衆議院

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第11号 平成23年5月13日(金曜日)

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平成二十三年五月十三日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 小平 忠正君

   理事 吉良 州司君 理事 首藤 信彦君

   理事 長島 昭久君 理事 西村智奈美君

   理事 山口  壯君 理事 秋葉 賢也君

   理事 小野寺五典君 理事 赤松 正雄君

      浅野 貴博君    大泉ひろこ君

      勝又恒一郎君    菊田真紀子君

      櫛渕 万里君    阪口 直人君

      高橋 英行君    道休誠一郎君

      中津川博郷君    中野  譲君

      長尾  敬君    萩原  仁君

      浜本  宏君    早川久美子君

      山尾志桜里君    河井 克行君

      高村 正彦君    馳   浩君

      松野 博一君    笠井  亮君

      服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         松本 剛明君

   国土交通副大臣      池口 修次君

   法務大臣政務官      黒岩 宇洋君

   外務大臣政務官      菊田真紀子君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 甲斐 行夫君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          有松 育子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  外山 千也君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難監) 牛島  清君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 原  徳壽君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  櫻井 修一君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  勝又恒一郎君     高橋 英行君

  山花 郁夫君     櫛渕 万里君

  金田 勝年君     馳   浩君

同日

 辞任         補欠選任

  櫛渕 万里君     山花 郁夫君

  高橋 英行君     長尾  敬君

  馳   浩君     金田 勝年君

同日

 辞任         補欠選任

  長尾  敬君     勝又恒一郎君

    ―――――――――――――

五月十二日

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府と中華人民共和国香港特別行政区政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とサウジアラビア王国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とケイマン諸島政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第九号)

 脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とバハマ国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府と中華人民共和国香港特別行政区政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とサウジアラビア王国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とケイマン諸島政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第九号)

 脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とバハマ国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

小平委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房審議官甲斐行夫君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官有松育子君、厚生労働省健康局長外山千也君、保険局長外口崇君、海上保安庁警備救難監牛島清君、防衛省大臣官房衛生監原徳壽君、運用企画局長櫻井修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜本宏君。

浜本委員 おはようございます。民主党の浜本宏でございます。

 こういう機会をお与えいただきましたことにまず感謝申し上げますが、その前に、私も実は、十六年前の神戸における阪神・淡路大震災、あのときに、神戸のポートアイランドのマンションの七階で被災をいたしました。そういう立場から、今回の東日本大震災で大変な被害をお受けになられた皆様に対して心からお見舞いを申し上げますとともに、不幸にも亡くなられた皆様に心から哀悼の誠をささげたいと思います。

 さて、まず、ちょっと通告はいたしておりませんが、きのうの各メディア等に出ました普天間の嘉手納統合について、米国のレビン軍事委員長、あるいはマケイン筆頭委員、ウェッブ外交委員会東アジア太平洋小委員長、こういった三名の方々から国防総省に、嘉手納への統合というのを求めるという提案がされたということが発表されておりますけれども、きょうのトップバッターとしまして、やはりこれは聞かないといけないと思いますので、外務大臣から何かこれについてのコメントがございましたら、冒頭、お聞きをしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 御指摘の提言書、内容も公開をされている部分については私自身も拝見をいたしましたが、米国の議会の上院議員が議員の見解として提言を米国政府に対して行ったものだというふうに理解をいたしております。

 ちなみに、これについて米国の国防総省は、報道官の立場からのようでありますが、我々には日本政府との間に、二〇〇六年のロードマップ合意、二〇一〇年五月二十八日の共同声明のように長きにわたる合意があり、これらの合意は沖縄県民にとって有益なものであると同時に、日本国全体、そして日米同盟にとっても有益なものであるという国防総省の見解が示されているというふうに理解をしておりまして、私どものいわばカウンターパートである米国政府の見解としては、今のようなお立場ではないかと理解をしております。

 私どもとしても、引き続き、ロードマップ合意、グアム移転協定に従って、抑止力を維持しつつ、昨年五月の日米合意を着実に実施するという方針に変わりはないというのが今の私の立場でございます。

浜本委員 ありがとうございました。

 それでは、通告をしております諸問題につきまして質問をしてまいりたいと思います。

 松本外務大臣とは、大臣になられてからは初めての私の質問でございます。どうぞよろしくお願いいたします。もっと詳しいことを申し上げると、同じ兵庫県連で、去年、おととしと私のかつての上司でございましたので、上司に対してきょうは非常に煙たいお話をしなければいけないという立場でございますが、そういうことは関係なしに、きょうはもう心を鬼にして質問をさせていただきたいと思いますので、失礼等があってもお許しをいただきたい、このように思います。

 きょうは、後ほど、たばこ規制枠組み条約についての質問をいたしますが、その前に、実は先週の土曜日、日曜日、ここにもたくさんメンバーがいらっしゃるんですが、私、台湾に行ってまいりました。台湾は、今回の東日本大震災に当たって、この間の土曜日の時点で百六十五億円という義援金を下さっております。しかも、それがほとんど民間から出た義援金ということで、非常にこれは重い義援金だということで、私ども、ここにいますメンバー、あるいは元総理大臣の森先生、その他与野党の議連のメンバー、国会議員二十五名が台湾へお邪魔して、そしてこの義援金に対する御礼を申し上げてきました。

 こういったいわゆる議員外交といいますか、先日、日本財団の笹川陽平さんがブログの中で、今回の世界各国からの支援に対して、紙一枚でお礼を言うだけじゃなくて、やはりもっと、これはゴールデンウイークの前のブログですから、外務大臣がまだ海外へ出ていかれるという前提はなかったと思うんです。一時、外務大臣も国会の日程の関係で海外へ出られないというふうなお話があった。その中で、野党の皆さんにも御協力をいただいた中で、先般、海外へ出られたわけですけれども、そういう状況の中で、外務大臣あるいは日本国の総理大臣、その他多くの皆さんがやはり海外へ出ていくべきではないか、お礼を申し上げるべきではないか、こういうブログがございました。

 こういう観点からも、やはり礼を失してはいけないという意味で、私たち、議員外交というものが非常に大事だ、こう思っております。この間の、今申し上げた台湾におけるこういったものも、自画自賛して申しわけないですけれども、やはり非常に有益なことであったのではないか、こういうふうに思っておりますが、外務大臣のいわゆる議員外交に対するお考えを教えていただければ幸いです。

松本(剛)国務大臣 まず、お話がありましたように、今回の震災に当たっては、多くの国・地域から大きな、そして幅広い支援をいただいたこと、これは改めて感謝を申し上げたいと思っております。

 そして、今お話がありました、まさに議員各位が皆さんの判断、またグループなり院なりの御判断で派遣をされる、海外に行かれるということは、私ども政府の方が何か申し上げるとか管理をする立場には基本的にはないというふうに思いますが、ただ、やはり、おっしゃったように、受け取る側からすれば日本から来たということには変わりがないというふうに思いますので、密接に連携をとりながら進めていきたいと思っております。

 今回、この間海外へ出られる方々で私ども外務省が承知をしている限りは、できるだけ資料を提供するなどして、お礼を申し上げていただくとか、そういうことをお願いができる、もしくはお礼を申し上げていただくようないわば情報をお届けするというようなことをして連携を図っていきたいと思っております。

 また、あえて申し上げれば、今回の震災以降のお礼を超えて、やはり議員外交と政府の外交というのは広く連携をして、場合によっては、全体としては補完をするという部分があってもいいのではないかと私自身は思っておるところでございます。

浜本委員 そういうふうに非常に前向きに御発言いただきまして、ありがとうございます。

 そして、私からの提言ではありますけれども、今回も、先ほど申し上げましたように、元総理大臣の森先生が行っていただいた、あるいは同じくゴールデンウイーク中に鳩山前総理が中国、あるいは高村元外務大臣も中国に行っていただいている。これは、特使という形でもなく、全く個人の資格、国会議員としての立場で行かれたと思うんです。我々の国には、元総理大臣、元外務大臣あるいはその他の大臣というさまざまな経歴の方がいらっしゃいます。こういった皆さんを特使というふうな形で、果たしてそれは外務大臣の権限の中にあるのかどうかわかりませんが、そういった皆さんを、言葉は悪いですが、活用させていただくようなことを考えてはどうかなというふうに思うんですが、大臣、どうお考えになるでしょうか。

松本(剛)国務大臣 特使の任命そのものは外務省の権限を越えておるというのは御指摘のとおりだというふうに思いますが、政府としては、震災以降ではありませんけれども、本年一月にはブラジルの大統領の就任式に、党派を超えて麻生元総理に特使としてお運びをいただいたといったようなケースもあったというふうに承知をいたしております。

 これからもそういう意味ではしっかりと、言うなれば日本の気持ちが伝わる、もしくは日本の意思が伝わる、そういう必要な場面においては、やはり多くの方々、多くの人材を有効に、活用すると言うと多くは先輩でありますので大変失礼な言い方になりますけれども、そういうことが必要だという御提言であるとすれば、そのとおりではないか、このように考えております。

浜本委員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 さて、同じく震災関連で、昨日もテレビで報道がございましたが、外国人の観光客の皆さんが非常に減っている。これは、この間、震災が起こるまで、外国人のインバウンド、前原前外務大臣も一生懸命、国土交通大臣時代にも努力をしておられまして、インバウンド、向こうから日本へ入ってこられる外国人の数がたしか昨年が最高の数にいった、約八百万を超えていたと思うんですけれども、それが減ってきているということで、これは非常に深刻な問題であります。

 外務省としても、外国人の観光客の皆さんに我が国に来ていただいて、我が国の現状を知っていただくという意味では非常に大事なことだと思うんですが、そういった風評被害あるいは観光客誘致、こういうことに対してどういう努力を今後していかれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 これも御指摘のとおり大変大きな課題であり、また早急に取り組んでいかなければいけない課題だというふうに認識をいたしております。

 今回も、震災の発生以降、幾つかの国では、やはり渡航に対して制限がかかったケースもありました。私どもとしては、まずそういった渡航制限などについて、正確な情報をお伝えすることによって、渡航制限などのいわば規制をもとへ戻していただく方向への努力を重ねてきたわけでありますけれども、今先生がお話しいただいたように、規制については幾つかの国がもとへ戻す方向で動き始めていただいておりますけれども、今度は、いわば規制の枠組みがもとへ戻っても、中身で実際に来るかどうかというのは次のステップの課題となってまいります。

 私自身も記者会見また新聞にもメッセージを出させていただくなどして呼びかけをさせていただいておりますけれども、今後、観光庁など関係省庁ともよく連携をして、さまざまな取り組みをしていくことが必要であるというふうに私自身も思っております。

浜本委員 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 私としては、これは提言ですけれども、新聞とかそういうのも大事ですが、例えば各国のテレビに、日本の方で世界的な皆さん、例えば小沢征爾さんとかイチロー選手とか、あるいはサッカーの中田選手とか、こういう皆さんにちょっと御協力をいただいて、御支援をありがとうございました、日本は元気に頑張っていますといったようなコマーシャルフィルムみたいなものをつくって流していく必要があるんじゃないかな、そういうふうなことを思っております。これは提言ですので、またお考えをいただければと思います。

 さて、通告をしておりますたばこ規制枠組み条約についての質問をさせていただきたいと思います。

 たばこ規制枠組み条約、FCTC、これは、御存じのように、二〇〇四年に我が国も批准をいたしました。この外務委員会で議論がされて、そして我が国も、名誉ある原加盟国、十九番目の国として批准をしたわけであります。このたばこ規制枠組み条約は、いかにたばこの害が世界的、地球課題の問題であるかということ、受動喫煙の怖さ、そういったものを含めて書かれた人類初の公衆衛生に関する、あるいは健康に関する国際法であることは御存じかと思います。

 このFCTCに対する大臣の御認識と、そして外務省が今日までFCTC履行のために取り組んでこられた御努力、そして今後これをどういうふうに実現、さらに履行していこう、完全な実施をしていこうというふうに思っておられるのか。

 これは非常に厳しい記事でありますけれども、きょうお渡ししております資料の二枚目の右側を見ていただきましたら、三つ目のパラグラフに、「外務省のホームページを見れば一目瞭然です。そこにはこれまで数年間かけて、自分も賛成したはずのガイドラインがどこにも見あたらないのです。」ということで、外務省の今日までの取り組みについてはやや厳しい、ややというよりは非常に厳しいことが書かれております。これは、NPOの日本禁煙学会、日本でもたばこの害について非常に熱心に取り組んでおられるNPOの専門家の集まった学会のFCTCポケットブックということで、今月末には発売される予定のものですけれども、こういった取り組みあるいはこのFCTCに対する大臣の御認識、御見解、お聞かせをいただければ幸いです。

松本(剛)国務大臣 先生とは、このたばこに関する世界保健機関枠組み条約については、先生が初当選されて私が議運委員長を務めておるときからよく議論をさせていただいたことはよく記憶をいたしております。

 政府としても、まさに今先生がおっしゃったように、この条約はWHOのもとで策定をされた保健分野では初めての多数国間の条約であるというふうに理解をしておりますし、各国が個別にとっていたたばこ対策について国際協力の枠組みを与えるもので、政府としては、たばこ対策への取り組みや保健分野の国際協力に関する我が国の積極的な姿勢を示すためにも、この条約を着実に実施することが重要であると認識をしている。外務省としても、関係省庁と連携をしつつ、国内の施策が条約上の義務や条約の趣旨に即したものとなることの確保に努力するとともに、国内の実施状況について定期的な報告を締約国会議に提出しているということであります。

 今後とも、同条約の国内における周知に努めていくとともに、たばこ製品の主要な生産国、消費国としての立場から、たばこ対策に関する国際的な取り組みを促進していく考えである。このように政府としては認識をしているということであります。

 同時に、先ほど申し上げましたように、一昨年の九月以降、先生からも御指摘をいただいて、この条約の実施、推進についてはさまざまなお声がある、またそのさまざまなお声についてどうこたえるかということが課題になっているということは、私自身も理解をいたしておるつもりでございます。

浜本委員 ぜひ、外務省も、各省との連携という中で、どうしても厚生労働省あるいはその他の省に任せておいたらいいんだというふうな姿勢が、どうも過去見ておりますとございました。きょうの資料の二枚目を見ていただいた左側に、このFCTCの歴史はというところで、「二〇〇四年三月九日 ニューヨークで日本政府が署名」と。この署名をされたのはたしか国連大使であったと思います。そういう意味でも、窓口とはいうものの、やはり外務省は、この国際条約が完全に履行されていくように連携をとりながらも、一段先んじて、各省庁に対していろいろと連携を図っていくような指示とかをやっていただかないといけないのではないか、こういうふうに思っております。

 このFCTCの中にも書かれておりますが、特に受動喫煙、吸った人の吐いた煙、あるいはたばこの先から出る煙、吸わない人がこういうものを吸うことによって大変な被害が出ているということであります。

 その怖さについては、きょう手元にお渡ししております受動喫煙ファクトシート、これを見ていただければわかりますが、例えばこれの十三ページ、ほんの少したばこのにおいがするとき、そこはアスベストの敷地境界基準を百倍超えている。アスベストの怖さについては、もう既に私たちもよく知っておるわけであります。

 これも、一九七〇年代にアスベストに発がん性があるということが言われておりながら、これの対応がおくれてしまったために悲劇が生じております。そのアスベストの敷地の境界基準を百倍超えている。ちょっとたばこが臭いな、たばこのにおいがするな、その状態でそういう状況にある。

 あるいは、きょうお渡ししております資料の四ページ目の記事を見ていただきますと、受動喫煙で年六千八百人が死亡、厚労省推計、交通事故死を上回るという朝日新聞の昨年の九月二十九日の記事がございます。あるいは、五ページ目左側に、日本経済新聞の四月二十五日の記事ですが、放射線の発がんリスクということで、百ミリシーベルトイコール受動喫煙並み、これは、逆に言うと、受動喫煙は百ミリシーベルトの放射線を受けているのと一緒だ、あるいはたばこを吸っている喫煙者の場合には、その下にあります、二千ミリシーベルト以上に該当するという状況なんですね。

 これは非常に恐ろしいものであるということが、FCTCにもそのことは書かれておりますけれども、こういった記事を見ていただいても、特に最近放射線の問題がありますので、その関連で申し上げましたけれども、非常に恐ろしいものである。

 こういう状況の中で、今大臣がおっしゃいました、議運の委員長のときには大変な御努力をいただきまして、昨年の四月十九日から衆議院の本会議場周辺での禁煙が実現をし、あのあたりの周辺の空気が非常に美しく、美しいというかクリーンになったということで、元衆議院議運委員長としての大臣に対し、心から敬意を表したいと思っております。

 しかしながら、きょうお渡ししておりますもう一つの神戸新聞の記事の中にもございますように、衆議院の例えば議員食堂、まだ全然分煙がされていない。この国会で、人様に対して、健康増進法とか労働安全衛生法とか、受動喫煙はだめだ、もっとちゃんとしなさいというふうな立法を我々はしながら、その立法者の巣であるこの国会の議員食堂が分煙さえされていない。座ったら、隣からあちらこちらから煙にさらされて、今申し上げたように百ミリシーベルトを、あの議員食堂の中はもっともっとすごい、放射線にかえるとすごいものがあるんだ、こういう認識を持たないといけない。

