衆議院

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第8号 平成22年3月26日(金曜日)

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平成二十二年三月二十六日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 宗男君

   理事 木内 孝胤君 理事 小宮山泰子君

   理事 空本 誠喜君 理事 中野  譲君

   理事 和田 隆志君 理事 小野寺五典君

   理事 平沢 勝栄君 理事 赤松 正雄君

      大山 昌宏君    吉良 州司君

      齋藤  勁君    阪口 直人君

      末松 義規君    武正 公一君

      中津川博郷君    西村智奈美君

      萩原  仁君    浜本  宏君

      早川久美子君    平岡 秀夫君

      松宮  勲君    横粂 勝仁君

      岩屋  毅君    河井 克行君

      高村 正彦君    新藤 義孝君

      古川 禎久君    笠井  亮君

      服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         岡田 克也君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 中井  洽君

   外務副大臣        武正 公一君

   法務大臣政務官      中村 哲治君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  安倍 晋三君     古川 禎久君

同月二十六日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     新藤 義孝君

同日

 辞任         補欠選任

  新藤 義孝君     岩屋  毅君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 刑事に関する共助に関する日本国とロシア連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 刑事に関する共助に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 刑を言い渡された者の移送及び刑の執行における協力に関する日本国とタイ王国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第三号)


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 刑事に関する共助に関する日本国とロシア連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件、刑事に関する共助に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件及び刑を言い渡された者の移送及び刑の執行における協力に関する日本国とタイ王国との間の条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平沢勝栄君。

平沢委員 おはようございます。自民党の平沢勝栄でございます。

 きょうは、条約、協定も含まれますけれども、三件について御質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、この前、大臣はハイチに行かれましたけれども、まあ、いろいろ成果があったと思います。この前の委員会で私は、ハイチは、向こうはあの貧しい国が日本に大使館を置いている、こっちは向こうに大使館を置いていないということについて質問させていただきました。こういった国が今十四カ国ある、こういったところを早く在外公館の整備を急ぐべきでないかということを質問させていただきました。

 今回、外務大臣として初めてハイチに行かれまして、現地はもちろんドミニカ大使館が兼館としてやっているんですけれども、大臣は大使館が現地にないことについてどう思われたか、それについてちょっと御所見をお聞かせください。

岡田国務大臣 この問題は、きのう参議院の方でも御質問をいただきました。私、そのときも申し上げたんですが、やはりハイチについては、これから十年、二十年、あるいはそれ以上かかるかもしれませんが、本格的な復興をするための国際的な支援ということが重要になってまいります。そういうときに大使がいないということは、そういった国際会議になかなか出席ができないということになりかねません。したがって、やはりいろいろな意味で、せっかく日本も積極的に貢献しようとしておりますが、重要な会議に出られないということでは差しさわりが出るかもしれない、私はそういうふうに率直に感じたところであります。

 あわせて、大使館の最低限の機能というのは、やはり邦人の保護ということであります。今回の災害に当たって、大使はドミニカにおりましたけれども、大使館員は必死になって邦人の保護、確認のために厳しい状況の中で走り回ったわけでありますけれども、やはり邦人の保護ということを考えると、大使が存在しない国がたくさんあるということは決して望ましいことではない、そういうふうに感じているところでございます。

平沢委員 この前申し上げましたように、在外公館の整備、そんなに多額の金がかかるわけじゃないので、今回整備しようとした五つの館は数十億で整備できるわけでございまして、ぜひお願いしたいなと思います。

 次にもう一つ、条約に入る前に、普天間の件について御質問させていただきたいと思います。

 報道では、普天間で政府の中がほぼまとまってきたと。まずはキャンプ・シュワブの陸上、そしていずれはホワイトビーチの沖合を埋め立てる案に行く、その間、基地機能の一部を徳之島とか県外に移転する、こういう案が出ています。

 まあ時間がかかってこんな案に落ちついたのかな、何かますます問題をややこしく、難しくしているな、そして、これは事実上、解決としてはもう不可能じゃないかなという感じがしてきました。

 大臣、きょうこれから米国大使に会われるようですけれども、この案でこれから話し合いをされるんでしょうか。

岡田国務大臣 普天間基地の移転の問題は、官房長官のもとにゼロベースで検討を行っているところであります。まだ検討の途上にありますので、それ以上申し上げることはありません。

 報道はいろいろありますが、それは正しいものではございません。憶測に基づくものでございます。ルース大使とは、けさ、現状について、つまり検討の途上にある現状について説明をしたところであります。

平沢委員 憶測で、正しくないというなら、それで私はよかったなと思っています。なぜならば、きょう報道されている案というのは、沖縄県外と言っていたのに、県内なんですよ。沖縄県民からすれば、愚弄された、裏切られたという気持ちになってしまうんです。そして、今度はホワイトビーチをいずれは埋め立てるということになったら、では、今までの埋め立てとどこが違うんだということにもなってしまうんです。そして、今度の案は、話し合う先がまた、徳之島だとかほかのところがもう一カ所加わってくるんです。ますます難しくなってしまったので、鳩山総理は針の穴に縄を通すようなものだと言っていましたけれども、そうじゃないんです、これは針の穴にラクダを通すんですよ。だから、これはもっともっと難しいんです。

 結局、今まで日米政府の合意で決めたものを、今回またちゃぶ台をひっくり返したようにゼロベースにしてやっているからこういうことになったのではないかなと思いますけれども、これはまたいずれ時間をとって詳しく質問させていただきたいと思います。

 次に、日ロ刑事共助条約、日・EUの刑事共助協定について質問させていただきたいと思います。

 これは両方とも同じだと思いますけれども、片っ方は条約、片っ方は協定、まあ、権利義務とか効果は同じだと思いますけれども、なぜ使い分けたのか、これを簡単に説明してください。

武正副大臣 平沢委員にお答えいたします。

 条約及び協定は、国家間の国際約束に一般に使われる名称でありまして、その効果、権利義務関係に影響を与えるものではないということでございます。

 今回の条約と協定、名称が違うじゃないかということでありますが、刑事共助に関する国際約束では、一般に刑事共助条約の名称が使われることが多い。我が国が締結しているものの場合は、条約は三件、日米、日韓、日中、協定は一件、日・香港ということであります。

 日・EU刑事共助協定については、EU側が域外国との間で通常、協定を使っている、締結している。我が国としても、単一の国とは異なり、国の連合体であるEUとの国際約束であることにかんがみて協定としたものでございます。

平沢委員 従来は、刑事共助、捜査共助というのは外交ルートでやっていたわけで、もちろんICPOルートというのも使われていたわけですけれども、今回これを、条約という形で協力関係をより強固にするということだろうと思います。

 この前の大臣の提案理由の説明の中で、こうした条約を締結することによって、一層確実に実施される、そして共助の効率化、迅速化が期待される、こういうことがあります。共助の効率化、迅速化、これはダイレクトにやるわけですから、外務省ルートを通さない、だからわかりますけれども、一層確実に実施される、この確実に実施されるというのはどういう意味でしょうか。

武正副大臣 今、平沢委員御指摘のように、これまでは各国の国内法令に基づいた国際礼譲として実施してきた共助が、条約の締結によって条約の義務となることから、一層確実に実施されることを確保することができるという意味での、やはり担保ということでしょうか、その意味での共助の確実性が高まるという意味で、これを確実というふうに挙げたということでございます。また、各国で中央当局を指定していることも、その共助の実施に当たる、確実ということにもつながるというふうに考えております。今回、ロシア、EUとの刑事共助の迅速かつ確実な実施ということを申したのは、そうした点でございます。

平沢委員 まあ、そうなんでしょう。

 ただ、今まででも、外交ルートあるいはICPOルートでもそれほど支障はなかったんだろうと思いますよ。だから、私は、日本はこれほどこうした条約の締結というのに今までは余り力を入れてこなかったのではないかなと。これは、条約になれば確実になるといっても、それは間違いなく確実にはなるんでしょう、しかし、今までもそれなりのことができたので条約の必要性をそれほど感じていなかったんでしょうけれども、もし本当に、確実、迅速、効率ということであれば、もっともっと条約の締結を急いだ方がいいんじゃないかと思います。

 今までこの条約を結んでいるのは、アメリカ、韓国、中国、香港、それに今度、ロシアとEUが加わる、それで三十数カ国になるんでしょう、これは。まだまだ少ないと思いますけれども、今後のこの条約の締結の見通しはどうなるんでしょうか。

武正副大臣 お答えをいたします。

 これまで刑事共助条約の締結が少ないじゃないか、これまででも十分担保できたのではないのかという平沢委員の御指摘でございますが、ここで急ぐ必要ができた理由というのは、やはり国際情勢というものも大きくあると思います。テロあるいはマネロンなど、いろいろそうした国際犯罪が起こる確率というか数、そういったことが非常にふえているというのも背景にあろうというふうに考えております。

 今後の予定でありますが、今、スイスとフィリピンでは予備的協議を実施しているということでありまして、そうした国際情勢にもかんがみて、この刑事共助条約のそうした協議、そしてまた締結を急ぐ必要があろうかというふうに思っております。

平沢委員 今、スイスとフィリピンと言われましたけれども、やはり捜査共助が必要なのは、とりわけアジアの国々との関係が必要になってくると思いますけれども、フィリピン以外のアジアの国はどうなるんでしょうか。

武正副大臣 お答えいたします。

 今回の国会にタイとの移送条約の批准をお願いする、承認をお願いするということでございますが、アジア各国との協議ということでいえば、中国について、胡錦濤国家主席が来日した折に、刑事共助条約はありますけれども、それに加えて、犯罪人の移送とかあるいは引き渡し等、こういったこともこれから協議しようということは合意をしている。ただ、その協議の第一回はまだ行われていない。アジア各国との刑事共助も含めて、まだまだこれからということだと思います。

平沢委員 これは刑事共助、例えば死刑のある国、ない国、そういった国との間では大変に難しくなってくるわけで、例えば、日本とEUの刑事共助協定によりますと、十一条に「共助の拒否事由」というのが書いてありまして、「被請求国は、次のいずれかの場合には、共助を拒否することができる。」こう書いてあります。その中に、被請求国が重大な利益が害されるおそれがあると認める場合には、被請求国は結局これを拒否することができるということなんでしょうけれども、ただ、例外がありまして、そのための条件に関し被請求国と請求国との間で合意がある場合は除かれる、こういうふうになっているわけです。ですから、例えば死刑になる犯罪であっても、場合によってはEU側も共助ができるということになるわけです。

 そこでお聞きしたいんですけれども、具体的に、例えば死刑にできる犯罪でもEU側が共助できる場合というのは、どういう場合なんでしょう。

武正副大臣 日・EU刑事共助協定の死刑に関する規定についての御質問でありますが、死刑を科し得る犯罪に係る共助の要請に際し、すべての場合についてかかる共助要請が拒否されることとされているわけではないということであります。

 個別の事案において関係国と共助の実施のための条件に合意する場合ということで、今御質問の、どういうときなんだということでありますが、共助を実施するための条件及びどのような場合に関係国がその条件について合意することになるかについては、個別の事案に応じて決まるということでございます。

平沢委員 ちょっとよくわからないんですけれども、要するに、条文の中では、きょうは法務省からも政務官においでいただいていますけれども、そのための条件に関し被請求国と請求国との間で合意がある場合は除かれると。これは具体的にはどういうことなんですか、政務官。

中村大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど外務副大臣から申し上げましたように、実施に関する条件については、各事案の具体的事情に基づいて関係機関が適切に判断するものであり、一概には申し上げることはできません。

 ただ、今、具体的にというお話でありましたので、一例を挙げますと、同種同例の裁判例を考えた場合に、法定刑では死刑はあるんだろうけれども、この事案ではなかなか死刑というところまではいかないんじゃないかというような事案というのも個別事案で出てきます。そういったことに関しては、資料を示して、これは死刑はかからないと思いますよという形で示して合意を得るということはあり得るのではないかと考えております。

平沢委員 次に、双罰性についてちょっとお聞きしたいんです。

 現行の国際捜査共助等に関する法律では、結局、双罰性に欠けている場合に捜査共助は禁止されているわけですけれども、今回、条約を締結することによって、相手国側の判断では、場合によってはできる、こういうことになるわけです。

 そこでお聞きしたいんですけれども、日ロの刑事共助条約第三条によりますと、被請求国の中央当局は、双罰性に欠けた場合でも共助を拒否することができると。ですから、場合によっては共助することができるとなるわけで、例えば、双罰性に欠けた犯罪についてロシア側から要請があった場合に、日本側は場合によっては捜査共助をすることが可能でもあるわけで、それは法務大臣の裁量にゆだねられているということだと思いますけれども、この法務大臣の裁量の判断の基準というのはどうなるんでしょうか。

中村大臣政務官 通告を受けておりませんでしたので、ちょっと準備させてください。

平沢委員 では、先にほかの質問をしますから、後で時間があったら答えてください。

 次に、日本とタイの受刑者の移送条約についてお聞きしたいと思います。

 今、日本は、受刑者の移送については多国間条約、すなわち、CE条約と言われていますけれども、これを二〇〇三年に締結しまして、この締約国との間では受刑者の移送ができることになっているわけでございます。もう既に六十カ国を超えているはずなので、今度のタイがこれに入っていればわざわざ二国間条約を結ぶこともなかったわけなんですけれども、タイはなぜこのCE条約には入っていないんでしょうか。これについて御説明ください。

武正副大臣 お答えいたします。

 我が国は、国内法制上、受刑者移送については、相手国との間で条約が締結されていることを前提としております。条約前置主義ということでありまして、タイ側は御指摘のCE条約に加入しない方針をとっているため、日・タイ間で受刑者移送を行うために新たに二国間条約の締結が必要となるということであります。日・タイ間では緊密な人の往来がありまして、相手国で刑罰を科される両国民の数が一定数存在することが予想されることから、タイとの間で受刑者移送を実施する意義があり、この条約を締結する必要があると判断するものであります。

 なぜタイはCE条約に加入しないかということでの御質問でありますが、タイの受刑者移送制度はCE条約に基づく制度と多くの点で類似しているわけなんですが、移送国にのみ特赦等を行う権限があるなど独自の基準も有していることからCE条約には加入しない、これまでにタイは二十七カ国との間でこの二国間の受刑者移送条約を締結していると承知しております。

平沢委員 外国人受刑者の多い国は、今、日本には三千人以上を超えていると思いますけれども、一番多いのはたしか中国人でしょう。それから、ブラジルとかイランとかこういったところが多いわけで、こういった国との二国間条約といいますか、CE条約に入れば別ですけれども、それはどうなっているんでしょうか。

武正副大臣 お答えをいたします。

 先ほどもちょっと触れましたが、日本における外国人受刑者の中でのタイの多さというのは第八位、第一位は御指摘のように中国人ということであります。

 先ほど触れましたように、胡錦濤主席の来日の際、平成二十年五月に、日中犯罪人引渡条約の締結交渉を開始するとともに、そのときの状況を踏まえて受刑者の移送条約の締結交渉についても速やかに開始する、両条約は同時期の署名を目指すということで一致をしております。ただ、まだ第一回の締結交渉は準備中ということであります。

平沢委員 ほかの国との締結が急がれていますので、ぜひよろしくお願いしたいと思うんです。

 移送に当たっては日本と相手国とそして本人、三者の同意が必要になってくるわけですけれども、この中で被害者の感情というのはどうなるのか。外務省からもらった資料をずっと見ていましても、何かいろいろ書いてありますよ。だけれども、被害者のことは全く書いていないんですよ。だけれども、今まで忘れられてきた被害者のことが随分今、時効の廃止だって、これは被害者が声を上げて今度やるんじゃないですか。何でこれは被害者の気持ちというのが書いていないのか、そして、移送に当たっては被害者の気持ちはどのくらいおもんぱかられるのか、ちょっと教えてください。法務省でもいいですけれども。

中村大臣政務官 御指摘のように、送出移送を実施するに当たっては、国際受刑者移送法に定める実施要件のほか、移送の相当性を法務大臣が慎重に判断することとしております。特に、例えば強盗など被害者を有する事犯を犯した外国人受刑者の送出移送を実施するに当たっては、被害者等、遺族も含まれますが、被害者等の意見をあらかじめ聴取することといたしております。そして、その意見は移送を実施するか否かを判断する上で重要な考慮要素とさせていただいているところでございます。

