衆議院

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第10号 平成22年4月7日(水曜日)

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平成二十二年四月七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 宗男君

   理事 木内 孝胤君 理事 小宮山泰子君

   理事 空本 誠喜君 理事 中野  譲君

   理事 和田 隆志君 理事 小野寺五典君

   理事 平沢 勝栄君 理事 赤松 正雄君

      稲見 哲男君    大谷  啓君

      大山 昌宏君    吉良 州司君

      齋藤  勁君    阪口 直人君

      末松 義規君    武正 公一君

      中津川博郷君    西村智奈美君

      萩原  仁君    浜本  宏君

      早川久美子君    平岡 秀夫君

      松宮  勲君    横粂 勝仁君

      岩屋  毅君    河野 太郎君

      高村 正彦君    田中 和徳君

      古川 禎久君    笠井  亮君

      服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         岡田 克也君

   法務副大臣        加藤 公一君

   外務副大臣        武正 公一君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   鶴岡 公二君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  末松 義規君     稲見 哲男君

  萩原  仁君     大谷  啓君

  河井 克行君     田中 和徳君

同日

 辞任         補欠選任

  稲見 哲男君     末松 義規君

  大谷  啓君     萩原  仁君

  田中 和徳君     河井 克行君

    ―――――――――――――

四月五日

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルグ大公国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルグ大公国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

小宮山(泰)委員長代理 これより会議を開きます。

 委員長が所用のため、その指名により、私が委員長の職務を行います。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省国際法局長鶴岡公二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小宮山(泰)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小宮山(泰)委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜本宏君。

浜本委員 おはようございます。再びこういう機会を与えていただきまして、感謝を申し上げたいと思います。

 まず冒頭ですけれども、昨日、オバマ米大統領が核戦略についての一つの大きな英断を下されました。核軍縮という意味では、我が国が今まで推し進めてきた方向に従ったものであって、我々としては非常に歓迎すべきものと思っておりますけれども、外務大臣に御感想等をお聞かせいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

岡田国務大臣 今回のNPR、いろいろなことを語っておりますが、一つの大きな特徴は、核の役割の低減ということであります。そして、その中で具体的に、消極的安全保証、核を持っていない国に対する核使用は行わないということを明確に述べたということだと思います。

 そして、核の目的というものは、核の攻撃に対する抑止に限定するという唯一目的ということについても、今後の検討課題として挙げたということでありますので、まさしく私が外務大臣になって以来、今まで述べてきたことと同じ路線の中で、オバマ大統領が決断を下していただいたというふうに思っております。

 こういったオバマ大統領の大きく一歩を踏み出す決断、それをより実効性のあるものにしていく、それが日本の役割といいますか責任であろう、そういうふうに思っております。

 消極的安全保証一つとっても、アメリカだけではなくて、ほかの核保有国も同じように、核を持っていない国に対して核使用はしないということを宣言し、そしてそれが単なる宣言ではなくて国際約束につながっていくということで実効性が担保できるわけですから、そういったことについて、G8外相会合でもかなり議論を行ったわけですけれども、しっかりと他の核保有国に対しても議論していきたい、そういうふうに考えているところでございます。

浜本委員 ありがとうございます。

 私は、小学校のときに、中国あるいは当時のソビエトが核実験等を行って、雨が降ると黒い雨が降る、雨に当たったらだめだということで、そんな思い出を持っておるんですが、そういうことから考えてみますと、時代が非常に大きく変わっているんだな、変わってきたんだなという思いがいたします。

 時代が変わったといいますと、ことし、実は私、日曜日の夜の八時になりますと非常に心が浮き浮きするんです。それはなぜかといいますと、坂本竜馬のテレビが八時からやっておりまして、「龍馬伝」というのがありまして、恐らく日本で多くの人が、竜馬ファンの人がごらんになっていると思うんですけれども、きょう、朝から冒頭ですから、ちょっと軽く質問をさせていただきたいと思うんです。

 この竜馬というのは、実は今まで我が国でも余り、歴史的人物としては非常に評価されてきておるんですけれども、外交あるいは外務省との関連、当然、当時は外務省はまだなかったわけですけれども、竜馬の船中八策、船の中で八つの新政府の方針を述べたというこの船中八策の中に、外交というものを非常に重要視して、新政府の一つの大きな方針でこれをやるべきである、あるいは議会を設けて議会によって政策を決めていくんだ、こういうことを書いておるわけですね。

 そういう竜馬が長いこと日の目を見ずに、日本では切手にもあるいは紙幣にもなってこなかったという意味では、私としては非常に不思議だな、こう思っておったんですけれども、今度、銀貨が出たんですけれども、それは余談といたしまして、竜馬のそういった船中八策、あるいはこういうものも、実は、彼が残した手紙とか、あるいは船中八策そのものの文書はありませんけれども、これに近い新政府綱領八策、これは国立国会図書館の中に置いてあるんですが、こういった文書が存在するおかげで、百何十年も前のお話が生き生きと、研究者たちの手を通じて、私たちもそれを享受することができるということであります。

 そういう意味では、先般、四月の二日の外務委員会において参考人質疑、いわゆる密約問題についての質疑があったわけですけれども、そこでは、やはり文書、公文書の、坂元阪大教授によれば、すべてが欠落している部分もある、あるいは一部欠落している文書もあった、こういうことも報告書あるいはこの間の委員会での発言の中にあるわけでございます。

 外務大臣は、何度もこの件については、今後文書公開を含めて検討していくんだということで、既に省内にそういった委員会等を立ち上げておられると思うんです。昨日も、東郷元条約局長のお話の中でありました赤い箱に入っていた文書の一部が消えている、こういうことについての調査委員会を立ち上げたということをテレビで私は見たんですけれども、その件等について、あるいはこの間の外務委員会における参考人質疑に関しての何か感想がございましたら、お聞きしたいと思います。

岡田国務大臣 密約の調査をほぼ半年かけて終えたわけですが、それに伴って二つの問題が出てまいりました。

 一つは、従来の文書保存が必ずしも十分になされておらず、かつ情報公開も十分でないということであります。そのことにつきましては、省内に私を本部長とします検討組織をつくり、三十年で原則公開という趣旨をより徹底する、出せない場合の理由を限定的に列挙する、こういう考え方で、それから、文書のそういった公開するかどうかの、公開しないことの判断に当たっては政務三役が関与する、こういった内容の一つのルールをきちんと、より明確なものを省内につくるということで、今検討を行っているところであります。

 ルールをつくるだけではなくて、そのルールに基づいて、三十年以上たったものが今まで大分たまっておりますので、人員も増強して、そして順次これを公開していくという体制も整えなければなりません。これは予算などが必要になりますが、そういったことについて今、省内で検討を行っているところであります。

 もう一つの話は、不自然な廃棄といいますか欠落があるということについての御指摘で、特に東郷元局長がつくったファイルの中の赤ファイルと呼ばれる日米関係に関するものが一体どうなったのか。我々の調査によりますと、そのうちの幾つかのものはないということでありますので、この点についてどういうことなのか、事実をきちんと解明する必要がある、こう思っておりまして、それはそれで、私と武正副大臣、そして外部の有識者二名、合計四名で調査するための組織をつくりまして、これからそう時間をかけずに関係者から話を聞いて事実解明に努めたい、こういうふうに考えているところでございます。

浜本委員 ありがとうございます。

 四月二日の外務委員会の中で、春名名古屋大学教授がこの報告書について、やはり対外的にも発信するべきである、したがって、アメリカ等の研究者からも英語でアクセスできない状態では困るんだということで、やはりこれを英語で訳して発信するべきではないかという御提言もございましたが、この件についてはいかがでしょうか。

岡田国務大臣 二つの報告書、特に有識者による報告書は、百ページちょっとのボリュームがあるものですが、読んでいて戦後史という意味でも非常に興味深い中身を含むものでございます。したがって、海外からもそれについてアクセスしたいという声があるのはよく理解できるところであります。

 それを英文にするということについては、前向きに検討してみたいというふうに思っております。

浜本委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 それで、きょうは防衛省の方から長島政務官にお越しをいただいております。ありがとうございます。お忙しい政務官でございますから、先に質問をさせていただきたいと思います。

 ちょうど三月三十日であったかと思いますが、ソマリア・アデン湾に海上自衛隊が海賊対処のために我が国を出てから一年がたったと思っておりますけれども、この間、報道によれば、四月の冒頭ぐらいで既に百二十二回エスコートし、約七百五十隻近い船をエスコートしたということで聞いておりますけれども、それは間違いございませんでしょうか。

長島大臣政務官 間違いございません。

浜本委員 ありがとうございます。

 アデン湾を大体二万隻ぐらいの船が通過をして、そしてそのうち我が国の船が大体二千隻ぐらいだということも聞いておるわけですが、海上自衛隊の護衛が非常に高い評価を得ているということは、これは我が国の新聞各紙を見ましても、そのことが非常に評価されておる。私たちとしても、国民としても非常にうれしいことだと思っております。

 しかしながら、一年がたった中で、やはりさまざまな検討材料があるのではないかな、こういうふうに思っておるわけです。

 その中で、一部報道等で出ておりますのは、やはり護衛船の数が少ない。これは三十カ国ぐらいで三十隻ぐらいが出ているようではありますけれども、現実に、先ほど申し上げた日本の船二千隻のうち護衛をされて通過しているのが半分ぐらいだ、あとの千隻ほどは護衛がなしで、エスコートなしの状況で通過することもあったというふうに聞いておるわけなんですけれども、それは事実でしょうか。

長島大臣政務官 大事な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほど先生がおっしゃったように、年間二万隻、日本の船舶、関係船舶が二千隻、こういうことでありまして、約一年やって、護衛をさせていただいた船舶が約七百五十隻、そのうち外国船舶も結構入っております。そういうことになりますと、今先生御指摘いただいたように、かなりの数の日本船舶が護衛なしで、あるいは別の国の護衛のもとにこの海域を航行している、そういうことは当然のことながら事実でございます。

 ただ、二点申し上げたいと思いますが、一つは、基本的には、その船舶あるいはそれを運営する会社からの申請に基づいて、その申請があった船舶についてはほぼすべてその申請におこたえをさせていただいているということでございます。

 私ども日本の自衛隊の護衛艦の護衛の仕方は、A地点とB地点を決めて、その地点に何時、いついつ集合してくださいということで集合していただいて、それをいわばマンツーマンディフェンスのような形でB地点へ送る、そしてまた帰りも今度は集合していただいて送っていく、こういう形でやらせていただいておりますので、そこに集合し切れなかった数がある程度出てくるというのはいたし方ない、今の運航の仕方からするといたし方ないというふうに思っております。

 同時に、他の国は、例えばアメリカが中心となっているCMFと言われている連合海上部隊、あるいはEUやNATOを中心とする艦艇などは、ゾーンを決めて、このゾーンの中に入ってくる船については基本的には責任を持ちますよと。

 二つのやり方があるわけですけれども、私どもも随分、船舶の会社の皆さんとお話をさせていただいて、ゾーンよりはきちっときめ細かくA地点からB地点まで確実に送り届けていただいた方がありがたいということで前者のやり方をとっているわけですけれども、それにあわせて、こういったゾーンディフェンスをとっている国々、あるいはインドを初めとする同じようにマンツーマンディフェンスをやっている国々と情報共有、運航スケジュールなどの情報共有をきちっとしながら、なるべく穴のあかないような、そういうやり方で今随時、護衛活動を進めているということで、御理解いただきたいというふうに思います。

浜本委員 ありがとうございます。

 ゾーンディフェンス方式といわゆるエスコート方式、二つがあるんだということがわかったわけですが、どうしてもやはり艦船が先ほど申し上げたように少ない部分は外国の艦船にも護衛をしてもらうこともあるんだというお話がありましたが、そういう意味では、今後、諸外国との連携といいますか、これがやはり必要になってくるんじゃないか。

 例えば、先ほど政務官おっしゃった中のエスコート方式をとっている国には、日本以外にどういう国があるんでしょうか。

長島大臣政務官 インド、そして中国、ロシアが主要な国々です。

浜本委員 ありがとうございます。

 そういったエスコート方式をとっている国々と連携をとりながら、既にもう中国なんかとも一部連携をとりながらのエスコートをやっているということを聞いてはおりますけれども、今後やはり、何分限られた艦船の中でそういう方式でやる場合は連携が必要であろうし、我が国がそういう意味ではイニシアチブをとりながら、そういう連携を図っていくことが必要ではないのか。また、これは船主協会だったと思うんですが、そういうところからも要請があったというふうに聞いておりますけれども、ぜひそういう面での連携を進めていっていただきたい、このように思います。

長島大臣政務官 大変重要な御指摘をいただいたと思います。引き続き、連携を強化してまいりたいと思います。

 もう一度、先ほど舌足らずだったと思いますので、説明させていただきたいのは、ゾーンディフェンスをやっている国々については、私どもから、エスコートする日程と海域をきちっと事前に知らせます。そうしますと、じゃ、この時間帯はこのゾーンはあけても、別の方に回っていいんだなということで、ほかの海域のゾーンを強化することができる。これが一点。

 それから、さっき先生御指摘いただいたように、インドを初めとするエスコート方式をとっている国々とのスケジュール交換、共有をして、なるべく穴のあかないような形で今も進めておりますが、限られた護衛艦の数でございますので、引き続きこの連携を強化してまいりたいというふうに思っております。

浜本委員 この海賊対処活動に参加している国々が集まって、ことし初めに何かグループ会議みたいなものがあったというふうに聞いております。

 その中で、海上自衛隊のP3C哨戒機の活動、活躍ぶりが非常に評価されている。飛行時間のうちの半分近くが我が国の海上自衛隊のP3Cが飛んで、飛行機ですから、当然海賊船を探知するのが早いわけですね。そういう評価を得ているということを聞いております。

 その一方で、もっとP3Cをふやしてもらえないだろうかという声もあったというふうに聞いておりますが、そのことについては、政務官、御存じでしょうか。

長島大臣政務官 これまた重要な御指摘をいただきました。

 当初は、ソマリア沖・アデン湾の海賊対処ということで、ちょうどアデン湾のところが海賊が非常に多く出没をしているということで、私ども護衛艦を派遣し各国と協力していたんですが、今そのアデン湾だけではなくて、ソマリアの東の方の沖合にまでかなり海賊の活動範囲が拡大をしてきておりまして、我々が警戒できる海域がますます拡大してきておりますので、そういう意味でいうと、P3Cという哨戒機の有用性はますます高まってきているというふうに私どもは認識をしております。

 加えて、今先生が御指摘いただいたように、ことしの一月にニューヨークで開かれましたソマリア沖海賊対処に関するコンタクトグループの会合におきましても、海賊対処のため哨戒機のさらなる派遣について各国に対してコンタクトグループが要望した、こういう事実がございます。

 現在、我が国は哨戒機二機を派遣して海上輸送路の警戒監視を行っておりますが、私ども、この点については、今先生から御指摘いただいたように非常に重要な関心を持っておりますので、今後とも、各国と連携を深めながら、私どもで何ができるかということを考慮させていただきたいというふうに思っております。

浜本委員 ありがとうございます。

 国際社会が日本に期待をしているということで、ぜひその方向で頑張っていただきたいと思います。

 きょう資料にお渡しをしております中に、一番最後ですか、「27 平和度」という、これは国会図書館の調査及び立法考査局から出ております報告書の中であるわけですが、この平和度は、さまざまな観点からこういう形に、グラフにされておるんですが、その中に、PKOに派遣しているかとか、あるいはそういう国際貢献をしているかとか、こういうものも要素の中に入っておるというふうに聞いております。

 そういう意味で、今、平和度といいますと、これは先進諸国の中では、我が国は七位から五位の間で頑張っているというところでもあります。どうか、そういう意味からも、ひとつ防衛省の皆さんにも頑張っていただきたいと思います。

 さて、次に、今海賊問題が出ましたので、我が国政府はまだこれを海賊とは認定してはおりませんけれども、私にはこれは明らかに海賊行為じゃないかと思われる、いわゆるシーシェパード、この問題についてちょっとお話をお伺いしたいと思います。

 シーシェパードによる我が国の調査捕鯨の妨害行為が頻繁に行われているということをよく報道等で見るわけですけれども、これは大体どのような形でいつぐらいから起こっておるのか、そのあたりのことについて外務省の方からお教えいただければ幸いです。

武正副大臣 ちょっと今、資料の方を調べておりますが、委員御指摘のように、シーシェパードによる妨害行為、こういったものが近年非常に過激に行われているということは御承知のとおりでございます。

 ことしについて言えば、一月六日、我が国調査船第二昭南丸とシーシェパード船舶アディ・ギル号との間で、また二月六日には第三勇新丸とボブ・バーカー号との間で、衝突事故が発生しております。

