衆議院

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第17号 平成19年6月8日(金曜日)

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平成十九年六月八日(金曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 山口 泰明君

   理事 小野寺五典君 理事 三原 朝彦君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 山中あき子君

   理事 長島 昭久君 理事 山口  壯君

   理事 丸谷 佳織君

      愛知 和男君    伊藤 公介君

      猪口 邦子君    宇野  治君

      小野 次郎君    高村 正彦君

      篠田 陽介君    新藤 義孝君

      鈴木 馨祐君    松島みどり君

      三ッ矢憲生君    山内 康一君

      笹木 竜三君    末松 義規君

      田中眞紀子君    前原 誠司君

      笠  浩史君    渡辺  周君

      東  順治君    笠井  亮君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   外務大臣政務官      松島みどり君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  加藤 隆司君

   政府参考人

   (内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長)

   (内閣府大臣官房拉致被害者等支援担当室長)    河内  隆君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 伊藤 茂男君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    米村 敏朗君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 三浦  守君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  稲見 敏夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 草賀 純男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 伊原 純一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 片上 慶一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大江  博君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      舟木  隆君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         林田  博君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難監) 冨賀見栄一君

   政府参考人

   (海上保安庁海洋情報部長)            加藤  茂君

   政府参考人

   (海上保安庁交通部長)  枡田 一彦君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 金澤 博範君

   外務委員会専門員     前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月八日

 辞任         補欠選任

  長妻  昭君     渡辺  周君

  笠  浩史君     末松 義規君

同日

 辞任         補欠選任

  末松 義規君     笠  浩史君

  渡辺  周君     長妻  昭君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 適合性評価手続の結果の相互承認に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一四号)(参議院送付)

 知的所有権の貿易関連の側面に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一五号)(参議院送付)

 二千六年の国際熱帯木材協定の締結について承認を求めるの件(条約第一六号)(参議院送付)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官長嶺安政君、大臣官房審議官佐渡島志郎君、大臣官房審議官梅本和義君、大臣官房審議官草賀純男君、大臣官房参事官伊原純一君、大臣官房参事官片上慶一君、大臣官房参事官大江博君、内閣官房内閣参事官加藤隆司君、内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長兼内閣府大臣官房拉致被害者等支援担当室長河内隆君、警察庁長官官房審議官伊藤茂男君、警備局長米村敏朗君、法務省大臣官房審議官三浦守君、入国管理局長稲見敏夫君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長舟木隆君、国土交通省大臣官房技術参事官林田博君、海上保安庁警備救難監冨賀見栄一君、海洋情報部長加藤茂君、交通部長枡田一彦君、環境省地球環境局長南川秀樹君、防衛省防衛政策局次長金澤博範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。

新藤委員 おはようございます。自民党の新藤義孝でございます。

 一般質疑を外務委員会においてさせていただきますこと、ありがたく御礼を申し上げます。

 また、一生懸命に仕事をしているということを、私もこの場できちんとまず申し上げたいというふうに思います。

 そして、麻生大臣、連日、本当に激務の中、お疲れさまでございます。大臣はたしか、何かのインタビューの中で、大体外務大臣を二期続けてやると体が壊れる、そういうようなお話をされておりますが、全くその兆候は見られませんけれども、私は、元気に御活躍いただいていることは非常にありがたいと思います。

 そして、サミットの外相会談からお帰りになったところだと聞いておりますが、今そのサミットが行われているわけでございますが、外務大臣、本来サミットの中に参加された方がいいんじゃないかなと思うんですが、どうでしょうか。

麻生国務大臣 新藤先生、昔は、外務大臣・大統領、外務大臣・総理大臣が同席という機会が多かったのは事実だと存じます。

 最近では、例えばハノイのAPECでしたか、あのときは安倍総理の同行を命じられましたのですが、このところのサミットは、外相会議をその一週間前にやることになりますものですから、大体サミットのときには外務大臣は同行しないというのが慣例になっている。約二週間ぐらい国会をあけることになりますので、そこのところが大きな理由。

 ほかの国を見ていますと、アメリカは同行、ロシアは同行、中国も同行でありますけれども、イギリス、フランス、イタリアは同行していない、ちょっとカナダは記憶がありませんけれども、国によって対応が違うと思います。

 確かに、話が出たのを同席した外務大臣二人でぱぱぱっとその場で詰めていくというのはこの間ハノイで二度ほど経験をしましたので、同行した方が話が早く進む場合も多いので、効用はいろいろあろうとは存じます。

新藤委員 これは言わずもがなのことでございまして、外務大臣が全体の世界の首脳が集まる中で同席をして、そしてスピーディーにいろいろな日本の意思表明を行う、絶対必要なことだと思います。また、現在は岩屋副大臣という立派な方がいるわけですから、やはり安心して外務大臣が出ていけるように、これは委員会としてもぜひそういうふうに応援をしていきたいな、このように思います。

 それでは、きょうは、日本の海洋問題について、特に日中、日韓にかかわることを中心に質問をさせていただきたいと思います。

 本年二月四日、中国の海洋調査船東方紅二号、この船が、我が国に事前通報のあった海域外で海洋調査、また日本の主張するEEZ内に入って海洋調査を行ったわけでございます。この件について、日本政府としてどういう対応をとり、そしてまた、中国側からどういう反応があったのか、その反応に対して、我が国はどういう態度をとっていたのか、また、この区域に関しましては、海洋調査に係る相互事前通報の枠組みというのがあったわけですが、これが生きていなかったのかどうか、この辺、まずただしたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘がありましたように、去る二月の四日、中国海洋調査船東方紅二号、事前通報海域外ということになりますが、ここにおいて海洋調査を実施されたということは確認されております。これは明らかに、東シナ海におきます日中間の海洋調査活動相互事前通報の枠組みというものから見ますと、反していることははっきりしておりますので、その日に外交ルートを通じて中国側に強く抗議をしております。

 これに対して中国よりなされた回答は、基本的に尖閣諸島に関する中国側の独自の立場というのが、中国側には中国側の言い分がありますので、言ってきましたが、もう全然受け入れられないということで、二月の十六日に、私の方から、李肇星というのが外務大臣だったんですが、その人が当時日本に来ておりましたので、この枠組みの遵守というものを求めて、枠組みは堅持するという返答を向こうからもらったところではあります。

 その後現在までのところ、この枠組みに反する海洋調査が行われていることはございません。

新藤委員 それでは、日中間の海洋調査活動の相互事前通報の枠組み、これは平成十三年から取り決めがあるわけでございますが、これまでの日本側と中国側が行った事前通報の実績というのはどうなっているのか。

岩屋副大臣 敬愛する新藤先生にお答えを申し上げたいと思います。

 今先生御指摘の枠組みですけれども、平成十三年二月に、東シナ海における日中間の海洋調査活動に関する相互事前通報の枠組みが成立をしております。

 その実績はどうかというお尋ねでございますけれども、中国側は、これまで二十六件の事前通報を行ってきております。我が方でございますけれども、この枠組みの対象となっている海域における日本側の調査は、そもそもほかの海域におけるものと比べて少なくて、我が方の実績はこれまで一件ということでございます。

 中国側は、十三年以降、かなり枠組みの効果という意味では上がってきているというふうに私どもとしては判断をしております。

新藤委員 この枠組み自体は評価をするものです。ただ、これはなぜ枠組みができたかといいますと、やはり、平成十三年の枠組み以前に、中国の船が我が国のEEZを越えて頻繁に調査を行う、これによっていろいろなトラブルが出てきているということがまず原因だったと聞いております。

 実は、この問題を、私はずっと取り上げてきているんです。去年の外務委員会でも、海洋問題について、韓国のことでしたが、指摘をいたしました。

 問題は、日中の場合は、この口上書があいまいなところに盲点がある。いわゆる、日本側は中華人民共和国の近海について調査を行う場合、中国側は日本側が関心を有する水域である日本国の近海と、よくわからないわけですね。どっちともとれるような、これが外交ですよと言われればそれまでなんですが。

 いろいろ調べると、例えば、この区域には、資料をお配りしておりますけれども、資料の2の方です、「日本の二百海里水域概念図」という中にありますけれども、日中暫定措置水域という日中漁業協定の取り決めがあるわけですよ、同じ区域ですけれども。日中漁業協定では、この暫定水域を事細かに、緯度、経度を協定書の中に書いて、そして水域を画定しているわけです。

 ですから、こんなふうにあやふやに、せっかく取り決めがあるのに、中国は勝手な自分の主張をして、結果的にはEEZに入ってきてしまう、こんな無駄なことが起きないように、これはきちんとした海域の具体的設定というのを交渉してみてはどうかと思います。

 そして、この間、温家宝さんが来たときに、東シナ海を平和・友好・協力の海とする、そしてより高いレベルで政治対話を行うということも日中で決めているわけですから、これは大臣、ぜひ知恵を使って、まず、日中間のこういう無駄なことが起きないように、具体的な海域の設定というものを交渉してみてはどうかと思うんですが、いかがでしょうか。

岩屋副大臣 先に私から事実関係だけ申し上げたいと思います。

 先生御指摘のように、この枠組みの中では、中国側が事前通報を行うべき海域を日本側が関心を有する水域である日本国の近海というふうにしておる、そしてまた、日本側が事前通報を行うべき海域は中華人民共和国の近海としている、そこがあいまいではないかという先生の御指摘でございますが、先生もいみじくもおっしゃいましたけれども、日中間では東シナ海について境界画定ができないまま今日を迎えているわけでございまして、したがって、双方の境界画定に関する立場に影響を与えないという考え方に立って真剣に交渉を行った結果、こういう表現で日中間で一致をしたということでございます。

 しかし、先ほども申し上げましたが、この枠組みができる前は、中国側の違反件数は年平均二十一件、枠組み成立以降は年平均二件、これは、二件であればいいということを言っているのではなくて、一件でもあればけしからぬということなんですけれども、そういう境界画定ができていない状況で、ある意味では妥協の産物でできた枠組みですけれども、一定の効果は上げてきているというふうに考えているところでございます。

麻生国務大臣 今副大臣の方から御答弁申し上げましたけれども、基本的には、境界画定というものがなされていないという状況下において、双方の立場に影響を与えないようにしようということで一定の合意をつくり上げた、妥協の産物といえば妥協の産物、外交といえば外交ということになろうかと思います。

 おかげさまで、少なくとも今まであったトラブルの件数は減っておりますので、それなりの効果は上がっているんだと思いますが、今後の検討として、今言われた点は、日中の話がさらに進んでいくという段階になって、双方の間に、平成十三年のことで大分事情が違っておるとは思っておりますので、慎重に検討すべき御提案だと存じます。

新藤委員 それでは、日韓の方についてお話をさせていただきます。

 まず、お配りさせていただきました外務委員会提出資料1、「展示パネル撤去」という新聞記事でございます。

 実は私、去年の五月三十一日の外務委員会でこれを取り上げております。韓国が竹島領有の根拠としている地図、これが今から五百年ぐらい前の地図なんですけれども、五百年前の地図から韓国は竹島をちゃんと地図として表記しているよ、こういう主張をしているんですが、実は、その地図は、鬱陵島の韓国側に竹島と思われる島を表記してあるわけなんです。ところが、独島博物館というのが鬱陵島にあって、その博物館の前の展示パネルには、鬱陵島よりも日本側に、いわゆる今の竹島と似たような位置にわざわざ位置を置きかえてしまっている、おかしいじゃないか、これは事実をちゃんと訂正することを申し入れろ、こういう話をしたわけです。

 結果として、今こうやって、五月五日付の新聞では展示パネルを撤去する模様だと書いてありますが、外務省は確認しているんでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたこの新聞の記事ですけれども、撤去の件については、その報道があったということは我々も承知しておりますが、現地に人を送って博物館を訪れた上で確認したかといえば、そこまではいたしておりません。

 いずれにいたしましても、これは領有権にかかわる問題の話であります。これまで平和的に解決をということでいろいろやってきておりますけれども、これは双方でやはり客観的な事実というものをきちんとしておかないと、お互い、昔の話とか伝聞報道だけでやるのも甚だ危険でもあります。私どもとしては、こういった点については非常に大事なところでもありますので、外務省のホームページにおきましては、竹島問題の記述を大幅にふやした上に、英語版と、加えて韓国版と両方を載せるというようなこと等々、努力を今行わせているところであります。

新藤委員 ありがとうございます。

 私は、昨年提案させていただきまして、当たり前のことなんですが、言うべきことは言う、そして、客観的な事実に基づいて正しい歴史認識を両国民が持つということがとても大事なことだと思っておりますので、こういうことをおろそかにしないで、確認していってもらいたいと思います。まだやっていないと思います、この新聞記事によっても。しかし、こういうことが始まっているんだから、きちんと確認してわかれば、それは我々国民に知らせてくれなきゃ困る、こういうふうに思います。

 時間がございませんので少しはしょりますが、今度は日韓の海洋調査の問題についてお尋ねします。

 これもまた、五月三十一日に、EARDOという韓国の海洋調査船が鹿児島県沖の我が国EEZ内で事前の同意なく海洋調査を行ったわけです。これはもう新聞報道で明らかですから、これに抗議を行った。しかし、韓国は、これは我が国のEEZだ、だから日本に言う必要はないと言い募っている。そして、日本は抗議した、向こうはうちの海域だといって、終わりになってしまった、これなんですね。中国のときも同じなんです。抗議をするけれども、結果的にはその後何もできないわけです。

