衆議院

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第6号 平成20年4月9日(水曜日)

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平成二十年四月九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平沢 勝栄君

   理事 河野 太郎君 理事 高木  毅君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 三原 朝彦君

   理事 山中あき子君 理事 近藤 昭一君

   理事 武正 公一君 理事 丸谷 佳織君

      愛知 和男君    伊藤信太郎君

      猪口 邦子君    宇野  治君

      小野 次郎君    木原  稔君

      木村 隆秀君    塩崎 恭久君

      篠田 陽介君    鈴木 馨祐君

      中山 泰秀君    牧原 秀樹君

      御法川信英君    山内 康一君

      山口 泰明君    篠原  孝君

      田中眞紀子君    野田 佳彦君

      鉢呂 吉雄君    松木 謙公君

      松原  仁君    上田  勇君

      笠井  亮君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         高村 正彦君

   外務副大臣        小野寺五典君

   外務大臣政務官      宇野  治君

   外務大臣政務官      中山 泰秀君

   財務大臣政務官      宮下 一郎君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       斉藤 邦俊君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   林  景一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 秋元 義孝君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大江  博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房広報文化交流部長)        山本 忠通君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (国際協力銀行理事)   森本  学君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     木原  稔君

  御法川信英君     牧原 秀樹君

  田中眞紀子君     松木 謙公君

同日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     篠田 陽介君

  牧原 秀樹君     御法川信英君

  松木 謙公君     田中眞紀子君

    ―――――――――――――

四月九日

 刑事に関する共助に関する日本国と中華人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)


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     ――――◇―――――

平沢委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長林景一君、大臣官房審議官秋元義孝君、大臣官房参事官大江博君、大臣官房広報文化交流部長山本忠通君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、領事局長谷崎泰明君、国際協力銀行理事森本学君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局事務総長官房審議官斉藤邦俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。猪口邦子君。

猪口委員 ありがとうございます。自民党の猪口邦子でございます。

 本日議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を中心に質問してまいりたいと思います。

 この機会に、我が国の外交力強化を願いまして、細かい点も含めまして、日ごろから考えてまいりましたことをお伝えし、また外務当局のお考えをお知らせいただければと思います。

 言うまでもなく、私たちの国際社会は主権領土国家を基礎単位として成立しているものでありますから、その国家間の外交使節の交換、これは十七世紀ごろからその基層をなすものと当然理解されています。そのような外交団を交換して、そして外交団が任地において活動するには、幾つかの要素が成立する必要があると思いますけれども、まず、外務大臣の指示に基づいて任地にて全権を担う全権大使、そしてその任務の遂行を支える次席以下の本官等の職員、それから全権大使が滞在する大使公邸、そしてまた大使及びその職員が事務をつかさどる大使館や代表部が適切に整っていること、これをもってそのような活動が可能になると考えます。

 よって、大使及び本官等職員の職務環境及び生活環境を整えることは、また、大使公邸及び在外公館を整えることは、国際社会におけます我が国の国益を守る前線を強化するとも言える、非常に重要なことではないかと思いますので、ぜひその強化に向けて努力をしてまいりたいところと考えます。

 自民党としても、外交力強化の提言を森元総理の指導力のもとでいろいろとまとめてきたところでもございます。また、外務省の側におかれても、累次の外務省改革、これに対して非常に努力をされ、合理的にその改革努力を進めてこられたと感じております。

 まず私は冒頭に、やはりこの外務省改革、これは川口順子外務大臣のころから順々に進められ、そして高村大臣の今日また一層発展している、そのような努力に敬意を表したいと思っております。ぜひ、改革力のある役所であるという、そのような自負とアイデンティティーを大切に、時代に即応した外交力を発揮できるようお願いしたいと思います。

 それで、二十年度におきましては、外務省の定員九十九人純増、そして在外の公館スタッフも百十六人新たに採用するような予算措置がとられています。十九年度との合計で考えますと、二年間でかなりの、実際に三百六十六人であると思いますけれども、定員増強が図られている。また、機関としては、十九年度に六大使館が実館となっていますし、今年度の予算措置で五大使館そして二総領事館が新設されることになっていますので、我が国の在外公館の数、これは合計で二百にふえてきたということになると思います。

 二年連続でこのような拡充が進められてきたこと、そして、広くそのようなことについて理解が得られていること、これは非常に重要なことと思いますけれども、まず外務大臣にその実績の評価を伺いたく、また、一般的に外交拠点を強化するには何が必要か、そして、職員の皆さんが使命感や能力発揮をさらにしていくには、日々指揮をとっていらっしゃいます外務大臣として、どういうことがそのために必要か、そのお考えをお伺いしたいと思います。

高村国務大臣 外交を通じて国益を追求し、実現していくためには、それを支える外交実施体制の強化が不可欠であります。自民党におきまして、外交力強化のための提言をまとめていただき、そのために猪口議員には大きな貢献をしていただいたこと、改めて感謝を申し上げるものでございます。

 在外公館は、外交活動の拠点であるとともに、日本の顔、邦人保護の最後のとりでであり、その増強は、外交力の強化を図る上で不可欠であります。さらに、国益を踏まえた外交を強力に展開するために設置された在外公館がその機能を十分に発揮するための適正な人的体制と予算を確保することが不可欠であります。また、職員の能力を発揮させていく上では、外務省として、業務上そして研修等を通じ、能力開発にたゆまぬ努力をしてまいります。同時に、遠隔の地において厳しい環境で働く職員の高い士気を維持し、職員が健康や子女の教育などの海外で直面する問題に対応しつつその能力を発揮するために、適切な待遇や勤務状況の整備にも意を用いる必要があると思います。

 いずれにいたしましても、外務省としては、より効果的で力強い外交を展開していくため不断の努力を行っていく考えであり、引き続き御支援をお願いいたします。

猪口委員 今回、法律改正事案としては総領事館に関するものですけれども、平成二十年度にラトビアなど五つの大使館、これは法律上は兼館として規定されていますから法律改正事項ではございませんけれども、今回の予算の成立によって新設が可能となってきているわけでございますが、これを実館化する、そのお考えについて、その背後にありましたいろいろな基準であり理由でありについて、この機会にお伺いしたく思います。

小野寺副大臣 委員御指摘のように、平成二十年度にはラトビアを初めとする五大使館の新設が盛り込まれました。

 ラトビアにつきましては、近年、EUに加盟した諸国の中でも経済分野での発展が著しい同国と戦略的なさらなる関係強化を図るべき点などを考慮しました。

 グルジアにつきましては、旧ソ連におけます新興民主主義国として同国との関係強化が重要であること、また、カスピ海の資源の輸送ルートに当たり、国際エネルギー安全保障上重要な国であることを考慮いたしました。

 ブルキナファソにつきましては、我が国のアフリカ支援の観点からも、西アフリカでリーダーシップを発揮し、地域の重要な安定勢力である同国とのさらなる関係強化が不可欠であるということを判断いたしました。

 モーリタニアにつきましては、石油資源や水産物資源の確保の観点から、経済交流の強化及び国際場裏における我が国の支持国である同国とのさらなる関係強化を勘案いたしました。

 トンガにつきましては、水産資源の確保において重要な太平洋地域において、ポリネシアの主要国であります同国とのさらなる関係強化が必要であること、また、国際場裏における我が国への支持国である同国との関係強化の重要性などを考慮いたしました。

猪口委員 いずれも重要なことでありますので、新館の、新しい大使館の設置がスムーズにいきますよう、本省としても十分な支援をされますことを期待しております。

 同時に、私は、総領事館の機能も非常に重要であると常日ごろ考えてまいりました。その場合、例えば相手国の特質ですね、連邦国家であれば、首都以外での地域情報をとることもとても重要であろうというようなこともあるかもしれないし、経済拠点が首都以外にもある場合には、邦人人口がそこに多いであろうこともあるでしょうしと思います。そのような分析をしっかりとして、適切に強化の方向で検討すべきと考えますが、政府のお考えはいかがでしょうか。

小野寺副大臣 総領事館、御指摘いただきましたように、邦人保護や日系企業支援のほか、地方での政治面での働きかけ、日本の考え方を草の根レベルで発信する広報面などでも重要な役割を果たしております。

 御指摘のように、例えば米国、ドイツといった連邦制の国におきましては、総領事館が、首都以外の地域において重要な情報を入手し、また経済拠点で日系企業支援や邦人保護を行うなど、重要な役割を果たしております。

 外務省としましては、海外で多くの日本人が活躍し、我が国の対外投資がますますふえている中、このような総領事館の役割は非常に大きいと考えております。今後とも、総領事館の配置につきましては、在留邦人数、日系企業進出状況を踏まえまして、きめ細かく対応していきたいと思っております。

猪口委員 在外公館を開設するとき、これは、さまざまな特殊な努力が必要となると思います。また、初代大使はいろいろな、時にはふなれな業務にも積極的に取り組まなければならない、それは職務上当然という見方もありますけれども。

 他方で、例えば、そのような任地にて営繕関連の能力を積極的に発揮できるような特別のスタッフを一時的に、立ち上げのときなど、本省から増強してあげるというようなこともあろうかと思いますが、政府のお考えはいかがでしょうか。

林政府参考人 委員御指摘のとおり、公館新設に際しましては、営繕分野の知識を持つ者が必要不可欠な場合というものも多うございます。

 最近の公館の新設に際しましては、私どもで言います営繕技官あるいは営繕技術者という者を可能な限り派遣して、支援するように努めております。例えば、もう既に十九年度で認めていただいております在マラウイの大使館、あるいは在ボツワナ大使館、在マリ大使館、こういったところには一カ月前後、そういう専門家、これは実は人数がそんなにたくさんいるわけではないんですけれども、営繕技官と技術者それぞれ数名程度でございますけれども、ただ、新設公館は非常にニーズが高いということでございまして、こういう人たちを派遣して、できる限り支援をするように努めております。

 大使にしても次席にしてもそういう意味では全く素人でございまして、こういう形の不動産がいいだろう、あるいはこういう形で建設するのがいいだろうということの専門的アドバイスが不可欠でございますので、今年度の予算で認めていただいておりますような新設公館も含めまして、現地をきめ細かく支援すべく、営繕分野の専門家をできるだけ派遣するように努めてまいりたいと思います。

猪口委員 大使は、さまざまな能力を持って現地に赴任されます。その本来の仕事に一日も早く専念できるよう、全体のスタッフの拡充についていろいろ御配慮あれば、このような新設公館の機能がより充実してくるのではないかと考えての質問でございました。

 それから、あわせて、これは既設の公館についてもなんですけれども、やはり大使公館の水準を維持するために、例えばフランスなどでは、その内装、デザイン等について、一定の基準で専門家が必要に応じて派遣されてくるというような制度を持っておりますが、我が国においてはそのような努力はされてきているのであるか、伺いたいと思います。

 また他方で、紛争地の大使館、あるいは内政の安定していないようなところ、こういうところでは、食事も含め、生活の安全そのものについて特別の支援が必要なことも多いかと思います。そのような全般的な支援について十分な努力がされているか、お伺いしたく思います。

林政府参考人 委員御指摘のとおり、在外公館は、それぞれの国におけます日本の顔という側面がございます。やはりそれにふさわしい一定の品格を備えた施設、備品の整備を進めていくべきかと心得ております。

 御指摘のような、フランスのように個別の専門家を派遣するという形ではございませんけれども、外部の専門家、インテリアコーディネーターなどに御意見を伺うようにいたしまして、例えば美術品の掲示等につきましてアドバイスをちょうだいするといったようなことを心がけているところでございますが、御指摘を踏まえまして、この面でさらに、財政状況もございますが、取り組みをどうやって強化していくかということを考えてまいりたいと思います。

 他方、もう一点、勤務環境の厳しい土地に所在する公館に勤務する人たちにいろいろな手当てがなされているのかということでございますけれども、これにつきましては、もちろん、いろいろな制度面で、休暇あるいは健康管理、生活環境の整備等の面で、先進国に所在します公館に勤務する職員よりも厚目の措置を講じているところでございます。いろいろな在勤基本手当等についてもそういうところがあらわれておるわけでございます。

 例えばアフガニスタンを初め、あるいはイラクなんかもそうでございますけれども、非常に厳しいところ、体を張ってやっていかなければならないようなところがございます。そういうところの人たちが、生活でいろいろ疲れる、生活のことを考えるだけで疲れるということを少しでも軽減するように、いろいろな形での、例えば自家発電機、浄水器、水でございますね、その配備を支援するとか、あるいは食材等についてもいろいろな調達を支援するというような形で努力をしているというところでございます。引き続きやってまいりたいと思います。

猪口委員 よろしくお願いします。

 次は、小さな問題かもしれないけれども、公邸料理人についてでございます。

 大使公邸がその本来の機能を発揮するには、料理人を中心とする公邸スタッフが必要でありまして、この料理人給与への公的補助の拡大も必要ではないかと感じております。

 また、料理人の地位や名称について、新聞等で、味の外交官と呼ぶなどの考えにちょっと接したことがあるんですけれども、料理人というのは公邸スタッフの長なんですね。ですから、料理長と呼ぶのがむしろ適切であり、通称としてはシェフと呼んであげるのがその任務に報いる最も尊厳ある名称ではないかと感じているんですけれども、これは小さな質問ですが、もし御意見があればお伺いしたく思います。

林政府参考人 私も大使を経験いたしまして本省に戻ってまいりましたけれども、大使にとりましては、料理人は全く小さな問題ではなくて、大変な重要な問題だというふうに心得ております。我が国の外交活動の一環として極めて重要な意義を有します公的会食等におきまして、重要な役割を果たしてもらっております。

 そういう意味で、優秀な公邸料理人を確保するということが非常に大変な課題でございまして、大使の発令、総領事もそういうところがございますけれども、そういう館長の発令の内示を受けたときに真っ先にすることはいい料理人を確保することだというようなことで動かなければならないというようなことがございます。

