衆議院

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第19号 平成21年7月1日(水曜日)

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平成二十一年七月一日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 河野 太郎君

   理事 小野寺五典君 理事 松島みどり君

   理事 松浪健四郎君 理事 三原 朝彦君

   理事 山中あき子君 理事 近藤 昭一君

   理事 武正 公一君 理事 伊藤  渉君

      猪口 邦子君    小野 次郎君

      木原  稔君    篠田 陽介君

      柴山 昌彦君    鈴木 馨祐君

      中山 泰秀君    西村 康稔君

      原田 義昭君    矢野 隆司君

      安井潤一郎君    山内 康一君

      若宮 健嗣君    川内 博史君

      篠原  孝君    田中眞紀子君

      鉢呂 吉雄君    松原  仁君

      丸谷 佳織君    笠井  亮君

      辻元 清美君

    …………………………………

   外務大臣         中曽根弘文君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   外務大臣政務官      柴山 昌彦君

   外務大臣政務官      西村 康稔君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中島 明彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 宮川眞喜雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 香川 剛広君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山本 栄二君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   鶴岡 公二君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           前川 喜平君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 関口 幸一君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   岩井 良行君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月一日

 辞任         補欠選任

  西村 康稔君     矢野 隆司君

  御法川信英君     安井潤一郎君

  山口 泰明君     若宮 健嗣君

  池田 元久君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  矢野 隆司君     西村 康稔君

  安井潤一郎君     御法川信英君

  若宮 健嗣君     山口 泰明君

  川内 博史君     池田 元久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

河野委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官中島明彦君、大臣官房審議官宮川眞喜雄君、大臣官房参事官小原雅博君、大臣官房参事官香川剛広君、大臣官房参事官山本栄二君、北米局長梅本和義君、欧州局長谷崎泰明君、国際法局長鶴岡公二君、文部科学省大臣官房審議官前川喜平君、国土交通省航空局次長関口幸一君、環境省水・大気環境局長白石順一君、防衛省防衛参事官岩井良行君、防衛政策局長高見澤將林君、運用企画局長徳地秀士君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浪健四郎君。

松浪(健四郎)委員 おはようございます。自民党の松浪健四郎でございます。

 我々は平和を甘受しております。しかしながら、隣国である北朝鮮が核実験を行い、国連では決議一八七四が出されたところでありまして、私たちもそれに対応すべくいろいろな議論をさせていただいておるところでありますけれども、ここ数日来、新聞を騒がせております大きな出来事があり、きょうの新聞の社説はいろいろと書いております。

 例えば日経は、「村田良平元外務次官の核持ち込みに関する「密約」証言は、冷戦史の断面を描き出した。核をめぐる情勢は当時と現在とでは異なる。例えば北朝鮮への核拡散を封じるために、オバマ米大統領は核軍縮を訴え、日本国内では非核三原則の見直し論もある。村田氏は歴史を語り、議論に一石を投じた。」何となく村田氏を褒めたたえておるわけであります。そして読売新聞は、「米軍の核持ち込み容認の密約はないとする政府見解の維持は、もはや困難だ。政府は、密約の存在を認め、国民に事実関係を説明すべき時だ。」こういうふうに書いております。

 この書いた人は、密約はあった、または密約を見たかのような論調であって、私も非常に疑問に思うわけでございますけれども、従来日本政府は核持ち込みにかかわる密約はないと繰り返し説明してきたわけでございますけれども、この新聞の書きっぷり、そして、村田良平元外務次官の発言等とは異なるんですが、外務省はそれらについてどのようにお考えでいらっしゃるのか、お尋ねしたいと存じます。

中曽根国務大臣 今委員がお述べになられました報道等につきましては私も承知をいたしておりますけれども、これはもう従来から政府が申し上げておりますけれども、御指摘のような密約はまず存在いたしません。この点につきましては、歴代の総理大臣及び外務大臣がこのような密約の存在を明確に否定しているところでございます。

 米軍によります我が国への核の持ち込みは、これは日米安保条約第六条の実施に関する交換公文における事前協議の対象となっているわけでございまして、我が国政府に対しまして米国の政府から事前協議の申し入れが行われたことはございません。米国政府も、最高レベルを含めまして、我が国の立場また関心を十二分に理解している、そういうふうに思っております。

松浪(健四郎)委員 従来どおり、密約はない、そしていろいろなことがあれば事前協議だということでございますけれども、村田元外務次官は新聞とのインタビューの中で、封筒の中に事務用紙一枚に記された日本語の密約文書を前任者から引き継ぎ、当時の外務大臣に説明した、こう具体的に証言しているわけですね。その一方で、村田元次官は、新聞社とのインタビューにおいては、実際にはどう書いてあったのかは正確に覚えていないと述べている。ええかげんというか、はっきりしない部分も多いわけですが、その真意のほどは定かではありません。

 いずれにいたしましても、外交の当事者である外務大臣、外務省の担当者は、本当にそのような文書を見たことがないのか、また外務省担当者は中曽根大臣に密約の存在について説明をしたことがあるのかないのか、このことをお尋ねしたいと存じます。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 政府が従来から申し上げておるとおり、また今大臣からも御答弁申し上げたとおり、御指摘のような密約というのは存在しておりません。この点については、歴代の総理、外務大臣が明確に否定をされているところであるわけでございます。

 そういうようなことからも、そもそも存在をしておりませんいわゆる密約について、それを見るとかあるいは説明を大臣に申し上げるというようなことはありません。したがって、その封筒に入っているというのがいかなるものかわかりませんけれども、そのような密約と言われるような文書を私どもは見たこともございませんし、またそういうものを大臣に御説明したということもございません。

松浪(健四郎)委員 外務省がそういうふうに答えておるにもかかわらず、新聞は、密約はあったんだ、こういうふうに決めてかかり、そしてそれを村田外務次官の発言が補遺しておる、こういう印象を受けます。

 この核兵器の日本への持ち込みに関する密約につきましては、何十年もこの国会の場で質問が繰り返されてまいりました。また、先日来もあったわけでございますけれども、新聞報道では、過去、ライシャワー駐日大使が大平外務大臣に対して、核を積んだ艦船と飛行機の日本への立ち寄りは核兵器の持ち込みには当たらないことを確認したと報じておりますけれども、外務省の立場はいかがでしょうか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 核搭載艦船の寄港、領海通過は事前協議の対象としないということを一九六三年にライシャワー駐日大使が大平外務大臣に対して確認をしたというようなことが報道等で言われておりますけれども、そのような事実を私ども承知をしていないということについては従来からも御説明をしているところでございます。核持ち込みの中に寄港、通過が含まれることについては、合衆国軍隊の装備における重要な変更を事前協議の対象とする交換公文の規定、それからいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解からして十分に明らかであるというのが、従来から政府が御説明をしているとおりでございます。

 なお、一九六三年の当時の国会におきましても、大平外務大臣自身が、「核兵器につきましては、政府が数年前から国会で御答弁申し上げているように理解しておりまして、持ち込みは認めないという不動の方針でおります」というふうに答弁をされております。また、一九八一年当時、いわゆるライシャワー発言が国会で非常に取り上げられたわけでございますが、その際に、当時の鈴木総理からは、大平さんはそういうことは言っておられない、後任の外務大臣にも引き継いでいない、外務当局も一切承知していない、記録もないというふうに鈴木総理も当時御答弁をされているわけでございまして、政府としてそういう結論を出しているということでございます。

松浪(健四郎)委員 理路整然とした答弁であるわけです。

 日本の安全保障を確保する立場から、場合によってはアメリカの核持ち込みを認める非核二・五原則の提案もある、村田氏の密約証言は、過去、現在、未来にわたり、日本が核とどう向き合うかを改めて考えさせる、日本経済新聞の社説はこう書いてあるわけです。状況が物すごく変わってきたということを村田元外務次官が認識しているんでしょうけれども、るる朗読させていただきましたように、この元次官の証言等により、あたかも密約があるように新聞各紙で報じられてしまっていることは、日米同盟の信頼性に傷がついてしまうおそれがございます。

 密約の有無にかかわらず、外務省の要職を務められた方が日米同盟にひびを入れるような発言をすることはいかがなものかという思いはございますけれども、現実的な問題として、米国は我が国への核兵器の持ち込みが日米安保条約が規定する事前協議の対象であることはきちんと理解しているのかどうか、ちょっと私は疑問に思っておりますので、事前協議の対象であるかどうか、このことをきちんと御説明していただきたい、このように思います。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍による我が国への核持ち込みは、日米安保条約第六条の実施に関する交換公文、これはいわゆる岸・ハーター交換公文というものがあるわけで、これは安保条約と密接不可分の一体として機能しているわけでございますが、これによりまして事前協議の対象になっております。米国政府も、最高レベルを含めまして、我が国の立場、関心を十二分に理解しているところでございます。

 また、米国政府は、日米安保条約上の対日義務を誠実に履行すること、また、事前協議につき、日本政府の意思に反して行動する意図のないことを繰り返し明言しているところでございまして、私ども、米国が核兵器の持ち込みというものが安保条約上の事前協議の対象であるということはきちんと理解をしているというふうに考えております。

松浪(健四郎)委員 とにかく、日本とアメリカとの信頼関係、これは極めて大切でありますし、日本の安全保障、これを考えたときに、我々はアメリカの力を頼らざるを得ないという状況下にあることは他言をまつまでもございません。

 先日、アメリカの下院の外交委員会アジア太平洋小委員会の公聴会でマイケル・グリーン氏が発言されておりますね。これは、北朝鮮の核開発に対する上で、日本への核の傘を含めた拡大抑止の信頼性を高めることが必要である、こういうふうに強調されております。他方、マイケル・グリーン元国家安全保障会議のアジア上級部長は、アメリカが本当に北朝鮮に立ち向かう気があるのだろうかと疑問に思う日本人が多くなった、注意深く対応する必要があると述べられたわけですね。そして、先日訪日されましたフロノイ国防次官も、検討中の核戦略の指針、核体制の見直し、で、日本など同盟国と緊密に協議する方針を示されました。つまり、ナイ氏らは、核の傘、アメリカは信頼を高めなければ同盟国の信頼も失うぞというような警鐘だ、私はそのように理解いたしますけれども、いずれにいたしましても、日米の関係は極めて大切であります。

 それで、今回議論されているような米国による我が国への核の持ち込みは、現在の安全保障環境の中でどのような意味を持つのか。

 そもそもアメリカは、一九九〇年代、ブッシュ大統領やクリントン大統領が進めた核兵器削減イニシアチブによって、現在、水上艦艇、攻撃型潜水艦及び海軍航空機に核兵器を搭載しないことを一般的な政策としていることを承知しております。仮にそうであるとするならば、そもそも米空母等には核兵器が搭載されていないのであるわけですから、日本領海でのアメリカ空母等の通航や日本の港への寄港が核兵器持ち込みの疑いをかけられるようなことはないはずなんですけれども、これについては外務省はどのようにお考えであるのか、お尋ねしたいと存じます。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございまして、米国は、一九九一年、当時のブッシュ大統領のイニシアチブによりまして、水上艦船、攻撃型潜水艦を含む米海軍の艦艇及び航空機から戦術核兵器を撤去する旨表明をしたところでございます。また、一九九四年、クリントン政権によりまして、核体制見直しの中で、米軍の水上艦船及び空母艦載機から戦術核兵器の搭載能力、これは能力でございますが、これを撤去することとしたというふうに発表しているわけでございます。そういうことでございますので、今、アメリカの水上艦船あるいは潜水艦というところには、搭載能力が撤去された、あるいは戦術核が撤去されたという状態であるということでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、米国政府は、安保条約上、対日義務を誠実に履行すること、事前協議につき、日本政府の意思に反して行動する意図のないこと、これを繰り返し高いレベルでも明言しているわけでございまして、日本政府としては、事前協議がない以上、核の持ち込みがないことにつき、全く疑いを有しておりません。

松浪(健四郎)委員 とにかく、アメリカを信頼する、そしてアメリカの核の傘の信頼を高める、これはアメリカの姿勢である、こういうふうに思います。そして、オバマ大統領、また、先日も中曽根外相が演説をされましたけれども、核というものについて、私たちは極めて敏感でありますし、拡散を防止していかなければならない。他方、隣国の北朝鮮が核実験を重ねておる。大変難しい、厳しい状況下に私たちが置かれておるのは言うまでもございませんけれども、とにかく我が国は、核兵器について、つくらず、持たず、持ち込ませずという非核三原則を掲げてまいりました。その旗印のもと、軍縮、不拡散を進めてきておるわけであります。

 そのような中で、村田元外務次官は、非核三原則のうち持ち込ませずという原則は無用であり、ナンセンスであるかのようなことを新聞社のインタビューにおいて述べておられます。非核三原則のような、国際社会において既に日本の重要な政策と認知されている政策について、既に現役ではないとはいえ元外務次官がその信頼性を傷つけるような発言をすることは、我が国の国際社会における信頼を損なうものであると考えます。

 非核三原則が今後も我が国政府の重要な政策、方針であると理解してよいのか、それとも、日本としては北朝鮮の状況いかんによっては考え方を変える、こういうふうに思われるのか、外務省にそのことを確認させていただきたいと存じます。

中曽根国務大臣 御指摘の報道につきましては、私も承知をいたしております。

 他方、我が国が、核兵器を持たず、そしてつくらず、また持ち込ませずという非核三原則、これを堅持するということにつきましては、これまでも歴代の内閣によりまして累次にわたり明確に表明をされているところでございます。

 我が国を取り巻く安全保障上の環境は大変に不安定なところもございますけれども、政府といたしましては、今後ともこの非核三原則を堅持していく立場に変わりはございません。

