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第9号 平成18年4月7日(金曜日)

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平成十八年四月七日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 原田 義昭君

   理事 小野寺五典君 理事 谷本 龍哉君

   理事 土屋 品子君 理事 水野 賢一君

   理事 渡辺 博道君 理事 武正 公一君

   理事 山口  壯君 理事 丸谷 佳織君

      逢沢 一郎君    愛知 和男君

      伊藤 公介君    伊藤信太郎君

      宇野  治君    高村 正彦君

      篠田 陽介君    新藤 義孝君

      鈴木 馨祐君    中山 泰秀君

      三ッ矢憲生君    山内 康一君

      山中あき子君    吉良 州司君

      篠原  孝君    田中眞紀子君

      津村 啓介君    松原  仁君

      谷口 和史君    笠井  亮君

      重野 安正君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   外務大臣政務官      伊藤信太郎君

   外務大臣政務官      山中あき子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山浦 耕志君

   政府参考人

   (内閣官房大陸棚調査対策室長)          島崎 有平君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 松田 敏明君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   塩尻孝二郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 鶴岡 公二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 八木  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 木寺 昌人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 伊藤 秀樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 佐渡島志郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房広報文化交流部長)        岡田 眞樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際社会協力部長)        神余 隆博君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  佐藤 重和君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        近藤 賢二君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 本田  勝君

   外務委員会専門員     前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  照屋 寛徳君     重野 安正君

同日

 辞任         補欠選任

  重野 安正君     照屋 寛徳君

    ―――――――――――――

四月七日

 刑事に関する共助に関する日本国と大韓民国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

同月四日

 米軍基地の再編・強化に反対し、基地撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇八七号)

 在日米軍基地の縮小・撤去を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一一九九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際民間航空条約第五十六条の改正に関する千九百八十九年十月六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 国際水路機関条約の改正議定書の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 国際海事機関条約の改正(簡易化委員会の設置)の受諾について承認を求めるの件(条約第六号)


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     ――――◇―――――

原田委員長 これより会議を開きます。

 国際民間航空条約第五十六条の改正に関する千九百八十九年十月六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件、国際水路機関条約の改正議定書の締結について承認を求めるの件及び国際海事機関条約の改正(簡易化委員会の設置)の受諾について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長塩尻孝二郎君、大臣官房審議官鶴岡公二君、大臣官房審議官遠藤善久君、大臣官房審議官八木毅君、大臣官房審議官木寺昌人君、大臣官房審議官長嶺安政君、大臣官房参事官伊藤秀樹君、大臣官房参事官佐渡島志郎君、大臣官房広報文化交流部長岡田眞樹君、大臣官房国際社会協力部長神余隆博君、北米局長河相周夫君、経済協力局長佐藤重和君、領事局長谷崎泰明君、内閣官房内閣審議官山浦耕志君、大陸棚調査対策室長島崎有平君、内閣府大臣官房審議官松田敏明君、防衛施設庁業務部長長岡憲宗君、資源エネルギー庁資源・燃料部長近藤賢二君、国土交通省航空局次長本田勝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村委員 おはようございます。民主党の津村啓介と申します。

 本日は、米軍再編に係る日米の審議官級協議につきまして主に聞いてまいりたいんですが、大変恐縮なんですけれども、直前の通告になりましたが、三点ほど、韓国紙の報道で、日本の外務省の文書が流出したという報道が昨日ありました件につきまして、事実の確認をさせていただきたいと思います。

 報道は事実でしょうか。(発言する者あり)盧武鉉大統領が反日で政権を維持しているという韓国紙の報道です。日本の外務省から文書が流出したという報道がなされていますが……(発言する者あり)そうですね。事前に通告させていただいています。

麻生国務大臣 こういうのはあらかじめ言っておいていただいた方がよろしいと思いますし、条約審議ですから、これは。

 今のお話ですが、朝鮮情勢をめぐる動きにつきましては、これはいろいろ分析調査を行うのは当然のことなんですが、この内容について、ちょっと今、私どもとして個々の資料というものの存否をコメントさせていただける状況にはありません。

 いずれにしましても、日本にとりましては韓国というのは大変重要な隣国の一つだと認識をいたしておりますので、いわゆる未来志向というもので両国関係を今後とも築いていきたいというのが基本方針と御理解いただければと存じます。

津村委員 誤解があってはいけないので申し上げたいんですが、私は、これは事前に通告をさせていただいておりまして、三点の通告をさせていただいています。この文書の真偽についてが一点、二点目がここまでの韓国当局とのやりとり、つまりこの報道が出てからこの瞬間までの対応、それから三点目が今後の対応、この事前通告をさせていただいております。

 その上で、今大臣が大変戸惑われているのが私には、その通告の有無だけではなくて、大臣にいつこの情報が入ったのかというのが、大変今驚いて見ているんですが、大臣はこの報道をいつお知りになったんですか。

麻生国務大臣 驚いた顔から御想像いただけますように、今聞きました。

津村委員 そのことが大変驚きなんですが、これはきのうの報道です。けさの報道ではないんです。どうして外務省から情報流出があったというこの報道を大臣が今まで知らなかったのかということは、大変驚きなんですが、外務省の情報管理体制というのはそういうふうになっているんですか。

麻生国務大臣 基本的に、流出したと向こうが言っているのであって、こちら側は流出したと思っていないからじゃないでしょうか。

津村委員 それはそういう問題じゃないと思うんですよね。真偽以前の問題で、これはきのうも朝報道されていますし、もっと言いますと、共同通信ですか、ある通信社では、きのうの午前零時だったと思いますけれども、報道が出ています。つまり、もう一日半たっているわけです。

 実際の真偽はともかくとして、これは逆に言えば韓国紙に抗議をしなければいけないかもしれないような重大な内容ですし、実際、外務省のどなたかわかりませんけれども、担当者の方はコメントを外に出されているわけです。そのことについて大臣が一日以上たっても知らなかったということ自体が、この文書の真偽を超えて大変重要な、外務省の情報管理といいますか指揮命令系統にかかわる問題だと思います。

麻生国務大臣 見解の相違だと思いますけれども、韓国に限らず、すべての新聞の記事に対して、情報漏えいがあったとか、それに対してどうしたとかこうしたとかいう話は、全部外務大臣に上がってくるというのをやっておりますと、とても私のほかの仕事ができなくなりますので、正直申し上げて、この話に関しましては、今言われましたけれども、私どもとしては、それが直ちに外務省の指揮命令系統に重大な影響があるのではないかというような感じでとらえてはおりません。

津村委員 昨日の報道だけを見ても、二点ほど外務省にかかわる対応が既に報道されています。

 一つはこの内容。そもそもこの外務省の文書の内容というのが、盧武鉉大統領はレームダック化を避けるために任期中反日強硬論を放棄しないと日本外務省が分析しているという、その文書が流出したというわけですね。

 そのことの中身は本日はさておいても、その報道を受けて、潘基文外交通商相が日本大使館の公使を呼んで事実確認を求めるとともに、今後の厳重な対応を示唆したということがきのうの報道にあるんです。これは、かなり大きな外交的な出来事だと思うんですよね。

 さらに、その前日です、二日前ですね。外務省の鹿取外務報道官がこのことについてコメントを出されていて、今回報じられた文書が外務省のものであるかどうかはコメントを差し控えたい、コメント自体は差し控えられていますけれども、少なくとも二日前記者会見でも話題になっているということです。

 それを、きょうは七日ですから、二日たって大臣が御存じないということが問題ではないかと申し上げているんです。(発言する者あり)いや、そんな軽いことじゃないですよ。

麻生国務大臣 この資料によりますと、盧武鉉大統領何とかかんとか、ずっと細かいのが書いてあります。これは韓国語と両方書いてあるようですけれども、これは日本側として、この種の分析をしたという話も私どもとしては確認ができておりませんし、向こうの記事が書かれたといって、それがすべて大重要問題だといって機密漏えいとも存じませんし、その種の話がいろいろなところでされているのはよくある話でもあります。

 ただ、これは公文書として外に出たとか漏えいしたとか、外務省の執行部の中でこの種の話を公式に交わしているということはございませんので、したがって機密漏えいという感じに受け取っていないというように御理解いただいたらよろしいんじゃないでしょうか。

津村委員 それでは、別のお尋ねの仕方をします。

 五日にこの韓国の潘基文外交通商大臣が日本大使館の公使を呼んで事実確認を求めたということですが、これに対してはどう対応される、いつごろ対応される予定ですか。

麻生国務大臣 潘基文に呼ばれたというのは事実だそうです。

津村委員 先方から事実確認を求められたわけですが、それに対してどう対応されるおつもりですか。

麻生国務大臣 先方からの申し入れに対しましては、我々の方は、この種のことに関しては一々コメントすることはしないというふうに答えております。

津村委員 今後、外務省として本件にどのような対応を考えていらっしゃいますか。

麻生国務大臣 おととい、広報官より申し上げましたとおり、一々コメントをしない。新聞記事というのはいっぱいございますから、それを全部取り上げて全部反論をしていくというようなことは通常は余りやらぬということにしておりますので、外務大臣から呼ばれた我々の方もそう答弁をしておりますので、今後ともそのように対応してまいりたいと思っております。

津村委員 最後にもう一回確認してこの質問については終わりたいと思いますが、大臣がこの報道に初めて接せられた、この件、日韓の間でこの文書についてのやりとり、公使を通じてのやりとりがあったのを初めて知ったのは、けさ、今ですね。

麻生国務大臣 向こうの外務大臣から当方の公使に対して話があったというのを聞きましたのはきょうです。

津村委員 それでは、次の質問に移ります。

 四月四日と五日に審議官級協議が行われました。その内容についてお伺いします。

 また、当初三日間の予定であったこの審議官級協議が二日で打ち切られたわけです。しかも、合意に至らずに予定より早く打ち切られたわけですが、どうしてこれはぎりぎりまで交渉を続けなかったのか。打ち切った理由も教えてください。

麻生国務大臣 御指摘のとおり四、五、六の三日間でやる予定になっておりましたものが、五日の段階で、審議官クラスのレベルでは、一致をする段階また一致をできない段階等々が一通り議論を終了したという背景に基づいておりますので、これ以上は持ち帰って上級レベルに上げない限りは先に進まないという判断をさせていただきました。内容を詳細申し上げられませんけれども、基本的にはそういうところです。

津村委員 十三日、十四日に次回の審議官級協議が実施されるという報道もありますけれども、これも報道ですから、外務大臣に確認したいんですが、次回の協議の予定とそれから最終的な合意に至るめどにつきましてお聞きします。

麻生国務大臣 次回会合、十三、十四日、東京でということは報道されておりますとおりで、今御指摘のありましたとおりでありまして、この点につきましては日米間の認識も十三、十四、東京で行うということに関しましては一致をいたしております。

 また、それに関していつごろまでに決着ができるのかという件につきましては、なるべく早く決着をつけたいと思っておりますけれども、今の段階でいつまでということを正確に申し上げる段階にはございません。

津村委員 それでは、少し具体的に伺っていきます。

 日本が在沖縄の米海兵隊のグアムへの移転費用を負担するという議論がありますが、その根拠、あるいはどの程度負担していくというその基準、どういうふうにこの議論を整理すればいいのか、思いやり予算との比較でお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 まず、今の根拠につきましては、私どもは、在沖縄海兵隊に限りませんけれども、沖縄の基地の存在というものが沖縄県民にとって大きな負担であるというのは戦後約六十年間変わらないところだと存じます。

 この際、その隊員の絶対量が約八千人、家族含めて約一万七千人という数が減り得るという可能性が今出てきておりますので、私どもとしては、沖縄の基地のいわゆる住民の負担軽減というものを優先したいというのを優先順位のまず一番に考えました。同時に、抑止力の維持ということも私どもにとっては大事な点であります。したがって、一見二律背反するようなこの二つのことをどのようにうまく決着をつけるかというところが最大の関心事であります。

 したがって、今回、沖縄からグアムに移転する隊員がなるべく早く沖縄から出ていくというのが基地を持っております沖縄県民の負担の軽減の促進につながりますから、なるべく早くというのが私どもの考えた大きな要点でして、移転をするに当たってはそれなりの費用がかかりますが、アメリカ政府の財政事情というのは、双子の赤字を抱えて、わからぬわけではありませんので、ほっておきますとこのまま十年先か二十年先かわからぬということでは、沖縄の人たちにとっても、今の状況が二十年続くのでは全く話にならぬということになろうと思います。

 なるべく早くということになりますと、今、辺野古の移転の話につきましても、あの移転も、このまままた海の上でやり始めますと九年ぐらいかかるであろう、それはとてもということで陸上案というのが出てきた背景でもありますので、そういった意味からいきますと、なるべく早くということを申し上げるのであれば、少なくとも、沖縄の基地の移転を促進するために、私どもとしてそれ相応の負担を払うというのは理解していただけるところではないか、それが一番大きな背景の一つです。

 それからもう一点、お尋ねのありましたのは、その内容をどれくらい負担ということにつきましては、これは向こうとなかなか話の折り合わないところだろうとは存じますが、沖縄から移転をされる海兵隊並びにその軍属等々の住居また生活に必要ないろいろなもの、そういった基本的なものを考えるというのが私どもの基本的な考え方の背景というように御理解いただければと存じます。

津村委員 よくわかったんですが、その場合、その住居及び生活関連の費用というのは、思いやり予算がそうであるように、最初の建設コストもありますし、その後、それを維持していくメンテナンスのコストというものもあるわけですね。

 しかし、それを言い出すと、グアムは日本ではありませんから、これからずっとそれの面倒を永久に見ていくということになると、これはまた今後も費用が膨らんでいくわけで、これは、今回一回きりの、イニシャルコストといいますか、最初だけのものなのか、それとも生活関連の維持補修も含めて今後も面倒を見ていくということなのか、そこは違いを教えてください。

塩崎副大臣 今、大臣の方から申し上げましたように、なるべく早くこの移転を進めるために、資金負担ということを検討しているわけでありますが、今のその後の維持等々の経費についてどうなんだ、含まれるのか、こういう御指摘でございますが、今回は移転に伴う費用について議論しているわけであります。今の、維持費等々に何が入るのかというのが、御指摘をされているのかよくわかりませんが、とりあえず今は移転に関して議論をし、そしてその他については今後の協議にかかっている、こういうことだと思います。

津村委員 重ねてお伺いします。

 副大臣のお答えで結構なんですけれども、今協議をされているわけですが、この協議で合意されるのがどこまでを含むかということをお尋ねしているんですけれども、今回合意されたもの以上に、また来年、再来年、それのメンテナンスのための協議をしたり、それを、追加的なコストが発生する、日本側が負担する可能性があるのかないのか。今回限りなのかどうかということをお尋ねしています。今回限りの交渉ということでよろしいんでしょうか。

塩崎副大臣 とりあえず移転に関する協議ということであります。

津村委員 移転に関連する協議とおっしゃったわけですけれども、その中で、大臣の御答弁で生活関連という言葉が出てきたわけです。その生活関連というのは、最初に移住すること自体はそれは生活じゃありませんから、そこから先にその生活が続いていくわけで、メンテナンスのコストが発生するわけです。それはもう日本の負担ではないと私は思うのですが、そこの線引きをしっかりとしていただかなければ、今回何を協議しているのかがはっきりしなくなる。そこの時間軸を切らなければいけないと思うんですが、今回、移転費用は今回限り、生活関連も含めて今回限りということでよろしいですか。

塩崎副大臣 生活関連を含めて、今回に限っての資金負担についての協議を今行っているということでございます。

津村委員 ありがとうございました。

 もう一点お伺いしますけれども、今回、在沖縄のアメリカの海兵隊がグアムに移転するというわけですから、駐留米軍の数は減るわけですね。そうすると今度は、いわゆる思いやり予算の方は、当然負担が減っていってしかるべきだと思うんですが……(麻生国務大臣「国内の」と呼ぶ)国内の、はい。国内の思いやり予算はどの程度の削減が見込まれるでしょうか。