 ですから、この竹島周辺の海域は非常にセンシティブな海域ではありますが、いわゆる科学的な海洋調査というのは、これはどの国もが持っている固有の権利なんだから、その海洋調査をしようとすると昨年の四月には大騒ぎになってしまった、こんな無益な争いをする必要はないわけでございまして、その意味では、昨年大臣にこれもお答えをいただいておりますが、これから日韓のそういう暫定的な枠組み、また海洋調査の協力体制をつくろうじゃないか、こういうことでお取り組みいただいているわけです。

 しかし、もう一年たっています。現状、なかなか進んでいないような話も聞いておりますけれども、これはどうして進まないのか、またこれからどうすれば解決していくのか、大臣のお考えを教えていただきたいと思います。

麻生国務大臣 昨年の騒ぎ以後、この問題については、これはまことに双方にとりまして、竹島の領有権にかかわる話でもありますので、したがって、かなりセンシティブな話ではあるんですが、今言われましたように、科学的な調査をするのに何の問題があるんだという話で、両方で調査をすればいい話ではないかということもいろいろ言っておりますけれども、向こう側としては、なかなか話が込み入ったまま、ずっとその後引きずっております。

 先週の日曜日、済州島で行われました日中韓の外相会議のときに、日韓だけの外相会議を別にやっております。この問題につきまして、私どもとしては提案をしておりますのに対して、向こう側も向こう側で、こういった点を調査したいという話で、それはこっち側の地域だから、そっちが受け入れないのにそちらの話だけ受け入れろなんという話はとてものめないという話のまま、話が平行線をたどっております。

 いずれにいたしましても、この問題は、昨年と同じような大騒ぎを起こすのは愚かなことだと思いますので、双方で局長レベルのところで話をしようというところまで来ておるというのが現状であります。

新藤委員 これは、やはり歴史に学ぶ必要があると思うんですね。日韓基本条約の精神、竹島は棚上げ、そしてお互いの、互恵の海、こういうことで先人がつくってきたことなんですから、この精神にのっとって、しかも私、もう一度申し上げますけれども、さっき日中の暫定水域の話をしましたけれども、日韓の暫定水域もこの地域にあるわけです。ここでは、実は漁業調査は月一回のペースで行われているわけです。

 ですから、先ほど岩屋副大臣は、境界画定に影響があっては困るのでということで非常にセンシティブになっていると。しかし、境界画定に影響しない、そしてここは、とにかく海洋調査というのは科学的な、また国が持っていなければ困るものなんだから、これについて安全に、しかも自由に調査ができるように、こういう枠組みを早急につくるべきだし、そのときには日中と同じように、日韓のこの枠組みの中では具体的な海域をきちんと画定する、これが大切だと思いますので、ぜひそういったことで今後交渉をやっていただきたい。

 もう一年かかっているんですが、中国よりもちょっと時間がかかっていますね。ですから、かなりこれはややこしい話なんだなと思いますが、そこは逆に、妥協するというよりはもう基本を、同じテーブルにのらないで、きちんとこれは科学的な調査だという観点でやっていただきたい、このように思います。

 続きまして、それに関連いたしまして、それでは、そもそも日本の海洋調査はどんなふうに行われてきたのか、日本のEEZ内の尖閣周辺、それからガス田の周辺、さらには竹島周辺、この地域に対して日本の海洋調査はどのようにこれまで行ってきたのか、政府の方から教えてもらいたいと思います。

加藤(茂)政府参考人 お答え申し上げます。

 海上保安庁では、これまで日本周辺海域におきまして、海図作成に必要な調査を実施してまいりました。

 東シナ海におきましては、これまで数次にわたりまして調査を実施しておりますが、最近では、平成十五年度に石垣島北方海域におきまして海底地形等の調査を実施しております。また、日本海につきましては、沿岸域を中心に調査を実施しております。竹島周辺海域におきましては、昭和五十年度に海底地形の調査を実施しているところでございます。

新藤委員 適宜やっているんだと思うんですが、東シナ海やガス田周辺、東シナ海においては、平成十五年ですけれども、ここのところで調査もやっている。しかし、今昭和五十年とおっしゃったでしょう。三十年前じゃないですか、竹島周辺は。

 ですから、本来我々が通常、当たり前にやらなければいけない、またできるはずの調査が三十年も手つかずでいる。そして、去年それをやろうとしたら大騒ぎになって、韓国から船が出てくるようなことになっちゃった。この異常な状態は早く解消しなきゃいけない。

 しかし一方で、漁業の調査、例えば海流だとか水温だとか塩分だとか、要するに海洋基本調査と同じような項目は、月に一回のペースでこの同じ海域でやっているわけですよね。だから、そこは少し頭を切りかえた方がいいんじゃないかと私は思っております。これはぜひ、我々でそういうことを研究していく必要があるんじゃないかと思います。

 では、もう一回念のために聞きますけれども、日本船舶の安全航行のために、日本のEEZを越えて他国、中国、韓国のEEZ内で我が国の海洋調査というのはやらなくていいんでしょうか。

加藤(茂)政府参考人 お答えいたします。

 船舶の安全航行のために必要な海図の情報と申しますのは、一般的に沿岸国が整備することとされております。我が国が中国や韓国のEEZを含んだ海図を作成する場合には、当該部分につきましては中国や韓国の海図の情報を利用しております。

新藤委員 これはどういうことかというと、旗国主義ですから、沿岸国がいろいろな海洋の調査を行って、船舶の安全航行や、いわゆる国が必要とするものは相手国に提供できるわけですよ。

 私もちょっと調べたんですけれども、例えば漁業の関係でも、東シナ海の中国寄りにクラゲが大量発生している、それがこっちに押し寄せてくるかもしらぬ、では日本の漁具に影響を与えるから調べに行くよと言うと、中国が、いや、うちのデータを差し上げますよと。だから、EEZの中でお互いに調査をやっていれば、十二分に海は機能していくわけなんですよ。

 だとすると、なぜ他国のEEZに無理やり入るのか。通常の海洋調査であれば、データは、必要最低限のものは得られるわけなのに、しかし入ってくる。ここを我々はよく注意をしなきゃいけないし、単に海洋調査であるから、警告をして出ていってもらいましたのでで済ませてはいけない問題が内在しているんじゃないか。

 これ以上は憶測になってしまいますから、どうしようもありません。しかし、どう考えてもおかしい。漁業ならば自由に行き来して、海域まで設定しているのに、この海洋調査に限ってこれだけセンシティブになる。この問題は、我々はもっときちんと対応していかなければいけない問題なんじゃないかな、これを指摘しておきたいと思います。

 そこで、とにかく我が国の国土面積、これは東洋の小さな島国だと言う人がいますが、大臣はきっとそう思っていないに違いないんです、私も思っていません、日本はすごく大きな国だと思っています。しかし、国土面積は世界じゅうの六十位です。しかし、EEZまで含めると実に世界第六位の、日本の権益が及ぶ面積を持っている。日本は、海洋大国のはずなんですが、なぜか東洋の小さな島国、こういうふうに言われてしまう。

 そこで、これはさっきの資料にもありますが、今私は中国と韓国のところを問題にしましたけれども、日本のEEZというのは広大なものがあります。特に、北方領土近辺はどうなっているんだ、やっているのかねと聞きたくなってしまうぐらいですね。

 では、これだけの広大なEEZを適切に管理するための、資源も、それから漁業も、海洋も、いろいろな海底地形も、そういうものの海洋管理を総合的に行う担当部署というのはどこなんでしょうか。

麻生国務大臣 これは、所掌事務ということになりますと、日本の領海とかEEZに関しましては、各省庁おのおの所掌事務がありますので、保安庁の部分とか我々外務省の部分とかいろいろありますので、そういった意味で、各省庁が所掌事務に従って行っているというのが正式なお答えということになろうと存じます。

 先般、おかげさまで成立いたしました海洋基本法におきまして、総合海洋政策本部を設置することによって、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進するということが目的の一つということになっております。したがいまして、この本部の設置後は、これらの海洋に関する施策を総合的に担当するというのはこの設置本部ということになろうかと存じます。

 今、総合海洋政策本部というものの、所掌をいたしておりますので、外務大臣もその本部員なんですが、本部長が内閣総理大臣ということになっておりますので、ここが総合的な対策をやっていく本部として機能していくということになろうと存じます。

新藤委員 これからできる総合海洋政策本部、これをきちんと機能させなきゃいけない。現状では、どこだという一つがないんですよね。八省庁、九省庁で共管しちゃっているだけですから。

 ですから、とにかく政府として一元管理をする総合的な窓口が絶対必要だ。しかも、日本の海洋調査を、全海域において、長期的な計画をつくって、漏れのないように、また、ひょっとして私たちが見落としているところがあるとするならば、そういうものをチェックする必要があると思いますし、例えば、海洋調査は、一つの船で二つのチーム、三つのチームが一緒に相乗りをしてやることだってできるわけです。そうすれば予算も削減できるわけです。だから、こういうことをよく工夫していかなければいけないんじゃないか。大臣は主要メンバーでございますので、これから海洋担当の大臣ができるわけなんですが、全内閣で、この問題ははっきりと具体的な項目を挙げて仕事を進めていただきたい、このように思います。

 そこで、一つお尋ねします。

 海洋基本法と海洋構築物安全水域設定法、これが成立いたしました。しかし、この法律だけでいいのかどうなのか。これに、さらに国内法の整備を図る必要が私はあるんじゃないかと思っているんです。例えば、中国、韓国の調査船が入ってきましたけれども、取り締まる法律はあるのか。これはもう時間がないので、私、このことでやりとりをしようと思っていたんですが、私が申し上げます。日本には取り締まりをする法律はございませんから、警告しているだけです。しかし、中国、韓国には取り締まりの法律があって、国内法に基づいて処置をすると言ってきているわけです。

 我々は海洋大国なのに、海洋の法律は果たしてきちんと整備されているのか。特に、安全保障や日本の権益を確保する、これは国家の一番の使命です。ここの部分において、この海洋の管理に関する法律を、さらに個別的なものを整備していかなきゃいけないんじゃないかと私は思っております。ですから、今立法上どんな検討が必要と思っているのか、これをお答えいただきたいと思います。

加藤(隆)政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもお話が出ましたけれども、総合海洋政策本部が設置されましたら、今後、総合的かつ計画的な推進を図るために海洋基本計画を定めるということになっております。その過程におきまして、海洋に関する問題に対しいかなる法律の立法が必要であるかという検討が行われていくというふうに考えておるところでございます。

新藤委員 これは、我々議員がやらなきゃいけないことだと思います。しっかり研究して、このことは早急に整備していかなければいけない。海洋基本法そのものが議員立法なんですから、こういう分野は各省庁にまたがり過ぎておりますので、私どもがやっていきたいと思いますが、外務省としても、また内閣官房も、しっかり考えてもらいたいと思います。

 時間が過ぎましたので、一点だけ、最後に申しわけございません。

山口委員長 特別許します。

新藤委員 海洋基本法、四月二十七日公布ということは、三カ月以内に施行するということですね。これは、そうすると七月末になるんだけれども、せっかく海洋の法律を施行するのならば、例えば海の日とかにしたらどうか。みんなに、国民によくわかっていただく、ああ、海の日に海洋基本法が施行されました、こういうような国民に周知できるように工夫したらどうかと思うんだけれども、これはいつ施行する予定なんですか。

加藤(隆)政府参考人 海洋基本法の施行日につきましては、現在政府において検討中でございますけれども、長年、海の記念日や国民の祝日、海の日として国民や関係者に親しまれまして、また平成八年に国連海洋法条約が我が国について発効いたしました日として、七月二十日が一つの候補として考えられているところでございます。

新藤委員 特別に許可していただきましてありがとうございました。

    ―――――――――――――

山口委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 次に、山口壯君。

山口(壯)委員 民主党の山口壯です。

 条約もあと三本残すのみで、時間が少なくなりましたけれども、麻生大臣とはもっともっと、マイクを通してのやりとりのみならず、今回はマイクを通さない不規則発言のやりとりも大分やらせていただいたんですけれども、きょうは大臣への質問として北方領土の問題も用意していますけれども、多分防衛省関係の話でいっぱいになってしまうかなと思います。

 先日、これは笠井さんの党から公表された文書ですけれども、イラクの派遣について、陸自が反対運動等市民運動について調査していたという話があるわけですね。私も、きのう百六十六ページ全部目を通しましたけれども、よく調べていますね、本当にびっくりするぐらいです。

 この一例を挙げましても、何月何日、戦争ストップ関西の会が、十二時三十分から十三時十五分にかけて、二十一人が、ビラ配って、何言ったと、しこたま、これは本当によく調べている。本当に、こんなことをやっている暇があったら、もうちょっとほかのことをやってほしいなという気もするけれども、最初に、この情報保全隊について、何をするところですか、これは。

木村副大臣 隊員が任務をしっかり遂行するためにいろいろな情報を収集しているということであります。

山口(壯)委員 どの法律に基づいて、そういうことをしているんでしたっけ。

木村副大臣 防衛省設置法であります。

山口(壯)委員 どの条文ですか。

木村副大臣 四条の四号であります。

山口(壯)委員 四条の四号には、「前三号の事務に必要な情報の収集整理に関すること。」前三号は、例えば「陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の組織、定員、編成、装備及び配置に関すること。」

 今の条文のどこに、何月何日何時から何人が何を言った、そんな話が入っていますか。ちなみに、こういう人たちは制服を着て行っているんですか。

木村副大臣 情報を収集するいろいろな活動についての仕方については、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

山口(壯)委員 シビリアンコントロールの根本もなっていないですよ。シビリアンコントロールというのは、国会が軍事をコントロールすることです。国会に対して、この法律逸脱のおそれがあることに対して知らぬ存ぜぬでは通りません。