松浪(健四郎)委員 国家公務員法の第百条に、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」こう書かれてあります。それで、二項には、「法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表するには、所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する。」こうあります。もし密約があったとしてこれを発言されたとしたならば、明らかに国家公務員法の違反に問われる、私自身そう思っております。

 しかし、密約がないのに、封筒の中に何か書いた紙があってそれを渡した、そして前任者からそれを説明してくれと言われた。これがいわゆる密約の文書であるのかないのか、法的にも極めて難しいし、我々は、現在の外務省の考え方、姿勢、これを支持する以外にないわけでありますけれども、村田次官はこのことも言っております。

 宗谷海峡、津軽海峡、対馬東水道、対馬西水道、大隅の五つの重要海峡の領海幅を三海里にとどめたのは、核を積んでいる米軍の艦船による我が国領海の通過が核持ち込みに当たらないようにするためであり、我が国の領海幅は本来国際法上認められている幅である十二海里まで拡張すべきであると主張されておられます。このことについて、外務省にお尋ねしたいと思います。

 仮に我が国が重要海峡の領海幅を三海里にとどめているのが米軍艦船に対する配慮でないとすれば、どのような考慮に基づいて領海幅を設定しているのか、このこともあわせてお尋ねしたいと思います。

中曽根国務大臣 今委員がお述べになられました宗谷それから津軽などの五つの海峡の領海幅を三海里にとどめる特定海域の設定は、海洋国家、また先進工業国であり、また貿易国家でもあります我が国におきましては、国際交通の要衝でもあります海峡を商船や大型タンカーが自由に航行できる、それを保障するということが大事である、総合的な国益の観点から不可欠であることを踏まえたものでございまして、この政府の判断に現時点では変わりはないところでございます。

鶴岡政府参考人 ただいま外務大臣から御答弁申し上げましたとおりでございますが、領海法を国会において審議をお願いし、成立をさせていただいた当時から、国際海峡における自由な航行を確実に保障することが貿易に依存する海洋国家である日本にとって不可欠な要素であるという認識のもとに、国際海峡については、特定海域を設定した上で、十二海里ではなく三海里の領海にとどめたという判断をいたしたものでございます。

松浪(健四郎)委員 三海里と十二海里ではかなり違います。しかし、国際的な信頼を得る、そしてそのことが国益につながる。しかしながら、大陸棚の問題等、また海洋資源の問題らを考えますと、どちらがよかったのかどうか難しい判断でありますけれども、国際的視野に立って判断をされた、このように理解するしかないわけでありますし、それが国際的な信頼を得るというふうにつながるのかな、そういう気もいたします。

 そこで、我が国が宗谷海峡や津軽海峡等の重要海峡の領海幅を三海里としているように、諸外国の中に自国の海峡等を国際海洋法で認められている十二海里まで領海を広げていない、そんな日本と同じような考え方を持つ国があるのかどうか、お尋ねしたいと存じます。

鶴岡政府参考人 領海の幅をどの程度広げるかということは各国の間で長年にわたり議論されてきた問題でございまして、ただいま委員御指摘のとおり、二つの考慮、一つは、沿岸国の主権の範囲をどこまで広げるかという資源の確保も含めた考慮の問題が一つ、もう一つは、海洋を航行する自由をどの程度保障するべきなのか。これは伝統的に、まさに国際法の世界において、海洋の自由な活用というものが国際社会にとっての共通の利益であるということが長らく理解をされてきたことでございまして、我が国といたしましては、その二つの考慮をよく検討した上で領海幅を決定したものでございます。

 その中で、国際的な事例についてただいま御質問ございまして、我が国と同様に領海の幅を十二海里未満にとどめているものが幾つかございますので、御紹介申し上げます。

 まず第一は、韓国でございまして、領海幅は原則十二海里としておりますけれども、国際海峡でございます対馬海峡西水道、ここにおきましては、韓国も領海幅を三海里にとどめております。

 二つ目に、ドイツでございますけれども、領海は通常、原則十二海里としておりますけれども、同じく国際海峡でございますバルト海のドイツとデンマークの間の海峡におきましては、両国間の中間線から約一・五海里手前の線までに領海の幅を限定しております。

 三番目に、スウェーデンでございますけれども、同じく原則は十二海里でありますけれども、デンマークとの間の海峡におきましては、両国間の中間線から約三海里手前までに自国の領海幅をとどめております。

 また、四番目、フィンランドでございますが、同じく通常は十二海里の領海でありますけれども、フィンランド湾におきましては、エストニアとの関係において、その中間線より約三海里手前までにフィンランドの領海をとどめて設定をしております。

松浪(健四郎)委員 結局、日米、冷戦構造下の中でいろいろなことが行われ、そしてそのことが、我が国への核の持ち込み、米軍の艦船の通航をしやすくするようにしたというような理屈も成り立ち、大きな誤解を招いているのかもしれませんが、しかし、安全保障上のことを考えれば、これらのやり方は決して間違っていなかった、こういうような思いもいたしますし、やはり海洋航行の自由、これを保障して国際的信頼をかち得、我が国の国益につなげる、こういう考え方、これもまた正しい、そういう思いがいたします。

 先般、北朝鮮が核実験やミサイル発射を行い、中国は不透明な形で軍事費を増大させ、我が国を取り巻く安全保障環境がますます不透明になる中で、このような密約をめぐる報道が大々的になされ、我が国の同盟国である米国が我が国に提供する核の抑止力の信頼性が疑問視されるような事態は問題であると存じます。

 アメリカの我が国に対する抑止力の提供はどのような形で保障されているのか、また非核三原則は米国の核抑止力に頼ることと矛盾がないのか、外務省のお考え方をお尋ねしたいと存じます。

中曽根国務大臣 米国は、日米安全保障上、我が国に対します武力攻撃がある場合には我が国を防衛する義務を負っているわけでございまして、核の抑止力を含めました米国のこの抑止力は、我が国の安全を確保する上で極めて重要な役割を果たしておるところでございます。

 二〇〇七年五月の2プラス2会合の際の共同発表では、米国の拡大抑止は日本の防衛及び地域の安全保障を支えるものである、米国は、あらゆる種類の米国の軍事力、これが拡大抑止の中核を形成し、日本の防衛に対する米国のコミットメントを裏づけることを再確認した旨記述をしております。

 最近では、核抑止力を含めました米国の拡大抑止に関するコミットメントにつきましては、五月の日米首脳電話会談及び日米外相電話会談におきまして、改めてオバマ大統領及びクリントン国務長官から表明があったところでございます。

 また、米国の核抑止力に依存することとそれから非核三原則との関係に関して申し上げれば、米国の核兵器が我が国の防衛のために使用され得る可能性があるという、そういう事実自体が我が国に対する核攻撃あるいはその脅威を未然に抑止する力となっておりますけれども、このような米国の核抑止力が働く上で、米国の核兵器が我が国の領域内に存在している必要はないわけでございます。

松浪(健四郎)委員 米国による核の抑止力の維持という我が国の安全保障の根幹にかかわる部分につきましては、幾らオバマ大統領から日本政府に対して保証がなされていようと、実際に日米同盟のもと、核抑止力が維持されるような努力が実際の安全保障に携わる日米の関係者の間でなされていなければならないと考えます。

 政府としては、米国との間で、米国が提供する核の抑止力が維持されるように期待して、私の質問を終わります。

河野委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 幾つか質問をさせていただきます。

 その前に、通告させていただいております質問の前に、今松浪委員の質問の中で密約の問題がやりとりをされまして、改めて外務省からは、そういうものはなかった、こういう答弁であった。しかしながら、この間の報道、四人の元事務次官の方、そしてお一人は最近は名前まで出して取材に応じておられる。その中では、随分と、外務省は今まで全くうそを重ねてきた、こんなような言い方もされているわけであります。

 私は、日本にとって重要な核にかかわる問題、それが、こういうふうに、ごたごたしているというかはっきりしない、これは本当に大きな問題だと思うんです。そういう意味では、やはり私は、事実をきっちりと明らかにする、そのためには、もうお名前まで出していらっしゃる村田元事務次官にもきっちりとお越しをいただいて、御発言をいただくということが、事を明らかにするという当たり前のことから考えると重要だと思うんですが、大臣、いかがでありましょうか。

中曽根国務大臣 先ほどからも松浪委員の御質問にお答えしておりますけれども、政府は従来から申し上げておりますとおり、御指摘のような密約は存在しないわけでございまして、この点につきましては、歴代の総理大臣及び外務大臣がこのような密約の存在を明確に否定をしております。

 したがいまして、改めて村田氏に対しまして事実関係を確認するということは考えておりません。

近藤(昭)委員 私は、やはりここまで大きく報道されている以上、きちっと御当人には確認するということが必要だと思うんです。けさの理事会でもこのことが一つの議題になりました。

 委員長、私は改めてこのことをしっかりと、事務次官にも発言をいただくということが重要だと思いますが、いかがでありましょうか。

河野委員長 歴代の事務次官がこういう発言をされているという報道がございますので、それがどういうことに基づいてそういう発言があったのかどうかということは、立法府としても、行政府とは別に独自に確認をする必要があると思いますので、今後、理事会、理事懇で協議を続けさせていただきたいと思います。

近藤(昭)委員 ぜひそれは、事を明らかにする、ましてやこんな重要なことでありますから、私は先ほど申し上げましたように、事実をこれから明らかにしていくということが大事だというふうに思います。

 それでは、通告をさせていただいております質問に移らせていただきます。

 五月の十四日でありますが、ラージャパクサ大統領が勝利宣言をし、二十年以上続いたスリランカの内戦が終結をしました。

 国連によると、ことし一月後半以降の戦闘の結果、七千人以上の民間人が死亡し、一万三千人以上が負傷したとされておるわけであります。内戦終盤の戦闘の状況を、国連は大量殺りく、そして赤十字国際委員会は大惨事と表現しております。また、五月の八日には、略式処刑、健康への権利、食料への権利、水及び衛生への権利に関する国連人権理事会の各専門家四名は、共同声明で、国際的な事実調査団を設置し、過去数カ月間の事態を調査して文書化するとともに、今後の事態を監視する緊急の必要性があると指摘しておるわけであります。

 反政府武装勢力LTTEは、民間人を人間の盾とし、スリランカ政府軍は、病院など一般市民の密集する地域に対し、たび重なる無差別攻撃を加えるなど、双方による重大な戦時国際法違反が指摘をされておるわけであります。

 この間、国連、特に国連安保理や国連人権理事会は、たび重なる市民社会からの要求にもかかわらず、何ら具体的行動をとらなかった、こう言われておるわけであります。また、日本政府の取り組みにも積極姿勢が見られなかったのではないかという批判もあるわけであります。

 私は、このような人道問題に関しては、国際社会において日本が主導的な役割を果たし、積極的にかかわっていくべきと考えますが、この内戦終盤において、一般市民の安全確保のため、日本政府はどのように対応されたのか、御説明をお願いしたいと思います。

伊藤副大臣 お答え申し上げます。

 スリランカの内戦終盤において、政府軍によって追い詰められたタミール・イーラム解放のトラ、LTTEは、一般市民を人間の盾としてその移動を禁じ、政府軍に抵抗を続けるという、まさに人道上看過できない状況というものが続いたわけでございます。

 我が国といたしましては、この一般市民の安全を確保するために、スリランカ政府による一時的な戦闘停止とLTTEによる一般市民の解放が不可欠というふうに考えまして、四共同議長国との間で繰り返し協議を重ねるとともに、四月に外務報道官談話やG8外相声明を発出しまして、スリランカ政府とLTTEの双方に対して働きかけを行ってきたところでございます。また、四月末には明石政府代表をスリランカに派遣し、四共同議長国の中では唯一、ラージャパクサ大統領に直接我が国のこの人道上の大きな、大変強い懸念を表明するとともに、働きかけを行ってきました。

 我が国といたしましては、国際社会と連携しつつ、引き続きスリランカにおいて人権や人道的取り扱いが確保されるように働きかける考えでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 我が国外交は人間の安全保障ということもうたい、一人一人の人間の安全を守っていくということを訴えておられるわけでありますから、ぜひ積極的に今後も活動していただきたいと思うんです。

 そうしますと、この間にそうして政府がいろいろと働きかけをされたということでありますが、今、いわゆる内戦が終結をしたとはいえ、国内の状況は大変だと思うんです。そういう中で、スリランカ国内の避難民をめぐる状況及びこの状況に対してスリランカ政府がどう対応しているのか、また、そこに対して日本がこれからどのような支援をしていかれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 スリランカの北部での戦闘によりまして新たに二十八万人の国内避難民が発生をいたしまして、現在、複数の国内避難民キャンプでの生活を余儀なくされているところでございます。スリランカ政府は、国内避難民を収容するために、キャンプの拡大やそれから生活の状況の改善、こういうことに取り組んでおるわけでございます。また、同政府は、国内避難民の八割を年内に再定住させる、その旨表明もしておりまして、そのために必要な地雷除去などの支援を国際社会に対して求めてきているところでございます。

 我が国といたしましては、人道上の観点に加えまして、今後、スリランカが紛争の傷跡をいやし安定して発展していくためには、民族間の融和は何よりも不可欠であり、そのためにも、タミール人が大半を占める国内避難民への支援とその早期の再定住が急務と考えております。

 このような考えに基づきまして、我が国はこれまで、国内避難民の生活改善に資するようにということで、国際機関を通じました緊急無償資金の供与、それから我が国のNGOを通じました緊急人道支援など、総額最大約七億円の支援を決定しております。また、国内避難民の再定住を促進するために、本年は既に総額約二億二千万円の地雷除去支援も実施をしているところでございます。

