衆議院

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第18号 平成19年6月15日(金曜日)

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平成十九年六月十五日(金曜日)

    午前九時四十五分開議

 出席委員

   委員長 山口 泰明君

   理事 小野寺五典君 理事 嘉数 知賢君

   理事 三原 朝彦君 理事 やまぎわ大志郎君

   理事 山中あき子君 理事 長島 昭久君

   理事 山口  壯君 理事 丸谷 佳織君

      愛知 和男君    伊藤 公介君

      猪口 邦子君    宇野  治君

      小野 次郎君    河野 太郎君

      篠田 陽介君    新藤 義孝君

      鈴木 馨祐君    丹羽 秀樹君

      松島みどり君    三ッ矢憲生君

      山内 康一君    笹木 竜三君

      田村 謙治君    長妻  昭君

      前原 誠司君    笠  浩史君

      東  順治君    笠井  亮君

      塩川 鉄也君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   総務副大臣        田村 憲久君

   法務副大臣        水野 賢一君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   厚生労働副大臣      石田 祝稔君

   経済産業副大臣      山本 幸三君

   外務大臣政務官      松島みどり君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  坂井 孝行君

   政府参考人

   (内閣官房拉致問題対策本部事務局政策企画室長)  岡田  隆君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 福島 克臣君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 三浦  守君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 齊藤 雄彦君

   政府参考人

   (公安調査庁次長)    北田 幹直君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 草賀 純男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 杉田 伸樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 猪俣 弘司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大江  博君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           板谷 憲次君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮坂  亘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           黒川 達夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           白石 順一君

   政府参考人

   (林野庁次長)      石島 一郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  冨岡  悟君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   参考人

   (独立行政法人国際協力機構理事)         黒木 雅文君

   外務委員会専門員     前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十五日

 辞任         補欠選任

  高村 正彦君     丹羽 秀樹君

  田中眞紀子君     田村 謙治君

  笠井  亮君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  丹羽 秀樹君     高村 正彦君

  田村 謙治君     田中眞紀子君

  塩川 鉄也君     笠井  亮君

    ―――――――――――――

六月十五日

 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(小宮山洋子君紹介)(第二〇四八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 適合性評価手続の結果の相互承認に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一四号)(参議院送付)

 知的所有権の貿易関連の側面に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一五号)(参議院送付)

 二千六年の国際熱帯木材協定の締結について承認を求めるの件(条約第一六号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 適合性評価手続の結果の相互承認に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び二千六年の国際熱帯木材協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、参考人として独立行政法人国際協力機構理事黒木雅文君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として外務省大臣官房審議官佐渡島志郎君、大臣官房審議官草賀純男君、大臣官房審議官杉田伸樹君、大臣官房審議官猪俣弘司君、大臣官房参事官大江博君、北米局長西宮伸一君、中東アフリカ局長奥田紀宏君、領事局長谷崎泰明君、内閣官房内閣参事官坂井孝行君、拉致問題対策本部事務局政策企画室長岡田隆君、警察庁長官官房審議官福島克臣君、金融庁総務企画局審議官河野正道君、法務省大臣官房審議官齊藤雄彦君、厚生労働省大臣官房審議官宮坂亘君、大臣官房審議官黒川達夫君、大臣官房審議官白石順一君、林野庁次長石島一郎君、環境省自然環境局長冨岡悟君、防衛省防衛政策局長大古和雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木馨祐君。

鈴木(馨)委員 おはようございます。自由民主党の鈴木馨祐でございます。きょうは、質疑の時間をちょうだいいたしまして、大変ありがとうございます。

 きょうは、条約三本ということで、最初、特にTRIPs協定の改正の議定書につきまして質疑を行いましてから、会期末ということで、多少一般質疑的なことで、北朝鮮情勢そして中国情勢についても触れさせていただきたい、そう思っております。

 まず最初にTRIPs協定改正の議定書でございますけれども、今回の改正というのは、私なりに解釈いたしますと、基本的に、世の中、特に医薬品の分野におきましては、イノベーションの促進だとか、かかる大きな研究開発コスト、そういったものを考えましても、やはり知的所有権というものの大義がしっかりとしてなくてはいけない。ただ、さはさりながら、LDCと言われるような低開発国、そういったところで喫緊の、HIVを初めとする感染症の懸念がある以上は、余りにも高い医薬品のプライスゆえに医薬品にアクセスができない、そういった状況は避けざるを得ないということで、緊急措置的に、あくまで例外として今回のジェネリック薬、要は特許料を払わない安い医薬品を特別に途上国に輸出する、そういったものを認めたものだというふうに理解をしております。

 ただ、HIV感染症の対策ということを考えますと、当然まだ医薬は進歩の途上でございまして、これからもますます莫大な開発費用というものが必要になってくるわけであります。そういった意味で、これまでの知的所有権の体系にそんなに大きな影響を与えないものにやはり限定をするべきではないか。逆に言うと、今回の改正の目的というものも、あくまで途上国側の公衆の衛生、そういったものに目的を限りまして、あくまで知的所有権の世界を守りながら、例えばジェネリック薬のメーカーがあるインドとか、もしくはジェネリック薬のメーカー自身を利するような、そういった状況となってはいけないのではないか、そういうふうに考える次第でございます。

 そういった観点から、今回非常に大事だと思いますのが、例えば途上国、低開発国から再輸出をされる、そういったケースが当然想定をされるわけでございますけれども、ジェネリック薬が再輸出をされないような仕組みをどう考えているのか。具体的に言えば、これは、メーカー側そして輸入国側、さらに言えば再輸出される可能性がある国、それぞれにおいていろいろな制度の整備、そういったものが必要なのかと思いますが、どういった措置で再輸出をさせないということを担保されるのか伺いたいと思います。

草賀政府参考人 委員にお答えさせていただきます。

 まさに大体委員御指摘のとおりだと思います。

 この議定書につきましては、TRIPs協定を一部改正するものということでございますが、この議定書によりましてTRIPs協定に追加される規定、附属書には、再輸出の防止など、本制度を利用するに当たりまして、本来の目的以外にこれが利用されることのないよう、まさに三者、すなわち輸出加盟国、それから輸入する資格を有する加盟国、そして三つ目にそれ以外の加盟国といった三者が果たすべき義務が明文で規定されてございます。

 また、本制度の実施状況につきましては、発効後、TRIPs理事会、これは全WTO加盟国がメンバーになってございますが、ここにおきましてモニタリングをしていくということになってございます。

 したがいまして、日本といたしましても、御指摘のとおり、この制度が本来の趣旨を超えて利用されることがないよう、今申し上げたTRIPs理事会等を通じて適切に運用されるように努めてまいりたいと思います。

 具体的には、実は、おっしゃった三者におきましてそれぞれ、製造国につきましては、本当に後発途上国で必要とされる量に限って生産をするとか、そしてその製品には特定のラベル、マークを付するとか、そして、供給する際には、その量、そしてその医薬品の特徴をウエブサイトに掲示するといったことが求められてございます。

 それから、輸入国につきましては、可能な限り輸入医薬品の再輸出を防止するための必要、合理的な措置をとらなければならない、こう附属書に規定されてございます。

 第三に、その他の加盟国におきましては、TRIPs上定められた措置、差しとめ命令なども用いてその再輸出等を防止する手段を確保しなければならない、こういうふうに規定されているところでございます。

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 恐らくこういう問題というのは制度以上に実行の方が大事だと思いますので、そこをしっかりと今後ともウオッチをしていくという努力をしていただければと思っております。

 続きまして、同じような話になるんですけれども、実は、いわゆるブランド薬という正規の薬品、この薬品が途上国において余りにも高過ぎるからアクセスができない、そういうふうなことがこれまで考えられていたわけでございますけれども、実は、最近、いろいろとCSR、社会的な責任とかそういった観点もございまして、このブランド薬というものが、実は途上国向けに対しては非常に安価なプライスで提供をされている、輸出をされている、そういった例もあって、実際、ジェネリックと言われる特許を度外視した薬とさほど値段の差がないという状況が生まれているという事実があるわけであります。

 そういった事実を反映してかどうか、実はWTO加盟国のうち、今回の議定書を締結している後発途上国というかLDC諸国というのは、今の時点では皆無という状況があるわけでございまして、果たして今回この議定書というのが必要なのかどうか、一回検証してみる必要はあると思うんですね。

 そういった意味で、先ほどから申し上げております途上国の公衆の健康の問題、これに対して今回の議定書が果たして本当に意味があるのか、その意義というものを伺えればと思います。

岩屋副大臣 先生御指摘のように、この議定書は何もジェネリックメーカーのためにやっていることではございませんで、感染症が広がる開発途上国においては、安全で効果的かつ安価な医薬品の提供が課題となっております。こういう国々はこれらの医薬品を輸入に頼らざるを得ないという状況にあるわけでございますが、先生今御指摘のとおり、現状でも、多くのメーカーが、特許を有する医薬品の場合であっても、LDC諸国に対して特別に安く医薬品を販売しているということは承知をしております。

 しかし、例えば、医薬品の入手先が先発医薬品メーカーのみに限定される、つまり独占状態にあるような場合には、感染症が蔓延するという国家緊急事態等の場合に対応が非常に困難になるということもございますので、本改正は、LDC諸国等にとって、医薬品の入手先の選択肢をふやすという意味で意義があるというふうに考えているところでございます。

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 まさしくおっしゃるような効果、オプションが幾つかあった方が価格は下がっていくわけでありますから、今回の議定書の必要性も、そういった意味において非常に大事なものと考えられると思っております。

 次に、北朝鮮の情勢に移らせていただきたいと思います。

 昨日からいろいろと報道もされて、けさ方のホワイトハウスの記者会見でも、北朝鮮のBDAの問題、いろいろと質疑も出ていたようでありますけれども、今の現状につきまして、岩屋副大臣の方から御説明をいただければと思います。

岩屋副大臣 BDAの問題については、いろいろと報道がされているということは私どもも承知をしておりますが、現時点で送金が終了したという確たる情報には接していないというところでございまして、BDA問題については、我が国は直接の当事者でないということもございますので、これ以上のコメントは現段階では差し控えたいというふうに思っております。

鈴木(馨)委員 ちょっとこの問題、伺いたいんですが、今、送金は開始をされているのか否かという点と、送金先についてはどうなっているんでしょうか。

佐渡島政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の点でございますけれども、例えば、マカオの方から、当局が資金を出しましたというようなことを言ったとか、いろいろな報道がございます。ただ、私ども最も注目をしておりますのは、アメリカの当局がどういうふうな発表をするのか。そこからの発表によりまして、最終的にはどういうことになったかというのがわかると思っておりますので。まだ、きょうこの時点では、米側からの発表はございません。かつ、マカオからどういう経路をたどってお金が動いているのかということについても、現時点では、いろいろなうわさはございますけれども、つまびらかではございません。

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 いずれにせよ、ただ、諸々の情報を総合いたしますと、この問題、多少解決に向かって動き始めているのかなという感覚がなきにしもあらずであります。

 その場合、日本としては、この次、これから先どうするのかというところが非常に重要になってくるのかなと思っておりまして、私が非常に懸念をいたしますのは、ここまでBDAの問題が長引いて、正直各国ともうんざり感が漂って、それが解決する、加えて、仮にこれにこたえて寧辺、まあ古い施設だという話はありますけれども、その停止、そういった措置を北朝鮮がとるとすると、私が非常に恐れているのは、そこで国際社会に一種の安心感というか達成感が出てしまう、そのことを懸念しているわけであります。

 実際、諸外国の報道を見ていますと、これから先のステップについて言及したことは割と少なくて、日本とは多少雰囲気が違うのかなという気もしておりますが、ここで日本としては、もう一度、諸外国に対して、国際社会に対して、例えば高濃縮ウランの話も含めてですけれども、計画のリストの提出ですとか、そういった一歩一歩をしっかりとやっていって、あくまで最終的には非核化なんだということを改めて主張し直すといったことも必要なのかと思っておりますが、今後の非核化に向けての決意、そういったものを岩屋副大臣に伺えればと存じます。

岩屋副大臣 先生おっしゃるとおりでございまして、北朝鮮は、本来六者会合とは無関係のBDAの問題を理由にして、初期段階の措置をいまだに実施していない。極めて遺憾だというふうに思っております。

 この初期段階の措置も最終的な目標ではないわけでございまして、北朝鮮はすべての核兵器及び既存の核計画の放棄をうたった六者会合共同声明の完全な実施をしなければいけないというふうに私どもは考えておりまして、初期段階の措置はあくまでもそこへ向かっての第一歩にすぎない、それもまだできていない、こういう状態だと認識をしているところでございます。

 先般、ハイリゲンダム・サミットの議長総括におきましては、「二〇〇五年九月十九日の共同声明の誠実かつ完全な実施に向けた第一歩としての二〇〇七年二月十三日に合意された初期段階の措置の速やかな実施を完全に支持する。」ということが明記をされたわけでございまして、国際社会の目標がこの六者会合共同声明の完全実施を通じた非核化の実現であるということは、このサミットにおいてもさらに確認をされたということだと思っています。

 したがいまして、我が国としては、北朝鮮による核保有は断じて容認できないという立場から、まずはこの初期段階の措置を実施し、共同声明に従ってすべての核兵器及び既存の核計画を放棄するように引き続き厳しい態度で臨んでいきたい、こう思っておりまして、鈴木先生御指摘の国際社会の緩みといったようなことが起こることのないように、米国を初めとする関係国としっかり連携して努力してまいりたい、こう思っております。

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 日本は、いろいろな国を見渡してみても、恐らく北朝鮮の脅威を一番直接的に、しかも深刻な脅威として受ける可能性がある国だと考えていますので、その点は国際社会にこれからも引き続きしっかり主張をしていっていただきたい、そう願う次第でございます。

