衆議院

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第1号 平成17年2月23日(水曜日)

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本国会召集日(平成十七年一月二十一日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 赤松 広隆君

   理事 谷本 龍哉君 理事 中谷  元君

   理事 原田 義昭君 理事 渡辺 博道君

   理事 大谷 信盛君 理事 首藤 信彦君

   理事 増子 輝彦君 理事 丸谷 佳織君

      宇野  治君    植竹 繁雄君

      小野寺五典君    河井 克行君

      高村 正彦君    鈴木 淳司君

      土屋 品子君    西銘恒三郎君

      平沢 勝栄君    三ッ矢憲生君

      宮下 一郎君    今野  東君

      田中眞紀子君    武正 公一君

      鳩山由紀夫君    藤村  修君

      古本伸一郎君    松原  仁君

      赤羽 一嘉君    赤嶺 政賢君

      東門美津子君

平成十七年二月二十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤松 広隆君

   理事 谷本 龍哉君 理事 中谷  元君

   理事 原田 義昭君 理事 渡辺 博道君

   理事 大谷 信盛君 理事 首藤 信彦君

   理事 増子 輝彦君 理事 丸谷 佳織君

      宇野  治君    植竹 繁雄君

      小野寺五典君    高村 正彦君

      鈴木 淳司君    土屋 品子君

      西銘恒三郎君    平沢 勝栄君

      三ッ矢憲生君    宮下 一郎君

      今野  東君    田中眞紀子君

      武正 公一君    鳩山由紀夫君

      藤村  修君    古本伸一郎君

      松原  仁君    赤羽 一嘉君

      赤嶺 政賢君    東門美津子君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   外務大臣政務官      小野寺五典君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 原田 正司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 佐藤  悟君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)           佐々江賢一郎君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    小松 一郎君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  佐藤 重和君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   林  景一君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    鹿取 克章君

   外務委員会専門員     原   聰君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国際情勢に関する事項について、本会期中国政に関する調査を行うため、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

赤松委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。

 平成十七年度外務省関係予算について、その概要説明を聴取いたします。外務副大臣逢沢一郎君。

逢沢副大臣 平成十七年度外務省関係予算概要について説明を申し上げます。

 平成十七年度一般会計予算において、外務省予算は七千七十二億四百万円を計上しています。これを前年度と比較いたしますと、一・九%減となっております。我が国の極めて重要な外交手段であるODA予算については、政府全体でのODA予算が対前年度比三・八%減となる中で、外務省のODA予算は、対前年度比二・四%減の四千八百八十億六千三百万円を計上しております。

 我が国は、グローバル化の進展する国際社会の中で、我が国の安全と繁栄を確保するためにも、世界の平和と発展に向け日本としての役割を果たすべく、引き続き積極的な外交を推進する必要があります。

 このような観点から、平成十七年度予算においては、国民を守る日本外交、先頭に立つ日本外交、主張する日本外交及び底力のある日本外交を四つの重点事項として挙げております。

 まず、国民を守る日本外交に関する予算について御説明いたします。この重点事項では、以下の三つを柱といたしております。

 第一に、さまざまな脅威から国民を守り、周辺の安全を確保するための経費を計上しています。この中には、北朝鮮の核開発問題、日本人拉致問題等の諸懸案の解決に向けた経費が含まれています。

 第二に、テロ等の国民に対する新たな脅威への対応のための予算を計上しています。この中には、国際機関に対する新規拠出を含む途上国のテロ対処能力向上を支援するための経費や、新たにICチップつきの旅券を発行するための経費が含まれています。

 第三に、海外邦人の安全の確保のための予算を計上しています。この中には、在外邦人にとって最後のとりでとなる在外公館の緊急時体制整備、治安情報等を在留邦人に迅速に伝達するメールマガジンの作成等に関する経費が含まれています。

 次に、先頭に立つ日本外交に関する予算について御説明いたします。この重点事項では、以下の四つを柱としています。

 第一に、本年一月より我が国は安保理非常任理事国に就任したことを踏まえ、世界の平和と発展のため日本としての役割を今後ますます果たしていくために必要な経費を計上しています。具体的には、例えば、国際機関等において邦人職員を増強するための国際機関等への邦人派遣経費を増額して計上したほか、安保理非常任理事国としての活動経費を新規に計上しました。

 第二に、我が国の世界の平和と安定への取り組みに必要な経費を計上しています。この中には、イラク、アフガニスタンへの復興支援を含む緊急無償や、我が国が推進する人間の安全保障のための経費が含まれています。

 第三に、地域的な枠組みを通じた積極的な外交を展開するための経費を計上しています。例えば、EUとの協力関係の強化のための日・EU協力のための行動計画推進経費を増額して計上しました。

 第四に、グローバル化の進展に対する国際的なルールづくりへ積極的に参画するための経費を計上しています。例えば、EPA、FTA推進のための経費を大幅に増額して計上しました。

 次に、主張する日本外交に関する予算について御説明いたします。この重点事項では、以下の二つを柱としています。

 第一に、我が国外交政策の国内外への情報発信を強化するための経費として、アジア、大洋州、中東に向けた国際映像放送等関連経費等を計上しています。

 第二に、魅力ある日本を売り込むためのニッポンプロモーションを行うための経費としては、来月より開催される愛・地球博に関連する経費、各種周年事業等を通じた文化紹介事業のための経費等を計上しています。

 最後の重点事項である底力のある日本外交に関する予算について御説明いたします。

 我が国の外交政策を強力に推進するためには、外交ツールをさらに強化する必要があることから、政策構想力の強化、情報機能の強化、ODAの積極的活用、国際文化交流の積極的活用及び外交実施体制の強化に係る経費を計上しています。

 特に、外交実施体制の強化をさらに促進するとの観点から、在スロベニア大使館の新設、在デンパサール出張駐在官事務所の総領事館への格上げ等を予定しております。また、定員につきましては、合理化による削減努力を行う一方で、百十三名の増員を図り、平成十七年度末の外務省予算定員の合計を前年度末定員から二十名増の五千四百三十四名とすることを予定しております。

 以上が、平成十七年度外務省関係予算の概要であります。

赤松委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 この際、外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣町村信孝君。

町村国務大臣 衆議院外務委員会の開催に当たり、赤松委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつを申し上げますとともに、最近の外交案件について御報告いたします。

 まず、私は、二月十八日から二十一日までワシントンを訪問し、十九日、日米安全保障協議委員会、2プラス2において、大野防衛庁長官とともにライス国務長官及びラムズフェルド国防長官と協議を行いました。

 同委員会においては、イラク復興、アフガニスタン復興等グローバルな課題や東アジアの安全保障情勢について意見交換を行った上で、日米両国の共通の戦略目標について確認することができました。今後、このような共通戦略目標のもとで、自衛隊と在日米軍の役割、任務、能力や、在日米軍の兵力構成見直しについて協議を加速化していくことで一致しました。

 さらに、安全保障面での日米協力の成果及び発展、在日米軍の安定的駐留を確保するための諸問題等についても意見交換を行いました。以上については、お手元にお配りした日米安全保障協議委員会の共同発表において述べられております。

 ワシントンにおいては、私はさらにライス国務長官及びハドレー大統領補佐官とそれぞれ個別に会談を行い、日米関係全般、北朝鮮を初めとする地域情勢及び国連改革等について意見交換を行いました。特に、北朝鮮問題については、お手元にお配りをした北朝鮮に関する日米外相共同声明を発出しました。

 この共同声明においては、六者会合への参加の無期限中断と核兵器の製造を宣言した北朝鮮外務省声明に関し深い懸念を表明するとともに、北朝鮮に対し、六者会合への早期無条件の復帰、すべての核計画の完全な廃棄へのコミットメントを強く求めました。拉致問題についても、同共同声明は米国政府が我が国の立場を完全に支持することを明記しています。

 北朝鮮から得られた情報及び物的証拠についての我が方精査結果は昨年末、北朝鮮側に伝達し、生存者の即時帰国及び真相究明を強く求め、迅速かつ納得のいく対応のない場合には我が方として厳しい対応をとる方針である旨伝達しております。これに対し北朝鮮側は、本年に入り、日本側鑑定結果等に関する備忘録を我が方に伝達してきました。我が国は、今月十日、この備忘録に対する反論文書を北朝鮮側に伝達したところです。

 我が国としては、対話と圧力の考えのもと、引き続き関係国と緊密に連携協力しつつ、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けた外交努力を傾注していく考えです。

 スマトラ島沖大地震、インド洋津波災害では、これまでに邦人二十九名が死亡、十六名が依然安否不明となっています。外務省としては、身元不明の方が一日も早く御家族のもとに戻れるよう、できる限りの支援を続けます。

 我が国は、この未曾有の災害を受け、アジアの一員としての責任を果たすべく、資金、人的貢献、知見の三点で最大限の緊急援助を実施してきました。

 まず、資金面では、小泉総理が表明した五億ドルの緊急無償支援の支出を一月二十一日までに完了しました。この中から、最大の被害者である子供のため、津波被災子ども支援プランの一環として、人身取引防止対策、離散家族の再会支援等を実施しています。

 次に、人的貢献では、国際緊急援助隊として救助、医療及びDNA鑑定専門家等のチームを累次現地に派遣するとともに、陸海空自衛隊により、捜索救助、輸送及び医療、防疫活動を実施してきています。

 知見面では、我が国が津波早期警戒システムの分野で培ってきた経験、知見を共有するため、被災国の高級事務レベルを対象に、我が国において国連及びJICAによる研修を実施ないし予定しています。

 今後は、被災国の復旧復興に当たっても、各国における事情、状況を踏まえつつ、関係国・機関との協調のもと、最大限の支援を行っていく考えです。

 イラク情勢については、一月三十日に国民議会選挙が実施されました。イラクの民主化に向けた大変意義ある重要な一歩であったと認識しています。この選挙を受けて、今後の憲法制定等の政治プロセスが、イラク社会の持つ多様性を反映する形で進展することを期待します。

 我が国は、今次国民議会選挙に向けて、資金提供、要員訓練といった種々の協力を行いましたが、今後とも、憲法制定を初めイラク人による国づくりのプロセスを積極的に支援していく考えです。

 また、昨二十二日、豪州政府がムサンナ県への部隊派遣を決定したことは、イラクの復興に取り組む国際社会を勇気づけるものであり、我が国としてこれを歓迎し、高く評価します。

 以上で最近の主要外交案件についての報告とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官遠藤善久君、外務省大臣官房参事官佐藤悟君、外務省アジア大洋州局長佐々江賢一郎君、外務省北米局長河相周夫君、外務省欧州局長小松一郎君、外務省経済協力局長佐藤重和君、外務省国際法局長林景一君、外務省領事局長鹿取克章君、内閣府大臣官房審議官原田正司君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淳司君。

鈴木(淳)委員 おはようございます。自由民主党の鈴木淳司でございます。

 第百六十二通常国会、委員会審議の冒頭に質問の機会を与えていただきまして、まことに光栄に存じます。

 町村外務大臣におかれましては、今御報告があったとおり、日米安全保障協議委員会、2プラス2からお戻りになられたばかりでございますが、御就任以来、文字どおり東奔西走の御活躍、本当にお疲れさまでございます。

 外交はもちろん国家間の交流、交渉でありますけれども、国家間の信頼と友好関係の基礎であり原点は、個人対個人のそれであると思います。とりわけ、国家の枢要な立場にあられる者同士の信頼関係の構築は極めて重要であります。その点、私も個人的に大変尊敬を申し上げておりますけれども、人格高潔にして篤実の人、町村外務大臣がこの任にあられることを本当にうれしく思いますと同時に、創造的で志の高い我が国外交の展開を目指して、ぜひ御健勝にての御活躍を期待したいと思います。

 まず最初に、いよいよ来月二十五日の開幕が間近に迫ってまいりました二〇〇五年国際博覧会、愛・地球博に関してお尋ねいたします。

 まず一点目。外交の観点から見た今回の博覧会の開催意義と、博覧会の期間中における外国賓客に対する接遇体制についてお伺いいたします。

 今回の博覧会は、史上最大の百二十二カ国と五つの国際機関が公式参加と聞きます。六カ月間の開催期間のうち、各国のナショナルデー、スペシャルデーの開催は実に百十四日を数え、期間中、連日のように各国代表の来日が予想されます。また、相次ぐ要人の来日により、いわゆる万博外交がここを舞台に展開されるものと思われます。その意味からも、この時期の今回の国際博覧会の持つ意義は極めて大きいと思いますが、外務省としては、今回の博覧会の意義をどうとらえ、外交上どう活用していこうと考えているのか、お尋ねをいたします。

 また、外交儀礼上、受け入れ側の我が国におきましても、相手国代表と同等クラスの応対が必要になれば、何せ百二十一カ国、日本を除けば百二十一カ国が相手でありますので、さらには会場も東京ではなく愛知でありますので、外務省としての対応は大変かと思われますけれども、期間中の我が国の接遇体制は十分に準備なされているのでありましょうか。確認のためにお尋ねをいたします。

町村国務大臣 鈴木委員から御激励をいただきましたことを心から感謝いたします。

 愛知万博の成功に向けて、地元の議員として鈴木議員がこれまで大変な御活躍をされておられましたこと、私もよく承知をいたしておりまして、もういよいよ間近でございます。政府も全力を挙げてこの愛知万博の成功に向けて取り組んでいきたいと考えているところでございます。

 開会式、オープニングセレモニー等々も決まってきております。いよいよ間近ということで、万が一にもミスがないように、しっかりと最後まで、成功に終わるように取り組んでいきたいと思っております。

 この愛知万博の意義は、もう私が改めて申し上げるまでもございません。地球環境の問題を初めとして、世界に共通するテーマを挙げて、これを愛知の万博の会場でさまざまな展示等の形で多くの世界の人にアピールしていこうという大変意義ある万博である、こう考えております。

 したがいまして、私どもとしては、これは一愛知県の皆さん方の問題だけではなくて、日本全国で取り組まなければいけない、政府全体で取り組まなければいけない、そういう重要性を持つもの、こう思っておりますし、また、ちょうどことしは国連改革、日本政府は常任理事国入りということを今大きな政策課題にしておるわけでございますが、この愛知万博を、そういう表現をしてはいかがかなとも思いますが、大いに活用させていただいて、数多くの外国賓客としっかりと交流を深め、そして日本の考えておりますいろいろなことについて理解を得る、そういう場にもしたいと思っているところでございます。

 この愛・地球博のナショナルデーに参加するために訪日される各国の賓客を、博覧会賓客という名称で私どもは正式に招聘をしているところであります。そして、多数訪日されるだろうということが予想されますので、この博覧会会場における接遇というものは、原則として博覧会政府代表、これは渡辺泰造元インドネシア大使でございますけれども、が行うという予定にしております。

 ただ、相当賓客の地位にも、国家の元首級からいろいろな方々がいらっしゃいますので、その地位等を判断いたしまして、これは外務省においては私を先頭にして副大臣、政務官、各局長等々、総出で接遇に当たる。また、これは外務省だけでは多分とても手に負えるものでもないだろう、こう思いますので、場合によっては総理大臣を含め各省の大臣、副大臣、政務官、それぞれ御協力をお願いしているところでございます。

 また、賓客の東京における滞在というのもあろうかと思います。その際には、今申し上げました、総理大臣を初めとして政府要人との会見を行う等、博覧会賓客の最も適切なる接遇に最大限努力をしてまいりたい、かように考えているところでございます。

鈴木(淳)委員 ありがとうございます。ぜひ、意義深い博覧会にしていきたいと思います。

 次に、自治体レベル、市民レベルでの国際交流の支援についてお尋ねいたします。

 今、県下の各自治体は、長野オリンピックを例にしまして、一国一市町村フレンドシップ事業を展開しておりますけれども、自治体によっては国際交流にふなれなところも多く、また相手国によっては、その国情からいまだなかなか連絡がとれない、こういったところも多いと聞きます。

 せっかくの市民レベルの交流機会を生かすためにも、相手国との連絡仲介を含めて、交流にふなれな自治体の支援をお願いしたいと思いますが、外務省にその準備はあるのでしょうか、お尋ねいたします。

逢沢副大臣 今鈴木委員が指摘をなさいましたフレンドシップ事業でございますが、大変すばらしい企画、試みであるというふうに評価をさせていただいております。愛知県内の市町村がそれぞれの国と特別な関係を築く大変すばらしいきっかけになるものと、心から期待をいたしております。

 それぞれの市町村が独自に在京の当該大使館と連絡をとり、いろいろな形で準備を進めていらっしゃるというふうに伺っておりますけれども、外交にもかかわることでもございます。また、そのようなことに若干ふなれな市町村も場合によってはおありかというふうに存じますが、外務省といたしましても、もし必要があるといたしますと、最大限のお手伝い、また御支援を申し上げさせていただきたい、そのように申し上げたいと思います。

鈴木(淳)委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。

 それでは次に、国際社会の中で急速に今そのプレゼンスを拡大させている中国について、我が国としては、中国の外交基本方針をどのように把握、理解をし、その認識のもと、どのように対処しようとしているのかについてお尋ねをいたします。端的に言えば、経済的にも軍事的にも急激に拡大する中国とどうつき合っていくかという問題であります。

 新聞報道にもありましたように、去る十八日、東シナ海の日本側経済排他水域、EEZの日中境界線付近で、中国が開発している天然ガス田などが日本側まで連続している蓋然性が高いとの政府の調査結果が発表されました。

 東シナ海のガス田開発のほか、中国は今さまざまな形で、世界各地で資源確保に強力に取り組んでいるところであります。それに伴い、領土問題においても、我が国との間の日中境界線問題にとどまらず、南シナ海の小さな島々をめぐっても、ベトナムやフィリピンとの間で中国は領有権を争っており、それがまた資源開発や漁場問題とも密接に絡むと同時に、世界で最も激しい海上輸送路への海軍力の投入にも関係をしてまいります。太平洋地域、我が国領海内におきましても、ここ数年来、幾度となく問題になっておりますように、中国の海洋調査船の活動が活発になっておりますし、ついに昨年十一月には中国海軍の原子力潜水艦の領海侵犯事案が発生をいたしました。

 今、中国は、我が国周辺に限らず、資源確保と支配領域の拡大に世界規模で取り組んでおり、世界諸国にその影響力を行使しながら、アジア太平洋地域における巨大な海洋国家として、まさに覇を唱えようとしているかに見える。軍事的にも中国海軍の外洋展開が現実的な脅威を持って語られるようになってまいりました。

 日中間の貿易高は、ついには対米間のそれを抜きトップに躍り出たように、中国経済の急激な成長は、よきにつけあしきにつけ、極めて大きな影響を我が国に与えてまいります。我が国がASEANプラス3の東アジア共同体経済圏域達成を目指す上でも、当地域における日本と中国それに韓国を加えた三カ国のバランスのとり方が極めて重要になってきていると思いますが、政府は果たして現在の中国がいかなる基本方針を持って外交施策を展開していると理解しているのか、お尋ねをいたします。

