそれなりの役割を果たしてきたというふうに私は考えております。
 ただ、一般論としておっしゃる、冒頭でおっしゃった国連の役割と主権国家との関係はどうあるべきかということについては、これはいろいろな考え方があると思いますけれども、私は、基本的に、これは国連のみならず国際機関一般的にそうだと思いますけれども、やはり国際機関というのは主権を持つ国が集まってつくった組織であるわけですから、当然に国連がどのようなことを決めるかということをやる過程で、それぞれの主権国家の意思、これを反映して国連での決議あるいはさまざまな決定がなされていくということであるかと思っています。
木下委員 今、大臣は国連決議に基づいて攻撃したという話でしたが、それはあくまでも日本とアメリカあるいはイギリスその他の国々の考えであって、例えばロシアあるいはフランス、ドイツ、中国等はそう見ていないわけですね。となると、国連が真っ二つに割れる、考え方が真っ二つに割れる。そうした中で、国連はうまく機能しましたよ、国連は役割を果たしましたよと大臣が言ったところで世界は評価していないわけです。ですから、なぜこんなに割れたのか。
 あるいは、例えば経済制裁をずっとしてきました。しかしその間ロシアあるいはフランス、ドイツ、経済制裁の陰でどれだけの例えば経済的な支援、あるいは原油を輸入していたか。この辺も含めれば、それは国連は国連として私も大事だと思う、しかし国連だけに、日本のように国連が一四四一で決議したからじゃなくて、そんな言いわけをしないで、やはりきちんと国連そのものとどうつき合っていくか。その辺の確固たる信念、方針が日本政府にあるのかどうか、その辺をもう一度確認しておきます。
川口国務大臣 先ほど後半部分で申し上げたつもりでございましたのですが、主権国家、それと国連を含む国際機関の関係というのは、やはり主権国家が集まって国連なりその他の国際機関をつくっている、そういう関係であると思います。初めに国連ありき、それに無条件に主権国家が従うという状況までまだ国連は成熟をしていないということだと思います。
 したがいまして、各国、考えていることというのは、これは委員がまさにはっきりおっしゃいましたけれども、我が国の、それぞれの国の国益を国際連合あるいは国際機関という場でいかにその主権を反映させていくかということについて努力をしていく、その結果として国際社会として何らかのコンセンサスができていく、そういう過程であるかと思います。
 場合によっては、自分の国の主張が国際社会の決定となるということもあるだろうと思いますし、譲歩をし合うという過程もあるだろうと思います。そういった形で国際社会としての全体としての考え方をつくっていく、その場が国連であり他の国際機関であるというふうに思います。
木下委員 そうしますと、要するに、今の国連は完全なものじゃないとおっしゃいましたが、では、今の国連、安保理の問題を含めて、どこに問題があるのか、具体的に一つ一つ挙げてください。大臣、挙げてください。どこに問題があるのか、具体的に言ってください。大臣、答えてください。
川口国務大臣 問題はいろいろありますけれども、まず、先ほど申しましたように、安保理の常任理事国、これが現在の国際政治における状況を反映したものになっていないということが一つあると思います。
 例えば、国連の安保理の構成ですけれども、一九六五年に、非常任理事議席、これが六議席から十議席に拡大をしました。それ以降変わっていません。創設時の国連加盟国のメンバーは五十一カ国であった。それが現在は百九十一に増加をしている。それに対して、非常任理事国が六から十に拡大をしたのみであるということです。
 それと、先ほど申し上げた常任理事国が、戦後の戦勝国のそのときの政治のバランス、国際政治における力のバランスを反映していて、それから、それがその後の今の現状を必ずしも反映することになっていないということであると思います。
 それから、国際社会の抱える問題というのは、もちろん政治問題もありますけれども、今は政治問題、平和と安全の問題だけ切り離して問題として扱えるということではないと思います。平和の定着ということを言っておりますけれども、それは、その平和と安定をもたらすためには、経済社会のあり方、あるいは紛争後の処理の仕方、そういったこと、あるいは民主化の支援、幅広い分野で国連がかかわっていくことが必要、安保理がかかわっていくことが必要。しかしながら、安保理はそういった幅広いニーズ、これを反映して議論するような形には必ずしもなっていない。一例挙げれば、そういうことだと思います。
木下委員 まさに大臣がおっしゃったように、要するに国連安保理の骨格が、やはり戦後安保理創設からもう五十年以上たっているのにちっとも変わっていない、依然として日本やドイツを敵国にしている。あるいは、先ほど同僚委員からも出ました負担金の問題も、何で日本だけがこれだけ負担しなければいけないのか。
 例えば、非常任理事国の顔ぶれを見てください。別に国によって私は差別をつけるわけじゃありません。例えば、十カ国、アンゴラ、ギニア、カメルーン、ブルガリア、シリア、パキスタン、ドイツ。繰り返し申し上げます。国によって私は差別をつけるつもりはありません。しかし、例えばアンゴラの人口はどのぐらいですか。ギニアの人口はどれくらいですか。経済力はどのくらいですか。そういった国々が非常任理事国になって、世界の平和、紛争、こういったものを解決するための一票一票になっているんです。GDP五百兆を超える日本が外されていて、負担金だけ出させられて、そういうものに関与できない。この根本が今の国連なんです。どうですか。この点をどう判断されますか。
 私は、国連が機能して、国連が一致結束してやってくれること、これが本当に望ましいと思う。しかし、国連にすべてをゆだねる、国連至上主義、国連神話、これがもう日本に蔓延している。こういう状況の中で、もっと我々は、我が国国民は、国連に対してそんな幻想を持つんじゃなくて、確固たる覚悟と方針を持っていなきゃいけないと思うんですが、大臣のお考えをお聞きします。
川口国務大臣 幾つかのことをおっしゃられたと思いますけれども、我が国のまず国連についての考え方、思い、これはかなり幅が今国内であると思います。先ほど委員がおっしゃったように、国連がまず初めにありき、国連が決めたことが正しいという考え方をすべきであるという人たち、国民もいますし、それから、委員が先ほど来おっしゃっていますように、そして私も若干申し上げましたように、主権国家がまずあって、その主権国家が国際社会をつくっていく、国連の議論をつくっていく。そのときに、それぞれの国が自分の思うところあるいは自分の国益をどのように反映していくかということを議論して、そしてその国際社会としてコンセンサスができていくという過程で、その結果としての国連の決議に意味があるというふうに考える人たちもいますし、これはさまざま現在はあると思います。
 我が国として、国連が今まで戦後大きな役割を国際社会の政治、平和、安定、完全ではないにしても果たしてきたということは、そのように考えております。それから、私自身が交渉を担当しました京都議定書ということを考えても、幾つかの大きな重要なことが国連の場で議論をされてきている、海洋法というのもそういうことであります、という実績もあるわけです。
 そこで、常任理事国が、先ほどの問題点というのは先ほど申しましたし、非常任理事国の数がふえていないということも申しましたけれども、やはり今百九十一の加盟国がある中で、その大半は発展途上国であり、国の数でいえばアフリカにも多くの数がありますし、そういったことで、ばらばら、大陸で分散をしているわけです。
 そういったそれぞれの地域の意見がまた安保理の議論に適切に反映をされるということも重要であって、そういった組み合わせの中で安保理の議論が行われて、国連全体としてのいい決定ができるということにしていくということが必要で、それがまさに国際政治の現状を反映した形で安保理のメンバーが構成されるということが重要であるということを言っている意味であります。
 日本がみずからが安保理の常任理事国になるべきであるということも私はあちこちで言っておりますし、日本がそれを一国で言ったときに、反対をする国は一つもないと思います。
 ということですけれども、それであれば、では日本は常任理事国にすぐなれるかといいますと、これは全体としての組織の改革であり、そのときにみんないろいろ思う人がいるわけでございますので、日本の部分だけで組織が変えられるわけではない。それをどうやってうまく進めていくかということが我が国に課せられた役割であり、それを努力しているということでございます。
木下委員 いろいろ大臣おっしゃいましたが、では、今の枠組みでいいということなんですか。それとも、今のあれではおかしい、改革しようと考えているんですか。
 それから、先ほど日本の常任理事国入りという話がありました。これまで恐らく積極的に我が国も常任理事国入りを目指してやってきたと思うし、それから一つは、一般的にもう死文化したからという議論もありますが、旧敵国条項、これについても、やはりこんなのがある限り分担金を減らす、日本を敵視したこんな国連憲章がある限り、もしこの条項を削らない限り分担金を減らすとか、あるいは組織改編、こういったものに対してこれまでどの程度日本は国連改革を唱えてきたのか、具体的に教えていただきたい。
    〔委員長退席、土肥委員長代理着席〕
川口国務大臣 最初の、国連改革をすべきであるかどうかということについては、国連改革をすべきであるということを申し上げてきたつもりでございまして、現状で日本はいいと日本政府としては考えていないということです。
 それから、旧敵国条項、これはいろいろな過去の経緯がありますけれども、これについてもこれを削除するということが大事であると考えています。
 いろいろな、どうやってやっていくかということについてのやり方というのはあると思いますけれども、例えば国連改革、安保理改革の全体と切り離した形で、例えば旧敵国条項だけを先にやるといった考え方も一つの例としてはあり得るだろうと思っています。一番大事なことは、効果が上がるような、実効性のあるやり方で改革に取り組むということであって、我が国としては、それをいろいろな状況をとらえ、いろいろな場でそれを進めていくための努力をしているということでございます。
 過去の敵国条項をめぐる経緯、あるいは過去の国連の改革についての日本の努力については、必要でございましたら、政府参考人から答弁をさせます。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 ただいま大臣がお答えしたとおりでありますが、旧敵国条項につきましては、委員御案内のとおり、累次の機会に日本政府としては、これは既に時代おくれであるということを主張してきておりまして、御案内のとおり九五年には、これは時代おくれなので、適当な早い機会に削除すべしという旨の決議を得ているというところでございます。したがって、実態的に、今の現状において具体的に、何か日本が加盟国として活躍する上においてこれが弊害になっているということはございませんし、また、そのような意識というものが世界のほかの国にあることはないというふうに考えております。
 他方、委員が御指摘のとおり、このようなものが残っていること自身がやはり問題ではないかという問題意識は政府としても持っておりますので、今ありますこの決議というものを早急に、実際上まさに削除をするという形で持っていくべく努力をしているというところでございます。
木下委員 九五年に、削除するという合意があったということなんですが、もうそれから何年たっていますか。だったら、早急に削除せよ、もしそうでなかったら分担金を減らすと。
 減らしてくださいよ。どうですか、大臣。減らすぐらいの覚悟で強く言ってください。こんな、世界に、我が国の屈辱ですよ。こんなものを放置したまま一九・五%も分担金を出している。中国、幾ら出していますか。ロシア、幾ら出していますか。アメリカだって、二二%と言われていますが、きちっと払っていないでしょう。どうですか、大臣。もし早急に削除しなかったら分担金を減らすというぐらいの強い態度で臨んでください。どうですか。
