衆議院

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第3号 平成23年3月23日(水曜日)

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平成二十三年三月二十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小平 忠正君

   理事 吉良 州司君 理事 首藤 信彦君

   理事 長島 昭久君 理事 西村智奈美君

   理事 山口  壯君 理事 秋葉 賢也君

   理事 小野寺五典君 理事 赤松 正雄君

      浅野 貴博君    磯谷香代子君

      大泉ひろこ君    勝又恒一郎君

      菊田真紀子君    阪口 直人君

      玉置 公良君    道休誠一郎君

      中津川博郷君    中野  譲君

      萩原  仁君    浜本  宏君

      早川久美子君    伴野  豊君

      山尾志桜里君    山花 郁夫君

      河井 克行君    河野 太郎君

      高村 正彦君    松野 博一君

      赤嶺 政賢君    笠井  亮君

      服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         松本 剛明君

   外務副大臣        伴野  豊君

   防衛副大臣        小川 勝也君

   外務大臣政務官      菊田真紀子君

   外務大臣政務官      山花 郁夫君

   文部科学大臣政務官    林 久美子君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官付参事官)           小滝  晃君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤木 完治君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  阪口 直人君     玉置 公良君

  道休誠一郎君     磯谷香代子君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     道休誠一郎君

  玉置 公良君     阪口 直人君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

    ―――――――――――――

三月二十二日

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

同月十七日

 普天間基地の無条件撤去に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三一七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四四九号)

 沖縄普天間米軍基地の名護市辺野古への移設と沖縄南西諸島に自衛隊配備の強化を求めることに関する請願(平沼赳夫君紹介)(第四〇〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

小平委員長 これより会議を開きます。

 議事に入る前に、一言申し上げます。

 このたびの東北地方太平洋沖地震では、多くの方々のとうといお命が奪われました。犠牲となられました方々とその御遺族に対しまして衷心より哀悼の意を表するとともに、被災者の方々には心からお見舞いを申し上げます。

 また、多数の国・地域、国際機関等からさまざまな御支援が寄せられております。外務委員会として、心から感謝を申し上げます。

 これより、委員各位とともに、犠牲となられました方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと思います。

 どうぞ御起立をお願いいたします。

 それでは、黙祷を始めます。

    〔総員起立、黙祷〕

小平委員長 黙祷を終わります。御着席をお願いいたします。

     ――――◇―――――

小平委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官付参事官小滝晃君、文部科学省研究開発局長藤木完治君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大泉ひろこ君。

大泉委員 民主党の大泉ひろこでございます。

 東北地方太平洋沖地震の被災県の一つでございます茨城県六区の選出でございます。松本大臣を初め政府の皆様、委員会の皆様の温かい御支援をいただきまして、復興に努めているところでございます。

 さて、松本大臣に改めて御就任を祝福申し上げたいと思います。同時にまた、世界がアメリカの一極支配から多極支配へ移る時代、そして日本の国際経済での地位の低下が懸念される中での難しいかじ取りをなされるという、その勇気に敬意を表したいと思います。

 早速、質問に入らせていただきます。

 大臣は、せんだっての所信表明の中でこう言われました。中国、韓国、ロシアを初めとする近隣諸国との協力関係を推進し、さまざまな懸案の解決に力を入れる。この懸案の中には、昨年以来、尖閣諸島の問題、北方領土の問題でぎくしゃくしたと思われる中国、ロシアとの関係回復が大きいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。

松本(剛)国務大臣 私の方からも改めて、今般の地震につきまして、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族の方にお悔やみを申し上げ、また、被災された方々にお見舞いを申し上げるとともに、一日も早くもとの生活に近づけるように、我々としても全力を挙げて支援を申し上げたいという気持ちをお伝えしたいと思います。

 政府としても先頭に立って、また、国民の皆さんの力を合わせていただいて復旧復興に努めるとともに、外務大臣として、諸外国、国際機関からいただいている温かい御支援に心から感謝を申し上げたい、このように思っております。

 さて、今、大泉委員から御質問をいただきました。

 御案内のとおり、中国とは、一衣帯水の重要な隣国であり、また、経済関係も大変密接な相互依存関係のある関係でございます。同時に、日中関係は、アジア太平洋、そしてひいては世界においても重要な関係だ、こう認識をしております。そういう大局的な観点を踏まえつつ、戦略的互恵関係を深めるということ、そして、東シナ海の資源開発、また環境や気候変動といったグローバルな課題にも具体的に協力をしていくということが課題であるというふうに思っております。

 日中韓外相会談を十九日に開催いたしましたが、その際日中外相会談も行いまして、その中でさまざまな議論を行えたところでありますけれども、戦略的互恵関係の深化、そして国民感情の改善に向け協力をするというところで一致をしたところでございます。そういった中から、今御指摘をいただいた課題も含めてしっかり取り組んでまいりたい、このように思っております。

大泉委員 ありがとうございました。

 それでは、今回の地震で、中国、ロシアともに近隣国として早速の支援を申し出ていただきました。この二つの国の支援の内容についてお伺いしたいと思います。

伴野副大臣 大泉ひろこ委員にお答えさせていただきたいと思います。

 今般の地震に際しましては、中国からは、緊急援助隊の派遣といたしまして十三日に到着していただいておりますが、さらには、テントや毛布等の援助物資の提供といった支援をいただいておりますし、また、多数の個人、団体より義援金をいただいている次第でございます。

 ロシアからも、非常事態省の救助隊といたしまして十四日に到着しておりますが、毛布や飲料水等の物資の提供といった支援をいただいたほか、多数の個人、団体からも、こちらからもいただいているという次第でございます。

 以上でございます。

大泉委員 ありがとうございました。

 両国とも大変積極的な御支援をしてくださっているということでございますので、これをきっかけにして、例えば、先ほど大臣の御答弁にもございましたが、東シナ海ガス田の共同開発の条約締結の交渉の開催とか、日本・ロシアの魚の漁獲量の拡大の閣僚級の交渉とか、あるいはまた、ウラジオストクやサハリン、そうした極東地域での資源開発を拡大していくとか、そういう日中、日ロの関係が具体的によりよい方向に向かうかどうか、その辺を教えていただけますでしょうか。

松本(剛)国務大臣 今、冒頭でも話をさせていただいたように、日中の関係もよりよい方向に向かうように努力をすることが私の使命だというふうに思っております。

 今、東シナ海の資源開発についてもお触れをいただきましたけれども、今まさに御指摘ありましたように、これについても既に、日中間の合意に基づいて国際約束を締結すべく私どもとしても働きかけを申し上げているところでありまして、ぜひとも早くこれを実現したいと私自身も思っております。

 また、日ロ関係につきましては、御案内のとおり、我が国固有の領土である北方領土の帰属の問題という懸案を解決して平和条約を締結するというのがロシアとの外交の基本方針ということになっておりまして、ぜひこれが前へ進んでいくように私自身も微力ながら全力を傾けて努力をしたい、このように考えております。

大泉委員 ありがとうございました。地震がきっかけというわけではございませんで、その方向にあるということがよくわかりました。

 引き続き、地震関係で伺いたいと思います。

 日本の原子力発電の技術というのは世界に誇るものでありますけれども、今回の地震をきっかけとした福島県の原子力発電の事故でございますが、これは世界が大変注目いたしまして、ドイツは原子力発電の稼働の延長をしないという方針をとっておられるようでございます。

 そこで、今、日本政府のインフラをパッケージで海外に売っていくという方針でございますが、例えばベトナムでは、昨年の十月の末に菅総理が公式訪問されて、その際に、ベトナム原子力発電計画のパートナーとして日本は選ばれたわけでございます。

 経済外交をお進めになっている外務大臣として、今後、インフラをパッケージで売る、そのインフラの中に原子力発電も入っているわけでございますが、この方針に影響が出ていくと思われるでしょうか。

伴野副大臣 大泉委員にお答えさせていただきたいと思います。

 今先生お話しのように、現在、福島県の原子力発電所に対しましては対策がまだ今もなされているときでございまして、この時点におきまして確定的なことを申し上げることは差し控えさせていただければと思いますが、今般の福島第一原子力発電所の事故を受け、諸外国における原子力政策等にどのような影響があるのか、しっかりと今後注意深く見守らせていただき、そして、一般論として申し上げれば、インフラ海外展開は昨年六月に閣議決定された新成長戦略における国家戦略プロジェクトの一つであることには違いはございませんで、外務省といたしましては、内外の原子力政策の動向等を踏まえつつ、政府全体の取り組みに貢献していきたいと思っております。よろしくお願いします。

大泉委員 大変円滑な御答弁をありがとうございました。御答弁が大変円滑ですので、用意している質問も少なくなってまいりました。

 一番お聞きしたいと思いましたのは、鳩山政権のときは東アジア共同体というのが外交の前面としてうたわれていたわけでございますけれども、松本大臣はこの間所信表明の中で、強固な日米同盟を基軸として、その前提のもとでアジア外交を進められるとおっしゃいました。順番としても、まず日米同盟について言及されて、その次にアジア外交という順番でおっしゃったわけでございます。

 最近アメリカは、せんだってのアメリカの国務省日本部長ケビン・メアさんの発言に対して謝罪し、更迭もし、そして今度の地震については、オバマ大統領は大変大きな支援を行っているわけでございます。

 今後、大臣は、アメリカ外交とアジア外交をどうバランスをとっていかれるのか、もうちょっと直截に伺いますと、鳩山政権のときの東アジア共同体構想というのは現在も生きているのかどうかというところをお伺いさせていただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 戦後我が国の外交は、アメリカ、対米外交というのが一つの柱、アジアというのが一つの柱、そしてまた国連という一つの柱を立てながらやってきた部分があったというふうに承知をしています。

 私自身もこれから進めていく中でも留意をしていかなければいけないと思いますが、例えばアジアと米国のバランスとかそういうお話も議論の中ではよくお聞きをするわけでありますけれども、そもそもアジアと米国が二律背反なりトレードオフのような関係であるという前提そのものを、やはり我々としては、考え方としてむしろ両立する、もしくは相互に相乗効果があるものというふうに考えて進んでいきたいと私自身は考えております。

 そういう中で、日米関係というのはその意味では基軸、強固な日米同盟を基軸というふうに申し上げましたけれども、我が国の外交、そして安全保障、そういう意味で大変重要な関係であり、そういう意味で基軸だというふうに申し上げておりますし、同時に、日米同盟がアジア太平洋地域のみならず世界にとっても安定のための公共財として非常に有益な内容になっているというふうに私は考えております。

 同時に、アジアはもちろん、我が国はアジアの一員であるわけでありますし、先ほど中国についても、一衣帯水の隣国、経済も含めて相互依存関係の深い隣国関係にあるということをお話しさせていただきました。中国のみならず北東アジアそして東南アジア、さらには広くアジアの国々とも、我々は今現在も、そしてこれから将来に向けてはさらに深い関係を構築しなければいけない、こう考えております。

 その意味で、鳩山総理の際に東アジア共同体という言葉が大変よく使われてまいりました。基本的な考え方は私どもも継承している、このように考えております。

 ただ、先ほど申し上げたように、東アジア共同体という言葉が、一時期、米国との関係で両立をするということをうまく伝えられる言葉になっていたのかどうかという部分が率直に申し上げてあると思っておりますので、その意味で、その言葉を今回の中で直接使わなかったわけですけれども、基本的には、アジアの国々と、特に東アジアの国々と連携を深めていきたいという気持ちは変わっておりません。

 実際に、つい先日もARFという枠組みで防災の大がかりな訓練が行われました。日本は、四百人規模だったと思いますけれども、自衛隊が参加の予定であったわけですが、地震が我が国で発生をいたしましたので、この部隊はすべて撤収というか参加をせずに、むしろ捜索、救援に当たるということになりましたので、我が国のいわば実動部隊の参加は残念ながらありませんでしたけれども、これも東アジア地域を中核とする協力の大変重要な枠組みであるというふうに考えているところであります。

 私自身としても、これからやはりアジア各国との連携を深めていきたい、こう考えております。とりわけ我が国にとりましては、先般の日中韓の外相会談の際にも協力の一つの大きなテーマとして三カ国外相で一致をしたところでありますが、防災、災害協力、そして原子力安全。原子力についても、諸外国、これから検討されている国々もたくさんある中でありますから、その安全というもの。現在、我々はまだ災害と原子力の発電所の安全の確保に全力を傾注している途上でありますので、確定的なことをいろいろ申し上げられないと思いますけれども、ぜひこれを乗り越えて、またその結果をアジア地域の、そしてひいては世界のいわば知見になるように努力をしていきたい、このように考えております。

 その意味で、御指摘の、アジア、東アジアに対する連携を深めていきたいという基本的な考え方は引き継いでぜひ進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

大泉委員 ありがとうございました。よくわかりました。東アジア共同体という言葉はともかく、積極的なアジア外交を進めていかれるということを認識いたしました。

 これは質問通告をしてございませんが、申しわけございませんけれども伺いたいのでございます。松本大臣は伊藤博文の御子孫と仄聞いたしましたが、これは本当でございましょうか。

松本(剛)国務大臣 もう亡くなりましたけれども、母方の祖母が孫に当たります。母方の祖母からは存命であった伊藤博文の話を聞いておりましたので、私も事実だと聞かされておりますので事実だ、このように認識をしております。

大泉委員 ありがとうございました。事実だとわかりました。

 伊藤博文、初代の総理大臣でございますけれども、海外に学んで日本の近代国家を興した人でございます。きょうは、先ほどまでいらっしゃったのですけれども、高村先生、山口県の御出身でございますが、私自身も山口県副知事を三年余り務めたことがございますが、山口県で人気のある三人と申しますと、吉田松陰と高杉晋作と伊藤博文、この三人でございます。

 そこで、松本大臣には平成の伊藤博文となっていただきまして、この大地震の後の日本の国を興されたいというふうに思います。そのエールを送りまして、残余時間が三分ぐらいございますが、浅野先生に譲りまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小平委員長 次に、浅野貴博君。

浅野委員 新党大地の浅野貴博でございます。

 三月十一日に東日本大震災が発生いたしまして、既に阪神・淡路大震災を超える死者が出ております。今なお、二千六百余りの方々が負傷され、一万二千人を超える方々の行方がわかっておりません。一日も早く行方のわからない方々の消息が明らかになることをお祈りするとともに、命を落とされた方の御冥福、そして負傷された方、避難されている方に心からお見舞い申し上げたいと思います。

 同時に、松本大臣初め、菅直人総理を一体として、中核として、日々震災救助に当たられている閣僚の皆様、政府の皆様、命を賭して救助に当たられている自衛官、消防庁、警察官初め、関係各位の皆様に心から敬意を表したいと思います。

 そこで、松本大臣にお伺いします。

 今回の東日本大震災におきまして、我が地元北海道、特に道東地方にも津波が押し寄せ、甚大な漁業被害が生じております。同時に、この津波は我が国固有の領土である北方四島にも及んでいると聞いておりますが、政府として、その実情は把握しておられますでしょうか。四島においても被害が出ているとすれば、日本政府としてどのような対応をとる考えでいるのか、御説明願います。

松本(剛)国務大臣 我が国固有の領土である北方領土についての今回の地震に対する影響という御質問をいただいたところでございます。

 北方領土につきましては、御案内のとおり、法的根拠なく占拠されている状況であるということは、浅野委員も御承知のとおりでございます。

 そういう状況のもとで、私どもとしても、北方四島につきましてはできる限りの情報収集を申し上げているところでございますが、現在、今回の地震によって、北方四島においても一時期は最大三メートル程度の海面上昇が生じたというふうな情報には接しているところでございますが、具体的な地震、津波による被害というのは確認をされていないものというふうに承知をいたしております。

 したがいまして、政府としては、現在、北方四島との関係で特段の対応をとるということは予定をしていないところでございます。

浅野委員 今回の震災を受け、世界各地から非常に温かい、心温まる支援、そして連帯の、激励のメッセージが来ていると私も承知しております。ロシアからも、サハリンの天然ガスを日本に供給する等の実質的な支援がなされているとも聞いております。また、昨日の新聞報道では、ロシアの大衆紙で、慈善寄附として、同情のあかしとして、北方四島を返すべきじゃないかというコラムが出たとも聞いております。

