衆議院

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第14号 平成23年7月27日(水曜日)

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平成二十三年七月二十七日(水曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 小平 忠正君

   理事 大泉ひろこ君 理事 吉良 州司君

   理事 首藤 信彦君 理事 長島 昭久君

   理事 西村智奈美君 理事 秋葉 賢也君

   理事 小野寺五典君 理事 赤松 正雄君

      相原 史乃君    浅野 貴博君

      磯谷香代子君    勝又恒一郎君

      川村秀三郎君    阪口 直人君

      道休誠一郎君    中津川博郷君

      中野  譲君    中林美恵子君

      萩原  仁君    浜本  宏君

      早川久美子君    伴野  豊君

      山尾志桜里君    山花 郁夫君

      金田 勝年君    河井 克行君

      高村 正彦君    松野 博一君

      赤嶺 政賢君    笠井  亮君

      服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         松本 剛明君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (拉致問題担当)     中野 寛成君

   法務副大臣        小川 敏夫君

   外務副大臣        伴野  豊君

   防衛副大臣        小川 勝也君

   外務大臣政務官      山花 郁夫君

   政府参考人

   (内閣官房拉致問題対策本部事務局内閣審議官)   木村 茂樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      横尾 英博君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月六日

 辞任         補欠選任

  山口  壯君     中林美恵子君

同月二十七日

 辞任         補欠選任

  菊田真紀子君     川村秀三郎君

  中林美恵子君     磯谷香代子君

  早川久美子君     相原 史乃君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     早川久美子君

  磯谷香代子君     中林美恵子君

  川村秀三郎君     菊田真紀子君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

同日

 理事山口壯君同月六日委員辞任につき、その補欠として大泉ひろこ君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

七月二十六日

 東南アジアにおける友好協力条約を改正する第三議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)

 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千九年六月十五日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件(条約第一二号)

 理事会の改革に関する国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第一三号)

六月十五日

 中国及び中国周辺地域における人権弾圧問題等の解決に向けて、日本国政府からの働きかけを強化することに関する請願(城内実君紹介)(第一四六一号)

同月十六日

 核兵器のない世界の実現に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五七四号)

 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五七五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一五七六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五七七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一五七八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五七九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五八〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五八一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五八二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一五八三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八四一号)

 普天間基地の無条件返還を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五八四号)

 核兵器禁止条約の早期締結に関する請願(河井克行君紹介)(第一九七〇号)

 同(岸田文雄君紹介)(第一九七一号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第一九七二号)

 同(中川秀直君紹介)(第一九七三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 東南アジアにおける友好協力条約を改正する第三議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)

 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千九年六月十五日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件(条約第一二号)

 理事会の改革に関する国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第一三号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

小平委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に大泉ひろこ君を指名いたします。

     ――――◇―――――

小平委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房拉致問題対策本部事務局内閣審議官木村茂樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長横尾英博君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 きょうは、中野大臣、御出席いただきまして、大変ありがとうございます。また、松本大臣、このたびはASEAN外相会談、大変御苦労さまでございました。

 まず冒頭、松本大臣にお伺いいたしますが、今回、ASEAN外相会談の議事録等を見ますと、特に北朝鮮問題について、日米韓の三カ国協議をしっかりされているということで、今回は北朝鮮問題に対しての解決、その内容について、例えば六者会合が再開されるためには、北朝鮮と韓国との関係を改善するため真摯で建設的な南北対話を重視するということを今回も強調されまして、また、同様のコミットメントをそれぞれ出しているということだと思っております。

 実は、この北朝鮮関係の問題につきましては、従前から、南北対話を重視する姿勢が大変重要だということを、私ども、外交の専門家として感じております。

 例えば、前原前大臣でありますが、一度、日朝協議再開ということを発言したことがございました。ちょうど辞任する直前だったと思います。その際、実は、米国政府はこの前原外務大臣の発言に対して、発言の真意がはっきりしないというようなお話をされる。あるいは、韓国も前原大臣に対して直接、日朝交渉よりも南北対話が優先される。実は、今まで私ども、外交の姿勢、この対北朝鮮問題というのは、まず南北がある、そして六カ国協議で協議をしていく、こういう基本姿勢をずっと貫いてまいりました。

 ところが、これは一部報道でも出ておりますが、中井元拉致担当大臣が宋日昊北朝鮮の高官と極秘に会談をした、このような情報が報道として流れております。ちょうど同時期、松本大臣がバリでASEANの外相会談そしてまた日米韓の外相会談を行い、対北朝鮮対策を明確にしている中で、実は同時期に別なところで別なことが行われていたのではないか、このようなことが一部報道されています。

 そして、この問題に対して岡田幹事長も、この内容についてもし外務大臣、首相が知らなければ、これは二元外交である、大問題であるということをお話しされました。

 まず松本大臣にお伺いしたいのですが、この対北朝鮮外交、日朝関係の問題、そして今回、こういう二元外交ということでもし中井元大臣の行動がとられた場合には大変な大問題になると与党の幹事長すら言っている内容についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

松本国務大臣 中井前担当大臣は、そのような協議はなかったとお答えになっておられると承知をしております。

小野寺委員 それでは、外務省としては、南北対話、そしてまた六カ国協議優先という日朝関係の基本姿勢は今も変わらないと考えてよろしいんでしょうか。

松本国務大臣 先ほど、前原大臣のときのお話もございました。当時私も副大臣でございましたが、まさに報道などによって日朝協議というのが伝えられましたが、私自身もこの場においても、日朝の対話の扉は開かれているということを申し上げてまいりました。

 他方で、まさに今小野寺理事おっしゃったように、まず南北ということの基本姿勢は変わっておりませんし、それは前原大臣も、私が承知をする限り、一貫して変わっていなかったものと思っております。

 その意味では、前原大臣から米韓に対しても、そこは変わったものではないということをお伝えして、そこはしっかり御理解もいただいていると思いますし、また、今回の日米韓においても、三者においてその点は確認をされてコミットメントされているというふうに理解しております。

小野寺委員 松本大臣は今、中井元拉致担当大臣が北朝鮮の高官と極秘裏に会談をしたということについては、これは中井前大臣が否定をしているということで、そのような事実はないと認識しているということでよろしいんでしょうか。

松本国務大臣 報道については私も承知をしておりますが、尊敬する先輩である御本人がそのようにおっしゃっておられるわけでありますから、そのように私も認識をすべきだと考えております。

小野寺委員 この問題について、例えば外務省の北朝鮮担当の方あるいは韓国関係の方、こういう方から事実があるかどうかということの、裏取りというのは変ですが、事実確認については指示を出されましたか。

松本国務大臣 裏取りという御趣旨がよくわかりませんけれども、国会議員として必要な手続、海外へ出るに当たって必要な手続はとられた上で個人の立場で中国へ行かれたものと理解をしておりますし、またそのようにおっしゃっておられるというふうに理解をしておりますので、それ以上でもそれ以下でもないというふうに思っております。

小野寺委員 きょうは中野大臣においでいただいております。国家公安委員長でいらっしゃいますが、同時に拉致対策の担当大臣でもいらっしゃいます。

 それでは、改めて中野大臣にお伺いをいたします。

 今回、中井前大臣がこのように中国・長春において北朝鮮の高官と極秘裏に会ったという報道、これについては内容を御存じか、そしてその事実についてどのようにお考えか、教えてください。

小平委員長 中野拉致問題担当大臣。(中野国務大臣「拉致問題担当大臣として呼ばれたんでしょうか。どちらでしょうか。それを明確にしていただかないと」と呼ぶ)両方ありますので、中野国家公安委員会委員長。(発言する者あり)

 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

小平委員長 速記を起こしてください。

 中野国家公安委員会委員長に発言を求めますが、同時に中野国家公安委員長は拉致問題担当大臣もあわせて受け持っておりますので、それも含めて答弁をお願いいたします。

 中野国家公安委員長。

中野国務大臣 きょうお呼びいただきましたのは、国家公安委員長としてということでお呼びいただきましたので出てまいりましたが、理事会においていろいろ協議がなされたんだろうというふうに思います。

 ただ、国家公安委員長という立場になりますと、これは国家公安委員会としての立場がありますし、所管がありますので、この問題につきましては、いわゆる所管外ということで、国家公安委員長としてはお答えしがたい。というのは、そういう材料を持っているわけではない、こういうことになります。この辺につきましては、どうぞ委員長なり理事の方で御相談、御協議をいただければと思います。

小野寺委員 先ほど、実は、事務方の方に拉致担当大臣ということできょうは登録してほしいというお話をしましたので、ちょっと今のお話は。

 委員長、私、それ以前に、両方の大臣を兼ねていて、そして片方の大臣として呼ばれていないから片方のことについては答弁できないというのは、これは答弁したくないからわざわざそういうことを詭弁として使われているんじゃないかと思います。

 もう一度お伺いいたします。

 それでは拉致担当大臣としてお伺いいたしますが、今回の中井前大臣についてのこのような北朝鮮高官との接触について、その情報について接しているか、そして事実を確認されたか、改めてお伺いいたします。

小平委員長 中野大臣、ちょっと待ってください。

 この席は国家公安委員会委員長としての出席を要請しておりますけれども、申し上げたように、拉致問題担当大臣をあわせ持っていますので、それも含めて御答弁願います。よろしいですね。

中野国務大臣 それでは、改めてお答えをいたします。

 小野寺先生、ちょっと御心配のようですが、別に他意は全くありませんで、これは国会内のルールの話を申し上げましたので、そこはどうぞお許しをいただきたいと思います。

 それでは、今改めまして委員長から拉致問題担当大臣ということも兼ねてという御指名でございますので、お答えをしたいと思います。

 私ども、今回の中井元大臣の件につきましては、我々対策本部事務局としては全く関知をしておりません。

 また、しかしながら、あのような報道がなされましたので、旧知の間柄でももちろんありますので、中井元大臣に直接電話で確認をいたしました。御本人は中国の長春のお生まれでございますし、お父様がたしか満州電電にお勤めだったかと昔から聞いております。一回おれは帰りたいんだというふうに、長年の同志でありますので、言っておったこともよく承知をいたしておりますが、本人に確認をいたしましたところ、いつも言っているではないか、あくまでもセンチメンタルジャーニーであると。これは御本人のおっしゃった言葉そのままを申し上げますと、あくまでもセンチメンタルジャーニーであるというふうに申しておられました。

小野寺委員 センチメンタルジャーニーはジャーニーで結構なんですが、その際、北朝鮮の高官と接触をしたかということについては確認をされましたでしょうか。

中野国務大臣 そのようなことにつきましては、ない、あくまでもセンチメンタルジャーニーのために行ったということでございました。

小野寺委員 大臣からも、前大臣がこのような北朝鮮の高官と接したことがないというお話がございましたし、また、冒頭、全く関知していない、関与していないというお話がございました。

 さて、お伺いいたしますが、中井前大臣と拉致事務局の、ですから中野大臣の部下が、今回一緒に長春に行っていらしたという事実はございますでしょうか。

中野国務大臣 機構のことからいいますと、事務局職員につきまして、例えば休暇であるとか旅行であるとか、それらについて決裁をする立場に実は私はなっておりません。よって、そのことにつきましては掌握をいたしておりませんでした。

小野寺委員 今、掌握をいたしておりませんでしたというお話をされましたが、一部報道で、同行したということが報じられております。現在は、同行したかどうかを確認されたでしょうか。

中野国務大臣 事務局の方に調査をするようにということは言っております。その事務方の方から御確認をいただければと思います。

小野寺委員 大臣にお伺いいたします。

 結果については報告を受けていないということでしょうか。確認せよということをお話しされましたが、結果についてどのような報告を受けたか、大臣にお伺いいたします。

中野国務大臣 私は、拉致問題担当事務局の職員の中で、その該当する日に休暇をとった職員がいる、また、中国へ訪問した職員がいるということまでは聞きました。

小野寺委員 この職員は、中井前大臣と同行した、中井前大臣に誘われて中国・長春に行ったという事実はありますでしょうか。

中野国務大臣 個人的に要請を受けて、個人の立場で、中国語もできますので、通訳をしに行ったというところまでは確認をいたしました。

小野寺委員 もう既に中野大臣は御存じなんですよ、この拉致問題の事務局職員が中井前大臣に誘われて一緒に長春に行ったということ。

 この事務局の職員は何語の専門家ですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 当該職員は韓国語の専門家でございます。

小野寺委員 今大臣は中国語の通訳というお話をされましたが、この職員は、コリアンスクール、韓国語の専門家。この方が、今回、なぜ中井前大臣のセンチメンタルジャーニーに同行して、おつき合いして行くことになったか、その経緯について教えてください。

木村政府参考人 補足してお答え申し上げます。

 当該職員は、専門家ということでは韓国語の専門家ではございますが、大臣から先ほど答弁申し上げましたとおり、中国語にも非常に堪能でございます。(小野寺委員「なぜ行くことになったか、大臣の方から」と呼ぶ)

小平委員長 挙手してください。

小野寺委員 それでは、大臣からお伺いします。

 どのような経緯で行くことになったか、教えてください。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 当該職員に私ども確認いたしましたところ、中井元大臣より、生まれ故郷である長春を個人的に訪問することになったので、現地での通訳、案内役を兼ねてついてきてもらえないかという御依頼を受けて、個人的にこれを引き受けて、休暇取得の上、同行したということでございます。

小野寺委員 中野大臣にお伺いします。

 通常、職員が海外渡航をする場合、これは、私的であっても、海外渡航の申請書を出すことになっていますが、この職員の申請書はどのような形で出されていたか、教えてください。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の渡航に当たりましては、御指摘の海外渡航に関する許可申請は出されていないと承知しております。

小野寺委員 済みません、もう一度お伺いしたいんですが、出されていないと今おっしゃったんですが、海外渡航の許可書を出さないでこのような、海外にまあ秘密に出かけるということ、これについてはよくある話なんですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 よくあることかと申しますと、ちょっとお答えしかねますけれども、今回の件につきましては、突然の御依頼だったということもあり、本人はその届け出を失念しておったということのようでございます。

小野寺委員 大変不自然だと思います。通常であれば、優秀な日本の国家公務員です、しかも拉致問題を担当する事務局、その方が海外に渡航するとき、その方が全く渡航申請もしていない、このことで今疑念を持たれているわけです。

 改めてお伺いしますが、今この職員はどこにおりますか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 当該職員は、二十六日から、かねてからの予定どおりでございますが、韓国に出張中でございます。

小野寺委員 かねてから予定どおりとおっしゃいましたが、二十六日、きのうですよ、この問題が報道等で出た途端に韓国に出張することになった。

 この職員はいつ帰ってくるんですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 帰国は二十九日の予定でございます。

小野寺委員 委員長にお伺いしたいんですが、ぜひこの職員から、私ども正式に、一体どういう理由で、何の話で行ったのかということを確認したいと思いますので、ぜひ理事会において、この職員の事情聴取をお願いいたします。

小平委員長 理事会で協議しましょう。

小野寺委員 それではお伺いしますが、この職員は、今回、渡航に当たりまして、プライベートで行ったというお話でした。パスポートについては、もちろん私のパスポート、公用旅券は使っていないと思いますが、この渡航費あるいは現地の滞在費、そして、もし今回、通訳等で中井前大臣のお世話をしたのであれば、当然、謝礼等があると思いますが、どのような状況になっていましたか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の費用については、すべて本人が支払ったというように聞いております。

小野寺委員 もう一度確認しますが、中井前大臣が自分のセンチメンタルジャーニーについてきてほしいということで中国・長春に行く、そしてこの職員は、年休をとり、そして海外渡航の申請は出さなかったけれども長春に自腹で行き、そして自腹でずっと大臣の通訳、観光案内をしていたということで理解してよろしいんでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、当該職員は私的旅行ということでございまして、費用についてはすべて本人が支払ったと聞いております。

小野寺委員 本人が支払ったというのは、それは、本人が中井前大臣からいただいてそれから支払ったのか、すべて本人が、中井前大臣から一切この渡航費用、謝礼なしで、自分のボランティアでお金を払ったのか、どちらでしょうか。

木村政府参考人 私的な事項でございますので、その背景というものはなかなか難しゅうございますが、私どもが当該本人から聞いておりますのは、自分ですべて支払いましたということを聞いております。

小野寺委員 この拉致事務局の職員がどれだけ報酬をもらっているかわかりませんが、このような依頼をされて同行をし、しかも全部自腹でお金を払ったということ。まさか機密費等があるとは思いませんが、実際私どもとして、やはりこの職員からもう一度しっかりお話を聞くということが必要ではないかと改めて感じました。

 そして、たとえ私的であっても、このような拉致関係の事務局の職員、こういう方が申請もなしに中国・長春に渡って、そこで恐らく前大臣の通訳を行ったということだと思いますが、やはりこれは、休暇をとったとしても、当然、公務員であります。

 改めてちょっとお伺いしたいんですが、この職員は、外務省でどのような仕事をしている職員ですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 当該職員、外務省からの出向者ではございますが、現在は、拉致問題対策本部事務局の職員として働いております。

小野寺委員 いろいろ伺いますと、かなり重要なポジションを担っている職員だというふうに伺っております。

 とすれば、この方がさまざまな情報も当然持っている。そして、国家公務員であり、しかも現職の拉致対策のいわば最前線で働いているこの方が、前大臣、まあ、今はもう既に公務を離れておりますから一国会議員ということになります。この一国会議員の海外に対しての出張、出張ではなくてセンチメンタルジャーニーと本人はおっしゃっているんでしょうが、そこに同行し、そしてさまざまな便宜を図る。これは、逆に、国家公務員として、現在その所掌をされている中野担当大臣に失礼な話ではないかと私は思います。

 大臣、この職員に対して今後どのような指導をされるか、お答えください。

中野国務大臣 いろいろな規則もあるのでありましょう。先ほど、本人がその届け出を、海外への出国の届け出をしていない、手続をしていないと。出国のと言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、その届け出がなかったという答えがありましたが、それらも含めまして、今後、やはり国家公務員としてのありようについては、十分注意をして検討してまいりたいと思います。

小野寺委員 これは、今の政権の皆様がどうお考えかわかりませんが、対外的に見える話というのは、例えば前回の原発の対策についても、海江田大臣が片方でさまざま努力をされている中で、ストレステストということが突然飛び出し、その閣僚のむしろ後ろから何か矢を撃たれるような状況があっておりました。

 私は、今回のこれがもし事実だと仮にすれば、あるいは事実ととられるような行動を前大臣がされているとすれば、逆に、せっかく松本大臣がバリにおいて、ASEAN外相会談においてさまざまな外交努力をされている、それと同じ時期に、全く違うところでそれと逆の動きをしているとすれば、日本の外交が二元外交、もしくは今閣僚で頑張っていらっしゃる皆さんがむしろ裏切られている、そのようなことを思われても仕方がない。恐らく、国民はそのように思われると思います。

 私ども、国益を担って政治をする立場でありますので、今回、このような疑いを持たれること、きょうお話をいろいろ伺いますと、かなり不自然なことがたくさんございます。まず、中井前拉致担当大臣が中国に行って、センチメンタルジャーニーといいながら、一部報道では、かなり首をかしげるような行動をとる。そして、この前大臣に、現職の拉致担当の事務職員が同行をする、一緒に赴く。そしてそれは、休暇をとったといいながら、実は海外渡航の申請は出していない。これは明らかに服務違反ということになります。

 そして、今お話を伺うと、実はすべて自腹でお金を出して、渡航費も宿泊費も全部出しているとこの職員がおっしゃっている。逆に言えば、どこまで中井前大臣とこの職員がつながりがあるのか。普通に考えれば、これは不自然な状況になります。

 そして、帰国後、この職員、当然、この報道に対して何らかの報告、復命をしているんだと思いますが、この職員は今回の同行についてどのような復命をしているか、教えてください。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の同行につきましては、本人から私ども話を聞きましたが、私的な旅行ということでございますので、同行したというようなことについてはお話を聞きましたが、特に、このような職務を果たしましたというような形での復命というものは受けておりません。

小野寺委員 改めてお伺いしますが、北朝鮮の高官、関係者と接触したかどうか、このことについては何と答えていますか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問のありました現地での北朝鮮当局者との接触でございますが、当該職員は、中井元大臣御自身がおっしゃっていること以外に自分として申し上げることはないというふうに申しております。

小野寺委員 この職員は会っていないということを明言されましたか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 本人の申したとおり申しますが、今申し上げたとおりで恐縮でございますが、中井元大臣がおっしゃっていること以外に自分が申し上げることはないというふうに申しております。

小野寺委員 もう一度お伺いしますが、この職員は、北朝鮮の関係者と会っていない、そう明言されましたか。それだけ言ってください、言ったか言わないか。

木村政府参考人 本人の言は今申し上げたとおりでございます。ただ、報道等で、中井元大臣は、自分はそのような面会はしていないというふうにおっしゃられているわけでございますので、両々あわせれば、会ったか会わないかということについては自分は承知していないというふうに本人は答えているものと考えております。

小野寺委員 ニュアンスが大分違うと思いますよ。普通は、もし全然会っていないのであれば、一言、たった一言ですよ、たった一言、いや、私は会っておりません、旅行を案内しただけです、こう言うはずですよ、普通は。

 もう一度、何と答えたか教えてください。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 本人の言ったことを答えよということでございますので、本人の言でございますが、現地での北朝鮮当局との接触について、当該職員は、中井元大臣御自身がおっしゃっていること以外に自分が申し上げることはないというふうに言っております。

小野寺委員 これは確認をしましたら、こういうふうに言っていたそうですよね。当該職員は、中井前大臣が北朝鮮の関係者と接触していないと言っている以上、私としては中井前大臣の言っている以外のことはない、そのような発言をしたということですが、それでよろしいですか。

木村政府参考人 そのような趣旨でよろしいかと思います。

小野寺委員 そうなんですよ。この職員は、実は会っていないとは言っていないんです。そして、何と言っているかというと、中井前大臣が私は会っていないと言っているんだから、そうしたら、それ以上私は言うことがない。逆に言えば、本人は、この職員は会っていないとは一言も言っていないんですよ。

 この言葉の裏に何があるか。私は、さまざまなこれからの委員会の中でこの問題の真実がもし出てきたとき、そのときに、きょういらっしゃる外務大臣そして拉致担当の大臣、中野大臣におかれましては、それは盟友である中井前大臣の御発言ということで今回は真っ正面から受けとめられたと思いますが、私がぜひお願いしたいのは、この委員会でさまざまな質疑をする中で不自然なことがたくさんある、であるとすれば、このような政府が行っている外交とまた違うルートで別な動きがあるということに関しては、これはしっかり調べていただいて、そして、もしそのようなことがあるのであれば、政府・与党一体ですから、与党内でしっかりまとめていただく、そのような対応が必要だと思っています。

 そして、何か今のお話を聞くと、私はこの同行した職員が気の毒でなりません。自分で会っていないとは言えない。恐らくかつての上司だったんでしょう。ですから、誘われて、嫌と言えない中で今回は同行した。そして、恐らくさまざまな仕事もしたんでしょう、この職員は。ですが、今この職員にかかっているさまざまな嫌疑について、この職員みずから、私がこうですと明言はされていない。あくまでも中井前大臣が言っているとおりですということで、もし何かの配慮がこの職員の心の中にあるのであれば、公務員として、これからこの日本の外交を担っていく職員として、私はこの職員が逆に大変気の毒だと思っております。

 政治の役割というのは、何か疑わしいことがあったら、何か問題があったら責任は政治家がとる、説明責任は政治家がとる、そして職員や現場で働く者に関しては存分に仕事をしてもらう、その姿勢が一番大切だと思っています。

 今回のこの一連の行動が、むしろ、中井前大臣が非常に自分のことの責任を避けて、そして現場の職員がまたこういう中で苦境に立つということになれば、私どもは昨年からずっと経験しています、尖閣の問題でも、実は、現場の、釈放した那覇地検の問題、海上保安庁の問題、すべて現場の責任ということで、そこですべて口封じをするということが往々にして行われました。今回の事案はそのようなことがないように、今回の問題について再度しっかり調査するということを、最後に改めて中野大臣にお伺いしたいと思います。

中野国務大臣 必要なことがあれば調査をいたします。

小野寺委員 ありがとうございました。

 それでは、この問題については質問を終わりますので、どうぞ大臣。ありがとうございました。

 それでは、もう一点、原子力協定についてお話を伺いたい、そう思っております。

 この委員会で、さまざまな原子力協定について、私どもは今政府から審議を求められております。例えばヨルダン、あるいは今後ベトナムもありますし、日ロ、日韓もございます。そして、この原子力協定の動きと、実は、私ども首をかしげるような事案、それは現政権、菅総理の脱原発のさまざまな姿勢ということになります。

 外務大臣に改めてお伺いするんですが、私ども、この委員会で、この原子力協定をこれからも進めて、日本の原子力を輸出する、あるいは平和技術を輸出する、このようなことを今後も続けていっていいんでしょうか。この各種条約、協定については今後も政府として提出し続ける、その意向があるかどうか、お伺いします。

松本国務大臣 原子力協定というのは、もちろん協力に伴って必要となってくる部分があるわけでありますが、理事よく御案内のとおり、その主たる目的は、核の不拡散を確認する、その部分のコミットをさせるということにあると理解をいたしております。

 ですので、協定そのものを、今後ある意味では枠組みをつくるわけでありますから、さまざまな形での協力があり得べき国々との間で結ぶということは、私どもとしては必要なことだと思っておりますので、現在お願いをしているものについては、ぜひお願いをしたいという基本的な立場は変わりません。

 その上で申し上げますと、今回提出されているヨルダン、ロシア、韓国、ベトナムということになるわけでありますけれども、例えばロシアなどは、ある意味では、核については先進国のうちの一つに数えてもいいだろうというふうに思います。そういう意味での日本とのさまざまな資機材などの協力というものは、日本の高い物づくりの技術が評価をされての部分というものがあるわけでありまして、そういったものも十分に勘案をしていかなければいけないというふうに思っております。

 今後、我が国としてエネルギー政策をどうするかということは、今、議論をまさに行っているところであります。そして、我が国の高い技術に基づく原子力の利用のさまざまな技術の協力ということについては、私自身は、多くの国々から引き続き高く評価をされていることにどうこたえるかということを十分考える必要があるというふうに思っておりますけれども、我が国全体としてこれにこたえることが多くの国々の期待にこたえることだと私は思いますが、エネルギー政策とともに議論をすべき点が全くないのかといえば、それは引き続き議論をする点はあるだろうと思います。

 現段階で既に交渉中ないしは協定の締結をお願いするような段階に至っている国々との関係については、震災以降も、私が承知をする限り、引き続き日本の技術ないしは物づくり等の結果としての製品に対する期待があるというふうに理解をいたしておりますので、相互の信頼を損なわないように、これまでの経緯などに配慮して、また相手国の期待などを勘案して、当然、安全性にはさらなる留意が必要になってくることは申し上げるまでもありませんが、この期待にこたえられるように進めていくべきだと考えているところであります。

 いずれにせよ、枠組みをつくる協定についてはぜひとも御審議をお願いしたい、このように考えております。

小野寺委員 今お話がありました平和利用ということでありますが、これは両輪ありまして、片方で、日本の原子力技術を輸出する、あるいは相手国に技術提供する、そしてそれが平和的に使われるための条約、協定ということで、今回この協定を私ども審議するということになります。ですから、前提としては、これは民主党政権になっても、成長戦略でお話しされましたが、原子力技術の輸出ということ、これが両輪でつきまとうということだと思っています。