 今後も、現地のニーズなどを見ながら、地雷除去等を含みます早期に必要な支援について検討していく考えでございます。

近藤(昭)委員 中曽根大臣、どうもありがとうございます。

 先ほど人間の安全保障ということも申し上げましたが、我が国は憲法の前文で、国際社会で名誉ある地位を占めたい、こういうふうに宣言をしているわけであります。そうした名誉ある地位を人道面できちっと行動していく中で占めていくということをぜひ進めていただきたいと私は思うわけであります。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 五月の三十一日の読売新聞でありますけれども、これによりますと、麻生総理は、北方領土問題について、不法占拠が続いている、日本が独立した昭和二十七年から以降、ずっと同じことしか言っていない、こうおっしゃっているわけであります。

 そこで、改めて不法占拠の定義についてお尋ねをしたいと思います。

伊藤副大臣 お答え申し上げます。

 一般的に、不法占拠とは、法的根拠なくして占拠するという意味だと承知しております。

近藤(昭)委員 法的根拠なくして占拠されている、その状況がずっと続いているということであります。

 そこで、私はちょっと確認をしたいことがあります。そうした不法占拠が続いている状態にある北方領土に対して、日本は自衛権を行使する権利を有しているのかどうかというのが第一点であります。そして第二点は、この北方領土の不法占拠の状態に対して日米安保は機能しないのか、こういうことであります。

伊藤副大臣 我が国といたしましては、まさに日ロ間の最大の懸案である北方領土問題を平和的に解決すべきとの立場に立って、これまで首脳レベルやいろいろなレベルでさまざまな交渉を行ってきているわけであります。したがいまして、政府として、この問題の解決に当たって実力を行使するということは考えていないわけであります。

 それから、自衛権行使が可能かどうかという御質問でございますけれども、北方領土問題については、日ソ共同宣言を含めこれまでに達成された諸合意、諸文書に基づき、平和条約の締結により平和的に解決することとなっているわけであります。

 政府としては、引き続き、北方領土の帰属の問題を解決してロシアとの間で平和条約を締結するという基本方針のもと、北方領土の返還を実現していく考えであり、ロシアとの間で強い交渉をもって進めていく考えであります。

 それから、法的にどうかということでありますけれども、一般論で申し上げれば、国際法上、国家または国民に対する外部からの急迫不正な侵害に対し、これを排除するためのほかの適当な手段がない場合には、当該国家は自衛権を行使して必要最小限度の実力を行使することが認められております。

 他方、国連憲章第二条第三項は、「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように解決しなければならない。」と規定しています。日本はもちろん国連加盟国であります。

 そういうことでありまして、いずれにしても、北方領土の問題の文脈では、自衛権について云々することは適当でないというふうに考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうした平和的な、この間の日ソ共同宣言等、また国連憲章にかかわる論点の中で、平和的な手段でこの問題を解決していく、こういうことで来ているということでありました。

 その中で、今ちょっと二点目のことでありますけれども、日米安保のことについてはいかがでありましょうか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 日米安保条約第五条、これはアメリカの対日防衛義務を定めている規定でございますが、そこにおいては、「日本国の施政の下にある領域」というふうに規定をしているわけでございます。これは、我が国の領域から、一つは条約その他の国際約束により我が国が施政権を有しない状態にある地域、これはかつての沖縄等でございます、それからもう一つは現実に我が国が施政を行い得ない状態にある領域、この二つに該当する領域を除いた領域だというふうに考えております。

 北方四島につきましては、我が国固有の領土でありまして、我が国が施政権を有するわけでございますが、現実には我が国が施政を行い得ない領域であるということでございまして、現在の北方四島は日米安保条約第五条に言うところの「日本国の施政の下にある領域」ではございません。

近藤(昭)委員 施政権内に適用され、それは現実の問題ともかかわって遂行されるということでありました。

 そういうことでありますと、竹島や尖閣諸島が不法占拠された場合はどのようになるのかということをお聞かせいただきたいと思います。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 竹島につきましては、これも我が国固有の領土であり、我が国が施政権を有するわけでございますが、現実には我が国が施政を行い得ない領域であるということでございまして、現在の竹島は日米安保条約第五条に言う「日本国の施政の下にある領域」ではありません。

 尖閣諸島につきましては、これは我が国固有の領土であり、かつ我が国の施政のもとにありますので、日米安保条約第五条に言う「日本国の施政の下にある領域」でございます。

近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。どういう状況かということをお聞かせいただきました。

 そしてもう一問、最後の質問になりますけれども、ロシア下院は六月二十四日の本会議で、先般日本の衆議院で可決された、北方領土を我が国固有の領土と定めた北方領土問題等解決促進特別措置法改正案に対して、法改正の撤回を求める決議を採択したと。決議は、日本がすべての妥協を排することを法律化したもので、ロシアとの対話における日本政府の自由と展望を失うものだと批判をしつつ、平和条約交渉が進まない場合の責任はすべて日本側にあると警告するものとなっておるわけであります。

 政府は、この北特法改正案の審議とロシア下院の決議が、七月に行われますG8サミットにおける日ロ首脳会談や今後の日ロ交渉に対してどのような影響を与えるとお考えでしょうか。お聞かせをいただきたいと思います。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御質問ございましたいわゆる北特法の改正案でございますけれども、これはいわゆる議員立法ということでございます。参議院でまだ審議中ということでございますので、我々行政府の方からこれについて、内容について立ち入ることは控えたいと思いますが、他方、ロシア側の方で、この法律案をめぐりまして十分な理解等が得られていないところがございます。そういうことはあってはならないと思いますので、私ども、日本のこの問題に関する基本的立場を十分先方に説明しているという状況でございます。

 その上で、この領土問題の解決の問題でございますけれども、まさに双方の立場が異なっている、このゆえに、その最終的な解決に向けた交渉を行っているというところでございます。政府としては、来週のイタリアでのG8サミットの際に予定されている日ロ首脳会談を含め、引き続き、政府としては強い意思を持ってこの問題の解決に当たっていきたいということでございます。

近藤(昭)委員 我が国固有の領土であります。ぜひ、しっかりと強い意思を持って交渉していっていただきたいと思うわけであります。

 以上です。ありがとうございました。

河野委員長 次に、松原仁君。

松原委員 まず冒頭、中曽根外務大臣がG8外相会議に出席をして、イランの選挙後のさまざまな状況、これでいよいよ大統領にきちっと就任をすることになるわけでありますから、しかしながら、選挙後のさまざまな報道にも出ております、最大規模十万人とも言われるデモもあった、このことに関して外務大臣間におけるどのような議論があったのか、お伺いいたしたいと思います。

中曽根国務大臣 G8の外相会談におきましての各国の外相の発言そのものにつきましては一々の御紹介は差し控えさせていただきますけれども、イランにおける大統領選挙後の情勢、特に市民に多くの死傷者が出ている、そういう状況に関しまして、強い懸念が各国から表明されたところでございます。また、イランの主権を完全に尊重するとともに、表現の自由も確保されるべきとの意見で一致をいたしました。

 私からは、暴力や、それから当局によります言論の抑圧などにつきまして懸念を共有するとともに、内政干渉にならない形でイランに対して言うべきことは言うことが必要である、また同時に対話と平和的な手段による問題の解決を促すことが適切である、そういうふうに述べたところでございます。

松原委員 このG8の中で細かいことはとおっしゃいますが、それぞれの国の立場で議論が変わったと思うんですね。例えば、ドイツやフランス、イギリス、アメリカ、アメリカはクリントン国務長官はいなかったと思いますが、こういった主要国、いわゆる西側、言葉をかえて言えば、キリスト教を基本的な文化の淵源にする主要国、もちろん同じキリスト教を淵源にしているロシアも入っていると思いますが、そういった国々のそれぞれがやはり立場が違ったと思うんですよ。

 もうちょっと詳しく教えていただけますか、フランスはどうだったか、ドイツはどうだったか、アメリカはどうだったか、イギリスはどうだったか、そしてロシアはどうだったか。お伺いしたいと思います。言ってありますよ、これは。

中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、各国からいろいろな発言はありましたけれども、会合の中におきまして、この問題についての個々の発言等については、余り、それぞれの国が、また、対外的にこれを説明するということは控えるというような状況になっております。

 いずれにいたしましても、各国とも、市民から多くの死傷者が出ていることに対して大変強い懸念がありましたし、また、英国などは外交官が退去させられている、また報道陣に規制がある、そういう抑圧的なところがあるということに対して共通の懸念が表明されまして、それと同時に、やはり対話というものも大事だ、今後解決をしていく上では対話というものも大事だ、これは各国のまたかなり共通した意見であった、私はそういうふうに思います。

松原委員 現場に行かれた大臣だから生の話を聞きたいと思ってお伺いしているわけであります。

 そうすると、参加国の中の意見というのはほぼ一致しているんですか。私は、それは温度差があるし、違うと思うんですよ。そこをもうちょっと教えていただけませんか。

中曽根国務大臣 基本的には、先ほどから御答弁申し上げておりますように、選挙後の状況が大変に混乱しているということと、それから死傷者が出ているということ、また、これに対する懸念、またある意味では非難的なところもございました。しかし、総じて申し上げれば、先ほどから申し上げておりますように、今後の解決に向けての対話が重要であるというようなことは各国とも発言をしていた、私はそういうふうに思っております。

松原委員 質問に対しての具体的な答弁に余りなっていないのは残念です。

 日本の立場をどう説明したかというところが極めて重要なんですが、今回参加している国で、イランに対して極めて厳しい非難の声を上げている国が従来からありました。アメリカもかなり非難を上げておりますし、フランスもイギリスも非難の声を上げております。ドイツも同じであります。そういう中で、外務大臣レベルでも同じような声が上がっていたのではないかと思って、今確認をしたかったわけであります。

 しかし、問題は、日本はそういう国とは違う、日本はアメリカやイギリスやドイツやフランスとは違う、また、ロシアとも違うということであるかもしれませんが、我々はイランに対してはあなた方とは違う歴史的なスタンスを持ち、立場を持っているんだ、こういうことはおっしゃいましたか、きちっと。お伺いしたい。

中曽根国務大臣 私からは、再三申し上げておりますけれども、大統領選挙の後の現状、特に暴動の発生と、それから言論の抑圧、これに対し懸念を各国と共有するということ、また、これも申し上げましたけれども、英国の外交官の追放も問題であるということなどを述べました。またさらに、内政干渉とならぬ形で言うべきことは言うべきである、そういうことも述べたところでございます。

 そういう中で、我が国からではございませんけれども、選挙のやり直しとかあるいは投票の不正の是正など個別的、具体的な内容にはもうこの段階では立ち入らないで、問題の解決を促すことが重要である、そういう言葉がありまして、そういうところから今後の対話の窓口をあけていくということが重要であるということが各国からの発言としてあったということでございます。

松原委員 大事なことは、日本が日本の立ち位置を明らかにすることが大事なんですよ。

 私は、前にも申し上げたけれども、イランのこの問題に関していろいろな、率直に言えば、外務省の方々との話を通して、私はそれはそれでいいと思って、あえて確認をしているんです。つまり、我々はイギリスやドイツやフランスやアメリカとは違うということがイランに伝わっていると思いますか。確認します。

中曽根国務大臣 今回の選挙後の状況とかそういうことにつきましては、もう再三申し上げておりますとおり、各国と同じような懸念を私どもも有しておりますし……(松原委員「そんなことを聞いているんじゃない」と呼ぶ)いや、それは、その会議でも表明しておりますが、今までのイランとの関係におきましては、イランは、我が国に対しましてはよその国々とはまた違った関係である、そういうような点を認識している、私はそういうふうに思います。

松原委員 よその国というのは、いわゆるフランス、ドイツ、イギリスや、イラン側から言わせると明快に内政干渉と思われるぐらいにそのことに関して批判をしている国とは我が国は違うということは、イランに対してのきちっとしたメッセージで伝わっている、こう思っているんですね。それだけ、イエス、ノーでお答えください。

中曽根国務大臣 イエス、ノーで申し上げれば、イエスとお答えさせていただきます。

松原委員 それで結構です。

 結局、日本は、アメリカやイギリスやドイツやフランスと違うスタンスでイランに臨んでいる、こういうふうなことで、そしてそれは、日本とイランが、宗教的な部分も含め、かつての対立もなければ、そして今までの親日的な関係もあるから、今大臣は言ったんだから、イエスだと。つまり、イランに対するイギリス、フランス、ドイツ、アメリカ等とは日本は違うスタンスだということを、この委員会でもはっきり言ったんですから、それはそれで結構です。それは、日本の国益上、私はプラスだと思うから、貫徹をしていただきたい。

 次に、北朝鮮問題に入ります。

 北朝鮮問題で、五者協議の設置等も言われておりますが、まず冒頭お伺いしたいのは、日韓首脳会談で日本側から拉致問題、どうも新聞紙上に拉致問題というのが余り出ていないような気がしておりますが、協力の要請はしましたか。

中曽根国務大臣 六月の二十八日に日韓首脳会談が行われたわけでありますが、これは李明博大統領側からも、拉致問題に関して、可能な限りの協力について改めて表明があったところでございます。

 拉致問題を含む北朝鮮との問題の解決のためには、北朝鮮側に当然のことながら直接働きかけを努力しなければならないわけでありますが、同時に、関係国とか国際社会からの支持と協力を得ながら、各国との間で情報交換や意見交換を行う必要があると思っております。

 例えば、私は、昨日、潘基文国連事務総長と会談を行いましたけれども、その席でも北朝鮮問題を取り上げまして、拉致問題を含む北朝鮮の人権状況の改善に向けた協力を改めて事務総長にも求めたところでございます。

 政府といたしましては、拉致問題の早期解決に向けまして、情報収集を初め、韓国を初めとする各国との連携を一層強化して、引き続き最大限の努力を行っていく考えでございます。

松原委員 国連事務総長と話し合うというのは極めて重要ですから、これは大いに進めていただきたいと思いますが、李明博さんからの協力の申し出があった、具体的にどういう話でしたか。