麻生国務大臣 国内のホスト・ネーション・サポートというものにつきましては、どのようなあれになるか、現時点について確固として、これだけの数が減ってこれだけ減りますといってきちんと計算ができているわけではありません。

 ただし、御指摘のように、在日米軍の再編に伴いまして人が減っていくことは確かでありますので、ちょっとその成り行きを見た上でないと何とも申し上げられませんけれども、常識的には、いろいろな形で、一万七千人分というようなものの数は、単純計算すればそういった形で減り得るということだと思いますので、私どもとして、その細目についてまだ詰めているわけではございません。

津村委員 これは、副大臣も財政金融に大変お詳しいと思うんですけれども、これからどのぐらいの額が将来減っていくと見込まれるかということで、それを利子率で割り引いて、将来どれだけキャッシュフローが減っていくかということを現在価値に置き直して計算するというのが一つの積算になると思うんですね、それがすべてとは言いません、アメリカとの交渉ですけれども。

 実際、どのぐらいの今後の日本側の財政負担を減らす価値があるのかということは、今回交渉するに当たって欠かせない一つの分析だと思うんですが、そういう分析はなされていないということですか。

麻生国務大臣 今の積算方法は、確かに、日本銀行もそういった感じで市中銀行と同じように計算しておられるんだなと思って私どもも安心して聞いていたんですが、おっしゃるとおりなんですよ、当たり前の話なんで。ただ、そこのところが、兵力再編の影響がどれほどになるかというのはちょっと正直今のところ明らかじゃないので、従来のように五年じゃなくて二年にしよう、少なくとも今わからぬからという話をした背景というのはこれなんだと思います。

 そういった意味では、現時点で、もうちょっと明らかにならぬと、どれくらいの額が減らせるかということに関しましては、正直、今の段階でどうのこうのと額が言えるか、ただ、計算の方法としては、今言われたようなものが基本になり得るんだ、私もそう思います。

津村委員 ちょっと三条約について伺おうと思うんですけれども、話が少し長引いたので二点ほどしかお聞きできませんけれども、今、ICAOというんですか、この機関を含め、三機関の日本人の職員の数というのは何人いるのか、そしてそれは数として十分と評価されているのか、この二点を聞かせてください。

麻生国務大臣 四人です。

津村委員 その数は十分だとお考えですか。

麻生国務大臣 私どもとしては、この部分に関しましては、航空の部門が、いろいろな意味で、ICAO、いろいろほかにございますけれども、この種の話は、だんだん広がっていく範囲でもありますので、日本の職員なり、この地域のことがわかっている人の、職員の数はふやしたい、基本的にはそう思っております。

津村委員 時間が参りましたのでこれで質問を終わりますが、事前の通告にもかかわらず御質問できなかった副長官にはおわびしたいと思います。申しわけありませんでした。

麻生国務大臣 津村さん、ちょっと正確に、さっきのあれを、やりとりについて今確認をしましたので。

 韓国政府のやりとりについて、五日午前、これは潘基文に呼ばれたことはありません、アジア太平洋局長から在韓国日本大使館公使に対して話があったのであって、潘基文外交部長の記者会見で、本件について、事実であれば韓国として厳格に対応せざるを得ないと、潘基文はそこで発表したのであって、呼んだ本人はアジア太平洋局長というのが正確です。

津村委員 終わります。

原田委員長 次に、三ッ矢憲生君。

三ッ矢委員 おはようございます。自由民主党の三ッ矢憲生でございます。

 津村委員から余り条約関係の質問がなかったものですから、私は条約関係を中心に御質問させていただきたいと思います。

 ただ、その前に一つだけ、在日米軍の再編の問題に関して、これは質問じゃなくて要望を申し上げておきたいと思うんですが、きのう、おとといというか、四日、五日と審議官級協議も行われました。また来週行われるやに聞いておりますし、普天間の問題も、きょうですか、防衛庁長官と地元の方でまた話をされるというふうに伺っております。

 ただ、一つ要望を申し上げておきたいのは、もちろん基地の移転、それからそれに伴う経費の負担、これも非常に重要な話ではあるんですけれども、やはり在日米軍の再編が、我が国、それから我が国を取り巻くこの周辺地域の安全保障にとってどういう影響があるのか、またそれに対して我が国がどういう体制をとっていこうとしているのかというのは、必ずしも私、国民に十分、PRといいますか周知されていないんじゃないかというふうに思っておりまして、今からでも遅くないので、ぜひ政府におかれましては、今度の在日米軍の再編の話が、実は、こういう大きな影響といいますか効果といいますか、あるんだということを、PRをぜひお願いしたいというふうに思っております。ぜひ国民の理解を得るように努力をしていただきたいなという思いでいっぱいでございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、条約関連の質問に入りたいと思います。

 最初に、ICAO改正議定書の関係でございますが、この議定書、一九八九年、ICAOの第二十七回総会において作成されたというふうに伺っております。

 外務省は常々、早期に締結することが望ましいと言っているにもかかわらず、国会へ提出するまでに実に十七年かかっております。しばしば、なかなか国会に上程できない理由として、国内法の整備に時間がかかるとか、そういう説明をされるわけでございますけれども、この議定書は、新しい立法措置も予算措置も必要ないわけでございまして、この理由は当たらないんじゃないか。

 なぜ国会提出までに十七年もかかったのか、まずその理由についてお伺いしたいと思います。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国としては、従来、最も進んだ技術的知見を備えた比較的少数の専門家によって高い安全基準を迅速に策定する場として航空委員会の性格を維持することが重要と考えておりまして、委員数の増加に関しましては慎重な態度をとってきたところでございます。

 他方、航空委員会の委員の数を十五とする議定書が採択されました一九七一年には、国際民間航空機関の加盟国は百十五カ国でございましたが、委員の数を十九とする本議定書が採択された一九八九年には、十七年前になりますけれども、その加盟国数は百五十九にまで増加いたしました。また、その後、加盟国数はさらにふえまして、現在は百八十九に至っております。

 こういう状況のもと、国際航空の安全を確保するためには、さまざまな技術水準にある国が国際運送に従事しているという現状を航空委員会の構成にも反映せざるを得ない、こういう状況がございまして、これがICAOの加盟国の共通の認識となってございます。

 こういった諸事情を勘案いたしまして、数年来検討を重ねてまいったところでございますけれども、今般、先ほど申しましたような、国際社会の趨勢と歩調を合わせて本議定書を締結することが、国際航空の安全を確保する観点及びICAOにおきます我が国の発言力を確保する観点からも望ましいと判断いたしまして、今回、本議定書を国会に提出した次第でございます。

三ッ矢委員 この議定書は去年発効したわけでございまして、今御説明がございましたように、航空委員会の委員の数が十五から十九にふえたわけでございます。この議定書の作成の際に、外務省の方で心配されていたと思いますが、要するに、数がふえると意思決定に時間がかかるんじゃないかというような予測もあるわけでございます。

 ただ、最近の航空、運航の安全それから航空保安等を取り巻く環境の変化というのは、非常に激しいといいますか、変転非常に激しいものがございまして、もちろん慎重に審議が必要なんですけれども、いろいろな事項につきまして迅速に決定しないと対応できないというような状況も出てくるわけでございますが、日本がこれまで航空委員会の運営においてどういう役割を果たしてきたのか、それから、今後、機動的な意思決定について、どのようなリーダーシップを発揮されようと考えておるのか、その点についてお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、谷本委員長代理着席〕

神余政府参考人 先ほど委員御指摘のありましたように、スピードを持って決定するということと多様性をどう反映するかというところの兼ね合いはなかなか難しい点でございますけれども、御指摘のとおりでございます。

 ただ、その中で、日本としてはどういうリーダーシップをとろうとしているのかという御質問でございますけれども、我が国の出身の委員は、一九五六年よりほぼ連続して選出をされてきております。この間、我が国の委員は、委員の持つ個人的な、専門的な知識を生かしまして、航空安全あるいは航空保安、環境保護等幅広い分野におきまして国際標準作成のための議論に活発にかかわってきたというふうに存じております。

 また、近年、国際民間航空機関の航空技術政策の重点は、先進国を中心とした国際標準策定から、途上国も含むこれらの国際標準の広範な履行の確保というところに急速に移っております。また、特に近年、アジアにおきます国際航空運送量及び我が国とアジア諸国の間の航空交通量が大変増加しているという状況が起こっております。

 こういう国際的な状況を踏まえ、国際航空分野の先進国である我が国としては、こういった状況変化を踏まえまして、アジア諸国と連携しながら、安全、保安、環境保護等の幅広い分野におきます国際標準に我が国の国益と実情を一層反映させるべく、航空委員会におきましても積極的にリーダーシップをとっていきたいというふうに考えております。

三ッ矢委員 言葉だけじゃなくて、ぜひ実質的な意味でリーダーシップをとっていただくようによろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、航空保安の関係で少しお伺いしたいと思いますが、二〇〇一年九月十一日の米国同時多発テロから四年半が経過したわけでございます。新聞報道等にもございましたが、三月二十七日、同時テロへの共謀罪などで起訴されましたモロッコ系フランス人のザカリアス・ムサウィ被告が、アメリカ・バージニア州の連邦地裁におきまして、実は、みずから五機目の民間機をハイジャックして、ホワイトハウスに突入する計画だったと証言しております。

 仮にこれが実行されていましたら、まさにアメリカの国家中枢を直撃することになったわけでございますが、これをまた再び試みようとするようなやからが出てくる可能性も捨て切れないわけでございます。

 航空機を使ったテロは何としても防止しなければならないわけでございますが、既に、国際的には、ハイジャック防止のための強化コックピットあるいはドアの配備、空港従事者の身元調査の徹底、それから制限エリアへの立ち入り制限、検査済みの旅客それから手荷物へのアクセスの制限といった、これは二〇〇四年のシーアイランド・サミットで採択された安全かつ容易な海外渡航イニシアチブというんですか、SAFTIと呼んでおりますが、これに沿った施策が進められているわけでございますけれども、アメリカの同時多発テロ以降に我が国がとった航空保安対策の現状と、それから将来的な強化策についてお尋ねしたいと思います。

本田政府参考人 お答えを申し上げます。

 米国の同時多発テロ以降、直ちに最高レベルの空港厳戒態勢をとらせていただきまして、実はこの措置は現在も講じさせていただき、事実上恒久化させていただいております。

 具体的に申し上げますと、金属探知機あるいはエックス線検査装置を用いて、非常に厳格な旅客あるいは機内持ち込み手荷物の全数検査を実施させていただいております。一部、多少、ピークのときにはお客様に大変御迷惑をおかけしておりますけれども、この措置は引き続き講じていきたいと考えております。

 同時に、手荷物検査システムにつきましても、最新の技術で爆発物を自動的に検知するでありますとか、あるいはガソリンを初め危険な液体物を検知する、そういった新しい技術が開発されておりますので、積極的にそういった施策の導入をさせていただいております。

 それから、空港へ出入りする人々のいわば不法侵入対策につきましても、実は、本年一月からは、従来の対策に加えまして、航空会社の地上職員あるいは空港ビルのテナントの職員も対象とした保安検査を開始させていただいております。

 さらに、航空貨物につきましては、荷主の手から飛行機に搭載されるまで、すべての過程をチェックする、そういった制度もこの四月から導入をさせていただいております。

 ただ、こうした措置は、当然、関係の皆さんに対しての負担を伴うものですから、私どもの空港整備特別会計から十八年度予算におきましても七十七億円の補助をさせていただいておるということでありまして、引き続きこういった施策を講じてまいりますし、適宜強化をしてまいりたい、こう考えております。

三ッ矢委員 今のお話の中にちょっとなかったんですが、二〇〇四年の十二月からはスカイマーシャルも導入されておるというふうに聞いておりますので、いろいろな制度を組み合わせて、ぜひ空の安全に万全を期していただきたいというふうに思うわけでございます。

 次に、実は、テロとかハイジャック以前の問題として、まず航空機の運航の安全が確保されているかどうかということでございますが、最近、特定の会社の名前を挙げて言うのもなんですが、日本航空でございますとかあるいはスカイマークエアラインズ、どうも、規制緩和の影響があったのかどうか私もわかりませんが、整備上の手抜きですとか運航上のいろいろなふぐあいが頻発しているように見受けられるわけでございます。

 国土交通委員会の方でもこの関係で集中審議をされるというふうにも伺っておるんですが、どうも効率優先で安全を軽視した運航が行われているんじゃないかということで大変危惧しておるわけでございます。

 民間航空の安全確保の現状についてお考えをお伺いしたいのと、あわせまして、ICAOとの関係で、どうも、我が国はICAOの中ではカテゴリー1ということで、航空運送において最も重要な国である、言ってみれば最先端を行っている国であるということで位置づけられておるわけでございますけれども、こんな状況が続きますと、ICAOの中での我が国のステータスといいますか、評価といいますか、これに傷がつくんじゃないかというふうにも思うわけでございまして、この民間航空の現状と我が国の国際的な評価との関係についても、あわせてお伺いしたいと思います。

本田政府参考人 まず、航空関係の安全に関しての現状あるいは対策についてお答えを申し上げたいと思います。

 日本におきましては、一九八六年以降、約二十年にわたり、今までのところ旅客の死亡事故は発生しておりません。ただ、先生御指摘のとおり、とりわけ昨年来、ヒューマンエラーあるいは機材のふぐあいといったさまざまなトラブルが発生しておるのは事実でございまして、こういったトラブルが万が一にも事故につながることのないよう、万全の対策をできる限りの力でやってまいりたいと考えております。

 具体的には、まず、規制緩和云々の議論はございましたけれども、安全を最優先とする事業運営、経営の中で、安全というものをもう一度しっかり確立していただくために、航空会社において、安全管理規程の作成の義務づけ、あるいは安全統括責任者、そういったものを置くということ、あるいは安全に関しての情報を積極的に公にしていく、こういったことが必要だという観点から、今国会に航空法の一部改正法案を提出させていただきまして、おかげさまで既に成立させていただいております。

 また、各航空会社の現場の監視体制という点については、今まで必ずしも十分な体制がとれてきておりませんでしたが、今回の十八年度予算の中で、本年の十月からでございますが、私ども航空局の中に、二十名程度の専従の監査チーム、こういったものを編成いたしまして、各航空会社ごとに常時監視体制をスタートしたいと思っております。

 ただ、この本格的な発足は十月になりますけれども、それを待っておるわけにはまいりませんので、例えば、非常に今対応に追われております、具体的に言えばスカイマークエアラインズに対しましては、去る三月から七名の特別の監査チームを羽田に常駐させまして、常時監視をしておりますし、それから、最近も検査の不備という形でトラブルを起こしております日本航空に対しましても、適宜、立入検査を随時実施していきたいというふうに考えております。

神余政府参考人 我が国は、国際民間航空機関で採用されました国際標準あるいは勧告規定を遵守できますよう、国内法の制度を整備いたしますとともに、監督体制の強化等を通じまして、民間航空の安全な発展のために今までずっと誠実に取り組んできた次第でございます。

 他方、ICAOの場におきまして、我が国の航空会社で起きている、先ほど御指摘のような安全上のトラブルに対して懸念を表明するような意見は表明されておりません。

 ただ、いずれにいたしましても、我が国といたしましては、ICAOにおきます国際的な名声、評価、これを損なわないためにも、政府として一丸となりまして、ICAOの国際標準及び勧告規定の履行状況の監督強化を含めまして、安全確保に万全を期していく所存でございます。

三ッ矢委員 もちろん航空機の安全運航の確保というのは、人を乗せるあるいは貨物を運ぶという上で大前提でありますから、政府もきちんと民間航空会社に対して実効性の上がる措置をとっていただきたいと思っていますし、先ほどこの議定書の改正の中で、我が国も引き続きリーダーシップをとって各国を引っ張っていきたいというお話がございましたし、そのためにも、国際的な評価が落ちるようなことのないように、これは政府一丸となって取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 それでは、続きまして、国際水路機関条約改正議定書の関係でお尋ねしたいと思います。