浜本委員 ありがとうございます。

 このシーシェパードの問題につきましては、ちょうど、これはソトコトという環境問題に関する雑誌でありますけれども、今月号にシーシェパードが特集をされまして、ポール・ワトソンの独占インタビューとか、こういう形で出ておりまして、これを見ておりますと、シーシェパードが所有する船がポルトガル政府に押収されたとか、カナダの沿岸警備隊に攻撃されたとか、またカナダ政府に押収されたとか、少なくとも、ここに出てくるだけでも三隻が押収されたり沈没させられたとかいうことが出ておるわけです。

 まず、今回、シーシェパードの元船長が五つの罪でこの間、起訴をされておりますけれども、国内法で過去に何度もこういう繰り返しがあったわけですけれども、残念ながら、十分な対応が我が国政府はできなかった。しかしながら、今回、こんなことではいけないんだということで、物理的強制力を使って元船長を日本へ連行したということで、やはりこういう犯罪は許してはいけないという強い政府の意思が私は見られたとは思っているんです。

 国内法によってこれを逮捕したというのはよくわかるんですけれども、その一方で、このシーシェパードがやっている行為は、ある段階から明らかに海賊行為に該当するような行動になってきたのではないかというふうに思うわけであります。

 それは、国連海洋法条約百一条、きょう皆さんのお手元にも配付しておりますので、ごらんをいただければいいと思いますけれども、この件については、公明党の石田議員がたしか二月の予算委員会の中で取り上げられて、前原国土交通大臣が、これを海賊行為であるというふうに認定するについてはいろいろ考えるところがあって難しいところがある、しかしながら、完全に無理だということではない、もしやれば外国から批判を受けることもあるという、その覚悟はしなければいけないというような内容のことを予算委員会でおっしゃっておられるわけです。

 しかしながら、この百一条に見ましたときに、一番問題になるのはそこの(a)で、「私有の船舶又は航空機の乗組員又は旅客が私的目的のために」というこの「私的目的」、シーシェパードのやっていることが私的目的なのかどうかというところが、要するに意見の分かれるところであります。

 私的目的であるかどうか、これを認定するのは、だれが認定をするのか、これについてお伺いをしたいと思います。

岡田国務大臣 これは条約でありますから、最終的に、決定するということになれば、国際司法裁判所で決定するということになると思います。

浜本委員 もちろん、国際司法裁判所に提訴をされて、お互いが管轄権を認めている場合はそうでしょうけれども、やはりこれは、主権国家であるそれぞれの国々が、締約国が、まずその前段階として私的行為であるかどうかということを判断した上で国際法を適用するんだ、こういうふうに理解しております。

 したがって、シーシェパードの行為がこれは私的行為を、私的目的を逸脱しているんだ、こういう認定を我が国がすれば、少なくとも政治的に国際社会に対して国際犯罪である海賊行為だということをアピールできるのではないか。もしそれが無理であるならば、少なくとも、海賊行為に近い行為であって、これは国際社会に対する犯罪に近いんだというぐらいの、犯罪行為である、違法な行為であるということはおっしゃっておられますけれども、やはり海賊行為というのは、御存じのように、国際犯罪というふうに認められておるわけであります。そういう意味で、これを積極的に我が国は、シーシェパードについては、もはやこれは海賊的な行為であるというふうにやってもいいのではないか。

 非常に強硬的な意見であるかもわかりませんけれども、やはりここは思い切って国際社会の犯罪に対して強くぶち当たっていくんだという意思は示した方がいいのではないかなというふうに思っておるんですが、いかが考えられるのか、お願いいたします。

武正副大臣 浜本委員にお答えいたします。

 先ほどのお問い合わせでございますが、シーシェパードの設立は一九七〇年代でありますが、日本船に対しては、二〇〇五年から二〇〇六年の漁期、秋から冬にかけてから、毎年妨害が行われているということでございます。

 また、今の御指摘でありますけれども、委員の御指摘というところは、しっかりと受けとめさせていただきます。

 一方、やはり国際海洋法条約上の海賊行為に該当すると断定することについての困難さがあるということは、やはり言わなければなりません。ただ、このシーシェパードの妨害行為は、船舶及び乗組員の安全を脅かす極めて悪質かつ危険な行為であり、政府として引き続き、旗国等関係国に対し、妨害行為の再発防止に向け、しかるべき措置をとるよう申し入れていく考えであります。

浜本委員 ありがとうございます。

 こういう国連海洋法条約、いわゆる国際法の中の一つでありますけれども、先ほど外務省と関連する坂本竜馬の話をしましたが、国際法の父と言われるグロティウス、彼は公海自由の原則というものを「海洋自由論」という本の中で書いておるわけでありますし、この公海自由の原則というのは、何百年にわたって人類が守ってきた大切な原則であります。それがこのシーシェパードの行為によって、何百年と人類が守ってきた慣習法が今やこの国連海洋法条約では明文化されておりますけれども、そういった大原則を破っている、この行為は断じて許してはいけないという強い思いはやはり持つ必要がある、こういうふうに考えております。

 この件につきましては、そういうことで、国際犯罪を許してはいけないんだということで、ぜひ皆さんのさらなる御検討をよろしくお願いしたいと思います。

 その次に、ODA問題に関する今後の見通しについて質問をさせていただきたいと思います。

 きょうの資料の中にございますように、我が国はODAの実績額がピークと比べますと半分に近いというふうな状況になっておることは、もう既にここにいらっしゃる委員の皆さんは御存じかと思います。特に顕著なのは、アメリカ合衆国あるいはイギリス、フランス、ドイツといった国々がどんどんこのODA関連の予算を伸ばして、外交の武器として使っている。その一方で、我が国は、財政事情もあって、今申し上げたように、非常に実績額が下がってきているということであります。

 先般のこの委員会でも、なぜODAが必要なのかということについて、やはり国民の理解がまだまだ浅いのではないか、そのためにもっと努力をするべきである、こういうことの指摘をされた委員がいらっしゃいました。私も、やはりこのODAについては、言葉、外務大臣は外交演説の中でもおっしゃっておられます三つの原則の中の一つに、簡単な言葉で説明をするんだ、このことの重要さを指摘されておりますけれども、外務省のホームページ等を見ましても、ODAの人道的な役割、人道面から必要なんだ、これもよくわかるんですけれども、これは非常に大切なことであるのはわかっております。

 しかし、その一方で、これは言いにくいでしょうけれども、ある意味、見返りと言うとちょっと語弊があるかもわかりませんけれども、やはりそういった手を差し伸べたことによって、今後、我が国が国連の安全保障理事会の常任理事国に立候補、できればそういうことを目指している、そういうときにも諸国の賛同を得たい、あるいは、先般のクロマグロの問題あるいは捕鯨問題、こういうものにいたしましても、国際社会ではそれぞれの国々の投票によってルールができていく、そういう意味ではODAが非常に大事なんだ、この部分をもう少し国民にわかりやすく言わないと、今、経済状況がこういう状況でありますから、人道上の問題だけだと、国民は、人道上だったら国内だってもっと大変なんだ、こういうことにもなってまいります。

 そういう意味で、もう少し、一面、建前とは言いません、これも本音の部分だとは思いますけれども、もう一つの要素の部分のことについても国民の皆さんにわかるような形でアピールをしていただきたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。

武正副大臣 委員御指摘のとおり、ODAの当初予算は過去十三年間でほぼ半減、ODA事業量も、平成十九年は下げどまり、平成二十年は増額しましたが、平成七年に比べて減少傾向ということであります。

 今、御指摘のところにつきましては、外務省内で、ことし夏までにODAのあり方の見直しを行おうということで取り組んでいるところでありまして、特にODA、政府開発援助という日本語の言葉自体も、国民の皆さんにすっと腑に落ちるような言い回しということもやはり工夫をしていく必要もあるだろうし、あるいはまた、今言われたように、ODAに対する理解をどうやって進めていくのか、広報体制も含めて、そのあるべき姿を見直していこうということでございます。

 このことについては、ちょうど今、成長戦略の具体化なども政府としても検討しておりますけれども、この政府開発援助、ODAの持つ幅広いあるいは大変多面的な意味というものをよりわかりやすく国民の皆さんに説明をしていきたい、工夫をしていきたいというふうに思っております。

浜本委員 お手元の資料にありますように、GNI、国民総所得からいくと、我が国は決してたくさんの貢献、額的には非常に大きな、十年間近くにわたって世界で第一位の地位であったわけでありますけれども、GNIでいきますと国連の目標値である〇・七にはるかに及んでいないというようなこと、こういうことについても、国民の皆さんにも御理解をいただくような御努力もお願いをしたい、こういうふうに思っております。

 さて、時間が迫っておりますので、次に人権問題についてお伺いをしたいと思います。

 いわゆる第二次世界大戦後の国際社会は、基本的人権の保障、国際的な保障、これが非常に大事だ。つまり、例えばナチス・ドイツにおけるホロコースト、こういうものを許しておったために、だんだん国内的なそういう政治体制が発展していった、それによって第二次世界大戦が勃発した。したがって、一国における人権のじゅうりん、こういったものは最終的には世界の戦争につながっていくんだという認識のもとで、第二次大戦後の国際社会は、世界人権宣言あるいは、宣言だけではだめだということで、国際人権規約のような法的な拘束力のあるものをつくった、こういうふうに理解をしております。

 我が国も、国際人権規約A規約、B規約、いわゆる社会権規約と自由権規約の締約国でありますけれども、しかしながら、これのB規約の第一追加議定書はまだ批准がされておりません。これについては、長い間この国会でも議論がされて、そのたびに、いや、国内法がまだ整備されていないんだ、だから難しいんだ、こういう話がございました。

 民主党は、マニフェストの中で、この人権規約のプロトコール、第一追加議定書についてはこれを批准するんだというふうな記述をしておりますけれども、今度の新政権、岡田外交の中で、こういった人権規約のB規約の追加議定書、いわゆる個人通報制度、人権が侵害された場合に個人的に国連の委員会の方に通報できるんだ、こういうシステムを持った追加議定書の批准についてどうお考えになるのか、また人権外交について外務大臣はどうお考えになるのか、お教えいただければ幸いです。

武正副大臣 浜本委員にお答えいたします。

 このいわゆるB規約の第一選択議定書、個人通報制度が規定をされておりまして、これは条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度であると考えております。他方、今お話あったように、我が国の司法制度、立法政策との関連で問題が生じることがないかということを含めて、検討課題があるということであります。

 政府としても、関係省庁の研究会を開催して、それぞれ関係省庁との間での検討を進めていることは御承知をされているというふうに思いますが、今委員の御指摘の人権外交ということで、この点については、日本がやはり、アジア大洋州の各国に対しても、特に人権面での進んだところなども、法執行などのいろいろな整備の援助も含めてリードができる、あるいは貢献ができる分野でもあろうかというふうに思っております。

 国内のそうしたさまざまな研究会での検討も踏まえて、人権外交としての旗を掲げていくためにも、この第一追加議定書についても引き続き真剣に検討していきたいというふうに思います。

岡田国務大臣 人権外交ということでいいますと、先ほど委員御指摘のODAなどの外交手段と、それから、人権を実現するための、ある国において人権の侵害がある可能性があるときに、そういう外交手段を使って何らかの働きかけを行っていくという問題もございます。

 今、具体的に問題になっているのはミャンマーで、先般、ことし行われる予定の選挙について、それがだれでも参加でき、開かれたものになっていないということを、ミャンマー大使を呼んで、我が国としての考え方を通告したところでございます。そして、実は、ミャンマーに対しては、そういったことし行われる選挙が開かれたものであるということであれば、今かなり限定しております経済協力につきましても、より本格的な支援を行う用意があるということを昨年具体的に申し上げたところなんですけれども、そういうこともできなくなる可能性が高いということも、あわせて申し上げたところであります。

 同じような状況というか、スリランカについても、選挙が行われておりますけれども、大統領選挙の対抗馬は、これはそれぞれの国が決めることとはいえ、今現在、自由の身にはないわけであります。しかし、日本はかなりの経済的協力というものをスリランカに対しては累次行ってきております。そういう問題をどう考えていくのかということは、非常に大きな課題であるというふうに認識をしております。

 ただ、一方、ミャンマーもスリランカも、ミャンマーの場合でいうと、中国やロシアあるいはインドといった国々が、日本がやらなくてもいろいろな意味での経済協力というのはやっておりますので、日本がやらないということになりますと、ますますそういった国の影響力が強くなっていくというジレンマも一方で抱えておりまして、まずそういったことをどう考えていくのかという非常に難しいところですけれども、ぜひまた委員のお知恵もかしていただきたいというふうに思っているところであります。

浜本委員 時間が参りました。次回のときにまた質問させていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

小宮山(泰)委員長代理 次に、服部良一君。

服部委員 おはようございます。社会民主党・市民連合の服部良一です。

 外務委員会として、三月の三十一日に沖縄の視察をさせていただきました。私は、大変貴重なというか重要な視察だったなというふうに思っております。キャンプ・シュワブの基地の中、あるいは、今いろいろ新聞紙上をにぎわしておりますホワイトビーチ沖の問題との関係で、うるま市も訪問させていただきましたし、あと、沖縄の県知事あるいは県議会の皆さんとも懇談をさせていただきました。

 恐らく、多くの参加された委員の皆さんは、やはり沖縄に基地をこれ以上押しつけるのは厳しいな、無理だな、普天間基地の沖縄県内移設というのは非常に厳しい、というか、沖縄の非常に強い反対の世論があるなということを、まさに実感をして帰ってこられたんじゃないかなというふうに思います。私も、本当にそのように思ったわけです。

 そこで、岡田大臣に質問をさせていただきますけれども、去る三月の二十九日、ゲーツ・アメリカ国防長官並びにクリントン米国務長官との会談で、岡田大臣が今の辺野古沖の現行計画の実施は困難だというような意向を示されたというふうに新聞等で報道をされております。あるいは、現行案を検討対象から除外して説明したというような報道もされているわけですけれども、これは事実でしょうか。

岡田国務大臣 率直に申し上げて、かなり間違った報道であるというふうに申し上げなければなりません。

 まず、案の中身は、そもそも説明しておりません。現行案ももちろん説明しておりませんが、現在、政府あるいは五閣僚の中で検討しておりますそういった中身についても説明はしていないということは、私は明確に申し上げているところでございます。ですから、今の検討している案も説明していないわけですから、日米合意案も当然説明していないわけであります。

 それから、私が申し上げたことは、これも明確に申し上げておりますが、困難さの程度の問題として、現在の日米合意案と比べると、より困難さが少ないと。今、政府が検討している、私がルース大使に現状を説明した、その考え方ですね、それは困難性がより少ないと。逆に言うと、日米合意案は困難性が大きいということを申し上げただけであって、困難性が大きい小さいというのは相対的な問題でありまして、できないということはもちろん言っていないわけであります。そのところは、私は、明確に記者の皆さんに対しても説明をしているところでございます。

服部委員 読売新聞の岡田外相とゲーツ米国防長官の会談要旨というかなり詳細な会談録があるわけですけれども、この中で岡田外務大臣が、「米国が(日米合意の)現行案を最善とすることは承知しているが、様々な困難がある。」というふうに文章になっているわけですけれども、そういう趣旨のことはおっしゃったという理解でいいんでしょうか。

岡田国務大臣 困難があるということは申し上げました。

 困難があるということは、インポシブルと言っているわけではありません、難しさがあると。当然のことであります、難しくなければできるわけですから。当然のことを言っただけでございます。

服部委員 同じく報道の中で、アメリカ側が、アメリカ側といいますか、ゲーツ米国防長官が、「日本政府が、海兵隊の存在が軍事運用面と政治的に安定的に持続できることを確実にするよう期待する」と述べたというふうに報道されているわけですね。結局、移設には地元の合意が必要だ、そういうアメリカ側の意向が伝えられたというふうに報道等で言われているわけです。

 ですから、要するに、アメリカ側も、新たな移設先の地元の合意がやはり必要ですよ、そういうふうにアメリカ側としても理解をしているというか、要求をしているとかいうことだろうと思うんですけれども、そのことは事実でしょうか。

岡田国務大臣 アメリカ側がどういうふうに述べたかということは、これはルールとして言わないことになっております。ただ、アメリカ側の公表された資料にはその趣旨のことが書かれておりますので、御説明申し上げたいと思います。

 アメリカ側が言ったのは、合意を必要とするとか、そんなことはもちろん言っていないわけであります。ただ、地元との間でそのことが不可能な案ではだめだというのは当然のことでありまして、そういう意味で地元が受け入れることができる案、そういう趣旨のことは言われたことは事実であります。

