衆議院

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第6号 平成21年4月3日(金曜日)

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平成二十一年四月三日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 河野 太郎君

   理事 小野寺五典君 理事 松島みどり君

   理事 松浪健四郎君 理事 三原 朝彦君

   理事 山中あき子君 理事 近藤 昭一君

   理事 武正 公一君 理事 伊藤  渉君

      安次富 修君    逢沢 一郎君

      猪口 邦子君    小野 次郎君

      大塚  拓君    木原  稔君

      篠田 陽介君    柴山 昌彦君

      鈴木 馨祐君    高鳥 修一君

      中山 泰秀君    西村 康稔君

      平口  洋君    御法川信英君

      山内 康一君    山口 泰明君

      池田 元久君    川内 博史君

      篠原  孝君    田中眞紀子君

      鉢呂 吉雄君    松原  仁君

      丸谷 佳織君    笠井  亮君

      辻元 清美君

    …………………………………

   外務大臣         中曽根弘文君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   防衛副大臣        北村 誠吾君

   外務大臣政務官      柴山 昌彦君

   外務大臣政務官      西村 康稔君

   外務大臣政務官      御法川信英君

   防衛大臣政務官      武田 良太君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  櫻井 修一君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原田 正司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中島 明彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 北野  充君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   佐野 利男君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   鶴岡 公二君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           大槻 勝啓君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     平口  洋君

  篠田 陽介君     安次富 修君

  西村 康稔君     大塚  拓君

  池田 元久君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     篠田 陽介君

  大塚  拓君     高鳥 修一君

  平口  洋君     木原  稔君

  川内 博史君     池田 元久君

同日

 辞任         補欠選任

  高鳥 修一君     西村 康稔君

    ―――――――――――――

三月三十一日

 中国及び中国周辺地域における人権弾圧問題等の解決に向けて、日本国政府からの働きかけを強化することに関する請願(西村真悟君紹介)(第一一五五号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一一九一号)

 七・一八沖縄県議会決議を尊重し、辺野古新基地建設の断念を求めることに関する請願(菅野哲雄君紹介)(第一一六九号)

 同(重野安正君紹介)(第一一七〇号)

 同(高井美穂君紹介)(第一一七一号)

 同(辻元清美君紹介)(第一一七二号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一一七三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一一八六号)

 同(岩國哲人君紹介)(第一一八七号)

 同(岡本充功君紹介)(第一一八八号)

 同(日森文尋君紹介)(第一一八九号)

 同(細川律夫君紹介)(第一一九〇号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一二〇六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一二〇九号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一二一〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一二一一号)

 同(金田誠一君紹介)(第一二三二号)

 同(横光克彦君紹介)(第一二九七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)


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     ――――◇―――――

河野委員長 これより会議を開きます。

 第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件審査のため、来る八日水曜日午前九時、参考人として、財団法人平和・安全保障研究所理事長西原正君、宜野湾市長伊波洋一君、拓殖大学海外事情研究所所長・拓殖大学大学院教授森本敏君、沖縄大学学長桜井国俊君、それぞれの出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官中島明彦君、大臣官房審議官北野充君、大臣官房参事官小原雅博君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長佐野利男君、北米局長梅本和義君、国際法局長鶴岡公二君、内閣官房内閣審議官櫻井修一君、内閣府政策統括官原田正司君、厚生労働省職業安定局次長大槻勝啓君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君、運用企画局長徳地秀士君、経理装備局長長岡憲宗君、地方協力局長井上源三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄です。おはようございます。

 きょうは、在沖海兵隊の沖縄からグアムに移転する協定ということで、きょうから審議ということでございます。

 きょうは、私ども民主党は六名の質問者ということで時間が短いのでありますので、私の方から、この協定の持つ意味合い等について大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

 大臣も、オランダでアフガニスタンの国際会議ということで、世界を回っておるわけであります。きょうも、金融サミットということで世界の二十カ国以上の首脳が集まって、世界的な大不況に対する世界の取り組みという形も出ました。

 また一方で、北朝鮮があすにもミサイルを発射するのではないかという中で、ぜひ、私どもは国会の決議も早急にとったわけでありますけれども、北朝鮮に自制を求める強力な取り組みを大臣にもお願いいたしたい。私ども、部門会議で聞いていても、北朝鮮に北京経由で日本の意思を伝達するという程度の話で、もっとやはり北朝鮮に、直接、この関係で日本の考え方が伝わるように、最後といいますか最終的な取り組みをお願いいたしたい、こういうふうに思っています。そのことの御答弁はまた後ほどあろうかと思いますので、私どもの質問があろうかと思います。

 私ども民主党として、政権を視野に置いて、日米関係というものを新しい関係としてつくり上げていく必要がある、こういう基本的な考え方も打ち出させていただいております。その中では、やはりアメリカと相互に対等な関係で、しっかり意見は意見として申し上げる、それが、最終的にも、アメリカにとってもプラスの関係として、これが本当の意味で真の日米関係をつくり上げるのではないか、こういう考え方に立っております。

 ブッシュ政権時代も、イラク戦争を初めとして、日本の政府はどちらかというとアメリカの考え方に素直に従ってきた嫌いが私はあるのではないかと。しかし、そのことが果たして本当によかったのかどうか。今、オバマ政権になって、イラクから十六カ月後に撤退をするというような形も出ました。あるいは、アメリカ一国主義ではなくて、国連も含めて、同盟国の意見も十分聞いてというような方向転換にもなったという今の現状で、やはり日本はアメリカに対してもきちんと物を言える、また、物を言って世界の平和に貢献をする、そのことが最終的には日米関係を本当の意味で強固なものにしていくのではないか、こういった考え方で、私ども民主党の考え方は立っております。

 したがって、例えば日米関係についても、日本の納税者の視点、あるいはシビリアンコントロールといったようなものを十分重視していく必要がある。あるいは、基地負担の軽減というものは、私ども日本での大きな政治的な取り組みが必要になってきておりますから、その場合も、在日米軍基地の位置づけ、あるいは日米地位協定の抜本的な改定、あるいは米軍再編にかかわる費用の負担のあり方、あるいは思いやり予算についても、不断の検証を行っていく必要があるというふうな基本的な考え方を明瞭に打ち出させていただいておるところでございます。

 そういった観点で、今回のこのグアム移転の協定について、私ども、三年前にロードマップの合意、二〇〇六年五月になされたわけでございますが、その形からいって、ロードマップでの合意から今回こういった国会承認をする協定という形になった経緯についても必ずしも透明性を欠いておる、こういうふうに思います。

 また、在沖縄の負担の軽減ということで出発しておると思いますが、海兵隊八千人がグアムに移転するんですが、必ずしも、その後の沖縄における米軍の態勢といいますか規模のあり方についても明瞭なお答えが、ちゃんとアメリカと交渉しておらないというような、その後の沖縄の米軍のあり方が不明確。あるいは、普天間飛行場の移設とセットの協定であります。必ずしも中曽根外務大臣のこの間の答弁、セットであるのか、あるいは単にここに書いてあるのか、こういった点についても不明確であります。また、真水二十八億ドルの積算根拠というものも、三年前と、一向にこの金額についても変わらない、内容の説明についても必ずしも明確なものになっておらない。

 こういった、この協定について私どももいろいろ精査をしてきましたが、かなりさまざまな問題点がある、こういった考え方に今立っております。

 そこで、一番目の質問でありますけれども、グアム移転におけるアメリカ側の考え方というのはどこにあるのか。

 ことしの去る一月二十七日のアメリカ上院の軍事委員会、ゲーツ国防長官の答弁がございました。グアム基地機能強化により、中国の脅威に対処するというような見解、おおむねそういうような証言でありました。これは、とりもなおさず、アメリカ自体の沖縄における海兵隊、特に司令部機能を八千名移転させるということですが、むしろ、有事の際に、中国のさまざまな攻撃の被害を最小限にするというような考え方が非常にアメリカの中心的な考え方にある、こういうふうにも言われておるわけでありまして、中曽根外務大臣として、このゲーツ国防長官の一月二十七日の議会での証言、どのようにお考えになっておるのか御答弁願いたいと思います。

中曽根国務大臣 今委員が御指摘になられましたゲーツ国防長官の発言でございますけれども、一月二十七日に、上院の軍事委員会におきまして、自分はグアム及び沖縄そして韓国の駐留米軍の再編計画を完了させる必要があると考えていると述べられました。そしてさらに、我々は、今後当分の間、予見し得るいかなる中国の脅威に対しても対処する能力を有していると考えるとも証言した、そういうふうに承知をいたしております。ただし、この証言が、今委員が御指摘されましたように、海兵隊を沖縄からグアムに移転するのは、米軍を中国から遠ざける、より遠ざけるためであるとの趣旨であるとは私どもは承知いたしておりません。

 日米両政府は、日米安保体制を基盤とするこの日米同盟を新たな安全保障環境に適応させる、そして我が国の平和と安全を確保するために在日米軍の兵力態勢の再編に取り組んできたところでございます。そうした中、在日米軍の再編に係る協議におきまして、これは我が方から、抑止力を維持しつつ、特に沖縄の負担を軽減することの重要性を強調してきたところでございます。委員御承知のとおり、あくまでもこの抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を実現する措置として、これは日米間で合意をしたものでございます。このような考え方に基づきまして、我が国は、沖縄の住民の皆さんが強く希望しております在沖縄海兵隊の移転の速やかな実現が可能となるように、米国とともに、グアムにおける施設及びインフラ整備のための負担を担うこととしたところでございます。

 この協定におきまして、我が国政府は、いわゆる真水事業に対して、二十八億ドルを限度として米国政府に資金を提供することになっておりますけれども、これは、本件のグアム移転事業を円滑また安定的に実施していく上で必要な経費である、そういうふうに考えているところでございます。

鉢呂委員 ゲーツ国防長官は、中国の脅威について盛んにそこで述べております。したがって、司令部機能というものをグアムに移設するということの積極的な意味合いがある、こういうふうに答弁でもいろいろ言われておるわけであります。

 そこで、グアム基地の機能の強化についてであります。

 大臣も御承知のとおり、米軍の世界戦略の再編ということで、グアム基地が非常に強化をされるという計画です。三年前の二〇〇六年四月からこのグアム統合開発計画が計画され、また昨年四月に、その統合軍事マスタープランの草案が出されてきております。もちろん、沖縄海兵隊の移駐というものもございますが、その他、海軍、陸軍、詳しくは説明しませんが、大幅な増強をする。兵員の数からいけば、六千四百五十人の現在の定員、実数から、二万一千十人、約三倍強の兵力の増員という形であります。

 私ども、時間がありませんから、これはアメリカ自体の世界戦略に基づいてグアムの基地を主要作戦基地化するものである、こういうふうなものは事実である、こういうふうに考えております。

 そこで、世界各国さまざまアメリカ軍が駐留をしておるわけでありますが、これは、外務省の出された資料によっても、グローバルな米軍再編という中で、ほとんど、例えばドイツあたりは二個師団を米国へ帰還させて、現在六万二千人いる兵力を二万四千にする、半分以上これを減らすという形で計画をされております。あるいは、韓国についても、現状三万七千五百人、これを二万八千五百人、これはもっと削減するような話もあったんですが、余りにも削減し過ぎだということで、約一万人程度の減という形におさまりそうでありますが、こういう形で行われております。

 これについて、大臣は、この移転、削減で、その当該のドイツ、韓国あたりは負担をして米軍の撤退という形に予算を投入するのか、そしてまた、世界各国の関係で、日本のこういった費用負担といったものをどのように考えているのか、御答弁願いたいと思います。

中曽根国務大臣 我が国における今回の米軍再編は、日米の両政府が、先ほど申し上げましたけれども、抑止力を維持しつつ、また地元の負担を軽減することを目的として、ロードマップに基づいて実施をしているものでございます。その中でも、在沖縄海兵隊のグアムへの移転は、沖縄の負担を軽減するために、沖縄の住民が強く希望しております在沖縄海兵隊の移転の速やかな実現が可能となりますように、我が国として、米国とともに、グアムにおける施設そしてインフラ整備のための負担を担うこととしたものでございます。

 また、今、ドイツのお話がありましたけれども、各国をめぐる安全保障環境は異なっておりまして、各国の事例について一概に比較することは困難なところでございますが、その上で申し上げれば、ドイツと韓国におきましては、米側のイニシアチブに基づいて米軍の態勢の見直しが行われているものと承知をいたしております。例えば、ドイツにおきましては、在欧州の米陸軍を二万四千人まで削減することとなっておりますけれども、これは冷戦期の脅威がなくなったことによるものである、そういうふうに理解をしておりますし、また、韓国におきましては、当初、在韓米軍を二万五千人まで削減するとしていたものを、二〇〇八年四月の米韓の首脳会談において見直しをいたしまして、二万八千五百人を適切な規模とすることとしたと承知をいたしております。

 以上のようなこの在沖縄海兵隊のグアム移転の性格を踏まえますと、費用負担の観点のみから先例の有無を論じることは、私は意味があることとは思われないところでございます。

鉢呂委員 昨年の思いやり予算のときにも、私どもは、この中身を精査して、また、世界各国でもこういった駐留軍に対する日常的な、生活的なものに対するその国の負担はほとんど行われておらないという観点で、これを厳しく精査すること、これを強く求めたわけであります。

 今回の場合も、世界各国には、日本のような、アメリカ軍が撤退をする場合に費用を負担するという事例は全くどこの各国にもないわけでありまして、そういった面からいっても、このことは私どもは慎重にやはり検討していくべき問題であると。

 特に、アメリカ政府は、アメリカの世界戦略としてのアメリカの防衛体制の見直し、いわゆるGPRというものをこの九月にも、改めて四年ごとのGPRを検討し発表するということになっておりますから……(発言する者あり)QDRですか。こういう形で日本の巨額の税金を今の時点で投入することの問題点、これをお伝えしておきたいと思います。

 さて、今回のロードマップ合意、三年前に締結されたものを新たに国会承認を求める協定という形にしたわけであります。

 二年前ですね、平成十九年の五月十日の参議院の外防委員会で、我が党の浅尾慶一郎委員が再三再四、これは国際約束、国際条約とすることが財政出動を伴うわけだから必要ではないか、こういうふうに問うておることに対して、当時の麻生外務大臣は、ロードマップについては両国首脳で決めた話であり、きちんと額が決まった段階で今度は予算でお願いをする、予算の審議をお願いするという形になろうかと思いますということで、再三再四の浅尾氏の質問に対して、協定、条約というものを認めない形の答弁を繰り返しております。

 なぜ今回こういう形で、当時このように麻生外務大臣、今総理大臣をやっておるわけでありますけれども、これが協定という形に変更したのか。随時の協定に向けての表立った交渉、協議というものもない中で、ヒラリー国務長官が日本を訪れる際に突然この協定化、調印という形が中曽根外務大臣の手でなされたわけでありますが、その理由を明確にお述べいただきたい。その二年前の参議院の答弁と、その答弁を踏まえて、どういった違いがあって今回協定化をしたのか、お答えをいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 このグアム移転事業は、二〇一四年までの事業完了を目途とする多年度にわたる事業でございます。これを円滑に、また安定的に実施をしていくためには、我が国として多年度にわたって米国政府に対しまして資金を提供する必要があるわけでございますが、この協定は、こういう点を含めまして、本件のグアム移転事業の実施に必要となる日米双方の行動について規定をしているものでございます。

鉢呂委員 答えになっておらないわけであります。

 アメリカの関係について、我が党の白眞勲参議院議員の質問主意書に対して政府は、アメリカの議会の承認を必要としないものと承知しておる、こういうふうに述べております。

 私どもは部門会議でもいろいろ勉強会をやりました。アメリカ議会で単なる政府間合意、ロードマップのような形でしか扱わないということについても、やはりアメリカでも、議会の承認がなければ、財政支出についてもその都度の議会での承認、あるいは政権がかわったら、その政府間合意、ロードマップというのは、それは道義的な責任はありますけれども、その責めを負って協定のようなものとしては扱われない、こういうふうに私どもは確認をさせていただいております。

 なぜアメリカがこのような協定化をしないのか、日本とどう違うのか。そのことも踏まえて、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 多少先ほどの繰り返しにもなりますけれども、この移転事業は多年度にわたる事業である、そういうことから、これは多年度にわたって米国政府に対し資金を提供する必要があるということでございますが、この実施に必要となる日米双方の行動について規定するものでありますと先ほど申し上げました。

 いわゆる財政事項を含むこれは国際約束でございますので、我が国におきましては、国会承認条約として、この協定の締結につきまして国会の御承認を得る必要があるところでございます。

 他方、米国がこの協定を議会承認条約とするか行政協定とするか、これにつきましては、行政府と立法府の関係などを踏まえまして、米国自身が決定すべき事項でございます。米国政府は、この協定に署名することによりまして、本件のグアム移転事業の実施に対して明確なコミットメントを示しております。

 また、この本件のグアム移転事業において米側が行うこととなっておりますいわゆる軍事施設建設事業などは、これは米側の国内事業として米国自身が予算措置を講じて実施していくものでございまして、またさらに、日米の両政府は、これまで首脳を含むさまざまなレベルでロードマップの着実な実施を確認してきているところでございます。

鉢呂委員 アメリカも同様でありまして、日本も協定をすれば、これは法的な拘束力を持つという形で、政権交代があっても、これは政府として責任を持たなければなりません。あるいは、もちろん議会のその都度の予算の支出の承認はあろうとも、予算の支出についても、アメリカもそういう面では政府合意というだけでは極めて弱いものである、こういうふうに私どもは承知をしておるわけであります。

 仄聞すれば、政権交代ということも視野に入ってきたということで、日本政府としてロードマップから協定という形で国会承認を求めておけば、当然どんな政権ができてもこれは拘束されるわけであって、このことを、政治的な背景があって急遽協定化をしたのではないか、こういうふうに受け取られておるわけであります。

 これはやはり国民の意思というものが、ことし九月までに示されるわけであります。私は、先ほど言いましたように、納税者の意思、シビリアンコントロールといったものを考えて、こういった負担のあり方についても厳しく不断の検証をしていくというのが我が党の立場であります。

 こういった事態で急いで今この協定を国会に付議して、そして衆議院の優位性だけで可決、成立をさせてしまうということは、本来的な意味で国民の意思を損なうものではないか、こういうふうに思うわけでありますけれども、大臣の率直な御答弁をお願いいたしたいと思います。

中曽根国務大臣 まず、委員がおっしゃいますように、国民の税金を使うわけでありますから、そういう意味ではきちっとした支出管理などをしなければならないと思いますし、また、国民の皆さんの御理解を得なければならないと思います。

 米国側が、また与党が、政権交代を念頭にというようなお話がございましたけれども、これはちょっと将来のことはわかりませんし、そういうことを念頭に協定をいわゆる急いでいるというようなことは決してないわけでございまして、先ほど申し上げましたけれども、これは沖縄の皆さんの負担の軽減を少しでも、また早くこれを、負担を軽減しようということや、そしてかつ、抑止力を維持するにはどうしたらいいかということで米側と日本側でロードマップというものが合意をされて、そして、そのうちのグアムへの移転を実施に移すための協定ということでございますので、ぜひそういう点は御理解いただきたい、そういうふうに思います。

鉢呂委員 大臣にお聞きをいたしたいのは、先ほど言いましたように、ロードマップで、麻生当時外務大臣が政府間合意でいいということを何回も強調いたしました。そして、今回、ヒラリーさんが来たんですけれども、私どもが見えないのは、ロードマップのグアム移転にかかわる協定ではありますが、ほとんど金額等についても、それはもちろん公平な立場で入札を行うとかいうことは入っておりますけれども、外務大臣として、この間、アメリカ首脳とどういった、ロードマップ以降、この協定に至る段階で協議をしてきたのか、あるいは、直接の協議でなくても、どういった形を経て、その経過が全く見えてこない。突然、ヒラリーさんが来日したときにこれを結んだとしか私ども思えないわけでありまして、二十八億ドルについても、なぜ二十八億ドルなのか、一向に、その後三年たっても、中身の精査の観点からはその協議の経過というのが協定に反映されておらない、こういうことで、大臣が就任してからどういった交渉経過があったのか、少しその点についての御答弁をいただきたいと思います。

 後ろの方はそんなに紙を渡さなくてもいいと思います。率直なところで言ってくれれば。

中曽根国務大臣 委員の御質問の、今までのどういった経緯で、どういうようなことをやってきたということでございますけれども、ロードマップに従いまして、二〇一四年までにこの事業を完了させるということになっているわけでありまして、そういうスケジュール等を考えまして、そして日米間で今までの協議をした結果、日米両国が歩調を合わせて、そういう形で資金の移転を含む所要の措置を適切にとっていく必要がある、そういう認識でございまして、そういう認識を受けて協定を署名したところでございますし、また、政府としては来年度の関連事業予算も計上しているところでございます。

 安保体制を基盤とする日米同盟を新たな安全保障環境に適応させていこう、そして我が国の平和と安全を確保するために、また在日米軍の兵力態勢の再編も行うということでございまして、そういう今までの経緯がある中で、今回はクリントン国務長官の来日を機に、日米双方で署名を行ったということでございます。

鉢呂委員 その協議の経過がないということは、なかったのにかかわらず、来日に合わせて協定という形に突如したのではないかと思わざるを得ません。

 当時の二年前の久間防衛大臣は、やはり協定化も必要だと率直に認めておりました、議事録を見ていただければわかるんですが。しかし、麻生大臣は大変強気な形で、予算、その都度の審議であればいいんだという形でありました。

 質問主意書の答弁でも、ことしの三百四十六億程度の予算の支出は二十一年度中であればいい、こういう答弁を参議院の白眞勲さんへの答弁でなされておるわけでございまして、そうであれば、何も今ここで協定を国会で承認する必要はないのではないか。

 むしろ、五月、六月にも衆議院選挙はあるということでありますから、来年三月まで十分検討して、場合によっては政権交代があったときには、それは国民の意思として、これは参議院で否決される可能性が今では強いんですから、そういった中で、何も慌てる必要はない。アメリカでさえ議会の承認を得る手続をとらない、それはもちろん向こうの政府の考え方でいいんですが、しかし、それは、先ほど言ったように、日本と同じように、次の政権にこれを拘束するものではない、あるいは予算の承認は議会でその都度という形でありますから、私はむしろ、ここは中曽根外務大臣がこの協定については一たん保留をする、取り下げる、こういった形があってしかるべきではないか、こういうふうに思いますが、再度、その協議の経過があったならあったようにお述べいただいて、私のその協定取り下げについてのお考えがあれば御答弁いただきたいと思います。

中曽根国務大臣 この協定の署名につきましては、突然来日されたからこれを署名したということではございません。クリントン国務長官が就任されたときの私との最初の電話会談のときにもこれの重要性についての話があり、そういうような協定を署名しなければというお話があったわけでありまして、そういうような中で来日を機に署名に至ったということでございます。

 ということで、ぜひ御理解いただきたいと思います。

鉢呂委員 三番目の問題に行きたいと思いますが、あと三分程度でございます。

 防衛省の北村副大臣、また後日質問させていただきますが、ことし計上されている三百四十六億円、グアム移転の予算計上、必ずしも当初の政府の答弁と違った形の支出になっておる。

 例えば、平成十九年三月二十日の久間防衛大臣のこれは参議院での御答弁ですが、日本側の経費負担は、在沖縄米海兵隊のグアム移転の司令部の庁舎ですとか、教場、これは宗教関係のあれでしょうか、あるいは教育関係のあれでしょうか、わかりませんが、教場、海兵隊の隊舎、学校など生活関連施設、または生活関連施設でも資金回収ができないもの、したがって、資金回収できる米兵の住宅等については融資にするというような御答弁をされており、また、防衛省のロードマップ締結時の御説明、あるいはそれを図式化したものでも、日本の真水の部分については、司令部庁舎、教場、隊舎、学校等の生活関連施設としてしか明示されておりません。融資の部分でインフラ、電気あるいは上下水道、この基盤施設については融資なんだ、こういう表示の仕方でありました。これはこのとおりでよろしいですか。

北村副大臣 お答えさせていただきます。

 鉢呂委員のおっしゃられたとおりのところもございますが、念のため整理をしてお答えをさせていただきます。

 在沖米海兵隊のグアムへの移転に関する経費の総額は約百二億七千万ドル。このうち、日本側の分担額は約六十億九千万ドル。

 その中で、いわゆる真水、財政支出で整備するのは海兵隊の、先ほどもおっしゃられましたけれども、司令部庁舎、教場、隊舎及び学校等生活関連施設を前提として上限二十八億ドル、この範囲内で負担をするということであり、家族住宅の整備につきましては民活事業等の導入をいたしまして約四億二千万ドル程度の効率化が見込まれるということがございますので、約二十一億三千万ドルとされております。その中で、出資で約十五億ドル、融資などで約六億三千万ドルを措置するということであり、さらに御質問の中にもありましたとおり、電力や上下水道などのインフラの整備等については、融資などで約七億四千万ドル、これを措置するというものでございます。

 以上です。

鉢呂委員 私は金額を聞いておるのではなくて、日本が真水として負担をすべき中身、これを聞いておるわけであります。質問時間が終了したということで、これでやめますが、当初言われた経費負担の内容とはいささか違う。例えば、先ほど言った電力、上下水道の基盤整備に使われ、密接な関係はあるとはいいながら、米海兵隊以外の、陸、空軍、海軍等に使われるものにも日本が負担をする、日本の税金を使うというようなことが防衛省の事務当局からも知らされております。副大臣は、その形については一切今御答弁なされませんでしたので、後日、また質問の機会があれば徹底してお聞かせをいただきたいと思います。

 終わります。

河野委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 私は、きょうからこのグアム協定、実質的な審議に入るわけでありますけれども、日米間の協定、政府間の協定ではありますけれども、沖縄の県民の皆さんに深くかかわる問題であり、沖縄の頭越しにすべきではない、沖縄の皆さんの声をきっちりと受けとめるべきだという思いで、今週の火曜日、水曜日と沖縄の方に行ってまいりました。その現地での声を踏まえて質問させていただきたいと思います。

 まず、普天間基地早期返還の必要性について。

 ぜひ外務大臣にお答えをいただきたいわけでありますが、米本国において海軍及び海兵隊の航空基地を対象に適用される航空施設整合利用ゾーンプログラム、これによりますと、軍事飛行場の運用では、利用禁止区域と事故危険区域の設定があり、滑走路の端から四千五百メートルは、住宅、学校、病院、集会場等の建設を禁止しているわけであります。

 しかしながら、普天間基地の現状は、利用禁止区域内のみを見ても、公共施設、保育所、病院が十八カ所、住宅約八百戸、約三千六百人の住民が居住しているということであります。ロードマップやグアム移転協定に規定されるパッケージの一部としての基地閉鎖ではなくて、人道的見地からの早急な閉鎖が求められているのではないかと私は改めて感じました。

 大臣はどのようにお考えでありましょうか。

中曽根国務大臣 政府といたしましては、二〇〇六年の五月でしたか、このときのロードマップに基づきまして普天間飛行場の移設を含む米軍の再編を実施することが、再三申し上げておりますが、地元の負担を軽減する、一日も早くそれを実現する、そういうことが大事だ、そういうふうに考えているところでございます。

 同時に、普天間飛行場の安全確保に関しましても、これは住民の皆さんからも強い要望がかねてからあるわけでありますが、政府といたしましては、そういう地元の御要望も踏まえまして、現在とり得る最善の措置を二〇〇七年八月十日の日米合同委員会で合意をしたものでございます。現在は、その合意の着実な実施に努めてきているところでございます。

 今人道的な見地からもというお話がございましたけれども、騒音等につきましても地元の御負担を極力緩和できるように、そういうこともございまして、日米合同委員会等の合意によりましてまたそういう騒音についての規制なども行っているところでございまして、今回の移転というものは、これは単に基地の閉鎖という、パッケージの一部ということだけではなくて、そういうような住民の皆さんのいろいろな御要望も踏まえた上で、かつ、抑止力を維持しながら移転を行うというものでございます。

近藤(昭)委員 今回視察をして、宜野湾の市役所の屋上に上りました。そこから普天間基地が見えるわけであります。見えるだけではなくて、私がいる本当に短時間の間でありましたが、その間も何度も輸送機が、いわゆるタッチ・アンド・ゴー、着陸をしてすぐ飛び立っていく、これを繰り返していた。そして、大変な轟音だけではなくて、一機は市役所の屋上をかすめるように飛んできた。

 ああいう状況を改めて見、感じますと、そこで生活をしていらっしゃる皆さんの痛み、そして不安というものは本当に大きなものだと思うんです。そういう意味では、今大臣も、パッケージの一部だけではなく、沖縄の皆さんの負担の軽減を考えるということをおっしゃったわけであります。私は、そういう意味では、パッケージではなくて、これはまず基地の返還を、こういうふうに考えるわけであります。

 それと、今も騒音の削減のこともおっしゃいましたが、この間、地元の住民の皆さんと米軍基地とは、騒音を軽減するということで、話し合いはしているわけであります。しかし、なかなかそれが守られない。その現状もあるわけであります。私は、まず、一刻も早くこの返還は実現をしていかなくてはならないと改めて思うわけであります。

 ところで、グアム再編事業全体の中における在沖縄海兵隊のグアム移転、このことですけれども、これを議論するときに、やはり一つ押さえていかなくてはならないことがあると思います。それは、在沖縄海兵隊のグアム移転計画が単体の計画ではなく、陸軍、空軍、海軍を含む米軍全体に関係するグアム軍事強化計画の一部を構成するものであるということであります。よって、グアム移転協定に基づき、日本の果たす役割などは、グアム軍事強化計画の全体像を把握した上でしか判断できないものと私は考えております。

 グアム軍事強化計画に関し、日本政府が私どもに示している資料としては、二〇〇八年四月に公表されたマスタープラン素案の概要があるのみであります。グアム島の軍事的役割に関する米政府の中長期構想を示すマスタープランはいまだ完成しておりません。いつごろマスタープランが完成するのか、このことについて昨日も防衛省担当の方にお尋ねをいたしました。しかしながら、御回答はいただけませんでした。

 ところが、いろいろと調べておりましたところ、昨年九月に発表された、グアム島における軍事強化に関する米議会政府監査院、いわゆるGAOの報告書に、マスタープランを確定させる前提条件となる環境アセスメントが来年一月までに完了し、その後九十日以内にマスタープランが確定されると記載されていることがわかりました。すなわち、来年の四月までにはマスタープランが確定されるわけであります。

 沖縄の基地負担軽減は大変重要な問題であります。その認識は先ほど大臣もお答えになられました。普天間基地に関しては、本当に大臣も考えなくてはならないとおっしゃった。人道的見地から、パッケージの枠外での、代替基地施設建設を条件としない早期返還が私は必要だと思います。その他の部隊移転等に関しては、マスタープランの完成を待ってから、グアム島の軍事的役割に関する米政府の中長期構想をもとに、日米両国間で協議を進めればよいと私は考えております。

 キーティング米太平洋軍司令官も、三月十九日の上院軍事委員会で証言をし、日米両政府が合意した在沖縄海兵隊のグアム移転が予定の二〇一四年よりもおくれる可能性がある、こう指摘しておられるわけであります。急がなければ二〇一四年の目標に間に合わないとよく政府の関係者はおっしゃられますが、既におくれが生じているわけであります。

 多額の財政支出を伴うわけであります。適切な政策判断ができるように、慎重に事を進めていくべきだというふうに思います。もちろん、基地の返還はパッケージではなく実現するべきでありますけれども。こういう思いを持っております。

 そういう中で、慎重な審議が必要でありますので、具体的に幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 今回、日本の資金提供の条件は、米国側の資金提供のみを条件としているわけであります。米国の資金提供の条件は、日本側の資金提供に加え、移転のための資金が利用可能であること、ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設の完成に向けての日本国政府による具体的な進展があることという二つの条件も列記されております。

 そこでお尋ねいたしますが、ここで言う具体的な進展は何を意味するのか、大臣、お願いいたします。

    〔委員長退席、松島委員長代理着席〕

中曽根国務大臣 この協定の第三条にあります具体的な進展とは、特定の措置を意味するものではございませんので、協定の発効後に、日米両政府の協議を踏まえて、さまざまな要素を総合的に勘案してこれは判断されるべきものであると考えております。

 こういう前提のもとで、政府といたしまして、あえて申し上げれば、環境影響評価の実施など、こういうものは具体的な進展の一つとして評価できるもの、そういうふうに考えています。

    〔松島委員長代理退席、委員長着席〕

近藤(昭)委員 これからの協議にかかわる部分。ただ、そういう中で、具体的な条件、進行の一つとして、大臣は、環境アセスメントの手続はそれに相当するというお答えをいただいたわけでありますが、そうすると、全体的に言うと、日本国政府による具体的な進展、これは条件を満たしつつある、こういう考えでよろしいでしょうか。

中曽根国務大臣 今、一つの例を申し上げましたけれども、そのように一つずつ実行していくということによって具体的な進展となっていくものと考えております。

近藤(昭)委員 そうすると、これからまだまだ一つずつということがあるのかということでありますが、ちょっとその後また関連をして幾つか質問させていただきますけれども、それとともに挙げられている条件として、移転のための資金が利用可能であることということも書かれております。これは具体的に何を意味するのか、このこともお尋ねをしたいと思います。大臣、お願いいたします。

梅本政府参考人 協定に係ります事実関係それから解釈に関することでございますので、私の方からお答えを申し上げます。

 第九条2に言う「移転のための資金が利用可能であること、」とは、米国政府がグアムにおける施設及び基盤の整備を実施するために必要とする予算が米議会より承認をされている、こういうことを指しております。

近藤(昭)委員 承認をされるということでありますね。

 そうしますと、三月の二十日、米議会予算局は、二〇〇九会計年度の財政赤字が、史上最大の一兆八千四百五十億ドル、日本円で約百七十七兆円、ここまで悪化する見通しだと発表しております。景気低迷による税収の減少の一方で、総額約七千八百七十億ドルの景気対策などを反映した結果、一月に公表した一兆一千八百六十億ドルから大幅にふえた、こういうことですね。

