衆議院

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第2号 平成21年11月18日(水曜日)

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平成二十一年十一月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 宗男君

   理事 木内 孝胤君 理事 小宮山泰子君

   理事 空本 誠喜君 理事 中野  譲君

   理事 和田 隆志君 理事 小野寺五典君

   理事 平沢 勝栄君 理事 赤松 正雄君

      大山 昌宏君    吉良 州司君

      齋藤  勁君    阪口 直人君

      末松 義規君    竹田 光明君

      武正 公一君    中津川博郷君

      西村智奈美君    萩原  仁君

      浜本  宏君    平岡 秀夫君

      松宮  勲君    山田 良司君

      横粂 勝仁君    安倍 晋三君

      岩屋  毅君    河井 克行君

      河野 太郎君    高村 正彦君

      笠井  亮君    服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         岡田 克也君

   外務副大臣        武正 公一君

   国土交通副大臣      辻元 清美君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   政府参考人

   (水産庁長官)      町田 勝弘君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十八日

 辞任         補欠選任

  西村智奈美君     山田 良司君

  早川久美子君     竹田 光明君

同日

 辞任         補欠選任

  竹田 光明君     早川久美子君

  山田 良司君     西村智奈美君

    ―――――――――――――

十一月十八日

 万国郵便連合憲章の第八追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 南東大西洋における漁業資源の保存及び管理に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

同日

 グアム移転協定に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 万国郵便連合憲章の第八追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 南東大西洋における漁業資源の保存及び管理に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として水産庁長官町田勝弘君、防衛省地方協力局長井上源三君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中津川博郷君。

中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。

 岡田外務大臣には、公務多忙の中、早朝より御出席いただき、ありがとうございます。大変しばらくぶりでございます。よろしくお願いいたします。

 まず冒頭、国民的な課題、話題となっております沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題の質問に入りたいと思うんですが、その前に、沖縄の基地問題について歴史を振り返り、それから質問に入らせていただきたいと思っております。

 そもそも、沖縄問題の発端というのは、一九九五年、在沖縄米海兵隊員による少女暴行事件ですね。実は、一九七二年の沖縄復帰以来、在日米軍基地の縮小がなかなか進まない、県民は日常的に事件、事故で本当に悩んでいる、そのような基地負担の重圧、その状況を時の自民党政権が放置し続けてきた、私はそこに根本的な原因があったと思っているんですね。そして、痛ましい少女暴行事件が起爆剤となりまして、一挙に沖縄県民の不満が爆発したと思います。

 自民党政権は、沖縄県民のこういう怒りを目の当たりにしまして、一九九六年に普天間飛行場返還というものを打ち出しましたが、これは県内移設が前提であり、基地負担の縮小を切実に求める県民の願いに決してこたえるものではなかった。名護市による代替施設の受け入れ合意も、政府からの補助金と引きかえに、言ってみれば、過疎地の自治体が受け入れを決断せざるを得なかったというようなことだと思うんです。現に島袋市長は、自分から誘致したわけではないんだということを言っておりますが、これで大体すべてを物語っているのではないかなと思います。

 その後、地元の反対運動でSACO合意に基づく移設作業は頓挫して、二〇〇五年から二〇〇六年にかけて、米軍再編計画においてV字形施設として復活しましたが、やはり地元での反対の声が絶えなかった。在日米軍基地の七五%を受け入れている沖縄県民の圧倒的な世論は、これは県外移設または国外移設である、これは沖縄県民にとっては当然だと思っています。そういう県民の声を真摯に受けとめなかった、少し軽く見たというか、ただただひたすら米国の都合を最優先して県内移設を強行しようとしてきた自民党政府の姿勢、これは、十三年間何にもしなかったと言われても仕方がないと思います。

 実は、普天間基地の移転というのは今日的な、今喫緊の大事な問題ではありますけれども、こういう遠く十三年前を振り返って、沖縄県民のいわば慟哭、こういう声を聞いて初めて問題の本質がわかってくるということで、整理をしたわけでございます。

 それらの歴史を踏まえて、まず、岡田外務大臣に質問をさせていただきます。

 普天間飛行場移設問題をめぐり、岡田外務大臣は、十一月の十五日から十六日まで、大臣就任後初めて沖縄県を訪問して、仲井眞県知事あるいは島袋名護市長らと懇談を行いました。普天間飛行場や嘉手納飛行場の視察も同時に行いました。

 その視察の成果、そして、いろいろ懇談をした、そこで得た所感というようなものをまず冒頭にお伺いしたいと思います。

武正副大臣 中津川委員にお答えをいたします。

 私も一緒に今回沖縄の方を訪問いたしました。今もお話のあった、知事、名護市長、嘉手納町長等地元自治体の首長の皆さん、また、ロブリング在沖縄四軍調整官等アメリカ側の関係者と意見交換をするとともに、キャンプ・シュワブ、それから普天間飛行場、ここでは宜野湾の伊波市長から説明を受けました。また、嘉手納飛行場を実際に視察をし、沖縄の現実を理解する上で非常に有益であったというふうに考えております。

中津川委員 もう一人、島袋名護市長との会談で、岡田外務大臣は、騒音レベルが現状以下になるということを前提として普天間飛行場を嘉手納飛行場へ統合する案というのを、嘉手納という名をお出しになりまして、検証を行っている、こういう発言をされたのでありますが、この案は、私が思うには、嘉手納飛行場の既存の滑走路なんかを利用するという点ではメリットはあると思うんですが、岡田外務大臣が嘉手納統合案に注目した理由及びその具体的な検証状況をお伺いしたいと思います。

武正副大臣 ちょうど、昨日、第一回の日米のワーキンググループがスタートいたしましたが、外相が発言もしておりますように、なぜ辺野古に決まったのか、その経緯、これを検証しようということでございます。その中で、当然、嘉手納統合案というものが過去出ていたわけですので、なぜそれが消えてしまったのか、これについてもやはり検証をしていきたいというふうに考えております。既存の施設が利用できれば、新たな施設をつくるよりも、当然、費用の点でも考え得るということもあろうかというふうに思います。

中津川委員 しっかり継続して検証をしていただきたい、国民にわかりやすいように検証の説明をしていただきたいと思います。

 そこで、宮城嘉手納町長らとの懇談において、岡田外相は、年内をめどに結論を出すのが望ましい、こうおっしゃいました。

 鳩山総理は、地元民の意向を見きわめるため、二〇一〇年一月ですか、名護市長選挙の行方も念頭に入れて判断するというような考えを示されましたが、私は、総理も外務大臣も、普天間飛行場移設問題、この早期解決、これを目指す気持ちは全く変わりはないと思っているんですね。私は、岡田外務大臣のおっしゃるとおりで、市長選の前に結論を得ることが望ましいのではないかと。きのうあたりの防衛大臣のお話を聞いても、何かことしいっぱいというような話が聞こえてきましたが、これまでのそういういろいろな日米協議を踏まえて、いろいろ検証されている中で、その結論を得る時期について、見通しについてひとつ具体的にお話をお伺いしたいと思うんですが、大臣の方からお願いしたいと思います。

岡田国務大臣 ワーキンググループの中では、できるだけ早く、迅速にということで合意をしております。

中津川委員 迅速にはもう私も国民も納得しているわけでありますが、十二月じゅうに結論を出すという意気込みでいらっしゃいますか。

岡田国務大臣 これは相手のあることであります。それから、日本側としてはこれで政府としての決定ということになりますので、今いつまでにということを私が確定的に申し上げる立場にはございません。

 私の思いとしては、やはり予算要求もあり、十二月中にできるだけというふうに、これは北澤防衛大臣も同じでありますが、そういうふうに思っておりますが、最終的に決めるのは、これは内閣として総理を中心に決めることでありますので、私がいつまでにということを今確定的に申し上げる立場にはございません。

中津川委員 ひとつよく検証もして、なるたけ早く国民も結論を出すことを願っていると思いますので、総理も外務大臣も防衛大臣もみんな同じ気持ちでありますので、そこのところをよく閣内でお話をして結論を出していただくことを要望いたしたいと思います。

 次に入りますが、鳩山総理が掲げます東アジア共同体構想について質問をしたいと思います。

 鳩山総理は、EU、欧州連合を手本とすると強調しておりますが、EUと東アジア共同体を同列に論ずるということに私は三つの点で疑問を感じる、少し無理かなと思っているところがあるんですが、率直にお伺いしたいと思います。

 一つには、EUに参加している国々はすべて、自由、人権、民主、法治といいますか、普遍的な価値観を共有しております。東アジアは、中国を初め共産主義の国もありますし、いろいろな政治体制の国々が点在しているということであります。

 二点目に、文明論的な観点から見ても、EUは基本的にキリスト教圏ですね。キリスト教という宗教でもって精神的なものが非常につながっている。しかし、東アジアの場合は、キリスト教もありますが、ヒンズー教もイスラム教も仏教もあり、共通基盤がなかなか見当たらない。精神的なそういう共通基盤が見当たらないという中で共通の事項についてまとめ上げるには、結構これは大変で難しいんじゃないかと思っているのであります。

 それから、経済的に見ても、東アジア地域は貧富の差が非常に大きい。ですから、何を共通基盤として、何を基軸にしてこの東アジア共同体を構築していくのか。

 ここのところを、私はこの東アジア共同体が正しいとか間違っているとか言っているわけではございませんで、そういう一つ歴史的な、文化的な、経済的な背景を見て、前から少し疑問を持っているところでありますので、これは私以外にもかなりの人たちが思っているところであります。

 岡田大臣に、率直にその点をお伺いしたいと思います。

武正副大臣 お答えをいたします。

 まず、東アジア共同体でございますが、これは長期的なビジョンということでございます。貿易、投資、金融、エネルギー、環境、命と文化などの可能な分野から、開放的で透明性の高い地域協力を着実に進めていくことが重要だと考えております。アジア各国との間で、人それから物、金、情報、こうした流れを拡大することが重要であるということであります。

 これまでアジア諸国とは十カ国一地域とEPAは既に締結をされております。今後も、アジア太平洋諸国を初めとして、世界の国々と幅広い分野を含むEPAの交渉を積極的に推進していく、その中でのこうした流れということになろうかと思います。

中津川委員 武正副大臣のおっしゃることはもっともで、重要性というのは私もよくわかっていますよ。そんな重要じゃないなんて、これだけ大変なものがあるんだよと。これをどういうふうに考えて、クリアして、そして日本の国益のためにやっていくかということなんですね。

 外務大臣にお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、今のアジアとEUを比べれば、その多様性においてかなり違いがあるということは言えると思います。

 ただ、私は、今のEUでも、例えばキリスト教というふうに委員はおっしゃいましたが、プロテスタントとカソリック、この間には宗教戦争を戦ってきた、そういう歴史もあります。それから、もちろんユダヤ教とかイスラム教とか、多様な宗教がEUの中にも個人のベースで見ればあることは事実で、必ずしも一つの価値観でまとまっているわけではなくて、むしろ、多様なものがあり、そういう多様な価値観が共存することにこそ、EUとしての先進性というか、すばらしさがあるんだというふうに基本的には考えております。

 ただ、今のアジアと比べたときに、アジアはさらに多様であることは間違いないわけであります。委員御指摘のように、宗教的にも民族的にも、あるいは経済の発展段階においても非常に多様であるということであります。私は、東アジア共同体ということを考えたときに、余り急いではいけない、そしてできることからしっかりやっていくという手法が望ましいと思っております。

 EUも、もともとは長く何度も戦争を繰り返してきたフランスとドイツの間で石炭鉄鋼共同体をつくり、そこからスタートしたわけであります。今から五十年以上前のあのときに、今日のEUの姿を想像できた方はまずいらっしゃらないんじゃないかというふうに思います。

 したがって、よく東アジア共同体というと、その範囲はとか理念はとか、いろいろ聞かれることはあるんですけれども、余り固定的に考えずに一つの大きなビジョンととらえて、そして目の前にあるできることからしっかりと進めていく、そういう手法でいいのじゃないか、そう考えているところであります。

中津川委員 今の大臣の御答弁に延長をして膨らまして考えて、次に質問したいんですけれども、台湾ですね。

 台湾を私は親台派の議員としてずっとやってきたわけでありますけれども、台湾というのは、確かに日本と国交がありません。しかし、自由と民主と人権を大切にする、もう選挙も行って、日本より早く政権交代をやっていますからね。そして、今、ほかのITとかいろいろなものでは日本より産業が進んでいるんですよ。何よりも日本人的な気持ちを持った、本当に、台湾へ行くと、ああ、僕は日本人なんだな、政治家でいる以上、日本の国をよくしなきゃな、義理と人情を大事にしなきゃだめだな、武士道精神というのを李登輝さんに教えてもらったな、そういう思いをいつも私はするんです。聞いたら、私だけじゃなくて、多くの皆さんたちも行って同じ考えをする。先般も行ってまいりました。

 そこで、私は、台湾と日本の経済的なつながり、文化、歴史的なつながり、それから安全保障上の今非常に大事なところですね。これは地域と答えた外務大臣もいますし、また、今まで国と言った人もおりますが、国交はないし、一応国としては認められていないというようなところですが、東アジア共同体構想の中で、私は、台湾の存在というのは、やはりこれなしには語れないんじゃないかと思っているんですが、大臣、いかがでしょうかね。

武正副大臣 東アジア共同体構想、先ほど申し上げましたように、長期的なビジョンである、そしてまた、貿易、投資、金融、エネルギー、環境、命と文化などの可能な分野から、開放的で透明性の高い地域協力、これを着実に進めていくことが重要であると申し上げたところであります。

 今、台湾についてのお話でございますが、我が国にとって台湾が緊密な関係を有する重要な地域であることは言をまたないところでございます。台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの立場に変更はありません。その立場を踏まえて、台湾との間でも種々の協力のあり方について検討をしていく考えでございます。

中津川委員 積極的な答弁だと思いますね、副大臣。

 時間が来たんですが、岡田大臣も同じということでよろしいでしょうか、今の考えで。もし何かあったら。ないですか。

 今、台湾も国民党政権になって、馬英九になりまして、中国と非常に仲がいいんですよ。日本を外そうとしているのであって、ちょっと日本も入れて日台中でやったらいいじゃないかと私なんかは思っているんですが、ちょうどそういう折でもありますから、中国の方も緩やかに、その辺のところは前の民進党政権よりもやりやすいと思うんですよ。そんなことを思って、ぜひ、台湾の重要性というものを今副大臣は認識されておりましたが、大臣におかれましてもまた、ひとつそういう認識のもとで、重要な存在だというふうに、日本の国益を考えてやっていただきたいと思います。

 岡田外相におかれましては、とにかく我が国外交の先頭に立って、国益のために堂々と御活躍されることを期待して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社会民主党、服部良一です。

 岡田大臣、あるいは鈴木委員長以下関係各位の皆さん、こうして日本の外交政策を論議させていただくことをすごく光栄に思いますし、また、今後ともよろしくお願いをしたいと思います。

 きょうは三つ四つ質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず、普天間基地の移設問題についてであります。

 十月の二十六日の衆議院の本会議で、鳩山総理がこういうふうにおっしゃいました。沖縄の方々が背負ってこられた負担、苦しみや悲しみに十分に思いをいたし、地元の皆様の思いをしっかりと受けとめながら真剣に取り組むというふうに述べられました。非常に思いのこもった言葉だなという思いで私も受けとめをさせていただきましたし、また、先日の本委員会での岡田大臣のごあいさつの中でも、沖縄の方々の思いをしっかりと受けとめながら真剣に取り組むというふうにおっしゃったわけであります。

 この沖縄の基地問題について、常に沖縄の思いという言葉が繰り返し出てくるわけですけれども、この沖縄の思いということについてはどういうふうに受けとめておられるのか、これをまず冒頭お聞きしたいと思います。

武正副大臣 服部委員にお答えを申し上げます。

 先ほど総理の、沖縄の皆さんの思いということで、大変そうした気持ちを大事に受けとめていきたいということは、変わらぬ我々の思い、それも共通であるということだと思います。

 今回、先ほども触れましたように、沖縄を訪問しまして、知事、名護市長、嘉手納町長等地元自治体の首長の皆さん、また、ロブリング在沖縄四軍調整官等米側関係者と意見交換をし、キャンプ・シュワブ、それから普天間飛行場、伊波市長にも御案内をいただき、御説明をいただき、また、嘉手納飛行場を実際に視察いたしました。

 何を言っても、在日米軍の専用施設・区域の七四%、これが沖縄に集中している事実にあらわれております沖縄県民の方々の御負担というものを、その重さというものを改めて実感したわけであります。その中で沖縄県民の皆さんの思いというものをしっかりと受けとめていくということでありまして、安全保障上の観点ということも考慮に入れつつ、まずは沖縄県民の方々の負担をできるだけ軽減させていただくことに全力で取り組んでいくということでございます。

服部委員 私は、特に普天間基地の移設問題に関しては、沖縄の思いというものは、もう基地の県内のたらい回しはやめてほしい、普天間基地は一刻も早く撤去していただきたいというのが沖縄の思いだというふうに考えているわけであります。

 県議会も二回にわたって辺野古の新基地建設は反対であるという県議会決議も出しておりますし、それから沖縄の世論調査でも、七〇%以上が県外、国外への移設を望む、あるいは全国の世論調査でも、この普天間基地の問題については五十数%の国民が、かえてほしい、かえるべきだ、そういう過日の世論調査も発表されておるわけです。

 そこで、今この問題を日米閣僚級作業部会ということで検討されているわけですけれども、どうも沖縄以外のところで検討しているような話がなかなかちょっと聞こえてこないわけですね。私はやはり、結局はもう沖縄ありきかということになってはいけない、沖縄の皆さんは今回の政権交代に非常に期待をされているわけで、今回の政権交代によって沖縄の基地問題が動くんじゃないか、そういう非常に期待を持たれているというふうに思うわけですね。

 そこで御質問しますけれども、この作業部会の中で県外、国外の移転先候補地が具体的に検討されているのか、あるいはその予定が具体的にあるのか、あるいはまた候補地が具体的に挙がっているのであればそれも明示をしていただきたいというふうに思います。

武正副大臣 昨日夕刻、この普天間飛行場の代替施設問題についての二国間の閣僚レベルのワーキンググループが第一回の会合を行いました。

 御案内のように、岡田外務大臣、北澤防衛大臣、そしてアメリカ側からはルース駐日大使、グレグソン国防次官補、グレグソンさんは御案内のように四軍調整官も務めていた方でございますが、そのほか私も同席をいたしましたが、本件に係る問題をできるだけ早く、早期に解決することで一致をしたところでございます。

 日米首脳会談でこのワーキンググループを立ち上げることを両首脳間で一致したところでございます。また、きのうワーキンググループを開催して、日米間で今後、閣僚レベルそして高級事務レベル双方で精力的に検証作業を進めていくことで一致をいたしました。過去に日米間で検討したさまざまな案について検証している最中であります。ただ、ちょうどきのうから始まったばかりでありますし、途中の経過についてはお答えを差し控えたいと思います。

 県外移設については、時間のかからない移転先があればよいんですけれども、なかなかそのような移設先が、速やかな、そうした時間のかからない移転先が見当たらずに、非常に狭い道を通らなければならないと考えております。

服部委員 今までも、県外の移設先が幾つか候補地が挙がっているわけですけれども、それを本当に真剣に検討したのかという疑問が指摘されている点もあるわけであります。

 私は、国内のどこに持っていけということを言う立場では決してありませんけれども、しかし、いずれにしましても、沖縄県ありきというような発想では、結局、先ほどの中津川委員の方からも、前政権は何もやってこなかったという指摘もありましたけれども、私は、何もやってこなかったというよりかは、県内移設にこだわってきたことがここまで問題を長引かせてきたというふうに思っておりますので、ぜひとも、これ以上沖縄に対する基地負担を押しつけない、そういう観点で御尽力を賜りたいということを切に申し上げたいと思います。

 次に、日米密約調査についての質問ですけれども、先日の委員会で大臣の方から、外交は国民の理解と信頼に裏づけられたものでなければならない、こういう信念に基づいていわゆる日米間の密約をめぐる問題の調査を命じたということを述べられております。非常に評価をさせていただいているわけです。

 密約問題というものは、歴代政権が五十年の長きにわたって国民をだまし続けてきた、あるいは、その結果として日本の外交政策の信頼性がおとしめられてきたという二つの大きな問題があるというふうに思いますので、これは歴代政権の責任をしっかりとただしていただきたい、そういうことを改めて期待申し上げたいと思うわけです。

 その意味での決意と、それから十一月末までに委員会を立ち上げて報告を求めているということが新聞等で報道されていますけれども、現段階の進捗状況等について御説明をお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、就任をした当日にこの密約の問題の調査を命じたところであります。外交は国民の理解と信頼がなければ成り立たない、そういう考え方に基づいて事実を明らかにするということを命じました。

 十一月末というのは、その調査の期間であります。内部調査の期間。今考えておりますことは、おおむね調査は順調に進んできておりますので、予定どおり十一月いっぱいには内部調査は終えることができるのではないかというふうに思っておりますが、それに並行する形で第三者委員会を立ち上げて、これは内部調査だけではなくて、外部の目でのチェックも同時に行いたいと思って、今、第三者委員会を立ち上げるべく最終的な調整を行っているところであります。

 第三者委員会には、外部の目で調査結果をチェックすることのほか、今までの外交の経験者、一言で言えばOB、あるいはアメリカで既に情報公開されているものとの突き合わせとか、そういったことも必要に応じて作業していただき、そして、なぜこういう密約というものが行われたのか、なされたのかということについても、当時の時代背景なども検証した上で最終的な報告書の形にしたい、こういうふうに思っているところでございます。

服部委員 特に核持ち込み疑惑がもしこの調査の中で明らかになった場合、これは非核三原則に対する明確な違反行為が長年続いてきたということになるわけですけれども、その時点で、日本の外交姿勢として世界に、我々は非核三原則を堅持するんだということを改めて政府としてアピールする必要があると私は思うわけですけれども、そういう意向をお持ちなのか。

 あるいは、社民党的には、この際、法制化したらどうだということも提案をさせていただいていたわけですけれども、鳩山総理も総理になる前に、被爆者との懇談会の席で、そういうことも考えてもいいというような発言もされた経過もありますので、現在の外務省の考え方をちょっとお聞きしておきたいと思います。

武正副大臣 非核三原則については、九月の安保理首脳会合で鳩山総理が発言をいたしまして、これを堅持し、そして核廃絶に向けて先頭に立つ旨を述べております。

 この非核三原則は我が国の重要な政策として内外に十分周知徹底されておりまして、政府としてはこれを改めて法制化する必要はないと考えております。

服部委員 法制化する必要はないということですけれども、この密約の中身がはっきりわかった時点で、改めて政府として、立場、姿勢というものをきっちりしていただきたいということをお願いしたいと思います。

 それから、この密約の調査の対象の中に、一九五三年の十月に米軍犯罪の第一次裁判権の実質的な放棄に関する日米の取り決めがあったということが指摘をされているわけです。今、読谷村でもひき逃げ事件ということが起きて、なかなか米兵に対する起訴ができにくい、その背景に日米の密約があったとすればこれは非常に重大なことで、犯罪をしても日本の検察が起訴をしないということは、これは国民の生命と財産にかかわる極めて重大な問題であるわけで、この問題が今回の調査の対象の範囲になっているかどうか、それをお聞きしたいと思います。

武正副大臣 今御指摘の点は、一九五三年に、日米地位協定の前身である行政協定について、我が国が一定の場合に刑事裁判権を放棄することを日米間で秘密のうちに合意したのではないかとの指摘、これがあることは承知をしております。

 本件については、現在行っている密約の調査というのは四件ありますけれども、その中には含まれておりません。

服部委員 一応、新聞等では四件について調査されているということで、含まれていないという答弁がありましたけれども、この四件だけに限らず、もっといろいろな密約があるということが指摘されているわけで、今後、ぜひとも引き続き、密約の全体像について解明していただくようにお願いをしたいと思います。

武正副大臣 今の点で、今のそのお話もありまして、今は四件を行っておりますけれども、まず密約の有無をめぐる問題の調査、四件について、これを終えた上で、今の御指摘のこと等、適切な対処の仕方を検討したいと思っております。

服部委員 よろしくお願い申し上げます。

 日米地位協定の問題についてもいろいろ今後論議をさせていただきたいというふうに思っておるんですが、きょうの質問の最後に、ちょっと時間もなくなってきましたので、東京の国連広報センターの施設費問題について御質問させていただきます。

 これは我が党の前衆議院議員の保坂展人議員が質問主意書等でもいろいろと外務省に質問をさせていただいているわけですけれども、なかなか確たる回答が返ってきておりません。今、事業仕分け、あるいは聖域なき無駄撲滅ということでさまざまな予算案の見直しがされているわけですけれども、この国連等への拠出金について、今まで預けなどの不正経理がないのかとか、あるいは為替によるマネーロンダリング的なものがあったんじゃないかとか、さまざまな指摘がされているわけであります。

 この東京国連広報センター、UNICの事務所が入っている国連大学ビルは、東京都が土地を、そして日本政府が建物を無償貸与しております。ビルには多くの国連機関が入っているわけですけれども、この国連機関の事務室の賃貸料はそれぞれ予算内で国連大学に支払っているわけですけれども、このUNIC東京だけは、日本政府が約二千万円の施設料という名目の家賃を支払うという形で続いてきておるわけです。

 そこで質問しますけれども、外務省の平成二十二年度の概算要求にある東京国連広報センター、UNIC拠出金三千百四十万円には、ことしまでの施設費として計上された約二千万円が含まれていますでしょうか。

武正副大臣 平成二十二年度の概算要求の約三千百四十万円に施設費は約千九百二十万円含まれております。この施設費は、警備、清掃、修繕など施設の維持管理に充てられる経費で、土地建物そのものの経費ではなく、二重払いということではないということでございます。

服部委員 二重払いではないかという疑いを持っているわけで、いずれにしましても、そういう精査をぜひお願いしたいというふうに思うわけです。

 実は、この国連広報センター及び国連拠出金に対する調査のお願いを、外務委員長の方にもぜひとも御検討をお願いしたいと思うわけです。先ほど申し上げました施設費問題、それから第二には、このUNIC東京の広報活動費について、いわゆる預けという不正経理が行われてきた、あるいは単年度予算で運営されている機関にあるはずのない定期預金が存在をしていた、あるいは平成十三年までUNIC東京を舞台に国連本部への毎年数百億円に上る拠出金で為替利益を上げていた問題、あるいは日本政府が拠出しているさまざまな国連信託基金の使途の不透明性、あるいはいつでも外務省が自由に使えるような埋蔵金があるんじゃないかというような疑念等が指摘をされているわけです。

 この件につきましては、保坂前議員が再三質問もさせていただいておりますし、また、ことしの四月には当委員会、理事会において河野前委員長の計らいで調査をする旨も約束されているというふうにも聞いておりますので、ぜひともこの件に関して、日本も、国連に金を出しっ放しでその先は一体どうなっているんだ、どういう使われ方をしているんだ、これはアフガニスタンにも今後巨額の資金という話が出ているわけですけれども、我々国民の財産、税金であるわけですから、やはりこういう点はきちんと精査をしていく必要があるというふうに考えておりますので、ぜひ委員長の方にもお取り計らいの方をよろしくお願いを申し上げて、質問を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 ただいまのUNIC調査については理事会においてまた随時協議していきたい、こう思っておりますので、承りました。

