衆議院

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第3号 平成18年3月8日(水曜日)

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平成十八年三月八日(水曜日)

    午前八時五十一分開議

 出席委員

   委員長 原田 義昭君

   理事 小野寺五典君 理事 谷本 龍哉君

   理事 土屋 品子君 理事 渡辺 博道君

   理事 武正 公一君 理事 山口  壯君

   理事 丸谷 佳織君

      伊藤 公介君    宇野  治君

      木原  稔君    倉田 雅年君

      高村 正彦君    柴山 昌彦君

      鈴木 馨祐君    谷  公一君

      中山 泰秀君    藤野真紀子君

      三ッ矢憲生君    矢野 隆司君

      山内 康一君    山中あき子君

      大串 博志君    吉良 州司君

      篠原  孝君    鈴木 克昌君

      田中眞紀子君    田村 謙治君

      松原  仁君    谷口 和史君

      笠井  亮君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   内閣官房副長官      長勢 甚遠君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   外務大臣政務官      山中あき子君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   東  良信君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 高田 稔久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            吉川 元偉君

   外務委員会専門員     前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  逢沢 一郎君     谷  公一君

  愛知 和男君     矢野 隆司君

  篠田 陽介君     木原  稔君

  新藤 義孝君     柴山 昌彦君

  津村 啓介君     大串 博志君

同日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     篠田 陽介君

  柴山 昌彦君     倉田 雅年君

  谷  公一君     逢沢 一郎君

  矢野 隆司君     藤野真紀子君

  大串 博志君     田村 謙治君

同日

 辞任         補欠選任

  倉田 雅年君     新藤 義孝君

  藤野真紀子君     愛知 和男君

  田村 謙治君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 克昌君     津村 啓介君

    ―――――――――――――

三月二日

 沖縄の新基地建設中止、基地の全面撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六二九号)

 米軍機飛行禁止と米軍基地撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六三〇号)

 米軍基地の再編・強化に反対し、基地撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六三一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)


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     ――――◇―――――

原田委員長 これより会議を開きます。

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官遠藤善久君、大臣官房審議官高田稔久君、大臣官房審議官長嶺安政君、大臣官房参事官梅田邦夫君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、北米局長河相周夫君、中東アフリカ局長吉川元偉君、内閣府政策統括官東良信君、防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛施設庁施設部長渡部厚君、業務部長長岡憲宗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口壯君。

山口(壯)委員 民主党の山口壯です。

 この間の本会議でもいろいろ質疑をさせていただいたわけですけれども、今回の特別協定については余りきちんと議論されていないんじゃないかということを私は正直感じるわけです。

 二〇〇〇年の特別協定と今回の特別協定と、どういう改善がなされたのか、お聞かせいただけますか。

麻生国務大臣 今回の新たな特別協定とこれまでの現行協定とにどんな差があるのかというところを御指摘なんだと思いますけれども、いわゆる労務費とか、それからよく言われる光熱費とか、また訓練移転等々の関連の三種類の経費が主たるものでございますから、基本的に今までとは大きな違いはないんですが、多分、一番大きなものは、協定の期間が従来五年間だったものが今回は二年間に短縮されているというのが一つの点と、もう一点は、いわゆる経費を節減してくれ、そちらの方も、従来のものも節減してくれということで、これは特別協定の対象ではありませんけれども、従来のいわゆる提供施設整備費につきましては節約してくれということで、在日米軍駐留経費負担という部分が約五十億円削減されたというところが、私どもから見て大きな違いといえばそこらだろうと存じます。

山口(壯)委員 今大臣から答弁があったように、文言においては、特別協定についてほとんど一緒なんですね、期間を除いては。

 それから、この上限労働者数あるいは上限調達量、電気、ガス、水道、下水道、軽油、灯油、プロパンガスについて細かく決められていますけれども、これについての数字は全く変わっていないわけですね。その辺からまず確認いただければと思いますけれども、変わっていないですね。変わっていないんです。このことについて、例えば節約努力というのが、具体的な数値目標というのは何にもないわけです。

 そういう意味では、今回、この光熱あるいは水道料、ちなみに、こういうものをほかに認めているホストネーションがあるんでしょうか。

河相政府参考人 お答えいたします。

 幾つかの国で、例えば光熱水料に関しましては、ギリシャそれからノルウェー、サウジアラビア、これらのところでは受け入れ国が光熱水料を負担しているという事例があるというふうに承知しております。

山口(壯)委員 河相局長、その答えについてはちょっと後でまたエビデンスを教えてください。私は日本だけがこれを負担しているというふうに認識していたものですから、それは後でエビデンスをお示しください。

 この光熱水道料についての数値目標というのは今回一切示されていない。しかも私は、日本が、財源が苦しいという中で、きっと言ったはずだと思うんです。アメリカも、国防費をふやしているから何とか勘弁してくれと言ったはずです。でも、今回、期限があったのかどうか。前回の二〇〇〇年というのは十月、十一月にやっていますから、そういう意味ではじっくり期限があったはずです。今回は、もうこれは日切れだと言われながら急遽のこういう質疑もなされているような状況ですから、そういう意味では、間に合わせ的な協定の感を私は免れないんです。

 そういう意味で、アメリカ側に対して、今回、この二年間の枠組みで節約努力について数値目標が言及されないとしても、次の協定、新しい協定について考えるのであれば、それは当然入れるべきだと思いますが、大臣、いかがお考えですか。

麻生国務大臣 この光熱費等々の努力ということに関しましては、今おっしゃるとおりに、これは向こうは、御存じのように、財政は、日本もいいわけではありませんけれども、経常収支等々皆赤字という国でありますので、向こうも極めて財政事情はきつい。傍ら、こちらの方も財政事情はきつい。置かれております安全保障上の状況から見ますと、北朝鮮を初め極めて不安定要素が多い、また台湾海峡も両岸で、双方でいろいろなことを言っておりますので、そこらのところの緊張感は前よりある等々、いろいろなことが重なっておりますので、私どもも安くとは思いますけれども、向こう側も安く、双方で言い合って、スタートは、最初これは上げろからスタートしておりますので、この五十億につきましては。向こうは、もっと上げてくれという話に関しては、とてもできませんということでこういった形になっております。私どもとしては、できる限りとしかちょっと言いようがないのでこういった形になっておるということでございます。

 基本的に、こういったようなものは、私どもも、従来は絶対できないとか言っていた役所の話が、いろいろ知恵を出してみると経費が下がったというのは何もこれに限らずいろいろな予算で出てくるところでもありますので、もう少し、こういったことをすればもっと節減、節約できるのではないか等々の点につきましては、もっときちんと詰めなければいかぬ部分は今後ともあろうと思います。

山口(壯)委員 大臣、二年後の協定のときにはこれをきちっとすべきだということについてはどうですか。

麻生国務大臣 時間をかけてこういったものはきちんとすべきだと思いますので、二年後と言わずに、きちんとそういったものはできるところからやっていくべきだ、私どももそう思います。

山口(壯)委員 ちなみに、この思いやり予算は、ヨーロッパの中で支払っている国はありますでしょうか。

河相政府参考人 お答えいたします。

 他国それぞれがどういう予算措置もしくは財政負担をアメリカとやっているかということにつきましては、政府から、日本の立場ですべて責任を持って御説明するところには限界はございますが、私たちが承知している例としては、例えばドイツの場合、額的には日本より少のうございますけれども、一部の経費負担をしているというふうに認識しております。

山口(壯)委員 ホスト・ネーション・サポートということでやっているけれども、いわゆる我々の議論している思いやり予算ということではやっていないと私は思うんです。そういう認識を私は持っています。もしもそうでないエビデンスがあれば、後でまた示してください。

 ちなみに、基地従業員の給与、すなわち労務費、これも入っています。その中には、例えば永年勤続表彰費一千万円、こういうようなものが入っていたり、あるいは米軍が貸与する制服費約三億円、こういうのも入っているように私は認識していますけれども、それで間違いないですか。

河相政府参考人 在日米軍従業員の方に関する経費、ちょっとこの詳細については、施設庁の方が担当しておりますので、今細かい資料を私、手持ちはございませんけれども、一部の福利厚生費に関連するような費目、これは特別協定の枠内ではなくて、広い意味での思いやり予算のもとで、昭和五十三年以降、思いやり予算の中で福利厚生費を日本側が負担してきているという事実はございます。

山口(壯)委員 この永年勤続表彰費についてはいかがですか。

河相政府参考人 御質問の永年勤続に関する報賞費でございますけれども、これはちょっと、施設庁の方で実際の労働者との雇用関係に基づいて支出の手当てをしておりますので、申しわけございません、私、今手持ちの資料でそこまで細かいものがございませんけれども、これは福利厚生費、いわゆる特別協定ではない方の中の一部で手当てをされていることではないかなと推測をしております。

山口(壯)委員 私は金曜日にも質問しますから、そのときにはもちろん防衛庁、防衛施設庁、来てもらいましょう。でも、それまでに、局長、済みません、これはぜひ確かめておいてください。

 こういうものも入っているわけなんです。私は、永年勤続表彰費を払ってはいかぬと思いませんけれども、でも、これを我々の思いやり予算から面倒を見るべきかどうかというのは、私はここは吟味が必要だと思います。

 この中で、例えば制服費という中にちょうネクタイというのは入っているんでしょうか。

河相政府参考人 手持ちの資料の中で申し上げますと、制服等の貸与というものについては、福利厚生費の一部ということで我が方が負担をしている。ちょうネクタイにつきましては、在日米軍従業員の方の中には食堂等で勤務についておられる方もあるということで、そういうものも支給されている可能性があろうかと思います。

山口(壯)委員 このことについて私ちょっとそこまで細かく事前に通報していなかったから、それは今局長の言われたとおりだと思うし、これは金曜日に、私は事前に防衛庁あるいは防衛施設庁向けに質問しますから、そのときにまたきちっとお答えいただきたいけれども、タキシードとかネクタイピンとかあるいはコックさんの帽子とか、これを全部日本側が負担しているという構図なわけです。どうもこれは本当に健全な同盟関係なのかというところを私は強く疑問に思うわけです。

 そういう意味では、私はこういうところまで見るのは見直すべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 山口先生、これはちょっと私の正確な記憶じゃないのかもしれませんけれども、これはえらく日本の給与やら何やらがわっと上がっていったときに、大体、基地従業員の給料の方が米軍の陸軍中尉やら大尉さんより給料が高いという時期が一時期ありまして、中尉さんなんかと勤続二十年された従業員とどっちが高いかという話があって、ちょっとそれはぐあいが悪いんじゃないかとかいう話になった、たしかそれがそもそもの話の、何十年か前かちょっと正確じゃありませんけれども、そういった記憶がそもそものスタートです。

 それで、これは何とかせないかぬのじゃないかということから始まって、ドルが下がって円が上がったこともあったりなんかして、随分と、ドル払いだったところが急に変わったりして、いろいろなものが起きたというのが当時の実態だったと記憶をいたします。

 それからまた少し時間がたったこともあります。また、それ以後、冷戦構造が崩壊してみたり、いろいろな形で地域の状況も違っておりますので、いろいろなことを勘案して、今言われたように、見直すべき部分ともっとふやさないかぬ部分、もっと減らさないかぬ部分、いろいろ再検討してみる要素はあろうかと存じます。

山口(壯)委員 そこはぜひ、今回、本当はこの協定について、こういうせっぱ詰まった状況じゃなくて、きちっと議論して、それは例えば、外交を担当する当局についても、国会はこれじゃ認められないんだからという使い方もあるんだから、我々も。だから、そこはきちっと本当は前もってやるべきだったなとしか今は言いようがないけれども、私はそこは強く思います。

 ちなみに、小泉内閣というのは聖域なき構造改革というのをやっているわけですね。これはしっかり聖域ある構造改革になっているんじゃないかなと私には見えます。きちっとこういうところまでメスを入れていく。少なくとも我々の税金が行っている以上はきちっとメスを入れていくということが私は本来あるべき姿だと思うし、それが、この間本会議でも言わせていただきましたけれども、当時の吉田茂首相が体を張って努力したことだと思うんです。当時の吉田茂首相というのは、マッカーサーに会うときに葉巻をくわえて、それは、新聞に写ったときに我々は対等なんだということを国民にしっかりメッセージを残したかった。母上になられます和子さんといつも話をして、和子、これでいいのかと言いながらやっておられたという話もあります。

 そういう意味では、くしくも今、麻生大臣が日本の外交を担当されているわけですから、やはり我々日本が、アメリカと対等のそういう気持ちで日本が秩序もつくっていくという意味で、この特別協定というのは、何かギブ・ミー・チョコレートの名残のようなそういう心情も私には感じられて仕方がない。守ってください、これだけ面倒見ますからというメンタリティーが私には感じられて仕方がない。

 麻生大臣、本宮ひろ志の「俺の空」なんというシリーズ、私も大好きです。多分、そういう心情からすれば、本当は日本がそろそろきちっとした物の言い方をすべきときじゃないかと私は思います。

 ちなみに、こういうことが原理原則がノーズロになっているんじゃないかという一つの例が、このグアムの、海兵隊が移転したときにどういう負担をするのかどうかという話だと私は思います。

 大臣、この間の本会議で私に答弁いただいたときに、「資金的な措置を含め検討しているところであります」というふうにお答えになりました。資金的な措置を含め検討している、この中に、例えば海兵隊のための住宅とか、あるいはレクリエーション施設、ボウリング場とかそんな話だと思います、スーパーマーケット、病院、学校、銀行、ガソリンスタンドなどなど、こういうものについても議論するというのはそもそもおかしいと私は思うんですよ。大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 これは、山口先生、六千人とか七千人とか八千人とかいろいろ言われていますけれども、そういった数の隊員、家族を含めてさらにあと一万人近く出るんでしょうか、そういった形の人たちに、我々の方とすれば、向こうが撤退していくに当たっては、それは何年かけて撤退するかというと、十年、十五年かけて撤退されるというのであれば別に何ということはないのかもしれませんけれども、少なくとも、今すぐというのと、十年かけて、十五年かけてというのは大分違うんだと思うんです。

 何が違うかというと、沖縄の人たちが受ける雰囲気が違うんだと思うんですね。やはり七五%の基地が集中し、かなりの部分がこの沖縄というところでいろいろ負担が集中していると言われている状況の中において、少なくとも、一挙に七千、八千のオーダーで兵隊、家族含めて一万数千人の人がここからいなくなるということに関しましては、私どもはいわゆる抑止力の維持と基地の負担の低減という両方を今回考えてやらないかぬところなんですが、この基地の負担の低減というところは、やはりこれまでの長い、返還以前から考えたら六十余年以上の長きにわたっていろいろな問題をずっと我々はしょってきていますので、そういった意味では、一日も早い撤退を望んでおられることは間違いないというところなんだと思います。そこのところを促進するためにどうするかというと、向こうも撤退する金がないものですから、十年かけてやります、二十年かけてやりますというのが最初の話だったんですから、それをなるべく早くしてもらうためにというところが一番のこれの背景だったと思います。

 したがって、今純粋にその点だけを突かれたら、おかしいじゃないかと言われれば、その点は丸々、それはおかしくありませんよと正面切って反対する気もありませんけれども、私どもとして見れば、そこらの点を勘案しておりますので、まだ具体的にどうのこうのという段階は、新聞にはいろいろ出ていますけれども、具体的にどうのこうの詰めているわけではありません。ありませんけれども、私どもとしては、その種のことをやらないとなかなかスムーズに事が進まないのではないかというところが、私どもの率直な実感というところです。

山口(壯)委員 今麻生大臣言われたように、アメリカに任せておいたらいつ撤退するか、撤退というか移転するかわからないから、ここは日本側が面倒を見て早く立ち退いてもらおう、こういう構図なわけですね。それが今の麻生大臣の答弁だったわけだし、それが実態なんでしょう。

 そういう中でも、やはりこれは、出すときに根拠が何にもないと困るわけですね、現実に。在日米軍のための地位協定、あるいは今回のような特別協定、こういう枠組みではグアムに移転する海兵隊というのは見れないわけですから、どういう根拠でこれを見ようとされているのか、当然そこは議論が国会の場でも行われなければ、シビリアンコントロールの観点からも私は問題だと思うんです。大臣、その辺はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 まことに山口先生ごもっともな御指摘なんだと思いますけれども、これはまだ今現在で具体的な措置が決定されているわけではありません。したがいまして、私どもの方としては、グアムへの移転を促進するということを検討していく中で、日本の国の措置とか国内法の関係については、これまで、これでやりますとか、こうしますとかいうことを決定したわけではありませんので、防衛施設庁やら財務省等々と今後検討していかねばならぬところだと思っております。