 さきに総理は、中国の成長は脅威ではなく挑戦であり機会としてとらえたい旨の発言をされました。経済的にはまさにその部分をクローズアップすることが必要と思われますけれども、政治的には中国の外交戦略のさらなる冷徹な分析と対応が必要と思われます。

 そこでお尋ねですが、まず一点目に、我が国としては果たして中国の国家戦略をどのように把握、理解をし、次にはその認識のもとでいかなる対中外交を展開しようとしているか、その基本認識についてお示しをいただきたいと思います。

 お答えをいただく前に、まず自分なりの認識を述べれば、沿岸部の急速な経済成長と発展を引き継ぎ、おくれている内陸部を牽引する意味でも、中国は自国の経済成長を維持する必要があり、そのための資源エネルギー確保に全力を挙げていく。東シナ海のガス田開発も日中境界線問題も、その中から発生したものと考えます。

 経済の改革・開放、市場経済化を進める一方、政治的には一党独裁体制を堅持し、国内で高まるところの経済格差や社会不安、不満を封じ込め、党への求心力を高めると同時に、不満の圧力を指導部に対してではなく外部にそらすために、日本との間の靖国問題や歴史問題さらには領土問題を持ち出しているのではないか。

 中国が目指すものは、アジア圏域における軍事面も含めた圧倒的なプレゼンスを背景にした実質的な覇権であり、大中華の復権、再構築ではないか。その意味から、中国は、我が国の国際政治上の地位向上を必ずしもよしとせず、歴史認識や靖国問題で引き続き牽制してくると思われます。したがって、我が国としては、中国との間の友好関係の構築の努力を重ねながらも、その真意を確実に把握しつつ、個々の局面においては摩擦はあっても厳しい現実的対応をしていかなければならないのではないか、こうした認識を持つものであります。

 果たして我が国としては、中国の外交戦略、その基本方針をどのように理解し、それに対してどのように対処しようとされているのか、お答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 大変幅の広い、また根源的な御質問をいただきました。鈴木委員の御見解には敬意を表するものでございます。

 中国の国家戦略、これはいろいろな見方が確かにあろうかと思います。表面で言っていること、それはどの国でもそうであります。どの国でもそうでありますが、表面で言っていることと、また本音ベースの話というのは、なかなか一致しない面、あるいは食い違って見えるような面、いろいろあろうかと思います。

 私どもとしては、中国という国が、急速に今発展をしつつある、貧しい状態から発展をして豊かな国になろうとしているという大きな今、動いている、そういう存在だ、こう思います。

 したがって、その中で特に地域間のアンバランスあるいは業種間のアンバランス、大変そういった不均衡も目立つということでありましょうから、沿海地域の非常な急速な発展に対して西部、あるいは奥の方といいましょうか、西部地域の方のおくれた地域、あるいは農業と工業のアンバランス、業種間の格差、企業間の格差、非常にその辺が中国にとっても大きなある意味では悩みであり、そうした不均衡を解決していかないと国家的な不安が生ずるかもしれない、そんな懸念も確かにあるんだろうと思います。

 したがって、私ども日本としては、一つは、そういう意味で、中国の経済発展がバランスのとれたものになるように、協力するものは協力をしていくということが大切なポイントの一つではないだろうか。

 例えば、今、急速に発展する、しかしそこにおいて環境問題が非常に悪化をしてくるということは、翻って日本の環境問題にも酸性雨等々の形で悪影響を与えるのではないかという指摘もある。そういう際に、日本として今例えば、いろいろ御批判もありますが、ODA等で環境対策に日本としても協力をするということは、双方の利益に合致するというようなこともあろうかと思います。

 また、日本からの投資というものが先方の発展を促すという面もあろうと思います。ただ、投資環境が十分整備されているかというと必ずしもそうでもないというあたりで、先方政府に対してそういったさまざまな制度面あるいは税制面等々の改革を促すというような外交努力もやっているところでございます。

 そういう中で、今委員御指摘の、確かにこの資源の確保というのは中国にとって大きな政策課題であろう。それは石油資源であろうと希少資源であろうと、いろいろな面での資源が将来的に見ても確保するのが大変だということから資源開発に大変熱心だ。これは東シナ海のみならず、今、世界を見渡すと、いろいろなところで中国がそういう資源開発等の活動をやっております。

 それはある意味ではその国として当然の行為かもしれませんが、他方、私どもとしては、今御指摘のあった東シナ海における問題というのは、これは日中の、中国だけの資源というより日本の当然権益にかかわる話もあるということで、昨年来から物理探査をやってきておりました。その結果というものが中間的に出されまして、その結果を二月二十一日の日に担当局長から先方公使に申し入れを行ったところでございまして、中国が一方的に開発作業を行わないように、そして十分な情報提供を行うようにというような話も行ったところでございます。

 さらに、中国の軍事力のお話にもお触れになりました。毎年一〇%をはるかに超える高い軍事力の伸びがあるということは、確かに軍備の近代化という側面があることは否定をいたしませんし、それはどの国も固有の権利としてそういうものをやる権利はあるんだろうと思いますが、しかしその中身が必ずしも透明ではないという問題がやはり国際的にも指摘をされている。そういう意味で、先般の2プラス2でも、中国の軍事分野における透明性を高めるように促すという問題認識を、私どもは中国側に促したところであります。

 ただ、基本は、やはりここは中国が、日中関係だけではなくて、あるいは東アジアだけではなくて、世界全体の中で中国が大きな存在になっている、その大きな存在になりつつある中国がより責任ある建設的な役割を果たしてもらいたいという考え方を、日米共同の考え方として先般述べたところでございます。

 いずれにいたしましても、総理が述べておられますように、中国は脅威ではなくて機会である。これは私はただ単に経済的な面のみならず政治的な面においても、やはり中国が責任ある役割を果たしてもらいたいということは、世界の安定、世界の発展にとっても中国の存在は好機であるという認識であろうか、こう思っております。

 いずれにしても、中国のいろいろなこの局面、いろいろな状況に応じたいろいろな顔がありますが、一つ一つに余り振り回されることなく、日中間でしっかりと対話を積み重ねて、日本としての必要な戦略に応じた対応をしっかりとやっていきたいと考えております。

 ちょっと長い答弁になりまして、どうも失礼いたしました。

鈴木(淳)委員 時間が参っておりますので、最後に意見だけ申し上げたいと思います。

 高まる経済摩擦の中で健全な日中関係を将来にわたって構築するためには、政治、経済、文化、各般にわたる分野から、日中両国の若い世代、次の指導者層、この方々のリーダー層同士の交流が極めて重要だと思います。我が国はこれまで中国共産党中央党校との間での交流事業は既に七回を数えていると言われますけれども、ぜひそうした形で若い指導者層同士の交流を重ねる中で、お互いに物を言い合いながら、対立をしながらも実際に対話ができる、そうした環境をぜひつくっていきながら健全な日中関係の発展を期していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、三ッ矢憲生君。

三ッ矢委員 おはようございます。自由民主党の三ッ矢憲生でございます。

 外務委員会で初めて質問をさせていただくわけでございますが、実は、私、以前、外務本省の経済協力局にも出向していたことがございます。それから、ワシントンの大使館に二、三年間、ちょうど湾岸戦争のころでございましたが勤務した経験がございまして、その折の同僚がこの席にもおられますけれども、幹部として活躍されているのを見て、非常に心強く思っておるところでございます。

 また、町村外務大臣につきましては、先ほど鈴木議員から最大級の賛辞がございましたので、なかなかあれ以上の賛辞というのは申し上げにくいのですが、御就任以来、大変難しい外交案件を適切にかつ着実にこなしておられますことに対しまして、心から敬意を表する次第でございます。

 最近、世の中やたらと白黒はっきりさせることがもてはやされる風潮がございますが、これは国内問題でも同じかもしれませんけれども、外交に関しましては、特に関係するプレーヤーあるいは配慮すべき要素がたくさんございます。例えば、単純に国連中心主義だとかあるいは対米追随だとかといって割り切って対処できるものではないという気がいたしますが、それだけに、以前より一層複雑になっております国際情勢の中で、外務大臣初め外交当局の御苦労が忍ばれるところでございます。

 さて、本日は、大臣、せっかく先週末2プラス2の協議でワシントンにお出かけになった直後でもございますので、この2プラス2と、それに関連して在日米軍の再編問題、いわゆるトランスフォーメーションについて質問をさせていただきたいと思います。

 実は、先月の下旬に、私ども自民党の一年生議員十七人が沖縄の基地を二日間かけて回ってまいりました。その折に感じましたのは、これは私の個人的な感想でございますが、在日米軍基地というのは日本の防衛あるいは極東地域の安定のためだけにあるのではないという印象を受けた次第でございます。現に我々が視察しました基地におきましても、嘉手納の戦闘機部隊は別にしまして、イラク、あるいはスマトラ沖地震の津波救援のために部隊のほとんどがいないというような状況でございました。

 もう一つ感じましたのは、私どもの従来の部隊といいますか軍隊に対する概念が、アメリカの場合、相当変わってきているのではないかなという気がいたしたわけでございます。今まで私たちは、軍というと部隊がユニットとして動くというふうな概念でとらえておったのですが、どうもそうではなくて、エクスペディショナリーフォースといいますか、遠征軍という格好で、世界各地の米軍基地から要員がピックアップされまして、一たん事があれば、世界じゅうどの地域にでもその要員を招集、ピックアップして派遣するというような、機動部隊的な要素が強くなってきているんじゃないかという気がいたしたわけでございます。必ずしも従来のように部隊単位で行動するということじゃないということを認識した次第でございます。

 これらのことは、実は、既に二〇〇一QDRの中でも示されているわけでございますけれども、こうした米軍の変質あるいは再編が進む中で、在日米軍の役割あるいは機能も変革を迫られているといいますか、既に実際に変革が進みつつあるという状況ではないかと思います。

 こうした状況の中で、今回の2プラス2協議が持たれたわけでございますが、そこで、まず大臣に、今回の2プラス2合意の歴史的な意義と申しますか、と大臣御自身の評価についてお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 先週土曜日、2プラス2の会合を行ったところでございます。グローバルな課題それから東アジアにおける安全保障環境ということについてまず幅広く議論をした上で、特に兵力構成の見直し、再編成問題につきましては、これはかねてより私は三つのステージがあるということを申し上げております。

 第一段階、今回合意をいたしました日米による共通の戦略目標をまず確認するという作業。それに基づいて、これから自衛隊や米軍の役割、任務、能力といったようなものをより具体的に議論していく。それをまた実現するために、第三段階として、米軍の個々の施設・区域の見直しというような、この三段階で今後議論していこうということを、昨年来、日米間で言ってまいりました。

 昨年十月に私が訪米をしたとき、パウエル当時の国務長官とも話をして、そういう話をしたわけでございますが、今回は、その第一段階を達成したということでございます。

 それで、今後、具体的な期間を事前に確定するのはなかなか難しいところがありますけれども、一応、作業のめどとしては、今後数カ月かけて第二段階及び第三段階の作業をしていこう。そのための協議を一層加速化させよう。そして、一定の、日米間である種の合意ができたところで、これはそれでもうすぐ決まりというわけにはまいりません。沖縄を初め各地域の皆さん方にお話をする。

 これは米軍の抑止力の維持と同時に、沖縄を初めとする地域の負担をできる限り軽減するという基本的な考え方に立って、地域の皆さんの御理解を得る努力をする。そのプロセスを経た上で、最終的に、いつになるかわかりませんが、一定のそういったプロセスを経た上で最終的な日米間の合意に達したいということであろう、こう思っております。

 今回は、いわば二年ぶりの2プラス2ということもあったものですから、この二年間におけるいろいろな積み重ね、日米間の共通の努力というものを確認した上で今後の作業の方向性を確認したという意味で大変意義があった、こう思っておりますし、さらに日米地位協定の運用改善、あるいはSACOの最終報告の着実な実施が必要であることを確認した。また、米軍ヘリの墜落事故を受けた事故現場での協力等の目に見える実績を積み重ねることが必要であるということも指摘をしたところでございます。

 このようなことで、今後の安全保障面での課題におけるさらなる日米協力に向けて有意義な協議ができたのではないだろうか、かように考えております。

三ッ矢委員 ありがとうございます。

 合意の中身を拝見しましても、かなり慎重といいますか、いろいろ配慮された内容になっているのではないかなという気がいたしました。

 ただ、国民の間には、正直申し上げて、日本がアメリカの世界戦略の中にいや応なく組み込まれていくのではないか、あるいは、米国の戦略への協力という受け身の対応ではないかと危惧をする声もあるのではないかというふうに想像するところでございます。

 我が国としましては、憲法を初めとする国内法制上のいろいろな制約がある中で、日本としての主体的な戦略と申しますか、主体的役割と言ってもいいかもしれませんが、そういう状況の中で、米国の世界戦略と我が国の主体的な戦略あるいは役割、これの整合性をどう図っていくのか、あるいはまた今回の協議でどういうふうに整理されたのか、お聞かせいただきたいと思います。

町村国務大臣 委員御承知のとおり、日本の外交あるいは安全保障の基本というものは、まず日米同盟そして国際協調という二本柱であるわけであります。そして、近隣諸国を初めとする友好国あるいは国連等の諸機関と緊密に協力をしながら、日本の安全を確保すると同時に世界のさまざまな課題に取り組んでいく、こういうことであろうかと思います。

 今回の2プラス2、今委員御指摘のように、何かアメリカの言われたことを全部そのまま日本で、はいはい、わかりましたといってこれができ上がったのではないかというまことにうがった見方も意図的になされている部分もございますけれども、私どもは、これはあくまでも日米で率直に議論をする、議論の結果、今回の共通認識が出てきた。また、これから行われるであろう第二段階、第三段階の作業も、それぞれ日米の共同作業という形でやっていこう。

 これは、もしアメリカが一方的に自分の都合だけですべての米軍再編成ができるならば、それはアメリカにとっては大変都合のいいことかもしれません。しかし、現実には、そういうことができるかというと、それは不可能なわけであります。日本政府の、そして各自治体の協力なくして、そういうことは一方的にやろうといったってできるはずがないわけであります。そういう意味から、これはあくまでも日米の共同作業ということになるわけであります。

 特に、日本の安全保障、あるいは極東地域の安全保障、さらにそれを超えてアジア太平洋地域ということで、日本も今、安保条約とはまた別の体系によって、現在、日米協力ということで、例えばイラク特措法、あるいはアフガン、テロ対策特措法といったような形で、これは安保条約とは直接それに根拠を置かない形でも、世界の、国際社会の一員として果たすべき役割をこうやって着実に今果たしてきている。

 そういうことに対して、アメリカ側もあるいは国際社会も、大変、日本がそういう面で積極的な努力をすることについて評価を高めているということでありまして、小泉外交というものはこの三年、四年、非常にそういう意味で国際社会の一員としての果たすべき役割を積極的に果たしているという評価があるからこそ、私は、基本的に今日米関係が非常にいい関係になる。それは、ただ単にブッシュ、小泉という波長が合うリーダーがいるからということにとどまらず、日本がそういう役割を果たしているからこそ、今の日本が国際的に評価をされてきているんだというふうに私は理解をしております。

 そういう意味で、決して、今委員御懸念のように、アメリカの一方的に言いなりになっているのではないか等々の批判というのは実態を反映していないものであり、日本がみずからの主体性を持った判断に基づいてさまざまな今活動をやっている、その一環が今回の再編成議論である、このように御理解を賜ればと思います。

三ッ矢委員 ありがとうございます。

 ぜひ、その日本の主体的役割を国民一般にも理解してもらう、あるいはそのためにPRもしていただくという御努力をお願いしたいというふうに思っておるところでございます。

 先ほどもちょっと申し上げましたが、また現実に、アメリカが在日米軍基地をいわゆる極東地域を超えた広範な作戦行動のために使用するということになってきているのではないかというふうな気がするわけでございますが、これは現行の日米安保条約の枠組みを変えることになるのではないか、あるいは逆に、現行の枠組みを変えないということであれば、アメリカ側の認識と日本の認識の間にずれがあるのではないかと危惧するものでございます。

 そこで、日米安保条約第六条のいわゆる極東条項と今回の合意、あるいはそれに基づく今後の展開についてどう整理されているのか、お伺いしたいと思います。

町村国務大臣 この問題につきましては、これまでもお答えをしてきたところでございますけれども、今回の在日米軍の兵力構成の見直しというものは、現行の安保条約及び関連の取り決めの枠内で行われるものであるということで、極東条項の見直しといったことを今考えているわけではございません。

 ただ、先ほど申し上げましたように、イラク、アフガン等のそういったグローバルな面での日本の貢献というものは、これは安保条約に直接根拠を置かない形で、それぞれ例えば特別の立法をするという形で現在展開をしているわけでございまして、こうした両面で日本が世界の中での役割を果たしていくということであります。

 したがって、極東条項がグローバルな課題についての日米同盟のもとでの協力の妨げになっているということには決してならないわけでございます。

三ッ矢委員 どうもありがとうございます。

 次に、先ほど鈴木議員からも御指摘がありました中国の問題でございますが、今回の共同発表における中国への言及につきましては、我が国との関係ではこれまで東シナ海のエネルギー開発問題あるいは中国原潜の領海侵犯といったような問題もございますけれども、私は、北朝鮮問題あるいは台湾海峡問題、これに関しては、今回の発表の中で相当中国側に対して配慮した表現をされたのかなというふうに思うわけでございます。

 既に一部報道もあるわけでございますが、今回のこの合意に対する中国側の反応と、それから今回の合意を受けて日本として中国に対してどういうふうに説明といいますか働きかけをしていくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

町村国務大臣 今回の共同発表につきまして、例えば「台湾海峡を巡る問題の対話を通じた平和的解決を促す。」と書いてあります。これは、従来から私どもが申し上げているラインと全く変わっていないわけでございます。

 その他、例えば「中国が地域及び世界において責任ある建設的な役割を果たすことを歓迎し、中国との協力関係を発展させる。」とも書いてございます。これもまた従来の方針と何ら変わりはありませんし、また「中国が軍事分野における透明性を高めるよう促す。」これもいろいろな形での議論を私ども中国ともやっておりますが、そういうことも累次申し上げている。

 そういう意味では、特に今回、大きく何か対中国政策を変更したというような報道が一部ありますが、決してそういうことではないわけであります。

 ただ、これに対して、中国外交部が二十日付のホームページで、今回の、台湾をめぐる問題に言及していることについて反対であるという関心の表明があることもまた事実でございます。