 したがって、そういう優秀な公邸料理人を確保するために、特に優秀かつ貢献度が高いと認められます公邸料理人に対しまして給与の官費補助増額を行うという新たな制度を今回創設していただく。従来もいろいろな形で官費補助をいただいておるわけでございますけれども、大使の私費負担分と合わせまして、適切な処遇をするということがぜひとも必要ということでやってきております。

 称号につきましても何とか、終えられた場合にでも、優秀な方については尊厳ある名称を与えることができないかということを、これは自民党の方からも御提言いただいておりますので、今鋭意検討しておるところでございまして、もちろん、日本語でどうするかという問題と、それから、実際、海外でどうするかという問題があろうかと思います。私の経験などでも、既にシェフということで、名刺も、シェフ、ジャパニーズ・アンバサダーズ・レジデンスというような形で名刺を持たせて、いろいろな調達に当たらせたりしておりました。

猪口委員 大使公邸は、時にはそこでかなり大切な外交交渉がなされることもあります。そこは秘密の舞台ともなりますし、常にそういう舞台を日本国がその地においてきちっと維持しているということも重要であると思います。

 もちろんレストラン等を使うこともあるかもしれませんけれども、その場合にはいろいろな情報管理の面で問題があるような交渉の場合、大使公邸は最後の交渉のとりでとなるところでありますので、その公邸スタッフが充実していることも重要であるという観点からの質問でございました。

 そして、次なんですけれども、在外勤務の職員の中には、例えば、在外にて子供の教育のために著しい出費がやむを得なくなってしまう、そういう家族も少なからざるあります。また、任地の事情によって、治安が著しく問題であるような場合、特別の地域に住まなければならない、あるいは、生活の水準を維持するためにということで、住宅費の個人負担が非常に多くなる職員もいると思います。

 そのような観点から在勤手当の改善が必要であると考えておりましたが、当局はどういう考えをお持ちで今回の法律改正をされるのか、お考えをお伺いいたします。

高村国務大臣 在外公館で勤務する職員の中には、本邦と異なり、子女教育に多額の出費を強いられたり、住居費に多額の持ち出しを強いられている者が残念ながらいるのが現状でございます。

 例えば、子女教育に関しましては、在勤地によっては、小学校から高等学校まで学費の安い公立校で教育を受けることが可能な国内とは異なって、治安面、教育言語等の関係から、必要な教育を受けるためには高額の授業料が必要な学校に通わせるしか選択肢がない場合もあるわけであります。

 この負担を軽減すべく、従来から子女教育手当を設けておりましたが、十分ではないわけでありまして、このような現状があったため、御審議いただいている本法案では、子女教育手当の支給加算限度額の改定と支給年齢要件の引き上げを盛り込んでいるところでございます。

 また、住居手当に関しましても、支給要件の改定をお願いいたしております。

 このような各種在勤手当の改善を含め、可能な限り在外職員の勤務環境の改善に努めていきたいと考えているところでございます。

猪口委員 次に、私、ちょっと伺ってみたいと思っておりますのが、在外勤務者については配偶者への配慮が必要ではないかということでございます。職務的にやむを得ず分断家族といいますか、そうなる可能性が、外務省員の場合、かなりあり得ると感じます。

 私の考えでは、同一任地に配慮するということをまず基本方針とすべきではないかと感じます。そして、やむを得ず地理的に離れて生活せざるを得ない場合には、家族統合への機会について配慮を工夫すべきであると思います。

 例えば、家族の一部のいる国の近くまで出張した場合など、有給休暇を任務後にとることを許可するなど、いろいろな細かい人道的な対応を積極的にするべきであると感じます。また、高齢社会の中で、例えば年老いた老親との関係の不安を抱える家族もあります。

 いろいろな観点から、海外勤務が人生のかなりの長い部分に及ぶ外交官の生活、外務省の職員の生活について、若い世代に対する特別の配慮と人生のさまざまな局面についての人道的配慮、そういうことをしてこそ、職員の忠誠心といいますか使命感も一層高まると感じます。

 我が国は、国際社会に対して人道大国であることを目指していますけれども、みずからの内部において実行していないことを他者に説くことはできないわけですから、内部的な人道配慮について特別の努力をしていただきたいと思いますが、政府のお考えはいかがでしょうか。

林政府参考人 家族、特に配偶者が仕事を持っている場合、外務省の場合、同一の職場で持っていることもあるわけでございますので、こういう場合にどういう配慮をするかということにつきましては、私ども、海外での勤務が長期間に及ぶこともございますし、勤務環境の厳しい地域で勤務する者もいることがございますので、まさに、職員の士気を維持し、活力ある外交を展開するためにも、人事に際して御指摘のようなきめの細かい配慮をすることが重要だというふうに考えております。

 大昔では、実はいろいろな規律だとかなんとかいうようなことで、そういう配偶者、同じ職場の者でも、むしろ同じところに配置しないのだというようなこともあったやに、ちょっと伝説的に聞いておりますけれども、今は、なるべく、個々のポストの特性とか職員の専門性といったこともございます、言葉が全く違うというようなことも起こるわけでございますけれども、他方、生活面におけます負担あるいは人道的な考慮ということから、配偶者の居住地を含めまして、個々の職員の事情について、可能な、かつ適切な範囲で配慮してきておりますし、これからもそういうことでやっていきたいと思います。

 ただ、バランスのとれた公平な人事という観点もございますので、いろいろ配慮しながらやっていかなければならないと思います。

 その他、いろいろな形での制度、例えば介護休暇とかそういった形のこともございますし、そういうことも含めて、なるべく人道的な観点からの制度の一層の改善といったものに努めてまいりたいというふうに思っております。

猪口委員 次に、私は、大使は外国語での演説能力を強化する必要があるのではないかと考えます。

 もちろん、正式のデマルシェ、申し入れなどについては通訳をつけて母国語で行うわけですけれども、一般的に広く発信力を高める際に、大使は一般的に外国で演説するときに、それを全部書き出して、そしてそれを練習して、上手に発信できるように努力すべきだと思います。

 その場合、演説の作成を補佐する機能が必要でありまして、例えば、英語やフランス語など主要言語について全世界の公館から原文チェック依頼ができる拠点機能を果たす公館を指定して、その機能に予算をつけることによって、全体ではかなりの節約になろうと思います。

 つまり、そのような拠点のところでは、例えば、英語が公用語であればそういう人材を豊富に雇うことができるわけですけれども、英語が公用語ではない途上国で英文のエディターを雇うということは非常に高くなります。全世界の大使がそのような拠点の公館におけますエディティング機能のサービスなどを利用できるよう、ぜひ改善をお願いしたいと思います。

 また、大使は、そのような演説をするさまざまな訓練の機会というものを得るべきだと思います。最近では大学でも、教授は、ファカルティーディベロップメントといいまして、上手に講義ができる訓練をさまざまに受けなければならない、もうそんな時代でありますので、大使についてもぜひお願いしたいと思います。もう時間もなくなりますので、これはお願いだけにいたします。

 次に、日本語の海外普及についてでございます。

 例えばブリティッシュカウンシル、ゲーテ・インスティトゥートなど、また最近では中国の孔子学院など、非常に積極的に拠点を展開しているというところもございます。我が国のこのような機能につきまして、国際交流基金は非常に積極的な仕事の展開をされてきましたけれども、予算の面、職員の面で大きな違いがあります。

 ぜひ、日本語を海外で勉強しやすくするような、大量の日本語教師を派遣するシステムを早急に整える必要があると思います。それは、ジャパンカウンシル、ニッポン・インスティトゥート、いろいろな表現があり得るかと思いますけれども、その際には、予算を建物ではなく日本語教師そのもののマンパワーに充てるよう、よろしく考えていただきたいと思います。

 また、そのような方々が帰国したときに、大学勤務や、あるいは企業での再雇用、あるいは新たな就職、そのようなプログラムもぜひ、他の省庁の協力を得ながら進めていただきたいと思います。

 今、二つの点についてお伺いしました。いずれの点につきましても、もし簡単に御答弁いただければと思います。

小野寺副大臣 ありがとうございます。

 日本語の普及は大変重要だと思っております。現在、三十一カ国の三十九カ所を日本語教育の普及の拠点と位置づけておりますが、今後、二、三年で拠点を百カ所に増大させていきたいというふうに思っております。

 また、後の、大学あるいは教育機関等の勤務充実のことについても、私どもとして真剣に検討していきたいというふうに思っております。

猪口委員 先に伺いました、エディティング、原文チェック依頼等をできる拠点機能を果たす公館の指定などについて、もし当局の御答弁をいただければと思います。

山本政府参考人 議員御指摘のように、主要言語に関する在外拠点構築については積極的に取り組み始めております。

 具体的に二つのことをしておりまして、一つは、アメリカ、豪州、中国、韓国、ロシアのような主要なところには、いわゆるPRコンサルタントという、スピーチについて、具体的なエディティングとか表現方法についてアドバイスできる人を雇っておりますし、また、英語以外の主要言語につきましても、中国語、ロシア語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語につきましては拠点公館を指定して、そこに本省の方から必要な情報を流して、翻訳したものを関係公館に回すようにいたしております。今後とも、この努力を続けていきたいと思っております。

猪口委員 時間が参りましたので、最後に、クラスター爆弾の交渉につきましては、ことしが重要なところでございますので、ぜひ国益擁護の観点からも、今、二本化した交渉過程がございますけれども、積極的に交渉過程そのものに参加し、できればリードしてもらいたいということを述べ、また、高村外務大臣の実質的で非常に有意義な、誠実な外交の進め方に敬意を表しまして、私の質問を終わります。

 委員長、ありがとうございました。

平沢委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 在外公館等法改正ということで質疑をさせていただきます。

 お手元の方に資料を配らせていただきました。

 まず、この法改正の中で在勤基本手当の改正、現地の物価あるいは為替変動に基づいてということでございますが、特に、一ドル百十三円で平成二十年度の在勤基本手当の見直しの基本の平価としております。きのう時点で百二円、あるいは九十九円ということも記録をしておりますので、やはり円高がこれだけ進展している中で、一ページに書いてあるような見直しが行われるにしても、何か工夫を手だてできなかったのかと疑問に思うわけであります。

 二ページ目、過去、そうした急激な円高の際には、このように四月から六月の直近三カ月をもって見直しをして八月から減額をした、こういう例も既に外務省から御説明をいただいております。

 ただ、繰り返しますが、今の急激な円高の基調というものは、これまでの円高、円安を繰り返してきた過去の経緯と異なる。やはりドルに対する基軸通貨としての信頼が揺らいでいる。その原因は、とりもなおさずサブプライムローンということで、IMFも百兆円の損害が金融機関にということもきのう発表しておりますので、やはりドル安の基調が続くという中で、この点がいかがかというふうに思うんです。

 まず、外務大臣、一ドル百十三円で在勤基本手当を改定していくというこの法改正、円高の基調がまだまだ続くというふうに予見できる中でこの法改正いかがかというふうに思うんですが、お答えをいただきたいと思います。

小野寺副大臣 名称位置給与法第十条におきまして、在勤基本手当の基準額を定め、実際の支給額を基準額の上下二五%の範囲内で政令に定めて決めるということになっております。この規定に従いまして、従来より、当該年度内の在外公館の所在地における為替の変動、物価の変動については、その都度、政令改正により対応し、大きく円高に動く場合には、当然のことながら在勤基本手当を減額しております。現在の円高についても、動向に注意しまして適切に対処していきたいと存じております。

 為替相場の変動につきましては常に注意を払っておりますが、三カ月間の為替相場の平均が七%を超えて変動した場合には、円高の場合には減額、円安の場合には増額をしております。過去、平成十一年度から十年間で、減額改定をしたのが十三回、増額改定をしたのが十二回ということになっております。

 例えば、円高が進行した平成十一年度においては計三回、八月に百四在外公館、十一月に百在外公館、一月に百二十二在外公館について減額改定を行っておりまして、ふえることもあり、減ることもあり、そのような中で、この三カ月という期間を見ながら適切に対応している、そういう現状になっています。

武正委員 財務省も政務官がお見えでございます。

 これは財務省が告示をしている官報に載った価格というのですか、毎年十二月に発表しているようでありまして、五ページに過去十年間の財務省告示の公布日、並びに、その積算レートの算出対象期間も、十年間のものを六ページに載せてございます。七ページが今回の、一ドルについて本邦通貨百十三円ということで、昨年の十二月二十五日、財務大臣名での告示でございます。

 きのう百二円という中で、今副大臣がおっしゃったようなやり方、一ページ目のやり方で、二ページ目のようなやり方でやったとしても、減額は八月からですから、当然、四、五、六、七は百十三円をもとにこの手当が出される、支払われるわけですね。

 やはり過去の円高、円安の基調と明らかに異なっているというふうに私は考えるわけですが、今の円高基調あるいはドル安基調が過去のものと違うのではないのかという認識についての財務省としての御意見と、あわせて、明らかにこれだけ円高でありながらこうした手当を予算として国会に提出する、このことについて、今の段階で財務省として、予算の査定にこれまでかかわってきたその立場からどのようにお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。

宮下大臣政務官 お答えをいたします。

 委員御指摘の、構造的に為替レートの状況が変わってきているのではないか、もちろんそういう分析もございますけれども、実際、予算編成自体は一定の為替レートをもとに編成作業また予算折衝作業をしなきゃいけない、こういうこともございまして、在外公館手当を含めて二十年度予算については、十月の二十二日から十一月の十九日まで直近一カ月をとりまして、そして十一月二十二日に積算レートを定めて、それで算定作業に入る、それから各省折衝も、この円ベースで折衝をするというやり方をとっておりますだけに、こういう状況になっております。

 しかしながら、私の個人的な考え方で言えば、過去に一カ月をとるとき、六カ月をとるとき、いろいろございますけれども、二十年度予算について一カ月をとったというのは、やはり長期的に足元が円高になってきていて、この円高をベースに予算編成をすべきだというそれなりの考え方で判断をしてやったというふうに思っております。

 今、為替が十円程度円高なわけですけれども、十円程度の変動というのは今後も十分考えられると思いますし、世界的にサブプライムローン問題への取り組み等々も行われております。一番いいのは日々変えることなのかもしれませんけれども、やはり三カ月ぐらいのトレンドを見て、給与でございますので、ある程度安定性を持って改定をしていくということで、当面、現状の方式ということを考えているということでございます。

