衆議院

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第1号 平成16年10月27日(水曜日)

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本国会召集日(平成十六年十月十二日)(火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 米澤  隆君

   理事 谷本 龍哉君 理事 中谷  元君

   理事 渡辺 博道君 理事 武正 公一君

   理事 増子 輝彦君 理事 丸谷 佳織君

      宇野  治君    植竹 繁雄君

      小野寺五典君    河井 克行君

      高村 正彦君    鈴木 淳司君

      土屋 品子君    西銘恒三郎君

      原田 義昭君    平沢 勝栄君

      三ッ矢憲生君    宮下 一郎君

      赤松 広隆君    大谷 信盛君

      今野  東君    首藤 信彦君

      田中眞紀子君    鳩山由紀夫君

      藤村  修君    松原  仁君

      赤羽 一嘉君    赤嶺 政賢君

      東門美津子君

    ―――――――――――――

十月十二日

 米澤隆君委員長辞任につき、その補欠として赤松広隆君が議院において、委員長に選任された。

平成十六年十月二十七日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 赤松 広隆君

   理事 谷本 龍哉君 理事 中谷  元君

   理事 原田 義昭君 理事 渡辺 博道君

   理事 大谷 信盛君 理事 首藤 信彦君

   理事 武正 公一君 理事 増子 輝彦君

   理事 丸谷 佳織君

      宇野  治君    小野寺五典君

      河井 克行君    高村 正彦君

      鈴木 淳司君    土屋 品子君

      西銘恒三郎君    平沢 勝栄君

      三ッ矢憲生君    宮下 一郎君

      今野  東君    田中眞紀子君

      鳩山由紀夫君    藤村  修君

      古本伸一郎君    松原  仁君

      赤羽 一嘉君    赤嶺 政賢君

      東門美津子君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   外務副大臣        谷川 秀善君

   外務大臣政務官      小野寺五典君

   外務大臣政務官      河井 克行君

   外務大臣政務官      福島啓史郎君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    岡田  薫君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  土屋 龍司君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            薮中三十二君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         金森 越哉君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        近藤 賢二君

   外務委員会専門員     原   聰君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十二日

 辞任         補欠選任

  米澤  隆君     古本伸一郎君

同月二十七日

 理事岩永峯一君九月二十九日委員辞任につき、その補欠として原田義昭君が理事に当選した。

同日

 理事末松義規君同月八日委員辞任につき、その補欠として大谷信盛君が理事に当選した。

同日

 理事武正公一君同日理事辞任につき、その補欠として首藤信彦君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 このたび、外務委員長の重責を担うことになりました赤松広隆でございます。まことに光栄に存じます。

 現在、我が国には解決すべき外交問題が山積しており、本委員会の果たすべき役割はまことに重大であります。

 委員の皆様方の御指導、御協力をいただきまして、公正かつ円満な委員会運営に努めてまいる所存でございます。

 何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

赤松委員長 理事辞任についてお諮りいたします。

 理事武正公一君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が三名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      原田 義昭君    大谷 信盛君

   及び 首藤 信彦君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

赤松委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国際情勢に関する事項について、本会期中国政に関する調査を行うため、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

赤松委員長 この際、町村外務大臣、逢沢外務副大臣、谷川外務副大臣、河井外務大臣政務官、小野寺外務大臣政務官及び福島外務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。外務大臣町村信孝君。

町村国務大臣 今般、外務大臣を拝命いたしました町村信孝でございます。

 外務委員会の開催に当たりまして、赤松委員長初め委員各位の皆様方にごあいさつを申し上げます。

 用意されたテキストの前に、けさ発生をいたしました邦人一名がイラクで人質になった件につきまして、冒頭御報告を申し上げます。

 外務省といたしましては、この事態を受けまして、本朝七時に、私が本部長となって対策本部を立ち上げて、対応を始めております。政府全体といたしまして、事実関係の確認、解放に全力を挙げる考えでございます。

 また、既に官房長官が述べておられますが、総理の御指示に基づきまして、イラクで活動している自衛隊の撤退は考えていないということであります。

 また、イラクには退避勧告が出されておりまして、イラクに滞在する邦人には、改めて強く退避勧告を呼びかけたいということであります。

 外務省といたしましては、邦人の青年が一名、アンマンから陸路バグダッドに入ったという情報を十月二十一日に入手しておりまして、退避勧告をすべく連絡に努めてきたところでございます。ただ、今般人質になった邦人が同一人物であるかどうか、目下確認を進めているところでございます。

 なお、邦人について、現状、これ以上の詳細についての御報告は当面差し控えさせていただきますが、わかり次第御報告をしたいと考えております。

 外務省といたしましては、ヨルダンに現地対策本部を立ち上げ、谷川副大臣に現地本部に赴くことを指示いたしました。また、鈴木在イラク大使と先ほど電話で連絡をとりまして、イラク政府に対しまして、事実関係の確認と人質の解放に全力を尽くすように申し入れることを指示したところでございます。

 大変簡単でございますが、イラク関係人質事件について判明していることは以上でございます。

 それでは、もとに戻りまして、私の所信ということで申し上げさせていただきます。

 世界の平和と繁栄なくして我が国の安全と発展はあり得ません。しかしながら、国際社会は依然として国際テロと大量破壊兵器の拡散といった新しい脅威を含む種々の問題にさらされております。我が国は、日米同盟と国際協調を外交の基本としつつ、ODAの積極的活用及び自衛隊の活動を初めとする人的貢献を通じ、グローバルパワーとしてふさわしい積極的な外交を展開し、我が国の国益、すなわち我が国及び国民の安全と繁栄の確保に向け、最善を尽くしてまいる所存であります。

 私は、先般、外務大臣就任後最初に米国を訪問いたしました。日米同盟は我が国及びアジア太平洋地域の平和と安定の礎であり、強固な日米同盟に裏づけられた日米関係は我が国の外交の基軸です。今後とも、日米安保体制の信頼性を維持強化し、国際社会の諸課題への取り組みに指導力を発揮していく考えです。

 在日米軍の兵力構成の見直しについては、さきの沖縄訪問の成果を十分踏まえつつ、抑止力の確保と沖縄等の地元住民の過重な負担の軽減の観点から米国と協議してまいります。今後とも、普天間飛行場の移設、返還を含め、沖縄に関する特別行動委員会最終報告の早期実施に努めてまいります。

 アジア太平洋諸国との良好な関係を構築、維持することは、我が国の安全と繁栄に不可欠です。著しい経済成長を遂げている中国の存在は、我が国にとって機会であり、より幅広い分野における協力を一層進めることが重要です。我が国としては、東アジア共同体の構築へ向け、中国、韓国との関係を一層強化しながら、アジア地域全体として発展していくため、アジア諸国との経済連携強化にも引き続き取り組んでいく考えです。

 北朝鮮との関係では、引き続き、未解決である安否不明者の方々の真相究明に全力で取り組んでまいります。また、対話と圧力の考えに立ち、六者会合等を通じて関係国と連携しつつ、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイル等の諸問題を包括的に解決し、地域の平和と安定に資する形での日朝国交正常化を目指す考えです。

 日露修好百五十周年となる来年の初めには、プーチン大統領の訪日が予定されております。政府としては、北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結するという一貫した方針に基づき、精力的に交渉に臨む考えです。

 イラク復興支援は、国際社会の焦眉の問題であり、イラク自身による国家再建の努力を国際社会が一致して支援していくことが不可欠です。先般我が国が主催したイラク復興支援東京会合の成果を、今後の復興支援や選挙を含む政治プロセスにつなげていくことが重要です。

 我が国は、自衛隊による人的貢献と最大五十億ドルのODAによる支援を車の両輪として、復興に向け最大限努力しております。我が国の支援は、イラクのみならず国際社会から高い評価を得ております。今後もイラク人による復興努力を全力で支援してまいります。

 また、中東地域の平和と安定は、中東和平プロセスの進展なくしては達成し得ません。最近事態の悪化が懸念されておりますが、我が国としては、引き続きロードマップの前進に向け、当事者の和平努力を積極的に支援してまいります。

 アフガニスタンについては、大統領選挙の実施等歓迎すべき進展を見せています。我が国は、引き続きアフガニスタン人の国づくりのための努力を支援してまいります。また、自衛艦のインド洋派遣を初めとするテロとの闘いに対する協力も、引き続き行ってまいる所存です。

 国連を通じた国際協調も、我が国外交の基本方針の一つです。昨今のさまざまな課題に国際社会が有効に対処するためには、正統性と信頼性を備え、二十一世紀の国際社会の現実を反映した形で、国連、なかんずく国際の平和と安定の維持につき責任を有する安保理を改革し、その機能を強化する必要があります。この改革の中で、我が国が常任理事国になることは、国連の政策決定過程に深くかつ恒常的にかかわることによって、我が国の国益を国際社会においてよりよく実現していくことを可能にします。

 さきの国連総会においては、多くの国が、安保理の常任、非常任双方の議席を拡大すべきであると主張し、我が国の常任理事国入りについても支持を表明しました。このような国連改革の機運の高まりを踏まえつつ、我が国としては、常任理事国入りを目指して、積極的な外交努力を継続してまいる決意です。

 我が国の繁栄の実現には、国際社会の安定的かつ持続的な経済発展が不可欠であることも忘れてはなりません。我が国は引き続き、多角的自由貿易体制の維持強化のため、WTOドーハ・ラウンド交渉の妥結のために尽力いたします。同時に、これを補完するものとして、経済連携協定の締結を戦略的に進めてまいります。

 また、ミレニアム開発目標を初め、アフリカ等における開発課題や、平和の構築といった課題への取り組みにおいて、戦略的、効率的なODAの活用を通じ、我が国の地位にふさわしい役割を果たしていく考えです。さらに、人間一人一人の保護と能力強化に着目した人間の安全保障の理念の実現にも努力してまいる所存です。

 我が国の政策や文化、価値観、魅力を発信することを通じて、対日理解を促進し、信頼感の醸成や観光及び投資の誘致に努めることも重要です。文化交流と広報の緊密な連携を図り、情報発信手段を充実させ、官民が力を合わせて諸外国の人々に直接訴えかけてまいります。

 外務省は、八月の機構改革により、領事局の新設を含め、外交実施体制が一層強化されました。引き続き、領事サービスの向上、海外の日本人の安全確保、日本企業への支援、在外公館の警備強化等に万全を期してまいります。

 これらの我が国の外交政策を能動的、戦略的に展開するに際しては、迅速かつ広範な対外情報の収集に基づく洞察に富んだ分析が不可欠であり、対外情報収集、分析の能力と体制の強化にも努めてまいりたいと考えています。

 本国会では、九月に小泉総理がフォックス大統領との間で署名した日・メキシコ経済連携協定について御審議いただく予定ですので、赤松委員長を初め本委員会の委員の皆様の御支援と御協力をお願い申し上げます。

 外務省としては、以上申し述べた外交政策を積極的に推進するため、ODA予算を含む適切な予算の確保に努めるとともに、その適正な執行を徹底し、国民の理解と支持を得つつ、国益に立脚した志の高い外交を展開していくとの決意を申し上げまして、私のあいさつとさせていただきます。どうぞ本国会よろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

赤松委員長 次に、外務副大臣逢沢一郎君。

逢沢副大臣 再度外務副大臣を拝命いたしました逢沢一郎です。

 町村外務大臣を補佐しつつ、イラク、北朝鮮を初め、我が国が直面をする外交また安全保障上の問題に全力で取り組んでまいります。

 赤松委員長初め委員各位の御指導と御鞭撻をどうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

赤松委員長 次に、外務副大臣谷川秀善君。

谷川副大臣 今般、外務副大臣を拝命いたしました谷川秀善でございます。

 もとより、外交の目的は、我が国及び国民の安全と繁栄を確保することにあります。国際的なテロとの闘いや大量破壊兵器の拡散の問題を含む、国際社会が緊急に取り組むべき課題に直面する中で、私は、国益を正面に見据えた外交を推進するために、もとより微力ではございますが、逢沢副大臣、河井、小野寺、福島、各大臣政務官と協力をして、町村大臣を補佐してまいりたいと存じます。

 赤松委員長初め、理事、委員の皆様には、何とぞよろしく御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。

 また、ただいま町村大臣から御報告がございましたが、私が現地に参りまして邦人救出に全力を尽くしてまいりたいというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

赤松委員長 次に、外務大臣政務官河井克行君。

河井大臣政務官 皆様、おはようございます。このたび外務大臣政務官を拝命いたしました河井克行です。

 私が日本国憲法の中で一番好きな一節は、前文にあります「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」という一節であります。この目的を達成するために、町村外交チームの一員として、全力で力を尽くす所存でございます。

 なお、三人の政務官の中では、私が特にこの外務委員会を担当いたします。赤松委員長様初め多くの理事の皆様、そして委員の皆様の御指導を心からお願いいたします。

 ありがとうございます。(拍手)

赤松委員長 次に、外務大臣政務官小野寺五典君。

小野寺大臣政務官 このたび外務大臣政務官を拝命しました小野寺五典です。

 今回、政務官としましては、国連改革、安全保障そして文化交流を担当します。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

赤松委員長 次に、外務大臣政務官福島啓史郎君。

福島大臣政務官 皆さん、おはようございます。このたび外務大臣政務官を拝命いたしました福島啓史郎であります。

 今、町村大臣のごあいさつにもありましたように、緊急に処理すべき事項、また中長期的に処理すべき事項、長期的に対処しなければならない事項、外交問題が山積しております。我が国の繁栄と安全の保障を確保するという外交目的を実現すべく、日本の外交の前進を、町村大臣の御指示のもと、図ってまいりたいと思っております。

 赤松委員長初め委員の皆様に、よろしく御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

赤松委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省アジア大洋州局長薮中三十二君、外務省北米局長海老原紳君、警察庁長官官房審議官吉田英法君、警察庁刑事局長岡田薫君、防衛庁防衛参事官横山文博君、防衛庁運用局長大古和雄君、防衛施設庁長官山中昭栄君、防衛施設庁建設部長河野孝義君、防衛施設庁業務部長土屋龍司君、総務省自治行政局長武智健二君、総務省統計局長大林千一君、文部科学省大臣官房審議官樋口修資君、文部科学省高等教育局私学部長金森越哉君、水産庁資源管理部長竹谷廣之君、資源エネルギー庁資源・燃料部長近藤賢二君、海上保安庁次長石井健児君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鳩山由紀夫君。

鳩山(由)委員 まずは、町村外務大臣の御就任、おめでとうございます。

 個人的なことをちょっと申し上げれば、私は、この世界に、政治の世界に入るときに、御尊父の町村金五先生に御相談を申し上げたことがございます。そのときに、北海道で政治をやりたいと申し上げたら、大いに頑張ってくれと御指導をいただきました。そんな意味で、町村外務大臣とは同じ北海道ということもあり、大いに外務大臣として期待を申し上げております。

