衆議院

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第8号 平成21年4月10日(金曜日)

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平成二十一年四月十日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 河野 太郎君

   理事 小野寺五典君 理事 松島みどり君

   理事 松浪健四郎君 理事 三原 朝彦君

   理事 山中あき子君 理事 近藤 昭一君

   理事 武正 公一君 理事 伊藤  渉君

      安次富 修君    逢沢 一郎君

      井澤 京子君    猪口 邦子君

      小野 次郎君    木原  稔君

      篠田 陽介君    柴山 昌彦君

      菅原 一秀君    鈴木 馨祐君

      中山 泰秀君    西村 康稔君

      橋本  岳君    広津 素子君

      御法川信英君    安井潤一郎君

      山内 康一君    山口 泰明君

      若宮 健嗣君    池田 元久君

      篠原  孝君    鉢呂 吉雄君

      平岡 秀夫君    松木 謙公君

      松原  仁君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君    笠井  亮君

      辻元 清美君

    …………………………………

   内閣総理大臣       麻生 太郎君

   外務大臣         中曽根弘文君

   防衛副大臣        北村 誠吾君

   外務大臣政務官      柴山 昌彦君

   外務大臣政務官      西村 康稔君

   外務大臣政務官      御法川信英君

   財務大臣政務官      三ッ矢憲生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  山本 条太君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原田 正司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 高宅  茂君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中島 明彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 北野  充君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   鶴岡 公二君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     橋本  岳君

  小野 次郎君     安井潤一郎君

  柴山 昌彦君     広津 素子君

  鈴木 馨祐君     安次富 修君

  原田 義昭君     菅原 一秀君

  山内 康一君     若宮 健嗣君

  田中眞紀子君     松木 謙公君

  松原  仁君     平岡 秀夫君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     鈴木 馨祐君

  菅原 一秀君     原田 義昭君

  橋本  岳君     猪口 邦子君

  広津 素子君     井澤 京子君

  安井潤一郎君     小野 次郎君

  若宮 健嗣君     山内 康一君

  平岡 秀夫君     松原  仁君

  松木 謙公君     田中眞紀子君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     柴山 昌彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)


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     ――――◇―――――

河野委員長 これより会議を開きます。

 第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官中島明彦君、大臣官房審議官北野充君、北米局長梅本和義君、国際法局長鶴岡公二君、内閣府政策統括官原田正司君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君、経理装備局長長岡憲宗君、地方協力局長井上源三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠原孝君。

篠原委員 民主党・無所属クラブの篠原孝でございます。委員長に負けずに大声でやろうと思いましたが、冒頭だけにさせていただきます。

 きょうは、済みません、質問時間をちょっとずらしたりして私に先にさせていただきまして、理事の皆さん方に御迷惑をおかけしたことをまずおわび申し上げます。その分、意義のある質問をいたしまして補いたいと思います。

 きょうは、皆さんの御努力で内閣総理大臣も出席されるということを知りました。私もちょっと総理大臣には一言も二言も三言も言いたいことがあるんですが、きょうは、中曽根外務大臣それから北村防衛副大臣、西村外務大臣政務官、総理大臣になったというお気持ちで我が国の安全保障問題について虚心坦懐にお答えいただきたいと思います。

 細かい質問もあるんですが、せっかくそのように申し上げましたので、いきなり大きな問題からさせていただきたいと思います。

 まず北村防衛副大臣にお伺いしたいんですが、水曜日の西原さんの発言の中に、いろいろ示唆に富んだことがありました。その関係なんですが、我々はそれほど心配していないというわけではないんですが、小野次郎さんが質問されました。八千人がグアムに移って、日本の抑止力というのはそれで落ちてしまうんじゃないか。それに対して西原さんの答えというのは、その後伊藤さんの質問に対しても同じように答えておられたと思いますけれども、いや、大丈夫なんだ、なぜかというと、心配していた韓国の問題、韓国の軍隊の能力がアップした、それから北朝鮮の軍事的なレベルがダウンしている、だから心配ないんだということを二度ほど言っておられました。

 しかし、何か欠けているなと思ったんです、肝心の我が日本国の防衛力はどうなのかなと。人の国の軍隊の戦力がアップした、北朝鮮がぐちゃぐちゃし出してだらしなくなった、だからいいんだと。肝心の日本国の防衛力のアップというのは、相当お金をつぎ込んできていますけれども、この間、一体どうなっていたんでしょうか。

 私は、答えとして、いやいや、日本の自衛隊の戦力も大分アップしたんだ、だからアメリカにそんなに頼らなくたっていいんだという答えがあって当然だと思ったんですが、そうじゃなかったんですが、この点はいかがでしょうか。

北村副大臣 お答えいたします。

 確認の意味で申し上げさせていただきます、貴重な時間を恐縮でありますけれども。

 西原参考人のお話、質疑において、朝鮮半島における緊張は以前より低くはなった、韓国の軍隊の力が伸びた、あるいは海兵隊が大きな規模で出ていく必要性は下がったという認識を示された上で、米国はグアムに海兵隊を増強することで、より自由かつ柔軟な形でアジア地域に海兵隊を送ることができるようにという点を追求しているという見解を説明されたものというふうに承知をいたしております。

 もう先生御承知のとおり、沖縄における海兵隊につきましては、今後、第三海兵機動展開部隊司令部等がグアムへ移転し、残りの部隊は再編をされ、引き続き沖縄にとどまるということでありますけれども、地理上の利点等を有する沖縄に、このような海兵隊による一定の初動対処能力、これが維持されることは、抑止力の観点から今後とも非常に重要であるというふうに考えております。

 もとより、我が国の安全保障確保のためには、引き続き、我が国の防衛力を適切に整備するとともに、日米安保条約を堅持し米軍の抑止力を維持することが必要である、従来よりそのように申し上げておりますし、我が国は、防衛計画の大綱のもと、中期防衛力整備計画、これらに基づいて、多機能で弾力的な実効性のある、そういったものであるようにということで防衛力の着実な整備に努めてまいりましたし、今後もそうしてまいるという考え方であります。

篠原委員 端的にお答えいただきたいと思います。

 韓国のレベルがアップしたというのはいいんです。今のはみんな、私もよく読んでいますし、ずっと出ていまして聞いていましたし、議事録も読んでまいりましたから、わかります。わかりますので、この間、日本の戦力はアップしたのかどうか。海兵隊が八千人ぐらい出ていったって大丈夫だということが言える状態になっているのかどうか、代替機能というのが日本の自衛隊にはあるのかないのか、この点について端的にお答えください。

北村副大臣 重ねてのお答えになって恐縮でありますけれども、引き続き、日本の防衛力を適切に整備するとともに、安保条約をしっかり堅持して米軍の抑止力を維持することが必要である、こう考えておりますし、我が国としては、もとより、防衛計画の大綱そして中期防衛力整備計画等々に基づいて、今後とも多機能、弾力的な実効性のある防衛力の着実な整備を続けてまいるという考え方、御理解ください。

篠原委員 では、中曽根外務大臣、通告はしてありませんけれども、大臣のお考えで結構なんですけれども、日本の軍事力は着実にアップしてきているとお思いでしょうか。

 私は、なぜこれを聞いているかというと、いつまでもアメリカに頼っているような状態ではよくないと思っているんです。韓国が戦力がレベルアップしたからいいんだというんじゃなくて、日本の力も増してきているんだ、そんなにアメリカに頼らなくたっていいんだと。もちろん日米同盟関係は大事です。大事ですけれども、日本の戦力もアップしてきているんだ、だから代替できる部分はあるんだから、アメリカさん、少々出ていったって構いませんよということが言えるのか言えないのかということで問題にしているんです。

 大臣、どのようにお考えでしょうか。

中曽根国務大臣 もう委員が十分御承知のとおり、我が国は、アジア太平洋地域の安全保障環境のもとで、一つは適切な防衛力を整備するということ、それから日米安全保障体制を堅持していくということ、そして日本を取り巻く国際環境の安定を確保するための取り組みという、この三点を安全保障政策の柱としているわけでございまして、日米安全保障体制のもと、我が国の必要な防衛力というものにつきましては整備をしながら、米国と緊密な連携をとりながら、対処、対応していくということでございます。

篠原委員 緊密な同盟関係はいいんですが、どこまでが日本で、どこまでがアメリカかというのは考えてもいいんだろうと私は思います。いつの日か、日本は万全な体制ができたから、そんなにアメリカ軍に駐留してもらわなくたっていいですよという時代が来てほしいと思いますし、そうじゃなければいけないと思うんですよ。それを全然そういう気概もなくやっているとしたら、私は日本の防衛というのは問題だと思います。

 それは、なぜ問題かというと、私は別にハト派でもタカ派でもないです。普通に考えているだけですよ。なるべく自分の国でやった方がいいんです。食料の自給だって同じなんです。一〇〇%自給なんていうのは無理です。だけれども、なるべく国内でできるものはできるようにというのは、それはエネルギーの安全保障だって同じですし、防衛力だって同じなんですよ。

 ところが、よく見ていますと、日本の態度というのは、いや、アメリカ軍にはいつまでもいてもらっていいんだと。そして、アメリカはアメリカで、本音は、日本の軍事力はそれほど増強してもらっては困る、アメリカにおんぶにだっこにしてもらった方がいいんだ、だから基地を置いておく、基地を置いておくことが日本の防衛力増強を防げるんだ、そういう考え方だってあるんじゃないかと思うんです。これは、アメリカの有識者でも、軍事専門家でも平然と言っているんですね。日本が軍事大国化しないためにたくさんの米軍基地を置いておくんだと平然と述べています。こんなことを平然と言わせておいていいのかなという気がするんですよ。

 もちろん、核まで持つとかそんなことはしなくたっていいですけれども、通常兵力の部分で、アメリカに代替できる部分は代替していくべきじゃないかと私は思います。その点はいかがでしょうか。北村防衛副大臣、お答えください。

北村副大臣 篠原委員のお気持ちに、私個人としては一部同感な部分はあります。

 ただ、これまでお答え申し上げますとおり、防衛計画大綱とかあるいは中期防衛力整備計画に基づいて、これまで営々と着実な整備をいたしてまいりました。また、その一方で、地理上の利点を有しております沖縄に、海兵隊による一定の初動的な対処能力が維持されるということは、抑止力維持の観点からも非常に大事である。そういうことで、沖縄の海兵隊の位置づけにつきましても、抑止力としての役割等を踏んまえて、我が国の安全確保という観点からとらえるべきものであり、一面的に我が国の防衛力との関係で決定づけられるものではないなというふうにも考えておる次第であります。

 そういったことで、気持ちはわかりますが、しっかり受けとめながら、今後、これまでの政府の方針等々につきましてはきちんと御理解をいただいた上で進めさせていただきたいというふうに考えております。

篠原委員 外務大臣についてもこの点でお伺いしたいと思います。

 これはいろいろな説があるわけですけれども、数年前、麻生外務大臣、中川政調会長が相次いで、日本も核兵器を持ったっていいという議論はしたっていいんだということを言い始めました。そのときアメリカはびっくら仰天したはずです。私の記憶では、中川政調会長、そのとき訪米されておりましたけれども、アメリカからは総スカンで、ほとんど要人とは会えなかったという新聞記事を覚えております。

 そこはいいんですが、僕は、核兵器の、核の問題についてはそれでいいと思いますけれども、通常の兵器ですね。自分の国を自分で守る、我が日本国は我が国の国民で、我が国の武器弾薬でみんな守るんだ、人にそんな頼らないんだ、こういう姿勢は堅持してもいいと思うんですが、どうもアメリカは、それについてはぐちゃぐちゃ言っていますけれども、本音ではそうじゃなくて、やたら国際貢献、金を出せとか、外国へ派遣しろとは言いますけれども、日本の国内の自衛隊のレベルアップ、戦力アップは望んでいないような気がするんです。

 外務大臣に就任されて、いろいろなところで、交渉とかそんなので話しておられたりされると思いますけれども、その点についてはどのように感じておられますか。

西村大臣政務官 私からお答えを申し上げたいと思います。

 まず、自国を自分たちの力で守るというのは基本でありまして、日本としても、適切な防衛力の整備、必要な防衛力の整備をやっていっているところであります。

 しかしながら、これは、我々は平和憲法を持っているわけでありますが、憲法の制約、それから財政の制約もあります。そういうことも勘案しながら、日米安保体制を維持して、総合的に日本の安全保障を確保していくということでありまして、議員御指摘の、核兵器を持たないとか攻撃力を持たないというのは、それはアメリカの方針に関係なく、専守防衛が我々の国防の基本でありますので、非核三原則を堅持することを我々が主体的に選択しているということでありますので、このことはぜひ御理解をいただければと思います。

 それから、御指摘のあった、海外の、イラクやアフガニスタンの関係ですけれども、これは、国際社会全体でテロをなくそうということで取り組んでいる話であります。これは、アメリカからの要請で受け身で取り組んでいるものではなくて、国際社会の中でみんなが分担しながら対応していこう、日本としてできることを日本として主体的に判断をして行動しているということでありますので、ぜひ御理解いただければと思います。

篠原委員 アメリカは勝手なんですよ。国際的貢献はどんどんしろと言ってきているんですよ。だから、専守防衛と今西村さんはお答えになりましたけれども、ちょっとずつずれてきているんですよ、日本も。アメリカも、それをわかって、ちょっとずつ小出しにしてきているんですよ。だから、政治的に受け入れやすいようなもの、PKOとか人道的支援だとか、そういうことで塗り固めて、協力してくれと言ってきているんですよ。そして、現に日本はそうしてきているんですよ。

 最後は、では軍事力でも協力しろと言ってくるかというと、私はこれは言ってこないんだろうと思います。何かそんなことをちらつかせながら、本当は余り軍事力でもって日本が強大になってほしくないというのが、僕はあるんじゃないかと思います。

 その一方で、アメリカは、そうさせておいて何を言うかというと、抑止力、米軍に頼っているんだからいろいろなことをしろ、だから、米軍に対して資金を提供して当然なんだと。ほかに類例がないわけですね。グアムへの移転の経費も出していいんだというような卑屈な態度までとらざるを得なくなっているんです。これは私は問題だと思うんですけれども。こんなに負い目を感じる必要は、私は絶対ないと思うんです。しかし、今それをしようとしている。こんな卑屈な姿勢はいつまでも持ち続けるべきではないと私は思います。

 そのためには、日本がやれることはやれるんだ、だから、そんなぐちゃぐちゃ言わないで、やれることになったんだから出ていってくれと言っていいはずなんです。こういう考え方をとってしかるべきだと思いますけれども、防衛副大臣、どのようにお考えになりますでしょうか。

北村副大臣 日米安保体制を基盤とする日米同盟を新たな安全保障環境に適応させながら、我が国の平和と安全を確保するために、在日米軍の兵力態勢の再編に取り組んでいるところであります。そうした中、在日米軍の再編に係る協議におきまして、我が国の方から、抑止力を維持しながら特に沖縄の負担を軽減する、このことの重要性を強調してまいったところでございます。

 政府としては、沖縄の住民が強く希望している在沖縄海兵隊の移転の速やかな実現が可能となるよう、米国とともにグアムにおける施設等及びインフラ整備のための負担を担うというふうなことで、現在、考え方を進めておるところであります。

 もとより、我が国国防の政策、基本方針というものは、昭和三十二年五月の閣議決定にも明記されておりますとおり、「直接及び間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行われるときはこれを排除し、もって民主主義を基調とするわが国の独立と平和を守ることにある。」このことを基本としており、この方針が卑屈であるというふうには考えてはおりません。

篠原委員 みんな、いろいろな交渉なんというのは、本音と建前があるんだろうと私は思います。男女関係でもそうだと思いますけれども、そこのところは余り露骨に言っちゃいけない部分があるんだろうと思います。しかし、いつまでたっても抑止力だ、抑止力だ、抑止力でおんぶにだっこだからこっちを金を出せというのは、私はよくないと思います。

 おととい、森本さんは、イコールパートナーシップというけれども片務的だといういつもお決まりのことを言っておられて、何をおっしゃっているのかなと思いました。これだけやっている。そんなこと言われる筋合いは私はないと思いますよ。

 グアムにしたって、移転するといったって何か嫌々出ていってやるというような感じですけれども、それは私は絶対違うだろうと思いますよ。アメリカはそんななまくらな国じゃないですよ。日本が出ていってくれ、出ていってくれなんと言って出ていくなら、とっくの昔に出ていっていますよ。そうじゃないんです。グアムに移転してもいいような状況が生まれたんですよ。

 それはなぜかというと、西原正さんの話の中にありましたけれども、北朝鮮の関係は、日本はきりきりしていますけれども、アメリカにとっては、前と比べればそう大したことなくなった、しかし対中、対ロもまだある、対中東というのもあると。

 グアムはかつては、皆さんお忘れかもしれませんけれども、ベトナム戦争のころは非常に重要な基地だったんです。日本人なんかやたらに行けなかったはずですよ。しかし、今は寂れている、ちょうどぼろになってきた。これはどこに書いてあるというわけじゃないですよ。私が思うには、ぼろになってきているけれども重要になってきた、日本はぎゃあぎゃあ言っている、だからちょうどいい、それに事かけてグアムに移って、グアムの基地を立派にして、日本の金でそうしてしまえばいいんじゃないかと。

 日本では官僚のわたりが問題になっていますが、アメリカは渡りに船でこういうものに乗っかってきたんだと思います。だからそんなに、いや、やってやらなくちゃ、やってやらなくちゃなんてやらなくていいんだろうと思います。

 中国軍が軍事費を相当増強している、そして東シナ海、西太平洋に出てきている。そういった観点からも、グアムは大事になってきているんです。グアムの基地をちゃんとしなくちゃならないんです。アメリカの戦略の一環なんですよ。そんなへいこらする必要は、私はないと思うんです。

 私は、月曜日に沖縄に行かせていただきました。恥ずかしい話ですけれども、私は、沖縄には選挙応援でしか行ったことがありませんでした。何も見ずに帰ってきました。しかし、今回初めて、行って基地も見ました。うるさいと言ったらあれでしょうが、私は、宜野湾市なんかでは生活できないですね。こう見えても結構センシティブでして、うるさいと寝られないんです。あんなうるさいところでどうやって生活されているのかと、私は本当に同情を禁じ得ませんでした。

 近藤さんが盛んに言っていましたが、我々が来たから少し自制して、爆音は少ないし、余り離着陸、タッチ・アンド・ゴーもやっていないんじゃないですかと言って盛んに聞きましたけれども、明確な答えはありませんでした。しかし、一日に三百回、夜十一時までというのは尋常じゃないですよ。

 議員会館を見てください。何年工事が続くか知りませんけれども、皆さんの議員会館は窓が防音の二重窓になっていますね。あんなこと、やってもらったにこしたことはないですけれども、我々議員にはあんな手厚くやってもらっているんですよ。議員会館にどれだけ皆さんおられるか。私は、自慢じゃないですけれども、能率が悪いだけだそうですけれども、一番夜中まであの部屋で仕事をしております。

 だから、うるさいのは嫌ですけれども、だめですけれども、音がうるさいというのはそれだけ生活がしにくいんですよ。これだけ負荷をしているんだったら、私は、沖縄県民にこんなひどいことをさせているんですから、日本国政府が相当、沖縄の皆さんにお金を出したり何かして当然だと思いますけれどもね。

 そういったことが防衛省の大事な仕事としてどの程度認識されてきたのか。私は、大事な防衛政策の一環として、こういうロジスティクスの部分をきちんとしなけりゃいけない、片手間にやるべき仕事じゃないんじゃないかと思うんですけれども、この点についての基本的な認識をお伺いいたします。

北村副大臣 お答えいたします。

 沖縄県には、現在も全国の約七四%の在日米軍施設・区域が集中しております。その負担の軽減は重要な課題であると先ほど来申しておるところであります。普天間飛行場の移設、返還を初めとする米軍再編に取り組んでおることは御承知のとおりであります。

 いわゆる環境整備法等に基づきまして各種の補助事業等を実施するとともに、また、再編特措法に基づきまして、米軍再編の実施に伴い負担が増加をする市町村に対しては新たに再編交付金を交付しておるというところであり、さらに、沖縄の均衡ある発展等のために、米軍跡地の有効利用また適切な活用というものを促進するべく、特定跡地給付金等の支給を行うとともに、北部振興策に係る補助金の交付も行っております。そのほか、米軍基地の所在による閉塞感の緩和のために、いわゆる沖縄懇談会事業に係る補助金の交付も行っておることは御存じのとおりであります。

 防衛省といたしまして、従前よりこのような施策を実施してまいりましたところでありますけれども、今後とも、沖縄県民の負担軽減に資するべく努力をしてまいるという考え方でございますので、御理解、御協力をいただきたいと思います。

篠原委員 冷たい態度に余り理解しかねます。私がやってきています第一次産業政策に直接支払いというのがあるんです。農業者戸別所得補償とかいろいろ言われていますけれども、農家にちゃんとしてもらわなくちゃならないと。

 ヨーロッパの国々でしたら、条件不利地域で、簡単に言うと山の中です、日本でいうと中山間地域にお金を出しているんです。なぜかというと、一たん事が起きたときに、その国の領有を主張できるのは、その山の中に住んでいてくれる、ドイツ人が住んでいる、フランス人が住んでいる、スイス人が住んでいる、だからこれは我が国の領土なんだと言えるわけです。だから、住んでいたことが国土防衛につながるわけです。そんなことはどこにも書いてありません。しかし、そういう意味で、住んでいてくださいよ、住んでいていただいているということで、お金を出しているんです、直接支払い。だから、限界集落とかいうのもないですし、集落が消えてしまうということがないんです。

 ノルウェーでは、北緯六十度とかいう漁村にそういうことをしているんです。それはやはりノルウェー人がそこに住んでいるというあかしですよ。それだったら日本は離島に住んでいる人たちにそれをしなくちゃいけないんですけれども、そういうことをしていない。

 だけれども、その前に、日本国の防衛のために相当迷惑を沖縄県民にかけているわけです。今まで、電源開発三法というので、原発を建てるからといってその地域にお金が落ちたりするやり方がありますよ。それから、ダムの底に消える集落に対してそういう制度がありますよ。しかし、そんなものよりももっともっと先に、基地の周辺の人たちには相当迷惑をかけているわけですから、相当なことをしてあげなくちゃいけないんじゃないかと私は思います。

 ミサイル防衛も大事です。ミサイル防衛も大事ですけれども、そういったところにかけているお金と、沖縄県民の皆さんのために迷惑料として払うお金と、一体どっちが大事かと。両方とも大事ですけれども、日本国が戦争で負けたりしたのは、そんな軍隊とかそっちの方の整備ばかりやっていて、食料だとかなんとかちゃんとできなかった、後方支援活動ができていなかったわけです。そうしたら、いざとなったときに、周辺住民の理解を得ない軍事活動なんてできないんじゃないですか。そういうことを考えたりしたら、そちらにこそ心血を注いでやっていかなくちゃいけないんだろうと私は思います。

 それで私は、実質的な対応のやり方として、これだけやってやっていると。水曜日には、森本さんは何か抽象的なことで、日本はちゃんとした対価を払っていない、これを盛んにおっしゃいました。何をもって対価を払っていないと言うか僕はよくわかりません。結構対価を払っていると思います。だから、これだけ出しているんだから、そんなにがたがた言われる筋合いはないという態度をとっていいんじゃないかと思います。

 具体的な例で申し上げます。極東の平和と安全とか、そういうのは仕方がないんです。では、グアムの移転まではちゃんと出すと。しかし、アメリカがやろうとしている戦略の変更は、極東の平和と安全だけじゃないんだ、グアムの基地は。アメリカの場合は、関心が中東へも、もう完全に行っているわけです。だから線引きをして、極東の平和と安全、日本の平和と安全ということについては相当日本も分担するけれども、イラク、アフガニスタン、そんなところまでアメリカと同じように言われたってたまらないと。そういった点については、日本は毅然たる態度をとっていいんじゃないかと思います。

 見本例で申し上げます。カナダはずっとアメリカといろいろなところで一致してやってきました。しかし、イラク戦争のときは、カナダは毅然とした態度をとって、大量破壊兵器とかがちゃんとあったりするのかよくわからない、説明が不十分であるといって、カナダは参加していないんですね。私は立派だと思います。ミドルパワーとしての矜持を示したわけです。

 日本はちゃんとそういうめり張りをつけるべきだと思いますけれども、外務大臣、今後の外交姿勢として、そういう対応を私はぜひとっていただきたいんですが、その点についてはいかがでしょうか。決意を述べていただきたいと思います。

中曽根国務大臣 今、我が国を取り巻く環境というのは、北朝鮮のミサイル発射という問題もありますけれども、非常に日本の周辺も不安定で不確実な状況になっておりますし、冷戦が終わったからといって平和が一気に来たわけではなくて、もちろん平和なところも多いわけでありますが、地域によっては国際紛争とかテロとかいろいろありますし、また、ミサイル、核の拡散とか、大変緊迫した、非常にいろいろな事態が起きているわけであります。そういう中で、我が国は我が国の防衛をどうするか、また米国は米軍をどういうふうに展開していくか、総合的に判断をしながら、今、日本においてもアメリカにおいてもそういうような、米国においては軍事力、日本においては防衛力の整備を行っているわけであります。

 沖縄の問題につきましても、委員がおっしゃいましたように、また、この委員会でたびたび課題になっておりますように、負担をいかに軽減していくかということは大変重要なことで、その軽減に資するためにグアムに海兵隊が移転をするということでもあり、また米側にとりましては、米軍再編の中の一つの考え方としてこういうような移転というものが行われるわけであります。

 そういう意味で、痛みを伴うところにはできるだけの配慮をして、そして協力をしていただくということが、これは国の防衛のためということもあります。そういう点では、十分な説明と御理解をいただきながら、また配慮をしながら、いろいろな交付金とか補助金、そういう面で配慮をしながらやっていくというのが一般的であり、また当然のやり方だと思っておりまして、今後もそういう点に配慮をしながら、防衛力を維持し、そして負担を軽減するという両方が実現するように、政府としてはきめの細かい対応をしていくことが大事だ、そういうふうに思っております。

篠原委員 日本の外交とか軍事的な考え方というのは進歩しているんですよ。

 中曽根外務大臣は多分そばにいて覚えておられると思いますけれども、アメリカのイラン大使館の人質事件が起こりました。そのときに中曽根康弘さんは、たしか通産大臣だったと思います。それで、日本はどういう態度をとったかというと、外交に関するウィーン条約違反ですから、ほかの世界のほとんどの国は、何も言われなくたって一斉に経済制裁措置を講じたんです。ところが日本は、石油が大事だからといって平然と輸入をし続けた。このときに相当反発を食らったわけです。そのときと比べれば、日本はどれだけ進歩したか。

 今ここに議事録を、ちょっと慌てて探してきたんですが、一九八五年の三月二十二日の中曽根総理大臣の答弁があります。ここに、そのときの反省があります。「今までの過去の例で見ると、イランが人質をやったときに、日本がイランから石油を買いましたね、それで非常に対日感情が悪化したと。」これは通商摩擦に関係して、通商摩擦のときに同じような感情がアメリカに起きているということでおっしゃったんですけれどもね。

 しかし、私は、軍事的な安全保障については日本人の意識も変わったと思います。変わってきて、貢献してきているんです。貢献してきているんだから、一九八五年と同じような態度をとり続ける必要はないと思います。日本は、ちゃんと貢献しているところは貢献しているので、きちんとした独自路線をとっていただきたいということをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河野委員長 次に、鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 おはようございます。民主党の鉢呂吉雄です。

 まずは、きょうは四月十日、新聞、テレビ等でも天皇陛下の御結婚五十年ということで、記念すべき、また、五十年間、本当にお疲れな中で天皇陛下が公務を行ってきたということで、お喜びを申し上げます。

 天皇陛下が、忘れてはならない日ということで、四つ、毎年黙祷をささげておるということで、それは、広島と長崎の原爆投下の日、そして終戦記念日、そして何よりも沖縄戦終結の日ということで、節目の戦後五十年、六十年には、広島、長崎、そして沖縄を訪問しておるということであります。沖縄に対して、地上戦ということで多大の犠牲を強いたわけでございます。同時に、その後も、今日までアメリカ軍が駐留をするということで、さまざまな痛みも、今、篠原委員がおっしゃったようなことが出てきておるところでございます。

 そういう中で、委員長の大変な御指導をいただきまして、まだ配られていないかもわかりませんが、前回、委員長に、それぞれ政府見解を問うていただきまして、文書で出していただきました。基盤整備の問題について、きょうは引き続き質問をし、御説明をいただきたいと思います。

 また、その前に、中曽根外務大臣がこの間、ミサイル発射以降、各国に大変精力的に電話等をして、安保理の決議をとるための御努力をされております。私は、中曽根外務大臣の施政方針演説といいますか、外交報告の本会議の演説を見ますと、冒頭、日本の国益という文言が何回か出てくる。その特徴を見させていただいておりますから、そういう中で、懸命の努力をされておるという姿を見ておるわけであります。

 日本は官僚が非常に強い国であります。しかし、その官僚を本当の意味で指導して、日本として誤りのない国の運営をするのは、やはり政治家であろうと思っています。そういう御努力を高く評価しながら、北村副大臣にも、文書とかそういうものが大変多いかと思います。しかし、どういう視点で私ども政治が指導するかという観点できょうも御答弁をいただければありがたいと思います。

 ことしの、平成二十一年度のグアム移転の日本の負担の関係で、予算計上を三百四十六億されました。私ども、奇異に思ったのは、基盤整備、インフラ整備は真水の予算で投入されておる。三つの地域、アプラ港地区を初めとして、基盤整備は膨大な形で整備されております。今回、資料が出てきました。初めて見る資料でございます。このような、基地内においては真水を使うんだ、そして基地外に至るインフラはいわゆる融資等の日本の事業として行うんだということであります。

 この決定について、アメリカと合意したのはいつでしょうか。事務方から聞いておったら答えていただきたい。この文書をつくられた、アメリカと合意したのはいつなんでしょうか。わからなかったら、わからないでよろしいです。

北村副大臣 お答えいたします。

 ロードマップ合意の時点から、そのような基本的な考え方で今日まで進めてきておるということで御理解いただきたいと思います。

鉢呂委員 私は、前回もお話ししました二月六日の防衛省の高見澤局長の答弁、このような合意に至ったという形の、最終的にそれがよいということで精査をして合意に至ったと。それまで、昨年あるいは三年前、こういった形の説明は一切なかったわけであります。

 日本は、隊舎等のいわゆる生活についての真水の支出、そして、そういったインフラ整備については融資という形でありました。今回、この中身を見ますと、先ほど言ったような形で、基地内における事業は真水なんだということであります。

 副大臣、今、防衛省から出された資料の三枚目を見ていただきたい。二年前の駐留軍再編特別法の施行令、抜粋で書いてあります。この抜粋の施行令を見ますと、第十一条、駐留軍移転促進事業ということで、この中に、いわゆる融資事業として、住宅の賃貸ですとか、電源の開発、電気の供給、水源の開発、水の供給、下水の排除及び処理、こういった事業は融資なんだという言い方であります。基地内、基地外という書き方は一切ないわけであります。

 どうして、この施行令に基づいても、基地内だからこれは真水の事業であるというふうにとらえることができるんでしょうか。当初は、こういった電気の供給、水の供給あるいは下水の処理といった基地内にもかかわる事業は、いわゆる融資事業、真水の事業でないというとらえ方をしておったんではないでしょうか。

北村副大臣 お答えいたします。

 先日も一部お尋ねの点についてはお答えをさせていただいたかと思いますけれども、整理の意味も含め、丁寧に御説明をさせていただきたいと思いますので、お聞き取りいただければと思います。

 平成二十一年度予算におきまして、在沖米海兵隊のグアム移転関係経費として、真水事業分約三百四十六億円を計上しております。この真水事業経費には、先生はインフラと呼ばれておりましたけれども、政府として基幹ユーティリティーと呼んでおるところであります。すなわち、電線、上下水道管等を埋設する事業、これを含んでおります。

