衆議院

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第11号 平成21年5月22日(金曜日)

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平成二十一年五月二十二日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 河野 太郎君

   理事 小野寺五典君 理事 松島みどり君

   理事 松浪健四郎君 理事 三原 朝彦君

   理事 山中あき子君 理事 近藤 昭一君

   理事 武正 公一君 理事 伊藤  渉君

      逢沢 一郎君    小野 次郎君

      越智 隆雄君    木原  稔君

      篠田 陽介君    柴山 昌彦君

      鈴木 馨祐君    中山 泰秀君

      原田 義昭君    御法川信英君

      山内 康一君    山口 泰明君

      池田 元久君    逢坂 誠二君

      岡本 充功君    田中眞紀子君

      松原  仁君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君    笠井  亮君

      辻元 清美君    保坂 展人君

    …………………………………

   外務大臣         中曽根弘文君

   内閣官房副長官      浅野 勝人君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   防衛副大臣        北村 誠吾君

   外務大臣政務官      柴山 昌彦君

   外務大臣政務官      御法川信英君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 西村 泰彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 廣木 重之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石川 和秀君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 羽田 浩二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 田辺 靖雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小田 克起君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 宮川眞喜雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 兼原 信克君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            別所 浩郎君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   佐野 利男君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        北川 慎介君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    岩崎 貞二君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  柴山 昌彦君     越智 隆雄君

  篠原  孝君     岡本 充功君

  鉢呂 吉雄君     逢坂 誠二君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

  辻元 清美君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     柴山 昌彦君

  逢坂 誠二君     鉢呂 吉雄君

  岡本 充功君     篠原  孝君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

  保坂 展人君     辻元 清美君

    ―――――――――――――

五月二十一日

 経済上の連携に関する日本国とベトナム社会主義共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 日本国とスイス連邦との間の自由な貿易及び経済上の連携に関する協定の締結について承認を求めるの件(条約第一三号)

同月二十日

 中国及び中国周辺地域における人権弾圧問題等の解決に向けて、日本国政府からの働きかけを強化することに関する請願(吉田泉君紹介)(第二四〇三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済上の連携に関する日本国とベトナム社会主義共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 日本国とスイス連邦との間の自由な貿易及び経済上の連携に関する協定の締結について承認を求めるの件(条約第一三号)

 航空業務に関する日本国とサウジアラビア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百七十回国会条約第三号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

河野委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官廣木重之君、大臣官房審議官石川和秀君、大臣官房審議官羽田浩二君、大臣官房審議官田辺靖雄君、大臣官房審議官小田克起君、大臣官房審議官宮川眞喜雄君、大臣官房参事官兼原信克君、総合外交政策局長別所浩郎君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長佐野利男君、欧州局長谷崎泰明君、警察庁長官官房審議官西村泰彦君、資源エネルギー庁資源・燃料部長北川慎介君、海上保安庁長官岩崎貞二君、防衛省経理装備局長長岡憲宗君、地方協力局長井上源三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠田陽介君。

篠田委員 篠田陽介でございます。

 外務委員会で質問をさせていただきます。

 きょうは、資料もお配りをさせていただきますが、主に四項目について、日ロ首脳会談の成果について、対中国ODAに関して、国際再生可能エネルギー機関、IRENAに関して、あと、国連拠出金を放置していた件についてということで質問をさせていただきます。

 私、昨年、総理官邸で一年生議員とカレーライスを食べた際に、総理に対して申し上げたいことはないかということで、私からは、ぜひ北方領土問題を動かしてくださいということをお願いさせていただきました。内政、経済状況が厳しい中、麻生総理は外交に強いということでありますので、北方領土問題をぜひ動かしてもらいたいということを申し上げたことがあります。

 それで、ことし五月の十一日から十三日まで、プーチン・ロシア首相が来日をされました。いろいろなところでそういったことの質問とか答弁をされていると思いますが、この外務委員会の場でも改めてプーチン・ロシア首相来日における成果というものをお尋ねしたいと思います。

中曽根国務大臣 五月の十二日に、来日をいたしましたプーチン首相と麻生総理は、約四時間にわたりまして日ロ関係及び国際情勢について真剣な話し合いを行ったところでございます。

 北方領土問題につきましては、プーチン首相から、ロシア国内にはこの問題を解決しないままでこのまま進もう、そういう考えもあるけれども、自分はそうは思わない、逆である、すべての障害を取り除く必要がある、そういう発言がございました。

 その上で、第一に、両国間に平和条約が存在しないことは、幅広い分野における日ロ関係の進展に支障になっているということ、それから二番目といたしましては、領土問題という日ロ間の障害を取り除くためには、北方四島の帰属の問題の最終的な解決を図る必要があるということ、第三に、この問題を我々の世代において解決をするために、これまでに達成された諸合意、諸文書に基づき、現状から抜け出すための、双方に受け入れ可能な方策を模索する作業を加速すること、こういうことで一致をしたところでございます。

 また、プーチン首相から、七月のイタリア・サミットで予定をされます日ロ首脳会談におきまして、メドベージェフ大統領は北方領土問題について話す用意がある、そういうふうに述べました。また、麻生総理からは、その際、サハリンでの首脳会談を踏まえたロシア側の取り組みについて説明を伺えることを期待しているということを表明されたわけでございます。

 今回、プーチン首相が北方領土問題の最終的な解決に向けて強い意思を有している、そういうことが確認されましたことは大変有意義なことでございますが、今後、北方四島の帰属の問題に関しましてロシア側の立場の変更につながるかどうか見きわめていく必要があるところでございます。

 こうしたやりとりを踏まえまして、日本政府といたしましては、北方四島の帰属の問題を解決して、そして平和条約を締結するという従来からの基本方針のもとに、北方四島の返還の実現に向けて、引き続いて強い意思を持ってロシア側と交渉していく、そういう考えでございます。

篠田委員 今、ロシアは、世界的な不況の中、経済的にもかなりダメージを受けているというふうに聞いています。それで、今回は首脳会談の中でさまざまな合意がなされたということ、これは私は評価をしたいと思います。原子力における協定をこれから結んでいくだとか、そういった分野でも協力ができたことは私は大変評価をしていますが、どうしてもこの北方領土問題というものがネックになっておりますので、本当に両国間で緊密な連携がとれるのかということについて、やはり障害は取り除いていかなきゃいけないというのは共通の思いであると思います。ただ、北方領土というのは、とられたわけですから、取り返さなきゃいけないということ、この意思だけはきちんと明確に伝えていただきたいと私は思っているんです。

 私も、地元、今選挙区は名古屋でありますが、生まれたところは北方領土のつけ根の町で生まれまして、子供のころから北方領土を見ながら過ごしてきたような経緯があります。元島民の方々とも親しくさせていただく中で、高齢になってきているのもありますし、また、本当に動くのかというどこか疑心暗鬼になっているところもかなりあるものですから、やはりそこは、外務省として、政府として、国民に対しても、返してもらうんだという喚起も必要だと思います。

 そういったことをしながら、ぜひ、次の七月の首脳会談の際には何らかの前進という形を成果として得ていただきたいというふうに思っておりますので、その辺について、また改めて外務大臣の決意みたいなものを聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

中曽根国務大臣 委員があの北方四島の近くでお生まれになったというお話でございますが、この問題は大変長い時間がかかっておりますし、元島民の方々の年齢も高齢化をしてきておるわけでありますが、プーチン首相の来日を踏まえた今回の会談、次回のメドベージェフ大統領との会談、これがいい方向につながるように期待をしておるところでございます。

 いずれにいたしましても、お話がありましたように、我が国固有の領土でございますから、この問題が一日も早く決着がついて、この帰属の問題が解決をして、さらに平和条約が締結できるように全力で取り組んでいきたい、そういうふうに思っております。

篠田委員 ありがとうございます。ぜひ、次の機会は動かしていただきたいというふうに思っております。

 次、対中国ODAの件について質問をさせていただきます。

 私、当選して初めて外務委員会で質問した際に、地球環境問題、そして対中国のODAの問題について質問をしました。

 御案内のとおり、中国は経済成長を遂げておりまして、もはや途上国ではないというふうに思っております。そんな中、引き続き日本政府はODA、円借款を初めさまざまな技術協力を続けているという中で、果たしてこれが中国の国民にとってどう評価され、どう理解されているのかなということが一つ疑問に思っておりました。

 また、今環境問題、いろいろ叫ばれておりますが、中国は特に深刻な状況であるということの理解の上、これからODAについてはぜひ環境分野にだけ絞ってやっていただきたいというような質問を二〇〇六年に外務委員会の場でさせていただきました。当時の外務大臣は麻生現総理でありまして、そんな中、そんな質問もありました後に、麻生総理が、これから中国に対する円借款などのODAについては環境問題に絞るというような発言をして、環境分野に特化していくという方針を示されたということであります。そんな中、中国で公害が深刻になっていることを指摘しながら、環境問題を十分支援するだけのお金を用意する気はあるし、技術指導も可能である、向こうのニーズもあり、日中の共益につながるということを当時発言されたということであります。

 しかしながら、その後どうなったかなというのを私も注視しておりませんので、この際、質問させていただきたいのですが、それ以降、中国に対するODAについてなんですが、今どういった方向で進んでいるのか、さらに今どういった分野で取り組んでいるのか、ここ数年の額あるいはここ数年の額の推移などについてお尋ねをしたいと思います。

伊藤副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、対中国ODA、これまで大部分を占めていた円借款については、二〇〇八年の北京オリンピックの前までにその新規供与を円満終了する、こういうことで日中間の合意がありまして、その合意に基づいて、二〇〇七年十二月一日の交換公文書の署名分を最後としているわけでございます。これは、御案内のように、近年の中国の著しい経済発展に伴って、円借款の必要性というものが低下してきている、そういうことを踏まえて判断したわけでございます。

 今後の対中国ODAについては、無償資金協力や技術協力を活用していくということになりますけれども、今後の協力のあり方については、日中関係全体及び各協力の意義等を総合的に考慮しながら検討していくという考えでございます。

 なお、現在は、無償資金協力も技術協力も、日中共通の課題である環境問題、そしてまた相互理解の増進に資する案件を中心に実施しているわけでございます。

 額についてでございますけれども、近年の対中国ODAの総額の推移でございますが、まず、二〇〇四年から申し上げますと、二〇〇四年度は九百五十九億円、約数でありますが。二〇〇五年度は約八百十四億円、二〇〇六年度は六百九十一億円、そして二〇〇七年度は約五百十五億円と減少傾向にあるということでございます。

 また、二〇〇八年度については、まだデータがそろっておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、二〇〇七年度で新規の円借款が終了したことにより、大幅に減少するという見込みでございます。

篠田委員 ありがとうございます。

 次に、国際再生可能エネルギー機関、これはイレナというのか、アイリーナというのか、アイレーナと呼ぶのか、さまざま呼び方があるそうでありますが、このIRENAについて質問をさせていただきます。

 我が国日本はこれから何で食べていくのかということを考えたときに、資源のない国でありますから、私は、脱石油ということをキーワードにして、日本はさらなる経済成長につなげていくべきだろうと思うし、それぐらいしか方法がないのではないかというふうにも思っています。

 そんな中、IRENAという機関、組織が立ち上がりました。きょう資料でお配りをさせていただいておりますが、太陽光や風力発電などの再利用を目指すIRENAということで、一月二十六日、ドイツのボンで設立総会が開かれたということであります。私の感覚としては、この分野で日本が主導権を握る部分において非常に大事だなという認識で見守っておりました。

 そんな中、日本が、この設立総会には参加をしたけれども、オブザーバーでの参加をしたということで、署名を見送ったという報道を耳にしまして、よく理解できなかったというか、何が障害になって参加をしないのかなということを疑問に思っておりますので、この際、質問させていただきます。

 まずは、一月二十六日から開かれました設立総会、ここにオブザーバーで参加したということですが、具体的にどういった人員で参加をして、どのような対応をしたのかという、この事実関係をまずお尋ねしたいと思います。

伊藤副大臣 先ほどの中国のところで、もう一問来るかなと思って詳しくお答えしなかったもので、そこの部分をちょっと補足させていただきたいと思います。

 対中国ODAの実施に当たっては、環境、そして今喫緊の課題である感染症等の日中の両国民の共通の課題ということを中心に進めているわけでございます。円借款については、二〇〇七年度分の新規案件の供与を終了しましたけれども、二〇〇六年度及び二〇〇七年度の案件はすべて環境保全分野に関するものでございます。それから、二〇〇八年五月に発表された日中共同声明の中で確認されておりますけれども、環境分野の協力をこれからも重点的に行うということでございます。

 それから、IRENAの件でございますけれども、まず、事実関係といたしまして、本年一月二十六日にボンで開催された国際再生可能エネルギー機関、いわゆるIRENAの設立会合には、外務省、農水省、経産省、環境省から約七名の実務レベルが派遣されまして、こうした我が国の基本的な考え方、我が国の取り組み等を紹介するということで、同機関との関係で、我が国として同分野で果たし得る責任、役割について検討中である。

 どういう立場かといいますと、我が国としては、再生可能エネルギーの開発と普及を重視している、そして、これまでも同分野において、クールアース・パートナー等を推進しまして、太陽光パネルの設置を支援する等、気候変動に関する国際協力に積極的に取り組んできているわけでございます。そして、その後も、四月にオーストリアで開催されたIRENAのワークショップに出席する等、IRENAをめぐる動きに注視しております。

 また、我が国と同様、設立文書に未署名の米、英などとも意見交換をしておりまして、また、国内再生可能エネルギー業界からのヒアリングなども行いつつ、この機関に我が国が加盟することの是非を引き続き検討しているということであります。

 そして、まずはなぜすぐ加盟しなかったかという御質問でございますけれども、国際機関に加盟するかどうかというのは、やはり我が国全体を見て、国益に資するかどうか、そしてまた、それに対する費用とのバランスがどうか、こういうことを考えなきゃなりませんけれども、このIRENAに関しては、この分野で我が国が果たすべき役割、そして、このIRENA、できたばかりといいますか、できつつあるということでありますので、IRENAの活動内容、性格、それから財政事情もありますので、限られた資源の有効活用、こういった種々の点を踏まえて精力的に検討しているということでございます。

 さらに申し上げれば、IRENAがその予算規模に見合った役割を果たし得るか、そしてまた、IRENAの立ち上げが欧州主導で行われて、署名国も欧州またアフリカに現在は偏っているということ、そしてまた、我が国に国連分担率に基づいた義務的拠出金が求められる中、その財政負担の公平性というものが保たれるか、確保されるかということ、こうした中で、我が国が同機関に参加することによって得られる国益といいますか、意義とのバランス等、こういった点を十分に踏まえながら結論を出していくということになろうかと思います。

篠田委員 わかりました。

 ヨーロッパに偏っている、アフリカに偏っているということでありますが、日本が参加しないから偏っているんじゃないかなというふうに私は思っているわけでもありまして、それで、外務省にも尋ねたら、今検討中ですということなんですが、具体的に何を検討しているのかなと。

 私の見方は、IEAという組織もあります。IEAは化石燃料が中心の機関だというふうに認識をしています。その中で、日本の政府の対応として、外務省の考える考え方、そして環境省の考える考え方、経済産業省の考え方、これらの足並みがそろっていないから結局参加ができていないんじゃないかなというふうにも見てとれるわけです。

 それで、今副大臣からいろいろお答えをいただいたので、この質問はダブるのかな、検討中ということですが、このIRENAに正式加盟しない、するかしないかはこれから決めるんでしょうが、具体的に何をどういうふうに検討しているのかということ。改めてになるかもしれませんが、今正式加盟していない理由、検討中ということでありますが、何をどう検討しているのかということを再度お尋ねしたいと思います。

伊藤副大臣 前段の答えは少しさっきのリピートになると思いますけれども、IRENAがその予算規模に見合った役割を果たし得るか、あるいは財政負担の公平性が保たれるか、そしてその上で、我が国が同機関に参加することによって得られる意義、国益とのバランスということでありますけれども、もっと具体的に今の検討中の疑問点といいますかを申し上げれば、IRENAの将来的な活動というものが、現在の情報、状況では不確実であるということであります。一応、年間予算二十五億円、職員が百人というような規模を考えているようでありますけれども、それに見合った活動、あるいはその活動による結果というものが得られるかどうかは、まだはっきりしない面があります。