 知性派の外務大臣としてぜひ頑張っていただきたいと思いますし、今の小泉外交、私にはどうも尊厳を失っているように思えてなりませんので、そこを町村外務大臣が助けて、もっと日本に尊厳を回復していただきたいと心から願うわけでございます。

 また、先般は、私ども当面のイラク復興支援策というものをお届けいたしましたところ受け取っていただき、さらに、復興支援に関して民主党の意見も参考にさせていただくことがあればというお話もいただきました。私どもは、自衛隊の派遣ということに対しては反対をし、そのような行動をとってきた人間として、しかし復興に対してはそれなりの責任を持たなければならないという思いで支援策をつくらせてもらいましたので、ぜひしっかりとまた検討していただきたいと重ねてお願いを申し上げておきます。

 さて、そこで、まず、きょうニュースにあります、イラクでまた日本人が人質になったという大変残念なニュースが飛び込んでまいりました。

 先ほど申し上げましたように、私ども民主党は、もとより自衛隊の派遣というものに反対をしてまいりましたし、自衛隊の再度にわたる延長に関しても反対をしてきたものでございます。自衛隊の撤退というものも申し上げてきた政党でございます。

 そういう意味から申し上げて、小泉外交、もし間違っていなければこのような人質事件も起きなかったのではないかと思うことはございますが、まずは現実問題として対処をしなければならないことは言うまでもありません。情報をしっかりと収集していただいて、まずは解放に向けて全力を挙げていただきますように、私どもからも心からお願いを申し上げます。

 若干、一つだけ付言をさせていただくならば、小泉首相はもう既に自衛隊の撤退はしないと言明されました。前回も同じように話をされました。今回のアルカイダがかかわっていると思われる犯行に対しては、以前以上に過激ではないかとさえ思うのでありまして、ぜひ慎重な発言も必要だと思っておりまして、ある意味で最初から手足を縛るということよりも、さまざまな戦略を考えていく中で、意思として強く自衛隊の問題はお持ちになればそれで結構ですが、そのことを最初から発言されることで戦略あるいは解放に向けての手だてというものを狭めてしまうのではないか、若干そのことは心配をしております。

 いずれにしても、これは国民ひとしく早期の救出を望むわけでございますので、外務大臣としても全力を挙げていただきますように。民主党としても、この十時半から緊急の対策会議を私が議長となりまして開くことになりました。その意味では、超党派で戦略を練る必要もあろうかと思っておりますので、できる限り我々としても人質解放に向けて努力を申し上げることをお約束いたします。

 さて、先ほどちょっと申し上げましたけれども、私は、日本の外交、まだ町村外務大臣が誕生前の話でありますが、必ずしも尊厳の高い日本外交とは思えないとずっと考えておりまして、なぜだろうかとさまざま考えていく中で、例えば、テロの特措法、あるいはイラク特措法、さらに平壌宣言、あるいは日米地位協定とか、あるいは日米安保、さらに言えば憲法、果たしてこの国で守られているのかどうかということであります。

 私どもは法治国家でありますから、法律、憲法をつくった以上、それは守らなければなりません。しかし、守られているふりをしながら、現実は種々のところでそれぞれの法律が守られていないのではないか、あるいは解釈でごまかそうとしているのではないか、こういうところがこの国の尊厳を失ってきているのではないかと思うのでありまして、きょうは、一つ一つの法律を点検させていただいて、現実に法律に沿って行動がなされているのか。もしなされていないのであれば、法律を変えるか、あるいは現実の行動を変えるか。いずれにしても、法治国家としての体裁をしっかりと整えることが、この国の尊厳というものを回復させる最も早い手だてではないかと思います。

 その点に関して、一般論として申し上げますが、外務大臣として御答弁を願いたいと存じます。

町村国務大臣 私、先ほどの所信表明でも申し上げましたが、志の高い国家、そして志の高い外交をやりたいということを申し上げました。

 私の初当選のとき、私を指導していただいたのが安倍晋太郎外務大臣でございました。安倍先生の、やはり外交、外務大臣としての立派な業績を上げられましたが、そのときの言葉が志の高い外交ということでありまして、私は大変感銘を受けた。ぜひ安倍外交というものを私なりにまた受けとめて、そしゃくをして、自分なりに考えて、同じ言葉を使いますが、やっていきたいものだ、こう思います。

 そういう意味で、今、鳩山委員が言われました、日本の志ということを多分お触れになったんだろうと思います。目的は同じではないのかなと思います。

 ただ、その際に、いろいろな外交、あるいは外交以外の国内のこともそうかもしれません、法律あるいは憲法に基づいていないのではないかという御指摘がございました。よもや私ども日本政府が法律違反を堂々とやるというようなことを公言してやっていることは何一つない、こう思っております。

 ただ、法律なり憲法なりが時代の要請に合わなくなってきているということがあり、例えば、かつてはタブーであった憲法議論でさえも今これだけ国会内で行われ始めているというような状況でございます。そういう意味では、これは私どもも常に心がけねばならないことだと思っておりますけれども、そうした時代の要請に合った形で、ちゃんと筋を通した形で、憲法であれ、条約であれ、法律であれ、あるいは政省令であれ、そういったものをきちんと見直していく、必要な改正を施していく、これは当然のことであろうと考えております。

鳩山(由)委員 志の高い外交をぜひ目指していただきたい。その中で、今お話がございましたが、現実というものが憲法や法律に合わなくなってきたときには法律や憲法を変える努力をするべきだ、まことにそのとおりだと思っています。

 現実の行動が実はもう既に法律に合わない行動をしていることが間々あるのではないかということを私は申し上げたいと思っていまして、ただ、そのことを政府というものはなかなか認めようとしない。政府は無謬性、誤りが決してあってはならないという彼らなりの人生哲学のもとで行動してきましたから、決して誤っているとは言わないと思います。それを我々はきちんと指摘をしながら、一刻も早く、誤った、あるいは法律が必ずしも守られていない部分というものがあれば、現実に私はあると思っていますが、どちらかをきちっと直していかない限り、この国の尊厳というものは戻らない、改めてそのことを申し上げておきます。

 きょうは、町村外務大臣がもうそろそろお出ましということで、恐縮ですが、それでは、町村外務大臣にのみどうしても伺いたいことが一点だけございます。ぜひお伺いしたいと思っています。

 それは、国連の安保理の常任理事国入りに関して先ほども言及をされました。党としてあるいは政府としてそれを望まれるという気持ちはわからないわけではありません。

 ただ、町村外務大臣は、きょうはお述べになっておりませんが、これは記者会見でしょうか、できれば憲法改正が望ましいという発言をされた。すなわち、常任理事国入りをするためには、できればその前に憲法を改正しておく方が望ましいんだという発言をされた。

 私は、それなりにもっともな意見だと思って伺っておりましたので、そのことは事実としてお認めになりますね。よろしいですか。

町村国務大臣 常任理事国入りに際して、現行憲法で常任理事国になれないかといえば、全くそんなことはございません。今の私どもの日本国憲法で十二分な常任理事国としての活動ができるということは、私は前からそう考えておりましたし、今もそう思っております。

 しかし、常任理事国入りとちょっと別の次元として、既に国内で憲法議論というのが行われているのはもう御承知のとおりであります。

 そして、その一つの大きな焦点というのが、日本の海外における国際的な活動、なかんずく平和貢献といったような活動をするということ、そのことと憲法第九条との関係がいろいろ議論をされております。その辺の議論をある程度すっきりしておいた方が、直接リンクはしません、直接リンクはしないんですが、基盤としての、我が国が常任理事国になる際に、よりすっきりした形になるのではないかということを申し上げたので、そこは何ら直接リンクするものではない。一部の方は、憲法改正をしたいがゆえに常任理事国になりたいと言っているのではないかと大変うがった見方をする向きもありますが、私どもはそういうふうに考えておりません。

 それはそれとして、小泉総理が常日ごろ申し上げておりますように、今の憲法で常任理事国になることに何ら妨げはないし、全く問題はない、十二分の活動ができるということを申し上げておりますので、私もそのように考えております。

鳩山(由)委員 それは私もわかっておりまして、常任理事国になるために憲法を改正しておかなきゃならぬという話は一切ありません。その意味でのリンクがないといえばないわけでありますが、私が申し上げたいことは、もし常任理事国になって、しかし憲法があるから本来やりたいことがやりたくてもできないということになったときに、それはその国の尊厳というものを失う話になるのではないかということでございまして、今のお話は伺いました。

 やはり、若干小泉首相とは思いが違うところがおありだとは感じましたが、本当の意味でこの国を外交の立場からも安全保障の立場からもしっかりとした尊厳あるものにしていくために、常任理事国になったときに、困ったな、憲法があるからうまいことができないなという話にならないように、ぜひ努力をお願い申し上げたい、そのことだけ申し上げておきます。もし……。

町村国務大臣 御指摘しっかりと受けとめて、今後対処していきたいと思います。

 なお、ちょっと九時三十五分から急遽官邸の方で緊急の会議があるということでございますので、委員長以下お許しをいただきまして、一たん退席することをお許しいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

鳩山(由)委員 それでは、まず、やはりイラクの問題に関して、逢沢副大臣にお尋ねを申し上げます。

 私は、きょう申し上げたいことは、先ほど申し上げたように、さまざま、イラクにおいては、イラク特措法というものができている、現実にそれが本当の意味で適用されているのかどうかという問題が極めて問われてきていると思います。それ以前に、イラクに関しては、これはイラク戦争の大義というものが大きく揺らいでいることも御承知のとおりであります。

 いわゆる大量破壊兵器の存在に関してでありますが、これは、調査した結果、大量破壊兵器は現実にはイラクには存在していなかった。私も、あるいは仲間の議員も、何度も総理やあるいは外務大臣にお尋ねをした。そのときに、イラク戦争の大義というものは、これは大量破壊兵器をイラクが持っているんだ、これを使われては困るから、だからイラク戦争、これはやむを得なかったんだ、支持するんだという論理一辺倒でありました。

 ところが、御承知のとおり、大量破壊兵器が存在しないということがわかった途端に、小泉首相は発言を変えられました。そうでは必ずしもない、それだけではないんだと。むしろ、サダム政権が累次の国連決議を違反してきたからだという論理にすりかえられたわけであります。

 その論理で申し上げれば、国連のアナン事務総長が、イラク戦争というものは、まさに先制攻撃を行ったわけですから、国連憲章に違反していると、これはインタビューで明言されたわけであります。国連事務総長の発言、国連憲章違反の戦争ではないかということの方がはるかに私は重い言葉だと思いますが、副大臣はいかがお考えですか。

逢沢副大臣 イラクの治安は依然として大変厳しいものがあるわけでありますが、国際社会は一致をして新しいイラクの国づくり、なかんずく自由で開かれた民主的な国家の国づくりを支援していかなくてはならない、そのように思っております。我が国も、人的貢献、また資金面の貢献、両者を車の両輪として、イラクを国際社会の責任ある一員として支えてまいりました。これからもそういった態度を貫いていかなくてはならない、そのように考えております。

 アナン事務総長が幾つかの発言をされておられるということは承知をいたしているわけでありますけれども、実は小泉総理が国連総会の際にニューヨークに行かれ、その機会を通じてアナン事務総長とも会談をなさったわけであります。

 そのときアナン事務総長は、小泉総理にこのように発言をしておられます。自分の真意は、先般の訪日の際に強調したとおり、イラク問題については前向きに対応することが重要ということであり、そういった自分のアプローチには何ら変化がないことを理解いただきたい。イラク問題については前向きに対応することが重要であるということを総理との会談でアナン事務総長は直接強調されたわけであります。

 私どもとしては、この前向きに対応するということ、つまりこれは、イラクの現状を国際社会はさらに重要な関心を持ち支えていく、イラクの国づくりは、もちろんその主役はイラク人自身でありますけれども、それを国際社会は全体として支えていくという必要性、そのことに改めて言及をされたというふうに承知をいたしております。

 戦争の大義、それについても累次議論があるわけでありますけれども、イラクは、サダム・フセイン政権は、湾岸戦争後十数年にわたり累次の国連決議を明確に破ってきた、また無視をしてきた。そして、国連決議一四四一で、いわば大量破壊兵器の有無等々について、それを立証する最後の機会を国際社会は国連の名のもとにイラクに与えたわけでありますが、十二分な回答が得られなかった。しかも、累次の査察により、さまざまな大量破壊兵器のいわば行き先が不明である、そういったことについても正式な形で報告がされた。そのことも銘記をしておかなくてはなりません。

 そういった全体、つまり一四四一が最終的に守られなかったということになれば国連決議六七八に戻らざるを得ない、そのことに大義があるというのが基本的な私どもの考え方でございます。

鳩山(由)委員 アナン事務総長が前向きに対応すると言うことが、アナン事務総長がイラク戦争の大義を認めたという発想には全くならないわけであります。今、数度にわたりイラク自身が国連の決議というものを破った、破った以上それに対しては対抗手段としての戦争を認めるという論理の話をされました。国連全体としては必ずしもその方向をまだ認めていないにもかかわらず、日本はそれを支持していったわけでございます。

 私は、小泉さんが、いわゆる大量破壊兵器がなくなった途端に、いやいや、イラクは何度も決議を破っているからだ、違反しているからだという論理にすりかえられたわけであります。では、もし国連決議に違反をしたから戦争が正当化されるという話であれば、もうこの二年前のデータでは、九十回を超えてさまざまな国が、十一カ国でしたか、国連決議を破っております。一番国連決議を違反している国は、おわかりだと思いますが、イスラエルでありまして、イスラエルは三十二回国連決議というものに違反をしている。トルコは二十四回。モロッコも十六回、イラクと同数であります。

 このように、小泉さんは途端にサダム政権の国連決議違反というものを取り上げたわけですが、国連決議違反だけでもし話すんだったら、その二倍もイスラエルは国連決議に違反をしている。にもかかわらず、アメリカはイスラエルに対しては、非難をするどころか、むしろこれを許してさらに支援をしているような話じゃありませんか。こういうのをダブルスタンダードというのでありまして、まさにダブルスタンダードで世界を統治されてはたまらない話であります。

 国連決議というものが重要なことは私どももわかっておりますが、しかし国連決議を違反したからということを理由にするとすれば、ほかにも多くの国があるということを理解しなければなりませんし、したがってそれは理由にはならないと私は考えていますが、いかがでしょうか。

逢沢副大臣 イラクに対する武力行使、これは先ほど申し上げたとおりでございまして、イラク、またサダム・フセイン政権が累次の国連決議を無視する、また破る、そしてそのことを通じてやはり武力行使をみずから招いてしまったということが私は言えるのではなかろうかというふうに思います。

 また、イスラエルを初め、さまざまな国に関して発言がございました。

 イスラエルがどういう形で何回国連決議を違反したか、私自身もそのことについては改めて検証させていただきたいというふうに思いますが、中東和平につきまして、これは非常に大切なことでございます。まさにロードマップに立ち戻るさまざまな努力が引き続き必要であるというふうに、私どもは承知をいたしております。