 次に、平沢勝栄君。

平沢委員 自由民主党の平沢勝栄でございます。

 外務大臣、副大臣、それから階総務大臣政務官にもおいでいただきました。

 最初にお聞きしたいんですけれども、鳩山総理の資金問題というのはえらい根が深いなというか、えらい深刻だなという感じがするんですけれども、これはいろいろなところでいろいろと質問が出ていますので、一つだけ外務大臣にお聞きしたいと思うんです。

 つい先日、鳩山総理は、恵まれた家庭に育ったから資産管理がずさんだったと。恵まれた家庭に育ったから資産管理がずさんだった、この言葉は国民からしたら極めて違和感があるんですよね。だって、恵まれていなければ資産がないんだから、資産管理なんてあるはずないんです。貧乏人に資産管理というのはないんです。金持ちだから資産管理がある。だから、これはしっかりしなきゃならない、当たり前のことであって、恵まれた家庭に育ったから資産管理がずさんだったと言うと、何か、恵まれた家庭でいっぱいお金があるから資産管理がずさんでもある程度許されるような、免罪符のようにも聞こえるんですよね。

 ですから、この言い方は国のトップのリーダーの発言としてはいかがかなと思いますけれども、同じく極めて恵まれた家庭環境にお育ちになられた外務大臣は、この総理の発言をどうお考えになられるか。

岡田国務大臣 外務大臣として御答弁する話ではないと思います。

平沢委員 そうじゃなくて、同じ内閣の総理が、恵まれた家庭に育ったから資産管理がずさんだったと。ですから、一般論でいいんですよ。恵まれた家庭に育ったから資産管理がずさんだった、これについて外務大臣としてはどうお考えになられるかということをお聞きしているんです。

岡田国務大臣 外務大臣がお答えする話ではありません。

平沢委員 しかし、大臣として、同じ国務大臣として、同じ一員として、当然これについてのコメントは私はあってしかるべきだと思いますよ。だって、要するに内閣の一員として、同じ国務大臣として、総理が言われたこの発言についてどう思われるかというくらいの感想は私はあってしかるべきだと思いますけれども、大臣がそう言われるならば、それほど、言いにくいほど、結局、答えられないほどこの発言はおかしいということでしょう、ということだろうと思いますよ。

 では、もう一回、大臣。

岡田国務大臣 先ほど来委員御指摘の点は、これは内閣総理大臣としての発言ではないと私は理解をしております。鳩山由紀夫氏の政治家としての献金にかかわる問題であります。そのことについて外務大臣が答弁することは、私は適切ではないと思っております。

平沢委員 こういった問題について総理大臣に私と公というのがあるのかどうか、その辺は疑問ですけれども、大臣がそういうふうにおっしゃられますので、次に移らせていただきたいと思います。

 次に、国会の開会式での天皇陛下のお言葉につきまして、外務大臣の御発言でございますけれども、陛下にわざわざ国会まで来ていただきながら同じあいさつをしていただいていることについてはよく考えてもらいたい、政治的な意味合いが入ってはいけないなどいろいろ難しいことはある、しかし、陛下の思いが少しは入ったお言葉をいただくような工夫はできないか考えてもらいたいと。

 外務大臣が言われることもわからないではないんですけれども、天皇陛下というのは政治的に中立、政治的な権能を全く有しないわけでございまして、そういう中で恐らく関係者が知恵を絞って、今のお言葉、全く同じ、それは全く外務大臣が言われるとおりなんですけれども、そういうお言葉をつくられて、それを発言されていると思います。

 外務大臣のこの発言を聞いてみますと、何か陛下は今まで、国会の開会式に来てお言葉を述べられていますけれども、その言葉には全く陛下の思いが入っていないようにも聞こえるんです。陛下のお気持ちが全く入っていないその文章を陛下は読んでいるだけだというふうにとれるんですけれども、もしそうだとすると、陛下に対して大変に失礼ではないかなという感じがいたしますけれども、これについては大臣どうですか。

岡田国務大臣 私の発言がさまざま誤解を呼んで、私が陛下のお言葉に対して何か注文をつけたような、そういう誤解を呼んでいる面があると思います。

 開会式における陛下のお言葉というのは、国事行為そのものではありませんが、それに準ずる行為であります。したがって、作成は内閣官房で行い、閣議で承認をすることになっております。もちろんその過程において宮内庁とは協議、合い議をしているわけですけれども、原案は内閣官房がつくり、そして最終的には閣議で承認をするということですから、閣僚はこのお言葉に対して責任があります、承認をするという意味において。

 私はずっと開会式に出た折にそのお言葉を聞いておりまして、ほぼ同じお言葉が繰り返されていると。私の記憶にある、少し変わったと思うのは神戸の地震の後の陛下のお言葉でありますが、それ以外はほぼ同じであります。それが陛下の御意思であればもちろん問題がないわけですけれども、そのつくられるプロセスから見ると、余りにも官僚主義に陥って、無難に無難にということで、その結果として同じお言葉になってしまっているのではないか、そうであれば、やはりもう少し原案を作成する過程で工夫があってもいいのではないか、そういうふうに申し上げたところであります。

 率直に申し上げて、私は開会式で陛下が同じお言葉を繰り返されるのを見ておりまして、大変お忙しい中、国会までわざわざ来ていただいて、そしてお言葉をいただくわけですが、陛下に申しわけないという気持ちが私にある、そういう中で申し上げたことでございます。

平沢委員 大臣のお気持ちはよくわかりました。

 天皇陛下のお言葉というのは、政治的に利用されないように、政治的に中立ですから、極めて私は慎重にも慎重でなければならないと。そうしますと、周りは、これは事務当局でつくるわけですけれども、どうしてもある意味では前例踏襲というか、大体従来のパターンを踏襲する。しかし、そういう中で、陛下はお気持ちを込めて読んでおられるはずでございます。

 ですから、この辺は問題提起としてはわからないでもないですけれども、これは余り公の場で問題提起して、陛下に心理的な御負担をおかけするのがいいのかどうかという気がしないでもないんですけれども、その点はいかがでしょうか。

岡田国務大臣 陛下に御負担をおかけする結果になったら、それはもちろん私の本意ではございません。

 先般、陛下御在位二十周年の式典があり、陛下のごあいさつ、お言葉がありました。先日も国会でこのことについて、参議院ですけれども、私の感想を聞かれましたので少し述べたところですが、本当にすばらしいお言葉を陛下はお述べになったというふうに思います。これはもちろん国事行為やそれに準ずる行為ではないということで自由にお述べになったわけですけれども、私は、国事行為あるいはそれに準ずる行為であっても政治的でないお言葉というのは、非常に微妙な問題で、十分に配慮しなければなりませんが、しかし、ないではないんじゃないか、そういう思いがございます。もちろん最終的にはこれは陛下の御意思というのが最も大事ですし、御負担をおかけするようなことになってはなりませんが、同時に、余りにも官僚的な対応になっていないか、そういう思いで申し上げたところであります。

平沢委員 よくわかりました。

 いずれにしましても、私もかつて陛下のそばでお仕えしたことがありますけれども、皇室の持つ、例えば外交での友好親善の力、私は、昭和天皇の御訪米、それから現在の天皇陛下御夫妻の御訪米、両方お供させていただきましたけれども、これは政治家が束になってもかなわない、大変な友好親善の効果を発揮するわけでございまして、それは、あくまでもやはり天皇陛下が政治的なところから距離を置いているからあれだけ大きな効果が出てくるんだろうと私は思います。

 したがいまして、いずれにしましても、天皇陛下を政治的なあれには巻き込まないように、私たちは慎重の上にも慎重でなければならぬじゃないかなと思います。

 次に、外国人参政権についてお聞きさせていただきたいと思います。

 民主党は、立党のときの基本政策の中で、永住外国人への地方参政権付与というのを明記されているわけでございます。そして、民主党の政策集のインデックス二〇〇九というのがありますけれども、この中でも、定住外国人の地方参政権などを早期に実現する、これを結党時に掲げているけれども、この方針は今後とも引き続き維持していくということが明記されているわけでございます。

 民主党の幹部の方々は、いろいろな機会に、外国人に参政権を付与しますよということを韓国の高官あるいは民団の幹部に話しているところでございまして、例えば小沢幹事長は、参政権問題は私が民団に約束したことで、この約束は必ず守られるべきだと。これは韓国民主党の代表に、去年の十一月ですか、言われております。そのほか、いろいろな機会に、李明博大統領にも就任前後、報道等によれば、この外国人参政権付与にできるだけ努力するというようなことを言われていまして、ある意味では、対韓国との関係においては一種の約束、公約みたいな形になっているわけでございます。

 そこで、これは国会議員の中でもいろいろと意見が分かれるところでございまして、民主党の中でも意見が分かれているところでございますけれども、そういう中で、大臣は、民主党の中の永住外国人の地位向上推進議連の会長、いわば永住外国人に地方参政権を付与する議員連盟の会長ということで理解していますけれども、それでよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 ちょっと議連の具体的名称を私忘れてしまいましたが、永住外国人に地方参政権を付与すべきという立場で議連があり、そこの会長を務めておりました。ただし、外務大臣になったということで、その資格は今停止中であります。

平沢委員 この永住外国人に対する地方参政権付与については、大臣だけじゃなくて、鳩山総理、小沢幹事長初め、幹部の方がほとんど賛成ということで聞いております。

 そこでお聞きしたいんですけれども、例えば民団の国際局長は、まずは地方参政権、そしてその次は地方の被選挙権だということを言っています。大臣の場合は、これは地方参政権だけなんですか、それとも地方の被選挙権も入るんでしょうか、それとも国政の選挙権も入るんでしょうか。

 というのは、もともとこれは国政の選挙権ということから運動を、最初のころはこういう声があったんです。ところが、国政選挙権ではとても理解が得られないというので、地方選挙権に話が行った。それで、今は地方選挙権。ところが、民団の国際局長は地方の被選挙権ということも言っているということなので、大臣のお考えをお聞きしたいんですけれども、これはあくまでも地方の選挙権だけなんですか。被選挙権も入るのか、国政の選挙権、被選挙権も入ると考えておられるのか、それはどうなんでしょうか。

岡田国務大臣 私は、外務大臣になりまして、党での活動というのは停止しておりますので、現時点の私の考え方を申し上げるつもりはありません。

 ただ、議連の会長として活動しておりました折のまとめとしては、地方における選挙権、つまり参政権ですね、被選挙権は含まないという整理をしたところであります。

 この問題は、鳩山総理も国会で答弁されておりますけれども、国民の中にさまざまな意見がございます。我が党の中にも、率直に言って賛否両論ございます。そういう状況ですので、ぜひ各党の中でまずしっかり議論をして対応をお決めいただくことが私はいいのではないかと。少なくとも、政府として今何か法案をどうこうするという意思決定をしたという事実はございません。

平沢委員 今大臣が言われましたように、運動をしておられる方は、今は地方の参政権、要するに地方の選挙権だけなんです。

 なぜ国政の選挙権、被選挙権を定住外国人の方が求めていないかということになるんですけれども、やはり地方と国政は違うという考え方から、もし選挙権を与えるならば国政を与えても一緒だからいいんじゃないかと思うんですけれども、なぜ国政はセパレートにして、国政の選挙権は外しているんでしょうか。これをちょっと教えていただけますか。

 大臣、議員連盟で国政は外しているんですよ、選挙権。地方だけの選挙権をいわば与えようとしている。しかし、国政の選挙権は与えようとしていない。これはなぜなんでしょうか。

岡田国務大臣 先ほど申し上げましたように、外務大臣になりました折にこの議連の立場を事実上離れておりますので、中身について特にお話をする立場にはございません。

平沢委員 そうしたら、ちょっと大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、こういうことなんです。やはり国政は、大臣が今所管している外交、国防、こういった国家の重要なことを担っている、ですから、この選挙権を外国人に与えるということは、国政が大きく外国人の力によって動かされる、だからだめなんだと。地方だからいいんじゃないかというのが、これは皆さんの理解なんです。

 そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、日本の地方は国政と関係ないのかどうか。要するに、一般的に、なぜ国政を要求しないかというと、結局、推進の方々も言っておられるのは、国政というのは外交だとか安全保障だとかこういう国家の重要なことをやっているから、これは外国人である我々は求めない、しかし地方はそういうことじゃないんだ、我々は税金を払っていて、地方のいろいろな行政に参加したいんだ、だから地方の選挙権は与えてくれてもいいじゃないかということなんです。

 そこで、外務大臣ですからお聞きしますけれども、地方は外交とか国防とか安全保障に関係ないと思われるかどうか、そこをちょっとだけお伺いします。

岡田国務大臣 一定の前提に立つ御質問ですので、一般的にお答えするのは非常に難しいと思います。

平沢委員 例えば沖縄の、要するに地方参政権ということになると、当然のことながら、沖縄の県知事だ、名護の市長選だって外国人に選挙権が与えられるわけです。そして、沖縄の、今度どこが基地になるのかというのはこれからなんでしょうけれども、その海面の埋め立ての許可はどこがやるんでしょうか、大臣。

 それから、今回、大臣が沖縄に行かれて、嘉手納とか、町長とかあるいは知事だとかいろいろお会いになられたと思いますけれども、これは国の問題ですよね、基地の問題というのは。もしこれが地方の問題でないんだったらば、別に相談する必要はないわけです。にもかかわらず、地方の自治体の首長にも、いろいろと話し合い、理解を求める。これはなぜなんでしょうか。関係があるからじゃないですか。

岡田国務大臣 まず、埋め立てについての許可は、これは知事の権限です。

 それから、私が嘉手納町長初め関係者の方とお会いしたのは、基地というものの存在が騒音その他周辺の市町村に多大な影響を及ぼしているということですから、そのことについて十分に御意見をお聞きしたい、そういう思いでお会いをさせていただきました。

平沢委員 やはり、日本の地方自治体というのは国防とか安全保障に全く関係ないわけじゃなくて、その自治体の理解、協力なくして国防とか安全保障は進まないという側面があるわけでございます。

 そこで、きょうは総務省の階政務官、ありがとうございます、おいでいただきました。まず、政治資金規正法で、外国人から政治家は献金を受けちゃいけないと規定がありますね。この趣旨は何ですか。なぜ外国人から献金を受けちゃいけないんですか。

階大臣政務官 平沢議員の御質問にお答えします。

 外国人の方から寄附を受けることは、おっしゃるとおり政治資金規正法の二十二条の五というところで規制されていまして、この趣旨でございますが、我が国の政治や選挙が外国人や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止しよう、そういう趣旨から設けられたものでございます。

平沢委員 もう一つお聞きしますけれども、公職選挙法では、例えば公民権停止だとか未成年者は選挙運動しちゃいけませんよね。これはなぜなんですか。

階大臣政務官 今の御質問ですが、未成年者とか公民権停止、それは、立法政策にかかわることかもしれませんが、未成年者については選挙権がない、公民権停止の人も選挙権の停止になっている、そういう方が選挙活動に携わるのはいかがなものかということで、そこは立法政策として禁止されているということだと思います。

平沢委員 今政務官が言われた、まさにそのとおりだと思うんです。要するに、公民権停止、未成年者は選挙権がないんですよ。だから、選挙活動に携わっちゃいけない、こういう規定が置かれている。それから、外国人から政治資金を受けることによって、日本の選挙が、政治が外国の影響を受けちゃいけない。だから、そこは禁止しているわけでしょう。

 そこで、今資料をお配りさせていますけれども、これは、外国人参政権の候補者、はっきり言っていますよ、民団のホームページなんかには民主党の候補者とはっきり書いていますけれども、民主党の候補者なんかに応援したと。全国で総力を挙げて初めて応援したということを書いているんですよ。もう一回言いますよ。総力を挙げて、全力、これはもう毎回のように、これは週刊ですけれども、民団の新聞に、民主党の候補者を全力を挙げて応援したということが出てくるんです。

 そこで、政務官、まずお聞きしますけれども、民団の、外国人ですから選挙権はないですよね。選挙権のない人は、例えば先ほどの未成年者は選挙権がないからこれはやっちゃいけないと。外国人の選挙権のない人が一生懸命応援する、これはどうなんですか。

階大臣政務官 まず、選挙権がないから必ず選挙運動を認めちゃいけないかということについては、論理必然的にはそうならないと思います。立法政策によるんだと思います。

 では、なぜ外国人の場合は選挙権はないのに選挙運動は認めていいかということなんですが、最高裁の判例、昭和五十三年十月四日、マクリーン事件という非常に有名な判例があります。その中で、外国人の政治活動の自由についても、「わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ」というふうに言われております。

 そういった中で、この選挙運動、政治活動の自由については、特に公職選挙法上は規制がありませんので、規制がない以上は、先ほどの判例に基づいて、これはやられてもいいということになっている、こういうことです。

平沢委員 今の法律では禁止されていないことはわかっているんです。ただ、これは現実問題としておかしくないですかということなんです。

 例えば、基地問題が争点になっている市長選挙があったとする。基地反対の外国人のグループがどっとそこに行って、基地反対の市長を応援するということがもし行われた場合に、これは日本の政治が外国の勢力の影響を受けるということになるでしょう。

 例えば、島根県の知事選挙があった。それで、島根県は竹島の日を設けた、竹島の日を設けるのはけしからぬという人を、外国人が総力を挙げて応援する。あるいは、北朝鮮に友好的な首長を当選させようということで、総力で外国人が応援するというようなことが現実に起こった場合、一部そういう動きはありますけれども、それが起こった場合に、それは日本の政治が特定の外国の影響を受けることによって左右されてしまうことにもなりかねないので。

 今は禁止されていないことはわかります。おかしくないですか、これは特定の勢力の。だから、政治資金規正法の趣旨とか何かからして、おかしくないですかということなんです。

階大臣政務官 今おっしゃったような問題意識があることは承知しておりますけれども、我々としましては、選挙運動の自由、政治活動の自由、どこまで認められるかということについては、まさに各党会派で御議論いただいて、必要があれば法改正していただく。

 現行法のもとで、我々は、今のような、先ほど申し上げたような、外国人の選挙運動の自由、政治活動の自由は認められるということで運用しております。

平沢委員 それは全く優等生答弁ですね。

 ですから、そういうことなんでしょうけれども、日本の国が、政治資金規正法で、外国の影響を受けちゃいけないということを言っているわけでしょう、先ほどの献金のところで。外国の影響を受けちゃいけないといっても、片や、政治活動で幾らでも外国の影響を受けている。そこがおかしくないかということを言っているわけですよ。

 そうしたら、政治資金規正法で金だっていいじゃないですか。金は何でだめなんですか。影響を受けるからでしょう。だって、金だけじゃないんですよ。日本の政治、選挙が影響を受けるのは、ほかのいろいろなやり方でも影響を受けるんですよ。それはいいんですかと。ですから、これは要するに、今は禁止されていないことはわかっています。

 では、大臣にお聞きしましょう。大臣、これはどう思われますか、今の話を聞いていて。大臣、何かコメントないですか。(発言する者あり)ちょっとやじは黙ってなさいって。ちょっと委員長、静かにさせてください。大臣。

岡田国務大臣 これは外務大臣として答弁すべきかどうか、ちょっとちゅうちょしながら申し上げますが、先ほど階さんが言われたように、これは立法政策の問題だと思います、どこで切るかですね。

 しかし、政治活動の自由というのは基本的人権にとってかなり根本的なものですから、それを外国人という理由だけで全面的に制限するということが果たして妥当なのかどうか。これは立法政策だけではなくて、憲法の趣旨から見ても妥当なのかどうかというところはかなり議論のあるところだと思います。だからこそ、自民党が与党の間にも、そういう議員立法は出てこなかったということじゃないかと思います。

平沢委員 この問題は今後の課題として、大臣が外国人参政権付与に賛成のことはわかりました。

 副大臣はどうなんですか。外国人地方参政権付与に賛成なんですか。民主党の中は意見が分かれていますので、ちょっとあえて聞かせていただきたいんです。

武正副大臣 私も、今、政府、内閣の一員としてのお答えということになろうかと思いますが、このことについては、やはり、各党会派の御議論、国会の議論あるいは国民各層のいろいろな議論、これをしっかりと踏まえて対応してまいりたいというふうに思います。

平沢委員 では、わかりました。またこれはいずれ別途聞きたいと思いますので、政務官、ありがとうございました。もう結構ですから。

 では、時間が限られていますので、次に、日米関係についてお聞きしたいと思います。

 日米関係について、いろいろな方がいろいろなことを言われていますから、国民の方も、これはどうなっているんだろうということで、さっぱりわからないわけですね。選択肢は四つあるわけですね。

 一つは、現状のまま。普天間をそのまま置いておくという選択肢がある。これはないんですね。普天間をなぜ移転しようとしたかというと、普天間に余りにも過重な負担がかかっている、そして、余りにも住宅地の中で、騒音だ、女性に対する暴行だとかいろいろあったものだから、これはもう移転することになったわけだから、このまま置いておくということは、アメリカは受け入れるかもしれないけれども、日本にとってはこの選択肢はあり得ない。そうですよね。

 それから二番目に、県外、国外という選択肢がありまして、これは随分いろいろな方が言われていまして、沖縄の県民は、県外、国外ということをえらい期待しているわけですけれども、この選択肢が果たしてあり得るのかどうか。

 それから三番目に、大臣が言っておられる嘉手納統合。この統合についても、大臣も沖縄に行かれたようですけれども、この前、嘉手納の宮城町長が来られたときもいろいろ話をさせていただきましたけれども、この可能性もほぼゼロ。

 そうすると、四番目に残るのは、辺野古ということになってくるわけなんです。

 しかし、まず、現状のままというのはあり得ないわけですから、二番目の県外、国外なんですけれども、これについては、これはもうかつてのことなんですけれども、例えば大臣は、二〇〇五年の五月十五日、これは思いとしては私は当然だと思います、大臣の言われたのは。危険な普天間が存する限り戦後は終わっていない、一つ一つの安全保障の違いを乗り越え、心を一つにして県外移設を実現していこう、こういうことを言っておられます。

 二〇〇五年八月二十五日にも、大臣は、普天間の県外、国外への移設実現を目指し、政治生命をかけて交渉したい、こういった趣旨のことを言っておられます。

 そして、ことしも、九月十六日には、県外、海外移転の姿勢は変わっていない、選択肢をふやすこともある、こういうようなことを言っておられます。

 そして、御存じのとおり、鳩山総理は、県外、国外、最低でも県外ということを選挙中言っておられるわけでございます。

 こういった中で、大臣は、十月二十三日には、事実上、県外という選択肢はあり得ないということで、従来の発言が変わっているわけでございます。

 そこで、まずお聞きしたいんですけれども、大臣は予算委員会で、マニフェストに書いてあることと、要するに、選挙民に演説とか何かで口頭で言ったこととの間には違いがあると。これは確かに違いがあるでしょう。ですから、マニフェストには、例えば県外とか何かというのは民主党のあれには書いていないと。これはそのとおりなんです。民主党のマニフェストには、「日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。」こう書いてありますから。

 それで、民主党のインデックスも同じようなことが書いてあるわけでございまして、ただ、民主党の二〇〇八年の沖縄ビジョンを見ますと、沖縄の「海兵隊基地の県外への機能分散をまず模索し、戦略環境の変化を踏まえて、国外への移転を目指す。」こうなっているわけで、そうしますと、沖縄ビジョンの中では県外、国外ということを言う。そして、選挙中は県外、国外ということを言う。マニフェストには確かに県外、国外ということは書いていない。

 そこで、大臣にもう一回確認させていただきたいんですけれども、マニフェストと、それから選挙中に県民の皆さんにいろいろ訴えて、それは報道に大きく出ます、それは違いがあるということを言われた。その違いというのは、マニフェストは大きな拘束力、約束、やや義務的なものがあるけれども、選挙中言われたことはそんなに拘束力はないという意味なんでしょうか。その辺はどうですか。

岡田国務大臣 委員いろいろ言われましたが、二〇〇五年の八月の私の発言も引用されました。

 当時、私は民主党代表で、選挙戦のさなかにそういう発言をした記憶がございます。選挙で勝てば、当然、民主党政権になって、そういったことをまさしく政治生命をかけてやった。しかし、残念ながら選挙の結果はそうはなりませんでした。そして、日米合意がその後九月にできたということであります。日米合意ができるまでの話とできた後は少し状況が変わるということが一つございます。

 そして、先ほど沖縄ビジョンの話がありましたが、委員御自身読み上げられたように、県外を模索しという言い方をしているんですね。県外にするという言い方をあえてせずに、模索するという言い方をしております。そして、そういうことを踏まえて、マニフェストにおいては普天間という言葉も県外という言葉もあえて書かずに、もちろん方向性としてはそういうニュアンスを感じさせる、つまり、見直しの方向で臨むという言い方ですけれども、しかし、あえてそういう普天間とかあるいは県外という表現を落としたマニフェストにしたわけであります。そこに我々の、少し懐を深くしよう、そういう思いがあったことは間違いないことであります。

 今、当時の鳩山代表の発言について言及されましたが、報じられたものと実際の発言の間に少し違いがあります。こういったものは大体街頭演説とかあるいは集会での発言ということになるわけですけれども、さまざまな前提を置いた上で述べられることが一般的であります。しかし、報じられるのはそのうちの一部を切り取って報じられる。それは委員もよく御経験されていることだと思います。そういう中で、ある意味では一部分を切り取って当時の鳩山代表の発言が報じられた、こういうことでございます。

平沢委員 今のお話を伺いますと、マニフェストから落とした、それから、選挙中の発言が必ずしも正確にはマスコミには報道されなかったということをお聞きしますと、県外とか国外とかということに対する思いというのはそんなになかったということなんでしょうか。それとも、あったけれども、それは結局、強い調子で言わなかったということなんでしょうか。

岡田国務大臣 私は当時幹事長でした。鳩山代表も私も思いはありました。しかし、それを明確な形でマニフェストに書くということになると、それだけ、当然マニフェストというのは国民に対する約束ですから、多少、選挙を戦うに当たり、あるいは選挙の後に懐の深さを持つべきだ、そういう判断をしたわけであります。思いとしては、それはでき得れば県外がいいという思いは当然持っておりました。

平沢委員 沖縄の新聞を読んでいますと、何か裏切られた、要するに、選挙中言っていたことは何なんだ、沖縄県外、海外ということを間違いなく言っていた、しかし、それを今になって、必ずしもそうじゃないというような言い方をされるのは沖縄県民からすれば大変な裏切りだというような記事が、今ここにも新聞がありますけれども、あるんですよ。

 ということになると、今お話を伺っていますと、やはり県外、国外というのは極めて実際には実現が厳しいと。ですから、模索はするけれども、厳しいということがわかっていたにもかかわらず、選挙中、要するに、県外、国外というようなニュアンスのことを言えば、それは四選挙区沖縄で勝った勝ったと言っていますけれども、当たり前じゃないですか。それは沖縄の県民からすれば、基地なんかない方がいいに決まっているわけだから。ない方がいい基地を県外に持っていきますよと言えば、それは勝つのは当たり前だと思いますよ、私は。

 だけれども……(発言する者あり)ちょっと黙っていて。沖縄県民の皆さんからすれば、それはおかしいじゃないか、選挙中にそういう発言をしたにもかかわらず、今こういうことになってきて、大臣も、九月十六日には県外、海外にする姿勢は変わっていないと言っておられたのが、十月二十三日になったら、事実上県外という選択肢は考えられないということを言っておられるので、沖縄県民は大変なショックを受けているわけで、これはやはり沖縄県民に対する裏切りとはお考えにならないですか。

岡田国務大臣 今言われた九月の私の発言ですか。(平沢委員「九月十六日です」と呼ぶ)ぜひ、それは記者会見として全文が公開されておりますので、それを見ていただきたいと思います。報道はそのうちの一部を切り取ります。場合によっては、県外という言葉を本人が使わなくても、質問が県外であって、それに対して思いが変わっていないと答えれば、県外だというふうに書くこともあります。