 今後とも、そのような被害者感情に十分に配慮しつつ実施してまいります。

平沢委員 ということは、被害者が知らないところで勝手に移送されることはないということで理解してよろしいですね。わかりました。

 それで、日本から移送して、本来ならこれは刑があと残十年あったのが、相手国に送られて十年が一年くらいで釈放になる、これは仮釈放とかいろいろな制度が違いますから、そういった可能性はないのかどうか。今までもいろいろな移送が行われていますけれども、それについての追跡調査をきちんと行われているのかどうか。これはどうですか。

 ちょっと、これは時間が無駄だから。きちんと答えてくれないと、これは条約を審議できませんよ。これはイロハですから。

中村大臣政務官 十五条のところで、締約国は情報を提供する、裁判国が特に報告を求める場合とありますので、そういう形で報告がなされることになろうかと思います。

平沢委員 全然違うことを聞いているんです。私が言ったのは、要するに、刑の扱いが国によって違うわけで、例えば仮釈放だって違うわけだから、日本でまだ残期がいっぱい残っているのに向こうに行ったらすぐ釈放されることはないんですかと。今までそういう例はあったでしょう、外国では。日本の場合はないんですか、その追跡調査はちゃんとやるんですかと聞いているのに、全然違うこと、とんちんかんなことを言われちゃ困りますよ。全然次元が違う話を答えている。もう一回答えてください。

 ちょっと時間をとめてください。時間が無駄でしようがない。

鈴木委員長 計算していますから、ちょっとお待ちください。

中村大臣政務官 事前の説明を受けている場合には一件一件きちっと把握をしているというふうに聞いておりますので、まだ案件自体も送出移送で百六十二人ですので。それから、特段短くなっているというケースは聞いていませんし、そういうふうな状況……

平沢委員 いや、そういうことを聞いているんじゃなくて、追跡調査はやっているんですねと聞いているわけだから、イエスかノーかでいいんですよ。追跡調査はちゃんとやっているのかやっていないのか。

中村大臣政務官 先ほど申し上げましたように、追跡調査はやっております。

平沢委員 では、これからも追跡調査はきちんとやって、もしおかしかったらこの移送のあり方については再検討していただきたいと思います。

 最後に、受刑者に対する告知、これはどうするのか。これは、例えば日本とタイの間では努力義務になっているでしょう。努力義務になっているということは、要するに、タイ側は結局、告知するかしないか、必ずしも一〇〇%明らかじゃない。日本側はこれは必ずするんですか。そうしたら、その場合のギャップというのはどうなるんですか。

中村大臣政務官 我が国としては、現行の欧州評議会との条約に基づくものと同様の運用をしようと思っております。

 それで、先ほど委員がおっしゃったように、タイについても、この条約が締結され発効したときに受刑されている者については速やかに、また、その後に確定した場合にも速やかにタイ語で書かれている条約の重要事項については貸与することにしております。

 そして、今御関心のあったタイに受刑されている日本人については、外務省の協力を得まして、在外公館を通じて受刑者移送ガイドラインを手渡すことにより通知することといたしております。

平沢委員 では、これで終わりますけれども、要するに、受刑者にきちんとやはり告知するということも大事で、これから外務省はどんどん仕事がふえると思いますよ。例えば、在外にいる日本人受刑者に対してこれを全部通知する、バンコクならいいけれども、バンコクじゃなく片田舎にいた場合はどうやって告知するのかといったようなことも含めて、これから外務省は大変だと思います。しっかり頑張ってもらいたいと思いますけれども、ちょっと答弁の方は、基本的なことしか聞いていませんので、しっかり準備していただきたいなと思います。

 では、質問を終わります。

鈴木委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 改めて、日・EU刑事協定について伺いたいと思います。

 まず、共助の拒否事由、日・EUですが、死刑を科し得る犯罪について、私は不平等ではないかというふうに思っております。

 例えば、EUの国民が日本において複数の日本人を殺害し、そしてまたEUの加盟国に帰ってしまった。この場合、日本はこのEUの加盟国に対して、当然この共助協定に基づいて情報の提供なり身柄の引き渡しを求むる、そのことが出ます。ですが、日本国内では、複数を殺害された場合、もしかしたらこれは死刑になる可能性があるということで、EUがこれを拒否することができるということになります。

 逆に、日本の国民がEUの加盟国に行って複数の方を殺害し、そして日本に帰ってきた。この際、EUの加盟国はこのEU国内で犯罪を犯した日本人に対して、この共助の協定に基づいて当然さまざまなことを要求してくると思いますが、この場合に、日本はこの協定においては恐らく拒否できないんだと思います。

 このように、日本とEUについての不平等ということについて外務大臣はどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

武正副大臣 小野寺委員にお答えをいたします。

 今回の日・EU刑事共助協定で、EU側のみが死刑を理由に共助を拒否できる旨規定されていることについての御質問でございます。

 一般に、刑事共助協定のもとでは、自国の重要な利益を害する場合には、各国は共助を拒否し得ることとされております。日・EU刑事共助協定においては、死刑を理由とした共助の拒否もこうした場合の一つと確認したものであります。

 我が国とEU加盟国との間に刑事共助協定が存在していない現状下においても、EU加盟国側からは、我が国からの共助要請について、死刑を理由に共助を実施しないことができるという現状は変わらないわけでありますが、今回の刑事共助条約は、相手国との共助の迅速化、効率化を図るとともに、共助の確実性を高めるものでありますが、やはり、日本とEUとの法制、法律の制度の違いによって各国がなし得る共助の範囲に差が生じることはやむを得ないことだと考えております。

小野寺委員 今御答弁にありましたが、日本で犯罪を犯したEU国民に関して、日本が共助を求めてもEUはこれを拒否することができる。逆に、日本人がEUの国内で犯罪を犯してしまって、EU側がこの共助についての協力を求めた場合には、日本は事由としては拒否できないということで、これは不平等になるのではないか。

 私はやはり、共助条約の中で、この不平等さというのがどうしても、それぞれの二国間の問題での法制度の違いで差が出てくる、これはしっかり詰めていかないと、あくまでも不平等をここでは残してしまうということになる協定だと思っております。

 そこで、法務省にお伺いしたいんですが、この問題の根幹にありますのは日本の死刑制度の問題です。二月に、民主党議員の国会での質問に対して、千葉法務大臣は死刑制度の廃止について言及をされていますが、現在、死刑制度の廃止について検討されていらっしゃいますでしょうか。

中村大臣政務官 死刑制度の存廃については、我が国の刑事司法制度の根幹にかかわる重大な問題であると認識しております。

 今、千葉法務大臣におかれましては、国民の間で幅広い観点からの議論が行われることが望ましく、そのような場ができればいいのではないかというお考えでございます。関心をお持ちの皆様の間で、さまざまな機会に多様な形の議論が行われることが望ましいのではないかと考えております。

小野寺委員 ちょっと政務官、正式な答えをしてください。

 これは二月二十四日の衆議院法務委員会で、長島委員への答弁です。千葉法務大臣は、お尋ねの死刑の問題です、将来、死刑が本当になくなっているという状況になれば、これは大変好ましいのかな、私はこういう考えを持っていることは確かですというふうに明確におっしゃっています。

 法務大臣がこのような話をしているということは、これは法務省として当然検討しているというふうに考えていいんでしょうか。

中村大臣政務官 法務省の中で今勉強会等の設置は行っておりません。

小野寺委員 大臣が方針を示していて、法務省では何もこれに従っていない。

 済みません、政務三役はどんな議論をしているんですか。

中村大臣政務官 大臣が累次の国会答弁で申し上げているように、大臣は基本的に、まず、死刑は人の生命を絶つ極めて重大な刑罰であると考えておりますが、他方で、死刑の執行命令を発することが法の定める法務大臣の職責であることも理解しているところですというところで、今は法務大臣の方針を待っているところでございます。

小野寺委員 法務大臣は死刑をなくしたいという方針を出しているわけじゃないですか。決してあなたを責めているわけではないんですが、結局、大臣がこうやって死刑廃止の方針を出していて、そして政務三役の中では話を議論していず、法務省の中では検討もしていない。どうなっているのかということを、戻りましたらぜひ法務大臣にしっかりお伝えしていただければと思います。

 さて、今回のこの共助条約の中で、ビデオについての捜査、聴取ということがございます。このビデオを通じた聴取、これは逆に言えば、イギリスあるいはEUの加盟国が、日本に犯罪者がいた場合にビデオを通じて聴取するということなんですが、今可視化の問題が盛んに叫ばれています。このビデオを通じた聴取というのは可視化の問題に抵触してくるのではないか。

 例えば麻薬という犯罪は、EUの加盟国で麻薬を購入し、それを持って日本に入ってきて、日本で麻薬で逮捕されたということになった場合、当然これはEU側も、EUの自国の法律に抵触しますから、この犯罪人をビデオによって可視化して調査しなきゃいけない。ところが、日本に入ってきて日本全体の状況も調べなければ、恐らくこれ自体は犯罪として立証できない。

 そうすると、この可視化において、EU側は可視化のような状況でビデオで調査ができる、日本に関しては現在まだ可視化については認められていない。そうすると、これもまたお互い不平等になるのではないかと思いますが、このビデオについての内容について、どのようにお考えでしょうか。

中村大臣政務官 ビデオ会議という言葉がちょっと誤解をされるのではないかというようなところをまず申し上げたいんです。

 ビデオ会議を通じた事情聴取に関する規定は、被請求国に所在する証人等について、請求国に渡航することなくその供述を得ることを目的として、可能とするために規定をされております。ということですので、記録をするかどうかということとは関係ないんです。

 しかし、取り調べの可視化の議論というのは、ビデオに記録をして、その記録によって取り調べの過程が適正なものかどうかという形で判断させる、そういう論点でございますので、このビデオ会議という言葉と取り調べの可視化というのは記録という意味で違っているということだけ御理解いただきたいと思います。

小野寺委員 ということは、ビデオの問題というのは、EU側は記録をしないということは明確に言っているんでしょうか。

中村大臣政務官 記録をするかどうかという話じゃなくて、それをもとにして判断するということを言っておりますので、取り調べの可視化の、取り調べの記録の問題とこれは違うということでございます。

小野寺委員 でも、結果的に、ビデオでEU側がこれを記録、普通は記録しますよね、記録した場合には、日本ではできないのにEU側はできるということにならないですか。

中村大臣政務官 基本的に、対面でするかわりとしてテレビ電話を使って会議をするということでございますので、そのときに記録をするのかどうかということと取り調べの可視化の議論とは直接関係はしないということを申し上げているわけでございます。

小野寺委員 それでいいんでしょうか。本当に、日本でも今、取り調べの状況を記録するということで大変な議論になっていますが、今のお話であれば、EU側は特にそんな議論はしなくていいという御答弁だと思いますが、これはやはり、日本とEU側とこの条約で共助する中で、先ほどの死刑の問題と同じように不平等が発生するのではないかと思うんですが。

中村大臣政務官 日本側は今ビデオ会議という仕組みを使っての捜査を行っておりませんので、そういった日本側の事情はあるということでございます。(小野寺委員「だから、EUはできて日本ができないというのはどうするんですか」と呼ぶ)それは、そういうことではなくて、捜査手法に関してはそれぞれの国がそれぞれのやり方をしておりますので、日本の場合は日本のやり方をやっている、それが一概に不平等とは言えないと考えております。

小野寺委員 ですから、日本ができないでEUができる、死刑も同じだし、ビデオの可視化の問題もそうですし、日本とEUで、日本はできないのにEUだけができる、こういうことを認めていいんですか、それをちゃんと担保しないといけないんじゃないですかということを繰り返し聞いているわけです。それは、日本はできないけれどもEUはできるんだ、それでいいんだというふうにお考えでしょうか。

中村大臣政務官 先ほど外務副大臣も申し上げましたように、捜査共助においては、法制の差異により各国がなし得る共助の範囲について差が生じることは、当然あり得るものだと考えております。

小野寺委員 ということは、現在の政府は、このような不平等が発生しても、それはあり得ることだという御答弁だと理解をさせていただきます。

 それでは、このようなことがないように、ぜひこれからも私ども、この問題、追及していきたいと思います。

 きょうは外務大臣においでいただいていますので、けさ、ルース駐日米大使と外務省飯倉公館で会談をされた、そのテーマについては普天間の基地移設の問題だということでありますが、けさの会談の内容について教えていただければと思います。

岡田国務大臣 先ほど平沢委員にも御答弁いたしましたが、けさ、ルース大使と会って、普天間移設問題に対する日本国政府の検討の状況について説明をしたところであります。

小野寺委員 説明された内容について、なかなかつまびらかにされないんでしょうけれども、ルース大使の反応はいかがな反応だったんでしょうか。

岡田国務大臣 会談の内容について明らかにすることは避けたいというふうに思います。

小野寺委員 昨日、連立三党の中で恐らく議論されたと思うんですが、けさの新聞各紙は、もう既に状況については報道をされております。

 私は、外務大臣、実は今の閣僚の中では尊敬するところもございます、中ではですね。それはなぜかというと、キャンプ・シュワブの現行案に関しても選択肢の一つだとずっと言ってこられた。それは私は、私どもの考え方の部分もしっかりと見てもらっている、そう思っておりました。

 ところが、この報道によりますと、既に長年議論をしてきて、しかも、アメリカも同意をし、辺野古の三区の住民の方もこれは仕方がないということで考えているこの現行案について、この案については提示をしていないというふうに報道されていますが、これは事実でしょうか。

岡田国務大臣 先ほども答弁申し上げましたが、日本国政府の検討の現在の状況について説明をしたところでございます。中身については申し上げるつもりはございません。

 それから、新聞報道、いろいろありますけれども、新聞報道が正しいものとは認識をしておりません。

小野寺委員 三月末までにこの案をまとめる、政府内でまとめるということには変わりございませんか。

岡田国務大臣 私は三月までに政府案をまとめるという発言は一度もしていないんですが、少なくとも、何か具体的なものとして対外的に発表できるものを三月末までにまとめるということは、私はないものと承知をしております。

小野寺委員 鳩山総理は再三発言をされていますが、外務大臣は総理の発言を否定されるんですか。

岡田国務大臣 総理も、それを対外的に明らかにするということは言われてないと承知をしております。

小野寺委員 それでは、三月末までにもこの問題については答弁はできない、そして、五月末までに決定するまでは表に出すことはないということなんでしょうか。

岡田国務大臣 いつ明らかにできるか、それは、その案でしっかりとまとまるという確信を持ったときに明らかにすることになるというふうに思います。

小野寺委員 私たちは国会で審議をしています。私たちは国民から選ばれた人間です。その私たち、国民から選ばれた人間がこうして大変な日本の外交案件についてのことを外務大臣にお聞きしているのに、外務大臣は一切それについて答えない。そして、アメリカとの協議ができた後にそれをオープンにする。それで本当に国民に説明ができるとお考えでしょうか。

岡田国務大臣 こういった問題は、議論のプロセスが明らかになることによって話が結局うまくいかないということが多いわけでありますので、そういうことがあることはやむを得ないと思います。そのことは委員も、現在のV字形滑走路の案というのがどういう経緯で出てきたかということを考えれば、十分に御存じのはずでございます。

小野寺委員 一つだけ指摘したいことがございます。

 現在、勝連沖、ホワイトビーチのところでの移設の問題について検討されるやに、これは官房長官も発言されておりますので、恐らくそうなんだと思います。大臣は、この現場に、海上に実際に行かれたことがございますか。恐らくないと思います。

 私どもは、先週、実は船でこの勝連沖をずっと回ってまいりました。そこで改めて驚いたのは、当然、モズクの大切な漁場でもありますが、ここには日本でも有数な大きな石油の備蓄基地がございます。これは洋上から写真を撮ったものでして、必要であれば見ていただければと思いますが、すぐ目の前に大変大きな日本の石油の備蓄基地があるんです。ここに本当にこの基地が移転した場合、日本の安全保障の問題、シーレーンの問題、石油の問題、さまざまな問題が発生してくる。この現状を大臣は認識されていましたか。

