衆議院

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第4号 平成22年3月12日(金曜日)

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平成二十二年三月十二日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 宗男君

   理事 木内 孝胤君 理事 小宮山泰子君

   理事 空本 誠喜君 理事 中野  譲君

   理事 和田 隆志君 理事 小野寺五典君

   理事 平沢 勝栄君 理事 赤松 正雄君

      齋藤  勁君    阪口 直人君

      高井 崇志君    高橋 昭一君

      竹田 光明君    武正 公一君

      中津川博郷君    西村智奈美君

      萩原  仁君    浜本  宏君

      早川久美子君    平岡 秀夫君

      松岡 広隆君    松宮  勲君

      横粂 勝仁君    岩屋  毅君

      河井 克行君    河野 太郎君

      高村 正彦君    柴山 昌彦君

      笠井  亮君    服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         岡田 克也君

   外務副大臣        武正 公一君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   農林水産大臣政務官    舟山 康江君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            尾西 雅博君

   政府参考人

   (水産庁長官)      町田 勝弘君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  大山 昌宏君     松岡 広隆君

  吉良 州司君     高橋 昭一君

  末松 義規君     竹田 光明君

  平岡 秀夫君     高井 崇志君

  安倍 晋三君     柴山 昌彦君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 崇志君     平岡 秀夫君

  高橋 昭一君     吉良 州司君

  竹田 光明君     末松 義規君

  松岡 広隆君     大山 昌宏君

  柴山 昌彦君     安倍 晋三君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

 国際情勢に関する件(いわゆる「密約」問題)


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、いわゆる「密約」問題について政府から説明を聴取いたします。外務大臣岡田克也君。

岡田国務大臣 外務委員会の開催に当たり、いわゆる「密約」問題の調査結果について御報告いたします。

 九日、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会から報告書を提出いただいたことを受け、外務省調査チームによる調査報告書とあわせて、調査の結果を公表いたしました。

 いわゆる「密約」の問題については、この問題によって外交に対する国民の理解と信頼が失われていたことにかんがみ、過去の事実を徹底的に明らかにしなければならないという観点で、私が大臣就任時に徹底調査を命じたものです。

 調査の結果の詳細については、有識者委員会及び外務省の報告書を御参照いただきたいと思いますが、不公表文書が存在したことや、核持ち込みに関する日米両国政府の認識に不一致があったことなどを示す文書の存在が判明いたしました。

 当時の状況については簡単に判断できるものではなく、有識者委員会の報告書においても、外交には、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価は、当時の国際環境や日本国民全体の利益、すなわち国益に照らして判断すべきものである旨述べられています。

 しかし一方で、この問題が、これほどの長期間にわたり、また、冷戦後の時期に至っても国会及び国民に対し明らかにされてこなかったことは私としては極めて遺憾です。

 今回の調査の結果、二つの報告書が作成され、また、前例のない規模で関連の未公開文書を公開いたしました。その結果、本件に関し、事実関係の解明が大きく進展したと考えています。

 同時に、文書管理及び外交記録公開に関する問題については、有識者委員会の報告書でも指摘されているとおり、なお一層の改善が必要と考えています。そこで、今般、私を本部長とする外交記録公開・文書管理対策本部を設置することを決定いたしました。今後、この対策本部において、外交記録公開及び文書管理に関する改善措置を検討の上、速やかに実施に移していきたいと考えています。

 今日の我が国を取り巻く安全保障環境を見ると、日米安保体制に基づく核を含む抑止力は我が国及びアジア太平洋地域全体の平和と安定に不可欠であるとの状況に変化はありません。今回の調査は、日米安保体制の運用についての長年の日米間のやりとりをめぐるものですが、本件調査開始当初から私も明らかにしているとおり、我が国の行った本件調査により、日米安保体制の運用に影響が及ぶことはありません。

 私としては、今回の作業が外交に対する国民の信頼回復につながることを期待しています。今後とも、国民とともに歩む外交を実践し、国民の負託にこたえる外交の実現に努力していくことをお約束し、私からの報告とさせていただきます。

 鈴木委員長を初め委員各位の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。

鈴木委員長 大臣、御苦労さまでした。

 以上で説明は終わりました。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局長尾西雅博君、水産庁長官町田勝弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。空本誠喜君。

空本委員 おはようございます。民主党の空本誠喜でございます。

 実は昨日、私ごとでございますが、誕生日でございまして、そのとき、岡田大臣、そして皆さんからお祝いの言葉をいただきました。厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 それでは早速、在外公館関連の法案についての質問をさせていただきます。

 さて、今週月曜日、三月八日なんですが、偶然にも視察で、人道の港と呼ばれています敦賀へ行ってまいりました。昭和十五年、リトアニア・カウナス日本領事館の杉原千畝領事代理が、ユダヤ難民に対して命のビザを発行し、多くの方々がシベリア鉄道を経由して敦賀の港などから入国され、そして約六千人の命が救われました。

 在外公館は、日本の国益だけではなくて、国際的な人道支援の窓口にもならなければならないと思います。また、大使館、総領事館、駐在事務所は、各国の外交の交渉窓口であって、日本企業の支援、邦人の保護、情報収集の拠点など多くの役割があると思います。

 そこで、まず、在外公館の役割、機能についてどのように定めていらっしゃるのか、また、どこに規定されているのか御説明をいただきたいと思います。

武正副大臣 空本委員にお答えをいたします。

 在外公館については、外務省設置法第七条で、外国において外務省の所掌事務を行う旨規定をされております。

 また、外務省設置法第四条に定められている外務省の所掌事務は多岐にわたりまして、そのうち、在外公館の主な任務としては、日本政府を代表して行う外交交渉、相手国との関係促進、情報収集、在留邦人の利益保護・増進、各種領事事務等が挙げられております。

空本委員 そういった意味で多様な機能を持っていますけれども、その際に、設置をする目的、昨年も同様な法案において審議がされておりまして、例えば各国との外交の樹立、そしてそれを醸成するという目的、また安全保障上の関係構築、さらには我が国のプレゼンスの拡大、国連安保理における常任理事国入りへの支持拡大、資源エネルギーの確保、獲得などなどあると思います。

 その時々の国際情勢にも左右されると思うんですけれども、在外公館の設置の目的、役割、機能を今以上に明確にされることが求められているのではないかと思うんですが。外交上重要と思います。大臣のお考えはいかがでしょうか。

武正副大臣 空本委員の御指摘、まさに正鵠を得ているというふうに思います。

 在外公館の任務については、今指摘をしました設置法において、相当程度詳細に規定をされております。他方、やはり国際情勢は時々刻々変化をしておりますし、日本が求められているさまざまな要件、それに機敏に、迅速に、あるいは柔軟に対応しなければなりません。

 そうした中、新たな国際情勢等を踏まえまして、在外公館が置かれた国のそれぞれの個別の事情に応じて在外公館の役割を適時適切に見直し、あるいは臨機応変に対応していくことが重要と考えております。

空本委員 確かに、国際情勢に合わせて臨機応変に対応するということは大変重要だと思うんですけれども、今回、いろいろ設置したり廃止したりするという、そういった基準はどういうふうに定められているのか、もう少し明確にされた方がいいのではないか。実際どうなっているか。人員配置、人数の基準等も含めて御説明をお願いしたいのと同時に、昨年、ベナン、ルワンダに設置するということで、ことし一月から開設されておりますけれども、昨年の議事録をちょっと読み返させていただいたんですが、外交上の重要性というものが少しわかりにくかったかな。そういった面でも御説明いただければありがたいです。

武正副大臣 今、在外公館の設置に当たっての基準というお尋ねでありますが、設置に当たっては、政治的、経済的重要性、邦人保護の必要性、国際場裏での支持獲得等のさまざまな要素を勘案の上総合的に判断、総領事館の廃止については、領事の業務量に加えまして、他の在外公館との距離、現地の我が国にとっての重要性等を考慮、在外公館の人員配置や人数については、我が国と公館を設置している相手国、機関との関係及び各種政策、案件の重要性、緊急性や具体的な業務量、在留邦人数や邦人援護件数など、さまざまな要素をやはり総合的に勘案しております。

 お尋ねの、ことし一月からベナン、ルワンダに大使館を設置しているということの外交上の必要性あるいはその基準はいかにということでございますが、二国間関係のみならず、各国がアフリカ全体、地域において果たしている役割等も勘案し、これもやはり総合的に判断した上で大使館を開設しております。

 ベナンは、九〇年代以降、安定した民主主義国家であり、経済改革を積極的に推進、同国は国際場裏における我が国の支持基盤の一つであります。また、我が国がアフリカ支援を拡充する中、同国とのさらなる関係強化が必要と考えております。

 ルワンダは、アフリカにおけるグッドガバナンスの模範国として高い評価を得ております。同国は、資源の豊かな中部アフリカの安定のかぎを握っておりまして、資源獲得の観点からも同国とさらに関係を強化することが重要と考えております。

空本委員 やはり、総合的な判断ということと、その時々の国際情勢によって設置するということが重要であって、また、資源エネルギーの観点から特にアフリカ外交を重視するという点では、設置は大変重要ではないかと思います。

 昨年の中国の設置状況が大使館百六十六、ことし四月には日本は大使館を百三十三。昨年、中曽根前外相は主要国並みの百五十大使館体制を目指すと発表されていますけれども、何か少し場当たり的なところがあるのではないかな。外交戦略をしっかり据えた上で、その方針に従った設置、さらには機能の拡充を進めていくべきではないかと思います。

 本日、外務省からいただいた資料をお配りさせていただいております。在外公館の設置状況、人員配置及び運営経費の一部なんですけれども、今回の質問に当たりまして作成したもので、もっと詳しい情報をいただきたかったんですが、本当はもう少し細かくいただきたいんですが、これまでこういう大使館ごとの運用経費を作成されてきたのかどうか。作成されていなければ少し問題であったのではないかな。

 今、在外公館の無駄遣いに対して国民からの視線が注がれている。このような情報をもとに、外務省の予算の審議、さらには妥当性評価、そしてどんぶり勘定からの大きな方向転換、これを進めるべきだと考えます。

 しかし、私、そして多くの国民も、国益のためならば、外交上必要な経費はふやしてもいい、しっかり確保してもいいと思います。また、危険な地域に赴任される方々に対してはそれなりの手厚い人件費を、逆に、環境に恵まれた地域の人件費、こういったものは見直していかなきゃいけない。

 また、ハイチ、チリ、今回大災害がありましたけれども、そういった中でも、大使の権限で災害に対する支援金をいち早く支給する、こういったことも必要ではないか。大使の権限、こういったものをもっと、私も勉強していきたいと思いますけれども、考えていかなければならない。

 そういった意味で、在外公館の人員、運用経費の必要性、妥当性の評価を大使館ごとに行っていくとともに、効率的な、効果的な配置をお願いしたいところでありますけれども、どのように外務省はお考えか、御見解をお願いいたします。

武正副大臣 それぞれの在外公館ごとという視点というのは、やはり空本委員のこれまでの経験から多分、そういった視点で見ていく必要があるというふうにお感じだ、非常にいい切り口というふうに考えます。そういったことも、この在外公館名称位置給与法、毎年法案を提出する外務省としても押さえておく必要があろうかというふうに思っております。

 また、在外公館の人員配置についても、今表をお配りいただいておりますけれども、こうした外交戦略はもとより、我が国と公館を設置している相手国、機関との関係、各種政策、案件の重要性、緊急性や具体性、業務量、在留邦人数や、先ほども触れました邦人援護件数などさまざまな要素を総合的に、これも総合的ですね、勘案しているわけでありまして、ただ、今御指摘のそうした視点なども踏まえまして、やはり限られた財政状況の中でいかに効果的にマンパワーを、またそうした資源を発揮するか、こういったことで臨んでまいりたいというふうに思っています。

空本委員 これから、総合的にまた効率的に運用、そして大使館ごとに運営経費の見直しをいただきたいと思います。

 そして、在外公館が国益のために、国民のために機能しているのかどうか、効果が上がっているのかどうか、私自身は少し疑問でございます。

 例えば、ベトナムの原子力発電所の建設に関して今受注で苦労している。また、あす十三日からカタールで始まるワシントン条約会議、大西洋、地中海のクロマグロの輸出規制、この流れが加速している。まさに日本の国際的な存在感とか発言権が低下してきているんじゃないか、日本外交を本当に憂慮せざるを得ない状況に来ているんじゃないかなと思います。

 お聞きしたいところは、在外公館が国益のために機能しているかどうか、また効果が上がっているか。さらには、今回の大西洋クロマグロ輸出規制の流れが加速する中で、外交上の問題点、反省点はあったのかどうか。あわせて外務省より御所見をいただきたいと思います。

武正副大臣 お答えをいたします。

 在外公館が国益のためその機能、効果が上がっているのかということでございますが、この半年間、鳩山政権のもと、岡田外相のもと、それぞれの任地に勤務をしている大使の皆さんにまた本省の方に戻ってきてもらっての大使会議、こういったものをそれぞれ随時開催しております。地域別ということで、中南米とかあるいはアフリカとかいう形で行っております。

 それぞれの大使の皆さんの報告、発言を聞くと、やはりその最前線で、大使を先頭に公館の皆さんが一丸となって頑張っている。そしてまた、日本を代表して、全権大使ということで、国益を代表して奮闘努力をされている。また、さまざまな貴重な情報また提言、こういったものを随時公電その他寄せていただいている。そういったところをかんがみますと、公館は十分今、国益の増進に努力をしている、果たしているというふうに思っております。

 ただ、先ほど来御指摘をいただいておりますが、やはり国際情勢は、今のマグロの件も含めて、時々刻々変化があり、さまざまな状況が生まれ得るわけでありますので、それに備え得る予見可能性、そういったものもしっかりと察知して取り組むには、もっともっとやはり効率的、効果的な役割を発揮できるよう体制強化等に努力をしたいというふうに思っております。

 また、今、マグロの件に関しては、モナコ提案をめぐって、昨年七月に同国が提案をワシントン条約締約国に回覧し共同提案国及び賛成国の募集を開始した直後から、関係国に対して継続的に、同提案を支持しないよう働きかけを実施してまいりました。具体的には、締約国における駐在大使より各国ハイレベルへの働きかけ、各国へのミッションの派遣等を行ってきたところであります。

 我が国の立場への支持を得るため、これまでも全力で取り組んでまいりましたが、引き続き最大限努力をしていく考えでございます。

空本委員 これまでODAとかいろいろ海外に対して支援をしてきた中で、このクロマグロ、日本の方針を支援していただける国が少ないんじゃないかなという話もございます。これはODAや外交政策に対しての評価の指標になるんじゃないかなと思います。そういった意味で、少し外交上の問題点も整理していただければありがたいと思います。