 その中で、日本国内で、これは外務省が今言った協定、条約は早く結ぼうということでお考えなのかもしれませんが、この考えは内閣一体としての考えなんでしょうか。改めて外務大臣にお伺いします。

松本国務大臣 国会の御了解をいただいて私自身も出張させていただいていた先週でありますが、二十日の日、小野寺理事と枝野長官が復興特委で御議論をいただいているというふうに承知をいたしておりますので、詳細は割愛をさせていただきますが、枝野長官も、相手国の皆さんが御評価をいただけるのであれば、これは、我が国のある意味での責任も含めてしっかりと対応していくべきだというふうに考えておりまして、そうしたことを前提として、これまで進めている各国との原子力協定について、我が国としては従来の方針で、相手側がぜひ従来どおり進めてほしいということであるならば、ぜひ我が国としてもそういった対応をさせていただきたいというふうに思っておりますと答弁をしておりまして、私が先ほど申し上げた基本的な趣旨は、全く同旨であるというふうに考えております。

小野寺委員 ところが、対外的にはそう見られていないんですよ。

 大臣、御存じかどうかわかりませんが、既に、日本あるいは菅総理が鳴り物入りで成功事例として挙げられているベトナムへの原子力技術の輸出、これについて、ベトナム自身が、最近の日本政府のさまざまな政策の揺れに対して非常に不安感を持っている。そして、韓国自身、韓国は今度、このベトナムに大統領親書を持っていく。また、ベトナム政府は、閣僚を含む二十人規模の原子力使節を今度韓国に派遣する。

 ですから、日本政府がさまざまこうやって揺らいでいる間、ごたごたしている間、総理がさまざまな発言をする間に、日本が進めようとしている原子力技術の海外進出、輸出、このことがどんどん揺らいでいる、この事実を大臣は御存じでしょうか。

松本国務大臣 原子力の平和利用もしくは原子力発電所プラントの受注に関しては、大変厳しい国際的な競争の中にあるということはよく承知をしておりますし、今おっしゃった個別のことについて、それぞれ私として具体的にどれを承知している云々ということについてのお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、今言及をされた国々も含めまして多くの競争相手がある中で、大変厳しい競争が行われているということはよく承知をしております。

 他方で、私どもの原子力の協力については、三月十一日の原子力発電所の事故、発災以降、我が国の原子力関係者が、海外との技術的な打ち合わせも含めて、全面的にそちらに時間を割くことができないような環境が生じていることもあって、必ずしも双方が当初思っていたとおりに進んでいない部分はあるというふうに私どもも理解をしておりますけれども、私どもとしては、我が国の現状なども説明をしていきながら、引き続き、今おっしゃった国々も含めて、我が国に協力を求めている国々には、理解を得ながら今後の協力のあり方というのを進めてまいりたいと思っております。

小野寺委員 外務省、経産省は、一生懸命この原子力技術を海外に売り込もうとしている。その中で、総理自身が脱原発の発言をし、国内の混乱が生じている。これを見て国際社会は、日本はどうなっているんだ、そして、これを見て他の原子力の先進国は、では日本のシェアをどんどん奪ってやれ、今、このような状況で動いております。

 そして、今出ている協定以外に、ブラジル、インド、南アフリカ、トルコ、アラブ首長国連邦、さまざまこれから交渉する、水面下の協議にはなっていますが。

 最後にお伺いします。大臣、これらすべてを私どもしっかりと協議していいのかどうか、一言だけお答えください。

小平委員長 時間が来ましたので、簡潔に。

松本国務大臣 外交でございますので、相手国の期待に対応するところはしっかり対応したいと思います。

小野寺委員 終わります。

小平委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 きょうは、中野拉致担当大臣にも外務委員会へ御出席をいただきまして、ありがとうございます。きょうは、国家公安委員長というよりも拉致担当大臣として、大臣の拉致問題解決に取り組まれる基本的なお考えなども伺いたいと思っております。

 先ほどのやりとりを聞いておりまして、大変残念に思うのは、今回の中井前大臣の訪中の問題というのは、一つには、二元外交の問題、そしてもう一つは、この拉致問題という我が国にとって極めて重要な課題があたかも菅首相の延命のために利用される。

 そのために、今回同行した職員はどうだったのかということで、今回限りの問題にあたかもなっておりますけれども、報道によれば、この春から数回にわたって訪中をしているという報道がございます。恐らく、この外務省から出向されている職員の方も、今回だけではなくて、前回も同行したのではないかと疑われるわけでございます。

 何よりも、私がもし中野大臣の立場であれば、自分のいわば部下ですから、答弁にあるように、いかに私的な旅行だ、あるいは、前大臣御自身もセンチメンタルジャーニーだとしても、自分の部下が、著しい、そうした関係が濃密な国に行くわけでありますから、プライベートとはいえ、こういう事情で中国に行ってまいりますということを上司に報告するのは、これは一般企業でも当たり前のことだと思うんですが、先ほどの御答弁では、報告はあったけれども、特に内容は知らないということだったと思います。

 改めて、その部下の今回の出張の件、この春以降も含めてどうだったのか、お考えを伺いたいと思います。

中野国務大臣 今回の件につきましては、先ほど事務方からも答えさせましたけれども、そのような事情聴取をしているということであります。

 また、公式な出張の場合には私にも事前に報告があり、また事後にも報告がありますが、当該職員につきましては、今回のことについてはそれらのことは、私自身に対する事前の了解、報告等はございませんでしたし、先ほど事務方から答えましたような事情聴取のみに終わっております。

秋葉委員 先ほどの事務方からの答弁ですと、中井前大臣が、そうした活動はしていないんだ、センチメンタルジャーニーだと言っている以上、それ以上のことはないということですけれども、先ほど小野寺委員が言及したとおり、逆に言えば、北朝鮮の宋日昊高官と接触しなかったんだとは明言していないわけでありますから、恐らくは、通訳の役割を兼ねながら、一緒にそうした役割も果たしていたんだろう、こう思われるわけであります。そして、このことは、今回が初めてのことではなくて、春から数回行っているということが報道されているわけでございます。

 事実関係として、この職員は、この四月あるいは三月以降、休暇届を出して中国に行った事実がありますか。

 いいですよ、委員長、事務的なことですから、事実関係、政府委員でも。

小平委員長 それでは、許可します。木村審議官。

木村政府参考人 先生のお許しをいただきまして、事務方よりお答え申し上げます。

 御質問にございました、今回以前の中国への渡航につきましては、申しわけございません、私ども把握しておりません。

秋葉委員 把握していないということですけれども、少なくても、休暇届が四月以降何回か出ているかどうかはわかるでしょう、それは事実だから。どこの国に行ったかどうか、中身を聞いているんじゃなくて、当該職員がこの三月以降休暇をとって外国に渡航したことがあるかどうか、その事実を聞いているんです。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 申しわけございませんが、突然のお尋ねでもございますので、現時点において、その事実を把握してございません。

秋葉委員 報道が常に正しいわけではありませんけれども、しかし、これは、一紙のみならず各紙の報道をあわせて読めば、この春から何回か地ならしで、菅総理の訪朝を実現するために、どうも、ある意味では中井前大臣が首相の特命を受けて二元外交的に画策をしていた。そして、現職の担当大臣の部下を使う、そして現職の大臣に報告がない、私は、まずはこの事実が、ある意味ではすごく恐ろしいなと思いますし、政府と与党というのは一体的に取り組んでいくべき課題だと思うんですね。そういうことがなければ、そもそも相手国から我が国の足元を見られる。

 ですから、目的が目的ですから、私には非常に問題だとやはり言わざるを得ませんし、今後こうしたことがないように、中野大臣としても、部下に対して、それは私的な旅行であっても、いわゆるこうした二元外交的なものに利用されることがないように監督を、しっかりと督励していただきたいと思いますけれども、改めて、大臣の御認識を伺っておきたいと存じます。

中野国務大臣 報道を前提に御質問いただいている部分もありますけれども、これらについては、我々は先ほど来、中井前大臣も否定をしていることでありますし、私どもも関知していないこと、部分が多うございますので、これについてのコメントのしようはありませんが、職員の管理監督につきましては十分注意をしたいと思います。

秋葉委員 いずれにしても、大事なことは、本当に、この拉致問題、二〇〇八年の日朝実務者協議での再調査の約束以来、際立った進展がございません。大臣も、御就任以来、さまざまな拉致関係のイベントにも積極的に御出席をいただいておりますし、また意欲的に取り組んでいただいていることを承知しておりますが、この間、もう三年になるわけでありますけれども、この拉致問題が、なぜ進展が、いわゆるフリーズのような状態になってきたのか、そして今後大臣としてこれをどう打開していくおつもりなのか、改めて基本的な認識を伺いたいと存じます。

中野国務大臣 御指摘をいただきましたように、具体的に目に見える、これは、最終結論は被害者の皆さんが全員御健在で日本に帰っていただくこと、そのことがまさに解決ということになりますし、そのことがなくして日朝国交正常化もあり得ないという基本方針は、これは歴代内閣の基本方針でもあり、我々の基本方針でもあると思います。その気持ちをしっかりと堅持して頑張っていきたいと思いますし、先般は、御家族の代表の皆さん、そして拉致議連の皆さん、救う会の皆さん、こぞって訪米もされ、議会筋、政府筋にも働きかけをされました。私の方からも東副大臣を同行させまして、そのことにつきましては、お手伝いといいますか、ともに行動をさせていただいたところであります。

 また、その直後、私も韓国へ参りまして、韓国の国会また政府筋と懇ろな話をしてまいりましたが、まさに国際的な包囲網をもって北朝鮮に決断を促すということがこれからもより一層必要である。また、日本が今日までいろいろな制裁行為をしておりますことも、それなりに相手に対して大きなダメージ、プレッシャーをかけていることも事実でございますが、今後とも、我々としては、ありとあらゆる手段を講じながらその解決に努力をしてまいりたいと思いますし、この問題は、いつも申し上げておりますし、また先生方からもおっしゃっていただいておりますが、国を挙げて、超党派で取り組むべき問題であり、今後とも、先生方の御示唆も含めていただければ、私どもも全力を挙げて努力をしてまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

秋葉委員 ありがとうございました。

 本当に、目に見える成果に乏しい現況の中で、大臣の御答弁にもありますとおり、我が国のみならず、やはり国際的な包囲網を強めて交渉していくということが極めて大事だと思っておりますので、今後ともしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、今回のような、部下が上司の知らぬところで、プライベートな旅行とはいえ、私どもはプライベートだとこれを認識しておりませんけれども、そうした二元外交に利用され、日本の一元的な、強力な外交の足を引っ張る、ましてや首相の極めて不誠実な動機に利用されるということがないように、今後しっかりと省内を把握していっていただきたいということをお願い申し上げて、中野大臣に対する質問を終わりにさせていただきたいと思いますので、どうぞ御退席いただきたいと思います。

 さて、松本大臣、このたびのASEANの一連の会議、本当にお疲れさまでございました。先ほどのやりとりを聞いておりますと、松本大臣も全く今回の中井前大臣の訪中の事実は知らなかった、こういう御答弁でございましたが、それで間違いございませんか。

松本国務大臣 中井前大臣とは、今回の出発をする前に、私は、衆議院の予算委員会一日目に出席をして、二日目は出席をせずに出発をいたしましたので、一日目の最後に、明日は海外出張のために失礼をいたしますと言葉を交わして出発をいたしましたが、その段階でもそのようなお話はいたしておりません。

 お聞きをするところによれば、その後に確認をされて、国会の了解も得て御出張されたということでございますので、出張をするということを、出張じゃないですね、中国を訪問することについて、あらかじめお話をお聞きしていたということはありません。

秋葉委員 私は、知らなかったら知らなかったで、そのことも大変重大な問題だと思うんですね、今、閉会中じゃなくて会期中ですから。そしてまず、会期中の中での前大臣のそうした大変影響の大きい話でございますから、しっかりと外務省の、しかも部下が同行したというふうに疑われているわけでありますので、大臣としても、そうした状況についてしっかり掌握をしていただきたいなと思うわけでございます。

 先般、経産委員会でも、外為法関連の北朝鮮に対する制裁強化の延長手続の際に、伴野副大臣にもいろいろ御質問させていただきました。本当に、北朝鮮とは二〇〇六年の十月以降、原則的に北朝鮮籍を持つ者の入国を禁じてきているわけでございますけれども、この間、多くの脱北者が日本に入国をいたしております。

 前回経産委員会で伺ったのは、やはり人道的な立場から受け入れざるを得ないということで脱北者の受け入れをしてきたわけでございますけれども、大事なことは、こうした脱北者から北朝鮮国内の全般的な情報を聞くということにとどまらず、とりわけ我が国からの拉致被害者の状況について、個別の固有名詞で尋ねるのではなくて、有益な情報を得ることができたのかどうか、その事実の有無についてただしたわけでございますけれども、当時、伴野副大臣からは、そういうことは聞いているけれども、成果があった、ないということは言えない、こういう御答弁だったと思いますが、同じことを松本大臣にも伺いたいと思います。

松本国務大臣 今御質問があった件については、まさに伴野副大臣から御答弁を既にさせていただいたのが私どもとしての答えでありまして、脱北者からの情報も含めてさまざまな情報収集を行っている、関係省庁とも連携をして収集、分析を行っているということは申し上げるまでもないことでありますし、また、必要に応じて御家族に対しても情報提供を行ってきておるものというふうに私どもとしては考えておりますけれども、個別具体の内容、もしくは情報収集の結果、情報収集の評価などについては、事柄の性質上お答えを差し控えさせていただいているということで御理解をいただきたいと思います。

秋葉委員 今申し上げましたとおり、二〇〇六年の十月以降、いわゆる北朝鮮国籍の者の入国禁止措置を原則講じて以降、外務省的な答弁ですと、百名を超える入国者があった、いつもこういうのが公式答弁になるわけですが、法務省にただしますと、平成十八年、二〇〇六年だけで八人、それから二〇〇七年には二十四人、二〇〇八年には十九人、二〇〇九年には六人、二〇一〇年には四人、そしてことしは既に二けたの十二人。これはほとんど脱北者でございますけれども、今日法務省が明らかにしている数字だけで七十三人の脱北者を国内で受け入れているわけです。

 七十三人もいれば、ある意味では拉致被害の解決につながるような有益な情報が得られたんじゃないか、そして、なぜそういうことが少しでも国民に伝わらないのかというのが素朴な感想だと私は思うんですね。

 ですから、松本大臣も就任以来、前任は副大臣だったわけでありますから、これら百名近い方々がいて、外務省で、関係機関ともちろん連携を強化しながら、この拉致被害者の実情についてどの程度の情報が上がってきているのか、そして、今後の交渉にこれは生かせるなという事案があったのかなかったのか、そういうことぐらいはこの委員会で国民に説明いただけるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 外交、安全保障については大変お詳しい委員会の先生方でいらっしゃいますので、私から申し上げるまでもないことだと思いますが、情報の取り扱いについては、どのような価値のある、もしくはどのようなレベルの情報を持っているかということそのものが交渉にとっては極めて重要な点でありますので、私どもとしてどのような情報を持っているかということも含めて、まさに今後私どもとして取り組まなければいけない課題である拉致についての個別の情報についてのお答えは差し控えさせていただきたいと申し上げております。

 もう一点は、情報については、やはり情報を御提供いただいた方の立場というのをどう考えるかという意味からも、基本的には、情報の内容などについては明らかにしない場合があるということで取り扱わせていただいているというふうに御理解をいただきたいと思います。

秋葉委員 基本的には、大臣の御答弁を全く理解しないわけではないんですね。私が聞いているのは個別の具体の案件ではなくて、それは相手方のこともあるし、それを明らかにしてしまうことによる、かえって何のための情報だったのかという、それは当然のことだと思います。

 ですから、七十三人もいらっしゃる、あるいは外務省的には百人ぐらいを掌握しているんだという公式答弁が出ているわけです。そういう人たちの中から、なるほど、これはと思う、いわゆる解決につながる可能性のある、そうした有益な情報が得られたのかどうか。具体の中身を聞いているんじゃないですよ。大臣が報告を受けて、有益と思われるものがあったのかどうかという点。

 そしてもう一つ、あえて違う言い方をいたしますと、大臣あるいは副大臣に御就任以来、こうした脱北者の方々からの意見聴取はこうでしたという報告を何回、どういう形でお受けになりましたか。

松本国務大臣 おっしゃったように、この拉致の問題については、今、私どもとしては、二〇〇八年八月の再調査を早期に行うことが重要であるということが私どもの立場であり、今回のASEANの関連の外相会合、特にARF、北朝鮮の朴宜春外務大臣と私どもの立場からすれば称しておられる人物がいるところでも目の前で申し上げてまいりましたけれども、それ以降、少なくとも、私どもとしても対外的に申し上げられるような進展というべきものがないという御指摘については首肯せざるを得ないものがあります。

 大切なことは、さまざま集めた情報を活用して、少しでもこれを前進させることだというふうに思っておりますので、ぜひそのように御理解を賜れたらと思います。

秋葉委員 踏み込んだ御答弁ではないのは非常に残念だと思いますが、大事なことは、いずれ、こうした人道的な配慮から我が国に受け入れることになった北朝鮮国籍を持っている方々に、外務省としてもしっかり本腰を入れて、よくヒアリングをして、いろいろ協力をしてもらうということが大事なので、大臣からも担当部署に督励をいただいて、しっかりと吸い上げなさい、そして信頼関係をつくって、いい情報を得るようにと。そして適宜副大臣、大臣に報告をさせて、これからフォローアップしていくことが大事だということを改めて申し上げておきたいと思うわけです。

 さて、報道によりますと、菅首相は、九月初めにも米国を訪問したいんだ、二十一日からの国連で演説をしたいので外務省にその準備を指示したという報道が一部ございますけれども、松本大臣、そういう指示を首相から受けているんですか。

松本国務大臣 先ほどの情報収集については、既にしてくれているものというふうに私は理解をしておりますが、改めて、重要なことですので、おっしゃった意を体するように私も努力をしたいと思います。

 今御質問がありました国連総会における演説の準備をせよという指示が外務省にあったという報道でありますが、そのような指示があったとは私そして外務省としても承知をしていないというふうに御答弁できると思います。

秋葉委員 報道では、演説原稿の草案をつくれという指示があったという報道がなされておりますが、今の大臣の御答弁ですと、外務省にはそういう事実はない、誤報であるという答弁だったと思います。

 首相が退陣を表明したのは六月の二日だったですかね、七月、八月、もう二カ月近くたつわけであります。やはり、一般論で申し上げるわけでありますけれども、退陣を表明した内閣のもとで、一定のめどがいつになるのかわかりませんけれども、外交の先頭に立つというのは、ほかの国にとってみれば失礼な話だという面もございますし、何よりも説得力に欠ける話であります。

 もし、これから本当に菅総理からこういった指示が来た場合に、あるいは菅総理が九月に国連に行って演説をするということについて、このことの意味あるいは意義というものについて、松本大臣はどう御認識されますでしょうか。

松本国務大臣 いわゆる政局的な視点については、今ここで、外務委員会では外務大臣という立場で御答弁をさせていただいていますので、一切捨象してあえてお答えを申し上げるというふうに申し上げたいと思いますが、一般的に申し上げれば、やはり国連総会にはむしろ日本国の総理大臣は行くべきだというふうに私は考えております。

 また、政権交代をした際にもさまざまな議論があったわけでありますけれども、いずれにせよ、外交は継続をされるべきだというふうに思っておればこそ、私も、図らずもという言葉が適切かどうかわかりませんが、三月の九日に前原大臣から実質的に引き継ぐことになったわけでありますが、継続性を重視して職務に専念してきたつもりであります。

 そのように考えますと、国際的な状況は常に動いておりますので、必要な準備はしっかり行っていくということは必要なことだというふうに考えていると申し上げたいと思います。

秋葉委員 もちろん、私自身が申し上げたいのは、国連に行って日本のトップリーダーが演説する、これはむしろどんどんやった方がいい。国会の会期中であっても、大臣におかれましては、この間のASEAN会合のようにトップリーダーが行ってやる、このことは非常に大事なことですから、我々も配慮をさせていただきたいと思いますし、大いに今後ともやっていただきたい、こう思っているわけです。

 問題は、何度も言いますように、退陣表明をした首相がのこのこと出ていっても果たして国益にプラスになるんだろうか、そのことに対する認識を問うたわけでありまして、なかなかお答えしづらいことでもあるかと思いますのでこれ以上は申し上げませんけれども、外務省としても、そういう指示が来ればやらざるを得ないとは思いますけれども、やはり心機一転をして新しいリーダーのもとに準備されれば、より迫力が増す演説になるのではないかということだけ申し上げておきたいと思います。

 きょうは久しぶりの一般質疑なものですから、いろいろな問題をほかにも伺っておきたいと思っておりますので、残り時間も少なくなりましたけれども、外交力の強化について。

 我が党も、二〇〇七年、まだ与党時代でございますけれども、やはり主張する外交が大事だということで、外交力強化へのアクション・プラン10というのを取りまとめました。

 この政策がベースになって、今、外務省でもいろいろと鋭意努力をしていただいている面がございますし、総務省の定員管理の中でも、この厳しい行財政運営の中で定員管理を厳しくやっていこうということの中でも、外務省と警察だけは例外扱いで増員をしてきたわけでございます。

 これからもしっかりと外交力強化に向けて体制の拡充というのは急務なわけでございますけれども、残念ながら、例えばその最前線である在外公館の数も、少しずつは毎年充実をさせてきてはおりますけれども、予算の問題か何なのか、全くゼロだったという年もあるわけでございます。

 G8で比較をいたしましても、在外公館数、日本は二百五カ所でございますけれども、これはカナダの百九十七に次いで少ない数でございます。それから職員の数についても、従前から指摘されているように、G8の中では五千七百という数字は一番低い数字になっております。

 限られた行政資源をどう優先度を高めてやっていくのか、これは大変大きな課題でございます。例えば、我が党も、アフリカ五十三カ国、これはTICADも含めて、国際的にも早い時期から国際会議を言い出して日本は取り組んでまいりましたし、何しろ国連の中では四分の一の国にアフリカだけでなるわけでありますから、ここの公館の充実ということに我々努めてきたわけでございますけれども、今後さらに、アフリカ、特に弱い中南米、この辺を戦略的に充実をさせていくことが大事だというふうに思っております。

 直近のデータを見ても、相手国は日本に大使館を置いているけれども日本の大使館は現地にないという国を数えてみただけでも、全部で十四カ国もあるわけですね。特に多いのがやはりアフリカ、それからヨーロッパ、こういうふうになっております。大使館が難しくても、何かしら、この間はアジアに政府代表部が設けられたりもいたしましたけれども、さらに今後強化をしていっていただきたいというふうにこれは要請をしておきたいと思いますし、我々もしっかりと応援をさせていただきたいと思います。

 そういう中で、私どもも議員外交の中でいろいろな国に伺っていて、一点だけ非常に残念に思うことは、大使公邸というのはいわゆる外交の最前線、一番生の情報を得られる重要な舞台なわけであります。そこでは、ある意味では日本の食文化も発信していかなければなりませんし、単に交渉事じゃなくて、日本文化も売り込んでいくという大変重要な役割があると思うんですけれども、私も海外に行って感じるのは、最近、公邸の料理人が外国人の方が非常に多くなったんですね。外国人の方がイコール悪いというわけではないんです。日本人以上においしい料理をつくってはいただくんですけれども、やはり、日本公邸のいわば公邸料理人、これはぜひ日本人が務めていくような配慮を外務省でも考えなければいけないんじゃないか。

 いろいろな在外公館の手当類がカットされたり縮小されているというような状況の中で、この公邸料理人についても、基本的には大使の私費で賄ってきているというのが実態なわけであります。また、国によってはなかなか日本人の確保が難しいという面ももちろんございます。

 私も何カ国か行って感じたんですけれども、実際、何人ぐらい外国人が務めているんだというデータを調べていただきましたら、今、公邸の料理人で外国人、タイ人が専ら多いわけでございますけれども、三十五人にまで達しているんですね。例外的に何カ国かある、何カ国かだけだという現状ならともかくも、三十五人にまで達している。

 やはり日本の食文化を発信するのは、タイ人が悪いということじゃないですよ、すぐれてこの人たちは優秀な人が多いし、おいしい食事もつくっていただくんですけれども、できるだけ、ワインにも増して日本食の中で日本酒も飲んでいただくような配慮も大事でしょうというような意味で、日本文化のさらなる発信充実という意味で、もう少し公邸料理人に対する官費の補助であるとか、あるいはもう少し日本食の発信に力を入れるべきだという意味で、今後これは大臣には、ひとつしっかりと担当部局に指示して、外国人が悪いという意味で私は申し上げているんじゃなくて、なかなか、確保の問題もあるんだけれども、やはり公邸にいらっしゃる外国要人は日本食を望まれて来る方がほとんどですから、やはり日本人のシェフから説明もして、やっていくということ、これは非常に大事だと思うんですね。

 こういう現状を大臣もわかってはいらっしゃったと思いますけれども、改めて伺っておきたいと思います。

松本国務大臣 公邸料理人の意義については既にお認めをいただいているところでありまして、また、外国人の方には、講習授業なども受けていただいて、厳しい勤務地で頑張っていただいているということについては、私どもは、積極的にその効用を認めていきたい、こう考えているところでありますが、公邸料理人の意義を認めつつ、その処遇についてさらに善処をする、そのことによって、結果としては日本人も数多く行くことになるのではないかということのお話であるとすれば、私もそのような努力をしなければいけないという意味で、改めてまた努めたい、このように思います。

秋葉委員 時間が参りました。

 最後にODAの充実も取り上げたかったんですけれども、その中で、今後ODAの予算を使って東北復興の、いろいろな産品の買い上げにも活用して、それを海外に届けたいという取り組みを今外務省でいただいております。これは御答弁の時間がありませんから、ぜひしっかりと充実をして取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わりにさせていただきます。

小平委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 おはようございます。公明党の赤松正雄でございます。

 最初に、先ほど来の自由民主党の同僚委員からの質問も含めて、外務大臣に、政治姿勢という観点、政局どうこうというんじゃなくて、外務大臣としての政治姿勢という観点からの質問を二つしたいと思います。

 まず第一に、先日、岡田民主党幹事長が、二年前の総選挙に当たって掲げられた民主党のマニフェスト、このマニフェストの重要な構成要因である子ども手当を初めとする一連の重要政策について、まさに中国が言う核心的利益じゃないけれども、核心的課題をめぐって民主党のとってきた態度というものについて、財源の見通しが極めて甘かったという意味合いのことを述べられて、国民に対して野党の幹事長を通じて謝罪をする、こういう場面がございました。重要閣僚の一角を占めておられる外務大臣として、この問題について、どのように大臣は受けとめられるか。私は、右へ倣えで謝罪をされて当然だと思いますが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 私も、そして、大分さかのぼりますが、岡田幹事長も、枝野官房長官も、海江田経産大臣も、仙谷官房副長官も、皆、民主党の政調会長経験者でありまして、これまでの民主党の政策形成には、それなりに全員責任があろうかというふうに考えております。