岡田国務大臣 勝連沖が今、検討の対象になっているかどうかということについては、私はコメントを控えたいと思います。

 それから、御質問にお答えするとすると、勝連沖、私は行ったことはございません。

小野寺委員 これは新聞報道と否定されるかもしれませんが、さまざまな方の発言というのが、やれキャンプ・シュワブだ、やれ勝連のところで、また、徳之島に移すだの、大村空港はどうだのとさまざまな意見が出ておりますが、実は、今の政権の皆さんは現地に行って現場の声を聞いていない。それでばらばら発言されるのは、これはその地元住民にとっては大変迷惑なことになります。

 外務大臣はそんなことはないと思いますが、本当に真摯な議論をするのであれば、ぜひ現場に自分で船で行って、その海がどうなっているのか。私は昔ここで潜ったこともあります。いかにこの海峡がすばらしいところかもわかっています。そういうことを把握した上で発言をしていただきたい、そう思っております。

 さて、この案、五月末までに決めるということで再三再四議論をされて、発言をされておりますが、もしこれが仮に米軍との協議の中で決まらなかった場合、あるいは、これはもう信じたくはありませんが、普天間が固定化されるような事態になった場合、この場合には大臣はどのような責任をとるお考えか、お伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 政府として、五月末までに結論を得るということをお約束しております。

小野寺委員 かつて大臣は県外移設に対しても政治生命をかけるとおっしゃったことがあるぐらい、この問題に対しては真摯に、真剣に取り組まれている方だと思います。もしこの問題が解決せず、沖縄の方々がまた苦しむようなことがあったら、大臣はどのような責任をとるか、改めてお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 仮定の議論にお答えするのは適当でないと思います。

 それから、先ほど委員が引用された、県外ということに私の政治生命を云々という発言でありますが、それは二〇〇五年の発言、日米合意案ができる以前の問題であります。そのことだけは事実として申し上げておきたいと思います。

小野寺委員 合意ができる前に言ったことだから今は違う、そういうような言い方は私は岡田大臣からは聞きたくないな、そのような印象がございます。

 さて、次の話題なんですが、後の新藤先生がこれからお伺いすると思いますが、竹島をめぐる問題について、一点確認をしたいことがございます。

 皆さんも御存じだと思うんですが、実は、韓国は竹島に今、ヘリポート、これをしっかり改修しようという状況になっています。理由は、突発的な軍事衝突に迅速に対応するため。突発的な軍事衝突、どことの軍事衝突か。これは日本じゃないですか。そして、ここの北西一キロに海洋科学の基地をこの九月に着工する、これがもう決まっている。こんなことが実際行われているのに、外務大臣含め外務省は、この問題についてほとんど言及していませんし、また、しっかりとした表に見える形で抗議をしていることもない。私は、これは大変大きな国益にかかわる問題だと思います。

 前回の外務委員会でも私は聞きましたが、例えば、高校の教科書から、指導要領から竹島の記述が消えた問題、これはなぜ消えたかと聞いたら、民主党の現政権の文部科学の政務三役で決めたというじゃないですか、竹島の記述を落とすということを。これは大変な問題ですよ。こうやって韓国側に誤ったメッセージをどんどん伝えているから、結果的に、竹島は、これはもう日本は放棄したんだ、こう思われているから、今回のようなヘリポートの増築そして基地の増設、このような検討がされるんじゃないかと思っています。

 一点確認をさせていただきたいと思います。

 これは岡田外相が、前回の質問では、竹島は日本の領土とおっしゃっていました。ところが、二〇〇九年九月六日、韓国のハンギョレ新聞というところ、ここで岡田外相は、自民党よりこの問題に対して強力に主張するのではなく、政権公約として掲げたのではない、これを韓国の言論に言ってほしい。竹島は日本の領土と私たちはしっかり考えているわけではない、それを韓国に言ってほしい、こういう発言をされていると報道されていますが、この真偽についてお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 それがいつの記事かは私は承知をいたしませんが、そういったことを言った事実は全くございません。

小野寺委員 これは、この記者、岡田外相がインタビューで答えたということで、当時は外相かどうかわかりませんが、岡田さんからそのように聞いたというふうに報道をされております。ぜひこのような間違ったメッセージが伝わらないようにしっかりやっていただきたいと思います。

 最後に、クロマグロのワシントン条約についてお伺いします。

 大変頑張っていただきました。こうしてすべて、サメ類も含めて今回は附属書の掲載を見送られたということになりますが、私が心配しているのは、実は、ここまでクロマグロの問題で日本が攻撃されるのであれば、この際、もうクロマグロを大西洋の国から日本が輸入することをやめたらいいんじゃないか。

 なぜかというと、今回のCITESの会議では、EUの加盟国は、日本に対してあるいは世界に対してこれを輸出しない、貿易をやめるということで附属書1の提案をされましたよね。向こうが輸出したくないと言うんだったら、日本が逆に、では、EUの各国から大西洋のクロマグロの輸入というのを率先して禁止しよう、受け入れるのをやめよう、そういう姿勢を示すことがむしろ日本の資源管理としてしっかりとしたメッセージを出します。そして、これからCITESがまた数年後にあると思います。そこに対しては大変重要なメッセージだと思うんですが、済みません、農水省の考え方を聞きたいと思います。

佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 小野寺議員がこの問題に熱心に取り組まれておりますことを感謝申し上げたいと思います。

 大西洋のクロマグロについては、附属書1の場合の輸出禁止はもちろんですが、日本の船自体もそこで漁業をやってございますから、そういった意味では連動する課題であります。さらに、日本は、一連の話として、むしろICCATでしっかり管理すべきだということをずっと主張してきておりますから、そういった中では、資源管理がきちっとできて、もしそういう資源がどんどん減っていくような事態があれば、まず漁獲量を減らす、そして一時的には禁漁にするということなどもICCATの中では日本は提案しているところでありますので、そういう姿勢は今回の中でもある程度世界に認められたのではないかというふうに思っています。

小野寺委員 一点だけ。例えば、EUのトルコという国の漁獲枠はたしか八百トン弱だと思っています。ところが、日本にトルコから入ってくるクロマグロは三千トン弱なんです。なぜ八百トンしか枠がないのが三千トンも入れてくるか。さまざまな理由を言います、蓄養して大きくなったとか、ほかの国から持ってきたとか。でも、基本的にはこの統計というのが大変不安だ。

 私は、この際、EUの国は出さなくていい、そうCITESで附属書1に了解したわけですから、むしろ日本が率先して、わかりました、あなたの国が輸出したくないというふうにCITESで提案したのであれば、日本は輸入を禁止しますと。そうすれば、日本の漁業者だって採算が合うようになるんです。日本が世界にマグロの問題で文句を言われることはないんです。ぜひ輸入禁止、相手が出したくないと言ったんですから、だったら私たちは、わかりました、輸入を禁止しますと。ぜひこの方針を考えていただきたい。このことを申し添えて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、新藤義孝君。

新藤委員 新藤でございます。

 まずは、刑事共助条約についてお尋ねしたいと思います。

 今回幾つか出ているわけでございますが、私は、基本的にこれは推進すべきだ、このように思っているんです。しかし、我が国にとって刑事共助条約の歴史は浅く、まだ相手国・地域も三カ国一地域ですね。こういう状態なんですが、それにしても、これらの国々と、国際捜査協力において、条約締結前と以後ではどのような変化が見られたのか、今回の共助条約を結ぶことによってどんな効果が得られるのか、この点についてどのように認識しているか、お尋ねしたいと思います。

武正副大臣 新藤委員にお答えをいたします。

 今お話しのように、米国、韓国、中国、香港ということで、平成十八年から二十一年にかけて刑事共助条約、協定を締結いたしました。

 刑事共助条約等の発効により、それまで各国の国内法令に基づき国際礼譲として実施されてきた共助が相手側との間で条約上の義務となることから、先ほども平沢委員にお答えしたように、一層確実に実施されることが確保されるようになりました。また、双方の間で中央当局を指定しております。共助の実施のための連絡を、従来の外交ルートでなくて中央当局間で行うことで、さらに迅速化、効率化されるようになったと考えております。

 今、この間どう変わったかということでございますが、平成十八年から二十一年、今日に至る間に、こうしたことでよりさまざまな捜査共助、これが確実、迅速に行われるようになったということでございまして、また、あと、これから、今回の条約も含めて、先ほども触れましたように、国際環境がテロあるいはマネロンなど著しく緊迫もしている、そういった状況も踏まえて、そうした捜査共助の締結をやはり急ぐ、そういうようなきっかけになっているというふうに考えております。

新藤委員 わかりました。

 それでは続きまして、受刑者移送条約、これについても私は大枠のことを確認したいと思っているんです。

 受刑者移送条約は、これまでは日本はCE条約というものに加盟しているのみで、バイの、二国間の条約は日・タイが初めてになるということですね。これはなぜこういうことが必要かというと、結局、外国の刑務所に収容される受刑者というのは、犯罪更生がまず第一に必要だと思うんですが、しかし、外国に収容されている中で、言葉だとか文化、生活習慣が違えば、そういうストレスでもって刑の更生までいかずに、その前提のところで苦しい生活を強いられる、こういうものを解消するということは私は刑の更生に非常に意味がある、だから、その意味において本国への移送というのは有効だと思っているんですね。

 それから、あわせて、日本の刑務所に収容されている受刑者というのは、私たちの税金で食事をし、光熱水費を使い、我々が維持しなきゃならないわけです。本来であれば、そういうものを、本国移送が可能になれば、それは私たちの国の負担というものも削れる、こういうふうになっていくと思うんです。

 だから、その意味において、日本に収容されている外国人の方、外国人受刑者、国別に見て多いのは、中国が千四百人、ブラジルが四百四十九人、イランが四百人、韓国人が二百十八人、こういうふうになっていますね。それから、日本人が外国で収容されている、こういう国は、中国が三十四人、タイが二十人、アメリカに十九人いる、こういうふうになっている。こういった国の中で受刑者移送が可能なのは、CE条約に加盟している韓国と米国と今回のタイのみということになる。

 だから、日本にたくさんいる外国人受刑者、そういう人たちの国と優先的にこういう移送条約を結んでいく必要があるんじゃないかと私は思うんですね。ですから、中国だとかブラジルだとかイランだとか、こういうところの協議というのを優先して進めるべきだと思うんですが、今後の見通しについてどうお考えでしょうか。

武正副大臣 お答えをいたします。

 先ほども答弁をいたしましたが、中国との間では、胡錦濤主席の来日時に首脳間で合意をしたということでございまして、第一回の締結交渉を速やかに開始すべく、現在鋭意準備を行っているということであります。それから、イランについては、予備的な協議を実施しているところでありまして、また、ブラジルとの間では、司法分野作業部会の中で受刑者移送条約の締結の可能性を探るべく協議を実施中でございます。

新藤委員 ぜひ、こういう問題は戦略的に考えていく必要があると思いますから、今後のさらなる推進をお願いしたい、このように思います。

 そこで、私は、この外務委員会でお時間をちょうだいいたしまして、これに加えて、今、竹島の問題、日本と韓国における領土問題です。この竹島の問題について、今、日本政府がどんなことを考えているのか、そして韓国が竹島において何をやろうとしているのか、このことをお尋ねしたい、また明らかにしたい、このように思っています。

 お手元に資料もありますから、ぜひ委員の皆さんもごらんになってもらいたいと思います。

 まず、岡田大臣にお尋ねします。

 我が国の竹島問題における基本認識、これはどういうことになっているんでしょうか。

岡田国務大臣 私もこの国会の場で答弁を既にしておりますが、竹島の領有権に関する我が国の立場は一貫をしております。韓国側に対して累次の機会に我が国の立場を申し入れているところであります。

 今後とも、竹島問題の解決のために、より有効な方策を不断に検討しながら、粘り強く努力をしていきたいと考えております。

新藤委員 大臣、きちんと答えてくださいよ。何も言っていないじゃないですか。我が国の立場は変わっておりませんと言っているだけで。

 あなたが竹島についてどう思っているかということですよ。竹島は日本の領土なのか、そして竹島は韓国によって不法占拠されているということなのか、それを大臣としてきちんと言葉に出してもらいたいということです。どうですか。

岡田国務大臣 当然、竹島は日本の領土であります。

新藤委員 不法占拠はどうなの。

岡田国務大臣 その竹島を日本が占有していないことは事実であります。

新藤委員 いやいや、ちょっときちっと言ってくださいよ、あなた。何でそういうふうにすりかえるの。外務省のホームページにきちんと出しているじゃないの。どうして大臣が言えないの。

 竹島は韓国によって不法占拠されているかどうか、そのことをきちっと自分で答えてくださいと言っているんです。

鈴木委員長 武正副大臣。(新藤委員「いや、大臣だよ」と呼ぶ)とりあえず副大臣から答弁して、それから岡田大臣に答弁してもらいます。

武正副大臣 新藤委員にお答えをいたします。

 竹島は我が国の領土であるということで、今、竹島の現状については、実効支配ということでされている現状というふうに考えております。

岡田国務大臣 今、副大臣が述べたとおりであります。

新藤委員 岡田大臣、あなた、何でそうやって言葉に出せないの。だれかの言ったとおりだとか、従来の見解のとおりだとか、どうして自分の言葉で責任持って言えないんですか。きちっと言ってくださいよ。こんなことは基本中の基本なんだから、しかも、そのとおりだと言っているのなら、なぜ自分の言葉で言えないんですか。

 もう一度言ってください。

岡田国務大臣 先ほど、私の言葉で申し上げたところです。

新藤委員 竹島は韓国によって不法占拠されているかどうかと聞いているんです。不法占拠されているんですか。

岡田国務大臣 竹島は日本の領土であります。しかし、今、実効支配をするには至っておりません。

新藤委員 では、韓国の不法占拠は認めないんですね。どうですか。

岡田国務大臣 もう私は何回もお答えしていると思いますが、そういう表現を使いたければそういう表現もできると思います。

新藤委員 だから、どうしてそれならそれで、その表現を使ってくださいよ。その表現を使って、あなたの口から聞きたいんですよ、僕は。竹島は不法占拠なんだということを聞きたいんです、あなたのお口から。

岡田国務大臣 まあ、委員、そういう言い方で答弁まで指示される、そういう立場に私はないと思います。考えていることは一緒ですけれども、どう答えろということまで私は委員に指示される立場にはないと思います。

新藤委員 いや、指示をしているんじゃないんですよ。不法占拠をしているかしていないかということを聞いているんですよ。だから、それをしているかしていないかということを答えてくれればいいんですよ。言えないの。不法占拠をしているかしていないかということを答えられないんですかとお尋ねしているんですが。

岡田国務大臣 先ほど来言っておりますように、竹島は日本の領土であり、そして現在、実効支配をしておりませんということを申し上げております。

新藤委員 ここまで言っても韓国が不法占拠しているという言葉を使いたくないということを、私は受けとめざるを得ないんです。そこまでなぜ言葉に出さないのか、私は不思議で仕方がありません。これはだんだんこれから明らかにしていきます。

 それから、鳩山政権が発足して七カ月たったわけでございますが、総理、外務大臣、何度も日韓の首脳の機会がございますね、行ったり、来ていただいたり、また国際機会で。これまでに日韓の首脳間で竹島問題について、具体的にはどんなやりとりがあったんでしょうか。

岡田国務大臣 首脳間のことは私は十分に承知しておりませんが、私の記憶している限り、竹島について明示的にテーマとして取り上げたことはないものと承知をしております。私の外相会談では、少なくとも取り上げておりません。

新藤委員 竹島問題をやりとりしていない、こういうことですね。

 その上でお尋ねいたします。この資料一をごらんになってください。

 これは、世界日報のネット版です。三月十二日付の記事なんでございますが、ここにずっと詳しく書いてありますが、竹島のヘリポートの改修工事が、二月に設計契約を結び、九月までに工事を終わらせる、三十年ぶりの全面改修になるんだ、こういう記事です。それによって、韓国警察が保有している最も大きなヘリが今だと十分以上着陸できないような、そういう老朽化が起きている。これに対して、改修後は、竹島で突発的な事態が起こったときに、警察一個小隊四十一人を急派できるCH47、チヌークといいますか、この輸送用ヘリも利用可能となって、夜間照明もついて二十四時間離着陸可能になるというふうにこの記事は出ておりますが、政府はこのことを認識しているんでしょうか。