 農水省の方にもお聞きしたいと思います。

 クロマグロの規制、これは今、各国に対して申し入れをしている、お願いをしているということを言っているんですが、これでは少し対応が生ぬるいんではないか。これまでの取り組み、今後の対応、国際的な水産資源の戦略も含めて、少し今の状況を御説明いただきたいと思います。

舟山大臣政務官 今、対応が生ぬるいのではないかという御指摘がありましたけれども、外務省からも、副大臣からも説明がありましたとおり、現在、大西洋クロマグロのワシントン条約附属書1の掲載問題をめぐりましては、昨年七月下旬以降、外務省と協力をして、さまざまな場面で働きかけを行っております。

 さらに、我々農林水産省といたしましても、政務三役による働きかけ、これは先月私も、OECDの農業大臣会合において、その合間を縫って、さまざまな国の大臣にもこの申し入れを行ってまいりましたし、その前、佐々木政務官も、大西洋まぐろ類保存国際委員会、ICCATの方に参加いたしまして、この場でも、例えばEUの議長国であるスペインの大臣に働きかけを行うなど、かなり強力に進めてまいりました。

 また、事務レベルでも、あらゆる機会をとらえて、何とか支持しないようにと、しかも、これは日本のエゴで言っているわけではなく、やはり地域のマグロ類保存委員会でしっかりと管理すべきだ、科学的根拠に基づいてやるべきだということも、しっかり申し上げてきたという状況であります。

 今、まだまだ予断を許さない状況でありますけれども、最後の最後まで、外務省とも協力して、しっかりとこの働きかけを引き続き行っていきたいと思っております。

 さらに、水産資源戦略全体についての御質問がありましたけれども、水産資源は重要な食料資源であり、やはり限りある資源だということで、持続的な利用が不可欠である。そういった意味におきましては、先ほどマグロは科学的根拠に基づいてしっかりと管理すべきだと言いましたけれども、水産資源全般におきましても、関係国が協力して、科学的根拠に基づいて、しっかりと数量管理をしながら、持続的な利用を図っていかなければいけない、そんなふうに思っております。そういう中で、各地域漁業管理機関というのがたくさんありますけれども、そういったものに我が国も参加いたしまして、資源管理措置の導入、それから適切な漁獲枠の設定などを図るべく、各国に働きかけを行っているところであります。

 こういった取り組みなどもしっかりとPRをしながら、日本の存在というものをしっかりと広く国際社会にも訴えていかなければいけない、そんなふうに思っております。

空本委員 ありがとうございます。

 昨日までですか、ワシントン条約締結国でEU加盟の一つであるルーマニアのバセスク大統領が来日されておりました。そして、鳩山総理と十日に、最大四百十八億七千万円の円借款供与をする交換公文書に署名されたという報道がありました。ここは、ワシントン条約も、そしてEUも加盟している。今、EUの方針が出ておりますけれども、やはりこういうところで賛同していただくということを強く求めるということが大切ではないかと思います。

 そういったところの状況、これは質問通告にないんですが、もしわかれば教えていただきたいのと、プラス、最後に、外交戦略に基づいた、在外公館も含めて、中長期ビジョン、基本計画、こういったものを策定した上で戦略を練っていくことが外交上必要ではないかと思いますので、最後の質問とさせていただきますが、まとめて御見解をいただければと思います。

岡田国務大臣 いろいろ今御指摘いただきましたが、基本的に、日本に外相なりあるいは首脳なりがお見えになったときに、さまざまな具体的な話もしております。例えば地球温暖化についての理解を求めるとか、あるいは日本の常任理事国についての話をするとか、それは重要性、プライオリティーをつけて、そういった話をさまざま行っているところでございます。きのうも、たまたまグルジアの外相が私のところにお見えになりましたので、そういったことも含めてお話をさせていただきました。

 もちろん、話すべきことはたくさんございますので、それが全部要求リストみたいになってしまってもいけませんので、その辺はある程度めり張りをつけさせていただいて行っているところであります。

 それから、在外公館の設置ですが、さまざまな外交戦略に基づいてつくるというのは、一般論としてはそのとおりだと思います。しかし、同時に、在外公館の重要な機能は、邦人の保護というのがあります。先般のハイチにおける地震でも、ハイチの大使館員がまず行ったことは、自分の家はつぶれていて住むところがなくても、自動車の中で寝泊まりしてでも、邦人の安否の確認であります。

 そういうことを考えますと、やはり大使館がない国がたくさん存在するということは好ましくない。大使館すらないという中で、邦人保護ということが、何か緊急事態が起きたときにできないわけであります。

 私は、これは我々の時代ではなくて自民党政権の時代ですけれども、アフリカになるべく大使館を設置して空白国をなくそうと努力してきたことは、それも一つの戦略、一つ一つは小さいかもしれませんが、しかし、少なくとも大使館というものが必ずどこの国に行ってもあるようにする、そういう方向を目指してやってきたわけですが、そういったことも含めて、目の前の政策的な必要性だけではなくて、そういうことも含めた、より懐の深い大使館設置の考え方というものが必要ではないかというふうに思っています。

空本委員 時間が参りましたので、とにかく、国益、国民の財産生命を守るという観点から、総合的な戦略を、そして具体的な定量的数値目標を含んだ具体的戦略をいち早く提示いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、萩原仁君。

萩原委員 おはようございます。民主党の萩原仁でございます。

 私は、在外公館に勤務する外務公務員の在勤手当の見直しを中心に質問させていただきたいと思います。

 今回の法律案の見直しの内容としては、在勤基本手当、配偶者手当を一律二%減、四十三公館の特定勤務地加算額の引き下げということで、平成二十二年度の予算要求額は対前年度比七・八%減の二百七十五・八億円ということを聞いております。この下げていかれて経費削減をするというのは大いにいいことだと思うんですけれども、私は、日本の代表として世界各地に赴任をされて大変御苦労をいただいております外務公務員の方がより働きやすい環境をつくるというのが、ひいてはこれが国益につながるのではないかというふうに考えております。

 そんな中で、各手当の見直しというのも、地域が危険でありましたりとか環境が悪いとかいうようなものには、必要であれば出すところには出す、また、情報収集のために経費が必要であれば、それも一方では認めるべきではないかという感じもいたします。しかしながら、例えば、この資料でつけております在勤手当の予算額の推移、これは減っていっているという表だと思うんですけれども、その縦の「区分」の項目のところ、こういったものを見たときに、国民目線から見まして、果たしてこれが本当に必要であるのかどうか、筋が通らないといいますか、理解しにくいというようなところがあれば、これは大いに見直すべきだというふうに考えますので、そこら辺をちょっと質問させていただきます。

 まず、在勤手当というものの必要性なんですが、これは在外職員に支給されている基本手当とは別というふうに考えますけれども、これは必要性についてどのようにお考えでしょうか。

武正副大臣 御質問ありがとうございます。

 萩原委員に対するお答えでございますが、諸外国の在外公館に赴任をしている外務公務員、それぞれの任地でそれぞれの状況、勤務先でそれぞれまた異なる中で、本人はもとより家族の生活環境をしっかりと整えていく、このことが、先ほど来御指摘のある、在外公館でのマンパワーあるいは総合力を発揮して日本の国益を守る、あるいは在外邦人、あるいは在外で活躍している企業、あるいはさまざまな形での日本のプレゼンスを発揮する何といっても原動力というふうに考えております。その意味で、この在勤基本手当というものが必要であるという認識に立っております。

 ただ、御指摘のように、それをどうやって国民の皆さんに理解していただけるかという意味での説明について、工夫が必要であろうというふうに考えております。

 在勤基本手当については、赴任時の生活立ち上げや、物価水準が異なる海外で日本の生活水準を維持するため、生計費手当は不可欠であるというふうに認識しております。これは、民間でも同様の支給が行われております。

 また、在外職員また同伴家族については、日本の在外公館の三分の二が途上国ということもありまして、生活環境が厳しい、特に途上国でさまざまな困難に直面していることから、途上国勤務時への困難へ配慮する必要があると考えております。

萩原委員 ありがとうございます。

 しかし、その在勤基本手当の基準というものにつきましてなんですが、この外務公務員の給与に関する法律案の改正案の資料の中に在勤手当の基準額の一覧表というのがありまして、ちょっと資料を、中の抜粋ですけれども、させていただいておりますが、多少は違うんですけれども、世界じゅうがほぼ同じような金額になっているというふうに見受けられるんです。

 といいましても、私も、国名を見てもどこがどうかというのはわかりかねるところもあるんですけれども、例えば、自分が行ったことのある例でいいますと、韓国とジャマイカが同じ金額なんですね。当然レートとか物価というのは違うとは思うんですけれども、しかし、どう考えても、危険度でありますとか、例えばお子さんが夜うろうろできるかできないか。韓国なんというのは、もう今やコンビニエンスストアもあって、日本と同じような生活ができると思うんですけれども、それでも金額が一緒というような場合に、家族の安全のこととかいろいろ考えますと差があってしかるべきではないかと考えるんですけれども、いかがでしょうか。

武正副大臣 今お配りいただいておりますこの法案の「別表第二 在勤基本手当の基準額」で、大韓民国とジャマイカを比較されているというふうに御指摘をいただきました。これは、在勤基本手当の額は、各在外公館所在地における物価、為替相場、生活水準等、勤務、生活環境を総合的に勘案し決定しておりまして、在勤地によりめり張りをつけております。

 それがここで見ていただく金額ということでありますが、大韓民国とジャマイカが、これは多分大使を見て、それぞれ六十一万円ということで同じではないかという御指摘だと思うんですが、プロジェクトチームで在勤手当の見直しを昨年十月以降行ったんですけれども、そのときの基準の号というのは、この三号というところ、平均的な館員として一等書記官が大体この三号というところに当たるということもありまして、ここを見ていただきますと、大韓民国は三十八万三千三百円、そしてジャマイカについては四十五万五千六百円となっておりまして、両勤務地の勤務、生活環境をここで反映しているというふうに御理解をいただきたいと思います。

 両国駐在の大使の手当は同額でありますが、ここは、館員数がより多い公館ほど館全体の業務量が多いということもありまして、館務全体をつかさどる大使の業務と必要経費も増大するため、大使館の規模、職務に要する必要経費に応じ手当が設定されている結果、同額となったということでございます。

萩原委員 今の質問にちょっと関連をするんですが、外務省にお勤めになられるということは、世界じゅうを飛び回る仕事だということを皆さん御認識の上で当然お仕事につかれたわけだと思うんですけれども、例えば、現実には大使館はないんですけれども、世界的な観光地のモナコなんかもこの表の中に入っておりまして、それなりの金額がついております。私はもちろん行ったことないんですけれども、いわゆるテレビで見るところの世界じゅうのセレブが集まるというようなところでも、こういう手厚い手当というのがお給料、本給以外に必要であるというふうにお考えでしょうか。

武正副大臣 お答えをいたします。

 この中で、モナコ、ここには載っていないですね。

 名称位置給与法上は、実際に大使館がなくても、外交関係のある国すべてについて基準額を設定することが求められているので、大使館のないモナコについても設定をしているということでございます。

 モナコには大使館の実館は存在しません。したがって、同地で在勤手当が支給されている事実はない中、一般論として申し上げざるを得ませんが、大使館を新設する場合に、同地の在勤手当の額を、所在地における物価、為替相場、生活水準等を総合的に勘案し、勤務、生活に対する必要経費として改めて決定されるということになります。

萩原委員 先ほどの在勤手当の予算額の推移の表の「区分」のところに目を転じたいんですが、基準額の表の中に大使、公使、特号、一から九号までの区分がありまして、資格に応じて金額が決まっているようであります。

 例えば、ここに配偶者手当というのがありますが、本給以外に在勤基本手当というのがあって、まだ配偶者手当というのをほかに項目として別途挙げてつけなくてはならないのは、もちろん配偶者がいらっしゃる方、いらっしゃらない方というのはわかりますけれども、今副大臣おっしゃられたように、海外で生活するさまざまなことを勘案して基本手当というのをつけているにもかかわらず、また別途要るということについては、何か、配偶者がいるいない、別に理由があるのかどうか、お答えいただきたいんです。

武正副大臣 それぞれの在外公館において、先ほどそれぞれ外務公務員そして家族ということを挙げましたが、特に、任地において配偶者も在外職員の公務ないしそれに準ずる活動への参画が求められる機会が多い。要は、大使なり公使なりあるいは館員が、夫婦でさまざまなそうした公務に当たるケースが特に在外公館では多いといったことを勘案したのがこの配偶者手当でもあるということでございます。このため、海外勤務を命ぜられた結果生ずる生活、勤務双方の追加的な必要経費として、在勤基本手当の二割に相当する額を支給しております。

 これは、なぜ二割かということは、やはり、民間企業でも何らかの形で配偶者への手当がなされている例が少なくないと承知しておりまして、そういったところから二割ということが当初決められたというふうにも聞いております。

 いずれにせよ、配偶者手当の水準妥当性については、二十二年度に、外務人事審議会、これが第三者機関として、そのあり方も見直そうということは大臣の外交演説にも触れられておりますが、そのもとで、民間の調査機関も使って調査を行って、二十三年度の予算に適切に反映させたいというふうに考えております。

萩原委員 ありがとうございます。

 引き続きまして、その表のところに館長代理手当というのもあるわけでございますけれども、これは、大使がいないところの公使の方に、大使の役割を果たしていただくためにその手当がまた支給されるというふうにお伺いをしております。

 しかし、在外公館にお勤めの職員の方々は、皆さん、国の代表として外国について、日本人の保護であるとかいうことに、資格が何であろうが、全力で仕事をするというのは当たり前だというふうに思っております。民間の会社でも、社長であろうが専務であろうが、社長がいてないから専務は社長の仕事はできません、そういうところはないわけでありまして、いてなかったらいてなかったで当然その職務を果たさなければいけないと思うんですけれども、それが公使にだけお給料に手当としてまた加算されるということであります。

 一方では、公使、大使、一号から九号までということで変わっている、ランクがついているわけなんですけれども、そこでまた加算をされるということと、また、いないのだったら、全体に、その館の中に経費が払われるのなら、全員でフォローするという意味でわかるんですけれども、そのお一方にだけつくということについて、こういうのが必要なんでしょうか。