 日本に対して大変厳しい論調が目立っていた最近のロシアでも世論が変わりつつあるのだと私も感じておりますが、同時に、弱り目にたたり目といいますか、我が国が大変な国難に直面している中、領土問題を抱えながらも友好国であるはずのロシアの戦闘機が、我が国の領空の約六十キロ近くまで接近をし、航空自衛隊員が緊急出動するという事態が、三月の二十一日ですか、生じたと防衛省が発表していると思います。

 政府、特に外務省として、このような行動をロシア側がとった真意は何であるのか、また同時に、ロシア側に対して強い抗議をしているのか、説明を願います。

松本(剛)国務大臣 御指摘のとおり、三月の二十一日に、かかるロシアの戦闘機二機が日本海の公海上を飛行している、そして我が国の領空に接近をしたために、自衛隊が戦闘機を緊急発進して対応したものというふうに私どもも承知をしております。

 これらの航空機は、今申し上げましたように、公海上を飛行していたものであって、我が国の領空を侵犯したものではない、こう理解をしております。

 また、ロシア側の意図というお話でございましたが、ロシア政府もしくはロシア側の意図について私どもからコメントを申し上げるというのは必ずしも適当でない、このように思いますので、この点については差し控えさせていただきたい、このように思っておりますが、先ほど申し上げたように、これらの戦闘機は公海上を飛行しており、領空を侵犯したわけではないということで、私どもとして抗議は行っていないところでございます。

浅野委員 いずれにいたしましても、航空自衛機が出動したということは事実でございます。何か、日本国民、ロシア国民、地震を契機としてと言えば語弊があるかもしれませんが、この国難に際してようやく両国の気持ちが近づきつつあるこのときに、ロシア政府として疑念を抱かせるような対応をとらないように、政府としても今後強く対応していただきたいと大臣に要請したいと思います。

 次に、北方領土における日ロ経済交流についてお聞きしたいと思います。

 二月十一日、前原前外務大臣がロシアのラブロフ外相と外相会談をした際に、北方四島において、我が国の法的立場を害さないという前提をつけた上で、日ロの共同経済活動ができないかと提案されたと伺っております。私も、委員会での質問や、質問主意書を出させていただいております。

 その前原前大臣、その後、残念ながら辞任をされ、今、松本新大臣が就任されておるわけですが、松本大臣として、前原大臣が提唱されたこの北方四島における日ロ経済交流に対してどういうお考えを持っておられるのか、そして、その前原前大臣の考えを踏襲されて、今後、松本大臣としても進めていかれる考えでいるのか、質問いたします。

松本(剛)国務大臣 まず、先ほど私ども政府に対して要請がありました点ですが、おっしゃったように、今、我が国は世界の各国また国際機関から支援をいただいております。その意味で、私自身も、昨日の会見でも申し上げましたが、大変、各国の温かい気持ちを率直に受けとめて、感謝を申し上げながら、その力を生かして、しっかりと復旧復興に努めてまいりたい、このように思っています。

 しかし、同時に、今お話がありましたように、防衛、外交の面では、一日たりともゆるがせにすることなく、しっかり我が国の立場と国益を守っていくという覚悟で日々臨んでおりますので、ぜひまた、浅野委員初め委員各位におかれましても、御指導と御支援を賜りますようにお願いを申し上げたいと思います。

 また、外交の方針でありますが、前原前大臣、私も副大臣として一緒に仕事をさせていただいた者としては、大臣の辞任をその意味では大変残念に思っておるのが仕事の面で率直な思いでありますが、基本的な方針としましては、もちろん、前原大臣が大臣のときは、最終的な責任は前原大臣がお持ちになってお決めをいただいていたわけでありますが、私も、いわば前原大臣の政務のチームの一員として、ともに考え、ともにまた仕事をしてきた者でございますので、基本的には、前原大臣の考え方そして方針というのは、私自身はチーム前原の考え方であり方針であるというふうに考えてまいりましたので、その一員としては、しっかりそれを引き継いでやっていきたい、このように考えております。

 今御質問いただきました北方領土に関する協力の問題でありますが、まさに委員御質問にありましたように、私どもとしては、日本の法的立場を害さないという前提で何ができるかということを考えたい、こういう方針を私は引き継いだというふうに理解をいたしております。

 今後、私どもとしても、何ができるかを検討していく考えであると同時に、双方で議論をしていくことと二月の会談でなっているというふうに理解をしておりますので、しっかりと取り上げてまいりたいと思います。

 また、三月の十四日だったというふうに思いますが、G8外相会談の際に、私自身もラブロフ・ロシア外務大臣と会談をさせていただきまして、この二月の前原大臣との外相会談におけるやりとりは確認をさせていただいたところである、このように御理解をいただけたらと思います。

浅野委員 ありがとうございます。

 今大臣おっしゃったように、今何よりも最優先されるべきは被災された皆さんの救助、復興でございますが、同時に、外交というものは三百六十五日、二十四時間休みがないものと承知しております。我が北海道、原点の地である北方領土問題につきましても、引き続き強力なリーダーシップを持って解決に当たっていただきたいと最後にお願い申し上げまして、私の質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

小平委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 松本剛明外務大臣、私とは同じ兵庫・姫路の選挙区をともにいたしておりますが、きょうは、あえて就任に対しておめでとうとは申し上げません。

 いろいろな側面があります。一つは、私も個人的にも大変に親しく、尊敬していました前原さんがああいうことでやめられた。非常に残念に思いますけれども、そういう後を受けての登場。そしてまた、先ほど来といいますか、きょうの委員会の冒頭でも、多くの本当に想像を絶するような事態を招いてしまった、こういう現状。

 そういうものにかんがみまして、松本さんが将来において前原さんの二の舞、あるいはまた前原さん以外のさまざまな、現在の野党あるいは与党を問わずに、志半ばにして倒れた大臣のようにならないように、しっかりと頑張っていただきたいという思いを込めて、さらにまた、お互いの自戒を込めて、何になるかではなくて何をするかだと私も先輩から常に言われてまいりました。ぜひとも日本史に残るような仕事をしていただきたい。その仕事をされたときに、しっかりと祝意を申し上げたい、そんなふうに思います。

 まず、冒頭に申し上げたいことは、松本剛明さんは私と同じように兵庫、阪神・淡路の震災のときはまだバッジをつけておられなかったですね。阪神・淡路震災の地、兵庫で代議士になられた。そして、今の立場になられる前、副大臣のときに、ニュージーランドの震災、私たちの多くの同胞が悲劇的な最期を迎えられた、そのときに現地に飛ばれた。そしてまた、今、この古今未曾有の、千年に一度と言われるような東北関東大震災のまさにその日、当日の朝、この場で外務大臣としての所信表明をされた後、二時四十六分に震災に直面したという外務大臣である。また、その直後にG8に飛ばれて、各国の外務大臣と一緒に、この事態についてのさまざまな支援のお言葉とか、あるいはこちらからのお話もされたということです。

 こういうことから、大変に松本剛明新外務大臣は、災害、今回の震災は圧倒的に阪神・淡路と違って、あの震災は津波はありませんでした。多くの火災はありましたけれども、津波はなかった。津波、さらに今回は原子力発電所の大変な事態ということを含めて、私はここで何を言いたいかというと、松本剛明外務大臣の使命は、日本の防災外交、防災外交の先鞭をつけるというか、レールを敷くというか。残念ながら、この十六年間、私たちも政権の一角を形成しておりましたけれども、本格的な防災外交というところには至らなかったかなという思いがあります。

 そういう点で、防災外交の道筋をつける、そういうきちっとした基盤をつくるということが、松本外務大臣にとって、私は、あなたの使命じゃないかと。もちろんいろいろなテーマがあるのは百も承知しておりますけれども、あれもこれもというのはなかなか難しいという側面もこれあり、まずは第一義的に防災外交に使命あり、こんなふうに私は思いますが、改めて、そのあたりのことを含めての心構えを申し上げてほしいと思います。

松本(剛)国務大臣 改めて、同郷の先輩からの激励をしっかりと胸に刻んで努力をしてまいりたい、また、この外交、安全保障分野において数々の実績を重ねてこられました先輩からの御指導という意味でもありがたく受けとめてまいりたい、このように考えているところでございます。

 災害に対する認識ということは、今、赤松委員からもお話がありましたように、私自身も、阪神・淡路大震災のときは、ちょうどふるさとへ、姫路へ帰った直後ぐらいでございました。関東に住んでいる時間が長かったので、姫路での地震そのものは、比較的大きな地震だなというのがその日その当日の印象でありましたけれども、もうこの後は皆様よく御存じのとおりであります。直後から大きな被害が伝えられ、私自身も仲間と集って何度となく被災地へ、自分のできることをしようではないかという思いで行ったことを覚えておりますし、また、そこにおいて発生をしておりました数々の苦しい悲しい思い出というのは忘れることができないものでございます。

 また、今お話がありましたように、先般は、ニュージーランドで地震が発生をした際には、徳永大臣政務官が発生翌日には日本を立って現地に赴いてくれたわけでありますけれども、私自身も、そのいわば応援要員、交代要員として、一週間経過した後にニュージーランドの現地へ入りまして、救援隊の活動をサポートすると同時に、何よりも、現地で安否がその時点では確認されていなかった方々の御家族などの御支援を申し上げたところでございます。

 そんな意味で、お話がありましたように、災害については、私自身もこれまで国会議員として、特に公明党の皆さんと御協力をして被災者生活再建支援法の改正などにも率先をして取り組んできたつもりでございますけれども、今般、外務大臣というものを拝命いたしました。世界各国でも自然の脅威からは免れることができないことを考えますと、この経験をしっかり生かさねばいかぬという思いがあるわけでありますが、今のところは、目前の被災者の方々の支援、そして原子力発電所の対応、まずこれに万全を期すことでありますが、同時に、既に、お話がありましたように、日中韓、G8で災害協力、防災対策などについて私の方からも御提起をさせていただいたところであり、ぜひその心構えで取り組んでまいりたい、このように考えております。

赤松(正)委員 先ほど、防災外交という使命があると申し上げました。それは十一日の松本大臣のあいさつ、ここにもありますけれども、その後、今この場に立つに当たっていろいろと考えたときに、そういう使命がおありだというふうに思ったわけですが、実は、この外務大臣あいさつ、十一日の朝の時点で聞いたときに大変不満を覚えました。

 きょうはちょっと野党の数が少ないですが、一緒に聞いた仲間とも語ったんですが、要するに松本剛明らしさが出ていない、だれかが用意したものをそのまま読んだという部分が非常に強いという印象を受けました。

 あえてこれはそれ以上言いませんが、これは松本大臣だけではなくて、我々の当時も含めて、もっともっとやはり政治家の独自性というものを出した所信表明になった方がいいんじゃないのかということを思います。

 そういうことを踏まえた上で、例えば、今回の震災でよく言われる言葉が二つあります。一つは、想定外だったという言葉。もう一つは、予断を許さない。新聞、テレビ、特にテレビを見ていますと、記者たちが予断を許さないと言う。また、今回の事態、今回のことだけではないですが、想定外、これって、わかりやすく言えば、想定外というのは考えられなかったという言葉であり、予断を許さないというのは、要するに、わからないということの、何かそれを少し持って回った言い方をしたら、予断を許さない。私も、新聞をつくる仕事をしていましたので、何かを予測するときに、よくわからぬときには、予断を許さないと最後に結んだ記憶があります。

 また、想定外というのは、想定した人もいるんですね。今回の事態でも、実は、この原発の事故というものを想定した人はおります。毎日新聞紙上に神戸大学の名誉教授が、ちょっとお名前を失念しましたけれども、今回の事態を想定していた人が原稿を書いておりました。

 あるいはまた、そうしたもの以外にも、私、今回の原子力発電所の事故あるいはまた大津波ということを前にしたときに、かつて見た映画、これはオーストラリアを舞台にした核の恐怖を描いた映画ですが、「渚にて オン・ザ・ビーチ」とか、あるいはまた小松左京の「日本沈没」、これも見た思いがありますけれども、先ほど大自然の脅威ということも言われましたけれども、そういう大自然との闘い、そして人間の愚かさ、こういった部分で、きょうは何だか前置きが長くなってしまいましたけれども、二つの角度で質問をしたい。

 一つは、今回の震災、津波、原発事故に関する問題。もう一つは、リビアの問題について。この二つに絞って、残された時間、外務大臣にただしていきたい、そう思います。

 まず最初に、原子力発電所の事故に関して、三つの視点から申し上げたい。

 一つは、原発ではありませんが、先ほど申し上げた被災地の経験としての兵庫からの視点。二つ目は、現時点での東北、関東からの視点。そして三つ目は、アメリカからの視点、支援国家の代表としてのアメリカからの視点。この三つの切り口で、一つずつ簡単にただしていきたいと思います。

 まず第一点目の、震災についての先駆、震災対応の先駆県であるという自覚があります兵庫。兵庫の闘いというのは、この約十六年間の間に、さまざまなことを提起して各国に呼びかけて防災に対する注意を喚起する、あるいは、それぞれの経験、体験を持ち寄って、未来に向けて何がお互いできるか、それをしっかりと呼びかけ合う、こういうことをやってまいりました。しかし、その途上で、例の今回の事態にまさるとも劣らないインドネシア・スマトラ沖の大津波事故があったわけですけれども。

 こういうことを踏まえて、日本政府、これは現在の与党、野党にかかわらず、日本政府として、もっともっと、先ほど来申し上げている防災外交に取り組むべしと。過去十六年、若干日本政府としては、今の野党そして今の与党、それぞれの違いを超えてもっと政府が取り組むべき。地方自治体外交は、それはそれで立派で大事なことなんですけれども、そうじゃなくて、政府を挙げて、一大プロジェクトとしてそうした防災外交というものを進めていく、そういうことを、震災地の先駆である、先駆けである兵庫からはそういう目で見えてくるというか言いたいと思うんですが、その点、まず大臣の見解を聞きたいと思います。

松本(剛)国務大臣 御指摘がありましたように、阪神・淡路大震災、そしてインドネシアの地震、大津波ということで、二〇〇五年には神戸で第二回の国連防災世界会議を国連国際防災戦略と共催したところは委員御案内のとおりだろうというふうに思っております。

 私自身も、先ほども多少お話をさせていただいたところでありますが、お話の中で、委員がおっしゃった想定外というお話がございました。幅広い中ではさまざまな想定をいろいろな形でされた、そのすべての想定が酌み取れていたかどうかという御指摘は謙虚に私どもも受けとめなければいけない、このように思っております。

 その上で、あえて申し上げれば、多くの議論を重ねてきた結果の準備が、私は、日本という国は、技術的な面でも防災の意識という意味でも、決して世界の国々の中ではおくれることのない、むしろ先頭に立って準備をし、対策をとってきたということではないかというふうに、それは今でもそのように考えております。しかし、あえて今回これだけ甚大な被害を出したことを謙虚に受けとめるならば、自然の脅威に対する謙虚さというものを改めて我々は持たなければいけないということではなかろうかというふうに思います。

 その意味で、防災に関する国際協力という意味でも、私ども日本は、技術面、防災意識という意味で、世界をリードするという思いで、さまざまな協力等はこれまで国としても行ってきたというふうには考えておりますけれども、さらに強化をしなければいけないということと、先ほど私自身が申し上げたように、改めて私どもも自然の脅威に対する敬けんな気持ちというのを再度強く認識をして、防災に対する考え方を強化した上で国際協力をするということを進めてまいりたい、このように考えております。

赤松(正)委員 そういう今おっしゃられたことは大事なことであると思いますので、しっかりと防災外交という側面に視点を合わせてやっていっていただきたいというのが一点目です。

 二点目は、先ほどの点が過去からの兵庫の視点だとしますと、現在ただいまの時点の視点という観点から申し上げますと、実は、私どもの幹事長である井上義久、彼は、東北に現時点でも住んでいる男でありますけれども、今回の震災対応で政府の中枢の皆さんと一緒に呼吸を合わせて幾つかのことを今やっていますけれども、彼が吐いた言葉は非常に印象的です。

 何を言ったかというと、要するに、今の政府には、申しわけない、残念ながら、いわゆる想像力がない。想像力というのは、物をつくるというか物を考える、現状の事態が何を招いているかというのを想像する力がない、想像力がない。そしてさらに、リアリティーがない、現実感というものが非常に乏しい、またロジがない、後方支援というロジスティクスを考えていく力がない、こういうことを実は吐いて捨てるように言っていました。