武正副大臣 お答えをいたします。

 御指摘の報道については承知をしております。

 韓国政府に対しては、累次の機会に竹島の領有権に関する我が国の立場を申し入れてきているところであります。

 以上でございます。

新藤委員 現状、工事は始まっているんですか。

武正副大臣 先ほど来触れておりますが、御指摘の報道については承知をしておりますが、その現状、工事が進んでいるかどうか、これについて、この場でのお答えは控えたいというふうに思います。

新藤委員 工事をやっているか、やっていないかを聞いているんですが、控えるんじゃなくて、知っているんですか、知らないんですか。

武正副大臣 お答えをいたします。

 外交上の個別のやりとりの詳細については、現状に関する事実確認を含めて、お答えを差し控えたいと思います。

新藤委員 日本が日本の領土として主権を主張しているこの場所で、韓国が大規模なヘリポートの改修工事をやるということを日本政府は認めるんですか。

武正副大臣 お答えいたします。

 先ほどもお答えしたとおりでありまして、外交上の個別のやりとりの詳細について、また現状に関する事実確認を含め、また今の御質問についても、お答えを差し控えたいと思います。

新藤委員 そういう、お答えを差し控えるという外交的判断は、これまでもずっとなされたことですか、日本国政府において。

 民主党政権だけではありませんよ。この日本国政府は、今までも……(発言する者あり)ちょっとうるさいよ、わからない人ががたがた言っているんじゃないよ、あなた。

 いいですか。日本国政府として、こういう事態が起こったときに、すべて同じように、中身を明らかにせず、抗議の内容も明らかにせず、そしてどういう判断をしたかも、政府の主張を明らかにしないというのは、これは今までの政府もずっとやってきたことですか。確認します。

武正副大臣 これまでの政府の、どのような対応をしてきたかは、ちょっと今、調べておりますので、後ほどお答えをしたいと思います。

新藤委員 これは、よく調べればというよりも、そんなこともわからないで今、政府の閣僚のグループに入っているのか、政府を運営しているのかということになりますよ。

 次、聞きます。

 この資料二。今度は、韓国の大邱毎日新聞、これもネット版の記事でございますが、一月の十一日付の新聞記事でございます。これは、韓国の国土海洋部が竹島海洋科学基地を本年の九月に着工して、二〇一三年に完成予定、こういう記事が出た。

 これは、お手元にもありますが、竹島の北西一キロの付近に、暗礁地帯にリグのようなものを建てて、そして海洋科学基地をつくるんだと。そして、これはことしの六月に設計完了を見込んでいて、九月に着工。竹島のヘリポートがちょうど九月ごろに竣工する予定になっているわけですけれども、相前後してこういう海洋科学基地をつくるということが、これは予算も決まっているし、実施する、こういう記事が出ているわけです。そして、この科学基地は、竹島の主権を強化させる基盤となる、それから、韓国のEEZ確保に有利、このように述べられていますけれども。

 竹島の北西一キロに建設されるということですが、これは日本の領海じゃないんですか。

武正副大臣 御指摘の報道は承知をしております。

 先ほどの御質問の点でありますけれども、当然、新政権、もう半年を経過しておりますが、外交の継続性ということは守ってきているということでございます。

 それから、今の点でありますが、ちょっとその場所について、報道は承知しておりますけれども、一キロということでは、ちょっと今、確認をいたします。

新藤委員 岡田大臣は、この情報をいつ知ったんでしょうか。

岡田国務大臣 この報道そのものは承知をしておりますけれども、報道の後に報告を受けたところであります。

新藤委員 ということは、一月の段階で御存じだったということでございますか。

岡田国務大臣 直後に受けたということではありません。

新藤委員 岡田大臣は、二月の十、十一でしたか、韓国を訪問されていますね。そのときに、あちらの大臣や大統領とお会いになっている。その時点でこのことを知っていたが、話をしなかったということですか。

岡田国務大臣 その時点では承知をしておりませんでした。

新藤委員 大臣、ここは正式な国会の委員会の場なんですよ。十、十一の時点で知らなかったとおっしゃるんですか。

 国民新党の亀井亜紀子さんが、二月の四日付で竹島問題に対する質問主意書を出しています。これに今私が申し上げた記事、一月の二十二日、海洋科学基地の記事が出ているけれども、これを承知しているか、そして日本政府はなぜ抗議しないのかという意見書に対して、これは閣議決定したんでしょう。二月の十二日ですよ。その時点で、承知しているけれども、外交上のやりとりについては韓国との関係もあり差し控えたい、こういうことで答弁されている。

 これは、閣議決定する前に、まず省内でもって、副大臣も、ほかの人たちもみんな決裁して、その上で閣議決定されるんじゃないですか。

 大臣、二月の十、十一で訪韓するときに、この海洋科学基地のことを知らないなんということはあり得ないんじゃないですか。

岡田国務大臣 詳細にまでわたって私も一々記憶しているわけではございません。言われて思い出しました。亀井さんの質問主意書は、私は自分できちんと決裁をいたしました。

 ただ、できるだけ、もう少し事前に言っておいていただかないと、そういう前後の、時系列的なやりとりなど詳細に記憶しているわけではありませんので、私もそう記憶力がいいわけではありませんから、できるだけそういうことはあらかじめおっしゃっていただければ、より正確に答弁できると思います。

新藤委員 ということは、先ほどの、その前の答弁は間違いだった、うそをついていたんではなくて、間違いだったということですね。

岡田国務大臣 先ほどの答弁については訂正をしたいと思います。

新藤委員 この情報は、外務省は一体いつから知っていたのか。突然に降ってわいた話なのか。どうですか。

武正副大臣 先ほどの御質問にお答えをいたします。

 この海洋科学基地ですか、ちょっと、その場所は把握をしておりません。

 ただ、もし報道のように、あるいは新藤委員御指摘のように、竹島の一キロということであれば、当然、竹島は我が国の領土でありますので、領海内ということになろうかと思います。

新藤委員 いや、そうじゃなくて、まあいいや、ちょっと時間がなくなってきちゃったから。

 あなたたち、こんな大事な問題をこのまま何もしないで、抗議も、それから日韓の正式な外交のルートとして議題に取り上げないで、このままでやり過ごしちゃっていいんですかということなんです。

 先ほど、政権は継続性を持っておりますと言いました。私は知っているだろうと思って聞いたので、こちらから言わなければいけなかったのかもしれませんが、例えば、平成十八年、十九年のときは、日本が主張しているEEZ内で韓国が海流調査をやろうとした、それに我々は断固抗議をして、海上保安庁の船のエンジンまでかけさせて、そして最終的には大臣同士、これは当時、麻生太郎大臣と潘基文が大臣同士でやり、事務次官同士の協議までやらせて、最終的に今、共同調査となってずっと続けていますよ。それは外務報道官がきちんと抗議するということを談話で出していますよ。それから、いわゆる竹島で灯台守の人たちが選挙権を行使したこと、これについてもきちんと抗議をして、それを委員会の場で明らかにしていますよ。

 今まで我々は、日本国政府は、竹島の問題で日本の主権を侵されるようなことがあった場合には、すべて逐一明らかにして、日韓で協議をして、そしてお互いにきちんと納得できるような解決策をつくってきたんですよ。

 今、あなたたちは、何もこの問題を明らかにせず、抗議をしたのかもしていないのかもわからず、今何もしなければ、そして大臣は出かけていって竹島の問題を総理大臣に一度も、こんな問題が起きているにもかかわらず何もしていないんだとするならば、これは暗黙の了解となって、やり過ごすことになってしまうじゃないですか。これをこのまま放置していて、日本の主権はどうなるんだ。

 私は、このことは徹底的にこの外務委員会で議論すべきだ、このように思っておりますが、日本はこの問題について抗議するんですか。そして、きちんと外交上で日韓の協議を行うことになるんですか。岡田大臣、方針を説明してください。

武正副大臣 先ほどお答えしたように、新政権も、外交の継続性、これをしっかりと守っていくということが基本でございます。

 また、委員御指摘のように、外交の基本は、領土、領海を守る、そして国民の生命財産を守る、これが基本であるということをしっかりと認識していきたいというふうに思っております。

新藤委員 答えていないんです。

 それで、鈴木委員長は、ことしの竹島の日の式典に出て、これまでは竹島について国は正面から向き合ってこなかった、新政権には一層力を入れてもらいたいとあいさつされています。

 これは、鈴木委員長、外務委員長の責任として、この竹島問題についてこの外務委員会で集中審議をきちっとすべきだと思いますが、お取り計らいをお願いしたいと思います。

鈴木委員長 新藤議員の今のお話も承って、後でまた理事会等で協議してまいります。

新藤委員 終わります。

鈴木委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 きょうは、条約、協定の審議でありますが、それに入ります前に、ちょうど一週間前のきょう、同じこの場所で、いわゆる密約問題に関する参考人質疑がございました。その参考人質疑で出た幾つかの問題について、岡田外務大臣の見解を聞きたいと思います。事前に細かいことは通告しておりませんけれども、そんな変わったことを聞くつもりはございません。

 まず第一は、あの一週間前のこの場で、東郷参考人が中心だったと思いますが、いわゆる密約に関する過去における参考書類、彼がつくった赤いファイル、これが今回の調査の流れの中で一部発見されていない、こういうふうなお話がありました。これを受けて外務大臣は、調査をする、こういうふうなことを新聞報道等を通じて私は知っておるわけですけれども、そういう省内における調査は、どのような形で今するようにという指令を出され、その進捗状況はいかほどになっているか、これをまず冒頭聞かせていただきたいと思います。

岡田国務大臣 東郷参考人の質疑の中で、東郷参考人が取りまとめ、そして後任者に引き継ぎをしたとされる資料リストの中で、今回外務省が調査を行い、そして公表した資料と、その間に食い違いがあるということが判明をいたしました。

 私どもは、外務省の中では徹底的に調査をした、そういうふうに考えておりますので、その残余の資料がどうなったのかということについて、当然疑問が生じるわけであります。そのことに関して、第三者を入れた調査のためのチームをつくり、そして調査したいというふうに考えているところであります。

赤松(正)委員 今、大臣は食い違いという言い方をされましたが、それはつまり、質的、量的、両方の側面ということかどうかということの確認と、それから、第三者を入れたチームをつくってと言われましたが、ここで言う第三者というのはどういう人を指すのか、そしてそのチームはもう既にできたのか、それともこれからか、このあたりについて。

岡田国務大臣 チームは、現在、形成中であります。まだスタートしておりません。大体めどはつきつつございます。

 それから、資料をたくさん、東郷氏から提供があった文書リストによりますと五十八点であります。そのうち東郷氏みずからも重要と二重丸をつけたというのは十六点、そのうちの十点については外務省調査で判明し、公表済みであります。したがって、重要な文書という意味では、その残りの六点ということになるかと思います。

赤松(正)委員 その残りの六点の行方を、先ほどの同僚、自由民主党の皆さんとの討論の中で、新聞は事実を報道しない、こういうふうな言い回しがあり、かつ、その後の竹島の問題を見て、岡田さん特有の粘りというのはなかなかだなと思って聞いておりましたけれども、恐らく新聞がいろいろ報ずるのを避けたい、それによってさまざまな思惑が先走るのを避けたい、こういうことなんでしょうが。

 さきの参考人の皆さんとの話の中で名前が具体的に出ました。谷内条約局長、あるいはまた北米局長であった藤崎さん。こういうことについて、私は、単に直後の局長だけではなくて、その以後にもいろいろな方が条約局長、後に国際法局長という名前に変わっているはずですが、いろいろな方がいるわけで、あたかもすぐ直後の局長に、ある種疑いのまなざしが向けられるというのはちょっとどうかなと思うんですが、そのあたりもひっくるめて、大臣はどのように考えておられるのかをお聞かせいただきたいと思います。

岡田国務大臣 代々引き継いでいく資料として、どこでそごが生じるかということだと思います。そのそごが生じたところがやはり問題だ、その前後どちらかに問題があった、こういうふうに論理的には類推できます。

赤松(正)委員 そういうことだと思うんですね。だから、後に続く担当の皆さんに対する調査をしっかりするべきだ、こういうふうに思います。

 二点目は、私と西山参考人との間で交わされた話でありますが、これは日にちは忘れましたが、ことしの衆議院予算委員会の一般質疑の場で岡田大臣ともお話をした際に、菅直人財務大臣に申し上げた機会がありました。

 つまり、今回のいわゆる密約調査というのは、私の主張している基本は、鳩山政権が政権を挙げて取り組むべきテーマであると。一外務省あるいは一財務省ではなくて、しっかりとチーム鳩山としてやるべきだ、チーム岡田の前に。つまり、そういう観点で、岡田さんの発言に端を発してこのいわゆる密約の調査が始まって、そのテーマが四つ。四番目のテーマについて、沖縄のいわゆる肩がわり密約という部分については旧大蔵、財務省がかかわっているということで、スタート時点で四つ、しかし、その四つ目が外務省並びに今でいう財務省、そこに調査が及ぶテーマであると。

 ところが、これは私と西山さんと意見が一致したんですが、あくまで岡田外務大臣の調査の方向性というのは、もちろん当然といえば当然でしょうが、外務省に向けられていて、その外務省が調査したものと、言ってみれば同じ質、量的な部分で有識者の皆さんがそれを分析された、調査された。

 そうすると、財務、旧大蔵の部分が、旧大蔵のことについて菅さん率いる財務省が調査をされたんですが、そこの調査結果を含めた形で、岡田外務大臣が発せられたことを受けての有識者の皆さんは、その旧大蔵の調査部分もひっくるめて調査対象にしたんでしょうか。私はしていないと思うんですが、そのあたりはどうでしょうか。

岡田国務大臣 外務省としては、外務省がかかわった問題について調査をしたということであります。沖縄返還時の土地の原状回復義務に関する必要な負担をどちらが行うかというのが外務省のかかわった問題であります。

 それ以外の問題、沖縄返還にかかわるさまざまな負担の問題、これはむしろ財務省、当時の大蔵省が米国側と協議をしてきたことであって、そこについてまで外務省として何か言及することはございませんし、もちろん、我々、資料がないわけですから、言及できるはずもないということであります。

赤松(正)委員 そういうことだろうと思います。

 ただ、このテーマの冒頭で申し上げましたように、私はやはり、でき得べくんば、岡田外務チームそれから菅財務チーム、この両方を全体で覆う形で有識者懇のようなものがあって、トータルに、いわゆる密約について、それをしっかりと調査分析することがあっていいんじゃないかというふうに思います。

 そういうふうな主張、それは先般の西山参考人の考え方も、言ってみれば、そういういわゆる外務省マターだけではなくて、よりお金にまつわる部分、もちろん外務も絡んでくるわけですけれども、お金にかかわる部分についての両国間におけるいわゆる密約というものに、やはり日米関係を解くかぎというか、大きな問題をはらんでいる、こういう指摘もありましたし、私もそのように思いますので、これはまた別途、政府にぜひ考えていただきたい、こういう指摘をしておきたいと思います。

 それから、三点目。これは実は二回目の外務委員会の場で、岡田外務大臣と、この場だったと思いますけれども、いわゆる核兵器を搭載した艦船の寄港問題、これに絡んで、岡田外務大臣を初めとして今の民主党政権は、要するに非核三原則の堅持ということを強調しておられるわけですけれども、あのときの言葉。

 同僚委員が密約に密約を重ねる危険性があるという話をしたときに、私もその質疑のやりとりを聞いていて、それを受けて、そういう可能性なしとしないと。つまり、日本の核に対する姿勢、これだけで決まるわけじゃなくて、アメリカとの関係というものがあるわけです。そういう中で、言ってみれば、岡田外務大臣言われるところの、九一年以降、核兵器を搭載した艦船の型でそれはわかるわけだから、それを一々チェックせずとも、そういうふうな方針の上に立っているアメリカという状況が今に続いているわけだから、別にそれはいいんだという話をされました、大要ですね。