武正副大臣 館長代理手当についての御質問でありますが、これは、実態上、館長がその時点で未発令で存在しない在外公館において、館長の臨時代理を担う館員に支給をしております。平成二十一年度の支給対象者は十四名、そのうち十三名は、常駐の大使が配置されていない国における兼勤駐在官事務所、または新設公館で大使がまだ着任していない臨時代理大使ということでございます。

 したがって、これらの職員は恒常的かつ実質的に館長としての職務を果たしておりまして、自宅でのレセプション開催のための家具、食器を準備するなど、大幅な経費増があるわけであります。また、これら十四名中十二名は一等書記官、二名が参事官のランクでありまして、館長代理手当なく、本来の在勤手当のみではこうした館のトップである館長活動に伴う必要経費を賄うことは難しいというふうに考えております。

萩原委員 ありがとうございます。

 また表の「区分」についてですが、その下に、一番最後のところに子女教育手当というのがございます。これは、四歳から十八歳までのお子さんについて一万八千円が毎月支給されるというふうに伺っておりまして、また、それとは別にいわゆる教育、学校に関する補助などというものもつくというふうに聞いております。

 例えば、日本では、例の子ども手当というのは中学校を卒業するまででございまして、その後、今後の公立高校の無償化とかいうふうに切り離して考えられておるわけでございますけれども、すべて一律に四歳から十八歳の方に一万八千円を、それこそ世界の国々はいろいろな環境があるわけでございまして、学校に行くのにも危ないというような地域にいわゆる危険手当ということで、ガードマンが必要かどうかというような地域もあればそうでもないところもあるわけでありまして、一律にこれを一万八千円支給する必要があるのか。もちろん子供や家族の安全ということの大切さはわかりますけれども、先ほどの在勤基本手当、配偶者手当また子女教育手当というふうに、そしてまた、違うのならいいんですけれども、全部一律というような形でというのは、これは必要であるとお考えでしょうか。

武正副大臣 在外職員の子女は、日本国内と異なり、外国では無償ないし低額での日本にある公立校の教育を受けるという選択肢がないのが実情であります。このため、学校の経費を一定額まで補助するということでございます。

 先ほどお話ししましたが、十月に私と吉良政務官をヘッドに省内に設けましたプロジェクトチームにおいても、子女の教育の重要性を認識しつつ、支給水準について検証を実施いたしました。在勤地の教育事情、在外勤務を繰り返す外務省特有の人事ローテーションの関係で、在外職員の中には年間数百万円単位の自己負担が発生している例もあるということでございます。一部の任地においては高額な自己負担が生じておりまして、職員の生計費負担に与える影響が大でございます。

 また、なぜ国内の子ども手当が十五歳で子女教育手当が十八歳かという御指摘でありますが、高校教育課程については日本人学校が存在しておりません。

 今、日本人学校は、在外公館所在地二百三公館中七十五カ所、三七%、子女が就学している公館に占める割合も百七十三公館中七十四カ所、四三%ということで、半数以上は日本人学校がない状況であり、また、高校の課程には日本人学校がないということで、インターナショナルスクール、あるいは私立の日本校、あるいは現地校ということになります。最も安価な現地高校に通学する場合も、帰国後の本邦、日本での学校への円滑な編入学を考えるために日本語補習校授業料等の経費が必要になるということで、これに定額の手当を充当しております。

萩原委員 ありがとうございます。

 日本の国のために外国の地で頑張っていただいておるわけでございますから、さまざまなところの手当、経費というのも必要性というものはよくわかるのでありますけれども、国民の出した税金であります。限られた予算の中で、無駄のないように、外務職員の方々が国益につながるお仕事に集中できる環境というのをつくることこそが、ひいては我々国民みんなの利益につながることだと思いますので、今後も細かくこの経費の見直しというのをお願いいたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。

岡田国務大臣 議員の議論を聞いていまして、かなり共感できる部分はあるんです、いろいろな無駄があるんじゃないかと。少なくとも、国民の中にはそういう声があることは事実だと思います。したがって、我々もよく見直しはしていかなきゃいけない。

 しかし、外交にはある程度のものが必要な場合もありますね。悪い環境の中で一生懸命働いてもらうためには、委員も御指摘のように、その部分の手当というのも必要だ、その辺のバランスをどうとっていくかという問題だと思います。

 外務省に飯倉公館というのがありまして、外国からお客様が来られるとそこで食事をしたりするんですが、飯倉公館の池にコイがいるんですね。立派なコイが泳いでおります。最初、私はこれは無駄じゃないかと思ったんですが、食事のたびに外務大臣などを、おとといですか、一昨日かは中国のトウカセン、彼にコイを見せたんですが、大抵の人は非常に喜ぶわけですね。そういうのを見るとこれも決して無駄ではないんじゃないのかなというふうにも思いますし、非常に難しいところなんですが、ただ、国民の目線ということは常に忘れずに、見直しの姿勢というものは常に持ってやっていきたいというふうに思っています。

 また、いろいろ気がついたことがあれば、御指摘いただきたいと思います。

萩原委員 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、浜本宏君。

浜本委員 おはようございます。民主党の浜本でございます。

 こういう質問の時間をお与えいただきましたことを感謝いたします。

 きょうは、外務大臣から、いわゆる密約問題に対する御報告をいただきました。

 この報告の一番の原因といいますか意図というのは、外務大臣が何回も繰り返しておられるように、やはり国民の信頼がなければ外交は成り立たないんだ、こういう御趣旨の中で今回もこういう調査ができたということで、野党の方々からも非常に称賛をされておりましたけれども、外務大臣の、またこれの関係者の皆さんの御努力に対して、委員の一人といたしまして、感謝を申し上げたいと思います。

 通告はいたしておりませんが、きょうの新聞に、いわゆるSS、シーシェパード、「反捕鯨の船長きょう逮捕へ」と出ておりましたけれども、一昨日でしたか、外務大臣、委員会で、いわゆるトップ外交、弾丸外交ということで、我が党の横粂議員の質問の中で弾丸外交についてお話をしておられましたが、このシーシェパードの問題、オーストラリアがちょっと何かこの問題の解決に腰が重い、あったような感じがするんですけれども、外務大臣が頻繁に、また首相も頻繁にオーストラリアの政府首脳その他に働きかけられたということの中で、三月六日であったかと思うんですけれども、オーストラリアの連邦警察もシーシェパードの捜索に入ったということを聞きまして、非常にトップ外交の重要性を痛感したんです。

 大臣、この間の委員会で、やはり国会の日程等があってなかなか、週末になってしまうんだ、何とかトップ外交がもっと推進できればなというふうなお話があったと思うんです。これは恐らく、私たち民主党が野党のときにも大変与党にいろいろと迫ったということ、この反省もしなければいけないと思うんですけれども、いわゆるトップ外交について、外務大臣、今度やはり、国会のルールというのか、これも変えてもらうということを、外務大臣としてもトップ外交を進めていくべきだということで、やはり国会のルールをもう少し考えてもらえないかということをもっと主体的におっしゃったらどうかな、こう思うんですが、いかがでしょうか。外務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

岡田国務大臣 急激にがらりと変えることはなかなか、諸般の事情を考えると難しいところはあると思います。そして、基本的には国対ベースでお決めいただくことであります。ただ、どうしてもこれだけは出なければならないというものについては、特にお願いをすることもございます。それは野党の御協力もいただいて、そういうこともこれからもあるだろうというふうに思っております。

 ぜひ、与党と野党、また入れかわったりするわけなので、どこかでこういったルールについて、明らかに国益を損なっているというふうに少なくとも外相経験者などはわかっているわけですので、そこのところは何とかならないのかな。

 G8の外務大臣を見ておりますと、例えばこの前、ハイチ復興の国際会議がカナダでありました。武正副大臣に出ていただいたんですが、ほかは、G8の外相はほぼ全員出ております。その直後にロンドンでアフガニスタンの復興支援会合があって、これはイギリスと日本がかなり中心になって取り組んできたことだったんですが、いざ会議を開くと、日本の外相はいなくて、福山副大臣に出てもらったと。

 そういうことで、いろいろなことがあったときにすぐに、お互い顔見知りで、しょっちゅう会ってお互い知り合っているということは、日本の国益実現の上に非常に重要なことである、そういうふうに私は思っております。

浜本委員 ぜひ、野党の皆さんにも御協力をお願いしたいと思います。

 それでは次に、先ほど、密約の問題でも、やはり国民の信頼がないと外交は進められないんだという外相のお考え、私もそうだと思うんですが、国民の中に、例えば外交を進めていく外務省あるいは在外公館に対して、何かやはりいま一つ、ちょっと隔たりがあるのではないか。この間、我が党の横粂議員が日本の外交についてちょっと辛口の表現をしておりましたけれども、私は、あれはやはり若いだけに、それだけ新鮮な感性に富んだ思いを述べられたんだと思うんです。

 今ここに一冊の、世界的な指揮者の小沢征爾さんの「ボクの音楽武者修行」という本があるんですけれども、この中に実は、総理は「命を守る」ということで演説をこの間もされましたけれども、小沢征爾さんの音楽生命が守られるか守られないかということが、一九六〇年代ですけれども、フランスのブザンソンのコンクール、指揮者のコンクールに小沢さんが行って、そしてパリ音楽院でポスターを見たら申し込みが迫っていたので申し込みをした。そうすると、もう期限が手おくれだったということで、日本の大使館に行った。これが最後の頼みの綱だと思って行ったんだけれども、日本の大使館ではどうも思わしくない。そこで、友達がアメリカ大使館の音楽部に行ったらどうだということで、アメリカ大使館の音楽部に行ったら、太っちょのおばさんがいらっしゃって、そのおばちゃんが、おまえは音楽ができるんかと。小沢征爾さんが、おれはできるんだ、こう言ったら取り次いでくださって、そして小沢さんはブザンソンのコンクールに出て一位になって、その後、カラヤンとかバーンスタインの目にとまって世界的な指揮者になった、こういうことがここに書かれてあるんです。

 これも、日本の大使館がその当時相手にしてくれなかったという非常に辛口の表現があるんですけれども、やはり今後、私たち国民の目線に立った外務省であり、また外交を進めていかないといけないと思うんですが、外務大臣が就任されるに当たって、在外公館等に訓示というのか、そのようなものを発せられましたでしょうか。そして、在外公館のあり方として、今度は新しい外交が求められるわけですけれども、どのようなお考えを在外公館に対してお持ちなのか、お教えをいただきたいと思います。

岡田国務大臣 外務大臣になるに当たって、私は当然、そのときの考え方というものを申し上げたわけですが、例えば現場主義、なるべく現場に行くことでありますとか、それからわかりやすく率直に語ることでありますとか、そういうことは申し上げましたが、在外公館だけに何か具体的に申し上げたということはございません。

 委員の御指摘は、私も、大臣という立場を離れればよく理解できる部分もあるわけでありまして、どうしても外交官あるいは外務省というと、国民から見たら遠い存在というところはあると思います。それをどうやって近づけていくか。私は、国民の理解と信頼なくして外交というものは成り立たないと思いますので、さまざまなそのための努力をこれから重ねていかなければならないというふうに思っております。

浜本委員 ありがとうございます。

 国民に支えられた外交というためには、やはり国民の皆さんによく御理解をいただかなければいけないし、また、将来の国民にも外交の重要性あるいは外務省についての御理解をいただかないといけない。

 一昨日の委員会で、竹島が高校の教科書に出ていないという問題、教科書の問題が出ておりましたけれども、私は、同じ教科書でも、日本の外交が果たしてきたたくさんの中で、すばらしい事件があります。すばらしい事件というのはおかしいんですけれども、例えば、明治の初めにあったマリア・ルス号事件という、中国人の労働者、二百十人近い人がペルーの船に乗せられて、ペルーへ向かうときに横浜港にやってきた。その中国人二百十人たちが船の底に閉じ込められて奴隷扱いをされていた。そして、その中の一人が飛び出して助けを求めて、そして日本政府が、これは奴隷だ、奴隷扱いをしているということで、ペルーのマリア・ルス号を出港させなかった。これによって中国人二百十人近い方々の命が守られたという、いまだに横浜の方に行くと、華商の皆さんが緞帳をつくって、日本政府が中国人の労働者を守ってくれた、その感謝のそういう緞帳があるようですが、こういった事件なんかも、やはりもっともっと私たち国民が知るべきであろうと思うんです。

 こういうことはやはり、教科書は文部科学省の問題ですけれども、外務省なんかも、ぜひこういう問題は載せてほしいということ、あるいは、こういった問題を在外公館を通じて、特に中国なんかにはわかってもらいたい、こういうことでぜひ取り上げをしていただきたい、このように思うんですが、余り時間がございませんから、そういう私の要請をお願いしておきたいと思います。

 それで、外務大臣の外交演説、一月二十九日に行われたこの演説の中で、在外公館に関する部分の演説について数点質問したいと思います。

 先ほどお話がありましたが、演説の中で、三つの原則、現場主義、原点に立って検討する、それからわかりやすい言葉で国民の皆さんに伝える、こういうお話をされておられます。

 在外公館、我々、こういったお話をしておっても、やはり実際には行ったことがない。もっともっと今後我々も行きたいと思いますけれども、少なくとも政務三役を含めて皆さん方が、この在外公館を全部一回回ってみるということは、なかなか難しいかと思いますが、そういうことは難しいでしょうか、現場主義という点から。

武正副大臣 大変前向きな御提言、ありがとうございます。

 先ほど触れましたように、十月二十七日ですか、プロジェクトチームを設けまして、在勤手当見直しということをやる中で、政務三役、できるだけ海外への出張の際には在外公館に立ち寄って、そうした現場で館員の勤務状況を見ようということを心がけてまいりました。

 一例を挙げますと、ちょうど今、中国の北京大使館は新しい大使館を建てておりますが、今の大使館について見ますと、やはり地震対策ということでは本当に耐震基準が満たされていないということで、そういうような状況などもつぶさにわかります。また、これはちょっと離れますけれども、経済部三十六名中三十三名が各役所から出向しているという意味で、公館での力を発揮するためにも、全省庁一丸となったそういう連携、これを大使のもとしっかりと発揮する。やはりこういったことも、公館を回ってつぶさに見てくるということで臨んでまいりたいというように思います。

浜本委員 それから、在外公館の関連で、ハイチ地震がこの間ありました。私も神戸の出身でございますから、その苦しみが大変よくわかるんですが、この地震のときに、在外公館のいわゆる不可侵性、国際法上、在外公館等は不可侵であるわけですけれども、そういった不可侵性、あるいは暗号とか、いろいろ大使館あるいは総領事館等は持っていると思うんですけれども、こういうものはどのように守られたのか、この辺についてお伺いをしたいと思います。