川口国務大臣 我が国が国連を動かすことができる、持っている力といいますか、常任理事国でないということ、それなのに分担金は非常に多い、二番目に多いということについての矛盾、これについては、私も含め、日本の国民の多くの人が持っていると思います。
 したがって、改革を進めていくということが大事であるとみんな考えているわけですけれども、手段はいろいろあり得ると思っています。いろいろな、先ほども言いましたように、我が国の問題だけを国連のほかの問題と切り離して話を進めるということであれば、これは非常に簡単に済むんですけれども、組織全般あるいはほかの国の思い、例えば戦敗国であるということであれば、日本だけではなくて、ドイツもあればイタリアもあるという、世界の中でどうやって進めていくかということが大きな課題で、それを努力しているわけです。
 分担金を減らすという議論は、これはおっしゃる方は多くいらっしゃいます。最終的にどういうことをやるかということは、これは国連の分担金を払うというのは国連の加盟国の義務でございますので、どこまで覚悟をして、何をやるかということとの関連で考えるべき問題であるというふうに思います。
木下委員 いや、大臣の話を聞いていると言いわけばかりで、そんな言いわけを聞いているんじゃないんです。やるかやらないのか。よその国はいいんですよ、よその国はいいんです。我が国のことを名指ししているんですから。組織がどうのなんて私は言っていないですよ。敵国条項だけは早急に削除してくれ、もしそれができないんなら、ドイツやそんなことは向こうが言えばいいことなんですよ。我が国がどうするか。我が国のを削ってくれなかったら削除しますよと言うのか言わないのか、それだけ教えてください。実現するのかしないのか。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 敵国条項の問題、さらにはより大きな問題であります安保理改革について、今後さらに格段の努力をすべしということについては、外務省、政府、そのとおりでございます。
 ただ、具体的にその分担金の話と絡めて、直ちにその問題が実現可能かということにつきましては、それは必ずしもそうではないんだろうというのが現在の政府の考え方でございます。
木下委員 そうすると、要するに、敵国条項に絡めないでも今の分担金、先ほど同僚委員からも出ましたけれども、削減することは可能ですか。きちんと主張するつもりですか、それとも今のままでいいとお考えですか、そこだけお答えください。
西田政府参考人 大臣からお答えをしていますように、現在の国連というものが、先ほど委員が御指摘のとおり、第二次世界大戦の結果として出てきたということと、現在の国際情勢におきます我が国の地位というものとの間で乖離が生じているということは明らかでありまして、そのことを踏まえまして、ほかの同じような立場の国とあわせてこれまで努力をしてきた。残念ながら、それが現在のところ実現していないというところでございまして、キーでありますところのアメリカも含めて、さらに鋭意努力をすべしというふうに考えておりまして、それは必死の思いでやろうというふうに考えておる次第でございます。
木下委員 必死の思いはわかるけれども、具体的にどうするのか。半分にしますよと主張するのかしないのか、三分の一にしますよとするのかしないのか、そこをちょっとお答えください。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 分担金の話そのものにつきましては、御案内のとおり、前回の分担金の見直しの時期で、一九%云々という数字になったというところでございます。
 分担金につきましては、御案内のとおり、三年ごとに見直しの時期が来ておりますので、ことしもその見直しの時期に来ているということでございますので、その中で可能な範囲内での努力をしたいというふうに考えております。
木下委員 その問題はこれぐらいにして、先ほど来お話ししました、国連に対する日本のきちんとしたつき合い方については、今後同様な問題が起こる可能性もあるし、あるいは北朝鮮問題も控えているわけですから、国連に対して日本がどうつき合って、どう対応していくのか、その辺のきちんとした日本政府の方針をやはりつくってもらいたい。そのことを主張して、次の質問に移らせていただきます。
 もう一つ、イラク問題について言えば、イラク復興への自衛隊派遣について、外務省の一部には、国連の決議があればPKO協力法の人道的国際救援活動として自衛隊派遣も可能だとの意見もあります。これもまた国連との問題が絡んでくるんですが、国連の決議があれば、今のPKO協力法で自衛隊派遣は可能ですかどうですか、大臣。
茂木副大臣 国連の決議があれば派遣をするということより、基本にありますのは、現地のニーズがどういうことであるか、日本に対してどういう支援が求められるか、ここのところから考えていかなければならない。
 例えばイラクの復興に関しましても、このPKO法に基づきまして、既に人道的な支援として、ヨルダンの方にテントであったりとか緊急の物資、こういうのは運んでいるわけであります。今後、イラクにおきましてどういうニーズが出てくるか、これを踏まえた上で日本としての対応策というのは検討していきたい。
 イラクに対します復興ということで、PKO法に基づきましてできることは何があるか、これも検討していかなければなりませんが、国連決議がなければ何もできない、こういうことではないと理解いたしております。
木下委員 いや、僕はそんなことを聞いているんじゃないんだよ。
 自衛隊を派遣するときに、それはもちろん、向こうのニーズがあるから自衛隊を派遣するんでしょう。自衛隊を派遣するのに、いわゆるPKO法の人道支援として自衛隊を派遣する場合、要するに、これまで自民党筋から新法という話があった。もうそれはほとんど議論になっていない。そのかわりに、国連決議があれば、PKO協力法に基づいて自衛隊を派遣できるのかできないのか。
 物質的な支援とかそんなことを言っているんじゃないんです。もちろんニーズがあって、それはニーズがないのに行くのもおかしなものですから、当然何らかのニーズがあって自衛隊を派遣するとき、PKO協力法で国連決議があればできるのかどうか、その辺を聞いているんです。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 現行のPKO法のもとで今のイラクの状況に対して自衛隊が派遣できるかという御質問だろうと思いますが、今のPKOの条件につきましては、御案内のとおり、いわゆる停戦の合意、それから受け入れ国の同意というものが必要でございます。したがいまして、今の状況において現行法でできるかという御質問であれば、これは非常に難しいというふうにお答えせざるを得ないというふうに考えております。
木下委員 それでは、ちょっと時間もあれですので北朝鮮の問題に移らせていただきます。
 これまでどうもはっきり大臣のお言葉の中に出てこないのですが、北朝鮮という国に対して、要するにテロ国家としてはっきり認めるのかどうか、あるいは拉致に対して、これはテロ行為である、何かそんなニュアンスのことも言ったような気がするんですが、テロ国家であると認めるのか認めないのか、そこをはっきりさせていただきたいと思うんですね。
 私も、何回も言っていますが、政治家になる前はジャーナリストとして、例の大韓航空機事件、あるいはラングーン、これもミャンマーへ行きました。一九九五年です。ミャンマーへ行って、向こうの裁判記録を全部読みました。それから裁判官に会って話を聞いて、ある雑誌に、北朝鮮、金正日の示唆による拉致であるということを書きました。
 このようにテロを繰り返した北朝鮮に対して、我が国がどうきちんと認定しているのか。その辺、大臣、北朝鮮という国はテロ国家、あるいは拉致はテロ行為なのか、もう一度、どういう認識なのかお答えいただきたいと思うんです。
川口国務大臣 拉致について、これは日本から全く無辜の、普通の暮らしをしている国民を強制的に連れていった、場合によってはその人の生命と安全に危険を与える形で連れていった、これは普通の常識的な言葉の使い方をしてテロ行為だということは前も申し上げています。
 それから、テロ国家と認定するかどうか。これは、米国はそういうような、ある国を認定するという制度を持っておりますけれども、我が国にはそういう制度はないということですので、我が国として、これはどこかの国を、北朝鮮であれ、あるいはどこか別な国であれ、テロ国家であるというふうに認定をするということは行っておりません。
木下委員 私は何も認定してくれと言っているんじゃないですよ。大臣はどう思っているのか、個人的な見解で結構です、そこをお聞きしたんです。
川口国務大臣 個人的な意見という御質問ではございますけれども、一国の外務大臣という立場がございますので、外務大臣が個人的にこういう国会の場で意見を申し上げるということは、余りあってはいけないことだろうと思います。
 私は、そういったテロ的な行為を行うことがある国であるというふうには思っておりますけれども、外務大臣として、そういうような認定をするとかテロ国家であるというような言明をするということはいたしておりません。
木下委員 テロ国家であると認めるかどうかは別にして、北朝鮮とどう向き合うか、これが今、日本に問われているわけです。
 この前の、日本や韓国を外した三者協議の中で核兵器の保有を認めたということになると、これは日本政府としてはどう認識していますか。事実として確認、あるいは事実として認識しているんですか、それとも、その辺はどう判断されていますか。
薮中政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま委員御質問のように、先般の米中朝三者会議がございましたが、そこにおいて北朝鮮側から、非公式な形ではあるがということでアメリカ側から聞いておりますけれども、核兵器を保有しているという旨の発言があったということを我々はアメリカから聞いております。
 この点につきましては、当然もしそういうことがあれば大変重大な問題である、そしてまた、そういう発言が行われた、そのこと自身も当然大変重大な問題であって、我が国の安全保障、そしてこの地域の安全保障ということから考えまして、そしてまたNPT、核不拡散体制ということから考えましてもこれは大変重大な問題であるというふうに考えて、深刻に受け取っております。
木下委員 とすれば、いわゆる日朝平壌宣言に明らかに違反していると思われますが、どう対応するつもりですか。
薮中政府参考人 今御説明いたしましたように、まさにそういう発言があったわけでございます。
 他方、実際に核を持っているかどうか、これについては、アメリカ側も一つの推定はしております。そして、我々としてそれを確認するという状況、これはその手段というのはなかなかないわけでございますけれども、いずれにしましても、核兵器の保有が事実ということで確認されれば、これは大変重大な問題、そして日朝平壌宣言に基づいてもこれはそれに反しているというふうに言わざるを得ないわけでございます。
 要は、核兵器の保有ということは絶対認められない、そして朝鮮半島の非核化ということで、これについて、アメリカ、韓国、中国そしてロシア等々、いろいろな国と一緒になって日本はそういう朝鮮半島の非核化に向けて全力を尽くす、そしてまた北朝鮮が日朝平壌宣言の遵守を行っていく、そういう責任のある国際社会の一員として行動するよう我々としても働きかけていく、こういうことでやっていきたいというふうに思っております。
木下委員 時間ですので、もう一問だけ最後に。
 中東和平の問題について、この前、川口大臣、中東を歴訪されてきましたけれども、アメリカ等が策定したロードマップについて大臣はどのように評価されているか、あるいは現地との話し合いの中で、今後の中東の和平、そういったものについて簡単にちょっとお話をいただければ、それできょうは終わりにします。
川口国務大臣 アブ・マーゼンの内閣ができて、そしてロードマップが発表になったという段階になったことを私は非常に評価をしています。イスラエルそしてパレスチナがこれに沿った形で行動を進めていって、二つの平和的に共存する国家が成立をするということになることを望んでいます。ただ、道は必ずしも明るくない、これは非常に厳しい道のりであるというふうに私は思っています。