山口(壯)委員 大臣、しかし、資金的な措置を含めて検討しているというふうにおっしゃっているんです。別に決定していなくても、それを検討するからには、根拠がどういうことでそれができるとお考えなのか、ここは答えていただかなきゃいけません。どうですか。

河相政府参考人 今大臣からも御説明申し上げましたが、中間報告の中では、このグアムの撤退に関連する経費、これについて、日本側として適当な資金的な支援を含めていかなることができるか検討しようと。ここはアメリカとの間で意見の一致を既に見ているところでございます。

 これを踏まえまして、現在、事務当局間で、一体グアムの経費としてどういうものがかかるのか、どういう中身が出てくるのか、それから、どういう形での資金負担をするのか。この資金負担の形というのもいろいろな可能性があり得ようかと思います。それを含めて現在検討中でございますので、こういう形の資金負担を仮に日本がするという決定がなされた場合においては、ではそれを日本の国の国内的な枠組みの中で、どういう既存のものでやっていけるのかいけないのかを含めて、その時点で検討していくということでございますので、今の時点で国内的な枠組み、もしくは国内法令との関係で御説明するのはまだ尚早ということが現状でございます。

山口(壯)委員 今のは、正直、歴史を振り返るときに、麻生大臣、吉田茂首相の話を私はたびたびします。外務省に同期で入った人に、広田弘毅さんという人がいるんですね。吉田茂と広田弘毅は同期で入省した。吉田茂さんが中国とかに赴任しているときに広田弘毅が日の当たる坂道を上るものだから、いろいろ吉田茂さんも当時は悩んだそうです。でも、この広田弘毅さんが、戦後、A級戦犯になってしまうわけですね。要するに、自分が担当したときに軍の独走を抑えられなかったと。関東軍が決定しましたと言って国会に持ってくるものだから、とめられなかったわけですよ。今局長の言ったのは全く同じパターンです。決定してから持ってくるのでは遅い。

 シビリアンコントロールというのは何がシビリアンコントロールかというのは、非常に議論があるところです。防衛庁に言わせると、防衛庁の内局が制服をコントロールするのがシビリアンコントロールだと言うでしょう。あるいは、今内閣総理大臣がコントロールしているからシビリアンコントロールと言うでしょう。しかし、それでは遅いんですね。

 というのは、例えば広田さんが総理のときに、では広田さんが見ていたからシビリアンコントロールが成り立っているかというと、成り立っていなかったんです。決定してから持ってくるから遅いんです。そういう意味では、シビリアンというのは国民です、シビリアンの代表というのは国会なんですから、国会がきちっとコントロールすることがシビリアンコントロールの最大のポイントだと私は思うんです。

 特に、今回は軍隊にかかわることです。軍隊にかかわることについて、事務当局、私は外交当局が入っているということで若干安心はしているけれども、しかし、決定してから国会に持ってくるというのは、シビリアンコントロールの歴史の教訓を学ばないということになるんですよ。広田弘毅さんはそのときに、おれがとめられなかったという責任でもって、一言も弁解せずに絞首刑になってしまった。それは「落日燃ゆ」の中にもしっかり書かれているとおりです。そういう意味では、吉田茂さんに本当に縁のある話がいっぱい続くわけですけれども、やはり決定してから持ってくるというのは私はよくないと思うんです。

 ビスマルクというドイツの宰相が「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という言葉を残したそうです。愚か者というのはやってみて初めてわかる、何度も同じ間違いをやる、でも、賢者は歴史に学んでその間違いを繰り返さない、あるいは未然に間違いを防ぐ、こういう意味でしょう。そういう意味では、広田弘毅さんが自分の命までかけて一言も言いわけせずに責任をとっていった、そういうことについて、私は歴史を学ぶべきだと思うんです。

 麻生大臣、事務当局でもって決定してから国会に持ってくるというのは私は間違っていると思うんですけれども、いかがですか。

麻生国務大臣 たびたび吉田茂が登場してあれですけれども、吉田と広田弘毅、同期の入省。広田が内閣総理大臣になったときに、外務大臣は吉田茂、陸軍は拒否、結果として吉田茂は戦犯を免れた。あのとき陸軍が認めていれば吉田茂も一緒にA級戦犯だったかもしれませんな。それが運命の分かれ道だったんだと思いますよ、僕に言わせると。

 同期の広田弘毅はそのまま受けて、当時はいわゆる帝国憲法の時代なものですから、今と全然法律が違いますので事情が違うとは思いますが、あの広田弘毅が軍をとめられなかった最大の理由は、統帥権干犯という事件が起きた。たしか鳩山一郎先生の意見だったと思いますが、軍のことに関しては、天皇陛下の軍であって、いわゆる国、政府に直轄されているわけではないという理屈を考えて、当時統帥権干犯事件というのが起きて、結果として軍部の暴走をとめ切れなかったのは、憲法上の欠陥があったことははっきりしています。

 したがって、今の状況の中においてシビリアンコントロールの話に対しての心配をされておられるのは私は正しい認識だと思いますけれども、この状況において、これは最終的には、防衛庁長官という国会議員であり、傍ら、外務相の方も国会議員であり、アメリカの方も、ラムズフェルドも元国会議員であり、いろいろな意味で大統領府とちょっとこっちは違うのかもしれませんけれども、コンドリーサ・ライスも軍人ではありませんし、そういった意味では、双方で最終的には決定をするということになってきておりますので、その交渉の過程でいろいろいたしますけれども、最終決定は、防衛庁長官なり、外務大臣なり、また内閣総理大臣なりというところでしてまいりますので、そういった意味では、今御心配をされているような形で防衛庁の独走というようなことにはならない、私どもはそう思っております。

山口(壯)委員 きょうの質問、例えばグアムの話についても、余り明らかにならないようだと金曜日の採決というのはできないな、こういう趣旨でもって私もいろいろ聞いています。しかし、全く何も出てこないわけですね。決定してから持ってくる、これじゃ金曜日の採決というのは、私はまかりならないと思うんです。

 今、統帥権の話もされましたけれども、これは憲法にはどこにも書いてないわけです。解釈の問題としてそうなっていた。国会がしっかりしていればこういう話というのは防げたかもしれない、歴史にイフは禁物だと言われますが。でも、そういう意味では、我々国会がきちっとやる。例えばアメリカも、軍隊を動かすことについては、議会の権限というのがベトナム戦争以後非常に大きくなっている。そういう意味では、別にラムズフェルドさんやライスおばさんが言ってもどうにもならないわけです。そういうことから考えると、例えば麻生大臣、額賀さんが言ったから大丈夫だじゃないわけです。国会のチェック、こういうものがあって初めて、民主主義国家としての軍隊の動かし方あるいは軍事の決め方という本質になります。

 今の麻生大臣の答弁は、外務大臣と防衛庁長官がやっているんだからいいだろうという答弁ですけれども、そこについて私は若干修正していただきたいと思います。

麻生国務大臣 誤解を与えたとすれば恐縮ですけれども、言われましたように、アメリカの場合も、国務長官が認めた国際連盟をアメリカ議会では否決しておりまして、したがって、国際連盟にはアメリカは入れなかった、歴史で学ばれたところだと思います。日本の場合もそれは同様でして、二人で、国会議員、国民代表がそこで、行ってサインしたからといって、それが国会で批准される、国会で承認されるかどうかは限らない、まことにおっしゃるとおりだと思います。したがって、私どもは、この点に関しては非常に慎重に、丁寧に対応しようと思っております。

山口(壯)委員 今麻生大臣の答弁の中に、沖縄への負担軽減とそれから抑止の話と二つのバランスをとっている、この抑止の話も、議論すれば、本当に大丈夫かというところがあるわけですね。

 今のアメリカの一番の関心は、私はイランだと思うんです。イランについて、何とかIAEAから安保理に持っていって、それから経済制裁あるいはいろいろな制裁もしようかなという発想があるんでしょう。しかし、現実に、イランについては核兵器の保有はないわけです。今初めてイランの中でウランを濃縮しようかという話ですから、今から十年以上かかるでしょう。現実に北朝鮮は持っているわけです。北朝鮮、現実に持っているところについては中国に六カ国協議という格好で丸投げし、まだ持っていないイランについては一生懸命頑張っている。ちょっと私、日本について、安全保障について本当にまじめにアメリカは考えているのかというところも心の中では思いながら、こういう話をしなければいけないと思うんです。

 そういう意味では、麻生大臣、抑止の話がかかわっているから、このグアムについても資金的な話をするのもあり得るんじゃないかという話は、もっと厳しく考えた方がいいと思います。大臣、そこはいかがでしょうか。

麻生国務大臣 イランの核兵器と北朝鮮の話と違うのではないかというと、私、それほど保有状況について詳しいわけではありませんが、ロシアのラブロフと、おとといでしたか、電話をし、そしてその前、イランのモッタキとも話をし、モッタキは日本に呼びましたのでいろいろ話をしておりますけれども、両方とも、自国をバックにして、うそもつけますし、はったりも言うし、事実も小さ目に言うし、これは当然の立場として言ってきますので、どれが本当なのか、ちょっと正直、見た段階では正確に分析できているわけではないのですけれども、少なくとも、このイランの核兵器のことに関しましては、今の状況で、あるか、あるというのは、持っているかいないかといえば、遠心分離機十一個で今やっているわけですから、まだそこまでいっていない、高度濃縮までいっていない、私どももそう思っております。

 ただ、ほっておけばそのままいきますので、今のうちにきちんとしておかないと先はどうにもならぬよという話と、北朝鮮の場合は、勇ましく、御本人が持っておると言っておられますので、今度はこれは本当かどうかは、ちょっとこちらの方がよくわからぬというところなんですね。北朝鮮の場合は、もう持っている、やれるんだといろいろ言っておりますので。

 そういった意味では、私どもとしては、綿密に情報を洗ってみないかぬところだとは思いますが、少なくとも、これに対応するためには、やられた場合にはやり返すという手段が日本の場合はありませんので、そういった意味では、御存じのように、それに対応する手段としては日米安全保障条約以外しかるべきものはないという立場でもありますので、この点に関しましては、日米関係の安全保障条約が大丈夫かと言われるというのは、それこそが一番私どもとして確認をしていかなならぬ大事なところで、日米安全保障条約というものがきちんと作動できるように、ふだんからの信頼関係というのを醸成していくところが最も大事だという点に関しましては、私も全く同じような考えをいたしております。

山口(壯)委員 最後に一問だけです。

 大臣、このグアムへの移転に関する負担経費について、国会にどのように諮ろうと考えておられるのか、これを大臣から最後にお答えをいただいて、私の質問を終わります。

麻生国務大臣 最終的にどういった形になるか、2プラス2等々、今からいろいろ詰めてまいろうとは思っておりますけれども、その段階で、どういう形に最終的になるかは、ちょっと今の段階で言えませんので……(山口(壯)委員「法的に」と呼ぶ)法的、これはちょっと詰めさせていただきます。どういうやり方をするか、ちょっとこれは法律の話になりますので、私よりもっと詳しい、きちんとしたプロにも考えてもらわないかぬところだと思いますので、施設庁、財務省、外務省、みんなでこれは考えないかぬところだと思っております。

山口(壯)委員 では最後に、今国際法局から一人しか、長嶺さんしか来ていないから、長嶺さん、ちょっと事務方から一言言って終わりにします。

長嶺政府参考人 御指名ですのでお答えいたします。

 今大臣から答弁があったとおりでございまして、これから詰めた中で、法的な点につきましてもよく詰めてまいりたいと思っておりますので、今山口委員から御指摘のあった点はよく踏まえまして、その対応につきましてはこれから検討していくということになると思います。

山口(壯)委員 終わります。

原田委員長 次に、武正公一君。

武正委員 おはようございます。

 いわゆる思いやり予算の改定協定についての質疑を行いたいと思います。民主党の武正公一でございます。

 まず、ちょっと質問通告にはないんですが、ちょうど日中局長級協議が行われ、けさの報道では、いわゆる日中中間線の共同開発、日本側が提案したところ、中国側からは、拒否、そして新たな提案が出てきた、それは尖閣諸島周辺の共同開発ということが朝から報じられておりますが、この真偽について、外務大臣、お答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 担当しておりますアジア局長、まだ帰国をいたしておりませんので、私どもとしては、ニュアンス等々が正確ではないところなので、いいかげんなことは言えないところなんですが、中国側からいわゆる共同開発に対する新提案があり、日中双方、前回の協議で日本側が行った提案とともに、互いに持ち帰って検討、次回協議でそれぞれの考えを示すことでこの考え方が一致したということになっております、公電では。公電も抜ける可能性がありますので、本音を全部語っていると思っていられないと思っておりますので、その前提で聞いてください。また、日中双方は、協議全体を通じて、この問題の対話を通じた迅速な解決を目指すとの認識を共有し、次回協議をできるだけ早期に開催することで、具体的な日程は外交ルートを通じて調整することで一致したというのが、いわゆる公電として入ってきております。

 佐々江、きょうの午後帰ってまいりますので、それを聞いた上で答弁できる可能性が出てくるとは思いますけれども、尖閣列島の話等々、向こう側が話をしてきた部分というのは、私どもとしては正確に聞いておりませんので、ちょっとお答えのしようがないというところで、何新聞だか忘れましたが、出ていたというのは、事実かどうかの確認のしようがないというところであります。

武正委員 NHK初めすべて報じられておりますので、外務大臣から国会でこれに対して明確な答弁がいただけないというのは本当に残念であります。

 やはり国会での審議、外交は日々刻々と動いているわけですので、先ほどの外務省からの答弁のように、この後聞く日米審議官級協議、その協議の内容は行ってみなければわからないような答えを国会ですること自体、やはり外交はあくまでも政府主導で行うという憲法七十三条の専権事項を多分に曲解しているのではないかというふうに言わざるを得ないのであります。

 今の尖閣については、報道では既に、外務省は共同開発案を持ち出してきたのは一定の前進というコメントを出しているというような報道も流れているんですね。私は、とんでもないことだというふうに思っております。もともと、日中中間線の共同開発でさえ、これまで日本側がガス田の開発を黙認してきたようなところがありまして、これでさえやはり認められないのに、今度はまた尖閣カードみたいなものを出してくる、それを評価するみたいなコメントが流れるということは断じてあってはならないというふうに私は思っております。

 この点については前委員会で私からお伝えをしましたが、外務委員会の一月の沖縄視察の折には、尖閣諸島の地元市である石垣市長から、当然、固定資産税の課税をしている市長として、尖閣諸島への上陸を求められております。こうした点も踏まえて、粛々と、昭和十七年まで缶詰工場があったこの尖閣諸島、今、所有者はさいたま市に在住であります。その当時は福岡の古賀産業ということでございますので、日本固有の領土として、きちっと政府としてしかるべき対応をしていただくように、ましてや今みたいなコメントが外務省から流れているという報道があってはならないということを申し上げたいと思います。

 それでは、質疑に移らせていただきますが、まず、日米審議官級協議がちょうど始まっております。その内容についてお答えをいただきたいんですが、あだや、ちょうど始まったからまだわかりませんとか、帰ってこないとわかりませんとかいう答えは、ぜひ大臣、なきにしていただけるようお願いをしたいと思うわけでございます。

 日米審議官級協議に臨むに当たって、当然方針も決めているでしょう。先ほどお話があったグアムへの移転経費について、日本側も何らかの負担をするということは日米で合意をしているという外務省からの答弁もありました。その負担額あるいは負担方法、そうしたものを、梅本さんですか、当然調整をしてハワイに行っているわけでありますので、今この協議が始まっている、この協議に臨むに当たって外務省としてどのような考えで、また協議の進捗状況も踏まえて、お答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 武正先生御存じのように、日本時間は八日ですけれども、現地時間は七日ですから、まだ始まってはおりません。そこのところはちょっと、時差がありますので、まだ全然始まっていない点を頭に入れておいて……(武正委員「ちょうど始まったぐらい」と呼ぶ)現地時間はそうですね、ちょうど始まったぐらい。

 何ともまだ、それに対する詳細については説明のしようがありませんから、ちょっとそこのところは御容赦を願いたいと思います。

 それから、あらかじめどんな点をという点につきましては、先ほど山口先生からも御質問があっておりましたように、グアムへの移転に関しましての負担等々、そういった話を含めまして、私どもとしては、そもそもは、今回の兵力再編に伴います問題点は、抑止力の維持と、もう一点が、沖縄というか、沖縄に限りません、基地におきます方々の負担軽減、この二点だったと思っておりますので、今具体的にこれをどうとか、よく新聞ではえらい額の金がいっぱい出ておりますけれども、それを六割だ、八割払え、五割払え、いろいろ御意見が飛び交っておるのは知っておりますけれども、具体的な措置につきまして何ら決定されているわけではありません。