 次に、これは潜在的な脅威だとかいろいろな議論がございますが、中国の問題に移りたいと思います。

 その前に、外交一般ということで、これはもう釈迦に説法になると思いますが、私の愚見を一つ申し上げさせていただきます。

 外務省の方のお話とかで、仮定の問題だから答えないとか、いろいろそういった答弁がよくあるわけでありますけれども、私が思いますに、外交というのは、どこの国の意図というのもはっきりはしない。そこで、幾つもの仮定を立てて、こういうシミュレーションで、この仮定だったらこういう対応をして、さらにそのリアクションはどうなる、そういった検証、仮定、分析の積み重ねなのではないかと思っております。

 逆に、恐らく諸外国の方から日本の意図というものも、これはあるときは明確にしない方がいいことも多々あるわけでございまして、一般的に言えば、日本のとり得る外交オプションというもの、これがなるべく広い形で、硬軟両方でウイングが広くて、さらに、日本としてどのオプションに行くのか、そのことが余りオープンになっていないで、諸外国が、果たして日本はどう動くのか、そのことを考えるような、そういった状況というのは、交渉という意味では、恐らく日本の外交にとっては一番望ましいというかあり得べき状況なのではないかと思っております。

 そういった観点から、例えばこういった状況があったとすればこういう行動をとる可能性もある、そういったオプションの幅というものはこういうオープンな場ではより意識して広めるような、恐らくそんな方向に行くのが本来の質疑ではないか。もちろん逆に対外的に言えないこともありますので、それは今後、委員会の運営等でいろいろなやり方があるんだと思いますけれども、そういったことを常々思うわけでございます。

 中国問題に移らせていただきます。

 まず最初に、さきに温家宝総理が来日されました。私も国会演説を聞きまして、特に東シナ海の問題については、双方が受け入れ可能な比較的広い海域で行うと、ちょっと一歩踏み込んだのかなという感覚を持ったわけでございますが、実は、配付しました資料の二ページ目、まさにその最中の報道でございますけれども、四月の十二日ですか、まさに温家宝総理来日中、安倍総理と話をしたり国会で演説をしたりという真っ最中に、それとある意味相反するような発言があったというような報道がございます。

 具体的に言えば、共同開発の概念とは中日の論争のある海域で行われるものであって、要約をすれば、白樺等のガス田については論争になっていない海域で行われているんだ、そういうことで問題がないんだというような趣旨の発言が外交部の公式な会見という場で行われたというような報道がございますが、この事実関係について、まず政府参考人の方から伺いたいと思います。

佐渡島政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の先方の報道官の発言でございますけれども、確かに、四月の十二日に中国の外交部の記者会見におきまして、共同開発は日中双方で争いのある水域で行う、中国側の開発活動は日本側と争いのない水域で行っているものであって、中国が主権的権利を行使する正常な活動であるというふうに述べております。少しく詳しく申し上げると、その日に質問がありまして、日中共同プレス発表では東シナ海に言及している、これは中国側が東シナ海での開発を中止することを意味するのかという質問を受けて、今の趣旨の答弁を秦剛という中国外交部の報道官が行っております。

 日本としては、中国側が行っている開発関連作業、日本の方から見ますと係争のある水域で行われているというのが私どもの立場でございますので、当然、つけ加えて申し上げれば、私どもはそういう立場、中国側が言っているようなことについては受け入れることはできないというのが日本側の立場でございます。

鈴木(馨)委員 このやりとりを見ていますと、日本としてどこが係争水域、論争のある水域と考えているのかということを一度多少整理し直す必要があるのかと思いますけれども、この資料の一枚目でございます。

 日中の場合は、両方がEEZということで二百海里を考えますとどうしても重なってしまいますので、便宜上中間線を引いたというような状況にあると思うんですが、ややこしいのは、日本側のみが中間線というものを認知しているというか意識していて、中国側は中間線でない大陸棚のラインというものを主張することで、そこで非常なずれが起こっているというところで、日中の共同開発、係争のない水域というところでも多少のすれ違いはあるのかなという危惧を抱いてしまうわけでございます。

 ここで、例えばこの一枚目の部分で、日本が考える論争がある水域というのは大体どこになるんでしょうか。よろしくお願いいたします。

岩屋副大臣 我が国は、日中両国とも、国連海洋法条約の関連規定に基づいて領海基線から二百海里までの大陸棚及び排他的経済水域に対する権限を有しているというふうに考えております。ただし、先生おっしゃるとおり、日中の海岸線の距離が四百海里に満たないために境界画定を行う必要がある、その際には中間線をもとに境界画定を行うべきという立場でございます。したがって、どこが係争のある水域と我が方が考えているかというのは、日本からの二百海里線と中国からの二百海里線とで囲まれる水域だというのが我が方の立場でございます。

 一方、中国側は、先生おっしゃるとおり、沖縄トラフまで自然延長しているんだというのが中国側の主張で、中間線は認められないというふうに言っているわけでございます。その上で、中国側は、係争のある水域、中国側から見た係争のある水域は中間線と沖縄トラフの間である、これが中国側の立場でございます。

 いずれにしても、我が国が領海基線から二百海里までの大陸棚及びEEZに対する権限を有しているという事実に何ら変わりはないわけでございまして、したがって、中間線の中国側に対する権限を放棄したことはございません。我が国のこうした立場については、累次にわたって中国側に説明をしてきているということでございます。

鈴木(馨)委員 では伺いますが、この東シナ海ガス田開発の関係で、中国側から、中間線よりも中国側も含んだ水域における共同開発というものが言及された事実はこれまでありますでしょうか。

佐渡島政府参考人 お答え申し上げます。

 大変申しわけございませんけれども、交渉の中身、中でそれぞれどういうふうに詳しく言っているかということについては、私ども、ちょっと触れることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、今先生御指摘のございました中国側の御発言をごらんになると、中国側がこれまでどういうふうな主張をしてきたかというのは容易に御想像がつくのかなと思います。

 中国側は、外交部の記者会見の場の発言のように、共同開発は日中双方で争いのある水域、争いのある水域というのは、まさに今先生御指摘もありましたけれども、向こう側から見て争いのある水域で行うという考え方で議論をしてきております。

 私どもは、四月の温家宝総理の訪日の際の首脳会談で、両首脳の間において、東シナ海を平和、協力、友好の海とするために、双方が受け入れ可能な比較的広い海域で共同開発を行うということをきちんと一致しているということでございます。さらに、G8のサミットにおきましても、首脳会談で、秋に共同開発の具体的方策について両方の首脳が報告を受けられるように協議を加速しましょうということでも一致をしておりますので、私ども、ベルトを引き締めて交渉に鋭意当たっていきたいと考えております。

鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。

 国家の権益がかかわる問題でございますから、しっかりとこのところは、主張すべきところは主張して、断固たる姿勢を時には見せていく可能性も否定してはならない、そういうふうに考えるわけでございます。

 もう一点、五月の終わりに、こういうペンタゴンが毎年やっている中国の軍事情勢に関する議会報告というものが出てきたわけでございます。これは、ペンタゴンのアメリカ軍の軍事の専門家が中国の軍事情勢について詳細な分析をしている。東シナ海を含めました東アジアにおきましては、アメリカ、中国と並びまして、日本というものが非常に大きなプレーヤーとして存在しているわけであります。ですから、恐らくここの分析というものもいたずらに、それは知らぬよとか、それについてコメントはしないよ、考えないよということではなくて、やはりしっかり、そこに書いてあることというのはある意味一つ事実である可能性も含めていろいろと検討していかなくてはいけない、そういうふうに考えております。

 そこで、一つ、ちょっと時間もなくなってしまったので、お聞きしようかと思ったんですけれども、ここは私の口頭からの説明にしたいと思いますが、二ページ目の下に横文字の世界地図があるわけであります。

 ここで何が書いてあるかといえば、中国は、台湾海峡の問題もありまして、第二列島線という日本の伊豆諸島、小笠原、そこに広がる海域に至るまでの部分について、常に要は攻めてくる可能性がある第三国の艦船を非常に危険な状態に置く、リスクの状態に置く、そういった能力を今整備しているところであるというような記述があるわけであります。

 そして実際に、この次のページをごらんいただければわかりますが、これが防衛省からいただきました海洋調査の活動でございます。ちょっと資料が古いので平成十七年分というのはないんですけれども、沖縄から伊豆諸島、小笠原にかかってある黒丸、これが大体平成十六年、十五年、十四年の黒丸であります。まさに、大体この報告書にありますような第二列島線までのというものに非常に符合してくるような活動状況が見られるのかなというふうに思っているところであります。

 そんなことを見ていきますと、今後、中国というものをやはり深刻な脅威として、日本としてもう一回とらえ直す必要もあるのではないかな、そんなふうな感覚があるわけでございます。

 一つ、これは事実関係だけ防衛省の方に伺いたいんですけれども、この中で一つ興味深い、一番私がこれは深刻だと思う記述が、いわゆるノー・ファースト・ユースの原則というもの、核の先制不使用という原則を中国が変更する可能性がある、そしてそれに伴うような、例えば長距離核ミサイルであるとか潜水艦、そういったものへの重点的な投資というものを今行っている、そういった記述があるわけでございますが、この事実関係について、防衛省の方から伺えればと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、中国は、軍事力について、いろいろな面で近代化に努めております。

 そういう中で、今委員御指摘がありましたような弾道弾ということで申しますと、ICBMそれから中距離弾道弾も含めまして、いわゆる液体燃料から即応性の高い固体燃料への転換に努めているというふうな認識をしております。

 ただ、これは中国側の意図として、いわゆるファーストストライクというような感じで進めているかどうかについては、防衛省としてはわからないということでございます。

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 先ほど、私延々と口で述べましたけれども、やはりあらゆる可能性というものを検討していくのが外交であろう。そして、逆に言えば、日本の意図、そしてとり得る政策の選択のオプションというものをなるべく広げていって、相手に対して、ある意味ブラフ的なことも含めまして、疑心暗鬼を起こさせる、そういったことももしかしたら時には必要なのかもしれない、そんなことをつくづく思う次第でございます。

 今の先制不使用の原則というものがもし将来的に、これは当然口頭では言わないと思いますが、実際に実態として変わるというようなことが起こってきますと、恐らくこれは日本の安全保障に対しては非常に大きな影響を与えるわけであります。

 と申しますのは、恐らく、アメリカの大統領として、アメリカの一般市民を核攻撃の危険にさらしてまで日本を守るか、そういったよく言い古された議論が起こってくる可能性があるわけであります。そういった場合に、中国にこういった政策転換をするのは損だと思わせるような日本のアクション、そしてまたアメリカの大統領に、日本を守ることが大事だ、そういうふうに思わせるような日本側のアクション、そういったものが恐らくは考えられるのかなと思います。

 そういった観点から、日本として、仮にこういう状況が実際に起こってきた場合に、どういう対処方針を実際にしていくべきなのか。そのことについて何らかの御見解がございましたら、麻生大臣に伺えればと存じます。

麻生国務大臣 基本的に、今言われましたように、中国の国防政策ということになろうかと思いますが、少なくとも十九年連続二けたの伸びを示しておりますのが、中国のいわゆる国防費の歳出の形であります。

 その中でありますので、核とかミサイルとか、その戦力の内容については極めて透明性が低いものですから、どこの部分にどう使われているかというのはほとんど外から見えないというのは、御存じのとおりです。不透明な点が多い。これは、いわゆる懸念につながっていく大きな理由だと存じます。

 四月の温家宝総理の来日のときに、日中の共同プレス発表において、この点が、中国側からは政策の透明性の向上に努めるというようにプレス発表しておりますけれども、日本としては、日米安全保障体制というものをきちんと堅持しつつ、中国側に対しても、いわゆる軍事力関係の透明性の向上に努めるということを言い続けていかなければいかぬというのがまず基本なんだと思います。

 今御指摘のありました年次報告書、二〇〇七年分の報告書なんですが、これに関しても、核先制不使用のあいまいさについて指摘しているというのがその文書の内容だと思いますが、他方、中国の難しいところですけれども、核先制不使用という政策を放棄したということを言っているわけではありません。その意味では、事柄の性質もありますので、仮定の質問にはなかなかお答えしにくいところですけれども、そういったことをやるよりはむしろ、今の中国の状況を考えていった場合においては、経済政策等々において日本と友好関係を結んだ方がいいというように思わせるというのは、国全体の外交政策としては大事なところだと存じます。

鈴木(馨)委員 どうもありがとうございました。

 時間が終了いたしましたので、これで終わります。ありがとうございました。

山口委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。

 きょうは三案件ございますけれども、まず、二千六年国際熱帯木材協定の締結についてということ、この中でもとりわけ違法伐採、この問題について冒頭確認をさせていただきたいと思います。

 本協定は、熱帯木材貿易の発展と熱帯林の持続可能な経営を促進するための枠組みについて定めたということで理解をしているわけでございますけれども、とりわけ、地球環境をしっかりと守っていこうということが今回さらに強化をされたということでございます。

 我が国も熱帯産の木材の主要な輸入国でございますから、この分野で国際社会に貢献をしていくということは非常に重要である。とりわけ、ITTO、数少ない国際機関の中で日本に本部を置いている、横浜ですか置かれているというわけでございますから、こうした点からも、しっかりとしたリーダーシップをとっていただきたいと考えております。

 この違法伐採というのは、その定義というのが非常に難しい。それぞれの国の国内法に合わせてその解釈というか定義というものがゆだねられているようなところがあるわけですけれども、これは本当に共通の定義を定めるということは非常に難しいとは思うんです。