 副大臣、このことについて御存じでしたか。

木村副大臣 シビリアンコントロールのお話を先生今申されたわけでありますけれども、国民から選ばれた国会で決められた法律、今の防衛省設置法もそうでありますけれども、それにのっとって今仕事をしているわけでございますから、きちっとシビリアンコントロールは守られているのではないか、こう考えております。

山口(壯)委員 木村副大臣はこのことを承知していましたかということを私は聞いたんです。

木村副大臣 さまざまな情報活動をふだんからしているということは承知をしております。

山口(壯)委員 それでは不十分です。木村さん、こういうことも知っていたかどうか、後で答えてくださいね。

 平成十六年の一月九日、青森で医療費負担増の凍結・見直し、街宣、この団体は、一月九日の十二時十五分から十二時五十分の間、十六名で医療費負担増の凍結・見直しの街宣、署名活動及びビラ配布を実施した。どこが防衛省と関係あるんですか。十六年一月九日、同じ日に、青森市の〇四国民春闘、街宣、一月九日の十二時十五分から十二時五十分の間、六名を集めて青森市内で〇四国民春闘と題する街宣を実施した。どこが防衛省と関係あるんですか。十六年一月二十一日、日本国家公務員労働組合連合、一月二十一日の十二時十分から四十五分の間、九名を集めて年金制度改悪反対と題する街宣、署名及びビラ配布を実施。どこが防衛省と関係あるんですか。二月の二十四日、消費税廃止各界連絡会、二月の二十四日の十二時十三分から十二時五十分の間、五名を集めて消費税増税反対の街宣、署名及びビラ配布を実施。どこが防衛省と関係ありますか。答えてください。

木村副大臣 日本共産党さんが入手された資料をもとにしての議論にコメントすることは、まず差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で申し上げるならば、いろいろな情報活動をする中で、集会等々があっていろいろな発言が出てくる、それを、防衛省の業務に影響するところについていろいろ調査をしているわけでありますけれども、その会合において、またいろいろな年金の話、また医療の話も出てくる、こういう話もありましたよということを書き記すということではないかと思っております。

山口(壯)委員 木村副大臣、私がどこでこの文書を入手したかというのは、あなたは御存じないでしょう。何で決めつけているんですか。(木村副大臣「ほかにどうやってとれるんだ」と呼ぶ)ちゃんととれますよ。あなた、別にそんなことまで私に言うことないんですよ。だけれども……(木村副大臣「委員長」と呼ぶ)ちょっと待って。

 今、警察まがいのことまでやっているという話が出てきたわけですよ。いつからDIAができたんですか。いつからCIAができたんですか。これは、警察まがいのことをやっている。そして、法律には、「陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の組織、定員、編成、装備及び配置に関すること。」「前三号の事務に必要な情報の収集整理に関すること。」これは入っていません。

 こういうことについて、コメントする立場にないなんて、しゃあしゃあとそういうことを言うべきじゃないです。あなたは知っていたかどうか、コントロールができているかどうか、逸脱がないようにどういうふうにやっているかどうか、そういうことをコメントしてください。

木村副大臣 今、設置法四条の四号のお話を申し上げましたけれども、この四号には、前三号だけではなく、一号、二号、三号を含めた三号ということで我々は理解をしているところでございます。

 今、共産党さんの資料云々という話で御指摘をいただいたわけでありますけれども、質問の冒頭で百六十何ページのものをお読みになったというお話をなさったものですから、そのように理解をいたしました。勘違いをしておりましたら、お許しをいただきたいと思います。

山口(壯)委員 私も防衛庁にいたから、どういう文書か表紙で全部わかりますよ。そのころは情報保全隊というのはなかった。だけれども、これがどういう文書かというのはたちどころにわかる。

 ちなみに、逸脱がないようにするためには、まず全容を知っておかなきゃいけない。余り御存じなかったような気がするけれども、ちなみに官邸の方はこれをよく知っていたんですか。こういう活動を官邸の方は知っておられたんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 官邸におきましては、内閣官房でございますが、防衛省がその組織、行動に関しまして関連の情報収集活動あるいは分析をしているということは承知しておりますけれども、その中でどのような個々の活動をしているかということについては、つぶさに一々把握しているわけではないということでございます。

山口(壯)委員 きょうはこれを官房長官に聞こうと思ってしたんですけれども、委員会が違うということだった。ほかにだれかいないかと言ったら、わかりません、わかりませんといって、それで、出てきたのは同級生の鈴木さんだったから、余りきつい聞き方もできないなと。

 官邸として、やはりシビリアンコントロールの一つのポイントですから、国会が軍事をコントロールするというのが根幹です。そしてもう一つは、やはり官邸はすべて、少なくともこういう問題になったときにはつぶさに知っておかなきゃいけない。それを、わかりませんということで押し通そうとするというところに、シビリアンコントロールが行き届いていないなということを思うわけです。

 ちなみに、情報保全隊というのが今話題になっているわけですね。これはあるわけです。防衛省で、情報に関して分析しているのは情報保全隊じゃないですね。

木村副大臣 今先生御指摘のように、情報保全隊も情報収集をしていろいろ分析しております。また、国際情勢等々をしておりますが、情報本部という組織もありまして、いろいろ情報を集めているところでございます。

山口(壯)委員 防衛省の中で、本当の意味での情報分析というのはほかの方がやっているわけです。警務隊というのは今ありましたっけ。ありますね。警務隊と情報保全隊は、ちなみにどう違うんでしたっけ。

木村副大臣 先生の方がよく御承知かもわかりませんけれども、警務隊というのは、御承知のように、司法警察の……(山口(壯)委員「昔の憲兵ですね」と呼ぶ)というようなことで活動しているということでございます。

山口(壯)委員 私のいたころにこの情報保全隊というのはなかったものだから、それでその違いをお聞きしたいわけですけれども。警務隊もいろいろ調べますよね。情報保全隊というのは外のいろいろな反自衛隊活動的なことを調べる、警務隊というのは中のいろいろミリタリーポリス的なことをやる、こういうことですか。

木村副大臣 隊員の保全をするためにいろいろ調査、情報を集めるというのが保全隊であります。警務隊というのは、司法権を持っていろいろな問題に対して調査をしていくということだろうと思います。

山口(壯)委員 そのまま今、額面どおり受け取って。しかし、その情報保全隊というのは、要するに、外に出ていって、いろいろ集会をやっていたら、年金だろうが消費税だろうが、それを克明に調べていますよね。(木村副大臣「ついでに」と呼ぶ)ついでに……(木村副大臣「年金のはほかの」と呼ぶ)

山口委員長 個々に自由に話さないで、発言が終わってから。

山口(壯)委員 それはしかし、私は、今現実に美しい国の実態がそういうことであるというのは非常にお寒い気がしますね。今、情報保全隊というものが外に出ていって、防衛省設置法からいっても読み込むには非常に無理があることまでやっている、そのことに対してやはり問題があるなというふうにまず思うのが政治家の役目ですよ。組織を守るのと同時に、少しそれはきちっとチェックしていかないかぬなというふうに思っていただかないと、我々は安心できません。

 そういう意味では、お立場として、こういうことをいろいろ今弁護されておられる。しかし、他方で、明らかにこれは逸脱しています。多分、内局でも同じ意見が出たんでしょう。全くもう、こういうことも一生懸命やるからな、彼らはと、多分そういう意見が出たでしょう。だから、そういうことはちゃんとチェックしていかなきゃいけない。

 それに対して、木村副大臣、きちっとチェックされるどういう仕組みを考えておられますか。こういうことが既に出てきてしまっているんですから、今後こういうことがないようにお考えいただきたいわけですけれども、どういうふうにお考えですか。

木村副大臣 今回の議論は、防衛省が責任を持って出した文書ではございませんので、今ここでコメントすることはお許しをいただきたいと思っております。

 ただ、イラクのあの当時のことをお考えいただきたいと思いますけれども、国内的に大変な反対の抗議行動もございました。また、隊員の官舎等々に、海外派兵の先兵となって戦争に加担するみたいな、そんなビラが出されたりして、いろいろ動揺を起こすような外部の圧力もありました。そういう中で、いろいろな情報を集めていくというのがあの当時の保全隊のやっている仕事だと思いますので、あの当時は、それなりの情報を集めることについては、何ら問題がなかったのではないかと思っております。

 現在も、イラクだけではなく、自衛隊員が士気高く仕事ができるようにさまざまな情報を集めるということは問題はないと思いますし、私どもにも必要な情報がきちっと上がってくる、そういう仕組みに今なっているわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。

山口(壯)委員 いや、これは非常によくないですよ。アメリカで同じようなことが行われると、これは物すごい問題になっています。これは、年金、松岡さん、プラスもう一つの問題になり得る話ですよ。

 現実に、今お答えになったこれが問題ないなんてことはないですよ。警察の活動は、防衛省の範囲ではない。今あなたがおっしゃったのは、隊員の保全じゃない。現実に、外に対する監視というのは、全然違う意味を持っています。それをやるんだったら、防衛省設置法を改正しなければいけない、それなしにやっているというところに非常に危うさがあるんです。

 今、国内で、一つの思想に対して、例えばどういうふうに我々がそれを防いでいくかという話は昔からあります。そのために内調もあったり、そのために警察もあったり、いろいろなところが連携してやっているわけです。いつから防衛省は、それと同じように連携するようになったんですか。

木村副大臣 防衛省は、当然、隊員の保全については責任を持っておるわけですから、そういうような活動をするのは当たり前ではないかと思っております。

山口(壯)委員 これは、隊員の保全というふうに言っていますけれども、隊員に対して動いているんじゃないんです。外に対して動いているんです。全然認識がおかしいんじゃないですか。それは、防衛省設置法上認められていない。現実に認められていないですよ。もう少し法律というものを厳しく考えた方がいいと思う。

 現実に、これは全国でそういう活動をされているんですか。保全隊というのは、外に向けて外に向けて、全国の集会を見ておられるということですか。文書なんかは離れていいです。木村副大臣の認識を聞かせてください。

木村副大臣 防衛省の業務に支障を及ぼすおそれがあるようないろいろなことに対して、中にも外にもしっかりと調査するということをいたしているわけでございます。

 ただ、今、情報を集めるに当たって御理解をいただきたいのは、インターネットですとか刊行物ですとか、また公の集会の場へ出ていっての活動でございまして、盗聴したりとか、違法の中での調査活動はいたしておりませんので、それだけは御理解をいただきたいと思います。

山口(壯)委員 この活動に一体、何千人の隊員を使っているのか。いかがですか。

木村副大臣 情報全体の定員でありますけれども、十八年度末で九百二十七名の定員であります。

山口(壯)委員 我が国の防衛にとって、やるべきことというのは非常にたくさんあります。その中で、我々は、いわゆる人員のコストも考えながらやっていかざるを得ない状況にもある。そんな中で、九百何十名かの人間が、年金改革反対だの消費税増税反対だのという話を克明に、何名が何時何分から何時何分までやった、そんなことを調べる暇があったら、もう少しきちっと我が国の防衛についての仕事をやってほしいと思う。

 隊員の保全のことに関して、もっと別の保全をしてあげた方がいいんじゃないですか。情報云々ということで隊員の保全というのは、それはへ理屈にしかすぎないですね。やはり日本の防衛のあり方あるいはこれは昔からの流れもあるからそういう暗い部分がついて回るんだけれども、その辺をきちっと政治家が、木村さんなり久間さんがきちっと、これからのあるべき防衛省の姿というものをもっともっと見つめ直していくべきです。

 そういうことも踏まえてきょうは質問をさせてもらいましたけれども、きょうは、久間大臣とも直接お話しできなかったから、木村さんも答えにくい部分もあったでしょう。しかし、最後に一つ、こういうことについてシビリアンコントロールをきちっとやっていきます、そのぐらいの答弁をひとつやってください。

木村副大臣 シビリアンコントロールは我が国防衛の柱の一つでありますから、これからもしっかりそれを守っていけるように努力していきたいと思っております。

山口(壯)委員 これからもではなくて、これからさらに一層やってください。今までのシビリアンコントロールでは極めて不十分です。

 終わります。

山口委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 先週の土曜日、青森県の深浦町というところに、北朝鮮からの脱北者が、約八百六十キロの距離を、日本海を、大変粗末な船で日本にたどり着いた。五月の二十七日に北朝鮮の清津港を出て、約一週間、非常に我々の想像を絶するような環境の中で逃げてきた事件に、初めて脱北者が日本を目指してやってきたということに衝撃を受けたわけでございます。

 けさの産経新聞に小さく、昨日浅野外務副大臣が、韓国移送は時期尚早じゃないか、その理由としては、法務省による一時庇護の上陸許可、覚せい剤取締法違反容疑で書類送検された次男の刑事処分が決着するまで、韓国側に受け入れを正式要請するのは時期尚早だというような記者会見をされたと出ておりますけれども、麻生大臣、この事件につきまして、現在、韓国との協議はどうなっているのか、それから、国内でどのようにこの人たちを保護、処遇していくのか、その点につきまして、ちょっと現状を教えていただけますか。

麻生国務大臣 この種の話というのは、そうざらにある話ではありません。直接難民、いわゆる脱北のところから日本とか、その場合は総じて日本人妻だったとか、そういった例はあるんですが、丸々そうじゃないという方が直接船で漂着というような形になろうかと思いますが、こういったのは余り例のある話ではありません。

 したがって、これらの人たちが果たして本当の難民か、武装難民でなかったことは確かであろうとは存じますが、偽装難民でないという保証は、きちんとした調査というものをした上でないとなかなか難しいところだと思いますので、そこらのところはきちんとする。覚せい剤の不法所持という話も出ておるそうでありますので、そういった点はきちんと調べた上でないといかぬ。

