衆議院

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第18号 平成18年5月31日(水曜日)

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平成十八年五月三十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原田 義昭君

   理事 小野寺五典君 理事 谷本 龍哉君

   理事 土屋 品子君 理事 水野 賢一君

   理事 渡辺 博道君 理事 武正 公一君

   理事 山口  壯君 理事 丸谷 佳織君

      愛知 和男君    伊藤 公介君

      伊藤信太郎君    宇野  治君

      高村 正彦君    篠田 陽介君

      新藤 義孝君    鈴木 馨祐君

      中山 泰秀君    三ッ矢憲生君

      矢野 隆司君    山内 康一君

      山中あき子君    吉良 州司君

      篠原  孝君    津村 啓介君

      松原  仁君    谷口 和史君

      笠井  亮君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   外務大臣政務官      伊藤信太郎君

   外務大臣政務官      山中あき子君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    小林 武仁君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 谷口 智彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 杉山 晋輔君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 伊藤 秀樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際社会協力部長)        神余 隆博君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    石川 裕己君

   政府参考人

   (海上保安庁海洋情報部長)            陶  正史君

   外務委員会専門員     前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十一日

 辞任         補欠選任

  愛知 和男君     矢野 隆司君

同日

 辞任         補欠選任

  矢野 隆司君     愛知 和男君

    ―――――――――――――

五月二十九日

 在日米軍基地の再編と日米軍事同盟の強化に反対し、基地の縮小・撤去に関する請願(金田誠一君紹介)(第二三七一号)

 同(日森文尋君紹介)(第二三七二号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第二三七三号)

 米軍基地の再編・強化に反対し、最終報告の撤回、基地撤去を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二四九〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府と欧州原子力共同体との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一四号)(参議院送付)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

原田委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官谷口智彦君、大臣官房参事官梅田邦夫君、大臣官房参事官杉山晋輔君、大臣官房参事官伊藤秀樹君、大臣官房国際社会協力部長神余隆博君、北米局長河相周夫君、国際法局長小松一郎君、警察庁警備局長小林武仁君、防衛庁防衛局長大古和雄君、運用局長山崎信之郎君、防衛施設庁施設部長渡部厚君、業務部長長岡憲宗君、海上保安庁長官石川裕己君、海洋情報部長陶正史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原田委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。水野賢一君。

水野委員 おはようございます。自由民主党の水野賢一です。

 きょうは、北朝鮮による拉致問題についてまずお伺いをしたいというふうに思います。

 さて、この拉致問題というのは、言うまでもなく重大な主権の侵害であると同時に、極めて深刻な人権の侵害でもございます。そして最近、この問題に対してのアプローチとして、人権という観点から国際社会にアピールしていこう、そういうような動きが非常に強まっておりますし、また功を奏しているのじゃないかというふうにも思うわけであります。

 拉致被害者の家族の方々が訴えていらっしゃることというのは、要するに、突然無法にもさらわれてしまった人たちを、そうした家族を帰してくれという至極当然の要求でありますし、その意味では、普通の感覚を持った人たちであれば、普通の感覚のある国家であればどこの国でも普遍的に通用する話だと思いますので、その意味において、この人権という視点から国際社会にアプローチをしていくというのは非常に有効だと思います。

 その点では、昨年の十二月に国連総会で北朝鮮の人権に対する非難決議が採択をされたこと、また日本として人権の担当の大使をつくったこと、もしくは横田早紀江さんが訪米をされてブッシュ大統領に会われたこと、こういうようなことも、人権という視点からの拉致問題に対しての訴えというものが功を奏しているということの一つのあらわれじゃないかというふうに思います。

 大臣にお伺いいたしますが、大臣は北朝鮮の人権の状況というものをどのように把握というか認識されていらっしゃいますでしょうか。これは、もちろん拉致問題はその中の極めて大きい問題の一つでありますけれども、それ以外にも、例えば強制収容所の問題とか、表現の自由だとか言論の自由とか、いろいろなさまざまな基本的人権の問題があると思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 北朝鮮の人権問題の悲惨さにつきましては、これはさまざまなことが言われております。

 昨年の十二月の国連総会でアブダクションという言葉が正式に使われた経緯も御存じのとおりですが、この北朝鮮の人権状況の決議というものは、拷問とかその他の残虐な刑罰、また、適正手続と法の支配が欠如しておるとか、多数の強制収容所が存在しておるとか、思想とか良心とか表現の自由とか信教の自由がない等々、ずっといろいろ出てくるんですが、移動の規制を含みまして、組織的、広範かつ重大な人権侵害というものが、これは子供の栄養失調の蔓延等々含めまして、極めて不安定な人権状況、人権侵害があるということはもう極めて明らかなんじゃないかと思っておりまして、こういった不安定な人道状況が北朝鮮には存在をしておるということを指摘しております。日本は、この決議案の共同提案国の一つでありまして、ここに示されております認識、今申し上げた認識を共有いたしております。

 いずれにしても、日本としては、この拉致問題を初めとする北朝鮮の人権問題というものには深刻な懸念を有しております。今後とも、この問題に関しましては、これは国際社会からの圧力というものが広まりつつあるという御認識を今示されましたけれども、そういったものを踏まえまして、人権状況の改善というものを一層促していかねばならぬところだと思っております。

水野委員 全くおっしゃるとおりだと思うんですね。

 その中で、解せないのは、今大臣もおっしゃられた国連総会での決議、そのときの投票行動で、韓国はこの決議に対しては棄権をしているわけですね。

 では、同じ韓国が、北朝鮮以外の国に対しての人権状況に対するいろいろな非難決議とかというのがやはり国連なんかでも行われている、そのときの韓国の投票行動についてお伺いしたいと思います。例えばベラルーシとかもしくはキューバなどに対して人権委員会で決議が昨年行われていると思いますけれども、そのとき韓国の投票行動はどうだったでしょうか。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の国連人権委員会におきますベラルーシの人権状況決議及びキューバの人権状況決議につきましては、韓国は賛成票を投じております。

水野委員 その辺、非常に私は、普通の感覚でいけば解せない部分があると思うんですね。

 例えばベラルーシの状況というのは、多分それは人権状況に問題はあるんでしょう。あるんでしょうけれども、それは、例えば野党に対して非常に強圧的な態度で政権が臨んでいるとか、そういうような話がベラルーシの中での話なわけですよね。ところが、北朝鮮の場合は、そもそも生きて野党を結成することができるのかというような状況なわけでしょうから、普通に考えれば、ベラルーシの状況と北朝鮮の状況というのは、恐らく段違いの差というものが人権の状況にもあるんじゃないかと思うんですね。

 ところが、ベラルーシとかに対しての非難決議には賛成を投じていながら、世界の中でも最も人権状況が劣悪と言っても過言ではないであろう北朝鮮に対しては棄権をする。つまり、これは今の盧武鉉政権が、北朝鮮のことに対しては批判をしたくない、刺激をしたくない、問題点があってもそのことには目をつむろうという盧武鉉政権の象徴的な態度をあらわしているものじゃないかというふうに思います。

 そういう意味では、よく拉致問題の解決とかこうしたことに関して日韓の連携が必要だという声もあるんですけれども、もちろん韓国の心ある人たちと連携をしていくということは極めて大切だと思いますけれども、今の盧武鉉政権のこの問題に対するスタンスというもの、非常に北朝鮮の言いなりというようなことも部分的にあるんじゃないかというふうに思いますし、少なくとも、日韓連携というときに、盧武鉉政権のスタンスに引きずられるようなことがあってはならないんではないか。韓国には韓国の都合があるわけでしょうけれども、日本としては日本の姿勢というものを毅然と貫いていただきたい、そのように要望したいというふうに思います。

 さて、人権と北朝鮮の問題ということでいうと、今、時あたかも、与党そして民主党それぞれ、俗に北朝鮮人権法というふうに通称される法案というものを国会に提出しております。両法案とも既に国会に提出をされておりまして、委員会付託はまだされておらないんですけれども、このそれぞれの北朝鮮人権法に対する大臣の御所見、御意見というものを伺いたいと思います。

麻生国務大臣 与党から提出をされました北朝鮮人権法案につきましては、いわゆる対話と圧力というものの考え方に立って、北朝鮮側の誠意ある対応を引き出すというのを目的としたものと理解をいたしております。

 この法案が成立しますと、政府にとってはさらなる外交カードの一助になると考えております。しかし、これは御存じのように議員立法でもありますので、その内容、詳細については国会で議論をしていただくことになるべき事柄なんですが、いずれにいたしましても、現時点としては議論を見守ってまいりたいと思っております。

 民主党の方の出されました北朝鮮人権侵害法につきましては、これは同様に議員立法でもありますので、国会で御議論されるべき事柄でありまして、現時点として、この議論というものを見守りたいというのが政府としての立場であります。

水野委員 国会の会期も迫っている中でございますけれども、私も提出者の一人でございますので、成立に向けて全力を尽くしていきたいな、そのように思っているところであります。

 さて、この北朝鮮の問題を解決していく中で、中国の果たす役割というのが重要だという指摘はよくあるわけでございます。六者協議などにおいて中国の姿勢に感謝すべきだというような声もあったりするんですけれども、私は、感謝すべきどころか、むしろ中国に対して物を申さなきゃいけない点、抗議をしなきゃいけない点というのも多いんではないかと思います。

 その中の一つは、中国が北朝鮮に対して支援、経済的な援助を行っているということがございます。今、さまざまな圧力をかけて、北朝鮮に対して国際的に圧力をかけていこうという動きもある中で、こちらで圧力をかけようとしても、こちらから一生懸命経済的な支援をするというのでは、抜け穴をつくるどころか、圧力に逆行をするような動きだというふうにも思います。

 私は、こうしたことに対して抗議なり自制を求める、自粛を求めるというようなことはあってしかるべきではないかと思いますが、先日、日中外相会談が行われましたけれども、こうした中国の姿勢に対して抗議なり自粛などを申し入れたようなことはございますでしょうか。

麻生国務大臣 御指摘の件につきましては、去る二十三日でしたか、カタールにおいて行われました日中外相会談で特にこの問題について取り上げたわけではありません。ただ、会談において、北朝鮮の状況につきましては、六者協議がまずスタートせぬとどうにも対話が成り立ちませんので、このまず早期解決に向けた協力ということで一致をいたしております。

 また、日本側から、拉致問題というものが目先にありますので、中国側の協力を求めたことに対しまして、中国側からこの問題の重要性については理解している旨の発言があったというのが経緯でありまして、今言われました援助、支援等々の問題について特に言及したわけではございません。

水野委員 今回はそのことに特化して話したということではないということですけれども、問題意識としては共有する部分があると思いますので、今後もしっかりとこうしたことに対して言うべきことは言っていただきたいというふうに思います。

 さて、人権という観点から質問を続けたいと思うんですけれども、中国も人権の状況というのがいろいろ、劣悪な状況というようなことがさまざま報じられたり国際社会で問題になったりすることがあるわけであります。一方で、人権の問題というのは非常に取り扱いが難しいところもございまして、ある意味では、途上国の方からすれば、特に劣悪な人権状況の途上国からすれば、先進国の価値観を一方的に押しつけるなという議論も当然あるわけでしょうし、各国には各国のそれぞれのやり方があるんだというような、そういう議論というのも一理あるというふうに思います。その意味において、なかなか、人権の問題を押しつけていくということは難しいかもしれませんけれども、しかし、これは普遍的な概念でもある以上、他国の状況に無関心であってはならないというふうにも思います。

 そういう点から、日中ではかつて日中人権対話というのを行っていたと思いますけれども、これによって中国の人権状況などの改善、こういうようなものを日中で話し合う、そういうような場だったというふうに理解しておりますけれども、これはこれまで何回、いつ行われたんでしょうか。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 日中人権対話はこれまで三回実施されてきております。第一回目は一九九七年十月二十一日から二十三日まで、第二回は一九九八年の七月九日から十日まで、第三回は二〇〇〇年一月十三日に行われております。

水野委員 最近ずっと行われなくなったというのは、何か成果があったとか中国の目立った人権状況の改善というのがあったからと理解してよろしいですか。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 その後、委員御指摘のとおり、人権対話は実際上は実施されてきていない状況にございますけれども、その理由は、両国の日程その他の都合が合致しないということでございました。

水野委員 そういう意味では、何か人権状況が目立って改善をしたからということではないようですけれども、その点は問題があればやはり指摘することは指摘を今後も続けていただきたいというふうに思いますし、もちろんこれは価値観を押しつけるということは望ましいことじゃないかもしれませんけれども、内政問題だから何をやっても許されるというわけでもないわけですから、この点に対してはしっかりとして、毅然としたことを主張していただきたいというふうに思います。

 参考人に続けてお伺いしますけれども、人権の問題としてよくチベットの人権弾圧などということも指摘されますけれども、こうしたことも人権対話の中では取り上げられたんでしょうか。

神余政府参考人 委員御指摘のとおり、内政問題ということで決して対話を閉ざしているわけではございません。チベットの問題につきましても、これまで行われました日中人権対話の中で我が国よりその人権状況に関する関心を表明して照会し、取り上げております。

水野委員 このチベットにおける人権状況というようなことというのは、国際的にもかなり、欧米などでもこの問題などが指摘されることがあるわけなんですけれども、この人権状況ということに対しては日本政府としてはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

塩崎副大臣 先ほど来水野議員の方から、人権問題について押しつけであってはならないというお話がありますが、しかし我々、他国の人権状況については絶えず関心を持っていなければいけないと考えております。そういう意味では、このチベットの問題についても、内政問題といえども、人権が保障されることは極めて重要でありまして、チベットの人権状況については引き続いて日本政府としても注視をしてまいりたい、このように考えております。

水野委員 この点は非常に深刻な人権侵害などがあるというふうにも言われておりますので、注視をしていただきたいな、そのように思うところでございます。

 さて、世界の中でも最も人権状況、人道的に大きい問題があるというふうに言われているのがスーダンのダルフール地方の問題というふうにも、これは国連の事務総長なんかもそういうような指摘をしていたりすることもありますけれども、この悲惨な状況の改善とか解決に向けて日本政府として取り組んできたようなこと、そうしたことというのは何かありますでしょうか。

杉山政府参考人 ただいまの御指摘のとおり、確かにこのダルフールの問題、我が国政府といたしましても、深刻な治安、人道危機が続いている状況だという大変強い懸念を持っております。この五月の初め、たしか五日だったと思いますけれども、スーダン政府と反政府勢力の一部との間で和平の合意が行われる、その後、ついせんだっても、それを踏まえた新たな安保理決議が採択されるという動きの中で、我が国政府としてもそのような状況の改善を強く願っているところでございます。

 今御質問の点で、これまでの我が国政府の努力としては大きく分けて二つ。一つは、外交努力、強い働きかけということだと思います。それからもう一つは、さまざまな支援ということでございます。

 外交努力という点では、金田副大臣から来日したスーダンの担当の閣僚に働きかけるとか、あるいは塩崎副大臣が現地に赴かれて働きかけをされる、さらには、先般、塩崎副大臣がニューヨークの安保理の閣僚会議に出席されて、その場でも強く働きかけをされるといったような努力をいたしております。それ以外に、我が国はこれまで総額で約三千三百万ドルのさまざまな支援をする、それから、先般、小泉総理がアフリカを訪問されたときも新たな支援を表明するといったようなことを行っております。

水野委員 今後も引き続き、こうした努力を続けていただきたいというふうに思います。

 さて、北朝鮮の話ですけれども、国交正常化の話についてお伺いをしたいと思います。

 平壌宣言では、国交正常化交渉において、日本が北朝鮮に行う経済協力、この規模と内容を協議するというふうに書かれておりますけれども、平壌宣言後も、国交正常化交渉が先日再開をされました。この中で、北朝鮮側からどのぐらいの規模の経済協力を希望するというような、こうした規模や内容について提示してきたことはございますでしょうか。

梅田政府参考人 答弁申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、経済協力の規模等につきましては国交正常化交渉の中で具体的に議論することになっておりますけれども、今までのところ、平壌宣言以降ということでございますけれども、先方から具体的な額、内容等について提示してきたことは一切ございません。