 我々も、それは当然のことでありまして、地元ということが何を意味するのかという問題もありますけれども、例えば公有水面の埋め立てということになれば知事の権限でありますから、知事の了解なくしてできないということは当然であります。

服部委員 繰り返しますけれども、地元との間で不可能な案ではだめだというふうにおっしゃったということですね、今の御発言は。

岡田国務大臣 地元の理解が得られていることが必要である、そういう趣旨のことを言われたと記憶しております。

服部委員 実は、鳩山総理も、三月三十一日の党首討論の中で、現地の了解なくして案を進めることにはならないということをおっしゃっているわけですけれども、これは総理の発言としても非常に重たいと思うんですが、政府としては、基本的には、とにかく地元の合意なしに進めることはないという理解でよろしいでしょうか。

岡田国務大臣 了解とか合意とか、いろいろな表現を委員もお使いになりますが、基本的に、法的に言えば、先ほど言いました公有水面の埋め立てということについては知事の権限であります。

服部委員 アメリカ側は、現行案は望ましいということを言いながら、地元の合意が必要だというのも、実は非常に矛盾しているなと私は思っているんですね。

 というのは、今の現行案についても、もう既に名護市は海の埋め立てはだめだということをはっきり言っておりますし、もろもろの県議会の決議等々から考えまして、現行案ということについてももう無理だと。県議会の議員の皆さんとも懇談をする中で、今まで苦渋の選択として自民党や公明党の旧政権の方々が進めておられた、そのことも含めてもうだめなんですねということを私はその場で確認させていただいたんですけれども、そうだということだったんですね。

 そういう意味では、現行案についての地元の合意という意味においては極めて無理があるというふうに思いますし、アメリカが言っていることにもやはり矛盾があるというふうに私は思うわけですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

岡田国務大臣 何度も言いますが、合意ということを必ずしもアメリカ側は言っているわけではありませんし、私も、もちろん県議会で決議をしたということは非常に重いということは十分認識をしておりますけれども、法的な合意なのかどうかという、そこの用語は厳密に考えた方がいいというふうに思います。

 それから、もちろん沖縄の議会の決議は重いわけですけれども、この話というのは、では、移転先が決まらなければどうなるのかということも含めてきちんと議論しないと、余りにも結果について無責任ということになりかねない問題だと思います。ぜひ委員の御意見も聞かせていただきたいと思いますが、移転先が決まらなければ現状が残るということになります。そのことについてどういうふうにお考えなのか。それを避けようとしたら、移転先を何が何でも見つけなければいけない、それは与党の責任でもある、私はそういうふうに思うわけであります。そこをどういうふうにお考えなのか。

 あるいは、日米間で合意していること、八千人の海兵隊の沖縄からの移転、その移転に伴う基地の返還、そういったことについて、この移転というものがうまくいかなければそういうものも白紙に戻る可能性は常にある。そういうことについて一体与党としてどういうふうにお考えなのか、ぜひそういうことも踏まえて御質問いただきたいというふうに思っております。

服部委員 私は、やはり沖縄の県内にこれ以上基地を押しつけるのはだめだろう、そういう思いで発言をさせていただいているわけです。それを実際にどこにという話は、ちょっとここでするような話ではないので、それは差し控えますけれども。

 きのう、外務委員会として行った報告書の素案ができ上がってまいりました。それを今度、鈴木委員長が官邸の方にも届けるということなわけですけれども、ちなみに、うるま市との懇談の中で、市長は、ホワイトビーチへの埋め立て案ですけれども、「同案が出てくるのは地元軽視も甚だしい。」あるいは「市民の安全という観点からも、海上への新基地建設は到底容認できない。」あるいは「モズク養殖により生計を立てている者にとって死活問題である。」、「勝連沖への移設案には、断固反対する。」ということを市長が表明されているわけです。

 それから、市議会の議長も、三月十九日には勝連沖の埋め立て反対の意見書を全会一致で可決した。それから、赤嶺勝連漁協組合長も、同様の趣旨を、反対であるということを表明され、また、沖縄の県知事も、「ホワイトビーチ沖については、これまで何度も出ている案だが、地域漁協が反対しており、容認しがたい。」、「県民は、「県外」への移設について、」「公約と捉えており、実現を期待している。四月二十五日の県民大会へ向けて、まだまだ期待は高まっている。」ということを仲井眞県知事が言われているわけです。

 まさにこういうことが沖縄の民意だというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 沖縄の中にもいろいろなお考えがあるというふうに思います。ただ、そういった声が高まっているということは事実の問題として、私はそう認識をしております。

 そういう中でこの問題をどう解決していくかということ。先ほど言いましたように、移転先がないということになれば現状が固定されるというリスクは当然あるわけですから、そして八千人の移転も実現しなくなる、白紙に戻る、そういうことについてどう考えるのかということも含めて議論していかないと、これは非常に一方的な議論になってしまうということだと思います。

 我々としても、沖縄の負担をなるべく減らす、減らしたいという思いの中で、さまざまな機能の移転ということも含めて考えているわけですが、ぜひ連立与党である社民党の方からも、これはだめ、あれはだめということではなくて、こういう考え方がある、そういうふうに思っていただかないと、私は、これはやはりだめなんじゃないか。やはり、ともに政権を担う者として、その自覚を持ってやっていただく、そのことをぜひ期待したいと思います。

服部委員 我々も、我々の考え方というのはもうお示しをさせていただいているわけです。その上で、この普天間問題が今まで十四年間、前政権のもとで動かなかった。その当時、沖縄県知事もあるいは地元名護市も苦渋の選択ということで進めていたにもかかわらず、動かなかったというこの事実を、やはり我々は重く受けとめる必要があるのじゃないか。ですから、結局、普天間基地の移転を沖縄に押しつける、言葉はちょっといろいろあれかもしれませんけれども、沖縄しかないという選択については、これはもうそういう過ちを新しい政権でやってほしくない、そういう思いを私は持っておるということをお伝えしておきたいというふうに思います。

 次に、先日の密約の問題ですけれども、お手元に資料を配付させていただきました。

 沖縄返還時の核の持ち込みの密約について、合意議事録の存在があるわけですけれども、これに関連して、私が先日の参考人質疑で質問をさせていただいた中で、有識者委員会の坂元さんから、この結論部分についても自分は納得していないという趣旨の御発言がありました。

 実は、この報告書を見ますと、「全員で議論を重ね、統一をはかってはいるが、必ずしも細部に至るまで全員が一致しているわけではない。」というふうに書いてあるわけですけれども、私、実は、坂元さんのこの発言を聞いて、この結論部分について違う意見をお持ちだということについては、ちょっと正直びっくりしたわけですね。

 というのは、やはり連名でこの報告書が出されているということは、細部については確かに一致しないことがあるにしても、結論部分については、一応納得といいますか理解をされているのではないかというふうに理解したわけですけれども、そうではないということがはっきりしたということになりますと、しかも、先日の参考人質疑の中で我部参考人から、沖縄への核持ち込みの密約については、これは密約の中の密約であるというような発言もされているわけですね。

 そういう意味で、ぜひともこの問題を今後とももう少し精査をしていただきたい、精査をする必要があるのではないかというふうに思っておりますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

岡田国務大臣 まず、今回の密約調査について、基本的な性格というものを御理解いただきたいと思います。外務省は、事実をきちんと出すということで外務省の報告書をつくりました。そして、その事実に基づいて、一部推論も加え、どう考えるべきかということを六人の有識者が議論した結果まとまったのが有識者の報告書であります。

 したがって、それぞれ有識者は見識と御意見をお持ちでありますから、すべて一致しているというわけではなくて、意見が分かれたものもある。沖縄の核の再持ち込み密約に関しては、それを責任を持って書かれた有識者の方の結論が今あるものでありまして、坂元委員はそこは担当されなかったわけですけれども、意見としては違う御意見を持ち、最後までかなり議論がなされたというふうに承知をしております。しかし、最終的には、全体の意見というものを一つにまとめるという中で報告書ができ上がっているということであります。

 ですから、外務省が判断する問題ではないんです。外務省が出した事実、これは基本的にシンプルなものでありますが、沖縄の核再持ち込みに関しては外務省に資料は一切ないということと、しかし、佐藤栄作元総理の御遺族のところからニクソン大統領と佐藤首相のサインした文書が出てきたということであります。その文書が本物であるということは、我々も認識をしております。

 それをもってどう考えるか、どう解釈するかということでありまして、それはまさしく、学識経験者の間でこれからも議論が繰り返されていく中で一つの共通の認識というものが生まれる。我々は、有識者報告書の中でその方向性を一つ有識者の皆さんに出していただきましたが、有識者会議の中でも異論があり、あるいはそこに参加しておられなかった方々の中にもいろいろ意見があるということであります。それをこれからまさしく、いろいろな論争を通じて、考え方を、一つになるかどうかわかりませんが、収れんしていくことを期待しているということでございます。

 外務省として、有識者報告書すべてそのとおりだというつもりもありませんし、それは有識者がまとめられたものだ、我々としてはそれを尊重する、そういうスタンスでございます。

服部委員 もう時間になりましたので、実は、先日の参考人招致の中で、今回解明をされました四つの疑惑以外に六点の新しいまた別の密約があるという指摘もされました。この中の第一次裁判権の密約については、十一月十八日の当委員会で武正副大臣から、密約ということを認識した上で今後とも検討していきたいという答弁もいただいておりますので、こういった四つの密約自身の精査も含め、あるいはまた新しく指摘された密約の解明ということも含めて、引き続き外務省としても努力をしていただきたいという要望を申し上げて、質問を終わります。

小宮山(泰)委員長代理 次に、平沢勝栄君。

平沢委員 自民党の平沢勝栄でございます。

 普天間の問題をお聞きしたいと思いますけれども、その前に、中国で昨日、日本人が死刑執行されました。また、近く三人が死刑されるということで伺っておりますので、この問題について最初に質問させていただきたいと思います。

 まず、最近中国で、近く執行予定の三人を入れると四人ということになるんですけれども、今まで海外で日本人が死刑判決を受けた例、あるいは死刑が執行された例というのはあるんでしょうか。これはいかがでしょうか。

武正副大臣 平沢委員にお答えいたします。

 外務省において把握している限り、このたびの中国における死刑執行以前に、海外において、戦後、通常の刑事裁判により死刑を執行された日本人の記録はありません。

平沢委員 今、死刑が確定して死刑執行を待っているという受刑者もいない、こういうことでよろしいですか。

武正副大臣 ちょっとそれは承知をしておりません。

平沢委員 それは調べていただきたいと思います。

 それで、今回の昨日執行された赤野受刑者ですけれども、確定したのは去年ですけれども、刑が執行されたのは昨日、残りの三人については、二〇〇七年ですか、死刑が確定して、そして近いうちに執行されるということなんですけれども、死刑が執行されるというのは、中国は二審制で、最後は最高人民法院というところが死刑の執行の承認をしなきゃならないわけですけれども、死刑の執行が承認されたということだろうと思いますけれども、これはどういう手続で日本側に連絡があったんでしょうか。どういうルートで連絡があったんでしょうか。

武正副大臣 平成二十二年の三月二十九日に、遼寧省外事弁公室より在瀋陽日本国総領事館あて口上書をもって、赤野光信受刑者に対する刑を七日後に執行する旨の通報がありました。また、ことし四月一日には、同様に、武田輝夫受刑者、鵜飼博徳受刑者及び森勝男受刑者に対する刑を七日後に執行する旨の通報がありました。

平沢委員 もちろん、これは中国の国内法に基づいて行われているわけで、中国の内政干渉にわたることは厳に私たちは慎まなければなりませんけれども、当然のことながら、その一方で、日本人が海外でこういった極刑を受けるわけでございますので、司法手続が適正に行われたかどうか、この辺については私たちは関心を持つのは当然だろうと思います。

 そこで、続けて質問させていただきたいと思いますけれども、今回中国側からこういった形で連絡があったということで今、副大臣が答弁されましたけれども、もし中国で外国人が同じような形になった場合には、中国側はどういう対応をしているんでしょうか。

武正副大臣 諸外国に対してどのように中国からやっているかというのは、ちょっと承知をしておりません。

平沢委員 これは質問通告しているんですけれども。私が聞いている限りでは、イギリスの場合は質問通告したわけでしょう。(武正副大臣「イギリスだったら」と呼ぶ)それで、通告しているから、イギリスは事前にブラウン首相みずからが、もちろんこれは日本とは全然事情は違いますよ、だけれども、これはおかしい、やめろということで猛烈な働きかけをしたわけでしょう。あるいは、中には、事前に通報がない中で処刑された、後で聞いたということで、怒った国もあるはずなんです。この辺は把握していませんか、外務省は。

武正副大臣 イギリスにおいての件でありますが、平成二十一年十二月に中国において英国人に対する死刑が執行された際には、英国政府は、死刑廃止国としての立場及び刑を執行された英国人は精神疾患であり責任能力を問えないことを理由に、死刑を執行しないよう働きかけを行ったと承知しております。

 その他の国の対応については現時点で詳細を把握するのは困難でありますが、平成十九年に在中国日本国大使館を通じて中国に所在する主要外国公館から得た情報では、国名を明らかにせず申し上げれば、自国民が死刑を執行されたことのあるアジアの二カ国のうち一つの国では、事前通報がなかったことに対する抗議を行ったほか、もう一カ国では、犯罪の重大性にかんがみ抗議は行っていないとの回答があったと承知をしております。

平沢委員 今回、中国側としても、その意味では十分日本側に配慮しているなということもうかがえないわけではないんです。

 しかしながら、今回、もう既に先ほど申し上げましたように、かなり前から死刑判決が確定していたという日本人の死刑の判決を受けた受刑者、一人が昨日執行されて、近々三人が執行される。何か余りにも短期間に集中的に行われる。きのう外務大臣は、何か違和感をちょっと覚えるというようなことを言われたようでございますけれども、何かそれは外務大臣だけじゃなくて国民も、繰り返しますけれども、これは中国の問題なんですよ。ですけれども、同時に、何となく集中的に短期間に行われることについて、なぜなんだろう、何でこのタイミングを選んで集中的に行われるんだろう、何かほかに理由があるのかなという気がしないでもないんですけれども、これは外務大臣、いかがでしょうか。何で集中的に行われ、そして行われようとしているんでしょうか。これは外務大臣、どうですか。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、日本人として四名、そのうち一名はもう既に執行されたということでありますが、日本人が死刑判決を受け、あるいは執行されるということは非常に残念なことであるというふうに思います。

 ただ、それぞれの国に法律があり、司法制度があり、それにのっとって行われている。そこに具体的に何か問題がある、例えば、イギリスが問題にしたような、精神疾患があって、犯罪を行うときの能力というところで問題があるということでもない限りはなかなか、このことについてやめろと国として言う、そういう立場にはないということもぜひ御理解をいただきたいと思います。そういう意味で、やはりこれは冷静に対応しなければいけない。

 短期間になぜということは、これは、判決が出てそう時間を置かずに執行していくというのが中国の考え方である、そういうことに由来するものだと思います。

平沢委員 これは報道ベースですけれども、まず一人執行して、日本国内の反応を見て、反応が特に問題がなければというようなことも言われていますので、いずれにしましても、これは、今大臣が言われたとおり、中国の国内の問題で、内政干渉にわたることは避けなきゃなりませんけれども、ちょっとこれについては、短期間の間に集中的に行われることについてはやはり違和感を感じざるを得ないなということを申し上げておきたいと思います。

岡田国務大臣 もちろん、この件で日本政府として何もしてこなかったわけではなくて、四名の執行ということが伝えられた直後、私が程永華駐日中国大使を呼んで、そして日本国民としての懸念ということを表明したところでございます。

 それから、この四名の受刑者に対して領事面会の実施ということはかなり頻繁に行っておりまして、赤野氏に対して十三回、武田受刑者に対して二十一回、鵜飼受刑者に対して二十三回、森受刑者に対して二十六回の領事面会を実施しているところでございます。そのうち、死刑が確定後に実施したものは、赤野氏が四回、武田受刑者が八回、鵜飼受刑者が八回、森受刑者が三回ということで、日本政府としてもさまざまな努力を行ってきたということ、そのことは申し添えたいと思います。

平沢委員 今大臣から、領事面会としていろいろな支援も行われた、あるいは確定後はいろいろな懸念を表明されたということがございましたので、その辺についてちょっとお聞きしたいと思います。

 逮捕されてから、中国の総領事館、領事が何度となく面会されたということは今伺ったわけでございますけれども、この領事面会は、要望を聞くのが目的、いろいろと、例えば差し入れの要望とかあるいは家族への連絡、そのほか伝言等々がいろいろあったんだろうと思いますけれども、その過程で、例えば取り調べとかあるいは捜査の手続、こういったことについて十分自分の意見が反映されていない、捜査手続あるいは司法手続がおかしいとか、こういったような話はその領事面会の過程ではあったんでしょうか。