 その中で、マニフェストについては、やはり従来の政治の中で、いわば残された課題として取り組まなければいけない、今核心的課題とおっしゃった子ども手当は、一つには、子育て世代に関する全体としての広い意味での所得の移転をどうするのか、子育てそのものの支援をどうするのかということの議論の中から出てきた一つの答えなわけでありますけれども、取り組みが行われてまいりました。

 これを実行するには、当然、財源が必要であるということになってくるわけであります。その意味で、私自身は、マニフェストに示した政策を実現する努力というものは、四年間の任期をかけて最後まで努力をするべきである、もちろん、その節目節目での検証も必要だろうと思いますが、最終的な検証は、次の選挙に当たって、検証とともに今後の方向を示して当たるのが与党の責務である、こう考えているわけでありますが、現段階で全面的な検証をすべきときかどうかということであれば、私はまだ早いと率直に思っています。

 ただ、やはり全体を見渡したときに、この二年間で、財源の捻出も含めて、期待をしたほど進んでいないということが指摘をされるとすれば、そのことは率直に受けとめなければいけないと思いますし、スピードにこたえられていないということについては、その点について私はおわびを申し上げたものと理解をしております。

 その点について期待にこたえ切れていない、そのことで民主党に対しても御支持をいただけなくなっているということを率直に受けとめ、今後しっかりと期待にこたえることも含めておわびを申し上げているとすれば、私もその点については、おわびを申し上げつつ、今後ぜひ期待にこたえられるように、我々に与えられた残された期間、努力をしたいというふうに申し上げたいと思います。

赤松(正)委員 極めて往生際の悪い答弁だなという印象を受けました。少なくとも、岡田さんが言っていること、あるいは菅総理大臣が言っているのは、今のようなニュアンスではないと思います。今外務大臣が言われたことは、しばらく前の菅総理大臣の発言の趣旨は大体今のような感じだったと思うんですが、余り、往生際が悪いというか、明確に謝罪をするというふうに受けとめられませんでした。これ以上は、この問題については避けます。

 二つ目は、先ほどの北朝鮮の問題をめぐって、中井現予算委員長、前拉致問題担当大臣ですか、この方の行動をめぐって、あるいはまた、その行動と連動するやしないや、その辺は定かではありませんけれども、菅総理大臣の行動等について報道がありました。その問題をめぐって、同僚委員からの質問、やりとりがありました。

 私は、今聞いていて、これについて外務大臣の出番がないというのは恐らく非常に不本意であるだろうなというふうな思いがいたしました。というのは、出番がないというのは、先ほど同僚委員の発言にもありましたけれども、要するに、対北朝鮮の問題で一元的な強力な外交の足を引っ張る二元的云々とあった。一元的な強力な外交が対北朝鮮で進められているのかという観点で見て、外務大臣の出番がないというか、外務大臣を横にして、中野国家公安委員長・拉致問題担当大臣とのやりとりが外務大臣抜きで続けられているということについて、極めて不本意ではないのかなという印象を受けました。

 首をかしげておられますが、あわせて、菅総理大臣並びに中井予算委員長等の行動について、その是非というか、その真否はともかくとして、この今の状況の中で、何とか北朝鮮との間の状況を打開したいという思いを持つのは、国会議員であるならだれしも同じだろうと思うんですね。どういう手順、どういうやり方かどうかは別にして、風穴をあけたい、この状況を打破したい、こういう思いを持つのは当然、そして、菅さんとか中井さんならやりかねないなという思いが国民の中に幅広くあるというのは、私は事実だと思うんですね。そういう意味で、先ほど来のやりとりは、まだ、ここから先いろいろな問題が浮上してくるというか、出てくるだろうなという印象を私は受けました。

 先ほどの最初の問題ですけれども、つまり、一言で言えば、対北朝鮮外交において、松本外務大臣は、しっかりと、きちっとした一元外交を展開していると正面切って言えるのかということを言っているわけです。

松本国務大臣 菅総理、中井前拉致問題担当大臣・現予算委員長、どういう言葉を使っていいのか、私もちょっと今お聞きをしながら考えておりましたが、ある意味では、それぞれの面で大変傑出した面をお持ちの方でありますので、常識的にはかってはかり切れないところをいずれの方もお持ちではないかというふうに思っておりますけれども、今回の中井担当大臣は、外交とかかわりのあるようなことをしていないというふうにおっしゃっておられますので、私はそのように認識をし、理解をしているということをあらかじめ申し上げておかなければいけないと思います。

 一般的に申し上げた場合に、一元的に外交を行うというのは、接触点を一つにするということでは必ずしもないというふうに私は思っておりまして、多様な接点をしっかりと、まさに一元的に、統一的に全体をフォロー、カバーしていきながら、国全体として一つになって外交を進めるということだろうというふうに思っております。その意味では、外相会合もあれば、議員外交もあれば、首脳外交もあるということは、一般的にはそのとおりではないかと思います。

 また、外交の責任者として言えば、その意味では、今申し上げたような各分野についても、率直に申し上げて、我々も、議員お一人お一人の海外渡航すべて把握をして、具体的にそこで何をされたかまでお話を伺っているわけではありませんけれども、議員外交レベルも含めて、一つにまとめて進めるのが私の役割であると思っておりますので、今もそのことに全身全霊を傾けるのが使命だ、このように思っております。

赤松(正)委員 一つの大きな目的に向かって、多様なる側面をうまく生かしながら、その目的に向かって突き進んでいくということが大事だろうと思うんですね。そういう点で、今の松本外交という部分が、そういう面で十全たる結果を出しているかどうかというのは疑わしいということの一面が今回の問題に出ている、そんなふうに私は思いますということを申し上げて、本題に入ります。

 まず第一点目は、2プラス2、少し旧聞に属する話に残念ながらなってしまいました。というのは、まさに先ほどもお話がありましたように、菅総理大臣のあの発言を退陣表明とは私は受けとめておりません。よく聞けば、彼は非常に微妙な言い回しで、直接的な退陣というものを表明したとは受け取れない。私は、メディアのミスリードという側面が強いと思うんですけれども、退陣めいた表現というのが正確な言い方だろうと思うんです。退陣めいた発言といいますか、そういうふうな、退陣を示唆したような表現であります。

 そのことから今日まで、およそ二カ月近くですか、外務委員会を開く機会がなかなか得られなかったというのは、一にかかって総理大臣のこの発言及び民主党のさまざまな動きに深くかかわっている、そう思うわけで、2プラス2のことを今ごろこの外務委員会で話題にしなくちゃいけないのは残念に思います。

 まず、この2プラス2の問題をめぐって、直後に、私ども公明党の外交・安全保障部会で、この問題の議論を当局から聞かせていただきました。私がその場で指摘をしたのは、基地負担の軽減ということについて発言がなされていない、これはなぜなのかという質問をいたしました。

 同じ質問を外務大臣にぶつけたいと思います。

松本国務大臣 発言については、私も、負担の軽減ということで、2プラス2の会合ではお話をさせていただいてまいりました。

 今の御指摘は、文書の中に負担という言葉がないという御指摘だという理解でよろしければ、それで御答弁させていただきたいと思います。

 御案内のとおり、結果としては、負担ではなくて影響という表現が用いられることになりました。その指しているものは、同じものを指しているというんでしょうか、その事象というんでしょうか、例えば騒音であるとか、指しているものが同じものを指しているということではありますけれども、影響と負担では、やはり言葉としては異なることは間違いないというふうに私も思っておりまして、沖縄の方々から見ると、その実感が十分に反映されていないと感じられる面は私も否定をできないというふうに思っております。その意味では、負担という表現を使うべきであったという御指摘であるとすれば、それは謙虚に受けとめていきたい、こう考えておるところでございます。

 私どもとしては、負担ないしは軽減が指しているところの実質的な事柄、これを少しでも軽くしていく、軽減をしていくということが何よりも重要であるということで、そこに、しっかりとそのことが前へ進むような交渉を行ってきたというふうに考えているところであります。

 繰り返しになりますが、この言葉の使い方についての御指摘は謙虚に受けとめたい、このように考えております。

赤松(正)委員 松本大臣、そんなことを今この場で言っている段階じゃないんですよ。何回も、今まで松本大臣がこの2プラス2に挑む前の当委員会でも、あるいはいろいろな場面で、沖縄の意思を体現してしっかりと外務大臣は対応しないといけませんよということを言ったはずです。それを今、何というか、しゃあしゃあとそういう御指摘なら云々という、非常に他人行儀的に言われるのは極めて私は残念に思います。

 言葉というのは極めて大事なんです。まして、政権交代以前の政権ではバードンという言葉を使っていた。それをインパクトと使ったり、あるいはエフェクトと使ったり、要するに、民主党政権になってから、そうした負担という言葉をかえてしまっているということは極めて私はとんでもないことだと思うんですね。

 しかも、繰り返し、沖縄を準国家的な扱いにすべきですよ、そういう扱いをしない限り、日米沖の三者でしっかりと協議をしていかないとこの問題は解決しませんよ、どんなに基地の移転の問題についていろいろ考えようが何しようが、沖縄の皆さんの基地の負担を軽減する、こういうことにしっかり取り組まない限り事態は前進しない、繰り返しますが、こういうことを私はいろいろな場面で言ってきたはずであります。それを、指す意味合い、対象、そういうものは同じなんだという言い方で、影響という言葉にかえた、負担を影響にかえたということを、そういう言い方でさらりとここで弁明というか、今の言い方で何と表現していいか、表現に困るんですけれども、私に答弁をされるというのは、非常に私は遺憾に思います。

 先ほど申し上げた、2プラス2の終わった直後の私どもの部会において、外務省の担当は、ある種、ある意味ではっきりしたことを言いましたよ、ありませんと。ありませんが、しかし大臣はその場でしっかりと発言をされましたと、こう言いました。影響にかえたとか、どうこうと言わなかった。今、大臣は、言葉をかえたと、2プラス2から一カ月ぐらいたったんですかね、そういう状況の中でさらりと言われたけれども、むしろ、書いていないと言った方が潔い、そういう思いさえいたします。

 改めて聞きますが、大臣は、2プラス2の場で、要するに沖縄県民の意向を代弁する格好で、どんな言い回しでアメリカの国務大臣また国防大臣に発言をされたんでしょうか。

松本国務大臣 その前に先ほどのお話で、文書にないということは率直に認めたいと思いますし、今お話がありましたように、結果としては民主党政権になってからということになろうかと思いますが、負担から影響にという流れを私のときに押しとどめることができなかったことは大変責任を感じている、このようには申し上げたいと思っております。その上で、私自身は、やはり沖縄の皆さんにとって負担となっている具体的な騒音であるとか事件、事故の問題についても、しっかりと取り組んでいただきたいということについて申し上げてまいったというふうに記憶をいたしております。

 ちょっと今、手元に、正確に、自分の発言したメモがありませんので、表現が必ずしも一言一句正確ではないと思いますが、趣旨としてはそのようなことをお話しさせていただいたと記憶をしております。

赤松(正)委員 そういう御自分の発言について、しかも、言ってみれば、野党の私たちが常々重要なポイントだと言ってきたことを受けて発言されるんですから、その発言の中身ぐらいしっかりと覚えておいてほしい、そんなふうに思います。

 私は、むしろ、そういう発言をされましたと言う外務省の職員の態度の方がいたいけな感じがいたしましたよ。だから、そういう発言をしてくれた、された、それは文書にはなっていない。これは日米間における、日米安全保障をめぐる協議委員会の公式な文書だから、そういう日本側の外務大臣の、ある種一方的な主張は載せられないということを百歩譲って認めたとしても、私は、今の事態というものが極めて重要な事態であるから、まして、政権交代をして、前の政権とは違うんだということを今まで表明してこられた外務大臣あるいは防衛大臣なんだから、私は、特別に注釈のような格好で、正式な文書でなくても参考筆記みたいな格好で、日本の外務大臣からはこういう発言があったと、そういうふうなことも載せる。そこに強い執念を燃やしてそういう協議に挑むということが、結果として日本の立場、沖縄県民の気持ちというものをしっかり代弁するということにこたえることになる、そのように思うんですが、もう一回御答弁を願いたいと思います。

松本国務大臣 そのようなことに至ることができなかったみずからの力量不足は、私は痛恨のきわみだと思っております。

赤松(正)委員 今、自分自身の力量が至らなかった、痛恨のきわみであるという、この外務大臣の言葉を多としたいと思います。しっかりと、そうした言葉に責任を持って、今後、日米間、とりわけ沖縄の問題についての交渉事には当たっていただきたい、そんなふうに思います。

 昨日、きょうのこの質問をするに際しまして、改めて、今回発刊された外交青書を見ました。外交青書の百三十二ページの「在日米軍の駐留に関する諸問題」というくだりで、明確に「地元の負担を軽減させるとの観点から、引き続き取り組んでいく方針である。」ということで、「日米地位協定について」あるいはまた「米軍人などによる事件・事故の防止、米軍機による騒音の軽減、在日米軍施設・区域における環境問題などの具体的な問題について、地元の要望を踏まえ、最大限の努力を払っていく方針である。」と。「最大限の努力を払っていく方針である。」このくだり、私は、ゆめゆめ忘れないで、今大臣御自身がおっしゃった、御自身の非力と言われましたけれども、そういう点で、しっかりと受けとめていただきたいと思います。

 よもや、いろいろな報道機関が言っているように、対米と対沖あるいは対日、国内向けと国外、アメリカ向けとの言葉の使い分け、言ってみれば、それでごまかそうとしているというか、断じてそういうことであってはならない、そんなふうに思うんです。

 政治家というのは言葉を大事にしなくちゃいけないということであるわけですから、日本国を代表する外務大臣、防衛大臣が、先方のそういう分野を代表する人と話をされたときに、前の政権と全く違う方向の言葉を使うなんて、本当にこれはマイナスの方向で、まことにこういう使い方をされるというのは残念である、そんなふうに改めて強調をしておきたいと思います。

 さて次に、先般行われましたASEAN関連外相会議の方に話題を移らせていただきます。

 このASEAN関連の各国との外相会議について、まず外務大臣に第一点目、このASEAN関連外相会議に臨まれて、今回の大きなテーマは、南沙諸島をめぐるASEAN各国と中国とのあつれきの問題、この問題が最大の課題だとして取り上げられたと私は理解しております。

 先般もこの委員会で、尖閣列島の問題を抱える日本、東シナ海における日本と中国との関係というものも背後に置きながら、ASEAN各国の対応というものをしっかり見据えて、日本が高みから見物ということではなくて当事者意識をしっかり持って、そうしたASEAN各国に対するサポートをする姿勢を見せていただきたいという意味合いのことを申し上げたと思いますが、今、第一点目として、今回、外務大臣がこの関連外相会議に臨まれた成果をどのように評価されるか。まず第一点目、結果をどう実感しておられるかという点について、まずお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 南シナ海、海洋の問題についてということでよろしいんでしょうか。

 この南シナ海の問題は、さかのぼればかなり長い経緯と歴史があることになろうかと思いますが、いわゆる国際的な問題、課題として大きく注目をされたのは、まさに一年前のこのASEAN関連外相会合が一つの節目であったのではないかというふうに思います。その後、さまざまな活動、行動、そして各種の国際会議での議論、各国の発言、対応などがあって、今回の一年後のASEAN外相関連会合において、従来、ASEAN諸国と中国との間で、南シナ海について行動宣言と呼ばれていたものに対して、ガイドラインを設けよう、こういう議論がなされていたものが、大きな進展がなかったものが、今回、ガイドラインについては合意に至ったということは、やはり一つ評価をできる点ではないかと思っております。

 私自身も、この合意に至ったことを評価しつつ、今後は、法的拘束力のある行動規範に向けての作業を早期に進めていただくと同時に、行動規範ができるまでの間も、ガイドラインをしっかり、関係国にはその実施においてしっかりと進めていただきたい、こういうことを申し上げてまいりました。

 その意味では、この南シナ海の問題については、国際社会そしてASEANの結束というのも今回しっかりとしておりましたので、高く評価をすべきだと思っておりますし、また、それについての透明性、そして国際的な規範の遵守を求める国際社会の声というのも大変大きい中で、適切な議論が行われて一歩前進をしたと思っております。ただ、引き続きの課題はある、こう認識をしております。

赤松(正)委員 一歩前進、おおむねそのような評価がいろいろなメディア等を通じてなされていると私も思います。

 ただ、次の課題、ある種、残された大きな課題ということでいえば、先ほども大臣がおっしゃったような、この海域における規範をどうつくっていくか。

 これは拘束力を持たせるということですが、この規範をつくって拘束力を持たせるということは、例えば、その規範に違反した場合、どのような拘束力を生み出すというふうに私たちは考えればいいんでしょうか。

松本国務大臣 拘束力であるとか、規範に違反をするということの場合にどのような形になるのかということそのものが恐らく議論の対象になってくる、こう考えるわけでありますけれども、やはり拘束力のある国際約束に反するということは、国際社会の中においての立場を著しく弱めることになることは疑いのないことであろうかというふうに考えておりまして、その意味で、そもそも拘束力のある規範そのものがつくられることが、やはり行動をしっかりと、まさに行動規範の内容にふさわしいものにしていくことに大きく寄与するのではないかと考えております。

赤松(正)委員 要するに、余り、いかなる拘束力を持たせるかということまで議論が進んでいないということはよくわかりました。

 きょうは、高見澤防衛政策局長に来ていただいております。

 この中国の動きをめぐって、今、南シナ海だけではなくて東シナ海等、中国の沿岸各国、みんな非常に強い関心を持っているわけですけれども、中国のさまざまなる軍事的動き、艦船のさまざまなる動き、新しい動き等というのが見られる状況の中で、昨日、日中次官級会議が三年余りぶりに開かれた、こう聞いております。

 ここでは何が話し合われ、そして、日中の防衛担当会議ですか、防衛大臣と先方の国防担当の大臣との会議が先延ばしになったというふうな報道もありますけれども、この辺等について、現状を聞かせていただきたいと思います。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 昨日、防衛省におきまして、約四時間にわたりまして、非常に率直かつ友好的な雰囲気で日中の防衛当局間協議、これは次官級でございますけれども行われました。第九回ということでございます。

 その内容でございますけれども、五つほどテーマがございまして、日中関係全般、東日本大震災への対応、日中防衛交流、両国の防衛政策、最後に、地域、国際の安全保障情勢というようなことで話し合いが行われております。

 それで、今先生御質問の日中防衛交流の関係でございますけれども、双方は、防衛当局間の冷静かつ率直な対話を通じ、さまざまなレベル、分野において、日中防衛交流を健全かつ安定的に進展させるということで一致をしたところでございます。

 防衛大臣の訪中につきましては、可能な限り早期に実現するということで一致をしておりまして、現在、その具体的な日程等について調整を進めていこうということになってございます。

 それから、日中の佐官級交流がございましたけれども、これはちょっと中止をされておりましたけれども、これが引き続き実施されるということを双方が歓迎したということでございます。

 それから、海洋をめぐる動きにつきましては、それぞれが、防衛計画の大綱に基づく政策なり、中国側が政策を説明するというようなことで、かなり率直なやりとりがございました。それで、海上連絡メカニズムを防衛当局間でつくることが非常に重要だということで、この点について、さらに協議を加速させていこうというようなことで一致したところでございます。

赤松(正)委員 率直かつ友好的に四時間行われたということでありますが、そこでは当然話題にならなかったと思いますけれども、こういう事実があるかどうか、政策局長にお聞きしたいんです。

 中国は、092型を改良した094型、このSSBNを五隻程度導入する計画で、南シナ海に浮かぶ海南島に潜水艦用の海底基地を建設している。同時に、JL1を改良したJL2ミサイルも開発中であり、その推定射程距離は八千キロ、このような推定がされている。中国がSSBNを南シナ海に配備して対米核抑止力を高めるということによって、アメリカの核の傘の信頼が揺らぎ、日本の安全保障に深刻な影響をもたらす。

 こういうふうな論評を目にするわけですけれども、こうした事実について、局長としての見解を聞かせていただきたいと思います。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 中国のいろいろな海洋活動、あるいはその他の活動も含めまして、この一年間の大きな動きにつきましては、近く閣議で認められます白書において説明をさせていただきたいというふうに思います。

 申し上げられますことは、中国がいろいろな海上の活動を拡大しているという事実はございますし、そしてまた、いろいろなミサイルあるいは潜水艦の近代化努力は継続をしておる。かつ、国防費につきましては、二けたの高い伸びが維持されておりまして、最近でも、一年間で八千億円以上ふえておりますけれども、そういう状況にある。

 しかし、中国は、それに対しては、中国の国力を反映したものであるし、国家予算に占める比率は低下している。さらには、いろいろなお金というのは、給与の問題であるとか、いろいろなところに使っている。ただ同時に、その中で、軍事力の近代化ということについては重視をしているというような説明をしているところでございます。

赤松(正)委員 外務大臣、今回、中国で高速鉄道が大変な事故を起こすということで、私、ある新聞で見ておりますと、あの高速鉄道の事故で、車両をクレーンが持ち上げている。そのクレーンの機械の側面に、日本のメーカーがつくったものであると読める、このクレーンが全体のうちの四機ですか、あるということは非常に象徴的であるという意味合いのことを書いてある、そういう論評に出くわしました。

 だからどうこうということではありませんけれども、きょうはもう時間がないので、その高速鉄道における日本の貢献の度合いというか、かかわりの仕方、こういうものについても聞きたかったわけですけれども、きょう私が当初申し上げました対アメリカと沖縄と日本の関係、そして中国と日本との関係、こういう観点でいよいよ大事な局面に差しかかってまいります。総理大臣が極めて国民の多くの皆さんに不信を買うような行動でひんしゅくを買い続けておりますけれども、そういう状況の中で、外務大臣、当面する課題について全力で当たっていただきたいということを申し上げさせていただきまして、私の質問にさせていただきます。

 以上です。

小平委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、主に日米外交上の問題について、防衛副大臣、防衛省を中心に質問をしていきたいと思います。

 まず、防衛副大臣に聞きますが、二〇〇二年七月に横須賀市内で発生した米兵による放火事件について、昨年四月の安全保障委員会で私は取り上げました。事件発生から八年になろうとしているのに被害者に何の補償もされていない問題を追及したことに対して、北澤防衛大臣は、反省を述べ、早急に解決していくことを約束いたしました。

 ところが、最近、弁護士の方からお話を伺ったところ、今も被害者への補償は行われていないとのことであります。防衛大臣が早期解決を約束してから、さらに一年以上が経過しています。なぜいまだに支払われていないんですか。

小川(勝)副大臣 お答えをいたします。

 御指摘をいただいた事案は、平成十四年、二〇〇二年七月に横須賀市で発生しました賃貸マンションの放火事件についてでございます。

 本事案は、地位協定の第十八条六項の公務外の事案でございます。その補償手続は、平成十五年十二月、被害者から日米地位協定の規定に基づく損害賠償請求がなされ、当省において請求内容を査定の上、平成二十二年三月、米側にその査定結果を送付し、現在、米側において審査中でございます。

 御指摘がございましたように、北澤大臣を初め当省といたしましても、早いか遅いかというふうに問われれば、大変時間がかかっているという認識を持っているところでございます。しかしながら、今申し上げましたとおり、米側において所定の審査がなされるということでございますので、一定程度の時間を要しているというふうに推察をさせていただいているところであります。

 当省といたしましては、一日も早く被害者救済がなされるように対応してまいりたいというふうに考えてございますし、米側に対しても、その辺のことは申し伝えてまいりたいというふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 被害者からすれば、防衛省の査定で待たされ、そして今度はアメリカ側の査定で待たされる、一体いつ補償されるのか、全く見通しがつかないわけです。事件発生から九年です。直ちに補償するよう、この点、強く求めておきたいと思います。

 この点にかかわって一点聞きますが、九六年のSACO合意で、公務外の事件、事故について、アメリカ側が慰謝料を支払っても裁判所が命じた賠償額に満たない場合に、日本政府がその差額を支払う制度が導入されました。防衛省によると、これまでに計九件、約三億四千二百万円の支払いが行われております。

 ところが、問題は、判決が、通常年五分の遅延損害金を含めて賠償を命じているにもかかわらず、防衛省は、これを除いた賠償額との差額のみを支払いの対象としていることであります。

 具体的な事件ですが、二〇〇六年九月、横浜でタクシー運転手が、乗り逃げをしようとした米兵から顔面を殴られ、入れ歯を三つに割られ、鼻骨を骨折する事件が起きました。二〇〇八年八月には、横浜地裁で、百三十五万円と事件発生日から支払い済みまで年五分の支払いを求める判決が出ています。アメリカ側の支払いがそれに満たない場合は、百三十五万円との差額のみが日本政府による支払いの対象になることになります。

 確定判決の差額を支払うとしながら、遅延損害金については、なぜ支払いの対象から除外しているのですか。

小川(勝)副大臣 先生が御指摘されました遅延損害金についての問題意識は共有をさせていただいておるところでございます。しかしながら、御指摘がございましたように、SACO見舞金は、SACO最終報告において、日米地位協定第十八条六項のもとの請求に関する支払い手続の改善策として、米側による支払いが裁判所の確定判決による額に満たない事例が生じた場合には、日本政府は、必要に応じてその差額を埋めるため、請求者に対して支払いを行うよう努力する旨が盛り込まれたことによるものでございます。

 SACO見舞金の支給に当たっては、昭和三十九年閣議決定、「合衆国軍隊等による損害を受けた者に対する賠償金及び見舞金の支給について」に基づいて、日米地位協定により救済されない直接の被害につき国が救済を必要と認めたときに支給することができる旨規定されております。

 SACO最終報告、そしてその後の閣議決定等、支給内容を決めてまいりましたけれども、その基礎となる閣議決定が三十九年の「直接の被害」というふうに記載されているところに基づき、我が省といたしまして精査をしているところでありますけれども、「直接の被害」の対象となる金額に、訴訟を提起することによって付随して確定される遅延損害金については「直接の被害」と認めていないということから、この遅延損害金が含まれない理由となってございます。何とぞ御理解をいただければというふうに思っているところであります。

赤嶺委員 理解できる話ではないんですよ。「直接の被害」、昭和三十九年の閣議決定と言いますが、当時まだ沖縄は米軍の施政下にある時代、あれから今日まで、米軍の事件、事故は複雑多岐にわたっております。「直接の被害」しか補償しない、このようにおっしゃいますけれども、遅延損害金を含めて賠償を行うことは、民法上の大原則であります。

 コンメンタールを見てみました。遅延損害金に関して、一定の利率によって定められ、形の上で利息に類似するので、慣行的に遅延利息と呼ばれる、しかし、それは厳密に言えば利息ではなく損害賠償であることに注意を要する、このように書いてあるわけです。遅延損害金も含めて損害賠償だということであります。確定判決との差額を支払うといいながら、この大原則と異なる支払いとしているのはおかしいわけです。

 米軍の犯罪や事件、事故に巻き込まれた被害者の気持ちに寄り添ったものでもない、法律の立場からのものでもない。こういうことは今後検討して、判決が命じた損害賠償額全体との差額を支払うように見直すべきではありませんか。