 その後の委員会で、自由民主党の委員の質問に対して、ある種、これは違うと言われるなら後で説明していただきたいんですが、新聞報道を見た限りにおいては、時の政権の判断によると。つまり、私を含めて、前回のやりとりとは違うニュアンスで、核兵器搭載艦船寄港という問題についての判断、チェック、こういったものは時の政権が判断するんだ、こういう言い方で、少しトーンを変えられました。

 これについて、補足することがあったら、発言をしていただきたいと思います。

岡田国務大臣 トーンは変わっておりません。

 アメリカ側が述べていることは、九一年、九四年、戦術核は艦船及び航空機に積まないということであります。しかし、それは必ずしも永遠に積まないと言っているわけではなくて、将来の可能性まで否定はしていないんです。政策が変わることはあるということは、そこからうかがえるわけであります。

 そのことも念頭に置きながら、国家の存亡を左右するような緊急時、そのときに、実際にそういった核が日本に一時寄港というような事態が仮にあったとしたら、それはそのときの政権が、まさしく政権の命運をかけて、どうするかということを判断する、それしかない、今の段階で、この鳩山内閣が将来にわたって縛るわけにはいかないということを申し上げたわけであります。

 しかし、現時点でアメリカの政策というのは、戦術核は艦船及び航空機に搭載しないということでありますから、現時点でそういう問題は生じることはありません。

赤松(正)委員 蒸し返しになりますが、それは現時点であって、現時点というのは、きょう、ただいまであって、これは非常に極端な例ですが、この政権の中にあってもアメリカの核政策は変わるかもしれないということからすれば、私が言いたいのは、要するに、日本の基本というよりも、アメリカの核政策次第によってどうにでもなる、こういうことなんだなと感じたということを言っておくにとどめたいと思います。

 では、大臣。

岡田国務大臣 アメリカの核政策が今変わるという見通しは、私はないと思います。

 むしろ、核の役割を減じるというのが今のアメリカの大きな政策の方向性でございます。そういうことを念頭に置いて、私は発言をしているわけでございます。

 しかし、そのアメリカの政策が変わるということであれば、そのことを前提に日本の政策を考えていくということになるんだと思います。そのことは、私は当然だと思っております。

赤松(正)委員 まだ引き続き、このテーマについては後の機会にしたいと思います。

 そこで、きょうの本題の条約、協定でありますが、忙しいところを中井国家公安委員長に来ていただいております。

 まず、日本・EUの刑事共助協定、この問題でありますけれども、これは先ほど同僚委員からも指摘があったんですが、EUとの刑事共助条約が署名されたことで、国家公安委員会において、いわゆる不均衡が著しいじゃないか、不平等だといった異論が続出したという経緯があって、こういう状況を受けた形で、最終的に中井国家公安委員長が、死刑の問題でEU側に拒否権があっても、証拠の交換などがスムーズにできる方が犯罪のグローバル化に対応できる、こういう言い方で、言ってみれば政治判断という格好で、国家公安委員会における議論を御自身、委員長としての判断で集約された、こういうことだろうと判断しているんですが、その経緯、それから、大臣のいわゆる政治判断でもって問題がすべておさまったというか、ありていに言えば、それで国家公安委員会のメンバーはすべて納得したという状況があるのかどうか、そのあたりについてお伺いしたいと思います。

中井国務大臣 お尋ねの件は、大体、赤松さんのおっしゃったようなことかと思い出しております。

 外務省、岡田さんの方から、この条約について警察庁の考えをということでございまして、国家公安委員会に諮られました。

 御指摘がありましたように、いろいろな意見が出ましたので、これを受けて再度、外務省へ申し上げ、相手国と交渉していただく、あるいはEUと中国とが将来、条約を結んだときに違う形になるということはないのか、こういう問題についても確かめる等々の御意見を賜り、外務省に伝えたところでございます。

 この私どもの考えを受けて、外務省では相手国と交渉を再度していただき、また中国との関係についても御説明があったところでございます。しかし、相手国との交渉をいたしましたが、相手国、EU側の対応は変わらず、また期限というものもある、同時に、中国とEUの中のスペインかどこかが日本と同じような形での条約を結んでいる、こういう事実等の説明もございました。

 これらを受けて、再度公安委員会で議論をいたしました。

 私の方から、御異論はいろいろとおありだろうが、政治主導という形で、この際、私に御一任をいただきたい、こういうことを申し上げ、公安委員会の皆さん方も、中身そのものにはいろいろと問題もあるし、言いたいこともあるが、政治的な御判断をされるということであるならば、それはそれで結構だ、ただし、公安委員会の考え、こういったものも岡田さんにもお伝えいただくということが条件だ、こういうことを言われましたので、岡田外務大臣に面会を求めて、公安委員会五人の皆さん方の御意見はこういうことでありました、しかし、政府に対して国家公安委員会として、警察として物を言うときには、私が代表してこれは引き取って結構だと申し上げる、こういう過程の中で今日を迎えているわけでございます。

赤松(正)委員 その経緯はわかりました。

 そこで、ちょっと今、中井国家公安委員長にお聞きしたいこと、この件とは別にございます。やはりこうやって国会に出てきていただいたからには御本人のお話を聞きたいという思いが急速に高まってまいりましたので、記者会見等をされたり、私も昨日、週刊誌なるものを読んでみました。大臣のいわゆる会見での発言、法令違反はしていない、何か問題があるのかというふうなニュアンスの話も聞きました。

 まず、この場において、私は、国家公安委員長という全国の警察の取りまとめ、総大将として、いかにもこれは看過できない話だな、こう思うんですが、大臣の弁明を聞かせていただきたいと思います。

中井国務大臣 お騒がせをいたしまして、まことに申しわけのないことでございます。

 週刊誌そのものの記事につきまして、私は私なりに申し上げたいこともいろいろございますが、官房長官にきちっと説明を申し上げ、またおわびをも申し上げ、職務に精励する、こういうことをもって私自身は今、対応をいたしているところでございます。

 幾つかの点でマスコミの方から記者会見等で御質問がございました。このときに、少し私も感情的になって生意気なことを申し上げたとしたら、御不快に思われておられる方もあれば、これはこれでまたおわびをも申し上げなければならない、このようにも考えています。

 いずれにいたしましても、十分これから気をつけて、職務に今まで以上に邁進をしていく決意でございます。御指導のほど、よろしくお願いいたします。

赤松(正)委員 今、官房長官におわびをされたとかという話がありましたけれども、これはひとえに国民におわびをされないといけない、そう思います。

 今、ふっと中井さんとの間のエピソードを思い出しました。いつぞや、それこそ宿舎の前でお会いしたときに、私が、警察をめぐる小説が今際立って多い、日本社会の中でさまざまな警察小説が大変話題を呼んでいるという話をしましたら、国家公安委員長は、日本の小説よりも外国の警察小説の方がおもしろい、こういうふうな話をされていました。

 それはともかく、スパイ小説だとか警察小説を読まれるなら、私も自戒を込めて思うんですけれども、やはり常日ごろから警戒をしなくちゃいけない、ありとあらゆる意味で。そして、なおかつ、先ほども申し上げましたように、重要なお立場にいらっしゃるわけだから、単なる政治家だったらいいというわけじゃありませんけれども、ひときわ責任の重い立場にいらっしゃるわけで、余りにも無防備、すきがあり過ぎる。これは何のために小説を読んでいるのかということも申し上げたい。これは別に答弁しなくていいです。厳しくそういう目が向けられているということを重々御自覚いただきたい。

 どこかのどなたかが病院に入ったりされるケースがあったわけですけれども、そういうケースは中井さんはないんだろうと思いますけれども、何か御発言があれば。

中井国務大臣 長いおつき合いの赤松さんから身にしむおしかりをいただきまして、拳々服膺、気をつけてこれからも頑張る決意でございます。

 一層の御指導、重ねてお願いいたします。

赤松(正)委員 別に今の私の話でこの問題が終わったというわけじゃなくて、自由民主党の某委員は強く辞任を求めるという声があります。そういうことも含めて、これからしっかりとこの問題を議論するということが必要になってくる場面があろうかと思います。

 次に、日・タイ受刑者移送条約について法務省政務官にお伺いをいたします。

 先月、前橋刑務所で、受刑者移送条約の締約国になっている韓国籍の受刑者に対して条約に定められた告知義務を怠ったと日弁連より指摘を受けましたけれども、こういうケースは今回のこのことだけなのか、また今までにも同様なことはなかったのか、今回の日・タイ受刑者移送条約ではこういったことが起こらないような対応策は考えているのか、こういう観点についての答弁をいただきたいと思います。

中村大臣政務官 お答え申し上げます。

 日弁連からの勧告を真摯に受けとめ、二月十八日、矯正局からすべての矯正施設に対して、過去の告知漏れがないかどうかを確認することを指示しております。現在までに前橋刑務所の事例以外に告知が漏れていたという報告は受けておりません。

 これは背景には、大韓民国が我が国が条約に入った後の平成十七年十一月一日から締約国になり発効するので、矯正局としては通知をしておったんですが、その徹底がなされておりませんでした。

 以後このようなことがないように、最大の努力を続けてまいります。

赤松(正)委員 〇三年に日本がCE条約に加入してから去年の末までの受入移送実績は、二〇〇六年にアメリカが一人、七年に韓国が一人の合計二人だけとなっています。

 CE条約加入のときの議論の際、当時の外務省領事移住部長は、移送を行うために必要な受刑者の意思確認、それから判決等の関連文書の翻訳、相手国の国内法制に関する調査等については、事務量というのは相当なものがあって、場合によってはかなりの時間を必要としているという点は指摘されてきている、こういう問題点を認識していましたけれども、CE条約加入から七年たった現在、相当な事務量を処理するためにどういう工夫をしてきたかということについてお答え願いたいと思います。

中村大臣政務官 工夫と聞かれても、最大限の努力をしているとしか申し上げることがなかなかできないんですけれども、この間、受刑者に対しては、我が国への受け入れの申し出をされた方が十七人いらっしゃいます。その内訳を申し上げますと、裁判国が移送を承認しなかったケースが八件、そして手続の執行を終えてしまったのが二件、受入移送を実施したケースが二件で、残りの五件については手続中ということで、最大限の努力をしているけれども現状はそうなっていることをぜひ理解していただきたいと思います。

赤松(正)委員 何かよくわからない答弁ですが、要するに引き続きしっかり努力をするということで理解したいと思います。

 外務省副大臣にお伺いします。

 受刑者移送条約について、中国とのこの条約の締結交渉の進捗状況、海外で我が国の受刑者が最も多く服役している国でありますけれども、この中国との条約の進捗状況についてお伺いしたいと思います。

武正副大臣 赤松委員にお答えをいたします。

 平成二十年五月の胡錦濤国家主席訪日の際に発表された日中両政府の交流と協力の強化に関する共同プレス発表において、日中犯罪人引渡条約の締結交渉を開始するとともに、そのときの状況を踏まえて日中受刑者移送条約の締結交渉についても速やかに開始する、両条約は同時期の署名を目指すことで一致をしております。

 まず、日中受刑者移送条約の第一回締結交渉を速やかに開始すべく、日中の関係当局間で現在、鋭意準備を行っております。

 なお、日中犯罪人引渡条約については、日中の関係当局間で条約締結交渉に向けた準備を行ってきた結果、本年二月に第一回締結交渉を東京にて実施をしております。

赤松(正)委員 この三条約のうち、一協定ですが、日ロの観点につきましては、これも外務省副大臣にお伺いしますけれども、鳩山さんが本年二月に、国際結婚破綻、国際結婚トラブルに伴って子供の連れ去り問題の解決のルールを定めたハーグ条約の早期批准に向けた準備を進めるんだという意欲を示したという報道がありました。

 アメリカからも早期加盟を求められているということが背景にあるのかもしれませんけれども、自国民の権益を守るという政府の基本的な立場とぶつかる可能性があるならば、慎重に対応すべきだという声もあります。

 この条約に未加盟なのは、主要国では日本とロシアだけということですけれども、外務省の立場、早期批准か、それとも慎重であるのか、この辺のことについて考えを述べていただきたいと思います。

武正副大臣 この条約を締結する可能性を真剣に検討してきておりまして、この作業に優先課題として取り組んでおります。

 この条約の締結に当たっては、我が国の家族関係の法制度との整合性、中央当局の指定などを含め十分検討を行わなければならない議論がありまして、外務省としては、できるだけ早く結論が出せるよう、法務省との間でも政務官同士での協議も含めて、関係省庁ともに協力して作業を加速化していく考えでございます。

赤松(正)委員 法務省としての何か見解はありますか。

中村大臣政務官 今、外務大臣政務官と勉強会、検討会をつくらせていただいておりまして、その中で、実現のために必要なことは何なのか、事務的にもかなりすり合わせを進めているところでございます。そういう形で検討を進めていきたいと考えております。

赤松(正)委員 大体、見通しとして、法務、外務両方のめどというのはいつごろと考えているんでしょうか、努力目標で。

武正副大臣 過日も在京の大使から外務大臣が直接要請を受けたり、あとはそれぞれ外相会談あるいは首脳会談でも累次そうした要請を受けております。そうした要請にもしっかりとこたえるべく加速化をしていきたいというふうに思っております。

赤松(正)委員 では、これで終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 赤松委員の質問は終わりますけれども、法務大臣政務官、午前中答弁漏れがあった件についての答弁を、平沢委員、小野寺委員からの質疑がありました、それをまず先にするのが本来、委員会などでの常識ですから、その点よく踏まえてください。

 今、できますか。中村政務官。

中村大臣政務官 失礼いたしました。

 捜査については、強制的にされる処分、また任意的にされる処分等々がございます。例えば、日本で犯罪ではないにもかかわらず、そういう形で強制的な処分を求められるような場合であれば、日本の捜査に対する負担等もありますので、これは引き受けられない、そういう考え方で判断をさせていただくということになります。

鈴木委員長 時間ですので、きょうはこのぐらいにしまして、また別途、時間のあるとき、今の件は、まだ私が聞いていても十分な答弁になっていないと思いますので、法務省、政務官、時間は十分与えますから、しっかり勉強して答弁をいただきたいな、こう思います。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十三分開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、刑事共助条約に関連して、先ほど来やりとりがありましたが、私からも確認の意味で質問いたしたいと思います。

 日本と欧州連合、EUとの間の協定でありますが、EU側にとって初の包括的な刑事共助となるわけですが、加盟する二十七カ国のうち、条文第十一条の共助拒否事由にかかわっては、日本との違いが問題になり得る、こういう議論があるところです。

 例えば、EU加盟国ではすべての加盟国で死刑が廃止をされております。ポルトガルでは、死刑と同様、無期の拘禁刑も許されていないために、日本で死刑、ポルトガルの場合は無期懲役を含む犯罪に科し得る共助を請求しても拒否することができる。そうした条文第十一条の共助拒否がなされた場合に、政府はどのように対応しますでしょうか。

武正副大臣 日・EU刑事共助協定第十一条1(b)では、我が国とポルトガルとの間でのみ、死刑のみならず無期の拘禁刑を科し得る犯罪に関する共助についても、重要な利益を根拠に拒否することができるとの解釈を条文上確認をしております。これは、ポルトガルの国内法において、終身または無期限の拘禁刑が科されるおそれがある場合には、司法共助が拒否される旨の規定があることを踏まえたものであります。

 また、こういった拒否事由については、我が国とポルトガルとの間でのみ適用され得るものでありますが、これは、我が国とEU加盟国との間に刑事共助協定が存在しない現状下においても、これらの国が我が国からの共助要請について、無期の拘束刑や双罰性の欠如を理由に共助を実施しないことができることに変わりはなく、協定の締結によって不利益が生じるものではない。

 つまり、刑事共助条約は、相手国との共助の迅速化、効率化を図るとともに、共助の確実性を高めるものでありますが、法制の差異により各国がなし得る共助の範囲に差が生じることはやむを得ないと考えております。