 今年十月から始まる米国の二〇一〇会計年度予算にアメリカ合衆国による資金の拠出に結びつく予算が含まれるか否か、つまり、今お答えになった予算が含まれるか否か、これがはっきりするのは、議会が関連歳出法を作成、審議する六月以降になると思うわけであります。そうしますと、米国の二〇一〇会計年度予算にグアムにおける施設及び基盤を整備する同政府の事業への資金の拠出、これが含まれない場合は、日本の二〇〇九年度予算に計上されたグアム移転関連経費約三百五十三億円の執行を停止する、こう考えてよろしいでしょうか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 本協定第二条におきまして、米国政府は本件グアム移転事業への資金の拠出を含む必要な措置をとることが明記をされているところでございます。実際、米側は、米国の二〇〇九会計年度におきましても、既に、本件グアム移転事業に関連して必要な予算を得まして、先ほど来言及がございましたマスタープランの策定を含む所要の調査検討のほか、環境影響評価、あるいは米財務省勘定の設置等を実施してきているところでございます。さらに、米国の二〇一〇会計年度予算に本件グアム移転事業のための資金を計上すべく予算案を作成中であるというふうに承知をしているところでございます。

 したがいまして、我が国政府として、米側が二〇一〇米会計年度に資金を拠出できない、しないというような事態が生じるというふうには考えておりません。

近藤(昭)委員 ただ、御承知のとおり、米国は議会が予算を決定するわけでありまして、大統領は教書として提示をする、それに対して議会が決定をする。議会が決定をされていないわけであります。そういう意味では、二〇一〇会計年度予算に入るかどうか、それは入るだろうと日本政府が予想していても、入らないこともあるわけであります。ですから、入らなかった場合はどうかということをお聞きしているわけであります。ほごにされるということになった場合、どうするかということであります。大臣、いかがでありましょうか。

中曽根国務大臣 仮にアメリカ側が予算を計上しない場合はどうなるかという御質問ですけれども、そういうような場合は、米側が協定に基づく義務というものを誠実に実施しないということになりますけれども、日米の信頼関係に基づきまして実施をいたしますこの共同事業のための協定について、そもそもそういうような場合を前提に議論することは適当ではないのではないか、私はそういうふうに思っております。

近藤(昭)委員 別に前提にしているわけではなくて、そういう場合もあり得る、あった場合はどうするかということでありますし、これは協定の中に条件として書かれているわけです。向こう側も、米政府もこちら側に条件を出している。だから、日本側もその条件を満たすべく協定を今審議し、その条件を満たすべく、満たすための協定をどうするかということを議論しているわけであります。

 それは、アメリカは議会の承認をこの協定が得ないということで、ここも非常に不平等というか、バランスが悪いと思うわけでありますけれども、そういった状況の中で、しかしながら、協定には条件が書かれている。私は、アメリカが提供をするという条件を満たしていない場合は、これはやはり、日本政府としては、毅然と、その条件が満たされないんだから払わない、支出しないという決断をすべきだというふうに思います。

 次の質問に行きたいと思いますが、大臣、何かありますでしょうか。(中曽根国務大臣「いや」と呼ぶ)幾つかありますから、大臣、お答えをいただきたいと思うんですが。

 ところで、同協定第三条は、移転はロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設の完成に向けての日本国政府の具体的な進展にかかっている、日本国政府は、アメリカ合衆国との緊密な協力により、「ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設を完成する意図を有する。」と規定しているわけでありますが、この「意図を有する。」とは具体的に何を意味するのか、お答えいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 今の御指摘の本協定の第三条、これは第二文ですけれども、日本国政府がロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設を完成するという、ロードマップで既に表明をされております政治的な意図というものを、意思というものを日本国政府として改めて確認したものでございます。

近藤(昭)委員 その意図を確認した。

 それで、その「意図を有する。」というとき、気になることがあるんです。この協定、英文の方を読みますと、第三条の前半部分を含み、法的義務をあらわす助動詞シャルが一貫して使われているわけですね。ただ、第三条の後半部分にはシャルが使われていない。そのかわりにインテンド・ツーという動詞が使われているわけであります。なぜこの部分のみが、法的拘束力を持たない意思内示的文章となっているのか、大臣、このことをお答えいただきたいと思います。大臣、お願いいたします。

梅本政府参考人 いささか技術的な点でございますので、私の方からまずお答えをさせていただきます。

 本協定第三条第二文は、日本国政府としてロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設を完成するという、ロードマップで既に表明をされてまいりました政治的意思を改めて表明する、こういう趣旨でございますので、英文でインテンド・ツーという表現を使用しているわけでございます。

近藤(昭)委員 そうしますと、政治的な意図を確認する、こういうことでありますから、法的な義務ではない、こうとらえてよろしいでしょうか。

 これは、技術的なことというよりも、中身の非常に大事なところだと思うんです。ですから、大臣、ぜひお答えいただきたいと思います。

鶴岡政府参考人 法的な義務の関係でございますので、まず私の方からお答え申し上げたいと思います。

 本件協定は、在沖縄海兵隊のグアムへの移転についての相互の権利義務関係を定める法的な文書でございまして、普天間の移設についての法的な権利義務関係を定めることを目的としたものではございません。

 ですから、先ほどから申し上げているとおり、普天間に言及する部分につきましては、ロードマップにおいて合意されているものを政治的な意思として確認したことを言及しているにすぎないわけでございます。

近藤(昭)委員 法的義務にかかわることだから、事務的ということでお答えをいただいたわけでありますが、法的義務ではないということで、大臣、確認でよろしいでしょうか。

中曽根国務大臣 ただいま政府参考人が答弁したとおりでございまして、これはグアム移転のための協定でございますので、ロードマップで既に表明された政治的意思を改めて表明する趣旨でそのような言葉を使ったものでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。法的義務ではないということを確認させていただきました。

 続いて、これもぜひ大臣にお答えいただきたいと思います。

 「ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設を完成する意図を有する。」の、ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設の場所についてであります。

 これは辺野古地区を意味するわけであります。ということは、日本政府が辺野古地区の普天間飛行場の代替施設の完成に向け、真摯に努力した、政治的な努力をした、しかし、何らかの理由で計画が頓挫した、うまくいかなかった、そういった状態に陥ったとしても、日本政府は、先ほどの、意図を有した、法的義務ではないわけですから、意図を有し、努力し続けたわけです。協定に違反していない、こういう解釈がされると思いますが、大臣、この点、いかがでありましょうか。

梅本政府参考人 まず、法的な点についてお答えを申し上げます。

 先ほど来申し上げておりますように、この協定は、ロードマップの中の、一つの重要な要素でございますが、あくまで一部分であります海兵隊の沖縄からグアム移転に係る日米で共同で進める事業につきましての、特に真水の部分の資金拠出に関係する部分についての権利義務を定めるわけでございます。

 その関係で、まさにロードマップということで、グアムへの移転が普天間の移設、返還と関連づけられているということから、普天間についての政治的な意思を改めて確認したということでございます。

 したがいまして、全く仮定の問題でございますが、私ども、最善を尽くして普天間の移設、返還をやりたいと思っておりますが、これが仮に、万一、日本政府が誠意を持って取り組んでいたにもかかわらず、何らかの事情によってうまくいかないというようなことがあったときに、このグアムの協定違反になるかということであれば、それは違反になるということにはならないということでございます。

近藤(昭)委員 技術的にお答えをいただいたわけであります。

 大臣にも確認をしたいと思います。違反にはならないということですね。

中曽根国務大臣 違反にはなりませんけれども、代替施設の建設は着々とやっていかなければと思っております。

近藤(昭)委員 それはもう着々とというか、「意図を有する。」わけでありますから、それに向けてはやっていかなくちゃいけない、しかし協定違反にはならない、こういうお答えだったと思います。

 それでは、日米合意の解釈について幾つか質問させていただきたいと思います。

 海兵隊員の海外基地への配属に関しては、基地に通常二年間の任期で配属され、家族同伴が許される隊員と、UDPと呼ばれ、単身で六カ月の期間、基地に派遣される隊員がいるということであります。それらを合わせて、現在何名くらいの海兵隊員が沖縄にいるか把握されておられますでしょうか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 米側は、海兵隊の実際の軍人数につきましては、我が国に所在する海兵隊の軍人の総数という形におきまして一定期間ごとに公表するということで、これまでいろいろな数字を公表してきているわけでございます。

 そういう数字として、平成二十年九月三十日現在の数字でございますが、在日米軍の軍種別の人数ということで、海兵隊については約一万四千四百名、こういう数字が出ておるわけでございます。

近藤(昭)委員 政府は、今回、グアム移転協定を締結すると、一万八千人の在沖縄海兵隊のうち約八千人、その家族約九千人が沖縄からグアムへ移転する、よって沖縄の負担軽減が図られる、まあ、沖縄の負担軽減のことを盛んに言われるわけであります。しかしながら、これらはすべて定員数の話だと思います。

 お手元に資料を配らせていただきました。「沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)」、こういう二枚のコピーのペーパーでありますけれども、これをぜひごらんいただきたいと思います。これは沖縄県が発行している統計でありますが、先ほど政府がずっと提示している数字というのは、これは定員数の話なんですね。しかし、今お手元に配ったのは、沖縄県が出している実数の資料であります。

 これを見ると、ここ数年来、在沖縄海兵隊員の数は約一万三千人。数字を手書きの丸で囲ませていただきましたが、一万三千人。そして、家族の数を見ると、大体八千人前後なんですね、八千人。見ていただくとわかると思います。現在八千人の家族しかいないのに、そこから九千人をどうやってグアムに移転させるのか、こんなことはできないと思うんです。

 どうも、定員数と実員数というものをしっかり区別して議論していないんではないか。そして、これをしっかりと区別していない限り、本当に、このグアム移転協定、グアム移転がどの程度沖縄の負担軽減になっているのかわからないと思うんです。大臣、いかがでありましょうか。

 私は、ぜひ、このロードマップに記載されている第三海兵機動展開部隊、この隷下の移転対象部隊それぞれの実員数、これを本協定の審議中に当委員会にきちっと御報告いただく。これは沖縄県が出している資料でありますから、政府としてきちっとお出しをいただきたいと思いますが、いかがでありましょうか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一つは、このロードマップにおきましては、あくまでも定員数ということで約八千名をグアムに沖縄から移転するということでございます。また、家族については、それは各要員ごとに家族数は違うわけでございますので、これはあくまでも定員数八千を踏まえた概数として九千というものが出ているということでございます。

 それから、定員と実員数でございます。

 実員につきましては、これは時々刻々、そのときの部隊運用状況等に応じてまさに変動しているわけでございまして、先ほど私が申し上げた数字も、アメリカが、年に一回国防省が公表しております在日米軍全体の数字でございます。

 この沖縄県が出されております数字というのは、沖縄県が在沖米軍に取材をして出された数字であるということで、私ども、随時、アメリカ側からできるだけ数字を、その時々の正確なものを入手するようにしておりますので、これからも努力をして、できるだけ最新で正確な数字をとりたいと思います。

 ただ、数字の集計というのはそれなりに時間もかかりますし、どういうベースの数字かということも精査する必要があるということでございますが、私どもとしては、できるだけ正確な数字を入手したいというふうに思っております。

河野委員長 それでは、外務省、外務省が入手している最新の情報を後で御報告いただきたいと思います。

近藤(昭)委員 委員長、ありがとうございます。それはぜひ火曜日までにお願いをできますでしょうか。

 今審議中であり、やはり再三、政府は、この移転が沖縄の負担軽減になるんだ、これを繰り返しているわけです。しかしながら、今びっくりするのは、定員数を移転する、定員数を移転することによって沖縄の負担の軽減になるんだと。これは、論理としてはおかしいわけであります。

 これは、今委員長から要求をしていただきましたので、ぜひ出していただきたい、出していただかなくてはいけないわけですけれども、お話を聞いていてもむちゃくちゃだと思うんです。移動しているからわからないとか、それは正確にはつかめないとか、そんなことだったらとてもこの協定は議論ができないと思うんです。

 ましてや、それは沖縄県がやったことかもしれませんけれども、大体、沖縄が一番負担を受けていて苦しんでいるわけであります。だから、一番よくわかっているんですね。そこがやっていて、移動があるから確定はできないかもしれないけれどもというのは大変に失礼なことだと思いますし、その努力を政府が、外務省がきちっとしてこなかったというならば、それは本当に大きな問題だと思います。

 大臣からも確約をいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 現実問題といたしまして、海兵隊の軍人の数というのは日々変動しているんじゃないかと思うんですね、移動したりしていますし、本国へ帰ったり。ですから、私ももちろん最新データは必要だと思います。それが、いつのものが入手できるかというのは今ここでは私どもわかりませんけれども、努力はもちろんさせていただきます。

 ただ、一定の人数というものを、変動する可能性がある中である程度の人数というものを決めて、それに家族数を、大体海兵隊の平均的なものを私は掛け合わせたものではないかと思いますけれども、そういう形でこの数字を出していくというのは、私はこれは現実的なやり方であろうかと思います。

 ただし、その定数は先方から発表されたものでもありますけれども、実態に近いもの、できるだけ近づける努力はもちろん必要でありますし、そういう数値があれば提出させていただく努力はしたいと思いますが、火曜までというのは、ちょっとこれは相手があることですのでお約束できないんじゃないかと思いますが、できるだけ早くということはお約束したいと思います。

近藤(昭)委員 いや大臣、それは、相手もあることだと言われても、そうすると、今まで何もやってこなかったのかということだと思うんです。

 これは、協定、これで審議をしようと言ってきているわけでありますから、それは今まで、ゼロから始めるわけではないですし、それと、いろいろ移動していても、そんなことは軍隊でありますから把握しているわけだと思うんです。だれがどこに行ったか、何人今は沖縄にいないのか何人いるのか、そんなこと軍としての米軍が知らないわけがない。大臣、それはやはりきちっと出すと言ってくださいよ。お願いします。

河野委員長 それでは、外務省、外務省が今持っている最新の数字を火曜日までに御提出いただき、最新の情報は引き続きとる努力をしていただきたいと思います。

近藤(昭)委員 それは絶対に出していただきたいと思います。

 とにかく、この間、沖縄の負担軽減、沖縄負担の軽減というのがマジックワードのように使われているわけであります。しかしそれは、実員数と定員数がまさしくマジックのように使われていて、目くらましのようになっているんです。これはやはりきちっとした数字を出していただかなくてはならない。

 それと、これまたこれからの質疑で質問していきたいわけでありますが、辺野古の問題もあると思います。辺野古にも行ってまいりました。あんなきれいな海のところに新たに基地をつくる、これをやって、何が沖縄の負担軽減なんだというふうに改めて思いました。

 私は、冒頭申し上げました、普天間基地については、人道的な見地から、本当に多くの方が危険な中で暮らしているんです。日々危険な中で暮らしているわけであります。これはとにかく早期に返還をすべきだということ、そして、沖縄の本当の負担の軽減につなげていかなくてはならない、こういうふうに思います。

 以上です。ありがとうございました。

河野委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 篠原でございます。

 いろいろ質問通告してありましたけれども、先輩委員の皆さんがいろいろ触れられましたので、ちょっと順番を崩して質問させていただきたいと思います。

 まず、協定そのものの問題でございます。

 前々回のときにちょっと触れさせていただきましたけれども、クリントン国務長官が日本に来られた。それで、この問題を協議されて、そして協定までぱっぱっと行ったと。私は、先ほど鉢呂委員も触れておられましたけれども、どれを行政合意のままにしておいていいのか、どれを一体協定にするのかというのを、どのような基準でやっていたのかわかりません。しかし、新聞とかあるいは評論家は、何か、やったやったという証拠に協定にしたんじゃないかとか言われています。ですが、私はこの説は正しくないと思います。日米間の大事な取り決めというか約束はきちんとした文書にしていき、国会でも承認をされていくのが当然だと思います。

 そしてまた、恐縮でございますけれども、ちょうど私が質問するちょっと前にいい本が出るんですね。孫崎享さんという、外務省のOBには本当に教養あふれる方がおられるんじゃないかと思います。後輩の皆さんもちゃんと勉強してこのような人になっていただきたいと思いますけれども、立派な方が「日米同盟の正体 迷走する安全保障」というので、また立派なことが書いてある。残念ながら、正直言いまして、この前の村田良平さんのは私はもう読破してきたんですが、これは鉢呂委員から借りまして、きのうの夜からけさにかけてちょろっと読んだだけです。しかし、また大事なことが書いてあるんです。

 どういうことが書いてあるかというと、「はじめに」のところで、日米安保条約は変質したんだと。一九六〇年の日米安保条約、その基本方針は変わらないと書いてあるかもしれないけれども、実は違うんだ。二〇〇五年の十月二十九日、2プラス2ですか、日米合意、未来のための変革と再編という行政合意でもって大きく内容が変わったんだ。どこが変わったかというと、日米同盟の中心というのは、極東の平和、安全保障が第一だった、そのようにしか書いていない、ところが、この行政合意によって、世界じゅうの米国のテロとの闘いにどう協力していくのか、こういうふうに変わったんだというふうに書いてあるんですね。

 こちらの方の大事な、基本的な考え方が変わったことについて何も協定にせずにほっておいて、こちらの方だけ協定を急ぐというのはいかがなことかと思われますけれども、どういうふうに考えておられるんでしょうか。

 そして、その前に、またこういうことばかり言うのもよくないんですが、大臣、読まれましたでしょうか。民主党のネクストキャビネットの大臣はもう読破されておられるんですが、本物の大臣はお読みになりましたでしょうか。

    〔委員長退席、三原委員長代理着席〕

中曽根国務大臣 拝読しておりません。

篠原委員 それで、この日米安保条約の変質、孫崎さんが指摘されておられること、こちらを全然変えずにこのロードマップを協定にするという、この理屈はどこにあるんでしょうか。

 これは大臣に。こんなことは細かいことでも何でもありません。大臣、答えてください。

三原委員長代理 梅本君、先に。先に梅本君。

梅本政府参考人 まず私の方から、法的なものか政治的なものかということについてお答えを申し上げます。

 2プラス2の発表文というのは、双方の四人の閣僚が署名あるいは合意をしております大変重要な文書でございます。ここにおいて、双方が、例えば日米安保条約をもとに日米同盟をこれからどうやって運営していこうかというようなことについての方針あるいは政治的意図というものをそこに込めているわけでございます。そういう意味で大変重みのある文書でございますが、しかしながら、具体的な権利義務関係を定めたものではございません。したがって、そういうものとして、これはあくまでも政治的文書として取り扱っているわけでございます。

 それに対しまして、今回のグアムの移転協定は、グアムの移転に係ります真水の部分、ここにつきまして具体的な権利義務を設定しておる、そういうことで協定という形で結んでおりまして、また、ここに国会承認条約として国会の御審議をお願いしている、こういうところでございます。

中曽根国務大臣 今政府参考人からも申し上げましたけれども、ロードマップは政治的な、そういうような考え方があるものでございますけれども、協定そのものは、これはやはりスケジュール的なものがありまして、御案内のとおり、二〇一四年までの事業完了を目途とする、かつ、多年度事業であるということから、これを円滑に、そしてまた安定的に実施していくためには資金提供を米国にする必要がある、そういうことで日米双方の行動について規定をしたわけでありますけれども、これはいわゆる財政事項を含む国際約束でありますから、我が国においては、国会承認条約として、協定の締結について御承認を得る必要があるということでございます。

篠原委員 変な理屈だと思いますよ。今局長が答えられたのは、抽象的なものについては国会の承認も得なくていいんだと、基本原則については。国内法でいったら憲法のような大事な、抽象的なものについては、ちょっと解釈を変えたりするだけだから国会の承認も得なくて何もしなくていいんだ、それで、細かい実施法だけは法律でちゃんとやっていかなくちゃいけないんだ、そういう理屈じゃないですか。それはおかしいんじゃないですか。

 こんな抽象論をしている時間はありませんのでやめますけれども、私は、基本的には、すべてちゃんと国民の前に明らかにし、協定なり条約なりにして、変わったところは変わったといって改定していくべきだと思います。そうじゃないと、よくないんじゃないかと思います。ですから、この協定、私は、何か要らないんじゃないかなんて言っている人がいますけれども、そうじゃないです、きちんと協定を結んでいくべきだ、日米安保条約が変わったりしたらちゃんと変えていくべきだと。

 実際にそうなんですね。まだ全部読んでいませんけれども、これを見てだんだんわかってくるわけです、後から。どういうことかというと、極東から世界の平和、テロとの闘いということで、その延長線上でイラクへの自衛隊の派遣というのもありますし、アフガンへの日本のかかわりというのも出てくるわけです。違うんだ、日米安保条約は極東の平和だけじゃないんだ、世界のテロとの闘いまでも広まっているんだ、こういう大原則の変更があったんです。だからそれに基づいてその後の政策が実行されているんです。そのもとの条約のところをほったらかしにしておいて、後の実施だけ、やらないで先に行っているじゃないですか、イラクとかアフガンとかに。これこそ協定でやっていかなくちゃいけないんじゃないんですか。このことは聞きません。こういうのをちゃんと頭の中に入れておいてください。理屈どおりにやっていただきたいということです。

 それで、次ですけれども、ではアメリカは一体これをその延長線でどうとらえていくか。日米安保の関係で沖縄に海兵隊が置かれているのか。そうじゃないんですね。これもやはり変質してきているんですよ。世界戦略なんです。前々回のときも申し上げましたけれども、変わってきているんです、アメリカの考え方も。どういうことが変わってきているかというと、在外基地を少なくしていこうというのを。

 資料を見てください。資料の一ページ、これはこの前、三月十三日に提出した資料です。繰り返し申し上げますけれども、ヨーロッパも東アジア太平洋地域もどんどん兵力を削減してきている。これはアメリカの大方針です。

 それで、次のページ。外務省から資料を提供していただきましたけれども、足りないので私がちょっとつけ加えました。日本とドイツと韓国の駐留軍の数の変化です。大きく減ってきているんです。ドイツのところを見てください。一九九一年、ソ連の崩壊、これは二十万の上あったのに五万五千に変わっています。韓国は、四万四千とかあったのが二万五千に減ってきている。日本も減ってきているんです。こういう大きな趨勢があるんです。

 そして、では、オバマ政権にかわって、変わっていくのかいかないのか。日米同盟は不変だ、内容はそんなに変わりないと言うけれども、違うんですね。日本は政権交代を本当に経験していないから余りそういう認識がないんですけれども、ほかの国の場合は、政権交代をすると外交政策も大きく変わるんです。

 オバマ大統領になって変わってくるのは何があるんでしょうか。意外と皆さんお感じになっておられませんけれども、環境なんですね。環境と人権をオバマさんは売り物にしているんです。だから、日本の政治家や日本国民以上にジュゴン訴訟なんかには関心を持っておられるかもしれないんですよ。こういうのをよく覚えておいていただきたいんです。

 それから、財政危機があります。財政赤字が昨年の一・五倍ぐらいになっている、それで国防費を一五%削減していくんだと言っておられる。それから、世界戦略、アメリカの安全保障の戦略が変わってきているんです。テロとの闘いになってきているんだ、面的な広がりを持ってきている。だから、アメリカに全部引き揚げて、アメリカから展開できるようにしようとしているんです。だから海兵隊の役割も違ってきているんです。

 だから、沖縄の海兵隊をグアムに移転するなんというのは、米軍再編の優先順位からすれば下の下になるんじゃないかと私は思うんです。アメリカは本当に二〇一四年までにこれを完了させる気があるんでしょうか。あるんだったら、堂々と協定にしてほしいんです。国会の承認も要らないとか、そういうちゃちなものじゃなくて。日本はちゃんと協定にしているんです、条約にしているんです、こうやって国会で審議しているんです。アメリカは全然それをしないで、行政協定のままにしてまたぱっと変えるつもりじゃないかと思いますけれども、その点は大丈夫なんでしょうか。

中曽根国務大臣 日米の両国政府は、二〇〇六年の五月に、ロードマップにおきまして、在沖縄海兵隊のグアム移転を二〇一四年までに実現するということで合意をしているわけでございますが、その後、首脳を含むさまざまなレベルにおきまして、ロードマップの着実な実施というものを確認してきているところでございます。

 また、クリントン国務長官が訪日いたしました際にも、先ほどからお話がありますように、グアム協定に私との間で署名をいたしましたけれども、これは本件のグアム移転事業の実施に対する米国の明確なコミットメントのあらわれである、そういうふうに私は思っております。

 さらに、この協定の第二条におきまして、米国政府は本件のグアム移転事業への資金の拠出を含む必要な措置をとることが明記をされているわけでございます。実際、米国政府は、二〇〇九年の会計年度におきましても、既に、このグアム移転事業に関連しまして、マスタープランの策定を含む所要の調査検討のほか、環境影響評価とか、あるいはアメリカの財務省勘定の設置などを実施してきておるところでございます。さらに、米国の二〇一〇会計年度予算に本件グアム移転事業のための資金を計上すべく予算案を作成中である、そういうふうに承知をしております。

 したがいまして、米側にとりましても、本協定が議会の承認を要するものかあるいは行政協定であるかにかかわらず、米国としても二〇一四年までにグアムの移転を実現するとのそういう意思は明らかである、そういうふうに考えております。

篠原委員 それをちゃんといろいろなところできちんと確認していっていただきたいと思います。私は心配なんです。アメリカが財政危機だ、未曾有の財政危機なんだ、だから勘弁してくださいといって沖縄に居座る、こういう心配があるんじゃないかと思います。それが一つです。

 そしてもう一つは、全然逆になりますけれども、いやいや、もっと大幅に削減しなければならないんだ、沖縄にもグアムにも海兵隊を置いておく意味がないんだ、だから、つくってもらったいろいろな施設は空軍や海軍の施設として使わせてもらうといって、海兵隊がさっさとアメリカ本土に引き揚げてしまう。

 この二つのおそれがあるんじゃないかと私は思います。こんな勝手なことはさせないということをぜひいろいろなところで確認していっていただきたいと思います。

 きょうは、北村防衛副大臣にもおいでいただいておりますので、ちょっと御質問をさせていただきたいと思います。

 次の三ページの朝日新聞の記事をごらんください。一面トップで二月十六日に、「米海空軍施設にも充当」ということで、ことしの予算のうちの二百二億円を、海兵隊の移転についてだけ使うといっているのを、そうじゃないところにも使っているといって、取ってつけたように批判しています。やはり、これはちゃんと答えなければいけないんだろうと思います。見方によっては幾らでもこういうことを言えるんですよ。

 しかし、今、いろいろなお金、政治資金も、勝手に集めておいてどこに使っているんだとかいって、使途に厳しい目が向けられているわけです。我々の税金ですよ。それを、超大国アメリカ、お金持ちのアメリカの軍事施設を、幾ら移転するからといって出すのはおかしいというのはずっと言われていますけれども、それで使うんですから、少なくとも我々は約束どおり限定してちゃんと使われるべきだと思いますけれども、この点についてはきちっと見てやっておられるんでしょうか。

北村副大臣 お答えいたします。

 平成二十一年度の政府予算案に計上いたしました在沖縄米海兵隊のグアム移転に係る真水事業の経費につきましては、アンダーセン空軍基地及びアプラ海軍基地における基盤整備事業も含まれておりますけれども、これらの地区には、在沖米海兵隊の航空運用や港湾運用の機能が必要でございます。在沖米海兵隊も移転する予定であります。したがって、二十一年度に計上した予算は、あくまで在沖縄米海兵隊の移転に伴う所要の増大によるものである。

 さらに、ロードマップにおきましては、日本側の直接的な財政支出、いわゆる真水について、第三海兵機動展開部隊のグアムへの移転のための施設及びインフラ整備のためというふうに明記をされておりますから、防衛省といたしましては、あくまで日米合意、ロードマップに従って負担を行うということであります。

 以上です。

篠原委員 誠実な御答弁、ありがとうございますが、こんなのは当たり前なんですね。港を、これは海軍の施設だ、これは海兵隊の施設だと、二つ港なんてつくる必要はないですよね。一緒に使うんです。当たり前です。空軍の施設だって、空港だって同じですよ。当たり前なんですけれども、これを見ていると、先ほどの近藤委員の指摘じゃないですけれども、何だと。九千人の家族が移る、九千人もいないじゃないか、八千人の実員もいないじゃないかと。結局それは、海兵隊員じゃなくて空軍や海軍の皆さんのものに使われるというふうになってしまうんじゃないかと。

 僕は、ある程度、行く行くは、いろいろなこと、ごちゃごちゃがあって、十年後、二十年後もそれはそれでいいと思います。海兵隊用につくったんだから、海兵隊以外の皆さんはそれを使っちゃいけないなんて、そんなことを言っていたら有効活用できませんからね。ですけれども、最初ぐらいはぴしっと国民にわかるようにして、大新聞の一面にこんなふうに書かれないように、きちんと説明しておいた方がいいと思いますよ。誤解を受けます。慎重にも慎重の上で、きちんと説明してやっていっていただきたいと思います。使途はきちんとしなければなりません。

 それから、次に四ページ、また新聞記事で恐縮ですけれども、見ていただきたいんです。大臣、よく見ていただきたいんですが、全然違う文脈で同じ日に東京新聞と毎日新聞に、キルギス基地の再開への支援云々と書いてあるんですね。

 一つは、ケント・カルダーさんですが、日本通の、アメリカのライシャワー東アジア研究所長のカルダーさんが何を言っているかというと、「日米関係どう変わる」かということで、「キルギス基地再開へ支援を」とか言っている。何でこんなことを言ってくるのかなと、よく読んでいきましたら、オバマ政権がアフガンを大事にしていると。それで、キルギスの基地を閉鎖せんとしている、キルギスは財政的に困っている、経済援助を日本にしてほしい、日本は金持ちでしょう、だからやってくださいというふうに言ってきているんです。それで、その下に東京新聞で、「キルギス米軍基地 一転、存続の可能性」とかと書いてあるんです。

 次の五ページを見てください。ちょうどこれに合わせて小野寺さんもおいでいただいたようでございますけれども、三年半前に外務委員会の委員派遣で、私はキルギスに行かせていただいたんです。国会議員になって初めての外国出張でございました。役に立った出張だと思います。

 見てください。マナス基地を見てきたんです。それで、アメリカ大使館前で、アメリカの大使、女性です、真ん中にでんと構えておられますけれども、アメリカ人にしては小柄な方ですが、元気がよかったです。左側は、大使と、当時の原田外務委員長と中谷さんと、顔に手を当てているのが私で、考えているふりをしているんですけれども、休んでいるだけです。

 私は、このときの議論が非常に印象に残っているんです。この大使がどうおっしゃったかというと、キルギスはとんでもない国だと。この下のところを見ていただきたい、ちょっと字が違っているところがあるんですが、今、基地使用料として千七百四十万ドル払っている、ところが、基地の使用料を十倍に上げるといって、要求されて困っているんだと言いました。その十倍というのは、隣の一億五千万ドルの経済効果と書いてありますけれども、経済協力支出です、経済援助。それで、大使は言っていました、アメリカ議会は承認しそうだと。小野寺さんも覚えておられると思いますけれども、承認してくれるんだと。ただ、問題は、幾らやっても、本当にキルギス国民のために使われるんだったらいいけれども、汚職で、どこか途中の変な人たちがみんな懐に入れてしまって使われない、このことだけがちゃんとしたら、我々は幾らでも出すつもりがあるんだと。

 私はそのときびっくら仰天しました。沖縄と比べたんですね。片や、何でもかんでも思いやり予算とか、私は悪女の深情け予算とかいって去年申し上げましたけれども、物すごくいっぱい出してやっている。そうすると、キルギスは、お金がない弱小国だとはいえ、基地の使用料を取っている。

 それから、下です。急転直下です。それからごちゃごちゃやっていたんですね。実は、あの話はまとまっていなかったんです。びっくりしました。一たんまとまりかけたんだそうです、一億五千万ドル払うと。ところが、三番目のところを見てください、ことし二月三日、ロシアとアメリカの綱引きが始まったんですね。バギーエフ大統領が突然、駐留期限の終了を決定したといって、声明を出すんです。

 理由は二つ。この二つの理由をよく見てください。キルギス政府の提示する金額で交渉がまとまらずと。アメリカが一億五千万ドル払うのを拒否したんです。これは、日本とは正反対の対応です。

 二番目。弱小国でも日本国でも同じです。これは残念ながら、日本の新聞や何かに報じられておりません。外務省に聞きましたけれども、外務省からはこの情報は参りませんでした。ですが、二番目が大事なんです。よく読んでください。米軍人による犯罪や事故に関する司法権がアメリカ側にあるため、殺人事件や交通事故を起こした米軍人が処罰されずに本国に送還されたことによって、キルギス国民の世論が反米軍基地化したと。

 似ていますよね。日本も同じなんです。地位協定問題ですよ。よく思い出してください。この返還とかいうのも、何から生じたんですか。一九九五年、米軍の少女暴行事件をきっかけにこの問題が噴出して、出ていけというのになったんです。全く同じなんですよ。世界じゅうで同じことが起きているんです。ただ、対応の仕方が違うんです。

 ですから、私は、このカルダーさんの記事の要望、取ってつけたような要望ですけれども、ちょうどいいです、日本はキルギスに経済援助してやったらいいんです。ほんのわずかです。我々、視察した皆さんも、感謝されるんだろうと思います、そういうようなことを言ってきましたからね。そのかわり、対米交渉の仕方も、基地のあり方についても、ちゃんと教わってくるべきだと思います。

 その下を見てください。したたかですよ、バギーエフ大統領。(写真を示す)これをちょっと入れるのを忘れていたので、ちょっと済みません、理事会の了解はとっておりませんけれども、にっこり笑って、私たちも握手してきております。バギーエフ大統領、この方が頑張っているわけです。なかなかしぶとそうな顔をしていますよ、体もきちんとしていますし。この方が、アメリカとロシアの間でもって適当に動き回っているんですね。

 五のところを見てください。バギーエフ大統領は、ロシアのメドベージェフ大統領と会って、二十億ドルの融資、キルギスの年間予算だそうです、そして、アメリカに言っているのと同じ一億五千万ドルの無償支援。つまり、これはフランスもロシアも共同で利用しているんですよ。我々の飛行機や何かもここにおりたんです。ロシアとアメリカをてんびんにかけて、そして自分の国づくりをしようとされているんです。なかなか大変な国だと思います。