 しかし、やはり何らかの共通の基準というものをつくっていく、そうしなければ、この違法伐採の問題は一国だけが努力をして解決をする問題じゃございませんので、そうしたアプローチを、ぜひ日本がリーダーシップをとって、今後何らかの共通の認識あるいは共通の基準というものをまとめていくという方向で努力すべきと考えておりますけれども、まず大臣の御所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 これは、笠先生の御指摘のありましたとおりに、定義がなかなか難しいというところがまず一番この種の話を困難にしている背景です。

 なぜかといえば、まず、国によって森林というものが、国有林であってみたり全部私有林であってみたり、だれのものかわからなかったり、いわゆる所有形態という形、森林を管理する形態がよくわからぬもので、言ったって、違法伐採側が、いや、あれはおれの責任じゃないということになって、なかなか難しいのが一つ。

 それから、木材生産国の、すなわちかなり貧しいところと言った方がいいのかもしれませんけれども、熱帯雨林等々を持っております地域、国に限りません、地域においては、その生活を維持するためには、木材を伐採して売買する、販売することによって生計が成り立っておるという地域が多いこと。

 そして、仮に基準ができたとしても、それが違法だということをだれが取り締まるのかということになりますと、それまた、その国によって、いや、うちではうちの基準だとかなんとかいうことになりますと、これはなかなか難しいというような技術的な困難がある。大きく分けて三つなんだと思います。

 その中で、日本としては、この違法伐採の基準になりますのは何といっても証明、これは違法であるということを証明する証明方法というのをまず決めよう、こういうことの技術開発とか、また、木材を伐採している、生産している国において、これは、どんどんどんどん切って、端材をどんどん捨てていったりしているところと、きちんとそれをほとんど使い切っちゃうというところと、いろいろありますので、技術開発を含めて人材育成というようなことをやって、違法伐採対策の実効性を高める。また、監視をするとか、そういうのもいろいろ今やらせていただいておるんです。

 とにかく、こういったものに正面から取り組もうじゃないかと言っている国が少ない。今、日本国初め本当に少ないものですから、そこのところを、国際的な定義をまず決めて、違法だということを証明する証明方法を決めてというようなところから今私どもとしては、御存じのように横浜に本部がありますので、そういったものを中心にしていろいろな国々に働きかけつつあるというのが現状です。

 三点申し上げましたけれども、その三つの点の対策がなかなか難しいというのが実際であります。

笠委員 今大臣がおっしゃったように、確かに、正面からしっかりと取り組んでいこうという国がやはりふえてこないと、なかなかそういう基準づくりへ向けた機運というものも高まってきませんので、ぜひこの点については引き続き御努力をいただきたいと思います。

 これに関連しまして、若干具体的に確認をさせていただきたいと思います。

 とりわけロシアそしてインドネシアの違法伐採問題なんですけれども、ロシアは、NGOのグリーンピースの調べでは、ロシア産木材の二〇%が違法伐採であるという報告も出ております。我が国も木材を大量に輸入しているわけですから、森林資源の持続可能な利用を確保するという観点からも、そういうものの流通を防止する。あるいは、逆に、日本に木材として入ってくるときに、これが違法伐採でとられたものなのかあるいは正規のものなのかということがわからないわけですよね。

 だから、そういう意味も含めまして、このロシアからの違法伐採の木材の流通防止のために具体的にどういう取り組みというものを行われていくのか、対策を講じておられるのか、伺いたいと思います。

麻生国務大臣 これは御記憶かと思いますけれども、二〇〇〇年の沖縄サミットのときに、日本としては、違法に伐採された木材は使用しない、買わない、そういういわゆる基準づくりというのを最初に手がけて、以来この問題は、一貫して日本が主張してきて、そういったものは買いませんよという話を向こうに、調査したりなんかするので、そういった形をさせていただいております。

 それから、五年後の二〇〇五年、これはグレンイーグルズのサミットにおきまして、日本政府の気候変動イニシアチブというのは、あのとき初めてこの気候変動の話を言ったときなんですけれども、御存じのようなグリーン購入法という例の形で、政府調達制度というものの導入など具体的な対策をこのとき示しております、これは五年後の話なんですが。

 さらにこれが、来年に洞爺湖ということになりますので、そのときには、世界の主要木材の消費国それから生産国等々、国際機関の専門家なんかがいろいろおりますので、そういった人たちを集めてとにかく国際会議というのを日本で主催しようということで、違法伐採の問題について正面から取り組んでいくというのをこのG8のサミットまでに何とかしたいと思っております。

 特にロシアからの違法伐採というものにつきましては、これは政府調達制度の導入というのをいたしましたときを契機にして、日本としては、日ロ双方の業界がありますので、業界に対して、合法性の証明、合法であるということの証明の手法の開発のため、ちょっと両方で協力しようやと。これはなかなか協力してこないので、いや、うちは違法なんかないという話ですから。ロシアになって少し変わってきたような感じはいたしますけれども、開始をしておりますので、今その成果を期待いたしております。

 インドネシアに対しましては、これは五年前だと思いますが、二〇〇三年に、このときの共同声明、行動計画に基づいて、サテライト、衛星データをもとにして、違法伐採の状態の把握とか、また、森林から材木工場まで運びます、いわゆる工場、材木置き場、木材製材所のところまでのトレーサビリティーというものを開発するということでそこの技術開発をやって、これは明らかに違法地域から伐採したものがここに運ばれてきているじゃないかというのにサテライトを使う等々、いろいろなことで、今、正面から取り組むように努力が進みつつあるというように御理解いただければと存じます。

    〔委員長退席、小野寺委員長代理着席〕

笠委員 今、インドネシアのこともあわせてお答えをいただきましたので、とりわけインドネシアの場合は、英国等の調査でも五〇%以上が違法伐採であるということで、日本もその支援を表明しておりますだけに、やはりこの具体的な支援というものをさらにしっかりと進めていただきたい。

 そして、今大臣からもありましたけれども、さきのハイリゲンダム・サミットでも、この問題はずっと取り上げられてきているんですね。来年はいよいよ我が国における洞爺湖サミットということで、違法伐採のテーマ、これはしっかりやっていこうということにはなるんですが、なかなかその具体的な対策であるとか成果というものが、冒頭の大臣の答弁でもありましたように、難しい部分はあると思うんですね、その基準すらがなかなか正面から取り組もうという国が少ない中で。ただ、いいきっかけだと思いますので、ぜひ、洞爺湖サミットに向けて、ある意味での、目に見える形での何らかの目標であるとか、あるいは、一気に成果というところまではいかないかと思いますけれども、具体的な行動計画等々を積極的に進めていただきたい、そのことを要請させていただきたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のありましたように、これは、来年の洞爺湖というのは、あそこはほかの地域と違ってやたら森林に囲まれた地域でありますのは御存じのとおりなので、日本といたしましては、こういう自然環境というものを大いに売りにできるところでもあろうと存じます。

 今申し上げましたように、例の専門家会議というものを、ことしの三月に、違法伐採専門家国際会議というのを日本は開催いたしております。これは初めての会議をやらせていただいたんですが、とにかく、生産国と消費国と双方、それからこの種のプロの人たちを集めてというのを初めてやらせていただいたんです。これは、来年の洞爺湖のサミットまでには、少なくとも来年の初めごろまでには第二回目の会議を開いて、前回の一年前に比べての比較等々、いろいろ宿題が出ておりますので、そういったものを含めてきちんと主催をして、こういったものに取り組む姿勢というものをきちんと示していきたいと思っております。

笠委員 それでは次に、きょうは、いろいろ参議院の日程もある中、内閣府の林副大臣にも早速おいでをいただいておりますので、北朝鮮の拉致問題について、幾つかちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。

 一昨日、警視庁が、昭和五十五年に松木薫さん、石岡亨さんが拉致された事件で、よど号犯の妻二人の逮捕状をとった。私は、これはいろいろとこれまでも報じられたり、さまざまな、いろいろな形での話が出ていたわけですが、若干ようやくかというような気がいたしているわけでございますけれども、そこで、大臣に冒頭お伺いをいたしたいと思いますが、よど号犯グループと北朝鮮による拉致事件の関係について、政府として、どういう認識を持たれているのか、あるいはどういうふうに注目をされているのか、その点について、まずお伺いをいたしたいと思います。

麻生国務大臣 これは笠先生御存じのように、一般的によど号の犯人グループというものには、拉致との背景については、とぼけた話をしていましたね、革命のための人材確保でしたかな、何か、そういうような話をしていたと記憶しますけれども、そういったことがあったと通常言われておりますということは承知をいたしております。

 このうち、これまで、拉致容疑事案の被疑者として三人、よど号犯人魚本公博並びによど号犯人の妻森順子及び若林佐喜子というのの三名につきましては、これは特定を既にされておりますので、御存じのように、政府としては、北朝鮮に対してこの三名の身柄引き渡しというのを既に求めております。

 政府としては、これまで明らかになった関与というのは、これまで帰ってきたのやら何やらでいろいろ調べているところもありますので、引き続き、北朝鮮に対しましては、拉致被害者の即時帰国、真相究明、そして、よど号事件の犯人を含めて被疑者の身柄引き渡しというのを強く求めているところですけれども、今後とも、この三人というものがどういう形で本当にかかわったのか、そしてどういった手法で等々、事実の解明等々にはきちんと当たっていかねばならないものだと思っております。

笠委員 今大臣おっしゃいましたように、よど号犯、あるいはその妻、あるいはその子供ら、さまざま、一連のよど号犯グループといいますか、これに関連する人たちというものが、とりわけヨーロッパ・ルートの拉致については、やはりかなりこれは、政府としてしっかりと調査していかなきゃならぬと私は考えているわけです。

 そこで、まず警察庁の方にちょっとお伺いをいたしますけれども、現在十九人のよど号犯の子供が帰国しているということで私は承っておりますが、その事情聴取を行っているのか。あるいは、現在関東と関西で集団生活をしているというふうにも伺っておりますけれども、監視体制に置いているのかどうか。その点について端的にお答えください。

福島政府参考人 お答えいたします。

 警察といたしましては、よど号グループが関与する事件の全容解明のため、同グループに関連する動向に重大な関心を持っておりまして、必要な情報収集を行っているところであります。

 したがいまして、警察といたしましては、よど号グループに関連する動向について、それを知っていると思われる者からは可能な限り事情を聞くように努めているところでございますが、具体的な聴取の対象者、相手方でありますとか、情報収集の具体的な内容などにつきましては、個人のプライバシーの保護の観点、あるいは警察の業務に支障を及ぼす可能性があるということから、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

笠委員 今重大な関心を持って、私も、個別どうこうということを、これをきょうの場で聞くつもりはございませんが、事情を聞くと言うけれども、中身は別といたしまして、拉致事件に関して、この子供らが協力的な話であるとか情報であるとか、警察庁としてそういった情報を収集できているんですか。その点をお答えください。

福島政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、よど号グループに関連する動向について、それを知っていると思われる者からは可能な限り事情を聞くように努めているところでございます。しかしながら、具体的にだれから聞けた、または、だれからは聞けなかったというような内容のことでありますとか、その内容につきましてここで触れるということは、先ほど申しましたとおり、個人のプライバシーの保護の観点、あるいは我々警察の業務に支障を及ぼす可能性があるということから、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

笠委員 いや、私が聞いているのは、具体的にだれがどう言ったということじゃなくて、私が伺っている話では、この子供たちというのは非常に非協力的であると。警察庁の方が接触をしているでしょう。別にその一つ一つを聞くつもりはございません。ですから、恐らくは、そういう情報というものはほとんどとれていないに等しいんじゃないかと私は考えているわけです。

 では、そこでお伺いしますが、現在十九人の子供が帰国しているけれども、この中で何人が我が国のパスポートを持っているのか、また、北朝鮮とのこの十九人の往来、行き来について、事実関係をどのように把握しているのか、お答えをいただきたいと思います。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 よど号関係者の子女のうち、現在帰国している数でございますけれども、十九名でございますが、このうち十七人に対して日本の旅券を発給しております。いずれも現在有効ということでございます。

 他方、この方々がどういうところに渡航しているかということにつきましては、外務省としましては旅券を発給するということでございますので、それ以上の情報は我々は把握しておりません。

笠委員 警察庁、どうですか。北朝鮮に行っていますよね。

福島政府参考人 お答えいたします。

 再々度繰り返しになって恐縮なのでございますけれども、我々といたしましては、よど号グループに関連する動向に重大な関心を持っておりまして、必要な情報収集を行っているところでございますけれども、収集した情報の具体的な内容につきましては、個人のプライバシーの保護の観点や、現在の警察の業務に支障を及ぼす可能性があることから、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

笠委員 何を言っているんですか。昨日、ブリーフを、レクを受けました。さらには、私ども民主党の方で、拉致対策本部役員会の中でも警察庁の方来られていますよ。その中でも、北朝鮮に行っている、そのことは確認しているということをおっしゃっていましたよ。だから、行っているんでしょう。それも監視下に置いていないの。ちょっと答えてください。

福島政府参考人 よど号グループの子女につきましては、よど号事件を起こした犯人というわけでもなく、また旅券法違反を犯した妻たちともやはりちょっと違って、あくまでもよど号グループに関連する方々だというように思っています。

 我々といたしましては、先ほど申しましたとおり、非常に重大な関心を持って情報収集を行っているところでありますけれども、そういった十九人のお子さんたちが例えばどういう国に行っている、どういう内容のことをしゃべっている、そういったことをここでお話しするということは適切ではないのではないかと考えているところでございます。

笠委員 それはもう言っているわけですよ、行っているのは。

 ではここで、警察庁に聞いても仕方がないので、林副大臣の方にお伺いをしたいと思います。

 要するに、ここは、子供が犯罪を犯したとかそういうことじゃないわけですよ。しかし、今本当に、拉致対策本部を官邸の中に安倍総理を本部長にしてつくって、そこには警察庁もあるいは外務省も関係省庁が入ってさまざまな情報を収集していく中で、この妻のみならず子供たちだって北朝鮮に行っているわけですから、そこはどういう情報であれ、直接的な拉致の問題だけじゃなく、彼らがあるいは彼女たちがどういうところに住んでいたのか、あるいはどういう人たちと接触をしていたのか、そのことにやはり関心を示し、何とかその情報をとっていくというのは当たり前のことだと思うんですね。