 ですから、ぜひ議事録をよく見ていただきたいと思います。

平沢委員 これは議事録を全部見た中からとったんですけれども、新聞報道からとったんじゃないんですけれども、では、確認しますけれども、大臣は、県外、国外ということは今まで言ってこられなかったんでしょうか。

岡田国務大臣 今でも県外、国外という思いがあるかと言われれば、思いがあるというふうに答えます。

平沢委員 思いがあるのは当たり前のことなんで、これはみんなあるんです。思いがあるのはみんなあるんです。そういう中で、実際に責任者として具体的に基地移転を実現するときにこれをどこに持っていくかということなんで、そのときに、思いはだれだって県外、国外に決まっているんです。ただ、具体的に……(発言する者あり)ちょっと黙っていてください。具体的にこれを実現するとしたらばどうしたらいいかということをやはり聞いているわけですから、大臣としては、それは今まではどういう御発言をされてこられたんですか、具体的に移転する場所として。

岡田国務大臣 ちょっと私今手元に議事録を持っておりませんが、必ず県外、国外に移転させるということは、私はそういう言い方は申し上げたことはありません、この選挙に関して。

平沢委員 選挙中は大臣は言っておられないと思います、私が調べた限りでは。ただ、鳩山総理は言っておられるんです、間違いなく。

 ですから、沖縄県民の方々は県外、国外という思いがあるから、今ここで何か二転三転しているようなことに対して大変に失望というか憤りを感じているわけで、時間がありませんので、これはまたいずれ別な機会にさせていただきたいなと思います。

 そこで、もうこれはほかの委員会でも出たので簡単にお聞きしますけれども、グアム移転協定が、ことし、クリントンと中曽根さんの間で結ばれて、国会で通っているわけですけれども、この中にロードマップが引用されて、普天間の辺野古移転なんかも書かれているわけですけれども、要するに、このグアム移転協定、その中に書かれているロードマップ、日米間の合意、これの重みというのはどのくらいあるものか、これについてちょっと教えていただけますか。

武正副大臣 日米両政府の担当者によって合意を見たロードマップでございまして、それがことしの通常国会に提出をされたグアム協定の前文に引用されているわけでございます。このロードマップについては、法的な拘束力はないというふうに認識しております。そしてまた、このロードマップを前文にグアム協定が、外務大臣そして国務長官で御案内のように署名をされ、国会に諮られ、国会で承認を受けたということでございます。

平沢委員 ちょっとわからなかったんですけれども、グアム協定というのは、協定というのは条約と理解していいですね。これは条約とも同じですね。協定だとか議定書だとか、いろいろなのがありますけれども、これは条約と同じでしょう。ちょっと確認したいんです。

武正副大臣 条約、協定、あるいはさまざま、そしていろいろな呼び名がありますが、両政府間で合意をし、署名、そして国会の手続を踏んだということでございます。

平沢委員 だとすれば、もちろん今のロードマップの部分は法的な拘束力、条約上の義務はないけれども、どのくらい尊重する必要性があるのか。これはどうなんですか。もう一回。要するに、これは一応両国政府が条約として結んだものですよ。その条約として結んだものについて、その中に書かれていることについてどの程度いわば守る、尊重する必要性があるものなんですか。

武正副大臣 御質問の、どの部分を守る……(平沢委員「ロードマップの、辺野古に行くというところです」と呼ぶ)ということだとあれですが、ロードマップについては法的拘束力がないわけでして、これは私もこの委員会で質疑に立ったわけですけれども、なぜ前文にロードマップが引用されているのかというようなことも含めて質疑の中では取り上げた経緯があります。

 ただ、御質問の、どの部分を守るかということについて言えば、ロードマップは法的拘束力はない。しかしながら、ロードマップを引用して、前文ですけれども、その協定については両担当、外相、国務長官が署名をし、国会で審議がされ、決定を見て承認をされたということでございます。

平沢委員 ちょっと納得できないですけれども、時間がないので次に進ませていただきたいと思います。

 今度ワーキンググループをつくりましたね、きのうから。まず、このワーキンググループのレベルが合っていない。こちらは岡田大臣と北澤大臣、向こうは大使と国防次官補でしょう。国防次官補というのは局長級でしょう。局長級と大使が出てくる、こっちは大臣が二人出てくる、こんな、逆はあり得ないです。余りにもアンバランスなんですけれども、何でこんなことになったのか、ちょっと説明してくれますか。

 二対二、2プラス2だったら大臣、大臣じゃなきゃおかしいので、もちろん向こうから来れないのはわかりますよ、来れないのはわかりますけれども、それだったらこっちもそれに応じたあれをやらないと、やはり外交だから格が大事になってくるじゃないですか。

武正副大臣 このワーキンググループがきのうからスタートしたわけでありますが、これは日米首脳会談において、普天間飛行場の代替施設問題について二国間の閣僚レベルのワーキンググループを通じて本件に係る問題をできるだけ早期に解決することについて両首脳間で一致したということでワーキンググループがスタートをした。

 特にこのワーキンググループについては、岡田外務大臣とアメリカ大使との間でのそうした話し合いでのスタートというふうに理解をしておりますが、閣僚間ということでありますので、本来であれば国務長官、国防総省、ゲーツ長官ですね、が来て、外務大臣、防衛大臣と一緒にスタートしなければならないわけでありますが、やはり時間的な、速やかにという制約のもと、昨日まず第一回ということで始めたわけでありまして、そのときには今御指摘の大使、そしてグレグソン国防次官補は何といっても四軍調整官も経験をしたということでありまして、まずはスタートでありますが、いずれ、当然、いわゆる2プラス2ということでの協議というものもこの後あるということになろうかと思います。

平沢委員 ちょっとここを詳しく聞きたいんですけれども、時間の関係で。

 大臣は検証検証ということを盛んに言われますけれども、この検証というのは英語に直すと何となるんですか。要するに、通訳が入っていると思うんですけれども、アメリカ側にこの検証というのは何と通訳しているんですか。

武正副大臣 レビューということだと思います。

平沢委員 本当にレビューですか。レビューだったらかなりチェックするということで、私はある人からリビジットと聞いたんですけれども、本当にこれはレビューで間違いないですか。私はある人からリビジットと聞いたんですけれども。リビジットだったらこれはちょっと弱くなる。レビューだったらかなり厳しくなりますよ。これは本当ですか、副大臣。これは事務方でもいいですよ。事務方でもいいから、だれか。私はリビジットと聞いているんですよ。

 だって、委員長、検証というのが何とアメリカ側に英語で伝わったかでもこれはかなり意味が違ってくるんです。ですから、英語は何と言ったかというのは極めて大事になってくるわけで、ちょっとこれはわからないですか。

武正副大臣 レビューというふうに先ほど申し上げましたが、今大事なポイントだと思いますので、御指摘もありますので、確認をさせていただき、平沢委員の質問時間の中でお答えできなければ、後ほどお答えをさせていただきたいと思います。

平沢委員 これは普天間が辺野古に行くという可能性は、もちろんこれは可能性としてはあるんですか、ないんですか。「サンデープロジェクト」で大臣はそれについてノーコメントと言われましたけれども、すべての可能性の中でこれからやるんだったら、辺野古も可能性としてはあるんでしょうね、大臣。

岡田国務大臣 このワーキンググループの使命というのは、現在の合意に至った、つまり普天間の移転についての検証なんですね。したがって、そのプロセスを検証するわけですから、どこに行くとか行かないとか、そういう議論には至っていないんです。その手前の段階での、なぜ今の案になったかということを検証しているということです。

平沢委員 ちょっとわかりにくいんですけれども、できるだけ迅速にというのは、大臣はいつまでということをお考えなんでしょうか。

岡田国務大臣 言葉はちょっと正確に申し上げたいんですが、できるだけ迅速にという表現はありません。できるだけ早く、迅速に、この二つの表現であります。(平沢委員「それはいつまでですか」と呼ぶ)これがいつまでかということは、日米間では何ら合意はございません。ただ、私の思いとしては、これは北澤大臣も同じなんですけれども、来年度予算要求に係る話であるので、やはり年内になるべく結論を見出したい。

 しかし、これは最終的には総理は自分が決めるとおっしゃっております。そういう意味で、我々の担当大臣としての思いは今申し上げたことではありますけれども、最終的にはこれは総理が、あるいは内閣で決める話でありますので、そこまで、私が今いつまでにやりますというお約束は申し上げられません。

平沢委員 これは、英文を見ますと、英文の方はエクスペディシャスリーという余りふだん使いなれない言葉を使っているんですよ。ですから、例えばアズ・クイックリー・アズ・ポシブルとか、そういった言い方じゃなくて、エクスペディシャスリーという特異な英語を、余りめったに使わない英語を使っていますから、相当急いでいるという感じが出るんですけれども、これはどうですか。

武正副大臣 先ほどの検証の英語でございますが、今確認をいたしましたところ、レビューということでございます。

平沢委員 私が聞いたときはリビジットだったんですけれども、レビューだったらば、いろいろなところであるんですけれども、要するにこれはかなり徹底的にやるということになりますよ。ですから、これはそんな簡単に結論が出るんですかね。いずれにしましても、いいですよ、わかりました。

 それで、エクスペディシャスリーは、これは英語としてはどのくらい早くというニュアンスがあるんですか。だって、普通の英語をわざわざ使わないで、こういうめったに使わないような英語を使っているわけだから。これはなぜこの英語を、英語のニュアンスとして物すごく早くというような感じがするんですけれども、どうですか。アメリカ側の英語ですよ。

武正副大臣 その言葉は私もちょっと聞き取れなかったんですけれども、アズ・スーン・アズ・ポシブルとかアズ・クイックリー・アズ・ポシブルとか、そういうような表現があったのではないのかなというような思いがありますが、これも正確を期したいと思いますので、確認をして、この委員会でお答えをさせていただきたいと思います。

平沢委員 いろいろ聞きたいことがありますので、またこれは別の機会にして、次にアフガニスタン、聞かせていただきたいと思いますけれども、アフガニスタンに対する支援、五年間で五十億ドルという支援が発表されたわけですけれども、五十億ドル、この数字の積算根拠は何なんでしょうか、教えてください。

武正副大臣 お答えをいたします。

 この五十億ドルの積算根拠でございますが、アフガニスタン支援の重要性にかんがみまして、日本の責任を果たすために、財政事情が大変厳しい中でもありますが、カルザイ新政権、ちょうど大統領の就任式もこのタイミングで行われるわけでありますが、その新政権の任期である五年間を念頭に置いて最大限の支援を行うことを決定したものでございます。

 個々の具体的な案件に即して積み上げたものではなく、今後のアフガニスタン情勢において、毎年の予算編成において検討をしていくことになります。

平沢委員 これは、インド洋での給油をやめる、そのかわりに出すものですか。それとも、インド洋給油のあれとは全く関係なく、今まで二十億ドル出してきましたね、この二十億ドルにかわるものとして新たにこの五十億ドルを出すので、これはインド洋の給油とは全く関係ないんですか。どちらなんでしょうか。

武正副大臣 御案内のように、これまでも政府として二十億ドルの支援を行ってきたわけでありまして、これは、それにまた続いて、さらにその額も上積みをして五十億ドルということで取り組むということでありまして、アフガニスタン・パキスタン支援ということで総合的に取り組んでいくということであります。(発言する者あり)五十億ドルプラス十億ということでありますが、その中での五十億ドルということでございます。

平沢委員 そうしますと、インド洋での給油をやめると言っていますね。この給油をやめて、かわりの民生支援をいろいろと考える、要するに国際社会から評価されるいろいろな支援を考えると。それは、具体的には何を考えておられるのでしょうか。

武正副大臣 何度となく申し上げておりますが、末端のタリバン兵の再統合、あるいはまたこれまで政府が取り組んでまいりました武装解除、DDRからまたDIAGということに今なっておりますけれども、こうした治安を回復していくための、警察官に対する給与、これまでもこれを支援してまいりましたが、やはりそうした面での取り組み、そしてまた農業、あるいはまた教育、民生支援、こういったところがその中に入ってくると思います。

平沢委員 要するに、インド洋のかわりにお金を出すということなんですか。人は出さないけれどもお金を出す、こういうことですか。そこだけはっきり言ってください。

武正副大臣 これまでも、今触れましたような二十億ドルの取り組みで、JICAの職員、そしてまた外務省を初め現地での取り組みを進めているわけでありますので、これについてはやはり日本の取り組みということで高い評価を受けているというふうに思います。

 そして、それをさらに強めていこうということでありますので、資金的にももちろん増額をいたしますが、内容面でもしっかりとした支援を行っていくということになろうかと思います。

平沢委員 言っていることがさっぱり、武正さんらしくなくて全然わからないんですけれども、要するに、インド洋でやめて、かわりに金を出すんでしょう。小切手外交をやるんでしょう。

 ちなみに、今JICAで警察研修というのをやっているんですよ。アフガニスタンから警察官を呼んできて、そして日本で研修を受けさせているんですよ。

 これは、例えば去年の十二月から、アフガニスタンの警察官十名、これは一言で言うけれども、警察も何の役にも立たないと言っていますよ、こんなことをやって。これはJICAが呼んでいるみたいですけれども。そのスケジュールを見たんですよ、何をやっているかと。日本の警察制度の概要、日本の採用、教養制度について、それから総合通信指令室、鑑識、交通管制センター見学等々。

 これは、アフガニスタンの警察にこんなことをやって何のプラスになるの。世界最先端の日本の警察の組織だとか交通管制センターだとかなんとか見て、非常に感心して帰るのはいいですよ。アフガニスタンの警察が今一番必要としているのは、対テロとの関係なんですよ。テロをどうするかということですよ。テロの危機に直面しながら、毎日毎日闘っているわけでしょう。にもかかわらず、アフガニスタンの警察官をJICAの一環として日本に呼んで、それで警察の施設なんかを見せて、最先端の通信指令室を見て、これはアフガニスタンの警察官が帰って何のプラスにもならないと私は思いますよ。またそんなことをやろうとしているんですか。

    〔委員長退席、小宮山(泰)委員長代理着席〕

岡田国務大臣 今のお話ですが、確かに十名の警察官を日本に呼んで研修をしているということです。

 今、警察はこんなものは全く役に立たないと言っているというお話でしたが、もしそれが警察庁としての正式な見解であれば、我々はこれを続けるつもりはありません。警察庁もこういったことが重要であるというふうにお考えだからという前提でこの研修を行っているところであります。

平沢委員 それは、私がいろいろ現場の方と話したら、士気高揚という意味ではプラスになるでしょう。遠く日本まで来ていろいろとあちこち見学できるわけですから、士気高揚という意味ではプラスになる。しかし、少なくともテロと闘っている、命の危険を背負いながら毎日闘っている警察に、日本の、要するに今のやり方を幾ら教育しても、これはとてもじゃないけれどもアフガニスタンの警察にはプラスにならないと、現場の警察官に聞いたら皆さんはそう言っています。

 実際そうだと思いますよ。武器だって違うんですから。アフガニスタンの警察官が直面している、要するに襲われるかもしれないときに使われる武器、カラシニコフだとかAK47だとか、こんな武器と今日本が持っている、日本の警察が直面する危機のあれとは全然違うわけですから。ですから、そういったアフガニスタンの、まさに本当のニーズに合った形の訓練というのをやらなければ意味がないんじゃないかなと私は思います。

 そこで、この五十億ドル、ODA予算というのはたしか過去十年間で四〇%くらい減らされてきた思いますけれども、今お話がありました五十億ドルということは年間にすれば十億ドルだから、約九百億円。この九百億円というのは無償で出すんですか、ODA予算の無償の中から出すんですか、どこから出すんですか、これをちょっと教えてください。

    〔小宮山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

岡田国務大臣 別に現時点で決めているわけではありませんが、ただ、今のアフガニスタンの現状を見ると、かなりの部分が無償にならざるを得ない、借款ということは現時点では考えにくいと思います。

平沢委員 いや、私が言っているのは、今ODA予算はどんどん削られてきているわけですね。それで、無償の資金協力はたしか千六百億くらいしかないと思うんですね。千六百億くらいだったと思うんですよ。千六百億の中から毎年九百億円もとられちゃったら、残りあと七百億しかないわけで、そこで、アフリカに倍の支援をするだとか、メコン川のところに支援するとか、いろいろな支援をしなきゃならないところがいっぱいあるわけで、アフガニスタンだけにこんなにした場合に、ほかの国の支援はどうなっちゃうんでしょうか。これはどうなんでしょうか。

岡田国務大臣 これは内閣として、アフガニスタン支援、あるいはアフガニスタン・パキスタン支援ということが、最終的に世界をテロの恐怖から解放するために極めて重要である、そういう判断に立ってこの五十億ドルの支援策を決定したわけですから、別に、既存の枠に必ずしもとらわれるものではなく、必要があれば増額をして行っていくということになります。

 それから、今の委員のお話を聞いていますと、お金を出せばいい、私はそういうふうには考えていないわけで、私は、今まで自民党政権のもとで政府がやってきたアフガニスタン支援、二十億ドルの支援をやってまいりましたが、それを、お金を出せばいい、そういうふうに卑下した言い方をするのではなくて、我々は胸を張ってこれだけのことをアフガニスタンのためにやってきたというふうに言うべきことではないかと思います。

 たくさんの教師を育成し、農業支援を行い、農業の生産性を上げ、あるいは学校をつくり、あるいはカブールを中心にインフラも整備し、今オバマ政権も、単にタリバンと戦うだけではなくて、これからタリバンに行きかねない人たちをとどめるためにも、民生支援、そこに力点を置かなければいけないというふうに変わってきておりますので、日本に対する、今までやってきたことに対する評価は非常に高いし、そしてそれをさらに拡大していくということに対して世界的に評価がされている、そう私は考えております。

平沢委員 私は、民生支援をやめろと言っているわけでは全然ないんです。今まで八年間で二十億ドルやってきました。これだって、私は非常に効果があったと思いますよ。

 ただ、今回、インド洋でやめると言っているわけでしょう。もうやめると言っているわけですよ。そして、インド洋だって各国から高く評価を受けているわけで、何でこれをやめるんだろうと。ですから、民生支援は民生支援でやればいいわけです。インド洋のものをなぜやめるか。それが私にはわからないからお聞きしたんです。

 では、大臣にお聞きしますけれども、大臣、パキスタン、アフガニスタン、いろいろなところへ行かれましたけれども、インド洋での給油について、各国からぜひ継続してほしいとか、これは大変に助かっているという評価とか、そういった声は聞かれたんでしょうか、聞かれなかったんでしょうか。

岡田国務大臣 私がお会いした外務大臣あるいは国家元首クラスの中で、インド洋に対する給油支援を継続してもらいたい、そういう声はありました。例えばアフガニスタン、パキスタン、あるいはイギリス等々、そういう声があったことは事実です。

平沢委員 いろいろ各国からそういうお声があったということを今大臣言われました。であるならば、選択肢の一つとして、まだインド洋で給油が続いているわけで、一月十五日まで時間がありますから、それは確かに選挙中に言ったとかあるでしょうけれども、インド洋の給油をこのまま継続するという選択肢はないんでしょうか、大臣。

岡田国務大臣 まず、法律的に言うと、これは継続ではなくて廃止なんです。一たん廃止したものを再度やるかどうかの意思決定の問題。我々は、一たん切れると、もうそこでそれ以上の新たな給油活動は行わない、そういうふうに判断をしているところであります。

 いろいろな見方があると思いますけれども、需要もかなり落ちてきていることも事実です。現在だと、月によってもちろん、一件などというのも最近ありましたが、月間大体七、八件、そしてその給油先の多くはパキスタンということになってきております。

 我々は、そういった活動、一時は必要な時期があったかもしれませんが、かなりニーズは落ちてきているというふうに判断をしております。

平沢委員 私は、世界各国から高く評価されている、そして、日本の国際的な責任を考えた場合には、インド洋での給油はぜひ続けた方が日本の国益にもつながると思っていますけれども、これはまた別の機会に質問させていただきたいと思います。また、北朝鮮の問題も質問させていただきたかったんですけれども、時間がないものですから、次回に回させていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、岩屋毅君。

岩屋委員 自民党の岩屋毅でございます。

 きょうは、質問の機会をいただいてありがとうございます。

 大臣初め副大臣、政務官の皆さんに対する質疑の前に、私はきょう、冒頭、鈴木委員長に一つ御見解を賜りたいことがございます。自民党のとき以来敬愛申し上げている鈴木委員長でございまして、いささか失礼な言い方になるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。

 私は、過去、鈴木先生に対する議員辞職勧告決議案には反対をいたしました。理由は、我が国刑法の基本精神というのは、疑わしきは罰せずということでございます。したがいまして、選挙民の洗礼を受けて、いかなる立場にあろうとも、国会で活動することについては問題がないというふうに私は考えておりました。過去、いずれの議員辞職勧告決議案にも私は賛成したことはありませんし、これからも賛成するつもりはありません。これは私の一つの信念でございます。

 ただ、今般、鈴木先生が委員長をお受けになられたということは、やはり不適切だったのではないか。いやしくも、国権の最高機関の委員長は国会を代表するポストでございます。私は、鈴木先生の嫌疑が晴れるということを個人的には期待をしておりますけれども、万が一の場合は、国会の権威を傷つけ、信用を傷つけるということにもなりかねないわけでありまして、そういう状況にあっては、やはり就任を遠慮してしかるべきではなかったかなと。

 我が党はそういう考え方に基づいて反対をした結果、あの日、本会議も一時間おくれるということになったわけでありますが、にもかかわらず委員長をお受けになられて、先生としては今どういう心境であられるのか、今後のことについてどういうお考えを持っておられるのか、冒頭に聞かせていただきたいと思います。

鈴木委員長 私に発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私は、立法府は立法府の判断があっていいと思っていますし、司法は司法の判断があっていいと思っております。それがまた民主主義だと思っております。

 少なくとも、民主主義の一番の手続の選挙によって、私は、一回のみならず二回も、多くの信任を得てこの立法府に議席を有することができました。議席を得た以上、国民のために働く、これが国権の最高機関、国会議員の務めであると私は思っています。選ばれた以上、私はしっかりと国民に責任を持って、仕事で、与えられた任務を全うしていきたい、私はそのように考えております。

岩屋委員 委員長のお気持ちは今聞かせていただきました。ただ、私が非常に心配しておりますのは、国会の権威が傷つくことがないように、信用を失うことがないように委員長におかれましては今後も対処をしていただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。

鈴木委員長 今の岩屋毅議員の声というのは、また多くの国民の声であるかもしれません。そのことはそのことで私は耳に入っておりますけれども、これはまた立法府の判断ではなくて、別の、司法での判断になるかと思っております。

 あわせて、もう岩屋議員おわかりかと思いますけれども、八年前、国会でいろいろ疑惑疑惑と言われました。その国会で、この中で質問をした人もおられますけれども、その件で私が裁判している事案はございません。このこともぜひともおわかりおきをいただきたい。

 改めて、やましいことはしていないということで、一貫して私は無罪を主張しております。今バッジをつけている議員の中で、いわゆる犯罪としてみずから認めて、さらにまた国会に復帰をして内閣の一員になった人もおられますね。私は、その点をぜひとも比較してもらいたいんです。私は一貫して政治家としてやましいことはしていない、国会で指摘をされた件で今裁判になっている件はないということも、この点、明確にしておきたい、こう思っております。

岩屋委員 それでは、大臣初め皆さんに質問させていただきたいと思います。

 岡田大臣とこういう形で質疑をさせていただくということを、私は非常に幸せに思っています。平成二年衆議院当選、同期組でございます。当時から、将来日本を背負う政治家の一人になられるであろうというふうに私は思っておりました。外務大臣への御就任、おめでとうございます。

 我々が初当選したときに、ちょうど政治改革という議論を一生懸命ともにやらせていただきました。中選挙区で、自民党が派閥に分かれて争っている、野党はとにかく一議席でもとれればいいと無責任なことを言い続けている。こういう政治では日本の政治は成熟していかない、やはりここは小選挙区を中心とする選挙制度に変えて政界再編というものを起こして、やがては政策をめぐって政権交代を争う政治にしなければいけない、こういう信念で岡田さんも私も一生懸命政治改革の運動をやりました。その結果、十六年たってついに政権交代が起こったわけでございます。自民党に所属する私にしてみると返す返すも残念で無念なことではありますけれども、いつかはやってくることが十六年たってやってきたというふうに受けとめさせていただいております。

 この間の選挙は、私どもにとっては非常に厳しい選挙でございました。ある意味では、野党が勝ったというよりも、与党が負けた選挙だったかもしれない。国民はプレーヤーをかえたいと思った。必ずしも民主党が言っているマニフェスト全部を信用したわけではない、ただ、ここはかえてみたいというふうに思われたんでしょう。その気持ちも私はわからないではない。だから、政権をとられた民主党さんも、本当に政権担当能力があるのかということが今問われている、野に下った我々も、もう一度国民の信頼を取り戻すことができるのかどうかが問われている、そういう局面だと思います。

 岡田さんは、十六年間野党にあって本当に頑張ってこられたと思います。党首として挫折をされたこともあったけれども、踏ん張ってここまで来られたことについては私は率直に敬意を表したいというふうに思いますが、十六年たって政権交代をなし遂げた現在の心境、そして今後の日本の政治をどう展望されているか、これを最初にちょっと聞かせていただきたいと思います。

岡田国務大臣 岩屋さんとは、かつて、政権交代ある政治、政治改革をともに闘った仲間であり、同志であります。当時よく岩屋さんから言われた話に、自分はクリントン、そして岡田はゴアだ、こういうことを言われました。ゴアは結局大統領になりませんでしたので、よく人を見ておられたな、そういう思いがないわけではございません。これは冗談ですが。

 いずれにしても、私は、選挙の前から、政権交代はスタートだというふうに申し上げました。それは、民主党にとって、政権をとる、与党になる、これからが民主党は本当に試されるし、同時に、我々が目指してきたのは単なる政権交代ではなくて政権交代ある政治でありますから、やがて民主党が国民の支持を失えば、また自民党に政権に戻っていただく、お互いが切磋琢磨しながらこの国の政治をよくしていく、そういうものだと思っております。

 ですから、我々は政権政党として国民の信頼をかち得るために全力で頑張りますが、同時に、岩屋さん初め自民党の皆さんに、しっかり党を立て直し、そしてチャレンジしていただきたい、お互いが切磋琢磨していきたい、そういうふうに考えているところであります。

岩屋委員 全く同感でございます。

 ある意味では、運動会でいうと、我々は赤組と白組に分かれたわけでございます。一つの政党だけが常に一〇〇%国家国民の要求にこたえ得るわけではない、お互いがお互いの得意な改革をやりながら日本の政治全体が進化、成熟していく、結果、国民にとって幸せな日本ができていく、豊かな日本ができていくという競い合いをこれからしっかりしていかなきゃいけないと思っております。

 しかし、その中でもやはり一番安定性がなければいけないのは外交の分野であり、防衛の分野だと思うんですね。ここが政権交代のたびにころころ変わるようなことであっては、これは諸外国の信用も得ることができないし、国民の信用も得ることができない。したがって、私は、岡田外務大臣にはずっと期待をしておりますが、正直、この二カ月間を見させていただく限りにおいては、少し期待がしぼみつつある、ぜひこれ以上しぼまないようにしてもらいたい、もう一回大きく膨らませてもらいたいというふうに感じているのでございます。