武正委員 同じ時期、十月ですかね、金融機関も、ことしの四―六月、あるいは二十年度の一ドル幾らかというのを予想しているわけですが、みずほが百四円、UFJが百七円、大和百十円などなどばらばらでありますが、百円台前半も予想しているところもございました。

 その中で、百十三円ということが果たして当時財務省として適正だったのかなということもあわせて、また今、八ページ目に貨幣交換差増減整理手続、こういったやり方も財務省の方では持っておられるようであります。この今の資料の一ページ目の、四―六月期を見て八月から見直すんだと。減額の場合は、給与、手当は当然渡し切りですから、それを戻すということはできないということもありますので、やはりふやす分は、例えば四月にさかのぼってふやすようなやり方をとっていくということで工夫をしながら、特に今回は、過去とやはり違ったのではないのかなというふうに私は思うわけであります。

 外務大臣、やりとりを聞いておられて、総合的に外務大臣としてのお考えもあろうかと思います。これを取り上げておりますのは、やはり国民への説明責任が外務省は問われている。これは外務省を問わずでありますが、とりわけ外務省改革ということで特にこの点を重視してきた省庁であるだけに、一ドル百円を切っているのに百十三円、当然これから減額措置が行われることはわかりながら法案を出している、あるいは、予算であるから、一度組んだ予算だからしようがないんだというような説明も財務省からも受けますが、非常に合点がいかないものですから、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。

高村国務大臣 今までの為替相場とはちょっと構造が変わってきた、こう委員はおっしゃいます。これは委員のお考えでありますが。

 私は経済企画庁長官経験者であるわけでありますが、政府が為替の予測というのをやってはいけないというのは、これは鉄則でありまして、ある基準のときに幾ら、こう決めたら、それでいく、こういう鉄則で、今までと違って今度は構造的だからこれから下がるだろうとか、そういうことを日本国政府がしてはいけないというのは、これは鉄則だ、私はこういうふうに思っております。

武正委員 予測をしてはいけないといっても、海外との契約とか、こうした海外での支払いとかが、御説明では三千億円ぐらいあるということで、どうしても現地での為替の変動のリスクを当然日本国政府としても受けるという中で、財務省が七ページのようなこうした告示をしているわけですから、これは当然財務省の、平成二十年度、一ドルが大体幾らで推移するかという予測でこれを決めて、そしてそれを全省庁に通達しているわけですから、これは政府が予測してはいけないと言われても、今そうした仕組みで動いているんじゃないんでしょうか。

高村国務大臣 これは、その前一カ月とか三カ月とか若干の幅はありますが、それの平均の基準でとっているわけで、先を予測しているわけじゃないんです。その時点で基準額、今の財務省の御説明でいえば、今度はその基準の日の前の一カ月の平均ということでとっているという御説明がありましたが、そういうふうに、これからのことを予測していないんです。

 日本国政府が、これから為替がどうなるであろう、そういう市場に影響を与えるようなことをしてはいけないというのは、これは鉄則である、こういうふうに思っています。

武正委員 であるならば、例えば直近のデータを何か生かすような形ができないのか。

 というのは、特にこの一月から三月までの急激な円高が起こっていますので、今のように、そういう実績主義、それも一カ月から六カ月の幅で見ているということであれば、当然予算の策定という条件はあります、ただ、そうだとすれば、後からの増額というのはやりやすいのが人件費の仕組みになっておりますので、できるだけぎりぎりまでその直近のデータを換算するようなやり方とか、それから、人件費、手当については四月にさかのぼっての増額というのを基調にした仕組みへの見直しとか、何かそういう工夫はできないものだろうかというのが私の提案でもあるわけであります。

 財務省、いかがでしょうか。財務省として、こうした提案についてはなかなか難しいというお考えなのか、先ほど言った八ページのこうした手続なども生かしながら、やはり何か考慮の余地があるのか、お考えをお聞かせください。

宮下大臣政務官 委員御指摘の八ページの貨幣交換差増減整理手続、これは、外貨で物品等を購入するときに、実質、外国公館等が為替のリスクを負わないように国が調整をするということで、まさに外貨での取引でございますので、為替差益とか差損は公館においては発生しない、こういう仕組みも確かにあります。

 ただ、給与を基本的に円で支給するという以上、やはり為替の変動リスクというのは必ずついて回るということでございまして、予算編成上の観点からは、初めから外貨でのやりとりがあるものについてこういったことをしっかり活用するというのが第一。第二としては、やはり円ベースで外務省全体の予算も調整をしなきゃいけない。その予算編成、折衝の前提としては、一つの基準レートを置いて、そして省の予算を決め、そして最終的に変動を調整するという今のやり方にならざるを得ないのではないかなという認識でございます。

高村国務大臣 一九九五年だったと思いますが、ちょっと間違いかもしれません、円は一ドル七十九円ということがありました。その後、九五年以来ずっと、むしろ円安基調なんですよね。今ちょっと円高に振れていますけれども、全体的には九五年以来は円安基調。

 そういう中で、全く同じような仕組みで為替の調整をしてきて、外務省の職員にとっては大変厳しい状況にもあった。しかも、三カ月の平均で七%とすると、円ベースの給与に反映させますけれども、円高になったときは必ずすぐ反映させる、自動的に反映させるけれども、円安になって上げなければいけないときは、予算がないということで上げなかったことも多々ある。

 そういう状況でありますので、今度だけは構造的な円高だからそれは我慢しろ、もっと低く見積もれ、こういうことはちょっと違うのではないかな。やはり一つの仕組みの中でやってきたことでありますから、そういう方向で、ただ公務員に厳しくさえあればいいというんじゃなくて、やはり公正に扱うことが必要だと思います。

武正委員 過去の為替時系列データを見ておりますと、ちょうど二〇〇四年から二〇〇五年ですか、このときには百三円というような形で円高が急激に進行もしております。ただ、二〇〇五年の末から百二十円前後でずっと推移をしてきた。特に、近年の円安ということを言っておられるのだろうというふうに思います。

 また、公務員に厳しくということを言われましたけれども、総合的に公務員制度改革を見ていこうというのが今の内閣のお立場だと理解もしておりますし、我々もそれに対して対応をしていかなきゃいけないということでの、あくまでもやはり国民の目線から見た疑問ということをきょう取り上げたわけでありますので、財務省もなかなか難しいというお話もありますが、ぜひ御検討をいただけるようお願いしたいと思います。

 どうぞ、政務官、御退室をいただきたいと思います。

 それでは、次に移らせていただきますが、総務省が在外邦人の安全対策等に関する行政評価・監視結果に基づく勧告を昨年十一月に行っております。特に在外公館における安全対策の推進について、三項目ほど取り上げたいと思います。

 三十二カ国三十六在外公館に対しての調査を総務省が行いました。まず、長期滞在者等の在留状況の把握の推進でありますが、一つ項目を挙げますと、在留届が提出されていないため、緊急事態の発生に安否確認ができなかった例、確認に長時間を要した例が、三十六在外公館中八在外公館、十一事例あったということでございます。

 それから次に、短期渡航者の所在の把握の推進ということで、ホテル、旅行代理店のリストは作成、協力要請は行っていないもの、あるいは旅行代理店に対する協力要請にとどまっているものが十八在外公館あったということですね。

 ですから、短期旅行者の所在の把握の推進は、やはりホテルとか旅行代理店とか、あるいは、四在外公館では、有力な在留邦人あるいは日系のペンションなどのリストを作成しているというところもある一方、先ほど言ったように、十八在外公館は協力要請にとどまっているということが指摘をされておりました。

 とりわけ、三十六社の旅行代理店にアンケートをとりまして十二社からの回答で、平素から積極的な情報提供を在外公館に求めている旅行代理店が十社、それから、大手のみに情報が提供されて現地の旅行代理店への提供がないということを指摘している会社は三社、あるいは、緊急事態への対応の例えばセミナーなどを開催してほしいと言っている旅行代理店が二社あるということでございます。

 それから最後、在留邦人との連絡体制の整備については、平成十五年から十八年の三年九カ月、情報伝達訓練を一度も行っていない在外公館が、三十六在外公館のうち二十在外公館だ、こういったことが総務省のこの行政評価・監視結果に基づく勧告で、これは一部でありますが、出されております。

 今回、やはり在外公館でのさまざまな邦人に対するサービス、その機能強化ということも想定の上、こうした法案を出していらっしゃると思います。今、三つ挙げましたけれども、この総務省の勧告に対してどのような御所見をお持ちであり、それに対してどのように対応されるのか、お答えをいただきたいと思います。

高村国務大臣 指摘を受けた公館につきましては、在留届の確認作業を行いました。また、在外公館に対しては、今後は年一回、在留届の現状確認を行うように指示をしたところでございます。

 短期滞在者についても、日本人が多く利用するホテル、旅行代理店、大学、語学学校等との協力関係を構築するように指示をしたところでございます。単なる協力を要請しただけで終わらないで、きっちりした協力関係を構築して在外公館が実態を把握できるように指示をしたところでございます。

武正委員 最近は、メールでのやりとりというもの、旅行者も当然されるようでありますが、例えば、長期、短期滞在者のアドレスの登録というのですか、何かあったらメールで急に連絡できるように、こういったこともあっていいだろう、こういうような指摘もあるし、また、それを実際にやっているところもあるようであります。

 在外公館にもっともっといろいろ工夫が欲しいということが、そうした滞在者から、旅行代理店から、あるいは旅行者からあるわけでありますが、では、これについては、こういう勧告も踏まえてより積極的に進めていく、そして、在外公館の機能強化の一つに、そうした邦人へのサービスというものを充実していくということで、改めて御決意をお聞かせいただきたいと思います。

高村国務大臣 今の委員の御指摘を踏まえまして、より積極的に対応していきたい、こういうふうに思っております。

武正委員 やはり、こうした在外公館で働く外務省の職員の皆さんの手当増の法案、法改正でありますから、それが在外邦人へのサービスなりあるいは在外公館の機能強化に結びつくということが大前提の手当増、見直しだというふうに理解をいたしますので、もちろん、職員の皆さんの居住環境あるいは勤労意欲、あるいは御家族の皆さんへの配慮、これは当然大事な目的だと思いますが、やはり公務員としての本分はそこにあるというふうに理解いたしますので、その点を踏まえての法改正ということでお願いをしたいというふうに思います。

 そこで、最後になりますが、これは三月ですか、新聞で報じられましたODA施設火災報告せず。

 国際協力銀行、きょうお見えをいただいておりますでしょうか。お手元の方では資料九ページになります。円借款事業、メキシコ合衆国メキシコ市大気汚染対策関連事業の概要ということで、これはJBICさんの資料になります。

 二〇〇二年の一月一日でしょうか、このプラントで火災が起きていたわけでありますが、このことについて、二月十五日の会計検査院の実地検査、あるいは、十一月二十七日でしょうか、国会への会計検査院の報告、こうしたものにそのことが盛り込まれていなかったということ、あるいはまた、JBICから会計検査院へ、実績ということで、虚偽の報告になるんでしょうか、PEMEXというメキシコの公社からの回答で、日量三万八千バレルということで、二〇〇一年の実績の処理量二万一千バレルを大幅に上回る数量を示して、施設は問題なく稼働しているとする見解を伝えていたということであります。

 まずは、会計検査院もお見えでございますので、このメキシコでの事業についての会計検査院としての実地検査、そしてまた国会への報告について御説明をいただけますでしょうか。

斉藤会計検査院当局者 御説明いたします。

 まず、十三年度決算検査報告の概要ということでお話ししたいと思いますけれども、本件事業は、メキシコ市を中心といたします首都圏における大気汚染の改善を図ることを目的として、トゥーラ製油所というところに重油脱硫プラント及びディーゼル油脱硫プラント各一基を、サラマンカ製油所にディーゼル油脱硫プラント一基をそれぞれ建設するものでございました。

 国際協力銀行では、これに必要な資金といたしまして、三年の八月から十年四月までの間に五百九十八億八千九百十四万余円を貸し付けておりました。

 しかし、これら施設のうち、トゥーラ製油所の重油脱硫プラント一基、貸付実行額は四百八十九億六百八十六万円でございますけれども、これにつきましては、九年一月に完成いたしましたけれども、生産される低硫黄重油の供給先が計画から大きく変更されたなどのため、一日当たり五万バレルの処理能力に対しまして、処理実績が十一年一・八万バレル、十二年に二・八万バレル、それから十三年に二・一万バレルと大きく下回っていて、施設が十分稼働していない状況となっていたということでございました。

 本院では、効果が十分発現しない事態にかんがみ、相手国の自助努力を絶えず促し、事業に対する支援のための措置をより一層充実させることが重要であるということで、報告いたしたものでございます。

武正委員 私が伺ったのは、二月十五日に検査をしたとき、それからまた十一月二十七日、国会への報告で、今のように、処理実績が処理能力を下回っていて、十分に稼働しておらず、援助の効果が十分発現していない状況になっているということだったんですが、一月一日にプラントが火災になっていたということが報告をされていないわけなんですが、その理由と、その事実はいつ確認をされたのか、御説明をいただきたいと思います。

斉藤会計検査院当局者 事実関係の確認でございますけれども、十四年の現地調査時におきまして、円借款事業の対象施設に事故が発生していたという点につきましては、当時の担当者に話を聞きまして、また内部資料等を調査いたしました。それからまた、国際協力銀行に対しても話を聞いたりいたしまして調査いたしました。

 その結果でございますけれども、調査した限りにおきましては、対象施設に事故が発生していたという事実につきましては、当時の調査官等が、国際協力銀行あるいは実施機関、相手国の実施機関でございますけれども、そこから報告を受けたとする記録は残っておりませんでした。それから、そのような報告を受けたという記憶もなかったということでございます。

武正委員 十一月二十七日までの間にも、二〇〇二年の八月三十日あるいは二〇〇二年の九月二十七日に口頭でJBICに対してその説明を求めて文書の回答を得ているようでありますが、そのときにも、そうした一月一日に火災があったという報告はJBICからなかったということでしょうか。