 それは、日本は世界第二の経済大国だというのはあるかと思いますけれども、何でこんなに対応に違いがあるのか。日本の、税金も投入して、出ていってくれるのにお金を払う。片や、使わせているのに金を払え、金を十倍払えと言って、嫌だと言ったら出ていけと言っている。この大きな違いは一体どこから出てくるんでしょうかね。外務大臣はいかがお考えでしょうか。

伊藤副大臣 いつもながら、篠原議員の複眼的な思考、深い思慮には敬意を表するところでございます。

 他方、日本とキルギスでは、米国との関係においても、また諸般の状況においても、歴史的な経緯、地政学上、また他の面についても非常に異なる部分があると思います。そういうことを総合して考えますと、まず、日米同盟というものが我が国の外交の基軸でありますので、したがって、我が国の平和と安全を確保する上で、御指摘のように、キルギスのようにといいますか、米国とロシアをてんびんにかけるといいますか、このような動きをするということは、我が国の外交政策として適当であるというふうには考えていないわけでございます。

 その上で申し上げれば、日本ももちろんキルギスにODAをやっております。ちょっと今額は、調べないと数字を挙げられませんけれども、そういういろいろな外交手段を使って日本の安全保障というものをしっかり確保していくというその複眼的な思考については同意するところでございます。

 今お話がありました在沖縄の海兵隊のグアム移転については、これもちょっと繰り返しになって恐縮ですけれども、抑止力を維持しつつ沖縄の負担軽減を実施するゆえの措置であり、政府としては、沖縄住民の強く希望している在沖縄海兵隊の移転の速やかな実現が可能となるように、米国とともに、グアムにおける施設及びインフラの整備のための負担を行うとしたわけであります。このための支出は、沖縄住民の負担を軽減し、本件のグアム移転事業を円滑かつ安定的に実施していく上で必要な経費というふうに考えておるところでございます。

    〔三原委員長代理退席、委員長着席〕

篠原委員 日本とキルギスは、全然立場が違います。だから、お金の面や何かのところでは、私は伊藤副大臣のお答えになったとおりだと思います。しかし、絶対共通で考えていただきたいのは、地位協定に関する部分なんかは、弱小国だろうと経済大国だろうと態度は同じです。二国間の関係、ぴしっとした態度をちゃんととるべきだと思いますので、その点はぜひきちんとしていただきたいと思います。

 それから、六ページ。外務大臣は見ていられないので、ずっと外務委員の方はごらんになっておると思いますけれども、去年の、ちょうど一年前の思いやり予算のときに提出した資料です。よくこれを見てください、日本はこんなにいっぱい出しているのを。外務大臣にちょっと御説明させていただくだけでいいんですが、六ページの上から四段目のところの各国負担費Dというのを。駐留、アメリカの在外基地、それに対する各国の負担。全部のお金を計算すると、日本がそのうちの半分、全駐留経費のうちの半分、外国が負担している経費のうちの半分、五三%を負担しているということです。

 特に、直接支援というのが大事なんです。これもよく見てください。直接支援というのはどういうことかというと、ドイツとイタリアのところの倍数を見てください。ドイツやイタリアは基地をただで利用させているだけで、金をこんなに出していないんです。金を出しておきながら移転費も出すというのを。イタリアの千六十九倍とかなんかもよく見ておいてください。いかに日本がいっぱい出しているかというのを、これはもう繰り返しませんけれども。

 次に、さっきの新聞記事のところにちらっと出てくるんですけれども、四ページのカルダーさんの記事の下の段の真ん中の辺で、北朝鮮の核問題について、オバマ政権の外交上の最優先地域の一つは中東で、その中でも重要なのはイランの核兵器の阻止だと。

 それで、これに大きくかかわるのはIAEAです。天野さん、残念ながら当選できなかったですね。私は、天野さんをIAEAの事務局長に推したりして、大体当選できる見込みだ、事務局長になれそうだというのを、これはいいことだ、頑張ってくださいという支援質問をしたはずなんです。これは、三分の二、二十四カ国でよかったはずなんですが、どうしてとれなかったんでしょうか。この原因はどこにあるとお考えでしょうか。

伊藤副大臣 御存じのように、三月の二十六日及び二十七日、IAEAの理事会によってこの選挙が行われたわけでございますけれども、まことに残念なことに、我が方の天野候補、そしてまた南アのミンティ候補、いずれも任命に必要となる全理事国三十五カ国の三分の二を上回る得票に至りませんでした。もちろん、今回の選挙に当たっては、総理、外務大臣を初め、私副大臣、また政務官、いろいろなやり方で全力を挙げてまいりましたが、このような結果になったわけでございます。

 どうして三分の二が得られなかったかという御下問でございますけれども、委員御存じのとおり、国際機関の選挙というのは、我々の選挙とまた違いまして、なかなか一筋縄ではいかないところが多いと思います。その上で、今回も国を挙げて、また外務省を挙げて努力したわけでございますけれども、これからもう一度選挙の仕切り直しであるわけでございますので、余り予見を申し上げるのもいかがかと思いますけれども、今回の反省も踏まえて、今後、理事会の議長が加盟国に対して四週間以内に再度立候補を行うように求めることになっておりますので、引き続き天野候補を擁立して、今度はぜひ勝てると、当選に向けて全力を挙げてまいりたいと思います。

 支持が広がった理由というのは、これは幾つもありますし、またそれを余り個別に挙げるということは、まだこれは選挙途中でございますので、ここでは差し控えたいと思いますけれども、いずれにしても、委員おっしゃるとおり、国際機関の責任者を日本から出すということは非常に重要でありますし、特に、北朝鮮の問題等もありますので、IAEAの選挙というのは非常に重要だというふうに考えております。

篠原委員 私は、天野さんはかわいそうだと思いますね。天野さんは、日本が候補者として出すには最高級の、言ってみれば上玉だったと思うんです。それがだめなのは、やはり日本外交のひ弱さというか、問題だろうと思います。皆さんのかわりにちょっと申し上げますと、原子力政策について、唯一の被爆国だということを売り物にして言っておられた。それはそれで大事なんですが、では、それを貫徹しているか。インドとアメリカの原子力協定に対して承認するようななまくらな態度をとっている。こういうのをちゃんと発展途上国から見られているんですね。それから、やはり原子力を持っている国、持っていない国で、イランや北朝鮮、これから原子力を平和利用していこうとする国、そこのところへいろいろ厳しいことをするんじゃないかというようなこと。南北問題のところに組み込まれちゃっているんですね。だから、大したことない対立候補だったと思います。

 それで、八ページ、九ページの資料を見ていただきたいんです。

 八ページを見てください。これまた私がいろいろな資料をもとにつくった資料ですから、外務省の事務方の皆さんはこれを参考にしてくださいよ。見てください。OECD、WTO、FAO、ユネスコ、IAEA、WHOと、重立った国際機関の最近三代の長が一体どういう経歴か、つまり、この人たちがどういう人たちかというのを調べてみました。見てください。猪口さんもよく見ていてください。OECD、ペイユという、私がOECD代表部にいたときはペイユという、フランスの外務官僚の立派な人でした。その後、ジョンストン、グリアと、右側の方を見てください。国会議員であり、大臣をやった人です。WTOも見てください。ムーア、その前のサザーランドもそうです。サザーランドからそうでした。もう、ムーア、スパチャイ、みんな国会議員、大臣です。ラミーはちょっと違いますけれども、欧州委員からして半分政治家です。FAOもディウフが、小さいアフリカの国ですけれども、政治家です。ユネスコも、松浦さんの前のマヨールというのは教育・科学大臣をやっている、こういう人たちです。

 次のページを見てください。最近の日本人の敗北の原因というか、OECD、〇五年、これは候補者です。この中で、だれがなっていったかというと、グリアになっていくわけですけれども、六人の候補者のうち、四人は元閣僚で、一人は大学院長で、竹内佐和子さんは、大学教授でパリに行ったりしていますけれども、やはり経歴として見劣りするんじゃないかと思います。WHO、これは技術的な組織であって、プロが選ばれています。ですけれども、二人が元保健大臣です。

 天野さんの場合は本当に、ミンティさんというのは、資料を見ましたけれども、全然大したことないんですね。それでも敗れてしまった。

 これを見ると、国際機関の長になるキーワードは何ですか。引っ張り出すと、前の八ページを見てください。政治家、国会議員、当然、語学力がある。意外に女性というのが、少子化大臣をやられて、国会議員で、女性で、英語やフランス語ができてという方がおられるじゃないですか。

 外務省は、何か外務官僚ばかりをやっているんじゃなくて、この辺にいい方がいっぱいおられるじゃないですか。発想を転換してください。三原さんなんかも、私、一度外国に行ったことがあるんですけれども、日本語より英語の方が上手じゃないかと思われるぐらい英語がおできになりますし、この人当たりですね、日本ではしゃべり過ぎてだめなような人が、外国の機関ではちょうどいいんです。ですから、政治家が向いているんですよ。発想を転換していただきたいと思います。

 これから政治家も候補として考えて、その一人に私も入れておいていただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

河野委員長 次に、松原仁君。

松原委員 篠原委員に続きまして、質問を続けていきたいと思いますが、今回のグアム移転のそもそもの原因が何に発するのかという議論でありまして、これは幾つか、複数の原因にわたっているだろうと思っておりますが、そもそも、この原因、これは何によって始まったか。

 これは別に通告しておりませんが、大臣が十分にお答えになられるはずでありますから、大臣、お答えをいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 原因は何かというお尋ねでございますけれども、日本とアメリカ、日米両政府は、とにかく日米安保体制というものを基盤として、日米同盟を新たな安全保障環境に適応させて、そして、我が国の平和と安全を確保するために在日米軍の兵力態勢の再編に取り組んできたところでございます。

 この再編の検討の経緯についてはもう委員が御存じのとおりでありますけれども、私も沖縄を訪問いたしまして、米軍基地の状況や、あるいは知事さんや議会の皆さん、そして多くの方にお会いをして、いかに沖縄県民の皆さんが日本の安全保障という面において多くの負担をしていただいているかということも感じてきたわけであります。また、長年そういうような沖縄の皆さんからの軽減の御要望もあったわけであります。

 そういうような安保体制を、今申し上げました、新たな安全保障環境に適応させるということと、それから沖縄の抑止力を維持しながら負担を軽減する、そういうような意味もありますし、先ほどから御議論ありますけれども、人道的なという表現がございましたけれども、騒音の問題とか、いろいろあるわけでございます。そういう点から、二〇〇六年五月に2プラス2におきまして、日米ロードマップという形で再編の取りまとめを行ったということでございます。

松原委員 アメリカの世界戦略が大きく変わったということはよく言われていることでありますが、いわゆるトランスフォーメーション、もしくはGPRと言われるグローバルな態勢の見直し、二つの要素で、これは一緒か二つかといういろいろな議論もありますが、二つの要素で変わったと言われております。九月の十一日の同時多発テロというものが発生をして、いつどこでどういう危機が起こるかわからないということの中でのグローバルな見直し、そしてアメリカにおけるトランスフォーメーション。

 私は、この移転が一方的に日本の要望によって実現したものなのか、アメリカの世界戦略もこの移転に大きく関与しているのかということをもう一回確認したいわけであります。大臣、お答えください。

中曽根国務大臣 これにつきましては、先ほどから申し上げておりますけれども、日米安保体制を基盤といたします日米同盟を新たな安全保障体制に適応させる、そして、我が国の平和と安全を確保するために在日米軍の再編、兵力態勢の再編に取り組んできたわけでございますが、そうした中での再編の協議におきまして、我が方から、抑止力を維持しつつ、そして沖縄の負担を軽減することの重要性を強調してきたところでございます。

 そういう経緯のもとで、在沖縄海兵隊のグアム移転は、今御指摘ありましたような、米軍の世界規模の新しい戦略の中での再編の一環として米軍から要求があったということではなくて、今申し上げましたような、負担の軽減などを実現する措置として日米間で合意をしたものでございます。

松原委員 もうちょっと明確におっしゃっていただいた方がいいんですが、軽減は軽減で一つあるんですけれども、大臣が先ほどおっしゃったように、新たな安全保障の枠組みの中でこういったものが行われた。その新たな安全保障の枠組みというのが、日米安保、先ほど篠原さんの質問にもあったけれども、大分変容してきている。

 本来の日米安保の、戦後、昭和二十年過ぎにつくられたそのときとは大分イメージが変わってきているということは、アメリカの戦略は、例えば冷戦が終わるまでは、共産主義国家に対していろいろな対峙をするということでやってきた。しかし、今はそうじゃない。共産主義も、ある意味では、ベルリンの壁が崩壊して、むしろテロとの闘い。

 こういうふうに、まさにその中身が変わってきている中において、私は、新たな安全保障関係の中で、アメリカは、仮に日本から要望がなくても、沖縄における米軍の兵力を削減することが当然予測できたのではないかということを聞いているわけであります。

 つまり、人の資料で質問しちゃ、何か篠原さんに大変申しわけないんですが……(発言する者あり)構わないですか。ここにありますように、篠原さんの資料の中にありますよね、「日・独・韓における外国駐留軍(米軍)の駐留数」が。これは日本だけじゃないんですよ。ドイツは、二十万いたのが八万、これは東西ドイツの冷戦が終了しということもあるでしょうが、劇的に減って、今やかつての四分の一になっている。韓国でも、かつては五万人いた、今、二万五千。

 こういうふうに劇的に減っているわけであって、つまり、私が、今回のグアム移転でそもそも論でお伺いしたいことは、日本が、例えば基地の負担、いや、沖縄の負担を軽減したいということで、アメリカに頼んで頼んで頼み倒して進んだことなのか、むしろ本質的に、アメリカ自体が、このレベルで日本における米軍基地をある程度削減したいという意思があったのか。このことは、さまざまな経費をどちらがどう分担するかということにおいて基本的な物の考え方になるのであります。

 ちょっとお伺いしたいんですが、韓国は、二〇〇三年から二〇〇八年の間、四万一千人から二万五千人、一九七〇年代から見れば五万二千人から半減ですよ。今回の一万七千人ですか、家族まで入れると、減ると。軍隊だけだったらこれは八千という数になるかと思うんですが、沖縄の米軍というくくりでいったら、今回のグアム移転でどれぐらい人数は減るのか、お伺いしたい。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来申し上げておりますとおり、米側からは、大体、現在、沖縄の海兵隊の定員が一万八千である、その一万八千のうち八千をグアムに移したい、こういうことでございます。

 それでは、現実に今一万八千が沖縄にいるかというふうに申し上げますと、これは世界的に今米軍は非常に数が少なくなっている。これはイラクがございます、またアフガニスタンがあるということで、一時的に世界各地の部隊から流用するような形で持っていっているわけでございます。そういうことで、沖縄についても約数千の数は減っておる、そういう状態でございます。

 したがいまして、実数ということでは定員と乖離があるわけでございますが、あくまで私どもは定員ベースで考えている、こういうことでございます。

松原委員 私が指摘したいことは、要するに、これは今一万八千ですが、かつてはもっといたんですか。ちょっとさかのぼって教えていただきたい。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 正確な数字はちょっと今手元にはございませんので、後でまた必要に応じて御説明をさせていただきたいと思いますが、先ほど来、グローバルな米軍の再編ということで、ドイツあるいは韓国についてもお話をされております。米軍がグローバルに再編をするときには、まさに九・一一というようなことを受けまして、柔軟で迅速で、かつ機動性のある軍隊に変えたいということで、ラムズフェルド国防長官の強い指導力のもとで再編を行ったわけでございます。

 その際に、やはり一番再編の対象となりましたのは陸軍、一番機動性が少ない、一カ所にべたっと張りついていて特定の方向だけを見ているような陸軍。あるいは空軍についても、空軍は一たんどこかの基地におりますと、やはりこれもかなり固定的であるということで、このような固定性の高いような部隊をできるだけ柔軟なものに変えようということ、あるいは場所を変えようということで、先ほど来お話になっておりますドイツからは、大量に陸軍あるいは空軍が減ったということでございます。韓国についても、韓国の陸軍部隊をより柔軟性のある旅団に変えるということで、能力を大きく損なうことなく数を減らしたということでございます。

 そこで、海兵隊でございますが、海兵隊については、むしろ柔軟で機動的な部隊ということは、もともと海兵隊の本質からそういう部隊でございますので、海兵隊を大きく減らすというような考え方は米軍再編の中にはないわけでございます。そういう意味で、沖縄の海兵隊についても、恐らく、ちょっとここは正確な数字は後でまた調べた上でお答え申し上げますが、大きく減ってきているということはないというふうに私ども理解をしております。

松原委員 数字を見る限りにおいては、韓国は半減、ドイツは四分の一減になっているわけでありまして、その意味では、沖縄で一万八千が約半減というのは、言ってみれば、ドイツ、韓国とパーセンテージ的には類似している。

 ただ、確かに海兵隊の機動力という議論は、それは一つあるのかもしれない。そこの部分が、実際おっしゃるとおりなのかどうなのか。私は、やはり日本政府として、アメリカの世界戦略の中で、当然、沖縄においても、さはさりながら、人員を減らす方向というのが当初から、九・一一テロ以来、従来からあったのがさらに加速してきて、そして今日に至ったというふうな実態があるのではないかということを申し上げたいわけであります。

 つまり、それは、沖縄に駐留している状況とグアムに駐留している状況では明らかに条件が違う。戦略的にどちらが価値があるかという議論は、それは日本政府がすることではなくてアメリカが考えることでしょうが、恐らく、グアムは沖縄よりも、例えば台湾問題で何かあったときにも近い。それから、イスラムも南の方のさまざまな国家にも近いということを考えるなら、グアムに拠点を置くということの方が、結果的に、海兵隊といえども、そちらの方がアメリカの世界戦略上メリットがある、こういったことがあるんだと思うんですよ。

 であるとするならば、この沖縄からのグアム移転というのは、日本の強い要望も、それはなかったとは言わないけれども、それ以上に、これは米側の方の一つの戦略論の中で進んでいった議論ではないか。しかし、日本が一方において沖縄の負担軽減というものを強く訴えていたので、日本側の意向でやったかのごとき見せ方の中で、すべての移転経費から向こうの建物をつくるまで全部日本が持てよ、こういうレトリックになっているのではないかなと私は思うんですよ。その件を私は聞いているんです。

 冒頭言った部分で、大臣、本質的な部分だけれども、だからこれは、いいんですよ、大臣は二つおっしゃったんですよ、概念的には。一つはアメリカの世界戦略、安全保障の体制の見直しでやっている、一つは沖縄の負担軽減だということを考えれば、やはりこれに関しては、アメリカのこの問題で日本がどこまでいろいろな拠出をするかという議論になってくると思うんですよ。

 私は、その議論に関してこれ以上言いませんが、そうした中で申し上げたいことは、例えば、このことによって、一方、沖縄の負担軽減と大臣がおっしゃるから、沖縄の負担軽減というのは、実際、金額ベースでどれぐらい出てくるのか、そして基地使用面積の部分ではどれぐらい返還されるのか、お伺いしたいと思います。

梅本政府参考人 本協定に従いまして、在沖縄海兵隊の要員約八千人及びその家族がグアムに移転をするということになりますと、かなりの数の要員が減るということでございます。したがって、いろいろな施設・区域の中にすき間ができるであろうという考え方を持ちまして、そのすき間をうまく集めて基地が返せるだろうということで、特に、沖縄にとって非常に価値の高い嘉手納以南の施設・区域の統合あるいは土地の返還を実現しようということでございます。

 具体的に、嘉手納以南について、牧港の補給地区を返すとか、いろいろ具体的なものがあるわけでございますが、それ以上の具体的なものは現在詰めておるということで、これを今直ちに、コストで幾らという具体的な金額までにはお出しできるような状況にはございませんけれども、しかし、借料等については大きな削減要因になり得るのではないかというふうに考えております。また、在沖縄海兵隊の人数が相当減りますと、プレゼンスが小さくなりますと、あるいは駐留軍労働者数の面においても、これは長期的には削減要因になるのではないかというふうに考えております。

 ただ、具体的な金額というところになりますと、現時点ではまだなかなか、そういうところまでは出せる状況には至っておりません。そういうことでございます。

松原委員 これを、きのう、おとといですか、通告して議論しているので、なかなか出せないといったって、大枠の数字というのはつかんでいるんじゃないですか。全く、なかなか出せないという答弁で終わりなんですか。内部ではそういう数字を当然検討しているでしょう。

 というのは、私が申し上げたいのは、例えば真水で向こうのさまざまな施設をつくる、いわゆる沖縄の、グアムに移る司令部庁舎、隊舎、学校等生活関連施設、これは二十八億ドルを上限と。この二十八億ドルが確定されているのかどうかわからないけれども、上限と。二十八億ドルというこの巨額なお金を拠出して、これはずっと日本に駐留しているときの単年度よりはるかに大きな額ですが、では、このお金を拠出した部分は、沖縄の基地問題におけるさまざまな、思いやり予算も含めて、その軽減で、何年間でこれは取り戻せるんですか。それぐらいのイメージがなかったら、メリットがあるという話だって怪しくなってしまう。

 だから、それをきちっと計算しているはずなんですよ。きのう、これは言っていますからね。お伺いしたい。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、嘉手納以南の基地を大幅に整理縮小して返還をしようということでございます。現在、六つの候補について、全面的あるいは部分的な返還というものが例えば検討されております。キャンプ桑江について全面返還、瑞慶覧について……(松原委員「それを聞いているんじゃない、何年ぐらいと聞いているんだよ」と呼ぶ)こういうものについての借料というものが、もし返還されれば借料は要らなくなるわけでございます。

 ですから、そういうものを、具体的な面積あるいはどこの土地ということが決まってまいりますれば、そこについての一定の金額が出てこようかと思います。また、それに伴いまして、駐留軍の労働者がどういうふうに変わるのか、これも、ある程度その形が全体として決まってくれば出てくるであろうと思いますが、申しわけございませんけれども、現時点で、まだそういうような数字が確定する、あるいは非常に大きな概算でも出し得るというような状況にはまだなっておりません。

松原委員 では、何で二十八億ドルの方は概算で出すんですか。

 つまり、理屈の中では沖縄の負担軽減というのであれば、この二十八億ドルの真水で出る財政出動の部分で、これは、例えば基地の借り入れのお金や、例えば米兵の方々のさまざまなサービスをするための労働者、そういうふうな部分で日本が出しているお金がある、大変な額を出している。それは年間これぐらいで、まあそれがこれぐらい減るから、二十八億ドルは、ただ、二十八億ドルだって、普通は、町場に金があれば、そこには金利がつくんですからね。そうすると、これぐらいで、償却という概念かどうかわからないけれども、終わりますよと、その見通しがなくて、二十八億ドルの方は、出す方の数字は概算で二十八億ドルとつくった、負担軽減の数字は、通年何年でここまで追いつくのかを計算していないって、ちょっとそういう理屈というのは通りますか。大臣、どう思いますか、ちょっとお伺いしたい。

中曽根国務大臣 先ほども御答弁申し上げたんですけれども、やはり日本が拠出する資金等については、まず国民の税金を使うわけでありますから、この厳格な使用ということについてしっかりと対応することが大事であるのは、まず言うまでもございません。

 そして、二十八億ドルにつきましては、参考人から詳しい説明もいたさせますけれども、これは移転に伴ういろいろな建設事業やそのほかの施設の建設を初めとするいろいろなものに対する費用を積み上げた上での上限ということで設定されたものである、そういうふうになっておるところでございまして、もし細かいところが必要であれば、参考人にそれ以上は説明させたいと思います。

松原委員 細かい部分じゃなくて、大臣、非常に問題だと思うのは、二十八億ドルの方は、グアムの司令部庁舎とか隊舎とかの金は積み上げて二十八億ドルと出ていて、アメリカ側から二十八億ドルですよと言われて、負担軽減だと言うならば、通年、例えば、では二十年でその利息分まで考えたって、二十八億ドルの真水分は取り戻せますよ、それからは今までの負担軽減分が、利ざやが出るわけじゃないけれどもメリットが出てきますよと。その議論をしなかったら、余りにもそれは一方的じゃないですか。アメリカからは二十八億ドルと言われる、こちらは、何かさっきの局長の話を聞くと、どこが戻ってくるのかわからないから計算できませんと。では、三十年たって二十八億ドルは取り返せるのか、利息分まで含めて。永遠に取り返せないのか。全然それ、見通しがないって、一方で二十八億ドル出ているんだよ。

 大臣、これは細かい数字の計算ではなくて、哲学として、なぜそういうふうに、償却が何年で、償却というか、その部分が、それが利息分まで含めて何年でいけるのかという、それぐらいのグランドデザインがない交渉というのは、僕は交渉じゃないと思いますよ。話を聞いて、イエス・サーと言うだけの話ですよ、それじゃ。余りにもそれは、私は、日本国民の感情からしてもなかなか理解できないと思うんですよ。大臣、もう一回答弁してください。

梅本政府参考人 まず私の方から、交渉の経過等について簡単に御説明をいたします。

 あくまでも私どもは、交渉の過程におきましても、現下の厳しい安全保障の中で抑止力を維持しながら沖縄の負担をどうやって軽減するかということで交渉してきたわけでございまして、この日本側の経費負担をどうやって軽減するかという観点から必ずしも交渉したわけではないわけでございます。

 したがいまして、この負担の、沖縄県民を初めとする地元の負担を軽減するためには、ある程度のコスト負担も合理的な範囲であればやむを得ないという考え方で、あくまでそこの地元の方の負担を軽減できるかどうかということを主として、観点として交渉してきたということがございます。

 ただいま先生から貴重な御示唆を伺いましたので、私ども、ちょっとその辺は、これから国民の皆様に御説明をしていくときに、このグアムの移転によってどのぐらいの経済的な節約効果があるのかというようなことについては研究をしていきたいと思いますけれども、あくまで主眼は、沖縄の皆様の負担をどうやったら軽減できるかということで、このグアムの移転ということが出てきたということでございます。

松原委員 余り詭弁を弄しちゃいけないと思うんだよね。だって、考えてくださいよ。日本国民が負担していて、日本国民の中には沖縄の人も入っているんですよ。国の税金だったらば、あなたはどんどん使っていいと言っているんだよ、それ。そういうばかげた発想をしているからだめなんだよ。

 だから、これが安全保障問題で、それだけで議論するというんだったら、でも、先ほど大臣は、沖縄の負担軽減と言ったんだよ。沖縄の負担軽減というのは、もちろん沖縄の人たちだけの負担の問題じゃないんですよ。この問題で日本が営々と出してきたことで、少しは変えていこうということでしょう。そういう要素は入っていないんですか。大臣、ちょっとお伺いしたい。

中曽根国務大臣 まず、委員がおっしゃいましたような考え方といいますか、そういうものは非常に大事だ、そういうふうに私も思っております。

 それから、沖縄は今、大変過大な負担をしているわけで、県民の皆さんがそういう点を負担していただいているわけでありますし、また、沖縄のみならず米軍の基地が日本の各地にもあるわけでありまして、そういう意味で、この在日海兵隊のグアムへの移転というものは、何よりも沖縄の皆さんの負担を軽減する、そのためにかかるコストというものは、国民全体で負担をしてその移転の経費を持つということであります。

 でありますけれども、湯水のように使っていいということではありません。ですから、この協定の中におきましても、使途につきましてはきっちりと我が国の政府としてもこれを見ていく、そういうふうにもなっておりますし、資金の使い方については、そういう形でやっていくということでございます。

 ただ、再三申し上げますが、委員がおっしゃいましたような長期的な国の全体の負担をまた軽減しながらやっていくということも、これは大切なことであると思っております。

松原委員 どちらにしても、嘉手納側のある程度の面積が返還される、そしていわゆる人が家族まで入れると一万七千人減る。減るわけだよ。そのことのシミュレーションをしているんでしょう、本当は。もう余りにもこれは話がずさんだと思うんだな。

 では、ちょっともう一点お伺いしたいんだけれども、このいわゆる真水ではない部分で、家族住宅等は、これは国際協力銀行の駐留軍再編促進金融業務としてやる、これは二十五・五億ドルと七・四億ドル、日本の国際協力銀行がやる。これは何、PFIでやると。PFIでやって民間できちっと戻すんだったらば、いや、それはアメリカの金融機関がやってもいいんですよ、民間できちっと金が戻るというなら。でも、そうじゃないんだよね、これ。なぜ、それは日本の国際協力銀行が、グアムの住宅をつくるのに、日本のPFIでやるの。PFIは、本家本元はアメリカでしょう、きっと、制度自体。お答えいただきたい。

梅本政府参考人 先ほど来御説明をしておりますように、本件、グアムへの海兵隊の移転については、その沖縄の負担を軽減するというようなことから、こういう事業を行おうということで日米で合意をし、進めているわけでございます。そして、それはやはり日米がそれぞれそのコストを、負担を担っていくということでございまして、その日本側の負担という中には、いわゆる真水として財政資金を使うものもあれば、いわゆる民活として、ただいまございました家族住宅、インフラ事業について、今、日本政策金融公庫の国際協力銀行部門による出融資等によって実施するものもあるということでございます。

 この出融資した費用は回収されることになるわけでございますが、このことについては日米間で共通の理解があるということでございます。

松原委員 回収できるんだったら、アメリカの金融機関がやってもいいんですよ。わかりますか、言っている意味。回収できて、同じメリットがあるなら、アメリカがやってもいいんですよ、アメリカのグアム駐留の海兵隊の皆さんの宿舎をつくるんだから。日本がやるということは、リスクがあるから日本がやるんじゃないんですか。金融の世界からいったら、きちっと返す、絶対返しますというんだったら、アメリカの金融機関がやってもいいんじゃないですか。

 お答えいただきたい。そこの部分を聞きたいから答えてほしい。

梅本政府参考人 日米間で、約百・二億ドルについて随時御説明しているうち、どこを日本がやって、どこをアメリカがやるのかということは、もろもろの要因を考えまして、最終的には非常に高いレベルで決定をしたわけでございます。

 したがって、これは、日本がどのぐらい負担をするのか、アメリカがどのぐらい負担をするのか、そして、日本が負担をするうちで民活でできるものは何かということで、こういうふうになったわけでございますので、アメリカの金融機関ができないから日本の金融機関がやる、こういうことではなく、そこは日本がやろう、ただし、これは出融資でできるので、財政資金を出すことは必要ないので、出融資でやろうではないか、こういうことになったということでございます。

松原委員 私は納得できないんだけれども、じゃ、何年間で全部戻るんですか。必ず戻るという証拠はどこにあるんですか。お伺いしたい。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 これら民活事業の内容につきましては、現在、日米両政府間で具体的な事業のあり方について鋭意協議をしているところでございます。米側が支払うインフラ使用料による収入や家賃により、我が国からの出融資が回収できるような形で事業スキームを米国と決定したいというふうに考えております。

 まだそういう段階で、最終的に具体的な細部が詰まっているわけではございませんが、今申し上げましたように、私どもはできるだけ、我が国からの出融資が確実に回収できるようなスキームというものを構築したい、そういうものにアメリカと合意をしたいというふうに考えております。

松原委員 実際、民間の金融機関とこういう議論をしたら笑われちゃいますよ。そんなんで融資するということが現実にあるんですか。

 だから、これは、実際は、満額戻ってこないんじゃないかという疑義をみんな持つわけですよ。真水二十八億ドルというのは、その真水二十八億ドルだって、それは実際に通年の駐留軍のための諸経費で、何年で利息分までいって払い終えるのかというのは、極めて当たり前の、基本的なことじゃないですか。その議論がなくて二十八億ドルありき、これは、さっき局長がおっしゃったのは、概数で、アバウトな数でもわかりませんと言っているんだよ。アバウトな数で、こっちだけ決まっている、二十八億ドル。

 一体何年かということも含めて、こういうふうなことは、細かいことはこれから議論する、これから細かいことを議論するのに、数字だけがこうやって二十五・五億ドル。こういうふうな、何か一方的なことをやっているからだめなんですよ。

 どうですか、大臣。どう思いますか、今の議論を聞いて。お伺いしたい。

中曽根国務大臣 二十八億ドルの部分につきましては、協定できちっと決められておるわけでありますが、民活の部分についてはそういうふうになっておりません。

 今、政府参考人から答弁いたしましたように、今後、これらの取り決めを行う中において、しっかりとそういう点も踏まえて協議をしていきたい、そういうふうに思っております。

松原委員 今回、移転、それから撤去、そしてさらに向こうの建物を建てる。日本がこういうふうに、アメリカという世界の最強国の軍隊が移動するのに対してさまざまな補助をする。

 こういう事例というのは、我々はこれは当たり前のように思っているけれども、今までアメリカ軍がどこかに駐留していて、撤退する、移転する、そのときに、その基地を持っていた国が、日本のように財政的なこんな援助をするという事例はあるんですか。これだけの規模の援助をするという事例はあるんですか。いや、規模ではなくて、こういう事例があるかどうか、お伺いしたい。

梅本政府参考人 外国の駐留軍、特に米軍の駐留軍の移転、撤去に係る費用を接受国が負担をしたという事例は、私ども承知をしておりません。しかしながら、このような沖縄海兵隊の、累次申し上げているようなグアム移転の性格からいえば、これは、必ずしも先例の有無を論じるということとはまた違うのではないかというふうに思います。ただ、例はございません。

松原委員 篠原委員のペーパーにあるところで、韓国でも撤退をした。これに関しては、韓国はアメリカの軍隊の撤退に対してこういった費用は面倒を見ているんですか。お伺いしたい。

梅本政府参考人 お答えを申し上げます。

 アメリカと韓国の間のことでございますので、第三国である日本がその詳細を確定的に申し上げるのは、いささかちゅうちょがあるわけでございますが、私どもが承知している限り、その撤去の部分について韓国がお金を負担しているというようなことは聞いたことがないということでございます。

松原委員 恐らく日本だけだということだと思います。承知していないということは、そういうことなんですよ。世界でまれに見る現象だ。

 アメリカのグアム移転で、グアムの隊舎をつくったり司令部庁舎をつくること自体が、世界に類例がないことなんですよ。その類例のないことをやるのにプラスして、何年たったら、初期投資の部分がいわゆる毎年の経費の上がりで相殺されるのか。

