衆議院

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第12号 平成22年4月14日(水曜日)

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平成二十二年四月十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 宗男君

   理事 木内 孝胤君 理事 小宮山泰子君

   理事 空本 誠喜君 理事 中野  譲君

   理事 和田 隆志君 理事 小野寺五典君

   理事 赤松 正雄君

      大山 昌宏君    川島智太郎君

      吉良 州司君    齋藤  勁君

      阪口 直人君    末松 義規君

      武正 公一君    中津川博郷君

      西村智奈美君    萩原  仁君

      浜本  宏君    早川久美子君

      平岡 秀夫君    松宮  勲君

      横粂 勝仁君    岩屋  毅君

      河井 克行君    河野 太郎君

      新藤 義孝君    笠井  亮君

      服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         岡田 克也君

   外務副大臣        武正 公一君

   外務副大臣        福山 哲郎君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   政府参考人

   (内閣法制局長官)    梶田信一郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  寺田 達志君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  早川久美子君     川島智太郎君

  古川 禎久君     新藤 義孝君

同日

 辞任         補欠選任

  川島智太郎君     早川久美子君

  新藤 義孝君     古川 禎久君

    ―――――――――――――

四月十三日

 脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とバミューダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とクウェート国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第九号)

 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカザフスタン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件 

 脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とバミューダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とクウェート国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第九号)

 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカザフスタン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一四号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣法制局長官梶田信一郎君、環境省地球環境局長寺田達志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。

小野寺委員 おはようございます。

 今、ちょっと呼び出しをお願いいたします。

 早速、ODAのことについてちょっとお伺いしたいと思います。福山副大臣、ありがとうございます。

 私ども前政権におきましても、このODAの問題は大変重要だと思っておりまして、さまざまな評価その他をする会議等を検討しておりましたが、報道によりますと、この座長が役員をされている財団がODAのさまざまな事業を受注しているということがございました。このような不正がないこと、しっかり正すこと、これは前政権においても私ども大切なことだと思っておりますし、また、今回、このような形でしっかり再検討されることは大事だと思っております。

 ただ、その中で一点気になるのは、実はこの座長の方、どうも、きのう外務省のお話を聞きますと、確かにこのような不自然な形での役員の兼務ということになっておりまして、不自然ではあるけれども、幾ら調査をしても、この内容について不正があったとか、あるいはこの座長の方が何か恣意的なことをしたとか、そのようなことはないというふうに外務省の方から説明をいただいております。

 この座長の方、むしろ外務省からお願いしてなっていただいているということもありますので、ぜひ、この座長の方の名誉のためにも、しっかり今回の内容についてもう一度お話をいただければと思います。

福山副大臣 小野寺委員にお答えをいたします。

 今御指摘のありましたODA評価有識者会議のあり方、それからその評価の方法等々について、昨年来、一部報道が出ました。岡田大臣の指示をいただきまして、私と西村政務官で事実関係を徹底的に調査をして、一昨日の発表に至ったところでございます。

 小野寺委員御指摘のように、発表の中身を見ていただければおわかりのとおり、当該元座長の大学の先生には、調査の結果、不正行為や法令上の違反行為はなかったというふうに我々も受けとめております。

 また、逆に、外務省自身が、長年にわたってこの元座長の先生に、ある意味でいうとお願いをし続けてきたような体質があったということについても、我々としては反省をしなければいけないというふうに思います。

 ただ、一方で、このODA評価有識者会議の座長と実際の評価を実施する団体や業者が、この元座長の先生が請け負った方の役員に無給とはいえ名前を連ねられていたことも事実でございまして、このことに対していろいろなところから疑念を持たれたことに対しては、我々としても残念であり、遺憾であり、こういった体質を長年にわたって放置してきたことについて、岡田大臣から、現職の国際協力局長を初めとする五名を口頭で厳重注意させていただいたというところでございます。

 ですから、この反省を踏まえまして、今やはり岡田大臣のもとでODAの見直しの検討をしておりますが、ODAの評価のあり方等について、さらに徹底した見直しをしていきたいというふうに思っているところでございます。

小野寺委員 福山副大臣、ありがとうございます。

 せっかくだから、もう一問だけ聞きたいと思います。通告になかったんですが、昨日来、報道されておりますので、中国艦船の我が国近海に対しての威圧というか、非常に今、国民注視のこの事案についてお伺いをしたいと思うんです。

 きのう、在京の駐日大使のレセプションがあって、外務省を代表して福山副大臣が出たと伺っておりました。きのう、中国大使とこのことについて何か触れられたかどうか、お伺いしたいと思います。

福山副大臣 お答えをさせていただきます。

 私が外務省を代表してあのレセプションに出席をしたかどうか、代表はしていないと思いますが、出席をさせていただきました。大変なお客様の数で、大使の就任祝いということで、長蛇の列で、大使に並んで皆さんがごあいさつをされていました。私は、公務と公務の間、きのうはずっと委員会もございましたので、その間を縫って顔だけを出しました。現実の問題としていえば、程大使に私もお祝いに駆けつけましたという形だけのごあいさつをしました。

 私の中では、この中国の艦船の問題については、当然念頭にはありましたが、お祝いの席だということもありますし、立ち話のようなものでこちらが申し入れるには少し私は軽いと判断をいたしましたので、あえてその場では申し上げずに、もちろん事務方からはきっちりとこちらからの申し入れをしているところでございますし、今後外務省としてどう対応するかについては、岡田大臣とともに検討していきたいというふうに思っております。

小野寺委員 ありがとうございます。福山副大臣、どうぞ、結構でございます。

 今触れましたが、実は、中国海軍、沖縄近海に最近頻繁に来るようになりました。これは、ある識者によれば、日米間が大変今不安定になる、このような状況で、中国につけ込まれているのではないか、このようなことも出ております。

 実は、十三日には発表されましたが、十日午後八時ごろ、中国艦船約十隻が、これはもう沖縄の近海であります宮古島と沖縄本島の間を航行しているということが発見されました。そしてまた、私が驚いたのは、実は八日、中国艦船から発艦したヘリコプター、これが日本の護衛艦の水平距離九十メートル、上空三十メートル、すぐそこです、そこまで接近をしてきているということですが、この事実を大臣は知っていらっしゃいましたか。

武正副大臣 小野寺委員にお答えをいたします。

 今御指摘の十日午後八時ごろ、海上自衛隊の第六護衛隊所属「ちょうかい」及び第五護衛隊……(小野寺委員「いや、事情を知っているかどうか」と呼ぶ)ええ、事情は承知しております。また、八日の件も承知しております。

 一点つけ加えれば、今、今回特にというようなお話でありましたが、既にこれは昨年春ごろ、やはり四、五隻の艦艇が行動していたこと、あるいはまた、一昨年十一月ごろ、四隻の艦艇が津軽海峡、その一カ月前、十月ですかね、四隻の艦艇が通過するという事象など、過去からそうした中国海軍の動向というものは、特に防衛省の方で認識をしているということでございます。

小野寺委員 御案内のとおり、最近頻発しています。そして、八日には、日本の船、日本の艦船の水平距離九十メーター、垂直距離三十メーター、大きなヘリコプターです。ですから、すぐそこ、顔がわかる、そんなところまで接近されている。これは完全になめられている。もしこれが逆の立場であれば、恐らく、日本の自衛隊のヘリコプターがそのような状況であれば、これは完全に撃ち落とされているんじゃないかと普通は思います。

 ここまでされていて、この大きな案件について、昨日、日中の首脳会談がありました。この会談において触れたかどうか、お伺いします。

武正副大臣 まず、これまでの取り組みでありますが……(小野寺委員「それだけでいいです、触れたかどうか」と呼ぶ)ええ。十二日に、在京大使館あて、また、中国外交部あて、それぞれ申し入れをしております。

 また、今のお話でございますが、今回のヘリコプターの危険飛行も含めて、日中首脳会談で取り上げたかということでありますが、これについては取り上げていないということでございます。

小野寺委員 取り上げていないんですよ。日本の艦船の九十メートル水平、三十メートル垂直のところまで中国のヘリコプターが接近をして、完全に威嚇をされている、近海にこれだけ船が来ている。これでも実は、日中の首脳会談ではこの問題を触れていない。

 実は、先ほど、我が党の外交部会で外務省から説明を受けました。外務省としては、防衛省と一緒になって、この問題を首相にはその都度上げていると。ですから、今回の日中首脳会談の中でも、この案件は上がっている、それを話さなかったのは、これは首脳、首相の政治レベルの判断だということなんです。

 こうやって考えると、すぐそこまで中国のヘリコプターが完全に威嚇しているのに何も言わない。竹島をあそこまで占拠されていても何も言わない。外務省のホームページには「不法占拠」と書いてあっても、外務大臣は自分の政治信念と言ってこれは認めない。こんなむちゃくちゃな外交ってありますか。ちょっとこの中国の問題について、外務大臣の感想をお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 まず、今のお話を聞いていまして、ここは国会であります。そして、もし逆の立場だったら当然撃ち落とされていると。私はそれは少し言い過ぎじゃないかというふうに思うんですね、日本の国会議員として。いろいろな御意見があるのはわかりますけれども、もちろん抗議すべきはきちんと抗議していく、当然であります。

 鳩山総理は、昨日の日中首脳会談、東シナ海の問題も含めてさまざまテーマがありました。そういう中で、この今回起きたことを触れるかどうかというのは、それはまさしくトップの判断であります。たまたま触れなかったからといって、そのことを取り上げて、何か対中政策がなっていない、そういうお考えはお考えとしてあるんでしょうけれども、我々は、もう少し冷静にきちんと対応していく、そういう考え方であります。

小野寺委員 恐らく、この答弁を聞いて多くの日本国民は、では、私の言っていることが間違いで岡田外務大臣が言っていることが正しいのか、岡田外務大臣が余りにも危機感がない、日本の安全保障について何も明確な考えを示さない、そういうことに終始しているのか、結果がどちらかは、これを見ている方が判断されるんだと思います。

 そして、きのうのオバマ大統領と鳩山首相との会談です。中国とは正式な会談を九十分行った。鳩山総理とオバマ大統領との会談は十分間。しかも、無理やり日本側が頼んで、ワーキングディナーの前ということで入れさせていただいた。映像、写真が、きのうきょう、テレビで流れました。新聞でも出ました。私はあれを見て、何て日本というのは情けない、みじめな、こんな国になったのか。中国とは、ほかの国とはしっかり時間をとる。しかし、今、日米の安全保障の問題、日米の基地問題がこれだけ揺らいでいる中で、わずか十分間、通訳を挟んで、しかも、そのうち、この基地問題を含めた日米関係の問題は五分しかなかった。これはもう本当に、一言言ったか言わないか、こんなことにしかならない。

 先ほど福山副大臣はおっしゃっていました。中国の大使とお話をするとき、重要な問題なので、そんな簡単なところで話すべきではない、そう言った話。確かにそうだと思います。では、基地問題というのは、日米の安全保障の問題というのは、重要な問題ではないんですか。こんな十分間のちょっと間の時間、しかも、その間で五分間ぐらいしか日米関係は話さなかった、しかも通訳を介して。これで本当に日米の同盟がしっかり守られていくのか。あるいは、今、沖縄県民の皆さんが感じているこの基地の問題について、しっかり総理がアメリカの大統領に伝えることができたのか。どうお考えか、外務大臣にお伺いします。

岡田国務大臣 長くやればその国は重視されており、短ければ重視されていないという考え方は、私は根本的に違うんじゃないかというふうに思っております。

 米中間は、今非常に重要な時期。それぞれ、さまざまな事件の中で米中関係が非常に悪くなった。そういう中で、よりを戻し、そして、恐らく米中間で話し合ったことのかなりの部分はイランについて話したはずであります。イランに対する制裁を行うに際して、拒否権を持つ中国をどうやって巻き込んでいくのか、そこにアメリカの大きな関心があったことは間違いありません。したがって、時間をかけてかなりのやりとりがあったというふうに想像するわけですが、そういった具体的に議論しなければいけない案件があるから時間を延長してでもやったということであって、長くやったからいい関係で、短かったら悪い関係というのは、私は、短絡的に過ぎる、多くの国民の皆さんも私と同じ意見だと思いますが、そういうふうに思います。

 そして、オバマ大統領と鳩山総理の間で、私は、その会談が行われる前から記者会見などで、具体的な話に踏み込むことはないということは明らかに言っておりました。つまり、これは首脳間で議論する、つまり、普天間の移設、具体的にどこがいいとか悪いとか、そういう段階にはないわけであります。私とルース大使の間で今議論をしております。そういう段階にある話、そのことを鳩山総理としてもオバマ大統領に改めて、岡田大臣とルース大使の間で行われている、そしてそのことについて協力してもらいたい、こういうふうに言ったわけでございます。

 中身に踏み込まなかったからだめだということではなくて、そういう段階にはない、外交というのはステップがあるということを申し上げておきます。

小野寺委員 では、お伺いしますが、もう一点、これは鳩山総理が明確に、五月の末までに決着をするということ、これは何度も何度もお話をされております。そして、今回の首脳会談でもこの話を明確にされました。五月末までに決着をする。今、外務大臣は、段階を経る、段階を経るということをお話をされております。

 お伺いしますが、では、再度確認いたします。五月末までに必ず普天間は返還するという方向で決着がすると考えてよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 今まで政府が申し上げておりますのは、地元の理解を求めつつ、米国ともすり合わせをして理解を求め、政府として本年五月末までに具体的な移設先を決定する。

 以上であります。

小野寺委員 岡田大臣もその考え方に、当然同じくされると思いますし、何度もお話をされておりますが、総理は、この問題が決着がつかなければそれなりの責任をとるとおっしゃっております。もちろん外務大臣も同様の考えと承ってよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 私は、総理がそういう言い方をしたということは私自身の記憶にはないんですが、いずれにしても五月末までに決着をつける、政府として決着をする、こういうことでございます。

小野寺委員 そうしますと、もしこれが決着しない場合は、岡田大臣は責任をとる考えはないということですか。

岡田国務大臣 今、政府として決着をつける、決めるというふうに申し上げているわけで、そうでないことを前提にした議論というのを私はするつもりはございません。

小野寺委員 岡田大臣に対して不信が一つございます。

 一番初めの外務委員会でも質問しましたが、岡田大臣は、この普天間の基地を最低でも県外に移設するということに政治生命をかけるということを何度もおっしゃっています。

 確かにその後、日米間の協議が変わったということがあって、いや、あのときの発言は状況が変わったから違うんだということでお話をされていますが、私、心配していますのは、この五月三十日、五月末の期限ということ、このトーンが、だんだん今の政府の中で変わってきているということなんです。確かに総理は、このことに関して期限をしっかり決めて責任をとるつもりで一生懸命やると。ですが、最近官房長官は、いや、その決定というのは、実はその決定の仕方の度合いもさまざまありまして、このような発言もされつつあると伺っております。

 私は、こういう形で、言った話がころころ変わる、約束と言って、実はそれは言っていない、街頭であれだけ発言をしておきながら、よくこのマニフェスト、インデックスを見てくれ、これには書いていない、そのような詭弁で逃げられることがたびたびあるので確認をしているんです。

 もう一度お伺いします。もしこの五月末までにこの問題が決着しなければ、どのような責任をとるおつもりでありますか。

岡田国務大臣 まず、今委員の御発言の中で、県外ということができなければ政治家としての責任をとる、政治生命をかけるというふうに私が言ったというお話ですが、それは二〇〇五年の、私が代表を務めておりました折の発言であります。その後、総選挙があり、そしてロードマップが決まったという中で、当時の与党が新たな案をお決めになったわけで、私はそれ以降、県外ということは申し上げておりません。そのことははっきりと申し上げておきたいと思います。

 そして、先ほどと同じ答えになるんですけれども、政府として五月末までに決着をつけるというふうに明言しているときに、それ以外の答えということを前提にした、そういう議論を私はするつもりはございません。

小野寺委員 オバマ大統領、鳩山総理の会談の中で、具体的な内容については岡田外相と駐日大使との間で行うというお話が出ております。

 今、さまざまな案、腹案というのかあるいは政府案というのか、いろいろな名前があってよく理解できませんが、どうも最近の方向ですと、ホワイトビーチは既にあきらめた、そして今残っているのは辺野古の問題、そして徳之島ということが新たに浮上しました。既に徳之島に民主党の牧野聖修さんが行って、さまざまな根回しをしているという報道もございます。

 この徳之島の案というのは、現在、岡田外相が駐日大使と話をする内容、あしたまた会談があると伺っておりますが、その中に含まれるかどうか、お伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 あした会談があるというのは、どこかの新聞が書いていると思いますが、そういうことを私はコメントしておりません。