 ある意味では、岡田大臣こそが鳩山政権の中で最もリアリティーに立脚をしていなければならない。マニフェストに何を書こうが、選挙で何を言おうが、やはり、今日ただいまの日本外交はこうでなければいけないという信念に基づいて、あるときは総理を説得し、踏ん張っていただかなければいけないというふうに思っております。

 岡田さんはもう何年来も、毎年アメリカに行き、中国に行くという努力を野党の時代からされておられたということを私はよく承知しておりまして、立派なことだなと思っておりました。したがって、鳩山政権の布陣の中でも岡田外相というのはまさに適任だなと思って期待をしていたわけでございますが、特にこの二カ月間の中で心配なのは、たびたび議論に出ております日米関係でございます。

 それぞれ大臣がおっしゃっていることの真意というのは大臣の話を聞いていくとわからないでもないんですけれども、これは相手のあることでございますから、新政権が発足して日本の外交はどうなるのかなと特にアメリカは真剣に見詰めているそのときに、余りにもマイナスのメッセージばかりを出し過ぎてきたのではないかな、私は正直そう感じております。

 それぞれのテーマについてはもちろん掘り下げて私あるいは同僚から議論をさせてもらいますが、例えば、大臣は冒頭にあの密約の問題を持ってきました。これは、国民の外交に対する信頼を回復せないかぬ、こういう思いだと思いますが、密約の相手はアメリカでございますから、何をやるつもりかな、これは日米関係に悪影響がなければいいがなという心配をしても決して不思議ではない。

 それから、東アジア共同体構想、総理もともにおっしゃっておられますが、何もアメリカを抜こうという話ではないんだと思いますけれども、どうも岡田発言を読んだり聞いたりする限りにおいては、あら、これはアメリカをちょっと抜いてやろうという話かなと思われても仕方がないようなニュアンスが伝わっている。

 それから、オバマ政権だって、政権をとって日米合意のレビューをやったと思うんですね。その上でクリントンさんが来てグアム協定まで結んだにもかかわらず、この方向性がどうもはっきりしない。大臣たちの毎日言っていることが全然違う。

 それから、今度、事業仕分けというやり方が注目を浴びておりますけれども、何、思いやり予算まであそこにかけるのか、一体どういうつもりなんだというふうに思っても不思議ではない。

 核の先制不使用の提起、そしてインド洋での補給活動の停止、地位協定の改定、こういうメッセージというか言葉が米側に一気に浴びせられたわけですね。そこでいろいろな反応がありましたが、中には、これは一時期のあの盧武鉉政権よりもちょっと厄介なことになってきたなということを言っている米政府高官もいるやに聞いている。

 私は、やはり、まずは信頼関係をしっかりと醸成する、そこから一つ一つ部分修正を図っていくというアプローチであるべきではなかったかな、この間の対米関係のアプローチは、岡田さんにしてはちょっと拙劣だったのではないかなという感じがしているんですけれども、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 今、委員がいろいろ言われた個別の話は、それぞれしっかり議論させていただきたいと思います。

 マスコミは、日米いずれもいろいろ書きます。特に、これは政権が日本もアメリカもかわっていますから、やはり従来の発想になれ親しんだマスコミもかなりあると思います。アメリカでいうと共和党系の人たちが今の日本の政権を、あるいは日本の政策を批判するのは、ある意味では当たり前だと思います。ブッシュ政権のときに基本的にはつくってきたこと、それを一緒にやってきた人たちが今の日本政府に対して批判的に言う、それはある意味当然のことでありますが、それ全体をアメリカ全体というふうに考えると見誤ることになります。

 少なくとも私は、例えば鳩山総理とオバマ大統領、私とクリントン長官、そして、そのほか国務省、国防省の関係者、意思疎通はきちんとできているという自信はあります。その自信のもとで物事を進めているということは申し上げておきたいと思います。

岩屋委員 ぜひそうあってほしいと本当に願っているんです。やはり、外交だけは失敗をされては困るんです。変な話、内政上の失敗は後でいろいろ取り返しがつきますが、外交、安全保障というのは、やり損なうと国を傾け、国民を不幸にしていくという非常に分かれ道になると思うので、特に日米関係は十分に配意をしていただきたいと思います。

 言わずもがなのことだと思うんですけれども、今後とも、見渡し得る限りにおいて、日米関係、日米同盟というものが我が国の外交の基軸であり、安全保障の基軸である、こういう考え方には変わりがないんだというふうに理解してよろしいでしょうか。

岡田国務大臣 日米同盟が日本外交の基軸であるという考え方は、我々はそういう考え方であります。

 ただ、基軸であるということは、その中身の問題というのはあると思います。それが一方的な依存になってしまってはもちろんいけないわけであります。

 私は、この間、自民党時代の外交を見ておりまして非常に違和感を感じたのは、ブッシュ政権から今のオバマ政権にかわりました。両政権の外交に対する考え方はかなり違います。どちらかというと、ブッシュ政権はアメリカという国を前面に出して、場合によっては単独行動主義とか、そういった面が非常に強かったと思います。アメリカの考える価値観を全世界に広げていく。それに対して、オバマ大統領はやはり国際協調ということを前面に出している。アメリカの政権がかわり、政策がこれだけ変わったにもかかわらず、日本の外交は、従来のブッシュ大統領の時代からオバマ大統領の時代に、ほとんど摩擦もなく、ためらいもなく、アメリカの政策にみずから合わせていったというふうに私には見えました。

 つまり、それは自分がないからだ、みずからのポリシーがないからそういうことが可能になるのであって、みずからの国益を担ったしっかりとした政策があれば、相手側がかわれば、そこに一定の摩擦といいますか、そういう一定の移行期における多少のぎくしゃくが出るのは本来当たり前ではないか、そういうふうに考えております。

 もちろん、ぎくしゃくはいいことではありませんから、それを最小限にしていく努力は必要ですけれども、もう少し日本の外交というものが存在感を持ってしっかりできるような、そういう外務大臣でありたいというふうに考えています。

岩屋委員 日本外交が存在感をもっと持ってしかるべきだということについては、私も同意をいたします。

 ただ、日米の同盟というのは、ひとり我が国のみならず、アジア全体にとって、あるいは世界全体にとって非常に大きな役割を有している枠組みだというふうに思います。戦後間もなくは、日米同盟というのは、もしかすると日本を守るためだけの、あるいは極東のごく一部を守るためだけの同盟であったかもしれないけれども、日本の発展とともに、また日本も努力をして、アジア全体の平和と繁栄に貢献する枠組みに変わってきた、さらには世界全体の平和と安定に貢献できる枠組みに変えてきた、再定義しながら変えてきたということだと思いますので、日米同盟というものの役割、この意義は、どちらの政権がどうかわろうとも変わらないんだろうと私は思います。

 そういうマクロの環境の中での日米同盟であり、米軍の再編問題であり、行き着くミクロの問題が普天間の問題だというふうに考えていかないと、余りミクロの問題から入っていくと話がややこしくなるのではないかなと思います。

 これはもう私が解説するまでもないことでございますが、当初、普天間の問題は、あの残念な少女暴行事件が起きて、これはもう普天間だけは早く解決せないかぬということになって日米の合意ができましたが、余りミクロの話から入っていくと、これはまたらちが明かなくなる。あのときアーミテージさんでしたか、そういう人たちも尽力していただいて、大きな戦略の話からやり変えようよということで、普天間の問題と米軍の世界的なトランスフォーメーション、さらには在日米軍の再編という問題が同時並行で走り出して、その間、日米両国政府もいろいろな努力を積み重ねてきて、沖縄も苦労をしながら、苦心をしながら、そこにある程度歩調を合わせてくれて、間もなくやっとその事業が緒につくかなというところに来ていたと思うんですね。

 きょうも十三年間政権党が何もやっていなかったみたいな話もありました、きのうは安保委員会でしたか、下地さんがそういうことをおっしゃったが、私はちょっと言い過ぎなのではないかなと思います。私もこの間、防衛の政務官なり外務の副大臣なり党の国防部会長なり、その作業にかかわるほどのポジションではありませんでしたが、この間の努力の経緯を見させていただいてきたので、やはり一生懸命合意を積み重ねてきたんですね。それで、いよいよになったときに、どうも新政権の方向がはっきりしないということで、日米間がちょっとぎくしゃくをしてきたということだと思います。

 もちろん、旧政権にも作業がおくれたことの責任は当然ある、これはこう思いますが、今もう民主党さんを初めとする連立政権が政権をとられた以上は、この長い時間がかかった問題に始末をつける、決着をつける、何とか解決するというのは皆さんの責任ですから。だから、妥当な結論を出すんだったら、それはもう非難もしませんし邪魔もしません。やはり、片づける責任があるわけですから、これをしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 岡田大臣へのお願いは、検証作業をやっているんだから、総理が言うことも、おれが言うことも、防衛大臣が言うことも、まあ時々違うことがあってもおかしくないみたいなことをおっしゃっておられるように聞いておりますが、外から見たら、やはり日本国政府は一体ですから、何をここに至ってまで毎日毎日違うことを言っているのかというのが外からの印象だと思うのです。この問題は、やはり、外交の責任者である岡田さんが中心になって、総理としっかりと意思疎通をし、発言をそろえ、防衛大臣ともそろえ、やっていかないと、これ以上ばらばらな発言が続くと本当に始末のつかないことになると私は心配をしております。

 やっと外務大臣と防衛大臣の発言が少しそろってきたかなというふうに思っておるんですが、とにかく、総理大臣は全体を総理しなきゃいけないわけですから、外交の責任者は岡田さんですから、ここはしっかりあなたにリーダーシップをとっていただきたい。

 つらいでしょうけれども、先ほどから、期限はいつまでになるかわからない、とにかくやってみるみたいな話ですけれども、これはそろそろ、年内に結論を出すのなら出すと、しっかりと方針を示された方がいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 これは考え方の問題なんですが、つまり、意見がばらばらだという御指摘ですけれども、下から積み上げる方式でやっていけば、多分、大臣間の意見が異なるということはないと思います。しかし、我々は、そういうやり方ではなくて、政治主導でやっております。

 例えば、事務次官会議で合意した方針に沿って閣議で大臣がそれぞれ役所がつくった書類を読む、これが大臣の発言であるということであれば、それは整合性はその前にとられておりますから、矛盾の発言は出てまいりません。我々は、そういうことではなくて、やはり政治主導でやっていくということですから、決まるまではさまざまな意見が出るということは、むしろ、一定の範囲で当然あってしかるべきだ、ない方がおかしいというふうに私は思っております。今まで四十年間そういった官主導のやり方になれている目から見ると違和感を覚えられるかもしれませんが、やがて、それは国民も含めて、それが普通のやり方なんだということで理解されるというふうに私は思っております。

 もちろん、余りばらばらな発言が相次ぐことは望ましいことではありません。私と防衛大臣、そして総理、意思疎通は非常によくしております。ですから、お互い、相手の発言に驚くということは余りありません。そういう意味で、意思疎通した上で現在の状況になっている、それぞれ思いがこもるということはあると思いますが。

 私は、決してそれは非難されるべきことではなくて、政治主導のもとにおいてはこういうこともある意味望ましいことではないかというふうに思っております。

岩屋委員 お言葉ですけれども、この問題を政治主導という言葉で説明するのはちょっと無理があるし、甘いんではないかと私は思いますよ。それは、大臣たち同士は驚かないかもしれませんが、私たちは驚いていますよ。アメリカも驚いている。長島防衛政務官も驚いている。事外交の問題ですからね、大臣。やはり外交の問題だし、まさに大臣がさっきおっしゃった、今後とも日本外交の基軸であり、その根幹であるところの日米に関する問題ですし、沖縄は物すごくやはりセンシティブですよね、この問題に。

 だから、そこを考えても、作業の途中にはいろいろばらばら発言があってもいいんだ、それは政治主導だからという説明は、私はちょっと認識として甘いというふうに今聞かせていただきました。だから、ぜひ、これからもうちょっとたがを締めていただいて、頑張ってもらいたいというふうに思うのでございます。

 それから、政治主導というのはいいんですけれども、間違っても選挙主導になってほしくないなと私は思っているんですよ。

 そういう意味で、鳩山総理が、最近は言わなくなったようだけれども、沖縄の皆さんの声を聞かなきゃいかぬということを理由に、一月には市長選挙もある、やがて県知事選挙もある、その間に参議院選挙もあるとは言わなかったが、いやしくも日米関係の命運を決するような重大問題、最終的には政府に責任がある問題について、一地域の選挙民にその荷を背負わせるというのは政府の姿勢として極めて不見識だというふうに私は感じておりまして、そういう説明を外交舞台などでもやったような報道がありますが、これまた私は失笑を買っていると思いますよ。そんなことを理由に外交の舞台で、いや、ちょっと待ってくれとかいうような話、これはまさに国際社会では通用しない話だと思いますよ。

 それは、沖縄の皆さんも、みずから答えを最後に出すということはなかなか困難をきわめるかもしれない。やはり十分に意思の疎通を図った上で、もうこれしかないんだ、頼む、現地の方々も、一〇〇%満足ではないがいかんともしがたい、こう言って物事が決まっていくんでしょう。

 そういう意味では、私は、選挙にこの問題の帰趨をゆだねるようなことは絶対にあってはならない、また、そんなことを理由に外交舞台で説明をすべきではない、こう思っておるんですけれども、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 御意見は御意見としてお伺いしておきたいと思います。

 ただ、今、沖縄の県民の皆さんの思い、それをまとめてというふうに言われました。本来、それは日米合意をつくったときに当時の与党がすべき話だったんだと私は思います。それが十分にできていない。もちろん、知事はやむを得ず認めました。決してもろ手を挙げて賛成したわけではありませんが、地元の市長も認めました。

 しかし、県民全体の中でどれだけの賛成者がいたか、そのことに対してどれだけ時の政府が働きかけをしたのか、そこがきちんとできていればこの問題はあるいは選挙の前に終わっていたかもしれないというふうに私は思います。そういうガラス細工的な状況というのは、これは沖縄だけではなくて、岩国も私は同じだと思います。そういったことに本来もっと政府は努力すべきだった。それが、今まさしく非常に難しい状況の中で、七割の県民の方が県外と言っておられるわけですから、そういう形になってきたということであります。

岩屋委員 今の説明も私は余り納得できないですね。だから、さっき申し上げたように、旧政権というか我々の時代の努力が必ずしも十分でなかったということは、これは我々もやはり認めなきゃいけないところがあると思います。ただ、今、沖縄県民の世論がこんなにずっと傾いてきたというのは、ある意味では民主党さんの責任も重たいんじゃないでしょうか。

 さっきも議論がありましたね。マニフェストには県外とも国外とも書いてないよということを今になっておっしゃっておられますが、選挙中は、まさに大臣がお答えになったように、民主党政権になれば県外や国外にほぼ移転をするんだと言わんばかりのことをおっしゃって、選挙があって、そして勝たれたんじゃないでしょうか。

 だから、何か公約と選挙中の発言は違うという大臣の発言もありましたが、外交舞台では選挙の結果がこういうことで厳しい状況なんだと説明をし、今になって沖縄の皆さんに、そんなことまでは書いていないというようなこともやっているから、だんだんと政権に対する信頼が失墜していくんじゃないでしょうか。それを決して我々は望んでいるわけじゃないわけですよ。解決してほしいんですよ、やはりこの問題は大事な問題だから。

 だから、私が聞いたから大臣がお答えになったのかもしれませんが、もう前政権云々という話では問題が先に進まないわけでありまして、最初から言っているように、妥当な結論であれば、それをまた何かむちゃくちゃに我々がどんなにするということを言いませんよ。我々が進めようと思った仕事でもあったわけですから。そこはぜひ民主党もその責任を感じていただいて、今後この問題を、ぜひ解決に向かって本当に全力を挙げて努力をしていただきたいと思います。

 オバマ大統領がこの間やってきましたが、ちょっと非常に短い滞在で、中国にはかなりゆっくり滞在された。日本は同盟国だからそんな長い話をする必要もない、中国へ行ってゆっくり話そうということだったかもしれませんが、オバマ大統領初来日のときに、これは日程上仕方がなかったのかもしれませんが、鳩山総理が日本を離れられる。外交儀礼上も、これまでこういうアメリカ大統領来日日程というのはなかったんじゃないかな、これはちょっといかがなものかなと私は感じているんですが、この間の経緯等についてちょっと説明していただけますか。

岡田国務大臣 これは、本来の日程ではそうはなっていなかったわけですけれども、アメリカの不幸な事件があって、大統領の訪日がおくれるということになりました。その結果、しかし大統領としては、これは当然ですけれども、首脳会談をきちんと行い、そしてアジア演説もこれはぜひ東京でやりたい、天皇皇后両陛下と昼食もともにしたい、そういうお話の中で、どうしても時間、つまりシンガポールに向かってスタートする時間をおくらせざるを得ない、こういうことになったわけであります。鳩山総理は、当初の予定どおり、前日の夜、夜中に立ったということで、こういう日程になったことはやむを得なかったと思います。

 ほかの選択肢はなかったと思いますし、そのことはアメリカ側も十分理解をしているというか、むしろアメリカ側の都合で来日がおくれたということですから、それに対する違和感というのは全くなかったと思います。外交儀礼上どうかという意見もありますけれども、経緯を考えれば、私は、ほかに選択肢はなかったし、そのことによって何か日米間で問題になったというふうには全く思っておりません。

岩屋委員 わかりました。

 オバマ大統領と総理の間でもいろいろなやりとりがあったんですけれども、その後、表面化したことで一番心配になっておりますのは、肝心の作業チームのことについて、鳩山総理とオバマ大統領の認識がかなりずれているのではないかというふうに報じられております。

 私は、もしそうだとするならば、こういうことに至った原因の一つとして、岡田外務大臣がいつのころからかおっしゃっておられた、いや、インド洋の問題と普天間、米軍再編の問題等は、これはパッケージの問題なんだということを発言しておられたことがあったと思います。私は、その発言を聞いたときにすごく違和感があったし、あれ、妙なことにならなきゃいいがなというふうに正直思いました。

 これは、アメリカと日本の間の問題の一つであるという意味では一連の問題かもしれないが、事の性質からいってやはり全く別問題だというふうに思うんですね。つまり、アフガンの問題である程度こっちが大きく貢献策を打ち出せば、片っ方のこの米軍再編の問題等についてはある程度アメリカ側の譲歩なり妥協なりを引き出すことができるのではないかと、パッケージの問題だというふうに当時大臣がおっしゃっていた真意というのは那辺にあったんでしょうか。私は、そこがちょっと今日この日米の認識の相違の遠因になっているという感じがしてならない。

 つまり、鳩山総理に対しても、いや、アメリカが一番心配しているのは、オバマさんの最大の関心事はアフガン問題なんですよ、そこで思い切った支援策を我々が打ち出せば、あとの問題はある程度片づくと思いますというミスリードが行われたおそれがあるのではないか。実際はそんなことはなくて、ほとんどもうコンクリートになっていた日米合意、このロードマップ、これをやはり一日も早く実行してほしいというのがオバマ政権の今日ただいまの心理であって、何、そこを動かすのかということになって認識の相違が出てきているんではないかな、こう思うんですけれども、その辺はどうなんでしょう。

岡田国務大臣 アフガニスタンの問題は、今オバマ政権が米国内で直面する大きな課題の一つであることは間違いないというふうに思います。政治的にもかなり厳しい問題であり、大きな課題であるというふうに考えています。

 私がそのパッケージ的なことを申し上げたのは、相手は同じアメリカですから、そういう中で、最大の関心事であるアフガニスタン問題について、これは別にアメリカのためにやるわけではないんですが、日本がきちんとみずからの判断で国際的に必要な責任を果たす、そのことが結果的にはアメリカにとっても一定のプラスになる、そういうことになれば、この困難な普天間移転の問題、そのことについて多少日本にとっても余地が生まれる可能性があるということであって、そう楽観的に考えているわけではありませんけれども、やはりアフガニスタンで十分な対応ができないときには、より厳しく、日米間のこの普天間をめぐる問題について、日本の動く余地というのは少なくなる、そういう意味で申し上げたところであります。

岩屋委員 おっしゃるとおり、同じアメリカに対する問題だという意味では連関をするわけですが、事の本質は別問題だというふうに思っていないと今後のハンドリングを間違っていくんではないかなというふうに私は思います。

 米軍のトランスフォーメーション、これももう言うまでもないことですけれども、冷戦が終わって世界の戦略環境が変わった、九・一一が起こった、アメリカ本土すら攻撃をされた、ホワイトハウスすらねらわれていたという中で、やはりできるだけ前線に出している兵士は本国に戻していこう、ただ、司令部機能はある程度現地に残しておかないと、いざというときの展開がうまくいかないと。

 東アジアの安全保障環境を考えてみると、まだ朝鮮半島の緊張はある、台湾海峡の緊張はある、中国は年率一〇%以上の軍拡をやっていてまだ不透明だ、ロシアも復活をしてきた。少なくともこの東アジアにおいては、極東においては、この米軍による抑止力というのはしっかりと維持される必要がある。なおかつ沖縄の負担はできるだけ軽減をしていかなければいけないということでこの在日米軍再編の日米合意が出てきたんだというふうに思いますので、アフガン支援はアフガン支援としてこれはしっかりやらないといかぬということはそのとおりですが、やはりそういう意味では別問題であるということをしっかり認識していただいて取り組んでいただかなければいけないというふうに思います。

 せっかくですから大臣に。大臣がずっとおっしゃっておられる東アジア共同体。さっき、いささかアメリカ抜きの構想に聞こえて、向こうがちょっと疑心暗鬼になっているんじゃないかと言いましたが、岡田さんはそんなことは決して考えておらないと思いますが、もう一度わかりやすくこの東アジア共同体の構想について説明していただけますか。

武正副大臣 東アジア共同体は長期のビジョンであるということはもう既に申し上げたとおりでありますし、また、今、日本がEPAを域内十カ国一地域と結んでいるということでのもちろん経済連携、これをやはり強めていくばかりではなくて、人と人とのつながり、あるいは文化、あるいはまたこれが例えば防災とか新しいそういう価値観というようなものを共有する、そういうのを生み出していく、さまざまなそういう可能性をはらんだ長期ビジョンが東アジア共同体というふうに考えております。

岩屋委員 副大臣の御説明はありがたいんですが、私はもうちょっとざっくりした話を大臣としたかったんです。

 時間もなくなったので簡単に言いますけれども、この東アジア共同体という構想は、アジアの人々からはさほど共感をされていないような感じもするし、アメリカ側からすると、何をやろうとしているのかな、おれたち抜きでと思われている節があるし、ちょっと打ち出し方が余りうまくなかったんではないかなと思います。

 中国は、これは好むと好まざるとにかかわらずと言うのは語弊があるのかもしれませんが、まさに台頭してきていますね。もう来年には我が国のGDPを抜かんとしている。軍事大国でもあり、政治大国でもあり、外交大国でもありますよね。やはり、アジア太平洋の今後の二極ということになっていくと、我々は当然そこに絡んでいかなきゃいけませんけれども、米中ということになっていくとある程度観念して、その中で日本がどういうポジショニングをとっていくかという戦略を描いていかなきゃいかぬ、こう思うんですね。

 アジアに向かって、東アジア共同体、日本が幾ら強く言っても、中国側にしてみると、何を小しゃくなとまでは言わないものの、どういう思惑かなというふうに思われるかもしれないし、今後とも大事な日米同盟を、ある意味では、そこにさざ波を立てるおそれもある。

 やはり日本の目指すべき道は、中国、アジアと話すのなら日本を経由せよ、アメリカ、欧米と話すのでも日本を経由せよ、こういうポジショニングができたときに初めて日本の将来に向けての戦略が描けていけるのではないかなと思うので、アジア外交を重視するのはいいんですけれども、余り片っ方に偏るようなスタンスのとり方は私は適切ではないのではないかなと思いますが、そういうざっくりした話で、大臣の所見があればちょっと聞かせてもらいたい。

岡田国務大臣 まず、東アジア共同体という考え方は、アジアの中でかなり期待感を持って迎えられているというふうに思います。私は、この東アジア共同体ということで共通のビジョンをアジアの国々が持つということは、お互いの狭いナショナリズムというものを乗り越えて、そして同じ方向を目指すという非常にいい効果を生んでいる、そういうふうに実感をしているところであります。

 それから、我々は、アメリカか中国か、あるいはアメリカかアジアかという発想には立ちません。それは二者択一の問題ではなくて、アメリカも中国も、あるいはアメリカもアジアもという考え方であります。

 そして、今委員が最後におっしゃったことに関して言えば、日本を通じてアメリカはアジアを、あるいは日本を通じてアジアはアメリカをという発想は、私は違うというふうに思っております。同じような発想を盧武鉉政権がスタートした折に言ったように思いますが、私には全く理解ができませんでした。別に、アジアの国々から見たら、韓国を経由しなくても、アメリカと直接やればいいだけのことでありまして。

 私は、基本的に、日本というのはアジアの中にある、現実そうですし、そういう前提で、しかし、日米同盟というのはアジア太平洋全体の安定のために極めて重要なものですから、そういう整理で物事を組み立てていくべきで、アジアがあって、アメリカがあって、その真ん中に日本がある、そういう発想ではない方がいいんじゃないかというふうに思っております。

岩屋委員 これは時間をかけてまた議論したいと思いますが、ただ、中国との戦略的互恵関係をしっかりつくるのも、あるいは東アジア共同体構想というのに日本がイニシアチブをとるのも、やはり強固な日米同盟関係というものが基盤にあってできる話だと私は思っておりますので、その点だけ申し上げておきたいと思います。

 せっかく防衛省からも副大臣等来ていただいていますので、アフガンの支援策の問題で、私は、自衛隊による貢献が本当になくなっていいのかなということを非常に心配しております。

 我々、岡田さんと一緒に初当選したときに湾岸戦争が起こって国会がすったもんだして、最後は金だけ出したけれども感謝はされなかったということがあって、PKO法をつくったり、いろいろなことをやってきました。やはり、実力部隊が外に出て汗をかくという貢献策は、これは外交上も極めて私は意義のあることだというふうに思っております。

 ただし、我が国には憲法上の制約もある。非戦闘地域で、武力行使を伴わない活動に限定してやるしかないということでやってきた。アフガンの支援でいうと、なかなか陸に上がるわけにもいかない。これは海の上に浮かんでOEF・MIOの補給支援活動をやるというのが精いっぱいのところかなということで編み出した活動形態だったわけで、今なお、そのOEF・MIOが、ではもう活動自体をやめていいという話は出てきていない。

 そういう中で、国際的にも評価されているこの自衛隊による、あの地域でいうと、今のところですよ、今のところ唯一の貢献策であるこの補給支援活動をなぜやめなければいけないのか。これは今まで反対してきたからなのか、そういうことで済む話ではないと私は思っているんですけれどもね。これについては、防衛省としては、この自衛隊による貢献策がアフガン支援策の中からなくなるということについてはどういうふうに思っておられるんでしょうかね。

榛葉副大臣 岩屋委員にお答えいたします。

 今日までのインド洋における海上阻止活動、テロリストの麻薬等の海上移動の防止等々、一定の効果があったということは我々も認識をしております。他方、現状において、これまで我が国が実施してきた七年間にわたる補給支援活動、この補給対象も減少してきているというのも現実であるわけでございます。

 我々は、出るといえば出る立場でございますが、政府全体として、先般も、テロの脅威に対処するための新戦略という大きな文脈の中でこのアフガン支援を考えているところであり、我々もこれに従って行動していくということでございます。