 こういうことについて、FCTCの窓口として外務省があったわけですけれども、外務大臣として、あるいは前議運委員長といたしまして、国会の今の現状についてやはり注意を喚起しなければいけないのではないか、こういうふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

松本(剛)国務大臣 本件に特定してということで申し上げるのが必ずしもいいかどうかというのはありますが、率直に申し上げて、私も政府の仕事をさせていただいて半年余りになりますけれども、やはりまだまだ縦割りというか、逆に言うと、各省の内政不干渉というか相互不可侵というか、そういうような面がないわけではないと思います。まさに今委員もお話がありましたように、これはうちの所掌であるからと言うと、なかなか口を出しにくいという雰囲気が全体としてはないわけではない中で、外務省は条約その他の所掌もありますので、比較的まだ横断的に申し上げている方ではないかと私自身は思っていますけれども、今の御指摘も踏まえて今後の仕事にも生かしていきたいと思っております。

 まさに国会の禁煙の推進に関しては、この神戸新聞の記事にもありますけれども、ちょうど私が議院運営委員長を務めているときに、議連の中核的なメンバーとして先生からも要請をいただいて、それを受けとめて当時の議院運営委員会でも議論をしていただいた記憶があります。

 御指摘の分館は、御案内だと思いますけれども、二階については、予算のやりくりで分煙室というか喫煙室を二階の奥につくりましたので、基本的にはそれ以外のところを禁煙にする。三階、四階も予算のやりくりをして速やかにつくってそれを進めるということなんですが、今私が知っている限りでは、まだ三階、四階は着工されていないというふうに思いますので、その辺はまた機会があれば、前委員長として、どのように進んでいるのかを確かめてみたいというふうに思います。

 なお、食堂が課題だという点は先生には前に御説明を申し上げたことがあろうかというふうに思いますけれども、課題であるという認識は私自身も引き続き持っておりますので、これについても、改めて問題提起があったことはまた伝えられる同僚なりには伝えてみたい、このように思っております。

浜本委員 ぜひ、FCTCの観点からも、外務大臣としてこの条約を履行させていくためにも、そういった関係者に強く要請をしていただきたいと思います。

 ただ、FCTC等あるいは国際場裏の場では、今、分煙というのはもう時代おくれで、きょうのこの新聞の記事にも出しておりますが、神戸市は全庁舎で禁煙をする。もう分煙の時代ではないという状況になっている、こういうこともぜひ御理解をいただきたいと思います。

 それで、防衛省の方、お越しいただいていますか。

 私、これは驚いたんですが、普通、一般の航空機はだれもたばこを吸うことはできません、安全上からということで。ところが、聞きましたら、政府専用機ではたばこを吸うことができるんだと。これはまさに受動喫煙が航空機の中で起こっている。そこにアテンドしておられる、自衛隊の皆さんがそこで働いておるわけですが、そういう方々は、たばこの灰皿をかえたりあるいは吸っている方のところにお茶を持っていったりする場合、まさに受動喫煙を強いられているわけですね。

 我が国の政府はFCTCに加入しておきながら、その政府の専用機でそういうことが許されているということ、これはやはり改めなければいけないのではないかと思いますが、防衛省、そのあたり、政府専用機で喫煙は可能ということは間違いないでしょうか。

櫻井政府参考人 政府専用機についてお答えいたします。

 政府専用機の中には、会議室として利用している比較的小ぶりの区画がございますけれども、その中では排煙設備を設けまして、分煙ができるようになっております。ここの部分については、他と区画が完全にできるような形で、分煙ではありますけれども、するようになっております。したがいまして、昔の民間機であれば全部ツーツーの形になっていましたけれども、そういう形ではないということは申し上げられると思います。

浜本委員 たとえ分煙であっても、やはりたばこの煙の会議室に自衛官の方が入っていくわけですから、これはもう本当に受動喫煙をさせられているという状況です。これはやはり政府としては改めなければいけない、こういう点も外務大臣としてぜひ心に置いていただいて、政府等に会議等でぜひこの点も取り上げていただければと思います。

 次に、受動喫煙に対する厚生労働省の認識をお尋ねしたいと思います。その対策、どういう対策をしておられるのか、お願いいたします。

外山政府参考人 受動喫煙による健康への悪影響につきましては、肺がんや循環器疾患のリスクの上昇を示す研究報告があるなど、その健康への悪影響は科学的に明らかとなっていると認識しております。

 このため、平成十五年に施行いたしました健康増進法におきまして、公共施設の管理者に受動喫煙防止措置を講ずるよう努めるべきことが明記されまして、厚生労働省は、これに基づき、対策を講じているところでございます。

 また、先ほど来お話のFCTCに基づく、たばこの煙にさらされることからの保護に関するガイドラインが採択されたことを受けまして、厚生労働省では、平成二十年三月から受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会を開催いたしまして、二十二年二月に健康局長通知を発出いたしまして、公共の場においては原則として全面禁煙であるべき旨を示しまして、受動喫煙防止対策の強化を図っているところでございます。

 さらに、職場での受動喫煙防止対策強化につきまして、昨年十二月に、労働政策審議会から、原則として職場での全面禁煙などを事業者に義務づけるべきとの建議をいただいたところでございまして、現在、これらの内容の実現を図るべく、労働安全衛生法の改正におきまして、強化策について検討をしているところであります。

浜本委員 まさに、この受動喫煙の怖さというものはおっしゃったとおりでございます。ぜひ、厚生労働省としても、今まで以上により積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 日本周辺、この間、中国も、もう公共の場所では禁煙にするというふうな状況、あるいは、先ほど申し上げた、台湾の空港に行きまして驚いたのは、たばこを吸うとこういう肺になりますよ、健康な肺はこうですという、カラーでたばこのパッケージにちゃんとそういう表示があるんですね。はるかにアジアの周辺の国も進んできている。日本の方が対応がおくれてしまっている。これは非常に残念なことであります。

 そういう意味で、ぜひこのFCTC、五月三十一日が世界禁煙デーであります。この禁煙デーに当たって、WHOはことし、FCTCというテーマで、もう一度このFCTCを啓蒙しようということで、この取り組みを強化することになっておりますので、ぜひ、外務省あるいは厚生労働省、そこが中心になって取り組んでいただきたい。

 きょうお渡しをしました資料の最後のところにあります、世界禁煙デーに当たって厚生労働省が記念のシンポジウムをされる。こういった中に、例えば、後援団体に警察庁とか内閣府とかがあるんですけれども、しかしながら、外務省がない。やはりこういった問題も深刻に考えていただいて、外務省なんかもこういうものをどんどんバックアップしていっていただいて、FCTCを世に知らしめていくということをぜひお願いをしたいと思います。

 残念ながら時間が参りましたけれども、最後のところで文科省にお聞きをしようと思ったのは、国会の訪問者、今、国会見学に年間八十万人近い子供さんたちが来ておられるという状況の中で、この子供さんたちが受動喫煙を強いられている状況、やはりこれは何としてもとめなければいけない、こういう問題を提起して、私の質問を終わりたいと思います。

 文科省の皆さんには失礼しました。

 きょうはありがとうございました。

小平委員長 次に、馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。

 きょうは、ハーグ条約の締結、そして国内担保法の問題に絞ってお聞きをしたいと思います。

 大臣、最近の報道によると、また大臣の記者会見によると、いよいよハーグ条約の締結に向けて決断をされる時期に来た、こういうふうに表明をしておられますが、いかがでしょうか。

松本(剛)国務大臣 記者会見では少し長くお話をいたしましたので、すべて申し上げる時間はないかもしれませんが、私自身も外務副大臣に就任をいたしまして、改めてハーグ条約に関する取り組みの担当ということになりました。その際に、私自身も、また私と一緒に行動しているというか一緒に仕事をしている政務三役の仲間とも手分けをして、いろいろな方の意見をお聞きいたしました。

 私自身がそのときに自分の中の考えをまとめたのは、幾つか、ハーグ条約を締結することによって、これまで行われてきた何らかの緊急避難的な行動が行えなくなるかもしれない、もしくはそういったものが規制をされることになるかもしれないという懸念がある、とすれば、それにはしっかりこたえなければいけないけれども、他方で、これだけ国際的に人が行き来をし、結婚をし、そして残念ながら場合によってはその婚姻が破綻をするというケース、これをどういうふうにでは法律的に対応するのかといったときに、この裁判管轄を決めるルールというのが既に国際的にルールがあるとすれば、やはりその国際的なルールに日本も参加をしておく必要があるのではないか、私の中ではそのように考えられる、こう思いましたので、そういった取り組みを進めてまいりました。

 政府全体としては、今、いろいろな意味で、今申し上げたような問題、それから実際に進めるに当たっての課題、先生からも根拠法というお話もありましたけれども、条約締結の場合には当然法律の制定も必要になってくる部分がありますので、そういったことについて議論をしていただいているというふうに承知をしておりますが、今具体的なスケジュールとか結論の時期とかいうのが確定をしているというふうにはまだ承知をいたしておりません。

馳委員 今月下旬にはフランスでサミットがございます。そのサミットの場において、菅総理は、日本もハーグ条約を締結し、国際的なルールを守るということを表明するのではないかと報道されております。

 私は、政権交代の後、岡田外務大臣、前原外務大臣、そして松本外務大臣も副大臣として、この問題は、恐らく、海外の国々あるいは議会からも日本はどうなっているんだという指摘を受けて、早く国際社会のルールに入りなさいよと言われてきたと思います。こういう段階において、この五月下旬のフランスにおけるサミットで総理が明確に我が国としての意思表示をすることは重要だと私は思っているんですが、大臣としてのお考えをお聞かせください。

松本(剛)国務大臣 この点は委員と全く同じ考えではないかというふうに思っておるんですが、確かに、外務省の方にも外国からもいろいろな声が寄せられています。

 申し上げたように、国際的なルールに参加をするということは非常に大事なことだと思いますが、先ほどもお話ししたように、最終的にはこれが我が国の国民にとって資するものであるのかどうかという判断が、当然、日本国の外務省、政府としては判断の基本的なポイントになってくるというふうに思っております。そのために必要な検討を今していただいている、詰めていただいているというふうに理解をしておりますので、まずそこがしっかり詰められる、確認されることが必要だろうというふうに思います。

 その上で申し上げれば、今委員がおっしゃったように、この件については、今回のG8サミットの主催国であるフランスにおいても大変関心の高いテーマになっているということは私どもも認識をしているということは申し上げられると思います。

馳委員 国益を考えての判断をされるということは当然なんですよね。その上で懸念事項を払拭することを、国民全体や関係者の理解を求めるという政府としての姿勢も必要だと思います。

 私も、立法府にいる立場から、きょうはちょっと細かいことをお聞きしていくんですが、ただ、国際社会のルールをもう一度私は確認したいと思うんですね。ハーグ条約とは何ぞや。

 国際結婚がふえてきました。そして、国際結婚の破綻も残念ながらふえてきています。実は、ここ五年間は、我が国の国際結婚は数が減りつつあります、にもかかわらず国際離婚はふえている、こういう現実があります。

 そうしたときに、海外から十六歳未満の子供を、離婚した後、無断で日本に連れ帰るという事案もあれば、日本から海外へ十六歳未満の子供を一方に無断で連れ帰る、両方の事案があると考える必要があります。したがって、我が国の国益ということを考えた上で一定のルールに我々日本も参加すべきである、こういう論法が成り立つと思うんですが、いかがですか。

松本(剛)国務大臣 これも、まさに委員おっしゃったとおりだ、このように思っておりまして、男性、女性、また、子供を連れて帰る、連れていくというかいかれるというケース、我が国の場合、現実によく取り上げられるものというと、日本側が女性であって、日本に子供を連れてきたというケースが比較的多いというふうに私自身も理解をいたしておりますが、ルールとしては、まさに委員がおっしゃったように、双方全く対等の位置づけでありますし、男性であろうと女性であろうと同じことであろうと思いますし、こちらへ来たケース、こちらから向こうへ行ってしまったケースについても全く同じ扱いであるというふうに考えております。

 まさに委員がおっしゃったように、これからいろいろなケースが考えられる中では、この条約そのものには、何らそういった不公平というんでしょうか、偏った部分はないというふうに私も理解をしております。

馳委員 では、事務方にお聞きしますけれども、国際結婚が破綻をして海外から日本へ子供を無断で連れ帰ってくる、十六歳未満というふうに条約上はなっております、逆に、日本から海外に無断で連れ去られてしまうという案件はどのぐらいありますか。事務方、わかりますか。

甲斐政府参考人 御指摘のような件数については、現在のところ把握はいたしておりません。

馳委員 委員の皆さん方、私は外務委員会で外務大臣に質問しておりますが、今、この基本的な数字を尋ねたら、法務省がお答えになりました。実は、やはり国際社会のルールとして日本もハーグ条約に入りましょう、そして大臣もおっしゃったように、いろいろ事情もありますからルールづくりが必要ですねということのハードルの一つになっているのが、法務省の姿勢ではないかと私は思っているんです。ここをほぐしていく必要があると思うんですね。

 法務省の審議官の方、リエゾンジャッジという言葉を御存じですか。

甲斐政府参考人 承知をいたしておりません。

馳委員 これは基本的なことなので、大臣にもちょっと私お伝えしたいと思いますが、アメリカやカナダなどの西側諸国では、リエゾンジャッジというハーグ条約専門の裁判官を任命しており、裁判官同士で電話や電子メールで連絡をとり合って条約の解釈の均質化への努力がされていて、いわゆる情報交換がされることになっているんですよ。

 大臣おわかりのように、海外の領事館で、こういう案件についていろいろ申し入れがあると思います。私が漏れ伝わって聞いておるところでは、我が国も二百件ぐらいの紛争というか申し入れ、勝手に連れ帰っちゃって困っているんだよ、どうしてくれるんだよという、抱えているそうです。

 しかし、これはまさしく、離婚にはそれなりの事情があったでしょう。離婚をしてしまいました、子供を抱えていたら、養育費の問題とかあるいは親権の問題とかで、整理をしなければいけない問題というのはたくさんあるはずです。そんなことは外務省の領事館の職員の専門分野ではありません。したがって、話をつなぐのは領事館かもしれませんが、法的な担保あるいは条約上の解釈、これは外務省の仕事ですが、ここはお互いに、専門的な人物がいて、協力し合って、まずは相談できる体制をとっておくということは、これは法律をつくらなくてもできるんですよ、大臣。まず、私はこの基本的な認識を持っていただきたいし、法律がなくても、国内担保法がなくても、ここからでもできるんですよ。

 法務省にお伺いします。

 こういう問題について、相談を受けて、外務省と協議をしたことは今までありますか。

甲斐政府参考人 申しわけありません、私、刑事担当で参っておりますので、所管外のことでございますので、ちょっとお答えをいたしかねます。

馳委員 では、帰って、この問題についてのこれまでの外務省との協議、そしてどのぐらいの案件があったのかということぐらいは調べておいていただきたいと思います。

 大臣、では、改めてお聞きしたいと思います。

 私も、なぜこのハーグ条約にここまでこだわっているか。実は私、参議院議員の時代から、児童虐待の問題、そして親権の問題にずっと取り組んできて、我が国は単独親権なんですよ。そして諸外国においては、共同親権であったり、選択的な共同親権であったりというふうな形がありますね。私は、我が国も、離婚をするのは親の事情があるかもしれないけれども、子供に責任を負わせるわけにはいかないので、離婚をした後も、共同親権あるいは共同養育計画、当然、養育費の支払いについての取り決め、一定のルールというのは必要じゃないかということで、親権問題にずっと取り組んでまいりました。

 そして、実は、この国会で、法務委員会では民法改正案がようやく通って、ただ、これは、親権の問題とはいっても、児童虐待にかかわる親権の一時停止の問題、あるいは未成年後見人制度を法人にも与えましょうという問題です。これは、御党の小宮山洋子さんと私ども、公明党の富田先生初め、十年間言い続けてきて、最高裁判所と法務省がようやくそれを実現してくれた案件なんですよ。そして、その問題に取り組んでいると、どうしてもぶち当たってしまったのは、このハーグ条約の問題なんですよ。

 私、ちょっとこれまでの経緯を申し上げましたが、改めて申し上げたいと思います。

 国内担保法は必要だと私は思っています。そして、これはハーグ条約にも、実際には条約上にもこういうふうに書かれているんですね。例外規定、返還拒否をすることができる規定というのはあるんですよ。それを私は国内担保法にも明確に書くべきだと思っていますし、きょうは正式な外務委員会の場ですから、私は主張したいと思います。

 条約にはこういうふうに書いてあるんです。次に掲げる事由のいずれかがあること、これは条約の第十三条1のbです。子に対する暴力等、相手方に対する暴力等、相手方が子とともに帰国することができない事情、兄弟姉妹との離別、そして包括条項。包括条項というのは、その他、子を常居所地国に返還することが、子に対して身体的または精神的な害を及ぼし、または子を耐えがたい状況に置くこととなる重大な危険があること、こういうおそれがあるときには返さなくてもいいですよと。

 国内の心配しておられる方々、特にDVの関係ですよ。私も、参議院議員の時代からDV防止法に取り組んでまいりました。国内法をつくるときに、やはり明確に例外規定を書くべきだと私は思っています。そして、まさしく国益を守るためにも、その上で国際社会のルールに入るべきではないかと思って、きょう申し上げているんです。