 それから、私は、今交渉しておる、その最中でありますので、今の段階で中身についてコメントするつもりはございません。

小野寺委員 また、実務者の協議ということをしようと岡田外相は提案されたと伺っていますが、先方からは断られたということでありますが、この事実はありますか。

岡田国務大臣 いろいろ報道はございますけれども、その報道が正しいわけではありません。ただ、現状を申し上げると、私とルース大使の間でいろいろ意見交換を行っているということであります。

小野寺委員 アメリカ側から聞こえている話は、岡田外相から出てくるのは、何か考え方とか幾つかの案とかそのような漠然としたもので、具体的な提案ということが話として来ない限り、これを実務者に落とすということは無理だと。

 ということは、今の政権が持っている案というのは、実は明確な案ではなくて、こっちにやったらどうでしょう、ここならどうなんですかね、これはどうなんですかね、そのような幾つかの提案というよりもむしろ雑談ということをこれだけ時間をかけて日米間で一生懸命やっていると考えてよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 委員の議論の前提になっております事実、どういう事実に基づいて言っておられるのかわかりませんが、今おっしゃったことに私はコメントのしようがありません。

小野寺委員 大臣、そう言いますが、私どもも、質問で出てくる話がさまざま多過ぎ、そしてアメリカ側から伝わってくる話は、正直言って、これはアメリカ側も困っているよなというぐらいの話が伝わってまいります。

 ですから、大臣がコメントしようがないということは、実は何も一つの案というのは固まっていない、これがこの日米協議の真相じゃないですか。

岡田国務大臣 委員の議論というのは、仮定に仮定、想像に想像を重ねて言っておられるというふうに思います。答えは一つです。現在交渉中であります。中身を言うつもりはありません。

小野寺委員 それでは、その中身についてもう一度お伺いします。

 その中身が実現すれば二〇一四年までに普天間が返還をされる、この前提でいいんですね。

岡田国務大臣 現在ロードマップというものが前提になっておりまして、その中身について、場所が決まるということで内容について修正をする必要があるかもしれません。しかし、基本的には、現在の期限、二〇一四年ということが今は前提になっているということであります。

小野寺委員 二〇一四年が前提になっている、そしてそれは普天間の返還というふうに考えてよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 我々は、普天間の危険性の除去あるいは移設ということをスタートに議論をしているということでございます。

小野寺委員 今、皆さん、聞きましたか。危険性の除去という言葉にいつの間にか変わっていると思います。これは前提は普天間の移設ということ、返還ということが前提であって、この議論の前提で今まで私どもは危険性の除去という話は考えておりません。

 もう一度お伺いします。これは危険性の除去ではなくて、二〇一四年の普天間の返還という姿勢は変わっていないと考えてよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 先ほども申し上げたんですが、危険性の除去そして普天間の移設ということが議論の前提であります。

小野寺委員 この危険性の除去ということを繰り返される、その裏読みをすると、これは、岡田大臣も笑っていらっしゃいます、また仮定に仮定を重ねている、そういうふうにお話しされるかもしれませんが、私ども、政治家です。普通、言葉に、返還というのと危険性の除去というのでは全く違う意味があるということを皆さん理解されていると思います。返還であれば、これは全面的に返ってくる。危険性の除去というのであれば、ヘリコプターや固定翼の飛行機の一部がほかに移る。これは全然違う意味があるんですよ。そして、沖縄の皆さんは、あくまでも返還ということを前提に政府が進めていると今でも信じています。

 もう一度お伺いします。これは返還なんですか、それとも危険性の除去なんですか。

岡田国務大臣 もう少し生産的な議論をした方がいいと思います。私は、危険性の除去そして普天間の移設と三回言っております。

小野寺委員 では、生産的な議論をさせていただきます。

 結果的に、今現実として二〇一四年の決着を見るためには、普天間の返還を見るためには、最終的には現行案、これは岡田外務大臣も実は心の中で思っていらっしゃると思います。現行案の中で、当初の辺野古のV字案なのか、そこを沖合に少し出すのか、そこで決着するしか最終的な二〇一四年の返還ということはあり得ない、これが私は建設的な話し合いの具体的な内容ではないかと思いますが、現行案もしくは現行案の多少な変更案、これは今でもこの交渉の中のカードとして生きていると考えていいんでしょうか。

岡田国務大臣 私が申し上げていることは、現行案ということの困難性、それよりも我々が今考えている案の方が困難性が少ない、そういったことを申し上げているところであります。

小野寺委員 今まで我々が考えている案というのは、もしかして私が全然知らない、あっと驚くような案をお持ちなんでしょうか。

 例えばホワイトビーチ案であれば、過去最大級の大規模な埋め立てということになります。地元の漁業者も大反対、うるま市も大反対をしています。ここに埋め立てをつくるということは、これは現行案よりももっと大規模に埋め立てるということ。恐らく理解できないのが国民だと思います。

 では、徳之島に移す。徳之島の三町長は反対という意向を示しています。そして、これを理解してもらうためには、恐らく並大抵の努力ではないと思います。二〇一四年に決着するとは私は到底思えません。

 ということは、今出ている案というのは、全く岡田外務大臣が考えている案ではなく、それとは別な、私どもが、なるほど、それがあったか、それなら現行案よりもはるかに米軍も賛成し、地元住民も同意し、そして沖縄県の皆さんがおっしゃる最低でも県外、国外、この移設にしっかり適応する案と私は理解してよろしいんでしょうか。お伺いします。

岡田国務大臣 何度も繰り返しますが、交渉している最中で、中身についてコメントすることはございません。

 ただ、委員の今の議論を聞いていまして、果たして現行案に当時の与党が至った経緯というのをどこまで御存じなのかな、そういう思いはいたします。当時も地元の反対はたくさんありました。その中でさまざまな交渉を重ねて、そして現在のV字形になったということで、もちろん、今いろいろな声が上がっております、いろいろな場所で上がっておりますけれども、反対の声が今あるからそれはもうできないということではなくて、そこからしっかり交渉してまとめていったというのが今の現行案の経緯だったというふうに思います。物事というのはそういうものだというふうに私は考えております。

小野寺委員 現行案を決めるときに、歴代の外務大臣、防衛大臣、防衛庁長官がどれだけの努力をされたか。きょう、鈴木委員長がいらっしゃいますが、鈴木委員長もどれだけ心配りをされたか。それこそ、ひざ詰めで、もろ肌脱いで、酒を酌み交わし、人間関係をつくり、そしてあの辺野古の三地区の皆さんに御了解をいただく。涙ぐましい涙ぐましい努力があったということを、私は、本人ではなく、その交渉に当たった外務省、防衛省の役所の皆さんから聞いております。

 では、お伺いしますが、今回、今さまざまな案が出ております。ホワイトビーチ、うるま市に聞きましたら、一言も地元には政府から話がない。徳之島、一言も政府から話がない。全部報道だけだ。何も話をしていない。この状況で、まさか五月末までに決着ができるという案は、ホワイトビーチはあり得ません、恐らく徳之島だって無理です、ほかにあると考えてよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 繰り返しになりますが、具体的な交渉の中身については、私はコメントをいたしません。

小野寺委員 大臣は同じことしか答えていらっしゃいません。ですが、これはすべて外務委員会の議事録に残っております。具体的なことは答えられない。そして、普天間の返還なのか、負担の軽減なのか、そこも両方の言葉を使っていらっしゃる。具体的なところがどうかもわからない。交渉の内容も何も明らかにしない。これは、委員会を全く軽視している、国会を完全に軽視している。ここまで国会をばかにし、議会をばかにする。

 私は、これですばらしい結果が出れば、それはいいと思いますよ。それでいい結果が出れば、それはいいと思います。私も、済みません、私の言い過ぎでした、そうお話をします。ですが、もしこれで決まらなかったら、この議事録をすべて私ども読み直して、ああ、外務大臣は結局お考えは何もなかった、結果的には……(発言する者あり)また仮定の話というやじが飛んでおります。仮定の話かもしれません。

 ですが、いずれにしても、この結果というのは、平岡さん、聞いてください、そんなに遠くないうちに結果として表に出ます。そのときに、私どもは、さすが岡田外務大臣とお話をさせていただいていいのか、勘弁してよ岡田外務大臣とお話をしていいのか、その結論が間もなく出るということだと思っています。

 もう一度お伺いします。二〇一四年までに必ず普天間は返還をされる、そう信じていいんですか。

岡田国務大臣 現時点はそういうふうに考えております。

 ただ、委員も十分わかった上で言っておられると思いますが、現行案についての環境影響調査をやってまいりました。しかし、沖縄県知事は、やはり現行の案ではなくて、もう少し沖合に移動させた案ということを言っておられます。場合によっては、環境影響調査をもう一回、一からやり直す必要が出てくるかもしれません。

 あるいは、当時の与党である皆さんは、オスプレーの配備について口を閉ざしてまいりました。しかし、いざ、近い将来オスプレーの配備ということが予想されるかもしれません。そうすれば、もう一回調査のやり直しということも考えられます。

 そういうことは一四年までに返還するということのいわば不確定要因としてある、従来からそういうものはあるんです。そのことを十分わかっておられながら、金科玉条のごとく一四年、一四年と言われるのは、私はいかがなものかというふうに思っております。

小野寺委員 この二〇一四年までに普天間の返還というのは、別に私が言っているわけではなくて、総理自身がお話をされている話ですから改めてここでお話をしているので、申しわけないんですが、オバマと総理の会談の中でも、岡田大臣とルース大使との話に任せるという、それだけ信頼をいただいている岡田大臣と鳩山総理との間ですから、この辺の、総理の発言と大臣の発言がずれるようなことがない、そのすり合わせ、意思の疎通はぜひお願いしたいと思います。

 さまざま質問をしてまいりました。ですが、私ども、やはりこの基地の問題というのは、必ず日本政府がしっかりと決着をつけなければ、これは日米関係に大きな問題を及ぼすこと。そして、日米の安全保障の問題が揺らげば、御案内のとおり、中国海軍あるいは中国がどんどんこの日本の近海に、日本の艦船の九十メーター、垂直、すぐ上に三十メーター、もうすぐそこ、こういうところまで威嚇されても何も言わない。日中間の首脳会談がちょうど行われていても何も言わない。こんな弱腰の外交で本当に東シナ海を含めた日本の権益が守れるのか、日本国民の意思が通じるのか。

 ぜひ、このことを深く考え、この問題についてはこれからもこの委員会で質疑をしていきたいと思います。

 質問を終わります。

鈴木委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。

 外務委員会で今期初めて質問させていただきます。岡田大臣、参議院の方に行かれますので、約十分間ということでございます。御見解を伺わせていただきたいと思っております。

 まず最初に、民主筆頭理事として言わなければならないのが、残念ながら、自民党の議員、理事の方以外は冒頭には余り来られないということでございます。やはり、委員会審議を充実させろと、先般、河野委員からも、おしりを向けてイレギュラーな場所で御提言をされた。そういったことも踏まえ、今後しっかりと……(発言する者あり)そうなんです。今、小野寺理事もおっしゃっていましたけれども、言っていた当の河野委員が来られていないというのも腑に落ちないところでありますが、やはりこういったところから、政治姿勢というのは、しっかり国民は見ているんだということを指摘させていただき、質疑を始めさせていただきたいと思います。(発言する者あり)失礼な、小沢一郎先生はちゃんと来ていますよ。

 さて……(発言する者あり)場内見ていないからそういったことを言えるんだなという、発言というか愚痴のようなものが自民党側から聞こえてまいりますが、さて、時間もないので、ぜひ、今後なんですけれども、大臣の見解、三点、短く聞かせていただきたいと思います。

 ハイチなど、大規模災害がございます。そのたびに、岡田大臣、意を尽くし、また誠意を尽くし対応されておりますので、災害復旧外交とか災害支援外交という言葉が最近よく耳にされますので、この点に関して大臣の御見解を伺わせていただきたいこと。

 そして、先般、三月二十五日には農水大臣の談話にもありますが、ワシントン条約の関係で、大西洋クロマグロの附属書への掲載というのが見送られたわけですが、この点に関して、各在外の大使館、公館の大使たち、本当によく頑張られたということ。また、そういう中においてわかってくるのが、やはり資源確保ということが今後大変大きな問題かと思っております。この点で、資源確保に対して、外務省が今後、他省庁に向けての連携についてのお考え。

 大変短くなりますけれども、また、その中で、各国において日本の在外公館の大使たちの活躍というのは目覚ましいものがあったし、物すごく頑張られたと思います。この点は高く評価するものでございますが、逆に言えば、日本にいる、在京のほかの国の大使たちも、たくさん日本にはいらっしゃいます。今、大臣は弾丸外交ということで、やはり現地でちゃんとお話をされるということに重点も置かれておりますけれども、在京の大使たちとの交流というのも、今後大変有効な手段かと思いますので、この点に関しての御見解を、三点聞かせていただければと思います。

岡田国務大臣 まず、災害復旧支援活動というものが外交政策上非常に重要になってきているというのは御指摘のとおりであります。ハイチのときにも、各国が集まって、まさしくそういった災害復旧活動を、いわば競い合うような形で力を入れたということであります。

 もちろん、宣伝の場ということよりは、やはりそこで生活している人たちの命、生活、これを日本としてもきちっと守るために力を尽くしていくことが基本だというふうに思いますが、最近、大きな災害も相次いでおりますので、そういう際に、日本としての存在感をきちっと発揮できるような、しっかりとした災害復旧支援活動を行っていきたいというふうに思っております。

 それから、資源外交ですけれども、エネルギーとか食料など国民生活の基礎をなす資源の多くを海外に依存している日本にとって、その資源安全保障の維持確保というのは、我が国の基本的外交目標の一つであります。

 政府の中でもいろいろ議論しておりますけれども、もう少し政府が前に出て、役割を果たしながら、資源の確保ということに努めていく必要があるのではないか。最近は、いろいろな国がそういった形で、資源確保のために、民間にゆだねるだけではなくて、かなり大きな役割を果たしつつあります。日本政府としても、こういった点についてしっかりと役割を果たしていきたいというふうに考えて、今、仙谷戦略大臣を中心に、閣内でも議論を行っているところであります。

 三番目の、在京の大使との交流ということですが、私もなるべくそうしたいというふうに思うのですが、海外から外務大臣がお見えになることもかなり多く、そして外務大臣、かなり日程が厳しい、そういう状況の中で、一人一人にお会いするということは非常に難しい状況にあります。ですから、ある程度、何人かお集まりいただいた上でお話を聞くとかするとか、そういう機会はなるべくつくっていきたいというふうに思っております。

 もちろん、これは大臣だけではなくて政務三役、副大臣や政務官も、そういった在京の大使、いわゆる外交官との交流というものを進めているところでございます。

小宮山(泰)委員 ありがとうございます。

 時間の都合上、駆け足になりますけれども、在京の大使たちとの面会時間、また懇談というものは、ぜひもう少し、時間を少しでもつくっていただき、移動時間等を考えますと大変有効な時間の使い方かとも思いますので、この点に関してはさらなる検討と実行をしていただけるよう、お願いしたいと思います。

 さて、先ほどからさまざまな問題が出ております。まず最初に、私としては、やはりタイ・バンコクで村本さんが亡くなられたこと、大変痛ましくも思いますし、世界ではこういったさまざまなことが起きているんだということも痛感をいたします。まずもってお悔やみを申し上げ、その真相解明というものを、ぜひ外務省としてもまた内閣としてもやっていただければと思っております。

 そして、先ほどからありますけれども、朝からニュースもあれですが、核セキュリティーサミットに関してでございます。

 私自身は、これに関しましては、今回の核セキュリティー、核テロ対策等という単独の事項を題材とした、四十七カ国三国際機関が参加している国際会議でもございます。この目的をしっかりと進めるならば、やはりこれに対して、オバマ大統領との非公式の会談というんでしょうか、これのことばかりが取り上げられますが、ぜひ多くの方々に、また国民の皆様にも、そして議員におかれましても、我が国の代表団によって核セキュリティーに関する我が国の立場等を記したナショナルステートメントがしっかり配付されているということ、この点に関しましては日本は具体的な提示をしたという意味において大変評価するべきものだと思っております。

 この点、通告はしておりませんけれども、こういったことに関して、唯一の被爆国であります日本がこういった核について、もちろん持ち込ませないという原則が私たちはございますので、今回の単独の事項を題材としたサミットという中においては、今、持っている、保有している、そういった懸念のあるところを中心として取り上げられるというのは、このサミットの性質上、当然かとは思っておりますが、日本として、やはりもう少しこの点に関してしっかりとステートメントを出す、それを周知していただきたいと思っております。