小川(勝)副大臣 先ほど答弁をさせていただいたとおり、現在までのところ、「直接の被害」として認められていないことから支給されないものとなっておるところでございます。いずれにいたしましても、可能な限り速やかに被害者救済がなされるように対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 普通でしたら、ここで答弁を終わるところでございますけれども、私も法律の専門家ではありませんので、民法やコンメンタールに照らし合わせて、当該、この遅延損害金が含まれないことが、ほかの法令やあるいは慣例と照らし合わせてどのような地位にあるのか、まだ調べてあるわけではございませんので、個人として問題意識を持って調べてみたいというふうに考えております。

赤嶺委員 ぜひ、個人としてと言わずに、被害者の感情に寄り添った場合に、防衛省が余りにもいろいろひどいことをやり過ぎている、賠償金まで遅延損害金を入れないというような、法律の考え方にも反するようなことをやっている、これを改めていただきたいと思います。

 次に、馬毛島の問題について聞きます。

 防衛副大臣は、この間、鹿児島県と西之表市を訪問し、馬毛島での空母艦載機離着陸訓練の実施などについて関係自治体への説明を行いました。

 これまで馬毛島が報道されるたびに地元は反対の要請を行い、国からはそのような事実はないとの説明を受けてきました。にもかかわらず、今回2プラス2に盛り込まれたことに、地元の不信と憤りは極めて強いものがあります。

 防衛省の計画について聞きますが、現在、馬毛島は、島の九九%を所有する地権者が、南北に四千二百メートル、東西に二千四百メートルという二本の滑走路建設に向けた土地の造成を行っています。防衛省の計画はどういうものですか。滑走路の本数、そして長さ、方角、これを明らかにしていただきたいと思います。

小川(勝)副大臣 御指摘がございましたように、先日、西之表市にお邪魔をさせていただいて、馬毛島を含めていろいろ検討させていただいているということを表明させていただいたところであります。

 現在、防衛省といたしましては、我が国の南西地域における防衛体制の充実に向けて、大規模災害を含む各種事態に対応するための自衛隊施設を整備する必要があると考えております。その際、あわせてFCLP施設としても活用を視野に入れて検討させていただいている旨説明をさせていただいたところでございます。

 御指摘をいただきました滑走路の方角については、今手持ちの資料に詳細を持っておりませんので、後刻事務方から受け取って答弁できるかと思いますが、一つは、現在までの、地権者が何かを想定して準備をされている滑走路の計画と、防衛省がもし仮に馬毛島でFCLP施設を整備するという場合の滑走路の向き、傾きについては異なるというふうに私は理解をさせていただいているところでございます。

赤嶺委員 本数や長さはどうですか。

小川(勝)副大臣 馬毛島が整備する場所としてまだ決まっておるわけではございません。地元の皆様に対する説明は、現在までのところ、硫黄島でやっております訓練を参考にして、あくまで参考にということで説明をさせていただいているところでございますので、滑走路の向きについて、先ほど私が考えているところを申し上げましたけれども、それ以外の、滑走路の長さや正確な向きあるいは本数については、まだ計画段階でございますので、決定をしておりません。

赤嶺委員 きょうは、防衛省の説明資料、「地域への影響について」という、種子島と十二キロ沖合にある馬毛島の図と、それから裏の方に、「種子島空港の滑走路と同じ方向で訓練した場合の飛行経路」、中種子町が作成した、裏表の資料を配付していただきました。防衛省の説明資料では、種子島には七十デシベルのコンターはかからないとしながら、詳細はこれからだという答弁でありました。

 滑走路の方角についてでありますが、防衛省の説明資料を見ますと、現在造成中のいずれの滑走路とも違う方角になっています。

 先週、私も馬毛島周辺の一市三町を回ってきました。そこでまず伺ったのが、なぜ滑走路がこの方角なのかということであります。馬毛島周辺の風向きの特徴は、冬場の北西からの強い季節風であります。航空機は当然風に向かって飛ぶ必要があり、滑走路は北西の向きに配置するのが常識だということでありました。新しい種子島空港が二〇〇六年に開港しておりますが、これも北西向きです。旧種子島空港、残っておりますが、北西向きであります。現在の馬毛島の短い方の滑走路もこれと全く同じ方向です。防衛省の計画だけが、図に示されたものだけが違うわけですね。このような方角としたのはなぜですか。

小川(勝)副大臣 お答えをいたします。

 まず、前提といたしまして、計画段階でございまして、まだ最終確定がしておらないということ、それから、馬毛島が候補地でございますので、現在までのところ、FCLP施設に関して言うと、現在利用しております硫黄島を参考にさまざまな説明資料を作成しているということでございます。

 そして、馬毛島をもしFCLPの施設に整備をさせていただくということになれば、できるだけ地元の皆様に騒音の被害を少なく整備をさせていただこうというのが防衛省の考え方でございまして、また、そんな中で滑走路の向きを計画するに当たっては、先生から御指摘をいただいたように、風向き等の要件が大変重要なファクターとなってまいります。

 防衛省といたしましても、計画を作成する段階で、いわゆるところのウインドカバレージ、先生から御指摘がありました風向きと滑走路、この重要性にかんがみて検討をして、現在お示しをさせていただいた向きに滑走路を計画するという説明資料をつくらせていただいたところでございます。

 根拠なく、いわゆる種子島本島にかからないということだけで作成をさせていただいた図面ではないということを御理解をいただければというふうに思っております。

赤嶺委員 私も関心を持ちまして、空港と滑走路の関係、特に種子島、馬毛島の付近でどんな空港のつくられ方がしているか、新しい種子島空港について調べてみましたら、三年間の気象調査を行った結果、現在の滑走路の向きにしているわけです。

 鹿児島県の新種子島空港気象調査委託報告書によりますと、最多風向きは、十一月から四月の寒候期は西北西から北北西の季節風が最も多いとし、最大風速については、二十ノット以上の強風日数は三月が最も多く、三年平均で十・三日、次いで二月、八月の順に多くなっていると指摘しております。新種子島空港にとどまらず、馬毛島の地権者も、調査の上、同様の方向で滑走路の造成を行っていると聞きました。

 防衛省の説明資料自体が、注意書きで、資料に出ておりますが、「当図の飛行経路は現時点で想定される経路であり、今後の気象調査等により変更がありえる。」と明記しております。まさに今後の気象調査次第で滑走路の方角は変わり得る、こういうことですね。

    〔委員長退席、長島(昭)委員長代理着席〕

小川(勝)副大臣 先ほど来申し上げているとおり、まさに計画段階でございまして、変更の余地は存在するということでございます。

 先ほども説明をさせていただいたとおり、風向きと滑走路の向きについては重大な相関関係があるということでございますけれども、防衛省といたしましても、種子島の気象や風向きを考慮して、なおかつ住民の皆さんの騒音被害が少なくなるということで計画を立てさせていただいているところでございます。

 また、計画の変更、すなわち滑走路の向きについて、数度といいますか、誤差の範囲で変わらないことはないわけではないという思いで今答弁をさせていただきました。

 そしてまた、私どもは、一市三町の皆様に、七十デシベルのコンターが本島にはかかりませんということで御説明をさせていただいておりますので、私といたしましては、そのコンターが本島にかかるような設計変更はないと考えております。

赤嶺委員 これから、気象条件を精査することによって滑走路の方角の変更はあり得るということでありましたが、気象調査の結果、今種子島にある空港と同じような方角になった場合に、騒音被害はどうなるか。

 資料をごらんになっていただきたいんですが、これは中種子町からいただいた資料であります。種子島空港の滑走路と同じ方向で訓練した場合の飛行経路を示したものであります。七十デシベルの騒音コンターどころか、NLPの飛行経路そのものが種子島の上空に設定されていることになり、住民の頭上を米軍機が旋回することになります。種子島空港を離発着する民航機への影響も出てきます。

 防衛省の資料は、私に言わせれば、こういう事態になることを隠すために滑走路の向きを人為的にゆがめたものと言わざるを得ません。今後の皆さんの経過を私も注視していきたいと思います。

 滑走路の位置とか飛行経路とか、沖縄でどんどん変えてきていますからね。副大臣がどんなにここで強弁したって、変わり得るといった場合には、沖縄でどうだったかということを比較すればはっきりすることであります。

 次に、沖縄へのオスプレーの配備について聞きます。

 この間、防衛大臣が沖縄を訪問し、二〇一二年から普天間飛行場にオスプレーを配備する方針を伝えました。開発過程で墜落事故を繰り返してきた米軍機の配備に、沖縄では怒りの声が広がっています。

 沖縄県と宜野湾市は、オスプレーの騒音や安全性などについて、二十九項目の質問書を防衛省に対して提出いたしました。その中で、オスプレーの排出する高温の排気ガスによる火災の危険性について質問しております。アラバマ州で実際に草地を燃やしたケースの報告書も添付しています。

 防衛省は、オスプレーの火災リスクについてどのように認識しておられますか。

小川(勝)副大臣 御指摘をいただきました沖縄県及び宜野湾市からの質問については、米側に問い合わせをさせていただき、回答が来たものから順次報告をさせていただきたいと考えております。

 先生から御指摘をいただきました、アラバマ州で草地を燃やしたケースが報告されておる関係から、火災を起こす危険性について防衛省がどう把握をしているのかということでございます。

 アメリカ側の説明によりますれば、MV22のエンジンナセル部の排気ディフレクターにより排気の方向を制御できるため、火災が発生する可能性は極めて低い、そういう回答をいただいておりますので、そのとおりと承知をいたしておるところでございます。

赤嶺委員 県が添付した調査報告書を読みますと、いろいろ、排気ディフレクターが作動しておれば不用意な即席の着陸地点での運用は安全になし遂げられると評価すると言いながら、運用上の追加的な軽減策としては、茂みや雑木林のような硬質植物がネセル直下となる状況を避けるべき、航空機が不用意な着陸地点に待機する時間を制限することでと言っているわけですね。

 茂みやあるいは雑木林、まさに今皆さんが沖縄に配備するオスプレーは、北部訓練場での訓練も予定しております。今回のような、今後も同じようなことは絶対起きない、むしろ森林の中でやる訓練は危ないと言っているわけですね。

 東村の高江区のヘリパッド建設を進めていく場合に、工事を再開しようとしておりますが、当然、このヘリパッドもオスプレーが使用いたします。その場合に、高温の排気ガスが山火事を引き起こすおそれはないのか、きちんと検証しない限り、高江のヘリパッド工事、そのまま工事を進めることにならないのではないかと思いますが、いかがですか。

小川(勝)副大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、火災を発生させる可能性は極めて低いという認識を持っておりますけれども、今後とも、アメリカ側からさらなる情報を共有させていただいて、対策を講じてまいりたいというふうに考えておるところであります。

 今までのところ、防衛省が把握したさまざまな情報、資料を精査すれば、今までのCH46と同等程度あるいはそれ以上の安全性が確保できるのではないかと考えているところでございます。

赤嶺委員 ヘリよりも危険で騒音を出すという資料もいっぱい出ていますし、雑木林あるいは森林地帯でオスプレーが訓練をやればどうなるか、こういう懸念を持って、オスプレーの配備について検証には検証を重ねる、アメリカの言いなりにならない、こういうことを強く求めて、質問を終わりたいと思います。

長島(昭)委員長代理 次に、服部良一君。

服部委員 社会民主党の服部良一です。

 きょうは、使用済み核燃料の問題あるいは2プラス2等を御質問させていただきたいと思います。

 まず、経産省にお尋ねいたしますけれども、ベトナムに対する原発輸出に際して、ベトナムは発注条件を六つ提示し、そのうちの一つが、使用済み核燃料、放射性廃棄物管理支援であるというふうに把握しておるんですけれども、それはそういうことで間違いないでしょうか。

横尾政府参考人 ベトナムは、原子力発電所の建設のパートナーに幾つかの条件をつけておりまして、その中に、使用済み燃料、放射性廃棄物の管理に係る支援というのが含まれてございます。

服部委員 昨年の十月の首脳会談で、日本がパートナーになるということが決まっているわけですけれども、日本とベトナムの共同声明に際して、菅総理も、プロジェクトの全期間にわたる廃棄物処理における協力、あるいはベトナムが示した条件を満たすということを保証したというふうに明記をされておりますが、ベトナム側は、この使用済み核燃料の処理について、あるいは管理について、具体的に日本にどうしてほしいというふうに申しておられるんでしょうか。あるいは具体的にどのような提案があったか、教えていただきたいと思います。

横尾政府参考人 使用済み燃料、放射性廃棄物の管理に係る問題でございますが、この具体的な協力内容につきましては、ベトナム側との協議を通じて、先方のニーズを踏まえて今後検討していくということにしてございます。

服部委員 日本側で引き取るという選択肢もあるんでしょうか。

横尾政府参考人 今申し上げましたように、ベトナムのニーズを踏まえて、あくまで中身でございますが、これは今後、ベトナムとの協議の中で、どういうことが可能か検討していくということでございます。

服部委員 当時、直嶋経産大臣は、廃棄物の処理はそれぞれの国でやってもらうしかないということを実は述べられておるわけですが、また一方で、産業界等からは、日本も将来的に六ケ所の再処理工場で外国の燃料を再処理するかどうかの議論をする時代が来るかもしれませんというふうにおっしゃっている方もいらっしゃるわけですね。これは、原子力委員会の新大綱策定会議のメンバーでもある田中知さんですけれども。しかし、現実には六ケ所村はもう満杯ですよね。貯蔵能力が三千トンで、二千八百三十四トンでしたか、もう満杯になっているというわけなんです。

 外務大臣、経済外交の責任者としてお聞きしますけれども、これは日本の原発問題でもそうなんですけれども、この使用済み核燃料の処理をどうするのか。六ケ所も満杯、各発電所にもどんどんどんどんたまっていて、このままですと、毎年千トン出るということですので、あと七年したらもう満杯になるわけなんですよ。それを今から海外プラントを建設するという中で、よくトイレのないマンションみたいなことを言われますけれども、一体これをどうされていくのか。

 要するに、海外プラントをやめると言ったら、もうそれまでの話ですよ。しかし、どうされるのか。そういった海外プラントにおける使用済み核燃料の処理、これについて、経済外交の責任者としての外務大臣の今の所見をお聞きしておきたいと思います。

松本国務大臣 使用済み燃料、放射性廃棄物の処理というのは、我が国においても大変大きな課題として引き続きあるということは御指摘のとおりではないかと思っておりますし、私自身としては、既に存在をしているものもたくさんあるわけでありますから、それは取り組むべき課題であろう、このように考えております。

 今もお話がありましたように、今後、原子力発電所、原子力の平和利用を行う国々にとっても、これは課題であることはやはり間違いないわけでありますので、そういった面での管理などの支援というのが求められており、これについて我が国の技術なり知見なりを提供するということを想定しているんだというふうに私自身は考えているところであります。

 我が国自身も、これは引き続きしっかりと取り組まなければいけない課題であると同時に、ここまで先行している部分がある部分については、各国に対しても知見を提供したり技術を提供したりすることができるという意味で貢献ができるのではないかというふうに思っているところであります。

服部委員 モンゴルでの核処分場計画が、最近たまたま新聞等で報道されているわけです。例えば、東芝さんがアメリカの政府高官にモンゴルでの建設計画の推進を要請する書簡を送ったとか、それから、日本と米国とモンゴル、三カ国政府の合意文書の原案というものが判明したとかいうふうなマスコミ報道があるわけですけれども、これは御存じでしょうか。

松本国務大臣 先ほどもお話をさせていただいたように、使用済み核燃料の問題というのは各国において課題であるということをいわばあらわしているのが、今の議論の中にも端的にあらわれているというふうに考えることもできようかと思います。

 いわゆる包括的燃料サービス構想ということで、燃料供給から使用済み燃料の引き取りまで一連のサービスを提供する国際的な枠組みというものでありますが、これに関する協力について、米国、モンゴル、日本の間で非公式な意見交換というのがあったということは報告を受けておりますけれども、何か結論が出るようなものであったというふうには聞いておりません。

 この点について、モンゴル政府外交・貿易省は、モンゴルにおける使用済み燃料の貯蔵について他国と協議を行ったことはないという公式の発表をされておられます。また、同国の国内法上、外国の使用済み燃料を引き取ってモンゴル国内で埋設処分することは困難と説明をされているというふうに承知をしております。

    〔長島(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

服部委員 外国で発生した使用済み核燃料を同じく外国であるモンゴルに持っていくのは困難だというふうに言われたというのは、それはモンゴル政府がおっしゃっているということですか。

 要するに、将来的に、モンゴルであるとか海外に使用済みの核燃料の処分場をお願いするというような選択肢は、日本政府としてはあるんですか。

松本国務大臣 閣僚の一人として、議員の一人として、使用済み核燃料の取り扱いそのものが課題であるというふうには認識をしているというふうに申し上げましたが、今後、今我が国にある使用済み核燃料をどのような形でクリアするかどうかということについては、直接答弁をする立場にはありません。

 ただ、モンゴルは、先ほどの説明が、言葉がわかりにくかったかもしれません。モンゴルの国内法上、モンゴルにとっての外国の使用済み燃料を引き取ってモンゴル国内で埋設処分をすることは困難とモンゴル側が説明をしているということでありまして、逆な立場からいけば、例えば、どこかの国がモンゴルに持ち込んで埋設処分することは困難だというふうに説明をしたというふうに理解をすべきではないかと思います。

 つまり、それぞれの国が他国のものを引き取るということについては、モンゴルにおいても困難だと言っておりますし、さまざまなことを考えたときに、その選択肢が、今全くないということを言えるかどうかは別として、必ずしも簡単なことではないというのが率直なところではないかと思います。

服部委員 七月二十三日のモンゴル外務・貿易大臣との会談で、原子力協力について意見交換を行ったというふうにされているんですけれども、具体的にどのような内容であったのか、核処分場計画についても議論されたのかどうか、その点はいかがでしょうか。

松本国務大臣 モンゴルの外相との間では、多様で豊富なモンゴルの資源をどのように活用するかというような議論が中心的なことでありまして、その中で、ウラン開発を含む原子力の平和利用に関する互恵的な協力の推進、こういうことについても意見交換を行いました。

 その文脈で、モンゴル側からは、先ほど申し上げたような、国内法令の関係上、核廃棄物の国内での受け入れ、つまり、外国から自国への、モンゴル国への受け入れは困難であるという立場の表明があったというふうに記憶をしております。

服部委員 私は、こういった自国の、あるいは日本がプラントをつくったところの使用済み核燃料を第三国に持っていく、外国に持っていくなんというのはとんでもないことだというふうに思っているんですね。

 外務大臣としては、先ほど、答える立場にないということだったんですけれども、自分のところで電気を使って、発電して、その使用済み核燃料のごみを外国に持っていってお願いなんという発想については、個人的にはどういうふうに思われますか。やっていいことなのか悪いことなのか、何か所見があればお聞かせください。

松本国務大臣 非常に扱いの難しいいわばごみであるだけに各国とも課題として残っているという状況だろうと思いますが、他方で、使用済み核燃料というか、これは不拡散の観点からすると、ある程度しっかりとコントロールされている必要があるものの物質の一つだということにはならざるを得ないというふうに思います。

 そういう観点からいたしますと、いわばごみをよその家に持っていくのかということと、管理をしなければいけないものはどこかしっかり管理をできるところがまとめて管理をした方がいいのではないかという議論と、この辺を安全性も含めてどういうふうに整理をするのかということが課題であるということまでしか今の段階ではちょっと私は申し上げられない段階でありますけれども、そのようにお答えしたいと思います。

服部委員 安全に管理してくれるところがあれば、第三国にそういうところがあれば、そういう選択肢も排除しないという今の御回答ですか。

松本国務大臣 やはり日本そのものが、大変これまでも外国に対しても、原子力の平和利用の内容は透明性を持って説明をしてきたというふうに思いますけれども、核分裂性の物質というのをどう管理するかということは、核不拡散の観点とか、広い意味では大変重要なことだと考えております。

 ですから、今直ちに我が国のものを第三国へ持っていくとか外国へ持っていくということを申し上げているつもりはないわけでありますけれども、原子力を導入するかどうかということを各国は各国の国においてそれぞれ判断をされておられるというふうに理解をしておりますけれども、全体としては、引き続き原子力の導入については前向きに進められている国が決して少なくないというふうに感じておる中で、使用済み核燃料そのものについても、どういう形で透明性を持って国際社会の中全体でも管理をされるべきかということも、不拡散ということから見ると今度は課題になってきますので、どういうふうに取り扱うのか、全部それぞれの国だけでやってくださいという一言で済むのかどうかということは議論があるのではないかというふうに申し上げました。

服部委員 きのう、フィンランドの十万年後の安全という映画会が国会の中でありまして、私もちょっとそれを見たんですけれども、EUの理事会は十九日に、放射性廃棄物及び使用済み核燃料の管理に関する指令を採択して、加盟国に対して二〇一五年までに核廃棄物処理計画を報告するようにということを求めているわけです。これはもう世界的に大きな問題になっている。

 そういう後始末のできない廃棄物の問題、こういうことがある以上、やはり僕は、海外へのプラント建設、一体どこまで面倒を見るのか、それにどれだけのコストがかかり、どれだけのリスクがかかるのか。ここは十分、経済外交の責任者としての外務大臣としてもよくよく考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 次に、2プラス2、米軍再編の問題なんですけれども、ロードマップは延びるのかどうなんだという話をさんざん外務大臣とはさせていただきました。先日、2プラス2の中で、また今の辺野古の現行案を推進するんだという話になっているわけですけれども、ところが、アメリカも、具体的な進展があるのかということを今非常に求めているわけですね。それで、当時のゲーツ国防長官も、向こう一年間で具体的な進展が得られることが重要であるということを強調し、また、日米外相会談でも、成果を着実にフォローアップすることが重要との認識で一致した、こういうことなんですね。

 それで、アメリカ側は、要は沖縄県知事が公有水面埋立許可にサインするということが具体的な進展であるというふうに思っているわけですよ。日本側は、こんな合意をして、一年間の間に具体的な達成目標とかいうのはあるのか、何をもって成果とするのか。これはどうなんですか。

松本国務大臣 今回の2プラス2においていわば合意をした、決定をしたことは、代替の施設の位置、配置、工法に関する検証と確認を完了して、その中でV字案に決定をしたということがその一つだろうというふうに理解をいたしております。

 御指摘のゲーツ長官の、既にゲーツ前長官になっておられますけれども、私も同席をしておりました記者会見の場で出た発言だというふうに記憶をいたしております。私の聞いた記憶では、来年にと言ったような記憶がいたしまして、今後一年間と来年にと、両方報道が出ているような気がします。来年にと言ったような気がするんですが、いずれにせよ、具体的に進展させたいというような趣旨の御発言がありました。

 御発言の内容とか考え方について、私も解釈をする立場にはありませんし、一年間に具体的な進展を行うということが、ごらんをいただくとわかりますが、文書で発出されているわけではなく、合意をされている内容だというふうには理解をしておりませんが、できるだけ早く普天間の移設を含む米軍再編を着実に実施していきたい、そのために我々としては誠心誠意努力をしたいという立場には変わりがないということになります。

 具体的な進展というのは、特にこの一年間、向こう一年ないしは来年に求めている具体的な進展とは何かというようなことについては、議論になって合意が得られたというふうには私自身としては記憶をしておりませんし、一年間の具体的な進展で何か合意をしたということはないというふうに私は理解をしております。

 なお、本件を進めていく場合の埋立許可については、手続を踏んで行われるものでありまして、この手続については、既に私どもから米側に対しては説明をしてあるということは申し上げられると思います。

服部委員 悪い言い方をしたら、一年間余裕を見てやるから、その間に日本政府はどこまでできるか、一回具体的に示してみいやということを、それとなくおっしゃっているんじゃないですかね。しかし、できないものはできないんですよ、何ぼそんな判こをついたって、サインしたって。そういうことを申し上げておきます。

 時間もなくなりましたので、最後に一言、私の方からもオスプレーの問題で御質問いたします。

 我が党の照屋寛徳議員が、特にオスプレーの欠陥の問題、オートローテーション機能の欠如という問題について指摘を、これはもともとアメリカ下院の監視・政府改革委員会公聴会でリボロ氏が専門家の立場から指摘をされているわけですけれども、この問題については米側には情報の提供を求めていくやの答弁書が出ているわけなんですけれども、具体的に情報の提供についてはもう求められたんでしょうか。

小川(勝)副大臣 御指摘がございましたように、さまざまな質問が寄せられておりますので、誠実にお答えすべく、米側に情報を求めているものにつきましては、逐次情報を求めておりますし、協議が必要なものに関しては、協議もさせていただいているところであります。

 また、回答が来たものから順次公開あるいは返答をさせていただくように努めているところでございます。

服部委員 先ほどの県知事と宜野湾市の二十九項目の質問書、これは随時回答ということなんですけれども、要するにリミットはいつなんですか。いつまでにまとめられる予定なんですか。

小川(勝)副大臣 これも相手があることでございますので、米側に督促をさせていただいておりますけれども、回答があったものから順次ということでございますので、防衛省といたしまして、回答期限を区切っているわけではございません。

服部委員 このオスプレーの配備の問題は、七月の十四日に、沖縄の、自民党、公明党さんを含めて、全会派の県議会決議が上がっているわけですね。そういう意味で非常に関心の高い課題でありますし、そこに来て、欠陥だとかいろいろな問題が出てきているわけで、やはりこれは速やかに、きちんと米側からの回答を求めていただきたい。また、いつごろになるか、その展望を早くお示しいただきたいというふうに思います。

 以上申し上げまして、質問を終わります。

小平委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十一分開議

小平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。浅野貴博君。

浅野委員 民主党会派、新党大地の浅野貴博でございます。

 本日は、なかなか内閣、政治の情勢が安定しない中で、日々外交の最前線で体を張って我が国の国益を守られている松本大臣に敬意を表しながら、国家主権にかかわる領土問題について質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、我が国が抱える領土問題は二つのみであると理解しております。竹島問題と北方領土問題、どちらも我が党の代表であります鈴木宗男が政治生命として取り組んできた課題でございます。

 まず、竹島問題に関してお聞きします。

 本年の六月十六日、大韓航空機のエアバスA380が我が国固有の領土である竹島の上空を示威飛行するという行為を行いました。これに抗議する形で、外務省として、七月の十八日以降一カ月間、外務省職員に対して大韓航空機の利用を公務のときは行えないようにするという通達を出していると承知します。この通達は、外務省職員に対してのみ出されているものであり、他の府省庁の職員に対してはその対象となっていないと承知しますが、確認を求めます。

松本国務大臣 政府としては、六月十六日に大韓航空機が竹島上空でデモフライトを行ったことは、竹島に関する我が国の立場に照らして受け入れられないため、七月十八日から一カ月間、外務省職員による公務のための大韓航空機の搭乗を自粛する措置を行ったものであります。

浅野委員 外務省職員を除く他の府省庁職員はその対象とはなっていないという理解でよろしいでしょうか、再度確認を求めます。

松本国務大臣 対象は外務省職員でありますので、外務省以外の職員に対してはその措置をとっているということにはならないと思います。

浅野委員 外務省職員のみが大韓航空機を公務のときに利用しないという通達を受け、他の政府職員がその対象外である、こういう措置がとられた理由は何でありますでしょうか。

松本国務大臣 竹島に係る対応は従前から外務省が中心になって行ってきていること、そして、総合的に勘案をして、今回の措置については外務省職員について行うことが適当と考え、そのようにしたものであります。