 この基幹ユーティリティーと、従来から民活事業と説明をさせていただいておりますインフラ事業との関係について、できるだけわかりやすく御説明させてください。時間をとって恐縮です。

 まず、二十一年度予算の真水事業として行う基幹ユーティリティーの整備、これは、例えば基地の中にある地区において海兵隊の司令部庁舎などを維持運営させていくため、その地区の近くまで供給された電力や水等をその地区に引き込み、庁舎などに配分をしていくための電線や上下水道管を埋設する事業のことをいうわけであります。

 一方、従来から民活事業として整理をしておりますインフラ事業、これは、沖縄から移転する海兵隊により増大する電力、上下水道または廃棄物の需要等を満たすために、電源や水源を開発して、電力や水を米軍基地に供給するための事業を指すわけでありまして、具体的には、再編特措法施行令、先生が先ほどおっしゃられた施行令に限定的に列挙いたしておるというところでございます。

 以上でお答えとさせていただきます。

鉢呂委員 説明がなっておりません。

 三年前のロードマップの段階で、いわゆる生活関係だけが真水であり、インフラ整備については融資と。そして、施行令についても、政令においても、こういう形で融資として明瞭に書いてあるわけであります。したがって、これは、過去の大臣、副大臣が説明してきたことと完全に反するという形で、私は、予算の執行についてなお精査をすべき問題であるというふうにまずお伝えしておきます。

 その上に立って、さらに今回、真水事業で行うんです。例えば、前回の資料で今回は出しておりませんが、アプラ港は、この基幹ユーティリティー、基盤整備に百四十三億、六・五ヘクタールに百四十三億かけるわけです。上下水道、電線も地中配線だというふうに聞いています。

 しかし、六・五ヘクタールに百四十三億、千平米当たり約二億円の事業であります。これだけのインフラ整備というのは莫大なものであります。ここには、例えば司令部の庁舎が建つ、こういうふうに言われておりますが、いわゆる生活関連の形からいけば、膨大な形であります。

 アプラ港には、原子力空母の着くことができる、そういった整備もする、こういうふうに言われておるわけでありまして、こういったものにも、電気や上下水道を使うものとして整備をされるのではないですか。このアプラ港においては、日本が言っておるいわゆる真水の事業として、施設の形で何割程度使われるのか、明瞭に答えていただきたいと思います。

北村副大臣 お答えいたします。

 グアム島において唯一港湾施設を有するアプラ地区において、専ら海兵隊が利用する地区を対象に基盤整備事業を行うことといたしておりまして、平成二十一年度の予算に所要の経費を計上しておることは御承知のとおりであります。

 この地区は、海兵隊港湾運用司令部庁舎を建設する予定である。さらに加えて、今後、沖縄から移転する海兵隊が人員、物資等の輸送や揚陸等を行うための港湾運用機能が置かれるという予定でございます。したがって、この地区における基盤整備事業は、専ら沖縄から移転する海兵隊の所要に対応するというものでございます。

 我が国の負担は、移転事業を最も効率的な形で、かつ速やかに実施するとの観点から、基盤整備事業を工事の最初の工程として大規模、一体的に実施すると考えておりますから、アプラ地区で我が国が負担する基盤整備事業は、司令部庁舎を前提として、かつ海兵隊の所要に対応するものでなければなりませんし、当然日本側の負担は二十八億ドルの範囲内である、このことから、何ら問題はないと考えておるものであります。

 なお、同地区に隣接する岸壁につきましては、米空母が接岸することはできません。専ら海兵隊が利用する強襲揚陸艦等の艦艇が利用することが予定されております。したがって、我が国の負担で整備される基幹ユーティリティーは、司令部庁舎に加え、強襲揚陸艦への電気を送る給電や排水等にも活用されることも排除されるものではないとは考えております。

 以上であります。

鉢呂委員 グアムの主要作戦基地、MOB化の資料、この前もお話ししました。昨年四月、JGPO統合軍事マスタープランの草案が発表されました。実際には、このマスタープランは今年の四月に最終的なものが発表されるということでありますから、今回は草案の段階です。

 この中身を見ますと、海軍はこのアプラ港に、もちろん佐世保港にある強襲揚陸艦を寄港するということはありますが、空母桟橋の建設ということが明瞭に書いてあるわけであります。したがって、副大臣は、きちんととらえてお話をしていますか。そういった形で、アプラ港についても百四十数億円かけるわけですから、実際、グアム移転の海兵隊のみのそういったものとしてあるのか。

 しかし、そうであっても、日本は、あくまでも司令部庁舎ですとか生活関連のものとしてこれを資金提供するということでありますから、いわゆるアメリカの軍事的なもの、例えばアプラ港においては燃料貯蔵施設、あるいは資材の保管施設、あるいは資材を運搬する施設、こういったものに当然電気が使われたり、あるいは揚陸艦が寄港した場合にはその下水のためのものを持ってくるわけですから、下水処理を使う。この方が莫大なものとして、こういった施設、電気、上下水道を使うというふうに見られるわけでありまして、そういった点で、真水事業で使うにしても、どのぐらい日本として、やるべきものとしての割合といいますか、そういったものに基づいて日本の税金を使うべきだ、こういうふうに思うわけで、この点について明瞭に御答弁いただきたいと思います。

北村副大臣 お答えいたします。

 アプラ地区において我が国が負担する基盤整備事業は、海兵隊が専ら利用する地区において、主として老朽化した既存の電線、上下水道管等の改修、またこれに関連して敷地造成を行うものでございます。この地区の他の基盤整備はアメリカ側が行う予定であります。

 なお、アプラ地区において、今後、海兵隊の港湾運用部隊司令部庁舎や、海兵隊が活用する、先ほどから申し上げる強襲揚陸支援機能の整備が行われる予定でありますが、日本側が負担する基盤整備については、海軍の活用も排除されませんけれども、海兵隊の所要に基づき整備されるというものでございます。

 以上です。

鉢呂委員 いずれにしても、この間、私どもが強く求めて、やっとこういう形が出てくる。

 河野委員長、そういう面では、きょう採決ということでありますが、委員長は非常に積極的に指導性を発揮していらっしゃいますから、きょうは協定の採決があるんですが、この予算の執行に当たっても、十分、外務委員会として、防衛省の所管でありますけれども、協定という形で私は厳密に精査をしなければならないことだと。

 これは、アメリカが百二億というものを積算した中で、日本が真水で二十八億、上限が決まっているからいいだろうという表現が非常に強いんですが、本当に当初ロードマップで決められた形の使い方をしているのかどうか、こういった形の精査を外務委員会としてもやっていただきたい、こういうふうに御要請を申し上げます。

 何かお返事はありますか。

河野委員長 今の鉢呂委員のお申し出のとおり、今後、当委員会では、詳細にお金の使い道について審議をしてまいりたいと思います。

鉢呂委員 それから、当委員会に出された政府見解でありますけれども、普天間移設ができなかった場合に協定違反と在沖縄のアメリカ総領事メアさんが当委員会の調査団に対して述べたという形に対して、法的義務を日本政府に課しているものではないということで、「普天間飛行場の代替施設を建設しない場合であっても、本協定第三条第二文に違反しない。」というふうに文書で御提示をいただきました。大変これは重い形であろうと思っております。

 そこで、六日月曜日にアメリカ政府にも改めて確認したということでありますが、アメリカ政府のどの段階と確認をしたのか、それが一点。それから、グアム移転施設が完成した場合、普天間代替施設が仮に完成がされていなかった場合は、いわゆる完成が条件となって、グアム海兵隊八千人の移転というのはなされないのかどうか、端的にお答えをいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 最初の、どの段階で米国政府に確認したのかというお尋ねでございますが、私自身、詳細を承知しておりません。もしよろしければ政府委員からそのことについては御答弁させますが、ルートとしては、在京米国大使館を通じて確認をしたということでございます。

 それから、二番目の御質問が、普天間の建設が実現しない場合、これは協定違反になる、そういう総領事の御発言についての見解という御質問でよろしゅうございましたでしょうか。(鉢呂委員「はい」と呼ぶ)

 これは、提出させていただきました文書にも記してございますけれども、この協定の第三条の第二文は、日本国政府といたしまして、ロードマップに記載されました普天間飛行場の代替施設を完成するという、ロードマップで既に表明されてきました政治的意思を改めて表明する趣旨のものでございまして、普天間飛行場の代替施設の建設に係る法的義務を日本国政府に課しているものではございません。このことは、この協定に係る米国との交渉の経緯とか、また交渉結果を踏まえて、第三条の第二文が「意図を有する。」、英語ですとインテンズ・ツー、そういうような表現となっていることからも明らかなところでございます。

 したがいまして、仮に日本国政府が普天間飛行場の代替施設を建設しない、そういう場合でありましても、第三条第二文に違反をすることはないわけでございますし、また、第三条第二文が日本国政府に対して法的義務を課していないということにつきましては、先ほど申し上げましたけれども、念のため、六日、米側にも改めて確認をしているところでございますし、米国政府も同様の見解でございます。

鉢呂委員 きのう、夕べもらった資料でございまして、私も質問通告はしませんでした。終わるまでに答えてほしいんですが、アメリカ政府のどのレベルと確認したことについて……(中曽根国務大臣「どの何ですか」と呼ぶ)どのレベルというか、だれと。いや、これは私は参考人は求めておりませんので、全部大臣しかやっていませんので。

中曽根国務大臣 これから調べさせていただきますが、委員は今いつまでとおっしゃいましたでしょうか。(鉢呂委員「私の質問が終わるまでということです」と呼ぶ)御質問が終わるまで。それは、では、できるだけ努力いたしますが、参考人でよろしければ、ちょっと今その辺、わかる範囲で御答弁させて、もしよろしければそういたしますが。

 では、努力はいたしますが、ちょっと、この御質問までというと、あと何分かでございますので。

鉢呂委員 時間がありませんので。

 去年の四月十八日の参議院の決算委員会で、当時の石破防衛大臣は、グアム移転にかかわるものに限定をして、日本の真水であろうが融資であろうが支払いをするというふうに答弁をされております。

 私は、そういう面では非常に厳格に、国民の税金を使うわけでありますから、先ほど言ったように、インフラ整備、基盤整備であろうが、本当にグアム移転にかかわるものであるのか。佐世保基地から強襲艦が移転するものであっても、私は、それはこの協定の趣旨、ロードマップの趣旨と違うと。あるいは、空母の桟橋をつくるということでは、なおさら本当に電気、上下水の使用割合というのは異なってくるわけでありますから、そこは政治がきちんと判断をして、本当にアメリカと交渉して事務方はやむを得ずこうなったかもわかりませんが、一方で、私どもは国民にきちんと責任を負わなければならない政治家あるいは副大臣でありますから、その辺はきちんと精査をして、後日また私どもに報告をしていただきたい、こういうふうなことで先ほど申し上げました。

 それで、時間がありませんので、あわせてもう一つ質問をして、中曽根外務大臣、政府見解で出された、アメリカの予算歳出が講じられなかった場合、本協定違反となることはないというふうにこの政府見解はなっております。しかし、他方、最終的な確認でこのような拠出がなされない場合の事態となれば、日本政府の資金の提供を停止することができるという書きぶりでありますが、しかし、これが最終的に資金拠出がないという形になれば、やはり協定に違反するということになるのではないでしょうか。

 二〇一〇年にアメリカ側の予算計上あるいは予算執行がなされていないということで直ちに違反とならぬかもわかりません。後年度で予算支出があるかもわからないという意味では直ちに違反ではなくて、しかし、最終的にアメリカが見合った資金を提供しないということになれば協定に違反するのではないか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 米国が二〇一〇年度の予算を計上しない場合のことをお尋ねになりました。本協定違反になるのか、まずそういうお尋ねだったと思いますが、この協定の二条では、米国政府が在沖縄海兵隊のグアム移転に係る事業に対しまして資金の拠出を行うことを義務づけるものでございますけれども、そのための予算措置の時期や資金拠出の態様についてまで規定しているものではございません。このことからも、仮に米国が二〇一〇米会計年度予算におきましてグアム移転に係る事業に関する経費を計上しない事態が生じましても、これは本協定上違反となることはないところでございます。他方、仮に米国政府による資金拠出がなされないことが確認されるような事態となった場合には、日本国政府は、九条の第一項の規定によりまして、資金の提供を日本国政府が今度は停止するということができるわけでございます。

 この二条は、米国政府が沖縄海兵隊のグアム移転に係る事業に対しまして、さっき申し上げましたように、資金の拠出を義務づけるものでございますけれども、そのための予算措置の時期とか、あるいは資金拠出の態様についてまで規定しているものではないわけでありまして、このことからも、仮に米国が二〇一〇米会計年度予算においてグアム移転に係る事業に関する経費を計上せずに、資金拠出がないことが確認されたといたしましても、先ほどから申し上げておりますように、本協定上違反となることはないわけであります。

 ただし、日米共同で本件事業を円滑に進めていく、そういう観点から、御指摘のような事態が発生する場合には、これは事態を打開するために、この協定の第十条に従いまして日米間で相互に協議する、そういうことになっております。

鉢呂委員 時間が五分になりましたので、先ほど言いましたいわゆる真水の二十八億ドルと融資の三十二・九億ドル、必ずしもその明瞭な線引きがなされないというふうに私どもは受け取らざるを得ません。

 これはまた後日、安保委員会等でも十分論議をしていきたい、こういうふうに思っていますし、四月三日に武正委員が利子の問題でもお尋ねをしておるわけでございます。第四条で、この二十八億ドル、直接的に提供する資金を含む六十億九千万ドルの形について、日本国が提供した資金、利子の関係で、資金とはこの六十・九億ドルのことを示すのか、政府見解をぜひ示していただきたい、こういうふうに考えるところでございます。

 冒頭お話をいたしましたが、外務大臣、今、北朝鮮の問題で御苦労されておると思います。私ども、与党の方々が、いわゆる敵地先制攻撃論ですとか、あるいは日本が核武装すべしというような論議をしておるということに、私自身、いささか警戒感といいますか、持つわけでございます。

 この種の問題が起きれば、いわゆる軍備を拡張するというような論議が出てくる。韓国でも、迎撃ミサイルの問題について懸念をするような論議が起きておる。日本でも、本当にこのような迎撃ミサイルで日本の国土を守れるのかというような問題が一部に出てくるのかもわかりません。

 しかし、やはり軍備拡張に陥ることは、過去の歴史を見ても非常に苦難な形に終わる。天皇陛下の五十年、六十年の考えは、日本が平和であること、このことにやはり尽きる形で今日まで来たのではないか、私はこういうふうに考えるわけでございます。

 したがいまして、前回も非常に中途半端になったんですが、我が民主党でも、この東北アジアといいますか、朝鮮半島と日本の核兵器の、非核の地帯という条約を取り結ぶ、北朝鮮も含めて朝鮮半島、日本には核を持たないんだ、あるいは持ち込まないんだというところで、周辺のロシアや中国やアメリカと一体となってこういった条約をつくる、こういう形もやはり志向していくべきでないか。そして、オバマ大統領も述べておるように、世界の核兵器の廃絶ということを核の一番超大国のアメリカの大統領が積極的に発言を始めた。やはり日本はそれに呼応して具体的な提言をする段階に来ておるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。

 中曽根外務大臣に私が前回、前々回の冒頭に求めたのは、中曽根大臣、答弁はいいですから、今回のグアム移転の協定についてもまだまだ大変大きな問題点がある。例えば、この委員会の論議でも、八千人の撤退をするんだけれども、実際の負担の軽減になるのか、定員問題を持ち込まれて、実際には、一万人、ですから二、三千人しか軽減されないのではないか、こういった問題はまだ取り除くことができておりません。

 私も、委員会の論議を聞いていて、騒音の負担を軽減するということで、沖縄における爆撃機の訓練を軽減するということで、私の北海道の千歳なんかにもそれを分ける、そこで訓練を分けるということになったにもかかわらず、実際のその時点でも、騒音が軽減されるどころかふえておる。

 私も、今週、沖縄で調査をしてまいりました。私の民主党の幹部の皆さんと会ってきましたけれども、夜の十一時まで爆撃の音がする。こういう中で、本当に海兵隊の移転についても、実質の負担の軽減になるような形で私ども政治がこれを行わなければ、何のためのグアムの移転になるのか、こういう思いもするわけです。

 同時に、冒頭お話ししましたように、アメリカは議会の承認を求めない政府のレベルのペーパー、日本はこういう形で、今、いつ衆議院選挙があるかわからないという段階で、何か急いで衆議院で可決をすれば、後は参議院がどうであっても三十日で自動承認という段階は、私は政治の責任としてはいささか腑に落ちない、残念な思いでございまして、私は、外務大臣に、この協定をもう一度精査するために当衆議院から取り下げをすべきだ、こういうふうにお話をしておるわけでございます。

 そういったことも十分考えていただいて、きょうは総理大臣も来るということでございますから、そのことも踏まえて、この協定については、なお衆議院の段階で慎重な審議を求めて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

中曽根国務大臣 まず、先ほどの御質問について、現時点での回答をさせていただきますが、この六日、在京大使館を通じまして照会をいたしましたところ、後刻、在京大使館からは、米国政府の公式見解として確認する、そういう回答があったところでございます。そのような連絡を、具体的にではだれとだれが行ったのかということは、特段の理由がない限り、外交の慣例上、おたくはではだれまで行ったんですかということは行っておりませんし、また、明らかにすることは適当と考えていないところでございます。

 それから、負担の軽減でございますが、私どもは、これは負担の軽減になる。そして、さらにまた、今度返還の土地があるということによって振興にもプラスになる。そういうようなことも総合的に考えてこの移転というものを進めているわけでありまして、ぜひ御理解いただきたいと思います。

 なお、けさほども、北朝鮮の問題は、朝七時半にクリントン国務長官と電話で会談いたしまして、その後、韓国の外務長官、外務部長とも電話で会談をいたしまして、大詰めに来ております安保理での対応について、日本としては、やはり強いメッセージを出す必要がある、毅然とした対応をとることが必要であるということを私はクリントンさんにお話をし、そういう考えで一致をしているところでございます。御報告させていただきます。

鉢呂委員 終わります。ありがとうございました。

河野委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 先ほどの鉢呂委員の最後の質問のところにもありましたけれども、今回のこの協定について言えば、手続的にも内容的にも非常に問題があるというふうに私は思っております。一八五四年に日米で結ばれた日米和親条約、不平等条約とも言われておりますけれども、それ以来ずっと続いている、ある意味での日米間の不平等関係をあらわしている、不平等協定であるというふうに私は思っています。これから、そういうものであるということについて、私は質問の中で皆さん方にただしていきたい、このように思っております。

 まず最初に、四月三日の鉢呂委員の質問に答えまして、外務大臣がこのように答えておられます。「この協定の署名につきましては、突然来日されたからこれを署名したということではございません。クリントン国務長官が就任されたときの私との最初の電話会談のときにもこれの重要性についての話があり、そういうような協定を署名しなければというお話があったわけでありまして、」こういうふうに述べておられます。

 それで、外務省が出した電話会談の中身をちょっと調べてみますと、そんなことは一つも書いていないんですね。先方から在日米軍の再編について着実な実施が大事だというふうに指摘があったとしか書かれていませんでした。

 大臣、その電話会談のやりとりで、この協定に関してどういうやりとりがあったのか、これを明らかにしてください。

中曽根国務大臣 一月の二十三日にクリントン国務長官との間で電話会談を行ったところでございます。私から、国務長官就任への祝意を伝えましたところ、クリントン長官からは、日米同盟は米国のアジア政策のコーナーストーンであって、そして、国際社会が直面する諸課題にともに対処していきたい、そういう旨の発言があったところでございます。

 また、日米間の協力関係を強化していくということでも一致をいたしまして、今委員からも御紹介がございましたけれども、その一つとして、海兵隊のグアム移転を含む在日米軍再編を着実に実施していくということで一致をしたところでございます。

平岡委員 協定の話は何も出ていないじゃないですか。協定に関してどういうやりとりがあったのかを聞いているんですよ。それは、この前の、四月三日の鉢呂委員への答弁で中曽根大臣が答えているじゃないですか。ちゃんと自分で答えているんだから、ちゃんと説明してください。

中曽根国務大臣 今も申し上げたんですが、在日米軍再編をしっかりやりましょうということでございまして、実施していくということで一致したわけでありまして、それは海兵隊のグアム移転を含むわけでありまして、そういう意味でクリントン国務長官と一致したということでございます。

平岡委員 では、これは鉢呂委員に対する答弁を訂正してくださいよ。ここでは、「協定を署名しなければというお話があったわけでありまして、」と言っているんですよ、答弁の中で。それを否定するんですか。今の答弁の中に全然入っていなかったじゃないですか。何をしているんですか。ちょっともう一遍答えてください。協定の署名、協定の締結についてどういうやりとりがあったのか、これを明らかにしてください。

中曽根国務大臣 グアム移転を含む再編ということで、これをやりましょうということで、これは当然署名をするということで協定がなされるわけでありますから、そういう意味で私は発言をしたつもりでございます。

平岡委員 何か、隠そう隠そうとしているのがすごくよく見えますね。

 私も、外務省のいろいろなプレスリリースとか記者会見録とか、いろいろ調べてみましたけれども、一月の二十七日になって初めて協定を締結するということが外務省から外に、対外的に発表されているんですよね。

 つまり、私が想像するには、二十三日の電話会談のときにクリントンさんから、とにかく、アメリカの議会対策が大変だから、協定にして日本が約束してくれ、そうしていないと困るからというような要請があって、それを中曽根外務大臣が受けて、そして、一月二十七日に協定を結ぶことにしようということを発表したというような流れじゃないかというふうに私は思うんですよ。大臣、そうじゃないですか。

中曽根国務大臣 協定については、一月の二十三日の電話で、そこで初めて、今度行ったときに署名しましょうということになったのではなくて、それまでのいろいろな経緯があって、そして、就任後初めて来日をされるということですから、グアム移転を含む米軍再編の協定をやるということに、私どもとしては、その機会をとらえてやろうということになったわけでございます。

平岡委員 ちょっと時間がないので、私の問題意識を理解していただいた上で、次の質問に行きたいと思います。

 今回の協定については、アメリカでは議会承認が必要ないんだ、それはアメリカの国内での手続でそうだという説明がありましたけれども、なぜアメリカではこの協定については議会承認が必要ないんですか。たしか私の記憶では、思いやり予算に関する特別協定についての議会承認は行われていませんけれども、アメリカにおける議会承認の基準というのはどういうものだというふうに日本の外務省としては理解していますか。

西村大臣政務官 平岡委員よく御存じだと思いますけれども、それぞれの国でそれぞれの制度がありまして、米国が本協定を議会で承認条約とするか行政協定とするかは、行政府と立法府との関係を踏まえて米国自身が決定すべき事項でありますので、米国の政府内で検討した結果、本協定を議会の承認を必要としない行政協定として締結することにしたというふうに承知をしております。(平岡委員「私はそんなこと聞いていないですよ」と呼ぶ)

河野委員長 外務省の認識を、外務省はどういうものが議会の対象になるかという認識を述べてください。

鶴岡政府参考人 米国の制度上、どのような内容を持つ国際約束が米国連邦議会の承認の対象となるのか、あるいは承認以外の形をとって米国議会の関与の対象となるのかといったことにつきましては、日本国政府として公の見解を述べる立場にはございません。

 私どもが承知しておりますのは米国政府が公表している情報に限られますので、その範囲で整理して、御説明することがあれば申し上げたいと思います。

平岡委員 それは怠慢ですよ。これは、松原委員もアメリカの議会の承認を求めるように政府間で要請したのかというような質問をされていましたけれども、私は少なくとも、日本はこれは国内でちゃんと国会承認を得なければならない協定である、アメリカの方もこれはぜひ議会の方に承認を求めてほしい、そういうようなことをやはりやるべきで、なぜできないのか、そのことについても、できない理由をちゃんと明らかにしなければ、私は日本国政府としての役割は果たせていないと思いますよ。

 それでは伺いますけれども、今回の協定について言えば、アメリカ側も義務を課されている、いろいろな勘定の管理とかなんとかというふうに言われていますけれども、肝心なところの、これも赤嶺委員が質問していましたけれども、協定の中にロードマップで示された米国側の財政負担、真水が三十一・八億ドル、真水か融資かわかりませんけれども十億ドル、こういう金額が規定されていないのはなぜなんですか。規定してくれるなというふうにアメリカから要請があったんですか。どうですか。

中曽根国務大臣 米側の財政負担につきましては、この協定の前文におきまして、米国がグアムへの移転のための施設そして基盤の整備に係る費用の残額、すなわち、合衆国の二〇〇八会計年度ドルで算定して三十一・八億ドルの財政支出に道路の整備のための約十億ドルを加えた額を拠出することがロードマップに記載をされていることを日米両政府として再確認をしているところでございます。

 また、第二条におきまして、米国政府は、第九条2の規定に従いまして、グアムにおける施設そして基盤を整備する同政府の事業への資金の拠出を含む移転のために必要な措置をとる、そういうふうに二条によりまして明記をされているわけでありまして、米国側が所要の財政負担を行うということは明らかになっているわけであります。

 日米間の協議を通じまして、米側はグアムへの移転のための施設そして基盤の整備に係る費用の残額を負担するということになっておりますところから、あえて第二条に米側の財政負担の具体的金額を規定しなかったところでございます。

平岡委員 残額というと、この協定に示されている金額、アメリカ側はこれだけのものを財政負担しますよということは、ここまではいかない可能性だって十分にあるわけですよね。その場合に日本側の負担がどうなるのかということは何も書いていませんよね、この協定には。総枠はこうだということでロードマップで合意し、そして、日本側はこれだけ負担する、アメリカがこれだけ負担するというのはパッケージで合意されているんじゃないですか。

 その中で、日本側だけがこれだけのことは負担しますよということを規定する、こんな協定、片務条約ですよ。こんな不平等な条約はないですよ。あり得ない、こんなの。(発言する者あり)いや、そんなので自民党の人たちはいいんですか。アメリカとの関係で、日本だけが一方的に義務を押しつけられて、アメリカは自由だ、出すか出さないかというのは。ロードマップに記載されているような金額を負担しないという事態が出てくる。そうしたら、日本側とアメリカ側の負担の割合が変わってくるじゃないですか。

 そういうことになるというのは、私は、協定としてはおかしいですよ。協定というのは、それぞれが約束するんですよ。それぞれが約束するからこそ、私は、協定が成り立つ。この協定は、私の推測で言えば、アメリカ議会の承認を得ないで済むようにするために、あえてアメリカ側の金額を規定しなかった、そう考えざるを得ませんよ。どうですか、外務大臣。

西村大臣政務官 私からお答えをさせていただきます。

 この協定上、日本政府が真水の事業のために提供する資金の上限を二十八億ドルというものを決めているわけでありまして、それ以上の財政負担を日本側が負うわけではありません。アメリカ側は必要な経費を負うということになっておりますので、それ以外の必要な経費をアメリカ側が負担するとなっておりますので、その点、御理解をいただければと思います。

平岡委員 外務大臣政務官、私が質問していることをちゃんと聞いてから答えなさいよ。そんなことは前提で言っているんですよ。

 では、アメリカが、ロードマップに記載されているような金額よりも大分少なくて済むような、そういう全体の計画に変えてきたときに、この二十八億ドルをどうするかというのはこの協定の中にどこかであるんですか、外務大臣。

西村大臣政務官 ぜひ協定をよくお読みいただければと思いますけれども、これは上限を定めておりますので、我々も、コストが低くできるのであれば、これはできるだけコスト削減を求めていきたいというふうに思います。

平岡委員 この協定について言えば、アメリカ側がどういう財政負担をするかということについて、ロードマップの話は前文には書いてありますよ、だけれども、義務的なものとしては何も書かれていないんですよ。私は、こういう条約は、やはり非常にアメリカ側にとって都合のいい条約の中身になっているというふうに言わざるを得ませんよね。

 そこで、私の疑問に答えていただくために、先ほど言いました、アメリカで議会承認を必要とするものとしないものとのアメリカ側の基準というものを、外務省の見解として、政府の見解として、アメリカ側はこういう基準というふうに聞いているということで示していただきたい。よろしいですか。

鶴岡政府参考人 アメリカの制度の中で、連邦議会との関係で、どのような国際約束をアメリカの行政府が連邦議会の関与を認める、あるいは制度的に連邦議会に関与させるかという進め方をしているかという点につきましては、日本政府がこの見解を申し述べることは必ずしも適当でないと思います。アメリカ政府の、アメリカの制度について、日本政府が解説をするということは、私はできないと思います……(平岡委員「それは、アメリカ政府から聞いてから、それを伝えてくれと言っている」と呼ぶ)アメリカ政府に聞くと申し上げましても、我々が今承知しているところで申し上げれば、公表された資料の中での私どもの承知しているところでございますけれども、アメリカ合衆国憲法の第二条に規定がございまして、大統領は、上院の助言により、その同意を得て条約を締結する権限を有するとされております。御承知のとおりであります。この場合には、上院の出席議員の三分の二の賛同が必要であると規定されておりまして、この国際約束は、トリーティーズという言葉が用いられております。

平岡委員 私は、そんな解説を聞いているんじゃないんですよ。外務大臣に聞いているんですよ。日本政府がアメリカの政府に対して、どういう場合は議会承認が必要で、どういう場合は必要ないかという基準を聞いて、ちゃんと我々に示してくれということを言っているんです。外務大臣、やってくださいよ。

中曽根国務大臣 米国に限らず、よその国の立法府と行政府の関係というのはいろいろあろうかと思います。そういう中で、我が国が、貴国のそういう承認というのはどういうふうな形でどうでというのを聞くというのは、それが公表されているものならば細かくそれはそれで承知することができますが、一々こちらから聞くということは、やはり、行政府とそれから立法府の関係、それから案件によるわけでありまして、今政府参考人から答弁いたしましたけれども、私は、適当ではない、そういうふうに思っています。

平岡委員 この問題は、今、協定を現にここで、委員会で審議しているんですよ。国会承認を求めてやっているんですよ。そういう状況の中で、アメリカがなぜ議会承認ができないのか、議会承認をする基準は何なのかということが、一切我々に知らせることはできません、こういうような対応というのはおかしいんじゃないですか。

 委員長、どうですか。委員長、どう思われますか。

河野委員長 外務省が怠慢だと思う方はいらっしゃるかもしれませんが、それが外務省の見解ですから、質問を続けてください。

平岡委員 私は、ちょっと河野委員長にも期待はしたんですけれども、そういう対応でこの委員会でこの採決に臨むというのはやはりおかしいんじゃないかと思いますけれども、中立公平な議事運営を進めておられる河野委員長でありますから、私は、外務省に対して政府見解を示すように求めておきたい、このことについては理事会で協議していただきたい。お願いできますか、委員長。

河野委員長 理事会で協議いたします。

平岡委員 そこで、何か前向きな答弁でもあるんですか、手を挙げたから。前向きな答弁であるなら聞きますけれども、ないんだったら、次へ移ります。

中曽根国務大臣 今の件ですが、局長が、参考人が答弁の途中でございましたので、私はその後が大事だなと思っておりましたところ、もういいとおっしゃったものですから、答弁の途中で……(平岡委員「大事な答弁は大臣がするんですよ」と呼ぶ)手続的なことですから、これはそういうことで参考人が答弁をさせていただいていたわけでありまして、もしお許しいただけるならば、その続きもお聞きいただければ、そういうふうに思います。

平岡委員 私は、政府参考人の答弁をもともと予定していないというふうに言っていますから、大臣、そんなに大事なことなら自分の口でちゃんと答弁してくださいよ。大事なことは大臣が答えるんですよ。昔、大事なことですから政府委員に答弁させますというような政治家もおりましたけれども、まさか中曽根大勲位の息子さんが、そんな政治家じゃないでしょう。

中曽根国務大臣 事実関係ですから、お許しがいただけて、必要ならば、参考人に答弁いたさせますと申し上げているのでございます。

平岡委員 私は、事実関係を聞いているんじゃないんですよ。だから、ちゃんとアメリカ政府に聞いて、こっち側に答えてくれますかということを聞いているんだから、事実関係の話じゃないので、事実関係はもう要らないです。そんなことは聞かなくてもわかっていますよ。