 今、私どものそういった考え方というものは、中国側に東京でもきちんと説明をしてあるところでありますし、また、それについては彼らも、日本の説明を伺った、それは本国に伝達する、こういう反応があったところでございます。

三ッ矢委員 中国側が神経過敏になっているような節も私は見受けられると思いますし、それからヨーロッパの一部の新聞で、日本がこの共同発表の結果、台湾海峡問題に積極的に関与していくのではないかというような報道もなされたというようなことも聞いておりまして、くれぐれも誤解のないように、日本の立場をきちんと説明していただく努力をお願いしたいというふうに思っておるわけでございます。

 それから、先ほど大臣おっしゃられました、この2プラス2の協議も三段階で進めていくということで、今回は第一段階なわけでございますけれども、そういう意味で、これはこれからの話でございますが、米軍と自衛隊との役割分担、あるいは負担の軽減。その一環で、具体的な基地使用の問題、特に共同使用の話でございますとか、あるいは一部には、現在の米軍基地を自衛隊の管理下に置いて、それを逆にアメリカに使わせるというような御意見もあるやに聞いております。

 私自身は、この基地使用の今後のありようによっては、米軍と自衛隊の役割もこれまでとは違ったものになってくるのではないかというふうに思っておりまして、つまり、より一体的な活動といいますか行動をする場面が多くなってくるんではないかというふうに考えるわけでございます。なかなか現時点でお話しいただける内容は数多くないと思いますけれども、今の時点で、もし、大臣のお考えとしておっしゃれることがあったらお聞かせいただきたいと思います。

町村国務大臣 従来からも、日米間でいろいろな面で共同できるところはやっていこうではないかという議論はあったし、例えばインターオペラビリティーという表現があります。例えば、一つの部品を共用にして使う、同じ部品を使うようにすると、ある意味ではコストが低く部品調達ができるといったようなことから、そういうことを部分的にせよやってきたという積み重ねもあるわけでございます。

 今回、施設・区域の共同使用という話が確かにごく短く話されたことは事実でございますけれども、余り現時点で具体の案について、それが議論をされたという実態はございませんし、まだこれはいわば第二段階、第三段階での議論の中で出てくる可能性のある話ということでございます。

 したがいまして、その可能性も含めて、今後いろいろ具体の検討はしていきたいと思っておりますが、今ここをどうする、ここを共同使用するとかなんとかという話が具体に進んでいるということではございませんので、念のために申し上げさせていただきます。

三ッ矢委員 時間が参りましたので、もう一つ実は質問を予定しておったんですが、これは要望という形で申し上げたいと思います。

 アメリカのトランスフォーメーションの理由の大きな一つにテロ対策、対テロ戦略というのがあるわけでございますが、私個人は実はテロはその規模の大小にかかわらず、これは戦争ではなくて犯罪だというふうに思っておりまして、そちらの関係で、軍隊を動員して大規模に軍事行動でもってテロ対策をやるというのは、それはそれで一つのやり方かもしれませんが、今申し上げたようなコンテクストの中で、これは犯罪としてとらえて、きちんと国際、マルチの場で犯罪として処理していく。

 端的に申し上げますと、国際司法警察的な措置を日本としては考えていくべきじゃないか。また、それをアメリカに対しても私は進言すべきだというふうに思っておりまして、例えばICC、国際刑事裁判所への加入の問題等も含めて、ぜひ、我が国としては前向きに検討していただくように、私個人として要望を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

赤松委員長 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 本日は、大臣の所信及び外交案件について、幾つか質問をさせていただきます。

 大臣の所信演説にもございましたけれども、スマトラ沖での地震を受けての津波による被災者また被害は甚大なものがあり、日本政府としても復興支援あるいは実態把握に対して大きな力を注いでいただいていることに心から敬意を表するとともに、引き続き、防災の観点で、また国際社会の中で発言権を持ってリードをしていただきたいというふうに思います。

 また、報道でありましたが、昨日、イランの南東部で起きました地震、まだ被害の大きさはすべてが把握されているわけではございませんけれども、被災をされた方々にお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 では、まず最初に、二月十九日にワシントンで行われました2プラス2についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 この2プラス2、共通戦略目標としまして、国際社会での民主主義の基本的価値の推進、あるいは国際平和協力活動等における協力、そして大量破壊兵器の不拡散等に触れ、国際社会の平和構築に向け、世界の中の日米同盟を強化していくという姿勢は評価されるべきであろうというふうに思います。

 また、アジア太平洋地域については、特に中国と北朝鮮に焦点が当てられ、中国につきましては、台湾海峡問題の対話による平和的解決を促すとの文言が初めて盛り込まれまして、中国が軍事分野での透明性を高めるよう促すことが明記をされました。

 先ほどの議員の質問にもございましたけれども、さまざまな反応が出てきております。

 欧米のメディア、例えばアメリカのワシントン・ポスト紙は一面で、日米共同声明について、日本は中国の急速な力の伸長に対決姿勢を強めることを表明したと断定、またイギリスのフィナンシャル・タイムズ紙は、九六年の日米安全保障共同宣言を書き直し、日本は台湾海峡をめぐる問題が安全保障上の懸念であるという米国の立場に初めて加わったとしています。また、CNNテレビでは、今回の大きなニュースは台湾海峡への日本の関与で、平和的国家から変化しようとしているなどというふうに報道されています。

 日本が平和的国家から変化をしようとしているといったような報道は、これは見過ごすことができない、これは大きな誤解であり、正すべき誤解であるというふうにも思うわけでございますが、一方、中国側は、中国の国家主権また領土保全及び国家安全にかかわる問題であり、中国政府と人民は断固として反対をしていくとの強い反発を示しました。

 先ほどの大臣の御発言の中から、日本の対中政策、何ら変わりはないという御発言がございましたけれども、いま一度確認をさせていただきたいのですが、日本は、台湾が中国の領土の不可分の一部であるとする、一つの中国という原則の上、台湾問題は関係者、当事者間において平和的に解決されるべきであるという立場を一貫してとってきた、この方針に変更があるのか否か、この点について確認をさせていただきます。

町村国務大臣 冒頭お触れをいただきました、イランの地震でございます。まだ詳細、必ずしもわかっておりませんが、相当の程度のものであろうということで、政府としてもお見舞いを申し上げますとともに、また、テント等を、ロンドンだったと思いますが、デポにいろいろな物資を貯蔵してありますので、それを早速、送る手配、今準備を始めたところでございまして、可及的速やかなる対応をしていきたい、こう思っているところであります。

 今委員御指摘の、特に中国への対応、台湾問題への対応ということがワシントン・ポスト等で大変大きく報道されました。

 あのワシントン・ポストの報道は、実は2プラス2の開かれる前に出された記事でありまして、多分、最終的な文言を見ないであの記事を書いたんであろうなというふうに理解をしておりまして、私も、実は、2プラス2の会議に臨むに当たって、あの新聞を見て正直言ってびっくり、驚いたというのが率直なところでございます。

 したがいまして、多分そうであれば、きっとマスコミ的にはそれはおもしろいテーマということになるのかもしれませんが、先ほど私どもも申し上げましたように、これまでの対中国政策あるいは対台湾政策、あるいは台湾に関する日本政府のこれまでの認識、先ほど委員がお触れになったような、台湾は、ちょっと正確な文言、これは言い間違えるとまた大ごとになりますからあれでございますけれども、不可分の一部であって、領土の一部であって、そういう中華人民共和国の考え方を日本政府は尊重するという、そういった従前の姿勢にこれまた何ら変わりがない、こういうことであります。

 特に注目をしていただきたいのは、この台湾海峡をめぐる問題は、対話を通じた平和的解決を促すということを明記してあるわけでありまして、ここに日本が軍事的にどんどんコミットしていってというようなことはどこにも書いてありませんし、そういうことを今、具体のことを検討しているわけでもございません。

 どうぞ、そういう意味で、一部の新聞がおもしろく、おかしくいろいろ報道をすることは、それはとめることはできませんけれども、まさにこの文言どおりの正しい理解をしていただきますように、委員各位はもとよりでございますけれども、マスコミの皆さんも国民の皆さんも、そういう意味で、新たな緊張を、日本が今までの平和的な方法で台湾問題を解決するということから逸脱して、何か軍事的緊張を日本が高めようとしているのではないかというような誤解が万が一にでもあるとしたら、それは決してそういうことではないということを声を大にして強調いたしたいと思います。

丸谷委員 中国につきましては、六カ国協議の議長国として、北朝鮮への影響等、非常に日本が中国の役割に期待をするところも大でございまして、中国の建設的な役割を歓迎し、協力関係を発展させると、この共同宣言の中にも盛り込まれているとおりでございます。しかしながら、現在の日中関係は、総理の靖国神社参拝問題ですとか、あるいは東シナ海ガス田問題等でいわゆる政冷状態が続いております。

 この共同宣言の中で、建設的な役割を中国に期待し、そして協力関係を発展させるために、今後、中国との協力関係をどのように日本政府として発展させていこうというふうにお考えになっているのか。この点についてお伺いします。

町村国務大臣 確かに、両国首脳のそれぞれの国への相互訪問という形での交流が途絶えていることは事実でございますけれども、昨年二回、両国首脳がサンティアゴあるいはラオス・ビエンチャンで会談を行ったのは委員御承知のとおりであります。どちらの会合でも、結論は、日中関係が二国間のみならず国際社会全体にとって非常に重要なものであるという認識を共有しながら、未来志向の関係を発展させていこうということで一致をしているということであります。

 確かに、意見がすべて同じ、一致したということではないと私も思います。しかし、意見の違いがあるからこそ、両国首脳あるいは外務大臣レベルあるいはいろいろな方々が率直な議論をすることがむしろ友好の基礎でありまして、すべて意見が、もう右から左すべての人が全部共通だなんということは多分あり得ないことであります。日米間のように、非常に深い親密な関係にありながらも今まで幾つも幾つも大きな摩擦があり、それをいろいろな議論のプロセスあるいは交渉のプロセスを経て乗り越えてきたということでありますから、私は、日中間もそうした形で今後幾らでも乗り越えることは可能であろう、こう思っております。

 確かに、資源の問題あるいは海洋調査船の問題、原潜の問題等々、そういうややネガティブな側面を、列記するといろいろ出てくるわけでありますけれども、私は、日中間の共通利益を拡大していくということはまさに日中共通の利益である、こう考えておりまして、実は、年明けぐらいから日中間で一緒に共同作業計画ともいうべきものをつくって、まだ具体の中身はこれから、今議論を先方とし始めたところでありますが、そういったものをお互いに合意の上で決めて、そして幅広い交流を展開していくということをもう一度始めようではないかというような考え方で、今とりあえず局長級で話し合いを始めさせているところでございまして、今後それをより高いレベルに持ってきて、それに基づいて、お互いに合意の上で、さらによりよい関係を築く努力をしていくことが私どもの大きな務めであると考えております。

丸谷委員 ありがとうございました。

 一つ、質問通告はさせていただいていないんですけれども、関連いたしまして、けさの報道等でも北朝鮮の反応について大きく報道されています。

 今回の2プラス2はもちろんのこと、外務大臣とライス国務長官、拉致問題も含めて協議をされました。非常に強い日米の協力体制、あるいは六カ国協議に向けた日米、また今後は韓も含めた、そしてロシアも含めた協調体制というのが表明された結果だったのかなというふうに思いながら、また報道を見ていたわけでございますけれども、北朝鮮は無期、期限を決めずに六カ国協議にはもう参加しないといったような宣言から、条件つきであれば、特にアメリカと日本に対して、もう少し政策をやわらかくしてくれればこの六カ国協議に参加してもいいといったような、またこういった発言も出てきているようではございます。

 こういった発言に一喜一憂することなく、淡々と冷静にしかるべき対処法をとっていくのが本当の筋なのかなというふうにも思っておりますけれども、こういった北朝鮮の対応について、大臣がどのように分析され、何かお考えになっていることがあれば、ぜひ一言お伺いさせていただきたいと思います。

町村国務大臣 中国の共産党の高官の方が北朝鮮を訪問され、金正日国防委員長とも会った、その結果がということで、まだ私ども、どういう話がそこで行われたか、正確な情報にはまだ実は接しておりませんので余り具体のコメントをしない方がいいのかもしれませんが、報道されているところを見ますと、条件つきでということになると、多分それは二月十日の外務省声明と実態はほとんど変わらないことをどうも言っているのではないのかな、そんな受けとめ方すらできるわけであります。

 私どもとしては、これはライス長官とも合意を見たところでありますけれども、これは北東アジアの平和と安定への脅威のみならず、核の不拡散体制というものを今一生懸命、世界を挙げて追い求めているわけですが、それに対するまさに挑戦である、こういうものは一切許すわけにはいかないということでありまして、北朝鮮側が一切の条件をつけずに速やかにこの六者協議に戻るべきであるということについて合意を見たわけでありまして、そのことは先般の、きのうですか、の報道を見ても、その結論は別に何ら日米間で変わらないし、日本政府も変わっていないということであります。

 今後、さまざまなチャンネルを通じて北朝鮮に働きかけをして、一刻も早く六者協議を再開し、そして正しい解決にそれによって導くということを努力してまいりたいと考えております。

丸谷委員 ありがとうございました。

 続いて、日ロ関係についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 本年は、一八五五年、日露通好条約を調印し国交を開いてから百五十周年、そして戦後、旧ソ連が北方四島を占拠してから六十年という節目でありまして、二月七日の北方領土の日を記念した東京での大会、また根室での大会にも大臣初め副大臣が出席なさいまして、この領土返還に関して、また日ロ間での平和条約の締結に向けて町村外交の積極的な姿勢をうかがわせていただいているわけでございますが、期待が高まっている中でのロシア・プーチン大統領の訪日というのがなかなか見えてこないという、私自身は少し焦りを持って見ている次第でございます。

 というのも、大臣がことしの一月にロシアに訪問をなさり、また次は、順序としてロシア側から日本に来ていただく。そして、二月の下旬にはフリステンコ産業エネルギー相が訪日されるというような報道もございましたけれども、またこれも報道でございますが、どうやら三月前半かそれ以降にずれ込みそうだといったような報道もされています。

 この産業エネルギー相の訪日がずれ込むことによって、ラブロフ外務大臣、そして大統領の訪日というのがどんどんどんどんずれていってしまうのではないか、そうこうするうちに機を失ってしまうのではないかといったような不安もあるんですけれども、まずエネルギー相の来日について、これは見通しが立っているのかどうか、この点についてお伺いします。

小松政府参考人 事実関係に関する御質問でございますので、私から御説明をさせていただきたいと存じます。

 委員から御指摘ございましたように、フリステンコ産業エネルギー大臣、それから日本の外務大臣が日ロ貿易経済政府間委員会の共同議長という立場にございまして、日ロ行動計画の中で、平和条約問題を含めましてさまざまな分野で日ロ間の協力を推進していく、こういう文脈の中で、ロシア側が特に貿易経済の分野の協力というものに非常に関心が高いわけでございます。

 そういう背景のもとに、大臣が一月の中旬にモスクワを訪問されたときに、フリステンコ大臣との間で共同議長間会合を行いまして、その結果、先ほどの御質問にございましたように、二月の終わりから三月の初めにかけて、しかるべき時期にフリステンコ大臣が訪日をして東京でこの委員会を開催するということで原則一致したのは事実でございます。

 日本の外務大臣もそうでございますけれども、フリステンコ大臣もいろいろと非常に厳しい日程をこなしておられるということで、それ以来、具体的な関係者の日程が合致するタイミングというものを調整するために努力をしてきているところでございますが、そういうような観点から調整に時間がかかっているというのが今の実情でございまして、現時点で日程が固まっていないという状況にございます。引き続き、御質問の趣旨も体しまして、外交ルートでこの調整を進めていきたいと考えております。

 それから、ラブロフ外務大臣とプーチン大統領の日程との関係というお話がございましたけれども、これも現在、外交ルートで調整中でございます。先般、町村大臣がロシアを訪問いたしましたときには、ラブロフ外務大臣の方から、私ども、もちろん平和条約の問題を非常に重視しているのは当然でございますけれども、ロシア側は、実務的な分野におけるいろいろな文書、これを成果文書として、その準備というものを非常に重視している、そういう準備作業の中でこの日程というのもおのずと決まってくるであろうという御発言があったわけでございます。

 この実務文書の作業につきましては、一月末に先方の外務省の幹部が参りまして、私ども協議をいたしました。最近は、先週、私どもから出張いたしまして調整をいたして、かなり今準備が進んできているという認識は私どもも持っておりますし、ロシア側もその認識を共有しているというふうに考えております。引き続き、この平和条約問題及び幅広い分野の協力につきまして、精力的に準備を進めていきたいと考えております。

丸谷委員 では、三月あるいは四月に向けて、大統領の訪日、期待させていただいておりますので、外務省、どうか頑張っていただきたいというふうに思います。

 では、副大臣に最後にお伺いをさせていただきます。

 副大臣は、二月の七日、北方領土返還大会根室に御出席をされ、旧島民の皆様とも懇談をしていただきました。旧島民の皆様、もちろんのことですが高齢化していらっしゃいまして、もう待つことに疲れ果てた、あるいは生きているうちに本当に島に帰りたい、こういった声もじかにお聞きになったかというふうに思います。

 あるいは、漁業関係の皆様にも非常にこの四島の問題というのは深刻な問題でございまして、三月から行われますサケ・マス交渉、あるいは地先沖合協定に基づくサンマ等の追加交渉も始まるわけでございますけれども、実際に根室に行かれて、旧島民の皆様に会われて、この領土問題を風化させることなく、今後も引き続き努力をしていただきたいというふうに思うわけですが、副大臣の率直な御感想、また漁業交渉に向けた御決意を伺わせていただきたいと思います。

逢沢副大臣 丸谷委員御指摘のように、去る二月七日、北方領土の日でございますけれども、私は根室市を訪問いたしました。二〇〇五北方領土の日、根室管内住民大会に出席をし、御指摘のように旧島民の皆様と懇談の機会もいただき、またちょうど当日は天候もよく、遠く国後、また納沙布岬にも参りましたが、歯舞群島を直接視察する機会にも恵まれたわけでございます。

 毎年のように九段会館におきます東京での大会には出席をいたしておりましたが、初めて私は地元の大会に出席をし、もっと早くこの地に来るべきであったと率直に反省もいたしたわけでございます。そして、やはり地元の皆様が領土の返還に向けて並々ならぬ決意、熱意を持っていらっしゃるということ、しかし戦後六十年というときを経て、そのモメンタムが仮に下がるということがあってはならない、そういう強い思いも持っていらっしゃることを改めて確認することができました。