岩屋委員 民主党さんも、これまで、最初のテロ特措法から、途中で補給支援活動というふうに変わっていったわけですが、国会対応もいろいろ変わっていますね。

 最初は、やはり国会の承認ということがしっかり入っていないとだめだ、特に事前承認じゃなきゃだめだとおっしゃっていましたが、その後の国会の事後承認のときには、これは憲法違反とは言えない活動と認められるという理由で賛成をしていただいたりしております。

 それから、自由党と合流して小沢先生の考えが入ってきてちょっとまたニュアンスが変わってきたのかなと思いますが、小沢先生は一貫して補給支援活動は憲法違反だというお考えなのかなと思いますけれども、これは大臣として、民主党政権というか今の連立政権として、小沢先生のこのお考えについては踏襲されておられるのですか。

武正副大臣 民主党のこれまでの補給支援活動に対する対応ということでの御質問でありますが、旧テロ特措法は、国会の事前承認を求めて平成十三年に反対をし、旧テロ特措法の延長、平成十五年、十七年、十八年には、やはり政府の十分な説明責任が果たされていないということを主な理由、先ほどの事前承認に加えて、反対。そして、補給支援特措法では、この理由にさらに加えて、旧テロ特措法の給油がイラク戦争に転用された疑いが極めて強いと。これについても政府の説明責任をかなり国会で求めて、資料の提出なども求めたわけですが、やはり十分な説明がないということも理由に反対をした経緯がございます。

 いずれにせよ、インド洋における補給支援活動については単純延長は行わず、アフガニスタン支援の大きな文脈の中で対処していくわけでありますが、今、当時の小沢代表が憲法違反と主張していたというような御指摘でありますが、民主党として、憲法違反を理由に法案に反対したことはないということでございます。

岩屋委員 そこが明確になっているのなら、憲法違反だからやめるというわけじゃないということでしょう。給油取り違え事案、国会でも長いことわあわあやりましたよね。だったら、皆さんが政権をとられたわけですから、今後は、あのとき大分改善されましたが、さらに厳しくチェックすれば済む話であって、その問題も解決されているのにどうしてこれをやめてしまうのか、まだ私にはよくわかりません。

 その間、長島政務官が、民主党はやはり事前承認ということにこだわってきたんだから、それを付して補給支援活動を続けるべきではないかと講演でおっしゃったのは、さすがに長島さんだなというふうに私は思わせていただきました。そういう現実的な考え方が出てくれば、こちらも対応のしようがあるなと。

 ただ、我々が補給支援活動、補給だけをやるという法律につくりかえたときに事前承認をつけなかったのは、それなりの論理はあるんですよ。一つの活動しかしないわけだから、法案の審議そのものが国会の承認だということを言ったんですが、正直、ねじれ国会のさなかにあって、何としてもこれだけはやはり続けなきゃいかぬと思ったので、もう国会承認で民主党さんに反対されたらオジャンなわけですから、そんな冒険はできないなという思いも正直あったことは事実ですよ。

 私が言いたいのは、こういった問題が余りにも政争の具にされ続けてきた、やはりそこは当時の民主党の国会対応も反省してもらわなきゃいかぬと思うんですね。補給艦を出すという活動でこれだけ長きにわたって政治的なエネルギーをロスし、一度戻してきてまた出したりし、いかにこの間、国際的な信用が傷ついてきたか。やはり、こういう問題は本当に政争の具にしたらいかぬと私は思うんですよ。

 長島さん、せっかくいい提案をされたのに、どうして引っ込めちゃったんですか。

長島大臣政務官 岩屋委員にお答え申し上げます。

 私は、提案をさせていただいたわけではなくて、この政権になってから、インド洋での補給支援活動については、単純な延長はしない、こう説明をしてまいりましたので、単純ではない延長というのがあるのか、こう問われましたので、それは、先ほど武正副大臣からも説明がありましたように、テロ特措法の一番最初のときに立ち返って考えると、当時、岡田外務大臣が民主党の政調会長だったんですけれども、その際に、私どもは、実力部隊を海外に派遣する場合には最低限のルールを定める必要がある、それは国会の承認だ、しかも事前の承認だ、これを最低限満たすものでない限り賛成できないということで反対をした、したがって、そういう障害が取り除かれる形態ならばあり得るのではないか、こう解説を申し上げたわけでございます。

 最終的には、先ほど説明がありましたように、我が政権としては、テロの脅威に対処するための新戦略、これはアフガニスタンの平和と安定とそして復興を何とか日本の国として世界とともに支援できないか、こういう広い文脈の中で再検討した結果、今回は五十億ドルを中心とする支援を発表させていただいた。そしてそれは、私考えるに、これはただ一回きりでアフガン支援というものが打ちどめ、こういうことではないと思いますので、これは海の活動、陸の活動、さまざまな活動をこれから新しい政権のもとで包括的に検討していく、こう理解をしております。

岡田国務大臣 いろいろ政局に絡めるべきでないと言われました。私もそのとおりだと思います。

 ただ、最初にテロ特措法をつくったとき、私は責任者として自民党側と交渉したわけですが、あのときに考えたのは、九・一一の直後でしたから、これはアメリカの自衛権の行使である、そして国連もその行為について正当性を付与している、そういう条件のもとで国会の事前承認、あるいは日本も同盟国として武力行使に至らない後方支援をする、そういう整理をいたしまして、事前承認さえとれれば賛成しようということで、なかなか困難な作業でしたけれども、党の中を一つにまとめて官邸まで行って、官邸でそれが認められなかったということであります。その背景に何があったかということは、私はここで申し上げませんが、与党の中でのさまざまな政局、そういう中で、まとめてきた民主党を門前払いした、この法案の最初のスタートはそういうことであったということを申し上げておきたいというふうに思います。

 その後、アメリカの行動は、法的には性格を変えてきていると思います。つまり、自衛権の行使とはもう言えなくなっている、タリバン政権はもう倒れてしまったわけでありまして。そういう中で、同じ枠組みの中で同じ法律を維持していくというのは、私は、法的にもかなり無理のある、そういうことではないかと思っています。

岩屋委員 もうだんだん時間がなくなってきましたので続きはまたにしますが、岡田外務大臣はPKO法は改正してもいいのではないかということをどこかで発言されたようですが、私もあってしかるべしだと思っているんですけれども、もうこの際は、一回一回こうやって特措法をつくって、二年延長だ、一年延長だ、そのたびに、与党、野党がある限りはやはりいろいろな政局の中に巻き込まれるということも出てくる。やはり、ここはそろそろ自衛隊を使った国際貢献のあり方を定める一般法とか恒久法というものをしっかりある意味で与野党が協力してつくっておくべきではないかなと思うんですね。

 そのときに、ちょっと心配なのは、連立政権は自衛隊による国際貢献に断固反対されている勢力もあるようですから、そこら辺はひとつ大臣にしっかりリーダーシップをとってもらいたいと思っているんですが、この問題についてはどうでしょう。

岡田国務大臣 私は、PKO法は最近余りにも実績がない。ですから、今の法律のもとでももっと出せるところはあるというふうに考えますし、それから、PKO五原則について一定の見直しを検討すべきではないか、そういうふうに思っております。今の憲法の枠組みの中で見直しの余地はあるというふうに考えております。

 それ以外の、今おっしゃった一般法ですけれども、私は、かなりハードルは高いというふうに思っております。少なくとも、日米同盟に基づいて米軍の活動を後方支援するようなそういう一般法というのは、私は簡単ではないというふうに思っております。つまり、国連の考え方とアメリカの考え方が分かれたようなときに、それでも出すのかというと、私は相当議論しなきゃいけない問題だというふうに思います。したがって、委員とは大分一般法については考え方が違うと申し上げておきたいと思います。

岩屋委員 それはまたゆっくり議論しましょう。

 とにかく、ふんどし締めて、岡田大臣、日本のために、世界のために頑張ってください。

 終わります。

鈴木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小野寺五典君。

小野寺委員 それでは、沖縄の基地問題について引き続きお伺いします。

 岡田外務大臣は、二〇〇五年五月、沖縄県内基地移転反対県民大会、ここで、心を一つにして県外移設を実現という発言をされました。また、同年八月二十五日、外国特派員協会において、普天間の県外、国外への移設実現を目指し、政治生命をかけて交渉したい、そうおっしゃっておりました。

 この政治生命をかけてというのは、どのような意味にありますか。

岡田国務大臣 ちょうど二〇〇五年の総選挙の前であります。選挙に勝てば私が総理大臣としてこの問題に誠心誠意取り組む、そういう思いで発言をいたしました。ただ、選挙の結果は委員御案内のとおりでありまして、そういうチャンスは失われたというふうに感じております。

小野寺委員 ということは、現在、この普天間の県外、国外への移設実現というのは政治生命はかけていない、そう考えていいんでしょうか。

岡田国務大臣 これは言葉の定義をはっきりさせないと非常に誤解を招きやすい問題だと思います。

 私が今考えていることは、この問題のスタートは、普天間の危険な状況について、それを一刻も早く除去することである、こういうことです。そのために一体何が望ましいかということを考えなければいけない。普天間を移転するというときに、さまざまな選択肢があるというふうに思いますけれども、それを時間をかけずにやるとすると、今から県外というのはなかなか狭い道である、そういうふうに思っております。

小野寺委員 そうしますと、二〇〇五年時点では県外、国外への移設というのは政治生命をかけるほどの決意があった。ですが、今現在は政治生命をかけるほどの決意はなくて、狭い道だからもしかしたら県内移設もあり得る、そう考えていいんでしょうか。

岡田国務大臣 非常に言葉じりをとらえる質問だと思いますが、二〇〇五年、選挙は九月に行われました。そして、たしか十月だったと思います、日米合意が成り立ったのは。合意が成り立つまでと合意ができた後では当然状況は違う。我々は、もちろん政権がかわりましたから、日米の合意ができたということを当然の前提にはするつもりはありませんが、かといってそれを全部白紙に戻すという選択肢は、私はとるべき選択ではないというふうに思っています。

小野寺委員 それでは、二〇〇五年には普天間の県外、国外への移設については政治生命をかけるほどのものということですが、現在はどうもそこまでいっていないというお話がありました。また、選挙があったというお話がありました。ちょっと聞いてください。

 では、岡田外務大臣は、民主党が出された沖縄ビジョン二〇〇八には反対をしたんでしょうか。

岡田国務大臣 委員も質問されるなら正確に答弁を引用していただきたいというふうに思います。でないと、ここでの議論というのは、国民も見ているわけですから、意味がなくなってしまいます。

 私が申し上げたのは、二〇〇五年の総選挙の後、日米の合意ができた、これは非常に大きな出来事だということを申し上げたわけです。

小野寺委員 そうしますと、日米合意ができた現在については、当然二〇〇五年と比べて状況は変わっているということだと思うんですが、では、民主党が出された沖縄ビジョン二〇〇八、これではやはり国外、県外の問題に触れてあると思いますが、これについてはどうお考えなんですか。

武正副大臣 先ほどからこの沖縄ビジョンの話が出ておりますので、私が責任者でこれまでまとめてきた経緯もありますので、時系列でちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 まず、二〇〇二年に最初にこの沖縄ビジョンをまとめました。当時、民主党の沖縄選出の国会議員がいない中で、その前に、一九九八年でしたでしょうか、沖縄政策ということで上原議員を中心にまとめられた、それをやはりバージョンアップしようという考えからでございます。

 そのときの記載は、訓練を主目的とする在沖海兵隊の海外移設を、事前集積制度の可能性を含め積極的に検討を進めるという記載でございました。

 そして、二〇〇五年、今御指摘のあった大会の前、直前になります、そのときに沖縄ビジョン、二〇〇二年のものを見直しましてまとめた記載が以下のとおりでございます。(小野寺委員「短く、持っておりますので」と呼ぶ)はい、わかっております。

 民主党は、日米安保条約を日本の安全保障政策の基軸としつつ、日米の役割分担の見地から米軍の変革、再編の中で在沖海兵隊基地の県外への機能分散をまず模索し、戦略環境の変化を踏まえて、国外への移転を目指すと。

 同様に、普天間基地の辺野古移転はというような記載、これが二〇〇五年、普天間基地の辺野古移転は、事実上頓挫している。トランスフォーメーションを契機として、普天間基地の移転についても、海兵隊の機能分散などにより、ひとまず県外移転の道を模索すべきであると。

 そしてまた、二〇〇八年の記載は、普天間基地の辺野古移設は、環境影響評価が始まったものの、ここでもやはり膠着状態にあると。そして、米軍再編を契機として、普天間基地の移転についても、県外移転の道を引き続き模索すべきである。言うまでもなく、戦略環境の変化を踏まえて、国外移転を目指すと。

 ということで、二〇〇五年以降、ロードマップ、これは先ほど、法的拘束力はないという今の見解でありますが、それが結ばれてありますが、二〇〇八年時点でもやはり膠着状態にあるという認識で、この沖縄ビジョンをまとめるときは、県外、国外ということを記載いたしました。

 ただ、御案内のように、今回の衆議院選挙については、マニフェストでは、幅を持たせる、選択肢をふやすということから、米軍再編を目指すという方向性ということを記載をしたところでございます。

 また、沖縄の現状ということでいえば、一点だけつけ加えますと、昨年、県議会の選挙がありまして、ちょうど沖縄の県議会でやはり普天間移設に対する反対決議というものが可決をされた直後であるということもお伝えをさせていただきたいと思います。

小野寺委員 それではお伺いいたします。

 実は、民主党沖縄ビジョンには、この記載がずっとあったんですが、前回選挙のマニフェストの中のインデックスを見ますと、地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても引き続き見直しを進めますと。私どもは、この引き続きというのは、今まで民主党が出された沖縄ビジョン、それを引き続きというふうに普通は読むんではないかと思うんですが、これはちょっとうがった見方でしょうか。

 ということは、この時点ではもう既に県内、県外への移設というのはあきらめた、このインデックスではあきらめたというふうに考えていいんでしょうか。

岡田国務大臣 まず、沖縄ビジョン自身が県外を模索するというふうに書いてあるんですね。そして、マニフェストの政策インデックスの中で普天間とか県外という言葉は使わなかったということです。使わなかったからあきらめたということではありません。しかし、そこは文字どおり読んでいただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、小宮山(泰)委員長代理着席〕

小野寺委員 このマニフェストにつきましては、例えば北澤防衛大臣が県外移設でなくても違反ではないというお話をされました。そうしますと、岡田大臣の今の見解からすると、この県外移設ができなくてもこれはマニフェスト違反ではないと考えていいんでしょうか。

岡田国務大臣 マニフェストそのものの中には県外に移設をするというふうには書いておりません。そういう意味では、マニフェストに反すると必ずしも言えないというふうに思っております。

小野寺委員 マニフェスト違反ではないと今明確にお話をされました。

 では、八月三十日の衆議院選挙についてお伺いします。

 この選挙、実は沖縄県では我が党が全敗をいたしました。この問題について県外、国外移転を主張する方が四名中三名当選をされた、うち民主党は二名当選をされた。これは大変私どもにとっては重い選挙だと思いますが、この選挙結果について、沖縄の基地の県外移転が影響があったのかどうか、大臣のお考えを伺います。

岡田国務大臣 選挙に影響があったかどうかということは、客観的にそれを確定することは難しいと思います。

小野寺委員 ということは、沖縄の県民の皆さんは、今回の衆議院選挙では、この沖縄の基地移転、県外移転について、それは余り選挙には重みを置かなかったと考えていいんでしょうか。

岡田国務大臣 だんだん答弁する意欲がなくなってくるんですが、私が言ったのは、客観的にそれを決定することは困難であるというふうに言っただけで、それが影響はなかったとかあったとか言っておりませんので、委員も質問のときに答弁者の答えを正確に引用して質問していただきたいと思います。

小野寺委員 外務大臣にお伝えしたいんですが、私どもはこの問題、こういう何かいろいろなことを聞くこと、なぜこういうことを聞くかというと、あなたの今までの発言、そして民主党政権自身の、鳩山総理の発言が二転三転、閣内がみんなぶれている。だから、沖縄県民の皆さんが今、大変厳しい、そんな感情を持っている。

 私はきのう行って、ずっと回ってきました。そういう思いがあるので、一体あの選挙は何だったのか。沖縄の県民の皆さんが、沖縄の基地が沖縄の県外に出るかもしれない、国外に移転するかもしれない、その思いで、多くの皆さん、選挙に民主党を応援したんですよ。きのう回って多くの声を聞いてきました。その声に対して大臣は、いや、おれたちは別にマニフェストでそんなことは言っていない、よく読んでくれ、私の質問が何か間違った、よく読んでくれ、そういう話を私にするので、こういう質問をしているんです。

 一番この問題の根幹にあるのは、皆さんの今の基地の問題、沖縄の問題が本当に多くの沖縄の県民の皆さんに不信を与えている、その思いでこう聞いているので、どうかまじめにお答えをいただければ、そのように思っております。

 それでは、このまま、私が一つ心配することがあります。きのう、沖縄県をぐるっと回って、いろいろな声を聞きました。その中で、もしかしたら、鳩山総理は、例えば沖縄の県民の声を聞く、沖縄の県の選挙の状況を見てこの決断をしたい、そのようなお話をしております。もしそうなった場合、今、沖縄県の自民党、そこも、県外移転というのが本当にできるのなら、それも一つの考えか、そのような気持ちを持ち始めています。本当にこれが実現するのか。

 岡田大臣にお伺いします。今まで県外移転の移転先を具体的に検討したことはございますか。

武正副大臣 これまで県外、国外へということで言ってまいりましたので……

小野寺委員 委員長、ちょっと済みません、副大臣の答弁は求めておりません。

小宮山(泰)委員長代理 指名いたしましたので。

武正副大臣 当然、そういったことも念頭に、どういったところに、県外、国外、具体的な場所があるのかということは、当然二〇〇五年から具体的に検討していたということでございます。

小野寺委員 では、大臣、お願いします。検討したことはありますか。

岡田国務大臣 まずお答えする前に、先ほどの委員のまじめにという言葉を取り消していただきたいと思います。

小野寺委員 まじめにということを取り消せというお話がありましたが、お伺いしたいのは、ではどうしてここまで沖縄の基地の問題が、県外、そうお話をしてみたり、あるいは嘉手納に統合すると言ってみたり、決着する時間に関しても、速やかにと言ってみたり、選挙の後と言ってみたり、選挙の前にと言ってみたり、この一連の民主党の沖縄の基地に対する問題をどの人が聞いたって、本当にこれはまじめに取り組んでいるのか、私たちが今、これから生活がどうなるのかと日々心配している沖縄の皆さん、辺野古の皆さん、その方々からきのう言われたんですよ、政府はまじめに取り組んでくれと。

 ですから、その言葉を大臣に今ぶつけさせていただきました。私だけの言葉じゃないんです。沖縄の県民の皆さんの言葉なんです。それをあなたは取り消せと言うんですか。

岡田国務大臣 また話をかえておられるんですが、先ほど言われたのは、私の答弁に対してまじめに答弁しろと。私はまじめに答弁しております。ですから、取り消してください。

小野寺委員 お互いに、多分受け取り方の違いだと思います。では、もしそういう受けとめ方が違う形で私が言ったのであれば、取り消しします。お許しいただければと思います。

 次の質問にちょっと入らせていただきます。

 このままいくと、私は、結局この沖縄の移転の問題というのは、最終的には従来の日米合意、普天間の代替施設をキャンプ・シュワブ沖に移す、そして、もしかしたら、これは地元の意向に配慮して原案よりも五十から八十メートルぐらい沖合に考えるかもしれない、このような解決策に落ちつかざるを得ないと思うんですが、この考え方について外務大臣の考えを聞かせてください。

小宮山(泰)委員長代理 武正外務副大臣。(小野寺委員「委員長、大臣に聞いております」と呼ぶ)

 まず指名いたしました。順次。

武正副大臣 御指名いただきましたので、お答えをさせていただきます。

 きのうから日米のワーキンググループが始まっております。これは、両首脳が一致をして速やかな設置をということで、早速スタートしたわけでございます。その中で、なぜ辺野古に決まったのかの経緯を検証する、その中には、当然、なぜ嘉手納統合案が難しいという判断になったのかも含めて、速やかなる検証をということできのうスタートを見たところでございます。

 今、小野寺委員からは、辺野古に、そしてまた先ほど膠着状態というお話がありましたが、沖縄県側からは、わかりませんが、やはり五十メートルあるいは百メートル沖合へのというようなこともあって、政府とすれば、アメリカ政府との合意からそれはできないという、これは我々が知っているのは報道ベースでありました、当時野党でありましたときには。そういうようなことが決着点ではないのかという御指摘がありましたが、今、そういうような予断を持ってお答えする段階にはないというふうに思います。

小野寺委員 では、同じ質問を、大臣、お答えください。

小宮山(泰)委員長代理 もう一度、小野寺五典君、質問していただけますか。

小野寺委員 大臣、お願いします。答えてください。

岡田国務大臣 今、日米両国間でワーキンググループを通じて検証しているところです。それ以上のことは今申し上げられません。

小野寺委員 それでは、済みません、長島防衛大臣政務官、たびたびいろいろなお話も伺っていますし、また、先般NHKでもお話をされておりましたが、防衛省としまして、あるいは長島政務官としましては、最終的にこの現行案、もしかしたら、沖縄の意向を聞いて原案よりも少し沖合に出すということが決着案になるとお考えでしょうか。

長島大臣政務官 今、岡田外務大臣、武正副大臣が申し上げたとおり、きのうから始まった閣僚級のワーキンググループで合意の検証を含めて包括的に再検討が行われる、このように承知しております。

小野寺委員 それでは、もしこの協議が最終的に何らかの解決策として新たなものが見出せなければ、現行のこの案、もしくは現行案より少し沖合に出すという案で最終的に決着するというふうにお考えでしょうか。岡田大臣の意見をお伺いします。

岡田国務大臣 昨日から協議が始まったわけですから、協議というか、正確には検証なんですが、予断を持って仮定の議論をすることは避けたいと思います。

小野寺委員 これももしかしたら大臣からおしかりを受けるかもしれませんが、十五日、「新報道二〇〇一」、このテレビ番組で、これは報道です。私は実はそのテレビをずっと見ておりませんし、一語一句引いたわけではないので、逆にお話をしっかりしていただきたいんですが、有効な代替案がなければ現行案でいくという形が実は報道ベースで流れております。これは正確な考えでよろしいんでしょうか。

    〔小宮山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

岡田国務大臣 私もビデオをチェックしておりませんので必ずしも記憶は定かではありませんが、私はそういうときに必ず答えないという方針で来ておりますので、そのテレビでも同じように答えなかったと思います。

小野寺委員 これについては私もテレビを今から見ることもできないので、ただ、報道で実はこういうふうに書かれているので、多くの皆さんが、ああ、ではやはり現行案が、もしこの協議が前に進まない、新しい提案がうまくいかなければ現行案でいく、結局そこに現行案で落ちつくということになれば、一体これまでのいろいろな、例えば内部で検討して、いろいろなことを考えて話を進めるのはいいんだと思うんですが、既にこの二カ月以上、いろいろな方がいろいろなところで発言をしていて、それが表に出ています。ですから、沖縄県の人たちは、一体どうなるんだろう、どれが本当なんだろう、どうなっているんだろう、こういうことがずっと続いているわけです。確かに、開かれた政治の中でそういうこともあるんだと大臣はおっしゃるかもしれませんが、県民の皆さんの心からしたら、今住んでいる人たちの心からしたら、もてあそばれている、そんな印象が強いのかと私は思います。

 実はきのう、普天間を含めて、沖縄県を回ってまいりました。特に、私ども、辺野古に行きまして、辺野古の商工会議所の会長さんとか、あるいは推進側の代表の方、そして、初めてなんですが、反対側の、今ちょうどピケを張っている、テントを張っている代表の方、こういう方からも直接、当然自民党で行きましたからおしかりもいただきました、ですが御意見をいただきました。皆さん異口同音に言うのは、とにかく早くしっかり決着してくれ、そして、この間のいろいろな発言に対して、多くの沖縄県民が心を深く傷つけられた、こうおっしゃっています。

 沖縄を回って、こんな言葉を聞きました。もしかして最終的に今の現行案に落ちついたとしても、これはいよいよ、合意によって二〇一四年までに埋め立ての工事をすることになります。そうすると、その工事の反対運動が、この混乱のために今まで以上に大きなものになるんじゃないか。実際実行して工事が始まったときの反対運動、その方々の活動、これは心配がある。これは、きのう私ども小一時間お話させていただきました沖縄の知事からの話でございます。そこで沖縄知事はおっしゃっていました、外務大臣とは十五分しかお話ができなかった。私は、こういう地域の声をしっかり聞いていただきたい。

 そしてまた、こういうお話も伺いました。これは嘉手納町に伺いまして、そこのPTAの会長さんとお話をしました。嘉手納には周辺に学校がたくさんあります。私たちもその話を聞く中で何度も爆音で話が遮られました。これだけ大変なところにさらに普天間の統合をする、こういうことは絶対に許されない。そして、彼らが異口同音に言っていたのは、だれも私たちに話を聞いてくれないんだというんです。外務大臣も行かれたと思います。でも、実際、こういう多くの皆さんの声を聞いていない。だから、きょうここで私、こういう方の声を代弁してお伝えをさせていただく。

 私は、大切なことというのは、やはり……(発言する者あり)委員長、ちょっと静かにしてください。私は、やはり最終的に恐らく現行案に落ちつくんではないか、そう思っております。そして、それに対しては、私どもはやはり、ここまで時間をかけてきたこと、いろいろな思いで、沖縄の皆さんには御迷惑をかけた、そんな気持ちもあります。ですが、ぜひ、事ここに至ってはすっぱりと決めていただいて、ぶれることなく決めていただいて、なるべく早く決めていただいて、この結果というのを名護とか沖縄の知事選挙とか、そういう地方選挙にゆだねることはやめていただきたい。これは沖縄県をまた大きな政争の中に巻き込んでしまう、このようなことになると思うんです。

 ですから、ぜひ、大臣、信じておりますので、この問題はしっかり早く決着をつけていただきたい、そのように思っております。お願いします。

岡田国務大臣 こういった基地の問題は非常に難しい問題だと思います。委員、いろいろおっしゃいましたが、例えば、これは沖縄もそうですが、岩国、その移転に対して反対を唱えれば市役所の補助金が突然とまる、建設途中で建設ができなくなる、こういうこともありました。

 ですから、こういう問題は、やはり丁寧にその地元の人々の意見も耳を傾けながら進めていかなければいけない、そういうふうに我々は考えております。

小野寺委員 丁寧に耳を傾けるということも大切ですが、ぜひ、こういう、本当に決めるときというのは、それぞれの閣僚が、総理がいろいろな発言でその都度変わるんではなくて、内部でしっかり議論をして、最終的に一つの方向を見つけてしっかりやっていただく、そういうことが一番大切ではないかと思います。

 私は、日本の基地問題の歴史の中で、この数カ月間というのは、もしかしたら後世見て大きな問題を残す期間にならないか、そのことを心配しています。その懸念が払拭されるように、少しでも早く、私はやはり現行案が一番現実的な案ではないか、そのように思っていますので、そう決めていただければありがたい、そう思っています。そして、その際には、ぜひ、せっかく、県外、国外移転というのは民主党はマニフェストで約束したことではないと防衛大臣も外務大臣もおっしゃっています。ですから、これにこだわることなく、早く決めていただくのが大切だと思っております。

 次の質問に移ります。アフガンの支援問題についてお伺いをいたします。

 アフガンの支援問題、これはカルザイと大臣がお会いされたと思いますが、その際、インド洋の給油の問題のやりとりはございましたか。

岡田国務大臣 私の記憶では、カルザイ大統領とお会いしたときにはその話はありませんでした。外務大臣ともありませんでした。ただし、外務大臣とニューヨークでその前にお会いしたときには継続についての要請があったと記憶しています。