浅野委員 それでは、通達が出されました七月十八日以降、外務省以外の政府職員が公務で大韓航空機を利用したという事例はありますでしょうか、松本大臣として把握されておられますでしょうか。

松本国務大臣 先ほど申し上げたように、外務省以外の府省庁の職員については措置の対象としていないため、外務省以外の府省庁の職員が大韓航空機に搭乗したかどうかということを網羅的に調査するということは考えておりません。

浅野委員 ロシアの国営ラジオ、ロシアの声というものがございます。そのホームページ、日本語版が我が国でも拝見できるんですが、そこに七月十九日付で、この外務省による通達に関するコメントが書かれております。

 文章が長いので全文は省きますが、要するに、なぜ今回、外務省として、外務省職員のみを対象とする大韓航空機利用自粛の通達を出したか、このような分析をロシア側はしております。「日本で発生した自然・技術災害は、日本指導部が抱える多くの弱さを露呈した。菅首相の支持率は下がり、世論は首相の退陣を求めている。民主党内の緊張も高まっており、多くの党員が首相の退陣を支持している。これを背景に、内政問題から国民の感情をそらし、ある外部の敵に対して国民を団結させようとする試みがなされている。」。

 これはあくまでロシア側の見方ですが、今回の通達を、国民を団結させるための措置であるという見方をされております。今回の通達は、そのような趣旨はありますでしょうか。

松本国務大臣 ロシアの国営ラジオ、ロシアの声のお考えを解釈する立場に私としてはないわけでありますが、一つ、内政問題というのが何を指すのかわかりませんが、今我が国にとって震災以降の復旧復興を内政問題とすると、そこから目をそらす、感情をそらすということを考えることもあり得ないことだというふうに考えているところであります。

 先ほど申し上げたように、当該デモフライトは、我が国の立場に照らして受け入れられないことは間違いないことでありますが、これについては既に国民にも御理解をいただいておるものと考えております。

 また、日本国民の、団結という言葉がどういうふうに日本になじむかどうかわかりませんけれども、そもそも心を一つにしていただいている国民だと思いますし、震災以降さらにその心は一つになっていると思いますので、団結をさせようという試みを私どもが何か企てる必要があるとも思っておりませんし、外務省としてそのようなことを考える立場にもないというふうに思っております。

浅野委員 今回の通達が、我が国として絶対に譲ることのできない国家主権に対する断固たる姿勢を示す、そういう趣旨のものであるということは私も理解はできます。ただ、そうであるならば、外務省職員のみというだけでなく、幾ら領土問題、外交交渉が外務省の所管であるとしても、すべての政府職員に対して同様の措置をとることが、日本が、政府全体が一丸となってこの問題に取り組んでいるという姿勢を示す最も有効な手段じゃないかと私は考えております。

 松本外務大臣が全政府の職員にこうせよという指令を出せる立場にないことは承知しておりますが、外務省職員のみを対象とした通達では不十分であると私は考えるんですが、この点に関して松本大臣のお考えをお聞かせください。

松本国務大臣 御指摘のように、私は外務大臣の立場でありますが、必要な措置についてはしっかり政府内で統一をして行いたいと思います。

 冒頭申し上げたように、私としては、最終的には竹島問題の解決に努力をしなければいけない、このように考えておりますが、今回の大韓航空機のデモフライトに対しまして、私としては、適当な措置と考え、このような措置をとったものというふうに考えております。

浅野委員 適当な措置ではあっても、十分な措置ではないと私は考えております。これは、外務省、松本大臣が決められることではないかもしれませんが、政府一体となった取り組みを今後期待してまいりたいと思います。

 続きまして、北方領土問題について質問をさせていただきます。

 これは、かねてよりこの委員会でも質問をさせていただきました。二月十一日、当時の前原外務大臣がモスクワでラブロフ外相と会談した際に、北方領土におきまして、我が国の主権を害さない形で日ロの共同経済協力活動ができないか、こういった提唱を前原大臣の方から、日本側からロシア側にしているものと理解をしております。

 二月二十五日の衆議院予算委員会第三分科会でこの点について私が質問したところ、当時の前原大臣は、「このことは、ラブロフ外相との会談の中で私から提起をいたしました。」「一九九八年の漁業に関する合意もございました。漁業に関する合意、あるいは北方領土内におけるさまざまな協力活動でそういうものができないかどうかということを、ハイレベルでぜひ話し合いをしてほしい、話をしたいという申し出をいたしました。」それをしっかり相手側に投げましたと述べられております。

 この北方領土における日ロの経済協力、我が方からロシア側に提唱したという理解でよろしいでしょうか、確認を求めます。

松本国務大臣 今委員からお話がありましたように、何よりも、当時外務大臣として外交の責任者でありました前原大臣自身が国会の予算の第三分科会というしかるべき場所で御答弁をさせていただいたことが、まさに事実そのものであるというふうに申し上げられると思います。

 本年二月の日ロ外相会談において、日本側から提起をし、日本の法的立場を害さないという前提で何ができるかを議論していくこととなったもの、このように承知をしております。

浅野委員 今、私の手元に、中央公論新社から出ました、元外務審議官丹波實氏が上梓されました「わが外交人生」という著書がございます。松本大臣、この著書はもうごらんになりましたでしょうか。もしごらんになっていれば、その感想というか、大まかな評価をお聞かせいただきたいと思います。

松本国務大臣 丹波元外務審議官に限らず、何人か外務省のOBの方が著作を物しておられますけれども、現役時代に知り得たことというのをどのようにお書きになるのかということもあろうかと思いますので、基本的に私はそういった方々のお書きになっている本というのは余り読まないようにいたしておりますし、これも読んでおりません。

浅野委員 松本大臣には、ぜひこの本をお読みいただきたいと思います。私は丹波氏にこのPRを頼まれたわけでも何でもないんですが、我が国の国益にかかわる、はっきり申し上げれば、我が国の国益を害する記述が随所になされております。外務省として、外務大臣として決して看過してはならない、評価の違いというよりも事実誤認の部分が随所にございます。

 その一つを今取り上げたいと思うんですが、百六十四ページ、先ほど松本大臣に御答弁いただきました、前原前大臣が提唱された北方領土における日ロ経済協力について、丹波氏はこのように書いているんです。「ロシア側は最近一つの変化球を投げてきた。二〇一一年二月の前原誠司外相の訪ロの際、ラブロフ外相が北方四島における日ロ共同経済活動を「日本の法的立場を害しない前提で何ができるか」という議論を提案してきたのである。」中略いたしまして、「当時の前原外相がこの提案に消極的だったことは正しいという以前に当然の判断なのである。」と。

 全く事実と逆の、主客逆転のことを言っておるんですが、このことに関しまして、松本大臣、どうお考えになりますか。

松本国務大臣 丹波元外務審議官自身は、御質問いただきましたので確認をいたしたところ、二〇〇二年に退官をされている方というふうに承知をいたしております。他方、今ここで議論の俎上に上っておりますのは、本年二月の日ロ外相会談におけるいわばやりとりの内容でありますので、このやりとりについては、その場にいた前原大臣、そして同席をした現在の職員も確認をいたしておりますので、事実として間違いないものと思っております。

 どのような御見解、もしくはどのような情報に基づいてそのような記述をされたかということは私どもとしては承知をしておりませんけれども、一つ一つのそのような著作に対しては、個人の見解の表明に属するようなものも多いものと考えられ、一つ一つに対してコメントをすることは、適当でないし、必要ではないのではないかと考えております。

浅野委員 著書の一つ一つに反応するというのもなかなか大変な作業かと思うんですが、これはひとえに我が国の領土問題、国家主権にかかわる問題でございます。こちらから提案してきたものを、その辺の外交好きな、政治好きな一般の人が例えば居酒屋で酒を飲みながら談義をするとかそういったものではなくて、外務審議官というしかるべき立場にあった方、そして今もロシアとの関係を保っておられる方、我が国の外交を論評する、世界においてそれなりの影響力を持っておられる方、何よりも、退職したとはいえ、職務上知り得た秘密を守る義務を負われている方が、このような全く事実と反することを著書に書かれて、それが世間に出回る。

 また、当然このことは、ロシア側も翻訳をして本国に伝えているものと思います。日本から来たものを、一方ではロシア側から提案したと、日本は一体何を考えているんだろう、情報が混乱する。

 今、さまざまな政治情勢の中、北方領土における共同経済活動もなかなか協議が進んでいないと思いますが、さらにその協議をおくらせ、ひいては我が国の国益を損なわせることになると私は考えるんですが、それでも松本大臣は特段コメントをする必要はないとお考えでしょうか。

松本国務大臣 ロシア側との関係で申し上げれば、そのときの会談相手はラブロフ外務大臣で、現在も外務大臣であるわけでありますから、事実がどうであるかというのは、ラブロフ大臣自身が、また同席をしていた対日外交関係者は正確に御存じだろうというふうに思いますので、この点について誤解を生むといったようなことは考えにくいというふうに思っております。

 なお、お一人お一人についてコメントをする立場にはありませんけれども、少なくとも、先ほど御指摘をいただいたような、本年二月の会談についての提起をしたものについて全く事実と逆であるとするならば、それは改めて事実と違うということは明確に申し上げられると思いますし、また、そのことが、どのような情報とどういう流れでお書きになっているかわかりませんので、これについて個別にということは申し上げるのは差し控えたいと思いますが、一般的に、全く不正確な情報、ないしは事実と異なることをおっしゃられたり、事実と異なることに基づいて何らかの論評をされる方が引き続き影響力を保たれるとは、私には考えにくいと思っております。

浅野委員 それでは、松本大臣として、外務省として、この丹波氏本人、もしくはこの出版元である中央公論新社に対し、これは事実と違いますよと、そういったコメントや意見を伝える考えは今後もないということでしょうか。

松本国務大臣 繰り返しになりますが、一つ一つ、明らかに、事実はもう申し上げているとおりでありますし、そのことについては正式なこの国会の場所でも前原大臣から申し上げたわけでありますので、その点について、何らかの、これについて議論をされるべき方々が誤解をされるということはないのではないかというふうに考えておりますし、きょうも問いをいただきましたので、改めて、事実は前原大臣から提起をしたのだということは明確に申し上げたいと思います。

浅野委員 私は、できれば外務省からこの出版元に対し、今後この本が仮に売り上げが上がり、重版がかかる場合は、この辺の事実関係を正確な記述にしてほしい、訂正を求める、そういった措置をとっていただきたいと思っております。一つ一つの小さな事象であっても、それがちりも積もればで積み重なり日ロの信頼関係を害することにつながらないことを、私はただただ願っております。

 では、引き続き、この経済協力についてお聞きしたいんですが、本年の七月十五日に閣議決定されました私の質問主意書に対する政府答弁書の中で、経済協力、今後協議する中で、北方領土問題と最前線で向き合っております北海道根室市初め、羅臼町、標津町、別海町、中標津町、根室管内の一市四町、最も北方領土に隣接し、この問題が解決しないことで疲弊を受けている地域の声をどう取り入れてこの経済協力の枠組みをつくっていくのかという質問に対しまして、松本大臣からは、「お尋ねの「根室管内の一市四町」を含め様々な関係者の意見も参考にしつつ検討していく考えである。」という御答弁をいただきました。これは、七月九日付の北海道新聞もこの答弁書を取り上げた記事を書いてくれてあります。

 では、具体的に、根室管内一市四町とこれまでどのような協議を外務省は重ね、そして今後どんな形で相談をしていくのか、具体的なプランというものを教えていただきたいと思います。

    〔委員長退席、吉良委員長代理着席〕

松本国務大臣 ちょっと話が戻りますが、先ほどの著作の件についても、委員から御指摘もありましたので、今後の対応を必要があれば考えてみたいというふうに思っておりますが、現段階では特に、数多くの著作が出ているというふうに私は理解をしておりますので、一つ一つの著作にすべてコメントをするということも考えにくいし、考えていないということを前提にお話をさせていただきました。

 本日、具体的に国会で御質問をいただいたわけでありますが、事実は明らかに違うと思いますので、何らかの対応が必要かどうかというのは私もまだ、必要でないという考えも十分あると思っておりますが、御指摘をいただいたことには改めて留意をしていきたいということを申し上げたいと思います。

 そこで、今御質問いただいた件でありますが、まさに委員がおっしゃったように、北方領土の件に関しましては、この問題に関しましては、一市四町とはあらゆる面で緊密な連携が必要であるというふうには私自身も思ってきているところであります。

 私は、三月九日に就任してすぐ、三月十一日、地震が発災をいたしましたので、これまでも歴代の外務大臣の先輩方、できるだけ、しかるべきタイミングを見て北方領土の視察に赴いたりしているケースもあるというふうに承知をしておりますが、残念ながら、まだその機会をとらえることができていないわけでありますけれども、上京をされてこられる一市四町の関係者の方と私自身もお会いをしたりする機会をこれまでも持つ中で、できるだけ密接に連携をしていきたい、このように考えているところであります。

 御質問を今いただきました。既に質問主意書で問いをいただき、政府の答弁書でお答えをしているところでもあるわけでありますが、北方四島における共同経済活動については、内容はもう御案内のとおりでありますが、これについて何ができるかについて外務省内で検討を続けているところでありまして、この過程で、御指摘の根室管内の一市四町を含め、さまざまな関係者の意見も参考にしつつ検討を進める考えであるということは、既に申し上げたとおりであります。

 他方で、関係者と個別のやりとり、そして今後の連携の進め方については、それらを明らかにすることによって、どのような協力を念頭に置いて検討を行っているかということを示唆することにもなりかねないところがあります。今後の検討などに支障を来すところもありますので、現時点で可能な説明の範囲には一定の制約があるというふうに御理解をいただけたら幸いでございます。

浅野委員 ロシアとの協議の内容を明らかにしろということであれば、相手の国との関係もあり、なかなかつまびらかにできないというのは理解ができるんです。ただ、我が国国内における外務省と地方の自治体との連携のあり方、それを例えば今後どのようにしていくか、いろいろなアイデアがあると思うんです。

 私は、外務省の中にも北海道連携推進室でしたか、ロシア課の中にそういった部署があったと思います。例えば、根室市の職員さんと外務省ロシア課の職員さんをお互いに行き来させるとか、定期的に外務省の職員さんが根室地域に出張して現地の人との協議をするとか、もっと突き進めば、根室市内に、根室地域に外務省の出張所が一カ所あったっていいと思うんです。そこに職員さんが数名常駐して、常に意見交換できるようにする。そういう体制をとることは何も不可能じゃない。むしろその体制を我が国がとることで、ああ、日本は本気で北方領土問題を解決すべく準備しているなと、ロシアに対する大きなアピールになると思うんです。

 そういったプランを、今すぐ実現はできなくても、松本大臣として、外務省として、こういうことを検討しているんだ、地域の皆さんと一緒に頑張っていくんだ、そういう姿勢を少しでも見せていただければ、疲弊している地域の皆さんは頑張っていけるんです。

 もちろん、この北方領土問題は根室地域だけの問題ではありません。日本全国の、日本国家の問題です。ただ、これ以上、待て、我慢しろと言うには、皆さんは疲弊をし過ぎております。少しでも、一筋の光明、希望を、松本大臣のリーダーシップで見せていただければと思うんですが、今後例えばこんなことを考えています、ちょっとしたアイデアでもお示しすることはできませんでしょうか。お示ししていただけないでしょうか。

松本国務大臣 北方四島における共同経済活動について何ができるかということを、まさに今省内で検討をさせているところであり、これを続けているところであるわけでありまして、これの中に、御指摘の根室管内の一市四町を含めたさまざまな関係者の方々の意見も参考にしていきたい、このことは申し上げたとおりであります。

 これについて、現段階で検討途上であることもあって、この内容、そして、どのような方とどのような形で御意見を今伺いつつあるかということも、どのような検討を行っているかということを示唆することになりかねないということから、そのようにお話をさせていただきました。

 他方で、今、今後の一市四町との連携のあり方ということで、幾つか具体的な例を挙げてお話をいただいたものというふうに理解をいたしました。

 組織・定員の問題というのは、なかなか硬直的な部分があって一朝一夕にはいきません。そのこと自身が必ずしもいいとは思いません、本来、より機動的で柔軟な体制づくりができるようになることが望ましいということは言うまでもありませんが、国民の税金を使う中で、一定のルールと制度のもとで組織や定員についても定めていく仕組みになっております。

 そういう中の制約はありますけれども、今幾つかお話をいただいたこと、それをそのまま実現するということは今ちょっと申し上げられない部分がありますが、一市四町との連携を深めるためにさまざまな工夫が必要ではないかというような御提言として今拝聴させていただきました。いろいろなアイデアも含めて、私もぜひそのことに留意をしつつ一市四町との連携を深めてまいりたい、このように考えております。

浅野委員 七月の七日から十一日まで、ビザなし交流に参加して、国後と択捉島を私も初めてこの目で見ることができました。

 その前の晩、出発の前の日に、地元の千島歯舞居住者連盟青年部の方と懇談した際に、これまでたくさん外務大臣また北方担当大臣が来られた、それに随行する形で外務省職員さんも根室に入られたと。そこにいらしたある方が、外務省職員さんが自分がやっている店に来てくれた、そこで、自分が元島民の二世だということで北方領土の話をしようと思ったら、いや、自分は根室に来てそんな話したくないんだよねと、勤務時間外ということもあったのかもしれませんが、このような発言をした外務省職員さんがいると、具体的にその方の名刺を示して、そういうお話をいただきました。この場でその方のお名前を披瀝することは避けますけれども。

 とにかく、地域の、地元の方は、大臣が来る、そのたびに、こんなに近いと思わなかった、北方四島というのはこんなに近いんだと、毎年、毎回同じことを言う。

 また、これは大臣に限ったことではありません。あえて申し上げますが、先日、六月二十六日、沖縄北方委員会の理事が視察に行かれました。そのときに、地元の方に対して、あなたたちは抗議をしているのか、ちゃんと行動しているのか、ロシア大使館に、日本政府に働きかけをしているのか、そんなことを地元の方に言うレベルの低い国会議員がいたことも事実です。大変今地元の方は絶望感、怒りを抱いておられます。

 そのことを踏まえ、松本大臣には、従来と同じような対応ではなく、より一歩進んだ、切迫感を持った、裂帛の気合いを持った対応を望みたいと思います。

 最後にそのことの決意をお聞きして、質問を終わりたいと思います。

松本国務大臣 後半の国会議員の言動については、一人一人がその言動に対しては評価と責任を引き受けざるを得ないものだというふうに考えております。

 前段の政府の職員のことにつきましては、もしそれが事実であるとすれば、やはり大変残念なことであるというふうに言わざるを得ない、こう思っております。

 確かに勤務時間外ではありますけれども、やはり公務員としての、そして国の行政の一端を担っているという意味での自覚を持って行動をしてもらいたいと思いますし、そのような意味では、当該場所においての言動として必ずしもそれが適切だったかどうかということについては議論があってしかるべきだろうというふうに思っております。

 私自身も、先ほど申し上げたように、東京にお見えになった関係者の方とはお会いをする機会をいただきました。残念ながら、この件については長い時間がかかってきているということで、関係の方々も一年たてば一つ年を重ねられるということは、やはり関係者の方々にとっての時間が徐々になくなってきているということを私も身にしみて実感をいたしているところでありまして、私自身の力の及ぶ範囲には限りがあるかもしれませんけれども、ベストを尽くすように努力をしたいと思っております。

浅野委員 ありがとうございました。終わります。

吉良委員長代理 次に、中津川博郷君。

中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。

 きょうは、尖閣中国漁船衝突事件、思い起こしてもいまいましい事件でございますが、それをメーンに質問をさせていただきたいと思いますが、その前に、私がもう四十年間取り組んでおります台湾問題について質疑をさせていただきます。

 実は、東日本大震災が起きまして、海外から本当に多くの救助隊員のほか、多大な義援金が日本に送られてきている。

 そこで、台湾なんですが、この台湾、実は義援金百九十億今来ているんですよ。委員の皆さん御存じでしょうか。実は、これは結構国会議員でも知らない人が多くて、ほとんどマスコミでは発表されておりません。ちなみに、アメリカもそのくらいなんです、百九十億。中国が三億、韓国が二億であります。あと大体、一億未満の国がほとんどであります。これだけ小さなところでこれだけ突出した金額を既に日本に送ってきていただいているということですね。

 それから、六月十一日には、台湾に台南というところがあるんですが、そこの頼清徳市長、日本でいうと県知事に相当するんですが、三百人の観光客を連れて、義援金も数億携えて、日光が今、日本の観光客もほとんど行かない、風評被害を受けている中で、日光に成田経由で来ていただいた。私も仲間の議員と一緒に出迎えました。Tシャツを着まして、頑張れ日本、頑張れ日光と。もう感激ですよ。

 こういう事実を政府は知っているのか、外務大臣は認識しているのか、そしてこういうことをどうやって国民に知らせているのか、それをまずお聞きしたいと思います。

松本国務大臣 台湾からは大変多額の義援金が寄せられているということは、私も承知をしているところであります。

 この義援金については、政府間もあれば、民間から政府もあれば、民間同士もありまして、大変多様なお金の流れがありますので、本当に全体像を正確に把握するということが行われているかといえば、国別ランキングをつくるような性格のものでもないと思いますので、そういったことを行って順序をつけるようなものではないと思っておりますが、台湾からは大変多額の義援金をいただいている。

 もちろん、一部の国からそれに匹敵するような金額を基金という形でお寄せいただいているところがあったりとかいうこともありますけれども、台湾からは大変大きな支援をいただいているということはよく理解をいたしているつもりでございます。(中津川委員「どうやって流布しているか、それを答えていない」と呼ぶ)

 多くの支援をいただいていることについては、私どもとしては、国民に対しても、各国から支援をいただいているということを申し上げてお伝えをさせていただいておりますけれども、どこからは幾らである、ここが一番であるとかいうことを伝えるべき性格だとは思っておりませんので、そういう情報提供は行っておりません。

中津川委員 松本さん、義援金のランキングをつくれなんて私は質問していないですよ。つまり、これだけ突出した金額。毎日、今でも高校生が駅で街頭募金をしているんですよ。台湾なんかは本当にほとんど民間人なんですね。温かいですよ。その認識をしっかりしているならば、これだけ突出した義援金と、それから救助隊員、いまだにがんがんよこしておりますから、これはやはり報道すべきだと思います。

 そこで、次に入りたいんですが、従来、政府は、台湾は中華人民共和国の一部という中国の主張をそのまま認めてはおりません。一九七二年の日中共同声明において、中国の主張を、これはいわば、中国の立場は尊重し、理解する、しかし承認はしていない、こういう立場をずっととってきております。

 そして、二〇〇五年十一月、当時の政府が「台湾の領土的な位置付けに関して独自の認定を行う立場にない。」と。もう一回言いますよ。「台湾の領土的な位置付けに関して独自の認定を行う立場にない。」という政府見解を発表しましたが、現在もこの見解に変わりはありませんね。

松本国務大臣 御指摘がありましたように、一九七二年の日中共同声明において、この第三項において「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」このように申しているところでございます。

 今御指摘がありました二〇〇五年十一月に発表した政府見解というのが正確にいかなるものを指しておられるのかということは承知をしておりませんけれども、平成十七年十一月十五日、二〇〇五年の十一月十五日に、衆議院議員笠浩史君提出中学校使用の地図帳及び外務省ホームページにおける台湾の取り扱いに関する質問主意書に関する政府答弁書、二〇〇五年の十一月十五日に閣議決定をしたものにおいては、今御指摘がありましたように、「我が国は、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号)第二条に従い、台湾に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄しており、台湾の領土的な位置付けに関して独自の認定を行う立場にない。」というふうに、閣議決定をした答弁書で申し上げさせていただいております。

 台湾の領土的位置づけに関して独自の認定を行う立場にないとの我が国の立場に変更はありません。

中津川委員 そうであるならば、日本に住む台湾出身者の戸籍の国籍欄、この出生地欄に、中国あるいは中国台湾省と非常に非現実的な記載がされているのはおかしいことですね。

 実は私、平成十七年、これは二〇〇五年ですか、二月四日に、衆議院の予算委員会で外国人登録証明書の問題を取り上げました。日本に来ている台湾の方が、中国台湾省と書いてある。あるいは台湾から来ている留学生の方が、やはり国籍は中国台湾省となっている。当時、中国人の、いわゆる大陸の犯罪が多かった、物すごかったもので、留学生が部屋を借りに行っても、中国人はだめだと貸してくれない、しかし、台湾人なんだと言うと、ああどうぞ、台湾だったら親日的で安心ですねというような事例があって大変困ったというようなことで、私はこれを取り上げたわけであります。

 それで、東京都が、これから三年たった二〇〇八年五月に、政府方針に反して住民基本台帳の台湾表記を認めたんですね。一歩前進だと思います。政府も、二〇〇九年七月の入管法の改正によって在留カードにも台湾表記が認められるようになって、少しずつは前進しておるわけであります。

 しかし、この戸籍の問題で、日本人が台湾の女性と結婚する場合、役所に行って、そしていろいろ手続書に書くというときに、中国だと女性が言われた。いや、私は中国人じゃない、台湾人なんだと。それで、だんなの方も、中国人と結婚したのではない、台湾人だ。だけれども、なかなか、それが今も行われているということは、大変非現実的でありまして、おかしなことであります。

 この台湾表記を認める戸籍法の改正、これは法務省の民事局マターだというふうに伺っておりますが、法務省の方、ぜひ戸籍法の改正を求めたいと思います。

小川(敏)副大臣 日本の戸籍において国籍表示として台湾を認めるか否かは、台湾に関する我が国の立場等を踏まえて慎重に検討する必要があると考えております。

中津川委員 慎重に検討するとはどういうことなんですか。

小川(敏)副大臣 日台関係は、現在、非政府間の実務関係として維持されているというふうに承知しておりますので、これを国籍表示とすることについては慎重に検討するということでございます。

中津川委員 余りこういうのに時間を割きたくないんですけれども、国籍表示じゃなくたっていいんですよ。小川さん、もうちょっと勉強してくださいよ。

 外登証の場合、あるいは住民基本台帳の場合、国籍・地域という欄になって、台湾となっているんですよ。中国と台湾は違うんだから。台湾は中国に一回も税金を払ったことはないし、中国の統治下にもなったことはないんですから。そんな通り一遍のでは納得できません。

吉良委員長代理 もう一度、小川法務副大臣。

小川(敏)副大臣 出入国管理法、いわゆる入管法ですね、これでは、在留カードにつきましては、国または地域を記載するということになっておりますので、今台湾を地域として記載しておるわけでございまして、国として記載しているというわけではございません。

中津川委員 とにかく、今私が、きょうは核心のところをるる申し上げましたので、法務省、これは非常に遅いわけでありますから、ぜひしっかり検討してもらいたいと思います。

 住民票というのは、調べたら、これは総務省のマターなんですね。外登証は法務省の入国管理局ですね。それで戸籍は法務省の民事局という、非常にややこしいわけであります。ぜひ現実的に、あわせてひとつそこのところはやってもらいたいというふうに思います。