 発表したことによりまして、これについて希望が生まれたということは事実あると思います。まず暴力を停止するということがありまして、これは、発表以降起こっていることをごらんいただいても、まだこれ自体に反対をする勢力も双方にありますので、なかなか難しいことが多いのですけれども、国際社会として、これを守って中東和平が実るように働きかけることが必要だと思っています。
木下委員 ありがとうございました。終わります。
    〔土肥委員長代理退席、委員長着席〕
池田委員長 次に、藤島正之君。
藤島委員 自由党の藤島正之でございます。
 きょうは、安倍官房副長官にお忙しいところをおいでいただきましたので、最初にまず安倍副長官にお伺いしたいと思います。
 PKOの武器使用の件でございますけれども、国連の組織に入って自衛隊が行動する場合は憲法の言う武力行使と次元が違うというふうに私は考えております。自由党がかねてからそのことは言っておるわけでございます。かつて、ある総理は安全なところだから自衛隊を出すと言ったようなこともあるようですけれども、そもそもそういう考えは本来おかしいわけでありまして、ある程度危険がある、伴うということは当然でございまして、その際に武器の使用という問題が必ず出てくるわけでございます。
 これは、かつて十何年前でございますけれども、現在のPKO関係の法律ができるときいろいろな議論があったわけでございまして、当時の内閣法制局の方は整理したわけです。
 「一般に、憲法第九条第一項の「武力の行使」とは、我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいい、」と。ところで、「憲法第九条第一項の「武力の行使」は、「武器の使用」を含む実力の行使に係る概念であるが、「武器の使用」が、すべて同項の禁止する「武力の行使」に当たるとはいえない。」として、そこに幅を持たせておるわけであります。
 その中から、最初は、実は、自然権的権利としての武器使用が認められるということで、最小限の武器使用が認められたわけですが、前回の改正で、PKO法第二十四条でございますけれども、「前条第一項の規定により小型武器の貸与を受け、派遣先国において国際平和協力業務に従事する隊員は、」ここでございますが、「自己又は自己と共に現場に所在する他の隊員」の「生命又は身体を防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、当該小型武器を使用することができる。」ということで、若干進歩したわけでございます。所在が一緒であれば、そこにある範囲の者は助けられるということに進歩したわけであります。
 ここが今度問題なのは、国連の方は、実はSOPというものを定めるわけでありますけれども、これは国連軍の派遣司令官が定めるわけでありますが、それには型がありまして、要するに二つある。これは標準行動規範と日本では呼ばれているわけですけれども、一つは、自己を守るという点は問題ないわけですけれども、国連平和維持隊としての任務が実力により阻止されるのに抵抗する場合に武器の使用が許される。
 ここが実は問題でございますが、現在、自衛隊はゴラン高原などに派遣されているわけでありますけれども、この訓練なんかをやる場合に、要するに自己の所在の場所にいるという範囲だけを助けるのと、部隊全体に攻撃があった場合、共同してやれるかというと、後者の場合は現在の規定ではなかなか難しいわけですね。そんなことで、実は、外国のよその部隊と一緒に対抗してやろうというのにやれないものですから、訓練もそこまで踏み込めないといったような実は不都合があるということなんです。
 先ほど私が読み上げました内閣法制局の見解であっても、現在のものが憲法解釈上目いっぱいであるというふうには言っていないわけですね。我々は、もともと、憲法九条との関係で問題は生じないと言っておるわけですけれども、これまでの政府の考え方では、どうしてもそこに抵抗がある。しかし、それであっても、すき間がまだあいておるということでありまして、何かここは工夫がないのかということでございます。
 今般、民主、公明、自由、三党の幹事長が、PKO武器使用は国際基準並みに緩和すべきである、こう言っておるわけであります。先月の二十一日でありますが、民主党の岡田さんは、PKOに参加した自衛隊の武器使用基準について、国権の発動たる戦争とは違う、余りに厳しく考えるのではなく、国際的な基準で考えていくべきだと述べておりますし、与党である公明党の冬柴さんは、海外に出て自衛隊員が安心して身を守れる法制でないといけない、こう指摘しております。また、自由党の藤井幹事長も、国際的な基準、つまり任務遂行のために必要なことであるべきだ、こういうふうに言っておりまして、国際基準並みにする機は熟してきているのではないかと思うわけであります。
 先般、官房長官も同様のことを言っておるようでありますが、安倍副長官は、二十三日、都内で講演して、PKOに派遣された自衛隊員の武器使用基準緩和について、一緒に行動するほかの国々にとっても甚だ迷惑な話になると。これは私が先ほど申し上げたようなことがあるからでありますが、こういう議論を避けて通るわけにいかない段階に来ていると述べ、基準緩和の必要性を訴えたと。
 これは非常に歓迎すべきことであると私は考えておるわけですが、この点について、副長官のお考えを再度確認させていただきたいと思います。
安倍内閣官房副長官 委員御指摘のとおり、自衛隊がPKO活動を行うに際しまして、現場には他国の要員もいるわけでありますし、また、国連職員そしてNGOといった人たちと同じ場所で活動する、あるいは連絡をとり合う、協力をし合うということが行われるわけであります。
 その中において、そういう活動をしていく上において、武器の使用の基準、先ほど委員御指摘のとおり、他国におきましてはaタイプ、bタイプとも認められている中にあって、我が国の武器の使用基準が統一的な行動をとることができにくい基準になっているということでございまして、統一的な基準を持つことが要員の安全を確保する上において、また円滑な活動をする上において必要ではないだろうかというのが私の従来からの考え方でございまして、その考え方において私は講演で述べたということでございます。
 しかし、現時点におきましては、政府として武器使用基準の緩和を含めた国際平和協力法の改正を予定しているわけではないわけでありますが、今後、国連PKOの実態や、また国会での議論、また国民的な議論を踏まえながら、実態に即した検討というのは常に行っていかなければいけないのではないだろうかというふうに考えております。
藤島委員 この点について、PKO事務局の方はどういうふうに考えていますか。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 今、副長官の方からも御答弁ございましたように、現時点におきましては、政府として武器使用基準の緩和を含めた国際平和協力法の改正については予定しておりませんが、しかしながら、今後、国会などにおきます御議論や国連PKOの実態を踏まえまして、必要に応じて検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
藤島委員 実態面で支障がないと事務方としては言わざるを得ない面があるんですけれども、現実に実態面として支障があるわけですね。
 それは、先ほど申し上げたように、もう既に、訓練においても、要するに一緒になって外敵に対して武器を使用するケースだってあり得るわけですけれども、その場合に同じような訓練ができないわけですね。先ほどのような枠内で、自分のところの所在する範囲の中しかやれないわけですから。そういう意味で、実態面でも私は自衛隊は支障が生じている。
 ただ、余り声を大にして言えない、言っていないというだけであって、正直のところ、本当はこんな危険な形のまま自衛隊を送ることに私は賛成じゃないんです。したがって、憲法上の解釈の問題は若干あるかもしれませんけれども、先ほど指摘したように、工夫すれば必ずあるわけです。今の政府の解釈のままでも私はある程度の工夫はできると思っております。
 したがって、国会での議論、あるいはそういう雰囲気と言いますけれども、先ほど申し上げたように、与党の中の公明党、あるいは野党の民主党、自由党も、もう既にそういう時期であるというふうな雰囲気もできてきておるわけでありますので、なるべく早く検討していただいて、国際標準並みを達成していただきたい、これをぜひやっていただきたい、こうお願いしておきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは次に、外務省の方にお伺いしますけれども、前回で私、外務大臣に質問した際、例の、曽我ひとみさんが、家族をばらばらにしたのはだれですかという問いかけに対して、外務大臣は御説明をされたわけですが、要するに結論的には、北朝鮮だ、こういうふうに言ったと理解したものですから、後、追及しなかったんですよ。それは間違いないですね。
川口国務大臣 北朝鮮に所属する人たちである、そういうことです。
藤島委員 所属する人たちというのはどういうことですか。それは北朝鮮じゃないんですか。北朝鮮そのものじゃないんですか。だって、金正日が自分の国でやったと言っているんでしょう。それが北朝鮮そのものでなくて、だれですか。所属する人々が、それぞれが勝手にやったというわけじゃないんでしょう。組織としての国家権力がやったんでしょう。であれば、国家そのものじゃないんですか。そんな詭弁はしないでくださいよ。
川口国務大臣 曽我ひとみさんの御質問が、だれですかということであったという意味で、だれかと考えたというふうにこの前お話をしたんですね。ということで、その人たちが北朝鮮に属する人たちであるということであるから、北朝鮮、そこまでがこの間の説明ですけれども、ですから、それを考えれば、北朝鮮と言ってもよかったかなと思いますというふうに申し上げたということです。
藤島委員 北朝鮮と言ってもよかったかなということは、北朝鮮だということですね。はっきりしてくださいよ。
川口国務大臣 ということです。
藤島委員 だったら最初からそう言ってくれればいいんですよ。
 ところで、ここが私は頭にきているところなんですけれども、この日の夕方、外務省首脳は、外務省首脳というのは事務次官ですよね、事務次官か大臣かしかないんですからね。外務省首脳がその同日の外相答弁について、思考の回路を説明した、撤回したのではない、こう言っているんですよ。これは外務大臣、ばかにされているんですよ。いいんですか、こんなことで。
川口国務大臣 報道でございますので、どういうことでその報道が書かれているかということをはっきり存じませんから、これについてコメントを申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思います。
藤島委員 こんなんじゃ質疑できませんよ。委員長。どうするんですか、委員長。これがうそだということですか。これは、何で私こういうことを言っているかというと、この外務大臣のスタンスが今後の拉致問題にかかわってくるからなんですよ。どういうふうな認識でいるかが、この拉致問題をどういうふうに今後外務省として扱っていくか。
 もし言いわけの方の話であって、単に回路を説明しただけだというような外務省の認識であれば、拉致問題が積極的な方向でうまく解決するはずがない。これは国家としての北朝鮮がやったんだという正確な認識があってこそ、今後この拉致問題が進展する可能性があるんであって、前のような認識でうまくいくはずがない。だから、私、外務大臣に言っておるんですよ。外務大臣がせっかく訂正して北朝鮮だと言っているのに、外務省が、事務次官以下がこういう認識で、回路を説明しただけだ、撤回していない、こんなんじゃ話になりませんよ。
池田委員長 川口外務大臣。――今手を挙げたでしょう。いいですか。――いや、委員長の言うとおり、川口さん、答弁してください。
川口国務大臣 まず副大臣の答弁を聞いた後で申し上げます。
茂木副大臣 外務省の首脳には副大臣も含まれるわけであります。それをぜひ御認識いただきたいとまず思っております。