小野寺委員 鳩山総理が幾たびか発言の中で、このインド洋の給油の問題は、カルザイが特に岡田大臣との会談の中では触れていない、だからそう感謝はされていない、そのような言い方でこのインド洋の給油の問題のお話をされておりますが、実際、カルザイさんとお会いされたときに、そんな印象を持たれましたか。

岡田国務大臣 給油の問題はそもそも話題になりませんでしたので、私にはよくわかりません。

 ただ、アフガニスタンに対する日本国の支援ということに対しては、大統領の方からは大変感謝の意が述べられ、日本が最初からアフガニスタンの復興のために大変な努力をしてくれたと。確かに、東京で復興会議を開いたところから始まって、総額二十億ドルに至るさまざまな支援、教師を養成し、学校を建て、そしてポリオのワクチンをしたり、農業の支援、技術支援をしたり、さまざまなことをやってまいりましたので、大統領御自身、そういった思いを持たれたんだろうというふうに思っています。

小野寺委員 実は、外務省からそのときの議事録を取り寄せていろいろ聞いたんですが、この給油の問題は、実は、岡田大臣から向こうに持ち出すことはなかった、そして向こうからも持ち出されることはなかった、この認識でよろしいですよね。ということは、鳩山総理がおっしゃっている、カルザイさんがこの問題に触れなかったからアフガニスタンではインド洋の給油については感謝をしていない、こういう言い方というのは、これは間違った見方と考えていいんでしょうか。

鈴木委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 では、速記を起こしてください。

 武正副大臣。

武正副大臣 ちょっと今事実関係を確認しますが、私の記憶でも、確かに、カルザイ大統領が触れなかったというところは単純延長をしないという理由の一つに挙げられていたかと思うんですが、感謝をしていないということがあったかどうか、ちょっとそれは確認をしてみたいと思います。

小野寺委員 私も今、その感謝をしていないという言葉が適切かどうかは調べていただいて、もしかして適切じゃなかったら、それはちょっとおわびをしますが、ただ、おっしゃったように、単純延長をしない理由の一つとして、カルザイさんから感謝の意がなかったということを総理はおっしゃいました。ですが、この話題というのは、通常、考えると、会うたびにカルザイさんはいつも給油については感謝、感謝をされておりました。ですから、あえてカルザイさんからは触れなかった。そして岡田大臣からも給油の問題に触れなかった。

 私がちょっと不思議に思うのは、このインド洋の給油の問題をどうするかというのは民主党政権ではとても大切な話題、課題になると思います。どうして、この大事な話題について、カルザイさんとの会談の中で大臣は触れなかったんですか。

岡田国務大臣 単純延長はしない、そういう考えですから、あえて触れる必要性は認めませんでした。

小野寺委員 アフガンを含むテロとの闘いの中で、日本が今一番目立って参加しているのがインド洋の給油の問題だと思います。どうしてこの問題について一言も触れない。これは当初の会談の予定の中に初めからなかったんですか。

岡田国務大臣 会談の予定というのは、客観的にあるわけではなくて、私が決めるわけですけれども、私はもともとそのつもりはありませんでした。もちろん、大統領の方から出れば、少しは議論になった、説明することになったと思います。

小野寺委員 ということは、カルザイから特にこの問題について御礼もなかったし言及もなかったということは、むしろ、こちらから話を何も持ちかけていなかった、そして、カルザイは累次にわたってこの問題について日本に謝辞を言っているので改めて言う必要もなかった、そういうところから出てきた話であって、決して、カルザイから御礼、言及がなかったからといって、単純延長をしないということに素直に結びつく、そういう話ではないと理解していいですね。

岡田国務大臣 大統領との会談の時間は三十分ほどでした。この限られた時間の中で私が最もやらなければならなかったのは、どのような支援が望ましいのかということです。

 したがって、そういった問題について、例えば大統領からは、エネルギーとか水とか、もちろん農業なども出ましたが、そういう支援をしてもらいたいということについてかなり突っ込んだ話がありました。そういうやりとりが中心になりましたので、インド洋の話、私自身、単純延長はしないというふうに思っておりましたし、話題に私自身も上げませんでしたし、大統領もいろいろなことを言われる中でこの問題に触れられることはなかった。これが客観的な事実です。

小野寺委員 ぜひ岡田大臣にお願いしたいのは、正確に物をおっしゃる大臣ですので、今言った正確な物の言い方を鳩山総理にもお伝えしていただいて、決して、言及がなかったから、感謝の言葉がなかったから、単純延長しないという理由に使われるということは、逆に、この話題を持ち出さなかったということから考えれば、ちょっと違うのかな、私はそのように思っております。

 それでは、カルザイさんとお話をした中で、アフガンの支援策のお話がございました。今回、私はちょうどタイミング的にどうしてこうばっちり合うのかなと思うんですが、オバマ大統領の来日に合わせて、この五十億ドルという数字、これを積み上げられたというふうに伺いますが、先ほど、前の我が党の委員の質問の中で、この積み上げに関しては特に根拠はない、積み上げの数字はないというお話ですが、この五十億ドルという数字はどういう形で出てきたんでしょうか。

岡田国務大臣 基本的な考え方として、我々は三つの支援策ということを考えております。一つはアフガニスタン自身の治安能力の向上、二つは元タリバン末端兵士の再統合、三つ目が、従来も力を入れてまいりました、アフガニスタンの持続的、自立的発展のための支援、農業とかそういったものはここに含まれます。

 そういう枠組みの中で我々なりに内訳はつくっていないわけではありませんけれども、基本的にはこれは相手のある問題なんですね。この支援策を組み立てたときには、ちょうど大統領選挙が終わって、その後、再選挙というか決選投票をやるかどうかで議論していた時期とも重なりました。したがって、アフガニスタン政府と具体的に協議をするということはなかなか難しい状況、そういう中で、これはこれから協議していくことになりますけれども、まず我々の決意をしっかり示そうということで、五十億ドルという数字を出したところであります。

小野寺委員 相手のあることであると。ただ、向こうは大統領選挙が終わったままで、そういうお話のできる状況ではないと。

 では、この五十億という数字は、何を根拠に五十億になったんでしょうか。

岡田国務大臣 具体的な積算がないという意味ではそうですが、こういうときに金額である程度の上限を示すということはよくあることで、例えばイラク戦争のときにもやはり五十億ドルだったんですね、イラク戦争の終わった後の日本の支援策というのは。今まで二十億ドルということでやってきましたので、もう同じレベルでは、これは我々の、より困難な状況になっているアフガニスタンの支援の姿勢を示すことにはならないだろうということで、五十という数字にさせていただきました。

小野寺委員 その五十という数字は、そうしますと、外務大臣の方から示された数字と考えてよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 五十億ドルというのは、私が外務省の中で調整をして、その上で、財務大臣その他と折衝をして最終的に決まった数字です。

小野寺委員 外務省内での協議ということは、いわゆる政務三役の中でお考えだと考えてよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 もちろん政務三役ですが、外務省の事務方ともよく議論を、非常に大きな額ですので、しっかり議論をして、その結果、五十億という数字を設定したものであります。

小野寺委員 先週、我が党の外交部会がございまして、そこで実は、このアフガンの五十億ドルの内容について外務省内で積み上げましたかと聞きましたら、積み上げておりませんという話がございました。どういう形でこの数字が出てきたんですかと言ったら、それは上の方からですというお話でした。上の方というのは、政務三役ということではないんでしょうか。

岡田国務大臣 具体的な積み上げに基づくものではないということは、私も答弁しているとおりであります。

 上の方からというのは、説明者がだれであったか存じませんが、少なくとも審議官、局長クラスであれば十分に承知している話であります。

小野寺委員 そうしますと、この五十億という数字というのは、外務省内のいろいろな意見を聞いて、それで外務大臣が取りまとめて決められたと。特に総理からの指示もあるわけではないし、党からの指示もあるわけではない、そう考えてよろしいでしょうか。

岡田国務大臣 もちろん政府の中で決めるわけでありますので、事前に総理にはもちろん御報告をし、総理の感触も確かめて、五十億という数字を財務省と協議に入ったということであります。

小野寺委員 民主党内の方もいろいろな意見を聞いたことがありますか。

岡田国務大臣 今、民主党は政策と党務を分けておりますので、党の意見を聞くということになりますと、それは政策会議という部会に当たるものが、ただし、これは政府の中のものとしてあります。

 ただ、事前にその場で決まっていない数字を出すということはしておりません。それはやはり、表に数字が先に出てしまいますと、例えば、財務省との協議の中でそれ以下になったときに、かえって失望感を与えかねないということにもなりますし、それは委員よくおわかりのことだと思いますけれども、限られた範囲で相談をしながらつくり上げた数字であります。

小野寺委員 大きな意味で積み上げた数字ではない五十億ドルというお話でした。

 私ども、実は現在、御存じのとおり、八年間ぐらいでしょうか、十八億ドルの支援をさせていただいております。これは一生懸命いろいろな分野で支援をしようと思って努力して、努力した中でも、実はこの八年間の期間でこのぐらいの金額しか使うことができないぐらい、なかなかアフガニスタンの状況というのは厳しい、そういう状況にあると思います。

 ちょっと通告がなくて恐縮なので、もしおわかりになればと思うんですが、アフガンにおけます文民の犠牲者、特にこういう開発援助に関する犠牲者が最近ふえているのか、どのぐらいの数字になるのか、おわかりの方いらっしゃいますか。

鈴木委員長 これは質問通告のなかった件ですから、また後で資料等が必要になれば用意させますが。

小野寺委員 最近の資料で私が見ている限りでは、二〇〇八年の資料、もっと最新のが欲しかったんですが、二〇〇七年では千五百人、それが二〇〇八年では二千百十八人ということで、四〇%、これは文民犠牲者が出ております。また、開発援助の犠牲者というのも、一年間で殺害者が三十八人、誘拐者が百四十七人、大変厳しい状況になっております。

 このような、アフガニスタン、特にアメリカがますます増派をしようなんと考えている、こういう状況に、今まである程度安定して一生懸命支援してきた中でも八年間で十八億ドルしか出せない中で、急にこの五十億ドルという数字、これが一体どういう形で支援として使えるのか、相手の国としてこれだけのものができるのか、そこをお伺いさせていただきたいと思います。

武正副大臣 例えば、今アフガニスタンで活動をしている団体では、諸外国のNGOも大変活発にやっております。これも、では諸外国の方々が、特に欧米先進国の方々が直接今の治安状況の中で活動をするかといえば、やはり現地の皆さんに対してNGOとして雇用をして、あるいはその活動を応援するというようなやり方もやっています。いろいろなやり方で、支援のやり方はあるんだというふうに思います。

 また、そうした支援を、今、過去の二十億ドルについてのお話がありましたが、これも、先ほど大臣が触れたように、それぞれ、大変効果のあったもの、また、それをさらに拡大していくもの等もあろうかと思います。そういったものもしっかりと見つつ執行をしていくということになろうかと思います。

小野寺委員 副大臣、前、私は逆の立場でしたので今おっしゃったことはよくわかるんですが、実際、今までも、八年間で十八億ドルの支援しかできなかった。しようと思って、例えば二十億ドルまで考えても、十八億ドルまでしかできていないんです。そういう中で、これからさらに治安が厳しい、アメリカが増派をしようという中、今これだけ文民あるいは開発援助関係の方の死亡者がふえている中で、これからさらに、五十億ドル、今までの何倍も出そう。どうしてこういう数字が出てきたのか、どうしてこういう考え方が出てきたのか、そこをもう一度お伺いさせてください。

岡田国務大臣 現時点における治安状況がかなり厳しいのは事実ですね。それは、大統領選挙の混乱もありました。JICAの職員も、今、一時的に第三国に避難をしている状況です。我々としては、今回、大統領の就任式が行われますが、カルザイ大統領が求心力を持って、これから治安情勢も改善に向かうことを期待しているわけであります。

 そして、アフガニスタンの中にも、地域によってかなりばらつきがあることも事実で、今でもかなり安全にいろいろな活動ができる地域もあります。それはまさしくその状況状況で違いますから、全くできないというわけではないというふうに思います。

 あわせて、第三国でいろいろなことをやるということも考えられると思います。

 イラクもかなり厳しい状況にいまだあると思いますけれども、例えば発電所などプラント的なものも、今、日本の支援で工事が進んでおります。そういうものは、第三国でイラク人に類似のプラントを見せて、そこでトレーニングをして、そして現場に行ってもらう、日本人はイラクには入らない、そういうやり方もしているというふうに聞いております。

 そういったことも含めて、あるいは警察官の訓練について、午前中、日本における訓練は生ぬるいというようなお話もありましたが、第三国で警察官を訓練するということもあるいは考えられるかもしれません。そういうさまざまなオプションをしっかり検討していきたいというふうに考えております。

小野寺委員 私は、今民主党さんがやっていらっしゃる業務仕分け、なるほど、こういう形で一つ一つ仕事を見ていくのは、ああ、こういう見方があるんだなということで参考にさせていただいています。そこまで非常に無駄なコストを省いて頑張っている一方で、なぜ、五十億ドル、五千億円ですか、それだけの予算をぽんと、しかも中身をほとんど精査せずに。

 大臣がおっしゃったように、さまざまな支援の形は今、日本もやっています。それだけやっていながらも、八年間で十八億ドルしか使えていないんです。どうしてそんな数字がぽんと出てくるのか。しかも、それが、オバマの訪日に合わせてぽんと気前よく数字が出てきて、二国間の会談でこの数字が表に出てくる。

 そしてまた、インド洋の問題、今は沖縄の基地の問題、さまざまな関係で、米軍の問題が、日米関係は厳しくなっています。こういう中で、これだけの数字が気前よくぽんと出てくる。片方で業務仕分けをして、子供たちの読み聞かせの予算を、ばっさりばっさり何億円という予算を切っていながら、この五千億というお金はぽんと出す。私は、これがもしかしたら小切手外交あるいは日米関係をつなぎとめるためのお金としたらとても悲しい、そういう考えがありますが、そんなことは絶対ないとおっしゃっていただければと思います。

岡田国務大臣 まず、小切手外交という言葉がよく使われますが、その意味するところは何か。

 私の記憶では、湾岸戦争のときにそういうことが言われたと思いますけれども、あのとき世界じゅうから日本のやり方が批判を受けたのは、最初十億ドル、二回目もたしか十億ドル、最後、合計で九十億ドル、つまり小出しであったことに対して世界的に批判を受けたということが一つあったと思います。

 もう一つは、あれは基金に対してお金を出したんですが、基本的にはアメリカに対して出したお金なんですね。直接クウェートに出したものではありません。今回のアフガニスタンのように、日本のJICAや日本の民間人も含めてさまざま活動しているわけでもありません。ですから、状況は全然違うということだと思います。

 もし小切手外交という言葉を使われるのなら、今までの二十億ドルも同じですよ、そういうふうに言われても仕方がないと思うんですね。今までの二十億ドルと中身は基本的に変わらないわけですから、では、今までの二十億ドル、今までやってきた支援も小切手外交なのか、こういう議論も出てくるのではないでしょうか。

 いずれにしても、今までやってきたことに加えて、先ほど説明しましたが、アフガニスタン自身の治安能力の向上、それからもう一つは、元タリバン兵士、特に末端の兵士の再統合、こういうことについてさまざま新たな取り組みを今考えているところであり、これは日本だけではなくて、国際的にも協力をしながらこういったことを進めていこう、そういう流れにあります。

小野寺委員 最後、この話で少し締めくくりだと思うんですが、おっしゃるとおり、小切手外交というふうに言われては決していけないと思います。ですから、私は、この五十億ドルの積み上げの根拠、そして実際これが使われるのか、そういう過程についてお話をお伺いさせていただきました。

 そして、先ほど湾岸戦争のことのお話がありました。私もまだ政治家ではありませんでしたが、あのときの日本の支援のあり方、最終的には百三十億ドルだと思うんですが、そのあり方とその後の報道のあり方で、本当に日本の外交というのはしっかりしなきゃいけない、そういう思いでいた一人でもあります。

 今回ちょっとだけオーバーラップしてこういう話をするのは、実は、あの湾岸戦争のときに、政府・自民党の幹事長は小沢一郎さんでした。今回も政府・与党の幹事長は小沢一郎さん。ですからちょっと失礼な言い方で聞いたんですが、外務省内で大臣が決められたということで、安心をいたしました。

 それでは次に、ちょっと話題はかわるんですが、マグロの問題について触れたいと思っております。

 実は、クロマグロの資源が枯渇しているということで、今、国際的な資源強化の取り組みがあります。そして、先日の会議におきまして、二〇一〇年の総漁獲量はことしよりも四割削減ということで、大変厳しい状況が今行われております。

 ICCATの会議、これは日本政府が一生懸命頑張ってくれているんですが、一つとても理不尽だと思うのは、日本は実は長年この資源管理で一生懸命努力をしております。ですが、この東大西洋のクロマグロの資源がどんどん悪くなっているというのは、実はそのほかの周辺国の問題も多々あると思います。

 本来、この削減というのは各国一律ではなくて、努力をしている日本は削減幅というのがもうちょっと軽くてもいいのではないかと思うんですが、長官、いかがでしょうか。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 このマグロの資源管理につきましては、加盟国すべてがきちっと守るということが大事だということはおっしゃっていただいたとおりでございます。

 これまで違法漁業の問題について必ずしもすべてその実態がわかっているわけではございませんが、ICCATにおきまして明らかになった違法漁業に対しましては、これまでもICCATできちっと遵守状況を審査いたしまして、超過分は翌年度以降の漁獲枠で返す、そういった措置もとられております。

 また、今回のICCATの年次会合の中でも、加盟国各国の規制措置の遵守状況を評価いたしまして、遵守していない国に対して漁獲枠の一時停止や削減、こういったことがきちっと盛り込まれたところでございます。

小野寺委員 実はこのクロマグロ、最大の需要国、輸入国は日本でもあります。ですから、日本は資源管理に対する国際的な責任、役割も持っております。

 当然、日本政府は、今まで日本漁船に対して厳しい管理を行ってきました。ところが、輸入品については、ある面でこういう管理がおざなり、ちょっと抜けていたのではないかと思います。日本船同様すべての輸入品に関して、このクロマグロですが、認証タグなどをつけて水産庁がしっかり監査をする、こういう管理をしなければ国際的な非難も浴びるのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

町田政府参考人 小野寺議員御指摘のとおりでございます。国内での漁獲また輸入されるものにつきましても、きちっと違法なものがないということを確保していく必要があると思っております。

 この太平洋クロマグロの輸入物のクロマグロにつきましては、ポジティブリスト制度ということで、それぞれの国がきちっと正規に認めた漁船、そういったものをリストアップしているということと、漁獲証明制度ということで、漁獲をしたときから流通まできちっとその証明をする、政府がきちっと証明するという制度のもとで、私どもも相手国政府から確認されたもののみを輸入しているということでございます。

 限りある資源でございますので、この問題は引き続ききちっと対応していきたいと考えております。

小野寺委員 また、この問題は日本の漁業者に大変な大きな影響を及ぼします。本年度の東大西洋への我が国の出漁漁船は三十三隻、四割近い漁獲の削減で二十億円以上の水揚げを失うことになります。業界は出漁体制の見直しが必須になります。

 我が国生産者は国際的規制を受けて厳格な漁業枠の管理を行っておりまして、今回は被害者になると思います。十月のCCSBTでの漁獲割り当て二割削減ということをあわせて、今回このマグロ漁業に関しては経済的救済措置が必須だと思っております。また、漁業基地の経済もたび重なる減船のために大変疲弊しております。

 この国際的な資源管理によっての減船、そしてまた地域での影響、こういうことを加味して、まず稼働隻数を維持するということが大切だと思いますが、この資源管理についての何らかの支援措置についてお伺いしたいと思います。

町田政府参考人 お答えいたします。

 CCSBT、また今回のICCATの合意に基づきます漁獲枠削減につきましての漁業者への影響でございます。

 これにつきましても、私ども関係業界の皆様の意見をよく伺いながら、その影響、今回特にまたミナミマグロも含めまして、どの程度の影響を与えるかということは慎重に見きわめて、経営安定に向けて努力をしていきたいと思っております。

小野寺委員 この問題の発端というのは、CITESに対してのモナコ提案ということだと思っています。CITESに対してモナコは、ワシントン条約の附属書1、これは商業取引の禁止ということになりますが、単に二国間の商業取引ではなくて、これは公海上もこの取引に当たります。ですから、公海上の魚も海からの持ち込みということで規制の対象になる。太平洋の真ん中の魚も、実はこの附属書1に載ってしまいますと、事実上日本は漁獲ができなくなる。大変大きな問題になります。

 このモナコ案の撤回、そして来年三月ドーハで締約国会議がございますが、ここでの提案可決阻止に向けて、ぜひ積極的な外交努力が必要だと思いますが、具体的にはどのような考えをお持ちでしょうか。

町田政府参考人 この大西洋クロマグロを初めといたしますクロマグロの資源の保存管理、これにつきましては、私どもは、ワシントン条約ではなくて、それぞれの地域の漁業管理機関、これがきちっと対応すべきという基本的な考え方で臨んでいるところでございます。

 モナコからワシントン条約附属書1に掲載すべきという意見が出ております。これにつきましては来年三月に締約国会議で議論がされるわけでございますが、今次、このICCATの年次会合、この決定内容が非常に大きな影響を与えるということを考えておりまして、私どもこれは全力で取り組んできたところでございます。今回、全会一致で大変実効性のある措置がとられたというふうに思っております。

 私ども、引き続き、この附属書1に掲載にならないように関係国に働きかけを強めてまいりたいと考えております。

小野寺委員 そもそもマグロを含めた漁業というのは、これは漁業資源です。決して、例えばアフリカゾウを含めて、いろいろな希少動物のようなワシントン条約の範疇に入るものではないと私ども思っております。こういう資源管理の問題は、それぞれの地域漁業機関、資源管理機関で議論すべきだと思いますので、今後もぜひそのような外交姿勢を貫いていただきたい、そのように思っております。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。貨物検査法案についてお話を伺いたいと思います。

 今回、新しく法案が出てまいりました。国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号等を踏まえ我が国が実施する貨物検査等に関する特別措置法、このような長い法案が出てきましたが、この法律名を出した理由についてお伺いしたいと思います。

辻元副大臣 国土交通省の方から御答弁をさせていただきます。

 まず、この法案の趣旨が国連の安保理決議に基づく法的基盤を整備するということで、その性格を明確にするために、このような名称になっております。

小野寺委員 外務省にお伺いします。

 このような国連決議の表題が法律になった事例は過去ありますか。

武正副大臣 ないというふうに承知しております。

小野寺委員 そうしますと、この国連決議をわざわざ法の題名にするということは、この国連決議と国内法、これはどちらが優位と考えていいんでしょうか。

鈴木委員長 ちょっと、もう一回質問してくれますか。

小野寺委員 国連決議をそのたびに法律の表題にするということは、国連決議とそれから国内法と、どちらが重いとお考えですか。

武正副大臣 日本の法体系というのは、国際的なさまざまな約束、これが条約等、国内法を縛る、そういった法体系にはなっておりますが、国連決議と国内法どちらが優位ということには、にわかにお答えできかねるというふうに思っております。国内法は国内法でありますから、国連決議は、これは条約ではありませんが、それを履行するという、そういった中で日本は国連のさまざまな活動に参加をしている。

小野寺委員 国連決議というのは、これは仮に例えば日本が国連決議に反対をする場合、しかし多くの国で賛成多数になった場合、これは日本が反対している内容についても国連決議がなされた、こういう場合も想定されます。

 ですから、私は、どうして、しかも今までの法律上初めて、わざわざ国連決議のこの数字まで挙げて、これを表題にした法律をここでつくる必要があるのか。前に出させた法案、これは与党案なんでしょうか、それとも議員立法の与党案、政府案なんでしょうか、北朝鮮特定貨物の検査。この北朝鮮という文字をわざわざ削って、この国連決議をわざわざ入れた。

 そして、もう一つお伺いしたいのは、では、国連決議が変わるたびに新しく毎回法律をつくるんですか。

武正副大臣 これについて外務省が答える立場なのかどうかもちょっと定かではありませんが、この法律名は、国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号等を踏まえ我が国が実施する貨物検査等に関する特別措置法ということでありまして、この国連決議を踏まえということで、これまでになかった記載の法律名であるということでございます。

 国連憲章第二十五条は、先ほどお話がありました国連決議について、「加盟国は、安全保障理事会の決定をこの憲章に従つて受諾し且つ履行することに同意する。」と規定する。同憲章第百三条は、国連加盟国は「この憲章に基く義務と他のいずれかの国際協定に基く義務とが抵触するときは、この憲章に基く義務が優先する。」と規定されております。

小野寺委員 なぜこのようなことを言うかというと、実は私ども、長年、こういういろいろな法律をこの国会の場でつくっておりますが、突然これだけ変わった法律、なぜ国連決議がわざわざ法律の題名に出てくるような、このようなものが突然飛び出すのか。そしてまた、今回、この中にありました九条の二項、自衛隊の項目もばっさり削減をされております。

 こういうことの背景には、きょうは連立で各党いらっしゃいますが、もしかして連立与党の中の政党間の中で、ここはこう配慮して名前をこう変えないと過去の発言に整合性がとれない、あるいは、自衛隊に関して、例えば辻元さんが所属されます社民党で十回定期大会では、現状、明らかに違憲状態である自衛隊ということを明確にされているという中で、このような少しいびつな形での法律になったのか、そういうことがないのか、お伺いしたいと思います。

辻元副大臣 お答えいたします。

 政権がかわりましたので、前政権のお出しになっていた法律につきましては全部点検をして出し直すというのは当たり前ですので、前政権と同じ内容を出さないからおかしいという論理は成り立たないと思います。

 その上で、現政権の方針にのっとって、現政権の中で議論をして、一つ一つの法律を丁寧に出しております。それは、自公政権のときも、それぞれの政党によっての立場もありましょう。しかし、それについて議論をなさって、自公政権でも法案をつくり、出してこられたと思います。私が小野寺委員と同じであった自社さ政権でも同じで、私も社民党として政権に参画しておりましたけれども、三党が議論を積み重ねて、その結果その政権の法案を出してきた、これは連立政権時代の常識でありますから、そのことについて問題であるというような認識はないということは共通していると思います。

小野寺委員 政権に入るといろいろな認識が変わる、考え方が変わるということかと今承りました。

 一つ確認をしたいことがございます。

 きょうは鈴木宗男外務委員長がいらっしゃいます。一つ、辻元清美国土交通副大臣にお伺いしたいんですが、当時、私は多分テレビで見ていたのかもしれません。平成十四年三月十一日、衆議院予算委員会、ここで辻元議員が発言された内容、これは私、今でも鮮明に覚えています。

 まず初めに伺いたいんですが、今回鈴木委員長が委員長選任をされるときに、辻元議員は賛成をされましたか。

辻元副大臣 賛成をいたしました。

小野寺委員 そうしますと、例えばこの予算委員会、平成十四年三月十一日ですが、その当時辻元委員がおっしゃった、これは外務省の佐藤優外務主任分析官、それからケニア・ソンドゥ・ミリウダムの支援の問題、この問題で、さまざまな疑惑があるということで厳しく追及をされました。そして、その際、鈴木委員長に対して、「あなたは疑惑のデパートと言われているけれども、疑惑の総合商社ですよ。」という話をされました。今はこの疑いが晴れたとお考えでしょうか。