 大臣も累次答弁をされておられますように、この領土問題につきましては、日ロ双方の間には率直に言って考え方の隔たりがありますけれども、その間に橋をかける努力をし、双方とも、領土問題を解決して平和条約を結ぼう、そういった目標を掲げているのも事実でございます。まさに法と正義に基づいてこの領土問題を解決する、国境線の画定をまず実現する、そのことに政府としても、また私自身としても全力で取り組んでまいりますことを申し上げておきたいと思います。

丸谷委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、首藤信彦君。

首藤委員 民主党の首藤信彦です。

 きょうは、今国会の外務委員会における最初の質問ということなんですけれども、質問の冒頭から、自民党の方から町村外務大臣に対して、世界一の外務大臣であるかのようなすばらしい賛辞が延々とありまして、私も隣で聞いていて、体じゅうがかゆくてしようがないという思いがしたんですが、仲間内から言われてもそんなうれしくないと思いますので、我々からやはり賛辞をお送りしたいと思うんですよね。

 町村外務大臣、本当に東奔西走、外交課題に本当によく対応されておられると思います。これからも体に気をつけて頑張っていただきたいと本当に心から期待をしております。ずっと外務大臣は、何か平均以下の外務大臣が続いておりましたけれども、初めて平均以上の外務大臣が出てきたということで、私としても大変喜んでおります。

 本当にいろいろな活動をされているんですが、この委員会の冒頭でも2プラス2の会談の話をされました。これは本当に大きな問題だと思うんですね。私も、この2プラス2の会談の日米の声明を読ませていただきました。非常に意味の深い外交文書でございました。長年外交をやっておりますが、この日米の共同声明を読んで久しぶりに手が震える思いをしました。それぐらい重要な文書として、今後、日米関係あるいは国際情勢において重要な文書として記憶される文書だと私は思っております。

 この共同声明に込められた意味というものは本当に深くて、この表面的な言葉の裏にどういう論議が行われたか私自身は知りませんが、今までの知見からいっても、この共同声明は多くの課題を含んでいると私も思います。日米関係あるいは日本の外交の本当の転換点になった文書だ、そういうふうに私も考えております。

 さて、その日米の声明について幾つか質問させていただきますけれども、まず最初に、既に各方面から反応が出ています。アメリカの新聞もそうですし、中国も非常に強い反発をした。要するに、中台の緊張関係は日米共通のアジェンダにしていく、この問題の解決、この問題の改善を日米共通のアジェンダにしていくという根拠は一体どこにあったのかということですね。それ自体がまた新たな緊張を実はつくり出しているわけですよ。現在、中国は非常に過敏に反応しているし、世界も、日本が変わった、日本の姿勢が変わったということで見ているわけですね。

 この中に込められたことですけれども、こういうふうに書いてあるんですね。「問題の対話を通じた平和的解決を促す。」こうなっています。これはもう、外交文書をお読みの方はすぐおわかりのとおり、外交文書というのは、その裏に何かがあって、何かであるから、何かにならないようにしよう、こういう文書なんですよ。ですから、外交文書の中で平和的、建設的という言葉が出たときには、その背景には、その裏に、平和的でない、建設的でなくなるかもしれないという状況を想定して書いているということなんですね。それはもう、町村外務大臣、当然、専門家として御存じのとおりだと思いますが。

 さて、それでは、中台緊張あり得べし、そのようにここで声明を出される具体的な根拠を示していただきたいと思います。

町村国務大臣 今回の共同声明について、大変重要性を御指摘、御認識をいただいたことにまず感謝を申し上げます。

 台湾の関係のことについて、先ほどもちょっと、丸谷議員でしたか、お触れになられました。率直に言って、ちょっとマスコミがこの台湾海峡のことを日米で取り上げたということにかなり過剰反応をしているのではないか、率直に私はそう思っております。

 ワシントン・ポストの記事が、この会合が開かれる前、土曜日に開かれたわけですが、金曜日の朝刊にもう既に出されている。それは相当幅広い取材に基づくものであったような気もいたしますけれども、我々というか日米間で意図したこととは随分違う、いろいろな解説なり説明があったような気がいたしております。

 実は、日本だけの認識をとりましても、これは昨年十二月の防衛大綱の中でもこう書いてありまして、「この地域においては、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が存在するとともに、多数の国が軍事力の近代化に力を注いできた。また、朝鮮半島や台湾海峡を巡る問題など不透明・不確実な要素が残されている。」こういう日本政府の認識が述べられているわけでありまして、そういう認識は、ある意味では、どこの国も今持つということであろうと思います。

 それに対して、日米では、この台湾海峡をめぐる問題は平和的な解決をするんですよという、まさに字面どおり、そのとおりのことで御理解を賜れればというふうに私ども思っておりまして、何も今回新しく、何か新たなことを日米間でこれからやろうとしている、あるいは既に何か取りかかっているということではないんだということは御理解をいただきたいし、また日本の対中国政策も、今回の日米協議の結果、何か日本の対中政策が大きく変わっていくということを示唆するということでもないということは、ぜひ御理解を賜れればと思います。

首藤委員 外務大臣、それは違うんですよ。わかっておっしゃっておられるんだと思いますけれども。

 これは、例えばコンドリーザ・ライス新国務長官。例えば町村・ライス会談でそういうことをおっしゃったら、ああ、そうだろうな、そういうこともあろうなと思いますよ。しかし、これは2プラス2なんですよ。防衛庁、日本は防衛庁長官、向こうは国防省、国防省のセクレタリーですね、国防長官が出ている。一緒にいるわけですよ。ここにおいて、平和的という言葉が入ったことの意味ですね。それは、外交的にこういうふうに中国を、平和的に話していこうというのではなくて、なぜそこに軍の最高責任者がいるのか。2プラス2の場なんですよ。

 ですから、ここに書いてあることはもう恐ろしいことで、だから、ワシントン・ポストを含めて国際社会もおったまげて、そしてまた中国は過敏に反応したんじゃないですか。全然違いますよ。だから、私たちはこの声明を見て、手が震える思いでこの英語を読んでいたんですよ。当たり前ではないですか。

 では、もう一つ、そこに書いてありますが、ここの中にこう書いてあります。「朝鮮半島の平和的な統一を支持する。」ため。これは英語でいうとサポートと書いてありますね。朝鮮半島の統一、それを私たちはどうして支持する必要があるのかということですよね。

 外交的にいえば、例えば大韓民国、韓国という国があり、北朝鮮という国があって、それはそれで二つの国であるというオプションだって十分あるわけでしょう。それの方が考えてみれば緩衝地帯が多くて、ちょうどボスニアのように緩衝地帯が、いろいろな小さい国がたくさんあることがその隣接国の安全にとっていいという発想もあるわけですね。ですから、なぜこの朝鮮半島の統一というものが日米共通のアジェンダにもう入ってきているのか。その根拠は何ですか。

町村国務大臣 これは、まず当事者である南も、南というか韓国もあるいは北朝鮮も、それぞれいろいろな場面で平和的な統一を図るということをまず言っているという事実があろうかと思います。それがまさに朝鮮半島に住む人々の共通の願いであるとするならば、それについて日本もあるいはアメリカも、いや、それは違うんだということはないんだろうと思います。

 いや、別々に今後とも未来永劫すみ分けていこう、それはそういうオプションも確かにあるんだろうと思いますが、それは我々が決めることではなくて彼らの決めることであり、それぞれの国がそういう願望というか、確かに、今現実にすぐそうなるということはなかなか、目に見える近い将来にどうなるかわかりませんけれども、少なくとも、南北間の相互の信頼関係が構築される、そして朝鮮半島の平和的統一につながる環境が醸成されるような対話が進むということは歓迎すべきことでありましょうし、そしてその行く先が平和的な統一であれば、これは北東アジア地域の平和と安定にとって非常に重要であろうということでありまして、そういう意味で、今回のこの文書の中に「朝鮮半島の平和的な統一を支持する。」と。

 支持するというのは、我々が何らかの力をもってそれを実現するということではなくて、両国のそうした南と北に分断されている姿が、それぞれの国が、できれば一緒になりたいね、平和的に一緒になりたいねという希望を持っている以上、それを支持するということはある意味では当然のことなのではないだろうか、こう思って、私は、この文章が適切である、こう判断をしているところであります。

首藤委員 おっしゃることは、それはどこかフィジーの外務大臣がおっしゃる、あるいはどこかモロッコの外務大臣がおっしゃるなら、それはそうですよ、これと余り直接関係ないわけですから。確かに、そのように客観的に言われることはそのとおりだと思います。

 しかし、我が国に隣接する地域において、これはそういう方向に行くだろう、それを選択して、それを支持しようというわけですよね。ですから、それがなぜ共通の2プラス2のアジェンダに入ってきているのか。

 先ほど言いましたけれども、これは外務省の、外務大臣が向こうの国務長官と話していることじゃないんですね。2プラス2ですよ。なぜ2プラス2になっているかという、この意義ですよ。これはまさに軍事と外交の一体化した存在、その最高、トップの会談なんですよ。そこにおいて、ここが込められたのはおかしいんじゃないですか。

 それだったら、そういうのをおっしゃるようなら、世界の分かれた民族が一緒になればいいなという話だったら、それはそうですよ。しかし、我が国の安全保障にとって極めて重要であり、また極めて重要なタイミングだからこそ、今、2プラス2で会いましょうといって会った、その声明がこれだということが、今のでは納得できないではないですか。

 では、日本の立場としては、朝鮮半島の平和的な統一、統合というものを支持される、このとおりですね。よろしいですね。

町村国務大臣 例えば、これは平成十年、一九九八年、小渕総理大臣と金大中大韓民国大統領、ちょうど金大中訪日の折の「日韓共同宣言 二十一世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」というものが出されて、大変これまた有名な、また意味のある宣言でございましたが、この中にも、「両首脳は、一九九二年二月に発効した南北間の和解と不可侵及び交流・協力に関する合意書の履行及び四者会合の順調な進展が望ましいことにつき意見の一致をみた。」

 この九二年二月に発効した「南北間の和解と不可侵及び交流・協力に関する合意書」というものは、その冒頭に、南と北は分断された祖国の平和的統一を念願する我が全民族の意に従い云々ということで、既にこの時点で平和的統一という文言が両国間で示され、それを小渕・金大中の両者でいわばエンドースするといいましょうか、確認をするという作業も既に行われているところでありますから、私は、ここに防衛庁長官あるいは国防長官が入っていたからといってこの意味が別に変わるということではない、こう理解をいたしております。

首藤委員 それが恐らく今おっしゃった、町村大臣がいやそうじゃないと心の中ではお思いになっていることだと思いますよ。それは確かに、韓国と日本との間の話と、今の緊張関係があり、核があり、ミサイルがあり、具体的に脅威がある中において課題を抱えて、アメリカで2プラス2で会って声明を出しましょうねという、そしてアジェンダをつくられているところにおいて出ているのは、いわゆる外交的なコンテクストが全く違うわけですよ。

 ですから、この問題に関しては、この文言が入ってきたということ自体、非常に私は日本の外交の危うさを示していると思うんですね。このことは恐らく町村大臣は御存じだと思います。ですから、このことに関してはまたさらに後で質問させていただくかもしれません。

 もう一つ、この会談の中で、私たちが非常に注視していたのは再編の問題ですね。いわゆるリアラインメントと言われていますけれども、それがどういうふうに進むのか。これは、アメリカでいえば昔からあるんですよね。予算の財政的な問題から、いわゆるブラックといって、要するに基地を再編したり縮小したりしようという動きもありました。

 しかし、これはそうした今までの、例えばブラック二〇〇五というのがあって、会計年度の二〇〇五年に出てくるようなものがあるんですけれども、そういう問題と、実はテロへの闘いとかそれから中東の不安定化、いわゆる不安定な弧とか、あるいはその弧の端っこにある東アジア情勢、そういうものを踏まえた上での問題なんですね。

 そして、私は運がいいのか悪いのか、外務大臣としては最高に運がいいと思いますけれども、こういう難しいときにまさにアメリカに行ってこの2プラス2の会合をされたわけですよ。そこにおいて、特に第一軍団、在シアトルの第一歩兵軍団、師団のキャンプ座間への移転の問題というのを非常に注視していました。

 というのはなぜかというと、いろいろ今専門家に言わせると、この問題が何でこんな唐突に出てきたかというと、これは昨年のブッシュ・小泉会談の中で、何とか沖縄の基地を軽減軽減、軽減だけじゃだめだから何か少しふやしてというところでぽっと出てきたということがまことしやかに専門家の中で言われているわけですね。

 神奈川からすると、あるいは日本全体でもそうですが、それはたまったことじゃない、もうかつての戦争において勇名をはせた第一歩兵師団が、司令部がやってくるなんてとんでもないことですよ。今、あれはまさかそんなのはフィクションだと思っていましたから、神奈川県民もあれよあれよと見ていましたけれども、それがもし本当にこんなことになれば、それは私は六〇年安保に等しいですね。恐らく大きな反発が国民の中あるいは神奈川県の中から出てくるということは、私はもう本当に危惧しているんですね。

 そこで、第一軍団のこの歩兵師団、どうなるのかなと。いろいろな問題もかつて起こした歩兵師団でありますから、これが来るのかということで注視していたんですが、その内容がこの中に全然出てこないわけですよね。今、先ほどの質問の中では、これは第一段階、第二段階、第三段階あって、まず第一段階だからまだ話していないという話をしていたけれども、そんなことはなくて、具体的には一体何を話されたのかということを言っていただきたい。

 外交文書というのは、長い会談の中で、会談が百あったら百に相当した短い文書があるわけですよ。その文書が百に相当しなくてもっと短かった場合、その隠された部分というものがいつも問題になるわけですよ。その意味で、この日米共同声明の中で第一軍団、座間キャンプについて触れられていないということは大変に私たちは疑心暗鬼になるわけですが、一体、第一歩兵師団に関してはどういう論議がされたのか、お聞かせ願いたいと思います。

町村国務大臣 小泉・ブッシュ会談でこのキャンプ座間のお話が出たという御指摘がありましたが、私が知り得る限り、そういう事実はまずないということを明確にさせていただきたいと思います。

 それから、陸軍第一軍団司令部の移転という話、いろいろなまたこれも報道等で出され、先般も松沢神奈川県知事が来られ、いろいろな方々のまた御意見もお寄せをいただいておりますけれども、これは本当に事務的なレベルも含めて、このキャンプ座間をどうするというような具体の話というところにはまだ至っていないわけでございます。

 日米両国、事務当局を含めて、とにかくまず第一段階の共通認識、共通戦略目標をどう固めるのかということでエネルギーを投入してまいりました。これからいろいろな具体論を、先ほど申し上げましたように、第二段階、特に第三段階で議論をするということに相なろうかと思います。

 したがって、今回の2プラス2の中で具体の地名が出たというのは、強いて言えば、私の記憶が正しければ、それは沖縄という触れ方はいたしました。そして、あのヘリコプター事故という意味での普天間という名前が出たことは事実でございますけれども、再編成に絡んでそういう特定の地域名を出して議論をしたという事実はないということを委員に申し上げたいと存じます。

首藤委員 今の説明のとおりだというふうに信じたいと思います。

 もう一つ、神奈川に関しては、外務大臣、課題を抱えていかれたと思うんですね。それは、横須賀の基地の問題ですけれども、そこで今までのキティーホーク、通常型空母を原子力空母にかえるという話が唐突に出てきた。もちろん、通常型の空母というのは数少ないわけですから、それが退役していく過程においてはそういうことも考えられるわけですが、それは大変なリスクであって、これも同じようにみんな驚天動地の世界なんです。

 そこで、やはり、横須賀の市長さんから町村大臣は要請を受けまして、この問題は通常型ということできちっとアメリカに申し入れる、そういうことが新聞記事に載っておりました。このことに関しては、帰国されてから余り発言されていないと思います。

 アメリカ自体もこれは通常型でいい、ジョン・F・ケネディでいいんだとか、そういういろいろ海軍の方からでも言っているのがちらほら聞こえますけれども、まずこの問題に関して、そのときにラムズフェルド長官にきっちりと、こんなのはだめだよと日本の国民を代表して言っていただけたかどうか、その点をまずお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、大谷委員長代理着席〕

町村国務大臣 先ほど地名を申し上げなかったというのは、2プラス2の場で、実は朝食会が終わった後、ラムズフェルドさんと、多少の時間があったものですから、十七日の日に沢田横須賀市長からお手紙を託されましたので、この話は確かに横須賀ということで、したことは事実でございます。

 市長からは、キティーホークの後継空母については通常型空母を配備する可能性を見出すようにアメリカ側に強く求めてほしい、こういう要請、こういう趣旨で、私十七日にお目にかかってお話をした上でそのお手紙を預かったものですから、十九日の日にラムズフェルド長官にそれを伝達いたしました。

 余り時間がなかったものですから、ゆっくりと議論をしたというわけではございませんけれども、ラムズフェルド長官からは、このキティーホークの後継についてはアメリカ政府として何ら決定をしていないという、ごく短いけれども簡明直截なる返事があったところでございまして、今後、これは確かに米国内においてはいろいろ議論になるテーマであることは私もわかっております。が、まだ彼らの政府自身の方針決定が何らなされていないという状態であるということでございますので、今後これも、多分避けては通れない問題ではあろうかと思いますので、日米間で今後よく話をしていくテーマの一つであろうとは認識をいたしております。

首藤委員 ありがとうございました。

 ただ、一言だけ言わせていただきますけれども、それはアメリカ政府が決定して日本に押しつけることじゃないんですよ。それは、日本の私たちが、これはこれでなきゃだめ、これでなかったらもうだめというふうに言うような問題だということを、もう一言つけ加えさせていただきます。アメリカが決定して、アメリカの決定を待って何とかではなくて、日本としてはこういう条件でなければ受け入れがたいということを政府として明確に言っていただきたいと思います。

 それからもう一つ、この問題で大きなテーマは、日米のグローバルな脅威に対する協力関係ということですね。これもまた非常に大きく踏み込まれたわけでありまして、もちろん今までも踏み込んでいるんですけれども、さらにここできちっとその声明の中で書かれたという点では歴史的な文書だと思うわけですが、当然のことながらそれは日本と米国、アメリカとの安全保障上の基本的な契約であるところの日米安保、特にこの六条の極東条項にこれは抵触してくるわけですよ。それは世界が変わったとか、グローバルな時代だとかなんとかいっても、それならば当然のことながら日米安保そのものを改定していかなきゃならないということになるわけですね。

 そして、協力していくことになれば、もっともっとレベルを下げていけば、協力するときの指揮権の問題が今度は問題になってくるわけですね。ですから、そうした多くの問題を実は投げかけたテーマでございますが、今回の2プラス2の協議の中では、この極東条項の問題に関してアメリカとはどういうような協議がなされたか、お伝え願いたいと思います。