笠井委員 次に、日本とタイの受刑者移送条約に関連して、在日米軍関係受刑者の待遇の問題について質問したいと思います。

 まず、在日米軍関係の受刑者でありますが、男性の場合は横須賀の刑務所、そして女性の場合は栃木の刑務所に収容されているということであります。

 法務省に伺います。現在、在日米軍関係者でありますが、それぞれ何人が収容されているか、お答えください。

中村大臣政務官 今委員御指摘のように、男性は、今は横須賀刑務支所になっておりますが、におりまして、十四名。女性は栃木の刑務所でございますが、現在収容している者はいないということでございます。

笠井委員 岡田大臣、この米軍関係の受刑者が日本人の受刑者あるいは一般外国人の受刑者に比べて優遇をされているという問題が初めて国会で問題になったのは一九九七年であります。そのとき、シャワーの使用という問題、あるいは暖房の問題、それから食事の問題などで優遇されているという実態が明らかにされました。

 その後、衆参の外務委員会などでたびたびこの問題が問題になってきました。これに対して、一九九七年には当時、下稲葉法務大臣が、「今るるお伺いしまして、感ずることもたくさんございます。実態をよく調査いたしまして、善処するように努力いたします。」と答弁しました。二〇〇二年には、当時の森山法務大臣が、「米軍関係受刑者に対する補充食料の提供というこのやり方は最終的には廃止することが望ましい」「米国側との折衝を続けまして、適切に対処していきたい」と答弁してまいりました。

 政権がかわりまして、新政権のもとですが、岡田大臣は、この在日米軍関係受刑者らが優遇されている実態について当然御存じだと思うんですけれども、この問題についての基本的見解を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 今委員御指摘の点につきましては、米軍関係受刑者に対する取り扱いについて、一九五三年の刑事裁判管轄権に関する事項についての日米合同委員会合意において、我が国の当局が米軍関係者を拘束した場合には、日米両国間の習慣等の相違に適当な考慮を払う旨、定められており、それを踏まえ、米軍関係者に対しては他の受刑者と一部異なる取り扱いがなされているものと承知をしております。

 その上で、個別具体的な点については、これまでも法務当局と米軍当局の間で協議が行われてきていると承知をしております。

 委員御指摘の暖房、シャワー、就寝時間及び食事メニュー、その中の暖房と就寝時間については、現在は基本的に同様の取り扱いになったと承知をしております。シャワーについても、日本人受刑者の待遇が改善され、格差は縮小された。食事については、依然として食事のメニューについて差が残っていると承知をしております。

 今後とも、関係者間の努力を通じて、こういった改善を図るべき点は改善するとの方向で取り組んでいくことが適切だと考えております。

笠井委員 大臣は今、一部と言いましたけれども、大分違うというのがこの間、問題になってきた問題であります。

 法務省に伺います。

 二〇〇八年に矯正局長がこういうふうに答弁しております。二〇〇六年十二月に横須賀刑務所の中にワーキンググループをつくりまして、補充食料の問題について協議を行っているというふうに答弁されました。

 このワーキンググループというのはどんなレベルの協議か、そして具体的にどのような協議がされてきたのか、そしてその結果、改善されたことはどのようなことか、お答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中村大臣政務官 お答え申し上げます。

 ワーキンググループ自体は、平成十八年九月二十日に四軍会議において当局の担当者から補充食料問題改善のためのワーキンググループ立ち上げについて協力を依頼し、十二月四日からワーキンググループが設置をされております。以後、五回実施をされております。

 それで、これについては、政権交代後も二回、十二月十七日と本年三月十七日に協議を行っているという報告は聞いておりますが、具体的な進展はこのワーキンググループでは見られていないという報告を受けております。

笠井委員 確認ですが、レベルは、どういうレベルの協議をワーキンググループでやっているんでしょうか。

中村大臣政務官 刑務所の場合は刑務所の幹部、そして四軍の方は食料関係の担当者と聞いております。

笠井委員 最近も行われているということでありましたが、具体的進展が見られないというお話でしたが、では、今協議の俎上にのってまだ解決が残っている問題というのはどういう問題なんでしょうか、そしてその理由はどうでしょうか。

中村大臣政務官 まず、先ほど大臣から申し上げた点について確認をさせていただきますと、一九九八年の時点で、横須賀刑務所において米軍関係受刑者と他の受刑者との処遇格差を解消するための措置が三点行われております。

 まず、入浴に関しましては、おふろに十五分入るということなんですけれども、米軍関係者はシャワーがいいということで十分のシャワーになっています。そういう形になると、平日、ほかの受刑者は五分間だけふろが長いわけですから、そういったことで、土日もシャワーを使わせることは認めるというような形で、ふろとシャワーという習慣の違いもありますので、そこは格差が改善されたというのがまず第一点でございます。

 そして、第二点は、米軍関係受刑者であるか否かにかかわらず、就寝時間は午後九時に統一させていただいて、通信教育等のために必要な者は十時まで延長するというのが第二点目でございます。

 暖房については、全受刑者について同一の基準で実施をするということで、三点、平成十年の時点で改善がされております。

 残ったのが食事の件でございます。食事については日がわりで、朝昼晩、三十五種類ずつのメニューが使われているということでございますが、それについて、日本側にしてみれば、こういう時代になったんだし、食料もとり過ぎも体によくないので、そういった意味ではもうこういうことは改善させてもらいたいということを申し入れておるんですが、事の発端の経緯もありまして、それはなかなか受け入れていただけないという状況でございます。

 現状は、先ほど申し上げました朝昼晩それぞれ三十五種類ずつのメニューがあるんですが、そのうちの二回は補助食材によらないメニューになっております。つまり、三十五回のうち二回だけは補助食材によらないメニューとなっておりますが、それを三回にふやすということで、ことし四月以降実施される見込みでございます。

笠井委員 食事の問題が残っているということでありましたが、メニューを私も見ましたけれども、米軍の関係者の場合には、毎日ステーキだとかが出る、それからケーキやフルーツということで、デザートもちゃんと出るということで、相当違う。この献立は補充食料ということで、米軍の側から食料の補充という制度で余計にやっているということで、これがなくなっていないということでありますが、初めて国会で問題になってからもう十二年半たとうとしているけれども、具体的進展が見られないというふうなことがあった、これはまだ残っている問題だと思います。

 こうした在日米軍関係の受刑者を優遇する措置をとっている理由なんですけれども、政府はこれまでの答弁で、日米地位協定の実施に関する合意の趣旨や米軍関係受刑者の食習慣といったようなものを考慮して、横須賀刑務所長の裁量により認めてきたというようなことを言われてきました。

 そこで、法務省に伺いますが、ここで言われている日米地位協定の実施に関する合意の趣旨というのは、どういうことを指しているんでしょうか。

中村大臣政務官 刑事裁判手続に関する事項についての日米合同委員会合意、刑事裁判管轄権に関する事項第八(一五)において、このように規定をされております。日本国の当局は、合衆国軍隊の構成員、軍属またはそれらの家族の身柄を拘束した場合には、日米両国間の言語及び習慣の相違に適当な考慮を払うものとされている、そういう趣旨の記述がされております。

 これを受けて、いろいろと経緯はあるんですけれども、時間の都合でこれ以上答弁しませんけれども、もし聞いていただくのであれば、その発端になった経緯等もお話しさせていただきたいと思います。

笠井委員 この問題、在日米軍関係の受刑者の優遇措置に関する日米協議というのは、刑事裁判管轄権分科会において、日本側は法務省が中心となって米側と協議して合意してきたものだと思うんですね。

 ここに日米地位協定十七条の刑事裁判権の合意事項に関する法務省の「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」というのがございます。合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判の問題では、二〇〇八年五月に、米軍関係者等の事件をめぐって日米両国が、先ほどもありました一九五三年に重要な案件以外日本側が裁判権を放棄するという経過で密約に合意しているというようなことが報道されて問題となりました。その内容が国会図書館に所蔵されていた「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」、これに記述されていることが明らかになったわけですが、法務省はこれを秘密にして、閲覧が不可能になったわけであります。そして、その後、国会でも問題になって、二〇〇九年、昨年一月に公表されたのがこの資料であります。

 この実務資料は、平成十四年三月ということで、二〇〇二年三月ということになっていて、改訂版というふうに書いてありますけれども、それ以前の改訂される前の版というのはいつつくられたものでしょうか。

中村大臣政務官 昭和四十七年でございます。

笠井委員 法務省の実務資料の中には「刑の執行」と「身柄拘束中の処遇」ということで項目がありますが、受刑者の処遇それから身柄拘束中の処遇ということで考慮しなければならないそういう内容は、基本的に同じというふうに考えていいんでしょうか。

中村大臣政務官 刑務所の方は別のきっかけで運用が決まっておりますので、私の認識では、違うというふうに認識しております。

笠井委員 基本的処遇について考慮すべきことについては、同じような理由か内容なんじゃないんでしょうか。違いますか。

中村大臣政務官 横須賀刑務所でそもそもなぜ補充食料が使われるようになったかという経緯をまず申し上げさせていただきたいと思います。

 もともと暖房がきかないので府中刑務所等に入れてもらったら困るというところから、昭和三十年に日米合同委員会刑事裁判管轄権分科会においてどうにかしてくれという話がありまして、横須賀刑務所に暖房設備を設置した上で米軍関係者を移送する、そういう話になりました。

 そして、収容当時の状況については、クリスマス等のそういうときに限って補充食料が追加されることになっておりました。しかし、翌昭和三十一年には、米軍関係者にとっては食習慣が全く違うものですから、そういう要求が満たされることはできないということで、暴動が起きたりいたしました。その当時、米軍では一日三百六十円の食料費、日本の受刑者は八十円の食料費でございました。

 そこで、昭和三十四年三月に同刑務所に着任した所長が、こうした状況から、米軍関係受刑者の食事の改善を志したけれども、諸般の事由から予算がつかなかったということになりまして、六月三十日に同刑務所で行われた横須賀三軍との協議会の席上で、食事内容が貧弱で米軍関係受刑者の不満、不平が多く苦慮しているが、新たな予算措置は困難である、だから米軍側でこの溝を埋めてほしいと要請したということでございます。

 そして、その後の交渉の経緯は明らかでないんですけれども、そういった経緯で、昭和三十五年ごろには現在のようなレベルになって、それが脈々と五十年間続いてきたということであって、それとほかのものというのは同列には並べられないのではないかと考えております。

笠井委員 済みません、私、刑の執行という場合、それから身柄拘束中の処遇ということで、聞きたかったのは、先ほど言われた言語、習慣とかで、その点に相違があるからそれに適当な考慮を払わなきゃいけないということで、その点に留意するという点では基本的に同じ意味じゃないかと私は聞いているんですけれども、それはそれでいいんですね。

中村大臣政務官 それはそうだと考えております。

笠井委員 では、伺いますけれども、身柄拘束中の処遇ということで、この実務資料の中では、「合衆国軍隊の構成員、軍属又はそれらの家族に対する給食、通信、面会、戒具の使用等の処遇は、他の一般外国人の被疑者に対するのと本来異なるところはない。」というふうに書いてあります。

 そして、その後、墨塗りになっているんですね、その部分の後が実際に。墨が塗られているんですけれども、そこの墨塗りの部分には何が書いてあるんですか。

中村大臣政務官 御指摘の箇所には、我が国の当局は、米軍人等の身柄を拘束した場合には、日米両国間の言語及び習慣の相違に適切な考慮を払うとの合意がなされている旨が記載されているところでございます。

笠井委員 四十七年の旧版のところの資料を私は手元に持っているんですけれども、それを見ると、今、若干趣旨を丸めて言われましたが、今言われた後のところに、「これらの者が自己の意思で日本国に入国したのでないという点は考慮すべきである。すなわち日米両国の言語及び習慣の相違に適当な考慮を払い、このような習慣の相違が拘束された者の健康に害を及ぼすような拘束の条件は課すべきではなく、拘束されたそれらの者の習慣となっている食事についても配慮がなされるべきである。」というふうに、古い版で、四十七年版には書いてあります。

 「自己の意思で日本国に入国したのでない」と、優遇措置を合意した理由のように旧版には書かれているんですが、そういう記述が墨塗りの中に入っているんじゃないんですか。

中村大臣政務官 そもそも、黒塗りをさせていただいている理由は、二点あります。

 一つは、日米双方の合意がない限り、この合意事項というのは公開することができません。そういった意味で、そこの部分に関しては、まず外交的な合意がなければ公開することができないという意味で黒塗りにしている、それが理由の第一です。

 もう一点の理由は、ここの理由とは直接関係いたしませんが、捜査、公判に関する実務上の留意点で、公にすることにより将来の捜査、公判等に支障を及ぼすおそれがある事項、それについても黒塗りをさせていただいております。当該箇所はそうではありませんが、そういう形で二点理由があって、黒塗りにさせていただいているところでございます。

笠井委員 これは優遇しているということで、ずっと解決できないで問題が残っていて、具体的進展がない、先ほど苦労されているというお話があった問題でありまして、いろいろ理由は立てられますけれども、では、実際に何でこんなことになっているのかというのは、やはり国会や国民の前に明らかにして、アメリカの側にもきちっと明らかにするように働きかけてやるべきだと私は思うんですよ。

 昭和四十七年版の方を見ますと、ちょうど字数でいうと大体二百字ぐらいなんですね、旧版のその部分の字数が。改訂版で墨塗りにされた部分も大体二百字のスペースなんです、数えると。だから、大体同じことが書いてあるなということが言えると思うんですが、それぐらいきちっと明らかにする、認めるということでやらないと、こういう問題は解決が進んでいかないんじゃないか。少なくとも、きちっとこれは開示するということでやるべきじゃないでしょうか。

中村大臣政務官 四十七年の旧版をどのような経緯で御入手されたのか、ちょっと私もよくわからないんですけれども、改めてこちらから情報公開をするということになりますと、合意事項に関しては、向こう側、アメリカ政府との合意があって初めて公開できるものですから、それは政府全体で判断すべき事項であると考えております。

笠井委員 先ほど来の質疑の中でも、米軍側は補充食料の量を減らすことには応じるけれども、つまり、量的な変化については応じるという面があって、一定のことがある。それから、暖房の問題やシャワーの問題、入浴の問題もいろいろあったわけですけれども、結局、廃止するということについては、補充食料の問題だって難色を示していて、まだ続いている。メニューも三十何メニューあるということもありました。

 旧来の政権が答弁していたように、優遇措置を最終的に廃止するというためには、私は、日米間の合意内容をきちっと開示もしながら、廃棄する以外ないんじゃないか、やはりそこにひっかかってくる。その理由が正当なのかどうかということがきちっと吟味されて、国民と国会も納得するということが必要じゃないかと思うんです。

 そこで、岡田大臣に伺いたいんですが、今も政府としての政治判断ということもありました。二〇〇二年に当時の森山法務大臣は、先ほど紹介したように、最終的に廃止することが望ましいというふうに言い、そして当時、川口外務大臣は、改善のために法務省、米側と話し合っていきたいと答弁していたわけでございます。

 新政権になりました。そこで、当然、こういう問題を法務省あるいは関係部門とも話し合う、そして米側とも話し合って、米軍関係者の犯罪者だけを優遇扱いするような合意というのは廃棄する方向で協議していくべきだと考えるんですけれども、大臣、その点ではいかがでしょうか。

岡田国務大臣 これは相手もあることですから、一方的にこちらが言うのは適切ではないというふうに基本的には思います。

 ただ、先ほどの文書が、最初、日米合同委員会の合意というのは一九五三年十月であります。私が生まれたころ、そういう時期に、日米両国間の言語及び習慣の相違に適当な考慮を払うということになった。

 問題は、ここで言う言語及び習慣の相違というものが合理的な理由があるかどうかだと思います。例えば、宗教上の理由で特定の食物を口にできない、そういうものについて配慮するのは必要なことだというふうに思いますが、そういうことでは必ずしもなくて、米国だけということになると、それが果たして合理的な理由があるのかどうかということが問われなければならないというふうに思います。

 基本的には、法のもとの平等という考え方に基づいて、合理的な範囲に入るかどうかを判断していくということだと思っております。

笠井委員 私、大臣と同年代なので、同じころということで今も伺ったわけですが、旧政権もこういうのはやめた方がいいと言ったわけですから、やはり米軍へのさまざまな優遇措置をなくすべきだ、そのために必要な措置をぜひとってもらいたいと思いますが、必要な措置を検討するということはよろしいですね。