 それから、先ほども申し上げましたけれども、財政負担の公平性ということで、いわゆる義務的拠出というものが求められて、その算出の根拠はいわゆる国連の分担率というものが採用されるということは、日本の拠出は非常に大きくなるわけですね。

 それから、日本が参加しないから欧州、アフリカに偏っているのではないかという御意見をいただいたわけですけれども、現在、事務局長は欧州出身者、そして、本部はボン、ウィーン、コペンハーゲン、アブダビのいずれかになるという見込みでございます。

 それからもう一つは、既存の国際機関との関係というものも調整しなければなりません。特にIEAなどの既存の国際機関との間の役割の重複といいますか、役割分担が必ずしも明確でない、こういう点もございます。

 こういう種々の点を踏まえて、しかしながら、我が国としては、再生可能エネルギーの利用というのは我が国の国益にとって非常に重要でありますので、積極的に検討をして、なるたけ早い時間に結論を出していきたいというふうに考えております。

篠田委員 今副大臣からお話ありました、拠出金について義務的負担率ということ、国連に対する拠出金の分担率で日本の拠出金が決められるということでありますが、これは具体的に加盟に当たり幾らかかるのかということ、これは事務的になるのかな、お尋ねをしたいと思います。

伊藤副大臣 IRENAの全体の運営経費につきましては、同機関がまだ正式には発足していない現段階で、少し試算といいますかスペキュレーションになりますけれども、二〇〇九年は七百万ドル、約七億円、二〇一〇年は千八百万ドル、約十八億円が我が国の拠出金になると見込まれております。二〇一一年以降については未定との説明をドイツの政府から受けております。

 仮に我が国が同機関に参加した場合の我が国の分担率については、アメリカが参加しない場合、国連分担率に基づいて算出すると、我が国の拠出金がトップになるということが予想されるわけでございます。

篠田委員 わかりました。

 これは拠出金がネックになっているのかどうなのかということ、私はちょっと疑問に思っているところがありまして、拠出金が障害になっているということであるならばほかの問題ともたまたまリンクをして考えてしまうものですから、拠出金だけの問題じゃないのかなというところで、その辺が疑問を持たれていると思うので、これは事務方にちょっとお尋ねしたいんですが、通告はありませんが、いつまでに結論を出すという考え方で今外務省が動いているのかということをお尋ねします。

田辺政府参考人 お答え申し上げます。

 拠出金の関係でございますけれども、ただいま伊藤副大臣から答弁いたしましたとりあえずの試算といいますものは、これは全く非公式な、説明として聞いておるもので、二〇〇九年が七億円ぐらい、二〇一〇年は十八億円ぐらいといいますのは、全体の予算規模でございまして、その中から日本の分担比率に従いまして日本に拠出が求められる、そういうことになるわけでございます。

 そうした金額、拠出の問題とあわせまして、このIRENAという国際機関が、真にグローバルな、国際的な活動をするのにふさわしい機関になるかどうか。端的に申し上げますと、現在のところ、例えばG8の中でいいましても、アメリカ、イギリス、カナダ、ロシア、そして日本という五カ国がまだ署名をしていない、検討をしている。私どもも、先ほど御答弁ありましたように、アメリカやイギリスなんかともいろいろ相談をしておる、そういう状況でございます。

 私どもといたしましては、このIRENAという機関が、真にグローバルな、意味のある国際機関として、そういう主要国をカバーした国際機関として、そしてほかの国際機関とも重複しないような、意味のある活動がなされることになり、そしてそれにふさわしい事業規模、それに基づいた日本の分担金、拠出金といったようなものが実現するかどうかということについて、いろいろな情報を収集しながら、アメリカ、イギリスなどとも意見交換をして、そういったすべての条件が満たされることが、早くそういう状況が来ればいいなということで真剣に積極的に検討をしておる、なるべくそういう条件が早くそろって、結論が出ることが望ましいというふうに考えておるところでございます。

篠田委員 いつごろまでを考えていますか。

 日本がそれらの国に対して一緒にやりましょうよという働きかけをすることが私は逆に大事だと思うので、今の御答弁だと、アメリカ、イギリスなどの動向を見て、アメリカが右だと言ったら、では我々もというふうに見えてしまうんですが、私は逆だと思うんです、この問題は。日本がアメリカやイギリスに対して一緒にやりましょうよということを積極的に働きかけて結論を出す問題じゃないかということだと思うんです。

 これは国益につながる話だと思うので、いつまでという具体的なその期間をお答えできる範囲でお願いしたいと思います。

田辺政府参考人 私申し上げましたのは、まさにアメリカやイギリスなどと、この国際機関を本当に意味のあるものにしていくべきではないかという観点から、つまり日本やアメリカやイギリスが一緒になってこの国際機関をいいものにしていくべきではないかという観点でいろいろな意見交換、議論をしておるというところでございます。

 そういうことが満たされれば、この機関は意味のある機関である、そして日本が拠出、分担するにふさわしい機関になるということが満たされるわけですので、そういうことがなるべく早く来るように、アメリカやイギリスなどと議論をしながら働きかけていきたい、そういうふうに思っておるところでございます。

 申しわけございません。具体的にいつまでということが現段階で決まっておるわけではございません。

篠田委員 いずれにしましても、これは日本が主導権をとらないと、たまたま今水着の問題とかもありますね。ああいったものというのは、やはり、国が持っている技術を広められるか、それがスタンダードにできるかどうかの議論だと思うんです。このままいくと、せっかく日本がいい技術を持っていても、それを途上国に対して供与できないようなシステムになってしまうことは、これは日本にとって不幸ですし、何より地球環境にとって不幸だと思うんです。そういった意味において、ぜひ主導権を握っていただきたいというふうにお願いをしておきます。

 そんな中、この問題を取り上げたのはもう一つ理由がありまして、同じ時期に、きょう新聞をお配りしていますが、外務省が国連拠出金を放置していたという問題、この記事が出たのが一月でありまして、その後、IRENAに参加しない、拠出金が必要なことから参加を見送るという話があったので、たまたまどうしてもリンクして考えてしまうわけですね。

 一方で、拠出金が、返してくれるというお金がありながらそれをずっと放置しておいたという問題があり、他方で、新しい国際機関に加盟するのに拠出金が払えないという、たまたま時期的にこの二つが私にとってどうしてもリンクして考えてしまうものですから、何をしているのかなというような気持ちになってしまう。これは決して私だけじゃないと思うんです。

 それで、拠出金を放置していたという問題について、その後、河野委員長も初め、いろいろと徹底調査を指示していると私も承知をしておりますが、それが一月の段階でありまして、今、具体的にどう徹底調査を行って、上がってきた具体的な数字だとか、放置されていた機関の数だとか、現状、外務省が把握している分を教えてください。

廣木政府参考人 お答え申し上げます。

 会計検査院から指摘された十信託基金の拠出残余金に関し、四信託基金については国庫に返納し、六信託基金については、流動的な国際情勢に機動的に対応する観点から、趣旨、目的が整合的な他の信託基金への振りかえを行いました。

 外務省としては、拠出残余金が生じる場合に速やかに対応できるよう、その取り扱いに関するガイドラインや歳入手続マニュアルを作成し、国際機関への回答期限、返還小切手の取扱業務などを定めました。また、拠出後の信託基金の状況把握を確実に行うための定期的な注意喚起、情報の一元的管理など、国庫返納を原則としつつ、拠出残余金を早期に処理するための体制を整備いたしました。外務省としては、こうした体制のもと、再発防止を徹底していく考えでございます。

篠田委員 それで、事務的な話になりますが、そういった、返還して放置していたという返還金。これは外務省だけじゃないんですけれども、よく役所は、お金を使うことは熱心だけれども、戻ってきたお金とか余ったお金をどうしていいかわからないという問題がたびたび取り上げられるものですから、この問題もまた、外務省ですから、そういったことはいずれ、ある国際機関が解散になった、使わなかったから返してくれるという問題があって、今後も出てくる問題だと思うので、それをどう速やかに会計処理するのかという、今こそそういった事務的な体制を整える契機にしていただきたいと思うんです。

 そんな中、今回、そういった返還金というのは、具体的にどのような会計処理をされて、どういったふうに使われるのかということ。また、再発防止策ということを講じていかなきゃいけないと思うんです。これが例えば民間企業であれば、そういったことをやっていたら、必ずその社員は処罰されると思うんです。いろいろな処罰対象になると思うんです。外務省は、これは通告しておりませんが、今回のこの問題で具体的にだれか職員が処罰されたのか、何らかそういったことが行われたのかどうなのか。そして、再発防止策というのはこれからどういった方向でいくのかということ。必ずこれはこれからも起こってくる問題でありますから、ぜひ、原資が税金であるという観点の中、これからどういった処理をして、どういった体制で臨むのかということをお尋ねしたいと思います。

廣木政府参考人 ただいま答弁申し上げましたが、国連の信託基金の閉鎖に伴い拠出金の残余金について長期にわたって放置していたもの、または拠出した信託基金が閉鎖状態になっていたことを把握していなかったものというものがございまして、このような事態が生じたことはまことに遺憾だと考えております。事務当局に対して、大臣の方から再発防止を徹底するよう注意喚起をいただきました。

 私どもも、今回の諸案件を徹底した調査を行い、体制面の整備を行ったところです。具体的には、先ほど申し上げました拠出後の信託基金の状況把握を定期的に行う、あるいは情報の一元的管理の部署をつくる、あるいは、国庫返納を原則としながら、早期に処理するための体制を外務省の中でつくる、こういったことをやってございます。

 引き続き、外務省としては、国民全体の奉仕者として、常に納税者の視点に立って、同様の事案の再発を防止すべく、適切な処理を徹底してまいりたいと考えております。

篠田委員 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。

河野委員長 次に、鈴木馨祐君。

鈴木(馨)委員 自民党の鈴木馨祐でございます。

 きょうは、質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、一般質疑ということでございますので、そもそもの外務委員会のあり方というか、外務委員会という場で外交をどういう形で議論していくべきなのか、そういった点からまず議論をさせていただきたい、そう思っております。

 河野委員長にかわられてから、委員会運営もいろいろな意味で活性化をし変わってきている、そういった面もあるんだというふうに思います。

 そういった中にあって、やはり外交というのは、ほかの政策課題もそうなんですけれども、例えば一つ考えていかなくてはいけないのは、国民と行政と立法府というものに加えて、常に意識していかなくてはいけないのは、外交というものが、これから先、ほかの国との交渉、そういったものにもつながってくるんだ、そういった点が大きく異なるのかなというふうに思っております。

 そういった中で、まず最初に大臣にお伺いをしたいのは、外務委員会における議論ということ、何を議論することを求めているのか、あるいは何を議論する場とお考えなのか、そういった点について御答弁をいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 憲法の七十三条でしたか、ここに、外交関係の処理及び条約の締結、これは内閣が行う事務の一つとなっているわけでありますが、他方、国権の最高機関であります国会におきましては、条約の承認を含めまして、主要な外交案件に関する御議論をいただくということで、これは、行政に対する国会の民主的な統制、そういう観点からも極めて重要であると考えております。

 これまでも、外務委員会におきましては、我が国が直面をしておりますさまざまな外交問題等につきまして有意義な議論をいただいているわけでありますが、政府といたしましても、委員会での御指摘等を踏まえつつ、国益に沿った外交を引き続き推進していきたい、そういうふうに考えております。

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 まさに今おっしゃった点、これが外務委員会で議論していくテーマ、課題なのかなというふうに思うところでございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、通常の委員会ですと、やはりこれは、行政府がやっていること、それを国民の立場からきちんとチェックをする、そして、おかしな点がないかどうか、そういった点をきちんと国権の最高機関である国会の場で国民を代表する国会議員がチェックしていくというのがその姿勢なのかなというふうに思っています。外務委員会においても、条約の審査等において、そういったことは当然やっていかなくてはいけない、これは当然のことであります。

 しかし、その上で、外交というのは、その後、国際社会の中で日本としてどのような国益を守っていくのか、それが、さらに言えば、国民の福祉、利益ということにもつながっていくわけでございまして、そういった観点もやはり忘れてはならないのであろうというふうに私は思っているところでございます。

 そういった中で、よくこの委員会の場でも、これは与野党問わずいろいろな質疑の中で、外交上これはなかなか答弁できないんだ、あるいは仮定の質問にはなかなか答えられない、そういった御答弁も、これはやむを得ない点もあるというふうに思います。

 しかし、外交上答えられないということについても、本当に答えるべきではないのか、あるいは答えた方がいいのか、そういったことはやはり、その場合その場合でいろいろな場合があるんだというふうに私は考えているところでございまして、そういった点について議論をさせていただきたい、そういうふうに思います。

 恐らく、交渉事において我が国の利益というものを最大限実現するために何が望ましいのかということを考えるときに、やはり私は、相手方が日本という国が幅広い選択肢の中でどういう選択をするのかがわからないという状況というもの、それが交渉の場においては一番の武器になるんだろうというふうに思っています。

 簡単に言えば、例えば、これは完全に仮定のケースでございますが、ある国が核実験をするかもしれないというときに、それに対して日本がどのような反応をしてくるのか、それが読めない、もしかしたら非常に強い反応が返ってくるかもしれないし、あるいはそうでないかもしれない、そういった状況、しかも、日本政府がそのあらゆる選択肢の中でどういう選択をするのかがわからないという状況が、恐らく、その国が核実験をするしないという判断にも関係してくるようなことというのも想定されるんじゃないか、そういうふうに思っているところです。

 そういった中で、この委員会の議論も、やはり私は、そうした外交の選択肢を可能な限り議論していく、こういうこともできれば、こういうこともできる、もちろん、できない範囲ということは当然憲法の制約等でございますが、しかし、それを除けば、さまざまな選択肢というものを議論していく。ただ、そのうちのどれを選択するということについては、やはり私は、交渉の前ということで、交渉の前にそういった意見表明をするというのは決して国益にプラスになるとは思いませんから、そこについては外交上の判断というのがあってしかるべきと思いますが、しかし、その選択肢を議論していく中では、私は、そこについては逆に、外へのメッセージということで考えても、こうした議論の場、しかもオープンな議論の場というものはやはりきちんと活用していく、そういった考え方も同時に必要なんじゃないかというふうに考えているところでございます。

 そういった点について、外務大臣におかれましては、外務委員会において、外交上の理由で答弁すべきではないものというのは一体何なのかについてどのようにお考えでいらっしゃるのか、お伺いをできればと思います。

中曽根国務大臣 基本的には、この外務委員会で御議論をいただくに当たりましては、外交上のいろいろな、政府が行っております活動については、これはできる限り、透明性を確保しながら、また正確な情報というものを委員の皆さんにお知らせする、御説明するということが大事だと思っておりますし、また、そういう中で御理解をいただくということも必要だと、重要だと思っております。

 他方、今委員が御指摘されましたとおり、現在交渉中の案件とか、あるいは交渉に与える影響などが心配される、そういうものにつきましては、やはり慎重に考慮をしていかなければならないと思います。

 外交上の理由で、そういうお言葉がございましたけれども、外交上の理由というのは、今申し上げましたような、いわゆる今後の交渉を拘束するとかあるいは悪影響を与えるとか、そういうようなものが主な理由でありますが、情報公開法の五条にも、「公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」、これについては公開をしなくていいということになっておるわけでありまして、私どもとしては、そういう点を十分踏まえながら、できるだけ委員の皆様にはお答えできるものはお答えをしていこう、そういう姿勢で取り組んでいるところでございます。

    〔委員長退席、松浪(健四郎)委員長代理着席〕

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 まさにそういった方針が恐らく正しいんだろうというふうに思うところでございます。

 これからこの委員会の質疑を活性化していくという観点からも、そういった点については、どれが出してはならないものでどれについては出せるのか、そういったことをきちんとめり張りをつけて御判断をいただいて、活発な議論、そしてさらに言えば、我が国の交渉におけるカードであるとか、あるいはそういった意味の国益、さらに言えば、一般の情報公開ということも含めて、国民の皆様にきちんと御理解をいただけるようなそういった委員会の場を、ぜひとも国会そして行政ということでつくっていければというふうに思っております。