 二つ目、日本に漂着しておりますけれども、本人たちは韓国に行きたい。韓国に行かなかった理由は、韓国に対する国境線が非常に厳しいからだというように伺っておりますので、私どもとしては、この種の話というのはきちんとよく調査をいたしました上で、かつ、人道上の見地というのをよく考えなきゃいかぬところですので、こういったところを調べた上で、きちんと確証がとれた上で、改めて韓国と交渉するということになろうと存じます。

 したがって、今早急に茨城にあります何とかキャンプに移送いたしておりますけれども、その移送したところで、今入管並びに当局が調べをしているところだと思いますので、その間接情報しか知っておりませんのでこれ以上申し上げられませんけれども、きちんと調査した上でないと、うかつに言うことは無責任なことになりかねぬと思っておりますので、今後とも、この種の話はこれからも多くなる可能性がゼロとはしませんので、そういったところも含めて、今回のは一つのケースとして、私どもとしてはきちんと今後のことも含めて検討しておく必要があろうと存じます。

    〔委員長退席、やまぎわ委員長代理着席〕

渡辺(周)委員 では、韓国との協議はいまだ具体的なことはしていないということで理解してよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 韓国政府に対しましては、過日、六月三日、済州島で韓国の外務大臣との間でさせていただきましたときに、今の状況説明というのは向こうからも希望しておりましたので、私どもとしては行っておりますが、今我々の知っているのは事務レベルで、法務省等と、入管等々とやった話を説明しておりますので、新しい情報に関しまして、向こうに説明できる範囲において随時説明をさせていただいております。

渡辺(周)委員 この問題は、今お話がありましたように、本当の困窮難民なのか。第一声が、二日に一遍しかパンを食べることができない、しかも、無能な指導者、無能と言ったかどうか、指導者の失政によって非常に民主主義も自由もないんだ、あの国にいるのは嫌だということで、初めて直接日本を目指してきた人たちが北朝鮮の現状について訴えてきた例でございまして、まさに、脱北するということは、瀋陽の日本領事館の事件あるいは中国の鴨緑江を越えて中国朝鮮族の自治区へ行って、そこで息を潜めて、東南アジアに脱北するようなルートが今非常に多い、タイやその他ラオスの方にも何百人という単位でいるということは知っていますけれども、まさに海を渡ってきたというのは、これは初めてのケースであります。

 今後、今大臣がおっしゃったみたいに、命をかけて中朝国境、非常に警戒の、警備の厳しくなった中国領域に入る、そして、そこで中国当局に捕まれば強制送還、強制送還されれば、これは国家から逃げたということで、国家反逆罪の罪で本当に重罰を受けるわけであります。中には、当然、収容所に送られてリンチに遭って死ぬようなことも脱北者の手記なんかからも出ているわけであります。

 正直言って、今回のこの粗末な船、こんな程度の船でよく渡ってきたものだということが随分書いてありますけれども、逆に言うと、この程度の船で日本に渡ることができる。そうすれば、危険な中国ルート、陸路ルートを行くよりは、一か八か、霧の濃い日にあの船に乗って出れば、七、八日間頑張れば、ひょっとしたら日本に着けるんだ。聞いた話、日本に行くと非常にみんな親切で、大変な待遇で扱ってくれる。北朝鮮では、御存じのとおり、日本という国は鬼や悪魔が住んでいる国で、アメリカ、日本、韓国というのはもう反共和国の、まさに敵の、もう本当に反日的教育の、まさに恐ろしい国家にされているわけですけれども、行ったらどうもそうじゃない。脱北者の世界の中ではもう伝わるでしょうから、今後もこういうルートが開拓されて来る可能性がある。

 こういう点については、外務省、今回のことを契機に、どのような対応を今後はしていかれるつもりでしょうか。

麻生国務大臣 一九七〇年代、八〇年代、インドシナのボートピープルというのは結構いろいろ日本でも話題になりました。あの場合は、主に九州が多かったと記憶します。

 ナホトカ号というのを御記憶かと思いますが、十年ぐらい前にナホトカ号から石油が流れ出した、韓国沖で流れたんですが、あれがちょうど海流に乗っかって、漂着したのが石川県、福井県ということになりました。今回はもう少し北のところになりますので、漂着するところは青森県ということになったんだと思います。

 少なくともこういった形のボートピープルというものが今後はあり得るということをある程度予想しておくというのは、これは対応の仕方として考えておかなければならぬ大事なところだと思っております。

 したがって、今回は武装難民ではありませんでしたから、逮捕とか捕獲とかいろいろな表現があるんでしょうけれども、収容して、そこそこの形で今平和裏のうちに茨城県まで移送しておりますけれども、それが今言われたように、何らかの形で武装していたときにはどういう対応になるかというようなこと等々を含めまして考えておかねばならぬのが、多分警察として、また国防という点から一点。

 もう一点は、収容した人たちを今度どういった形で日本の中で収容しておくかというのは、これはインドシナ難民というのは、多分茨城の収容所というのは千人ぐらいだったと記憶しますけれども、いまだにインドシナ難民の方々も、ちょっと正確な数字は知りませんけれども、何百人かまだいらっしゃると記憶をします。

 したがいまして、今回、この北朝鮮からの人たちの部分がインドシナ難民みたいなことにならないという保証はありませんから、そういったところも考えてこの問題はどうやっていくかというのは入管等と一緒に検討せねばならぬ点だ、私はそう思っております。

渡辺(周)委員 今度は、海上保安庁に伺います。

 一つは、なぜこの船が我が国領海内に入ってくるのか。深浦漁港の手前の何とかという近くの漁港に着いたときに釣り人が見つけた、ここは新潟かというようなことを片言の日本語で聞いた。要は、接岸するところまで入ってきて、衝撃的なことは、海上保安庁が全くキャッチできなかったということでございます。これが、今大臣がおっしゃったみたいに、恐らくこれは武装難民ではないだろう、ただ、しかし、微量とはいえ覚せい剤を所持していた、あるいは殺鼠剤のようなものを持って、見つかったら死ぬつもりだったんだといいますけれども、これがもし別のものであったら、これは当然密輸も可能であったでありましょうし、当然何らかの犯罪性を持っていたということも決してなかったとは言い切れないわけでありますし、たまたま今回は非常にいい方のケースだったわけです。

 海上保安庁、今回のことについて、こういうことがなぜ起きてしまったのかということが一つ。

 それから、今後、今この脱北ルートが、例えば日本海ルートが開拓されたことによって、ある程度のお金を用意して船外機を取りつければ、ぽんこつ船でも日本に渡れる、もしかしたら、危ない陸路を行くよりは、例えば韓国へ逃げたら、韓国に定着金というのがある、二百万円ぐらい、それを後払いでいいから出してくれたら手引きしてやる、脱出の用意をしてやる、例えばとにかく公海上まで連れていってやる、そういう脱北手引きブローカーが出てこないとも限らないわけでありまして、当然こういうルートでこれから脱北者が出るかもしれない。そうしたら、北朝鮮側のそれらの船が、何らかの機銃なんかを備えた船がいて、海の上で脱北者を監視する、そうしたときに、例えば逃げて、公海上あるいは日本の領海上まで追いかけてきた、あるいはその辺で取り締まりをしたということになった場合、我が国はどういう対応をするんでしょうか。

 そういうことまで考えておかないと、今回のケースは、今後のことを考えればさまざまな可能性が考えられるわけでありますけれども、これはちょっと安全保障的な観点、本来なら、防衛省に聞くのが筋なんでしょうけれども、きょうは声をかけていませんので、海上保安庁として、今回、なぜ見逃してしまったのか、我が国へ入ることをさせてしまったのかということが一つ。

 そして、今後、北朝鮮当局が海上、洋上で取り締まりをした場合に、公海や我が国の領内、領域まで追跡をした、あるいはそこで拿捕しようとした場合に、我が国はどういう対応ができるのか、その点について教えていただけますか。

冨賀見政府参考人 お答えします。

 先生の質問は、二点あったというふうに考えています。小型船を発見できなかった原因、それと北朝鮮船籍の船が官憲に追いかけられた場合にどう対処するのか、この二点だというふうに理解しました。

 まず第一点目ですけれども、海上保安庁では、日本海においても、不法入国事案等の不審事案発見のために、日常的に巡視船、航空機で哨戒を行っているのが現状でございます。御存じのとおり、我が国周辺は広大な海域でございまして、今回のようなレーダーに映りにくい小型の木造船を発見することは非常に困難であるというふうには考えておりますけれども、いずれにしましても、洋上で発見できなかったということは真摯に受けとめております。

 まだ具体的に検証は実施していないんですけれども、この小型船につきましては、航海計器の記録もないし、その航行に関する時間的な経過とか経路が不明である状況の中で、先ほど申しましたとおり、哨戒している巡視船艇、航空機が事前に洋上で発見できなかった原因については、詳細な検証を行うことは非常に難しい点が多いというふうに考えておりますけれども、その一部でも判明するよう検証してまいりたい、このように考えております。それが第一点目です。

 二点目の話については、一般論でしかちょっと申し上げられないんですけれども、北朝鮮の官憲から、明らかに北朝鮮とわかる船が追いかけられている、公海上でありますと、やはり旗国主義ということで、北朝鮮の国内法で対処していますから、多分我々は手を出すことはできないだろうというふうに考えています。

 それと、領海に入ってきた場合、追いかけている北朝鮮の官憲は、我々の裁判管轄権なり領域に関することですから、当然、領海侵犯になりますから、北朝鮮の官憲はシャットアウトするということになると思います。それと、逃げ込んだ、明らかに北朝鮮の船ならば、これは外国船ですから、立入検査をするなり所要の捜査、国内法、国際法に基づいた所要の措置をとるということになるかと思います。

 以上でございます。

渡辺(周)委員 前段の部分については、今後、キャッチできるようなレーダーを装備することがよいのか、あるいは何らかの装備的なものでできることをもっとやるべきだろうなというふうに思います。これはかつて、我々も戦慄しましたが、例の不審船と海上保安庁が銃撃戦までやったわけであります。あの時の教訓、あのことの後のことを思うと、我が国は非常に水際での警戒がまだまだなのかな、残念ながら今回の例で見せつけられた思いがいたします。

 さて、後半の部分ですが、こういうケースは、これからもしかしたらまれなケースかもしれませんけれども、出てくるのではないか。その場合に、例えば海上保安庁が保護して、例えば亡命希望だということであった場合には、どのような連携ルートで、つまり、もし領海上で遭遇した船が、北朝鮮の人間が日本に来たいんだという場合には、これは保護して我が国まで連れてくる、そして警察なりに引き渡す、あるいは入国管理を所管する法務省等に引き渡すということになるんですか。そこだけちょっと教えてください。もし領海上でそういうふうに出くわした場合ですね。

冨賀見政府参考人 非常にお答えしにくい質問なんですけれども、過去にズ・ダン号という北朝鮮の船がありまして、あれは緊急入域だと思うんですけれども、あのときも、我々、外国船ということで立入検査をしまして、最終的には入管当局等々に引き渡す、上陸させたんでしょうかね、そういう形で、ケース・バイ・ケースだと思うんですけれども、一般的には外国船に対する対処の仕方ということになるかと思います。

渡辺(周)委員 もうちょっとこの問題、質問をいろいろ深めたいんですが、時間がありません。関連して、別のことも伺いたいと思います。この問題につきましては、今回のケースを一つのモデルケースとして、ぜひまたちょっといろいろな形を想定しながら質問したいと思います。

 今回のこの脱北者に戻るわけでありますけれども、またこれも新聞報道ですが、けさの毎日新聞では、「拉致の存在知ってた」、警察庁長官が、小泉純一郎前首相の訪朝や拉致事件の存在を知っていると供述していることを昨日の記者会見で明らかにした、つまり、何らかの情報を得る手段を持っていたのではないかということをおっしゃっているわけです。

 こうした、決して最貧困層ではない、それなりの蓄えがあったからこそ脱北も決意できたんだと思いますけれども、北朝鮮の国内情勢一般あるいはこの覚せい剤がなぜ入手できたのか、北朝鮮という国の中では覚せい剤がそんなにたやすく、残念ながら我が国もそうなんですけれども、入手できるような国であるのかということの国内事情については、私は、こうした方々からいろいろと状況を聞いておく、食料事情等も含めて、国内情勢一般を聞く大変に貴重な機会だと思うんですけれども、警察庁あるいは法務省では、この方々から、現在、いろいろそういう話は聞いていらっしゃるんでしょうか。その点を伺いたいと思います。

米村政府参考人 お答えいたします。

 今回のケースの場合は、警察で対応いたしましたのは、警職法の第三条に基づく保護であります。やり方としては、不法入国ですから、一たん逮捕して、その後、入管法六十五条で入管当局へ渡すという手もあるわけですけれども、今回の場合は、明らかに北朝鮮から生活の困窮等を理由に脱出をしてきた亡命希望者であるということで、警職法の第三条の保護をとったということであります。

 その保護を適正にきちっとやる上において、必要な範囲内で、なぜ脱出してきたのか、向こうでの生活状態、その他その経緯にかかわるものについては、私どもの方で、その関係者、男三名、女性一名でありますけれども、お話を聞いているということでございます。

三浦政府参考人 検察当局の関係について御説明いたしますと、検察当局におきましては、警察から覚せい剤取締法違反の事実によって送致を受けまして、現在捜査中ということでございます。その範囲で、刑事事件の処理として捜査を行って、最終的には、法と証拠に基づいてその事件についての処理を行うという予定でございます。