 その上で、外務大臣、先ほどこの問題につきましては明確な答弁をさせていただきました。副大臣、事務次官初め外務省一体になり、大臣の方針のもとで行動してまいります。
川口国務大臣 副大臣が今申し上げたようなことでございます。
藤島委員 この事実関係を本当は確認してもらいたいと思いますけれどもね。こんなことじゃ、大臣が、もう何やっているかわかりませんよ。大臣は勝手に言っているけれども、事務次官は、あんなものは勝手に言っておけばいいんだ、違うんだ、撤回もしていないんだと。こんな大臣の指導力のなさで外交がうまくいくとは思えない。
 私は、そういう意味で、外務大臣には申しわけないけれども、本当に即刻やめていただいた方がいいと思いますよ。こんな、外務省をきちっと支配していないんですよ。みんなばかにされているんですよね。ただ、かたくかたく答弁しているから、まあ手がたいからいいかというぐらいで、日本の外交がうまくいくはずがない。だから、本当に可及的速やかにやめていただくことを私は求めますけれどもね。
 それはそれとして、今副大臣が言ったように、認識は、最後に言ったように、北朝鮮という国家がやったんだ、それは外務省として全体で挙げてそう思っている、これは間違いだ、こういうふうな認識だということを再々確認しておかないと、今度夕方になってまた違うことを言って、国会で答弁してきちっとしているのが何にもならない。それをよそでしていちゃどうしようもない。
 外務大臣、もう一回そこを再々確認しておきます。
川口国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございます。
藤島委員 それではそういうことで、そういう認識のもとでこの拉致問題は進めていただきたい、こう思います。
 次に、また言質をとったようなあれで悪いんですけれども、茂木副大臣に、テレビ報道で、二、三個北は核を保有しているというような発言をされておるようですけれども、これは事実ですか。報道で言っているのは知らないとすぐ言われると困るものですから、事実かどうかだけまず確認しておきます。
茂木副大臣 御指摘なのは多分週末の報道についてだと思いますが、日本の安全保障を考える上で、北朝鮮が数個の核を保有しているという前提で対応した方がいい、しかし、事実として保有しているということであれば、それは日本として許容できない問題である、検証可能な形で即時の撤廃を求めたい、こういう発言をさせていただいたと思っております。
藤島委員 どうもちょっとよくわからないんですけれども、二、三個持っているという発言をしたんですか、何かはっきりしないんですけれどもね。もう一度。
茂木副大臣 二、三個持っているとは発言しておりません。保有に関しましては、今までもアメリカも、持っている、こういう見方をしている、そして前回の三者協議におきまして、非公式な形で北朝鮮の方から保有の発言があった、それにつきましてアメリカも現在分析中であり、日本も分析中である、ただ、安全保障ということで考えると、では今後、持っていないという前提で物事を進めていくのか、持っているという前提で進めていくのかということで考えれば、持っているという前提で物事を考えていった方がよかろう、こういう発言をさせていただきました。
藤島委員 何かどうもやはりすっきりしないんですけれども、要するに、持っていないという認識よりは、持っているという認識で進めた方がいい、そういうつもりで言った、こういうことで、根拠は全然ないということですか。いやいや、根拠を聞きたいんですよね、正直なところ。根拠もないのに、ただそういう認識で進めた方がいいというのは、本当にそれは、外務省というか外交の基本的なスタンスなのかどうか。ただ副大臣がちょっとそう思ったから発言しましたというんじゃ、国民に対する影響というのは物すごい大きいんですよ、これは。
 もしそういう事実だという認識が本当に事実だとすれば、あの平壌宣言は全くインチキこの上ないわけですよね、我が国にとって。まさにだまされたわけでしょう。そういう問題になるからなんですよ。単に普通の評論家が、二、三個あるんだろうとかないだろうとか、そういう問題じゃない。
 さっき外務大臣も、個人的な発言はやはり問題なんで、外務大臣としての発言だから発言できない、こうおっしゃっているわけでしょう。都合のいいときだけ個人的な発言みたいなことで副大臣が言う。これはまた大問題ですよ。
 そういう意味で、この根拠は何なんですか。根拠もないのに推測だけで言ったのかどうか。いや、国民は重大な関心を持っているわけですからね。
茂木副大臣 北朝鮮の核保有に関しましては、アメリカからもさまざまな情報というのを収集しております。同時に日本としても情報の収集、分析も行っております。途中段階でありますけれども、北朝鮮が核を保有している可能性につきましては、現時点で完全に否定できる、こういう状態にはない、こんな認識を持っております。
 ただ、恐縮なんですが、繰り返し申し上げさせていただきますと、あくまで、今後北朝鮮とどういう対応をしていくかという中の方針として、前提としてどちらがいいのか。持っていないという前提で相手が持っていた場合というのは大変なことになってくるわけでありますから、やはり持っている可能性がある以上は持っている、こういう前提で対応策をさまざま考えていった方がいい、こういう判断について申し上げたわけであります。
藤島委員 確かに、いろいろな対応をするには、最悪の場合を考えてそれに備えてやらないかぬ、それはおっしゃるとおりだと思うんです。事こういう重大な問題は、やはりいろいろな観点から詰めて、マスコミ報道なんかじゃなくてきちっとした場でやる必要があるんじゃないかと思うんです。マスコミですと、いや、あのときはどういう趣旨だ、こうだといろいろまた言いわけする。そうじゃなくて、こういう重大なものは国会の場で正式にやるとか、あるいは外務大臣なりが公式な記者会見の場できちっとやるとか、そういう問題だろう、こう思うものですから。いや、言った根拠がはっきりしているならいいんですよ。わかっていますがね。
 そういう問題だろうということで、ひとつ、今後こういう重大な問題については、その発言の場を、きちっとした場でやっていただかないと、我々質問するにしても、何かマスコミ報道の方が本当で、ここで言うのが言いわけになっちゃう。そういうのでは、やはり国会の権威の問題もありますし、きちっと発言する場所を考えてやっていただきたい、こう思います。悪い方を考えながら外交をやっていく、それは賛成だし、ぜひそういう考えでやってもらいたいというふうには思います。
 それと、これも報道なんですけれども、ロシアが北朝鮮との関係では重要な位置を占めていると私は思うんです、それは過去のソ連と北朝鮮との関係等からしましても。この問題に関して、北朝鮮問題に関して、ロシアのかかわりについてどういうふうな役割を期待し、現在はどういうふうなロシアの考え方なのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
薮中政府参考人 お答え申し上げます。
 この北朝鮮の核開発問題というのは、アメリカだけの問題ではないということで、アメリカもずっと、国際社会全体の問題である、これは日本もまさにそういうふうに考えております。
 その中では、当然のことながら、日本、アメリカ、韓国、中国、そしてロシア、こういうのが中心の、一番関係のある国だろうというふうに思っております。そして、ロシア自身も北朝鮮に特使を派遣する等相当の外交的な努力もしてきておるということで、我々としては、引き続き、そのロシアの努力というのもあわせて、今後国際社会が一致してこの北朝鮮の核開発問題について、朝鮮半島の非核化、そして平和的解決ということに向けて努力してまいりたいというふうに思っております。
藤島委員 何か抽象的過ぎちゃってわからないんですけれども、もうちょっと詳しく説明してください。
薮中政府参考人 ロシアの役割でございますけれども、そういう意味で、すべての関係国が一致して北朝鮮の核開発は認められないんだ、そういうこと、そして平和的解決をするんだ、このことについて一致した努力が必要だ。そういう中で、ロシアの発言とかあるいは特使を出すとか、そしてまたいろいろな、国際社会、例えばIAEA等いろいろございますけれども、そういう中でも一緒にやってきておりますけれども、ロシアが我々と一緒になってこの北朝鮮の問題に対処していく、こういうことを促していきたい。日本としても、ロシアといろいろな形で、総理も行かれました、いろいろな形での協議も行っているということでございます。
藤島委員 もう少し具体的になんですよね。今ロシアはこの北朝鮮問題に関してどこでどういうことをやったとか、どういうふうな意見を言ったとか、あるいは我が国はどういう人を派遣してどういうふうにやっているとか、あるいは我が国はロシアに何も働きかけていないのなら働きかけていないと。今ちょっと今後働きかけたいというようなことをおっしゃったんですけれども、これまでどうやっているのか、具体的に、そこが何も今御答弁になっていないんですよ。それによって今後の方向も、我々もどう考えていったらいいのかということなので、もう少し具体的にそこを話してください。
薮中政府参考人 日本とロシアとの関係ということでいいますと、日ロ間、二国間では、日ロ首脳会談がございました。そしてまた、次官級協議等を重ねてきておりまして、そしてまた、国際社会の場ということでいいますとIAEAの中でも頻繁にロシアと協調してきているということ、あるいは国連の場でもロシアといろいろな意見交換を重ねてきている。これは非常に頻繁に行ってきているわけでございます。
 もし、今、何日に何ということでありましたら、また後日御連絡申し上げます。
藤島委員 今、北朝鮮については、中国と韓国との関係だけがいろいろ言われるわけですけれども、私は、ロシアというのが大変また重要な国だと思うんですね、北朝鮮に関しても。積極的に我が国から働きかける。いろいろな意味で今手詰まりになっているわけですから、その中で大変意味のある仕事をしてもらえる国でもあるというふうに思うわけでありますので、ぜひ積極的に働きかけていただきたい、こう思います。
 質問を終わります。
池田委員長 次に、松本善明君。
松本(善)委員 外務大臣に伺いますが、今、核不拡散条約、NPTの再検討会議準備委員会が先月二十八日からジュネーブで開催をされている。今、イラク戦争が起こって大量破壊兵器の問題が大きな問題になっているし、北朝鮮の核保有問題も伝えられているという中で、この会議はとても大事だと思います。
 四月の二十六日に国連の軍縮局担当のジャヤンタ・ダナパラ事務次長が、核不拡散条約再検討会議準備委員会を前にして、ドイツの公共放送ARDのインタビューで、アメリカの使用可能な新しい戦術小型核兵器の開発を厳しく批判して、核兵器は抑止力で実際に使わないものと考えられてきたけれども、長崎以来のこのタブーが米国によって破られれば、他の国やテロリストも実際に使おうとするだろうと述べて、その結果、核の地獄があらわれるということを述べました。大変重大なことだと思いますが、この報道を御存じかどうかはわかりませんが、この指摘について、外務大臣、どう考えられますか。
川口国務大臣 その報道について私は承知をしておりません。
 米国の開発をしているとされる小型核兵器ですけれども、それについても、米国がそういう決定をしたというふうには承知をいたしておりません。
松本(善)委員 それは、私は外務大臣としては非常に情勢の把握がおくれていると言ってもいいんじゃないかと思います。
 といいますのは、国連の事務次長、ダナパラさんの発言というのは根拠がある。ことしの二月に、アメリカのニューメキシコ州の民間核兵器研究組織のロスアラモス研究グループが、アメリカ国防総省が小型核兵器開発を具体化する会議をことしの八月に開催しようとしていることを、入手した同省の内部文書に基づいて明らかにいたしました。
 ラムズフェルド国防長官は、同月十九日の記者会見で、この文書の存在を認めました。ブッシュ政権は、昨年一月に議会に提出した核体制見直し、NPR報告などで、破壊力が大き過ぎて実戦使用しにくい核兵器を小型化し、使いやすい核兵器を開発する方針を掲げていましたけれども、ワシントン・ポストの三月七日付は、ブッシュ政権高官の言明として、高い爆発力の地中貫通核兵器の承認に向けてアメリカ国防総省が初めて公的な手続を開始しようとしていることを報道いたしました。