鳩山(由)委員 筋違いな答弁が続いているような気がしますが、後で同僚議員からこの問題も続けて質問をさせていただきたいと思っています。

 別の角度から申し上げれば、ブレア・イギリス首相は、この大量破壊兵器を実は持っていなかった、それを持っていたというふうに情報操作があり、そのことが暴露されたことによって、私は十分信頼に値する情報が後に間違っていたことが判明したことについては謝罪をいたしますと、ブレア首相は下院できちんと謝罪をされています。当然、イラク戦争の正当性というものは維持をされた発言の中ではありましたけれども、謝罪をされている。

 日本の政府は、このような誤った情報に基づいて誤った結論をもし出したとしたら、あるいは、結論が誤っていなかったとしても、情報が誤っていて、その情報に基づいてさまざまな判断をしたとするならば、そこに関しては国民に対してきちっと謝罪するのが当然じゃありませんか。いかがですか。

逢沢副大臣 イラクが過去において大量破壊兵器をクルド人に対して、あるいはまた隣国イランの人たちに対して使用したという事実がございます。そして、国連の査察団もさまざまな指摘をしてきたということは先ほど申し上げてきたわけであります。大量破壊兵器はあの時点であると想定するに足る十二分な理由があったというふうに、私ども政府としては判断をいたしております。

 したがいまして、最後に与えられた国連決議一四四一、その最後の機会をイラク自身が生かさなかった、そのことに戦争の責任は起因をしているということを改めて申し上げておきたいと存じます。

鳩山(由)委員 日本政府は大量破壊兵器を持っているに十分足るという情報を得ていたというお話は、しかし現実問題として大量破壊兵器はなかったわけですから、完全に誤った情報であったということじゃありませんか。本来、今のことに基づいて戦争を支持したというならば、それが誤っていたということを素直にやはり謝罪されるべきだと改めて伺います。

逢沢副大臣 あの時点で大量破壊兵器があったということは確認をされなかったという事実関係については、私ども報告により承知をいたしております。しかし、あの時点で国連の査察団も幾つかのことを指摘してまいりました。ガスについてあるいは生物化学兵器について行方不明である、そしてその検証についてイラク政府の協力を強力に要請したけれどもその協力は得られなかった、そういった趣旨の報告も国連になされているわけであります。

 つまり、国連決議で求めた、イラク自身がその大量破壊兵器の有無、もしないとすればないということを立証する、そういう機会が何回か与えられ、そして国連決議一四四一によって最後の機会としてそれが与えられた、しかしそれを生かさなかった、そのことによって武力行使を招いてしまったということについては改めて申し上げておきたいと存じます。

鳩山(由)委員 これ以上やっていてもしようがないんですけれども、ただ、私は、ないということをイラク自身が立証するというのは皆さんが考えているほど簡単じゃないんですよ。

 これは、小泉首相も、これは前原議員への答弁で、イラクが戦争を回避しようとすれば、はい、大量破壊兵器はありませんよと言えば戦争回避できたんですなんという信じられない発言がありまして、大量破壊兵器、はい、ありませんよと言えば戦争回避できたわけがないわけで、大量破壊兵器はありませんよと幾ら言っても、いやいや、どうせあなたは過去に持っていたから今も持っていたんじゃないですか、だから疑わしいんですと。常にもう、ある意味では、うそつきが、うそをついた人間がたとえ正しいことを言っても、今まで何度もうそをついていると、今回もまたうそだろうということで信じられない、だから、ないと言ってもどうせあるだろうと。

 これは、ない証明というのは非常に難しいんですよ、数学的にも。したがって……(発言する者あり)いや、本当にそうですよ。あるというのは一つ存在を認めればいいわけですが、ないというものは、あらゆるところを検証して、ないということを証明するのをイラク自身に求めようとしても現実には非常に難しいということだけは、これは理解をしていただかないと困ります。

 そういう意味で、今の発言、とにかく政府というものは、一度行為をしてしまったものに関しては、先ほど申し上げたように決して謝らない、間違っていたとしても間違ったと言わないその体質自身が私は大変大きな問題であるということを申し上げておきます。

 そこで、時間がなくなってきますので、イラクに関して、これはもう戦争が終結した後、最大では一万六千人のイラクの方が亡くなられている、外国人の方も千名を優に超えている、大変大きな数字であります。二〇〇三年五月の時点でも、現地のアメリカ軍司令官は、イラク全土が戦闘地域であると発言をされている。もう既に、イラク全土が私はまだ戦闘状態が続いている、これはどうしてもそう認めざるを得ないんじゃないですか。

 ここにイラク特措法とのかかわりが出てくるわけでありますが、イラク全土が、もうアメリカの人たちは、アメリカの軍司令官が全土が戦闘地域であると言っているのに、日本は戦闘状態にあると認めないんですか。

逢沢副大臣 現状認識として、イラクの治安は引き続き厳しい状況が続いている、そのように私どもも認識をいたしております。しかし、いわゆる戦闘状態下に置かれている地域、また比較的治安がよい、安定をしている、そういう地域がイラク国内にも分かれて存在をしているというふうに認識をさせていただいております。

 したがいまして、イラク全土が厳しい戦闘状態、あるいは戦闘地域であるというふうには承知をいたしておりません。

鳩山(由)委員 多分、自衛隊が今派遣されているサマワの地域がそれほど戦闘状態ではないとおっしゃりたいのでありましょうが、このイラク南部サマワ周辺で起きた陸上自衛隊などへの攻撃を日にちのみ列挙しますと、二〇〇四年で四月二十九日、五月十日、二十七日、六月三十日、七月五日、十日、八月八日、九日、十日、十四日、そして八月後半には三夜連続で迫撃砲弾が自衛隊の宿営地付近に着弾をしています。オランダ軍の宿営地の外にも迫撃砲三発が着弾をしている。

 それで、ついに、御案内のとおり、この五日前ですか、十月二十二日午後十一時、サマワの自衛隊の宿営地の中にロケット弾が着弾をしました。これでも非戦闘地域と言い張られるんですか。

逢沢副大臣 今、鳩山先生がおっしゃられましたように、事実関係として、宿営地の中にロケット砲、ロケット弾が着弾をしたというのはそのとおりであります。しかし、信管が抜かれておったということで、そのロケット砲は爆発をしなかった。どういうねらいであるのか、あるいはまたそのロケット砲を発射した犯人がどういう人たちであるのか、この特定はいまだにできていないわけでありますが、現地警察あるいはイラク軍、オランダ等々と協力をして情報収集に懸命に今当たらせていただいております。

 事実関係として、先ほど鳩山先生おっしゃいましたように、累次にわたり自衛隊の宿営地の方角にロケット弾あるいは迫撃砲等々が飛んでまいり、先般は初めて宿営地にその一発が落ちたということでありますが、それをもって直ちに、自衛隊が宿営地を張りそして人道復興支援を行わせていただいているサマワが戦闘地域であるというふうな認識には私ども立っていないわけであります。

鳩山(由)委員 もし信管が抜かれていなかったら、どうなっていたんですか。今の話は、私は、信管が抜かれていたのはそれで確かに被害がなくてよかったわけでありますが、万一抜かれていなかった場合のことを想定すると大変恐ろしい思いがいたします。そして、その意図は何なのか。さらに次があるぞという予告なのかもしれませんし、そんな簡単な話じゃないと私は思いますよ。

 現実にことしに入ってこれだけ多くの迫撃砲が近くに落ちているということは、やはりこのサマワの自衛隊の活動に対してそれなりの敵意を持った人たちが行動をしているということであって、これは常識的に考えれば、私は、戦闘地域だ、戦闘が行われている地域だと。日本が何もしないから戦闘じゃないんだと言われればこれは話になりませんが、相手からこれだけ頻繁に攻撃を受けているということは、相当の危険というものがあることを覚悟しなきゃならない。

 私はやはり、こういう常識が通らないで、それから法律を実際には守られていなくても守っているんだ、法律の中で行動しているんだというようなこの国のあり方というか外交のあり方というのは、非常に残念に思うんです。

 確認だけさせていただきますが、なぜこの情報というものが、実際には午後十一時に起きていたにもかかわらず、その次の日の六時半に政府が確認をした。七時間半も情報の確認がおくれたというのは、何か理由がありますか、どういうことですか。

逢沢副大臣 イラクにおいて、とりわけ自衛隊が人道復興支援を行っておりますムサンナ県サマワにおいて、事実としてさまざまな動きがございます。とりわけ自衛隊員の安全の確保、治安についての情報収集については、政府として一生懸命神経を集中して当たらせていただいているわけであります。

 私も、時系列的に、事実として着弾したのが何時何分、そしてそれが正式に報告をされ、また日本の国民の皆様に開示をされた時間については、大変恐縮でありますが今その正確な時刻を手元に持ち合わせておりませんが、安全を確保するということ、そしてもし何かあればその事実確認、情報の収集、分析、そして善後策、それを緊急に立てられる体制については引き続き努力を重ねてまいりたい、そのように思います。

鳩山(由)委員 緊急に善後策を講じたいというふうにおっしゃいますけれども、ある意味で、自衛隊の宿営地の中に迫撃砲、ロケット弾が飛んできて、幸い信管が抜かれていたからよかったけれども、それが大変自衛隊員の生命というものを脅かす事案であるにもかかわらず、七時間半も政府の確認がおくれているという話で、緊急に対処をしますなんて言えると思いますか。

 余りにもこれは、ある意味では一番、多分、中谷先生なども恐れていたことが起きた、あるいは起きそうになっている。その事案に対してこんなに、悠長なのか、あるいは逆に考えれば、これはひょっとしたら、こういうものが起きたら大変まずいから起きなかったことにしようということで情報を隠ぺいしようとする意図があったのか、私にはわかりません。でも、こんなに、非常に危険な事案に対して政府が情報を把握するのに七時間半もかけてしまうということは、これはとても、今副大臣が緊急に対処をしますとおっしゃっても、それは政府の模範答弁ではあるんでしょうが、我々としては実感として全然伝わってこない。

 やはり無理があるんです、イラクに対する対応そのものが。我々からすれば誤った法律、しかも現実にもう適していない法律であるにもかかわらず、それが適用されてしまっているという状況の中でさまざまなことが起きてしまう。自衛隊の撤退の問題というものもやかましくなるんじゃないかということで、極力この事件を過小に済ませようという意図があってこのようなことになってしまうとすると、もし自衛隊に本当に起きたときに善処できない、すぐに対応できないということになりはしないか。非常に私はそのことを恐れております。

 もう答弁は要りませんから、時間の関係で次に進ませていただきますが、イラクに対する御案内のとおりの復興支援は重要だとしても、我々が考えている状況と今の政府の行動というものが余りにもかけ離れているということを改めて指摘をしておきます。

 それから次に、アフガニスタンの話に移らせていただきます。

 このアフガニスタンにおいては大統領選挙が行われて、ほぼカルザイ大統領がまた選ばれるということになるのではないかと思っておりますが、このカルザイ大統領が最近、タリバンよりも軍閥の方が心配なんだという発言をされております。そういう状況の中で、政府が、インド洋での海上自衛隊の活動、これをまた国民にほとんど知らせることもなく延長を閣議決定するということになりました。

 本当に海上自衛隊などの活動というものがアフガニスタンの復興に役に立っているのか。テロとの闘いにそれなりの役割はあるとしても、本当に考えているほどの役割を、成果を上げているのかどうか。少なくとも、アフガニスタンがより安定な方向に進めていかなきゃならないときに、このやり方で日本が寄与することが最も適切だと今でも考えておられるのかどうか伺いたい。

逢沢副大臣 今鳩山先生がおっしゃられましたように、先般、アフガニスタンでは大統領選挙がございました。どうやら、第一回目の選挙の結果、カルザイ暫定大統領が正式な大統領に就任をされる、そのような形になるという報道に接しているわけであります。

 私自身、実はことしの七月末にアフガニスタン・カブールを訪問させていただきまして、カルザイ当時の暫定大統領初め主要な政府の皆様と、アフガニスタンの現状、また将来、そのことについて忌憚のない意見交換をさせていただきました。

 政治プロセスを着実に進める、それは、先般行われました大統領選挙、そして来年の春には国会の選挙が予定をされているわけでありますが、治安を確保し、公正で中立的な選挙が国際社会監視の中で立派に行われるということが非常に大切である、基本的にそのような考え方で意見の一致があったわけであります。

 一方、アフガニスタン国内の安全の確保、治安ということにつきましては、これも比較的安定をしている地域、また治安が非常に厳しい地域、まだら模様の現状が引き続き続いているようでありますが、全体として、治安の確保、またアルカイダを初めとするテロリストグループとの闘いについては引き続き力を込めてやっていかなくてはならない、そういった現状認識でも一致をいたしたわけでありまして、国際社会の数多くの国がこのテロとの闘いの重要性を認識して懸命に努力を重ねる中、我が方といたしましても、インド洋における安全の確保、海上阻止行動、それを油を補給するという形で支えるということは引き続き重要な任務であるというふうに承知をいたしております。

 また、インド洋におけるテロ作戦の成果についてでございますが、若干簡単に御報告をさせていただきますと、テロリストや武器弾薬等の関連物資が海上を移動することを阻止する海上阻止活動でありますけれども、例えばことし四月以降だけでも一万一千回の無線照会あるいは五百回の乗船検査を実施いたしました。

 そして、その中で、例えばことし五月には、立入検査の結果、大量の小銃、これはAK47であったようでありますけれども、大量の小銃あるいは銃器等、弾薬等が発見、押収をされた。また、去年の十二月以降、これらの活動により、一万五千ポンド以上の麻薬が押収をされた、そういった実績が上がっております。

 そのように、海上阻止活動、行動を引き続き強化するということは、テロとの闘いを強力に進めるという意味で引き続き重要であり、かつ成果を上げてきたし、また今後も成果を上げてこなければならないというふうに承知をいたしております。

鳩山(由)委員 それでは、今まで海上自衛隊あるいは航空自衛隊が現地に派遣をされて給油活動してきたすべての予算、どのぐらいお金がかかっていますか。おわかりですか、今。

逢沢副大臣 大変恐縮でございますけれども、活動、今までに幾ら財政的な負担を充ててきたかということについて、恐縮でございますが今数字がございません。できるだけ早く用意をいたします。

鳩山(由)委員 いいです。我々もいろいろと勉強しておりまして、これは給油だけでありますが、百四十三億円、今までにかかっております。

 私どもも、これは二〇〇一年の十二月二十九日でしたか、カルザイ暫定の評議会議長に、首藤議員と一緒に私も参りましてお目にかかりました。それだけにこのアフガニスタン問題に関しては民主党も相当力を入れてきたつもりでもございますし、アフガニスタンの社会の安定というものをいかにして実現するかという方向で、まじめに本気で我々もとらえて、活動を日本としても行うべきだと考えている立場からお話を申し上げたいと思っているんです。