 ここまでお聞きになって、大臣の所見を伺いたいと思います。

松本(剛)国務大臣 私自身も、いかにして御懸念を払拭をした上で前へ進めるかという意味で、今委員からお話をいただいたように、国内で制定をする法律のあり方によってできるだけ懸念を払拭するような準備を整えよという御指摘については、御提言としてぜひ私も受けとめて、そのことはしっかりと頭の中に入れておきたい、このように思っております。

馳委員 その際、きょうは法務省の方も来ておられますので、改めて私なりの問題意識を申し上げておきたいと思います。

 まず、今回の民法の改正でも、今から言う考え方、理念というものが据えられました。子供の最善の利益を考えること、それから子供の意向、まさしく子供の意見表明権というのが権利条約にもありますけれども、子供の意見表明をしっかりと担保した上でその意向を酌み取ってあげるということと同時に、先ほどから申し上げている、離婚をした後の親子関係にどう取り組むかという問題、これはやはり正面から取り組まざるを得ないと思うんですよ。

 大臣は離婚したことはないですよね、離婚を考えたことはあるかもしれないけれども。選挙をしていると奥さんからいろいろ言われることもあると思いますけれども。(発言する者あり)

 つまり、私がここで問題にしておきたいのは監護権の問題なんですよ。私は、先ほどから申し上げているように、日本は今現在、離婚をした後は単独親権です、日本も共同親権が必要ではないかと。一歩手前に来て、選択的な共同親権、さらに一歩手前に来れば、共同養育計画、そして養育費の支払い、この約束をきちんと取り交わさないとあなたは離婚できませんよ、それこそ子供の最善の利益を考える必要があるんですよと。やはりそういう準備をしておくことが離婚に臨む夫婦の礼儀だと私は思いますし、責任だと思うんですね。

 親権というとどうしても親の権利義務というふうな関係になりますけれども、親としての果たすべき責任があるんじゃないんですか、その責任を果たした上で親権というものを議論しましょうよ、私はそういうふうになってほしいと思っています。

 同時に、前回の児童虐待防止法の改正のときに、第四条に親責任という理念を盛り込むことができました。これは、ドイツやイギリスでもそういう考え方のもとに法の規定がされておりますけれども、親としての果たすべき責任というものを、我が国の家族文化の歴史というのはありますけれども、果たすべき責任はあるのではないかと私は思っています。

 ちなみに、私ばかりしゃべっていてもあれですが、未成年の子供を抱えた離婚というのは、正直ふえているんです。国際結婚、国際離婚もふえているし、我が国内でもふえています。最近では、毎年二十五万人と言われておりますよ、親が離婚した未成年の子供。これは本当に大問題ですよね。

 離婚をした後、離婚をして一緒に暮らしている親とそうではない一方の親、つまり、ハーグ条約といいながらも、国内においても、無断で子供を連れ去られて、会いたくても会えない事案というのはごまんとあるわけですよね。

 離婚後のこういう監護のあり方について、大臣の考え方をまずお聞かせいただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 やはり、今お話がありましたように、残念ながら親の婚姻が破綻をした、離婚をしたケースの子供のあり方をどう考えるかということを考えると、おのずとハーグ条約の問題にも突き当たり、また、親権の問題、養育費の問題にも突き当たるというのは、そのとおりではないかというふうに思います。

 今、ハーグ条約についての検討を推進している外務大臣の立場だけで申し上げれば、大変近い関係にはあると思いますけれども、ハーグ条約はハーグ条約の検討、また親権は親権の担当をすべきということをまず申し上げた上で、私自身がどう考えているかということをお聞きであるとすれば、私自身の周りにも、残念ながら未成年の子供を抱えたまま婚姻が破綻をした、離婚したケースというのがありますし、その多くの場合は、やはり女性、母親の側に子供がいるケースが、実態としては、私の周りの実感としては多いなというふうに思っておりますし、今度はそういった場合には、そういった母子家庭の雇用、経済的な自立の問題というのもありますし、そうなると養育費の問題。

 それから、今先生がおっしゃったように、他方では、子供を持っていない親はどうなるんだろうと。私は男でありますので、そういったことを見ると、個人的には考えたことがあるかないかというようなお話について今ここで答えるのがいいのかどうか、議事録に残るところでお答えをするような話なのかどうかという話もさっき理事からお話がありました。私自身は少なくとも考えたことはありませんけれども、実際に親として考えてみたときには、やはり子供と会えなくなるということがもしあるとすれば、それは自分の気持ちの中にも大変大きな穴があいたような気持ちになるだろうなということは、離婚した家庭を見ていて想像をしたことはあります。

 そうすると、それに対して何ができるのかということで、先生が共同親権の御議論をされている、私どもの同僚の議員もしてきているというのは、私自身が直接参画をすることは今まで機会がなかったというかあれだったんですけれども、どういう御議論をされているかということは拝見をさせていただいてきたつもりでございます。

馳委員 そうすると、離婚をした後の子の最善の利益を考えた場合に、一緒に生活をしていない一方の親との面接交流、面会交流という言い方をしますけれども、その必要性についてはお感じになりませんか。

松本(剛)国務大臣 これ自身についてさまざまな議論があるということを承知しておりますので、閣僚として今これについてコメントをさせていただくというのが、必ずしもまだ適切な段階に来ていないのではないかというふうに思っております。その点をぜひ御理解いただきたいと思っております。

 個人的な感想という意味では、先ほど申し上げたように、親としては、もし子供と会えないとすれば、やはりそれは心の中に大きな穴があいたような気持ちになるであろうと思いますし、それは人としても、それを埋めることによって、それぞれがまた、やむを得ぬ離婚だったとはいえ、道を歩んでいくために必要であるということは、考えがあるのはもっともではないか、そう思っております。

馳委員 今回の民法改正でも、七百六十六条だったと思いますが、面接交流についての規定は盛られたんですね。その必要性というのが法学界で認められてきているということの理解の上でですね。

 本来の問題に戻りますけれども、一番大きな問題は、これからは、では、ハーグ条約に加盟をするとして、中央当局をどこにするかという問題があります。私は選択肢を言いますよ。内閣府がいいのかな、海外との条約に基づく取り決めだから外務省がいいのかな、そうはいっても、離婚後の子供の監護のあり方も含めて、どこで生活をさせるかという問題も絡むから、これは裁判にも入る可能性があるので、司法当局である法務省がいいのかな、三つの選択肢があると思うんですよ。

 大臣として、国内担保法の必要性についても言及されましたが、中央当局はどこがいいというふうにお考えになりますか。それぞれ一長一短あると思いますけれども、お答えください。

松本(剛)国務大臣 もう委員がよく御理解をいただいているように、まさに一長一短であるという状況であるということはまず申し上げなければいけないというふうに思っています。

 その上で、一つは、ハーグ条約の趣旨に沿って、そして最終的には子供にとっての最善の利益になるためにはどういうふうにしたらいいのかということがあります。もう一つは、当然、必要なものはしっかりとやっていかなければいけませんが、昨今の状況の中で、行財政的な面でできるだけ負担を軽くした形で実現をしなければいけないということもあります。そういう意味では、全く新しいものをどこかにつくるということが適切かどうかということは行財政的な面から考えなければいけないというふうに思っております。

 その上で申し上げれば、まさに先ほどリエゾンジャッジの話を先生がされておられましたけれども、私が理解をするところ、このハーグ条約においては、やはり各国の中央当局間の連携というのは一つ大きな、大変重要な役割ではないかというふうに思っております。そして、中央当局に求められるものは、当然、各国との間であれば、外国とのやりとりという意味では外国との窓口という面がありますけれども、やりとりをされる中身そのものは司法手続に関する情報交換といった側面が多いのではないか。そのようなことを考えれば、そのことに最も詳しいところということになれば、司法手続その他を所管していただいているところになるというのは一つの考え方としてあるのではないかなというふうに思っております。

馳委員 まだ国内担保法の具体的な議論に入っていないので、私の案を言いますね、私なりに。

 私は、やはり窓口ですから、外務省がいいと思っているんです。ただし、先ほども申し上げたように、リエゾンジャッジという考え方は、これは法律でなくてもできます。したがって、法務省や最高裁判所、そして、これは実は、もといた国に戻すということになってきますので、強制執行の問題が絡んでくるんですよ。そうすると、やはり警察当局との人事交流をしながら、そういった部局を外務省に置く方が、海外にある領事館との情報交換も含めると妥当ではないのかなと思っております。しかしながら、実務的なことを言うと、法務省と最高裁の役割は極めて重要になると思われます。

 私は一方的に申し上げたので、国内担保法については今後非常に紆余曲折あると思いますが、大臣、いかがですか。

松本(剛)国務大臣 まさに今いろいろ検討させていただいている状況であるというふうに思っております。委員のお考えは一つの考え方として、先ほど一長一短とまさにおっしゃったとおりでありますので、そのような考え方があるということは今お聞かせいただいたというふうに受けとめたいと思っております。

 その上で申し上げれば、やはり中央当局というのは、ある意味では、ハーグ条約の中央当局でありますから、各省との情報交換をしていく、また情報をしっかりと束ねていくことも必要だろうと思いますけれども、また一つ責任を持って対応するということも必要であるというのもおっしゃった中には含まれているというふうに思いますが、その点は私もそのように理解をさせていただいております。

馳委員 さて、もう一つ関係者からよく言われるのが遡及措置なんですね。今現在でも紛争が継続しておる中で、早くルールをつくって、その適用を遡及適用してほしいというふうな議論があるんですよ。大臣、いかがお考えですか。

松本(剛)国務大臣 現在のところ、結局、政府間、外交ルートを通じてさまざまな個別の事案についての照会ないしは対応の要請なども来ておりますので、こういったものについては、基本的には、現段階では私ども外務省で関係の省庁ともよく連携をいたしまして対応をさせていただいてきております。

 その上で、ただ、具体的に、法律も含めて遡及ということができるかどうかということは、今の段階ではなかなか難しいのではないかというふうに率直に申し上げたいというふうに思っていますが、そういった事案についての対応についてはしっかりやってまいりたいというふうに思っております。

 なお、念のため申し上げれば、関係省庁と連携をさせていただいてやっておりますし、引き続き、私どもとしては、このハーグ条約がもし締結をされたとしても、外国からの話についてはしっかり受けとめてやっていきたい、こう思っております。

 ほかの国々でも、いわば非ハーグ案件という形で、そういったものはとりあえず外務省が扱う、他方で、中央当局は司法省なりが扱うというようなことで対応しているところもあるやに聞いておりますし、先ほど申し上げたことをつけ加えて申し上げれば、私どもが承知をしている限りは、各国全体としては、やはり司法担当をしている省庁が中央当局を務めるところが多い、そういう意味でも、情報等交換先としては、適切なところはそういうところではないかなということを申し上げましたが、他方で、外務省として、当然それをしっかりと、中央当局がうちの省じゃないから知りませんというような話にしていい話だとは全く思っておりませんし、決してそうはならないようにしなければいけないということだけは申し上げたいと思います。

馳委員 私があえてきょうリエゾンジャッジの話を申し上げたのは、法律がない、ハーグ条約に加盟していなくても、裁判官がハーグ条約の問題に詳しくて、もちろん、国際的なやりとりができて、電話やメール等で領事館を通じてやりとりをし、紛争になる一歩手前で解決しようと思えばできるやり方もあるんですよということを申し上げたかったんですね。

 大臣、遡及が難しいというふうにおっしゃいましたよね。覚えておられますか。今から四年前、ねじれ国会のとき、一番最初に成立した法案が被災者生活再建支援法で、当時担当しておられたのが、民主党の政調会長だった松本さんだったんですね。あのとき、八項目から十項目ぐらい民主党の要求があった中で、最後にちゃんと金額の問題と遡及適用の問題をかち取ったのは松本大臣じゃないですか、当時。

 あのとき、新潟の方の台風とか地震の問題だったかな、あと、能登半島の地震の問題ですよ。法律はやはり遡及適用できませんよというふうな形で、当時私は与党でしたけれども、ねじれ国会でした、やりとりをする中で、あのとき一番最初にねじれ国会で成立した法案が被災者生活再建支援法ですよ。担当されたのは松本政調会長、大臣でした。

 あのとき、遡及適用をやったじゃないですか。やろうと思えば、検討の課題に挙げて工夫はできるんですよ。そう思いませんか、大臣。

松本(剛)国務大臣 被災者生活再建支援法の場合は、その時点で幾つか起こっていたものに対してどのようにして被災者の方々を救援することができるのかという視点から、最終的には法律としての遡及という形ではなかったというふうに思っておりますが、実質的な効果が及ぶような工夫を皆さんの知恵を出していただいてできたというふうに思っています。

 このハーグ条約の問題についても、さまざまな形で御支援をしなければいけないということで、私どもも取り扱いをさせていただいております。

 ただ、被災者生活再建支援法と今回の場合と、私の中では少し違うのではないかと思っているのは、被災者生活再建支援法の方は、公的な機関から被災者を支援するというこの二者の関係でありましたが、今回の場合は、それぞれがいわば私人の立場でいらっしゃる。そうすると、今の段階と、何らかの形でこれをさかのぼるといった場合に、双方の権利関係もあろうかというふうに思いますし、今の状況というのが、それによって有利、不利も出てくると、どこまで及ぼすことが可能なのかということも考えると、やはり被災者生活再建支援法の場合とは少し違って慎重にならざるを得ないということも私の中にありまして、そのように御答弁をさせていただきました。

馳委員 大臣、さすがに私の誘導尋問にはひっかからなかったですね。そうなんです。あのときは、遡及適用じゃなくて、その年に起きた災害の被災者を公的に救済し、再建支援のために支援金をお渡しするというふうな仕組みとしてまとめたんですよね。

 ただ、大臣、そうは言いますけれども、一方、連れ去られた側の立場とすれば、国境を挟んでいる、十六歳未満の子供ですよ、無断で連れ去られている、会いたくても会えない。そして、二〇〇九年九月二十八日、福岡で起きた事案のように、親がとって、取り返すような、子供を挟んだ本当に痛ましい事案もあって、この問題に関しては、きのうおとといの報道によると、アメリカの裁判所では、四億九千万円をお母さんに払いなさいという裁判結果まで出ているんですよね。テネシー州ですね。

 判決について、男性は、子供たちと再び会える環境をつくれるよう、元妻に考え直してもらうのが訴訟の目的だ、こういうふうに語っていて、お金を取ることが目的ではなくて、やはり子供に会いたい、離婚をした後も子供に会いたい、監護権はないけれども子供に会いたい、どうしたらいいだろうと本当に引き裂かれるような思いで悩んでいる方々がたくさんおられるということを考えると、遡及という法的なことは難しいのは私もわかっていてきょう申し上げておりますが、この問題については、今まで起きた事案も含めて、国家として責任を持って取り組む体制をつくる、その姿勢が必要だと私は思って、きょう質問させていただきました。

 最後に大臣の所見を伺って、終わります。

松本(剛)国務大臣 今おっしゃった案件については、私どももまだ判決等を詳しく入手できておりませんが、報道などでは承知をしておりますし、損害賠償六百十万ドルまでのうちの四百万ドルについて、元妻が子供の不当な拘束を続ける場合に、その日数に応じて追加的支払いを命ずるという形で、ある意味では、拘束に対して一定の判断を裁判所が下したとも評価をできるものだろうというふうに思っておりますが、まさに委員がおっしゃったように、他方では、これは実は、御承知のとおり、日本から子供を連れて帰ろうとして元夫が逮捕されるということもあった事案でありまして、結果として子供の最善の利益が図られているかといえば、とてもそうとは言えないという事態が発生をしているというふうには私も考えるところであります。

 そのためにも、委員がお話しいただいたように、未来に向けてどう解決をするかということと、今起こっているものについてどう取り組むかという二つの問題提起をいただいたというふうに理解させていただき、どちらも取り組まねばいけない課題だということについては、私もそのように思って真剣に取り組みたい、このように思います。

馳委員 終わります。どうもありがとうございました。

小平委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 初めに、普天間の問題についてお伺いいたします。

 報道等で出ておりますが、米上院の軍事委員長のレビン委員長が、今回、普天間について、嘉手納統合ということについての考え方を示した、これに対して枝野官房長官が、即座にだと思いますが、現行の日米合意を堅持するという意向を示したということでありますが、外務大臣も同じ考えと考えてよろしいんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 米国の議会の有力な議員であるレビン議員、マケイン議員、そしてウェッブ議員が一つの御提案を米国の国防総省に対してされた。その内容についても公開をされておりますので、私どもとしても承知をしております。

 その上で、米国政府としては、国防省の報道官が、我々には、二〇〇六年再編ロードマップ及び二〇一〇年五月二十八日の共同声明を含む長年にわたる日本政府との合意がある、これらの合意は沖縄の住民、日本全体そして日米同盟のためになるものであるということで、合意を維持するという考えを米国政府としては示したものと理解をしておりますし、私どもとしても、米国政府との間で合意したものを維持し、着実に実施できるように努力をしてまいりたい、このように考えております。