 とにかく、外務大臣、戸籍のこの事例一つとっても、我が国政府は自民党政権以来、台湾軽視なんですよ。これがずっと続いてる。もっと台湾を重視した外交を僕は前から展開、僕は四十年かかわってきていますが、民主党の中にも親台湾派というか良識派はたくさんいるんです。自民党の中にもいる。とにかく、自由と民主と人権を大事にした、同じ海洋国家ですよ。あそこの台湾海峡を通らなければ日本の物資はもうストップしちゃうわけですから、安全保障の問題、経済の問題、今、日台中の貿易も非常に、それも台湾がやはりキーステーションになって頑張っているところで、ある意味では日本と運命共同体だと僕は台湾を思っております。

 外務大臣、ひとつお考えをお聞きしたいと思います。

松本国務大臣 ただいまお話をよく承りました。

中津川委員 それでは、尖閣中国漁船の衝突事件について質問をさせていただきます。

 昨年九月に尖閣諸島近海で衝突事件を起こし、同月二十五日に那覇地検が今後の日中関係を考慮して処分保留のまま、中国人船長、センキユウとかいう人でありますが、先週の木曜日の二十一日に那覇検察審査会が二度目の起訴相当を議決して、同船長の強制起訴が決定いたしました。

 当時、私、民主党の仲間七十三名と、この真相究明と、それから政府の対応のまずさ、批判を込めて抗議声明を出しました。その後、経過をずっとウオッチしていたわけでありますが、ようやく、起訴相当二度目が出て、強制起訴というふうになったわけであります。とにかく、これは中国人の船長の罪、罰、巡視船の「よなくに」と「みずき」にビデオを見れば体当たりしているわけですから、これはもう悪質きわまりないわけであります。

 問題は、それもそうなんですが、逮捕から処分保留、不起訴に至った検察及び政府の対応のあり方なんですね、国民が納得できないのは。本来は法と証拠に基づいてのみ判断をすべき検察が、今後の日中関係を考慮して同船長を処分保留のまま釈放して、これはどう考えても政府の介入、政治の介入があっただろうと国民は全員思っている中で、あくまでも地検の判断ということで押し通しました。

 もしそのとおりであれば、僕はずっと疑問に思っているんだけれども、政府は越権行為として厳しく那覇地検を断罪すべきじゃないですかね。検察はあくまでも法と証拠をもとにして決めるわけで、外交的配慮なんというのを、検察にはそんな権限ないんですよ。それを政府も了としたというわけでありますから、これは本当に大変恥ずべきこととして歴史に残ってしまうと僕は思うんですね。

 法務副大臣、御見解をお願いします。

小川(敏)副大臣 まず一点、ちょっとお時間をいただきまして。

 先ほど、在留カードで地域を記載しているというふうに述べましたが、記載することとなっているということで、これからのことでございます、訂正させてください。

 尖閣の点でございますが、これはやはり、これまでもずっと一貫して述べておりますとおり、検察の判断、政治は特に介入していないという考えでございます。

中津川委員 だから、それは納得しないですよ、小川さんはずっとそれを言っているけれどもね。まあしようがない。

 そして、問題は、これから公判が行われるには中国政府の協力を得なければいけない。二カ月以内に起訴状が船長に送達される必要があるそうなんだけれども、実際はもう無理だろう、逃がしちゃったんだから。

 だけれども、これは調べてみたら、日中間には刑事共助条約というのが二〇〇八年に締結されております。だから、起訴状を船長に送達することに中国が協力すること、これは義務ですね、条約をしているわけでありますから。これは当然ながら有効に機能して、法務省はこの条約に基づいて公判を進めるんでしょう。

小川(敏)副大臣 まず、裁判所が起訴状を送達する。ただ、日中間におきましては、条約に基づきまして、その送達に関することは法務省が行うという立場でございます。法務省としましては、中国の対応する当局に起訴状の送達を依頼する、このような事務手続になろうかと思います。

中津川委員 きょうは大臣が、ここは外務委員会だからお越しにならなくて残念ですが、問題は、公判をぜひとも、日本国民の意思、とにかくそれを、大臣が責任を持って、強い意思を持っているかどうかなんですよ。きょうは大臣がいないので、今の小川さんの話だと、それは単に事務手続のこと。そんなことは知っていますから。やる気があるのかないのか、それだけでいい、普通か。

小川(敏)副大臣 手続的にはそういう流れを私どもは粛々と行います。これに対して、当方の要請を受けた中国の方がどうするかということに関しましては、私から意見を述べる立場ではないというふうに考えております。

中津川委員 本当に情けない。

 外務大臣、これは外務省も働きかける必要があると思うんですが、外務大臣、保守系の議員なんですから、当選同期で、聞かせてください。

松本国務大臣 当選同期の中津川さんに適切かつ厳しい質疑をいただいていると理解をいたしておりますけれども、今のお話でありますが、今後手続が進められて中国人船長の起訴が決定をされた場合に、仮に関係当局が行う手続において協力を求められれば、所定の手続に従って外務省としては適切に対応いたしたいというふうに考えております。

 まさに委員が先ほどもおっしゃっておられるように、私どもも、行政府としては、法律を初めとする法令に定められたように、しっかりとその責務を果たすということだと考えております。

中津川委員 この経緯を見ますと、やはり日本外交は敗北ですよ、失敗。

 処分保留のまま釈放でしょう。向こうは、レアアース、日本への輸出に圧力をかけてきたり、フジタの社員を何かわけもなく捕まえちゃったり、またいろいろ、日中協議の話もしないよとか、ガス田協議とか閣僚級の交流もしないよとかきて、それにまんまと、ヤクザみたいなおどしに乗っかってしまったわけで。普通そういうことは日本人の感覚であれば、ああ、悪いねと。ただ、帰した途端に謝罪と賠償を求めてきているんですよ。もう外交の失敗ですよ。

 それで、さらにこれは深刻な、その後、いいですか、ソ連及びロシアのトップとして初めて十一月一日にメドベージェフ大統領が北方領土に来ているんです。それから、もう日本は弱いと思うから韓国が竹島の不法占拠を強化したり、それから、韓国の人がロシアのビザでことしの五月は国後を訪問していますよね。これは情けないですよ。

 国会議員の仕事は、それぞれみんな専門があります。教育がある、社会保障がある、いろいろある。国会議員の最終の仕事というのは何かといえば、日本の領土と国民の生命財産を守り抜くことだ、こう思うんだ。もうこのツケはいまだに引いて、なめられた外交。

 僕は、同じ民主党だから、個人的な思いで言ってるんじゃなくて、松本さんだったらわかってくれる、まあそつなく大臣をやっておられるのは結構なんだけれども、ひとつびしっと、その辺のところ、どう思いますか。

松本国務大臣 先ほども、午前中も申し上げたような気がいたしますが、図らずもという言葉が、余り使うべきではないと思いつつ、やはり、三月九日に外務大臣に就任をいたしましたが、とりわけ外務大臣として、我が国の国民、国土、領土を守ることが大変重要な責務の最前線にあるという自覚を持って日々取り組んでいるところでございます。

中津川委員 とにかく、日本というのは本当に情けない国になってしまったなと、つくづく国民に申しわけなく思っております。

 そこで、まだまだいろいろ議論したいんですが、これからのことなので、ちょっと大事なことを最後に質問したいと思うんです。

 八月十二日に韓国国会の竹島に関する特別委員会で竹島で委員会開催を計画しているというふうに聞いておりますが、松本さんは、二十三日バリ島で、日韓外相会談で我が国の立場を申し入れたと言っていますが、覚悟を持って言っておられたのか、とりあえず言っておいたよと通り一遍の抗議をしたのか、お聞きをしたいと思います。

松本国務大臣 これまでも、大変残念なことでありますが、韓国閣僚が竹島を訪問するなどの事実がありました。私としては、これは受け入れられないということは断固たる立場から申し上げておる、このように思っております。

中津川委員 松本大臣、若いんですからもっと迫力を持って、ひとつ、おお、やっているな、やはりそういう姿勢をアピールしていただきたいと思うんですよ。まさか、これはみすみす竹島での委員会の開催を許してしまうことにはならないですよね。

松本国務大臣 私なりにできる限りのことはいたしたいと思いますが、私自身が何か得点を稼ぐために外交をするということは、ゆめ考えたこともありません。

 なお、本件については、私としては最後までしっかりと働きかけを行ってまいりたい、このように考えているということだけ申し上げたいと思います。

中津川委員 言葉じりをとらえるつもりはないんだけれども、松本さんが自分の得点のためにやっているなんて、僕は質問もしていないし、だれも思っていない。日本の国の得点になるように頑張ってよ、日本の国益なんですから。それが、僕はどの政権になったって同じだと思うんですよ。国民の生命と財産を守る、日本の領土を守る、僕は、これが我々国会議員の、生意気を言うようですけれども、みんなその思いだと思います。これは与野党関係ないと思う。

 だから、もう一回重ねます、日本の国のために得点になるように頑張ってください。もう一回決意を。

松本国務大臣 しっかり国益にかなうように取り組みたいと思います。

中津川委員 ありがとうございました。

吉良委員長代理 次に、勝又恒一郎君。

勝又委員 民主党の勝又恒一郎でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、与野党の理事の皆さん、ありがとうございます。そしてまた、尊敬する松本外務大臣にまた質問させていただけるということを光栄に思います。それぞれ副大臣の先生方もよろしくお願いを申し上げます。

 まず、冒頭、私がきょう質問させていただく問題意識というものを少し語ってから質問に入らせていただきたいんですが、皆さん外交の専門家で私よりもはるかにわかっているので、改めてではあるんですけれども、今日本がどういう位置に置かれているのかということをきちんと我々が認識をして外交を展開していくということが大事だと思っています。

 そういう意味で、視覚的に見ると改めて我々の位置がよくわかるものですから、きょうは慶応の神保先生の資料を抜粋して皆様にもお配りをさせていただきました。経済と防衛の関係で資料を私が抜粋したものでお話をしたいと思うんです。

 まず、名目GDPの日米中の推移を見ると、改めて驚くわけですが、昨年、日本は中国にGDPを抜かれて、チャイナ・ショックというようなことを言われました。しかし、これは、ゴールドマン・サックスがつくっている資料ですから、やはり若干中国の株を買ってほしいとか、そういうこともあるかもしれませんが、そんなに大きく間違っているとは私は思わないんです。二〇三〇年を見ていただくと、まずその前、二〇二六年に中国のGDPはアメリカを抜くという予想になっています。二〇三〇年を考えれば、何と日本の四倍以上のGDPになってしまうという現実があるわけです。

 二枚目を見ていただくと、では、今度はアジアの新興国あるいは地域の経済力というのはどうなのかというふうに考えたときに、確かに今は、私たちは、この二〇一一年段階では、新興国に比べて経済的優位に立っているということが言えるでしょう。しかし、この図を見ていただくとわかるように、私たちのGDPは、予想ですが、二〇二七年にはインドに抜かれ、これは何となく直観的に我々もインドに抜かれるだろうという気はしていますが、驚くべきは、その翌年、二〇二八年にはASEANにも日本はGDPで抜かれるだろうという予測になっています。そして、さらにその下の表を見れば、一人当たりのGDPもいずれ韓国に抜かれていくであろうと。

 もう一枚めくっていただいて、さらに防衛になればもっと深刻であります。日米中の国防費の推移、推計というものを、ストックホルム国際平和研究所の資料にのっとって抜粋したものですけれども、見ていただくとわかるように、アメリカは、高位パスと軍縮パス、二つのシミュレーションを書かせていただいております。中国も、公表されているこの紫の二・二%で推移した場合と、一般に中国の防衛費は低く公表され過ぎているという指摘がありますので、高位パスという一・四倍にしたものがシミュレーションとして出されておりますが、驚くことなかれ、中国の高位パス、米国の軍縮パスというシナリオでいくと、二〇二〇年代半ばには、ついに中国が軍事的にもナンバーワンになる可能性があるというシミュレーションを出しています。二〇三〇年でいえば、中国は、低く見ても日本の九倍の安全保障の軍事力を持ち、多く見積もれば十三倍になる、こういうことであります。

 そして、新興国との比較においても、日本は、近々インドに安全保障にかける経費で抜かれ、二〇二〇年代には韓国に抜かれ、そしてまた経済と同じようにASEANにも抜かれていく、こういうシミュレーションが公になっているわけです。

 こういう状況に基づいて、私たちは今置かれている局面を何か勘違いしていないか、危機感が足りないのではないかということを、私は外務省の皆さんと話をしながら感じるときがあります。

 ある方に言わせると、G7というのは東京六大学みたいなものだ、しかし、これからは東都リーグやJリーグに変わっていくんだという話をした方がいました。大臣、どういう意味だかわかりますか。

 東京六大学というのは入れかえ戦がないんです。どれだけ差がついても、負けても、六位の中にはいられるんですね。しかし、東都リーグやJリーグというのは、最下位になれば入れかえ戦や自動的に入れかえがあり、二部、三部へと転落していくわけですね。日本の置かれている局面は、むしろそのJリーグ的な、これから二部降格の可能性もある、今我々はそういう場所に置かれているという危機感を持って外交に取り組まなければいけないのではないでしょうか。

 そういう中で、私はそういう問題意識を持って松本大臣の外交を日常的に関心を持って見させていただいているんですが、そういう意味では、大臣がよく言われる復興外交というのは、日本の復興あるいは国際社会の日本への支援への感謝というのはもちろんのことなんですが、最も大事なのは、実は日本外交の復興をすべきときなのではなかろうかという認識を私は持っています。日本外交を立て直さないと、この国は、今の実力に見合った、あるいはこれからの日本の置かれている位置に見合った、そういう世界での仕事ができないのではないかという認識を持っております。

 そういう前提、私の今の基本認識の中で、きょうは大臣初め副大臣も含めて、幾つか御質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、きょうは午前中からいろいろな先生方も取り上げておられますが、大韓航空のいわゆるデモフライトをめぐる措置についてお伺いをしたいのですが、私の知る限り、余りこういう特定の航空会社の利用を日本の外務省が自粛をするというような措置というのはちょっと記憶がないんですけれども、こういう措置は過去もとったことがあるんでしょうか、あるいはどういう考えに基づいてこの措置をとられたんでしょうか。

松本国務大臣 ちょっと今手元で正確に過去のすべての措置を確認ができるわけではないんですが、私が承知をする限りでは、寡聞にしてないというふうに思います。

 ただ、今回は事案が、大韓航空機がデモフライトとして竹島上空を飛んだ、こういう内容であります。この点では、やはり、私どもとしては、意思をどのような形で示して、だれに対して示すのが適当かということを考えた結果、適当な措置として、外務省職員の一カ月間公務による大韓航空機利用を自粛する、こういう措置をとることに決定したものであるというふうに考えております。

勝又委員 先ほど浅野先生から逆の指摘がありましたけれども、私は、逆に、今回の措置はわかりやすいメッセージがあったのではなかろうかというふうに思っています。こうした、口で言うだけではなく何らかの措置をきちんと対抗措置としてとるというのは、これからの日本外交にとって大事な一つの動き方ではないかというふうに私は思っております。

 ここで一つ確認なんですが、これは大韓航空機が領空侵犯をしたということに対しての措置という理解でよろしいですか。

松本国務大臣 飛行の軌跡なども確認をした上で、我が国の主権に対してということでありまして、領空を侵犯したということが確認をされたので、これに対してというふうな位置づけだと理解をしております。

勝又委員 そういう意味では、事後的な措置としては今回理解をしますし、一定の評価をしたいと思うんですが、逆に領空侵犯ということであれば、外交的に考えると、スクランブルなどの対応をとるということがむしろ普通の国家のありようではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

松本国務大臣 一般的には、領空侵犯もしくは領空侵犯のおそれがある場合には自衛隊などが適宜適切な措置をとるものと理解をしておりますし、その中には、おっしゃったようなスクランブル発進もあるというふうに考えます。

勝又委員 そういう意味であれば、私は、基本的には、領海、領空、国家主権、こういうものについては毅然と我が国としては対応をとるということが大事なメッセージだと思いますので、ぜひ今後とも御対応をお願いしたいと思います。

 次に、中国の高速鉄道に関する事故について少しお伺いをしたいのですけれども、新聞紙上で見る限り、副大臣もかなり厳しいコメントを何となく出していたように私も新聞で拝見はしたんですけれども、改めて、あの事故をどういうふうに日本政府として見られているのか。特に、事後措置として、何か先頭車両を埋めたとか、その後掘り起こしたとかいろいろな報道がありますし、あるいは報道の規制がなされているというような報道も逆にありました。

 そういうことを含めて、日本政府としてどのように今この事故を考えておられるか、分析しておられるか、お伺いしたいと思います。

伴野副大臣 勝又委員にお答えさせていただきたいと思います。

 まず、先般の中国で起きました高速鉄道事故に対しまして、日本国政府といたしましては、亡くなられた方々及びその御遺族、また負傷されました方々にお悔やみとお見舞いを申し上げる次第でございます。

 その上で、事故原因を究明中というふうに承知をしておりますが、このような大きな事故が起きたことは本当に残念なことであったという認識をしております。

 そうした中で、事故原因の早期かつ詳細な究明がなされることを中国政府に期待するものでございます。

勝又委員 いわゆる報道規制がしかれているのではないかというような話についてはどうですか。

 というのは、私は、こういう事故というものは、その原因も含めて国際社会にきちんと公表されることによって次の事故を防いでいくという極めて重要な意味があると思うんですけれども、そういう意味で、情報公開にやや問題があると思われる中国の今後の対応をどのように日本政府としては見守っておられますか。

松本国務大臣 本件について、報道規制云々というのを私どもも直接確認をしておりませんので、これについて、中国政府の対応を私どもが論評するのは避けさせていただくということを申し上げたいと思います。

 その上で、やはり、民主主義国家において、自由な国において、そしてあるべき国の姿において、報道の自由というのは極めて重要な要素であろうかと思いますし、今現実に、例えば我が国においても、私もこの場でも、例えば交渉中のことなどは、お答えできないことはお答えを差し控えたいというふうに率直にお話をさせていただいておりますけれども、メディアの発達した国で情報を統制するとか管理するとかいうことは、事実上不可能だろうというふうに思っております。

 今回の件に関しても、報道規制等が行われたというふうには私どもは確認をしておりませんけれども、いずれにせよ、相当な映像と情報が実際には既に、インターネットも含めて、情報ツールの発達した国では出てくるというのを私どもも認識をしておくべきだと思いますし、しっかりとそのことにむしろ説明責任を果たすということで対応することがどの国にとっても重要なことではないかというふうに思っております。

勝又委員 私も、大臣の御答弁と全く認識を同じくする者であります。要するに、この後の質問にも関係があるんですが、私たちが、日本が、そしてアジアが、どういうアジアであってほしいかということをしっかり考えて、外交的な行動、発言をしていくべきだと私は思います。

 そういう意味では、私たち日本人にとって、日本にとって、大事な価値として、自由とか民主主義という価値があるわけで、やはりそういう価値の大切さをアジアの中で共有の価値としていくというしっかりとした姿勢を持って外交に臨んでいただくことを私は期待したいというふうに思います。また、そのメッセージが、強く国際社会で日本の存在感というものを高めていくんだろうと私は思います。

 次に、原発とエネルギー問題にかかわって、外交との関係を伺いたいんですが、今、三・一一の震災以降、原発を含むさまざまなエネルギーに関する議論が、我が国政府、そして国内で起こっております。一方で、そのことが、外国との関係においてさまざまな疑問あるいは心配を抱かれているという可能性も私はぬぐい切れないというふうに思っている中でお伺いしたいんです。

 まず、今回、さまざまな面で震災後の日本に大変協力をしてくれたアメリカが、この原発事故の後の日本のエネルギー政策の転換あるいは考え方をどういうふうに受けとめているんだろうかということが私は非常に気になっております。特に、総理が脱原発ということを声高に叫んでいく中、アメリカは日本のエネルギー政策の転換をどう考えているのか。

 先般、高橋副大臣が訪米してナイズ国務副長官と会談をされたときにも何やらこの話題も出たというふうにも聞いておりますので、アメリカは今、日本のエネルギー政策、脱原発、こういった問題についてどのような考えを持っていたと外務省として把握しているのか。また、どんな発言がアメリカ側からあったのかを伺いたいと思います。

伴野副大臣 勝又委員にお答えさせていただきたいと思います。

 御指摘の高橋副大臣とナイズ国務副長官の会談では、東日本大震災に関する我が国の対応を含めまして、さまざまな分野にわたって意見交換が行われました。

 この中で、先方から我が国の原発を含めたエネルギー政策の今後の見通しについて照会があり、また、エネルギー分野での我が国との協力を深めていきたい旨の発言がございました。

 これに対して、高橋副大臣からは、今後のエネルギー政策のあり方につきまして、今般の原発事故を受けまして、見直す方向にある旨を述べさせていただき、また、福島第一原発事故への対応を含め、今後とも日米で協力していきたい旨述べたと承知しております。

勝又委員 その日本のエネルギー政策を変えざるを得ないという説明の中には、脱原発でいくんだという説明が含まれるんでしょうか。

伴野副大臣 脱原発というはっきりとした言葉は使っていないと承知をしております。

勝又委員 逆に言うと、アメリカ側から、そういう総理の脱原発という発言についての何か確認や質問はなかったんでしょうか。

伴野副大臣 先方からそのような具体的な質問はなかったやに承知をしております。

勝又委員 こういう大事な問題というのは、国際社会の中で、日本の外交との整合性も含めて丁寧に説明をしていく必要があると私は思うんですが、そういう中で最も関連してくる話として、いわゆる原発のインフラ輸出の問題があるというふうに思っております。

 まず伺いたいんですが、大臣も副大臣も世界じゅうを本当に身を粉にして飛び回っておられると思いますが、この三・一一以降、世界の各国の日本の原発技術に対する信頼というのは揺らいでいるのか、それとも今もって日本の技術というものの評価は高いと思っているのか、大臣、副大臣、どちらでも結構なんですけれども、今、外交をされていてどんな印象を受けておりますか。

松本国務大臣 今、世界各国では、原子力発電所のプラント建設というのが計画をされたり、進められたりしているところであります。そういった国々、計画の前の構想段階のところもあろうかというふうに思いますが、そういったことをお考えになっているところからは、私が知る限りでは、ほとんどすべてと言ってもいい各国から、引き続き日本の技術に対しては期待を寄せられているというふうに、私はやりとりをしていく中で感じているところであります。

 その意味では、今勝又委員からお話があった質問の趣旨に御答弁をするとすれば、引き続き技術に対しては期待を寄せていただいている。

 さらに、この間、事故の情報なども透明性を持って情報提供してきたわけでありますが、そのことに一定の謝意をちょうだいしつつ、今後、検証、調査などの内容についてもさらに情報提供を求めるとともに、それらを踏まえて、日本がどのように安全性を高めるのかということについても期待をしている向きもあるというふうに承知をいたしております。

勝又委員 午前中の質疑とあわせて、依然、日本のこういう原発を含めた技術に対しては高い信頼があり、期待があるという印象を持たれているということであります。

 とすると、これから日本の外交というものはかなり大事になってくると思うんです。そういう意味でいうと、総理が何か原発のインフラ輸出の方針、政策を見直すかのような、見直しが必要かのような発言をしたようにも私は見た記憶があるんですが、一方で、官房長官は従前どおりだという趣旨を言っているようにも感じるんです。今、政府の立場、外務省の立場はどちらなんでしょうか。

松本国務大臣 二つ、まず申し上げなければいけないと思います。

 一つは、先ほどのエネルギー政策もありましたけれども、我が国のエネルギーの基本計画というのは、原子力発電の依存率をかなり高める計画を立ててあったわけでありますが、そのことについての賛否の意見がさまざま、今回のことを契機に議論が起こってきているということ。それから、具体的に本当に高めるということの可能性というんでしょうか、今後の、技術的、工程的、または政治的と言っていいのかもしれません、そういった可能性とかいうことを総合的に勘案したときに、引き続き、かなり高い水準に高めるということが可能なのかどうかということは考えなければいけないということの趣旨もあって、エネルギー計画の議論を今実質的に行っているというふうに理解をいたしております。

 その意味では、私どもも、最終的な議論の途上でありますので、外国に対しての説明、諸外国に対しても検討中ですという部分を率直に申し上げざるを得ないところがあるんですが、一定の形ないしは考え方というのは適時外国に対して説明をして理解を求めていく必要があるだろうというふうに思っています。

 それから、二つ目は、先ほどもお話がありました安全性を高めるということでありますが、具体的な方策というのは、一つは、まだこれからということがあります。

 それから、やはり、協力を行っていくのは、私ども政府もいわばその推進の支援をするわけでありますけれども、実際に原子力の平和利用、プラント建設などで協力をしていただくのは、技術を担っている方々であり、また、実際に運営をしていただいている、そういうメーカーであったり電力のオペレーターであったりということになるわけであります。

 率直に申し上げて、すべてとは言いませんけれども、我が国の原子力の人的、物的、まあ企業と言ってもいいかもしれません、資源というのが、必ずしも三月十一日以前と同じように外国に時間的に振り向けられているわけではないというふうに思いますので、諸外国との関係においても、三月十一日以前と同じようなペースですべての交渉を進めることができるようになっているというふうには理解いたしておりません。我々も側面的にはそういった事情を各国には説明させていただいているところであります。

 率直に申し上げて、幾つかの国々では、それぞれの国の期待するスケジュールというのがありますので、我が国の方が若干時間がかかったりすることについて、やはり早くしてほしいといったようなこともあるのではなかろうかというふうに思われるわけでありますけれども、そういうことも含めて、我々としては真摯に今交渉中のものに対しては対応をしていきたいと思っておりますし、枝野長官もおっしゃっておられますけれども、期待にもこたえるようにしていきたい、こう考えているのが、私の考えでもあり、外務省の考え方でもあるというふうに理解をしております。

勝又委員 ほかの質問も聞きたいのでこの程度にしますが、今月の十四日には日立がリトアニアの原発計画での安全強化を提案して優先交渉権を得たとか、そのほかにも、ブラジルとかUAEとか、さまざまなことがあります。

 私は、大事なのは、日本政府がやはりしっかりした考えを固めて、対外的にも国内の企業にもしっかりと方針や考え方を説明する責任があると思っています。相手があることです、すべて。例えばベトナムなどは、去年総理が自分で行って調印してきているわけです。そういうことを国際社会の中で、あたかも何事もなかったかのようにひっくり返すというのは、私は外交の信義に反すると。

 やはり、しっかり日本政府の考え方を伝える、変わったなら変わったということをきちんと言う。そして、国内企業に対しても、政府と一体となって官民でやっていこうじゃないかと言っていた話が果たして今どうなったのか。企業の側から見ても、何を信用していいのか、これから見通しはどうなんだと不安になると私は思っていますので、こういうことこそしっかり政府が軸を立てて、対外的にも国内的にも説明をしていっていただきたいというふうに私は要望しておきたいと思います。

 次に、日米関係の深化ということについて二問伺いたいんですが、一つは、ルース大使から、トモダチ基金の設立についてという提案があったやに新聞紙上で聞いております。これは実際そういう提案があったのかどうか、まずお伺いしたいと思います。

    〔吉良委員長代理退席、委員長着席〕

松本国務大臣 東日本大震災からの復興、経済再生について、日米間で、四月十七日、クリントン長官の訪日の際に日米外相会談において発表した復興に関する日米官民パートナーシップのもとで、取り組みを含めてさまざまな活動を行っております。