水野委員 今、平壌宣言以降の交渉においてはそうした額の提示などはなかったということですけれども、日朝の国交正常化交渉というのは九〇年代の頭からやっているわけですね。長い空白期間などはありましたけれども、行われてきた。その中で、これまでの九〇年代冒頭からの国交正常化交渉の中で、北朝鮮から幾らぐらい資金が欲しいというような、これはいわゆる経済協力ということでの限定ではないのかもしれないけれども、規模について提示をしてきたことはありますでしょうか。あれば、その金額についてもお答えいただきたいと思います。

梅田政府参考人 お答えさせていただきます。

 日朝の交渉につきましては、九一年以降、断続的に行われてきておりますけれども、今後とも国交正常化交渉、引き続き行われますので、今先生から具体的に御質問のあった点につきましては答弁を差し控えさせていただければと思います。

水野委員 交渉中のことだからなかなかすべてを明らかにすることはできないというのはわかりますけれども、規模について提示してきたことはあったんでしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 その点も含めまして、具体的なやりとりにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。

水野委員 私は、この点というのは明らかにしてもいいことだというふうに思うわけですね。というのは、国交が正常化されたときには大規模な経済協力をするであろうということは平壌宣言にも書いてあるわけですから、だれもがそういう日が来るかもしれないということは思っているわけですね。そのときに幾らだということが全く見当もつかないという中では、国交正常化の問題ということ自体が議論できないわけですね。

 もちろん、北朝鮮側が一方的に言っている額なわけですから、その額が適当なのかどうかということも我々判断もできないということはおかしいですし、これは今後、きょうはこのあたりにしておきますけれども、明らかにしていただきたいということを要望したいというふうに思います。

 最後の質問にいたしますけれども、地球温暖化の問題について、一点、お伺いをいたします。

 ポスト京都議定書の交渉というものが今後始まっていくわけでしょうけれども、この中で、地球温暖化問題の中で、気候変動枠組条約でも大気中の二酸化炭素の濃度を安定化するということを究極の目標として掲げておりますけれども、では、何ppmぐらいで安定化させるのかということが重要になるわけですが、この辺について日本として具体的な提案をしたことはございますでしょうか。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、EUあたりでは五五〇ppmといったような数字が出ておるわけでございますけれども、国連の気候変動枠組条約の第二条におきましては「気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させる」ということを究極的な目的としておるわけでございます。具体的に濃度をどの程度安定化させるかについては、日本としては科学的な知見を踏まえて幅広い議論がさらに必要だというふうに考えておりまして、したがって、具体的な数値目標として現在提案していることはございません。

 事実関係としては以上でございます。

水野委員 時間ですので終わりますけれども、今後の温暖化の交渉においても地球温暖化防止のために全力を尽くしていただきたいということを要望して終わります。

原田委員長 次に、新藤義孝君。

新藤委員 おはようございます。新藤義孝でございます。

 本日は、私、竹島問題について、いろいろ歴史的事実、またこのたびの海洋調査、これに関することで御質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、麻生大臣、塩崎副大臣、連日御苦労さまでございます。

 麻生大臣、もうお聞きかもしれませんが、ぜひ私は外務委員の皆さんにこの歌を聞いていただきたい。韓国のカラオケ屋には必ずある歌でございます。これは、歌詞がお配りした資料の二枚目にございますので、ぜひごらんください。(録音を再生)

 こんな感じで、五番まであるんでございます。麻生大臣のセンスにはちょっと合わないような気がいたしますけれども。これは、一九八二年に大衆歌謡として韓国で生まれて以来、非常に愛唱されている、それから最近はいろいろな場面で韓国で歌われているということでございます。「トクト(独島)は我が地」、こういう歌なんです。ここで、島がどこにあって、それから歴史的に独島というのは韓国の島だったんだ、こういうことをずっと言って、これはもう刷り込み効果というか、愛唱歌として韓国の人はみんな知っている。ですから、独島、竹島は韓国のものだ、これが考えもなしにすっと当たり前のように皆さんでお考えになっているということなんです。

 そこで、ちょっと外務省に確認したいんだけれども、四番の詞で、チジュン王十三年、五一二年のころ、島国、于山国、それから世宗実録、地理、五十ページ三行目、ここでもう歌われているんだ、だから古代において独島は我が地だったんだと証明されているというんですけれども、これについて、外務省、ここの于山国、これは独島のことなんでしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 今先生が御指摘になった于山国につきましては、何を指すかは明確ではないと思います。

 理由を御説明させていただきますと、ここにも載っております世宗実録でございますが、この中に、于山及び武陵の両島は于山国と称せられるとの記述がございますが、少なくともそこでの具体的描写の概要は、両島の距離は隔たることないといったものになっております。これが相互に現在九十キロ離れた竹島と鬱陵島の地理的状況に合致するとはとても考えられないということでございます。

新藤委員 先に申し上げればよかったんですが、きょうお配りした資料の一枚物で、この四番にある世宗実録というもの、この原文をおつけいたしました。こういう漢文のようなものですからわかりづらいですけれども、でも、最初にございますですね、一行目に、二島は遠くないですよと。風が吹いて、日当たりがよく、明るくて、そしてよく見えると。これは、新羅に後で吸収されるわけですけれども、于山国。でも、ずっといくと、一番左の最後の方には、土地肥沃、それから竹は柱のごとし、ネズミは猫のごとく大きい、こうなっているんですけれども、我々が見ている竹島は岩山でございまして、竹なんか一本も生えていないし、水も出ないわけですから、ネズミや猫がいるわけがない。

 そして、しかも、この鬱陵島と竹島という、きょうお配りした資料の一番最初のページでございますが、竹島というのは、隠岐諸島から百五十七キロ、竹島と一番近い韓国領である鬱陵島というのは九十二キロあるわけです。于山国というのは鬱陵島の周辺の島だった、こういうことになっているわけでございまして、九十二キロで、百キロ近く離れていて、これを遠くないというのかどうなのか。いろいろ含めて、どうも于山国というのは、これは鬱陵島のことじゃないか、そういうことを推測する文献もいろいろあります。

 それでは、この鬱陵島に対して、では、もう一つ島があったんだ、竹島、独島。この独島は、このときはどういうふうに呼ばれていたのか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 昔の、昔といっても十七世紀のころでございますが、さまざまな文献とか地図を見ますと、竹島及び鬱陵島の呼称をめぐっては混乱が見られます。史実及び経緯に照らしますと、一六九六年の幕府による渡航禁止というものがございますけれども、当時竹島と呼ばれていた現在の鬱陵島を対象にしていたということもありまして、現在の竹島を含むものではないというようなこともございます。

 いずれにしても、呼称につきまして混乱をしていたという事実がございます。

新藤委員 竹島は何と呼ばれていたんですか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 当時、松島と呼ばれていたこともございます。

新藤委員 鬱陵島及び竹島、この付近の領有をめぐっては、かつての李氏朝鮮、それから大韓帝国と日本の江戸幕府、それから明治政府、かつて何回かその領有権の争いがあると私は調べてわかりました。数えただけでも、徳川幕府のころに、一六九六年にまず渡海禁止令があった。今外務省、御説明ありましたね。それから、天保八年に、やはり徳川幕府が渡海禁止令を当時の鳥取藩とか対馬藩とか、そういうところに出しているわけです。それから、江戸のころもそうですが、明治になりまして、明治十六年にやはり明治政府が竹島に対する渡海禁止令を出している。これ、あるわけです。

 最終的に、明治三十三年に、大韓帝国からの要請に基づいて、そして明治政府はこの竹島を大韓帝国の領土である、こういうふうに確定しているわけですね。これは歴史上の領有なんです。それは一体どこのことなのかということなんです。今まで日本と韓国が、かつて古代から中世において領有権をめぐって争っていたその島はどこかということ。どう確認していますか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 韓国側が竹島と言っていたとき、日本の中でもいろいろ呼称について混乱があるわけでございますが、さまざまな資料を見ますと、明らかに現在の鬱陵のことを竹島と言っていたというふうに思われます。

新藤委員 今ちょっと外務省もびっくりしたかもしれません。私の言い方が、竹島を韓国領、大韓帝国領として認めたと言ったからびっくりしたんだと思います。ここに最大の混乱があるわけですよ。明治の三十八年に明治政府が、今の竹島を日本国として正式に手続をとって領土とした。そのときに、明治三十八年に領土としたときに初めて今の竹島という名前になったので、いろいろな名前はありますけれども、それまではずっと日本名は松島だったわけですよ、この韓国が独島と言っている竹島は。それで、これは日比谷公園ぐらいしかない面積のところ。人も住めないし、漁業の中継地だったり、さっきから出ている鬱陵島への中継基地として使われていた、こういうことが歴史的な文献で出てくる。

 一番最初に私がお配りした資料の中にございますが、鬱陵島という大きな島がございます。これは七十三平方キロでございまして、世田谷区より大きいです。そういう大きな島があって、これは一島だけではなくて、周りに、鬱陵島の拡大図のところには竹島という怪しい名前もあります。ここは竹がいっぱい生えているわけです。だから竹島だったんです。

 でも、ここをめぐっては、李氏朝鮮、要するに、朝鮮族の皆さんがこの島は自分たちのものだということで、それに対して明治政府が鬱陵島はそれでは認めましょうとなった。でも、今までの、過去の領有権を主張した中で、この松島について、両国の政府や、いろいろな手続的に、日本がここをずっと使っていることはあっても、渡海禁止令の中に含まれたことは一度もないんじゃないですか。どうですか。

梅田政府参考人 先生御指摘のとおり、現在の竹島は、十七世紀当時は松島と一貫して呼ばれております。

 歴史的な背景を少し敷衍させていただきますと、一六一八年以降、伯耆の国、現在の鳥取県の一部でございますけれども、大谷及び村川両家が幕府から鬱陵島への渡海免許を受け、毎年、同島に赴いて漁業を行い、アワビを幕府に献上しておりました。この間、当時の松島、すなわち現在の竹島は、鬱陵島渡航への寄港地、漁労地として利用されておりました。さらに申し上げれば、大谷、村川両家は、遅くとも一六六一年には幕府から現在の竹島を拝領しております。

 いずれにしましても、これらの史実に照らしますと、我が国は、遅くとも十七世紀の半ばには竹島を有効に支配していたというふうに考えております。

新藤委員 これは、調べれば切りがなくいろんなものが出てきます。そして、韓国側は、独島研究保全協会ということで、「韓国の領土・独島物語」という資料をつくって、日本語に翻訳して、外務省が持っている資料だけれども、私もいただきました。

 あらゆるところで、ここは昔から韓国の島だったんだ、こういうふうに言っているんだけれども、例えば、きょう一つ資料を出した、カラー刷りの資料がございます。これは一五三一年の東国輿地勝覧ということですね。このときは、李氏朝鮮だと思います。ここで、非常に見づらくて恐縮なんですけれども、黄色の丸で囲んだところ、右側が鬱陵島と書いてあります。それから左側が于山島で、ここが独島だと言っているんだけれども、さっき地図で見ていただいたように、明らかに、九十キロ離れた東側に竹島はあるわけで、ここの、もう既に一五三一年の韓国側が出している資料の中で、于山島というのは鬱陵島と並んで、しかも同じ大きさ。片や日比谷公園並みの面積、片や世田谷区より大きな場所、これが同じ場所に並んでいる。この状態を見ても明らかじゃないか。この于山島というのは鬱陵島近辺のことであって、竹島ではないですよ。

 しかもこれは、鬱陵島に独島博物館というのがあって、そこに御丁寧に掲げてあるんだそうですよ。ここの表示は何と言っているかというと、于山島の位置を鬱陵島の内側に書いたが、むしろこれは于山島の領有意識をもっと強烈にあらわしたことになると言っているわけだよ。これが間違っているかどうか、私は間違っていると思いますけれども、こういう状態でいる。

 私は、実はこのことに関心を持って、自民党の領土に関する委員会だとかそういうのがここで開かれて、いろいろ研究しました。そうしたらば、余りにも私も知らなかったことに気がついたんです。一方で韓国側は、独島は我が地ということで、昔の世宗実録だって、あれは鬱陵島のことを言っているとしか思えないような、そういうものでもって歌までつくって、独島は我が地だ、我が地だと。だれもみんな疑いなく、我が地だと思っているわけです。日本側は、一体これをなぜきちんと正さないんだ。私は、この歴史的な事実というものをしっかりと押さえるべきではないかというふうに思うんです。

 それから、時間がございませんので、これは本当は、じっくり一個ずつやっていくと、みんなおかしなことだらけなんです。このことに関して日本政府、外務省は、交渉のテーブルにおいて、この歌はおかしいですよ、それからこの表示もおかしいですよ、独島のこういう韓国側がつくっているものに対して、きちっと反論を今まで交渉のテーブルに着いてしてきたのかどうなのか、これはまずどうですか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 本当に過去の交渉の経緯については調査する時間をいただきたいと思いますが、最近のいろんな場においてこの問題を取り上げるに当たって、今先生が指摘された点、そこまで詳細な点にわたるやりとりはしたことはないと承知しております。

新藤委員 これはぜひ、両国の歴史の専門家が見なくても、事務的な、外務省、お互いの役所の方たち同士の交渉の中だって、十分にお互いに検証できるものだと思いますよ。

 私が漏れ聞いている話では、この歴史の話をすると韓国側が猛烈に怒って、昔の細かい話できない、昔の細かい話するな、とにかくあなたたちが日韓併合したんだ、この歴史問題だというのでそれっきりになってしまうということなんだけれども、それでは自分の図面をわざわざ、位置が違って、昔の文献、間違っている文献じゃないか、まで使っているのを、これも、何かそこを追及しようとすると怒るというのでは、交渉にならないじゃないかということなんです。

 それから、ぜひこれは日本の国民に対しても、これをもっと、当たり前のことなんだから、竹島の真実としてわかりやすく知らせるべきだと思うし、外務省のホームページにはよく読むとそう書いてあるけれども、さらっと読めば全然わかりません。しかも、図面がついているわけじゃない。位置関係がわかるわけではない。今、外務省のホームページを検索すると、竹島関係で七十件ぐらいなんですね。それで、北方領土を調べると三百件ぐらい出てくるんだよね。

 だから、やはり竹島問題を、少なくとも、戦争が終わって李承晩ラインが引かれる、区切りとしては、明治三十八年に竹島を日本の領土として正式に明治政府が手続したとき、それからその後、四十三年でしたか、日韓併合があって、そのときは鬱陵島も竹島もすべて含めて日本になっちゃったから、そこには領土問題がなくなっちゃった。それが、戦争が終わって、昭和二十年に占領国の管理下に入って、そして二十七年にサンフランシスコ講和条約において、日本の独立と、また領土が画定されたわけです。

 このときに、これは質問していると時間かかっちゃいますから申し上げませんけれども、サンフランシスコ講和条約を調印したときに、そのときは、日本が韓国に返す領土として鬱陵島、巨文島、それから済州島、これは日本が領土膨張する前は持っていなかったところだから、韓国のものだと。

 そして、竹島については、これはわざわざ御丁寧に韓国の駐米大使が、竹島も韓国の領有とすべきだ、そういう文書を書いたらば、米国務省の極東担当次官補が、竹島は朝鮮の一部として取り扱われたことはなく、一九〇五年ごろから日本の島根県隠岐支庁の管理下にある、この島はかつて朝鮮によって領有権の主張がなされたとはみなせないと。これは、日本ではなくて連合国司令部、アメリカの国務省次官補が明快に韓国に対して文書で返しているわけじゃないですか。それを不服として、条約上に竹島を入れられないならばといって、条約を調印してから発効するまで、今度は翌年の四月二十八日に発効するまでの間に、一月二十何日ですか、李承晩がラインを引いてしまった。以来、不法占拠しているということじゃないですか。

 少なくとも、近世から江戸に、明治までにおいては、これは領有は、日本が実際に使っていた。それから日韓併合を経て、そして李承晩ラインが引かれるまでも日本の領土として国際的にも認められていた。そして、その後は不幸な状態になっている。不法占拠だ。ここをきちっとやはりやるべきだと私は思うんですよ。