 これは、国際水路機関、場所は非常にいいところにあるんですね、モナコにあって、ただ、非常に技術的で、割と地味な国際機関だと思うんですが、いっとき話題になりましたのが、海図を作成するに当たって、国際的な海図をつくる際に、韓国が、日本海という呼称をやめて東海という名前にしろ、こういう要求といいますか提案があったというようなことで一時話題になったことがあったというふうに記憶しております。

 今回の議定書の関係でちょっと御質問いたしますが、実は、この国際水路機関、一九八七年に理事の選出方法に関する条約改正案が採択されております。それから、九七年にも、これは皮肉な話でありますが、長期間にわたり批准されない条約改正案は無効にするという内容の条約改正案が採択されております。ところが、これはいずれも発効していないんですね。三分の二が批准要件なんですが、どちらもその要件をクリアできずに発効していない。

 そうした過去の事情を見ますと、今回のこの改正議定書が果たして本当に早期に発効するのかということを危惧しておるわけでございますが、各国の取り組み状況とこの議定書の発効見通しについて、まずお尋ねしたいと思います。

神余政府参考人 一九八七年の改正でございますけれども、この点につきまして、まずお答え申し上げますと、当時開催されました第十三回国際水路会議におけるこの改正におきましては、相当数の国が反対ないし棄権というのがございまして、そういうこともありまして現在批准がおくれているというのが現状でございます。ちなみに、我が国は棄権をいたしました。

 他方、今回の改正でございますけれども、この議定書が発効するためには、条約の締約国数の三分の二、すなわち五十カ国が必要でございます。本年二月一日現在、五カ国が締結をしている、こういう状況でございます。この批准のためにはさらなる努力が必要であるというふうに考えておりますけれども、ほかにも数カ国が早期の締結に向けて準備を行っている状況であるというふうに承知をしております。

 現時点で、発効の見通しでございますけれども、確たることを申し上げる段階にはございませんけれども、我が国としては、この改正が早期に発効することが望ましいというふうに考えておりますので、他の加盟国に対してもこの改正の締結を働きかけていく所存でございます。

三ッ矢委員 まだ五カ国ということですから、道は遠いのかなと思っておりますけれども、ぜひ未批准国への積極的な働きかけを行っていっていただきたいなというふうに思っております。

 続きまして、国際海事機関条約の改正についてお尋ねしたいと思います。

 これも、実はこの改正、一九九一年の総会で採択されたものだと伺っております。十四年たった今日においてもまだ発効していない。日本も今日まで批准を見送ってきたわけでございますが、十四年間時間を費やしても発効していない条約改正を、あえて今我が国が受諾するメリットといいますか、理由と言った方がいいんでしょうか、まずその点についてお伺いしたいと思います。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 この条約の改正は、国際海事機関、IMOの中に国際海上交通の簡易化のための諸事項を検討するための正式な内部機関として簡易化委員会を設けることについて定めるものでございます。

 この委員会では、昨年御審議いただきました、かつまた通常国会で御承認いただきました国際海上交通簡易化条約、FAL条約の見直し作業が毎年行われているわけでございます。

 現在、この簡易化委員会では、インターネット技術の進展に伴う電子的な入出港手続の基準の整備や、米国におきます同時多発テロ以降、特に重視されるようになってきましたセキュリティーの確保と入出港手続の簡易化との調和といったことが重要な議題となっております。

 この条約の改正の発効には、IMO、国際海事機関の全加盟国の三分の二、すなわち現在の締約国数であります百六十六カ国を前提といたしますれば、百十一カ国による締結が必要でございます。三月現在の締約国数が九十七カ国であるということから、さらに十四カ国の締結が必要でございます。こうした中で、昨年、このFAL条約、国際海上交通簡易化条約を締結いたしました我が国に対しまして、この改正の締結がIMO加盟国から強く期待をされているところでございます。

 我が国といたしましては、この改正を締結いたしまして改正の早期発効に寄与することは、世界の海上交通のIT化の動きの中で、主要海運国として我が国の実情と国益を踏まえたルールづくりをしていく見地から、大変有意義であるというふうに考えます。また、これは我が国の港湾及び海運の国際競争力の強化に資するものと考えますので、早期に締結をしたいというふうに考えております。

三ッ矢委員 予想どおりのお答えなんですが、FAL条約を締結するのに、去年、批准いたしましたが、四十何年かかっていますね。入った以上は、今回の改正案も含めて、日本としてこの機関の中で、また国際海上運送全体の中で、先導的な役割が果たせるようにぜひ頑張っていただきたいと思っておりますが、実を言いますと、FAL条約、批准はしたのでございますけれども、最近、国際競争力という面で、我が国の港湾の状況というのは、ほかのアジアの国と比べて非常に見劣りする状況でございます。残念ながら、このFAL条約に基づくいろいろな諸手続の簡素化あるいは迅速化だけでは、なかなかそのステータスの改善ができるような状況にはないんだと思うんですね。

 例えば、二〇〇三年の我が国の港湾におけるコンテナの取扱量を見てみますと、日本で一番取扱量の多いのが東京でありますが、これは世界ランキングで十七位、その次は横浜でありますけれども、これが二十七位、それから、一九九〇年代前半までは世界ランキング六位であった神戸ですが、今や三十位以下でございます。

 また、世界第一位、これは実は香港でありますが、香港に比べて取扱量が、東京は香港の約六分の一、横浜が八分の一、神戸が十分の一。我が国の主要五港の取扱量を合計しましても、やっと世界ランキング三位の上海と同じぐらいの取扱量になる、その程度なんですね。貿易立国を称する我が国の状況としては、言葉は悪いですが、非常にお粗末な状況になっているんだと思います。

 現在、我が国では、スーパー中枢港湾というハブ港湾構想の動きですとか、あるいは貿易、港湾関連手続のシングルウインドー化等が進められておりますけれども、アジアの先進港湾と肩を並べるためには、一層の手続の簡素化や、ほかの国の港との差別化といいますか、これを図る必要があるんじゃないかと思っています。

 それからまた、港湾のみならず、陸上のインフラを含めたトータルとしての物流体制の整備、それから低コストのサービスがどうやって提供できるかというようなことが重要になってくるんだと思うんですが、現在、我が国の周辺には、巨大な中国市場、それから、これからひょっとしたら中国を超えるんじゃないかと言われておりますインド、こういう国が控えておりまして、アジア経済の勃興は、我が国経済の活性化にとりまして、一面で危機とも言えますが、一面ではチャンスでもあると思うんですね。ぜひ、この流れをチャンスとして生かせるように取り組んでいただきたい。

 国際競争力のある港湾づくりに政府を挙げて取り組んでいただきたいと思いますし、東アジアにおける我が国の経済的地位の再確立といいますか、これを図る上でも大変重要であると思うわけでございますが、政府全体としてのお取り組みについて、御決意をお伺いしたいと思います。

塩崎副大臣 三ッ矢先生御指摘のように、海上物流の拠点としての日本の地位というのは、近年、非常に競争力を失っているというのが事実ですし、私も、九〇年代にこの傾向が顕著になったときに、今やトップと二位であります香港、シンガポール、いずれにも行って、港湾当局にいろいろ話を聞いたりいたしました。

 また、今後のことを考えてみると、中国、そしてまた今御指摘のインドのこともあって、本当にこれは真剣に考えないといけないというふうに私自身も思っているわけで、今のIMOのFAL条約で、昨年九月に手続の簡素化というのは行いましたけれども、これだけではとてもじゃないけれども間に合わないということは、私もそのとおりだと思います。

 振り返ってみれば、そもそも国土の均衡ある発展ということで、その限られた資源、つまり税源を全国いろいろなところに、港湾に割り振ったがゆえに、どれかが圧倒的に強いというのがなくなってしまったということ、そういうことで、今スーパー中枢港湾というアイデアが出てきてやっていますけれども、なかなかこれで、何しろ一けた数字が違うというふうなことになっているわけですから、一朝一夕にこの彼我の差が縮まるとはとても思えないというふうに思えるわけであって、そういう意味では、差別化をどう図っていくのかとか、あらゆる知恵を出してやっていかないといけないんだろうと思います。

 しかし、物流の拠点になるということは、もちろん、その周辺産業、経済効果ということも多いゆえに、やはり情報も集まりやすいというようなこともございますし、こういった点については、今お話しのような方向性をあらゆる面で考えながら、戦略を絞り込んでいかなきゃいけないと思っております。

 今回、この国会にも、国土交通省から、海上物流の基盤強化のための港湾法等の一部を改正する法律案ということで、国際競争力の強化とか海運の効率化及び安全性の向上というのがありますが、まだまだこれについては腹決めをしてやっていかなきゃいけないことだろうと思っておりますので、また先生のお知恵をしっかり出していただいて、頑張っていかなきゃいけない、こう思っております。

三ッ矢委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 我が国は、GDPで世界二位とはいえ、このままいきますと、どうも経済的な地位の低下は否めない。もう一度、日本に、その国力にふさわしいような貿易のためのインフラ整備それからソフト面の整備も含めて、政府を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思っておる次第でございます。

 次に、ちょっと条約と離れますが、大陸棚関係でお伺いしたいと思います。

 国連海洋法条約で、沿岸から二百海里までの海底及び海底下を沿岸国の大陸棚にするとこれは決まっておるわけでございますが、それに加えまして、海底の地形、地質が一定の条件を満たす場合、国連の勧告に基づき、二百海里を超えて三百五十海里まで延長して大陸棚の限界を設定することができるというふうにされておるわけでございますが、これを設定する場合には、大陸棚限界委員会に、大陸棚の限界に関する詳細なデータを提出しなければならない。

 我が国も、平成十六年以降、この調査を実施していると伺っております。提出期限が二〇〇九年の五月十三日でございますが、期限まで残り三年となってきております。これまでの政府の方針では、たしか二〇〇七年の十二月末までに調査を終了する予定だというふうに伺っておるわけでございますが、この調査の進捗状況について御説明いただきたいと思います。

島崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の二百海里を超える大陸棚の設定につきましては、我が国の国益に直結いたします重要な課題であるという認識を持っておりまして、内閣官房に設置されております大陸棚調査対策室の総合調整のもとに、関係省庁が緊密に連携をいたしまして、政府一体となった取り組みを進めておるところでございます。

 調査のことでございますが、大陸棚限界のための海域の調査につきましては、平成十六年度から、海上保安庁、文部科学省、経済産業省が分担をいたしまして調査を進めております。

 国連の大陸棚の限界委員会に対します提出に向けた今後のスケジュールでございますが、先生も御指摘がありましたように、平成十九年末までに海域における調査を完了いたしまして、これをもとに平成二十年末までに大陸棚の限界に関する情報の取りまとめを終了し、期限までに同委員会へ提出をするということにいたしております。

 これまでのところ、調査につきましては予定どおり順調に進捗をしておりまして、平成十七年度までに予定をいたしております調査の約半分が完了しておるという状況でございます。平成十八年度におきましても、政府全体で約百十八億円の予算を計上しておりまして、必要な調査を進めることといたしておるところでございます。

 以上でございます。

三ッ矢委員 自然資源の乏しい我が国にとりまして、これが認められるか認められないかは大変大きな影響があると思っているんですね。ぜひ説得力のある調査結果が出るように期待しております。

 最後にちょっと沖ノ鳥島の関係でお伺いしたいと思いますが、海上保安庁が行った調査結果によりますと、沖ノ鳥島の南、小笠原の東海域など、二百海里の外側に我が国の大陸棚として認められそうな海域が約六十五万平方キロもあるということが明らかになっております。

 少々気になりますのは、この沖ノ鳥島の扱いでございますが、もちろん我が国は島だと言っておるわけですけれども、そうじゃないんだと言っている国もあるわけでございまして、これを対外的にも、もちろん島として国際的に認知してもらわないといけないわけでありますが、現在、沖ノ鳥島で経済的な活動が恒常的に行われているということを認知させるための措置を講じようという動きがあると承知しております。

 一つは、沖ノ鳥島への灯台の設置の話でございます。まず、その灯台建設の具体的内容と完成時期を教えていただきたいのと、それから、それ以外に何か具体的な利用計画があるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。

谷本委員長代理 答弁者、早くお願いします。

木寺政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘の具体的な沖ノ鳥島における事業、工事等については、外務省はつぶさに今資料を持ち合わせておりません。

 条約で言っております、百二十一条三項でございますけれども、人間の居住その他独自の経済的生活を維持するために何らかの施策が必要でないかということが書かれておりますけれども、我が国といたしましては、歴史的に沖ノ鳥島を島として有効に支配してきておりまして、我が国が支配する領海を越えて漁業水域等を持ち得る島としての地位が既に確立していることを踏まえまして、国連海洋法条約に基づきまして、国内法により、その周辺海域に排他的経済水域等を設定してきております。このように、既に確立している権限及びそのような島としての地位は疑いのないものだと考えております。

 したがいまして、沖ノ鳥島との関係で、国連海洋法条約に照らしまして、人間の居住または独自の経済的生活を維持するための施策の有無を検討するということは、国連海洋法条約に基づいて排他的水域等を設定できる島としての地位とは一応関係がないと考えております。

 済みません。

三ッ矢委員 済みません、私はちゃんと通告してあったつもりなんですが。こういうことがないように、ぜひきちんと対応していただくことを要望申し上げておきたいと思います。

 ちょっともう時間がなくなりましたけれども、最後に一点だけ、簡単で結構でございますが、やはり沖ノ鳥島の関係で、これは最近、中国海軍の観測船とか海洋調査船がしばしば活動をしておりまして、この関係で一つ申し上げたいのは、国連海洋法条約七十五条で、境界画定線の話が出ているんですね。

 これは、海図に示して公表して、国連事務総長に寄託するということになっておるわけでございますが、我が国はこれをやっているのかどうか、まずその点をお伺いしたいのと、もしやっていないのであればなぜやっていないのか、お伺いしたいと思います。

塩崎副大臣 御指摘のように、国連海洋法条約の第七十五条の定めがあって、排他的経済水域の外側の限界線及び関係国との間で合意した境界画定線を海図に表示して、そして、その海図の写し等を国連事務総長に寄託するということになっているわけであります。

 今お尋ねの件でありますけれども、三つの理由でまだ今のところ寄託することはしていないということなんですが、一つ目は、現時点において相対国との間で排他的経済水域の境界が画定していないということがまず第一点。第二点は、相対する中国、ロシア、韓国等いずれの国も、自身、このような海図を国連事務総長に寄託していない。それから三番目は、これまで排他的経済水域の範囲を明示した海図等を国連事務総長に寄託した国は極めて限られているということもあって、今のところ、この海図を公表し寄託するということはしていないということでございます。

 いずれにしても、政府、外務省としては、関係省庁とも協力をしながら、国連海洋法条約に基づく我が国の主権的権利その他の権利が侵害されないよう対応をしっかりとやっていかなきゃいけないと思っております。もちろん領土の問題については、先ほど答弁したとおり、我が国の固有の領土であることは間違いないということでございます。

三ッ矢委員 時間が参りましたので終わりますが、ぜひ、ほかの国との関係ももちろんありますが、やはり我が国が主張すべきところはきちんと主張していただきたいということを御要望申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

谷本委員長代理 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 本日は、国際民間航空条約の改正、国際水路機関条約の改正議定書及び国際海事機関条約の改正について質問をさせていただきます。

 まず、国際水路機関条約、いわゆるIHOでございますけれども、今回のIHOの改正におきまして、IHOに対する加盟条件に関しまして、国連に加盟をしている国については届け出を出すだけで加盟を認めること、また、国連未加盟国については、今までと同様に加盟国の三分の二の賛成を必要とする旨の規定を設けました。

 今回の改正において、あえて国連加盟国と国連未加盟国に対して差を設けた理由をお伺いいたします。

塩崎副大臣 現行の条約のもとでは、IHOに新たな国が加盟するためには、全加盟国の三分の二の承認が必要だということでございます。現在七十六カ国が加盟をしているわけでありますけれども、国際航海の安全を向上するためには、たくさんの、より多くの国が入っていただいた方が望ましい、こう考えられるわけであります。