 アメリカが使用可能な核兵器の開発をしようとしているということについて、外務大臣は全否定ですか。そういうことはあり得ないということを言おうとしていらっしゃるんですか。
川口国務大臣 今委員がおっしゃっているNPTの運用会議のための準備委員会ですけれども、ここにおいて、私どもの承知しておりますのは、アメリカは現在新型の核兵器を開発していないということを言っている。そして、我が国との二国間協議を米国といたしましたけれども、その場でこれは確認を我が国はしております。
松本(善)委員 先ほど御紹介をいたしましたダナパラ事務次長、国連の事務次長が発言をするぐらいですが、それは全く根拠がないというふうに外務大臣はおっしゃるんでしょうか。
川口国務大臣 先ほど申しましたように、我が国としては、そういうことを協議をした中で確認をしているということです。
松本(善)委員 それでは、こういうふうに聞きましょう。核兵器が使用されれば、これは抑止力じゃなくて使用されれば、アメリカ以外のほかの国やテロリストも実際に使おうとするだろう、それはもう世界の核の地獄だというその指摘そのものの正当性といいますか、アメリカは外務大臣はそういうことをしていないと言われますけれども、もし使用された場合には核の地獄がやってくるという指摘については、外務大臣はどのようにお考えになりますか。
川口国務大臣 核についての米国の政策、核は抑止力という力を持っているわけですけれども、それについて、米国は、これは九五年の段階で言っていることですけれども、「以下の場合を除き、」途中を省略しますけれども、「核兵器を使用しない」ということを再確認しますということです。これは、だれに対してかというと、「核兵器の不拡散に関する条約の締約国である非核兵器国に対して、核兵器を使用しない」ということを言っているということです。
 そして、「すなわち、米国、その準州、その軍隊若しくはその他の兵員、その同盟国、又は、米国が安全保障上の約束を行っている国に対する侵略その他の攻撃が、核兵器国と連携し又は同盟して、当該非核兵器国により実施され又は支援される場合を除き、それらの非核兵器国に対して核兵器を使用しないことを再確認する。」ということを言っているということが米国の方針であるというふうに思います。
松本(善)委員 おっしゃるように、九五年に核不拡散条約を無期限延長するというふうに改定をするために、アメリカはNPTに加盟をする非核保有国に対して核兵器を使用しないという約束をしました。九五年の安保理事会決議の九八四号、非核兵器国の安全保障に関する決議。それから二番目に、包括的核実験禁止条約、CTBTをアメリカも同意をして九六年に採択をしました。三番目に、二〇〇〇年の第六回NPT再検討会議で、核兵器の完全な廃棄を明確に約束するという大きな譲歩をいたしました。これは、今一部を外務大臣おっしゃったとおりでございます。
 しかしながら、ブッシュ政権が現在採用しております核体制の見直しでありますとか国家安全保障戦略によって、これはことごとくほごにされたのではないかというふうに思います。
 一つずつ聞きますが、NPTに加盟をする非核保有国に対して核兵器を使用しないとの約束について、アメリカは七八年の国務長官声明から大統領声明に格上げをして、今おっしゃいましたように、非核保有国が核保有国と同盟してアメリカに攻撃を加えない限り、アメリカ側から非核保有国に核攻撃を加えることはないとすることを明らかにいたしました。
 NPTによって世界の大多数の国が核兵器を持たない条約上の義務をみずからに課しているときに、核保有国の側である米国が、核体制見直しなどの新たな方針のもとで、核をなくさないばかりか、自由に一方的に核使用を許されるということであるならば、核不拡散体制は核保有国のアメリカ側からこの枠組みそのものを破壊するということになると思います。
 大臣の言われた九五年はそうなんですよ。だけれども、今のブッシュ政権の方針、これは明らかに、今申し上げましたように、核体制の見直しとか国防報告で、核兵器を使用するという方向に動いていることは明白なんですよ。それを全部外務大臣は否定するつもりですか。
川口国務大臣 米国の先ほど申し上げたような、私が御説明したような政策、これについては変更がないというふうに承知をしております。
 それについては、また米国もいろいろな場でそれを表明してきているわけでして、一番直近のところで申しますと、例えば二〇〇二年の二月二十二日、二が並んでいる日ですけれども、このときにバウチャー報道官が国務省の定例記者会見で、米国はNPT加盟国であるいかなる非核兵器国に対しても核兵器を使用しないことを再確認するということを言っているわけでして、先ほど申しましたように、米国の方針、これについての変更はないと私どもは承知をしております。
松本(善)委員 国連の事務次長までこれを疑っているわけですよ。私は、もし外務大臣の言うとおりであるならば、核兵器の先制使用を禁止する、非核保有国に対する核兵器の使用、威嚇の禁止を拘束力のある合意とするために、緊急の課題としてこの会議で取り上げるべきだ。日本政府は、唯一の被爆国の政府としてこれをやりますか。
川口国務大臣 我が国は、唯一の被爆国でございますから、核兵器のない平和で安全な世界ということを目指して外交努力を展開しているわけでございます。それで、NPTを基礎とする国際的な核軍縮、不拡散体制を維持強化することは、我が国の安全保障体制という観点からも重要な意味を持っているということであると思います。
 それで、今のお話についてそういう全体的なお話をした上で申し上げるわけですけれども、一般論として考えましたときに、核兵器国が非核兵器国に対して核の不使用を約束するということは、国際的な核不拡散体制の強化という観点からは好ましい影響を与えるというふうに考えております。
 他方で、現実の国際社会では、いまだに核戦力を含む大規模な軍事力が存在をしているわけでありまして、核兵器だけを他の兵器と切り離して取り扱うということをしても、それは現実的ではないというふうに考えます。かえって抑止のバランスを崩して安全保障を損なうということもあり得るわけでございます。
 このように、安全保障にかかわる問題を考えるときに当たりましては、関係国を取り巻く諸情勢に加えまして、核兵器等の大量破壊兵器あるいは通常兵器、そういったものの関係も総合的に考えていかなければいけないというふうに思っています。
 いずれにしても、冒頭申しましたように、我が国としては、被爆国といたしまして、核兵器が使われるような事態が二度とあってはいけないというふうに考えているわけでございます。核軍縮の維持、不拡散体制の維持強化、こういったことについては、外交努力を重ねていって、核兵器を必要としない平和な国家、国際社会ができるということを望んで努力をしているわけでございます。
松本(善)委員 外務大臣が答弁されているように、アメリカは小型の核兵器の、使用可能な核兵器の開発をしていない、それから使用もしないというんだったら、この再検討会議でそのことをはっきりと明らかにする、非核保有国についてですよ、それは当然のことじゃないですか。なぜ日本政府はそのことを要求しないんですか。今、ほかの大量破壊兵器のことも考えなければならないからやらないようなことですが。
 もう一回はっきり聞きますが、非核保有国に対して核攻撃はしない、核不使用ということをはっきりこの国際会議で決める、そのために日本政府はイニシアを発揮するということはしないということですか。端的に、はっきりお答えいただきたい。ちょっとそれは外務大臣の権威にかかわりますから、きちっと外務大臣からお答えいただきたいと思います。
川口国務大臣 我が国として努力は重ねている、そして核兵器が二度と使われないような、そういう社会になるということは好ましいというふうに考えております。
 そして、米国もそういった方針を持っているということではありますけれども、核についてまだ、先ほど申しましたように、国際社会では大きな核兵器を持っている国もあるということですし、通常兵器とのバランスもあるということを今考えないといけないということだろうと思います。
 我が国として、できるだけそういう方向に、非使用という方向に持っていくということは好ましいというふうに考えておりますけれども、今の時点でそれを強制的な、条約なりなんなりに直ちにすることを提案するということは考えていないわけです。
松本(善)委員 これは、既にアメリカは大統領声明で言っていることなんですよ。それをやらないというのは、私は、唯一の核被爆国の政府としては何ということだろうかというふうに思います。
 もう一つ聞きます。二〇〇〇年の第六回NPT再検討会議で、先ほどもちょっと申しましたが、アメリカは核兵器の完全な廃棄を明確に約束するということをしましたけれども、核兵器廃絶の方向を実現するために、この会議でこれをさらに発展させる、今行われている会議で核兵器廃絶の課題を真っ正面から取り上げるということをしますか。これは日本政府の方針として伺います。
川口国務大臣 二〇〇〇年のNPTの運用検討会議で、全面的な核廃絶に向けた、核兵器国による明確な約束が合意をされたわけでして、これについては、我が国として高く評価をしております。また、昨年日本が国連総会の第一委員会に提出をいたしまして、国際社会でも圧倒的な多数の支持を受けまして採択された核軍縮決議案がございますけれども、ここでも明確な約束の重要性を強調しているということでございます。
 我が国は、核兵器のない平和で安全な世界の構築ということを目指しているわけでございまして、毎年、国連総会で核軍縮決議案の提出、そしてCTBTの早期発効に向けた働きかけ等の積極的な外交を行っているということでございまして、今後とも、こういった努力を着実に積み重ねていきたいというふうに考えております。
松本(善)委員 この問題を取り上げますのは、やはり核保有国と非核保有国、核保有国が五カ国だけ、これは特権的に核保有をしている、そして他の国には核保有を認めないという、この矛盾というのが非常に明らかになってきています。核保有国の側で非核保有国その他の国の安全を保障する、そして核兵器の廃絶という方向へ向かうということなしには、この核不拡散の問題は成功しないんですよ。それで聞いているわけですが、ちょっと角度を変えて聞きます。
 この核不拡散を追求することは、あくまで平和的に、しかも疑惑があったとしても、NPT第三条で、原子力が核兵器に転用されることを防止するために、国際原子力機関による査察などの保障措置を定めているというように、国連主体の査察によって対応するということが不可欠な要件だと思いますが、外務大臣、いかがお考えでしょうか。
川口国務大臣 IAEAによる査察の枠組みというのは重要な役割を果たしていると思います。
松本(善)委員 国際社会において核不拡散をつくり出していくということは、非核保有国の納得と合意が不可欠であります。こうした納得と合意をつくり出すのは、あくまでも国連を主体にした平和的な話し合いによる対応が大前提です。
 イラク攻撃はこうした大前提を一方的に破り捨てて、査察という平和的手段ではなく、国連安保理事会の支持と承認を得ることなく、米英両国の圧倒的な軍事力でイラク政権を崩壊させました。しかも、戦争の理由としていた大量破壊兵器はいまだに発見をされておりません。
 軍事攻撃の大義は全くない、これはロサンゼルス・タイムズなども指摘をしているところでありますが、この結果は、改めて、国連の査察というものが非常に重要だ、これは武力で解決すべきではなくて、国連の査察でやるべきことだということを再確認させるものであったと私は思いますが、外務大臣はこの点についていかがお考えですか。外務大臣にお聞きしたいと思います、これは外務大臣として考えていなければならぬことなんだから。