 こういうことを、例えば北方領土なんか漫画で、私、北方領土の島民に配ってきたことがございます。私も択捉島に上陸していますから。これを日本できちんと、外務省、そういう資料をつくって、特に大臣は造詣が深いわけですから、そういうわかりやすいものを出して、客観的事実として、こっちのものだとかなんとかという以前に、事実としてこうですよということを明らかにすべきじゃないですか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生から御指摘のありましたホームページの充実も含めまして、資料の整備については努めていきたいと思います。

新藤委員 それでは次に、過日の、四月に少し摩擦がというか騒ぎが起きました。竹島周辺の海路、海洋調査について、このことについてちょっと聞きたいと思います。

 まず、日本側が四月の十四日に水路通報十五号ということで、竹島周辺の海域の海洋調査を、水路測量を行います、こういうことで水路通報を出したわけですね。これについて、どういう内容のことをやろうとしたのか。それに対する韓国側の反応はどうだったんですか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 日本側の調査につきましては、日本側が主張しておりますEEZ内の海底地形についての調査を行うということでございます。それに対しまして、韓国側からの反応でございますけれども、まず、四月十四日に、柳明桓外交通商部第一次官が大島大使を呼び、この調査に関連しまして、厳重な抗議と即時撤回を求める旨の申し入れがありました。

 さらに、この調査につきまして、安倍官房長官が同日、我が国のEEZ内でこうした調査を行うことは国際法上の観点も含め何ら問題はないということを述べられましたが、それに対して先方は、外交通商部のスポークスマンの発言という形で、国際法を日本は恣意的に歪曲しているだとか、不法な計画を即時撤退しなければならないといったようなコメントを出しました。

新藤委員 時間が終了しておりますので、またこれは次回、申しわけありませんが、海保の人、来ていただいたんですけれども、この問題を私は取り上げたいというふうに思っています。

 きょう言っていただいたように、まず資料をきちんとつくって、日本の国民と韓国の国民に、政府同士じゃなくて普通の我々がわかるように、そういう広報を心がけていただきたいとお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

原田委員長 次に、谷口和史君。

谷口(和)委員 おはようございます。公明党の谷口和史でございます。

 きょうは、ジャワ島の地震を中心にお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず冒頭、ジャワ島地震で被災された方々にお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 新聞報道等によりますと、三十日の時点、きのうの時点で、インドネシア政府の災害対策本部の発表では、死者が既にもう五千七百三十二人に達したということで、被害が拡大している。それで、早朝の大地震ということで、また多くの住民の方々が、建物の倒壊によって圧死というか建物の下敷きになって亡くなっている。それからまた、救援の初動がちょっとおくれぎみということで、被害が刻一刻と拡大をしている。死者数も六千人近くになってきているということで、阪神・淡路大震災の状況をほうふつさせるような、こういう被害の状況になっているというふうに思います。

 日本としては、五月二十八日に、緊急支援として一千万ドル、日本円にして十一億一千万円を無償供与する方針を決めました。それから、国際緊急援助隊として二十五人の医療関係者を二十九日に派遣され、テントとか浄水器とか毛布、こういった二千万円相当の援助物資を提供されております。

 現地からのいろいろな報道を見ますと、生き埋めになった人を救出する人手、機材が足りない、それからまた、多数のけが人を手当てする医療スタッフと医薬品が不足をしている。それからもう一つは、津波のときにも懸念をされましたけれども、熱帯であるということで、負傷者を放置すれば感染症の併発などが起こるだろう、こういうことで、いろいろさまざまな懸念がされております。

 救出をする、それからまた医療的な援助を行う、こういうことが喫緊の課題だというふうに思うわけでありますけれども、こうした現地の状況に対して、政府は今後、人的にどのような協力をしていく方針なのか、まずお伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 この二十七日に発生いたしましたいわゆるジャワ島中部の地震を受けて、これは幾つかのことをしておるんですが、同日中に医療関係者を含みます緊急援助チームの派遣を決定いたしております。翌二十八日に、さらに、医者、看護師、薬剤師等々の人たちから構成されます緊急援助隊医療チームの派遣を決定。この日本の緊急援助隊は二十九日に現地で医療活動を開始し、現在二十五名の隊員が活動に従事をいたしております。

 また、二十九日の夕方、インドネシア政府より、諸外国からの軍隊も含む、これは向こう側から言ってこないとなかなかさようなわけにいきませんので、軍隊を含む医療支援に関する要請というのを受けておりますので、直ちに防衛庁と協議して、国際緊急援助隊としての自衛隊の医療支援のための部隊を派遣することとしております。そのための先遣チームはきょうじゅうに現地に入るのだと思いますが、活動を開始する予定であります。

 この自衛隊から成ります緊急援助隊の本隊は、先遣チームの調査結果を受けて早急に派遣すべく目下準備中というところでありまして、引き続き、これはまだインドネシア政府の発表でありまして、瓦れきを外しますとまたさらに死者がふえることも考えられますので、さらなる人的要請というものがあり得るとは思っておりますので、どういうところが我々としてできるところがあるのか、可能性につきましてはさらに検討いたしたいと思っておりますが、今は、少なくとも今現在までで対応しているところの中間報告であります。

    〔委員長退席、小野寺委員長代理着席〕

谷口(和)委員 ぜひ万全を尽くしていただいて、被災者の方への援助を行っていただきたいと思います。

 関連してなんですけれども、災害援助の原則としましては、まず、災害の第一報を分析すること、そして、被害の状況と救援のニーズをしっかり把握し準備をしつつ、今調査団が送られていますけれども、調査団のその報告を受けた上で行動に移るということが確実なやり方だというふうに思います。

 その意味で、被災地の情報収集というのは非常に重要であり必要不可欠だというふうに思うわけでありますけれども、ただ、これを待っていては手おくれになる、特に災害援助に関しましては手おくれになるということもあると思います。これが、ある意味で災害援助に対する非常に難しい点だと思うんですけれども、今回、政府は、先ほど大臣がおっしゃられたように、災害発生の翌日に医療チームの派遣を決定し、一部を同日中に出発させる、それから本隊は二十九日に後を追わせるということで、昨年十月のパキスタン地震というのが記憶に新しいところでありますけれども、そのときと比べると、今回非常に迅速であったというふうな思いがございます。

 しかしながら、パキスタン地震のときには、医療チームと一緒に、警察とか消防とか海上保安庁のレスキュー隊から構成される救助チームも一緒に派遣をしております。今回、この救助チームの派遣を一緒にしなかったという理由は何かということと、これは恐らくニーズの関係だとは思うんですけれども、今後派遣をする予定があるのかどうか、この辺のところを確認させていただきたいと思います。

塩崎副大臣 先生御指摘のように、パキスタンのときにはレスキューチームを含めた救助チームというのが行っていたわけでありますけれども、今回、先方の方から、インドネシア政府が、態勢がまあまあ足りているということで派遣要請が来なかったという事実が一つございます。

 国際緊急援助隊の派遣などについては、やはり要請があって実際には最終決断をするということで、準備は当然やられるだろうと思いますし、私もいろいろな国際機関などのネットワークを使って情報は収集しておりましたが、そういったことで、まず派遣要請が必要なわけですけれども、それがなかったということでございます。

 先ほど大臣の方から答弁申し上げたような自衛隊の医療のための部隊の派遣についても、当初は要請がなかった。それが、二十九日の夜になって先方の要請に基づいて派遣を決めた、こういうことがあったものですから、今回のことについてはそういう事情でございます。

 今後も、まだ要請がございませんので、今のところは決めていないというところでございます。

谷口(和)委員 今副大臣の方からお話がありました、要請がなければ行けないという点でありますけれども、その点についてちょっと次にお伺いをしたいというふうに思います。

 先ほどお話ししましたパキスタン地震のときにも指摘された点でありますけれども、国際緊急援助隊として自衛隊を派遣することに若干やはり時間がかかるのではないかという感を持っております。

 それで、昨年十月二十六日の衆議院の外務委員会で、当時の町村外務大臣はこういうふうにおっしゃられております。自衛隊が行くというとどうしても準備に時間がかかったり、手続をきちんきちんと踏まなきゃならないということで、ややもすると初動がおくれてしまうということもあります、こういうふうに答弁をされて、自衛隊の派遣に時間がかかるということをお認めになり、その分、NGOの活動を車の両輪ととらえて、NGOと力を合わせていきたいというふうに御答弁されております。

 実際、自衛隊というのは実力組織でありますし、海外への派遣に関しましては特にやはり慎重を期していかなければならない。また、国際的に見ても、先ほど御答弁ありましたように、災害派遣については、受け入れ国からの要請を受けて実施するという要請主義というのが原則になっております。

 ただ、地震災害の対応は、阪神・淡路大震災のときもそうでしたし、やはり発生から二日、四十八時間というのが大きな勝負であるというふうに思いますし、また、生き埋めになった被災者の方々を救助できるかどうかというのはやはりこの初動体制にかかっている、こういうふうに思います。そういう人命救助という大きな目的からしますと、震災の発生後に被災国から要請があり次第、あってすぐに出国、出発ができる、そういう体制がとれないのかなというふうに思っております。

 そういう意味から、防衛庁における国際緊急援助隊の派遣体制の今の現状、そして、パキスタン地震のときのいろいろな教訓を受けた、その後の何か見直しがありましたら、その点についてもちょっとお伺いをしておきたいと思います。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊につきましては、先生御指摘のとおり、相手国からの要請を受けて緊急援助隊を派遣するということでございまして、その間、当然、外務省さんと協議をして派遣をするという体制をとっております。基本的には、四十八時間以内に第一波を速やかに派遣できるという体制をとっておりまして、要請があれば割合早急に第一波を派遣できるような体制は常時各部隊がとっておりますので、これは相手国との関係で、要請が早急に出されれば自衛隊としてももっと先生御指摘のように早急な対応ができようかと思います。

 それから、パキスタンの経験につきまして、自衛隊としてもいろいろ修正をした部分がございまして、例えばパキスタンの場合はUH1という航空輸送のヘリコプターが非常に活躍をいたしましたので、待機態勢の中、従来はUH1を二機、常時待機をさせておったわけでございますけれども、それを例えば三機にするとか、あるいは細かい話でございますが、部隊の迅速な派遣のために、どうしてもやはり地震災害というものが多うございますので、第一波の派遣部隊の中に医療チームを初めから組み込むというような修正も加えておりまして、我々としても、できるだけいろいろな国際緊急援助隊の経験を踏まえて修正をして、できるだけ速やかに対応していけるような体制をとっていきたいというふうに考えております。

谷口(和)委員 ありがとうございます。

 続きまして、ちょっと今の質問にも関連することなんですが、少し話がそれてしまうかもしれませんけれども、自衛隊法の第百条の八では、「在外邦人等の輸送」というところで、自衛隊輸送機が、飛行の安全確保を条件として、海外で災害など緊急事態に見舞われた邦人を安全な地域まで輸送することができるということが規定をされております。

 実際の輸送というのは、二〇〇四年のイラクの人質事件のときに、報道関係者をイラク南部からクウェートまで運んだという事例が一つだけあるわけですけれども、例えば、九七年のカンボジアとかそれから九八年のインドネシアで騒乱が発生をした際に、目的地の近くのタイとかシンガポール、そういったところの飛行場までC130輸送機を進めて待機させて、いざ邦人輸送が必要となったときに迅速に行動できる、こういう準備行動がとられたわけであります。

 これは自衛隊法に規定のない行動で、実際の派遣に必要な閣議決定もなしで、経ないで出発したわけでありますが、この件に関して、当時の野呂田防衛庁長官もこういうふうに述べられております。防衛庁としましては、自衛隊航空機、船舶の速度、航続距離、任務地までの距離等を踏まえまして、在外邦人等の輸送の任務を適切に遂行できるよう、準備行為として自衛隊航空機、船舶等を隣接国等まで移動、待機させることは可能であると考えております、こういった説明をされております。

 これは、邦人の輸送という緊急性を考えれば適切なことであり、問題はないと思いますが、例えばこういった考え方を海外での災害の際にも援用できないかというふうに思っております。例えば、海外で大きな災害が発生をした場合に、直ちに自衛隊の医療部隊が輸送機で現地の近くまで行って待機をし、被災国の要請があり次第、現地入りして救援活動に当たる。要請がなければ、これは行けないので引き揚げざるを得ないわけですけれども、こういった見切り発車的な体制をとることも一つの重要な点ではないかというふうに考えるわけですが、見解をちょっとお伺いをしておきたいと思います。

山崎政府参考人 先生御指摘の点につきまして、一つのアイデアではないかというふうに私も思います。

 ただ、自衛隊というのは実力組織でございますので、やはりある程度、前方展開するにせよ、慎重な手続というのがどうしても必要になってくる。

 その場合、もう一つは、国際緊急援助隊の場合につきましては、人為災害もございますが、大体主として天災に対して救援を行うということで、ある程度、現地の事情、それからどういうニーズが必要かといった点も見きわめなければ、緊急援助隊がせっかく派遣をされてもなかなか効率的な活動ができないということもあります。邦人救助の場合は、邦人を救出するという一つの非常に単純な目的がございまして、割合手続行為も簡単であろうかと思いますが、国際緊急援助隊自体についてそういう類型化が簡単にできるかどうかという点も含めて、ちょっと慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。

谷口(和)委員 ありがとうございます。ぜひさまざまな点から、とにかく、今回のインドネシア、ジャワ島の地震に対して、日本としてできることは可能な限り、対策をお願いしたいと思います。

 続きまして、米軍の再編についてお伺いをしたいと思います。

 五月一日にロードマップが発表されて一カ月たちまして、きのう閣議決定が行われたわけであります。その閣議決定の中身なんですけれども、普天間飛行場の移設について閣議決定ではこういうふうにされております。普天間飛行場の移設については、日米安全保障協議委員会において承認された案を基本として、政府、沖縄県及び関係地方公共団体の立場やこれまでの協議の経緯を踏まえて、普天間飛行場の危険性の除去、周辺住民の生活の安全、自然環境の保全及び事業の実行可能性に留意して進め、早急に建設計画を策定というふうにあります。

 移設については、V字滑走路ということがこれまで言われてきておったわけですけれども、この閣議決定の中には入っておらないわけですが、このV字滑走路については今後政府はどういう方針で臨んでいかれるのか、ちょっと確認をさせていただきたい。

大古政府参考人 お答えいたします。

 政府といたしましては、四月七日に名護市それから宜野座村との基本合意書、これはそれぞれの首長と防衛庁長官の間で締結したわけですけれども、それから五月十一日に沖縄県知事と防衛庁長官の間で基本確認書を締結しております。これを踏まえまして沖縄県、名護市等と協議を行いまして、それぞれの立場を踏まえまして、今般、在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取り組みということで閣議決定を行った経緯がございます。

 この閣議決定では、今委員御指摘のとおり、本年五月一日の2プラス2において承認された案を基本とするということを明らかにしたところでございます。

 今後とも、沖縄県、名護市及び宜野座村との確認や合意した内容の実現を図るため、引き続き沖縄県や地元と協議を続けるとともに、本閣議決定の内容を着実に実施してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 委員御指摘の、V字案はどうなったという御指摘でございますが、御案内のとおり、その点は五月一日に2プラス2において承認された案を基本としておりまして、この承認された案については、V字案として別紙の図面でも添付されているところでございます。

谷口(和)委員 その普天間なんですけれども、今回、普天間飛行場の返還が行われるわけでありますけれども、返還が地域の発展につながるには、自治体の跡地利用への取り組みと、それから政府の支援が不可欠だというふうに思います。

 普天間につきましては、難しい問題がいろいろこれから出てくるかと思いますけれども、この返還に伴って、さまざま、自治体また地主の方々が抱える問題について、政府としてはどういった支援を考えていらっしゃるのか、お伺いしておきたいと思います。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 沖縄県におきます米軍施設・区域の整理、統合、縮小を着実に推進していく上におきましては、駐留軍用地跡地の利用の推進及び円滑化を図ることは大変重要な課題と認識しております。

 それで、米軍の施設・区域が返還された場合には、まず、原状回復等の適切な措置がとられることになります。

 また、沖縄県につきましては返還給付金制度というものもございまして、これは、跡地の所有者等が引き続き当該土地を使用せず、かつ、収益しておられないときにつきましては、沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律というものがございまして、この規定に基づきまして、借料相当額の返還給付金が返還日の翌日から三年間を限度として支給されることとなっております。