 具体論に入らせていただきます。

 きょうは、二点お伺いをさせていただければというふうに思っております。

 最初に、ここのところしばらく話題になることはありませんが、日中間の東シナ海のガス田の問題、それが一点でございます。

 その後に、今、まさにことしですね、ポスト京都議定書、二〇一三年以降の温暖化対策の枠組み、これの山場を迎えるわけでございますので、それと我が国の例えばODA戦略であるとかそういったところの兼ね合いについて、その二点についてお伺いをしていきたい、そう思っております。

 まず最初に、これは政府参考人の方からで構いませんが、東シナ海のガス田の問題。去年、福田前総理の時代に日中間で合意もされたところでありますが、その後の状況、あるいは、今実際、白樺であれ、幾つかのリグがあると思いますけれども、そういったところの現在の状況というもの、それをお伺いできればと思います。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、昨年の六月に日中間で政治的な合意がなされたわけでございますけれども、これは、東シナ海を平和、協力、友好の海とする、こういう首脳間の共通認識を実現するための第一歩ということで合意が結ばれたわけでございます。いわば日中間の戦略的互恵関係の象徴的プロジェクトというふうにとらえられるかと存じます。

 御指摘の現状でございますけれども、この昨年六月の合意は政治的な合意でございます。したがいまして、この合意を実施するためには国際約束を締結するという必要がございます。私どもとしましては、その国際約束を締結するための協議、これを早期に開始することが重要と考えておりまして、首脳レベルから実務レベルに至るまで、いろいろな機会に中国側に対してその旨を働きかけております。同時に、いろいろな形での実務的な話し合いを随時行っているところでございますが、残念ながら、今この時点におきまして、その協議はまだ開始されていないというのが現状でございます。

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 協議が開催されていない中で、この対象の海域というものがあったと思いますが、そこの中にたしか五つガス田が存在をしていたと思いますが、そこにおける、実際、営業停止をされているのか。恐らく、交渉中の事案であって、しかもある程度誠実な交渉をしている最中であれば、協議中の海域においては営業停止というのが当然のことかと思いますが、実際、今どのような状況になっているか、お伺いできますでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 樫ガス田でございますけれども、これは海洋構築物がございますけれども、そこでいわゆるフレア、炎でございますけれども、が確認されておりまして、天然ガス等の産出が行われている可能性が高いというふうに言われております。

 なお、白樺では、炎は確認はされていないというのが現状でございます。

鈴木(馨)委員 そういった中で、去年の合意を受けて、これは何らかの形の条約にしていくというのが恐らくはセオリーかと思いますけれども、その締結をきちんとできる見込みというのはどのようにお考えでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど答弁申し上げましたとおり、国際約束を締結するということが極めて大事でございまして、そのためにいろいろな形で働きかけを行ってきております。

 一番最近のハイレベルの働きかけとしましては、四月末に温家宝総理と日中首脳会談が行われました。その際に、麻生総理から、合意を実施に移すための協議の早期実施に向け、温家宝総理の指導力の発揮をお願いしたいというふうに述べていただきました。温家宝総理の方からは、実務レベルで意思疎通をさせていきたい、こういうやりとりがあったところでございます。

 いずれにしましても、今後とも引き続き、あらゆる機会をとらえて中国側に働きかけを行っていきたい、このように考えております。

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 お伺いをしたところですと、要は、日中の首脳という極めてレベルの高いところで要請をしているという中にもかかわらず、現実の問題として、ガス田においては、掘削の可能性があったり、あるいは実際にフレアがいまだに出続けている、そういった状況にあるというのは、私は極めてこれはゆゆしき事態だろうというふうに思わざるを得ないと思います。

 この問題、私は、やはり見るべきは何を言ったかというよりは何を相手がやっているのか、そういったこともきちんとやはり考えていかなくてはいけないでしょうし、それに応じて対応というものはやはり変えていかなくてはいけないんだろうというふうに考えていかざるを得ないんだというふうに思っております。

 そういった中で、これは今の外務省の認識ということをお伺いしたいんですけれども、今私もフォローしましたとおり、麻生総理から温家宝首相に対してそういった要請をしている状況にあるにもかかわらず、その対象の、実際、日中で、平和と友好の海、きちんと共同開発をしていこうという海域、これは合意に達した達しないを別としまして、そのガス田において依然として操業が続いている、これは普通の状況ではやはり考えにくいことなんだろうというふうに思っております。

 そういった中で、外務省の認識として、この相手方が、実際に誠実な交渉相手として、きちんとこれまでの合意プロセス、これをフォローしていく相手として、そういった誠意が十分にあるというふうにお感じになっているのか、そのことの御認識をお伺いしたいと思います。

中曽根国務大臣 先ほど政府参考人から御答弁いたしましたけれども、首相レベルで四月に、早期実現に向けてということで、温家宝総理からも、これは事務レベルで意思疎通させたいという回答がありましたし、私からも、二月の末に訪中いたしました際に、中国のヨウケツチ外交部長に対しまして、昨年合意した後、全然進んでいない、国際約束締結交渉が今まで開始されていないのは大変遺憾であるということを強くお話をしまして、これにつきましてはやはり責任と勇気ある一歩が強く求められることであるというふうに指摘をしたところであります。楊部長からは、昨年の合意は日中双方共同の努力でこれが達成したものですから、双方にとって利益のあるものであります、国民の関心も高いので、今後とも事務レベルの協議を継続していきたい、そういう発言があったところでございます。

 これは、戦略的互恵関係の象徴的とも言えるプロジェクトでもございますし、東シナ海における協力を推進するという意味でも大変大事でございますので、今委員がお話しされましたけれども、我々としては、今、実務レベルの協議でございますけれども、これをさらにハイレベルに上げるなどして、この実現に向けて精力的に取り組んでいきたいと思っております。

鈴木(馨)委員 まさに今、大臣がおっしゃったとおりでございまして、これから実際に成果を上げていくためには、やはり、もう数段レベルを上げていくとか、いろいろな対応が必要なのかなというふうに思いますが、ただ同時に、先ほど申し上げましたように、先方が何を言ってきたか、言っただけで終わってしまったらこれは何も意味がないわけでございまして、一つは、どうやって実際に行動を起こしてもらえるようなというか起こさせるような状況というものをつくり出せるかというのも、やはり外交上の判断として必要になるのかなというふうに私は思っております。

 そのことを議論する前提として、一つこれは確認をさせていただきたいんです。

 今、日中間で海域の係争があるわけでございまして、日本は中間線を言っている、中国側は大陸棚のラインを言っているという状況であるわけであります。日本の報道では、例えば樫あるいは白樺も含めて、中間線よりも中国側なんだということをよく報道でも言っているところであります。しかし、考えてもみれば、日本の排他的経済水域、日中間で境界を画定しない限りは、私は日本から二百海里というものが日本がきちんと権益を主張することができる海域なんだというふうな理解でいるところでございますが、そういった認識でよろしいのか、今の外務省の認識を政府参考人からお伺いできますでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、我が国としましては、日中間においては、今、境界画定がなされていないという現状におきまして、国連海洋法条約、この関連諸規定を解釈しますれば、日本側からいいますと領海基線から二百海里までの大陸棚及びその排他的経済水域に対する権限を有しているというふうに考えております。

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 ということであれば、これは、考え方としては、中国が合意をしていない段階、日中間で合意ができていない段階にあっては、こうした中間線からEEZ、排他的経済水域の二百海里のラインまでの間、これについても日本としてもきちんとその権限というものを主張していくようなアプローチも一つ大事なんじゃないかなというふうに私は思っているところでございます。

 今の状況は、簡単に言えば、中国側はもう既に掘削を始めている、逆に、日本はまだ何も、そういった意味では実際にアクションを起こしていない状況でありまして、これは、時間がたてばたつほどだれにとって有利かといえば、中国側にとっては時間がたてばたつほどみずからの方にアドバンテージが来るという状況になってしまっていますので、こういった状況を避けるためにもやはり何らかの対策というものは必要なんだというふうに私は思っております。

 以前、帝国石油に対して通産省の方から試掘権の付与ということもされたことがあるわけでございますが、こういった点も含めて、こういった事態打開のためにいろいろな可能性というものを今でもやはり検討する価値はあるんだというふうに私は思うんですね。

 一たん日中間で合意をしたといっても、その合意が実際に実行に移されていない、しかも、中曽根外務大臣そして麻生総理大臣という、我が国のトップレベルの要請をしているにもかかわらず事態が動いていない以上は、どう見ても、相手方に事態を打開するような、決着させるようなインセンティブが余りないというふうにも考えざるを得ないわけでございまして、そういった中では、私は、これはひとつ、例えばまた試掘の検討をしていくだとか、そういったことも必要なのではないか、可能性としてそれを排除するべきではないんじゃないかということを考えるわけでございますが、外務大臣の見解をお伺いできますでしょうか。

中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、日中間のいろいろなレベルにおいてこの問題が話し合われ、我が方としては強くこの協議の進展について申し入れをしているところでございますが、委員からお話ありましたように、なかなか現状のままではこれが進展しないという心配もありますので、政府としていろいろな点を考えながら今後対応していきたい、そういうふうに思っております。

鈴木(馨)委員 引き続き、これまで以上に御努力をお願いいたしたいというふうに思います。

 では、次のテーマに移りたいと思います。

 ことしは、二〇一三年以降の地球温暖化対策枠組み、その枠組みが大体確定をするだろうというふうに言われている、そんな重要な年でございますが、やはり我が国として、これは、ポスト京都、どういった枠組みをつくっていくべきかという中で、地球全体の問題と我が国の国益ということと、両方をきちんと考えていかなくてはいけないというふうに思います。

 そういった中で、これまで政府部内でもあるいは国内でも議論をされてきた幾つかの課題というものがありました。

 一つは、どうやって新興国というものをきちんと組み込むか。そのためには、途上国と新興国というものをきちんと分ける。一昨年、安倍元総理がおっしゃった演説の中でも、共通だが差異がある責任ということでそのことは触れられたはずであります。

 そして、例えばエネルギー原単位を初めとするエネルギー効率。実は、社会のエネルギー効率ということをどうやって評価していくのか、そういった点についてもきちんと議論をされることが、これは我が国にとっても大きな国益でございますし、同時に、新しい技術の開発のインセンティブということで考えれば、これは地球全体の温暖化対策ということでもやはり極めて大事な問題なんだろうというふうに私は思っております。

 そういった中で、去年、たしか私は外務委員会でも議論をさせていただいたと思うんですが、日本のODA戦略の中で、こういったポスト京都の議論における日本のこういった考え方、それをより実現に近づけるためにODAを戦略的に使っていく、そういった議論もあったかと思いますが、去年その議論をさせていただいてから、かなりの時間もたっているわけでございます。その後、どのような形でODAが、このポスト京都議定書の枠組みにおける日本の提案ということの実現、そういったことについて活用されてきたのか、そして、どのような成果がこれまで上がってきたというふうにお考えなのか、御答弁をいただけますでしょうか。

    〔松浪(健四郎)委員長代理退席、委員長着席〕

中曽根国務大臣 昨年の一月でしたか、ダボス会議がございまして、我が国は、その会議におきまして、地球温暖化問題への対応といたしまして、委員御承知のとおりのクールアース推進構想というものを表明いたしました。ここで、すべての主要経済国がやはり参加をしなければならないということで、そういうような枠組みづくりに関する決意を示したところでございますが、同時に、ODA及びそれ以外の公的資金、また民間資金を活用した総額百億ドル規模の資金を活用して、途上国との間でクールアース・パートナーシップを構築する旨発表したところでございます。

 現在、我が国はこのクールアース・パートナーシップ、これは約八十カ国また地域との間で推進中でございまして、こうした我が国の取り組みというのは、途上国を含めた国際社会から高い評価を得ているところであります。

 我が国といたしましては、今後も積極的にこの支援を行っていくことによりまして、二〇一三年以降の公平でまた実効性のある、そういう国際的な枠組みの構築へ向けた交渉の促進に努めてまいりたい、そういうふうに思っております。

鈴木(馨)委員 二〇一三年以降のポスト京都の枠組み、私は、これは環境という意味でも、そして同時に我が国の経済という意味でも非常に大事な枠組みだというふうに思っております。

 例えば、今、我が国の目標ということで、いろいろな議論がされております。これはプラス何%、マイナス何%、一九九〇年の時点に対比してそういった議論がされているわけでございますが、私の記憶では、一時期、この一九九〇年という基準年の設定自体、これが本当にふさわしい問題なのか、そういった議論もあった記憶がございます。確かに、考えてみれば、一九九〇年といえば、欧州において、まだまだ統合直後で、石炭発電、あるいはこうしたエネルギー効率が悪い状況であった、そういった時点でございまして、そことの対比ということであれば、これはだれにとって望ましい基準年かというのは、これはまた明らかなわけでございます。

 そういった意味で、日本としても、これからきちんと、こうしたポスト京都議定書の枠組み、我が国の国益ということを考えながら、しっかりと取り組みを進めていただきたい、そういうふうに思っております。

 時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

河野委員長 次に、池田元久君。

池田委員 民主党の池田元久でございます。

 きょうは、三十分という時間を与えられました。北方領土問題、領土の問題等を中心にお尋ねをしたいと思います。

 私は、二月の日ロ首脳会談の報道に接して、非常に危惧を感じました。日本の外交の最終責任者である総理が、かつて日本の領土であったサハリンに赴いて、ロシア側と話をした。まだ出入国カード問題も決着がついていない。しかも、その後、北方四島については、四島の話は向こうが二、こっちが四では全く進展しない、こういうことをおっしゃったということを聞いて、大変驚きました。しかも、解散の前で、総理大臣の統治能力といいますか、そういう問題が盛んに言われているときに、戦後ずっと積み上げてきた外交交渉についてそのような発言をした、そのような行動に出たことについて、国益を大事にする立場は当然でございますが、同時に、一政権の実績づくりといいますか功名心で外交はやってはならない、そういう感じを受けまして、きょう、ちょっと質問をしたいということでございます。

 さて、歴史的な経過からいいまして、北方領土問題をどう見るか。ずっと北方四島の返還ということを言われておりますが、私はやはり、戦争によって得た領土、つまり、戦争によって領土は拡張しない、そういう原則をこれからも当然のことながら貫いていきたい。一九四一年の大西洋憲章でも、アメリカ、イギリスはそのようなことを宣言でうたっております。カイロ宣言でも同様でございます。

 私は、そういった観点からすると、やはり日露戦争以前に戻すのが一番正しい考え方ではないか、このように従来から思っておりました。私も、かつて北海道庁を担当して、この北方領土の運動についても接しておりましたが、何か違和感がある、日本の国民としては。決してこれはライトウイングとかそういうことで言っているわけではありません。やはり、あるべき世界の秩序からいって、戦争によって領土を拡張しない、そういう観点が大変大事である。

 そういった意味からいえば、千島列島というのは、戦争によって得たものではない。カイロ宣言で言う暴力及び貪欲により日本国が略取した、そういう地域ではありませんので、私は、本来であれば、千島も当然日本の領域になると考えております。残念ながら、吉田政権、麻生さんのおじいさんですが、対日講和条約で千島及び南樺太を放棄いたしました。当時の終戦の条件、ソ連参戦等があったと言われておりますが、本来の国際社会のあり方からいって、千島は放棄してはならなかったと私は考えております。

 そこで、交渉するに当たって、これはもう放棄してしまったんだから、交渉の場ではなかなか言えないということはわかります。しかし、日本全体として、このような正しい観点に立って主張をしていくべきだというのが私の基本的な見解でございます。この点について、中曽根外務大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。

中曽根国務大臣 領土の問題というのは、国家主権、また国益の大変重要な問題でございます。

 今委員がサンフランシスコ平和条約についてお述べになりましたけれども、これはもう委員が十分に御承知のとおり、日本は南樺太及び千島列島に対するすべての権利、権原、それから請求権を放棄したということになっておるわけでございまして、我が国といたしましては、現在、そういうところから、この帰属については意見を述べる立場にないわけでありますけれども、しかし、歴史的ないろいろな経緯、今委員がお話しされたようなこともございます。