渡辺(周)委員 ぜひ、昨日のこの外務副大臣の会見じゃありませんけれども、やはり覚せい剤を持って入国してきて、こういうことを言ってはなんですけれども、厄介な人たちが来ちゃったから、もう早いところ、韓国へ行くんだったらどんどん出しちゃえというのではなくて、なぜ彼らがこういうことをしてきたか、その背景には、北朝鮮という国家がいかなる国であるか、これは大変貴重なケースだと思いますので、今回のことを、ひとつ何らかの形で、今後の日本の外交政策に、あるいは北朝鮮情勢を把握する上で、ぜひ貴重な機会としていただきたいなというふうに思うわけでございます。

 時間がなくなりましたので、最後の質問ですが、外務大臣あるいは法務省に伺います。

 今回は韓国行きを希望しているということで、しかるべき手続を経た後に韓国へ行くんでしょうけれども、もしこの脱北者が日本への定住を希望した場合、こうした場合はどう対応できるのかということについて伺っておきたいと思います。

 先ほど外務大臣はインドシナ難民の話に触れられましたけれども、定住支援というものを行ったと。我々は北朝鮮人権法という法律を昨年制定しましたけれども、こうした脱北者の保護は努力義務としてありますけれども、もし、こうして直接日本に来た、そして定住をしたいというようなことになった場合、いかなる制度をもって対応することができるか、今どうお考えかを、これは法務省に伺いたいと思いますし、また、今後、人道的な外交問題として、外務省は今回の問題を契機にしてどうシミュレーションしていくのか、その点につきまして最後に外務大臣に伺いたいと思います。

 では、最初に法務省から。

稲見政府参考人 お答えいたします。

 まず、日本で定住を求められたときにどうするかということでございますが、現状で考えられる想定ということになりますが、まず、そういう要求をしている方が、どういう内容の申し立てをしているか、どういう形態でそもそも日本に来たか、あるいはそういう方々が、かつて日本にお住まいになったことがある方なのか、日本に御親族がいるのか、日本人の関係者の方なのか、こういうような諸般の事情を総合的に考慮いたしまして、個別に結論を出していくということが想定されるところでございます。

 以上でございます。

麻生国務大臣 先ほどのインドシナ難民の話、冒頭に渡辺先生に御質問いただきまして、ちょっと私の記憶違いのところが幾つかありますので、その訂正も含めて御答弁申し上げます。

 まず、インドシナ難民の収容所というのを申し上げましたけれども、今、幸いにして、インドシナ難民は、基本的には他国に出られる、もしくは日本に定住をされております。約一万一千人ぐらい定住をされたと聞いております。したがいまして、今の収容施設にインドシナ難民と定義されている方はいらっしゃいません。

 今収容所におります、数百人と先ほど申し上げましたのは、成田を含めあちこちで、不法入国で収容した人が数百人ということで、施設の大きさはと言われたので、あれは八百人ぐらいの者が収容できる施設がございますというのが、今の茨城にあります収容所の施設。

 それから、今言われました質問に関しましては、北朝鮮の者に関しましては、先ほど法務省の方から答弁がありましたとおり、どういう経緯か等々、いろいろ調べないかぬところであろうかと思います。これは、韓国にはとてもだめ、どこにもだめということになった場合に、どうしても日本というときになった場合は、その段階において、日本で生活して、難民として路頭に迷わせるわけにもいかぬとか、いろいろなことを考えて、人道上の見地からいろいろな対応をしていかなならぬということになろうと存じます。

渡辺(周)委員 時間が少なくて、もう少し質問を深めたかったんですけれども、また別の機会にさせていただきたいと思います。

 とにかく、この方々が韓国を希望しているからこそ、今回は事なきを得たと思うんです。これがもし、日本にぜひ定住したい、自分の先祖は日本人なんだということで、実はそういう例はあります。実際、日本には百人を超える脱北者の方々が、その帰還事業で帰った方の子供さんやお孫さんも含めると、かなり帰ってきている、そういう方とも私は直接お会いしていますけれども、こういうケース、直接日本に来て、何らかの形で日本の政府に、国家にすがるといった場合にどう対応するかということを考えておくことは必要だと思いますし、また、脱北者が日本という国を、今度は北朝鮮から逃げる一つの目的地として、これからこの日本海洋上ルートというものは当然何らかの形で続出することもあり得るだろうということを考えて、洋上の警備でありますとか、国際法との関係の中でどのように保護するかということは、やはり今回のことを契機にぜひ考えておくべきだろうな、そのことを申し上げさせていただきまして、この問題につきましては、また時期を違えて質問したいと思います。

 終わります。

やまぎわ委員長代理 次に、末松義規君。

末松委員 民主党の末松でございます。

 きょうは、久々に、この権威ある外務委員会で質問をさせていただきます。

 今、サミットが行われております。その中で一番大きなテーマである環境について各国首脳が話し合われたことが報道で言われておりますが、この環境外交あるいはサミットの成果について、まず外務大臣の認識を問いたいと思います。

麻生国務大臣 今次のハイリゲンダムのサミットにおいては、ドイツが主催をして、特に、メルケルという人が環境というものに非常に関心があったということから、環境という問題が大きな議題に上がった。もう最初から上がるであろうということは、ことしの一月のダボス会議からそういうことになっておりましたので、その線に沿って各国皆そこそこやってきた。

 我々としても、五月の二十四日でしたか、安倍総理の提言によって、二〇五〇年に五〇%という案を日本からのプロポーザルとして出し、それに関して、日本としては、発展途上国に対するしかるべき資金的な枠組みを考えない限りは現実的にならない、また、アメリカ、中国、インド等々の主要排出国と言われる国々がこの新しい枠組みに参加しない限りは実効性が上がらぬという点等々をプロポーズしたのが、サミットに至るまでの経緯だと存じます。

 その間、入る入らない、これはいろいろあったんですが、アメリカとの交渉が一番難航しました。結果として、何回かの交渉の結果、総理から直接最後にはブッシュ大統領に電話をし、また、四月の末でしたか、総理とブッシュとの直接会談というものをワシントンで行ったときにもこの話をして、アメリカは数値を入れるのに断固反対ということだったんですが、少なくとも数値という一応のものができて、今回のようになっております。

 末松先生、こんなものははなから完璧なものができるはずはありませんから、少なくとも、まずは全体をこの枠組みの中に入れるところから始めないといけませんので、そんなにハードルを高くするのはいかがなものか、まずは入れること。

 それで、アメリカが主要八カ国として入ってまいりましたので、それは非常に大きな成果で、EU、カナダ、日本の提案を何とかしとかいう言葉で初めて日本という言葉がそこに入ってきたりしておりますので、成果としては、今回のものは第一ステップとして、来年の洞爺湖に至るまでの間のステップとしては、二〇一三年以降のことに関しましてのステップとしては大きな一歩だった、私はそういうぐあいに評価をいたしております。

末松委員 日本として、いろいろと安倍総理もアプローチをされて、二〇五〇年までに半減をすると。細かい前提とかは、いろいろと各国の利害によって、これが実は、本当を言えば正確ではない、ややあやふやとしたものでありますね。最後の、アメリカがどうしても数値目標は入れたくないという話の中で、半減させることを真剣に検討するという言葉であります。それ自体は大きな一歩になったというのは、英国のトニー・ブレア首相も言っていますけれども。

 日本のそういった努力が、私もちょっと日本の新聞を見ると、安倍総理がずっとやってきたこと、それで大きく日本が貢献をしてきたんだということが書いてあって、これはなかなか喜ばしいなと思って、インターネットで海外の新聞等をずっと見ていったら、例えばニューヨーク・タイムズなんかは、ヨーロッパの提案をブッシュがある程度受け入れたんだというようなことが書いてあるし、大体ヨーロッパ、そして、真実のところはヨーロッパ、カナダ、日本まで書いてあるわけですから、ある意味では、日本がそういった努力をしてきたこと、それをもっとまた世界にアピールするような見せ方も必要なのかもしれません。ただ、余り見せ方だけやっていますと、実態的にしっかりとこれが進んでいくかどうか、パフォーマンスばかりやっているのかという話になると困るかもしれません。

 そうすると、今麻生外務大臣が言われました、この枠組みについては途上国を引き入れることが一番重要だと。そういう中で、麻生大臣の方は、あと若林環境大臣がおられますけれども、どういう形でアプローチをしていって、来年が洞爺湖サミットですから、どうしても日本が主役となってまとめていかなきゃいけないことになりますが、外務大臣としてどういうふうに働きかけを考えておられるか。

 その前に、ちょっと私もよくわからないのは、ここで環境外交といった場合に、若林環境大臣と麻生外務大臣の役割の仕分けというのはどういうふうになっているんですか。それを踏まえた上で、外務大臣としてはどうなされるか、それをお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 今議員おっしゃいましたように、二〇五〇年の半減という話に関していろいろという話がございました。

 確かになんですよ。いつからの半減なんですか、一九九〇年から、二〇〇〇年から、いつからの半減かというのは、もとの数字がはっきりしていない上の半減ですから、それは突っ込んでいったら幾らでもあります、この種の話は。

 ただ、全体として、まずは二〇五〇年に半分にしようという目標を掲げるというところが一番の肝心なところだったので、それにアメリカは断固反対しておりましたのが、少なくとも、この二カ月間ぐらいの間にいろいろな話をさせてもらって、最終的にこの話に乗ってくる。あと中国、インド、乗ってくるんでしょうねという話を今からしていかないかぬところです。

 こちらの方は、発展途上国とか途上国とかいろいろな表現になっておりますので、そこらのところの扱いというのと先進国とは少し違うじゃないかとか、いろいろこれは個別の交渉をしていかないかぬところだと思います。

 ただ、我々が思っておりますのは、同じ途上国といっても、ツバルのようにあと一メーターで水没するかもしらぬとかいうようなところが今まだ傍らあるわけですから、それと中国、インドと同じ扱いかと言われれば、ちょっとそれは違うのではないか。

 傍ら、電気を今から起こさないかぬ、そういったところに我々として言っているのは、おたくらが今から電気を起こそうといって仮に火力でやるというと、多分一番安いものを使いますから、それは逆に言えば一番CO2の出る古い形の発電所というのをつくる、それだったら、ちょっと待て、こういったものを使え、そうすればCO2の発生率は八分の一に下がるぞと。

 そういったものを使ってもらいさえすれば、少なくともこれらの国々が今から、電気もない、これから配電するとかいうところをしちゃいかぬというのは、とてもそうは言えませんから、するに当たってはCO2の排出をできる限りという話をするに当たって、やはり資金的なものをある程度きちんとしてやることを考えるのが日本の提案の一部です。

 そういった意味で、おれたちはこうするからついてこいというような話のヨーロッパ案と少し日本の案は違うんですが、そういった条件を我々としては提示したのが、いわゆる途上国がこの話に顔を向けてきた大きな背景だと思っております。少なくともそういう話は聞きますから。私どもは、今そういった国々と、これはある程度個別にやっていかないかぬところもあろうかと思います。それが一つです。

 もう一つは、やはり技術の進歩というのはすさまじいことになっておりまして、アメリカはここにかけてきていると思っております。技術の話で乗れる国は日本ということになりますので、日本と組まなきゃとても技術進歩等々のことはできないということになって、そこが乗ってきている一つの理由です。

 それからもう一つ、日本のいわゆる太陽光パネルというものは、大体、シリコン、世界の四八%が今日本製だと思いますが、日本だと御存じのように日照率の関係でなかなか効率が悪いことになっているんですが、この種のものは中近東とかアフリカに持っていったら丸々効率がよくなりますので、これらによる発電というものの方が石油をたいてCO2を出すよりよっぽどいいだろう、これらのものをもっと効率的に使ったらどうかという話も我々としては提案できるだけの技術と資金とそういった予見性、知見がありますので、そういったものを含めて、我々としては今いろいろ個別に具体例を引きつつ話をしているところであります。

 同じ先進国とか工業国の中でも、リッター当たりのエネルギー効率からいきますと、日本とアメリカは約二倍日本の方が効率がいいことになっております。中国と日本で約一対八ぐらいです。ロシアと日本で一対十八・五ぐらい。これはIEAが出した資料でありますので、我々がつくった資料ではありません。

 そういったところでありますので、そこらのところが日本並みにしてくれるだけでごとんと下がりますので、地球全体としての排出の実効率からいきましたら、出しておる国のでかいところが効率のいいものにしてもらうだけで排出量はごとんと減るというのも我々としては知っておかねばならぬところだと思って、この案を提案させていただきました。(末松委員「環境大臣との違いは」と呼ぶ)環境大臣とは別に問題は、これまでのところありませんですな。(末松委員「役割の違いはどういうふうにするんですか」と呼ぶ)役割ですか。

 それは、環境は環境のことでやっていかれますでしょうし、環境省でやっておりますいろいろな具体案を一々外務省が、こういうプロポーザルにもならない、そういうことを我々はする気はありませんので、少なくとも、環境省としてはこういった技術がある、それから、環境省だけ言われましたけれども、これは経産省の持っておる技術の方が多分もっとすごいと思いますので、こういったものを、これは三省、今までもこの話は環境のサミットに対応するために四大臣会合というのを、官房長官と経産大臣と環境大臣と外務大臣、四大臣ずっと一緒にやってきておりますので、その種の話でそごを来すというような状況にはございません。

末松委員 私も、民主党のネクストキャビネット、次の内閣の環境担当という形でやっていますので、ここで環境問題の細かい知識を外務大臣に問うということはないんですが、ちょうどエネルギー効率の話、これは経産省を中心によくやられている議論なんですけれども、この場合、一番のポイントは、これを基準に世界に持っていけとよく言われるんですが、それを持っていくと、では日本だけが効率がいいんだね、自分たちは効率悪いよというふうになってくると、結局はだれもついていかなくなると思うんですね、アイデアというのは。そこに同時並行的に持っていかなきゃいけないアイデアは、さっき大臣がおっしゃった技術移転と資金的な援助、そこなんです。そこがまさしく途上国が一番引きつけられるポイントなんですね。