 これは、審議官クラスで実務的な話を今開始させていただいたというところでありますので、私どもとしては、速やかに八千人の方々が移転していってもらえるというところが一番のポイントで、沖縄の方々の気持ちを考えると、そこらが一番大きなところかなという感じはいたしておるというのが率直なところです。

武正委員 既に報道では、七十六億ドルでしょうか、移転費用の全体額とか、あるいは日本側はそれを融資でとかいうような報道も出ているわけです。

 先ほど、どのような、条約、協定締結なのか、あるいは思いやり予算の交換公文なのか、そういったことについては外務省としても答えられないということでありますが、大臣、あくまでこの三月末に最終報告ということですので、もうあと二週間しかないわけですよね。それで、今みたいな答えしか国会にできないんでしょうか。再度お聞きをしたい。報道があるわけですから、やはり総額幾らなのか、どのように日本側が負担するのか、そしてそれについてはどのような手続が必要なのか、これをなぜ国会に、もうあと二週間で最終報告なのに説明できないんでしょうか。再度お聞きをいたします。

麻生国務大臣 交渉が難航しているからとしか言いようがないんですが。

 基本的には、普天間移転というのは、武正先生、やはり一番の問題点なんだと思うんですね。この普天間の移転の話が片づかないと、ほかの南部の移転の話から、その他の移転の話から全然前に進まない可能性があるということで、この普天間移転に非常に集中しておるというのが施設庁、防衛庁皆同じところだろうと思いますし、アメリカ側も同じなんだと思っております。

 その他事務的な、審議官クラスのところで事務方の話をいろいろしているにいたしましても、私どもとしては、今の段階で、三月末、全力を挙げて期日内までにまとめたいという意欲を持って取り組んではおりますけれども、この普天間の話やら何やらが、まだ地元のところと、辺野古等々、話がかなりとんがった形になっておりますので、その点の決着が全然つかないと移転のしようもありませんし、いろいろな形で、いま一つ何となく話が前に進みにくいというところも正直なところなんだと思っております。

 いずれにいたしましても、あと残り二週間というのはおっしゃるとおりなので、私どもとしては、焦ってはおりますけれども、今申し上げたような状況にありますので、隠しているわけでも何でもなく、今申し上げたとおりのところが現状だと思っております。

武正委員 この協議というのは、沖縄の基地移転の話だけではなくて、米軍再編に伴う、特に、前国会では民主党の同僚委員からも数多く質問が出た、例えばキャンプ座間への米陸軍第一軍団の司令部移転とか、こうした話、もろもろすべて含んだ話なわけですね。今どうしても普天間移設についての話に関心が集中しているわけですが、こういったキャンプ座間への米陸軍第一軍団司令部移転などの話も当然進んでいるわけだというふうに思うんですが、この点についてはもう決定をしているということでよろしいんでしょうか。

麻生国務大臣 その点は、武正先生、ちょっとそれは防衛庁の方が詳しいので、私どもの方としてそんなに詳しいわけではないんですけれども、第一軍団がそのまま全部移動してくるのではないというのはもうたびたび申し上げているとおりなので、いろいろな形で、座間のどの部分を返還して何とかというようなこと、相模原の一部のところがどうとかというようなことは、かなり具体的に話が煮詰まりつつあることは確かでございます。

武正委員 ぜひ、米軍再編のトータルの話も、政府としてきちっと説明も同時に進めていただけるようお願いしたいと思います。

 そこで、副大臣には前外務委員会で質疑をしましたら残念ながらお答えいただけなかったんですが、今回、この思いやり予算の協定三条で、国内の訓練移転費について日本側が負担をする、これは平成八年の改定なんですけれども、これは他国では例がありませんねと再三聞いたんですが御返事をいただけなかったので、これは改めて御答弁をいただけますでしょうか。

塩崎副大臣 先生に御質問をいただいて、明確な答えがその際できなかったことはおわびを申し上げたいと思いますが、その後先生のところに御説明に申し上げたとおり、承知をしている限り、そのような例はないということでございます。

武正委員 他国でそうした例がないということなんですが、当時の議事録を見ると、これは硫黄島への離発着訓練の、移設というんですか、これに関して日本側が費用を負担するということで当時改定をされているわけなんですね。ここら辺からまた私は、今回のグアムの移転費用を日本側が負担する、そういうきっかけになっているのではないかというふうに思うんです。

 それをさかのぼって、さらに、この間委員会で取り上げましたように、やはり沖縄返還のときの費用を日本側が負担をした、密約があったということが、元アメリカ局長の吉野さんから再三発言がございます。きょうも、朝日新聞の方につぶさにそのやりとりが、非常にリアルに紹介をされているわけですね。

 例えば、外務省の公電ですか、機密電報なんか、二階堂さん、竹下さんに相談に行ったら、「君は本当に世間知らずだね。外務省の電報なんぞは、前からこんなに来ているよ」と彼らは言うわけです、というようなことも含めて、非常にリアルに吉野外務省元局長の証言があります。

 そして、九九年に、つまり米公文書発覚前に、もう沖縄密約があったということを認める外務省元局長の発言が、きょうまた朝日新聞で出ているわけですが、この間、外務大臣はこのことを否定されております。特に、河野元外相が吉野さんに密約を否定するように要請したということについても事実関係を否定しているわけですが、今回、内閣への質問主意書でも同様の答えをされております。要請を行ったことは承知していない、やりとりを記録した文書記録は外務省にないということも明らかにしているということでありますが、改めて、きょうもこうした吉野元局長のやりとりがあるんですが、今回のグアムへの移転経費を日本側がまた負担するということを協議する、合意する、その最初のボタンのかけ違いがここからあるんじゃないのかというふうに思うわけです。

 国内の訓練移転費、硫黄島への移転についても日本側が負担する平成八年の改定、思いやり予算、協定の改正、これについても、先ほど外務副大臣から、他国では例がないという明確な答弁をいただいたわけですが、この質問主意書のとおり、こうした密約はなかった、日本側が負担したということはなかったということでしょうか。外務大臣、改めてお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のあっておりました元外務省アメリカ局長の発言の内容については、私どもとしては、新聞にいろいろ出ておりますけれども、承知をいたしておりません。

 沖縄返還国会ですから、昭和四十六年ということになろうと存じますが、四十六年から四十七年、当時のいわゆる歴代の外務大臣というものが一貫して繰り返して説明をしてきておりますとおり、沖縄返還に際する支払いに関する日米間の合意というものに関しては、沖縄返還協定がすべてでありまして、いわゆる密約等々は一切ございません。

武正委員 今回のグアムへの訓練移転費を日本側が負担するその端緒になった可能性も大いにあるわけですし、政府は否定する、しかし、元外務省の局長がこうして新聞で堂々と答えているということでありますので、私は委員長にお願いをしたいんですが、改めて、外務委員会で、元外務省アメリカ局長の吉野局長を参考人として招致されるようお願いをしたいと思います。

原田委員長 その件は、別途、理事会で検討させていただきます。

武正委員 時間も限りがございますので、本協定について、私は、二年間になった理由、あるいはまた、先ほど同僚の山口委員が質問をしたように、本来であれば、今回の改正では、光熱水道費全廃、労務費軽減を当初日本政府として考えていたのに、結局は、米軍再編協議の行き詰まりに伴って、前回と同じもの、しかも、それを五年ではなく二年ということで出さざるを得なかったところだというふうに思います。

 先ほど外務大臣から答弁もいただいておりますので、この点についての質問は割愛をさせていただきますが、先ほど外務省から、ギリシャそしてまたサウジ、ノルウェー、こうしたところは光熱水道費を負担しているということで、山口委員からはエビデンスを出してくれということでありますので、改めて、これは委員会の方に提出をお願いしたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

原田委員長 それにつきましても、別途、理事会で検討させていただきます。

武正委員 そこで、次に移らせていただきますが、去る六日、安倍官房長官が、閣議後の記者会見でしょうか、「在日米軍再編問題で沖縄など地元との調整が難航している状況について「(三月末の日米の最終報告と地元との合意と)どちらが先か、一日も早く地元との合意が得られればいいが、他方で最終合意は日米が協議していることであり、日米で協議が整い次第、それが最終合意になる」と述べ、地元との合意がなくても最終報告をまとめる考えを示した。」これが三月六日の記者会見ということで、七日付の各紙が報道をしているわけでございます。

 きょう、この真偽について、御本人から話を伺いたいということで、私は、委員会の方に、質問通告の折、安倍官房長官においでいただきたいと求めました。そして、先ほど理事会の協議の中でも、この件については、過去、委員会に官房長官が来た例もある、あるいはそうしたこともあるんだけれども、委員会、理事会の合意、理事の合意が得られなければということで、持ち越しになっているわけであります。

 私は、やはり今、日米の審議官協議をまさに行っている最中、しかも、SACO合意と米軍再編は切り分けて臨むべきであるのに、やはり政府がこの九年間それを怠ってきたがために、それを一緒でやる羽目になったということで、政府の責任は極めて重いと思いますが、ただ、外務大臣は、あれだけ地元負担の軽減、そしてまさに、米軍に八千人出ていってもらうんだみたいな、だから費用負担は当然だというようなことも言っている。私は理解ができないんですけれども、自治体との合意なしでも最終報告をまとめるんだ、こんなことが本当にあってよいのかということであります。

 そこで、官房長官が御出席いただけないということでありますが、私はやはり、十日も委員会がありますので、官房長官の出席を改めて求めたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

原田委員長 その件につきましても、理事会で検討させていただきます。

武正委員 そこで、長勢官房副長官がお見えでございます。お待たせいたしました。

 こういうような、記者会見で官房長官が述べておられますが、この発言の真偽あるいは真意について、御本人ではないんですが、地元合意なしでも最終合意は急がなきゃいけない、その後地元に説明をきちっとやればいい、こういったことを官房長官が述べられたんでしょうか。副長官、いかがでしょうか。

長勢内閣官房副長官 在日米軍の兵力態勢の再編の内容につきまして、関係する地方公共団体あるいは住民の方々の間に厳しい御意見があるということは承知をいたしております。

 しかし同時に、この再編については、地元公共団体を初めとする国民の皆さん方の御理解なくしては実行することも大変困難な問題である、こういう大変難しい問題でございます。

 政府といたしてましては、今月末の最終的な取りまとめに向けて、米側との交渉を進めつつ、その中で、関係する地方公共団体等の理解と協力が得られるように、誠心誠意努力をしていくという方針でございます。

 御指摘の官房長官の記者会見における御発言というものも、こうした政府の方針と同趣旨のことを申し上げられたわけでございますので、そのようにひとつ御理解をいただきたいと思います。

武正委員 とても同趣旨とは理解できないんですね。

 発言のところをもう一回読みますと、「どちらが先か、一日も早く地元との合意が得られればいいが、他方で最終合意は日米が協議していることであり、日米で協議が整い次第、それが最終合意になる」ということだから、最終合意というのは日米の協議が先だ、地元との合意は後ということがこの官房長官の記者会見で述べられているんですよ。今副長官が言われた政府の趣旨とは異にするというふうに思いますが、再度この点、いかがですか。私の指摘は違っていますでしょうか。

長勢内閣官房副長官 官房長官も、政府の方針に沿って、強く地元公共団体あるいは住民の方々の御理解を得る努力をしたいということを強調されたということでございまして、どちらが先だというようなことを申し上げられたとは理解をしておりません。

武正委員 改めて、やはり御本人に来ていただかないとその真意がわからないということで、当然この思いやり予算の改定の審議にも影響があるということで、金曜日の御出席を求めておきたいと思います。

 そこで、外務省、防衛庁、それぞれお見えでございますので、この発言、先ほどのように、私は、日米合意が先だよ、地元合意は後でいいよというふうに受け取りました。報道もそのように報道されております。こういったことが今の政府の方針、転換したんでしょうか。あるいは、先ほど外務大臣言われたように、焦っているというふうに言われました。日米合意を、最終合意を三月末に控えて焦っているというふうに言われましたが、焦っている中で思わず官房長官からこういう発言が出たんでしょうか。外務大臣としての御所見、官房副長官としての御所見を伺います。

麻生国務大臣 官房長官の心理状態まで分析するほど才能はありませんので、その点はちょっと勘弁していただくとして、少なくとも今、地元の納得というのは、一〇〇%納得というのはそれはなかなかないんだ、基地がなくなれば一番いいという御趣旨のように思われますので、丸々なくなればいいというところまで、百点満点をいただけるということはなかなか難しいんだと思いますけれども、そこそこのところで納得していただけるというところまで努力をしなきゃならぬというのは当然のところだと思います。

 私どもとしては、そこのところを十分に踏まえて、地元との会話等々は今もいろいろな形で行われておりますけれども、きちんとした、きちんとしたと言われると内容がいろいろまた違いますので、一応の納得というものを得られるようにこれは最大限努力した上で進まないと、できた後がまた話がごちゃごちゃするだけだと思いますので、そこらの丁寧な対応、説明は今後ともやり続けた上での話にならぬと、先が余り建設的な話にはならないのではないかと思っております。

木村副長官 今、外務省の大臣また長勢副長官からもお話ありましたが、私ども防衛庁も、昨年十月の2プラス2共同文書発表以降、額賀長官また私、あるいは施設庁長官、あるいは各施設局長中心に、関係する五十五の市町村あるいは都道府県等々、御説明申し上げながら、また、この日米協議の加速化を促す中で、その進展の中でまたお伝えできることをお伝えしながら、また、一方通行ではなくて、その都度また地域の皆さんの声を、御意見をいただきながらということで、誠心誠意御説明してきた姿勢は何ら変わっておりません。

武正委員 きのうも牧野副知事が、今の状況では到底納得はできないというようなことを、これは額賀防衛庁長官でしょうか、会われて、申し述べておりますけれども、最後の最後まで、とにかく地元のさまざまな意向、名護市長からも話が出ております。外務大臣は、ゼロだろう、おまえはゼロを求めているんだろうと言いましたが、決してそんなことはありません。名護市長も、今の計画では住宅の上を飛行するので、何とかそれをずらせられないかということを求めているわけですから、とにかく地元自治体の合意というものを、最後の最後までしっかりと、誠心誠意政府として求めるということがなければ最終合意はないということを改めて申し述べまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原田委員長 次に、宇野治君。

宇野委員 自由民主党の宇野治でございます。

 この国会初めての外務委員会の質問、よろしくお願い申し上げます。大臣おられませんので、塩崎外務副大臣、よろしくお願いします。また、防衛庁の木村副長官にもよろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず、今回のテーマであります在日米軍駐留経費負担特別協定についてのお話を聞かせていただきたいと思いますが、実は私、昨年沖縄に参りまして、米軍基地を六カ所ほど見させていただきました。また、ことしの初めに、この外務委員会の派遣という形で沖縄にも行かせていただきまして、そのときには沖縄におられる三軍統括司令官ともお話をさせていただきながら、何とか日米の安保の関係での動きをかいま見たというか、少しは知るようになったのかなという思いなんです。

 そこで、今回、特別協定を結んだわけでありますが、この協定に関して、在日米軍の日本への役割というのはどんなものなのかな、我が国の安全確保にとっての役割というものはどうなのかというものを外務省また防衛庁からお聞かせ願います。

塩崎副大臣 大臣が参議院の予算委員会の方に参りましたので、私どもの方で対応させていただきたいと思います。

 ただいま、在日米軍の、特に我が国の安全確保に対する役割ということだろうと思いますが、引き続き、冷戦が終わったといえども、アジア太平洋地域、地域紛争あるいは北朝鮮を含めて大量破壊兵器やミサイルの問題等々、不安定な要素がたくさん安全保障上ございます。こういう中で、日米安保条約を引き続き堅持して、米軍の抑止力を使いながら、そのもとで日本の安全の保障を図っていくというのが基本スタンスであって、そういう中でアメリカの軍隊の機動性が高いということが抑止力を保障するということになろうかと思います。

 したがいまして、在日米軍の抑止力というのが我が国にとって、あるいは地域の平和と安定にとって不可欠だということには変わりがないという中にあって、在日米軍駐留経費負担というものが日米安保体制を回していくという意味において有用な役割、重要な役割を果たしているということだろうと思います。

 沖縄の基地を六カ所ごらんになったということでございますが、沖縄の皆様方には基地の七五%が沖縄にあるということで大変負担をかけているということを我々としても改めて認識をしながら、今回の特別協定も議論していかなければならないと思っております。

木村副長官 宇野委員におかれては、まず、総理秘書官という経験も踏まえながら、党の国防部会でも建設的な御意見、御発言をされていること、この機会に改めて敬意を表したいと思います。