武正副大臣 まず、先ほどの平沢委員の御質問で、中国以外で把握をしているのかどうかということについては、外務省は中国の三名の方以外に死刑執行を待っている人はいないというふうに承知をしております。

 それから、今の領事面会等についての御質問でありますが、家族面会の支援ということを行っておりまして、赤野受刑者に対しても、在瀋陽総領事館から、平成二十年八月、第一審判決後、御家族の面会希望について支援を、働きかけを実施し、また、二十年七月、上訴手続の支援を行っております。武田受刑者についても、十七年、家族との面会を支援し、また、十九年一月二十三日、上訴手続を支援。また、鵜飼受刑者については、同じく上訴手続を十八年十二月三十日、支援をしております。また、森受刑者については、家族面会を支援し、あわせて家族からの減刑嘆願書の取り次ぎがありましたので、これを遼寧省の高級人民法院に平成十六年三月三日送達、また、平成十六年三月二十九日、家族からの追加嘆願書を遼寧省高級人民法院に送達をしております。

平沢委員 現場でよくやっておられるなと思います。ですけれども、今、私がお聞きしたのは、そういった領事面会の際に、受刑者の方から、これはもちろん弁護士に言うことではありますけれども、同時に、面会した領事に対して、捜査がおかしいとか、自分の主張が全く入れられていないとか、そういった中国の捜査手続、司法手続については何らかの話というのはあったんでしょうか。家族支援とかそういったこととは別にしまして、そういった話はあったんでしょうか。

武正副大臣 その点については承知をしておりません。

岡田国務大臣 まず、事実関係については、赤野受刑者は、起訴事実を認めた上で情状酌量を求めた。武田受刑者も、起訴事実を認めた上で情状酌量を求めた。鵜飼受刑者も、携帯した物品が禁制品であることは知っていたが、他人から犯罪に加わるよう指示を受けただけだと。つまり、役割としては、主たる役割を果たしていないということですが、事実関係は認めた。森受刑者については、ちょっと今手元にございませんが、いずれにしても、そういう形で事実関係そのものは認めているということでありますので、あとは刑の適用の問題になるということであります。

 ただ、聞くところによると、通訳の能力が十分でないというようなことも言われたと聞いておりますけれども、基本的に事実関係についてはそれぞれがお認めになっている中での裁判であったということでございます。

平沢委員 そのとおりだろうと思います。

 そこで、先ほど大臣が、大臣としても、中国大使を呼ばれて、この問題についての懸念を中国大使に伝えられているわけですけれども、これだけじゃなくて、一審で死刑判決が出てから、日本政府としていろいろな形で、先方に対して、日本側の思いというんでしょうか、これを伝えてこられたと思いますけれども、これについてちょっと御説明いただけますか。

岡田国務大臣 私が懸念を伝えましたのは、裁判の中身とか量刑について懸念を伝えたのではなくて、それはそれぞれの国が決定することでありますので、そういうことは申し上げた上で、しかし、これだけ、四名という死刑判決があり、その執行がなされるということになりますと、日本人として違和感を持つ人が多い、国民感情という観点からどうなのか、そういう意味での懸念を伝えたということでございます。

平沢委員 大臣のそのお気持ちは十分わかります。

 そこで、死刑がもう執行されますよということの通報があってから懸念を表明された。しかし、一審で死刑が確定して以降も、日本政府というか外務省から中国側に対して、この問題に対する関心を表明されてこられたと思います。

 そこでお聞きしたいんですけれども、その関心と、それから、死刑執行を近々やりますという通報があった後の懸念、この関心と懸念というのは、これはどこがどう違うんでしょうか。

岡田国務大臣 ですから、裁判の中身に関与することはできませんので、そういう意味で、日本政府としてぎりぎりのところという意味で関心ということであって、そして、それが執行されるということになると、国民感情の問題が出てまいりますので、懸念ということを申し上げたということであります。

平沢委員 ちなみに、外務省からもらった資料でも、当初は関心で、死刑執行通報後は懸念となっていますけれども、これは日本語では関心と懸念と使い分けていますけれども、恐らく先方にはこれは中国語で伝えたと思いますけれども、中国語ではこれは、関心の場合は何という言葉で、懸念の場合は何と伝えたのか。これは後でいいですから、同僚の小野寺議員の後にでも、どういう言葉で先方には伝わっているのか、これをちょっと教えていただければと思います。

 そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、中国の在日大使をお呼びして懸念をお伝えした、そのときの中国大使はどういう反応というか、大臣に対してお答えをされたんでしょうか。

岡田国務大臣 まず、私から何を言ったかということを正確に申し上げた方がいいかと思いますが、私が申し上げたのは、三月二十九日に赤野受刑者、四月一日には武田受刑者、鵜飼受刑者、森受刑者の三名に対する死刑執行の事前通報がなされたと承知しており、四名の相次ぐ死刑執行の決定を重く受けとめている。本件決定は貴国国内の司法に関する問題である。いかなる犯罪にいかなる刑を科すかを含め、基本的には貴国の国内事項に属する問題であると承知をしている。

 他方、我が国としては、これまで邦人保護及び国民感情の観点から、四名の死刑執行について累次にわたる関心と懸念の表明を行ってきており、懸念の表明というのは、これは最初の赤野さんのときにも懸念を表明しておりますので、三月三十一日に、赤野被告の死刑執行通報を受けて、改めて在中国日本国大使館から貴国外交部に対し懸念の表明を行った。

 今般、新たに三名の受刑者に対する死刑執行決定を受けて、我が国において、貴国の司法制度、とりわけ量刑の適正性について、さらに国民の間で批判、議論を招き入れることも予想される。したがって、こうした観点から、我が国として死刑の執行について懸念を有していることを改めてお伝えしたいということでございます。

平沢委員 それで、中国側の反応は。

岡田国務大臣 中国側は、その私の発言について、それをそのまま本国に伝えたいということでございました。

平沢委員 繰り返しますけれども、これはもちろん中国の問題でございますけれども、先ほど出ていましたミャンマーで今後こういったケースがもし起これば、これは不幸にして起こらないとも限らない、そのときは、これは当然いろいろと問題にせざるを得ないでしょう。あるいは、日本では犯罪にならないけれども外国で犯罪になるというようなケースでもしこういったことが起これば、これは日本でも問題にせざるを得ないでしょう。例えば共謀罪。日本では犯罪になっていませんけれども外国では犯罪になる。

 ですから、これはケース・バイ・ケースなんですけれども、これについては、内政干渉にわたることは避けなきゃならないですけれども、今大臣が言われたように、我々としてはやはり、最初はもちろん関心なんでしょう、その後はやはり懸念、これはきちんと表明しておく必要が、これはもう今度のケースというより一般論としてはこれからも起こり得ることなので、あると思いますけれども、この辺の大臣のお考えをお聞かせください。

岡田国務大臣 これはなかなか難しい問題だと思います。

 犯罪を犯した中国人に対して死刑判決ということは、日本はたしか判決が出たということもあると思います。そのときに中国政府が何らかの意見を述べたとしたら、国内的に、日本国内でどういう反応があったかということは一定の想像ができるわけであります。

 それから、今、死刑制度を引き続き持っている国というのはかなり少なくなってまいりましたので、死刑を廃止しているヨーロッパの国から、死刑はけしからぬといって、判決はおかしいということになったときに、それはやはり、日本の国内の受けとめ方として、日本には日本の制度があって、考え方があって、今は死刑制度を認めているんだ、当然そういう反応だと思うんですね。

 ですから、これは残念なことではありますが、やはり冷静に対応していかないといけない問題ではないかというふうに思っております。相手の司法制度そのものについて疑義を呈するようなことは、これは事実そういうことがあるなら別ですけれども、基本的にそういったことについては慎重でなければいけないというふうに考えております。

平沢委員 私ももちろん慎重に対応しなきゃならないと思いますけれども、場合によってはやはり何らかの対応をとらざるを得ない、これはケース・バイ・ケースですけれども、当然あり得るんだろうと思います。

 そこで、きょうは法務副大臣、今おいでいただきまして、ありがとうございます。今大臣からもありましたけれども、かつて中国人の死刑執行、日本がした例があるということが今ありましたけれども、ちなみに、日本は今まで過去に外国人を死刑執行した例というのはどのくらいあるんでしょうか。

加藤副大臣 お尋ねの件でございますけれども、平成十九年以降のデータということになりますが、中国人一名について死刑を執行させていただいております。ちなみに、執行日は昨年の七月でございます。

平沢委員 いや、私が聞いているのは、中国人を死刑執行したというのは、させていただいているんじゃなくて、これはしたんですよね、これはいいんですけれども、中国人以外にかつて外国人を日本で執行した例があるのかどうかということをお聞きしたんです。

加藤副大臣 日本において外国人の死刑を執行したというものにつきましては、平成十九年の十二月以降、死刑執行者の氏名等個人情報を公表するということにいたしてございますけれども、それ以降につきましては、先ほど申し上げました一名の中国人のみでございます。

平沢委員 平成十九年十二月以前は公表できないということなんですけれども、ちょっと意味がわかりませんけれども、時間がないから次へ行きます。

 今、日本国内で死刑が確定している受刑者というのは百九人ですか。この中で外国人というのは何人いるんでしょうか。

加藤副大臣 御指摘のように、全体で百九名でございますが、そのうち外国人は四名でございます。

平沢委員 これは答えられればいいんですけれども、死刑を執行する段階では、死刑を廃止している国もあるわけですけれども、これは当然事前に通報はするんでしょうか、しないんでしょうか。

加藤副大臣 これは死刑確定者が外国人であれ日本人であれ同じ対応でございますが、死刑執行の当日に本人に告知をするということでございまして、家族等にはその執行の直後直ちに通知をするという取り扱いになってございますので、外国人だからといって事前にその当該国籍国に通報するということはいたしておりません。

平沢委員 これ以上質問はやめますけれども、ただ、中国の場合、先ほどありましたように、事前に連絡がなかったということでそれなりに抗議というか申し入れをしてきた国もあるようなので、日本も、今までそういったことを余り考えてこなかったというか、こういったことについては特に問題にしてこなかったんですけれども、これからはやはり、各国いろいろ見ていますので、そしてまた、日本も同じような形で外国に関心あるいは懸念という形でいろいろ言わなきゃならないわけですから、日本の場合もそういった形でいろいろと言われないように、そこはしっかりと検討していただきたいなと思います。

 副大臣、結構です。どうもありがとうございます。どうぞ、何か答弁あれば。

加藤副大臣 もう十分先生御理解の上での御発言だと思いますが、かねてから、自民党政権時代から、大変難しい問題をいろいろ御議論いただいた上で今のルールで運営をされているところでありますので、御指摘はありがたくちょうだいをして、また勉強させていただきたいと思います。ありがとうございました。

岡田国務大臣 今いろいろ御議論いただきましたが、私から国民の皆さんに申し上げたいことは、麻薬の取引というのは、これはやはり大きな犯罪であるということと、そして、そのことに関して最高、死刑をもって規定している国というのは、中国だけではなくて、アジアにはたくさんございます。そのことを十分念頭に置いて、やはり麻薬取引ということに手を染めることのないようにぜひお願いしたいということを特に申し上げておきたいと思います。

平沢委員 今大臣が言われたのは、そのとおりだろうと思います。

 また、それぞれの国がそれなりの法律それから捜査、司法手続を持っているわけですから、その手続について私たちがとやかく言うことは避けるべきだと思いますけれども、しかし、そうはいっても、在外日本人がかかわることなので、そして、国によっては、先ほど大臣から私の前の質問者のときにありましたように、ミャンマーみたいな国もあるわけです。ですから、いろいろな国があるわけですから、一般論として言えば、私たちは、ただその国の問題で言うのは内政干渉ということにはならないです。

 ただ、大臣が最後に言われたのは、そのとおりだろうと思います。やはり、私たちは、その国の法律というのがあるわけだから、その法律を犯さないように、日本だってこれは無期懲役になるわけですから、そこはしっかりとやっていかなきゃならないなと思います。

 そこで、もう時間がないですから、次に、普天間の問題についてお聞きしたいと思うんです。

 まず、大臣にお聞きしたいんですけれども、ゲーツ国防長官とお話しされた際に、五月末までにこの問題についての結論を出したい、これは言われたことは間違いないんでしょうか。

岡田国務大臣 私は、その考え方は変わっていないということを申し上げました。

平沢委員 五月末までということは、先ほども服部議員のときの質問にもいろいろありましたけれども、これは五月末までに案として出るということじゃなくて、これはもう前から出ていますけれども、地元も了解する、アメリカも同意する、五月末までというのは、こういった形で最終的にまとめるということでよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 地元の理解を得て、日米で合意する案を五月末までに政府案としてまとめるということであります。

平沢委員 報道では、在日米軍の駐留経費の負担、ホスト・ネーション・サポート、この話も大臣の方から出た、現行の特別協定については来年で期限を迎えますので、包括的な見直しというような話が出たというふうに報道されていますけれども、これは事実なんでしょうか。

岡田国務大臣 事柄の性格上、相手がどう言われたかということは言えませんが、私から申し上げたことは、ホスト・ネーション・サポート、これの見直しの時期でありますので、その作業を急がなければならないということを申し上げました。

 そして、日本の財政は大変厳しい状況にある、しかし、そういったホスト・ネーション・サポートのその考え方というものは私はよく理解をしている、ただ、納税者である国民に納得されないようなそういう使い方というものは、これはやはりできないので、きちんと納税者に説明できる、そういう使い方ということにしっかり心がけて検討する必要があるということは申し上げました。

平沢委員 先ほどありましたように、この前、私たち外務委員会で沖縄に行きまして、特に沖縄の知事から強い要望を受けました。その中の知事の要望というのは、議会もそうですけれども、基地が集中していて、その基地絡みといいますか、米兵絡みの事件、事故が多発している、したがって、日米の地位協定について、これは一度、別途質問したいと思うんですけれども、これについてぜひ見直しをしていただきたいという強い要望を私たちは受けてきたわけです。

 今のホスト・ネーション・サポートはわかりましたけれども、この日米地位協定の話というのは出たんでしょうか、出なかったんでしょうか。

岡田国務大臣 今回の会談では出ておりません。

 ただ、地位協定についてしっかりと議論をするということは実は我々が政権をつくるときの三党合意の中にも書いてありまして、ただ、一遍にあれもこれもというわけになかなかいきませんので、順序をつけて検討していかなければいけない。そして、地位協定の中でも例えば環境に関する部分などは、私は、きちんと議論をすれば米側の理解というのも比較的得られやすいのではないかというふうに思っております。ですから、物事、中身も順番をつけてきちんと議論をして、できるところからしっかりやっていきたい、そういうふうに思っているところでございます。

平沢委員 ありがとうございました。

 それで、続いて大臣はオタワで日米外相会談を行われたわけでございますけれども、普天間は恐らく同じことだと思いますのでこれは避けますけれども、北朝鮮問題については、クリントン国務長官とはどういう話があったんでしょうか。

岡田国務大臣 北朝鮮の問題は、クリントン長官というよりも、G8外相会合の中で私が中心になって、私のリードで議論をいたしましたので、そこで集中的に、北朝鮮の現状について、あるいは、制裁といいますか、六カ国協議というのは無条件で開始しなければならないということとか、現在の制裁をしっかりと継続していくことだとか、そういうことについて私からお話をし、他の外相からの賛同を得た、こういうことでございます。したがって、それが成果物として文書化されているということでございます。

平沢委員 報道では、六者会合への北朝鮮の無条件復帰を求めるというような話し合いが行われたんだろうと思いますけれども、これについて、拉致問題は出たんでしょうか。日米外相会談とか、どこでもいいんですけれども、拉致問題というのは出たんでしょうか。

岡田国務大臣 拉致問題についても、G8外相会談の中で私から発言をいたしまして、成果物の中にも、文書としても残っております。

平沢委員 北朝鮮問題は膠着状態を続けているわけでございまして、この問題は、中国、韓国はもちろんですけれども、とりわけアメリカの強力なバックアップがないとなかなか前に進みませんので、ぜひ、これについての大臣のこれからのまた特段のお力添えをよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、最後に、この前、沖縄に行きまして、うるまの市長さん初め関係者、それから県知事初め県の関係者にいろいろとお会いしたわけでございますけれども、そのときに先方が言っていたのは、これは資料として委員長がまとめてくれましたけれども、これを見ますと、沖縄に関連施設を持ってくるのはとんでもない、関係者だれでもがそういうことを言っているわけでございますけれども、その中で、例えばうるまの市長さんがこういうことを言っています。勝連沖に持ってくるという案については、「政府側からは正式な話は何もない。」そういう中で、「閣僚が「首長や漁協なども反対していない」などと発言するのは地元軽視も甚だしい。」こういったような声も聞きました。それから、鳩山総理が県外ということを選挙中に言っていたわけだから、県外に持っていってほしい、民意を反映した対米交渉を行ってほしいと、かなり厳しい意見が出たわけでございます。