 それで、今お話もございましたけれども、改正議定書の作成過程において、加盟国を増大させるために加盟要件を緩和するということが合意されて、第十七条において、国連加盟国については、IHOへの加盟に当たり、加盟国の三分の二の承認を不要として、加入を開放するということにしたわけでございます。

 なお、国際海運の安全に関する事項等を審議する国連の専門機関であります国際海事機関、IMOも同様の考慮から加盟方法について同趣旨の規則を設けておりますけれども、基本的にはたくさんの国が入ってもらうということを促進するためにこういうふうにしたんだということでございます。

丸谷委員 国連加盟国と未加盟国に対して今回このような差を設け、国連により多くの国が加盟をしてもらうのと同時に、またこの条約に対して多くの国が加盟をしていただく、両方の意味合いがあるのだというふうに今の御答弁から理解をいたします。

 ちょっとこれは質問通告をしておりませんので、政府参考人の方でも結構でございますが、こういった条約に対して加盟をする際に、このような違い、国連に加盟をしているかしていないかという違いを設けている条約があるかどうか、今もしわかれば、わからなければまた後日で結構ですけれども、また、今後そういった傾向が出てくるのかどうか、今の時点でわかるところまで御答弁願えればと思います。

長嶺政府参考人 ただいま副大臣から御答弁がありましたように、IMO、国際海事機関におきまして同様の規定、国連加盟国とそれ以外とを分けた規定を置いてございますが、ちょっと今手元にそれ以外の国際機関について資料を持ち合わせておりませんので、もしよろしければ、後ほど資料を提出させていただきます。

丸谷委員 では、後ほどまた教えてください。

 同様に、IHOについてもう一つ質問をさせていただきます。

 今回の改正議定書の前文には、「国際水路機関が、海上における安全及び効率を促進するためすべての沿岸国及び利害関係国が積極的に関与し、並びに海洋環境の保護及び持続可能な利用を支援する権威のある世界的な水路機関となることを目指している」との文言が新たに盛り込まれることになりました。

 国際水路機関というものに対しては、海洋環境の保全というよりは、海図等を通じて安全な航海というものを目的とした機関だというふうに承知しておりますけれども、今回あえて、このIHOにおきましても海洋環境の保全ということを盛り込んだことによりまして、これは歓迎すべきことだというふうに考えますけれども、実際に今後、この海洋環境の保全、持続可能な利用というのをどのような形で具体化していくことができるのか、この点についてお伺いをいたします。

塩崎副大臣 今御指摘のとおり、IHOは、もともと海図等の水路図誌を改善すること等によって航海の安全を図っていく、そういうことが目的でつくられた国際機関であるわけですね。

 近年の急速な情報技術の進展によって水路情報がより迅速かつ正確に海図に反映されるようになってきておりますけれども、このようなIHOの活動は、船舶による事故を防止して、もって海洋の汚染を防止することに寄与する、こういう形になっているわけでございます。また、水路業務によって得られた潮汐や水温等のデータも、航海の安全という主たる目的のみならず、海洋環境の保全のためにも活用されている、こういうことでございます。

    〔谷本委員長代理退席、委員長着席〕

丸谷委員 IHOのみならず、IMOもそうでございますし、いろいろな国際機関で海洋環境の保安、安全の維持、また、持続可能な利用ということ、一生懸命取り組んでおりますし、また、我が国としても同様の趣旨でいろいろな協力をしていると承知をしております。

 また、海に囲まれている我が国としましては、やはり、漁業はもちろん、海洋の保全というのは非常に重要なテーマでございまして、その点から関係する問題を一点取り上げさせていただきたいんです。

 先週の当委員会でも質問させていただきました。現在、知床半島の沿岸で、油にまみれて死んだ海鳥が四千羽を超えて、死骸の数が今五千羽に近づいている、そのような報告を受けております。先週の水曜日の当委員会で環境省から報告を受けたわけでございますけれども、実際にその答弁といいますのは、知床地域、現在積雪をしておりますので調査が困難であるということ、また、原因自体がいまだ判明していないという答弁でございました。

 実際には、この海鳥の死骸から二次被害も今懸念をされておりまして、油にまみれて死んだ海鳥の死骸をオオワシが食べて、またオオワシが死ぬという二次被害も出てきております。今後、雪解けとともに一層被害が広がるわけでございますけれども、何よりも望まれるのは原因究明とその被害の回復でございます。

 実際には、サハリン海域で起きたと想定されるようなこういった油の事故に関して日本が幾ら努力をしようとしても、実際に原因を調査することも、両国間にわたることですので難しい現状でございます。問題の海域はロシアとの国境でもあることから、日ロ両国が十分な調査を一致協力してやっていただく必要があると思いますけれども、現在、この件に関しまして、日ロ両国政府の連携はどのように図っていらっしゃるのか。あるいは、日本側からぜひ共同調査等の申し入れを行っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

塩崎副大臣 知床沿岸における大量の海鳥の死骸漂着、自然がこうやって傷んでいくのは非常につらいお話だと思います。

 今お話がございましたように、ロシアとの関係はどうなっているんだ、こういう話でありますけれども、事実関係の把握、それから原因の究明について、関係省庁及び北海道と連携をしながら、ロシアの関係当局との間で調査結果その他の関連情報の照会、交換を行うという協力を今やっているところでございます。

 四月の十二、十三、この二日間、東京で日ロ環境保護合同委員会というのが開催される予定でございまして、この場においても本件につきましては取り上げて、原因究明のための協力について議論を行おう、こういうふうになっております。

 政府としては、引き続き、ロシアの関係当局とも協力して、情報収集を行い、その結果を踏まえて、国民の健康及び環境の保全が確保されるよう万全を期してまいりたい、このように考えております。

丸谷委員 どうもありがとうございます。

 ぜひその東京での会議、実り多きものとなるように御努力をしていただきたいと思います。

 同様に、海洋の環境、安全という点で、私が北海道の地元の漁業関係の皆様から最近いただく声の中で大きくなっている問題なんですけれども、実際、今、サハリン1、サハリン2プロジェクト、石油天然ガスプロジェクトが実施をされている。

 その際に、例えばサハリン1では、オホーツク海から宗谷海峡を経て日本の海底パイプラインという構想もありますし、あるいはサハリン2の方では、宗谷海峡に面するアニワ湾のプリゴロドノエからの原油の出荷が予想されている。

 こういったプロジェクトにおいて、万が一にも原油が流出した場合において、どのような形で最小限に被害を食いとめることができるのか。この点について非常に不安を覚えていらっしゃる関係者の方が多くいらっしゃいまして、私もその声を伺わせていただいております。

 また、サハリン1、2のみならず、今後、サハリン・プロジェクトにおいては3、4、5、6というふうに計画がされておりまして、ますます原油の生産量がふえていくことは確実に思われる中、こういったプロジェクトの開始に際しまして、政府として、海洋汚染防除対策等を策定しておりますけれども、こういった油流出事故があった場合、どのように最小限に被害を食いとめていこうというふうに対策を練られているのか、この点についてお伺いをいたします。

八木政府参考人 サハリン・プロジェクトから油流出事故が発生する場合でございますけれども、具体的な環境保全措置につきましては、サハリン・プロジェクトの事業主体、企業等が講ずることとなるということでございますが、政府レベルにおきましても、事故発生時の情報収集体制等を関係省庁で整備するなど、対応を講じておるところでございます。

 具体的には、事故発生を受けまして、外務省を含む関係省庁が情報収集を行いまして、海上保安庁にそれらの情報を一元化いたします。その上で、海上保安庁等が流出した油の漂流予測を行いまして、それが我が国に影響を及ぼすおそれがあるというときには、外務省を含む関係省庁が、ロシア側の関係当局及び事業主体に対して、流出油の防除等の対策が適切に行われるよう所要の要請を行うということになっております。

 また、ロシア限りでは処理し切れない大規模な流出事故が発生した場合でございますけれども、北西太平洋地域海行動計画、通称NOWPAPというふうに言われておりますが、この油流出緊急時計画に基づきまして、日中韓ロ四カ国での油の拡散防止及び除去等についての協力も可能となってございます。

丸谷委員 今御説明いただきました北西太平洋地域海行動計画におきましては、二〇〇五年の会合において、北海道沖のオホーツク海、太平洋に至る海域も対象として含めていただくことになったというふうに承知しておりますので、今言っていただいた方向を、実際に緊急の場合、政府あるいは関係当事者が連携をよくとって、被害を最小限に食いとめることができるような形で連携を密にとっていただきたいということをお願いさせていただいて、ICAOの方に移らせていただきます。

 今回のICAOの改正議定書、先ほど質問も出ておりましたけれども、同様の質問になると思いますが、改めてお伺いをいたします。

 現在、ICAOにおきましては、約八百人の職員の方が働いていらっしゃいます。このうち邦人職員は四人でございまして、ICAOの地元のカナダであります職員数三百七十人という大変大きな数は別格としましても、例えば、フランス職員では四十二名、ロシア三十三名、米国二十三名、それに比べて我が国の四名というのは、どう考えてもやはり少な過ぎると言わざるを得ません。

 このICAOにおきまして、日本という国はカテゴリー1の理事国として長年選出をされております。このカテゴリー1というのは、航空輸送において最も重要な国であるという位置づけでございます。

 このことを考えますと、このICAOに限らず、国際機関における邦人職員を日本はふやしていこうという方針で一生懸命取り組んでいただいておりますけれども、まだまだ結果が見えてこないのかなという気が私はするわけでございます。

 副大臣、この邦人職員の数についてどうお考えになり、今後、職員増加に結びつくためにどのように取り組んでいこうとお考えになるのか、この点をお伺いいたします。

塩崎副大臣 ICAOにおいては四名ということで、極めて少ないじゃないかという御指摘でございます。正直言って、私もそのとおりだと思っております。

 ICAOを含む国連関係機関の邦人職員数というのをちょっと調べてみますと、ことしの一月現在、六百七十一人で、これを見ると、二〇〇一年の四百八十一人からは五年間で四割はふえているね、こういうことでありますが、これについてはいろいろ政府も国際機関も努力をし、また、人材のすそ野が広がってきたということは歓迎すべきことだと思いますけれども、一方で、国連自体の事務局というのは邦人職員が百十一名、これは四%にしかすぎないんですね。

 今、ICAOは四名ですけれども、これは〇・五%ということで、やはりどう見ても邦人職員というのは依然として少ないということであります。国連関係機関全部足してみても、かなり順番として、たしか上から六番目か七番目ぐらいになっていて、おまけに幹部の職員に少ないというところが問題だなというふうに思っております。

 したがって、引き続いて政府としては、国際機関への就職に関する、一つは広報、それから候補者の発掘、それから採用する国際機関への働きかけで、なるべく日本人を採ってくれと。それから、国際機関におけるランクアップもやはり図っていくというようなことも大事であろうと思っております。

 そのすそ野として、例えば、この間スーダンに私は行きましたが、スーダンのPKOといっても、軍事要員以外の一般の国連職員としているのは、実は、トータル五百七十人余りのうち、たった三人しかいない。こういうことでは、ベースとなるものができていないということなので、かなりキャパシティービルディングというかそういうことを、あるいは日本の社会そのもののキャリアパスとかそういうことも考えながらやっていかなきゃいけないのかなというふうに考えております。

丸谷委員 副大臣、実際にスーダンの方にいらっしゃって、そういった現場も見られている。また、副大臣は政治家として、非常にNGOであるとかあるいは現場のことに明るいというふうに承知をしておりますけれども、実際に青年協力隊なんかで海外に行って、非常に情熱を持っていい仕事をしてきていただいている若者の皆様、日本に帰ってくると仕事がなくて、ずっと外に出るしかないとか、いろいろな、キャリアパスの面では自分の生活の計画を立てづらい、けれども、非常に優秀で情熱のある若い人たちも日本には多くいるわけですので、そういった人材の活用及びキャパシティービルディングということでは、ぜひリーダーシップをとっていただいて、前に進めていただきたいというふうに思います。

 以上で条約の質問を終わらせていただきたいと思います。

 若干時間が余りましたので、イランについて、毎週質問させていただいて恐縮でございますけれども、質問をさせていただきたいと思います。

 報道で見ましたが、安保理理事国、P5とそしてドイツがベルリンの方で会議を開きまして、イランに対しては、ウラン濃縮活動を停止し、交渉に戻るように促したという報道がございました。

 この報道を見たときに、正直言って、私自身はがっかりしました。というのは、日本としましては、以前、二〇〇四年、EU3あるいはイランの合意のパリ合意の際に、合意に行き着くまで一生懸命日本は努力をした姿があったと承知しております。今回、ベルリンで、安保理P5プラス・ドイツという形の国際的な枠組みの中でのイランに対する働きかけの中に、日本がどうして入っていなかったんだろうという思いがしてなりません。

 以前は、パリ合意を得るために、イランのウラン濃縮活動を停止するために、国際的な枠組みで、G8の一員として日本が動いてきた。それに対して、今回は、二カ国、バイでは、日・イラン、モッタキ外相を呼んだりとか、麻生外務大臣があちらの外務大臣と逐次電話連絡をとって説得をしているのは承知しておりますけれども、国際的な枠組みの中で日本の存在感は一体どうしたんだろうかというような思いがしたわけでございますけれども、この点について御見解をお伺いさせていただきます。

麻生国務大臣 三月の三十日の日にベルリンで今の会議が行われたのは事実でありますし、私どももそれを承知いたしております。

 今、丸谷先生御指摘ありましたように、二月にモッタキ外務大臣を日本に呼び、その後電話をし、その前にもし、いろいろ私どもとしてやらせていただいております。そういった努力をさせていただいているところも事実であり、傍ら、アメリカの方はイランとの間に全く交渉は、人脈はありませんので、その意味では、私どもとしていろいろやらせていただいておるんです。

 ベルリンで開かれる会議でもありますし、いろいろな意味で、直接イランとの間に、これに参加していなかったから日本がほとんど何もしていないのではないかと言われるようなマイナス評価というものをEU3含めてP5等々から受けることはない、そこだけは間違いございません。そういった意味では、いろいろ私どもがしていることに関しましては、P5、EU3等々、皆評価はかなり高いものだと思っております。

丸谷委員 我が国は、国連安保理理事国入りを目指している。その中で、本当に国際的な枠組み、あるいは評価というのも当然大事でしょうけれども、今回は、私が感じたことは、P5プラス・ドイツという形の枠組みの中でイランに対して説得という形がつくられた。日本もそこに加わるべきだったのではないか。加わることができなかったのか、また、そういうレールを外務省として敷くことができなかったのかどうか、この点については甚だ疑問でございます。

 プラスもう一点、最後にお伺いをいたしますけれども、イランでは、三月の三十一日にマグニチュード六規模の地震がございました。この被害者というのは、私が知っているところでは、死亡した方が約七十名、そして負傷された方が千二百名以上というふうに言われております。

 ブッシュ大統領は早速三月三十一日に、被害を受けた人々を支援する用意があるというふうに表明をされました。また、ライス国務長官も同日中に、イラン国民が求めるときに、米国は人道支援を供与する準備があるとの声明を出されたそうでございます。具体的には、現金の十五万ドル、約千七百万円ですか、これプラス住宅ですとか毛布ですとかビニールシート約十万人分の退避費用の支援を申し出たけれども、イランの方からは、とりあえず大丈夫ですというような返事があったというふうに承知をしております。

 しかしながら、一方で、イラン政府からは四月の三日、日本に対して、約一万五千世帯の家屋が被害を受けていて避難生活を強いられているので、緊急援助をしてほしいといった要請がございました。

 やはりここにも、日本とイラン、そして日本とアメリカの距離感の違いが大きくあらわれているものと見受けられるわけでございますけれども、その割には、イランから要請があった割には、物資の供与が少ないんじゃないかというふうに私は考えます。

 被災者救済のためのテント、毛布など、約一千万円相当の物資を供与されたということでございますけれども、アメリカが供与しますよと言った現金の十五万ドルに、比べる必要もないんですが、比べると低い。イランからわざわざ日本に支援をしてほしいと言ってきたことに対して、もっと政治的に大きな援助をするべきなのではないかというふうに考えておりますけれども、今後、引き続きイランに対して被災の援助をするお考えがあるのかどうか、この点についてお伺いをします。