 そこで、この協定の中身について言えば、日本の国会が承認する国際取り決めというのはどんなものですかというのがありましたよね。これは、もう時間がないから、財政条項を含んでいる、多年度にわたる財政支出がある、こういうものについては国会承認だというような答弁がありました。しかし、では、この財政条項ということについて言えば、果たしてすべてのものをこの条約は含んでいるんですかという問題がありますね。これは同僚の松原委員も質問しておりました。

 日本側が負担するものとしては、いわゆる真水というふうに皆さんが呼んでおられるもののほかにも、出資、融資等の部分というのがありますよね。これについては、実は米軍再編円滑化特別措置法の中で手当てされていまして、この出資、融資、融資の中でも無利子融資のものについては、政府が拠出をすることになっているんですよ。

 政府が拠出するということは、いわば真水ですよ。その部分について、この協定でなぜ規定されていないのか。この協定に規定されていないのは、政府の基準からいったらおかしいんじゃないですか。

西村大臣政務官 私からお答えをさせていただきます。

 御指摘の出資、融資の事業ですけれども、いわゆる民活事業にかかわる事項でありますけれども、民活の事業の具体的なあり方は、現在アメリカと協議を行っているところでありまして、現段階では本協定の対象になっていないということであります。

平岡委員 これまでの説明は、ロードマップに記載されていることの中で、協定にすべきことをこの協定にしたということであるわけでしょう。では、具体的な協議って何ですか。具体的協議は終わっていない。では、何ですか、何が終わっていないんですか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 海兵隊のグアム移転事業につきましては、ロードマップ以降、その具体的な進め方について米側と協議をしてまいりました。そして、特にその真水部分について、いろいろなやり方について熟度が増して、そこについて具体的な権利義務を設定することができるようなところまで案件が煮詰まったということで、今回、その真水部分について協定をするということでございます。

 その出資、融資の、いわゆる民活事業の部分については、現在もなお、まだ具体的なあり方について協議を行っているところでございまして、権利義務を設定するのか否か、そういうところをまだ具体的に確定する段階には至っていない、こういうことでございます。

平岡委員 それでは、この二十五・五億ドルとかと言われているような部分についても、これから協定化されて、この国会で承認をされるということになるという理解でいいんですね。

梅本政府参考人 今申し上げましたように、この出資、融資の部分、民活部分についての具体的な仕組み等について協議をしております。その協議の結果、こういうもので進めることが適切だというものが出た段階で、それをどういう形でどういうふうに進めるかということについても、適切に判断をするということでございます。

平岡委員 これは八日の松原委員に対する防衛省の高見澤局長の答弁ですけれども、この融資の部分についても、ロードマップの考え方に従ってやりますので、この二十五・五億ドルの範囲内でやっていくということでございますと。もう既に、そういうことでやっていくと言って、二十五・五億のその限度額を規定すること自体は、もう決まっているわけですね。それにもかかわらず、この協定で何も触れられていないというのは、私は、この協定は非常に一方的な協定だというふうに思いますね。

 なぜ、この部分だけ先にこういうことをしなければならなかったのか。まさに、アメリカ側から議会対策として要請されて、そして、アメリカの議会との関係で、議会承認を必要としないものにまでこの協定をねじ曲げてこういうふうに出してきた、そうとしか言えませんね。こんな不平等協定、私は、中身も含めて、普天間基地の移設の問題も含めて、こんな協定、とても、この独立国家日本として認めるわけにはいかない、そう思います。

 大臣、いかがですか。

中曽根国務大臣 この協定は、二〇一四年までに海兵隊の移転を進めるということで、それについての事柄を決めた協定でございまして、それ以外の部分につきましては、先ほども御答弁、参考人からいたしましたけれども、民活事業等につきましては、今後、米側と協議を行っていくということでございます。

平岡委員 まだこれは審議が足りないですね。こんなところで採決したら、やはりおかしいですよ。

 以上申し上げまして、質問を終わります。

河野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

河野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官山本条太君、法務省大臣官房審議官高宅茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河野委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安次富修君。

安次富委員 河野委員長を初め、委員の皆様に、再びこの外務委員会で質問の機会を与えていただきましたことを、心から感謝を申し上げます。

 そして、この外務委員会で沖縄問題を、皆さんがそれぞれの立場から、それぞれの角度から議論を深めていただいておりますことに、沖縄県民の一人として深く感謝を申し上げます。きょうはまた、麻生総理が答弁席に立っていただくということで、特別の思いで質問をさせていただきます。

 先月、米国のクリントン国務長官が来日し、海兵隊のグアム移転協定にサインしたのは、二〇〇六年五月、当時外務大臣でありました麻生総理らが、アメリカ側と米軍再編の具体的な中身とスケジュールを定めたロードマップに合意したことを受けて、その実行にサインしたものであり、これによって海兵隊を大幅に移転させる事業が、沖縄の負担の軽減に向けて、確実に一歩前へと進むことになるわけであります。外務大臣当時から今日までの麻生総理の御尽力に感謝を申し上げます。

 それでは、質問をさせていただきます。

 在沖海兵隊グアム移転事業でございますが、私は、先日もこの外務委員会でお話をさせていただきましたけれども、私は宜野湾市普天間の出身であります。普天間で生まれて、普天間で育ち、今も普天間基地のすぐそばに在住をしております。それこそ、先日も申し上げましたが、普天間幼稚園、普天間小学校、普天間中学校、普天間高校と、ずっと五十三年間、ヘリコプターの音を聞き続けながら、この日をまさに待ち望んでいた。普天間を大きく動かすときが来たと思っております。

 平成十六年には、不幸にも沖縄国際大学の校舎に、普天間基地のヘリコプターが墜落をいたしました。私の宜野湾区自治会十二班、沖縄国際大学もそうでありますけれども、私のすぐ近所であります。墜落した当時すぐ駆けつけまして、あの黒煙が上がっている中を、私も一緒になって、消防隊、そしてその付近の住民たちと不安を募らせながら見守っていたわけであります。

 その後、私の十二班は、たくさんの校舎の破片、ヘリコプターの破片が飛び散りましたので、自治会長さん、そして班長さんと私、一緒になりまして、その被害状況をつぶさに調査をし、そして、那覇防衛施設局が、沖縄国際大学のすぐそばに現地事務所をつくっていただいて、その被害補償、その後の対応をしてきたわけであります。二度とあのような事故を起こしてはいけないという思いで、今日もこの質問台に立たせていただいております。

 私は、宜野湾市民の一人として、この普天間基地を必ず宜野湾市のど真ん中から取って、どけます。そして、一センチでも十センチでも危険から遠ざけていく。

 普天間第二小学校というのがあります。普天間基地のすぐそばにあって、これもまた世界で一番危険な小学校だと言われております。二十年前になりますけれども、当時、私は宜野湾市の市会議員をやっていて、この普天間第二小学校が当時老朽化が激しかったものですから、現地で改築するか、それとも、フェンス沿いですから、移転させるかという話がありました。

 大体三百メートルそのフェンスから遠ざけて、キャンプ瑞慶覧の中に、一部返還させて、そこに普天間第二小学校を少しでも普天間基地のフェンスから遠ざけようということで、移転の構想が持ち上がったわけでありますけれども、当時の革新市長は、第二小学校が出ていく、そういうあれはない、基地こそ出ていけと言ったんですね。基地こそ出ていくべきだと。ところが、当時自民党系の私たち市会議員は、いや、現実を考えた場合、少しでも危険から遠ざけるべきじゃないかということで、移転を提言したわけでありますけれども、とうとう現地での第二小学校の全面改築ということになりました。それが現実的に今も続いているわけであります。基地は出ていかなかった。現実として、今、普天間第二小学校も危険にさらされているということであります。

 ですから、私は、宜野湾市民の一人として、とにかく市街地のど真ん中にある普天間基地が、一メートルでも十メートルでも百メートルでも動かせるということであれば、それにこしたことはないと思っているんです。

 名護市民の皆さん、そして北部の皆様には、大変苦渋の選択をしていただいて申しわけない気持ちでありますけれども、幸いにして名護市長も北部の市町村長も受け入れを表明して、先日、普天間移設協議会も終わったところであります。

 さらに普天間移設協議会は継続をされていきますけれども、私は、移設されることよりも、まず六十四年間動かなかった普天間基地を動かしていく、そして返還させていくということに歴史的な大きな意義があると思っております。あと五十年も百年も他国の軍隊がいるということ自体、私はおかしいと思っております。自分の国は、自分で守る。

 幸いにして日米両政府が普天間の返還を合意したのであれば、この機会に普天間を返還させて、そして海兵隊をグアムに移転させるということを着実に実施していただきたいと思いますけれども、麻生総理の、外務大臣当時からかかわっていただいたその経過と御決意を聞かせてください。

麻生内閣総理大臣 今、安次富委員に言われましたように、これはもう長い長い、それこそさきの大戦にさかのぼっての話になりますので、いろいろ、安次富さんのおやじさんの代からの話ですから、特に宜野湾で育たれたとした場合は、いろいろ思いも、感情も、我々のとは大分違った感情をお持ちなんだということも、よくわかるところです。

 しかし、いずれにしても、ここにヘリコプター基地、いわゆる飛行場があるということが、行ってみたら、よく御存じのようにかなり人口密集地になってきておりますので、そういう状況の中ですから、これはしかるべきところに移転をさせないといかぬという話は大分前に持ち上がって、もう二十年以上前になると思いますが、普天間飛行場の移設とか、またそれに伴う返還とかいうのは、あの辺の地域の住民、市民に限らず、沖縄県民にとりましても、負担を軽減させるという意味では、これはぜひ実現しなければならぬ、実現させなければならない種類の問題だと考えております。

 したがって、先般も、今御指摘のありました普天間移設協議会というのを開催したところでもあります。

 政府として、今後とも、これはいろいろまだ地元の声というのが、名護には名護なりの意見があるんですが、そういった御意見に耳を傾けつつ、これは日米合意をいたしておりますので、その合意に従いながら、普天間飛行場の移設、返還というものを着実に進めてまいりたいと考えております。

安次富委員 これは、単に沖縄の問題だけじゃないですね。沖縄の基地問題というのは、極めて日本全体の問題であり、また、アジア全体の平和と安全保障に深くかかわる問題であります。ですから、やはり高度な政治判断、そしてその覚悟を決めた政治行動が必要になってくると私は思っております。

 もちろん、沖縄県民の思いというものを深く理解していただいた上でこれは進めなければならないと思っておりますが、今後とも、仲井眞沖縄県知事を初めとする、そして移設先である北部の皆さんの声、そして返還される宜野湾市民の声というものもぜひとも酌み取っていただいて、この間、中曽根外務大臣にも提言をいたしましたけれども、日米ありきではなくして、日、米、沖縄、必ずこの日、米、沖縄が三者一体となって、お互いが納得する上で、そして返還されてよかったと、この普天間飛行場には権利者がいるわけですから。

 そして、基地にかかわる、基地の従業員も、そして基地関連の収入も、今、沖縄の経済は三Kといいまして、公共事業と観光と、そして基地収入だと言われております。ですから、一方では、いつまでも基地経済に頼っているのはいびつな経済構造だと言われております。これを脱却する最大のチャンスがめぐってきたと私は思っております。一時的には経済的な損失は大きいと思いますけれども、しかし、これを乗り越えたときに、新しい沖縄がつくり出せるのではないかなと私は思っております。

 基地の中には、かつての我々の先祖である琉球の人たち、そして我々のじいちゃん、ばあちゃん、ひいじいちゃん、ばあちゃんたちが暮らしていた土地なんです。そこに血も汗も涙もあるんです。ですから、私たちは六十四年間苦しめられてきたけれども、これ以上私たちの子供や私たちの孫の代にまでそれを押しつけることはできないということで、返還できる部分があるんだったら返還をしていこう、ダイナミックに返還をさせてほしい。そして、先祖の土地に帰って、あの琉球の文化を復元させて、そして新しい沖縄をつくっていこうという、私は、日米両政府もそうですが、沖縄県民も新たな決意、新たな覚悟が必要だと思っております。

 沖縄問題に取り組む総理というのは、必ず歴史的な足跡を残すと私は思っております。佐藤総理もそうでありました。そして橋本・クリントン会談を行った橋本総理もそうでありました。ぜひ麻生総理の強いリーダーシップのもとに、この歴史的な事業、歴史的に意義のある、しかもそれはアジアの平和と安定に欠かせない、そういう信念を持ってこの事業を推進していただきたいと私は思っておりますけれども、この宜野湾市民の思い、名護や北部の思い、そして沖縄県民の思いをどう思われるのか、聞かせてください。

麻生内閣総理大臣 これは、安次富先生、長い長い歴史と、今六十四年間と言われましたけれども、そういった歴史の後、しかも敗戦の後の話ですから、その間、返還された時期もずれておりますので、いろいろな意味で沖縄の県民に対してはいろいろな思いがおありなんだということも、我々内地におります側から見ましても、ヤマトンチュから見ましても、いろいろな話は、感情論としては十分にあるというのは、私たちも、ここにおります国会議員の多くの方々は多分それをよく認識しておられるんだ、私自身はそう思っております。

 いずれにしても、今後、普天間の返還、移設に伴いまして、これが順調に進みますと、南部沖縄のかなりな部分が返還をされるという新しい事態が進む。そして、それに伴って、在沖縄米軍、軍人軍属含めて約一万七、八千人の人がそこから離れていかれる、移転されるということは、これは先ほど御指摘になった点に関しましても、一つの大きな一歩が進むということになっていくんだと思います。

 また、移る、辺野古というか、名護の方につきましては、これまた別の話がそこで起きてくるということも、十分に名護の方々と話し合った上で、いかにやっていくかということは、我々としては、沖縄県民の負担を減らすと同時に、日米の抑止力というものの維持をきちっと図りながらやっていくというところが、今、これから最も難しいところなんだと思います。

 いずれにいたしましても、手間暇、いろいろな時間、感情論、いろいろなものがここに重なってくると思いますが、そういったものを惜しまず、きちんと対応していかねばならぬと思っております。

安次富委員 こういうグアム移転事業の協議や議論がなされている中で、先日、那覇市の松山交差点で米兵によるひき逃げ事件が起こりました。沖縄の若者男女三人が重傷を負った事件でありまして、米兵が容疑を認めているということであります。まさにこれもあってはならない事件であります。

 せっかく日米安保を認め、その中で負担の軽減をしていこう、そしてしっかりとした安全保障体制をつくっていこうという中で、私はいつも思うんですけれども、米兵が我々の足を引っ張っているのではないのか、米兵が一番日米安保に反対しているのではないのかなと思うぐらい、事件、事故を起こしているわけであります。

 断固たる、毅然たる態度を日本政府は示していかなければならないと思っておりますし、だからこそ、海兵隊はもう出ていってグアムに移転しろ、八千人や九千人、五千人、三千人と言われておりますけれども、こういう米兵がいる限り、一人でも二人でもいい、もうグアムに行け、グアムに移ってくれ、こういう事件を起こされたんじゃたまったものじゃないということで、一日も早く海兵隊のグアム移転事業、そしてこのようなひき逃げ事件が起こらないような措置、そして毅然たる態度を示していただきたいんですが、この事件についてのコメントをお願いいたします。

麻生内閣総理大臣 これは去る四月の四日午前六時ごろに起きた事件だということを承知しておりますが、現在、沖縄県警が米側と協力をしながら、被疑者に対する任意の事情聴取などを行う等、所要の捜査というものを行っていると承知をいたしております。

 また、アメリカ側に対しましても、日本側当局による捜査への協力というものを要請するとともに、米軍関係者が運転したというのであれば遺憾である旨改めて申し入れをしたところでありますが、ちょっとまだ捜査の継続中でありますので、これ以上、今私が知っているコメントがあるわけではございません。

安次富委員 しかし、沖縄タイムスのきょうの新聞によると、きのうの外務委員会で中曽根外務大臣は重大事件だと認識しているということで答弁をなさっておられますけれども、中曽根外務大臣は担当でありますから、事件に対してやはり麻生総理の指令のもとにしっかりとした対応をやっていただいて、そして沖縄県民に本当に納得のいくような対応や説明をしていただきたいと思いますけれども、どう思われますか。

中曽根国務大臣 まず、こういう事件があったことは本当に残念なことだと思います。

 長い歴史の中で、そういう沖縄の県民の皆さんが被害に遭ったりすることがたびたびありました。今回の事件につきましては、まだ捜査中ということで、最終的な結論は出ていないのではないかと私は思っておりますけれども、沖縄の御負担を軽減するという広い意味におきましては、騒音、こういうものを軽減する、あるいは事件、事故を少なくする、いろいろあろうかと思います。その中でも、人的な被害というものは、これが一番悲惨なものでありますし、今後もそういうことがないように、総理の御指導をいただきながらやっていきたいと思います。

 なお、先日、ウィラード太平洋艦隊司令官が私のところにお見えになりましたときにも、横須賀を初めとして、沖縄、また日本各地で海軍が活動しているわけでありますが、規律を守る、そして事故のないようにお願いしたいということを私からお話をさせていただいたところでございます。

安次富委員 今後とも、事件には即対応していく、素早く対応していく、そして外務省沖縄事務所も設置しているわけですから、外務省沖縄事務所にも鋭く指示をして、そして事件の対応というものをやっていただきますことを強く要望いたします。

 それから、次の、嘉手納以南の返還に係る跡地開発についてお聞きをいたします。

 いよいよ海兵隊がロードマップに従ってグアムに移転する。そして、嘉手納以南は、普天間飛行場やキャンプ瑞慶覧、キャンプ・キンザー等々、大規模な返還がなされていくわけでありますけれども、これは地権者が好き勝手に基地を提供したわけではなくて、基地として接収されて、自分の土地にも帰れない状態が六十四年間も続いているということでありますので、政府の責任によって、しっかりと返還に向けた作業、そして、跡地開発というものを国の責任でもって、県そして関係市町村と一緒になりながらやっていくという国の指導性と責任が私は強く求められていると思っておりますけれども、嘉手納以南の返還に係る跡地開発について御答弁を願います。

麻生内閣総理大臣 嘉手納以南の土地の返還に伴いますいわゆる跡地利用につきましては、沖縄振興の観点から、いろいろ何が最も適しているかということに関しては、政府だけに意見を言わしちゃだめです。自分たちで何がいいかということもお考えにならぬと、政府が考えた案が果たしてそれが適切かどうかは甚だ不明だ、私はそう思っています。

 したがって、沖縄の方々がどういうつもりでやろうとしておられるのか、また、その土地を持っておられる方と沖縄県とまた意見が違うかもしらぬ。そういったところはよくよく調整をされないと、政府で何とかしなさいといってやったら、そんなもの頼んでおらぬとか、話が込み入る話はよくある話ですから、そこの話は、安次富さん、地元代表の国会議員とするなら、そこのところはきちんとやらぬといかぬですよ。ここのところは、最初にその点だけはきちんとされておいた方がいいということを申し上げておきます。

 また、米軍施設の区域の返還というものに関しては、これは今でも遺棄不発弾とかいろいろな話がまだ残っているわけですから、そういった意味では、土壌汚染をやらねばならぬとか、そういういろいろな原状回復、そういったようなものに関しての配慮というのが、これは土地所有者、もともとの所有者に対して引き渡されるときに、返還されるときの対応として、そういったところは政府としていろいろなさねばならぬところは多々あろうと思いますが、そのされた後どうするかということに関しましては、先ほど申し上げたとおりの点はぜひ頭に入れておいていただきたいと存じます。

安次富委員 今総理が言われたことは当然なんです。沖縄が主体性を持ってやらなければならない、これは当然なんです。だからこそ、我々は覚悟を決めて新しい歴史の一ページを、県民は前に一歩踏み出していこうという覚悟を決めなければならないということを私は申し上げているのであって、しかし、六十四年間、国が基地を米軍に提供してきた、この責任はあるわけですよ。

 ですから、私は、国が責任を持って沖縄から上げてくる、そして、返還された後もしっかりとケアしていかないと、沖縄県だけですべてをやりなさいといっても、財源の問題とか、それからいろいろと沖縄県側から要望や要請等々が出てくることは必至であります。

 ですから、そこのところは、もう返されたから民間ですよということではなくして、しっかりとこれは、その後も、立つ鳥跡を濁さずということでございますから、国は責任を持って沖縄振興開発に今後とも、跡地開発は沖縄振興開発にかかわる部分ですから、沖縄振興開発をしっかりとやっていくということが国の責任であるということを強く言わさせていただきたいと思っております。

 そして、今、キャンプ瑞慶覧の中で米軍住宅の取り壊し作業が既にもう始まっておりますけれども、その中から危険物でありますアスベストが出てきたということであります。この件について、政府はどの程度把握をなされ、どう対応していくのかをお聞かせください。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘のキャンプ瑞慶覧におきますアスベストの問題につきまして、現在、事実関係を把握しておるところでございます。また、米軍に対しましても調査を行うように申し入れておりまして、私ども防衛省といたしましても、適切に対応できますよう最大限努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。

安次富委員 県も調査しているようでございますから、ぜひ、県としっかりと連携をとって、県民や周辺住民にいささかも不安を与えないように、政府も一緒になって対応していただきますことをお願い申し上げます。

 次に、せっかくの機会でございますので、不発弾について総理の御意見を賜りたいと思っております。

 これは知事も要請をいたしましたし、私ども沖縄選出の国会議員も要請をいたしまして、去った一月十四日に、糸満市で不発弾の爆発によって沖縄の若者が重傷を負ったという事件であります。

 あのときも、私は、総理官邸で直接総理に申し上げました、爆弾は生きているんだと。あの六十四年前、六十五年前に投下された爆弾が、そのおじいさんやおばあさん、そのお父さん、お母さんも被害はなかったのに、この二十一歳という若者が工事中に不発弾に当たって、顔がもう本当に、失明をするほど重傷を負ったということからすると、沖縄はまだ戦争状態が続いているんじゃないか。

 沖縄の戦後処理は、基地問題、そして不発弾の処理とかいろいろまだまだ残っている。この沖縄の戦後処理をしっかりと解決していかない限り、沖縄は新たな一歩が踏み出せないということで、不発弾等に対する新たな安全対策等もやっていただきましたけれども、私は、麻生総理としても、これからも、あと七十年も八十年も不発弾は残っているという中で、住民はおびえながら生活をしていかないとということになるとたまったものじゃないということでありますから、爆弾は生きているんだ、いつ爆発するかわからないんだということの認識のもとに、総理のその対応策、解決策についてお聞かせください。

麻生内閣総理大臣 過日、沖縄に、女性局それから青年局の大会のときに、この近くに住んでおられましたので、自宅に寄らせていただきました。その後、帰りまして、いろいろ対応を仲井眞知事等々と話をさせていただきましたが、この遺棄弾というか不発弾の処理というのは東京でも時々今ある話です。しかし、絶対量が明らかに沖縄の方は多い。かなりな部分の除去は終わっておりますが、山間部にかなりな部分がまだ残っておるという比率が高い。

 したがって、工事をする前にはあらかじめ調査をする、金がかかるからというので地雷の探査をやるという手間を省く、そういったようなことが結果として事故につながる確率を高めるので、そういうようなものの対応をするための基金をつくるという話を、今、仲井眞知事とさせていただいて、ほぼその方向で話を固めつつあるところであります。

 現実問題として、あらかじめきちんとやっておきさえすれば、安心して工事が、ブルが、ショベルローダーが、そういったものが使えるんだと思いますけれども、それがないと不安もありますし、事実、事故もということになりますので、そういう点を十分に踏まえて今後対応していかねばならぬと思っております。

安次富委員 ぜひ、不発弾に対しても、沖縄に深くまたかかわりを持っていただきますようお願いを申し上げます。

 そして、六月二十三日の沖縄戦没者慰霊祭におきましては、ぜひ、麻生総理の御参列、御出席をお願いいたします。

 最後に、今日まで六十四年間、どんなに基地の前で、普天間飛行場の基地の前で、即時撤去、即時返還、即時閉鎖と叫び続けても、こぶしを上げてシュプレヒコールを上げても、基地は動かなかったんです。現実的に言うと、今度、このグアム移転事業によって宜野湾市のど真ん中から危険がまさに移されるということに私は大きな意義があると思っておりますし、海兵隊もグアムに移転されるということに大きな意義があると思っておりますので、どうか、与党、野党含めて、その沖縄県民の思いを現実のものとして受け入れて、そして、もしこれが白紙に戻るようだったら、また五十年も百年も私たちは基地問題に悩まされないといけないのかなという思いを強くしておりますので、この議案を速やかに成立させていただきますようお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

河野委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 グアム移転協定にかかわり質問させていただきたいと思いますが、国益以上に、本当に地域の住民、国民の生活にとっては大きくかかわるこの協定の審議、この時点でありますが、総理に御出席をいただいたことに感謝を申し上げ、ぜひいろいろと地元の声を受けた議論をしていただきたいと思います。

 午前中十分に確認できなかったことをまず確認したいと思います。

 今回の協定は、日本においては、日本の国会において採決、議会の承認を得るということになっている。しかしながら、アメリカではそうなっていない。この基準はどういうふうになっているか、日本の政府としてどういうふうに理解をしているかということの御答弁をお願いいたします。

鶴岡政府参考人 午前中の御質問に対しまして、米国憲法上の制度について御説明をまず申し上げた上で、その後の御答弁申し上げようと思っていた点につきまして、改めてここで申し上げます。

 米国憲法上は、憲法の第二条におきまして、上院の承認を得て締結するいわゆるトリーティーズ、英語では、条約、トリーティーズというものが特記されておりますが、この手続を要せずに、行政府限りで締結されるエグゼクティブアグリーメント、いわゆる行政取り決めの二種類が存在しているというふうに承知をしております。

 他方、委員会における御質問を受けまして、現時点におきます米国の連邦政府における国際約束に関する議会承認を必要とする条約についての基準につきましては、正式に米国政府が説明をすることが最も有権的なものでございますので、米国政府に照会をいたしたいというふうに思っておりました。

 先ほどそれは申し上げられなかったところでございますので、午前中の審議も踏まえまして、米国において国際約束を議会承認条約とする基準につきましては、既に在京米国大使館に現時点において照会を行っているところでございます。米側から回答があり次第、その結果につきましてはしかるべく御報告申し上げさせていただきたいと思います。

近藤(昭)委員 これから米国に照会をする。答える立場にないということは一定の理解は示すんですが、しかし、中身について全く承知をしていなくて、これから問い合わせるところであるというのは、この協定を議論する場にいる者にとって、一体何なのかなというふうに思うわけであります。

 この後、ちょっとまたそのことについて総理にもお答えをいただきたいと思いますが、全く、この協定、どうして協定を結ぶ、協定を条約化することになったのか、そして、その過程で、アメリカ側と日本側の取り扱いというか、承認を得る得ないということの扱いがなぜかくも違うのかということは、何回も何回もこの委員会で質問がされてきたわけであります。しかしながら、やっと出た答えが、正式に出た答えが、これから聞くということでは、一体日本の政府は何をやっているのかなと思うわけであります。

 それで、総理、先ほども申し上げましたように、ぜひ国民の声を聞いていただきたい。その場である委員会にお出かけをいただいた、感謝を申し上げますとともに、いろいろと質問をさせていただきますので、御答弁をいただきたいと思うんです。

 さきに外務大臣にも質問をさせていただきました。米本国において海軍及び海兵隊の航空基地を対象に適用される航空施設整合利用ゾーンプログラム、こういうのがあります。これによると、軍事飛行場の運用では、利用禁止区域と事故危険区域の設定がある。そして、中身は、滑走路の端から四千五百メートルは、住宅、学校、病院、集会場等の建設を禁止している。

 しかし、普天間基地の現状を見ると、利用禁止区域内、これのみを見ても、公共施設、保育所、病院が十八カ所、住宅が約八百戸、約三千六百人の住民が居住をしている。ロードマップやグアム移転協定、この中でパッケージと言われているわけですが、このパッケージの一部としての基地閉鎖ではなくて、まさしく人道的、安全の見地から早急な閉鎖こそ求められている、私はそう考えるんです。総理、いかがでありましょうか。

麻生内閣総理大臣 これは、近藤先生、向こう側にそのように書いてあることは間違いございません。おっしゃるとおりなんですが、政府として、先ほど宜野湾の話を安次富先生がしておられましたけれども、これは、そういった状況をよく承知の上で、二〇〇六年五月のロードマップというのに基づいて、いわゆる普天間の移設、そして返還ということを実施させる。かつ、それがいわゆる県民の負担を軽減させ、かつ抑止力を維持しつつというところが我々としては最も観点を置かねばならぬ、両方いかに両立させるかというところが大事なところだと思っておりますので、そういった意味から我々としてはこのロードマップというのを考えたというのが背景です。

 同時に、普天間飛行場の運用に関しまして、今言われましたように、先ほど安次富先生に言われましたように、これは安全対策やら何やら、利用禁止区域内という、米本国の航空基地の場合であればというあれを見ましてもわかりますように、ゾーン規制及び安全対策というものにつきましては、日米合同委員会合意というものを行っておりまして、これらの対応というものを着実に行っていかねばならぬところだと思っております。

 さらに、五月のロードマップで、沖縄を含みます地元のいわゆる負担の軽減を図る上で最適な案として、この案を我々としては考えたつもりであります。政府として、その実施が沖縄県民の負担の軽減に最も早い近道なんだ、私どもはそう思っております。

 今後、米国とのぎりぎりの交渉の結果、やっとここまで合意することに至ったわけですけれども、いろいろ事態は動いておることは事実ですから、そういった意味では、テポドンが飛んできてみたり、いろいろな話が我々の近辺ではにぎやかしくなってきていることも事実でもありますので、我々としては、米側と再交渉することになって、いろいろな意味で今軽減負担というものをいろいろやらせていただいておりますし、この間も知事なんかとお話をさせていただいたところでもありますけれども、この軽減負担というものはこれ以外にもっとやることはいろいろあるのではないかということで、今、私どもとしては、さらにこういったものを、現実問題としてどういったことができるかというようなこともさらに一層詰めていかねばならぬところだと考えております。

近藤(昭)委員 総理、ありがとうございます。

 ちょっとお手元に資料を配らせていただきましたが、総理のお手元にもこういう写真がありますか。これをぜひ見ていただきたいのでありますけれども、真ん中に飛行場がある。これは普天間飛行場です。この周りにこれだけ住宅が密集をしているわけであります。これは先般の参考人質疑の中でも参考人からこの写真が提出をされて、アメリカに行っても、アメリカで基地を受け入れている自治体の関係者に聞いても、この写真を見ると一様に驚く。こんな中に基地があるのかと。だれもがそう思うと思うんです。

 総理、この写真を見てからどうお感じになられますか。

麻生内閣総理大臣 失礼ですけれども、何回ぐらい、ここに、現場に行かれたことがおありなんだか知りませんけれども、結構数多い。だから、現場というのを見た数は私の方が多分断然多いんだと思うぐらい、総務大臣、外務大臣、政調会長をする前から何回も行ったことがありますので、かなり状態を詳しく知っている方だと思っております。

 この地を、これはとてもではないということを最初に言ったのはアメリカ側、たしか、アーミテージがまだあんなに偉くなる前に日本に来て言ったのが最初だったと記憶をします。そのときそばにおりましたので、その記憶もありますけれども、もうそれは十年以上、もっと前の話だと記憶いたしますので、この状況はかなり厳しいものであるということは十分に承知しているつもりでございます。

近藤(昭)委員 いや、ですから、そのように状況を認識しておられるならどのようにお考えになられますかということであります。

 なお、私は、先ほど申し上げましたように、この協定のパッケージ論ではなく、一刻も早く閉鎖すべきではないか、こういうふうに申し上げておるわけであります。

麻生内閣総理大臣 これは現実論として、なるべく早く閉鎖したことがいいには違いないという点に関しましては多分同じ立場なんだと存じますが、問題は、その後、これが移設しないで、何もなしでそのままただ閉鎖ということでは、我々の持っております抑止力という点を考えたときに、この地域におけます極東の安全また抑止力ということを我々は同時に考えねばならぬ。そういったことを勘案した上で、どうやってということで、今、北部の名護の話、いろいろやらせていただいているというのが今の現状であります。