 アフガニスタンの国の予算が、歳入が大体二億ドルと伺っています。そして、政府の予算全体は五億ドル程度だという話であります。それに対して、今盛んに力説をされました麻薬経済、いわゆるアヘンの経済は二十三億ドルとさえ言われています。

 私が申し上げたいことは、この百四十三億円というのは給油だけでありまして油の値段でありますから、それ以外に、派遣されて行動するさまざまな経費というものは圧倒的にさらにそれを上回るわけでありまして、相当のお金を海上自衛隊の行動にかけている。その割に、今お話をされた成果というものが果たしてそれに見合うものであるかどうか。どうもそのようには思えない。

 もっとアフガニスタンの社会の安定のために尽くすべき政府の予算というものの使い方があるのではないか、私どもは本気でまじめにそのように考えておりまして、それだけに、海上自衛隊の派遣というものを漫然と、これは大変役に立っているんだということで認めるのではなくて、もっとそのお金があればアフガニスタンの本当の意味での社会の安定のために使う部分がないのか。

 例えば麻薬の話で申し上げれば、この二十三億ドルのうちの大半が今度は軍閥に行ったり、あるいは一部タリバンに流れたりしているわけです。御案内のとおり、裏社会に流れていくわけですから、そういう裏の経済に軍閥などが割拠して、彼らが自分たちの武装勢力を強めるために役立てているという話であります。

 私は、むしろこういうところにもっと、やっていないとは決して言いませんが、これだけ巨額のお金を給油などに使うくらいであるならば、もっとダイレクトにアフガニスタンの社会の中に入って、彼らの社会の安定のために尽くすべきではないかと申し上げているんです。いかがでしょうか。

逢沢副大臣 いわゆるアフガニスタンの復興、平和の定着、平和構築、そのことに鳩山先生あるいは首藤先生を初め民主党の先生方も大変な情熱を持って取り組んでいらっしゃるということを、私どもよく承知をいたしております。ある意味では、これは与野党を超えて、日本が国際社会の責任ある一員としてその能力を十二分に発揮するという意味では、力を合わせて取り組んでいかなくてはならない大切な案件である、また問題であるという基本認識も持たせていただいております。

 いわゆるインド洋におきます海上阻止活動、そのことに取り組んでまいりました。また、先ほど、成果も上げてきておる、そして引き続きその活動を行うということは必要であるということを申し上げたわけでありますが、同時に、いわゆるアフガニスタンにおける国づくり、平和の定着なり、またキャパシティービルディング、そういうことについても日本も引き続き積極的に対応してまいりました。

 例えば二〇〇一年九月以降でございますが、人道支援につきましては総額一億二千八百万ドル、また復興などへの支援につきましては、これは二〇〇二年の一月から二〇〇四年の四月まででございますが、総額六億八千二百万ドルを支出いたしました。また、さきの選挙につきましても、人を派遣し、また選挙のための費用の拠出、これはアフガニスタン国外での選挙人登録、選挙に参加をするという画期的なものでもあったわけでありますが、それを財政的に支えるということもさせていただいたわけでございます。

 引き続き、政府といたしましても、アフガニスタンの復興、新しい国づくりに積極的に支援をしてまいりたいと思いますが、内戦中の緊急人道支援に加えまして、いわゆる平和定着の構想のもと、DDRや地方の復興支援、また国際社会の人道復興支援等、これからも積極的に対応してまいりたいと考えています。

鳩山(由)委員 お話は伺いましたが、ぜひ積極的にやっていただきたい。私どもは方向をもっと大幅に変えてもらいたいという思いがございます。

 これは難しい話かもしれませんが、アメリカとの協力の中で、いわゆる有志連合に協力をするという話は、基本的にはタリバン掃討という方向であります。それに対して、アフガニスタンの社会の治安の回復その他、ISAF、国際治安支援部隊というわけでありますが、ISAFが行っている。なかなかこれは軍事的な貢献でありますから、日本の今の憲法の中でできるかどうか、後方支援というものがどういうものがあり得るか、いろいろと検討しなきゃならないことであろうかと思いますが、私は、アメリカに加担をするという方向の外交政策よりも、国際社会全体の国連の中できちんと認知をされているISAFなどに何らかの形で貢献ができる道はあるのかどうかというようなことも模索をしていただきたい。冷静にその辺を検討していく中で、どちらがよりアフガニスタンの将来にとって有効なのかということを判断してぜひ進めていただきたいと申し上げておきます。

 そこで、さらに、時間が限られてまいりましたが、北朝鮮に関しては、後で、専門家が何人もおりますので、お話を、彼らから質問させていただきたいと思いますが、一つだけ、北朝鮮の平壌宣言ということに関して、前原議員の質問に小泉首相は、今までは、平壌宣言は遵守されている、守られている、北朝鮮は守っていると言い続けてこられたわけですが、初めて、北朝鮮が履行していない部分もある、今後、誠実に履行していくように働きかけていくと答弁をされたわけであります。

 すなわち、小泉首相は、日朝平壌宣言は現在北朝鮮は履行されていない、遵守されていないということを初めて国会の中で発言をされました。そのことはそのことでお認めになりますね。よろしいですね。確認です。

逢沢副大臣 総理が前原議員の質問に対しまして答弁をなさっておられます。今後、履行していない部分もありますので誠実に履行していくように働きかけていこう、そういう意味で極めて日朝平壌宣言は重要な文書であると思う、そういった発言を委員会でなさっておられます。それは事実関係としてそのとおりであります。

鳩山(由)委員 ということは、政府が、やはり北朝鮮は平壌宣言を守っていないということを正式に答弁されたわけであります。事実として認められた。小泉首相は、今までも、平壌宣言が履行されている限り経済制裁はしないとか、あるいは当然履行されることが日朝国交正常化の前提であるという話をされてこられたわけです。

 そのことから考えれば、今、現実に平壌宣言が履行されていないという状況のもとで、国交正常化というものを急ぐことはあり得ませんよね。これは当然ですね。また、経済制裁はしないという前提が今崩れているということでありますから、将来この状態が続いたときには経済制裁ということも政府も視野に入れておられるかどうか。その二点、ちょっとお尋ねします。

逢沢副大臣 先ほど議事録を読み上げさせていただき、事実として総理が答弁をされたということを申し上げたわけでありますが、この総理の発言の意味といいますか趣旨というのは、いわゆる日朝平壌宣言に、このように両首脳で約束をしているけれども、いまだに達成されていない部分があるということの認識について発言をされたわけでありまして、引き続き、北朝鮮との二国間関係におきましては、何度も申し上げてまいりましたけれども、対話と圧力、あるいは圧力と対話というふうに申し上げてもよかろうかというふうに思いますが、そういった基本姿勢で、双方が誠実に日朝平壌宣言にのっとって関係を改善する、二国間の間の懸案を解決していくという基本姿勢が非常に大切であるというふうに考えております。

鳩山(由)委員 平壌宣言が達成されているかどうか。これは宣言でありますから、達成されていないということは遵守されていないということにほかなりません。

 そうだとすれば、この平壌宣言が遵守されていないということが明らかな状況の中で、人道援助だけは別で、これからもどんどん行うんですか。やはりここも、人道援助という言葉はよくわかりますが、人道援助であっても何らかの前提というものがあってしかるべきではなかろうか、私はそのように思っていまして、このような平壌宣言という大々的に行われた両首脳間の宣言が、現在現実に達成されていない、守られていないということであれば、おかしいじゃないかと厳しく言いながら、そのようなときにはまだ人道支援も見合わせてもらうというぐらいの迫力を見せないと、さまざま拉致問題などが進展しないのではないか、私はそのことを大変強く憂えています。いかがでしょうか。

    〔委員長退席、大谷委員長代理着席〕

逢沢副大臣 恐らく来月半ばごろになろうかと思いますけれども、日朝政府間協議がこのたびは平壌で行うということになるわけでございます。ここでいろいろな問題、拉致の問題、あるいはもちろん核やミサイルの問題についても話し合われるということになるわけでございますけれども、二〇〇二年の九月十七日、両首脳で確認をした日朝平壌宣言を遵守しながら二国間関係の改善をしていく、そのことの重要さについて改めて発言をしなくてはならないというふうに考えています。

 人道支援につきまして、これは国連機関が、北朝鮮の窮状にかんがみ、国際社会に広く人道支援に参加をするようにという呼びかけを行い、それにこたえる形で政治判断として人道支援を行うということを決定いたしました。医薬品あるいはまた食料品を国際市場で調達し、今北朝鮮のそれぞれの地域、社会に配給がされる、そういう段階を迎えているというふうに承知をいたしておりますが、確実にモニタリングを行いながら、まさに人道支援の趣旨が生かされているかどうか、そのことを厳密に注視をしていかなくてはなりませんし、また日本政府としてもそのような対応をとるということを用意いたしております。

鳩山(由)委員 人道支援は別だ、ほかの国もいろいろやっている、窮状を、それは北朝鮮の国民のために、彼らの命を救うことも重要なことだと私も思っています。

 ただ、アメリカもほかの国もやっているからということでは、私は必ずしもないと思っていまして、アメリカでは北朝鮮人権法というものが、これは大統領が署名をされました。発効することになります。ここの人権法の二百二条bの二項のCとDに、北朝鮮によって拉致された日本人と韓国人の真相究明、そしてこのような拉致被害者がその家族とともに完全な自由を回復して故郷に帰れるようにしなければならない。アメリカの人権法の中にこれがうたわれて、このようなことの改善につながらなければ米国の人道援助というものはなすべきではないという法律が成立をしているわけであります。

 やはり我々は、むしろ当事国の拉致被害国ですから、その国として、アメリカがここまで毅然として、人道援助に関してもここまで毅然として、拉致問題が解決しなければという話をしている以上、日本としてももっと毅然として、この人道援助に関しても同じような立場で行動すべきじゃないですか。いま一度お願いします。

    〔大谷委員長代理退席、委員長着席〕

逢沢副大臣 アメリカが北朝鮮の人権に関する立法をし、大統領も署名をされ、それが施行状態になっているということについては、私どもも承知をいたしております。

 北朝鮮が拉致問題に対して積極的な姿勢を見せる、そして六カ国協議というテーブルで核やまたミサイルの問題についてより積極的な姿勢を見せる、そういった方向に、引き続き対話と圧力という基本姿勢で臨んでいかなくてはなりません。

 人道支援につきまして、先ほど申し上げましたように、これは両首脳間で約束をした、また日本の政府の立場からいたしますと政府として約束をいたしたことであります。その約束については、きちんと約束どおり守るということは行っていかなくてはなりません。

 しかし、人道支援の残りの部分、二十五万トンまた一千万ドルの残りの部分がございます。これを、いつ、どのようなタイミングでどうするかということについては極めて高度な政治的な判断が必要であるわけでありますし、また日本国内において、また国会も含めて、北朝鮮に対するいわゆる経済制裁、これについての発動に対する圧力、そのように考える人が非常に多くなってきている、そのことについては、累次の北朝鮮との協議の場で率直に日本社会の空気を伝えているということについても申し上げておきたいと存じます。

鳩山(由)委員 逢沢副大臣がこの拉致問題に関しては相当強い態度で臨んでこられたことは理解をしておりますし、ぜひ、先ほども対話と圧力という言い方から圧力と対話という言い方まで変えられたわけでありますから、本気でこの拉致被害者の一日も早い救出というものを考えたときに、全力を挙げて努力していただかないと、そして今お話がありましたように、これは日本として、きちっとした、ある意味で経済制裁をやる可能性というものを頭の中に入れておかない限り、相手としては、もうどうせ日本は簡単なんだからというふうにたかをくくられてしまえば、いつまでたっても拉致問題というものは解決しない、そのように申し上げておきます。

 本来ならば、日米安保、この日米安保の現実は、私は守られていない。極東条項などが、もう既にイラクに海兵隊が飛んでいっているという状況を見ても守られていないと思いますし、沖縄のヘリが墜落したときの日米地位協定のあり方ということに関しても、きょうは申し上げたいことはたくさんございました。

 本来ならば、その問題も相当重要な、あるいはこれが日本の安全保障を左右する、決める大変大きな問題であるだけに、あとの同僚議員にこのことはゆだねてまいりたいと思いますが、私としては、申し上げたいことは、このように、憲法も含めて安全保障に関する日米安保、まさに軸となる議論、地位協定、そして先ほどからお話ししてまいりました平壌宣言、イラクの特措法、あるいはテロ特措法、こういったものが、法律というものがありながら必ずしも守られていない。

 その守られていないものをさも守っているかのように政府が答弁をし、守られていなくとも決してそれを謝ることはない、こういう対応がこの国の安全保障あるいは外交の尊厳というものを著しく傷つけているということを改めて申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 まず冒頭、私は外務大臣への質問を求めておりますが、外務大臣が不在でございますが、いつ戻ってこられるのでしょうか。ちょっとその点を確認させていただきたいと思います。

逢沢副大臣 今般、情報としてもたらされました、イラクにおきまして日本人が人質にとられている、身柄を拘束されているという事案が発覚をいたしました。今、官邸におきまして関係閣僚で、その救出また善後策について協議をさせていただいております。その協議がいつごろまでかかるかということについて、至急に情報をとりたいと存じます。恐縮でございます。

武正委員 ちょっと与野党の御協議もいただく必要があるのかなと思うのは、これは昨年三月二十日、イラク開戦の折に、当時、沖北の委員会で、あらかじめ、やはり外務大臣は当然沖北の委員会、難しいだろうという中で、副大臣、茂木副大臣御出席で答弁ということでございましたが、開戦の日に当たったので副大臣も来れない、政務官だというお話がございました。

 やはり、その二十日の開戦に当たって、まして国連での原口国連大使等の演説、その英文和訳、こうした指摘、前から副大臣とのやりとりもありましたので、私はやはりこれは副大臣に来ていただかなければだめだということで、与野党の理事の御協議もいただいて、与野党間のさまざまな御調整で副大臣に戻ってきていただいた経緯もございます。

 今、副大臣の方から、要請をというようなことでありますが、きょうは六時間の一般質疑でありますし、大変外交案件が山積をしている。その中で、特に与野党の委員の中には、やはり外務大臣でなければという質問もたくさんあるわけでございます。

 そういった意味では、私は、やはりここで、外務大臣が、この今の官邸での協議の中、やはりその場で、またどの程度で戻ってこれるのか、そしてその中で与野党がどういう調整をされるのか、これをぜひ委員会、委員長の方で御確認をいただきたい。そうでなければ、せっかくのこの一般質疑、みんなが準備してきたものが中身のあるものにはならないというふうに考えるからでございます。よろしくお願いいたします。