麻生国務大臣 ここは、先生、最貧国じゃございませんからね。別に、今すぐというほど金に困っている国ではない、まず石油というものがございますので。

 それが一つあろうとは存じますが、いずれにしても、三日の日に、イランの中西部になりますところで今言われたような地震が起きておりまして、それに対して、今言われましたとおり、千万円等々のテント、毛布を、物資を供与しております。それは間違いない。四日の日には現地に届いております。

 また、それと同時に、緊急事態ですので、人的派遣を私どもとしては送る用意があるということを申し出ていましたけれども、それは向こうは要らぬということだったので、向こうからは必要ないということを言われたということでもありますので、そこのところは、私どもとしてしかるべき申し出をし、向こうとしては非常に感謝をして、そのお礼の電話もあっておりますので、間違いないところだと思います。

 死者数は四月六日現在では六十三名、負傷者総数千二百六十四名というのが私どもが正確に受けておる今の現状でございますので、イラン政府から、日本からもっとというような話が直接あるような感じではなかったということだけ御報告申し上げます。

丸谷委員 日本政府としては、今回、現在、国際社会の中でイランの核開発問題という問題を抱えながら、また一方で、別の次元で地震という被災に遭われたイランに対しては、しかるべき額、またしかるべきタイミングでの援助を既に行ったという認識であるというふうに思います。

 実際には、非常にイランの核開発の問題、毎回取り上げさせていただいて、しつこいようで恐縮でございますけれども、本当に私自身は非常に重要視をしている問題でございまして、そこにどのような形で政治的なプラス面を加えて外交されていくのかということに関して、非常にきょうはお伺いをさせていただきたかったので質問をさせていただきました。また今後、動きを見まして、外務省に対して質問させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。

原田委員長 次に、松原仁君。

松原委員 一つ目の質問は、今回のこの条約第五号、六号にかかわる問題でありますが、特に日本の場合は、ほとんどの物流を海外輸送に頼っているわけでありまして、電子海図作成というのは大変に重要であります。ASEAN諸国への電子海図作成技術の技術協力についての政府の方針をお伺いいたします。

麻生国務大臣 今、松原先生御指摘のありましたように、通商によってこの国は多くの経済力というものを得ておりますのは御存じのとおりでありますので、マラッカ海峡を初め、東南アジアその他の海上交通路というものの重要性は言をまたないところだと思っております。

 したがって、電子海図の作成技術というのは、これは通商に限らず、いわゆる海洋開発とか海洋保全とかいうのも含めまして、これは全部必要不可欠なものだと思っております。その意味で、技術移転というものは、受ける方の経済開発にも資すると思っておりますので、日本としては、これは有意義なものだと思っておって、最近、この分野での技術援助というものを新たにスタートさせております。

 これは御存じのように、技術がないと全然使えない技術でありますので、この種の話はお詳しいという前提で、詳しくない……(松原委員「いや、詳しい」と呼ぶ)詳しい。詳しくないと、これはゼロから説明するとすごい大変なんですけれども、そうですか、それでは話が早い。

 こういった作成技術というのは、日本から供与すると非常に話が早くできますので、向こう側とは、もう一つあれも合わせやすいし、非常に早くなると思いますので、向こうの技術に関しまして、こちらの持っている技術はしかるべく私どもとしては指導していきたい、もしくは一緒につくっていきたいと思っております。

松原委員 次に、水路の問題ということもありますので、日本海の呼称についてお伺いしますが、政府は、日本海の呼称について、各国の地図、海図を参照に精査しているのか。また、飛行機の問題も今回扱っておりますが、航空機内のパンフレット及び機内スクリーンにイーストシーと表示されたものがあるが、現在は、その後どうなっているのか、これをお伺いいたします。

塩崎副大臣 日本海の呼称問題についてのお尋ねでございました。

 外務省で昨年、韓国、北朝鮮を除く世界六十七カ国において、学習地図帳、それから市販の地図における日本海の呼称の記載ぶりに関する調査を行ったわけでありますが、その結果を見てみますと、学習地図帳の九二%、それから市販地図の八二%が、日本海を単独で使用しているということがわかりました。

 それから、外務省では、航空機内、スクリーン上の地図とか、あるいは航空機の中で配られる雑誌、機内誌がありますね、この地図に不適切な表記があった場合には、日本海単一の表記に修正するように申し入れを行っております。平成十六年の五月から現在までに、不適切な表記を行っていた九社に対して申し入れをいたしました。そのうち、五社については既に日本海単独表記に変わっておりますし、三社については今後修正するというふうに言っております。一社については、日本海、東海、いずれも記載しない旨の回答を行っております。

 海図についても、不適切な表記があった場合には、発行国政府に日本海単一の呼称に修正するように申し入れを行っているということで、今後とも、世界各国における日本海呼称の使用の状況について注意を払って、不適切な表記がある場合には直ちにしかるべく申し入れを行っていく、こういう所存でございます。

松原委員 今、この問題、我が党の武正公一議員も大変興味を持っているんですね。これは国民の関心事でありますから、ぜひ大いに取り組んでいただきたい、日本の国益と主権ということで頑張ってほしいと思います。

 そうした中で、次に、現状における確認を二つほどしたいわけであります。

 一つは、キム・ヘギョンちゃんのお父さんがだれかということで、きょうも韓国の新聞に東京発ということで載ったそうでありますが、どうも金英男さんという、一九七八年八月に全羅北道で当時高校生で拉致された、行方不明になった十六歳の青年がこのだんなさんではないか、そういった報道がなされたわけであります。

 男性の父親の遺伝子というのは、なかなか女性の親の遺伝子より難しいという議論もあるようでありますが、この報道に関して、どのようなことなのか、まだそれは違うというか、そこまではコメントできないと言うのか、その点をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 報道がなされたということは間違いなく私どもとして知っておりますけれども、これは松原先生、もう少し時間がかかります。したがって、今の段階で横田めぐみの夫とされる人物は特定できておりません。したがいまして、今回の記事というのは憶測にすぎないと言うしか、今の段階では申し上げられることはございません。まだ調査中というのが正確なところです。

松原委員 もちろん、これは極めて重要な問題でありまして、この遺伝子工学の技術、そういったものをはっきりさせる技術、韓国もこの問題に対しては当然調査をすると思うんですよね、日本と韓国の結果が違っちゃいかぬわけですから、当然科学があるわけですから。そして、それがもしこういった形に仮になれば、これは韓国において、北朝鮮による拉致が現実のものとして、目に見えて日本との共同関係で出てくるというので、これは大きなインパクトになる、六カ国協議に対する影響も大きいと思うので、私は、ここは慎重に、しかしながら、そういった事実は事実できちっと打ち出す、一歩も引かないということで頑張っていただきたいと思います。

麻生国務大臣 おっしゃるとおりだと存じますので、私ども、この種の技術に関しましては一歩先んじているほど、日本のその種の技術はすごいそうですので、私どもが先にその結果を得た場合は確実に相手側に知らせる、相手側というのは、韓国側に知らせるということはきちんと対応しておかないと、こっちだけ知っていて韓国は知らなかったというと、これはちょっと向こうとしてもぐあいが悪いでしょうし、私どもとしては、きちんと情報は双方で密にしておかねばならぬということは指示しております。

松原委員 ぜひこれも毅然と、これは六カ国の拉致の部分に関する大きな一つのインパクトになると思いますので、頑張ってほしいと思います。

 次に、ガス田でありますが、東シナ海における中国の資源開発で、ウォールストリート・ジャーナルが、日本名白樺、春暁とも中国名で言われておりますが、一月二十八日にこのガスのいわゆる生産を始めたというふうな記事が載ったわけでありますが、これについて外務省はどのように認識をしているのか、お伺いしたい。

麻生国務大臣 いわゆる白樺というところで中国海洋石油総公司が生産を開始したという話が、四日付のダウ・ジョーンズに記事がなされておるということは承知をいたしておりますが、私どもとしては、この種の報道が事実であるとするなら、これは主権的な権利に重大な影響を与えるということになるのははっきりしておりますので、昨日六日に、この報道にかかわる事実関係を照会、関連の開発状況について改めて情報提供を中国政府に対して求めております。

 これに対して、先方は、現時点、日本名白樺、中国名春暁が生産を開始しているかどうか、外交部としては全く承知していない、本件に関する情報提供を求める日本側の要望は確かにわかったので、それを含めて検討するという従来の立場を繰り返したというのが今の状況でありまして、私どもとしては、従来、一方的な開発事業の中止というものと情報の提供というのを引き続き求めていき、次回の日中協議で、できるだけ早期にこの協議を開始するよう要求をいたしておるというのが現状であります。

松原委員 このダウ・ジョーンズ紙、ウォールストリート・ジャーナルというのは、これはいいかげんな報道機関ではないというふうに思っておりまして、かなりこのウォールストリート・ジャーナル紙、ダウ・ジョーンズ通信において、日本名白樺、中国の、この油田開発が、中国名天外天も既に火が燃えているわけでありますが、この間、ここにおられる原田委員長と一緒に自衛隊の飛行機で行ったときは、まだ春暁は火は燃えていなかったけれども。

 しかし、この権威あるウォールストリート・ジャーナルがあえて誤報を載っける必然性はないわけですから、仮にこの報道が先で、今麻生大臣は我が方は確認中ということでありますが、それでは日本の外務省の情報収集能力に対して、まさに国際社会から見ても我が日本国民から見ても、何だ、アメリカのウォールストリート・ジャーナルの方に先に出ているんだと、大変にこれは残念なことになってしまうわけであります。

 事実は事実で、恐らく、ウォールストリート・ジャーナルが間違いで、うそを言っているのでなければ、これは事実ですよ。事実だとするならば、日本政府はまだそれを知らなかった、アメリカのマスメディアの方が先に知っていた。アメリカの情報機関ではなくてマスメディアですよ、ウォールストリート・ジャーナル。大変に私は、これは外務省としては一つの轍を踏む話で、きちっとこういったものに関しては、仮にこれが事実だとしたときには、情報網のあり方をもう一回再確認する、再構築する、それぐらいのことをしなかったらやはり日本の外交を守れないと思うので、その辺、きちっとやっていただきたいと思います。

 答弁は何かありますか。

麻生国務大臣 松原先生、情報の絶対量の不足、インテリジェンス等々に関しましては、これは種々御意見のあるところであって、これは中国に限らず、いろいろなところで情報が不足しておるという点は私どもも常々思っておるところであります。

 人間も足りない、経費も足りない、それに対する感覚も少し欠けておるんじゃないか、指摘するところはいっぱいありますけれども、基本的には、情報というものに関する意味、値打ち、価値というものに対する感覚が少しずれておるというような感じを言われてもやむを得ないところ、これまでいっぱいあったと思いますが、このことに関しても同じだと思っております。

 少なくとも、この種の話は、何も外務省の情報に限らず、その他いろいろの情報網というのは、情報偵察衛星もありますし、いろいろなものが情報というのはかかわってくるところだと思います。したがって、情報というものは、いろいろなところでとりました情報をうまく精査して、きちんと使える情報として分析、解析した上で、それを使ってどう外交に生かすかという点が今後とも検討されていかれるべき大事な点だと思っております。

松原委員 今大臣が、人間も足りない、経費も足りない、感覚も足りないと。もうこれはおっしゃるとおりなんですよ。これをきちっとやらにゃいかぬ。

 ただ、私が一点心配するのは、もしかして知っていて、大臣のところまで上がっていなくて、知っていて、これを言うと日本国内における反中感情が燃え上がるからちょっと伏せておこうか、こういうふうなことはないと思うけれども、あったら困りますよということもあえて言っておきたい。それは次の質問とも絡んでくる。

 中国側が、日本に、ウィーン条約に抵触している三つの案件がある。それについて中国は一切謝罪をしていない。

 一つは、瀋陽に脱北者が駆け込んだとき。あのときに、ビデオで、そのビデオの映像が出て、あれで一気に世論は盛り上がった。それは、もし何だったら、もし何々であれば、ればたらは私は言いませんけれども、もしあそこでビデオが放映されなかったら、あのとき、瀋陽の領事館に駆け込んで、そして引っぺがされて、外に連れ出された人間、結局日本にも来ました、私も会いました。しかし、彼らは、もしあのビデオが日本国内で放映され、物すごい盛り上がりがなかったら、そのまま北朝鮮の政治収容所に行って、今ごろ殺されていたかもしれない可能性があるわけですよ。

 私は、そういった意味で、日本が、結果として、ビデオが出ちゃったと、国民がこれで火がついたと、だからこれはきちっと身柄を、あれはおかしいじゃないかと、日本の領事館に入ったのを引きずり出して。あの映像は衝撃的でした。しかし、あれに関して謝罪は中国からあったのかどうか。ちょっと事務的にお伺いします。

佐渡島政府参考人 お答え申し上げます。

 事件後でございますけれども、しばらくの時間が経過しております。これまで中国政府との関係におきましては、一連の外相会談、それから事務当局同士の領事協力の枠組みに関する協議を実施してきましたけれども、そのやりとりの過程におきまして、中国の方から、一部みずからの責任を認める発言があったことはございます。(松原委員「聞こえない。もう一回言って」と呼ぶ)中国側が、そういう協議の一連のやりとりの中で、一部みずからの責任を認める発言があったことはございます。

松原委員 今、協議の中で一部みずからの誤りを認める発言があったと。具体的にちょっと言ってください。どういうことを言ったんですか。

佐渡島政府参考人 先方の物言いに関しては、現実には二〇〇二年の八月の領事協議のやりとりの中でございますけれども、瀋陽事件については、この事件については、日中双方に何らかの責任はあるだろうけれども、友好の大局から処理をしたというようなことを協議の過程で一部述べておりまして、双方に何らかの責任はあるだろうがという物言いをしたことはございます。

松原委員 そんなばかな話ないですよ。日中双方に責任があるというのは謝罪になるんですか。

 大臣、これは謝罪になりますか。

麻生国務大臣 あおるつもりはありませんから、私の方には。だから、五割は認めたというように考えるか、おまえの責任も半分あるじゃないかと向こうは開き直っている、とりようだと思いますよ。ただ、あのビデオが極めて効果があったことだけは確かです。

松原委員 総理を目指す麻生大臣としては、もっと激しいことを本当はおっしゃりたいのが、精いっぱいなのかもしれないと私もそんたくしますよ。ただ、今のが謝罪だったなんて、そんなばかな話はないですよ。日本にも責任があった、我が方にも責任があった。大体、外交ルートのきちっとした謝罪表明があったわけじゃないんですよ。議論の中でちょっとそういう表現があったと。

 彼らは謝罪したなんて思っていないですよ。今度、私が中国のしかるべき人間と会って、謝罪しましたよねと言って、え、しましたかと彼らは言うに決まっているじゃないか。これ、謝罪をしたという認識なんですか、その表現で。それから、その表現で謝罪をしたという認識で、謝罪を求めないんですか。

佐渡島政府参考人 今の御指摘でございますが、私が申し上げたことは、協議のやりとりの過程でそういう発言があったということを申し上げました。

 他方、中国側に対しましては、先方に対して、事件発生直後から責任ある対応というものを求めてきております。

松原委員 全然これはお話にならない感じであります。

 次に、私、何度もこの外務委員会で質問してきましたが、この間の中国の反日暴動であります。あれは反日デモではなくて暴動であります。

 反日暴動によって、日本大使館、いろいろと被害が発生した。このことに対して中国は謝罪をしてきたのか、お伺いしたい。

塩崎副大臣 このデモ活動に伴う我が国の公館等に対する暴力的な行為については、累次にわたって、陳謝、損害の賠償等を含めた中国側の責任ある対応を日本政府として求めております。