斉藤会計検査院当局者 お答えいたします。

 なかったということでございます。

武正委員 JBIC、おいででございますが、JBICもこの一月一日の火災ということは把握をしていなかった、あるいは、していたとすると、いつだったのか、どういう経緯で把握をしたのか、お答えいただけますか。

森本政府参考人 お答えいたします。

 会計検査院の実地調査の直前、二〇〇二年の一月に当行の職員が現地を視察しておりまして、その視察時に、直前に火災事故が発生したという事実は把握しております。

武正委員 そのことを、会計検査院の検査あるいは会計検査院からの照会、十一月二十七日の国会への報告を作成するについて、報告をしていなかったと会計検査院は言っておりますが、なぜでしょうか。

森本政府参考人 その出張時に当行の担当者は、メキシコの石油公社、これは実施機関でございますが、このPEMEXから、施設は一、二カ月程度で再稼働するというふうに聞いておりまして、重大な事故とはその時点で認識していなかったということで検査院には報告しなかったということだというふうに認識しております。

 私どもといたしましては、この点につきましては、検査院に対する報告にきめ細かさを欠いた面がございまして、結果として誤解を招きかねない面があったというふうに考えております。

武正委員 二〇〇二年の八月三十日と二〇〇二年九月二十七日に会計検査院に文書の回答をされておりますが、その写しを委員会の方に御提出いただけますでしょうか。JBICさん、いかがでしょうか。

森本政府参考人 先生御指摘の文書につきましては、その文書の性格や内容を踏まえまして、関連する法規等にのっとりまして検討させていただきます。

武正委員 事前にJBICさんに聞いたら、会計検査院さんがオーケーならば出せるというふうに言っていたんですが、会計検査院さん、いかがでしょうか。このやりとりというのが大変大事なものですから、国会としても注目をしているもので、今言われたように、火災の報告がなかったということを証明する大事な文書になろうかと思いますが、御提出について会計検査院としてのお考えをお聞かせください。

斉藤会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院といたしましては、検査に係る意思形成過程での記録はいまだ未成熟な内容でございまして、その公表が国民に誤解を与えかねず、また検査上のノウハウにつきましてそれを伴うものであることなどから、公表を御容赦させていただいております。

 検査対象の機関から公開についての御相談を受けた場合には、格段の御配慮をいただくようにお願いしてきているところでございます。

武正委員 できないという答えでありますので、JBICさんは出したいと言っても、できないということになってしまうんでしょうか。

 ところで、会計検査院が二月十五日に現地視察したときに、通訳はどの方がやられたのか、それから大使館の職員は立ち会ったのか、お答えをいただきたいと思います。会計検査院。

斉藤会計検査院当局者 お答えいたします。

 通訳につきましては、相手側で通訳をしていただいたということでございまして、それから大使館については、名前はわかりませんけれども、随行していたということになっております。

武正委員 通訳は相手方というお話でしたけれども、JBICさんもたしかこのとき立ち会っていると思うんですが、通訳はだれがやったのか、JBICさん、お答えをいただけますか。

森本政府参考人 通訳につきましては、実際に現地でだれがしたかにつきましては、今この場では確たる資料は持っておりません。

武正委員 会計検査院は、今、相手方ということでしたけれども、相手方というのはPEMEXということでしょうか。

斉藤会計検査院当局者 お答えいたします。

 当方、会計検査院側でつけた通訳ではないということでございます。

武正委員 通訳がだれかわからないというようなことで、本当に不可解でありますが、JBICは、実地検査前の一月末から、火災跡は外観からはわからない、稼働していないことを実査、実地検査で指摘された場合には、メンテナンスによる休止と回答するよう指示とする文書を行内で回覧したという報道がありますが、こうした事実はございますでしょうか。

森本政府参考人 先ほど申しました、会計検査院の実地調査前に現地を視察した職員の視察結果をまとめた文書というのが存在することは事実でございます。

 その中に、当該火災が、一、二カ月で施設が再稼働する予定である、また、通常年間六十日程度のメンテナンスによる施設の休止期間があるということから、稼働がとまっていることを問われた場合にはメンテナンスによる休止と回答するようにというふうに指示した旨の内容が含まれております。

武正委員 また、先ほど触れた、八月三十日、二〇〇二年の脱硫処理量の見込みについてJBICは同日、検査院に、PEMEXからの回答によれば日量三万八千バレルと、二〇〇一年実績の処理量、日量二万一千バレルを大幅に上回る数量を示し、施設は問題なく稼働しているとする見解を伝えていたという報道は事実でしょうか。

森本政府参考人 会計検査院より当該プラントの今後の処理見込み量について御質問がございましたので、PEMEXより正式の報告を受け、二〇〇二年の処理量見込みとして三万八千バレル・パー・デー、日量三万八千バレルという報告を会計検査院にいたしました。

 また、施設は問題なく稼働しているという報告は、会計検査院の検査報告にもございましたように、当該プラントは処理実績が予定を下回っている状態が続いておりまして、その理由といたしましては、むしろメキシコ政府のエネルギー政策の変更による面が大きいという意味で、当該施設稼働の問題ではないという趣旨で、その旨報告したものと理解しております。

武正委員 要は、この年は九月まで処理量はゼロであったわけであります、火災によって。それで、特殊なケーブルが調達できないということで、処理がゼロであった。年間平均の処理量は、会計検査院にJBICが報告した十分の一以下の三千四百七十バレルにとどまっているということでありまして、JBICから検査院への報告がPEMEXからのそれを伝えているということで、事実と違うということもありますし、検査院の検査に当たって、稼働が停止をした主要な理由である火災ということをJBICが伝えずに、結果、国会への報告書がつくられているということであります。

 私がちょっと最後に外務大臣に伺いたいのは、このときにメキシコ大使館の職員が会計検査院の検査に同行しているという点でありまして、私は、海外でのODAの実施について、やはり大使館の果たす役割というのは大きいものがあるというふうに思うんですね、在外公館として。そのときに、適正な税金の使い方がされているのかどうかも、やはり外務省としても、特にODAについて見ていく必要があるだろうというふうに思いますので、本事案について、果たしてメキシコ大使館の職員がこのことを知っていたのかどうかということを聞いたわけです。

 お手元、十一ページ、外務省からペーパーをいただきました。これは一カ月ほど前のペーパーでございました。四番、「二〇〇二年二月の会計検査院の実地検査の時点で、火災事故を承知していたのか。」外務省からのペーパーでありますが、「現在も確認中ですが、これまで過去の関連文書の確認及び当時の本件関係者への照会を行った限りでは、外務省が二〇〇二年二月の会計検査院の実地検査の時点で、火災事故を承知していたということは未だ確認されていません。」と。

 一カ月前の御回答でしたが、今時点でも、外務省として本件事案の火災は承知されていなかったのかどうか。その点、承知していたのかどうかの確認はいまだできていないのかどうか、できたのか。また、このときにはもしかしたらまだわからなかったかもしれないけれども、その後、会計検査院の報告が出る十一月二十七日までの間に外務省として承知をした経緯があるのかどうか。外務省にお答えをいただきたいと思います。

小野寺副大臣 メキシコの現地の大使館員がこれを認識していたかということに関しては、承知してということをいまだ確認はされておりません。また、外務省が本件事案を正式に報告を受けたのは、ことし二月二十一日ということであります。

武正委員 最後、外務大臣にちょっとこれまでのやりとりについての御感想、御所見を伺いたいんです。

 これはODAの一事例、その適正な執行をチェックする立場で会計検査院もいろいろ現地の実査をやったわけでありますが、それに対してやはり外務省として、火災のことも現地の大使館も把握をしていなかったということの今御報告があったわけですが、果たしてそれでODAの適正な実行が可能なのかどうか心配でありますし、ましてや、在外公館の機能強化を果たしていこうという法改正を御提出されているお立場から、やはりODAの適正な実行について、外務省、特に在外公館の果たすべき役割を改めて見直す必要があるのかなというふうに思いますが、御所見を伺います。

高村国務大臣 大使館自体が当時、火災の件について知らなかったのは、それが悪かったかどうかというのは、一概に今言えないと思います。ただ、JBICの方が火災についてきっちり言わなかった、検査院の調査について。これについては、極めて誤解を招きやすいことであったなと。私も誤解していますから、誤解かどうかはわかりませんが。やはり誤解を招きやすいことだから、こういうことは気をつけてもらうように外務省としても指導していきたい、こう思っています。

武正委員 ぜひ在外公館としても、この点を踏まえてお取り組み、改めて見直しをしていただきたいということを申し述べて、質問を終わります。ありがとうございました。

平沢委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 おはようございます。民主党の篠原孝でございます。

 きょうは、在外公館の関係の質問をする予定なんですけれども、それにかかわりまして、外務省の外交のあり方全般について質問させていただきたいと思います。

 例によって、資料をつくって皆さんにお配りしてありますので、じっくりごらんいただきたいと思います。毎日夜一時ぐらいまでかかっております。きのうは一時半でした。

 まず、給与の問題。民主党の中にもいろいろ意見があります。日銀副総裁についても意見が分かれておりますけれども、いろいろ意見があっていいのではないかと思います。

 資料の一ページを見ていただきたいんですが、外交官バッシングというのがありました。よくないことだと思っております。公務員バッシングがあって、国会議員バッシングがあって、私なんかバッシングだらけのところの人生を送っているんじゃないかと思います。その中でしぶとく成長させていただいているわけですけれども。

 これを見ていただきたいんですが、給与、非常に下がっています。一九九三年、二〇〇七年、八年も同じなんですけれども、「篠原」と書いてありますね。これは、私が十五年前にOECD代表部に勤務をさせていただいていたころの給与でございます。給与というか手当ですね、七十一万三千五百円。びっくら仰天いたしました。今、大使が同じなんですね。

 去年の五月、名前も出していいと思いますけれども、北島信一OECD代表部大使のところへ寄りました。ドイツのシュバルツバルトに、菅直人代表代行にせがまれて一緒に行きまして、帰りに、ドイツのまずい飯ばかりじゃいけないのでパリに寄っていきましょうというので。そうしたら、こんな給料だというんですね。北島大使に私は同情いたしました。かわいそうだ、大使になっておられるのに、私の十五年前の給与と同じというのは幾ら何でもひど過ぎるんじゃないかと。これがもらい過ぎだとか言う人がいるかもしれませんけれども、その当時大使は百二十四万円ですよ。これは余りにもひど過ぎるんじゃないかと思います。

 林官房長、お帰りなさいませ、御苦労さまです。これは林さんが悪いわけじゃないですよ。林さんが外国へ行っている間にこうなってしまったのかもしれませんが、官房筋とかだらしなさ過ぎるんじゃないかと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。

林政府参考人 篠原委員御指摘のとおり、OECD代表部大使の在勤基本手当が平成四年に比較しまして現在四割減ということになっております。これはOECDだけではございませんで、その他、全在外公館の大使の在勤基本手当について、相当程度、これと余り変わらないぐらいの減ということになっております。

 これは具体的にはどういうことかというと、為替、物価の変動というものを反映できなかったということかと思います。その原因が、外務省あるいはとりわけ官房として努力が足りなかったのかというところがあるかもしれませんが、やはり全体として、我が国の財政事情等もございましたし、それから外務省としていろいろ反省すべきような事象がいろいろあったというようなこともある中で、十分その説得的な材料を出すことができなくてこういうことになった、ここまで来ているということだろうと思います。

 ただ、在勤基本手当はまさに勤務、外交をやる上での本当に必要な経費ということでございますので、やはり外交の最前線で重要な職務、責任を負っています大使としてふさわしい十分な手当を確保できるように、財政当局のみならず、できるだけ幅広い御理解を得られるように努力してまいりたいというふうに思いますので、ただいまいただいたようなお言葉を一つの追い風としまして、また取り組んでまいりたいというふうに思います。

篠原委員 外交は結構言葉でできますけれども、給与問題は言葉だけではできないので、頑張っていただきたいと思います。

 私は外務省の応援団のつもりなんですが、どうも見ていますと、私がいました農林水産省なんて、米ができ過ぎたといっては怒られ、足りないといっては怒られ、どっちみち怒られてばかりいるのですよ。だから打たれ強くなりますけれども、外務省の皆さんはそういうこともなくて、あの辺におられる方が大臣をやっておられたころからごちゃごちゃしまして、今はいませんけれども、それで、そのとばっちりで相当下げられてしまった。

 これはやはり問題だと思います。こういう、世相に迎合して唯々諾々とこのまま放置しておくのは非常によくないことだと思います。こういうことをちゃんとバックアップするのは、そこにおられるお二人なんかの大事な役割ではないかと思います。

 小野寺さんはずっと外交問題、外務委員会に所属されてやってこられて、高村さんはいろいろなところをやってこられたと思いますけれども、外務大臣は二度目で大物大臣です。私は、このお二人なんかがそろっておられるときに改善していただくのが一番いいと思いますけれども、いかがでしょうか。

小野寺副大臣 大臣政務官のときに、この在勤手当をいかに適正な形にするかということを担当させていただきました。

 この資料の中で、在勤手当、実は、本省に勤務する場合には本省に勤務するいろいろな手当がございます。ただ、在外に出ますと、この勤務の手当がほとんどなくなってしまいます。ですから、内外格差という形で比較すると、この在勤手当という部分以上に実は在外で勤務する者の厳しい環境があるなということを、委員の指摘を聞きながら、改めて感じておりました。

高村国務大臣 古くからの友人である貴委員がポピュリストでないということがよくわかって、大変うれしく思いました。

 貴委員とこのことについては意見を全く同じにするものであります。そして、貴委員の言っている方向に従って、その方向のことを今在勤手当等、出しているわけで、非常にささやかでありますが、速やかに民主党の中もまとめて御賛成いただきますように、よろしくお願いをいたします。