赤松委員長 今申し出られました取り扱いにつきましては、お昼に理事会を開催予定でございますので、大臣、町村大臣の出席等についてはその場で協議をいたしたいというふうに思います。

 それでは、今与野党の理事で御協議もいただきまして、午前中のといいますか、今の審議につきましては、町村大臣の答弁を、なくてもできる部分もございますので、それを中心に進めていただき、早急に今、外務省の方は、大臣がいつごろ戻れるのか、あるいは戻れないのか等々について連絡をいただくことになっておりますので、その間、この委員会、中断するというわけにはまいりませんので、議事については進めさせていただきたいというふうに思います。

 どうぞ質問を続けてください。

武正委員 これまでの委員会運営で、与野党の理事の御協議でさまざまな工夫がされてきた経験があるということは、もう委員長も御承知のとおりだというふうに思っております。特に、午前中の質問が民主党議員ということもありますので、私はやはり、ここで大臣以外のところをやりなさいといっても、私は防衛庁以外は全部大臣にというふうに質問取りのときにお願いをしております。ですから、大臣以外にということになりますと、防衛庁お見えでございます、あと警察お見えでございますので、この二問だけということになりますが、それでよろしいんでしょうか。

赤松委員長 再度申し上げますが、町村大臣の退席については、この委員会開会前の理事会で、与野党の理事会でもって了承のもとに、私の別に個人の判断で進めておるわけではございません。与野党間の協議のもとで、その了承のもとに進めておることでありますので、どういう質問をされるかは質問者のもちろん自由でございますけれども、その形でとにかく質問は続けていただきたいというのが私の委員長としての議事整理権でございます。

武正委員 与野党の理事の皆さんが御協議をされて、委員長のもと、きょうの委員会の運営がされている、これに敬意を表する次第でございます。尊重はしなければなりません。

 しかしながら、私は、いつ帰ってくるかわからないというような形で果たして委員会審議ができるのか、このことをやはり問題提起をさせていただきたかったわけでございます。特に、それをよしとする外務省の姿勢がもしあったとすれば、私は国会軽視も甚だしいというふうに思います。昨年の三月の二十日のときも……(発言する者あり)いや、ですから、国会軽視も甚だしいと私は申し上げたのでございます。

 ということで、理事会での御協議も配慮をいたしまして、質問に移らせていただきます。速やかに大臣が戻ってこられることをお願いしたいと思います。

 まず第一に、在日米軍司令部、今回の防衛施設庁に、既に明日、CH53D、二十八日三機、あるいは十一月中旬までに二機を岩国に移す、そうした表明がございましたが、新聞報道もございますが、十月十二日、第三回の関係大臣等会合で、飛行再開に政府としてこれ以上異論を唱えるつもりはないというふうにプレスリリースがされております。いわば墜落事故機の同型機の飛行再開を容認したわけでございますが、この根拠は何でしょうか。外務省、お願いいたします。

逢沢副大臣 去る八月十三日に宜野湾市で米軍海兵隊のヘリの墜落事故が起こりました。まことに遺憾な事故であったというふうに考えております。

 政府としては、早急に事故原因の徹底究明、また再発防止、そのことについて米軍に強く申し入れをし、そして日米合同委員会のもとに関係する分科会を開き、鋭意その対応に当たってきているところであります。

 その結果、CH53Dの安全点検等に関しまして、米側からの調査報告書の提出を踏まえ、日本側専門家、これは防衛庁と国交省でありますが、専門家が普天間飛行場を訪問いたしました。そして、事故分科委員会において検証を行い、それらを通じて、政府としては、事故原因及び飛行再開に向けた再発防止策について十二分な説明を聴取することができたという認識に至ったわけであります。それを受け、十二日の関係大臣等会合で確認をいたしましたが、その中身は、米側が事故機と同型のCH53Dヘリの飛行を再開したことに対し、政府としては異論を唱えないという立場に立たせていただきました。

 しかし、当然のことでありますけれども、ヘリの運用につきましては、沖縄県民の方々の不安に十二分に配慮をする、飛行の安全の十二分な確保、そのことを最大限に尊重し運用するように引き続き強く働きかけをいたしております。

武正委員 十分であるというその根拠が私は乏しいというふうに思うわけでございます。

 きょう、お手元に、委員長あるいは理事の皆様の御同意を得て提出資料を出させていただいておりますが、この一番最後から二枚目に、八月十八日、外務大臣あて、民主党代表岡田克也名で「在沖米軍ヘリコプターの墜落事故に関する要請書」を出しております。

 この中で、例えば、下記の一番「政府は、当該事故に関する徹底的な原因究明を行い、その内容を公開すること。」あるいは「日米合同委員会の事故分科委員会を速やかに開催し、事故にかかわる主要な議事録を公開すること。」こうしたことを当時外務大臣に求めました。そしてまた、二番では「上記合同委員会の場などでの米国政府との交渉を通じ、抜本的な対策を講じること。」というようなことですね。

 そしてまた、特に後で問題にいたしますが、これはやはり刑事裁判管轄権、いわゆる第一次裁判権がどちらにあるのか。そして、その放棄を求めたのかどうか。あるいは合同捜査、共同での機体検証を行ったかどうか。こういったことをやはり行うべきということで、昭和五十二年の横浜市の例をもとに、現場検証、合同調査、こうしたことによっての徹底究明、これも求めたところでございます。

 特に、五番では「わが国当局の事故現場検証を認めなかった」ということについては、やはり地位協定の改定、これも求めているところでございますが、三回の事故分科委員会の議事録を公開すべきということをこのとき申し出たわけでありますが、事故分科委員会の議事録は公開されていますでしょうか。外務省、お願いいたします。

海老原政府参考人 日米合同委員会、そして事故分科委員会はその下部組織、地位協定上は補助機関ということになっておりますけれども、この下部組織での合意事項、あるいは今おっしゃいました会合の議事録は、日米間の忌憚のない意見の交換や協議を確保するために、日米双方の同意がなければ公表されないということになっております。

 事故分科委員会での議論につきましては、会合ごとに日米双方が協議をいたしまして、会合の内容についてしかるべく公表を行ってきております。また、議事録ではございませんけれども、米側から提出された事故調査報告書については、米側と協議の上、全文を公表いたしております。

武正委員 九月九日、合同委員会を開いているんですね。これは資料の六ページに、ことし一年間合同委員会がいつどこで開かれたのかの一覧表がございます。九月九日に合同委員会を開催したんですが、そのときにどういう内容だったのか、合意内容は何だったのか。そして、民主党が求めておりますような議事録公開の是非あるいは合同検証の申し入れを日本側からしたのかどうか。そして、まだ開かれておりませんが、刑事裁判管轄権分科委員会の開催の提案はしたのかどうか。これらをまとめてお答えいただけますでしょうか。

海老原政府参考人 お尋ねの九月九日の日米合同委員会でございますけれども、これは米軍のヘリ墜落事故だけではなくて、ほかの件もございましたけれども、米軍のヘリ墜落事故につきましては、私が日本側の代表でございますけれども、私の方から米側に対しまして、まず今般の米軍ヘリ墜落事故を初め、同時期に連続して発生しておりました横浜市内での爆薬落下事故あるいは北硫黄島での米軍機墜落事故等、一連の米軍航空機関連事故について強い遺憾の意を表明いたしまして、再発防止のためのすべての措置をとるように強く求めたところでございます。

 この沖縄の墜落事故につきましては、事故原因及び再発防止策につきまして事故分科委員会において取り上げる方針や、事故現場における協力について特別分科委員会を立ち上げて日米間で話し合っていくということを確認いたしました。

 以上申し上げましたのが、日米で合意いたしました日米合同委員会の審議内容でございます。

 なお、今委員の方から、議事録の公開あるいは横浜のファントム事故についての合同検証の問題等について、この合同委員会で議論がなされたのかどうかというお尋ねがありましたけれども、これは先ほども申し上げましたように、議事録を含めまして、中でどのような意見交換、議論が行われたのかということについては日米双方の合意がない限り明らかにしないということになっておりまして、御質問につきましても、米国との関係もございまして、議論されたかどうかにつきましてもお答えするのは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

武正委員 本来なら大臣に聞きたいことでありますが、この点だけはちょっと副大臣、どうなんですか。もう事故機同型機再開オーケーだ、事故分科委員会、しっかり検証していますよというお話なんですが、国会でこの点を我々が審議するに当たって、情報が余りにも少ない。

 例えば、今回の問題は、先ほども触れたように、合同検証という過去やったことをなぜやらないのか。これをやはりこの合同委員会で申し入れをしたのかどうか。そして特に第一次裁判権、この放棄を言ったのかどうか。あるいは、刑事裁判管轄権分科委員会の開催を申し入れたのかどうか。これは大変大事な点なんですね。

 この点を、今のように合同委員会の内容は明かせないということで、これでは飛行機と同型機の再開を認めるということにはやはりならない。状況がつかめない、真相がわからない、それでよしとする関係大臣の十二日の決定は余りにもおかしい、当然私はそう思うんですが、いかがでしょうか。この合同委員会の内容を何も明かせない、これでいいんでしょうか。

    〔委員長退席、大谷委員長代理着席〕

逢沢副大臣 今武正委員御指摘のように、十二日の関係大臣等会合で、今後の同型機CH53Dの飛行の再開については異論を唱えないという立場をとるということを決定いたしたわけでありますが、それは、事故原因を明らかにするとともに、再発防止策、これについて十二分な説明を聴取することができた、そういう判断に至ったからであります。

 その再発防止の中身ということでございますが、これは他の委員会等でも既に答弁の形で申し上げさせていただいておりますが、まず事故原因となった部分の点検を飛行前点検の項目に追加をする、そして整備マニュアル中不明瞭であった部分をしっかり改正する、整備要員の勤務時間について、米軍のローテーションでありますが、見直しを行う、そして適切な整備手続を行わなかった者に対しては、これは懲戒行政処分を科す等々の再発防止策が確認をされた。そのことをもって、関係大臣等会合で、今後同型機の飛行については異論を唱えない、そのような判断をいたしたわけであります。

武正委員 外務大臣に関する質問は飛ばすということでありますので。

 私は、なぜ日米合同委員会が九月九日以降開かれないのか。過去を見ていただくと、二週間、あるいはせめて一カ月に一回は開いている。ちょうど参議院選挙あるいはお盆を挟んだところは若干間隔があいておりますが、やはり、米軍ヘリが墜落したというこの案件後の合同委員会が九月九日以降一カ月強開かれていないというのは、甚だ遺憾であります。これはやはり合同委員会開催を求めるべきだ。これは外務大臣に聞きたかったんですが、いらっしゃらないので飛ばさせていただきます。

 そして、きょうは防衛庁もお見えでございますので、資料四ページ、五ページ、これは事故分科委員会、これは防衛施設庁が議長をされている分科委員会でございますが、現地調査派遣ということもあって、専門家をここで、四ページ、五ページ、二回、三回の事故分科委員会で委嘱をしている。この専門家が、どういう形でだれが人選をして、この専門家は一体どういう権能を有しているのか、これをお聞きできますでしょうか。防衛庁、お願いします。

今津副長官 この事故は非常に重大であるというふうに考えたわけであります。早期に原因を究明して、再発防止策をどのように講ずるか、大切に考えました。

 そこで、第一回目の事故分科委員会というのがございまして、アメリカの方からとりあえずの調査結果として、後部ローターの構成部分の小さな固定器具が外れてコントロールができなくなったという説明があったものですから、これは専門家でなければ事実を解明できない、こういう判断をいたしまして、海上幕僚監部のパイロット、あるいは海上幕僚監部の整備担当者、あるいは技術研究本部の機体構造に関する研究者、あるいは国土交通省の航空事故調査官のパイロット、この五名に対しまして、それぞれ飛行関連事項、それから整備関連事項、機体構造関連事項、飛行関連事項の分野にわたって調査を依頼したわけでございます。

 議員御承知のとおり、その後、二回の事故分科委員会にこの専門家の方々の御出席をいただいて、子細な現地視察を三回されているところでございます。その現地視察の中では、普天間の飛行場の中の、事故の残骸が保管をしてありましたから、それを調査するとか、そういうようなことを重ねて、事故原因それから再発防止策、安全点検の状況等について、部隊関係者と専門的、技術的なやりとりを行ってまいりました。

 これらの専門家は、事故分科委員会において、今後ともおのおのの専門的、技術的知見を提供することとなりますが、事故原因の究明及び再発防止策に係る日米合同委員会の勧告については、専門家の知見を踏まえて、事故分科委員会の責任においてなされることとなると思います。なお、その際には、専門家の知見を最大限尊重するべきものと考えております。

武正委員 知見の提供程度の、そういった権能を持っているということがわかりました。

 ちなみに、昭和五十二年のときのメンバーとして、今のような航空自衛隊の技術者、海上自衛隊あるいは運輸省の専門家、そのほか、横浜市長から六名の推薦、運輸省の事故調査委員会で過去いろいろやられた専門の先生、そういった名簿、運輸省、こういった方々から専門家をチョイスするというようなことからかんがみますと、私は、例えば日本航空や民間航空会社、あるいは民間の専門家、学識経験者、たくさん航空事故の専門家がいますので、そういった方々をもっともっと加えていかなかったら、このメンバーを見れば、皆さんお役所の方ですよ。それで本当にこの事故調査、原因究明、再発防止の知見の提供ができるのか、私は甚だ疑わしいと思っております。

 そういった意味では、まだまだこれで事故原因、先ほど外務副大臣が言われたように、八月二十二日、同型機の飛行再開のときの米軍のプレスリリースに書いてあるように、そのときからすべて整備不良。八月二十二日のプレスリリース、整備不良、それがもうありきのこの事故分科委員会であると断じざるを得ないわけでありまして、私は、原因究明、再発防止、徹底した調査が行われていない。

 このまま再開を関係大臣が容認して、あした岩国に飛んでいく。一度ならず二度。そのことを政府が容認することは、同じ失敗を繰り返すことで、やってはならない。主権の侵害甚だしい点も含めて、日米合同委員会あるいは事故分科委員会の取り組みをとてもこのままでは容認できないというふうに考えるわけであります。

 警察もお見えでございますので、日米地位協定改正や特定失踪者問題、米軍再編について、外務大臣お見えでありませんのできょうはお聞きできませんので、最後に警察から。

 事故分科委員会で整備上のものなのかと聞いておりますが、事故報告書のように整備上のものと仮にすると、航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律、運転罪で整備士を立件、いわゆる送致するようになるのか。この点、警察庁、お聞きできますでしょうか。

岡田政府参考人 御案内のとおり、沖縄県警察におきましては、事故発生以来、墜落現場等の検証、実況見分、目撃者等参考人からの事情聴取を実施しているほか、航空機の専門家から意見を聴取するなど、所要の捜査を推進中のものであります。

 御質問にございましたような、米側から提出された事故調査報告書の内容等も踏まえつつ、今後とも刑罰法令に触れるものがあれば法と証拠に基づき対処していくもの、このように承知をいたしております。