中曽根国務大臣 六月二十八日の日韓首脳会談におきましては、会談後の共同記者会見でも麻生総理から明らかにされておりますけれども、今申し上げましたけれども、韓国の大統領から可能な限りの協力について改めて表明がございました。

 一方で、それ以上の具体的な会談の中でのやりとりについては、私もその場に同席をしておりましたけれども、両首脳間の申し合わせによりましてこの場で申し上げることはできないこと、これは御理解いただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、今回の首脳会談におきましては、北朝鮮問題につきまして相当長い時間をとって、極めて大変有意義な意見交換を行うことができた、同席しておりました私もそういうふうに考えておりまして、引き続いて日韓それから日米韓で連携して対処をしていくということが大事だ、そういうふうに思っております。

松原委員 可能な限りということで、ちょっと私、申し上げたいのは、そうした中で、日韓の情報協力というのは具体的にどういうふうな話があったか。

 もう一点、これは重要なんですが、金賢姫、これは家族会の会長の飯塚さんが会ったわけでありますが、金賢姫の訪日実現の可能性という問題も私は極めて重要だと思っているんですね。

 これは事務方にお伺いしたいんですが、金賢姫は、いわゆる日本人にせ旅券を持ってあの爆殺をしたんじゃないかという話もあって、この旅券法違反というものは、彼女に対しては、日本に訪日をした場合はこれは問題になるんですか、ならないんですか。お伺いしたい。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 一九八七年十一月の大韓航空機爆破に当たりまして、金賢姫氏は日本人蜂谷真由美名義の偽造旅券を使用したことが確認されております。

 本件につきましては、当時、偽造有印公文書行使被疑事件といたしまして捜査が開始されたものと承知しておりますが、仮に同氏が訪日した場合の対応も含め、捜査にかかわることにつきましては、外務省としてお答えする立場にはございません。

松原委員 確認しますが、答えられないと言うんだけれども、それじゃ外交交渉にならないんだよ。

 いいですか。日本に彼女が来て証言するということは極めて重要な議論だということは御承知のとおりであります。

 あえて言わせてもらえると、金賢姫氏は、これはもちろん李恩恵というふうに彼女たちは言っていますが、日本人の拉致被害者によって日本語教育を受けている。しかも、同時に、これは伝聞によりますと、中国語教育も孔さんという中国人、孔さんから受けている。

 中国人と日本人が、向こうでは、これは向こうのいわゆるスパイ育成教育の基本かもしれませんが、マンツーマンで教える。つまり、一人が一人で、それは違う人間は入らない。一つの期生に八人の金賢姫みたいなスパイがいた。そのときは、男六人、女二名がスパイ教育を受けていた。ということは、日本人の教師が八人、中国人の教師が八人いただろう、こういうふうに思われるわけです。

 それが、二年間、二十カ月勉強したということですから、そうすると、一期生、二期生と、二期生まで入れると、一人は一人以外絶対に対応しないという原則からいけば、これは十六人。これはさまざまな救う会なんかの推測であれば、恐らく十六人の日本人教師が、つまり日本人拉致被害者がこういった金賢姫等の教育をしていただろう。

 ということも含め、これは中国人の拉致被害者も入っているんですよ、ここに。拉致の問題は、広がりは日本だけじゃないんです。中国が人権大国を目指すならば、中国人拉致問題も明らかにしなければいけないんですが、そうしたときに、彼女が来てその辺の証言をするというのは極めて重要な意味があるんですよ。来たら旅券法違反で捕まるというんじゃ、それはなかなか来られないので。

 これは、外交上、彼女に情報を聞き出す、彼女もある意味では北朝鮮のエージェントとして大変に指示に従ったわけでありますが、その彼女の訪日の実現には、この旅券法違反の問題は、やはり一つ桎梏として乗り越えなければいけない。しかし、彼女を日本に呼んで話を聞くことは極めて重要である。

 中曽根大臣、この旅券法違反も含めて、彼女が訪日する場合のさまざまな問題点をクリアして、訪日実現のために努力する決意はありますか。お伺いしたい。

中曽根国務大臣 委員がおっしゃいますように、金賢姫氏を日本に招聘するということは、これは、そこでいろいろな状況について聞くということができれば、重要な証言者でありますから、真相解明という観点からは非常に意味があると、もちろん当然のことでありますが、思っておりますが、同時に、先ほど参考人からお話しいたしましたとおり、同氏は、大韓航空機の爆破事件にかかわった、そういう経緯から、韓国の国内におきましても特殊な状況のもとに置かれている、そういう本人の事情や、また同時に、韓国政府の立場というものもあろうかと思います。

 我が国におきましても、同氏が日本人名義の偽造旅券を使用していたことを含めまして、関係省庁において検討すべき課題もあるわけでございまして、外務省といたしましては、同氏の訪問実現の見通しについて、この場で確定的なことを申し上げることは困難でございます。

松原委員 確定的なことを今この場ですぐ言ってくれと言っているんじゃないんです。中曽根外務大臣は今、真相解明のためには極めて意味があると言ったんですよ。大臣は、拉致問題の真相を解明したいんですか、したくないんですか。答えてください。

中曽根国務大臣 これは我が国の最重要課題の一つでありますし、私も、外務大臣として一日も早い真相解明ができるように努力をしておるところでございます。

松原委員 真相解明が必要だというのが明らかであれば、そしてそのために金賢姫の訪日実現が極めて重要だということを大臣は言ったんだから、であるならば、これは、拉致の問題の解決のために、日本国内におけるこの旅券法違反の問題に関しては、外務省としてリーダーシップをとり、金賢姫を日本に訪日させるために、今回、李明博さんは、可能な限りやると言っているんですよ、可能な限りやると言っているんですよ。いや、後ろの秘書官が一々しゃべらなくていいよ。

 大臣の決断でそういったことをやるべきじゃないかということを聞いているの。大臣、きちっと、政治家として、そして拉致問題の真相解明に必要である、意味があると言っているんだから、答えてください。大臣として、金賢姫訪日の実現のために、さまざまな障害はあるけれども頑張りたいと、個人の政治家としての強い意思で言ってください。

中曽根国務大臣 いつでしたか、ことしの初めでしたか、飯塚さん御家族が金賢姫にもお会いいたしました。貴重な話も聞けた、そういうふうに聞いております。そういう意味からも、金賢姫氏を日本に呼んで聞くということは大変意味があることと思っております。

 同時に、先ほど申し上げましたけれども、これの実現には、クリアしなければならない点、法的な面、また、先ほど申し上げましたけれども、先方の方の韓国側の政府の立場というものもありますので、かなりいろいろ検討しなければならないと思っておりますけれども、そのようなことが実現できるかどうか、私どもとして検討することにつきましては、これは否定するものではございません。

松原委員 否定するものじゃなくて、私はそれをやって真相を解明したいと、やはり、男中曽根弘文外務大臣はそれぐらい言わなかったらだめじゃないですか。答えてください。

中曽根国務大臣 法的なものがあるのは委員も十分御承知と思いますし、先方の都合があるということも御承知だと思いますが、そのようなことができるかどうか、それは検討したいと思います。

松原委員 今の発言じゃ、なかなかこれは解決は難しいね。大臣が、私としてはそれをやりたいと思う、いいじゃないですか。それでどこにマイナスがあるんですか。政治生命がなくなるんですか。

中曽根国務大臣 今までも、それは実現できれば実現した方がいい、それは、私のみならず、どなたもが思っていると思います。

 ただ、そういう意味では、政府としてはクリアすべき点がありますので、やりたいかどうかという質問であれば、やりたい、そういうふうに思っております。

松原委員 次に入ります。

 北ミサイルはメード・イン・ジャパンの機材をたくさん使っている、こういう話がありまして、この間インド海軍に拿捕された北朝鮮からパキスタンに行く船ですか、何かこれは北朝鮮の機材を積んでいたと。

 これは、サンタナムさんという方がこのことを言っているわけでありますが、時間がないのでこれは簡潔に答えてもらって結構ですが、このサンタナムさんが、日本側のさまざまな大手機械メーカー二社のCNC、コンピューター数値制御工作機、また大手鉄鋼メーカーのマレージング鋼などが見つかった、インド当局は、中国など第三国経由で日本から北朝鮮が入手した可能性が高いと思っている、こういうふうな報道がありますが、もう時間がないので一問だけにします。

 このサンタナム氏に対して、外務省は接触はしていますか、確認をしていますか。通告しているよ。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 そうした報道がございまして、その報道、まさに一九九九年、十年前でございますが、当時、この件につきまして、我々として、サンタナム氏に対するどういうアプローチをしたかということについて資料が残っておりません。

 いずれにいたしましても、この件については、日本の国内の関係当局におきまして、日本の企業の問題でございますので、関係当局が当時しっかりと調査をしておりまして、その調査した限りでは、日本企業が無許可輸出を行ったという事実は確認されていないというふうに承知しております。

松原委員 中曽根大臣、インド当局はこういうふうなことを当時言っていたわけでありますが、これも含めて、やはり、サンタナム氏とかこういう人にアプローチして実態がどうだったのかというのを確認しないで、日本では国内捜査の結果ありませんでした、これでは私は不十分だろうというふうに思っております。きちっと北朝鮮に対する輸出規制も含めて、全面禁止も含めてやっている状況の中では、こういうことが絶対ないように、また検討していただきたいと思います。

 時間がありませんから、最後の質問に入ります。

 韓国国防省は対北攻撃力を強化している、こういう記事が韓国の新聞に随分載っております。これは、中央日報に、「日増しに高まりつつある北朝鮮による「軍事的非対称」の威嚇に」、核を持っているということも含め、「多角的な補完策を講じたのは時宜にかなっている。」こういうような記事も載っておりますし、一方で、「韓国軍が北朝鮮の事態急変に備えた武器システムの導入を本格的に進めるのは今回が初めてだ。北朝鮮の事態急変に備えた「概念計画五〇二九」を具体的な作戦計画レベルで裏づける、」そこに「SM6迎撃ミサイル、パトリオットPAC3級以上の地上配備迎撃ミサイルなど迎撃用兵器と、北朝鮮全域を攻撃できる精密打撃兵器も導入される予定」、これは朝鮮日報。

 これに関して、防衛省、どういう事情になっていますか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 韓国の北朝鮮に対する認識といたしましては、二〇〇六年と二〇〇八年の国防白書を比べますと、従来は深刻な脅威ということだったんですけれども、直接的で深刻な脅威ということで、北朝鮮のいろいろな軍事力、特にIRBMの配備の問題ですとか特殊部隊の増というようなことを非常に認識しているというところでございます。

 それに対して、韓国側は国防計画を見直しまして、今先生御指摘になりましたような、どうやってこれに対応していくかということで、ペトリオットの問題ですとかSM6の問題ですとか、そういったことも含めまして、あるいはISR全体としての情報能力を高めるというようなことをやっておりますし、いろいろなプランニングもしているところでございまして、日韓間におきましても、国防相レベル、そして次官レベル、そして局長レベル等々、さまざまなレベルでいろいろな議論をしているところでございます。

松原委員 大臣、この北の脅威の増大に関して防衛省もそういうふうな認識を持っているということでありますが、やはりこれは連動しているんですよ、外務と国防は。外務大臣として、韓国国防省が対北攻撃力の強化をしていることを踏まえ、日本においても当然こういった北の脅威に対しての打撃力を含めさまざまな議論を深めるという、その思いがあるかどうか、大臣、お伺いしたい。

中曽根国務大臣 核実験あるいは弾道ミサイルの発射等、北朝鮮の最近の一連の行為は我が国にとりまして大変大きな脅威であると思っております。そういう意味では、情報の収集を初め、また防衛能力の向上を初め、我が国の国民の生命と財産を守るために我々は全力で取り組んでいかなければと思っております。

松原委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

河野委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 六月五日の本委員会に引き続きまして、米軍機のいわゆる低空飛行訓練について質問いたします。

 学校や病院等の公共の建物に妥当な考慮を払うという平成十一年一月十四日の日米合同委員会合意に基づいて、外務省から在日米軍に再三にわたって申し入れを行っていただいておりますが、ちょっとコースをずらすとか、あるいはちょっと高度を上げるとか、妥当な考慮とは何なのかということについてもうちょっとしっかり議論をしなければならないのではないかと思われるように、全く改まる気配がございません。それどころか、学校の建物、あるいは、この前、中曽根大臣の御地元の群馬県の前橋市の県庁のビルなどは、米軍機の低空飛行訓練の目標、ターゲットになっているのではないかと言われるぐらいに頻繁に行われておるということも聞いております。

 法的には、日本列島のどこであろうが、米軍機による低空飛行訓練が行われようと我が国は文句を言うことができないという実態があるわけでございまして、これはゆゆしき問題であるというふうに私は思います。

 まず、外務省にお伺いいたしますけれども、米国本土において米軍、米軍機が低空飛行訓練を行う場合においては、ネバダ州やアリゾナ州の砂漠地帯などがレストリクテッドエリア、制限区域として指定をされており、その制限区域でほとんどすべての低空飛行訓練あるいは超低空飛行訓練が行われているということでよろしいでしょうか。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 米国内における米軍の訓練につきましては、その詳細を一々私ども承知をしているわけではございませんけれども、米軍の訓練を行うために、今委員が御指摘になりました制限区域、これはほかの飛行機の飛行が制限されるような区域でございますが、そういうものを設けて、そこにおいて実弾訓練を伴うような低空飛行訓練等が実施されているということは承知をしております。

 ただ、同時に、米側の説明によりますと、一般論としては、そういう制限区域以外においても低空飛行訓練を行う例はあるというふうに説明を受けているところでございます。

川内委員 行う例はあるということでございますけれども、米国本土では、一般住宅地やあるいは都市の上空で軍用戦闘機が低空飛行訓練を行うことはほとんどないという理解でよろしいでしょうか。