武正副大臣 在外公館の不可侵性ということでありますけれども、今回、首都直下ということで、ハイチの大使館もつぶれるというような状況になったわけであります。ただ、在ハイチの通信設備自体には深刻な被害はなかったんですけれども、倒壊のおそれのある大使館、倒壊のおそれのあるということでつぶれるというふうに言いましたが、建物から退避したため、通常の通信が不可能になっております。

 そうした通信手段の多層化、段階的な通信回復に向けた支援体制の見直しなども検討することとしておりますが、不可侵性ということでいうと、倒壊のおそれのあるということでの退避時に、執務室及び出入り口の施錠を行うなどの保全措置をとった、また機密上重要な物品は後日、回収済みということでございます。

浜本委員 ありがとうございます。

 時間がもうほぼ終わりでございます。

 在外公館におけるパーティー等、私も、先ほど大臣が申されたように、飯倉公館のコイが必ずしも無駄ではないんだ、ある程度の供宴といいますか接待というのは必要であろうと思うんです。ただし、やはり国民の目から見た、あるいは財政的な問題もあるわけでございますが、そういう中で、ワイン等よく出てくるわけですけれども、ワインといえばフランス・ワインがよく出るんですが、やはり日本のワイン、こういうものももっと出していっていただきたいな、こう思うわけなんですね。

 やはりオール・ジャパンでいこうということで、ぜひこういう点も御配慮いただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。

武正副大臣 在外公館における会食、レセプション、また今、飯倉公館の話もありました。それぞれ、日本食や日本の産品を紹介する絶好の機会であります。食文化ということでもございます。先ほど小沢征爾さんのお話がありましたが、そういった意味での文化外交ということであれば、この食文化も立派な日本の文化であります。

 その中で、今御指摘の国産ワインをもっと用意したらどうかということでありますが、国産ワインについては、国産ワインコンクールの入賞ワインリストを在外公館に送付して、それを使うことを促進しております。

 また、外務省は、農水省、地方自治体、日本企業等と連携して、在外公館を利用して国産食品や国産酒類をPRするイベントも実施をしております。

浜本委員 ありがとうございました。

 岡田外交に対する国民の期待は我々が考える以上に非常に大きく、そしてその責任は想像以上に大きい、そういうことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、平沢勝栄君。

平沢委員 自民党の平沢勝栄でございます。

 きょうは、法案について聞かせていただきたいと思います。

 在ベナン大使館の位置が、今度、ポルトノボからコトヌへ変わるということでございます。このベナンというのは大変に思い出がありまして、二〇〇六年に、民主党の渡辺周議員、原口一博議員、それから松木けんこう議員と一緒に、私もベナンに行きました。そのときに、ベナンというのは、たけし学校があるんですよ、これはコトヌからずっと北の方ですけれども、たけし学校まで行きまして、そしてその子供たちに文房具を配ってあげたんです。

 この文房具、鉛筆とノート、消しゴム、これを私の地元から無料で提供を受けまして、段ボール何十箱でしょうか、これを持って、提供を受けたこういった文房具はただだったんですけれども、しかし飛行機賃の方がはるかに高くつきまして、ともかくベナンに行きました。そして、向こうの子供たちと交流をしてきて、今も、その子供たちに食事を支援するという運動を民主党の議員などと一緒にやっているところなんです。

 そこで、あのとき思ったのは、ベナンに私たちが行きまして、ベナンに日本の大使館が当時はなかったんですよ、これができたのはことしの一月ですから。ところが、ベナンは、あの貧しい国が、昼食も食べられないような貧しい国が、日本に大使館を置いていたんですよ。私はびっくりしました。ベナンは、たしか二〇〇二年か何かにもう大使館を置いているんです。このすぐ近くに置いているんですよ。あの貧しい国が日本に大使館を置いている、日本が現地に大使館を置いていない。これはおかしいじゃないかということで、いろいろと言わせていただいたら、やっと、ことしの一月ですか、できたというのは、これは非常に喜ばしいことなんですけれども、まだほかにもいろいろあるでしょう。

 ちなみに、先方が日本に大使館を置いていて、しかし日本がその相手国に、大使館を置いている国にまだ大使館ができていない、こういった国は幾つあるんでしょうか。

武正副大臣 平沢委員にお答えいたします。

 二〇〇六年にベナンに平沢委員ほか先ほど御指摘の議員の皆さんが行かれたことは私もよく覚えておりまして、正直、なかなかベナンという国がなじみがなかったものですから、非常に印象深く覚えております。また、そういったことが今回の大使館の開館につながったのではないかというふうに承知をいたします。

 今、御質問の、相手国は日本に大使館を置いているが日本の大使館が相手国にない国は、十四カ国でございます。名前を挙げますと、マーシャル、サモア、モルジブ、ハイチ、ベリーズ、アイスランド、アルバニア、サンマリノ、タジキスタン、ベラルーシ、エリトリア、ジブチ、リベリア、レソト。ただし、マーシャル、ハイチ、アイスランド、タジキスタン、ベラルーシには兼勤駐在官事務所が設置をされております。

平沢委員 ですから、まだ日本は設置しなきゃならない国がいっぱいあるわけです。

 では、今度、別な角度から質問させていただきますけれども、主要国ですね、例えばアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国、こういった国は大使館を置いているけれども日本は大使館を置いていない、こういった国は幾つくらいあるんでしょうか。

武正副大臣 お答えいたします。

 主要国が大使館を置いているが日本が大使館を置いていない国について、例えば米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国が大使館を有しているものの我が国の大使館はない国として挙げますと、アルバニア、アルメニア、キプロス、トルクメニスタン、マケドニア、マルタ、モルドバ、モンテネグロ、エリトリア、ナミビアなどが挙げられます。

平沢委員 日本は、外交力をこれから強化していかなきゃならないわけでしょう。そういう中で、まだまだこれから力を入れていかなきゃならないんじゃないかなという気がします。

 ちなみに、副大臣、日本の在外の大使館の数は幾つで、例えば中国あるいはほかの国は幾つあるんですか。中国でいいですから、中国は幾つあるんですか。大体、欧米先進国より日本が少ないのはわかっていますから、中国は幾つあるんですか。

武正副大臣 日本が承認している国家数は百九十二、我が国の大使館設置数は百三十三、平成二十二年四月予定の数字であります。五十九カ国において大使館は設置できておりません。

 そして……(平沢委員「中国」と呼ぶ)中国ですね、中国は二百四十六公館となっている……(平沢委員「大使館」と呼ぶ)中国は百六十六大使館であります。日本が百三十三であります。

平沢委員 ということは、中国の在外に置いている大使館と比較すると、日本はまだ三十三も少ないわけですね。

 そういう中で、これは大使館を整備しなきゃならないということでずっとやってきたと思いますけれども、過去はどういう形で、例えば過去数年でいいですから、どういう形で在外の公館を整備してきたか、その数字をちょっと、副大臣、お願いできますか。過去数年の整備状況。

武正副大臣 平成十九年度六公館、平成二十年度六公館、平成二十一年度五公館でございます。

平沢委員 過去、日本の在外公館は、まだ整備されていないということで、五ないし六、ずっとふやしてきていますね。

 では、今年度は、見てみますと、新設がゼロですね。今年度は、例えば概算要求ではどうだったんですか。概算要求ではゼロだったんですか、それとも要求していたんですか。

武正副大臣 概算要求は、前政権での概算要求段階では、新設を検討していた公館が五つございます。在サモア、在バルバドス、在タジキスタン、これは兼勤駐在官事務所からの格上げ、そして在ナミビア大使館、在西安総領事館。

 ただ、その後、新政権での概算要求では、新設在外公館の要求は行わなかったところでございます。

平沢委員 先ほど申し上げましたように、まだ日本の在外公館の整備状況というのは、例えば中国などに比較して極めて劣っている状況にあるわけなんですね。ですから、外交力を強化しなきゃならない、そういう中で、前政権が要求したことであれ、こういう形で、五カ所ですか、在外公館の整備の要求が概算要求で出されていた、その要求を取り下げた、その理由は何なんですか。

武正副大臣 さまざまな外交課題に機動的に取り組むためには、外交実施体制の強化が必要であることは申すまでもございません。

 他方、政府全体の予算の見直し方針を踏まえまして、先ほどのように、要求を行わなかったわけでございます。

 ただし、ソマリア・アデン湾における海賊対処のために自衛隊が派遣され、現地政府との調整で業務が増大しているジブチに、先ほどジブチには置かれていないというふうに申し上げましたが、在エチオピア大使館の兼勤駐在官事務所を設置するための予算を計上しております。

 政府全体の予算編成方針にのっとりつつ、今後も、ほかの主要国に劣らぬ外交実施体制の水準を確保できるように検討してまいりたいと思います。

平沢委員 要するに、予算的に厳しい、こういうことだろうと思います。

 では、新しい公館を新設する、別にアメリカの大使館みたいなでっかいのをつくるわけじゃないですから、新しくつくるところというのはせいぜい館員十人くらいだと思いますけれども、新しく公館をつくった場合に要するコストというのは幾らくらいなんですか。新設と、あとランニングコストと両方。

武正副大臣 大使館の新設費用は、当該公館の設置される地域や規模にもよりますが、例えば平成二十一年度予算において、在ベナン大使館新設経費として三億三千万円、在ルワンダ大使館新設経費として三億二千万円という額を計上したところでございます。

 在外公館のランニングコストということについては、今の新設費用というのは人件費等のランニングコスト三カ月分を含めての額でありますが、ちょっとここで今、ランニングコストが幾らというのは、にわかにお答えできないと思っております。

岡田国務大臣 ちょっと具体的な数字はないんですけれども、これは新設にかかるお金、建物を建てるという話とランニングコスト、例えば、委員おっしゃるように十人ぐらいの規模であれば、給与も含めて一人当たり三千万必要だとしますね、我々政治家の事務所なんかを見たって給与以外にいろいろなものがかかりますね、三千万とすると三億ということになります。ですから、そう安くはないということになるわけですね。

 委員とのお話を聞いていまして、確かに、先ほどもちょっと言ったんですけれども、自民党政権のもとで、アフリカの空白を埋めようということで、かなり集中的に大使館をふやしてこられたことは事実だと思うんですね。そういうものをどう考えるのか。中国などと比べると、アフリカにおける体制がかなり違うということであります。

 しかし、一方で、外務省の予算全体は限られておりますので、それをどういうところに振り向けていくべきなのか。例えば大使館に関する経費でいっても、今、省の中で議論しておりまして出てくるのは、新興国対策というものにもっと力を入れるべきじゃないか、そういうところにもっと人を張りつけて、予算も張りつけてしっかりやっていくべきじゃないか、こういう話もあるんですね。あるいは、広く薄く、アフリカなど漏れのないようにしていくべきだと。その辺の大きな戦略論というのを省内で一応きちんとしなきゃいけないというふうに思っております。

 もちろん、パイ全体をふやせば余りそういう議論をぎりぎりやる必要はないんですけれども、ですから、そこの外務省の予算をふやすことについて、ぜひ委員の御協力もいただきたいというふうに思いますけれども、同時に、限られたパイをどういうふうに使っていくかという問題であると思います。

平沢委員 大臣の言われるのは本当によくわかるんですけれども、今、私は、この下の厚生労働委員会で子ども手当に関する質問をさせていただいたんですけれども、子ども手当は別に構わないと思うんです。ただし、所得制限を全くなくして、無責任に、要するに、日本にいる外国人、本国に置いてきた子供にまで全部出る。きょう、今、下で聞いたんです、外国でこんな例があるかと長妻大臣に聞いた。長妻大臣、外国にはそんな例がないとはっきり言いました。外国に例がないものを日本でやる。パイが限られている、そのとおりですよ。パイが限られている日本が、外国に置いてきた子供にまで全部出す、今度の制度はそうなんですよ。

 では、例えば、そこで悪用されるおそれがないか。それはあるでしょう。どうやって確認するんですか。どこの国かというのは名前は語弊があるから言いませんけれども、その地区が発行した書類で見る。養子縁組もいい、婚外子もいい、そういった形で幾らでも広がる可能性があるんです。そういったところにはお金は出す。

 ところが、外交については、今大臣言われたように、一つの新設公館、恐らくかかって五億でしょう。五億のお金を、予算が限られているから、パイが限られているからということで節約しなきゃならない。私は、これはどうかな、もうちょっと全体で考えてもいいんじゃないかなと。

 外交というのは、もちろんほかも大事、子ども手当も大事だから、所得制限を設けるなりなんなりでやればいいわけで、あるいは、外国人は、外国に置いている子供等は制限したっていいんだ、ほかの国だってそうなんですから。その辺どう思われますか、大臣。

岡田国務大臣 子ども手当の中身は厚生労働委員会で御議論されることだと思いますので、私はコメントをいたしませんが、これは別に大使館の経費だけではなくて、ODAなども含めて、やはり日本の存在感が落ちてきていることの一つに、そういった予算が減っているということはあると思いますので、もちろん無駄はさまざまなくしていかなければいけない、その努力はしっかりいたしますが、ぜひパイをふやすことについても御協力いただければありがたいと思います。

平沢委員 外交力を強化する。日本は、外交というのは、とりわけ資源のない国ですから、そして経済大国としてこれから世界にメッセージを発信する意味でも極めて大事なわけで、その意味で、やはり外交を余りけちるというか、予算を削るのはどうかなという感じがしますので、そこは大臣、副大臣にぜひ頑張っていただきたいし、私たちもそこはぜひ応援させていただきたいなと思います。

 そこで、最後に、残された時間、在外公館の職員の在勤基本手当についてお尋ねしたいと思います。

 聞きますと、平成十一年から大体三分の一くらい減らされてきているそうですけれども、これはやはり、国内でもみんな働いている人は厳しいし、特に国内で働いている公務員なんかもどんどん厳しい状況にあるわけだから、在外の大使館の職員も日本の国内の職員と同じようにできるだけ厳しくやれということだろうと思いますけれども、私は、自分が三年間だけですけれどもイギリスに出向して勤務した経験でいうと、日本の基準で余りやっていいのかなと。

 例えば、私、ロンドンに勤務したときに、住宅手当が全然足らなくて家が都心に借りられないんですよ。それで、借りたのは、ロンドンから朝なんか大体一時間もかかるウィンブルドンに借りたんですよ。そのうち一割は自己負担ですよ。ウィンブルドンに借りて、ですから、車での通勤が一時間かかるわけですよ。そして、家だって、全然普通の家ですよ。