 それから、沖縄知事との話でも全く同じでございまして、県民は、県外への移設について、これは民主党の公約と考えており、実現を期待している。そういった中で、「県として、現在取り沙汰されているような普天間飛行場の移設先について、きちっとした説明を受けていない。」そういう中で話がどんどん報道とか何かに出てくる、だから、自分らとしても全くこういったことについては納得できない、こういうような話でございました。

 これについては、大臣、どういうお考えなんでしょうか。

岡田国務大臣 閣僚間で役割分担をいたしまして、私は対米交渉ということで、沖縄に対しては、あるいは移転先に対しては私は全く関与しておりませんので、若干申し上げにくいところはありますが、いろいろな報道というのは相当先走りしているということは間違いないというふうに思います。

 その中のどれだけのものが、例えば某大臣が発言した、果たしてそれが本当なのかどうかということを、相当割り引いて考えなければいけないのではないか、私自身の経験に基づいて、そういうふうに感じております。

平沢委員 そうなんでしょうけれども、それでもこれだけ報道に出るということは、何らかのコメントを出していることも間違いないわけで、これは重要な問題です。地元の人もそれで振り回されるんです。アメリカも日本は何だと思うわけだから、私は、それは岡田大臣は非常に口がかたいから、十分わかりますよ。だけれども、閣僚の中には、口が軽いというか、もうちょっとしっかりとやってもらいたいという方もおられるんじゃないでしょうか。これはもうちょっと、こういう重要な問題なんですから、やはり厳しくやってもらいたいなと思います。

 それで、最後にお聞きしたいと思いますけれども、知事が、「普天間問題を機に、当事者である沖縄県民の意思がないがしろにされてきたという歴史認識問題が噴出する可能性もある。」これを言われたわけです。それで知事が配られたのが、きょう私が配らせていただいたこの高良倉吉さんという方の評論なんです。

 それで、知事が配られたこの高良さんの評論を見ますと、沖縄はずっと日本から差別されてきたんじゃないか、苦しい歴史をずっとたどってきた、今回の普天間の移設問題で、この沖縄の過去の、我々は差別されてきたという歴史の問題がまた出てくるんじゃないか、そういう構図になり始めている、これは大変だよということを言われていまして、それを知事は私たちに、この評論のコピーを配ってくださったわけです。

 ですから、今そういう形になってきているということなんですけれども、これについて、大臣、最後に御所見をお伺いできますか。

岡田国務大臣 そういったことについては十分に考えていかなければいけない問題だというふうに思います。

 もともとは琉球王国という独立した存在であり、それがやがて日本の支配下に入って、そして太平洋戦争における激戦地、多くの、十五万を超える県民が命を落としたということでありますので、そういう流れということは十分踏まえてやっていかなきゃいけない。

 実は、私は、シンガポールでクリントン長官にお会いしましたときに、そういう沖縄の歴史ということも少し話をさせていただき、だから、この問題は非常に難しさがあるんだということを申し上げたところであります。そのことは十分念頭に置いてやっていかなければいけないというふうに思います。

平沢委員 時間で終わります。ありがとうございました。

小宮山(泰)委員長代理 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 冒頭、鶴岡さんにお伺いをしたいと思っております。

 今回、このグアム協定のお配りしている資料がございますが、その協定を見ますと、下線で、私は線を引いておりますが、「二千六年五月一日の日米安全保障協議委員会の会合において、関係閣僚が、安全保障協議委員会文書「再編の実施のための日米ロードマップ」に記載された」ということが前文にございます。また、下にあります第三条「移転は、ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設の完成」、その下にまた「ロードマップに記載された」という記述がございます。

 では、ロードマップがどうかということで、もう一枚開いていただければと思うんですが、この二枚目にあります再編のための日米ロードマップ、これが、日付がありますように、二〇〇六年五月一日ということになります。その下、下線のところを読ませていただきますと、「普天間飛行場代替施設を、辺野古岬とこれに隣接する大浦湾と辺野古湾の水域を結ぶ形で設置し、V字型に配置される二本の滑走路はそれぞれ千六百メートルの長さを有し、二つの百メートルのオーバーランを有する。各滑走路の在る部分の施設の長さは、護岸を除いて千八百メートルとなる。」また、下の方には、下線が引いてありますが、「普天間飛行場代替施設の建設は、二〇一四年までの完成が目標とされる。」さらに、その下の方にありますが、下線です、「普天間飛行場代替施設の工法は、原則として、埋立てとなる。」と書いてあります。

 もし、現在、このロードマップに記載されているような代替施設の変更ということがあった場合、このグアム協定ということ自体をもう一度変更し、結び直すということが必要であるかどうかをお答えください。

鶴岡政府参考人 グアム協定に記載されておりますロードマップ関連部分及びロードマップ自体について、ただいま委員の方から御指摘がございました。

 ロードマップについての記載は、御指摘のとおり前文それから第三条でございますけれども、第三条で書かれているところ、下線の最後のところの後方は、「意図を有する。」というふうに表明をしておりまして、ロードマップの実施自体がグアム協定上の法的な義務という位置づけにはなっておりません。

 他方、現在、グアム協定の実施につきましては、普天間飛行場の移設問題についての議論や、あるいは協定の一方の当事者であるアメリカ側の考え方も参照しながら検討する必要がありますので、ただいま御指摘のグアム協定の見直しなどの必要性が生じるかどうかということにつきましては、現時点におきまして予断を持って申し上げることは差し控えたいと思っております。

小野寺委員 国際条約、局長としての専門家の御意見としてお伺いしたいんですが、ロードマップにここまで明確に滑走路の長さ、場所、それぞれ書いてあります。この前文のこと自体が変更になった場合には、当然、この協定はこれを見直すということになるのが通常だと思いますが、国際協定の一般的な常識としてどうお考えか、お答えください。

鶴岡政府参考人 まず、先ほど申し上げましたとおり、グアム協定は、日米両政府、両国間の国際約束として法的拘束力を持つ条約、協定でございます。他方、ロードマップ自体は、先ほど正しく御指摘をいただきましたとおり、担当の四閣僚間の政治的な了解を記録にとどめたものでございまして、それ自体が法的拘束力を持っているものではございません。

 そういう性格を前提にした上で、ロードマップに対する言及がグアム移転協定の中に含まれておるわけでございますけれども、仮に、その前提となっておりますロードマップ自体が変更になってきた場合、それをどのようにこの協定の中で取り扱うべきかということにつきましては、これは条約の両当事者であります、日本側もございますけれども、米側も意向を考えた上で決定すべきことだと思っております。

小野寺委員 岡田外務大臣にお伺いします。

 今回、こうして大規模に、例えばこのロードマップに記された内容が変更された場合、この協定自体の見直し、あるいはもう一度協定を結び直すということはお考えでしょうか。

岡田国務大臣 恐らく、ロードマップ、特に普天間の移転の問題について日米間で何らかの合意に達するというときには、このグアム協定の扱いも同時に議論がなされるということになると思います。したがって、グアム協定を現状のままでいくのか、あるいは変えるのかということも同時セットの問題、トータルとしての日米合意というふうに考えております。

小野寺委員 私は、政治合意というのは大変重いものだと思っております。この合意文書にも2プラス2の閣僚の名前が記されております。したがって、ぜひ、今回、新たな案で移転が変わるということになった場合には、この条約、協定自体を見直していただき、国会の場で審議をするということは、私ども国会議員に課せられた、特にこの外務委員会に課せられた重要な課題ではないか、そう思っております。

 それから、また話はかわります、ちょっとお伺いをしたいんですが、先ほど来の議論がございます、移設案についてさまざまな意見が出ているということがあります。私どもも各種報道で大変混乱をしております。大変失礼な聞き方かもしれませんが、政府内ではこの考え方というのは共有しているんでしょうか。案というのは各閣僚間では共有をしているものなんでしょうか。

岡田国務大臣 正確には関係閣僚、つまり総理を含む官房長官、外務大臣、防衛大臣、それから沖縄担当大臣、この五閣僚、総理を含む五閣僚の間では共通した認識のもとで役割分担を行っているということであります。

小野寺委員 ということは、官房長官も外務大臣と同じお考えというふうに考えてよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 共通の認識に立っているというふうに理解をしております。

小野寺委員 新聞の報道が正しいかどうかということをよく御指摘されますが、例えばきょうの読売新聞で、平野官房長官が一日に沖縄県の仲井眞知事と都内で会談した際、移転先として、キャンプ・シュワブ陸上部への代替施設建設と徳之島へのヘリ部隊移転を先行実施し、その後、米軍ホワイトビーチ沖を埋め立て本格的な滑走路などを建設したいという意向を伝えたと。これは仲井眞知事自身が官房長官からこの案を示されたというふうにお話をされていますが、ということは、政府案はこの案でいくということでよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 今、我々が考えている案の中身について、私がお話しすることはございません。

小野寺委員 ですが、少なくとも、沖縄の知事に官房長官が案をお示しになった、そして、官房長官と外務大臣は、総理も同じですが、同じ案を今回の移転案として考えているということを一連で考えていただければ、これは、この官房長官のシュワブ陸上、徳之島先行、そして最終的にはホワイトビーチ沖を埋め立てるということが政府案ということで、どうしてもつながってしまうんですが、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 先ほどの答弁に尽きているわけであります。

 ただ、一つだけつけ加えるとすると、かちっとしたものが一つあってそれでやっているというよりは、ある程度の幅を持ったもので、これは交渉ですから、日米間もそれからさまざまな地元も。そういった幅のあるものとして我々はやっているということは申し上げることができると思います。

小野寺委員 総理を含め関係閣僚の発言をずっと追って時系列的に見ているんですが、私は、岡田外相はぶれていない、ほかの方はかなりいろいろ動いているなという印象は持っております。ただ、その中で、現行案ということ、これがなかなか評価されない、そういうジレンマも私どもは持っております。

 そこで、先ほどの質問の中でちょっと気にかかったことがございます。社民党の服部委員に対しての大臣の御答弁なんですが、服部委員が、地元受け入れ可能ということか、それをアメリカ側から言われたかということの問いに関して、地元は何を意味するのか、例えば、地元ということは、法的に考えれば、公有埋め立ての権限を持っている知事の権限、このことを地元というのかというようなお話がちょっとございました。

 私どもは、地元というと、当然、そこには住民の意思とか地方議会の意思とかさまざまなそういうものも入ると思うんですが、大臣は、地元の意思というのは、地元の受け入れということは、住民の意思、意向あるいは地方議会の議決等を重く受けとめていらっしゃると思うんですが、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 さまざまなそういった地元の意向というものが、県議会であったりあるいは市議会であったり、あるいは首長の市長や知事の意見として述べられるわけで、そういうものについて、我々、十分に重く受けとめながら、移設先を決定していかなければならないというふうに思います。

 ただ、他方で、その結果、移設ができないということになりますと、これはやはり現在の普天間がそのまま固定化されるということになりますので、それは避けなければいけない、そういう強い決意のもとで、もちろん、多くの御意見がそれぞれあるということは十分に踏まえながら、最善の努力をしていかなければいけないというふうに思っております。

小野寺委員 ちょっと意地悪な聞き方をしますと、ということは、例えば、地元の皆さんが反対をし、あるいは地方の議会が反対の意見書なり決議をしたとしても、場合によってはそれを無視せざるを得ないことも生じると考えていいんでしょうか。

岡田国務大臣 そういう仮定の議論を行うことは生産的でないというふうに私は思います。

小野寺委員 ですが、今のお話を聞きますと、例えば、地元の意向というと、これは公有水面の埋め立ての法的権利を持っている知事のところは指すけれども、それ以外については、さまざまな意見については、一基地の移転をせざるを得ないという中では、ある面では無視せざるを得ないというふうに聞こえるんですが、これは私の間違った聞き方というふうにとらえていいんでしょうか。

岡田国務大臣 無視をするという表現は、私は全く使っておりません。重く受けとめていかなければいけないというふうに申し上げております。

小野寺委員 先ほど来のお話がありますが、地元の市町村は反対という意向を大変強くしております。また、知事も同様だということは、何度もこの場で大臣も聞かれたと思っております。

 さて、その場合、現在恐らく、大臣はおっしゃっておりませんが、平野官房長官がおっしゃった、シュワブ陸上、徳之島先行、そしてホワイトビーチを埋め立てるという案が恐らく政府案なんだと思いますが、この案で二〇一四年までに普天間の返還ということは可能なんですね、当然。

岡田国務大臣 私は、先ほど申し上げましたように、今我々の考えている案がどういうものかということにはコメントいたしません。したがって、仮定に基づく御質問にはお答えできません。

小野寺委員 それでは、現在の案ということについて細かいことはお伺いしません。

 二〇一四年、普天間の返還ということは可能なんですね。お伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 ロードマップ上、二〇一四年の返還が目標というふうに書かれていることは承知をしております。

小野寺委員 今までは、ロードマップを含めた、予算も含めて、二〇一四年に普天間が返還されるという前提ですべての物事が進んでおりました。総理は、現行案から後退することはないということをお話しされております。

 もう一度お伺いします。二〇一四年に普天間は返還されるんですね。

岡田国務大臣 今まさしく普天間の返還について、その代替地について議論を行っているところであります。現時点でいえば、ロードマップ、そこに書かれたのは、「普天間飛行場代替施設の建設は、二〇一四年までの完成が目標とされる。」こう書かれております。その趣旨は十分に理解をしております。

小野寺委員 ということは、二〇一四年までの返還ということ、これは前政権では明言をし、それに向かって努力をする、すべてのスケジュールが決まっておりました。現政権では、この二〇一四年というのはあくまでも目標というふうに変わったと考えてよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 ロードマップ上は目標というふうに明確に書かれているわけであります。

 それから、前政権で二〇一四年ということを目指してさまざまな作業をしておられたということは承知をしておりますが、しかし、現実にそれが二〇一四年に必ずできるという一〇〇%の確信があったのかどうかというのは、それは議論があるところだと思います。

小野寺委員 大変心配な発言があるんです。

 最近、今回の関係閣僚の中で、総理も含めて、この二〇一四年、私どもは普天間の返還ということで理解をしておりましたが、最近の発言の中で、危険性の除去ということがよく使われるようになりました。この危険性の除去というのは、もちろん返還ということなんですね。

岡田国務大臣 ロードマップ上に書かれておりますのは、「普天間飛行場代替施設の建設は、二〇一四年までの完成が目標とされる。」ということでございます。

小野寺委員 ということは、危険性の除去ということは返還に含まれるか含まれないか、このことについては今言えないということなんでしょうか。

岡田国務大臣 なお、ロードマップ上は、「普天間飛行場代替施設への移設は、同施設が完全に運用上の能力を備えた時に実施される。」という表現もあります。

 ですから、ロードマップ上の表現というのは、委員が言われているのと必ずしも一致していないというふうに思います。

小野寺委員 ロードマップの話をしているわけではないんです。私たちが心配しているのは、私たちはみんな、恐らく沖縄の皆さんもみんなそうだと思います、日本国民もそうだと思います、普天間というのは日本に返還されるんだ、こういう前提で今まで議論をし、理解をしていたんですが、最近の関係閣僚、これは総理も含めて、返還という言葉を使わずに、危険性除去という言葉を使い始めています。これはちょっと、裏から見ると、返還をしない、できない、普天間はそのまま残す、そのことを前提にして危険性の除去という言葉を使い始めたのではないかと心配をするんです。

 改めてお伺いします。普天間は返還されるんですね。

岡田国務大臣 先ほど服部委員の質問に対して私、お答えをしたわけですが、ですから、ここもだめ、あそこもだめということを言い続けると、最も議論のスタートであった普天間の移設ということが結局先に延びざるを得なくなるかもしれない、そういうことのないようにやはりお互い努力をしていかなければいけないということを申し上げたところであります。

小野寺委員 大変、今の発言は私はおかしいと思います。

 私どもは、辺野古の沖のV字案、これが地元でも同意をその当時はいただき、それを進めるということで、二〇一四年には普天間を返還させる、そういう案で進めておりました。ここまで複雑にし、地元の反対を受けるような状況になったのは、現政権になってからであります。

 ですから、それを私どもに協力しろというのはおかしい話で、ここまで複雑にした中で、でも、その先、五月までにしっかりとした解決策があるんだろうという、自信を持ってずっと鳩山総理はお話をされ、関係閣僚もその案で進んでおります。そこまで進んでいる中で、ちょっとおかしくなってきた、雲行きが怪しくなってきたからといって、移転が決まらなかったら皆さん困るでしょう、だから一緒に案を出して、こういう言い方は私はないと思うんですが。