 今後は、北方四島の一日も早い解決に向けて政府としては取り組んでいきたい、今そういう立場でございます。

池田委員 私は、先ほど申し上げた点からいって、総理がサハリンで、四島にこだわらない、そしてまた、あろうことか外務次官をやった谷内さんが、三・五島でもいいんじゃないか、後で否定されておりますが、誤解を生む表現だというようなことでそう言っておりますが、私は、もってのほかだと思います。要するに、国際社会の基本的なあり方、我が国の国益からいって、四島にこだわらないとか、ましてや三・五島、これはどういうことなのか、自公政権は何をしているんだと外務大臣に続いてお尋ねをしたいと思います。

中曽根国務大臣 これは再三申し上げておりますけれども、北方領土問題に関する我が国の基本的な立場は、これはもう麻生総理も私にも違いはございません。すなわち、四島の帰属の問題を解決して、そして平和条約を締結するというものでございます。

 いろいろ今委員が御発言等を挙げられましたけれども、こういうものにつきましても、否定しているものもございますし、また、外交交渉の中で、これが外に、新聞等に出た場合も、これが適切なものであるか、真実のものでないものもあるわけでございまして、私たちは、いずれにいたしましても、この政府の基本的立場というものをしっかりと守っていく、これに基づいて交渉していくということに変わりはないところでございます。

池田委員 今交渉をやっていて、そして、メドベージェフ大統領が、我々の世代で解決するとか、新しい創造的アプローチと向こうは言っているわけですね。大きく長いレンジですが、急ぐ、我々の世代で解決すると向こうが言っているわけですから、交渉のあるべき姿からいって、こちらからあれこれ言うタイミングじゃありませんね。いろいろな交渉でもそうでしょう。そこで、いろいろ、四島にこだわらないとか三・五島だというのは極めて不見識、交渉のやり方とは全く違う。何でこうなっているのか。何か功名心があるのか。実績づくりがあるのか。外交をその犠牲にしてはならないと思います。

 一言、外務大臣のコメントをいただきます。

中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、四島にこだわらないとか三・五島だとか、こういうものは政府の見解ではございません。また、これも報道によるものもあろうかと思います。

 政府の考えは一貫したものでございますし、その点については、ロシア側にも再三、日本側からこれを申し上げ、日本側の立場は説明をしており、先方もそれを理解しているもの、私はそういうふうに思っております。

池田委員 北方領土について各国がどう見ているか、ちょっと取り上げてみたいと思います。

 四島が我が国の固有の領土であるという我が国の主張について、諸外国がどのような立場をとっているか、お尋ねをしたいと思います。

中曽根国務大臣 諸外国がどういう立場をとっているかというお尋ねでございますけれども、日ロの二国間では、ソ連の末期以降、ロシア側が領土問題の存在を認めるようになりまして、これはもう委員は経緯は御承知のことと思います、領土交渉が本格的に行われてきているところでございます。

 この二国間で交渉が行われている領土問題につきまして、これは一般的に、第三国がその立場について表明するということは必ずしも一般的でないわけでありますが、他方、この北方領土問題につきましては、例えばこれまでに米国それから英国及び中国が、我が国の立場に対する支持を明示的に表明しているところでございます。

池田委員 国務省のウエブサイトなどにもそう出ておりますし、中国はソビエトとのいろいろな関係があったときでございますが、支持を表明しております。しかし、欧州議会は、二国間の問題だという立場をとっております。まだまだ世界各国のこの問題に対する関心と日本の主張に対する理解は不十分だと思います。

 しからば、各国において発行されている地図、すべての国の地図を網羅的に把握することは困難ですが、これは事前に通告してありますので、どのようになっているでしょうか。

中曽根国務大臣 この北方領土問題につきましては、これはもう再三申し上げておりますように、基本的には日ロの二国間で解決すべき問題でございますが、第三国における北方領土問題の取り扱いにつきましても、政府としては、かねてから注意深くフォローをしているところでございます。

 すべての国のすべての地図について網羅的に把握するということは困難でありますけれども、例えば、中国政府関係部局直属の出版社が発行いたしました地図におきましては、北方四島は我が国の領土として扱われている、そういうふうに承知をいたしております。

 この北方領土問題に関する我が国の立場につきましては、これまでも第三国に対しまして、我が国から機会をとらえて働きかけをしてきておりますが、今後も適切な形で働きかけをやっていきたい、そういうふうに思っております。

池田委員 アメリカ、中国はそうなんですが、韓国は、残念ながら、ロシア領として記述されているものもあれば、北海道本島と北方領土の間、あるいは択捉島と得撫島の間に、両方に線が引かれているものもあるわけです。それから、フランスでは、係争地であるというような地図もありますし、ロシア領というふうに書かれているものもあります。これは最近いろいろ話題を呼んでいるミシュランの地図ですね。

 世界各国の地図がどうなっているかというのを前にある雑誌が調べたんですが、国後、択捉、歯舞、色丹がすべて日本領というのはない。国後、択捉が日本領というのもわずか二つしかない。わずか二つしかございません。

 つまり、今政府は努力をしているというふうなことをおっしゃいましたけれども、これに対する真剣な努力というのはやっているんですか。

中曽根国務大臣 これまでの日ロ間の交渉の経緯とか、あるいはこの北方領土問題に対する我が国の立場、こういうものは対外的にも広く広報活動を行って諸外国の理解を促してまいりましたし、これは大変重要なことだと考えております。

 今、世界地図のお話がありました。こういうものにつきましては、当然のことながら、先ほど申し上げましたように、適切な形で働きかけをやっていくということが大事だと思いますが、基本的には、これは今行っております日ロ二国間で解決すべき問題でありまして、先ほどからのプーチン首相と総理との会談や、今後のメドベージェフ大統領との会談等々があるわけでございますが、この二国間で解決していく問題でありますので、我々としては、こういう形でしっかりと対応していきたいと思っています。

 もちろん、繰り返しになりますが、地図等につきましても、私どもは、十分な配慮といいますか、適切な働きかけが必要だとは思っておりまして、そういう形の努力はやっていきたいと思っております。

池田委員 本交渉の話をしているのではなくて、外交交渉を進める上で、やはり、国際世論といいますか、各国の支持取りつけ、了解工作、いろいろな点があったとしても、その辺はもっともっと努力すべきじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。やっているんですか。

中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、例えば地図でいえば、世界に幾つあるかわかりませんし、いろいろな出版物もあろうかと思います。そういうものが見つかった際には、我々としては、適切な対応といいますか働きかけをやらねばなりませんし、今までも働きかけをやってきたところでございますが、先ほど申し上げましたように、今後そういう点もしっかりと対応していきたいと思っております。

池田委員 お配りしたこの地図にもあるとおり、北海道と国後の間に線が引かれているわけですから、しかも、これはオックスフォード大学出版の地図ですよ。ですから、もっともっと努力をしなければならない、外務省は頑張らなきゃいけない、このように申し上げたいと思います。

 次に移ります。

 北方四島や竹島に関して日米安保条約は適用されないというふうに聞いておりますが、どうでしょうか。

中曽根国務大臣 これは施政下の領域ということになりませんので、これは今適用されないということでございます。

池田委員 日米安保条約五条に言う「日本国の施政の下にある領域」と日本の領土はどう違うのか、お答えをいただきたい。

中曽根国務大臣 一般に、領土とは、国家が領有する陸地をいうわけでございまして、国家はその領土に対して主権を有しているということでございます。

 また、先ほど申し上げましたけれども、施政下の領域、日米安保条約の第五条に言う「日本国の施政の下にある領域」というものは、これは、我が国の領域、すなわち領土、領海、領空から、条約その他の国際約束によりまして我が国が施政権を有しない状態にある、そういう領域、それから現実に我が国が施政を行い得ない状態にある領域の二つに該当する領域を除いた領域をいうということでございます。

池田委員 アメリカですが、アメリカは尖閣諸島が日本の領土と公式に認めているんでしょうか。

中曽根国務大臣 尖閣諸島に関する我が国の立場はもう一貫しているわけでございますけれども、これまでのやりとりを通じまして米国も我が国の立場というものは十分承知をしているもの、そういうふうに考えております。

 いずれにいたしましても、我が国の固有の領土である尖閣諸島をめぐりまして、解決すべき領有権の問題はそもそも存在していないというのが我が国の立場でありますし、このことは他の国の立場によっていささかも影響を受けるものではございません。こういう我が国の立場を正しく理解されますように、引き続いて適切に取り組んでいきたいと思っております。

池田委員 尖閣をアメリカが領土として認めないんですか。日本の領土と認めていないんですね。あるいは、認めていないとすれば、それに対して働きかけをすべきですね。どうですか。

中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、米国はこの我が国の立場は十分承知しているもの、そういうふうに考えております。

池田委員 いや、こういう外務委員会というようなところではそういう抽象的な答えは要らないんですよ。そういう核心部分について明確に答えてください。

中曽根国務大臣 これも先ほど申し上げましたけれども、そもそも、尖閣諸島についてですけれども、解決すべき領有権の問題は存在していない、私たちはそういう考えでありますし、また、これは我が国の立場が一貫しておりますし、米国も今までのやりとりを通じて十分承知しているものと考えているところでございます。

池田委員 領有権の問題が存在していないなら、領土ですね。アメリカは領土として認めているんですか。

中曽根国務大臣 これも繰り返しになりますので大変恐縮でございますが、領有権の問題はそもそも存在していないということでございます。そして、アメリカも、そういうものも踏まえた上で我が国の今までの主張というものは承知をしているもの、そういうふうに思っております。

池田委員 私の質問に全く答えていないので、答えをいただけるようにしてください。

河野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河野委員長 速記を起こしてください。

 池田元久君、もう一度質問をお願いします。

池田委員 では、もう一度聞きますけれども、アメリカは尖閣諸島について日本の領土として認めているかどうか、その点だけです、お尋ねしたいと思います。

中曽根国務大臣 我が国固有の領土である尖閣諸島をめぐりまして、解決すべき領有権の問題はそもそも存在していない、そういう立場でございます。

 また、これは二国間の問題でもあるわけでございますし、この我が国の立場は、中国とのやりとり等を通じて米国も十分に承知をしているもの、繰り返しになりますが、そういうふうに私どもは考えております。

池田委員 直接答えていないですよね、今皆さんお聞きになったとおり。アメリカが認めているかどうかということを聞いているわけですから。易しい問題ですから、ぜひお答えいただきたい。

中曽根国務大臣 恐縮ですが、これは再三申し上げておりますように、尖閣諸島に関する我が国の立場は一貫しておりまして、そして、これまでのやりとりを通じまして米国もこういう点につきましては十分承知をしているもの、そういうふうに考えております。

池田委員 非常に抽象的な議論をするためにこの場で議論があるわけじゃないですよ。これは外交ですからね、やはりわかりやすさも必要なんですよ。アメリカは尖閣諸島を日本の領土として認めているかどうか今聞いているわけですから。

中曽根国務大臣 先ほどからの繰り返しになりますが、我が国固有の領土である尖閣諸島、これをめぐりましては、解決すべき領有権の問題はそもそも存在していない、そういう考えでございます。

池田委員 本当は答弁をいただくまで質問を続行できないんですが、この際、委員長にお願いをして、後刻理事会に答弁を報告していただけるようにしていただきたいと思います。

河野委員長 理事会で協議いたします。

池田委員 ここで何かとまりそうになるとは思わなかったんですけれども。

 いずれにしても、今はまだ、アメリカの対応がどうかという質問が出るくらいですから、やはり国際的な世論を、尖閣についても喚起する必要がある。それがまだ不十分じゃないか。同盟国中の同盟国といいますか、まさに日米同盟の相手国であるアメリカの対応がどうかと言って、外務大臣が答えられないような、そういう状況は大変困るのではないか、このように申し上げておきます。

 さて、現実に起こった問題についてお尋ねしますが、昨年十二月八日に中国の調査船二隻が尖閣諸島周辺の日本の領海を侵犯したというケースがございました。これについて、簡単な事実経過とどのように対処したか、答弁いただきたい。海上保安庁。

岩崎政府参考人 先生御指摘のとおり、昨年の十二月八日の朝、午前八時十分でございますけれども、私どもの巡視船が、中国の海洋調査船二隻でございますけれども、尖閣周辺の領海に航行しているのを確認いたしました。

 私どもの方で、これに対して即時退去を申し入れるというのを繰り返しやっておりました。(池田委員「何ですか」と呼ぶ)即時退去をするよう繰り返し警告を実施いたしました。

 結果的に、この二隻でございますけれども、同日の夕刻、領海を出域いたしました。

池田委員 こういうケースの場合、領海外へ退去するよう警告するというのは当然ですけれども、それしかできないんですか。ずっと領海内にとどまった場合、ただ警告を繰り返すだけなんですか。そういう場合はどういうふうに対応するんですか。これは政府。

浅野内閣官房副長官 池田委員御指摘のような、国際法に違反して尖閣諸島の領海に侵入し、警告にもかかわらず退去しない、そういう海洋調査船に対しては、巡視船艇による進路規制などをしております。

 それだけではなくて、やはり、外交ルートを通じて、即刻退去するように退去要請も同時にしていく。各省庁連携のもとに、速やかに領海から退去させるための措置を繰り返す。これを毎回繰り返すということにしております。

池田委員 浅野さんと私がこの場で問答をするとは思いもしなかったんです。外務省を大変長く担当されて、私が官邸にいたとき外務省で、優秀な三年先輩でございますので、余り厳しい質問はできるかどうかわかりませんが、そういう方でありますので、大いに官房副長官として頑張っていただきたいと思います。

 それで、そういう、現場での警告の繰り返しと外交交渉というだけで済まないケースもあるんじゃないですか。海上警備行動とかそういうものに移行する、どのように移行するのか、その点をお尋ねしたい。

浅野内閣官房副長官 海上警備行動につきましては、海上保安庁による対処が不可能または著しく困難な場合において自衛隊法八十二条に基づいて発令されるものであります。ただ、これを発令するには、具体的状況を勘案しながら慎重に判断すべきことが基本だと思っています。

 なぜそういう答弁を委員に申し上げるかと申しますと、仮に海上警備行動を発令しても、国際法上、公船、公の船に対する立入検査とか船舶の拿捕という強制措置をとることはできませんので、海上保安庁の停船と海上自衛隊の艦船との対応が基本的に変わらないという点も十分考慮しながら事態に対応していくという冷静さも必要と存じております。

池田委員 しかし、何度も執拗に領海侵犯をしたり、この海域はいろいろな資源の問題もあるし、ただ警告だけで見過ごしている、外に出ていってくださいというわけにはいかないときもあると思うんですよ。そういうときに、ただ公船だからそうなんだというだけで済まされるんですか。

浅野内閣官房副長官 基本的には、海上保安庁の船と海上警備行動を発令したことによって現場に向かう海上自衛隊の艦船との公船への対応ということは、国際法上、強制措置ができないという点では、効果ということを考えると、よく考えて、冷静に判断をすべきことだと考えます。

 今回のアデン湾・ソマリアの海賊の取り締まりとは、根本的にその点、地域その他で違うわけですけれども、今、池田委員の指摘については、目に余る、看過できない、そういう状況を想定して御指摘だとしたら、それはその状況に応じて新たな判断が求められる点ではあろうかと存じます。

池田委員 公船だからもうしようがないんだ、それはルールとして、国際海洋法の原則はそうかもしれませんが、しかし、公船だから領海侵犯するというのは問題なんですよ。そういう認識をはっきり持っていただきたい。

 最後の答弁で私はきょうはとりあえず了としますけれども、この段階ではそういう答えだなと思いますが、やはり緊張感を持ってやらないといけないと思うんですね。公船であるから、ルールがあるからこうなんだというよりも、やはり、日本の国という、もちろん国内のさまざまなシステムはありますが、その基盤の領土といいますか、領域というものを大事にしていくということが必要だということをきょう最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河野委員長 次に、松原仁君。

松原委員 民主党の松原仁であります。

 きょうは北方四島の質問をするわけでありますが、参議院の予算委員会で谷内さんが、三・五島発言はない、こういう話をおっしゃいました。それがきょうの新聞のニュースにも出ておりましたので、改めて大臣に御所見をお伺いいたします。この間質問した内容でありますからきょうの通告には入っておりませんが、きちっと御答弁いただきたいと思います。