 この点に関しまして、副大臣、もしよろしければ、突然ではございますけれども、よろしくお願いします。

武正副大臣 まず、先ほどの大使との接見でありますけれども、大臣就任後、半年間になりますか、この間で十八件、在京大使と面談をされております。直前の外務大臣の接見は十四件ということですから、そういった意味では、やはり実は、しっかり会っているんだということもお伝えをしておきます。

 それから、村本さんについては、十一日の夜に、総理そして外相からも、今回の多くの死傷者を出した事態への憂慮と、村本氏の死亡について遺憾の意を表明し、特に村本氏の死亡事案に関する真相究明を要請する旨の返書を、アピシット首相そしてカシット外相あてに発出しているということでございます。

 村本さんの亡くなられたことについては、心から御冥福をお祈り申し上げ、御家族にはお悔やみの言葉を申し上げたいと思います。

 今の核セキュリティーサミットについてでございますが、岡田外相就任後、オバマ大統領の核なき世界ということにしっかりと呼応し、日米の連携ということで取り組んできたこと。また、過日、オーストラリアの外務大臣とも外相会談で、ICNNDの最終報告を受けて、両国としての核不拡散、また核廃絶に向けた取り組み、これも合意をし、ステートメントを発出し、また各国への働きかけということを行ってきたこと。また、今回の核セキュリティーサミットでも、日本のこうした累次の立場をしっかりと表明したこと。また、今週末には、御承知のように議長国として、今度は平和構築といったことも含めて、この四月は議長国としてもしっかりとリーダーシップをとっていく。あるいは、イランの核開発疑惑への毅然たる対応といったことも、この間、ずっと進めてきたということでございます。

小宮山(泰)委員 ありがとうございます。

 在外公館というよりも、在京の大使たちとはさらに、さまざまな国、中東、東アジア、アジア、南米もございます、ぜひ、ホームページのトップページを見ればわかりますけれども、本当に、副大臣を初め政務三役、積極的に海外にも出て、そして外交日程をこなされていらっしゃいます。こういったところを見ても、やはりさらに話を深める、またつないでいくという意味で重要だと思いますので、この点は提案とさせていただきます。

 さて、連日、普天間の問題等、この問題が主になっておりますが、外務省のホームページ、トップページを見ればわかりますけれども、日本はさまざまな問題に対面をしているということで、そういう意味で全般的なことで、一般質疑でもございますので、質問をさせていただくように努めたいと思っております。

 さて、先ほど一番最初に岡田外務大臣からも答弁いただきましたけれども、最近、特に四川での大地震から、やはり災害支援外交というような言葉、そういったものに対して、各国が自分たちの能力や資源を有効に生かし、そして、その点において世界じゅうのマスコミが集まる形で災害支援という姿が見える、そういう意味では新しい外交の姿かという話も出てきております。この点に関しまして、外務省の位置づけ、日本が積極的に存在感をあらわすようにということを先ほど大臣もおっしゃっておりましたけれども、もう一度改めて確認をさせていただきたいと思います。

 具体的には、どのようなことで、また先般、ハイチにおきましてもNGOとの連携なども含めまして、今さまざまな形で災害の支援を日本国政府としてはしているかと思います。特に、ハイチにおきましては、JICAが最初に緊急で入り、また自衛隊が入り、そして現在は赤十字などが入る形で、非常にすばらしい連携がとれているというふうにも聞いております。この点の経緯につきまして、概略も含めまして、認識をお聞かせください。

武正副大臣 今御指摘のハイチ、そしてまた先般はチリということで、地震への対応ということで、外務省としての危機管理体制の見直しを行いまして、九日、その内容を発表したところでございます。

 これは、既に民主党の現地調査団から指摘を受けていたところも踏まえまして、迅速な対応ということをまず第一に当然のごとく掲げました。その迅速な対応は、政府としての、内閣としての意思決定プロセスというものをしっかりと明確にすることでございます。

 あと、やはり在外公館、今回はハイチで在外公館が被害を受ける、こういったことでありました。そういったところについても、やはり通信体制の整備、これをしっかりやっていこうということ、また医療機能の拡充などを明確にしたことでございます。

 また、国際緊急援助隊の派遣の迅速化、これも今回もハイチについては指摘をされたわけでございます。もちろん、PKOが派遣をされているハイチということがあったにせよ、それについては関係省庁、そしてJICAと協議しつつ努力をしていくということでございます。

 先ほどNGOについても御指摘がありましたが、NGOについては、先般、大臣がハイチを訪問した際にも、現地で日本のNGOの五団体と懇談をし、現場の状況を視察しましたが、NGOが地震発生後早い段階から現地入りし、物資の配布等を献身的に行っている姿を非常に印象深く見たということを聞いております。

 また、外務省は、日本のNGOが迅速かつ効果的な緊急人道支援を行うために、ジャパン・プラットフォームに対して過去九年間で百二十五億の資金協力を行うなど、NGOによる災害支援活動を積極的に支援してまいりました。今後は、NGOの財政基盤強化を支援するため、認定NPO法人制度における手続や要件の緩和、優遇措置の拡充については、NGOの皆さんからのいろいろな御意見を踏まえまして、これは昨年、税制調査会でも、私あるいはまた西村政務官の方から、要望を外務省と内閣府と共同で提出してきた結果、二十二年度の税制改正の際には、認定手続の簡素化が実現をしております。

 NPO税制については、先般、同じく政府税調の市民公益税制プロジェクトチームの中間報告も税制調査会に提出をされておりまして、外務省は税制調査会の議論に対して積極的に働きかけをしていきたいというふうに思っております。

小宮山(泰)委員 NGO、NPO、こういった本当に即応性のある、また志のある、そして特定かもしれませんけれどもスキルのある団体、経済基盤が特に弱いということは外務省のさまざまなところにも書いてもございますけれども、外交青書にもあったかと思いますけれども、こういったところの支援、また制度の拡充などもぜひしていただければと思っておりますので、武正副大臣のさらなる活動、また西村政務官もそうですけれども、政務三役のさらなる働きかけもお願いしたいと思います。

 さて、先ほどの中にございましたけれども、民主党におきましては、一月二十日に、民主党国際局の藤田参議院議員、また首藤衆議院議員がハイチ首都のポルトープランスを訪問して、現地視察をされました。プレバル大統領や国連PKO局ミュレ事務次官補との面談をされたり、また現地を視察された。私も、この報告を見て、多くのとうとい命が亡くなられたこと、また脆弱な、そういう意味では建設物の崩壊という姿、まだこれも復旧はされておりませんけれども、本当に、お悔やみを申し上げるとともに、こういったことの中で一人でも多くの方が助かる、そして早い復興をされるということをしなければならない、そのための支援をしなければならないんだということを痛感した次第でもございます。

 また、大使館におきましても、ハイチの場合は特に、非常にレアケースとは言われますけれども、大使館自体が被災を受け、またその中で邦人の安否確認に、本当に、御自身も被災をされているにもかかわらず日本大使館の皆様方が頑張られたということ、これも多くの方にも知っていただきたいし、この点には心から敬意も表したいと思っております。

 そこで、JICAからも、新聞にもございましたし、また去る三月十一日の災害対策特別委員会で黄川田徹代議士が取り上げて質問されていますのが、全身麻酔薬ケタミンの被災地への持ち出しについてということでございます。

 こういった緊急のとき、一秒でも早く災害支援をする。軍隊等いたところに関しては分娩室などさまざまな器材を持ち込んでいらっしゃったようではありますけれども、この場合、距離もあります。ただ、災害という緊急で命を助けなければいけないというところにおいて、ケタミンの持ち出しについての質疑をされておりますけれども、中井防災担当大臣と長浜厚生労働副大臣が先月答弁をされております中には、自衛隊やJICAの被災地への麻薬の持ち出し申請が所管省庁等を通じて行われた場合には、緊急援助隊の派遣に合わせて被災地へ持っていけるように速やかに麻薬輸出にかかわる許可証を交付するということを対応したいと述べた上で、「外務省、防衛省と連絡を密にしながら対応してまいる所存でございます。」と答弁をされております。

 約一カ月たちましたけれども、この点に関しましてどのような状況にあるのか、ぜひ御報告をお願いしたいと思います。

武正副大臣 大変、外務省そしてまた政府のこうした地震災害、大規模災害への対応について、しっかりやれという激励をいただいたというふうに受けとめます。

 民主党の調査団、ちょうど成田帰国のときに私も成田で会って、そしてその足でモントリオールで行われましたハイチ支援国会合の方に行きました。ですから、その場で現地のいろいろ報告を受けました。また、緊急援助隊の皆さんの出発式、また解団式、それぞれ同席をしました。

 先ほど触れましたように、特に医療について、民主党からもあるいは緊急援助隊からも報告がありましたのは、大けがで運ばれてくる、そうした被災者への対応というのが、医療器材など、そしてまた今御指摘の麻酔薬ケタミンということで、なかなか思うようにいかなかったところが、やはり何とかしてくれという御指摘がありました。

 また、先ほど、現地の大使が頑張られた、あるいは大使館員が頑張ったという話でありますが、過日、四宮大使も帰国をされました。本当に、先頭に立って現地で指揮をとり、さまざまな案件を解決していったということで、心から敬意を表するわけでありますが、あわせて、周辺の大使館からも、特にフランス語ができる館員の方が入れかわり立ちかわり応援に入ったということで、そういった地域、もちろんドミニカ、ハイチ大使館ということもありますが、周辺のそうした公館もしっかりとサポートをしたということでございます。

 あと、今のケタミンの携行についてなんですけれども、麻薬たる麻酔薬については可能な限り現地調達するが、携行が必要な場合、最も迅速な手続がとれるように厚労省と協議を進めているということであります。

 もう委員御承知のように、麻薬及び向精神薬取締法で麻薬指定されている麻酔薬の輸出許可については、厚生労働省は、申請後、迅速に許可を出せるよう体制が整っていると承知をしております。

 ただ、同法に従いますと、申請時に被災国の輸入許可が必要とされておりまして、今回のように首都直下の被災、しかも被災直後に政府から輸入許可を得るのが困難なケースも想定されますので、国際的には災害時には輸出入の手続を簡素化する方向にあることから、被災国政府の機能が麻痺していて迅速に輸入許可がとれないような場合も踏まえて、迅速な手続の実現につき、厚生労働省と話し合いを行っているところでございます。

小宮山(泰)委員 ありがとうございます。

 思い出しますと、武正副大臣も県会、御一緒でございましたけれども、ちょうど私が県会議員になる直前に阪神・淡路大震災が起き、本当に多くの方が、世界じゅうが私たち日本の国を助けてもいただきました。やはりこういった相互の関係というものをこれからもさらに、災害支援外交という表現が適切なのかわかりませんけれども、こういった際には、ぜひ日本が、命を守る民主党政権になりましたので、この点に関してさらなる努力、そして決断をしていただければと思っております。

 さて、資源確保に関してでございますけれども、人口八億人弱の成熟した先進国が世界経済を牽引して資源を消費してきたんですけれども、人口三十億人と言われる地域、BRICsなどの急速な工業化などを背景に資源需要が拡大をしてきているという現実がございます。その中で、さまざまな資源確保において、今どのようなことを、特に石油、石炭、天然ガス、ウラン、レアメタル、そのほかの鉱物資源の確保など、また食料安全保障の観点からも、さまざまな活動を外務省はされているかと思いますが、この点について、簡単ではございますけれども、ぜひ御説明をお願いいたします。

武正副大臣 お答えいたします。

 我が国は、エネルギー、鉱物、食料等、国民生活の基礎をなす資源の多くを海外に依存しております。食料についても、世界最大の輸入国でもございます。資源安全保障の維持強化は、基本的外交目標の一つであります。

 特に、新興国の資源需要の増大、資源ナショナリズムの高揚、資源価格の中長期的高騰傾向、こういったことを受け、また地球規模の気候変動の影響等により、資源をめぐる国際的な状況は大きく変化していると認識しております。

 我が国への資源の安定供給を図る観点から、我が国の強みを生かす資源産出国との二国間関係を強化するとともに、世界全体の責任ある資源開発利用に向けた国際的な連携を推進してまいります。

 また、先ほどもお話ありましたように、仙谷大臣のもとの国家戦略室、ここでやはり、成長戦略を初め、特にこの資源確保ということで関係省庁、民間企業、官民連携のもと取り組んでいこうということで、二〇〇八年三月に閣議了解されました資源確保指針、また、本年一月には、主要産出国の大使館の資源問題担当官を招集し、吉良政務官、経産省、そして独立行政法人のJOGMEC担当者の出席のもと、三日間、資源問題担当官会議も行いまして、金属鉱物資源の確保に向けた外交的取り組みの強化につき議論もしております。

 先ほどの成長戦略のもと、総合的資源エネルギー確保戦略を推進することとしておりまして、現在、その肉づけ、また成長戦略の具体化、これを四月、五月ということで行ってまいります。

 また、食料に関しては、APECで食料安保ということを、ことし、来年、議長国として日米協力して取り組もうということを、過日、日米外相会談でも確認をしておりまして、また、そのことは、過日、ビルサック農務長官来日の折、在京米大主催の食料安保のシンポジウムでも、冒頭、私の方からも触れさせていただいたところでございます。

小宮山(泰)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、今後、自国の産業の活躍の場を広げるという意味におきましても、海外の資源開発、新幹線、原子力発電など、さまざまな案件で後押しをしていただければと思っております。

 時間がなくなってまいりましたので、東アジア外交につきまして聞かせていただきたいと思います。

 昨年は、日本メコン交流年ということで、私も、昨年末にございました、十二月の二十一、二十二日で、ラオスのルアンパバーンで行われました日本メコン女性議員会議に、国会の女性議員五人の団長として参加をさせていただきました。大変活発な意見交流もされまして、その場には西村政務官も臨席していただきました。

 この地域におきまして、メコン地域への今後のODAの支援などを表明されているわけですけれども、この点に関しまして、なぜメコンの流域というものが重要なのか、そしてこれが東アジア外交について寄与する部分、そういう面につきましての御認識をお聞かせください。

武正副大臣 委員御指摘のメコン地域は、東アジア共同体構想においても、域内格差是正の観点から、かぎとなる重要な地域でございます。

 メコン地域の発展を支援することで域内格差を是正し、ASEAN十カ国の中でのメコン地域の支援ということで、ASEAN統合、これを促進することがこの目的に資すると考えております。

 また、メコン地域は、天然資源また優秀な労働力にも恵まれまして、民間投資・貿易先としても潜在力が高い、経済回廊等による陸上物流網整備により地域としての一体性も高まる、日本企業の関心も高い、また伝統的に親日国であるということ、あるいは十四の世界遺産を有するメコン地域は観光先としても有望であると。草の根の人と人との交流は、日メコン関係の基礎となると考えております。

 昨年、日メコン交流年として、政治、経済、文化、観光など幅広い分野における交流行事を実施しており、十二月には日メコン女性議員会議に小宮山委員には団長として参加をしていただきました。昨年十一月には初の日本・メコン地域諸国首脳会議を主催したところでございまして、引き続きメコン地域との協力関係を深化させていきたいと思います。

 また、十一月にはラオスでクラスター爆弾の締約国会議第一回も開かれるということも含めまして、このメコン地域への取り組み、しっかりと行っていきたいと思います。

小宮山(泰)委員 ありがとうございます。

 あさってになるかと思います、十六日には日中メコン政策対話第三回会合など行われるということも報道されておりますので、やはりこの分野、この地域においての成長、そして東西をつなぐこのエリアというのは大変重要かと思っておりますので、ぜひ今後とも、このような活動、さらなる交流をしていただければと思います。

 残り時間がなくなってまいりましたけれども、今後なんですけれども、ちょっと、文化関係のこと、やはりこういった、実はルアンパバーンは世界遺産になるような場所でもございまして、観光もあります。そして、日本との交流、この中で痛感いたしましたのは、文化外交というものをもっと充実させるべきではないか。

 時間がなくなって本当に申しわけないんですけれども、各国大使館におきまして、日本のさらなる信頼を獲得し、そして御理解をいただき、日本が環境とともに過ごしてきた、そういった歴史の背景もさらに知っていただくことが、日本の外交をさらに深め、そして友好的な国をつくっていくという重要な意味を持っていると思いますので、この点に関してもさらなる努力をしていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、末松義規君。

末松委員 末松でございます。

 外務委員会、初めて質問させていただきます。

 まず、一番の、最大の外交的懸案は普天間の問題でございますけれども、外務大臣も今おられないという話でもございますし、また、いろいろと事態が動いているということでございますので、きょうは余り質問をしないということにさせていただきます。