 彼は非常にきちっとした物を考える男なので非常に印象に残ったんですが、あえて言うんですが、おれならできるということを、彼は、記者の前で、公明党の多くの仲間がいる前で、今の事態に対する想像力をありとあらゆる部分を駆使して、簡単に言えば、彼が例に出して言っていたのは、約三十五万人の人が今避難所にいて、一日三掛ける、約百万食の食い物がない、もちろん食べれば出す、こういったありとあらゆることを、何が今起きているのかということを考え抜いて、どうすればいいのかということにおけるリアリティーがなさ過ぎる、ロジ能力がない、こういうことを言っておりました。

 大臣にお聞きしたいのは、今、総理大臣、官房長官、いろいろ不満はあるんですが、懸命にやっておられる、そういう、国を代表する立場でやっている総理大臣、官房長官と、外務大臣はどういう形で連携をとって今やっていますか。

 要するに、一日のうちに決めた時間に会っているのか、あるいは、それはなくて、こういう格好で連携をとっているとか、あるいは、外務大臣が海外のメンバー、海外の各国の支援ということについて、受けたらそれをどういうふうに最高指揮官に伝えているか。このあたりの連係プレーを簡単に言っていただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 私としては、外務大臣という立場と国務大臣という立場、常に二つの役割を果たさなければいけない、このように考えております。

 先ほどもおっしゃっていただきましたように、就任して以来、きょうで十二日、十三日目といったところだと思いますが、その間、二度ほど国際的な外相会談がありました間は東京を若干の間離れておりましたけれども、それ以外の日々は、予定をされていた会議も含めて、結果としてはほぼ連日、場合によっては日に何度か総理、官房長官とはお話をさせていただいております。

 その際は、一点は、今お話がありましたように、被災をしたことも含めて、国務大臣として、また兵庫県出身の議員として、気になること、気がついたこと、そして考えること、こういったものを総理、官房長官のみならず関係の方々にお伝えし、まさに閣僚一体となって取り組んでいるところでございます。

 もちろん、井上先生、大変見識のある先生が、想像力、リアリティー、ロジに欠くるところがある、こう御指摘を受けたことは今しっかりと受けとめて、この未曾有の災害の中で万全を期したいと思っておりますけれども、万全に今できているということでないことは、全精力をつぎ込んでも届いていないことがあるという御指摘は、私どもも甘んじて受けて、直せるところは直していきたい、このように考えているわけであります。

 あとは、海外支援の受け入れ、それから、とりわけ国際広報などは外務省が主導していかなければいけない分野だと思っておりますが、官邸のもとに一元化をして、実質的には外務省がしっかりと支えて対応をさせていただくような態勢を組んでいる、このようにお考えをいただけたらと思います。

赤松(正)委員 ぜひとも、みんながすくみ状態にならないで、おれがやるという強い意思で、火花を散らして、今の事態、総理大臣、官房長官を中心に頑張って取り組んでいっていただきたい、そんなふうに思います。そういう強い意思があるところにいろいろな部分がついてくる、事態がそっちの方向に向いていく、いい方向に向いていく、そんなふうに思います。これ以上申し上げませんが、意図するところを酌んでいただきたいと思います。

 最後、三つ目の視点ですが、外国の支援、代表するアメリカ。このアメリカ、実は私の事務所に早い段階でハワイに住む知人から電話がありました。それは、アメリカ・ハワイの地でCNNを見ているのと日本の情報が伝わってくるのと大きな落差がある。つまり、簡単に言えば、アメリカを代表とする外国のメディアは今回の事態、とりわけ原子力発電所の事故に対してかなり厳しい見方をしていて、それがかなり先行する形で報じられて、一方、日本の官房長官、総理大臣の会見との食い違いというものが外国から見ているとよくわかるというのがあったわけですね。それは今の時点でどちらが正しいとかどうかという側面ではないかと思いますけれども、そういうこと。

 そして、現時点で起こっている一番象徴的なことは、いわゆる八十キロ圏内の皆さんは退避すべきだというアメリカを中心とする意見と、日本の二、三十キロメートル以内という部分との食い違い、こういうことについて、外務大臣としては、今の外からの目とそれから内側からの発信との違いというものをどのように受けとめておられるか、お聞かせ願いたいと思います。

松本(剛)国務大臣 今回の特に原子力発電所の問題については、内外に広く現状を正確に知っていただいて、冷静に御判断をいただけるような環境を整える。その意味で、先ほど少し申し上げましたが、国際的な広報ということは、外務省としましても大変重要な使命の一つであろう、政府一体となって行う中で私どもの果たすべき役割も大変大きい、このように考えているところでございます。

 その上で、先ほど想定外云々という議論を先生とさせていただいたわけでありますが、今回の未曾有の津波は、幾つかの点で、まことに残念ながら、準備を超えていた事態が発生をしたということは率直に認めざるを得ないところではなかろうかと思います。

 その部分で、その状況をどう理解した上で現状をどう把握するか、こういうことでありますが、私ども、現場に最も近い我が国は、その中でも現状把握、情報収集に努めて、そのことを正確にできるだけお伝えしようとしてまいったわけでありますけれども、諸外国からごらんをいただいた際には、この未曾有の津波の、その未曾有の大きさというのを御理解いただくのに少し時間がかかった分で、認識もしくは今お話しいただいたようなギャップがあったのかもしれません。

 しかし、現段階では、諸外国から専門家もおいでをいただいておりまして、今の我が国の原子力発電所が置かれている状況、そして集められた情報から考えられる今の状況などの認識の部分というのは、かなり共有をしていただけるところに来ているのではないかというふうに思っております。

 御指摘があった退避の範囲ということにつきましても、米国のエネルギー副長官は、我が国が行っている対応については疑問はない、こういうコメントもしていただいておりまして、お話がありましたように、当初の段階では、かなりいろいろな、幅広い可能性について報道されたものと理解をしておりますけれども、広報に努めてきた結果、認識、情勢分析等はかなり共有をできて、冷静に御対応いただけるところに近づきつつあるのではないか、このように考えているのが今の率直な現状認識です。

赤松(正)委員 今、三つの視点を申し上げましたが、最後に、まとめとして、さっき同僚委員の与党の方の質問にもありましたが、原子力発電所、これはスリーマイルとチェルノブイリ、この二つの大きな事故を受けていろいろなことが世界であったわけですけれども、ある種、約三十年ぶりに、今、原子力発電所の各地、全世界における進展というか、そういう部分が出ようとしたやさきの今回の事故だったわけですね。

 さっき副大臣が、要するに、そういうインフラ充実の一つの大きな手だてとしての原子力発電所というものをこれからも中心に据えての経済外交をやるのかどうかということに関して、注意深く見守るという発言がありました。今の時点でそういう答えしかできないんでしょうが。

 改めて、もう一度確認ですが、この今事故が起こっているところの原子力発電所の、言ってみれば耐久性というか老朽化というか、そういう部分が大きく寄与したというか、大きな原因の部分を形成しているんだという見方をとるか。つまり、新しいものであって、あとう限りの想像力を駆使してつくれば十分大丈夫だと見るのか、どんなに立派なものでも、時間がたてばやはりそこはそれなりの危なっかしさが伴うと見るのかどうか。古くないものなら大丈夫なんだという観点に立つのか、どちらに立つかという考え方を聞かせてください。

松本(剛)国務大臣 今回の、発電所が現在に至っても緊張感を持った対応を必要とする事態に至った原因であるとか、またその間に発生をした事象というのは、まだ検証ができる段階には至っていないと思いますので、私の方から確定的なことは申し上げられないところでありますが、私自身としては、この間も、将来に向けては国際協力も含めて原子力安全分野への取り組みを強めなければいけない、このように申し上げてまいりましたし、考えております。

 これは少し大上段に構えて申し上げれば、人類が得ることができた非常に大きなエネルギーでありますし、また、今我々の生活が、世界じゅうの人たちが大変恵まれた生活を送っていくためにはエネルギーというのが大変重要である、なおかつ、その中で原子力エネルギーというものに私どもはやはり取り組まなければいけないのではないか、こう考えているという前提は変わっておりません。

 その上で、先ほども委員との御議論の中で申し上げましたけれども、改めて自然の脅威に対する謙虚さというものを持ってこれからの取り組みを進めていくことで、しっかり安全の強化をしていくことが大変重要なテーマだ、このように考えております。

赤松(正)委員 最後に、リビアの話に移らせていただきたいと思います。

 この大震災、大津波、原子力事故がなかりせば、リビアの事態というものは大変大きな、日本じゅうを席巻するような一つの事態であったろうと思います。国連安保理が武力行使を容認する決議を出した、それに対してロシア、中国、ドイツが棄権をした、こういう報道がなされております。

 このリビアの事態に対して、報道に接したところによると、松本外務大臣は支持を表明された、こういうふうにあります。イラク事態のときに、イラクの事態はサダム・フセイン、今度のリビアはカダフィ、人物は違いますが、いわゆる普通に見ている日本の市民からすると、フセインそしてカダフィ、イラクとリビア、そして国連安保理決議を受けて武力介入する。かつて民主党は、イラク事態に反対を、国連安保理決議があってああいう行為をとったということに対して反対をされたというふうに記憶しておりますが、このイラクと現在のリビアの事態に対して、大臣はどのように受けとめられて、そして、その行動に対する違いというものをどのように説明されるんでしょう。

松本(剛)国務大臣 先ほど浅野委員との御議論であったかというふうに思いますけれども、外交については一日もゆるがせにできないという気持ちで取り組んでおりまして、赤松委員おっしゃったように、このリビアの事態というのも国際社会の中で大変重大な話であるということで、私どももこれについてもしっかりと見てきておるつもりでございます。

 これにつきましては、国連決議でも記されておりますように、今まさにリビア当局が暴力を継続しているというふうに私どもは理解をしております。リビアの一般市民がその攻撃の脅威にさらされている状況だというふうに理解をしております。

 我が国として支持をいたしております今回採択をされた国連安全保障理事会の決議というのは、そのような文民の保護を目的としたものだというふうに理解をしておりまして、そのような決議、そしてその決議にのっとって加盟国が措置をとっていることを支持しているというのが私どもの立場でございます。

赤松(正)委員 事前にイラクと絡めて私が質問をするというふうに言っていなかったから、イラク事態についての対比という部分で大臣は今お答えにならなかったわけですけれども。

 これは、あえてリビアの事態、今、市民が直接苦しめられている、正確な言葉は忘れてしまいましたけれども、そういうリビアの状況とイラクは違う、だから態度も違う。別に、野党時代の民主党と与党になってからの民主党は同じでなければいけないというふうに強く言うつもりはありませんが、その辺の、先ほども言いました、一般市民から見て、いわば普通の民主党なら、野党の時代の民主党なら、こう簡単に支持を表明するというふうにはならなかったんじゃないのかというまなざしに対して、どう説明されますかということを聞いているわけです。

松本(剛)国務大臣 御質問を十分に理解した上で先ほど答弁を申し上げたつもりなんでございますけれども、私どもとしては、やはりあらゆる外交努力によって問題が解決されることを支持いたしますし、また、この間の情勢についても、双方に暴力を控えるようにと申し上げたケースも一般論で言えばありますし、平和的な解決方法が望ましいという気持ちは変わらないわけであります。

 繰り返しになりますが、今のリビアにつきましては、今まさに攻撃が継続をされており、今まさに文民の保護が必要であるという観点から、今回の国連決議にのっとった加盟国の攻撃というのは支持を申し上げるべきものである、こう判断をしたということでございます。

赤松(正)委員 余り今の答弁に納得しませんが、引き続き今後やるとして、きょうは以上で終わりたいと思います。

小平委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 きょうは、松本大臣が御就任をされて一番最初の委員会ということになりました。本来であれば、リビアの問題を初め、緊迫してまいりました中東情勢を中心にいろいろとお伺いしたいと考えておりましたけれども、御案内のとおり、今回の東日本巨大地震、津波を受けまして、私も被災地選出の議員の一人として、諸外国の取り組み、また外務省関連の対応状況について伺っていきたいと思います。

 本当に、今回のこれだけの大きな地震、被害というのは、先ほども想定外というようなお話がございましたけれども、宮城県でも大体三メートルから五メートルぐらいの津波を前提に防災計画を立てておりました。ところが、今回は、もう本当に十メーター、高いところでは、リアス式のところでは十五メーターを超えるような巨大津波が来た。こうしたことを想定してまさに対応していくべきが本来は政治のあるべき姿なのかもしれませんけれども、今後、これから復興が進んでいく中で、やはり最悪のケースをしっかりと見据えた対応をしていかなければいけないというふうに思っております。

 さて、今、日本の外交も大きな岐路に立たされているような気がいたします。つまり、日本という国そのもののプレゼンスが国際社会の中でややもすれば低下をしてきているんじゃないか。と同時に、これまで積み上げてきた、特に米国との信頼関係、こういったものが非常に揺らいでいる面があるんじゃないかなというふうに思っております。そういう意味で、松本新大臣の外交に対する基本的な姿勢、そして考え方というものをまず冒頭お伺いした上で、地震関連のことをあとは伺ってまいりたいと思います。

 やはり、日本の国際社会の中におけるプレゼンスというのを高めながらリーダーシップをしっかり発揮していかなければいけませんし、また、今回の震災でも世界じゅうから本当に心温まる御支援をいただいております。その中でも、やはり米国の我が国に対する支援というのは突出をしているわけでございまして、そういう意味でも、本当に日米関係の信頼を一層深めていくということが大変重要なわけでございます。

 そうした国際社会の中における我が国の今の立場といいますか、あるいは新大臣がお考えになっているこれからの日本外交のあるべき姿で、先ほど前原外務大臣の考えを受け継ぐというお話がございましたけれども、改めて大臣の基本姿勢を冒頭伺いたいと存じます。

松本(剛)国務大臣 私自身の取り組みの方針については、既に所信で申し上げたところでございますので、繰り返しは避けたい、このように思います。

 一つは、おっしゃったように、日米関係は大変重要であるというふうに私も考えております。そして、私が前原大臣から引き継ぎを受けた状況の中では、極めて円滑なコミュニケーションと相互の信頼関係というのは日米関係の間にあるというふうな実感を持つことができながら引き継ぎをさせていただくことができたというふうに理解をしております。

 実際に、三月の十五日には、G8外相会談の際には、クリントン国務長官とも日米の外相会談を行いまして、今後の協力なども確認をさせていただいたところでございます。

 その上で、我が国のプレゼンス、外交のあり方という考え方でありましたが、私自身は、かねてから、やはり日本は世界から信頼される国であって、そして、そのいわば信頼をもとに世界に開かれたネットワークを築いていくことが日本の大いなる安定と繁栄にも資するものであるし、また、それがひいては世界にも大きく貢献をできるものではないか、こう考えてきておったわけでありますけれども、私どもも、一つの日本の大きな力は経済力であると考えておりますし、今でも経済そして技術力というのは大きな財産であるというふうに思っております。

 私どもが、この間の震災が起こったこと、本当に悲しいことでありますが、その後にいただいた各国からの支援なり励ましの言葉というものを通じて感じることは、本当に大きな信頼をこれまでの我が国の先人たちの努力によって日本という国は得てきているんだなということは大変実感をいたしました。

 実際に、私も先日、G8でもパリに出張をいたしましたけれども、パリの大使館のスタッフも、もう今は日本人かと聞かれれば皆が応援をしてくれる、日の丸を見ると皆が手を振ってくれる。これは、この間に、最低限の出張というのは、この震災以降も外務省でも行ってきたわけでありますけれども、必要最小限な出張の中で外国へ行った者は、すべて同様な感想を持ってまいりました。

 その意味では、私どもは、改めて、これまで諸先輩が積み上げてきた日本外交の財産というものをしっかりと引き継いで、これを開かれたネットワークにつないでいくことができるように努力してまいりたい、このように考えております。

秋葉委員 今、大臣の認識の披瀝の中にもありましたとおり、今回、本当に世界じゅうから、百二十八カ国・地域、それから三十三の国際機関が支援を表明していただいて、特に私の地元、宮城県も大変な被害でございました。本当に、早々に各国から応援に入っていただいております。韓国からも仙台に、もう十二日の時点で入っていただいておりますし、ドイツやスイスにも南三陸町に応援に入っていただき、メキシコからも名取市、オーストラリアには南三陸町、ニュージーランド、フランスを初め、本当にたくさんの国の皆さんが入ってきていただいて、やはり日本にはいろいろとこれまでお世話になってきたから今が御恩返しのチャンスだというような言葉を言っていただいて、救助の最前線で汗を流していただいて本当に助かりました。