 また、これに続くものといたしまして、大規模跡地給付金または特定跡地給付金という制度がございまして、これは、当該土地が沖縄振興特別措置法の規定に基づきまして大規模跡地あるいは特定跡地ということに指定されますと、当該所有者等が引き続き当該土地を使用せず、かつ、収益していないときにつきましては、同法の規定に基づきまして、所有者等に対し、借料相当額の給付金が返還日の翌日から三年を経過した日以降、すなわち、返還給付金の後の措置として、政令で定める期間を限度として支給されることとなっております。

 先生御指摘のとおり、今回の再編が実施されますと、嘉手納飛行場以南の相当規模の土地が返還されるということになりますので、この米軍施設・区域の返還に伴う跡地対策等については大変重要な課題であると認識しております。

 今般の閣議決定におきましても、返還跡地の利用の促進等について引き続き全力で取り組むということで規定されておりますので、私どもとしましては、関係省庁と連携しまして努力をしてまいりたいと考えております。

谷口(和)委員 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、最後、一点だけ簡単にお伺いしたいと思います。

 今回、グアムに海兵隊が移転をするわけですけれども、家族も含めると一万五千人ぐらいになるだろうということで、これに伴って職を失う日本人の基地従業員の方もかなりの数に上るというふうに思います。そこで、まず、今、基地従業員の方が何人いて、職を失ってしまうのはどのぐらいになるのか、その辺の見通し、それから、そうした方々への雇用対策、これをどういうような方針で策定していかれるのか、最後にお伺いをしておきたいと思います。

長岡政府参考人 昨日の閣議決定にもございましたように、駐留軍等労働者の雇用の問題、大変大きな問題であって、政府全体として取り組まなくてはいけないと思っております。

 お尋ねの、今沖縄の米軍施設で勤務しております駐留軍等労働者の数でございますけれども、全体で約九千名おられます。それで、このうち五月一日のいわゆる2プラス2のロードマップで全面的、一部の土地の返還あるいはグアムの移転対象となる部隊が所在する対象施設でございますけれども、単純にそこで働いておられる方を合計いたしますと、約四千六百名おられます。

 しかしながら、現在のところ、まだこういった方々の雇用にどのような影響が出るか定かではございませんので、この方々の何人の方にどんな影響が出るか、まだ定かではございませんけれども、従業員の方々も御不安があると思いますけれども、私どもとしては、できるだけ、労働力に余剰が発生した場合にも、他の施設への配置転換といった措置によりまして雇用の継続を図って、労働者の方々に不安を与えないよう政府として全力を挙げて努力をいたしたいと思っておるところでございます。

谷口(和)委員 米軍再編のこの実行に当たりましては、地元とよく協議をしていただいて進めていただけるようにお願いをいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長代理 これにて谷口和史君の質疑は終了いたしました。

 次に、松原仁君。

松原委員 先ほど新藤委員から竹島の質問がありました。私は非常に大事な御指摘がその中にあったと思っておりまして、まず、このさまざまな新藤委員が今回提出された資料や、先ほどのいわゆる西暦一九四五年の大東亜戦争終結後の竹島、現竹島の扱い、アメリカの国務省の側から、これは今まで韓国に領有されたことは一度もないというふうな指摘もあったということを含め、御指摘があったわけでありますが、この新藤さんが指摘したことについては、歴史的な認識として、外務省は当然、今、きょう指摘されて知ったわけではなくて、従来からそのことは重々理解していた、知っていたと言うかどうか、その辺をまずお伺いしたい。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 今、松原先生が御指摘された点、サンフランシスコ平和条約が締結された当時の事情も含めまして、外務省としては把握をしている事実でございます。

松原委員 つまり、そういったところで、言葉は悪いけれども、法の網の目、サンフランシスコ講和条約が発効する寸前に李承晩ラインを設定した。結果、駆け込み的に、時系列が過ぎてしまえば国際法として完全にそれがはっきりしてしまうがゆえに、あえてそこの、言ってみればかなり灰色の部分で彼らがやってきたんだということも外務省は認識をしておるんでしょうか。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる李承晩ライン、韓国側ではこれを平和線と呼んでおりますが、このラインの設定について、国際法上何の根拠もなく行われた行為であるということは、従来、一貫して日本政府が表明しているところでございます。

松原委員 さらに、先ほどの新藤委員の質問で、事務レベルでの交渉においてこの歴史認識をただすということをしたのかということに対して、余りそれはしていなかったような発言があったわけでありますが、これはもう一回確認したいんですが、なぜそのことは指摘をしなかったのか、指摘をする必要がなかったというふうに思ったのか、その理由を教えていただきたい。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 まず、一九六五年の日韓の正常化交渉の過程では相当のやりとりが当然のことながらあったと思います。その後、先ほども新藤先生にお答え申し上げましたけれども、その後のやりとりについては、私は必ずしもすべてを把握しておるわけではございませんが、最近ではそういう事実は余りございません。それはなぜかと申し上げますと、非公式であれ公式であれ、この問題を取り上げると非常に感情的に韓国の方がなられるというような事情もあったのではないかと思います。

松原委員 その最後の部分を確認しますが、先ほどの議論の中では、この歴史的な事実関係をきちっとしたもので示そうとすると、彼らが、韓国側の交渉をする人間が興奮をし、全く無関係な日韓併合がどうだとかそういうような、そのうちファクトと違うことにすりかえて、興奮をして議論が爆発してしまう、こういうふうなことの指摘がさっき新藤さんからあったけれども、これは事実ですか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど新藤先生がどういう場面を想定して述べられたかについては私は承知しておりませんけれども、一般論として申し上げれば、韓国側の関係者は、入口のところで非常にこの問題については感情的な対応をされるということはございます。

松原委員 そうすると、外交交渉で感情的に興奮をすればその議論を押さえつけることができる、こういうふうに彼らは認識をしているというふうにお考えですか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 必ずしもそういうふうには考えませんが、事実としてそういうことがあり得る。それで、それ以上の議論になかなか入れないということもあるのも事実でございます。

松原委員 私は、これは極めて大事な部分だと思うんですよ。要するに、具体的なファクトに基づいて、我々が、サンフランシスコ講和条約で竹島を鬱陵島や他の島々と一緒に韓国領にしましょうといったときに、アメリカ側から竹島は一回も韓国が領有したこともなければそのような事実もないという指摘があった、こういう歴史的事実を日韓の事務レベルで議論しようとすると、その議論の入口で韓国側の事務方が興奮をして、そしてその議論に入らせない、大事なファクトのところの議論をしない。感情的にそこを、言ってみれば感情論で、感情的に大きな声で叫んだ方が正しいんだみたいな、こういうふうな国際的な彼らの認識というのは誤っているというふうに私ははっきりと申し上げたいわけであります。

 質問の順序がちょっと違いますが、カタールにおける日韓外相会談、麻生外務大臣、お疲れさまでした。韓国外交通商部長官は、大統領特別談話を真摯に受けとめてほしい旨発言したようであります。日韓外相会談において、大臣は、この委員会ではしばしばおっしゃっておられますが、竹島問題は歴史問題ではなく領土問題であると明言しておられますが、この日韓外相会談でもそのことをきちっと明言されたのか。

 また、盧武鉉大統領の歴史認識の問題に関しても、今の梅田参事官の発言にあるように、それは間違っているぞと、彼らは、さすがに外交通商部長官はそこで興奮をして議論にならないようなことは私はないと思うので、そのことに対してきちっと麻生外務大臣は指摘をし、真実は違う、特に竹島の領有権については今言ったようなことがあるということで反論をなさったのか、まずお伺いしたい。

麻生国務大臣 まず、今二つ御質問があったと思いますが、四月二十五日の盧武鉉大統領の特別談話の趣旨というのがあるんだと思いますが、それを受けとめられることを希望するという発言があったのは事実です、向こう側から。これに対して、私どもの方から、従来どおり、これは領土問題であって歴史問題ではないということははっきり言っておりますのと同時に、この問題は直ちに解決することは難しいから、お互いに立場があるだろうから、感情論を妙にあおることのないよう冷静に対応することが重要なのではないかと。先ほどの興奮してどうのこうのという話ではありませんでしたし、この潘基文としては、これは外交官上がりでもありまして、極めて冷静に対応ができる人だと思っております。

 それから、日本としては、韓国の国民の過去をめぐる心情は重く受けとめますが、竹島の領有権をめぐる問題とは、過去の国民感情とこれは全然別の話なんであって、これは領土の話であり歴史の問題ではありません、こういう見解に対しましては、今回の潘基文との日韓の会談においても重ねて表明をしたところであります。

 よろしゅうございますか。

松原委員 もう一回最後のところの確認でありますが、麻生大臣が、歴史問題ではなく領土問題である、こう主張したことに対して、向こう側は、そうだ、それは理解したと言ったのか、いや、歴史問題だと言い張ったのか、もう一回確認をしたい。

麻生国務大臣 回答はありませんで、次の別の話題に移っております。

松原委員 私は先ほどの議論を聞いていて、韓国側がこの領土問題について、事実に基づいた議論、サンフランシスコ講和条約のときのアメリカの国務省の高官の発言に基づいて、竹島は韓国のものであったことは一度もないというふうな歴史的な詰めをしようとすると、興奮をし、その議論に入らせない、日本は今まで悪いことをしてきたじゃないかというふうな議論をしてその議論に入らせない、これはロジックがない側がしばしば使う手口であるというふうに、私ははっきりと断罪をしなきゃいかぬと思っております。

 逆に言うならば、だからといって、その事実を明らかにしていくことによって韓国側がみずからにとって不利なことになるので興奮をして、もうその議論をさせない、興奮をする、その議論をめちゃくちゃにしてしまうということをそのまま我々は甘受していてはいけないんだろうと私は思っております。こういったものをどういうふうにして理性的に外交を展開させるのか、これは我々はきちっと考えていかなければいけないと思っております。

 私は、この外務委員会の質問で数度訴えてまいりましたが、今回特に竹島問題をここまで大きく、両方は冷静に対応しようと言うんですよ、政府高官が会うと。谷内さんが行っても、冷静に対応しましょうといって冷静に対応していないのはどちらなんだと。非常に遺憾でありますけれども。

 その結果として、ちょっとお伺いしたいわけでありますが、韓国の盧武鉉大統領が竹島問題等についてこうした反日の、さまざまな激しい議論もしくは談話を発表した後、この盧武鉉さんの支持率はどうなったか、もう一回確認を実務的にいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今の報道については承知をしておりますが、これは支持率の推移だけ、数字だけはここにありますので申し上げられると思いますが、いわゆるこの談話を発表したことによって同大統領の支持率が上がったかと言われると、私は余りそうでもないんじゃないかと。実は前から上がっておるというのが事実でして、一月十日、二七、二月の二十一日、三三、三月十六日、四〇、三月三十一日、下がって三九、四月の二十五日、四〇というような数字の経過がありますので、少なくとも、この二十五日の特別談話を機に支持率が急上昇したというように結論づけることは必ずしも適切ではないのではないかというような感じがいたしております。

 まあ、お互いさま、選挙をよく我々やらされている方なので、選挙のことに関して、同じ国内でも、場所によって、話によって、わっと反応するところもあれば全然反応しない地域もありますから、ましてや国が違うといろいろ違うんだとは思いますけれども、この談話がある前から二〇台が四〇台まで一回は上がっておるというのが事実だろうと存じます。

松原委員 私は、談話が発表された直後に上がるというよりは、その以前からの対決姿勢によってぐっと上がってきたというのが事実だと思うんですよ。談話というのは一つのシンボルでありますが、それだけではなくて、従来の流れが、ここに来て、はっきり言って盧武鉉さん、経済が失敗をしたということで非常に人気が落ちていたのが取り戻したというような、ちょうどそれは、外交問題を内政問題として扱う、中国の愛国心教育と一緒であります。

 このことについて、向こうの中央日報の記事に関してのデータがあれば教えていただきたい。

梅田政府参考人 一点、補足させていただきますと、今大臣が答弁させていただいた数字は中央日報の数字でございますが、三月の時点で大統領の支持率が上がった背景には、前の総理大臣がスキャンダルでやめられて、韓明淑さんという女性の総理が韓国史上初めて任命されたといったような事情もあったと承知をしております。

松原委員 いずれにしても、この竹島問題を、彼らは、特に現政権は、五月三十一日というときょうでありますが、選挙が行われる。聞くところによると、ハンナラ党が有利に進めているという議論もありますが、これの逆転をするための一つのデマゴーグとして使おうとしているのではないかというふうなことも指摘する人がいるわけであって、私は必ずこれは支持率の上昇になっているはずだと思いますので、ウオッチをしていただきたいというふうに思うわけであります。

 問題はさまざまとありまして、あと一つお伺いしたいことは、伊藤政務官、きょういらっしゃっておられますが、二十五日に政務官会議においてこの竹島問題が議論されたというふうに聞いております。

 私が申し上げたいのは、先回この外務委員会で、私は、日本の方の予算額が余りにも韓国のそれに比べて低いんではないかという指摘をいたしました。これに対して、政務官会議で議論されたような感もあるわけでありますが、どういう議論があったのか。本来であれば、議論をした中心は山谷さんになるんですか、わかりませんけれども、ちょっとその辺も含め、伊藤さんに、竹島に対して政務官会議でどういう議論があったか、お伺いいたしたい。

伊藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 政務官会議、開かれているわけですけれども、この政務官会議というのは、もともと各府省庁のおのおのの政務官が本来の所掌を離れて自由に意見を非公式な形でするという場であるというふうに私は認識しております。

 これが実際に行われたのは二十三日でございますけれども、今御指摘の二十三日の政務官会議の場でも、この竹島問題について幾人かの政務官から意見の表明等がございました。ただ、前段に申し上げましたように、政務官会議の性格、趣旨にかんがみ、やりとりの詳細というものをここでつまびらかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

松原委員 日本の国民の期待を背負って、やはり日本の国が自己主張を余りにもしなさ過ぎるということに対しての国民の失望感が大変にありますので、期待を背負って、これは若い、若いって私も若いんですけれども、若い政務官の皆さんできちっとこういうような取りまとめをして、具体的なアクションプログラムの策定を麻生大臣等に御進言をいただければと思っております。

 日韓外相会談において、韓国外通部長官は、未来志向の日韓関係を構築していくことで合意したということでありますが、その直後、韓国は、竹島を含む統一地方選挙の不在者投票を行った。このことは、日韓の未来志向というその言動、舌も乾かぬうちにこういった不在者投票を行ったということは、何やら言行不一致のように私には見えるわけでありますが、麻生大臣はどのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 二十五日の日でしたか、きょうですかね、三十一日の統一地方選挙のための投票所を竹島に開設、韓国の警備隊員等が投票を行ったと承知をいたしております。

 この話は、御存じのように、これは領有権にかかわる日本のこれまでの一貫した立場からは到底容認できるものではありませんので、既に今月の二十三日の時点で、外交ルートを通じて明確に抗議を行っているところであります。

 二十三日に、私ども、潘基文長官との間の交渉をしている最中でもありますので、その当時、投票所を設けるという話がカタールで出たわけではありません。ありませんけれども、お互いさま、基本的価値観を共有し、同じアメリカと同盟国を結んでいる両国というものが、少なくとも対話と交流というものを推進して未来志向の関係を構築していくべきなんじゃないのかという話を私どもとしては申し上げて、向こうも、大局的見地から見て、友好関係の一層の促進に努めていくという考えを述べておりますので、両方とも、国民感情をあおらず、とにかく冷静にやらぬと、一つの話だけでほかの話が全部崩れちゃうのは双方にとって得にはならぬという話を、二人きりのときもいたしましたし、その会議の場でもさせていただいたというのが背景です。

松原委員 そういう間に、事実上こうやって不在者投票もやったとか、既成事実を韓国側は竹島においてさらに積み重ねている。日本は外交ルートを通しての言ってみれば抗議をする。これでは、私は余りこういう例えはできないのでそれは言いませんけれども、どんどん譲歩していく、どんどん譲歩していった歴史というのはかつてヨーロッパにもあったわけですよ、某所、ミュンヘン会談でどんどん譲歩していったとかですね。私は、全くもって同じようなふうにしか見えない。譲歩していく、こちらは譲歩する、向こうは得点を稼ぐ、お互いに刺激をしないようにというんであれば、それは外交上、日本にとってどこのメリットがあるのか、こういう話になってくるわけであります。