 まず、ミャンマーについてお伺いをさせていただきます。

 私はミャンマーの民主化議連の会長をさせていただいておりまして、政権交代をしてから、たびたび、福山外務副大臣等、いろいろな御協力、ビルマ人の会合に出ていただいたり、あるいは外務省に行ってしっかりとそこはこちらの要望を聞いていただいたり、そういった意味で、前政権とは全く違う積極的な対応をしていただいている。さらに、外務大臣の、国際的なさまざまな申し入れといいますか、いろいろな国際会議、あるいは二国間の会合でも積極的に言っていただいていることに対して、非常に高く評価をしているところでございます。

 ただ、国際社会が何を言っても、ミャンマー側が、軍事政権が、形は、格好はつけるんですけれども、実質的には民主化というものに非常に消極的な姿勢を示すわけですけれども、これからどのような手を打っていこうとしているのか、それをまずお聞かせいただきたいと思います。

武正副大臣 末松委員にお答えをいたします。

 末松委員がミャンマーの民主化についてかねてより積極的に取り組んで、さまざまな活動をされてきたこと、今もそれを中心となってされていることに心から敬意を表したいと思います。

 今、ミャンマーへの取り組みということでございますが、現状について、我が国から働きかけてきた、すべての関係者が参加できる開かれた形での総選挙の実施ということについて、これが合致していないということで、極めて遺憾ということで、過日、大臣がフラミン在京ミャンマー大使に対してこのような考え方を伝えたというところでございます。

 また、三月末のアメリカのクリントン国務長官との外相会談でも、本件につき意見交換をしております。また、ASEAN諸国とも連携をしつつ、日米で連携して対処していくことでも一致をした過日の外相会談でもございます。

 引き続き、スー・チー女史を含むすべての政治犯の早期釈放、またスー・チー女史やNLDとの実質的な対話の進展も含めまして、自由公正で開かれた総選挙の実施をミャンマー政府に対して粘り強く求めていくということでございます。

 一国における体制の変更、民主化に時間がかかるというのも事実でありますけれども、インドネシアなどでは、やはり一定の時間を経て民主化が進展をしておりまして、今では、ユドヨノ大統領のもとで、きちんと大統領選挙も行われて、民主主義国家としての成熟の道を歩んでいるのも事実でございます。

 ASEANの考え方にとっても、内政不干渉という原則があることは承知しておりますけれども、やはりミャンマーの民主化について日本が積極的な取り組みを、そしてまたASEANへの働きかけ、こういったことも含めまして取り組んでいきたいというふうに思っております。

末松委員 まさしく本当にそういった形で頑張っていただきたいと思いますし、特に日本政府が、国境近く、タイ側の例えばUNHCRの、あれはビルマ人の難民キャンプ、これに対して、そういったプロジェクトにしっかりと応援をしていただいているとか、あるいは、ミャンマー政府あるいはミャンマーに対する日本からの投資が年々減ってきている、これは正直言って、ミャンマー政府自体が民主化に対してこたえてきていないというような、そういったあらわれであろうと思いますし、それが国際社会の方向にしっかりと根づいていると思います。

 それから、今、タイでも、村本さんが犠牲になったわけでございますし、私も哀悼の意を表したいと思いますけれども、この村本さんの件について、タイ政府に対してどのような対応を行ったのか教えてください。簡単で結構です。

武正副大臣 先ほど触れましたように、十一日に総理そして外相から、それぞれ、アピシット首相、カシット外相への文書を発出したというところでございます。多くの死傷者を出した今般の事態への憂慮、それと村本氏の死亡についての遺憾の意を表明し、特に村本氏死亡事案に関する真相究明及び邦人の安全について最大限の配慮を要請する旨の文書でございます。

末松委員 ミャンマーでも、長井さんの件がずっとまだ解明されていないということでございます。私は、高村元外務大臣に、何も進展していない、これに対して、例えばミャンマーに対して影響力を持っている中国、そういう中国に働きかけて、そして少し中国からも口添えをしてもらえないかという話をしたら、にべもなく拒否されたわけですけれども、今度、温家宝首相がミャンマーに行くという報道も出ておりましたけれども、日本政府として、中国に対してそういったことを申し入れていただけるような御意思はございますでしょうか。

武正副大臣 ミャンマーでの長井健司氏の死亡事件でございますが、これについては二〇〇七年九月二十七日ということでございます。

 これについて、私も当時、外務委員会の理事として、当時の委員長のもと、理事会としても積極的ないろいろな働きかけをしてまいりました。当時、二〇〇八年二月には、相手国のカウンターパートが内務省ということもありますので、もちろん現地大使、そしてまた大使館が対応しているんですけれども、あわせて、やはり事実確認も含めて警察庁からも現地に行っていただいて、大使館の職員とともに現地政府に対し申し入れをしたという経緯もございます。

 こういったことをこれまではあくまで二国間ということでやっておりますので、先ほど触れました、そうした警察も含めた、やはり政府としての対応ということで、あくまで二国間ということが望ましいというふうに思っております。

末松委員 中国に対して働きかけはできないというお話、ちょっと私も残念でございますけれども、ぜひそこは、また引き続き検討していただきたいと改めて申し上げます。

 それから、スー・チーさん及びNLDが今度の選挙をボイコットするという方針を決定しているようですけれども、これに対する日本政府としての評価というのはいかがですか。

武正副大臣 今回の選挙関連法の内容について確認した結果、禁錮刑に服している者は選挙に立候補できず、政党のメンバーにもなることはできないということで、照会をしますと、自宅軟禁中のスー・チー女史もこれに含まれることが判明をいたしました。

 先ほども触れましたように、現状では、我が国からこれまで累次働きかけてきたような、すべての関係者が参加できる開かれた形での総選挙とは合致しないということで、極めて遺憾であり、ミャンマー政府に対して引き続き働きかけを行っているところでございます。

 以上です。

末松委員 わかりました。

 またこれは引き続き考えてまいりますけれども、また、在日のビルマ人の難民認定等についても、非常に彼らも困っているところがございますので、引き続き御助力をお願いしたいと思います。

 それから、これは質問通告ではないんですけれども、一点ちょっと気になったので、これは別に困らせる質問じゃないので御懸念は要りません。

 実は、報道官の会見記録を見ておりましたら、ことしの三月十日十九時五分より再開されたというふうに、本省の会見室ですか、この会見記録にこういう記述がございまして、外務報道官が、「ここで結果が出たことについては、外務省は責任を持って大臣に報告をし、それを大臣が諒とした訳ですので、」云々という記述があるんですね。

 「外務省は責任を持って大臣に報告をし、」というのは、ちょっとこれは意識がおかしいよね。つまり、外務省というのは外務大臣の意思でございますので、そういったことがこういう議事録に載っているということ自体おかしいので、そこはちょっと注意喚起をお願いしたいと思います。そこはちょっと大臣、一言もし……。

岡田国務大臣 どういった脈絡で出てきた話なのか今のだけでは理解できないところもありますが、外務省事務当局とかそういう趣旨のことだというふうに思っております。

 私は外務大臣であって、当然外務省の人間でありますから、御指摘のように、今の表現は余り適切でないというふうに思います。

末松委員 それから、せっかく大臣がおられるので、少し話は移るんですけれども、中東外交について。

 この四月一日、アラブ諸国主催のレセプションがございまして、私も大臣に個人的に、ぜひ御出席をいただきたいとお願いしたわけでございます。先ほど小宮山議員からも、ぜひ在京の大使に時間があればお会いしていただきたいということでございますけれども、このレセプションに実は総理が出席していただきまして、大臣がちょうど御出張中だったんですね。総理の言葉が、ユーモアを交えながら、私はきょうは御出張の外務大臣の代理として出席をいたしましたということで、非常に会場が沸いてよかった。これだけでもアラブの諸国の大使は本国に対して非常にいい電報を送ると思うんですね。

 ぜひこういったところは積極的に、時間のある限り御出席をいただきたいと思うんですが、外務大臣、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 先ほど小宮山委員のお話にもありましたが、できるだけ時間を割いてというふうには思います。特に、たくさんの大使が集まっておられるとき、そういう機会を見て意見交換できればいいというふうに思っております。私も今まで、南アメリカ、アフリカ、それからASEAN、そういった国々の大使とは、固まりでお集まりのときにお訪ねをして、そして意見交換をさせていただいております。日本にいる限り、なるべくそういう機会をたくさんつくりたいというふうに思っております。

 ただ、国会開会中は国会審議の合間を縫ってということになりますので、なかなか時間的に非常に厳しいところもございます。率直に申し上げて、私自身の一日を振り返ると、お客さんといいますか、外国の外相とかそういった方々もたくさん来られますし、その会見なども含めますと、もう本当にきちきちいっぱい、そういう日程でございます。そういう中で何とか工夫しながらそういう機会をふやしていきたいというふうに思っています。

末松委員 工夫しながらということでございます。各国の大使も事情をわかっておりますので、例えば十分でもいいのであればとか、いろいろな形であれば、彼らも本当にお会いしたいと思っておりますから、ぜひそこはそういった形でよろしくお願いします。

 それから、ちょっと細々したところかもしれませんけれども、実はこれは初めて見せるんですけれども、民間で、笹川中東イスラム基金というのが、日本のフォーラムということで、いろいろな日本の政策あるいは事件等、あるいは日本の今の話題等、アラビア語と日本語でこのホームページで紹介をしているんですね。

 こういったことを民間がやっているんですけれども、彼らと話していて言っていたのは、正直言って、これをずっと続けていくのはきつい、何とかそこは政府としても御支援をいただけないだろうか、こういう話がございました。

 私もこういう、アラブ諸国がアラビア語で日本の事情をそこで見ていく、そして親しみを持っていく、これはやはり広報の一環として重要じゃないかと思うんですけれども、そこは大臣、いかが考えられますか。

武正副大臣 笹川中東イスラム基金で日本をアラビア語で紹介するウエブサイトを有しているという御指摘でありまして、日本について外国語によって発信することは重要と認識しております。

 ちょうどきのう私もフォーリン・プレスセンターにちょっと行ったんですけれども、そこでは月に六本の日本関係の政治、経済、文化にわたるそうした内容の論文というか文書を、たしか八カ国語に翻訳して、それを在京のプレスを中心に発出している。在京に、それこそいろいろなところから来ておりますので。

 そういったことも見てきたわけでありますが、アラビア語について、厳しい予算制約の中、中東にある我が国大使館のアラビア語ホームページにて情報発信を行うなど、広報に努めております。予算の制約もありますが、アラビア語での中東諸国向けの発信については、民間との連携も含め、引き続き努力をしてまいりたいと思います。

末松委員 それと、今、中東に外務大臣が行ったことを調べておりましたら、一九九〇年に一度外務大臣が行かれて、二〇〇一年にまた外務大臣が行かれて、大体十年ぐらい行っていないというのがございまして、総理はその中で何回か行っているんですけれども、二〇一〇年ですから、そろそろ、外務大臣自身、日本の外務大臣として行っていただきたいとこれは御要望申し上げておきます。

 同時に、例えば私なんかは中東の中で今までリビアなんかに注目していまして、リビアというのはなぜかというと、今まで悪役を演じてきまして、何だ、カダフィさんかというようなそういった評判のあったところが、今、テロ指定国家からも除かれて、大量破壊兵器も放棄した。そういった中で、今、ヨーロッパ、欧米初め非常に大きな引き合いが来ていて、リビアから見れば、ヨーロッパ、欧米だけで商談を進めていくというのはちょっと抵抗がある、やはり日本とかそういったものも含めてやっていくべきじゃないか、こういう話を聞きました。

 そういった意味で、そういったところで考えると、本当に、リビアの国家元首のカダフィさんなんかを日本に呼んで、そこで進めていく、そういうダイナミックな方向も必要だと思うんですね。この前、外務省の関係者に聞いたら、公賓枠とか国賓枠がないので実は無理ですねという話も聞いたんですけれども、そういうことではなくて、もっと国策的にやっていくということをぜひそこはお考えいただきたいと思います。それは大臣、お願いします。大臣にぜひ一言お願いしたい。

岡田国務大臣 国賓、公賓ということであれば、それは一定の予算の範囲の中で決定をしていかなくてはなりません。今年度についてもそういったところについては大体もう既に決まっておりますので、そういう形ではなかなか難しいかというふうに思っております。

 委員の御指摘、その発想というのはよくわかるところもございますので、今後の問題としてまた十分検討していきたいというふうに思っております。

末松委員 国賓等で、エジプトの大統領なんかはその枠に考えていると。多分、エジプトの大統領なんかは、選挙があってなかなか行けない。そういうところをやらないのであれば、リビアなんかを呼んでいくような、そういう柔軟な発想でぜひ引き続き御検討をお願いしたいと思います。

 それから、密約問題についても簡単に触れさせていただきます。

 質問なんですが、一九七二年の、ニクソン・佐藤両首脳の密約と言われるものがあって、これは検討の委員会で、密約ではないんじゃないかという話がございました。ただ、両首脳間で合意議事録を交わしたというのは事実でございます。

 これは基本的に、位置づけとして、外務省として国際約束なんでしょうか。

岡田国務大臣 このニクソン・佐藤両首脳間のサインのある文書をどう見るかというのは、これは専門家の間でも意見が分かれる、外務省の有識者の結論は、委員おっしゃるように、これは密約とは言えないというものでありました。ただ、有識者の中でも議論はいろいろあったというふうに聞いております。この場でも、たしか坂元先生がそういった趣旨のことを言われたかというふうに思います。

 一般論として言うと、首脳間あるいは外務大臣の間で交わした約束というのは法的な効果があるというふうに言えるかと思います。

 今回のこのニクソン・佐藤両大臣の署名のある文書でありますけれども、本来、条約であれば国会の承認という手続が必要です。そういうものは全くございません。したがって、普通で言う、正当なる権限のある国際約束とは言えないというふうには考えられますが、では国際法的に拘束力があるかどうか、国内的にはないとしても、国際法的に言ってこれが拘束力を持つかどうかというのは、それはまさしく議論の分かれるところ、そう答えるべきだと思います。

末松委員 そうすると、外務省としては、これは国際約束だとお考えですか、それともそうでないとお考えですか。

岡田国務大臣 その答えはあえて出しておりません。つまり、外務省としては、事実関係を明らかにいたしました、そのときはなかったわけですけれども。そして、その上で有識者に議論をしてもらったわけです。それで有識者の結論が出ました。外務省として、有識者にお任せをして、そして結論を出していただいたものを、それと違うことを直ちに言うという状況ではございません。かなり昔の話でありますが、恐らくこれから専門家の間でこの文書の性格をめぐってさまざまな専門的見地からの議論がなされる、そういうことだというふうに思っております。

末松委員 別に外務大臣を困らせるために言っているわけじゃなくて、つまりこれは、両首脳間で合意をした。ということは、両首脳の間では縛るわけですね。それは先ほど外務大臣が、首脳間でやられれば一定の法的効果はあるかもしれないと言われたんですけれども、そこの効果はある。だけれども、これは国内的には全く手続がなされていない、民主主義の手続がなされていないがゆえに、それは法的な効果とは言えない。非常に悩ましいところなんです。

 実は、だからこそ密約云々という話になるわけですけれども、私はここをぎりぎり学者的に議論を詰めたいわけではないんです。ただ、二国間の指導者が拘束されるという意味においては、それは多分、国際約束というふうな性格は多分にある話だろうと思います。ただ、それが両国間という話になると、なかなかそこは、その後の後継内閣、佐藤内閣の後継内閣は、そこは引きずらない、拘束されないという話になるということなんですね。

 そこは悩ましいところなんですけれども、これからの民主的な話でいけば、こういった密約問題を出したということは、私は岡田大臣は非常にそこは大きな貢献をなさったと思うんですけれども、ということは、これからそういう密約的な外交はないよということを、その姿勢をあらわしているということで理解してよろしいですか。

岡田国務大臣 まず、外交に、表に出せない一定の秘密というか、そういうものが絶対ないとは言えないと思います。それは、状況に応じてそういうことが必要とされる場合もある。現に、例えば、私がよく例に挙げますのは、四つの密約の中の二つ目、朝鮮半島有事の際の、事前協議を経ることなく直接出撃できる、こういうことでありますが、これに対する評価、当時の時代状況を考えたときに、これなしで事前協議制度が導入できたかどうかというと、そこはかなり議論のあるところであります。当時の岸総理も相当悩みながらそういったものを入れた。