岡田国務大臣 よく話し合いたいというふうに思います。そして、国民に対してもきちんと説明できる範囲にとどめる、そのために努力したいと思います。

笠井委員 時間になりましたので、終わります。

鈴木委員長 次に、萩原仁君。

萩原委員 民主党の萩原仁でございます。

 本日は、二〇〇五年十一月に当時のプーチン大統領訪日の際に正式交渉を開始することで一致したことを受けて交渉が行われた、そして二〇〇九年五月、今度はプーチン首相訪日の際、署名を行った日ロ刑事共助条約について、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この条約の概要について御説明をお願いいたします。

武正副大臣 萩原委員にお答えをいたします。

 この条約は、一方の締約国が他方の締約国の請求に基づいて、捜査、訴追その他刑事手続について条約上の義務として共助を実施することを規定しております。また、そのための枠組みとして中央当局、日本については法務大臣及び国家公安委員会など、ロシアについては法務省及び最高検察庁を指定し、相互に直接連絡をすることなどを規定しております。

 これまで両国の国内法令に基づいて国際礼譲として実施してきた共助、外交ルートを通じてということでありましたが、この条約の締結によって条約上の義務となることから、共助がより一層確実に実施されることを確保できると思います。

 また、共助の実施のための連絡を、先ほど言った中央当局間で直接ということが可能になりますので、共助の実施が効率的に、また迅速化が期待できるところであります。

萩原委員 私が勉強不足かわかりませんが、刑事共助という言葉なんですけれども、一般的にちょっと聞きなれないかなと思うのでありますが、その点についてもう少しわかりやすい御説明をお願いいたします。

武正副大臣 刑事共助についてのお尋ねでありますが、刑事共助とは、一般に、外国の刑事事件の捜査、訴追等に必要な証拠、証言、供述、物件等が自国の領域内にある場合に、当該外国の要請により、当該外国の捜査当局にかわってこれらの証拠を取得し、提供することなどの、刑事分野における国家間の協力を指します。

 このような協力としては、例えば、我が国で捜査中のロシアから日本への麻薬密輸入事件を仮定した場合、被疑者Aの麻薬取引現場を目撃した証人Bがロシア国内にいる場合に、我が国からの要請によってロシアが証人Bから供述を取得し、供述調書を我が国に提供するようなケースが考えられます。

萩原委員 今回、条約ということでありますけれども、これまで我が国は、条約がなくても国内法に基づいて、外国からの要請に対して共助を行うことができ、実際にこれまでも日本とロシアの間ではいわゆる刑事共助が行われてきたというふうに理解をしております。

 これまでの、この条約ができる前の実績を教えていただきたいということと、そして具体的にそれがどのような形で進んできたのかというのを、捜査上のいわゆる秘密もあるかとは思うんですけれども、答えられる範囲でお願いいたします。

武正副大臣 お答えいたします。

 平成十一年から平成二十一年におけるロシアとの間の共助実績、先ほど触れました外交ルートを通じた国際的な礼譲、国際礼譲ということでありますが、三十二件であります。そのうち、我が国からロシアに対して共助要請を行った件数は五件、我が国がロシアから共助要請を受けた件数は二十七件であります。

 なお、このロシアとの間の共助要請の実績を同じ期間において我が国と他国との共助実績と比較すれば、米国百三十七件、韓国百二十件、中国三十七件、タイ三十四件、英国三十三件に次いで多く、第六位ということになります。

 ロシアからの要請に対して行われた共助としては、ロシア内における詐欺事件に関して、我が国の警察当局において作成した捜査書類、供述調書等を提供した例があります。また、我が国からロシアに要請し共助を受けた例としましては、殺人事件に関連した捜査書類等の提供の例がございます。

萩原委員 今お伺いをしておりましたら、結構条約がなしでも進んでいったように思うのでありますけれども、条約なしで共助ができるのであれば、この条約締結というものの意義と、そしてまた早期に締結する必要性はどういったところにあったのかということと、また、これができるということですから、つくるに至りましては、今まで、ないときにはどんな問題点があったんでしょうか。

武正副大臣 お答えいたします。

 先ほど、今回提出をしています刑事共助の条約について申し述べましたが、昨今の、テロあるいはマネロンなどのそうした国際的な犯罪の急増、そういった国際環境の変化ということも挙げました。また、我が国とロシアとの間では人的交流が特に近年盛んになっておりまして、それに伴って、麻薬、銃器、盗難車両の不法取引などに日ロ双方が協力して対処する必要性が高くなっていることにかんがみれば、今後、共助を要する事案が増加するというふうに見込まれます。

 これまでの両国の国内法令に基づいて、先ほど言いました国際礼譲としての件数ということで二十七件上げておりますけれども、確実にロシア側で共助が行われるか否か予断し得ない状況であったのも事実でありまして、この条約の締結によって共助の実施が条約上の義務となることから、一層確実に共助が行われ、先ほど言ったように、中央当局が指定されますので、効率化、迅速化が図られるということであります。

 以上のとおり、ロシアとの間の刑事共助の迅速かつ確実な実施を確保し、我が国の犯罪捜査をより円滑に行うために、この条約を早期に締結する必要があります。

萩原委員 そうしますと、条約があるときとなかったときの差というのは、解決に至るスピード感が違うというようなことが大きな理由というふうに理解をしておいてもいいんでしょうか。

中井国務大臣 現在、日米、日韓、日中、日本と香港、これだけ結ばれているわけでございます。

 そのうち、日米におきましては、三年間平均で、結ばれるまでは二・三件の請求であったのが七件の請求になっています。日韓におきましては、二・五件であったのが九件の請求が行われています。また、日米間で捜査共助、それまではやはり外交ルートということですから十カ月半ぐらいかかっておったのが、五カ月間に短縮される。韓国との間では、五カ月半であったのが約二・五カ月に短縮をされてきております。

 現在も、今副大臣がお答えになったように外交ルートを通じてやられているわけですから、やはり少し時間がかかる。これを、条約締結をしていただいて、中央当局、捜査当局同士がルールにのっとってやれば大いに時間が短縮される、また件数もふえてくると考えております。

 同時に、昔は薬物が多かったわけでありますが、このごろは、不法滞在、車の密輸入あるいは漁業面での密輸等々、幅広い犯罪になってまいりました。そういった意味でも、両国の治安向上のためにも早く締結をお願いしたい、このように考えております。

萩原委員 国家公安委員長にそのままお尋ねしたいんですが、この条約ができる前といいますか、今まで過去におきまして、例えば日ロ間の国境を越えた犯罪というので、いわゆるすべてがきれいに解決しているとはもちろん思えないわけなんですね。何か積み残しというのがあるだろうと思います。

 そんな中で、今回、条約を結ぶことによってスピード感が大幅に変わるというのは理解できるんですけれども、具体的に、今まであるような未解決事件について、この条約ができることによりまして解決できる方向に進んでいくというふうにお考えなさっておられるでしょうか。

中井国務大臣 例えば韓国との間なんかでは、やはり、できて、交流を一層深めて信頼関係が出てくる。その中で、いろいろな論議ができて、先日、我が国の長官が韓国を訪ねて、鳩山総理の東アジア構想の一環として、中国を巻き込んでやろうじゃないかというような議論が出てまいりました。

 一国一国との間で未解決の事件が解決できるという具体的な効果はなくても、捜査当局同士の信頼、そして情報交換の積み重ね、これらで国際的に動く犯罪を未然に防いだり、あるいは立証したりすることができるようになっていくと私どもは考えております。

萩原委員 そうしましたら、事件とかに対しての今後の対処の方法というのは、今委員長おっしゃられたような形というふうに理解をしておいてよろしいんでしょうか。

中井国務大臣 もちろん、今、国境を接している国々とまず最初にやっているわけでございます。それから、交流の多い国々。それらの国々と共助条約を結ぶと同時に、日本の警察内部にも、例えばロシア語が完全にしゃべれる人がいるとか、そういう体制もつくっていかなければなりません。

 そういうすべての体制を準備しながら、国際化し、国境なき犯罪の状況に十分対応できる仕組みをつくっていきたい、こう考えています。

萩原委員 この条約を締結することによって共助を行うことができるというのはわかるのでありますけれども、共助を行うことが締結国の義務になる一方、一定の場合には共助を拒否することができるという事由も定めているというふうに理解をしております。

 この条約の第三条で、共助の拒否事由として挙げられている政治犯罪というのがありますけれども、この政治犯罪というのは具体的にどのような場合を想定しておられるんでしょうか。

武正副大臣 今の政治犯罪ということでありますが、本条約上では、今言いましたように、共助拒否ということができる、それは政治犯罪に関連すると認める場合ということであります。政治犯罪とは、一般に、一国の政治体制の変革を目的とし、あるいはその国家の内外政策に影響を与えることを目的とする行為であって、その国の刑罰法規に触れるものとされております。

 類型的に、具体的に何がということでいうと、例えば、真に政治目的によるものであったか否か。二番目に、客観的に見て、政治目的を達成するのに直接的で有用な関連性を持っているか否か。三番目、行為の内容、性質、結果の重大性などは、意図された目的と対比して均衡を失っておらず、全体として見れば保護に値すると見られるかなどを勘案しつつ判断することになるわけでありますが、個々のケースごと、犯罪の内容、目的、社会影響等を総合的に勘案しつつ判断していくことになろうかと思います。

萩原委員 その場合、政治犯罪であるという判断でありますけれども、判断はだれがするわけですか。

武正副大臣 これは、それぞれ中央当局が、共助のそれぞれの当事者ということで対応をしていくということだと思います。

萩原委員 そうしますと、双方の中央当局が政治判断であると両方ともが認めた場合のみ政治犯罪になるわけですか。

武正副大臣 これは、条文第三条に書いてありますけれども、被請求国、ですから、請求を受けた方がその判断をするということでございます。

萩原委員 刑事の分野で国際協力に関する主な条約として、今回の刑事共助条約のほかに、犯罪人の引き渡し条約や受刑者の移送条約というのがあります。今回の日ロの間ではこれらは結ばれていないというふうに理解しているんですけれども、今後、こういった条約を結んでいかれる予定というかがあるのかと、なぜ今回それは盛り込まれていないのかということをお教えいただきたいと思います。

武正副大臣 まず、犯罪人引き渡し条約でありますけれども、この締結については、各国との犯罪人の引き渡しの具体的必要性の有無、相手国・地域の刑事司法制度などを総合的に勘案の上、判断していくことになります。現時点において、ロシアとの間で当該条約の締結交渉を開始する予定はありません。

 なお、我が国は、逃亡犯罪人引渡法に基づいて、犯罪人引き渡し条約がない場合にあっても、相互主義の保証のもとに外国との間で犯罪人の引き渡しを実施することは可能であります。

 次に、受刑者移送条約、今回、タイとの間で承認を求める条約でもありますが、我が国は、刑を言い渡された者の移送に関する条約、CE条約、欧州評議会が作成をした多数国間条約でありますが、それに平成十五年に加入しておりまして、ロシアを含め同条約を締結している国、平成二十二年一月現在、六十四カ国との間で受刑者の移送を行うことが可能となっております。

 CE条約締結国との間では既に受刑者移送が実施可能でありまして、二国間条約の締結の必要はない、ロシアも同条約を締結しているために、別途、受刑者移送条約を締結することは考えておりません。

萩原委員 今後も、それはもうずっとなしというふうに考えておいていいんでしょうか。

武正副大臣 そういうことだというふうに思います。

萩原委員 ロシアも諸外国と刑事共助条約というのを日本以外にも締結していると思いますけれども、ロシアはこれまで何カ国の国と刑事共助条約を締結していますか。

武正副大臣 ロシアは、これまでに米国、韓国を含め二十八カ国との間で二国間の刑事共助条約を締結しております。これに加えて、ロシアは、多国間条約であるヨーロッパ刑事共助条約及び独立国家共同体の枠内で刑事分野を含む司法共助条約を締結していると承知しております。

 先ほど中井大臣もお話がありましたが、我が国はこれまで、米国、韓国、中国及び香港との間で刑事共助条約、協定を締結し、また、ロシアとEUとの間で、今般承認を求める刑事共助条約につき御審議をお願いしているところでございます。

萩原委員 今後は、ほかの国に対してもこういう共助条約というのは広げていくというふうにお考えでしょうか。

武正副大臣 今国会では、この日ロ刑事共助条約外二本ということで、刑事共助あるいは受刑者移送ということで提出をし、承認を求めるわけであります。

 先ほども申し述べましたように、今、国際的な環境が、テロリストやあるいはマネーロンダリング、また、より人的な交流が活発化する中で、当然、犯罪の件数もふえている。こういった中で、こうした刑事共助条約の必要性、あるいは先ほどの受刑者移送あるいは犯罪人引き渡し条約などの必要性がより高くなっているという政府の認識のもと、今後、そうした締結について急いでいく必要があるということでございます。

萩原委員 今の話ですが、今国会では、日ロの刑事共助条約ということで締結された後、今回は今回でこれで締結しますけれども、例えば、二十年前にインターネット犯罪なんというのはなかなか想像しがたかったわけでありますし、締結はしたといえども、いわゆる時代の変化、状況が変わってきた場合に、それに応じて適切な対応をしていかなければならないと思うのでありますけれども、その辺についてはいかがお考えでしょうか。

武正副大臣 先ほども答弁があったように、特にロシアとの間で人的交流が近年盛んになって、これに伴って、麻薬、銃器、盗難車両などの不法取引など、日ロ双方間が協力して対処する必要性が高いということにかんがみれば、今後共助を要する事案が増加することが見込まれるわけでありまして、今回のこの条約に基づいて迅速かつ確実に共助が実施されることを期待しております。

萩原委員 関係各位におかれましては、これからもより親密な日ロ両国の友好関係の構築と日本の国民の安心、安全のために鋭意努力をしていただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

鈴木委員長 次に、中野譲君。

中野(譲)委員 民主党の中野譲でございます。

 同僚の萩原議員が刑事共助条約、協定についてお話をされたので、私は日・タイの移送条約に的を絞って質問させていただきたいと思います。

 午前中の質疑を伺っていまして、私、ちょっと個人的に反省をするということが一つございます。というのは、私たち、与党になりまして、こういう条約の審議をするときに、振り返ってみると、私も約二年ばかりでございますが外務委員会に以前は属しておりました。そのときに、野党の立場で、では時間をいただいている中で果たしてどれだけ条約についてしっかりとした議論をしてきたのかなというと、同僚議員も含めて甚だお恥ずかしいようなことが多々あったのかなということをちょっと反省しております。

 あわせて、これは与党、野党を限らず、私はふだんから、外交、安全保障は、与党、野党の壁を超えて、なるべく発展的なしっかりとした議論をするべきではないかなというふうに思っております。そういった意味で、与党としての立場できょうは質問させていただくわけでございますが、外務省に対しても法務省に対しても、私の手のうちは全部お見せをいたしました。手札は全部見せております。それは、より建設的な議論をぜひさせていただきたいということで、そういうふうなことで隠し球がない状態でやらせていただきますので、外務大臣そして政務官におかれましては、ぜひ建設的な議論をさせていただきたいと思っております。

 そうしますと、まず、日・タイの移送条約についてお話をさせていただく前に、先ほどからお話があります、平成十五年に日本が加盟をした、刑を言い渡された者の移送に関する条約、いわゆるCE条約でございます。

 今回、タイと日本で初めて二国間の条約を結ぶということですが、これは私の理解でいえば、タイがCE条約には入る方針がないということで、日本は既にCE条約には加盟をしているわけでございますが、タイの国としての方針に基づいて、今回、二国間の条約を初めて日本としては締結するということだと思います。このCE条約と日・タイの移送条約との間で何か大きな違いがあるのかどうかというところを、まず一点確認させていただきたいと思います。

武正副大臣 中野委員にお答えをいたします。

 まず、冒頭の御指摘でありますが、条約の審議というものについての重要性というお話があったというふうに思います。日本は、国際法が国内法を規定する、そうした法体系をとっているわけですので、当然、国際法であるこういった条約が国内法を規定するわけで、本委員会での条約の審議の持つ重要性ということはもう申すまでもないところでございます。