 北朝鮮と日本を自由に行き来できるわけですよ、パスポートがあるわけだから。今出ていったらどこの国に行くというところまでは、これは外務省でも把握できません。警察庁がどこまで、例えば海外と協力をして、中国経由、いろいろあるでしょうけれども、そこで監視下に置いているのかどうかは先ほど明確にはお答えをいただきませんでしたが、今、拉致対策本部として、林副大臣、この北朝鮮の子供たちが、まあ北朝鮮に行っているわけですけれども、工作機関等々との連絡役をやはりやっているというような可能性はあると思われているのか、あるいは、いや、そんなものは全くないと考えられているのか、その点をお答えいただけますか。

林副大臣 今、よど号の関係につきましては、既に逮捕状を得た二名を含めて三名の実行犯、このことについては引き渡しを要求しているということが外務大臣から御答弁があったとおりでございます。

 我々としては、所要の捜査、調査に取り組んでいるということでございますし、本部を中心に、関連する情報というものを集約、分析して、例外なく問題解決に向けた措置の検討を行ってきている、こういうところでございまして、今お答えがあったように、個別の事象についてなかなか申し上げにくいところはあるわけでございますけれども、あらゆることを例外とせずに、可能性があるものはすべてこういった問題解決に向けた措置の検討の中に入れて、引き続き努力を続けていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。

笠委員 確認をさせていただきたいと思うんですが、個別具体的なことは別として、先ほど私が指摘したような可能性も含めて、あり得るということで、対策本部としてはしっかりと注目している、そういうことでよろしいですね。

林副大臣 申し上げましたように、この問題解決に向けてはとにかく例外なく、今委員が御指摘になったことも、世上、ニュースにもあるわけでございますから、例外なく問題解決に向けて全力で頑張ってまいりたいと思っておるところでございます。

笠委員 昨日、拉致の問題の家族会あるいは救う会の皆様方が安倍対策本部長、総理あてに、よど号犯の十九人の子らに旅券返還命令をという要請書を出されていると思います。

 政府はかつて、この妻らに対しては、一九八八年、旅券の返還命令を出したわけですね。同様にこの子らにも、結局、北朝鮮に行く可能性、あるいは今現実行っているわけですけれども、その中でさまざま、本人が工作員かどうかはわかりませんが、何らかの連絡役等々を務めている危険性、可能性というものもある中で、この子らに対しても同様に旅券返還命令を出すなど、やはり何らかの私は対策を講じるべきだと考えておりますけれども、麻生大臣、その点についていかがでしょうか。

岩屋副大臣 よど号犯の妻らに旅券返納命令を出したというのは先生御指摘のとおりですが、それは、この者らが、旅券法第十三条第一項第五号、現行の第七号になりますが、これに規定する、「著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある」ことが判明したからでございます。

 今先生が御指摘になった、この子供らに対しても同様の対策を講じるべきではないかということでございますけれども、旅券法上の返納命令の事由に該当するという情報を、外務省としては確たる情報は有しておりません。しかし、情報の提供が関係機関よりある場合には、これは、外務省としては旅券法にのっとって適切に対処してまいる所存でございます。

笠委員 今岩屋副大臣おっしゃったように、だからやはり情報収集、大事なんですよ。この子供らが一体何の目的で北朝鮮に自由に行き来しているのか、やはりそれをしっかりと調べるということ。

 実際、パスポートを取り上げるというか返還させる以外になかなか行くことを制限するということは現行法上難しいわけですね。ただ、今これだけ犯人及びその妻らが、先ほど申し上げましたように、ヨーロッパ・ルート含めて北朝鮮の拉致問題、拉致事件、まさにこれはテロ国家ですから、それに対してしっかりとした対応をやっていくということは、本当に党がどうだとかいう話じゃなくて、我々もそのことにずっと取り組んできておりますし、政府として、安倍総理がまさにサミットの中でもこのことを取り上げているわけじゃないですか。やはりこれは毅然とした、しっかりとした対応をぜひ、何らかの知恵を出して、私は対策というか施策を講じていただきたい、そのことを改めてお伺いいたしたいと思います。

岩屋副大臣 先ほど林副大臣からも、あらゆることを例外とせずにしっかり政府として情報収集していくというお話がございましたが、その情報収集の結果明らかに、関係機関から確たる情報がある場合、つまり旅券法における返納命令の事由に該当するという情報を得た場合には、しっかりと外務省として対応してまいりたいと思います。法治国家でございますので、あくまでもそういう手続を経て、旅券法によって適切にその場合は対処してまいりたい、こう思っております。

笠委員 時間が迫ってまいりました。

 大臣、今幾つか議論をさせていただいたんですが、この十九人の子供たちの中の十七人ですか、今パスポートを持っているのが。警察に対しても非協力的、話もしない、それで自由に北朝鮮と行き来をしている。やはりこれは、私ちょっと、本当にこのまま放置しておいていいのかどうかという危惧を持つわけですけれども、大臣、率直に、どうですか、大臣の所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 これは、笠先生、前回パスポートの返還命令が出された親たちのところは、これは明らかに、北朝鮮もしくはいろいろな場所において、いわゆる北朝鮮工作員との接触が極めて明確に捕捉されているがゆえにあの種の命令を出しているんですが、その子供とかいうことになると全く別人格ということになりますので、そういった意味で、今御指摘のありました点、これは懸念をしておかなければいかぬし、いろいろな意味でウオッチしておかなければいかぬことも確か。

 ただ、旅券の返納等々につきましては、確たるものがないと、伝聞証拠だけでは何ともなりませんので、きちんとしたものに基づいた上でやらなければいかぬというところがやはり法治国家としてなかなか難しいところだと思いますが、今言われたように、可能性があるということに関しましては十分な注意を払ってしかるべきと存じます。

笠委員 時間が参りましたので終わらせていただきますけれども、どういう活動をしているのか、そういう点も含めて、しっかり関係省庁で連携をしながら、厳格な監視下というわけにはいかないかもしれませんけれども、注目している、着目している、その言葉どおりの対応をぜひしていただきたい、対策を講じていただきたい、そのことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

小野寺委員長代理 これにて笠浩史君の質疑は終了しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長代理 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、政府参考人として法務省大臣官房審議官三浦守君、公安調査庁次長北田幹直君、文部科学省大臣官房審議官板谷憲次君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長代理 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。

 たくさんの副大臣、お越しをいただきましてありがとうございます。質問が終われば、もう帰っていただいて結構ですというふうにも申し上げてまいりますので、まず、この三協定から質問をさせていただきたいと思います。

 まず、日米の適合性評価手続の相互承認、この協定の問題についてでございますけれども、これは、メリットは当然ながらあるわけであります。お互いの手続を省略することによって手間とコストが削減をされ、そしてまたそれがお互いの、日米間の貿易の促進につながっていくということで、産業界からも強い要請があったということを聞いております。特に、電気通信機器については、我が国の輸出相手国はアメリカが第一位、輸出の全体の三分の一以上を占めているということでございまして、EUも含めると輸出全体の五割を占めるということで、一層貿易が促進されることが期待をされているわけであります。

 ただ、問題もあるわけでありまして、本協定によりまして、特に主な分野として考えられているのが携帯電話などの電気通信機器でございますけれども、今まで日本が行ってきた検査手続を、米国国内で適合性評価をやるということになるわけであります。こういう機械類とBSE問題に関しての米国産牛肉を同列に扱うということはできないかもしれませんが、しかし、このアメリカの適合性評価機関というのがいわゆるジャパニーズスタンダードでしっかりとそれを審査してくれるかどうかということが問題になるわけであります。

 この協定を結んだときに、アメリカの適合性評価機関がきっちり日本の基準でそれを行うかどうかという事前の評価制度のシステム設計とそれから運用後の監視体制、この二つが大変重要だというふうに思っております。この点、政府としてどういうふうに取り組みをなされようとしているのか、その点についてまずお伺いをしたいと思います。

岩屋副大臣 前原先生おっしゃるとおりでございまして、本協定の実施に当たりましては、米国の適合性評価機関が実施する適合性評価手続の結果が十分な安全性を確保するものとなることが重要でございます。この協定で、米国が自国の適合性評価機関について我が国の法令上の基準を満たすよう確保することを法的に義務づけられているというのはそのためでございます。その上で、日本側で米国の評価機関について疑義を持つ場合には米国側に異議の申し立てを行う、そして、その機関の適合性評価結果の受け入れを停止することができるようになっているところでございます。

 政府としては、これらの措置を通じて、国民の安全及び健康に問題ない形で相互承認を運用していく考えでございます。

前原委員 遺漏なきよう徹底していただきたいと思うのでありますが、この際、政府として、どの役所が中心になってこれをやられるということになりますか。

麻生国務大臣 だれも答えられぬので、私の方から。詳しいわけではありませんけれども。

 例えば、今の通信機器の場合だったら経産省とか、その他、業種によって担当する役所がかわっているんだと想像いたします。

前原委員 今まさに麻生外務大臣おっしゃったように、私が心配しているのは、役所の縦割りの中でこういう協定を結んで、役所間の相互の連携がとれる中で実効性ある審査あるいは事後チェックがしっかりとできるかどうかというところが大変重要だと思います。

 特に、これは私は経済産業省が中心となられるべきだと思っておりますが、山本副大臣、この点についてはやはりしっかりイニシアチブを持ってこの問題について取り組むということであろうかというふうに思います。では、総務副大臣お願いします。

田村副大臣 今回の件は、電気通信機器だということでございますので、我が省がしっかりと主体を持って、憂いなきように対応してまいりたい、このように思っております。

前原委員 実際、本当に日本の大きな問題の一つはこの縦割りの弊害で、ぽてんヒットのように、だれかがやるだろうと思ってだれもとらないというところが大変大きな問題でありますので、その点は、きょうおられる副大臣も含めて、連携をしっかりとっていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 それから次に、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定を改正する議定書締結についてでございますが、これは厚生労働副大臣にお答えをいただくことになるんだというふうに思います。

 二〇〇三年八月のWTO一般理事会の決定で、コピー薬を製造能力のない途上国へ輸出することも可能になりましたけれども、この議定書の発効によってこの制度は恒久化されることになる、こういうことであります。そのことによってもちろんメリットもあるのも事実でございますけれども、しかし懸念されることもございます。

 例えば、エイズというような疾病の場合、当然ながら新薬開発の重要性というのは論をまたないわけでありますけれども、しかしながら、この数年間の傾向を見ておりますと、エイズ治療薬の研究開発というものがどんどんどんどん下火になってきている、これはむしろ逆になってきているわけであります。

 つまりは、なぜそういった治療薬を開発しないかということについては、政府あるいは国際機関の資金援助がないので開発費用の回収が見込めないとか、あるいはNGOなどが熾烈な批判というものを行うとか、そして価格の引き下げ交渉を行うとか、そういったさまざまな問題に直面をし、むしろ成人病などの医薬品開発の方がもうかる、安定するということで、本当に必要なところに対するインセンティブがむしろ欠けてきているという部分もあるわけであります。

 したがいまして、この議定書発効でもプラス面はあるわけでありますけれども、今の例えばエイズのような疾患の場合、政府あるいは国際機関、これが製薬会社の新薬開発に対する資金援助などの措置を通じてバックアップをして、そしてこういう大きな問題に取り組んでいく必要があるのではないかというふうに思いますが、政府の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

石田副大臣 この新薬開発を含めて、今エイズの治療薬のこともお触れになりましたけれども、大変膨大な研究開発費がかかる。それを開発して、特許権を所有して、その後、薬の製造、販売で開発の費用を回収していく。そういうインセンティブがないと、なかなか製薬メーカーとしてもやりにくいというのでしょうか、そっちの方向に行きがたい、こういうことはあるわけであります。

 これを政府としてどういう形で応援ができるかということについては、これはひとつ、ある意味でいえば製薬会社といっても民間の企業でありますから、これをどういう形でやるかというのはよくよく考えていかなきゃいけないというふうに思っております。

 しかし、今委員がお触れになったように、特にエイズなんかは、治療薬はだんだんいいものができてきておりますけれども、現実的には価格の問題で大変な後発開発途上国には負担になっている。こういうことも事実でありますから、政府としてどういう形でできるかということについては、しっかりとちょっと考えさせていただきたいというふうに思っております。

前原委員 こういう協定を結ぶことによってそういった必然性が生まれる。厚生労働省としてもどういった支援ができるかということを検討したいという御答弁をいただいたわけでありますが、例えば外務省として、国際機関との連携ということも踏まえて、こういったいわゆる新薬開発のインセンティブについて促進をしていくということに私は一つの目玉として取り組んでいくべきではないかと思いますが、いかがですか。外務大臣。

麻生国務大臣 これは、いわゆる特許権を初めとします知的財産権というようなことになるんだと思います。

 これは、いわゆる先進国であろうと発展途上国であろうと、技術分野であろうと何であろうと、いわゆる投資というものに対しては、ある程度インセンティブというものが与えられない限りは投資はしないんですよ。これは間違いなく、何かやってみたいというものがない限り、少なくとも企業側は何らかのインセンティブが要るというわけです。だから、個人でも、自分の名誉とかそういったものも立派なインセンティブと考えられます。

 そういったものができ上がったら、とにかく、人道上、ちょっとおまえ、これをただで全部取り上げるなんという話がどんどんどんどんいくということになったら、それはなかなか動かないんだと思っております。