 したがって、こういうものが一日も早くこういった状況から脱却できるようにさせるために、できるために、いかにするかというのは、今の移転の話と密接につながっている話だと理解をいたしております。

近藤(昭)委員 総理、まさしく総理も何回も行かれて、また、何回もというよりも早くから行かれて、ですから、この間の状況を御認識なさっているんだと思うんです。

 そういうことで申し上げますと、私も現地に参りました。宜野湾市役所の屋上からも見ましたが、本当に何回も輸送機がタッチ・アンド・ゴーを繰り返す。そして、米軍側と地域自治体が約束をした飛行ルート、それを外れて、つまり、飛行場により近いところではなくて、より飛行場から外れて、外の町の上を飛んでいる。こういう状況を見たら、総理がおっしゃった、日本の安全保障ということの観点もお考えになっているということでありますが、しかしながら、沖縄国際大学にヘリコプターが落ちた、幸いにも死傷者がいなかったわけでありますが。

 ある意味で、先ほど申し上げたように、アメリカでいろいろな自治体の関係者がこの写真を見て驚く。幸いにも、でも、それでも事故が起きているということでありますから、ですから、私は、一刻も早く、安全保障の面もあるかもしれないけれども、そこで暮らしていらっしゃる住民の皆さんの声、幸い本当にそういう大きな事故が起きていないということ。

 ですから、私は、優先順位というか今考えなくてはならないこと、そういう観点からどう思われますかということであります。

麻生内閣総理大臣 これはたびたび答弁を繰り返すようで恐縮ですけれども、沖縄県民の負担の軽減と抑止力の維持、このバランスをどうとってくるかという話が一番の根幹にございます。

 したがいまして、今言われました点を重々勘案した上で、現実問題、一日も早くこの地域から北部の辺野古なり名護に移転するという点が今現実問題として討議に上がっておりますが、この点をなるべく早くできるようにする。その他いろいろ技術的な話はほかに専門家の方がもっと詳しいところだと思いますが、基本としては、我々としては、この移転を一日も早く実行せしめるようにするというのに観点を置いております。

近藤(昭)委員 負担を一刻も早く減らすということでは一致していると思うんですが、しかしながら、私は、先ほど申し上げましたように、本当に一刻も早い、パッケージ論ではないという中で、閉鎖ということが必要だと思うんです。

 それと、総理、ちょっとお伺いをしたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、この間、地域の皆さんなんかも、いろいろな事故が起きている、また、日々騒音に悩まされている。あのヘリ事故以来、地域でも、騒音防止の協定、こういうものを結んでいるんですね、米軍と。しかしながら、この間、いろいろと資料を見ましても、約束の時間よりも遅くまで、協定を破って飛行機が訓練をしている。ですから、事故があった、そして地域と協定を結んだ、しかし、それがしっかりと守られていない、こういう状況があるんですね。

 まさしく総理も先ほどおっしゃったように、地域の負担を減らすことが共通の理解だろうということであれば、私は、このことについて、米軍が、騒音の問題あるいは飛行ルートの問題、このことを守るように、総理、やはりもっときちっと米側に言うべきだと思うんですが、いかがでありましょうか。

麻生内閣総理大臣 防衛庁が答弁する話だと思いますので、かわりの答弁で恐縮ですけれども。

 基本として、こういったような話は、協定をきちんと守る、これは防衛庁、防衛施設庁、もしくは外務省当局とこれはともにやってきているところだと存じますけれども、事故が起きる、もしくは変更が起きれば事前連絡も、確かに、たびたび事前連絡があることもございます。すべてがすべて違反しているわけではない、事前連絡があることも確かですが、その意味で、約束された区域外に、時間外にというような点に対しては、我々としてはきちんと対応していかなければならぬと思っております。

近藤(昭)委員 総理、ありがとうございます。

 まさしく防衛省がきちっとやることだと思います。そういう意味では、ぜひ、総理、防衛省に、きちっと騒音協定が守られているかどうか、それを、防衛省、政府の立場でもきちっと測定をして、もちろん予算組みもされているようでありますが十分でないと私は思っていまして、その測定装置とか、また監視とか、そういうことをしっかりやっていただきたいと思います。総理、ぜひよろしくお願いいたします。ということで、よろしいでしょうか、防衛省の方にも。

 ぜひ、総理、負担軽減ということでありますから、そうした協定が既にあるということを、きちっと防衛省を通じてアメリカ側に守らせるということを、国民の立場でやっていただきたいと思うんです。

 続きまして、ちょっと協定の中身、条文についてお伺いをしたいと思います。

 第九条、ここの第二項というところに、「移転のための資金が利用可能であること、」というところがあります。これについては既に質問もさせていただいておりますけれども、総理、具体的に何を意味するのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。

西村大臣政務官 協定の条文の話でございますので、私から答弁をさせていただきます。

 この九条の2で言います「移転のための資金が利用可能である」ということは、米国政府がグアムにおける施設及びその基盤の整備を実施するために必要とする予算が米議会により承認されていることを指しているものと考えられます。

近藤(昭)委員 ところで、アメリカ合衆国による資金の拠出の有無、これも深くかかわってくることなんですね。そういう中で、アメリカ合衆国による資金の拠出の有無及びその中身は、議会が、やはり関連歳出法を作成、審議する六月以降、やっと明らかになると思うんです。

 米国の二〇一〇会計年度予算にグアムにおける施設及び基盤を整備する同政府の事業への資金の拠出が含まれていない場合、日本の二〇〇九年度予算に計上されたグアム移転関連経費約三百五十三億円の執行は停止することができると、午前中、中曽根外務大臣もお答えになっておられる。

 ということは、停止することができるというお答えであるということは、停止しない、こういうこともあり得る、こういう理解でよろしいでしょうか、総理。

西村大臣政務官 いろいろな事態を想定して、本協定では日米で協議をするということになっておりますので、条文上、九条1の規定に従って資金の停止もすることができますし、協議の上、いろいろな判断があり得るというふうに思います。

近藤(昭)委員 し得るという答弁なんですが、ただ、総理、ぜひお答えをいただきたいと思うんです。

 協定の中身、第九条なんですけれども、九条の一項に書いてあるんです。第一条1に規定する日本国の資金の提供は、第二条に規定する措置においてアメリカ合衆国による資金の拠出があることを条件とすると。そして、午前中の答弁は、第十条に、両政府はこの協定の実施に関して相互に協議すると。

 だから、出なかった場合は協議するんだ、こういうお答えだったんですが、しかし、私は、この第九条の1を普通に読めば、資金の拠出があることを条件としているわけでありますから、その条件がなければ拠出をしないということが当然ではないかと思うんですが、いかがでありましょう。

麻生内閣総理大臣 今の御質問の趣旨は、一部、西村政務官の方で答えられておりますが、アメリカ合衆国による資金の拠出につきましてということで、今、仮定の質問として、仮に二〇一〇会計年度予算においてという御質問なんだと思いますが、この第二条は、アメリカ政府がグアム移転事業に対して、いわゆる資金の拠出、出すということを義務づけております、基本的には。実際に米国は、必要な予算というものを計上すべく二〇一〇年の会計年度予算案を作成中と我々は承知をいたしております。

 したがって、そもそも御指摘のような事態が起こるということはちょっと考えられないんですが、今、そのような拠出がなされない場合はどうなるかという御質問で、ちょっと仮定の質問に対してはおろそかには答えられぬところだと思いますが、我々としては、もし仮にそういった事態になった場合に、こちら側として、では、向こうは出さないのにこっちは資金の提供を一方的にするのかという御懸念なんだと思いますが、そのときは、我々としては、資金の提供を停止することは我々の方もできるということになると理解をいたしております。

近藤(昭)委員 できると。午前中の答弁もそうであり、また、それに関しては十条で協議をすると。ただ、私は、ここに書いてあるように、九条の1を普通に読めば、条件としているんだから、その条件がなければ停止するんだと思うんですね。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、もう一問だけ質問をしたいと思うんです。

 総理、平成十九年五月の十日、参議院外交防衛委員会で、我が党の浅尾慶一郎委員が何度も、財政出動を伴うわけだから条約化をする必要があるのではと、当時外務大臣であられた麻生総理に質問をしているんです。そのとき麻生総理は、ロードマップで両国首脳が決めたことであり、きちんとした金額が決まった段階で今度は予算でお願いする、予算の審議をお願いする形になろうかと思います、こう答えておられるんですね。

 ところが、それとは違った形で、今協定を結んで進んでいるわけであります。この点はいかがお考えでしょうか。

麻生内閣総理大臣 御指摘の質問は、これは当時、浅尾慶一郎議員からの御質問に対する答弁なんだと記憶をいたしますが、国会承認条約とすべきではないかということを問われたことを受けて、私の方から、単年度ごとに予算を計上するだけでは安定的に事業を進めることができないとの危険性をまず最初に御指摘させていただきました上で、毎年度の予算につきましては、きちんと国会にお諮りし、御審議をいただくとの趣旨を述べたものであります。

 したがって、今御指摘のように、グアムの事業につきましては、これを国会承認条約とせず、毎年度予算につき審議をしていただくということで対応するとの考えを表明したとの指摘は、全く当たらないと考えております。

近藤(昭)委員 総理、ただ、これは平成十九年だったと思うんですね、五月だった。そして、この間、このことも何回もこの委員会で質疑が行われているんです。

 きょうやっと外務省から、この間の経緯に関する文書が出ました。そうすると、二〇〇八年の九月、ですから去年の九月でありますね。そこで、我が方として、国会承認条約とする必要があると判断をしたというようなことが書かれているんです。つまり、それまでは、総理の御認識のように、御認識というか、まあこれは条約にしなくても、単年度の予算でやっていけばいいんだ、こういうふうに進んできた。

 ところが、それが突如条約になったんです。どうも、二〇〇九年の一月二十三日の中曽根外相とクリントン米国務長官の電話会談、この中でそのことが具体的に出たとか出なかったとか、ちょっと午前中にも質疑がありましたけれども、しかし、先ほどいただいた資料では、九月の初旬に条約化の必要があると判断をしたということなんです。

 ですから、判断をしたけれども、いつから明確にそのことが日米間で協議をされ始めたのかよくわからないわけでありますが、しかし、いずれにせよ九月なんです。そして、どうも、これまでの答弁では、中曽根外相とクリントン米国務長官のところの電話会談で出た、しかし、その前からちょっとそういう話はあったんだと。でも、やはり、いずれにせよ唐突な感じがある。

 これは、こういう形で進んでいることについて、総理は何かお感じになられることはなかったでしょうか。例えば、条約までするのかというか、毎年の予算審議でいいんじゃないかとか、何かそういうようなことを、どういうふうにお感じになって、何か外務省に対して指示をされたかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。

西村大臣政務官 まず、事実関係を含めてですけれども、御提出をさせていただいた資料にもありますように、これは、去年の九月の初旬に、我が方において、グアム移転事業の実施のあり方を規定する国際約束をアメリカ政府と締結する必要があると。その上で、この国際約束は財政事項を含むものでありますから、その締結につきまして国会の御承認をいただくのが必要であろうという判断に至ったわけでございます。

近藤(昭)委員 いや、ですから、それは何遍も聞いているので、総理は、いつごろ協定化するかお知りになった、いつごろ知られて、そのことについてどういうふうに思われて、そのことについて何か対応されたのか。それでいいじゃないかということなのかもしれませんが、いかがでありましょうか。総理がどういうふうにお感じになられたか。総理になられてからでも結構でありますから。

麻生内閣総理大臣 御記憶かと思いますが、人様の選挙ですから余り記憶ないでしょうけれども、私の方は、九月の二十四日、初旬、中旬、下旬といえば下旬に当たるところで、首班指名でなっておりますので、この段階は九月の初旬のことでもありますので、当時私は、内閣総理大臣でもない、全く無役のときでありましたので、このときに知っているわけではございません。内閣総理大臣指名になって、いろいろ各省の話を聞いたときぐらいだったと記憶します。

近藤(昭)委員 もう一度だけお伺いします。

 九月の初旬または中旬、ちょっとそのタイムラグがあったとしても、総理も今お答えになっているように、浅尾委員の質問の趣旨の中では、そういう必要もあるけれども、まず単年度でやっていくんだということをお答えになった。でも、九月の初旬に外務省が、外務省だと思いますが、そういう判断をした。そして、どこかの時点で、総理には何も、御相談というか、国と国が結びつくわけですから、何もなかったんですか。全然知らなかった、知らないうちにそういうものが進んできた、こういうことなんでしょうか。

麻生内閣総理大臣 所管は外務省の所管、私は当時内閣の職があったわけではございませんので、私に説明するべき立場にはない、また、説明を受けるという立場にもない。時間差が、大分ずれておると思いますが。

近藤(昭)委員 質問の時間も来ました。

 やはりこの間、突然このことが協定になったということに非常に何か私は違和感を覚えているんです。そういう意味で、もっと総理には、当時外務大臣のときにそういうお答えにもなっているし、これは重要なことなので関心を持っていただきたいな、いただくべきだと思います。

 以上です。ありがとうございました。

河野委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 総理には、この後、外務大臣ともどもASEANプラス3への出発という話も承っておりますし、北朝鮮への決議、これを何としてもやはり国連で決議を通していくという働きかけもぜひASEANプラス3で進めていただけるよう、お願いを申し上げたいと思います。

 そこで、今の質問の続きですが、それでは、総理はこのグアム移転協定、協定化ということを、総理になられていつ知るようになられましたでしょうか。

麻生内閣総理大臣 武正先生、何日かまではちょっと正確に記憶しているわけではありませんが、各役所の所掌の話の説明を受けている中の一環にこの話があったんじゃなかったかなと記憶します。ちょっと正確なところではありませんが。

武正委員 いつかはちょっとはっきりしないということですが、総理になられてからということだと思うんですけれども、そのときにどのように思われたでしょうか。

 我々は、やはり今回のこの協定が非常に唐突に結ばれた、国会に提出されたという印象を非常に強く持っているんです。総理は、先ほど近藤委員が触れたように、毎年度の予算でしっかりと、国会も予算審査を通じて、あるいは政府も予算の提出を通じて進めていけばいいということを外務大臣当時述べておられますが、この協定化ということを聞かれて、どのように思われたでしょうか。

麻生内閣総理大臣 これは、財政の義務をある程度、複数年度にわたって求められることになるから、ことしは通ったけれども来年度は通らなかったというとまた話は込み入るかなというようなことは、正直、その説明を受けたときにそう思いました。

 それで、私はそれ以上深く追った記憶はちょっとありませんので、今この段階でそのときにどういう質問を逆にしたかと言われても、ちょっと正確な記憶があるわけではございません。

武正委員 ただ、あの当時、外務大臣それから防衛庁長官でしょうか、それから国務長官、国防総省長官ということで、2プラス2でサインをし、約束をしたわけですよね。総理とすれば、当時外務大臣として、そうした国際約束、これはやはり守るんだということで、毎年の予算化でそれは担保できるという認識だったと思うので、やはりこの協定ということが出てきたときに唐突感を持たれたのではないのかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

麻生内閣総理大臣 武正先生、これは最初から国会審議、国会承認を排除しているわけではありませんので、その意味では、このことに関しまして、極端にこれは前説を翻すことになるという意識はございません。

武正委員 この間、当時外務大臣に、二〇〇五年の十月、十一月におなりになられたんでしょうか。我々は、二〇〇五年の秋から外務委員会で外務大臣、現総理と質疑も行いまして、二〇〇六年、ちょうど三年前でしょうか、2プラス2でのロードマップにかけて、この外務委員会で何度となくその審議の内容をお聞きしてきたんですが、外務大臣あるいは当時防衛庁副長官、この外務委員会に出席をいただきましたが、いや、まだ協議中です、また、米国の了解をとらないとしゃべれません、こういったことがずっと続く一方、新聞には盛んに報道が続きまして、一体この国会の審議というのは何なんだろうと。やはり私は、政府の説明責任というものが、この米軍再編、2プラス2合意に至るまでも果たされていなかったということをつくづく今も印象深く思っているんです。

 では、その後どうなんだろう。あの当時、外務大臣として、例えば、今のこの辺野古の問題なども、これはもう少し詰めた上でいわゆる額についても明らかにできますというようなことを外務大臣当時も総理は述べておられるんですけれども、今もって辺野古の問題も、もちろん知事からの沖合移転の要請があったにせよ、そうした額については今もって政府から説明がないわけなんですね。

 ですから、一体その総額がどの程度になるのかというものも、今回の二十八億ドル、あるいは六十八億ドルという、日本の負担以外の部分というのがやはり見えないというのが現状でもありますが、この米軍再編に係る政府の説明責任というものが、総理とすれば、外務大臣当時、そして総理になられてこの協定の審議に当たっておられる今、辺野古の問題も含めてきちっと果たされている、そのように御認識をされていますでしょうか。

麻生内閣総理大臣 これは、武正先生、基本的には、幾らという話に関係しては、たしか真水で、当時と今では円が変わりましたけれども、まあとにかく二千八百億ぐらい、今二十八億ドル、当時はもう少しあったと思いますけれども、そういったような話だったと記憶をいたします。

 我々は、少なくとも、この沖縄、中でもいわゆる宜野湾というか普天間からの移転というものを一日も早く達成するということが沖縄県民の負担の低減につながるという、これが非常に大きな、優先順位の高かった当時の条件の一つ。もう一つは、やはり海兵隊員、軍属含めて約二万人弱のアメリカ兵関連者、軍属関係者が沖縄から離れるという、この二つは非常に大きい我々としての優先順位を置いておりました。

 これを達成すると嘉手納以南の土地も返還されるというのは後から出てきた話ではありますけれども、我々もこれは前から要求していたところでもありましたので、この話も、向こうが乗ってきたというときには、我々としては、これはそれなりの進歩、前よりは大分よくなってきたんだというように理解をいたしております。

 いずれにいたしましても、これを実行せしめるに当たって、今現実問題として移転先のところからいろいろな問題を抱えておりますのは御存じのとおりでして、我々としては、こういったものを一つ一つ詰めていくに当たって、かなりの時間を要しております。時間を要すれば要するだけ、いわゆる普天間におけます事故が起きる確率は上がることになりかねませんから、そういった意味では、先ほど同僚議員の御質問がありましたけれども、ああいうようなお気持ちというのも我々も十分に理解した上で、これをどうやってやるかというのに今非常に腐心をいたしておるのが現状です。

 いずれにしても、こういったものは金で解決できるという種類の話だけではないと思っております。感情論やら何やらいろいろございますので、我々としては、こういったようなものをきちんと丁寧に地元の御意見というものに耳を傾けながら対応していくというのが大切なところであろうと思っております。

武正委員 ただしかし、先ほど御紹介あった普天間移設協議会、一昨日ですか、開かれてはおりますが、これもたしか昨年の七月以来でありますし、普天間基地の危険性除去、これも前回地元から提起があって、ようやくプロジェクトチームが動き出したということでもありますので、やはりそうした政府の取り組みについてはもっと積極的にというのが地元の偽らざる声だとも思います。

 また、今指摘をしたのは、そういった意味での政府の情報開示、国会に対しては、総額一体幾らかかるんですかという話とともに、ではこのグアム協定について特に絞ってみますと、今資料がお手元にございますが、一ページ目をごらんいただきますと、これがいわゆる2プラス2の合意での日本側の負担、総額六十・九億ドル。外務大臣当時、もう見なれた表だと思うんですね。これに至る間も、外務大臣当時言っておられるように、四十だ、五十だ、いろいろあって、結局六十・九に落ちついたんですねと、そんなことも言われています。

 今回、この二十八億ドル、真水部分のことがこの協定に盛り込まれていると言われておりますが、実は、前文には、総額百二・七億ドルということ、あるいは、日本側の負担、拠出で六十・九億ドルということも盛り込まれているのと同時に、例えば家族住宅、出資、融資、効率化、二十五・五億ドル、これと真水部分の隊舎が実は極めて密接な関係にございます。すなわち、家族住宅に住まない独身の下士官などがこの隊舎に住むのであろうということなんです。

 二ページ目をごらんいただきたいと思うんですが、この一番上、独身下士官用隊舎、BEQといいますが、この戸数については、ここに書いてありますように、米側が見積もった独身下士官用隊舎の棟数は、「1米側から非公表を前提に入手した情報であり、公表すれば今後の米側の調達との関係で問題が生じるおそれがあるなどの理由から米国国内法上、保護されるべきものとされているため。」ということで、審議ではこの数が伏せられているんですね。

 そうすると、前から、外務大臣当時からお話はあったと思うんですが、一体この二十八億ドルの積算根拠は何ですかと言っても、外務大臣当時からお答えがない。具体的にこの二十八億ドルはこうこうこういう形で積み上がったんですよというお話がないまま、今回もその財政負担を協定で求められ、そして新年度の予算に三百数十億円が防衛省の予算として盛り込まれている。これだと、国会としてやはり審議が深まらないんですね。

 そういう意味で、これは一例ですが、隊舎の数などをなぜ隠さなければならないのか、もう不思議でしようがないんですね。こういった点、どうですか、総理、もう外務大臣のころから、この二十八億ドル、積算根拠、我々も再三再四言ってきたと思うんですが、協定の審議に付するためにやはり情報開示をしていくべきだと思うんですが、特にこの隊舎の点を一つ例に、御所見を伺いたいと思います。これは総理にお願いをしたいと思います、外務大臣としても当時から積算根拠を聞いてきたと思うのでね。米軍再編、協定でも相変わらず表に出てこないものですから。総理、いかがでしょうか。

麻生内閣総理大臣 隊舎の数を私に聞かれても、ちょっと、何ともお答えをできるような範疇の話とは思わないんですけれどもね。副大臣なりなんなりに聞いていただいた方が詳しくおわかりになれると思います。それがまず第一です。

 二つ目。二十八億ドルは上限ですから。どうやって積み上げてきたって、これ以上は払わないという上限をたしかあのとき決めた。最初は三十三ぐらいからスタートしたと記憶しますが、これが最終的に二十八になったんだと記憶をいたしますので、これは上限というように御理解いただいて、下から積み上げてきたというよりは、上限をこれ以上払わないというふうにしたのがたしかあのときの交渉の内容だったと記憶をいたしておる。

 隊舎の数については、副大臣等にお聞きください。

北村副大臣 お答えいたします。

 在沖海兵隊のグアム移転に伴う施設及びインフラの整備費は百二・七億ドルとされていた。このうち、我が国は、二十八億ドルを上限に、真水による負担を行うとして、日米間で合意をいたしたものであります。

 二十八億ドルの内訳は、ロードマップ合意の時点で、在沖米海兵隊の移転に必要となる、司令部庁舎、教場、隊舎及び学校等生活関連施設の施設整備所要に着目し、アメリカ側が見積もったものであります。これを受けて、今般、本協定においては、ロードマップ合意の重要性及び我が国負担の上限の担保との観点から、ロードマップ合意の考え方に従って、二十八億ドルを限度とする旨を明記したというものであります。

 その上で、実際の予算計上に当たりましては、我が国の負担の対象はあくまで、先ほども申しましたけれども、司令部庁舎、教場、隊舎及び学校等生活関連施設を前提とするとの考え方のもとで、在沖米海兵隊の移転事業を最も効率的な形で、かつ速やかに実施するとの観点から、所要の経費を計上することとしておるものであります。

 この際、防衛省として、個々の事業内容やその積算について主体的に精査することとしておりまして、予算に計上した経費は各年度ごとに国会での御審議を受けることと当然なるものであります。

 このように、真水二十八億ドルの上限の考え方については、現在もロードマップの合意及びその際の考え方を変えてはおりません。その上で、実際の予算化に際しましては、最も効率的な形で各年度ごとに精査をなし、国会の御承認を受けていくという考え方でございます。

 以上です。

武正委員 全然答えていないじゃないですか。隊舎の数をなぜ隠しているのか聞いていたんですね。それについて、さっき述べたペーパーでは納得できないから聞いたのに。もうきょうは、総理に直接お答えいただきたいということで、ちょっと先を急ぎたいと思います。

 次に、お手元の資料で六ページをおあけいただきたいと思います。

 米国議会の承認が必要だということで、五ページには、過去、米国議会で承認を得た日米租税条約、日米刑事共助条約が載っております。私は、やはりもっと承認をアメリカ議会で得ていくべきだと。まして、総理が先ほど言ったように、協定が必要な理由は、予算がこれから複数年にわたって担保できるということを言われたわけですから、やはりアメリカ議会も承認をすべきだということを私は申し上げておきます。

 そこで、六ページをおあけいただきたいと思うんですが、まず最初に、オバマ大統領の施政方針演説が載っております。これは二月二十四日でありまして、下から三行目から読みますと、「私の予算では、陸軍と海兵隊の人員を増強する。」このように出ております。下の英文は、ホワイトハウスホームページより抜粋、一月二十一日発表の、いわゆるオバマ・バイデン・アジェンダでございます。ここには、英語で、オバマとバイデンはプランをサポートすると。陸軍にあっては六万五千人、そして海兵にあっては二万七千人増員をすることをプランとしてサポートする、こういうふうに言われているわけなので、そうしますと、海兵隊員の二万七千人、この増員ということが今のアメリカ政府ではうたわれている。

 そうしますと、この審議を何度となくやってきましたが、沖縄の総定員数は八千人減る。先ほど総理が言われたように、沖縄の負担軽減なんですということなんですが、新しいオバマ政権では、海兵隊員の総定員を二万七千人ふやすんだと。こういったことになりますと、せっかく沖縄の定員が八千人減っても、また、ふえた二万七千人から、ではこの一部を沖縄にということになりかねないわけなんです。これでは、結局、負担軽減が絵にかいたもちになりかねないというふうに危惧をするわけなんですけれども、これを見られて、総理としてどのようにお感じになられますでしょうか。

麻生内閣総理大臣 ここを読みますと、「アーミー バイ シックスティーファイブサウザンド ソルジャーズ アンド ザ マリン コープス バイ トゥエンティーセブンサウザンド」と書いてあるので、これはどこも沖縄からと書いているわけではないんだと思うんですね。これは世界じゅうからやっている話に見えますので、沖縄から特にどうのこうのという話には全く感じておりません。

 したがいまして、本件グアムの移転の話がこの海兵隊の増員と直接関係づけられることはない、私はそのように理解をいたしております。

武正委員 おわかりいただいていると思うんですが、海兵隊員の総定員が二万七千人ふえるという中で、そのふえた定員の一部が沖縄に新たに来るという可能性というものは否定できないと思うんですが、この所見、いかがお考えかということを聞いているんです。八千人沖縄の定員が減った、負担軽減ですよというふうに政府は胸を張るんですが、新しいオバマ政権では海兵隊員を増員する、二万七千人ふやす、そうすると新たに定員がふえる可能性があるという指摘についてはどのようにお考えになるかということです。

中曽根国務大臣 米国からは、ロードマップの協議を行う過程におきまして、委員御承知のとおり、今回の再編では、沖縄に駐留する海兵隊の定員は約一万八千人であって、本件グアム移転が実現した後の在沖縄海兵隊の定員は約一万人になる、そういうふうに説明を受けているわけで、これは毎日御議論いただいているところでございますが、このようなアメリカ側の説明というものは、日米両国で合意いたしましたロードマップ、そしてこの協定に基づいて、所要の措置をとることの前提の一つとなっているわけでございます。

 総理が二月にオバマ大統領と会談をされました際に、この協定の実施を含む在日米軍再編をロードマップに基づいて着実に実施していく、そういうことで合意をしているわけでございまして、今総理からお話ありましたように、増員については、いつ、どこからどこへ、何人持ってくるとか、そういうものが明らかになっているわけではありません。そういう意味からも、この移転事業というものはロードマップにのっとって粛々とやっていく、そういうことだと思います。

 御指摘の海兵隊員の増員と関係づけられることになるとは考えていないところでございます。

武正委員 昨年の九月初旬に協定化について発案ということで、総理はいつ聞いたか定かではないということでありましたが、その協定作成中に政権が交代をし、そして、一月にオバマ・バイデン・アジェンダで海兵隊員二万七千人の増員をうたっているということからして、やはり、ここで協定化を無理にし、署名し、総理がいみじくも言ったようなそうした、予算で担保できるし、ましてや外務大臣当時の2プラス2で国際約束をしっかり結んでいるんだ、それに乗っていくべきであって、ここで無理やりの協定化というものが非常に無理のあること、ましてや米国議会の承認を得ていないこと、これは大変問題があるということを指摘し、質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

河野委員長 次に、松原仁君。

松原委員 時間も短いので、端的にお伺いをしてまいります。

 今回のグアム移転にかかわる家族住宅の部分、これは、二十八億ドルと二十五億ドルと、全部でパッケージだと我々は認識しておりますが、この二十五・五億ドルの家族住宅はPFIで融資をする。返済に一体何年かかるか、予定があれば簡潔に答えてください。

西村大臣政務官 家族住宅事業、民活事業につきましては、現在、アメリカと協議を行っている段階でありまして、現時点では、資金の償還期間や利率等、具体的な事業のやり方はまだ決定されておりません。そのことを申し上げたいと思います。

松原委員 防衛省からいただいた資料には五十年という年限が入っているんですよ。五十年という年限が入っているということは、西村さんは御存じないんですか。

西村大臣政務官 済みません、私は今協議中というふうに伺っておりますので、私自身は今のところ承知をしておりません。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 この件は、米側の方でこういった類似の事業があるときにその期限が五十年になっている例があるということで申し上げております。したがって、検討の材料として、五十年というのは一つの尺度にはなるというふうに認識をしております。

松原委員 久米設計の在沖米兵グアム移転支援整備事業基本構想策定業務報告書には、ブランクがありますが、五十年になっている。五十年という年限というのは、一人の人生の稼働時間というのはほとんど入っているわけであります。

 私は、麻生総理にお伺いしたいことは、先ほどからたびたびこの場でも議論されておりますが、連邦議会の承認がない、この部分の問題なんですよ。金融機関がお金を個人に貸す場合に、この辺は麻生さん、専門だと思うけれども、担保を二重三重にとるんですよ。どうしても取りっぱぐれはしないようにするんですよ。

 二重三重の担保というのは何かと言えば、アメリカ側が日本側に期待する担保は、極端なことを言えば、政権交代をしても二〇一四年まではこの約束を守ってほしいと。ということであれば、政権の合意だけではなくて、国会承認を向こうは求めたい。我々は我々で、あなたも同じことをするならば、PFIできちっと二十五・五億ドル、これはピークでその数字かもしれません、それが、金利が何ぼで、五十年であるならば、それをきっちり担保で返してくださいよと。オバマ政権が五十年続くわけじゃないですから、仮に政権がかわってもそれを担保させるためには、当然、常識的にはこういったものに関して連邦議会の承認がある方がいいと思うんですよ。

 麻生総理、これは連邦の承認があった方がいいと思いませんか。お伺いしたい。

麻生内閣総理大臣 これはもうよく御存じのとおりだと思うんですが、議会承認条約とするか行政協定とするかという話が御質問の趣旨なんだと思いますが、これは、アメリカにおけます行政府と立法府との間の関係などを踏まえて、これは向こう様の話ですから、向こう自身が決定をする話なんだと。まず基本的には、松原先生、それはこちらだって似たような話でしょうけれども、政権交代をすれば、おれがとったら全然別なことを考えるとか、いろいろなことをそれは考えられるんだとは思いますよ。

 しかし、米側の政権可能性ということを言われていましたが、国家間においての国際約束事というものは、一たん締結されてしまいますと、当事国はそれに拘束されて、それを誠実に履行することを求められる、これは当然のことであって、国内事情によってそういった性格が影響を受けるというものでは全くございませんので、これは本協定の内容についても全く同様であろうと存じます。

 したがって、御指摘の出資、融資の返済はということになるんだと思いますが、民活事業にかかわる事項だから、そもそも本協定の対象とは違っているところなんだと思っております。