 谷内さんの発言を報道したマスメディアが当然あるわけですね。谷内さんは、三・五島は言っていないと。しかし、マスメディアはそれを報道しているということは、もし本気でそれを否定するならば、その報道をしたマスメディアに対して、新聞社ですか、これは虚偽の報道をしたということでそのマスメディアを訴えるということが必要だろうと前回質問しました。もしそれをしないならば、現実にはそれを言ったということを否定したことにならないから、彼のポジションを大臣が泣いて馬謖を切らなければいけませんということは前回質問したわけでありますが、参議院の予算委員会で、それは言っていない、こういうことであります。

 そうすると、やはりこういうものは特に、既にプーチンさんが来てしまったわけであって、成果がなかった理由の一つにこれはあると私は思うんですよ。成果があったと外務省は言うかもしれないけれども、領土問題に関しては確たる前進がなかったわけであって、私は、この三・五島論というのがロシアのマスメディアでも随分取り上げられたということもあろうし、今回の予算委員会でああいう発言をしたけれども、中曽根外務大臣は御本人じゃないからなかなか答弁しづらいのかもしれぬけれども、やはり彼はそのマスメディアを告発するべきだと思うんだよね。間違った誤報を流し、日本の国益を甚だ損なった。この部分に関して大臣はどういうお考えかをお伺いしたい。

中曽根国務大臣 最初に委員が、谷内発言そのものについての御質問がありましたけれども、これは、昨日の参議院の予算委員会で谷内政府代表本人が述べておりますとおり、北方領土の面積に関する事実関係についての質問には答えましたけれども、個人的には三・五島返還でもいいのではないかと考えているといった発言は行っていない旨の説明がありまして、はっきりと御本人が否定をしているところでございます。

 委員は、新聞社の報道が間違っているのならば新聞社に対して抗議をすべきではないか、そういうお話もありましたけれども、当の毎日新聞社に対しましては、これは既に今回の谷内氏のインタビューに関する谷内代表の説明ぶりとともに政府の立場も伝えておりまして、これ以上新聞社に対して申し入れを行うことは私どもは考えていないところでございます。

 さらに、政府代表を罷免すべきではないかというような御質問がございましたか、今。そこまでは……(松原委員「ちょっと趣旨が違います。ちょっといいですか」と呼ぶ)はい。

松原委員 聞いていることに答えてください。

 罷免をしろというのは、谷内さんが否定するならば別にそんな必要はないんですよ。予算委員会で否定をしたというのは聞いておりますが、やはり法的にマスメディアに対して、僕は毎日の関係者が生録のテープを持っているという話を内々していたかのような話を間接的に聞いております。余り直接的に言わないけれども。

 だから、はっきり、否定するなら否定すればいいんですよ。否定して毎日新聞を告発するということをすればそれは否定したことになるけれども、告発はしないわ、予算委員会では言っていませんと言うわ、こんな玉虫色の決着は外交交渉ではないですよということを言っている。毎日が間違ったことを記載したならば、きちっと谷内さんは抗議をする、させる。それは日本の国益に関してのことだから、やらなきゃしゃあないでしょう。それに関して、毎日を告発していると私はまだ聞いていませんから、どういう所見を持っておりますかと聞いたんですよ。

 私は、はっきり言って、それは予算委員会では言っていませんと。しかし、毎日に対しては告発もしないと。毎日が谷内発言の報道は間違いでしたという謝罪記事も載っけていない。何だか全然わからないですよ。お答えいただきたい。

中曽根国務大臣 谷内氏は、さっき申し上げましたように、そういう発言を行っていないということをはっきりと委員会で述べたわけでありますが、同時に、全体の発言の流れの中で誤解を与え得るものがあったかもしれない、それで結果として関係者に誤解を与えてしまったことは遺憾であると。関係者というのは新聞社も入る、私はそういうふうに思います。そういうことから、新聞社に対しましては、既にこのインタビューに関する谷内代表の説明ぶりとそれから政府の立場、これを伝えておるわけでありまして、これ以上毎日新聞社に対しまして訴えを起こしたり、あるいは申し入れをするということは、政府としては考えていないところです。

松原委員 毎日新聞社は謝罪記事は出すんですか、出さないんですか。出さないでしょう。出す予定もないでしょう。出したのを見ましたか。毎日新聞は報道機関として間違いないことを報道した、こう思って言っているわけですよ。わかりますか。谷内さんが言っていないなら、おれはそんなことを言っていないと言って毎日新聞を告発するのが、もうこれは前回やった質問だけれども、改めて、きょうの新聞に載っているから、これはきちっと大臣はわかっているんだろうなと思って、確認なんですよ。こっちの質問に入れないじゃないですか。いいですか。

 谷内さんが予算委員会で否定したのは見た。しかし、毎日新聞を同時に告発はしていない。毎日は報道機関として真実しか報道していない。これはどうなってしまうんですか。少なくとも、これに関して、谷内さんが毎日新聞におれはそんなこと言っていないと言うのは最低限、いわゆるこういった交渉をやる現状において言わなかったら、そんな生ぬるい交渉をしていたら、北方四島なんて戻ってこないですよ。お答えいただきたい。

中曽根国務大臣 まず、ロシアに対しましては、これは政府の方針というのはきちっと再三伝えております。

 それから、今新聞社との関係のお話がありましたけれども、先ほどこれもお話しいたしましたように、全体の発言の中で誤解を与えてしまったところがあるかもしれないと。新聞社としてはインタビュー記事を全文一言一句載せているわけじゃなくて、それを新聞社としてまとめて、私の想像するには記事にしたんだと思います。したがいまして、谷内さんの発言というものを新聞社がどう受けとめたか、その中にいろいろあると思います。そういう形で新聞社が載せたもの。そして、谷内さんとしては、自分のいろいろな発言の中で誤解を与えてしまったかもしれないということで、そういうところから本人も訴えるということはしない、また、私どもとしても、新聞社に対しては政府の立場をしっかりと伝え、谷内代表の説明ぶりも伝えているということでございます。

松原委員 これはもう一回やりますよ。今度は資料をこっちも用意して。

 僕は、関係者から聞く限りでは、そのテープはあるという話ですよ。そんなものはなかなか、それは守秘義務があるから出さないだろうけれども、あるからこそ謝罪広告も出さないんですよ。それは、言っているんですよ。まあ、言っていないと言うし、いろいろと抗弁なさるけれども、はっきり言って、大臣、これは苦しいですね。(中曽根国務大臣「苦しくないですよ」と呼ぶ)いや、苦しいでしょう。本当に言っていないなら、それは少なくとも記事自体が大きな誤解を生んだことに対して一言言わせなければだめですよ。私は、非常にこういうことは外交的によろしくないと思いますよ。

 それでは、北方四島の問題で、プーチンさんが来日をしました。これで日ロが戦略的パートナーシップであるということでありまして、双方のそれぞれの思惑といいますか、それぞれの主張点があって、日本側は領土問題、そしてロシア側は東シベリアにおける経済の協力、これは外務省のペーパーで、我々がレクを受けているときのペーパーにそう書いてある。これは概要ですね。ロシア課が出していますよ。これはいいんですよ。

 今ロシアというのは、御案内のように、大変に原油の価格が下落をしたものですから、極めて厳しい。だから、我々が聞いている限りは、北方四島も従来はファーイーストで、辺境の地であって、なかなかウラル山脈から西側のロシアから援助が来ない、インフラ整備のお金が来ないとか、島民の不満があって、そういう不満があって、逆にむしろ近い日本というものに組み込まれた方がいいんじゃないかというふうな思いを持つ人が、少なくとも私が十年ぐらい前に、もっと前か、ビザなしで行ったときにも、そういうニュアンスはありました。はっきり言って、ありました。

 ただ、一時、石油の高騰でどんどんと開発が進んでロシアでもいいかとなったが、ここに来てやはり一番最初に、ファーイーストは本国のモスクワからは遠くだということになってしまうな、インフラの整備もちょっとまたおくれるかもしれないな、こういうことになって、それは逆に言えば、ロシアとしては東シベリアの開発は日本の経済力がどうしても必要だ、こういう関係にある。彼らは日本の経済的な資金と技術というものは、これはもうのどから手が出るぐらい欲しいわけであります。それに対して、日本は四島返還という領土問題が長年の懸案である。

 私は、外交は、そんなにきれいな理想論でいくとは思っていないので、やはりギブ・アンド・テークというのは必要だろう。我々はロシアに対してギブをする、それがこの東シベリアの例えばさまざまな経済的な協力であります。それに対して、テークというのは、この四島に関しての我々のきちっとした領有権を認める具体的なアクションプログラムが動き始めるようなことをしなければいけない。

 ところが、今回の、プーチンさんが来たところで、プーチンさんの言い方としては、私はメドベージェフ大統領ではありません、外交は大統領の専権事項ですと。だったら、それは初めから大統領が来ればいいんですよ。本当にそれは使い分けをされて、日本が経済支援だけをうまいぐあいにするので、これはどうしようもないと思っているわけですが、この経済支援が、私は、かなり彼らの、ロシアの期待のとおり進んだのではないか。満額回答かどうかわからないけれども、ロシア側から見たら、プーチンさんが来て、九十点ぐらいとったのかもしれない。日本側の領土問題に関しては、残念ながら、点数でこれをあらわすこともできない数字だろうと私は思っているんです。前から同じことを言っていることの継続でしかない。七月に今度メドベージェフが来るから、そこで楽しみにして、さまざまなオプションがありますよ、こう言っている。何か、向こうは言葉を言うだけで、日本は現実的な約束をしていく、こういうふうな感じに見られる。

 この段階で、先にちょっとお伺いしますが、メドベージェフが来て、七月にどんなオプションがあるということを外務省は想定できるんですか。これは文書の中に入っているから、外務省、お答えください。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 メドベージェフ大統領と麻生総理の会談でございますけれども、これは七月のG8、イタリアでのサミットのときに行おうということで合意しております。今回もプーチン首相との間でその話が出まして、メドベージェフ大統領の方と総理でこの七月に行おうということで、改めて確認しております。

 ここでのポイントでございますけれども、これは、私どもの考え方は、二月でございますけれども、麻生総理がサハリンに行かれたときに、領土問題に関する日本の立場を、相当突っ込んで、時間をかけて説明しました。それに対して、ロシア側の方のとりあえずの反応はございましたけれども、大きな反応というのは、このメドベージェフ大統領との会談、すなわち七月にロシア側の方からあるというふうに思っております。そこで、我々としては、領土問題に関するロシア側の基本的な考え方、どう解決しようかということを見定めようというふうに考えておるところでございます。

松原委員 期待はさせるがどうなるかわからないというのがこの部分ですよ。率直に言って、とるものをとったら、この日本側から今回経済協力をとった中身の実行の状況でまたどういう話をするかというのを考えるんでしょう。私は、今回のこの北方四島問題で、プーチン来日の成果というのは、先延ばししかない。メドベージェフが来て、先延ばしをしますということしかなかったと思っております。

 そうした中で、日本側は随分と応援をするわけでありますが、一つは、JOGMECというんですか、独立行政法人、これが四九%出資して、地底、地質調査、探査をする、こういう話になっておりますが、この団体は独立行政法人だと思っておりますが、どういう団体ですか。簡単に教えていただきたい。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 JOGMEC、これは石油天然ガス資源、金属鉱物資源の開発を促進する事業、あるいはこういったものの備蓄、それから金属鉱業により発生する鉱害を防止する事業、こういったものを行う政府出資の独立行政法人でございます。

松原委員 その予算というのは、国からの交付金というのはどれぐらい出ているんですか。全体の予算額のどれぐらいなんですか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 JOGMECの事業予算、一兆九千億程度でございますけれども、このうち、石油備蓄に関する借り入れが大宗を占めてございます。国の財政支出といたしましては千二百九十億円ということになってございます。

松原委員 国の財政支援というのは約二千億ぐらいということですが、では、ほかのお金は、国以外の出資者というのはどんなところがあるんですか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、国以外に出資者はございません。先ほど申し上げたのは、事業予算としての財政支出の規模でございます。

松原委員 つまり、国なんですよ。国で約二千億の、もともとは基金というか、それでやっていると。

 このJOGMECが、独立行政法人ですが、国ですね。このJOGMECは、今回はどれぐらいの費用が、二カ所ですか、探査するのは。二カ所、六カ所というのは、二つのエリアで六つの、二ブロック六カ所というのかな、これはどれぐらい予算がかかるんですか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、JOGMECと地場のイルクーツク石油、これが約五年かけて共同探鉱しようということになってございます。

 その質問でございますけれども、この場合のJOGMECの負担分、二つの鉱区を合計いたしまして百五十億円程度と見込んでございます。

松原委員 ここの資源が探査されて、出てきた場合は、これは出資比率四九パーだから、そのガス全体の大ざっぱに言えば約半分は日本が買い取る権利がある、こういう理解ですよね。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今後の買い取りの割合というのはこれからの議論でございますけれども、東シベリアという位置から考えまして、その後、パイプラインの仕上がりを予想しますと、かなりの分が日本に来るものと予想してございます。

松原委員 私は、ここでサハリン2のことを考えなきゃいけないと思うんですよ。サハリン2に関しては、これはアメリカのシェルと三井と三菱、この辺が出資したんですが、この割合はどうでしたか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 サハリン2でございますけれども、これは当初はシェル、三井物産、三菱商事でやってございましたけれども、その後、ガスプロムが五〇%プラス一株、シェルが二七・五%マイナス一株、三井物産一二・五%、三菱商事一〇%という構成になってございます。

松原委員 これは、最初はシェルが五五パー、三井物産が二五パー、三菱商事二〇パー、これが全部半分に減らされて、五〇%ちょい過ぎたのがガスプロムになったと。

 トンビに油揚げかどうか、これはいろいろな議論があって、いや、そうじゃないとかおっしゃる人もいるけれども、マスコミ的に言うと、何か、途中で恐らくロシア政府の力を背景にして、だって当初はガスプロムはゼロなんだから。これが五〇%を超えて決定権を持った。これは何か、カントリーリスクという話ともつながるような気がするんだけれども、この間は、最後は合意したというけれども、三井が二五パーが半分、三菱が半分という、この経緯に関しては、日本政府は、相談をされたり、何らかの行動をしたりはしているんですか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 このプロセスにおきましては、基本的に三井、三菱という民間企業ということでございますので、相談は受けてございますけれども、特に交渉するということはございません。

松原委員 シェルも横並びだったからいいだろうというふうにお思いなのかもしれないけれども、ガスプロムが最初ゼロだったんですよ、最後に五〇%超。シェル、三井、三菱が全部で一〇〇パー持っていたのが半分以下になって、どう考えたって、これはロシア政府の強い意向がなければこういう議論にはならないと思いますが、大臣どう思いますか。

谷崎政府参考人 今、この問題につきましては、経産省の方から御答弁があったとおりでございますが、結果として、これは日本の企業も含めて納得いく形で合意しているという点があります。

 その間の政府の対応でございますけれども、これにつきましては、この問題が起きたのは平成十八年の秋でございます。その後、中身ということではなくて、透明性を確保してほしいということにつきましては、例えば齋藤ロシア大使が向こうの天然資源大臣と会談を行い申し入れる、さらには、遠山政務官の方から向こうの経済発展省の次官との会談でも言う、さらには、十月に入りまして、麻生外務大臣からラブロフ外務大臣との間の電話会談で透明性の確保ということについて申し入れ等を行っている、こういう経緯がございます。

松原委員 一応若干は応援したということだろうけれども、私が言いたいのは、契約が、政府が出てきて、最後は合意したと言うけれども、合意をさせられたのか、好きでやったのか、渋々やったのかというのは、これはもうわからないですよ、当事者は合意しましたと言うけれども。これは、はっきり言って、ロシア政府が出てきて、何といったって五〇%を一株超えれば支配権を持つわけですから、そういうような形になったわけですよ。

 私は、こういったことと同じようなことが今回のJOGMECの、もう既に四九%ですからあれですが、これをもっと出資比率を、出資比率はこうだけれども具体的な条件はもっとこういうふうにするよと、どんどんと負かされてしまうんじゃないかという気がしているんですね。これが一つ。