 中国側は、中国側が責任を負う態度をとっておって、国際慣例及び国際法の関連する原則に従って適切に処理する旨述べておって、原状回復作業については、在中国大使館、それから大使公邸の修復が昨年十二月をもって基本的に終了し、それから在上海の総領事館についても、中国側と技術的な調整を進め、順次修復を進めているわけでありますが、陳謝につきましては、現時点で中国側よりその表明はなされておらず、引き続き、中国側の適切な対応が日中間の相互信頼の観点からも重要と考え、その旨を訴えていきたい、このように考えております。

松原委員 つまり、これに関しては陳謝をこれからも求めていく、謝罪を求める、こういうことだと思いますが、大臣、瀋陽の件については、これは日本はそういった陳謝を求めるということはしないんでしょうか。通告していないので、もしあれでしたら役人でもいいですがね。

佐渡島政府参考人 中国側とは、今後ともいろいろな対話の機会がございます。各レベルの協議の機会がございます。いろいろな問題、引き続き中国側の責任ある対応を求めていく。その中には、必要に応じて陳謝も含めて要求をしていく、こういうことになろうかと存じます。

松原委員 もう一回確認。

 瀋陽の件に関して、陳謝を外務省として求めていく、いいんですね。

佐渡島政府参考人 今答弁申し上げたとおりでございますが、陳謝につきましては、適切な対応の一環としてこれを求めていきたいと思います。(松原委員「何」と呼ぶ)適切な責任ある対応の一環として、引き続き、陳謝も含めて求めていきたいと思います。

松原委員 陳謝を含めて求めていくと。瀋陽の領事館の脱北者引きずり出し事件に関しては、陳謝を含めて求めていくと。それと、今回の大使館の件も、陳謝を含めて求めていくと。

 三番目。今回の、上海の領事館の問題であります。

 この上海の領事館の領事館員の自殺の件に関しては、読売新聞の三月三十一日に詳細に掲載されたわけであります。外務省としては、この問題に対してどのようにこれから取り組む予定か、お伺いしたい。

麻生国務大臣 これまでの経緯は御存じのとおりなので、本件につきましては、現地の中国側公安当局者による領事関係に関するウィーン条約上のいわゆる接受国の義務違反ということであったというのは、これは私どもから見て明らかだと思っております。

 したがって、日本としては、中国政府に厳重な抗議を行うとともに、これはとにかく事実関係の究明を累次にわたって求めてきておりますのは御存じのとおりなんですが、これまで求めておりましたのは、平成十六年の発生直後、平成十六年の五月から、これは中国の公使の方から外交部アジア司副司長に対して、上海総領事から現地の当局者に対して、それぞれ申し入れをいたしておりますが、それ以後、十七年、十八年、もう御存じのとおりなので、過日も、三月の日中非公式会議においても、アジア大洋州局長から中国の外交部アジア司長に対して、改めて中国側の納得いく回答を、去る三月の非公式会議でも求めております。

 謝罪はあったかというところが一番肝心なところなんだと思いますが、厳重な抗議は行っておりますが、間違いだったとか、あれは我々のあれだろうとかいうような謝罪を認めているわけではありません。私どもの方も、証拠となりますものは、遺書に頼る以外ほかに方法がないという現状でもありますが、私どもは極めて信用度の高いものだと思っておりますので、引き続き、中国政府に本件に対して誠実な回答というものを今後とも求めていくということになろうと存じます。

松原委員 この自殺した領事館員は、あるとき家に戻ったならば文書が置いてあったと。「こんにちは 国家安全省の者だが、」これは読売新聞に載っていますからね。「国家安全省の者だが、個人的に、あなたか、○○か、××」、これは大使とかそういったレベルであります。「と単独で連絡をとりたい。具体的に誰にするかは、あなたたちが相談して決めなさい。もしあなたたちが私と連絡をとる必要があるなら、以下の方法を使って下さい。一、路上の公衆電話を使用しなければならない。二、毎週金曜日か日曜日の夜十九時から二十時の間に連絡せよ。私の携帯電話番号○○○」「注 氏名、番号、時間を控えたら、できるだけ早くこの紙を廃棄せよ。」これは読売新聞に載っていますから、国民の皆さんが見ていますよ。

 これは、この証拠書類はあるんですか、ないんですか。

塩尻政府参考人 報道の真偽についてでございますけれども、これにつきましては、インテリジェンス等にかかわるものでございまして、コメントをすることは適切ではないというふうに思っております。

 他方、報道につきましては、遺書の内容が漏えいされた可能性も否定できないということで、省内に委員会を設けて徹底的に調査をしているということでございます。

松原委員 遺書が漏えいされたから、省内で、その遺書が漏えいされたことが問題だといって探ることにエネルギーを使うよりは、このことが事実なのか。そして、恐らく、この文書を読売新聞が載っけているんだから、あるんでしょう、きっと。これは証拠ですよ。そういったものに関して、少なくとも読売の記事はこういう記事が出ている。少なくとも、遺書の内容から察しても、明らかにこれはウィーン条約抵触ですよ。ワン、ツー、スリーですよ。瀋陽があって、日本大使館があって、そして三つ目にこの領事館員の自殺があって、三回もウィーン条約に抵触をし、謝罪をしなければいけないのに、どれ一つ謝罪をしていない。上海領事館におけるこの問題のいわゆる教訓というのが、私は、どこにも生かされていない。

 これに関しては大臣はどう思いますか。

麻生国務大臣 今、生かされていないという点のお話がありましたので、いずれも関連している公安部の話という点に関しては、多分共通点があるんだろうと推察いたします。

 ただ、この種のものに対して、いろいろ状況に応じて考えられることは、それぞれの事件は内容は違っておりますので、瀋陽の話も、反日暴動の話も、今回の上海の事件も、その内容は全部かなり違っております。

 しかし、今問題として言っておられますこの上海の事件のことに関しては、少なくとも、はめられる等々の話というのはこの種の職業においてはよくある話の一つだと存じます。問題は、それにはめられたときの対応なんだと思うんです。問題は、それを一人で自分で抱え込んで悩むのはやめろ、少なくとも、みんなで組んでやる以外にないんだということで、その種の接触はよくある話なんで、それはまず気をつけた方がいいと。それはもうよくこういった国に行かされる場合はあるんだから、前例があるんだからと。一点。

 二つ目、もし、ひっかかったと思ってさらに求められたときに、その段階でさっさと上司に報告せいと。数で対抗、向こうは全体で、追い込みなんて言っちゃいかぬね、全体で仕掛けてきているんであれば、こちらもそれに対して個人で対応するのはおろかであると。だから、直ちに上司に報告するなりなんなり対応を考えるというように、組織としてはそういう対応を考えるという点が一点。

 もう一点は、先ほどの瀋陽の話ですけれども、瀋陽でいえば、警備員は大幅にふやす、少なくとも足りなかったんだから。少なくとも、瀋陽というのは今後ともその種の、地理的にそういう起きる可能性の高いところでもあるし、また、正門のカメラの監視等々は増設、そして、緊急システムの設置等々は直ちにやるということで、瀋陽におきましては大幅なシステムの改変また増員等々はさせております。

松原委員 再発をいかに防止するかというのは極めて重要でありますが、私は、少なくとも、中国側がこの問題に対して謝罪をしないという中でずっと引っ張っていくというのは、日本としてどういうふうにそれに対して対抗措置をとるのか。先ほど言ったガス田の話もそうです。実際に既に始まっていた、実際、生産工程に入ることになるというときに、これに関して我々がどう行動するのか。国と国との関係で、黙っていればそれでいいのかという議論、私は違うと思うんですよ。その辺はきちっとしていただきたい。

 きょうは時間がなくなったので、次回に回すことになりますが、実は、中国のいわゆる日本軍による遺棄化学兵器の問題があります。これは物すごい問題であります。詳しい内容は次回やりたいと思いますが、きょうはさわりだけで、これにどれぐらいの予算がかかる予定ですか。

松田政府参考人 お答えいたします。

 遺棄化学兵器処理事業にかかります総事業費が幾らになるのかにつきましては、現在、具体的にどのような施設整備とするか等、不確定要素が極めて多いことから、確たることは申し上げられない状況でございます。

松原委員 時間ですからやめますが、一兆円を超える数字と言われている。しかも、さまざまな報道を見れば、その中に日本の旧軍隊の遺棄兵器ではないものもたくさんあるという報道も一部にあったりする。しかも、本当に遺棄されたのか、あの当時の戦争で国民軍と共産党軍に渡されたんではないかということは、今でも言われている。まさにこれが謝罪外交の一環として行われているとするならば、一兆円も二兆円も国民のお金を使ってやること自体もおかしいし、こういう姿勢をどこかで断ち切らない限り我々は誇りある日本をつくることはできないと思うんですよ。これを次回質問させてもらいます。

 きょうは時間が三十分という制約ですから、以上で終わります。

原田委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 民主党の吉良州司でございます。

 きょうは私も三十分という短い持ち時間でありますけれども、条約にかかわる件と、それからODAに関する件、質問をさせていただきます。

 まず、国際民間航空条約の改正に関する件でございますけれども、中身そのものは問題ない内容だと思っておりますが、民間航空条約ということですので、空の安全、そして、日本の飛行場といいますか、空港の安全対策、特にテロ対策についてお伺いをしたいと思っております。

 二〇〇四年四月三十日に、羽田空港で薬物中毒者が乗用車でフェンスを破って四十分間にわたって走り回るというような事件がございましたけれども、政府として、そういう空港に関する想定可能なテロを含めた危機に関して、どういう対応策、どういう警備体制をとっているのか、その辺についてまずお伺いをしたいと思います。

本田政府参考人 お答えを申し上げます。

 米国の同時多発テロ以降の対策ということで御紹介申し上げますが、直ちに最高レベルの空港厳戒態勢をとって今日に至っております。

 具体的に申し上げますと、金属探知機あるいはエックス線検査装置による、旅客はもちろん、機内持ち込み手荷物の全数検査を実施しております。また、昨今では、いろいろな技術が開発されましたので、爆発物を自動的に探知するシステムでありますとか、あるいはガソリンを含めた液体物を検知するそういった対応策と同時に、今先生おっしゃいましたような空港に出入りする人間についてのチェックも行っておりまして、多少おくればせながら、本年一月からは、航空会社の職員あるいは空港ビルのテナントの職員の皆さん、そういった方に対しての保安検査も実施しておるということでございます。

吉良委員 ある意味では、今の答弁にありますように、地べたといいますか、地については相当な警備体制をしかれているんだと思うんですけれども、実際、まさかと思った九・一一のああいう空からの攻撃というものがあったわけでございまして、では、日本でそれが全くないのか。甘い考えは捨てなければいけないと思いますけれども、あのように大型ジェット機をハイジャックしてそのまま突っ込んでくるということは日本では想定しづらいとは思っておりますが、あり得るとすれば、比較的容易に免許が取得できる小型機、セスナあたりが空港に進入してきて、そして、一番恐れておりますのは、管制塔に向かってくると。このような事態に対してはどのように対処するつもりなのか、どういう想定をし、どういう対処方針を持っておられるのか、お聞きしたいと思います。

本田政府参考人 国土交通省の側から先にお答えをさせていただきたいと思いますが、今お話しになっております小型機、あるいは場合によってはヘリコプターといった機器について、まず第一は機体の管理、これが重要だということで、同時多発テロ直後に、こういった小型機、ヘリを使用いたします航空運送事業あるいは農薬散布などでの事業に携わっておられます航空機使用事業者と申しておりますが、そういった方々に対して機体の管理の徹底、あるいはちょっと話が横になるかもしれませんが、例えば農薬の空中散布装置、そういったものの装置の管理、その徹底をお願いしております。同様に、私どもの関係いたします空港に常に機体を置いておられます個人所有の機材につきましても、同様の措置をお願いしているところでございます。

吉良委員 一般論としてわかるんですけれども、先ほど言いましたように、比較的免許が取りやすい、特に海外で取って日本で書きかえるということで、九・一一のときのアッタじゃないですけれども、それなりの長期計画でやれば、免許を取得してセスナで管制塔に向かってこれなくはない。

 私、ちょっと詳細は専門家ではないんですけれども、一番恐れているのは、そもそも航路を外れて首相官邸に向かってくるなんということになれば事前に対処のしようがあると思うんですけれども、まさに羽田とか成田にそのまま許可を得て着陸しようとしているときに、着陸せよという許可がおりて、そこから管制塔に向かってくる、特に夕刻の時間とか、着陸航路にもう四機も五機も並んでいますね、そういう状態のときにセスナならセスナが管制塔にぶつかったときに、一体どういう混乱が起こるんだろうと。これは、正直かなり厳しいというか防ぎようがないようにも思うんですけれども、そういう事態も想定されておるんでしょうか。

山浦政府参考人 内閣官房でありますけれども、民間セスナ機が管制塔に突入した場合などの政府としての対策であります。

 万一そのような事態が発生した場合には、政府全体として取り組むべき重大事案として対処することになろうかと思いますが、重大テロ事案が発生した場合の政府の初動措置について定めた閣議決定及び対処要領等に従い、内閣の主導のもと、関係省庁が相互に連携し、被害者の救助、被害の拡大防止、犯人の検挙等に全力を挙げることとしております。

 具体的には、事案を認知したら直ちに内閣危機管理監が官邸対策室を設置するとともに、関係省庁の局長クラスを参集させ、関係省庁が実施する措置について必要な調整等を行うほか、内閣総理大臣の判断により、関係閣僚から成る政府対策本部を設置することになろうかと思います。

 もちろん、そういうハイジャック事案等の未然防止に努めるということが前提となっております。

吉良委員 今お答えいただいたのは本当に事後のことでありますので、とにかくあらゆる事態を想定しての防備体制をお願いしたいと思っております。

 ちょっとこれについては、もうこれ以上突っ込んでも一般論での回答になると思いますので、次に移りたいと思います。

 水路機関条約については、韓国が東海というかトンヘと呼ぶ、これは松原委員がもう既に質問したということなので、もうこれについては私の方からは、質問通告はしてあったんですけれども、触れません。

 国際水路機関条約、国際海事機関条約、これに関連して、最近、経済産業委員会でもNEDOについての質疑が活発に行われ、日本のエネルギーの安全確保について今まさに官民一体となって熱い視線を送っているわけでありますけれども、そういった中で、日本の近海に存在していると言われているメタンハイドレートとかマンガン団塊、このような、無尽蔵と言うと大げさですけれども、かなり埋蔵量豊富な日本近海の資源、この開発についての議論が最近とんと聞かれなくなりました。

 現在、メタンハイドレート、マンガン団塊等の開発の状況、どういう方針で臨んでおられるのか、お聞きしたいと思います。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 まずメタンハイドレートでございますけれども、燃焼時のCO2の排出量が少ないということで、非常にクリーンなエネルギーでございます天然ガス、この天然ガスが水と合わさってシャーベット状になったものでございます。今御指摘のように、メタンハイドレートの原始資源量というのは約四百兆立方メーターと言われておりまして、これは天然ガスの原始資源量とほとんど同じぐらいの分量があるわけでございます。

 とりわけ日本の近海では、南海トラフを中心に、試算ベースでございますけれども、七兆四千億立方メーターぐらいある、これは天然ガスの年間の消費量の百年分ぐらいあるんじゃないかというように私どもは見ておるわけでございます。そういう意味で、メタンハイドレートは非常に有望な国産エネルギー資源ということで、大いに期待をしておるところでございます。

 ただ、残念ながらメタンハイドレートは、今申し上げましたように、地中にシャーベットのようにあるものですから、なかなか取り出せない。油のように、掘りますと自然に噴出してくるとか、ガスのように、入れるとガスが噴き出してくるというものではございませんので、経済的にどうやってとっていくかという点で非常に難しい点がございます。

 そういう観点から、私ども、平成十三年度からいろいろな研究開発をやっておりまして、十八年度、今年度からはカナダで、陸上で掘り出す実験といったことで、四十兆円の予算を計上しておるところでございます。原油価格が相当高くなってきておりますので、今、メタンハイドレートが原油に換算をいたしまして五十四ドルから七十七ドルぐらいだったら生産できるんじゃないかという試算もございまして、経済性も出てくる可能性がございますので、私どももこれから十年ぐらいかけてじっくりと研究を、かつ、急ぎながら、やっていきたいと思っております。