 私は、後にちょっと触れたいと思うわけでありますが、やはり国際世論に、こういった韓国の、不在者投票を一方で未来志向と言いながらやったとかこういったことは、なかなか日本は遺憾の意を表明するということ以外、現状でやっていませんが、これは、遺憾の意を表明するといったって、世界のどの国が日本が遺憾の意を表明したのか知っているのかということもありますので、私は、世界の世論というのは、現状、よくも悪くもアメリカの世論であります。アメリカの世論に訴えかけるために、アメリカの三大紙等にこういったときにも意見広告を政府として出すべきだろう。それぐらいのことをして、我々はこうだったけれども韓国はこういうことをした、我々はそれに対して大変遺憾であるということを韓国に表明したということも、やはり世論を巻き込んでいかないと、遺憾であると言ったこと自体を知っている日本国民だってどれだけいるかわからないわけでありますから、私はそれはいかぬだろうというふうに思うわけであります。

 そこで、次の質問に行きたいわけでありますが、盧武鉉大統領はモンゴルにおいて、北朝鮮に対する制度的、物質的支援を惜しまないと発言を行いましたが、これは明確に我が国の国益に反するのではないかと思います。外務大臣の見解をお伺いしたい。

塩崎副大臣 今、松原先生から御指摘のあった盧武鉉大統領のお話は、今月の九日、モンゴルで非公式の懇談会の場で、対北朝鮮政策に関して、国民は北朝鮮体制の崩壊を望んでいないといいながら、すべてを白紙化、正当化する形で譲歩することはできないけれども、制度的、物質的支援は無条件で行う、このことを指して言っているものだろうと思いますが、その点については承知はしているわけでございます。

 盧武鉉政権は、当初から平和繁栄政策という政策を北朝鮮に対してはとってきているわけであります。一方で、六者会合の枠組みにも入って我が方とも一緒になってやっている点もないことはないということでありますけれども、モンゴルにおいて、原則のない譲歩を行うわけじゃないとも述べたというふうに承知しているわけであります。今般の発言は、まさにこれまでの政策と軌を一にするものというふうに思っています。

 実際、さきの日韓の外相会談の中で潘基文外交通商部長官は、大統領の発言については、従来の韓国の政策を若干強調して述べたものと説明をしていたようでありますが、いずれにしても、各国からどのような北朝鮮に対する支援をするかということについては、北朝鮮が拉致とか核とかそういった問題について解決をするという方向に資するような形で、国際社会の一員として責任ある行動をとるような、そういう方向性でやっていかなければならないというふうに考えておるところでございます。

松原委員 我々日本は、今や場合によったら、経済制裁だ、改正外為法を適用しよう、アメリカも金融制裁をやっている、こういう状況でありますから、韓国がやっていることに対して我々が韓国政府に物を言う立場ではないかもしれないけれども、明らかにこれは日本の国益上、少なくとも我々がやろうとしている方向と逆のことを盧武鉉さんは宣言をしている。その意味で、私は、日本の国益から見たらこういった行動は矛盾する、反する、こういうふうに思っておりますが、大臣の御所見を伺いたい。

麻生国務大臣 私どもとしては、当然のこととして、今、韓国の中の状況を考えますと、例のDNAの話も、今まではそういうものは韓国にはないという話をしておりました韓国側にとりましては、今回DNAの鑑定がきちんとした形で出るということになりますと、この問題は韓国の国内問題ということにもなる、拉致の話は。日本だけの話じゃないということが正式に証明されたことになりますと、そういうことになっている北朝鮮に対して、韓国で逆に、まあ、無秩序じゃないのかもしらぬが、経済援助をするということに関する韓国の国内感情というものは、これはまた別の問題として私は提起されてくるであろうと思っておるんです。

 ただ、いずれにいたしましても、韓国の中において、やはり世代によって、朝鮮戦争の記憶のある世代とそれ以下の世代との間にかなりな差があるというのは世論調査でも出てきているところでもありますが、いずれにしても、この問題に関しては、私どもとしては、北朝鮮というものに関する経済というものが確実に、今、日本との間はこの五年間で五分の一ぐらいに減っていると思います。いずれにいたしましても、こういった対応に関しましては、日本としてはなかなか納得しがたいところということだ、率直にそう思っております。

松原委員 率直に、納得しがたい、北朝鮮に対するこういった制度的、物質的支援を惜しまないという盧武鉉さんの発言は納得しがたいという麻生大臣の毅然たる発言に敬意を表するところであります。私はそのとおりだと思っております。

 さらに、韓国は今般、国連海洋法条約上の強制的紛争解決手続の選択的除外宣言を行った。言ってみれば、私は、これは李承晩ラインを設定したのと同じように、一方的に宣言をし、既成事実化をしようという動きだと思っております。とんでもない動きだというふうに私は指摘せざるを得ませんが、これに対して外務大臣はどのような怒りをお感じか、お伺いいたします。

塩崎副大臣 私どもとして、一言で言うと、残念な思いでございます。

 四月の十八日に、海洋法条約に基づいて韓国政府が、海洋の境界画定及び軍事活動に関する紛争等を強制的な紛争解決手続の適用から除外するという宣言書を国連事務総長に寄託したというふうに承知をしているわけでありまして、国際海洋法条約の趣旨にかんがみてみれば、同条約の解釈及び適用に関する紛争について、紛争当事国のうち一方が求めれば国際裁判等の強制的かつ拘束力を有する紛争解決の道が開かれていることが本来、問題を解決するためには必要な、望ましい形であるわけでありますけれども、これを、韓国がその道を閉ざしたということでありますから、極めて残念だというふうに思っております。

 この海洋法条約というのは、締約国が同条約の解釈または適用に関する紛争を平和的手段により解決する義務というのも二百七十九条で課していますし、また、紛争が生じた場合には紛争当事者は交渉その他の平和的手段による紛争の解決について速やかに意見交換を行う義務というのも二百八十三条で課しているわけでありまして、日韓両国が、本来は今回のようなことをせずにちゃんと話し合いをして解決を見るというのが筋だというふうに思っております。

松原委員 今、塩崎副大臣、残念であると。残念な話ですよ。遺憾であるという話があったり、残念であるという話があったり、そんな話がたくさんあって、しかも、私は、先ほど梅田参事官との議論であったように、事実を積み上げて議論していくと、彼らは興奮しその議論を遮って違うところの話をするというような御指摘もあったわけであります。こういう国と外交交渉をする場合に、日本人の冷静さは必要でありますが、このままいって本当に外交ができるのか。

 大臣、少なくとも、今回の李承晩ラインに相通ずるようなこの選択的除外宣言に対して、大臣としてはどういうふうなお考えを持っているか、どういうふうに対応するつもりか。

小松政府参考人 大臣にお答えをいただく前に、この条約の内容につきましてちょっと簡単に御答弁させていただきますと、国連海洋法条約上は、条約の解釈、適用に関する問題について強制かつ拘束力を持つ紛争解決手続というのをまず定めている、こういう原則がございまして、その上で、一定の紛争についてそういった強制的管轄権から除外することができる、これは二百九十八条でございます。

 韓国が行った宣言はこの宣言でございまして、いわば条約上の権利でございます。この二百九十八条には、これをいつでも撤回し得るということになっておりますが、この条約の仕組み上、他の締約国がこれに異議申し立てをするという制度が用意されているわけではございませんので、この条約の仕組みといたしましては、これを法に基づいていないと言うことは難しいと考えております。

麻生国務大臣 今、国際法局長の方から話を申し上げましたが、もうルールは御存じのとおりなので、この間のカタールの会議で、このEEZについての会談をするという日にちをいろいろしていまして、六月十二、十三、こういった日程を決めております。この交渉を再開することは決定されましたので、まずはこの交渉においてスタートをさせることになろうかと思いますけれども、いずれにしても、今言われましたように、一方的に無理が通ると道理が引っ込んでいくような話ではなかなかこの種の話はできませんので、私どもとしてきちんと主張しなきゃならぬところだと思っております。

松原委員 これはきちっと主張するというのは、もう国際世論に訴えることも含め、いかにこれが、李承晩ラインも含め、国際法的に、違法とはいわないけれども違法すれすれの行為なのかということを我々は国際社会に納得させないと、韓国がやっていることに対して文句を言わなければ、彼らは正当なんだと国際社会は思いますから、その辺は御認識を大臣にお願いしたいと思います。

 次に、今回、民団と総連、このいわゆる連携、歴史的和解、先回も私、質問いたしましたが、きょうは警察庁の方がお越しだと思います。破防法調査団体の朝鮮総連と民団が和解をしたわけでありますが、このことはどういうふうな認識なのか。つまり、朝鮮総連は破防法調査団体であります。その調査団体と民団がまさに手をつないだということは、民団に対しても日本の公安は注視をしていかざるを得ないんではないかという声がありますが、御答弁いただきたい。

    〔小野寺委員長代理退席、委員長着席〕

小林政府参考人 お答えを申し上げます。

 警察は、民団と朝鮮総連の間におきまして、去る五月十七日にいわゆる和解、和合の六項目の合意がなされまして、共同声明としてこれが発出されたことは承知しております。しかしながら、現時点においてこれが直ちに組織の一体化、こういうものに結びつくものとは現在のところ認識しておりません。

 警察におきましては、あくまで公共の安全と秩序を維持するという責務を果たす観点から、御指摘のような朝鮮総連の動向には重大な関心を払っておるところでありまして、また、今回の動きも含めまして、朝鮮総連と民団の関係におきまして具体的な違法行為に及ぶような場合、厳正に対処してまいる所存でございます。

松原委員 厳正に対処する、こういうことであります。

 そこで、もう一問御質問いたします。

 現民団のトップでありますが、この方が今回の歴史的な和解を推進した中心的な者であるというふうに理解をしておりますが、この方はどのような御出身なのか、かつて総連と関係を持っていたことがあるのかないのか、お伺いいたしたい。

小林政府参考人 今回の和解、和合の共同声明の発出をめぐりまして、さまざまな御指摘、見方があることは承知しているところでありますが、御指摘の人物の個人的な経歴等について、警察としては申し上げる立場にないということでございます。

 警察においては、あくまで公共の安全と秩序を維持するという責務を果たす観点から朝鮮総連の動向に重大な関心を持っているところでありまして、また、今回の動きも含めまして、朝鮮総連と民団の関係におきまして具体的な違法行為に及んだ場合には厳正に対処してまいる所存であります。

松原委員 そこで、ちょっと時間の都合があるので次の質問に移って、時間があればまた戻りたいと思います。

 現在、私の友人であります作曲家のすぎやまこういちさんという方がおられます。ウルトラマンのテーマとかつくってきた作曲家の方でありますが、彼が九月にアメリカのニューヨーク・タイムズに意見広告を出す、こういうふうなことを進めているわけであります。

 なぜニューヨーク・タイムズに意見広告を出すのか。やはり彼らの認識において極めて間違った事実が事実として受け取られている。「THE FACT」という名称でこの意見広告を出すそうであります。私が思うに、恐らく一回これを出しますと、日本円で一千万以上のお金がかかるんではないかと思っておりますが、彼は個人で日本の名誉を復活させるためにこれをやっていくと。本来、これは国家がやるべきことだと私は思っておりますが、それをすぎやまさんという作曲家が個人でやろうとしている。大変に評価できることだというふうに思っております。

 そのFACTの中で彼が語っているのは、ニューヨーク・タイムズのいわゆる社説の一面をとって、これも三人の弁護士がいて、その方々の了解が得られないと社説に載らないんです。その三人の弁護士が、例えば南京の問題に対して誤った認識を持っていて、この事実をすぎやまさんが出しても、事実としてそれを認定しなくて、これは社説としてふさわしくないというふうにすると、お金を出したくても出して載っけることができないことになるわけであります。

 私は、そこでこれがどう扱われるか自体も極めて問題だと思っておりますが、彼は真っ当なことを言っていると思っております。

 中国市民三十万人を日本軍が殺害したとされる南京大虐殺が事実であるかのように伝えられています。日本人は事実に基づいた批判であれば、これを真摯に受けとめます。しかし、当時の中国国民党政府の謀略宣伝による虚偽をもとに非難されるのであれば、日本国民として受け入れるわけにはいきません。

 こういうふうなことがありまして、内容は、ちょっと全部読むと時間がありませんので簡潔にまいりますが、南京大虐殺を証明する代表的な写真と言われるのが、南京市民の虐殺死体、写真A、ここに物を持ってきておりません。そして、南京市民の死体は、揚子江岸に引きずってこられ、川に投げ捨てられたと。

 五十万部を超えるベストセラー、アイリス・チャンの「ザ・レイプ・オブ・南京」の表紙になり、日本でも、毎日新聞が一九八三年八月十六日付で、南京大虐殺は事実だとこの写真を掲載している。

 ところが、撮影された写真は、いずれもトリミング、一部カットされ、オリジナルな写真では撮影場所を特定できる材木場が写っている。これをもとに、中国軍と戦闘した南京戦従軍将校の高橋氏は、揚子江の、時間がないのであれしますが、死体の方向が一定であることから、流されてきたものであるということがここで論証されております。その写真で、死体の方向、頭が向いている方向が一方向なんではないかと思いますが、こういうふうなことが書いてある。

 そして、「ザ・レイプ・オブ・南京」の本文に掲載されている慰安婦強制連行の写真も有名になった。英文キャプションは、日本軍は何千という女たちを家畜のように追い立てた、彼女たちの多くは、集団強姦されるか、軍用売春を強制されたとなっている。

 ところが、この写真は、南京事件が起こる一カ月前、日本で発行されていた写真週刊誌アサヒグラフ、一九三七年十一月十日の写真のトリミングであると。これも、そのちゃんとした物を載っけてニューヨーク・タイムズに載っけようとしている。

 ほかにもいろいろな記事が、新聞の一面ですから、かなり量も書けるわけであります。こういうことを日本の一民間人がやって、やはり誤った事実が伝わっていることを何とかしなきゃいかぬと。

 私は、これは大臣にお伺いしたいわけでありますが、例えば、一回ニューヨーク・タイムズにそういった社説を載っける。日本だって、日本の政府はそういった社説を日本の五大紙に載っけたりしているわけですよ。一回載っけて例えば一千万かかるとして、毎日載っけて、三百六十五日、三十六億五千万。高いといえば高いけれども、私は、日本の名誉を、日本の誇りを復活させるには、それは高い費用とは言えないと思っております。

 あちらのそういった知識人に対して極めて影響のある新聞に、毎日同じ内容を出す必要はありませんよ、入れかわり立ちかわりで、それぐらいのことをしていかなければ、日本に対するかなり意図的なネガティブキャンペーンがあるということを、私は従来から、さまざまな観点からこの外務委員会で申し上げてまいりましたが、それを払拭することはできない。私は、その意味で、そういうことを外務省としては考えるべきじゃないかと思うんですが、大臣、御見解をお伺いしたい。

麻生国務大臣 今、ニューヨーク・タイムズの例を引かれましたけれども、いわゆる日本という国の持っておりますイメージというのがいろいろな形でねじ曲げられようとしているというのは、これは戦前も行われましたし、いつの時代でも世論操作等々は、国が国のために、自分の国をしょって相手国をやるという話は、いつの時代でも、どこの国でもある程度のものはあるのだと思いますが、日本として、その種のような、いわゆる広報活動というものに関しては、日本の場合はそんなに激しくやってきた例は余りありません。日本の場合は、そういうのをやってこなかった歴史なんだと思っております。

 そういった状況ですから、今言われたような話を個人でなさるということに関しまして、それをどうのこうの言う立場にありませんが、いずれにしても、今、ロビー活動とかいろいろな表現が、今はまた別の表現がありますけれども、日本に対しての、ワシントンが主かな、そういったところでいろいろな国から行われているのは事実でもありますので、私どもは、そういったものに対してきちんとした対応をいろいろ考えていかないかぬというのも事実であろうと思います。