梅本政府参考人 そのような理解でよろしいと思います。

川内委員 続いて、防衛省にお伺いいたしますけれども、自衛隊の戦闘機などが日本の住宅地、住宅の上や学校や病院の上やあるいは都市の上空で低空飛行訓練を行うことはあるんでしょうか。

徳地政府参考人 お答えを申し上げます。

 訓練のために自衛隊機が飛行するに際しましては、航空法の第八十一条に従いまして、最低安全高度以上の高度で飛行するということが通常でございます。

 他方、訓練によっては最低安全高度以下の高度で飛行を実施するということもございますが、その実施に当たりましては、航空法の第八十一条の規定に従いまして、国土交通省の許可を得た上で、安全、騒音に配慮いたしまして、人または家屋の密集している地域を避けて実施をするということとしております。

川内委員 いや、だから、実施をすることとしておりますじゃなくて、最近、ここ十年か十五年か、都市の上空で高度百五十メートルで自衛隊の戦闘機が飛行訓練をしたことがあるかと聞いているんですよ。決まりを聞いているんじゃないんだから。

徳地政府参考人 ちょっと繰り返しになって恐縮ですけれども、航空法の第八十一条……(川内委員「いや、だから、決まりを聞いているわけじゃないと言っているじゃない。やったことがあるんですかと聞いているんですよ。ちゃんと答えてよ」と呼ぶ)はい。

 国土交通省の許可を受けて都市の上空で訓練をするということは……(川内委員「やっているかと聞いているんです」と呼ぶ)はい、そういうことはございます。

川内委員 やっているんですか。やっているんですか。

徳地政府参考人 国土交通省の許可を受けた上で実施しているということはございます。

川内委員 では、いつやったの。言って。

徳地政府参考人 ちょっとそれにつきましては、今現在資料を持ち合わせておりませんので……(川内委員「ふざけるなよ、おまえ」と呼ぶ)

河野委員長 川内博史君、言動に気をつけてください。

川内委員 いや、言動に気をつけてくださいって、きのう言っていることと全然違うじゃないか。

徳地政府参考人 大変恐縮でございますけれども、具体的にいつどこでということにつきましては、現在資料を持ち合わせておりませんので、別途調べて御報告はさせていただきます。

河野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河野委員長 速記を起こしてください。

 それでは、運用企画局長、大至急調べてください。委員の質問時間までに答えが戻ってくるかどうかわかりませんが、大至急調べてください。少なくとも、民主党の時間が十一時半までありますから、そこまでには答えが出せるようにしていただきたいと思います。

徳地政府参考人 大至急で調べられるだけ調べますけれども、人または家屋の密集している地域を避けまして、公海上とか演習場とか自衛隊の施設の上空等において実施をするということはございます。

川内委員 委員長、今のは汚いと思いませんか、答え方として。私は、自衛隊は都市の上空、学校や病院の上空で低空飛行訓練をしていますかとちゃんと聞いているじゃないですか。それに対してちゃんと答えずに、今やっと、公海、海の上とか演習場の上とかあるいは自衛隊の施設の上ではやっていますと言うのは、これは、これだけ時間を浪費させたんですよ、私の二十分しかない時間を。町の上ではやっていないでしょう。

河野委員長 徳地運用企画局長、端的に答えてください。

徳地政府参考人 至急調べてお答えをしたいと思います。

河野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河野委員長 速記を起こしてください。

 徳地運用企画局長、明確にわかりやすく答えてください。

徳地政府参考人 大変失礼をいたしました。

 訓練によっては、国土交通省の許可を受けた上で、最低安全高度以下の高度で飛行を実施するということはあるわけでございます。

 ただ、人とか家屋の密集している地域ということは避けることとしておりますけれども、密集している地域の上は避けるということでございますので、下に何かあれば必ずすべて避けるということにはなっておらないということですので、済みません、大変恐縮ですが、今は具体的な資料を持ち合わせておりませんが、したがって、そういう人なりあるいは家屋のあるところ、あるいは学校のあるところの上は絶対飛ばないということはなかなか申し上げることは困難かと思いますけれども、細部については今調べております。

川内委員 大変遺憾であります。

 昨日、私が担当の方に話を聞いたところでは、いや、自衛隊はそんなことは絶対にしません、そんなことできるわけないじゃないですかとおっしゃっていましたよ。それを、きょうは、局長は、学校や病院の上を絶対飛ばないなんてことはない、飛ぶことはあると、実際飛んでいるかのごとき答弁をされているが、それは調べていただいて、厳密に調べていただいて、もし低空飛行訓練を今、日本の国内で自衛隊が行っている実態があるとするならば、それは即座に報告をしていただき、これは大きな問題になると思いますよ、それを本当にやっていたとすれば。やっていないと思いますけれども、私は。

河野委員長 防衛省は可能な限り調べていただきたいと思います。

川内委員 大体、米軍でさえ、制限区域を設けて、そこでやるようにしています、それ以外の地域で低空飛行訓練をすることはないという理解でよろしいと思いますと外務省が答えているわけですよ。そうすると、日本は、軍用機がブンブン低空飛行訓練するんですよ、そういう国なんですよと今防衛省はおっしゃったわけですけれども、ちょっと私は理解できないですね。

 では、ちょっと角度を変えて聞きますけれども、航空法とか同施行規則百七十四条というのに最低安全高度が定められているわけですけれども、人家の密集する地域は三百メートル、それ以外の地域では百五十メートルと最低安全高度が定められているわけですけれども、これはそもそもヘリコプターなどの民間航空機を想定したものであって、有視界飛行をするヘリコプターなどの軽飛行機を想定したものであって、軍用機、なかんずく軍用ジェット戦闘機などを想定した条文ではないということを国土交通省に確認していただきたいと思います。

関口政府参考人 お答えいたします。

 航空法の第八十一条、最低安全高度の規定、今先生御指摘のとおりでございますが、これは航空の安全、特に地上または水上の人または物件の安全を確保することを目的として定められているものでございます。すなわち、飛行中の航空機が事故または故障を生じた場合に比較的損害の生ずるおそれが少ない地点に不時着する等の応急措置をとれるような余裕を飛行高度の観点から要求しているというものでございます。

 通常、航空会社の航空機が最低安全高度付近を飛行することは離着陸の場合を除きまして想定しておりませんで、当該規定につきましては、今御指摘がございましたが、取材や遊覧飛行などを行うヘリコプターなどが行う低空飛行の安全性を確保することを主な目的としているところでございます。

川内委員 大臣、国土交通省がつくっているポンチ絵を見ても、これは、百五十メートルとか三百メートルとヘリコプターの絵を使っているわけですよね。これは当然ですよね。百五十メートルとか三百メートル。

 航空法上の航空機は軍用のジェット戦闘機などを定義としては排除していないけれども、条文が想定している航空機というのは、こういう軽飛行機、ヘリコプターや遊覧飛行機を想定しているわけで、それらの想定をしている条文を、自衛隊や米軍は、いや、航空法八十一条に準拠しているんですと。軽飛行機を想定している条文に準拠されても困るというのが私どもの、下に住んでいる住民の素直な思いではないかというふうに思うんですね。

 日米合同委員会合意には航空法に準拠していると書いてあるわけです。「在日米軍は、国際民間航空機関や日本の航空法により規定される最低高度基準を用いており、」と、軽飛行機を想定した最低高度基準を用いていると合同委員会で決めているわけです。これは明らかに矛盾ですよね。

 環境省にも来ていただいているので、ちょっとお伺いさせていただきたいと思います。

 環境省は、環境基本法によって騒音の環境基準を定めていらっしゃるわけでございますけれども、航空機の離発着などの日常的、恒常的な騒音については環境基準があるというわけです。

 軍用のジェット戦闘機の低空飛行訓練のように、大臣もよく御存じだと思うんですね、軍用ジェット戦闘機が高度二、三百メートルで物すごいフルスピードで頭上を飛んだときのその恐ろしさというのは、これはもう一体何が起きたのかという思いがするわけでございます。

 離発着みたいに日常的に起こるわけではないけれども、月に一回あるいは二回、あるいは週一回がそれぞれ単発の騒音である、単発暴露騒音と環境省はおっしゃっていらっしゃるわけですが、この単発暴露騒音の基準というものも設けて、下に住んでいる人たちの生活の安心、安全というものをしっかり守るようにしていただきたいなと思うんですけれども、検討していただく御意向はございますでしょうか。

白石政府参考人 今御指摘いただきました現行の航空機騒音に関する環境基準でございますけれども、これはちょっと歴史的にさかのぼりますと、国際民間航空機関、ICAOが提唱した評価方式を基礎といたしまして、昭和四十八年の中央公害対策審議会の答申を踏まえて設定をしておりまして、これを平成十九年の十二月には環境基準を改正し、施行は平成二十五年四月一日からでございますけれども、新たな基準をつくることとなっております。

 EU諸国あるいは米国を初め国際的に幅広く採用されている、騒音の総暴露量を正確に評価できる等価騒音レベルというやり方をとるのが世界的に大勢でございまして、その中では、瞬間最大風速と申しましょうか、単発の暴露騒音を評価するという方式をとっておらないところでございます。

 もっとも、いろいろな方式というのは、測定の方法とかその周辺の状態をどう見るかということにかかわりますので、全くそういう可能性がないかというと、論理的にはそういうことでもないとは思いますけれども、世界的に見て、現行の騒音の評価というものは、一定の期間内のものの総和を一定の計算式に出すという方式をとっているところでございます。

 その方式を我々も準拠するわけでございますけれども、もちろん、今後、ICAOや諸外国の動向で、何かそういうやり方をとることが技術的にも可能だし、とるべきだというふうなことになってくるならば、その動向というものを私ども踏まえなきゃならないと考えております。

川内委員 最後に中曽根大臣にお伺いします。

 私は、このたび改めて、米軍戦闘機の低空飛行訓練について、外務省、防衛省、国土交通省、環境省の説明を受けました。そこでわかったことは、法律上は、米軍の戦闘機は日本の上空のどこでも、百五十メートル、三百メートルという高度を守っていさえすれば全く何の規制も受けず自由自在に飛び回ることができる、妥当な考慮を払っているんですよと言いさえすればいいと。平成十一年の日米合同委員会合意があるだけであります。

 しかし、その日米合同委員会合意は航空法にのっとっているというふうに言っているわけですが、航空法八十一条は軽飛行機を想定したものである、ヘリコプターを想定したものであると。したがって、軍用ジェット戦闘機に航空法八十一条にのっとっていると言われても困るわけです。

 私は、日米合同委員会合意をもう一度、この低空飛行訓練については見直すと。その高度について、国際民間航空条約なども最低高度は百五十メートル以上、三百メートル以上と書いてあるわけですから、飛行機の種類によって最低安全高度を変えるというのは、当然にあってしかるべき判断であるというふうに思います。

 中曽根大臣、日米合同委員会を開き、この最低安全高度については、大臣の御地元の問題でもありますから、議論をするというお考えをお持ちになられたかどうか、きょうの議論を聞かれて。御所見を承りたいと思います。

中曽根国務大臣 住民の皆さんに対する影響といいますか、騒音を初めとして、爆音を初めとして、被害ができるだけないように安全面にも注意を払ってやるにはどうしたらいいかということは、政府内でよく検討していきたい、そういうふうに思っております。

川内委員 いや、外務大臣、政府内で検討するだけではなく、米国側とも相談をしたい、米国側にも話を持ちかけたいということでよろしいでしょうか。

中曽根国務大臣 今申し上げたのは、まず政府内で議論して、よく検討するということでありますが、それを踏まえて、必要によっては米側と協議するということは、私は当然のことだと思います。

川内委員 終わります。

河野委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正でございます。

 それでは、質疑を行わせていただきます。

 まず、村田元事務次官の核持ち込み密約報道について伺いたいと思います。

 村田元事務次官は、報道の中で、どういった内容がその封筒に入った紙一枚に書いてあったかという中で、このように述べております。核を搭載した米艦船の寄港及び領海通過には事前協議は必要ではない、こういったことが書いてあった、これを倉成、宇野元外相に伝えたということが述べられているわけであります。

 私はやはり、この間政府が否定をしてきたこのいわゆる密約報道、先ほども既にやりとりがありましたが、いわゆるライシャワー発言、八一年、日米間口頭了解があるんだ、核搭載をした艦船の寄港を認めるという口頭了解があるんだと。また、六三年の大平文書、核を積んだ米艦船の寄港、そして通過は認める、こういう文書がアメリカ国立公文書館で見つかった。こういったことを含めたさまざまな報道がこの間あった中で、外務次官を経験された、八七年七月に外務事務次官に就任をされた方からのこのインタビュー、これは極めて、これまでの政府の、また今回の官房長官の、外務大臣の発言を、密約はないということを覆すものであるというふうに思うわけであります。

 私は、この後触れるいわゆるアメリカの拡大抑止、核の傘を含んだ拡大抑止、こうしたことの事実、実態をやはり国会でも明らかにしていく必要がある。というのは、実際、今、日本は当然認めない、核保有国として認めないということは政府も表明をして、私もそのとおりと思いますが、北朝鮮の核開発、あるいは拉致、核、ミサイルという、こうした国への対応ということも含めますと、このいわゆる米国の拡大抑止の実態というものも、やはりつぶさに明らかにしていく必要があるだろうと。そして、日本の防衛、安全保障の議論をきちっとやはり国民の皆さんにも見える形で国会で行う必要がある。