 ですから、基本的に、外交上、表に出せないことがあるということは、それは状況によってはそういうことは認めざるを得ないと思います。ただ、問題は、明らかにそれと違うことを公に言うということですね。例えば、そういうものはないと断言する、そういうことになりますと、しかもそれが長く続くということになりますと、やはりそこは問題。

 密約についても、いろいろな評価はありますが、少なくとも九一年のアメリカの核政策の転換後はきちんと説明すべきだった、私はそういうふうに思っております。

末松委員 これは国の安全の根幹にかかわるということについては、私も非常に、今外務大臣が御指摘なさったような本当に厳しい問題があると思います。

 そういった意味で、すべてのすべてを秘密がないという話は、そこは私自身もまだ結論は出ていないんですけれども、ただ、そういった場合であっても、これからの世の中、本当に重要なときに、この前外務大臣がおっしゃっていましたけれども、何かの決断をしなきゃいけないときには、その内閣が内閣の命運をかけて決断をされる、こういうことを表に言われたこと自体は、私は評価したいと思っています。

 法制局長官が来ていて、私、法制局長官に必ずしも望んでいたわけではないんですが、事情でこうなったわけですけれども、こういう佐藤総理とニクソン大統領の会談が、合意議事録があった、これが大平三原則にも、当然、もしこれが出されたら国会の承認を得なきゃいけない、こういうことになると思うんですけれども、そういった場合、憲法上の問題として、これは無効なのかどうか。そこをちょっとお尋ねしたいと思います。

梶田政府参考人 お答えします。

 ただいまのお尋ねは、御指摘の密約と言われるものがどういうものであるかということだろうと思いますが、私ども、具体的な内容を承知しているわけではございませんので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

末松委員 きょうは、では、時間の関係でこれ以上問いません。

 では、最後にちょっと、経産の副大臣に来ていただいていますので、ごめんなさい、ちょっとお待たせしましたけれども。

 今私が申し上げたいことを申し上げれば、今、国内需要が非常に低迷しておりまして、何とか海外に活路を求めていかなきゃいけない。そういったときに、日本企業に対して、海外進出をする日本企業、これを官民一体で支援していく時期に来たんじゃないか。先ほど小宮山議員からもそういう御指摘もございました。

 例えば世界標準策定、こういったときに、やはり非常に戦略的に官民で対応していかないと、世界標準で日本企業というのはかなり負けてきている、こういう事情もございますし、あと、アラブなんかはリーガルな支援というのはどうしても必要だ、こういうことがございます。さらに、中東は特にそうなんですけれども、例えば中東で必要なごみ処理とか、あるいは高速鉄道、あるいは水供給、こういったシステムで全体を必要としているときに、その全体をしっかりとやっていく、そういうところにぜひ、外務省もそうなんですが、経産省も官民一体となってやっていくべき時代に入ったと思いますが、その決意についてお伺いしたいと思います。

松下副大臣 一時間ぐらい時間が欲しいぐらいですけれども、おっしゃるとおりでございまして、そのことを痛感して、今、六月をめどに我が国の成長戦略、多方面の知恵を結集してつくり上げています。

 昨年の暮れも、武正副大臣と一緒にイラクのバグダッドまで行ってまいりました。百人の日本の経済界のトップと一緒に、これからイラクの復興支援、どういう分野で我が国が協力できるか、そして向こうはどういう考え方を持っているのか、そういうことをしっかりと議論して、一歩、二歩、三歩前進してまいりました。

 やはり日本は、早く決断をして戦略を固めて、そして本当に官民一体となって打って出ていく、そういう仕組みをつくっていかないかぬ、そう思っていまして、全力を挙げて、国を挙げて、外務省の力もかりながら海外戦略を今つくっております。

 我が国には資源がないと言われていますけれども、ないのは資源じゃなくて、資源戦略、資源外交がないんじゃないか、そう思っています。それも含めて、我が国の立場をしっかりと、強い技術力を部分最適から全体最適に持っていって打って出る、官民一体でやる、そのことを全力を挙げてやりたい、そう思っています。

    〔委員長退席、小宮山(泰)委員長代理着席〕

末松委員 ぜひお願いしたいんです。私企業では負い切れないリスクというのがあって、日本の私企業の方もやや勇気がないところもあるんですよ。ただ、その勇気をさらに出すために、そのリスクをぜひ政府の負担でも何とか、JBICを含め、いろいろなことをやっていただいて進出をしていく。国内で今公共事業はかなり厳しいですけれども、海外での公共事業に切りかえていくような、そういった世界貢献をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

小宮山(泰)委員長代理 次に、新藤義孝君。

新藤委員 自民党の新藤義孝です。

 今回は、前回に引き続きまして、また竹島の問題について質問をしたいというふうに思います。

 ぜひ岡田大臣、きょうはしっかりとした議論をしたいというふうに思いますから、よろしく御答弁をお願いしたいと思います。この間もちょっと言葉が荒くなっちゃって、きょうももしかするとそうなるかもしれませんが、個人的な怨恨があるわけではございませんから、ぜひここは御理解いただいて、誠意ある答弁をお願いしたいというふうに思います。

 まず、私は、この間、まさかこれがこんな大きな問題になるとは思わなかったんです。不法占拠しているかしていないかという、この言葉を使うか使わないかで、まさかこんなに、新聞になったり、それから今ネットの中ではさんざんの、何事だという話になっちゃっているんですけれども、大臣としては、どうしても使わないんだ、そして、私の質問の後、またこの間の小野寺委員の質問に対しても、この不法占拠という言葉は信念として使わない、こういうことでございました。

 どうしてこの表現を、外務省のホームページにあって日本政府の公式見解でありながら、我々、この国会の場で使えないのか、その理由をもう一回お答えいただきたいと思います。

    〔小宮山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

岡田国務大臣 まず、この前も申し上げたんですが、これは韓国に関してだけではございません。よく聞いてください。韓国に関するものだけではございません。私は、ロシアに対しても同じであります。委員のおっしゃる言葉は使わない、そういうふうに決めております。

 それは、やはり感情を排してしっかりと議論していく、そのために交渉当事者として必要である、そういうふうに考えているからであります。

新藤委員 交渉当事者としてこの言葉を使わないんだ、こういう信念だということですね。

 それでは、その信念は、政治家岡田克也の信念なんですか、それとも日本国の外務大臣としての信念なんですか。そして、それは政権内で総理や官房長官と協議をして、政権としての方針を出した上での不使用なんですか。

岡田国務大臣 一つの言葉遣いについて、一々それを総理にお諮りするということではありません。私の判断、外務大臣としての私の判断であります。

新藤委員 私は、何も、交渉のときに、相手と対峙したときに、けんか腰でやりなさい、使いなさい、使うべきだと申し上げているんじゃないんですよ。そんなことは外交交渉の場でだれだってやりません。どこの国もやらないと思います。

 しかし、この国会という正式の場で日本政府の認識をただしたときに、そのときまで表現を気にしなければいけないのか。ここにいるのは今質問している私と答弁をされる大臣、この間においてもその言葉を使えないのか。それは結果的に、この問題に対する及び腰、弱腰、こういう誤ったメッセージを送ることにならないか。現実に、韓国ではそのような話も今出ていると聞いております。相手国に遠慮をして自分の国の中ですらそんなことを言えなくなってしまったならば、これはどんどん交渉を不利な状況に持っていってしまうんではないかというふうに思うんですね。

 そこで、私、お尋ねいたしますが、竹島の問題は認識の問題ではなくて表現の問題だ、こういうふうに小野寺さんにお答えになりました。不法占拠を使うか使わないかは、認識の問題ではなくて表現の問題なんだと大臣はおっしゃっているんです。であれば、私はもう一回聞きますよ、日本政府としての正式な認識について、竹島は韓国に不法占拠されているんでしょうか。認識をお示しください。

岡田国務大臣 委員、いろいろなお考えはあると思います。私がこういうふうにすると、ネットの世界で一部、一体何をやっているんだ、そういう議論が巻き起こり盛り上がる、そういうことも念頭に置いて委員はいろいろ言われているのではないかというふうにも思いますが、私は、外交当事者として、しっかりと問題を解決していくために、私の信念に基づいてそういう表現を使わない。しかし、前にも申し上げましたけれども、竹島は日本の領土であります。現在、実効支配には至っておりません。

 以上です。

新藤委員 大臣、ここはしっかり私の質問を聞いてくださいよ。表現してくれと言っていないですよ。そうではなくて、今の政府の認識は今までの政府の認識、現状の認識は変わっていないんですね。私は今、自分で言葉に出しましたよ。韓国は竹島を不法占拠している、この認識は変わらないんですね。イエスかノーかで答えてくれればいいんですよ。

岡田国務大臣 先ほどお答えをしたとおりであります。外交ですからいろいろなことがあるわけですけれども、外務大臣の言葉というのは非常に重いわけで、私は、それが両国国民の間で感情的な問題になって本質的な問題というものが見失われてしまうということは、それは国益を考えてもいいことではない、そういう私の信念で発言しております。

新藤委員 大臣の気持ちはわかるんですけれども、そんなにいこじにならないで、だって、前回、私の質問のときの答弁では、あなたが言うとおりの表現で結構ですよと大臣おっしゃっているんですよ、議事録を見てもらえばわかるんだけれども。変にいこじになっちゃうから、逆に何かあるんじゃないかと思っちゃうわけです。イエスかノーかなんだから、イエスでいいんですよ、変わりませんと。

 確認しておきますけれども、外務省のホームページやいろいろな文献に日本の政府の認識というのはずっと書いてあります。少なくともホームページを初めとして、現状の記述について変更するようなことはないでしょうね。

武正副大臣 お答えをいたします。

 竹島の現状については、韓国が警備隊を常駐させるなどしておりまして日本として実効支配するに至っておりませんが、我が国の一貫した立場は、我が国の領土であり、外務省ホームページに記載されているとおりでありまして、韓国側に対しても累次の機会に我が国の立場を申し入れておりまして、今後とも、竹島問題の解決に向け、より有効な方策を不断に検討しながら粘り強く努力していくということで、前政権からこの政権まで、日本の政府としての考え方は変わらないということでございます。

新藤委員 副大臣、私の質問をよく聞いてもらいたい、まあ、大臣に聞いておるんだけれども。ホームページだとかいろいろな文献の記述を変えないでしょうねと、そんなに不法占拠という言葉が嫌だ嫌だと思っているんだとすると、いつの間にか気がついたら、ホームページにも書いていない、今の大臣の、今の政権の考えに合わせて今までの文献や表示を変えないでしょうねと聞いているんですよ。日本政府の認識を変えない、今あなたが言ったように継続して同じようにやっていくと言っているんだから、それは今後においても変えることはないでしょうねということを確認しているんです。大臣。

岡田国務大臣 ホームページというのは、もちろん、それは状況に応じて、その表現といいますか、中身を刻々新しくしていくということは必要なことだというふうに思います。ただ、今おっしゃったところについては、特にそういう予定はしておりません。

新藤委員 私、こんな言葉にこだわるつもりないんですよ。だって、もう決まり切っているんだから。ただ、大臣が変に避けるというか、奥歯に物が挟まったように、言質を与えないように言うから、かえって心配になっちゃって聞いているだけなので、そんなことはさらっとやってくださいよ。基本認識なんだから変えません、それでいいんですよ。これは私、また今後もずっとチェックしていくし、ぜひ、政権の継続性、日本国政府の継続性ですよ、これは守っていただきたい、このように思います。

 そこで、韓国側は、竹島の問題は領有の問題だ、私たちは歴史問題だと言っているわけですね。歴史問題なのか、領有権の問題なのか。我々は歴史問題であり、そして領有が絡むんだよ、領土問題なんだと言っている。韓国側は、これは歴史を重視して、そして歴史上で領土の問題としてはもう解決している、こういうふうに言っているわけです。

 そこで、お尋ねしますが、韓国側は竹島の問題を歴史的にどのようにとらえているんですか、そのことを日本政府としてはどう認識しているんでしょうか。

武正副大臣 韓国側は一貫して竹島を韓国の領土であると主張していると認識しております。日本政府とすれば、このような韓国側の主張は受け入れられないということで、累次に我が国の立場を申し入れております。

 また、韓国外交通商部のホームページには概要を以下のとおり記載されております。日本は、帝国主義的侵略の過程で発生した日露戦争の間、無主地の先占の法理に基づいて島根県告示第四十号により竹島を侵奪した、一九四五年、第二次世界大戦の終わりに伴って、日本は暴力と貪欲によって略取したすべての地域から追い出されるべきであるというカイロ宣言により、竹島は大韓民国の領土となった、そのことはサンフランシスコ平和条約でも再確認されたということが主張でありますが、先ほど述べたように、これらの主張については我々は受け入れられるものではなく、累次の機会に我が国の立場を申し入れております。

新藤委員 私が聞いているのは、韓国側が言っていることに対して、日本政府はそれを受け入れるのか受け入れないのか。韓国側の記述のどこが間違っているんですか、それを日本政府としてどう認識しているかということをお尋ねしているんです。

武正副大臣 今の、特にサンフランシスコ平和条約に関してお答えすれば、サンフランシスコ平和条約起草過程で、韓国は日本が放棄すべき領土に竹島を含めるように要請しておりますが、米国は竹島が日本の管轄下にあるとして拒否したと認識しております。その結果として、サンフランシスコ条約では、日本が放棄すべき地域として「済州島、巨文島及び鬱陵島を含む朝鮮」と規定されている、こういったところが根拠であり、これまでも述べてきているように、韓国の認識は受け入れられないということでございます。

新藤委員 この際ですから、委員の皆さんもみんなでこれは知識を共有したいと思っているんです。どうして竹島が歴史的に日本の領土であるかということ、これをもっと我々は勉強して、国民の皆さんに知ってもらわなきゃならないと思うんですよ。

 きょうは添付資料でお配りしてあって、一番最後のページを見てもらいたいんですけれども、これは外務省のパンフレットに出ているものなんですよ。だけれども、なかなかきっちり読み込まないから。

 この図面は、一五三一年の「新増東国輿地勝覧」という、韓国側が、我々が竹島は韓国のものだということを根拠にしているものの一つなんです。この古地図によると、右側に「ウツリョウ島」と私が書き出しました。それから、その隣に「ウザン島」とありますね。鬱陵島の左側にある于山島が、古代は于山島と呼ばれていたものが今は竹島なんだ、だから一五〇〇年のもっと前から韓国は竹島を自分たちのものにしていた、これが証拠だと言っているわけですよ。

 ところが、見てください、鬱陵島、これはウルルン島というものですね、于山島が竹島だとするならば、なぜこれが韓国側にあるのということじゃないの、鬱陵島と日本の間に竹島というのはあるんだから。これは地図の位置が全く違うし、しかも島の大きさが、鬱陵島と于山島と同じような大きさになっている。竹島というのは日比谷公園ぐらいの島なんだから、鬱陵島というのはとても大きな島ですよ。

 これに対して、実は私は、何年か前の外務委員会で、こんなばかげたことを言っているじゃないかというので指摘しました。実にこの古地図は、鬱陵島に独島博物館というのがありまして、その博物館の玄関前にパネル展示されていたんですよ。私も言ったし、日本のマスコミが、これはおかしいじゃないか、島の位置が昔の地図で変わっているじゃないか、というよりもこの島は違う島なんじゃないの、竹島とは違うんじゃないのということを指摘しました。そうしたら韓国側が何と言ったかというと、この地図は竹島の領有意識の強さをあらわしているんだ、こういうふうに言ったんですよ。結果としてどうなったかというと、このパネルはいつの間にかきれいになくなっちゃった。

 ですから、一つ一つを、こんなことを堂々と韓国が言っていて、歴史家じゃなくたってすぐにわかるじゃないですか。こういうことだらけなんだということなのでございまして、歴史的に韓国が竹島を領有した事実はない、それの証明を一つ一つしなきゃいけないわけで、外務省、しっかりこのことを皆さんにわかるようにしてもらいたい。また、我々国会議員もそれを国民の皆さんに説明すべきだ、こういうふうに思うんです。

 それから、もう一つ、今、武正副大臣がお話しされたところで、要するに韓国側が竹島について、我々のものだったのにまたかすめ取られようとしている、第二の侵略だと言っているわけですね。これは一九五四年、日本政府が韓国政府に対して国際司法裁判所に提訴しようじゃないか、お互いに提訴しようということを提起した際に、韓国側から、竹島問題は第二の侵略だということを言い出した。

 この第二の侵略というのはどういう意味なんですか、大臣。これは今の竹島問題の最も基本のところなので、この部分をどのように認識しているか、私は岡田大臣の認識をお伺いしたいと思います。