 今、これだけの災害でございますので、宮城県で公表しております死亡者の数というのはまだ六千人弱。まあ、六千人弱といっても、阪神での死亡者数に相当する大変痛ましい実態でございまして、私も翌日何とか地元に戻って、いろいろ現場を歩いてまいりましたけれども、本当に、我々素人が現場に行っても死体が散見されるというようなありさまでございました。いまだに通行規制をしておる中で、御遺族の皆さんが、ひょっとしたらということで現場に駆けつけている中で、そうした御遺族の皆さんと一緒に、外国の皆さんが、各国の皆さんがこうした対応をしていただいていることを、本当に涙が出る思いでございます。

 行方不明者、現況の推移、総合的に勘案をしますと、仙台市だけでもおよそ千人前後、県全体では、宮城県だけで恐らく一万五千人ぐらいの最終的な死者数を数える被害の規模になるんじゃないかというふうに私は認識しておりまして、ある意味で超法規的な対応をしていく必要があるんだろうというふうに思っております。

 政府も、そういった状況の中で、各省を束ねて、統括的な司令塔が今後復興に向けて必要じゃないかということで、ちょうど一九二三年の関東大震災のときにも設置されたような復興院を設置して調整していくということが閣内でも議論されているようでございますけれども、まず大臣は、この復興院的なもの、司令塔の設置については、内閣の一員としてどのような認識をお持ちでございますでしょうか。

松本(剛)国務大臣 御案内のとおり、被災者生活支援ということでは、緊急対策本部の中に、特別に新たに本部を設けさせていただいております。今回の東北地方太平洋沖地震緊急対策本部のもとに、被災者生活支援対策の特別本部ということで設けておりまして、ここには、私どもの方からは、海外支援の受け入れの窓口も、ある意味ではそこに一元化をいたしまして、私ども外務省の職員もそこへ送り込んで、受け入れの窓口を行うと同時に、各省との折衝、調整を速やかに行うということを進めているところでございます。

 海外からの支援につきましては、私どもとしても基本的に大変ありがたい申し出でありますので、受け入れることを前提に調整に入るという作業を進めております。

 ただ、実際には、私どもの方の受け入れ、それから先方の方も、支援の可能性を申し出をいただいても、実は届けるのには若干時間がかかるといったようなケースもありますので、お話をいただいて直ちにすべてが実現をするわけでありませんけれども、可能な限り速やかに、しかるべき場所に届くようにということで今努力をしておりまして、そのために必要な政府間の調整といったものには、そこで時間がかかるといったようなことのないように、本部で一元的に今対応に当たれる態勢をとっているというふうに理解をしておりますし、私自身も、そのことが推進されるように職員にも指示をすると同時に、人員などを提供することによって態勢が整うように努力をしている、このように努めているところでございます。

秋葉委員 現況は、大臣おっしゃるとおり、今はまさに、まだまだこの間も、つい二日前も宮城県で八十歳のおばあちゃんと十六歳の少年が見つかった。これは本当に氷山の一角で、まだまだ埋もれて、そういう方がいるかもしれない。だから、そういう状況の中では、その対策本部的なもので一元的にやっていく、これでいいんですけれども、先ほど私が伺ったのは、これから復興に向けてこれに力強くやはり対応していく、オール・ジャパンでまさに取り組んでいかなきゃいけないわけですね。そういう場合に、今は緊急非常事態ですから、こうした対策本部でいいんですけれども、いずれ、これをしっかりとした一元的な窓口、組織としてやっていくために、私は、そうした関東大震災のときに設置したような復興院的なものをしっかりと整備することによって、これからの復興の司令塔としてやはり担っていくべきだと思っているわけですね。

 ですから、これからのことも含めて伺ったつもりなんですけれども。

松本(剛)国務大臣 復旧から復興にかけてはそれなりの時間が必要になってくる、そして力を入れた取り組みが必要だという点は御指摘のとおりでありますし、私自身も、先ほど赤松委員との議論でもお話がありましたように、兵庫県の出身ということで、復旧復興はさまざまなフェーズがあると同時に、時間と力が必要だということは感じております。

 その上で、委員の御指摘も踏まえながら、そして私ども自身も、そもそも新しい政権ができたときに、いかにして縦割りの中でこれを克服しながら効果的かつ効率的に政策を打ち出していくかということが一つの課題でありましたけれども、今回の復興ということは、まさにそのことが問われる大変重要な、そして最優先の課題である、こう考えておりますので、それについて必要な態勢、そして必要な形というのは組まれなければいけないという認識は委員と共有をするものだというふうに申し上げたいと思います。

秋葉委員 今後、これから必ず復興できるんだという思いの中で、やはり政府としてのしっかりとした司令塔を設けて対応していくということが、私は国民に対する大変力強いメッセージにもなるんだろうと思っておりますので、ぜひそうした組織の設置についても前向きに今後考えていっていただきたいと思うわけでございます。

 さて、たくさんの国から御支援をいただいている中で、今、IAEAは、私ども、天野さんが局長をお務めいただいているわけでございます。専属チームをつくって放射線量の測定などを行っていただいているわけでありますけれども、局長からは特に、やはりもっと豊富な情報を正確に適切に伝えることが重要だというようなことが言われました。もっともっと、やはり地元の被災者の皆さんは、被災でも大変な思いをしておりますけれども、原発関連の問題で大丈夫なのかという大変な不安を抱えながら対応しております。そこで、IAEAとの実際の協力関係というのはどの程度今進んできているのか、お示しをいただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 IAEAについては、天野事務局長の話もいただいたところでございますが、事態発生以後、速やかに状況を報告させていただいてきたというふうに認識をしております。

 一般的に、今もお話がありましたように、こういった事案についての広報もしくは情報提供というのは、国内、国外を問わず、しっかり透明性を持って取り組んでいかなければいけない課題でありますが、唯一、国外で国内と違うことがあるとすれば、言葉の問題ということが間に入ってくることは事実でありまして、そういう意味では、言葉の問題をいわばクリアする部分だけ国内よりは少し、ワンステップかかるわけでありますけれども、これについても、できる限りこの間も改善の努力と同時にスピードアップを図ってきて、今、IAEAの方にも御理解をいただきながら情報提供ができている、このように考えております。

 先ほど赤松委員との御議論のときにもたしか申し上げたと思います、万全を期したいということで全精力をつぎ込んではおりますけれども、こういった災害の中で万全にできているというようなことを申し上げるような立場ではないと思いますので、御指摘を受けた改善は、速やかに改善をすることによってより万全に近づけるように我々としても精いっぱい努力をしたい、こう思っているのが、IAEAとの関係でも同じことが申し上げられるのではないか、このように思っております。

秋葉委員 やはり国民からいたしますと、どうしても、政府側のいろいろな情報の発表というものが余りにも東電に依存し過ぎているんじゃないかと。もっとやはり専門家の知見を集約して、正確な情報を適宜公表してほしいという思いがございますので、もう少しそうした連携を今後一層強めて対応していっていただきたいな、こう思うわけでございます。

 また一方で、やはり各国の支援の中でも、米国には三陸沖にロナルド・レーガンも停泊いただいて、さまざまな最前線で活動していただいていることが、地元の被災民、被災者にとっても大変勇気づけられる思いでございますけれども、これまでの米軍の協力状況等につきまして、きょうは小川副大臣にもおいでいただいておりますので、簡潔に御報告をいただきたいと存じます。

小川(勝)副大臣 御答弁を申し上げます。

 今御指摘をいただきましたように、ロナルド・レーガンを初めとする多数の艦船による協力をいただいておりますことを初めといたしまして、多数の航空機による物資の輸送などの支援もいただいておるところでございます。

 また、さまざまなお申し出をいただいておるところでございまして、特に原子力発電所災害に関しても専門家を派遣いただくなど、できる支援は何でもするぞという御指摘もいただいているところでございます。

 また、直接物資を投下いただいたりいたしまして、物資が届かないというふうに不安を覚えておられました住民の方々にも、直接米軍の皆様から救援物資を受け取っていただいて、大変ありがたいという地元の声も届いているところでございます。

秋葉委員 本当に、救助活動のバックアップはもちろんでございますけれども、仙台空港もようやく千メーター分使えるようになったものですから、そこを一つの受け皿にして機動的な動きが徐々に強まってきておりますけれども、ぜひこれからも、この連携を強化しながら、米軍の力を最大限にやはりかしていただいて、対応していくということが大事だと思っておりますし、特に地元でよく皆さんから言われるのは、やはり原発の問題についても、もっと直接的な支援も含めて、連携の強化を求める意見が大半でございますので、ぜひ副大臣におかれましても、米軍との協議等々の中でそうした旨をしっかりと伝えていっていただきたいな、こう思うわけでございます。

 そうした各諸外国からの大変な温かい御支援の一方で、これと相矛盾するように、大変残念なことではありますけれども、いわゆる原発からの退避勧告や、あるいは出国勧告のようなものが大変相次いでいるわけでございます。新聞報道でいろいろと報道されておりますけれども、最新の状況について外務大臣に伺っておきたいと思うわけでございます。

 今、何カ国とか何人というのはなかなか掌握できないと思いますけれども、どれぐらいの規模で国内の外国人の皆さんが出国をされたのか、その動向、実数というものを外務省ではつかんでいるのか、お伺いをしておきたいと存じます。

松本(剛)国務大臣 我が国は、そもそも外国とは開かれた国でありますので、日々多くの外国人の方が入国し、また出国をしておる中で、今回の件でどなたがどのぐらい出ているのかということは、分類をちょっと今の状況ではいたしかねている状況でありますが、外務省としては、大使館という意味で申し上げれば、現在把握しているところでは、二十五の公館が今一時閉鎖を行っているというふうには理解をしております。また、幾つかの国は、例えば原子力発電所周辺地域から離れるようにといったようなことをお話しされたり、また、必要がなければ日本を離れることを検討するようにというようなことを勧告されたりというふうにしていることは承知をいたしております。

秋葉委員 ある意味で、この日本においでいただいている外国人の皆さんにこうした一つの不安を与えているというのも大変せつない思いでございますけれども、しかし、やはり被災者から見ますと、そうした外国人がどんどん出国をしている、そして今大臣からお披瀝がありましたように、既に二十五の公館が一時閉鎖している、あるいはドイツなどのように、閉鎖まではしないけれども大阪に移転をしている、そうしたところも含めますと、かなりの数に及んでおります。

 こういったことが非常に国民の不安を高めているところがございますので、やはりしっかりと、日本のスタンダードというものと外国のスタンダードの違いがどういうものであって、日本が今出している、つまり二十キロから三十キロまでが避難、そして三十キロまでが自宅待機ということで間違いないんだという力強いやはりメッセージというものを発していかないと、こうした外国の出国の状況でありますとか公館の閉鎖というものが、ちょっと不安を高めているところがある今現状にございますので、外務大臣として、こうした現況をどう受けとめて、国民にどんなメッセージを発していくのかということは大変重要だと思っておりますので、改めて松本大臣の認識をお示しいただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 まず、事実関係として一点、今お話がありましたが、ドイツも、東京の部分ということになろうかと思いますが、閉鎖した公館の数ということで二十五でございますので、ドイツもその内数の中に入っておりますが、おっしゃったように、場所を変えて国内の中で業務を行っているというふうに理解をしております。

 その上で、私どもも立場を変えると、邦人保護という立場で、日本から見て外国にいる日本人の方々に対して、その国の状況に応じてメッセージを発して、場合によってはその国から退避することを勧告したりすることがあります。これはやはり、もちろん在外の公館などを通じて情報収集をしたりしながら、また、もろもろの情報収集をして判断をしていくわけでありますけれども、自国と外国の場合であったときには、私どもから見ましても、邦人保護の領事の立場からは早目に出したい、他方で、その国との信頼関係という意味からすればその国の判断を尊重したい、この中でぎりぎりの判断を重ねてきているわけであります。

 今回も、各国が行っている行動については、最終的にはそれぞれの国の御判断でなされることなので、私どもとしてコメントする立場にはないわけでありますけれども、やはり、お話がありましたように、正確な情報をできるだけ早く、そしてしっかりとお届けをすることによって、冷静な判断をしていただけるように我々としても努力をしていきたい、こう考えております。

 また、機会をとらえて、例えば、これも先ほど御質問でもありましたけれども、福島の原子力発電所については、米国は今、五十マイル、半径八十キロという形でメッセージを出しておりますが、他方で、米国のエネルギー副長官という、その分野のある意味では責任ある立場の方々が、日本のとっている対応については、ノー・リーズン・ツー・クエスチョン・ザ・アセスメントだったと思いますけれども、疑問はないということも正確に伝えていただいておりますので、私どもとしては、現在の適切な対応というものをしっかりと海外にお伝えをすることによって、海外にも冷静な対応を求め、ひいてはそのことが、今お話がありましたように、被災をされている方々を含めて、現地の方々の不安を少しでも解消することができるように努めてまいりたい、このように考えております。

秋葉委員 もちろん、大臣おっしゃるように、それぞれの国の判断というのは当然なんですけれども、ただやはり、国内では二十キロ圏内までが避難指示だ、三十キロまでが自宅待機だよという数字が出ているわけです、これは政府として。そして、その米国のエネルギー長官は、そういう日本のスタンダードは問題ないよというようなことを言っているという今のお話がありましたけれども、実際、米国は八十キロ、そして、米国だけではなくて、ほとんどの国が八十キロ圏内についての避難勧告を出しているわけですね。シンガポールに至っては、百キロ圏内ということで出している。

 ですから、この三十キロ圏内という日本の指示と、そして国際社会の中で、ほとんどの外国が八十キロ圏内を指示しているということで、五十キロのギャップがあるわけですね。このギャップに対する国民の不安というものが非常に今、大きいわけです。日本の政府が出している、その三十キロ圏内の自宅待機というのは果たして妥当なんだろうか、まさにそういう不安があって、また、政府のそうした指示が、ある意味で納得できないという面があるからこそ、いろいろな人が移動を始めている面があるわけですね。

 ですから、これは非常に難しくて、ある意味で想定外のような事態も想定して、大きく指示を出していくということも大事だ。一方で、それが無用の混乱を招いたり、かえってパニックに陥ってしまうという面ももちろんありますから、その兼ね合いというのが非常に難しいのはわかります、現実の政治判断の中では。しかし、国民から見れば、なぜ日本は三十キロ圏内で大丈夫なんだ、諸外国は八十キロ圏内ということで言っているのにという不安がやはりあるわけですね。

 このことについて、大臣はどういう認識をお持ちですか。

松本(剛)国務大臣 確かに、我が国と米国との関係から申し上げても、また、国際的にも米国というのは大変大きな存在でありますので、米国が八十キロをとっている、それに基づいてかどうかは私どももわかりませんけれども、類する対応をとっている国があります。他方で、しかし、我が国の判断、説明を、また情報提供を申し上げ、判断を申し上げたら、それを支持するということで、同じ対応をとっていただいている国もあるというふうに理解をしております。

 残念ながら、異なる部分というのが大きく伝えられることはあろうかというふうに思いますけれども、諸外国という意味で、国際社会がすべてそろってということではありませんで、その意味で、各国の裁量だということに最終的にはなるというふうに申し上げたわけであります。

 そういうことも含めて、私どもとしては、まさに今委員おっしゃったように、範囲を確定するに当たっては、長官の方からもお話をさせていただきました、必要かつ適切な範囲をどこにするか、動く必要がない方まで被災をされて、御苦労されている中で動かすということに対する思いと、なおかつ、しかし、原子力発電所の問題をどこまで考えるかということのぎりぎりの判断で、必要かつ適切な範囲をしっかりと提示させていただいている、こうお話をさせていただいております。

 現在までのところも、やはり適宜周辺の状況についてはモニタリング等を続けているわけでありますけれども、現在はその判断を維持すべきだというふうに考えておりまして、変えるべき理由はない、こう考えております。また、そのことをしっかりと、現場からのお声として、足らざる点がもしあるとすれば、さらに努力を重ねていくことによって、しっかりお伝えすることによって御理解をいただけるように努めてまいりたい、このように思っております。

秋葉委員 御案内のとおり、今回は被災地と原発の問題というのがまさに同地域でございますから、ただでさえも、これだけの被災で現場が混乱しております。そこにこの原発の問題ですから、八十キロと言った瞬間に大変な混乱が起こる面もあるわけですね。ですから、現実的には、対応可能な面でとりあえずやっていくという意味で、私はやむを得ない面があったんじゃないかという認識は持っているんです。