 安倍総理が言われた美しい星50ですか、ちょっと唐突に、突然資金メカニズムという言葉だけが出てきて、これは何だ、どういうふうな具体的な枠組みなんだということを問うても、実はこれからの議論ですからと。単に具体的な中身が詰まっていないアイデアなんだなというのは、ちょっと環境大臣とお話をして、そういうふうに認識しているわけですけれども、この資金メカニズムそれから技術移転、これを国際的に、日本だけがODAなんということで出すんじゃなくて、どういうふうに本当に詰めていきますか、その仕組みづくりですよね。

 大臣が言われたように、日本の技術、それは日本が一番進んでいるとよく言われている。だけれども、これはやはり特許権とか知的財産権があるわけですよ。これに対してどう日本の企業を保障していくのか、これ一つとっても大きなポイントなんですね。ぜひそこはお考えいただきたい。

 そして、何が先進的技術かということも、そこは各国が集まって、そして資金プールをされるという発想であれば、そこの中で、これはいいよ、これは余り国際的な資金供与はできませんねとか、そういうのもぜひ外務大臣は頭に入れていただいて、そこでスムーズな技術移転ができる。どんどん技術移転すればいいと思っているんです。そうすれば、トータルで見ればCO2が減るわけですから。幾ら先進国が絞りに絞ったって、途上国の方がCO2の排出が多かったらどうしようもない話ですから。ぜひそこは私から申し上げたいところであって、これは別にこちらで抗議する気はありませんけれども。

 私ども民主党は、CO2の排出権取引市場、これを世界的に立ち上げていこうよと。今EUでも二〇〇五年からやっていますけれども、アメリカは、まだブッシュ政権はこれに対して非常にネガティブですね。ただ、アメリカの産業界は、報道によれば、これはもう受け入れたと言われていますし、現に、シカゴとかカリフォルニアとかはやるんだ、あるいは豪州もやるんだと言っていますから、ああいうふうに逆に先進的に努力した者が報われるといいますか、市場でCO2の枠を売れる、そういうことを、ぜひ外務大臣にもそこは御認識いただきたいと思います。

 そういうふうな、アメリカも、市場をとにかくつくってくれというような話はのみやすい話になるかと思うんですが、感じだけで結構ですから、別に専門的な知識を問うているわけじゃありません、そこはちょっと感じだけ教えてください。

麻生国務大臣 まず、資金の話ですけれども、資金メカニズムの話は、たしかイギリスは既にこの種の資金として八億ポンドを立ち上げているのであって、したがって、日本だけが出しているなんというわけじゃありません。まずこれが一つです。

 したがって、イギリスも日本もということになりますが、ただ、これをどこかの国際機関に預けて、そこがみんな適当に配るなんということをさせるつもりもありません。これは、ちゃんとやるかどうかの保証がありませんから、ちゃんとこちらでチェックさせてもらいますよという形で出すという話にさせていただこうと思っております。それが一点です。

 それから、日本以外の国々も、先進国で少なくともこういったものに関して資金を出すというところがあれば、それは当然のこととして、こういった枠組みをみんなで決める話なんですから、そういった話には、先進国、またアラブ諸国、ほかの国々にも、湾岸諸国等々、石油産出国の中でいろいろ資金のある国の金を使って、結果として地球全体の話をという形にのせていくということになるんだと思います。

 それから、技術の移転の話の中で、いわゆるマーケットをつくらないかぬという話は、これは初めての試みでもありますので、環境省に限らず、いろいろ前から言っておりましたけれども、今まで日本の場合は、一生懸命努力して、全然報われなかったわけですよ、これだけ技術をやって、省エネをどんどんやって。だって、一番やったところがそこからスタートなんて言われたのでは、とてもじゃないけれどもたまらぬというのが産業界の思いだったと思いますね。スタートする時点が何で一九九〇年なんだ、もっと前にしてくれたらもっと違ったものになったろう、いろいろな表現がありますけれども、そういったものを言っていったら幾らでもあるんですよ、こういった不満は。

 だから、そこらのところをどういうところでみんなでやっていくかということだと思いますが、いずれにしても、こういった努力をしたところは、やはりそれなりに、売れるようになるとか、そういった形のある程度のリターンがないと、こういったものは民間に協力を求めることはできませんから、そういった意味では、今言われたように、環境権取引とかいろいろな言葉が今出てきていますけれども、そういったものを、これはアメリカを含めてみんなで考えるというのが大変大事なところだと思っております。

末松委員 ぜひそこは研究していただいて、そして、そういった国際的な取り組みを深めていただきたい。

 産業界がそういった思いを持っているのは私もよく存じ上げていますけれども、イギリスでもアメリカでも、大体、ひょっとしたらこれは自分でももうけられる、おもしろいという話が国際的な流れになってきていますし、また、CO2排出権取引市場の、例えばディール、取引があったら、そのうちの一%、二%を技術の移転のための資金プールに持っていこうじゃないか、そしてためようじゃないかということになれば、市場が大きくなればなるほど、そういった技術移転の資金がふえていく。こういうのを市場で活用していけばいい話ですから、外務大臣もそこは研究していただいて、そして日本の産業界もぜひ説得していただきたい、そこはお願いしておきます。

 さて、ちょっとほかにもテーマがありまして、拉致の問題なんですが、拉致の問題というよりも、中山補佐官が今度自民党から参議院選挙に出られるということで私もびっくりしたのでありますが、この中山補佐官、出られる直前ですか、先月、アメリカと中国を訪問して外交をしていらっしゃるんですけれども、これは外務省から中山さんに頼むという形で言われたんですか。

岩屋副大臣 先生御承知のとおり、政府は、拉致問題における今後の対応方針の一つに、国連を初めとする多国間の場、また、関係各国との緊密な連携を通じて、拉致問題の解決に向けた国際的な協調をさらに強化していくという方針を掲げているわけでございます。したがって、中山補佐官は、この方針のもとで、北朝鮮による拉致問題担当の総理大臣補佐官として、中国、米国という主要な関係国を訪問されたわけでございます。

 要は、補佐官は外務省の進言を受けて中国や米国を訪問したというわけではございません。ただ、外務省としては、必要な補佐はさせていただいた、訪問についての事前の段階から十分な相談は行っているということでございます。

末松委員 では、そのとき、中山補佐官が選挙に出られるということは、外務省は承知していたんですか、いなかったんですか。

麻生国務大臣 知りません。

末松委員 外交というのはやはり継続的なものでありますから、総理の名代というような補佐官で行ったという話ですけれども、行って、訪問してきた、その人が、すぐにやめます、そしてある特定の政党から選挙に出ます、こういうのはちょっとおかしいと私は思うんですね。もし選挙に出られるような話であるならば、それは控えていただいて、そして外務省のしかるべき人間が、それをきちんと総理の名代としてやっていくのが筋じゃないですかね。

 外務大臣、どう思われますか。

麻生国務大臣 私、この経緯を、ちょっと党に今おりませんのでよく知らないんですが、少なくとも今の行かれる段階で、私どもとして中山恭子補佐官の出馬を知っていたということはありません。

 また、今言われましたように、継続ということに関して言わせていただければ、外務大臣を一年やっているより二年、二年やっているより三年、そういった継続してやった方が効果が上がるということは確かだと存じますが、日本では、大体、二回連続してやると、早く亡くなられるか、大病されて肝臓を息子からもらわないかぬということになりますので、なかなか長くやられる方はいらっしゃらないんですが、そういった意味では、この種の話は継続というのが非常に大きなものだというのは、私もそう思います。

末松委員 ここで私なんかが怒る場なのに、そう笑いでごまかさないでください。

 本当に、どうもこれは、中山補佐官、別に出られなきゃいいですよ、それは一生懸命やっていただきたい。何か出られるということで、表向きは急遽そこを受け入れたような形ですけれども、そういうことをどんどんやっていかれれば、拉致問題で家族会の方とかをいろいろ巻き込んで一緒になってやって、超党派でやってきているわけですよね、それが、何か特定の、自民党から出られるという話になっちゃいますと、家族会の方々あるいはそれを応援している方々も、非常に複雑な気持ちにならざるを得ない、そういうふうに思いますけれども、拉致問題を進められる外交の上で、大臣、どういうふうに思われますか。

麻生国務大臣 正直申し上げて、これにかかわっていないので何とも言いようがありませんけれども、今言われたような雰囲気があるであろうということは、私どもも、それはそういう面もあるであろうというのは想像にかたくありませんよ、正直なところですけれども。そういう末松先生が言われたような点が出てくるというのは、否定は全然するつもりはありません。

 ただ、この種の話は、出馬というのは、これは本人の意向ということで、だれに勧められたかどうかは別にして、そういったような話を勧められたということに従って出られることに関して、私どもは、それは反対という立場にはないというのが正直なところです。

末松委員 大臣は自民党の議員さんですから、まさしくそこは反対はしないし、次の総理という話も、今、世上出ているところですから。ただ、そこはしっかり、何か政治的に利用するというのは、どうしても後で割り切れないようなダーティーなイメージも出てきますから、そこはちょっと看過できないなと私は思っているんです。

 時間がなくなったので、ちょっともう一点。

 公金を選挙に利用しているんじゃないかという問題、これは外務委員会で話をすることじゃなくて、むしろ環境委員会で私はしっかりそこはやらせていただきますけれども、ただ、今の形で、どうも参議院選挙、政治的に利用しているんじゃないかなというのがありますので、そこをちょっとおつき合いいただきたいと思います。

 まず、私が資料を出しましたが、ここに「新宿駅近くの地下繁華街で撮影」と書いていますが、これは今月六日に私自身が撮った写真です。そこで、新宿駅の近くなんですが、一瞬驚いたわけですよ。柱に、総理と若林環境大臣が交互にずっと写真が並んでいるわけですよね、ポスターで。これは何なんだと。そして、その側面、横に、同じように総理、あと若林環境大臣、そしていろいろな有名企業の社長がどんどん写真に出ているわけです。これは、「COOLBIZ EXECUTIVES」と書いてあるんですね。だれにこれはやっているのか。

 まず、環境省地球環境局長にお伺いします。

 これはだれに呼びかけているんですか、このポスターは。短く言ってくださいね。

南川政府参考人 クールビズということで、ぜひ企業に事務所でクールビズに協力いただきたい、温度の管理の徹底をいただきたいということでございます。やはり社長、会長が率先して行うということで、多くの社ですべての社員が温度管理、クールビズに協力していただくということを訴えるためでございます。

末松委員 では、何で英語で書くんですか、子供とかお年寄りとかはわかるんですか、答えてください。

南川政府参考人 企業のサラリーマンその他の方であれば十分御理解いただけますし、むしろインパクトがあると考えた次第でございます。

末松委員 このエグゼクティブの中で、大体、日本人で、何かファッションモデルかと一瞬思ったんですよ。本当にきちんと言うんだったら片仮名でも書いてくれよと言いたくなりますよ、日本語で書いてくれと。それを、企業だとか、英語じゃないと読めないじゃないかという話は、おかしな話なんです、そこは。

 それと、あと、この安倍総理と若林さん、何かこの方々にもエグゼクティブと書いているんですけれども、では、エグゼクティブだったら、エグゼクティブの方だけ書けばいいじゃないかということなんですけれども、それはどうなんですか。何か急にここだけ二人が自民党の政治家という形で、それは確かに総理と環境大臣ですけれども、なぜ二人だけなんだ。もし企業が相手だったら、みんな企業のあれを書けばいいじゃないか。

南川政府参考人 これは、チーム・マイナス六%のチームリーダーでございます総理大臣、それからサブリーダーでございます環境大臣がそろって出ることでインパクトが大きいというふうに判断したからでございます。

    〔やまぎわ委員長代理退席、委員長着席〕

末松委員 本当に、結局、これを見たら、日本語で書いていないから、ぱっとみんな国民が思うのは、この格好だけですよ。ということは、安倍総理と若林環境大臣のこれは宣伝じゃないですか。ほかに、この柱だって書いていないじゃないか、ほとんど。これはまさしく参議院選挙に向けた、選挙のための政治利用としか思えないんですよ。そういう判断は、環境省、やらなかったんですか。

南川政府参考人 六月は環境月間でございます。また、六月五日は環境の日でございますので、その日をターゲットにわかりやすい広報を出したということでございます。

末松委員 環境月間、環境月間と言うけれども、六月が環境月間、それはわかりますよ。あなた、この前、二〇〇五年の選挙直前、四月と七月にこういった新聞で一面広告を、これは六月五日に安倍総理御夫妻がしっかりと出ているわけですよ、全紙に出ているという話なんですが、環境月間じゃないところで二〇〇五年に出しているんですよ、それをどう説明するんですか。

南川政府参考人 私ども、ことし、昨年からでございますけれども、六月が環境月間で最も適切だということで判断しました。したがって、六月五日に出したところでございます。

 なお、これにつきましては、当然ながらクールビズ以外にもウオームビズ等ございますので、時期は必ずしも六月ではございませんけれども、春については六月ということが最も適切と判断したところでございます。

末松委員 クールビズとか地球温暖化防止ということについてどんどん宣伝しろというのは、私も全くそのとおりだと思う。本当にそれはそうやるべきだと思うけれども、なぜ参議院選挙の一月前にこういうのをどんどん出すんですかというところ、これが問題だと言っているわけです。それは、政治的な中立性というものを害しているじゃないですか。そういった配慮が全くないんですか、環境省は。