町村国務大臣 直接的に極東条項をどうしようとか、この解釈をどうしようという議論を、今回は一切行っておりません。

 と申しますのも、先ほど答弁で申し上げましたけれども、在日米軍の兵力構成見直しについては、いわゆる極東条項を含めて現行の安保条約及び関連取り決めを変更することなく行われるという考えでやっておりますし、この点についての日米の認識は一致しているところであります。

 それでは極東の範囲を超えていろいろなグローバルな活動ができないではないかという委員の御指摘につながってくるわけでございますが、私どもとしては、例えば先ほど申し上げましたイラクへの自衛隊の派遣、アフガンの問題への自衛隊の派遣といったようなものは、これは日米安保に基づくものではなくて、個別に国会で御審議をいただいて、立法措置に基づいて、日米安保ということではなく別のジャンルでこれは国際協力をやっていこう、国際貢献をやっていこうということで法制的にも仕組まれているわけでございまして、それを例えばイラクへの活動、アフガンへの活動等々を全部これは安保条約に基づいて活動するということになりますと、これはもう本当に全部一から見直すということになりましょうが、そういうことで行われていないということは、委員十分御承知のとおりであろうかと思います。

首藤委員 外務大臣、そのとおりです。その解釈を変えないように、政府が変えないことを切に望みます。

 ただ、一つここで危惧されるのは、例えばイラクに関しても、サマワにおけるオランダ軍の撤退のかわりという形でイギリス軍が入り、さらにオーストラリア軍が入ってまいりました。これは今までの、そういう軍の国際的展開において、世界の中で、いわゆるアングロサクソンチームなんですよね。これはその意味で、こういうところで貸し借りが出てくるということは、実は今町村大臣が言ったのと違う流れが忍び寄っている、その中に組み込まれていく可能性を私は危惧しつつ、今はこのレベルにとめておきたいと思います。

 さて、この2プラス2でも問題となりますが、北朝鮮の問題ですね。今、北朝鮮との間では、本当に、北朝鮮側が核を持っている、まあそれは持っているだろうとは思っていますけれども、それを公式に言うとか、いわゆる六カ国協議を進ませないというようなことが言われまして、それが今度またがらっと変わってきて、向こうもしたたかにいろいろ操作しているんだと思うんです。

 ただ、日本の立場というのは非常に難しくて、ある意味で六カ国協議を進めるにおいて日本の立場というのは存在感が大きくて、日本の動きによってはそれが進まないというような現実がございます。

 特に、感情的にも非常に大きな対立があるわけですね。外交はもちろん感情を超えた冷たい冷たいものであると思いますけれども、最近の問題で特に我々をいら立たせているのは、拉致事件を解決する、真摯に対応すると言いながら、全然真摯じゃないじゃないか、うそばかり言っているじゃないか。写真もうそだったし、それから横田めぐみさんの遺骨と言われるものも、うそだった。

 こういうことで、我々国民もすごく怒っているし、私自身も怒っているし、こんないいかげんなことをやったらだめだ、こういうふうに思っているわけなんですが、一方、例えば写真に関しても、では、科学的に言うと、必ずしも、うそかどうかはわからないというような結果が出てくる。

 そして、最後に残った大きなテーマは、遺骨と称されるものの問題なんですね。

 これに関しては、三カ所に調査を依頼した。A、Bは結果が出ない、要するにわからない。それからCで、これは帝京大学の吉井富夫、帝京大学講師の方ですか、この方が、ミトコンドリアの分析から、これは要するに全然他人のですよということを言われて、それ見たことかと日本国じゅうがわっとみんな怒っているわけですよね。

 しかし、それに対して、何と、二月二十三日のネイチャー、ウエブで見ると二十二日に出ていますけれども、世界の中で最も権威のある科学雑誌の一つのネイチャーが、これは御存じのとおり、大臣も御存じのとおり、これはもう本当に権威がある雑誌で、アメリカのサイエンティフィックアメリカンとかイギリスのネイチャーというのは世界を代表するようなもので、特にDNA関係に関しては物すごくしつこくやっていて、御存じのとおり、すべての人類がアフリカから来たとか、そういうようなものはみんなこういうところへ載っているわけです。

 日本でも、我が国の南方熊楠なんという人は、無名の研究者がネイチャーに論文が一つ載ったということで世界から認められるようになって、やがて粘菌の研究者として大成していくわけです。

 そのネイチャーが、科学的に言うと、これはそんなこと全然言えないよという論文を、二月二十二日のウエブサイト、そして二十三日に論文を中に出しました。

 これは大変なことで、世界では事実上日本の言ったこと、外務省が言ったことを否定したわけですよ。私も全く専門家でないのでよくわからないんですが、何の根拠があって外務省は、これは遺骨が本人のものでない、しかも刑事的にでもない、裁判的にでもない、外交的に、この不透明な、不明確な、科学的に立証されていないものを、逆に言えば国際的には拒否されたものをぶつけてきたのか、そういうことなんですよ。

 私もこの吉井講師の本を拝見させていただきました。論文も拝見させていただいて、本当に立派な方で、いろいろな研究をされています。

 そして、その中において、また吉井さんは例えば遺骨調査団にも多数参加されまして、例えばカザフスタンへの遺骨調査とかやっておられるわけですけれども。そこでわかっていることは、私は、DNA鑑定というのは火葬場で焼いた骨ではなくて普通の骨であればすぐわかるのかと思ったら、遺骨調査団でも判明率がもうめちゃくちゃに低いわけですよね。

 普通、DNA鑑定は、ミトコンドリア分析も含めてそうですが、DNA鑑定、染色体の分析、それからミトコンドリアの分析、それからそれを一部クローン化してやる分析もあるけれども、ほとんどは生体細片細胞なんですよ。生体の細片あるいは生体微物といいますか、生物微物といいますか、どこかに生物の本当に微細な細胞があって、そこからミトコンドリアを取り出して、クローン化して、それを増幅していって、そしてこう評価するというわけなんですよ。

 そこで、吉井講師自身が、このDNA分析のいろいろな問題点をしっかりと把握されています。そして、その御著書の中で、これは科学的な分析ではあるけれども、社会でそれを認知するにはまた別の手続が要るということを書いてあるんですね。

 例えば、サンプルを取り上げた人の影響の検査、それから研究室の環境、それはそうですよね。それから、いわゆるアメリカで、私もちょっと発音はわかりませんが、フレイ原則といって、科学技術をもって裁判結果あるいは検察結果を出すときには、その結果で科学的な知識が本当に正しいのかどうかを明らかにする公聴会や、あるいはその実験室、あるいは実験に関係した人のことをしっかりと調べてやらないといけないというのが、いわゆる、うそ発見器のレベルからずっと進歩して今日にまで至っていると言われています。

 常にやはりこのDNA鑑定に関しては、コンタミネーションという、要するにどこかで間違った形で遺伝子が入ってくるという可能性はあるわけですけれども、では果たして、A、B、Cであって、Cしか確証できなかった、要するに三分の一しかなかったものを、そして国際的にもチェックせずに、そのサンプルを国際的な機関、例えばイギリスの有名な機関とかあるいはアメリカの機関とか、あるいは学会に調査を依頼するとか、そういうクロスチェックをせずに、それを北朝鮮が不誠実なことの証拠として突きつけるのは、外交としてはいかがなものですか。

 私は、北朝鮮の外交というのは本当にひどくて、でたらめで、本当にテロの事件でも腹立たしい思いを何度もしていますが、しかしそれだからといって、我が国の外交が同じレベルにいてはいけないんではないですか。

 北朝鮮の外交は瀬戸際外交と言われますよ。しかし、こんな不確実なことで北朝鮮に対してぽんと突き返して、そして国際的には二月にネイチャーで否定されるようなことがあって、それに対して、例えば日本でサイエンティフィックアメリカンに論文を寄稿するとか、そういうことをすることもない。そんなのだったら、これは日本の方が瀬戸際外交じゃないですか。どうしてこのような外交を日本の外交として、外務大臣、展開されているのか。日本の外交の信頼性をまさに国際社会で危うくさせているんではないでしょうか。いかがですか。

    〔大谷委員長代理退席、委員長着席〕

町村国務大臣 御説明をいただいて感謝をいたします。私も、率直に言ってそう詳しいわけでもなく、全く素人でございますから、今委員のお話を大変注意深く聞かせていただきました。

 ネイチャー誌に何かそれらしいことが出ているということは私も承知をしておりましたが、まだその論文そのものを実は読んでおりませんので、そのネイチャー誌の論文が日本の鑑定結果を完全に否定したものなのかどうなのか、ちょっと私もまだ定かではないのでこれ以上のことは申し上げられませんが、私どもとしては、事実関係だけ申し上げますと、横田めぐみさんの遺骨であると提供されたものがあるわけでありますが、その中から、DNA鑑定の知見を有する専門家が、まず検出できる可能性のある骨片というものを十個選びました。慎重に選定をして、警察当局から国内の最高水準にある研究機関等に鑑定を嘱託したわけでございます。

 そのうち、帝京大学に鑑定を嘱託した骨片五つ、十のうち五つを帝京大学に渡した。そのうち四つから同じDNAが検出をされ、また他の一個からも別のDNAが検出をされた。しかし、そのいずれもが横田めぐみさんのDNAとは異なったという結果が警察の方から私どもの方に届いたわけであります。

 今のお話を聞いておりますと、さらにそれをまた別の機関に、クロスチェックというんでしょうか、した方がよりよかったのではないかという御意見も、私もそれを否定するものでもございませんが、しかし私どもとしては、警察が最も信頼するものとしての依頼をした帝京大学の結果ということなものですから、まあそれは正しいんであろうな、こう思いまして、直ちに先方に対する反論をしたということでございます。

 したがいまして、今からでも遅くないから第三国あるいは第三者機関にもう一度やったらどうかということなのかもしれませんが、それよりも何よりも、私どもとしては、まず北朝鮮側がこういう累次申し上げたような不誠実な対応というものを早く改めることが重要で、余りDNA論争にぐうっと入っていくと肝心の主張そのものがぼやけてしまうのではないか、そんなことも考えるものですから、あえてこれ以上、さらにこれをどこか外国の機関に委託をして、また再検査といいましょうか、再鑑定をしようという考えは、今のところ実はないわけでございます。

首藤委員 外務大臣、今警察という話がございましたね。警察の科学鑑定も頼んだと。しかし、論文を精査していただければわかると思いますけれども、警察は、白骨化した遺体のDNA鑑定、さらに火葬された白骨のDNA鑑定に関しては、非常に否定的な論文を幾つも書いておられますね。ですから、警察自身が、果たしてこれは、サンプルを受け取ったとき、拒否されたんじゃないですか。

 ですから、私はなぜこういうことを聞いているのかというと、それは確かに不誠実だ、いかん、改めろと。しかし、不誠実だったという根拠を私たちは見せなきゃいけない、示さなきゃいけないんですよ。ですから、かつてのラングーン・テロのときには、その工作員も捕まえたり、白状させたり、いろいろなことをやりました。それから、大韓航空機事件でアンダマン海に飛行機が沈んだ、航空機が落とされたときは、実は非常にクエスチョンマークが多くて、今でも実はその事件は韓国でいろいろな問題になってきています。

 ですから、私たちが外交できちっと突きつけるには、やはり我々は確証を持たなきゃいけないのに、それでは余りにも私たちの足元が弱いんではないですか。これで私たちが非常に怒って、こんないいかげんなことをやっている国はもう許せぬということで怒って、それで経済制裁もあると言うわけですよ。

 国民の多くは、経済制裁というものがどんなに悲惨でどんなにひどい結果になり、どんなに深刻なものかというのはほとんど御存じないからそう言う。しかし、もしやって、その結果が何らかの形で、そのもととなった最初のデータがこれでしたということになったら、国際社会に対しても歴史に対しても、私たちが正しかった、だからこういうことになり、たくさんの人が最終的にはお亡くなりになったけれども、私たちがやったことは正しかったと言えないではないですか、外務大臣。

 ですから、ぜひ、今からでも遅くありませんから、そのサンプルを第三国に送るなり、あるいは、そのサンプルが本当に正しいのなら、日本の国内でももう一度クロスチェックをするなりしていただきたいと思うんですね。

 ともかく、その形で、経済制裁というのがありました。経済制裁というのは、それは私も、世の中で経済制裁反対家ということで有名になってしまいましたけれども、私は私の信念として、長年紛争地を見て、経済制裁ほどひどいものはない、本当に経済制裁ほどひどいものはないと思っています。しかし、それでも、国連の経済制裁を含めて、やることはあるでしょう。やる機会もあるでしょう。しかし、それには、先ほど言いましたように、絶対に我々は正しい、最後は神に向かって、いや私たちは正しかったと言えるだけの立場がないといけない、私はそういうふうに思います。

 それから第二点は、相手の見方を見ながらやっていくということですね。ですから、経済制裁に関しては政府も御検討中だと思いますけれども、一番軽いところ、相手の国の人々の生命財産に直結しないものから始めるわけですよ。一番最初から始めるのは、これはスポーツ交流の停止です。ですから、例えばソ連がアフガニスタンに軍事侵攻したときにモスクワ・オリンピックがとまるわけですよ。

 そこで、私が常におかしいな、おかしいなと思っているのは、例えば最初に貿易停止、送金停止、あるいは定期航路の停止という話が出て、一番軽いところである例えばワールドサッカーの予備戦、これに関しては何の論議もないんですね。しかし、世界的な歴史の経済制裁のテキストからいくと、当然のことながらスポーツ、それからいわゆる商品のボイコット、それからいわゆる貿易の停止、それから送金停止、こうなっていくわけですけれども。

 例えば、実際に平壌でワールドサッカーをやって、放映権なんかも含めれば、そしてそこへ多くのサポーターが行けば、それはもう何十億の世界となって、アサリの輸入とかカニの輸入とか、それから無煙炭の輸入とか、そういうレベルではないぐらいの大きな外貨が北朝鮮に入るはずなんですよね。

 ですから、それに対しては、例えば、経済制裁は今検討中と言っていますけれども、政府の検討項目の中にはワールドサッカーの予選の停止ということも考えておられるでしょうか。いかがでしょうか。

町村国務大臣 これは、警察庁の方でちょっとつくられた資料を今事務方から受け取ったのでありますけれども、これは警察庁の見解として受けとめていただければと思います。外務省も別にこれは異存はないわけでございますけれども。

 横田めぐみさんの遺骨とされるものの一部から別人のDNAが検出されたとする鑑定結果について、本件のネイチャー誌から取材を受けた関係者にも事実関係を確認したところ、取材においては、焼かれた骨によるDNA鑑定の困難性について一般論を述べたものであって、鑑定結果が確定的でない旨や、あるいは汚染された可能性がある旨応答した事実はなかったという返事を受けているということだけちょっと申し添えさせていただきます。

 今委員から、スポーツについて、これも幅広い制裁の中で考えたらどうかという御提言でございました。今私ども、直ちに制裁ということではなくて、北朝鮮との交渉を引き続き続けるというポジションでございますから、直ちに今これこれの制裁措置をとるということを決めているわけではございません。いろいろなオプションがある。そのそれぞれについての可能性でありますとか影響、効果でありますとか、そういうことを今内部的には検討しているという段階であります。

 スポーツはどうかということで、確かに先般、もう既に埼玉スタジアムで行われた、今度六月八日に平壌で今度はアウエーの試合があるということでございます。これをとめたらどうか、あるいは不参加にしたらどうかという一つの御提案でございます。

 そういう考えはどうか、そういうことを検討しているかというお話でございますから、それは可能性として今から全部否定するつもりもございません。ただ、大変これは、率直に言って、国民的関心の強いワールドカップサッカーでございますから、これを今、政府として極めて否定的に考えている、不参加という方向で考えているということでは決してございません。むしろ、円滑にこれがどうやったら行えるかという方向で考えているのは事実でございます。

 ただ、委員御指摘のように、そんなこと言ったって、モスクワオリンピックのときはどうだったという御指摘も確かにあるわけでございます。

 しかし、あれは多分、私の記憶が正しければ、大部分の国の共同作業といいましょうか、共同の不参加という決定に日本も従ったということで、これは日本単独のいわば行為ということになりますので、今直ちにそれを中止の方向で、不参加の方向で検討しているという状況にはないということは申し上げざるを得ないところでございます。

首藤委員 いや、誤解していただきたくないんですけれども、それは全然違いますよ。

 だから、要するにそれは、いろいろやっていった方がいいわけですよ。人々の交流という点では、まさにこの2プラス2で書かれた、平和的な統一という点には一番いいわけですよ。しかし、それと、一方では制裁をしようと言う。だから、どこに整合性があるんですかという、外交の矛盾を聞いているんですよ。

 また、経済制裁がどんなに影響があるのか、その内容が一体何なのかということを国民に周知させていますかということを聞いているんです。

 ですから、私は今の政府の姿勢は非常に危ういと言わざるを得ません。やはり外交においては骨太な、筋を一本通さないと、これは向こうはちょろちょろ、いろいろ手を打ってくるわけですから、まさに日本の外交の足元が見られてくると言わざるを得ないんです。世界的な外交の立場でいえば、それは当然のことながら、いわゆる交流がすべてとまらないと、それは経済制裁もスタートしないわけですよ。

 ですから、それをそういう形でおっしゃって、それはみんなが楽しむからいいということになれば、それはやはりそれでまた、日本の外交の矛盾が実は国際的に突かれる。それをどのように、一般の人たちには北の放送を通じて言っても、それはそういうことを、おっしゃるとおりの、政府の言うとおりを放送してくれる放送局も幾つもあるかもしれない。しかし、やはりこういうことをやっていけば、やがては日本の外交を大きく崩していくということがあって、やはりこの問題に関しては、本当にきちっとした、揺るぎのない、政府の一貫した外交をお願いしたいと思うわけであります。

 最後に、イラク問題です。

 イラク、私は、外務大臣が行かれましたパレスチナの選挙監視に参加しました。その後、ヨルダンとシリアに回って、イラク自身には入れませんので、そこを調査しました。まさに予想したとおりの結果に今回のイラクの選挙というのはなりまして、まだ時間がありますから大丈夫ですよ。そこで私は仰天するようなニュースを聞いたわけですが、それは、そのときに国連関係者あるいは向こうのいわゆる政府当局者あるいはさらに専門家の中から、アメリカ軍の早期撤退という話が、実は今年の初めにもう出ていたわけですよ。

 それで、やはり現実には、アメリカが大規模な攻勢をもう昨年の末からやめて、言うならばアメリカ軍が自衛隊化しているわけですよ、ある意味で引っ込んで、閉じこもって。それで撤退していくということは、しかも財政的にも、ワシントンポストを含めて、もうアメリカの財政が限界に来ているということがわかっていて、それから要員的にも限界に来ているというのがある。もうアメリカの早期撤退というのは、情報がもうずっと出てきているわけですよ。