川口国務大臣 イラクのことについて言えば、政府の考え方についてはもう前々から申し上げているとおりですけれども、イラクが大量破壊兵器の問題あるいは他の問題について、十二年間、国連の決議を破ってきた、守ってこなかった。最後の機会、イラクとして身の潔白を示す最後の機会を与えられても、なおかつそれに従わなかったという現実があって武力行使を余儀なくされたということであって、査察をこのまま続けていたとしても、これはブリクス委員長が言っているとおり、まさにイラク政府のプロアクティブな協力がなければ効果を生まない、また、米国等の武力の存在が周辺にあって圧力をかけるということでなければ効果を生まないということは、ブリクス委員長も言っているとおりであります。
 したがって、査察の強化ということは、これはさっき委員がおっしゃったように、まさに原子力が武器に転化をされないということを確認するという意味で、それはそれで重要ですけれども、査察をもってイラクの問題が解決をしたわけではない、そうということは考えられなかったということで、国連の決議にのっとって武力行使をするのやむなきに至ったということだと考えております。
松本(善)委員 それは再々外務大臣は言われるんですけれども、それはもう説得力がないんですよ。ネグロポンテ国連大使、アメリカの国連大使自身が、隠された引き金はないと。でも、はっきり、今度のイラク攻撃は隠された引き金ですよ、新しい決議なしにやっているのは。これは明白だと思います。
 このことについて、今ブリクス委員長のことも話をされましたが、イラクについては、国連監視検証委員会、UNMOVICのブリクス委員長は、安保理決議に基づく、合法的な権限を持つ査察団による査察再開を今求めています。それから、EUもロシアもこれを支持している。アナン国連事務総長も、査察は戦争のために中断しているだけという立場を明らかにしております。
 外務大臣は、もうイラクについては国連による査察は必要ないというお考えですか。
川口国務大臣 日本政府としては、イラクにおいて査察はもはや必要ないという立場は必ずしもとっておりませんけれども、どのようにイラクに対して査察を入れていくか、これは国際的にさまざまな意見があるわけでございまして、また、散発的にではありますけれども武力行使がある状況であれば、物事は現実的に考えなければいけないということだと思います。
松本(善)委員 国連の査察が必要だということは再度確認、おっしゃいましたけれども、いいですね。ただ、現実に今できるかどうかは別だと。
川口国務大臣 査察のやり方、どういう状況で、イラクにおける大量破壊兵器の廃棄にどういうようなやり方で国連の査察をかませていくか、これについてはいろいろな考え方があると思います。必ずしも、武力行使の前に行われていたやり方、これがいいかどうか、適切であるかどうか、現実的であるかどうか、これはさまざまな観点から国際社会で今後議論されるべき問題であるというふうに考えております。
 どこかの時点で国際社会の関与があるということは大事だと思っておりますけれども、それが今までの国連の査察という形、今まで行われていたような形をとるかどうかということ、それを申し上げているわけではないです。
松本(善)委員 ちょっと確認しておきますけれども、例えばアメリカが何か大量破壊兵器をいまだに発見できないでいて、発見したというふうに言ったとしても、これは公的なものじゃないんですよ。やはり国連がきちっと査察をしなければ公的なものにならない。そういう意味で、国連の査察が必要だと。あなたは今、やり方はいろいろある、こういうふうにおっしゃいましたが、やり方はいろいろあるにしても、国連の査察で公的な査察が必要だということは確認できますか。
川口国務大臣 日本政府として、何らかの国際社会の関与は必要だというふうに考えております。
 ただ、このことについて言えば、例えばブリクス委員長が何を言っているかということですけれども、現在の治安情勢は文民による国際査察活動が可能なほど安定しておらず、UNMOVIC設立の前提条件の幾つかは変わってしまった、そして、連合軍当局が大量破壊兵器発見のためのユニットを設立したことは、安全確保の観点からも大量破壊兵器の撲滅という戦争目的の論理の観点からも当然であり、その成功を希望する、UNMOVIC及びIAEA関連決議は現下の情勢を念頭に置いたものではないので機械的に適用することはできない、したがって今後の活動については安保理の新たなガイダンスが必要であるということを言っているわけでございます。
 我が国としては、国際社会の関与は重要であると思っていますけれども、どういう形かということについては、これはまさにこれからの検討課題であるというふうに考えているわけです。
松本(善)委員 形といいますよりは、核不拡散の問題にしても、やはり査察というのは非常に重要なんですよ。国連の査察というのは決定的に重要だと思います。
 だから、この問題についても、形というのは国連の査察を前提にした形でしょう。そのことが何かどうしても余りはっきり確認されないような感じなんですけれども、そのことは確認されるんですね。形はいろいろあるかもしれぬが、国連の査察が必要だということは確認されますね。
川口国務大臣 国連の関与が望ましいというふうに考えますけれども、それはブリクス委員長が言っているように、まさに今後安保理の新たなガイダンス、これによるというふうに考えます。
松本(善)委員 国連の関与は望ましいというのは、それ以外のこともあるということなんですか。
川口国務大臣 あるともないとも、こういうことがあるではないかということを申し上げる立場にはありませんけれども、まさに安保理の新たなガイダンス、ですからそこでどういう答えが出てくるかということであって、あらかじめ何かを排除するとかそういうことではないという意味で申し上げているわけです。
松本(善)委員 どうもはっきりわからないですね。ちょっとした留保をしていらっしゃるということがわかりませんが。
 私は、今こそやはり国連の果たす役割、先ほど来IAEAについてもそうでありますけれども、国連の査察ということでやはり平和的に解決をするということを今やらなければならない。核兵器の廃絶についても私はそうだと思います。このことを強く強調し、この問題についてはまだ若干やり残したこともありますが、何かの機会にあとはやるということにして、時間ですから終わりにしたいと思います。
池田委員長 次に、東門美津子さん。
東門委員 社会民主党の東門でございます。よろしくお願いいたします。
 四月十六日の本委員会で米軍の水中爆破訓練について質問をいたしましたが、けさの沖縄タイムス紙には、米軍が本日五月七日から十二日までの間、沖縄近海を中心とする東シナ海五カ所の海域で水中爆破訓練を実施するということが、昨日外務省と第十一管区海上保安本部から県に連絡があったとの報道があります。水中爆破訓練の禁止を要請している県漁連は、安全操業の面から許されないと反発を強めております。外務省は、米軍から、漁船は訓練水域に入って漁をしても問題ない、天然資源や周辺環境に与える影響はないとの回答があったと説明しています。
 そこでお伺いいたしますが、米軍から外務省に訓練について通知があったのはいつなんでしょうか、一点目。そして二点目、訓練の目的、あるいは使用爆薬やその量などは把握しておられるのでしょうか。さらに、月一回の割合で行われている訓練で天然資源や周辺環境に与える影響がないということは、米軍がそう言っているのだからそれでいいというお考えなのか。その三点についてお願いいたします。
海老原政府参考人 お答えいたします。
 まず、米軍から今回の訓練につきまして通報がございましたのは昨日でございます。それから、期間につきましては本日から行うということで聞いております。
 それから、訓練の具体的な内容でございますけれども、これは爆薬を使った訓練だということは聞いておりますけれども、それ以上の詳しい内容については、これは米軍の運用というようなこともございまして、我々は承知はいたしておりません。
 肝心なことは、今まさに東門委員がおっしゃいましたように、我々の漁業資源に対する影響がない形で行われなければならない。これは国際法上も当然そうしなければならないということでございまして、今回は特に、我々が水産庁から聞きましたところでは、同海域におきまして漁船が七十八隻ぐらい操業しているということを聞きましたので、すぐアメリカ側にそれを我々の方から伝えまして、それにつきまして米側から改めて書簡をもって、そのような漁船が操業しているということについては確かに承知をしましたと、我々としては、その訓練の仕方それからそのタイミングといいますか、少なくとも漁船が影響を受けるようなところにいるときには一切訓練は行わないし、それから、訓練そのものについても漁業については影響がないというふうに考えているというようなことを書面で回答がありましたので、それをもってそのような要件は満たされているというふうに判断した次第でございます。
 三番目の、今までの訓練の漁業への影響ということでございますけれども、これは、先ほど申し上げましたように、そもそも影響がないような訓練の仕方、訓練のタイミングということでやっているという米軍の説明を受けておりますし、たしか前回、この外務委員会だったと思いますけれども、水産庁の方からも、今までこの訓練に関連して漁業への影響が出たという報告は受けていないという御答弁があったというふうに記憶をいたしております。
東門委員 どういう爆薬が使用されているかとか、あるいは量がどうなっているか、全然チェックしないで、米軍が文書でそういうふうに言ってきたのでそれを了としたということだと思うんですが、それで政府としてはいいのでしょうか。漁民が、実際そこで仕事をしている人たちが不安を訴えている。そして、確約は、何の根拠で、これは大丈夫だ、全然影響がないと言えるのか、とても理解できないんですよ。今の北米局長の答弁は、アメリカ軍がそう言っているからそれでいいというふうにしか伺えないんですけれども、本当にそれでいいのかなということ。
 それから、水産庁の答弁についても、被害届がなかったからそれでいいと。それも同じですか。被害届が出されていないから影響がなかった、あったという報告がなされていないのでそれでいいじゃないかということなんでしょうか。もう一度御答弁をお願いします。(発言する者あり)
池田委員長 御静粛に願います。
海老原政府参考人 今の点でございますけれども、基本的には、繰り返しになって恐縮でございますけれども、米軍の方は、漁業に間違っても影響が出ないように細心の注意をして、そのような手だてを講じた上で訓練を行う。具体的に言えば、まず、訓練を行う前に周辺をチェックして、漁船がないということを確かめて、万一漁船がいるということであれば訓練を行わないという形で行う。
 また、訓練の内容につきましては、今、確かに東門委員がおっしゃいましたように、我々、その詳細までは承知をしていないわけでございますけれども、これは、そもそも漁業に影響を与えるような形の訓練は行わないということを米軍が言っておりまして、米軍は書簡の中で、あくまで国際法にのっとった形で行うということも言っているわけでございまして、我々としては、同盟国である米国が国際法にのっとって行うと言っている限り、そのようなものとして行われるのであろうというふうに考えているということでございます。
 漁業の被害につきましては、水産庁からそういう御答弁があったということを私申し上げただけでございまして、私として、全く影響がなかったということを独自に確認する立場にはございませんので、そういう答弁があったということを申し上げただけでございまして、我々としては、米軍が漁業に影響のない形で訓練を行うということを強く米軍にも申し入れておりますし、また、米軍もそのような確約をしているということでございます。
東門委員 質問を変えていきますが、四月二十七日に実施されました沖縄県宜野湾市長選で、普天間飛行場の県内移設に反対をして、米軍部隊の海外分散などによる普天間飛行場の五年以内の早期返還を目指すことを公約に掲げた伊波洋一氏が当選しました。これは、SACO合意で約束された七年が過ぎても米軍のヘリや航空機が飛び交い、住民は騒音と危険にさらされたままであるという状況に何の変化も感じられない、住民のいら立ちと怒りのあらわれです。
 大臣は、今回の宜野湾市長選により示された住民の意思をどのように受けとめておられるのでしょうか。
川口国務大臣 選挙の結果については承知をいたしております。