辻元副大臣 私は、当時の発言はそのとおりです。しかし、その後、裁判を今なさっておりますけれども、その裁判の過程では、私が指摘した問題は裁判の過程では出てまいりませんでした。ですから、私自身は、やはり自分の質問に対して、疑惑ということで追及させていただきましたけれども、確証がなかった点は認めざるを得ないと思っております。

小野寺委員 このことに関しては、大変失礼な言い方ですが、鈴木委員長は現在刑事訴追を受けている話ではございません。ですから、あくまでも疑惑ということで、今おっしゃった形が多分正確だと思っております。

 私どもも、国会論戦の場で、ちょっと発言の文句等やはり気をつけなきゃいけないなと思っておりますので、ぜひ今後こういうことがないように、政府・与党に入られましたので、再度、この疑惑については、もう今現在は刑事訴追を受けているわけではないので晴れたと言っていただくことはできますか。

辻元副大臣 私は、今申し上げたとおりで、まだ係争中でいらっしゃいますので、その裁判について私は申し上げる立場にはございません。

 私、自分の国会での追及につきましては、先ほど申し上げたとおりです。

小野寺委員 ということは、晴れて、この疑惑のデパート、疑惑の総合商社ということは撤回されるということですか。

辻元副大臣 私は当時そのように申し上げましたけれども、小野寺議員もいろいろ苦労をされました、何とは申し上げませんけれども。私もいろいろ事がございました。ですから、国会論戦ではお互いに熱くなったり言い過ぎたりということもあるということも経験をし、それが自分にはね返ってくるということもみんな理解しているところであります。

 当時は、そういう状況の中で、鈴木委員長に対して私はそのような言葉遣いをしたということは、今では反省をしております。

小野寺委員 ありがとうございました。

 お互いにさまざまな経験をした仲間ということで、ちょっと仲間ととらえたら嫌いかもしれませんけれども、お許しいただければと思っています。

 きょうは、こうして当初普天間問題からお話をしました。最終的にぜひお願いしたいのは、私は、やはりこの日米関係、そして沖縄の県民の負担の軽減ということに関した場合には、現行案を少し加味した形で一日も早く決定していただきたい。そのことに関しては、決してマニフェストの問題にかかわることなく、マニフェスト違反ではないとおっしゃっておりますので、そこはそこでしっかりとした政治決断、政治判断が行われるんじゃないかというふうに思っております。

 ですが、岡田大臣だけではなくて、実はこの問題に関しては鳩山総理もそうですし、防衛大臣もそうですし、官房長官もそうですし、さまざまな方がさまざまな発言をしております。ですから、これは日本国民、そしてまた沖縄県民、この問題についてはもっとやはり議論をしてほしい、内容についてもっと詰めてほしい、そのようなことがまだまだあるんだと思っています。

 委員長にお願いしたいのは、この普天間移設についての、総理を初め各閣僚の答弁が食い違っているということを考えた場合に、安全保障委員会、安保委員会と連合のぜひこの沖縄基地問題の集中審議をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木委員長 検討させていただきたいと思います。

小野寺委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、ぜひ、私どもこれから野党になって、今、座る席がかわりました。座る席がかわると、実は見る景色が大分変わってまいります。私どもが至らなかったところもよく見えます。ですが、逆に、私どもが経験した中で、今この状況では危ないな、今の政権危ないなと思うことも多々見えてまいります。ぜひそういうことを建設的にこれからも意見交換をしていきたい、そのように思っています。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 不覚にも風邪を引いてしまいまして、ちょっと声が出づらい部分があります。せきを断ちたいんですが席を立てないということで、お許し願いたいと思います。

 今、小野寺委員や、あるいは午前中の平沢勝栄委員の御質問にもありましたので、また、それに対する委員長答弁というのもあったので、私は実は、委員長が午前中申された、この中に証人喚問を委員長が受けられたときの質疑者がいるという話がございました。だれあろう、私でございます。きょうこの場にいる中で、平成十四年三月十一日の証人喚問の場で公明党を代表して質疑をさせていただきました。

 そのときのことをとやかく言うつもりはございませんが、私自身思いますことは、鈴木宗男という一人の代議士の生き方というものを見て大変教えられるところが多いというか、本当に自身の信ずる道を懸命に生きておられるなということを強く感じている次第でございます。

 私一つだけ申し上げますと、あのとき、大変失礼な言い方でございますが、たたき上げの鈴木宗男代議士は、自分自身をたたかれるんではなくて、周りをたたかれてのし上がってこられた方だというふうな言い方をしてしまいましたけれども、その後の、御自身の法廷闘争だけではなくて、外務省との闘い、さまざまな面で教えられるところが多い。

 また、佐藤優さんとそれから鈴木宗男代議士との何といいますか例えようもない友情というか、そういうものを、さまざまな著作を通じて、一生懸命読ませていただいて、教えられるところが多い、このように申し上げさせていただきまして、回答は要りませんので、私の感想とさせていただきます。

 さて、きょうは、岡田大臣、武正副大臣もお答えいただくんでしょうけれども、こういう形で質疑の場に立たせていただきました。冒頭少し、新しい政権誕生について、午前中から今に至るまでいろいろ聞かせていただいて感じることがございますので、感想を述べさせていただきます。

 まず、実は昨日、十一月十七日でございますが、公明党の結党記念日でございます。四十五年前、昭和三十九年十一月十七日、きょうは四十五年と一日目ということでございますが、私は昭和四十年からずっと公明党を見てきておりますので、実質的にもほとんど公明党の誕生以来を、あるときは大学生として、卒業後、公明新聞の記者になりまして、その後国会議員になった、そういう経緯の中で見てまいりましたが、おおむね三つの段階に分かれると思います。

 三つの段階というのは、誕生してから、六〇年代の半ばに誕生して、七〇年代までは公明党のいわゆる初期の時代ということで、野党としての立ち位置を決めるという闘いをしたわけですが、その後、一九八〇年代から約十年間というのは、公明党が中核になって、当時の日本社会党そして民社党、まあ古い話でございますが、いわゆるこの社公民三党の、自由民主党にかわる政権の受け皿をいかにしてつくるかということに専念をした、そういう時代が約十年続きました。

 それから、九〇年代は、先ほどの話に出てまいりましたけれども、岡田大臣は平成二年の当選、私は平成二年の選挙で落ちまして平成五年に初当選ですが、いわゆるこの九〇年代というのは、細川連立政権から新進党の結成ということで、公明党も公明党というものを衆議院段階で壊して、そして新進党に合流するという形で、この約十年、ちょっと十年はオーバーですけれども、そういう時期がございました。そして、〇〇年代、二十一世紀に入ってから、自由民主党との連立政権を組むという格好になったわけであります。

 これは、今申し上げた、概括的に言ったこの近過去三十年の公明党の歴史というのは、一言で言えば、要するに政権交代が可能な仕組みを日本の政治の中につくりたいという思いであったということでございます。

 さっき、午前中、岡田大臣が、非常にあの部分、鮮明に覚えていますけれども、熱っぽく語られたのは、要するに、日本の政治を、政権交代ではなくて、政権交代の可能な仕組みといいますか、政権交代ができる政治をつくったということが大事なんだということをおっしゃられた。そういう意味におきまして、岡田さんは、文字どおり約二十年、執念を持って取り組んでこられた、日本の政治の中に政権交代可能な仕組みをつくりたいという、恐らくそういう思いだったと思うんですけれども、その所産として、結果として民主党が政権をとったということは、大変にここの今の経緯の流れの中で、ちょっと立場は違いますけれども、私どもも同じことを考えて、私たちは途中で、外から自民党を変えるということをやめて、内側から変える、そういう作業に方向転換をしたわけですけれども。

 小沢さんを中心とする民主党の皆さんも、一時期そういうときがほんのわずかですけれどもあったわけですが、それをやめられて、やはりもとへ戻られたというか、執念を持ってこの日本の政治を変えるということに専念してこられたということに対して、非常に私は敬意を持って、そういう粘り強い、日本の政治を変えるということに一生懸命取り組んでこられた小沢さんや岡田さんというものは、大変なそういう熱意、取り組み姿勢、これは本当に敬意を表する、そんなふうに思う次第でございます。

 私は兵庫県でございますので、兵庫県は、少し前の時代、連合・五党協というのがありまして、少しばかり、全国の与野党関係の中ではちょっと違う、そういう色合いを持った時代を経験したんですが、そのころの、今の民主党に入っておられる皆さんに対して言ったことは、早く早く生い立て民主党と偉そうな言い方をさせていただきました。しかし、今、見事に政権をとられた民主党、早く生い立ち過ぎられたのかなという感じもするんですけれども、そういう思いを感じます。

 同時に、自由民主党、一緒にやってきました自民党の皆さんには、早く立ち直れ自民党、こう言わせていただきたい。これは公明党自身についても早く生い立たなくちゃいけないし、早く立ち直らなくちゃいけない、こういう思いも込めて、今のようなことを感じるということを冒頭長々と申し上げさせていただきました。

 さて、今述べてきたことを背景に置かせていただきまして、きょう質問を考えてきたのを、ほとんど今までの民主党の皆さん、社民党の皆さん、また自民党の皆さんもおっしゃられたので、余りそれにこだわらないので、大きい話をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 岡田大臣だけではなくて、今の民主党の中心者の皆さんのいろいろな発言、取り組み姿勢。たしかきのうで二カ月ですよね、きょうで二カ月と一日ということで、六十一日の流れの中で私が思いますのは、やはり、これは無理もないことなんですが、前政権のやったことの反対という部分を打ち出すという色合いが非常に強く見えるんですね。

 それはそうでしょう。野党として長くやってこられて、政権党に対するさまざまな対立軸というものを考えて過ごしてこられたんだから、政権をとった途端に、先ほどの辻元さんの話じゃありませんけれども、前政権のことをそのまま踏襲するなんということはまず第一義的にはあり得ないということですから、反対の方向性を打ち出されるというのは無理もないと思うんですけれども、しかし、それにしても、この六十一日間の印象としては、前政権のやったことに対する反対というものが強いんだなという印象を受けました。

 先般NHKテレビを見ていましたら、外務副大臣、参議院の福山さんと、さっきまでいました防衛政務官の長島さん、お二方が岡本行夫さんと森本さんと四人で、なかなかおもしろい、四人でやるのは何というんですかね、三人が鼎談ですが、四人でやっておられました。

 その中で、今私が申し上げた、前政権の反対の方針じゃないのかという指摘をその二人の文化人、知識人から、二人とも元官僚ですが、突きつけられて、そうではないということをお二方はおっしゃっておったのですが、やはり国民の側から見れば、民主党独自の方針、日本の国益をどう守るのかという観点に立った方向性というよりも、むしろ前政権の反対ということを言うという部分が強く出ていたような印象を受けまして、私も森本さんやまた岡本さんと同じ思いを持って民主党を見ていましたもので、同じことを考えているんだなという感じがいたしました。それで、それに対して、そうではない、前政権の反対をやっているわけじゃない、民主党としてきちっとした方針にのっとってやっているんだ、こういう話でございました。

 さて、私が午前中聞いていて思いましたのは、要するに、まず前政権と違うことをやりたいという、これは不幸なことに、これは私自身の質問通告はしておりませんが、午前中、平沢委員からの質問で天皇のお言葉の問題がございました。私も平沢委員と同じように十分に岡田大臣の気持ちはわかるつもりなんですけれども、非常にタイミングがよ過ぎるというか、ある意味ではそれは当然なんですが、要するに、政権がかわった、従来続いた政権と違う政権が登場した、そのときの天皇のお言葉が旧政権と同じ言葉が続けられるということについて、大臣はそういうことで言ったんじゃないと言われるかもしれませんが、私らは逆に見ていて、うん、なるほど、そういう側面はあるよな、こう思ったわけですね。

 それに対して、まず私の第一問目は、その天皇のお言葉問題を客観的に我々から見ていると、あそこにまさに政権交代をしたということの高揚感というものが岡田大臣の言葉の背景にあったんじゃないのかなという気がするんですが、そのあたりについてまず最初にお願いしたいと思います。

岡田国務大臣 それは違うと思います。ただ、私、従来からそのことはずっと思ってまいりました。ただ、従来はそういったことを言う立場にはありませんでした。今回、閣議でお言葉を承認するという、そういう閣議の一員ということになりましたので、責任が生じましたので申し上げたわけです。

 ただ、これは総理からも御指摘いただいたところですが、閣議あるいは閣僚懇の中で発言することはともかく、それを外にコメントしたことは適切ではなかったというふうに思っております。

赤松(正)委員 私も、今のお話を聞いて、そのとおりだろうなと思います。外で言われたのが、大臣御自身の意思とは違って、少し波紋を呼び過ぎたなという思いなんだろう。しかし、それはぜひとも、内部的にはそういうことをしっかり言われる方がいいと私は思います。

 そんな中で、それと関連するんですけれども、大臣のお言葉の中に、官僚主義、そして相前後して事なかれ主義という言葉が出てきました。午前中の質疑の中でかなり大臣が熱を込めておっしゃっていたなというくだり、いつも熱を込めておられるんですけれども、印象に残ったのは、旧来、今までの政権が、要するに、いわゆる閣議が事務次官の采配する流れの中ですべてが決められているということ等について、それに対する厳しい指弾というものがあったと思います。これは、私はそういう場に出たわけじゃありませんが、出た人間から聞きますと、やはりそういう指摘を受けてもやむを得ない、そういう側面があったということは重々承知をしているわけです。

 今回、これから後、こういう調子でやっていますと余り時間がなくなってくるんだろうと思いますけれども、きょうは総論で、これから何回もやる機会があると思うので、私の思いをいろいろな形で言いたいと思います。

 岡田外交の出だしということで、私自身、岡田さんのやり方というものを見ていて、岡田さんだけじゃなくて民主党全体の方向性なんですけれども、一つは、さっき言いましたように、前政権と違うことをやるという観点でいいますと、前政権が官僚との協調、官僚との協調という言い方をしておきましょう、これをきつく言うと官僚主導ということになるんだろうと思うんですね。盛んに政治主導ということを岡田さんを初めとして民主党の皆さんはおっしゃる。政治主導の反対というのが恐らく官僚主導ということなんでしょう。後で違うとおっしゃるならば違うでいいんですけれども。

 そういう官僚との協調というのをやってきた前政権、そして、それの例えば外務省的な政策の展開ということでいえば日米同盟重視。日米同盟重視、これはいい言い方で、これを悪く言うと対米従属。行き過ぎると対米従属。そういうふうな官僚との協調、そして具体の問題として、外務省的にいえば日米同盟重視、そしてこれは悪く言えば対米従属、こういうふうなことを強調されている場面が非常にこのところ多い。

 その一つの結果として、さっきおっしゃった長期のビジョンとしての東アジア共同体、こういう長期的な展望のもとの話と、それから短期、今直面している話というものが一緒にされちゃうとどうしても混同しちゃう。メディア的にはおもしろい話に飛びつきますから、どうしても出た話の軽重の判断をしないで、話題を呼べるものから飛んでいってしまうということになるので。

 私なんかも、公明党なんかも東アジア共同体ということについて議論を何回もしてまいりましたけれども、やはり今の時点、この時点の中で東アジア共同体というのは難しいよねと。それは、要するに、午前中にも議論がありましたけれども、EU、ヨーロッパとアジアとでは、先ほど宗教をめぐっての話もありましたけれども、やはり全然土壌が違う。まず、アジアにはまだ冷戦というものが、厳しく言えば冷戦状況というものが続いているという判断もできる。そういう状況の中で長期、理想としての東アジア共同体というものを今出すということはかなりプラスマイナスがある、そんなふうに思うんです。

 今申し上げたような、そういう政治主導という立場に立って、官僚主導ではない政治主導という方針の中で日米同盟を重視してきた、そういう行き方もそれは決して否定するものじゃない、当然そうだろうと思うんですが、あわせて長期の課題である東アジア共同体的なるものも同時に語られるということが、やはり国民全体に与える印象として非常に懸念を持ってしまう。これもまたプラスマイナスはあるんですけれども、前政権と違うものを期待するというものが出てくるんだろうと思うんですけれども、そういうことがあるんだということについて、大臣、ざくっとした話で結構でございますので、印象を語っていただきたいと思います。

岡田国務大臣 鳩山政権も、日米同盟は基軸であるということは申し上げております。そこは変わりません。同時に、アジア重視。これは、どちらかをとればどちらかをやめなきゃいけないというものではなくて、いずれも極めて重要なものであるというふうに思っております。

 今、アジアの中での共同体というのはいろいろ難しい問題があるという御指摘ですが、そのことは私どももそういうふうに思っております。例えば、安全保障面で考えたときに、安全保障といっても非常に幅広くありますが、これだけ体制がいろいろあるとなると、これはヨーロッパ、EUにおけるNATOのような存在というのは当面考えがたいというふうに思います。海賊とかそういう部分では協力できるかもしれませんが。それから、政治体制もこれだけ違うということになれば、やはり当面は経済を中心に、その周辺にあるエネルギーとか環境とかそういった問題、分野での協力というものがまず先に来るんだろうと思います。

 ただ、将来的に、しかし、午前中も言ったかと思いますが、五十年前に今のEUの姿、通貨統合も含めて、あるいは大統領をつくろう、こういうところまで想像した人はまずいなかったというふうに思われます。ですから、一歩一歩ですが意外と早いかもしれないな、少なくとも五十年かかることはないんじゃないか、そういう思いもしております。

赤松(正)委員 今の御認識は私なんかと共通するところであります。ですから、今は政権が発足した直後のことでありますから無理もないとは思いますけれども、いろいろな場面で聞かれたり、あるいは積極的に御自身の方から発信されるときには、そういう時間軸もしっかり気にしながら話していただければと思います。

 さて、具体の問題で三つほど今からかいつまんでお聞きしたいと思います。

 まず、沖縄の米軍基地の問題でございます。

 もういろいろな御意見が出ましたので、重複を避けまして、私が聞きたいのは、まず、これは私の率直な疑問なんですが、密約の問題で調査を事務方にした、こうおっしゃいました。おっしゃいましたというよりも、そういうスタートをしています。

 一方、米軍基地の問題をめぐる前政権のさまざまな取り組み等について、外務省の中でこれに取り組んだ連中がいるわけですから、その事務方に過去の一切をしっかりまず、日米間でやる前に、日本の中の外務省の中でその取り組みについての検証をしろ、こういう命令は下しておられるのでしょうか。

岡田国務大臣 狭い意味での命令というのは出しておりませんが、当然、私、大臣として事務方から従来の経緯については聞いております。これは、外務省からだけではなく防衛省からも聞いております。

赤松(正)委員 その聞かれていることというのは、それは同じく防衛大臣も、あるいは総理大臣もそれぞれ共有しておられるのでしょうか。

 もう続けて聞きますが、要するに、まずその三人で会われた機会、この問題をめぐって協議をされたことはあるのかということが一つ。つまり、今聞いているとおっしゃいましたよね、事務方に。そういう所産を受けて、それに、さてどうするかということを関係閣僚で協議したことはあるのかどうか。

 あわせて言えば、私が不思議に思うのは、三人でいいんですかね、沖縄の問題では。前原さんは入らないんでしょうか。彼は沖縄北方担当大臣。きょうの新聞を見ると、何かどこかの新聞が、前原さんが総理に沖縄の問題で指南しているというのを上から写真を撮られて、それは事の真偽、中身は知りませんけれども。前原さんの発言がこの沖縄の問題に関して余り私たちの耳に入ってこないということもあるので、今聞いてみようと思ったんですが。

 総理、外務大臣、防衛大臣、その三人で、先ほど言ったような、そういう事務方の、前政権のやったことの検証的なるものを前提にして、戦略というか、どういうふうにこれに立ち向かっていくのか、非常に難しい問題だと思うんです。それは私も含めて前政権の責任もいっぱいあります。そういうものも受けて、ゼロベースでスタートをするわけではないんだからということをNHKの「クローズアップ現代」で岡田外相が一生懸命しゃべっておられるのを一生懸命聞きました。そういう気持ちはよく伝わってきましたけれども、では最終的にどうしたいんだということは余りわからない番組でしたけれども。

 そういうことも踏まえて今お聞きしているんですが、政府内で、この問題についてしっかりとした陣立てというか考え方というものを立てる、そういう機会を持たれているんでしょうか。

岡田国務大臣 総理はさまざまな問題に取り組んでおられますので、いつも総理とお話をしているわけではありませんが、この問題は、基本的には官房長官、それから沖縄担当の前原大臣、そして私と北澤防衛大臣、この四者で時々意見交換をしながら物事を進めております。あとは、四者が集まらなくても個別に会ったり、電話をしたり、そして総理に対しても機会を見て意思疎通をよくして、基本的に大きな考え方の開きはない、そういう前提の中で進めさせていただいているところであります。

赤松(正)委員 さっきどなたかの御質問の流れの中で、大臣は、いわゆる積み上げではないんだと。前政権が官僚の積み上げの上に乗っかってきて、それに対して政治決断を下すというふうな意味合いの中で使われたと思うんですが。では、それに対して私自身が思うのは、そういう意味で、今までの官僚がいろいろベースをつくって積み上げてきたものに対して、いや、それでいこうとか、いや、そうじゃない、こういうふうな行き方をするんじゃなくて、おれたちの行き方は政治主導なんだ、こう言われている見事な実証というかスタイルというものを見せてほしいと非常に私たちは期待をして見ているんですが、今のところこの問題に限って言えば出てこないというのは、先ほど言ったように、そういうきちっとしたものを踏まえた上での戦略というものを練る場面がないんじゃないか、こういうふうに思わざるを得なかったわけですけれども、それは請う御期待で、もう少し時間をくれればきちっと出せる、こういうふうに聞いていればいいんでしょうか。

岡田国務大臣 今は、どうして今の案になったのかということを検証しているところです。これは簡単な作業ではありません。そして、それぞれやってきたのを、昨日から日米両国政府、大臣クラスがヘッドになってきちんと検証しよう、こういうことであります。そういった手続を経て、私も含めて、それぞれなぜこうなったのかということをきちんと納得した上でどうするかという意思決定をしなければならない。まだそこまで至っていないということです。

赤松(正)委員 繰り返しになりますのでこれ以上は言いませんが、非常に事の問題が大きいだけになかなかそう一朝一夕に答えは出せないというふうなことはよくわかるわけですけれども、先ほど来、自由民主党のお三方がいろいろな角度でおっしゃったようなことも踏まえて、もう六十一日たったわけですから、六十一日を多いと見るか少ないと見るかは見方が分かれるところでしょうけれども、しっかりとした結論を出していただきたいということを要望しておきたいと思います。

 次に、外務省改革という問題に触れたいと思います。

 これは、外務省改革という言い方をしましたが、要するに、官僚主導という、政治主導の反対概念は官僚主導ということで、大臣も就任されて六十一日、それ以前からさまざまな問題意識を持っておられたと思いますので、今の外務省のありようというものについて、どこをどう改革したらいいか、余りにも間口の広いテーマではありますけれども、今一番関心を持っておられる、自分が大臣になって、そして政治主導を外務省の中でやっていくという場合に一番改革をしていかなくちゃいけないテーマとして、外務省改革の部分では何が上がるんでしょうか。

岡田国務大臣 私、就任したときに、国民の理解と信頼がなければ外交は成り立たないというふうに申し上げました。やはり、国民と離れたところで外交というのは存在しないんだと思います。

 そういう意味では、例の密約の問題も、歴代外務大臣なり総理大臣がそんなものはないと言って強弁してきたわけですけれども、アメリカの情報公開などを見ると、そうではないものが出てきている。一国の総理なり外務大臣が正しくないことを言っているということでは、私は外交は力を失うというふうに思います。ですから、こういうものは早くきちんとする。

 情報公開。国民が外交というものにもっと関心を持ってもらうためには、きちんと情報公開をして、場合によってはプロセスも見せて、そして理解をしていただくということが非常に重要なのではないかというふうに考えております。

 議員も多分同じ思いだと思いますが、例えば地元に行きまして経済協力の話などしますと、恐らく半分以上の人が、何でこんなに国の財政が厳しいときに、自分の生活が厳しいときに、途上国とはいえ、そういう人たちにお金を出さなきゃいけないんだ、こういうふうに言われる方が多いと思います。それはやはり説明が不足していると私は思います。ですから、そういうことも含めてきちんと説明をしていくということは非常に大事、情報公開も大事だというふうに思っております。

 もう一つは、我々は政治主導ということを言っているわけですが、政治主導というのは別に官僚の皆さんを無視して勝手にやるということではありません。外務省の職員は非常に優秀な人が多いですし、しっかり使命感を持ってやってくれている人が多いわけで、彼らが本当に誇りを持ってしっかり働けるようにしていくということが非常に重要なことだと思っております。

 最近といいますか、外務大臣になって初めてわかったことですが、外務省には省議が事実上ない。大臣に就任したときには臨時省議というのをやっていただきました。やめるときにも臨時省議というのをやっていただくそうです。基本的にその二回。

 省議というのは、大臣がトップになって、そして幹部といろいろ政策論議などをする、そういう場だと私は思いますが、そういうものが開かれずに個別に相談しながら物事を進めているというのは、私は、組織のあり方としては非常にいびつだなというふうに思います。会社でいえば、取締役会に社長が出てこないということになりますから。

 そういう意味で省議を実は今週からやることにしたわけですが、これも試行錯誤だとは思いますが、やはりお互い意思疎通をよくして、トップが何を考えているのかということがみんなにわかり、同時に職員の皆さんがどういう思いでいるかということをトップがいつも理解をしている、そういう組織にぜひしたいと思っているところです。

赤松(正)委員 今おっしゃったようなことは、政権交代ができたからこその話だろうと思うんですね。

 一つ具体のテーマで、私が知り合った外務省OBの方から聞いている話でございますが、こういう問題はどうでしょうか。

 つまり、ざっくり言って、外務省の中における大きな問題に対する取り組み方という部分で、まず、情報の取り扱い。これは世の中一般に対する外務省の情報という意味じゃなくて、いわゆる外交政策を形成していく上に必要な情報。この情報の取り扱いとそれから政策決定、その情報分析と政策決定が逆転しているという指摘をする人がいます。

 つまり、最初に政策決定ありきで、それに応じた情報を収集して、そして政治決断に行く、こういう流れが非常に強い。そうじゃなくて、やはり情報の分析が最初に来て、そして政策の決定へ行き、そして政治決断、こう流れていかなくちゃいけないのに、今はそうじゃない。この言い方は、今、目をしかめられましたけれども、そういうことはふだん聞いておられませんでしょうか。つまり、情報というものの取り扱いが外務省においては非常に粗雑になっている、こういう指摘です。

 例えば、わかりやすく言うと、イラク戦争のテーマ。これは私なんかも非常にいろいろと反省する部分もあるんですが、イラク戦争はイラク戦争で、これはブッシュ・アメリカ大統領の判断をサポートするという決断があって、その次に情報が集まって決断していく。こういうのじゃなくて、さらに情報を集めるという部分が最初に来ないといけない、こういう指摘。

 今の外務省にそういう仕組みができていない。よく言われる話ですが、国際情報局というものができてそれがなくなったとか、情報を重視する仕組みというものが外務省にない、そういう指摘についてはどう思われるでしょうか。ちょっと簡単に。

武正副大臣 お答えをいたします。

 委員もう既に御承知のように、情報部局は今、国際情報統括官組織となっておりまして、政策部局が地域局、機能局、これは緊密に連携をしておりますし、また、国際情報局長プラス三課長体制から国際情報統括官プラス四国際情報官体制ということ。やはり情報部局は、政策部局の関心事項も踏まえて、国内外のさまざまなルートを通じて情報を収集、分析する。その際、客観的な情報収集、分析を心がけて、政策部局はこれを踏まえて効果的な政策立案に努力をする。こういう枠組みで国際情報統括官組織が外務省で情報収集に当たっているということでございます。