 ただ、ほかの人と違うのは、例えば私の場合でも、ほかの人の場合もそうだと思うけれども、これは人によって違うと思いますけれども、私の家で月に二、三回は、イギリスの外務省とか内務省とか、あるいはインテリジェンスの方とかロンドン警視庁とか、こういった関係者を呼んで、いわば食事会とかパーティーとかやるんですけれども、家がこの程度の家かというような感じにみんなに思われちゃう。そして、皆さんが来るときも随分時間がかかる。ロンドンというのは、川を越えちゃうと物すごく時間がかかっちゃうんですよ、橋でつかえちゃいますから。随分、こんなところに住んでいるのかという感情を持たれたことがありました。

 ですから、日本と同じというわけにはいかないので、そこでそれなりの人間関係をつくろう、情報をとろう、仕事をしようと思えば、やはりそれなりのお金はかかると私は思います。余り日本の公務員とストレートの比較というのはどうかなという感じがします。

 したがって、それなりの、いわば外国にいる在外公館の職員に対しては、その職にふさわしいだけの処遇をしてやる必要があるなと思いますけれども、この辺は十分に今回の手当はきちんと勘案されているんでしょうか。それをちょっと。

武正副大臣 今、特に住居手当についての御質問でありますが、住宅状況というものも、各任地の都市の状況も勘案しつつ、これまで、例えば、日本人なりあるいは外国人がそれほど多くないということもあって、そうした外国人用のさまざまな建物などの住宅がなかなか十分供給できていなかったところなどは非常にコストが高かったわけですね、入居費用が。

 そういったところがかなり改善されているなどについては見直しをしたなど、住居手当については、今の実態を調べまして、どの程度の充足率なのか、今の手当に対してどの程度の額が支払われているのかというのを見て、そこまで住居手当が支払われていないところについては引き下げを行ったところでございます。

平沢委員 当然、比較の対象となるのは、現地に住んでいる他国の外交官、あるいはそこに住んでいる日本のビジネスマン等だと思いますけれども、そういった方々との比較は十分にされたんでしょうか。

武正副大臣 他国の外交官との給与、手当の比較についても行っております。

 ちなみに、日本はOECD二十九カ国中十八番目でありまして、第一位のある国について言いますと、日本の三倍ということでございます。また、民間企業について言いますと、主要八都市でありますが、在外公館の給与、手当と重立った会社について比較を行っております。そうした比較を通じて今回の手当を決めたということであります。

 先ほども触れましたが、二十二年度中に在外公館のそれぞれの地域における実際のそうした生活コストの調査を民間調査企業を通じて行うということにしておりますので、それがまた今度、二十三年度により適切に反映できるようにしてまいりたいと思います。

平沢委員 時間が来たから終わりますけれども、外交官が体面を維持してきちんと仕事ができるように、その待遇面でぜひしっかりと考えていただきたいなと思います。

 私は、外務省の職員からいろいろ聞いているのは、今度子ども手当が出ます、ところが、外務省の職員が海外に勤務していると、もちろん全然子ども手当は出ないんですよね。ところが、日本にいる外国人は、もちろん連れてきた子供にも出ますけれども、本国に置いてきた子供にも出る。おれたちのを出してくれ、どんどん厳しくなっているから、そういう声をいろいろなところで聞くんですよ。そういった声があるということをお伝えして、私の質問を終わります。

鈴木委員長 次に、河野太郎君。

河野委員 自由民主党の河野太郎でございます。さきの総選挙まで外務委員長を仰せつかっておりました。

 済みません、大臣にちょっとおしりを向けるようで恐縮ですけれども、質問に入る前に委員の諸君に一言申し上げたいと思います。

 さきの外務委員長時代、幾つか心を砕いておりましたことがありました。

 一つは、この委員会の質問の通告をなるべく早くやっていただきたいということをずっと委員の皆様に申し上げておりました。かつて居酒屋タクシーという話がありましたけれども、ああしたことが起きるのは、国会での質問通告が遅いために、無駄な国会待機を大勢の霞が関の官僚諸君が強いられているというのが最大の問題でございます。

 私が外務委員長のときには、前日の午後五時までに必ず質問通告をしてくださいということを申し上げ、それにおくれた人は、私、わざわざお部屋まで行って、もう一度やったら本会議の委員長報告で名前を出しますよとやんわりおどかしまでさせていただきましたが、その結果、委員会での質問通告が大変早くなりました。本当に、大勢の皆様の御協力をいただきまして、ありがたく思っております。

 そのためには、与野党の理事の皆様が委員会の日程をきちっと前倒しで決めていただかないと、委員会の質問通告を早くするということはできません。前の日の夕方にあしたやりますということが決まって、さあそれからといえば、それは質問通告は夜になってしまいますから。ぜひ、そこは引き続き新しい委員会の皆様にもしっかり御協力をいただきたいというふうに思います。

 それから、私が委員長になりましたときには、強行採決はやらないということを明言いたしました。前の委員会のときにはグアムの移転の協定がございましたので、そんなことを言って大丈夫なのかなとも思いましたけれども、そのかわり、委員長として、政府側の答弁がおかしなときには、全部答弁をとめて、再答弁を求めました。外務大臣は委員長と同格だと思っていましたから、大臣をとめるのは失礼だと思いましたので外務大臣の答弁については委員長は何も申し上げませんでしたが、副大臣、あるいは政府委員その他、答弁者がいいと言っても委員長がだめだと言ったら、もう一回答弁をしていただくということをやりました。

 きょう、笠井委員お見えでございますけれども、笠井さん、辻元さんと一緒に沖縄の辺野古の現地まで行かせていただいて、かなり丁寧にやらせていただきました。おかげで、野党の皆様の御協力をいただいて、強行採決なしにすべての案件を終えることができたというのは本当によかったなというふうに思っております。

 この外務委員会にかかる条約の中には、幾つか定型的な条約というのがございます。本来は、そういう定型的な条約については外務大臣なしでもいいんではないかということを外務委員長の方から申し上げましたが、当時の近藤理事、武正理事が、大臣じゃなければ定型的な条約の質疑には応じないということだったものですから、それが実現しなかったのは非常に残念でございますし、岡田大臣には御迷惑をかけることになるかと思います。

 ただ、次の総選挙が終わった後の外務委員会の質疑のやり方をどうするかというのは、それはいつ選挙になるかわかりませんが、与野党しっかり議論をして、次の総選挙が終わったらこの委員会はこういうふうにやろうという議論をどこかでやはりやらなきゃいかぬのかなということを申し上げまして、委員長にはおしりを向けて大変失礼をいたしましたが、今回の条約その他の質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、岡田外務大臣におかれましては、今回の案件を質問する前に、例の密約問題の調査をいただきまして、本当にありがたく思っております。本来なら、自由民主党がみずからの手できちんと解明をし、国民に対して説明を申し上げなければいけないところを、やることができず、それを岡田外務大臣にやっていただきましたことに深く感謝申し上げたいと思います。

 さて、今度のこの法案でございますが、平沢委員の方からいろいろな話がありました。この在勤手当、多い少ない、いつも議論になるわけでございますが、実は在勤手当ではなく、国際機関に日本の役所から出向されているときに、国際機関の給料に日本政府が幾ばくかのお金を上乗せしております。実はこれは、国際公務員として出向する人間にもとの国がお金を支払うというのは、国際公務員の中立性ということを考えるといかがなものかな。国連憲章の中にも文言があります。それは、具体的にそれをやっちゃいかぬとは書いてはありませんけれども、そういう精神を考えるといかがなものか。しかも、日本の民間の方がその機関に同じ仕事でつかれたときには、その方はその国際機関の給料だけしか出ないわけでありまして、もともと官僚だった人が同じ職になると、それに対して給与が上乗せをされるというのはおかしいんじゃないかと私は思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、小宮山(泰)委員長代理着席〕

岡田国務大臣 委員御指摘のような問題が内在していることは事実であります。しかし、他方で、今、日本の抱える問題の一つは、やはり国際機関で働く日本人が余りにも少ないということであります。そして、もちろんその中にはいろいろな人がいるわけですが、日本の公務員で派遣されて、そして国際機関で働く、そういう公務員の数も本来もっとふやすべき。そういうことを考えますと、今の制度というのもそれなりの合理性もあるわけで、私はこの問題、全く今まで問題意識がなかったんですが、委員に御指摘をいただきましたので、ちょっとよく考えてみたいというふうに思います。

河野委員 国際機関で働く日本人の数が少ないというのはそのとおりで、同じ問題意識でございます。ただ、役所から国際機関に行く人間は、行けと言われれば行くわけですから、そこに給料を上乗せしてもパイ全体がふえるというわけにはなかなかいかないんだと思うんですね。そうすると、国際機関で働く日本人の数をふやすためには、例えば、今、修士を持っていなければこういうポジションにつけないというルールがあったり、英語とフランス語ができなきゃだめですというような外国語の要件がどうも日本人に合わなかったりという問題が一つあるんだろうと思います。

 それからもう少し、高いランクの人間が少ないというのは、それはやはり政府が全体として引き上げなきゃいけない。どうしても、政府の人事を見ると、外務省から出向する人間あるいは特定の官庁から特定の機関に出向する人間のことは一生懸命面倒を見るけれども、どうもそれ以外のところはどうぞ独自でやってくださいというようなことが多いようで、かつてUNDPだったかにいらっしゃった丹羽さんなんかも、いろいろな問題を抱えながら一人で一生懸命やっていらっしゃいました。

 そういうことを考えると、大臣がおっしゃったように、日本人の数をいかに国際機関の中でふやしていくかというのは、これはとても大事な話でございますが、それと官から出向する人間にだけ給料を上乗せするというのは、余りリンクがないのではないか。むしろ、財政難の折に、少なくとも新しい公館の新設もできないような状況の中で、こういう上乗せ給をいわば身内にだけ支払っているというのは改めた方がよくないでしょうか。

    〔小宮山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

岡田国務大臣 海外で働く際に、いろいろな費用もかかるということもあると思います。ですから私は、全面的にそれを見直すというのはいかがかと思いますが、例えば百分の七十という数字が適正かどうかとか、あるいは、より本質的な問題、つまり国際公務員としての中立性の問題、そういうことについて一度議論を整理してみた方がいいというふうに思います。

河野委員 ぜひ整理をいただきたいと思いますが、民の方はその給料でやる、官の方は給料に相当な額が上乗せをされるというのは、やはりこれは不公平なんじゃないかな。

 それから、本当に、国際公務員が七割もの給料を本国政府からもらっていて、日本がやっているならほかもやるよということになると、一体全体、国際公務員というのは政府の出先機関かということにもなりかねませんし、それなら日本から国連に行く方、民間でWHOに行く方を一度政府が任用して送ってあげれば七割給料がふやせるわけですからというような議論にもなりかねないと私は思うんですね。

 それからもう一つ問題なのは、外務省が、例えばワシントンの大使館に行くときに、本給のほかに在勤手当が出ますよね。この在勤手当というのは、今まで外務省は、大使館員の懐に入る金ではないんですという説明だったんです。これは要するに、外交活動をするために車を買わなきゃいけないとか、家の家具を買わなきゃいけないとか、そういうものを経費化して毎月支払うのが在勤手当だという説明なんです。

 ところが、この間、人事院にこの国際機関に出向している人間の給料の上乗せの話を聞きましたら、これは要するに在勤手当と同じ、給料を払っているんだと人事院は堂々とおっしゃったんで、ちょっと待ってください、在勤手当というのは給料なんですかと言いましたら、人事院は、在勤手当は給料なんですというふうにおっしゃいまして、今まで外務省は十数年、私に対して、在勤手当は給料ではない、これは外交活動の経費を支払っているんだとずっとおっしゃってきたものですから、私は、事業仕分けを自民党の中でやったときに、在勤手当を削れというのを、ちょっと待って、これはいいんだと言って突っ張ったんですけれども、どうも私の間違いだったのかなというふうに今思っております。

 そういうこともありますので、一体全体、在勤手当は何なのか。しかも、大使館に行く方にはこの給料の上乗せがないわけですから。そうすると、外務省が大使館に行くときには頑張っているのに、何で国際機関に行く人間には上乗せをしなきゃいかぬのか、ここも矛盾することになりますので、大臣にはしっかりとそうしたことを検討していただいて、結論を出していただきたいというふうに思います。

 さて、外務省の予算について幾つか質問をさせていただきたいと思うんです。

 金額的には外務省の総予算と比べると大したことはないんですけれども、びっくりするようなお金の使い方がありまして、第三国定住による難民の受け入れというのが計画されております。これは、ミャンマーからタイへ難民として出ていった方、タイの難民キャンプに住んでいる方の中から五家族から七家族を日本に連れてきて、日本で定住をしてもらおうではないかというプログラムでございます。これはこれで私はそれなりに評価されてしかるべきだと思うんですが、問題は、五家族を受け入れる、七家族かもしれませんけれども、それにかかる総コストが一億五千百万円ですか、一世帯当たり、五家族なら三千万円、七世帯でも二千万円でございます。

 これはやはり、外務省の予算、公館も新設できないと、さっき平沢さんから、厚生労働委員会でも話がありましたけれども、そうやって予算に苦しんでいる外務省の予算の使い方として、一家族を日本に定住させるのにかかるコストが二千万円とか三千万円というのは少しおかしいのではないか、これはやはり見直しをしていただかなければならないのではないかというふうに思います。

 これは、外国の難民の方を国内に定住させるのにかかるコストが三千万円ですよ、一年間一家族三千万円のコストをかけて日本に定住していただくんですよということを言ったら、多分、世の中の大半の人がそんなのやらぬでいいと。一億五千百万円のお金があるなら、タイの難民キャンプにいるミャンマーの難民の方の生活水準を相当レベル上げることができるのではないかというふうに思うんです。五家族あるいは七家族のために一億五千万を一年間に使いますというような予算の使い方はいかがなものなのか。

 その中の大部分は、要するに研修をやる建物の礼金、敷金なんです、それが何カ月分で七千万円ですみたいな御説明をされるんですけれども、今、国の、自治体の、あるいは独立行政法人、公益法人が持っている施設の稼働率が、フル稼働しているわけではないですね。相当期間あいているところがあって、それを使わせてくださいと言ったら使わせてくれるところはそれは幾らもあるはずで、十カ月分だったかの礼金、敷金を払って研修のための施設を借りるんですという、その程度の予算感覚では困るんだと私は思うんです。