篠原委員 改善方法は、今、猪口委員もいろいろな御意見というか提案をされていまして、もっともだなと思うものがほとんどでした。

 私は、この在外勤務の基本手当、問題になって、最近は問題にならなくなりましたけれども、発端は外交機密費ですよね。ほかの国との関係でどうなっているのかわかりませんけれども、これは面倒くさいんですね。ぼんと大使や公使にお金を出してしまって、後は自由にお使いください、この方がいいのではないかという気がするんです。つまり、給与体系をそもそも変えるということですね。

 今国会では、高村大臣の言葉をあれすると、ポピュリズムの代表は領収書を何でもかんでも出せという、もうこれは最悪の方向に行っていると思います。それはきちんとしなくちゃいけないのはいけないんですが、幾ら幾らの範囲内でどのように使おうが自由だというのはあっていいと思うんです。国会議員なんて信用できないからある程度そういうことは必要かもしれませんけれども、外交官のモラルの方がずっと高いですから。外交官、大使、公使はいろいろのつき合いがあっていろいろするので、どんとこの何倍も出しておいて、後は領収書も何も要らないので自由にお使いくださいと。それを個人の蓄財にばかり充てるような大使とか公使とかはおられないと私は思うんですよ。

 そういった大胆な改革もされていいのじゃないかと私は思いますけれども、そういうのは検討されたことはおありになるでしょうか。検討しておられなかったら、ぜひこういうことも考えていただきたいと思います。

高村国務大臣 在勤基本手当は、在外職員が在外公館において勤務するときに必要な経費に充当することを目的として支給されるものでありまして、他方、報償費なんかは、外務省として公にしないことを前提とする外交活動において、情報収集及び諸外国との外交交渉ないしは外交関係を有利に展開するための活動のための経費として使用しています。

 今委員がおっしゃったような方向で検討しているかといえば、今、現時点で検討していることはありません。なぜ検討しないかといったら、国民の理解もなかなか得にくいでしょうし、仮に自民党の中で理解が得られたとしても、今の参議院の状況で否決されることが一二〇%明らかでありますから、もし委員がそういう方向で民主党の中をまとめていただくというのであれば、それから検討するかもしれない、こういうことであります。無駄なことは公務員として余りやりたくないということであります。

篠原委員 頭の片隅に入れておいていただきたいと思います。

 その次、三ページをちょっと見ていただきたい、領事館です。

 領事館、あっちをつぶしこっちをつぶしというのをやっておられると思います。私は常々気になっていたんですが、アメリカを非常に重視し過ぎて、やたら領事館を置いているんじゃないか。イギリス、フランス、韓国と比べてみても非常に多い。

 そして、日米の大使館、総領事館の比較をしてみました。日本は小さい国ですから、東京で何でも事足りるから、札幌とか大阪、神戸、福岡とかその程度でいいんだろう。レシプロシティーで考えたら、アメリカは、日本に領事館を五つしか置いていません。何と領事館には二十八名しか置いていない。それが日本は、アメリカは広くてあちこち行けないというのもあるんでしょうけれども、十四で百九十一名、こんなに置いているというのですね。何か外交の、もうアメリカなしでは日本はなかなか生きていけないというのはわかるんですが、ちょっと偏重し過ぎじゃないかと思います。

 アメリカ全体の大使館、領事館とアフリカの全大使館、それから人数を比べました。さすがアフリカは最近ふえて多くはなっていますけれども、人事的に後で触れますけれども、どうもアメリカは多過ぎるんじゃないかなと。

 見ていますと、特に、外務省の幹部の皆さんというのは、多くが部長とか審議官をやっておられて、アメリカの大都市の総領事をやって帰ってこられる。林官房長の場合はアイルランドの大使に出られて帰ってこられましたけれども。アメリカに行って帰ってくる、アメリカばかり重視されているような気がするんです。日本で局長になる前にちょっと骨休めに行くような感じの総領事のポストみたいな感じになっている。

 僕は、これは今通信手段も非常に昔と比べて改善してきましたし、多分、これだけ領事館が多いのは、離れているからだ、だからすぐに行けないからだという言いわけがすぐついてくるんだろうと思いますけれども、それは省いて、例えばアメリカを見ていただければわかるんですが、在京大使館にぼんと置いて、領事館というのは少ないですよね。こんなような体制をちゃんとつくって変えていって、アフリカや中南米やアジア諸国にたくさん置くような形にしていった方がいいと思うんですけれども、官房長、いかがでしょうか。

林政府参考人 アメリカの重要性をどう考えるかというところはもちろんあるかと思います。ただ、明らかに我が国にとって最も重要な同盟国であり友好国であるのみならず、経済的にも極めて大きな関係を持っている。それで、委員も御指摘になりましたとおり、非常に地理的にも広大な広がりを持っている。そういう中で十四公館を維持しておるわけでございますけれども、そこはやはり、私どもは、むしろ日米関係というものがそれだけ緊密かつ重層的であるということのあらわれだというふうに思っております。

 やはり、州、連邦制をとっているという、先ほど別の委員の御質疑でもございましたけれども、そういうアメリカの国家形態もございますし、在留邦人の数、あるいは貿易額、総領事館の場合は非常にそこの機能が重要でございますけれども、在留邦人でもたしか三十七万に上る在留邦人がおられます。在日の米国人というのは、在日米軍をどう考えるかというようなところはあるかもしれませんけれども、この人たちはそもそもパスポートも持たないで身分証明書で入ってくる人たちですけれども、通常、それ以外の在日の米国人というのはたしか五万程度だったと思います。

 その彼我の国力を考えましても、日本のアメリカにおけますプレゼンス、あるいは経済においては、貿易、投資でも他国と比べても比較にならないぐらい重要な関係を持っているわけでございますので、そのあたりを考えますと、やはりそういう総領事館、これは大使館とはまたちょっと違った機能を御案内のとおり持っているわけでございます。国を代表するという機能は持っておりませんが、やはりそういう経済関係、あるいは邦人保護といったものを支える重要な役割を持っておりまして、それだけ緊密かつ重要な関係にある米国において、十四公館、広がりの中で持っているということは、私どもとしてはこれは必要なことだというふうに思っております。

 アフリカとの比較という御指摘もございましたけれども、これは私どもは今までの努力が足りなかったのかもしれませんけれども、むしろ、アフリカの公館に、アフリカにおけますプレゼンスを増大させていくということをお願いしていくべきものではないかなというふうに考えております。

篠原委員 ほかの省庁は、厳しい定員削減の中で、余剰が生じてきたりというか、余剰は生じていないのかもしれませんけれども、あっちに移すという工夫をしているわけですよ。ですから、アフリカの方は交通手段も通信手段もままならない、不便だ、だからそっちの方を重視すべきであって、私が全部査定するわけじゃないですけれども、私が査定したら、デトロイト、ハガッニャと、名前を聞いたこともないですが、ポートランド、ボストン、これはほかのところへやったりということを考えるべきじゃないかと思います。

 その次ですけれども、次の四ページ、五ページは、じっくり外務大臣と副大臣によく見ていただきたいと思います。それから、人事をつかさどる、本当は事務次官なんですけれども、事務次官になられる可能性の非常に高い林官房長にもじっくり見ていただきたいと思います。

 私は、きのう資料をいただきました。なかなか資料が出てこないんですけれども、何か給与を上げてもいいといって質問項目を示したら、急に資料の出がよくなったような気がします。それで、出てきまして、外務省はいつも出し渋るんですけれども、これは、資料をもらって、外務省の皆さんにつくってもらったんじゃないんです。私の秘書と無給臨時秘書、後で出てきます配偶者がぶつぶつ文句を言いながらつくりました。管理職以降しか出ていませんでしたので、若いころのLDCの関係というのはまたスペシャルリクエストしてつくらせました。

 これを見てください。じっと見ていただいて、非常に偏っているというのがおわかりになりませんか。この外務省の局長クラスの中に、アフリカに勤務したことのある人、だれがいるんでしょう。奥田さんだけです、エジプト。あとほかの南の方、小さな国、だれもいません。奥田さんは語学がアラビア語でサウジアラビア、アフガニスタンに行っておられます。

 もう偏りが物すごい、びっくら仰天しますよ。スペイン語の留学もあるはずです。韓国もあるんですが。その方で今、本省の局長クラスをやっている人、一人もいない。中南米勤務されたのは三輪さん、三輪中南米局長、ポルトガル語をやられて、この方はポルトガル語のスペシャリストになって、いい傾向の人だと思いますけれども、一人だけ。別に、この個人が悪いと言っているわけじゃないです。だから、ここに出された人に恨まれると困るんですけれども。河相総合政策局長と齋木アジア大洋州局長は、これは最悪ですね。アメリカばかり勤務で、アメリカ以外の国、河相さんはシンガポール、齋木さんはジュネーブ代表部に勤務しただけですよ。

 これでおのずと外交トップにだんだんなってこられるというのは、それはアメリカ・スペシャリストというのはいいのかもしれませんけれども、アメリカ・スペシャリストが多過ぎるんじゃないかというように私は思います。ここで、中近東問題とか、中南米で何とかとか、アフリカでどうこうとかいうので、局長クラスで議論されたのを大臣に、副大臣に助言をするというようなことを考えた場合に、どうもよくないんじゃないか。

 特に、本省勤務のところを見てください。管理職以降、本省勤務の経験年数、これをよく見ていただくとわかるんですが、圧倒的に本省にいる人が多いんです、本省にいる期間が十四年とか十五年とか。それで、大使になったころにちょこっと行く、その大使になるのは、さっきのアメリカのいっぱいある領事館の総領事になって戻ってくるというような感じで、外交官と言いつつ外へ行くのが非常に少ない。

 我が省に、私より四年ほど後輩のが、ENAに留学し、パリのジェトロに勤務し、それからジュネーブ代表部に勤務し、ローマのFAOの大使館の公使をやり、四回ヨーロッパ勤務したのがいます。四回もこれはヨーロッパばかりの勤務で、外務省の皆さんからうらやましがられていますけれども。ところが、農林水産省もちょっと時代おくれなところですから、外国ばかり行っているのは使い道がないから冷遇していますけれどもね。

 だけれども、外交官というのは、外国でいっぱい仕事して日本へ帰ってきてやるというふうになっているはずなのに、そうなっていないんですよ。それで、近くのアジアですら、インドネシアとタイとフィリピンに勤務された方が四人ほどですね。薮中さんがインドネシア、別所さんがインドネシア、小松さんがタイ。フィリピン、韓国はちょこっとおりますけれども。

 次に、大使。

 次のページを見てください。主要国大使、どれを主要国とするかというのはまたあれなんですけれども、こういうところが高官が行かれるところというので選び出しました。これも全く似たようなものですね。やはりアフリカとかいうのは加藤良三さんが若いころ行かれたことがあるだけ。それから野上さんがタンザニア、珍しいですね。これは、この偏りというのは一体どうなっているのかということなんです。

 履歴を見ましたら、林官房長は人事課の総括補佐をやられて、そのときOECD代表部参事官をお認めいただいて、おかげで私はそこに勤務できたわけです。だから、余りぐちゃぐちゃ聞くのは気が引けるんですけれども、これはやはり人事が余りよくない方向で来ているんじゃないかと思いますけれども、こういうことは問題にされたことはないんでしょうか。

林政府参考人 こういう形のリストで改めて拝見しまして、確かに、一定の、人によって偏りがあるということは御指摘のとおりかと思います。

 ただ、全体として、私どもの考え方としては、在外勤務について、できる限り先進国公館と途上国公館の双方をバランスよく勤務するようにということで考えておりますけれども、実態の問題として、今まで見ますと、やはり先進国の公館に大きな公館、したがって、いわゆるポストのあるところが多かったといった実態というのもあろうかと思います。

 あるいは、本省の勤務が長くなる人間がいるということについては、本省については、私どもの中では、むしろこれは不健康地であるというようなことを言うことが多いんですけれども、やはり適材適所ということで考えていく場合に、割合偏った人間が本省のポストにつくといったようなことが実態としてあったということではないかと思います。

 ただ、やはり世の中が変化していく、優先順位というものがいろいろ変わっていくということもあろうかと思います。今現に、アフリカにおいて非常に大きな関心というものが向けられている。こういうところに人を配置しようということであっても、若いころの勤務経験というのがあった人が限られているとかいうようなことに今現に直面しているところもございます。

 委員の御指摘のような形で、できるだけバランスのとれた形での在外勤務先の選定といったようなことを、これから従来以上に念頭に置いて考えてまいりたいというふうに思います。

 ただ、若いころにつきましては、これはまだ今は必ずしも局長まで行っていないかもしれませんが、そろそろあると思いますけれども、いわゆる研修上がりにおいて、例えばアフリカですと、ナイジェリアとかケニアといったところ、エジプトも実は、エジプトは昔からあるわけですけれども、そういったところに若手のいわゆる1種の研修上がりの人たちを配置するというようなことは、私が以前人事をやっておりましたときにもやっておりまして、そういうことに意識が全くないというわけではございません。

 ただ、数が少ないのではないかと言われると、そういうところはあるかと思います。これからアフリカの公館なんかもふえていく中で、そういう経験者がふえていって、そういう中から選抜されて本省の幹部になるという人たちが出てくるということを期待していきたいというふうに思っております。

篠原委員 こういう結果を見たりしたら、一たんちょっとでも発展途上国の勤務をさせられたら、もう先がないということはないんですけれども、何とか局長にはなれない、主要国の大使にはなれないというふうになってしまうんじゃないでしょうか。

 ですから、こんなのは釈迦に説法かもしれませんけれども、人事、私もそんなにきちんとやったわけじゃないですけれども、こういうのを直すにはどうしたらいいかというと、若いころの林さん、みんなから立派だと思われている、立派な人をとんでもないところに送るんですよ。それは左遷じゃなくて、そういうところへ行っても偉くなるというふうにすれば、後はそれで定着していくんです、前例、横並びばかりやりますから。

 ですから、バラエティーに富んだ人材を育成しなくちゃいけないというので、これは私は絶対反対ですけれども、各省をばらばらにして内閣人事庁でもって人事をやるとか。私なんかは、長野で生まれて育って、周りは農家ばかりだったから農林水産省に行こうと。別にそんな立派な心がけがあったわけじゃないですけれども、そういって農林水産省に来ていますよ。それで、留学させていただいたりして、こんなことをしていますけれども、農林水産省に働いているということで一生懸命仕事をしてきました。それを、あっち行ったりこっち行ったりと。してみるというのはいいんです、外務省に出向させていただいて視野は完全に広まったと思います。ですけれども、そういうのはあってもいいんですが、本家、親元が必要だと思う。