 ただ、新聞に毎日広告を出すというようなものではなくて、もっと別のことを考えないかぬという感じがいたしますけれども、いずれにしても、日本の立場をもうちょっとはっきり言う、コミュニケーションをもっとはっきりさせていくという努力はさらに必要だと思っております。

松原委員 私は、やはり政府間で遺憾の意を表明するとか、雑誌社に対して遺憾の意を表明するというのは、相手は一般の知識人であります、知識人に対して、知識人がその国家のオピニオンリーダーになりますから、そこに対してすぱっと我々が反論を掲げていく。

 本来はそんなことをしなくても、麻生外務大臣率いるロビイストがアメリカの上院、下院、新聞社全部行って、日本の主義主張をきちっと耳打ちをしながら、会議をしながら、場合によってはいろいろなところで議論しながらやっていけばいいんですが、それが不十分で、完全に一方的になり過ぎている。日本に対して事実と違うことを言う。今のすぎやまさんの話にもありますが、こういうふうなものが、アイリス・チャンのような話がどんどん流れている。

 だから、それに対して反撃するには、とりあえず、もうこの土俵の俵のところまで来ちゃっているんだから、こういうふうなことをアメリカの新聞に出して、それだって、一回一千万として、三十六億五千万ですよ。高いようだけれども、日本の名誉、先人の名誉に対して、きちっとそれを復活させ、子孫が誇りある日本をつくるために、極めてそれは安い費用だと私は主張したいわけであります。

 最後にもう一問。最後に質問したいのは、前から私は指摘しておりますが、エール大学神学校に保管されている書籍や、この間も質問しました西暦二〇〇〇年以降解禁された米国の機密文書、マッカーサーの文書とか、麻生大臣ももう暗記しておられるわけでありますが、自衛戦争であったというような趣旨の話であります。

 こういうものを調査をきちっと体系的にしているのか。体系的に事実を調査する、それを言って、それは、議論の途中で興奮して議論にならなくなってしまう相手も中にはあるかもしれないけれども、しかし私は、そういうふうな体系的な調査をするべきだと思います。そういうふうな一つの事実をはっきりさせる対策室、我々の歴史を、きちっと事実をはっきりさせる対策室を私は外務省はつくるべきだ、もしくは外務省が主導して内閣につくるべきだと思うんですが、麻生大臣、このことについての御見解と御決意をお伺いしたい。

麻生国務大臣 先般の委員会で、先生より米側の文書について御質問がありました。私の方から調査をさせると答弁をいたしたところだと思いますが、具体的には、これまでの御指摘を受けた文書、エールの神学部図書館に保存されている文書、東京裁判に関する米弁護団発マッカーサーあて書簡、戦後の米議会での査問委員会における報告書、これは日米開戦の経緯にかかわる評価を含むもの及びマッカーサーの上院公聴会における発言を特定すべく調査を今行わさせていただいております。今やらせていただいている。

 ただ、今御指摘のような文書を調査するための対策室まで設置することを考えているわけではありませんが、いずれにいたしましても、この種の資料というのはきちんと整理をしておく必要があろうと思いますので、調査をさせております。

松原委員 ぜひ調査をしていただいて、そして、国際世論が誤った日本に対する評価を、戦前を含め誤った評価を下そうとするならば、それは我々個人だけの問題ではないんであって、我々の過去の先人たちとこれからの子孫に対しての我々の責任でありますから、毅然とした態度をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

原田委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党の津村啓介です。

 お時間をいただきましたので、きょうは、我が国日本と大変密接な友好関係あるいは利害関係にあります二国間関係について、幾つか御質問をさせていただきます。まず最初にペルー、そしてEU、時間がありましたらパレスチナの問題についてお話を伺っていきたいというふうに考えております。

 まず、ペルーと日本の関係でありますけれども、歴史的に大変深い友好関係にあります日本とペルーですが、いわゆるフジモリ問題、二〇〇〇年の十一月に、フジモリ・ペルー元大統領のモンテシノス顧問が不正事件で、不正発覚をいたしましてから、二〇〇〇年十一月の十六日に、フジモリ元大統領が日本に事実上の亡命をしてまいりまして、その後、日本政府はフジモリ氏の二重国籍を認める中で、ペルーによる身柄引き渡し要求に応じてこなかったという、このいわゆるフジモリ問題を契機といたしまして、多少日本とペルーの関係がぎくしゃくしているのかなと。昨年の十一月には、ペルー政府が駐日大使の召還を決めたというようなことも出ているようでございます。

 まず事実関係の方から少しずつ伺っていこうと思いますけれども、フジモリ元ペルー大統領がこの一月からですか、チリで身柄を拘束された、そのときの処遇、例えば移動の自由とか発言の自由がどの程度認められていたのかといったその処遇のあり方と、外交上の権利であります領事面会の内容につきまして、まずお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 元ペルー大統領、昨年十一月七日以来チリにおいて拘束をされておりますが、まず場所の件ですが、一般拘置所ではなくて、当初は刑事警察、後に検察学校に収容されるなどして、その待遇には一定の配慮がなされております。他方、面会時間、通信に関しては一定の制限が課されていたと承知をしております。

 この拘束期間中に関しましては、フジモリ氏が日本国籍を有していることを外務省としては踏まえて、邦人保護ということの観点から、チリにあります日本大使館員が五回領事面会を行っております。領事面会におきましては、フジモリ氏の健康状態、また待遇に関するいろいろな事実関係というものを確認しておりますが、面会した館員からの報告では、毎回、フジモリ氏は良好な健康状態にあり、食事を含め待遇については満足している様子であったとの報告を受けております。

 ちなみに、五月の十八日、出国禁止の条件のもとで保釈をされております。五月の十八日です。

津村委員 五月の十八日に身柄の拘束は解除された、保釈されたということでありますが、依然としてチリからの出国許可については、チリの最高裁での審理の結果が出るまでは差しとめられているというふうに報道に接しておりますが、この保釈に関しまして、日本外務省としてどのような働きかけ、関与を行ってきたのか。そして、身柄引き渡し審理が今どのような状況にあると日本外務省として認識されているのか、今後の対応も含めてお伺いいたします。

麻生国務大臣 五月の十八日、今言われましたように、出国禁止の条件のもとで保釈をされておりますが、弁護士の保釈請求に対してチリの最高裁の決定したものでして、外務省が直接に関与というわけではありません。

 日本政府としては、フジモリという人が公正な待遇を受けて、適正な手続を得て司法裁判を受けるということが最も重要だと思っておりまして、この点につきましては、累次、チリ政府に対して、最初がたしか十一月の釜山、あそこで指摘したのが最初ですけれども、それ以後、役所としては、邦人の保護の観点から、この点に関しましては、いろいろ私どもとしては関心は持ち続けているんだということを何回となく向こうに伝えております。

 今般の保釈決定につきましては、仮拘禁という形になっておりますので、仮拘禁にしては長過ぎるんじゃないかということで人道上の配慮が行われたものだと思っております。このフジモリ氏のペルーへの引き渡しのいいか悪いかということに関する司法手続は、今後チリ国内で引き続き行われることになるんだと思っておりますが、この司法手続というものがきちんと行われるかどうかについて、私どもとしては関心を払い続けておかねばならぬところと思っております。

津村委員 問題が長期化するに従いまして、このフジモリ問題というのは、単にそのフジモリ元大統領個人の問題を超えまして、ペルーに在留している邦人、あるいは歴史的にも日系人の方が大勢いらっしゃるわけですけれども、そういった方々への、極端な言い方をすれば差別にもつながりかねない情勢になっている、そういった報道に接することもあります。

 例えば、日系人が多く利用している銀行、NBKというんですか、その銀行への真相は不明ないわゆる流言飛語。例えば、フジモリさんがこのNBKから多額の預金を引き出したために、この銀行が経営破綻の危機に瀕しているといったような、そういった、いわばいじめなのか、あるいは実際に真偽のほどはわからないうわさが飛び交うというような形で、多くの日系人、邦人の皆さんが迷惑をしている、あるいは差別を受けているというようなこともあると聞いております。

 こうした状況を日本政府としてはどの程度把握をし、またペルー政府に対して状況の改善を求めて何らかのアクションをされているのか、お伺いしたいと思います。

塩崎副大臣 今の御指摘でございますけれども、それは報道ベースのお話だろうかと思います。

 私ども外務省として、日本人ないしは日系人であるが理由に差別を受けているというような話は報告として受けているわけではございません。

津村委員 報道に比べて情報収集が少ないということであれば、その真偽も含めて確認はされていないということであれば、ペルー大使館の方々にもう少し真偽のほども含めて情報収集をしていただきたいと思うわけです。

 外務省さんとしては、二〇〇〇年末の取り組みとして、いわゆるモンテシノスさんの不正発覚の直後だと思いますが、ペルーにおける在留邦人に対して安全対策連絡協議会を開催したということを聞いております。この在留邦人といいますのは、いわゆる日系人は含まれていないということでよろしいでしょうか。

塩崎副大臣 今の安全対策連絡協議会でございますけれども、二〇〇〇年十二月に開催されているということでございます。それはそう聞いておりますが、日系人の方が参加しているか否かは正確には確認できておりませんけれども、一般的に、この協議会において、現地日本人会とかあるいは日系人の団体とかの、在留邦人を代表する組織とか団体が出るのが通常だというふうに理解をしております。

津村委員 私がお伺いしたいのは、手続的にはそういうことになるんでしょうけれども、ペルーにおける日系人あるいは在留邦人の皆さんが、今このフジモリ問題というものの発生を受けてどういう状況にあるのか。まず情報収集の面、そしてそれに対する対応をどういうふうに打っていくのかという点、この二点を先ほどからお伺いしているんですけれども、いずれも、報告を受けていないとか、あるいは通常はこういう方が対象になるということであります。

 これは通常じゃないわけで、ちょっと特異な状況が発生している中での外務省の特別な対応として何をされているかという御質問をしているわけですから、このフジモリ問題を受けての対応について、情報収集の面、それから安全対策の面、両面でもう一度お答えください。

塩崎副大臣 当然のことながら、邦人保護あるいは日系人ということで大使館が配慮をするのも当然のことでありますけれども、これまでのところ、今申し上げたような、特段の、非常に問題になっているというような話が来ているわけではないという意味で申し上げているところでございまして、何もないのかといったら、それはどこかに少しはあるのかもわかりませんけれども、矢のような、殺到しているというような話でも全くないということであります。

津村委員 私も、現地に行ったわけではないので、報道ベースのことでお話をするのには限界もあるわけですけれども、外務省として公式に、余り問題は発生していないと認識しているとおっしゃるのはかなり意味が深いと思います。もう少しこれから情報収集をしていく、そういう御答弁はいただけませんか。

塩崎副大臣 御指摘のように、当然のことながら、日系人の社会、そういった団体あるいは日本人会等々との緊密な連絡はいつも大使館としてはとっているわけでありまして、そういう中にあって、今のところ切迫した話が来ていないということでありますけれども、今御指摘のように新聞報道もあるということでもありますから、アンテナを張って、そういったことが起きないように注意をするというのも当然のことだというふうに思いますので、今後引き続き注意はしていかなきゃいけないというふうに思っております。

津村委員 南米各国も含めて、日系人が今や世界各国に大勢いらっしゃるわけですけれども、国籍の関係も含めまして、どこまでを日本外務省としてケアしていくのか、フォローしていくのかということもなかなか線引きの難しい部分かと思います。そうした中で、ペルーでは、一九八五年の国籍法改正があった以前に出生した日系人については二重国籍を保有するケースが多いということであります。

 私なりに三つのタイプに分けてみたわけですが、一つはいわゆる在留邦人、もう一つは二重国籍を保有する日系人、そして第三には二重国籍を保有しない日系人、この三つの類型に分けてみたわけですけれども、外務省として、こうした方たちに対する安全対策、先ほどの情報収集あるいは安全対策連絡協議会の位置づけも含めてですけれども、この三者の間で区別を設けられているんでしょうか、そしてそれはどういった根拠があるんでしょうか。

塩崎副大臣 結論から言うと、日本に関係する方々については分け隔てをしているわけではないわけですけれども、しかしながら、一つは、国籍を有している人と有していない人がいるわけですね、二重国籍かどうかは別にして。つまり、国籍を持っている人は、海外に渡航して、日本から行っている、あるいは滞在しているという人、それから今御指摘の二重国籍の方、こういったグループがありますから、当然邦人保護という意味での対象は国籍を有する方々ということになるわけであります。

 一方で、日本国籍を有しない日系人の方というのは、言ってみればオリジンが一緒ということもあって、外交的な配慮ということで、外交政策の一環として、現地の日系人社会とか団体との密接な協力関係を通じて、例えば渡航情報等の安全対策に必要な情報を提供するなどの情報共有に現実に努めているというところでございます。

津村委員 状況はかなり切迫している、それから、後でまた触れますけれども、六月四日には大統領選挙の決選投票も行われるという中で、政治的に非常に緊張感のある、ある意味ではストレスのかかりやすい時期にあるということですから、そういう意味では、ふだん以上にペルー大使館の方でもしっかりと現地の情勢を把握していただいて、大臣、副大臣にも情報が上がるような状況をしっかりとつくっていただきたいということを申し上げたいと思います。

 そんな中ですけれども、今は日系人の方に多少スコープを当ててお話をしましたが、もう少し大きくとらまえまして日本とペルーの二国間関係というふうに考えましたときに、この問題が長引いている中で、例えばODAのあり方についてどういう変化が生じているのかということも伺っていきたいと思います。

 例えば、二〇〇五年十一月、昨年のペルーの駐日大使召還というかなり強いアクションを向こうから起こされているわけですけれども、先ほど大臣がおっしゃられたように、こちらとしては、適正な手続をきっちりと求めていくという以上に、のりを越えてプレッシャーをかけているわけじゃないということであるとすれば、こうした大使召還というかなり例外的な措置を向こうがとってきたというのは、ある意味こちらとしても何らかの判断、対応を迫られているのかな、ほっておけばいいというものでもないのかなという気がします。

 この後、経済、文化交流の話も伺いますけれども、二国間関係に、まずはODAの観点でどういう影響が生じつつあるのか、あり得るのかということを伺います。

麻生国務大臣 基本的には、昨年の十一月でしたか、APECの首脳会議の際に、小泉総理とトレド・ペルー大統領との間で、フジモリ問題にかかわらず、今後とも日本・ペルー関係を発展させていくとの意思というものを確認されておるところです。

 したがって、日本政府として、ODAとか経済とか経済交流を含めまして、二国間関係の協力関係は今後とも発展させていくという従来のペースは変わらないというのが基本的姿勢と御理解いただければと存じます。

津村委員 そうした中ですけれども、今ペルーでは大統領選挙が行われております。ことしの四月九日に最初の投票が行われまして、その結果、トップが三〇・四%の得票率でウマラさんという元陸軍中佐だそうですが、左派で民族主義者、非常に反米的な傾向を持っていらっしゃるということであります。一方で、第二位は中道左派のガルシア元大統領、たしかフジモリさんの前の方だと思いますが、この方が二四・三%、この両氏が間もなく六月四日の決選投票に進むということだと聞いております。

 現在のトレド政権が、親米的な姿勢を見せながら、日本とも似ていると思いますけれども、社会での格差拡大という中で民族主義的な反発を招く中、こうしたウマラさん、ガルシアさんという方々が人気を集めているということだそうですけれども、選挙結果はもちろんまだわかりません、このお二人がこれから競うわけですから、選挙の見通しについてお伺いするわけにはもちろんいかないわけですけれども、この両者が今選挙戦の中で、当然フジモリ問題を含めて日本との外交政策についてさまざまな言及をしているわけであります。

 このウマラ氏、ガルシア両氏が、対日政策という意味で、選挙中だと思いますけれども、どういった発言をしていると把握をされているのか、現在の情報収集の状況をお伺いしたいと思います。