 しかし、おかげさまで、徐々に急を要することは落ちつきつつあるわけです。きょうでもう十三日目になりますからね。ところが、この原発の問題については、残念ながら、総理の見通しとは裏腹に、全く落ちつきの気配が見えていないわけですよ。

 だから、初期の判断としては、二十キロあるいは三十キロということでも、ある意味ではやむを得ない面がある。しかし、これからは、一定の落ちつきを伴うことによって、私は、外務大臣として、閣議やその他の会議の中で、やはり諸外国はそれぞれの判断だから我々がコメントする立場ではないけれども、しかし、例外なくと言ってもいいと思うんですね、八十キロ圏内でやっているわけですから。そういう意味で、私は、これからの推移を見ながら、現場の避難状況、受け入れ先での状況を見ながら、もう少し万全を期していくということも外務大臣としてやはり発言していくべきじゃないかなという意味で申し上げているところでございます。

松本(剛)国務大臣 私の説明が誤解を招いたとすれば申しわけないんですが、二十キロ、三十キロということは、被災をされているからということで原子力発電所対応に必要な部分を削ってその数字にしたということは一切ないと理解をしております。今、私どもが原子力発電所の状況を把握する限り、そして周辺の状況を把握する限り、必要な部分として行ったというふうに理解をしております。

 また、繰り返しになりますけれども、日本に多くの外国人が、各国の方がおられるわけですけれども、多くの方々がおられる国の幾つかは、日本の退避の指示を理解し、そのままそれを受け入れるという形でやっている国もありますので、国際的にすべて八十キロだというふうなことは必ずしもないというふうに御理解をいただきたいと思います。

 その上で、繰り返して申し上げれば、原子力発電所そのものもそうでありますし、総合的に考えれば、やはり外国の方から見ると、当たり前のことですけれども、日本は外国なわけであって、自国ではないわけでありますから、その中で、場合によっては、国によっては、その自国民の保護について、慎重というか手がたい判断をされることがあるということは、逆に御理解をいただきたい。そして、そのことそのものの最終判断については、我々は、自国民保護は各国の範囲なので申し上げる立場にはないということを申し上げてきたわけでありますけれども、引き続き、なぜ日本がこういうことをとっているのかということは、国内の方々、国外の方々に御理解をいただき、そのことが適切であることもぜひ御納得をいただけるように努力は続けていきたいということを重ねて申し上げたいと思います。

秋葉委員 改めて伺っておきたいんですけれども、それはもちろん各国が判断することなのはそのとおりなんですけれども、客観的な事実として、避難勧告や出国、命令までいきませんけれども、今外務省で、そうした指示を出している国というのは何カ国だというふうに把握していますか。

松本(剛)国務大臣 先ほどお話ししましたように、国によって、八十キロであるとか圏外であるとか、そういったたぐいの勧告を出している国々が、やはり複数から二けたあるのではないかというふうに思っております。

 また、私どもの外務省の渡航情報というのもいろいろな段階がありまして、今、現にそこの国にいる人にまで退避を求めるというのが最終的な勧告になるわけでありますけれども、その手前の段階で、これからの新しい旅行はぜひ再検討していただきたいとか、また、不要不急であれば一度お帰りをいただいた方がいいのではないかとか、さまざまな段階での勧告をさせていただいているわけでありまして、現在も幾つかの国が、不要不急の方は日本を離れられたらどうだろうかというようなことを話をされているということは承知をしておるところでございます。

 私どもとしても、各国の在外公館の情報などを収集して、各国がどのような対応をしているかということは整理をしておるところでございますけれども、またさらに御必要であれば、個別具体的に御報告をさせていただきたいと思っておりますが、きょう手元にありますところでは、今のように御回答申し上げたいと思います。

秋葉委員 残念ながら時間となりましたけれども、何が言いたいかといえば、やはり日本の国民の皆さんが外国での状況とのギャップの中で不安に陥らないように、外務省としても、それぞれの国の万全を期す範囲でやっているんだというようなことで、しっかり説明責任を果たしていくということが大事だというふうに思っております。

 そしてまた、きょうはほかにも、被災者の皆さんの生活再建に向けての立法の強化を初め、あるいは災害救助関連の問題も絡めて少しお伺いしたくて、政務官や政府参考人にもおいでいただいていたんですが、残念ながらちょっと時間がなくて、申しわけございませんでした。

 外務省として、国民にわかりやすいメッセージをしっかり発信していただくことによって、不安心というものをしっかりと取り除いていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

小平委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 きょうは、大変政府お忙しい中、こうして松本大臣初め皆様においでいただきまして、ありがとうございます。

 また、冒頭、小平委員長の御提案によりまして、今回の被災者に対しての黙祷をさせていただきました。私どもも、被災者に対しての黙祷、特に、まだ見つかっていない方の一日も早い救出をお祈りさせていただきました。心から感謝を申し上げます。

 さて、きょうは、大臣所信に対する基本的質疑ということでございますので、まず、外務大臣の外交に対する基本姿勢、特に日米関係について、初めにお伺いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 所信そのものについては先般の委員会で申し上げさせていただきましたが、ここまでの御議論でもお話をさせていただいてまいりましたように、日米関係というのは、これまでも我が国外交の大きな柱でありましたし、これからも、基軸ということを申し上げたように、大きな柱でなければならないと思っております。

 おっしゃったように、日米関係には、相互の信頼というものに基づく大変関係を強化すべき内容がございますが、幸いにして私は、前大臣から長官と大臣との間の信頼関係、そして両国間の信頼関係というものを引き継ぐ形でスタートすることができた点は大変恵まれた状況である、このように理解をしておりますが、受け継いだものをしっかりと国民に、また日本国にお返しできるように、一つ一つの積み重ねをこれからしていくことが大事な課題だ、このように認識をしております。

小野寺委員 私どもも、日米関係が外交の基軸、そしてまた、これに伴い、周辺諸国との友好関係を増進させて国民の福祉に資していく、それが大切なことだと思っております。

 そういう中、今、国会の方で、在日米軍駐留経費負担特別協定がいよいよこの委員会でこれから議論されることになるんだと思いますが、大臣にお伺いしたいと思います。

 同種の協定に民主党は三年前、反対をされたかと思っております。今回、同種の協定がこのように出てまいりました。三年前民主党が反対した判断というのは、今でも正しかったとお考えかどうか、そのことについてお伺いをしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 この協定につきましては、五年前は民主党は賛成をいたしております。その際も、日米関係を支えるものであると同時に国民の税金を使うことになるという視点から、さまざまな議論を国会でもさせていただいたというふうに承知をいたしております。

 そして、三年前の、改めて当時の政府から協定について国会で審議を諮るというところに至った際には、私自身も、民主党の中でもこれについては相当議論を、党内でも議論をしたという記憶があります。私ども、当時は野党であった民主党の使命として、この在日米軍駐留経費負担特別協定というもの、このことそのものと、その結果として生じる税金の使い方ということについての国民の声に対する、我々への負託に対してどうこたえるのかということも踏まえて、議論を当時の国会で行ってきたというふうに理解をしております。

 その上で、五年前には賛成をして、三年前には反対をしたわけでありますが、一つは、HNS、在日米軍駐留経費負担特別協定そのものに反対をしたという趣旨ではない旨は、反対討論等でも述べてきたところだというふうに考えております。

 その上で、当時、この協定に基づく支出についてさまざまな指摘がありまして、その改善をどういうふうに行っていくのかということをやはり当時の野党民主党としては問題提起をしなければいけない、そのような議論から、党内でいろいろ議論をし、結果としては、この協定に対しては、党としては、御指摘のように反対の対応をとり、同時に、今の税金の使い方についてさまざまな指摘をしっかり討論で行わせていただくという対応をとらせていただいたというふうに承知をいたしております。

 しかし、結果として民主党がこの在日米軍駐留経費の負担の特別協定に反対をしたという形になりましたので、その結果が、民主党の日米同盟やこの協定に対する姿勢について、さまざまなお声、そして疑義が示されたというふうに私どもも感じておりまして、そのことはやはりしっかりと受けとめて、真摯に受けとめなければいけない、このように考えているところでございます。

小野寺委員 改めて日米同盟の大切さというのを、政権を担われて感じられたんだと思います。また、民主党内でも、この問題に対しての反対の決議の際に欠席をされた心ある方もいらっしゃったと後で伺いました。政権を担われるということは、時のさまざまな国民の御意見がございます、むしろその国民の意見について、説明をし、説得をするというような姿勢も大切かと思っております。ぜひ、これからもこの日米同盟基軸でしっかり頑張っていただきたい、そう思っております。

 さて、きょうは外交全般でお話を伺う予定でございましたが、御案内のとおり、大きな震災が起きております。このことについて、外交面についての指摘を少しさせていただきたい、そう思っています。

 私は、気仙沼という宮城県の、今回被災に遭った場所に住んでおりますし、また、震災直後から、ずっとこの地域でさまざまな声を聞いております。

 実は、まず真っ先に上がった問題というのは、三陸沿岸、これは、ほかの地域、大船渡も陸前高田も同じような状況ですが、外国人の研修生、特に水産加工場に関しての中国人の研修生の方がたくさんいらっしゃいます。そして、初めにまず、この方々が避難所に避難をされました。避難所で生活をされる中で、今までであれば、寮の中で、中国人の方という中でのカテゴリーでさまざまな研修あるいは生活をされておったんですが、これが、一般の体育館等に避難をされ、一般の日本人の、特に外国人と余り接したことのない多くの地域の住民、高齢者も含めて、一緒になることになりました。

 文化の違いがございます。例えば、食料の配布、それを並んで待つ文化のある日本と、どちらかといえば、自分がそれぞれとってくるという文化なのかもしれません、さまざまな文化の違いというのがある中で、避難所の中で、大きいとは言えませんが、トラブルが実は発生したということも現実であります。

 また、もう一点ありますのは、すぐにお願いされたんですが、研修生も、大変怖いということで、帰国をすぐにしたい。そしてまた、雇用者側も、もう生産機材がすべてなくなってしまいました。避難所の食料も限られております。私も初日に口にしたのは、おにぎり一個を三人で分けた、そんな状況です。そういう中で、この中国の研修生の方が、一刻も早く帰国したいという要望が強く出ておりました。

 ところが、外務省に御相談をしても、これは中国の大使館の問題であるということで、その際、私は、中国大使館にお願いをし、そして、うちの事務所で新潟からバスを何台も仕立てて、気仙沼まで陸路をずっと来ていただき、そして中国人の研修生の方に乗っていただいて新潟空港までお届けし、そこで現地の領事に、もうパスポートもすべてありません、お話をして、出国をするまでさまざまな手配をしました。

 実は、このような事例がこういう場合には発生するんだと思っています。大変恐縮な言い方ですが、日本にいるこのような、例えばこういう研修生の方の安否の問題、避難の問題、そして帰国支援の問題、このことについて、外務省はどのような対応をとられているのか、あるいは態勢を想定されていたのか、お伺いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 今お話がありましたように、もし、委員のお問い合わせに対して、私どもの方が、それは中国大使館の仕事だと、おっしゃったような答えをそのまましたのだとすれば、私も、改めて、必ずしも答えとしては適切でないと思います。もちろん、本来、それぞれの国でありますから、確かに手続的、法的にはそうでありますけれども、私ども外務省も、在京の大使館を支援する立場でありますので、そのようなお話があれば、しっかり窓口となって話をつながせていただくのが本来のあるべき姿だ、このように思っておりますので、もしそういうことができていないとすれば、その点は、早急にしっかり調べて、また改めなければいけないというふうに思っております。

 その上で、先ほどの御議論の中でもありましたけれども、一つは、文化の違いについては私どももいろいろな形で、自治体については、必要な御支援があれば私どもとしても全面的に御支援をしたいということは、政府の本部を通じて各省にも指示が来ておりますので、しっかりしていきたいと思っております。

 私どもも、兵庫県で避難所というものも実際に見てまいりました。国どころか家族ごとに、生活をしてみたら文化が違うと言ってもいいぐらいの状態が避難所で発生をしていたわけでありますから、今回、おっしゃったように、国も違うということになれば、さまざまな形でのそういったものが発生をしている可能性は、御指摘のように十分にあるだろうと私も想像ができるところであります。

 その上で、今回、震災が発生して以降、私どもとしては、在留の外国人の方々の保護に各国大使館が動かれるのを全面的に支援するということは外務省の重要な、今回の柱の一つだということで、速やかに在京の各国の大使館と連絡、交流する場をつくりまして、また、私自身も関係の、例えば自治体を所管する総務省であるとか、それからまた省内で警察とかとも連絡をとりまして、各省の自国民の確認に必要な作業というのを全面的にバックアップするという態勢をとらせていただいた、このように考えております。

 その部分で、また、今もお話が、繰り返しになりますけれども、ぜひ万全に近づくようにあらゆる努力をしたいと思っておりますので、現場に最も近いところにおいでになられる小野寺委員の方からお気づきになったり御指摘がありましたら、そのことを受けて、できる改善は全力を挙げてまた重ねていきたい、このように考えております。

小野寺委員 私も余りこういう厳しい言い方はしたくないんですが、現実に今回の例えば中国人の研修生の方の帰国に関しては、外務省が何かしたことは全くありません。それから、恐らく、私は逆にすばらしいなと思ったのは、中国の大使館です。

 新潟の領事あるいは東京の大使を含めて、中国の方が実は新潟空港だけでも二千人殺到しました、この方々を帰国させるために、すぐにチャーター便をたくさん用意し、そしてパスポートのない方に速やかに発給の用意をし、食事その他の、順番待ちが大変ですから、手当てをするということを、速やかにむしろ中国側がしっかりやっていました。残念ながら、日本の外務省は正直何もしておりませんでした。

 この現状を見て、こういう危機対応のときの大切さというのをむしろ今回は参考にし、また学ぶべきだというふうに思っております。もし何かお話がありましたら。

松本(剛)国務大臣 中国大使館からは、今お話があったようないわば活動については、報告と要請はずっといただいておりまして、新潟空港の利用であるとかその間のことであるとか、私どもとしても、中国大使館と連携をしつつサポートをしてきたつもりではございます。

 ただ、もちろん、冒頭にも申し上げたように、大使館が前面にお立ちになる中で、私どもがそこで前面に立たせていただくことはない点がありますけれども、私どもとしては、連携をさせていただき、また関係省庁への連絡など必要なサポートはさせていただいたつもりではございますけれども、その点について、また新たに御指摘を踏まえたことはしっかりと受けとめさせていただきたい、このように考えているところでございます。

 なお、例えば自治体という点で申し上げれば、岩手県からは御要請をいただいて、中国語のできる職員を出してくれということで既に派遣をいたしておりまして、中国人の方々に対して今後の行動などについての希望などの確認を県職員とともに行ったというふうにも承知をしておりますので、そういった点もまた御理解をいただくと同時に、御要請に我々もしっかりこたえていくようにしていきたい、このように考えております。

小野寺委員 もう一点確認したいのは、日本にたまたまいらした旅行者、あるいは、それぞれの地域でお住まいですがなかなか日本語がわからない、そういう住んでいらっしゃる外国人の方もいらっしゃると思います。こういう方々が、特に日本人であっても一体どのような形でどこの避難所に行ったらいいのかがわからない、あるいは、帰国したくても、新幹線も道路も全部とまっております、例えば飛行場までどういう形でたどり着いたらいいかもわからない、こういうことに対しての周知についてはどのような努力をされておりますでしょうか。

松本(剛)国務大臣 今も避難所におられる方々などへの情報提供というのが、まだまだこれからしなければいけないことがあるということで各避難所からもお話が上がってきているというふうに理解をしております。

 そして、外国人の方については、私どもも登録ベースではどのぐらいの方がいらっしゃるかということは承知をしておりますけれども、今お話があったように、一時的な方であるとかを含めて、全容というのは、まさに、各国大使館からむしろ情報をいただいた範囲で掌握をするという仕組みになっていることは事実であります。

 その上で、我々としては、各国の大使館がこういうことが必要だ、こういうことをしてほしいということに対しては全面的におこたえをするようにさせていただいておるつもりでありますし、また、今お話があったように、現実にたくさんの外国人がおられると思っている地域には、例えば言葉のわかる職員を派遣するなどしてサポートすることによってそういったことにこたえられるのではないか、こういうことを考えておりますし、さらに、言葉を含めた情報提供のあり方等の御提言をいただいたものについては、できるだけ速やかに対応できるようにまた方途を探っていきたい、このように考えております。