小野寺委員 一言確認をします。

 そうしますと、今回のこの嘉手納統合の案ということに関しては、政府は現時点としては反対ということでよろしいんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 米国の議会から米国の政府に提案されたものでありまして、その間での御議論を私どもももちろん注視してまいりたいと思っておりますけれども、私どもとしては、いわばカウンターパートである米国政府が今の段階で合意を維持するということでお話をされておりますし、私どもとしても合意をしたものでありますから、これを着実に進めるということを申し上げているわけでありまして、レビン議員を初めとする議員の皆様がおっしゃっていることに私どもはそもそも賛成、反対ということを申し上げる立場にないというふうに思っております。

小野寺委員 次期2プラス2、これはいつ開催される予定でしょうか。

松本(剛)国務大臣 共通戦略目標など大切なことを決める2プラス2でありますので、これまで2プラス2と言われてきたものが何回か開催をされていますけれども、実は、日本の外務、防衛、米国の国務、国防の四閣僚が全部そろっていなかったケースもあるわけでありますが、今回はやはり四人そろうことが大変重要ではないか、これは日米の共通の認識であると思っておりまして、その日程調整を行っているところであります。

 できるだけ早く行いたいと思っておりますし、決まりましたら、また正式に発表をできる段階になりましたらそのようにしたい、このように思っておりますが、現段階では調整中というふうにお答えを申し上げることになると思います。

小野寺委員 答えは最後の一言、現段階調整中だけでよろしいと思います。

 さて、そうしますと、現在日本国政府として、沖縄の今回の普天間の移設案に関しての例えばV字案、I字案等が今まで決定をされていないというふうに伺っておりますが、もう既に日本側の案としては決定されたと考えてよろしいんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 二〇一〇年の五月二十八日の日米の合意では、次回の2プラス2には代替施設について決定をするというふうに記されておりますので、そのことを踏まえて今取り組んでおるわけでありますけれども、今、決定したということで皆様に御報告をできるというような状況であるというふうには認識をしておりません。

小野寺委員 今回のウェッブさん初め米国の議会の動きというのは、実は日本政府の問題なんです。日本政府がいつまでたっても案を決めない、何も決めないから、いらいらして、これではもう代替施設は無理じゃないか、だから普天間の統合はどうかと、さまざま米国内でも揺れている。実はその原因が、日本政府がいつまでたってもこの代替案を決めない、ここにあるというふうに大臣はお考えになりませんか。

松本(剛)国務大臣 一つ一つ前へ進めるに当たっては、今回の昨年五月の合意を着実に実施させるに当たっても、私どもとしては、誠意を持って沖縄の皆様方にお話をさせていただき、できることであれば理解をいただきたいという気持ちで進めてきております。

 その上で、私どもの進め方については、これは日米に関することでありますから、よく米国の政府にもお話をして、これもまたその進め方を御理解いただいていかなければいけない、このように思っておりますし、御理解をいただく努力をこれまでも重ねてきたというふうに考えております。

小野寺委員 残念ながら、恐らく、米国側のこの嘉手納への統合案を含めて、結果としては、結局これは、日本政府が何も決めないということに対してのアメリカ側の一つの反応だと私は思っております。

 鳩山政権誕生後、この問題についてこの外務委員会でもたびたび主張してまいりました。冒頭から一貫しているのは、結局今の普天間の固定化につながるのではないかということ、これを繰り返し繰り返しお話をしておりますが、間もなく二年近くになりますが、この方向は全く変わっていないということを、ぜひ政府の皆さんには、責任ある立場だということで、つらいことでも決めなければいけないことは決めるということをきちっと重く受けとめていただきたい、そう思っております。

 その中で、改めて伺いますが、普天間移設は二〇一四年が目標ということで決まっておりますが、再三政府にお伺いしますが、二〇一四年というこの一つの区切り、このことについては、いまだにこれは達成されるとお考えでしょうか。

松本(剛)国務大臣 在日米軍の再編計画については、今委員からお話がありましたとおり、二〇〇六年のロードマップにおいて、二〇一四年ということで定められております。

 その後、そのときに考えられたスケジュールが、二〇〇六年からすべて考えられた節目どおりに進んでいるかということであれば、率直に申し上げて、後ろに行きつつあることは事実であるというふうに申し上げざるを得ないというふうに思っています。

 しかし、一定の目標を持って行うという意味では重要であると思っておりますし、日米両政府が二〇〇六年五月に合意をした二〇一四年までに完成させるという目標を正式に断念するという方針を固めた、またそういったことを合意したという事実はないというふうに考えております。

 現実をしっかり見ながら、目標はしっかり掲げていくということが大切で、日米間でもしっかり話をしていきたい、このように考えております。

小野寺委員 今、素直に後退している部分もあるというお話がありました。現実を見れば、多分そうだと思っております。

 そしてまた、ちょっと大臣のお話でえっと思ったのは、断念を正式に日米で合意をされたら困るわけです、そうならないようにやっていただきたい。そして、この二〇一四年というタイムスケジュール、だれが考えてもこれは、もう二〇一一年です、そしてまだ実は日本の政府案ができていない、アメリカ側は業を煮やして、これから議会でもこの問題に対していろいろな意見が出てくるだろう、こういう迷走をアメリカの中でももう行っているような状況になって、本当に二〇一四年が達成できるのかどうか。

 もしこの二〇一四年の達成に向けて、今このようなスケジュールであれば間に合うということを、よく工程表ということを菅総理はお使いになりますが、今の段階で結構ですので、どのような工程で二〇一四年が間に合うのか、外務大臣にぜひお伺いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 二〇〇九年に私どもが政権を引き継いだ時点から二〇一四年ということを考えて、五年間でありました。さらにその後、私どもも沖縄の皆さんにおわびをさせていただきましたけれども、改めて辺野古でお願いをせざるを得ない事態になったというような状況も発生をいたしました。

 今お話をさせていただいたように、現実をしっかり見ながら、目標は掲げられているわけでありますから、その間、それに向けて私どもとしてもさまざまな作業を行っているわけでありますけれども、具体的に今、関係をする方々、そして御理解を得なければいけない方々もいらっしゃいますので、いつ、どうということはなかなか申し上げにくいということを御理解いただけたらと思います。

小野寺委員 例えば今回、当然埋め立てが必要だということになりますので、その際は知事の同意というのが必要ですし、その後、多分、漁業補償を含めたさまざまな補償が必要になると思います。そしてその後、工事が実際始まったとしても、相当の時間の工事がありますし、工事が終わった後に一定の養生期間も多分必要だということ。これをすべて考えていくと、あと三年でこれが本当にできるのかどうか、これは実態として一体どうなのかと私どもは思っております。

 外務大臣にはぜひこの問題について、私は、率直に認めるところは認めるべきだと思っております。二〇一四年という数字がいまだにずっと残っており、それが一歩も後退することなく、そしてまたどんどん交渉の期日だけは先に進んでいくということになれば、ますます政治の不信、それからもう一つ言えば、沖縄の皆さんの心、これが本当に大変な状況になっていくのではないかと思っております。

 政府が早く2プラス2を開く、そしてその段階で政府案というのを明示する、その明示をした政府案についてしっかり沖縄の皆さんに理解をしていただく努力を懸命にやっていただく。外務大臣、きょうはいらっしゃいませんが、防衛大臣を含め、総理もそうですが、この国会での審議、そして逆に言えば沖縄でのさまざまな会談、そういうことを多数行わなければ、恐らくこの問題は前に進んでいかないんだと思っております。そして、これが前に進まないと、結局、日米のさまざまな今後の関係について大きな問題が出てまいります。

 今回の震災に対して、トモダチ作戦等で米軍は大変な支援をしていただきました。それに対して私どもは、その関係を維持したい、そうも思っております。ただ、さらに深化をさせるために残っている問題が沖縄の基地の問題、これを解決することが今一番実は大事なところだと、恐らく多くの国民もずっと思っているんだと思っております。

 外務大臣にもう一度お伺いします。この二〇一四年ということを、これからもしっかりこの期日を維持して、それに向けて最善の努力をされるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

    〔委員長退席、長島(昭)委員長代理着席〕

松本(剛)国務大臣 先ほど申し上げましたように、二〇〇六年に定めていただいたスケジュール、その後すべて考えられた節目どおりに進んでいるかといえば、後ろに行きつつあるということは事実であるというふうに先ほど御答弁をさせていただいたとおりであります。

 当然、当初考えられていたスケジュールから後ろに行きつつあるのであれば、どこでどのぐらい取り返せるのかということを考えなければ二〇一四年の目標に到達できないということに論理的にはなるわけでありますけれども、やはり二〇〇六年に両政府が合意をした目標でありますので、掲げられた目標を見据えて努力をするということは重要なことだというふうに考えております。

小野寺委員 今回、日米関係がますます大事だということを震災を通じて感じました。

 そして、例えば私どもができること、十日の日にワシントン・タイムズに「Arigato」というメッセージ、これを私も名前を出して広告させていただきました。

 このようなことをする一番のリーダーは、実は菅総理だと思っています。総理が訪米をすることは大きなメッセージだと思いますが、総理訪米の日程についてお伺いをしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 総理訪米についても日程を調整して進めてまいりたい、このように思っておりますが、当然、訪米ということになれば、先方の米国の大統領のスケジュールというのもあわせて考えなければいけません。未曾有の東日本の大震災発災以降、総理も震災復興に全力を挙げておるところでありますし、また、米国の大統領も大変忙しいスケジュールの中走っておられますので、私ども外交当局としては、できるだけいい形の日程調整を進めていきたい、このように考えております。

小野寺委員 まだ決まっていないというふうに理解してよろしいのでしょうか。

松本(剛)国務大臣 今私としてお答えできるのは、調整中であり、決まりましたら発表させていただく、こういうことでございます。

小野寺委員 一日も早く行っていただく、そのためには、恐らく前段階として2プラス2が必要、そしてその前には、沖縄の基地問題の政府案の確定というのが必要、その一つ一つの段階を経るということがあると思います。相当急がないとこれは間に合わないということになりますので、ぜひ作業を進めていただきたい、急いでいただきたいと思っております。

 また、もう一つお伺いしたいのは、今度はサミットがあります。総理が訪問されると思いますが、サミットでの議題の中で、恐らく日本の原子力に関してのさまざまな説明もあるんだと思います。その中で触れていただきたいのは、実は、農林水産物を含めた輸出物に関して、このことに関しての日本側のきちっとした説明というのをお願いしたいと思っています。

 実は、今回福島の問題が発生して以降、東北一円あるいは東北以外のところでも、日本の特に農林水産物を中心に輸入規制というのが強まっています。中国も輸入禁止、香港も輸入禁止、台湾は輸入一時停止、韓国も輸入禁止、そのほか多くの国でも禁止もしくは証明書、農産物の証明書をわざわざつけるということは、事実上これは輸入禁止ということと同じことになってしまいます。今回のサミットの参加国もすべて、実は、日本からの問題に関しては、輸入禁止か証明書をつけるということになっております。

 私は、この問題の終結もそうでありますが、菅総理が風聞被害に対して十分な補償をするということをお話しされました。この風聞被害は決して福島だけではありません。東北あるいは日本全体の農産物を中心とした輸出に関しても大きな影響が出ているということ。ぜひ、今回のサミットの中で、この日本の農産物に関して、菅総理が食べて元気だよということではなくて、しっかり科学的な根拠に基づいて各国首脳に説明をしていただきたいと思いますが、このことについてはどのような対応をされるでしょうか。

松本(剛)国務大臣 主にやはり食品、食料関係が多いわけでありますけれども、輸入規制措置に対する対応というのは、現下の外務省、外交においても最大の課題の一つであるというふうに私自身も認識をしておりまして、またそのためには、おっしゃったように、必要なことは、正確かつ十分なデータをできるだけ提供するということによって対応することだというふうに思っております。

 既に、国によっては食品衛生関係の専門家を送りたいというようなお話もあるようでありますので、そういったものにも積極的に対応していくことによって、早く理解を得て、規制措置に対応していきたいと思っておりますし、これはあらゆる外交の機会でとらえなければいけない、このように思っております。

 総理自身もこのことが大変大きな課題であるという認識は持っているということは間違いなく申し上げられるというふうに思っております。

小野寺委員 ぜひあらゆる機会、特にこのサミットの場というのは、日本の輸出に今後活路を見出そうと思っている農林水産物にとっては、今回の原発は大変大きな影響になっております、一つでもこのような問題が払拭できるように努力をしていただきたいと思っております。

 さて、もう一つ、今回の震災対策の一次補正の中身の中で、ODAが約五百億削減される、一次補正のかわりの財源ということで今回組まれてしまいました。私どもはODA削減反対ということで、大臣も同じお考えだったと思いますが、そういうことになったんだと思います。

 このことに関して菅総理が、恐らく問題だとも思っていたんでしょう、十一日に飯倉公館で行われました各国の駐在大使に対しての感謝の集いで、これはこの後私もいろいろな大使から、いつ、どのぐらいふえるんですかと具体的に聞かれるんですが、何倍にもODAをふやすんだ、今後ふやしていくんだということを総理は発言されておりますが、この何倍にもふやすという発言を大臣は事前に聞かれていたでしょうか。そしてまた、もし聞かれていたのであれば、一体いつの時期にどのぐらいふやすかという見通しがあるのかどうかを教えていただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 私も横で聞いておりましたけれども、ぜひ皆さんの力をいただいて、日本を復活、復興させて日本を元気にしたい、そして元気になっていった暁には、今回はやむを得ず削減をしたけれども、削減をした分を何倍にもして国際社会にお返しをしたいということでおっしゃられたわけで、そういう気持ちをおっしゃったんだというふうに私は理解をしております。

 これから個々の予算は、具体的に編成をしていく中で、私どもとしても削減をした分を改めて求めていきたいと思っておりますし、予算編成の過程、そして予算は最終的には国会審議の過程で確定をされていく、このように考えております。

 この外務委員会、小野寺理事初め各委員の方々からODAについては深い御理解と御支援をいただいたこと、私自身としては、最終的には五百億の削減の、政府の一員でありますので責任があると思っておりますので、ぜひODAをしっかりと推進すべきだとおっしゃっていただいた方々にはこたえ切れなかった部分がありますが、これからその分も埋め合わせできるように私自身も努力をしていきたい、このように思っております。

小野寺委員 総理がどのようなお気持ちで言ったのかは知りませんが、恐らく大臣も相談を受けた話ではないんだと思います。恐らくスピーチの中でお話をされたんだと思いますが、このような何倍にもという言葉、これはそこにいた各国の使節の方々には大変重く受けとめられます。恐らく、公電で各国の政府にも伝えられていることだと思います。このような、もし見通しがない、気持ちだけ、思いだけということであれば、総理の言葉は軽過ぎると私は思います。

 先般、予算委員会で私が、仮設住宅の建設ということでいつごろまでと聞いたら、お盆までにはというお話がありました。翌日には国土交通大臣が、それは総理の思いであるというお話をされました。思いだけで発言されたら、その発言というのは実は重いものとして各国がそれを受けとめてしまう、そういうことになり、後に外務省が外交をやりにくくなってしまうこともございます。

 なかなか言いにくいこともあるでしょうが、やはり大臣は総理を補佐するという役目もあると思いますので、そういう発言については重々これからも重い気持ちを持って発言していただくように御指摘をいただければと思っております。答弁は難しいと思いますので、次に移りたいと思います。

 もう一つ、私どもは、実は事務所にさまざまな懸念の声があります。きょうは少しこれを聞きたいと思います。

 実は、つい最近、四月の下旬だと思いますが、中国大使館が東京都港区のKKR、国家公務員共済組合所有の土地を落札したというふうに伺って、この問題については、いろいろなところから大丈夫なのかという意見が多々出ておりますが、この落札についての事実関係を教えていただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 今先生からお話があったように、今般、KKRは、所有をする南麻布の土地を一般競争入札により在京の中国大使館に売却することを決定したというふうに私どもも承知をしております。

小野寺委員 この中国大使館の土地購入、約五千平米以上というふうに伺っておりますが、南麻布の一等地です。この購入に関して、事前に外務省は連絡を受けていたでしょうか。

松本(剛)国務大臣 従前から、在京の中国大使館からは、外務省に対して、老朽化し、かつ手狭になった中国大使公邸などの建設用地として、館員宿舎に隣接をする本件土地の取得希望というのは表明をされていたところであります。

 御案内のとおり、外交に関するウィーン条約二十一条で、「接受国は、派遣国が自国の使節団のために必要な公館を接受国の法令に従つて接受国の領域内で取得することを容易にし、又は派遣国が取得以外の方法で施設を入手することを助けなければならない。」「接受国は、また、必要な場合には、使節団が使節団の構成員のための適当な施設を入手することを助けなければならない。」こう書いてあるその趣旨にのっとって、ただ、当然、「接受国の法令に従つて」ということでありますので、今回の件については、私どもからは、当該土地、希望の土地の処分はKKRが一般競争入札によって行うものである、取得を希望するものであればKKRの行う入札に参加をする必要がある、こういう説明をさせていただいたという経緯がございます。

小野寺委員 そうしますと、中国側のこの五千平米を超える南麻布の一等地の購入については、外務省は購入について同意をしたかしないか、したということなんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 私どもとしては、今お話をさせていただいたような趣旨から、派遣された国の公館の取得もしくは取得にかわる方法を助けるというのが基本的にはウィーン条約の趣旨だというふうに理解をいたしております。