 このPFIの、民間のを使ったものが本当に戻ってくるのか。その議論すらないというのは、余りにもこれは、ずさんだけではなくて一方的であり、そして、これを見たほかの国は、あたかも日本をアメリカのまさに属国のように思うかもしれないですよ、こんなことをやっていたら、極端な言い方をするならば。

 大臣、アメリカとのパートナーシップは僕は大事だと言っているんですよ。しかし、こういう部分で、やはり国益を主張して、きちっとした交渉をするということは、アメリカとけんかしろと言っているんじゃないですよ、それは当然、我々の国益にも資するし国民のためにもなるし、それをしなかったら本来の目的すらどうなるかわからない。ずるずるいったら、嘉手納の方で、土地が当初はこれぐらい戻ってくると言っていたのが、どんどん減っちゃうかもしれない。当初は四分の一ぐらい戻ると言っていたのが、最後、終わったら十分の一でしたとか、そんなことはないと思うけれども。そういうことにもなりかねないから、きちっと歯どめにする議論をするべきじゃないですか、そのためには今言ったような理論でやるべきじゃないですか、こう言っているんですよ。

 大臣、御所見をお伺いしたい。

中曽根国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、委員のおっしゃっているような考え方というものは本当に大事だと思っておりまして、今後、いろいろ取り進めるに当たりましては、またそういうような観点というものも踏まえながらやっていかなければならないと思っておるところでございます。

 また、国民の貴重な税金を使いながらこの移転事業というものを進めるわけでありますが、何よりも沖縄の皆さんの負担の軽減ということも、これは大きな理由でございますので、そういう点も踏まえ、総合的に国民の皆さんにしっかりと御理解いただけるような形で進めていきたいと思います。

松原委員 十分には納得できませんが、質問時間が終わりましたから、以上で終わります。

河野委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 グアム協定について質疑を行わせていただきますが、その前に、既にオランダ・ハーグ、そしてまたイギリス・ロンドンで、外務大臣、そして麻生総理がそれぞれ外相会談、首脳会談で、あしたから北朝鮮が発射をすると言った人工衛星、飛翔体なるものに対して、それについての阻止を、そしてまた、発射された場合の国連決議といったことをそれぞれ求めてきたという報道がございます。

 そこで、昨日のロンドンでの映像では、麻生総理が、記者会見でしょうか、あした、四月四日の発射ということを示唆した、こういう報道があるんですが、このことについての事実確認。

 それから、国連決議、これが必要であるということを、国連安保理での何らかの対応が必要であるということは、各大臣あるいは首脳間でも確認をされているようですが、特に新たな決議、これについて必要であると私は思うわけですが、現状どのような感触を、安保理の常任理事国間あるいは安保理の非常任理事国間で得ておられるのか、お伺いをしたいと思います。

中曽根国務大臣 まず最初に、総理がロンドンにおきまする御発言の中で、四月四日に北朝鮮がミサイル、飛翔体を発射されるというような御発言があったということにつきましては、私、大変申しわけないながら、正確な総理の御発言を今承知しておりませんけれども、明日されるというような断言はされてなかったんじゃないかと思います。あしたからそういうような可能性があるということをおっしゃりたかったのではないかと、推測で申しわけありませんが、今思っております。

 それから二点目の、対応等につきましてでございますが、私もハーグにおきましては、ヒラリー・クリントン米国の国務長官、あるいは韓国の柳明桓外交通商部長官等と会談をいたしました際にも、このミサイル発射問題を取り上げて意見交換を行いました。

 これは、米韓のみならず、イギリスやロシアや中国におきましても、そのほかの国におきましても、まず北朝鮮が地域の平和や安定を損なうような行為は行うべきではない、こういうことにつきましては、私が接触、あるいは総理を初め政府が接触いたしました国々においては同じような考えを持っている、そういうふうに思っております。

 また、仮に北朝鮮がこのミサイルを発射した場合、人工衛星と言っておるわけでございますが、その場合の対応につきましては、私どもとしては明らかにこれは国連決議違反であると、米国も韓国も同様の考えでございますが、したがいまして、国連でまずしっかりと議論する必要がある。

 我が国の上を通過するわけでありますから、我が国が一番そういう意味では、ある意味では危険性にもさらされるわけでありまして、そういう意味で、また非常任理事国にもなりましたので、国連でしっかりと各国に働きかけをしてこのことを議論するということが大事だと思います。

 その際には、発射の態様等も踏まえた上でではありますけれども、決議というものについても念頭に置きながら、北朝鮮に対しあるいは国際社会に対して強いメッセージを発するということが大切だ、そういうふうに思っているところでございます。

武正委員 ちょうど三年前、ミサイルが六発、そしてテポドン二号と言われておりますが、打ち上げ失敗、その三日後に私も超党派の議員団で北京におりましたので、盛んに、特に対中国の要人、軍関係者に国連決議への常任理事国としての賛成を求めたことをきのうのことのようにはっきり覚えているわけですが、特に中ロの対応、これがかぎを握るというわけですので、私はやはり今も、そして万が一発射された後も、政府を挙げて、そしてこれは国会を挙げて、与野党隔てなく、特に中ロに対する働きかけを強く行うべきというふうに、このことを求めておきたいというふうに思います。

 そこで、グアム協定に入らせていただきますが、まず、なぜ米国議会で承認が不要なのかということでお伺いをしたいと思います。

 アメリカでは予算歳出法案というものは議会が作成をする。過日オバマ大統領が議会に予算教書というものを出していますが、それは歳出法案に対して拘束力は実はない。ただ、これまでの慣習上、議会が反対をしないものはそのまま予算の歳出法案に盛り込まれる。ただやはり、予算教書にありながら盛り込まれないというようなときには、大統領が拒否権を行使する、こういうような仕組みというふうに聞いているんですが、まず、オバマ大統領の予算教書に、今回のグアム移転に伴うアメリカ側の支出について、二〇一〇予算として予算教書に盛り込まれているのか。これについて防衛省、副大臣いかがでしょうか。わからなければ外務省で結構ですが。

中曽根国務大臣 具体的には入っておりませんけれども、きちんと対応する、そういう意図は表明されているところでございます。

武正委員 その意図はどこで表明されているんですか。

中曽根国務大臣 これは、米国の予算教書の関連文書の中にあります施設の改善という項目があるんですけれども、そこで、米国政府は、米国の陸海空、海兵隊の要員のための生活の質を改善することにコミットしている、したがって、二〇一〇年度予算は、世界じゅうの要員の住居となる隊舎及び寮の維持及び近代化を引き続き行い、また米軍家族のためのすべての不適切な住居を終了させるために作業する、さらに、同予算は、需要者の需要を満たしつつ、すべての構造物の安全な運用にとって十分なレベルに基地の施設を建築または改修する、米国政府は、国防省が運用上の必要性を満たしつつ国内基地を再編することを支援する二〇〇五年の基地再編・閉鎖委員会の所要を満たすための努力を継続することを可能にするための十分な資金を要求する、こういうふうに言及しているところでございます。

武正委員 そのことがこのグアムの、今言った米側が約束をしている予算、支出ということで明言をされているというふうに見ていいのか。お手元の資料一ページにあるように、米国側の負担のヘリ発着場、通信施設、訓練支援施設、整備補給施設、燃料・弾薬保管施設などの基地施設、道路、この合計四十一・八億ドルというふうに、それを見られるんでしょうか。具体的に明示がないわけですよね。全世界の陸海空そして海兵の今言った隊舎等の施設ですね。いかがですか。

中曽根国務大臣 教書の概要についてのみ発表されているところでございますので、今おっしゃいましたような点については、今後そういうものが明らかになる、そういうふうに思っております。

武正委員 よく聞き取れなかったんですけれども、要は、これで歳出法案に本当に、グアムのこの米側の四十一・八億ドルの中身が盛り込まれないことも十分考えられるわけですよ、外務大臣。歳出法案に、これが具体的にグアムの施設名の予算が盛り込まれなかった場合は、この協定の第二条「アメリカ合衆国政府は、第九条2の規定に従い、グアムにおける施設及び基盤を整備する同政府の事業への資金の拠出を含む移転のために必要な措置をとる。」ということがとられなかった、二〇一〇年の歳出法案に、その場合は、この条約違反ということで当然我が国の予算執行はとめる、こういうことになろうかと思うんですが、いかがでしょうか。

中曽根国務大臣 先ほどからの御質問、恐縮ですが、質問通告をいただいておりませんでしたので十分な答弁ができなかったかもしれません。今の点につきましては、これは米国とはしっかりやっていこうということになっておるわけでございますので。

 以上です。そういうことでございます。

武正委員 だったら、なぜ米国議会の承認をとらないんでしょうか。なぜ承認が不要なんでしょうか。お答えください。

中曽根国務大臣 まず、米国議会の承認が必要かどうか、本協定を議会承認条約とするかどうかということ、これは、米国の中の行政府と立法府の関係などを踏まえて米国自身が決定すべき事項である、そういうふうに思っております。

 米国政府は、この協定に署名をすることによりまして、本件のグアム移転事業の実施に対して明確なコミットメントを示しているわけでありまして、この事業において米側が行うこととなっておりますいろいろな軍事施設の建設事業というものは、米側の国内事業として米国自身が予算措置を講じて実施していくものでございます。

 したがいまして、我が国政府としては、米国がこの協定を議会の承認を必要としない行政協定として締結することがグアム移転事業の実施において特段問題になっているとは考えていないところでございます。

武正委員 改めて聞きますが、歳出予算にこのグアムの米国側の負担が盛り込まれなかったときに、第二条の協定違反ということになりませんか。これはいかがでしょうか。

中曽根国務大臣 そういう事態ということにもしなれば協定違反ということになるかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたけれども、この事業は共同して一緒にやっていこうということでありますので、そういうような事態を私どもは現在想定していないところでございます。

河野委員長 外務省、なるかもしれないなんですか、それともなるんですか。そこを明確に、どなたか御答弁をお願いします。

中曽根国務大臣 これは仮定の御質問でございますので、私もそのような答え方をさせていただきました。

武正委員 なるかもしれないということでお答えをいただいたわけですが、なった場合、そうしますと、この協定の第二条ということで、協定違反であると。先ほど大臣も言われたわけです、歳出法案に盛り込まれなかった場合、なった場合、当然協定違反になると。そのときに、日本側は予算執行をとめるということでよろしいでしょうか。

中曽根国務大臣 先ほど申し上げたんですが、そのような事態、仮になった場合とおっしゃいましたけれども、私どもとしては、そういうことは想定をしておりません。

 この協定の二条におきまして、米国政府は、本件のグアム移転事業への資金の拠出を含む必要な措置をとるということが明記をされているわけでありまして、実際、委員も御承知のとおり、米国政府は、米国の二〇〇九会計年度におきましても、既に本件グアム移転事業に関連して、マスタープランの策定を含む所要の調査検討のほか、環境影響の評価とか、あるいは米財務省勘定の設置などを実施してきているわけであります。さらに、米国の二〇一〇会計年度予算に本件グアム移転事業のための資金を計上すべく、予算案の作成中である、そういうふうに承知をしておるところでございます。

 したがいまして、我が国政府といたしましては、米国が二〇一〇米会計年度に資金を拠出しない、そういう事態が生じるということは考えておりません。

河野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河野委員長 速記を起こしてください。

 外務大臣。

中曽根国務大臣 これはもう言うまでもありませんけれども、米海兵隊のグアムへの移転、この協定は、国会で承認をいたしませんと発効しないわけでありまして、協定が発効する前にそのようなことを想定するというのは適当ではないのではないかと思っております。米側は、発効すればこれをきちっとやる、そういうふうに明言しているわけでありまして、そういう点は、先ほどから申し上げておりますが、そういう場合を前提に議論することは適当ではない。米側との間の日米の信頼関係に基づいて、この事業は共同事業をやるということであるわけでございます。

 また、法的な権利等について、もしさらに御質問ということであれば、きょうは参考人は認められておりませんけれども、参考人の方から説明をいたさせたいと思います。お許しいただければですが。

武正委員 先ほど前文の話をされたんですが、前文にはこう書いてあるわけですよ。「また、合衆国は、グアムへの移転のための施設及び基盤の整備に係る費用の残額、すなわち、合衆国の二千八会計年度ドルで算定して三十一億八千万合衆国ドルの財政支出に道路の整備のための約十億合衆国ドルを加えた額を拠出することがロードマップに記載されていることを再確認し、」ですよ。「ロードマップに記載されていることを再確認し、」しか書いていないんですよ。

 ここは前文に書いてあるけれども、ロードマップに書いてあることを再確認ししか書いていなくて、それで第二条に「必要な措置をとる。」と書いてあるから、財政法案に書かれないということだってあり得るでしょうと。あり得ますと。では、そのときに、協定違反ですよね、だったら当然予算執行をとめるんでしょう。議会として、予算を国民の皆さんのかわりに審議をするこの委員会として、至極当然のことを政府に聞いているわけですよ。それを今、信頼を損ねるようなことは答えられませんとか、あり得ませんとか、合意をしていますとか言っていますが、その合意がこの前文ですよ。「ロードマップに記載されていることを再確認し、」だけですよ。再度御答弁をお願いいたします。

河野委員長 外務省、これは信頼の問題ではありませんので、条約審議ですからきちっと答えてください。

中曽根国務大臣 おっしゃいますとおり、「ロードマップに記載されていることを再確認し、」となっておりますけれども、第二条におきまして、合衆国政府は、九条2の規定に従って、「グアムにおける施設及び基盤を整備する同政府の事業への資金の拠出を含む移転のために必要な措置をとる。」、そういうふうに書いてあるわけでございます。

武正委員 しかも、その九条の2というのは、「第二条に規定する合衆国の措置は、」先ほども近藤委員が言ったように、「移転のための資金が利用可能であること、」「ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設の完成に向けての日本国政府による具体的な進展があること及び」「ロードマップに記載された日本国の資金面での貢献があることを条件とする。」という、日本がしっかり金を出さなかったら、第二条でアメリカは出しませんよ、ここまでまた言っているわけですよ。二重の意味で、米国にある面の主導権があるわけですよ。私は、後で触れる第八条も含めて、非常に片務的な条約、協定であると言わざるを得ないわけです。

 先ほども触れました、なぜ議会の承認を得ないのか。アメリカ憲法では、第二条第二項でしょうか、上院の三分の二の同意がなければ条約は承認されない。ただし、ベルサイユ条約を承認しなかった過去の例からいって、上下両院が過半数で承認をするという、こうした新たな条約、連邦議会が承認した行政協定、こういった規定を設けてNAFTAなどを承認しているわけですよ。

 そうした意味では、今回これは、二分の一の、今ほとんど行われている連邦議会が承認した行政協定にも乗っかってこない。どこでどうやって、日本が予算を負担する、それがアメリカも同じように負担をする、そうした担保を信頼関係とか口頭とかじゃなくてちゃんと得ていないまま、一方的に、さっきの意味で二重の、米国が非常にアドバンテージを持ったような条項が入っているこの協定をなぜ署名したのか。私は、やはり非常に、今回の署名、協定、唐突として出てきたこの協定、そして署名、政府として極めて国民に対する説明責任ができていない今の審議、このことを重ねて外務大臣に再度答弁を求めたいと思います。

中曽根国務大臣 恐縮でございますが、先ほど申し上げましたけれども、御質問の通告をいただいておりませんので、委員の御質問に十分お答えできない点もあろうかと思います。

 先ほどの前文と九条の関係でございますが、委員、第二条をお読みになられました。私が第二条のところを指摘、第二条の中での「九条2の規定に従い、」ということを申し上げましたからだと思いますが、同時に、第九条の第一項、ここに、「第一条1に規定する日本国の資金の提供は、第二条に規定する措置においてアメリカ合衆国政府による資金の拠出があることを条件とする。」ということになっておりまして、そういう意味では一方的ではないということはここに明確に規定してあるところでございます。

 また、米国が、先ほどからの議論でございますが、本協定を議会承認条約とするかどうか、行政協定とするかは、これは行政府と立法府との関係を踏まえて米国自身が決定すべき事柄だ、そういうふうに思っております。

武正委員 そうであれば、ぜひ、過去の日米間の条約、協定で議会承認、これがどうだったのかを資料として御提出いただきたいと思います。

 ここで去年の思いやり予算の協定はどうだったですかとか、せめて日米安全保障条約はと言ってお答えはいただけると思うんですが、議会とのかかわりは立法府と行政府の間のものですよということを、日本政府としてお任せということが果たしてどうなんでしょうか。

 先ほど言ったように、場合によっては歳出法案に盛り込まれないおそれもある。その場合は協定違反であるということを言われたわけですから、外務大臣は。そういう可能性もある中で、立法府と行政府の関係はお任せですよという中で、ほとんど今、アメリカの条約は、三分の二の上院の承認はないけれども、二分の一の上下両院の承認という、連邦議会が承認した行政協定の体をなしているわけですよ。なぜそれを求めなかったのかということは、極めてやはり政府として、国民に対する説明責任あるいは予算執行の任に当たる者として、私は問題があると言わざるを得ないのでございます。

 そこで、まず、今の資料を御提出いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。日米間の条約、協定の議会とのかかわり。

中曽根国務大臣 委員の御指摘の資料の提出につきましては、委員長、理事の皆さんの御判断によって対応させていただきたいと思います。

河野委員長 それでは、理事会で協議させていただきたいと思います。

武正委員 それでは、続いて、前文の二〇〇八会計年度ドルでの二十八億ドルということは、今後、物価水準が上がったりすれば二十八億ドルを超える可能性があるのか、あるいは下がった場合はまたそれが下がるのか、これについてお答えをいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 この協定での合衆国の二〇〇八会計年度ドルの意味は、これは米国の二〇〇八会計年度におけるドルベースでの主要な建築物価指標を基準といたしまして我が国が提供する資金を換算するとの意味でございまして、我が国政府の真水事業への資金提供は実質価格で行うこととなっております。我が国政府が二十八億ドルを限度とする直接的な財政支援を二〇〇八米会計年度の価格で行うことは、二〇〇六年五月のロードマップにも明記されているところでございます。

 いずれにいたしましても、本件のグアム移転事業に伴います日本側負担の具体的な額というものは個々の事業の進展とともに明確になるものでございまして、我が国政府といたしましては、この事業のために平成二十一年度予算として、もう御案内のとおり、約三百四十六億円を計上しておりますけれども、今後の負担額につきましては、厳しい財政事情も踏まえまして精査をしていく考えでございまして、そのための予算につきましては、その都度国会にお諮りをして御審議いただきたいと考えております。

 現下の米国の経済情勢にかんがみますれば、将来の物価水準を具体的に予測するということはまた困難なところもあるわけでございまして、特定の物価水準を前提に議論することは困難でございますが、いずれにいたしましても、我が国政府としては、効率的にこの移転事業を実施していく考えでございます。

武正委員 再度聞きますが、二〇〇八会計年度ドルでの二十八億ドルに比べてそれ以降物価が上昇した場合は、二十八億ドル上限といいながら、二十八億ドルを上回るということはあり得るということで、これはどうですか、防衛省。

北村副大臣 お答えさせていただきます。

 将来の物価水準を具体的に予測するということは困難でございます。特定の物価水準を前提に議論をすることは必ずしも適切ではないと考えておりますけれども、あえてお答えするならば、将来の米国の物価水準が上昇すれば名目価格での日本側の負担は増加をし、下落すれば減少するというふうに考えておるところであります。

武正委員 いや、だから、二〇〇八会計年度ドルで二十八億ドルというふうに規定しているわけですから、このことは、二〇〇八会計年度ドルの物価というものを規定して二十八億ドルと言っているというふうに私は聞いているんですね。ということは、物価が上がっていけば、二〇〇八会計年度ドルの規定した物価よりも高くなっていけば、当然二十八億ドルよりも額がふえていくということでよろしいんでしょうかということを聞いているんですが、いかがでしょうか。

北村副大臣 そのような御理解でよろしいと思います。

武正委員 つまり、二十八億ドル上限といいながら、二十八億ドルを上回る可能性があるということでございます。

 特に、今、在沖米海兵隊グアム移転支援整備事業基本構想策定業務報告書、これは株式会社久米設計さんがつくられたものを理事懇談会にもお出しいただいております。ただ、ブラインドが、墨消しの部分が、まだ開示されていない部分が多々ございます。例えば、米軍試算の想定電力需要量と計算式、米側の上水道整備の試算、下水道の費用、オプション、計画地、廃棄物、移転に伴う需要量、こういったものは、まず二十八億ドルの日本が負担をする部分、日本側の負担の部分に係る基本的な数値でありますので、ぜひこれは開示をいただきたいというふうに思います。でなければ、本当にこの二十八億ドルがどうやって積み上がったのか、その根拠がわからないからでございます。

 それから、今の、物価上昇率はわからないという副大臣のお話ですが、やはり久米設計の中には、試算の計算式と基準となる物価上昇率ということが明記をされております。これも同じくブラインドがかかっております。既に報告書の中で、二〇〇八会計年度で物価が上昇している、特に去年上昇していること、資材の上昇をこの報告書の中に書いているんですよ。

 ですから、こういったこともしっかりとこの場で見せていただかないと審議が前に進まない、審議を深めることができないというふうに考えるんですが、私は防衛省さんにもっとこれをオープンにしていただきたいと思うんですが、副大臣、いかがでしょうか。

北村副大臣 御指摘の点につきましては、委員長を初め理事会の皆様方の御指示に従って審議に御協力することはやぶさかでないと思います。

武正委員 ぜひお願いをしたい。来週水曜日が次の委員会ですので、先ほどもありました、火曜日までに御提出をいただきたい。よろしくお願いをしたいと思います。

 そこで、第四条、第七条に書かれております利子についてでございます。

 お手元の資料にその抜粋を、二ページ目に設けました。第四条「アメリカ合衆国政府は、日本国が提供した資金及び当該資金から生じた利子を、グアムにおける施設及び基盤を整備する移転のための事業にのみ使用する。」、第七条「日本国が提供した資金及び個別の事業に支払うことが契約上約束された当該資金から生じた利子は、前条に規定する実施当局の間で合意される指数を用いた計算方法に基づき、」云々、「日本国が提供すべき資金の総額に繰り入れられる。」と。そして、その四項で、特に(b)でしょうか、「アメリカ合衆国政府は、日本国が提供した資金から生じた利子を、日本国政府の実施当局の同意を得て、日本国の提供した資金が拠出された事業のために使用することができる。」と。

 利子に関して四条、七条といろいろ書かれているんですけれども、特に七条の四項の(b)の「日本国が提供した資金から生じた利子」、すなわち、この一ページ目にある二十八億ドルから生じた利子を、日本国政府の実施当局の同意を得た場合に、「日本国の提供した資金が拠出された事業」、「拠出された事業」というのは、家族住宅の二十五・五億ドルのことなのかどうか。すなわち、二十八億ドルで提供された資金から生じた利子を家族住宅に関して使うことができるというふうに読み込むのかどうか。

 この点は、防衛省、お答えをいただきたいと思います。利子に関してです。

北村副大臣 お答えいたします。

 利子の取り扱い、第四条、第七条及び七条の4等々にかかわるところでありますけれども、これまでの日米協議の結果、米国財務省勘定のうちで日本政府が提供した真水資金から生じた利子については、原則として日本政府に返還されることで日米間の共通の理解が得られております。先般、日米政府間で署名を行った真水事業の実施に係る協定におきましてもその旨を、御承知のとおり、第七条の4に規定しているところであります。

 本協定では、アメリカの財務省勘定のうちで日本政府が提供した真水資金から生じた利子については、全事業の契約完了の後、日本政府に返還することとなっております。一方、事業執行プロセスにおける資金不足などの事態に柔軟に対応するために、日本側の同意を条件として、当該利子を使用することを可能といたしております。

 なお、アメリカ側が使用した利子については、当然、日本政府の真水拠出額二十八億ドルを上限とする、これの内数として算入される必要があると考えており、この点につきましても本協定に規定されておるというところでありますので、御理解を賜りたいと思います。

武正委員 その場合、七条四項の(b)が問題でして、七条四項の(b)では、その二十八億ドルから生じた利子を、日本国政府の同意を得た場合に、「日本国の提供した資金が拠出された事業のために使用することができる。」ということは、住宅事業に充てることができるということでよろしいんでしょうか。

北村副大臣 お答えいたします。

 本協定で締結した真水事業だけに使われるということであります。

武正委員 この第七条四項の(b)、外務省、いかがでしょうか。

 四条で、グアムにおける施設及び移転のための事業のみに使用する、七条の二項で、資金の二十八億ドルに繰り入れられると書いて、四項で戻しますよと言っているんですが、(b)で、日本国政府の同意を得た場合、「日本国の提供した資金が拠出された事業のために使用することができる。」と。「日本国の提供した資金が拠出された事業のため」、「拠出された事業」というと、私は、どうも住宅の新たなこうした枠組みに使うことができるというふうに読めるんですが、そのことはないということで、外務省、よろしいですか、外務大臣。

中曽根国務大臣 先ほど防衛副大臣から御答弁されましたけれども、全くこの第四条の、(b)での規定というものは、これは我が国が提供した資金が拠出される個別の事業の資金不足に対処するということになっておるわけでございまして、これは、真水部分、二十八億ドルの部分の中で使用することができるということでございます。

武正委員 いや、ですから、住宅の方の融資事業には使わないということで明言をしていただきたいと思います。

中曽根国務大臣 ただいま申し上げましたけれども、いわゆる真水部分の財政支出、二十八億ドルの方に使うということです。

武正委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

河野委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 委員長並びに与野党の理事の先生方にお許しをいただいて発言させていただく機会をいただきました。ありがとうございます。心から感謝を申し上げます。外務大臣、よろしくお願いします。

 朝からずっとこの論点は出ているわけでございますが、私なりの聞き方でお尋ねをいたします。

 まず、米軍の第三海兵機動部隊が沖縄からグアムに移転するのは、このグアム協定がなければ移転できないのかということを教えてください。

梅本政府参考人 御答弁申し上げます。

 累次申し上げておりますとおり、本件グアム移転事業は、二〇一四年までの事業完了を目途とする多年度にわたる事業であるということでございます。これを円滑かつ安定的に実施していくために、我が国として、多年度にわたって米国政府に対し資金を提供する必要があるわけでございます。また、非常に大きな規模のプロジェクトでございます。これを長期にわたって行うわけでございますが、この事業の実施に必要となる日米双方の行動についてもあらかじめ規定をしておく必要があるということでございます。

 そういう意味でこの協定を必要としているわけでございまして、この協定に基づいて私どもは事業を実施していきたいというふうに考えているわけでございます。

川内委員 この協定がなければグアム移転はできないのですかということを聞いています。

梅本政府参考人 必ずしも御質問を正しく理解しているかどうかよくわからないのですが、私ども、ロードマップに従ってこの海兵隊のグアム移転を実施していこう、そのためには、日本とアメリカがきちんと二〇一四年までに資金を拠出していく、その日本が拠出をしたお金の使い方についてもきちっとした管理をしてもらわなきゃならない、それをきちんと確保するのがこの協定であるというふうに理解をしているところでございます。

川内委員 私は、何のためにこのグアム協定を結ぶのですかということを聞いているんじゃないんです。何のためにということを今おっしゃっているわけですね。何のために結ぶのかではなく、このグアム協定がなければ、これを結ばないと米軍の海兵隊のグアム移転というのは金輪際できないんです、できなくなっちゃうんですよということですかということを聞いているんです。

梅本政府参考人 全くの理論的な可能性の問題としてお答えをいたしますと、全くの予定調和的に、それぞれが各年度なぜかお金を拠出していくという形でグアムのインフラ整備が進んでいく、そして、何年かたつと突然米軍が動いていくというようなことを想定するということが全く不可能か、物理的に不可能かといえば、それは不可能ではないというふうに考えます。

川内委員 物理的に可能か不可能かを聞いているのではなく、法的に可能か不可能かを聞いているんです。このグアム協定がなければ、要するに、2プラス2の約束だけでは米軍のグアム移転というのはできないんです、それは無理なんですよということなんですかということを聞いているんですよ。国民の皆さんにわかりやすく説明してくださいね。

北野政府参考人 お答え申し上げます。

 グアム移転事業を実施しようとする際には、このために日米間でこれを協力して行っていくということが想定をされているわけでございます。

 そのためには、日米双方が資金を提供する、あるいはこの事業に参加をする業者に対してどのような取り扱いを行う、あるいは我が国が提供する資金について米国政府がどのように管理をするというようなことについて明確にするということが必要であるということでございますので、私ども、これらを法的に規定する国際約束を締結するということが必要であり、適切であるというふうに考えているところでございます。

川内委員 法的に必要かどうかを聞いているんじゃないんですよ。できるかどうか、グアム協定がなければグアム移転というのはできないんですかということを聞いているんです。

 すなわち、2プラス2で二〇〇六年の五月に両国の外務大臣、防衛大臣が約束をしたロードマップがあります。それは、大変重い重い約束ですよね。それに基づいて、当時の麻生外務大臣は、毎年の予算措置でやっていくよ、これは先ほど鉢呂先生の方からも御指摘がございましたけれども、毎年予算措置でやっていくから条約なんか結ぶ必要ないんだよ、予算措置で大丈夫なんですよという累次の御答弁があるわけでございますね。だから聞いているんですよ。

 グアム協定がなくても、もともと2プラス2で両国の政府の最高首脳が約束をしたロードマップがあります、それに基づいて粛々とやっていくことができるのではないですか、グアム協定はなくてもできますよねということを聞いているんです。

鶴岡政府参考人 ただいまの委員の御質問は、2プラス2の中で両政府間で政治的な合意がなされております二〇一四年までにグアムへの海兵隊の移転を実現するという約束をどのように両政府間で具体的な行動に移すかというときにこの協定が必要かどうかという御質問と理解……(川内委員「違います」と呼ぶ)そうでもないと。

 と申しますのは……(川内委員「いや、一回下がって」と呼ぶ)はい。

川内委員 委員長、私は物すごく単純なことを聞いているでしょう。グアム協定がなければグアムの移転というのはできないんですかと、めちゃめちゃ単純なことを聞いているわけですよ。国民の皆さんに説明するのに、グアム協定がなければ米軍というのはグアムへの移転はできないんですかと。単純ですよね。

 そのことについて、なければ絶対できないのだというふうに御答弁になられるのか、いや、できるんです、できるんですけれども、こういうことのために条約にするんですというふうに御答弁になるのか、どっちかですよ。

鶴岡政府参考人 失礼いたしました。

 御質問が、2プラス2の中に書いてあることの実現ということでは必ずしもなく、今沖縄におります海兵隊を、グアムであれほかの地域であれ、米国が移転させるために協定が必要かということであれば、それは米国の判断によって実施することができる行動だと思います。

 ただ、当然のことながら、沖縄におります海兵隊の移動については日本側との協議が必要になろうかと思いますけれども、今の御質問が、米国が沖縄に駐留させております海兵隊をグアムに移転することができるかどうか、そして、それが協定の有無によってできなくなるということがあり得るか、そういう理論的な御質問であるとすれば、協定のあるなしと関係なく、それは可能なことだと思います。あくまでも理論的な整理の問題だと思います。

川内委員 なくてもできるということですよね。(発言する者あり)いや、米軍の問題じゃないですよ。(発言する者あり)いや、米軍の問題だけじゃないですよ。

 では、今のは、そういうごまかした答弁をするんだったら、もう一回、私は何度でも聞きますよ。

 日本が二十八億ドルを上限としてお金を出しますということをこの国際約束で決めているわけですけれども、では、二十八億ドルを上限として出すということに関して、毎年の予算で措置をし、出す都度、交換公文を結ぶことによっても2プラス2のロードマップでの約束は担保されるのではないですか。

鶴岡政府参考人 具体的な権利義務関係の内容についての御質問でございまして、二〇一四年までに二〇〇八年米会計予算価格における二十八億ドルを上限として日本側が海兵隊のグアム移転のために必要な経費を負担する、これを米側との関係において約束する場合には、多年度にわたる我が方の財政負担を行うことを約束することになりますので、単年度だけの約束で二〇一四年までの約束を行うことは、行政府限りではできません。

 実施に当たりましては、毎年毎年の予算の御承認をいただいた上で支出をしていくことに当然なるわけでございますけれども、二〇一四年までの多年度にわたる支出についての約束を具体的な金額を上限として示して行う場合には、行政府限りの権限でそれを行うことは、今の制度上できないというふうに理解をしております。

川内委員 もう一回よく教えていただきたいんですけれども、では、二〇〇八年米会計年度における二十八億ドルを上限とする金額なるものは、毎年毎年日本で予算をつけて、それを交換公文として取り交わすことによる総額で計算することが違法になりますか。(発言する者あり)いや、できないと言ったじゃないですか。

鶴岡政府参考人 私がただいま申し上げましたのは、日本がアメリカとの間において、単年度ではなく、二〇一四年あるいは複数年度にわたって支出した結果として二十八億ドルを上限として認定される、そういう支出について日本が約束をする場合には、これは行政府限りでの約束として行うことはできないということを申し上げています。

 毎年、幾ら幾らの額を協議の上で決定して、それを相手方にその年度内に支出するような先ほど御指摘の仕組みであれば、これは行政府限りで行うことができる。これも、今までの例からも、そのように進めてきておるわけであります。

 他方、多年度にわたって一定の額が示された上で、その額について相手方に約束をするということになりました場合には、行政府には、単年度予算の制約がございますので、多年度にわたる財政支出の約束を相手方に行うことは権限としてございませんから、その約束をするのであれば、これは国会の御承認が必要になる、こういう仕組みでございます。

川内委員 いや、だから、私は聞いているじゃないですか。多年度にわたる他国へのお金の約束をするには条約にしなければならないんですと今言っているわけですけれども、別にその約束をしなくても、グアムへの米軍の移転というのは、米軍の行動並びに毎年の予算措置、そして交換公文によってできるのではないですかと。したがって、グアム協定がなくても本事業については支障はないですよねということを確認しているんですよ。

 それは、政府の立場として、一回で約束しておきたいんだ、一回で約束するために条約を結ぶんですという御説明をされているわけですね。それは、政府の立場だから、ああそうですかということですけれどもね。