 そこにおいて、オランダが撤退しました。オランダは、昨年の秋にそれを声明して、今撤退しました。要するに、六カ月かかるんですよ。ということは、十二月に国連のマンデートが切れて、日本がそこに存在することが許されなくなるときにおいて、少なくとも六カ月前にはそれを声明していなければいけない。その六カ月前の声明には、少なくともこの二月の末、すなわち三月の時点で撤退計画が明確に出ていないとそれはできないということですけれども、現状の自衛隊の撤収計画について、そしてまたアメリカの早期撤収の情報をどの程度政府として理解されておられるか、その二点について最後に質問させていただきます。

町村国務大臣 例えば、今回の2プラス2の中でも、国際情勢の議論の中で、イラクの問題も議論をいたしました。これにつきましては、もうブッシュ大統領の年頭教書を初めとして、彼らの基本的なスタンスについては述べられているとおりでありまして、イラクが民主的でみずからを守る国になるとの結果が達成されれば米軍兵士は帰国するが、イラクから撤退する人為的な期限は設けませんということを言っております。

 しかも、これは撤退計画という表現ではなくて、むしろ、出口戦略という言い方ではなくて、成功戦略という言い方を我々はしているんだというようなことを言っておりました。したがって、アメリカがどんどん撤退に向けて作業を始めているという状態ではないと私どもは理解をいたしております。

 ただ、流れとしては、それはできるだけイラクの治安部隊、軍やら警察やら、そういったものの能力を高めて、できるだけイラク人自身の手で国の治安を回復できるような方向に持っていきたいという考えがあるということは、それは当然事実であろうと思います。

 また、では日本の自衛隊はどうするのかというお尋ねでございました。

 これも今、私ども、現時点で、いつ自衛隊を撤退するということについて具体の準備を始めているわけではございませんが、自衛隊の活動自身も、委員御承知のとおり、当初の給水ということについてはだんだん現地の浄水、給水能力が高まっているというところから、そこからだんだんウエートが下がっていき、他の活動にウエートが移っていくという変化があることは当然のことであろう、こう考えております。

首藤委員 時間が来ましたのでもう質問しませんから。

 外務大臣、違うんですよ。例えば、オランダは撤退できます。それはなぜかというと、オランダは治安維持で来ているんですよ。ですから、選挙がされ、移行政権が生まれ、移行政権が治安維持を担えば、それは撤退できるんですよ。しかし、我が国の自衛隊は治安維持で行っているのではないんですよ。これは経済援助で行っているんですよ。

 ですから、もし撤退するときには、撤退できる構造をつくって帰らない限り、むしろそれは地元を裏切ったことになって、攻撃される可能性が余計高まるということです。ですから、それに対してやはり早期の撤退を厳粛に考えて、対応を考えていただきたい、そういうふうに政府に強く求めたいと思います。

 以上で終わります。

赤松委員長 次に、増子輝彦君。

増子委員 民主党の増子輝彦でございます。

 きょうは当外務委員会の初の委員会でございますので、それぞれの委員の皆さんから基本的なことを含めていろいろ話がございました。私からも幾つかの点について御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、町村外務大臣、御就任以来五カ月が経過をいたしました。この間、外務大臣は大変東奔西走、諸外国を訪問しながらも、日本の外交を展開されております。やはり外務大臣というのは政治家であった方がいいのかなというような感じを私も持っておりますし、また、次のニューリーダーの一人の町村外務大臣、先ほど来、大変評価の高い話が出ておりますが、私も外務大臣としてのその手腕を大いに評価をいたしているところでございます。どうぞお体に気をつけて頑張っていただきたいと思います。

 そういう中で、実は町村外務大臣の外交姿勢というのが、就任以来、創造的で志の高い外交を展開していくという、これは昨年も私の方から御質問をさせていただきました。先ほど申し上げたとおり、五カ月が経過いたしましたが、この間、外務大臣として、自分が掲げた、この創造的で志の高い外交、どのような形で今日まで具現化をされ、どのような形の中で今お進みになっているか、自己採点も含めて、ひとつ御所見をお伺いいたしたいと思います。

町村国務大臣 まだ、みずからの行動を振り返って、まして採点をするなどという、そういうゆとりもまたございませんし、一生懸命に次から次に起こってくる事象に、正直言うと対処することにかなりきゅうきゅうとしているというのが現実の姿でございます。

 したがいまして、当初、創造的で志の高いということを申し上げました。そのことは、私どもとして常に心の中に置いて日々活動しているつもりでございますが、それに照らしてどうかというところを、まだ正直言って振り返って評価をするという状態にはほど遠いかなと思っております。

 しかし、私が心がけておりますこと、どういうことがあるかというと、例えばいろいろな対処方針、訓令というものをいろいろな会議であるとかあるいは先方政府との交渉の場とかで出すことがしばしばあるわけでありますけれども、どうもその言いたいことがはっきりしない。私も一生懸命日本語として読むんですが、この対処方針は一体何を意味しているのかどうもよくわからないということがたまにあります。

 よく聞いてみると、実は私の想像していたことと違うことが本音である。しかし、余り本音は言わない方がいいみたいな感じがあって、あるいは余りにも外交的に洗練され過ぎた表現になっていて、場合によったら相手方が誤解をするかもしれない、間違った解釈をするかもしれないというような表現がたまにあるものですから、そういうのはまずいとはっきり言おうと。余りはっきり言うと、それは無用の摩擦を引き起こすこともあるかもしれませんが、多少の摩擦は恐れずに、できるだけはっきり言おうということで、自分で対処方針に手を入れたりすることもございます。

 そういうことによって、やはり日本という国がどういうことをこの問題について考えるのかということができるだけ明確にメッセージとして伝わるように心がけているというのは一つございます。これは、日々の仕事の中でそう考えております。

 それからもう一つは、どうも時間がかかり過ぎるということを折に触れて感じます。やはり、非常に今変化の速い時代でございます。相手もどんどんどんどん対応してくる。やはり、可能な限り早く答えを出す。今まで、ややもすると、よその国の出方が出そろったあたりで、さあ、日本としてどうするかということが多かった。そういう場合もあると思いますけれども、できるだけみずからの判断で前に進んでいくということで心がけてきたつもりであります。

 その一つの例が、例えば津波のときの対応は、これは私としては、日本としては、むしろ国際社会において、日本の五億ドルであるとか津波サミットへの小泉総理の参加であるということは、日本がある種の相場をつくることができたかなとさえ思っておりまして、そのようなことを心がけております。

 ただ、そういうことと創造的で志の高い外交、どうそれが結びつくんだと詰められますと、余りうまい答えがまだないのでありますが、心がけは心がけとして一生懸命努めているのが現在の姿でございます。

増子委員 大臣、ぜひ抽象的な形ではなくて、やはり、外務大臣は前回の私の質問に対して、我が国の国益を実現するような、そういう外交を邁進していきたいということの答弁をされているわけであります。

 では、町村外交というのは、国の平和あるいは安全あるいは諸外国との関係をよりよいものに構築していく、この国の国民の生命と財産を守りながらとか、そのためにはどういうことをしていくんだということをそろそろはっきりと打ち出して、まさに町村外交というものを私は世界に発信をしていかなければならないと思っているんですね。

 私どもも政権をとると、次の内閣に鳩山外務大臣がおりますが、鳩山外交というのは明確なことが出ておりますので、いつでも取ってかわれるという用意をいたしておりますので、どうぞ負けないようにしっかりと具体的にしていただきたいと思っております。

 そういう中で、ちょっと細かいことに触れさせていただきますけれども、まさに我が国の国益を実現すると同時に、我が国の国民の生命と財産を守るということも極めて重要な柱でございます。

 昨日の予算委員会の中で、私どもの同僚委員が質問させていただきました。細かいことは申し上げません。さきのスマトラ島沖の大地震、津波の被災者に対する対応が、どうも外務省の対応が悪かったのではないか。議事録を、私、速記録をいろいろ見させていただきました。

 さまざまな言い方はあると思うんです。それは、一生懸命やっていることは否定はいたしておりません。しかし、ああいう極限の状態になりますと、やはり、この国の国民を守るという、まさに外交的な最も大事な要諦の一つが私はどうも欠けているのではないか。心構え、姿勢、そして国民に対する対応、これがやはり若干欠けているのではないのかなというふうに心配をいたしております。

 今回の法案の中にも、新しく総領事館をつくろうとか、あるいは廃止をしようとか、さまざまな法案などが出ております。こういうことがしっかりやられなければ、私ども、この総領事館の設置なんかについても慎重に考えざるを得ない、私はそういう考え方を持っております。

 特に、スマトラ島沖のあの大地震、津波の被災者というのはまさに極限状態の中で、どんなことをしてあげても、これで足りるということはないと思うんですね。そういう点について、私は速記録等の外務省の答弁を見ますと、外務大臣も含めてですが、ちょっと強気になり過ぎているのではないかというような感を否めません。

 この点についてもう一度、ここのところはしっかりと外務省の姿勢、心構え、していただかなければなりませんので、外務大臣から明快な御答弁をいただきたいと思います。

町村国務大臣 これは、地震発生直後から、本省においてはもとよりでございますけれども、被災国の在外公館、これはもう全館体制で、まず安否の確認、そして被災状況の情報の収集、さらには被害を受けた方の支援活動、連絡調整というようなことで、まさに全省を挙げて、これは必死になって取り組んだつもりでございます。

 例えば、タイの大使館では、二十七日の未明にプーケットに、飛行機とそれから地上で、車で行って、連絡調整事務所を設置して、一時期二十数名の館員を現地に派遣して対応いたしました。それは、もうタイからでは足りないということで、近隣の大使館からも、あるいは本省からも派遣をするというようなことでございます。

 具体のことはそういうことで、確かに、万全であったかどうかと言われれば、それは確かに行き届かない面があったのかもしれないなということは、それは率直に反省すべき点もあろうかと思いますが、姿勢としては、私ども、国民の生命と財産を守るという、まさに外交の基礎であり原点である、今増子委員の言われたとおりでございますから、その精神に万が一にももとることがあってはならない。そういう姿勢で、今後とも一生懸命取り組んでいきたいと考えております。

増子委員 先ほど、逢沢副大臣の方から予算の概要説明がございました。その中に、平成十七年度予算においては、国民を守る外交を初め、四つの大きな重点事項が掲げられている。答弁は要りませんから。

 大臣、まずその第一番目に「国民を守る日本外交に関する予算」ということが挙げられているんです。さらに、この細かい内訳の中で、「第三に、海外邦人の安全の確保のための予算を計上しています。この中には、在外邦人にとって最後のとりでとなる在外公館の緊急時体制整備」とあるんですよ。最後のとりでですからね。

 これは、たとえ旅行者であったとしても、やはり最後のとりでなんですね。ですから、そのときに、自国民の、我々の国民がそういう極限状態にあるときに、やはりどれだけカインドネス、親切心を持って対応するということがあっても、私はやり過ぎることはないと思うんです。自分の立場に置きかえていれば、これはよくわかることだと思うんです。

 ここのところは、再度申し上げますが、しっかり外務省の姿勢として、していただかなければ、私どもは、外務省というものは、幾ら改革をしようといっても、一番根本的なこの心の持ち方、姿勢、そういうものが全くなっていないと断言せざるを得ません。

 ですから、そういうことを含めて、こういう大事な外交方針の予算計上の中にも掲げているわけですから、ここのところをしっかりと、改めて大臣のもとで外務省全体に行き渡るようなしっかりとした指導をしていただかなければいけないなというふうに私は強く感じておりますので、ここのところはよろしくお願いをいたしたいと思います。

 さて、次に移らせていただきます。

 これも実は、前回、大臣と大分話し合いをさせていただきました、日中関係について。これはまさに、日中関係は我が国の外交の、日米基軸を中心としても、今後さらに大きなウエートを占めてくるんだろうというふうに思っております。前の質問のときにもいろいろと大臣とお話をさせていただきましたが、どうも依然として日中間における政治的な問題は悪い状態にあるんではないか。経済的には良好であったとしても、政治的にはまさに私は今不幸な状況にあるんではないのかなと。

 あの質問をさせていただいて以来、三カ月ほどですけれども、何ら改善がされていない。むしろ、何かますます悪い方向に行ってしまっているんではないのかなと危惧をいたしているわけでございます。大臣も長い海外出張の際、昨年暮れ、胡錦濤主席等と小泉総理もお会いになって、いろいろやりましたけれども、あの海外での会談はあったとしても、依然として相互訪問がなされないという状況が続いている。

 現在の日中関係の政治的な部分において、どのような御認識を持っているか、御答弁お願いしたいと思います。

町村国務大臣 今の日中関係、どう認識をするかというお尋ねでございました。

 私は、確かに、両国首脳の相互訪問がここのところできていないという状態がいい状態であるとは思っておりません。また、そういう意味で、政治関係が十分にいい関係であるかと言われれば、決して今の状態で満足すべき状態であると言えるわけがない、こう思ってもおります。

 しかし、その原因が何かということを考えたときに、これは中国側からのいろいろな意見は差し引いても、とにかく靖国のことということがよく言われるわけであります。靖国問題についても、小泉総理と、胡錦濤主席あるいは温家宝首相との間で二度にわたって昨年十一月、議論が交わされました。かなり激しい言葉のやりとりであったと私は公電で知ったところであります。

 それはなかなか、A級戦犯の認識あるいは歴史の認識、こうしたものについて同じ日本人同士でも意見が一致することが難しい。まして、国と国が違う、そしてそれぞれの国を背負った人が同じ見解に到達するというのは、率直に言って私はなかなか難しいことだなと思います。

 それは、一致した方がいいと思います。しかし、一致できないことも多々あります。そのことをもって、したがって、中国が言われるように、だから日中関係は非常に悪いんだというふうになっていくと、たった一つのことですべてがだめになるということは私は望ましいことではないと。意見の違いはあったとしても、とにかく両国首脳が腹蔵なく話し合いをすることがまず第一に重要である。そういう意味で、昨年の十一月、二回にわたって極めて率直な意見交換が行われたことはよかった、私はこう思っております。

 その上に立って、これは小泉総理が、今後靖国にどう参拝されるか、されないか、みずからが適切に判断をされる、こう言っておられますから、その言葉を前提にした上で、では、我々外交当局としてはどういうことをやったらいいだろうかということでありまして、ことしの初めに、新しく今度アジア局長に就任をいたしました佐々江君が中国に行って、その前に省内でいろいろな議論をいたしました。

 何かここで新しい一つの、日中共同の作業計画と言うとちょっと言葉が適切かどうかわかりませんが、一緒にやれることを、前向きにやれること、青少年交流を初めとして前向きにやれること、あるいはお互いにうまくマネジメントしなければならないこと、いろいろあると思うんです。それらをきちんと一度全部まとめてみて、そしてこれはこういうことでやろう、これはこういうことでやろうというお互いの合意、理解をつくった上で、それから両国の交流をさらに活発化するように努力しようではないか、そういうことで今共同作業を両国で始めているところであります。

 それがある程度、できるだけ早く煮詰める作業をやっておりますが、できたところで、私は先方外務大臣とも、電話では話をしましたが、一度直接会って、私が行くなり、あるいは五月には先方大臣がお見えになりますからその前後かよくわかりませんが、いずれにしてもそういう機会をとらえて中国外務大臣とも話をして、そうしたお互いに幅広い分野でお互いの利益を増進できるような、そういう努力をしようじゃないか、こんな話を今し始めているところでございます。

増子委員 大臣、改めてお尋ねいたします。端的にお答えください。

 日中間の首脳が相互訪問できない最大の原因は小泉総理の靖国参拝にある、前回そう大臣はおっしゃいました、明確であると。そのお考えに違いはございませんね。端的にお答えください。

町村国務大臣 先方政府がそう考えていることは間違いがないと思います。

 私どもとしては、さっき言ったように、意見の違いはあっても相互訪問できるようにしたい、そのための環境づくりをしようということであります。

増子委員 そうすると、前回、私の質問に対して大臣は明確に、「相互訪問という形ができていないという事実はまさにそのとおりであります。その最大の原因は何かと言われれば、それはまさに靖国神社参拝の問題であるということは、これは非常に明確であります。」とお答えになりました。

 では、変わったんですか、大臣の考えは。今の御答弁でいくと、大臣のお考えは変わったということでよろしいんですか。明確にお答えください。

町村国務大臣 いや、別に考え方が変わったわけでも何でもないわけであります。

 ただ、たしか増子委員とは十一月十二日のこの外務委員会でのやりとりだと思いますが、その後、両国首脳が話し合ったわけですね。その結果として、先方も考えがどういうふうに今後変わってくるか、あるいは、小泉総理の強いお考えを先方がどう受けとめて、どう今後対応してくるのかという、それは時々刻々変わってくるだろう。小泉総理も適切に判断をする、適切に行動をするということでありますから、まず十一月十二日の外務委員会以降の大きな変化というのは、両国首脳が率直な話し合いをしたという大きな変化があるということは認めていただきたいと思います。

増子委員 私がお尋ねをしているのはそういうことではなくて、大臣のお考えが変わったのかどうかということをお聞きしているんです。端的にお答えください。

赤松委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

赤松委員長 再開します。

 町村外務大臣。

町村国務大臣 確かに、十一月十二日の答弁の中で、最大の相互訪問できない原因は何かということについては、靖国参拝の問題があるということは私は確かに明確に述べております。したがって、私、この発言をしたことは率直に認めます。

 今もどうかということでありますが、そのことについては、さっき申し上げましたように依然大きな、最大かどうか、それはわかりませんが、大きな原因ではあろうと思います。その後、両国首脳が率直な意見交換をしたということもやはり今考えて、依然としてこれが最大かどうかということは、よくこれは考えてみないといけないなと思いますが、大きな要素であることは間違いないと思います。

増子委員 そうすると、変わったんですか、変わらないんですか、靖国神社参拝が問題であるということは明確であるというふうにお答えになっていることが。それだけでいいんです。そのとおりだということなのか、いや変わった、そうではないんだと。そこのところだけ端的にお答えください。

 これは大事なんですよ、今後の日中関係で最大の懸案事項なんですから。

町村国務大臣 その後のいろいろな外交的変化というのはあったかもしれませんが、相互訪問できないという最大の原因は靖国の参拝の問題だ、そういう意味では、この認識は変わっておりません。

増子委員 では、変わっていないということで確認をいたします。

 私は、参拝することは、政治家として、それこそ大臣もおっしゃっているとおり、死生観、さまざまな問題がありますから、私はいいと思うんです。前回も申し上げましたけれども、しかし総理大臣という一国を代表する方である方が、この問題によって三年半以上も相互訪問ができないという事態は日本の外交にとってプラスなのかマイナスなのか、そのお答えをそれではお聞きをいたします。