岡田国務大臣 先ほどの私の発言は、与党である服部委員の答弁の中で申し上げたところであります。もちろん、野党の皆さんにも、ぜひ心ある方には御協力いただきたいと思っております。

小野寺委員 心があるからここでこうやって聞いているんです。別に岡田大臣をいじめたいわけじゃないんです。この問題を複雑にすればするほど、結局は沖縄県の皆さんの負担がふえてしまうのではないか、そういう思いで、しっかりとしたところに落ちついていただきたい、そう思っております。

 岡田大臣は、例えば辺野古の現行案についても、今までそれを排除しないというお話をされていました。その案についての過去の経緯を検証され、なるほど、これもしっかりした案だったな、そういうお考えを恐らく心の中ではお持ちだと思います。ただ、今、沖縄の世論は、名護の市長選の結果を見ても、大変難しいところになっている。何とかこれを解きほぐし、とにかく沖縄の皆さんの負担の軽減になるように私どももしっかり努力をしていきたい、それは同じであります。ですから、普天間の移設、返還、これをぜひなし遂げていただきたい、そう思うんです。

 私どもが許してはいけないのは、危険性の除去という言葉でごまかして、結局普天間が返ってこないということになったら大変なことになる。これはぜひ指摘したいと思います。

 もう一点お伺いをします。

 現在、普天間の飛行場、固定翼の飛行機がここで使われていないということ、ここに発着していないという事実を大臣は御存じですか。

岡田国務大臣 私の理解では、そこに発着していないというのは、必ずしも、外部から来た固定翼というものは発着しているのではないかというふうに思っております。

小野寺委員 済みません、実は今、普天間飛行場は改修工事を行っていまして、そこの固定翼の飛行機は、四月いっぱいになると思うんですが、ことしに入ってからみんな嘉手納の飛行場に行っているんです。ですから、実は、大臣が前からお話しされているように、統合運用というんでしょうか、固定翼の飛行機は今、嘉手納で普天間の飛行機は運用されている。実は運用上、現実に行われているんです。

 これをどうとらえるか、短期的だから許すのかということですが、実際は行われている。ということは、大臣が前からおっしゃるように、嘉手納の統合運用だって、物理的にはこの四カ月はできている、そういうことかなと、私はこの事実を知ってびっくりしていました。

 そして、もう一つ心配なのは、今、普天間を、改めて工事を始めています。そしてこの四カ月間、飛行場が使えない。工事をするということは、これは長く使うということを前提に工事をしているんじゃないかという心配を沖縄の県民の皆様は持っていると思うんです。

 きょうは政務官においでをいただいています。

 長島さん、普天間の滑走路の工事を今改めてしているというこの問題、これに対して、日本政府として、ちょっと待ってくださいよ、今、普天間の移設を議論しているのに、何でここで新たに普天間の滑走路工事を始めるんですか、これは普天間の固定化ととられたら大変じゃないですか、このようなことを考えなかったんでしょうか。あるいは、アメリカ側に伝えなかったんでしょうか。

長島大臣政務官 お答えいたします。

 委員も御専門ですからよくおわかりだと思いますけれども、滑走路というのは航空機を運用する上では命でございますので、いかに二〇一四年に返還が決まっていようとも、現在危険性がある、つまり運用上危険性のある滑走路を修復するというのは、これは避けがたいことだというふうに思いますし、今行われている修復工事というのは、前回の平成十七年三月上旬から四月十五日まで行われた工事に続いて行われている定期的な維持管理のための修復工事、このように認識をしております。

小野寺委員 私は、やはり政権の与党側にいたときにも、統合的な運用はできないというふうにずっと説明を受けていました。ですが、結局、今こうやって統合的に、約四カ月ですが、運用ができている。ということは、実際問題として、今ホワイトビーチのお話とかさまざまありますけれども、もしかして岡田大臣、やはりこの嘉手納統合案というのは、大臣の心の中では消えていないんじゃないですか。

岡田国務大臣 嘉手納統合案というのは、国民新党が今でも提案されていると承知しております。私自身はゼロベースで検討するという政府の立場でございますので、個別のことに何か申し上げるつもりはございません。

 ただ、今の嘉手納の状況というのは、これは固定翼機の話であって、嘉手納で非常に難しいとされたのは、やはりヘリと飛行機、この動きの違うものを統合的に運用していくことの困難さということが指摘されてきたというふうに思います。

 しかし、そういうものも含めてやっているところもある、こういう御指摘もあるわけで、そこはさまざまな議論がある。一般的に言われていることをそのまま真に受けない方がいいというふうには思っております。

小野寺委員 沖縄の地元の皆さんは、普天間の工事が始まったということで、これはやはり普天間が固定化されるんじゃないか、そういう懸念、疑念を当然お持ちだと思っております。そして、それに続く、やはり主要閣僚なりあるいは総理の発言の中で、普天間の返還という言葉がいつの間にか危険性の除去という言葉に変わってしまう。

 これは考えると全部つながるんです。普天間がそのまま使え、そして今、平野官房長官がお話をされている案であれば、キャンプ・シュワブにとりあえず陸上のヘリポートをつくる、そしていろいろな運用上、考えた場合には、普天間も緊急時の場合には残す、そして徳之島にまた一部固定翼が移る。

 こんな話をしていくと、結局、沖縄の負担軽減ではなくて、負担がどんどん拡大していくだけ、それは県外にも拡大していくだけ、縮小には全然つながらない、そう思うんですが、大臣、いかがですか。

岡田国務大臣 ですから、いろいろなことを仮定を置いた上での御議論ですから、そういったことについてコメントは控えたいと思います。

小野寺委員 仮定の議論ということで、今ずっと逃げていらっしゃいます。ですが、いずれにしても、五月末までには総理みずからこの問題に結論をつける、そして、この結論がつかなければ、国民の半数は総理にやめてほしいというアンケート結果もございます。

 当然、主要閣僚の中で、特に基地問題について重要な役割を負っている岡田大臣も重要な決意を持ってこの問題に対して当たっていると思いますが、これも仮定ということでお逃げになるかもしれませんが、もしこれがうまくいかなかったらどのような責任をとるおつもりでいらっしゃいますか。

岡田国務大臣 そういう事態は想定しておりません。

小野寺委員 私どもも想定をしておりませんので、あえて仮定ということでお話をさせていただきました。

 さて、ちょっとここで、前回、これは新藤先生が質問されました竹島の問題について、少し最後の方で触れたいと思っております。

 この間、竹島の問題で、大臣と新藤委員との議論の中で、竹島が今韓国に不法占拠されているということを何度も大臣にお伺いしました。大臣はこの問題についてどういうお答えをされているかというと、「当然、竹島は日本の領土であります。」、不法占拠ですかということを聞いても、当然、それは日本の領土である、そして「その竹島を日本が占有していないことは事実であります。」と。

 どうしても、この不法占拠ということ、これを使っていないんですが、今でも不法占拠というふうに認識はされていませんか。

岡田国務大臣 これは認識の問題ではなくて、表現の問題なんですね。

小野寺委員 それでは、資料の最後につけた、これは外務省のホームページでございます。これはきのうの段階でダウンロードしたホームページでありますが、そのホームページの資料を、一番最後のページをちょっと見ていただければと思うんです。

 これは、竹島問題に対する外務省の見解です。「二、韓国による竹島の占拠は、国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠であり、」、その次にも「不法占拠」というふうに書いてあります。

 私、これは大臣が所管されている外務省の公式なホームページに竹島問題で「不法占拠」というふうに書いてありますから、この際、不法占拠ということを明言していただきたいと思うんです。

    〔小宮山(泰)委員長代理退席、和田委員長代理着席〕

岡田国務大臣 これは韓国の問題だけではなくて、ロシアの問題もそうなんです。

 私は、交渉当事者です。交渉当事者として、一定の余裕を持って交渉する、なるべく不必要な摩擦は招かないようにしたい、そういうふうに心がけて、これは信念としてそうしているところでございます。

小野寺委員 では、それであれば、逆に、このホームページ、ここに「不法占拠」というふうに書いてありますので、これは削除して、別な、大臣が好きな表現にお使い直されるということでよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 従来の考え方というものを変えるということではなくて、私自身はそういった表現は使わないというふうに御理解いただきたいと思います。

小野寺委員 済みません、大臣と、このホームページの竹島の外務省の公式見解と、どちらが正しいのか教えてください。

岡田国務大臣 ですから、先ほどから、これは事実の問題ではなくて表現の問題である、私としてはそういう表現は使わないということを申し上げているわけであります。

小野寺委員 こんなことで余りもめたくないんですが。

 それでは、もう大臣は外務省の外務大臣になられたわけですから、少なくとも、外務省のホームページのこの「不法占拠」という言葉は、大臣がお使いになる言葉、あるいは大臣がここで答弁されているその言葉でいいですから、それにちゃんと直していく、この姿勢が普通の考えじゃないですか。

武正副大臣 小野寺委員の御質問でございますが、我が国の一貫した立場は、委員御指摘の外務省ホームページにも記載されているとおりということでございます。

 先ほど、ちょっと平沢委員の御質問についての御答弁を、小野寺委員の答弁の中で……(小野寺委員「それはまた後で」と呼ぶ)そうですか、はい。

    〔和田委員長代理退席、委員長着席〕

小野寺委員 竹島問題で、今、副大臣からお話がありましたけれども、外務省の公式的な考えは、ここに書いてあるように、「不法占拠」と書いてあり、岡田大臣の表現はそれとは違うというんだと。内閣不一致という言葉はよく聞いていますが、省内不一致、そういう言葉というのは余り聞いたことがないんです。

 なぜこんなことにこだわっているかというと、やはり大臣はちょっとこの竹島問題には弱いと思います。水面下でいろいろなお話をされているかもしれませんが、少なくとも、多くの日本人は不法占拠ということでしっかり理解をしています。そして、こういう日本の弱腰のさまざまな姿勢というのがいろいろなところで今、表面化をしております。

 大臣は、ユネスコがやっているジオパーク、こういう新しい世界遺産のことについて知っていらっしゃいますか。

岡田国務大臣 まだ存じ上げておりません。

小野寺委員 このジオパークというのは、地質学的に価値が高い火山や地層、地形など、こういうのをユネスコが登録する、いわば世界遺産みたいな、そういう状況であります。

 そして、今、竹島をこのユネスコのジオパークに登録しようという、実際の動きが韓国で行われている。韓国政府が竹島を地質分野の世界遺産とも言われる世界ジオパークに登録するということを今、具体的に進めている。この事実を御存じですか。

武正副大臣 その件については承知をしておりません。

小野寺委員 皆さん、聞きましたか。これはもう既に報道に載って、去年の十月から何度も報道されているんですよ。

 韓国は、竹島を、何と国際機関ユネスコに、これは地質的な世界遺産だということで申請をしようとしている。これを日本の外務省は知らない。ちょっといいかげんにしてほしい。きつい口調で言って済みませんけれども、本当に知らなかったんですか。

武正副大臣 正確に申せば、報道があることは承知をしておりますが、その事実については承知をしておりませんということです。

小野寺委員 ということは、ユネスコに対して、韓国のことは、これは領土問題もあるから絶対だめだという働きかけはしていないということですね。

武正副大臣 前回も外務委員会で申し上げましたが、竹島の領有権に関する我が国の立場は一貫しておりまして、韓国側に対しても、累次の機会に我が国の立場を申し入れております。

 今後とも、竹島問題の解決のために、より有効な方策を不断に検討しながら、粘り強く努力をしてまいります。

小野寺委員 ユネスコに対して、これはおかしいと、実際に言った事実はあるんですか。

岡田国務大臣 先ほど来の委員のお話を聞いていまして、委員も、外務の政務官、副大臣を御経験になった方だと思うんです。やはり領土問題というのは、これは論理の問題だけではなくて、感情が絡む問題であります。

 ですから、私は私の信念として、委員の言われる表現は、これは韓国だけではなくてロシアに対しても使わない、そのことを心に決めて、そして交渉している。それはやはり大臣としての私の考え方の問題ですから、そのことについて、私は、委員から御批判をされる、そういうことではない、副大臣までやった方なら、そのぐらいの国益あるいは外交というものは御理解されていることだというふうに思っております。

小野寺委員 私は、批判ということではありません。

 私も、逆に言えば、信念を持って、こういう問題については、外交上常に、これは問題である。ユネスコに登録しようとしたときには、ユネスコに行って、これはおかしい。それから、今回の竹島にヘリポートをつくろうというときには、外交問題としてこれはおかしい。そこに海底の調査基地を海上につくろうと思ったときは、これはおかしい。こういうメッセージを常に発していくことが、逆に言えば、二国間の関係を緊張ある中でも一定の関係に保つことであって、このことを言葉にしない、不法占拠と言葉にしない、それで、逆に相手に、日本は譲ったんだという間違ったメッセージを韓国に与えることの方が、後でより大きな外交問題になるのではないか。

 私は、外交の中の信念としてこう思っていますので、言うべきことはぜひ主張していくこと、特に領土についてはしっかり主張していくこと、こういう強い姿勢を大臣に求めて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 先ほどの平沢委員の質疑に関しまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。武正外務副大臣。

武正副大臣 先ほどの平沢委員の御質問でありますが、一般論として、領事面会では、受刑の環境や、場合によって本人の持病の問題など生活面についてお話をしておりまして、司法面の問題については弁護士と相談がされております。中国のケースについても、領事面会に際し、司法手続が不当であるとして、具体的な要望、訴えが行われたとの報告は受けておりません。

 また、中国語での関心と懸念についてでありますが、関心表明については、日本語で書きますと表示関切ということで伝えます。それから、懸念の表明については、表示担憂というんでしょうか。表示関切、表示担憂ということで伝達をしております。

鈴木委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 私は、先ほど同僚委員からも一、二、質問がございましたけれども、先般、鈴木委員長を先頭に沖縄に行ってまいりました。沖縄で、各地で、実情の調査、さまざまな御意見を聞くという機会があったわけですけれども、そのことを通じて、非常に私自身、ある種、目の覚めるような思いがしたという感じがいたしました。

 御承知と思いますが、今日までの沖縄と日本との関係の中で、例えば政党としての公明党も、現地沖縄県本部公明党と中央の公明党と、幾つかの場面でねじれがあるというふうなこともあったわけですけれども、そういう状況の中で、中央の公明党が現地の公明党を、言葉は適切じゃないかもしれませんが、ねじ伏せるというか、了解を求めるというか、そういうふうな格好で来た歴史が大小取りまぜていろいろあるわけです。

 今回は、県議会で県会議長を初めとして各政党、会派の皆さんが集まって、そこですべての政党が一致して、沖縄の気持ち、意思というものを中央政府に伝えてほしい、こういうところで我が党もあるいは自由民主党の皆さんも一致して、全体として、沖縄の気持ちをぜひ中央政府に伝えてほしい、こういうことであったわけです。

 そういうことを踏まえて、私は、きょうさらに岡田外務大臣の答弁等を聞いておりまして、一つ気になることというか、要するに、岡田外務大臣を中心とする、中心とするというか、この問題に関して民主党政府は戦略を間違えているんじゃないのか、対沖縄県の皆さんとの交渉、沖縄県の皆さんの意思をしっかりと吸収し踏まえていく、このことについて戦略を間違えている、そんなふうに私は思います。

 以下、その理由というか、その思いを述べたいと思うんです。

 まず、いつぞやもお話しでありましたけれども、岡田外務大臣が、この問題についてゼロベースで考えたい、これは私は大いにそうだろうと思います。長い間の自由民主党政権、また私どもが加わった自公政権というものを倒して新しい政権をとられた、民主党中心の、私が言うところの民民民政権ができたわけで、その民民民政権が、ゼロベースで考えたい、それは至極当然だろうと思うんです。しかし、ゼロベースでやるというからには、やはり短期間の間にいろいろなことを集中的にやらなくちゃいけないというのは当然起きてくる、言ってみればその代償というか、そういう側面があろうと思うんですね。

 私が戦略の誤りというふうに思ったのは、要するに、この問題は、対アメリカであると同時に、当然のことですが対沖縄県民という側面があります。こういうのは乱暴な整理の仕方かもしれませんけれども、大きく分けて二つある。

 普天間の基地をどこに持っていくか、移転先の問題。これは、きょうも含めて今までいろいろな形で外務大臣にいろいろな質問をする。ただ、私は横で見ていて、私もこの問題はそんなに言ったことはないんですが、岡田外務大臣は余りそのことを、我関心なしとは言いませんが、さっきおっしゃった答弁でこう言われましたね。要するに、内閣で役割分担している、自分は対米交渉だ、どこに持っていくかということについては関与していない、移転先については関与していない、こういう表現を使われましたよ。間違いなくされました。関与していない、対米交渉が自分の役割分担だと。ということは、要するに、対米交渉が御自分の役割だと。