 しかし、外務省のこれを見たら、外務省に入って、そして欧米重視、特にアメリカ重視で本省、行ったり来たりと。今、官房長はちょっと冗談がありました、不健康地が日本だと。一番夜中まで仕事をさせられて、こういうところへ連れ出されてごちゃごちゃやられてということを嫌みでおっしゃったのかもしれませんけれども。

 しかし、やはりこれを見ると、異様に欠けている。だから、それを外務省の中でも改善しなくちゃいけない。若いころに一回はアフリカか中南米へ行く。そして、課長クラスになっても一回はまたそういう国に行くとか、そういうバラエティーに富んだ人事をちゃんとすれば、いろいろな、大局的な見地に立って外交をやれる人たちが育ってくる。どうもアメリカ一辺倒だなと思うと、これを見るとわかりますよ。大体、自分のいたところを普通の人は大事にしたくなるんですよ。それは人情だと思います。それは当然だと思います。偏り過ぎているんじゃないかと私は思います。

 しかし、これも人事権はだれが持っているかというと、大臣です。大臣の一声で、一回だけではだめですけれども、こういうふうにやっていくということをやっていただければいいんじゃないかと私は思います。せっかくつくったので、これはきちんとつくらせて、これを見ながら将来を見据えて、発展途上国も大事にしてという人事をぜひやっていただきたいと思いますけれども、外務大臣に御意見を承りたいと思います。

高村国務大臣 委員が今おっしゃった方向で、これから人事をやってまいります。

 既に、次官に指示したところでございます。

篠原委員 ありがとうございます。さすが、話が早いですね。これでもう安心しました。

 次に、配偶者問題。これが私にとっても悩みの種でございまして、しかし、これについては専門家はいっぱいおられると思います。

 私は、配偶者が大事な働きをする職業の一つに、外交官があると思います。もう一つは、実はこれは政治家もあると思うんですね。この辺には立派な方が多くてそういうことはないでしょうけれども、何か奥さんの人気だけで議席を確保しているような人もおられるわけですね。そういう人には歳費をそっちに上げた方がいいと思う。私は、下っ端はともかく、外務省に行かせていただいて見ていると、パーティーがあったり食事に招待したりとか、奥さんの働きが大事だなと。あの奥さんと話がしたいからといって来る人もいるんですよね。そういうのがありました。

 それで、今どのようになっているかというと、奥さん、済みません、配偶者と言っておきます。奥さんなんと言うと、その辺から怒られるかもしれませんので、配偶者にしておきます。ジェンダーイコーリティーが大事でございます。配偶者にします、済みません。仕事をみんな両方持っている、しかし、夫婦でいろいろなことをしなくちゃならない、それがやめたりしてついていく。これはむしろ評価しなければいけないと思うんですが、昭和六十二年に、配偶者の手当を四〇%から二〇%に下げている。

 これは私が気がついたわけではありませんでして、ちょっと資料の中にありますが、私の友人でスザンヌ・ヘイルさんという、非常に古い新聞ですけれども、八一年、婦唱夫随とあります。実は、このだんなのハンター・ヘイルというのは、僕は、シアトル、ワシントン大学で一緒だったんですよ、留学させていただいたときに。それで、どこかで見たような名前だなと思ったら彼でして、だんなは司法省に勤めていたんですけれども、やめてこの奥さんについてきたんですね。へえと思いました。

 それで、今度、私もにわか外交官をやらせていただきまして、パリにいたときに近藤元次農林水産大臣が来られました。エピソードでちょっとお話ししたいと思います。

 近藤さんが、篠原、おまえなんかに飯はごちそうしてやらないと嫌みを言い、女房を連れてくるんだったらごちそうする、農林水産省から出向しているほかの二、三人にも言えとかいって、女房を連れてきたら星つきレストランに連れていくというので、来させられたんです。そうしたら、近藤大臣はどうおっしゃったかというと、外交は奥さんたちの働きが大事だ、だから奥さんたちをねぎらいたいから招待したというふうにおっしゃったんです。そこでこの話が出てまいりまして、四〇%から二〇%に下げるのは逆行していると。まして、今働いている、仕事をやめて来る人だっている、それをちゃんと遇しなければいけないというふうにおっしゃったんですね。

 この点についてほかの国は一体どうしているのか、もっと先に配偶者が働いているケースが多かったんです。それを仕事をやめて来る、それをちゃんと評価して手当をたくさん出すのが普通じゃないかと思うんですが、どうも逆行しているような気がするので、外国の例がどうなのか。日本でもいろいろこの問題が出てくるはずです。どのように検討されておられるのでしょうか。

小野寺副大臣 外交官、また政治家もそうですが、配偶者の役割というのは重要かと思います。ただ、配偶者の中にも、その業務を好んでする者、余り好まない者がおりますので、例えば手当という形で義務化することは、今の時代、余りいいことではないのかなというふうに思っております。

 この手当が四〇%から二〇%に削減されたという背景につきましては、これは、単身赴任に比して、配偶者を伴うことにより、おおむね二割の費用が生じるということで算出されたものと伺っております。他国におきましてのこのような手当につきましては、さまざまな制度、国によって違います。

 参考の例としましては、フランスの場合には、補足家族手当ということで在勤手当の一〇%を支給、ドイツにつきましては、配偶者手当ということで、本俸、家族手当及び在外手当の各五%の合計額、EUにつきましては、家計手当ということで、婚姻関係に関係なく、共同生活を営んでいる場合には月額百五十三・七五ユーロプラス基本給の二%を支給ということで、日本のその二〇%ということが高いか低いかというのはなかなか評価はできませんが、国によってさまざまだということになると思います。

篠原委員 初めて知りました。日本のパーセントは、今伺っていると高いんですね。ああ、そうですか。それならまあ、しようがないのかなと思いますけれども、私は、これは本当に考えていってもいいんじゃないかと思います。

 例えば、こんな例を出すとよくないのかもしれませんけれども、立派な某政治学者が駐米大使になられる。その奥さんの立派な国会議員が、こんなのはやっていたってしようがないから、私も外交を手伝うわといって赴任される。それで、だんなさん以上の働きをする。だれだか想像つくと思いますけれども。そうしたら、そういう人にはちゃんと出したりするというようなことを考えてもいいんじゃないか。私は、夫婦が働いておる、しかし、外交というのはトータルでやるものだと。だからさっき、冒頭申し上げたんです、お金をもっと出してもいいんだというのを。

 それで、二ページを見ていただきたいと思います。二ページのところに、私は普通は立派な本を書いているんですけれども、これは余り立派じゃないんですが、「花の都パリ「外交赤書」」というのを、青書じゃなくて赤書、赤っ恥をかいていることを書いたということで赤書にしたんですが、ここに書いてあるのをちょっと見ておいてください。給与、少なかったんです。

 女房、私の場合は女房、妻と呼んでいいんじゃないか。私の女房は、この資料をつくったりしてるんですよ。さっき、無給ボランティアと言った。しかし、日本の国会はひどくて、覚えておられると思いますけれども、民主党の十一回生議員の奥さんが悪さしたというか、ずっと勤務実態がなくて第一秘書ですかをやっておられたということで、秘書法が改正になって、覚えておられますか、六十五歳と配偶者は秘書に採用してはならないという秘書法改正をやったんです。私の女房はそれで首になりました。

 それで、僕はそんなことを知りませんでして、全会一致だったんですね。そのまま席にいたら、後からなじられました。自分の妻を首にする法案に賛成したと。退席すればよかったのにと。退席しませんで、今は何かもめごとがあるとこれを出されます。ですから、私は、こっちは何か配偶者の働きを冷遇しているような気がするんです。これをちゃんと考えていっていただきたいと思います。

 皆さん、これは各省ないですから、議運で発議すればいいわけですから、議院運営委員会で出してほしいと思っているんですが、けんかばかりして、さっぱりそういう建設的な法律改正が、一たんポピュリズムで改正されちゃったんです、女房を働かすのはいけないと。一罰百戒で、一人が悪いことをしたら全部だめ。みんなそれで黙っているんですね。けしからぬ話だ。私は絶対、議運になったら、一人でも直そうと思っているので、そのときは皆さん御協力いただきたいと思います。

 次に、外交官のエリートの養成というもの、これも別に私は必要だと思っておりますので、ふと記事が目に入りました。矢田部厚彦さん、フランス大使です。この方は本も書いておられます、「職業としての外交官」。そこの近藤さんが、中江要介さんのを書いておりますけれども、農林水産省のOBなんというのはろくすっぽ勉強しませんので、本を書くのは余りいませんけれども、外務省の方は小倉和夫さんを初めとしていっぱい本を書かれる方がおられます。この本もなかなかのものじゃないかと思います。

 そして、矢田部さんのおっしゃるのは、外交官の養成をちゃんとしなけりゃいけないんだということですね。それでまた、僕は、何でこれがまた変なふうになっちゃったのか。外交官試験が廃止になって、国家公務員試験になりました。どうしてこういうワンパターン、さっきの延長線上で、内閣で人事庁をつくってトータルで採用してとかいうもの。外交官だけ外交官試験をやっているのはけしからぬといって、それで、唯々諾々従ったんですね。

 僕は、びっくりしたのは、ほかの国の例を調べたらどうだ、どうなっているんだと言って資料要求しました。今、小野寺副大臣は、配偶者の手当などでフランス一〇%、ドイツ五%、EUは百五十三ユーロというのをやっていると言う。私は、ほかの国はどうなっているの、外交官は別の試験をやって別に採用しているんじゃないのと言ったら、持ち合わせておりませんという回答です。これは、ぼけといって僕は怒りますよ。そんなことだから外交官試験がなくなっちゃうんです。そのとき調べたんじゃないんですか、ほかの国が外交官をどうやって採用しているかと。

 外交官は別だ、語学が大事だと、さっき猪口さんがおっしゃったとおりですよ。言葉ができなかったら外交は始まらないですよ。これはもう絶対復活して、言葉ができるような人を、あるいはそういうマインドを持っている人を外交官にしなかったらだめですよ。

 僕は、必ずしも矢田部さんの意見に全部賛成するわけではありません。エリート、エリートと言っていますと、また悪いけれども、河相さんや齋木さんのようなのばかりできてしまう。アフリカへ行って汗をかき、中南米へ行って汗をかくという人は外交官じゃないみたいな感じになっちゃうので、僕はそれは、その部分は反対なんですけれども、外交官は違うという点では全く同感なんです。外交官試験を別途独立してやるとかいうことを絶対考えていただいた方がいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

林政府参考人 外務省の人材育成といいますか、外務省の行います外交というのもやはり人だということは、いろいろな場面でつくづく感じるわけでございます。そういう意味で、いい人、特に若い人を採用していくということが不可欠だろうということは大前提として考えております。

 その採用の仕方がどういうものがいいかということについては、これは本当に大論争が中でもあったわけでございますけれども、外務省の人間、特に1種、昔の上級職と呼ばれる試験で採用された人たちの考え方が、やはり外交と内政がますます不可分の一体になっている中で、余りにも内政音痴が多い。それがやはり特別の試験で採用されているということで、1種の別なのだという意識、エリート意識という指摘もありましたけれども、そういうことを醸成しているのじゃないかという批判が一つ根っこにあったということは御指摘のとおりだろうと思います。

 他方で、より前向きな観点から申しますと、そういう今申し上げたような、外交と内政が不可分の一体となっているという潮流というものを見据えた場合に、より幅広い、その採用するベースといいますか、それをもっと広く持っていいのではないか。ですから、具体的には、今やっておりますような国家公務員採用1種試験ということになりますと、幅広い人材が希望する。そういう中で、外務省の仕事をやってみないかということで、声をかける対象というのが広がる。そういう形で、より幅広い人材を獲得できるんではないかということで、発想を転換して、今のような形の外交官試験の廃止ということに踏み切ったわけでございます。

 そのときに、やはり矢田部大使も尊敬すべき先輩でございますけれども、語学力というものについて、別の試験をしない、あるいは語学力だけではなくて、例えば外交史とかいったものについての試験がなくなったわけでございますし、国際法というのが必須でないとか、そういったもので大丈夫なのかといった問題意識を持たれた方は多かったと思います。

 そこにつきましては、有為な人材を幅広く得られるということを前提にいたしまして、むしろ入省後の研修というものを強化していく。今回の法改正におきましても、研修員手当というものを大幅に引き上げていただいておりますけれども、いろいろな大学であったり、アラビア語なんかは小学校から入ったりというようなところがあったんですけれども、いろいろな形での現場における語学力の養成、涵養といったことに重きを置いてやっていこうということで、それで、では十分なのか。英仏等なんかは二年、それから、いわゆる特殊語と呼ばれますアラビア語とか中国語、ロシア語なんかは三年の研修をさせておりますけれども、それをもって集中してやってもらうということで、語学力について人材を育成してきておるところでございます。

 矢田部大使のポイントにございますような、中高生あたりから、要するに語学が極めて秀でているということで外務省に入るような人を採れるような形にしたらいいじゃないか、あるいは、そういうことをむしろ目的にして、学校の中で育成してもらったらどうかという御指摘でございますけれども、私ども、今までのあれから申しますと、日本のあり方というものが大分変わってきまして、海外帰国子女という人も随分ふえてきております。そういう人の中で、もともとバイリンガルといった人もおられますし、そういう人が入ってこられるということもあるでしょう。そういう人たちはまた、英語だけではなくて、フランス語についてもバイリンガルになれるようにするといったこともできるかと思います。

 総じて申しますと、やはり、幅広いベースで採用した人間をできるだけ研修の中で外交官のプロとして養成していくという道を追求するというのが今の私どもの考え方でございます。