武正副大臣 先ほど触れましたように、サンフランシスコ平和条約との関係については、韓国の認識は受け入れられないということでございます。

 また、今、第二の侵略ということについてどのように日本として認識をしているのかということでありますが、先ほど来申し述べておりますように、竹島は我が国固有の領土でありますので、この認識ということは、日本は受け入れられないということでございます。

新藤委員 大臣も副大臣も、少なくとも、これは日本の抱えている領土問題の極めて重い問題なんだから、根本的なところをきちんと理解してくださいよ。

 今のお話では、私は失礼だけれども、この第二の侵略、韓国は一体何を根拠に、また我々の竹島を奪い取ろうとしているのかと言っているのか。一度は自分たちのものになったと思っているから、第二の侵略なんでしょう。ここのところをしっかり理解してもらわなきゃ困るんですよ。

 御存じならば、きちっとそこをもう一回言ってください。わからないなら、わからないと言ってください。

武正副大臣 御指摘の点については、しっかりと受けとめておきます。

新藤委員 ここでやっていると時間がもったいなくなっちゃうんですけれども、これは、マッカーサー・ラインを引いたときに、日本が占領されているときにマッカーサーが日本の行政区域というのはここですよと示した、その中には竹島が入っていなかったんです。もちろん、韓国が支配したわけではありません。日本の占領軍が支配した、マッカーサーが占領した地域に竹島は入っていなかったんですよ。だけれども、それを今度独立するときに、サンフランシスコ講和条約で日本の区域というのを画定したときに、これを日本の要請に基づいてアメリカや連合国が調べて、竹島はかつて日本の島である、ほかの国が持ったことはないという前提で、そういう解釈で、サンフランシスコ講和条約における日本の国の中に入ったわけですよ。この講和条約が発効しちゃったら、これは日本の国になっちゃうから、だからそれが発効する前に李承晩ラインというのを引いて、それ以来、軍事占領、不法占拠している。

 それで、韓国側が言っているのは、マッカーサー・ラインの外だったじゃないか、だから日本がもう一回それを押し出してきたんだと彼らは言っているんです。でも、マッカーサー・ラインのときは、小笠原も入っていないし、沖縄も入っていないんですよ。だから、あれはあくまで占領軍が自分たちの都合で決めたものであって、日本の国域としては、これは全く国際法上も正しい、歴史上も正しい、こういう問題なんですよ。

 ここのところは、多分、大臣は、答えないということは認識されていないのかもしれない。ここの部分は韓国側と話をするときにきちっと言ってもらわなきゃ困るから、私がここでレクしたって仕方ないんだけれども、多分、そういうことを考えないでやっているんだよ。相手を刺激してはいけないとか、そんなことじゃないんですよ、外交というのは。私も専門家ではありませんが、それが概略ですから、ぜひここは理解して、だから、韓国に事実をきちっとわからせなきゃいけないということだと思っておりますので、しっかり受けとめてもらいたいと思います。

 そこで、一番のメーンのことになりますよ。竹島のヘリポート改修工事、(パネルを示す)これはちょっと大きくなっちゃって、こんな大きくなるとは思わなかったんですけれども、でも、よく見えるでしょう。このヘリポートを改修する。

 三十年前につくって、今は大分弱っちゃっているらしい。でも、今まで手がつけられなかったことを急にここで韓国がやろうと、予算を組み、発注し、そして九月には工事が完了する。今、工事が始まっているかどうかは確認のすべがありません。外務省はわかっているはず。多分、実際の工事はまだ始まっていない。

 工事をやったら、三十年ぶりに強化して、今度は二十四時間、今よりも倍のヘリコプターが夜間も含めて離着陸可能になる。竹島の主権、韓国による不法占拠、韓国の主権が強化される。こういう工事ですよ。

 そして、これが九月に終わると、これを拠点にしてなのかもしれません、この沖合の一キロの浅瀬のところに、今度、海洋科学基地が、(パネルを示す)これはほかの場所につくられた、東シナ海につくられたものです。これは二つ目で、今度、竹島のところにつくろうとしている。これは地上でいうと十五階建てぐらいの大きな構築物ですよ。これよりもっと大きくなるかもしらぬ。こういうものを竹島の一キロ沖合に建設して、そこで、海流やいろいろな海洋調査の拠点となる、気象情報の拠点となる、もちろん軍事的な拠点としても使える、そういうようなものを、今、韓国が九月から着工しようと予算化した。これも、今までこんなことは、日本との間では持ち出すこともできなかった、我々のときにわかっていればやめさせたから。

 こういう大きな問題が起きているにもかかわらず、このことに対して、この問題があるということを国民に発表していない。そして、韓国に抗議したのかどうなのかも、私が意見書で聞いても、外交上の個別の案件についてはお答えできかねると、一切何も明かさない。

 これはどうするんですか。抗議してやめさせるべきだと思いますけれども、大臣、この問題をどう取り扱いますか。

武正副大臣 今、新藤委員からお話ありましたように、外交上の個別のやりとりについて明らかにすることは差し控えたいと思いますが、竹島の領有権に関する我が国の立場については、先ほど来御指摘をいただいておりますが、答弁の中で触れておりますように、累次の機会に韓国政府に対してもしっかり伝えております。

 また、今のヘリポート、そしてまた海洋科学基地ということであります。ヘリポートについては、昭和五十六年、一九八一年に建設をされたわけでありますが、このヘリポートの改修、海洋科学基地計画についての御指摘をいただいておりますけれども、先ほど来御答弁しておりますように、個別やりとりについては明らかにするのは差し控えたい、しかしながら、我が国の固有の領土である竹島に関して、累次の機会にしっかりと伝えているということをお伝えしたいと思います。

鈴木委員長 武正副大臣、累次の機会に伝えてあるというのを具体的に委員会に出してください。何月何日の何の会談で竹島問題を指摘しているか。この点、今の言葉あるいは前回の委員会での岡田大臣の答弁等を聞いていますと、整合性がありませんから、累次の機会ということを今、何回も言っていますが、きちっと、どこの外相会談で、どこの首脳会談で、累次に竹島問題に触れているか、具体的に委員会に出してください。中身のことを言っているんじゃないですからね、今のは。

岡田国務大臣 今の委員長の御発言ですけれども、我々の、外務省としての考えというのは、先ほど武正副大臣が答弁したとおりであります。

鈴木委員長 ですから……(発言する者あり)ちょっと待ってください、これは速記を起こして、時間だけははかっておきますから、大丈夫です。

 武正副大臣の答弁ですから、その答弁に沿って資料をこの委員会に出してくれればいいんです。累次にわたってお話ししているということですから、累次ならば、いつ言っているか。中身を問うているんじゃないんです。ですから、答弁したことに正直に、委員会に資料を出していただきたいということです。

 新藤君。

新藤委員 今、委員長からも御指示が出ましたけれども、私が質問主意書で、今のことじゃなくて、あなたたちが政権をとる前の、日本国政府としてこれまで韓国に対してどのような抗議や協議をやってきたのかということを出せ、教えてください、こういう意見書を出しました。でも、あなたたちの答えは全部一緒、「外交上の個別のやり取りについて明らかにすることは差し控えたい」、そして「累次にわたり」「立場を明確に申し入れてきている。」これしか言わない。今までやってきたことも言わない。おかしいじゃないか。しかも、今までは公開しているんですよ。なぜ、今まで公表してきたことまで、すべて言わなくなっちゃったのか。

 これはぜひ、委員長の指示なんですから、これは外務委員会として指示が出たわけだから、外務省、しっかり対応……(発言する者あり)いや、どうせろくな答えしないんだから、もういいよ。とにかく、だめだよ、逃げられないからね。

 それで、今、韓国が、日本側が静かなのに、日本側は何もやっていないですね、うるさいのは私と小野寺さんが、あと何人かで言っているだけで、日本側は全く今のところ波は静かなんですよ。でも、韓国はすごいじゃないですか、この竹島問題についてヒートアップしちゃって。ヘリポートのことなんか、彼ら、ばれていないからなのか、一言も言わないですよ。

 そのかわりに、竹島のことを記述した日本の小学校の教科書が検定に合格したということで、今までもずっと使っていた教科書で、でも、検定に合格したと言ったら、これをけしからぬということで、韓国の外交通商大臣が我が日本の大使を呼び、教科書が検定に合格したことをけしからぬといって抗議して、是正を促す。そして、韓国の大統領は、竹島の実効支配を強化することを積極的に検討する。そして、韓国の議会も、きょうの新聞では議長までが、韓国の竹島支配をさらに強化しなきゃならない。そして、外交通商省は、二〇一〇年版の外交青書の記述に竹島が出ていてけしからぬ、我が方が絶対に譲歩できない事案だ、強い態度で対処する、こういう考えを示した。

 ちなみにお伺いしますが、ことしの二〇一〇年版、二〇〇九年版とどこが変わったんですか。なぜ韓国にこんなに抗議されるようなことになったんでしょうか、大臣。

武正副大臣 竹島に関する記述は変わってはおりません。

新藤委員 何も変わっていないんですよ。一文字一句変わっていない。にもかかわらず、出したら、抗議する。去年も言われたでしょう。抗議とはこういうものです。でも、自分の立場を申し入れるというのは、きちんと相手に対して、しかも、それを国民や相手国にわかるようにやることを抗議と言うんですよ。

 こんなに、我々は、我々というか、悔しいんだけれども、我々は日本人だから、大臣がやらないことは我々なんだから、日本は何もやらないんですよ。大臣は御自身で、韓国との外交交渉、協議の場、会談の場で竹島の問題は一度も口に出したことがないと、この間私におっしゃったんだから、何もやっていないんですよ。相手の国と摩擦を起こしちゃいけないということで、丁寧に外交をやろうとしている。

 その考え方、交渉のやり方が功を奏して韓国が静かになっているならば、お互いに、それでは水面下で事務方だけで協議しましょうということになっているならば、これは外交的成果と見るべきだ。しかし、大臣が何もやらない、鳩山総理も何もやらない、奥さんはさんざん韓国と、こういう態度が、日中に対しては、曲がりなりにも東シナ海のガス田の問題を議題に上げるじゃないですか。ロシアとの北方領土の問題では、岡田大臣だってきっちり言っているじゃないですか、抗議はしないけれども、議題としてのせようとしているでしょう。韓国だけこんなふうにした状態であって、それがますます韓国をエスカレートさせている結果になっているんじゃないですか。

 これは、私は、とにかくこの問題を表に出さなきゃだめですよ。外務省は、報道官談話をきちんと出して、この韓国の竹島における形状の変更、そして新たな工作物は、日本の主権、領土、領海を侵すものであって、絶対にこれは認められない、そのことを政府としてきちんと国民に公表し、また韓国に抗議をし、そしてこの問題をどう収拾させるか。日韓の外交協議の場を設けるべきだと思いますよ。

 まず抗議してください。国民に外務省として公表してください。そして、外交協議の場をきちんとつくってください。大臣、どうですか。

武正副大臣 まず、先ほどの外交青書についてでありますが、六日、外交ルートを通じて遺憾の意の表明があったことは事実でありまして、これについて、我が方から竹島に関する我が国の立場を改めて説明しております。

 それから、今の、重家大使が柳明桓長官に招致をされ、検定結果につき抗議を受けましたが、そのときには、我が方から、竹島に関する我が国の立場を改めて説明するとともに、我が国の教科書検定は、民間の教科書会社が著作、編集した図書について、学習指導要領や検定基準に基づき、教科書検定審議会の学術的、専門的な審議を経て、厳正に実施されるものであり、今回の小学校教科書検定もそのような審議を経たものである旨を説明しております。

新藤委員 大臣、これからの竹島問題に関して、竹島の特に形状の変更、新たな工作物、構築物の建設、こういう問題が起きているわけでしょう。この問題について、大臣としてどういう対処をされるおつもりなんですか。方針をお聞かせください。

岡田国務大臣 先ほどからいろいろなことをおっしゃったわけですけれども、日韓関係を全体としてどうマネージするか、そしてそういう中で個々の問題にどう対応するか、それは外交そのものであって、私の責任で決めることであります。

新藤委員 私の責任でやるので黙っていろということ、だれにも話をしないで自分が一人でやるから我々には黙っていろということですか。日本国民の人たちは知らなくて結構です、大臣の責任で、自分がやります、こういう意味ですか。

岡田国務大臣 もう少しお互い、国民も聞いておられますので、きちんとした議論をした方がいいというふうに思います。

 私が申し上げましたのは、外交は外務大臣の責任で行うということを言ったわけでございます。

新藤委員 大臣は、大臣になられるまで、今まで政府の中でほとんど仕事をされていないから、これは僣越かもしれないけれども、私も外務省の政務官をやらせていただきました。それから、経産省の副大臣で東シナ海のガス田問題をがんがんやりました。ロシアの原潜解体も現場へ行ってやってきました。私も多少やっていることがあるんです。もちろん、責任は大臣の方が重いですよ。

 この竹島問題に関して、外務省の中で協議の場を設けているんですか。

 それから、ここに民主党の議員がいっぱい来ているけれども、与党だよ。政府を運営する与党の議員として、この竹島問題、勉強会、もう外交部会はなくなっちゃったんだろうけれども、あなたたちは政府を支えるものとして、日本国の根本にかかわる問題について、これは党としての意見をまとめて、それを自分たちが支えている政府に対して、お互いにやりとりをして、外交方針を決める。外交は、最終的責任者は大臣ですよ。そして、いろいろな権限も大臣がお持ちですよ。でも、決めるまでの間の協議というのは重層的にやらなければ。

 では、外務省の中で、副大臣や政務官と、事務方を交えた協議の場というのはあるんですか。

岡田国務大臣 何についてお聞きなのかよくわかりませんが、外務省は、組織としてしっかりと意思決定をし、最終的には外務大臣である私が責任をとる、そういう形でございます。

 私は、外務大臣になって感じるところはありますが、今までそういった形で、大臣初め政務三役が主導して物事をきちんと決めるという形が果たしてあったのかどうかということについては、必ずしも私自身、いろいろ考えるところがありまして、現在の外務省の中の意思決定について改革をしてきたところであります。

新藤委員 大臣、それは世間向けに、自民党はだめだったというのを題材にしてそういう言い方をするならわかるけれども、我々の前でそういうことを言ってもだめですよ。

 僕ら、政務三役と、要するに政治で任命されている、任用されている人と、そして役人の人たちと、これはプロジェクトを組んでさんざんやりますよ。いろいろな問題について、一々、省議だとかそんな建前の仕事だけじゃありませんよ、全部外務省の中で、政治と役所が一緒になって、さんざん今までやってきていますよ。そして、それをやる前に、党では部会を開き、そして党の中での意思決定もきちんとし、党の中でもプロジェクトをつくり、さんざんやっているんですよ。民主党はそれを何もやらないで、今、役についた人たちだけでやろうとしているから、だからおかしくなっちゃうんですよ。

 これは幾ら聞いたって何も言わないんだから。だけれども、この問題は、竹島が、韓国がどんどん動いちゃうんだから、これは絶対に逃げられないんですよ。

 ここで、時間がもうなくなってきたので、残念なんですけれども、ちょっと別件をお尋ねします。

 岡田大臣は、在日外国人を初めとする永住外国人の法的地位向上推進議員連盟、これは外国人参政権の付与法案を推進する議員連盟ですね、この会長をいまだにお務めなんですか。

岡田国務大臣 外務大臣になりましたので、そういう役職からは退いております。

新藤委員 よかった。でも、少なくとも大臣は、外国人参政権を進めたい、そういう議連の会長としてこれまでも活動してきたということですね。それは確認しました。おやめになったのなら結構です。

 そこで、私、このことだけは最後に申し上げます。二十年ぐらい前のことなので、正式な会議の場とかは覚えていないんですけれども、こういうことがあったんですよ。日韓で学生同士の討論会をやったの。たしかソウル大学と東大だと思う。それから、いろいろな大学の連中が集まって、中心となって、日韓の学生討論会をやったの。

 そのときに、もちろん、この歴史問題が出てくる、侵略問題が出てきたんです。韓国の学生が、自分の親や家族から、日本統治中に、占領中にどんな目に遭ったか、こういうようなことをさんざん聞かされている、私は、私の中にある韓国人の血は、日本を許すことはできないんだということをあちらの学生がとうとうと言った。それを受けて、日本の学生が、先ほどの韓国の学生の話を聞いて、私は恥ずかしいと思う、申しわけない、日本は悪いことをした、二度と侵略が起きないように、我々は皆さんに謝罪をしたい、こういうふうに言ったんです。そうしたらば、韓国の学生が、自分は韓国人だから、国の誇りにかけて日本をきちっと言うぞ、でも、自分の国をそんなふうに言うあなたのことは信用しないと言った。