 では、外務大臣、この間、約半年間、対米交渉で何をやってこられたんですか。

岡田国務大臣 まず、正確に私の発言を受け取っていただきたいと思いますが、私は今、地元との交渉は担当していないということを申し上げただけであって、具体的にどういう案をどういうプランでいくかということについては、これは関係大臣の間で協議をしながら進めていくことであって、私が関与していないということは一言も申し上げておりません。

赤松(正)委員 いやいや、それは違う。では、後で議事録を見ていただいたら。言葉として、一言もということを今言われたから言うんですよ。言葉として、関与していないと言われましたよ。後でぜひ見ていただきたいと思います。

 背景の意思は今言われたようなことがあるかもしれぬ。ただ、私が思いますのは、今地元との交渉にかかわっていないということを言われたわけでしょうけれども、私の先ほどの質問に答えておられないんですね。

 アメリカとの交渉ということが自分の役割だと言われたので、この半年間、この問題に関して、沖縄の普天間の基地をどこに移転するかということについて、アメリカとの交渉、岡田外務大臣の役割、これは、自分は対米交渉だと言われたんだけれども、その中身は何かと聞いているわけです。

岡田国務大臣 そういった交渉の内容について、私からお話しすることはございません。

赤松(正)委員 私は、対米交渉というのが自分の役割だとおっしゃったから。

 その中身について言えない、あるんだけれども言えない、こういう理解ですか。

岡田国務大臣 対米交渉の内容について、私からお話しすることはございません。

赤松(正)委員 それは何か判じ物ですね。要するに、両方にとれますね。いっぱいいろいろなことをやってきたんだけれども、おまえにはそれは言えないという意味と、もう一方で、全くそういうことは今の時点ではやっていない。これはどっちなのかな、こう思うんです。当たり前過ぎる質問をしているというふうに思っておられるかもしれませんが、どちらですか。

岡田国務大臣 それは、常識で御判断いただければ、例えば私がルース大使に会ったということはもう事実として報道されておりますし、何もやっていないということはあり得ないということは当然おわかりだと思います。

赤松(正)委員 ああ、そういう意味ですか。

 私が今、きょういただいた時間でぜひ岡田大臣にお聞きしたいと思うのは、要するに日米地位協定の話です。

 私は先ほど冒頭で、鈴木委員長を先頭に行ったときの話を申し上げましたけれども、私は目の覚めるような思いがしたというのは、改めて、余りにも、沖縄県民の皆さんが今受けている、基地を沖縄が抱えているがゆえにさまざまな基地被害を受けている、このことについての認識、私も、今まで沖縄に関心を持ってきた人間ですから、当然あったつもりでしたけれども、なかなかこれは昨今非常に厳しいものがあるということです。

 ですから、私が先ほど来岡田外務大臣に申し上げているのは、この半年間、ゼロベースでやる、結構です、やられたらいいんですよ、今やっておられる。この状況の中で、どこに移転先を持っていくかという話が非常に先行して、これは私たちの責任でもあるんでしょうけれども、それは一方であるんだけれども、同時にもう一方で、沖縄県民が日々、日常受けている基地の被害、基地があるがゆえのさまざまな問題について、前向きにという表現は余りにも稚拙な、陳腐な言い方ですけれども、やはりこれはゼロベースで、前政権と違ってすごいことをやってくれるという期待を受けておられる岡田外務大臣を初めとする現政府なんだから、これは沖縄県民に対するそういう問題についての強い意思、しっかりとそういう問題をやるよと。

 事改めて私がここで言うまでもなく、今日まで民主党は、まさに、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で挑む、これはよもやずっと先のことだというふうには言われないと思いますけれども、こういうマニフェストのもとに、私は大変すごいなと思うのは、これは武正さんなんかが中心になってつくられたのかもしれませんが、民主党・沖縄ビジョン、大変大部なビジョンを掲げておられる。こういうものもあって、沖縄県民は非常に大きな期待をしたわけですね。そういう期待を受けて登場した政権である。

 しかし、地位協定の問題、これは今日まで、私は全部カバーしたわけじゃありませんが、岡田外務大臣にいろいろな委員、特に沖縄出身の議員が質問したときに、岡田さんは、前政権は、私たちも一部かかわった政権は、地位協定の改定、見直しなんということはそう多く言わなかった、正確な言葉は今言えませんけれども、要するに、運用改善ということは言っていたけれども、地位協定の改定にまで言及するのは今の政権だ、こういう趣旨の言い方をされております。そういう岡田外務大臣のスタンスであるわけですよね。

 先ほど平沢委員の質問に対して、要するに、あれもこれもというわけにはいかない、順序をつけてやるんだ、できるところからやっていく、環境なんかは理解が得られやすい、こういう発言をされました。これは先ほどのことと続きで発言されたんですけれども、そういう御認識でよろしいですか。

岡田国務大臣 先ほども答弁したところでありますが、委員も十分御承知の上で言っておられると思いますが、多くのことをアメリカと交渉していくということではなくて、やはりきちんと一つ一つやっていかなければいけないという部分はあると思います。

 この普天間の移転の問題一つとっても、これは非常に重要な問題で、アメリカ側も相当な負担をかけて今交渉といいますか話し合いを行っているわけですけれども、そういうときに、いや、地位協定も、いや、あれもというふうに一遍に言うことがいい結果を招くかどうかという判断の問題であると思います。

 私は、従来から、まずこの普天間の移転の問題に決着をつけ、そして地位協定の問題に取り組む、こういうふうに一貫して申し上げているところでございます。

赤松(正)委員 それは一貫しておられるんですよ。一貫しておられる。ただ、外務大臣、要するに、まず移転先の問題に決着をつけて、その後地位協定の問題、こういう段取り的な、そういう取り組みの姿勢をいろいろな場面でおっしゃっている。それはよくわかっています。

 だから、それが私に言わせれば戦略の誤りだと思うんです。大きい方向性はそれでいいですよ。ただ、言ってみれば、岡田外務大臣の戦略はそういう格好で組み立てているのかもしれないけれども、その戦略に基づいての戦術、つまり、沖縄県民の皆さんに、どうやって今、現行政府が取り組んでいるのか、現実に今、日々起こっている問題について、みんなに苦労を強いているという現状をわかっているということを、手をかえ品をかえ、あらゆる観点でそういうシグナルを発するというか、政府の物の考え方、取り組み姿勢というものを出さない限り、要するに、今のようなやり方だと、政府の親身というか姿勢というものが全然伝わってこないんですよ。私は、沖縄に行ってそれをひしひし感じました。

 これは、善意に解釈して、岡田さんがしっかりとそういうものを、きっちりとこの移転先が決まってからその後で地位協定をやりますと言っているのがわかっている人でも、そうかなと。

 今の現実というものに対して、言ってみれば、順番だから、今は、アメリカのいろいろなこともあるし、なかなかそういう難しい問題をこの場面で出せないよ、こう言われたとさっきの発言は理解しますけれども、そういうことであるにせよ、言葉は適切かどうかわかりませんが、小出しにせよ、そういう日々の問題について、この半年間の中で、政府は、一つの方向性というか取り組み姿勢というものを県民にわかってもらうための努力、また県知事や各地方自治体関係者にしっかりと訴える努力をしないといけないと思うのですが、そういう努力をされましたでしょうか。副大臣。

武正副大臣 赤松委員にお答えいたします。

 これまで民主党は、地位協定の問題点というのを累次指摘してまいりましたし、その改定案というのもつくりましたし、また、特に、今の与党三党でも二年前にそれをまとめました。時の政府の方にもそれを提出したわけでございます。

 民主党案をまとめるときに、沖縄県がやはりまとめた地位協定の案というものも取り入れてつくったこともございますし、あるいは、基地を持つ都道府県の渉外知事県、こういったところのさまざまな御意見も体してまいったところでございます。

 特に、今大臣の方からは、まずはこの普天間の移設問題を先にという答弁がありましたけれども、ことしの一月の外交演説でもしっかりとこの地位協定の改定の提起ということも入れておりますので、こういったところをしっかりと示してきているということでございます。

赤松(正)委員 だから、それはわかっているんですよ。そういう野党時代、三党の意見をまとめ、いろいろ時の政府、自公政権に対して要求されたりされた。それはわかっているんです。そういうことがあったからこそ沖縄の期待も高まった。そして政権をとられた。

 政権をとってからのこの半年間にそういうものに基づいて行動を起こされましたかということを聞いているわけです。

岡田国務大臣 ですから、今沖縄の負担軽減のために普天間の移設の問題について取り組んでいるわけでございます。そして、マニフェストでお約束した、三党で合意した三党合意もあります、そういったものについてはこの四年間の中でやっていくということであります。

 具体的にどこでどういうふうにやっていくかということは、これはまさしく政権の中で考えることなので、お任せいただきたいというふうに思っております。

赤松(正)委員 お任せいただきたいという大見えを切られたわけですけれども、大臣、副大臣でもいいんですけれども、この言葉遣いというのはどう理解したらいいんでしょうか。「日米地位協定の改定を提起し、」。「改定を提起し、」という言葉の持つ意味というのは、要するに、改定の中身を世の中にこうですよと言ったのか、それともアメリカに言ったのか、あるいは改定ということをしますよということを意味するのか、その改定を提起ということの正確な意味を教えていただきたい。

岡田国務大臣 改定、その具体的な中身について明らかにするということであります。そして、当然、その三党合意の中にある表現だと思いますが、それは、その明らかにしたことについて日米間で交渉して実現を図っていくということも含まれるものでございます。

赤松(正)委員 それは、例えばこの沖縄ビジョンの中に挙げられている、八項目ほど挙げられていますが、在日米軍基地、地位協定改定案という格好で八項目やられていますけれども、こういうものを含むんですね。こういうものを意味するんですね。

岡田国務大臣 それをすべてその四年間のマニフェストの期間中にやるのか、それとも、これまた順番をつけて、お互いが合意を得やすいところから交渉に入っていくのか、それもまさしくやり方の問題でありますので、今具体的に決めているわけではありませんし、ある意味ではそれは政府の中で決めるべき話だと私は思います。

赤松(正)委員 であるがゆえに、私は、先ほど冒頭に戦略が誤っておられると言ったのは、私風に言わせれば、今言われたのを四年間のスパンでやるというふうなことであるがゆえに、なかなか沖縄の県民の皆さんの大変高揚している現民主党政権に対する失望感と怒りというものは、もちろん前政権にもあるんですよ、今の政権に対するより大きな失望感というものがおさまらないというのは、そこに一つ原因がある、そう思います。

 だから、私は、何も全部ばっと言えと言っているんじゃなくて、その地位協定改定という形を提起して、提起したことに沿って、要するに、一歩二歩、いろいろな手法というものを駆使してやるということをされるべきで、それを日本国内にも沖縄県民の皆さんにもしっかりプレゼンテーションする必要がある。それをしないで、さっき大臣が言われたように、だからこそ普天間基地の移設問題に今取り組んでいるんだ、こういうことを、何かまずは一個、それが終わってから次、ほかのことについては余り手を出さないというふうに受けとめられかねないような発言をこういう場でされるというのは非常に私は残念だ、そんなふうに思います。

 それはこちらの方の、自分たちの戦略だとおっしゃるかもしれませんが、例えば、私は運用の改善だっていいと思うんですよ、当面の場面で。さまざまなテーマがあるわけで、そういうテーマについて、一遍に解決できないものを、それこそ順を追って身近なところから、今の民主党政権は大変努力しているなということを思わしめるような、そういうことをしなさ過ぎるんじゃないかということを言っているわけです。

 だから、どこへ持っていくかということももちろん大事ですけれども、どこへ持っていくかということと同時に、日常的に起こっているそういうさまざまな問題に対する真摯な姿勢、これをしっかり持っていかないとだめだ、そんなふうに私は思います。

 私もきょうの質問の中で取り上げようというか言及しようと思っていた問題ですが、さっき平沢委員が最後に資料として皆さんに配られました。これは、沖縄県知事仲井眞さんが、我々との面談のときの最後の段階で、ああ、そうだ、言い忘れていたということで言われた歴史認識の話であります。

 私が今日ただいま、きょうここで岡田外務大臣に質問をさせていただいている状況までに私自体思っていたのは、日本は、対ロシアとの間に北方領土の問題があり、先ほど出ておりました、韓国との間には竹島の問題があり、そして中国との間には尖閣列島、そういう領土問題を抱えているわけですけれども、やはり広い意味で、それこそ広い意味で、沖縄は領土問題という側面がずっと尾を引きずっている。日本に返還をされたわけですけれども、しかし、その返還の背後には、やはりアメリカという国の存在、これが大きな役割を果たしていて、ロシアや中国と韓国とは違う、これも適切かどうかわかりませんが、度量の大きな側面、そういうものを持った国アメリカが沖縄の返還ということに際してこの決断をした。こういう過去の流れの中で、さまざまな私たちの先輩の大変な努力も同時にあったわけであります。

 それで、私が思いますのは、沖縄と日本の今日までの歴史というものをしっかりと認識するということは、さっき岡田大臣も、クリントンさんとの会談の中で沖縄の持つ特殊な位置づけというものをしっかり話した、こうおっしゃっておりましたけれども、私は、アメリカ側に言うのも当然大事な側面であろうと思いますけれども、これはやはり、今の政府にどうこうということよりも、私たち国民の側、日本人そのものが沖縄と日本との歴史認識というものをしっかりと受けとめていかなくちゃいけない。そういうことがあって、中国との間で、あるいは韓国との間で歴史共同研究ということが行われておりますけれども、それこそ日本と沖縄との間にそういう歴史認識をめぐる共同研究さえあっていいんじゃないか、そんなふうにも思うぐらい、今の若い人たちの歴史認識というのは、例えば沖縄に向かって余りないというふうに思うんです。

 最後に、外務大臣に、先ほどもおっしゃいましたけれども、そういう日本と沖縄とのこの長い歴史における歴史認識というものについて言及していただきたいと思います。

岡田国務大臣 私、最近、日本と琉球をめぐる交流を書いた本を読みまして、改めて、非常に長い歴史のあるものだ、例えば山口と沖縄との交流とか、必ずしも鹿児島を通したものだけではない、そういうものがあった、そういう時代もあったということも知りました。

 いずれにしても、そういう時代を経て、琉球王国がやがて日本の一部に、何といいますか、みずから望んだわけではなくてなり、そして、さきの戦争においては直接戦場になって多くの方が亡くなった、その後、米国による統治が続いた。そういうことについて、やはり我々、常に念頭に置いて、そしてさまざまな政策ということを考えていかなくてはならない、そういうふうに思っております。

赤松(正)委員 終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 日米の核密約の問題に関連して幾つか質問したいと思います。

 この問題をめぐって我が党の志位委員長が提出した三月十七日付の質問主意書に対して、三月の三十日に鳩山総理の答弁書が出されました。

 この政府答弁書では、まず第一問、一九六〇年一月の六日に日米間で交わされた討論記録を日米間の公式の合意文書であることを認めるかという設問に対して、次のように回答いたしております。「当該「討議の記録」は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条の実施に関する交換公文の交渉過程において、交渉の当事者であった藤山外務大臣とマッカーサー駐日米国大使との間の共通の理解を記録するために文書自体については不公表とすることとして両政府の間で作成された合意文書であると考える。」、こう明記をいたしております。

 なるほどと私は読んだんですけれども、そこで、岡田大臣に伺いたいと思います。

 要するに、この討論記録は交渉の過程の日米両国政府間の共通の理解を記録したというものであるとしているわけですが、交渉当事者だった藤山外務大臣とマッカーサー大使の間の共通の理解というのは一体何なのかということが問われてまいります。政府は、この間、この問題、報告書が出て以来、討論記録の解釈をめぐって日米の両政府間に相違があったとしてきたわけですが、この政府の言うアメリカ側の理解というのがこの答弁書にある共通の理解なのか、それとも政府の言う日本側の理解が共通の理解なのか、どういう意味なんでしょうか。

岡田国務大臣 そこについて認識の相違があったということであります。

笠井委員 認識の相違があったというか、共通の理解を記録したものがこの不公表の合意文書であるというふうに言っているわけですから、その共通の理解とは何か、交渉当時の両者の共通の理解とは何かというふうなことはどういうことなんでしょうか。

岡田国務大臣 ですから、共通の理解を文書にしたものということでありますが、その理解ということについて日本政府と米国政府の間に認識の差があったということであります。