 ちょうどそういう時期を迎えている中で、村田元外務事務次官、経験者の発言というものを、いや、密約はありませんという通り一遍の答えで終始をする時期なのかどうかということは、私は、やはり政府が極めて今重い判断、決断をすべき時期にあるというふうに思うわけですが、改めて、この事務次官の発言を受けてどのように政府としてお考えなのか、密約の存在についてどのように御所見をお持ちなのか、お答えをいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 先ほどからの御質疑でありますように、元次官のこの御発言による新聞記事というものは私どもも十分承知しているところでございますけれども、これはもう従来から申し上げておりますとおり、御指摘のような密約は存在しないわけでございまして、このことにつきましては、もうこれも再三申し上げておりますけれども、歴代の総理大臣また外務大臣がかかる密約というものを明確に否定をしているところでございます。

武正委員 今回、村田さんの報道の中で、招致が強制的でなければ断りたいというような報道がありまして、外務省にはいろいろお世話になったからというようなことが述べられているわけです。私は、場合によっては証人喚問ということも含めて、当然、先ほども同僚委員から指摘のあった国家公務員の守秘義務等もあるわけですが、そうはいっても、やはりここでこのことを明らかにしていく必要があるんだ、日本の国防、外交、安全保障上というようなことをお考えの中で発言をされているというふうにかんがみますと、証人喚問も含めた国会に来ていただくような対応、あるいは、お住まいが京都ということも聞いておりますし、そういった意味では、京都に出向いて話を聞くということも含めて、私は委員会として対応が必要だと思いますが、この点、理事会の協議を改めてお願いしたいと思います。

河野委員長 理事会で協議させていただきます。

武正委員 そこで、前、外務大臣には、いわゆる公文書の公開ということでやりとりをさせていただきました。今国会でも、公文書等管理法案が可決、成立をいたしております。民主党など野党の要求に基づいて、いわゆる文書の廃棄については内閣総理大臣の同意が必要であるというような修正も含めた合意をした。そして、可決、成立をいたしました。

 外交史料館も国立公文書館等ということで含まれるということでありますが、前、外務大臣には、この外交史料館に行かれましたかと。まだです、行ってみたい、行きますというお話があったんですが、行かれましたでしょうか。

中曽根国務大臣 残念ながら、まだ行っておりません。できるだけ早く行きたいとはずっと思っているところでございます。

武正委員 解散・総選挙も言われておりますので、ぜひいち早く行かれるように求めたいというふうに思っております。

 なぜこういうことを言うかというと、国にとってその公開が国益を損じる、あるいは国防上さまざまな問題があるということを理由に、これまで、特に外交文書の公開が日本は非常に後ろ向きである、諸外国で文書が公開されているのに日本で公開されないということが、今回のこの密約も含めてさまざま指摘をされている。私は、日本の外交、安全保障にとってそれがデメリットになっているのではないかなというふうに思うんですね。私は、外交文書の三十年公開ルールというものはやはり原則徹底すべきであろうというふうに思いますので、この点も含めて、外交史料館の訪問をお願いしたいと思います。

 そこで、次に移らせていただきますが、資料を配らせていただきました。前回もこの点をやりとりしたんですが、いわゆる拡大抑止と地域非核地帯構想との整合性というようなものもやはり必要になってくるかなということであります。お手元にありますが、こうした非核地帯構想について、外務大臣としての御所見を伺いたいと思うんです。

 前回の委員会で、麻生当時外務大臣のときに、二〇〇六年六月五日、中央アジアプラス日本の対話第二回外相会合で、特に中央アジアのセメイ条約の締結のために四十二万ドルを国連事務局に提出する、こういったことを外務大臣として当時述べておられます。そしてまた、ちょうどきのう、日本国際問題研究所でも、中央アジアを重視する、そういう政策も発表されております。

 例えば、こういう非核地帯構想について核保有国がしっかりとコミットをしていくということは大変大事だというふうに思うんですけれども、まず、この中央アジアについて、そういったコメントも述べている中で、この非核地帯構想について外務大臣としてどのようにお考えなのか御所見と、そうしたものに核保有国が積極的に関与すべきだ、これについて日本として働きかけをしておられるのか、あるいは、していく意思があるのか、お答えをいただきたいと思います。

伊藤副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のいわゆる非核地帯構想について、一般的に言えば、世界と当該地域の平和と安定に資するものであること、そしてまた、核兵器国を含むすべての関係国の同意が得られること等の適切な条件が満たされるのであれば、核拡散の防止等の目的に資するものであるというふうに考えております。

 しかしながら、現在我が国を取り巻く北東アジアにおいては、依然として不透明な要素や緊張関係が存在していること、そしてまた、現実に核戦力を含む大規模な軍事力が存在すること等により、現在においては非核地帯構想の実現のための現実的な環境はまだ整っていないというふうに認識しております。

 特に、ことしの例で見てもわかるように、北朝鮮による今回の核実験実施、これはもちろん世界的な核軍縮の機運に逆行するものでありますし、国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦であります。まずは、北朝鮮の核放棄の実現に向け努力する必要があります。

 そういった中において、また、我が国は、米国との安全保障条約を堅持して、それがもたらす核抑止を含む抑止力を重要な柱として、我が国の防衛、自国の安全を確保しているわけでございます。これとともに、核兵器を含む軍備削減、国際的な核不拡散体制の維持強化等の努力を重ねて、究極として、核兵器の必要のない平和な国際社会をつくっていくという道筋をしっかり歩んでいくことが重要だというふうに考えております。

武正委員 前も取り上げましたが、外務大臣は、世界的核軍縮のための十一の指標を発表されております。その中で、国際社会全体による措置、多国間措置というものをうたっておりまして、そこに核実験の禁止というものを第一に挙げております。

 そういった意味では、まず、今取り上げました、前回も取り上げましたが、中央アジア非核兵器地帯条約について核兵器国がコミットをしていく、そういう働きかけというものを日本政府としてしていくべきではないのか。今、副大臣は北東アジアの話を先にされてしまいましたけれども、私は、それこそ外務大臣のこの趣旨からいえば、こうした各地域にある非核兵器地帯構想、条約に核兵器国がしっかりとコミットするように日本として働きかけたらどうですかということで提案をしているんですが、このことはいかがでしょうか。中央アジアも含めて、中央アジアはまだ核兵器国は批准をしていないわけなんですけれども、いかがでしょうか。そういった意思なり考えはあるのかどうか。

伊藤副大臣 御指摘の条約、それぞれの地域の平和と安定の強化に向けての努力のあらわれであるというふうにポジティブに受けとめております。

 それ以上、ちょっと私の立場からは申し上げられません、恐縮でございますが。

武正委員 十一の指標を述べられたのは外務大臣ですので、外務大臣、いかがでしょうか。中央アジア非核兵器地帯条約、五カ国のいわゆる核保有国はまだ批准をしていないんですが、そうした働きかけをしたらどうかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

中曽根国務大臣 御紹介いただきましたように、世界の各地にそのような非核地帯条約というようなものがあるわけでありますけれども、これらの条約は、それぞれの地域の平和と安定の強化に向けての努力のあらわれである、そういうふうにまず受けとめております。

 すべての核兵器国が現在のところは署名とか批准を終えている状況ではない、そういう中におきましてこういうような条約が実効性を持って機能できるのかどうか、そこが一番ポイントだと思っておりまして、私どもとしては、引き続きこういう動向を注視していきたい、そういうふうに思っているところであります。

武正委員 中央アジアの非核兵器地帯条約、セメイ条約は本年の三月二十一日に発効しておりますので、まだ核兵器保有国五カ国は批准をしていない、時間的な問題があると思うんですが。

 この図で順に御説明いたしますと、右上、ラテンアメリカ及びカリブ核兵器禁止条約については、追加議定書2で米、英、仏、ロ、中、いわゆる五カ国はいずれもこの地域、締約国に対して核の使用もしくは威嚇はしないという批准をしております。

 続いて、右下、南太平洋非核地帯条約につきましては、議定書2及び3、それぞれでありますが、議定書2では使用及び威嚇はしない、これは中、ロ、英、仏が批准、米国は署名のみ。同じく中、ロ、英、仏が議定書3について批准、アメリカは署名のみ。これは実験でございます。南太平洋地域における実験についても、中、ロ、英、仏は、しないというふうに批准をしております。アメリカは署名のみということであります。

 それから、バンコク条約、左下でありますが、これはこの間もやりとりしましたが、中、ロはASEAN拡大外相会議で署名をしたいということを表明したんですけれども、まだ署名の見通しが立っていないということで、バンコク条約はまだ五カ国は批准をしていないということです。

 それから、左の真ん中、アフリカ非核兵器地帯条約については、これも議定書がありまして、一番目が、先ほどと同じ、核の使用、威嚇をしないということについては仏、中、英が批准、ロと米は署名のみ。それから二番目の議定書、実験はしないと言っているのは同じく仏、中、英。ロと米は署名のみということであります。

 核兵器保有国は、このように、非常に関与をしている。いわゆる核を使用しない、威嚇もしない、場合によっては実験もしないということをやっております。それこそ中央アジアも含めて、あるいは、特に日本がかかわりの深い、今月ですか、ASEAN地域フォーラムにも外務大臣も行かれるんでしょうか、こういった中で、もっと主体的に核兵器保有国に対して批准の働きかけ、あるいは実験についても、外務大臣も述べているわけですから、核実験の禁止を十一の指標で言っておられ、国際社会全体における措置、多国間措置をうたっているわけですから、私は積極的にかかわっていくべきだと思いますが、御所見を伺いたいと思います。外務大臣、いかがでしょうか。

中曽根国務大臣 我々としては、よく研究をしてみたいと思いますし、問題があるのか、あるとしたらどういうところなのか、そういうものをよく検討した上で判断していきたいと思っております。

武正委員 というのは、先ほど外務副大臣が答えられましたが、北東アジア地域における非核兵器地帯構想、こういったものがあるわけなんですね。

 もちろん、北朝鮮の拉致、核、ミサイルということ、また核保有国としては絶対認めないんだということも、この間、日韓の首脳会談でも確認もし、また潘基文事務総長との間でも確認もしたというふうに聞いております。ただ、やはり日本として、非核兵器地帯構想というものも視野に、一つ選択肢としてあってもいいのではないのかな。そのときに議定書で、いわゆる核保有国の関与というものもしっかりと、しないんだということもなければそういう非核兵器地帯構想というものは有名無実になるということでありますから、当然、先進事例を参考にしていくべきだろうと思います。

 そしてまた、特に、ASEAN地域フォーラムに参加もするわけでありますので、ここには米、中、ロも参加をいたしますので、先ほども取り上げました、いわゆるバンコク条約について核兵器保有国の関与というものも求めていくべきではないかというふうに思います。

 そこで、過日G8外相会談に参加をされた外務大臣に伺いたいんですが、前回、この場でミャンマーのことも取り上げさせていただきまして、長井健司さんへの対応ということで、ミャンマー政府とのやりとりの中でもなかなかそれこそ要領を得ない。そういった中で、警察庁もしっかりと外務省から同席をさせるべきではないのか、警察庁も絡めて対応をと求めたわけですが、G8外相会談でミャンマーについてどのようなやりとりがあり、どのような合意をされたのか、お答えをいただければと思います。

中曽根国務大臣 G8外相会議がイタリアのトリエステで開催されたわけでありますけれども、ここでは、国際社会が現在直面しておりますいろいろな政治問題、課題について議論を行いました。また、御案内のとおり、力強いメッセージも発出することができたところでございます。

 この中でのミャンマーについてでございますけれども、これは議長声明の中でもミャンマーのことにつきまして述べております。最近のミャンマーの情勢というものに対しG8として深い懸念を表明し、特にアウン・サン・スー・チー女史を含むすべての政治犯の釈放をミャンマー政府に求めているところであります。また、国連事務総長の周旋努力、これを支持し、そして事務総長特別顧問及び人権特別報告者との協力をミャンマー政府に求めるとともに、ミャンマーが実施をいたします政治的進展に対しまして引き続きG8として前向きに対応する、そういう用意を表明しているものでございます。

武正委員 日英外相会談でもミャンマーについて取り上げておりますけれども、私はやはり、長井健司さんの事件の解決ということも含めて、ミャンマーの人権状況の解決ということで、この間はICCに国連安保理からそういった意味で解決を求めていく、こういったことも提案をしたわけですが、日英外相会談あるいはG8外相会談でそうした点について表明をされているのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、松浪(健四郎)委員長代理着席〕

中曽根国務大臣 日英の外相会談につきましては、来年、ミャンマーが総選挙を控えているということもありまして、先ほど申し上げましたような政治犯の釈放等、こういうことについて進展が見られていないということを英国側からも懸念する発言がございました。

 私の方は、先ほど申し上げておりますけれども、アウン・サン・スー・チー女史の拘束と同氏に対する訴追を懸念しておりまして、先月、ハノイでミャンマーのニャン・ウイン外相にも会いましてこのことをお伝えいたしました、そして、国際社会との関係においては今が非常に重要なタイミングでありますので適切に行動するべきである、そしてさらに、国際社会に祝福される形で民主化プロセスを進めることが重要である、そういうふうに伝達をしたということを述べたところでございます。

武正委員 時間も限りがありますので、最後の質問に移ります。

 間もなくイタリアでサミットが行われ、その中で日ロ首脳会談も予定をされている。メドベージェフ大統領との間で領土交渉を行うんだということがかねてから言われております。

 この委員会でも、谷内政府代表に出席をいただき、いわゆる三・五島返還論、こういったものについての質疑も行いました。当日、谷内政府代表からは、四島とか二島とかゼロ島とかいう話の流れの中で三・五島ということも言っている、ただ、出口論としては三・五島は言っていないと。三・五島論について触れたことは認められたわけでありまして、そうした大きな構図の中で日ロのこの領土交渉を位置づけたいということは、政府代表としてもかねてから、また委員会でも言われたわけであります。