 環境省、きのう聞きましたよ、課長に。総務課長も呼んで聞いた。そうしたら、私たちはこれをやることが重要だと考えていました、それだけですよ。ほかに政治的な気配り、あるいは配慮というものが全くないんです。

 地球環境局長、あなたもそれは全くそういうことで理解をし、これを決定したということですか。

南川政府参考人 私どもも含めまして、全く政治的な利用ということについては考えておりません。

末松委員 昨年三月に小池大臣が我が方の村井議員の指摘を受けて、こういった政治的な利用というものはおかしいじゃないか、政治的な中立を害するじゃないかというようなことで、そして彼女が答弁をしています。二〇〇五年のときは、あれは総選挙がいつあるかわからなかったから、だからそういった配慮はしませんでした、ただ、選挙時にはさまざまな配慮があることは当然ですというようなことを答弁されておられます。その答弁をあなたは知らなかったんですか。

南川政府参考人 小池前大臣は、選挙中については配慮されるべきだということを答えたということは承知をしております。私ども、現在につきましては選挙期間中ではないというふうに承知しております。

末松委員 では、選挙期間、つまり小池大臣の答弁の選挙中ということになりますとということであれば、では、参議院選であれば、七月五日から二十一日まではだめだけれども、あとはすべていい、その解釈ですね、あなたは。

南川政府参考人 選挙戦が実際に告示されれば、当然配慮が必要だと思うわけであります。

末松委員 これはおかしいですよ、あなた。本来であれば、さまざまな配慮というものがあってしかるべきでしょう。もちろん、やっていることに異議は唱えません、この地球温暖化防止ということについて。ただ、そこに特定政党の、幾らそれが総理大臣であれ環境大臣であれ、選挙が参議院選挙として決まっているわけでしょう、そこはその一カ月前とか、そういうことは当然配慮してしかるべきじゃないですかね。当たり前の話じゃないですか、そういうことは。

 私は、外務委員会で、一つ、これも述べなきゃいけなかった理由は、六月十二日に、先ほど言った全面広告、安倍総理と若林環境大臣、日経に今度また載るというんですね。それをあなたはやるんですか。あなたが責任者ですよ。契約者は、博報堂とあなたが契約者なんですよ。問います。

南川政府参考人 予定どおり、六月十二日の日経に掲載したいと考えております。

末松委員 総理と環境大臣がそこに大きな形で載るということの前提なんですね、それは。

南川政府参考人 そのデザインの中には総理と環境大臣が入っております。載ることになっております。

末松委員 政治的な中立を害してやっていくということについては、本当に、まさしく環境問題という性質を考えても、その程度の配慮ができない環境省だから、CO2の排出権取引市場なんというのも各省を説得できないんですよ。しかし、配慮をきちんとやれよ。いいですか、本当に。

 私は、ここは強く環境省の方に申し入れます。六月十二日の日経の掲載については中止をしてください。要請します。そして、この中止という中身は、今まで博報堂が出してきた総理と環境大臣、そういう自民党の政治家を使うのではなくて、いろいろなモデルであれば全く問題ないですよ、政治家でなければ全く問題ない。しっかりとそこは申し入れます。

 もう一度答弁してください。

南川政府参考人 申し入れがあったことは受けとめます。ただし、私は、現時点で特に変更する考えはございません。

末松委員 とにかく、そういうことであるならば、私どもとしても、私どもなりの決意を持って、そこは環境省に対して私どもの意思を主張していきます。

 まだ時間があるのでちょっと聞きますけれども、細かいことなんだけれども、総理と今度、奥様、御夫人が出ていますけれども、奥様の位置づけはどういう形で出たんですか。

南川政府参考人 ポスターにつきましては、総理が先頭になってやっていただくわけでございますが、今回のアイデアが、特に家庭における省エネで、電球等の買いかえでございます。そういった観点から、主婦の方に御理解いただきたいということで、私どもから官邸にお願いをして、御夫人にも御出演いただいたわけでございます。

末松委員 そうしたら、では、令夫人にもモデル料を払っているわけですね。では、お幾らですか。

南川政府参考人 一切、出演料を払っておりません。

末松委員 ちょっともう時間がないのであれですけれども、博報堂とは年間どのくらいの費用というか契約をやっているんですか。二十七億円という話を聞きますが、それは事実ですか。

南川政府参考人 今年度につきましては、年間トータルで二十七億円の契約をいたしております。

末松委員 広告については一億六千五百万という話が出ていますが、それも事実ですね。

南川政府参考人 確定作業はこれからでございますが、ほぼ去年と同じで一億六千五百万だというふうに考えております。

末松委員 最後の質問なんですけれども、博報堂とは、では、ことしと去年とおととし、これはずっと三十億円近くのお金で契約をしてきたんですね。

山口委員長 時間が過ぎておりますので、簡潔に答弁をお願いします。

南川政府参考人 企画競争をして、外部の審査も行った上で、そういった契約をしております。

末松委員 わかりました。これ以上の質問は環境委員会でさせていただきます。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 先ほど山口委員が取り上げた、自衛隊による憲法違反そして違法の国民監視の問題は極めて重大な問題であります。昨日も、私たちの党は参議院の外交防衛委員会でこの問題を取り上げましたし、きょうのやりとりも踏まえて、直接、防衛大臣さらには総理にも徹底してただしていきたいというふうに考えております。

 きょうは、限られた時間で、麻生大臣に直接かかわる問題ということで、米軍再編の焦点の一つである横田基地をめぐる問題で幾つか質問をしたいと思います。

 前回の委員会で、米軍嘉手納基地内での航空機燃料漏れ事故の問題が取り上げられましたが、横田基地についても、ことし三月、ジェット燃料など有害物質漏れ事故が一九九九年から二〇〇六年の七年間で九十件も発生をして、そのうち一件だけが地元自治体に通報されたということが明らかになりました。三月二十九日の参議院の外交防衛委員会で、我が党の緒方議員の質問に対して、浅野外務副大臣は、詳細について米側に照会をするという形で答弁をされております。

 そこで、米側に照会した結果について、これは外務省で結構ですが、次の三点について報告をしてほしいと思います。

 一つは、米側の汚染度の分類基準、カテゴリー一から四というふうにあると承知しているんですが、これがどういうものか。それから第二点目は、照会の結果、米側から新たに確認された案件があったのかどうか。三つ目には、九十件の事故中、それぞれのカテゴリーごとの内訳がどうなっているか。お答えください。

梅本政府参考人 ただいま御指摘のございました横田飛行場における油漏れに関して、まさに三月に当委員会等で御議論ございましたことを踏まえまして、アメリカ側に照会をしておりました。その結果について御説明いたしたいと思います。

 まず、油等の流出事故に関する米軍部内の基準でございますが、これについては、米側より、事故を区分する基準として次のような分類があるという説明を受けております。

 カテゴリー一から四までございますが、これは基本的には流出した油の量を基準に考えておりますが、カテゴリー一は、流出量一万ガロン以上のものということで、これは、環境に被害を及ぼす、あるいは公衆の健康や安全に深刻な脅威を与えるものというふうに考えられております。カテゴリー二としては、流出量千ないし一万ガロンのものということで、これも、環境に被害を及ぼす、あるいは公衆の健康や安全に脅威を与えるということになっております。それから、カテゴリー三として、流出量百から千ガロンのものということで、危険も被害も及ぼさないもの、それからカテゴリー四として、それ以下のもの、すなわち流出量百ガロン未満のものということでございます。

 そして、ただいま御指摘ございました、報道にありますように、九九年から〇六年の七年間に九十件の流出事故が起きているということでございますが、これについて、報道にある油漏れ等があったことは事実であるという回答がございました。

 このうち、二〇〇四年の所沢通信所の油漏れにつきましては、公共の安全あるいは環境に対する影響を及ぼす蓋然性があったということから、日本側に通報が行われております。また、その後、四カ月をかけて浄化作業が行われたということでございます。

 残りの油漏れについては通報は行われておりませんけれども、これは先ほど御説明いたしました米側の部内の基準のカテゴリー二から四の油漏れだということでございまして、周辺住民への影響はないと判断されたということでございます。ただ、油漏れが発見された後には、米側の中で緊急対応チームが通報を受け、司令官に報告をされ、油漏れは、除去チームにより直ちに除去に取り組んでいるということでございます。

 なお、この九十件のうち、カテゴリーの二に該当する二件については、そのうちの一件については、実はこれは二〇〇二年の四月に起きたわけでございますが、これはいわゆる事件、事故通報手続に基づく通報は行われておりませんけれども、事故があった翌日に参考情報として私どもの方に連絡があったということでございます。

 以上でございます。

笠井委員 そもそも、有害物質の流出のような事故が起きた際に、米側が日本側政府、それからその後、自治体に通報するシステムになっていると思いますが、その基準というのはどういう点にあるんですか、端的にお答えください。

梅本政府参考人 平成九年に日米合同委員会におきまして、在日米軍に係る事件、事故発生時における通報手続について合意がございますが、これは、公共の安全または環境に影響を及ぼす可能性がある事件、事故が発生した場合には通報を行うということで、いろいろとカテゴリーが決まっているわけでございますが、まさにその施設・区域外において、いわゆる基地の外に、公共の安全あるいは環境に影響を与えるかどうかということを基準として、一義的には米側が判断をして通報してくる、こういうことになっております。

笠井委員 その判断が米軍側にゆだねられていることが私は大きな問題だと思うんです。結果として、今回の米軍基地の事例のように、事が米国の中で明らかになるという、後になってから日本側が確認してみたらこういうことだったという事態になるわけであります。

 アメリカの情報公開法に基づいて開示された資料によれば、公開された九十件のうち十件は詳細な報告書がつくられており、米太平洋空軍はカテゴリー一から三の事故は報告書を作成するように各基地に指示している。環境への被害や公衆の健康や安全に影響を与えるカテゴリー一、二だけじゃなくて、危険も被害も及ぼさないとする三までも報告書があるということであります。

 そこで、麻生大臣、こうした事件、事故が発生した場合に、公共の安全、環境に影響を及ぼす可能性ということで、その判断を米側にゆだねるんじゃなくて、少なくとも米軍内で報告書を作成しているような事故については、まず日本側に報告する、そしてそれを直ちに地元自治体にも通報するということが必要なんじゃないか、そのために日米の取り決めの見直しの検討を行うべきだと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

岩屋副大臣 先ほど答弁させていただいた平成九年三月の通報手続ですけれども、これは日米両政府がさまざまな角度から検討を行って合意したものでございます。これは、先生おっしゃるとおり、米側で発生した事故が日本国民に損害あるいは傷害を与える相当な蓋然性があれば、できる限り速やかに通報しなければならないというふうになっているわけでございます。

 また、米軍は、環境保全に関しましては、我が国の国内法上の基準と米国の国内法上の基準のうちより厳格なものを選択するという考え方のもとに環境管理基準をつくっておりますし、また米国政府は、在日米軍を原因とし、人の健康への明らかになっている、差し迫った実質的な脅威となる汚染については、いかなるものでも浄化に直ちに取り組むとの政策を再確認するなど、重要性については確認をしているところでございますので、今後とも我が方としては環境分科委員会等の場を通じてしっかりとこの徹底を求めてまいりたい、こう思っております。

笠井委員 横田基地周辺の住民や自治体は、米国の情報公開によって九十件もあったことを知って驚いて、不安が広がるわけであります。起こったことはすべて日本側、地元に通報して、そして対応や処理も含めて報告してこそ、これはある意味、政府が言う透明性になると思うんです。地元の理解と言うなら、それぐらいはやるべきだということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 もう一つ、私も昨年四月の当委員会で取り上げましたが、横田空域、ラプコンをめぐる問題であります。

 昨年五月の米軍再編ロードマップで合意されていた横田ラプコン施設への日本人管制官の併置については、本年五月十八日から航空自衛隊の管制官が配置されたことが発表されました。

 外務省に伺いますけれども、日本人が、民間ではなく自衛隊管制官となったのはどういう経過でしょうか。米側からの要望なのか、それとも日本側が決定したことなのか、お答えください。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年五月の2プラス2のもとでのロードマップにおきまして、日米両国は、航空交通管制に係る日米相互の円滑な調整の実施などを目的として、横田飛行場に在日米軍と我が国の管制官を併置するということにいたしました。その後、日米合同委員会のもとの民間航空分科委員会の枠組みにおきまして、日本人管制官の併置の具体的な条件や形態につきまして、さまざまな観点から日米間で緊密に協議を行いました。そのさまざまな観点から協議を行った結果として、昨年の十月、自衛隊の管制官を併置するということにいたしたわけでございます。

 このように、自衛隊の管制官を併置することとなったのは日米両国の緊密な協議の結果でございまして、日本側が求めたとかアメリカが求めた、どちらか片方がどちらか片方に求めて決まったということでは必ずしもなく、先ほど申し上げましたように、いろいろな観点からこの問題を協議した結果としてそういう結論になったということでございます。

笠井委員 要するに、アメリカから言われて日本がそうしたということじゃないということですか。

梅本政府参考人 今申し上げましたように、2プラス2のもとで米軍再編、これは抑止力を維持しながら、同時に基地の負担を軽減していこうという中で、横田の空域についてもいろいろな話をしたわけでございます。そういう中で、いろいろな観点から緊密に協議を行ったということでございまして、アメリカに言われてそれを日本側がやった、そういうことではなく、まさに双方の協議の結果としてこうなったということでございます。