小野寺委員 災害発生から間もなく二週間近くになります。今、外務省員で、岩手県というお話がされましたが、このような外国人に対する支援のために現地に入っている職員は何人いらっしゃいますか。

松本(剛)国務大臣 外務省の職員に加えて、官邸というか本部側に出している職員も含めて、一時的に出張している者と、それからある程度地方自治体にお預けをしている者と、全体として何人かというのはちょっと今手元に持っておりませんけれども、御要望をいただければどんどん出していきたいということでかねがねお声をかけさせていただいておるところでございまして、これからもまた必要に応じて態勢を整えなければいけないというか、ふやしていかなければいけないところはしっかりふやしてきたい、こう考えております。

小野寺委員 何か要請があってということですが、既に自治体が消滅しているような、岩手県の沿岸ではそういうところもたくさんございます。私も自治体を回っていて、とにかく避難所、避難民、そういう方の支援でもう手いっぱいなのが自治体です。待っていて要請があったら行きますというレベルの話ではないと私は思いますので、ぜひこれは、むしろ、こういうことが想定される、あるいはこの地域にこれだけの研修生の方がいらっしゃる、中国の方なのか、それであればしっかりその対応をこちらから率先してすることが大切だと思います。

 実は、災害地、現場は、今、もう本当に大変な混乱、これだけの災害ですので、どんな努力をしても恐らくさまざまな不備なところが見えてくると思います。言われなくてもそういうところに手当てをするというのが政府の大切な役割だと思います。どうも何か今回の被災に関して外務省の役割というのは、外国から来た救援物資に対してありがとうと感謝の言葉を言うような、そんなことだけの印象にしかとられておりません。

 恐らく大臣は、先ほど、中国の研修生がこれだけいて、出国のときに、このような状況になって大変な混乱があってということは、きょうの質疑で初めて聞かれたと思います。失礼しました。もし知っていらっしゃったらもっと速やかな対応、そして、私どもが外務省に確認したその瞬間に、私が確認したその瞬間に、これは中国大使館ですというふうに回された。私が質問して、直接電話をして、その担当者に中国大使館の問題ですと言われて、中国大使館のルートを探して、そこから、うちの事務所ですべてこのロジをやったということであります。これが、外務省がしっかりやっているということを改めてもしお答えするのであれば、私は、ちょっとその認識は違うのかなというふうに思っております。

松本(剛)国務大臣 委員の御尽力には改めて敬意を表したいと思いますし、足らざる点は、冒頭に申し上げたとおり、私どもも、正すべき点は正していくような組織のリーダーでありたい、こう思っておりますので、今の御指摘は謙虚に受けとめたいと思います。

 同時に、ただ、中国の方々が新潟から出国をされるという計画とその実行については中国大使館から報告を受け、私も報告を受けておりましたので、通行であるとか空港であるとか、そういった中国大使館からの要請にはしっかりこたえるようにと指示をして、対応をしてくれたものと理解をしておりますが、その手前のところで、今委員がおっしゃったように、さまざまな課題を実際には委員の事務所がサポートされたということは、委員のお話を今お聞きして私も理解をさせていただいたところであり、そこにおける外務省の役割というので必要なことというのは考えなければいけないと思います。

 一点だけ、私もちょっと、正確に申し上げようと思ってあれでしたが、地方に派遣するに当たっては、もちろん最終的には御要請をいただいてという形をとっているということで、実際には、私も、外務省の中でも判断をしましたけれども、各市町村には恐らく個別には言ってもあれだと思いますので、各県単位でお声をかけさせていただいて、ぜひ必要があれば送りたいという気持ちはお伝えをさせていただいております。

 ただ、私どもとしても、いきなり押しかけていくのか、ある程度は、一応県はコミュニケーションがとれる状況でありますし、現地に対策本部もありますので、そこと連携をとらせていただいている範囲の中でというふうに思っておりますが、おっしゃったように、こういう状況のときには待っていて何かをするのでは間に合わない、もしくは足らないという御指摘は、私どももしっかり受けとめたいと思っております。

小野寺委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そして、たまたま今回の事例は、その研修生を受け入れている水産加工場の皆さんが私のことを知っていたから、たまたま私の携帯がつながったから、実は帰国のこのようなロジができるようなことになりました。

 実は、被災地を回ってみますと、まだまだ日中、被災現場をとぼとぼと歩いている多くの被災民の方がいるんですが、その中に、着のみ着のままの中国人の研修生の方、特に若い女性が多いんですが、こういう方が多数見受けられるのも現実です。そしてまた、生産現場はもう既に何もありません。経営者が既に行方不明になっている、あるいは亡くなっている場合もございます。ですから、この方々は恐らくもう帰国しなきゃいけない状況にあるんですが、どうやって帰国していいかわからない、こういう状況がまだまだ随所に見られるんだと思います。

 中国大使館も恐らく手が回らない、ほかの国の大使館も手が回らない場合は、ぜひ国内にいる外務省の省員の皆さんにこのような御配慮をお願いしたい、そのように思っております。

松本(剛)国務大臣 ちょっと具体的な人数は、私どもも掌握をしておりますけれどもお答えするのは差し控えたいと思いますが、中国大使館とも連日情報交換をし、現段階で安否の確認が必要な方が何人いらっしゃって、きょうの段階で双方の情報を突合して、これだけの方は所在がわかって、引き続き何人が必要だということは緊密に連絡をとり合っている中で、ただ、大使館と私どもに入ってくる情報と、また地元でひょっとしたら違う情報があるとすれば、また私どもとしても必要な連携はとらせていただいて進めていきたい、こう考えております。

小野寺委員 ありがとうございました。

 きょうは、防衛省から小川副大臣においでいただいています。大変お忙しい中、ありがとうございます。

 今、被災地では、自衛隊の皆様、これは陸自、海自、空自初め、米軍も含めて大変なお力をいただいております。そんな中、物資の輸送、それから捜索、さまざまな活動をしていただいているんですが、いよいよ避難生活ももう二週間近くになってまいります。今、自衛隊の皆様に御支援していただいているのは、特に避難所、あるいは避難所に通う近隣の、いわば物資の供給が断たれた住民、こういう方が多くなっております。

 そういう中で、一つは、ずっと冷たいおにぎり等の配給、パン等の配給で生きてきた方々に、今ようやく、調理の支援の車でしょうか、温かい食料、食事を提供できる、そういう態勢が自衛隊のおかげでできておりますが、まだまだ一部の避難所に限られております。特に避難所は、住民は避難所を選べません。自分がこの地域に住んでいればここの体育館に行ってください、この地域の住民であればこの体育館に行ってください、そうしますと、それぞれの避難所で、炊き出しがある避難所もあれば、そうでもないところもあります。

 まず、このロジスティクスといいますか、支援の態勢、これが今どうなっているのか、そしてさらにこれは拡充が必要だと思うんですが、緊急性も要します、どのような緊急対応をお考えか、教えてください。

小川(勝)副大臣 お答えをいたします。

 御理解をいただいておると思いますけれども、地震が発生をして、津波が発生した直後は、総理の御指示もございまして、人命救助、救難、捜索に全精力を傾けておりました。避難所の皆様には本当に少ない食料や最低限の水で我慢をしていただいたのは事実でございます。しかしながら、日にちがたつにつれて、なだらかに生活支援の方にどんどん人あるいは労力を割いていくことができるようになりました。

 まず大事なのは、孤立している方々を見つけるということでございます。自衛隊しか運べないところはヘリで物資を輸送しておるわけでありますけれども、その行き帰りに、手を挙げている人はいないか、孤立している集落はないか、あるいはHやSOSのマークはないか、これは陸海空、米軍を通じてやってきたことでございます。

 現在までのところ、孤立した集落はもうなくなっているというふうに把握をさせていただいております。そして、食料も全国から多数寄せられておりますので、あとは効率的に、避難所や自治体のニーズに応じてどれだけ合理的に運べるかという態勢も着々と整えられてきているというふうに報告を受けているところでございます。

 最低限の暮らしから少しずつ文化的な生活に向けて、被災地に向けてのロジスティクスも完成しつつあるというふうに考えておりますし、また、足らざる点、あるいは補わなければならない点は、地元の実情をよく御存じの小野寺委員からも御指摘をいただければ、そのように対処をさせていただきたいというふうに思ってございます。

 避難所生活が長引く皆様におかれましては、まだまだ寒い季節でもございますし、さまざまな問題を抱えておられるというふうに思います。自衛隊といたしましてできることは何でもさせていただくつもりでございますので、さまざまなアドバイスをいただければと思います。

小野寺委員 ちょっと具体的なお話で恐縮なんですが、特に地域住民の方、避難所の方で最大のニーズは、実は入浴の支援です。被災して、被災ということは、結局、津波の波をかぶって潮だらけになって、一部油まみれになって、そして逃げおおせてようやく暖をとって休んでいる状況ですが、既にもう二週間になろうとしております。一度もふろに入ることができない、こういう避難民の方が何万人もいるという現状がございます。今でも、ガスも、ようやく水道が出てまいりましたが、電気も不十分なところもあります。

 たしか避難所は千カ所に上るような状況になっていると思いますが、今、この入浴支援ができている避難所は何カ所ぐらいあるでしょうか。

小川(勝)副大臣 お答えをいたします。

 現在、岩手県で五カ所、宮城県で五カ所、福島県で四カ所、入浴支援を行っているところでございます。

小野寺委員 千に上る避難所がある中で、今の数を足すと十幾つしかないということだと思っています。これはもう住民にとって耐えられない状況になります。

 そして、なぜ住民の方が今でも避難所にいるかというと、一つは、自分の家族がまだ見つかっていない、そして自分の家も近くにあり、そこから離れるのが忍びない。一番は、やはり家族の不明だと思っています。またもう一つ、最近のロジの問題では、ガソリンがない、ですからそこから移動することもできない、このようなこともあります。多分、もう少し長期にこの避難所は使用することになるんだと思います。

 この入浴支援を初め、さまざまな生活支援というのは、まだまだ自衛隊としてこれからできる余力があるのか、もう既におふろは十幾つで終わってしまっているのか。できれば、日本全国から少しでもこのようなものをかき集めて、避難所、長期生活になっても対応できるような、そのような支援をお願いすることはできないでしょうか。

小川(勝)副大臣 この入浴支援施設は限られたアセットでございまして、実は四セット、ハイチの方に行っておりまして、あとどれだけ追加できるかはこれから調べさせていただきますけれども、御案内のように、限られた数を多くの避難民の方に供していただくということでございますので、なるべく地元の皆さんのニーズにこたえていけるように努力をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 まずは、入浴施設の設置の場所、そして水の供給というのが一つのポイントになります。そしてまた、自衛隊の方で勝手に行っておふろを設置するというわけにはまいりませんので、県や自治体のニーズをしっかりまとめていただくということが大切かと思います。少なくともたくさんの皆さんに入浴をしていただきたいというつもりで隊員も頑張っておりますので、さまざまなアドバイスをいただければというふうに思っているところでございます。

小野寺委員 現地の隊員は頑張っているんです。ですから、そこにもう少し機材をしっかり送っていただきたい、そう思っています。

 実は、民間の団体の方が、この入浴支援の装備を購入しようと思って持ちかけたら、既に防衛省がすべて購入の予定をしているということで、売ってくれなかったというお話がございます。恐らくどこかでこのような設備、支援のサービスの機材が滞っているんじゃないかと私は思っていますので、ぜひ副大臣、もう一度省内をしっかり精査していただいて、そのような滞り、あるいは、自治体は入浴サービスどうですかと言ったら喜んで皆さん受けるはずですので、むしろ地域の配分が大切だと思っています。

 宮城県五カ所、岩手県五カ所といっても、あれだけ広いエリアです。ですから、そこに行けない人がほとんどだと思いますので、ぜひ、その配分も含めてしっかり検討していただきたいと思います。

小川(勝)副大臣 委員の御指摘もいただいて、さらに全国から入浴施設を集めることを検討させていただきたいというふうに思います。

 また、入浴支援にも人が要るわけでございまして、多くのさまざまな活動を自衛隊員がしておるわけでございますので、ほかの任務とあわせて調整をさせていただきたいと思うのと同時に、やはり入浴が大切だという委員の御指摘をしっかり承りたいと思います。

小野寺委員 頑張っていらっしゃることを踏まえ、そして感謝を述べた上で、今のような御指摘をさせていただきました。

 最後に、被災者にとって今もう一つの大きな不安は、ようやく物資がある程度供給されて心も少し落ちついてきた、さて、では自分の生活はこれからどうなるんだろう。

 一つは、雇用の問題、働く場。

 実は、これは地元気仙沼での話ですが、地震発生の翌々日には既に解雇を言い渡された避難者の方もいらっしゃいます。実は、こういう非常事態の場合には、雇用調整助成金の中で、例えばこういう天災であれば政府の方で給与の八割、最大九割を支援する、三年間で三百日支援できる、こういう雇用調整助成金のスキームもあります。

 これが例えば雇用主にしっかり伝わっていれば、このような一番ひどい状況での解雇ということにならずに、もう少し、再建のために一年間努力をする上で、給与が支払えるから頑張ってくれというようなことが行われたんだと思います。被災者に対して、こういう生活再建に対しての広報、通報というのが大変不十分だと思っています。

 さらに、今度は住宅の問題。

 現在のスキームでは上限三百万という支援があるというふうに伺っておりますが、今回の震災ではもちろんこれは足りません。地震の場合には、家が倒壊をしますが家財は残っています、服やその他ですね。ところが、津波の場合にはすべて流されて使い物になりません。ぜひ、この再建についてさらなる支援をしていただきたい。

 きょうは内閣府の方から、小滝参事官、来ております。このことについての現在の政府の取り組みについて教えていただければと思います。

小滝政府参考人 お答えさせていただきます。

 三月十七日の緊急対策本部の決定を受けまして、現在、被災者生活支援特別対策本部におきまして、被災者の生活上のさまざまな課題について、ボーダーレスに、総合的に対応する態勢を整えさせていただいております。雇用の問題、医療の問題、福祉の問題等含めまして、できる限りのことをとにかく最大限やっていくということで、今懸命に努力をする態勢をつくりまして、取り組みを開始しているところでございます。

 そうした中で、具体的なお尋ねとして、被災者生活再建支援金の点についてお尋ねいただきましたけれども、この支援金は、住宅が全壊等の被害を受けるなど一定の要件に該当した場合に、被災世帯に対して最大三百万円が支給される制度となっております。

 支援金額につきましては、今回の東北地方太平洋沖地震が前例のない大規模な災害で、被害が大変大きいといった状況があるわけでございますけれども、個々の被災者に着目いたしますと、新潟県の中越沖地震や豪雨などの災害で被害を受けられた方々との公平論が課題になるということなど、検討されるべき問題も少なくないと思っております。

 被災者への支援につきましては、他のさまざまな支援制度との総合的なバランスにも配慮しつつ、慎重に対応していく必要があるものと思料しているところでございます。

小野寺委員 ありがとうございます。

 参事官としての答弁は既存の制度の中の範囲を抜けないと思いますが、今回は数千年に一回の大変な災害ということになります。ぜひ、通常の枠組みではもうカバーできない状況だということを、きょうは政務三役いらっしゃいますし、また同僚のここにいらっしゃいます外務委員の皆さんも共通の認識だと思っています。政府を挙げて、議会を挙げて、さらなる支援をしていただくことを心からお願い申し上げまして、では最後に一言。

松本(剛)国務大臣 繰り返しになりますけれども、万全を期したいという思いでやっていますが、万全に近づけるように、御指摘も受けながら、できることはすべてやるという気持ちで全力を尽くしたいと思います。

 御指摘をいろいろいただいたことに感謝を申し上げながら、これから努力をしたいという決意を申し上げて、お答えにしたいと思います。

小野寺委員 どうもありがとうございました。

小平委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私も、まず冒頭に、東日本大震災でとうとい命を失われた方々に心から哀悼の意を表するとともに、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。

 先ほど小野寺委員の方からも質問がありましたし、重なるかとは思いますが、今回の震災に当たって、外務大臣に、冒頭の所信質疑がそういう形になりましたのも天災であるがゆえの面がありますが、できるだけ被災を軽減していくという立場から、外国人の被災の問題について改めて政府に伺います。