 このSACO合意でございますけれども、普天間飛行場の問題について、そもそも、平成八年の時点で、橋本総理とモンデール駐日米国大使との間で会談がございまして、五年から七年の間に普天間飛行場が全面的に返還されるということで合意がされたわけでして、この年の十二月に、この合意を受けて、SACOの最終報告が取りまとめられたわけでございます。
 その後で、当初の海上ヘリポート案がとんざをするというようなことがございましたが、平成十一年の稲嶺知事による移設先の候補地の表明、そして、岸本名護市長による受け入れ表明、これを受けまして、この末、この年の終わりですけれども、年末に、政府として、移設候補地をキャンプ・シュワブ水域内名護市の辺野古沿岸区域とするという方針を閣議決定いたしました。
 それで、この閣議決定に基づいて、平成十二年八月には、県知事や名護市長やそういった地元の首長の方の参加を得て代替施設協議会を設置して、協議を積み重ねて基本計画が決定をされた、そういう経緯があるわけでございます。
 政府といたしましては、普天間飛行場の地元の周辺の地域の方々、この方々の思い、いろいろあるわけでございまして、この方々の御不安、これを解消したいという観点で、地方公共団体の方々と十分に協議をしながら、全力でこの問題には取り組んでいきたいというふうに考えております。
東門委員 私の質問には何かストレートにお答えいただけなかったんですが、まあ、よろしいでしょう。
 普天間飛行場移設問題の原点になりますが、それは、七年前の一九九六年四月十二日の橋本・モンデール合意にあります。それは今大臣もおっしゃっておりました。そして、この問題で最も重要なことは、五年から七年以内という期限だったはずなんですね。
 普天間飛行場は住宅地の真ん中にあって、住民の生命財産が非常に危険な状態に置かれており、早急にこの危険性を除去しなければならないとの認識で日米が一致してこの合意に至ったのであり、肝心なことは、移設先をどこにするか、あるいは代替施設をどのようにするかではなく、五年から七年以内という期限つきで返還が合意されたということでした。
 現に、橋本・モンデール合意の時点では、代替ヘリポートは既存の米軍基地内に建設するという話となっており、辺野古へ移設するという話は出ていません。
 政府は、SACO合意の着実な実施といつも言っていますが、この期限が守られなければSACO合意の存在価値はありませんよ。返還期限の七年が過ぎた今になっても、政府は、環境アセスにあと三年、あるいは建設期間は九年半などと言っているわけです。今後さらに十数年間、普天間の周辺住民に危険と隣り合わせで暮らしていけというのでしょうか。
 期限が守られなかったその責任を政府はどのようにとるおつもりなのか、川口大臣からお聞きしたいと思います。
川口国務大臣 普天間飛行場は、私自身も、前に、実際にこの目で見させていただきました。周りの住民の方の不安、これは大変に大きなものがあるというふうに思っています。できるだけ早くこの御不安の解消をするということが大事だというふうに思っています。
 それで、今までの過程で、地元の公共団体の方々と十分に協議を重ねながら今までの過程を歩んできたわけでございまして、今後も、そういう過程を経ながら、全力で取り組んでいきたいというふうに考えています。
東門委員 これまでの政府の姿勢というのは、公共団体の皆さんの意見を伺いながら、地元の人の意見を聞きながらといいながら、政府がどんどん押し込んでいっているということであるということは大臣御承知だと思います。それをあえて言っておきたいと思います。
 今回、名護市辺野古への移設についてですが、それは、知事も名護市長も、十五年期限が受け入れられないなら着工は認めないと言っています。それはもう既に御存じですよね。そして、米国は十五年期限を受け入れる気持ちは全くありません。それも大臣はよく御存じです。政府が米国を説得して、十五年期限問題を米国に承知させることができないならば、名護市への移設はもはや不可能であり、SACO合意は既に破綻しているということになります。
 それにもかかわらず、政府は今後十年以上かけても名護市に代替施設を建設する方針のようですが、その間、普天間飛行場の周辺住民の置かれた危険な状況をそのまま放置することは許されません。外務大臣にとっては単なる外交案件の一つであり、SACO合意の着実な実施と繰り返し繰り返し言っていれば済むのかもしれませんが、そこに住んでいる者にとっては、毎日の生活に直結し、何かあれば命の危険にもつながる切実な問題なのです。
 伊波新市長の、県内移設に反対の立場で、五年以内の早期返還を目指すという公約が受け入れられた背景にも、平和で静かな日常生活を求める住民の切実な思いが根底にあります。政府としては、住民の痛みを少しでも和らげるため、何らかの負担軽減措置を考えるべきではないかと思われますが、大臣、いかがでしょうか。
川口国務大臣 先ほども申しましたけれども、この問題について、地元の住民の方が不安に思っていらっしゃるということはよく私も理解をしております。そして、一日も早くこの住民の方々の不安を解消するということが大事であるということは強く思っております。
 そういう意味で、この移転の問題、十五年期限の問題につきましては、今までも日米の会談の折に、ごく直近では例えば2プラス2というのもございますけれども、取り上げてきたところでございます。
 今後、今までの、地元住民の方々と相談をしながらこの過程をやってきたわけでございまして、地元の方々との御相談をきちっとしながらこれをやっていくという方針に全く変更はなく、最善の努力を尽くすつもりでおります。
東門委員 今回の市長選挙で、宜野湾市民がしっかりとした回答を出したんですね。五年以内の早期返還を目指すとはっきり公約をした伊波市長に対して、それでいってほしい、もうこれ以上この基地との、危険と隣り合わせの生活は御免ですということをはっきり見せているはずです。
 それを気づかないふりをしてこれからもずっと住民の意見を聞きながらということは、大臣にはやる気がないとしか思えない。アメリカの方さえ向いていればいいという感じにしか聞こえない。とても残念です。これが我が国の外務大臣なのかなと思うと残念です。いや、ひょっとしたらアメリカの外務大臣なのかなと思うくらいです。
 そこで、伺います。基地の閉鎖です。
 もう一つの選択肢だと思うんですね。あくまでも県内移設、辺野古への移設ばかりを繰り返すから見通しがきかないんだと思うんです。閉鎖ということを考えたことはないのでしょうか。それを伺いたい。普天間基地を閉鎖して、早期に返還をしてもらう、そういうことは、国として議論をするとか、したことがあるとか、あるいはそういう方向も考えてみたいとかということはあるのでしょうか。
海老原政府参考人 普天間の基地につきましては、これは先ほども外務大臣が申し上げましたように、市街地の真ん中にあるということから、特に周辺の住民の方々に非常に不安を与えているし、危険もあるだろうということで、それを移設するということでございますけれども、だからといって、普天間の施設・区域の重要性と日米安保の運用という観点からの重要性というものが低いということではもちろんないわけでございまして、その普天間の施設・区域の重要性にかんがみまして、それをそのまま閉鎖するという議論はなかったというふうに承知をいたしております。
東門委員 時間がかなり限られていますので、答弁は本当に聞かれた部分だけ、質問された部分だけ答えていただきたいと思います。
 では、その件について伺いますが、アメリカは、米国内外の米軍基地を閉鎖する際、閉鎖する基地にかわる新たな基地を建設したという事例がありますか。要するに、この基地を閉鎖するのでその分をそっくり別の箇所に持っていってというような閉鎖の例がありますか。局長で結構です。
海老原政府参考人 今ちょっと資料がございませんので、承知いたしておりません。
東門委員 その件についてはぜひ資料を出していただきたいと思います。
 アメリカの国内外の基地の閉鎖にかかわって、統合だとか機能分散というのはあると思いますが、新たな基地をつくってそこにそのまま丸ごと移すというような、今政府がもくろんでいる、普天間をそのまま辺野古に持っていく、あるいは機能強化をしようとしている、そういう例があるかどうかをぜひ出していただきたいと思います。資料は後でいただきます。
 普天間代替施設の建設予定地とされている名護市辺野古において、四月八日、那覇防衛施設局による現地技術調査が実施されましたが、その前日の七日、名護市議会への説明会において、翌日に調査が開始されることを明らかにせず、夕方になって突然、報道関係者に対し八日の調査開始を発表しています。
 政府は常日ごろ、地元の声を反映するなどと言いながら、実際にやっていることはこのとおりなんですよ。このような地元軽視の姿勢は絶対に受け入れることはできません。政府は今回の調査開始までの手続が適切だったと思っておられるのか、事前に十分な情報公開をすべきだったのではないかと思いますが、防衛施設庁長官、おいでですからお願いします。
嶋口政府参考人 お答えいたします。
 端的に申し上げますけれども、私ども、四月七日の市議会に対する説明に際して触れなかったことは事実です、調査開始日について。しかしながら、これは隠す必要もなく、隠すつもりも一切なかった。
 若干の経緯を申し上げますと、本年の一月二十八日に代替協議会を開きまして、その際に、四月の上旬に調査を開始しますということはお話しした、県も市も入っていましたから。そういうことを前提にしております。市の方から現場の方に丁寧に説明してくれということでありましたから、辺野古区だとかそれから市議会に説明したということでございまして、市当局に調査開始日については連絡しておりますから、当然市の方から連絡があるものと。私ども、中身について御説明しよう、できるだけ丁寧にしよう、触れなかったことは事実でありますけれども、隠す気は毛頭ございません。
東門委員 代替施設建設のような、埋め立てを行う、大規模工事を行う場合ですが、真っ先に行わなければならないのは環境影響調査、アセスメントであるはずです。それなのに、環境アセスメントがまだ方法書作成という初期作業の段階であるにもかかわらず、代替施設の護岸構造検討のための現地技術調査が先行していることに非常に違和感を覚えます。
 政府は、これらのデータは環境影響評価等の基礎資料としても役立つと説明していますが、アセスメントに必要なデータであるなら、アセスメントの一環として調査すべきだと思います。そのデータをアセスで着工が認められた後に護岸構造の検討のために利用するというのであればわかるわけですが、政府の言っていることは本末転倒だと言わざるを得ないと私は思います。
 現地技術調査には、ジュゴンに影響を与えるおそれのある音波による地形調査や六十三カ所のボーリング調査も含まれており、調査自体が環境に非常に大きな影響を与えることが懸念されています。
 環境保全の観点からも、また環境アセスメントの実効性を確保するためにも、このような現地技術調査が先行することは問題ではないかと思われますが、環境省の認識を伺って、その後防衛施設庁長官の御意見も伺いたいと思います。
炭谷政府参考人 まず、今月八日に着手されました現地技術調査につきましては、防衛庁の方から、護岸構造検討に必要な地形、海象、気象及び地質データを収集するために実施するものというふうに聞いております。したがって、事業とは別のものというふうに伺っているわけでございます。
 御指摘のボーリング調査でございますけれども、地質調査として今後作業を開始すべく、防衛庁において具体的な作業計画を検討されておると伺っておりますけれども、本年一月の第一回の建設協議会におきましても、防衛庁から、この調査の実施に当たりましては、地域の生活環境や自然環境に十分配慮しながら作業を進めていくという御発言があったところでございます。環境への影響ができる限り少なくなるよう措置されるものと考えているわけでございます。
 環境省といたしましては、調査の実施そのものに伴う環境への影響を回避し、または低減するため、ジュゴンや藻場等への影響を含め、可能な限り環境への影響の少ない調査方法が選定されることが重要であると考えております。防衛庁から現地技術調査について説明を聴取し、必要に応じて環境保全の観点から助言を行ってまいりたいと考えております。