塩崎副大臣 今度の日曜日に決選投票が行われることになっているわけでありますけれども、この両候補につきまして、今どういう人かということも言っていただきました。

 まず、日系人に対する政策という面では、両候補とも御発言をされていないというふうに聞いております。

 それから、対日政策という意味では、ウマラ氏、そちらの方の政党の「ペルーのための連合」の政策綱領の中に、対外政策の一つとして、日本からの無償資金協力の拡大に特に留意したいという無償資金協力についての記載がございます。さらに、報道ベースではありますけれども、ガルシア氏の方は、首都圏上水道整備計画に日本の円借款を利用する可能性に言及したというふうに聞いております。

 その程度でありますので、引き続き両候補の対日政策に関する発言を注意していきたい、このように考えております。

津村委員 選挙そのものに対して他国の政府が特段のコメントをすることは、確かに内政干渉だと思いますので適当でないと思うわけですけれども、一方で、我が国として、この二国間の関係をどう考えているのかということは、これは不断にメッセージをしっかりと発し続けていくことも重要だと思うわけです。

 そうした中、ODAについて言えば、南米では、ベネズエラ、ボリビアといった国々が反米的な傾向を持っておりまして、ベネズエラでのODAの動向を見ると、一九九〇年から九四年にかけてのODA、五年間の平均が約六百万ドル程度だったものに対しまして、二〇〇〇年から二〇〇四年の平均が、これの大体三分の二ですか、四百万ドル程度だというようなことであります。

 この減額については、一九九九年に反米左翼主義のチャベス政権というものが誕生したことによるのではないか。これははっきりと決めつけるわけにはいかないわけですけれども、そうした事実とともに、ODAが減額されたという事実もあるということであります。そう考えてきますと、やはりこのODAの政策、どういう基準で金額を決められているのか私は余り詳しく存じ上げませんけれども、こうした二国間関係の動きと非常に深い連関にあるのだと思いますし、あって当然だと私も思います。

 そう考えたときに、現在のペルー情勢、まさしくフジモリ問題をきっかけに二国間の関係はぎくしゃくしているわけです。今後ODAについて特に変えていくおつもりはないということを先ほど大臣はおっしゃられたんですけれども、私自身は、このODAやあるいは経済、文化交流のあり方も含めて、当地の政治情勢をしっかりとフォローした上で判断していくということを外交メッセージとしておっしゃってはいかがかと思いますが、これはいかがでしょうか。

麻生国務大臣 御存じのように、この間、政府として機構改革をしております。また、それに合わせて外務省の方も内部の機構改革をしておりまして、経済協力会議というものを新しくスタートさせて、そこで戦略的な部分として、このODAの部分を戦略的に立てていこうといたしております。

 ただ、今言われましたように、ODAが大幅に減少しているというのは、これはペルーに限らず、日本のODAの絶対量がこの五年間の間にどんと減っておりますから、だから、その分が比例しただけでもかなり減ってきているということになっているという事実もありまして、ここだけが極端に減っているというように考えているわけではございません。

津村委員 ありがとうございます。

 引き続き、この六月四日に今度結果は出るわけですけれども、その後のペルーでの政治情勢、あるいはフジモリ問題の動き等も詳細にフォローしていただく中で、ODAその他も含めた外交判断をしていただきたいと思います。また機会があれば伺っていきたいと思います。

 続きまして、EUとの関係について伺っていきたいと思います。

 まず、冒頭お伺いしますが、いわゆる対中国武器禁輸解除問題について、我が国の立場をもう一度確認したいと思います。

麻生国務大臣 日本としては、これは日本を含みます東アジアのいわゆる安全保障環境に与える影響が極めて大きいということで、かなり早い段階から懸念を表明してきております。また、こういった懸念というものはきちんと払拭されねばならぬということから、対中武器禁輸措置の解除には反対ということをEUに対して言ってきております。

 日本としては、これはEUの話ではありますけれども、NATOにはアメリカも入っておりますので、アメリカと緊密に連携をしつつ、EUに対して懸念を表明し、このところ、EUメンバーから来る外務大臣に対しては、私の方から個別には全部この話はしたと記憶をします。この間、NATOに行ったときにも、個別で会う機会がありますので、そのときに出てきた人たちに対しても、日本からの懸念として一番というものに関してはこの点を指摘しておりますので、基本的には、EU各国に対してこの立場を、日本の懸念というものはきちんと表明をし続けてきたと思っております。

津村委員 大臣おっしゃるように、この問題について、この一年間だけでも相当なやりとり、議論の蓄積があるように承知しております。いろいろ御努力をいただいているわけですけれども、報道ベースでは多少表現がわかりにくいところがありまして、少し抽象的な印象も持ちますので、少し具体的に御説明いただきたい、そういう趣旨で御質問いたします。

 ことしの四月の十九日ですけれども、ソラナさん、EUの共通外交・安全保障政策上級代表と訳されていますが、この方が訪日された際に、この対中武器禁輸解除問題について、これは軍事的な見地からの政策判断ではなくて、中国に対する政治的なメッセージなんだというふうに説明をされたというふうに報道があります。

 この政治的なメッセージというものの意味がいま一つよくわからないんですけれども、外務省としてはこの発言をどう理解し、また評価されているのか、お伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 確かに、ソラナ上級代表が四月の十九日の記者会見で、EUと中国との関係を正常化すべきとして、禁輸措置解除の理由につき述べられたというのは事実であろうと思って、この件に関しては承知をいたしております。

 これまでもEUは、禁輸措置を解除しても輸出状況には何ら変化はないということを言ってきておられたので、また、この解除の決定は政治的なものにすぎないという説明をEU側がしてきたというのも事実です。

 これに対して日本からは、EUの説明では日本側の懸念の払拭はできない、そういうことでは不十分という旨を指摘しておりまして、それ以後も、先ほども申し上げましたように、EUから来る外務大臣等々はもちろんのことですけれども、引き続き責任ある対応というものを見せてもらいたいという話をずっと言い続けておりますし、今後とも求めていきたいと思っております。

津村委員 ちょっとよくわかりにくかったんですけれども、先方、そのソラナさんという方は、軍事的なものではなくて政治的なものだとおっしゃっているわけですが、武器を輸出するわけですから、それが軍事的なものでないわけはないわけで、その中で無理に解釈をすれば、人権問題も含めて中国から譲歩といいますか、中国側に何らかの条件としてこのことを出している、そういう意味であれば政治的な取引なんだということもわからないでもないんです。

 これはもう一度伺いますが、政治的なメッセージというのはソラナさんの言ったことですから、麻生大臣がどう御理解されているかということで結構なんですけれども、これはどういうふうに理解されていますか。

麻生国務大臣 基本的に、軍事力というのは、持っております能力、いわゆる武器というものの能力、それを使う意思、この二つではかられるべきものであって、意思の方はよく見えませんので、要は、持っております軍事力というものがどれだけかというのが一番対象になろうと存じます。定量的にはこういうことになります。

 したがいまして、このところ急激に、国家予算の中で武器に関する国防予算というものが、いわゆるダブルディジット、二けたで伸びております中国、しかもその内容が極めて不透明、トランスペアレンシーとよく使われますけれども、そういった内容がよく説明ができないような部分の多いこの中国の国防費の一端になります武器の、中国側から見れば輸入、もしくは新規の武器購入というものに関して、私ども隣国から見れば、それは明らかに、日本に対して、もしくは中国を取り巻く周辺国に対しては脅威になり得る確率がふえますので、そういった点を考慮するのは我々としては当然のことなんであって、政治的にそれがどういう意味を持ってソラナ事務総長が言われたか、ちょっとそこのところは定かではありませんけれども、私どもとしては、これの意味する政治的な意味をよく理解ができていないというのが正直なところです。

 また、この種の話は、政治的といえば、主に武器は、持てば持つだけその地位が、軍事力が高まるというのが通常でありますので、高める必要があるというのが政治的にどう必要なのかというのも理解ができていないところであります。

津村委員 詳細にありがとうございます。

 その直後ですけれども、本年の四月の二十四日、第十五回の日本とEUの定期首脳会談が行われたということです。当然この話も活発に議論されたと想像しているわけですが、小泉総理からこの首脳会談の成果として報告があったのは、戦略的対話の強化というものが提起されたということであります。

 通告での二つの質問を一緒にさせていただきますが、戦略的対話というのは、まず、一体これはどういうことなのか。少し抽象的なので、もう少し説明していただきたいということが一点と、この枠組み、定期的に議論していくということなんでしょうが、この枠組みの中で、対中武器禁輸解除問題はどのくらいのプライオリティーを持って取り扱われるのか。この二点についてお伺いします。

塩崎副大臣 戦略的対話、幾つかの国と我が国はやっているわけでありますけれども、基本的には、ストラテジックダイアログというのは、二国間ないしは地域との間で安全保障環境等について認識を共有しようということで戦略的対話を行っているというのが目的だというふうに思っております。基本的には事務レベルでやる政策対話であるのがこの日・EU間ではございますけれども、いろいろなレベルで我が国もやっているというのが実態でございます。

 プライオリティーの問題でありますけれども、そもそも、この対中武器禁輸解除するしないの話、先ほど大臣からいろいろ御説明を申し上げましたけれども、各国それぞれ実は濃淡があって、それぞれの事情があってこういうことが出てきて、EUとして固まって何を言うのかという中でこういう話が出てくるわけでありますけれども、EUというあのヨーロッパの地域から見て、このアジア、東アジアの地域の安全保障状況というものについてはやはり認識が不十分ではいけないなということで、そういう問題意識もあって、こういった対中武器禁輸解除、先ほど政治的なメッセージの意味合いについて理解しがたいというのは、向こうが十分に安全保障の状況についてこの地域の実情を理解してもらっていないかもわからない、やはり理解を深めてもらおう、こういうことで始めたという側面もかなりあるというふうに言うべきではないかと思っております。

 したがって、中長期的な展望を含めまして、共通認識をEUとの間で醸成する目的で、東アジアの政治、軍事情勢等について幅広く議論をしようということでありますから、今の禁輸解除問題については当然その議題の一つとしては出てくるはずでございますし、今言ったようなスタートの理由の一つでもあるということでございます。

津村委員 質問を少し先に進めます。

 この首脳会談におきまして、EUの若者を毎年四千人を目標に受け入れるという表明がなされたそうです。これはどのぐらいの費用のかかるものなのか、つまりどんなプログラムを考えているかということなんですが、そのことが一点。

 それから、次の質問にもかかわりますが、若者を受け入れる、地域的にどういう受け入れ方をするおつもりか、その地域の選び方についてお伺いしたいと思います。日本のどこに受け入れるのかということです。

麻生国務大臣 去る四月の二十四日の定期首脳会議のときの話だと思いますが、日本・EU間の人的交流と対話を促進するための枠組みというのを発表しております。これで、昨年、御存じのように、二〇〇五年、日本・EU年というのを市民交流年としてやらせていただいたんですが、そのフォローアップとして、これまで欧州諸国と個別にやってきた中で、人的交流の取り組みというものを、日本とEUの交流という視点から、新たに一つの別の枠組みとしてやっていこうじゃないかということで、個別にやったものを統合したものであります。

 そこで、米国並みに四千人、これはJETプログラム含めまして、米国並みに毎年四千人の受け入れ目標水準というのを定めておりまして、ワーキングホリデーとか私費留学生とか、招聘プログラムの中にはいろいろあります。費用の全体像というのはちょっとなかなか把握が難しいんですけれども、例えば平成十八年度で、欧州からの青年、高校生合わせて百二十名を招聘しておりますが、そのための予算額は七千七百万円ということにいたしております。

 場所につきましては、これまでも各プログラム別ごとに地方都市でやってきております。これも選定をしてきたわけですけれども、関係省庁、地方自治団体、やろうという受け入れに熱心なところとそうじゃないところといろいろあろうと思いますので、場所につきましても、プログラムごとにいろいろ違っておりました部分につきましては連携を持たせてやっていって、いつもあそこばかりでうちは来ないと言われればまだいい方なので、いや、うちばかり毎年来られてたまらぬと言われるところもあるかもしれませんし、ちょっとこれは、地方の受け入れ方もなかなかいろいろあろうと思いますので、きちんと詰めていかないかぬところだと思っております。

津村委員 次の質問も関連するんですけれども、私は、外務省というのが、一見、外国との関係をつかさどるというところが非常に焦点が当たるわけですけれども、一方で、こうした人的な交流、こうした留学生の受け入れのプログラムもあれば、もう一つお伺いしたいのは、首脳会談とかサミットとか、こうした要人の受け入れも含めて、日本のどこでどういう形で受け入れていくのか。お金のかかることでもありますし、費用がかかることでもあると同時に、さまざまなメリット、効果もあるということですから、国内での地域バランスとか、あるいは歴史、文化も含めた効果、こういったものを外務省さんとしては、非常に重視といいますか、よく考えていただきたい、そういうことが私の申し上げたいことなんです。

 こうした地域選定を進めていくに当たって、一般論として、プログラムなり、首脳会談、サミット、どういう基準をお持ちか。どういうプロセスで物事は決まっていくのかという一般論を一つ。

 もう一つは、二〇〇八年のサミットについて、既に誘致活動が活発になっていると思いますけれども、現在名乗りを上げている候補地、そしてその開催地選定の基準、さらに開催地の決定時期のめどについてお伺いしたいと思います。

塩崎副大臣 大事な御指摘だと思います。つまり、どの地域にどういうものを受け入れるのかということはよく考えろということなんだろうと思いますが、特にこれといった基準があるとは思えないわけでありますけれども、やはり最終的には、今先生も御指摘になったような点も含めて、総合的に判断をしていくしかないのかな。特にサミットの問題についてもそうですし、また、今の地域的な問題についてもそうだと思います。

 今度、中国からも、それからASEANからも高校生を中心にたくさん受け入れようということで、この間、第一弾で、短期でありますが、二百人ほど中国の高校生が来ましたけれども、今回も地域的に動いてもらいました。これも、今回はこういう動き方ということで一定の範囲を決めていますけれども、次回はまた別な選び方をして、なるべく日本をよく知ってもらおうということになろうと思います。

 当然、サミットの問題についても同様にいろいろ考えなければいけないと思っておりますけれども、正式に名乗りを上げているところは、京都、大阪、兵庫の二〇〇八年関西サミット誘致委員会、これが一つ。それから、横浜市の二〇〇八年横浜サミット誘致推進協議会と新潟市の共催。この二つが手を挙げているわけでありますが、サミットの開催地決定については、今申し上げたように、必ずしも決まった物差しがあって決めるわけではないわけでありますので、しかるべきタイミングで、今申し上げたような総合的な判断の中で決めていくということになろうかと思いますし、今、もう既に具体的な検討、選定作業が行われているというわけでもございません。

 ちなみに、最近のサミットの例では、開催一年前のサミットまでには開催地の発表が行われているということでありますから、当然、二〇〇八年の日本でのサミットについてはそれまでに決めなければいけないということでありますけれども、それは、今申し上げたように、総合的に判断をするしかないのかなと思います。

津村委員 時間が参りましたので、終わります。

原田委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 昨日、政府は、五月一日の2プラス2で合意した米軍再編に関する最終取りまとめについて、正式な閣議決定として着実に実施していくことを決めました。

 この閣議決定を見ますと、第二項では、「米軍の使用する施設・区域が沖縄県に集中し、」ということとあわせて、「本土においても施設・区域の周辺で市街化が進み、住民の生活環境や地域振興に大きな影響を及ぼしている。」だから、そういう地元の負担を軽減することが重要であるというふうにしております。

 そこで、まず麻生大臣に伺いたいんですが、ラムズフェルド米国防長官が、五月一日、2プラス2後の記者会見で、ここにテキストがありますけれども、こう言っています。我々は、二つの米軍航空基地を都会、市街地から田舎、地方に移すという計画で合意したんだということを述べております。この二つの米軍基地というのが厚木と普天間基地を指していることは明確だと思います。

 これらの基地が引き起こす騒音被害とか事故の問題、さまざまありましたが、これを岩国だとか名護の方に、いわゆる地方、田舎に移すと小さくなると言わんばかりの話だと私は思うんです。大臣も、そういう発想で今回の移設に合意されたんでしょうか。

麻生国務大臣 基本的に、多分、笠井先生と根本的に違うのは、私どもは、日米安全保障条約というものは、日本の防衛力というものの不足の部分をアメリカとの同盟関係によって補っているという同盟関係がある、有事のときにはアメリカ、平時は日本とか、いろいろな言い方があるんだと思いますけれども、そういった形でやってきているという大前提があります。まず、これを認めた上で話をしないといかぬところなんだと思います。