 やはり、そういった意味においては、特にJOGMECは、今お話があったように、国のお金で全部やっているわけですから、ちょっとその辺の交渉力が、特にああいったロシアのような、はっきり言わせてもらうとカントリーリスクがないわけではないわけであって、そういった部分で私は問題だなと思っているのが一点です。

 それに対して日本は、探査は極めて日本の技術がありますから、向こうの技術がこれにかかってきているということだと思うんですが、もう一点、原子力の問題がありまして、いわゆる原子力発電所をつくる技術というのが、これがいろいろとあるんですが、日本とアメリカは同じような技術だと聞いております。ロシアの技術がどういうものか、その辺、簡単に御説明いただけますか。呼んでいなかったかな。

 これは、要するに、ロシアの技術よりも日本の技術の方が進んでいる。いろいろと言われていますが、建設の年限も、四年かかるのが二年ぐらいでいくだろうとか。これは後でよく外務省の方も、中曽根大臣も、事実関係を聞いてほしいと思います。

 これに関して、日本は、日立とGE、東芝とウェスチング社と、幾つかのものがあるんですが、こういったものの技術を今回はロシア側に供与すると。ロシアは二〇二〇年から二二年までに二十八基の原子力施設を建築する予定だ、そこに日本の技術を提供する、こういうことでよろしいですか、その部分は。答弁できる人はいますか。

佐野政府参考人 お答えいたします。

 先生が今おっしゃいましたように、ロシアは原子力エネルギーを大変重視しておりまして、我々の承知している限りですと、二〇三〇年までに今の大体二倍ぐらいの電力に占める比率を原子力エネルギーからとりたいということで、今後、原子力発電所の建設というのを進めるというふうに聞いております。

 したがいまして、今回の日本とロシアの間で署名されました原子力協定でございますけれども、これを通じて日本側のそういった技術、資機材というものを期待しているということは言えると思います。

松原委員 技術的に日本の原子力の施設をつくる能力というのは大変に高い。これが、お金ではないんですが、高いこの技術をロシア側はのどから手が出るぐらい欲しかったというふうに私は聞いているんですよ。それは、今言ったように、二〇二〇年から二二年で二十八基つくる、日本の技術がないとこれがいかないというふうに僕はある人から聞いているんですよ。それが向こうは欲しくてしようがなかったと。欲しいものを与えるときには当然我々も欲しいものをとるべきなんですね。この技術は供与される。

 ところで、ちょっとお伺いしたいんですが、まさにこの技術は米国においてもロシアとの話し合いの中で提供しようという議論が一時あった。しかしながら、アメリカの方はそれが今凍結、フリーズされている。この理由について御説明いただきたい。

佐野政府参考人 お答えいたします。

 先生今おっしゃいましたように、アメリカとロシアの間で原子力協定が昨年の五月に署名されております。他方、その後、九月にグルジア情勢の悪化等々の政治情勢、国際情勢を背景といたしまして、議会承認を求める大統領決定というのを撤回しております。

 しかし、本年になりまして、オバマ新政権のもと、四月に行われました米ロの首脳会談におけまして共同声明を発出しているわけですが、その共同声明では、両国はこの協定を発効させるために努力するというのを首脳レベルで確認しております。したがって、この米ロ協定も今後動くものというふうに思われます。

松原委員 二〇〇八年五月六日に署名して、その後フリーズされた。マコーマック報道官の記者会見で、ロシアのグルジアとの武力衝突というのがあって、これを一回凍結している。今回もう一回オバマさんがやろうとしている。これは、通るかどうか、それはわからないです。通るかもしれないし、通らないかもしれない。アメリカの政府も考えるでしょう。

 要するに、この技術というのは、ロシアからすれば、それは、オバマさんがそういうことを言うということも含めて、物すごく欲しい技術なんですね。その欲しい技術を、もちろんブラックボックスの部分は若干残るにしても、それを恐らく日本は、アメリカよりはロシアに技術を全面的に受け渡すんじゃないかというふうに私は思っております。

 こういうことを称して、マスコミの方々が言うには、先ほど言ったJOGMECの問題と今回の原子力施設をつくるようなこういった技術を与えるというのは、プーチンにとっては物すごいすばらしいできばえだった。欲しいものを日本からとっていった。日本はそれに対して、全くもって、今回の北方四島に関しては、メドベージェフが来たときに何かおいしいプレゼントがありますよという議論で終わってしまっているということなんです。

 私は、そこで次に質問したいことは、この前も言っているように、首脳同士の会議で徹底的に時間を割いて議論をしなければ、いい結論まで持っていけないと思うんですよ。今回、四時間というのはかなり長い時間ですが、その長い時間のほとんどはこの経済関係に使われたんじゃないかと私は思うんですが、この辺がなかなかわからない。中曽根大臣はそのとき同席していたんでしたっけ。ちょっとお答えいただきたい。

中曽根国務大臣 私も、日ロ首脳、首脳といいますか首相同士の会談には同席をいたしました。時間の配分は、何割、何割と申し上げるわけにはいきませんけれども、また、正確には承知しておりませんけれども、領土問題、経済問題等につきましては、両方とも相当の時間をとって会談を行いました。どちらが極端に少ない、そういうことではなかったと思います。

松原委員 であるならば、こちらの、細かいところまでどういう話をしたかわかりません、しかし、恐らく、原子力の施設をつくるに関して日本の技術が欲しいんだ、我々はそれがないとロシアのエネルギー政策は、厳しいとまでは本人が言うかどうかわかりませんが、欲しいと。具体的に、では、出しましょうと。こっちは極めて具体的な話なんですよ。具体的な話ですよ、それは。経済問題を話し合った中身は、どう考えたって。ところが、一方の四島問題というのは、いや、メドベージェフが後で来るからゆっくり話してくれ、いいプレゼントを持ってくるよと。これは、ちょっとどういうことなんだろうという感じがするんですね。

 私は前にもこの外務委員会で言ったように、徹底して時間を割いて、例えば川奈でそうであって、その前もそうであったように、一泊してもらって、両首脳が腹を割って、十時間、十二時間、通訳を入れたら半分ですよ、六時間だから。領土問題だけと決めて、領土問題と経済問題を一緒に四時間やりましょうとかというのじゃなくて、領土問題だけで十時間やりましょうとか、まず最初にそういうふうな議論のフレームワークを決めなかったら領土問題は絶対先送りになると私は前から言っているんですよ。今回、四時間というのは、領土問題だけじゃなくて両方話したというのは、結局中途半端なんです。しかも、一方においては具体的な成果を相手に与えているんですよ。

 だから、そういった意味で、プーチンとの会談は、はっきり言って領土問題に対しての前進はなかったです。なかった。向こうに向こうの欲しているものは大分与えた。メドベージェフが来たときは、後ろ向きの議論をしてもしようがないから、領土問題だけやりますときちっと言って、例えば、やはり一時間や二時間じゃ結論出るはずがないんですよ、こんなの。八時間以上やりますぐらいの話も、そういう外形的な部分の話をしない限り進まないですよ、領土問題なんというのは。

 そのことに関して、ちょっと決意を語ってもらえませんか。

中曽根国務大臣 一つは、繰り返しになりますが、さきのプーチンそれから麻生会談におきましては、領土問題も相当の時間を割いた、私はそういうふうに思っております。それから、川奈会談を例に挙げられましたけれども、それに比しまして、今回の会談時間はそれより実質的には長かった、そういうふうに思っております。

 また、プーチン首相との間でのこの会談で成果がなかった、そういうふうにおっしゃいましたけれども、プーチン首相からはこの問題に取り組む強い意思というものも私どもは確認できた、また、そのほか領土問題についての意見の交換が十分行われて、これは次のメドベージェフ大統領との会談にプラスにつながるものである、私はそういうふうに思っているところでございます。

 いずれにいたしましても、一泊するとか十二時間とかそういうお話で、それは、長い時間をかけてそういうようなことが話し合われるということ、そして一気に解決に進むということが理想でありますが、両首脳とも時間の制約もあるわけで、その中で我が国としては我が国の主張をしっかりと述べられた、そういうふうに思っております。

松原委員 もう時間が終わったので終わりますが、そうじゃないんですよ。やはり、向こうの主張は、技術的なものを含め、今回ほとんど通っていると僕は思いますよ。こちら側の主張は先延ばしになっているんですよ。強い意思を感じられたとか、そういう話は何回聞いてもしようがないんですよ。昔から聞いていますよ、そんな話は。

 だから、十時間で結論を出そうと決めて、こんなもの、時間をかければ出るんじゃなくて、集中してやらなければ結論なんか出ない課題なんだから、十年かければ出るんじゃないんですよ。十時間の短期決戦でこそ結論が出る話だということはもう十分わきまえていただいて、北方四島から終戦後故郷を追われた人たちが生きている間に戻れるように頑張ってください。よろしくお願いします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

河野委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正でございます。

 それでは、質疑に移らせていただきます。

 まず、谷内政府代表の三・五島発言ということできょうも出席をお願いしたんですが、お出にならないということなんですが、その理由について御報告いただけますでしょうか。

中曽根国務大臣 谷内政府代表の本委員会への出席問題につきましては、まず、私どもといたしましては、外務委員会の御要望を踏まえた対応を検討したいと考えております。

 本日の委員会に関しましては、伺いましたところ、谷内代表は、日経新聞社主催の国際交流会議「アジアの未来」二〇〇九に出席をするということで終日対応はできない、そういうふうに承知をいたしております。

武正委員 きのう、参議院の予算委員会には出席をされまして、そのとき民主党の峰崎委員から、これからも、政府代表でありますし、官邸に部屋を持っておられてさまざまな交渉に当たられるという、外務大臣の申し出により内閣の任命という立場から、このように答えておられます。

 私は外務大臣のお申し出により内閣の方から任命されておりますが、内閣の方から出るようにと御指示があればそれに従うつもりでございますということでありますので、ぜひ、外務大臣そしてまた内閣の方から、積極的に国会での説明責任に応じるようにお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、この委員会の御要望を踏まえた対応を私どもはしたいと思っておりますが、ただ、御本人もいろいろな御予定もあろうかと思います。きょうのあしたということであれば、どうしても避けられない日程もあろうかと思いますので、これは政府代表だけじゃなくて民間的な仕事もあるわけで、そういう点も理解をすることもやはり大事だと思います。

 ただ、私は、そういう意味では、本人も出席するという意向でございますので、多少日にちの余裕を持ってそのようなアレンジをするのが好ましいのかなと思っております。

武正委員 今、委員会の申し出によりということでありますから、これは理事会にて御協議をいただきたいと思います。

 委員長、いかがでしょうか。

河野委員長 理事会で協議いたします。

武正委員 それでは、昨日も参議院の予算委員会で取り上げられた件ということで、本来であれば谷内政府代表に伺いたい点でございますが、資料一ページをごらんいただきたいと思います。

 ファクタという雑誌の中で手嶋龍一さんが今回の三・五島発言について述べておられる部分でありまして、その中で、先ほども同僚委員から指摘がありましたが、毎日新聞のインタビュー記事、ただ、そのインタビューの生のものがどういったものであるのかということで手嶋さんが紹介されている一節があります。左側のページの第一段目の左側から五行目以下でありまして、これを読みますと、「シベリア・パイプラインから百万バレルが極東に供給され、その半分を日本が引き受けるとか、環境協力、生態系の保存について協力するとかであれば、三・五島の返還でもいいということになるかもしれない」。かぎ括弧つきでありますから、手嶋さんいわく、このようにインタビューには答えたんだろうということであります。それが、三・五島でもいいというところだけが毎日に載ったという、そういう記載であります。

 外務大臣はいろいろ谷内さんともやりとりをされていると承知をしておりますが、こういった趣旨の発言をされたということでよろしいでしょうか。

中曽根国務大臣 ただいま委員が御紹介されました、これは雑誌ですか、この記事について私は初めて今読んだところでございますが、谷内政府代表にこのインタビューでのことにつきまして確認いたしましたところは、昨日の予算委員会でも本人が述べておりますように、個人的には三・五島返還でもいいのではないかと考えているという発言は行っていない、そして、いろいろな全体の流れの中で誤解を与えたところがあったかもしれない、そういう点については自分としてもこれは申しわけなかったということです。

 そういう意向を表明しているわけでありまして、新聞社との本当の実際のやりとり、あるいはこれを編集された形であのような形になったのかとか、事実関係、詳しいことは私は承知しておりませんが、政府の立場は、再三申し上げておりますように、北方四島の帰属の問題を解決してロシアとの間で平和条約を締結する、そういう基本方針に変わりはございませんし、これにつきましては、新聞社にもこれをはっきりと伝えているところでございます。

 ただ、誤解を与えるような発言というのはやはり好ましくない、そういうふうに思います。

武正委員 繰り返しますが、この手嶋さんが書いているようなことをインタビューの中で言われたんだということは、外務大臣としては承知されていないということでしょうか。

中曽根国務大臣 私は、今初めてこのことを委員の御紹介によりまして知ったということでありまして、このような発言をされたか、されないかは承知しておりません。

武正委員 なかなか政府代表も出てきていただけませんので、ぜひ外務大臣の方から、きのうも予算委員会でこのことは峰崎さんが取り上げておりますので、こういった趣旨で発言しているのかどうかの御確認をお願いしたいと思います。

中曽根国務大臣 一つ一つの記事について確認をするのがいいのかどうかわかりませんけれども、今の委員のそのような趣旨は、本人にお伝えしたいと思います。

武正委員 この間の外務委員会でも私取り上げましたが、やはり諸文書、諸合意という中で、九三年の東京宣言というものが私は非常に大事だというふうにこの間も取り上げたわけでありまして、ただ、どうしても四島の帰属の確認、そして平和条約の締結ということを皆さんは言われるんですけれども、九三年の東京宣言では、まず第一に「歴史的・法的事実に立脚し、」、そして「合意の上作成された諸文書」、そして「法と正義の原則」という三つの前提があっての、先ほど大臣が言われたことに至るわけであります。

 今回、緊急アピールということで、日本国際フォーラム緊急提言委員会、こういった新聞記事ですね。ごらんになったと思いますが、この第一でも、やはり国会決議ということでの四島帰属ということ、さらにまた、特に、国会決議であれば、日露修好通商条約百五十年でしたでしょうか、そのときに択捉以北に国境が画定した、まず第一というようなところから始まっておりますので、やはり歴史的、法的事実に立脚して、先ほども同僚委員から指摘があった点、こうした点も踏まえて交渉をしていく必要があるというふうに考えております。

 そこで、今回の日ロ首脳会談における成果について、領土問題、そしてまた領土問題以外もあったと思うんですが、どのように総括されているか伺いたいと思います。

中曽根国務大臣 先ほども松原委員の御質問にお答えいたしましたけれども、麻生総理とプーチン首相との会談には私も同席をいたしましたけれども、相当長時間にわたり、日ロ関係また国際情勢について突っ込んだ話し合いが行われました。

 会談では、まず両国関係の基本的な方向性といたしまして、日ロが戦略的に重要なパートナーとしての関係を構築していくということ、それから、そのためには、アジア太平洋地域における日ロ双方の関心事項の実現が大切であるということ、そういうことで一致をしたわけでございます。

 日ロ間の協力につきましては、麻生総理から、我が国といたしましては、極東・東シベリア地域を開発し、アジア太平洋地域への統合を目指すとのロシア側の関心にこたえる用意があるということ、これをお伝えいたしました。その上で、二〇一二年のウラジオストクAPECの準備や、さらにエネルギー、省エネ、運輸などのロシア側が関心を示している分野などで互恵的協力を進めていくということで一致をいたしました。

 さらに、原子力協定、それから刑事共助条約などの今後の日ロ協力において極めて重要な意義を有する文書に署名を行ったところでございます。

 なお、大事な北方領土問題につきましては、両首脳は、第一に、両国間に平和条約が存在しないことは、幅広い分野における日ロ関係の進展にとり支障になっていること、それから、第二に、領土問題という日ロ間の障害を取り除くためには、北方四島の帰属の問題の最終的な解決を図る必要があるということ、第三番目に、この問題を我々の世代において解決するために、これまでに達成された諸合意、諸文書に基づき、現状から抜け出すための、双方に受け入れ可能な方策を模索する作業を加速させるということで一致をしたところでございます。