笠井委員 どの点にどう違いがあったんですか。

岡田国務大臣 結局、その持ち込みということに関して、一時的寄港の扱い、そこについて日米両国政府で認識の違いがあったということであります。

笠井委員 この文書で言う共通の理解というのは、何についての共通の理解だとお考えですか。

岡田国務大臣 ですから、この文書を、日本国政府はその一時的寄港というものも持ち込みに含まれるという前提で考えており、アメリカ政府としては、そうではない、一時的寄港というのはその持ち込みには当たらない、そういう理解で考えていた、そういう認識の相違があったということであります。

笠井委員 では、どの点において共通の理解ということだったんでしょうか。

岡田国務大臣 ですから、共通の理解のための文書でありますが、そこにおいて認識のずれがあったということを申し上げているわけです。

笠井委員 おかしいですね。共通の理解を記録したと書いてあるわけですから、それを不公表にして合意した文書だというふうに言っている、まさにその問題というのが問題になってくるわけです。

 では、伺いますけれども、去る三月三十日に、我が党の不破哲三元衆議院議員が、一九五八年から六〇年の日米交渉の経過と内容を示す二つの新たな米外交文書、公文書を明らかにいたしました。一つは、安保改定交渉の第一日、一九五八年の十月の四日の協議内容を報告した同年十月二十二日付の電報であります。もう一つは、翌年の、交渉が合意するという成立当時の、一九五九年の六月二十日付の報告電報であります。

 いずれもマッカーサー大使による電報でありますけれども、この二つの文書というのは、日米安保改定に至る交渉過程で、一つは、米側が公式の席上、核兵器を搭載した軍艦が日本への事前協議なしに日本に寄港することを条約上の権利として交渉の第一日目から主張していたことが書かれております。二つ目に、交渉の結果、日米政府が、日米安保条約、そして事前協議についての岸・ハーター交換公文、それから討論記録、この全体及びその解釈を一体のものとして受け入れたことを示しております。

 これはまさに、討論記録を作成する過程で、核兵器を搭載した軍艦の寄港は事前協議の対象としないという米側の理解を日本側が受諾したこと、つまり、米側の理解こそが共通の理解だったことを示しているんじゃないでしょうか。これはどういうふうに見られますか。

岡田国務大臣 委員は、ですから、そういった米国側の資料、公電といいますか、それを根拠にしてそういう議論を展開しておられるわけです。ただ、そういった米国側の資料だけを根拠にして立論するということが果たして妥当なのかどうかということも問われなければいけない。外交ということを考えたときに、一つの物事についてそれぞれの当事者が違う考え方をするということは間々あることであって、米国の言っているものはすべてそれは真実をあらわしている、そういうことでもなかろうというふうに私は思うわけであります。

 今回、この密約の調査を行った結果、幾つかの資料が出てまいりました。つまり、日米間で認識の不一致があったということを示す文書であります。

 例えば、昭和四十三年に作成された日本側交渉当事者によるメモ、これは東郷局長が作成したもの、このメモでありますけれども、その中にはそういったことが示されているわけであります。

 あるいは、昭和五十二年の、山崎アメリカ局長とそれからシュースミス在京米公使、その会談録というものも出てまいりました。その中には、「山崎局長より、とりあえずの気付きの点として、」「非公開合意議事録のパラグラフ二Cに関するこのような米側の解釈については、一九六〇年の安保改訂交渉時において日本側は何等知らされていなかった」旨述べた。「これに対しシュースミス前公使は、一九六〇年の安保交渉当時に日本側が」「米側の解釈を承知していなかったことはその通りであり、自分が調べたところでも、米側においてこの解釈について日本側に説明しようと努力した形跡はない」というふうに述べた、こういう資料も出てきているわけでございます。

 したがって、我々としては、委員御指摘のような、当初から米側の解釈というものを日本が承知していたということは必ずしも妥当ではないのではないかというふうに考えているところであります。

笠井委員 日ごろ大臣は米国を信頼してとおっしゃっているのに、信頼できないこともあるんじゃないかと言われるので、非常に私も、なるほど、そういう思いでなさっているのかなと思いつつも今伺ったんです。

 今、大臣が二つ、その後の文書ということで挙げられたことですが、それは交渉当時ではなくて、後になって交渉にかかわっていない人たちがいろいろ解釈を言って、そのときこうだったんじゃないかとか、いろいろなことを言っている文書でありまして、私は、交渉当時の文書について、少なくともきちっと米側の文書を挙げて、一致したということを、意見の違いはありながら、そこのところを協議して一致したということで話が出ているということを挙げているわけです。

 では、伺いたいんですが、交渉当時のアメリカの電報を正しいという前提で言われていると言われますけれども、交渉当時のアメリカの電報が正しくないという前提に立つような交渉当時の根拠ないしは文書というのがあるんでしょうか。先ほど大臣は、後になっての、当事者以外の人たちの文書について挙げられました。交渉当時の米側の電報が正しくないという前提に立てるような、そういう文書が出てきたんでしょうか。

岡田国務大臣 お互い認識が違うということですから、それを示した途端に、それは認識が違うということをお互い了解していたということになるわけですから、それは、ないものを証明しろと言われているに等しいというふうに思います。

 私は、この問題は、六〇年当時にそういう密約があったかなかったかということは、それは歴史家にとっては非常に関心の深いことであり、また、共産党が従来からそのことを強く主張してこられたことは承知しておりますが、別に、六〇年からなかった、そのことが絶対だというふうに言っているわけでは必ずしもないんですね。それはまさしく歴史家が判断することであって、我々がお願いした有識者の中では、「二項Cの文言をそれだけで、核持ち込みの事前協議に例外を設ける了解と見ることは難しいように思われる。」というふうに有識者は理解をしているわけでありますが、しかし、そうでないという考え方も当然ある。それは、まさしくそういった有識者の中でこれからも議論されればいいことだというふうに思います。

 志位委員長にも申し上げたんですが、六〇年当時、私は、それは認識の違いがあったというふうに考えておりますが、しかし、やがてそれは、米側の考え方ということを日本政府は知るに至るわけであります。その知るに至る時期というのは、大平・ライシャワー会談のときなのか、あるいはもう少し後なのか、ここも議論が分かれるところでありますが、少なくとも、東郷局長のメモが作成されたその中には、明らかにアメリカ側の考え方が日本と違うということは日本政府は承知をしていたわけでありますから、その後のことについては、これは明らかに解釈が違うことをわかっていて、そして進めてきたということであって、その間、六〇年からたしか六七年か何か、数年の差はあるんですけれども、それは学者の論争に任せていい話ではないか、私はそういうふうに率直に思っております。

笠井委員 やがて知るに至るからいいのではないかという話も最後にあったんですが、結局、そういうことでもって暗黙の合意というふうに有識者委員会でも言われて、そういう報告書が出たわけですが、実践的に見ますと、それを正すことにならないわけですね。それを正していくという話にならない。

 そもそも、歴史家の将来の研究課題というよりも、私は、この問題は今につながるんだと思うんです。そもそも、この密約が六〇年当時に結ばれたということを、はっきり密約と認めないということになれば、対処の上では、それはずれがあったとしても、その後はお互いにそれをやりながら対処においては一致していたという話をされるんですけれども、結局、それは現状を変えないまま置いておくわけですね。そうすると、何も変わらないということになりますね。そういうことになったときに、これは実践的な、これから聞こうと思うんですが、実際持ち込んでくるという問題についてどういう対応をするのかということにかかわってくるから申し上げているわけです。

 しかも、私も参考人質疑をやらせていただきましたが、有識者委員会の坂元さんもおっしゃっていました。大体、欠落して重要部分が足りないものがある、不自然になくなっているものがあるということをおっしゃりながら結論を出された。そして、私が伺ったら、新しいものが出てきたらまたそれは正してもいいんですと言われるんですけれども、しかし、そういう報告書に基づいて少なくとも岡田外務大臣も政府も今対応しようとしている。

 結局は、密約について、きちっとそれをあったということで正す、あるいは廃棄するということもやらないということになっているわけですから、私は、そういう問題が問題になってくると思うんです。

 しかも、やはり当初に一致していたという問題を私は提起しているわけで、交渉第一日目の問題で、アメリカの電報に対応する日本側の会議録というのも、一九五八年の十月四日付というので、今回の報告書とあわせて膨大な資料の中で出てまいりまして、私もこれを読みました。

 例えば、この中でも、マッカーサー大使の説明がずっとされていて、それを記録されています。そこで、第五条、六条というところに来てマッカーサー大使が述べている中で、「第五条、第六条も重要視している。」こう書いてあるんです。その後に、わざわざパーレン、括弧づけしてあって、「(以下条文の説明は記録より省略す)」と書いてあるんです。

 重要視している問題をわざわざ外務省は、マッカーサー大使が言ったことについて、記録より省略するといって書かなかった。これは私は非常に、今、この間の密約問題が議論になっている中で、なぜ書かなかったのか、そんなに大事な問題を記録に残さなかったのかという問題を、これを見て非常に疑問に感じたわけです。これ一つとったって、アメリカの電報が正しい前提に立ってとおっしゃいますけれども、日本側の記録が正しいのかと。そうでないことがほかにも随所にあります。

 大体、電報が正しいものでなかったとして、後で交渉相手の藤山外務大臣とアメリカの国務長官が直接会って会談したときに、こういう交渉をしていた、いや違う、マッカーサー大使とはこんな話だったと言って、そんなことになってしまったら、マッカーサー大使にとっては、それこそ大使生命といいますか政治生命を問われる責任問題になっちゃうわけです。それを、アメリカはいつも信用できるとは言えないんだという言い方で先ほど大臣は言われたので、むしろ、共通の理解は米側の理解であって、それを記録するためにこの文書自体については不公表とすることとして作成された合意文書、まさに密約そのものじゃないかと私は思うんです。

 もう一つ確認したいのは、第二問で聞いた中で、「政府は、一九九四年以後も、日本に核兵器搭載能力を維持した原子力潜水艦が寄港している可能性があることを認めるか。それを否定するというなら、その根拠は何か。」「政府は、寄港する原子力潜水艦に核兵器搭載能力を維持したものが含まれていないことを保証できるか。保証できるというのであれば、その根拠は何か。」という設問をいたしました。これに対して答弁書では、「現時点において、」「核兵器を搭載する米国の艦船の我が国への寄港はないと判断している。」と回答しているわけですけれども、その根拠とされているのは、一九九一年に米国がとった核兵器に関する政策であります。

 私はこれを見て思ったんですが、これまで岡田外務大臣と私も何回かやりとりをさせていただいて、三月十日、私が質問したのに対して大臣は、一九九一年に、水上艦船及び攻撃型潜水艦を含む米海軍の艦船及び航空機から戦術核兵器を撤去したというふうにおっしゃるとともに、一九九四年の核体制見直しで、水上艦船及び空母艦載機から戦術核兵器の搭載能力を撤去することを政策決定していると答弁を繰り返しされました。

 九四年以後もというふうに、能力を維持しているか聞いているのに対して、今回の答弁書では、なぜ、この一九九四年の核体制見直しについて、答弁されたようなことについて触れなかったんでしょうか。

岡田国務大臣 いろいろなことをおっしゃいましたので、どれだけ答えるべきかというのは迷いますけれども。

 ですから、よくお調べになっているとは思いますが、最初の、安保改定期、つまり五十年前ですね、そのときにどういうことだったのかということは、これからもいろいろな議論が出てくるのは当然だと思います。そういう中で真実が次第に明らかになってくる。政府としては、我々としては、当初からそういう約束はなかったというふうに考えておりますけれども、そうではないという議論もあるということは当然だと思います。政権もかわっておりますので、我々は別に五十年前のことを擁護しなきゃいけない、そういう立場にもありませんし、これは議論される中で真実というものが明らかになっていけばいいと思います。

 ただ、では密約はいまだに残っているんじゃないか、そんなことはありません。つまり、日本国政府の考え方、一時的寄港もこれは持ち込みに当たるということを明確に申し上げているわけで、そして、そのことはアメリカ政府も承知をしているわけであります。アメリカ政府の考え方は先ほど述べたとおりであります。それぞれ考え方が違うということは明確になったということで、その時点でもう密約の問題というのはなくなったわけでありますので、いまだに密約が残っているかのような、そういうお話は違うというふうに私は思っております。

 それから、潜水艦の話でありますが、その質問主意書の答弁をしたときは言えなかったんですが、昨日というか、けさ方発表になりましたNPRの中で、トマホークの廃止ということが明確になりました。したがって、戦術核を積んだ潜水艦というものは存在しなくなるということがよりはっきりしたわけで、そういう意味で御心配には至らないということでございます。

笠井委員 日本側が、密約はなかった、そんなことはもはやないんだといっても、アメリカ側は、とにかくこれがあるといって、それを条約上の権利としてやってくるわけです。しかも、NCNDがあるわけですから。これでは実践的には何の保証にもならない。

 それから、九四年当時も、NPRでは、水上艦艇に核兵器を配備する能力を廃棄するけれども、潜水艦に核巡航ミサイルを配備する能力を維持するということを明記していた上に、昨日出たというNPR、おっしゃったので、私も読みました。これを見ますと、トマホークについては、退役するだろう、ウイルですということと、それから、水上艦艇などから撤去した後についても、東アジアにおいて、危機の場合、必要なら、非戦略核システムを再配備する能力に依存してきたということを明記している。そして、さらに、航空機について言いますと、B61とかF35ということで、戦闘機、航空機については、前方展開の非戦略核兵器搭載能力を維持するということがはっきり書いてあります。

 ですから、方針はそういう意味では変わっていない部分があるということでありますから、それでも大丈夫と言えるのかということを大臣に伺いたいんですが、いかがですか。

岡田国務大臣 我々は、一時的寄港ということについて、それは持ち込みに当たるということを明確に申し上げているわけであります。

 そして、それに加えて、仮に緊急事態ということで、その持ち込みを認めなければ日本国国民の安全ということが確保できないという事態になれば、それは、そういう例外的なときについてそのときの内閣がまさしく決断をする、判断をする、そういう話であるというふうに考えております。

笠井委員 もう時間ですが、持ち込みに当たると言いながらこの廃棄をしない、そして、NCNDで相手がやってくるというもとで、これでは何の保証にも担保にもならない。

 私は、まさに、日本は、核の傘のもとにおいて、非核三原則、こういう形で空洞化したままでは、今大きな焦点になっている核兵器ない世界に向けて日本がイニシアチブを発揮することはできない、このことを強く改めて申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルグ大公国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岡田克也君。

    ―――――――――――――

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルグ大公国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岡田国務大臣 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十一年十一月に、シンガポールとの間で現行の租税協定を改正する議定書の交渉を開始しました。鋭意交渉を行った結果、本年二月四日にシンガポールにおいて、我が方在シンガポール大使と先方内国歳入庁長官との間で、この議定書の署名が行われた次第であります。

 この議定書は、現行協定の情報交換に係る規定を改正するものであります。

 この議定書の締結により、我が国とシンガポールとの間の租税に関する情報交換がより実効的に行われることとなり、国際的な脱税及び租税回避行為の防止に資することが期待されます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十一年十二月に、マレーシアとの間で現行の租税協定を改正する議定書の交渉を開始しました。鋭意交渉を行った結果、本年二月十日にプトラジャヤにおいて、我が方在マレーシア大使と先方第二財務副大臣との間で、この議定書の署名が行われた次第であります。

 この議定書は、現行協定の情報交換に係る規定を改正するものであります。

 この議定書の締結により、我が国とマレーシアとの間の租税に関する情報交換がより実効的に行われることとなり、国際的な脱税及び租税回避行為の防止に資することが期待されます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十一年十一月に、ベルギーとの間で現行の租税条約を改正する議定書の交渉を開始しました。鋭意交渉を行った結果、本年一月二十六日にブリュッセルにおいて、我が方在ベルギー大使と先方副首相兼財務大臣との間で、この議定書の署名が行われた次第であります。

 この議定書は、現行条約の情報交換に係る規定を改正するものであります。

 この議定書の締結により、我が国とベルギーとの間の租税に関する情報交換がより実効的に行われることとなり、国際的な脱税及び租税回避行為の防止に資することが期待されます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルグ大公国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十一年十二月に、ルクセンブルクとの間で現行の租税条約を改正する議定書の交渉を開始しました。鋭意交渉を行った結果、本年一月二十五日にルクセンブルクにおいて、我が方在ルクセンブルク大使と先方財務大臣との間で、この議定書の署名が行われた次第であります。

 この議定書は、現行条約の情報交換に係る規定を改正するものであります。

 この議定書の締結により、我が国とルクセンブルクとの間の租税に関する情報交換がより実効的に行われることとなり、国際的な脱税及び租税回避行為の防止に資すること等が期待されます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 以上四件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

鈴木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る九日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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