 それが時代とともに、普天間というのはたしか米軍が最初に沖縄に上陸したところだと記憶しますが、その普天間から、これはもうとても密集地でどうにもならぬというので、移転という話とか、また、今言われましたとおり、同じように厚木につきましても、岩国でしたか、移転をしてもらうわけですが、沖合にかなり出しますので、千何百メーター沖に出しますので、そういった形で、騒音やら密集地帯の危険やら何やらをかなり削除する。

 また、横田の空域についても日本に返還をしてもらう等々をやります。昔、飛行機が余り飛んでいなかった時代と違って、横田の空域というのはかなり大きいし、羽田等々の空域を考えますと、私ら九州とか東京以西に飛行機を使って地元に帰る人は、あれがあきますと、九州で十五分か十分、かなり早くなると思いますね。そういった意味では、ガソリン代は随分減りますし、いろいろな意味で大きな影響が出てくるんだと思います。

 希望的なことを言えばいろいろあるんでしょうが、一番大事なことは、私どもにとっては、日本が要求して移ってもらった、兵隊がグアムにというところの話は、基本的には、日本側の要求に向こうが応じたというのが一番の基本というところなんだと存じます。

笠井委員 根本的に違うところは違うんです。

 ただ、安全保障体制、日米安保を認める人たちの中でも、これはもう我慢できないという話で、沖合に行ったからといって、岩国は、今度の閣議決定にも、市長がこれじゃだめだと言われているわけです。人口密集地にある厚木や普天間の住民の想像を絶する苦痛は言うまでもありません。しかし、岩国にも十五万人、そして名護にも六万人が生活していて、住民に苦痛が押しつけられることには変わりがないわけです。

 ところが、ラムズフェルド長官だけじゃなくて、防衛庁の守屋事務次官も、五月二日、私もNHKを見ていましたけれども、番組の中で、厚木は周辺に二百四十万人も住んでいて影響が大きいから、より影響の少ないところに移すことにしたんだと。まさに、田舎の方だったら文句はないだろうと言わんばかりの発想は許せないと思うんです。

 今度の閣議決定の第四項は、そうした新たな負担を伴う地方公共団体に対して、国の専管事項と言わんばかりの言いぶりで、言うことを聞けば地域振興等の措置を実施するからということで、受け入れさせようというものであります。

 大臣は、沖縄や本土の市街化が進む地域の住民の生活環境や地域振興に影響があるから、そうでないところは我慢してくれ、これで納得が得られると思われますか。

麻生国務大臣 言い方が、いかにもあおるような言い方をされたら、それはなかなか、聞いている方も何だということになりますので、言い方の問題もちょっと、そういう言い方をするかどうかの別問題なのであって、笠井先生と私とは表現の仕方に違いがあるんだ、まず基本的にそう思っていますが。

 極めて密集地のところで騒音公害というものが激しい。同じ人が聞いているわけですから、その地域において、それは密集している方が、ハウリングしますから、もっと大きいとは思います。しかし、一対一で聞けばそうかもしれませんが、少なくとも名護に関しては、だから沖合ということで、住宅の上を飛ばないような飛行ルートを基本にして設定した。

 また、岩国に関しても、沖合に滑走路を移設する等々の状況を岩国においてもすることにしているという努力というものもある程度考えていただかないと、少なくとも、そこの人たちに対して迷惑のかかる部分を最低限に抑えるようにいろいろな配慮をしたという点も認めていただければと存じます。

笠井委員 ラムズフェルド長官もそうですし、今回の閣議決定で言っている、あるいは守屋さんの話もそうですが、密集地から田舎に行けば影響が少ないからという話で、そういう発想になっていること自体、私は問題だと思うんですよ。沖合だとかいろいろなことを言われますが、それでもだめだというふうに地元の方々は言っている。

 2プラス2の最終取りまとめは、全国各地の基地強化計画を速やかに、かつ徹底的に実施していくということをうたったものであって、関係するほとんどの自治体住民から強い批判の声が寄せられてきた。今回の閣議決定は、そうした声をやはり無視して、強権的に進める政府の意思を示すものであって、私は断じて許されないと思います。

 この閣議決定では、さらに第六項で、法制面及び経費面を含めて、再編関連措置を的確かつ迅速に実施するための措置を講ずるとしております。

 昨日、安保委員会で額賀防衛庁長官は、グアムの移転費の日本側負担について、従来の枠組みでは負担できないというふうに答弁されました。つまり、新しい枠組みがなければできないのに、それもないうちに、五月一日のロードマップで六十・九億ドル、約七千億円を負担することを約束されてきたわけであります。

 麻生大臣も、それがわかっていながら合意されてきたんですか。

麻生国務大臣 今回の在日米軍の兵力態勢の見直しという件につきまして、沖縄の海兵隊のグアム移転の経費というものにとりましては、これは、基本的には沖縄住民の負担の軽減というもので、海兵隊をなるべく早く移転させるということを実現するために行うものでして、このことにつきましては関係閣僚でずっと協議をし続けてきたところであります。

 今回の決定というものにつきましては、御存じのように、今言われましたように、移転するに関して、現行の法律でなかなか問題があるのではないかというのは、この話が出た昨年からずっと言われているところだと思いますので、その点につきましては、法制面及び経費面というものを新たにとらねばならぬということはもうはっきりしているのではないかということが、必要な措置をとることを明記したということになっているんだと思います。

笠井委員 歴史上も世界的にも類例がないと言って、政府は予算委員会でも答えられました。そういうことをやる、しかも、法的枠組みで今までできないということで、難しいという議論があってということをわかっていながら、先に合意しちゃっている。後から国会と国民に、日米で合意したので、これは法制面、経費面の措置を含めて認めてくれという話は、私は順序が逆だと思うんですよ。責任は重大だと私は思いますよ。

 防衛庁に聞きたいと思います。

 今回のグアム移転経費のうち、米国側が三十一・八億ドル分担して建設すると言っているヘリ発着場、通信施設、訓練支援施設、整備補給施設、燃料・弾薬保管施設などの基地施設ですけれども、これがあくまで移転する海兵隊専用なのかという問題であります。

 沖縄の負担軽減のためと言ってつくりながら、でき上がったら、移転する海兵隊だけじゃなくて、グアムに駐留する海軍や空軍も使用することにはなりませんか。

大古政府参考人 沖縄の海兵隊のグアム移転経費につきましては、日本側の分担それから米側の分担、特に米側の分担については、今委員御指摘のような施設がございますけれども、いずれにつきましても、沖縄の米海兵隊のグアムへの移転に伴い必要となる施設なりインフラを整備するためのものでございます。

笠井委員 だから、でき上がったら、海兵隊以外は使わないというふうに断言できるかと聞いているんです。

大古政府参考人 今般、米側の分担についても、沖縄の海兵隊のグアム移転に伴うものとして必要なものだと理解してございます。

 ただ、一例で申しますと、例えば、米側の分担として海軍病院の増築というのがございます。これは、沖縄でもそうですけれども……(笠井委員「基地施設です」と呼ぶ)一例として海軍病院ということで申しますと、グアムでは、米軍の全軍が海軍病院を利用しているということを聞いております。今回の海兵隊の移転に伴って増築はされます。それは、一定のニーズ数を見込んだ上で増築すると思いますけれども、増築したところで、たまたま海兵隊の病人が少ないときに、ほかの部隊が絶対使わないということではないと思っております。

笠井委員 外務省、どうですか。これは、アメリカについて、米側の費用で負担してつくる施設について、海兵隊以外は使わないと断言できますか。

河相政府参考人 ただいま防衛庁から御説明したとおり、本件、米側が負担をする施設、これは、こういう施設がないと沖縄にいる海兵隊がグアムに移駐することができない、そういう意味で必要不可欠な施設である、これは明々白々のことだと思います。(笠井委員「でき上がった上で」と呼ぶ)

 でき上がった上、具体的な、どういうふうに米軍が運用するのかということになってきますので、今、この時点で私から断言することは差し控えたいと思います。

笠井委員 先ほど、たまたまほかも使うこともある、そして今、外務省も、断言できない、でき上がってから米軍の運用だと言われました。

 ロードマップでは、海兵隊のグアム移転と言いながら、そして、一たんつくったら、これはアメリカがやりたい放題で使うことができるということであります。実際には、海軍、空軍も共用して使うことがあり得る。米国側の負担だということであれば、あとは何でもどうぞというわけにいかない。あくまで、これは海兵隊の移転だ、それを負担軽減だと理屈で言われてきたわけであります。

 まさに、そういう点では、これは昨年の2プラス2でもそうですが、アメリカの先制攻撃戦略の中でのグアムの位置づけがあって、そしてアメリカの都合で移転する。日本側から言ったという話がありますが、結局はアメリカのそういう都合で日本側にも出させて、でき上がったら、これは海兵隊専用ではないということでありまして、私は、他国領土の基地強化のために国民の税金を使うことは論外で、三兆円どころか一円たりとも使うべきでないと申し上げて、質問を終わります。

原田委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 政府は、昨日、在日米軍最終報告を受けて、その実施方針を閣議決定しました。沖縄との関連では、県民世論を無視し、県や関係自治体との事前協議が不十分なまま、沖縄に米軍基地を恒久的に押しつけるものであって、到底容認することはできません。

 今回の閣議決定では、一九九九年の閣議決定が廃止されております。一九九九年の閣議決定にあった、国際情勢の変化に対応して在日米軍の兵力構成について米政府と協議していくとの方針も消えました。なぜ消えたのか、それは何を意味するのか、外務大臣に明確にお答え願います。

麻生国務大臣 照屋先生の御質問は、平成十一年の閣議決定の話で、普天間飛行場の移設に係る政府方針の中で、普天間飛行場代替施設に関する使用期限問題にかかわる部分を言われたんだというように承知しておりますが、御指摘のように、今般の閣議決定によってこの政府方針は廃止することといたしております。

 したがいまして、政府としては、代替施設の使用期限問題について議論することは考えておりませんが、五月一日の2プラス2で承認された案の実現に向けて、今後、具体的な代替施設の建設計画とか安全・環境対策及び地域振興について、沖縄県及び関係の地方公共団体というものと協議機関を設置して協議していくことといたしております。

 また、お尋ねの中にありました、国際情勢の変化に応じて米軍の施設・区域のあり方を絶えず検討していく、これは閣議決定のあるなしにかかわらず、当然のことだと存じます。

 他方、今般の在日米軍兵力態勢の見直しは、現下の安全保障環境というものを踏まえまして、いわゆる抑止力の維持というものと地元の負担の軽減という観点から検討した結果を取りまとめたものでありまして、この抑止力の維持と負担の軽減という一種、二律背反するような話でありますけれども、これを着実に実施していくための手法として、私どもとしては極めて重要だと考えております。

照屋委員 そうすると、稲嶺知事が求めていた軍民共用空港あるいは十五年使用期限、これは今回の閣議決定で完全に消えた、その限りだ、こういうふうに理解していいんですね。

麻生国務大臣 そのように御理解していただければ幸いです。

照屋委員 沖縄県及び名護市は、閣議決定を受けて、政府案を前提とした協議機関には参加しない方針を明らかにしました。このような沖縄県、名護市の強い反対をどう思うか。また、県や名護市の反対があるにもかかわらず、協議機関の設置はうまくいくとお思いか、実施可能と思うか、大臣に尋ねます。

麻生国務大臣 照屋先生、沖縄県とか地元の名護市がどのように考えておるか、また、その立場について私どもとして申し上げる立場にありませんので、控えさせていただきますが、今回の閣議決定を受けまして、普天間の代替施設初め、先般、五月一日の2プラス2において承認された案につきまして、これは私ども、引き続き、主に防衛庁、施設庁等々なんだと思いますが、沖縄県及び名護市等の関係地方公共団体、ほかにも町村ございますけれども、そういった方々の御理解を得られるように、この案が着実に実施されていくように、一回できたが十年間何もできなかったというようなこともありましたので、私どもとしては、着実に実施されますように精いっぱい努力をしていかねばならぬものだと考えております。

照屋委員 私は、恐らく、県や名護市が強い不満を示している中で、しかも協議機関に参加をしないと既に明言しているわけですから、これは実現可能性、実行可能性が極めて困難になった、こう指摘をせざるを得ません。

 次に、閣議決定では普天間基地の代替施設について具体的な明記を避けておるが、それはなぜでしょうか。私がこれまでの一連の経緯や報道を精査するに、麻生大臣は、明記をすべきだ、こういう立場であったんではないかと思いますが、大臣の率直な見解をお伺いします。

塩崎副大臣 今回の閣議決定におきまして、いろいろ話題になっておりますけれども、普天間飛行場のキャンプ・シュワブへの移転を含め、最終取りまとめに盛り込まれております具体的な措置について着実に実施していくという方針が明記をされているわけでございます。その上で、さらに普天間飛行場の移設について、平成十八年五月一日に日米安全保障委員会において承認された案を基本として、政府、沖縄県及び関係地方公共団体の立場を踏まえて進めることとしている、こういうふうになっているわけでございます。

 外務省としては、今回の閣議決定を受けて、先般の2プラス2で承認された、いわゆるV字形の案につきまして、引き続き、稲嶺知事を初めとする沖縄県そしてまた関係地方公共団体の理解を得るように努力をし、また、着実に実施をされるように努力をしていかなければならないという基本方針は変わらないというふうに思います。

照屋委員 従来、政府の関係者は、基地と振興策はリンクをしないんだ、こう言い続けてまいりました。一九九九年の閣議決定に基づく北部振興策は平成十八年度以降も実施される確実な約束、担保、閣議決定はあるんでしょうか。明言できるんでしょうか。防衛庁に尋ねます。

大古政府参考人 お答えいたします。

 今般の閣議決定におきましては、平成十一年の普天間飛行場の移設に係る政府方針、閣議決定されておりますけれども、これについては廃止するということと、ただしかし、平成十八年度におきましては、この従来の政府方針に基づいて地域振興事業については実施するというふうになってございます。また、この閣議決定においては、今後、具体的な代替施設の建設計画、安全・環境対策及び地域振興については、沖縄県及び関係地方公共団体と協議機関を設置して協議し、対応することとされております。

 そういう意味で、このため、従来の政府方針に基づく、いわゆる北部振興策等につきましては、平成十八年度においては実施するものの、平成十九年以降には継続するものではございませんが、他方で、政府としては、早急に沖縄県等との協議機関を設置しまして地域振興について協議することとしておりまして、平成十九年以降については、新たに策定された考え方に基づいて行われることになるというふうに考えてございます。

照屋委員 平成十八年度以降は北部振興策はやらない、このように理解してよろしいんですね。

原田委員長 大古防衛局長、予定の時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔に願います。

大古政府参考人 先ほど申し上げたとおり、平成十八年度については、従来の地域振興事業について実施することとしております。平成十九年度以降につきましては、新たに策定された考え方に基づいて行われることになると考えているところでございます。

     ――――◇―――――

原田委員長 次に、原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府と欧州原子力共同体との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 政府から趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣麻生太郎君。

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 原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府と欧州原子力共同体との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

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麻生国務大臣 ただいま議題となりました原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府と欧州原子力共同体との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成十一年四月以来、欧州原子力共同体との間でこの協定の交渉を行ってきました。その結果、本年二月二十七日にブリュッセルにおいて、我が方河村特命全権大使と先方ピエバルグス欧州委員会委員との間でこの協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、原子力の平和的利用に関する我が国と欧州原子力共同体との間の協力のための法的枠組みを提供するものであり、協力の方法、核物質等の平和的非爆発目的利用、国際原子力機関による保障措置の適用、核物質防護措置の実施、再移転に係る規制等につき定めております。

 この協定を締結することにより、既に原子力協定を締結している英仏以外の欧州原子力共同体の加盟国との間においても平和的利用を確保しつつ核物質等の移転その他の協力を行うための法的枠組みが整備され、我が国と欧州原子力共同体の加盟国との間の原子力分野の協力がさらに強化されるものと考えられます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いを申し上げます。

原田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る六月二日金曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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