 まず、その前に、グアム協定がなくても本事業を日米両国政府で毎年協議をしながら進めることに関して何ら法的な問題はないですねということを私は確認したいんですよ。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、このグアムの移転事業、大変大きな事業でございます。また、先ほど来御答弁申し上げているように、多年度にわたる事業でございます。これを安定的に、また予測可能性のある形できちんと適切に行っていくということが必要であるというふうに思っております。

 私どもが拠出をしたお金がアメリカにおいて適切に使用される、また利子等が生じた場合をどうするか、あるいは事業者の取り扱いをどうするか、こういうものをあらかじめきちんと決めておきませんと、事業が安定的に、円滑かつ適切に行われないであろうということで、アメリカ側といろいろ最も適切なグアム移転のやり方について議論をしてきた、その結果として、お互いにこういうやり方でやろうではないかということが合意できたわけでございます。

 その合意を約束としたときに、多年度にわたる資金の拠出が入っているということでございますので、私ども日本側としては、これを国会承認条約という形で今お諮りしているということでございまして、繰り返しになりますけれども、この事業を適切にやっていかなければならない、安定的にやっていかなければならないということで、この協定を結んでいるということでございます。

川内委員 安定的に適切にやっていくためにというのは、何のためにという理由をさっきから一生懸命御説明されていらっしゃるわけですね。私は純粋に法的なことを聞くわけですよ。

 何か最近、役所の皆さんが非常に政治的な発言をされるんですけれども、本来は、グアム協定はなくてもできるんですとまず事務方が答える。では、大臣、何でそんな条約を結ぶんですかと聞くと、安定的に適切に事業を進めるためであるというふうに大臣が答弁するのが政治家の役目なんです。それは政治的な約束、政治的に進めるわけですから、何のためにというのは。(発言する者あり)でしょう。おかしいんですよ、最近。役所が何か一生懸命政治的答弁を繰り返して、それを大臣が座って聞いているわけですよね。それはおかしいんですよ。(発言する者あり)いや、それはもちろん、もっともっと大物かもしれないけれども。

 私が外務官僚の皆さんに聞いているのは、変に私に答えずとも、グアム協定がなくてもできますよねと。それはできますと素直に言う。では、大臣、何で結ぶんですかと聞くと、大臣は、いや、それは川内君、君ね、安定的に適切にやるためですよと。ああ、なるほど、そうですか、それが政府のお立場ですか、こうなるわけですよ。

 もう一回やり直しましょう。グアム協定を結ばなければ移転というのができないというわけではないでしょう。簡略に、わかりやすく、事務的に答えてください。

鶴岡政府参考人 二十八億ドルを上限として多年度にわたり支払う約束を除けば、それを国会にお諮りする必要はございません。

川内委員 それでは大臣、やっとここまで来るのに二十五分かかったわけですよ。ここで大臣に政府としての政治的方針をお聞きしたいんです。

 麻生外務大臣のときは、先ほど鉢呂先生からも累次にわたって質問させていただいたわけですが、いや、予算措置でできますよ、毎年毎年予算措置でやるからそんな心配しなくていいんだよというふうに我々国民には御説明されていたわけですね。それが、二十八億ドルを上限として、正しく言うならば二〇〇八アメリカ会計年度における二十八億ドルを上限として多年度にわたって米国と約束しようねというふうに、これは方針を転換されたわけですね、方針を転換された。

 それはなぜなのか、そしてまた、いつなのかということを教えていただきたいというふうに思います。

中曽根国務大臣 今、麻生大臣の御発言についてお述べになりましたけれども、私も今ここで正確な御発言内容を承知しておりませんけれども、必ずしも単年度で実施できるということをお話しされたのではないのかな、そういうふうに思っております。

 先ほどからの委員と政府参考人とのやりとりでございますが、ロードマップ、いわゆる日米の合意に基づいたグアム移転ということでなければ、それはいろいろなことは考えられると思いますが、ロードマップによりましてスケジュール、金額、そしてそれが単年度でないということが決まっているわけで、そういう意味で、取り決めのようなものがなければ、逆にこれは国民の皆さんからも御批判があるでしょうし、きちっと実施をするための協定と考えておりまして、委員がおっしゃいましたように、安定的に適切に実施するために必要なものと考えております。

川内委員 安定的に適切にと。大臣、先ほど事務方からは、二十八億ドルを多年度にわたって支出するためにはこの条約が必要なんですという御説明があったわけですね。私も、それはそうでしょうね、多年度にわたって多額の金額を他国の政府にどうぞという場合には、それは約束が必要でしょう、国会の承認も必要でしょう、それは理解いたします。

 では、ロードマップで約束された、今大臣が御答弁になられたさまざまな日米の政治家による合意事項、そしてスケジュールというものが、このグアム協定の中で法的拘束力を持つものとして金額以外で約束されているものは何があるでしょうか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 本協定において、日米両国政府に法的義務が課されておりますのは、第一条以降の本文に規定されている内容でございます。

 具体的に、例えば第一条及び第二条は、在沖縄海兵隊のグアム移転の実施に必要となる資金提供を初めとする日米双方がとる措置についての義務を規定しております。また、第四条、第五条、第七条は、上限二十八億ドルという日本側提供資金についての、米側が適正な使用を行う義務、本協定の対象となる事業へのすべての参加者の平等な取り扱いを米側が確保する義務等を規定しているところでございます。

川内委員 このグアム協定では、具体的な再編というか米軍の移転に関するスケジュール、もっとわかりやすく言うと、沖縄からグアムへの移転のスケジュール等についての法的拘束力を持つ約束は一切されていないという理解でよろしいでしょうか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 この協定の第二条によりまして「アメリカ合衆国政府は、第九条2の規定に従い、グアムにおける施設及び基盤を整備する同政府の事業への資金の拠出を含む移転のために必要な措置をとる。」ということでございますから、移転をするということもこの協定で決めてあるわけでございます。

川内委員 移転をするということは、それは別に協定で決めなくても、日米の両国の政治家のトップ同士がロードマップでこうしようねということを、国際約束ではないがちゃんと約束しているわけですから、その約束は、それはどんなことがあっても重い重いものであると。

 だから、「移転のために必要な措置をとる。」と書いてあることがスケジュール全体を指すものではない。「移転のために必要な措置をとる。」ということがスケジュール全体を指すものではないという理解でよろしいですか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 この協定の前提というのは、あくまでも、日米両政府が、ロードマップに従ってこの米軍再編を着実に進めていく、その中でこのグアムの移転をロードマップに従って二〇一四年までに行うということでございますが、この協定自体の義務として二〇一四年までに行うということが書いてあるかという御質問であれば、そうではないということでございます。

川内委員 そうすると、大臣、アメリカ側も、ちゃんと日本の業者を大事にするよとか、あるいはそのお金をちゃんと使いますよとか、ごくごく一般的なことは書いてあるわけですけれども、約束されているわけですけれども、この協定の一番の眼目は、先ほど外務省の参考人の方から御答弁があったように、二十八億ドルを多年度にわたって日本は支出しますよ、さまざまな条件はついていますが、二十八億ドルを支出しますよということがこの協定の本当に唯一の約束と言っていいものではないかというふうに思うんですけれども、それは違いますか。そこで首を振っているけれども、それは違うそれは違うと。

 では、ほかにどんな物すごい約束がこの協定に隠されているのか、それをちょっと教えてくださいよ。

鶴岡政府参考人 先ほど私が、今委員御指摘になられた多年度の二十八億ドル上限を明示して重要な項目であることを申し上げたのは、特にその部分につきましては、日本の制度上、国会の御承認を必要としているということを御説明申し上げた次第でございます。

 それ以外にも、今北米局長からも御答弁申し上げましたが、我が方の資金が米側に移転された後にどのような使途をもって用いられるかを、米側の義務として、先ほど御指摘したとおり、この協定の中でアメリカ側に約束してもらっております。また、その中で、日本の企業も含めた事業への参入に当たっての公平な条件整備についても、同じくアメリカ側が負うべき義務として規定をされているものでございまして、したがいまして、この協定の中の一条以降の具体的条文には、さまざまな権利義務関係が設定をされているということを申し上げたいと思います。

川内委員 さまざまな権利義務関係が設定をされておると申し上げたいと思います、こう言われたわけですけれども、そのさまざまな権利義務関係が、今の御答弁では、二十八億ドルを多年度にわたって支出する、それから、アメリカはちゃんとお金を使う、業者については公平な取り扱いをするということですよね。

 もう時間が来てしまったので、また後日発言させていただける機会があるかどうかわかりませんが、きょう私は二つのことを教えていただきました。グアム協定がなくてもこの米軍のグアム移転の事業というのは進めることが法的には可能である、一つ。さらに、しかし安定的に適切に進めるために、多年度にわたる支出を約束したのだと。しかし、累次、質疑の中で明らかになったとおり、その二十八億ドルを上限とするという金額の積算の根拠はそれほど確かなものがあるわけではないらしい。

 最後、大臣に。

 先ほど大臣は、方針を変えたわけではないのだということを御答弁になられました。しかし、このグアム移転に関しては、平成二十一年度予算だけではなく、平成二十年度予算に既に計上されていたのではないでしょうか。どうですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 こういったグアムのような大きな事業になりますと、いろいろな調査研究ですとか、あるいはこういった委員会の場で指摘されたことに対しても私どもいろいろな下調査をしたりいたしますので、そういう意味で、いろいろなこれに関連する経費というのはこれまでも支出されているところだというふうに思いますけれども、今回規定しておりますのはまさに二十八億ドルということで、ロードマップで合意されたものを実現するための具体的な内容として真水というものがある、そういったものを日米間で合意してやっていくということでございますので、両者は別のものであるというふうに御理解をいただきたいと思います。

川内委員 今まで支出されたものは別物で、これから支出するものが真水なのだと。政府は何とでも言える立場ですから、それは政府がそうおっしゃるなら、私どもは、ああ、そうですかというふうに言わざるを得ないわけでございますが、また引き続き、私はこの協定は本当に不可思議な協定だという視点でこれからもちょっと聞かせていただこうというふうに思います。

 きょうは、これで終わります。ありがとうございます。

河野委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時開議

河野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 御出席の政府関係者各位に申し上げます。

 政府側がこの協定の国会承認を求めた以上、本委員会での質問に対しては、的確に、真摯にお答えいただくようにお願いを申し上げます。午前中のようなことがないように気をつけてください。

 質疑を続行いたします。笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 早速協定の問題に入りますが、協定の前文で「ロードマップにおいて、その全体が一括の再編案となっている中で、沖縄に関連する再編案は、相互に関連している」というふうにありまして、そして、その続きで、第三条で「移転は、ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設の完成に向けての日本国政府による具体的な進展にかかっている。」、このようにあります。

 この「具体的な進展」ということについて、午前中の質疑を踏まえて改めて確認をいたしますが、これは代替施設が完成しなければ移転しないということなのか、何をもって「具体的な進展」があると判断するのか、お答えください。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 本協定第三条に言うところの「具体的な進展にかかっている。」というのは、ロードマップの記載ぶりを改めて確認したものでございます。ただいま御指摘ございましたように、沖縄に関連する再編案は、相互に関連をしており、グアムへの移転は、普天間飛行場の代替施設の完成に向けての具体的な進展にかかっているわけでございます。

 それでは、その「具体的な進展」とは特定の措置を意味するものかということであれば、ここについては、協定の発効後、日米両政府の協議を踏まえ、さまざまな要素を総合的に勘案して判断されるべきものであるというふうに考えております。

 なお、今後、普天間飛行場の代替施設の建設につきましては、その実現に向けまして、環境影響評価の実施、キャンプ・シュワブの再編成に係る施設整備、埋立工事、代替施設建設工事等を着実に実施していくことが必要となるわけでございます。「具体的な進展」の有無というのは、そのような過程の中で、日米両政府間でさまざまな要素を総合的に勘案して判断していくということでございます。

笠井委員 例えばアセスをやっていたら「進展」というふうに言うんですか。

梅本政府参考人 この協定の考え方、あるいはロードマップの考え方でございますが、それぞれ、普天間移設、返還それからグアムの海兵隊の移転、これは二〇一四年まで、長い時間をかけて行われるものでございます。それをそれぞれ並行的に進めていくということでございます。

 それぞれ並行的に進めていくプロセスがあるわけでございますが、普天間については、今申し上げましたように、これからいろいろなことをやっていかなければならない。そういう意味で、まだ初めの方の段階でございますが、環境影響評価を実施しているということは具体的進展の一つの要素であるというふうに私ども考えております。

笠井委員 その「具体的な進展」というのは、だれが判断しますか。

梅本政府参考人 先ほどお答えいたしましたように、それぞれを進めていく過程というものの中で、日米両政府間でさまざまな要素を総合的に勘案して、日米両政府で協議をしながら判断をしていくということでございます。

 いずれにしても、いろいろ、現実にいろいろな措置というものがとられていくということをよく見ていくということでございます。

笠井委員 それでは、日米両政府ですが、日本側が「具体的な進展」があると判断するようなことをやったとしても、米側の判断がそうでなければグアムへの移転は進まないということになりますか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 ロードマップの実施につきましては、累次お答えしておりますように、日米両政府が緊密に協議をしながら行っていくわけでございます。それぞれの措置をとっていく、その具体的な措置の一つ一つの積み重ねによって、二〇一四年に普天間の移設あるいはグアムへの移転というものが実施をしていくわけでございます。

 したがって、それぞれの措置の実施の状況を見ながらやっていくということでございまして、仮にどこかでプロセスが今おっしゃったようにとまるということであれば、それについて日米両政府でよく協議をして、それからどうするかということを協議して、もしそういう障害が出れば、その障害をどういうふうに乗り越えてこの実施を進めていくかということを緊密に協議していくということだというふうに考えております。

笠井委員 協議はしていくけれども、判断が違ったらそれは進まないということになるわけですね。

 その後に、協定で、「日本国政府は、」「完成する意図を有する。」というふうに書いてありますが、午前の質疑では、例えば先ほどアセスの議論がありながら、アセスを進めようとするのも一つの意図であり、例えば進展の一つの要素だという話がありました。そして、そういう意図を持っているけれども結果的にはそれが頓挫することもあるけれども、頓挫することをもって協定違反ではないということもあったわけですが、政府として意図は持っているけれども実際には完成できなくてもグアムへの移転というのは行われるということになりますか。

梅本政府参考人 累次申し上げておりますように、私ども、この再編のロードマップに従って、このロードマップの中にはいろいろな要素がございます。その中に、とりわけ重要な要素として普天間の移設、返還それからグアムの移転というのがあるわけでございますので、これを両方ともきちんと実施をしたいというふうに考えているわけでございます。

 御質問が、仮に片方がとまった場合、例えば普天間について日本政府が誠意を持って取り組んでいたにもかかわらず、その進展がなくなった場合に、ではグアムの進展はどうなるのかということでございますが、それは、片方の進展がもし仮にとまったということであれば、もう片方の進展についても影響が出得るということでございますので、そういう段階で、まさにそうならないように日米両政府でよく協議をして、そういう状況をいかに脱出してまた着実に実施をするかということを協議していくということではないかというふうに考えております。

笠井委員 要するに、影響が出るということでありますので、結局、目に見えて米側が認める「具体的な進展」がない限り、その担保が確保されない限りグアムの移転がされない、進まないということになるわけであります。

 そこで、昨年三月に確定したアセスの方法書の修正版というのがここにありますけれども、沖縄防衛局ということで、平成二十年三月ということでありますが、この中で別添資料というのがあります。そして、代替施設の本体について、こうあります。「代替施設(進入灯及び燃料桟橋を含む)及び埋立(護岸を含む)の工事計画については、今後、基本設計において、条件を具体的に検討し、環境面等をも考慮の上工事の内容を決定し、工法、工事工程、赤土等流出防止対策、重機搬入計画等の工事計画を策定する。」と記されておりました。

 そこで伺いますが、防衛省では〇七年度、二〇〇七年度に計四件の基本設計業務を日本工営などに約三億一千五百万円で発注をいたしておりますけれども、これら四つの業務の主な概要はどういうものか、端的に報告ください。

長岡政府参考人 御指摘の平成十九年度に発注した基本設計業務でございますけれども、これは、普天間飛行場の代替施設建設事業における建設事業全般に係る基本設計及び施工計画の検討ということでございます。

 具体的に申し上げますと、基本設計(その一)におきましては、飛行場、それから格納庫とか燃料タンクなどの飛行場支援施設、こういったものの基本設計の業務でございます。

 基本設計の(その二)について申し上げますと、基本設計の(その二)は、隊舎、厚生施設、ユーティリティーなどでございます。

 基本設計(その三)でございますけれども、基本設計(その三)は、航空灯火施設の設計等でございます。

 基本設計の(その四)は、航空無線施設の基本設計ということでございます。

笠井委員 今説明がありました四つの基本設計業務の履行期限というのは、いずれも本年三月末日でありましたけれども、現在の進捗状況はどういうふうになっていますか。終了しましたか、これは。

長岡政府参考人 御指摘のように、当初の履行期間はことしの三月三十一日でございましたけれども、契約変更いたしまして、いずれもことしの十二月二十五日までになっております。

笠井委員 終了していない。

 では、基本設計業務は終了していないというわけでありますけれども、防衛省は、本年度予算に普天間飛行場の代替施設に係る工事に要する経費を計上しているわけであります。その内容はどういうものですか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 二十一年度予算におきまして、普天間飛行場代替施設の整備に関する予算でございますけれども、大きく三点ございます。

 一つは、環境影響評価に要する経費、契約ベース約四億円、歳出ベース二十八億円。二つ目が、普天間飛行場代替施設にかかわります工事に要する経費でございますけれども、契約ベースが二百四十七億円、歳出ベースが約三億円。三点目が、キャンプ・シュワブの施設の再編成等にかかわる工事に関する経費でございますけれども、契約ベース約三十七億円、歳出ベース約六十三億円となっているものでございます。

笠井委員 護岸工事の実施設計費に約三億円で、同工事費に約二百四十七億円を新規計上しているというわけでありますけれども、この工事は代替施設本体の沿岸部、これを埋め立てる、北側部分と言っていいんでしょうか。その工事ということでよろしいですか。

井上政府参考人 今申し上げました普天間飛行場の代替施設にかかわる工事費の契約ベース約二百四十七億円でございますけれども、その内訳は、護岸工事一期の分が約百七億円、仮設工事の作業ヤード等にかかわります部分が約百三億円、汚濁防止膜等にかかわりますものが約三十五億円となっておるわけでございます。

 護岸工事にかかわりますものは、今委員御指摘のとおり、この代替施設の北側の護岸工事にかかわるものでございます。

笠井委員 そうしますと、まだ基本設計が策定されていない、契約変更してことし十二月までかかるというわけでありますが、どうして、代替施設本体の護岸工事に着手できる、それで予算計上するのか。おかしいんじゃないでしょうか。

 実際は、基本設計というのはもう策定されているということじゃないんですか。だから、その先幾らかかると出して、それを予算計上して、契約ベースという話も出ているんじゃないんですか。

井上政府参考人 今申し上げました約二百四十七億円は契約ベースの経費でございまして、二十一年度につきましてはまさに契約を行うという経費でございまして、実際の歳出、まさしく工事を行うというのは、これは二十二年度以降ということを前提としての経費であるということでございます。

笠井委員 前提としたって、ちゃんと今年度掲げているわけですよ。

 護岸工事に着手するには、環境影響評価の手続に伴う沖縄県知事の許可が必要であります。しかし、防衛省は、先日、四月一日、アセスの準備書を県側に提出したばかりじゃないですか。そのアセスの準備書も、日米両国政府が合意した現在の計画案が妥当だというふうに結論づけている。

 護岸工事にしても、肝心の基本設計も明らかにしていない。それもまだこの十二月までかかると言っているうちに、実施設計も前倒しで予算化していく、そして契約のためのあれもつけていく。これは重大なことじゃないんですか。こんなことをどんどん進めちゃうわけですか、基本設計も終わらないうちに。

井上政府参考人 普天間飛行場の代替施設の整備でございますけれども、ロードマップにおきまして二〇一四年までの完成が目標とされているわけでございまして、政府といたしましては、この飛行場の移設を実現するために必要な措置を的確かつ迅速に実施することが必要であるというふうに考えているところでございます。

 今委員御指摘のとおり、現在、環境アセスメントの手続を進めさせていただいているところでございます。四月一日に準備書を沖縄県に送付させていただきまして、四月二日から三十日間、縦覧に供するという手続をさせていただいているところでございます。

 その準備書につきまして、住民の方々からの意見があれば意見をいただき、そうした意見を踏まえた上で、沖縄県知事からの御意見をいただいた上で評価書の作成を行う。そして、評価書につきましては、さらに埋立許可権者である知事の御意見をいただいて事業を進めていくということとなっているわけでございますので、私ども、そうした手続を着実に進めさせていただいた上で、この事業を進めさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

笠井委員 あれこれ言いますけれども、結局、完成目標に向けて、ひたすら必要、迅速に進めていく、意見は聞きますけれども進めますという話じゃないですか。米側は、修正には応じられないと繰り返し主張してきました。だから、いかに環境に重大な影響があろうと、新基地建設反対の県民世論が沖縄で七割もあろうと、現在の政府案推進の結論ありきで、二〇一〇年から代替施設建設を開始して二〇一四年までに完成させるという政府の想定する日程を前提にしたものであります。けしからぬと思います、私は。

 一昨日、私は辺野古に行きました。そして、地元のおじい、おばあを初めとして地元の住民の皆さんとも会ってきましたけれども、移転とセットで計画を加速強行する強権的な協定ということで強い怒りを持って反対しておられるのは当然だと私は思います。

 もともと、SACO以来十三年も進められなかったものを前のめりで進める。私の参議院の時代に、ちょうど思い出します。あのSACO協定をやって、河野洋平外務大臣に対して私は質問しました、こんなことで進める、オスプレーもやる、とんでもないじゃないかと言って。しかし、十三年間やられてこなかったということをとにかく前のめりで進めて、協定はそれを無理やり進める裏づけになることは明白だと私は思います。重大だということを指摘したい。

 次に、協定では、二十八億米合衆国ドルの額を限度として資金の提供を行うということで、上限を定めているとしていることが大きな特徴とされています。

 当委員会で私が質問をしてきた中で、久米設計に委託した基本構想報告書がようやく提出されたわけでありますが、いわゆる真水事業についてはこの報告書で総額どれぐらいの経費がかかると算定をされているんですか。お答えください。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 報告書はあくまでも全体の真水事業を実施していくための参考でございまして、今の協定にございますように、二十八億ドルの総額の限度という中で、具体的に年度ごとの事業を見積もって、それを各年度の予算でお願いをしているという状況でございます。

笠井委員 この間も議論しましたが、参考といいながら、これは日本側が米側と交渉する上で持っている数字だと言うわけですよ。その総額についても言えないということが改めて言われたわけであります。

 では、この協定の枠外でありますけれども、この枠組みの中で日本側が出資、融資等で分担する家族住宅二十五・五億ドル、それからインフラ整備で七・四億ドルの部分については、この基本構想の報告書では総額どれぐらいかかると見積もっているんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 家族住宅の関係でございますけれども、これは真水ではなくて融資ということでやっているわけでございます。具体的に、どういった事業スキームが最も効率的な税金の使い方になるのか、そしてまた、グアムに行きます沖縄海兵隊の移転がどのようにスムーズに進むか、そういう観点から、現地の実情も考えながらやっているものでございまして、具体的にこれだけのものでやるというような一つの固定的な考え方があるわけではございません。まさにそれはこれから日米間で協議をして、最も適切なものを追求していくということでございます。

笠井委員 違うんですよ。何億もかけて、税金で調査を委託したわけでしょう。試算させたわけじゃないですか。どれぐらいの規模になるかという数字もないんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 ですから、まさにこの住宅事業をうまくやっていくために、米側の要望もございますし、私どもも、住宅の価格が高いのではないかとかいろいろな御指摘があるわけでございまして、そういう中で仮定計算をして、いろいろなやり方を考え、いろいろデータを集めてやっているわけでございます。

 これはまさにこれから日米間で交渉していく問題でございますので、この時点で、いわば日本側としての手のうちといいますか、いろいろな誤解を招くような面もあるかもしれませんし、それはまさにこれからの交渉で生かしていきたいということで御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 結局、どれも防衛省から出された資料では墨塗りになっていたりしてわからないわけです。

 それで、仮定計算というけれども、では、マックスとミニマムとどれぐらいの幅なのかということもあるはずですし、久米設計が出した報告書というのは、再三局長も言われていますが、そして、この報告書にも冒頭に書いてありますが、防衛省の見解ではない、参考に過ぎないと言っているわけですから、総額どれぐらいの見積もりがあるのか、大体の幅とか、そのぐらいのことは出しても差し支えないはずであります。国会と国民に明らかにすべきじゃないですか、それぐらい。税金をかけて調査しているんでしょう。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 まさにいろいろ税金をいただいて、この事業が円滑に進むように、いろいろな形で民間の知恵もかりながら、あるいは、私どもも検討しながら、いろいろな事業を検討しているわけでございますけれども、まさにこれからそういったことをアメリカとの間でもいろいろ交渉しなければいけませんし、また、企業の中にも、この問題についてどういうふうにやっていくのがいいのかという、いろいろな議論がある中で、私どもとしてもあらゆる知恵を使いながら、今後日米間で議論をしていきたい。

 そういうことでございますので、そういう現時点においては、ある具体的な幅がこれだけだとか、そういったことを申し上げるのは適切ではないだろうと。そしてまた、いろいろ日米間でこうやっていく上でいただいている資料というのも、それをベースにしてやっているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 中曽根大臣、大体、多額の日本の負担で米領土に軍事基地をつくる。外務省も、私自身も、一昨年ですか、二〇〇六年二月ですね、質問したときに、歴史上も、それから世界でも類例がないことをやるということを認めたわけです。私はそれ自体けしからぬと思うんですが、最低限の中身すら明らかにしようとしないのは、やはり政府としては不誠実きわまると思うんです。米軍の要望には積極的にこたえようとする一方で、国民や国会に対してはできるだけ内容を公表しないようにと、そういうふうにしていくという政府の態度というのは私は問題だと思うんですけれども、いかがですか、大臣。

中曽根国務大臣 防衛省の方の御答弁がありましたけれども、国民の皆さんの貴重な税金を使うわけでありますから、とにかく、そういう意味では、透明性があって、かつ無駄のないような、そういう事業にしなければならないわけでありますけれども、私たちといたしましては、沖縄の皆さんの負担を軽減しながら、そして抑止力を維持するという大きな前提のもとに、この移転事業が行われるわけでありますので、また十分にそういう金銭、資金面の使い方等には留意をしながら進めていきたい、そういうふうに思っております。

笠井委員 透明性とおっしゃいましたけれども、報告書に大臣も目を通されたと思うんですが、こうやって墨塗りになっているわけですよ。透明どころか不透明きわまりないんです、これ。そうでしょう。そういうことですよね。

 基本構想で私が最初に質問したのが三月十三日でありまして、その準備過程で防衛省に全文の提出を求めましたら、出てきたのがたった九ページの概要版ということで、当初説明では、全文公表には半年かかりますということまで言われました。そして、協定審議で通してくれという話なんですけれども、その後、三月二十五日に提出された全文というのは墨塗りの部分だらけということで、中には、ここにありますけれども、三月十九日の参議院予算委員会で我が党の井上哲士議員が示した米軍住宅の国防総省統一施設基準というのがあるんですけれども、そのように、米軍のホームページでも公表されているものを、これまで墨を塗っていたじゃないかということでありまして、それを指摘してそういうことを言ったら、墨を塗ったところが、次に出てきたときには、ちゃんとそのとおり出てきたわけですよ。

 米軍がそもそもホームページで出しているものさえ、墨を塗って最初は出したんですよ。こんなことでいいと思いますか、大臣。

 いや、大臣に伺っていますから、ここは。

中曽根国務大臣 一度墨を塗ったものを、また今度墨なしで出したというのは、それは大変失礼があったとは思います。

 私、大変申しわけないんですが、それについての詳しい、今お示しになられたところを拝見していませんので、これ以上のことはちょっと申し上げられません。

笠井委員 この真水部分の二十八億ドルに関連してですが、司令部庁舎、教場、それから隊舎、学校等生活関連施設の四分野の事業に使うということでありますけれども、それが二十八億ドルの限度以内におさまって、余った場合については、それ以上財政支出はしないということでよろしいんですね、これは。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 二十八億ドルというのは、あくまで限度でございまして、それで、在沖米海兵隊のグアム移転がスムーズに進むように、最も効率的、効果的な支出というものを、今までロードマップの策定後に国会等で明らかにしております考え方に従って、年度ごとに精査しながらやっていく。それで二十八億ドルまでいかなくても、その考え方に従って必要な事業というものが満たされるものであれば、それはそれで、二十八億ドルを限度ということでございますので、その範囲内で協定が実施されるということでございます。

笠井委員 済みません、今の話というのは、積み足すという話を言われましたけれども、必要な範囲内でということで、二十八億ドルまで使い切るという話ですか。(高見澤政府参考人「いえいえ」と呼ぶ)四分野ですよね。これが必要だという話で協議して進めていって、年度ごとに決めていくとやっていって、これで終わったというのが二十八億ドルより下がったとしたら、それ以上使わないんですねと聞いたんだけれども、積み足して使って、二十八億ドルまでやるということですか、今のは。

高見澤政府参考人 私はそのように申し上げた趣旨ではなくて、舌足らずであればちょっと訂正させていただきたいと思いますが、私が先ほど申し上げましたのは、その二十八億ドルというのを限度として多年度にわたって支出していくということをこの協定ではお願いするわけでございますけれども、具体的な年度の予算においては、それぞれ具体的な事業がはっきりしてまいりますので、それで徹底的に精査をしていく。そういう結果、その必要な事業というのが満たされれば、それは二十八億ドルが限度ということでございますので、そのまさに必要な範囲でおさまるということを申し上げたのでございます。

笠井委員 だから、おさまって、二十八億ドル引く二十六億ドルだったら、二億ドルというのはもう使わないんですねと聞いているんですよ。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 毎年度、毎年度で精査をしていきまして、それで結果として二十八億ドル以下になるということは当然あることでございますし、その場合に、二十八億ドルまで限度があるからほかの目的のためにこの事業を使う、そういうようなことは全く、この協定上、予定されていないところでございます。

笠井委員 どうもその辺が、もやもや言っているのがどうも怪しい話なんですがね。

 ほかの目的にと言われました。では、そこで伺いますが、米側から、この上限二十八億ドルの範囲内で、海兵隊のグアム移転にかかわるものだということで説明があって、そしてさらに、日本側の分担の要求が、二十八億ドルの範囲ですよ、その中で今後毎年の精査の中で、あった場合にはどうするのか。上限の範囲内で分担することはさらにあり得るということになるのか、その際の判断の物差しは何になるのか、お答えください。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 この在沖米海兵隊のグアム移転というのは、日本だけでやる事業ではございませんで、日米の共同でやっていくことでございまして、米側も経費を負担するということになっているわけでございます。

 その中で、現在の枠組みといいますのは、日本側はこの二十八億ドルを限度とする。しかも、その目的というのは、これまでのロードマップのとき以来議論しておりますような、国会でも明らかにしておりますような、いわゆる四つの施設、あるいはそれに対する基幹のユーティリティーの改修等、敷地も当然それには含まれてくるわけでございますけれども、そういったきちっとした枠組みの中で、二十八億ドルを限度として負担するということでございますので、例えば、いろいろな年度の議論が進んでいったときに、それと違った目的の需要があって、これは海兵隊に関連をしているということであっても、それが例えば運用施設そのものであるとか、そういう、今回の協定の目的に必ずしも沿っていないというものであれば、それは負担するということはないというふうに申し上げられるかと思います。

笠井委員 ですから、確認しますけれども、毎年精査しながらずっと積み上げていきますよね。それで、例えば二十八億ドルまであと二億ドルあるよねとなった場合に、米側の方からも、まだ上限があるということでいうと、この間、大体整備は済んだけれども、しかし、移転関連ということでいえばこういうことも確かにあったよねと新たに出た場合に、そういうことについても、精査しながら、お互いに協議して、これは確かに違った目的ではないという判断をすれば、それはとにかく二十八億使い切るまでやるということはあるわけですね、では。持たないとは書いていないわけですね、そこは。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 それは、まさにこの協定の目的が、在沖米海兵隊のグアム移転をスムーズに行っていく、しかも、それを効率的に行っていくということでございますので、全体の中でその年度のいろいろな議論をやっていく中で判断されるということでございまして、あくまでも基準は二十八億ドルが限度であるということと、協定の趣旨にのっとってやる。そして、それが結果として、在沖米海兵隊のグアム移転がスムーズに行われる、それが究極の目的だろうというふうに認識をしております。

笠井委員 要は、二十八億ドルを上限にして、趣旨がかなっていてと判断して、そして、スムーズ、効率的ということであれば二十八億ドルまで使うということになるということであります。

 政府はこれまで、グアム移転に関連する日本の負担というのはあくまでロードマップに従って行うということで答弁も繰り返し言ってきました。ところが、今年度予算におけるグアム移転関連経費の中には、ロードマップにそのものが明記されていなかったものも盛り込まれております。例えば、アプラ地区の基盤整備事業については約百七十四億円が計上されて、この久米設計に委託をした基本構想の報告書にも「ユーティリティー、インフラを再整備するものである。」ということが盛り込まれております。

 このアプラ地区については、米側からどのような要請があって整備をすることにしたんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 アプラ地区につきましては、海兵隊の部隊が移設するという部分に関係しているところでございますので、日米間で議論を行いました。その中で、アプラ地区において我が国が負担する基盤整備事業というのは、海兵隊が専ら利用する地区において、主として老朽化した既存の基幹ユーティリティー、これは具体的には電線とか上下水道管等の埋設でございまして、普通の施設整備に伴うものでございますが、これを改修したり、これに関連した敷地造成にかかわるものがございます。アプラ地区においてはこのほかにもいろいろな事業はございますけれども、これは米側が負担する、そういう考え方でございます。

笠井委員 この基本構想報告書を見ますと、アプラ港の整備規模というのは、ARG、水陸両用であるLSD、ドック型揚陸艦、LHD、強襲揚陸艦及びLPD、ドック型輸送揚陸艦同等クラスの艦船及び寄港艦の停泊を可能にするものであるというふうに書いてあります。これは、海兵隊の移転というよりも、移転後の米軍の運用に係る施設の基盤整備そのものになるんじゃないんですか。