 特に、この医薬品の業界というのは、新薬開発にウン千億という世界になってきておりますので、そういった意味では、医薬品は、御存じのように、どんどんどんどん合併して巨大なものになっていかざるを得ない背景がその研究開発、新薬開発ということになっておりますので、特許権の保護というのが最も重要なことになりつつあるというのが、前原先生、間違いない流れなんだと思っております。

 ただ、医薬品というのは、タミフルがそうでしたし、いろいろな意味で、この種の世界的な感染症の話なんかになると、いわゆる現実問題、その薬が買えないがためにどんどん死んでいくということになりますと、これは、いわゆる大衆の利益とか公衆衛生上とかさらなる被害とかいろいろなことがありますので、ちょっと正直に、これが答えというものがあれば苦労はないんですけれども、そこのバランス、知的財産権の保護、インセンティブの確保というものと、この公衆衛生上の問題というのと、二つのバランスのとり方が最も難しいところで、今、こういうのが答えだという確たるものを持っているわけではありません。

前原委員 ぜひ、ちょっと研究してください、国際機関で、今おっしゃったようなことを前提条件で。しかしながら、特にエイズというのは、アフリカ、アジアを含めて大変大きな問題になっていて、国際連携が必要だと。感染症についても、人間の安全保障という観点で、国連全体、国際社会で取り上げていこう、こういう問題になっているわけでありますので、そういった観点から、今おっしゃったようなことを踏まえて、ぜひ日本もイニシアチブを発揮していただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。

 木材協定についてでありますが、先ほど同僚議員から質問がありましたので、もうポイントを一点だけに絞って質問をいたします。

 このブラジル・アマゾンの違法伐採。バイオエタノール、エネルギーというもの、木を伐採してトウモロコシを植える、こういうようなことが起きているわけでありますけれども、そういった中で、いわゆる厚い雲で覆われているときにも衛星がしっかりと監視できて、そして違法伐採をしているかどうかというふうなものをチェックできる、そういった能力を日本は持っているわけでありまして、日本がそういう協力ができるのかどうなのかということについてお伺いをさせていただきたいと思います。

板谷政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の、雲が多いブラジルにおきましてのいわゆる森林伐採の状況の監視ということでございますけれども、これはまさに地球観測衛星の出番かと思っております。地球観測衛星は、観測手段といたしまして広域性や耐災害性を有しておりまして、地球観測を初めさまざまな分野で利用が可能でございます。

 独立行政法人宇宙航空研究開発機構、JAXAでございますが、ここは、昨年の一月二十四日に打ち上げました陸域観測技術衛星「だいち」でございますけれども、これが、初期機能確認を経まして、昨年の十月の二十四日から本格的な運用を行っているところでございます。

 この「だいち」でございますけれども、地図作成、そして地域の観測、災害状況の把握、そして資源探査、こういったことを目的としておりまして、さまざまな分野での利活用が、貢献が期待されているところでございます。

 先生御指摘のアマゾンの違法伐採につきましての件でございますけれども、この「だいち」により取得しました衛星データを過去に取得した衛星データと比較することによりまして、アマゾンの森林の伐採状況についても把握することが可能でございます。これが、いわゆる望遠鏡といいますか光学系で見ますと、雲があると下が見えなくなるわけでございますが、レーダーを搭載しておりますので、このレーダーによりまして雲があっても観測ができるということになります。

 こうした観点から、今、JAXAとブラジルの研究機関との間で、アマゾンの違法伐採の把握における「だいち」のデータの利用可能性について両者間で検討を行っているところでございます。

 私ども文部科学省、そしてJAXAといたしましては、今後とも、「だいち」の運用に万全を期し、このような問題の解決に貢献できる衛星データの提供に努めてまいりたいと思っております。

前原委員 ぜひそれを進めていただきまして、違法伐採防止のために日本が役立つということで、努力をしていただきたいと思います。

 山本副大臣、御答弁いただかなかったんですけれども、もうお聞きすることはないと思いますので、どうぞお帰りください。申しわけありませんでした。あとの副大臣は残っていただいて、お願いします。

 次に、朝鮮総連の本部の売却につきまして、幾つかお話を聞かせてもらいたいと思います。

 まず驚いたのは、元公安調査庁長官が、みずからペーパーカンパニーだと認めている、ペーパーカンパニーをつくって、みずからが調査をしていた対象の朝鮮総連の本部のいわゆる売却に加担をした。しかも、やり方というものが、お金が決済されていない。しかも、六月十八日の判決によって差し押さえが目の前に迫っている。こういう状況の中で、さまざまな憶測を呼んでいるわけでありますし、かなり根の深い問題ではないかと私は思っております。

 そこで、まず事実関係からお伺いしたいと思います。

 緒方元長官がお金の手当てを受けるというふうにおっしゃっていた、初めは複数だと言っていたけれども次になって一人だということを言っていた、このいわゆる出資予定者というのはだれですか。政府はだれと把握していますか。

北田政府参考人 お答え申し上げます。

 その点につきましては、今後鋭意調査を進めてまいりたい、このように考えております。(前原委員「わかっていないの」と呼ぶ)今後調査を行ってまいりたい……(前原委員「いや、わかっているのかわかっていないのかと言っているんですよ。新聞にはもう載っているでしょう、旧住専の大口の、いわゆる不動産会社の社長と」と呼ぶ)そういう報道があるのは承知しておりますけれども、その点も含めて公安調査庁といたしましては調査を行ってまいりたい、このように考えております。

前原委員 なぜこの人を聞くかということになると、出資の意図がなかったり金の工面ができないということになれば、これは仮装売買になるんですね、架空取引になるわけです。そしてこれは、いわゆる差し押さえを逃れるため、競売逃れになるという、大変な犯罪要件を構成することになるわけですよ。六月十八日ですよ。その人がわかっているかわかっていないかというのは一番大きなポイントじゃないですか。

 公安調査庁が調査できていないんだったら、警察はどうですか。だれですか。これは国会でしっかり言うべきでしょう。だって、六月十八日って、きょうは十五日ですよ。判決が出る、競売逃れと見られる、それがわかっていないということの方が大問題じゃないですか。

福島政府参考人 本件の民間会社への売却動向につきましては、東京地検の方におきまして捜査が今進められていると聞いております。

 我々といたしましても、朝鮮総連につきましては重大な関心を持っておりまして、その資産状況を含めて、その動向につきまして重大な関心を持って情報収集に努めているところでございます。このたびの事案につきましても、当然のことながら重大な関心を持っております。その過程で違法行為が確認された場合には、法と証拠に基づきまして厳正に対処してまいりたいと思っております。

 現在のところ、だれの資金であるのかということにつきましては、断言できる状況ではございません。

前原委員 捜査はされている、しかし、まだ事件として立件というか、逮捕者が出ているとか、そういう状況ではないわけですね。

 国政調査権といわゆる捜査の状況を含めて考えたときに、これは外交問題なんですよ、大変大きな外交問題。後で質問しますけれども、朝鮮総連本部というのはいわゆる北朝鮮の公館なのかどうなのか、そういったところも含めて。

 また、皆さん方お忘れになっているかもしれませんが、三、四年前に朝銀の破綻処理で幾ら税金が使われたのか。一兆三千億円余りの公的資金が使われて、しかもそれは、あのときは架空口座、架空融資、そして朝鮮総連に金が渡り、そして本国へ送金されていたということが明らかになっていたんですよ。つまりは、日本人の税金を使って北朝鮮に対する支援を行っているんですよ、そういう意味では。だから、六百二十八億円という極めて限られた額だけれども、いわゆるRCCに返却をしなさいという認定が行われるわけでしょう。つまり、外交問題なんです。

 そうすると、この人が問題なんですよ。本当に出資する意思があったのかどうなのか、お金があったのかどうなのか。あと三日間しかない。それを国会で議論していて、捜査中ですとか鋭意調べていますとか、そういう答弁しか出てこないというのは国政調査権に対する冒涜だと私は思いますよ。もう一度ちゃんと答えてください。

水野副大臣 個別の事案について、捜査が行われているのか行われていないのか、行われているとしてどういう段階なのかということは、やはり個別の事情でございますから、これは答弁を差し控えさせていただくとしか言いようがないわけでございます。

 もちろん、先生先ほど来御指摘のように、一般論として言えば、強制執行を免れる目的で財産を隠匿したり損壊したり仮装譲渡したり偽装の債務を負担したと認められる場合には、これは一般論として強制執行妨害罪が成立するということは刑法九十六条の二とかであり得るわけでございますけれども、個別の事案についての捜査状況についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

前原委員 外務大臣、閣僚の一人として、朝鮮総連を調査する対象にしていた公安調査庁長官であった人が、仮にこれが商取引として成立しても、ペーパーカンパニーをつくって駆け込み的にこういった取引に加担をするということは、政府として道義的に認めていいんですか。

麻生国務大臣 ちょっと済みません、もう一回言ってくれますか。

前原委員 ちゃんと聞いておいてください。

 朝鮮総連の調査をする公安調査庁のトップだった人が、やめて私人に戻ったといっても、ペーパーカンパニーをつくって、これは自分でペーパーカンパニーと言っているわけですよ。そして、売買決済がない取引というのは、いわゆる仲介した元日弁連会長の土屋弁護士も、百例中百例ないと言っている。本人も異例だとは言っているんですよ。そういったものを、仮に売買契約が成立したとしても、政府として道義的に許される話ですかということを言っているんです。

麻生国務大臣 極めて好ましくないですな。はっきりしています。公安調査庁のもとの立場から考えても、常識的には考えられない。

 しかも、多分、この土屋という弁護士さんですか、これは朝鮮総連の顧問弁護士だったと記憶しますけれども、この人と緒方は同級生、こういう話というのは大体そんなものでしょう、よく知りませんけれども。僕は、全然この話について詳しくは知りません。公安でもありませんし、いわゆる警察でもありませんし、法務省でもないので、全然この話の内容については知りませんけれども、もとの同級生から頼まれたとか、この種の話で、ちょっと現場から離れて感覚がずれたりなんかするとよく起きる話ではありますよ。

 しかし、もとの立場から考えたらどう考えてもふざけているというのが、今話を伺っただけの私の実感です。

前原委員 そこで、問題は両面あると思うんです。

 先ほど、大臣は聞いていただいたかどうかわかりませんが、朝銀の破綻処理に一兆四千億近くの公的資金が導入されたんです。つまりは、バブルがはじけていわゆる他の金融機関の不良債権処理と同じように公的資金が導入されたのももちろんあるけれども、朝銀の場合は極めて異例なものがあった。担保の限度額は普通の金融機関が融資をして、それから追い貸し、追加融資というのをどんどんやってわざと焦げつかせて、そしてその融資をしたお金というのは朝鮮総連に大部分が行っていた。そして、そこから北朝鮮に送金をされていた事実も明らかになっているわけですよ。つまりは、破綻処理した朝銀というのは、北朝鮮、朝鮮総連の財布がわりになっていた。

 こういうことで、私もあのときさまざまな脅迫じみたものもありましたけれども、この問題に取り組む中で、朝銀の再生に当たっては理事長も含めてしっかりと中立性が担保できるような形にしていかなくてはいけない。だって、在日の方々が、まじめな方々が商売していく中で、邦銀というか日本の金融機関で金を貸してくれないというのもあるわけですから、そういうものも必要だ。だけれども、今まで朝鮮総連や北朝鮮の私的な財布として使われていて、我々の貴重な税金が流用されていた。だから、これをどうバランスをとっていくかという問題にもこれはつながる問題なんです。

 それで、二つ伺います。

 一つは、朝鮮総連初め各都道府県に支部とかがありますよね、商工会とか。政府としてこういうものを公館と認めるんですか、どうなんですか。

麻生国務大臣 朝鮮総連本部を含めて、地方も含めまして、公館と認めたということはありません。

前原委員 公館と認めないのであれば、固定資産税は基本的には徴収すべきじゃないですか。

麻生国務大臣 そのとおりです。

前原委員 では、田村総務副大臣、この間総務省から伺った在日朝鮮総連関連施設、これを全国で百四十カ所挙げていただいております。取っていないところいっぱいありますよ。

 これは地方税法三百四十七条でしたか、これによって条例で決めるということを言っているんですが、しかし、今麻生大臣がおっしゃったように、これは外交の問題で、国としては公館とは認めないということであれば、地方に条例でゆだねるという三百四十七条の解釈でやるのではなくて、国として一律して、これは公館ではないんだから課税をすべきだという指導をすべきじゃないですか。

田村副大臣 今委員がおっしゃられましたとおり、地方税法におきまして、固定資産税等に関しまして、公益性の有無等を条例で定める要件に該当するか否か判断した上でということで、減免という措置を認めているといいますか、もともとこれは地方の権限でございますから、地方の権限という中においてそのような地方での判断があるということでございます。

 もし、おっしゃられますとおり、これを国の立場から何らか制約をかけるという話になれば、そういう部分、今までなかったですから、どういうような法的な手続をしなきゃいけないかわかりませんけれども、何らかの新たな対処、法的な対処も含めてしなければならないんだろう、このように思います。

前原委員 済みません、地方税法の三百六十七条でしたね。三百六十七条、固定資産税の減免ということ。

 これは、先ほど申し上げたように、各自治体に任す話じゃないんです。国として朝鮮総連関係の施設をどう扱うのか。先ほども大臣は明言された、公館ではありませんと。だったら、固定資産税の減免の対象にならないという総務省の考え方を通知すべきでしょう。