 その上で、七月のイタリアでのサミット、ここでのメドベージェフ大統領との首脳会談において、北方領土問題についてさらに詳しく話をするということで一致をし、麻生総理から、その際、これまでのやりとりを踏まえたロシア側の取り組みについて説明を伺うということを期待していると表明をしたところでございます。

 今回のプーチン首相の訪日は、二月のサハリンでの首脳会談に続きまして、日ロ関係をより高い次元に引き上げる上で重要な一歩になった、そういうふうに思っております。

武正委員 きょう、朝日新聞の方ですかね、この日ロ首脳会談でのやりとりが記事となっておりまして、「五六年宣言では未来永劫解決しない 首相、「四島一括」を主張」と、非常につぶさにプーチン首相とのやりとり、あるいはその前に、プーチン首相と森元総理との会談でのやりとり、これが報道されておりますが、これは大臣は見られましたでしょうか。また、こういったことがあったのかどうかを伺えればと思います。

中曽根国務大臣 その新聞、詳しくは私は読んでおりませんけれども、そのような記事が載っていたことは承知をいたしております。ただ、首脳同士の、あるいは過去の日ロ間の会談、外交交渉でのやりとり、これの逐一についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で申し上げれば、この十二日の麻生総理とプーチン首相との会談では、先ほども申し上げましたけれども、麻生総理からプーチン首相に対しましては、政府の基本的な方針であります北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという、そういう基本方針のもとに、この四島の返還を実現していくという我が国の立場を明確に伝え、そして日ロ関係をより高い次元に引き上げていく、そのためには、この帰属の問題の最終的な解決を図る必要があるということを訴えて、ロシア側の姿勢を強く問いかけたところでございます。

武正委員 きのうも参議院の予算委員会で、総理が、ペルーAPECのときに、メドベージェフ大統領から、新たな創造的で型にはまらないアプローチという提案があったんだ、あちらからあったんですよと。二月のサハリンでは、それについてお互いにやろうということで合意をしたわけですから、日本もそういったアプローチをということだと思います。ただ、これは、九八年、当時の小渕元総理がモスクワで結びました日本国とロシア連邦の間の創造的パートナーシップ構築に関するモスクワ宣言、この創造的というのは実は九八年がスタートだったのではないのかなというふうに私は思うわけであります。

 ただ、先ほど、今回の日ロ首脳会談の成果として、エネルギー、環境を挙げられました。今お手元の方に、これは外務省さんから二度にわたって資料を出していただきました。まず二ページ目は、小泉総理就任以降署名した日ロ間の国際約束一覧ということで、六本出ております。こんな少なくないでしょうということで再度出していただいたのが、後でお配りをした二枚紙ということでございまして、これは、小泉総理就任以降の首脳会談等の機会に日ロ政府間で作成された法的拘束力を有しない文書。この法的拘束力というのは一体どういうことかなと思うんですね。日ロ行動計画なども入っておりますので、かなり日本政府のさまざまな政策を縛っている、規定しているというふうに把握をするわけです。

 これらを見ますと、私は、日ロ行動計画は特に六つの合意をしておりますが、そのうちの一つが領土問題、あとの五つが領土問題以外ということにあらわれているように、どうもやはり、この間、領土より経済をというような政府の交渉が日ロ間で行われ続けているのではないのか、国際約束とかこの文書を見る限りそのように考えるわけですが、この点について外務大臣はどのように御認識をお持ちでしょうか。

中曽根国務大臣 今、委員からも外務省が提出いたしました資料の紹介がありましたけれども、こちらの二枚紙の方の法的拘束力を有しない文書というのは、これは国際約束ではない政治的な文書でございます。

 領土問題に対する交渉といいますか、こういうようなものが少ないのではないかということでございますが、これは、事の性質から、外交交渉をずっと継続して行ってきているわけでありまして、文書にして発信するものというものも、委員御案内のような、今まで過去のいろいろなものがありますけれども、今のところといいますか、これらの経済的なものに比べれば、確かに量的には少ないかもしれません。

 私たちとしては、これが実質的な交渉の進展につながるように、引き続いて努力はしていきたいと思っております。

武正委員 時間の関係で、外務大臣の「ゼロへの条件 世界的核軍縮のための「十一の指標」」について、これを聞きたかったんですけれども、その後の、今回の首相、外相のゴールデンウイーク中の訪問とあわせて、私は指摘にとどめさせていただきます。

 この間、外務大臣も精力的に外国訪問をされまして、そのときに、外務省の外相の会談の記録を見ますと、積極的にこの十一の指標を取り上げられておられる。これはやはり外務大臣の姿勢として評価をしたいというふうに思います。IAEAの事務局長選挙があるからとは言いませんが、やはり、唯一の核被爆国として、日本としての姿勢を、十一項目という、多元的にわかりやすく示したということで、また、それを積極的に外相会談で取り上げられていること、重ねて評価をいたします。

 ただ、この後防衛副大臣にお聞きをします海賊なんですけれども、海賊について、今回、総理と外務大臣が大型連休中に取り上げた場面というのは、EUとの間、そしてエジプトとの間、二回だけというふうに私は承知しておりまして、これから場合によっては国会の会期延長の最大の理由の一つとされる海賊法案、政府としての取り組み、あるいは国会でのやりとりを踏まえると、やはり諸外国との間でも、この海賊問題、そしてまたそれについての日本の姿勢、また国際社会でやるべきあるいは協力すべき事柄、こういったことをもっと積極的に発言をしていっていいのではないのかなというふうに思うわけでありまして、これは指摘にとどめさせていただきたいと思います。

 そこで、お手元の資料では、一番後ろになるんでしょうか、護衛実績、アデン湾・ソマリア沖における護衛実績を、四月一日から五月十三日まで十七回、五十五隻、出していただいているんですが、一回ごとの隻数を見ると、一隻から多いときで七隻、でも、五十五を十七で割れば三・二隻ということなどを見ると、当初国会での説明では、日本関係船舶二千隻、三百六十五で割れば一日七隻近くと。これは大体二日から三日の割合でこうして護衛していますので、七に二なり三なり掛けますと、十四隻とか二十一隻が対象となるはずなんですが、実績は三・二隻。少ないなというふうに思うんですが、防衛副大臣、これはどうしてこういう隻数になっているのか、お答えをいただきたいと思います。

北村副大臣 お答えします。

 アデン湾を通航する日本関係船舶は、昨年の実績では約二千隻であると言われ、今御質問にもございましたとおり、一日平均で五、六隻となっております。

 これらの船舶のすべてが護衛を受けるとの説明を政府から行ったことはございませんけれども、日本関係船舶の護衛に際しましては、船舶運航事業者等から国土交通省へ申請が行われ、防衛省と国土交通省との間で調整を行いまして、護衛を実施するということになっております。

 アデン湾を通航する日本関係船舶の中には、運航のスケジュールが護衛日程と合わない、あるいは速度の遅い船舶にスピードを合わせるなどのことから、護衛の申請をしない船舶もあると承知いたしております。

 いずれにいたしましても、日本国民の人命、財産の保護のため、これまで合計六十二隻の日本関係船舶を護衛してまいりました。今後とも、日本関係船舶の護衛の任務を着実に果たさせていただきたいと考えておるところでございます。

武正委員 部門会議で聞きましたら、何か足の速い船は海賊の攻撃を受けないんだということだったんですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。何か十ノット後半以上は海賊の攻撃を受けないんだということを聞いたんですが、それは事実でしょうか。

北村副大臣 詳しい知見を私、大変不勉強で恐縮ですが、持ち合わせませんけれども、私いろいろ聞いております中では、やはり船の大きさ、特に舷側部分が高いか低いかというのが、非常に標的になりやすい、なりにくいと。もちろん、海賊が使っている船の船速によっていろいろな場面があるのではないかと思いますが、その点につきましてはさらに勉強させていただきたいというふうに思います。

武正委員 何か説明では、船足が速いから、これは船足が遅いところに速い船が一緒に合わせると海賊の攻撃を受けてしまうので、船足が速い船はどんどん自分たちで勝手に行くんです、こういう説明でして、国会で当初説明を受けた話とどうも違うなといったところもあったわけでありまして、これはまた、参議院にまた舞台は移るわけですが、引き続き当委員会でも取り上げていきたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

河野委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 昨年十二月の金武町伊芸区の流弾事故について、三月二十五日の当外務委員会、そして四月九日の安保委員会でそれぞれ外務大臣に質問をしてきました。

 米軍は、「被害者と目撃者が石川署に示した事件の日時と、中部訓練所で実弾訓練が実施された日時とは、一致しないことが判明した。」という最終報告を出して、流弾事件と米軍の実弾射撃訓練との関係を強く否定してまいりました。

 四月九日の質問のときに、日本の警察は、事件の発生日時の認識が違っておりますので、沖縄県警において、事件の発生日時に関する米軍側の認識を改めさせるよう努めてまいりたいとしていたわけですが、米軍はその認識を改めたでしょうか。

西村政府参考人 お尋ねの事案の発生の日時につきまして、米軍側は昨年十二月十一日との認識でございましたが、四月中旬の協議の場などにおきまして、沖縄県警察が発生日時を昨年十二月十日である旨を説明いたしまして、米軍側の理解を得たものと承知しております。

赤嶺委員 そうすると、米軍側の最終報告書は、事件発生の日時が大前提でありましたので、前提は崩れたということだと思います。外務大臣は、この最終報告の米側の撤回を求めるべきだと思いますが、いかがですか。

中曽根国務大臣 外務省といたしましては、現在継続中の日本側の警察機関による捜査の結果も見ながら、適切に対応していく考えでありまして、現時点で、米側に対しましてこの調査結果の見直しを求めるということは考えておりませんけれども、引き続き、米側に対しまして、日本側の捜査への協力を要請していく考えでございます。

赤嶺委員 伊芸区民はあの最終報告書が出たことによって物すごい屈辱感を感じているんです。私たちがうそをついていたとでも言うのかと、こういうことですね。

 金武町議会は、六月の議会で、この米側の最終報告書に対する抗議決議を議会として上げるという異例な事態の展開になっているわけですね。みんなこの最終報告書で怒っているわけです。

 私は、最終報告書をそのままにして日米の捜査当局が協議をしても、これは住民にとって、米側が捜査に協力しているという認識には立ち得ないと思いますので、ぜひその撤回を求めていってほしいということを強く外務大臣に要求するものです。

 県警はレンジ7への立ち入りを求めていると聞いておりますが、アメリカ側はその県警の立ち入りについて何と言っているんですか。

西村政府参考人 沖縄県警察におきましては、米軍側に対しまして、基地内への立ち入りの要請を行ったとの報告は受けておりますが、現在まで実現には至っておりません。

赤嶺委員 何で実現していないんですか。

西村政府参考人 現在まで、沖縄県警察の立ち入り要請に対してアメリカ側の同意が得られておりません。

赤嶺委員 もう事件から半年以上たつわけです。弾がこの訓練場から飛んでいくわけはないと米軍は最終報告書で言っているわけですが、飛んでいくかどうかというのは、そのレンジ7の演習場がどういう形になっているか立入調査をしなければ確定できないはずですよ。それを、何でこんなふうに警察は放置されているんですかね。

西村政府参考人 沖縄県警におきましては、先ほども申し上げましたように、基地内への立ち入りの要請は行っておりますが、現在まで同意が得られておらず、立ち入りは実現しておりません。

 現在、米軍側と引き続き協議を重ねまして、関係者からの事情聴取でありますとか、あるいはさまざまな情報収集に努めているところでございます。

赤嶺委員 同意が得られていないからといって現場に入ることが実現しなければ、この事件が解決に向かうことはあり得ないと思うんですよ。だから、同意が得られていないということを半年言い続けるこのあり方、外務大臣、金武町議会も、レンジ7に入れてほしい、こういうことを米軍の当局に申し入れております。

 地方自治体の米軍基地への立ち入りは日米関係において認められていると思いますが、いかがですか。

伊藤副大臣 お答え申し上げます。

 我が国に所在する米軍施設・区域への立ち入りについては、一九九六年十二月の施設・区域への立ち入り許可手続に関する日米合同委員会の合意に基づく所要の手続を経て、米側との調整の上で行われることになっております。

 その際、米軍は、地域社会との友好関係を維持する必要性を認識し、立ち入りが、軍の運用や施設・区域の運営を妨げること等のない限りにおいて、立ち入り申請に対してすべて妥当な考慮を行うこととなっております。

 当該手続によれば、立ち入りを予定する施設・区域が所在する都道府県にある地方議会の議員の立ち入りは、立ち入りを希望する施設・区域を管理する米軍に対して直接申請することとなっております。

 外務省といたしましては、今申し上げたこの枠組みの中で、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 ところが、金武町議会の申し入れに対して現地の米軍は、警察の捜査が終わっていないということで立ち入りを拒否しているんですね。警察には、同意しないという態度をとり、地元議会には、警察の捜査が終わっていないということを理由にする、これは、米軍が捜査に協力しているというようなことはとても言えないんじゃないですか、外務大臣。

伊藤副大臣 本件事案について、米軍は、本国から派遣された専門家チームを交えた形で調査を行い、その結果を沖縄県警察あてに提出する等、日米の捜査当局間で協力が行われているとは承知しております。

 外務省としても、現在継続中の日本側警察当局による捜査の結果もよく見つつ、適切に対処してまいりたいと思います。

赤嶺委員 米本国から専門家が来て、そして偽りの報告書を出したんですよ。それを検証するためには、日本の警察がレンジ7に入らなければいけないんです。金武町議会も、日米間で認められている手続に沿って、入る権利を持っているんです。だけれども、入れない。入れないけれども、捜査に協力していると思っていると、外務省がそんな認識に立つ限り、この事件は絶対に解明されない。

 まず、外務省自身から、捜査への米側の協力を強く求めるという姿勢を持っていただきたいということを強く望みます。外務大臣、いかがですか。

中曽根国務大臣 副大臣からも御答弁申し上げましたように、今捜査中であるわけでありますけれども、この捜査の結果も見つつ、適切に対応していきたい、そういうふうに思っております。

赤嶺委員 捜査に協力していない態度を米側に改めさせるべきであります。

 辺野古の新基地建設問題について聞きます。

 五月十四日に沖縄タイムス社と朝日新聞の世論調査が発表されました。それによりますと、キャンプ・シュワブ沿岸部への新基地建設について、反対が六八%、賛成が一八%。驚いたことに、辺野古の環境影響評価準備書で、防衛省の評価、環境に及ぼす影響は総じて少ないとの説明に対し、納得できないが八〇%、納得できるのは七%という数字であります。この間、防衛省が沖縄の辺野古で行ってきた乱暴な環境アセスについて、県民は全く納得していない。八割ですからね、驚くべき数字ですよ。

 何でこんな数字になったんでしょうか。防衛省、どんなふうに考えますか。

長岡政府参考人 先生御指摘の報道を私も承知をさせていただいております。

 普天間の飛行場代替施設の建設事業でございますけれども、先生御案内のように、ことしの四月一日に準備書を沖縄県等に送付させていただきまして、一カ月間縦覧をさせていただきました。それから、住民の方々へも、周知徹底するために、説明会も現地で行わせていただいております。

 先生御指摘のような数字が出ておることはよく承知しておりますけれども、今回の準備書においても、環境保全措置、いろいろ講じさせていただくことにしておりますし、今後とも、まだこれから、準備書、それから評価書と手続が進んでまいりますので、できるだけ丁寧に御説明をさせていただきまして、皆様の御理解をいただけるよう最大限努力していきたいと思っているところでございます。

赤嶺委員 乱暴なアセスをして、できるだけ丁寧にこれから説明をしていくと言っても、もう県民の信頼は取り戻せないんですよ。県民の信頼どころか、日本の環境アセスメント学会の島津康男元会長は、防衛省が行っている辺野古での環境アセスについて、史上最悪の独善アセス、事業実施のためつじつまを合わせるアワセメントの末期症状、こう指摘しているんですね。

 アセス制度そのものが危機に瀕しているということが、県民のそういう世論になってあらわれていると思います。

 防衛省は、アセス準備書作成に際して、専門家の助言を得て、その内容を準備書に掲載しているわけですが、なぜ専門家の助言を掲載しているんですか。

長岡政府参考人 調査につきまして、できるだけ正確を期す、あるいは学問上の専門的な見地からいろいろ御助言をいただいて進めるということで、専門家の方々に助言をお願いしているところでございます。