 高見澤局長は去る二月六日の衆議院予算委員会で、運用面での施設整備は米軍が責任を持って行うというふうに答弁されておりましたけれども、これはそれに反するということになりませんか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 まさにその二月の六日の予算委員会でも同じような答弁をさせていただいていると思いますけれども、もう一度整理をさせていただきますと、我が国の負担は、在沖米海兵隊の移転事業を最も効率的な形で、かつ速やかに実施するとの観点から、基盤整備事業を工事の最初の工程として、大規模かつ一体的に実施することとしているところでございます。

 アプラ地区で我が国が負担する基盤整備事業は、司令部庁舎を前提としておりまして、かつ、海兵隊の所要に対応しているものでございます。かつ、日本側の負担というのは二十八億ドルの範囲内ということでございます。

 それで、今先生御指摘の関係の施設でございますけれども、このアプラ地区に隣接する岸壁には米空母は接岸することはできません。専ら海兵隊が利用する強襲揚陸艦等の艦艇が利用するということが予定されているところでございまして、我々のこの地区に対する負担というのは、司令部庁舎に加えて、まさに専用的に使われる強襲揚陸艦等への給水あるいは排水等にも活用されるというものでございまして、趣旨にのっとったものだというふうに理解しております。

笠井委員 何を言っているんですか。アメリカ側のマスタープランでは、アプラ港の改善というのは海兵隊、海軍及び沿岸警備隊の活動を支援することを目的とするということを述べていて、今、空母は入れないと言いましたけれども、空母の一時寄港を可能にする埠頭に加えて、エアクッション型揚陸艇、強襲揚陸車、それから揚陸即応群、高速輸送艦、それから護衛用水上艦の運用施設を整備するとアメリカのマスタープランにはあるわけでありまして、結局、日本が実施するアプラ港の基盤整備というのは、アメリカが考えていてやりたいと思っている、マスタープランで整備するとしている施設と一致する話じゃないんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 グアムへのまさに移転事業というのは、グアムには海兵隊は現在存在をしておりません。それで、海軍なり空軍の施設があるわけでございまして、まさにグアムに海兵隊を持っていくということは、既存の海軍なり空軍のインフラをどのように効果的に活用して我々の負担を少なくするかということが基本にございます。

 そうしますと、同じような機能を持ったところで同じような整備をやるというわけにはまいりませんので、私どもとしては、日本側のロードマップの考え方に従った事業というものを整備する。米側は米側として必要なものをやっていく。それで、お互いに最も効率的な整備ができるというのは、まさにロードマップの趣旨に沿ったものではないかというふうに考えております。

笠井委員 海兵隊がいないから既存の整備を活用すると言うけれども、その整備をするわけですよ、施設を。ごまかしちゃだめです。海軍が、アプラ基地を約四万トン級の強襲揚陸艦などが停泊できるようにする。空母の寄港も、さらには一千人もの兵員を運ぶ高速輸送艦も使える最新鋭の基地にしようとする。では、それに使っていくということで、結局、海兵隊を移転するということを名目にして、そこまでやるということになるわけであります。現在、グアムの米軍部隊の運用に係る施設を海兵隊の移転とか海兵隊と一体に運用するからという名目で整備することが許されたら、日本の負担でどんな施設でも整備できるということになっちゃうじゃないですか。

 さらに質問しますけれども、防衛省が作成した「グアム移転に伴う施設・インフラ整備にかかる経費の内訳」という表があります。もうしょっちゅう出てくる表でありまして、総額百二・七億ドルが内訳はどうなっているか。「日本側の分担」「アメリカ側の分担」という一覧表ですが、その脚注が幾つかありまして、一番下の脚注六というところに「沖縄からグアムへの海兵隊移動経費やグアムにおける海兵隊の活動経費は、総額百二・七億ドルに含まれない。」というふうにわざわざ書いてあります。

 基本構想の報告書にも同様の記述があるわけですが、沖縄からグアムへの海兵隊の移動経費やグアムにおける海兵隊の活動経費は、日本側が分担するグアム移転に伴う施設、インフラ整備に係る経費とは全く別枠だということでよろしいわけですね。日本側とアメリカ側が負担する総額百二・七億ドルの枠とは別枠であるということを書いてあるということですね。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 この資料につきましては、当初、注の下に今先生が指摘されたような表現というのは入っていなかったというふうに理解をしておりますけれども、まさに、沖縄からグアムへの海兵隊移動経費とかあるいは海兵隊の活動経費というのが、百二・七億ドルとの関係がどうなるのだ、この百二・七億ドルの内数なのかそうなのかというような御指摘がございまして、まさにそういったことを明確にするために記載をしたものでございます。

 ただ、これは協定との関係でどうなるかということで申し上げれば、日本側が負担することはないという性格のものでございます。

笠井委員 では、ここでありますが、ここにある沖縄からのグアムへの海兵隊移動経費とかグアムにおける活動経費というのは、これは一体何のことですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 例えばこれから沖縄の海兵隊がグアムに移動するような場合に、沖縄の部隊と例えばグアムの部隊というのはそれぞれ別のような形で一時的に移動いたしますので、いろいろな状況があり得ると思うんですけれども、例えばその間に全体の連絡をするために行ったり来たりするというようなことが、それ自体がまさに移動に係る経費というようなこととして、例えば一例でございますけれども、あるかと思いますし、また、いろいろな訓練で出かけていくときに、それはまさに訓練の移転かというような議論もあろうかと思いますので、そういう意味で、一例としてここに掲げさせていただいているんだろうというふうに理解をしております。

笠井委員 そうすると、確認しますけれども、グアム移転に八千名、九千名が行くというときに、いわば向こうに移っていくという引っ越し代にとどまらないということですね。一時的にということは、訓練で行ったり来たりもある、そこまで含めてなるのかどうか。

 つまり、引っ越し代とかいうことであれば、移転する海兵隊と家族はもはや在日米軍じゃありませんから、当然米側の負担ということになるわけですが、それはそれだけじゃないと。それ以外にも、今後、グアム移転に伴って、海兵隊が行ったり来たりの移動があり得るので、一時的に移動する経費や、そして、一時的に移動した部隊が、あるいは兵員が現地で活動するという経費のことを指しているということですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 ですから、今、そういった経費は含まれていないということを申し上げているかと思いますので……(笠井委員「だから、どういう経費かと言っている」と呼ぶ)ですから、私どもが基本的にロードマップで負担するというふうに申し上げているのは、第三海兵機動展開部隊のグアムへの移動のための施設及び基盤の整備に係る費用でございます。そして、二十八億ドルの直接的に提供する資金を含む六十億九千万ドルを提供するということがあくまでも合意でございますので、グアムに移転された後にいろいろな、そういう活動にかかわるような経費でありますとか、そういったものを日本側が負担するということはないということを言っているということでございまして、基本的にはそういう構図をここで述べさせていただいているところでございます。

笠井委員 では、もう一回確認しますけれども、こういう場合、グアムへの八千人の移転完了後、すなわち、司令部機能がグアムに移って実動部隊が沖縄に残るという形で分散することになりますが、このもとでグアムで海兵隊の訓練が行われる場合に、沖縄に残っている実動部隊がグアムでの訓練のために移動する経費及びその期間中のグアムでの活動経費についてはどちらが負担するんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 先生の御指摘は、久間防衛大臣がかつて答弁された点と関連しているかというふうに理解をしておりますけれども、沖縄に駐留する米軍機が行く場合の費用負担についてはそれはあり得るかもしれないというふうに申し上げていたところでございますけれども、これは仮定の問題でございますけれども、在沖米軍による沖縄での訓練が地元負担になっているという認識のもとに、仮に地元の要請等を受けて他の地域へ当該訓練を移転させるというようなこととした場合において、その費用について日本政府が負担するということまでは否定できないというような立場を踏まえて答弁したものだというふうに理解をしておりまして、協定上はそういった考え方にはなっていないわけでございます。

笠井委員 協定は決まっているんです。これ、全体を、施設とインフラ整備をやるために百二・七億ドルをどうするかというのが協定ですから、そこに書いていないのは当たり前なんです。

 今、局長が言われましたけれども、二〇〇七年五月の参議院外交防衛委員会で、当時の久間防衛大臣が、「グアムに行って、グアムと例えば嘉手納とが一緒になって向こうでやるときに、こちらから沖縄に駐留する米軍機が行く場合の費用負担についてはそれはあり得るかもしれぬ」と答弁したわけです。そして、そのとき、当時の大古防衛政策局長も同じ委員会の答弁で、日本政府の地元市町村との関係で要請するような場合には日本が負担することもあり得ると言ったわけです。つまり、沖縄の負担軽減、今も言われましたけれども、負担軽減ということで、それの名目がついて、そのためにグアムで訓練するという名目がグアムに八千人、九千人移転後についてやる場合について言うと、そういう海兵隊員の移動経費や活動経費まで日本側が出すこともあり得るということになるわけですね。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 今回のグアムへの移転の関係の協定では、そういった経費は入っておりませんので。

笠井委員 協定後の話です。協定を完了したら、一応完了するわけですから、その後の話をしているんですよ。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 これまでも、訓練の移転等の経費につきましては、地元の負担の軽減等といった問題あるいは米軍の運用の問題あるいは訓練の実態、そういったこと等を考えて、その都度具体的な判断を行ってきているというところでございますので、現在は、そのグアムへの移転を円滑に推進するための協定を御審議いただいているところでありますので、御理解をいただきたいというふうに思います。

笠井委員 協定が終わった後はその都度判断すると、否定しないわけです。

 ロードマップによりますと、沖縄の海兵隊八千人が移転することになっておりますけれども、訓練は既にグアムで実施をされております。沖縄の第三十一海兵遠征隊は六カ月ごとに編成が変わりますけれども、そのたびにグアムでTRUEXと呼ばれる市街戦訓練やMEUEXと呼ばれる訓練、ジャングル戦闘訓練やゴムボートを使った上陸訓練等を行っております。アメリカの国防総省の監察総監の報告書でも、百二億ドルの負担分担以外に、移転に伴って、毎年、輸送経費など四億六千四百七十九万ドルが必要だという試算が出ました。その予算の手当てがないということも指摘をしているわけでありまして、それを今後、日米間で協議することまでは絶対にないということは断言できますか、そういう問題について。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 あくまで一般論でございますけれども、日米間でいろいろな問題についてふだんから話し合い、それで、今までの基本的考え方の枠の中で最も適切な措置を講じていくということはあり得ることだとは思っておりますけれども、今先生の御指摘の問題というのは、仮定、ある意味、具体的な前提が今の時点で明確でないというようなこともありますので詳細は差し控えたいと思いますけれども、要は、今までの考え方に従った中で、具体的な状況に照らして慎重に判断をしていくということではないかと思います。

笠井委員 このグアムの移転というのは、八千名がグアムに移ったら、じいっとしてそこにいるわけじゃないんですよ。司令部隊と実動部隊があって、訓練もする、あるいは実際にそういうことで出動することだってあるわけですよね。そういう問題は具体的にあるんです。つまり、移転というのは、八千人が移ったらおしまいじゃなくて、移った部隊がどう行動するかということが出てくるわけですから、仮定の話じゃないんですよ。実際、そういう問題に直面するわけです。協定を結んだら、次はそういうことに必ずなる。移転したら、そういうことは当然直面する話であります。そこに負担があることを否定しないということであります。

 もう一問だけ聞いておきますが、家族住宅について、この基本構想の報告書の別添というのがありますが、この中には、「リスク分担の検討」というのがあります。そこには、駐留人数、米兵の減少、家賃の未払い、戦争やテロなどを挙げておりまして、住宅を管理する民間事業者にはとれないリスクがあるということで、結局のところ、「日米両政府の間での分担が重要」というふうに書かれております。

 そういう場合を想定して、さらに分担があるということなのか、これについてどのような検討、協議を行っているのか、御報告ください。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘になりました家族住宅の事業でございますけれども、基本的には、太平洋上の小さな離島でありますグアムにおいて、労働力、資機材、社会インフラなどの不足に加えまして、台風や地震といった自然災害などの発生もございます。

 そういうわけで、事業コストが比較的大きくなるという可能性が指摘されていることは事実でございますけれども、一方、居住するのは米軍人でありますし、かつ長期間にわたりまして安定的な家賃収入が入ってくるであろう。それに対して米軍は、住宅手当というような形で支給されるわけでございますので、そういうことで、全体として適切な資金回収が見込まれるような事業設計というものは可能だというふうに考えておりますので、全般的にリスクが高い事業だというふうな認識は持っておりません。

 ただ、いずれにいたしましても、日米間でこれを具体的にどういったスキームにするのかというのは、いろいろな要素を考えなければいけないということでございまして、その中で、合理的に想定されるリスクというのは当然洗い出して、しっかりとした事業の考え方、それから官民のリスク分担のあり方、そして、何より大事なのは、リスク緩和のためにどのような措置がとり得るかということでございまして、こういった点を総合的に検討しているところでございまして、もうしばらく時間をいただきたいと思います。

笠井委員 安定的に家賃収入があるという話がありました。それ一つとっても、これ、五十年かけて払ってもらって、全部返してもらうという話が前提ですよね。利子をつけないという話もありますが、今どきそんな話があるのかと、今派遣切りに遭っている皆さんは本当に頭にきていますけれども。家族住宅には、出資、融資等で、五十年かけて無利子で返ってくるという話がついてきているわけですけれども、では、五十年先に世界がどうなっているか、それからアメリカの軍事戦略はどうなっているか。大体、そこに住むような海兵隊が、アメリカの五十年先の、あるいはその過程での政府の判断によって海兵隊が存在しているのか、あるいはグアム撤退という話になっているかもしれない。そうしますと、それだってわからないわけですよ。それを、五十年先まで安定的に家賃収入がありますなんという話をして、それを前提にして出していく、リスクは低い、しかし検討する、こんなことじゃ済まないと思うんですよ。

 つまり、二十八億は真水です、それ以外は貸したり出したりしますけれども返ってきますと言っているけれども、それだって、そんなのは、五十年先はわからないじゃないかという話になるわけですよ。これ、重大だと思いませんか。大臣、いかがですか、こういう問題。大臣にちょっと伺います。

中曽根国務大臣 確かに、五十年先まで予測するというのは難しいとは思います。

笠井委員 結局、負担軽減のためとか移転のためという名目さえつければ、限度額まで目いっぱい負担し得る、それから米軍の運用にかかわるものまで負担し得る、その上リスクまで背負う。そのリスクまでしょう部分は、この別添のところ、ほとんどもう墨ですよ。どんなリスクがあるかの検討だって、全然わからないですよ、国会で。こんなのを出して、この協定を通したらどうなっちゃうんですか。後で幾ら余計にかかるかわからない、二十八億ドルで済まないじゃないかということになるわけであります。まさにそんなことまでやって協定を締結、批准するということになると、私は、締結と批准というのが際限のない負担拡大の入り口になる、断じて認められないと思います。

 これだけの大問題でありますので、さらに徹底審議が必要だということを求めて、質問を終わります。

河野委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 私は、本日議題の協定及び米軍再編について、この間ずっと議論してまいりましたので、質問をしたいと思います。

 大臣、まずこれを見ていただきたいと思うんです。これは、協定が結ばれた日の沖縄の新聞です。こんなに大きく報道されています。本土といいますか、沖縄以外ではとても小さな記事だったんですが、「普天間移設 県内固定」。そして、そのときの中面は、これは翌日ですけれども、「頭越し 新たな縛り」、これは委員の皆さんにも見ていただきたいんです。そして、「「暴挙」怒り噴出」、これは協定についての沖縄の新聞報道の題字です。そして、こちらは「県民の意向「封殺」」。そしてさらに、「「強行的」と地元」。

 私は、沖縄の皆さんに基地の七五%の負担を強いて、そしてさらにこれから新しい基地も建設するということに対して、非常な不信と怒りをお持ちであると思います。私たちは、沖縄の皆さん、地元の意向をしっかり踏まえた上でこの協定について議論すべきだと思うんですね。東京で新聞だけ見ていますと、あのときクリントン国務長官はどこかの神社に行ったとか、そんなことはたくさん新聞に出て、写真なんかも出ておりましたけれども、沖縄は全然違うんです。

 大臣、まず、大臣は日ごろから、地元の皆様の意向をしっかりとお聞きしてということをおっしゃってまいっております。では、地元の皆様の意向というのは、だれの意見をどうやって聞くことをおっしゃっているんでしょうか。まずそこをお答えください。

中曽根国務大臣 今、委員もお話しされましたように、この移転事業あるいは再編事業を実行するには、何よりも地元の皆さんの御理解が大切なことは言うまでもございません。私も、過日、沖縄を訪問いたしまして、委員も御承知かと思いますけれども、各、普天間飛行場や嘉手納飛行場や、あるいは代替地を視察してまいりまして、また、知事さんや市町村長さん等とも懇談をし、御意見を聞いてまいりました。

 沖縄の皆さんが大変な御負担をしているということをまた私は実感をしてきたところでございますが、知事さんに対しましても、私の方から、現状と、また、この協定が必要であるというような趣旨のお話も申し上げましたし、その後、政府からも、現地の皆さんに対しまして、このグアム移転を実施するには協定が必要である旨のお話はさせていただいておるところでございまして、全く地元に対する説明がないということには当たらない、そういうふうに思っております。

辻元委員 つい先日、県会で、県議会の決議が出ました。そして、これは県会の方から意見書も出ました。その内容は御存じだと思いますけれども、今回の協定のパッケージ論の一つである辺野古地区での新しい基地の建設については、県議会としては反対決議を出しております。これも地元の皆さんの、県議会ですから、国会の場合は国会決議というのを行いますけれども、反対決議も地元の皆さんの非常に重要な声であるという認識はお持ちですか、大臣。

中曽根国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、地元の皆さんの声は大変大事でありますし、そういうものに耳を傾けていく、私どももそういう姿勢で今日までやってきたつもりでございます。何よりも、先ほどから申し上げておりますように、沖縄の皆さんが大変な負担をしておられるという、これを少しでも軽くするということと、それから抑止力は維持をしていく、そういうような大きな目的を実現するために、その一つとしてこの海兵隊の移転というものがあるわけでございます。

 私は、先ほど知事さんへの御説明を申し上げたと申し上げましたけれども、この協定が署名をされました際に、仲井眞沖縄知事さんの……(辻元委員「県議会の反対決議についてどう思うかということです。それはもう結構です」と呼ぶ)はい。まず、知事さんは、沖縄県民の基地負担の軽減につながる、そういう在沖海兵隊のグアム移転を確実に実施するために締結されたものであるとの認識であるとのコメントを出されたと承知をいたしております。

 県議会の皆さんの、それは要望書ですか、意見書ですか。(辻元委員「決議」と呼ぶ)決議ですか。私も拝見いたしましたけれども、私どもとしては、そういうロードマップにのっとって、負担軽減を実現する、そういうような大きな目的のためにこれをぜひ進めさせていただきたいということで行っていることでございます。

辻元委員 私は、県議会の決議というのをもっと重く受けとめていただかなければ困ると思います。

 先日、おととい、私と委員長とそして笠井委員と三人で沖縄に参りました。これは理事の皆さんに呼びかけまして、審議が始まる前に、委員長は私的でしたけれども、現地の皆さんの声を聞こうということで各党に呼びかけがあって、行ったのがこの三人ということでちょっと変わった団になってしまったわけですけれども、非常に有意義でした。

 それで、特にきょう焦点になっておりますのは、辺野古地区という非常に美しいサンゴ礁の海、ジュゴンの出るこの海を守りたいという沖縄の皆さんの声があることは皆さん御承知のとおりなんですね。これがパッケージになっていますから、そこは焦点になっております。

 委員長も行かれまして、海もごらんになりました。そうしたら、地元の反対している皆さんが本当に涙を流さんばかりに喜ばれたわけですね。何とおっしゃったか。自民党の方は初めて来ましたとおっしゃったんですよ。

 私は、このパッケージを進めるに当たって、大臣にお願いしたいです。一度海を見に行かれたらいいんです。

 今、軍事的側面、経済的側面、経済的というのは、どんどん軍事に支出していいような時代ではないわけです。アメリカでも、同じような論点で、これからこの協定の予算執行については通るかどうかわからないと私は思っています。それは後で質問いたしますけれども。

 もう一つ、環境的側面なんですよ。大臣、一度船に乗って海に出て、見ていただきたいと思います。どうして反対をしているのか。私は、どうして地元の皆さんが反対をしているのかということに、しっかりとその声を聞いて耳を傾ける、その上で判断されるのが大臣の責務だと思うんです。あしたでも一緒に行っていただければ、私は御案内しますよ。大臣、いかがですか、一回行ってみられたらどうですか。

中曽根国務大臣 過日沖縄を訪問いたしました際に、私は、代替予定地を見てまいりました。大変きれいな海でございました。

辻元委員 今、その海の使用をめぐって裁判が行われているということも大臣御承知だと思います。知事さんともお目にかかりまして、知事の御要望については大臣も御承知のとおりです。

 つい先日もこの議論をいたしましたときに、現状の政府の案が一番であって、現状では政府の案を変えるつもりはない、大臣はそういう姿勢でいらっしゃいますが、今もそのとおりですか。ですから、政府案でいくということですか。

中曽根国務大臣 ロードマップに基づきますこの普天間飛行場の代替の現在の政府案というものは、もう委員何回もお聞きかもしれませんけれども、生活や、それから自然環境、そして実行可能性などの観点から最も適切なものである、そういうふうな形であるということで決定したものでございまして、合理的な理由なくして変更することは困難でございます。

 環境評価の手続を行っておりますけれども、今後、これを進めていくに当たりまして、再三申し上げておりますように、地元と誠意を持って協議をしながら、ロードマップに基づいて、普天間飛行場の移設それから返還を着実に進めていきたいと思っております。

辻元委員 そうしましたら、もう一度確認させていただきたい。これが出発点ですので。

 地元の声に耳を傾けるとおっしゃいました。私は、一人一人沖縄の県民の方にお聞きしてほしいと言っているわけではないわけです。県議会では反対決議がある。そして、知事は、今の案では納得できない、移動をしてほしいと言っている。この二つの意見が行政と議会の意見なんですね。

 そうしますと、この二つの意見について、今後検討する余地があるとお考えなのか、それとも、政府としては、日米で協議を積み重ねてきた今の案でいってほしいと説得をしようとしているのか、どちらでしょうか。

中曽根国務大臣 沖縄の県民の皆さんというのは、県議会の皆さんもいらっしゃいますし、行政の知事さんたちもいらっしゃいますし、また、私がお会いした市町村長さんないし市町村議会の皆さんもおられるわけで、また幅広い御意見があるのではないかとも思っております。

 私、先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、これを検討した時点で、この政府案というものは、やはり、生活や自然環境、そして実行可能性、そういうようなものを検討した結果、これが一番最適だ、そういうふうに判断をしたものでございます。

辻元委員 では、もう一回確認します。ここが出発点。政府の姿勢としましては、今の政府案で何とかお願いしたい、説得をしたいということですね。

中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、地元とは誠意を持って協議をして、そして、ロードマップに基づいて、普天間飛行場の移転また返還を着実に進めていく考えでございます。

辻元委員 それは、協議と言わずに、政府案ありきで、これを何とかやってくださいという、説得と言うんです。ですから、こういう新聞記事になるんですよ、強圧的とか頭越しと。その姿勢が批判されているということを御認識いただきたいと思います。環境アセスが出たその後の御答弁も、政府案がベストで、これでいきたいという御答弁です。地元の意見をどう聞くのかということですよ。

 この問題を踏まえた上で、ちょっと次に移りたい。

 地元の皆さんが気にされている点の二つ目は、今ちょっと辺野古の基地のことを申し上げましたけれども、八千人帰る帰ると言って、地元の負担を減らすとおっしゃるけれども、八千人というのは一体どこからどう帰るんですかということがよく見えない。

 それで、午前中の議論にもありました。確認をいたします。

 八千人というのは、今、一万八千人が海兵隊の定員なので、この海兵隊の定員から八千人引いて、定員を一万人にするという理解ですか。それとも、今、一万二千人、一万三千人、海兵隊が減っております。この一万二千人とか三千人とか、その時点の実数から八千人減らすということですか。どちらですか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 ロードマップに至る協議におきまして、沖縄に駐留する海兵隊の定員については、約一万八千名であるという説明を米国から得ているわけでございます。そして、今般のグアム移転が実現した後の在沖縄海兵隊の定員は、そこから八千を引くということでございますので、定員が約一万人になるということでございます。

 それでは、その時々の実際に駐留する実数はどうなるかということでございますが、これについては、部隊運用状況に応じ変動するということでございます。

辻元委員 今の御答弁は、もう一回確認します。これはいろいろな委員が聞いています。定員を変更するということですね。

 そうすると、これは久間防衛大臣がこういうふうにお答えになっている答弁があるんですね。「今、沖縄の海兵隊、いろいろな変動はありますけれども、大体一万二千人、」「そういう実態はあろうかと思います。」という御答弁で、本日の午前中、他の委員から示された実数もそういうことです。

 そうしますと、定員を八千人減らして一万人にするというのが日米の合意ということであるならば、仮に一万二千人いたとしたら、定員まで二千人減らすと。減るのは二千人ということもあり得るという理解ですね。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 この一万八千の定員の中から八千の定員をグアムに持っていくということでございます。

 それでは、具体的に、その八千を、どこの部隊から、どういう構成、ユニットを持っていくのかということについては、現在もその詳細についてアメリカで詰めておるわけでございます。

 したがって、定員の八千を動かす、今、例えば一万二千いるうちの二千の部分が、その八千を動かす部分に全部相当しているのか、あるいはそれ以外のところが相当しているのかということによって違いが出てくる、こういうことでございます。

辻元委員 そんなこと聞いていないんですね。これは、一万八千人という定員を変更するという話なんですね。上限ですよ。だから、沖縄には一万人までしかいてくれたら困りますよという。

 要するに、もう一回聞きますよ。今一万二千人。久間さんが一万二千人とおっしゃっています。ですから、この実数から八千人引くのではなくて、定員を一万人に、マックス一万人、上限にしますよという取り決めですね、今の御答弁ですと。

 ちょっともう一回、ここはすごく大事なところなんですよ。八千人負担軽減と言うけれども、本当に、どのようにカウントしてどうされるのかがさっぱりわからない。

 ですから、今の御答弁ですと、一万八千人の定員を八千人引いて一万人にします。ということは、この協定での取り決めというのは、沖縄にいることができる海兵隊の人数の上限を一万人としますという理解でよろしいですか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 安保条約及び地位協定によりまして、在日米軍は、その目的達成のためにいろいろな部隊が日本に駐留しているわけでございます。その駐留の数について何らかの形で上限を設けるというような仕組みにはなっておりません。したがって、仮に定員が一万人ということになったとしても、それより一人でも来てはいけないということにはならないわけでございます。

 ただ、現実のプレゼンスとして、一万八千人の定員ということを想定としていろいろな部隊が現に駐留している、そのうちの八千人の定員の部分を動かすということでございます。ただ、今、この定員が全部充足されているわけではございませんので、どの部隊、どのユニットがグアムに移るかということによりまして、一万二千のうちどのぐらいが減るのかという数字が確定をしてくる、こういうことでございます。

辻元委員 というのは、協定というのはメカニズムを決めるわけです。ですから、八千人、どういうメカニズムを決めているかと聞いているわけです。ですから、どこにどう配置されているとか、そんなことは関係ありません。

 この協定によれば、八千人という数字がずっと出ておりますので、定員を一万八千というのを想定して一万人に下げたんだなと聞いているわけです。それは、定員というのは一万人までなら沖縄は許容しますよという意味ですよね。違うんですか。ですから、この八千人という根拠、または、もう一度伺いますよ。

 では、久間さんがおっしゃるように、実数が一万二千人だったと。一万二千人から八千人減るという話なのか。先ほどから言っている、一万八千から八千引いて定員を一万人にするということですから、定員に二千人だけ減らすということも成り立つのか。

 もっと極端な話を申し上げますと、もっと減る場合もあるわけですよ。一万人を定員とするといったって、九千人に海兵隊の実数が減る場合もありますね、増減があるわけですから。そうしたら、この八千人が沖縄から帰るよということを実行される時点での実数が一万を切る場合もあるわけです。そうすると、八千人減らすと言ったけれども、八千人も減らせない場合も想定されるわけですよ。ですから、どういうメカニズムになっているのかと申し上げているわけです。実数が八千人を下回る場合だって想定できないわけがないわけですね。

 ですから、どういうことを基準にしているのかとお聞きしているわけです。

 定員だったらわかるんですよ。今一万八千で、上限を一万にするという約束なんですとおっしゃるんならわかるわけです。そうしたら、七千人しかいなくても、では、その時点で、これが実行されるときに七千人だったら一人も帰らずにいていいんだなとなりますよね。となると、一人も帰らないけれども、沖縄の負担の軽減だということで協定をその前に結んでいるということにもなるわけです。

 ですから、沖縄の皆さんは、一体この八千人というのは何を基準にしてどこから、わからないと。これは県議会でも、議長さん、副議長さん、それから基地対策特別委員長もそうおっしゃいました。ですから、ここではっきりとそこを示していただかないと、この協定の議論は前に進みませんよ。何が基準なんですか。定員だったらわかるんですよ、一万人までにするというのなら。いかがですか。

梅本政府参考人 若干重複になるかもしれませんが、お答えさせていただきます。

 今、通常ベースで考えたときに、沖縄に駐留しております海兵隊が約一万八千の定員である、こういうことがまず第一でございます。ただ、現実には、これは世界各地でいろいろな兵力が必要とされているということで、一時的に沖縄の定員が充足されていない状況になっている。何千かは充足をされないで、そういうような部隊が、例えばイラクとかアフガニスタンで、計算上でございますが、行っているということになっているわけでございます。

 この一万八千の定員を一万にするということは、一万八千の定員というのは、それぞれの部隊、ユニット、これこれこういう部隊がここにあって、このユニットが何人、ここの部隊があって、このユニットが何人、合計、定員一万八千となっているわけでございます。そのうちの八千をグアムに持っていくというのがこのロードマップのグアム移転でございます。

 では、今、それぞれの部隊、ユニットが、どこが充足されているのかということを詰めてまいりませんと、八千を動かすといったときに、定員を八千動かしたときに、充足されているものはそのまま物理的な人間としてグアムに参りますけれども、たまたま充足されておりませんと、そこはいわば海兵隊の定員の根っこが沖縄からグアムに移っていくということで、具体的な人員がその時点で沖縄からグアムに移るということにはならないということでございまして、そういう全部の積み上げをこれから詰めてまいりませんと、最終的に移転するときに、移転する時点で物理的に何人が動くかということは出てこないということでございます。

辻元委員 今、実行するその時点で何人が動くかは今出てこないとおっしゃったじゃないですか。それは何ですか、この八千人というのは、負担の軽減というのは。

 もう一回聞きますよ。今、その時点の数がわからないから、何人帰るかはわからないという答弁をされたんですよ。今までずっと、八千人の負担の軽減をするからお金を出しなさいということを協定にいたしましたので承認してくださいとあなたたちはおっしゃっているわけでしょう。でも、その時点で何人いるかわからへんから何人帰るかわかりませんよと、そんな話が通ると思いますか。どうですか。

梅本政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、安保条約、地位協定に基づきまして、その目的達成のために在日米軍は日本に駐留しているわけでございます。これについて、その定員を何人とする、その上限は幾らだというようなことを日米で全体として取り決めているわけではないわけでございますが、ただ、沖縄については、このロードマップで何をしようかということを考えたときに、沖縄の海兵隊の規模というのは、定員が一万八千人の規模が今あるので、それを一万人の規模に縮小しようということでございます。

 では、定員がその時々どのぐらい充足されているのかというのは、その時々の運用状況によって違いが出てくる。ただ、根っこを移すということでございますから、これはいろいろな運用状況が変わり、定員が充足されるようになってくれば、まさにその八千人というものが現実に動いていくという実態に近いものになるというふうに考えております。

辻元委員 では、今、一万八千という定員というのは、聞いてくださいよ、アメリカの公式な定員としてアメリカ側が発表しているものですか、一万八千というのは。その理解でいいんですか。今、それから八千引くとおっしゃったわけですね。

 そうすると、先ほどから申し上げているように、一万二千人の場合だったら、八千人帰って四千人残るだけじゃなくて、その時々の情勢もあるので、一万八千から八千を引いたら一万人の定員になるので、そのときの充足率などで一万二千人しかいない場合は二千人しか帰らないということも、このメカニズムだったら成り立つということですね。

梅本政府参考人 理論的には、そういうこともあり得るということでございます。

辻元委員 理論的なことを聞いたんです。協定というのはメカニズムを決めるわけですよ。

 そうすると、八千人の負担の軽減という言い方をおやめになったらいかがですか。定員を一万八千から一万に変えますということなんじゃないですか。八千人の負担の軽減と、二千人しか帰らないとかというのは、全然違うじゃないですか。間違っていると思いませんか、御自身たちが主張していること。

梅本政府参考人 軍隊が駐留しております際に、いろいろな運用の状況、部隊運用状況の時々によって変動するわけでございます。したがって、そういう変動するものを物差しにして事業を決めるというよりは、その根っこになっております定員というものに着目をして、その定員というものがやはりそこに駐留しております部隊の基礎になっているわけでございますので、その一万八千という定員を一万に縮小するというのがこのロードマップの考え方でございます。

辻元委員 ですから、私がさっき申し上げているとおりじゃないですか。定員を一万人にするということは、これが決まったとしても、一万二千人しかいなかったら二千人しか帰らないということもあるし、一万人に充足しない、七千人ぐらいしかいなかったら一人も帰らないということが、本協定のメカニズムだと成り立つという理解でよろしいですね。

梅本政府参考人 ただいま御説明したのは、まさにロードマップの一万八千人から八千人を動かすということについての御説明でございます。

 現に、例えば一万二千、一万三千といったところからどのぐらいが、そのうちの充足されているものがどれか、充足されていないものがどれかによって現実に人が動いていくのが変わっていくわけでございますが、この協定はあくまでも、一万八千人の駐留部隊のうち八千人の定員を動かす、それに伴うインフラをグアムで整備しなきゃいけない、そして、そのために資金を日米が出していく、その仕組みについて決めているという協定でございます。