武正委員 警察は三名の名前の照会をしているというふうに聞いていますが、そのような事実はございますか、米側の整備士の。

岡田政府参考人 いたしております。

武正委員 その結果はどうですか。

岡田政府参考人 現時点では、私どものところではまだ確認をいたしておりません。

武正委員 たとえ整備不良だとしても、こうした点での送致については、これまでの過去の例にあるように、検察庁では第一次裁判権がないことを理由に不起訴にしているということもありまして、やはり、この危険運転罪での送致についても、外務省、米側との関係で三名の名前も明らかにできない、こういったことも含めて、私は、やはり合同委員会のその内容、今回の米軍ヘリについての原因究明、再発防止、その取り組みには甚だ不備なものがあるということを指摘して、時間を若干余して終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大谷委員長代理 松原仁君。

松原委員 民主党の松原仁であります。

 きょうは、本来であれば、町村外務大臣、初めての質疑をさせていただきたかったわけであります。特に拉致問題に関しては、率直に申し上げまして、従来の川口さんが、極めてぬかにくぎのような、きちっとした対応がなかなかとれないという印象がありましたので、その分、町村さんに対しての期待が高まってきていたわけであります。残念ながら大臣が御不在でありますが、外務省の逢沢副大臣を初め、誠心誠意、思い切った御答弁をお願いしたいと思っております。

 まず最初に、拉致の問題から始めたいと思いますが、日朝実務者協議、直接は齋木さんがやっていたわけでありますが、これに関する北朝鮮側の発言や行動において誠意という、極めて抽象的な表現でありますが、誠意ある彼らの行動というものを感じたかどうか、そういった報告を受けているかどうか、薮中さんにお伺いします。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 二回実務者協議を行いまして、第一回目は、まさに委員御承知のとおり、極めて入り口のところで、どういう調査を行っているのか。二回目については、今回は、もう少し幾つか具体的なケースについての説明があったわけでございますけれども、我々から見ると、先方は、非常に時間がたっている問題で一つ一つのインタビューをするのに時間がかかるんだとか、いろいろなことを言っていました。

 そこに難しさはあるんだろうとは思いますけれども、私どもが報告を受けている限りでは、そうした中で、やはり残念ながら、今までの北朝鮮側の回答というのは不十分であるという認識でございまして、何とかもっと効率的に行えないかということでの工夫を今しているところでございます。

松原委員 我々、実は拉致議連というものがあるわけでありますが、そこの人間とまた家族会の皆さんが一緒に町村外務大臣を訪問いたしましたときに、町村さんは、北朝鮮がこのような不誠実な対応をとるならばというふうな表現を使ったわけであります。

 本当はきょうそのことを御本人にもう一回この場で確認をしたかったわけでありますが、極めて不誠実な対応をしているんだというふうな印象をやはり外務省としても、大臣はそういうことをその場の発言ではしたわけでありますが、そういう印象を持っているのかということをもう一回お伺いいたします。

薮中政府参考人 繰り返しになりますけれども、我々としては、まさに今までの北朝鮮側の回答というのは、これは不十分であるという認識でございます。そして、具体的に言えば、今までの話としては、北京で行う、そうすると、こちらが質問をすると、相手は調査委員会の人に聞かなければいけないから持ち帰ります、こういうことであったわけです。これを我々は不十分と思いますし、不誠実かどうかというのは、やり方がもう少し工夫が必要だったかもしれないと思いまして、今回は平壌に行って、実際に調査委員会の人間がそこにいる、そういう中で実際の協議を行っていきたいというふうに考えております。

    〔大谷委員長代理退席、委員長着席〕

松原委員 そういう中で、人道支援ということで食糧支援等が予定をされているわけでありますが、この人道支援の現状はどうなっているか、簡潔にお答えください。

逢沢副大臣 御指摘の人道支援でございますけれども、政府は八月五日、WFP、世界食糧計画を通じまして、御案内のように、十二万五千トンの食糧支援、そしてユニセフ、世界保健機構、WHOでありますが、それを通じた約七百万ドル相当の医薬品の支援を決定し、発表をいたしたわけであります。

 その後、国際機関との諸手続を進めてまいりましたが、九月三十日以降、一部の食糧支援が北朝鮮に到着をいたしております。現在、各地での配付、そしてWFPによるいわゆるモニタリングが行われておる、そのような状況にあります。

松原委員 北朝鮮側が、拉致、特に未帰還者、さらには特定失踪者が明らかに拉致されているのではないかという案件が幾つか出てきているわけであって、こういう部分に関して北朝鮮側がきちっとした情報を出してこない場合は、既に到着したものについての分配の仕方もこれ、我々はさまざまなチェックをしていく、当然でありますが、まだ未到着の人道支援については、これは少し、送ることに関して、相手の出方を見るということも私は必要ではないかと思いますが、御見解をお伺いします。

逢沢副大臣 今、いわゆる人道支援の状況はどうなっているかという質問に対してお答えをいたしたわけでございますが、政府として決定をし、既に実行に移しております十二万五千トンの食糧支援、また七百万ドル相当の医薬品の支援、これは予定どおり実行に移していかなくてはならない、そのように考えております。

 しかし、当然のことでございますけれども、国際機関のモニタリング、これは非常に大事なことであります。それに加えまして、我が国政府の要員もこのモニタリングに参加をするということについて、基本的にその計画を進めているところでございます。

 しかし同時に、先ほど薮中局長から答弁がありました拉致の問題については、とりわけ北朝鮮の真相究明、日本に対する情報提供の姿勢が甚だ不誠実である。そのことに対して日本の世論は猛烈に反発をしている、そして国会にも大変厳しい空気が充満をしている。そういったことにつきましては、累次の機会を通じまして北朝鮮側に強く伝えているところであります。

松原委員 今、不誠実であるということを副大臣がおっしゃったわけであって、私は、この認識が恐らく政府でも当然そういう認識だろうし、国民の多くもそういう認識を持っているということであるならば、外交の世界でありますから、私は、なぜこの十二・五万トン、閣議決定をされたからということで粛々と出すのか。

 既に一部行ったものに関して、それを戻せとまでは私は言いません。しかし、これからの残余については、出さないというわけではないけれども、北朝鮮側の出方を見ながら判断するというのは、生きた政治として当然のことだと思っております。再度答弁をお願いします。

逢沢副大臣 大変重要な指摘をいただいたというふうに思います。全体の枠として、二十五万トンの食糧支援、そして一千万ドル相当の医薬品でございます。残りは、食糧については半分の十二万五千トン、そして三百万ドル相当の医薬品ということがあります。これをどのように扱っていくか、どう動かしていくか、決定をしていくか、極めて高い政治判断が求められるというふうに承知をいたしております。

松原委員 その高い政治判断の中身が、率直に言って、やはりこれについては、私は、最悪の場合は凍結も含む決断をするべきだというふうに思っているわけであります。これは事務方の問題ではなくて、大臣、副大臣を初めとする政府の首脳の皆さんの判断だと思いますが、私はここで安直に、北朝鮮側の出方が極めて不誠実な中において、それでもこの支援の閣議決定をした先ほどの十二・五万トンに関しては、粛々と出すというのは、私はこれはあってはならないというふうに思っております。もう一回答弁お願いします。

逢沢副大臣 残りの十二万五千トン、そして三百万ドル相当の医薬品の取り扱いにつきましては、今、松原議員が発言をされたそのことも含め、あらゆる選択肢を捨てない、そういう状況の中で、政府として責任ある判断をいたしていきたいと思います。

松原委員 今副大臣がお答えいただいたのは残りの十二・五万トンということで、私はこれは当然その判断だと思います。しかし、今も着いていない、これから到着する。これ、薮中さん、どれぐらい到着していないんですか。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 現在のところ、小麦、米、そしてトウモロコシ、大豆ということで、これは、日本政府はWFPとの間で申し合わせを行いまして、順次WFPに十二・五万トンの所要部分の資金を拠出し、現在はWFPの方が現地の需要を見ながら全体の購入計画を行って、もうそのすべてについて彼らは手を打っておりますけれども、その中で、支援物資ということでいいますと、九月三十日以降、トウモロコシにつきましては一万八千五百トン、大豆五千トン、小麦二万五千トン、食用油七百四十トンがもう既に現地に到着しております。

 その他につきましても、WFPが既に我々との契約に基づきまして、十二・五万トン全体についての購入の手を打っているというのが現状でございます。

松原委員 それは事務的な流れというのは流れであるでしょうが、生きた政治でありますから、当然、残余については凍結も含めそれも選択肢であるということは逢沢副大臣が明解におっしゃったわけであって、これはきちっと対応しなきゃいけないけれども、既に行った、行きつつあるものも、やはり政治の力で北朝鮮に対してきちっとしたメッセージを送るべきことだ、私は行動をとるべきだということを強く要請しておきたいと思います。

 同時に、町村外務大臣は、我々との外務省における被害者家族会を含む議論において、経済制裁のこともその可能性を示唆したような発言があったわけであります。こういった不誠実な対応が続くならば経済制裁も考えるのではないかというような、私はそこにいてそういうニュアンスを聞いたわけでありますが、経済制裁については、外務省内ではどういうふうなときにどう発動するのか、その辺の検討がなされているのか。まず、検討はなされているのかどうかをお伺いしたい。

逢沢副大臣 いわゆる対話と圧力、また先ほど鳩山議員に対する答弁の中でも申し上げました、圧力と対話と言いかえてもいいというふうに私は承知をいたしておりますが、この基本方針の中で、北朝鮮と日本の間にまたがる諸問題の解決のために努力を続けていかなくてはなりません。

 そして、いわゆる圧力を体現するツール、手段として、議員立法で成案をいただきました改正外為法そして船舶入港禁止法、これは当然圧力を構成するものでありまして、当然、いわゆる経済政策については、対話と圧力、圧力と対話の考え方のもと、可能な一つの手段であるというのが町村大臣の考え方でもございますし、また私自身の考え方でもあるわけであります。

 当面は、来月、十一月半ばに、先ほど答弁申し上げましたように、平壌におきまして日朝政府間協議が開かれます。北朝鮮側がきちんとした調査結果をその場を通じて提供するということが非常に大切なことでございまして、それに向かいまして一層の働きかけを行っているところでございます。

松原委員 圧力と対話、対話と圧力というのから私はもう圧力と対話に順番を変えるべきだ、このように思っております。逢沢副大臣も圧力と対話と言いかえておられるわけで、私はそういった方向で努力をしていただきたいと思うわけであります。

 しかし同時に、まさにこの圧力の内容として、経済制裁というものも含まれるというふうな今御発言だったと思います。であるということは、私は、やはりそれは、伝家の宝刀をいつ抜くかは別にして、検討に入るというふうなことが当然部内で行われていると思いますが、このことについて、御所見はどうなっていますか。

逢沢副大臣 先ほども答弁させていただきましたように、いわゆる経済制裁につきましては、それが実行可能な一つの手段であるということは当然のことであります。日朝平壌宣言を双方が遵守する、これを守りながら両国間の関係を改善していく、そのことが大切なことでありますが、大きく軌道をそれる、またそれに全く反する、そういった状況が仮に不幸にして生まれるとすれば、当然経済制裁というものが現実的な手段として出てくる、当然の認識でございます。

松原委員 今の副大臣のお話によれば、私は、北朝鮮の行動は、核、ミサイルその他、拉致の進展も含め、日朝平壌宣言から既に大きく外れているという印象を持っておりますから、速やかに経済制裁のあり方の検討には入っていただきたいということを強く要請しておきたいと思います。

 同時に、拉致問題は二つの意味がある。一つは、拉致被害者を取り戻すという当然の国家の使命であります。もう一つは、テロに屈しない国家であるということを日本が明らかにする。この二つが拉致問題において極めて重要なことだというふうに私は認識をしております。

 前段についてはもちろんこれから最大限の努力をしてまいりますが、後段について言うならば、拉致はテロである、拉致はテロであるということは、これはもうアメリカもテロ支援国家に認定する理由に拉致を入れているわけであります。これは日本の国でも既にそういう言動があると思いますが、拉致がテロであるという認識は副大臣はお持ちですか。

逢沢副大臣 おっしゃるとおり、私の認識といたしましても、拉致はテロであるというふうに認識をいたしております。

松原委員 今、外務副大臣が拉致はテロであるという認識をするのであれば、テロに屈しないということは極めて重要なことであります。人によっては、人道支援は身代金ではないかという議論もあるようであって、私はそういうふうに思われること自体が日本にとっては国際社会において極めてマイナスであろうと。したがって、拉致というテロに対して屈しない姿勢というのは、私は口先だけはなくて、きちっとした行動を示す。私は、含めて、ぜひとも経済制裁等の検討をいただきたいと思っております。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 今、日本は外交上さまざまな問題を抱えているわけでありますが、特に日中境界線周辺における中国の資源開発の問題は看過する問題ではありません。私もこの外務委員会で半年以上前にこのことは質問いたしたわけでありますが、そのときは、答弁者は、日朝境界線が画定していない段階で日本側としては採掘をするのはまだまだというふうなことをおっしゃっていました。

 しかし、その後、中国のこういった状況を受けて、当然日本政府も外務省も重い腰を上げたという認識を持っておりますが、薮中さんは中国に行ってこの点について協議をして戻ってこられたばかりだというふうに聞いております。

 若干、短い時間で、簡潔に御報告をお願いしたいと思います。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 二十五日に丸一日かけて、実際には九時間程度のお話し合いでございましたけれども、徹底した議論を行いました。

 そこでは、要するに、委員御承知のとおり、東シナ海において境界が画定されていないということで、日本側の基本的な立場をもう一度、改めて、はっきりとした形で申し述べました。もちろん、先方は先方で言っております。しかしながら、我々としては、そうした中で解決策は中間線しかないのではないかというのが我々の考え方でありまして、それを改めて非常に強く主張したわけでございます。

 その上で、中間線にまたがる形で春暁構造があるのではないか、したがって、それについての情報提供を求めているんだと。これをまた改めて求めました。求める中で、我々としては、今まで何度も求めてきたのに対して返答がないので、我々自身として探査をしているんだということ、これはもうはっきりと先方に説明したわけでございます。

 先方は、その探査についても懸念を表明いたしましたし、他方において、情報提供においては、彼らが言いましたのは、この春暁構造について日本側が心配する必要はない、自分たちのということで、今までの調査結果として、地質の構造、断層がある、あるいは砂の性質のものであるとか、いろいろなそういう形状についての説明はございました。しかし、具体的なデータの提供はございませんでした。したがって、これでは全く不十分であるということを厳しく先方に言い、また今後の対応を求めていった、こういうことでございます。