 今、塩崎外務副大臣からもお話があったとおりでございまして、アジア太平洋地域において、もちろん地域の安定化に向けた努力がされているわけでありますが、しかし一方で、大変不確定な要素、先ほどあったとおり、領土問題あるいは大量兵器あるいは弾道ミサイルの拡散など、こういった動きもあることも事実であります。そういう中で、私どもは、やはり日米安保体制を引き続き堅持しながら、我が防衛庁・自衛隊と米軍、この抑止力のもとで日本の安全を確保していくことが引き続き重要というふうに考えております。そういう中でも、在日米軍駐留経費負担においては、私は、運用の確保のため大変重要な役割を果たしているというふうに思っております。

宇野委員 まさに、沖縄に限らず在日米軍は、日本の安全保障にとっては大変不可欠なものであるという認識を私はしております。しかしながら、いろいろな部分での問題点が多い部分もある。その辺をしっかりとこれから、こういう協定を締結するに当たってのいろいろな項目を精査していただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 それで、去る一月の二十三日にこの特別協定が東京で署名をされたわけであります。この協定そのものは、昭和六十二年から始まって、毎年五年ごとの改定をしているということになるわけでありますけれども、そういう長い期間の協定であるわけです。その都度、協定のたびごとにいろいろと追加したり削除したりというものがふえてきたようであります。

 まず、今回のこの十八年度から発効すると言われる特別協定について、どういう経緯で話し合われてきたのかということ、特に五年から二年に大きく変更をしたということは何なのかということについてお聞かせ願いたいと思います。

塩崎副大臣 経緯ということでございますが、これは御案内のように、ことしの三月三十一日まで効力を有しているということでございますので、昨年の二月から本格的な議論をしてまいりまして、米側と協議を重ねてまいりました。そして、昨年の十二月に、麻生外務大臣とそれからラムズフェルド米国防長官との間で基本的な意見の一致が十二月の九日にできたということで、概要については先ほど来お話が出たとおりでございますが、その上でこの一月の二十三日に、今お話があったように、ゼーリック副長官と麻生外務大臣との間で署名がされたということでございます。

 今お話がありましたとおり、対象期間が五年から今回二年ということでありますけれども、特に在日米軍の再編ということでいろいろな変化がこれから起こり得るということでも、とりあえず今回は二年ということでいくことにさせていただいたということでございます。

宇野委員 今のお言葉の中で、大変申しわけないんですが、とりあえず二年ということのお話です。ということは、一般的に見ると、その二年をたつとまた新たな協定をする、その協定の中身というのは大幅に変わるのではないかということも考えられるわけですね。そんな変わらないようであれば五年やればいいわけですけれども、やはり二年後には、どういう形になるかわからないし、いろいろと再編の問題もあるから、大幅に変える可能性があるんだというふうに期待をするわけですけれども、そこの部分についてはなかなか今言うわけにはいかないと思います。そこについては期待をするということを、お願いを皆さんにお伝えしておきたいと思っております。

 それと、現行協定、今の協定との違いもちょっとお聞かせいただきたいと思うんですが、先ほども民主の方からもお話がありましたので、これについては後ほどの質問の方でお願いをしたいと思っております。

 それで、ちょっと細かい話で申しわけないんですが、今回の予算の駐留経費というものの負担は、二千三百二十六億円ということの数字が載っているわけであります。十七年度、今年度に比べますと、約五十二億円ほど少なくなっているということなのであります。少なくなったことは非常にいいわけでありますけれども、では具体的に何が少なくなったのか。何かアメリカ側の努力があってそうなったのか、いや、日本が強制的に切ったのか、いろいろな思惑があるかと思うんですが、その五十二億マイナスになったいろいろな内容につきまして、防衛庁の方からお聞かせください。

長岡政府参考人 平成十八年度の在日米軍駐留経費負担でございますけれども、先ほどお話ございましたように、対象期間二年ということで、現行特別協定の負担水準を維持するということとしております。したがいまして、労務費それから光熱水料等につきましては、平成十七年度とほぼ同額となってございます。

 他方、提供施設整備でございますけれども、これは米側の希望を聴取しながら、安保条約の目的達成との関係、我が国の財政負担との関係等を総合的に勘案して、個々の施設ごとに我が国の自主的判断により措置をしておるところでございますけれども、昨今の我が国の厳しい財政事情等にかんがみまして、今回一層の抑制に努めたということで、提供施設整備がほとんどでございますけれども、約五十二億円減の、先ほど先生御指摘の二千三百二十六億円となったところでございます。

宇野委員 施設整備がほとんどだということなんですが、その施設整備は向こうが要求したものをけってきたのか、別に何もなかったのか、これによってやはり随分日本の力というか思いが違ってくると思うんですよ。言われたものをぽんぽんやった結果、五十二億少なかったのか、いや、こういうことも言われた、こういうことも言われた、いや、これは切った、切った、切った、切った結果、五十二億少なくなったのか、その辺はどうですか。

長岡政府参考人 先ほども申し上げましたように、まず最初に米側の希望を聴取いたしますけれども、これは例年のことでございますが、やはり希望ベースというのはかなり大きいものでございますので、我が方の特別協定関係の経費が事実上据え置きになったということもありまして、かなり我が方で我が国の厳しい財政事情を御説明させていただいて、米側の理解を得たということでございます。

宇野委員 それでは次に、この協定の文章を見てみますと、第四条に「アメリカ合衆国は、前三条に規定する経費の節約に努める。」という文言が入っています。これは、聞くところによると、現協定にも入っている。ですから、五年前からこれを入れたということになっているわけですけれども、この節約に努めるというのは、言うはやすし行うはがたし。さあ具体的に、この五年間、本当に節約を頑張ってやってきたという認識があるのかないのか、逆に、では具体的にこれだけの予算を持っていたんだけれども、いや、これだけ節約してもらったという数字が何かあるのかどうか、それをお聞かせください。

長岡政府参考人 節約努力の中身でございますけれども、例えば労務費で申し上げますと、労働力の配置を無駄のないようにするというようなことで、米軍の方もまた労働力調査をして、適正な労働力の配置をしたいというようなことを米軍の方は申しております。それから、光熱水料等につきましては、米軍人に対する節約の注意喚起とか、効率的な照明とか空調設備へ交換して省エネ効果を高めるというような、節約努力でございますので、いろいろなそういう細かい積み重ねになると思うのでございますけれども、そういうことでございますので、ではそれで幾ら金額的にセーブできたかというのは、ちょっと数字的には難しかろうと思っているところでございます。

宇野委員 そこがやはりお役所らしい、もやもやっとしたことになってしまう。企業であれば、例えば省エネ努力をしろといったら、数字を必ず出すのは当たり前なんですよ。節約努力をするということをここにしっかりと書いた、まして五年前から書いている。であれば、施設庁の方から、防衛庁の方からも、やはり米側に対して具体的な数字を挙げさせる、これをやらなきゃいけない。もしできないのであれば、とりあえずこの十七年だけでも、十七年度の予算はあるわけですよ。これに対して、例えば電気代何キロワットが入っているわけですよ。では、これがどれだけ減ったんだという数字をちゃんと出させる。こういうことをやって、この節約に努めるということについてはこうでしたということをはっきり言えるようにしなきゃ、これは何のためにせっかく協定に書いたかわからない。ぜひそれをまた何かの機会にお聞かせ願いたいと思います。

 そういう状況ですから、あえてこれを今後期待ができるのかといったって、何もそんな、もやもやっとした話なんでしょうから言いませんけれども、また来年か二年後かの話のときに、本当にすばらしい、この十七年度よりか、もっと頑張ってやってくれたんだ、米軍はこうだったんだという話を数字で聞かせてください。お願いします。

 それから次に、日米同盟の関係でお話を聞かせていただきたいと思います。

 2プラス2、昨年の十月の二十九日に発表されたわけでありますけれども、この中にはいろいろと書かれているんですが、特に、在日米軍の兵力構成見直しに関する協議を強化することとし、事務当局に対して、協議の結果を速やかに報告するように指示したという文言も入っているわけであります。では、このことによって現在どんな状況になっているのかということでありますが、交渉したときの評価、これをまず一つお聞かせ願いたい。これは外務省にお願いしたいと思います。

 それから、ここにも書いてありますように、兵力の構成の見直しというのは、私は再編と読んでいるんですけれども、この再編の考え方というものについても、外務省また防衛庁の方からお聞かせください。

塩崎副大臣 2プラス2でどういう議論をしてきてどういう評価をするのか、こういうことかと思いますが、二〇〇二年の十二月の2プラス2以降、世界の変わりゆく安全保障環境の中で日米同盟のあり方はどうあるべきかということをさまざまな角度から議論をしてまいりました。昨年二月に共通戦略目標というのをお互いに2プラス2で確認をしたわけでありまして、これを踏まえて、日米の役割、任務、能力、それから在日米軍の兵力態勢再編、これらについての協議も重ねてまいりまして、今御指摘のとおり、昨年の十月に共同発表ということになったわけでございます。

 中身は、当然、先ほど来大臣からも繰り返し答弁しておりますけれども、抑止力を維持していくと同時に、地元の負担を軽くしていくということを達成しながら、日米安保体制を一層強化していくということが最大の目的であり、特に日米両国が国際社会の取り組みにより効果的に貢献していく、例えば災害の問題であるとか、そういった少し幅広いことについても日米の協力関係というものを進めていくということで、そういう大きなフレームワークの中でこの2プラス2の共同発表というのに至った、こういうふうに位置づけているところでございます。

 大きな世界レベルでの安全保障のフレームワークの変化の中での日米同盟のあり方、そして日米の貢献のあり方、これらを定めたものだ、こういうふうに理解をしております。

大古政府参考人 在日米軍の再編についての防衛庁の考え方を御説明させていただきます。

 今、外務省から申しましたように、この在日米軍兵力の見直しにつきましては、安保体制を基盤とする日米同盟を新たな安全保障環境に適応させる、そして日本の平和とアジア太平洋地域における平和及び安定を確固たるものとするために行っているものでございます。これにより、日米同盟は、引き続き、日本防衛を初めとする安全保障面で極めて重要な役割を果たしていくことになると考えております。

宇野委員 そういう中で、この文書にも書いてあるんですが、海兵隊が七千名をグアムの方に移すよという話がございます。その後、どうもまたプラス千名ということで、大体八千人ほど移ってもらえるんではないかな、これは沖縄の皆さん方にとっても非常に期待をしているわけであります。そうなりますと、この八千人の海兵隊員プラス家族を含めると、一万二、三千か四、五千か、そのぐらいの大きな人数が沖縄からいなくなるわけであります。

 私が一番心配するのは、それだけの方々がいなくなるということによって、沖縄での経済損失、これは大きな打撃を受けると思います。経済的な打撃、これについて、具体的に何か試算をされていることがあるのかどうか。その辺、内閣府の方から来ていただいておりますのでお聞かせいただきたいと思いますし、逆に、もしそういうことになった場合に、振興策というものはまた新たに考えていかなきゃいけないという思いです。

 それから、続けて、同じようなことなんですが、当然、それだけ移駐するということは、基地が要らなくなってくる。基地労働者、これについても相当な数の方々が職を失うということも考えられるわけであります。これに対しての、再就職だとか、いろいろなあっせんだとかということをやっていかなきゃいけないんですが、この辺のことをどう考えるのか。

 さらには、基地の土地を提供されている方々、沖縄の基地というのはほとんどが民間の方々から借地をしているわけで、借地料で生活されている方も相当おられるというようなことも聞いています。そうなると、返せ返せと言って、返しましたら、困る困るという話になる。これについてどんなことが考えられているのか。そんなことについてお聞かせ願います。

長岡政府参考人 労働者の問題についてお答えをさせていただきます。

 今先生御指摘のように、米軍の再編に際しまして、駐留軍等の労働者の雇用にどういう影響が出るか。基地等が縮小されれば労働力の余剰が出るのではないかということが考えられるわけでございます。これにつきましては、まだ現時点では明らかでございませんけれども、仮にそういった問題が生じた場合、私どもとしては、できるだけ配置転換ということをさせていただいて、解雇とかそういうことにできるだけならないようにということで最大限努力をさせていただきたいと思っております。

 仮に、そういった労働力の余剰が生じて解雇やむを得ないというようなことになった場合には、昭和三十三年にできました駐留軍関係離職者等臨時措置法というのがございますので、これに基づきまして、これは防衛施設庁だけではございませんけれども、各省連携して、政府として総合的にそういった問題に取り組んでいきたいと思っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、現時点で影響が明らかでございませんので、慎重によく対応させていただきたいと思っておるところでございます。

東政府参考人 お答えしたいと思います。

 沖縄の経済に対する影響ということでございます。

 先生御案内のとおり、沖縄経済というのは三Kでもっているというふうに言われております。Kといいますのは、観光、それから公共事業を中心といたしました財政、それから基地収入というものでございます。いわゆる復帰当時は非常に高いウエートが基地収入の場合はございましたけれども、現在は大分落ちているという状況でございます。

 沖縄県におきましても、依存型の経済からいわゆる自立型、それも民間主導の経済に変えようということで努力しておられます。特に、平成十四年以降、沖振計画等々をつくられて今一生懸命取り組んでいるという状況でございます。

 今の話で申し上げれば、米軍再編後の状況につきまして、今防衛施設庁の方から話がありましたように、具体的なものがちょっとよくわかっておりませんので、今どうだということにはならないというふうに思っております。

 ただ、先ほど申し上げましたとおり、ウエートは低くなっても、基地経済のウエートというのは無視できない非常に重要な部分でございますので、この点の動きについては、本当にどういうことになるのかということについては注視をしたい。特に、返還の場合でも期間が何年かかるのかとか、具体的にどういう形になっていくのかということがはっきりいたしませんと、うまくいかないだろう、ただ、そういう状況になったとしても万全の構えはしていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

宇野委員 確かに、まだまだ具体的な話が出てこないから難しい部分はあるかと思います。ただ、そういう中においても、移駐、移動するという話になったときには、きょうまでいてあしたからいなくなって、一挙にいなくなる、それからいろいろなことを対応しても間に合わない。やはり、一年前、二年前ぐらいからいろいろな対策を打って、一万何千人がいなくなっても何とかなるような形にする。今、解雇はしないで転換を図るということも、そんなのも早目にやればできるわけなんですけれども、沖縄経済という意味でも、そこのところはしっかりと対応するということで、早目に対応策ということを検討していただいて、沖縄の方々が安心して暮らせるように、また他の地域の米軍関係基地の周りの方々についても同じですけれども、よろしくお願いをしたいと思います。

 以上で外務の関係は終わらせていただきますが、ちょっと時間がありますので、きょうの朝の新聞、きのうの夕方からガス田の話がいろいろ出たわけであります。どうも新聞報道だけの情報しかまだ私はないわけでありますけれども、中国側からは相当厳しいというか踏み込んだというか、我が方に足を踏み入れた提案をされたということもありますし、このガス田そのものの開発についてはやはり日中で共同でいこうという、共同についてはいいのかもわかりませんけれども、若干問題があるようなことを思っていますが、今回の協議の中、二日間協議をしていただいたわけですけれども、その協議の中での中身をぜひお披露目いただきたいと思います。

塩崎副大臣 先ほど麻生大臣からもお答えをいたしましたけれども、二日間協議を行って、双方の立場を明らかにしながら、突っ込んだ話し合いをしてきたということでございます。

 きょう、いろいろと報道されておりますけれども、報道は報道でありまして、前回、私どもとしても中国からの提案を待ち望んでいたわけでありますが出ていなかったということで、今回、初めて提案が新たに出てきたということでございます。

 日中双方としては、前回の協議で日本側が行った提案とともにお互いの提案を検討し合って、次回の協議にそれぞれ考え方を示すということで一致をしたところでありますけれども、協議全体を通じて、対話を通じたこの問題の迅速な解決を目指すという認識では一致をし、また次の話し合いというのはやはり早目に開こうということで、その点は一致をしているわけであります。

 中身についてはお互いに公にはしないということにしているものですから、その点については、先ほど武正議員のときと同じお答えで大変恐縮でございますけれども、交渉の中身については今後のことということで、詳細については差し控えさせていただきたい、このように思います。

宇野委員 残念でありますとしか言えないのかもわかりませんけれども、やはりガス田については、日本のエネルギーに対して非常に我々も期待をしていますし、今回の中国側の開発というのは非常に危惧をするというのが私の正直な思いであります。

 ぜひその辺をうまくやっていただいて、共同開発といういい提案を、向こうがまず共同開発ということについては了解をした、了解というか受け入れるという感じなので、これを積極的に、また今度、次は東京でやるということらしいんですけれども、ぜひ早いうちにやっていただかないと、今ある程度火もついていますし、そろそろ大分開発も進んでいるんじゃないかなということも心配をしています。ストローでどんどん吸われる前に早く対応していただきたいということをお願いします。