松原委員 冒頭に言ったように、これは本協定と全体のパッケージで我々は議論しなきゃいけないことだと言っているんですよ。やはり、総理、そこははっきり確認してほしいんです。

 その中で、私が言っているのは、従来、これ以前に二つだけですよ、アメリカの議会承認を基本的に得ているものがほとんどなんですよ。これだけ重大なことで向こうの承認を得ないで、こちらだけでやる。私が言った質問の趣旨は違うんですよ。あちらの議会承認があった方がベターですよねと言うから、ベターですと答えるべきだと思うんですよ。それは私は判断する立場にありませんとおっしゃるけれども、金を貸す側からしたら、向こうのダブルチェックならぬ議会承認もあった方が間違いないのは、だれがどう考えたって当たり前の話ですよ。

 もう一点つけ加えさせてもらえれば、申し上げたいことは、一方において、やはり、アメリカと日本の間で、御案内のように日米地位協定の問題があります。そして、私が言うまでもなく、例えば、沖縄返還後、昨年十二月までに五千五百四十八件の刑法事案があって、五百五十七件が凶悪犯罪だった。いろいろな議論がありますよ、これに関して。そういったことで、常に沖縄の現場の人たちとしては、この間の日本の外交は屈辱外交だったのではないかという思いがあるんですよ。ある。

 それと、もう一点申し上げたいことは、そうした中において、河野委員長はこの間一緒に沖縄に行って見ていますよ、国がやらないから、例えば宜野湾市長の伊波さんあたりが前面に立ってアメリカと交渉する。あり得ないですよ。国家が国民を守るという姿勢があるならば、もっと主張するべきことを主張しなければいけない。そのすべての根本に、私が言いたいのは、こういった、向こうは連邦議会の承認はない、我々は国会承認までする、どうもそこの部分が従属的過ぎる。交渉した結果がどうなるかというのはあるんですよ。しかし、私が言いたいのは、余りにもそこが不平等条約みたいな話で、不平等過ぎないかということに、それは沖縄の県民の人たちも、おかしいんじゃないの、我々が議員として活動していても、おかしいんじゃないの、こういうことを言っているんですよ。

 そのことを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

 次は北朝鮮の問題でありますが、北朝鮮の今回のミサイル発射に関して、きょうの閣議で決定がされたということであります。なぜきょうになったのか、お伺いしたい。

麻生内閣総理大臣 きょう閣議決定になった、日にちの話を聞いておられるんですか。(松原委員「なぜきょうなのか」と呼ぶ)なぜきょうなのか。

 それは、御存じかと思いますが、四月の十三日、来週の月曜日に期限を迎えます、いわゆる北朝鮮に対する措置というのが来週の十三日に延長切れということになります。そのためには、あらかじめ閣議をきちんとしておく必要がありますので、一番近いというのは本日金曜日ということになりますので、きょう、させていただいたというのが背景。直接の背景はそういうことになります。

松原委員 極めて不十分だと私は思っております。

 なぜかというと、前回のミサイル発射のときは、即日万景峰の入港を禁止したんです。阻止したんです。そのことをもって、日本の外務省は国連に行って、いわゆる決議を上げろとやったんですよ。今回はそういう議論をしないで行ったから、きょう、ほとんど声明か何かに落ちつきそうだ、こう聞いていますが、それは日本外交として即日やるべきだったんですよ。期限切れだからとおっしゃるけれども、きょうのタイミングでやるならば、即日やれば国連安保理の流れも若干は違ったと私は思っている。その部分に関して、なぜきょうだったのか。

 時間もないのでさらにお伺いしますが、そうした中で、明らかに今回の北朝鮮の挙動は日朝平壌宣言違反だと外務大臣も答弁しておりますが、この日朝平壌宣言は一体どういう状況になったら破棄されるのか、お伺いしたい。

麻生内閣総理大臣 まず最初の話、四月の十日に、きょう何でなったのかという話はありますが、御存じかと思いますが、今国連で協議中ですよ。そして、日本と中国と、首脳会談をやるというのがあさってに決まっているんですよ。その状況を受けてアメリカもどうするかを待とうとしている段階というのをよく御存じだと思いますので、十日の意味の御理解はいただけるんだと思っております。

 また、日朝平壌宣言に違反するというのは当たり前のことです。明らかに違反をいたしております。少なくとも、これは国交正常化を図るということを目的にして、北東アジア地域の平和と安定にとって重要であるという基本原則の上に立って日朝両首脳が署名したわけですから、そういったものを、政治的な重みというものを埋めてある極めて重い文書なんだと思っておりますので、政府としてこれを直ちに破棄するという考えを今持っているわけではございません。

松原委員 もう時間がないから終わりますが、北朝鮮がどこまでやったら破棄しないのかするのか。私は、破棄をする可能性に関しても検討を始めなければ北朝鮮のならず者外交はエンドレスで続いていくということを総理に申し上げたいわけであります。

 そういったことで、麻生総理、さっき申し上げたことも含め、この段階で発動するということも含めて、私は時宜を得ているとは残念ながら思わないけれども、日朝平壌宣言に関して、そろそろ、破棄の可能性、こういうことをしたら次は破棄だぞと、そこまで、麻生大臣、べらんめえ調でいいので、ぜひおっしゃっていただきたい、こう思います。

麻生内閣総理大臣 松原先生、我々は、破棄をするより、いかに守らせるかの方が大事だと思っています。

松原委員 以上で終わります。

河野委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 在沖米海兵隊のグアム移転協定について総理に質問をいたします。

 政府は今回の協定について、抑止力を維持しながら沖縄の負担を軽減するものだと説明してまいりました。ところが、多くの県民がこの協定に反対しております。沖縄県議会は三月、協定の批准に反対の意見書を可決いたしました。今週、県議会の代表団が上京し、政府と各党に対し要請を行ったばかりであります。本日、審議を打ち切り、採決することに対し、強く抗議をいたします。私は審議継続を強く要求するものです。

 その上で総理に伺いますが、政府が沖縄の負担を軽減するというグアム協定に多くの県民が反対しているのはなぜだという認識ですか。県議会の決議もありますよ。

麻生内閣総理大臣 多くの県民の定義というのが我々と少し意見を異にしていると思っております。多くの方々からぜひという声を聞いていることも我々の方にとりましては確かでありまして、私どもとしては、いろいろな説明不足、いろいろなこともあろうと存じますが、ぜひこれをやってもらいたいという意見もありましたし、先ほど安次富さんのお話も聞かせていただきましたけれども、これをなるべく速やかにという御意見もありますので、我々としては、引き続きこの点に関しましては丁寧に対応していきたいと考えております。

赤嶺委員 総理は、沖縄県議会の決議、総理あてになっておりますが、ごらんになりましたか。

麻生内閣総理大臣 はい。

赤嶺委員 県議会の決議はグアム協定反対なんです。グアム協定賛成の決議は来ていないはずです。その点でも、多くの県民がというのは、そういう声が多くの県民の声としてあるということを強く伝えておきたいと思います。

 県民がこの協定に反対する最大の理由は、嘉手納飛行場以南の土地返還に名護市辺野古への新基地建設そして海兵隊のグアム移転のための日本の財政負担という条件をつけ、固定化しようとするものだからです。

 沖縄の米軍基地は県民の土地を強奪してつくったものです。沖縄はさきの大戦で国内で唯一住民を巻き込んだ地上戦を体験し、そして、その地上戦のときに上陸した米軍は住民を捕虜収容所に強制収容し、その間に軍用地、民有地を問わず、基地建設に着手いたしました。住民が収容所から帰ってきたら、鉄条網が張られ、自分たちの土地が基地に変えられていたのであります。広大な土地を強奪された上に、サンフランシスコ条約が締結された一九五一年以降、銃剣とブルドーザーによって米軍は抵抗する住民を強制的に排除し、基地をさらに拡張しました。

 私の生まれ育った那覇市小禄もそうです。その集落の一つである具志では、米軍は、水道を引いてやる、こういう理由で八千坪の土地を奪い、そして、実際に設置されたのは水道タンクではなく、米軍のガソリンタンクでした。私は、このガソリンタンクの上に土がかぶせられ、芝が植えられ、こんもりした丘に見せかけたそのガソリンタンクに抱かれるようにして少年時代を過ごし、成人いたしました。結婚してもなおガソリンタンクは残っておりました。

 住民をだまし討ちにしてガソリンタンクをつくった後、米軍は大勢の武装米兵、装甲車、トラックで押し寄せ、土地取り上げに反対して座り込む住民を銃剣で殴り、軍靴でけり、頭から毛布をかぶせて片っ端から追放していった、これが具志における銃剣とブルドーザーの土地強奪であります。こうして住民の土地を強奪したわけですが、それはそこ一カ所にとどまるのではなく、宜野湾市の伊佐浜や、伊江島や、県下各地で行われた土地強奪でありました。

 総理に伺いますが、沖縄の米軍基地はどのようにしてつくられたものと、総理の認識を伺いたいと思います。

麻生内閣総理大臣 敗戦の結果、なかんずく沖縄というところは上陸戦をやっております。数少ない地上戦をやった、日本においては、小さな島は別にいたしまして、少なくとも日本の本土と言われるようなところにおいて地上戦をやった、そこが一番悲惨なところだった、私はそういうぐあいに理解をしております。ほかのところ、私のうちも空襲で丸焼けになりました。逃げた記憶もありますから。そういった経験は、我々本土にいる者でも、持っておる人は持っておられるんだと存じます。

 そういうときにあって、沖縄の場合は、そこで地上戦が行われておりますので、その状況は極めて悲惨だった、そのように理解しておりますし、また、アメリカの方も、その地を占領した後、敗戦が決定されました後、アメリカはそのままそこに居残っていったという経過だったというように理解をいたしております。

赤嶺委員 敗戦が決定した後じゃないんです。上陸した直後から基地をつくり始めたんです。

 米軍は、戦後六十四年間、県民に何の補償もすることもなく、沖縄に居座り続けてきました。それどころか、SACO合意以降、土地を返還してほしいなら、それにかわる新たな基地建設を受け入れよ、こう言ってきました。さらに、米軍再編以降は、海兵隊をアメリカに戻してほしいなら、グアムの基地建設まで負担せよ、それがなければ土地返還には応じない、このように言ってきているわけですね。

 総理に伺いますが、政府が嘉手納以南の土地返還を求めるというなら、アメリカ政府の負担で汚染した土壌をクリーンアップすることなど、また、土地をもとに戻して返還せよ、こう求めるのが当然ではありませんか。強奪された土地の返還を求めたら、それに条件をつけて、それを認めなきゃ返せないなどということは私は到底許されないと思いますが、総理はいかがですか。

麻生内閣総理大臣 これは、赤嶺先生、お気持ちはわかります。しかし、その結果、いつまでたっても沖縄の土地というものが返還されない状況がさらに何十年も続くという方が、私にとっては耐えられぬですな。私の気持ちです。おまえの気持ちを言えというなら、私は基本的にそう思っております。

 これは結構、板付の周辺やら何やら、基地になった地域はほかにもございますので、そういった気持ちは私もわからぬわけではないんですけれども、その土地が私どものところに返ってきたときというのは、その地域におられた方は随分喜んでおられた記憶がありますので、そういった意味では、今言われたように、日米地位協定に基づいていろいろ履行をしておられるというのが双方の立場なんだ、私はそのように理解をしております。

 したがいまして、向こうに対して、後をきちんとやれ、何とかしろと言うのは、言うのは間違いなく言える。事実、そういったこともこれまでも何回もやってきておりますから。しかし、その結果、土地の返還がさらにおくれるというような事態の方が、私はそちらの方が避けたいと正直思っております。

赤嶺委員 そもそも、グアムの米軍基地の増強は、沖縄の負担軽減から始まったものではありません。アメリカの陸海空海兵隊の一大戦略拠点をグアムにつくるという、アメリカ自身の計画から出発したものであることは明らかです。日本はその一部を担わされようとしているわけです。外国での外国軍隊の基地建設に税金をつぎ込む国など世界のどこにもないと思います。憲法九条を持つ日本がこのような負担をすることは断じて許されません。

 グアム移転は、県民が求める実戦部隊を移転するものでもありません。八千人を移転すると言いますが、その保証などどこにもありません。移転後の沖縄にこれ以上米軍が配備されないという保証もない。今年度予算では、アンダーセン空軍基地やアプラ海軍基地で、沖縄の負担軽減とは関係のない実戦部隊の基盤整備まで行わされています。協定では日本だけが二十八億ドルの負担を義務づけられ、自国の基地整備なのに、アメリカが自分の持ち分を負担する保証もない。そして、今後海兵隊がグアムで訓練する際の移動経費や活動経費まで負担させられる可能性さえあります。

 撤退する米軍の費用を持つ、こういう基軸を見失った交渉姿勢だから、交渉が進めば進むほどアメリカの要求がエスカレートし、日本は譲歩させられる一方ではありませんか。先ほど松原委員もおっしゃっておりますが、これは沖縄をめぐる屈辱外交ですよ。日本の財政負担に一片の道理もありません。

 総理に伺いますけれども、これだけの重大な内容が明らかになってなお海兵隊のグアム移転経費を持つべきだというのが総理の立場ですか。

麻生内閣総理大臣 日本におけるいわゆる米軍再編の話ですけれども、これは日米両政府が、いわゆる抑止力というのを維持しつつ、かつ、地元の負担を軽減することを目的として、ロードマップに基づいて実施をしているものだと思っております。

 その中で、在沖縄海兵隊のグアムの移転の話は、これは沖縄の負担を軽減することは間違いないと思いますが、沖縄の住民が強く希望しておられました在沖縄海兵隊員の移転の速やかな実現というものを可能にせしめつつあるということなんだとも理解をいたしております。

 この点を考慮してみますと、政府として、この協定によりまして、少なくともアメリカとともにグアム移転と施設及びインフラ整備のために負担を負うことにしたものなんですが、いわゆる沖縄海兵隊のグアム移転の性格というものを考えた場合においては、費用負担の観点のみから先例の有無だけを論ずるというのは余り意味があることではないのではないかと考えております。

赤嶺委員 総理、沖縄は、戦後六十四年間、日本政府の対米追随外交に本当に翻弄されてきました。

 米軍再編が始まったとき、当時の小泉総理は、沖縄の目に見える負担の軽減を実現するということだったんですよ。ところが、結果はどうですか。先ほどの質問にもありましたが、米兵のひき逃げ事件を初め、基地負担は増大するばかりです。嘉手納飛行場では、深夜、早朝の騒音が過去最多になり、ベトナム戦争のころのようだという声まで上がっています。金武町伊芸区では、米軍の実弾演習による流弾事故が発生しながら、またうやむやにされようとしております。県民生活と基地との矛盾は抜き差しならないところまで来ているわけです。

 米軍基地の集中する沖縄で、美しい海を破壊して、新しい基地の建設をパッケージで押しつけ、外国の領土であるグアムで米軍の基地建設まで負担する今回の協定に県民が納得できないという声を上げるのは、基地に苦しめられている県民であれば当然だと麻生総理は考えませんか。

麻生内閣総理大臣 先ほども答弁を申し上げたので、繰り返すようで恐縮ですが、少なくとも目に見えるような形にする、一万七千人の軍人軍属が減る、嘉手納以南のものが返ってくる、また、普天間基地が移転するというようなことは、目に見える形の軽減というものを進行させるためにこのロードマップというものはでき上がっている、私はそのように理解しておりますので、小泉内閣のときにこれはスタートをしたものではありますけれども、私としては、それが実現できた、そのときには初めて、負担が減ったということを実感していただけるものだと理解をしております。

赤嶺委員 繰り返し総理に私申し上げたいんですが、あの返還するという土地は強奪した土地なんです。強奪した土地を引き揚げるときは、きれいにして帰るのが当然じゃないですか。

 ところが、アメリカ側は、それを返してほしいというのであれば、名護市に米軍基地を新たにつくりなさい、那覇の軍港は浦添の沖合につくりなさい、グアムでの基地建設の費用は日本政府が負担しなさい、すべてがパッケージになって、結局、基地の負担を強化するものである。ロードマップで示された嘉手納の騒音軽減も、逆に増加している。

 こんな対米追随外交、屈辱外交、そしてそういう外交に沖縄県民が翻弄される、このようなグアム協定は絶対に受け入れられないということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。

河野委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 本協定の基本事項に対する麻生総理の認識をお伺いしたいと思います。

 といいますのも、麻生総理は外務大臣として2プラス2の協議にも加わっていらっしゃいますので、内容についてはどなたよりも熟知されていると思いますので、具体的なことをお聞きしたいと思います。

 本協定によりますと、沖縄からグアムに何人アメリカの海兵隊が移転して、減るんでしょうか。総理です。何人減るんですか、総理。

麻生内閣総理大臣 御指名いただきまして、ありがとうございました。

 本協定により要員八千人というのは、現在沖縄に駐留する第三海兵機動展開部隊の要員の定員一万八千人のうち、グアムに移転することとなる組織上の定員ベースでの約八千人を意味しておるというように理解しております。

辻元委員 そうしますと、この審議の過程で、一体何人海兵隊の皆さんが沖縄にいらっしゃるのか、現在は何人かなということを提出していただきました。総理、こっちを見てください。

 それで、その数をお聞きしたんですけれども、現在一万二千四百六十一人なんですよ。それで、例えば、丸めて一万二千人としましょう、大体一万二千前後で推移しているんですね。そうしますと、本協定が調って、そして、はい、沖縄からグアムに移転をいたします、そうすると、仮に、そのときの沖縄に滞在する海兵隊の実員数が今と同じような一万二千人だったとする場合に、グアムに沖縄から海兵隊が移転したら、果たして沖縄には何人残るんですか。

麻生内閣総理大臣 これは総理大臣に聞かれるのは筋が全然違うと思いますけれども、基本的には全然違う種類の話だと思いますが、私の方を見てほしいという御質問だったので、そちらの方を見ながらお答えさせていただきたいと存じます。

 一万二千四百六十一人の米海兵隊の要員がいる、二〇〇八年十二月末時点の話です。しかし、この協定は、いわゆる定員数について規定するものだということもはっきりしております。これはもう何回も聞かれたと思いますので。

 沖縄に駐留する海兵隊の定員につきましては、ロードマップの協議の過程において、一万八千人であると米国から説明を受けておりますが、御存じのように、これは部隊のいわゆる移動というか運用の話ですから、その時々の実際に駐留している在沖縄海兵隊の人数につきましては、当然のこととして、部隊運用状況において変動するのは当たり前のことだというのはもう申し上げることもないと思っております。したがって、本件グアム移転が実現した後の在沖縄海兵隊の定員は約一万人になるというように説明を受けております。

 しかし、このことは今後の実数の削減において極めて大きな意味を持つものだと我々は考えておりますが、いずれにしても、政府としては、沖縄に引き続き駐留する海兵隊の人数というものにつきましては、少なくとも、部隊としてここに何人いるかということをあえて知らせるということが、軍として、そういった必要に迫られている場合ならともかくも、ここに何人というのを明確に言うというのは、通常は考えられないと思っておりますが。

辻元委員 実は、何人帰るかというのは、この本協定の一番の肝の部分なんですね。八千人帰るから二十八億ドルという莫大なお金を出しましょうということですよ。しかし、定員の数の変更だけで、実数として何人帰るかがわからないというのが今の総理の御答弁ですよ。

 先ほど、総理はこうおっしゃいました、沖縄の負担を目に見える形で減らして、目に見える形で沖縄の皆さんに知らせたいと。私の三分ほど前、そうおっしゃったわけです。ですから、仮に一万二千人の実数がいたとしたら、八千人の移転ということになったら、その時点で何人沖縄に残るかはわからないというのが本協定の中身ですね。実数でいえばそれはわかりませんというのが中身ですね。総理、いかがですか。

麻生内閣総理大臣 実数はわかるはずがないと思っております。

辻元委員 となると、一万人が定員だったら、一万人を下回る実数しかいない場合は一人も帰らないということもあり得るわけですね、総理。

麻生内閣総理大臣 組織というのは基本的には定員で動きますから、その定員の数が九千人や八千人減るというのは大きな意味がある、私はそう思っております。

辻元委員 ではお聞きしますが、先ほど隊舎と家族住宅の話がありました。隊舎と家族住宅、合わせて八千人分をグアムにつくるという理解でいいんですね。これは防衛副大臣答弁で結構です。

北村副大臣 お答えいたします。

 真水事業として、先ほどからるる説明をいたしておりますけれども、日本側が負担を予定している独身用下士官隊舎について、数の話が出ておりますから申し上げるわけですけれども、アメリカが当時見積もった独身下士官隊舎の棟数といったような情報が含まれていますから、公開しにくい部分がありますというふうなことを申し上げた……(辻元委員「委員長」と呼ぶ)いいですか。

辻元委員 そうすると、何のお金を出すんですか。

 では、普通で考えたら、家族住宅は御家族をお持ちの方が住まれる、八千人帰る、帰ると言うてはるわけですから。そして、独身の人が隊舎に住むとすれば、その両方を合わせて八千人分、日本から帰っていただくからお金を出しましょうという趣旨じゃないんですか。そうであるならば、総理、二十八億ドル、さらに真水以外の部分も合わせて六十億ドル以上ですよ。

 そうしますと、実数で沖縄から二千人しか帰らないとしたら、あと六千軒というか六千部屋というかをアメリカの本土から来た海兵隊の人とかが自由に使えるわけですか。どうなるんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、隊舎と家族住宅の関係でございますけれども、基本的にはロードマップの考え方に従って家族なり隊員が動くということを前提にして、その上で、具体的にどういった隊舎の戸数が必要になるのかということをまさに精査しているところでございまして、それには当然どういう部隊が動くのかというようなことも絡んでまいりますので、そういったことを全部年度年度で精査してやっていく。ですから、家族住宅についても三千五百戸というような数字が出ておりますけれども、そういったことも含めて精査をしていくということでございます。過去、この点は国会で何度も御議論いただいている点だというふうに理解をしております。

辻元委員 今の御答弁を総合しますと、結局、実数で沖縄からどれだけ減るのかはそのときになってみないとわからないと。そして、一人も帰らないこともあり得るわけですよ。そしてさらに、そうしたら、二十八億ドル出してつくった隊舎は、その数も言えないし、一体そこにだれが入るんですか。

 総理、お伺いしたいと思いますけれども、実はここに、外交青書二〇〇八年、持ってまいりました。ここにどう書いてあるかというと、「八千名の海兵隊員及び九千名の家族は二〇一四年までにグアムへ移転」と書いてあるわけです。これを見たら、実数で八千人、そして家族九千人が減ると思うじゃないですか。でも、実際は違うわけでしょう。実数で減るわけではないわけですね。これだと、まるで実数で、沖縄から目に見える形でその時点で減るというような書き方で、沖縄県民や国民の皆さんに外務省が出している資料で公表しているわけですよ。ところが、実際は実数は何人減るかわかりませんというのが本協定の中身と私は理解いたしますが、総理はいかがでしょうか。

麻生内閣総理大臣 通常、仮にも一国の、しかもかなり先進国の軍隊の組織の定員数というのは、師団だったらこれぐらい、部隊だったらこれぐらい、旅団だったらこれぐらい、この部隊だったらこれぐらいと普通は決まっているものであります。

 その部隊の数から八千人、家族含めて一万七千人が減る、移動するということは、我々の常識からいいましたら、定足数からその数が減るというように考えるのが通常だ、私どもはそう理解しております。

辻元委員 その理解はいいんですよ。ですから、実数ベースで考えたときには減らないこともあるんだなと聞いているわけですよ、この協定によれば。そのとき、実数がはるかに定数を下回っていた場合は減らないこともあるというメカニズムになっているんですねと総理にお伺いしているわけです。

 これは、ちゃんとお答えになった方がいいですよ、実際のところ。そんな、定員だということはわかっています。実数とは違うので、そのときに、はるかに少ない実数しかいなかったら沖縄から一人も出ていかないこともあるんだったら、あるとお答えになったらいかがですか。

麻生内閣総理大臣 この種の交渉をやるときに、定員数でやりますので、実数で交渉しておりませんので定員でしかお答えができないということをたびたび申し上げてきた。これまでずっと同じ答弁を申し上げてきたんだと存じます。

 したがって、一人も減らない可能性があるじゃないかというような極端な議論をされましたが、大幅に、九千人減ったらどうするんですかというような話を、では、八千人以上減っちゃったといったらどうするんですと言われても、これは定員数で一応話をさせていただいておりますので、我々としては、その線に沿ってこれまで交渉をしてきたという経緯をずっと説明いたしてきております。

辻元委員 そうしたら、こういう書き方はおやめになったらいかがですか。

 参考人の皆さんも、一体沖縄から何人減るんですか、では何人海兵隊の皆さんが残るんですかというところを参考人の方からも疑問が呈されましたし、視察に行った折も、私たちは県会議長からも伺いました。ですから、あたかも、ただ定員が一万八千から一万に変更するのみですよ。そのことにお金を出すのかどうかということで、実際に沖縄の具体的な負担がどれだけ減るかというのは今わからない、しかし、これを通してくれということです。

 総理にお伺いします。総理は、知事とはお話しになっていますけれども、県議会の議長や県議会の皆さんとお話しになっていますか。つい先日、これは新基地に関して、辺野古の地域の基地建設に対しての反対の決議がなされました。そして先月には、この協定に対して、頭越しであり、かつ、この協定は承認しないでほしいという意見書が県議会の意見書として出ております。総理はごらんになりましたか。そして、県議会の議長とは何回お会いになって、どんな話をされたんでしょう。

 実数もわからない、実態は何人残るかもわからない、そういう中で、沖縄の皆さんのこの県議会の声というのは一つの声なんですよ。総理、県議会とは何回お話しになりましたか、議長と何回会って、どんな話をしましたか。

麻生内閣総理大臣 私は基本的に、県を代表されるのは知事だと思っております。まずこの認識だけははっきりしておきます。私どもは行政府を預かっておる立場でありますので、県を代表されるのは県知事というのが基本だと思っております。まずこれだけははっきりしておきます。

 ほかに議員と何人会ったか、何回会ったかというのを、私はそれをお答えする立場にないと思いますが、少なくとも、御党の方は何人おられたか知りませんけれども、自民党の議員の方とは何回となくお目にかかったことはあります。

 その上で、先ほどの沖縄県議会によります御指摘の意見書については、先ほど、どなたか御質問がありましたので、はいとお答えしたと思いますので、それで答弁になっていると思います。見たということです。

 また、そのときに、本協定については仲井眞知事のコメントもついておりました。お読みになりましたでしょうか。(辻元委員「はい、読んでいます」と呼ぶ)ありがとうございました。

 沖縄県民の基地負担の軽減につながる在沖縄海兵隊のグアム移転を確実に実施するために締結されたものであると認識をしているというコメントがついておりましたので、私は正しく認識をしておられると思いますが、問題は、現実論として、そういったものを施行していくに当たっていろいろな問題があるという点につきましては、地元の声に真摯に耳を傾けて今後ともやっていくと先ほど答弁を申し上げたとおりであります。

河野委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 質疑を続行いたします。近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございますが、引き続き質問させていただきたいと思います。

 環境評価準備書にかかわることであります。要約書三に、環境影響評価の前提条件の一つとして、代替施設利用航空機の種類について、「滑走路の長さについては、普天間飛行場に配備されている連絡機(C12及びC35)や他の飛行場から飛来する可能性のある連絡機と同等のもの(例えばC20)の離発着というニーズを考慮した結果、滑走路長を千六百メートルとし、オーバーランを含み護岸を除いた合計の長さを千八百メートル」としていますと記されているわけでありますが、これはどのような根拠に基づき設定されたのか、御説明をいただきたいと思います。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 普天間飛行場代替施設の滑走路の長さにつきましては、普天間飛行場に配備されております連絡機、C12とC35がありますけれども、あるいはほかの飛行場等から飛来する可能性のある連絡機と同等のもの、例えばC20がございますけれども、これが離発着するのに必要な滑走路長を踏まえまして、航空機の離発着に影響を及ぼす要素となる気温、滑走路の標高、米軍の飛行の安全性などを勘案し、滑走路長を千六百メートルとし、オーバーランを含みまして護岸を除いた合計の長さを千八百メートルとしたものでございます。

近藤(昭)委員 今御説明の中にちょっとあったと思うんですが、もう一度改めて、C12、C20、C35などの航空機が果たす役割、これはどういう働きか、お答えをいただきたいと思います。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 現在、普天間基地司令部に所属しておりますC12とC35は、一般的に人員等を輸送する連絡機としての役割を有しているところでございます。

 また、ほかの飛行場から飛来する可能性のあるC20も同様に、人員等を輸送する連絡機としての役割を有しているものというふうに認識をしております。

近藤(昭)委員 今御説明もありましたように、三種類とも人員を輸送する連絡機ということです。

 間違いないと思うんですが、いわゆる司令官などの基地間の移動に使われる航空機、こういうような理解でよろしいでしょうか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 若干、乗員の数ですとか搭載できる能力に差はあると思いますけれども、基本的にはそういった連絡任務に使われていることが多いというふうに承知をしております。

近藤(昭)委員 私は、今回も視察にも参りましたし、以前も何回か辺野古の場所に足を運んだことがあります。まさしく自然の宝庫であります辺野古基地に、私は、どのような形であれ、代替の飛行施設を建設する、こういうことには一切反対、こういう立場であります。

 しかし、現在普天間基地に駐留するCH46とかCH47、こうした回転翼機、いわゆるヘリコプターの離発着のためにはオーバーランを含んで千八百メートルの滑走路などは要らない、こういう理解なんです。ですから、万々々が一つくるとした場合に、そういうことを仮定とした場合、グアムやハワイから連絡機に乗ってやってくる司令官は、一度嘉手納へ行って、そこから車か連絡ヘリコプターに乗り継げばよい話ではないか。

 もちろん、とにかく前提、私の考えは、つくるべきではない、こういう考え方です。ただ、つくるというときに、先ほどから政府の答弁でも、いかに沖縄の負担を軽くする、こういうことで考えると、なぜ千八百メートルもの滑走路を建設するのか。生活環境や自然環境を守る、こういう気持ちであれば、当初ヘリパッドの建設、こういうことだけの計画であったときもあったと思います。

 そういう意味では、なぜそういう発想で行われていないのか、より負担を大きくするような発想で行われているのか、このことに大いな疑問を感じるのでありますが、いかがでありましょうか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 我々が今現在検討しておりますのは普天間飛行場の代替施設でございますので、普天間飛行場が現在担っている機能というものはやはり維持される必要がある。そして、そういった連絡機についてはそういった機能の中のものであるというふうに理解をしております。

近藤(昭)委員 ですから、私は、考え方としては、先ほど申し上げましたように、何かこの代替基地の機能がより大きく大きくされているような気がするんです。ですから、代替基地の機能の働かせ方はいろいろあると思うんです。だから、いろいろな考え方のある中でより負担のかからない方法で考えるべきではないかということなんですね。中曽根大臣、どうでしょう。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 まさに先生御指摘のとおり、できるだけそういった施設が効率的なものであって、地元への負担が少ないようにということは、いろいろな議論の中の当然の前提でございますけれども、今回はいろいろな議論を経て、その機能というものをこういった形でお願いをするということで準備書でも明らかにさせていただいているということで御理解をいただきたいと思います。

近藤(昭)委員 代替基地ということでありますから、私は、さっき申し上げたように、辺野古につくるべきではないというふうに思っているんですが、代替基地ということを考えても、今普天間基地に駐留するCH46、CH47、これが駐留して使用されている普天間基地の代替施設なわけでありますから、なぜ千八百メートルもの滑走路が必要なのか、こういうことなんです。

 どうも考え方が違うということでありますけれども、私は本当に、そういう、どんどんどんどんと辺野古の基地が、何か計画が拡大していくようなことに非常に疑念を感じるんです。大臣はこの間も辺野古の海を見られたわけでありますから、どうですか。