 もう一度答弁してください。

田村副大臣 今の、「地方税法、同法施行令、同法施行規則の改正等について(抜粋)」ということで、各都道府県知事あてに通知はさせていただいております。多分、委員御承知だと思うわけでありますけれども。この中で、「特に、朝鮮総連関連施設に対する固定資産税の減免措置については、最近の裁判事例において、減免対象資産の使用実態やその公益性判断が問題とされたものがあったことも踏まえ、減免対象資産の使用実態を的確に把握し、更に適正化に努めること。」こういうような通知は出しておりますが、最終的な判断は各市町村に任せておるという形になります。

前原委員 いや、それは先ほどいただきました。副大臣がおっしゃったお答えはいただきました。しかし、これをベースに平成十八年度でもまだ減免措置をやっているところがいっぱいあるんですよ、各都道府県で。徹底してください。要望します。

 もう質問時間が終わりましたので、二つだけ要望して、私の質問を終わりたいと思います。

 一つは、先ほどの朝銀の役員というものを、徹底的に朝鮮総連関係の人間を排除するということで、国会で私も当時しつこく質問しましたけれども、そういうことが、政府からは、それは厳格に運用するということが言われましたけれども、どうやらそういった原則が崩れ始めている。この点についてしっかりと把握をしていただきたい。これが一つ。

 もう一つは、委員長に要望しますけれども、先ほどの国政調査権との絡みでいえば、捜査が進んでいるけれども、これは大事な外交問題、BDAの問題とか六者協議にかかわる問題。ですから、我々としてもしっかりこの背景が知りたい。そういう意味では、緒方元公安調査庁長官を外務委員会として参考人招致していただきたいと思いますが、いかがですか。

小野寺委員長代理 理事会にて協議いたします。

前原委員 お取り計らいをお願いいたします。

 終わります。

小野寺委員長代理 これにて前原誠司君の質疑は終了しました。

 次に、笹木竜三君。

笹木委員 民主党の笹木竜三です。

 質問を始めます。

 先ほど他の委員も取り上げていました、拉致問題とか北朝鮮にかかわることをまずちょっと確認したいわけですが、例えばよど号の乗っ取り犯に北朝鮮で合流した小川淳こと赤木邦弥氏ですね、六月五日に帰国をして、関空で旅券法違反で逮捕されたと書いてありますが、この小川淳氏に対しては、旅券法のみによる逮捕ですか、それ以外による法の適用は全くないということですね。確認をしたいんですが。

福島政府参考人 六月五日帰国した赤木邦弥を旅券法違反で逮捕しておるところでございまして、現在捜査中でございます。

 今後の具体的な捜査方針についてお答えすることは差し控えたいと思いますが、現時点においては、今般の逮捕の容疑であります旅券法違反、指定地域外渡航について、必要な証拠を得るための捜査を鋭意進めているところでございます。

 また、本人の逮捕容疑であります旅券法違反を含め、よど号グループが関与する事件の全容解明のため取り調べを行っているところでございますが、その状況につきましては、お答えは差し控えたいと存じます。

笹木委員 あと、その取り調べの内容、具体的な内容については結構ですが、例えば拉致の状況について、北朝鮮の状況について、この方から具体的に取り調べをして情報を得ているのかどうか、その確認をさせてください。

福島政府参考人 一般的に申しまして、こういった拉致問題について知っていると思われる方々につきましては、幅広く例外なく聞こうとしているところでございます。

 ただ、具体的にだれから聞いたのか、または聞いていないのかということにつきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

笹木委員 このことについては、いろいろなことが報道もされているしうわさもされているわけですが、本人が協力姿勢じゃない場合には旅券法での逮捕にしかならないわけですから、本人が協力姿勢じゃない場合にはほとんど情報は得られないということもあり得るわけですね。

福島政府参考人 おっしゃるとおりでございます。

笹木委員 それと、これまでよど号の犯人の二人を逮捕し、またその妻五名についても旅券法違反で逮捕している。このよど号犯人の二人、あるいはその妻五名についてはどうですか。今お聞きしたのと同じような事情でしょうか。

福島政府参考人 再度の繰り返しになって恐縮でございますけれども、我々といたしましては、拉致について何らかの事情を知っていると思われる方につきまして、幅広く事情を聴取しているところでございます。

 非常に重大な関心を持ってやっているところでございますけれども、どんな人間からやっているのか、またそういったことができなかったのか等につきましては、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

笹木委員 いや、だから確認したのは、協力的じゃなければ情報は得られないことは当然あるということですよね。協力的であれば情報は得られるかもしれないけれども、一般的にはそういうことになりますね。

 では次に、大体年間に、我が国への脱北者が百五十名に上るとされていますが、こういう方々に対して、もちろん生活に対する支援、これは支援法でしている、こうしたことも一方では大事でしょうけれども、これも具体的な情報はいいですが、例えばこの中で、可能性として、工作活動をしている可能性が高いと思われる方については、当然マークはされているわけですよね。

福島政府参考人 北朝鮮による拉致容疑事案の全容解明には、今おっしゃいました、脱北者からの情報も十分参考にすべきと考えておりまして、警察といたしましては、関係各機関との情報交換を含めまして、さまざまな情報収集活動を行っているところでございます。

 なお、これまでのところ、こういった脱北者の方々からは、警察におきましては、拉致問題の進展に資する具体的な情報は得ておりません。

笹木委員 では、既に国内にいて活動していると言われる、工作員だろうと言われているような方、当然そういう方々はマークをされているんだろうと思いますが、そういう方々についても、具体的には、相手が協力姿勢でなければ情報を得ることは非常に限界がある、これも間違いありませんよね。確認させてください。

福島政府参考人 そのとおりでございます。

笹木委員 ここで大臣に確認をさせてほしいんですが、今言った我が国に対する脱北者、年間、百五十名ほど、あるいは既に国内にいる工作員の可能性が高いのではないかと思われる方々、そういう方に対してもちろんマークはしているんだけれども、例えば拉致問題一つについても、事情聴取とか情報を得ることは非常に限界があるということです。

 もちろん本人のプライバシーの問題もあるし、あるいは、こちらでいろいろ供述したことによって北朝鮮との関係でいろいろなことを心配する本人の事情も当然ある、いろいろあると思いますが、しかし、これだけ拉致のことについて、日本にとっては死活的な問題だといって外交的にも常に訴えをし、働きかけもし、国内で、例えば工作員の可能性が高いと思われる方に対して今のままの現状でいいのか。情報を得ることが余りにも壁があり過ぎるというか限界があり過ぎる。

 何か新しい枠組みで、カウンターインテリジェンスというんですか、そうしたことも含めて、プライバシーの問題とかよく考えながらじゃないといけませんが、そうした取り組みについて今後必要があるとお考えかどうか、この点を確認させてください。

麻生国務大臣 それは、今後拉致が起きないという保証はありませんので、そういった意味で、犯罪を未然に防ぐ等々の観点を含めて、警察もしくは調査庁、公安とか内調とかいろいろありますけれども、そういったものを含めましていろいろな調査は非常に必要なものだと思っております。相手に手のうちを明かすみたいなことはとてもできるはずもありませんので、いろいろやっておるけれども、国会の答弁でそれを答えるというようなのはとても公安には向かない人だと思いますので、そういった形の話はできませんけれども、こういったものは、予防という意味からいきますと極めて重大なものだ、大事なものだと私は思っております。

笹木委員 いや、細かい内容をここでお答えいただきたいとかという話じゃなくて、現在の体制では、例えば今言った情報収集という面で非常にやはり不備だと思うんです。あと、新たな枠組みというか法律とか、そうしたことも含めてやはり考えるときじゃないかということをお聞きしているわけですが、今の体制で十分だと思われるということですか。

麻生国務大臣 これはなかなか難しいところでして、いろいろ権限をふやすと、これは極端な例ですけれども、昔でいうと特高みたいな、警察国家みたいなことになるおそれとか、いろいろなことを考えて、バランスが難しいところだと思います。

 ただ、今の状況でいいのかと言われると、プライバシーの保護とかいうような話が出てきて、昔よりもっと調査が難しくなりつつあることは確かだと思っております。それは個人情報保護という点において大事なところもありますよ。しかし、今言ったような、一億二千七百万全員が善人というわけにはいきませんので、そういうところに他国からもいろいろな諜報、謀略、いろいろなものが入ってくるという前提に立ちますと、そういったものに対していろいろな予防をするためにどういう法律をもっとしておかないと不備という点になるかということに関して、ちょっと私、細目わかっているわけではありませんけれども、今の上でどうしてもというところが今後出てくるのであれば、当然それに対応すべきというのが立法府の立場だろうと存じます。

笹木委員 先ほど言ったように、人権の問題とかプライバシーの問題とかいろいろ慎重に考えて取り組まないといけないと思いますが、やはり現状では不備だ、これは間違いがないと思います。ですから、私なんかも別に党派を超えてそうした取り組みが必要だと思っていますので、また別の機会にやりたいと思います。

 この条約のことについても確認をしたいんですが、二千六年の国際熱帯木材協定の締結について承認を求めるの件ですけれども、まず最初に、違法に伐採されたものが国内に入っている量ということで、我が国は世界の中で何番目ですか。

石島政府参考人 御指摘の違法伐採されております輸入材の量でございますけれども、現実に貿易が行われている段階におきましては、合法な材なのか違法な材なのかを区別することはなかなか難しくなっているのが現状でございます。

笹木委員 そっけない答弁でしたが、一般的に言われているのは、一位が中国、二位が日本、三位が英国だと言われているわけでしょう。言われているわけですから、多いのは間違いないですよね。

 ここでお聞きしたいんですが、それで今回のこの条約の必要性もということだと思います、ただ、一つは、グリーン購入法で、例えば公共調達について合法性の証明方法については、国際的な森林認証制度が一つある。それ以外で、業界団体が指定した者による証明の方法と事業者みずからによる証明の方法と、三つあるわけですね。

 今回、もちろん一歩前進なんだと思いますが、はっきり言ってこの二番目と三番目は、今後ともかなり穴抜けが多いんじゃないですか、可能性が高いんじゃないですか。大臣、どう思われますか。

麻生国務大臣 現場で全部調べているわけじゃないので何とも言えませんけれども、違法と言われるものが、少なくとも、ブラジルあたりで大体毎年四国分ぐらい減っているとか、インドネシアで大体関東平野分ぐらい減っている、先ほどの科技庁のサテライトの話ですけれども、そういうのを見ているとという話をしていると、結論は、炭酸ガスから酸素にまた循環させているという機能が落ちている。これは、地球温暖化にとりましても、こっちを減らすのもそうですけれども、再生する機能が落ちているということを考えますと、これはもっと真剣に取り組まれてしかるべき問題なんだ、私自身はそう思っております。

 いずれにしても、調査するとか証明するというのは、先ほど最初に御答弁を申し上げましたが、そこらのところが難しいので、今回確かに一歩前進なんですけれども、これで完璧かと言われると、なかなかさようなわけにいかないんだと存じます。

笹木委員 今言った世界の中で一位が中国、二位が日本、三位が英国というのもありますが、もう一つ言うと、例えば、我が国に輸入されているインドネシアからの木材の半分ぐらいが違法じゃないか、これも一般的にはよく言われることですね。だから、そんな状態で偉そうにサミットで温暖化防止のリーダーシップをとるんだとか言っても、いまいち説得力がないんじゃないかと思うわけです。

 ぜひここで確認したいんですが、例えば、EUがすべていいとは言いませんけれども、そちらでやっているように、二国間協定、日本の場合だとマレーシア、インドネシア、ロシアとかになるんですか、こういうところと二国間協定を結んで、そしてさっき言った業界団体とか事業者みずからに任せる方法はなるべく早く少なくしていって、国際的な森林認証制度に基づくもので、要は相手国の生産までトレースできるような、そうした体制を輸出国と我が国の二国間でつくっていく、これがやはり求められていることだと思います。こうした取り組みについても、温暖化防止についてリーダーシップを発揮するというのであれば、今大臣が言われたように、一方で酸素の供給量を減らしているわけですから、もっと言えば、この問題は昔から、熱帯林の問題ということでもう二十年前、三十年前から言われていますよね。消費者の行動パターンに問題もあったのかもしれません。

 しかし、それにしてもいまだにこんな状態なのかということで、今回一歩前進だとは思いますけれども、今言った二国間での協定を結んでいくことも含めてぜひ早く取り組むべきだと思いますが、大臣の御意見を聞かせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは基本的に林野庁の話なんだと思いますが、今言われましたように、日本の場合は、インドネシア、それから多分ブラジル、ロシア等々、森林生産国との関係というのが先生御指摘の部分に該当する国なんだと思いますけれども、相手国との話は、生産してどうしても出したい方もありますのでなかなか難しいところではあるんですが、ただ、これは違法なんだからという話で、少なくともそれをきちんと、伐採してもいい、そのかわり確実に植林しろと。その植林の手を抜くから問題なんであって、植林をすれば何十年に一遍でサーキュレーションしていきますので、そういった点に関してはこちらの植林の技術というのがありますので、そういったものもきちんとやれるからというような話だと思っております。

 いずれにしても、交渉が始まったばかりではありますけれども、この種の話は今後詰めていく大事なところだとは思っております。

笹木委員 ぜひ、今言った二国間での協定を結ぶことを含めて、早く取り組んでいくべきだと思います。

 もっと言いますと、外材が入り過ぎて、しかも今言った違法に伐採された外材がたくさん入り過ぎて、国内の森林というのは非常に荒れているわけですね、価格差があり過ぎて。こういったことをしっかりやっていけば、違法伐採の輸入を減らしていけば、価格面その他、最近よくなっているのはよく聞いておりますが、もっと国内と輸入材とのいろいろなギャップも減っていく可能性がある、そうすれば国内での森林保護ということもさらにいろいろな可能性が出てくると思うわけで、ぜひ取り組みをお願いしたいと思います。