 今回の大震災では、多くの外国人が被災をいたしました。地震、津波に加え、原子力発電所の事故が外国人の間の不安を一層大きくしています。

 中国大使館によれば、震災が起きたとき、岩手、宮城、福島、茨城の四県には三万人を超える中国人がいたという報道もあります。さらに、三陸沿岸の水産加工会社などでは中国人を初め数多くの外国人研修生が働き、留学生や農漁村に嫁いだ外国人女性もいたとしております。

 外国人の被害状況も明確にして、対応面でも万全を期すということは政府の重要な責任だと思いますが、現在把握している外国人の死亡者数は何名か、そして何カ国に及んでいるか、また各国に現状はきちんと報告されているのか。いかがですか。

伴野副大臣 赤嶺委員にお答えいたします。

 現在、各国在京大使館より安否不明な在日外国人の方々の情報を聴取いたしまして、外務省にて取りまとめをいたしております。警察庁や地方自治体等に照会しておりまして、在京大使館とも連絡をとり合っているところでございます。

 また、先ほど大臣からもお話ございましたように、岩手県などからは、要請に従い、外務省職員三名を派遣し、中国人の方々等の安否確認を行っているところでございます。

 しかしながら、大変恐縮でございますが、全体的な外国人の被災者数及び死亡者数につきましてはいまだ正確に把握するに至っておりませんで、困難な状況にあることをお許しいただきたいと思います。

赤嶺委員 被害の全体が見えない中で、しかしなお、いろいろな負担を持っていらっしゃる外国人も被災をしている。やはり政府の責任でその実態もきちんとつかんでいただきたいと思うんです。

 避難所にも多くの外国人が避難をされていると思いますが、言葉の問題など、外国人にきちんと情報が届くような態勢はとられているんでしょうか。

伴野副大臣 現在のところ、在日外国人の方々への情報提供につきましては、地震発生後、外務省のホームページにおきましても、英語、中国語、韓国語ということで、外国人向けの情報を提供しているところでございます。また、外務省におきましては、在京大使館におきまして説明会を毎日開催しておりまして、さまざまな情報を提供させていただいているところでございます。さらに、外国人に関する相談につきましては、被災地の各自治体にて相談窓口を設置しているものと承知をしているところでございます。

赤嶺委員 ぜひ万全を期していただきたいと思います。

 そこで、今度は普天間基地問題について伺っていきます。

 松本外務大臣とは安保委員会でも理事を一緒に、仕事をいたしましたし、安保、外交に大変通じていらっしゃるということを念頭に置いた上での、また私の立場からの質問であります。

 三月十五日、パリでG8外相会議の際、日米外相会談も開かれ、松本大臣はクリントン国務長官に、普天間飛行場の移設問題は日米合意に基づき真剣に取り組んでいくと表明し、2プラス2を適切な時期に開催すると確認しています。

 日米間で合意に向かってスムーズに進んでいるかのように見えますけれども、ところが一方、沖縄では、普天間基地の辺野古移設に対する県民世論は一段と厳しさを増している情勢です。もう辺野古への基地建設は不可能だというのが県民の共通認識であります。そこへ、今回の米国務省元日本部長のケビン・メア氏の、沖縄の人はごまかしとゆすりの名人という暴言があったわけです。米国政府の謝罪と日本部長の交代にもかかわらず、今でもなお大きな怒りは広がる一方であります。

 外務大臣も、ケビン・メア氏の発言について、報道されている発言が事実とすれば、極めて不適切と述べておられます。具体的に発言のどの部分が不適切だとお感じになったんですか。

松本(剛)国務大臣 まず、御指摘ありましたように、G8の際に日米の外相会談も行ってまいりました。また、委員からお話がありましたように、委員とともに国会の中での活動、同じ委員会で活動する機会があり、私も安全保障政策、外交政策の議論に加わる機会をいただいてまいりました。また、今お話がありましたように、私自身も普天間も何度も参りました。辺野古へも何度も伺わせていただきました。

 その中で、お話がありましたように、昨年五月二十八日の日米合意に基づいて真剣に取り組んでいくことが外務大臣として必要だと考えましたので、米側にもそのことを表明し、長官からは、日本側と協力をしていきたいという旨述べられたわけでありますが、同時に、引き続き、この問題については、昨年五月の合意を踏まえて、沖縄の皆さんに誠心誠意説明をし、理解を求めながら、最優先課題として取り組んでいかなければいけないという認識を持っていることをぜひお伝えさせていただきたいと思っております。

 なお、お話がありましたメア氏の発言については、報道されておるメア氏の発言について私も承知をしておりますが、このこと自身は、私もお聞きをさせていただいて、不適切であると同時に、沖縄のみならず日本国民を傷つけるものであって容認できないということをお話をさせていただきました。

 報道されている部分は報道機関によって違いますけれども、長いもの、短いものもありますが、個々の部分、個別の言葉を私が今ここで取り上げて申し上げるのは適切ではないのではないか、このように考えますが、先生もよく御承知のとおり、報道されたメア氏の発言というのは私も日本人の一人として到底受け入れられないということは米国側にも申しましたし、今でもその気持ちは変わらないということを申し上げたいと思います。

赤嶺委員 私は、沖縄県民のみならず日本人全体への侮辱だと、そういう点について具体的に御指摘をいただきたかったわけです。

 メア氏は、二〇〇五年から六年にかけて在日米大使館の安保部長を務め、二〇〇六年から二〇〇九年までは沖縄で在沖米総領事を経て、さらに今回、国務省の日本部長として、米軍再編協議、ロードマップ、五月の日米合意など、アメリカを代表して辺野古新基地建設を進めてきた張本人であるわけです。そのメア氏が、沖縄で問題になっている基地はもともと水田地帯にあったが、沖縄が米軍施設を囲むように都市化と人口増を許したために今は市街地の中にあると普天間基地の形成過程について述べているわけです。

 この発言はメア氏個人の見解なのか、あるいはアメリカ政府全体の認識なのか、この点は、外務大臣、いかがですか。

松本(剛)国務大臣 今回の件については、この報道されたメア氏の発言に対して、私自身、出張してきましたキャンベル国務次官補から陳謝を受けましたし、それは米国政府としての陳謝であるということ、同時に、メア日本部長が交代をするという人事も速やかに行われたわけでありまして、少なくとも、個々の部分ということではありませんが、報道されたメア氏の発言は米国政府の立場と相入れないというようなコメントがあったというふうにも承知をしておりますので、そのように理解をいたしております。

赤嶺委員 田んぼの真ん中に基地をつくって、沖縄県民が集まって都市化して危険になった。キャンベル氏は、メア氏の報道されている発言はアメリカの公式の見解とは違う、そういう報道があるわけですが、ただ、基地の周りに県民が集まってきたことが問題だというのは、アメリカ政府の高官が繰り返してきた発言であります。松本大臣もその機会があったと思いますけれども、国会の調査で普天間基地の司令官と懇談をしましたら、必ずそういう説明を受けます。普天間基地をつくるころはそこは畑だった、だれもいなかった、だんだん都市化してきたんだと。こういうのはメア氏のみならずアメリカ政府の全体の認識ではありませんか。

松本(剛)国務大臣 事実として、かつての普天間基地の状況がどうであったのかということと今がどうであったのかということの比較がなされることはあるかもしれませんけれども、そのことを、今おっしゃったように、評価をしているというのは少なくとも私どもの立場ではないと思いますし、私どもはその立場で米国と協力をして理解を求めていこう、このように考えておると御理解をいただけたらと思います。

赤嶺委員 事実の比較という点で、何が事実かと。事実認識でいえば、メア氏も米軍の高官も同じことを繰り返しているわけです。

 私は歴代の外務大臣にも問いかけてまいりましたが、普天間基地は、戦争の真っ最中に住民が避難し収容所に囲われていたとき、米軍が勝手につくった飛行場であるわけです。収容所から出てきたときに、住宅も学校も飛行場に変わり果てておりました。土地や住宅を米軍に奪われた人々が自分の故郷に住みついたというのが歴史であります。国際法にも違反して、住民の土地を奪って勝手に基地をつくった自分たちの責任をほごにして、責任を県民になすりつける議論が繰り返されていると思うんですね。

 あの普天間飛行場、沖縄全体の基地の形成過程ほとんどそうですが、住民を追い出して、住宅や学校や畑も取り上げて勝手に米軍がつくった基地、あるいはだれもいなかったところに米軍は基地をつくった、どちらを歴史の事実として認識していらっしゃいますか、外務大臣は。

松本(剛)国務大臣 沖縄県はそもそも我が国でありますし、当然、米軍基地ができるまでは我が国の民間の方もしくは公的な方々の土地であった、このように理解をしております。

 先ほど事実と申し上げたのは、実際にできた直後にその周りに何があったかということと今何があるかということについては事実はそうかもしれないということを申し上げましたが、責任がどこにあるとかそういう評価について、私自身は、また日本政府としても、沖縄県民の方々に責任があるというふうに申し上げたというふうには理解をしておりませんし、またその立場から米国と協力をして政策を進めていきたい、こう考えているというふうに御回答申し上げたというふうに御理解をいただけたらと思います。

赤嶺委員 世界一危険な飛行場と言われている普天間飛行場は、県民が基地の周りに集まってきて危険になったのではなくて、住宅や農地あるいは学校などを奪って、市街地の真ん中に、当時の宜野湾の市街地の真ん中に基地をつくったがために今のような危険な状態が生まれている、そういう認識でよろしいですね。

松本(剛)国務大臣 先生がそのように御認識をしているということは今お聞きをいたしました。

赤嶺委員 これは日本政府として持つべき認識であり、それがないと、メア氏のように田んぼの真ん中にあったと言われても日本政府から何の反論も出てこない、そういうことになるわけです。

 もう一つは、金の力で米軍基地の建設を推し進めようとする認識の問題であります。

 メア氏は、沖縄の人は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人だ、日本政府は沖縄の知事に対して、もしお金が欲しいならサインしろと言う必要があるなどと発言をしております。

 しかし、この点では、日本政府自身が、SACO合意以降、名護市辺野古への基地建設を受け入れさせるために毎年百億円の北部振興策を推進してきました。さらに、防衛省の守屋元事務次官のもとで、新たな基地建設を受け入れた自治体のみを対象にして計画の進捗状況に応じて出来高払いで交付金を支払うという、基地周辺自治体住民を愚弄する米軍再編交付金の制度までつくりました。民主党政権になってもこの制度を継続して、先般、名護市に対して、交付金の支給を打ち切っているわけです。

 今回のメア氏の発言のように、ここまで露骨な表現を使うかどうかは別にして、まさに、日本政府自身が振興策という金の力で基地を押しつけようとしてきた、これがこれまでの経過ではないでしょうか。

松本(剛)国務大臣 報道されたメア氏の発言を御引用になっておられますが、冒頭に申し上げたように、特定の部分をということは申し上げませんけれども、報道されたメア氏の発言は、我が国としては、不適切であり、日本国民の感情を傷つけるものである、同時に、米国政府としては、米国政府の立場と相入れないものであるということを表明していることを改めて繰り返し申し上げさせていただきたい、このように思っております。

 その上で、振興については、私どもとしても、しっかり沖縄振興については取り組まなければいけない課題だというふうに思っていることは、重ねて、私も副大臣時代からお話をさせていただいてきたところでございます。同時に、基地問題については、先ほど申し上げたように、昨年五月の合意を踏まえて日米で協力をすると同時に、誠意を持って、沖縄の皆様に御理解をいただけるように、最優先の課題として取り組んでいきたいというふうに申し上げているところだということを申し上げたいと思います。

赤嶺委員 振興策をやるという姿勢で基地の建設も押しつけているやり方は、メア氏の発言と何ら変わらないんじゃないかということを私は伺っているわけですが、明確なお答えがありませんでした。

 そこで、防衛副大臣もいらしておりますので、一月二十日に、北澤防衛大臣が沖縄県の仲井真知事と会談し、負担軽減について提案をしているわけです。この中で、北澤大臣は知事に対して、県民が目をみはるような振興策を提示し、理解を深めたい、こういう発言をしているわけですね。知事は、その場ですかさず、こういうことは沖縄担当大臣に話をしてほしいと防衛大臣の発言を制止したと報道されているが、防衛大臣が沖縄振興策について語る、あるいは基地の問題なんかで提案する、こういうやり方というのは、やはりお金の力で基地を押しつけようとしているんじゃないかと言われても仕方がないのではありませんか。

小川(勝)副大臣 事実関係の詳細を把握しているわけではございませんけれども、内閣を挙げて、この普天間基地の移設問題、そして、沖縄振興策は重大な課題として受けとめていると把握をいたしております。

 沖縄担当大臣がすべてを掌握し、中心となってさまざまな形づけをしていくことは当然かと思いますけれども、内閣の一員としての北澤大臣が知事とともに沖縄の将来を語ることは、何ら問題がないと考えております。

赤嶺委員 何ら問題がないのに、何で知事にとめられたんですか。あなたがこんな話をするものじゃないでしょうと、とめられているんですよ。そういう認識が問題なんですよ。

 防衛大臣だけじゃないですよ。菅総理も、ことしの施政方針演説で、沖縄の経済振興策に対する政府の支援について触れております。どの項目で触れているか。日米同盟の深化、そして五月の日米合意を最優先にして取り組むという首相の決意の中で、それとリンクして述べられているわけです。沖縄の経済、沖縄の振興策という分けたところで論じているんじゃないんです。基地と絡めて論じている。歴代総理、みんなそうですよ。これは、もしお金が欲しいならサインしろと言ったメア氏の発言と同じ性質ではありませんか、外務大臣。違いますか。

松本(剛)国務大臣 報道されたメア氏の発言に対する我が国政府、米国政府の立場は、もう繰り返して申し上げませんが、同じであるという理解は、今申し上げたように、違う、立場がそれぞれ異なっているというふうに考えております。

 私どもとしては、沖縄振興というのは大事な課題だ、このように考えております。また、普天間は危険であるという認識はあると思います。この危険性を除去することが重要であるという認識に基づいて、必要なことをしなければいけないというふうに考えているわけであります。

 もちろん、全体としての負担軽減も含めて、今回、私どもとしては、沖縄の皆様にいわば過度な負担を引き続きしていただいているということについて、菅総理もおわびをさせていただいたというふうに承知をしております。その負担をどのように軽減するかということも大変大切な課題として取り組んでいるということで、一つ一つの取り組みの前進について御支援と御理解をいただけるように、私からもお願いをさせていただきたいと思っております。

赤嶺委員 私たちは、沖縄の経済的発展を本当に渇望してまいりました。豊かな農地を基地に奪われて、農業もできない、畑もつぶされる、そういう中で、自立した経済をどう興すかということで必死の努力をしてまいりました。

 沖縄の基地問題の解決というのは、沖縄の基地の形成過程、国際法に違反して、生まれながらにして国際法違反の土地だ、そのこれだけ広大な基地が、戦後六十年たっても今なお残っている、そこにメスを入れない限り、それを県内のたらい回しで解決しようとするのは、歴代の自公政権の失敗を民主党政権が繰り返すものだと私は指摘したいと思います。

 そして、現にやっていることは、基地とリンクした振興策、そういうことを進めている。実際にやっておきながら、どんなきれいごとを言っても県民には通用しないということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

小平委員長 次に、服部良一君。

服部委員 三月の二十一日、おとつい、仙台市、塩竈市、多賀城市の海岸部の震災、津波の現地の視察をしてまいりました。

 私も、神戸の震災があって、神戸市役所前で行われております被災地の集いの実行委員長を十一年間務めてきた関係もあって、神戸の震災はいろいろと見てきましたけれども、また全く違う今回の被災状況、津波の威力ということも含めて、まさに想像を絶する被災の状況を改めて実感してまいりました。多くの方が亡くなり、また行方不明になっておられます。本当に心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 また、三月の十八日には、福島第一原子力発電所の避難地域となっております南相馬市に行ってまいりました。ここで桜井市長から、冒頭、一番にお聞きしたことは、津波によって二千世帯が、二千軒の家屋が被災をし、一千名の市民が行方不明になっている、この中で、原子力発電所の事故のために肉親も捜しに行けないという悲痛な叫びでした。自衛隊によって約二万人ぐらいが人命救出されたとも聞いておるんですけれども、この事故のためにその現場にも行けない、この状況ですね。