松原委員 薮中さんが使う日本語の場合は、不十分というのは不誠実だ、こういうふうな日本語ととってよろしいですか。

薮中政府参考人 私が申し上げていますのは、全くそれでは不十分だということを言い、かつその会議の場で、皆さんいろいろ出ておられましたけれども、私も相当激しい、厳しい口調で、外交官として許される最大限の厳しい、激しい口調で先方に激しく求めたということを申し添えたいと思います。

松原委員 きっと薮中さんも一番厳しい表現を使ったんだろうと思っておりますが、これはもう、厳しい表現を使うと同時に、中国は日本の探査に対して、何か、やめてくれとか、けしからぬとか言っているんですか。

薮中政府参考人 中国側の立場だけを申し上げますと、彼らは、中間線からさらに東側に彼らとしての水域があるという主張でございます。それは、自然延長論といっておりますけれども、沖縄のトラフまで彼らの大陸棚についての権限があるというのが彼らの主張でございます。それに基づいて、したがって、中間線から東側が、中国側からいえば日中間の係争水域である、その係争水域において日本側が一方的に探査をするのは困るということを言っております。

 我々は、全くそうではない、まさにきっちりとした解決をするとしたら中間線しかないじゃないか、それがまさに、今日、国際場裏においても等距離基準というのがより強い主張としてなっておりますから、そういう点をいろいろと細かく説明し、また厳しく説明して、そしてまた調査については、当然我々はこれはやっていくんだということを向こうに伝えた次第でございます。

松原委員 とにかく、この中間線を含む議論というのは、それは中国の議論をいったら、極端なことを言えば日本の沖縄まで全部中国のものになるような、そういう拡大解釈が行われる可能性すらあるので、きちっと、外交交渉は黙っていてはいかぬということで、従来、本来であれば、私はことしの早い段階で外務委員会で質問した段階から、春暁もあることを前提に、外務省はそのことを、私も質問したんですから、この委員会で。記憶があると思いますが。そのときに答弁はきちっとした答弁ではなかった、私に言わせれば。しかも、その後中国が出てきてしまった。

 私は、後手後手になってはいかぬと、尖閣も同じでありますが。これはやはりきちっと、もう新しい外務大臣になったんだから、町村外務大臣のもとで、それはきちっとした毅然たる外交を展開してほしい。それは拉致の問題も一緒であります。

 次に移りますが、ことしは日露戦争百年を迎えております。この日露戦争というものは、今からちょうど百年前に行われまして、来年の五月の二十七日が日本海海戦のちょうど百年になるわけであります。

 この日露戦争に関しては、ロシア側はさまざまな企画が行われております。日露戦争百年を記念する追悼式典がロシアでは既に企画されましたし、また日本海海戦で沈没した艦船と同じ名前の、バリャーグとかコレーツという、ロシアのロシア太平洋艦隊が韓国、仁川に行って、そこの追悼式典を行った、こういう経緯があるわけであります。

 この日露戦争というものに関して、ロシアがこういう式典を、追悼式典等をやっているということでありますが、私たち日本においても、日露戦争というのは非常に重いものがある。重いというのは、歴史的な重い価値を持っている。人によれば、この戦争によって初めて東洋人が西洋人に勝ったという議論もあるわけであって、さまざまな評価があるわけでありますが、この追悼ということも含め、私は、日露戦争で日露双方がおびただしい戦没者を出した結果になった旅順の陥落が来年の一月になるわけであります。

 また、日本海海戦が、今申し上げましたように五月の二十七日になるわけでありますが、こういうときに、既にロシアは仁川で慰霊祭をやっているわけでありますが、日本政府として、外務省として、ロシアと合同慰霊祭をやるお考えはないかどうか、お伺いをいたします。

逢沢副大臣 来年は日本とロシアの間の初めての条約が結ばれて百五十年という一つの大きな節目を迎えますし、今松原先生御指摘のように、いわゆる日露戦争から百年という節目の年を迎えているわけであります。

 日露戦争について、さまざまな歴史的な評価あるいはまた意見があるということは私も承知をいたしております。近代化を果たした直後の日本が、アジアに進出する列強の動きの中で我が国の独立を守らなくてはならない、基本的にはそのような戦争であったというふうに理解をいたしております。また、日露戦争百周年を機に、ロシア側が、仁川を初め幾つかの場所で追悼式典を行っておること、また当時の関係者同士が一堂に会して追悼式典その他の行事を行うということについても接しているところでございます。

 その上で、日本とロシアが、あるいは政府と政府がというふうに言いかえてもよろしいでしょうか、正式にこの日露百周年、日露戦争から百年、そして両国の亡くなられた兵士を追悼する正式な式典を持つかどうかにつきましては、今現在そういったことを想定していることはございません。しかし、日ロ間で、恩讐を超えた和解や相互理解のきっかけとなるさまざまなレベルの行事がとり行われるということにつきましては、大変有意義なことというふうに承知をしています。

松原委員 日本海海戦の合同慰霊祭というものを行うということが具体的な話として進んでいるということを私は情報として得ているわけでありますが、この日本海海戦の合同慰霊祭に関してはいかがなっておられますか。

逢沢副大臣 双方の関係者によってさまざまな行事が企画をされているわけでありますが、その中に、今委員が御指摘のように、日本海海戦死者の慰霊祭も計画をされているというふうにお聞きをいたしております。どのような範囲でそういうことに支援ができるかということにつきましては、鋭意検討を加えてまいらなくてはならないと承知をしております。

松原委員 外務省として、この日本海海戦の慰霊祭に関してはどういう助力ができるかを考える、こういうことでよろしゅうございますね。

逢沢副大臣 外務省として、また政府として、どのような観点からどんな支援ができるかということについて検討させていただきたいと存じます。

松原委員 ぜひ、二〇三高地、これは中国領でありますからなかなか難しい部分があるという議論もありますが、私は二〇三高地は日露戦争最大の激戦地でありますから、ここにおける、二〇三高地における日本人の慰霊祭というのは最近全然行われておりませんから、百年ということで、やはり先人に対して敬意を表するということも含め、そういう慰霊祭をぜひとも二〇三高地と日本海では行っていただきたいというふうに思います。

 やはり、そこの、政治も含めて、私は申し上げたいんですが、政治もそうです。イギリスのエドモンド・バークが言っているのは、政治というのは現在と未来と過去の人たちが一緒に行う活動である。私は、そういった観点が日本の物の考えの中で極めて今求められていると思いますから、こういった合同慰霊祭を含め、そしてかつて司馬遼太郎が小説で書いた「坂の上の雲」の、ああいった私たちも毅然たるものを、日本の歴史の中で誇れるものは何か、そして私たちが大事にしなければいけないものは何か。虚心坦懐に、負の部分も見ながら、全体を客観的に評価する、バランスある評価というものを目指していかなければいけないと思っております。

 同時に、日露戦争百年を記念してロシアはさまざまなこういった企画をしているわけでありますが、私は、記念切手の発行を、外務省として、諸般、さまざま検討するべきではないか。直接の所管ではないですが、そういったものを郵政公社に提案する考えがあるか、本来は町村外務大臣に聞こうと思っていたんでありますが、逢沢副大臣、御答弁をお願いします。

逢沢副大臣 委員が累次御指摘の、日露戦争の百周年、そしてとりわけ日本海海戦死者の慰霊祭、重要な意義がある、そのようにおっしゃられました。基本的な認識を私も共有をさせていただいているわけであります。当然のことでありますが、百年前の大きな戦争、恩讐を超えた和解や相互理解を進めるということは、大変意味があり有意義なことというふうに考えております。

 御指摘の記念切手の発行についてでございますが、ある種の提案をいただいたということであろうかというふうにも思うわけでございますけれども、外務省として、郵政公社にこの日本海海戦百周年を記念しての切手の発行を提案するということは考えておりません。

松原委員 相互理解も大事でありますが、我々が日本の過去の歴史について正しいバランスのとれた歴史観を持つ、そういうことで我々が日露戦争を理解するということも極めて重要であるということを改めて申し上げたいわけであります。

 最後に、時間がなくなってまいりましたが、竹島問題に少しだけ触れておきたいと思います。

 実は、私、先般、島根県知事を訪ねまして、島根に参りまして、竹島問題を、私も領土議連の事務局長として島根県を訪問いたしまして、この竹島のことについて島根県知事と話をしてまいりました。

 私は、そのときに、島根県知事との話で、竹島の日をつくるということが一つありました。これは、おとといか何か、竹島の日をつくろうということで島根県知事が内閣を訪れた、訪問した、細田官房長官に会って話をしたというのを聞いております。竹島の日の制定について、ぜひとも、やはり竹島が昭和二十九年以来韓国に実効支配されている中で検討をいただきたいと。こういったシンボルがない限り、いつまでたっても日本の領土として戻ってまいりませんから、このことをぜひとも検討していただきたいということについて御答弁をいただきたいと思います。

逢沢副大臣 竹島につきましては、当然のことでありますが、歴史的にも国際法的にも我が国の固有の領土であるということは、累次、国会の場におきましても、またあらゆる場を通じて、国民の皆様の前に、また国際社会に対して日本の基本的な立場を明らかにしているところであります。

 確かに、現状がどのようになっているか、それを打開していくかということについてはさまざまな困難がございますけれども、政府としては、引き続き不断の努力を、また検討を重ねてまいりたいというふうに思います。

 また、竹島の日の制定ということについてでございますが、これは、結論から申し上げれば、日韓関係全体を、全体をよく考えながら適切に判断をしていくということがやはり必要になってこようかというふうに存じます。

松原委員 質問は終わるわけでありますが、竹島の日の制定で、日韓関係全体を見てということは大事でありますが、竹島を昭和二十九年以来一方的に占拠しているのは韓国であります。日韓関係全体を考えるならば、韓国の竹島の占有に対して猛省を促すべきであって、その中で、我々は、竹島の日は絶対に、これは少なくともそれぐらいのことをやっていかなければ具体的な話に進んでいかないのではないかということを、これは島根県知事も同じ認識を持っておりますので、強く申し上げたいと思います。

 最後に、その場で議論になったのは、やはり国際司法裁判所に対する提訴であります。韓国が応訴しようがしまいが、昭和二十九年の韓国がそこをいわゆる占領した段階では一回は提訴しておりますが、その後、半世紀にわたって提訴をしていない。私は、毎年毎年提訴を続けるという姿勢がなければ、日本は竹島問題を放棄したというふうに国際社会に見える可能性もあるということもあるので、ことしは、竹島のこの問題、提訴も含めて、ぜひとも考えていただきたいということを申し上げまして、強く要請いたしまして、私の質問を終わります。

 以上です。ありがとうございました。

赤松委員長 次に、今野東君。

今野委員 民主党の今野東でございます。

 私も、きょうは町村外務大臣に幾つかお尋ねをしたい、そのつもりで質問を用意してまいりました。

 先ほど武正議員が町村外務大臣はいつ戻ってくるんだということをお尋ねいたしましたが、調べてお答えするということだったんですが、これはどうなっておりますでしょうか。

逢沢副大臣 町村大臣、ただいま身柄を拘束されております人質の無事解放のための懸命の努力を関係大臣の一人として行っているところでございます。

 報告によれば、まず、中東のテレビ局のアルジャジーラのインタビューを受ける、アルジャジーラに出演をするということを通じてイラク及び中東の世論に訴えかけるという準備を、あるいは今現在、場合によっては実行中というふうにも考えるわけでありますが、そのことを含めた努力をさせていただいております。大変恐縮でございますけれども、今現在、この委員会の方に戻ってくることができる状況ではないということをぜひ御理解いただきたいと存じます。

今野委員 今、インタビューが終わっているという情報がありました。今、何をしているんですか、大臣は。

逢沢副大臣 アルジャジーラ以外のAP初め各国の通信社、またメディア関係への対応というふうに、ただいま直近の報告がございました。

今野委員 速やかに、まあ、そちらももちろん大変重要で緊急の事態でありますから、やっていただかなければなりませんけれども、体一つしかありませんから大変ですが、できる限りこちらに早く戻ってきていただきたいという希望を申し上げておきます。

 私は、きょう、米軍の沖縄国際大学へのヘリ墜落について、先ほど武正議員がお尋ねしましたけれども、時系列的には私の方がやや先になるかと思いますが、その墜落をした後の検証その他についてお尋ねをしたいと思いました。

 しかし、きょうは、今国会初の外務委員会でありますから、大臣に外交の基本的な姿勢についてぜひお尋ねをしたいと思っておりました。その基本的な姿勢というのは、アメリカとの外交と、そして最もアジアの中でも重視すべき中国との外交と、そのバランスをどういうふうに考えるんだろうかということをお尋ねしたかったわけですけれども、きょう、この冒頭で外務大臣があいさつをされました。

 この中で、外務大臣就任後最初にアメリカを訪問いたしましたとあり、さらに、強固な日米同盟に裏付けられた日米関係は我が国外交の基軸です、国際社会の諸課題への取り組みに指導力を発揮していく考えですと。まあ、アメリカとともに国際社会に進んでいくんだという、非常にアメリカとの関係については力強い決意を感じられるんですが、一方、中国との関係については、我が国の安全と繁栄に中国は不可欠です。「著しい経済成長を遂げている中国の存在は、我が国にとって機会であり、より幅広い分野における協力を一層進めることが重要です。」まあ「重要です。」という言葉は使っているんですけれども、どうもアメリカとの関係よりも中国との関係は軽視しているのではないかという感じがいたします。

 これは、もちろん外務省全体で承知していらっしゃる大臣のあいさつだと思いますから、副大臣、もしお答えいただけるのであれば、私は特にここのところがよくわからないんです。「中国の存在は、我が国にとって機会であり、より幅広い分野における協力を一層進めることが重要です。」中国の存在は我が国にとって機会であるというのは、これはどういうことなんでしょうか。

逢沢副大臣 大臣の所信でございますので、またできるだけ早い機会に直接大臣から、大臣本人の基本的な考え方、姿勢、そのことはまた答弁の形か、あらゆる形で申し上げさせていただきたいというふうに思っておりますが、お許しをいただいて、私から発言をさせていただきたいと思います。

 言うまでもないことでありますが、我が国の外交の基本、これは、日米同盟そして国際協調、この二つでございます。世界の中で最も大切な、日米関係は二国間関係であるというふうにも呼ばれております。安全保障、経済、いずれをとりましても、アメリカとの良好な関係を維持発展させていくということは日本の基本的な国家戦略でなくてはならないというふうに理解をいたしております。

 一方、大臣所信の中で、中国のことについても、今、今野先生が御指摘をいただきました。このような形で触れさせていただいたわけでありますが、中国は著しく経済成長を遂げている、またそのことを背景にいわゆる政治的な発言力も強化をされているというふうに理解をいたしております。

 御指摘の「著しい経済成長を遂げている中国の存在は、我が国にとって機会であり、より幅広い分野における協力を一層進めることが重要です。」実は、かつて中国の成長あるいは中国の存在そのものが日本にとって脅威である、そういったような認識を持つ向きもありましたし、また、率直に言って、我々政治家の間にも、中国をどう考えたらいいか、場合によっては今よりも将来はより脅威になるのではないか、そんな認識があったことも否定できない事実であろうかと思います。