 その上で、日本の国内で適法な形で取得をされたことに対して、私どもとして反対をするという理由があるものとは理解をしておりません。

小野寺委員 大臣が何度もおっしゃいますので、今の外交関係に関するウィーン条約第十一条には、その人数が、合理的かつ正常と認める範囲になるものだということがございます。それから第十二条には、派遣国は、接受国に関する事前の明示の同意を得ないで事務所を設置してはならないということが書いてあります。

 ですから、大臣がお引きになるようなウィーン条約によれば、日本政府はこれは同意をしなければいけないということになっています。また、同意をする前段階として、それが適切な規模であるということ、それも合理的なものであるということを確認しなければいけないということになっていますが、今回のものについては、合理的であり、そしてまた適切だ、だから同意をするということで考えてよろしいんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 今、私どもとして、これについて反対をする理由は、条約の面、法律の面からないというふうに理解をいたしております。

小野寺委員 もう一つ、財務省にお伺いしますが、今回、この土地の取得に関しては、さまざまな、日本の法令ではそれぞれ課税がされるということになります。また、恐らく所有した場合には固定資産税というのが発生すると思いますが、大使館所有の場合のこの購入に関するさまざまな国税の課税、それから、もしおわかりになれば地方税について、どのような対応になるか、教えてください。

尾立大臣政務官 委員にお答えをいたします。

 一般論で申し上げますと、登録免許税法第六条におきましては、外国政府がその国の大使館、公使館などの施設の敷地または建物に関して受ける登記につきましては、その国において日本国の大使館、公使館などの敷地または建物に関する登記または登録等について課する租税を免除する場合に限って、当方も登録免許税を課さないこととなっております。いわゆる相互主義ということになっております。

 国税についてお答えをいたしました。

小野寺委員 相互主義というお話でありますが、実は、日本側は中国側に土地を持つことはできません。北京にあります今の日本の大使館、領事館も、これは借用という形、リースという形での設定しかなくて、実は購入ができません。日本側は都心の一等地をどんどん買われ、中国に行った日本の大使館はこれは借用であるということであれば、一体、相互と言えるのかどうか、これは多くの日本人が同じく感じることだと思っております。しかも、これは、税金がかからない、そして固定資産税も基本的には無税であるということになれば、どんどんそういう土地だけがふえていったら、一体日本の一等地はどうなるのかと恐らく多くの国民が心配になる。

 だから、合理的な判断が必要。合理的な判断で、なるほど、これは中国大使館の外交活動には必要だということの判断を実は外務省がしなければいけない。ですから、一番初めの質問で私が大臣にお伺いしたのは、ウィーン条約の十一条で合理的なものということ、これをぜひ外務省に今後ともしっかり頑張っていただきたい、そう思っております。

 さて、同じく中国の問題ばかりで恐縮なんですが、私の事務所にいろいろな懸念が寄せられてございます。今回のこの南麻布の五千平米の土地ということ以外に、実は、新潟、名古屋の領事館、これが中国側が領事館として必要だということで購入の意図があるということ。名古屋については、これは国家公務員の宿舎跡、三万三千八百平米、約一万二百坪、これが領事業務です。現在の領事業務はビルの一画にあります。私も日本の領事館をいろいろな国のを回っていますが、皆さんも行ったことがあると思いますが、ビルの一室の事務所で行うのが普通は領事業務です。ですが、名古屋では三万三千八百平米、約一万二百坪の土地の取得について今交渉している。それから、新潟の領事業務では、これも一万五千平米、新潟の中心地にある小学校の跡地、ここを領事業務として購入しようとしている。

 これが、その合理的な範囲、必要な範囲というふうに外務省としてはお考えになるかどうか、この事実関係も含めて、外務省にお伺いいたします。

松本(剛)国務大臣 新潟市においても名古屋市においても、土地取得の希望があって、今お話があったような案件に対して取得の要望があるというふうに私どもも承知をいたしております。

 現段階で、私どもとしても、当該土地の所管をされているところとよく情報を交換して今後の対応について考えてまいりたい、このように思っております。

小野寺委員 先ほどの、大使館の規定がありますウィーン条約以外に、領事に関するウィーン条約というのもございます。この領事に関するウィーン条約の中にも、二十条では、当然、職員数を含めて合理的、正常な範囲であるということが規定をされております。そして三十条には、その活動に関して適当な施設であるということが規定をされております。

 私は、南麻布の大使館、これはどのようなお考えかわかりませんが、五千平米であるということ、大使館であるということ、こういうこともあるんでしょう。ですが、例えば領事館、通常の領事業務の範囲というのは、私どもの想定する範囲では、一万二百坪の土地が必要な領事業務というのは一体何なんだろう。こういうことを考えますと、どうも外務省が、例えば、中国側から、当然このような土地を買う場合には事前の同意というのは必要だということになると思いますが、そういう関係を綿密にとっていないのではないかと。

 そして、この土地が買われるということになりますと、当然これは、もし民間に売却すれば、国税その他のさまざまな税収があり、そしてまた、ここを民間が購買すれば、固定資産税ということで自治体には収入が上がります。ところが、大使館、領事館というところがこれをどんどん取得するということになりますと、税金も落ちなければ、逆に自治体にとっては固定資産税も入ってこないということになります。

 そう考えますと、私は、このウィーン条約、これは外交あるいは領事目的に関しても、両条約に適応するような、合理的、妥当性、適正、こういうことに今回の一連の流れが一体そぐうのかどうかというふうな疑問を持ちます。

 外務大臣にお伺いしますが、今言った事情の状況に関して、両ウィーン条約に関して適正に行われているのかどうか、考えをお伺いしたいと思っております。

松本(剛)国務大臣 領事業務というものをどのようにとらえるか、また、中国の場合は大変多くの在日というんでしょうか、本邦に中国人がおられるということも他方では事実だろうというふうに思いますが、いずれにせよ、今委員がおっしゃったように、私どもも条約加盟国でありますので、条約に言われているように、適切、合理的といったような表現のされている部分についてはしっかりとそのようにされるようにしなければいけないということは、おっしゃるとおりだろうと思います。

    〔長島(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

小野寺委員 一つだけお伺いしますと、一万二百坪の名古屋の土地取得に関して、これが名古屋にある領事館の領事業務としてその規模が適正であるかどうか、お答えください。

松本(剛)国務大臣 名古屋の案件につきましても、現在、関係の当局ともよく議論をさせていただいておりますけれども、中国側が売却を希望している土地の規模などについても、また皆様にお知らせをできる範囲ではお知らせをしていきたいと思いますし、それが適切であるかどうかということは必要な範囲でしっかりと行わなければいけない、このように考えております。

小野寺委員 私どもは、日中関係を含め外交関係は大切だと思います。そしてまた、その外交関係をスムーズにするための大使館、領事館、これも大変重要だと思っております。

 ですが、その反面、やはり外交には相互主義ということがございます。日本と中国、同じく対等な関係で相互主義ということになれば、日本だってやはり中国・北京には土地は購入ができるようにすべきであるし、そういう相互主義を貫くことが一つは大事だと思っています。

 もう一つは、例えば今回のような、ウィーン条約に照らし合わせればこれはどう見てもちょっとおかしいのではないかということに関しては、むしろ、外務省が中心となって中国側に、そのような希望があるけれども、領事業務の面積としてはどうなんですかというようなことを含めてしっかり言っていただかないと、今、水源地の問題あるいはさまざまな森林の問題、日本の国土が買われている、そういう心配を持つ方、多くの国民がおります。まさか外交施設がそのような一端を担うことがないように、逆に、しっかり注意をしていくことが大切だと思っております。

 今後とも、外務大臣にはしっかりとした対応をお願いしたいということをお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

小平委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 おはようございます。公明党の赤松正雄でございます。

 きょうは、冒頭、今回の大地震、大津波関連の原子力発電所事故をめぐっての問題、それから南沙諸島をめぐる問題、あるいは尖閣の問題等々、御質問をしたいと思います。

 まず、東日本の大震災から二カ月がたちました。この間、さまざまな動きがあったわけですけれども、私はやはり、ここから先、非常に重要な、ここから先というか、今までもそうなんですけれども、原発、東京電力の福島第一原子力発電所の事故をめぐっての対応、日本のこの対応について世界が注視をしている、非常に深い関心を持って見ているということを十分意識して日本は対応していかなくちゃいけない、そんなふうに思います。

 まず冒頭にお聞きしたいのは、先ほどもお話が違うテーマの絡みで出ておりましたが、五月下旬にフランスでサミット、主要国八カ国の会議がある、あるいはまた六月には国際原子力委員会、IAEAの特別会議が開かれるというふうに、国際社会が注目をする、そういう会議の場面が続きます。当然、総理大臣あるいは外務大臣も出席されるんだろうと思いますけれども、そういったところにおける今回の原発事故に対する対応、こうした分野における発信、これが非常に大事になってくると思います。

 まず、今、私どもが懸念をしているのは、この原発事故をめぐっての事故調査委員会がつくられていない。昨日も、党の会議の中で、原子力保安院のメンバーあるいは経済産業省のメンバー等といろいろやりとりをしましたけれども、事故調査委員会をつくるということについては高度な政治判断が要るわけで、そうした現場の、直接この問題に対峙している人たちからは、聞いても、そういう方向性というのは明確に出てこないわけです。

 まず、外務大臣は、そうした重要な閣僚として、そういう事故調査委員会をつくるということについての現時点における方向性をどのように聞いておられるのか、あるいは自分で考えておられるのかという点が一つと、もう一つは、先ほど申し上げたサミットあるいはIAEAの特別会議の場において、どのような報告をすることになると思っておられるかどうか、この二点について、まず冒頭お聞きしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 まず、事故調査委員会、検証なのか調査なのか、ちょっと文言はあれですが、これは必要だというふうに私も思います。この点については政府内でも認識が共有をされている、このように思いますし、現在、独立性、公開性、包括性という三つの原則に基づいて、原子力事故調査委員会を発足させるための準備が行われている、そういう段階にあるというふうに私は理解をいたしているところでありますし、また、外務省、外務大臣としても、この委員会にしかるべく協力をしていかなければいけないというふうに考えております。

 G8サミット、これは五月の二十六、七日、そして、IAEA閣僚級会合は六月の二十日から二十四日ぐらいだったというふうに思っておりますけれども、その時期だろうというふうに思います。当然、その折々、その時点で御報告できるものは、しっかりと日本側として御報告をしなければいけないだろう、こういうふうに考えております。

赤松(正)委員 サミットまではまだ、あと二週間を切っている状態で、この状況ではとても事故調査委員会ができる雰囲気ではないということですから、せいぜいIAEAの特別会議のときには、ある程度形がとられて、そうして、中間報告というか、中間までいかない現時点での報告というようなことになろうかと思うんです。

 私が思いますのは、私が思いますのはというよりも大臣のお考えを聞かないといけないんですけれども、この原子力発電所という問題について、これは改めて民主党の取り組み、どのように日本のエネルギーをつくっていくか、開発していくかという観点で、民主党政府のエネルギー基本計画なるものが非常に前政権と変わって、後でも申し上げるテーマとも絡むんですけれども、前政権よりかなり大きく違えていく、新しい方向性を出すということで、選挙戦を通じてそういう姿勢をかなり出してこられたわけですけれども、このエネルギーの問題についても、かなり積極的な方向性というもの、これは転換するというよりも一層加速させるという観点でしょうけれども、総合エネルギーにおける原子力の依存度というものを民主党政権はかなり高めている。二〇〇七年の段階で原子力の位置づけが全体の四分の一ぐらい、二六%ぐらいだったのを、半分は原子力発電所でやっていこうという方向性を民主党政権は出して、思い切りそういう方向に踏み切った。それが、今回の大震災、大津波で、さきには浜岡原子力発電所を停止するというふうな方向を打ち出したわけですね。

 今、民主党政府の、そういう原子力発電所の位置づけというものに対してのメッセージというのは、非常に一定していないというか、政権発足当初に比べて、今日の事態を受けて、その方向性が一定していないというか、非常に迷走しかけているという側面がある。

 それは、事態があの事態から二カ月たっているということもあろうかと思いますけれども、そういう状況の中で、大臣は、今申し上げたエネルギー基本計画の中における原子力発電の位置づけというものに対して、これからどのようにしていくべき、従来どおり、民主党の政府の方針どおりをやっていくのか、それとも、当然見直しが迫られてきている、そういう判断なのか、このあたりの考え方についてお聞きしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 私自身も民主党の政策づくりに携わってきた中から申し上げれば、共有されている認識としては、やはり、さまざまなエネルギー源がある中で原子力も一つの有力なエネルギー源としてとらえていかなければいけないということが、まずスタートラインとしてあったかというふうに思います。その後のエネルギー基本計画などで、温暖化対策などの観点、持続可能性をどのようにとらえるかといったような観点から、原子力のウエートをふやしていくような計画という御指摘があったわけでありますけれども、原子力についての位置づけというのをしっかりとらえていくような計画をお出しさせていただいたというふうに考えています。

 私自身は、一つの有力なエネルギー源であるという状況を変えられるというような状況ではないと思いますし、また、広い意味でも、大きく、日本にとどまらず、地球全体の今後の発展を考えたときにも、原子力というエネルギーが大変有力なエネルギーであるということはやはり今後も変わらないというふうに考えております。

 しかし同時に、それでは今後我が国の中で、例えば新たな立地などをしていくことができるのかといったようなことを考えれば、今回の事態を正面から受けとめたときに、これは容易なことではないこともこれまた事実だろうというふうに思いますので、そういう事実もしっかり踏まえながら今後の計画を書くとすれば、今後ふやしていくという計画をそのまま置いておくことが可能かどうかということも含めて議論をしなければいけないというふうに考えているところであります。

 いずれにせよ、今先生から御提起もありました、実は、やはり調査をして、検証をして、問題と原因がどこにあったのかということをしっかりと、しかし、できれば、できるだけ早く確定をさせれば、当然、対策と今後の政策の展開というのも決められていく、このように考えておりまして、今の段階ではまずそれを行いたい、こう思っております。

赤松(正)委員 日本がいかに注目されるのかということは、やはり原子力というものに対する姿勢というのが、原子力発電所の問題に限って言えば、日本以外の原子力発電所に取り組んでいる先進国、あるいはまた今それに追いつこうとしている国々というのは、ほとんどすべてがいわゆる軍事大国というか、いわゆる軍事力の側面で原子力を利用してきた過去を持っている国々ばかりなんですね。日本は唯一、原子力の平和利用という側面だけで今日までの原子力発電所の問題に取り組んできたという経緯があるわけで、したがって、そういう国家が、こういう未曾有の事故に直面して、原子力発電所の問題で今大変に呻吟しているという状況で、いかにそういう問題に取り組み、そしてすべてを公開して、いかに原子力発電所の事故を起こし、そしてそれを乗り切ろうとしているかということについて、世界にしっかりとした発信をしていく役割は非常に大きい。アメリカは、スリーマイル島のあの事故以来一基もつくっていないと言うんですが、しかしながら、原子力空母だとかあるいは原子力潜水艦という形で、動く原子力発電所というようなものをどんどん進めているという経緯がありますから、日本の注目され度合いというのは全然違う。

 ということで、先ほど言った、いっときも早く、そういう日本の現状というものについて情報を発信する、国際会議の場においてしっかりとそれを伝えていくということをしっかり念頭に置いて、そういう日本の位置づけ、立場というものを、注目をされている立場であるがゆえに、世界に向けてしっかりと情報を公開していく、世界が一緒にそれを共有していくという姿勢でお願いしたい、そんなふうに思うわけでございます。

 次に、二点目の問題でございますけれども、フィリピンが南シナ海にある南沙諸島の領有権を主張する文書を国連に四月五日に提出したというニュースに接しました。中国がこれに対抗する文書を四月十四日に提出をしています。

 この問題、四月五日、フィリピンが南沙諸島の領有権を主張する文書を出した、中国が四月十四日に出した。それから約一カ月がたっておるわけですけれども、その後のこの問題の進展状況というか、両国のこの問題に対する取り組み姿勢というもので、この一カ月の動きがあればお願いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 この南シナ海については、その領有権問題については、二〇〇九年五月に大陸棚限界委員会に対して、マレーシアとベトナムの大陸棚延長に関する共同申請を契機に、中国と複数のASEAN諸国がおのおの主張を展開している状況だというふうに理解をしております。

 本年四月のフィリピン、中国の、それぞれ自国の主張を述べる口上書を提出したことは今御指摘のとおりでありまして、五月三日にはベトナムが自国の主張を述べる口上書を提出したというふうに承知をしております。また、四月の十八日には、二〇〇二年に中国・ASEAN間で合意された南シナ海に関する原則宣言に基づいて、南シナ海の諸問題の平和的解決を目指して、中国・ASEAN間で協議が行われたというふうに承知をしております。

赤松(正)委員 この問題、私は、日本の態度がやはりここでも大きく注目をされていると思うんですね。

 ASEAN各国、今もお話が若干ありましたけれども、ベトナム、フィリピン、マレーシアのグループと、それから、カンボジア、タイやシンガポール、インドネシアのグループ、恒常的なものであるかどうかは別にして、大きく分けて、中国に対する、この問題についての強い姿勢を持つグループと、それから若干静観するというか、そういうグループとに分かれている。