 それから、マンガンのところも一緒に御質問がございましたので、そこもお答えさせていただきます。

 海洋資源としてのマンガン団塊というのは、深海底に直径で二センチから十五センチぐらいのこういう丸い塊があるわけでございます。これは球状の鉄とマンガン酸化物の集合体でございますけれども、太平洋、大西洋、インド洋等にございまして、これは非常に有望なものでございます。

 そのマンガン団塊の中には、非鉄金属、それからニッケル、銅、コバルトといった有用な金属が入っておりますので、私どももこの重要性を早くから着目をしておりまして、昭和五十年度から平成八年度まで二十二年間かけまして、二百八十三億円の予算措置を講じてこの開発の努力をしているわけでございます。

 この具体的な開発に向けて、経済産業省の調査結果を踏まえまして、平成十三年から、深海資源開発株式会社という会社がございますけれども、そこの会社の方で、ハワイの東南沖の公海上で排他的な探査権というものを取得いたしまして、今、探査情報の解析などを行っているところでございます。

 ここで調査をしている結果が、六億トンぐらいのマンガン団塊が確認できておりまして、これがうまくいきますと、例えばその六億トンの中から、ニッケルで日本の三十年分ぐらいのニッケル、それから銅でございますと日本の四年分ぐらいの銅がとれるのではないかというようなことで、大いに期待をしておるわけでございます。

 さらに、ちょっと答弁が長くなって恐縮でございますが、マンガン団塊以外に、最近は、海の中の山のようなものがございまして、その山の表面に板状に付着をいたしましたコバルトリッチクラストと呼んでおります、ちょっと適当な日本語がないので英語のままで恐縮でございますが、コバルトリッチクラストというものでございますとか、海の底から沸き上がってくる高熱の熱水ででき上がります海底熱水鉱床というものがございます。こういったものの中でいろいろな鉱物資源がとれるということがございまして、コバルトリッチクラストにつきましては大西洋の海域を中心に、海底熱水鉱床につきましては伊豆、小笠原海域を中心に賦存状況を調査しておるところでございまして、昭和六十年度から平成十七年までの二十一年間で百二十二億円の予算措置を講じて調査を行っているところでございます。

 これは賦存状況の調査という段階でございまして、なかなかまだ開発まで行っておりませんけれども、こういったところを今後ともしっかりと開発をしていけるように、必要な調査、技術開発、こういったものを進めたいと考えておるところでございます。

吉良委員 詳細な答弁、ありがとうございました。

 予算には限りがあるとは存じますけれども、原油がこれだけ高くなり、エネルギー全般が高くなったときこそ、将来の、特にまた自前で確保できるエネルギー資源対策に予算をつぎ込んでほしい、このように思っていますし、私、以前予算委員会でも、先ほどやりましたマンガン団塊、ニッケル、コバルト等、レアメタルと言われる、本当に日本の素材産業にとって不可欠な鉱物資源を含んでおりますので、その辺の開発も今こそ積極的に、研究段階かと思いますけれども、やっていただきたいと思っております。

 条約については以上でありますけれども、続きまして、先日は土屋品子先生の方からも質問をされておりましたけれども、ODAについて、私の方は民間との協力という視点でちょっと質問をさせていただきたいと思います。きょうはもう時間がないので入り口になろうかと思いますけれども。

 政府として、今、海外経済協力の司令塔機能の強化ということで海外経済協力会議というものをつくるということになっておりますが、民間の声を吸収するという工夫はどのようになされているのか、まずそのことについてお伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えをさせていただきます。

 ODAの中で、民間の御協力をいただく、あるいは民間の知識を活用するということは、これは当然非常に重要かつ不可欠なことでございまして、今回の改革の中でも、まさにその点というのは一つの大きな重要な議論となってきたわけでございます。

 その中で、まさに今お話ございましたような、海外経済協力会議という司令塔をつくるといったことなんですが、その中でも、まさに貿易投資との関係とか、あるいはODAに限らず、OOFと称しておりますが、そういった資金を全体の海外経済協力の中でどうやって活用していくか、これも今後の司令塔の中で重要なテーマとして議論をされるということでございます。

 そういうことで、政府全体の意識として、民間との関係、連携というのを強化していくというのが全体の方向でございますが、これまでの取り組みについて申し上げさせていただきますと、具体的に、例えば私どもの外務省の中でございますが、ODAの総合戦略会議というものを設けておりまして、これは外務大臣が議長になっておりますが、その中で、民間の経済界の代表の方あるいはNGOの代表の方、そういった方々に入って、ODAの政策というものを議論していただいているということがございます。また、そのほかにも、私ども、政府関係と経済団体との定期的な会合といったことも持ってきております。

 それから、さらに申し上げますと、各途上国の現地でございますが、これは、政府の中でODAのタスクフォースというのがあるんですが、それに加えまして、通常ですと、現地の我が国企業の商工会であるとか、そういった現地におられる企業の方々、それは相手国の経済について、あるいは投資活動について最も具体的なことを知っておられるので、そうした現地での意見交換、どういうことをODAを通じてやってきたらいいのかというようなことについても、できるだけそういった意見交換に努めてきているところでございます。

麻生国務大臣 局長の言ったのを大臣が補足するのはいかがなものかと思いますが、基本的には、今度のODAの戦略会議というのをきちんとさせていただくことに、いろいろございましたけれども、形としては、一元化しやすいような形になったと思っております。

 したがって、外務大臣のもとにできますODA総合戦略会議の中に、今のODAの中で含めてのいわゆるNGOの部分というのは、今まで余りそういう方も少なかったこともありますし、またその種の需要も、これまで海外青年協力隊以外、海外での話は余り聞いておりませんでした。

 そこで、今現実問題としては、かなりそういった方々が、まことにありがたいことにふえてきております。私どもとしては、このODAに関する議論を充実させていく中で、今まで二国間ならともかく、多国間のODAというのも出てきておりますので、そういった意味では、地域の専門家等々いろいろいらっしゃいますので、積極的に活用するということをしろということに、提言書というか、使えということも書いてもありますので、私どもとしては、積極的にこの問題について取り組ませていただきたいと思っております。

吉良委員 ありがとうございます。

 実は、私がODAにおける民間との協力、官民協力ということを取り上げた大きな理由が二つございます。もちろん、NGOから積極的な協力を得るし支援をする、これも大事なんですが、以前から言っております、特に無償でもプロジェクト物、借款といえば大概がプロジェクト物になるわけですけれども、私、商社出身ですけれども、決して商社の族議員ではないので申し上げますと、外務省在外公館がいいプロジェクトを探してきて、それを取り上げていく、形上はそうなっているんですけれども、現実問題としては、民間の商社だ、コンサルだ、それで現地に根をおろしたメーカーの人たちがはいずり回って、相手国の政府だ、相手国の経済界だ、そういうところとも頻繁に接触する中で相手国のニーズをつかみ、その中で、例えばここに電力が必要なんだということになれば、ではその電力をどういう形で日本として援助できるんだと。もちろん、民間ですから将来的なビジネスとしては考えているんだけれども、何とか日本の顔の見える援助を通じながら相手国のニーズにこたえられないか、こういうことで、実際、民間が手足となって動いているわけです。

 今の時代はちょっと知りませんけれども、日本の外務省といいますか、日本政府が要請主義というのをとっておりますので、当然、プレフィージビリティースタディーだとか本格的なフィージビリティースタディーというのは、向こうから出して、こういうフィージビリティーが成立するのでぜひ日本の支援をお願いしたい、こう来る。だけれども、相手国のニーズが非常に強いと知った民間企業は、一緒になって向こうの政府なりと協力してFSをつくったりもしているわけですね。そのときは全部手弁当でやっている。

 ですから、外務省には大変失礼な言い方ながら、民間企業が手足となってプロジェクトを探すためにはいずり回っていかなければ、幾ら戦略会議できれいな絵をかいても、実際いいプロジェクトは見つかってこないし、プロモートできないということなんです。そういう意味で、その民間をどうやって有効活用していくのか、この視点をというか、その民間の声をきちんとこの戦略会議の中で取り上げる工夫をしていただきたいということです。

 もう一点、済みません、時間がないので先に言わせていただきたいと思いますけれども、実は、日本の世界における情報のアンテナというのは、外務省の在外公館と同時に、当然、民間企業の海外支店、それからリエゾンオフィスというのが日本を代表しての情報収集基地になっているわけです。

 ところが、私、以前、予算委員会で取り上げさせてもらいました。たまたま商社の海外拠点だけなんですけれども、一九八五年、当時私のいた日商岩井、今、日商岩井は双日になってしまいましたが、六社の一九八五年における海外の支店、駐在員事務所数は四百四十九ございました。ところが、二〇〇四年にはそれが三百五十四に減っております。今度、駐在員数を見てみますと、これは九一年段階で、一番多い、済みません、九一年、九二年、ちょっと数字のとり方がありますので二年にしていますけれども、九一年としましょう、八千八百四十七人いた駐在員が、実は二〇〇四年には三千三百三十五人に減っているんです。

 支店が減り、駐在員数が減るということは、日本が、それこそ発展途上国も含めての世界各地への情報収集基地を失っていくことになる。ひいては、これは、外務省も在外公館だけで情報をとっているわけじゃないですから、外務省としての、また日本国としての世界の情報収集機能が落ちているということになるわけです。

 だから、そういう意味で、決して、さっき言ったように僕は族議員でも何でもないですから、例えば商社に、またコンサルタントに一種のコンサルタントフィーを払って、ODAならODAを取り上げるというつもりではないんですけれども、何らかの形で民間が、ガラス張りの中で、日本のODA、日本の経済協力にきちんと貢献をしている、その貢献についてはきちんとした対価が得られる、これは、ガラス張りで決して恥ずかしいことではない。結果として、日本国としての情報機能がきちんと世界じゅうに張りめぐらされて、かつ、いいプロジェクトが民間が手足となって動くことによって発掘できて、そしてプロモートできる、こういう仕組みをやはり真剣に考えていかなければならない、私はこのようにちょっと思っておりまして、その辺についての外務大臣の御所見をお願いしたいと思っています。

麻生国務大臣 少なくとも、日本の外交官の数などというものはたかが五千人しかおりませんので、少なくとも、イギリス、フランスが、国民でいきますと五千万から、フランスも同じようなものだと思いますので、我が方一億二千万いて五千、向こうは五千万人で七千人から八千人の間ぐらいというのを見てもわかりますように、それは、絶対数は足りない、金も不足。そこで、逆に今度は、そういった国々には総合商社というものがありませんから、その分は総合商社の部分で補っていただいているところというのはかなりあると存じます。

 したがって、今、日本として、このところ、現地において一企業等々が頑張るところに関しては、それはほかの会社との均衡を欠くから応援しちゃだめだというのが従来の外務省だったんですけれども、それは全然関係ない、大いにやれ、大使館を貸すもよし、いろいろな意味で、こっちはまともな仕事をしようとしているんだから大いに応援せいということで、方針をかなり変えております。

 二つ目、今、人数が減りました部分に関しましては、いろいろな意味で、海外での情報というものは、情報通信機器の発達がすごいものですから、昔ほど人数が要らなくなったのは、うちの会社を見ていてもそんな感じがわかります。

 ただ、今言われましたように、この種の話はなるべく広くアンテナを立てていないと、現地に長く入り込んでいる人たちというのはやはり、海外青年協力隊をやめられた後、現地に入られた方とか、実はいろいろいらっしゃいまして、その方々の持っておられる現地にしっかり入り込んだ情報というのは物すごく値打ちがあります。そういったものをいかに利用するか、また、こちらも活用させてもらうかというのは双方の利益につながると思いますので、そこのシステムをどうやってつくり上げるかというところが、今後、現地の大使館のセンスだけに頼っているのはいかがなものかと思いますので、どういうシステムがいいのかというのは改めて考えねばならぬ御提言だと存じます。

吉良委員 先日の外務委員会でも麻生大臣の方から、今答弁いただきましたように、国益という観点に照らした場合に、仮に一企業であったり、一業種であっても、国益ということに照らして支援することが妥当といいますか、国益につながるということであれば積極的に支援をしていく、そのことを高く評価させていただきたいと思いますし、その観点で、先ほど言いました、情報のアンテナを世界に張りめぐらせていく。商社あたりはある意味で、軍事は全然別ですけれども、経済関係についてはかなりのインテリジェンス機能を果たしておるところもございますので、私は、将来的に日本のインテリジェンスというのは必要だと思っておりますので、やはり官民一体となった情報網の世界的な展開、それから、民間がやる気の出る、そして、結果的にはいいプロジェクトを発掘、プロモートして、顔の見える日本の援助をしていく、この点についての民間との協力をぜひともお願いしたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原田委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 本日の議題となっている三条約の改定内容そのものについて私がただしたいことについては、既に御答弁がありました。きょうは、その一つである国際民間航空機関、ICAOの条約に関連して、民間航空機の安全航行の確保等の観点から、横田の空域問題、いわゆる横田ラプコンの問題について質問いたします。

 米軍の横田、厚木基地等があるということで、横田空域における進入管制業務は米軍が実施をしてきております。かつて、広大な西の壁とも言われて大きな障害になっているこの横田空域を削減、返還させることは、民間航空機の安全航行や運航時間の短縮、そして経済的なコストの低減という点でも、あらゆる面で重要な課題になっていると思います。

 そこで、まず国土交通省に伺いますが、これまでの横田空域の返還要請と削減実績がどうなっているか、さらに、今後、全面返還についてどのように考えて対応していくつもりか、端的にお答え願いたいと思います。

本田政府参考人 お答えをいたします。

 まず、いわゆる横田空域につきましてのこれまでの段階的な削減の状況についてお答え申し上げます。

 過去七回にわたり、いわゆる少しずつ削減が図られてきております。具体的には、昭和四十六年五月、昭和四十七年三月、昭和五十一年九月、昭和五十二年十一月、昭和五十八年四月、昭和五十八年十一月、そして直近の平成四年二月の七回でございます。

 今後の返還につきましての私どもの考え方でありますが、直近の平成四年二月の削減によって、羽田から北部九州、山陽、山陰方面に向かう航空機につきまして、従前のような横田空域内を通過することなく飛行することができておりますが、それでもなお横田空域の上限高度は約七千メーターございます。したがって、依然として非常に高度が高いものですから、民間航空機は東京湾を大回りして、飛行高度を高くして横田空域を飛び越しているというのが現状でございます。

 現在、羽田空港の再拡張事業に私ども着手しておりますけれども、これによって発着能力が年間約二十九万回から約四十万七千回に増加いたします。そのため、航空の安全を確保しつつ民間航空のさらなる効率的な運航を実現するためには、横田空域のさらなる削減が必要であると考えております。

笠井委員 麻生外務大臣に伺いますけれども、去る三月三十一日の当委員会で、米軍再編をめぐって進行中の日米協議の課題の一つとして、横田の空域と羽田の第四滑走路等の話の関係ということを挙げられて、きちんとやらないといかぬと答弁されました。

 そこで、改めて確認したいんですけれども、昨年十月の2プラス2の文書で、検討される選択肢として確認されている、米軍が行っている空域の削減や横田飛行場への日本の管制官の併置、コロケーションということについては、この間の日米間の協議の中で既に合意に達しているのかどうか。それとも、削減、併置はあくまで選択肢ということで確認はしているけれども、依然として隔たりがあって中身の合意はしていないのかどうか。この点について、お答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 二点あったと思いますが、まず最初の方の、これは目下協議を行っている最中ということになるんですが、2プラス2の共同文書におきまして、御指摘のとおり「二〇〇九年に予定されている羽田空港拡張を念頭に置きつつ、横田空域における民間航空機の航行を円滑化するための措置が探求される。」とされていることを踏まえまして、日米間で横田空港のあり方の検討を今行ってきているところでありますので、ちょっと具体的なところまではお答えを差し控えさせていただきますが、兵力の構成の再編に関する案につきまして、できるだけ早いこと最終案を取りまとめないと、羽田の第四滑走路のあれも迫ってきておりますので、早く取りまとめねばならぬということに関しましては、日米間の認識は一致しております。