 この一環として、日米の官民によりさまざまなアイデアが検討されておりまして、御指摘のような基金の創設についても、そういうものがアイデアの一つとして浮かんできている中で、そのような報道になったのではないかというふうに思いますが、現段階で、その創設について何か具体的なことが進んでいるというところまでは報告が来ていないというふうに申し上げられると思います。

勝又委員 私は、そういう意味では、まだ正式な提案でないならば、どうでしょう、逆に日本から提案したらいかがですか。今回のトモダチ作戦というものを日本人は一生忘れてはならないし、今後の日米の深化の中で、このことをメモリアルとした基金をつくって日米関係をさらに深くしていくというのは、まさに日米関係の深化だと私は思います。

 逆に言えば、ネーミングだって、私はありがとう基金だっていいと思います。そういう何か日本側から能動的に、このトモダチ作戦というものを一つの契機とした基金の創設を提案してはどうかと私は思いますが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 先ほど申し上げたように、官民パートナーシップではいろいろなアイデアが議論をされているというふうに承知をしておりまして、このトモダチ基金についても、具体的な基金の話が何か、お金が幾ら集まってきているとか、そういう話を聞いたわけではありませんのであれですが、恐らくイメージされているのは、米国側が一定のお金を集めてそれで何か日本の支援をするという話でありますので、米国で集めるお金を日本が提案するというわけにはちょっといかないというふうに思います。

 他方で、今後、将来に向けて、日米関係を強化するために何らかの形で基金を設けて、これを将来の日米関係の深化に寄与するものとするということは一つの考え方としてあるだろうというふうに思いますし、その際には、今度は日本側である程度やはりファンドレージングもしなければいけないだろうと思いますので、そういったことも含めて、御提案をいただいたことを心にとめながら、今後の日米深化にはどんなことができるか考えていきたいと思います。

勝又委員 まさしく、日本側でぜひやったらどうかという提案なので、御検討いただきたいと思います。

 武器輸出三原則の問題について伺いたいと思います。

 私は、これからの日本の安全保障のありよう、あるいは産業技術の進化、こういうものを考えたら、武器輸出三原則の見直し、明確化というものは避けて通れない大事な課題だ、今やらなくていつやるんだという思いを持っております。そういう意味では、私どもは、党としてはこのことはきちんと政調会でもオーソライズをされて決めております、そして政府に申し上げております。

 その後、連立の枠組みも変わっています。ぜひ政府として、この問題を前向きに、きちんとどこかで議論をして結論を出していただきたいと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

小川(勝)副大臣 お答えいたします。

 武器輸出三原則等は、国際紛争等を助長することを回避するという平和国家としての基本理念に基づくものであり、政府としては、この基本理念は引き続き堅持していく考えでございます。

 そんな中で、御指摘をいただきましたように、勝又委員を初め多くの与党の議員から大変参考になる議論を重ねていただきました。政府としても重く受けとめているところでございます。

 危機感を共有しているという観点から、若干補足をさせていただきたいと存じます。

 一つは、装備品一つ一つのコストの高騰でございます。

 鉄の塊からさまざまな半導体やエレクトロニクスの塊ということで、一つ一つの調達物資の値段が高くなっております。そしてまた、私たちの国の国内で生産をして自衛隊だけが購入するということで、ロットが少ないということも、開発費そしてコストの高騰を招いているところでございます。先ほど来、冒頭、大変厳しい将来予測のグラフを見させていただきました。まさに危機感を共有させていただいているところでございます。

 そんな中で、防衛大綱においては、防衛装備品をめぐる国際的な環境変化に対する方策を検討することという方針が初めて示されました。

 そしてまた、さきの六月に行われました日米安全保障協議委員会、2プラス2において、「先進諸国が国際共同開発・生産を通じて、装備品の高性能化を実現しつつ、コストの高騰に対応している中、日本政府はそのような流れに対応するために現在行っている検討を促進する。米国政府は、この日本政府の努力を奨励する。」と合意をいたしました。

 また、防衛生産・技術基盤研究会中間報告においても、「武器輸出三原則等の見直しを行うことが必要である。」と防衛省に対して提言がなされたところでございます。

 また、冒頭お示しをいただきました与党からの御提言、今申し上げました大綱、2プラス2、そして今の中間報告、これを土台に、参考にさせていただきながら、国会を含めて幅広い場で議論していきたいと考えているところでございます。これからも御指導をよろしくお願いいたします。

勝又委員 ちょっとASEANも聞きたかったんですが、時間がなくなりましたので終わります。

 頑張ってください。ありがとうございました。

小平委員長 次に、首藤信彦君。

首藤委員 民主党の首藤信彦です。

 きょうは外務大臣に、今、日本が直面している外交の比較的大きな課題についてお答えいただきたいということで質問をさせていただきます。

 三月十一日の地震、津波、そして原子力災害ということで、大変な、国にとっても未曾有の危機ということですけれども、頭の中では、そうはいっても外交は一瞬としてもとまってはいけない、そういう気持ちはあると思いますけれども、現実を見れば、やはり余りにも多くの資源があそこに吸収され、さらにまた日本の外交の数少ないツールであるODAも、御努力をいただいたことはよく知っておりますけれども、それでもやはり削減していく。そういうような状況の中で、今いろいろなことをやっていかなければいけないんですが、特に今喫緊の課題となっているのは原子力災害への対処です。

 これは今まで、どちらかというと、ダメージを受けた原子炉を何とか冷温停止まで持っていく、そこに総力をかけていたところがあって、それがどのように日本社会あるいは国際社会に影響を与えるかということは、まだ真剣な対応が進んでいないという状況でございます。

 今、国内においては、例えばセシウム牛の問題であるとか、避難の問題であるとか、あるいは学校の生徒の問題であるとか、さまざまな問題が出ておりますけれども、今まで国際社会がこの日本の事故に対して沈黙を守っていたのは、やはりこれだけの未曾有の事故、人類が経験した恐らく最大の原子力事故であろうと思います。それに対して、日本がどこまで頑張って冷温化まで持っていけるのか、それを見守っているという温かい気持ちは、ある程度あったと思うんですね。

 しかし、今や、冷温化も一応ロードマップが出て、恐らく、それにのっとって日本の福島原発は一応安定化の方向へ行くのではないかというところで、改めてこの事故における国際社会に対する責任というものがこれから問われてくるんだと思うんですね。そこを先取りした上でちょっとお話を聞きたいと思うのですが、それは言うまでもなく、原子力損害賠償の国際的な影響ということでございます。

 普通のプラントの事故であれば、それは周辺との対応なんですけれども、原子力の場合は、かつてチェルノブイリがそうであったように、これはヨーロッパ全体に大きな影響を与えて、その影響は今でも残っているということなんですね。同じように、この福島の事故というのはレベル7と言われておりますけれども、もし本当に厳しく見れば、7どころか、一号機、二号機、三号機、四号機、三号機はMOXというプルトニウムを使っている、四号機は大量の未使用の燃料棒が蓄積されているということを考えますと、それはレベル7をはるかに超える危機があるということですね。

 そこで、こういうような国際的な問題に関しては、こういうことがやがて起こるのではないかということで、いろいろな形で原子力損害の賠償の国際条約というのがこれまで幾つも出ておりました。これは、有名なパリ条約、パリ条約を一部改正したブラッセル条約、それからウィーン条約、そしてIAEAのCSC条約、この三条約、三系列条約といいますか、三系列四条約というのがあるわけですけれども、そこにおいて、現在、スリーマイル島、一九七九年の事故ですか、それから二十五年前に起こったチェルノブイリ、これをもって、それも少しずつ改定が進んできているわけですけれども、ここに至って、やはり抜本的に、何か事故が起こったときには国際的に協力し合おう、あるいは国際的な、国境を越えた訴訟が起こるわけですから、それは裁判の管轄権の集中を含めて、しっかりと定義づけていこうという動きが、今、国際社会の中にあるわけでございます。

 しかしながら、我が国においては、今までこの三系列四条約のいずれにも入っていない。特に、パリ条約なんていうのは一九六〇年代からずっと来ているわけなんですけれども、そういったものにも今まで入っていなかったわけですね。

 これはもう大臣よく存じのとおり、日本は安全神話で、日本の原子力施設が事故を起こすことはないんだから、日本はむしろ被害国なんだから、こんなものに入っているとかえってよくないという考え方があったんですが、今、我々が世界から、日本の汚染というものがどれだけ世界に影響を与えているかということを各国は注視している。

 こういうような状況の中で、原発先進国であり、アメリカに次いで五十数基の原発を持っている日本が、国際的な互助協約である原子力賠償の国際条約の一つにも入っていないというのは非常におかしいと思うんですが、大臣の御見解はいかがでしょうか。

松本国務大臣 政府としては、原子力損害賠償に関する国際条約の必要性や課題について、これまでさまざまな角度から検討を行ってきているということで、今お話がありましたように、三つの系統が存在するが、これらの条約は、例えば裁判管轄権の集中にかかわる問題や国内法の整備など検討すべきさまざまな内容を含んでいるので、このような種々の論点について、我が国にとっての利益及び不利益を十分に精査、検討して対応ぶりを判断していく必要があるということでこれまでずっと来ていたというのが率直なところだろうと思いますが、結論を出さずにいたということの背景については、今の委員の御指摘というのは一理あるだろうというふうに思っております。

 今回の一連の震災の事故を通じて、今の賠償の話もございました。それから、例えば食品の安全基準などについても、外から入ってくるものについて基準を設けておきながら、我が国国内のものについて基準が欠いていたりというようなことがありました。また、外から入ってくるものについてと、我が国がこれから外へ出すものについての基準というものが国際的な標準から見てどうなのかというような問題もあります。

 その意味では、一言で申し上げれば、安全神話とまで言えるかどうかはわかりませんけれども、我が国においてこのような事故が起きた場合に必要な対応というものの準備が十分に行われていたかといえば、結果からいえば、そうではなかったと言わざるを得ないんだろうというふうに思っております。

 この賠償については、三系統ある中で、今後この三系統をどうするかということも、今おっしゃったように、いろいろ国際的にも議論になってきておるわけですけれども、しっかりそのことを考えながら、しかし、結論をいつまでも出さないということにはならないように、私もしっかり考えるように、関係のところとも、これは外務省一省だけではない部分があるんですけれども、政府内でも議論ができるようにしていく必要があるというふうに考えております。

首藤委員 そういう見解はごもっともだと思うんですけれども、大臣、ただ違うのは、それは福島の事故がある前のお話ですよ。今私たちは、ポスト福島、世界ではポスト福島と言いますけれども、もう福島後の世界に生きているわけですよ。そういう緊迫感の中で、今の回答はおかしいのではないか。というのは、例えば、文部科学省が平成二十年十二月十五日に、原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会という報告書を出しました。ここで幾つかの提言をしているんですね。

 もちろん、一つは、国際的な原子力賠償条約に入れというのが一つの提言です。もう一つは、やはり原子力損害があったときに、その損害額はもうすさまじいものになる。それが日本の場合は、これも大臣御存じのとおり、日本はフランスのように国家でやっているんじゃないんですね、これは事業者がやっているんですよ。事業者が、では何兆円というものを負担できるかというと、それはできないわけですね。

 だけれども、それまではどうなっていたかというと、六百億がそれの限度だというふうに考えられていた。しかし、やはりそれでは、六百億ではとてもじゃないだろうというところから、先ほど言いました平成二十年の報告書の中で、これは千二百億円にすべきだという提言がされているんですよ。それで、それを受けて、今回、千二百億円というふうになっているわけですけれども、そう考えると、この提言の中で、もう既にその三系列、その最後に出てきたCSC条約にやはり日本は加盟することを考えるべきだという内容になっている。

 また、これがつくられたときには、まだこれはできたばかりで発効していないとか、アメリカも入らないとか、アジアの諸国が入らないから無駄だとか、そういうことが平成二十年には言われたわけですが、現実には、アメリカがそこへ入り、インドやフィリピンやインドネシアがそこに署名していく、それにやがて韓国も入るだろう、カナダも入るだろうという状況になって、もう発効寸前まで来ているわけですね。

 こういうような状況の中で、日本が様子を見ながら少しずつ検討していますということでは、それはもうまさに二周おくれ、三周おくれの議論になるのではないですか。どうですか、大臣。

松本国務大臣 様子を見ながらいつまでも引っ張ることは必ずしも適当でないという趣旨のお話をさせていただいたつもりであります。

 また、党でも御議論をいただいて、CSCを中心に早急に議論を詰めていくべきだという御提言をいただいているということも承知をいたしておりまして、その点では、我が国の姿勢としても、今後の原子力の平和利用に取り組む姿勢としても、この賠償条約について、何らのコミットをしないままの状態でずっとこのままいけるとは私も到底思っていないというふうに申し上げたいと思います。

首藤委員 大臣、その精神で、それをスピードアップしてやっていただきたいと思うんですよ。

 私が非常に危惧しているのは、今までは、大気の汚染の問題あるいは地表に落ちたセシウムの残留放射線の問題というのを今議論しております。私たちが討議していない、ある意味では目をつぶっているのは、地下水汚染の問題、それから海水への汚染の問題、あるいは空中に出たものが海水に落ちたものの問題もあります。これは間違いなく海洋に広がっていくわけですね。

 それからまた、放射線を帯びたものの中には、津波による漂流物というのがあるんですよ。この津波による放射線を持っている廃棄物の処理というのは、各国も、日本もそうですけれども、日本は、大臣御存じのとおり、放射線を持った廃棄物というのは環境基本法にも入らず、また経産省でも取り扱うことができない、こういう空白にあるわけですね。各国も、やはり放射線を帯びた廃棄物というのは大変な問題があるんですよ。

 ところが、この放射線を帯びた大量の浮流廃棄物が、やがては、恐らく半年から一年でハワイに到達するだろう、同じぐらいの時間軸でカリフォルニアに到達するだろうということが予想されているわけですよ。そうなりますと、これはそれによって膨大な被害が出る。それが付着した海岸から、例えば人々が逃げていったりするときの費用とか、そういう訴訟は火を見るより明らかなんですね。それから、もちろん漁業権への問題もあります。

 そうした状況の中で、日本がこういう四条約を持っていなかった場合、これはCSC条約を含め、すべての条約は事故発生国における裁判権というのを規定しているわけですけれども、国際条約に入っていない日本は裁判管轄権がないということになりますね。そうすると、そうした被害を受けた、あるいは被害があったと称する国の訴訟対象となるわけですけれども、そういうものに対して、やはり早急に動かなければいけないと思いますけれども、それを目途に、急速に条約化の方向を検討されている御意思と実際の作業があるのかどうか、教えていただきたいと思います。

松本国務大臣 今後の原子力の平和利用を考える際に、やはり賠償条約というのも、いろいろな原子力の平和利用に伴う枠組みの一つでありますから、しっかり対応する必要があるということでお話をさせていただいたわけでありますが、今回の福島に起因するさまざまな事案について、今後、仮に我が国が例えばCSCを締結して同条約が発効した場合に、条約発効前に発生した福島原発事故に関して提起された訴訟に対して、この条約の規定が適用されることになるかどうかということは、私どもの中でも議論をいたしております。

 御案内のとおり、首藤理事は大変詳しいと思いますけれども、条約には明文上の規定がなく、現時点で確定的に解釈することは、我が国が締約国でもないこともあって困難ではありますけれども、不遡及が原則であるということ、既に発生した原子力事故に同条約が遡及適用されるという解釈をとることは難しいのではないかというふうに私どもは考えております。

首藤委員 大臣、これは重要なところで、ぜひ原稿を読まずによく考えていただきたいし、また、外務省のスタッフに強く言って、この問題に総力をかけて取り組むように言っていただきたいんですよ。

 もう御存じのとおり、法律は不遡及なんですよね。しかし、この国際条約はまだ発効していないんですよ。だから、日本が入ることによって発効できるような条約に、日本が何らかのバーゲニングが可能なわけですよ。ここが外交なんですよ。ここが外交が機能するところなんですよ。

 ですから、まだ発効していない、日本が参加することによって初めて発効するこの枠組みの中で、やはり日本が福島の問題をスコープに入れながら、タイムマシンに乗るわけじゃありませんけれども、ある意味で、その不遡及のところを、法理を超えて、外交の力をもって、この問題をきちっと、日本を守るようにしていただきたいと思います。

 さて、次のテーマは、やはり大きな問題としての中東の問題です。

 チュニジアのジャスミン革命から始まりまして、中東の巨大国家であるエジプトを初め、これは中東和平の片側を支えていたわけですが、現在では本当に中東全域がそういう危険に、騒擾状態にあるわけです。

 今まで、私も中東の世界に長く働いているわけですが、ずっといろいろ思って、一体何がこんなに中東で問題があるのか。テロがずっと続いたり、アルカイダのようなテロリストも出てくる、ハイジャックが行われる、あるいは湾岸戦争が行われる、こういういろいろな国際社会を揺るがした問題というのは、一体何が問題かとページを繰っていきますと、最後にたどり着くのは中東和平なんですよ。やはりパレスチナの問題がきちっと解決できないと、最後はパレスチナの問題があるからということで、これはある意味で、どんなテロリストグループもこれがにしきの御旗になって、テロのエネルギーがとまらないわけですね。

 その中東が今、どっちへ転んでいくかという非常に大変な時期にあるということは大臣も御存じのとおりです。それは言うまでもなく、ジャスミン革命において、今まで何だかんだイスラエルに反対しながら、あるいは和平に反対しながら、現実には自分の身を守るために非常に保守的な態度であったエジプト、シリア、こうした国が、もはやそうした穏健派で自己保身よりも、より一歩進んだアラブの民衆革命みたいな方に動いている。

 こういう状況の中で、イスラエル、パレスチナの問題というのは非常な危機を迎えているわけですが、こういう状況において、大臣御存じのとおり、この九月にはパレスチナが国連総会において、パレスチナを国家として認めさせるという決議を出すことになっております。

 さて、では、日本はそれをどういうふうに考えるか。もちろんこれは御存じのとおり、今はオブザーバーであるパレスチナが国家としての役割を演じる、国家としてのタイトルをもらうには、安保理の承認も要るだろう。しかし、今、安保理が、問題があるときに、やはり国連総会の力というのも侮れないわけですね。今現在では、百九十ぐらいある国連加盟国の百カ国ぐらいはパレスチナに同情して、これは国家承認の方へ行くべきだという意見が強いと聞いておりますけれども。

 さて、それでは、日本はこれほど長い間パレスチナ問題にかかわり、そして、そのパレスチナにある国際援助機関にも膨大な資金を出し、ODAを出し、この地域を守ってきました。パレスチナは本当に日本に感謝し、非常に強い友好関係があって、日本にも代表部があり、大使格の人が活動している。

 このパレスチナ、言うなれば、アラブ社会における、中東社会における、イスラム社会における、日本が、いろいろ問題があっても、いや、日本は頑張っているんですよ、日本はパレスチナを応援しているんですよということが、日本の企業や個人をどんなに守ってきたかわからない。こういうパレスチナが、今や国運をかけて国家承認を求めるというときに、日本はどういう態度をおとりになるつもりか。そこを明確にしていただきたいと思います。

松本国務大臣 私どもとしては、仮に決議案が提出された場合の対応ということを今もし明確にということであれば、これは、内容も勘案した上で適切な対応を検討するとしか現段階では申し上げられないかと思います。ぜひとも、平和裏な二国間解決というのを支持しており、早期の交渉開始ができるように、私どもとしても当事者に働きかけていきたいというふうに思っております。

 先ほど先生もおっしゃったように、我が国としては、パレスチナの独立国家樹立を含む民族自決権を支持して、その究極の目的である国家樹立に向けた努力を政治経済面から支援してきているわけでありますけれども、国家として承認をするかどうかということについては、国際法上の観点はもちろんでありますけれども、これが和平プロセスの進展に資するのかどうかということも含めて、総合的に検討したいというふうに思っています。

首藤委員 松本大臣、これは、今アメリカは、オバマ政権が、パレスチナが国家承認を求めるのには反対している。ただし、同時にオバマ大統領は、一九六七年の停戦ラインまでイスラエルが撤退して、今までの入植、今でも入植を続けていますけれども、入植地を放棄し、六七年まで撤退しろと。これはある意味で、パレスチナを応援するすべての国家の、すべての人の主張でもあるわけですね。それに対して、今のネタニヤフ政権は、もうそんなものは空想の話だということになっているんですけれども。

 これは大臣、答弁としては今ので結構ですけれども、これは必ず日本が踏み絵を踏むことを迫られるときが九月までにはやってまいります。これは、今までの経歴から考えて、またこれからの将来の中東を考え、日本にとって余りにも重い課題である。これは外務省の総力をかけて、ありとあらゆるいろいろな人を使って、それは文化であれ、市民交流であれ、外交であれ、援助であれ、総力を使ってこの九月のリスクというものを乗り切るように御尽力いただきたい。ぜひぜひお願いします。これは答弁は結構でございますが、では、どうぞ。

松本国務大臣 先ほどのCSCの遡及も、間違わないようにということで原稿を読んだわけでありますが、今回のこれについても、おっしゃったように、私どもは、これから世界が動いていく中で、幾つもの逃げられない課題には真正面から取り組んで、真摯に議論をして、一つずつ答えを出していくしかないというふうに思っております。

 今の中東和平については、最終的に決議案が出されるかどうかということについては、まだいろいろな可能性が率直に言ってあると思いますけれども、しかし、この問題について、今、首藤理事がおっしゃったように、我々として、一つ一つその判断をしていかなければいけないことが、そう長くない時期に幾つかあるだろうということは、やはりおっしゃったとおりだろうというふうに思っておりまして、その点についてはしっかり受けとめたいと思います。

首藤委員 大臣、よろしくお願いします。

 それで、我々も、それから、今まで中東に絡んだいろいろな人が総力を挙げてこれはやらなきゃいけないので、いろいろ人を使ってやっていただきたいなと思います。これは、こうした日本の態度に関しては国民的なサポートも、ある意味で必要ですから、日本には中東のファンも多いわけで、そういう人にもわかる政策にしていただきたいと思いますね。

 ちょっと局面が違うんですが、これと非常に似ているのが西サハラの問題ですね。

 ポリサリオというのも、やはりパレスチナと同じような時代からずっと西サハラのポリサリオというのは運動しておりまして、ついにようやく、国連において、これをある意味で国家とみなすような決議が行われているわけですね。ところが、残念ながら、現実には国家ではない。したがって、その活動が非常にもう沈滞しておって、国連の方は早く選挙をやって政府を樹立しなさいと言っているんですが、その選挙が行われないということですね。

 問題なのは、結局、今まで実際の国家としての実績のない国でございますけれども、そうした国際社会の流れを受けて、日本政府がこの西サハラに対して国家としての扱いをするのか。例えば、東京に代表部の設置を認めるのか。あるいはまた、今まで、モロッコと近い、あるいはそこからタコを買っているとか、漁業のいろいろな資源を買っているとかいうところがあるから、それは、そういう国際社会がどうやろうが、国連がどうあろうが、日本はそうしたバイラテラルな関係を重視して、西サハラを握りつぶすといいますか、無視していくのか。そのどちらなんでしょうか。

松本国務大臣 私どもとしては、御承知のとおり、もう内容については先生御案内でありますので、現状については繰り返しません。

 我が国としては、この問題は国連の枠組みのもとに、当事者間の交渉により早期に平和裏に解決されることが重要という立場で、引き続き国連事務総長特使による仲介努力を支持していきたいというふうに思っております。

 これまでもさまざまな経緯がありますから、私どもとしては、例えば我が国とモロッコの合同委員会などでもこの件についても議論されている、具体のやりとりについては、時間の関係もあって、ちょっとこの場で紹介できるには限りがあろうかと思いますけれども、というふうに承知をしており、しっかり国連の取り組みを支持していきたいと思います。

 今後、今お話がありましたように、こういった問題についても一つ一つ答えを出していかなければいけないという委員の御指摘はごもっともな面があろうかと思っておりますので、私どもとしても、よく考えてしっかり対応していきたいと思っております。

首藤委員 それで結構でございますが、やはり西サハラに関しても、例えば日本に代表部を設けるとか、少しずつ国際社会に対応した活動を認めていただければ幸いでございます。

 さて、もう時間がなくなりましたけれども、残された課題で、ASEANの会議のことですけれども、もう本当にそれは南沙諸島問題も含め、多様多岐な問題を含んでおりますけれども、それは多くの委員がこれから質問するとして、一つ、見忘れている点について、残された時間で質問させていただきたいわけでございます。それは北朝鮮問題ですね。

 北朝鮮の大使がASEANに来て、ということは、ある意味でASEANの世界が北朝鮮をそういう形で受け入れていって、さまざまなこの地域の安全問題に取り組んでいこうという姿勢のあらわれですが、この北朝鮮問題に関しては、けさほどから中井元拉致問題担当大臣の話とかいろいろありましたけれども、よく言われるのが、三つの課題があると。拉致、核、それからミサイルですか、この三つの課題だと言われているんですね。

 しかし、これは、私は、民主党政権になっていろいろなことをやっているんですが、その最大の、民主党政権になって変わったのは、さきの大戦の後始末をいろいろ始めているということですね。例えば、シベリア抑留者の問題も、シベリア特措法という形でできました。それから、私の今取り組んでいる空襲被害者、これを特定し、この要請をしっかりと政府にも考えてもらうという活動をしているわけですが、このシベリア抑留者の問題というのは、北方四島の問題を含め、これは実に巨大な問題で、場合によっては北方四島問題の切り口となっていくかもしれないという価値のある問題なんですね。

 実際、多くの皆さんが、終戦になって、これは軍人だけじゃなくて多くの民間人も軍人と一緒に労働力としてソ連軍に捕らわれて、そして各地に送られ、多くの皆さんが、例えば一番西の方はトルクメニスタンやウズベキスタン、キルギスタン、こういうところへ行って建築作業に従事し、たくさんの人がお亡くなりになりました。ウズベキスタンでの墓地、それからカザフスタンのアルマティの墓地、行くと、こんなに日本人がここまで来て死んだのかというふうに、もう愕然とするわけなんです。

 今、シベリア特措法が出て、これは政府がシベリア抑留の実態を調査するという法律の内容になっています。これは非常に重要なところで、賠償は簡単にいったんですが、政府がこれを認め、調査するというのはなかなか認めなかった。いろいろその実態を今調べつつあるんですが、実は、六十万人、そして六万人が亡くなったシベリア抑留で空白地帯があります。それは北朝鮮なんですね。

 私は、いろいろな人と話したときに驚くことは、関東軍にいた多くの皆さんが、実は今では北朝鮮と言われているところに駐屯しておりまして、そして終戦になったら国境を越えて牡丹江に集結させられた。牡丹江に集結させられて、多くの皆さんが、ある人は沿海州、ある人はハバロフスク、ある人はカザフスタンと送られていったわけですが、牡丹江から北朝鮮に多くの抑留者が送られ、その所在と、人数と、死亡した人と、死亡した場所が明確ではないんですね。

 これをやはり明らかにしなきゃいけないと思いますが、これはもう本当に北朝鮮問題で必ず浮かび上がってくる大問題なんです。これから日本の、のどにひっかかった骨のような問題ですけれども、これに対して、外務省は現時点でどれだけの情報をきちっと把握しておられるでしょうか。これを最後の質問とします。