 今、日・タイの受刑者移送条約がCE条約と多くの点で類似しているわけでありますが、主な相違点として四点ほどございます。一つは、移送の対象となる刑が拘禁刑に限定されていること。二つ目は、受入国のみが移送の要請ができること、CE条約では移送国からも移送の要請ができるわけであります。三点目、刑の執行の継続のみが認められていること、CE条約では刑の転換も認められている。四、移送国にのみ特赦等を行う権限があることなどが違うということでございます。

中野(譲)委員 今、四点お挙げになられましたけれども、午前中の平沢委員の質問でもございましたけれども、移送に関する手続について、日・タイの場合は努力義務というか、努めるという表現になっております。ここは私はある意味、大きな肝であるのかなという認識をしているんですが、その辺の認識についてはいかがでしょうか。

中村大臣政務官 午前の質疑のときにも申し上げたとおり、運用としてはCE条約と同じ運用をさせていただきたいと考えております。

中野(譲)委員 後でその辺はもうちょっと詳しくやらせていただきたいと思います。

 そういった意味で、まずは移送条約という大きな枠組みでちょっと議論をさせていただきたいんですが、CE加盟国出身の受刑者というのが、私がいただいた資料によりますと、平成二十年の十二月末で三百九十七名、CE加盟国内の日本人の受刑者の数が平成二十一年一月で四十八名ということでございますが、平成十六年以降の国内のCE加盟国出身の受刑者の総数というのが何人ぐらいいるのか、そして、CE加盟国における日本人受刑者の総数、これは平成十六年以降、CE条約が結ばれた以降でございますが、何人ぐらいいるのか。

 そして、二十一年一月の直近の四十八名という海外の日本人受刑者の、申請ですとか、却下ですとか、現在申請中ですとか、その内訳の数がわかれば、まずはそれをちょっと教えていただきたいと思います。

中村大臣政務官 海外における日本人受刑者数は締約国合計で四十八人ですが、そのうちの内訳は、アメリカ十九人、大韓民国九人、オーストラリア五人、カナダ五人、イタリア三人、オランダ二人、スウェーデン二人、ドイツ二人、ベネズエラ一人となっております。

中野(譲)委員 済みません。私の質問は、国内のCE加盟国出身の受刑者が二十年十二月末で三百九十七人なんですね。ただ、これは、加盟が平成十五年ですから、十六年以降の総数が大体どのくらいいるのか。平成二十年には三百九十七人いるんですね。ただ、平成十五年に加盟をされた後、平成十六年から平成二十一年までの七年間で総数として、それは出たり入ったりしますから、総数としてCE加盟国から大体どのくらいの方が日本で刑に服されているのか。その反面、今度は、この七年間で、日本人の方が海外の刑務所で受刑をされている数というのは総数として何人ぐらいいらっしゃるのかということがわかるかわからないか。わからなければわからないで結構なんです。

 もう一点は、四十八名の国別ではなくて、四十八名の海外の日本人の受刑者の中で、私はこれを申請したいというふうに申請をされた方が何人いらっしゃって、その結果が、例えば却下という場合もあるでしょうし、受理という場合もありますでしょうし、今そのまま申請中の手続中という場合もあると思うんですね。受理に関してはこの七年間で過去二名ということでございますが、この四十八名という喫緊のデータに対しては、内訳はどのようになるのかなということを、まずちょっと教えていただきたいと思います。

中村大臣政務官 受入移送の話で考えたらいいんですね。四十八人の内訳なんですけれども、我が国が国際受刑者移送の運用を開始した十五年六月以降、平成二十一年末までに我が国への受入移送の申し出をした邦人は十七人……(中野(譲)委員「受入移送ではなくて受刑者の総数です」と呼ぶ)

鈴木委員長 質問をよく聞いて答弁してください。

中村大臣政務官 それが四十八人でございます。

中野(譲)委員 いや、総数なんです。

 もう一度いいですか。平成十五年に加盟をいたしました。平成十六年から運用を開始しているわけですね。平成十六年から平成二十一年までの七年間で、海外で受刑をされている日本人の総数がおわかりになるかどうか。日本で受刑をされているCE加盟国の出身の方のこの七年間の総数です。総数がわかるかどうか。

中村大臣政務官 申しわけございません。

 この五年間の統計は、常に一月一日現在で何人が受刑をしているかという統計をとっておりまして、その人間がどれだけ減ってどれだけふえたかということに関しては統計をとってございませんので、直ちには答えられないということで、御了承ください。

中野(譲)委員 それは日本人の海外の受刑者も同じという理解でよろしいわけですね。

中村大臣政務官 同じでございます。

中野(譲)委員 そして、今度は、今政務官おっしゃっているその実績の方。CE加盟国出身の受刑者で、実際に運用開始後の七年間で移送された方の総人数は百六十二名だと思います。逆に、日本人で過去七年間の中で日本に移送された方は、アメリカから一人と韓国から一人の二人だと思います。

 ただ、私がここで一つ質問したいのは、この二人とか百六十二人というのは分子であって、分母、今までの総数がわからなくて、分子だけあって、パーセンテージが出てこないわけですね。そこのパーセンテージを法務省の方で押さえられているかどうかということだけ教えてください。押さえられていなければ、なくて結構でございます。

中村大臣政務官 先ほどの、二人の受入移送の方から説明させていただきますと、先ほど申し上げましたように、十七人が申し出をしております。その事後に申し出を撤回したのは五人、計二十二人でございます。そのうちの内訳としては、そのほか、裁判国が移送を承認しなかったケースが八人、手続継続中に刑の執行を終えるなどしたケースが二人、受入移送を実施したケースは二人であり、残りの五人については今情報交換を行っているところでございます。

 それから、送出移送の分母の方ですけれども、百六十二人が分子で、分母の方は五百十二人でございます。それは事後に申し出を撤回した百四十七人を除いております。

 以上でございます。

中野(譲)委員 そうしますと、その今おっしゃった五百十二人というものが七年間のCE加盟国からの受刑者数の総数という理解でよろしいんですか。

中村大臣政務官 五百十二人は総数とは言えなくて、そのうち移送の希望を申し出た人の数が五百十二人ということになります。

中野(譲)委員 数字があっちゃこっちゃ行ってしまうみたいで、そうしましたら、申しわけないんですけれども、ちょっと私の方でまとめさせていただきたいと思うんです。

 要は、私も法務省の方にいろいろ伺いました。そうしますと、総数がわからない。喫緊のデータとしては、二十年では三百九十七人いるんだけれども、加盟国になった後にどのくらいの方がCE加盟国から来て受刑をされているかがわからないということなんですね。逆に、日本人の方がどのくらい海外で過去七年間受刑をされているかという総数がわからない。要は、分母がわからないんですよ。分母がわからなくて、分子は二と百六十二ということでわかっているわけです。

 そこで、私が質問したいのは、このCE条約の効果についての評価がそれではそういう状況でできるのかどうかということをお聞きしたいんです。というのは、これは平成十四年の委員会で、官房領事移住部長の方の答弁の中で、英国だとかドイツだとかカナダの例を挙げて、評価をしている。この評価の話を細かくするとこれはもう時間がなくなっちゃうのでいたしませんが、要は、こういうふうにCE条約を入れるときに、海外では評価をしています、すばらしいような向上が見られる、CE条約に加盟した方がいいですよということで答弁をされているわけです。

 そうしますと、CE条約に入ってからこの七年間で、日本政府なり法務省として、それでは、しっかりとした効果が出ているかどうかということを評価するときに、数字がわからなければ評価ができないのではないのかなということが、私が本当は聞きたいことなんです。

中村大臣政務官 そもそも、この受刑者移送の仕組みは、本人にその意思がなければできませんので、今おっしゃったことも一つ考え方としてはあると思うんですけれども、そういう意思のある者を分母にして、そして実際に送り出した、また受け入れた人間を分子にするということも、評価をするときの一つの考え方としては適切なのではないかと考えております。

 ただ、どれぐらいの比率の人たちがその意思を持つのか、関心を持つのかということの分析ということをしないといけないということであれば、やはり対象になり得る人たちのマスのデータをとる必要があるという考え方は理解できることだと思いますので、以後その点についてはきちっとやっていきたいと考えております。

中野(譲)委員 今の話に関連をするんですけれども、ちょっと時間が押していますので、お話だけをさせていただきます。

 そうしたら、その意思があるかどうかの確認をどこがするのかという話なんですね。在外公館についてちょっとお話を伺いましたら、在外公館は、刑務所に入られた場合に、全世界でいくと、おおむね一年に一回はその受刑者のもとに足を運ぶということらしいんです。タイは今のところは二回ほど足を運んでいらっしゃるということなんですね。

 ただ、その中で、私がちょっと腑に落ちないのは、タイも含めてほかの国では、それは、この条約の中で、こういうような条約がありますよ、こういう申請をすれば本国で刑を受ける可能性がありますよということの説明が何語でされているかということです。英語であったり、ほとんど、スタンダードは多分英語なんでしょうけれども、要は、日本語ではないわけですね。そうすると、その相手国で、刑務所なり相手国のしかるべきところからまずは情報はきちっと受刑者に対して認知をさせるという前提でありますが、果たしてそこがどこまで徹底されているかどうかということは、どうやら領事館の方ではわからない。

 もう一点は、英語がどのくらい皆さん堪能かわかりませんが、仮に、ある意味こういう専門的なものを英語の文章だとか英語で日本人の方が説明を受けたときに、ああ、これはそういうものなんだというふうに理解ができるかどうかというのは、私は非常にこれは問題ではないのかなと思っているんです。

 ですから、先ほど政務官は、分母の考え方はいろいろあるよと。ただ、分母の考え方のときに、例えば海外の日本人の方々が、果たしてこの制度をしっかりと理解している上で、私は申請をする、私は申請をしないというような意見を、意思を述べられているかどうかというところは非常にあやふやであるということが一つ大きな問題だと私は思うんです。

 それで、御提案なんですけれども、法務省の方では日本語のハンドブックというのをつくっていらっしゃいます。しっかりしたものをつくっていらっしゃいますから、例えば、まず刑を受けられたときに、何らかの形で、ベストな形は、その在外公館の方が刑務所まで赴いて、その日本語のハンドブックによって邦人保護の観点から説明をする。もしもそれが地理的、費用的に難しいのであれば、例えば、その冊子をその方に送りまして、そこに、例えば、これについてもしも御関心なり申請の意思があれば、ぜひ御連絡をしてくださいということで、在外公館として、もう一歩踏み込んだ上でアクションを起こすようなことを一つのスタンダードとしてつくるべきではないのかなと。今、これは、日・タイで結ぶときに、タイは努力義務ですから、タイの刑務所が必ずしもしっかりと日本の受刑者にインフォームするかどうかというのはわからないわけですよ。

 ですから、そこの部分で、先ほど午前中の平沢委員に対する答弁もありましたけれども、ハンドブックを渡すのであればそれを徹底して、日本人のもとには、やり方は別として、必ずハンドブックが手元に届くということは、これは在外公館全体として御検討をいただくというのが一つ必要ではないのかなと思っているんですけれども、その辺、岡田大臣、よろしいですか。

武正副大臣 中野委員にお答えいたします。

 中野委員からの今の御提案については、さまざまな示唆があったというふうに承りました。

 まず、これは当然、外務省、法務省、しっかりと連携を図っていくべきことであること。それから、やはり実数の、実態の把握というものにしっかり努めること。それから、今、具体的な、ハンドブック、こういったものを法務省さんが作成しているという話だったので、こういったものも在外公館がうまく活用してそうした受刑者にということを承りました。貴重な御提案として承らせていただきました。ありがとうございます。

中野(譲)委員 先ほど午前中の同僚委員の質問の中で非締約国の話がありましたけれども、私、ちょっと切り口を変えてみたいと思うんですね。

 日本にいる受刑者の数が、直近のデータだと、CE加盟国を含めて三千四百五十名、そのうちで非加盟国が三千四十五名ということで、八八%強の方が非加盟国であると。その中で、上位三カ国が中国、ブラジル、イランであるので、こういうふうに国内で非常に多くの受刑者のいる国を優先して二国間の条約について結んでいくような努力をするというのが一つの考え方だと思います。

 ただ、私、もう一方の考え方としてちょっと御提起をしたいのが、岡田大臣は、アジア重視、アジア外交、そしてASEANですとかメコン地域というものに非常に力を入れておりますね。その中で、国内受刑者の最新のデータを見ますと、この中でいわゆるASEANから来た受刑者が四百十一名でございます。約一三%強でございます。

 私は、日本は、JICAですとか外務省を中心に、東南アジアの国に対していろいろな法整備でのサポートを今までしている経緯がございますから、二国間ということではなくて、例えばCE条約でいえば欧州協議会という枠の中がスタートとしてあるわけですから、例えばASEANだとかアジアというような枠組みの中でこういうような移送条約をつくっていくというものを日本がイニシアチブをとってやるという考え方というのは一つあるのではないのかなと思いますが、その辺について、岡田外務大臣、いかがでしょうか。

武正副大臣 今、中野委員からの御提案、承りましたが、非締約国の中では、例えばベトナムが百五十七名、フィリピンが百十七名、マレーシアが二十五名など、来日外国人受刑者の数が上がっております。

 今の御提案、日本がODAを使って何ができるかということでは、やはり、法執行体制あるいは法整備など、これが日本が優位性を持ってできる分野であるということは御指摘のとおりであります。

 また、今、ASEANにつきましては、ASEANもASEAN憲章が認められ、そしてまた、ASEANとしての統合に向けて着々とそうしたASEANの体制も整っている、あるいは整いつつあるというふうに承知をしています。もともとASEAN憲章では、お互いの内政不干渉というのが盛り込まれているということは承知をするものの、今言った御提案というものも、大変示唆に富んだ御提案ではないかというふうに伺いました。

中野(譲)委員 ぜひ、その点、御検討をいただきたいと思います。

 本当は、米兵の食料補給の問題、補充の問題についてもちょっとお聞きをしたかったんですが、きょうは残念ながら時間がなくなってしまいましたので、また次回にしたいと思います。

 岡田大臣、せっかくいらっしゃるので、厳しい質問じゃなく、「ミッドナイト・エクスプレス」という映画は、ごらんになったことありますか。一九七八年ですから、ちょうど岡田大臣が学生時代だった。ありませんか。

 これは、トルコのイスタンブールでアメリカ人の旅行客が二キロのハシシュを密輸しようとしまして捕まりまして、それで、結果的には、三十数年間、刑に服される。多少誇張はされているんですけれども、外国の刑務所で受刑をして、非常に過酷な生活をされたという映画なんですよ。アカデミー賞もとっている、非常にいい映画ですので、リラックスモードのときにぜひごらんいただければと思います。

 私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

鈴木委員長 午前中の平沢委員及び小野寺委員の質疑に関しまして答弁漏れがあり、中村法務大臣政務官より発言を求められておりますので、これを許します。中村法務大臣政務官。

中村大臣政務官 再び答弁の機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。

 午前中に質問をいただいた日ロ刑事共助条約の件についてですけれども、双罰性を満たさない事案に関する共助に応ずるか否かは、個々の事案の具体的な事情に基づいて判断することといたしております。

 判断の基準は一概には申し上げることはできませんけれども、事案の内容、性質、また、我が国の法秩序との整合性、求められている共助の内容、特にそれが強制処分を要するものであるか否か、また、共助を実施する場合の関係者に対する負担や不利益、こういった要素を総合して、総合的に考慮して判断することとしております。

 それと、先ほどの笠井議員との質疑の間で、米軍の昭和三十一年時点での食料費についてですが、正しくは、米軍基地内の一般兵士の食料費が一日当たり三百六十円ということでございますので、訂正させていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

 中村法務大臣政務官に言いますが、きょうの質疑の中で、各委員は相当配慮して質問されておりました。このことをよく心して、また次回の機会等に生かしていただきたい、こう思います。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 国際情勢に関する件、特にいわゆる「密約」問題について調査のため、来る四月二日金曜日、参考人として琉球大学教授我部政明君、大阪大学教授坂元一哉君、国際問題研究者新原昭治君及び名古屋大学教授春名幹男君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る四月二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十九分散会


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