 最後でありますけれども、日韓首脳会談の関係であります。

 昨年の春に首脳会談をやって以来とまっているわけでありますけれども、この首脳会談、本来であれば昨年の十一月ごろにということを期待しておった。それが竹島の問題等々、いろいろな問題があってできなかったわけでありますけれども、次は日本でやるというのが基本なんですが、まず日本でやるんだということを確認していきたい。それから、ぜひ、春までにはやれるんだということになるのかどうか、また一年を越すということは絶対ないようにしていただきたい、それをお願いしたいということ。つけ加えて、もしやるとしたらどこでやりたいかということも、私は琵琶湖の船の上でという思いをしておりますので、ぜひよろしくお願いします。

塩崎副大臣 昨年六月、ソウルで日韓の首脳会談が開かれまして、昨年中にということで首脳会談を想定しておったわけでありますけれども、いろいろ経緯があってまだ実現をしていないというのが事実でございます。

 何もまだ具体的なところは決定されておりませんけれども、次はやはり日本でやろうということについては御指摘のとおりで、こちらとしても考えているわけでありますけれども、まだ開催地につきまして、前回、先生の滋賀県を含め、北海道であるとか岡山県であるとか、いろいろ手を挙げておられたのはよく承知をしているところでありまして、一番大事なことは日韓の首脳が気持ちよくいい会談ができる場はどこかということだろうと思いますので、国内でどこかということを鋭意考えていかなければならないと思っております。

宇野委員 ありがとうございました。

原田委員長 次に、山内康一君。

山内委員 自由民主党の山内康一であります。

 今回、外務委員会、初の質問ということで、どうぞ皆さんよろしくお願いいたします。

 在日米軍駐留経費負担特別協定に関して、いわゆる思いやり予算について、質問させていただきます。

 具体的な質問に入っていく前に、まず、そもそも論から始めさせていただきたいと思っております。

 まず、そもそもホスト・ネーション・サポート、思いやり予算というものが必要か否かということを考えるに当たって、その前提として、まず、そもそも在日米軍が必要なのかどうかということ、それから在日米軍が存在しなかった場合、どういうことが考えられるかといったことを考えていくことが先決ではないかと思っております。

 例えば、今の国際情勢を見るに、近隣に核保有国が複数あり、また核開発の疑惑を持たれている国があるという状況を考えますと、もし在日米軍がいなければ、我が国として自主防衛、それも相当強力な防衛力を持っていなくてはいけないということになるかもしれません。もっと言うと、もし在日米軍が日本にいなければ、日本にとって最大の脅威はアメリカの第七艦隊になってしまうというようなこともあるかもしれません。

 そういった意味で、もし在日米軍なしに日本の防衛を考えていくということになりますと、専守防衛といいましても、先に核ミサイルや弾道ミサイルを撃ち込まれてしまった、そういったケースを考えると、独自の打撃力を持っておく必要があるというような議論があるかもしれません。

 独自の打撃力を持つためには、当然、長距離爆撃機を持ったり、巡航ミサイルを持ったり、あるいは航空母艦を持ち、そしてその艦載機、イージス護衛艦、そういったものを持って、独自に打撃力を持っていく。そういったことを考えると、とても、どれをとっても高価な買い物になりますので、財政再建を進める日本にとって、独自の打撃力を持つというオプションは恐らく考えられないんじゃないかというふうに考えます。

 また、万が一、日本が独自の打撃力を持つようになれば、近隣の諸国の警戒を招き、緊張を高めていくといったことになりますので、在日米軍なしで独自に日本の防衛力を整備しようとしたら、実際には何もいいことはないんじゃないか。

 そういった意味で、以上のように考えていきますと、在日米軍の存在というものは日本の安全保障にとって大変有意義でもあり、また在日米軍の存在、それを支えるホスト・ネーション・サポートというのは決して無駄な支出ではないと考えます。

 しかしながら、現在、ホスト・ネーション・サポートに対しては国民の皆様の認識が余りよろしくないというような実情もあるかと思います。その理由としては、交渉の経緯がわかりにくいということ、あるいは国民の皆様に対する説明が不十分であるといった要因があるのではないかと考えております。

 つきましては、国民の皆様が疑問に感じているであろう基本的なポイントについて、あるいは納税者の皆様にとって、税金の使い道としてホスト・ネーション・サポートというものが重要である、意義があるということをわかるような質問にさせていただきたいと思います。

 これから具体的な質問に入らせていただきます。これからが質問です。済みません、前置きが長くなりました。

 いわゆる思いやり予算というものが始まったのは一九七八年ごろ、当時は、アメリカ国内では、フリーライド論というか、日本の安全保障ただ乗り論といった議論が大変強かった時期ではないかと思います。アメリカの議論、アメリカの世論や議会に対する、どちらかというと受け身の反応として、一九七八年ごろ、思いやり予算というのが始まったのではないかと思っておりますが、今と当時の状況、大きく異なりました。

 東アジアの安全保障環境、国際テロリズムの脅威、さまざまな新しい動きはありますが、当時と今、状況が大きく異なっておりますが、現在、この思いやり予算、ホスト・ネーション・サポートを続けていくということの意義について見解をお聞かせ願います。特に、ホスト・ネーション・サポートの積極的な、能動的な意味、意義といったものがあれば、それについて御見解をお聞かせ願います。

    〔委員長退席、土屋(品)委員長代理着席〕

塩崎副大臣 冒頭、山内委員の方から、日米同盟関係の意味合い、非常に大所高所からのお話がございました。

 いろいろな問題を考えるときに、やはりそもそも論を忘れてはならないわけであって、いろいろなプラス、マイナスで考えた上で日米安保条約というものをスタートしたわけで、それこそ麻生大臣の祖父であられる吉田茂首相の時代にそういう決断をして、軽装備、経済重視ということで日本はやってきたということであります。

 その中で、いろいろな変化はございましたけれども、日米同盟のもとで米軍の我が国への駐留というのが行われ、そしてそれが、言ってみれば安全保障のかなめになってきたのが日本の安全保障の根幹だと思います。

 したがって、現在、では、なぜまだ必要なのか、こういうことであろうかと思いますけれども、言うまでもなく、先ほども申し上げましたが、このアジア太平洋地域あるいはアジア、冷戦後といえども引き続き不安定な安全保障上の状況が続いているわけでありますので、そういった面で、日米の安保体制の円滑な、そして効果的な運用というのがやはり基本的に不可欠だということで、今回御議論賜っておりますこの在日の米軍駐留経費負担、これについては、非常に重要な役割を果たすということではないかと思っております。

 今、思いやり予算、一九七八年の話がございましたけれども、地位協定に基づく負担と、それから特別協定、今回議論していただいております負担と、二つあるわけであります。先ほどお話がございましたとおり、大きなフレームワークの中でこれらの負担をみずからの判断で日本がしているということだと思います。

 当然、昭和四十年代から見れば、物価も賃金も、それから国際情勢も安保情勢も、すっかり変わりつつあるわけでありまして、米軍の負担というものも経費が増大をしているわけでありますので、今申し上げたような二つの種類の負担をしながら、日米の安保条約のかなめたる在日米軍の機能強化のためにこのような負担をしていくということであるわけでございます。

 今お話がございましたように、在日米軍駐留に係る経費というのは、大体、日本とアメリカ側との半々でいっているというふうにお考えをいただければ大体の感じがつかめるのかなと思っております。

山内委員 次に、施設整備費の負担軽減について、防衛庁にお尋ねします。

 二〇〇〇年の特別協定においては、米軍施設外の光熱水料金のカットを行った結果、約三十三億円の軽減が実現いたしました。今回の特別協定は、その暫定的性格にかんがみ、労務費、光熱水料とも据え置きになっておりますが、前回のように目に見える負担軽減はありませんでした。

 しかし、特別協定外の負担である提供施設整備費については、より一層の節減に努めていく方針がとられ、平成十八年度予算案においては、提供施設整備は前年比マイナス五十一億円と抑えられております。

 こうした方針は一過性のものとすべきではなく、将来的な日米交渉においても、これらを基礎としてさらなる施設整備の節約に努めていく必要があると考えますが、政府の見解をお聞かせください。

長岡政府参考人 先生御指摘のように、平成十八年度、提供施設整備の予算でございますけれども、約五十一億円の減、六百三十八億円で計上させていただいております。

 先生御指摘のように、我が国の厳しい財政事情、あるいは節約合理化ということに十分配意しつつ、また他方で、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保するという観点から、総合的に、適切に今後とも対処してまいりたいと考えているところでございます。

山内委員 次に、将来的な駐留経費負担のあり方について、外務省、防衛庁にお尋ねします。

 今後、在日米軍の再編が進展していき、海兵隊の移転や基地の日米共同使用が進んでいけば、二〇〇八年以降の特別協定では、大幅な内容変更を通じて我が国の負担軽減が可能になると思われますが、その一方で、在日米軍再編に関連する経費負担もふえていくと考えられます。

 政府は、特別協定、日米地位協定に基づく経費負担と在日米軍再編関連経費を合わせた将来的な在日米軍関連の経費負担の全体像について、どのような見通しを持たれているのか、お聞かせ願います。

塩崎副大臣 今回、御議論いただいている特別協定は、二年ということでお願いをしているわけでございます。

 その後の負担のあり方というか、負担の見通しについて、今、山内議員の方からお話があったと思うわけでありますけれども、在日米軍の再編のあり方等々がよく見通せないというところで、いつも五年のところを今回は二年ということにしております。その二年後の姿というものは、現時点でつぶさに予想するのは非常に難しいわけでありまして、やはり、そのときの判断を総合的にしていかなければならないというふうに思っておりますので、具体的な数字等々での予測というのはなかなか難しいというふうに思うわけでございます。

 それから、米軍再編については、共同文書に盛り込まれた勧告を踏まえまして、今月末までにまとめようということで、先ほど来、各議員から御質問が出ているとおりでありますが、内容についてはまさにこれから詰めていく。ポイントは、抑止力の維持それから地元負担の軽減ということで、その両方を同時に解決する形で答えを出していかなければいけないというふうに思っております。

 そういうことでありますので、ちょっと費用面で正確なところを出してみろというプロジェクションについては、なかなか難しいということだと思います。

大古政府参考人 防衛庁からお答えさせていただきます。

 今、外務省の御説明と基本的に同じでございますけれども、在日米軍駐留経費負担のあり方に関しましては、その時点における種々の要素を総合的に勘案して判断されるところでございます。その意味で、二年後のことについて現時点で予断することは差し控えさせていただきたいと思います。

山内委員 次に、在日米軍の再編成に関しまして、負担が軽減していくということは間違いないと思いますが、その点に関して、国民の皆さんへの周知徹底、広報の必要性ということについて、外務省、防衛庁にお尋ねします。

 在日米軍の再編に関しましては、どちらかというと、自治体の反発といったものがクローズアップされることが多いんですが、実際再編が進んでいけば、日本全体で見たときの基地負担というものは軽減されていくということは間違いないと言えます。

 例えば、普天間の飛行場が宜野湾市の中心部からキャンプ・シュワブ沿岸部に移設されれば、宜野湾市民の安全と、不安の日々からの解放ということにつながっていくと思います。

 また、沖縄から海兵隊が七、八千人という規模でグアムへ移転するということになれば、これも間違いなく沖縄にとって大きな負担の軽減につながっていくといったことが考えられます。

 同様に、人口の密集地にある厚木の基地から艦載機が沖合移設工事中の岩国基地へと移転していくということも、厚木基地の周辺の住民の負担軽減につながってまいります。

 名護市、岩国市など、新規で受け入れる自治体側で不満があるのは当然であります。そういった自治体にある程度しわ寄せがいってしまうということは事実でありますが、日本全体で見たときの負担軽減ということも当然あるわけでありまして、在日米軍再編のプラスの部分について国民の理解を深めていくということ、そのために十分な説明と広報活動を行っていくということが重要ではないかと思います。それについて、政府の見解をお願いします。

塩崎副大臣 麻生大臣が、アメリカの場合には基地が移転をされる地元が移転をするなと言って運動をするという話がよくありますが、経済的な効果があるということは間違いないわけです。もちろん一方で、いろいろなマイナスの負担というものもあるわけでありまして、今、山内議員のおっしゃったように、やはりプラスの面の周知徹底、広報というものも真摯にこれは政府としてやっていかなければいけないということは間違いないわけであります。

 今お取り上げいただきましたように、普天間飛行場の移転あるいはグアムへの海兵隊の要員並びに家族の移転等々、それから厚木の話もありました、岩国の話もございましたけれども、こういったものについては、全体として米軍施設・区域が所在する地元の負担というものが軽くなるということは間違いないわけであります。

 最終的な中身に至るまで、私たちもできる限りそのプラスの面が大きくなるように、つまり負担が軽くなるように努力をしていきたいと思っておりますけれども、今お話がございましたように、地方公共団体そして地元の皆様方に、広報を含めて今後しっかりとやっていかなければならないという今のお考えは私たちも全く賛成でございますので、引き続き説明にも努力をしていきたい、このように思っております。

渡部政府参考人 それでは、防衛庁の方からお答えさせていただきます。

 在日米軍の兵力態勢再編につきましては、地元の地方公共団体を含めまして、国民の理解なくして実行することは困難であると認識しておりまして、先生のおっしゃるとおりだと思います。

 このため、防衛庁長官を先頭にいたしまして、沖縄県を初めとして関係地方公共団体を訪問し、抑止力の維持と地元の負担軽減の観点からまとめられました今回の共同文書の内容あるいは方向性等について、誠心誠意御説明を行っているところでございます。

 現在は、私ども国側の説明というにとどまりませず、関係地方公共団体の皆様からいただきました御質問あるいは御要望につきまして、誠心誠意御説明をしているところでございます。

 広報活動に関しましては、在日米軍の兵力態勢の再編につきまして、広く国民の皆様の御理解をいただくために、例えばパンフレットの作成、配布、あるいは防衛庁の広報誌あるいは政府広報誌等に内容を掲載いたしまして、さらにはホームページにおきまして、地元からの御質問に対する回答を含む説明状況などを掲載しているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、今月末の具体案の最終的な取りまとめに向けまして、日米間の協議を加速し、早急にその具体的な内容を詰めまして、関係する地方公共団体等の理解と協力が得られますよう、引き続き努力していきたいと思っております。また、あわせて国民の皆様に対します広報活動にも努力していきたいと考えております。

山内委員 次に、基地の日米共同使用に関して防衛庁にお尋ねいたします。

 今後、基地の日米共同使用が拡大していった場合、米軍による利用が自衛隊の利用を圧迫するといったことが懸念されるのではないかと思います。

 例えば、飛行場の年間の飛行回数であるとか、あるいは訓練場の使用回数がそのままであって、そこへ米軍の使用が重なってくれば、当然自衛隊の枠が削られるということにもなりますでしょうし、また自衛隊の基地内に米軍施設を建て増すことになれば、敷地内の余裕がなくなってくるといったことも考えられると思います。

 日米の共同使用というのは、当然日米協力の緊密化、相互運用性の向上のためには役立ってくると思いますが、その逆に、自衛隊の運用が圧迫されるといったことも可能性として考えられるのではないかと思っております。

 そういった意味で、日米の基地の共同使用が自衛隊の不利益にならないように、どのように日米間で調整していくお考えなのか、政府の見解についてお尋ねいたします。

大古政府参考人 共同使用につきましては、先生御指摘のとおり、日米協調の活動における緊密な連携や相互運用性の向上を図るということで、全体的な同盟の能力を強化するために行うこととしているものでございます。

 先生御懸念のように、自衛隊の基地を米軍が使用する場合には、当然自衛隊の運用に影響が出るわけですけれども、これは各自衛隊とも十分に調整して、自衛隊への訓練の影響がなるべく支障を生じないように、アメリカと調整しているところでございます。

山内委員 次に、海兵隊の削減と抑止力の維持ということに関連して、外務省、防衛庁にお尋ねいたします。

 昨年の十月に公表されました在沖縄海兵隊のグアム等への移転ということは、沖縄県にとっては大変いい知らせである、朗報であると思いますが、国全体の安全保障を考える場合、海兵隊の移転が在日米軍の抑止力の低下につながるのではないかといった懸念があるかと思います。

 在日米軍の抑止力は、自衛隊とともに我が国の安全を守る車の両輪でもあります。どちらが欠けても問題になってくると思います。この問題では、海兵隊のグアムへの移転に関しては、とかく移転の費用の問題あるいは移転の人数の問題ばかり議論されている感じがありますが、抑止力の維持ということが本当は一番大事な問題じゃないかと思います。

 一連の日米協議の中で、海兵隊の大規模な移転が抑止力を低下させる可能性について、政府は、どのように検討を行ってきて、また、どのような根拠において抑止力が維持されるというふうに判断されたのか、政府の見解についてお尋ねいたします。