辻元委員 だから、定員を変える、今のアメリカ側が言う定員が一万八千だから、その定員を一万に変更する、その協定でその八千を変更するので、実数八千がグアムに行くかどうかわからないが、その八千人分のグアムでの海兵隊に関する支出を日本に負担してほしいということですね。実数はわからない、そういうことですね。

梅本政府参考人 もちろん、現在、先ほども申し上げましたように、イラクにおいて相当の数の米軍がおるわけであります。また、アフガニスタンにおいても相当投入をされている。そういう意味で、いわゆる通常の状態とはちょっと変わっておるわけでございますので、いずれ、こういうものは、また相当期間がかかるかもしれませんけれども、通常の状態に戻っていく。それと伴いまして、沖縄における部隊も定員が充足されていくだろうという一つの考え方があるわけでございます。

 したがって、そういうことからいえば、一万八千の定員のうち八千をグアムに移すということは非常に大きな意味があるものだというふうに考えているわけでございます。

辻元委員 特に海兵隊の場合はローテーション部隊もあって、八千人帰ってもらうという主張がもとから無理があるわけですよ。充足率とか、そのときの国際情勢によって人数は変動するわけです。それを、あたかも八千人沖縄から帰る。

 それからもう一つ、沖縄の負担の軽減という言葉は、これから一切使わない方がいいと思います。八千人の沖縄の負担の軽減で、沖縄の皆さんの悲願だったなんて言えないですよ、今の答弁を聞いていますと。そのときになってみないと人数は何人帰るかわからぬ、けれども、今定員が一万八千で、とりあえず一万にするから、その部分の金を出せ、そして沖縄の皆さんには負担の軽減なんだと言っている、それが今のこの協定の内容の実態ですよ。人数なんか、これ、特に海兵隊の場合は何人減らせますということは言いませんよ。

 もう一回聞きましょうか。例えば八千人帰ったとしますね、ちょうど八千人、そのときに。その後、一人たりとも来ないんですか。負担の軽減というのは、沖縄の皆さんの悲願にこたえて八千人を減らすんですと大げさにおっしゃるのならば、八千人仮にどんと帰ったとしましょう。その後、百人、二百人、千人、絶対来ないと約束しているんですか。できないでしょう、そんなこと。

梅本政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、在日米軍という、安保条約、地位協定に基づきまして、米軍は目的達成のために日本に部隊を置いているわけでございます。その部隊を置いているときに、ここに現実に駐留をして生活をしているそういう部隊として一万八千という根っこがあるわけでございまして、そのうちの八千がグアムに移っていくということでございます。

 それでは、しからば、その八千の人たちが、そのうちの一人も絶対来ないかというと、それは可能性として全く排除はできないと思います。というのは、例えば今現実に沖縄にいる部隊であっても、訓練であるとかいろいろな運用によりまして沖縄から出て、また帰ってくることもあるわけでございます。それと同じように、例えばグアムに根拠地を持つような海兵隊の一部が沖縄に一時的に来る、そしてまた帰るということは、そこまで排除するということはないというふうに思います。

辻元委員 全部不確定じゃないですか。

 私は先ほどから沖縄の負担の軽減という言葉を使わないでいただきたいと申し上げているのはそこなんですよ。負担の軽減になるかどうなるかなんてわからないわけです。

 今の協定の中身の実態というのは、定員ベースで一万八千を一万に変える、しかし充足率は非常に低くなっている、今後もわからない、もっと沖縄はふえるかもしれぬし、海兵隊の数が。しかし、とりあえずそういう取り決めをしたから、八千人定員を減らした分のグアムの費用の負担を日本が負うということをただ決めているだけなんです。

 ですから、大臣、今の議論をお聞きになっていて、私は、今後の審議で沖縄の負担の軽減というような言葉を使わないというようにしていただきたい。沖縄の皆さんから見たら何だと思いますよ、こんなことで。

 それと、大臣、今のも御答弁いただきたいんですが、もう一つ。

 七五%の基地が沖縄にあるわけです。それで今回、米軍再編絡みで、例えば嘉手納以南の基地も返還するということを実行したって七〇%ぐらいに減るぐらいなんですよ。これ、負担の軽減と沖縄の皆さんにおっしゃるのならば、七五%を五〇%にしましょうとか半分にしましょうというときに初めて少しはその言葉を使えるかもしれない。七五%を七〇%ぐらいにして、八千人帰る、八千人帰る、負担の軽減だといって、中身を精査したら、わかりません、その後ふえるかもしれません、二千人かもしれないし、一人かもしれないじゃないですか、この協定の中身だと。何も担保されていないですよ。

 それで、大臣、特にこの八千人帰る、これは沖縄の負担の軽減で、皆さんの声にこたえるんだというようなことはおこがましいです、私、こんなことを言うのは。ですから、負担の軽減という言葉を使わずに淡々と審議されたらいかがですか、大臣。

中曽根国務大臣 委員がおっしゃいますように、余り負担の軽減、負担の軽減とそればかり言うのもいかがかとは私も思いますけれども、ただ、現実問題としては、例えば普天間飛行場、これが代替地にかわるということになれば、そこの地域の皆さんにとっても、例えば騒音の問題にしても、いろいろな事件にしても、これは減ってくることは間違いないと思いますし、嘉手納以南の施設とかそういうものが返還されるということであれば、またそれは地域の皆さんにプラスになることもあると思います。

 あるいは、今七五%が七〇%では、これは大したことないとおっしゃいましたけれども、これは五%でも私は大変なことだ。それは五〇%に比べれば減少率は少ないかもしれませんけれけども、七五%よりはいいのは間違いないわけでありまして、地道なそういうような積み重ねで、トータルとして沖縄の皆さんのそういう御負担を軽くできるだろうということでやっているということでございます。

辻元委員 やはり認識が違うと思います。だから頭越し、強圧的、こういう言葉が出てくるんですよ。

 そんな負担の軽減なんという言葉は言わずに、淡々と基地返還交渉をするんだったらする、海兵隊の移動をさせるんだったらさせるということを政府はやればいいんです。そして、今普天間の基地が移転されることになったら負担の軽減になるとおっしゃいましたね。これはなりますか。どうなるんですか。

 普天間の基地というのはヘリです。普天間の基地には港も併設しておりません。新しい辺野古につくろうとした、滑走路二本ですよ、そしてそこに軍港もつくろうとしているわけです。それに、普天間にしても、嘉手納にしても、返還前、言ってみれば、戦争が終わって、アメリカ占領時にアメリカに接収されてつくられたわけです。戦後初めて米軍基地を沖縄につくるわけですよ。ですから、戦争があって、その後のいろいろな歴史的な経緯があって、土地が接収されて基地をつくらされて、そこで苦しんでいるのと違うわけです。新しい基地をつくるわけです。

 もう一回聞きます。そこで、普天間の基地が辺野古地区に変更になったら、代替としてかわったら、どんな負担の軽減があるんですか。今そうおっしゃったわけですから、大臣、いかがですか。

中曽根国務大臣 普天間の地域の住民の皆さん方の負担は私は間違いなく減ると思います。先ほど申し上げましたような騒音とか、いろいろ日ごろから御迷惑を受けているわけでありますね。そういう意味ではそこが減る。

 辺野古への移転というものは、これはまだ実施したわけではありませんけれども、今考えられる中では、そういう意味では最適な場所である、環境面とかいろいろ考えて。そういうことで判断したということで、それはあの地域にとりましては、それは何もないよりは、何かできるということになれば、それは御負担というものもそれはあろうかと思いますけれども、トータルとして沖縄の皆さんの御負担の軽減になる、そういうふうに思っております。

辻元委員 そうしたら、辺野古の近所に住んでいる人はどうなるんですか。

 それと、やはり時代おくれなんですよ。この前も申し上げました。土砂だけで物すごい埋め立ての土砂が要るわけですね。私はこの前その点も指摘をしまして、十トントラックにしましたら土砂がどれだけ要るか、五百二十万台分の土砂をどこかから切り崩して、そして埋め立てようという話なんですよね。環境への負荷。

 それから、辺野古地区やあの近所に住んでいる人たちにとっては物すごく良好な海で暮らしている人たちなわけです。仕事も奪われるんですよ。それを、普天間の方々の負担の軽減になるから、いや、辺野古だったらいいんだというのは、そういう論理が、大臣、成り立ちますか。いかがでしょう。

中曽根国務大臣 辺野古ならいいんだなんて、そういう私は乱暴な言い方はした覚えはございません。

 ただ、トータルとして、沖縄の地域の皆さん、特に普天間の地域の皆さんには、これは間違いなく軽減になるだろうということ。辺野古の方は新しい施設をつくるわけですから、それは従来よりはそういう意味では御迷惑もかかるかもしれないと思いますけれども、移転先という意味では、あらゆる角度から検討した上で、こちらが実行可能性、あるいは自然環境、生活面等々考えて最適であると判断したものでありまして、そういう意味で総合的に、普天間だけじゃなくて、先ほどから申し上げておりますように、嘉手納の問題とか、あるいは海兵隊が大勢どっと移動することによって、従来あったような負担といいますか、それは何とはここで申し上げられませんけれども、そういうものも減少するだろうということで、トータルでやはりお考えいただきたいと思います。

辻元委員 今大臣は辺野古の皆さんにも御迷惑がかかろうと思いますがとおっしゃいました。どんな迷惑がかかると思いますか、具体的に。

中曽根国務大臣 ここで細かいことをちょっと私自身も思いつきませんけれども、少なくとも工事が始まれば、工事の出入りの車等も入りますし、あるいは、そういう意味では、何といいますか、今まで生活しているのに比べれば、騒音とかそういうような、車の往来がふえたり、あるいは、ちょっと一々挙げるのも何かと思いますが、従来に比べれば、そういう意味では御迷惑がかかるんじゃないか、そういうふうに思っています。

辻元委員 私は、引き続きこれから議論していきたい点は多々あるわけですけれども、今の御認識は甘過ぎると思います。どこの国の外務大臣でいらっしゃるのかと思います。

 最初、申し上げました。どういうように具体的に迷惑がかかるかはすぐにはわかりませんがとおっしゃった。騒音とかトラックの往来、これはそうでしょうね。ですから、私は、辺野古の皆さんの声を聞きに行かれたらどうですかと申し上げているんですよ。御迷惑をおかけすると思うならば、その地区に足をお運びになって、それは別に対立するとかなんとかじゃないんです。そして、皆さんどうですかと。海で働いている人はどうですか。そこには子供も皆いるわけですよ。ですから、大臣、行かれて、辺野古の公民館で御意見をお聞きになる、そして海に働いている人たちにいかがでしょうかと聞きに行くのが私は立派な外務大臣だと思うんですが、いかがですか。ですから、最初に申し上げたんです。それをなさらないから、こんな新聞記事にばんばかばんばか出ますよ、これからも。いかがでしょうか。地元へ行かれてお聞きになったらどうですか。

中曽根国務大臣 辺野古地区への移転というものは、長年の議論があって、県民の皆さん、政府あるいは行政、いろいろな中で議論された結果、そちらになったということでございます。

 確かに、住民の皆さんのお立場からすれば、委員がおっしゃるような、そういうようないろいろな御苦労もあると思います。それを私たちは全くないと申し上げたり無視するつもりは全くありません。ですから、私は御迷惑という言い方をしております。御迷惑じゃ表現が小さいとおっしゃるかもしれませんけれども、気持ちは確かに持っております。

 そういう中で、トータルとして、ロードマップに基づいて再編を行うということが沖縄の皆さんの、こう言うとおこがましいんですが、ためになる、そういうふうに思って、これを実現したいと思っているところです。

辻元委員 終わりますが、ためになると大臣が思っていらっしゃっても、これが反応なんですよ、暴挙と。ですから、この溝を埋めずして協定ありきでは日本の将来が危ぶまれるから、私は申し上げているわけです。日米関係にとっても非常に大きな悲劇が生まれるかもしれないと思いますよ。

 ですから、私はまた質問もさせていただきますけれども、この協定自身も矛盾だらけですし、もとの一万が一万八千という、この八千人が一体どこに、幽霊じゃないけれども、いるかもわからないというような状況も明らかになりましたので、これは引き続き質問させていただきますけれども、次回の委員会までに、大臣、一緒に辺野古に行っていただけるかどうか、よく熟慮していただいて、次回は一問目にそれを聞きますので、しっかりした御答弁を期待して、きょうは終わります。

河野委員長 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 本日議題となっております在沖海兵隊のグアムの移転に係る協定につきまして質問をさせていただきます。

 この協定につきましては、日米安保体制に基づく米軍の抑止力を維持するということと、また、沖縄県民の負担軽減に資するということであれば、大いに歓迎をし、賛成するところでございます。

 しかしながら、本日の質疑内容を聞いておりますと、沖縄県民の負担軽減になるのかならないのか、ちょっと政府の答弁では弱いところがあるというふうに思いました。私どもとしても、賛成する以上、沖縄県民の負担とは何だと考え、これをどのように軽減されていくのかというところを政府としてしっかりと御答弁をしていただかなければいけないと思いますので、まず一問目でございますけれども、大臣の認識をお伺いさせていただきたいと思います。

 沖縄の負担というのは一体どのようなものだと考えて取り組んでいらっしゃるのか、この点、お答え願いますか。

中曽根国務大臣 まず、我が国を取り巻くアジア太平洋地域、この地域というのは、冷戦は終わりましたけれども、北朝鮮の例もございますけれども、依然として不安定で不確実な状況が存在しているわけでございます。

 こういう安全保障環境の中で、我が国の平和、それから地域の平和と安全を確保するためには、何といいましても、日米安保体制のもとで、この緊急事態に迅速に、また機動的に対応できる、そういう海兵隊、そして空軍、また海軍が主体である在日米軍が展開できる態勢が平時から確保されているということが非常に不可欠であると考えております。

 このように、我が国の平和と安全を確保するに当たって大変重要な役割を果たしています米軍の前方展開を確保する上で、沖縄には在日米軍の専用施設それから区域の約七四%ですか、これが集中しておりまして、そういう意味で、先ほどからの議論にありますように、沖縄の県民の皆さんには多大な御負担をおかけしているというのが現実でございます。

 このことにつきましては、私、先ほどからも御答弁させていただいておりますけれども、一月三十一日から二月一日まで沖縄を訪問いたしまして、仲井眞知事さんやまた関係市町村の方々と懇談、そして視察もさせていただきました。そういうような訪問を通じまして、沖縄県民の皆さんの負担というものを私も実感してきたところでございます。

 それとともに、沖縄全体の負担を大きく軽減するには、やはり在沖縄海兵隊のグアム移転や、それから先ほどからお話にあります普天間飛行場の移転、返還、さらには嘉手納飛行場以南の施設や区域の土地の返還などの、そういう米軍再編をぜひとも実現しなければならないとの思いを強くしたところでございます。

 今般、この国会にお諮りをいたしておりますこの協定は、抑止力を維持しながら沖縄県を含む地元の負担の軽減を図る、米軍再編の一環でありますこの在沖縄海兵隊のグアム移転の実施に必要なものでございます。この協定に従いまして、もう委員十分御承知のとおり、在沖縄海兵隊の要員約八千人及びその家族約九千人のグアムへの移転が実施されることになるわけでございます。

 このような移転は、沖縄県民の方々の願いであります嘉手納飛行場以南の施設そして区域の統合や土地の返還の実現、すなわち、こういうことによりまして沖縄の負担軽減に直接つながるものである、そういうふうに思っております。

 政府といたしましては、こうした移転を早期に実現するために必要な費用を国民の皆さん全体で御負担していただくということが適当と考えておりまして、この協定に調印をし、今回御審議をお願いしているところでございます。

丸谷委員 沖縄の負担ということを余り軽々に使うことはいかがなものかといったような議論も先ほどあったわけでございますけれども、この協定自体を承認することによって確かに沖縄の負担を軽減していくんだというところを大前提に考えていかなければ、私はこの協定には賛成することはできないというふうに考えるところでございます。

 実際には、沖縄、戦後六十四年たって七五%の基地を有しているという中にあって、経済的な開発を目指しても米軍基地の存在によってままならない現状、あるいは生活面では、米軍の軍事活動に伴う危険ですとか騒音あるいは環境破壊もございます。同時に、米軍人による事件や事故が後を絶たない。そういった経済面での負担、人々の心理面での負担、実質的に生活に及ぼす負担というものもあるということを踏まえて、これをどのように一つ一つ丁寧に軽減をしていくかといったような政府の視点がこの協定にも必要であると思いますし、またそういった視点に立って日々行政をやっていっていただけるものというふうに信じているところでございます。

 そういった視点から、次の質問というのが出てきて当然なんだと思います。

 午前中の質疑でも、また先ほどの質疑でもございましたけれども、じゃ、この協定を承認することによってどれぐらいの実数としての海兵隊員あるいは軍属、家族が減っていくのかというところを、やはり現場の人としては、定数ではなく実質として知りたいというところがどうしてもあると思います。

 というのは、定員として八千人あるいは家族九千人ですといっても、それは定員ですけれども、実質ではわかりませんということになりますと、じゃ、どのぐらい我が地域からいなくなられるのかということを肌身で感じないと負担の軽減というところには心理面でもつながっていかないと私も思いますので、改めまして、実質で海兵隊員、軍属、家族の人数というのを答えていただけないものか、この点についてお伺いいたします。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来申し上げておりますように、運用状況によりまして時々刻々変わっているということで、実数をベースにその規模というものを、どういうふうに縮小するのかという議論がなかなか難しいということで、定員で一万八千を一万にする、そういう規模の縮小をするんだということがこのロードマップでございます。

 しからば、じゃ、それは現実にどういう具体的な数、実数としてなっていくのかということに地元の方々が大変御関心がある、これもよくわかるところでございます。

 ただ、これはまさに、この八千の定員を、どこの部隊、どこのユニットの定員を動かすのかということを、最終的にはこれを全部積み上げていくという作業を、今、主として米側の方で鋭意行っているわけでございますが、これによって最終的に確定するわけでございます。そうすると、今現実に、この八千の動いていく定員のうちどのぐらいが充足されているかということがわかりますので、そうすると、実際に人間としてそのときに動くのは何人かということが出てこようかと思います。

 ただ、いずれにしても、仮に定員が充足されていないものがあっても、それは根っこが沖縄からグアムに移りますので、将来、定員が充足されるような事態になっても、それは沖縄には来ない、それはグアムに行くんだということでございます。

丸谷委員 そうしますと、今の答弁から理解しなければいけないところというのは、沖縄の海兵隊員というのは、定員、マックスで一万を上回りませんよというところであるということで理解をしておくということでしょうか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 午前中の質疑でも、最新の実数を、私どもの把握しているものを提出するようにということでございますので、これはできるだけ早く提出をさせていただきます。

 そこである程度、実数というものをお出しするわけでございますが、その実数から、定員、どこの部分がこの実数になっているのかということは、やはり現実に部隊の編成のところを見てまいりませんとわからないということで、相当の数が動くということは申し上げられるかと思いますが、じゃ、具体的に何人かということになりますと、いましばらく作業をする必要がある、こういうことでございます。

丸谷委員 そうしましたら、グアムに建設をします家族住宅等については、海兵隊員八千、また家族合わせて九千分を建築するということでしょうか。

梅本政府参考人 基本的にはそういう考え方で施設の整備を行っていくということでございますが、もちろん、各年度のそれぞれのプロジェクトを精査していくということでございます。

丸谷委員 その建設に当たっても、我が国の税金が使われるということもあり、我が国の予算の中でやっていかなければならないところもあり、やはり透明性のある説明というのを求められるところであろうと思います。

 そうしましたら、次の質問に移りますけれども、ロードマップの中には、本件のグアム移転と普天間飛行場の代替施設建設、また嘉手納飛行場以南の土地の返還の三つというのが相互に結びついているという、いわゆるパッケージとしての記述がございます。それは本協定でも確認されているところでございますが、在沖海兵隊のグアム移転に係る本協定とまた普天間飛行場代替施設建設問題との関係性について、この点を説明していただきます。

中曽根国務大臣 在沖縄の海兵隊のグアムへの移転に係るこの協定は、あくまでもグアム移転事業の実施のあり方について規定をしたものでございます。普天間飛行場の代替施設の建設につきましては、これはロードマップに記載されておりますように、グアム移転の前提となっている沖縄に関する再編案が相互に関連していることを改めて確認しておくとの趣旨で盛り込まれたものでございます。この点につきましては、仲井眞知事さんも、本協定はあくまでも日米両政府のロードマップの内容を再確認したものとの認識を示されていると承知をしております。

 普天間飛行場の移設、返還は、先ほどから申し上げておりますけれども、沖縄県民の負担を軽減させるためにも、ぜひとも実現しなければならないと私どもは思っておりまして、今後とも、地元の皆さんの声にまた耳を傾けつつ、ロードマップに従いまして、普天間飛行場の移設、返還、それから在沖縄海兵隊のグアムへの移転、そして嘉手納飛行場以南の施設・区域の土地の返還などを含む米軍再編を着実に進めてまいりたいと思っております。

丸谷委員 この質問をいたしましたのは、本協定を承認し、また発効することによりまして、既存の日米合意の代替施設案が国際約束として固定されるというものではなく、決着を得るまでは、やはり環境アセスメントの結果を適正に評価していただくということと、地元の声を大切に受けとめていただきまして、誠意のある決着を図っていただけることにつながるものということで確認をさせていただいた次第でございます。

 続きまして、費用の積算根拠についてお伺いをいたします。

 ロードマップ等で示されております施設整備に係る総費用見積もり、百二・七億ドル、我が国はそのうちの六十・九億ドルを上限として負担をし、その内訳は、財政支出としては上限の二十八億ドルと、出資、融資等として三十二・九億ドルということでございます。

 これにつきましては、当委員会またいろいろな委員会で、積算根拠を示すようにというような質問もございまして、政府の答弁の仕方としましては、これらの数字はロードマップ交渉時の概算であり、見積もりであるので、いずれきちっと積算をして国民や国会にお示しをするといった御答弁になっておりました。既に、二十八億ドルの一部でございますけれども、三百四十六億八百万円というのが在沖海兵隊グアム移転事業費支出金として今年度の予算に計上されておりまして、国会で承認をされており、このグアム移転協定が本委員会で審査に至る今、積算根拠というのを示してしかるべきときなのではないかと思います。透明性のある御答弁を願いたいと思います。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 今も委員がお話しになりましたように、二十八億ドルの上限ということにつきましては、ロードマップに至る段階でいろいろ交渉をした結果として、当時のいろいろな見通し等に基づいて、最終的にはハイレベルで合意をしたというものでございます。

 他方、実際の予算計上に当たりましては、その所要経費について我が国政府自身が精査をする、そして予算に計上をして、国会で御議論いただき、御承認をいただくということで、二十一年度予算においては約三百四十六億円を計上しているということでございます。

 このグアム移転事業に伴います日本側負担の具体的な額というのは、これから個々の事業というものが煮詰まってまいります、そしてどんどん進展をしていく、そして、それに応じまして各年度ごとに具体的負担額というものを、予算計上のための作業といたしまして、厳しい財政事情を踏まえて精査をして、そして、それを予算として計上をし、その都度国会にお諮りをし、御審議をいただく。そういう形で、透明性のある形でこの事業を実施していきたいというふうに考えております。

丸谷委員 では、確認をさせていただきますけれども、予算を計上する際に、各年ごとにその積算というのを国会に提出していただけるということでよろしいでしょうか。

梅本政府参考人 まさに、個々の事業について、それぞれの予算を計上いたしますので、その予算がなぜそういうふうになったのかということについて、積算根拠等については御説明をさせていただく。これは、主として、実施される防衛省の方からということになろうかと思いますが、説明をさせていただくということでございます。

丸谷委員 では、予算をつけたものに対して、それが適正に使われているのかといった監督というものも責任として私どもは負う次第でございますけれども、基地施設ですとか家族住宅等の建設というのはすべて米国政府が監督、施工するということになっております。

 その資金、出資、融資等が適正に使用されることを我が国として監視をしていく必要がありまして、本協定の第七条の五項の中には、「アメリカ合衆国政府は、日本国政府に対し、毎月、合衆国財務省勘定における取引に関する報告書を提出する。」というふうに規定がございますけれども、これをもって我が国がこのお金の使われ方を制度的にチェックできるスキームになっているというふうに言えるのかどうか。このスキームというのは必要なものと考えますけれども、これはいかがでしょうか。

梅本政府参考人 この協定は、グアム移転のための事業の実施に必要な日米双方がとる措置を法的に定めるとともに、我が国が提供する資金についての米国政府による適正な使用管理等を確保することを内容としているわけでございます。

 日本側提供資金の適正な使用管理を確保する具体的な方法として、ただいま委員が御指摘になりましたように、日本側提供資金に係る勘定の設置、維持、勘定に係る毎月の報告書提出、それから、我が国が提出した資金の取り扱いについての、未使用残高が生じる場合の当該未使用残高の返還等が定められているわけでございます。

 政府といたしましては、本協定の締結によりまして、我が国が提供する資金の適正な使用管理を確保するということとともに、本協定の対象になりませんいわゆる民活事業への出融資の詳細についても、適正な使用管理の確保を含め、今後、米側と緊密に協議をしながら、まさに適正に本件事業が行われることを確実にしながら、よく協議をして進めていきたいというふうに考えております。

丸谷委員 今御答弁いただきましたけれども、この協定に基づいて、緊密によく協議をしながらやっていくということでございました。

 その協議をするレベルというのはどのレベルで、どのような形でお考えになっているのか。今考えられているところまでで結構でございますけれども、その枠組み自体はどのように理解をすればいいのか、お伺いします。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでも、主として外務省、防衛省から成りますチームと、アメリカ側は国防省、場合によってはそれ以外の国務省等も入っておりますが、そういう事務当局同士で、これは課長レベルのこともございますし、審議官レベルのこともございますし、あるいは、さらに上でやることもございます。あらゆるレベルでいろいろな協議を行っていくということになろうかと思います。

 今後、実施をするに当たりましても、相当技術的な詳細にわたると思いますので、双方のかなりの専門家が入った上で、緊密に、かつ恒常的に協議をしながら進めていくということになろうかと思います。

丸谷委員 そうしましたら、特にそれを監視するための特別なスキームを設けるというわけではなく、恒常的にありとあらゆるレベルでチェックを繰り返していくという御答弁だったというふうに思います。

 例えば、そういった中で、実際に防衛省の調達事業で癒着、談合等があり、それを今排除していくような形で防衛省でも改革をしているところでございますけれども、グアムといったような非常に遠い地域で、私どもの目の届かないところでそういった業者間の談合や癒着が行われないような、そういった取り組みも同時に求められるところでございますけれども、そういった取り組みについては、どのように対処していこうと考えているのか、この点、お伺いいたします。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 こういった事業の実施に当たりましては、何より公平性、透明性ということが求められると思いますし、防衛省も、これまでの反省に立ちまして、いろいろな改革を実施しているところでございます。

 今回の事業は、アメリカが主体の事業というところもございますけれども、日本政府も適切に関与しながら、そういった先生の御趣旨に沿うような運営を心がけていきたいと思っております。

 それから、住宅の関連事業につきましては、既にいろいろ当委員会でも御指摘もございますし、私どもとしては、新しい制度にはなりますけれども、これまでの経験も踏まえながら、そういう透明性のある、また公平なシステムというものをぜひ追求していきたいというふうに考えております。

丸谷委員 これからその枠組みづくりに励んでいただけるということになるかと思いますけれども、もう既にこういった予算が計上され、動き出している案件でございますので、やはり早目早目にやっていくことが納税者への説明義務を果たすということにもひいてはつながると思いますので、早目早目の対処をしていただきたいと思います。

 続きまして、ホスト・ネーション・サポートへの影響についてお伺いをさせていただきたいわけでございます。

 我が国は、在日米軍に対しまして、駐留経費として、いわゆる思いやり予算というものを含めまして二千億円強の負担をしております。平成二十年度予算では二千八十三億円ということになってございますけれども、在沖海兵隊のグアム移転というものが完了し、また、嘉手納飛行場以南の土地が返還されたということになれば、単純に考えて、このホスト・ネーション・サポートというのが減額されることにつながるのかどうか。

 以前、防衛庁長官ですとか、あるいは財務省の幹部からは、見込みとして相当の軽減になるといったような答弁もありましたけれども、現時点で、防衛省としまして、どの程度の駐留軍経費の削減というのを見込んでいるのか、この点についてお伺いいたします。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 グアム移転とホスト・ネーション・サポートの関係でございますけれども、ホスト・ネーション・サポート全体の最近の状況を見ますと、提供施設整備の関係につきましては、最高の時点では一千億円近くあったわけでございますけれども、最近は非常に少なくなってございまして、三百億円程度というようなところまで来ているかと思います。ですから、ホスト・ネーション・サポート全体としては、今、若干低減傾向にあるというのが実情でございます。

 そういうことを前提といたしまして、今回、在沖海兵隊のグアム移転が完了して、嘉手納飛行場以南の土地の返還がなされた場合にどういったことが起きるかということでございますけれども、私どもとしては、嘉手納飛行場以南の土地というのが非常に有効に活用されて、地元の役に立っていくというのが一番重要なことではないかというふうに思っております。

 それで、実際の土地の借料につきましても、いろいろな原状回復等を行った上で有効活用がされるような状況になれば、借料というものは要らなくなるわけでございます。借料というのは毎年発生するものでございますので、十年、二十年というような累積で見れば、その部分については相当必要がなくなるということではございますけれども、今後、いろいろ、グアムの移転にあわせまして、嘉手納飛行場以南の土地の返還等の進捗も十分に進めまして、そういった効率的な経費負担というものを不断に検討していくことが重要ではないかというふうに考えております。

丸谷委員 こういった米軍再編の中で沖縄の負担を軽減していくという中、また、米側も政権がかわったという中において、日米両国に係ってくる問題について、改めて検討し直す案件も数多くあると思います。このホスト・ネーション・サポートについても同様かと思いましての質問でございますので、我が国として、どう考え、これからどうしていこうという、無駄遣いの徹底的な廃止という面だけではないところでの発信というものも必要になってくるのではないかというふうに思います。

 最後に、時間がなくなりましたので質問をさせていただきますけれども、実際に基地が返還されるということによりまして、沖縄の米軍基地で働いている多くの労働者が職を失い得るという副作用も同時に発生するわけでございます。この方たちが転職する、あるいは再就職する、新たな雇用の道に進むことを支援するのも政府の大きな役割であると存じております。

 この点につきまして、防衛省及び厚生労働省で取り組みを進めているものと思いますけれども、現在、そして将来において、どのような対策で臨んでいこうと考えていらっしゃるのか、この点について最後にお伺いさせていただきます。

井上政府参考人 米軍再編に伴います駐留軍等労働者の方々の雇用の問題でございますけれども、十八年の五月三十日に「在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取組について」という閣議決定がございますけれども、そこには、「駐留軍従業員の雇用の安定確保等について、引き続き、全力で取り組むものとする。」というふうに明記をいたしております。

 また、十九年に米軍再編措置法という法律が成立をいたしておりますけれども、その二十五条におきまして、「その雇用の継続に資するよう、」「技能教育訓練その他の適切な措置を講ずるものとする。」というふうに規定をされているところでございますので、こうした閣議決定そして法律に基づきまして、駐留軍労働者の方々の雇用の安定の確保に全力を期してまいりたいというふうに考えております。

 また、それでもなお、やむを得ず離職を余儀なくされる場合には、駐留軍関係離職者等臨時措置法という法律がございますけれども、その規定に基づきまして、関係省と連携を図りつつ、各種援護措置を実施することとしているところでございます。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍基地の縮小等に伴いまして離職を余儀なくされた方に対する対策でございますけれども、これは一般の場合と同様、雇用保険法に基づく失業給付等々の措置が適用されることとなるわけでございますが、さらに加えまして、今もお話がございました駐留軍関係離職者等臨時措置法、あるいは雇用対策法等に基づきまして、特別の措置を講ずることとしておるところでございます。

 具体的には、ハローワークにおきまして、一定の要件に該当すると認定された離職者に対しまして、就職指導をきめ細かく計画的に実施をする。そして、この就職指導を受けている間あるいは職業訓練を受けている間につきましては、就職促進手当あるいは訓練手当等を支給することによりまして、生活の安定を図りつつ再就職の促進をする。

 また、四十五歳以上六十五歳未満のこの認定をされた離職者の方を、ハローワークの紹介によりまして継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対しましては、賃金の一部を助成する制度もございます。

 こういった特別の措置を講じまして、離職者の円滑な再就職の支援に取り組むこととしているところでございます。

丸谷委員 以上で質問を終わらせていただきますけれども、この協定を審議するに当たりまして重要だと私が思いますことは、在沖海兵隊のグアム移転後の沖縄の将来性というところと、また、税金の使われ方による透明性というところを大事に政府には答弁をしていただけるようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

河野委員長 次に、安次富修君。

安次富委員 質問の機会を与えていただきました河野委員長初め理事の皆様、先生方に感謝を申し上げ、光栄に存じているところでございます。

 そして、この沖縄の問題に対しまして、与野党各先生方が、賛成、反対、大いに結構でございます、議論を深めて、沖縄への思いを議論にして、そして、さまざまな角度から御意見、御提言、質問等をなさっておられますことに対しまして、沖縄県民の一人として、外務委員会の各先生方に感謝を申し上げます。大変ありがとうございます。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 在日米軍再編は、二〇〇六年に日米両政府がまとめた再編実施のための日米のロードマップに盛り込まれております。その中での在沖海兵隊のグアム移転、つまり、米海兵隊八千人、その家族九千人、合わせて一万七千人をグアムに移すということであります。

 先月、米国のクリントン国務長官が来日して、グアム移転協定にサインをし、オバマ新政権も引き続きこの在日米軍再編に取り組む姿勢を明確にいたしました。私は、ようやくここまでたどり着いたかという思いであります。