中曽根国務大臣 滑走路ですか、これの長さを決めた経緯につきましては、私、詳細は存じ上げませんけれども、これは米軍とまた防衛庁等関係者が協議して、これだけ必要だということでなったもの、そういうふうに思います。

 いずれにいたしましても、抑止力を維持するという観点から、普天間を仮にどちらかに移すという場合に、やはり回転翼機の基地というものが必要なわけでありまして、そういう観点から辺野古というところにこの代替地が決まった、そういうふうに思っておりますが、この移設、返還というものは、再三申し上げておりますように、やはり沖縄の負担というものを少しでも軽減する、そういう中でこういうふうな計画が出てロードマップとなったものでございますから、ぜひ御理解いただきたいと思います。

近藤(昭)委員 大臣、ただ、本当に普天間の基地の負担が減っても、今度は辺野古に大きな負担が来る、これはおかしいということを申し上げているんですね。それで、本当にもっともっと、なぜ政府はきちっと住民の立場に立って考えないのか。先ほど総理は、沖縄県民を代表するのは知事だ、知事の意見を聞いていればいいなんていう言い方をされていましたけれども、本当におかしいと思うんです。

 それで、九六年の三月の日米合同委員会において、普天間飛行場及び嘉手納飛行場の航空騒音規制措置、これの合意がなされました。実際の遵守状況について、政府としてはどのように把握をされておられますか。

井上政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のように、平成八年三月、日米合同委員会におきまして、嘉手納飛行場及び普天間飛行場におきます航空機騒音規制措置につきましての合同委員会合意がございました。幾つかの項目につきましての合意であるわけでございますけれども、例えば飛行活動につきましては、二十二時から〇六時の間の飛行等の活動は、運用上の所要のために必要なものに制限される、夜間訓練飛行は、任務達成、練度維持のために必要な最小限に制限されるなどの内容となっているものでございます。

 私どもといたしましては、現在、これらの飛行場におきましては、こうした騒音規制措置が遵守されているものというふうに認識はしているわけでございますけれども、米軍の活動に当たりましては、運用上やむを得ず必要となるものであっても、可能な限り周辺の住民の方々への影響が最小限になるよう申し入れております。また、休日を初め、土曜日、お盆、年末年始、学校行事等地元の年間行事などにも十分配慮するよう申し入れているところでございます。

 今後とも、引き続き、米側に対しましては、これらの騒音規制措置を遵守し、可能な限り周辺住民の方々への影響が最小限になるよう配慮されたい旨申し入れてまいりたいというふうに考えているところでございます。

近藤(昭)委員 先ほども総理にも質問させていただいたときに、普天間基地の閉鎖ということでお話をしました。負担軽減ということで同じだけれども、即座なのか、あるいはこの協定の中でとかという思いの違い、これは大分大きいと私は思うんですが、さらに、この騒音協定のことも、今いみじくも、規制措置はあるけれども、運用はやむを得ないというか最小限の中では、米軍の運用が、実質的には約束の二十二時から翌朝六時の飛行が制限されているときもある、こういうようなこともおっしゃっていたわけですね。

 ただ、この間、いろいろとお話を聞いていて、騒音、大きさだけではなくて、ヘリコプターなんかは特有の低周波音被害というのもある。低周波音というのは人の耳には聞こえにくくて、音を感じなくても頭痛や吐き気、耳鳴りで、いらいらや不眠など人体に大きな影響を及ぼす、こういうわけであります。環境省も、低周波音問題対応の手引書の中で、低周波音九十二デシベルか周波数ごとに設定された参照値のいずれかを超えた場合には、心身の苦痛に対して非常に大きな問題がある、こう示しているわけであります。そして、普天間騒音訴訟において、現場検証においては検証した全四カ所において参照値を超えているわけです。

 そして、大臣、ちょっとお答えをいただきたいんですが、今参考人の方からの御答弁では、最小限だ、やむを得ない場合だということをおっしゃった。ただ、その数が余りにも多いということだと思います。私は、そういう意味では、きちっとこの騒音規制を守らせるということとともに、やはり地位協定の改定が必要だ、こういうふうに思うんです。

 イタリアでは、米軍が使用している各基地で個別に基地使用協定が結ばれているのはよく御存じのことだと思います。例えば、イタリア北部のアビアノ空軍基地では、平時においては米軍は一日四十四回までしか離着陸できないそうであります。

 三月十八日に嘉手納町の宮城町長が防衛省の藤井沖縄調整官を訪ねて、米軍嘉手納基地に特化した使用協定の締結を求めた、こういうふうに聞いておりますが、私は、地位協定の改定の方向で、また騒音問題について、もっときちっとそれぞれに特化した使用協定も結んで、実質的にこれを減らしていくことが必要だと思うんですが、中曽根大臣、いかがでありましょうか。

中曽根国務大臣 騒音につきましてもたびたび御答弁申し上げておりますけれども、地域の住民の皆さんには大変な御迷惑をおかけしているということは間違いありません。そういうところから、米軍にも、夜間の離発着等については時間を守るようにということは再三日本側からも申し入れしておりますし、米軍も守るよう努力するということになっておるわけですが、時間を超えて離発着が行われているということがあるのも事実でありまして、そういうものにつきましては、少しでも少なくなるように、再三私どもからも要請をしているところでございます。

 そういう周辺住民の皆さんの御負担につきましては、そういうところから我々も十分認識しておるわけでございますけれども、例えば、米本土とかそういうところへ移動するようなときに、時間外に多少はみ出るとか、そういうような特別な場合もあるかもしれません。

 なお、地位協定につきましては、政府としては、これもその改正ではなくて、その時々の問題について運用の改善によりまして機敏に対応をしているところでございまして、これが合理的な方法である、そういうふうに考えております。

 実際に、刑事裁判手続とか、環境の問題とか、種々の分野におきまして、改善例を今までも運用によって積み重ねてきておるわけでございますけれども、今後とも、目に見える運用の改善の成果を一歩一歩積み上げていきますように、最大限の努力をしていきたいと思っております。

近藤(昭)委員 今外務大臣も幾つか例を挙げて、やむを得ない、特別な状況があるんだということもおっしゃったんですが、ただ、それ以上に、特別な状況があると思われないような訓練、そしてまた、非常に回数が多いということなんです。だからこそ、それだけ被害が出ているということであります。そういう中で、先ほど申し上げたように、イタリアなんか、どこでも各地でこういう問題が起きているんだと思います。

 それで、イタリアでは各基地と特別な使用協定を結んだ。ところが、国内でいうと、いわゆる日米の地位協定というものがあり、それぞれに特化した使用協定というのは個別には結べない、こういうような状況のようなんですね。だからこそ、日米の地位協定の運用ではなくて、やはりこれは地位協定を改定する。何も、日米関係を全く否定するということではなく、各地でこの問題が起きているわけでありますから、それはちゃんと国民のためにやるべきだと思うんです。大臣、もう一度お答えいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、改正ではなくてその運用の改善によって対応していくという方向で、今までも解決をしてまいりましたし、今後もそういう形で、目に見える運用の改善の成果が出るようにやっていきたい、そういうふうに思っております。

近藤(昭)委員 私は、運用では、その運用も、残念ながら十分に効果を発揮していないというところもあります。そういう意味では、運用面での改善だけではなくて、やはり地位協定の改定に進んでいかなくちゃいけないというふうに思うんです。

 それで、次の質問に行きますけれども、普天間基地に配備されている回転翼機の代替機としてオスプレーが配備される、米軍においては既定の事実となっていると思います。しかしながら、今回、環境評価の際には、オスプレーの配備を想定した環境影響評価が行われていない。これは、もう間違いなくアメリカではこういうふうに配備される、これは既定の事実だと思うんですね。なぜそれを前提とした環境影響評価を行っていないんですか。

長岡政府参考人 普天間飛行場代替施設に配備される航空機の種類でございますけれども、準備書に記載しておりますように、現時点において、基本的に普天間飛行場に配備されている航空機のうち、ロードマップにおいて岩国飛行場を拠点とすることとされているKC130以外のものということで、回転翼機としてCH53、CH46、UH1、AH1、短距離で離発着できる航空機としてC35とC12を想定いたしております。

 オスプレーの沖縄への配備についてでございますけれども、外交ルートにより累次にわたり米側に確認をしておりますけれども、従来より具体的に決まっていないという回答を得ておりますので、環境影響評価の対象とはいたしておりません。

近藤(昭)委員 決まっていないからやっていないんだというのは、では、決まったときどうするのと思うわけでありますよ。それに、御承知のとおり、二〇〇九米会計年度海兵隊航空計画には、今度オスプレーに転換をする、今普天間基地に配備されているCH46Eを転換する、こう書いてあるわけじゃないですか。だから、まだ決まっていないけれども、これから起こることに決まってから対応できないわけですし、そうすると、これはちゃんと入れるべきだと思うんですが、いかがですか。

長岡政府参考人 先ほどお答え申し上げましたけれども、今回、評価において取り入れました航空機の種類というのは、現時点において配備されているということでやっておりましたので、配備について確定していないものについては、オスプレーに限らず入れていないところでございます。

近藤(昭)委員 今も言ったことであります。全く決まっていないことが突然起こるということもあるわけですけれども、さっき申し上げたように、海兵隊の航空計画の中では今度転換をするということがもう書かれているわけじゃないですか。そうとすると、今はまだ決まっていない、決まっていないものを前提に環境評価はできないということ。そうすると、もし決まって、それが今行われている環境評価、その基準を超えていたらどうされるんですか。

長岡政府参考人 先ほど申し上げましたように、オスプレーについては沖縄への配備が決定しておらず評価の対象としていませんけれども、一般論として申し上げましたら、そういった事業内容を修正するようなことが必要になったような場合には、関係法令に従って適切に対処することになろうかと思っております。

河野委員長 防衛省、一般論でなく具体的に、今回のアセスとオスプレーの関係で答弁してください。

長岡政府参考人 はい。

 オスプレーということで配備が決定されたら、その時点で考えさせていただきます。

近藤(昭)委員 いやいや、考えさせていただきますではだめなんだと思うんですよ。そんなんだったら、何でも通っちゃうわけじゃないですか。

 何かが起きたときにそこから考えます。だから、先ほど申し上げました、ちょっとこれは譲っている、譲っているというか、突然起こることもあるのかもしれませんけれども、少なくとも、では突然起こったって、環境基準があるわけですから、それを超えていたらだめだということじゃないですか。それはいろいろ、さっき申し上げたみたいに、私はもともと辺野古に基地をつくるべきではないというふうに思っていますから、騒音とか環境評価だけではないんですけれども、でも、少なくともこの環境評価の部分でいうと、配備をされて、今やっている基準の中でも超えていたらそれはどうするのかというのは、仮定でも答えられるべき問題じゃないでしょうか。

長岡政府参考人 冒頭私御答弁させていただきましたように、今回の考え方は、現時点において普天間飛行場に配備されているものということでございますので、将来の航空機はまたいろいろ変わったものが出てまいりますので、あらゆるものを想定しているのじゃなくて、今回の考え方は、今現にあるものについて評価をさせていただいたところでございます。

近藤(昭)委員 いや、だから、そんなことは先ほどから言っていることで、このオスプレーという飛行機が現に配属をされるかもしれない。まあ仮定の話かもしれないけれども、私はかなり可能性が高いんだと思っていますけれども、配備をされたときに、それが環境評価を超えたら、いわゆる問題があるんだったらどうするんですかということなんです。どうでしょう。

長岡政府参考人 これも先ほど申し上げましたけれども、ですから、事業内容に変更を生じるというような場合には、そのときには、関係法令に従って適切に対処をしてまいります。

近藤(昭)委員 その適切にという意味は何でしょうか。

長岡政府参考人 将来の仮定の問題でございますから、そのときの状況に応じてということでございます。

近藤(昭)委員 そのときの状況に応じてということだったら、基準というのは何も意味がないんですよ。基準というのが意味がなくなるわけですよ。

 ですから、まだ現時点で、どういうものが配備をされるか、その中でやると。でも、例えば、現時点で問題が発生すれば、環境評価というのはそのもとによって、私は、今回の環境評価はゼロオプションがないというのはいかがなものかなと思うわけです。ゼロオプションがない、とにかく建設するんだという中で行われているやり方で、これはすごい問題があると思うんですが、それは余りにも誠意がないんじゃないでしょうか、大臣。だって、沖縄の負担軽減だ、軽減だと言っているんですよ。今、仮定の話にしたって、現実に起きるところはもう簡単に想像できるわけじゃないですか。配備してみた、環境に大変な影響を与える、そのときに適切な対応というのはどういうことなのか。いかがでありますか。

中曽根国務大臣 突然の御質問でございますが、オスプレーの配備につきましては、今防衛省から現状についての説明があったところでございまして、現時点で導入する予定ではないということでありますし、仮に将来、オスプレーなりその他の機種のあれが配備というような話が出てきたときには、それが環境にどういう影響があるかというのは当然検討をしなければなりませんし、そのときに的確に対応するということだ、そういうふうに思っております。

 いずれにいたしましても、地域に大きな御迷惑がかからないように配慮するというのは当然のことであると思います。

近藤(昭)委員 なかなかきちっとした答弁がいただけなくて、的確とか適切というのは本当に便利な言葉で、これでみんなが安心できるのかな、とてもじゃないけれどもというのがだれもが感じることではないかと思うんです。

 オスプレーは随分事故も起こしているわけでありますし、事故が起きてから適切に対応してもらっていては、または環境に大変な影響を起こしてから適切に対応するというのは、それは余りにもずさんではないかと思うんです。

 もう時間がなくなってまいりましたので、もう一つだけ質問させていただきたいと思います。

 今回の財政支出の対象事業についてです。

 日本側の負担としては、司令部の庁舎、教場、隊舎、学校等生活関連施設の建設に二十八億ドルを上限として財政支出、いわゆる真水の支出を行うこととなっていますが、娯楽性及び収益性が高いと見られる施設の建設も財政支出の対象となるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 我が国が分担する真水事業につきましては、日米間で協議の上、各会計年度ごとに対象事業を決定するということが基本でございますけれども、我が国の提供施設整備においては、平成十二年十月に、我が国の極めて厳しい経済財政事情を背景に、提供施設整備の案件採択基準を作成し、娯楽性及び収益性の高いと認められる施設の新規採択を控えるという確認を行っております。その後、かかる施設は採択していないということを念頭に、本件事業についても適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 そうすると、その基準がこのグアムにおける建設にも援用される、こういう理解でいいのか。よろしいでしょうか。

高見澤政府参考人 娯楽性及び収益性の高いと認められる施設につきましては、そのように対処してまいりたいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 国民の血税であります。私は、本当に一刻も早い、普天間の基地については閉鎖ということでありますけれども、この間の議論の中で負担軽減だ、負担軽減だというところがなかなか明確に見えてこないことが本当に問題だというふうに思っております。

 もう時間も参りましたので、これで質問を終了します。ありがとうございました。

河野委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党、武正公一でございます。

 引き続いて、また質疑に立たせていただきます。

 財務省から大臣政務官もおいでいただいておりますし、引き続き、防衛副大臣にも御出席をいただきたいということでございます。

 まず、お手元の方に資料を配付させていただきました。一ページ目、グアムにおける民活事業ということでありまして、今回の住宅三千五百戸について、またインフラ部分については民活ということでこうしたイメージ図がつくられておりますが、まず住宅について、償還ということが書いてありますけれども、先ほど来、償還期間は五十年ではないのかということで質問がありましたところ、防衛省の方から、そういった類似の事例をこの報告書に載せているんだということでありますが、財務省、JBICさんを所管されておりますので、日本政策金融公庫の中で今回こうした出資を行うということで、財務省とすれば、この五十年ということについて承知をされておられますでしょうか。

    〔委員長退席、三原委員長代理着席〕

三ッ矢大臣政務官 お答え申し上げます。

 まだ実は防衛省の方から予算要求がなされていない段階でございまして、具体的な事業スキームや出資等については防衛省が検討を行っている最中であるというふうに承知しておるところでございますが、予算要求が行われた場合には、当然のことながら、事業の効率的な実施や出資の償還確実性等の観点から、適切なスキームがつくられるように議論を行っていきたいというふうに思っております。

 また、JBICの財務の健全性というのでしょうか、これを確保する必要は当然あるわけですから、その議論の過程におきまして、きちんとJBICの財務の健全性が確保されるように、私どもとしては、防衛省とも十分協議をしながら努めてまいりたいというふうに考えております。

武正委員 これは、二〇一四年までに普天間基地の、あるいは辺野古というような移設を完了する、こういった二〇一四年というリミットがあるというふうに承知をしておるんですが、防衛省、今財務省のお話では、この住宅事業について、日本政策金融公庫の出資に伴うような予算措置というのでしょうか、まだ提案がないんだ、二〇〇九年度の予算にも計上されていない、こう承知をしているんですが、果たして、これで住宅は二〇一四年までに完成できるんでしょうか。防衛省、いかがでしょうか。

北村副大臣 大変厳しく難しいこととは思いますけれども、それを目指してしっかりやってまいります。よろしくお願いします。

    〔三原委員長代理退席、委員長着席〕

武正委員 厳しく難しいというのは、あと六年で三千五百戸を建設するというのが難しいというふうに認識をされているということでよろしいですか。

北村副大臣 先刻来審議の過程で申し上げますように、家族住宅の建設から維持管理、あるいは軍人住宅民営化の事例、こういったものを取り上げてまいりますとき、また、家賃収入をベースとする事業であるということや、一般的にリスクは低いと考えられますけれども、ハイリターンであるわけでもない、しかも、事業期間は五十年という長期になると考えておるわけでありますから、極めて慎重に、あるいは適時適切な配慮というものを加えながら進めていかなけりゃいかぬというふうに考えております。

武正委員 先ほど、事業期間は五十年かというふうに松原委員が聞いたら、その報告書に書いてあるのはあくまで参考事例で、何年かわからないという御答弁だったんですが、今のお話では、五十年ということでよろしいでしょうか。

北村副大臣 私はそのように承り、そのようなことで進めていくというところで考えております。

武正委員 お手元に資料があるんですけれども、財務省政務官、よろしいですか、二ページ目に、JBICの出資案件をJBICから御報告いただきました。過去六件、類似の出資があるということでございます。それがいずれも、期間はどのぐらいだというふうに聞きますと、十年、十年、十一年、十四年ということでありまして、この五十年という長期にわたるビジネスモデルというんでしょうか、これが本当に成り立ち得るのか。

 今防衛省がいみじくも言ったように、リスクもあるというお話でした。かねてより、この一枚目のスキームである、例えば米軍人からの家賃などが本当に五十年間保証されるのか、それから、償還が果たしてJBICに対してきちっとされるのか、これが疑問であると。

 つまり、この二十五・五億ドルは、出資ではなくて実は真水部分と同じなのではないのか、こうした指摘があるんですが、JBICを所管する財務省として、五十年のこの新たなモデル、しかしあと六年でつくらなきゃいけない家族住宅、まだ予算措置もされていない。今防衛省が図らずも、家族住宅、六年でつくるのは大変厳しいと認められている中で、五十年で償還するということをJBIC所管省庁として認められるのか、あるいはそれについて十分情報を得ておられるのか、お聞きをしたいと思います、財務省。

河野委員長 それでは、まず北村防衛副大臣。

北村副大臣 先ほどの私の答弁に若干補足をさせていただきたいと思います。

 家族住宅事業につきましては、その具体的な事業のあり方等につきまして現時点で結論が出ているわけではございません。引き続き日米間で協議を行っている途上にあるわけでありまして、御指摘の事業期間、その理由について確たることを申し上げられないというのが正確なお答えとなります。

三ッ矢大臣政務官 JBICの出資につきましてですが、先ほどもお答え申し上げましたとおり、まだ実は防衛省の方から要求が出てきていないものですから、今鋭意検討されているところだと思います。

 ただ、この米軍住宅の建設の関係につきましては、これはもう先生御承知のとおり、十九年の特措法におきまして、JBICの方に特例勘定としてこれを認めるということで御議論いただいたわけでございますが、お示しいただいたその他の出資案件は、言ってみれば純粋に商売の話でございまして、その意味で、この米軍住宅の建設に関しては、それとは性格を異にしているというふうに考えております。

 ただ、先ほども申し上げましたが、JBIC全体としての財務の健全性というんでしょうか、これは当然確保する必要があるわけでございまして、私ども、予算要求がなされた時点で防衛省ともその辺を十分に協議して、健全性が確保されるように努めてまいりたいと思っております。

武正委員 防衛副大臣、先ほどの御答弁では五十年の事業計画というふうに認めておきながら、ここでもう一度それを翻してしまうということですと、審議ができなくなってしまうんですが、こういうことでは大変困るわけですね。きちっとお答えをいただきたいというふうに思います。

 そこで、今財務政務官にお聞きをしますけれども、この一枚目の表を見ていただくと、日本政府が出資等ということになっておりますと、今何と言いましたか、特別会計か別勘定か、そういった意味では、日本政府がきちっと保証をするから、リスクがある五十年で、まだ計画も出ていないけれども、あるいは事業主体から償還されなくても、担保はされるからいいんだという御認識でしょうか、財務省。

三ッ矢大臣政務官 繰り返しになるかもしれませんが、今までの出資案件とはちょっと性格を異にしているというふうに考えております。

 ただ、これも繰り返しになりますけれども、やはり事業に応じた適切な期間というのがあるんだと思います。その点につきましては、先ほど来お答え申し上げておりますが、十分に防衛省とも協議をしながら、私どもとしては、JBICを監督する立場として、財務の健全性が損なわれないように努めてまいりたいというふうに考えております。

武正委員 ただ、この一億数千万円かけた久米設計の報告書では、やはり五十年モデルでいろいろと計算がされているんですね、五十年でどのような人件費が必要なのか、あるいはその維持管理が必要なのかということで。

 ですから、これを見ると、やはり五十年なんですよ。ですから、本当にJBICさんが五十年間、こうしたモデルに株式会社としてきちっと関与できるのかどうか。これについて、余りにも今不確定な状況の中で、あと六年での家族住宅建設のため、SPEへの出資、こういったことが求められてくるのではないかと思うんですが、やはり、今のような防衛省の説明の状況では、私は、財務省としてJBICに対する監督を果たし得ないのではないかと思うんですが、財務省、いかがでしょうか。

三ッ矢大臣政務官 その点につきましては、今後、十分に防衛省と協議をしてまいりたいというふうに思っております。

武正委員 では、財務省、どうぞお引き取りください。

 そこで、先ほども指摘をしましたが、この報告書について、今お手元の資料にも三ページ目、四ページ目に書いてありますが、先ほど、なぜ隊舎の数を明らかにできないんだというお話をしましたら、明確なお答えはなかったんですけれども、なぜこの隊舎と住宅が絡むかというと、当然、住宅を三千五百戸つくって、ではそこに一体何人入るんだろう、あるいは三千五百戸に果たして一〇〇%入居をされるのか、こういったことも含めて隊舎の数というものが検討されているんだろうというふうに思うんですが、なぜこの真水部分の、先ほど総理が言ったように、上限を決めたんだと。

 しかし、ようやくここの協定になってきて、国会でこの二十八億ドルの支出を約束する協定の承認、これでようやくこの具体的な話を審議できる状態なのに、なぜ隊舎の数を明らかにできないのか。しかも、今、これから六年でやらなければならない、極めてリスクのある、しかもまた非常に厳しい状況であるということを防衛副大臣が認められた中で、住宅事業も着手しなきゃいけない、しかし財務省はまだ提案がないというふうに言っておる、こういう中で、なぜ隊舎の数を明らかにできないんでしょうか。副大臣、お答えください。先ほどもう御答弁はいただいておりますので、なぜできないのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

北村副大臣 アメリカ側から非公表を前提にして入手した情報でありまして、公表すれば今後のアメリカ側の調達等の関係で問題が生じるおそれがある、こういった理由から米国国内法上保護されるべきということでありましたので、非開示ということにしたわけであります、お願いしたわけであります。

武正委員 外務大臣はお聞きになっておられると思うんです。先ほどから隊舎隊舎と言っているのは、先ほど総理のときに示したこのロードマップ、外務大臣、このロードマップの財政支出、真水部分、二十八億ドル上限、事業内容は、司令部庁舎、教場、隊舎、学校等生活関連施設。外務省は、主にこの二十八億ドルの支出に関する協定だと言っておられますが、私は、やはり日本側の出資、融資も含めた六十・九億ドル、全体にかかわる話だと。

 それは、今言ったように、家族住宅と隊舎というのは、ある面補完関係にある。家族住宅に入らない隊員が、特に下士官、独身用の隊舎、これが先ほど言った久米設計の中ではブラインドになっているからなんですね。なぜこの数を明らかにすることが先ほどのような秘密事項になるのか。これではやはり審議が進まないんですね。

 外務大臣、この協定を提出された、あるいは署名をされた所管大臣として、これで本当に国会審議に付せている、十分な情報を提供できているというふうに思われますでしょうか。外務大臣、署名をされたので、お答えをいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 先ほど防衛省の副大臣から御答弁がありましたけれども、まず、この不開示ということにつきましては、米側から非公表を前提に入手した情報であるということ、また、今度は日本側がしかるべく主張していくための情報でもあるので公表すれば影響を及ぼすおそれもある、そういうようなことから不開示ということにつき先ほど御説明させていただいたところですが、いずれにいたしましても、実際、この予算を計上する、そういう段階になりまして、国会等で今まで述べてまいりましたとおり、司令部庁舎とか、あるいは隊舎とか生活関連施設、こういうものの分類というものを前提にして、所要経費につきましては我が国自身が適切にこれを精査して、そして、予算につきましては国会にお諮りをして御審議をいただきたい、そういうふうに考えているところでございます。

武正委員 ですから、これは適切に審議できないわけなんですね、情報が開示されていないと。

 これは、先ほど触れたように、二〇一四年までということですが、協定には年限はうたっているんでしょうか。うたっていないとすれば、その理由は。うたっているとすれば、それが守れないときにはどのようなことになるのか。これは、外務省、いかがでしょうか。

西村大臣政務官 この協定におきまして、ロードマップを前提としております。これは前文からずっと書いておりますけれども。そのロードマップに二〇一四年までに移転をするというふうに書いております。

武正委員 ということは、ロードマップが前提ということであれば、二〇一四年までにこの移転、移設が完了しないと、それこそ協定違反ということでよろしいでしょうか。

西村大臣政務官 我々は、二〇一四年に向けて、移転に向けて全力で頑張っていくということでございます。

武正委員 だから、私は、協定違反なのですかどうですかというふうに聞いているんですが、努力目標ではなくて。それについてお答えをいただきたいと思います。

河野委員長 西村大臣政務官、的確にお答えください。

西村大臣政務官 ロードマップは、この協定の前提として書いてあるものでございまして、二〇一四年までに移転をするということをこの協定に書いてあるわけではありませんので、これは協定違反とは考えておりません。

武正委員 防衛省が予算計上もしないし、財務省もまだ家族住宅について防衛省から説明を受けていない。しかし、五十年という今までにないスキームでJBICが出資をする。リスクもあるし、そしてまた、防衛省とすれば事業として大変厳しいということを認識されているのに、二〇一四年ということにこだわらない理由というのがよくわかりました。つまり、協定違反にならないということであります。

 そこで、一点お伺いをしたいんですが、この隊舎ですけれども、三年前、こういう報道がありました。自衛隊の隊舎三億ドル、これが米軍再編の費用に含まれているんだという報道が三月時点で新聞に出されまして、私もこの委員会でそのことを聞きましたが、そうしたこともある。あるいは、自衛隊員がこれからより多くグアムで訓練をする、そういったことを考えて、実は海兵隊の隊員以外、自衛隊員などもこうした寝泊まりをすることを想定して、だからこそ隊舎の数を明らかにできないという指摘がありますが、これについてはいかがでしょうか、防衛省。

北村副大臣 その点についてはございません。

 先ほど、私、厳しい状況ということを申し上げましたが、厳しいといいますのは、やはり我が国の財政事情等を考えたとき、大変貴重な税金でありますから、これを運用、使用するについては、やはり厳しく精査をした上でアメリカ側、米国側とのやりとりというものをしっかりやっていかなければいかぬ、そういう状況は厳しい、そういうことも含めたものであります。

武正委員 そこで、先を、質問を急ぎますが、第八条は片務的ではないのかということで外務大臣にお聞きをしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか、外務大臣。

中曽根国務大臣 この第八条の規定は、例えばですが、グアムにおける米軍基地が縮小されたとか、あるいは閉鎖されるとか、また我が国が提供いたしました資金によって建設された施設あるいは基盤に重大な影響を与える、そういうようなものを想定した条項でございますけれども、これは将来の本当に予期しない事態に備えた万が一の場合のための規定でございます。

 米国政府は、我が国の提供いたしました資金というものが拠出された施設及び基盤に重大な影響を与えるおそれのある変更、そういう変更を検討する場合には、そうした変更を実際に実施する前の段階で我が国の政府と協議をいたしまして、我が国の懸念を十分に考慮に入れて適切な措置をとる、そういうことを本協定の八条において明確に約束しているところでございます。

 「日本国政府と協議を行い、かつ、日本国の懸念を十分に考慮に入れて適切な措置をとる。」そういうふうに明確になっているわけでございまして、したがいまして、この八条が片務的である、そういうふうには考えておりません。

武正委員 今、グアムの基地が縮小される、あるいは閉鎖というお話がございましたが、先ほどの住宅事業については、報告書で五十年ということで、スキームでもう検討が進んでおります。

 過去、米軍基地、QDRも四年に一回見直しという中で、例えば、フィリピンでしょうか、スービック基地でしたでしょうか、閉鎖などというものも、過去五十年はおろか、十年、二十年の中でやはり見直しというものが進んでいるわけですので、そうした中に、この五十年という償還年限で家族住宅に対する二十五・五億ドルの出資、そして基地内インフラに対する七・四億ドルの融資、効率化を減じても三十億ドル近い出資を五十年という長期にわたってすること、これは本当に納税者に対する説明責任ができるのかということは、この八条の片務性をもっても指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 そこで、続きまして、利子についてお伺いしますが、第四条に書かれております「日本国が提供した資金」とは、真水二十八億ドルの直接的に提供する資金を含む六十億九千万合衆国ドルのことなのか、これは、先ほど政府見解を鉢呂委員が求めた件についてお答えをいただきたいというふうに思います。

西村大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 協定では、いわゆる真水事業の実施のあり方を規定するものでありまして、本協定のもとでの日本国の提供する資金が提供される事業はすべて真水事業のことでありまして、いわゆる民活事業、まずこの協定の対象にはなっておりません。

 本協定の第七条の4の(b)ですけれども、御指摘がありましたとおり、米国政府は、日本国が提供した資金から生じた利子を、日本国の提供した資金が拠出された事業のために使用することができる旨を規定しているところでありまして、ここで言います日本国の提供した資金が拠出された事業とは真水事業を指していることは規定上明らかであります。

 したがいまして、利子については、真水事業に使用することはできますけれども、真水事業以外の民活事業等には使用はできません。

武正委員 そこで、外務大臣にお聞きをしたいんですが、資料六ページをごらんいただきたいと思います。これが、家族住宅の三千五百戸のグロス面積、そしてまた、下の図はイメージ図であります。兵、下士官下級・上級、士官下級・上級、将官という形で、二階建てが三千二百四十戸、平家二百六十戸ということでありますが、その建坪ですかね、面積は百五十平米、百八十平米、そして二百十五平米、そして将官クラスは三百九平米という広さでございます。下の図4―9がイメージ図ということであります。

 そして、次のページを見ていただきたいんですが、これは、グアムの不動産投資について、二〇〇七年発行のものから抜粋をしました。今もホームページにこの額は載っておりまして、上から、「PARADISE ESTATES」以降、全部で七物件、七プロジェクトのそれぞれのユニットの数、戸数ですかね、それと、大体幾らなのか、その額、これが載っているわけでございます。

 久米設計の中では、「PARADISE ESTATES」と「STARTS GUAM GOLF RESORTS」を中程度、そして「TALO VERDE ESTATES」と「VILLA CARMEN」を高級なものということで写真の紹介があるわけでございます。