塩崎副大臣 今回の見直しが、抑止力を維持しながら地元の負担を軽減していくという連立方程式を解く、そういうことで、今御指摘のとおり、グアムに移転することによって抑止力が下がるんじゃないか、そういう御疑問を持たれるのは極めて自然なことかもわかりません。

 したがいまして、抑止力を維持するためにどういう能力が必要なのかということを具体的にというお話でございますけれども、こういった問題につきましては、極めて軍事技術的プラス軍事機密的に、その中身について一概に申し上げるような性格のものではないのかなというふうに思います。大事なことは、やはり米軍の今回の移転に伴っても、前方展開態勢の、言ってみれば全体の力が落ちないということが大事なのかなというふうに思っております。

 ですから、海兵隊の司令部がグアムに移ったとしても、抑止力が守られるということについては、すぐれて前方展開能力が守られるかどうか、軍事的に考えた場合に、それは守られているということが、日米間の協議の中で、当然のことながら議論をされたんだろうというふうに思います。

 さまざまな可能性を追求した結果、今回のような形に、七千人の移転、議論の中では八千人という数字も出ていたというふうにも聞いておりますが、最終的に、この三月末に向けて、負担の軽減を図りながら、今御指摘の抑止力の維持を図っていくということに力を入れていきたい、このように考えております。

大古政府参考人 防衛庁からお答えいたします。

 アメリカは、太平洋における兵力構成を強化するため幾つかの変更を行っておりますけれども、その中には、海兵隊の緊急事態への対応能力の強化、これらの能力のハワイ、グアム及び沖縄の間での再分配が含まれていると承知しております。これにより、個別の事態に応じて、より柔軟に適切な能力を伴った対応が可能となると聞いておりますが、今回の第三海兵機動展開部隊司令部等の移駐につきましては、かかる再配分の一環であると承知しております。この意味で、この地域全体でございますが、海兵隊の抑止力は移駐によりむしろ高まると考えられます。

 ただ、この再配分の我が国との関係でございますが、まず、第三海兵機動展開部隊司令部は沖縄から移転することになりますけれども、残りの沖縄の海兵隊の部隊が再編されまして、海兵機動展開旅団の規模で沖縄に駐留することになります。その意味では、一定の初動対処能力は沖縄に引き続き維持されるということで考えております。

 また、もともと海兵隊につきましては、高い機動力、即応性を持って幅広い課題に対処する性格を有していますけれども、今般の2プラス2の共同文書、昨年の十月末の共同文書でございますが、この中に、航空輸送や高速輸送艦の能力を高めるということが記述されておりまして、機動力の高度化が見込まれます。そういう意味で、在日米軍が有している抑止力は、この移駐に関しても低下することにはならないというふうに考えておるところでございます。

    〔土屋(品)委員長代理退席、委員長着席〕

山内委員 海兵隊の移転が抑止力を減らすことにはならないというお答えでしたが、実際に抑止力が維持されるかどうかという問題とはまた切り離して、別の問題として、海兵隊の移転が近隣の諸国に対して誤ったシグナルを送るおそれがあるのではないかと思います。

 それについて、外務省、防衛庁にお尋ねいたします。

 海兵隊の司令部の機能の移転やあるいは部隊規模の縮小といったものが、いまだに不安定な状況が残る東アジアの近隣諸国に対して誤ったシグナルを送ってしまうことが懸念される可能性として存在するというふうに考えております。

 沖縄の海兵隊というのは、アメリカが海外に駐留させる唯一の師団規模の海兵隊であり、空母機動部隊などとともに東アジアにおいてアメリカの軍事的なプレゼンスを形成し、また、地域紛争を未然に防止する抑止効果を果たしてきたと思われます。

 今回、八千人になるか七千人になるかわかりませんが、そういったかなりの人数の海兵隊がグアムに移転するということが、近隣諸国に対して、アメリカが東アジアの地域紛争に介入する意思をなくしたのではないかというふうに受けとめられてしまうおそれがあるんじゃないかと思われます。

 海兵隊の削減によって地域の不安定化を招かないようにするためには、どのような工夫というかどのような説明が必要なのかということについて、政府の方針についてお尋ねいたします。

塩崎副大臣 御指摘のとおり、アジア太平洋地域での米軍のプレゼンスというのが引き続き不安定な安全保障状況の中で極めて大きな役割を果たしているという認識については、私ども政府は、全く揺るぎない不変の考え方でいるわけでございます。

 そのポイントは、さっきお話がございましたように、抑止力が維持をされるのかどうかというところについての不安感を皆さんに抱いていただかないようにするということが大事ではないかと思います。したがって、先ほどの前方展開能力が変わらないということについてを含めて、御指摘のように、近隣の諸国には正しいメッセージが伝わっていくようにしていかなければいけないというふうに考えておりますので、引き続きその点についても努力をしてまいりたい、このように考えております。

大古政府参考人 防衛庁の立場も外務省と同じでございまして、適宜外務省とも協力して、近隣諸国への説明に努めてまいりたいと考えております。

山内委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

原田委員長 次に、中山泰秀君。

中山(泰)委員 自由民主党の中山泰秀でございます。

 本日、お時間をちょうだいしまして、今回の米軍のトランスフォーメーションが地球規模で行われている中におきましての在日米軍駐留経費負担の問題に関して、幾つか御質問をさせていただきたい、かように存じ上げる次第であります。

 まず、私自身、昨年、イスラエルの方に行ってまいりました。特に、国会議員でつくります日本・イスラエル友好議員連盟の事務局長を一期生のときから仰せつかっておりまして、三年目に入りますが、アメリカの目の中でタップダンスを踏んでも痛くないという国がイスラエルであるというふうに思います。

 そしてまた、そのイスラエルという国に対して、パレスチナを含めますいろいろな反イスラエル国家、そして同時に、イランを含めまして、私どもの国家と非常に地政学的に近い北朝鮮という国、そういった国と連携をとりながら、いろいろな武器、そういったものを共有している、そしてまた北朝鮮の国家予算の一部がイランのいわゆる核ミサイルのメンテナンスフィーであるというような現実を踏まえて、昨今も米国側の情報によっていろいろと報道がなされておりますけれども、こういった問題を抱えておりますこの北東アジアの現状というものをしっかり見定めた上で、我が国として、本当に日本が、私どもの両足で日本の国土と国民と国家の安寧というものを築けるのか、そのための防衛力というものを本当に維持しているのかということを勘案しながら、特に北朝鮮、いわゆる朝鮮半島におきましては、世界で唯一、東西の冷戦構造が残っている化石のような地域であります。その地域で、特に沖縄におきます在日米軍の存在というものは大変大きな存在価値があると思いますけれども、その日本の安全保障上、この在日米軍、特に沖縄に関してどのようなお考えを今副大臣は有しておられるか、御答弁をお願いいたします。

塩崎副大臣 先ほど来御答弁申し上げていますとおり、引き続き、今の先生の御指摘のとおり、この地域は、やや化石のような、冷戦構造そのものが残っている、あるいは新たなる不確定要因がある、そういう地域であるわけであります。そういう中で、そういった不確実な状況に備えるためにも、日米の同盟関係、そしてそれを動かす日米安保条約、これに基づいて在日の米軍駐留というものが機能して、そして、先ほど山内議員からお話がありましたような抑止力というものをきちっと示しながら展開ができる態勢を常に用意しておく、こういうことが大事ではなかろうかと思っているわけであります。

 そのときに、この沖縄の米軍のプレゼンスについては、何分にも基地の七五%が沖縄に集中しているという大変地元にとっては負担の大きいことをお願いしている問題でございますので、その地元の負担ということも十分に頭に入れながら、今回、抑止力の維持を図り、そして地元の負担の軽減も図るという二つのお答えを両方同時に出していこう、そういう位置づけだということで、今回の協定についてもお願いをしているということでございます。

中山(泰)委員 思いやり予算といって俗称というか通称呼ばれておりますけれども、私は、個人的な考えですけれども、思いやりという予算ではないんじゃないかなと。私ども日本が、自分たちでは自分の国を防衛できない軍事力しか有しない、実質的に軍事力だとあえて申し上げさせていただきますけれども。その中で、日米安全保障条約というものを基軸にして、アメリカの方が逆に、日本の安全保障というものを日本の国民、国家の安寧のために思いやってくれているんじゃないのかということが、私はこの思いやり予算の意味じゃないかというふうに思います。

 特に、負担というふうな言葉であらわされておりますけれども、確かに地元の基地を有している、沖縄に限らない、それこそ日本の自衛隊の基地を有している地域の人たちにとっても、騒音、私どもの大阪の伊丹空港であっても民間旅客機が離着陸するのでも騒音だ、迷惑だ、それに対して補償がどうなっているんだ、環境対策どうなっているんだという意見が多い中で、負担というものが一体どういう意味を逆に沖縄以外の日本国民にとって有しているのかという負担の重要性というのも、ただ漢字二文字で負担と書いているだけではいけないんじゃないかなと思います。

 アメリカ側から見ても、外国に軍隊を展開する中で、日本とかドイツですとかイタリアですとか、それ以外の国々にわざわざ米軍のいわゆる軍事的拠点というものを置くことも、米国側から見ても負担であるということも逆に言えるのではないかなというふうに思います。

 特に、先ほどイスラエルに訪問をさせていただいたと申し上げました。私がイスラエルで見たものというのは、日本の防衛庁の自衛官の皆様方が数十名向こうに、UNDOFのいわゆるPKO活動でゴラン高原にいらっしゃるわけでございます。その中で、殉職だと私は思っていますけれども、期間中に交通事故であったりする中で、いろいろな使命感の中で頑張っていらっしゃる方がおいでになる。

 二十四時間体制で日本の国防というものを自衛隊の方々が内局と、いわゆる制服組、スーツ組一緒になって考えてくださっている中で、もうちょっとしっかり、今回のこの米軍のトランスフォーメーションが行われているという状況を考えると、特に近隣の北朝鮮、中国というその二つの国々、特に中国の場合は一国二制度と言われておりますけれども、実質的政権は共産党一党独裁であります。そして同時に、北朝鮮においても核保有をみずから明らかにしている。

 そういった国々がたくさん我が国の近隣に存在をしている中で、今回の米軍のトランスフォーメーションというものが行われており、そして現実的に、台湾海峡しかり、北朝鮮しかり、中国本土しかりといった部分から地政学的に距離を後退させてしまうというグアム移転、我々にとっては、これはデメリットだというふうに思います。

 先ほど来副大臣からも、先ほどの山内議員からの御質問、似たような質問だというふうにお考えをいただいておると思いますし、実質同じような内容でございます。しかし、なぜこのような質問が数回にわたって繰り返されるのかというこの重要性、それだけ、我々、国民を代表して、代議士としてそれぞれ何万人もの票をいただいて出ている、国民の中には、実質上米軍に日本の安全保障というものを頼らざるを得ないと思っている国民もおるということ、それをぜひ副大臣には御理解いただきたいと思います。

 そして、先ほど山内議員が、間違ったメッセージというふうにおっしゃいました、誤ったメッセージとおっしゃいました。これは誤ったメッセージじゃないと思います。戦略上考えると、誤りどころか、向こうはやった、やったといって万歳しているに違いありません。

 ですから、そういったところを考えますと、彼らのメリットというのが、中国や北朝鮮のいわゆる軍事戦略上のメリットというのが非常に大きく出てくるんだと思うんですけれども、逆に、我々のメリットというのは一体何なんですか。我々にとっての安全保障上のメリットというのは何なんでしょうか。

塩崎副大臣 まず冒頭、思いやり予算という言葉について御指摘がございました。

 一九七八年にこういう予算が始まったわけでありまして、金丸さんがこういう言葉を使ったということであります。英語にすると何と言うのかなという気がいたしますが、本質論としては、先生今御指摘の点というのは的を射た話ではないかと思います。やはり大きな安全保障上の役割分担だろうと思うんです。

 先ほどもちょっと話がありましたけれども、全部自賄いでやった場合に、じゃ、何を日本は負担するんだということを考えてみると、日米安全保障条約に基づいた日米同盟によってこの地域の安全を図っていくということは、我が国の選択として間違っていなかったというふうに私も思っておりますし、そのラインに従ってやっていかなければいけないと思っております。ただ、安全保障状況というのは、あるいは国際情勢というのは動きつつあるものでありますから、絶えずそれを見直しながら有効性を確保していかなければ、みずからの安全を守ることはできないということだと思います。

 そういう意味で、今メリット、デメリットのお話がありましたけれども、今回の特別協定は、言うまでもなく、繰り返し申し上げますけれども、地元負担の軽減を図りながら、一方で抑止力を維持していくという、この二つの達成を同時に図らなければいけないということであります。

 この抑止力につきまして、誤ったメッセージが他の国に行くんじゃないかという御懸念が先ほど来出ているわけでありまして、そのとおりだと思います。しかし、それはこの日米の協議の中で、抑止力、すなわち前方展開能力の低下がないような形でグアムへの移転も図り、なおかつ他の国内での移転の功も奏するような形での動かし方をし、そして一方で地元の負担も軽くしていく、こういうことでありますから、決して抑止力が下がっていくという意味において他の喜ぶ国が出てくるようなことがないようにしなければいけませんし、何よりも不安定性が増すようなことは絶対にあってはならないということで、私どもとしては、それにも配慮しながら、三月末に向けて内容をさらに詰めていく必要があろうかと思っております。

中山(泰)委員 防衛庁からもちょっとお伺いをしたいと思います。

大古政府参考人 今回の沖縄の海兵隊のグアム等への移駐につきましては、前に副長官から申し上げましたとおり、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担を軽減するためのものでございます。

 他方、この移駐につきましては、米軍としての対応地域における兵力構成の強化のため、海兵隊の能力をハワイ、グアム及び沖縄の間で再配分するということでございますが、我が国との関係につきましては、海兵隊の機動展開旅団規模のものが再編成されまして、一定の初動対処能力は沖縄に維持されるということがございます。

 また、本来海兵隊というのは機動力がすぐれているところがあるわけでございますが、さらに最近の技術を適用して、輸送機だとか高速輸送艦も今後ふやしまして機動力の向上等も図るということで、日米間で協議しているところでございます。

中山(泰)委員 私は、本当の意味で沖縄に限って特に負担を軽くしていくということを図るのであれば、もっと総合的な政策、軍事戦略というものを考えていかなければいけない時代に来ているんじゃないかと思います。

 特に、一九七〇年、八〇年代、太平洋シーレーン防衛という構想があった時代から、いわゆるICBM、インターコンチネンタル・バリスティック・ミサイルという時代から大分変わってきて、今ポイント戦略になってきた。沖縄というポイントは外せませんよというのがつい数年前までは米軍の国防総省から聞こえてきていた時代から、逆に、そのポイントすらずらせるぐらいの軍事技術の進化というものが出てきたということが、今回のトランスフォーメーション、そして沖縄からの米軍の実質上の撤退ということで示されているんじゃないのかというふうな気がいたしてなりません。

 第二次大戦、一九四五年の八月十五日に終わって、恐らく十四日ごろだったと思いますけれども、私も中学校一年生になったときに、父親に、おまえも十五歳になって昔なら元服だ、沖縄に旅行、男同士で行こうといって連れていかれました。沖縄に行って、摩文仁の丘に飛行場からそのまま直行させていただいて、大田中将がここでピストル自殺を図ったんだという海軍濠を見せていただきました。

 それで、父から私が言われたのは、大田中将という人は、後世沖縄に特別の配慮をという言葉を残して天国に召されたんだということを学びました。

 私は、まさに、今から六十一年前お亡くなりになられたその当時の言葉、特に沖縄戦というのは地上戦が激しく行われたところで、日本兵、米国兵問わず、たくさんのとうとい命が失われた地域でございます。要するに、迷彩色の飛行機ですとか、そういったものを見ることすら逆に言えば心の負担だと思っていらっしゃる方も多いという中で、そこへ理解を求めていこうという政府の御努力というものにも、私どもは脱帽したいという気持ちでいっぱいでございますけれども、なかなか、その中で六十年たっても逆に心の問題というのがひもとけない部分というのは、非常に心配をしている部分であります。

 特に、その心配という私が最後に申し上げた二文字は、なぜ心配か。沖縄の人たちには、地政学上申しわけない。しかし、私ども本土に住む者にとっても、逆に申せば、沖縄の基地の重要性というのは、いわゆるアジアの安全保障を考えると、非常に必要な地政学上の拠点であるということをやはり御理解をいただくために、真摯にお互いが向き合って話し合いを進めていくということ、それこそ一生懸命説得をしていかなければいけない、一番大切なコアな部分じゃないかな。