 今度の日ロの首脳会談での領土交渉。私はやはり、いわゆる三・五島返還論という枠組みではなくて、きちっと、我が国固有の領土ということで堂々と領土交渉を展開してほしいというふうに思いますが、見通しについてお答えをいただければと思います。

伊藤副大臣 北方領土問題について、二月の首脳会談において、麻生総理からメドベージェフ大統領に対して、ロシア側に平和条約問題について具体的な進展を図る用意がないのであれば、アジア太平洋地域における重要なパートナーとしての関係を構築することはならないという旨を伝えて、北方四島の帰属の問題を最終的に解決するためにロシア側の取り組みの姿勢を強く問いかけたところであります。

 いよいよ来週、イタリアで、G8サミットの際、首脳会談が行われる予定でございますけれども、ロシア側がこうした問いかけに対して答えを出すことを強く期待しているわけでありますし、いろいろなレベルにおいてその答えが出るように努力をしているというところでございます。

武正委員 外務大臣に伺いたいんですが、いわゆるこうした三・五島返還論ということで、やはり、そういう我が国固有の領土、北方領土四島について、きちっとその帰属を確認し、平和条約の締結をと。そのときには前提条件があり、歴史的な経緯、法と正義等、こういったものがやはり前提でしっかりあるんだという九三年東京宣言をもって交渉するということで、日ロ首脳会談、領土交渉が行われるということで再確認をしたいと思いますが、いかがでしょうか。

中曽根国務大臣 今委員がおっしゃったようなことを踏まえて領土交渉は行われるべきであると思っておりますし、イタリアにおけるサミットにおきまして、メドベージェフ大統領と麻生総理との間でこの問題について真剣な議論が行われるもの、そういうふうに思っております。また、その会談などにおきまして、北方領土の解決に向けて大きな進展が得られることを期待しているところでございます。

武正委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

    〔松浪(健四郎)委員長代理退席、委員長着席〕

河野委員長 この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。防衛省徳地運用企画局長。

徳地政府参考人 先ほどは大変失礼をいたしました。

 川内委員の御質問に対してお答えいたします。

 自衛隊の航空機が最低安全高度以下の高度での飛行を伴う訓練を行う場合には、国土交通省の許可を受けた上で、地上におきましては、飛行場の上空や演習場の上空で訓練を実施することがございます。この際に、国土交通省の方からは、その飛行場等の周辺も含めて許可を受けることがございますが、実際には、飛行場の上空それから演習場の上空でのみ最低安全高度以下の高度で飛行をする訓練を行うということに努めております。したがいまして、飛行場等の周辺の市街地などの人口密集地は避けるようにしているところでございます。

 以上でございます。

河野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河野委員長 速記を起こしてください。

 防衛省徳地運用企画局長、事実確認をお願いします。

徳地政府参考人 お答えをいたします。

 実際には、飛行場の上空それから演習場の上空以外の場所で最低安全高度以下の高度での飛行を伴う訓練をしているということはございません。

河野委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 国連の世界金融経済危機と開発に与える影響に関する会議が、去る六月二十四日から三日間、ニューヨーク国連本部で開催されました。

 まず冒頭に、中曽根大臣、この会議に先立って前回の当委員会で日本政府の対応について私、質問いたしましたが、今回の会議の成果とその評価について伺いたいと思います。

中曽根国務大臣 国連のハイレベル会合は、六月の二十四日から二十六日までニューヨークで開かれたわけでありますが、我が国の代表として御法川外務大臣政務官に出席をしていただきました。

 この会合は、途上国を含む多くの国が参加する国連の場におきまして、世界金融経済危機をめぐる状況や、それから国連が果たすべき役割を再確認するとともに、先進国と途上国が一丸となって今後の危機対策を講じていくことを確認する大変有意義な機会となったと思います。

 我が国といたしましては、今後とも、途上国の声にも耳を傾けつつ、国際社会と協調しながら世界経済の早期回復とその安定化のために全力を尽くしてまいる考えでございます。

笠井委員 デスコト国連総会議長は、この会議で、世界の多様化とグローバル化に対応した新しい共存の規範の探求を強調し、そして、これはG192だということを強調しました。会議の討論も、それにこたえて、世界の構造変化を鋭く反映したものになったと思います。

 この会議で成果文書というのが採択されまして、私もこの英文、ここにいただきましたけれども、その中で、危機はとりわけ途上国に悪影響を与えているとして、先進国に対して中低所得国へのさらなる資金的支援を要求するとともに、金融経済システム自体、ブレトンウッズ機関、IMFと世界銀行を改革する緊急の必要性というのを強調し、改革への新興国や途上国の参加を強化すべきだと求めております。

 そこで、大臣、間近に迫った主要八カ国首脳会議、G8サミットにおいてはこうした今回の会議の提起にどうこたえるかが当然問われることになると思います。日本政府としてどのような姿勢で、今回のこの国連の会議を踏まえてG8サミットに臨むおつもりでしょうか。伺いたいと思います。

伊藤副大臣 御指摘のように、世界が直面している金融経済危機はまさに大恐慌以来の最悪なものであり、それへの具体的対応については、途上国から多くの閣僚級が参加した今次の会合の結果を踏まえて、G8のサミットの場でもしかるべき議論がされなければならないというふうに考えております。

 したがいまして、我が国としては、今後とも、途上国の声によくよく耳を傾けて、そして、世界的ないろいろなバランスというものが適正な形でとられるように、国際社会と協調しながら世界経済の早期回復とその安定化のために全力を尽くすという考えでございます。

笠井委員 重要な問題が幾つかあったわけですが、今、米ドルを世界の基軸通貨とする体制を見直す機運が強まっていて、通貨問題での地域協力の重要性も広く認識されてきております。今回の成果文書でも、米ドルにかわる新たな準備通貨システムの実現可能性について、検討を求める多くの国の声を認識するということも言われております。我が国経済も内需主導での自律的発展を迫られている。そのためにも、今こそ米ドル体制の見直しへの転換が必要だということを指摘したいと思います。

 次に、別の問題なんですが、ベトナムにあるハノイ日本人学校について伺いたいと思うんですが、文部科学省、お見えだと思います。この学校の校長と教頭は文科省からの派遣で、事務局長は文科省、外務省共管の公益法人海外子女振興財団からの派遣ということで間違いないでしょうか。その事実だけ確認してください。

前川政府参考人 おっしゃるとおりで間違いございません。

笠井委員 ところが、その管理職三名によって男女差別、パワーハラスメントによって解雇などに追いやられたという訴えが、同校で働いていた女性の事務や教諭らから私のところに寄せられました。

 訴えを聞きますと多岐にわたる極めて深刻な内容で、ここに文書はあるんですけれども、例えば、昨年来、校長からは、事務局長に無視されてもあいさつしろ、それが上司に対する態度だ、毎回お礼を言え、管理職に対する態度を改めろと注意を受けた。さらに、この学校に不満があるならどうぞ帰ってください、あなたがいなくてもまた財団から新しい人を雇うことができると言われたということであります。

 教頭からは、運動会練習などでジャージーを着用していて、その服装は何ですかと注意されたり、掃除担当の用務員の方がいるにもかかわらずトイレ掃除を急に指示されて、職員用の男子トイレの掃除もやれと言われた。

 事務局長からは、女性の書くものはよくわからないということを言われて、提出した文書をまともに読んでもらえなかった。また、飲みに行くことを強要されて、遅い時間まで引きとめられて、私に嫌われたら大変なことになりますよ、私の言うことを聞いていればいいと圧力をかけられたりしたということであります。現地のベトナム人スタッフへの対応も極めて悪いということが何人からも言われている。

 文科省は、このような事態があることを承知されているのか。学校教育法に基づく義務教育に準じる学校の現場で、このようなパワーハラスメント、男女差別、人権侵害があるとすれば、これは重大ではないかと思うんですが、伺いたいと思います。

前川政府参考人 御指摘の件に関しましては、その先生御本人から文部科学省にもメールが届いております。それにつきましては、私どもも校長から事情を聴取したところでございます。

 海外日本人学校の管理運営、あるいは職員の配置の仕組みというのはやや複雑でございまして、この日本人学校は、現地の日本人会などが協力して設置しているという性格のものでございます。その管理運営につきましては、学校運営委員会等という組織を設けてその責任を果たしている、こういう仕組みになっております。

 日本人学校の運営に関しましては、各学校において、学校運営委員会等のもとで学則でありますとか運営上の諸規則などが制定されて、それらに基づいて運営されている、こういう体制になっているわけでございます。

 文部科学省としては、その学校運営委員会等が管理する学校に公立学校の教員を派遣するという仕組みをつくっているところでございまして、御指摘の校長、教頭はその派遣で公立学校の教員が赴いているわけでございますが、御指摘のその先生というのは派遣に基づく教諭ではございませんでして、海外子女教育財団を通じまして、学校運営委員会が直接現地において任用している、雇用している、こういう職員でございます。校長、教頭のもとで仕事をしているわけでございますので、学校運営委員会のもとでの学則や運営上の諸規則に基づいて人事管理が行われていると承知しているわけでございます。

 お問い合わせ、御指摘の内容、パワハラでありますとかさまざまな問題に関しまして、先生本人からの申し出もございましたので、校長に事実の確認を行いました。私どもは、校長の言い分は聞いておるわけでございますけれども、まず校長自身が、その事実関係を再度確認した上で、日本人学校の運営の責任者でありますハノイ日本人学校学校理事会の理事長にきちんと報告するように、こういう指導をしております。

 校長自身の申し分といたしましては、この先生から指摘されているような事実はないという回答をしてきておるわけでございますけれども、そもそも疑いを持たれること自体に問題があるおそれがあると考えておりますので、十分注意するように指導はいたしております。

 今後とも、文部科学省といたしましては、在ベトナム日本国大使館あるいはハノイ日本人学校理事会と協力いたしまして、このハノイ日本人学校の健全な運営を確保してまいりたいというふうに考えているところでございます。

笠井委員 これは、訴えたのは一人じゃないんです。たくさんいらっしゃるんですね。パワハラというのは、今ありましたが、与えた本人がそういうつもりでなかったとしても、受けた側が人権を傷つけられたりしたというふうに受けとめることが本当に重大な問題でありまして、管理職の言い分だけ聞いて注意する程度では済まないと思います。

 しかも、同校では、パワハラだけじゃなくて体罰まで起きているというふうに聞いております。昨年十月、運動会の応援練習中に教頭が、無抵抗の児童、小学部一年生に近づいて背後から腰の上あたりをげんこつで勢いをつけてどすんと一回殴ったり、げんこつで数発頭部を殴る体罰を行ったことが目撃されております。体罰は学校教育法十一条で禁止をされておって、こんなことが放置されていいのかという声が上がっている。

 ある女性教諭は、また別の方ですが、思い余ってことし一月、文科省ホームページの外部公益通報窓口あてにメールを送った。そうすると文科省の担当者から電話があって、校長に話し合いの場を持ってくださいと言うことしかできないという回答だった。話し合いにならないから文科省に訴えたと言っても、話し合いになるかどうかは私にわかりませんというふうに文科省の担当者から言われて、これが最後の頼みの綱だったのにとショックだったということを言われております。それ以外にも、保護者も含めて十数人が通報したけれども、一向にこれは解決しないということで私のところに訴えが来たわけであります。しかも、訴えのメールが無断で管理職側に転送されているというふうなことも聞きました。これでは問題をこじらせるだけではないかと思うんです。

 私はこれを持ってきましたけれども、文科省のホームページを見ますと、文部科学省の外部公益通報制度というのがあって、お知らせくださいというのがありまして、処理要綱というのもあります。文部科学省外部公益通報処理要綱というのがあって、ここでは、通報を受けた際には遅滞なくチームを設置するなど調査の実施、それから通知者への措置の通知、秘密保持などが定められているわけですけれども、文科省は今回の件について、この要綱に従ってどのように処理したんでしょうか。

前川政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、日本人学校の管理に関しましては……(笠井委員「要綱に従って、この要綱について聞いているんです」と呼ぶ)はい。

 私ども、この件に関しましては、再度校長から事情を聴取して事実関係を明らかにしたいというふうに考えております。その上で適切な対処をしたいと考えております。

笠井委員 私が聞いているのは、文科省が、わざわざ公益通報の制度がありますよ、外部から、いろいろあったら、言ってもらえば秘密は保持しますから、どうか、解決するために処理しますから、チームをつくってやりますからというふうなことまで明らかにして、要綱をつくってホームページでやっている。これに基づいてやむにやまれず通報したら、結局はその担当者から電話一本という形で、しかもその情報自体が管理者側に回ったんじゃないか、メールが転送されたんじゃないかと言われているわけですよ。ちゃんと制度があるのに、これにのっとってやったのかどうかということなんですよ、今まで。

河野委員長 文部科学省前川大臣官房審議官、的確にお答えください。

前川政府参考人 この日本人学校の所在するのがハノイであるということ、その管理者が現地の日本人会がつくっている学校理事会である、こういう仕組みのもとに日本人学校がありますものですから、なかなか公益通報制度そのものにのっとって対応するということが難しい、そういう事情がございますが、しかし、そういう御指摘があったということは事実でございますので、今後さらに事実関係をはっきりさせたいというふうに考えております。

笠井委員 訴えた側は、この通報制度に基づいてやったんですよ。

 通報制度は、冒頭に書いてあるんです。文科省において受け付ける公益通報というのは、以下の法律に規定されている罰則に違反する事実が生じている場合や、まさに生じようとしている場合にということで、学校教育法と冒頭にあります。日本人学校はその現地でつくられたとか経過があったとしたって、学校教育法に基づく義務教育に準じてやっているわけでしょう。そこで起こっていることについて、そこにいる人たちがおかしいと思ったことについて声を上げて文科省に言っても、それがちゃんとそれに基づいて処理されていないというのは重大じゃないですか。