 今回の二十五億五千万ドル、あるいは減額した二十一億三千万ドルを三千五百戸で割りますと、二十五億五千万ドルの場合は一戸当たり七十二万ドル、それから、減額した二十一億三千万ドルを三千五百戸で割ると六十万ドル、一戸当たりの価格でございます。

 としますと、もちろん、ここからコミュニティーセンターとか、道路とか、ユーティリティーとか減額しなければなりませんが、単純にその額を割ると一戸当たり七十二万ドル、六十万ドルということで、グアムの不動産投資の中でも本当に高級と言われるものの部類に入ってくるということがおわかりいただけると思います。

 あるいは、それを、例えばユーティリティーとか、道路とか、コミュニティーセンターでどのぐらいかかるんだろう。例えばそれを五億ドルと見込んだ場合に、二十五億五千万ドルは二十・五億ドル、それから二十一・三億ドルは十六・三億ドルですから、それぞれを三千五百戸で割ると、これも五十八万ドル、一戸当たり、あるいは四十六万ドル、一戸当たりという価格になってまいります。

 私が言いたいのは、一戸当たり高額過ぎるのではないのか。また、この面積とかイメージ図を見ても、これを、日本の政策投資銀行が五十年のローンで出資をして、しかも、その事業が今もって防衛省からも提案がない、そしてJBICにとっては初めての案件であるし、しかも、十年はやったことあるけれども五十年である。しかも、先ほどの、外務大臣から言われるように、この協定の中での第八条、場合によっては、グアムの基地などが閉鎖とかあるいは縮小される場合については、この協定では、「日本国政府と協議を行い、かつ、日本国の懸念を十分に考慮に入れて適切な措置をとる。」という、あくまで主体的に、アメリカ合衆国政府が主体的に臨めるようになっている。

 こうした点、私は大変懸念を抱くんですが、外務大臣、まずは、この一戸当たりの価格、高額過ぎるのではないのか。しかも、それを日本の税金で出資をする。先ほどの図を見ていただいておわかりのように、財務省はわからないわけですよ。防衛省からも提案がない、JBICも過去十年しかやっていない。しかし、これを見ていただくように、日本政府が出資をするということを担保に、財務省は今、五十年のローンをJBICが組むことを了としているわけですが、本当にこれでいいのか。しかも、それが、このような立派な家族住宅。

 いかがでしょうか、外務大臣。御所見を外務大臣にお伺いしたいと思います。時間もないので。

中曽根国務大臣 在沖縄海兵隊のグアムの移転に関しまして、家族住宅事業のあり方について今お話があるわけでありますが、これにつきましては、現在米国と協議を行っている段階でございます。

 そして、一戸当たりの価格といいますか金額につきましては、今委員が計算されました、二十一・三億ドルを例えば約三千五百戸で割ると六十万ドルとか、そういう形になるわけでございますけれども、そもそも、この二十一・三億ドルという金額、これは住宅建設以前に必要となる土地の造成とか、それから配管などの整備費についても含まれたものでございます。

 いずれにいたしましても、これは検討段階における米側の見積もりを基準にした、あくまでも概算の数字でしかないわけで、政府といたしましては、今後、日米間の協議を通じまして、家族住宅事業に係る費用についても十分に精査をして、そして事業の効率的な実施に努めていく考えでございます。

 なお、これは真水事業を対象としたものでございますから、家族住宅事業を含む民活事業はこの協定では対象となっていないわけでございます。

 さらに、経費がかかる理由は幾つか考えられるわけですが、グアムは人口が少なくて労働者も少ない、ですから多くの技術者とか労働者を島の外からまた確保する必要があるとか、あるいは、資機材についても島外から搬入する必要があるとか、それから、工業用水とか物流など、そういうインフラも余り整備されていないから、そういうものもコストに入ってくる、あるいは、例えば台風等の厳しい条件に合ったものにしなければならない。幾つかそういう特殊な要件もあるのではないかと思っております。

武正委員 そういう試算をなぜ公表してくれないんでしょうか。米側の試算だとあくまで言われましたので、そういう試算を公表しないで、我々にこの審議をということは、残念ながら、政府が説明責任を果たし得ていないということを申し上げて、質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

河野委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 ロードマップ等で合意をされた在沖縄米海兵隊の一部をグアムに移転するようになったのは、米国の世界戦略の地球規模での米軍配備の見直し、GPRに基づいて、米側の提案で決まったものであります。

 そこで、中曽根大臣に冒頭伺いますが、この協定の前文では、それをこう述べております。グアムが合衆国海兵隊部隊の前方での駐留のために重要であって、その駐留がアジア太平洋地域における米国の約束に保証を与える、そして同時に、この地域における抑止力を強化するものである、こううたっているわけであります。つまり、このことについて日米両政府が協定の中で共通認識に立っていることを表明しているということだと思います。

 そこで、大臣、今回の海兵隊のグアムへの移転によって、米戦略上、抑止力がどう強化されるか、具体的にどのような効果が期待できると、協定交渉、締結に当たって米側は説明をしているんでしょうか、お答えください。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 この協定前文にございますのは、グアムにおける米海兵隊の駐留がアジア太平洋地域における安全保障上の米国のコミットメントに保証を与え、かつ、アジア太平洋地域における抑止力を強化するものになるとの米海兵隊部隊のグアム駐留の意義に係る我が国及び米国の認識を述べたものでございます。

 これは、既に世界規模で行われている米軍再編、特にそれのアジア太平洋において行われます米軍再編と相まって、米海兵隊部隊のグアム駐留が実現することにより、アジア太平洋地域における米国の抑止力がより高まるであろうという日米両政府の見通しを明らかにしたものでございます。

笠井委員 締結したのは大臣ですからね。

 それで、高まると書いてあると私は言っているんですよ。抑止力がどう強化される、具体的にどういうふうな効果があると米側は説明しているのかと聞いているんですよ。同じことを繰り返してもだめです。ちゃんと答えてください。

梅本政府参考人 一方におきまして、海兵隊が、例えば定員ベースで八千人、沖縄からグアムの方に下がるわけでございます。他方、米軍再編の中では、いわゆる基地の再編のみならず、役割、任務、能力というところで、日米の防衛協力についても今後いろいろな強化をしていくということが入っているわけでございます。また、それに加えまして、米国はアジア太平洋におきます米軍の再編というものも進めておりますし、また米国の能力というものも高めるというような、いろいろな努力をしている。その結果の総体として抑止力が高まる、こういうことで共通の認識を持っているということでございます。

笠井委員 アメリカはもっと具体的に言っているんです。昨年、二〇〇八年九月十五日に米海軍が米議会に行ったグアムに関する計画進捗報告ではこう言っています。第三海兵遠征軍は、沖縄、グアム、ハワイに基本的な戦力を集中しつつ、バランスのとれた能力を提供する、さまざまな場所で演習をすることによって、分散された第三海兵遠征軍の各部門の相互運用性を維持する、遠征軍の指揮部門はグアムに移転するが兵たん支援ハブは沖縄に残す、こう明記しているわけであります。要するに、米軍事戦略にとって効果的で都合がいい、そのニーズに対応するために日本が貢献すると。いろいろありましたけれども、いかなる名目であろうと、米側が強化すると言っているものに日本が出す、そのための協定だということであります。

 そこで、先ほど来議論になっている、日本側負担の真水事業の一つである独身隊舎の建設計画ですが、防衛省が提出した、私が求めてようやく出たものですけれども、基本構想の報告書の十七ページ、まさに該当の議論の部分ですが、独身下士官用隊舎、四階建てコンクリートづくり、これも最初は墨塗りでした、これを○○を、墨で塗ってあって、建設すると。墨塗りで消されている箇所があるわけです。

 この棟数を隠す必要がどこにあるのかという質問に対して、米側は非公表を前提にしている、交渉のこともあるんだという話もありましたけれども、私、一つ紹介したいんですが、今述べました、米海軍が去年九月に米議会に提出したグアムに関する計画進捗報告というのがここにあります。これを見ますと、グアムの移転に伴う海兵隊の施設要件として、家族住宅三千五百二十戸のほかに、独身下士官用隊舎三千四百室、独身将校用官舎四百室、ここにこう明記されているわけです。

 ここまで言っているじゃないですか。アメリカ側は海軍が議会に報告しているんですよ。何で隠すんですか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年九月十五日付で、米海軍省より米議会国防省関連委員会等に対しまして、グアムのための国防省による計画策定作業に係る報告書が提出された旨、米側から説明を受けておるところでございます。

 グアムに移転する在沖縄海兵隊部隊の詳細は、現在米側で検討中というふうに承知をしております。米側からは、この報告書に記載されている部隊、員数等はまだ概念的な段階のものであり、今後変更があり得る、そういうあくまでも中間的なものであるという説明を受けているところでございます。

笠井委員 それにしたってこういう数字を出しているわけですよ、海軍が議会に対して。

 中曽根大臣、私は四月三日の質疑の際に、米軍がホームページで公表している資料でさえこの基本構想報告書では墨塗りにしている、隠しているという防衛省の姿勢を厳しく指摘して、大臣もそれは大変失礼があったと思うと答弁されましたけれども、私、これは失礼どころの話じゃないと思うんです。米軍が米議会には明らかにしている。概念的と言いましたけれども、そういう数字としては出しているわけです。そして、これは浜田防衛大臣も去年、この内容は承知していると言っていた。ところが、防衛省は日本の国会にはこういう問題について隠している。

 これはまさに国会を愚弄するものじゃないですか、大臣。これは大臣の基本認識を聞きたいと思いますが、どうですか。大臣です、大臣の認識を聞きますよ、大臣。

河野委員長 先に、高見澤防衛政策局長。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、先ほど先生から御指摘ありました十七ページの資料でございますけれども、私どもも基本的に必要なデータを出すということで、ほとんどお出ししているわけでございますけれども、今の数字については米側の方の見積もりであるということでございますので、今回の私どもの中では出しておりません。

 一方、先生が御指摘になりました報告書は、まさに現在米側で検討中の内容ということでございまして、そのものは今後も変わり得るということでございます。

 それで、しからば、我々として、こういった現在検討している内容について、米側の方から非公表を前提にし、しかも今後変わり得るというようなことで説明を受けているものでございますので、そういう意味で今回公表を差し控えさせていただいているということで御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 今回公表とかいう話じゃないですよ。だって、こういう問題がさんざん議論になっているのに、そういう中間的ないろいろな検討材料だって米海軍は議会に報告しているわけですよ。ところが防衛省は、ずっと、言うまでこういう墨塗りだって出さなかったわけですよ。それで、結局国会に対しては何も報告していないわけですよ。それを通せという話ですよ。これは余りにひどいじゃないですか、大臣。いかがですか。端的に、いいことなのか悪いことなのか。

中曽根国務大臣 基本的には公開できるものは公開すべきと考えておりますけれども、この資料につきましては、不開示部分につきましては、先ほども御質問がありましたけれども、米側から非公表を前提に入手をした、そういう情報であります。そういうことから、やはり、米側の調達と今後問題が生じる、そういうおそれもあるということから、これは米国の国内法上で保護されるべきものとされているものでありますし、また、今後の日米協議で日本側がしかるべく主張をしていくための情報でもありまして、これも、公表すれば今後の日米交渉における日本側の立場に影響を及ぼす、そういうおそれもあるものであると理解をしておりまして、いずれにいたしましても、これは交渉事でもありますので、そういう点は御理解いただきたいと思います。

 また、今後は、所要経費につきましては、我が国政府自身が適切に精査をして、国会にその都度お諮りをして御審議をいただきたいと考えております。

笠井委員 これは本当にひどい話ですね。先ほど言ったように、議会と海軍、防衛省と国会、あるいは政府と国会との関係の問題を私は問題にしているんですよ。いろいろな経過の中であったって、アメリカの中ではそういう形でやっているわけですから。

 委員長、私、この報告書を見ますと、米海軍からアメリカの下院の軍事委員長あてのこういう手紙が書いてあって、サインがあって、それでちゃんと提出されている報告書なんですよ。この協定にかかわって、委員長のところに防衛省からそういうたぐいの、こういうものが進んでいます、進捗状況という報告書はありましたか。

 この基本構想の問題だって、私が質問してようやく出てきた。しかも墨塗りで、それも、出せるものなのに出さないでやってきたわけですから、これはもう国会に対して隠し立てしている、こう言われたって、交渉事だとかなんとかそんな話じゃないですよ。行政府と立法府の関係です。防衛省は米国の了解が要るとか交渉中とか言って合理化してきましたけれども、米軍が米議会に出したものを、そういうたぐいの数字、あるいはどういうものなのかということについても、日本で国会に出せないはずがありません。家族住宅は三千五百戸と言っているわけです。こんなの軍事機密でも何でもないわけでしょう。

 委員長、これはおかしいと思いませんか。きちっと出させてくださいよ。

河野委員長 今後、行政府より当委員会に必要な資料の提出を求めることとし、その内容につきましては理事会で協議させていただきたいと思います。

笠井委員 今後と言ったって、きょう終わろうというんでしょう。これを明らかにしないで協定を通すというんですよ。だめです、これじゃ。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 家族住宅の戸数につきましては、最大で三千五百戸ということを前提にしていろいろなスキームをやるということを申し上げているところでございます。

 いずれにしましても、今回、現実に米側に担当者を派遣して、私も週末、アメリカの国防省の担当者を呼んで、できるだけ資料の公開ということで、国会の審議に資するためということで我々もずっと調整をいたしまして、ある意味、米側の部分で必ずしも責任のないところ、我々のところの判断で出せるものはお出しをしておりますし、米側とのこれからの信頼関係ということもありますので、その中で最大限のものをお出ししております。

 ただ、先生が御指摘になりましたように、かつても、例えば我々が相手のデータだと思っているものがホームページに載っていて、いろいろな精査をして、その結果お出ししたものもありますので、それはきちっとした対応をしてまいりたい。

 いずれにしても、我々としては、米議会で完全にオープンになっているようなものが日本の国会に対してお出しできない、それは許されないと思っておりますので、そこはきちっと対応してまいりたい。個別にその点がどういうふうになっているかということについては、しばらくお時間をいただきたいと思います。

笠井委員 納得できませんね。米側との信頼関係ばかりじゃないですか。国会との信頼関係はどうなっているんですか。これで承認しろなんてとんでもないですよ。

 もう同じことをやっていてもしようがないから。これじゃだめです、委員長。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 米国の議会には、米国のいろいろなやり方で、例えば部外に出さないというようなことでいろいろな説明を聴取してやるようなセッションというものもあるように聞いておりますし、また、その成果を踏まえて概要について公表したりというようなことがあるかと思っております。

 ただ一方、私どもが米側からいろいろなデータをもらってやる場合に、公表しないというようなことが前提になっているわけですけれども、その後事情が変わったりすれば、それは対応しているわけでございます。我々も、今回のデータが今後いろいろ交渉が済んだりしたらやっていくということは申し上げているということでございます。

笠井委員 だって、これは、金を出すのは、結局国会で予算を出してという話ですよ。大体、米国の議会のやり方があると言うけれども、日本の議会だってあるんです。必要なときには理事限りとか委員長とか、そういうやり方があるんですよ。さんざん金融問題だってやってきたんだ。

 ちょっととめてください。こんなんじゃ、同じことを言われたってだめだから。

河野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河野委員長 速記を起こしてください。

 高見澤防衛政策局長。

高見澤政府参考人 失礼いたしました。お答えいたします。

 先生御指摘の点は、米海軍省が昨年九月十五日付で出したグアムのための国防省による計画策定作業に係る報告書の関係でございますけれども、この点は既に昨年十月三十日の参議院外交防衛委員会において議論をしておりまして、井上先生の質問にお答えしたとおりでございます。

 その内容は、昨年九月十五日付で米海軍省より米議会に対し、グアムのための国防省による計画策定作業に係る報告書が提出されたということで、米側より私どもは聞いております。この報告書の中には、在沖米海兵隊のグアム移転に関連して、今後グアムに配置される海兵隊の部隊の名称なり、いろいろなデータが示されているということは承知をしております。

 しかし、これ自身が、我々も現在交渉をしている最中でございますし、今後の中でいろいろ変わり得るというようなことで、そういう前提で聞いている数字でございますので、今そういう状況のものをここで一方的に出すというのは、まさにこの国会の審議との関係でも、私どもとしては従来の御説明をぜひ御理解いただきたいということでございます。

 あくまでも、米側に対して今の戸数がいいんだ、米側の考え方が当然の前提なんだということで私どもは交渉をしているものではない、そこは外務大臣からも申し上げています。まさに、主体的に精査してできるだけ効率的なものを追求しているということで、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 米側は変わり得る前提でちゃんと出しているわけですよ。日本だって変わり得る前提で出せばいいわけですよ、こんなものは。いいですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 今、米側の資料をもう一度確認いたしましたけれども、ここで示されておりますのは部屋の数だけでございまして、そこに私どもが報告して、墨塗りといいますか、しているような部分の数字がここに出ているわけではございませんので、そういう意味では一致していないということでございます。

笠井委員 では、出したって構わないでしょう。

河野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河野委員長 速記を起こしてください。

 高見澤防衛政策局長。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 私どもとしては、米側から得ているいろいろな情報の中で、例えばその部屋がどういう数であるか、あるいはどれぐらいの棟の建て方をしたいかというようなことは当然聞いております。その中で、我々として、まさに税金を使うわけですから、本当にこれだけの数が要るのか、階級別に見てこれだけの広さのものが必要なのかとか、あるいは、棟の建て方として、例えば一遍に高いものを建てた方がいいのか、あるいは、幾つもの棟に分けて低く建てているけれども、それは集約した方がコストが下がるのではないかとか、そういったことは当然考えてやっていきたいというふうに思っております。

 ここの三千四百という数字は部屋の数でございますけれども、そしてまた家族も含めますと三千五百二十というようなことが書いてあるわけでございますけれども、そういったことを前提にしながら、私どもとしては、できるだけ効率的で合理的な水準というものを米側と厳しくやっているということで御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 国会だって判断しなきゃいけないんですよ、こういう協定を承認するかどうかに当たって。国会に対する余りに不誠実な態度を防衛省はとっていると言わざるを得ないと思うんです。

 では聞きますけれども、この独身下士官用の隊舎をつくったけれども、空き部屋が出た場合にどうするかということです。この間議論があったように、グアム移転で実際には八千人が行かない場合、空き部屋が出てまいります。そこに沖縄以外からの海兵隊の独身下士官が入ることはありませんか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 これも従来から国会で議論があるところでございますけれども、私どもとしては、そういった隊舎の規模あるいは家族住宅の規模について、既にこれまで出ているような数字を当然の前提としてそれをやるというようなことではなくて、まさに、どんな部隊が移動するのだ、そういったこと、それから家族構成なり隊員の階級構成がどうかということで、在沖米海兵隊の移転に伴う、定員がいろいろ変更されるということに伴って必要になる部分というものに限って真水の支出を行うということでございますので、まさに定員の枠組みというものを前提にして考えている。あくまでもそういった定員の枠組みが変わるということに伴って必要となる隊舎を整備しているということで、そういう所要に基づいて整備をするものだということで御理解いただきたいと思います。

笠井委員 何を言っているんですか。だめですよ。これは真水の話でやるんですよ、建てるんですからね。米側は、将来グアムを現在の三倍、二万一千人に増強する計画を今持っています。そうすると、いろいろな可能性があるわけです。

 しかも、私、指摘したいのは、さっき部屋数と言いました。このアメリカの資料も、あるのは三千四百室というふうに言われましたけれども、例えば、思いやり予算で、国内で、佐世保で二〇〇二年につくった独身下士官用の隊舎というのが大規模にあります。鉄筋コンクリート八階建てで四百室、建設費は約三十億円で、これは各室は二人部屋で、約四十一平方メートルの広さで、浴室と家具類が備わっている。思いやり予算でつくっていますね、例えばこういうのを。だから、独身下士官というと、部屋数というと一人かと思うんですが、二人部屋というのがあるわけですよ。そうすると、またばっとこれが膨らむわけです。

 それで、米軍がこれからグアムを増強するというふうになると、米本土からもハワイからも来ます。沖縄からは、さっきもあったみたいに、八千来るかと思えばそれ以下で、つくってもあいちゃう。こうなった場合に、沖縄以外から移転してくるような独身下士官は入れない、真水でやっているんだから。それをはっきり確認しているんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 現実に隊舎あるいは家族住宅といったようなことを考えます場合に、日米の違いというのを当然考えなければいけないと思います。それは生活形態もございますし、生活習慣もございます。

 それから、私どもとしては、沖縄にいる海兵隊がグアムに移ってもらうということですから、まさに安心して任務に専念できるような環境を整備するということも前提になるわけでございますので、そういう意味で、これまでも統一的な米国の基準というものを考慮しながらやってきたわけでございます。

 それで、報告書においては、UFC基準というのを一つの、独自の仮定ということで置いておりますけれども、これは一つの参考でございまして、我々としては、今後とも十分に精査していきたい。日本の隊舎の整備におきましても、米国の基準にそのとおり従ってやっているということではございませんで、いろいろな工夫をしながらやっている。

 ただ、我々として大事なのは、アメリカのいろいろな基準がある中で、やはりそれを考えていかなければいけない、日本だけの基準でやっていくわけにはいかないと思いますし、グアムにおきましても、実際の住宅、一般の隊員が借りているような住宅というものも現実にあるわけでございまして、そういったものとのバランスというものも考えていかなければいけないという点は御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 時間の無駄です。私の質問に答えていないよ。とめてください。だめですよ。委員長、ちゃんとやってくださいよ。もったいないよ、時間があれなのに。今何一つ答えていないですよ。

河野委員長 高見澤防衛政策局長。

笠井委員 だめですよ。ちょっと、本当に時間が、こんなので。私、どんどん時間が過ぎちゃうじゃない。だめですよ、こんなんじゃ、本当に。時間がもったいなくてしようがない。時間稼いでいるんじゃないの。質問に答えてください。余計なことばかり言っているじゃない。

河野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河野委員長 速記を起こしてください。

 高見澤防衛政策局長。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 私どもが今回隊舎を整備しようとしますのは、まさに沖縄から、沖縄におります定員の枠組みの変更に伴って必要となる所要に対応するためのものを精査して、それに対して所要を整備するということでございます。

河野委員長 だれが入るんですか。

高見澤政府参考人 ですから、現在の海兵隊の枠組みでやっておりますので、現在海兵隊の沖縄に所在する定員の枠組みの中でいる部隊が現在すべて沖縄にいるわけではございませんので、まさに沖縄の海兵隊の定員を変更する、そういう改編が行われる中で必要となる隊舎というものを整備していくということでございます。

笠井委員 つくったものが、部屋が余っていて、米軍増強で海兵隊がグアムに来たときに、沖縄からだけじゃなくて、アメリカ本土、ハワイから来てもそれは入れませんよとはっきり確認しているのかと聞いているんですよ。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来申し上げておりますように、この事業は、沖縄の海兵隊……(笠井委員「だから、ちゃんと答えてください、入れるのか入れないのかと」と呼ぶ)ですから、隊舎について申し上げれば、あきがあるということは、いろいろな、摩擦的に発生するものもございますし、また、例えばグアムに行っていた部隊がどこかに展開した場合、それは日本でも同じでございますけれども、隊舎にはいなくなるわけでございますので、あくまでも、沖縄の海兵隊というものをグアムに移転した場合の、その枠組みの中で考えている。

 それで、具体的な、住む住まないということについて言えば、それは部隊が展開している間はその部分というのはあきになることはあるわけでございますから、それをもってそういった隊舎の整備がおかしいというようなことにはならないということで……

笠井委員 展開している場合を言っているんじゃないんです。あきがあって住む人がいないときにはほかから入れないということをはっきり言えないのかどうかですよ、そこですよ。それをアメリカと確認しているかということ。何回同じことを言わせるんですか。だめですよ、そんなの。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 私どもが整備を負担、分担する隊舎というものがロードマップの趣旨あるいはこの協定の趣旨にのっとって運営されるというのは当然のことだと考えております。

河野委員長 よそから来た海兵隊は入らないんですか、入るんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 具体的なケースでいえば、沖縄に今いる人でない人で、海兵隊の沖縄の定員の枠組みでいる人がそちらの方に移っていくということはありますけれども、それはまさに協定なりロードマップの趣旨にのっとったことだというふうに考えております。

笠井委員 だから、それ以外はないというふうにはっきりと確認しているのかということですよ。沖縄にいる人じゃなくて、沖縄に籍がないけれども米本土やハワイにいる米海兵隊が、あいているからといってそこに住むことは絶対ありませんねとアメリカと確認しているかと聞いているんですよ。

高見澤政府参考人 ですから、私どもとしては、まさにその隊舎の整備というのがこの協定の趣旨にのっとって運営されるように、そこは米側ときっちり確認をしているところでございます。

笠井委員 だから、数を言わなきゃわからないんです。はっきりないと言ってくださいよ、それ以外は。

高見澤政府参考人 ですから、私は、その隊舎の整備の考え方ということを申し上げているのでありまして、具体的にその隊舎の運営について一々、沖縄にいる人だけしかそこに入れない、要するに、今沖縄にいる人でないとその隊舎に行かないというようなことではないというふうに理解をしているものですから、そういうふうに申し上げているところでございます。

河野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河野委員長 速記を起こしてください。

 高見澤防衛政策局長。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来申し上げておりますように、その一万八千人という定員の枠組みに伴って、グアムの隊舎に住む人というのは、沖縄から来る場合もあれば、それ以外の地域から来るということはあると思いますけれども、あくまでも、基本的な考え方は、その定員の枠組みに沿って行われるということでございます。

 他方、そういった隊舎が、その要員がほかの地域に展開している間にあきがあるというような場合にその運用をどうするかということの細部につきまして、例えば、ほかの関係部隊が一切入ってはいけないというようなことを条件にするとか、そういった議論にはまだ立ち至っておりませんけれども、本日の議論を踏まえて適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

笠井委員 要するに、ほかから来ることはあるということですよ。

 こんな不誠実な態度で、数字も出さずに、まだほかに何があるのかというふうにみんな思いますよ、これは。このまま終局、採決するのはあり得ないと私、申し上げたいと思います。

 協定の第三条ですが、「移転は、」「普天間飛行場の代替施設の完成に向けての日本国政府による具体的な進展にかかっている。」このようにして、「日本国政府は、」「代替施設を完成する意図を有する。」と宣言しております。つまり、この協定によって、日本政府は、グアム移転に伴うということをもってして、少なくとも二十八億米ドルを真水で財政支出するとともに、代替施設を完成する意図を実現するために、財政支出は、必要なことはやるということを協定の中で表明したということであります。

 一体、そのために幾らかかると見積もっているんでしょうか、代替施設。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 細部の部分につきまして、米側とさまざま調整を行っている段階でございまして、明確なことを申し上げることは困難でございますけれども、大ざっぱに見積もりまして、少なくとも三千五百億円以上の経費を要するものだというふうに、私ども、今推算をしているところでございます。

笠井委員 少なくともという話がありましたけれども、要するに、今回の協定で意図を明示して、政府としてちゃんとやるつもりだと政治的意思を宣言した以上、これは、少なくともということですが、幾らかかろうと出すということになってまいります。協定承認をもってそれを国会も承認したということになってしまうわけですね、これは大臣。そういうことでよろしいわけですか。

梅本政府参考人 累次お答えしておりますとおり、この協定は、ロードマップのうちの沖縄海兵隊のグアム移転、その真水事業に係る部分について権利義務を設定するものでございます。したがいまして、普天間移設、返還につきまして、新たな権利義務関係を何ら設定しているものではございません。

 したがって、この協定の義務として、そういう支出を約束するというような性格のものでは全くないということでございます。

笠井委員 義務でなくても、意思を、完成する意図を明確にして、それを実現するために今度は政府がやらなきゃいけなくなるわけです、これは。アメリカに対して協定で言っているわけですから。これだけの景気悪化、財政が大変な真っ最中に、グアム、沖縄の新基地建設に合わせたら兆を超えるという単位で日本が出すという協定にとりわけこの時期に署名をした大臣の責任は重大であると思います。それを、金額はブランクにしたまま承認せよと。国会承認条約でお墨つきを与えるということは、およそ断じて許されないと思います。

 米戦略によれば、こうやってでき上がる、強化されたグアム基地、最新鋭の代替基地を含む沖縄そしてハワイなどの間で、米海兵隊がそれこそ戦略的機動性を持って縦横無尽に訓練、作戦を展開できる。そのために、海兵隊などを必要に応じて移動させるために不可欠なのが輸送手段であります。

 そこで聞きますけれども、2プラス2の合意の中でも、検討していく分野として、高速輸送艦の能力を高めていくということが言われております。この高速輸送艦の導入について、日米間では現在どんな検討がされているんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 突然の御質問でございますので、ちょっと簡単に御説明をさせていただきたいと思いますが、いわゆるHSV、ハイスピードベッセルというのは、大量のものを短期間、かなり速いスピードで運べるということで、非常に有用な装備という面もございます。

 一方、これを平素から維持していくということになりますと、なかなかお金もかかるというようなことで、民間の会社がこれをやって、そのリースをするというような形もございますし、調達をするというような形もございます。

 そういった一般的な傾向がございますけれども、現在、日米間におきまして、この高速輸送船について具体的な協議が進展しているというような状況ではございません。

笠井委員 しかし、そういうことが大事だということは合意していると。

 日本が基盤整備を行うアプラ港には、グアム―沖縄間を移動できるHSVが接岸できる能力も有することになりますか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 アプラ港には、日本が関係している基盤整備の部分と、アメリカが全体として整備する部分がございますので、そういう意味でいえば、米側の整備する部分も含めますれば、いろいろな機能を持った港というものを整備する構想であるというふうに考えております。

笠井委員 否定しないということです。

 防衛省が四月一日に沖縄県に示した五千ページを超えるアセスの準備書の中に「飛行場の諸元等」という記載があって、船舶を接岸できる桟橋を建設することになっております。この桟橋について、九日の安保委員会では、使用する船舶は限定されていないと答弁しておりますけれども、この桟橋はHSVが接岸できる能力を持っていると考えていいですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 係船機能つきの護岸の整備の関係の御質問でございますけれども、この整備は、代替施設の基地機能を最低限維持するために何が必要かということで整備をするものでございまして、修理が必要な航空機を代替施設から直接船舶で輸送することができるような係船機能の護岸ということでございますので、あくまでもそういった目的に沿ったものだということで御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 能力があるかないかを聞いているんです。

高見澤政府参考人 この施設は、貨物の大きさが、例えば特大のものですと、縦十七メートル五十とか、横が五・六メートルとか、高さが五・五メートルというようなものはなかなか陸路の輸送ではできないということでやっておりますので、そういう前提の中での係船機能ができるような護岸ということでやっているものでございますので。(笠井委員「できるかできないか。だから、能力があるかないか」と呼ぶ)

 ちょっとそこは、今突然のあれでございますので、HSVの中にもいろいろなものがあろうかと思いますし、ここですぐ今先生の御質問に断定的にお答えするのはちょっと控えさせていただき、そこは調べさせていただきたいと思います。

笠井委員 物によってはできるということでありまして、まさにこれは本当に米軍が先制攻撃戦略のために重視している最新鋭の装備で、時速八十キロ以上の速度で兵員千人以上、ヘリ八機、物資四百トンを一度に運んで、グアムには二日間で行けるというものでありまして、イラク戦争でも兵員、弾薬、資材を運搬することに使われたんです。

 今、これが高いからといって、在日米軍、沖縄の海兵隊は、オーストラリアの民間から借りている、チャーターしているという話ですけれども、結局、そういう形も含めて、日米の合意の中でこれが大事だと言っている。その中で、日本が買わないとも言わないということになりますと、アジア太平洋に展開する、そういうグアム、沖縄、ハワイなど、こういう強化した中で、そういうことについても、自衛隊が米軍の足となって、肩がわりして、輸送も補完することも可能性もあるわけです。

 協定によってここにも財政負担が拡大するおそれがある、これはやればやるほど際限がないということでありまして、到底これで終われないと私は強く申し上げて、とりあえずのきょうの質問は終わります。