 プラスなんですか、マイナスなんですか。中国と日本の両首脳がお互い三年半以上も相互訪問できないということは、国益にプラスですかマイナスですか。これも端的にお答えください。

町村国務大臣 それは、相互訪問できた方がいいということは、もうだれしもがわかっていることだろうと思います。

 しかし、だからといって、そのことと小泉総理が今後参拝をするかしないかということは、またそれは総理は総理なりのいろいろのお考えがあっての総合判断をして、適切に判断をする、こう言っておられるんだと私は思います。

増子委員 そうすると、内閣総理大臣小泉純一郎という政治家は個人なんですか、国を代表する代表者なんですか。どちらですか。お答えください。

町村国務大臣 それは、小泉純一郎内閣総理大臣でございます。(増子委員「国を代表するんでしょう。それを聞いているんですよ。個人か、国を代表するか」と呼ぶ)国を代表する内閣総理大臣であります。

増子委員 そうしますと、一政治家としての志や理念や信念は私もよく理解できます。

 しかし、一国を代表する内閣総理大臣というのはどういうお仕事をされるのか。町村外務大臣が自民党政権が続いているとするときに総理大臣になられたときに、それは、個人町村信孝という政治家としての行動を優先するのか、内閣総理大臣としての立場を優先するのか。どちらですか。お答え願います。

町村国務大臣 私は内閣総理大臣ではございませんので、今の仮定のお尋ねにはお答えいたしませんが、しかし小泉総理は、内閣総理大臣として判断をして、適切に判断し行動されるということを述べておられるので、それは内閣総理大臣としてのお考えであり行動であるということははっきりしていると思います。

増子委員 そうしますと、小泉内閣総理大臣が個人で判断をされている、それで日中関係に障害が政治的にあっても構わないというのが外務大臣としてのいわゆるお考えですか。

町村国務大臣 それは、構うとか構わないとかいう問題ではございません。それは、内閣総理大臣として、日本の最高責任者として、もちろん日中関係を含め、そしてトータルとして小泉総理が最終的に判断をすることでございます。

増子委員 そうすると、日中関係の政治的な状況は、このまま相互訪問がなくともいい、国益は全く損なわない、経済的な問題だけがあればいいということで認識してよろしいんでしょうか。

町村国務大臣 そこは、さっき申し上げましたように、今後、小泉総理が適切に判断して行動されるわけでありますが、そのことと、今後、さっき私が申し上げました、幅広いいろいろな活動、経済活動以外の文化交流等々を含めて、それを幅広く展開していくということは何ら矛盾をしない。

 それはそれでしっかり私どもはやっていこうということでありまして、そのことが一つあったがためにほかのことがすべてストップしてしまう、すべて何もうまくいかないということではないわけでありまして、またそれは逆に中国の方からすれば、それを理由に、一部これは経済界の人あたりがそういう発言をマスコミにしておられますけれども、靖国に行くから例えば新幹線がとれないとか、こういう話に至っては、私は正直言って首をかしげざるを得ないのであります。

 私は、小泉総理大臣が、いろいろな事象を全部ひっくるめて、トータルの判断として適切に判断をされるという、そこに私は信頼を置いております。

増子委員 そうしますと、この三年半、我が国と中国の関係は全く問題はない、総理大臣が、個人的な考え方も含めて、国を代表する立場ではあるけれども、相互訪問ができなくとも、海外で時々お会いすることによって意見交換をすることで、十分この国の国益を損なうことにはならないと。三年間何も問題なかった、これからさまざまなことを考えながら、小泉総理大臣が判断をしていけば何ら問題はないという認識ということでよろしいんですか。

 それとも、やはりこの三年間はお互いにとって決していいことではない、そういう状況の中で今後は判断されるから、これから改善されていくことが望ましい、今のままではやはりいけないというふうに外務大臣としてお考えになっているのか。どちらですか。

町村国務大臣 だから、私どもとしては、外交努力の中で、例えば靖国参拝について中国のお考えはこうでしょう、しかしそれについて私どもはこういう考え方も日本にはあるんだと。A級戦犯の問題についても、これにすべての責任を負わせるという考え方を確かにとる人もいるし、しかしそうでないという考えの人もたくさん日本にはいる。

 だから、そういう考えがお互いにあるんだ、いろいろな考えがあるんだということを、外交ルートで、あるいは先生方の議員外交で、あるいは民間同士で率直な話し合いをするというプロセスがこの間ずっと行われているわけであります。

 そういう努力をすることもまた一つ外交上重要な仕事だ、私はこう思っておりまして、それがあるからあとはもう全部うまくいっていないんだ、そういう単純な構造のものではないと私は考えております。(発言する者あり)

赤松委員長 静粛に願います。

増子委員 大臣、私は、靖国神社に参拝をもちろんいたします。私も全く考えに違いはないんです。大臣、そこは苦しいんですよね、よく自分で御存じだと思うんですけれども。

 ただ、やはり日中関係というものは、アメリカとの関係に次ぐぐらいと言っていいのか、あるいは同等と言っていいのかわかりませんが、極めて重要な日本の外交の大きな柱だと私は思うんです。ただ今の一点だけをとらえて、私はいい悪いということを言っているんじゃないんです。そういうことの今お話を大臣とさせていただいているんではないんです。

 トータル的に見て、この三年半の小泉総理の日中関係の中における役割といいますか立場といいますか、こういうものが現在のままでよかったのかな。これからさらにそれをより改善して、日中関係がいい方向に行くためには、最大の懸案であるこの問題について何らかの決着をつけていかないと、個人、政治家、一政治家小泉純一郎という政治家とは違って、先ほど大臣がおっしゃったとおり、国を代表する立場の方がそういうことでいいのだろうかと。

 大臣は、私は仮定のことには答えられない、総理大臣ではないからとおっしゃいますけれども、総理大臣になる意欲がなければ、これは中二階どころじゃなくて地下一階ぐらいになってしまうじゃないですか。ですから、私はここのところを、前回も申し上げました。やはり日本として、内政干渉に対してどうのこうのということをさっき原田君がやじを飛ばしたが、私はそんなことを今指摘しているんじゃないんです。あくまでも両国の関係についての改善を図るために重要な問題としてここが提起されているんだから、ここのところを解決する努力をやはりしていかなければいけないのではないか。

 昨年の暮れお話し合いになったと。しかし、それはいつになるかわからないじゃないですか。時間はとまらないんです、進んでいくんです。ひょっとしたら、八月十三日に参拝をされて、あるいは四月にして一月に行った。ある方が、いや今度はことしの十二月じゃないか、この間に何かをするのかどうかわからないというように言っている方もいらっしゃいますが、いずれにしても、この問題、実はこの問題だけをやりたいわけではありませんが、ここのところを、ひとつある程度きちっとクリアしなければ、まさに創造的な志の高い外交というのは、私は町村外交と全く違う外交になってしまうのではないだろうかというふうに心配をしているし、この日本の国益も損なうのではないだろうか。

 何か経済界の方が先ほど、新幹線がとれないから自分の経済的利益だけを追求するということについてはだめだ的な発言がされましたけれども、そうでは私はないと思うんです。トータル的に、政治も経済もあるいは人的交流も文化交流も、あらゆる意味で日中がよくならなければ、今後、大臣がおっしゃっている、東アジア外交というものは極めてこの国にとって重要だと、おっしゃっていますよね。東アジアの外交が重要であれば、その中で最も重要な関係は中国あるいは韓国、そういうことになることは、これは私が申し上げるまでもないわけです。

 ですから、そこの懸案事項をどういうふうに解決をしていくのか、ここのところを私は、時間はそれほどないと思うんですよ。総理がやめて次の総理がどうするかということになれば、それは時間のタイムリミットはわかりますが、しかし私はもうとっくにタイムリミットが過ぎているのではないだろうかと。

 それは、前例として歴代自民党総裁イコール総理大臣が靖国神社参拝についてのさまざまなことを行っておられるわけですから、そこのところは歴史に学べば、おのずから国を代表する総理大臣としての立場ということを優先することも当然必要なのではないだろうかというふうに思っているわけです。ぜひここのところをもう一度、外務大臣、懸案事項であり最大の問題であることは明白であるという御認識を持っておられるのですから、明確に今後の日中関係についてのお考えを示していただきたいと思います。

町村国務大臣 靖国のことについてでありますけれども、やはり中国の方にも、小泉総理がやはりこうやって毎年中国側の強い反発を受けながら行くということについて、それはなぜなんだろうかという大分内部的な議論もあるようでございます。

 したがって、すべての答えは、小泉総理が靖国参拝をやめることであるのかどうか、彼らに粘り強く理解を求める努力をし、彼らの考えが変わる、あるいは全く変わらないまでも、少なくともこれはいいのではないかというふうに変わってくるかもしれない。そこは一方的にやめるという選択しかないとは私は考えていないのであります。

 そういう意味で、私は、小泉総理がそういった国内の状況、海外の状況、日中との関係、いろいろな状況を踏まえて適切に最終的に判断をされるという言葉について、私はそれでよろしい、こう思っているわけであります。

増子委員 これは非常に大臣も苦しい御答弁をされていると思って理解をいたしておりますので、きょうは残念ながら時間が余りございませんのでこのぐらいにしておきたいと思います。

 ただ、言えることは、中国側は、これは明確にその一点だというふうに言っていることは間違いないところでありますから、はっきりと原因はわかっているんですね。ですから、そこのところをどういうふうにしてやはり早く取り除いていくかということを、ひとつ、外務大臣、よきパートナーとしてぜひ総理大臣にしっかりと進言をしていただきたいと思います。

 小泉総理が自分で考えることなら何でもいいや、そのとおりやるしかないや、それでは単なる一つの歯車的に外務大臣がいるだけでは外務大臣としての立場ではなくなってしまうと私は思いますので、ぜひ、冒頭に申し上げたとおり、外務大臣としてのその才能、手腕、大いに評価をさせていただいておりますから、そこはやはり町村外務大臣、先ほどおっしゃったじゃないですか、本音だと。

 役所のことだって、対外的にやる人も、本音で語ると摩擦が起きるかもしれないけれども、本音でやっていくことも極めて大事だというふうに自分自身としてはこの五カ月間感じているということも自分で御答弁されたんですから、本音は確かに苦しいですが私は大事なことだと思いますから、しっかりと頑張っていただきたいと思います。

 それから、もう一つはODA関係でございますが、これについてもやはり、中国のODA関係のことについて前回も御質問させていただきましたが、これは中国にかかわらず、ちょっと時間がなくなったので端的にお聞きいたしたいと思いますが、今回、ODAの無償援助に対する評価が実は見送られたという報道もなされておりますし、事実そういうことのようでございます。なぜこのODA関係について無償援助の個別案件評価は見送られたのか、これについての見解を伺いたいと思います。時間がないので、端的にお願いします。

佐藤(重)政府参考人 ODAのことに関します評価につきましては、まさに円借款、無償資金協力あるいは技術協力と、それぞれの分野におきまして、円借款であればJBIC、それから技術協力であればJICA、それから無償資金協力につきましては必要なものについてJICAが評価を行う、それから全体の政策につきましては外務省が評価を行うということで全体の評価を行っておりまして、私どもとして全体の評価の充実に努めているわけでございます。

 無償資金協力につきましては、今少し申し上げましたが、JICAが基本設計調査を行っているものについて評価を行っているということでございます。他方、では、そのすべてのプロジェクトについてどうしているかということでございますが、無償資金協力のプロジェクトについてすべて評価ということではございませんけれども、無償のプロジェクトについて、今申し上げた評価を行っている部分と、それからしかるべく、いわば事後調査という形でプロジェクトの進展状況を把握し、調査をしているということをあわせ行っているということでございます。

増子委員 やはり、ODAに対する批判、随分ありますよね。と同時に、ODAの果たすべき役割、これもございます。ここのところをやはりちゃんとしませんと、ことしも予算の中で大分減らされました、今後についてもこのODAが減らされていくということは、私は大変心配しているんです。

 確かに、日本の国内は大変景気が悪くて、国にお金を使わないで海外になぜそんなにお金を使うんだという意見、批判が国民の皆さんの中にはございます。しかし、日本もやはり、しっかりとした海外の援助をするということも大事なまさに国益にかなうことだと思っておりますから否定はいたしませんが、そのお金の使われ方、税金の使われ方ということがまず何よりも、国であっても地方であっても同じことでありますから、ここのところはしっかりとやっていただきたい、そういうふうに思っているわけでございます。

 例えば、今回のスマトラに対する援助五億ドル、速やかに拠出されました。これに対して、日本の新潟中越地震に対する支援なんかを見ますと、多くの国民は、それは法的な行政の仕組みの中でさまざまなことがありますけれども、やはりスローなんですね。スローなんです、この拠出のされ方が。

 あの新潟中越の豪雪地帯の中で、この冬の厳しい中で生活をされている方々、それは一時的にぼっと出したといいますけれども、やはり、国民から見ればもっともっと、あの中越地震で被災を受けた方々に対してもしっかりとした体制をとってやるべきだろうと。海外にすぐに五億ドルものお金が出されるならば、自国民に対してもっともっとしっかりとした対策をしたらどうだという声は、極めてこれは大きいものもあります。

 ですから、なおのこと、海外援助ということについてはちゃんとした評価をして透明性を高めていかなければ、私は今後ますます国民の理解を得られないということになってくると思いますから、このODA問題、また次回これに絞っていろいろと質問させていただきたいと思いますが、きょうはこれにとどめておきたいと思っております。

 それから、私も、先ほど首藤委員が質問されましたが、時間が余りございません。2プラス2について若干質問させていただきたいと思います。

 今回のこの2プラス2で出された方向性というのは、何か私自身は大変憂慮しているのは、日本とアメリカの関係はまさに極めて重要でありますが、自衛隊のかかわり合いという問題がやはり大きな問題になってくると思うんです。

 今、自衛隊、サマワでいろいろと頑張っておられます。あの方々は法律に基づいて出動命令が出されましたから、何ら問題はありません。出すことは憲法違反だというのは私たちの立場であることは間違いありませんが、自衛隊諸君については大変頑張っているから、安全で、無事であるということを願っていることは私も同じ気持ちであります。

 ただ、何か、PKOが九二年にできて以来、どんどんどんどん自衛隊の海外派遣というものが、もう世界じゅうに行ってしまうというようなことが実はあるわけであります。

 そこで、イラクの関係について、これも2プラス2の関連でちょっと申し上げたいんですが、先般、我が党の岡田党首の質問の中で、自衛隊が行くところが非戦闘地域だという迷答弁を総理大臣がされました。これはまさにおかしな答弁である。しかし、そこで何か当たり前のように通ってしまうということ。これは私は、非常に実は今回の2プラス2を含めながら、海外への自衛隊派遣というものが極めて危険な方向に行ってしまうのではないだろうか。

 実は、きょう憲法問題についても大臣のさまざまなお考えをお伺いしたかったわけですが、そこでただ一つだけ、時間がございませんからお聞きしたいと思います。町村外務大臣は、総理大臣と同じように、自衛隊の行くところが非戦闘地域だという御認識、同じ立場に立っているのか。それとも、あくまでも非戦闘地域という定義づけの中で活動していくというお考えなのか。そこの御見解をお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 あれは私も聞いておりまして、ちょうど党首討論という場の中で、定義は、とこう言われて、法律上の定義をなかなかそれはとっさにその場で総理大臣が、ぱっとそれは思い出せなかったからかもしれません。したがって、表から言うか、それを裏から言うかという違いでありまして、私は、ああいう答弁の仕方もあるんだなということで、実は感心して聞いておったところでございます。

増子委員 そうすると、外務大臣も総理と同じように、自衛隊の行くところが非戦闘地域であるという御認識ということでよろしいんですね。そこは大事なことですよ。

町村国務大臣 定義はと言われれば、それは法律の定義を正確に一言一句間違えずに言うのが、それは正しいんでしょう。

 ただ、ああいう党首討論という場のやりとりで、瞬間の答えで、ああいう、そのことの定義を言えというようなことは、大体聞く方も聞く方だと率直に言うと私は思っていたんですよ。しかし、ああいう答弁をされたという事実は残っているわけですから、まあ、いつまでもそれがどうだこうだということをまた引き続きおっしゃるのも、正直言って余り生産的なことではないなと私は思いますよ。

増子委員 大臣、ちょっと違うんじゃないでしょうか。聞く方も聞く方だというお言葉は、ちょっと大臣らしくないですね。

 大臣、質問ですから、これは。ましてや党首討論のみならず予算委員会でもお聞きしているわけですし、総理大臣はその後のぶら下がりでも、いや、いい答弁だ、名答弁だ、法制局とも話したけれども大丈夫だと。

 これは、大臣がこの前、我が党の同僚議員からBSE関係で質問されて、個人的にむきになったでしょう、スポンジのような頭をしているのかと。だからそれは、聞く方も聞く方だというのは、ちょっと言い過ぎじゃないんでしょうか。

 と同時に、やはり裏と表の答えがあると。しかし、自衛隊の諸君は、やはり生命を賭して実は活動しているんですよ。現在のところは何ともありません。これからますます海外への派遣というものが、これは世界じゅうに広がっていったときに、あのようなやはり、もしイラク特措法というものの解釈があって、非戦闘地域は自衛隊の行くところが非戦闘地域だというその考え方であれば、これは私は大変大きな間違いだと思うんですよ。ですから、ここのところはちょっと大臣らしからぬ答弁じゃないのかなと。

 ということは、もう一度確認しますが、内閣総理大臣と同じように、外務大臣も自衛隊が行くところが非戦闘地域であるという見解、認識でよろしいんですね。

町村国務大臣 聞く方も聞く方だという言い方は、それは確かに岡田党首に失礼なので、これはおわびを申し上げます。撤回をいたします。

 その上で、いや、裏と表と言ったのは、それは定義を述べろと言えば、それは法律集を見れば書いてあるわけです。それを他の表現というか、別の表現をするとああいう表現もある、こういうことであって、私がもし同じ質問を受ければ、もし思い出せば、それは正確に法律用語で答弁をしたとは思います。

 しかし、とっさにああいう、総理が表現をされたのは、なるほどそういう答弁の仕方があるかなという印象を持ったということであって、もし私が同じ質問を受ければ、それは覚えておれば法律用語できちんと定義を述べたでありましょう。

 ただ、私自身も正確にそれは、今定義を述べよと言われて、正直言って、きちんと定義を一言一句間違えずに言えるかどうか、余り自信はございませんけれども。

増子委員 最後に一つだけ。

 大臣、私はそういう方法論をお聞きしているんじゃないんですよ。もう既に総理大臣が、自衛隊が行くところが非戦闘地域だというふうになっているんですよ、これは。そこのところが私はおかしい、間違いだと思っているし、だから、まさに総理大臣が繰り返し繰り返しおっしゃっている自衛隊の行くところが非戦闘地域だということについて、外務大臣は同じお考えをお持ちになって、それがまさに今回の答弁、認められて、自分も同じ考えだと。