 ただ、先ほど申し上げたフィリピン、大臣自身が言われたベトナムあるいはマレーシア、こういった国々はかなり意を決して、この南シナ海における、南沙諸島周辺の地域における中国の動向というものに対して強い異議を唱えようとしている、もう既に唱えている。これって、日本は果たしてどういう態度をとるのか。やはり非常に、日本あるいはアメリカのサポートというか、精神的あるいは物理的、いろいろな意味で応援をしてほしいという強い意思を持っているんです。

 この問題に対する日本の外務省のスタンスというのは、どういうスタンスなんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 岡田大臣の折から、私どもとしては、南沙諸島を含む南シナ海における領有権の問題については、アジア太平洋地域の平和と安定に影響を及ぼし得るものである、また海上の輸送路の安全確保にもかかわることであるということから、重大な関心を我が国としては有しているところ、こう申し上げております。

 我が国としては、関係当事国者の努力の積み重ねによって緊張が緩和をされること、できるだけ早期に本問題が平和的に解決をされることが重要と考えておりまして、関係当事者間の対話を通じた解決の努力を支持する。先ほど申し上げたような、ASEANの努力などを含めて申し上げておりますが、また、すべての関係当事者が緊張を高める行動を自制するように強く希望する。このように、この南シナ海の問題については私どもの立場を表明いたしております。

赤松(正)委員 いや、それは公式的なお考え方というか、普通の言い方なんですよ。

 では、静観か、それとも積極的にかかわっていくという、二つに一つと言われたら、どっちなんですか。

松本(剛)国務大臣 私どもとしては、重大な関心を有しているというふうに申し上げたことは大変重いというふうに思っております。

赤松(正)委員 重大な関心は、もう当然過ぎるぐらい当然だと思うんですね。

 というのは、これは一九九二年の中華人民共和国領海法、接続水域法というんですか、これは結局、西沙諸島、南沙諸島、台湾それから尖閣、一連の、中国が他国と接続する、接触するその水域について、みずからの領海というものを勝手に決めてしまった、国内法で決めたという、この法律の制定に端を発しているわけで、昨年の九月七日のあの尖閣諸島をめぐる問題についても同じ、要するに延長線上にあるというか、どっちがどっちだということは関係なしに、両方とも同じ範疇にあるテーマである。

 だから、日本があのときに、昨年の九月七日の、今から約八カ月前ですけれども、あれだけ世論が高揚した、そういう状況の中であの問題に対する対応があって、今日、現実にはフィリピンあるいはベトナム、マレーシア、こういった国々の漁船の拿捕という問題も起きているわけですから、そういったことに対して、単なる関心だけではなくて、そうした動きに対する強い牽制、こういったものをしていかないと、そういう発信がないと、結局、日本というのは自分の国のことについては関心があるけれども、ASEANのそういう国々に対する事態は同じ性格を持っているのに余り関心を示さない。関心は示す、重要な関心を持っていると言われましたけれども、単なるそういう精神的な意思の表明だけに終わっては弱い、私はそんなふうに思うんですね。

 そういう中で、例えばいろいろな動きがあるんですけれども、過去三年、今回で三年目ですけれども、フィリピンとベトナム、この二つの国が共同で、民間レベルなんですけれども、南沙諸島、この海域における問題についての会議をやった、やってきている、またことしも三回目の会議が行われるというのは御存じでしょうか。

松本(剛)国務大臣 民間レベルというお話でありました。申しわけありません、今、直接私が記憶をしている中には、それはございません。

赤松(正)委員 これは南シナ海国際会議、通称南シナ会議と呼ばれているようでありますが、過去二回はベトナムで行われて、今回はフィリピンで、共同で行われるということのようです。十八人のメンバーで、東南アジアからは十一人、そして東アジアからは三人、それからサウスアジア、インドからは一人、それ以外からは三人というふうなことで、この海域の問題についての民間の研究者が集まる、そういう会議です。

 実は、これに今まで日本人は一人も参加をしていなかった。オブザーバーとして大使館のメンバーがいたようではありますけれども、正式なメンバーには参加していなかった。今回初めて私の友人が参加をするということを聞いたわけでありますけれども、こういう場面で、結局、積極的に日本の立場を発信していくということがどんどんあっていい。どうしても、そういうことについて、どちらかといえば静観する姿勢というか、弱い、そういう姿勢が日本には、この問題だけではなくて、いろいろなことにあろうかと思うんです。

 ぜひ、強い関心を持つということであるならば、この南シナ海国際会議、本当に、ある種、ささやかな会かもしれませんけれども、そこでは、先ほど申し上げたような各国の、ベトナム、あるいはアメリカ、シンガポール、フィリピン、マレーシア、インドネシア、中国、カナダ、オーストラリア、こういう国々が参加をして、今まで日本は参加していなかった。今度は日本が参加するということでありますので、強い関心を持つと言うならば、いろいろな意味でサポートしてもらいたい、こう思うんですけれども、大臣、いかがでしょう。

松本(剛)国務大臣 先生がおっしゃっているのがベトナム法律家協会が主催をされておるものだとすれば、二回行われていて、一回目には日本人が参加をしたというふうに報告が上がってきております。

 いずれにせよ、これまでも、私どももさまざまな研究者の方々の安全保障の議論などにも支援をしたり、関与をしたり、連携をしたりということもございましたので、また、具体的には、今、先生の方の御関係の方の出席も予定をされているとお聞きをいたしましたので、お話を伺って、連携できるところは連携をさせていただきたい、このように思います。

赤松(正)委員 日本の外務大臣のこの問題についての姿勢はいかがなものかということをしっかりここで聞いて、発言するときにそれを引用するというふうに言っておりましたので、今のような話を伝えたいと思います。

 さて、今の問題に関連して、去年の九月七日の尖閣の問題でありますけれども、あのとき、当時の大臣であった前原外務大臣と、当委員会に所属する皆さんはいずれもそうでありますけれども、いろいろやりとりをやりました。

 その後、尖閣列島、この尖閣周辺の海域における中国漁船の出漁状況といいますか、そういう点はどのような状況になっているのかを聞かせていただきたいと思います。

牛島政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年、平成二十二年の九月八日から、ことし、平成二十三年五月十二日までの間、尖閣諸島周辺の領海内において違法操業を行った外国漁船に対して、退去警告を行って領海外に退去させた件数は合計で百五十八件でございました。

赤松(正)委員 それだけの件数があるわけですが、一方、日本の宮古島あるいは石垣島、そういった尖閣周辺のいわゆる先島地域で生活をする漁業者のあの地域における出漁ぶりというのはほとんど見られないと思うんですけれども、そういう点はいかがでしょう。

牛島政府参考人 お答え申し上げます。

 海上保安庁の方では、法令の励行、取り締まりをやっておりますので、外国漁船が我が国の領海内で違法操業したものを取り締まりは行っておりますが、日本漁船については違法ということではございませんので、そのような形での取り締まり件数というものは上がってきておりません。

赤松(正)委員 いや、取り締まり件数がどうこうというのではなくて、去年のあの事件のときにも申し上げましたけれども、その地域の漁業者の皆さんは、要するに時間的な問題、大変距離が長いために時間がかかる、あるいはまた、それに伴って大変なコストがかかる等々がある上に加えて、海上保安庁の、言ってみればチェックといいますか、今、取り締まりという話がありましたけれども、中国に対する取り締まりだけじゃなくて、自国の、日本の漁船に対する誰何というか取り締まり、どこへ行くんだというようなこともかなり強く言っておられる節があって、なかなか行けないというふうな声が随分要望としてあったんですね。

 そのときに、魚釣島、あのかいわいにおける尖閣の島々に、やはり日本が、日本としての有効支配をしているということであるならば、そういう船が係留する、避難する、さまざまな形で船がそこに着けられる、そういう施設をつくるべきだという要望がありました。

 なかなか、あのときにはさまざまな要望がいっぱい出て、それに対する対応をどうするのかということを私たちは政府に申し上げましたけれども、どうもその後の状況、のど元過ぎれば熱さ忘れるということわざどおり、余りその後、進展していっていない、こう思うんですけれども、なぜその問題が進まないのか。きょうは国土交通省、副大臣に来ていただいていますので、その国交省の考え方、取り組み姿勢を申し述べていただきたいと思います。

池口副大臣 尖閣諸島の避難港の整備についてお答えを申し上げたいというふうに思っております。

 議員の質問の中にもありましたように、昨年の十月に石垣市長、石垣市議会議長、漁業関係者等の地元関係者から要望を聞いております。四点ぐらいあるんですが、その中の一つに、尖閣諸島において避難港を整備してほしいとの要望が入っておりまして、国交省としても確かに受けとめております。

 避難港については、委員は御存じの上で質問しておるわけですけれども、暴風雨に対して船舶が避難のため停泊することを主な目的としておるということでございます。

 その上で、尖閣諸島における避難港の整備についての国土交通省の考え方ですけれども、周辺海域の気象、海象条件、さらには周辺航行船舶の避難需要等を総合的に勘案して、政府全体で慎重に検討することが必要であるという見解が国土交通省の見解でございます。

 以上です。

赤松(正)委員 政府全体で検討するという必要性は、もうそんな、今言われるまでもなく、私たちはあのときに、そういう強い意識を持ったわけです。

 当時の前原外務大臣に申し上げたのは、要するに、きょうこの質問に至るまでも、農水省、あるいは水産庁、あるいは国土交通省、あるいは外務省、それぞれの立場でこの問題に対する取り組みが、縦割りの方向性というものが非常に如実に出ている。さっき外務大臣の、ないわけではないという縦割りの問題についての、外務省についての基本的なスタンスの話でそういう表現がありましたけれども、この問題については、ないわけではないんじゃなくて、あるだけの分、十分あるという話だと思うんですね。

 要するに、あのときに私たちが申し上げたのは、日本の実効支配、尖閣に対する実効支配のあかしというか、そういうものをしっかりと出していく、そのスタンスを明確にする、しかも政府としての一本化、この問題がまた再度、あるいは再々度、これから起こる可能性が高い、そういう状況を踏まえて、しっかりと取り組み姿勢の一本化、こういうことをしないといけないということを申し上げました。

 要するに、海保だけの段階から、より一歩進める段階に来ている、具体的に政府の取り組み姿勢、あるいはこの問題を取り扱うポスト、機関、そういうものを、ある種、一本化させていく必要がある、こういう意味合いのことを私は申し上げましたが、前原さんは一〇〇%賛成だということを、あの時点で言っていました。

 どうも、その後、八カ月の状況を見ていると、全くそういうことの雰囲気がない。こういうことについて、もちろん、防衛計画大綱における南西諸島方面のいわば人的増強という側面はあるにせよ、今申し上げた具体の尖閣諸島に対する問題の取り組み姿勢というものについて、明確な政府の態度の変化というものがこの八カ月見られない、こういうふうに思うんですけれども、外務大臣はいかがでしょうか。

松本(剛)国務大臣 既に委員とのやりとりのときは私も副大臣であったときだというふうに理解をしておりますが、今もおっしゃいましたが、政府の取り組み、ポスト、機関、そういうものが必要だというお話、その前段もあるわけでありますが、前原大臣の方は、仕組みをつくるかつくらないかは別にして、委員のおっしゃったことについては一〇〇%同意であるということを申し上げたかというふうに思っております。

 先ほど私自身も申し上げましたが、尖閣諸島の政策推進に限らず、あらゆる政策推進について、省庁間の連携、場合によっては統合、一本化のような形で強力に推進をする必要なテーマに対しては、そのような体制を整えていくことも必要であるという御指摘はもっともだろうというふうに思っておりますし、私どもとしても、引き続き尖閣諸島を有効に支配していくための関係省庁の連携というのは大変重要である、こういうふうに考えて進めてまいりたい、このように考えております。

赤松(正)委員 先ほどの南沙の問題にしても、あるいは尖閣の問題にしましても、やはり日本の取り組み姿勢というものが問われています。

 先ほど申し上げた私の友人が、この間、中国に行って、いろいろ中国の、そういう軍人たちとの懇談をした中で、中国は竹島をめぐる日韓関係の動向を非常に気にしているということで、非常にあらゆる角度から、中国の関心というのは、そういう日本の対領土に対する取り組み姿勢というものに対する関心度が非常に高いということに、改めて非常に驚いたということを言っていました。

 したがって、私が見るところ、思うところ、政権がかわって、当初は前政権との違いを出すと言っていた民主党政権でありますが、だんだん日にちがたつに従って、いろいろな意味で自民党政権と似てきた。この問題についても、いわゆる静観というか、棚上げというふうな側面が非常に強いのではないか。時々刻々事態は変化しているわけですから、そういう状況の中で、しっかりとした、この領土を守っていくということについて、情報発信というものをしていかないといけないということを強く言っておきたいと思います。

 最後に、沖縄の問題です。

 沖縄の問題については、かねて私は松本大臣に言ってきましたことは、要するに、沖縄の普天間の移設の問題については、一にも二にも沖縄県民の、地位協定をめぐる問題についての政府、外務省の取り組み姿勢、これに強い関心をそれこそ持っている、だから、そういう観点でしっかりと取り組んでいるということについての発信をしていかないと、とてもじゃない、みんなは納得しないということを申し上げてまいりました。

 現在、米海兵隊をめぐるその家族の事故、事件、あるいはまた嘉手納の騒音をめぐっての訴訟をする人たちの数が圧倒的にふえてきている、こういう状況があるということで、この問題についての外務省の取り組み姿勢、非常に注目をされておりますけれども、この間、北澤さんが沖縄に行って、とりわけ事件の問題について外務大臣にしっかり言っておくということを発言したようでありますけれども、その点について北澤さんからは直接申し入れがあったのかどうか、あるいはまた、それを受けて外務大臣が行動を起こしたのかどうか。

 地位協定をめぐる沖縄の県民の皆さんの、今の米兵をめぐる事件、事故、そして騒音、一連の問題に対する大臣の取り組み姿勢を聞かせていただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 北澤大臣の方とは緊密に連携をとらせていただいている中で、報道の内容は、会見等でこの事件、事故の対応について質問があって、今残念ながら、近くも事故が発生をして、大変に関心を集めている件があることもありまして質問があったようでありまして、これについては外務省でしっかり対応してくれるものと思うという趣旨の御発言があのような報道になったという説明がございましたが、私としても、やはり事故の被害者、または御遺族の方々のお気持ちを考えると、できることはしていかなければいけない、こういう思いで、米国側にも要請をすべきものは要請をいたしております。

 また、爆音の問題については、前原前大臣も具体的な申し入れなどを行っておられますけれども、今委員御指摘のあったように、訴訟においても大変な人数の方の原告団という形になっていることも、我々も重く受けとめなければいけないと思っておりますので、私自身もまた何らかの機会に、沖縄へ行くことができたときなども含めて、また東京でできることも含めて、しっかり対応をいたしたいと思っておりますし、先ほど地位協定のお話があったわけでありますけれども、日米の間で既に議論が進められている、例えば、国会の委員会でも取り上げられていますが、公務による飲酒をした場合が含まれるのか含まれないのかといった議論などについても、できるだけ早く協議が実るようにということを私からも指示をして、精力的にさせているというところだというふうに御理解をいただけたらと思っております。

赤松(正)委員 終わります。

小平委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、先ほど来あったことにかかわりますが、普天間基地移設と海兵隊グアム移転をめぐってのことでありますが、これらの問題に関して、この連休前後に、私が整理すると三つぐらいの特徴的な動きが報じられております。

 一つは、米国防総省が海兵隊グアム移転について詳細な計画案をまとめて、日米の2プラス2で協議をする。その内容は、グアムの移転に関する問題で、移転するとしていた海兵隊について、当初は司令部すべてを移転する方針だったものを、グアムと沖縄双方に司令部と戦闘部隊を混在させるという方針とするという動きであります。

 二つ目に、政府は、辺野古に予定している普天間基地の代替施設の滑走路について、滑走路二本のV字形とする方針を固めたという動き。

 三つ目に、四月二十八日に菅総理と松本外務大臣、北澤防衛大臣、そして枝野官房長官の会談の中で、日米両政府が二〇〇六年五月に合意した移設を二〇一四年までに完成させることを断念する方針を決めた、それを今度の日米2プラス2で正式に決める。

 また、来年秋に新型輸送ヘリMV22オスプレーを米軍普天間飛行場に配備する計画の存在を公式に認める方針を固めた。つまり、オスプレーの配備容認に転換した、こう報じられている動きでありますが、こうした動きは事実なのかどうか。そして、普天間基地移設と米海兵隊グアム移転について、現在どのような到達状況にあるのか、大臣に説明をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、長島(昭)委員長代理着席〕

松本(剛)国務大臣 報道の皆さんは、それぞれの取材でされておられるんだろうというふうに思いますが、なかなか難しいところがありまして、私の海外出張についても、ほぼ同時期に、私が海外出張すると書いた報道と海外出張はしないと書いた報道があって、私は身は一つでありますので、どうしたものかと思ったようなときもあるぐらいでありますけれども、まず一つずつお答えをさせていただいてよろしいでしょうか。