 こういうことをやろうと思うんだったら、それは、五家族分、七家族分の方の研修をやるためのスペースを貸してください、それに対して若干の家賃は払いますよと言えばそれで済む話だと思うんです。それを、さも当然のように、場所を借りるには礼金、敷金を納めるのが当然で、十カ月分の礼金、敷金を要求されたとおりに払ったら七千万円ですというのは、ちょっと待ってくださいよと。やろうとしていることはいいけれども、限られた予算の中でどれだけのことをやるのかというのはやはり考えにゃいかぬ。

 そうすると、外務省としてやらなきゃいけないのは、これだけの施設をこれだけの期間貸してくださいと言って、あいている施設をどううまく使うかということで、一億五千万円、当たり前のようにこれでやるんですということではないと思うんですが、外務大臣、いかがですか。

岡田国務大臣 なかなかおもしろい発想だと思います。

 まず、この第三国定住の難民の受け入れは、いわばパイロットケースといいますか、我が国として初めて取り組むことであって、こういったものはこれから定着させていかなければいけないと私は思います。非常に重要な新しい試みであります。

 今、委員は、いや、そんなお金があれば難民に支給した方がいいんじゃないかというふうにも言われましたけれども、やはり、ミャンマーの難民がタイのキャンプで多少生活が豊かになったとしても、結局は行くところがないということですから、それよりは、ミャンマーに帰ることよりも第三国に定住するということを選ぶ、そういう人たちに対してきちっと生活の基盤を整備するということは大事なことだと思います。

 我々、例えば、中国の日本人が日本に来て、語学も十分できずにほとんど生活保護を受けているということがあったことは非常に記憶に新しいわけですけれども、やはり、引き受ける以上は、きちんとそこで生活できるようにしていく、そのためにどういったことが必要かということを、今回、行わせていただいているところであります。

 施設の話は、あいている国の施設がどこかあるだろう、それを使えばいいじゃないかというのは、なかなかいい御指摘だというふうに私は思いますが、一方で、ミャンマーの人たちのコミュニティーに近いところで研修するということもやはり大事なことなんですね。離れた、遠くの、周りにミャンマーの人たちがいないところで研修をしても、それはなかなか定着することにはなっていかない。そういうことも考えなければいけないということだと思います。

 しかし、既存の施設をなるべく使えという発想、それは、我々公務員が陥りがちな、国民の支払った税金で成り立っているということを忘れがちな、そういう御批判があることはそれなりに私は理解ができるところであります。

河野委員 この事業は、やはり事業仕分けの対象だと思うんですね。大臣おっしゃったように、第三国定住で日本が難民を受け入れるというのは大事だと思いますし、パイロットテストということなら五家族か七家族という、これはそうでしょう、最初から二十も三十もというわけにはいかない、まず五家族定住できるかどうかきちっとやってみるということで、この事業については私はいいと思うんですね。

 しかし、その事業に一億五千万円をかけようというこの外務省のコスト感覚のなさ、これはやはりいかぬと思います。最初のパイロットテストですから、いかにコストをかけずにやるかということをまずしっかり考える。これは八千万円でできれば、七千万円はそれこそほかのことに転用することができるわけであります。

 十カ月分で七千万だったか数千万の礼金、敷金という説明がありましたが、これは、大臣、どの辺のことを考えて、想定されているか御存じでいらっしゃいますか。それとも、まだ計画段階ですからそこまではないのかもしれませんけれども。数千万円のお金を礼金、敷金として払って借りなきゃいかぬ施設というのは、大体どういうことを想定されているんでしょうか。

武正副大臣 今、事務所を借りるということでございますけれども、御指摘のとおりでありまして、研修施設にかかる経費、そういう経費が七千三百万円というふうに考えております。これは、場所とすれば新宿周辺を想定しておりまして、広さは九十坪ということで考えております。

河野委員 その第三国定住をする難民の最初の受け入れが本当に新宿周辺でいいんだろうかというのが、私は疑問であります。東京だけが日本ではありませんし、東京というのはアメリカにおけるニューヨークのような場所でございますから、本当にそこでいいのか。

 それから、私がもう少し疑問に思うのは、ミャンマーのコミュニティー、実は私の地元は、ミャンマー人のお医者さんが昭和三十九年に来られて開業された、ミャンマーのコミュニティーがあります。ミャンマー人のコミュニティーに近いところで受け入れて、確かにミャンマー語で生活はできるかもしれませんけれども、それが日本の国内に定住したということになるのか。多少厳しいかもしれませんけれども、日本語できちっと暮らせるようなところで、周りにミャンマーの方もいらっしゃらなくて、とにかく日本語で暮らさなきゃいかぬ、苦しいけれども、二年、三年たつうちに日本の社会で日本語で生活ができるようになる。

 どっちがいいのかというのは、これはやはりしっかり議論しなきゃいけませんし、本当に新宿に副大臣がおっしゃったような大きさのものを借りるのがいいのか、あるいは、四国でも九州でも東北でも、空き教室の一画を借りてそこで研修をやるのがいいのかというのは、これは最初のパイロットテストをやる前に本当に考えてやらなきゃいかぬことだというふうに思っております。

 確かに、外務省の総予算から見ると、一億五千百万円というのは、それは一億円のお金ですから相当な金額ではありますけれども、総予算から見ればそんなに大きい金額ではないのかもしれません。今度のメコンにかける橋は百億円ですから、それを無償でやるという外務省ですから、一億円なんというのは橋のワンスパンにも満たないようなことかもしれません。

 赤字の会社というのは、まず新聞をとるのをやめるところから始めるんですね。新聞をとるのをやめて、今までビルメンの会社に床を掃除してもらっていたのを、社員が朝早く来て自分で掃除をする。そういうのは、金額としては大したことないかもしれないけれども、やはりコスト感覚というのがそれで変わってきて、無駄をどうやって削っていくかということになるんだと思うんです。

 そうすると、やはり、大臣おっしゃいましたように、当たり前のように、官の感覚で七千万円を計上して、それで施設を借りてというのは、私は間違っていると思います。

 これからやろうとする第三国定住というのは、これは私も大変大事なことだと思いますし、うまくいったらいいというふうに思っております。これを成功させるためには、やはり、大勢の日本の国民の皆さんから、これはいいことだから我々も手伝うよと言っていただく、そういうパイロットプランでなければならない。そのときに、朝、みのもんたさんが、御家族がミャンマーから来るけれども、一家族当たり三千万円のコストがかかりますなんと言われたら、それはパイロットテストがひっくり返っちゃいます。

 私は、もう一度この予算を外務省は真摯に見直して、これだけのものを計上したけれども実際はこれでやろう、余った分は国庫に返納するなりなんなりしようといって、やはりこういうところからコストを削っていくというのが大きな事業仕分けにつながるわけで、枝野さんが頑張っていらっしゃいますけれども、やはり、こういうものを足元で許しておいて、そこでスーパーコンピューターはどうなんだといっても、これはなかなかうまくいかないんだと思います。こういう小さな予算でも、きちっと削らなきゃいけないところは削る。

 第三国定住のような新しいことをやろうとするなら、国民の皆さんに手伝ってもらって、要するに国民の皆さんと一緒に生きてくださいというのがこのパイロットプランでありますから、それならば、最初から手伝ってくださいと言って、税金はなるべく下げるかわりに皆さんよろしくお願いしますと言って、ミャンマーの方が、最初はミャンマーの方がいらっしゃらないようなコミュニティーで、日本語で日本社会の中で早く暮らせるようにするにはどうしたらいいのかということを私はやはり外務省には考えてもらいたい。一億五千万円で当たり前のように新宿に事務所を借りて、やる、そういうものではないと思っております。

 ぜひこの件についても外務大臣にきちっと予算を見直していただいて、実は、外務省の予算にこういう細かいけれどもおかしなものというのはたくさんあるんです。一つ一つ政務三役で、大臣はお忙しいでしょうから、副大臣なり政務官に少し外務省の予算を見直していただいて、本当にこれは、削るところは枝野さんでなくても武正さんで削れるはずでありますから、そういうところはきちっとやっていただきたいというふうに思います。

 時間があと若干になりましたので、例の密約の話、中身の話はまた時間のあるときにやらせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、自民党ができなかったことを外務大臣にやっていただきましたので、これは感謝申し上げ、敬意を表するところでございます。

 ただ、その上で幾つか私はちょっと残念だなと思うところがありまして、一つは、やはり、今まで外務省が隠してきたものを調査するのに外務省の内部調査でよかったんだろうかというのは、私はこれは違うのではないか。本来なら、外務省と無関係の独立した委員会をつくり、そこに独立した事務局があって調査をすべきだったのではないかと思うんです。

 いろいろな、公館やら何やらから十数人引き抜いてこの調査に当たらせたという話は聞いておりますので、それは外務省も大変だっただろうなと思いますし、外務大臣の意気込みは非常によくわかるわけですけれども、私がわからないのは、これは何で泥棒に金庫の掃除をやらせたのか。金庫の掃除をやるなら、やはり身元のはっきりしている人にやらせるべきではなかったかと思うんですが、なぜ外務大臣はまず外務省に内部調査という形でやらせたのか、その大臣の真意をお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 委員、ちょっと泥棒呼ばわりはやめていただきたいと思うんですね。外務省の職員は、これは誠心誠意やったと思います。

 外部にやらせるというのは一つの手法ですけれども、一つは、非常に限りがあると思います。外務省じゅう全部調べるなどということはできません。どこにどういう資料があるかということをわかっているのは、それは内部の職員であります。

 そして、同時に私がここで考えたのは、この調査を中でしっかりやることで外務省の意識を変えようと思ったんです。つまり、そういう情報をきちんと保存し、そして隠したりするということが、世間からいえばそれはおかしなこと、よくないことでありますが、そのことをしっかり認識してもらうためにも、やはり自分たちの手でしっかりやってもらうということが非常に重要であるというふうに考えました。

 そして、私が予想していた以上の熱意を持って調査チームは調査をしたというふうに私は確信を持って言えます。土日も含めて非常に徹底的に調査をいたしました。そこの熱意、そしてその本気さというところについては、私は全く疑っておりません。結果を見れば、私は、内部の調査をしっかりやって、本当にそういう手法でよかったというふうに思っております。

河野委員 私は、若干結論に疑義があるところがございますが、それはおいておいて、外務大臣が一生懸命やってくれた、多分一生懸命やったんだと思いますし、結論はよかったのかもしれませんが、今まで組織ぐるみで隠ぺいしていたところが、その組織の一員が調査をして、なおかつ、合意議事録があったけれどもこれは密約でもないというような、私はあれはいかがなものかなと思うんですが、そういうふうに、いかがなものかなといろいろな人が思う、あるいは、社説の中にも、あの結論は、第三項目でしたか、この結論はいかがなものかというようなことが書かれるような調査結果になったわけですから、やはり私は、瓜田にくつを入れずという言葉がありますけれども、まず、独立した人間がきちんとやって、その人たちのいわば権威と独立性、中立性を担保にしてこうだったんだと言えれば、そこで終わったのではないかというふうに思うわけであります。

 もう一つは、私は北岡さんという方をよく存じ上げておりますし、私はすばらしい方だと思うので、北岡さんを属人的にこの人がと言うつもりはないんですけれども、今度の有識者委員会の座長がかつて外務省の一員として国連大使をやっていた、つまりその組織と関係をしていた人間がトップで調査をした、あるいは、その調査をしたのがまず内部調査であったということは、これは、仮にやったことが一〇〇%正しかったとしても、外から見ると、何か手心が加わったのではないかというふうに思われても仕方がないのではないか。本来、やはり組織と関係ない人間が独立した調査をやるべきだったのではないかというふうに思うんです。

 意識を変えたかったという外務大臣のこともよくわかりますが、私は、それよりも国民に対する説明責任の方が今回は重かったのではないかなというふうに思います。

岡田国務大臣 ここはやり方の問題ですが、私は、当初考えたのは、そういった形でまず内部で徹底的に調査をさせる、しかし、そこで終わることなく、外部の第三者による評価を行うということで組み立てまして、ですから、調査しっ放しではなくて、そういった有識者による徹底した調査、三カ月かかったわけです、内部調査は二カ月ですが、有識者の調査は三カ月。それは、単に外務省の調査をもとにしただけではなくて、もとの資料にも戻ってかなりやっていただきましたし、それから、関係者のヒアリングも、この委員会も参考人として何人かの方をお呼びになると思いますが、ヒアリングも行って裏づけもやったし、アメリカの公文書館も行ったし、沖縄にも行った。相当なことをやりました。そういう形で客観性を担保したということであります。

 委員言われた第三の密約についての話は、ちょっと誤解がありまして、第三の密約、つまり緊急時における核の沖縄への再持ち込みの密約については、実は、外務省の調査が終わった十一月末の時点では資料はなかったわけであります。その後、佐藤信二さんから、佐藤栄作首相のサイン入りの資料が家にありましたということで、出てきた。それに対して有識者の方は、これは密約とは言えないという判断をされたわけですが、それは有識者の判断でありまして、そういったことはこれからいろいろな方がまた再々評価されたりして、いろいろな意見が出てくるんだろう、そんなふうに思っております。

 北岡座長のことも触れられましたが、委員のメンバーはかなりのバラエティーを持っておりまして、メディア出身の方もいますし、お立場はそれぞれであります。そこのところは十分に気をつけて選んでおります。

 北岡さんについては、先般、週刊誌にも載りましたが、鳩山総理や外務大臣は何もわかっちゃいないという発言をアメリカでされて、そのことについて御批判も私に対してもいただいたりしております。決して、外務省にかつていたことがあるから、大使を務めたことがあるからといって、それで手心を加えるような、そういう方ではないと私は思っております。

河野委員 北岡さん個人がということではなくて、やはり、こういう調査をするときには、その関係組織と関係がなかった人がいいのではないかということでございます。私も北岡さんは面識もありますし、よく存じておりまして、北岡さんがいかぬと言うつもりは全くございませんが、今後のやり方の問題だと思います。

 いずれにしろ、外務大臣の行っていただいた調査には感謝を申し上げたい、本当にありがとうと思います。

 ただ、最後の質問でございますが、この有識者委員会の報告書の中で、少なくともこういうことを繰り返さないようにするためには、あるいは資料が欠落していたなどということが今後ないようにするためには、やはり公開のルールに基づいてきちっと文書を公開すべきだという指摘がございましたし、例えばといって列挙されておりましたが、ああしたものをやはり私も即座に公開されるべきだと思いますが、ああした文書の公開について、外務大臣はどのようにされるおつもりかを最後にお聞かせいただきたい。