前川政府参考人 学校教育法そのものは日本人学校に適用されないわけでありますけれども、日本の学校に準じる教育を行っていることは事実でございますので、日本の学校で許されない行為は日本人学校においても許されないというふうに考えております。

 ただ、学校教育法に基づく体罰の禁止の規定は、それ自体は日本人学校に及ぶものではございませんので、この点に関しましては、私どもの方で改めてハノイの日本人学校の方に事実関係を確かめたいと思っております。

笠井委員 及ばないというのは驚いちゃったんですけれども、何をやってもいいということになりますか、そうしたら。体罰の禁止の話も。

 私は、管理職への注意喚起や当事者の話し合いではなかなか済まされないと。この方たちは、不当解雇と思っても、労働組合もなくて訴えるすべもなくて、おかしいと思いながらも、声を上げると自分の立場が、財団から派遣とかいろいろあるということで、もう居続けられなくなるということで、上げられないのが現状であります。そういうふうに聞いております。

 通報制度を設けて、受けた以上、これに基づいてきちっとルーチンで、枠組みがあるわけですから、対応して解決するのが当然だと思います。きちんと調査に乗り出して、聞いてみると言われましたけれども、是正指導すべきだと。その上で、どのように改善したかをきちっと報告してもらいたいと思います。これはちょっと答弁をひとつ求めたい。

 それからあわせて、もう時間がないので、最後、外務大臣ですが、外務省もこれはよそごとじゃないと思うんですね。ことし三月、職員ら十一人が在ベトナム領事に訴えたということでありますが、学校運営理事会というのが構成されていて、領事はオブザーバーということで何もできないんだということを言われたという回答だったんです。

 そこで、大臣に伺いたいのは、事実経過、細かいことはまた御存じないかもしれませんが、文科大臣も務められたわけで、本来、海外の日本人学校の役割と期待というのは大きいと思います。当然、子供たちは本国と同様にひとしく教育を受ける権利があるし、派遣される教員、職員も誇りを持って気持ちよく教育に携われるようにすべきだと思うんです。ところが、パワハラや子供への体罰が放置されて教職員が萎縮させられているとすれば、これはゆゆしき事態だ。学校現場がこういう状況では本当の教育はできない、海外であっても準じる教育をやっているわけですから。

 そういう点での大きな意味での大臣の所見と、外務省としてどう対応されるかについて伺いたいと思います。

 まず文科省、それから大臣ということで。

前川政府参考人 先生の御指摘を踏まえまして、改めまして事実関係をきっちりと調べまして、しかるべく対処したいと思います。

中曽根国務大臣 今、世界各地で、日本人といいますか国民がいろいろな場で活躍しておりまして、それに伴ってその子女も現地で勉強しているわけであります。

 私たちとしては、学校運営、これは問題があれば、今文科省からも話がありましたように、これの運営が我が国が直接のものではないにしても、子供の教育環境ということを考えれば、いい環境で伸び伸びと勉強できるということは大事でありますし、同時に、立派な日本人であり、また国際人である必要がありますので、そういう点も含めた教育がなされるように、外務省としては、日本人学校それから補習授業校に対しましても、できる限りの支援を行っていきたいと思っています。

笠井委員 終わります。

河野委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 本日は、先週行われました二つの国際会議、六月二十五日木曜日にはイタリアでのG8外相会議、それから同日には同じくヨーロッパ、ドイツで、ドイツ外務省主催のクラスター爆弾の破棄に関する国際会議が開かれましたが、この両会議について質問をしたいと思っております。

 それに先立ちまして、先ほどから日米の核密約の問題が本委員会でも取り上げられておりますので、中曽根外務大臣にお聞きしたいことがございます。

 私は、時代は変わったと思うんです。戦後の混乱期に、日本が敗戦の後、各国とどのような関係を取り結ぶか、日米の関係のかじ取りも非常に難しかったことは、先輩たちのさまざまな御苦難の中で想像がつくところなんですね。

 しかし、外交も含めまして、社会も変わりました。その後、我が国では情報公開法もできました。それから、まだアメリカなどが持っておりますさまざまな公文書の解除といいますか公開の原則はできておりませんけれども、情報公開、それから外交の透明性ということも重要になってきております。

 それと、もう一つ政治状況が変わったのは、やはり政権交代があり得る政治形態に変わってきているということだと思うんですね。今までのように、ずっと同じ人たちが同じような発想でではなく、いろいろな発想で、政権がかわることにもたえ得る外交や政策を実行していかなきゃいけないという時代に入ってきております。ですから、私は、今回のこの日米核密約問題がその一つの転換点になるのではないか、していかなきゃいけないなというように思うんです。

 ですから、何も恥ずかしいこととか、それから歴史上こういうことはあるでしょう。そういうことをきちんと一つの歴史のターニングポイントで前に進めていく。国民の立場に立って、外交だけではありません、いろいろな問題を前に進めていくことが大事で、今、日本はそういう時点に立っているのではないかという観点から総理大臣にお伺いします。(発言する者あり)総理大臣じゃない、中曽根外務大臣に、お父さんのことを、お父さんに聞きましたかとちょっと聞きたいと思っておりましたので。

 昔の事務次官の方の御証言なんですが、この件に関して現事務次官に外務大臣は問いただされたのか。

 それから、御自身はそんな話は聞いていないとおっしゃっているわけなんですが、普通、私がもしも外務大臣で、自分が知らされていなかったら、自分だけ知らされていないんじゃないかと思って、ずっと歴代の外務大臣に電話でもかけて、こんなこと聞いたか、聞いたかとやると思うんですね。しませんか。(発言する者あり)するよね。それが私は大事なことだと思うんですよ。やはり外交をつかさどっていらっしゃる、特に日米関係というのは重要ですね。ですから、今の事務次官にお聞きになったのか、そして、歴代の外務大臣の方に確認されて、そんなものはないとおっしゃっているのか。

 それから、中曽根外務大臣のお父様は、総理大臣をなさっていまして、非常に日米関係にも、当時いろいろな活動をされてまいりました。そういう意味で、中曽根元総理大臣にもお聞きになったのか、お伺いしたいと思います。

中曽根国務大臣 たくさん御質問がありましたので、どういう順番でお答えしたらいいかわからないんですけれども、状況が変わったとまずおっしゃいました。確かに、我が国を取り巻く安全保障環境なりそういうものは大きく変わっていますし、御案内のとおり、北朝鮮の状況はもう申し上げるまでもありません。

 外交は透明性が大事というお話もありました。確かに、国民の皆さんの御理解をいただかなければこういう外交もできませんので、そういう意味では一定の透明性も必要ですが、一方で、外交交渉あるいは情報収集の能力とか、相手のこともありますので、これもまた公開できない面があるという点も御理解いただきたいと思います。

 本件につきましては、もう再三申し上げておりますように、これは御指摘のような密約は存在しない、そして、このことにつきましては、歴代の総理大臣、外務大臣が、そういうような密約は存在しないということも明確に述べているわけでありまして、次官に聞いたかというお尋ねでありましたけれども、そもそも存在しない密約について次官が私に説明するということはあり得ないわけであります。また、次官自身もそういう文書を見たことがないということでございますので、私も、このような密約はない、そういうふうに思っているところでございます。

 また、歴代次官にお聞きしたか、また、私の父である元総理に聞いたかということでありますが、そのようなことは行っておりません。

辻元委員 今、現次官もそういう紙はないと言っているという御発言がありました。現次官に問いただされて、そういうお答えだったんでしょうか。

中曽根国務大臣 これは問いただしたということではなくて、この問題は大変重要な問題でありますから、大臣と次官の間ですから、このことに限らず、日ごろからいろいろな意見交換とか話し合いをしている、そういう中で今申し上げたようなことがあったということでございます。

辻元委員 そうしましたら、この新聞報道は虚偽報道であるということですね。

中曽根国務大臣 政府の見解は、もう再三申し上げておりますとおり、密約はない、そういうことに尽きるわけでございます。

辻元委員 ですから、新聞が虚偽報道をしていると。各紙、一般紙が取り上げておりますけれども、外務大臣は虚偽報道であるという御認識ですね。

中曽根国務大臣 新聞がどういう形で取材をしたのか、そこら辺については私どもが知るところではありませんけれども、このことにつきましては密約はないということであります。

 虚偽かどうかということは、それは私どもの知るところではありません。私どもは、密約がない、その一点に尽きるわけでございます。

辻元委員 というのは、密約はあったという報道をしているわけですよ。そうしますと、外務省として、各新聞社やこの村田さんという、これは重大発言ですよ、これが虚偽の発言であるならば。そうしましたら、この新聞社を虚偽の報道があったときに裁判で訴えたり、そういうことをする場合もありますが、虚偽であるならば、そういうことをされたらいかがですか、そこまでおっしゃるのなら。

中曽根国務大臣 我々は、密約はないということでございますし、その一点に尽きるわけでありまして、虚偽であるとか虚偽でないとかということじゃなくて、そういうようなものはないということ、これに尽きるわけであります。

辻元委員 かなり大きく報道されまして、日本じゅう衝撃も走っているわけです。実際、今まで言われていたことを、実名で、そして本人が顔写真入りで報道もされております。それに対して違うというならば、どういうことをなさるのか。

 社民党といたしましても、これは御本人に本委員会にお越しいただくか、またはこちらから出かけてお話をお伺いするかは別にいたしまして、国会として、速やかに御本人とお会いし、そして御本人の言い分をきちんと聞くべきだと思いますので、社民党としても、委員長に参考人や証人喚問ということのお取り計らいをお願い申し上げたいと思います。

河野委員長 立法府として看過できない問題だと思いますので、理事懇、理事会で協議をさせていただきます。

辻元委員 はい。

 私は、日本のためだと思うんですね。将来にわたって日米関係が大事であるというならば、アメリカの側が公表していること、これについても多々日本側は存在しないということを続けてきました。これをきちんと清算していくということは、私は、別に歴代の外務相を否定することでもないし、それから歴史の中のさまざまな出来事をきちんと検証して方向転換をしていくことだと思いますので、各党しっかり党でも話し合っていただいて、事実を明らかにしていきたいと思います。

 さて、六月二十五日の木曜日のクラスター爆弾の破棄に関する国際会議についてお話を伺いたいと思っております。ドイツで破棄に関する具体的な話し合いが行われたと聞いているんですが、そして、同じくさらにこの二十五日には衆議院でクラスター爆弾禁止法案も通過しております。

 そこで、本委員会で承認した後、どのような破棄の計画を具体的に政府の中で話し合われているのか、クラスター爆弾を配備から外すという方向に向けて準備を進めているのか、その点についてまずお聞きしたいと思うんです。

 といいますのは、ちょっと時間の関係がありますので、先にいろいろな例を申し上げておきたいと思いますけれども、イギリスなどでは、既に三千九百万個の子爆弾を持つ六種類の親爆弾十九万発を配備から外し、破棄作業中、また破棄契約の交渉中であるということです。そして、二〇一三年に破棄完了予定。ドイツでも、署名前の二〇〇八年十月に破壊作業を開始した。先ほどのイギリスでは、発効を待たずにクラスター爆弾を配備から外し、数量を発表し、破棄を開始するというようなことをしております。スペインでも、二〇〇九年三月に破棄の完了を既にいたしております。そして、その他イタリアやノルウェーでも発効を待たずに実際に行動しているということです。

 日本政府としては、どのようにするおつもりなのか。

 それからもう一点、その過程をどのように公表されるのか。まず、配備から外すという方向に向かって進んでいるのか。そして、これはずっと申し上げていますが、配備から外した場合、数量を公表するのか。それから、破棄をいつから開始するのか。そして、その破棄過程の公表をどのようにするのか。いかがでしょうか。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 クラスター弾の廃棄計画につきましてでございますけれども、前回も御答弁させていただきましたように、クラスター弾の廃棄をいかに効率的、安全にやるかということにつきまして、技術的な調査検討が必要でございます。

 今御指摘がありましたドイツの会議におきましても、さまざまな情報の交換あるいは企業の実績等の紹介もございましたので、そういったことも踏まえまして、私どもは、これらの情報を踏まえ、さらに調査を行うことによりまして、今後、廃棄に関する計画をどういうふうに進めていくのかということにつきまして調査をさせていただきたいというふうに考えております。

 これを踏まえまして、具体的な廃棄方法が確定いたしますと、条約で求められております原則として八年以内に廃棄するという規定に従って、安全かつ着実に実施していくということでございますけれども、現時点で廃棄方法につきましての調査が了しておりませんので、現時点で具体的な廃棄計画についてお答えできる現状ではないということにつきまして御理解いただければと存じます。

辻元委員 実際に、ドイツでは試算で一個二百円とか地雷は千九百円とか出ていたり、もう各国始めているわけですね。ですから、調査、調査と言わずに、せっかく破棄するなら、日本が先駆けて、こういうふうにやっているぞというように世界に発信できるぐらいの姿勢で臨んでいただきたいというように思うんですね、後追いじゃなくて。日本が一つの実例になって、ほかの国も続こうじゃないかと。私は、それは国際的に日本にとっても非常にプラスになるというように考えております。

 G8外相会議の問題は、時間が来ましたのでまた次回に回したいと思います。

 終わります。

河野委員長 防衛省、情報公開については何か答弁ができますか。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 調査方法が確定いたしますと、具体的な廃棄の作業に入っていくと思います。

 その際には予算要求をさせていただいて、どのようにお金を使っていくのか、どのような数量をどのような年限でやっていくのかということにつきましては、予算要求の形でまず明らかになろうかと思います。

 そのような形で、条約の趣旨にのっとりまして、適宜適切に情報の公開に努めてまいる所存でございます。

辻元委員 終わります。

河野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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