 私は、宜野湾市の普天間で生まれて、普天間で育ち、普天間幼稚園、普天間小学校、普天間中学校、普天間高校を卒業して、現在も普天間基地のすぐそばに住んでおります。毎日、この五十年余り、普天間基地のヘリコプターの音を聞きながら、今日、その普天間から日本を変えるということで衆議院議員にならせていただきました。

 ですから、このグアム移転事業、宜野湾市民の一人としては、一日でも早く移転してもらいたい、そして返還してもらいたいという思いであります。たとえひとりよがりでもいい、わがままだと言われているとしてもいい、エゴだと言われているとしてもいい、世界一危険だと言われている普天間飛行場を、私は、市会議員のときも県会議員のときも、ずうっとひたすら一貫して、この危険な、市街地のど真ん中にある普天間飛行場を、一センチでもいい、十センチでもいいから危険から遠ざけてくれということをずうっと訴えてまいりました。ようやくこれが実ろうとしている。ですから、私は、これは宜野湾市民の一人として、ひとりよがりじゃないかと言われてもいい。

 幸いにして、名護市長や名護市議会が受け入れの表明をしていただいて、名護で受け入れるということですから、私ども宜野湾市民は、名護や北部の皆さんには足を向けて寝られない、本当にありがとうございますと。どうか、今の危険な状況から少しでも救ってもらえるのであれば、名護の皆さんには大変申しわけないんだけれども、辺野古のキャンプ・シュワブで受け入れていただきたいという強い思いを持っているわけであります。

 さらに、戦後六十四年間、基地の即時撤去、即時返還、即時閉鎖というのを言い続けてきたのは我々沖縄県民の側であります。ですから、今、このグアム移転協定が決まって、沖縄の琉球新報、沖縄タイムスを初めとする各マスコミが、地元無視であるとか地元の頭越しであるとかという文章が第一面トップにいろいろと躍りました。でも、基地返還と訴えてきたのは我々ですから、私たちは、どんと沖縄県民は受け入れて、前に進まなければならないという覚悟を決めなければいけないんじゃないかなというふうに思っております。

 基地の従業員の中にも大変な思いをしている人がいます。そして、一番権利を持っているのは基地の地権者、軍用地主の皆さんもそうであります。複雑な思いがあります。六十四年間、このいびつな沖縄経済の中で、閉塞的な沖縄経済の中で、基地収入、そして軍用地料をいただきながら、不本意ではあるけれども、自分の土地が基地に接収されているから、軍用地代を取って今日まで生活をしてきました。

 でも、私は、この方々にも話をしております。かつての我々の先祖の土地はその基地の中にあるんですよ、琉球の文化、琉球の血、涙、すべてこの基地の中にあるんです、もう私たちの代で返還をさせて、私たちの子供や私たちの孫の代には先祖の土地に帰ろうじゃないか、そして、豊かな琉球のあの文化を復元させ、跡地開発をすることによって新しい沖縄をつくり出していこう、新しい沖縄を歩み出していこう、どうでしょうか皆さんということを、本当に複雑な思いがある中で、地主の皆さんにも、基地従業員、基地の労働者の皆さんにも、基地関連で収入を賄っている皆さんにも言っているわけであります。ここで立ちどまってはいけない、前に進むべきだと。どんなに苦しくても、我々沖縄県民はずっと、ニライカナイということで、外から来た者に対して受け入れながら今日まで過ごさせていただきました。

 そして、このグアム移転事業、普天間移設がなし得なければ、私は、あと五十年、百年、恐らく沖縄の基地は返ってこないんじゃないかという危機感を募らせております。

 二〇一四年といえば、もうすぐ目の前です。反対反対を唱えるより、やるべきことがいっぱいあるんですよ。地主の問題をどう解決していくか、基地従業員の再雇用をどうしていくかとか、跡地開発をどうしていくかとか、文化財をどう発掘していくかとか、それから、環境が汚染されておりますから、PCBを初めとするこの環境汚染をどう解決していくかとか、やるべきことが、目の前に差しかかっていることがいっぱいあるんです。

 ですから、私は、どうかこの外務委員会の皆さんも、賛否両論はいろいろ結構ではございますが、前に一歩踏み出していく、そして、世界一危険な普天間飛行場を十センチでも一メートルでも百メートルでも揺り動かしていくという政府のかたい覚悟がないと私はできないんじゃないかと思いますけれども、中曽根外務大臣のその決意と覚悟を聞かせてください。

中曽根国務大臣 普天間で生まれて、普天間で育って、普天間で生活されていると。大変長年委員を初め地域の皆さんには本当に御負担をおかけしているわけでございまして、ただいま委員の本当に心からの叫びと申しますか強い思いを拝聴いたしまして、一日も早くこの返還、移転というものを実現させなければならない、そして、少しでもそういう御負担を軽くしなければならないと今強くまた認識した次第でございます。

 この移転に関しましては、長い間の本当に地元の皆さんのお気持ちを受けて政府や関係のいろいろな人たちが積み上げてきた結果、今回のロードマップをもとにしたこの再編ということになったわけで、きょうはその中のグアム移転、海兵隊の移転を御審議いただいているわけでありますけれども、私たちは、先ほどからの審議で申し上げておりますように、何とか早くこれを実現して、沖縄のそういうような御負担から少しでも解放し、そしてさらに、先ほどの丸谷委員の御質問にもありましたけれども、沖縄がより活発に発展するように、この返還、基地問題だけじゃなくて、将来に向かって沖縄が発展するような、そういういろいろな施策をやっていかなければならないな、そういうふうに思っているところでございまして、またぜひ御指導いただきたい、そういうふうに思うところでございます。

安次富委員 先ほどから議論をしておられますけれども、私は、軽々しく沖縄の負担の軽減という言葉さえも使ってもらいたくないんです。それほどこの六十年間、安保を認める、そして自由民主党の私でさえも、その基地のそばに住んでいて、本当にうるさいんです。もう米軍のヘリコプターを撃ち落としたいぐらいですよ。夜の十時以降も飛んでおります。協定は守られていないですよ。夜の十時半も十一時も飛んでいるんです。

 しかし、この日米の安全保障がアジア全体の平和と安定に欠かせないということで、そういう思いを持ってきましたし、また、必ず基地は返還されるだろう、沖縄県民の思いは必ずいつか届くだろう、また、そのために行動を起こさなければならないという気持ちでやってきたわけであります。

 そしてさらに、米軍は、自分たちの都合のいいところは返還してきたんです。細切れ返還といって、傾斜面とかがけでありますとか、今の米軍基地の中には、米軍でさえも必要としていないところは返還をしてきたわけです。しかし、それは跡地開発もできません。そういうところを返還されてもどうしようもないわけです。そうしながら、努力している努力しているということで、数字のつじつま合わせ、数字のマジックをしてきたのが今日の現状なんです。

 ですから、私は、このパッケージ論が言われておりますけれども、むしろ普天間を返還させるためにはパッケージでなければならないと思っているんですよ。普天間が担保されなければならないと思っているんです。今のように個々にやると普天間だけが取り残されるおそれがあるものですから、私は普天間ありきの人間ですから、普天間を移設する、普天間を返還させるためには、これは大胆に嘉手納以南はパッケージで返還させていく、そして、必ず普天間の返還もその中に入っているということでないと、私は、この米軍再編も成功しないし、普天間の移設も成功しない、そしてグアム移転も成功しない、嘉手納以南の返還も成功しないと思っておりますけれども、この私の、普天間が担保されるためのパッケージに対して、どういうお考えをお持ちか、聞かせてください。

中曽根国務大臣 これは、委員が一番よく御承知のとおり、このロードマップにおきましては、今お話しされました普天間飛行場の代替地への移転といいますか、返還と代替飛行場の建設、それから嘉手納以南の返還、そして海兵隊のグアムへの移転、この三つから成るのがこのロードマップでございまして、そういう意味で、その三事業ともが並行して行われて、そして三事業ともこれが完全に実施されなければならない、そういうふうに思っているところでございます。

 ぜひまた御指導いただきまして、また御審議をいただきまして、これの一日も早い御審議が終了いたしますように、またよろしくお願いしたいと思います。

安次富委員 橋本・クリントン会談によって普天間返還が合意されて、そしてそのときは大田県政でございました。その橋本・大田蜜月時代というのがございまして、十四回もの総理官邸で大田知事と橋本総理との直接対話による沖縄振興協議会、普天間協議会等が開催されたわけであります。当時の大田県政も、普天間の移設は過渡的措置であると認識しているということを、当時の吉元政策調整監、後の吉元副知事になっていくわけでありますけれども、大田県知事の最も寵愛された部下の一人でありますが、そういう認識を持っていたわけです。

 それはなぜかといいますと、そのときは二〇一五年までに沖縄の基地をすべてゼロにしますという基地返還アクションプログラムというものを作成しておりましたので、二〇一五年までには沖縄の基地がすべてなくなるという前提のもとに、普天間から本島東海岸、そのときはまだキャンプ・シュワブとは言っておりません、本島東海岸辺野古沖であれば、これはどうせ二〇一五年には沖縄の基地は全部なくすんだから、それは移す過程においてはやむを得ない措置と認識しているということでありました。

 そして、比嘉鉄也元市長がみずからの首をかけて、安全保障に対してはそれは国民の一人として協力しなければいけないということで市長を辞任し、次に名護の岸本市長が当選して、今の島袋市長も、受け入れの、もちろん条件つきですよ、沖合への修正それから振興策、いろいろな点での条件がついております。辺野古、久志、豊原の産業育成に対する特別な振興策もまた防衛省の方に要求をされているところでございます。

 ぜひそこのところすべてを勘案して、そして、今までのそういう歴代の首長さんやそういう皆さんの思いが凝縮している、これが今回御破算になるようだったら、私は、日米両政府は何をやっていたかということでありますので、日、米、沖縄が対等な形でこの解決に向けて、沖縄をなおざりにすることではなくして、日本とアメリカと沖縄が、本当に三者が腹を割って話し合えると。二十分には大臣が出られるそうでありますので、そのことについて、沖縄への、沖縄県知事への思い、そして、日、米、沖縄、この三者一体となるという決意を聞かせていただきたいと思います。

中曽根国務大臣 長い長い歴史のありますこの返還の問題でありますけれども、先ほど委員がおっしゃいましたように、二〇一四年という一つの目標の期限を区切って今この再編が行われつつあるところであります。日本政府そして米国、また沖縄県民の皆さん一体となって、どうしたら沖縄の県民の皆さんのためになるか、そして同時にこの安全保障というものを維持できるかということを十分に考えながら、今の委員のいろいろな御意見というものも参考にさせていただきながら、一生懸命取り組んでいきたいと思っております。

安次富委員 どうもありがとうございます。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それでは、大臣、どうぞ退出なさって結構でございます。

 先ごろ、キャンプ・シュワブの移設に関して準備書が提出される。そして、その事業計画案の中に六案が案として出されて、三案は非常に難しいが、三案は何とか、沖縄との話し合いの余地を残すといいますか、話し合いの検討にも入れるんじゃないかと。

 きのうの河村官房長官の会見でも、地元の意見をしっかり受けとめながら方向づけをしていきたい、現計画の修正も視野に入れた協議を進める考えを示したということでありますけれども、今後、この六案、そして三案に対して、どう沖縄側と対応していくのかということについて聞かせていただきたいと思います。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 普天間代替施設の建設事業につきましてのアセスメントでございますけれども、今委員のお話しのとおり、四月一日に準備書を沖縄県等に送付させていただきまして、そして、四月二日から縦覧に供しているというところでございます。今後、住民の方々の御意見等をいただき、また知事の御意見等もいただいて、評価書を作成していくという作業になるところでございます。

 そして、今回の準備書でございますけれども、実は五千ページ以上に上る極めて膨大な量であるわけでございますけれども、その中の一つといたしまして、場所、位置につきまして、現在のロードマップで示されましたいわゆる政府案があるわけでございますけれども、それを移動した場合の環境への影響を把握するために、この政府案とは別に移動した場合の六ケースにつきまして、主要な項目の予測、評価を行ったところでございます。

 先ほどお話のあったとおり、この六ケースのうち三ケースにつきましては、消失する海域の面積でありますとか、流速変化域面積でございますとか、海草類藻場等の消失面積等につきまして、環境に及ぼす影響が総体的に極めて大きいというふうに考えております。また、その他の三ケースにつきましては、環境面から、いずれも検討項目ごとの環境の変化の程度及び優劣にばらつきが生じる結果となっているわけでございます。

 防衛省といたしましては、こうした結果、さらには施工性等の実行可能性を含めまして、総合的に勘案をし、現在の政府案により準備書を作成し、先ほど申し上げましたとおり、沖縄県等に送付をさせていただいたところでございます。

 いずれにいたしましても、この準備書を現在縦覧に供しております。また、沖縄県、関係市町村にも見ていただいておりまして、今後、御意見をいただくこととなろうというふうに思っております。

 こうした中身につきましても、地元側に丁寧に御説明をさせていただきまして、それに対する地元側の意見を真摯に受けとめまして、また、政府と自治体との間には、協議会そしてワーキングチームもございますので、その場も通じまして、緊密に協議をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

安次富委員 公告縦覧とか、知事の意見の聴取でありますとか、地元、名護市、宜野座村の意見の聴取でありますとか、これからいろいろ出てくるわけでありますけれども、本当に真摯に耳を傾けて、沖縄の歴史をつくっているんだ、日本の安全保障を超えた、本当にそういう意味では大変な仕事をしているんだという認識に立って、一つ一つ丁寧にやっていただきたいと思っております。

 何も沖縄側は、仲井眞県知事を初め、無理なことを言っているということはないと思います。皆さん、胸に手を当てて考えていただければ、十分、話し合いをし、そして解決できる道があると私は思っておりますので、名護市、宜野座村、そして最も直近であります辺野古区民、豊原区民、久志区民、そしてその三区以北の方々にも十分理解をしていただいて、先ほど辻元先生が、外務大臣も地元に入ったらどうですかということを言っておりましたけれども、それには私も賛成です。どうか、とって食われるわけじゃないわけですから、外務大臣も行って、防衛大臣も行って、本当にひざとひざを突き合わせて、謙虚に耳を傾ける、そうしながら理解を求めるということは、大臣を筆頭にして職員以下全員が、私はそれは必要だと思っております。

 こういうことをずっと重ねていきながら、少しでもその道を開いていくということが大事だと思いますけれども、防衛省の決断と覚悟を聞かせていただきたいと思います。

武田大臣政務官 普天間でずっと育ってこられた先生の地元の方の切実な思いを代弁する姿にまずは敬意を表したいと思いますし、また、地方を代弁する代議士としての姿勢に心から経緯を表したいと思っております。

 四月一日に県の方に送りました準備書等々についてですけれども、それを受けての知事の御意見というものをしっかり勘案して、我々も正面から受けとめて、誠意を尽くしていきたい。そして、何と申しましても、地域住民の方々の意見にも、誠心誠意、正面から取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 何と申しましても、先生が先ほどいみじくもおっしゃいました、一四年までの決められた極めて短い時間しか残っていない中で、やはり我々と、そしてまた県との間、皆さんとの間では、詰めなければならない問題というものは数多く存在してまいります。措置に関する協議会、政府と地元自治体との協議会等、八回も行われておりますし、危険除去、環境影響評価そしてまた建設計画にかかわるワーキングチーム、これは三回、四回行われておる。実務者レベルではかなり綿密に打ち合わされておるように思っておりますけれども、今回の準備書というものを送らせていただいた後に知事の御意見がどう出るのか、そこのところはしっかりと我々は受けとめて、誠意を尽くしてまいりたい、このように考えております。

安次富委員 ぜひ、誠心誠意という言葉が本当に文字どおり知事に伝わり、県民に伝わるような形で協議を続けていただきたいと思います。

 次に、嘉手納以南の返還に係る跡地開発と基地従業員の雇用についてであります。

 これも先ほど質問が出ておりましたけれども、負担の軽減どころか、嘉手納以南がダイナミックに返還されてくるということは、一時的には大変な経済損失が生まれ、経済空白が生まれることは間違いありません。でも、私が言っているのは、それを乗り越えて沖縄県民は新しい一歩を踏み出そうという覚悟をしていかなければならないという気持ちでありますので、損失とかそういうことのないように、皆さんは最大限のバックアップをしていただきたい。

 これは防衛省であるとか、これは外務省であるとか、いやこれは内閣府であるとかということではなくして、政府が本当に一丸となって、六十四年間、県民の土地を米軍に提供していたという国家的な責任を償うつもりで、返還したらもうあとは知りませんよということではなくして、跡地開発、そして基地の従業員の再雇用、先ほどハローワークがどうのこうの言っていましたけれども、ハローワークどころじゃなくなると思いますよ。

 ですから、特別立法やいろいろな法律の制定も必要になってくると思っておりますので、すべてを挙げて、政府を挙げて、この支援、そしてその準備に取りかかっていただきたいと思っておりますけれども、それについて、どなたか答弁をお願いいたします。

原田政府参考人 お答えいたします。

 嘉手納以南の大規模な跡地の返還そしてその跡地利用は、沖縄の振興にとりまして大変重要な課題であるというふうに認識をいたしております。二〇一四年以降を展望いたしまして、現在、県においても、中南部都市圏の広域的な観点からのビジョン、そして、個別の市町村におきましては、土地利用計画の策定や、あるいは大変重要な課題であります地権者の合意形成に向けた取り組みを進めております。

 こうした取り組みに対しまして内閣としても支援をしておるところでございますが、先ほど先生御指摘のとおり、大規模な跡地の返還ということに伴いますさまざまな影響、課題が予想されるところでございますので、そうしたことを踏まえまして、跡地利用が円滑に進むための方策について、現在検討を県あるいは関係する市町村ともども進めているところでございます。

 今後とも、関係省庁、そして県、関係市町村ともども連携を密にして、的確に取り組みを進めてまいりたいと考えております。

井上政府参考人 米軍再編によりまして影響を受ける駐留軍等労働者の雇用の問題でございますけれども、先ほどもお答えさせていただきましたけれども、十八年五月の閣議決定がございまして、その中では、駐留軍等従業員の雇用の安定確保等について、引き続き全力で取り組むものとするというふうに明記がされているところでございます。

 また、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法、米軍再編措置法と呼んでおりますけれども、この法律によりまして、労働者の方々の雇用の継続に資するよう、技能教育訓練その他の適切な措置を講ずるというふうに法律にも明記をしているところでございますので、こうした法律そして閣議決定に基づきまして、労働者の皆様方の雇用の安定確保について万全を期してまいりたいと考えております。

安次富委員 ぜひいろいろなアイデアを出していただきたいなと思っております。例えば、今、普天間は移設されるわけですから、では、普天間飛行場で働いている基地従業員はどうなるのかということを例にとった場合、基地が名護に、キャンプ・シュワブに移るんだったら、従業員も社宅をつくって、従業員のための家族住宅をつくって、もしそこに移ってそのまま従業員として働きたいということはどうですかとか、そのようないろいろなオプションといいますか、いろいろなアイデアは出せると思うんですよ。また、これは可能だと思うんですね。

 ですから、そのようなアイデアを出して、できる限り失業をさせない、失業になったら再雇用、そして雇用はできる限り継続をさせていくというような、いわゆる基地の再配置をするのであれば従業員も再配置をして、できるだけその中に組み込んでいくというようなことであれば、基地従業員もそれなりのまた準備ができると思っておりますので、そういうようないろいろなアイデアを出していただきますようお願いを申し上げます。

 次に、グアム移転の家族住宅等々、SPEに関して聞かせていただきたいんです。

 スペシャル・パーパス・エンティティーというんですか、特別な目的を持った集団ということで、私はしたたかな考え方だなと。先ほども、税金の無駄遣いであるとか、血税をあれすると無駄遣いであるとかということはありましたけれども、これは戻ってくる資金でありますので、JBIC、国際協力銀行、今は政策金融公庫というんですか、それを通して融資をさせて、そしてまた政府の財務省に戻ってくる。しかも、これは米海兵隊の給料を差っ引くわけですから、給料から天引きして家賃を取る、それから水道代、光熱費を取っていくということでありますから、民間活用をして、むしろやり方によっては黒字も出てくる可能性もあるわけですよ。すべてが投資してそれで投げ捨てではないですということでありまして、少しの無駄もないようにやらなければいけないと思っております。

 河野委員長も無駄撲の幹部でありますから、無駄遣いのないようにそういうことはやらないといけないと思うんですけれども、そのかわり、それは五十年契約であるとか、しっかりとしたそれだけの規模を持つSPEの集団でないといけないということで、ここをしっかりさせれば、私は、一体どうなるのかというような各先生方の不安も払拭されて、今、アメリカ国内では、米国内のウェストウッドの基地とかサンディエゴでありますとかいろいろなところが、もうSPEでやっている基地があるわけです。ハワイにしてもそうです。

 ですから、アメリカにおいても、軍事費の削減といいますか、軍事費だけではもたないようになっていますので、できる限り民間活用して、SPEに委託契約をさせてやっていくということですから、そういうような例を示して理解を求めるということも大事じゃないかなというふうに私は思っておりますので、今、米国内で行われているSPEの成功例でありますとか実施例を出して、そして国民の皆さんに理解を求めていくということが必要ではないかと思いますが、その点についてお聞かせください。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘になりましたSPEの問題でございますけれども、これは、民間事業者の自主性と創意工夫を尊重することによりまして、当該事業を効率的かつ効果的に実施することができるというふうに考えておりまして、そのため、どういった枠組みをつくるのがいいのかということにつきまして、日米両国間で精力的に今協議を行っているところでございます。

 ただ、その中で私ども感じておりますのは、やはりSPEというのは日本の企業にとってはなかなかわかりにくいというようなこともございますし、また、企業の方の関心もございます。ですから、我々としては、公正公平な手続ということを前提にしつつも、できるだけ丁寧に関係企業に説明をしていきたい。そのときに、いろいろな成功例でありますとか具体例というのがわかるような形で十分な説明をしてまいりたいと思いますし、沖縄県内の企業も含めまして、日本企業に丁寧に対応していきたいというふうに考えております。

安次富委員 そして、先日、このグアム移転事業がいよいよ国会で審議されるということを受けて、沖縄の経済界、建設業やそれから海運業とか、いろいろな方面からの要請を受けておりまして、沖縄の海兵隊がグアムへ移転するのであれば、沖縄の企業等々もその事業に参画をさせていただいて、そして、少しでもまた沖縄の経済の活性化、そして沖縄県内の企業の育成等々にもつなげていただきたいという要請を受けておりますけれども、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 この事業の選定というのは、あくまで競争的な手続で事業主体が選定されるということでございますけれども、そういった手続の中で積極的に企業の参画が確保されるよう、公平公正な手続でできるよう、我々としても、適切な情報提供それから説明会の実施、そういったことに努めてまいりたいというふうに考えております。

安次富委員 これが国会を通過いたしましたら具体的にSPEも見えてくるのかな、具体化してくるのかなというふうに考えておりますので、ぜひ、その時点時点でまた情報を提供していただいて、沖縄の経済界の皆さんも参画できるようにしていただきますことを強くお願い申し上げます。

 続きまして、時間がありますので、海賊問題についてお聞きをいたします。

 ソマリア沖の海賊問題でございますが、国際社会の脅威となっております海賊問題でありますが、三月十三日に海上警備行動が発令されまして、ソマリア沖に派遣されておりました海上自衛隊の護衛艦が現地で初任務である警護活動を無事に終わらせたということだそうでございまして、本当に心から敬意を表します。我が国国民の生命財産を守るため、遠くソマリア沖での自衛隊員たちの活躍に心から敬意を表します。

 そもそも、この海上警備行動の発令はソマリア沖で海賊事件が頻発したためでありますが、現在、世界で確認されている海賊行為は年間何件くらい発生し、そのうちソマリア沖、また数年前多発していたマラッカ海峡に代表される東南アジアでの海賊行為はどのくらいであるのか。また、それ以外に世界で海賊が出没しているという海域があれば聞かせてください。

中島政府参考人 海賊の発生状況についてのお尋ねでございます。

 国際商業会議所国際海事局作成のレポートによりますれば、二〇〇八年、全世界で二百九十三件の海賊事案が発生しております。うち、東南アジアが五十四件で約二〇%、アフリカ全体で百八十九件、約六五%発生しておるところでございます。

 そのほか、全世界の中で発生している件数でいいますと、例えば中南米で数件発生しているというような状況でございます。

安次富委員 テロとの闘いでありますが、海上警備行動は日本のシーレーンを守る意味でも非常に大事だと思っておりますが、どこに出没してどこに消えていくかわからないというようなことですから、日本のシーレーン上は全体的に守っていかなければならないと思いますけれども、今のソマリア沖だけじゃなくて、例えばマラッカ海峡で出没した場合は、シーレーンの確保といいますか、シーレーンを守るために、日本の船舶を守るために一体どのような対応ができるのか、聞かせていただきたいと思います。

徳地政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回、ソマリア沖、アデン湾につきましては、海上保安庁では対応が困難あるいは不可能というようなことでもって、自衛隊法の八十二条に基づきまして、「海上における人命若しくは財産の保護」というまさに八十二条の目的を達成するために、新法が整備されるまでの応急的な措置として自衛隊を派遣したわけでございますけれども、一般的に申しまして、海賊等への対処ということは、これはまさに海上保安庁が第一義的に行うというふうにされておりますので、まさに通常であれば海上保安庁の方が第一義的に対応するということになるんだろうと考えております。

安次富委員 そうしますと、今、海上自衛隊がソマリア沖に行っておりますけれども、どこに海賊が出没するかわからない。ソマリア沖じゃなくして、今言った東南アジアやそこら辺に出没した場合には、そこで日本の船舶が危険にさらされるという場合には、今のこの出動命令といいますか、今のあれは適用しないということになるわけですか。

徳地政府参考人 今回の場合は、ソマリア沖、アデン湾の海賊というものが、我が国を含みます国際社会への脅威でありまして、まさに緊急に対応すべき課題であるということ、それから、特にソマリア沖、アデン湾の場合、年間約二千隻の我が国関係船舶が通航するということで、我が国にとりまして、欧州、中東と東アジアとを結ぶ、極めて重要な海上交通路に当たるというようなこと、それから、最近、重火器で武装した海賊による事案が多発しているということで、特にこの地域につきまして海上警備行動を発令して自衛隊を派遣するということになったわけでございます。

 それで、先生御指摘のような、では他の海域についてはどうなのかということでございます。もちろん、日本の海上交通路というものは、ソマリア沖、アデン湾だけではなくて、他のところにも及んでおりますので、そこをどうするかということは、またそれはそれで個別に考えていかなければならないことだと思っておりますが、原則としては海上保安庁が対応するという考え方であると思います。

安次富委員 その点についても、ぜひ議論を深めて、日本のシーレーン全体に安全確保、安全航行ができるような体制というものを協議し、そしていろいろなケースを示していただきたいなというふうに思っております。

 それから最後に、東ティモールについて少し聞かせてください。これも通告してございますので。

 私は、アメリカのマケイン上院議員と会談をさせていただきました。そのときは、これから大統領に立候補するという、まさにその決意をしたときでありましたけれども、いろいろな、北朝鮮の問題とか、それから私が沖縄出身ということで地位協定の問題とか、そういうこともマケイン上院議員の御意見を聞かせていただいたわけでありますが、その中でマケインさんが日本に要望といいますか注文をするということがありまして、それがいわゆる東ティモール等のことであります。

 そのときマケイン上院議員が言ったことは、アジア太平洋の小さな島嶼諸国が不安定になっていることについて、オーストラリアが一生懸命支援しているのだが、日本も一層の役割を果たしていただければありがたいと。パプアニューギニア、ソロモン、東ティモールといった国々のことであります。平和と民主主義が根づいた日本から学ぶことは大いにあると思いますということで、マケインさんが私に、そのような御意見、要望をしたわけであります。

 東南アジアの中で近年、独立を果たした東ティモールですが、我が国も、二〇〇二年五月二十日、独立と同時に国家承認し、同日、大使館を設置したわけですが、初代旭大使、清水大使、そして先日着任されました、防衛施設庁長官をなさっておられました北原大使も御苦労をなさりながらしっかりと頑張っていると聞いております。北原大使が着任されてから、日々ホームページも発信し、情報発信も大分やっているということでございます。こうやって防衛省出身の大使が東ティモールにおいても頑張っているわけでありますから、外務省、防衛省におきましても、いろいろな支援をしていただきたい。

 まだまだ政情不安でありますし、また、昨年の二月には、向こうの大統領の襲撃事件等が発生して、非常事態宣言も出されているということであります。先月、グスマン首相が訪日されて、中曽根外務大臣や麻生総理と面談し、東ティモールに対する支援を強化していくということが新聞にも載っておりました。

 日本として、東ティモールのまさしく国づくりを積極的に支援していくべきであると私は考えますけれども、この東ティモール、そしてマケインさんが言ったパプアニューギニアとかソロモンといった、そういう国々への日本の支援のあり方等々について聞かせてください。

伊藤副大臣 お答え申し上げます。

 まず、東ティモールについては、我が国は、東ティモールの安定と発展というものは、アジア大洋州地域の安定と平和のために極めて重要である、そういう認識のもとで、独立前よりも積極的に経済的あるいはまた人的支援を行ってまいったところでございます。

 政府としては、人権や民主主義といった普遍的価値の共有に基づき、国づくりに取り組む東ティモールに対し、引き続き協力と支援を行っていくという考えでございまして、御指摘のように、三月にグスマン首相訪日中に発出された首脳間の共同プレスステートメントにおいてもそのことは確認されているわけでございます。

 また、安全保障理事会の非常任理事国として、安保理における東ティモールの議論をリードしていく等、国際場裏においても同国の問題について積極的役割を果たしていきたいと考えております。

 我が国が行ってきた支援でございますけれども、経済協力の分野では、教育、インフラ、あるいは農業開発、平和の定着等で、二〇〇五年以降、二千万ドル規模の支援を実施しておりますし、また、人的貢献についても、二〇〇二年から四年にかけて、二千三百名の自衛隊施設部隊を国連ミッションに派遣しております。その他、文民警察、あるいは大統領選挙、国民議会選挙への監視団、延べ三十六名を派遣している。

 それから、先ほどの海上の航行の安全については、ちょうど私も二月に東ティモールのグテーレス治安担当国務長官にお会いいたしまして、特にグテーレス長官は、海上の安全についてのいろいろな重要性というものを主張なさっておりましたけれども、日本としても、この地域の海上の安全のために、できることを協力してまいりたいという考えでございます。

 他方、パプアニューギニア、こちらも御指摘のとおり大変重要な国でございまして、太平洋の島国の中でも、その中では最も広い国土と最大の人口を持たれているわけで、かつ、日本にとっても重要な資源である金、銅、天然ガス、こういう鉱物資源や、カツオ、マグロなどの漁業資源ということにも恵まれているわけであります。

 ことしの二月には、アバルPNG外務大臣が訪日し、投資環境の改善を含めて、経済関係の強化につき外相間で一致したというところでございます。

 政府といたしましては、ことし五月の第五回太平洋・島サミットの開催を見据え、PNGとの関係強化を図るとともに、今後の国づくりに支援、協力をしていくという考えでございます。

 時間もありますので、具体的な支援内容については割愛させていただきます。

安次富委員 いよいよあしたは北朝鮮のミサイルが発射される予定だということで、非常に緊迫しているわけであります、緊張しているわけでありますけれども、北朝鮮の非核化というのはどうしてもアジアの平和と安定のためになし遂げなければならない、そして包括的な安定というものをつくらなければいけないんです。

 北朝鮮問題に対して一つだけ、もう時間がありませんので、発射後の新たな安保理決議の可能性と見通しについて、追加経済制裁もあわせて聞かせていただきたいと思っております。

 麻生総理が行かれて、イギリスやイタリア等々も賛同をしていただいている、中国とロシアは慎重である、日本、韓国、アメリカは今歩調を合わせているということでありますけれども、これらは最後までその意思統一がなされるか重要な部分だと思っております。

 そして、特に聞きたいのは、米国が新たな安保理決議に対して賛同するのか。今は日米韓は共同歩調だということを言われておりますけれども、そのことについて、新たな安保理決議を提出する、また決議する際において、しっかりとアメリカは日本をバックアップしてくれるのかどうなのかという点について、最後に聞かせていただきたいと思います。

伊藤副大臣 お答え申し上げます。

 たび重なる国際社会の警告にもかかわらず、北朝鮮がミサイルを発射した場合の対応でございますけれども、日本としては当然、これは国連決議一六九五、一七一八に反する行為だと考えておりますので、今あらゆる場をとらえてこの賛同者を、安保理のメンバー、メンバー以外についても図っているところでございます。

 国連決議違反だという認識については、日本、米国、韓国で一致しているところでございますし、そういう認識のもとに安全保障理事会でもしっかり議論していく必要があるというふうに考えております。もちろん、米国、韓国だけではありませんけれども、すべての国とよく協議して、日本の主張が安保理の場で通って、結果として、今、決議ということも可能性、あるいは念頭に置いてしっかり詰めていくということでございますが、これは国際社会のいろいろな要素がありますので、現時点ではっきり予断を持って言うことは難しいだろうと思います。

 それからまた、追加制裁措置についても、今、政府内で、また与党の間でしっかり協議しているところでございます。

安次富委員 いずれにいたしましても、今回のような北朝鮮の大変な行動、恫喝に対しても、いささかも日本はひるむことなく、堂々と外交を展開していただきたい。そして、拉致の問題にいたしましても経済制裁にいたしましても、安易な妥協をすることがないようにお願いをしておきたいと思っております。

 そして、今この外務委員会で議題となっております在沖海兵隊のグアム移転事業も、このことが必ず将来、沖縄の平和、基地のない平和な島というのが我々の究極的な願いでございますので、それにもかない、さらに日本の安全保障、アジア全体の安全保障に貢献するということでなければ意味がないと思います。

 私が尊敬している軍用地主会の元会長さんがいらっしゃいますけれども、私に常々言うのは、返還されてよかったという返還でなければ意味がないよということを言われておりまして、それを肝に銘じながら私はこういう難しい問題ではありますけれども果敢に取り組んでいるつもりでございますので、ぜひ、河野委員長を初めとして、外務委員会での議論をなお一層深めていただきますよう、沖縄県民の一人としてお願いを申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

河野委員長 次回は、来る八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十八分散会


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