赤嶺委員 学問的な知見ということですが、ところが、その助言を寄せた専門家の氏名は不詳なんですね。専門家の氏名について、情報公開法に基づいて情報公開を請求したら、こういう黒く塗られたものが、委員長、出てきているわけです。専門家の名前が黒く塗りつぶされて、氏名を伏せたまま。

 それで、どういう助言をしているかといいますと、台風時の結果が得られていないにしても、集中豪雨時のような、台風時の評価に類するものとして参考になることもコメントしておくとよいと。沖縄の台風時と集中豪雨時と同じ種類のものだと見ている。これを見たら、環境地盤工学の専門家。これは沖縄の台風を知っている専門家なのかなという疑問を抱かざるを得ないですよ。

 それから、サンゴ類について、調査結果から見て人為的な移植しかない、こう言っているわけですね。ところが、同じ専門家の、サンゴ礁学会サンゴ礁保全委員会は、移植技術は未確立の段階だという意見を氏名も明らかにして出しているわけですよ。

 どうも、この専門家の助言だけ見ていると、短いコメントで、根拠も示さないで、そして防衛省寄りの意見が出ている。住民の意見というのは、五、六千通防衛省に行っていると思いますが、みんな、住所、氏名を明らかにして意見を言っていますよ。なぜ専門家の氏名を公表しないんですか。住民の不信を招かないように、専門家もちゃんと住所、氏名を公表すべきではありませんか。

長岡政府参考人 これは、現地の方で情報公開請求もございましたけれども、専門家等の氏名につきましては個人情報に当たるということ、それから、情報公開法の方もそうですが、今後の事業の適正な遂行に支障を及ぼす可能性があるということで、氏名については非公表ということでさせていただいております。

 なお、先生今お示しになりましたように、専門家の専門分野等については、方法書の追加・修正資料の修正版、それから準備書において掲載させていただいているところでございます。

赤嶺委員 防衛省は勘違いしているんじゃないんですか。専門家の個人情報を得ようと思っているんじゃないんですよ。その専門家の専門的知見の根拠を得たいということですよ。今、学校の教科書をつくるにも、教科書の執筆者はみんな名前出ていますよ。専門家が専門的な知見を準備書に出しているのに、その専門家がどういう専門家かわからない。中身を見ると、防衛省に都合のいい意見が出ている。これでは、本当に専門家なのか、本当に知見がある者か、信じていいかどうかわからないじゃないですか。公平を期すためには、専門家がどんな専門家であるかということを明らかにすべきですよ。個人情報じゃないですよ、これは。

長岡政府参考人 私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、特定の個人を識別できる情報ということでお答えを差し控えさせていただきたいということでございますけれども、いただきました知見につきましては、今後、県なり御地元なり、いろいろ御説明をさせていただく手続の方を早に、いろいろ機会がございますので、それにつきましては十分御説明申し上げて、今のような御批判があれば、それについても十分勘案しながら検討させていただきたいと思っております。

赤嶺委員 とても普通の省庁では考えられないような秘密主義的な環境アセス、これが県民の不信を増大させている。あなた方には、あの辺野古で事業をする資格は全くないということを強く申し上げて、質問を終わります。

河野委員長 次に、保坂展人君。

保坂委員 社民党の保坂展人です。

 先日、今回の補正予算の審議で、外務省に対して、実は、一九九〇年代、外務省が国連に対して、PKO分担金、どのぐらい支出していたんですか、こういう質問をいたしました。そこで、別所総合外交政策局長に来ていただいていますけれども、お答えは、二十三・一億ドルというのを国連の数字から確認されます、こういうことでした。私が聞いたのは、それは国連に載っている数字ですねと。

 だが、日本政府は、予算も編成している、決算も事後的には処理をされなければいけない。別所局長、よろしいでしょうか。日本政府の予算書なり決算書、そういうものは外務省は十年たつと全部捨てちゃうので、今となったらどうこれを計算していいのかわからないので、国連の数字しか答えられないんですということを一貫して説明されているんですよ。これは本当ですか。外務省の中には、十年前の予算書も決算書も全部消えた、捨てている、こういうことでいいですか。

別所政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省は、政府一体としての文書取扱基準に従いまして、書類の処理あるいは処分ということをやっているわけでございますけれども、その中で、実際の予算の執行についての文書というものにつきましては、五年ということを基準として廃棄しております。ただ、予算書は残ってございます。

保坂委員 予算書は残ってございますという答弁でしたけれども、予算書も捨てていますと私はずっと聞いていますよ、十年たったものはもう捨てていますと。

 それで、配った資料を見ていただきたいんですが、これは、今回、PKOではなくて、通常経常経費の国連分担金について、外務省からつくってもらった数字が(1)のところにございます。これは外務省がつくってくれたものですね。これは、平成十年だと、我が国の予算額、当初で二百四十六・五億円ということになっていて、そして二億ドルちょっとの、ドル建てだとそうです、こういう数字なんですけれども、この数字は、我が国の予算として平成十年度に記されている金額を、この右側にある支出官レート、これで割り算するとこのドルの数字が出てくる、こういうことかと思いますね。

 ですから、実際に執行された金額は幾らなのかというのをずっと聞いているんですが、実際に執行された金額は廃棄したのでわかりませんというのをずっと外務省は答えているんですよ。

 それで、二番のところを見ていただきます。これは私が作成した資料で、予算額は上の(1)と同じです。ところが、国連の拠出状況をレポートしているウエブサイトがございまして、これを手繰って見ていくと、このような数字になっているわけです。例えば、平成十年だと、これがドル建てで、外務省の数字だと二億八百九十二万ドルだけれども、国連で報告されているのは一億八千九百九万ドルということで、千九百八十三万ドル、換算すると二十三・四億円違う。

 よろしいですか。予算の方が大きいんですね。実際に支払っている金額の方が少ないんです。これはちょっと混同しないでほしいんですが、この時期、円高傾向だったので、いわゆる、私たちは為替運用と呼んでいますね、FX。これは売ったり買ったりしないという答弁がありましたけれども、それは買ったりはしないでしょうけれども、払う時期のタイミングを見て、円高のいい局面で何回かに分けて払ったので予算を節減しましたという話とは別で、そもそもの予算が多く組んであるじゃないか。どうしてこういう差額が出るんですか。

別所政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一つ申し上げておきたいのは、国連側の数字は、国連の予算年度が暦年でございますので、暦年で集計されているのに対しまして、我が国の予算額は四月から三月までの会計年度に従って計上されておりますので、両者を単純に比較することは困難ではございます。

 ただ、その前提で申し上げればということでございますけれども、委員が御指摘になりました数字は、国連の通常予算額のみを指すものと思われます。外務省予算額には、このお示しいただいた資料の中にも若干注釈が書いてございますけれども、予算書、その差の中で、いわゆる先ほど申し上げました国連の通常予算に加えまして、旧ユーゴ国際刑事裁判所及びルワンダ国際刑事裁判所のための分担金というものが国連分担金として計上されているということでございます。

 そういう意味で、私どもが出しております資料と先生がお示しになった両者の数字のベースが異なっているわけでございまして、正確には申し上げられませんけれども、委員御指摘の差額にはこうした違いが反映されているのではないかというふうに思われます。

保坂委員 まず、国連と日本政府の会計の、いわゆる日本の会計年度は国連の一月から十二月のものと違うということですが、どうでしょう。

 予算編成されて予算が承認されるのは三月末、毎年国連への分担金をその年の十二月までに払っているわけですから、これはずれは生じないんですね。年を越えて払うということはほとんどない。つまりは、その年のうちに、予算の組み方は違うけれども、そこのずれはほとんど生じてこないということです。

 私は、きのう質問予告でこの中身をきちっと説明してくれと言いましたけれども、例えば、国連の通常の分担金について、これはどうしてこういうふうに違ってくるんだろうという疑問を持たれたときに、例えばこういう国連のウエブサイトに載っている記録もすぐ外務省はわかるわけですよね。そうでしょう。

 では、決算ですね。平成十年度、十一年度、十二年度のこの三年間で幾ら執行されたのかというのは、今手元で答えられますか。幾らあったんですか、平成十年、十一年、十二年。予算額ですよね、外務省が出しているのは。幾ら使ったんですか。

廣木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの執行の費用につきましては、外務省の方には資料がございません。ですから、予算の資料あるいは国連の資料に基づいて私ども説明しているわけでございます。

 国連の資料に基づきますと……(保坂委員「いやいや、執行の資料はないんですか、本当に」と呼ぶ)執行の資料はございません。

保坂委員 これは審議にならないんですね。私はうそだと思いますよ。そんなばかな役所はない。これを堂々とうそをついてまかり通るのが国会かということなんですよ。

 だって、国連分担金の細かい明細を出せなんと言っているんじゃないですよ。総額は幾らだったんですかということですよ。PKO分担金であれば、ことしの一月の補正で一千億円ですよ。では、そういうものも、六年後七年後にはもうわからなくなりましたという答弁になっちゃうじゃないですか。

 これは、中曽根大臣、どうですか。これはそのとおりだというふうに一応信じたいところでしょうけれども、もし明らかなうそであった場合には、ちゃんと処分をしますか。これは、きちっとけじめ、正していただけますか、政治家として。成立しないんですよ、議論が。うそだった場合は、ですよ。

中曽根国務大臣 私は、今政府参考人が答弁したとおりだと思っております。

保坂委員 では、中曽根大臣は、これが仮にうそだった場合でも、故意の答弁ではないから何ら処分は考えない、うそであるわけがない、全部捨てた、それでいいんだ、こういうことですね。うそであっても何の処分もしないんですね。

 では、しないならしないと言ってください。

中曽根国務大臣 今申し上げましたように、参考人の答弁のとおりだと思っておりますし、また、仮定の御質問にはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

保坂委員 こういうことだと、これは、国連分担金が総額幾らだったのか。予算はわかります、執行したものはみんな捨てました、五年間だけは残しておきますと。そんな国ってありますか。予算審議はするけれども、決算は五、六年うっかりしているとわからなくなる、全部ごみ箱に行く。だから、外交の継続もへったくれもないわけですね。幾ら払ったのかも全く把握できない、残金がどうなったのかも全くわからない。

 これは総政局長にもう一回伺いますが、先ほど残金について、ユーゴ、ルワンダ、こう言いましたけれども、この三年間で国連分担金は、概算すると大体七百億円。そして、差額で余っている、通常の分担金、通常予算ではないものは、合わせると百億円ぐらいになるんですね。これは全部明細を出せますか。どうですか、何に使ったかわかりますか。

別所政府参考人 先ほどもう一人の政府参考人が申し上げかけたんですけれども、国連が幾ら受領したかという数字はわかります。したがって、そういった形での御説明はできるわけでございますし、その中で、例えば国際刑事裁判所関連経費が幾らであったとか、そういうことは申し上げることは可能だと思っております。

保坂委員 そうしましたら、別所局長に、この三年間について、果たして、国際刑事裁判所、ルワンダとユーゴですね。では、これらの経費で、国連の資料で確認して、大体こういうふうに整理できる、ああ、この金額、約百億円余りはこんなふうに使われたということを、私どもに納得できるような資料が出せるということでいいのか。

 そして、二〇〇一年以降はどうなんですか。割と近いですね。二〇〇一年以降の国連分担金のそういう我が国の予算と、そして国連で受け取った費用、日本円で執行した費用、その明細を出せますか。これは基本的な議論ですよ。どうでしょう。はっきり答えてください。

廣木政府参考人 ただいまお答えしましたように、国連側の資料ではあるんですけれども、国連の通常予算の分担金でございますが、これには旧ユーゴの国際刑事裁判所の分担金、それからルワンダの裁判所の分担金が入っておるわけでございます。(保坂委員「金額を言ってください」と呼ぶ)

 それらは、平成十年が約二千百万ドルでございます。平成十一年が三十百万ドルです。ですから、三千万ドルということになります。それから、平成十二年でございますが、約三十三百万ドル、三千三百万ドルということになっております。

保坂委員 そうすると、今言われた数字と、私の方で国連のウエブサイトと照合してこうやって表をつくった数字、また違いますよね。どうして違うんですか。理由は何か考えられますか。

廣木政府参考人 お答え申し上げます。

 先生のおつくりいただいたこの資料でございますけれども、国連通常予算分担金ということで百八十九百万ドルというのが書いてあるわけでございますが、真ん中の(2)でございますが、これに、先ほど申し上げましたルワンダ及び旧ユーゴの刑事裁判所の分担金というのがございまして、これは二十一百万ドルでございます。ですから、百八十九に二十一を足す形になりますので、大体二百十ぐらいでございますか。

 ですから、この(3)の方に、我が国の予算額が二百八・九二百万、こう書いてございますが、百八十九のところが二百十という数字になろうかと思いますけれども、いずれにしても、国連側の数字は暦年で集計されているものでございまして、日本の、我が国の予算は四月から三月に、会計年度に従って計上されていますので、そこのところは厳密に、右が左になる、こういう形にはちょっと、両者を比較することは困難かと思います。

保坂委員 これは、実は、外務省が、(1)の資料しか示さずに、この(1)の資料もおかしいんですよ、実は。支出官レートで割り算しただけで、手数料も何も予算化していないわけですね。だから、単なる割り算をして出してきているんですが、(2)も(3)も外務省はつくれるはずなんですよ。違いますか。私がつくれるものがどうして外務省がつくれないんですか。

 だから、しっかり情報を出して、では、国連分担金もルールに従ってやっているんだというのであれば、ちゃんと出してくださいよ。出してもらわないと審議にならない。二〇〇一年以降の明細も出していただけますね。これを最後の質問にします。

別所政府参考人 可能な限りわかりやすい資料を作成したいと思います。

保坂委員 終わります。

     ――――◇―――――

河野委員長 次に、経済上の連携に関する日本国とベトナム社会主義共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国とスイス連邦との間の自由な貿易及び経済上の連携に関する協定の締結について承認を求めるの件及び第百七十回国会提出、航空業務に関する日本国とサウジアラビア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣中曽根弘文君。

    ―――――――――――――

 経済上の連携に関する日本国とベトナム社会主義共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日本国とスイス連邦との間の自由な貿易及び経済上の連携に関する協定の締結について承認を求めるの件

 航空業務に関する日本国とサウジアラビア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中曽根国務大臣 ただいま議題となりました経済上の連携に関する日本国とベトナム社会主義共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成十九年一月に、ベトナムとの間でこの協定の交渉を開始いたしました。鋭意交渉を行いました結果、平成二十年十二月二十五日に東京において、私とホアン商工大臣との間でこの協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、日・ベトナム間で、物品、サービス及び資本の自由な移動を促進するものであります。また、自然人の移動を円滑化し、知的財産の保護等の幅広い分野での協力を強化するものであります。

 この協定の締結により、幅広い分野において両国間における経済上の連携が強化され、これを通じ、両国経済が一段と活性化され、また、両国関係がより一層緊密化されることが期待をされます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、日本国とスイス連邦との間の自由な貿易及び経済上の連携に関する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成十九年五月に、スイスとの間でこの協定の交渉を開始いたしました。鋭意交渉を行いました結果、平成二十一年二月十九日に東京において、私とロイタード副大統領兼経済大臣との間でこの協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、両国間において、物品及びサービスの貿易の自由化及び円滑化並びに資本の自由な移動を促進するものであります。また、自然人の移動、競争、知的財産等の幅広い分野での協力を強化するものであります。

 この協定の締結により、幅広い分野において、両国間における経済上の連携が強化され、そのことを通じ、両国経済が一段と活性化され、また、両国関係がより一層緊密化されることが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、航空業務に関する日本国とサウジアラビア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成十八年十一月に、サウジアラビアとの間でこの協定の交渉を開始いたしました。鋭意交渉を行いました結果、平成二十年八月十八日にサウジアラビアのジッダにおいて、中村駐サウジアラビア大使とラヒミ民間航空機構総裁との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、両国の指定航空企業が特定路線上において航空業務を運営する権利を相互に許与し、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。

 この協定の締結により、我が国とサウジアラビアとの間の人的交流及び経済的交流が増進され、両国間の友好関係の一層の強化に資することが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

河野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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