河野委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 本日、今までの質疑の中で気になる点がありますので、それを確認させていただきたいと思います。

 先ほど、オスプレーの配備についてのやりとりがございました。私もずっと安保委員会でこの問題を取り上げてまいりまして、沖縄ではオスプレーが配備されるかどうかということが一つの焦点になっておりますので、この際、先ほどのやりとりで納得できないところがあるので、お答えいただきたいと思います。

 先ほど、オスプレーの配備が決まったらその時点で考えますという御答弁だったんですね。そうすると、その時点で、アメリカがオスプレーを配備したいと言ってきたときに協議をするということは、その結果、オスプレーの配備も今後あり得る、可能性があるということですね。可能性は排除できないという理解でいいですか。

長岡政府参考人 先ほどの私の答弁でございますけれども、環境影響評価調査は、飛行機の騒音とか振動とか、そういったものがどういう影響を与えるかというのをやりますので、今までと全く違うような、音を出す飛行機とか、そういうときなら、先生おっしゃるようになると思うんですが、オスプレーの能力とかそういうことは別にしまして、そういった環境に与える影響、与えるような要素が、今現に配備されている航空機などと変わらなければ、特に環境影響評価調査をやり直すというようなことにはならないわけであります。

 そういったことで、私が先ほど御答弁したのは、現在の、現時点において配備されている航空機についてやっておりますということを御答弁させていただいたわけであります。

河野委員長 防衛省、オスプレーが配備される可能性があるのかないのかという質問に的確に答えて。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 海兵隊が全世界に保有しておりますCH46あるいはCH53のヘリコプターは、オスプレーに代替更新されていく一般的な予定があるということは私どもも承知しております。

 こういう文脈におきまして、将来オスプレーが沖縄に配備される可能性も否定できないということを従来から答弁させていただいているところでございます。

辻元委員 今現在、このオスプレーというのは事故も多いんですよ。ですから、ずっと安保委員会でも問題になってきました。

 もう一回聞きますよ。日本政府としては、オスプレーの配備を今後言われたときに、現在、環境影響評価もして、そして日本が仮に基地をつくったとしましょう、私たちは反対ですけれども。そのときの条件に入っていないオスプレーも含む新しい戦闘機などを配備することを、協議して認めることは十分あり得るということですね。

河野委員長 長岡経理装備局長、端的に答えてください。

長岡政府参考人 環境影響評価調査は、要するに、騒音とか振動とか、そういうものが環境に与える影響でございまして、オスプレーが落ちやすいとか……

河野委員長 質問に的確に答えてください。

長岡政府参考人 そういったことは環境影響評価とは別の問題だと考えてございます。

河野委員長 いやいや、ちょっと防衛省。

 速記をとめて。

    〔速記中止〕

河野委員長 速記を起こしてください。

 梅本北米局長。

梅本政府参考人 お答えいたします。

 現時点でオスプレーを沖縄に配備する計画があるということは承知をしておりません。ただ、将来そのような可能性があり得るということは政府としても御答弁申し上げているところでもあります。

 そして、将来、オスプレーを配備したい、あるいは現行の機種をオスプレーに変更したいというような要望が米側から仮にある場合には、米側からその変更の目的あるいは安全性等について説明を求め、その上で、我が国として、その際の安全保障環境等を踏まえつつ、また、安保条約の目的達成との関係、騒音等の環境への影響等を総合的に勘案いたしまして、適切に対応するということになるというふうに考えております。

辻元委員 ということは、私は以前、安保委員会で、アメリカとの2プラス2のときの協議だったと思いますが、その議事録を入手して、その中で、米側がオスプレーの配備についても地元住民の理解を求めるようにと言っているのを、日本政府が、いや、オスプレーのことは言ってもらったら困るというような態度で、アメリカ側に口どめといいますか、そういうことをしているということを指摘したことがあるんですけれどもね。(発言する者あり)お静かにお願いいたします。真剣にやっております。

 ですから、今、可能性がある。これは地元の皆様には報告しているんですか。知事や県議会初め、そして辺野古周辺の皆様には、オスプレーの配備の可能性があるということを説明した事実があるなら、いつ、だれにしたか、教えてください。

梅本政府参考人 私ども、今のような考え方、見方については、国会でも御質問に対して、これは閣僚レベルも含めて、御答弁申し上げているわけでございます。国会の答弁というのは、これは公表されているものでございますので、そういう意味では、私ども、関係の方は承知されているだろうと思います。

 また、地元において、防衛当局あるいはいろいろな日常的な接触の中で国会の答弁なんかを御紹介することもあろうかと思いますが、ちょっと、私ども、今突然の御質問でございますので、何月何日にそういう連絡をしたことがあるかどうかということについては確認はできません。

辻元委員 それでは、オスプレーの配備もあるということを、おととい関係する北部の自治体の長の皆さんがお集まりになりました、協議が行われております、ですから、辺野古周辺を含めて関係する自治体の長に、オスプレーの配備の可能性も排除できない、将来ある、可能性があるということを、大臣、直ちに外務省から知らせてください。というのは、私は、その地域の自治体や、それから知事も含めまして、オスプレーの配備を非常に心配されているわけですよ。

 正式に日本政府として、将来オスプレーの配備の可能性はあるということを関係自治体に速やかに、大臣、外務省から知らせていただけますか、いかがですか。大臣。

梅本政府参考人 今申し上げていることは、アメリカが全世界的にCH46、CH53を、海兵隊の装備を代替更新していくという一般的な予定を有しているということを承知している。したがって、その論理的な帰結として、沖縄に将来配備することもあり得るであろうということを申し上げているわけでございまして、現時点でそういう具体的な計画があるわけではございません。

 ですから、単に可能性があるということであれば、ほかにもいろいろな可能性があるわけでございまして、私ども、地元ときちんとお話をするときには、やはり、ある程度具体的な計画が検討されている、あるいは議論されているというしかるべき段階で適切にお話をすることが適当だというふうに考えております。

辻元委員 それが要するに地元の頭越しというものなんですよ。可能性については、特にオスプレーについては物すごく心配しているわけです。私も地元の皆さんから物すごく質問を受けますよ。ですから、政府に聞いても、何だかわけがわからぬ。

 大臣、これからは、これは協定にされるわけですよね、具体的に物事を国際約束として進めていこうとされている現状じゃないですか。ですから、今政府がおっしゃったようなことをはっきりと地元の皆さんに、そんな、議事録を見なさいじゃなくて、お伝えになったらいかがですか。今の答弁でいいじゃないですか、お伝えになったらいかがですか。

中曽根国務大臣 まず、この国会の御審議というのは、グアムへの海兵隊の移転について今御審議いただいているわけでありますが、今委員がお話しされております新たな機種等につきましては、今政府参考人からお話ありましたように、今、当面、それを導入するとか議論するとかということを行っているわけじゃありませんし、将来のことであれば、いろいろな機種というものもまた話が出てくるかもわかりません。そういうような段階で地方公共団体に特定の機種についていろいろ今お話をしたりするというのは、私はちょっとこれは問題があるんじゃないかと思っています。

辻元委員 私は問題があると思いません。かなり深刻なんですよ、沖縄との関係というのは。それで、後から後から出てきて、先ほどの議事録みたいなものも、私は沖縄の地元の方が入手されたものをいただきました、日本政府がそういう態度をとっているというものを。私は質問しましたけれども、そんなものは何の紙かわからないから信用できませんという御答弁でしたけれども、それが地元の皆さんの不信につながっているわけです。ですから、このオスプレー問題というのは非常に大きな問題なんです。

 では、もう一点だけ、これに関係してお聞きしたいんですが、環境影響評価を今防衛省はされておりますけれども、騒音などに大きな変化がないものであれば、新しい装備や訓練が始まっても環境影響評価などはもうしないという理解でいいんですか、先ほどの答弁ですと。

長岡政府参考人 環境影響評価調査につきましては、関係法令等あるいは条例等の定めるところによってやっておるわけでございます。それに従って、必要があれば行うし、必要がなければ行わないということでございます。

辻元委員 それでは、ちょっとお聞きしますけれども、普天間の代替施設ということで辺野古地区に新しい基地をつくろうということで、今そこのオスプレーの配備があるかないかという可能性のことを議論してまいりましたが、それに関連して、そうしますと、普天間で行われている訓練が基本的に、辺野古の地区に新基地をつくった場合、その訓練が移るという理解でいいんですか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 普天間代替施設につきましては、現在の普天間飛行場のKC130にかかわる機能以外のものについて基本的に代替をするということでございます。

 現在、普天間飛行場におきまして、ヘリコプターの飛行運用といたしまして、整備後の点検飛行でありますとか、習熟・技能飛行でありますとか、計器訓練飛行などが実施されているわけでございますけれども、基本的にそうした訓練につきましては新しい普天間代替施設におきまして行われるものだというふうに認識をしているものでございます。

辻元委員 この八日の普天間がある宜野湾市の市長の話によりますと、基本的に普天間の訓練というのはそういうタッチ・アンド・ゴーのような訓練なんですという話がありまして、最後に、多いときは一日に三百回を超えるタッチ・アンド・ゴーが繰り返されていたわけでございますというような参考人の発言がありましたが、このような訓練の内容という理解でよろしいんでしょうか。

井上政府参考人 今回お出しをいたしました準備書におきましても、騒音についての現状調査、そして評価等を行っているわけでございますけれども、その中には、現在、普天間飛行場で行われておりますヘリコプターの運航活動、それに伴います騒音の状況等につきましても調査をいたしまして、分析をし、評価をしておるというものでございます。(辻元委員「タッチ・アンド・ゴーをやっているかだけでいいんですよ。答弁、簡単に」と呼ぶ)

 したがいまして、現在の訓練状況につきまして、それを反映しておるというふうに考えているものでございます。

河野委員長 質問に端的にもう一度答えてください。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたけれども、現在の普天間飛行場におきまして、点検飛行でございますとか習熟・技能飛行、計器訓練飛行等が行われているわけでございますけれども、何をもってタッチ・アンド・ゴーというかというのがありますけれども、着離陸の訓練を行っているものだというふうに認識をしております。

辻元委員 ちょっと、端的に答えてくださいよ。タッチ・アンド・ゴーを知らなくてよく防衛省をやっていられますね。もう一回答えてください。

 タッチ・アンド・ゴーというのは三百回やっていると、つい先日、宜野湾の市長さんはおっしゃったから、こういうことを辺野古でやろうとしているんですねと聞いているわけですよ。

井上政府参考人 先ほど申し上げましたけれども、着陸、離陸の訓練を当然行っているものだというふうに認識しておりますけれども、そういう意味合いの中で、いわゆる今委員御指摘のようなタッチ・アンド・ゴーというものも含まれるものだというふうに認識をしております。

辻元委員 そうしますと、環境影響評価を見ますと、飛行経路のところにはタッチ・アンド・ゴーなんか全然ないんですよ。V字滑走路で、離陸はこう、着陸はこうと、くるっと飛行機が回る、これだけを調査しているわけですよ。しかし、現状は一日三百回のタッチ・アンド・ゴーをしているというように、つい数日前にも私たちは聞いたばかりなんですね。

 そうしますと、環境影響評価の中には、飛行経路にタッチ・アンド・ゴーは入れていない、そして、騒音など周辺に及ぼす影響についても入れていないというような理解でいいんですか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回お示しをしております準備書においてのいわゆるヘリコプターの運航経路、場周経路でございますけれども、これは、できる限り陸地部といいますか各集落等の上空を通らないという前提で行っているものでございます。タッチ・アンド・ゴーと言われるものは当該基地の中での活動、訓練ということになるものでございますので、先ほど申し上げたような飛行経路とは異なるものでございます。

 ただ、今回の準備書における騒音の状況につきましては、現在の訓練の状況を十分調査いたしまして、それをもとにいたしまして、騒音の状況の分析、そして、今後、新しい普天間代替施設においてどのような騒音状況になるかという評価をいたしているものでございます。

河野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河野委員長 速記を起こしてください。

 防衛省井上地方協力局長。

井上政府参考人 飛行経路におきましては、タッチ・アンド・ゴーは入っていないものと考えております。

辻元委員 つい先日、皆さんお聞きになったと思うんですよ、普天間の訓練の現状を。なぜ入っていないんですか。今こんなに、普天間で一日三百回と現場の人が証言しているわけですよ。どうして入れなかったんですか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 準備書におきましての飛行の経路についてでございますけれども、これまで、国側と名護市、地元側との調整をしておりまして、ヘリの有視界飛行、そして計器飛行についての経路を示しているものでございます。

 タッチ・アンド・ゴーという着陸、離陸の訓練であるわけでございますけれども、それは基地の中で行われているものというふうに考えておりますので、この準備書で示しております飛行経路には含まれていないというふうに認識しております。

河野委員長 防衛省、環境アセスに入っているのかどうかということを端的に答えてください。

井上政府参考人 環境アセスでの騒音の部分におきましては、当然含まれているものでございます。

辻元委員 ちょっと待って。だから、経路は。今、何て答えたの。含まれている。

井上政府参考人 環境アセスにおきまして、騒音の状況、そしてその評価という部分がございますけれども、これは、現在の普天間飛行場の運航の状況を踏まえた上でのものでございますので、現在、タッチ・アンド・ゴーの訓練を行うとするならば、それは当然に含まれて、準備書において評価をされているということでございます。

辻元委員 では、どうして経路に入れていないんですか。

井上政府参考人 ヘリコプターの運航に当たりまして、他の地域等に参ります場合の有視界飛行、そして計器飛行の経路を示しているというものでございますので、そうした基地の中で行われる訓練につきましては、この飛行経路には含まれていないというふうに認識をしております。

辻元委員 基地の中って、基地の中でタッチ・アンド・ゴーって、こうやってこう上がるわけじゃないんですよ。タッチ・アンド・ゴーといったら、ぶうっと基地の外も行くわけですよ。

 これは、タッチ・アンド・ゴーを認めるとV字滑走路の論理そのものが通用しなくなるから入れていないんでしょう。どうですか。

河野委員長 井上地方協力局長、端的に答えてください。

井上政府参考人 お答えをいたします。

 飛行経路は、先ほど申し上げましたように、ヘリコプター等におきましての、他の地域における飛行を行う場合の経路を示しているものでございます。

 タッチ・アンド・ゴー、基本的には着陸、離陸のヘリコプターの訓練でございますので、基本的には基地の中での対応となるというふうに認識をしておるものでございます。

河野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河野委員長 速記を起こしてください。

 井上地方協力局長。

井上政府参考人 今確認をさせていただいたわけでございますけれども、先ほど申し上げた飛行経路であるわけでございます。いわゆるタッチ・アンド・ゴー、そう多くの回数が行われているわけでございませんけれども、タッチ・アンド・ゴーを行います場合に、この準備書におきましての有視界飛行における飛行経路を使用する場合があるというふうに認識をしております。

辻元委員 あなた、内容をわかっていないんじゃないですか。そんなにタッチ・アンド・ゴーをしていないと。一日に三百回していると言っているわけです。では、この市長がうそをついていると言うんですか。どうですか。基本的に普天間の訓練というのはタッチ・アンド・ゴーのような訓練なんです。一日三百回しているときもあります。数日前にお聞きになりましたよね。そんなにしていないという認識でいいんですか。

井上政府参考人 訓練の状況につきましてはまたよく米側にも確認をさせていただきたいと思っておりますけれども、ホバリングの訓練等がございます。したがいまして、離陸、着陸をしてホバリングをするというものが恐らく多いものだというふうに考えておりますけれども、今委員御指摘のようないわゆるタッチ・アンド・ゴーの回数はそう多くないというふうに聞いております。

辻元委員 米側に今から問い合わせするんですか。米側から聞いておりますですか。それでよく、環境影響評価をどうやってやったんですか、訓練の内容も把握せず。そして、現場の人たちが言っている。あそこへ行ったらだれが見てもわかりますよ。

 なぜこういうことを言うかといいますと、これが本協定の前提になっているわけですよ。辺野古地区に新基地をつくるということの進展がない限り八千人も帰らない、定員を減らさないとなっている。前提になっている辺野古地区の新基地の問題が、オスプレーも来るかどうか、可能性、自治体にも地元にも説明していない。訓練の内容も今からアメリカに問い合わせますと。

 大臣、今の状況をお聞きになっていてどう思いますか。日本の政治、これでいいんですか。

 あなたの、やりとりしていても同じですよ。

 ですから、委員長、しっかりと、普天間の代替というのならば、普天間でどんな訓練をしていると防衛省は認識しているのか、タッチ・アンド・ゴーについてどれぐらいやっているのかということを防衛省からきちんと後で、今やりとりしていたって時間がないですから、ちゃんと出していただきたいと思うんです。いかがですか。

河野委員長 防衛省、訓練の内容をきちんと精査して、特にタッチ・アンド・ゴーについて調べて委員会に御報告いただきたいと思います。

辻元委員 それは宜野湾の自治体にも見せますよ。きちんと中身をやってください。

 それで、大臣、今みたいな内容の基地の移転の進展がない限り、この協定は成り立たない仕組みになっています。そこで大臣にお聞きしたいことがあるんです。前回の私の質問に対しまして、大臣はこう御答弁されています。いわゆる国家間の国際約束というのは一たん締結されれば当事国としてそれに拘束されるわけでありまして、仮に政権交代がありましてもそれを誠実に履行するということが求められるものでございます、国内の事情によってそうした性格というものが影響を受ける、そういったものではございません、これはこの協定についても同様であるとおっしゃっています。

 ここで大臣がおっしゃった国際約束の中身を具体的に言ってください。

中曽根国務大臣 国際約束というのは国際間の約束、国と国との間の約束でありますから、それは協定という呼び方のものもあるでしょうし、ほかの呼び方のものも……(辻元委員「具体的に言ってください。この協定の場合は何が国際約束なんですか」と呼ぶ)協定全体でございます。(辻元委員「いや、だから具体的に何が」と呼ぶ)ですから、前文から始まって書いてありますけれども、在沖縄の海兵隊をグアムに移転するということで、さらに細かいことはこの協定の中で規定されていることでございます。これが国際約束です。

辻元委員 では、一点確認させていただきますが、その前提条件になっている辺野古地区への新基地の建設、これはこの国際約束に含まれないという理解でいいですか。

中曽根国務大臣 国際約束、この協定の中で法的義務にはなっておりません。ロードマップという意味では全部関連しているわけでありますが、この協定は、先ほどから申し上げておりますように、グアムへの海兵隊の移転でありまして、そういうことで法的にはなっておりません。

辻元委員 そうすると、一たん締結されれば拘束される、仮に政権交代があっても誠実に履行するという国際約束の中身には新基地を辺野古地区に建設するということは入らないという認識でよろしいですね。もう一度、その点、お答えください。

中曽根国務大臣 いわゆる今回の国際約束には入りませんけれども、政治的な意図と申しますか、沖縄の米軍再編、さらにはその中で負担の軽減とそれから抑止力の維持、そういう大きな意味におきましては普天間の移転というものも、また嘉手納以南の返還というものもあるわけでありまして、そういう意味ではほぼ同時に進行していくことが望ましいわけでありますが、これは海兵隊の移転について規定しているものでございます。

辻元委員 なぜ申し上げるかといいますと、大臣もわかっていらっしゃるように、国際約束がここにあったとしたら、この前に新しい基地をつくれというのがあるわけですよ。そうしたら、どうして、二十八億ドルを出して八千人帰るというのを、わざわざ今みたいなタッチ・アンド・ゴーもわからないしというようないいかげんな認識しかない、新しい基地をつくるということと本協定は切り離さずにリンクしてつくったのか。別にそれだったら、二十八億ドルと八千人帰るという部分だけを切り離して協定をおつくりになってもよかったんじゃないですか。

河野委員長 辻元清美君、質疑の時間が終了しております。手短にお願いします。

辻元委員 最後にこれをお聞きしたいと思います。

 というのは、私たちはまだ、これは協定として非常にあいまいですよ。なぜひっついているのか。そして、前提条件が国際約束じゃない、その前提条件が成り立たないようなことが国際約束であるということを、皆さん、そんな協定というのを見たことがありますか。そして、その前提条件についてはどうかといえば、いや、訓練の内容はわかりません、どんな訓練が行くかわかりませんと。こんな協定を私たち日本の国会議員として認めていいのかどうかということですよ。ということを申し上げ、私たちはこの協定を認められない。

 最後に、大臣、それだけ切り離してやればよかったじゃないですか。何でリンクする必要があるのか、答えてください。

中曽根国務大臣 ロードマップの中で法的な約束が必要とされるもの、今これは在沖縄の海兵隊のグアムへの移転ですから、これについての真水部分の金額、拠出金等について規定しているものでありまして、普天間飛行場の移転、あるいは嘉手納以南の返還、こういうものもロードマップの中の一つでありますから、それはそれでまた協議をしながら進めていくということでありまして、それはいろいろまた検討すべきこともあろうかと思いますが、今御審議いただいているのは法的ないわゆる署名した協定を御審議いただいて、これをきちっとしたものにしようというものでございます。

辻元委員 納得できませんが、終わります。

河野委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

河野委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。松浪健四郎君。

松浪(健四郎)委員 私は、自由民主党及び公明党を代表し、在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定につきまして、賛成の立場から討論を行います。

 我が国を取り巻くアジア太平洋地域には、冷戦後も依然として不安定で不確実な状況が存在しております。このことは四月五日の北朝鮮によるミサイル発射によっても如実に示されております。このような安全保障環境の中で、我が国の平和及び地域の平和と安全を確保するためには、日米安保体制のもとで在日米軍が緊急事態に迅速かつ機動的に対応、展開できる態勢が平時より確保されることが必要不可欠でございます。

 しかしながら、米軍の前方展開を確保する上で、米軍施設・区域が県の面積の約一〇%を占め、在日米軍専用施設・区域の約七四%が集中している沖縄県と県民の皆様の長年にわたる御負担の大きさはいかほどでありましょう。言葉で簡単に言いあらわされるものではありません。

 本協定は、そのような沖縄県の方々の思いにこたえるべく、日米間の在日米軍再編成に係る協議において、日本側からの強い主張により合意した負担軽減策であります。本協定のもと、二〇一四年までに在沖縄海兵隊約八千人とその家族約九千人を沖縄からグアムへ移転させる事業の円滑な実施が図られることとなります。

 また、抑止力を維持するために、グアム移転を行う場合にも、沖縄に現在よりも縮小された一定規模の海兵隊を配置し、即応態勢を維持することが必要であります。海兵隊の要員は、グアムへの移転後でも、在日米軍とともに我が国や極東の平和、安全の維持に重要な役割を果たすこととなります。

 我が国が移転経費を負担する理由については、本協定の主な論点として議論が重ねられてきましたが、沖縄の方々が強く希望する移転の早期実現と負担軽減の着実な進展、さらには極東地域の平和と安全の維持、これらの要素を総合的に見れば、グアムにおける施設やインフラ整備のために我が国が一定の負担を受け持つことは極めて妥当であると考えられます。

 さらに、本協定は、日本政府とオバマ新政権との間の日米合意の第一号でもあります。これは、オバマ政権が、在日米軍再編の着実な実施を通じ、日米安保体制を一層強化していくことへのコミットメントを明確に示したことにほかなりません。

 したがって、このような日米同盟の象徴的な意義を有する協定については、与野党の垣根を越えて、国会としても力強い賛意を示すべきだと考えます。

 ただし、一方で、引き続き我が国の財政状況は厳しく、在沖縄海兵隊のグアム移転事業の実施に当たっては、米国政府が日本側資金を適正に使用しているかなど、今後の事業の経費について適切に精査し、政府から国会の場で丁寧に説明されることが求められます。

 最後にこの点を政府にお願い申し上げまして、私の賛成討論といたします。(拍手)

河野委員長 次に、武正公一君。

武正委員 在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定に関し、民主党・無所属クラブを代表し、反対の立場から討論を行います。

 民主党の安全保障政策の基軸は、日米同盟、日米安全保障条約にあります。しかし、二〇〇七年、本協定の根拠の一つとなった在日米軍再編特措法の際も、そして二〇〇八年、昨年のいわゆる思いやり予算の際も、政府の説明責任は果たされませんでした。

 今回のグアム移転協定は、二〇〇六年に結ばれたロードマップを前提としていますが、日米政府間でさまざまな合意がなされているにもかかわらず、なぜ、今、在沖縄海兵隊の移転のみ、しかもいわゆる真水部分だけを協定にしたのか、意味が不明です。その他の問題の解決は放置されるのでしょうか。前政権時の合意であるロードマップについて、政府は昨年九月に国会承認条約とする必要があると判断して、法的義務を伴う協定として確定させること、これは時期尚早ではないかとの問い、また、なぜ米側は議会の承認がないのかとの問いに対して十分な説明がされませんでした。

 ロードマップでは八千人の在沖海兵隊がグアムに移転することが合意されましたが、現在沖縄に駐留する海兵隊要員は約一万二千人とも言われています。海兵隊員などのグアム移転をもって地元沖縄の負担軽減を図ることが移転の大きな目的であるなら、移転の前と後でどのぐらいの実数が削減されるのかを示さなければ、沖縄県民の過重な基地負担の軽減策とはならないはずです。しかも、ことし一月、オバマ・バイデン・アジェンダで二万七千人の海兵隊員の増員がうたわれた今、減る沖縄の八千人の海兵隊の定員がさらにふえる可能性があります。

 また、普天間飛行場は、周辺の危険な状況等をかんがみると直ちに解決すべきですが、協定上、グアム移転等とワンパッケージとされています。これでは、あたかも協定をのむことが普天間飛行場の危険除去の条件とされており、本末転倒ではないでしょうか。

 そもそも、日米両国を取り巻く社会・経済財政情勢は大きく変化しており、在日米軍基地の役割は、日本の防衛という初期の目的から、地球の半分近く、あるいはそれ以上に及ぶ米軍の世界戦略を担うという目的へと比重が大きく転換しています。北朝鮮のミサイル発射を前提とした東アジアの安全保障の動向、米国の世界戦略を見据えつつ、日本として安全保障戦略を再構築することが重要なはずです。その中で、日米同盟のあり方を検証し、地位協定、また負担原則も含め、分担すべき費用負担のあり方を見直すべきときが来ています。

 民主党は、厳しい財政事情のもとで国民生活を大切にする視点から、あらゆる財政支出について、節減すべきところは節減するとの考えで国会審議に臨んでいます。このように、巨額の在日米軍への経費負担は、しかも、政府からその真水部分負担の内訳について、隊舎の数さえも開示しない、五十年償還の家族住宅のSPE、事業主体プランがいまだ財務省、JBICに示されていない中、我が国の厳しい財政状況を考えるとき、納税者の理解を得られないと考えます。

 以上をもって、本協定に対する私の反対討論といたします。(拍手)

河野委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、在沖縄米海兵隊移転に係る日米協定に反対の討論を行います。

 第一に、本協定は、在沖縄米海兵隊のグアム移転に伴う司令部庁舎、教場、隊舎、学校関連施設の整備のためと称して、日本が二十八億米ドルを上限として財政支出を約束しています。米国領土内の基地強化のために日本が財政支出することは、安保条約さえも超えるものであり、憲法上も認められるものではありません。アメリカの領土の基地建設費用を負担することなど、世界でも全く類例がないものであります。

 そもそも、在沖縄米海兵隊のグアム移転計画は、米国みずからの軍事戦略に基づいて、陸軍、海軍、空軍、海兵隊の四軍の部隊をグアムに集め、グアムを戦力投射の拠点にするものであり、このような米軍の計画に日本が財政支援すべきでないことは明らかです。

 第二に、この協定の条件として、沖縄の辺野古沖に海兵隊の最新鋭の基地を建設することがパッケージとされていることであります。この計画が実施されれば、辺野古沿岸の海洋環境を初め、沖縄の貴重な自然環境を破壊するにとどまらず、周辺地域に新たな騒音被害や基地被害をもたらすことは必至であります。

 沖縄県民は、長年、米軍基地が存在するがゆえの耐えがたい苦しみを受け続けています。その米軍基地を強化し、固定化を押しつけることは、基地の苦しみからの解放を求める県民の願いを真っ向から踏みにじるものであり、絶対に許すことができないものです。

 そもそも、沖縄の米軍基地は、米占領下で、住民を排除し、銃剣とブルドーザーで奪った土地の上に築いたものであり、直ちに無条件ですべて返還すべきものです。日本政府は、普天間基地にかわる新基地の建設計画を直ちに中止し、普天間基地の即時無条件、全面返還を米国に要求すべきであります。

 最後に、この間の委員会における審議で、重大な問題点が次々と明らかになりました。

 一つは、海兵隊の移転費だけでなく、移転後、海兵隊のグアムでの訓練の移動経費や活動経費を負担することや、融資、出資分が回収できない場合のリスクの分担など、この協定の締結は、際限のない日本の負担拡大の入り口になっていくものです。

 二つ目は、八千人削減されるとする削減人員に全く根拠がないということであります。

 まだまだありますが、このような新たな問題点が次々と明らかになった以上、この協定を到底容認できないことは明白であります。

 以上で反対討論とします。

河野委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 私は、社民党を代表し、在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定について反対の討論を行います。

 反対する理由の第一は、実際に移転する海兵隊員の人数がいまだに不明である点です。

 審議の過程で、沖縄に駐留する海兵隊員数は現在一万二千四百六十一人であり、政府が言う一万八千人よりかなり実数は下回っていることが判明いたしました。

 定員一万八千人から八千人変更され定員が一万人になるだけならば、例えば、現状の実数では二千人余りしか移転しないということもあり得ることが、政府の答弁でも明らかになりました。

 外務省発行の外交青書などでは、あたかも実数八千人が移転するかのように沖縄県民の皆さんを初め国民に説明をし、約半数になるのだからと、莫大な二十八億ドルもの資金を拠出する根拠にしてきました。しかし、実数で何人移転するか、そのときにならないとわからないということで、この基本的な根拠が崩れたと考えます。承認ができません。

 第二の反対の理由は、辺野古の新基地が進まないと海兵隊は帰らないぞと、新基地建設とパッケージになっている点です。

 四月八日の審議には、辺野古地区を初め沖縄からも多数の方々が傍聴に遠くから来られて、沖縄県民の皆さんの関心の高さを皆さんも痛感されたと思います。

 この日の参考人の伊波洋一宜野湾市長は、普天間基地の危険性を生々しく証言されました。アメリカ国内であれば、普天間のような基地は存在できないことも明らかになりました。普天間基地は無条件に即刻閉鎖すべき基地だと思います。また、環境学が御専門の桜井国俊参考人からは、辺野古地域が、サンゴやジュゴンの生息を初め、沖縄県の自然環境の保全に関する指針で評価ランク1に指定され、国際的にも貴重な地域であり、ここを埋め立てることによる環境への悪影響ははかり知れないと指摘されました。

 四月六日の沖縄視察では、昨年七月十八日の県議会決議とことし三月二十五日の意見書を踏まえ、辺野古新基地建設反対が沖縄県議会議長から改めて表明され、民意を無視して締結された協定には納得いかず、承認を行わないようにという要請がありました。

 本日、麻生総理は、知事の声を聞いていれば県民の声を聞いていることになるかのような発言があったことは、一国の総理大臣として残念でなりません。

 このように、民意や環境への配慮を無視した新基地建設とセットになった協定を認めるわけにはいきません。

 最後に、また、本協定は、アメリカとの関係で片務的な内容になっていることは、与党の皆さんも認識されているのではないでしょうか。今筆頭理事がそれはそうだと首を振られています。これでいいんでしょうか、日本は。

 総選挙で基地の県外移設を主張する野党が政権をとる可能性も高まる中で、現政権のうちに協定という縛りをかけてしまえと駆け込み締結されたとの指摘も出ております。

 このような状況で、かつ矛盾だらけの内容の協定は、到底承認することはできないと主張し、与党の心ある皆さんの反対への御賛同も訴えて、私の反対討論を終わります。(拍手)

河野委員長 これにて本件に対する討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

河野委員長 これより採決に入ります。

 第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河野委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

河野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十三分散会


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