 その方法論とか表現方法とかじゃなくて、自衛隊の行くところが非戦闘地域だということを、大臣も同じお考えで、それがもう定義になっているということに、同じ考えですかということをお聞きしている。それだけをお答えください。これは大事なんですよ、これは。

町村国務大臣 定義は、それは法律に書いてある定義のとおりであります。

増子委員 ちょっと違うんですよ。定義のことを私はお聞きしているんじゃないんですよ。

 小泉総理大臣が答弁を何度も繰り返して、国会で答弁されているあの表現、お考え、それはまさに定義とされるならば、同じ考えですかと聞いているんです。自衛隊の行くところが非戦闘地域である、同じお考えですかと聞いているんですから、いやそうではない、いやそうだと、イエスかノーかでお答えください。

町村国務大臣 まあ、余り物事をすぐイエスかノーか、こういう二者択一の入学試験みたいな問い方は余りしないでください。

 やはり、自衛隊が法律に基づいて行く地域、それは非戦闘地域に行くわけですから、ああいう表現の仕方もあるかなと私は申し上げたのであって、非戦闘地域の定義は、まごう方なき法律上の定義として、それはそれであるんですから。それはそれでいいんじゃないんですか。

増子委員 大臣、そうじゃないんですね。それは白か黒とか丁か半とか、そういうことじゃないんですよ、この問題は。そういうお考えを一国を代表する内閣総理大臣と外務大臣がお持ちになって、今後2プラス2ももし進んでいくとするならば、私は大変この国の安全とか平和というものについて極めて心配をしているということでありますから。ましてや総理大臣のお答えになったその定義が当たり前であれば、これは大きな私は間違いだと思いますから、今後、また委員会等を通じながら、これらについてはしっかりと議論をしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 先日、ワシントンで開かれた2プラス2について聞きます。

 今回の共同発表文には、日米の共通の戦略目標なるものが初めて盛り込まれております。これは、今後の日本の外交にもかかわる非常に重大な問題だと私たちは考えています。

 そこで、まずお聞きいたしますけれども、共通の戦略目標、いわゆる戦略目標とはどういうことですか。

町村国務大臣 戦略目標とはどういうものかという御質問でございますが、日米が現在の国際的な安全保障環境をどのように理解し、その上に立って今後日米がそれぞれにどういう役割を果たしていくのか、そして最終的にはそれに基づいた基地等々の配置を考えるというためのまず出発点として、私どもは地域及び世界における共通の戦略目標というものを議論して、共通の理解に達したということを記したものでございます。

赤嶺委員 日米の安全保障の文書の中で、共通の戦略目標、そういう表現の仕方というのはこれが初めてだと思うんですが、何でそんなふうな表現になったんですか。

町村国務大臣 私も過去の文書に全部通暁しているわけではございませんから、こういう文章が、文言が今まであったかどうか、私もちょっと定かでございませんが、お互いに議論をした結果、こういう共通認識に達したので、これを共通の戦略目標にしようとしたわけでありまして、ちょっと委員の問題としている観点がよくわからないのでございますけれども、もし委員からもうちょっと明確な御質問があればお答えをしたいと思います。

赤嶺委員 いや、非常に素直に質問しているんです。これまでのいろいろな日米の安全保障の関連文書を読んでも、共通の戦略目標というのが目立つようにきちんとあんなふうに表現されているのは初めてでしたから、素直に質問をした。何か特別な意図があってというのはありませんけれども。

 それでは、ちょっと次に進ませていただきます。

 それで、共通の戦略目標というのは二つの概念に分類されているわけですね。「地域における共通の戦略目標」あるいは「世界における共通の戦略目標」とあります。その場合に、地域というのはどこを指しておりますか。

町村国務大臣 これは、もしお手持ちだったら済みません、パラグラフ十のところに、「地域における共通の戦略目標には、以下が含まれる。」という、そのすぐ下に「日本の安全を確保し、アジア太平洋地域における平和と安定を強化する」云々ということで、この地域というのはアジア太平洋地域と私は認識をしております。

赤嶺委員 そのアジア太平洋地域というのは、安保条約で言う極東の範囲内だとか、あるいはそれ以外に何か特別な地理的な限定がありますか。ここからここまでを言うんだよというのがありますか。

町村国務大臣 これは安保条約のような法律ではございませんから、お互いが共通に理解できるアジア太平洋地域ということで触れているわけでありまして、ここがアジア太平洋に入るのか入らないのかといった、かつてのような、極東の範囲のような議論をするためにここにアジア太平洋地域と書いたわけではございません。常識的に考えられる範囲のアジア太平洋地域ということであります。

赤嶺委員 いや、ですから、地域と世界と分けているから、そこには分岐点があると思うんですよね。どこまでが地域で、そして世界とはというような話があるので。ですから、地域というのはそういう限定的なものがあるんですか。アジア太平洋というのはどこからどこまでのことを言うんですか。

町村国務大臣 逆に、ここで世界と言っておりますのは特定の地域を超えた話でありまして、例えば国際平和協力活動でありますとか、核の不拡散の問題でありますとか、あるいはテロの問題でありますとか、あるいは国連改革の問題であるとか世界のエネルギー供給、これはどこの地域ということに関係なく、共通にやはり取り組まなければならない課題ということで言っているわけでありまして、地域はここで世界はここでといって、別に世界を二等分して表現をしている問題ではないということは御理解を賜りたいと思います。

赤嶺委員 それでは、地域の中に中東は入りますか。

町村国務大臣 だから、そういう議論をするために、私はここで法律用語じゃありませんよと言っているのはそういう意味なんです。ここの国はどっちに入るんですか、アジア太平洋ですか、違うんですかということで、そういう議論をするために私ども今この共通戦略目標を定めたわけではないのであります。

赤嶺委員 いや、ですから、2プラス2の文書の中にアジア太平洋だと、地域というのはそういうことで、その説明をお聞きいたしました。アジア太平洋といっても、いろいろ人によってとりようがあるものですから、中東はアジア太平洋という中に政府は入れておられるんですか。そこはいかがですか。

町村国務大臣 ここは、日米の間で、この地域はどっちに含まれるか含まれないか、そういう議論をしてこの文書をつくったわけじゃございません。中東がどうかとか、マダガスカルが入るとか入らないとか、別にそういう議論をするために私どもこの文書をつくったわけじゃないわけでありまして、中東がどうであるとか、余りそういうことを議論するのはどうかと思いますが、しかし強いて申し上げれば、今私どもがここで書いてある中に中東という言葉は少なくとも載っていないというのは事実として認めます。

赤嶺委員 いや、ですから、大事な議論だと思いますよ。外務大臣は軽くおっしゃっておりますが、中東で起きた場合に、それはアジア太平洋の平和と安定というのか、世界というのかによっていろいろ対応、対処というのは出てくるだろうと思います。私は、その辺を表現されていないというだけで、入るか入らないかというのをあいまいにするというのは許されないと思うんです。

 ただ、時間がありませんので、これは随時質問していきますけれども、世界の共通戦略目標というのを立てられました。これによって、世界における共通の戦略目標を達成するための米軍部隊、これがおられます。先ほども自民党の議員の方が、沖縄に行ったら、極東の範囲内じゃないな、沖縄の基地を見て世界じゅうに展開をしているというお話をしておられましたが、そういう日米が共通戦略目標として盛った世界の問題について、そこに展開する米軍部隊が日本に今後駐留し、そして日本から出撃していくということを認めるわけですか、それは。

町村国務大臣 この「世界における共通の戦略目標」という表現でありますけれども、これは日米が日米安保条約そのものを根拠として追求をするというものではありませんけれども、世界の中の日米同盟という考え方で、先ほど申し上げました世界におけるさまざまなグローバルな問題、国際平和協力活動、大量破壊兵器の拡散、ミサイルの拡散、テロ等々、世界のエネルギーの問題、こうしたさまざまな面で協力を進めていこうということを触れているわけでございまして、日米安保があるからないからということではございません。

赤嶺委員 いや、ですから、世界について共通の戦略目標を盛ったわけですよ。その共通の戦略目標に向かって展開する米軍の部隊が駐留し、そして共通の世界の戦略目標の安全保障について行動していく、これを認めるかどうか、そういう話なんです。

 もっと具体的に聞きますけれども、先ほども質問がありました、第一軍団司令部の、非常に世界のさまざまな安全保障について役割、任務を持った司令部の座間基地への移転、これも世界の共通戦略目標という枠組みの中で認めるということはあるんですか。

町村国務大臣 今座間という具体のお話をされました。先ほど御答弁で申し上げましたように、座間にどういうものを持ってくるとか持ってこないとか、そういう具体の話は一切いたしておりません。

赤嶺委員 今までの答弁を聞いていて、共通の戦略目標がなぜ入ったのか。地域とか世界とか、いろいろあいまいにされて、そして具体的な問題には答えないという態度が繰り返されておりますが、実は私、この2プラス2の文書を読んで、世界の共通の戦略目標の第一に掲げられているのが、国際社会における基本的人権、民主主義、法の支配といった基本的な価値を推進するという目標、これが書かれております。

 ブッシュ大統領は、一般教書や大統領の就任演説で明らかなように、自由の拡大、世界の圧制の終えん、これを中心に挙げました。今回の、共通の戦略目標に織り込んだ基本的人権、民主主義の価値の推進というのは、このブッシュ政権の方針と同じなのか、それとも違うのか。違うというのであれば、それはどこなんでしょうか。

町村国務大臣 国際社会における基本的人権、これは大切にしたい。民主主義、これも大切にしなければならない。法の支配、こういった基本的な価値、これは日本の国にとっても全く同様でございまして、国際社会においてこういったものが基本的な価値として尊重される、そういう世界にしたいという思いを日本も持っております。そういう意味で、アメリカと同じ認識に達しているということは、これもまた何ら不思議はないと私は思っております。

赤嶺委員 同じ認識で、例えばブッシュ大統領は就任演説の中で、世界の圧制を終わらせるという目標の達成に当たって、第一義的に、武力による課題というわけではない、このようにしながら、必要なときには、みずからと友人たちを武力によって守るつもりである、こうも述べております。

 自由の拡大ということのために必要なときには武力も行使する、こういう米国の立場を政府は共有いたしますか。

町村国務大臣 どうしてそこまで一足飛びに議論が進んでしまうのか、私にはわかりません。共通の考え方を持っている、戦略目標を持っているということと、その後に来る米軍の行動と自衛隊の行動が同じであるということは、同じ場合もそれはあるかもしれませんけれども、しかし常にイコールである、常に等しいということではないのはもう当然のことであって、日本の自衛隊は、日本の総理大臣以下の指揮下にあるということからも明らかのとおり、日本の自衛隊がどう行動するかというのは、それは日本が判断すること、当たり前のことであります。

赤嶺委員 外務大臣の答弁がどうして自衛隊の方向に行くか、私も理解できないんです。

 私が聞いたのは、いわゆる自由の拡大のときには、必要なときには、みずからと友人たちを武力によって守るつもりであると述べていると。自由の拡大のために必要なときには武力も行使するという米国の立場。米国の立場を政府も共有するのかと聞いたんですよ。そこに自衛隊を行かすのはどうだこうだという質問は一切やっていませんよ。外務大臣の方が勝手にそういう答弁の方に行ったんですよ。答えてください。

町村国務大臣 私は、アメリカの武力行使が仮にどこかであるとしても、それを命令する立場に日本国政府としてないことは当然のことであります。

赤嶺委員 時間が限られていて、残り、台湾の問題やその他、私いろいろ用意をしていたんですけれども、質問できませんけれども、ただ、今の外務大臣の説明を聞いていても、率直に言って、安保条約と日米同盟の関係、そしてそれによって、世界に対して日本がどんな態度をとっていくか、十二月の防衛計画大綱の改定などとあわせて見た場合に、大変危険な中身を感じています。それは今後、委員会の中でただしていきたいということを申し上げて、質問を終わります。

赤松委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 社会民主党の東門です。

 外務大臣、連日御苦労さまでございます。

 まず最初に、委員長にお願いしたいと思います。

 今日本は大きな、本当に米軍再編という大きな課題を目の前にしております。その中で、外務委員会が本当にこんな短時間しか開かれないということ、きょうは事情があることはよく知っています、公聴会もありますから。わかりますが、これからぜひ時間をしっかりととっていただいて、ある意味では集中審議みたいな形で持っていただきたい、それぐらいのことはやらなければいけないのではないかと思います。ぜひそれを御検討いただきたいと思います。

赤松委員長 ただいまの発言につきましては、理事会等でお諮りをし、質問者の意を体しながら、御期待に沿えるように努力したいと思います。

東門委員 よろしくお願いいたします。

 昨日の質問の積み残しからスタートをしたいと思います。

 2プラス2で共通の戦略目標が合意されました。それとともに、閣僚は、現行の特別措置協定が二〇〇六年三月に終了することに留意しつつ、特別措置協定が在日米軍のプレゼンスを支援する上で果たす重要な役割にかんがみて、接受国支援を適切な水準で提供するための今後の措置について協議を開始することを決定したとして、特別協定による駐留経費の日本負担の継続を決めています。

 政府は、この特別協定については暫定的、限定的、特例的に措置するものとして説明してきていますが、一九八七年度に特別協定による駐留経費を我が国が負担し始めてから、負担分野を拡大しつつ、切れ目なく続いています。暫定的、限定的、特例的な措置はいつまで続くのでしょうか。既に恒久化していると言っていい状態になっています。もし、地位協定の定める日米間の経費負担の原則が実情に合わないのであれば、地位協定を改定すべきではないでしょうか。大臣の御見解を伺います。

町村国務大臣 この特別措置協定は、委員今御指摘のとおり、二〇〇六年三月に終了ということであります。これの有効性といいましょうか、これが、在日米軍が日本において抑止力を発揮するという上にとっては、これは非常に重要な役割を果たしているという認識を双方が持っております。私どもも持っております。

 したがいまして、こうしたホスト・ネーション・サポートを適切な水準で提供するということは今後も必要であろう、いつまでということを、私、これから世界の安全保障環境がどう変化するかわかりませんけれども、今の時点で判断すれば、今後の、これについての継続が必要だろうという判断の上に立って、その具体の内容等については、さらに協議を開始しようということを今回決めたわけであります。

東門委員 そうであれば、スタートのときに、暫定的である、限定的である、特例的であるということでスタートしたわけですから、もうこれからいつまで続くかわからない、恒久化しているわけです、現状が。そうであれば、むしろ地位協定そのものを変えて、そこに盛り込んでいくことにすべきじゃないでしょうかというのが私の質問なんですが。

町村国務大臣 そういうお考え、方法論もあるのかもしれませんが、私どもとしては、現時点ではこの特別措置協定という形の方が適切だ、こう考えたからこういう合意に達したわけであります。

赤松委員長 ちょっと東門さん、待ってください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

赤松委員長 それでは再開をいたします。

 東門美津子君。

東門委員 次の質問に移らせていただきます。ちょっと調子が狂っちゃいましたけれども。

 二月十六日の予算委員会の私の質問に関して質問いたします。

 普天間飛行場代替施設の建設に関して、稲嶺沖縄県知事が一定期間に限定して軍民共用空港を建設することを公約に挙げて当選されたと大臣は答弁されました。その辺野古移設については、県民の付託を受けているということだったと私は思います。そこで、稲嶺知事が求めているその一定期間というのを、使用期限、十五年ですよとはっきりおっしゃっておられたのですが、その十五年問題について質問をいたします。

 大臣は、使用期限問題を米国関係者との会談で取り上げられたでしょうか。もし取り上げられたことがあるとすれば、どのような表現で先方に伝え、その際の先方の反応はいかがだったのか、教えてください。

町村国務大臣 この問題については、私の前任者を含めて累次閣僚レベルで取り上げてきた、こういうふうに理解をいたしております。

 私が外務大臣になってからは、特に辺野古云々という形で、特定の地域、施設についての具体の話はこの2プラス2の関係でやっておりませんので、この十五年問題ということについて私自身がアメリカ政府関係者に取り上げたことはございません。

東門委員 確認だけですが、2プラス2、今回はなかった。しかし、昨年もパウエル長官に会っておられますね、その当時、国務長官。そのときの中ではなかったのでしょうか。一度も、町村外務大臣が外務大臣としてアメリカ側にそのことをお話しになったということは今まで一切ないという御答弁だったと理解していいのでしょうか。

町村国務大臣 私も記憶力が余りよくないものですから、パウエルさんとの話を含めてすべて正確に覚えていないんですが、十五年という話をした記憶は率直に言ってございません。

東門委員 稲嶺県知事が求めている使用期限問題は、日本政府が責任を持ってアメリカサイドと交渉して代替施設着工までに結論を出すということは、代替施設の着工の前提条件であり、いわば国と県との約束であると私たち沖縄県民はとっております。

 では、この約束を守るおつもりがあるかどうか。いかがでしょうか、大臣。十五年の使用期限について。

町村国務大臣 これにつきましては、平成十一年の閣議決定にありますとおり、国際情勢もあり、厳しい問題があると認識を持っておりますが、沖縄へ米軍施設・区域が集中していることに伴って県民の皆さんに多大な負担をおかけしている、そのことを踏まえた中での沖縄県知事及び名護市長からの御要請がなされているものであり、非常に重く受けとめております、こういうことでございます。

 そのことを踏まえて、米国政府との話し合いで今まで累次閣僚レベル等で取り上げてきているということでありますから、アメリカの政府部内でも本件の問題は認識をされている、こう理解をしておりますので、また今後とも、必要な場合には適時適切にこの問題は取り上げていくつもりであります。

東門委員 最後の質問です。

 今、稲嶺知事あるいは名護市長の要請を重く受けとめていると。大臣にとって、重く受けとめている、行政用語だと思います。どれぐらいのことなのか教えてください。わかりません、重く受けとめているという言葉が。

町村国務大臣 重くは重くなんですけれども、何とお答えしたらいいんでしょうか。これは、この辺野古にできるであろう飛行場のいわば有効性といいましょうか、にとっては非常に大きな問題なんですね。普通であれば、飛行場を一度つくれば、それを後ずっと使い続けるというのが普通です。ところが、米軍としてはこれを十五年だということですから、ではその後どうするんだということも、ある意味では今から考えなければならない問題ということになります。

 そういう意味で、大変に、まさに重い話であって、今のこの普天間の移設の問題の重要な一角を占める一つの前提条件である、そういう受けとめ方をしているということであります。

東門委員 本当に重要な前提条件であると。本当に重く受けとめて、辺野古への移設はぜひ断念という形に持っていっていただきますよう、私強く要望いたしまして、終わります。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十分散会


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