 これを幾ら減らしますよ、税金でこんなことして、こんなもの買って、無駄遣いじゃないかというような議論が行われる。その問題点というものの根幹は、私が今申し上げた部分、これが本当のいわゆるアジアにおける平和、そして安全保障の一番の原点じゃないかというふうに考えております。

 将来的には、私は、今、日米安全保障というのを基軸にしてということを先ほど木村太郎防衛副長官も申されておられましたし、麻生大臣も最初からずっとおっしゃっていました。もちろん、塩崎副大臣も当然のようにおっしゃっておられます。

 しかし、私の一番大きな懸念というのは、これからの時代、トランスフォーメーション、そして同時に、今でいえば共和党のブッシュ大統領が米国内で政権を、リーダーシップをとっていろいろとつかさどっておられるんだと思いますが、しかし、外国に対する、特に日本に対する地政学上の問題、それから米国の軍事費の問題において、その安全保障というのが、将来的にもパートナーとして日米関係というのは重要ではあるけれども、中国戦略、韓国いわゆる朝鮮半島戦略、それからミャンマー含めて東南アジアの諸国、不安定の弧と言われる部分、リムランド・セオリー、そういったものを考えますと、なかなかこれからの時代、安全保障を逆に、表向きははさみでぱちんと切ることはないかもわかりませんけれども、しかし、実質上、日米安保というものが崩れかける可能性もあるんじゃないかなというふうに心配をしております。

 私は、自分自身がこれだけたくさんの意見を先輩議員含めて申し上げるには、私も、自分の国を守るという大義を持って政治家に立候補し、それこそ落選も経験しました。しかし、その中で、私なりの提案も同時に申し上げたいと思っているんです。

 ぜひ御提案申し上げたいのは、やはり歴史問題、韓国そして中国含めて、私どもの日本というのはたくさんの問題を有しています。

 その中で、特に日本と韓国というものが、今、日米安全保障条約も、韓米安全保障条約も、それぞれバイラテラルなんですよね。二国間条約でございます。これをいわゆる総合安全保障のような形で、トライラテラルの形に、米国、日本、韓国と将来的には持っていけるぐらいしっかりとした安全保障というものを、共産主義国家である、そして独裁政権国家である金正日体制の北朝鮮、そして中国という国の、日本海を中心とした三カ国がしっかりと民主主義が確立された同一のイデオロギー国家として有していくというのが一番の大切な問題ではないかなというふうに考えております。

 その中で、実質上アメリカが、特に共和党政権においては、民主党においても同じでしょうけれども、台湾有事の際には、いわゆる実質上の武力行為というか、それに対する出動というものをなさるということが、各政権で、米国の方からメッセージとして世界に対して発信をされている。

 その中で、いつも中国が、私から見ますとある意味過剰反応ではないかと思うような反応を起こすわけでございますが、この反応に対して、実質、沖縄というのは台湾と非常に近うございますから、この中国に対する政治的、軍事的な抑止という観点から考えますと非常に大きな意味をなすと思います。

 先ほど来、副大臣の御答弁の中にも抑止力という言葉が出ていますけれども、抑止力と負担軽減というのをバランスさせること自体が非常に難しい中で、グアムまでバックワーズして、本当にこの抑止力という力というのがこれからも発揮できるのか。それをぜひもう一度お伺いをさせていただきたいと思います。

 防衛庁にも、これはもう一回御答弁をいただけたらありがたいと思います。

塩崎副大臣 今、台湾のお話がございましたけれども、何よりも沖縄の特徴は、極東にどこにでも近いというところ、先ほどの地政学的な特徴というものが沖縄の最大の特徴であるわけでありまして、そこで急速な事態が起きたときの展開能力が守られるかどうかということがとても大事なことだというふうに思っております。

 先生の御指摘のとおりだと思うわけでありまして、今回の見直しも、その展開能力が落ちないかどうかということを一番考えながら、同時に負担の軽減というものを考えるということで来たわけであります。

 先ほど防衛庁からも少し御説明がありましたけれども、今、海兵隊の七千人の撤退のお話に焦点が当たっているわけでありますけれども、この米軍のプレゼンスというのは海兵隊だけではもちろんないわけでありまして、総合的な判断で、この抑止力は落ちないということを担保する、その確証を得ていかなければならないわけであって、この三月末に向けての今の日米の協議というのは、まさにそこに焦点が当たり、同時に、先ほど来繰り返し申し上げているような、地元の負担軽減ということに重きも置いていくということでありますので、言ってみれば、今お話があったような極東への展開能力の維持ということについて、日米の間での軍事技術的な面も含めた、もちろん、多分そこが一番大事でしょうから、それを確認した上で合意をしなければならない、そういうふうに心得ておるところでございます。

大古政府参考人 抑止力の維持と地元の負担軽減というのは、いろいろ兼ね合いが、工夫が必要なところでございますが、沖縄について言えば、負担軽減ということで、今後とも米軍基地が安定的に使用していくことも重要な課題でございます。

 他方、先生御指摘のとおり、米軍再編は世界的に進めているわけでございますが、これは、現在の情勢と、あとは軍事技術の発達、これを両方前提にしておりまして、今回はグアム移駐によっても抑止力を低下しないように、輸送機なり高速輸送艦、これはこれから米側としては整備していくということで聞いておりますけれども、こういうことによって、抑止力を低下させないようにいろいろ配慮しているということで御理解賜りたいと思います。

中山(泰)委員 ありがとうございます。

 特に中国、もう皆さんも御承知だと思いますけれども、二〇〇六年の国防費が対前年度比一四・七%増、三百五十三億ドルというかなり莫大な防衛予算を中国が有しているということ、そして同時に、アメリカ軍の当局者もしくは軍事アナリストの方々が、実際のいわゆる軍事予算というのはこれを上回るんじゃないかというような問題が出ている中で、私どもとして、本来は、世界唯一の被爆国家としても平和というものを本当に構築するという観点から考えても、将来的に沖縄の米軍の問題というものが本当の意味で平和を希求するためのものになり、そして、日本の自衛隊という形も、いわゆる防衛庁の省昇格も含めながら、しっかりと考えられていかなければいけないというふうに私は思っております。

 そして、特に今回の質問の最後に申し上げたい点は、環境庁が環境省になっても、防衛庁が防衛省になれない理由というのが私はあるんじゃないかというふうに実は懸念をいたしております。

 特に、今回も防衛省になろうと、いわゆる防衛庁、省に昇格をしようという議員連盟なんかの運動が起こってきたりする中で、私もその議連のメンバーの一人ではありますけれども、突如と出てきた防衛庁の天下りの方々による逮捕劇というのもあったわけで、これは真摯に国民の皆様方に、もう既におわびをなさっておられると思いますけれども、しっかりと改め直していただいて、日本の国防、安全というものを本当に真剣に、戦略を持って、どこに戦略があるのかわからないというのがほとんどの日本国民の総意だと思うんですけれども、こういったものを真剣にやってもらわなきゃいけないという中で、昨年は自由民主党が立党五十年の節目を迎えました。そして同時に、日本は戦後六十年目の節目を迎えていた。

 私は昭和四十五年、一九七〇年の万博生まれですから、自民党が立党したときの経緯ですとか歴史というのはわかりません。ですけれども、当時、朝鮮動乱が起こった後に、社会党の左派が日本国内で統一行動をとった、日本でもいわゆる革命が起きるんじゃないか。それに対して、当時の保守党の人たちが、自由党と民主党がそれに対して危機感を持って、民主主義を守ろうというので立ち上がってできたのが、駿河台の中央大学の講堂で行われた自由民主党の結党大会であるというふうに認識をいたしております。

 その中で、特に一九四五年、日本に対する、GHQ、マッカーサーがいわゆる占領国に対する基本政策というものの十一項目というのを出しております。

 その中には、塩崎副大臣もよく御存じのいわゆるスリーS政策、セックス、スポーツ、スクリーンと言われるもの、それ以外に実は三R、五Dというものがあります。

 三Rというのが、復讐、復活、改組、リベンジ、リフォーム、リバイバルと言われるもの、これはいわゆる占領国に対する、過去に戦争を行ったものに対するいわゆる心の部分である政策。

 それからもう一つは五D、ディスアーマメント、ディミリタライゼーション、ディスインダストリアルゼーション、ディセントラリゼーション、デモクラティゼーション、いわゆる武装解除、軍国主義排除、工業生産力破壊、中心勢力解体、民主主義化というその五つの五Dという政策も同時にこの米国軍の日本に対する占領統治政策として、占領行政政策命令として出ておった。

 すべての作戦はそれをベースにして行われていて、それからいうならば、六十年間たって我が国の防衛庁は、武装解除、ディスアマーメント、もしくはディミリタライゼーションという過去の日本、旧軍を見て、そういった戦略、その影響というものの余波がいまだに、六十年たっても、その呪縛から解き放たれていない我が国というのがあるんじゃないか。

 防衛庁はいろいろな戦略を持っています。しかし、自衛隊の飛行機、全部アメリカ製じゃないですか。それ以外にも外国から輸入しているものじゃないですか。ねじ一本とめられたら飛んでいけなくなってしまうんですよ。沖縄に空軍部隊が残るかもわからない。輸送のものが残るかもわからない。しかし、そんなもの、カレーライスにとまったハエと一緒ですよ。払えば飛んでいっちゃいます。

 ですから、我が国独自の平和を追求する、平和を希求するための備えというものをしっかりとこれからも皆様方とともに議論をさせていただいて、基礎的なことで恐縮でございますけれども、衆議院というのはいわゆる大衆の議会であります。参議院とは違って、貴族院じゃないわけですから、国民のすべての代表のいろいろな方々が多角的、多面的に出てここで議論をするということが一番大切な基礎だと思いますから、ぜひいろいろな意見を広範囲にお酌み取りいただけたらありがたいというふうに思っております。

 その中で、私の友人でもあります、そして私の地元でもあります、そして同時に、我々の税金で日本の国に役立つ人たちを学びやとして育てようという国立大学である大阪大学大学院の国際公共政策研究科の助教授で、ロバート・エルドリッジ博士という方がおいでになられます。

 このエルドリッジさんなんかが、在日米軍再編と沖縄基地問題の今後ということで大変すばらしいレポートを書いております。私もこれを拝読させていただきました。防衛庁にも幾度かレクチャー、勉強会に参加をさせていただいたということ、そしてまた官邸の方にもいろいろと提案書等を投げておられるというふうに聞いています。

 奥様は日本人でございます。いわゆる日米協調というのをみずからがやっていらっしゃる方だと私は認識しておりますけれども、ある意味、それだけ外国の血をはぐくんでおられる方でも、日本にゆかりの深い方が地球規模の安全保障というものを考えて、一生懸命真剣に提案をなさっている。

 今政府から出ている提案でも与党から出ている提案でも、またちょっと違った角度から出ている提案でありますから、これは副大臣として、私がそのレポートをお預けいたしますので、ぜひ御拝読いただきますように心からお願いを申し上げて、ぜひ読ませていただきます、頑張りますということだけを最後に一言よろしくお願いをいたします。

塩崎副大臣 大変高邁な安全保障哲学を国を憂うるお立場からお述べいただきまして、まことに勉強になりました。ただいま資料も下さるということでありますので、しっかりと勉強したいと思います。

 各党、今憲法改正の議論もしているわけでありまして、さっきの省、庁の問題を含めて、恐らく新しい国の形をみずからの手でつくろうという機運が国会の中でも盛り上がってきているのかな、そんなふうに私も受けとめているわけでありまして、憲法の議論を含めた、ひとつ根っこからの国の形の議論を皆でして、その中で今言ったような問題についてもお互いの意見をすり合わせて国としての方針をまとめていきたいな、そんな気がいたしますので、しっかり勉強させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

中山(泰)委員 未来の総理大臣、よろしくお願いします。

 以上であります。ありがとうございました。

原田委員長 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 審議も重なってまいりまして、質問自体がちょっと重なってしまうことがあるかもしれないんですけれども、副大臣、どうぞそこのところはよろしくお願い申し上げます。

 今中山委員の質疑を聞かせていただいておりまして、大変私自身も勉強になりました。一番最後の副大臣の御答弁の中にも、憲法改正も含めてこの国のあり方というものを今本当に考えるときだといった趣旨の御発言がございました。同感でございます。

 しかしながら、今回、今審議をしておりますこの特別協定の審議中にも感じたことでございますが、国のあり方を論ずるときに、本当に国民に対して政府がどれだけの説明責任を持って、わかりやすく国民に一つ一つ防衛政策なり在日米軍基地なり、あるいはこういった協定なりを説明できているのであろうかといった一抹の不安を感じざるを得ないのも事実でございます。

 その観点からまずお伺いをさせていただきますが、本協定の重要性を理解している上で、申し上げなければいけない点、私としては二点ございます。

 一点目は、駐留経費が日本国民の税金で賄われている以上、本協定の意義について、やはり国民の理解を深める努力をもっとしていただかなければいけないという観点です。

 二点目としましては、駐留経費そのものの節約と効率的な活用の推進ということでございます。

 まず、最初の国民の理解をもっと深めていただきたいということに関して申し上げますと、本委員会の審議の中でもございましたけれども、思いやり予算という言葉が定着しているとおり、この協定に基づく日本の経費負担というのは米側に対する過剰なサービスなのではないかといったような認識を持たれてしまいますと、この負担の全廃という議論に発展をしていくのであろうというふうに考えております。

 その中で、この負担を行うことによって、またそのほかにも米側に対しては地位協定ですとかいろいろな形で、あるいは外務省、防衛庁のみならずほかの省庁からの資金という、税金で使っている部分がございます。世界の中でも米軍に対しては第二位の金額を使っているというふうに私は理解をしておりますけれども、その中で、一体その日本の税金を使うことによって、米軍、米側における日本のスタンスがどれだけのものになっているのかといったような、アメリカ側の戦略の中での日本の立ち位置というものももっと国民にしっかり理解をしていただかなければいけないんだと思います。

 大きな話になると、日本とその周辺における安定と安全の確保ができることに直接つながっていくという視点になろうかと思いますけれども、そういった視点での国民への説明ですとか、防衛政策にもかかわることでございますが、それがもっと丁寧になされるべきなのではないかと私は考えております。

 本協定について、外務省と防衛庁のホームページ、ウエブサイトを検索してみました。外務省のウエブサイトの中には、条約の欄の中で本協定の説明が、私たち議員にいただくようなペーパーとあれはほとんど一緒だと思うんですけれども、掲載をされていました。

 ただ、あれを国民の方が見て、参考資料的なものを見て、本協定の意義ですとか、なぜこの負担が必要なのかということを理解していただくというのはなかなか難しいのではないかなというふうに感じているのも実感でございます。

 国民に対するこういった説明責任を政府としてはもっと果たしていただきたい、この点についてどのようにお考えになるのか、政府の見解をお伺いさせていただきたいと思います。

塩崎副大臣 先ほど来、思いやり予算という言葉が出てきて、これは与野党を問わずお使いになる方が多いわけでありますが、さっき、根っこから考えてみたときに、これを英語で何と言うのかねという話を申し上げました。

 もちろんホスト・ネーション・サポートという言葉があることはわかった上で言っているんですけれども、恐らく、日本で言っている思いやり予算というのは、ホスト・ネーション・サポート以上の情がこもったような言葉になって、ひとり歩きしているという感じがするんですね。多分、先生の今の御指摘もそういうことではないかというふうに思いました。

 したがって、世界の中でいろいろな米国との同盟関係を結んだところとかあって、それらがホストネーションとしてどういうサポートをしているのかというのは、それは千差万別、いろいろあるわけですね。何を負担するか、していないか。あるいは、世界で日本だけが負担しているものがあるというお話も、きょうも議論が出ておりましたが、そういうようなことというのは、やはり置かれた状況に応じたことを総合的に判断をした上でいかなきゃいけない。

 ただ、今先生おっしゃったように、我々は、政府ももちろんで、政治家ももちろんでありますが、特に与党は、説明責任を政府とともに与党も負っているわけであって、政府が一義的にまず説明をきっちりしないといけない。これはもう間違いないことであって、なぜ日米同盟を持っているのか、どうして日本を守るためにこういう形になっているのかということを含め、そして実は、アメリカの極東でのプレゼンスというのは日本のためだけにいるわけでももちろんないわけでありますから、そうすると、どの割合でホストネーションのサポートを割り振るのかというのは、やはり時々の情勢やこちらの負担の意思と能力、あるいはアメリカ側の負担の能力と意思、そういったものの有機的な連立方程式の中で出てくることだろう。

 先ほど申し上げたように、大体今五〇、五〇ぐらい、日本が五一とアメリカが四九ぐらいのサポートをしているわけでありますけれども、こういったものは、今申し上げたようにさまざまなものが入った上で日本の国民の税金を使わせていただいて、全体としての日本の安全を守っていくんだということを説明しなきゃいけないわけであります。