 まず冒頭、大臣に、大臣は今まで原子力政策に対してどのような立場をとってこられたのか、私はちょっとよく存じ上げませんけれども、一政治家として、この福島原子力発電所の事故を見て、どういうふうに思われているのか、お聞きをしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 今回、とりわけ福島第一原子力発電所、退避をお願いしている二十キロの圏内におられる方々には、被災をされた中で、なおかつ、そのような退避のお願いもしなければいけない地域に該当することになったということで、本当に申しわけなく思うと同時に、一刻も早くこの原子力発電所の状況をいわばおさめていきたい、こういうふうに政府を挙げて、全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

 その上で、原子力の平和利用、発電については、内外ともにさまざまな議論があるというふうに承知をいたしております。同時に、人がこれから暮らしていく中でエネルギーというものをどうやって確保していくのかということは、大変重要なテーマになってまいります。加えて、地球環境の温暖化の対策もとっていかなければいけない中で、やはり我々人間にとって原子力というのは、大変大切なエネルギーの一つであるというふうに私は考えておりましたし、また民主党のエネルギー政策の中でも、原子力は基幹エネルギーの一つというふうに位置づけられていると理解をいたしております。

 と同時に、原子力発電所の場合というのは、やはり危険に対する、それをどう考えて、どうやって安全性を確保し続けるかということが、他のエネルギーに比べても大変重要なテーマになっているということは事実でありまして、これまでもそういった取り組みがなされてきたというふうに理解をしておりますし、今でも、我が国の原子力安全に関する努力であるとか対応というのは、世界に十分リードできるレベルであるということは、引き続き確信を持っております。

 他方で、先ほど赤松委員との御議論だったと思いますけれども、自然の脅威というものに対する謙虚さをさらに強めて持つとすれば、原子力安全の分野でもさらに取り組みを強化せねばいけない部分があるということは、今回の事案を見ましても、申し上げなければいけないことになっている、このように理解をしておりまして、原子力安全分野の取り組みを一層強力に強化をすることが当面の課題だ、このように考えておるところでございます。

服部委員 先日、自民党の谷垣総裁が、原子力の推進政策は難しい、こうおっしゃって、枝野官房長官が、至極当然のことだというふうに返されておるわけです。

 今後、原子力政策をどうするか、エネルギー政策をどうするか、これはまたじっくりと議論をさせていただかなければならないと思うんですが、この谷垣総裁、枝野官房長官の発言に対しては、大臣はどのような御見識をお持ちでしょうか。

松本(剛)国務大臣 私の記憶では、長官はその際には、現段階では確定的なことを申し上げる段階ではないということも申し上げたのではないかというふうに思っております。

 これも先ほどまでの議論の中でも何度か申し上げましたけれども、今回の福島における原子力発電所のことにつきましては、現在は、まだ事態の安定化、対応に全力を傾注しているところでございますので、この事態の評価については、これからの課題になってこようかというふうに思います。この評価を踏まえて、またこれから、今後の政策のあり方についても、必要な御議論はなされるべきものだというふうに考えております。

服部委員 千年に一回の災害だから仕方ないんだという議論では済まないと思うんですね。

 我々はかねてから、核を人間が本当にコントロールできるのか、あるいは、核の再処理だとか核燃料のサイクルの問題、いろいろ疑問を呈させていただきました。

 そういった中で、経済外交という形で、外務大臣も日本のいわば営業部長として、原子力発電所を海外に販売するんだというような方向があるわけですけれども、私、昨年の外務委員会でも、フランスが今フィンランドで建設中のオルキルオト三号機の資料を配付させていただいたこともございます。約三千数百億円の建設費用が、もう累積で一兆円ぐらいコストがかかって泥沼になっておる。

 そういう建設コストだけの問題じゃなくて、やはり一歩間違うと、海外の地域住民に多大な放射能被害をまき散らすことにもなりかねないわけなんですね。そういう意味で、一体そのリスクをだれが負うのか、本当に深刻な問題だというふうに私は考えております。

 原発輸出のリスク、どういうリスクがあるのか、どういうふうに認識されておるのか、ちょっと大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 昨年の十一月の外務委員会での委員と前原大臣、伴野副大臣との議論ではないかというふうに理解をしております。

 私どもとしては、先ほども申し上げましたように、水であるとか、また発電所もさまざまな形で、原子力発電所も含めて、広く日本の高い技術と安全性を諸外国の皆さんにも理解をしていただいて、これは私どもの立場からすれば、もちろん日本のものを売り込むという営業の立場というのがあるという御指摘で、その点は否定をいたしませんが、同時に、受け入れていただく国にとっても大きく資するものであるということが、外交を担う者からすれば、先方に訴える最大のやはりポイントの一つでもあります。

 その意味では、原子力発電所についても、他のものもそうでありますけれども、安全性というものをどのように担保し、また説明をしていくかということは大変重要な問題でありまして、先ほどもお話をさせていただいたように、原子力安全分野に対する取り組みというのをしっかりと強化していくことは必要であろうということを先ほど申し上げさせていただきました。

 今回のことについて、そのものは、現在まだ今回のことの評価をする段階に、検証、評価をする段階に至っておりませんので、この評価を踏まえて、もし必要があれば、もちろん、その分野については、安全分野の取り組みをさらに取り組んでいくことになろうかというふうに思いますし、先ほどお話があったように、千年に一度だからというふうな気持ちで取り組んでいることは一切ありませんで、真摯に今回の事態も受けとめて、しっかりとそのことを、ある意味では、生かすというと適当な言い方ではないかもしれませんけれども、今回の経験も無にすることなく、原子力安全分野をしっかりと強化できるように邁進をしてまいりたいと思っております。

 また、御指摘がありました、昨年にありましたケースと同様に、世界各国に、今、原子力発電所に限らず、私どもは、さまざまなインフラ、都市交通であったり高速鉄道であったり、また、従来からのいわゆる港湾や空港や道路などの設備も、引き続き日本として事業をしているわけでありますけれども、これはいずれもやはり外国ということで、契約のあり方であるとか、工期であるとか、価格の問題であるとかというものは、ある種、事業のリスクとして、残念ながら、これまでもリスクが顕在化をしてしまったケースというのもあって、その後の対応というのが必要になっているケースもあります。

 そういう意味では、これから新たに話を進めていくに当たっても、原子力発電所ということに限らず、インフラパッケージ全体としても、やはり事業のリスク管理というのをどういうふうにするかということは大変重要なテーマであろうかというふうに思います。

 また、その後、今お話があったように、それぞれの事業、これは原子力発電所に限りませんが、今度、その事業を継続的に引き受けていった場合に、そのリスクをだれがどう背負うのかというのは、これは個々の契約、そして国と国の関係をどのように構築するかということが大変重要になってまいりますけれども、一般的には、原子力発電所の安全性の確保というのは管轄権を有する国が負うということ、それからまた、協定などにおきましても、我が国が締結する協定で、我が国政府が相手国の事故に対して責任を負うような規定は置いていないということは付言をして申し上げたいと思います。

服部委員 今回の福島第一原子力発電所の事故の状況を具体的に見て、原子力発電所のリスクをどういうふうに見られたかということについてはいかがでしょうか。

松本(剛)国務大臣 今の事態というのをおさめていくように今全力を挙げて取り組んでいるところでありますし、今回は未曾有の津波が恐らく大きな原因になっているだろうということは想像できるわけでありますけれども、結果として今このような事態になって、引き続き二十キロ圏内の方々に退避をお願いしなければいけないような状況が続いている事態を引き起こしたことに至る経緯とか原因とか要因であるとかというものは、これからしっかり見ていかなければいけないと思います。

 結果としては、これだけの住民の方々に退避をしていただかなければいけないような事態が起こってしまったわけでありますから、どこの要因、どこの原因を今後対応することによってこういったことが防げるのかということは、当然、原因究明と対策というのはなされなければいけないと思いますし、先ほど申し上げたその内容というのは、あらゆる場面でこれから有効に生かされなければいけないということになるのではないか、これが今私が申し上げている原子力安全分野の対策なり強化の方向ということではないかと思っております。

服部委員 いわゆる原子力発電所の建設というのは、例えば、ごみ焼却場の建設であるとか、ほかのプラント工事とやはり根本的に違うんですよね。

 ですから、今回の事故を見て私思いますのは、まず、発電所が存続できるかどうかというリスク、もし存続をしたとしても、その操業損失をどう見るかということが出てきます。それから、周辺住民の人体への被害が起きた場合にその補償をどうするか、あるいは農畜産物の補償をどうするか、あるいは今、水道水の汚染も指摘されているわけで、そういった水道水に対する汚染をどうするか。それから、避難命令を住民に出したときの、そこのいわゆる操業損失、あるいは、土地が汚染された場合にその土地をどう復旧するかという、汚染エリアに対する補償の問題。ですから、原子力発電所の事故が一たん起きれば、これはもうとんでもない損害が広がっていく、このことを今回の事故から真剣に学ぶ必要があるというふうに私は思うわけですね。

 そういう意味で、新幹線を海外に売るのと本質的に違う、やはりそういうリスクを、本当の意味でのリスクを伴うものがこの原子力発電所の建設工事だということを、よくよく今回の事故を通じて我々はやはり学習すべきだというふうに思うわけですね。しかもまた、安全を限りなく強化しようとすれば、これはもうコストに全部はね返ってくる話なんですよね。では、そうなると、そんな高いものが売れるかという話にもまたなっていくわけなんですよ、現実には。

 だから、そういう意味で、私は、もう最初からこんな危険なことをすべきじゃないということを主張させていただいていたわけですけれども、そういう観点で、ぜひ今後、幅広い議論をさせていただきたいと思います。

 去年の十一月十二日の外務委員会、前原大臣からも、日本の原子力発電所というのは極めて世界からも評価を受けるような安全性を保っている、だからこそ今回初めてベトナムでの受注につながったというふうな答弁もあったんですけれども、今回の事故を受けて、ベトナム側からの問い合わせとかいうのはないんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 今の段階で、私は承知をしておるところではありません。

服部委員 それから、今IAEAが日本に来て、直接、放出放射線量を測定したりしております。天野事務局長は、我々は報道機関にもおくれをとっておる、もっと早く、もっと数多く、もっと正確な情報が欲しいということで、日本の情報開示に大きな不満を持っているというふうに言われているわけです。

 大臣は、各国政府、国際機関による非難の矢面に立たされているんじゃないかというふうに思うんですけれども、原子力保安院からの十分な情報、資料提供が外務省にあったのか、あるいは、今回の保安院の情報開示の姿勢に対して、率直に外務省としてはどういうふうに考えておられるでしょうか。

松本(剛)国務大臣 これも先ほど少し御回答申し上げたところと重複をするかもしれませんけれども、今回の原子力発電所につきましても、得られる情報は、保安院の皆さんも全面的にやはり説明をして公開をしなければいけないという姿勢で臨んでいただいたというふうに思っております。そして、その上で、国内の皆様からもいろいろとお声はいただきました。

 これも先ほど、想定外とか準備が届いていないとかいうような言葉の部分についても議論はさせていただいたところでございますけれども、今回、この原子力発電所の中では、いわゆる何もなかったときのように、すべてのデータがそろって、すべてのいわば電気も通じている中で、そういったデータに基づいて御説明をするという状況には、率直に言って当初の段階でなかったことは事実でありますが、他方で、できる限りの情報を収集して、その中から想定をされる現状というのはこうであるということをそれぞれ判断をして、そのときにとるべき対策についてベストを尽くしてきたというふうには考えております。

 その一連の流れということについて、遠くにおられる方々についても、我々としても御説明を申し上げてきたつもりではありますけれども、結果としては届いていない部分があったのかもしれませんが、今多くの専門家の方々が日本にもおいでをいただいて、我々も情報提供をさせていただいて御説明をさせていただくことによって、先ほどもお話を申し上げたように、例えば米国のエネルギー副長官も、日本の対応は疑問がないという評価をしていただけるようになってきたというふうに思っております。

 あと一点は、外務省としても全面的にバックアップを申し上げておりますが、国内でお話を申し上げている内容を国際的にお伝えをするには、その間にワンステップだけ、言葉の問題をクリアするという段階が必要になってまいります。いわば、その差はできるだけ、我々外務省も全面的に政府の一員として協力することで、そこは大きなステップにならないように努力を今しております。

 その意味では、日々改善をしていくことによって、今は多くに御理解を得られるところに達しつつあるのではないかなと思っておりますが、引き続き広報についてもさらに努力をしていきたい、こう考えております。

服部委員 ちょっと時間がなくなってしまいましたけれども、先ほど、被災地にいる外国人の救済の問題を議論されておりました。

 全体的な被災状況を把握できていないというふうな答弁でしたけれども、これはぜひ各国大使館との連絡も密にしていただいて、対応を強化していただきたい。でも、ホームページ等で、英語、中国語、韓国語でホームページにアップしているということなんですが、もっと、ポルトガル語とか言語をふやすとか、あるいは、一生懸命救済をやっておられるNGOの方との連携を強めるとか、やることはいっぱいあるんじゃないかというふうに思っていますので、ぜひその努力を引き続きお願いしたいということを申し上げたいと思います。

松本(剛)国務大臣 まず、これはいろいろな方のお力をかりているわけですけれども、今現在我々は、被災された方々の捜索、救援と並行して、被災された方々の生活支援というフェーズを走らせているわけでありますけれども、このレベルでは、ある意味では政府としては、まさに現地に、国籍に関係なく御支援を申し上げるということを申し上げています。

 各国ごとの対応をどうするかという意味で、その国特有、特有というんでしょうか、その国それぞれの対応については、一定程度は各国大使館が御指導いただくものを我々としては全面的にサポートをするということなんですが、そういう意味で、被害の状況も、各国別とか国籍別の統計というのを今すぐとっていないという意味で把握していないというふうに申し上げたのと同時に、今なお、まだ安否が確認をされていない多数の方がおられるわけであります。

 先ほど少し私も答弁で申し上げましたが、各国の大使館とは毎日ある程度集まって打ち合わせもさせていただき、情報提供もさせていただく中で、他方で、先方からも、我が国としてはきょうの段階で引き続き安否を確認したい人がこれだけいるんだ、これだけ実は連絡がとれたから残りはこれだけだとか、こういう話。それから、最近は減りましたけれども、当初の段階では、実は新たにまださらにこれだけの人が一時滞在などでいることがわかったので、要安否確認者がふえたり減ったりという状況の連携は緊密にとらせていただくと同時に、繰り返しになりますけれども、各国大使館が必要であれば地方自治体と連絡をとるとか、関係の警察と連絡をとるというもののサポートはしっかりやるようにというふうに私からも指示をさせていただいているところでございますので、ぜひそこは御理解をいただけたらというふうに思います。

服部委員 ありがとうございました。終わります。

     ――――◇―――――

小平委員長 次に、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 政府から趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣松本剛明君。

    ―――――――――――――

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

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松本(剛)国務大臣 ただいま議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、日本国に合衆国軍隊を維持することに伴う経費の日本側による負担を図り、日本国にある合衆国軍隊の効果的な活動を確保するためこの協定を締結することにつき、アメリカ合衆国政府と協議しつつ、検討を行ってきました。

 その結果、最終的合意に達しましたので、平成二十三年一月二十一日に東京で、前原前外務大臣と駐日米国大使との間でこの協定に署名を行うに至った次第であります。

 この協定は、日本国が、日本国に雇用されて合衆国軍隊等のために労務に服する労働者に対する一定の給与の支払い及び合衆国軍隊等が公用のため調達する電気等の支払いに要する経費を負担することを規定しています。また、日本国政府の要請に基づき、アメリカ合衆国が合衆国軍隊の行う訓練を他の施設及び区域またはアメリカ合衆国の施政のもとにある訓練の場所を使用するよう変更する場合には、その変更に伴って追加的に必要となる経費を負担することを規定しています。さらに、アメリカ合衆国がこれらの経費の節約に一層努めること等を規定しております。

 この協定は、二〇一六年三月三十一日まで効力を有するものとされております。

 また、この協定は、現行の協定が本年三月三十一日まで効力を有することとなっておりますので、四月一日に発効させる必要があります。

 この協定の締結は、日米安保条約の目的達成のため日本国に維持されている合衆国軍隊の効果的な活動に資するものであり、ひいては日米関係全般並びに我が国を含むアジア太平洋地域の平和及び安定に重要な意義を有するものと考えられます。

 よって、ここに、この協定の締結につき御承認を求める次第であります。

 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

小平委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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