岡田国務大臣 この報告書が出た日に省議を開きまして、省の中に私をヘッドにするそういった組織をつくりました。一つは、委員御指摘の、資料の保存に関する、そのあり方に対する議論、もう一つは公開に関する議論。三十年ルールはありますが、しかし、それにもかかわらず非常に公開が少なかった、そういう御指摘をいただきましたし、私もそう思っているわけですね。

 ですから、そういうことについて、そう時間をかけずに結論をきちんと出して、そして順次しっかりと資料の公開をしていきたい。それは民主主義の基本といいますか、民主主義にとって非常に重要なことだというふうに私は思っております。

河野委員 ありがとうございました。これで終わります。

鈴木委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 まず冒頭に、直接的にはこういう質問をするとは言っていないんですが、当然御承知のことだと思いますので、お聞きします。

 十三日から、大西洋クロマグロをめぐる、絶滅のおそれがある野生生物、こういうふうに指定するかどうかを検討するワシントン条約の締約国会議がカタールで開催される。こういうことから、今、新聞、メディア等、この状況をめぐって、「クロマグロ 欧州「禁輸」が大勢」というようなことで、クロマグロはあたかも私たちの食卓からなくなってしまうかのごとく、いろいろと取りざたされておりますけれども、この会議について、現状、どのような状況にあるのかという状況認識をぜひ副大臣からしてもらいましょうか。お願いします。

武正副大臣 赤松委員にお答えをいたします。

 モナコ提案については、一部の締約国を除き大半の締約国はいまだ立場を明らかにしていないのが、まず現状でございます。

 我が国は、昨年七月にモナコが同国の提案を締約国に回覧し共同提案国及び賛成国の募集を開始したときより、同提案への反対を求め、継続的に関係国への働きかけを実施してまいりました。

 具体的には、ワシントン条約締約国における駐在大使より各国ハイレベルへの働きかけ、各国へのミッションの派遣等を行ってきたところでありまして、十三日から始まるこの会議でありますけれども、我が国の立場への支持を得るため、引き続き最大限努力していく考えでございます。

赤松(正)委員 今の副大臣のお話では、要するに、今の場面で全体がどのような状況になっているのかわからない、新聞等がかなり先行して報道している、こういうふうに今聞きました。後で、表向きはそうだけれどもどうかということがもしあったら言っていただきたいんですが。

 そういう状況を受けて、きょうのこの法案等に関係をいたしますので、若干、質問冒頭で、今の会議についてのお話をしたいと思います。

 去年の十一月二十五日ですが、当委員会で、南東大西洋条約などを審議しました外務委員会において、私は、モナコが大西洋クロマグロをワシントン条約の規制対象にするべく、今もお話ありましたけれども、国際的な働きかけをしているということについて、外務省の対応をただしました。その際、吉良大臣政務官が「より多くの国の支持を得るべく努めてまいる」という答弁をされ、今も武正副大臣も、より多くの支持を得るべく幾つかのやっておられることについてお話がありました。

 先ほど、民主党の委員の方の御質問に答えて、農水省の政務官も、外務省と連携をとりながら、政務三役並びに事務方もしっかり連携をとって、いろいろと、言ってみれば支持を得るべく工作をしているというか、働きかけをしているというお話がありました。

 先ほど副大臣はいろいろなレベルでの交渉と言われましたけれども、さらにどのような努力をしたのかということについて、より突っ込んだ話を聞かせていただきたいと思います。

武正副大臣 先ほどお話をしたとおりで、駐在大使からの働きかけ、またミッションの派遣等ということでありますけれども、政務三役もこの問題については意識を持って、いろいろな各国要人、また締約国は百七十五カ国に上りますので、ほとんどの国がワシントン条約の締約国に入っていると言ってもいいわけでありますので、そうした各国のハイレベルのバイの会談、あるいはマルチのいろいろな会議で、こうした要請をそれぞれ政務三役が先頭になって取り組んできたということでございます。

赤松(正)委員 その結果としての、現状はもうあしたから、日本時間との関係はあるでしょうけれども、手ごたえ、成算といいますか、見通しというか、それはどうなんでしょう。

武正副大臣 モナコ提案への対応ということは、まだまだ会議はこれからということでありますので、あくまで報道ベースということになろうかと思いますけれども、今わかっているところでは、三月一日にカナダが反対を表明、三月三日に米国が支持を表明、三月八日にスイスが支持を表明ということで、EUについてはモナコ提案支持の方針を決めたとの報道がありますが、まだ内容は非公表ということであります。

 先ほど言いましたように、三分の二の賛成が必要ということでありますから、百七十五カ国中の三分の二ということで、かなりの国の賛成が必要ということもありますので、引き続き、投票が行われるまで、ぎりぎりまで努力をするということだと思います。

赤松(正)委員 今のお話の中で、アメリカ、EU、これが日本とは反対の立場ということですが、アメリカとは、この問題に関して、要するに日本の立場をしっかり説明する、このあたりの交渉はされたんでしょうか。

武正副大臣 先ほど触れたとおりでございまして、在米日本大使館を通じて、またこうした政務三役を通じて累次行ってきたというところでございます。

赤松(正)委員 政権がかわって、後でも申し上げますけれども、岡田外務大臣を先頭にして、いろいろ新しい日本外交の展開というものに苦慮しておられるというか努力をしておられる、これはよくわかるんですけれども、過去、岡田外務大臣に三回ほど御質問する機会があったわけですけれども、そういう状況の中で、アメリカ、今回のクロマグロの問題について、そういうことが影響したというふうには通常は思わないというか思えないんですけれども、言ってみれば、普天間の問題あるいはまた一連の日米関係、ちょっとぎくしゃくというふうな指摘もありますが、そういうことが影響しているというふうに思われるのか、思われないのか、大臣にお願いします。

岡田国務大臣 そういうふうには考えておりません。日米同盟というのは非常に幅広いものであります。もちろん、普天間の問題は重要な問題であるというふうに認識をしておりますが、例えば、最近であれば、中身はなかなか申し上げられないのは残念ですけれども、北朝鮮をめぐる日米でのやりとり、あるいはイランをめぐる同じようなやりとり、そういったことについてしっかりとお互い連携をとり合っておりまして、そこに、何か従来と違うとか、そういうことは私は全く感じておりません。

赤松(正)委員 今の大臣の御発言、そして先ほどの武正副大臣の御発言等踏まえて、最後の最後までしっかりと外交的努力、交渉を続けていただきたい、結果として失敗してうまくいかなかったというふうなことにならないようにお願いしたい、そんなふうに思います。

 次に、在外公館をめぐる問題でありますけれども、実は、今回のこの法案の審議に当たりまして幾つか資料を当たったわけでありますけれども、そんな中で、元外務省の職員で、現在ただいまの時点のお立場はわかりませんが、帝京大学の教授をされていた松村正義さんという方が「法学研究」の二〇〇八年の九月号、第八十一巻九号で、「日露戦争における日本在外公館の「外国新聞操縦」 アジアと大洋州で何をどう広報したのか」という、約五十ページほどにわたる論文を書かれておりまして、結構読みごたえのある論文でありました。

 その中で、日ロ戦争の最中に、当時の論調であった日本人蔑視の黄禍論、日本とかあるいは中国を対象にしたいわゆる黄色人種に対する蔑視、差別の考え方ですけれども、これを盛んに宣伝していたロシアに対して、日本政府は、五十五カ国・地域に設置されていた在外公館に指示をして、有力なマスメディアであった新聞や雑誌を利用した対外広報活動を行って、有力な中立国のあっせんを得て講和に持ち込んだということが書かれております。

 こういったこと、日本の国際社会における孤立化を懸念する指摘というのは、実はちょっとオーバーだというふうな感じもしないではありませんが、このところ、何誌かにおいて、そういうことを懸念する指摘もメディアにあります。先ほど取り上げました大西洋クロマグロをめぐる動き、さっき元気いっぱい、岡田外務大臣はそんなことはないとおっしゃいましたけれども、そういう懸念を持つ向きもないわけではない。そういう状況の中で、今申し上げました松村さんの研究というのは、不利な状況であっても、在外公館の積極的な広報活動で国際世論を日本に有利に運ぶことができるんだということの一例を示している、こう思うんです。

 重ねてになりますが、この大西洋クロマグロの件で、外務省は、在外公館全体に対して、より多くの支持を得るための何らかのサゼスチョン、指示、そういうものを行ったという経緯はあるんでしょうか。

武正副大臣 ちょっとにわかには、訓令をいつ出したかとか、そういうところまで今手元にないんですけれども、先ほど来申し上げておりますように、それぞれの在外公館、またハイレベルでのアプローチ、そして政務三役挙げて取り組んできたということでございますので、当然、在外公館には、そうした本省での取り組み、政務三役の発言、あるいはさまざまな形でのバイあるいはマルチでの働きかけ、それはそれぞれの、特に締約国の在外公館、その大使は承知するというような形になっていると理解しております。

赤松(正)委員 この問題も、きのう質問すると言ってあるんですから、しっかりと掌握をしておいていただきたいと思いますね。

 実は、この論文の一番最後に、こういうくだりがございます。

 日露戦争時、南アジアで唯一の独立国といってよかったシャム(現・タイ)国に設けられていたわが国の公使館やシンガポールに置かれていた日本領事館などによって行なわれたであろうと推測される「外国新聞操縦」に関する資料が、外交史料館の所蔵する記録綴り「外字新聞論調報告並ニ外国新聞操縦一件」の中に全く見当たらないのである。どうしたことであろうか。それらが他の記録綴りの中にファイルされていて見出せないのであれば、無論それは筆者の責任に他ならない。

こういう五行の文章で最後は結ばれているんですが、言ってみれば、「法学研究」における今申し上げた松村さんという方の呼びかけ、これは資料が見当たらなかったということについて、その後、これについて、いきさつというか、探された経緯というのはあるんでしょうか。

武正副大臣 御指摘の資料について、けさ質問通告をいただいたことを受けまして、急ぎ確認を行ってまいりましたが、現時点では、外交史料館において同資料の存在は確認できておりません。

赤松(正)委員 ということは、私がきょう質問するということについて、ちょうど外務省に広い意味でまつわる資料についての保存、それに対する姿勢というものを聞いてみようという気がして、急遽、朝お知らせしたわけですけれども、要するに、こういうそれなりに大きな影響力のある雑誌に書かれたことを、やはりだれかが見て、それに対する反応というものを直ちにする姿勢というのは私は大事だと思うんですね。

 大臣、首をかしげられた。では大臣、おかしくないですか。こういうことについて、つまりレスポンスする。要するに、こういうことが書いてあるよ、これについてどうするかということについても、調べてみるなり、あるいはどうこうするなりということがあっていいんじゃないか、こういうことです。

岡田国務大臣 今、副大臣が述べましたように、けさ質問通告をいただいて、調べておりますが、現時点では確認できていないということでございます。もう少し時間をかけていろいろ調べるべき重要な資料であるという御指摘ならわかりますが、けさ指摘してすぐ調べろということであれば、ちょっと私は納得ができないわけであります。

 ぜひ、今の委員の御指摘、論文、私も読ませていただいて、その上で、欠落があるのであれば、早速よく調べてみたいというふうに思います。

赤松(正)委員 要するに、私が、事実関係として調べるのについて、朝言って今、それはわかります、急であるということ。ただ、こういう問題について敏感でなくちゃいけないということを言ったわけで、つまり、それも時間ですね、時間だからこれ以上言いませんが、こういうことに対して敏感であってほしいということを省議の中でも言っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 あと、百五十大使館体制という問題ですが、先ほど平沢委員の方から詳しくありましたので、私はそれを踏まえた上で質問をしたいのは、先ほど岡田大臣は、結局、聞いておりまして、言ってみれば予算の問題、パイをふやさなくちゃいけない、この話をされましたね。ですから自由民主党の皆さんにも御協力願いたいという意味合いのことをおっしゃいました。

 ということは、予算だけのことなんでしょうか。つまり、お金の問題はどこまでもつきまといますけれども、前政権が十年間で百五十の大使館体制を確立する、こういう姿勢で数年間を積み上げてきた。恐らく大臣は、いろいろな意味で見直したいというお気持ちなんだろうと思う。そういう意味で、そのままを継がないということだろうと思うんですが、先ほどはそういうことは触れられなかった。

 つまり、予算だけなのか。それとも、予算が仮にあるとしたら、前政権が目指したそういう戦略というか、その戦略部分に関してはどういう考えを持っておられるのかを聞かせていただきたいと思います。

岡田国務大臣 先ほどもちょっと述べたところなんですが、一つの考え方だと思います。なるべく大使館がないという国を減らす。具体的に言うと、これはアフリカに集中的に大使館を確保していくという考え方であります。

 ハイチの例に見られるように、いざ災害など、あるいは何か起きたときに、大使館というのは、邦人にとって、日本人にとって最後の頼りになるところでありますので、大使館すらないという国がたくさん存在しているということは、必ずしも好ましくない。そういう意味で、最近、私は自民党時代からというふうに先ほど申し上げたんですが、大使館をふやす、百五十館体制というのは一つの考え方であると思います。

 ただ、他方で、限られた資源をどういうふうに使っていくかという観点に立ったときに、例えば省内で、今、新興国と呼ばれる、G20に名を連ねるような国々に対して、もっと集中的に人もあるいはお金も投入すべきではないか、そういったところが少し先進国と比べて手薄になっていないか、こういう議論もあるわけですね。そういう考え方もある。ですから、資源国にもっとちゃんと手当てをすべきだというのは、けさ御質問で、ほかの委員からもいただきました。

 そういうことをちょっと、全体の戦略を省の中でよく話をしなければいけない。その上で今後の、百五十館体制を目指すという考え方を維持するのかどうかということを決めさせていただきたいというふうに思っています。

赤松(正)委員 そういう意味では、しっかりと早急にそういう大使館のありようというものについて戦略を組み立てると考えておられるというふうに理解いたします。

 最後に、領事ボランティアという問題につきまして、公明党は、外部人材を積極的に活用して、平和・人権外交の基礎になる在外公館マンパワーの充実を目指しているということを今まで主張してまいりましたけれども、今後、領事シニアボランティアをさらに充実させる考えがあるのかどうかについて発言していただきたいと思います。

岡田国務大臣 実は、私は、領事シニアボランティアという存在を知りませんでした。委員の質問の中で、けさ知ったところでありますが、定期的にいただいている活動報告も先ほど少し読ませていただいて、民間での発想で、特に窓口業務を中心にやっていただくというのは非常にいいアイデアだと思います。もう少し広げることが可能なのかどうか、そういった点についてよく研究してみたいと思います。