嶋口政府参考人 お答えします。
 一点目の現地技術調査と環境影響評価の関係であります。
 これは、同時並行で両立するものでございます。技術的に関係ございません。ちなみに、中部空港でも同じような手法がとられています。では、なぜこういう方法をとるかということでありますけれども、私どもといたしましては、できるだけ普天間返還の実現を急ぎたいということで、効率的な方法をとりたいということで二つに分けて同時並行でやっているものでございます。他意はございません。
 環境影響につきましては、ボーリング調査といえども環境に与える影響はできるだけ小さくしたいということでございまして、具体的に言いますと、同時にやるものではなくて、四段階に分けて、四区画に分けて順次やっていこう。それから、ジュゴンは夜行性ということでございますので、夜の工事はやめよう、昼間だけに限定しよう。それから、泥だとか油漏れを防ぐためのオイルフェンスを設置して、そういう汚染がないようにしよう。それから、具体的なボーリングの場所も海底の写真を撮るなどしてできるだけ影響の少ない方法でやりたい。
 その点につきまして、専門であります環境省とも相談しながら、また県とも相談しながら着実にやっていければ、このように考えています。
東門委員 今、お二人の御答弁を聞いていますと、何となく全然問題がないというように聞こえるんですが、決してそういうことではないと思うんです。環境に与える影響というのはすごく大きいものがあるということが地元の皆さんの、あるいは環境の専門家の方々の御意見であるということ。私も今答弁をお聞きしましたけれども、改めて、この件についてはもう一度取り上げていきたいと思います。
 環境アセスメントの結果、代替施設建設は問題であるとの調査結果がまず出た場合、建設計画を見直すことになるはずなんですね。それなのに、四月から始まった現地技術調査は、計画どおりの護岸構造を前提としたものであり、六十三カ所のボーリング調査などは実質的な工事着工ともいうべき大規模なものです。
 それで伺いますが、防衛施設庁は、環境アセスメントにより計画変更を求められることは絶対にないという前提で動いているのでしょうか。
嶋口政府参考人 これから環境影響調査をやって、どのような影響が出るかというための調査をやっている段階でありますので、結果がどうのこうのということを今の段階で申し上げるのは適切ではないと思います。
東門委員 いや、それはあり得るということで考えないといけないと思うんですね、計画見直しもあり得ると。だから、そうではなくて、もう絶対にやるんだ、突っ走るんだということで動いているのですかという質問だったんです。
 もしアセスメントで計画の見直しを求められた場合、それはないのかもしれません、でも、もし求められた場合、現地技術調査につぎ込まれた費用はむだになるということになりますよね。その責任はどうなるのでしょうか、だれがとるのでしょうか。
嶋口政府参考人 いきなり責任とか言われますけれども、私どもは普天間返還をできるだけ早期に実現するために、また、地元の皆様方の了解も得ながら、自然環境、騒音環境、そういうものに万全を期してこの飛行場をつくりたいということをやっておる段階でありまして、それを失敗したらどうのということを現段階で申し上げるのは、大変申しわけございませんがお答えできません。
東門委員 環境省に伺います。
 私、今の防衛施設庁の調査等の進め方なんですが、とても疑問に思うのですが、もしこのようなやり方でいって、そういうのが許されるのなら、これは環境アセスメントの形骸化になると思うんです、環境省の存在意義も問われることになります。
 ことし一月の代替施設建設協議会において鈴木環境大臣は、「本協議会においても、環境保全の観点から必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。」と発言していました。それは先ほどの答弁にもあったとは思いますが、しかし、代替施設建設協議会の中だけではなくてあらゆる機会をとらえて、ジュゴンのすむ辺野古の海の環境を守るため積極的に発言していかなければいけないと思いますが、環境省、見解をお伺いいたします。
炭谷政府参考人 普天間飛行場の代替施設の建設に当たっての政府の方針といたしましては、住民生活及び自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うということを基本に進めているわけでございます。
 先ほど委員からも御指摘がありましたように、その旨の環境大臣からの発言を今年一月にいたしたところでございます。また、防衛庁長官におきましても最大限の努力を行う旨の答弁をいただいているところでございます。
 このために、環境省といたしましては、今後実施される環境アセスメントの手続の中で審査を行うということも行ってまいりますし、また、代替施設建設協議会に出席をいたしまして、今後とも必要に応じて環境保全の観点から助言等を行ってまいりたいというふうに考えております。
東門委員 最後の質問です。
 普天間飛行場の返還は、米軍にとっては市街地の真ん中にある老朽化した使いにくい施設のかわりに最新の施設を手に入れるものであり、那覇軍港の移設も同様です。
 三月にキャンプ桑江の北側地区が返還されましたが、米軍は見返りにキャンプ瑞慶覧内に最新設備の海軍病院と高層住宅を手に入れています。基地の返還といっても、結局は老朽化した施設を最新の施設に置きかえているだけであり、沖縄県内でのたらい回しにすぎません。このような構造がある限り、部分的な土地の返還はあっても、根本的な基地の整理縮小にはつながりません。
 このような構造の大きな原因の一つが、いわゆる思いやり予算であります。
 キャンプ桑江の返還に際しては我が国の予算で米軍の高層住宅を建設しましたが、米軍人の住宅は昭和五十三年までは米軍自身が負担していたものであり、いわゆる思いやり予算として昭和五十四年から日本側が負担するようになったものです。また、地位協定の特別協定では、基地従業員の給与や米軍施設の光熱水料もすべて日本側が負担しています。米軍は何の痛みも感じません。
 このような構図が米軍の施設返還をおくらせ、基地の肥大化につながっているのです。もし、いわゆる思いやり予算をすべてなくし、住宅建設も基地従業員の給与も光熱水料もすべて米軍が負担するようにした場合、それでも米軍は現在と同じ規模の基地の提供を要求するでしょうか。
 思いやり予算が基地の整理縮小の阻害要因になっているのではないかという観点からの質問です。外務大臣の認識を伺いたいと思います。
川口国務大臣 基地の問題で沖縄の県民の方が非常に大きな負担を実際にしょっていらっしゃるということについては、非常に私としても申しわけないというふうに思っておりますけれども、他方で同時に、日米安保体制、これの円滑な運用を確保するということは非常に重要なことであると思います。
 いわゆる思いやり予算についてのお話がございましたけれども、政府としては、この予算は日米安保体制の円滑な運用を確保するということに必要な予算であるというふうに思っております。
 当然のことながら、現在我が国は財政的にも厳しい状況にありますので、そういう観点を反映しながら、この問題は我が国としても、予算は、措置をするに当たっては考えておりますけれども、それ自体は必要であるというふうに考えています。
東門委員 大臣のお話を伺っていると、何か情けないという感じです。日米安保体制というのは思いやり予算がなければだめなんですかということですよね、大臣。思いやり予算がなければ日米安保体制の維持はできないということなんですね。もう一度お伺いして、終わります。
川口国務大臣 日米安保体制というのは、我が国の安全保障にとって非常に重要な体制であります。そして、極東の平和と安定のためにも重要なことであります。これを効果的に運用するということは我が国の国益であると思います。
 他方で、この負担が沖縄県民の方に非常によるところが多くなってしまっているということについては、できるだけ御負担を軽くするための努力は必要だということは考えております。
 ただ、この思いやり予算というのは、そういった日米安保体制の効果的な運用、このために適切であるというふうに考えているということを申し上げたわけです。
東門委員 終わります。
池田委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
池田委員長 次に、使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約の締結について承認を求めるの件、過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約第一条の改正の受諾について承認を求めるの件及び国際民間航空条約第五十条(a)の改正に関する千九百九十年十月二十六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣川口順子君。
    ―――――――――――――
 使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約の締結について承認を求めるの件
 過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約第一条の改正の受諾について承認を求めるの件
 国際民間航空条約第五十条(a)の改正に関する千九百九十年十月二十六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
川口国務大臣 ただいま議題となりました使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この条約は、平成九年九月にウィーンで作成されたものであります。
 この条約は、使用済み燃料及び放射性廃棄物の管理の安全を規律する法令上の枠組みを定めること等を締約国に義務づけることにより、使用済み燃料及び放射性廃棄物の管理の高い水準の安全を世界的に達成し、及び維持すること等を目的とするものであります。
 我が国がこの条約を締結することは、使用済み燃料及び放射性廃棄物の安全な管理を目指す国際的な取り組みに寄与するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約第一条の改正の受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この改正は、平成十三年十二月にジュネーブにおいて採択されたものであります。
 この改正は、過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約及び同条約の附属議定書を、国際的性質を有しない武力紛争についても適用することを目的とするものであります。
 我が国がこの改正を受諾してその早期発効に寄与することは、通常兵器についての軍備管理及び軍備縮小を促進するための国際協力に寄与するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。
 次に、国際民間航空条約第五十条(a)の改正に関する千九百九十年十月二十六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、平成二年十月にモントリオールで開催された国際民間航空機関の第二十八回総会(臨時)において作成されたものであります。
 この議定書は、国際民間航空機関の理事会の構成員の数を増加するため、国際民間航空条約の該当規定を改正することを内容とするものであります。
 我が国がこの議定書を締結することは、国際民間航空機関における国際協力を増進する見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
池田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る五月九日金曜日午前九時五分理事会、午前九時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.