 四月二十日、海兵隊の移転に関してということでお話がありました。ロードマップにおいて、定員ベースということになりますが、約八千名の第三海兵機動展開部隊の要員とその家族約九千名が部隊の一体性を維持するような形で沖縄からグアムに移転することとされているのは、御承知のとおりであります。

 昨年五月二十八日の日米合意で、米国側は、地元の懸念に配慮しつつ、抑止力を含む地域の安全保障全般の文脈において、沖縄に残留をする第三海兵機動展開部隊の要員の部隊構成を検討するというふうにされておりまして、これを受けて、現在、米国側において、移転する部隊の構成等について検討しているというふうに理解をしておりますが、何か決定をされたということはないというふうに承知をしているところであります。

 また、四月二十九日の報道としてお取り上げをいただいた、辺野古に建設予定の代替施設の滑走路について、V字形とするという方針を固めたとの報道についてでありますが、普天間飛行場の代替の施設の位置、配置等については、昨年五月の日米合意に基づいて、次回の2プラス2までに検証、確認を完了させることとなっているところで、日米間で協議をしていくところでありますけれども、現段階で米側に何か具体的な提案を行っているというものではありません。

 私どもとしては、この普天間飛行場の移設について、危険性の一刻も早い除去に向けて、昨年五月の日米合意を踏まえ、沖縄の皆様にも誠心誠意御説明を申し上げ、理解を求めながら、最優先で取り組んでいきたいと思っております。

 また、先ほど、四月の二十八日にそのような、総理と私と北澤大臣と枝野さんということで、二十八日は私の出張の前日で、四人でお話をさせていただいたことは事実であるというふうに記憶をいたしておりますけれども、普天間飛行場の移設について、二〇〇六年の段階で二〇一四年というふうに定めたわけでありますが、そのときに考えられたスケジュールがすべて考えられていた節目どおりに進んでいるかといえば、これは二〇〇六年以降、既に幾つかそういうものが出てきていたというふうに思いますが、進んでいるかといえば、後ろに行きつつあるということは事実であると思っております。

 その中で、今私どもとしては、一定の目標を持って、現実を見詰めながら取り組むということが重要だ、このように考えておりまして、今私どもとして、二〇〇六年五月に合意した二〇一四年までに完成させるという期限を正式に断念するという方針を固めたという事実はありません。

 オスプレーの沖縄配備については、現時点では、米国政府から日本政府へ正式な通報を受けたというふうには理解をいたしておりませんので、確定をしているわけではないというふうに承知をしております。現時点で、近く沖縄県側に正式に配備を説明する方針であるという事実はありません。

 なお、将来において沖縄にオスプレーが配備される可能性があるということは私どもも認識をしているところでありまして、引き続いてオスプレーに関する情報収集などをしていきたい、このように考えております。

笠井委員 いろいろな動きがあることについては、今お話のあったとおりです。

 そこで、米海兵隊グアム移転について、昨年六月にゲーツ米国防長官が日本側に経費負担増額を要求する書簡を送ってきた、その理由は、電力や上下水道など、移転に伴うインフラ整備の経費が当初予想を上回るためということが報じられましたが、外務省は、そういう書簡が送られてきたという事実は確認できるんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 昨年の六月に、ゲーツ長官から北澤防衛大臣に書簡を受領したということは承知をしております。

 内容については、日米間の協議の詳細にかかわることということで、お答えは差し控えさせていただければと、このように思っております。

笠井委員 この間、日米の2プラス2に関する事務レベルの協議が何回か開催をされておりますが、それでは、その中でグアムの負担額の増額が提起されたことはあるんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 米国側において、グアムの移転経費が増大をするという見方があるということは私どもも承知をしておりますが、ロードマップに基づいて、我が国政府がインフラ整備のために資金を拠出するのは七億四千万ドルの融資などであることで日米両政府は一致しておりまして、また、その分野を含むグアム移転関連経費の増額問題に関して、日米間では協議は行われていないというふうに私どもは理解しております。

笠井委員 協議はないけれども提起はあったということはありますか。

松本(剛)国務大臣 現時点で米側から、米国政府として経費が増大するという説明を日本政府として受けたということはないというふうに理解をしております。

笠井委員 米海兵隊グアム移転に関する施設及びインフラ整備に関しては、今大臣からもありましたが、二〇〇六年四月に日米でその負担割合を合意しております。総額百二・七億ドルということで、日本側が六十・九億ドル、五九・三%、米側が四十一・八億ドル、四〇・七%というものであります。

 この整備費について、現在どの程度予算執行がされているのか。それぞれ項目があると思うんですけれども、項目ごとに、米側、日本側でどうなっているか、明らかにしてください。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 まず、日本側でありますけれども、真水事業につきましては、平成二十一年度予算に約三百四十六億円、平成二十二年度予算に約四百六十八億円、平成二十三年度予算に約百四十九億円をそれぞれ計上したところであります。

 それから、インフラでありますけれども、インフラ事業に係る民活事業につきましては、平成二十三年度予算において、下水事業及び上水事業の一部について、JBICが米側に融資を行うために必要な政府からの出資金として、約三百七十億円を計上したところであります。

 家族住宅に係る民活事業でありますが、これにつきましては、その具体的な事業のあり方等について引き続き日米間で協議を行っているところであります。

 次に、米側でありますが、米側においては、グアム移転関連予算として、二〇一〇米会計年度において約三億ドル、二〇一一米会計年度において約一・三二億ドルがそれぞれ計上されたものと承知をしております。

笠井委員 米側の方で、項目でわかりますか。

松本大臣政務官 ちょっと細かくなりますが、二〇一〇米会計年度予算につきましては、工事費計約三億ドル、これは先ほど申し上げたとおりであります。内訳は、アンダーセン空軍基地北部地区駐機場整備事業、これが約〇・八……(笠井委員「細かいのはいいです。要するに、ヘリ発着場とか訓練施設等で三十一・八とか道路整備十億ドルとか、それぞれに対応して、ざくっと言ってください。言えますか」と呼ぶ)

 予算化の状況でありますので、先ほど申し上げたように、二〇一〇会計年度は総額がそもそも三億ドルで、二〇一一は一・三二億ドルと。そこよりも詳しいお話をということと理解したので、単位としては細かくなるということです。

笠井委員 では、道路整備についてはどうですか。

    〔長島(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

松本大臣政務官 道路整備につきましては、二〇一〇の米会計年度については、アクセス道路改修事業として約〇・四九億ドル、それから二〇一一の米会計年度予算については、アクセス道路改修事業として約〇・六七億ドル。これはいずれも、先ほど申し上げた全体三億ドル、それから一・三二億ドルの内訳であります。

笠井委員 日本政府は二〇〇七年の十一月に在沖米海兵隊グアム移転支援整備事業基本構想策定業務というのを久米設計と契約して、同社は二〇〇八年九月に基本構想策定業務報告書というのを提出しております。私、手元に持っておりますが、これが全文であります。かなり分厚いものでありますけれども。

 そこで、防衛省に伺いますけれども、この支援整備事業基本構想策定業務というのはどんな目的で発注したのか、その主な内容はどのようなものか、端的にお答えください。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 発注目的でありますけれども、在沖米海兵隊のグアム移転に係る施設整備事業に関し、米側との交渉や調整における日本側の検討の資とするため、概念的な施設整備構想について調査を委託したものであります。したがいまして、その内容、業務の概要としましては、在沖米海兵隊グアム移転支援整備事業についての概略的な基本構想を策定するべく調査を実施したものということであります。

笠井委員 この報告書は、一昨年の当委員会で、在沖米海兵隊グアム移転に係る協定の審議の中で、防衛省が、かなり繰り返し野党側が求める中で提出したものでありますけれども、電力や下水道などのインフラ整備を初めとした基盤整備、それから庁舎、隊舎、家族住宅など計画概要や規模や金額などについて、かなりのところが墨塗りになっているという文書だったわけです、防衛省から出たものは。内容がよくわからないというものでありました。

 当時、これはかなり委員会で紛糾しまして、審議の中で、このことを私も問題にいたしまして、墨塗りをすべて明らかにすべきだということを要求しました。当時、野党の民主党もかなり厳しくやりまして、日本側の負担額がどうやって積み上がったのか、その根拠がわからない、ブラインド、墨消しの部分を開示すべきだ、そうでないと審議ができないということで、かなり強硬に言われて、それはもう随分大事なことだったわけですけれども、そして紛糾した問題でありました。

 改めて確認しますが、民主党が政権につかれて、この墨塗りの部分については明らかになったのか、あるいは明らかにするのか、したのか、どうですか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 一部を不開示とした理由については、もう御承知のとおりでありますけれども、米側からそもそも非公表を前提として入手した情報については、公表すれば今後の米側の調達との関係で問題が生じるおそれがある、したがいまして、米国国内法上保護されるべきものとされているためでありますし、日本側については、これは日米協議で日本側がしかるべく主張していくための情報、ありていに言えば、要するに我々の手のうちをさらすということにもなりかねないので、公表すれば今後の日米交渉における日本側の立場に影響を及ぼすおそれがあるためと考えておりまして、現在に至っても全部を開示するということには至っておりません。

笠井委員 当時の政権と同じ言いぶりですね。全く同じ答弁を今されました。政権がかわって、野党時代に厳しく追及して、明らかにしなかったらはっきりしないじゃないか、審議できないと言われたのに、同じことを今言われている、依然として開示しないと。

 この中で、墨塗りになっている部分には道路整備計画も含まれております。そういう中で、今回、内部告発サイトのウィキリークスで判明した米政府の秘密公電によりますと、グアムに移転する海兵隊員の数を水増しするとともに、日本の経費負担割合を低く見せていたことが明らかになりました。協定の中でグアムに約十億ドルで整備するということになっている高規格道路については、米軍にとって絶対に必要なものと考えていないのに、全体の費用を見積もり、つまり分母をふやして、それによって日本側の負担割合を減らすためのものだとされているわけでありまして、まさにその部分に該当するのがこの墨塗りの部分であります。道路のところも、こういう形で墨が塗ったままになっているわけですね。

 松本大臣に伺いたいんですけれども、このように言われているグアム移転事業の重要な部分が墨塗りにされている。つまり、野党時代、民主党も追及された問題です。ブラインドになっていて、国会はもちろん、国民から理解が得られるとお思いになるか。少なくとも、この墨塗り部分はやはり開示すべきじゃないかというふうに今の時点で思うんですけれども、いかがでしょうか。

松本(剛)国務大臣 私は当時、直接外務委員会ではなかったと思いますけれども、在沖縄米国海兵隊グアム移転支援整備事業基本構想策定業務報告書、今委員がお手元に持っているものを私も全部見た記憶はあります。

 そして、おっしゃったように、ぜひやはり情報というのはできるだけ開示をしてもらいたいという気持ちから、私どもの同僚の議員もさまざま委員会でも求めてきたと思いますし、私どもが政権につきましても、岡田外務大臣のときのいわゆる密約の公表も含めて根本的に見直して、公表できるものはしっかりと公表していくという姿勢は、民主党の基本的な姿勢として皆様にお伝えできるものというふうに考えておりますが、現段階で、そういう姿勢の上で、引き続き公表できない部分もあるということも、率直に申し上げて事実でありまして、この点については、今、松本防衛大臣政務官からお答えをさせていただいたとおりではないか、このように思っております。

笠井委員 おかしいと思うんですね。実際、米軍にとって絶対に必要なものと考えていないとされて、報告書でも墨塗りになっている。この道路整備の経費を含めることによって、日本側の負担というのは、その割合が六六%から五九%と低く見せることができたわけでございます。

 二〇〇六年四月にグアム移転の日米の負担割合が合意されたときに、マスコミはしきりに書きました。見積もった経費総額の詳細な内容は公表されていなく、道路整備など、海兵隊の移転経費とは言えないものも含まれている、これを除けば日本の負担割合は三分の二になるんだということで指摘されていた問題で、当時、額賀防衛大臣は記者会見でこう言いました。当初の日本の負担割合七五%を引き下げる努力をしたと。

 引き下げる努力をしたと言われているわけですが、結局、今の時点で明らかになったことを含めて見ますと、日本の負担割合を引き下げる努力というのは、本来は米軍にとって必要ない道路整備などを米軍負担に盛り込んでもらって、そして全体として割合を低く見せる努力をしたということになっていたんじゃないか、私はこう思うんですけれども、これは大臣、いかがですか。

松本(剛)国務大臣 ウィキリークスについては、不正な方法で外交上の秘密と称したものを公表するということは大変遺憾なことだと思っておりまして、それに基づいたものについては確認もコメントもしないという私の立場でございます。

笠井委員 私は、ウィキリークスに基づいた話をしているんじゃないんです。墨塗りになっている問題と、そこでまた指摘された問題と重なっている。依然として旧政権のときと同じように墨塗りのままだということになると、結局、当時議論になって、額賀大臣も言ったような形で負担割合を下げる努力というのは、つまり、本来要らないものを入れて比率を下げたということになるんじゃないか、こういう話として、全体なってくると思うんですよ。

 この問題をめぐっては、民主党もしきりに議論の中で言われました。米軍がアメリカに帰っていくのに、住宅とかいろいろな施設、道路や橋などをつくる、こういうこと自体がおかしい、こう追及されて、グアムに移転する海兵隊の実数や移転整備事業の内容について明らかにすべきであると繰り返し要求してきたわけでございます。しかも、既にグアムでは、軍事施設を結ぶ片側三車線の道路が存在して、非常によく整備されている。これ以上何を整備するのかというのが現実であります。

 ですから、今回のウィキリークスの告発のあるなしにかかわらず、水増しとか見せかけの真相という問題については、国民の税金にかかわる問題、こういうことですから、これはきちっと解明はすべきじゃないか、こう思うんですけれども、大臣、いかがですか、その点は。

松本(剛)国務大臣 グアム協定においては、今回の移転に係る総額の費用として百二億七千万ドルでしたか、という数字が試算の数字として計上されているというふうに私は理解をいたしております。

 協定において、真水、二十八億ドルであったかと思いますが、二十八億ドルを上限とする支出をすると定めていることは、私どもも、協定の当事者である政府の政権をお預かりしている者として引き継いでいる、こう理解をしておりますが、今後の具体的な支出については、毎年、予算に計上をさせていただく中で、しっかりと政府として精査をした上で国会にお諮りをし、国会での御審議を経て予算化をいたしたい、このように考えております。

笠井委員 大臣は、日本の負担額というのは試算であって、詳細な金額というのは毎年の予算で計上する、そこで精査する、審査を受けるということで言われますけれども、海兵隊のグアム移転協定の前文は、全体額と日米の負担額を明記して、それを前提として第一条で、各会計年度において別途取り決めを行う、こう書いてあるわけで、合意の大前提としての百二億ドルとかそういう問題があって、負担割合があるわけです。そして、それは合意されたことで、そのことはいささかも変わっていないわけです。しかし、そのこと自体が見せかけだったんじゃないかということが問題になっているわけです。

 米海兵隊のグアム移転というのは、そもそも外国領土の基地建設に日本国民の税金を投じるという世界にも類例ない措置をとるものだということを、さんざん国会で問題になって私も言ってきました。その実態が不明確なままで日本の負担割合だけ決められたということであるならば、これは重大だと思うんです。さらに米側は増額要求までしてきているとすれば、なおさら重大と。日米両政府は在沖米海兵隊の一部とその家族のグアム移転と一体で新基地建設の受け入れを沖縄県民に強いているわけですが、その前提になっている問題です。

 これは交渉事だ、だからなかなか言えないとか、先ほどから依然として旧政権と同じように墨塗りを明らかにしないと言われるけれども、しかし、こういう問題が出された以上、そして米側の文書があったという問題も出てきている以上、外務省としては、あるいは大臣としては、先ほど、いろいろな問題についてはきちっと民主党政権は解明するんだ、密約もやってきたとか言われた、それも問題になっているわけです。その解明もよかったかどうかもまた追及したいと思いますが、少なくとも大臣や外務省として、この問題について内部的にも調べ直すとか洗ってみるとかいうことはないんですか。

松本(剛)国務大臣 繰り返しになりますけれども、ウィキリークスに関しては、不正な方法で外交上の秘密と称されるものを公開している、大変遺憾でありまして、それを契機に確認とかコメントとか、このようなことをするということは、私の立場としてはしないと考えております。

笠井委員 方法の問題というんじゃないんです。そこの中で指摘されていることについて問題があると思えば、外務省としても調べるのは当たり前で、大臣は前回の委員会で、一般的に信頼関係のある二国間の関係で、もし虚偽なりがあるとすればそれは問題だと言われたわけです。まさにグアム移転をめぐる日米合意と協定、これが事実を偽って国民に隠して、そして欺いてつくられたものなら、これは単に前政権から引き継ぐんじゃなくて、徹底的に検証して、そしてその上で見直す、こういう態度が必要だと思うんです。

 合意と協定は撤回すべきだ、グアムの米軍基地建設費を中止して、それこそそのお金は東日本大震災の復興財源に充てるべきだ、私はそう思います。政府として、大臣としてしっかりと対応してもらいたい、このことを求めて、質問を終わります。

小平委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 私の方からも、グアム移転協定及び沖縄の基地問題について質問をいたします。