 それと、もう一つの知的所有権の議定書の問題です。

 LDC、後発開発途上国以外の加盟国でも、輸入する医薬品の生産能力が不十分またはない国ということをみずから立証すれば輸入が可能になるという話です。例えば問題になっているのが、タイにおいて、HIV関連の薬について、それが結果的にはコピーされたり違法につくられたりということでアメリカとの間で問題になったりしておりますが、製造能力の有無についての判断は自己申告によるものということになっている。

 その他の加盟国がこの資格にちょっと疑問だぞ、問題じゃないかという場合にはどのような措置をとることができるんですか。事務局の方でお答えいただきたいと思います。

草賀政府参考人 お答えいたします。

 TRIPs協定の改正議定書上は、まさに委員おっしゃるとおり、後発開発途上国、LDCにつきましては生産能力を問われることなく輸入資格があるということになるわけでございますが、それ以外の加盟国の場合には、おっしゃったとおり、関係する医薬品を生産する能力が国内に十分あるかどうか、あるいは生産能力が全くないかどうか、こういうことをTRIPs理事会に対して通告する、そしてその中でみずから立証する、こういうことになってございます。

 どう立証するかということでございますが、そこはまさに、その二点についてみずから認定したりあるいは立証するということ、どちらかの方法をとるということになってございまして、TRIPs理事会においてそれを検討していく、こういうことになってございます。

 したがいまして、もし御指摘のような疑義が生じたような場合でございましたら、これはTRIPs理事会において問題が提起されて議論を行うということになりますし、あるいは、一加盟国がほかの加盟国の行為につきましてこのTRIPs協定とかあるいは議定書に違反すると判断する場合には、通常のWTO協定の紛争処理手続を利用するということもあると考えてございます。

笹木委員 多分アメリカほど開発費をめちゃくちゃ投入しているわけじゃないと思いますが、そうはいっても、日本の医薬品とこうした中進国とか途上国との間での問題、その結果コピーされた、こういう問題は今後やはり起こってくる問題ではあると思います。ここは、備えておく、もう少しいろいろ詰めて議論しておく必要があるのかな、このことだけ指摘しておきます。

 関連で、新型インフルエンザについて、タミフルについて確認をしたいんですけれども、これは一般的に言われていることですが、アメリカは備蓄量八千万人分と言われている。スイスは国民全員用で備蓄がされているという。日本も大分頑張っているんだけれども、二千万人分でしたか三千万人分でしたか、まだまだ足りないわけですね。

 そこで確認をしたいんですが、日本の場合には、新型インフルエンザ、今に来るだろう、必ず来ると言われていますが、今、これじゃない普通のインフルエンザにもタミフルが使われている。こんな使い方をしている国が今言ったアメリカとかスイスを含めてありますか。これも事務局の方に確認したいと思います。

黒川政府参考人 お答え申し上げます。

 タミフルにつきましては、インフルエンザの治療薬として、これは国によってその使い方は異なりますけれども、幾つかの国においてインフルエンザの治療薬として使われているものと承知しております。

笹木委員 いや、一応確認しましたが、今聞いたアメリカとかスイスの場合には、いわゆる普通のインフルエンザについてタミフルを使ったりはほとんどしていないですよ。その一方で日本は、備蓄量は少ない、今あるインフルエンザにも使っている。

 ちょっとこれは、事の重大さを比較すると、実際に新型インフルエンザ、専門家はこう言いますよね、新型インフルエンザと言うと大したことないみたいに思うから、あれは家禽性ペストと言わないといけない、この強毒性で人にもうつるものが蔓延してきた場合にはそのぐらい深刻なものになるんだ、しかも、今は飛行機がありますからその蔓延するスピードもめちゃくちゃ速いはずだと。これに対する備えというのは普通の風邪に対するものとはもう雲泥の差があるはずで、備蓄量が足りない、しかし普通のインフルエンザにもタミフルを使っている、これはどう考えてもちょっと矛盾しているというか認識がずれているんじゃないかと思います。ぜひこのことを御検討を。

 これは担当大臣じゃないので事務局の方にも確認したいんですが、やはり、いつかはわからないけれども必ず来ると言われている新型インフルエンザ、家禽性ペストに対してタミフルは備えて、備蓄をしっかりと人口分はするということが必要だと思います。

 あわせて、その場合に、今言った飛行機で物すごいスピードで蔓延することになるわけですが、一九一八年、スペイン風邪のときに国内で死者が三十九万人だったんですね。世界じゅうで四千万人から五千万人の死者だった。しかし、スペイン風邪でも弱毒性だった。今度来るであろうものは強毒性だ、家禽由来ペストと呼ばないといけないと専門家は言っているわけです。

 これに対するマニュアルはようやくつくりつつあるようですが、担当大臣として、今既にアジアで数百万人その可能性があるという方がいるわけです。もしそうなった場合には、外国から日本への渡航も含めてかなり速いスピードで対応をとらないといけないと思いますが、そうした体制は一応組まれているのかどうか、どうなんでしょうか。その点だけぜひ確認をさせてください。

宮坂政府参考人 新型インフルエンザについての御質問でございますが、今先生おっしゃいましたように、新型インフルエンザ、今回いろいろと言われておりますH5N1につきましては、今まで人類にとっては未知の疾病、感染症でございます。

 それゆえに、今るる御指摘ございましたが、ワクチンとか抗インフルエンザウイルス薬、具体的にはタミフルでございますけれども、そういったものの備蓄なり開発、発生時に向けた医療提供体制、それから、今御指摘ございましたが、諸外国で発生した場合、水際でいかにその感染をせきとめるかというような検疫体制の強化ということにつきまして、おととしになりますけれども、行動計画というのを立てまして、政府一丸となってこの問題に対処しているという状況であります。

笹木委員 大臣、もう時間になりましたので、最後に、今言った、もしそういうことが発生した場合には、スペイン風邪のときなんか問題じゃない物すごいスピードで世界じゅうに蔓延する可能性が高いわけで、渡航とかいろいろな問題もあると思いますが、そうした体制をしっかりとってください。

麻生国務大臣 今スペイン風邪の話を例に引かれましたけれども、あのころとはもう全然時代が違っていますし、広まるスピードが断然強いので、渡航の禁止から何から、外務省としてやれることはいろいろあろうと思います。情報が先に入ってきた段階でばっと、そのやり方はいろいろあろうと思いますが、今、厚生省、たしかこれは内閣府でいろいろやっていたと思いますけれども、この種の話は、当然のこととして、対応を急いでやらねばならぬというところで、それではみんな集まっていただいてというような種類の話とは思いません。

笹木委員 質問を終わります。

小野寺委員長代理 これにて笹木竜三君の質疑は終了しました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 本日の案件である三条約の締結については賛成であります。

 国際熱帯木材協定の関連で、持続可能な開発の前提となる地球環境面の問題から一問、ハイリゲンダムで開かれた主要八カ国首脳会議でテーマになった地球温暖化対策について、麻生大臣に質問をしておきたいと思います。

 今回のサミット宣言で、二〇一三年以降のポスト京都議定書の温室効果ガス削減に向けて、米国を含む主要排出国が国連の議論で〇九年までに合意を目指すことで一致したことは、私、一つの前進として評価をしたいと思います。

 その上で、米国が数値目標を拒否したために、二〇五〇年までの温室効果ガス半減について、真剣に検討するということにとどまって、いつから半減するのかという基準年も明記されなかったわけで、これは実効性の点で大きな課題を残したと言わなければいけないと思います。

 大臣は、来年の洞爺湖サミットに向けて、そういう中で日本政府としてどのような取り組みが必要だとお考えでしょうか。伺いたいと思います。

麻生国務大臣 笠井先生おっしゃるように、これは一歩前進であることは間違いないと思っております。

 私がこの中で一歩前進だなと思っておりますのは、このサミットが終わった後の記者会見というのが、CNN、BBC、いろいろやっていましたけれども、この中で入れられた言葉で、我々は、二〇五〇年までに地球規模での排出を少なくとも半減させることを含む、EU、カナダ及び日本による決定を真剣に検討するというところに、日本とEUとカナダの名前が載ったことです。

 これによって、EUの国々の代表、すなわち総理とか大統領とか、またカナダ、それぞれ、これはおれたちがやったといって、みんな記者発表を自分でやったわけです。だから、あれを見ながら、もとは日本なんじゃないかと我々は正直思いましたよ。しかし、みんなにおれの案だと思わせたところが、みそです。私は、最大の成果は、ここが一番大きかったと思っております。自分たちでやったと本当に思っていますから。だから、ではやってもらおうという話が言いやすくなったのが一点です。

 それから、アメリカにつきましては、これはかなり時間がかかりました。昨年から取りかかっておりますので、もう一年弱かかったんだと思いますが、この案に主要排出国であるアメリカ、インド、カナダというところを入ってこさせるための枠組みというのが問題で、もともと、乗ってこなければこれはなくなりますので、G8では結論、何にもできなかったという結果であります。

 とにかくアメリカだけは入れなければいかぬというのが我々の最大の眼目でしたので、アメリカが乗ってくれるところに関しては、数字は一つでも入れたら絶対だめというのを、とにかく、五〇、五〇というんですけれども、二〇五〇年に五〇%。ではいつから五〇%だ、今からか、一九九〇年か、二〇〇〇年からかとか、いろいろ言い方がありますので、そこらのところも、入れた途端に、これはまたEUの中でごちゃごちゃになりますので、とにかく大枠だけまずはつくって入れて、それから少しずつ少しずつ現実的な話をしていこうという形にした、これが二つ目の成果だったと思っております。

 最後に、日本としてやった案というのは、これはもう笠井先生御存じのように、EUの案というのは、おれがこのやり方をするからおまえら皆ついてこいというのがやり方ですけれども、日本の場合は、いや、そんなこと言ったって、貧しい国々で今から電気を起こしてなんというところは、一番効率の悪い火力発電所なんかつくられたらたまらないから、とにかく、おまえ、技術も教える何も教えるから、その機械じゃなくてこっちの機械の方、物すごくCO2の排出が少ないものを買え、こっちを使え、技術がない、おれたちが教えるというようなやり方をしないと実効性が上がりませんからというのが、日本案。

 したがって、これに低開発国、発展途上国が乗ってきたというところなんだと思います。実にいろいろなものを今から一年かかってやっていかなければいかぬところだと思っておりますけれども、少なくともやっと一歩踏み出せたというところが今回の最大の成果だったと私どもとしては思っております。

 これからの話は、もう御指摘のとおり、全部言われたとおり、今からの問題というのはいっぱいございます。

笠井委員 来年のサミットに向けて、そして京都議定書の議長国でもあるわけで、その日本の役割はとりわけ大きい。そして、アメリカの関係、言われましたが、やはりアメリカに対してきちっと日本が物を言っていく、そして全体合意するような形でやるというのが大事だと思っております。

 本日は、残された時間について、前回の委員会で照屋委員が取り上げた、沖縄県の与那国の港への米軍艦船寄港の問題に関連して、米軍艦船の民間港湾の利用について質問をしたいと思います。

 今回、在日米軍が五日の日に、海上保安庁を通じて、掃海艦二隻が沖縄県の与那国の港に寄港することを正式に通告してきたわけであります。地位協定の五条に基づくもので、目的は友好親善、そして休養ということであります。

 与那国への入港計画は復帰後初めてであります。沖縄は米軍基地があるがゆえに多くの苦難を強いられている上に、米軍基地のない離島のどこにでも地位協定を盾に寄港ができるなどというのは、私は、全島を基地化する道であって、負担軽減への逆行だというふうに思います。

 今日、米軍艦船の民間港への寄港は与那国だけの問題ではありません。

 そこで、改めて外務省に確認しますけれども、最近の五年間、二〇〇二年から二〇〇七年、今日時点ですが、米軍艦船が入港した民間港湾の港湾数と寄港回数、寄港艦の隻数を各年ごとに端的に報告をお願いしたいと思います。

    〔小野寺委員長代理退席、委員長着席〕

西宮政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇二年、平成十四年でございますが、寄港先港湾数九カ所、寄港回数十一回、延べ隻数十四隻。二〇〇三年、平成十五年、港湾数十二カ所、寄港回数十六回、延べ隻数十八隻。二〇〇四年、平成十六年でございますが、港湾数十三カ所、寄港回数十四回、延べ隻数十八隻。二〇〇五年、平成十七年、港湾数十三カ所、寄港回数十六回、延べ隻数十七隻。二〇〇六年、平成十八年、港湾数十九カ所、寄港回数二十五回、延べ隻数二十八隻。二〇〇七年、平成十九年、本年でございますが、五月末時点で港湾数十三カ所、寄港回数十三回、延べ隻数十四隻というふうになっております。

笠井委員 九十五回、延べ百九隻ということになりますし、今数字ありましたけれども、二〇〇二年から二〇〇五年まで、年間十カ所前後、それから十回から十五回、十数隻の範囲だったわけですが、これが二〇〇六年には、ほぼ倍の十九港湾、二十五回、三十隻近くに急上昇して、ことしもまだ半分ですけれどもハイペースになっている。いずれも友好親善、休養などが目的とされていると思います。

 しかも、五年間に寄港した港湾を見てみますと、回数が多いところもありますが、これまで寄港が一度もなかった港湾がある。与那国には復帰後初めて入ろうという計画でありますけれども、本土でも、この五年間のうち一回だけ入ったというところが、石狩湾の新港、青森、北金ケ沢、秋田、酒田、宿毛湾ということで数えることができると思います。

 これらのうち、米軍艦船がこれまで来なかった、史上初めて寄港したという港湾、その名前だけを端的に言ってください。

西宮政府参考人 御指摘の米艦船の寄港については我々も承知しておりますが、これらの港におけるさらなる過去の米艦船の寄港実績があったか否かにつきましては、外務省においては平成十三年以前の入港に関する資料がございませんで、確たることは申し上げられませんが、御指摘の寄港実績のうち、平成十七年の酒田港、平成十八年の宿毛湾港、そして、ことし二月の石狩湾新港に寄港した米艦船は初めての寄港であったという報道がなされておるものと承知しております。