 町村外務大臣の認識として、また政府の認識として、中国の存在は我が国にとって機会である、チャンスである、それはお互いが協調しながらアジア太平洋地域の安定を図っていく、あるいは繁栄をより大きなものにしていく、あらゆる意味で中国との関係は、そういったものをより前進させるチャンスであり機会である、基本的なそういった姿勢が大切であるということをこの所信の中で述べられたというふうに私は承知をいたしております。

今野委員 これは、国語学的には、中国との関係は今こそ我が国にとっていい関係を結ぶ機会であるというのならわかるんですけれども、どうももうひとつよくわかりません。機会があれば大臣にお尋ねすることにいたします。ありがとうございます。

 さて、沖縄の八月十三日に起きた米軍ヘリの沖縄国際大学構内に墜落した事件ですけれども、これは外務省としてどういうふうに報告を受け、そして認識しているか、細かい点もありますけれども、二、三確認をしたい点があります。

 まず、米軍のCH53D型ヘリが沖縄国際大学構内に墜落したのは、八月十三日のこれは何時何分というふうになっていますか。

海老原政府参考人 八月の十三日の午後の二時十八分でございます。

今野委員 私はこの間、外務委員会の派遣で視察に行ってまりまして、宜野湾市の消防本部の方にもいろいろお聞きをしたんですが、二、三分のずれを別に追及したいとは思いませんけれども、恐らく午後二時十五分ごろだと思うんですね。宜野湾市の消防本部によりますと、午後二時十七分に一般の方から通報があったんです。

 ちょっと、ずっとこのあたりのところを整理してみますと、そして二時十九分に消防本部は出動指令を出しました。米軍はといいますと、ほぼ同じ時刻、二時十九分ごろに、大学と普天間基地は隣接しておりますから、大学に隣接する普天間基地内から米軍兵およそ五十名がさくを乗り越えて現場に駆けつけ、負傷したヘリ乗員三名を救出し、安全な場所に移動させたりしていたようです。

 そして二時二十五分ごろ、予防査察のためワゴン車で付近を走っていた消防署職員二名が現場に到着しまして、黒煙を確認し、写真撮影をしました。付近に住んでいた非番の消防職員も駆けつけて、先着のタンク隊を誘導して、機関員としてこの救助活動、消火活動に加わります。米軍はといいますと、炎が激しくなりまして、米軍兵士は一斉に避難するんです。

 二時二十七分ごろ、先着隊のポンプ隊及び救急隊が現場での消火、救助活動を開始し、放水したりあるいは泡消火剤を使用して、二時三十五分ころほぼ鎮圧状態になります。ここで米軍消防隊のポンプ隊や化学隊が到着するんですね。三時八分ころ火災は鎮火します。そしてそこで、米軍関係者が一斉に現場付近に侵入してきて、米軍による広範囲の立入禁止区域の設定作業が始まりまして、テープが張られるわけです。

 時系列で見ますとこういうことになるんですが、この過程で、米軍は当然、ヘリが墜落したという通報を周辺自治体にすべきだと思うんですけれども、周辺自治体に米軍からの通報があったのはいつでしょうか。

海老原政府参考人 このような事件、事故が起きましたときの地方自治体への通報手続というのは、平成九年の三月三十一日付日米合同委員会において取り決められております。それで、現地の自治体についてでございますけれども、これは、この合意によりまして、那覇防衛施設局から沖縄県及び関係市町村に通報が行われるということになっております。

 今のお尋ねは、那覇の施設局から沖縄県等に何時に通報が行われたかということであると思いますけれども、那覇施設局が何時何分に地方自治体に通報したかという書類はちょっと持っておりません。

今野委員 書類を持っていないということは、報告していないということですか、通報していないということですか。

海老原政府参考人 我々、米側が通報したという時間は持っておりますけれども、施設局が自治体に通報した時間というのは、申しわけありませんけれども施設局の方に聞いていただかないと、ちょっと私どもで把握いたしておりません。

今野委員 私はもともと米側が通報した時刻を伺っております。教えてください。

海老原政府参考人 失礼いたしました。

 米側が通報ということであれば、二時三十分ごろに沖縄の海兵隊から外務省の沖縄事務所に、また二時四十五分ごろに在京の米国大使館から外務本省に対して通報がございました。

今野委員 いや、周辺自治体に米側が、米軍が報告したのは何時何分ですかとお尋ねしているんです。

海老原政府参考人 周辺自治体ということであれば、先ほど申し上げましたように、これは通報手続によりまして、米軍からまず那覇の施設局の方に通報がございまして、那覇の施設局の方から地元の沖縄県及びその他の関連の自治体に通報するというシステムになっておりますので、そちらで地元の方には通報があったものというふうに承知をいたしております。

 なお、地元という意味が現地の警察あるいは消防ということでのお尋ねでございますれば、米側からの説明によりますと、何時何分というのは我々は得ておりませんけれども、米軍の説明によりますれば、海兵隊は事故発生直後に地元の消防、警察に通報を行ったというふうに述べております。

 ただ、いずれにしろ、この辺につきましては、今、事故現場での協力に関する特別分科委員会で検証を行っておりまして、今のような点も含めまして、今日米間で協議を行っているということでございます。

今野委員 何やら米軍が、こういう事故が起きても周辺の自治体に通報しなくともいいことになっているんだというような答弁のようにも聞こえます。しかし、消防に通報はしていますとも言っておられますし、一体どちらなのかよくわからないんですが、宜野湾市はいまだに通報を受けていないと言っているんです。いまだにです。

 これは、こういう状態でいいんですかね。こういう事故を起こしても、周辺自治体に報告しなくてもいいことになっているんですか。

海老原政府参考人 先ほども申し上げました、このような事件、事故についての通報システムにつきましては、合同委員会の合意でこれを決めております。

 先ほどにちょっと補足させていただきますと、現地の警察等にも通報したということを申し上げましたけれども、これは、特に事件が緊迫した危険のある場合につきましては、那覇の防衛施設局に通報いたしまして、那覇の防衛施設局から沖縄県及び関係市町村に通報すると同時に、現地の警察、消防署、海上保安庁の関係先にも通報するということになっておりまして、この方法に基づきまして、那覇の防衛施設局と同時に現地の警察、消防署にも通報をしたというふうに米側は言っているわけでございます。

 宜野湾市にいまだに通報がないということでございましたけれども、我々ちょっとその事実は把握しておりません。我々の理解では、那覇の防衛施設局の方からしかるべく県及び関係市町村に通報がなされるということになっているというふうに承知をいたしております。

今野委員 おっしゃっているのは報告なんですよ、翌日訪ねてきたりなんかしていて。危険が迫っているわけですから、今この場合は緊迫した危険のある場合ですね。緊迫した危険がある場合ですから、当然周辺自治体に通報しなければいけないんです、報告じゃないですよ。それは、翌日謝罪に行ったりはしていますよ。ではなくて、通報ですよ。まず第一に周辺の人たちの安全を確保しなければならない。そのためには、この航空機事故を起こした側として当然すぐさま通報しなくちゃいけないじゃないですか。そこのところはどうなっているんですか。

海老原政府参考人 今委員がおっしゃいましたように、報告ということではなくて、事件の発生そのものについての通報がなされなければならないということであると思います。

 宜野湾市の件については、先ほども申し上げましたように今私ここで把握いたしておりませんので、施設庁の方に確認の上、後ほど御報告いたしたいと思います。

今野委員 それでは、そのあたりのことについては、きちんと整理をして教えていただきたいと思います。

 先ほど海老原局長が、こういうことが、沖縄の外務省の事務所に通報があったというのも二時三十分ごろだということでありました。事件の緊迫した度合いからすると、これは二時十五、六分ごろに起きているわけですから、ちょっと時間がたち過ぎている。これについて、私は、ここのところをきちんと調べてもらって、そしてもっと速やかにこの通報体制をとってもらわないと、これはたまたまこのときに亡くなった方なんかいませんで、ある意味ラッキーではあったわけですけれども、しかしだからといってこれでよかったということにはならないわけでありまして、この通報システム、きちんと確認をしていただき、また教えていただければと思います。

 それから、墜落したのが沖縄国際大学でありまして、沖縄国際大学も、さまざまな形で抗議声明を出し、あるいは文部科学省に報告もし、また「米軍ヘリ墜落事故に対する大学の今後の対応の基本姿勢」というようなものも各方面に出しております。

 「教育研究の場である大学の構内に軍用機が墜落したということに加えて、民家に墜落したかもしれないこと、本学でも犠牲者が出たかもしれないことなど、墜落前後の状況に照らせば大惨事というほかはない。 また、事故発生直後から、米軍が墜落現場とその周辺を封鎖し、本学関係者の立入を一方的に拒否したことは、「大学の自治」に対する重大な侵害である。しかも、これは法的根拠のない「不法占拠」の疑いが強いのである。」ということで、これは沖縄県知事あての大学側からの抗議声明ですけれども、こういうところから見ても大学が大きく犠牲を強いられたということは確実なわけでありますし、このことを文部科学省に報告もしていると思うんですけれども、文部科学省としては、この点について、こうした点についてどのように対処をしたんでしょうか。

金森政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、八月十三日の事故発生直後より、沖縄国際大学から事故の状況をお伺いいたしますとともに、事故対応に関する大学との連絡窓口を設けまして大学からの要請に応じることとしてまいりました。また、この間、沖縄政策の総合調整を担当する内閣府など関係省庁とも必要な情報交換を行うなど、連携を図ってきたところでございます。

 さらに、九月二十四日には大学の事故対策本部副本部長である産業情報学部長を初め大学関係者が文部科学省にお見えになり、事故後における大学の状況について御報告をいただきますとともに、政府に対する要望事項などについてお話を伺ったところでございます。

 その際、大学からは、現時点において文部科学省の施策に関し具体の要望事項等はないが、今後大学機能の回復を進めていきたいと考えているのでよろしくお願いしたいということでございましたので、私どもからは、必要な御要望等があればいつでもおっしゃっていただきたいと申し上げたところでございます。

 その後、大学におきましては、十月以降、後期の授業が開始されておりますが、授業は順調に進んでいるということでございます。文部科学省といたしましては、今後とも、関係省庁との連携を図りながら、大学からの要請に応じ、適切に対応してまいりたいと考えております。

今野委員 文部科学省として関係省庁と連携を図って対処していくというのは、これは当たり前のことですけれども、文部科学省として米軍に、こういう大学の自治が侵されるようなことは困ると。大学側も、「静かで平和で安全な環境を保持することが大学の使命」であるというふうに、この事故に対する基本姿勢のところで言っております。文部科学省としてはどのような行動をしたんですか。例えば、米軍に対して、こういうことでは困りますよ、大学の平和で安全な環境を保持することに努めてくださいというようなことは言ったんでしょうか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 文部科学省では、沖縄国際大学への米軍ヘリコプターの墜落事故を受けまして、事故後の大学機能の回復が円滑に進められますように、大学との連絡窓口を設けて対応を図ることとしてきたところでございます。

 御指摘のアメリカ側への抗議などにつきましては、外務省や防衛庁から今回の事故に対する遺憾の意の表明や事故原因の究明、再発防止などの申し入れが行われているものと承知しておりますが、この問題は日米政府間の外交問題でもございますことから、こうした抗議を文部科学省から改めて行うことはいたしておりません。

 私どもといたしましては、今後とも、関係省庁と連携しつつ、大学の機能回復の面から必要な支援を行えるよう、大学からの要請に応じて適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

今野委員 沖縄国際大学は、補償の問題等も含めて、この事故で大きな問題を抱えました。私たち外務委員会の何人かも見に行ったわけで、改めてその事故の現場に立ちますと、この事故の、本当にけが人がなくて不思議だ、奇跡じゃないかと思うとともに、こういう現場をきちんと見て、そして対処しておかなければならないと思ってまいりました。

 それで、米軍によって大学の立ち木等が大学側に無断で切られてしまっているということもあります。文部科学省としては、大学側からの報告はあったわけですけれども、そういう現場を視察に行きましたか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 沖縄国際大学におきましては、これまで大学のさまざまな機能を回復し、平常どおりの学習や教育研究を円滑に行うことができるように取り組んできたところでございまして、十月以降、後期の授業も順調に進められているところでございます。

 私どもでは、これまでのところ直接現地に赴くことはいたしておりませんが、沖縄国際大学に対しましては、文部科学省に連絡窓口を設け、要望などがございましたらいつでもお伝えいただくこととしているところでございまして、大学とは今後とも密接な連携をとってまいりたいと考えているところでございます。

今野委員 大学は平常どおりにはなっておりません。見に行ってないからそんなことが言えるんです。こういう報告があったら、まず見に行くべきじゃないですか。

 どういうふうになっているのか。あの建物が、壁が真っ黒焦げになって燃えた跡、立ち木が切られた、黒い焼け跡。報告を受けて、その上で対処するというのは、そんなこと、この教育の現場の環境とそして安全を守るという点では余りにも消極的過ぎはしませんか。視察に行く、きちんと、もっと積極的な姿勢をとるということをぜひこの場でお話しください。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 新学期に入りまして、授業は正常に行われておりますが、被害に遭いました一号館につきましては、それについてどう対応していくかというような懸案もあるわけでございます。

 私どもといたしましては、先ほど申しましたように、大学の機能回復という面から必要な支援を行えますように、大学からの要請に応じて適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

今野委員 現場を見て事故がどのようなものだったかということをきちんと認識しようという気持ちはありますか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の事故は、一つ間違えば多くの人命にもかかわりかねない重大な事故でございました。私どもといたしましては、これまでのところ直接現地に赴くことはいたしておりませんけれども、大学の機能回復を図っていきますためには、その実情をしっかりと把握していくということは必要なことだろうと思っております。

今野委員 行くか行かないかと聞いているんです。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 私ども、大学から御報告をいただきましたり、またこれから大学が機能の回復を進めていく上で必要なことがあればいつでもおっしゃっていただきたいというふうに申し上げているところでございまして、まだ現段階におきまして直接現地に赴くということはいたしておらないわけでございますけれども、大学とも密接に連携をとりまして、大学の機能回復が円滑に行えますように、今後ともしっかりと努めてまいりたいと存じます。

今野委員 私学行政を管轄する文部科学省として、行く必要があると思います。お答えください。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 再度の御指摘で大変恐縮なんでございますが、私ども、大学の機能回復の面から必要な支援を行えますように、大学の要請に応じて適切に対応してまいりたいと考えているところでございまして、現地に赴くかどうかということにつきましても、これから大学と密接な連絡をとってまいりたいと考えておるところでございます。

今野委員 大変粘り強いお答えでありますが、その粘り強さは、ぜひ大学の教育環境を守るために使っていただきたい。

 質問を終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十三分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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