 先ほどもちょっと議論になったわけですが、五月七日の読売新聞の一面でも、四月二十八日に菅総理あるいは外務、防衛両大臣、枝野官房長官の会談の中で、このロードマップの問題、先ほど外務大臣は否定をされたわけですけれども、新聞の記事はこうなっているわけです。アメリカ側から提案があり、日米両政府は二〇一四年までに完成させるとする期限を正式に断念する方針を固めたという話なんです。

 これは、政権の意思は、ロードマップの変更はあるということで現実に腹を固められているんじゃないんですか、大臣、本当のところは。ロードマップ、延ばすあるいは変更するということの政権の意思は、もう固められているということではないんですか。

松本(剛)国務大臣 先ほどからこの点については何度か御質問いただいておりますけれども、二〇〇六年の五月に、日米両政府が二〇一四年までに完成をさせるという目標でロードマップをおつくりになられました。二〇〇六年からですと、二〇一四年、八年間ということで、当然、完成させるまでには幾つかの段階を踏んでいかなければいけないということになります。

 率直に申し上げて、二〇〇九年に政権を引き継がせていただいた時点でも、スケジュールどおりであったかといえば、なかったというふうに私は思っております。また、その先について道筋がついていたかといえば、必ずしもついていなかったというふうに思います。

 その後、私どもの政権の中でもいろいろ議論がありました。そして、服部先生、御党との間でもいろいろ議論があって、最終的に民主党政権としては昨年の五月に、改めて、沖縄の皆様にお願いをしたいということも含めて、おわびをしながら日米間の合意をするということにもなったことは御承知のとおりでありますけれども、スケジュールという面から申し上げれば、二〇〇九年の状況から二〇一〇年の状況で、さらにまたスケジュールどおり進んでいたのかと言われれば、そうではない面があると言わざるを得ないということは事実だろうというふうに思っております。

 ただ、報道にあるように、四月の二十八日に四人で会ったことは事実でありますが、その際に、正式に断念をするという方針を固めたという事実はないということは今申し上げられると思います。

服部委員 議題にはなったんですか。

松本(剛)国務大臣 私の訪米の直前でありましたので、米軍再編そのものについて議題にはなったというふうに記憶をいたしておりますけれども、むしろ、私どもとしては、昨年五月の合意を着実に実施をしていかなければいけないけれども、沖縄の皆様の状況は厳しいというような状況の認識を主に行って、今後の対応なり意識合わせをさせていただいたのが主ではなかったかというふうに記憶をしております。

服部委員 米軍再編が議題になったかという質問じゃなくて、ロードマップ、行程表、これが議題になったかということなんですけれども。

松本(剛)国務大臣 ロードマップ、行程表の中のある意味では今私どもは一部を走っているわけでありまして、それが、先ほど申し上げたように、本来の、二〇〇六年に考えていた時点での二〇一一年にいる位置よりはまだ大分後ろにいるということを先ほど申し上げたわけでありますけれども、これを昨年の五月の合意で前へ進めていきたい、このロードマップを踏まえて前へ進めていきたいということを方針としても決め、日米間の合意としてもなっているわけでありまして、これをどうやって前に進めていくかということを議論したというふうに理解をしていただいたら、そういう意味では、ロードマップそのものも議論になったといえばなったのかもしれませんけれども。

服部委員 報道では、アメリカから、これはもう間に合わないという提案があって、それを四大臣で確認をして、次の2プラス2で正式に発表しようというのが新聞の報道なんですね。報道はですよ。

 何も隠すことでも何でもないわけですよ。実際、防衛省がつくっている工程表からいったら、環境アセスの提出の時期だとか公有水面の埋め立ての時期あるいは工事の開始、全然間に合わないわけですよ、現実問題として。だから、ここは大臣、後でまた公電がぽろっと出て、いや、実はあのとき話しておったんだというようなことにならないように、やはり正直に国民の皆さんに説明をしていただきたいと思うんですね。

 四月十二日のアメリカの上院軍事委員会の公聴会でウィラード太平洋軍司令官が、グアムの移転費がやはり相当膨らんでいるという証言があります。それから、先ほども議題になりました、レビン、マケイン、ウェッブの三上院議員の共同声明、これも私も読みましたけれども、この中でも、財政状況の見直しということがアメリカ側からも指摘をされているわけです。

 こういう状況下の中で、アメリカもこういった財政の問題あるいは配置の人員の問題、この見直しを議論している。そういう背景の中で、グアム協定における日本の税金の拠出の問題、人員の問題であるとか、あるいはロードマップ、こういったことについて、外務省として見直す、あるいは見直しを検討していくという御意思はございませんか。

松本(剛)国務大臣 今、委員の御指摘で一点だけ申し上げれば、ロードマップについて、確かにその記事には、米国側から提案があってというふうに書いてあったと思いますけれども、私が知る限り、そのような提案を米国側から受けたということはないというふうに委員には御報告できると思います。

 その上で、確かにグアム移転の経費についても、今お話がありましたように、増大をするという見方がある。それから、我が国も震災復興で、これまでも厳しかった財政事情がさらに厳しくなってきていますが、米国においてもいわば財政再建というのが大変大きなテーマになってきておって、軍事費、国防費の削減というものが、大統領の提案もあって、具体的な議論になっているというふうには承知をしておりますけれども、先ほど申し上げたように、日米の間で、このグアムの移転、また、それに向けての米軍再編の計画というのを変更するという提起、協議というのは、今の段階では行っているとは理解をしておりません。

 私どもとしても、やはり普天間の移設、危険性の除去という課題も受けておりますので、まずは昨年五月の合意を、これは、私どもとしては、我が国、また最終的には沖縄の方々にも御理解をいただいて、そこに資するものとして進めていけるように、関係者の皆さんの御理解も得られるように努力をしていきたいと思っているのが、今の私どもの基本的な姿勢でございます。

服部委員 今のアメリカの動きなんかをいろいろ見ますと、やはりぼちぼち見直しを検討する時期に来ているんじゃないかという思いは持たれませんか。

松本(剛)国務大臣 今回も、レビン軍事委員長を初めとする方々の御提案が出ております。このロードマップ、八年間の間でも、何度かさまざまな議論が出てきておったというふうに私は理解をいたしておりますし、今回も、特に米国の議会と政府の仕組みからすれば、上院の軍事委員長自身の存在というのは大変重いと思っておりますので、その内容自身は私どもも注視をしていきたい、このように考えておりますけれども、今、私どもとしては、いわば我々のカウンターパートの米国政府の姿勢も基本的に変わったということは全くないというふうに考えられておりますし、さらに、私どもとしても、昨年五月に合意をした内容は着実に推進をするということが今最も必要なことではないか、このように考えております。

服部委員 レビン上院議員らの共同声明では、辺野古の移設は非現実的だ、こういうふうに書かれておりますし、新聞でも大きく発表されているわけですけれども、大臣自身は、現時点で、辺野古移設というのは現実的だと思われますか。

松本(剛)国務大臣 私どもとしては、やはり誠意を持って御説明を申し上げた上で沖縄の皆様に御理解をいただきたいと思っておりますが、その状況は厳しい。これについては、私どもの過去の民主党政権の対応も含めて、さまざまな御指摘をいただいていることも真摯に受けとめなければいけないと思っております。

 状況は率直に認識をしている、このように思っておりますけれども、ぜひ、その中で、しかし、最終的には我が国にとって、また、沖縄の皆様にも何とか御理解をいただいて進めることが、最も国として進むべきではないかということで昨年合意をされたと理解をしておりますので、その実施に向けて努力をしたいと思っておりますし、努力をするということは、その目標が最終的には達成可能だということで、するということだというふうに私は理解をいたしております。

服部委員 達成可能だと。そうですか。

 レビンさんたちの共同声明は幾つかの理由を挙げています、非現実的な理由。沖縄の強い反対、グアムの環境問題、インフラ整備問題、その財政負担、アメリカ、そして日本の震災の問題も入れられておるんですね、における財政的な負担は不可能だ、そういう中から見て非現実的だと。

 本当に真っ当な判断だと私は思うんですけれども、今の大臣の考え方は、今の時点でも現実的であるというお話なんですか。ちょっと話が長いので、結論がよくわからないんですけれども。

松本(剛)国務大臣 目標に向かって進むということは、当然それが実現可能であると思って目標に向かって進んでいる、努力するということはそういうことではないかということを申し上げました。

服部委員 希望を持っていても、実現できるかできないかというのは、また別の問題じゃないですか。私も億万長者になりたいと思っても、なれるはずないんだから。

 ここは大臣、それを現実的と思うんだったら、もう少しはっきり、大臣の発言というのは重たいですよ。二〇一四年に基地をつくってしまわなければならない。できるはずないと私は思いますけれども。

 では、先日、実は我が党の阿部知子議員、それから自民党の塩崎議員、国民新党の下地議員、民主党の糸川議員が訪米しまして、そしてシファー国防次官代理と、移設が頓挫したら普天間が継続使用されるような趣旨の発言があって、沖縄は大変今怒っているわけですよ。まさか松本大臣は、普天間が固定化されるのをいいというお考えはお持ちじゃないですよね。

松本(剛)国務大臣 私自身が民主党の次の内閣の防衛担当をしているときに、ちょうど沖縄国際大学へのヘリの事故が発生をいたしまして、私自身、同僚とすぐに沖縄へ参りまして、現場も見てきた記憶があります。

 先ほども申し上げましたように、私どもは、普天間の移設をぜひ行うべきであり、その進め方として昨年五月に合意をしたというふうに理解をいたしておりますので、であればこそ、誠意を持って、沖縄の皆様の御理解もいただいて、着実に進めてまいりたい、こういうふうに申し上げております。

服部委員 これは何でお聞きするかといいますと、前の前原大臣は、辺野古がうまくいかない場合は普天間の固定化もあるという趣旨のことをちょっとおっしゃったことがあるわけですね。ですから、住民の小学校、ちょっとどいた方がいいよというような、そういう発言も地元紙でされました。

 だから、私がお聞きしているのは、もし辺野古の基地建設がうまくいかないというような局面の中で、普天間基地が固定化されるというお考えは大臣はお持ちじゃないでしょう。そこをお聞きしているんですけれども。

松本(剛)国務大臣 前原大臣の記者会見録を読みましたが、地元紙で報道されたのとは少し前後の趣旨が違うのではないかと率直に言ってそのとき思いましたが、いずれにせよ、普天間の移設を進めたいという多くの皆さんのお気持ちがあって、二〇〇二年から話が始まり、二〇〇六年の合意もあり、そしてまた昨年、改めて私どもも五月に合意をしたというふうに思っております。

 まさに移設をする道筋として昨年の合意があると私どもは思っておりますので、それを着実に推進したいということを申し上げ続けてきているということでございます。

服部委員 わかりました。

 では、次にオスプレーの問題なんですけれども、先ほども議論になりましたけれども、きのうの東京新聞でも、四月二十八日にオスプレーの普天間配備を容認する方針を固めたとなっているわけですね。それで、先ほど大臣は、いや、まだ正式にアメリカ側からオスプレーの配備は聞いていないと答弁されたんですけれども、アメリカからは、今現在、本当に外務省にはその打診はないわけですね。

松本(剛)国務大臣 米国政府から日本政府への正式な通報として確定しているものはないというふうに承知をしております。したがって、方針を固めたということもありません。

服部委員 大臣は、オスプレーがもし普天間基地に配備されるということが現実のものになった場合には、それはもう認めざるを得ないというお考えですか。

松本(剛)国務大臣 現段階では仮定のお話ですので、これについて評価をするのは私としては差し控えたいというふうに思っておりますが、先ほども申しましたように、将来において沖縄にオスプレーが配備される可能性があるということは認識をしておりますので、しっかり情報収集をしていきたい、このように考えております。

服部委員 オスプレーの配備の問題というのは、沖縄では大変関心の高い問題ですので、見識ある考え方で、やはり沖縄の方々の怒りを買わないような、そういう対応をぜひ外務大臣には求めたいと思います。

 きょう、実は下田会議の資料を配付させていただきました。これは、別にこのことで議論をしようという思いで配付したわけじゃなくて、下田会議というのは、一九六七年から始まった非常にインテリジェンスの高い日米の政策会議だということで、それがまた、ことしの二月に仕切り直しになったわけですね。

 この下田会議が行われたということは当然大臣御承知のことなんですけれども、ここでジェラルド・カーティスさんが、一つの問題提起というか、基調報告的な形で配付された「日米関係の将来」という文書があるわけですけれども、これは大臣、お読みになりましたか。

松本(剛)国務大臣 下田会議が行われたということと、これ自身は、表紙を拝見すると、たしか私もいただいたような記憶がありますが、精査をして読んだということは、申しわけありません、いたしていなかったような気がいたします。

服部委員 多分、御多忙なのでお読みになっていないんじゃないかと思いまして、私、きょう持ってまいりました。後で差し上げますので、改めて読んでいただきたいんです。

 一枚めくっていただきますと、二枚目、非常に字が細かくて恐縮なんですけれども、まずアメリカ側からの参加者は、超党派の国会議員であり、あるいは財界、マイクロソフトだとか、そういう財界の大物もみんな来ているわけですよ。そして、前原外務大臣も当然参加をされているわけですね。その中で、ジェラルド・カーティスさんがこの「日米関係の将来」というのを全員に配付されているわけですけれども、その抄訳を一枚目の裏側につけております。

 沖縄の住民の反対がこのように激しい中、沖縄に辺野古基地の建設を強要するのは東京、ワシントンのどちらの政府にとっても政治的コストが大き過ぎる。あるいは、住民がこれだけ反対している中、日米合意に基づいて基地移設を強行するのは無謀である、沖縄の反基地感情を悪化させ、沖縄における米軍の軍事プレゼンスそのものを危険にさらすという言い方もされています。それから、四つ目の丸には、辺野古移設計画は初めから欠陥があったと。そして一番最後に、「はっきりと認識しなければならないのは、沖縄には米軍施設が多すぎるという否定できない事実である。辺野古に新しい、更に大きな米軍基地を建設するのではなく、米国は強制される前に迅速に沖縄の軍事プレゼンスを削減すべきだ。」ということなんですね。これが日米の新下田会議という大変重要な会議で配付されている。

 やはりこういうアメリカのメッセージというものを、外務省はきっちり、この文脈というのは見逃すべきではないと思うんですね。それが、今回の米上院の軍事委員会の日本への視察、そして今回の提案というふうに結びついておりますし、やはりできないものはできないんですよ、大臣、辺野古。だから、こういう動きがあるということは、政権にとっても物すごくいいチャンネルじゃないですか、ああ、アメリカにもこういう意見があるのかと。これは政策を変える絶好のチャンスだというふうに私は思うんですね。

 そういう意味で、しっかり、また引き続き議論をさせていただきたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

小平委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府と中華人民共和国香港特別行政区政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とサウジアラビア王国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とケイマン諸島政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とバハマ国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣松本剛明君。

    ―――――――――――――

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府と中華人民共和国香港特別行政区政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とサウジアラビア王国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件

 脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とケイマン諸島政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とバハマ国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本(剛)国務大臣 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府と中華人民共和国香港特別行政区政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十二年三月以来、中華人民共和国香港特別行政区政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、同年十一月九日に香港において、我が方在香港総領事と先方金融国庫局長官との間で、この協定の署名を行った次第であります。

 この協定は、日・香港間で二重課税の回避を目的とした課税権の調整を行うとともに、両者における配当、利子及び使用料に対する源泉地課税の限度税率等を定めるものであります。

 この協定の締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、両者間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とサウジアラビア王国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十年十月以来、サウジアラビア王国政府との間でこの条約の交渉を行いました。その結果、平成二十二年十一月十五日に東京において、我が方前原外務大臣と先方財務大臣との間で、この条約の署名を行った次第であります。

 この条約は、日・サウジアラビア間で二重課税の回避を目的とした課税権の調整を行うとともに、両国における配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等を定めるものであります。

 この条約の締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、両国間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とケイマン諸島政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十二年五月以来、ケイマン諸島政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、本年二月七日にロンドンにおいて、我が方在英国臨時代理大使と先方首相との間で、この協定の署名を行った次第であります。

 この協定は、我が国とケイマン諸島との間で、国際的な脱税及び租税回避行為を防止するため、租税に関する情報の交換を行うための詳細な枠組みを定めるとともに、我が国とケイマン諸島との間の人的交流を促進する観点から、退職年金等の特定の個人の所得についての課税の免除を規定するものであります。

 この協定の締結により、国際的な脱税及び租税回避行為を防止するための国際的な情報交換ネットワークがさらに拡充されること等が期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とバハマ国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十二年十一月以来、バハマ政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、本年一月二十七日にナッソーにおいて、我が方在バハマ大使と先方副首相兼外務大臣との間で、この協定の署名を行った次第であります。

 この協定は、我が国とバハマとの間で、国際的な脱税及び租税回避行為を防止するため、租税に関する情報の交換を行うための詳細な枠組みを定めるとともに、我が国とバハマとの間の人的交流を促進する観点から、退職年金等の特定の個人の所得についての課税の免除を規定するものであります。

 この協定の締結により、国際的な脱税及び租税回避行為を防止するための国際的な情報交換ネットワークがさらに拡充されること等が期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 以上四件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

小平委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

小平委員長 この際、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。

 経済産業委員会において審査中の内閣提出、鉱業法の一部を改正する等の法律案について、経済産業委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、経済産業委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


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