篠原委員 あっちのやり方は、みんな、AがいいかBがいいか、どっちにしろ言い分があるんだろうと思います。

 しかし、しつこく申し上げますけれども、外務省はやりようがあったんですよ。それをやってこなかったからなんです。この先進国と発展途上国のもそうですけれども、各省との人事交流なんかも一番やらなかったのは外務省ですよ。

 そういう点では、やり始めて、いい見本が林さんの前任の塩尻官房長じゃないかと思います。若いときに、ちょっとここのところには管理職になってからのしか右側に、備考のところに書いてありませんけれども、農林水産省に出向した初代ですよ。もともと体格からして農林水産省向きのような雰囲気は持っていましたけれども。そこで全然違う練られ方をしたので、外務省へ帰ってもそれが役立って、官房長にまで出世して、今、インドネシア大使になっているんじゃないかと思います。

 だから、私が申し上げたいのは、農林水産省に行く、ちょっとそういうのは最近は少なくなったかもしれませんが、これをやる。僕は、外交は違うと思います。外務省に行きたいというのを、そういう志を持った人を発展途上国にもほかの省庁にも行かせて育成していけばいいのであって、何かぼやっと国家公務員試験をやっておいて、そこから、外務省でも行ってみるかとか、そういう人よりも私はいいんじゃないかと思っております。

 それで、最後に一つだけお願いというか提案をさせていただきまして、終わりたいと思います。

 猪口委員が子供たちの教育のことを言っておられました。御自身がサンパウロの日本人学校に行かれてという、外国で育たれたような経験からいろいろおっしゃったんだろうと思います。私は、銃後の守りというのはきちんとしなければいけない。それで、日本で欠けているのは何かというと、全寮制の中高等学院なんです。これがちゃんとしていたら、安心して海外に行けるんです。何でそれができないのか。

 外交官だけじゃないんです、商社マンとかなんとか、海外戦略は。中学生か高校生になると受験とかあったりして、日本に置いておきたいと。どうするか。イギリスは二百年前、三百年前にそれを経験したんです。イギリスのグラマースクールとか、チャータースクールとか、ああいうのは何でできたかというと、海外進出して子供の教育をどうするか、それで、やむにやまれず全寮制の中高等学院ができて、それがジョンブル魂を育成する方向に行って、いい意味で人材育成になっているんです。日本はこれだけ海外進出をし始めたのにそれがさっぱりないんですね。

 外務省が音頭をとって全寮制の中高等学院をつくる。それは東京になんか要らないんです。長野県の山の中か、山口県の海っぺた、そういうところで教育すればいいんです。宮城の……

平沢委員長 篠原君、時間が来ましたので、簡潔にお願いします。

篠原委員 ぜひそれをお願いして、これについての御意見を承って、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございます。

林政府参考人 教育は本当にだれにとっても、海外に赴任する者にとっては最大の関心事でございます。

 私どもとしては、省内に子女教育相談室を設けておりますし、あるいは子弟寮というものを運営したりしておりまして、全寮制とはいかないんですけれども、子供だけを残して、寮母さんなんかに面倒を見てもらうというような形で細々と運営しているものがございます。ただ、もし、委員がおっしゃいましたように、全寮制の中高等学校というものが幅広く建設されるということになれば非常にありがたいということだろうと思います。

 外務省として何ができるかということはございますけれども、いただいた御指摘を踏まえまして、私どもとして何ができるかということも検討してまいりたいと思います。

平沢委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 在外公館法の一部改正案をめぐって、この際、在外邦人の安全対策にかかわって一問伺っておきたいと思います。

 言うまでもなく、在外公館には、緊急事態発生時、在外邦人の安否等の確認を迅速に行っていくということが当然求められるわけでありますけれども、総務省が昨年十一月に実施した行政評価・監視結果に基づく勧告というのを見ますと、以下のような指摘がございます。

 在留届等が提出されていないため、緊急事態の発生時等に安否等の確認ができなかった例や、確認までに長時間を要している例がある、それから、日本人の利用の多いホテルや旅行代理店のリストの作成及び緊急事態の際の安否確認への協力要請が不十分だということなどの実態があるようであります。

 そこで、高村大臣、外務省としては、この総務省の勧告を受けて、在外公館における在外邦人の的確な所在把握にどう対応していかれるつもりか、御答弁をお願いしたいと思います。

高村国務大臣 昨年十一月、外務省は総務省から、長期滞在者、短期渡航者の所在把握が不十分であること及び在留邦人の緊急連絡網が未整備である等の勧告を受けたところでございます。

 これを受けて、外務省としては、直ちに関連公館に対して指摘事項を踏まえた改善をするように指示をし、各在外公館で対応しているところであります。

 さらに、直接、勧告の対象となりませんでしたが、在外公館がより効率よく、効果的に緊急事態に備えられるよう、外務本省においても緊急事態への対処に関する各種ガイドラインを見直しているところでございます。

 御指摘のあった海外在留邦人の所在把握につきましては、勧告で指摘を受けた在外公館に対し、在留状況の確認を毎年確実に行うよう指示し、昨年度内に状況確認を終了しているところでございます。

笠井委員 本法案で新設されるという在青島の総領事館の予定所在地を見ましても、在留邦人は既に四千人を超えている。そして、日系企業も八百社以上に上っております。総務省の勧告に基づいて、在外邦人の的確な所在把握に努める等、さらに努力をしていただきたいと思っております。

 さて、今日、グローバル化が進展するとともに、地球温暖化問題など人類共通の課題で国際的ルールづくり等の取り組みが一層求められているときだけに、この在外公館の果たすべき役割はいよいよ重要になっていると私は感じております。私は、去る三月に、欧州の温暖化対策に関する日本共産党調査団長としてドイツ、イギリス、EU本部を訪れまして、それぞれの取り組みの状況を調査する中で、現地在外公館の協力もいただいて、そのことを改めて痛感いたしております。

 この機会に、地球温暖化対策について何点か質問していきたいと思います。

 まず、国際交渉を進める立場にある高村大臣の基本的認識について伺いたいんですが、去る四月一日から京都議定書の第一約束期間が始まりました。七月の洞爺湖サミットでは、議長国である日本が世界に対して何を発信するか、みずから率先してどういう対策をとるかがいや応なく問われております。

 私が、欧州委員会、各国政府、議会、産業界、地方自治体などと会って痛感したのは、この問題への緊迫感といいますか、切迫感の問題であります。地球の気候変動は、差し迫った人類共通の課題だと共通して位置づけている。どこでも科学的見地が基本に据えられて、IPCCの第四次評価報告書にある、地球の温暖化は疑う余地がないという警告が共通して口にされる。そして、気候変動は極めて深刻な地球規模の危機であり、世界規模での対策が今すぐ必要であるというイギリスのスターン・レビュー、スターン報告というのがドイツ政府の関係者からも語られました。

 高村大臣もこういう認識については当然ながら共有されていると思うんですが、この際、基本認識について伺いたいと思います。

高村国務大臣 気候変動問題は人類全体に深刻な影響を及ぼす喫緊の課題であり、国際社会の一致団結した取り組みの強化が急務と認識をしております。

 我が国といたしましても、ことし一月に福田総理が発表したクールアース推進構想に基づき、G8北海道洞爺湖サミットの議長国として、この人類共通の課題に対処してまいります。すべての主要排出国が責任ある形で参加する、実効性のある次期枠組みの構築に向けて、国連の交渉プロセスにおいてリーダーシップを発揮していく考えでございます。

笠井委員 今述べられましたが、要するに、今、全世界的に、温室効果ガスの削減は、いわば、やれるところまで頑張ってやればいいということではなくて、必要なところまでこれは必ずやり切らなきゃいけない、そういう課題である。これは、そういうことでよろしいですね。

高村国務大臣 日本が提唱しているセクター別アプローチというのは、やれるところまでしかやらない案だという誤解が一部にあるようでありますが、私は、最も公平な算出の基礎になるものであって、また、セクター別アプローチをやることが途上国に対する技術移転等にも役に立つと思っています。

 その上で、積み上げ方式でセクター別アプローチでやったその線だけで満足していたら、果たして、しかるべき時期にピークアウトするかどうか。ですから、そこは、その積み上げた上に何らかのものを、新しい技術等を想定してさらなる上積みが必要だ、だから、できることと必要性にギャップがあるとすれば、そこを埋める努力は必要だというふうに考えています。

笠井委員 そこのところはまさに基本だと思うんです。

 このギャップを埋めるということを言われましたが、要するに、ここまではやらなきゃいけないということがまずあるということは、もう言うまでもないですね。つまり、これは、ピークアウトということも言われましたが、このままいってしまったら大変なことになるというのが基本認識としてあるわけですから、そこのところで、方式はいろいろ議論があるわけで、これからもちょっとやりたいと思っていたんですが、これはやらなければいけない問題であるということはいいですね。

高村国務大臣 世界全体でやらなければいけない問題である、こう思っています。

 ただ、何らの基礎の積み上げがない上にやると極めて不公平な結果になるということはあり得る話なので、日本として提唱しているのは、セクター別アプローチというもので基礎を積み上げて、その上でギャップを埋める手当てをしてやらなきゃいけない線というのは、世界全体としてそれは当然あり得ることだ、こういうふうに思っています。

笠井委員 要するに、その上で埋めるということは、セクター別で積み上げてもいかないということをまず基本的に認められているわけで、ですから、そこが問題だと思うんです。

 それでは伺いますが、二〇五〇年までに排出量を半減させるという長期目標に向けて、二〇二〇年までの中期削減目標を明確にして、二〇一三年以降の実効性ある枠組みを構築するという国際交渉が肝心だ、これは言うまでもないと思うんですが、そのために、IPCCの統合評価報告やCOP13の議定書、AWGの合意にあるように、二〇二〇年までに、それは世界全体という問題はありますが、先進国全体としては九〇年比で二五%から四〇%の排出削減が必要だ、こういうふうに合意しているというのがあるわけですが、それはそういうことでいいわけですね。

大江政府参考人 IPCCは、いろいろなシナリオを想定して、その中で、こういうシナリオについてはこうだということを言っているんですね。ですので、二〇二〇年について何%削減しなくてはいけないということを結論づけているのではないということです。

 さらに、先ほどの、最終的に何をしなければいけないということがまずありますねというのは、我々も全くそう思っておりまして、それだからこそ、去年から我が国は二〇五〇年までに少なくとも半減ということを我々は言っておるわけです。

 それで、今、セクター別アプローチで積み上げていかないと言っていることは、次期枠組みの話を、まあそれがというふうなことをやっているわけですね。では、そのしなくちゃいけないのとどこまでできるという話がどういうふうに接点ができるかと申し上げますと、二〇五〇年の半減というのは、今先生おっしゃったように、今の技術を前提としてできることをやっていくのだと、多分二〇五〇年の半減までいかないということになると思います。

 ただ、長期のお話をしますと、まさに、現在存在しない技術、技術革新、技術開発、こういうものの力を得て半減へ向かっていかなくちゃいけないという議論を我々はやっているわけでございます。

 他方、中期、例えば二〇二〇年とかいうお話をしたときには、現在存在しない技術を当てにするということができないので、今何ができるかというベースからスタートして議論をするのがより適切なのではないか。

 そういう意味では、ボトムアップとトップダウンと言いますけれども、長期のお話をするときにはトップダウン、短期の場合はボトムアップ、こういうふうに考えておるわけでございます。

笠井委員 いずれにしても、国際的に言うと、AWGの中では、先進国は二五%から四〇%ということでこれは合意があるわけですから、そこのところはきちっと踏まえなきゃいけないということですね。

 それから、大江参事官は直接バンコクの会議にも行かれました。日本提案はそういう形で、セクター別ということでされたわけですが、では伺いますけれども、それに対してほかの先進国や途上国からいろいろな意見があった。それは評価もあったということでしょうが、批判という点ではどういう意見が出たのか。

大江政府参考人 今、先進国からと途上国からということがございましたけれども、まず先進国から申し上げますと、批判はありませんでした。その一つの結果というのが、今回は枠組み条約のもとでの作業部会と京都議定書のもとでの作業部会と両方あったわけですけれども、京都議定書のもとでの作業部会では、このセクター別アプローチについて、次回、次々回の作業部会でこれを議論するということが最後の結論に入っておりますけれども、それについては一カ国からも異論が出ないで採択されたというふうに聞いております。

 それから、今度は途上国のお話をしますけれども、途上国については、これも必ずしもセクター別アプローチについて批判というものではないと私は理解しておりますけれども、ただ、かなりの国が、セクターアプローチがどのようなインプリケーションを自分たちに持っているかということはまだよくわからないので、さらに検討する必要があるというようなコメントをしまして、それを踏まえて、第三回のセッションで、セクター別のアプローチについてのワークショップをやるということになったわけでございます。

 それで、あえてさらに申し上げますと、途上国の一部には、セクターアプローチについて一カ国も批判的な意見を持たなかったのかというと、そうではないというのは事実でございますけれども、我々もその後いろいろ取材してみたところ、セクターアプローチをとると、CDM、排出権取引がなくなるのではないかと。私が申し上げると、これは誤解なんですけれども。

 というのは、福田総理は、トータルの目標を決めるに当たってセクターアプローチということを言っていて、国別目標にかえてセクターアプローチということは言っていないわけですけれども、そのように誤解している国がいっぱいあって、それで、排出権取引がなくなるのはけしからぬじゃないかということを言っていた国が何カ国かあるようでございます。ただ、それは誤解なので、これから誤解を正していきたいというふうに思っております。

笠井委員 バンコクの様子もテレビでも直接、途上国の意見も、言葉としても言われたというのは報道もされております。

 そしてやはり、共通だが差異ある責任という問題がある中で、先進国の削減義務を実際は手放してしまうんじゃないか、放棄するんじゃないかという意見、さらには、自国の産業を守るのが目的で、先進国と途上国の間には責任と差異があるという原則をほごにするとしか思えないという意見、こういうのも出されている。