松本国務大臣 今おっしゃったこの抑留者、いわゆるシベリア抑留者には、旧ソ連から北朝鮮に移送された方々が含まれているという御指摘だったかと思いますが、実態としてそのようになっているというふうに承知をしております。

 私どもとしては、このシベリアから北朝鮮に移送された抑留者を含め、日本人死亡者の名簿、埋葬地に関する資料の提出などをロシア政府に対してたびたび求めてきているところで、これからも抑留者の身元特定に向けた働きかけを行っていきたいと思っております。

 シベリアから北朝鮮に移送された抑留者というのは、厚生労働省の推計によれば、旧ソ連邦抑留者などの数から、本邦に帰還された方の数及び旧ソ連、モンゴル人民共和国において死亡された方の数を差し引きまして、四万七千人ほどが残っている。この中に北朝鮮に移送された方々が含まれるものと考えられるわけですが、その具体的な数はまだ明らかにできていないというか、なっていないという状況でございます。

首藤委員 もう時間ですので終わりますけれども、外務大臣、これは重要なテーマなので徹底的に調べておいて、これから東アジアにはやはり交渉がどうしても必要になってきます。こういうときに備えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 以上で終わります。

小平委員長 次に、中野譲君。

中野(譲)委員 民主党の中野譲でございます。

 大臣、きょうは朝から大変お疲れさまでございますが、私がラストバッターでございますので、最後、もう一踏ん張り、気合いを入れてよろしくお願いしたいと思います。

 昨年の十月の外務委員会で、当時の前原外務大臣はこんな発言をされております。我々が長らく野党にいたときも、私自身は、外交や安全保障という国益にかかわるテーマについては与党も野党もない、これはオール・ジャパンで、もちろん、主張すべきことは主張する、追求すべきことは追求するという視点は当然持ちながらも、国というものを考えて、国益を考えて行動する、発言するということは大事なことだと思っている、私自身もそういった視点でこれから活動してまいりたいと思っていますと。これは、昨年十月の当時の前原大臣の発言でございます。

 私も全く同感でございまして、与党的な質問とか野党的な質問みたいなことが過去言われておりましたけれども、私たちは厳しいところはしっかりと指摘をして、私たちの代表として内閣に入っていらっしゃる大臣を含めて政務三役がしっかりとそこをリーダーシップをとって対応していただく、それがやはり政治主導のあるべき姿だと思っておりますが、この点について、まず、大臣、どう思われるか。

松本国務大臣 おっしゃったことは、そのとおりだろうと思います。

 率直に申し上げて、答弁を受ける立場になると、やはり与党と野党はあるかなと思うことはないわけではありませんけれども、やはり、我々は政務として、今政府の一定の立場をいただいた以上は、役所の人たちも含めてしっかりとやっていただく、また、我々自身も一緒になってしっかりやっていくという立場でやっていきたいと思っていますが、同時に、与党の仲間の皆さんには、政策であり、運営であり、しっかり見ていただいて、指摘をいただいたものは我々がしっかり受けとめるいわば立場にあるのも、またそれは我々の役割だ。そういう意味では、先ほどのやりとりについては、私も全く同種の感覚を持つところであります。

中野(譲)委員 そういった意味で、きょう私は、ちょっと切り口を変えて、ODAの問題について大臣と質疑をさせていただきたいと思うんです。

 きょう、お配りをさせていただいている資料で、一つ、このA4の紙で「太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画」という、ずらっと三十五件ばかり案件が並んでいるシートがあるんですが、これについては、大臣は御存じでいらっしゃいますでしょうか。

松本国務大臣 さまざまな事業が行われてきており、太陽光についても、このような計画で、各地の協力の中の一つとしてはあれですけれども、個別具体の、また全容について、詳細をこれについてレビューをしたということは、今私のところではありません。

 政務も六人今おりまして、できるだけ役割分担をしてもらおうということでしてもらっておりまして、それぞれの分担の中では具体的に見ていただいているかもしれませんが、これそのものは、予算としてはちょっと前の予算ではなかったかというふうに思います。

中野(譲)委員 この予算立てをつくって三十五のプロジェクトを選定したのは、実は平成二十年、麻生首相のときでございまして、ただ、選定のときが、第一次補正予算でこのプロジェクトを立ち上げると。その背景には、当時、麻生さんが、低炭素革命ということを麻生さんの政権の中の一つのメーンテーマとして掲げたときに、麻生さんが首相にかわったときに、約一カ月ちょっとで、とにかく何か低炭素革命的になるような案件をつくれというふうな指示を外務省の方にしまして、一カ月ぐらいの間にプロジェクトをつくった。それが最終的にはこの三十五案件になったわけでございますが、問題は、余りにもこのプロジェクトを策定する時間が短過ぎたのではないかなと私は思っております。

 細かい案件については大臣も御承知いただいていないと思いますので、幾つか私が例を挙げさせていただきたいのは、このA3の大きな紙でございます。私も、いろいろなこの三十五の中で幾つかプロジェクトの案件を読ませていただきましたけれども、私、たまたま昨年、タジキスタンとかアフガニスタンに行く機会もあり、また、カンボジア、ラオスでは仕事をしてきたので、その中で、私が自分の足で訪れたことがある国について、幾つか案件をまとめさせていただきました。

 例えば、タジキスタンでは二つの案件、三億円と一億五千万円で四億五千万円ということで、タジキスタンには太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画というのを立ち上げました。アフガニスタンでは当時七億円、カンボジアでは七億二千万円。そしてラオスは、これはグレーのバックがかかっている、四・八億円ということで最初プロジェクトを立ち上げたんですね。

 まず最初に、このラオスのところをちょっと申し上げたいんですが、一つ問題は、先ほどのA4に戻りますが、交換公文、いわゆるENですが、この署名は、結果的には私たちの民主党政権になってから、二〇〇九年後半から二〇一〇年初頭にかけてずっとEN公文を結んだんですが、まず、交換公文、ENについて、大臣、今までODA関係で、原文は大体英語と向こうの母国語なんですが、目を通されたことはございますか。

松本国務大臣 既に何回か署名をいたしておりまして、最初のときはざっとは拝見させていただきました。相手によっては英文に限らずという場合もあろうかと思いますけれども、そのように承知をしております。

中野(譲)委員 問題は、このEN公文の内容なんですね。ここの、私が先ほどA3の紙で例を挙げさせていただいている中でいくと、例えばタジキスタンで四億五千万円のプロジェクトをつくるというときは、その供与のプロジェクト自体が、例えばこの場合は病院と研究所ということでございます。アフガニスタンであれば空港施設内に太陽光パネルを設置するとか、カンボジアでは浄水場に太陽光パネルを設置する。そしてラオスの場合は、最初は首相府と空港に太陽光パネルを設置するということだったんですね。

 まず、プロジェクトの概算をつくるときには、当然のことながら、こういうふうに具体的なプロジェクトのサイトがあって、具体的なそのプロジェクトのボリュームがあって、それで大体の概算をつくるんですが、問題は、例えばこのラオスの四・八億円、太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画という大きな枠組みでEN公文を結んでしまうんですよ。具体的なプロジェクトの内容でEN公文を結ぶのではなくて、太陽光クリーンエネルギーという大きな枠組みで日本は四億八千万円の供与をいたしますということで政務三役のどなたかがサインをされるわけですね。

 そのときに、なぜこれが灰色になっているかといいますと、まずはプロジェクトを立ち上げるときに、コンサルティング会社を含めて、何度か現地に行って調査をいたします。数度の調査をした結果、その後にEN公文を結んで、具体的には、最終的にはどのくらいの金額がかかるかということで最終的な概算の予算を立てるわけでございますが、これは二〇一〇年の三月に交換公文を結んで、プロジェクトの内容は、首相府と空港の二カ所に太陽光パネルを設置するというプロジェクトなんですね。ただ、これが、交換公文を結んだ後に、先方の理由で首相府の方はやめてくれということで、この左側の四・六七億円の空港のみの対象ということに変わったんです。

 ただ、問題は、先ほど申し上げたとおり、太陽光エネルギーに対してのプロジェクトに四億八千万円を出すというふうなことでやっているものですから、プロジェクトの内容が変わったりとかプロジェクト自体が例えば没になっても、関係ないんですよ。日本政府としては、四億八千万円、とにかく太陽光エネルギーにかかわるものについて援助をしますというふうに非常に大枠でやるものですから、例えばこの場合でいけば、何度も向こうの政府と話し合いもして、調査もし、それに対するコストもかけておきながら、向こうの理由で首相府はやめますと。そうしたら、では空港の太陽光パネルの設置の枚数をちょっとふやして空港だけにしましょう、こういうふうになるわけですね。

 これが大きな問題であって、やはり交換公文を結ぶときには、プロジェクトの案件ごとに一つ一つきっちりと、このプロジェクトがおたくの国で必要なんだから、それに対して私たちは供与をいたしますという形のEN公文を結ばないと、仮にプロジェクトのコストが余ったら、余った分も向こうとはもう約束をしていますから、戻すことができないんですよ。そうしたら、では、それもまた太陽光エネルギー的なものに使えばいいでしょうということで、また別のプロジェクトをつくらないといけないという、言い方は悪いですけれども、予算消化主義みたいな形にどうしてもこれはなってしまうんですね。

 それで、先ほど申し上げたとおり、このプロジェクト自体が、三十五つくるときに、全部でこれは二百三十億円ぐらいかかっておりますが、一カ月ぐらいでつくれというふうに外務省に指示を政治が出すわけです。そうしたときに、これは六億だ七億だ十億だと出ているんですが、では、どこまで細かく調査ができるかというと、これはなかなか難しいんですよ。やる側だってこれは難しいし、コンサルティング会社だってこれは難しくて、私は、これは誤った政治主導の一つではないのかなと。

 先ほど、午前中の質疑で小野寺委員が、北朝鮮の問題について、政治家から言われたら断れない、だからお忍びで一緒に中国に行きましたみたいな話と同じで、こういうことをやれというふうに政治家から外務省の方にオーダーが出たら、外務省はやれませんとは言えないわけですよね。そうすると、やっつけ的になっちゃう部分も含めて、これは何とかプロジェクトをつくらないといけない。そうすると、まず予算を消化しないといけないので、先ほど申し上げたENについては大きな枠組み、ですから、このA4のところをごらんいただくと、全部これは「太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画」というふうに書いてあるわけですね。

 ただ、実際には、この中には、先ほど申し上げたとおり、各国において、どこの地域でどういうプロジェクトをやるかというのは全部決まっているんです、大枠では。ただ、結局、ENを結ぶときには、こういうふうな大枠の中でのENの、交換公文の署名になりますから、中身がどう変わろうが、いや、それは太陽光についてのプロジェクトだから構わないんじゃないかというふうなことになってしまうので、私、一つまず大臣に提案をさせていただきたいのは、このEN公文のやり方自体を、もう一度しっかりと外務省の中で政務三役を含めて検討していただきたいと思うんですが、この点について大臣の御所見をお願いいたします。

松本国務大臣 今お話があったことは、事業終了の時点で資金があれば今の仕組みでも返納されることになっていることは御承知のとおりでありますけれども、そもそも、交換公文の署名ということもさることながら、いわば現場というか、一定の範囲でどのぐらいの裁量を認めて、どの範囲では縛るのか。特にこういった相手国がある場合には、相手国に対しても、どの程度いわば拘束力のある形でお互いに話をするのかという、この範囲をどうやることが適切なのか。

 これは一般的には、国と国にかかわらず、あらゆる組織とか、組み立てをするときに、縛り過ぎると必ずしも現場に合ったいい物ができなくなりますし、これが範囲が緩過ぎれば何をしているのかわからない、ないしは大切なお金が有効に活用されないということになりかねないわけで、今御指摘のあったこの一連のものも含めて、どういうふうにチェックをして、どういう仕組みでこれから縛っていくのが適切なのかということは、御指摘があったものと受けとめて、改めて私自身も考えてみたいと思っています。

 この間、ODA全般についても、見える化ということであらゆる事業を、それは自分たちに都合のいいものだけを公表するのではなくて、すべての事業の一定以上の状況とかデータを公表しようと。これによって、言うなれば、事後的なチェックを事実上公開することになるわけですけれども、こういった形でチェックをされる中で、結果として、すべてが、事業が実は百点満点でないことはもう言うまでもないことでありますので、それをどうやって減らしていくのか、変えていくことができるのかという作業には、この民主党政権になってから取りかかったというふうに理解をしておりまして、今は、この交換公文についてどの程度の、いわば特定というんでしょうか、度合いにするべきなのかということを、改めて問題提起をいただいたものというふうに理解をして、担当をする政務や担当の部署とも、今どんな問題が起こっていると認識をしているのかは一度聞いてみたいというふうに思います。

中野(譲)委員 それで、もう一つの問題、恐らく担当の部局からそのような御説明を大臣がいただいたと思うんですが、問題は、このプロジェクトのコストなんですよ。

 大臣、ひとつ一般論としてお尋ねをしたいんですが、今、これは太陽光活用のエネルギーのプロジェクトですから、国内で、商業ベースで、例えば百キロワットなり二百キロワットぐらいの設備を設置するときに、一キロワット当たり、大体コストはどのくらいかかると大臣はお思いでしょうか。太陽光のパネルを設置するという全体の建設費を含めて。

松本国務大臣 一キロワットで、普通の家庭用ぐらいの単位でよかったんでしたか、もう少し大きかったですか。普通の家庭用ぐらいで、たしか三百万ぐらいのようなイメージが私自身はあったんですけれども。

 ちょっと正確な数字は忘れましたけれども、実は、衆議院の本館の天井にも太陽光パネルを設置するということが、私の前の議運委員長のときに決まっておりまして、私のときに執行するということで見たときに、感覚的に非常に高いなと思って内容をお聞きしたら、非常に由緒正しい建物なので、パネルそのものは大したことないんだけれども、そこまで行って足場をつくったりするのに大変なお金がかかるということで、非常に高い値段で、もう一遍、どこまで安くなるのかできるだけ見直してくれということを指示した記憶はあります。

 あのときは、衆議院も太陽光を取り入れているということが大事なんだという大きな流れの中で、とにかく衆議院にやはり太陽光を取り入れようと。どこにつくろうかというと、やはりそれは上につけるんだろうと。ところが、この衆議院の本館の上につくるというのは、これはこれでまたなかなか大変なことだということになって、削れるだけは削ってもらいましたけれども、結果としては、多分まだ割高なものを設置したのではないかというふうに思います。

 そのときにコストを幾つか見た記憶がありますが、一キロワットという単位で見た記憶はちょっと正確にないので、数字は覚えていません。

中野(譲)委員 きょうは三十分という限られた時間なので、きょうは前半戦ということで行きたいと思います。

 今、日本で商業ベースでいくと、一キロワットで大体五十万円ぐらいです。ですから、例えばスーパーの上に百キロワットぐらいの太陽光パネルの設備をつけると、それはもう工事費も全部含めて、大体五千万円から五千五百万円ぐらい。それが大体去年ぐらいの数字なんですよ。ことしになると、それはまた今下がっていて、今はもう四十万円台まで下がっているわけですね。海外に行くと、中国のパネルメーカーなんかが相当安いものを今つくっていますから、そうすると、一キロワット当たり大体三千ドルぐらいからできるように今なってきています。ここ二、三年のところで、価格が、大体五十万円から、安いところだと四十万円台ぐらいなんですよ。

 このプロジェクトをごらんいただきたいんですけれども、先ほど申し上げた、例えばタジキスタン、三億円のプロジェクトなんですね。これは発電量が百二十キロワットなんですよ。このプロジェクト事業費の下の事業予算・パー・キロワットというのは、これは単純に事業予算を発電量で割った数字なんですね。タジキスタンの場合ですと二百五十万円、三百七十五万円。アフガニスタンでは二百六十九万円。カンボジアで百四十八万円。そしてラオスでは、新しい方のプロジェクトですが、百九十八万円ということです。

 これは当然のことながら、そこにかかわるコンサルティングの費用だとか、あとは例えば輸送費だとかというもろもろのものも入りますよ。ただ、今、世界の趨勢としては、大体一キロワット当たり五十万円ぐらいで単価計算をしているものが、これが五倍だとか七倍だとか、そういう数字になるわけです。

 その中で一つ申し上げると、例えば太陽光パネル、ここの下の方に、各プロジェクトでどのくらいの太陽光パネルの枚数が必要かというのを書いてありますけれども、今、百八十ワットというのが一枚のパネルの、割かしとパネルでも発電容量の高いもの、これが大体平均五万円から八万円ぐらいなんですよ。

 それで、パワーコンディショナーにしましても、海外で使う場合だと百キロワットぐらいのものですが、これは日本から持っていっても大体五百万円から八百万円なんです。例えばアフガニスタンについては、なぜこれは単価十二万七千五百円と出ているかといいますと、これは実際に概略事業費が今出てきまして、これから見積もりをもうちょっと正確にしていくという段階であって、これは例えば単価十二万七千五百円でやっているわけです。それで、五十キロワットの例えばパワーコンディショナー一つにしても、大体日本の価格は三百万から五百万なんですが、一千万円近い価格を出しているわけです。

 下の方に、国内事業費概算で書くと大体一キロワット当たり例えば五十万円、そして例えばタジキスタンの場合でいくと六千万円から九千六百万円というのは、例えばキロワット当たり五十万円でやった場合だったら六千万円かかるんですよ。これは、仮に倍にしても九千六百万円なんですね。アフガニスタンでいえば、例えば一キロワット当たり百万円かけたとしても二億円なんですよ。ただ、このプロジェクトのコストは約七億円なんですね。余りにもコストと予算が見合わないんじゃないのかなと。

 この点について、大臣、どう思われますか。

松本国務大臣 先ほど、ちょっと私の議院運営委員長時代のお話をしたのも、本当に現地の条件というのを見てみないと、それが高いのか安いのかというのを、必ずしも、一概にここで評価をすることは難しいというふうに思っております。

 これらも、私も御質問いただいたので、けさも改めて、限られた時間でありましたけれども、幾つか私自身の方からも質問をいたしました。少なくとも、その場で聞いている限りでは、調達に関しては一定の定められた手続はしっかり踏まえて行っているという話でありました。

 もちろん、我々も野党時代のチェックで経験してきたように、単に入札をしていれば本当に適切な価格になっているかということは、必ずしも一概には言えない部分があります。恒常的に特定の会社だけが入札をしているような場合に、国の調達や地方自治体の調達でも問題が起こってきた例もあるわけですから、そこは、それだけをもってとは言いませんけれども、この件は、少なくとも内容の種類からしても、恒常的に、常に国が調達をしてきたというたぐいではない中で、一定の適切な手続をとってきたというふうには考えております。

 それから、ある意味では違う意味での政治主導の問題だという御指摘が先ほどあったわけでありますが、御案内のとおり、これは経済危機対策関係経費ということが主たる主眼でありまして、それに、ある意味では低炭素革命の促進という、看板をかけたという言い方がいいかどうかはわかりませんが、目的を加えた形で、我が国のすぐれた太陽光発電システム関連技術を諸外国に広く紹介することを主目的としたという政策であったということを踏まえつつ調達や段取りがなされたというふうに承知をいたしております。

中野(譲)委員 それにしても高いんですよ、大臣。大臣がこちら側にいたら、このプロジェクトはオーケーですか、こういうような概算のつくり方をして。

 私が言いたいのは、フェアな価格でやるのは構いません。ただ、今、ODAがこれだけ厳しい中で、例えばこういうような価格で海外でプロジェクトをやっています。ここに書いてありますけれども、プロジェクトの目的というのは、地球温暖化ガスの排出を削減とか、新エネルギーの活用促進とか、あとは当該途上国においての啓蒙啓発活動というんですよ。ここには全く、プロジェクトの評価については、価格がどのくらいかかっているのかということは評価の基準にならないんですね。

 例えばタジキスタンの場合、三億円のプロジェクトです。では、タジキスタンの病院で、年間にどれだけ電気料金が節約できるのか。三億円のプロジェクトで一年間に五十二万円ですよ。三億円かけて五十二万円なんですよ。一・五億円かけて十八・九万円、約二十万円です。アフガニスタンの場合は、七億円かけて、メンテナンスの費用を引いたら、一年間に削減できる電気の費用は六百万円なんです。

 そんなプロジェクトがいいか悪いかというときに、これは申し上げたとおり、プロジェクトの目的がそこは着眼点ではないんですよ。こういうふうな新しい太陽光のエネルギーがありますよということを途上国に対してイントロダクションする、そして日本の技術がこういうものがありますよということを普及する、そのためにお金を使うんですけれども、それにしては、数億円をかけて何十万円だ、何百万円だみたいな電力の削減費用。これは松本大臣が副大臣のときに、先ほど申し上げたPDCAサイクルというものでございますけれども、これの評価基準に、それでは、そのプロジェクトのコストだとか、それによって削減をされる現地での電力使用料とかが入っているかといったら、入っていないわけです。

 ことしの一月に、見える化ということで、PDCAサイクルということを外務省でおつくりいただきました。事業評価は、想定された効果が現時点でおおむね発現しているものについては評価をするということなんですね。無償資金協力では発現しているのが九七・五%、有償資金協力では九六・七%、草の根・人間の安全保障では九七・七、一般無償では九八・五、草の根文化無償資金協力では九七・三。つまりは、ほとんどチェックをしたすべてのプロジェクトは、案件数でいくと約八千件のプロジェクトを評価して、そのうちの大体九七、八%は効果が発現しているというふうな評価になるわけですよ。つまりは、外務省なりJICAがやっているプロジェクトは、ほとんどすべて評価に足り得るプロジェクトだというふうに、このPDCAサイクルの評価ではなっているわけです。

 では、タジキスタンなりアフガニスタンなりのこのクリーンエネルギー導入プロジェクをPDCAサイクルの評価に当てたらどうなるかといったら、みんなこれは発現になるんですよ、効果ありになるんです。なぜかというと、いや、私たちはそういうものを海外に持っていって新しいエネルギーを海外でイントロデュースしました、それについて、ああ、こういうプロジェクトがあるんだなという啓蒙啓発をしました、それが評価基準であれば、これはみんなマルのプロジェクトなんですよ。ただ、これだけのコストをかけて、本当に途上国でほかにやれることはないのかどうかという話なんです。

 例えばタジキスタンの病院ですけれども、小野寺議員も含めて、私たち伺いました。病院の中で、その数年前に日本のODAで供与されている資機材があるんですが、壊れてそのままになっているものもあるんですよ。高額なものがそのままになっている。CTスキャンがそのまま、壊れたままほったらかしになっている。または、地方の病院に行ったら医療機材が全然足りない。そういうふうな状況の中で、例えば三億円をかけて五十万円そこそこの節電効果があるようなプロジェクトを、これはPDCAサイクルでいえばマルにしていいのかどうか。この点について、大臣はどうお考えになりますか。

松本国務大臣 先ほどお話しさせていただいたように、今の御議論は、このことをやるのに割高なのではないのかということと、このお金をそもそもこういうことに使うべきだったのかという、二つの論点をあわせて御議論いただいているというふうに思います。(中野(譲)委員「評価基準もそうです」と呼ぶ)これは、評価については、ただ、スタートラインをどこに設けるかによって、やはり評価というのは決めていかざるを得ないと思いますし、ある意味では、我々政治の責任だと思います。こういうことでとにかくお金をつけるからやってこい、先ほどのお話で、イントロダクションをやってこいと言われたものを、そのことがよかったかどうか。その意味では、中野議員からお話がありましたし、我々もすべて公開をしているのも、あらゆる議論に供するという意味では、我々としては、定められた目的はこうであったのでこの目的は発現をしているというふうに申し上げていますが、そもそもそれをやるべきだったということの議論も含めて、それはもちろん我々受けとめていかなければいけないと思います。

 これについて、この割高なものをしてこれをするぐらいだったら、おっしゃったような保健、福祉などに投入をするべきだという考えは一つの意見だと思いますし、それを見て多くの方がそう思うということも我々また受けとめていかなければいけないと思っておりまして、論点とそれから評価基準については、ある意味では、当初の設定をまずしっかりクリアしているかどうかということを評価した上で、そのプロジェクトそのものについてもどんな効果が、さっき言った節電効果も副次的な効果ですから、というのも明らかにした上で、そのプロジェクト全体としてやってみた結果どうだったかということの評価は我々もしっかりまた受けとめていきたい、そういうふうに思っています。

中野(譲)委員 時間が参りましたので、きょうは前半戦ということで終わらせていただきますが、このPDCAというので、PDCAの一番大事なのはP、いわゆるプラン、計画段階なんですね。ですから、この計画段階で、先ほど申し上げたとおり、一カ月そこそこで数億円のプロジェクトをつくれと言っても、外務省もこれは難しいですよ。そして、JICAさんにしたって、つくれと言ったって、つくれませんよ。ですから、まずコストありきになっちゃうんです、予算ありきになっちゃうんですよ。

 そのときに、先ほど申し上げたとおり、ENを結ぶときに、結んだENでプロジェクトがやり切れない場合には、今度はバジェットがショートしてしまう。それを回避するためにはどうしたらいいかと言ったら、バジェットを多目にとるということです。

 バジェットを多目にとってショートするリスクを下げるということは、つまりは、今度はプロジェクトが順調に進めばお金が余ってしまうということなんですよ。お金が余ってしまっても、向こうとはENを結んでいるから、このお金は何とかしないといけないといったら、またそれを、どこかほかのプロジェクトをつくらないといけないということで、予算消化主義にどうしてもなってしまうので、ぜひ、きょうの指摘としましては、ENのあり方と、あと、このPDCAサイクルをやるのであれば、プランのところをもっともっといろいろな方を交えて精度を高めていただきたい。

 そのことを申し上げまして、きょうは前半戦を終わらせていただきます。どうもお疲れさまでございました。

     ――――◇―――――

小平委員長 次に、東南アジアにおける友好協力条約を改正する第三議定書の締結について承認を求めるの件、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千九年六月十五日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件及び理事会の改革に関する国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣松本剛明君。

    ―――――――――――――

 東南アジアにおける友好協力条約を改正する第三議定書の締結について承認を求めるの件

 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千九年六月十五日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件

 理事会の改革に関する国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本国務大臣 ただいま議題となりました東南アジアにおける友好協力条約を改正する第三議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この議定書は、平成二十二年七月にハノイにおいて開催された東南アジア諸国連合関連外相会議において作成されたものであります。

 この議定書は、東南アジアにおける友好協力条約の締約国に専ら主権国家によって構成される地域機関を加えることを目的とするものであります。

 我が国がこの議定書を締結し、その発効に寄与することは、東アジアにおける地域協力を促進するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第でございます。

 次に、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千九年六月十五日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この確認書は、平成二十一年六月にジュネーブにおいて作成されたものであります。

 この確認書は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定に含まれている我が国の譲許表に掲げる品目分類を平成十四年一月一日に効力を生じた商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約の改正に適合させることを目的とするものであります。

 我が国がこの確認書を締結することは、関税事務を容易にする見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この確認書の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、理事会の改革に関する国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この改正は、平成二十二年十二月に国際通貨基金の総務会において承認されたものであります。

 この改正は、国際通貨基金における新興国及び途上国の代表性の拡大等を目的として、理事会の改革を行うための改正について定めるものであります。

 我が国がこの改正を受諾し、その発効に寄与することは、国際通貨基金における我が国の国際協力を推進するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

小平委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五分散会


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