笠井委員 といいますのは、去年私が質問したときに、大臣は、日米間それぞれ、片っ方は兵隊さんで、片っ方は民間人ということになるというふうにおっしゃったものですから、それがいつの間にか自衛隊になったということでいうと、日本側は民間人と思っていたけれども、アメリカでそうなったんじゃないか、私はそういうふうに理解をしたということで今伺ったわけであります。

 昨年四月の当委員会における私の質問に対して、当時、河相北米局長は、横田の併置の考え方というのは、空域の返還というものを前提として、その訓練として併置をするという考え方ではなくて、管制官を併置することで、今後、横田空域でやっている航空管制というのがより円滑にできるのではないかという考え方に基づく併置であるというふうに述べました。嘉手納空域の方では、全面返還を前提として、国交省の航空管制官を併置して訓練を実施しているわけであります。

 そこで、防衛省、お見えになっていると思いますが、伺いますけれども、横田空域については、全面返還を前提とせず、今回、自衛隊の管制官が併置された、この自衛隊の管制官が併置されたという理由は何でしょうか。

金澤政府参考人 先ほど梅本さんから御答弁がありましたように、本年五月十八日から航空自衛隊管制官の併置を始めたところでございます。これは、十月二十七日の合同委員会におきまして、教育訓練及び調査研究を目的とする併置をしようということが承認された結果に基づくものでございます。

 私どもとしては、この航空自衛隊管制官の併置によりまして、自衛隊管制官の管制技術等の向上が図られ、日米間の円滑な調整の強化とか、あるいは航空交通管制の安全性、効率性の向上に寄与することを期待しております。

 あわせまして、これから、ロードマップにも記載されております米軍機の航空自衛隊基地における移転訓練というものが活発化されるわけでございます。もう既に三月に第一回目をやったわけでございますけれども、この円滑な実施にも資するものであろうというふうに思っておるところでございます。

笠井委員 では、これは最後に大臣にぜひお答えいただきたいんですが、今後の横田空域返還の展望の問題なんです。

 今、ロードマップに基づく上でも効果的だという話もありましたけれども、この横田空域について、日本の航空業界からすれば、さまざまな影響、悪影響はかなりのものになる。例えば、航空機は基地空域を避けて迂回を余儀なくされるために、それによる時間の浪費があり、無駄な燃費があり、さらに空路の混雑で脅かされる安全問題などについて、そろって業界の中でも苦情が出されている。米政府は横田空域の返還を真剣に考えるべきだという意見が強く国民的にもあると思うんです。

 その一方で、今ありましたけれども、民間への全面返還を阻む要因としては、米軍が自衛隊との共同使用を申し出る可能性もあるし、あるいは、そうやって米軍と自衛隊とが密接にやっていくという方向が強まれば強まるほど、民間航空機はまたしても締め出されることになっていくんじゃないか、つまり全面返還ということから遠ざかるんじゃないかというふうな危惧も出されているわけであります。

 そこで、この横田空域の全面返還について、大臣はどういう展望を持って臨もうとされているのか、伺っておきたいと思います。

麻生国務大臣 これは、笠井先生御存じのとおり、昭和五十八年から今日まで、七回だか八回だかにわたりましていろいろ削減が行われてきて、昨年の十月に今回の話ができて、二〇〇八年九月までに削減を行う空域の範囲を特定ということになりました。

 御存じのように、今ありました昨年五月のロードマップで、2プラス2において決まりましたように、書いてあるものをそのまま読ませていただけば、「関連空域の再編成や航空管制手続の変更のための選択肢を包括的に検討する一環として、横田空域全体のあり得べき返還に必要な条件を検討する。」こととして、二〇〇九年度にこれは完了するということを申し上げてきておりますので、政府といたしましては、今後とも、今申し上げたこのロードマップの線に沿いまして、安全保障上いろいろな状況もあろうかとは存じますけれども、今の状況がある程度続くというようなことを前提にして考えた場合は、米側が管制を行う空域の返還というものにつきましては、今後とも私どもとしては進めてまいりたいと思っております。

笠井委員 時間が来ましたので、一言だけ申し上げて終わりますが、現在米側は、横田空域の返還については運用上の理由で困難であるという立場だと思います。米軍再編に伴ってこの横田基地がますます強化されれば、それだけ運用上の困難さが増して全面返還が遠のいていくということになる。民間航空の安全航行の立場から、この管制業務を早期に日本側に返すべきだということで、そのための交渉をアメリカときちっと行っていただきたいということを強く求めて、質問を終わりたいと思います。

山口委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 在日米海軍は、去る六月五日、海上保安庁に対し、米海軍掃海艦パトリオット、ガーディアンの二隻が与那国町の港に寄港すると文書で通知をしたようですが、その事実は間違いありませんか。

梅本政府参考人 ただいま御質問がございました件でございますが、確かに六月の五日、米側から、海上保安庁を通じまして、港湾管理当局であります沖縄県に対し、米掃海艦二隻、パトリオット及びガーディアンを友好親善、休養を目的として与那国島に寄港させるという通報があったというふうに承知をしております。

照屋委員 米海軍からの通知では、いつ入港し、いかなる目的での入港か、いつ出港するのか、下船する乗組員は何名となっておりますか。

梅本政府参考人 今回の入港に当たりまして、港湾管理者等地元の関係者に対しては、米側は考えておりますところの具体的な日程等を通知しておるということでございますが、一方、現在入港の詳細を調整中であるということもございますし、また、保安上の観点から、現時点では具体的日程は外に出さないでほしいというふうに要請を受けているところでございます。

 なお、米側からの通報によりますと、今回の掃海艦にはそれぞれ約八十名の乗員が乗っているということでございますが、このうち何名ぐらいが実際に上陸をすることになるのかというようなことについては、現時点でいろいろ調整を行っているということでございます。

照屋委員 審議官は先ほど、入港目的に関連して、友好親善訪問だ、こうおっしゃいましたが、これは寄港予定の与那国町が望んだことなんでしょうか。

梅本政府参考人 先ほど私、答弁申し上げたときに、友好親善、休養を目的としてというふうに申し上げたと思うのでございますが、これはあくまでもアメリカが運用上の都合によりまして与那国島に寄港したいということでございます。その機会を利用して友好親善、休養を図りたいということでございます。

照屋委員 このアメリカ側の言い分というのは、私は勝手過ぎると思いますよ。

 総領事が石垣港に寄りたいと言った、ところが、港湾管理者の石垣市長が、民間の港湾なので困ると言って断ったら、今度は与那国町が望んでいないのに友好親善訪問という。友好親善というのは、そもそも双方が合意して成り立つんでしょう。一方的に友好親善というのは成り立たないんだ。おかしいよ。押しつけで友好親善が成立するはずがない。表現は悪いが、まるでストーカーでしょう。石垣に断られたら与那国へ行く。迷惑も考えない。実際、与那国では反対する住民がおるんですよ。

 審議官、友好親善、どう思う。

麻生国務大臣 まず最初に、先生、ストーカーの定義が少し違うと思うんですよ。まず、断られているにもかかわらず、それに追いすがるのがストーカーと思っていただいて、ぱっと変えるのは、それはストーカーとは少し定義が違う。今若い人の頭で使われている単語で、その辺の若い人に聞いてやってください、私らの世代だとちょっと別の意味もありますので。

 それから、アメリカから日本政府に対して、石垣島に入港させるといった通報は私どもは全く受けておりません。どうして石垣と思ったのか知りませんけれども、私どもは受けておりません。

 それから、運用上の理由から与那国に入港することとしたということは、私ども認識いたしております。

照屋委員 石垣市長に断られて、今度は与那国へ行こう、これはつきまといですよ、つきまとい行為、大臣。石垣に寄りたいというのは、在沖総領事のメアさんが言って、見事断られ、振られているんだ。だから、与那国町が望んでもいない、沖縄県も不快感を示し自粛を要望しているのに、友好親善の押しつけというのは困ると私は思います。

 与那国町には二カ所の港がありますが、どの港に入港するんですか、審議官。

梅本政府参考人 御答弁申し上げます。

 米側からの通告におきましては、入港地として与那国島とされているというふうに承知をしております。

 その与那国島にあります祖納港または久部良漁港のいずれに入港するかということにつきましては、現在、港湾管理者たる沖縄県と調整が行われるということで、その調整の上決定されるというふうに認識をしております。

照屋委員 港湾管理者は与那国町ではなく沖縄県、それはわかりました。

 ところで、外務省は沖縄県に対してどういう通報をし、港湾管理者である沖縄県は与那国町への寄港を望んでおるんですか。

梅本政府参考人 港湾管理者に対しましては、先ほど御説明いたしましたように、地位協定に従いまして、その定める手続に従って、我が国の当局、海上保安庁を通じまして通報が行われたということでございます。

 そして、米艦船は、御案内のとおり、日米地位協定第五条に基づきまして、我が国の港湾に出入りすることが認められているということでございます。これは、米軍の円滑かつ効果的な活動を確保し、安保条約の目的の達成のために重要であるということでございます。

 そういうことでございますが、通告を受けた港湾管理者は、同協定、地位協定第五条の規定を踏まえつつ、港湾の適正な管理運営という観点から、接岸すべき岸壁の割り当て等の所要の手続をとるということが想定されているわけでございます。

照屋委員 先ほど麻生大臣はお聞きになっていないと言いましたが、五月十一日に総領事のケビン・メア氏が大浜石垣市長に申し入れて、拒否されているんです。その後、日米間の調整で与那国への寄港が決まったようであります。

 外務省もしくは海上保安庁は、いつどのような日米間の調整をやったんでしょうか。

梅本政府参考人 私ども、日ごろから日米地位協定の運用につきましては、アメリカの大使館あるいは米軍当局といろいろな意見交換、調整を行っております。そういう中で、この問題についても一般的な形でお話を聞いたということでございますが、あくまで地位協定にのっとった通報としては、六月六日の海上保安庁を通じました通告が行われたということでございます。

照屋委員 大臣に尋ねますが、基地が集中する沖縄でよく米軍は、よき隣人でありたい、こういうことを言います。僕もそうあってほしいと思う。ところが実際は、せんだっても質問しましたように、嘉手納基地で大量のジェット燃料を流出させる、今度はまた与那国へ民間の港湾に掃海艦を寄港させる。

 与那国町というのは、大臣御承知のように、国境の町なんです。国境の町に軍艦はふさわしくありません。与那国への米掃海艦の寄港は、中国、台湾との間で外交問題に発展しかねません。そもそも、佐世保基地配属の掃海艦が寄港するというのは、中国への刺激や軍拡競争の遠因になるのではないかと私は思います。

 審議官は地位協定の話をしましたが、そんなのは私もわかりますよ、百も承知二百も合点だけれども、緊急時以外に民間港湾や漁港に寄港すべきではないんだ。それは、民間港湾、漁港の設置目的にも反する。沖縄県も在日米海軍司令官ジェームズ・ケリー少将に自粛をしてほしいと強い申し入れをしたと報道されておりますが、最後に大臣の見解をお聞きいたします。

麻生国務大臣 百も承知二百も合点の話を重ねて三百申し上げるつもりは私もありませんけれども、御存じのように、「日本国の港又は飛行場に出入することができる。」と日米地位協定第五条に書いてあるとおりでありますので、これまでも全国各地の港湾に米軍の艦船は日米地位協定によって寄港をいたしてきております。もう御存じのとおりであります。

 今般の与那国島への寄港に関しましても、これらの一環でありまして、特に地理的に中国、台湾との国境線ということもあろうかというのは事実だと思いますが、周辺国で特に問題になるようなことにはならないと考えております。

照屋委員 終わります。

     ――――◇―――――

山口委員長 次に、適合性評価手続の結果の相互承認に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び二千六年の国際熱帯木材協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣麻生太郎君。

    ―――――――――――――

 適合性評価手続の結果の相互承認に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 知的所有権の貿易関連の側面に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 二千六年の国際熱帯木材協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました適合性評価手続の結果の相互承認に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 アメリカ合衆国との間の通信端末機器及び無線機器に関する相互承認については、平成十一年三月に当局間で非公式の協議を始め、平成十七年十一月から、両国の政府間で正式に協定の締結交渉を行いました。その結果、協定の案文について最終的な合意に達したので、本年二月十六日、ワシントンにおいて、我が方齋木在米臨時代理大使と先方バティア合衆国通商代表部次席代表との間でこの協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、通信端末機器及び無線機器について、相手国に所在する機関が実施する適合性評価手続の結果を相互に受け入れるために必要な法的枠組みを定めるものであります。

 この協定の締結により、日米両国がそれぞれ相手国に携帯電話端末等の通信端末機器及び無線機器を輸出する際に必要な検査、確認等の認証の費用及び期間が節減されるため、両国間の輸出入が促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この議定書は、平成十七年十二月にジュネーブで開催された世界貿易機関の一般理事会において作成されたものであります。

 開発途上国等における公衆の健康の問題に対処するためには、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定について、特許権者以外の者が、感染症に関する医薬品を生産し、これらの開発途上国等に輸出することを可能とすることが有効です。この議定書は、加盟国がこのような生産等を認めるための条件を緩和する規定及び附属書を新たに追加することを内容とするものであります。

 我が国がこの議定書を締結することは、このような問題への国際的な取り組みに寄与するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、二千六年の国際熱帯木材協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この協定は、平成十八年一月にジュネーブで開催された国際連合会議において作成されたものであります。

 この協定は、千九百九十四年の国際熱帯木材協定を承継するものであって、熱帯木材貿易の発展及び熱帯林の持続可能な経営の促進を主たる目的とするものであります。

 我が国がこの協定を締結することは、国際熱帯木材機関の加盟国の間の国際協力を促進し、開発途上国の持続可能な開発及び地球環境の保全に寄与するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 以上三件につきまして、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いを申し上げます。

山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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