笠井委員 資料まで消さないでほしいんですけれども。二〇〇五年を境に、二〇〇六年、七年にかけて、港湾数も寄港回数も倍近くにふえた上に、今ありましたが、これまで入港していなかったような民間港にも入り始めている。石狩湾新港、酒田、宿毛湾ということだと思うんですが、まさに二〇〇五年十月の2プラス2というのがありました。そこでは「日米同盟 未来のための変革と再編」の合意があったわけですが、それが画期となっているというふうにこの数字上見ることができると思うんです。

 あの合意では、二国間の安全保障、防衛協力の拡大ということで、「港湾・空港、道路、水域・空域及び周波数帯の使用」ということも具体例として掲げられております。さらに「計画検討作業の進展」の項では、一九九七年の日米防衛協力のための指針で確認された共同作戦計画及び相互協力計画の検討を進めることの重要性を確認した上で、具体性の追加、関係当局及び地方当局との緊密な調整、一般及び自衛隊の飛行場及び港湾の詳細な調査等を通じて、検討作業を拡大することを合意しております。

 この合意以降の米軍艦船の民間港への寄港の拡大というのは、こうした2プラス2の合意事項の具体化として行われているということじゃないんでしょうか。いかがですか。

岩屋副大臣 先生の問題意識はお話を聞いていて理解をいたしましたけれども、米軍は、あくまでも日米安保の目的達成のために、そのときの我が国を取り巻く安全保障環境を踏まえつつ、我が国周辺で艦船の運用を行っているわけでございまして、このたびのような寄港も、あくまでも補給、乗組員の休養、友好親善の目的のためと私どもは理解をしております。

 先生おっしゃる2プラス2に基づく一般及び自衛隊の飛行場及び港湾の詳細な調査を実施するというのは、また別の作業でございまして、このたびの寄港が計画検討作業にかかわるものという御指摘は当たらないということでございます。

笠井委員 また別の作業というふうに言われましたが、日米の共同作戦計画については、昨年十一月にその検討を行う関係省庁局長等会議が官邸で開かれて、十二月には日米の制服組による共同計画検討委員会、BPCも四年ぶりに開かれている。ことしの秋までにその改定作業を完了させる予定だともされておりますけれども、では、これらの中で、2プラス2の合意で確認された一般及び自衛隊の飛行場及び港湾の詳細な調査というのは、別な方法で、別な形と言われましたが、どんな方法でやっているんですか。

西宮政府参考人 計画検討作業におきます空港、港湾調査の具体的内容、進捗状況については、これらが緊急事態における我が国及び米国の対応ぶりにかかわるものでございますから、事柄の性格上お答えを差し控えたいと思います。

笠井委員 別な方法だけれども言えないというわけですよ。

 では、五条入港、つまり米軍の休養、補給などの米軍の運用上の理由によるものとして入港した民間港の経験を、結果として蓄積をして、その港湾の詳細な調査に生かすということはあるんですか。

西宮政府参考人 米軍の運用の詳細について、我々、知る立場でございませんけれども、あくまでも、こうした日米安保条約の目的達成のために、安全保障環境を踏まえて艦船の運用を行っている。その一環としての寄港であり、友好親善、補給、休養その他の目的で入港しているということでございます。

笠井委員 では、そうやって入ったときの経験、あるいはこの港はこういう状況だということについては、その検討作業の中で、詳細な調査の中では生かさないというふうにはっきり言えますか。

西宮政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、計画検討作業につきましては、緊急事態における対応ぶりにかかわるものでございますから、その作業内容につきましては、事柄の性質上お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

笠井委員 かつて、一九九七年九月に、参議院の決算委員会で我が党の緒方議員がアメリカ海軍の公式文書を取り上げたことがあります。この中では、米軍艦船が友好親善の名目で入港した民間港湾について、船長へのアンケートということで十八ページに及ぶ五百項目の調査項目を挙げています。

 港湾の位置と状態、灯台の位置、水先案内人の調達方法、英語の能力、ドック、桟橋、停泊場所の良否、水深、燃料の調達方法、修理施設、能力、こういうことも含めていっぱいある。さらには、クラブ、バー、レストラン、ホテルの状態と値段、そして、非合法薬物の有無、買春等、そして、しかも現地での寄港反対運動の状況などまで、こういう項目があって、それを出港までに書き終えるように義務づけて、寄港のためにいつでも使用可能となるように最新のものに更新することが艦長の任務とされていたわけであります。

 当時、この問題を追及したら、政府は、官房長官が答弁して、こういうことを調べることは問題ないというふうに言われました。米軍の調査活動を容認する態度をとったということであります。

 麻生大臣、今のやりとりを聞いていらっしゃったと思うんですが、安保の目的達成だ、地位協定に基づく運用という名目でこうやって次から次へと米軍艦船が日本各地の民間港に入っていって、結果としていろいろなことを調べたり経験する、その蓄積を港湾の詳細な調査に生かしていくということは否定しないわけですね。

 日本国内には百二十の開港があって、それ以外にも都道府県管理が六百六あります。その中で、米軍にとって使い勝手のいいところは、いろいろな名目で入っていきながら、結局歯どめなくいつでも寄港できるということになってしまうんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 まず、大前提として、日米安全保障条約に基づいて米軍艦船は港に入れるというのがまず第一。

 それから、有事法制に基づいて、現実問題として、私どもは国民保護法制等々いろいろなものを成立させていただきましたものですから、それに基づいて、一たん緩急あった場合にはどうやって対応するかというのをいろいろ具体的に詰めていかれるようになった。

 その中の一つとして、いざというときに、朝鮮半島等々でいろいろあったときに、どのような港には艦船、船底、喫水が何メーター、この港だったら六メーター、こっちだったら三・何メーター、みんな地域によってきちんと、実際、もらった地図と今はかったところの違い等々は、きちんと対応しておかない限りはいざというときに役に立たないというのは当然ですから、日米安全保障条約に基づいて日本を守る立場の義務を負っているアメリカとして、それを有効活用するためにはきちんと調べるということに何の不都合もないと存じます。

笠井委員 安保のためには不都合がないと言われますが、米軍再編でも議論しましたけれども、結局、そうやって世界各地に出かけていくというところに日本が使われるという問題であります。そして、安保がある、地位協定五条があるということで、結局アメリカ任せの言いなりの仕組みになっている、この問題でも。そういう中でやはり外務省は、適切な運用だからという形で、沖縄にも各地にもアメリカの説明をそういう形で説得する。これはちょっと待てよという話をアメリカに言うことはないわけです。

 しかも、最後に一言で申し上げますが、私は一九九九年に参議院の質疑で港湾法に触れて言ったことがあります。もともと港湾法ができたのは、占領下で軍港化されていたものを返還して民間に戻そう、やはり港湾管理を民主化するということで、そういう流れの中でやったという立法趣旨は明確であります。そういう中で、今また米軍艦船の民間港への入港を拡大するということになりますと、戦後レジームからの脱却かもしれませんが、それこそ時代逆行だということを申し上げて、質問を終わります。

山口委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 きょうは、二千六年の国際熱帯木材協定との関連で質問いたします。

 最初に、国際熱帯木材機関、ITTOはどのような機関で、活動内容や現在実施をしているプロジェクトはどのようなものか、また、抱えている課題について、外務省にお尋ねします。

大江政府参考人 まず、ITTOの活動でございますけれども、ITTOは、熱帯林の持続可能な経営の促進及び熱帯木材貿易の発展を目的として、熱帯木材の生産国と消費国との間の協議を通じて、持続可能な熱帯林経営のための基準をつくったり手引をつくったりしております。また、その普及のためのワークショップを開催したり、調査団を派遣、成果物の出版などの活動を行っているところでございます。

 また、ITTOは、加盟国の要請に基づいて行われる個別のプロジェクトとして、熱帯林の復旧、造林技術の開発及び普及、林業関係者や税関職員に対する訓練を通じた違法伐採対策の強化、熱帯木材に関する市場情報の提供と統計の整備、市場の透明性の向上、効率的な木材加工技術の普及、森林に依存する地域住民の収入増加支援というようなことをやっております。

 それで、ではどのような課題を今抱えているかということでございますけれども、熱帯木材生産国においての法整備の不備、それから無秩序な開墾や違法伐採の存在、行政機関の実施能力の不足、そういうふうな困難を克服して、いかにして熱帯林の持続可能な経営を促進していくかということが課題でございます。そのために、ITTOとしては、木材生産国に対する能力強化支援や技術移転等といった活動に加えて、違法伐採対策のさらなる推進に努力してまいりたいと思っております。

照屋委員 次に、NGO組織である国際マングローブ生態系協会、ISMEについて尋ねます。

 現在、個人会員、団体会員は何名でしょうか。

大江政府参考人 国際マングローブ生態系協会には、現在八十八の国と地域から約九百五十人の個人会員と三十四の団体会員が加入していると聞いております。

照屋委員 国際熱帯木材機関と国際マングローブ生態系協会との関係はどうなっているでしょうか。外務省に尋ねます。

大江政府参考人 先ほど申し上げましたマングローブについての専門的な知見を有している国際マングローブ生態系協会とITTOは、例えばマングローブの持続可能な管理のための二〇〇二年から二〇〇六年の行動計画を共同して策定するといったふうに、お互いに協力しつつ、マングローブの保全及び持続可能な利用等を図れるように努めております。また、ITTOはこれまで、マングローブ生態系協会が実施する九件のマングローブプロジェクトに対して資金協力も行っております。

照屋委員 JICAの持続可能なマングローブ生態系管理の技術研修の現状について、JICAから説明を伺いたいと思います。

黒木参考人 JICAは、平成七年度から、沖縄国際センターにおきまして、国際マングローブ生態系協会の御協力を得まして、マングローブ生態系の適切な管理に関する技術研修を実施しております。研修の目的は、開発途上国の政府関係者がマングローブ生態系の構造や機能の重要性を理解するとともに、保全や利用のあり方、再生のための育苗などの技術を習得することにございます。

 これまで、世界三十六カ国から八十五名の研修員がこの研修を受講しております。研修で習得した知識、技術を生かして、当該分野の政策立案、事業の実施を行うことが期待されております。

照屋委員 マレーシアでは、マングローブ林を保護しようとする機運が高まっているようであります。「インド洋津波が襲来した北西部ペナン島のいくつかの漁村で、マングローブの群生林が「緩衝装置」として働き、被害を最小限に抑えた」と読売新聞が報じております。

 マングローブの効用並びに日本におけるマングローブ林の面積や分布状況について、これは環境省でしょうか、お答えください。

冨岡政府参考人 マングローブ林は、それ自体が重要な植物群落であると同時に、鳥類、魚類、甲殻類等の生息環境として重要な生態系でございます。

 日本国内のマングローブ林は、平成十年に公表された自然環境保全基礎調査の結果によりますと、沖縄県を中心に鹿児島県南部まで分布しておりまして、面積は全体で約二千七百ヘクタールでございます。

照屋委員 麻生大臣、これは質問ではございませんが、きょう議題となった二千六年の国際熱帯木材協定を含めて三つの条約に私は賛成の立場でありますけれども、マングローブの保全については、マレーシアでは、首相みずからが率先して、保全をすべきだ、もっともっとマングローブをふやすべきだ、あの大津波の反省を踏まえてそのように言っているわけです。だから、そういうことも踏まえて、日本ではマングローブは沖縄を中心にわずかに鹿児島にしかない、熱帯と亜熱帯が交わる地域にしかマングローブは生えない、そういうことをぜひ大臣にもおわかりいただきたい、私はこのように思います。

 ところで、マングローブ林の面積は熱帯林全体の一・五%にすぎませんが、その喪失がもたらす被害やマングローブ林の効用は非常に大きいと思います。国際社会が一体となって、熱帯林やマングローブの保護、再生を急ぐ必要があります。

 大臣、沖縄県名護市の大浦湾には良質なマングローブ林が群生し、野鳥や水辺の生物の憩いの場となっております。その大浦湾を埋め立てて米軍普天間飛行場の代替新基地をつくることは、熱帯資源や豊かな生態系を破壊する、国際社会にとって、人類にとって、愚かな行為であると私は思います。

 環境省、大浦湾のマングローブ林の保全についてはどのような施策を講ずるんでしょうか。

冨岡政府参考人 御指摘のございました大浦湾のマングローブ林に対します影響につきましては、現時点では環境影響評価といったものが行われておりませんのでお答えできないわけでございますが、環境省といたしましては、今後、適切に環境影響評価を実施するなどによりまして、マングローブ林を含めた自然環境や生活環境の保全に適切に配慮していくことが重要であると考えております。

照屋委員 時間になりましたので、最後に一言大臣に申し上げたいと思いますのは、きょう、当委員会の審議途中に、私、中座したことをまず委員長におわびをして、その理由は、沖縄から文科省に百名ぐらいの教科書問題での要請団が直接交渉しておりまして、それに立ち会っておりました。

 六月は、沖縄にとって鎮魂の月であります。今、沖縄ではゲットウの花が咲いておりますが、六十二年前のちょうど今ごろ、多くの県民は戦場をさまよっていたわけです。そして、いつかの委員会でも言いましたように、住民虐殺や集団自決から、旧日本軍の関与、強制、誘導があったことは歴史の真実であり、私は、それはゆがめちゃならぬ、改ざんしちゃいかぬということを、特に六月、大臣にお会いするのは最後の委員会ですので、一言申し添えて質問を終わります。

山口委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、適合性評価手続の結果の相互承認に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、二千六年の国際熱帯木材協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山口委員長 次回は、来る二十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十六分散会


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