 そして私は、実際にヨーロッパへ行ってもそうですし、それからG20のときのいろいろな議論の中でも直接間接に見聞きもしましたが、やはりそういう点でいいますと、セクター別アプローチが有効であるということもお話があるわけですけれども、しかし、それは政府の側でも、あくまで目的達成の手段と言われます。それから、環境大臣なんかもよく言われますが、総量目標に代替するものではないというふうに言われるわけです。そうであるならば、やはり、なぜそこに固執するのかという問題が出てきます。

 つまり、これは先ほど大臣も言われましたが、この課題というのは人類的課題で、必ずやらなければいけないということがあるわけですから、これだけ削減しなければ地球全体の気候変動問題をちゃんと解決できないという問題があるわけなので、そういう点でいうと、まず、ヨーロッパでも直接間接に見聞きしましたが、総量目標をきちっと決める、そして、それからセクターごとに目標もいろいろ考えていったらいいという意見も相当あるわけです。全体に削減の枠をはめて、その中で産業ごとにセクター目標を持つのが有益だという意見も欧州関係では聞いてきました。

 そういう点で、まさにこういう批判についても真摯に受けとめて、共通する部分があるわけです、まず、やらなきゃいけない、やらないと大変なことになるという点で、絶対にやらなければいけないという中期の目標をきちっと決めるというところをやった上で、いろいろな工夫の仕方があるという形で国別総量目標策定のやり方をこの際見直すということが必要ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

高村国務大臣 セクター別アプローチが国別総量目標にかわるものでないということは、日本政府ははっきり言っているわけです。それについては、少なくとも先進国の間では誤解はなくなった、こういうふうに思っているわけであります。発展途上国の間ではまだ若干の誤解もあるかもしれませんから、誤解があれば、誤解は解かなければいけない、こういうことであります。

 セクター別アプローチを言っているのは、国別総量目標をつくらなければいけないけれども、それは公平な国別総量目標にならなければいけない。どこかは努力しなくても簡単にできるような国別総量目標があり、どこかの国はどんなに努力しても無理みたいな国別総量目標をだれかが天下り的にばさっと押しつけちゃうようなことは、それはいけないでしょう。ですから、その基礎になるものでセクター別アプローチというものも必要ですねと。

 それで、セクター別アプローチ、それで足らない分は、全体の目標に達しない分は、それは何らかの、それぞれまた公平にそれに上積みをして、そして国別総量目標をつくっていくのがいいのではないかという日本の考え方を、オール・ジャパンで世界に訴えていきたいと思いますので、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。

笠井委員 総量目標を代替するものではないと、政府の立場は明確に出ておりました。そういった立場をとりながら、国連の事務局の方に出している提案というのはセクター別でいきましょうという話を出しているわけですから、そういう問題が一つと、それから、公平といっても、これは条約の原則でありますが、やはり差異があるわけです。そこのところはきちっと踏まえないと、先進国の間でも、そして途上国との関係でも、これは本当にみんなそうだねと気持ちよくやれることにならないというふうに思います。

 今回会った欧州の関係者からは、日本はまさに先進国としてリーダーシップを発揮してほしいという期待とともに、どうやって目標を達成して責任を果たすのかという点では懸念も表明されました。

 イギリスは、二〇二〇年までに九〇年比で二六から三二%という数値目標を明記した気候変動法案というのを今まさに審議中で、議会でやっておりました。ドイツは四〇%削減。EU全体も二〇%、ほかの先進国が同様の施策をとるときには三〇%の削減という目標を持って取り組んでいるわけであります。

 ですから、日本も、産業界の自主目標の積み上げということで、国内的にもそういう議論ではなくて、やはり効果的削減のために法的拘束力のある総量削減目標を掲げる、その立場で、日本もこうやるから世界も一緒にやりましょうという形で国際交渉にも当たるべきだと思っております。

 本来期待されている役割を本当に発揮できるかどうかというのは、今本当に大事なところだと思います。日本、EUの首脳会議も、この二十三日に東京で行われる。そういう場でも、先方の本当に意図するところ、思っているところをやはりきちっと受けとめて今後の交渉に当たっていただきたいというふうに申し上げて、質問を終わります。

平沢委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 現在、外務省から起訴休職処分中の佐藤優さんの著書を数冊読みました。私は、係属中の事件について論評しようとは思いません。弁護士という立場では、事件が確定したわけではございませんので、推定無罪の立場を明確にしたいと思います。

 佐藤さんの本を読んでいると、彼は国益としての日本の外交のあり方を真剣に考えている人だということがよくわかります。同時に、彼は外交官としてすぐれた能力を有していると思いますし、真の意味で外務省を愛している人ではないかと私は思います。もちろん、外務省内部においても、彼の評価については賛否両論に分かれるでありましょう。私は、彼の本や論文、評論を読んだ限りにおいては、その能力や外交官としての力量を高く評価するものであります。

 さて、高村大臣に質問をいたします。

 佐藤さんは、ある本の中で、外務省に学閥はない、もちろん人間社会なので派閥はありますと述べております。一方で、外務省には専門の語学ごとに語学閥、スクールというものがあると述べております。

 外務省における語学閥、スクールというものはどのようなものでしょうか。その実態について伺います。それと、本人の希望で決まるのか、あるいは外交官試験の成績順で決まるのかなどを含めて、大臣、お答えください。

高村国務大臣 外務省におきましては、1種職員及び専門職員は、それぞれ特定の言語の研修を命じられ、在外研修に従事することとなっております。一般に同じ研修言語を研修した職員を総称してスクールと呼ばれることがありますが、外務省の機構上の組織として存在するわけではありません。

 研修語学の決定につきましては、本人の希望や適性等も考慮した上で、その言語が用いられる国の数、その言語を母国語とする人口数、その言語を用いて各種交渉や情報収集を行うために必要な要員数、その言語の研修者がその時点で合計で何名存在するか等を勘案した上で行っているところでございます。

照屋委員 やはり我が国の力強い外交力を備えていくためにも、外交官の語学力の向上は重要だと私は思います。基本的には外交官個々人の問題でありましょうが、外務省全体としての教育研究システムの中で、ぜひ、外交官の語学力向上については今まで以上に取り組んでほしいと思います。

 さて、外務省について書かれた本の中で、外務省の最大の問題、一番のガンは給与体系だと指摘する者がおります。外務省職員の生涯賃金は、他の省庁の職員よりはるかに多いと言われております。ある国の公使の経験もある四十代の女性キャリア外務官僚が「女ひとり家四軒持つ中毒記」という本を出版して、十年間で家を四軒も建てたことを自慢しているようですが、大臣は、在外公館に勤務する外務公務員の給与体系についてどのような所信をお持ちでしょうか。

高村国務大臣 在勤手当は、在外職員が在外公館において勤務するのに必要となる経費に充当するために支給されるもので、その額は、各在外公館所在地における物価、為替相場等を勘案し決定しております。

 在勤手当は、近年大幅に削減された結果、世界に展開する日本企業や主要国外交官と比べてむしろ低くなっているというのが客観的な事実でございます。平成二十年度予算政府案において為替、物価が反映されることとなりましたが、在勤基本手当は、平成十年度と比べれば、引き続き三割程度低い水準にとどまっております。今回の改定を踏まえても、在勤手当は高いとは考えておりません。

 先ほど篠原委員から種々お話がありましたが、どちらかといえば、委員の認識よりも篠原委員の認識の方が私は近いかな、こういう感じでございます。

照屋委員 先ほど篠原孝議員の、きょうは「花の都パリ「外交赤書」」の抜粋文が資料として配られました。私は、不覚にも御本を読んでおりませんでした。読んでおればもっと深みのある質問ができたと残念に思っております。

 いずれにしろ、今回、在勤基本手当の基準額の改定により、二百六十九の在外公館のうち二百六十八の在外公館において平均で一〇%の大幅増額改定となっております。従来から高額であるとの批判の強い在勤基本手当の改定であり、特に増額改定をするのであれば、国民にきちんと説明責任を果たす必要があります。

 在勤基本手当は、いわゆるつかみ金であり、蓄財のための原資になっているとの批判もあります。在勤基本手当基準額の概要と背景は今大臣からも御説明がありましたが、つけ加えるのがあれば伺いたいし、また、在勤基本手当は外務審議会で決まるようですが、実態は外務省自身のお手盛りにすぎないとの批判もあります。

 外務審議会のメンバー、その運営、勧告内容、手続について高村大臣の見解を求めます。

高村国務大臣 在勤手当は、在外公館において勤務するのに必要な経費に充当するため支給するものでありますが、近年大幅に削減された結果、世界に展開する日本企業や主要国外交官と比べてむしろ低くなっているというのは先ほど申し上げたとおりであります。

 今般の在勤基本手当基準額の改定は、海外でのインフレやユーロの円安といった物価、為替変動を反映させたものであります。平成十年度と比べれば引き続き三割程度低い水準にとどまっているわけであります。

 在外公館において勤務するのに必要な経費を充当するために支給するものでありますが、いずれにいたしましても、国民の皆様の御理解を得られるよう、引き続き説明責任を果たしてまいりたいと思います。

 審議会については小野寺副大臣から御説明をいたします。

小野寺副大臣 御指摘ありました外務人事審議会でありますが、これは、六名のメンバーがありまして、会長は新日鉄の三村社長にお願いをしております。毎月一回定例会を開くほか、必要に応じて臨時会を開きまして、その仕事の中の一つとして、外務大臣に在勤手当等の改定についての勧告を行うということになっております。毎年十月または十一月に勧告ということで、今回はそれを受けての改定だというふうに理解しております。

照屋委員 最後に、私は、在日米国大使館の賃料滞納問題について、当委員会や質問主意書で再三再四ただしてまいりました。昨年十二月、日米両政府が基本合意に達し、十年分の滞納賃料七千万円を日本政府に支払ったようです。

 ところで、基本合意は、二〇〇八年から二〇一二年までが年間一千万、二〇一三年から二〇二七年までが一千五百万円と段階的に引き上げることとされております。米国大使館の立地する場所は一等地であり、依然として格安賃料であります。政府は、交渉において、合意を優先する余り、賃料については米国側に大幅に譲歩したのではないでしょうか。

 基本合意された賃料について、妥当な額と考えているのか、大臣の見解を伺います。

高村国務大臣 合意した賃料につきましては、明治二十三年以来、長期にわたり継続して貸し付けを行ってきたという歴史的経緯、大使館の果たす公的な役割等の事情を総合的に勘案しつつ、両国政府の間で精力的に交渉を行った結果、合意に至ったものと考えます。最終的に従来の約六倍の水準とすることにしたわけで、歴史的経緯等を考えれば、参議院で又市書記長からも一定の評価をいただきましたし、地代値上げの裁判がいかに大変なものかよく御承知の貴委員ならおわかりいただける、こういうふうに思います。

照屋委員 終わります。

平沢委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 この際、本案に対し、高木毅君外一名から、自由民主党及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。高木毅君。

    ―――――――――――――

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高木(毅)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文はお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げます。

 原案では「平成二十年四月一日から施行する。」といたしておりますが、既にその日が経過いたしておりますので、これを公布の日から施行し、改正後の法律の規定のうち給与に関するものは、本年四月一日から適用することに改めるものであります。

 以上であります。

 よろしく御賛同くださいますようお願い申し上げます。

平沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、高木毅君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平沢委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平沢委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、三原朝彦君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。武正公一君。

武正委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表しまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  一日も早い解決を迫られる北朝鮮拉致問題やその目途が見えない北朝鮮やイランの核問題、混迷し続けるイラク情勢、アフガニスタン情勢等、国際情勢は不透明さを増しており、これら問題解決の遅れは更なる地域の不安定化を招来することになる。今、我が国に求められるのは国益を踏まえつつ、国際社会との協力・連携の下、これら諸問題に毅然と対応する外交力である。そのためにも、我が国外交を担う外務省の体制強化と危機管理体制の抜本的改革が急がれる。他方、今日、サブプライムローンによる基軸通貨としてのドルに対する信頼が揺らぎ、エネルギーや食料などの価格上昇もあり、我が国経済は先行き不透明感が強まる一方、財政事情は依然として厳しい。外務省においては組織改革や手当の見直しに際し、こうした国内事情を重く受け止めるとともに、とりわけ外務公務員の手当に向けられる国民の声に真摯に応えていく必要がある。これらを踏まえ、政府は、本法の施行に当たり、次の事項について検討の上、適切な措置を講ずるべきである。

 一 我が国外交の最前線基地である在外公館等の新設に関しては、我が国の国益と相手国との相互主義の原則等を踏まえ、戦略的にその増強・整備に当たること。

 一 在外公館においては、大規模自然災害や犯罪・テロ等の緊急事態における在外邦人に対する迅速かつきめ細やかな支援を可能とするため、危機管理体制の機能拡充に努めること。

 一 我が国の厳しい財政事情を厳粛に受けとめ、在外公館に関わる予算の効率性・透明性を高めるとともに、その執行に当たっては、適切な支出が図られるよう具体的な措置を講じること。

 一 在勤手当については、国内の財政状況や外交活動を推進する上での必要性を踏まえ、民間企業、諸外国の外交官の給与・手当の水準及び各任地の事情に鑑み、為替・物価等の変動が反映される形で客観的に算出されることにより、必要に応じて在勤手当全般にわたる内容の見直しを行うこと。特に為替変動による在外基本手当の見直しについては、直近のデータを基に見直しすること。

 一 国際社会のグローバル化による海外渡航者や在留邦人の増加とともに領事業務の重要性が高まっていることに鑑み、邦人の活動環境を向上させるための国民の視点に立った領事サービスの向上に努めること。

 一 外務省においては、総務省の行政評価・監視結果を踏まえ、不祥事の再発を防止し、信頼を回復するため、より一層の情報公開と外交機能強化のための組織・制度の改革に全力で取り組み、その成果を国民に対して分かりやすく説明すること。

 一 在外公館における監査・査察体制の一層の強化を図ること。

  右決議する。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

平沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平沢委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣高村正彦君。

高村国務大臣 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議員修正の上可決いただきまして、まことにありがとうございました。

 外務省としては、ただいまの附帯決議の御趣旨を踏まえつつ、今後とも外交実施体制の強化を図り、種々の外交課題に全力で取り組んでまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

平沢委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

平沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十六分散会


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