 外交は、国益と国益のぶつかりですよ。本音をぶつけ合って、そしてぎりぎりのところで交渉して、そして決めていくんじゃないですか。今、あなたたちも……(発言する者あり)不規則発言も、もっと勉強しろよ。今まで日本政府がどれだけ累次に抗議や協議をやって、しかも、場合によったら海保の船の準備までさせて、ぶつかり合いながら、この竹島の現状をこれ以上悪化させないようにやってきたんですよ。全く勉強していない。

 だから、今度一緒に勉強会をやろうじゃないか。今まできっちりやってきたんですよ。この問題はもう逃げられないんですよ。だから、きっちりと、堂々と、お互いに、そして外交的な解決を図るための協議をやろうじゃないですか。ぜひお願いします。

岡田国務大臣 私、外務大臣になりまして、今までの外交を振り返って、密約の問題がその典型でありますが、さまざま、今までのやり方ではだめだ、私なりの信念を持ってやっていこうと決意をしたところであります。

新藤委員 終わります。

鈴木委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 きょうは、まず冒頭に、ポーランドの大統領が、ロシアの西部、カチンの森事件の追悼式に向かわれているときに飛行機が墜落をして亡くなられるという大変痛ましい事故がございました。深く哀悼の意を表するものでございます。

 さらに、タイで、このところ大変に懸念される事態が起こっておりまして、ジャーナリストの方が亡くなられる、カメラマンの方が亡くなられる、こういう大変に残念な、また痛ましい事件がございました。

 まず、タイの件について、きちっと事前には言っておりませんでしたけれども、タイは四万六千人ほど邦人、日本人の方がいらっしゃっているということ等もあり、推移が非常に懸念されるわけですけれども、一点だけ、日本がこの今のタイの国内的な状況、かなりなかなか、二つのグループに分かれて厳しいせめぎ合いのようでありますけれども、何らかの仲介をする意思というか、そういう気持ちはおありかどうか、まずその点を聞きたいと思います。

岡田国務大臣 まず、委員御指摘のように、タイにはたくさんの日本のビジネスをする人たち、その家族、そして観光客もおられます。邦人の保護ということは外務省の行うべき最も基本的な仕事でありますので、これからどういうふうに展開をしていくかわかりませんが、邦人の保護について万全を期したいというふうに考えているところでございます。

 タイの中で、タクシン派と言われる旧政権にいた人たちのグループとそれから現在のアピシット首相以下のそういったところの対立というものが今回のこの混乱の背景にあるということでありますが、そのことはいわばタイの国内の問題でありますので、そのことに対して日本政府が何か具体的に仲介をするとか、現在はそういう段階ではないというふうに考えているところでございます。

赤松(正)委員 現時点ではそういう段階にはないという御認識のことは理解いたしますが、しっかりと注視をしていく中で、何らかの形で、直接どうこうでなくても、さまざまな関心を持って、タイの安定に向けて講じるべき手だてがあるならば即座にやっていただきたいということを要望申し上げておきます。

 きょうは、核の問題について、少し大臣と意見を交換したいと思います。

 まず、もう既に終わったようでありますけれども、核セキュリティーサミット、これが二日間の日程で行われて、先ほども一部、鳩山総理とそれからオバマ大統領とのいわゆる隣り合わせ会談というか、それを会談と呼ぶのかどうかという話もあるわけですけれども、そういうことが非常に焦点を浴びておりますけれども、私は、先ほどどなたかもおっしゃっておりましたけれども、この核セキュリティー、核テロをどう防止していくかという今回の会議は極めて重要な会議であったと思います。

 四十七カ国がこの会議に出席をしたということで、その四十七カ国の中で、言ってみれば、核テロ防止策に取り組む四つのいわゆる作業計画、核物質を保管する施設の統合でありますとか、高濃縮ウランから低濃縮ウランへの使用転換、核安保向上にとって必要な国内法整備、あるいはまた核テロ防止に向けた核情報の共有、こういう四点の作業計画をつくるに向けての、各国が自発的に取り組むというわけですが、四十七カ国の中に、核をめぐって懸念される国家である北朝鮮であるとかイスラエル、インド、パキスタン、イラン、この五カ国のうち、北朝鮮あるいはイランは参加をしているのでしょうか。

武正副大臣 赤松委員にお答えいたします。

 イラン及び北朝鮮は含まれておりません。

赤松(正)委員 私も事前に調べて、その二カ国が参加をしていない。アメリカが主催する会議でありますので、さまざまな両国関係の経緯、いろいろなことがあって招請には至らなかったのか、あるいは当該国が参加を拒否したのか、その辺、つまびらかではございませんけれども、いずれにしても、一番ある意味で懸念される国が参加をしていない。そういう状況下で各国は自発的に取り組む。

 これはこれで極めて大事な方向性ではあろうかと思いますけれども、果たして、この核テロ、言ってみれば、この後少し大臣とお話をしたいと思っております、国家間の核をめぐるさまざまな動きとは別に、いわゆる国際テロ組織にそうした核の情報あるいは核を実際に実用化するに向けてのさまざまな材料というか物が、核物質をめぐる問題というものがそうしたグループに移る、そういう可能性というものがこうした国を入れない状況の中で大変に懸念されるところがあるわけですけれども、そのあたりについてはどのような認識をされているんでしょうか。

武正副大臣 今回、作業計画で、「参加国は、核の不正取引等を訴追する上で十分な権限を確保。核テロ防止のための情報共有を奨励。このための国際協力を推進。」という項目も合意をしたわけでありまして、こうした点も踏まえて、我が国として国際協力を推進していくということだと思います。

赤松(正)委員 ぜひ次回の、韓国・ソウルで行われるようですけれども、そういうところにはそうした国も参加をさせるように日本もしっかりと働きかけをするべきである、このように申し上げておきたいと思います。

 次に、核をめぐる問題でありますが、私、きょうのこの委員会の質問の前に、岡田外務大臣とそれから二年前の高村当時の外務大臣との間の、衆議院予算委員会、平成二十年二月十四日の、核軍縮・不拡散問題についてのお二方の議論をしっかり読ませていただきました。当時岡田委員は、非常に冷静にきちっと大事なテーマをしっかりと議論されていて、非常に参考になるなと思った次第でございます。

 その中で、そういう岡田、高村、このお二人の議論展開を前提といたしまして、その最終結論部分といいますか、その中に、このやりとりはインドについて、いわゆる米印原子力協定の問題をめぐって、岡田現外務大臣が当時野党民主党の委員として、インドに対する当時の日本政府の態度というものが、結局、核の水平拡散といいますか、いろいろな、先ほど申し上げたような国に核が広がっていくというところの論拠というか根拠というかそういうこと、広がっていくきっかけになる、核拡散の機縁になる懸念というものをしっかり踏まえた上で質問をされたんだろう、こう思うわけです。そういうものを踏まえて、議論の最終段階で岡田大臣が、「私も答えがあって言っているわけじゃないんですが、大きな構想を持って何か発信していく、そういう役割が日本にあるんじゃないか、あるいは日本がまさしく果たすべき役割じゃないかというふうに私は思う」、こうおっしゃっている。

 これは私も非常に同感をします。大きな構想を持って発信をする。核軍縮、核不拡散、ゴールとしての核廃絶に向けての動きの大きな一つの展開の中で、大きな構想を持って発信をしていく、この大事さを強調されておりますが、あれから二年たって、今、大臣のお立場になられて、この大きな構想、もし大きな構想を持っておられるなら、あるいはその一端でも、この二年の大臣のお考え並びに行動の集約というものをお聞かせ願えればありがたいと思います。

岡田国務大臣 今委員がお触れになった件につきましては、平成二十年二月十四日の予算委員会における私と当時の高村大臣とのやりとりだと思います。

 ここで私が「大きな構想を持って」というふうに申し上げましたのは、これは実は、新たな核保有国、例えばインドあるいはパキスタン、そういった国々をどういうふうに位置づけていくかという議論の中で申し上げたことであります。このときに、高村大臣からは、日本国政府としてはNPTへの加入をインドに求めていく、こういうお話がたしかあったというふうに思います。日本政府の公式ポジションはそういうことであった。

 しかし、NPT加入ということになりますと、それは、核を放棄しないとNPT加入にはならないわけであります。インドは、ここまで核実験も行って、そして核保有国となっているときに、核を放棄しろということを一方で言うというのは、なかなか、それは不可能を承知で言っているようにも思えるわけで、単なるお題目として言っているにすぎないというふうにも受け取れるわけですね。

 そういうことではなくて、こういった、NPT上、核保有国とは認められていない、しかし核を持っている、新たに持つに至った国々について、国際社会の中でどういう網をかけていくのかということについてきちんと議論すべきだ、そういう脈絡の中で申し上げたことでございます。

赤松(正)委員 そうすると、要するに私の受けとめ方は、何か、でき上がった一つの、言ってみれば、核廃絶に向けてのそれなりのロードマップというんでしょうか、それに至る過程の大きな構想というのではなくて、当面する課題をめぐっての解決への手順というか糸口、どっちかというと後者なんでしょうか。

岡田国務大臣 NPT上、核保有国というのは一定の義務を負っております。しかし、NPTに加盟していない新たに核を保有するに至った国はそういう義務は負っておりません。では、NPTに加盟しろ。その核を捨てて加盟するということも非常に考えにくい状況。そういう中で、私は、NPTという枠組み以外の新たな枠組みをつくりながら、そういった現に核を持つに至った国々に対する規制というものを考えていかなければいけない、基本的にはそう考えております。

 ただ、ここの難しさは、そのことによって核を新たに持つに至った国の核をある意味では認知することになりかねないという問題で、では、どこまでそれをやるのかという問題、北朝鮮はどうなのかとか、私はそんなことは絶対あってはならないことだと思うわけですけれども、さまざまな議論が出てくる、そういう難しさというのは当然あるわけでございます。しかし、このまま放置しておいていいということではないというふうに思っております。

赤松(正)委員 寡聞にして、今大臣が言われた、NPT以外の枠組みというか、そういうものを考えているということをちらっとおっしゃいましたけれども、そういうものも含めて、今大臣が考えておられる構想は、構想の形成途上にある、そういう理解でよろしいですね。

岡田国務大臣 これは大きな話でありまして、なかなか、慎重に事を運ばないといけない。つまり、北朝鮮について、その核を認めるつもりは全くございませんので、この北朝鮮の話と関連してくるということは避けなければならないというふうに思います。

 ただ、そういった問題が現にあるときに、きちんと日本からも発信していく、そういう外交をやっていかないと、何か、ほかの国が決めたことに後からついていくような、そういうことばかりではだめだ、そういうふうに私は思っているところでございます。

赤松(正)委員 それで、今国会、あるいは前臨時国会でもそうですが、核をめぐる問題、核不拡散また核軍縮というテーマで、言ってみれば、大臣の方から、あるいはまた質問に答える形でも、常におっしゃっているフレーズというのは、要するに、「核兵器のない世界を実現するための第一歩となる具体的な手段として、核兵器を持たない国に対する核兵器の使用を禁止すること、そして、核兵器保有の目的を核兵器使用の抑止のみに限定することといった考え方に注目しています。」このくだりがあるわけで、その後に、これらの点も含め、オーストラリア、アメリカなど関係国とも議論を深めてまいりますと。

 こういう言い方をしばしば使っておられるわけですが、二つ挙げておられるけれども、この「第一歩となる具体的な手段として、」の一つ目は、アメリカの核戦略の見直しという部分で、いわゆる非核保有国に対する核兵器の使用禁止ということをオバマ大統領はうたっているという部分で、一個目は言ってみればスタートの部分で成就しているというふうに認識すると、もう一つの、「核兵器保有の目的を核兵器使用の抑止のみ」ということは、これは言葉をかえれば、核兵器を使うということは許さない、こういうことと受けとめたらよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 今委員のおっしゃった二つの点は、私、外交演説の中でも述べましたし、それから、昨年の十二月、クリントン長官とゲーツ長官に対して、そういったことについて議論を深めたいと意見を申し上げたところでございます。そういったことが今回のNPRというものにも一定の影響を及ぼした可能性はあるというふうに思っております。消極的安全保証については認める、それから、唯一の目的ということについても、今はだめだけれども、検討は行うということでありますので、いろいろな働きかけが少しでも効果があったかもしれないというふうに思っているところでございます。

 そこで、唯一目的ということですが、これはなかなかちょっと複雑な話で、アメリカとも議論もしたんですが、核兵器の目的というのは核攻撃に対する抑止ということに限定するということでございます。その意味するところ、この唯一目的というものと核の先制不使用というものとどこが違うのかということは、これは専門家の中でも意見が若干分かれているように思います。

 消極的安全保証、核を持っていない国に対し核攻撃しない、これははっきりしています。ですから、もし消極的安全保証というものがきちんとできれば、あとは核を持っている国の間の問題になるわけであります。

 そのときに、先制不使用というのは、これは先には使いませんということでありますが、唯一目的というのは、核の攻撃に対する抑止に限定するということでありますので、核を持っている国の間での先制使用までを否定したものかどうかというと、そこまで否定したものではない、そこが先制不使用との違いである、そういう考え方が一般的ではないか、そんなふうに私は思っているわけでございます。

 いずれにしても、委員、消極的安全保証、核を持っていない国に核を使わないことについて言われましたけれども、実はこれ、アメリカだけではなくて、ほかの核保有国も同じようにきちんと、同じ認識を持ち、そして、将来的にはこれを法的拘束力のあるもの、例えば安保理での決議とか、そういうところまでいかないとなかなか、宣言しただけではそれは効果は限られますので、今後、消極的安全保証に関してやるべきことは、他の核保有国に対してもそのことを求めていくということだと思います。

 私の実感では、フランスのクシュネル外相と議論したときが一番きつかった、そういう実感もございます。それぞれの国の核政策というのはそれぞれの国の歴史を背負っておりますが、そういうところまできちんと踏まえた上で、前向きな結論が得られるような、そういう議論をこれからもしっかり行っていきたいというふうに思っているところでございます。

赤松(正)委員 文字どおり第一歩をしるしたということで、先ほど外務大臣は、我々の起こした行動というものが意味を持ったのかなという、何というか、半信半疑のようなところがありましたが、自信を持ってこれから進めていっていただきたいと思います。

 最後に、岡田大臣、ちょっと確認をしたいんですが、これは大臣も私と同じ政党にいたころだろうと思うんですが、一九九四年、羽田内閣のときに、いわゆる、核兵器の使用は国際法に違反するとまでは言えないという、国際司法裁判所の求めに応じて出した当時の政府の意見陳述書の今言った部分が非常に問題になりました。私の所属している公明党でも大議論になって、ある種、核兵器の使用は国際法に違反するとまでは言えないというこのくだりが、言ってみれば、核抑止力を構成する大事な部分といいますか、言葉をかえれば、非核三原則というものを持ちながら、同時に、アメリカの核の傘に頼る、拡大核抑止力に頼っていくという、この二つの言ってみれば接点にあるような問題だろうと思うんです。

 あれから十六年ほどがたったわけですけれども、その後にこうしたことについての変化があるのかどうか。私は、基本的には全く同じだろう、こう思っているんです。という問題と、それから、やはりこれは、日米安保条約からアメリカによる核の使用の可能性を消すということがない限り、核の傘の中にいる日本が独自の行動をとるということはなかなか難しいという話につながってくるわけで。先ほどアメリカとの議論という話がちらっと出ましたけれども、そういう日米安保条約における位置づけ、日本との関係の中による、アメリカによる、言ってみれば、先ほどの議論の延長でいえば、核を持っている国に対してどう対応するかという、そういうものと深くかかわってくる話です。

 そういう部分で、まず二つあって、一つは、国際司法裁判所からの働きかけというか、あの十六年前の部分は今日に至るまで全く変わっていないかどうか、外務省の認識も変わっていないかどうかというのが一つ。もう一つは、これを覆してというか、核廃絶に向けての運動というものを起こしていくときに、やはりネックになるのは、日本のそういう、核の傘にいながら非核三原則を持つという、このこととの関係になってくるわけですけれども、そういった部分にまつわることについてアメリカと日米安保条約をめぐる核の使用という問題についての議論というのは、今までにもされてきたのか、それともこれからされる用意があるのか。その辺について、二つ、聞かせていただきたいと思います。

岡田国務大臣 私も委員と同じく、この国際司法裁判所、核兵器使用の違法性についての勧告的意見について、当時、たしか細川政権だったと思うんですが……(赤松(正)委員「羽田政権」と呼ぶ)羽田政権ですか。いずれにしても、大分議論が巻き起こったことを思い出します。