赤松(正)委員 大臣、ちょっと補足をしていただきたいと思います。

岡田国務大臣 情報というのは、まず広く薄く収集する部分と、具体的な問題について深く収集する部分と、その組み合わせの問題だというふうに思います。

 外務省は、御案内のように、世界各国に大使館なり公館を抱えておりますので、そこから不断に情報が上がってくる。まだすべての国に大使館があるわけではありませんので、そういうネットワークはさらに広げていきたいというふうに思っているところであります。

 今委員言われた中で、イラク戦争の開始に当たって我が国はきちんとした判断、間違いない判断をしたのかどうかということは、私、かねがね大変関心を持っておりまして、民主党幹事長時代に本会議でイラク戦争開始のときに反対の討論を行った者として、いまだに、あの判断が十分に吟味されたものだったのかどうか。たちどころに当時の小泉総理は戦争を支持すると言われたんですね。そういったことについて、機会を見てぜひ分析をしてみたいというふうに考えております。

 ただ、当面、目の前のことで大変忙しいものですから、時間ができればそういったことも一つの検証をしてみて、もし間違いがあるとすれば、同じ間違いがないようにしていかなければいけない、そういうふうに考えているところです。

赤松(正)委員 来年の三月二十日で六年ですか、今おっしゃった、イラクに軍事介入をアメリカがした、それに対する日本政府の対応があったというときから。そういう歳月が来たわけで、私どももこのイラク戦争についてどのように総括するのかという作業を今やっているんですけれども、ぜひ大臣もしっかりそれをされると同時に、よりよき外務省の中の情報分析、政策決断、こういうところにしっかりと目配りができるような仕組みというものをつくっていただくように努力していただきたい、そんなふうに思います。

 時間が大分たちました。アフガンの問題について、自民党の皆さんとこの問題について私は全く同じでございまして、さっきの大臣のお話の中で、湾岸のときと今回とは違うんだというお話、物の考え方、大臣の考え方はよくわかりましたけれども、やはり私たちの思い、とりわけ公明党の思いは、この二十年というのは、湾岸戦争から二十年、今日に至るまでの経緯というのは、まさに公明党も、非常に多大なる犠牲を負って、今日まで日本の国際社会に対する国際平和協力についてどのように取り組むかという非常に懸命な闘いをしてきた思いがあります。

 五百旗頭真防衛大学校長に言わせると、予測を超えた二十年の情景。二十年前には想像できなかった、つまり安全保障をめぐって神学論争が展開されていた、そういう国会の場も大きくさま変わりをした。

 やはり、ツーリトル・ツーレートと言われながらも、日本の国際平和協力という分野では、憲法九条の枠組みの中で何ができるのかということを必死に模索してきた結果というものが、私に言わせれば、イラクのサマワ派遣の問題にしても、それからアフガンのインド洋における給油の問題にしても、限度ぎりぎり、憲法の枠の中でやってきたことだ。そういう判断をする側からしますと、お気持ちはよくわかるし、私たちも、何が今のアフガンにできるかということを懸命に考え続けた人間として、今、民主党政権が出されたそういう答えというものはある程度わかるんですが、このアフガン給油をぱっとやめられるということについてはちょっと、それにかわり得る、言ってみれば自衛隊の活用というものがあっていいんじゃないのかなという気がいたします。

 さっき大臣は御答弁の中で、PKO法の見直し等についても考えたいというような話でございましたので、次回こういう質問に立たせていただくときは、その問題から入りたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 先ほども大臣言われておりましたけれども、去る十一月十三日の大臣の当委員会でのあいさつの冒頭で「外交は国民の理解と信頼に裏づけられたものでなければならないというのが、私の信念です。」「国民のための外交を政治主導で進めてまいります。」と。私、この言葉はとても重いと思うんです。もちろん、要は中身のことでありますけれども。ある意味で、これを伺ったときに、これまでそうだったのかということも含めた思いが込められているのかなということで伺ったわけです。

 岡田大臣としては、旧来の政権のもとでの日本外交の特にどういう課題について具体的な検証が必要だというふうに考えていらっしゃるのか。幾つか言われていましたが、項目的に、これまでの日本外交がやってきたことは検証をやる必要があるなと、もちろん順序やいろいろ時期もあると思いますが、特に大事だと思われている項目というのはどんなことが今上がっていらっしゃるんでしょうか。いかがですか。

岡田国務大臣 何回か申し上げておりますが、まず、国民の理解と信頼を得た外交という観点からすると、やはり密約の問題についてきちんと答えを出さなきゃいけないというふうに思います。歴代総理や歴代外務大臣がありませんというふうに断言をされてまいりましたが、多くの国民は首をかしげているというふうに思います。それに反するようなアメリカの情報公開もある。共産党さんも随分国会でこの問題を取り上げてこられました。やはり事実を明らかにするということは非常に重要なことで、しかもこれは大体五〇年代、六〇年代のかなり昔の話でありますので、しっかりと事実関係を明らかにしたいというふうに考えております。

笠井委員 そのほかにも幾つかあるので、またぜひ今後伺っていきたいと思うんです。

 今言われた、いわゆる密約をめぐる問題でありますけれども、大臣、累次おっしゃってまいりました、就任直後に調査を命じられたと。そして、我が党としても、鳩山政権発足直前の党首会談でありましたが、核兵器の密約問題については調査をする、そして明らかにするという点で一致が得られました。その調査を実らせるために必要な協力は惜しまずやるという立場で、かねてから我が党としてもこの問題を系統的に追及してきた、そして手元にある密約関連の資料の提供も行ってまいりました。

 この調査は、九月の二十五日でしたか、開始をされて、約六週間をめどに原資を調査して、その後二週間をめどに精査して取りまとめをして、十一月末をめどに大臣に報告するとされてきたわけでありますが、十一月末ということになりますともうあと二週間を切ったような状況ですが、調査はどこまで進んでいるというふうに今おっしゃることができるんでしょうか。

岡田国務大臣 申しわけないんですが、中身はちょっと申し上げられません。

 ただ、中間報告を受けておりますけれども、十五人体制で調査を進めているところです。これは、本省にいる職員、それから一部、在外の大使館からも一時的に日本に呼び戻して、日米問題にかかわった経験のある人材を集めて、膨大な資料の読み込みを行っているところであります。ほとんど英文です。本省にある部分に加えて、アメリカ大使館、在米の日本大使館にも一部ございます。そういうものも含めて徹底的な読み込みをやっておりまして、大体予定どおり私のところに報告が上がってくるのではないかというふうに思っております。

 そこで話は終わりではございません。それが本当に客観的にきちんと検証されたものかどうかということを確認しなければなりません。したがって、第三者から成る委員会を間もなく立ち上げて、そこで外務省がみずから調査したものが妥当かどうかということをチェックする、あわせて、当時の時代背景などもきちんと押さえて、どういう状況の中でこの問題が発生したのか、そういう分析も加えた上で最終的に一つの報告にまとめたいというふうに考えております。その過程で、外務省のOBや、あるいは必要があればアメリカ政府とも連絡をとり合うということはあると思います。

 共産党さんにいただいた資料も、私、本の方は読ませていただきましたけれども、参考にさせていただきながら調査活動を進めていきたいというふうに思っております。

笠井委員 有識者会議については、当初、並行して調査をしていく、しっかりした提言も得たいということだったんですが、若干ラグはあるのかなという感じは今受けたんですが、間もなくということでありました。それから、必要なら米国にも調査に行くということも大臣は言われてきたわけですが、その辺も考えていらっしゃる。そして、十一月末あるいはある程度めどということをおっしゃっていたんですが、大体順調にまとまるという形で、間に合うんでしょうか。

岡田国務大臣 ですから、私のところに外務省の内部調査の結果が上がってくるのが十一月いっぱいぐらいというふうに認識をしております。その上で、その前に第三者委員会をスタートさせて、そこの作業がございます。ですから、外向けにその成果物をお示しできるのはもう少し時間がかかる、年内というのはちょっと難しいかなというふうに思っておりますが、なるべく早く作業をしていきたいというふうに思っております。

 アメリカ政府にも勝手に出せないものも物によってはあるかもしれませんから、そこは摩擦のないようにコミュニケーションをよくしながら進めていきたいというふうに考えております。

笠井委員 成果物、報告書ということで、年内、ちょっとずれ込むかなというお話があったんですが、それは出た段階で国会にも報告いただくというような段取りに当然なりますね、これは。

岡田国務大臣 国会に報告するというか、それは調査報告書として公表をすることになると思いますので、それに関する御質疑というものも、これは理事会で御協議いただくことですけれども、もちろん御質問があればそれは答える、一般質疑の中でもということになると思います。

笠井委員 この核密約が結ばれたのは一九五九年の六月ということで、現行安保条約締結の半年前であります。以来五十年、国民と世界を欺いてきて、日本に核兵器が持ち込まれてきた、日本の主権と世界の平和を脅かすということで、そういう性格の問題だと思います。

 しかも、この密約というのは、核密約についていえば、今なお現役であって、核持ち込みの事実は続いている。年間約五十から六十もの在日米軍基地に寄港する攻撃型の原潜はもちろんですけれども、我が国の周辺海域では、常に核弾頭発射準備態勢をとる戦略核原潜の作戦行動が継続されているという事態があります。

 そこで、それに関連してなんですが、一九七七年に領海法を施行する際に、宗谷、津軽、大隅、それから対馬の東、西の水道の五つの重要海峡の領海幅を法的に可能な十二海里ではなくて三海里にとどめた問題について、この背景に米軍の核搭載艦船の通過への悪影響を恐れた米政府の対日圧力があったということが一連の最近のアメリカの文書で明らかになりました。

 一九七七年に、領海法施行に当たって、なぜ五つの海峡を三海里にとどめたのか、関連ということではその過去の経緯も含めてやはり検証をする必要がある、今後のことですが。当然そういう検証が要るんだと思うんですけれども、その点についての認識はいかがでしょうか。

武正副大臣 政府としては、昨今の核軍縮の機運の高まりを好機ととらえて、核兵器のない世界の実現に向けて、核軍縮、不拡散を主導するために一層の積極的外交を展開してまいります。そのために必要な具体的な方策について、不断に検討していく考えでございます。

笠井委員 密約の検証ということで今やられているわけですが、関連する問題というのがそこで出てくることについては、例えば、私は十二海里、三海里の問題を申し上げたんですが、解明していくということの流れの中で、それに関連した、密約関連の問題も今後検証の課題に当然なっていくということではよろしいですね、大臣。

岡田国務大臣 私が今調査を命じたのは、四つの密約の問題であります。今委員がおっしゃったことは、最近報道で私も目にして、非常に興味深いことだと思っておりますが、外交上の機密というのは常にあるわけで、それをどのタイミングで機密を解いて情報公開していくかというのは一つの政策判断であります。

 したがって、今のこの四つの密約以外のさまざまな外交上の機密の問題について、どれを取り上げ、どれを取り上げないかというのは順次判断していくべき問題で、今即答するのは避けたいというふうに思います。

 それから、あわせて、基本的に三十年たてば情報公開するという原則を外務省も持っているわけですが、それが実際には十分になされていないという問題もありますので、これは、第三者委員会にこの密約の問題をいろいろ議論してもらう中で、外務省としての新たな情報公開のあり方についても御提言をいただこうというふうに思っているところです。

笠井委員 鳩山総理は、九月二十四日の国連の演説でも、日本が非核三原則を堅持することを改めて誓うということを言われました。大臣も先ほど三原則は堅持ということを言われたわけですが、そういう立場で核の秘密取り決めを公開、破棄をして、事前協議条項を無条件に実施させるということで、私は、この非核三原則を文字どおり実行すべきだということを強く言いたいと思いますし、そのためにも、まずこの密約の解明ということを、作業を急いで、成果物ということで出していただきたいと思います。

 次に、核兵器廃絶の課題について伺いますが、ことし四月のオバマ米大統領のプラハ演説以降、米ロの戦略核削減交渉や包括的核実験禁止条約、CTBTの発効推進などの動きが進んでおります。九月から始まった国連総会でも、安保理が核問題の首脳級特別会合を初めて開催して、冒頭で、核兵器のない世界のための条件を築くことを決意するとした決議を全会一致で採択いたしました。

 原爆投下以来六十四年に及ぶ広島、長崎の被爆者を先頭にした運動と世論の力はやはりすごいな、ここまで押し上げてきたということを、私自身も被爆二世でありますし、この課題を原点に取り組んできて、痛感いたします。世界の政治が今動きつつある、今動かしつつある世論と運動だというふうに思うんです。

 そこで、鳩山総理は国連安保理会合で唯一の被爆国の道義的責任として核兵器廃絶の先頭に立つと約束されたわけですが、岡田大臣、この核兵器廃絶、核軍縮の課題にかかわって、この点で旧来の政権の政策を検証する必要があると考えているのか。あるとすれば、どこをどう検証すべきだとお考えなんでしょうか。いかがですか。

武正副大臣 先ほどお答えをしたとおりでありまして、政府としては、積極的な外交を展開する、必要な具体的な方策について不断に検討していくということは変わりありません。

 また、ちょうど日本が提出した核軍縮決議も、今まで以上の百七十カ国の支持を得て採択もされ、アメリカも今回は共同提案国、八十六カ国が提案国に名を連ねるということも、やはり鳩山総理の国連での非核三原則堅持ということも踏まえて積極的な外交を展開していく、そういったリーダーシップのあらわれというふうに御理解をいただければと思います。

笠井委員 日本政府提案の決議ということで具体的に挙げられましたけれども、核兵器の全面廃絶に向けた新たな決意というタイトル、基本的に旧政権のものが踏襲されていると私は読んだんですけれども、その点では、従来同様、廃絶のための具体的提起が見えてこないという声も上がっております。

 関連して伺っておきたいんですが、旧来の政権の検証という形で伺ったのでなかなか明確なことがないんですけれども、国連総会の第一委員会で軍縮問題の決議を一連討議もされて、そして国連総会でという流れになっているわけですけれども、核兵器廃絶条約の開始を求めるという点では、マレーシア政府が提案した、核兵器による威嚇または核兵器の使用の合法性に関する国際司法裁判所の勧告的意見の追求ということで決議があります。この中で、すべての国に対して、核兵器の開発、生産、実験、配備、貯蔵、移転、威嚇及び使用禁止及びこれらの兵器の廃棄を規定する核兵器条約の早期締結をもたらす多国間交渉を開始することによってその義務を直ちに履行することを重ねて要請する、こういうことが含まれた決議ですが、日本政府は、旧来の政府はこれを棄権してまいりました。

 今回も棄権をされたんですが、なぜ棄権されたんでしょうか。

武正副大臣 お答えをいたします。

 我が国は、核保有国及び非核保有国の双方の理解を得つつ、現実的な核軍縮措置を漸進的かつ着実に実施していくことを重視しておりまして、その観点から、これはミャンマー提出の核軍縮決議あるいはインド提出の核兵器禁止条約決議も同様でありますが、このICJ決議、マレーシア提出についても同様に棄権をしたというところでございます。

笠井委員 現実的、漸進的というふうな形のアプローチというのは、前政権、旧政権と同じ言いぶりなんですね。これではなかなかいつまでたっても核兵器廃絶の国際合意に近づいていかないじゃないか、先送りの事態になってしまうと思うんです。

 大臣に伺いたいんですが、一体どうやったら核兵器廃絶の国際的な合意というのができるというふうになっていくんでしょうか。

岡田国務大臣 これはなかなか簡単なことではないというふうに思います。しかし、その大きな目標に向かって着実に進めていかなければなりません。

 私は、日本の核の不拡散そして核の軍縮、平和利用、こういった核政策について、一度きちんと見直しをしてみたいというふうに思っております。ただ、これもすべて一遍にはできませんので、目の前にあるいろいろな問題に今追われておりますので、順序立ててやっていきたいと思います。

 ただ、最近、自民党の元外相の川口さんとエバンス・オーストラリア元外相との間で、川口・エバンス委員会、国際的にも非常に広がりを持った人々が議論をされて、報告書がほぼまとまったという状況にあります。広島でも、先般、国際会議が開かれました。これは、私は、非常に参考にできる内容を含んでいると思います。すぐに全部できるわけではありませんし、報告書自身が三つぐらいに時系列的に切ってさまざまな提案をしているわけですけれども、私は、そういった報告書も参考にしながら、日本としての核政策というものをきちんと組み立てていきたい。

 もちろん、ひとりよがりのものであってはいけませんから、さまざまな国が実際にこれをやろうという気になるもので、余り拙速にやり過ぎますと結局それは理想だけに終わって前に進まないということになりますから、そういう現実も見ながら、しかし、確実に核のない世界に向かって一歩一歩進めることができるような、そういう政策を再構築していきたいというふうに思っているところです。

笠井委員 ぜひ検証、見直しということで組み立てをやっていただきたいと思うんです。エバンスさんと川口さんのやられている日豪の委員会ですが、いろいろな議論があるんですが、こういう点では、核兵器廃絶の条約そのものをやはりずばっと課題に掲げた交渉を始めようじゃないかということでいかないと、部分的措置も大事なんですが、それと一体に廃絶そのものを主題とする交渉を開始しようということでいかないと、部分的措置の積み重ねでは核兵器のない世界に到達いかない、やはり同時並行が大事だと。国連事務総長も核兵器禁止条約の交渉の検討ということも昨年提言の中でトップで言われていますけれども、そういう点では、やはりなかなかいかないというところをどうやったら突破できるかということをぜひ私たちもまたさらに議論していきたいし、大臣も考えていただきたいと思います。

 さて、普天間問題については先ほど来議論がありまして、さきの予算委員会での議論で大臣ともかなりやらせていただきましたのでここでまた繰り返しはしませんが、ただ、一点、午前中の質疑で平沢議員が、予算委員会での私の質問に対して大臣が答弁された、選挙中の発言はイコール公約ではないということを取り上げられて、それに対して大臣が選挙中の発言を切り取って言うのはいかがかということを先ほど言われました。ただ、あの限りでいいますと、鳩山総理が当時代表としてテレビの党首討論で県外、国外が望ましいとはっきり言って、総理自身も、それを私が伺ったら、予算委員会では、そう申した、間違いないというふうに言われたことでありますので、そこは明確にしておきたいと思います。

 十一月八日の県民大会に私も行きましたが、あの辺野古のそばにいる、両親と一緒に住んでいらっしゃる小学校六年生の男子が、大人になると約束したことを守らなくていいのですか、鳩山総理、基地をつくらないとはとても大事な約束です、約束は必ず守ってくださいと言っていたことを紹介しておきたいと思います。

 そこで、大臣、去る十五、十六日に沖縄を訪問されました。県外移設は非常に狭き道であることを強調されて、嘉手納統合案の可能性を追求するというふうにあえて言われたわけですが、県外、国外移転、嘉手納統合反対を求める県民、それから多くの首長や県民大会関係者から強い反発の声が上がっているということでありました。そうした関係者の意見、県民の声をじかに聞いてどう受けとめられたか、そういう声については、昨日からの日米の作業部会でもきちんと現実にそういう声があるぞということは述べられたんでしょうか、いかがですか。

岡田国務大臣 きのうの会合の中で私の沖縄に行ったことの報告も若干いたしましたので、沖縄の県民の七割は県外移転を望んでいるという調査も出ているし、知事初め各関係首長あるいは県会議員、私のお会いした議長初め、そういった皆さんが基本的にこういうことを述べられたということは簡単には御紹介をさせていただいたところであります。

笠井委員 ぜひ、簡単ではなくて、しっかりそこは紹介してもらわなきゃいけない。そして、その立場で本腰を入れてということでやってもらいたいと思うんです。

 私は、なぜそういう声が上がるか。やはり、沖縄の米軍基地、大臣も御承知と思いますが、成り立ちが、戦後以来、もうとにかく沖縄占領下の、米軍が県民を強制的に収容所に押し込めて、そしてその間に米軍基地として次々に拡張してつくられた施設。そしてその後、朝鮮戦争の後に、銃剣とブルドーザーということで次々と強奪していった土地だ。まさにそういう強奪の歴史の上に構築された基地の存在によって、事故や犯罪、事件、事故がもう多発している。

 そういう被害がある、そして振興が阻まれているということで、さまざまな苦痛を強いられて、六十五年近くなお、基地あるがゆえの苦痛を強いられているわけで、やはりそういう県民の長年にわたる基地から受ける重圧ということがあると思うんですね。そこを本当にどれだけ認識されているかということを改めて思うんですが、端的に、いかがですか、そこは。

岡田国務大臣 沖縄の本島の二割近くを占める米軍基地、その負担をさまざまな意味で減らさなければいけないということは、強くそう思っております。そのための努力を今行っているところですが。

 沖縄に行きましたときに私、申し上げたわけですが、日米の合意があります。日米の合意について、これをすべて白紙に戻すということになると、八千人の海兵隊のグアムへの移転、あるいはその結果としての基地の一部返還ということも含めてということになってしまう可能性がある。これは法的にリンクした話ではありませんが、事実上はリンクした話だ。

 それから同時に、普天間の問題。県外ということになると、適地があればいいんですけれども、これからそれをつくるということになると、既存の滑走路が利用できないということになると時間もかかる。その間、普天間の危険な状況は続く、こういう問題もあります。それ全体、トータルで判断していかなきゃいけない、そういう問題だというふうに思っております。

笠井委員 嘉手納町長も、とにかくもうこれまでさんざん裏切られ続けてきたということを言われているわけで、まさに苦難を強いられてきた、これ以上の苦難はもう御免だという思いがあるわけでありますので、大臣は、外交は国民の理解と信頼に裏づけられたものでなければならないというふうなことを信念としておっしゃるんであれば、そうした思いこそやはり正面から受けとめて、やはり沖縄の県民の意思を尊重しながら、普天間基地の無条件閉鎖、撤去のために本腰を入れてアメリカと交渉していただきたいと改めて申し上げておきたいと思います。

 最後になりますが、検証すべき米軍基地の問題というのは沖縄だけじゃありません。そこで、米軍基地の実態が今どうなっているかを端的に伺いたいと思います。

 在日米軍基地について防衛省に伺いますが、日本では現在、米軍にどれぐらいの施設・区域を提供しているか。自衛隊の共同使用と合わせた、一九八〇年当時と現在の件数及び土地面積を端的にお答えください。

井上政府参考人 お答えをいたします。

 在日米軍に提供している施設・区域の件数、面積、一九八〇年当時と二〇〇九年一月一日現在の比較でございますけれども、百二十件、四百八十四平方キロが、現在は百三十四件、千二十七平方キロになっております。

 誤解があってはなりませんのであえて申し上げておきますけれども、米軍専用施設の二1(a)は、一九八〇年当時は百十三件、三百三十五平方キロが、現在は八十五件、三百九平方キロ、減少しております。他方で、共同訓練等によりまして、二4(b)、日本側管理の施設で米軍が期間を限って共同使用しているものについては増加をしているというものでございます。

笠井委員 何も誤解していませんから。日本が米軍に提供している基地面積というのは、自衛隊との共同使用を合わせますと、八〇年以降減るどころか、四万八千四百ヘクタールから十万二千七百ヘクタールと二倍以上に膨れ上がっている。その規模は東京二十三区の面積の約一・六倍に上るものであります。

 では、米兵の数はどうかということで外務省に伺いますが、在日米軍の場合、一九九〇年当時と現在の米兵の総数というのはどうなっていますでしょうか。

武正副大臣 いわゆる在日米軍の数は、その部隊運用状況に応じ常時変動するものと承知しておりまして、政府としてその数につき特定の数字を答えることは困難であります。ただし、米国防省が公表している資料によれば、いわゆる在日米軍の一九九〇年九月時点の数は四万六千五百九十三人、二〇〇九年六月時点の数は三万三千四百二十八人とされていると承知しております。

笠井委員 九〇年当時から三割も減っていないというような、依然として三万数千の高水準であって、しかも、在日米軍の主力といえば、いわゆる殴り込み部隊という部隊があります。

 国防総省の資料によれば、海外に駐留する米軍の総数というのは、ソ連崩壊の時期の一九九〇年当時は全世界約六十万九千人だったんですが、ことし一月には二十八万五千人ということで半数以下になって、ヨーロッパの駐留米軍も、約三十一万人から七万九千人ということで約四分の一に減少しております。他の同盟国と比べても類のない異常な実態に日本が置かれているということになると思います。

 鳩山総理は日米首脳会談でも来年の安保改定五十年に向けて日米同盟の深化を言って、岡田大臣も当委員会のあいさつの中で「日米同盟をさらに五十年先まで持続可能な、より強固なものにする」というふうに言われましたが、こうした米軍基地の実態、これをどう見ていらっしゃるか。そして、この実態、これからまた半世紀も一層強化して、都合百年にわたって日本に置き続けるということがいいのかどうかというのは、いかがお考えでしょうか、大臣。

岡田国務大臣 私は日米同盟というものは非常に重要だと考えますが、これを三十年、五十年、持続可能なものにする、そのためにも現在の例えば沖縄における基地の問題、こういうものをきちんと、その負担を軽減していくということをしっかりやらないといけない、そういうふうに考えているところであります。

笠井委員 今こういう現実、世界から見ても異常な状況があると思うんです。私は、ある意味、これは日米同盟、日米軍事同盟の従属性があらわれている実態だと思うんですけれども。世界は軍事同盟から抜け出してということで、地域の平和共同体がずうっと広がるという状況になっていますので、日本も今こそやはり、検証というなら、今までの状況を脱するということで、ぜひ新政権も踏み出すという方向での検証をやっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、本日付託になりました万国郵便連合憲章の第八追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件、郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件及び南東大西洋における漁業資源の保存及び管理に関する条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岡田克也君。

    ―――――――――――――

 万国郵便連合憲章の第八追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件

 郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件

 南東大西洋における漁業資源の保存及び管理に関する条約の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岡田国務大臣 ただいま議題となりました万国郵便連合憲章の第八追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 万国郵便連合憲章の第八追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約は、平成二十年八月十二日にジュネーブにおいて開催された万国郵便連合の大会議において作成されたものであります。

 万国郵便連合憲章の第八追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約は、万国郵便連合の運営等及び国際郵便業務に関する事項についての所要の変更を加えるため、万国郵便連合憲章及び万国郵便連合一般規則を改正し、現行の万国郵便条約を更新するものであります。

 我が国がこれらの文書を締結することは、引き続き万国郵便連合の加盟国として活動し、及び国際郵便業務を適切に実施するために極めて重要であります。

 よって、ここに、これらの文書の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この約定は、平成二十年八月十二日にジュネーブにおいて開催された万国郵便連合の大会議において作成されたものであります。

 この約定は、郵便送金業務に関する事項についての所要の変更を加えるため、現行の郵便送金業務に関する約定を更新するものであります。

 我が国がこの約定を締結することは、我が国と他の締約国との間の郵便送金業務を適切に実施するために極めて重要であります。

 よって、ここに、この約定の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、南東大西洋における漁業資源の保存及び管理に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この条約は、平成十三年四月にウィントフックにおいて開催された南東大西洋漁業機関の設立のための条約に関する会合において採択されたものであります。

 この条約は、南東大西洋における漁業資源の保存及び持続可能な利用を確保することを目的として、漁業資源の保存及び管理のための機関を設立すること等について定めるものであります。

 我が国がこの条約を締結することは、このような目的に積極的に協力し、及び我が国の漁業の安定した発展を図るとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

鈴木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十五分散会


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