 したがって、ホームページで、恐らく言外にはわかりづらい、もうちょっと易しく説明した方がいいんじゃないか、こういうことをおっしゃりたいのかなと思いましたが、それはそのとおりで、これはなお、外務省も防衛庁も、政府全体としても努力をしていかなければいけないと思っておりますし、思いやり予算というのは、政府として使っている言葉ではないと思いますが、何のための税金の支出なのかということを、その意味合いを含めて御説明をしていくということが求められているんだろうと思いますので、心がけてまいりたいと思います。

丸谷委員 今副大臣お答えしていただいたように、政府としても説明責任を果たしていただくとともに、副大臣がおっしゃったように、私たち与党の議員としても説明責任を果たしていかなければいけないというのは当然だと思います。

 私も、この質疑終了後、私のホームページの方に、この協定に賛成する理由と、また意義というのをしっかりと書いておきたいというふうに思います。

 もう一点なんですけれども、先ほど申し上げた点でもう一点、駐留経費の節約と効率的な活用の推進についてでございます。

 駐留経費のうち、労務費そして訓練移転費を除いて、光熱水料などは節約の対象となり得るのではないかというふうに私は考えておりますし、また、前回の改正で、在日米軍施設以外の住宅負担を取りやめ、それ以外にも、上限調達を一〇%とした結果、約三十三億円の削減が可能となったことから、今後、改定をする際に、光熱水料の負担上限というものを段階的に引き上げていくことも考えられるのではないかというふうに考えますけれども、こういった点について、政府としてお考えをお持ちでしょうか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の本件協定の交渉の際にも、日本側としては、やはり厳しい我が国の財政状況という中で、米側に日本側の負担を減らしたいということを随分主張はしてきたわけでございます。片や、米側は米側で、いろいろな活動がふえている、それから米国自身のやはり国防予算が急激にふえている中で、むしろ日本の負担をふやしてほしいというような議論を昨年二月以来続けた中で、今回の、基本的には今までの、現行の協定の枠組みを維持という形になりました。

 ただ、その中で、やはり節約の部分というのは日本側からも随分米側に言いました。特に御指摘の光熱水料というところは、節約はもっとできるのではないかということを言って、米側も、そこについてはできる限りの節約努力はしておると言って、省エネ機器の導入でございますとか、いろいろな電気が消えるような装置を入れているとかいうことは言ってきておりますけれども、さらに今後とも引き続き、米側の節約努力というのは、この協定期間中も具体的に先方に求めていきたいと思いますし、今後の協定交渉の中でもまた、それを念頭に置いて交渉に当たっていきたいというふうに考えておる次第でございます。

丸谷委員 今回の改定から次の改定までは二年間あるわけで、八七年に本協定が締約をされてからは、以来五年ごとに改定をしてきた。ところが、今回は二年後に改定をする。それは、米軍の再編というものを見きわめてから二年後というふうになっているわけでございますが、その米軍の再編後を見きわめ、あるいは現在の北東アジアの状況を見きわめ、二年後に特別協定をもう一度、次回改定する際に当たっては、あるべき特別協定の姿というものはどういうものだと、ちょっと漠とした質問で大変申しわけないのですけれども、この特別協定のあるべき姿は、国際情勢を反映させて、どうあるべきだというふうに政府は考えていらっしゃるのか、この点についてお伺いします。

河相政府参考人 現在御審議いただいておりますこの協定、御指摘のとおり、二年間を期間としているわけでございますから、その後をどうするか。

 二年後の状況、国際情勢を含めた状況、余りここで予断をするということには、なかなか難しいことはあろうかと思いますが、基本的には、恐らく二年後においても、日本の安全、それからこの地域の平和と安定ということにとって、在日米軍の存在の重要性というのは、それは変わらない状況であろうかなというふうには思っております。

 ただ同時に、現在日米間でいろいろ議論を進めております米軍の再編に伴いまして、これは例えば沖縄の海兵隊の人数が削減をされる等々の変化というのはあるわけでございます。また、いろいろな動きというのがありますから、そういうことが実際に今後もう少し再編の具体的な動きとして見えたときに、それを踏まえて、現在協定に含まれている労務費それから光熱水料それから訓練移転費というものがどういう変化になってくるかというのは、ちょっとこの再編の行方というのを見通した上でまた判断をしていく必要があろうというふうに思っておる次第でございます。

丸谷委員 続いて、在日米軍の再編についてお伺いをさせていただきます。

 昨年十月の中間報告には、「新たな脅威や多様な事態に対応するための同盟の能力を向上させるためのものであり、全体として地元に与える負担を軽減するもの」だと、この再編について記されております。

 安全保障体制の維持はだれもが望むことであると同時に、基地の七五%を引き受けてきた沖縄、あるいは長い間NLPで苦しんできた神奈川県における負担の軽減に対する期待が大きいのも事実でございます。

 この思いを政府は十分に理解をして、誠実に関係自治体に対応していくことが求められておりますが、中間報告を受けた後の地元の反応というのは、大きな反対の声が上がるばかりでございます。

 三月の四日、防衛施設庁長官と会談をされました沖縄県知事、また名護市長ともに、普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸の移転案には改めて反対を示されました。

 三月末に最終報告をまとめることになっておりますけれども、関係自治体の受け入れ表明が得られるのかどうかはいまだ不透明な状況において、政府としては、本当に、きょうずっと議論になっておりますけれども、地元の理解を得られるようにさらに最大限の努力が必要であると私は考えておりますが、政府の考えはいかがでしょうか。

渡部政府参考人 お答えします。

 在日米軍の兵力態勢再編につきましては、関係地方公共団体含めまして、国民の御理解なくして実行することは困難であると認識しております。

 このため、昨年の十月以降、防衛庁長官が先頭に立ちまして、沖縄県を初めとして関係地方公共団体を訪問し、共同文書の内容あるいは方向性等について誠心誠意御説明を行っているところでございます。

 現在は、国側の説明というのにとどまらずに、関係地方公共団体の皆様からいただきました御質問あるいは御要望につきまして、誠心誠意対応しているところでございます。また、こうした地元からの御質問等につきましては、ホームページ等に掲載して、国民の皆様に広く広報を行っているところでもございます。

 私どもとしましては、今後とも、今月末の具体案の最終的な取りまとめに向けまして、日米間の協議を加速し、早急にその具体的内容を詰めまして、関係地方公共団体等の御理解と御協力が得られるよう、引き続き誠心誠意御説明に努めながら、個別の施設・区域に関連する再編案が実現しますように最大限努力をしてまいりたいと考えております。

丸谷委員 岩国市の方では、三月十二日に、厚木基地からの空母艦載機の移転受け入れに対する住民投票が行われます。

 中国新聞が岩国市と周辺五市町で行った世論調査によりますと、移転案に反対される方が七五・九%、賛成が一六・五%である一方、基地の存在そのものを容認するという方は六九%いらっしゃいます。また、国への要望については、さらなる情報公開を求めるという声が四六%であったことから察しますと、国の説明不足というもの自体がかなりの不安や反発を招いていると言っても過言ではないと私は考えております。

 今後、政府は、地元の皆さんに対する十分な説明責任と誠実な対応で臨んでいただくように改めてお願いをさせていただきます。

 さて、中間報告の見直しを自治体が求めている中、二月十三日には、シーファー駐日大使が、十月の日米合意は概念的なものであって、地元が反対をして、もしもっといい案があるのであれば耳を傾ける義務があるというふうに発言をされています。

 自治体の受け入れ表明を可能にするためには、米国と協議をしながら、地元の意見を取り入れる準備が日本政府にはあるのかどうか、この点についてお伺いをさせていただきます。

大古政府参考人 防衛庁からお答えいたします。

 米軍再編につきましては、昨年十月の2プラス2共同文書を踏まえた具体的な案を今月末までに作成すべく、今、日米間で検討作業を加速させているところでございます。

 この案を今月末までに作成するためには、地元地方公共団体初め国民の理解なくしては実行することは困難であると十分認識しているところでございます。

 このため、現在、地方自治体の皆様に対し御説明しておりますけれども、御質問があれば誠実に対応しているとともに、御要望もあれば誠心誠意対応していきたい、こう思っておるところでございます。

 今後とも、今月末の最終取りまとめに向けまして、日米協議を加速し、早急にその具体的な内容を詰めていきまして、地元の自治体の皆様に御説明して、理解と協力を得る努力をしながら、共同文書に示された個別の施設・区域に関する再編が実現するよう最大限努力してまいりたいと考えているところでございます。

丸谷委員 ちょっと今よく聞き取れなかったので、再度確認をさせていただきますけれども、御答弁の中で、御要望があれば、御質問があれば、誠実におこたえするというふうにお答えになったんでしょうか。もう一度はっきりとお願いします。

大古政府参考人 御質問がある場合には誠心誠意お答えしているということですね。あと、御要望がある場合については、誠心誠意対応はしていきたいと考えている、こういうことでございます。

丸谷委員 要望に対しては誠実に対応していきたいという御答弁の趣旨だというふうな理解でよろしいですね。

大古政府参考人 昨年十月、2プラス2で決定した内容につきましては、これを変更することは考えていないということでございます。

 ただ、今申しました、御要望については、例えば振興策的なものだとか、それから、累次にわたって土地の返還とかの御要望がございました。そういうものについて、今回の米軍再編の政府からの説明に関連して、御要望がある場合には誠心誠意対応していきたい、こういう意味でございます。

丸谷委員 今、ちょっと答弁に動揺しておりまして、もうちょっと私自身も頭を、今の答弁整理をさせていただきながら対応を考えてまいりたいというふうに思いますので、今は次の質問に移らせていただきます。

 イランの問題、ちょっと重要なことですので、質問をさせていただきます。

 IAEAによりまして安保理に付託をされたイラン問題でございますけれども、また、ちょうど始まったばかりかと思いますが、IAEAの三月の定例理事会の中で、ロシアの方から、イランに対しては小規模ウランの開発を認める等の提案がなされているところでございます。

 イラン・ロシア間の交渉ですとか、あるいはそういったことに対する行方などが不透明な中で、このイラン問題に関しては緊張を増している中、日本にとってイランというのは、原油輸入先の第三位で、二〇〇五年には一三・八%を依存しております。また、日本が七五%の権益を持ちます中東最大級のアザデガン油田の開発に関しても、日本のエネルギー政策に非常に大きくかかわってくることから、このイランの今の問題というのは日本にとって非常に重要なことだと承知をしております。

 七九年のイスラム革命以来、イランと米国の対立というのは深刻であり、また、イランと日本の距離感というのは、米国のそれとは違うわけでございます。また、日本は、唯一の被爆国ということから、核軍縮、核不拡散について独自のスタンスを持っているわけですが、イランの新しい大統領の数々の過激な発言は今はちょっと別にしておきまして、日本のイランに対する今の見方あるいは政策というものは、どのような方針で臨んでいらっしゃるのか。この点、お伺いをします。

塩崎副大臣 イランの問題につきましては、私どもとしても非常に心配をしているところでございます。

 基本的に、イランと日本は歴史的に長い友好関係がございますけれども、今回の核の開発の問題につきましては、IAEAの保障措置にきちっとこたえていないということを長い間続けてきているわけであります。

 モッタキ外務大臣が先般日本に参りました。その際も、麻生外務大臣から、三時間にわたって、何しろ国際的に孤立をしないようにしなければいけない。それは何かといえば、やはりNPT体制に反しないように、そしてIAEAの、言ってみれば、守らなきゃいけないことは守っていかなければいけないということで説得を続けてまいりましたけれども、みずからの濃縮のことについて続けていきたいということを言っているわけでございます。

 私どもとしては、粘り強く、さまざまな日本との関係があるといえども、やはりNPT体制の堅持のために守るべきものは守ってもらわなきゃいけないということで、今、ロシアの提案も含めて、イランが国際社会で孤立しないようなきちっとした対応をしてもらうように、鋭意さまざまなルートを使って説得をしているところでございます。

丸谷委員 二月二十七日のモッタキ外相との会談の成果についてでございますけれども、外務省からいただいたペーパーの中で、その会談の内容ですとか、それぞれの成果というのは把握をしておりますので、ぜひ副大臣の方から、特筆すべき点について、あれば御答弁をいただきたいと思います。

 日本側からは、NPTに加盟している国において、当然のことながら、原子力の平和的な利用というのは法的に可能なわけでございます。日本はずっとそれを続けてきて、そして、国際社会からもIAEAからもお墨つきをいただき、原子力の平和的利用している旨の日本の基盤に立って、イランに一つ説得というものがあったのかなと思いますけれども、そういったことに対してイランの反応というのはどうだったのでしょうか。

塩崎副大臣 御指摘のとおり、私どもとして、大臣の方から、今御指摘いただいたような点について、強く、時間もかなりかけて説得をいたしました。

 しかし、先ほど申し上げたように、考え方の隔たりというのはかなりございまして、結論として、はい、わかりましたという話では決してなかったということで、残念な結果に終わっているというふうに考えざるを得ないと思っております。

 しかし、あきらめるわけにはいきませんので、先ほど申し上げたように、引き続き、さまざまなルートで、IAEAの今議長国でもございますから、そういった点でも影響力の行使に努めているというところでございます。

丸谷委員 けさの報道にございましたけれども、三月のIAEAの定例理事会の方に、本格的な審議が始まる前に、ロシアの方からイランの小規模のウラン開発について認める旨の提案があったというふうに報道されておりましたけれども、このことについて、日本で今何かコメントできることはありますでしょうか。どうお考えになっているのか。

中根政府参考人 お答え申し上げます。

 新聞報道等でいろいろな情報が出ていることは私どもも承知しておりますけれども、基本的には、IAEAの累次の理事会の決議におきまして、イランについて過去の無申告の活動等があったということも踏まえまして、イランに対しては、濃縮関連活動それから再処理関連活動については、これを停止するということが求められている中で、私どもとしましては、当然、モッタキ外務大臣が来られたときにも、研究開発、実験規模の濃縮関連活動も含めて、すべての濃縮関連活動を停止するというIAEA理事会の決議をきちんと遵守してほしいということを伝えておりますし、いわゆるロシア提案においてロシアが言っておりますことも、これも、あらゆる濃縮関連活動、これをイランの国内ではなくてロシアで行うというのが核心でございます。

 この立場につきましては、私ども、ロシアにも確認をしておりますし、その点については違いはないというふうに理解しております。

丸谷委員 先ほど副大臣の御答弁の中に、日本がNPT体制というのを非常に重要視して、また、このNPT体制が強化できるように今まで努力を重ねてきた事実も考えますと、最後に一問質問させていただきたいんですけれども、去る三月一日からインドをブッシュ大統領が訪問された。その中で、シン・インド首相との首脳会談におきまして、民生用核協力協定でアメリカは合意をしております。

 この合意自体がNPT体制外で核を保有してきたインドの行為を追認するものであり、核不拡散を曲がりなりにも維持してきたNPT体制の崩壊を決定的にしてしまうのではないかという危惧を私は覚えざるを得ません。

 この間のNPTの運用会議でも非常に成果がなかったということで、では、どのような形でNPT体制を強化していくのか、日本は何をすべきかというところを本委員会で議論させていただきましたけれども、この米印による合意が、NPT条約にも加盟していないインドを核保有国として承認してしまうかのような印象を与えるのではないか。こういった危惧に対して、日本政府はどのようにお考えになっているのか。その見解を最後にお伺いいたします。

塩崎副大臣 ブッシュ米大統領がインドを訪問いたしまして、民生用の原子力協力について合意をしたということは私どもも承知をしているわけであります。

 インド、パキスタン、そしてイスラエルがNPTに入っていないということについては非常に危惧をしているわけでありますが、今回のことについて発表されているもの等々を拝見すると、軍事開発と民生開発とは全く分けるとか、それから、民生用のものについてはIAEAの保障措置のもとに置くとか、さまざまなことを、言ってみれば、NPT体制との整合性についての配慮を一生懸命しようとしているということについては私たちもよくわかっているわけでございます。

 しかしながら、NPTに加入していないインドに対する原子力協力を行うということについては、言ってみれば、NPTを基礎とする国際的な核軍縮、不拡散体制への影響というものもないことはないわけでありますから、この点について注意深く検討しなければならないと思っております。

 そして、特に今回のこういったインドへの原子力協力の是非については、今後さらに国際的にも議論をしていかれることだと思っておりますし、我が国も、こういった点については、NPT体制の強化ということを絶えず言っている唯一の被爆国として、議論に大いに参加をしていかなければいけない、このように考えております。

丸谷委員 以上で終わります。ありがとうございました。

原田委員長 次回は、来る十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十八分散会


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