 基本的に、我が国としては、核兵器の使用は、その絶大な破壊力あるいは殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないということだと思います。

 使用を違法と言うかどうかというのは、若干きついところがあるのは、我々、アメリカの核の傘のもとにある、拡大抑止という中でいるわけですから、なかなかそこまでは、明言するというのは厳しいところがあると。しかし、やはり核兵器の特異性、ゆえに我々は核なき世界を目指すということだと思います。そのプロセスにおいて、若干そういった、何といいますか、はっきりと言いにくい問題があるということは、これはやむを得ないことかなというふうに思います。

赤松(正)委員 まだ不十分でありますが、時間が来ましたので、また引き続きやりたいと思います。

 以上です。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 去る四月二日の当委員会における参考人質疑の中でも、日米安保条約にかかわって、四つの密約以外にも密約が存在しているということが明らかにされました。これを受けて、四月九日の質疑の中で岡田大臣は、いろいろ御指摘をいただいたけれども、根拠がはっきりしないものがある、どういう根拠でおっしゃったか特定をしていただく必要があるのではないかということも言われました。

 そこで、具体的根拠も挙げながら私は若干伺っていきたいと思うんですが、まず、参考人質疑でも明らかにされました米原子力艦船の寄港の際のモニタリング、監視調査に関するいわゆる秘密合意の問題についてであります。

 アメリカの原子力艦船が日本の港に寄港する際に、横須賀それから佐世保、沖縄ホワイトビーチでは、モニタリングポスト及びモニタリングボートによって、海上、陸上における空気、水、海底の泥のサンプルを採取して、放射能漏れがないかどうか、調査を実施している。これは一九六四年の合衆国声明とエードメモワールなどに基づくものでありますが、外務省が公表しているファクトシート、また文部科学省が公表している原子力艦寄港に伴う環境放射線モニタリングなどに、その内容が示されております。

 そこで、岡田大臣に確認したいんですが、日本側が行うモニタリング調査において、実施に当たっての制限などに関する具体的な日米の取り決めというものがあるんでしょうか。大臣にこれは伺いたいんですが、いかがですか。

武正副大臣 お答えをいたします。

 米原子力艦船が日本に寄港する際に、日本政府は同艦船から五十メートル以内で空中サンプリングは行わないという合意が一九七一年にされたのではないかとの指摘があることは承知をしております。

 本件については、関係のファイルを探したものの、そうした合意に該当する文書は確認できませんでした。いずれにせよ、本件については適切な形で説明責任を果たしていくよう、さらに努力をしたいと思います。

 なお、現在、寄港中の原子力艦船から五十メートル以内で空中サンプリングを行うこともあると承知をしております。

笠井委員 具体的事実ということで、原子力艦船寄港時の艦から五十メートル以内の空中モニタリング禁止ということで、それに関するアメリカの解禁文書がございます。

 二〇〇七年に新原昭治氏が入手して明らかにしたもので、一九六九年から七一年にかけて、日本側の空中モニタリングの新たな規制をめぐる日米間の交渉の結果、秘密合意ができて、その内容を示すという文書でありますが、原子力艦五十メートル以内の空中モニタリングに関する秘密口頭了解記録というものであります。

 これによって、従来は二十メートルまでの範囲で米側が許容した空中モニタリングを、米軍が新たに厳しい制限を課して、艦船から五十メートル以上離れてしかやれないにようにしてしまったということでありますが、今、武正副大臣から、関係のファイルを探したけれども合意に該当する文書は確認できなかったというんですけれども、米側の解禁文書があるんですが、この合意に関する文書の存在について確認をしていく、あるいは米側に問い合わせするというふうなことについても、大臣、これをやられるということはないんですか。

岡田国務大臣 一たんは確認したけれども出てこなかったということであります。ただ、今回、あの密約調査を徹底的にやった結果、今まで情報公開請求に対してそういうものは存在しないというふうに回答してきたものも、もう既に幾つか出てきているわけであります。ですから、現時点ではそういうことですが、これはないということを断言するつもりはございません。きちんと調査をすれば違う結果が出るかもしれない、そういう思いはございます。

 問題は、あの密約調査というのは六カ月かけて、特に前半の二カ月間は外務省じゅうの資料を調査して、そしてあの調査結果を出したものでございます。かなり大きな作業になります。したがって、これからさまざまな情報公開、三十年以上たっているものについてやっていくときに、どういう優先順位でやっていくのかという問題が出てまいります。

 委員の御指摘、アメリカにそういったたぐいの資料があるということですと、日本にもあったのではないかという類推はできるわけですけれども、そのためだけにもう一回全部調べるというのはなかなか難しくて、これから固まりとしてどういうものからまず徹底的な情報公開をしていくか、情報公開の前提として資料をまず集めるかということが省内であるわけですが、そういったことについてよく議論していきたいというふうに思っております。

笠井委員 これは過去の問題というんじゃなくて現在につながる問題だと私は思っておりまして、実際そういう問題だと思うんです。

 先ほど副大臣からありましたし、前回、大臣からも、現在は五十メートル以内で行うこともあるので御懸念に及ばないということも言われたんですが、もともとこの秘密合意自体の中にも、実は五十メートル以内で行うこともあるというふうなことになっているんですが、それはあくまでも留保事項ということになっていまして、こう書いてあるんです、必要なら、適切なアメリカ当局者との協議と合同のもとで五十メートル以内でモニタリングを行う権利を留保するというふうになっていて、実際に行えるかどうかは、判断は米側にゆだねているというふうに米側の文書はなっているんです。しかも、その後に、この合意の中身を見ますと、そのような必要が起きるとは予想されないというふうにまで書いてあるんですね。

 だから、そうなると、これは米側がだめと言ったらできないという合意があるとすれば大問題というふうに思うんですが、その点、大臣はどういうふうに思われますか。

岡田国務大臣 文書の存在が我々は確認できていないということでありますので、なかなかコメントするのは難しいんですが、五十メートル以内で原則的にはできないんだというふうにもし米側が今でも主張するとしたら、その根拠は何ですか、そういうふうに聞くことになると思います。

笠井委員 ただ、米側は合意に基づいてやっていますということになるわけですから、だからきちっと解明が必要だと思うんです。

 この秘密合意をめぐる交渉経過を示した文書に、アメリカ国務省の東アジア局日本課のドーキンズ・メモというのがあって、その中では、日本のモニタリング手続は、政治的動機によって編み出されたもので、健康や安全とは余り関係がない、原子力推進艦船の寄港をめぐる大衆的不安が生み出した政治問題を解決するよりは、大衆の恐怖や不安を刺激してそれを持続させる役割を果たしており、米海軍の日本寄港計画に損害を与えているというふうに述べておりまして、五十メートル以内で空中モニタリングを行えば、原子力推進装置の秘密データを知らせることになるということまで言っているわけなんですね。

 だから、私は、この密約づくりということでいうと、これは文書を見ますと、二十三カ月もかかって秘密交渉したということがずっとつづられていて、交渉開始に当たって、日本側はいち早く米側の要請に実質的に応じることには承諾をしたんだけれども、秘密取り決めが暴露された場合に政府みずから日本の主権的権利を放棄したと批判される、このことを恐れて、密約案からそうとられかねない文言を避ける細工をしたということまで、一連の文書で明らかにされています、読む限りは。まさに国民の安全よりも軍事優先という約束で、私は非常に屈辱的なものだと思うんです。

 私は、先ほど大臣も言われたんですが、この密約という問題でいろいろやりとりを伺っていまして、アメリカは公表してもいいよ、しかし、日本側は、世論もある、被爆国でもある、いろいろな問題があるので、いろいろなことでそれを表にしたくないという経過で密約にしたというのも、いろいろな問題の中にはあると思うんです。つまり、そういう点でいうと、日本側があえて文書に残さないようにする、あるいはわかりにくくしておくというふうな形でやった経過がなかったのかな、私はそういうことも思ったりするんですが、大臣、感想的には、その点、どんなふうに思われるでしょうか。

岡田国務大臣 私の感覚では、日米で何らかの合意ができたときに文書化しないというのは考えられません。口頭でという、これは引き継ぎの問題もありますから、普通はきちんと文書にして、そして残すものだというふうに思います。

笠井委員 だから、これ自身が口頭了解の記録という形でアメリカにある、だから、これは日本側がどうしたかという問題が問われてくるんだと思うんです。日本政府が幾ら日米間の密約合意の存在を認めなくても、米側は、さっきも言いましたけれども、公開された解禁文書のような認識で今日まで原子力艦船の寄港のモニタリングに対して対応してきているということになったとすれば、これは本当に重大問題でありますので、きちっと調査して、根本的にこれは改めるということでやっていただきたいと思います。

 もう一つあるんですけれども、裁判権放棄に関する密約についてであります。

 私は、四月七日の当委員会で、一九五八年の十月の四日に、岸首相と藤山外務大臣、それからマッカーサー駐日大使らが日米安保条約の改定交渉を始めたときの日本側の会談録についても触れましたが、まさにその会談録の中にこの問題への言及があるわけであります。

 これによると、マッカーサー大使は、米兵の公務外での犯罪について、一九五三年の合意議事録に、日本側はある場合裁判権の行使を譲るというふうにあって、それを公にして差し支えないなら甚だ好都合というふうにマッカーサー大使が日本側に公表を求めたということが書いてあります。そして、結局、それは日本側が応じなかったということでありますけれども、米側の解禁文書もありますが、それと符合する内容であります。

 昨日の参議院の外交防衛委員会で、我が党の井上哲士議員に対して岡田大臣は、過去の資料を精査して、現実はどうなっているか明らかにしていくということを答弁されて、地位協定に関する問題については優先順位を高くして調査するというふうに答弁されました。

 そこで、関連して伺いたいんですが、ことし二月から、国立国会図書館に所蔵されていた「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」が全面的に公開されるということが明らかになりました。これは法務省刑事局が昭和四十七年、一九七二年三月に作成したもので、私も前に質問で取り上げたものでありますが、国会図書館が一九九〇年三月に古書店で入手をして、閲覧をできていた。ところが、そのことが明らかになった際に法務省の側から圧力があって、二〇〇八年六月に閲覧が禁止されてしまった。それが国会で問題になって、同年十一月に一部墨塗りで閲覧できるようになったわけでありますが、その制限措置をとったときに法務省から外務省に協議がありました。

 当時、どういう協議があって、外務省としてどういう判断をしたのか、お答えいただきたいと思います。

武正副大臣 その中身でありますが、実務資料の中には、米国との間の協議というようなもので、米国政府との申し合わせによりまして不公表とするようなものも入っているということもありますので、そういう意味で、何が公表可能か不可能かという観点から、私どもも御相談を受けたということでございます。

笠井委員 この墨塗りについて、当然のこととして、今、米側との公表、不公表ということがありましたので、外務省の意向が反映されているということだと思うんです。

 そこで、伺いますが、外務省は、この資料の公開問題について米側と協議したことはありますか。あるとすれば、いつ、だれと、どんな協議をしたのか。

武正副大臣 お答えをいたします。

 協議はしておりません。

笠井委員 そうだと思うんですね。米側はもともと公表したかったわけですから、協議など必要ないということになります。

 他方、法務省は、平成十四年、二〇〇二年版についても一部墨塗りで公表いたしております。これですね、一部というかかなり、こういうふうにもう真っ黒になって。墨塗り問題は、武正副大臣も随分、野党時代に一緒にやってきたような問題ですけれども、この理由について、三月二十六日の当委員会で質問を私がしましたら、一つは日米双方の合意がない、もう一つは捜査、公判に支障を及ぼすというふうな答弁がされました。

 ところが、この平成十四年版の墨塗り部分については、昭和四十七年、一九七二年版の全面開示で多くの内容がもう知ることができることになったというのが今だと思うんです。もう資料の一部不開示の理由は成り立たなくなっていると思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

武正副大臣 この日米合同委員会合意については、日米双方の同意がなければ公表されないということになっておりまして、他方、外務省は、近年、米側の協力を得て、日米合同委員会合意を作成当初から極力公表するようにしてきております。

 今後とも、新たに作成する日米合同委員会合意の一層の公表に努めるとともに、作成後三十年を経た文書の公開にも努めてまいります。

笠井委員 昭和四十七年版は、もうとにかく出ちゃっているわけですから、それでもう内容が重なっている部分もあるわけで、その当時の話も、結局、アメリカとの関係で公表、不公表という話があったからというんで、外務省と法務省は相談して、これはというふうにやっちゃったわけでしょう。それはもうとにかく世の中へ出ちゃっているわけです。

 それで、今回の昭和四十七年版の閲覧制限の解除について、国会図書館は、法務省からの申し出があったわけではなくて、図書館側の自主的な判断で行ったというふうに説明をしております。図書館の閲覧禁止について取り消しを求める裁判で、同じ実務資料が複製物のマイクロフィルムでは公開されていたことも判明をいたしております。

 このほど国側が裁判所に提出した準備書面を見ますと、この資料が、ことし二月二十六日より、利用制限措置は個人情報に関する部分を除いて全面的に解除され、一般の用に供されているというふうに述べておりまして、国側が全面解除の意思を示しているわけですが、私は平成十四年版についても全面開示しても問題ないんじゃないかと思うんですが、これは大臣、いかがですか。

岡田国務大臣 私も全体を把握しているわけではございませんので、よく把握した上でお答えした方がいいかと思います。

 それから、平成十四年版はともかくとして、原則三十年たてば公開するという考え方、そして、例えば個人情報にかかわる部分とか、国の安全に直接影響を及ぼす、そういった例外的な場合にのみ公表しない、そういうきちんとしたルールを、これは外務大臣の考え方としてきちんとつくって、そして今後は公開していく。そのための準備作業を、今、私が中心になって、本部を省内につくり、議論を行っているところでございます。

笠井委員 原則三十年というのは一つの線の引き方だと思うんですが、これは密約に関する問題なんで、同時に、それは国民との関係、国会との関係というのでそもそも密約が問題になっているわけで、そういう点でもきちっとこの問題を扱う必要があるんだと思います。

 もともと、この資料は、一九九〇年に国会図書館が入手してからはずっと全面公開されていたわけですが、それが何か、あるとき突然、それを法務省と外務省が相談したら、これは非公開みたいな話になったということでありますので、問題となっているこの実務資料の四十七年版も平成十四年版も、基本的に考えは変わらないんですね。昭和四十七年版が全面開示されて、そして平成十四年版が墨塗りされている実態は、もう整合性が合わないという問題もある。しかも、今、密約という問題についての国民的議論があるわけですから、全面開示についても、きちっとやはり大臣自身がこの事態も掌握いただいて、そして政府が決断すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とバミューダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とクウェート国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカザフスタン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岡田克也君。

    ―――――――――――――

 脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とバミューダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とクウェート国との間の条約の締結について承認を求めるの件

 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカザフスタン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岡田国務大臣 ただいま議題となりました脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とバミューダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十一年六月に、バミューダ政府との間でこの協定の交渉を開始しました。鋭意交渉を行った結果、本年二月一日にロンドンにおいて、我が方在英国臨時代理大使と先方財務大臣との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、我が国とバミューダとの間で、脱税及び租税回避行為を防止するため、租税に関する情報の交換を行うための詳細な枠組みを定めるとともに、我が国とバミューダとの間の人的交流を促進する観点から、退職年金等の特定の個人の所得についての課税の免除を規定するものであります。

 この協定の締結により、国際的な脱税及び租税回避行為を防止するための情報交換ネットワークがさらに拡充されることなどが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とクウェート国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成十八年十一月に、クウェートとの間でこの条約の交渉を開始しました。鋭意交渉を行った結果、本年二月十七日にクウェートにおいて、我が方在クウェート大使と先方財務省次官との間で、この条約の署名が行われた次第であります。

 この条約は、日・クウェート両国間で二重課税の回避を目的とした課税権の調整を行うとともに、両国における配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等を定めるものであります。

 この条約の締結により、両国間の経済的交流、人的交流などが一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカザフスタン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成十九年六月に、カザフスタン共和国との間でこの協定の交渉を開始しました。鋭意交渉を行った結果、本年三月二日に東京において、私と先方駐日大使との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、原子力の平和的利用に関する我が国とカザフスタンとの間の協力のための法的枠組みを提供するものであり、核物質等の平和的非爆発目的利用、国際原子力機関による保障措置の適用、核物質防護措置の実施などにつき定めております。

 この協定の締結により、両国間で移転される核物質等の平和的利用が法的に確保されるとともに、我が国の安定的なエネルギー供給の確保に資することが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

鈴木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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