 二つ目のことに関しましては、横田の空域における民間航行を円滑化するための探求される中で検討される選択肢として、横田飛行場への管制官の併置という問題が必ず出てまいります。この点につきましては、国土交通省、防衛庁側から、日本人の管制官を置いた方が横田空域における円滑な管制業務が可能になるのではないかということで、これを今検討させていただいておりますが、管制官の併置につきましては、日米間それぞれ、片っ方は兵隊さん、片っ方は民間人ということになりますので、それぞれの権限、人員など具体的なあり方については、その実現可能性とともに、目下日米間で検討している最中でありまして、かなり前向きに話は進みつつあると御理解いただければよろしいかと存じます。

笠井委員 それでは、事務方で結構です、局長で結構ですが、今お話ありました空域の削減の方ですけれども、具体的な空域の削減の箇所とか内容についても話し合って、最終合意で今回やろうということまで考えているのか、その点はいかがでしょうか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣から今御説明したとおり、現在、最終的取りまとめに向けていろいろな議論をしている、その中で、この横田の空域の取り扱いというのも一つの議題になっておるわけでございます。

 ただ、具体的にどういう形で空域の削減をしていけるのか、どういうことが可能なのかということにつきましては、恐らく、今後、最終報告を受けた上で、具体的な議論をしていくという手順になろうかと思っております。

笠井委員 それでは、管制官の併置の問題ですけれども、これも局長、お答えいただけると思いますが、この併置というのは、もともとアメリカ側から併置しようという話が出たのか、それとも日本側から出ている話なのか。

 それから、沖縄では、嘉手納空域、ラプコンの返還を前提にして、現在、日本側の管制官が嘉手納の基地に入って、いわば併置されて訓練を受けているということでありますけれども、これは返還に向けての訓練ということでありますが、横田空域の管制官の併置も、同様に空域の返還ということを前提にした話なのかどうか、この二つ、いかがでしょうか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 管制官の併置、これに関しましては、現在、御指摘のとおり嘉手納において、進入管制業務の日本への移管というものを前提にやっておるわけです。この前提としては、平成十六年の十二月に合同委員会の合意をつくって、そのもとで嘉手納ラプコンの返還ということを念頭に置いた業務を航空管制官の訓練という形で実施しているということでございます。

 片や、横田につきましては、日本側の考え方としては、横田の管制権、進入管制業務というのは基本的には日本に返還されてもいいのではないかという考え方が基本にはあるわけでございますけれども、現在この中間的取りまとめに書いてある併置の考え方というのは、空域の返還というものを前提として、その訓練として併置をするという考え方ではなくて、管制官を併置することで、今後、横田空域でやっている航空管制というのがより円滑にできるのではないかという考え方に基づく併置を考えているわけであります。(笠井委員「どちらから出たのか」と呼ぶ)これにつきましては、日米双方が、どちらかというよりも、双方で議論している中で、こういう可能性を検討したらどうかという結論を得るに至ったということでございます。

笠井委員 二〇〇九年に予定されている羽田空港の第四滑走路の完成ということで、先ほど国土交通省からもありましたが、民間機の航行量が約一・四倍にふえる。民間航空機の航行の円滑化、そして安全運航の観点からも、いよいよ横田空域の削減とともに返還ということを今局長も話がありましたけれども、これは喫緊の課題となっているというふうに思います。

 しかも、重大なのは、そもそも戦後六十年たっていまだに首都圏上空がいわば米軍に占領されているという事態であります。私は、このこと自体が世界でも異常なことだと思うんです。日本の主権にかかわる根本問題としてどうしても解決をしなければいけない。

 ところが、大臣、この二月に我が党の赤嶺政賢衆議院議員が提出した質問主意書への政府の答弁書の中で、政府は横田空域の返還について、「合衆国側からは、合衆国軍隊の運用上の理由から横田空域の返還は困難であるとの回答を得ている」とされております。今回の日米合意の中で横田、厚木基地が再編されようとしております。現在は司令部機能、輸送部隊中心の横田基地にしても、日米共同訓練の移設基地やNLPの予備飛行場の位置づけがされないとも限らない。

 いずれにしても、米軍の運用上の必要性から見ると、横田空域がこれまであるいはこれまで以上に重要な意義づけを持つということになるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 この横田空域の返還につきましては、今言われましたとおり、米軍の運用上の理由から返還は困難との回答は確かに来ております。

 しかし、御存じのように、今回の兵力再編協議において、二〇〇九年に予定されております羽田空港の拡張、第四滑走路を念頭に置いて、とにかく、アメリカ軍の、また日本の側の、双方の運用上の観点を含めて日米間で見直すということで再検討するということになっておりますので、今、横田空域の扱いというものに関しましては細目申し上げられませんけれども、今、かなりの部分は前向きに進んでおるという点で、もうしばらく時間をいただきたいと存じます。

笠井委員 私は、米側が運用上の必要性を盾にとれば、これはますます返還が困難になるんじゃないかというふうに思うんです。

 横田空域にかかわる航空交通管制をめぐって、これまで日米間には、一九五二年、五九年、七五年の三回の合意があります。

 もともと、一九五二年の合意では、「日本国は、日本領空において完全かつ排他的な主権をもちかつそれを行使する。」として、あくまでも一時的な措置として米軍が管制をやるというふうになっていました。ところが、一九五九年の合意では米軍飛行場周辺の管制業務を米軍が行うことを認めて、一九七五年の合意では米側の管制業務の必要がなくなった場合には日本側に返還するというふうになっています。

 そのもとで、今、米軍再編協議で、横田、厚木などの基地機能を再編して恒久化すれば、横田空域まで返還どころか恒久化することになるんじゃないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

河相政府参考人 ただいま御指摘がございましたように、昭和二十七年、昭和三十四年、それから昭和五十年、幾つかの合同委員会合意というものの中で航空管制業務について規定をしてきておるわけでございます。

 御指摘のとおり、昭和五十年の合同委員会合意では、引き続き米軍が一定のところで管制業務を行う、ただ、その業務が必要でなくなった場合には、これは返還をするということで、具体的にその後も返還されて空域の削減等々行われてきているわけでございまして、これは一方的に米側に裁量がある、ゆだねたということではなく、いずれにいたしましても、日米間で、その必要性、何がより適切であるかということをきちっと議論して対応していくということで、我が方としては、基本的には横田空域というものは行く行く返還をされるべきであろうということの考え方に基づいて臨んでいくわけでございますし、先ほど国交省の方からも御説明したように横田空域の削減というのは過去七回にわたって行われていますし、今回の中間報告でも、羽田の新たな滑走路の増設ということを念頭に置いた対応をこれからやっていく所存でございます。

笠井委員 時間になりましたので終わりますが、今、返還を求めていく立場だと言われました。政府も認めているとおり、現在実施している進入管制業務について、我が国も既に十分な能力とそれから技術を備えているんですから、直ちに返還するように求める、そしてそのためにも、それに障害になるような、逆行するような米軍再編はやめるべきだ、このことを申し上げて質問を終わります。

原田委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 質問項目、通告はしておりますけれども、ICAOにおける我が国の云々という部分については、先ほど来質問もあったようでもありますので、時間の節約上、その部分は質問いたしませんので、御了解いただきたいと思います。

 そこで、JALの機長組合である日本航空機長組合が、二〇〇四年の十二月、スカイマーシャルの開始に合わせて、これに反対して早期中止を求める見解を発表しておるということであります。その趣旨は、大別しますと、そういう武器が飛行機に持ち込まれた段階でもう無理なんだ、だから絶対に飛行機に武器を持ち込ませない、そのことに尽きるという立場であるし、もし飛行機の中で仮に武器が使用されるということになった場合には、これはもう大変な事態になる、したがって、そこについては十分にやはり各面から検討しなきゃならぬというのが機長組合の皆さんの主張なんですね。

 そういう主張があったんですが、結果的に、二〇〇四年の十二月にそういうふうな見解を出しましたけれども、現実、今そのことは実行されている。そこら辺についての経過と、そして、そういう飛行機を操縦する方々の主張に対して、政府はどういうふうにその意見を受けとめて、どのように判断されておるのか、まずその点について聞きたいと思います。

塩崎副大臣 ただいま御質問がございましたスカイマーシャルにつきましては、平成十六年の十二月から始まっているわけでありまして、これは警察庁それから国土交通省、それから今御指摘もございましたが航空会社等、関係機関の緊密な連携によりまして運用が円滑になされていて、我が国の民間航空機の安全に大きく寄与しているというふうに私どもは認識をしているところでございます。

 警察庁においては、スカイマーシャルとして警乗する警察官が任務を的確に遂行しなければならないわけでありますけれども、専門的な訓練を実施しておられるというふうに理解をしております。

 ただ、具体的にどのような装備を有しているかという問題については、これを公表してしまえばハイジャック等の予防等々に支障を来すということで、公表はしていないというのが実態でございますが、基本的に、安全の観点から、スカイマーシャルは機能しているというふうに認識をしているところでございます。

重野委員 同じように、既に警乗しているアメリカでは、それについて、乗員組合とそれから関係者の間の合意というのを非常に大事にされているんですね。そういう合意のもとに制度が導入された、こういうふうに聞いております。

 その瞬間に、今副大臣が言うように整然といけるかどうかということについては甚だ疑問があるんですね。乗客は武装警官が乗っているということは知らないんですね。武装警官の権限と職務、それから機長の権限と職務が、その瞬間、衝突する可能性がある、これはやはり否定できないと思うんですね。そういうときにどうするのかということが、この間、これが決定される段階でどのように議論されたのか。

 私たちが聞くのに、実際キャプテンの皆さん方の、この決定に至るプロセスで非常に軽く見られているという意識がありますよ、我々は責任を持っていると。そういう形でこの制度が出発しているんですよね。そこに私が指摘をした、そういう権能の衝突というものが避けられるのか、あるいはそれを避けるためにどういう方策あるいは互いの意思疎通がこの間なされたのか、その点について、どうですか。

鶴岡政府参考人 御質問が詳細にわたるものですから、私の方からお答えを申し上げます。

 まず、経緯でございますけれども、スカイマーシャル制度と申しますのは、例の九・一一の事件をきっかけにいたしまして、航空機内の安全を確保する手法として、各国の間で協議を重ねながら組み立てられた制度でございます。これまで、御指摘のとおり二〇〇四年のお話もございましたけれども、累次の先進諸国のサミットにおきましても有効な手段の一つとして議論が重ねられてきておりまして、昨年七月にグレンイーグルズで開催されましたサミットにおきましても、それまでの経験を踏まえたスカイマーシャルの運用に関するいわゆるベストプラクティスというものについての詳しい意見交換もなされております。

 他方、その内容いかんにつきまして、対外的に公表いたしますとある意味で手のうちをさらすということもございますので、公表は詳細について差し控えておりますが、実施に当たりまして、ただいま委員御指摘のとおり、当然のことながら、機長それから関連航空会社との緊密な連携が不可欠でございます。したがって、警乗いたします警察官等の任務を含めまして、当然のことながら十分な連絡を緊密にとっておるということは申し上げられます。

 また、任務につきましては、あくまでも警察官の任務は我が国の国内法、特定申し上げれば、警察法、警察官職務執行法、その他の日本国の法律の執行を行うものでございまして、それ以上のものはございません。したがって、機長との間の連携も緊密に行っているというのが現状でございます。

重野委員 念には念を入れて、そこら辺が十分に、同じ目線ですべて見られるように、指導というのか、双方にやっていただきたい。

 もう時間もありませんので、一つは、私の大分県にあります日出生台の米軍の砲撃訓練、いわゆるSACO合意という中で、沖縄の百五十五ミリりゅう弾砲の射撃訓練が日出生台に来た。それはそうなんですけれども、先般、それと同時に、機関銃であるとかあるいは小銃の射撃訓練もやらせてくれと唐突に言われたんです。これは、結んでいます協定の中には一切そういう文言はないんでありますが、突然言われて、防衛庁の次官が来るし、防衛庁長官から電話はかかるし、在日米軍の副司令官がやって来るし、ちょっと今までと様子が変わったものですから、地元の方では、これは際限なく日出生台の演習が拡大していくのではないかという不安が非常に大きいんですね。

 照屋さんの質問主意書もあるし、それから赤嶺さんの質問もありますけれども、そこら辺が明らかにされておりません。その点について再度私は念を押したいと思うんですが、その点について。

長岡政府参考人 ただいま先生御指摘の点でございますが、昨年の十一月でございますけれども、米側の方から、正式に、今先生御指摘の日出生台の訓練におきまして、砲陣地防御訓練の一環として小火器の射撃をしたいという申し出がございました。

 先ほど先生がおっしゃいましたように、私どもとしては協定があることは重々承知しておりますので、御地元の方へ実施について御理解をいただけないかということでお願いをしたところでございます。

重野委員 それについて、現地の協定を結んだ当事者、そして知事も含めて、困ると明確に断っておるんですね。だから、それはしっかり受けとめて、今後の対応を検討してもらいたい、そのように思いますが、どうですか。

長岡政府参考人 先生御指摘のように、一月につきましては、困るという地元のお考えをいただきまして、米軍の方に見合わせてくれるように私どもの方から要請をさせていただきまして、日出生台におきましては小火器の射撃訓練は行われなかったということでございます。

重野委員 では、時間も来ました。

 以上で終わります。

原田委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原田委員長 これより各件に対する討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。松原仁君。

松原委員 私は、民主党・無所属クラブを代表し、いわゆる国際民間航空条約改正議定書、国際水路機関条約改正議定書、国際海事機関条約一九九一年改正について、賛成の立場から討論いたします。

 まず、国際民間航空条約改正議定書は、国際民間航空機関(ICAO)にある航空委員会の定数を十五から十九に増加させるものでありますが、定員の増加により委員の出身国の地域的な不均衡を解消し、委員の専門分野が広がることが考えられます。批准により、我が国の発言力の強化が期待できることから、賛成といたします。しかし、委員の増加により意思決定に時間がかかることがあってはいけません。機動的な意思決定との両立を図るべきです。また、近年、安全性を軽視した航空機の運航が行われていることを重く受けとめ、厳しく対処していくべきです。

 次に、国際水路機関条約改正議定書は、国際水路機関(IHO)の機構改革を行うものであり、意思決定の迅速化、財政の透明化、組織運営の円滑化が期待されます。我が国は海運国であり、水路に関する業務の重要性、国際協力の必要性という意義を認め、本議定書に賛成いたします。

 最後に、国際海事機関条約一九九一年改正は、テロに対するセキュリティー強化や各国で異なる入港手続の簡素化を通じ、IT技術の革新などに適切に対処していくためのものですが、いずれも我が国の発言権の強化が期待できること及びおくれていた本改定の早期批准を促すため、賛成するものです。

 このIMOにせよ、さきのIHOにせよ、二〇〇四年の附帯決議で指摘された日本海呼称問題について、我が国の主張が反映されている現状が後退しないよう、関係機関及び在外公館に対し、日本海呼称履行への取り組みを徹底していただくことを強く求めます。また、ICAOについても、加盟各国航空会社における日本海呼称履行への取り組みをおのおの求めるとともに、関係機関及び在外公館に対しても、その取り組みへの協力の徹底を求めます。

 また、多額の負担をしている国際機関における日本人職員の少なさはこれまでも指摘されてきたことです。国際機関で日本人が多く働くことイコール日本の発言力強化とは思いませんが、ある程度、支出に応じた職員任用は当然のことであり、国民の理解が得やすいのも事実です。より多くの優秀な日本人が働くことができるよう環境づくりに努力していただくことを求めます。

 今後、政府におかれては、日本海呼称問題、国際機関における日本人職員数増加等への一層の取り組みを強く求め、私の賛成討論といたします。

 以上です。(拍手)

原田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原田委員長 これより採決に入ります。

 まず、国際民間航空条約第五十六条の改正に関する千九百八十九年十月六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、国際水路機関条約の改正議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、国際海事機関条約の改正(簡易化委員会の設置)の受諾について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原田委員長 次回は、来る十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会


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