 民間の発想でこういったことをやっていくというのは非常に大事だと思いますし、それから、先ほど通告いただきながら御質問いただかなかったんですが、ある委員の方が、日曜祭日、窓口を開けるという発想はないのかと。これもなかなか大変なことだと思いますが、しかし、今、自治体なんかでも土日開いている、窓口が開いているところが日本の中にもありますね。観光客が土日に集中するというか、そこは数が多いということは容易に想像できるので、そういったことも将来的に考えられないのか。そういうこともよく研究してみたいと思っています。

赤松(正)委員 インターネット等を見まして、取り組んでおられる皆さんの本当に喜びの声がありますので、現状は少し先細りみたいな感じになっていると思いますので、ぜひとも取り組みをしっかり強めていただきたいと申し上げさせていただきまして、終わります。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 今回の在外公館法の一部改正案については賛成であります。その上で、在外公館の役割について質問をしておきたいと思います。

 国外に住む日本人の子供たちを対象に日本人学校があります。そして、これは現地の日本人会などが協力をして設置して、そして現地の学校運営委員会、その他がその運営に当たっている。この学校運営委員会には、当該国の在外公館の領事も加わっております。

 昨年七月一日の当委員会において、私は、ハノイの日本人学校におけるパワハラ問題について質問いたしました。その後、文科省、現地の学校運営委員会等が対応されたようでありますが、まだ問題がきちんと解決されていないという関係者の訴えが私のところに届いております。さらに、この質問をきっかけに、ほかの国にある日本人学校の関係者からも、同様な問題が起きているという声が寄せられております。

 そこで伺います。

 在外公館の役割は、政治経済の分野において日本を代表してさまざまな交渉を行うほかに、派遣国の邦人の保護等にあると私は承知しております、まだその他幾つかありますが。この立場から、日本人学校で現実に起こっている問題など、邦人が直面する諸問題の解決のために、関係省庁と協力をして必要な役割を発揮するのは在外公館の当然の重要な機能の一つだと考えますが、この点はいかがでしょうか。

武正副大臣 笠井委員にお答えいたします。

 在留邦人の直面する問題、直接的な邦人支援に限らず多種多様でございまして、問題に応じて、関係省庁とも協力しつつ支援に努めております。

 今、御紹介ありました日本人学校、子女が就学している公館に占める割合、百七十三公館中七十四カ所、それぞれ、大変現地の日本人が協力して、日本人の子供たちの教育に献身的に当たっておられる。でも、なかなか大変な御苦労があるということも伺っております。

 そうした点についても文科省との協力、あるいは運転免許についての警察庁との協力、在外選挙については総務省との協力ということで、関係省庁との連携をしっかりとやっていくということで努めております。

笠井委員 前政権のときにも、当時の中曽根外務大臣がきちっとやれるようにできる限りの支援を行っていきたいということでありましたが、新政権のもとでも、こうした問題を含めて、在留邦人の具体的な問題解決のために、これからも誠心誠意、努力をしていただきたいと思います。

 もう一つ、在外公館の役割といいますと、やはり日本を代表して外交交渉を行う、その点では、本国の基本的な施策とのかかわりが大きいわけですけれども、一カ月半後に迫った二〇一〇年NPT再検討会議について若干質問しておきたいと思います。

 今、全国各地で、この会議に向けて、「人類の生存と子どもたちの未来のために核兵器のない世界を」というアピールへの署名が取り組まれております。既に三月十日現在で、首長、副首長、前首長七百六十人、議会の正副議長、前議長四百七十四人を含む、四百八十万四千七百二十五筆の署名が寄せられて、三月二十八日、東京港からニューヨーク国連本部に船便で送られるということであります。

 この署名が世界にも広がって、各国の姉妹都市からも、首長を初め多くの署名が寄せられているというふうに聞いております。

 この署名のアピールには、こうあります。

  二十一世紀のいまも、二万六千発の核兵器が世界の平和と安全を脅かしています。ヒロシマ・ナガサキの悲劇が示すように、核兵器の使用は一瞬にして無数の命を奪い、世代を超えて人びとを苦しめ、文明を破壊します。被爆者は「人類と核兵器は共存できない」と警告し続けています。核兵器による新たな犠牲をつくりだしてはなりません。人類の生存と子どもたちの未来のために、人々の連帯した行動によって、核兵器のない世界を実現しましょう

まさに、この呼びかけが広範な人々に共感を呼んでいるということだと思います。

 そこで、大臣、まさに核兵器というのは、道義に反する、非道徳的なものであり、二十一世紀の世界においては、文明国ならば使用できない非人道的兵器だと思います。だからこそ、核兵器は、いろいろなやり方ということで議論はありますが、廃絶しかないということだと思いますが、なぜ核兵器は廃絶なのか、この原点の問題についての大臣の認識、そして、核兵器のない世界に向けてのさまざまなNGOのイニシアチブについてどう評価されているか、この二点を伺いたいんですが。

岡田国務大臣 私は、核兵器というのは人類にとって大量破壊兵器の最たるものでありますから、非人道的であって、そして扱いを間違えれば人類全体が絶滅の危機に瀕するような、そういうものであるというふうに考えます。したがって、核なき世界、核兵器のない世界を目指していくということは、これは非常に重要なことだというふうに思っております。

 ただ、現実に核兵器が存在する中でどういうふうにしてその道筋をかいていくかということは極めて重要なことでありまして、そのバランスといいますか、将来の目指すべき大きな目標としての核なき世界、しかし、現実に幾つかの国が核兵器を持って、そして核の脅威もある中で、核による抑止ということも含めて、そういったものに依存しながら、大きな目標である核兵器なき世界をどう目指していくか。その微妙なるバランスというところに常に悩みながら、私も日々、核兵器のない世界を目指しているところであります。

笠井委員 NGOの、大きな意味での核兵器のない世界を目指す取り組みについての評価はいかがですか。

岡田国務大臣 その方向性が正しいということは言うまでもないと思います。ただ、それをどのようにして実現していくかというところにいろいろな議論があるということだと思います。

笠井委員 今、紹介した署名は、NPT再検討会議に向けて二つ求めていまして、一つは、核保有国には二〇〇〇年五月の核兵器廃絶の明確な約束を実行するということ、もう一つは、核保有国を初めすべての国の政府が速やかに核兵器禁止・廃絶条約の交渉を開始して、締結することに合意することだと。

 そこのところは議論があると言われたわけですが、私は、オバマ大統領の去年のプラハ演説がある中で、やはり二〇〇〇年の再検討会議が、せっかく明確な約束ということを含めて十三項目の実際的措置で合意したのに、二〇〇五年のときには、私も行きましたが、アメリカの妨害によって具体的な成果が得られなかった。今度こそ、二〇〇〇年の合意を再確認して、すべての核保有国が核兵器廃絶への現実的プロセスに参加をして、第一歩を踏み出すということが大事だと思います。

 政府も、その会議に向けて新しい提案などの準備を進めていると承知しているんですが、大臣、そこで伺いたいんですが、一月二十九日の外交演説の中で、「核兵器のない世界を実現するための第一歩となる具体的な手段」ということで、その一つとして、核兵器保有の目的を核兵器使用の抑止のみに限定することといった考え方に注目しているということを言われました。そして、オーストラリアや米国など関係国とも議論を深めていくと言われました。二月二十一日には、日豪の外相共同ステートメントでも同様のことを述べられていると思うんです。

 大臣が注目されているという、核保有の目的を核兵器使用の抑止のみに限定するという考え方というのは、例の核不拡散・核軍縮に関する国際委員会の報告書ということで、その中にある、いろいろありますが、「特に米国はその核態勢見直しにおいて、少なくとも、核兵器保有の「唯一の目的」は、自国又はその同盟国に対し他国が核兵器を使用することを抑止することである、という原則を受け入れるべき。」という、この部分に注目されているということでよろしいんですか。

岡田国務大臣 委員御指摘のとおりでございます。

 それをいかに広げていくかということについて、核保有国の中の特定の国がこういった考え方をとったとしても、それは余り意味がないわけでありまして、やる以上は、それは実効性を持たなければいけない。そういったことのためにどうやってこの考え方を広げていくかということ、非常に重要だと私は考えておりまして、豪州のスミス外相とは共同宣言のような形で発出をさせていただきましたし、ドイツのウェスターウェレ外相と日本で議論した際にも、こういった問題についてかなり議論を深めさせていただいたところでございます。

笠井委員 そうしますと、米国など核保有国に対して、核兵器保有の唯一の目的として限定するというふうに言いながら、自国またはその同盟国に対して他国が核兵器を使用することを抑止することだけなら、核兵器を持っていいということになります。そういうお墨つきを与えることが、どうしてこの核兵器のない世界を実現するための第一歩になるのか。ここは私も理解できないんですが、どういうふうに説明をされますか。

岡田国務大臣 ですから、核なき世界をどういうステップを踏んでやっていくかということだと思います。

 大きく言って二つあると思うんですが、一つは、核を持っている国が核軍縮を進めていくということですね。これは米ロの間でまさしく今話し合いの最終的な段階まで来ているというふうに思いますが、そういったことで保有国同士がやっていく話が一つ。もう一つは、やはり核の役割を限定していくということが重要なんですね。

 今、委員御指摘の話のその一つ手前にある話として、核を持っていない国には核を使用してはいかぬということにする、消極的安全保障。私は、これは大体多くの国の中で共有されている考え方ではないかと思いますが、そのことをいかにしっかりと確認するかということは非常に重要なことだと思うんですね。

 次のステップが、核保有国の間で使うとしても、その目的は核兵器の使用に対する抑止に限定するということで、核の目的というものをそれだけ、限定するということであります。

 そういう形にして、やがて核というものは、その先にあるのは恐らく先制不使用、そして将来的に核そのものを使えなくする、こういうステップを踏んでいく話ではないかと思います。

笠井委員 次のステップという形で、今限定するお話をされたんですが、私は、第一歩どころか、さっき大臣が言われた、残虐な兵器だ、だから、人類と共存できないこうした非人道兵器である核兵器を、わざわざ限定つきなら持っていいと言うのは、今、核兵器をなくそう、そして持つのをやめようというNPT再検討会議に向けての世界の流れがある中で、その方向と逆じゃないかというふうに思うんですね。およそ少なくとも、被爆国がそういうことを言っちゃいけない。しかも、このことによって、特定の国だけ核保有を認めて、その現状を固定化することになります。

 世界で唯一の被爆国であって、核兵器廃絶の先頭に立つべき日本の政府がこういう議論に注目して主張するというのは、私はいけないんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

岡田国務大臣 いろいろな議論があっていいと思いますが、唯一目的、核兵器の目的を今言ったことに限定するという考え方については、私の理解するところ、多くのNGOも、ぜひその方向で進めろ、進めるべきだというふうに主張しているところが多いというふうに思います。

笠井委員 NGOには違う意見がたくさんあるということでありまして、大体、限定つきといいますけれども、核抑止というのは、いざとなれば核兵器を使うというおどしによってみずからの安全を守ろうという考えですから、核使用が前提になって初めて成り立つ議論であります。使えなければ抑止力にならないわけであります。

 そういう点でいうと、いかなる形であっても、核抑止力論、核の傘論こそ、核兵器のない世界に向けての一番の障害になってくる。国際社会、特に被爆国日本がこの考えから抜け出すべきだ。核密約の徹底解明とあわせてこの問題も大いに議論したいと思いますが、まさに被爆国としては、核兵器廃絶そのものを主題とした国際交渉ということで前面に掲げて、その中で効果的な措置、部分措置を本当に具体化していくということこそやるべきことだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

鈴木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、小宮山泰子君外四名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・改革クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。小野寺五典君。

小野寺委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表しまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  国際社会には現在、解決の糸口が見えない北朝鮮の拉致・核・ミサイル問題、イランの核問題、不安定な治安状況が続くアフガニスタン情勢、ソマリア沖における海賊被害の多発など、早期解決が求められる数多くの懸案がある。また、金融危機後の経済政策、国際テロリズム対策、核兵器廃絶や気候変動問題への取組、イラク復興に対する援助、ハイチやチリで発生した地震災害の復興支援等にも、国際社会が一致して取り組まなければならない。そのような中、我が国に求められるのは、国益を踏まえつつ、国際社会との協力・連携の下、これら諸問題に毅然と対応する外交力である。そのためには、我が国外交を担う外務省の外交体制強化や危機管理体制の改革が強く求められる。他方、国内においては、依然として財政事情が厳しく、経済も苦境に直面しており、在外職員に支給される在勤手当など、在外公館に係る様々な経費についても、国民から厳しい視線が注がれている。外交体制強化等への取組に際しては、こうした国内事情を重く受け止め、国民の声に真摯に応えていく必要がある。これらを踏まえ、政府は、本法の施行に当たり、次の事項について検討の上、適切な措置を講ずるべきである。

 一 我が国の外交力強化の観点から、外交の最前線基地である在外公館の重要性に鑑み、我が国の国益、相手国との相互主義等を踏まえつつ、戦略的に大使館の実館化を進めること。

 一 在外公館においては、大規模自然災害や犯罪・テロ等の緊急事態の際、在外邦人に対して迅速かつきめ細やかな支援を行えるよう、情報の日常的な提供・共有体制等も含めて危機管理体制の機能拡充に努めること。

 一 我が国の厳しい財政事情を厳粛に受けとめ、在外公館に関わる予算の効率性・透明性を高めるとともに、その執行に当たっては、適切な支出が図られるよう具体的な措置を講じること。

 一 在勤手当については、各任地の事情を勘案するとともに、民間企業や諸外国外交官の給与・手当の水準、為替・物価の変動など客観的な基準を踏まえ、必要に応じて全般にわたる見直しを行うこと。見直しに際しては、国内の財政事情及び外交活動を推進する上での必要性の双方を考慮し、適切な額を算出すること。

 一 国際社会のグローバル化による海外渡航者や在外邦人の増加に伴って領事業務の重要性が高まっていることに鑑み、邦人の活動環境を向上させるため、国民の視点に立った領事サービスの不断の向上に努めること。

 一 外務省においては、より一層の情報公開と外交機能強化のための組織・制度の改革に全力で取り組み、その成果を国民に対して分かりやすく説明すること。

 一 在外公館における監査・査察体制の一層の強化を図ること。

  右決議する。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

鈴木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣岡田克也君。

岡田国務大臣 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を可決いただきまして、まことにありがとうございました。

 外務省としては、ただいまの附帯決議の御趣旨を踏まえつつ、今後とも外交実施体制の強化を図り、種々の外交課題に全力で取り組んでまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木委員長 次回は、来る十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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